分類不能の雑文
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とりあえずここにぶち込んでおきますが、いずれ整理する所存(^^)
過去の雑談
2004年上期
2003年下期(以前の整理はまだできていない)
最近の雑談
2005/02/17「雑談2題:解釈の分かれるGDP、G議長議会証言と日銀総裁」
2005/02/09「日銀OBたるもの金融政策に関していい加減な話を吹聴しないで欲しい」
2005/02/08「国会会議録読書の勧め(郵政民営化を巡る参議院予算委員会質疑)」
2005/02/04「偽造通貨祭り雑感」
2005/02/03「当座預金残高目標維持について少々/ジャストシステム裁判問題」
2005/02/02「経済改革と財政構造の中期展望」
2005/02/01「予算案の後年度への影響資料」
2005/01/13「債券相場に対するよくある誤解」
2005/01/12「振興銀行の週末営業/青色LED和解に思う/竹中さんの提唱」
2005/01/07「お札を巡る与太話」
2005/01/06「ウソツキは誰だ?/リフレ派に対する違和感雑考」
2005/01/04「新春読書室」
2004/12/29「雇用関連と個人消費の経済指標を見て思ったこと」
2004/12/16「3ヶ月ものFBの落札価格が100円!」
2004/12/15「ユニットレーバーコストの低下がもたらすもの」
2004/12/13「ニュース雑感(台湾・ウクライナ・そして何故か木村剛)」
2004/12/10「日銀の『結論先にありき』的考えはいかがなものかと」
2004/12/02「日本振興銀行の内紛に思う」
2004/12/01「AFPの通信教育課題にケチをつけるの巻」
2004/11/30「国債入札制度に関するドラめもん的雑感」
2004/11/24「介入雑感/読書室」
2004/11/11「参議院財政金融委員会」
2004/11/09「負担増キャンペーンはいかがなものか」
2004/10/26「雑談:円高vs原油高」
2004/10/20「衆議院予算委員会」
2004/10/14「ダイエー問題雑感」
2004/10/12「雑談:台湾海峡波高し(か?)」
2004/10/06「中国経済話の続き/景気回復キャンペーン再開の裏にあるもの?」
2004/10/05「常用雇用者基準の日銀短観/中国経済に関する見解の受け売り」
2005/02/17
○別の意味で楽しめたGDP
昨日発表になったGDPは相場的には「あっそう」で終了なまぁ予想通りの数字って奴なんですが、「GDP反響」ということで情報ベンダーから出てくる色々な解釈が人によって全然違うのが実に楽しめました。正直、皆さん自分の主張に都合の良い解釈をしておりまして面白かったっつー事ですんで、要するにまぁ強弱定まらずという内容だったって話なんでしょうな。自分の相場見通しにとって都合の悪い数字が出てくるといきなり「過去の数字」扱いするのはいかがなものかと思いますが(^^)。
○議会証言と国会答弁
毎度毎度思うのですが、ちゃんと発表テキストがあって証言のあとにすかさずFRBのWebで内容の確認ができる米国と比較して年がら年中予算委員会だの財務金融委員会だのに引っ張りだされて同じような話しばかりさせられる(一昨日も福井総裁は財務金融委員会だか何だかに引っ張り出されてましたが、そもそも金融政策決定会合の2日前ってブラックアウト期間じゃなかったでしたっけ?)日銀総裁には誠に同情するものであります(あたくしに同情されたくはないでしょうが^^)。
で、サービス精神豊富な福井総裁様におかれましては、金利が下がっているときに「金利に蓋をする」だの金利が上がっているときに「景気回復に伴う金利上昇は自然」だの市場に燃料を投下するのがお得意(白眉は副総裁時代の「ジャストタイミング」発言でしたが)なので、プロップトレーディングやってる分には実に素晴らしいお方なのですが、まぁ何と申しますかやっぱちょっと勘弁して欲しいと相変わらず思うわけです。今日のグリーンスパン議長の債券相場火消し発言(実は内容見てませんからテレビ報道の受け売りですが)と比較するとどうもねぇって感じであります。
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2005/02/09
○「整合性欠く日銀の量的緩和」だそうですが・・・・
ブログはジャーナリズムだとかメディアだとか偉そうな言説を散々吹聴した挙句、その主張の矛盾(というか論理破綻)を突かれて自爆してしまい、ついに自分のブログは「仲良しコミュニティー」だと宣言して言論人としての資質に対してネット界隈の評判を激しく下落させた日銀OBの木村剛さんというお方がいらっしゃいます。で、最近の木村さんのブログ「週刊!木村剛」は何かスノッブの香り漂う毒にも薬にもならないウンチク話(しかも木村さん以外の執筆者が輪番で書いているんですが)ばかりだったのですが、何を思ったのかいきなり日銀の量的緩和がどうのこうのという話題をエントリー。
本来どうでもいい人といえばそれまでなんですが、何だかんだと言いましても「日銀OBの金融専門家」としてメディアで言説が取り上げられる事が多いお方なんで、この先生がどういう主張をして一般ピープルを教育(笑)しようとしているのかというのをチェックしてみましょうと。
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2005/02/post_5.html
「整合性欠く日銀の量的緩和」ってお題でお話をしているのですが、何と申しますか、これで日銀OBなのかよ!って言いたくなる部分がちらほらと見受けられる訳です。著作権がどうのこうのとか逆ねじを食らわされる(本人が知らんところでこっそりといちゃもんつけているだけなんですがね)かもしれないので引用は最低限に止めます。この先読む前に軽く上記URL先に目を通すのも吉かと(^^)。
・量的緩和政策の効果に対する説明が乱暴すぎなんですが
『もっとも冷静にみれば、量的緩和の効果は甚だしく疑問である。日銀からの資金供給量は増えているものの、その資金は銀行の手元にそのまま残るだけなのだから、それで「金融緩和の効果があると信じろ」と主張する方に無理がある。』
量的緩和政策の効果って「ゼロ金利+時間軸効果による長期金利の低位安定」をパスとしているというのは金融市場関係者の常識なのですが、あえて「資金のフロー」という話だけして「効果は疑問」というのはいかがなものかと。量に関しては流動性危機回避の下支え効果程度はあるでしょうしね。
・信用創造のメカニズムって・・・・・
『本来であれば、「日銀→銀行→企業→銀行→企業…」という信用創造のメカニズムの中で、経済の血流としてマネーが還流すべきところだが、すでに手元資金が潤沢にある銀行は、日銀の助けがなくとも信用創造を働かせるには十分な資金準備を持っている。』
えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!「信用創造」でGoogle先生をサーチすると、例えばこんな(http://www.findai.com/yogo/0016.htm)のが引っ掛かってきますが、そこには「信用創造とは、銀行が預金と貸出しを連鎖的に繰り返すことで、お金(通貨)が増えていくことをいいます」って書いてますし、あたくしが高校の政経の授業でも(苦笑)信用創造って銀行→企業→銀行・・・としか教わりませんでしたが、日銀→銀行って線は何よ??
そもそも日銀は特別融資のような場合は別ですが、基本的に有担保貸出じゃなかったでしたっけ??
まぁこの件はあたくしの知識もアレでございますので、書いている本人も自分の言ってる事が正解なのか不安はありますが・・・・誰かご教示を。
2月10日に追記した文です。
・昨日の補足:信用創造に関して
高校の政経(高校生当時一番の得意科目でしたが、当時政経で受験できる東京の国公立大学があまり無かったのはありゃ何でだったんでしょ)の授業以来久しぶりに「信用創造がどうのこうの」などと話をしたので、書いた自分もちょっと不安があったのですが、やはり昨日申しあげた木村剛さんの信用創造に関する話は妙であるというご教示を頂きました。ありがとうございます。
という訳で昨日の補足。木村さんは信用創造のメカニズムに関して『本来であれば、「日銀→銀行→企業→銀行→企業…」という信用創造のメカニズムの中で、経済の血流としてマネーが還流すべきところだが、すでに手元資金が潤沢にある銀行は、日銀の助けがなくとも信用創造を働かせるには十分な資金準備を持っている。』と話している訳ですが、基本的に「信用創造」っていうのは「銀行→企業→銀行」という形で銀行がバランスシートを膨らませるプロセスのお話だというのはやはり正解でした。じゃあ「日銀→銀行」ってところは何の意味があるかと言いますと、「銀行がバランスシートを拡大するためのハイパワードマネーを供給する」という点で日銀の存在意味はある(だいたいからして日本銀行券が無かったら話が始まりませんしね^^)訳ですな。昨日申しあげたように、日銀の資金供給ルートってのは別に市中銀行に対して無担保融資している訳では無いんで、「日銀→銀行」ってラインでの信用供与は起きていないって事でございますわな。やはり話がおかしい。
で、信用創造のメカニズムが働かないのは銀行がケシカランというお話しを木村先生よくする訳なのですが、そりゃ銀行が無理矢理にバランスシートを拡大すれば信用創造のメカニズムは発生するかも知れませんが、それは罷りならんって事になっている状況で銀行悪玉論を唱えられても困るというものではないかと思うのですがね。
(以上追記終了)
・勝手に事実を作らないようにしましょう
『2002年秋に(金融担当相の)竹中プランが策定された当時には、「中小企業に資金需要はない」と断言していた大銀行が、しかもベンチャー企業にまで貸し出し始めたという現状に一種の感慨を覚える向きも多いだろう。』
中小企業に資金需要はないなんていつ銀行が言ってましたっけ?大体からして当時の金融庁のご指導は「貸し出しの査定を厳しくしろ」って事でしたが何か?金融検査マニュアル中小企業編をその後出しませんでしたっけ?
まぁこの先生は毎度毎度「大銀行はケシカラン」という誠に扇動的な論調が目に付くお方なんでこの程度の話はデフォではあるのですが、休日のニュース解説バラエティ番組(見てると血圧が急上昇するのであたくしは見ない)などでもまたこんな話してるんでしょうなぁ。
・話が矛盾してますが
『もし、銀行システムが正常化し、通常の信用創造機能が働き始めるのならば、経済の血流たるマネーはそれこそ勢いよく循環し始めるかもしれない。しかしそうなったとき、30〜35兆円という日銀当座預金残高は、大きすぎるようにも思われる。量的緩和は、あくまでも非常時の金融政策。信用創造メカニズムが機能不全であるときの異例の政策である。金融システムが正常化したときに、現状の量的緩和がそのままということは、整合性を欠く。』
あのー、さっき「量的緩和の効果は甚だしく疑問」って言ってませんでしたっけ??
・話の誇張は如何なものか
『デフレ対策というムードを醸し出すためのデコレーション(=量的緩和)が長らく続いたために、最近では公開オペレーションの札割れという形で日銀からの資金供給を拒否する銀行すらでてきた。日銀マンが銀行に「何とか借りてください」と頼み込んでいたりする。』
「拒否している」とか「何とか借りてください」ってのはどう見ても話の誇張でしょうな。世間に専門家として影響力を持っているお方としてはもっと冷静にモノを書いていただきたい所ですな。まぁこ〜ゆ〜刺激的な言い方をする人をメディアが求めているってぇのが問題だとも言える訳ですがね。
『その一方で、短期国債の買入でGDPの6倍近くの入札をするという事件も起こる。異常としか言いようがない。』
短期国債の買入じゃなくて入札でしょ。専門外の話をする時に事実関係や用語の使い方が妙になるのはある程度仕方ない面はある(正確は期すべきですが、まぁ個人的雑感を書くような場合もありますし)んですが、日銀OBという看板で金融政策を語るのにこうまでいい加減なことを書くのは如何なものかと思う次第。ネットで書いたものを広めるんですから(書き終えてから気が付いたのですが、上記エントリーって2月7日の「フジサンケイビジネスアイ」というまるで話題になっていない新聞に掲載した記事なんですね。益々たちが悪い・・・)テキトーなことを書かれても困りますなぁ。(あたくしも時々間違えますが必ず追記で訂正するようにしております。あたくし如きですら・・・)
・出身母体の評判が・・・・
まぁそ〜ゆ〜訳で、変なモノにいちゃもんをつけるという余り物の参考にならない話をしちゃいまして誠に申し訳ございません。ちょっと前に「日銀OBの某社ストラテジストが『タカ派の水野さんを次期審議委員に推薦したのは、量的緩和政策の早期解除を日銀にさせて失敗する事によって日銀の独立性を失わせる財務省の陰謀だ』などとアフォな話をしているそうですな〜」ってな事をドラめもんで申しあげましたが、この某ストラテジストと言い、木村先生と言い、もうちょっと何とかならんものかと思うのでありました。そういえば昨年「日銀OBの民主党議員」(結構若い人)の国会における質疑を取り上げて「アフォですかこの人は?」って話をした事もありましたが、ちょっと如何なものかと思われるお方が目に付く訳で、日銀の対外的評価もまた下がるのではないかと他人事ながら憂慮に堪えないものでございます。
#本日はあまり役に立たなさそうなお話ばかりで恐縮至極。
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2005/02/08
国会と言えば、あたくしがインフルエンザでひっくり返っていた時はちょうど代表質問をやっていた頃でして、熱もだいぶ収まってテレビを見るくらいの元気が出てきたときに参議院本会議で代表質問をやっておりました。で、ちょうど見ていたのが共産党と社民党の代表質問だったのですが、この代表質問に対する小泉首相の答えっぷりが実にアレなものがございましたな。
と申しますのは、この両党の代表質問に対する小泉くんの答弁ってもう思いっ切り原稿棒読みでしかもまぁ早口。まるで気持ちがこもっていないというのがテレビから見てもすんげぇ良く伝わってくる態度でして、そういう露骨な態度を取るのもどうなのかねぇと思ってしまいましたな。
という話は兎も角として、郵政民営化に関して質疑の行われた1月31日の参議院予算委員会の会議録。当該会議録は参議院Webから会議録情報→参議院会議録情報→予算委員会で読むことができます。読んでいて「何の話をしているんだかねぇ」って思っちゃいましたが。。。。
○突っ込みどころ満載の決意表明
冒頭の質問者は民主党・新緑風会の小川敏夫委員。質問の最初が郵政民営化でございまして、まずは小泉首相が決意表明をしているのですが、この理屈がさっぱり判らん。
『まず郵政民営化、改革の本丸であると私が位置付けていると、それは大方の議員、民主党の議員の多くも、民間にできることは民間にということについてそう異論はないと思うんです。それから、行財政改革を断行しろ、これも異論がない。公務員を減らしなさいと、これも異論がない。となると、今の郵政三事業、いずれもこれを民営化するということに対して反対だというのは私、分かんないです。郵政三事業、郵便事業にしても貯金事業にしても簡保の事業にしても民間でできるんですね、まあ一つの封書、はがきの配達以外は。』
はぁそうですか。でも「一つの封書、はがきの配達」って郵便事業のことじゃねぇのか?とシロートのあたくしは思うのですが、まぁスルーして次。
『そういうことを考えますと、この郵政三事業、郵便局従事している国家公務員約二十八万人、短時間の公務員を入れると十二万人いますから、合わせて約四十万人。この四十万人の公務員がいないと郵便局の仕事はできないのかということを考えてくださいよ。外務省、これは本省の、日本にある本省の職員と全世界にある大使館、領事館、これを含めて国家公務員は六千人いないんですよ。それと警察官、これも約二十四、五万ですかね。そうしますと、これ外務省の仕事でも警察官の仕事でも重要な仕事であります。本当に公務員を減らそうと考えるんだったらば、果たしてここ、郵便局の仕事は公務員でなくてはいけないのかということを考えれば、民間にできることはもうたくさんあるんです。』
郵政事業と外務省やら警察やらの仕事を一緒くたにして人員の多寡を比較するというのは何というか凄い論理展開(というか論理ではないと思うが^^)でございますな。ついでに申しあげますと、公務員を減らす云々って言っても郵政事業が現状の形態のままで民営化してもそれは単に職員の肩書きが変るだけで、それで「公務員が減りました」って言われても何のこっちゃとしか申しあげようがありませんな。
どうせ「民営化すると経営が効率化されて人員が減る」って事なんでしょうけど、それなら別に現在の経営形態で効率化して人員を減らす事だって可能な筈であって、民営化しないと経営の効率化が出来ないというのはそりゃ官営のままでは何も手がつけられませんって言ってるようなものですから、今後の公務員制度改革だの何だのって計画は実行出来ませんって言っているのと同じではないでしょうかねぇ。で、次。
『そして、郵便局の経営も、企業の経営を考えれば、公務員が経営するよりも民間人に経営を任せた方が国民の様々な要望にこたえ得るような経営ができるのではないかということを考えると、私は民間にできることを民間にというんだったらこれは民営化十分できると。郵便局をなくせなんというのは一言も言っていない。国鉄だって民営化して鉄道はなくなっていない。電話にしても、電電公社からNTT、民営化になっても電話がなくなるどころか、もうすさまじい勢いで電話サービスというのは展開されている。こういうことを考えて、この郵便局の仕事は民間人に任せても十分できると。』
あたくしが昔住んでいた九州地方では筑豊地区を中心に物凄い勢いでローカル線が廃止になりましたが何か?ま、要するに民営化して非効率な部分を削る分には「一私企業の判断ですから政治の知った事ではない」という言い訳が成立するって事なんでしょうな。でもそれって政治の責任放棄じゃね〜のって気もする訳ですが。いや勿論「非効率な部分は郵政事業の民間会社に勝手にやらせて良し」っていうのが政治で決定すればそれはそれで良いんですけど、現在の話はそうなってないでしょ?
で、この理念発表がまだと続くのですが、とりあえず続きの質疑。
○郵貯・簡保の資金が民間で活用されて経済活性化という理屈
さっきの決意表明答弁の続きでは小泉首相このような発言をしています。
『行政改革、財政改革と、今まで郵便貯金とか簡保の資金で集めていた金が財政投融資制度という制度を通じて各特殊法人に流れていた、いわゆる官の分野の資金に使われていた、これを民間に流せるようにするということについても、これ郵政民営化というのは欠かせない事業であると。そういうことを考えますと、私は郵便局の仕事は民間に任せても十分できると。』
てな訳で、郵政民営化によって郵貯簡保資金350兆円が民間で活用されて経済が活性化するらしいのですが、既に銀行貸出が低迷しているのに350兆円がローンに向かっていったら益々ローン金利ダンピング祭りになりませんかねぇと思う訳ですが、それは杞憂であるというのが竹中郵政民営化担当大臣の答弁で明らかになります(^^)。
小川委員の質問(の一部)。
『まず、具体的な話になりますが、郵貯であります。郵貯・簡保資金、これ今政府保証が入っておりますが、これが民営化になりますと政府保証を外れるわけでございますね。そうしますと、これまで政府保証が入っているということで、郵政公社法四十一条でその資金の運用は安全第一ということで非常に限定された運用に限られておったわけですが、これが政府保証が外れて普通の銀行と同じような民営銀行になるとした場合に、これは当然外れるんでしょうね。』
この部分に関する竹中大臣の答弁。
『預金については、これは政府保証を外すわけでございますけれども、その運用については、民間企業として段階的に、貸付けも含めて、自由な経営判断の下でいろんなことをやっていただく。同時に、政府保証の付いたものについては、公社勘定ということでまあ別に持つことになりますので、それについてはその性格を考えて、安全資産として運用をしていただく、そのようなスキームでしっかりと段階的に自由度を持っていただく。』
小川委員の突っ込み。
『その安定的に運用するということと、この郵政公社法四十一条で運用方法が制限されている、この関係はどうなりますか。』
竹中大臣の答弁(の一部)。
『それは、基本的にどういう法律を作るかということで、今、制度設計等、法案の作成に向けて基本方針に基づいて作業をしておりますので、今、法案上どうなるかということに関しましては、正にそれを、その趣旨を生かして制度設計、法案作成を行っているということになろうかと思います。』
とまで言わせておいて小川委員の切り込みが入ります。長いので要点部分だけ。
『総理は、郵貯・簡保資金三百五十兆円、これを膨大な資金が民間で有効に活用されると、こういうふうに述べております。また、年末にありました政府広報、内閣官房の郵政民営化のこの広告も、郵貯・簡保資金三百五十兆円を民間で利用可能にと、このように一番強く郵政民営化のこの主眼であるというふうに述べておりますが、(略)そうしますと、この三百五十兆円は民間には行かないんじゃないかと。すなわち、郵政公社勘定に行った資金は民間で活用できない。民間で活用できるのは、公社勘定とは別に新たな銀行が集めた貯金が新しい運用方法によって民間で利用できる可能性が出るかもしれないけれども、現在ある郵貯・簡保資金三百五十兆円は結局、民間で利用すると言っているのは、これはできないことをできるような広告をしているんじゃないでしょうか。どうですか。』
この質問に関する小泉首相の答弁が何ともアレでして・・・・・
『法案の作成はこれからなんです。そして、法案が作成して国会に提出されれば、その具体論がより鮮明になってきます。しかし、現在の時点においては、郵政公社が民営化する際に移行期間を設けていますから、旧勘定と新勘定になりますね。そういう点もどのように、不安のないように今までの資金が活用されるか、新たに民営化会社がどのような自由度を持って自由に民間に流れるような資金にするかというのはこれからよく与党とも協議して、国民に不安のないような形で法案作成に臨みたいと思っております。』
で、まぁこの後新勘定に移行した場合にどうなるのよとか言った話になって、小川委員から「そんなに郵貯簡保資金を民間で活用したいのならば規模を縮小していくという方法だってあるんじゃねぇのか」というような話に向かったのですが、例によって続きは皆さん是非国会会議録をご覧下さい。
ちなみに、その続きとして国債発行30兆円がどうのこうのという話にもなっておりまして、段々話が「???」の方向になってしまって面白くなくなって来るのが残念なところではございます。
まぁあたしゃー郵政民営化ってどうもピンと来ないのですが、どうもこの質疑応答に見られるように、民営化推進の主張が全体的に「結論先にありきで理屈をこじつけ」て、「最も肝心なことを言ってない」ように思えるのが実に遺憾だと思う次第であります。
#今日は引用ばっかで増量になってしまいまして誠に恐縮でした。
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2005/02/04
○偽造通貨祭り
随分精巧な偽造500円玉が発見されたようで。ちょうど目の前の某公共放送でトップニュース(しかも所要時間6分)でやっているのですが、専門家の意見として「作りとしては精巧で、これでペイするのかどうか疑問を感じるくらいです」「自販機やATMを騙せるというのは偽造1万円よりもタチが悪いです」と言ってました。
ここへ来てまるで狙ったかのように一気に偽造通貨祭り状態になっていますが、いつもニコニコ現金払いがモットーのあたくしと致しましては(つーかカードとかって利用状況が人に捕捉されるってのが気に入らないので現金払いを好むという感覚的な理由なんですけどね)誠に遺憾な状態でございまして、極端から極端に走りやすいニホンジンの傾向を考えるとそのうち急に電子マネーとかばかりになってしまうのではないかという悪寒もする訳ですな。
まぁ現金経済が減りますと、アンダーグラウンドなお方とかも困る訳ですからそうそう現金というものが廃れはしないと思いますが、何でもかんでも捕捉可能な電子化が進むというのも個人的趣味としてはアレですなぁって感じでございます。単純な印象なんですけどね。
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2005/02/03
○短期金融市場での資金供給オペ
昨日もまた資金供給オペで札割れが連発。日本全国の皆様が応札可能で一番の「全国お助けオペ」として使える筈の全店手形買入オペが札割れとなったようでして、誠に心温まるものがございます。
まぁ確かに資金ニーズが無ぇぞってのもあるのですが、こうなってきますと「札割れ攻撃で日銀の姿勢を試しに行く」という短期金融市場からの日銀へのアクション催促モードとなっているようにも見える訳でして、日銀としても中々大変な状況になっているようですな。あっはっは。
先月前半から皆さんで「日銀当座預金残高目標引き下げはどうよ」って話をせっせと盛り上げたのですが、盛り上げのペースが速すぎて時期尚早となってしまい水野審議委員のブルームバーグインタビューで見事に鉄槌を下されてしまったというのは先日来ご紹介した通りなのですが、まぁこうなったら市場と日銀の意地の張り合いでもやっていただけると見物人としては大変に楽しいものを感じる次第でございます。
ただ、債券市場としては既に当座預金残高目標引き下げ問題に関しては「ま〜駄目でしょうな」という認識になっておりますし、テクニカル的な問題はともかくとして、外部を納得させるのは現状の情勢から見て不可能でしょって話ですんで、短期金融市場方面から「当座預金残高目標引き下げ催促モード」をやっても、債券市場としては「当座預金残高目標の維持が困難」→「とうとう長期国債買入の増額か!(輪番だけは当分札割れの懸念無し)」→「債券相場に燃料投下」という展開になってしまうでしょうな。
これで本当にテクニカルに当座預金残高目標を実質引き下げみたいな事をやると激しく笑えるのですが・・・・・・
○知財立国などと言いますが・・・・
知財立国がどうのこうのって話がありまして、弁理士資格者1万人確保を目標に最近妙に弁理士試験が緩くなっている(1万人確保まであと2〜3年程度のようですので目指す方は今のうちに)ようでございますな。
で、まぁ一日遅れの反応ですが、ジャストシステムと松下の訴訟問題の雑談な訳でして(^^)、あたくしはオフィスでのコンピューター利用の発展期に、コンピューター化の激しく遅れた職場で仕事をしていましたので、実は一太郎よりワープロ専用機の方が馴染みのある人間なのであまりジャストシステムがどうのこうのといわれましても「はぁはぁそうですか」位のものなのですが、ワープロソフトの本質的な部分じゃないヘルプファイルのどうのこうのという点で販売停止どころか在庫破棄まででちゃう(控訴すれば執行停止なのですが)という判決はどうなのよって思う次第。
どうも東京地方裁判所ってのは青色LED訴訟では200億円とかいうちょっと幾らなんでもその額は無ぇだろうって判決をだしてみたり、今回の特許判決(詳しく見てませんけど、今回の特許ってアイデアはアイデアとして認めるにしても、アイデアより実装技術の方が重要ではないかと思うんですが)といい、ちょっと何とかならんのかという司法判断が目に付く訳ですな。(その他にも「建設したマンションの6階から上を削れ」とかそりゃ物理的に可能なのかよって判決もありましたな。セーフかアウトかどっちかしかありえないでしょう。)
債券相場とは思いっ切り関係ありませんが、さすがにそりゃね〜だろうと思ったのでちょっと言わせて頂きました。まぁちょっとだけ笑ったのは昨日の株式市場の反応でして、松下以外の電器株は比較的堅調でしたが、松下だけ逆行安しておりましたな。おっほっほ。
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2005/02/02
○構造改革と経済財政の中期展望
真面目に分析を始めると物凄く時間がかかりそうな話。
律儀に毎週のように実施されている経済財政諮問会議ですが、本年第1回は1月20日に行われまして、席上「構造改革と経済財政の中期展望(2004年度改定)」が公表されておりまして、「ほうほう」とこれまた読んでおるのですが、昨日ご紹介した財務省発表の「平成17年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」とは別の「国の一般会計の姿」「地方普通会計の姿」なんかがございまして、中々不思議な思いにかられる次第でございます。
ちなみに資料その他は「内閣府」→「経済財政諮問会議」→「会議資料」から見る事ができます。
まぁ何だか色々と不思議な気がするのですが、わざわざ本資料の最終ページで「内閣府・参考資料と財務省・後年度影響試算の比較」と銘打って違いについて力説しておりまして、確かに前提になっている経済のシナリオなんぞも財務省の物と随分違うのですが、国の一般会計の姿として出てくる結果が財務省の後年度影響試算と内閣府参考資料があんまり違わないのはど〜してなんでしょというのが最初の「???」でございます。
当初は「なるほど後年度影響試算と似てますなぁ」などと思っていたのですが、良く見りゃ前提条件になるマクロ経済の図が結構違うようですので、何でそう同じような結果になるのかなぁと思うのですが、どうも今百歩ほど判らないのでこの話に関してもまた宿題って感じでして、精々悩むことと致します。
この「経済財政諮問会議」の議事要旨は毎回毎回見て楽しめる内容になっております。あたくしも人から読むのを勧められたクチなんですが、結構面白いです。特に麻生総務大臣のコメントは何というか本質的な問題提起というか突っ込みというか、実にいい味を出しておりまして、あたくしはこの会議録を読んでいるうちに麻生さんのファンになりつつある今日この頃でございます。議事要旨に関しても面白いのがあったらいずれご紹介致します。
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2005/02/01
○平成17年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算
というものが財務省から発表されております。
http://www/mof.go.jp/jouhou/syukei/h17/sy170128a.htm
この影響試算ってのは毎年発表されているようでして、上記URLを見ますと下の欄外に「ホームページ>予算・決算>後年度影響計算>・・・・」という風になっている場所がありますので、この「後年度影響試算」ってところをクリックしますと過去の一覧りすとが出てまいります。これを見て「ほほー」と思うのも中々宜しいのではないかと思う次第(^^)。
まーそもそもの前提条件がいわゆる一つの腰だめの数字って奴ですからそんなに大騒ぎして読むものでもないとは思うのですが、過去に出した「後年度影響試算」を見ますと、例えば平成15年度当初予算案を出した時点(=2年前)に出した試算と実際の16年度の数字を比較すると、税収予想はまぁ大体同じで、歳出に関して地方交付税と一般歳出のその他(社会保障と公共事業以外の部分らしい)部分でやりくりして歳出削減しているのねっていうのが読み取れまして、「ふ〜ん」って感じであります。
ま、今回発表された試算もよくよく見ると名目経済成長率が18年度以降年率2%だのCPIが年率0.5%だのとなっていて「それで10年金利2%はね〜だろ」って気が思いっ切りする試算になっている(というようなイチャモンをつける人向けに「平成18年度以降金利3%の場合」っていう計算があったりするのですが^^)ので、恐らくこの試算って直近1〜2年が恐ろしく正確に出てきてその先はいきなり鉛筆なめなめの世界に突入するというギャップがあるのではないかと勝手に想像しておりますが、残念ながらあまり財政関連のお話に詳しくない(だいたい外国為替特別会計のどこがどうなっているのかって話だってよ〜判らん次第でして)あたくしは折角ネタ振りをしながらこの話はこれで竜頭蛇尾(汗)。
何かこの表だけみているといつになったらプライマリーバランスが黒字化するのでしょうかねぇという感じなんですが・・・・・
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2005/01/13
○債券市場に対するよくある誤解
一昨日のことですが、別のお笑い記事(いやまぁ日経さまにおかれましては真面目に書いているんでしょうが)を見るために日経金融新聞1面コラムの「複眼独眼」を拝読したのですが、執筆者の「一葉」氏が「郵政民営化と国債消化の調和」ってお題でコラムを書いておりまして、郵政民営化と国債消化の配慮をどうするのって話がありました。書いてある論理展開が何を言いたいのかさっぱり判らんという突っ込み所満載コラムなのですが、それはともかくとしてこのコラム執筆者も債券市場に関してこんなコメントをしている訳です。
『債券市場関係者は、不景気になって金利が低下することを喜び景気回復による金利上昇を嫌うという「あまのじゃく」だ。彼らは、郵政民営化によって国債相場が弱くなると困るだろう。』
随分前にご紹介したバーナンキ氏の講演録「リフレと金融政策」でも高橋洋一氏による解説部分でも『彼ら(=金融・市場市場関係者)がインフレ目標に反対する理由は、インフレ目標が採用されると名目長期金利が上昇(フィッシャー効果)し保有債券の評価損が生じると信じられているからであるといわれている。』というような件があるように、この説は恐らく外部の方々(リフレ政策を提唱するお方に目立つのは気のせいかもしれませんが)の間ではまず「定説」化している話でございます。
でも本当にそうなのかと申しますと、これがまた違うんですよって話でございますわな。以下債券市場関係者には「あたりめ〜だろ」って言われそうな話ですが・・・・
保有債券の評価損がど〜のこ〜のって話は勿論問題なのですが、株式のような資産と違いまして、現在国内で流通している債券っつーものは基本的に満期が来れば(発行体が破綻しない限り)償還されるものでして、正直「保有債券の評価損は時間が解決する」ものでありまして、これが株式だの不動産だのといった投資対象と根本的に違うところ(株や不動産ではバブル崩壊以降「耐えていれば何とかなる」と耐え抜いた挙句に再起不能になったお方が沢山おいでな訳ですが)でして、破壊的な金利上昇(連日債券先物ストップ安とか)でも起きれば話は別ですが、少々の含み損などというものは「そのうち何とかなるだろう」ってなもんです。
でですな、債券と言う商品は期限が来ると償還されて現金が返ってくるという(おまけに保有期間内に利息がチャリンチャリンと入って来る)商品特性上、常に債券での運用には「再投資リスク」っつーのがある訳でして、少々の金利上昇が起きると「運用環境が改善された」という話になるのでございます。基本的に「利息をつけて預かっている資金の運用」を行っているので、運用利回りというものを叩き出さないといけない訳でして、相場が上ったからといって手持ち債券を全部売って利益確定するなんて事はできん訳ですよ。
そんな訳で、債券市場関係者と致しましては、金利上昇必ずしも困る話ではなくて、正直その速度がのんびりであれば無問題だし、却って有り難いと言うのが普通の見方でございましょう。大体からして量的緩和政策の長期化で国内債券市場の(使わないといけない資本に対する)収益率が甚だ低下したせいで海外系の業者さまにおかれましては国債(とか金利)部門に対してあちこちで業務縮小の刑を執行して下さったというのもあって正直、金利が上って相場が少々動いてくれないと業者も困る訳ですな。
どうも「金利上昇」→「債券価格下落」という部分にばかり注目されるのは仕方ない面はあるとは言え、誠に遺憾なことでございますなぁ。
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2005/01/12
お題「ニュース雑談」
本日はもしかしたら米国株安円高を受けてちったぁ動きが有るかもしれませんが、まぁ相変わらず10年1.4%で5年0.5%台後半で推移しとる間はネタも無くて困りますわな。海外出張にいっちゃった人以外の動きは無いですし・・・・・
○努力の方向が激しく変だと思うのですが・・・・
本間宗久相場三昧伝の一節に「米商いは踏み出し大切なり。踏み出し悪しき時は決して手違いになるなり。」なんてぇのがございますが、あたくしが大いに楽しくウォッチしている木村剛大先生肝いりの日本振興銀行さまにおかれましては、現在の金融行政の迷走ぶりをきっちりと具現化していただいているという意味で実に貴重な存在ではないかと思う訳です。
先日の発表でとうとう木村剛さんが社長に就任(した割には早期に後任を見つけ筆頭株主らしいですが木村さんの持ち株も売るかもとか言っている超越的無責任筆頭株主代表取締役なのは激しく顎が外れるのですが)した日本振興銀行ですが、早速新社長ご就任の1月から「土日も営業(ただし午前中だけ)」という新企画を打ち出したようであります。
・・・・・まるで結果から逆算すると債務超過なのに税金を絶賛投入されたのではないかとの疑惑も高い何故か旧国鉄の人がエライひとになっているどこぞの銀行を彷彿させるような企画なのですが、大手町の本店一つしかない銀行(というかただの商工ローン会社だが)が土日に午前中だけ店を開ける意味がどこにあるのか理解に苦しむのですが、まぁご苦労な事です。
この銀行が掲げる理念っつーかどうやって融資やって行きますかって話を見ておりますと、上記したように現在の金融庁の金融行政にも相通じる(金融検査マニュアルの策定に大きく貢献した木村氏肝いりの銀行なんだから当たり前ですが)訳でして・・・・・・
・担保不足で資金需要のある新興中小企業への融資を行う
・融資先の人物本位で審査を充実する
・無担保無保証融資(結局保証人は徴求しているようですが)
ってなお話を並べると、どうも金融検査マニュアルの香りが大変に漂って来るものを感じまして実に香しい。導入当初「これじゃあ担保不足の中小零細企業にプロパー融資できねぇ」ってなもんで「貸し渋りの原因」と悪態をつかれてから政治問題化。で、その後「金融検査マニュアル中小企業編」が出てきてたり、「リレーションシップバンキングの推進」などという話が始まって益々訳がわからなくなったというか現実離れしてきた訳ですな。
金融庁の仰せになられるリレバンに関しては年末(12月29日)のドラめもんで金融庁「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況について」の悪態をついたのでご記憶に有るかと存じますが、もう物の見事に鉛筆なめなめ状態になってりまして涙無しでは見られない事例発表となっております。
大体ですな、「リレーションシップバンキング」とか言いながら「クレジットスコアリングモデルの活用」を提唱するという時点で既に話が自己矛盾しているので、本気でリレバンを推進する気があるのかそれとも中小企業イジメとの政治的軋轢を避ける為の方便なのかよー判らんのだが、どうも日本振興銀行がやっている(というかやろうとしている事というか)を傍目から見ておりますと、少なくとも木村さんは素に大真面目になって「中小企業金融は金融検査マニュアル中小企業編の如くあるべし」となって現実に実行しようとしたんでしょうなぁと思わせるものがございます。
まぁ現実の壁にぶち当たって精々「金融検査マニュアル」が如何にとんでもない物だったかという事を反省していただき今後の金融行政に役立てる事が出来るのであれば大変に結構ではありますが、ど〜せそういう話にならないんだろうな〜と思うと実に暗澹たるものを感じます。また、銀行批判というかほとんど誹謗言いがかりに近い素晴らしい言説を展開しつつ金融行政に貢献していた木村剛さまがいざ銀行経営に携わった時に「今まで言ってた事とやってる事が違いませんか?」っていう様子(「銀行というのは融資先に個人の連帯保証を求めるのだから、預金に対して経営者が個人保証すべきだ」などと大変にご立派な話はどうなったのかな?木村さん)を見ておりますと、この国の行政機構はどうなっちゃってるんでしょうか?「吏道」ってもんがありませんでしたっけ?などと悲しくなってくる訳でございます。悲しいもんだ。
○青色LED和解問題
青色LEDの新技術が出て本件特許の優位性が無くなったってニュースが出た時点で「そろそろ終結?」と思っていたらまぁ無事に終結。
最初の報奨金とやらがふざけた額だったから話がこじれたんでしょうが、200億円とかいう判決を出した地方裁判所も何を考えているのか1ミリも理解できないというか、何か「新技術」というのを誤解しておられる悪寒。
一審判決を出した裁判官に置かれましては「特許」というのはもしかして「ニュートンがリンゴが落下するのを見て万有引力の法則を思いついた」とかいうエピソードのようなものと勘違いしているのではないかと憶測したくなってしまいますわな。開発ってのは数々の失敗実験という屍を乗り越えて当たりを引くものでございますんで、そりゃ当たりを出した人はエライですが、そこだけ大いに金持ちになるというのは何っつーか技術の進歩の為に試行錯誤している多くの人々の貢献を相対的に軽視してませんかねぇって思うところであります。
まームツカシイ話ではあるのですが、あまり金金やっちゃうと地味だけど重要な基礎分野に人的資源が回らなくなっちゃって、却って技術の発展を阻害するような気が致しますな。
200億円判決が出たときの話の蒸し返しで恐縮至極。
○国債管理政策を担う部署の設立話
竹中大臣が何故か「国債管理政策を別組織化するのはどうよ」って話を先日しておりまして、早速谷垣大臣が文句つけておりました。まぁ英国の歳入管理庁とかの例から思いついたのかもしれませんが、国債管理政策だけ別組織にする意味がさっぱり判らん話であります。
それ以前の問題として、国債管理政策でど〜のこ〜のという技術的な話よりも財政健全化に向けて努力するのが筋なんじゃないでしょうかと思う次第でありまして、どうも「2010年度にプライマリーバランスを達成」っていう話が無理だろって話になる前にお得意の目くらましをするという意図があるんじゃね〜のって憶測してしまうあたくしはやはりひねくれ者なんでしょうな。
問題が深刻化してくると目先の組織いじりとか精神的なスローガンをぶち上げて目くらましをするというのは日本古来の伝統芸とも言えるものですので、まぁこの手の話がごちゃこちゃ浮上する時には碌なことはなかろうと思うのが吉かと。相場云々としてはどうでもいい話ですが。
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2005/01/07
○お札を巡る与太話
以下ひたすら馬鹿話です。
その1:偽札騒ぎ
恐ろしく作りのヘタクソな偽札が流行しているようでして、今朝のモーサテによりますとどこぞの銀行で出来の悪い偽札を日銀に持ち込んでしまうという有りうべからざる事務ミスをしていたらしいですな。もうアホか馬鹿かと。でまぁ神社仏閣で偽札(と言えるのか?ただのコピーでしょ)が見つかるのですが、不謹慎ながら楽しみにしているニュースは・・・
「賽銭箱から偽札が見つかった」
という話題。そういう激しく無駄な偽造通貨行使をしてこそ世に笑いを巻き起こしてほのぼのとさせてくれる(本当か?)な訳でして、「神社仏閣の境内で偽札を使う輩がいる」というニュースでは世相が暗くなるだけでございます。ああ不謹慎。
その2:お札の肖像
まぁデザインが発表された頃から話題にはなっていましたが、5千円札の樋口一葉さまというのは物凄くお金に縁が無かったということで著名なお方でして、あたくしも勉強不足でよー知らんのですが、親が事業に失敗しちゃったり色々とお金で苦労した挙句に早世してしまったという大変なお方でしたようですな。
てな事を事前知識として持っておりますと、「なんで金に縁のなかった人を紙幣の肖像に採用するのよ」って疑問が起こる訳ですが、現実に新5千円札を手に取りますと樋口一葉ファンには甚だ申し訳無いのですが、どうも金に縁が無くなりそうな気がして来るあたくしなんぞはもう物凄い勢いでこのお札を費消してしまう訳で、貨幣の流通速度を速めることに1ミリほど貢献している所でございます(^^)。
・・・・・実は「早世した偉人」をお札の肖像に採用したのは「貨幣の流通速度を上げよう」という日本銀行の深慮遠謀だったのでしょうか?
まぁ新通貨のデザインがどうのこうのって時にも「誰が肖像に良いか」って話題がひとしきり盛り上がった訳ですが、あたくしとしてはやはり景気回復といえば第7代日銀総裁って事でこの方を推奨したいところです(リンク先から戻る時はブラウザの「戻る」ボタンでよろしく)。
http://www.boj.or.jp/about/basic/governor/sousai07.htm
(既に50円札の肖像に採用された実績があるんですけどね)
で、日銀総裁という事で見ておりますと、第4代総裁のこの人も中々勇壮な肖像なのですが、特定企業グループを連想させるお方なので採用されないでしょう。
http://www.boj.or.jp/about/basic/governor/sousai04.htm
まぁ申し訳ないですが、他の総裁の写真を見てもあまり「お札の肖像」っていうインパクトを感じませんが、一万円札には第18代総裁が宜しいのではないでしょうか。
http://www.boj.or.jp/about/basic/governor/sousai18.htm
おあとがよろしいようで。
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2005/01/06
○国債市場特別参加者に関る発表
国債市場特別参加者に1月から東海東京証券が加わる事になりまして、誠に慶祝の極みでございます。で、財務省さまにおかれましては今回「落札・引受額ランキング」「応札額ランキング」なんぞを公表されましたが、これが中々笑えますわな。
国債の落札・応札順位について(平成16年7月〜12月)http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/jgbsp/050104a.pdf(財務省のWebはPDFをハイパーリンクすると見えない傾向にあるので、元アドレスを念の為申しあげますとこちらであります→http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/jgbsp/jgbsp.htm)
大変に楽しめるのはその資料の2ページ目と4ページ目あたりでございまして、「超長期国債(30年、20年、変動15年)」の落札額順位と応札額順位を見るとランキングの順位が全然違う訳でございます。何せ落札額ランキング上位5社は日系大手(と大手銀行)が占めているのに、応札額ランキングの上位5社中3社が外資系(どこなのかはリンク先の資料を見ましょう^^)。
超長期国債で「按分狙いの過大入札」ってのはちょっとリスキーでしょうから(15年だと少々有りえるけどやっぱリスキー)、まぁ応札順位が落札順位よりだいぶ上のお方はいずれ「入りもしない札」をせっせと入れておられるものかと存じます。まぁそりゃ入ったらラッキーな札を下のほうまで流すのは結構ですが、もしかして(最近はあまり気にされなくなってきたとは言え)応札倍率を大きく見せかける為(応札倍率が高い→ニーズが高い→販売順調という連想が働きやすい、最近は余り騙されなくなっているが)に応札だけしているのではないかという疑惑も(^^)。
まぁ何ですな。要するに「応札倍率は低い場合以外は材料視しても全く無意味」という事ですわ。一つ宜しく。
(1月10日追記:この後実施された10年国債入札の応札倍率が4倍とまぁ普通の倍率になったのですが、もしかしてこの発表が影響して「明らかに無駄な札)が入らなくなったのかもしれませんね^^)
○再度「経済論戦の読み方(田中秀臣著、講談社現代新書)」と関連話
途中で一旦挫折(読書室ご参考)しましたが、後半部分を頑張って読むとそれはそれで面白い本でありました。どうも経済の現状認識部分に関して所謂「リフレ派」の見方が市場からみる直感的な印象(理論的に話ができないのが甚だ遺憾なのですが)とどうも合わないので、市場関係者としては第1章の「実践(プラクティカル)マクロ経済学」のコアという部分は読まないで(そこでやたら引っ掛かる)第2章の「経済論戦の見取り図」以降を読むのが吉かと(^^)。
基本的に現在のデフレ状況(しかしデフレ継続で景気が回復している・・・って資産価格のデフレが止まって一部じゃ絶賛インフレ状態だから当然なのですけどね)をどうやって脱却するかって話になりますと、所謂「リフレ派」の皆様も市場に近いところにいる人も「金融を緩和状況にして、財政も緩和状況にする」という合わせ技しか無いでしょってのは意見が一致してると思います。現在の回復だって一般財政は緊縮の振りをしてますが、銀行への税金投入やら産業再生機構、外為特別会計経由の財政出動などが支えている訳ですし。
ただ、その結論に至るまでのプロセスが所謂「リフレ派」は「デフレは貨幣的現象」(そりゃそうだが)という面を重視しすぎる余り、金融政策に力点を置きすぎていると見える訳ですよ。市場にいる浅学非才なあたくしとしては。で、「金融政策はもう大して効かねぇから財政ですよ財政」ってのがどっちかというと市場の見方だと思う訳で(だからりそな救済以降株価が反転した訳だが)して、所謂「リフレ派」への市場からの疑問もその辺にありますが、何せ出てくる処方箋らしきものは本質的に同じなのにプロセスが違うってのは基本的に宗教論争に近くなってしまうようですな。そもそも経済学の基礎知識に乏しいあたくしは論戦以前の問題ですが、とあるブログで敢然と論戦をしているお方がいて(結局平行線であることが明らかになって目出度く終了したようですが)勉強になりました。勝手に紹介していいのか良く判らんから個別にお問い合わせ下さい。
話は戻って田中氏のこの著書ですが、本書の「流動性の罠に陥った日本経済」の中(77ページ)で『FRB理事のベン・バーナンキらは貨幣発行益を用いた減税政策を勧めている。』って書いて、そのあとに『貨幣発行益を用いれば、赤字国債の発行も増税も不要なので、財政赤字問題を悪化させることはない。』って説明しているんですが、(以前ドラめもんでご紹介した)バーナンキ氏の講演録「リフレと金融政策(高橋洋一訳、日本経済新聞社)」を見ますと、2002年11月21日の講演でバーナンキ氏は『通貨創造を財源とする減税は、ミルトン・フリードマンの有名な「ヘリコプター・マネー」と本質的に等しいものです。』と言及してまして、ご丁寧にも脚注(って高橋さんが入れているんでしょうね→1/8追記:この脚注はBernanke氏の講演原稿としてFRBから発表されている中にございます。つまり、高橋氏の入れた注ではなくて、元々から有った注です。当該講演の脚注18番の部分です)では『通貨創造を財源とする減税は、債券発行で財源を調達した減税にFRBによる公開市場操作での証券買い入れを組み合わせたものと同じである。(この後の説明が長いのですが省略)』と補足して下さっている訳でして、ちょっと「通貨発行益の減税」に関する説明が雑なんじゃないのって感じですな。
先日も書きましたように、新書だから説明を端折ってしまうのは致し方ないと思うのですが、全体的に説明をちと端折っているのが残念なところです。
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2005/01/04
お題「例によって新春読書室」
今年もドラめもんをご愛顧の程宜しくお願い致しますm(__)m。
年末年始と申しましても4日間しか休みはなかったのであまり時間が有ったわけではないのですが、とりあえず読んでみた本。
○虜人日記(小松真一著、ちくま学芸文庫)
以前ご紹介した山本七平著「日本はなぜ敗れるのか−敗因21カ条」(角川oneテーマ21)に大きな影響を与えた(というか底本となった)本です。重複になりますが、小松氏は台湾でブタノール(ガソリンの代用品)製造に従事しておりまして、昭和19年に陸軍軍属として比島に渡り、ブタノール生産の拡大に働き、米軍上陸と共にジャングルに退却して敗戦と共に捕虜生活を送った人です。
大戦末期の比島の様子、米軍上陸後のジャングル戦、戦後の捕虜収容所生活について、本人が文章や絵で記述しているのですが、これを読みますと「日本は負けるべくして負けたのね」ってのが良く判ってしまいますわな。上記の3つの状況について小松氏がつけたお題が「漂流する椰子の実」「密林の彷徨」「虜人日記」とありまして、まぁ虜人日記というのはともかくとして、ブタノール製造の為に軍属となって派遣された比島での生活が「漂流する椰子の実」であり、ジャングルでの戦闘と後世言われている筈の戦いが「密林の彷徨」という事からも、日本は何やってたのよってのが何となく判って頂けるかと存じますが、極めて淡々と正確な記述をしつつ、内容はちょっと初心者には刺激が強すぎますわな。
山本七平氏も解説で指摘してますが、戦争体験の風化がどうのこうのとか言うよりはこの本一冊読んでみましょうって感じです。正直、あたくしなんぞ3日と生きてられませんわな。
ただし、この本は事実を淡々と記述しているだけであっても、天下泰平に慣れまくっている現代日本人にはあまりにも刺激が強すぎますので、とりあえず「アーロン収容所(会田雄次著、中公文庫)」→「日本はなぜ敗れるのか−敗因21カ条」→本書の順でお読みいただく事をお勧め致します。
ISBN4-480-08883-0 C0195 \1300
○日本の総理学(中曽根康弘著、PHP新書)
ご存知中曽根元首相の本。総理大臣時代のお話は少々あるのですが、基本的には中曽根さんの国家論とか安全保障論とか教育論とかです。最後の方でリーダーの仕事って話をしていまして、「大局を見据え、小局にこだわらず」と言う事で「大をなすためには風見鶏である事も必要。要は背骨となる国家観や思想があるかが大事だ」って感じの記述があるのですが、その割にはあたくしの読み込みが足りないのかもしれませんが、中曽根さんが本書で語る国家論とか安全保障に関する考え方とか教育論が今一歩見えてこないのが残念ですな。特に何考えているのか良く判らんのが防衛に関する話なんですが。
虜人日記と比較しちゃあちょっとかわいそうかもしれませんが、虜人日記が1300円でこの本700円なのは如何なものかと。まぁ書いてあるテーマも文章の量も全然違いますから仕方無いのですが、事実を冷静かつ淡々と批判的な目で記述した「虜人日記」により深い思想を感じてしまうのは何故でしょう。
中曽根さん他にも本を出してるますので、そっちを読んだ方が宜しいのではないかと存じます。思いっ切り辛口書評になっちゃいましたな。
ISBN4-569-63830-9 C0230 \700
#年末年始でぼーっとしているので本日はこんな所で(^^)
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2004/12/29
○雇用は改善するも・・・・
昨日朝一発目に発表された経済指標は雇用関連と個人消費関連の指標でしたが、失業率(4.7%→4.5%)と有効求人倍率(0.88→0.92)が結構改善しているのに、勤労者世帯消費支出が▲0.7%となっておりまして、この数字を見た最初の印象は誠に複雑なものがございますわな。
「雇用のトータルは改善してるけどパイは減っとるんかいな」と思ってよくよく見たら現金給与総額は+0.4%で3ヶ月振りに増加している(この辺の数字って実はど〜ゆ〜意味なのか良く勉強してないので数字の字面だけの印象なんですけど)ので必ずしも労働分配が悪化しているわけでは無いんでしょうが、どうも最初の数字を見ていると「労働者は文句を言わずに働けということですかはぁそうですか」ってなもんで、先日ドラめもんで悪態をついた「安全に金ケチってね〜か」って問題と相まって労働環境は昭和の御世へと徐々に戻りつつあるのではという悪寒が激しくなって来る物でございまする。
昭和の御世のように「明日は今日より豊かになる」って希望があって現実に経済のパイがトータルで成長してくれりゃぁ厳しい労働環境もまた楽しいのかもしれませんが現状はねぇ・・・・・
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2004/12/16
○もうね、アフォか馬鹿かと
昨日実施された3ヶ月FBの入札。まぁ一昨日の短期国債売却オペだの何だのという話からして強い入札になるんじゃネーノって話はあったのですが、何と発行量5兆円が丸々100円落札。この時点で利回りは当然の如くゼロ%というのも無茶な話ですが、事務経費考えたらどこからどう考えても利回りがマイナスになってしまう訳で。
まぁ4半期末で公社債の残高が必要な人がいたり、足もとの資金が潤沢過ぎるので運用するための玉が枯渇しているとか、まぁそうは言っても落札実績だとか店頭売買高を稼ぐのが営業政策上必要だとか色々と言い訳はあると思いますが、利回りゼロってどうよって感じでしょう。唯一の救いは今回の100円落札の按分比率が90%以上あったことでして、皆で気が触れたように99兆9999億9000万円の応札を100円にしている訳ではないことくらいでしょうか。
まぁ為替がらみから起きるマイナス金利というのはあちこちで既に発生しておりまして、コールレートがマイナスになるというケースもちょくちょくありますが、まぁこのマイナス金利はそんなに沢山出来ている取引でもなくまぁ局地戦のお話だったという感じです。ところが今回はいきなり5兆円ですよ先生って感じでございまして、もう全面火の海状態という感じでございます。まさに地獄の火の中に投げ込まれる者たちとはこの事かと。
で、もっと間の抜けた話はその後の業者間取引でプラス利回りでの売買が行われている事ですか。まぁ落札しなかったあるいは落札額が少なかった業者が嫌がらせで叩いているのかもしれませんがね。
為替市場での介入の為(とは岩田副総裁以外の日銀は死んでも認めませんが)に豪快に当座預金残高目標を引き上げてしまった弊害が見事に発生している訳でして実に香しいものを感じますわな。何やってるんだか。正直、金余りがどうのこうのとか言う問題ではなくてこれは単に量的緩和政策の量の出しすぎ状態なだけですんで、だからどうなのって話ではないと思いますよ〜ん。
余談ですが、市場観測では野村證券さまにおかれましては今回落札ゼロだそうで、業者としての矜持みたいな物を感じましたな。
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2004/12/15
○ディスカウントショップの火災事件
人間の記憶ってのは土地とか人間とかに付くものらしく、転勤族サラリーマンの親を持つあたくしは小さい頃の記憶というものが確実に消失しつつあるのですが、それでも大昔の記憶として、「大型ショッピングセンターで大火災が発生して死者多数」って事件は昭和40年代とかには何度かあったというのがございます。で、昨日の痛ましい火災事件でございまして、店員とアルバイトさんが避難誘導していて逃げ遅れたのではないかと思うと実に悲しいお話です。(ニュース報道によれば客の安全確認の為に奥に改めて入って逃げ遅れたそうですね。何とも悲しい。)
まぁここの店舗って一度だけしか行った事がないのでよーわからんのですが、何かわざと無茶苦茶な商品配列をしてどうのこうのって話を時々メディアが「画期的な陳列方法」の如くヨイショしているのを見ておりますので大方の想像は出来るのですが、まぁ無茶してるな〜って印象はあった所です。過日「納入業者に対して優越的地位を濫用して業者に役務を提供させているのはケシカラン」と公正取引委員会の立ち入り検査だか何だかが入っていたのもこちらでございまして、まぁ「安売りの殿堂」を築く為に頑張ってコスト削減をしていたようですな。
そんな中でどこをどう考えても火災避難という面を軽視した商品陳列方法が仇となって火災の犠牲者が出るって話を見てしまいますと、過日ドラめもんでご紹介した「労働市場に関する適正資源配分がどうのこうの」って日銀のレポートを思うと何だかちょっと「・・・・・」って感じであります。
労働問題ってのは何だかんだと言っても最終的には「人」に繋がるものですがら、日銀調査統計局さまのレポートの如く経済的な面だけで割り切れる物ではなく、社会的というか政治的というか、まぁ確かに調査統計局の範疇を超える話ではあるのですが、そ〜ゆ〜面も考えますと、あまり経済面の話ばかりに終始するようなレポートを出してますと「それはどうよ」って反応になるんじゃね〜のって思うところではあります。記憶と知識がごちゃごちゃになっていますが、「エネルギー転換がどうのこうの」って事で三井三池の大争議とか色々とあったのはあたくしが小さい頃だったような気がする(記憶違いかも)のですが。
工場で起こるとんでもない爆発事故なんかでもそうですが、どうもこの手の事故だの事件だのってのが、まるで高度成長時代に本卦帰りしたかのようでして、安全部分へのコスト削減が随分と来ているって事になっているのではないかと思う(高度成長時代のこと良く存じませんが^^)のでございます。そういえば昔は神風タクシーなどという言葉もあったそうですが、大通りでもない道で時速50キロで一時停止無視して突っ込んできたタクシーと衝突事故というのを実践させられたのはあたくしでございます。
景気回復は結構ですが、その内容が社会的コストの増加というか安全の低下に繋がるものならば、そんな景気回復ってどうよって思うあたくしでありました。
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2004/12/13
○ニュース雑感
・台湾立法院選挙
個人的思い入れは兎も角としまして、先だっての総統選挙の時と似たような「バランスを取る結果」になりました(本年3月の総統選挙では陳水扁総統が再選されたものの、与党連合が提唱していた公民投票に関しては否決)。まぁとりあえず台湾海峡が軍事的に緊張するという事態は少し遠のいたという解釈になると思いますが、台湾独立の動きに一定のブレーキが掛かった(熱烈独立派の李登輝前総統率いる政党「台聯」がどうも伸びなかったようですし)ことから大陸が政治的に攻勢に出やすくなるとあたしゃー勝手に想像しちゃう訳でして、日本との関係において大陸中国が政治的攻勢に出やすくなるんじゃね〜のって思うところであります。
なお、台湾の主要メディアは国民党(現在の野党、外省人系)の系列のものが非常に多うございますので、海外メディアの情報をそのままだだ流ししたがります日本メディアで報道される台湾政治がらみのネタはその分割り引く必要がありそうな感じ。まぁ陳総統体制が続いてきてやや変化してきてるのかも知れませんが。
・ウクライナの野党大統領候補
いや〜警察国家っつーのは恐ろしいですな〜。毒殺という発想が出て来るところが凄いですが、毒物だと摂取量がコントロールできるだけに大統領側の言う「ジサクジエーン」も必ずしも否定できない訳でして、まぁこの手の「疑惑の何ちゃら」というのは最後はどうなのよって感じですわな。本年3月の台湾総統選挙でも投票日前日だかに総統が銃撃されるという事件がありましたが、まぁ腹部銃創を命に別状無くわざと外すのは技量が必要でしょうが、この時も自作自演説がありましたわな。まぁ真相は神の味噌汁。
しかしリアルに食い物にダイオキシンぶち込んで毒殺しようとしていたのでしたらその発想に降参ですな。大統領派はバックにプーチン大統領さまがおいでのようですので、プーチン先生もご了承だったりして。
・木村剛VS切込隊長@山本一郎
別に世間的なニュースではありませんが、ネットウォッチャー的には今思いっきり大炎上モードの事件。まぁ詳しくはご当人のブログを見ていただきたい(「週刊!木村剛」「切込隊長BLOG」のキーワードで検索かければ間違いなく引っ掛かります)のですが、日本振興銀行の内紛をネタにして山本氏が木村氏に切込中。まぁ色々と背景があるとは思いますが、以前からの経緯をマターリとウォッチしておりましたあたくしが思いまするに・・・
最近では夕刊紙なんかでも紹介されちゃう位に「ブログ」が大流行状態でして、このツールはネット界の新しいコミュニティーの場になる期待もされております。で、その中でも有名人ブログとしてパワーのある木村氏の「週刊!木村剛」が、その影響力をコミュニティーのツールではなく彼の政治的というかまぁ本人の功利的プロパガンダの場として利用されだしてきている印象が強くなっております。で、@nifty時代からコミュニティを大事にしていた山本氏にとっては、そのやり方に物申すって事になったのではないかと思う次第。
まぁ中々な大炎上状態ですので、また触れるかもしれません。
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2004/12/10
○「結論先にありき」の姿勢が見られるような気がするのですが・・
昨日は小難しい論文シリーズでありまする「日本銀行ワーキングペーパーシリーズ」をご紹介しましたが、先日発表された今月の論文は2本とも雇用者所得がどうのこうのとかのお話になっておりまして、もう一本をざっと斜め読みしますとこれがまた昨日ご紹介した論文と同じような印象を受けました。
と申しますのは、「これってまた『結論先にありき』じゃね〜の?」って印象でして、何というかまぁ研究するのは結構でございますが、アプローチがあまりにも「結論先にありき」的であるというのに福井総裁以来の「謎の金融政策」にも通じるものを感じまして、「大丈夫かな〜」と激しく懸念しちゃう訳であります。
福井総裁就任後に実施された「金融政策の新企画」では「企業金融が目詰まりしてるから資産担保証券市場の拡大が必要であり、日銀が資産担保証券の買入を行う」というのが一番派手でございましたが、ご存知のように結局実績はろくすっぽ上らず、国会でその点に突っ込みを受けると「実績が上っていなくても無問題」と楽しい開き直り(まぁ元々失敗してるんだから開き直るしかないですが^^)をかましておりましたが、この政策もまた、「企業金融が目詰まり」って時点で日銀短観の資金繰りDIとか貸出態度DIとかと全然整合が取れていない上に、当初買入対象にしていたのが、誰もが購入意欲のあるシニア部分という訳でして、そりゃ実績は上らんわなってなもんです。
そういえば「債券流通市場の整備に資する」と言い出して折角作った「補完的貸付制度」も結局申し訳のように9月末に一回やっただけという実にしょぼい状態。何せ(要綱が出た時に悪態つきましたが)使う側からしたら見事なまでに使いにくい制度でございまして、これまた見事な張子の虎。
まぁ鳴り物入りで作った「新制度」が事実上使いものにならないって話でしたら別に毒にも薬にもならないお話なので無問題なのですが(「この新制度はつまらん!(大滝秀治風に^^)」と考えた日銀の事務方が、内容をわざと使い物にならないものにして骨抜きにするという巧妙なサボタージュをしてるんだったら神認定ですが^^)、これから量的緩和解除がどうのこうのって話になった時に、判断の材料を「結論先にありき」ってアプローチをされると誠に如何なものかと思うわけです。
先日の水野審議委員の就任記者会見で『中央銀行は──企業から直接ヒアリングしている分だけ、データは市場参加者よりも多少持っているとは思うが──』って発言がありましたが、まぁ日銀としてはそ〜ゆ〜自信というか自負というか認識を持っているって事なのでしょうから尚更たちが悪いっていうのはちょっと口が悪すぎるかもしれませんが、「良く判っている」と自負されながら「結論先にありき」攻撃をされるとまさに最強かつ最凶となってしまいますんでご注意ありたしって所でしょう。
#財政再建問題で大暴れモードが入りつつある財務省にも言えると思いますがね。
それでは〜(^^)
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2004/12/02
○日本振興銀行の内紛?に思う
別のところで書いたものを大幅加筆してこっちに書いちゃいますが。
日本振興銀行が報道やらリリースやらを見てるともうズタボロの状態になっているようでして実に香ばしい状態になっているようです。どうも創業メンバーが続々と辞めた挙句(振興銀行のWeb見ても役員退任のリリースが無いのですが、役員構成を見てると、設立時の主要メンバーで残ってる社内の人間って小穴社長@もとDKBだけのような気がするのですが・・・)に、設立時には社長に擬せられていた落合さん@オレガを取締役会議の内容を外部漏洩したとかいう理由で懲戒解雇などという豪快な事をして、落合さんからは当然の如く不当解雇と騒がれているようです。懲戒解雇なんぞされたら履歴に傷つきまくりですから当然ですわな。
で、まぁこのドタバタを傍観者としてみておりますと、昔々にあっしがとある会社の経営の真似事をした時の経験がオーバーラップしてくる訳です。
今にして思えばあっしとしてもちょっとやり様があったと反省する事しきりではありますが、まぁあたくしが絡んでいた会社の社長ってぇのは、切込隊長氏が激賞する(って判り難い例えですが)非凡かつ優秀なアイデアマンでして、後から振り返るとその着眼点の筋が非常に良いお方でした。しかしこのお方は残念な事に、アイデアを商業ベースに乗せる段階における能力がやや不足しておられまして、折角のアイデアが実務段階で実らないという傾向にあったんですな。
で、まぁ能力の高い人にありがちなパターンなんですが、物事が思ったように進行しないと生来のやんちゃ振りが現れてつい暴れて(色々な意味で)しまって物事ぶち壊しモード。折角の業務パートナーだったり、部下だったりに対してやんちゃ振りを発揮しちゃったり(お相手さまもまだビジネスやってますのであたくしの立場から見た一方的な意見であると一応申しあげておきましょうね。微妙な表現で恐縮)して、まぁあたくしもそんなこんなで結局半年ちょっとで喧嘩別れみたいになってしまったんですな。
木村剛氏および最近の日本振興銀行を見ていると似たような物を感じてしまうんですね〜。
振興銀行始めるにあたって創業メンバーがずらっと並んだ写真を表紙にした「金融維新」なんて楽しい本を出してましたが(当然読んでません)、1年経たずにメンバーがほぼ総入替状態といっても過言では無い状況。そういえばNiftyのココログで木村さんがやっているブログ「週刊!木村剛」でも始めた頃に積極的にトラックバック(意見)を送っていた人たちの多くは何時の間にか去っているようですし、まぁ組織の中で高い能力を発揮しても、経営者となるとまた別の能力が必要だという当たり前の結論なのですが、ものの見事にその状況を実演してくださる木村剛さんの勇者ぶりには感服しますが、そろそろ敗戦処理した方がよいのではないかって気もしますな。
ディーラーやってた効用かもしれませんが、負けに気がついたときの負け方というのはものすごーーーーく大事でして、再起不能になるような下手な負け方をすると金や名誉だけでは済まない事になっちゃったりするんで、木村氏を生温かく見守るヲチャーのあたくしとしては「経営というものの反面教師ですな〜」と思いつつ先行きを懸念しているわけです。
#何だかんだと言って結局キムタケのファンなんですな>自分
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2004/12/01
○全然相場と関係ないですがFP協会如何なものかという与太話
FP試験を真面目に勉強中あるいは修了された方(って読者様の過半数ではなかろうか・・・)に怒られそうなネタなのですが・・・・・
まぁあたくしの仕事場でも「とりあえずAFP資格は必須」みたいな話がありまして(あたくしは9年だか10年前に証券アナリストを取っているので無問題。資格は若いうちに取りましょ〜ってなもんですな^^)、弟子がヒーヒー言いながら試験を受けるために必要な通信テスト課題を休み時間に見ているわけですな。
でもって「実技試験課題」みたいなのがありまして、まぁモデル家庭に対してFPとして資産をどうするだの何だのという「ライフプラン提案書」を作れみたいな物がある訳でございます。興味本位で提案書を見ていて「???」と思って「ちと問題見せてくれ」って事で問題を拝見したらそこには驚愕の「モデル家庭」が(-_-メ)。(以下脳内メモリーから書き出しているので大筋は合ってますが、必ずしも課題と一致しておりません事をお断りいたします)
このモデル家庭、世帯主は40代の会社員で税込み年収が730万だかそこらで、妻がパートで年収60万だからだいたい合計で年収800万。4人家族で子供が中学生とか高校生とか要するにそんな時期。4年前に頭金1000万円弱で家を購入して3000万円ほどの住宅ローンを抱えているって設定なのに、何故か預貯金が1600万とかあって、ゴルフ会員権だの何だのと金融資産が2000万ほどあるという話になっております。
で、もっと凄いのは生命保険を夫婦で月に6万円払ってるわ、自家用車は持っているわという状況で、住宅ローンの返済が月に15万円あってどうやって資金繰りが回っているのか意味不明・・・・・と思ったら、設問のキャッシュフロー表の「前年実績」数値を見ると、税込みベースのキャッシュフローが入り800万の払い1100万で300万円の赤字(^^)。
もうこれはFPがどうのこうのという以前の問題で、家計がこの時点で破綻しているとしか思えない設定でして、何でこんな破綻した家計なのに金融資産が2000万円あるのかと問題を作った人間を小一時間問い詰めたくなるような設問。普通この時点で典型的な「住宅ローン破産」の状態でしょう。
提案書を作る以前の問題で「とりあえず貴方の家計は破綻しているので、世帯主さん車を売ってゴルフもやめて。月額掛け金6万円の保険なんぞ入る必要皆無だから思いっきり減らしてから人生分相応に生きて下さい。」と言った方が相談者の為になるのではないか(多分客は怒って帰るでしょうが^^)と思ってしまう次第でして、このような無茶苦茶あり得ない状態を設定して「ライフプランの提案書を作れ」って問題を出すFP協会とやらの脳みその構造を拝見したくなる次第でありますな。
・・・・ただの通信テスト課題にそこまで突っ込むあたくしの方が変ですかそうですか。
と、FP協会をボロクソにけなしたので最後にフォローしますと、FP資格試験っつーのは物凄く色々な知識が必要で、とてもとてもあたくしの手に及ぶ物ではありませんわな。特にCFPってどうやりゃ受かるのよ??って思う次第でして、あの試験を合格するというのは大変なことですな。
何を言いたいかと申しますと、FP協会の出してる課題は???だけど、合格して資格をとっている人は偉いですって事です。あたくしは面倒臭いので取る気ないですが。
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2004/11/30
お題「国債入札制度に係わるドラめもん的雑感」
物凄く真面目に取り上げだすととても重いネタなんですが、ちゃんと考えが纏まっているわけではないので雑談的に。
議事要旨を見てないのですが、報道によりますと昨日の国債投資家懇談会では国債引受シンジケート団の廃止がどうのこうのという話題が出ていたようですな。まぁ国債市場特別参加者制度が本格稼動している訳ですからシ団の廃止も検討しても宜しいかと思います。で、そんなこんなで国債の入札制度に改善の余地は無いでしょうかって話はここ最近のネタでもあったりするようです。
○応札価格の刻みの問題
応札価格の刻みがちと荒いな〜と思うのは10年国債。何せ昔のように豪快なディーリング相場では無い昨今において、応札価格の刻みが5銭というのは如何にも荒すぎ。5銭というのが0.5bp以上と言うことでして、業者間の呼び値公称刻み幅以上であります。ついでに申しあげれば、最近はあまりにもAsk-Bidがガチガチになっていたり、相場自体が全然動いて無い時なんぞには0.25bpなんぞで堂々売買しておりますので、まさに呼び値幅よりもデカイ応札価格の刻み幅であります。
現在のように常に入札が過熱してくれる(ただし10年国債に限って言えば最近あまり過熱しない傾向にあるのですが)のであれば「按分になりそうな価格の上にも応札しなきゃ」などという動きも出てきますので発行体ウハウハではありますが、相場が何となく弱くなるとこの刻みが逆効果として作用しそうな悪寒がする訳でして、まぁ改善の余地があろうかと思う訳でございます。
ちなみに、2年国債も本当は刻み1銭ですと値段としては荒いのですが、ゼロ金利がいつまでも続く訳でもなし(と言いつつまだまだ続くと思っているあたくし)、まぁ短期金利がそれなりに動くようになれば無問題かとは思います。0.5銭刻みにでもなるとまぁ便利は便利ですが。
○落札限度額の問題
先ほど「ここ最近の10年国債入札はあまり過熱していない」と申しあげましたが、この「あまり過熱しない入札」に貢献しているのが落札限度額の存在ではないかと思っております。
特に2年国債入札で思いっきり顕著に見られるのですが、どこぞの大手業者が代わる代わる発行量の7割くらいを落札するというアホウな状態が毎月のように発生した挙句、先月の入札のように過熱しすぎで7割落札組が手を引いたら「そんなに入れたくはね〜けど7割落としてくる人がいるから多めに応札するしかありませんな〜」ってなもんで多めに応札した人が叩き投げモードになってしまうわけでして、落札限度額が無い入札で特定業者の買占めが行われるというのも如何なものかと思うわけです。
まぁ目先的には入札が過熱したから発行体としてはオイチイですが、より長い目でみれば馬鹿入札の連発は国債の安定消化を阻害するものでございまして、入札はあまり馬鹿馬鹿しく過熱しすぎず、かといって毎回入札が割安になるというのも変な訳でして、その辺のバランスはムツカシイですが、特定業者が毎回のように買占める入札(2年の他には短期国債もその傾向あり)というのは制度改善の余地があろうかと思います。
10年国債の場合は落札限度額がありますので、1社で発行額の殆どを抑えるという荒業ができません。その為に「そんなに馬鹿馬鹿しい高値で応札しなくても買占め攻撃にはならないでしょう」という心理が働いて比較的まともな入札になるという結果になるという事でして、まぁ応札限度みたいな発想も必要ではないかという気はする訳です。あるいは米国債みたいに自己勘定と顧客勘定での応札を分けて自己勘定だけ落札限度だか応札限度だか忘れましたが、リミットを設けるとか、まぁやり様はありそうですな。
○応札限度額の問題
同じような理屈なのですが応札限度額問題。現在の国債入札では応札限度額がございませんでして、応札を行う日銀ネットでの入力可能額が事実上の応札限度額になっております。で、どういう事が生じているかと言うと、短期国債なんかでは99兆9999億9000万円などという応札をする人が続出しちゃうわけですわな。まぁ短期国債の場合は極端ですが、「多分この価格が最低落札価格になって按分がかかるんでしょう」って価格に10兆だの20兆だのという応札が入るケースも相変わらずありまして、お蔭で応札倍率が幾らかという事が何の意味もなくなる(応札倍率が低いときだけ参考になりますが)という弊害も生じております。
ちなみに、現物株式のディーラーもやったことがあるという債券市場では珍しいあたくしは株式のディーラーやっている時に取引に関する諸規則が債券と全然違う(極めて厳しい)のにビックリ致しましたわな。例えば現物株式でストップ高買い気配になりますと、あまりにもバイカイが極端に偏っている場合は値段がつかないのですが、まぁ普通にバイカイが偏っている場合は多い方の注文が比例配分されて取引が成立する訳なんですが、この時に「比例配分狙い」ということで大目の注文(買い気配なら買い注文ですな)を入れると「作為的相場形成」に該当いたしますのでタイーホでございます。
ついでに申しあげますと、ブックビルディング方式での売り出しあるいは新株発行の際に多くの配分を得る為に行う「カラ注文」も違反(公正慣習規則違反)でございます。いつぞやのドラめもんで指摘しましたが、日経新聞あたりでも勘違いしているようで、サンデーニッケイのマネー指南みたいなコーナーで「人気の新規公開株の配分を受けるためには複数の証券会社で注文しましょう」というようなFPのアドバイスをそのまま掲載しちゃったりする訳ですなこれがまた(^^)。ちなみに、同一人物が複数の証券会社で同じブックビルディングに申し込むのも規則違反。他人名義でやるのは名義借りなので証券取引法違反ですわな、うひょひょのひょ。
で、国債入札におきましては発行予定額がなんぼかある訳でして、全部落札しないのが判っていて過大(発行予定額を大きく超過するような)な応札をするというのは現物株式市場に直しますと「過大注文」にどう考えても該当する訳でして、まぁ如何なものかと思うわけですな。もうちょっと何とかならんかと思う訳です(まぁ落札限度額があれば無問題かもしれないですが)わな。
ちなみに、この手の「株式市場の規制と比べて何でこう債券市場は無法地帯なんだ」という話を債券市場関係者の前で堂々とすると(ドラめもん推定で)10人中7人位はいやーな顔をしまして、そのうち2人くらいから「債券市場はプロの市場で株式市場と参加者層が違う(以下省略)」という猛反論を食らいますので注意が必要なわけでございます。
で、ドラめもんも債券市場関係者向けに書いているんでしたな。また読者が減るような事を書いてしまったではないかと思いつつも、既にお時間が無いので今更全部書き直す訳にも行かず(というのは大嘘で元々直す気ありませんが^^)という事で本日は債券市場関係者のご機嫌を損ねる部分があったことをお詫びしておきますねm(__)m。
ちなみに、本日は国債決済制度(というか来年始まる事になっている国債決済機関)に関しての愚意見も書くつもりだったのですが、こちらに関してはまた改めて。
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2004/11/24
お題「介入雑感/久々に読書室」
米債が上がろうと下がろうと平均株価逆相関相場でありますので、債券市場に関して悩むよりは株価指数の見通しとか為替市場の見通しでも考えていた方が気が利いているようですので、まぁ深く悩まないこととしまして。
毎度毎度日銀総裁発言読みばかりではワンパターンもいい所ですので、本日は介入に関してあたくし的雑考というか与太話でも。
○介入をしないようですが
ドル/ユーロはまぁエライコッチャになっておりますが、合成通貨の悲しさでこ〜ゆ〜時にはやる事はなさそうな雰囲気。一方でドル/円に関しては米国大統領様まで担ぎ出してコメントまでさせておいて介入警戒感を煽っているせいか、何となく103円台という妙なところで下げ渋っております。
まぁグリーンスパン議長がドル安にお墨付き与えちゃってるんようなもんなんで如何ともし難いという所ではありますが、この「介入警戒感を利用する」というのはどうなのかな〜と思ってしまうわけですわな。確かに介入なんぞしないに越した事はないのですが、逆に「介入するぞ」という雰囲気を煽っておいて何もしないってのも宜しくない訳でして、介入警戒感を妙に煽るためにマーケットにショート(ドル円でのドルショート)が全然溜まらない訳でして、ショートが余計にたまらなければ相場の反発力も無いっつー事になる訳です。
で、昨年の債券相場2段大暴落を思い出してみますと・・・・
1回目の下げでは基本的に先物とか10年以降の債券が売られていた一方で、中短期債に関しては量的緩和政策の時間軸への信用があったのでまぁ下げも限定的って感じだったのですが、2回目の下げでは時間軸への信用がどこかへ飛んでしまうような売られ方になってしまい、5年債が1%を上回る「えぇぇぇぇ!!」って言うような馬鹿相場を演出してしまい、結局日本銀行さまは「時間軸のコミットメントの明確化」などというやらずもがなの発表をする破目に追い込まれた訳であります。
この時は債券市場がそれまで持っていた「時間軸への信頼」に関して、日銀というよりは一部の政策委員のお方というか総裁というか、まぁそっちの方でご丁寧にも金利上昇歓迎の雰囲気を作り出してしまい、積み上がりまくっていたロングというそれこそ「地雷」に爆弾を投下して大誘爆合戦が発生した挙句に「時間軸って何でしたっけ」というような状態になってしまった訳でして、為替介入警戒感があると言っても別にドルのロングポジションが溜まっているとはあまり思えない(訳でもない。為替オプション絡みとか仕組債絡みとかはあると思うが、スペキュレーションのロングは積み上がって無いでしょうなぁって事です)現在の為替市場とは違いますけど・・・・・
まぁ介入をしないならしないでも結構なんですが、今の状態のように介入警戒感というか介入期待を煽る(何せ昨年の前科がありますから)だけ煽っておいて何もしないまま生殺し状態にしておくのは、一見口先介入だけでスムージングオペレーションに成功しているように感じられますが、ショートポジションが溜まらないので何時まで経ってもポジションが整理されず、恐らくは時間の経過と共にイカレポンチになっていて投げるに投げられないロングポジションが増えてきて、ある時大爆発してしまうって事になり兼ねないと思うのですよ。
で、まぁ大爆発しちゃいますと生半可な介入は効かなくなってしまうというのは今までも事例がある訳ですし、上記した債券市場大暴落にあるように余計な施策(自分の手足を明文化して縛るという「量的緩和政策のコミットメント明文化」)をする破目に陥ったりするかもしれませんな。それ以前の問題として、これだけ介入警戒感がどうのこうのと言われていると現実に介入して効くのかも疑問ですが。
てな訳でして、為替市場への介入が良い行動だとは全然思いませんが、今のように「やるぞやるぞ」という雰囲気だけ米国大統領様まで持ち出して煽るだけ煽っておいて何もしないままっていうのはちょっと駄目出しをしたくなる所であります。やると言うのならちゃんと責任持ってやって頂きたい訳でして、独裁者の征伐おっぱじめておいて「終わったんで後は皆さん仲良くやってね、じゃあ撤退」などとやられると困るのと同じ理屈というイメージなんですけどね。無茶苦茶な例えですが。
と、ダラダラと為替介入に関してグダグダ書きましたが、以下勝手な推測。
グリーンスパン議長様におかれましては、財政赤字の話をしながらわざわざ「為替」に言及したようですが、これを勝手に憶測いたしますと日本に向かって「ガンガン介入して財政赤字ファイナンスを安易にやられちゃあ米国の財政規律が崩壊するんだよね〜♪」って言っているのではないかな〜なんて。まぁ思いっきり憶測入ってますが、もしかしてもしかするとグリーンスパン議長は日本の円売り介入が結果として米国財政赤字ファイナンスを大いに後押ししており、このまま放置していたら米国財政が日本(及びアジアのどこぞの国)によってシャブ中状態にされてしまうと懸念しているのかも知れませんね(^^)。
○久々に読書室
・嗚乎、香ばしき人々(切込隊長@山本一郎著、扶桑社)
つい先日まで「週刊SPA!」で連載されていた「経営者ウォッチ」コラムを加筆編集したものです。面白おかしく書いてますが、根本には「日本に出でよ真の経営者」って思いが感じられます。良く良く読めば結構真面目でもありますが、とりあえず読みながら笑ってしまいます。
たまたま週末所用で出た時に「そういえば近くで出版記念サイン会をやってるんだな〜」と思い出してサインを貰いに行った(^^)のですが、本書のイラスト(似顔絵)を書いている金子ナンペイ(最近の有名な所では「ハッスル」のポスターを書いているようです)さんに似顔絵を書いて貰いまして、これがまたさすがプロ。あっという間に「おお!」と思うような絵をサインペンでささっと描くんですよね。
ご覧になりたい方はあたくしまで(って書評になってませんな)。
ISBN4-594-04818-8 C0095 \1200
・日本宗教事典(村上重良著、講談社学術文庫)
いやまぁ深い意味は無いのですが、まぁこういうのも手元にあると便利かなと思って買った訳ですな。一応歴史順に日本の宗教について解説しているのですが、神社仏閣には折々に参詣する訳ですが、背景にど〜ゆ〜ものがあるのかって事を(概説的にですけれども)知り、「へぇ〜」っていう感じであります。が、講談社学術文庫だけにお値段が張りますので、まぁ普通のお方は買うような本ではないでしょうな。
ただ、あたくしこんな文章であっても一応(生業じゃないけど)物書きの端くれのつもりで(自意識過剰ですな)いる訳ですので、特に宗教用語を使う時にあまりいい加減な使い方をするのも如何なものかと思う訳でして(と言いながら時々後から見て「うーむ」というのもあるのですが)、軽くでも理解はしておくかな〜と思って読んだ次第。まぁ面白い人には面白いのでは?
ISBN4-06-158837-0 C0114 \1400
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2004/11/11
お題「いろんな意味で読みごたえのある会議録」
11月2日〜3日にかけて参議院財政金融委員会で「財政及び金融等に関する調査のため」という事で、日銀からは福井総裁、岩田副総裁や理事3名が参考人として出席して質疑と言うか議論が行われておりまして、この時の福井総裁の景気に関する強気スタンスが報じられてちょっと話題になっていたことは記憶に新しいかと存じます。
で、その時の会議録が参議院会議録情報にアップされましたので、これを読もうとしたわけですが、全編に渡って福井総裁を始めとして日銀に対する質疑応答が連発しておりまして、読んでいるだけで結構なボリュームになります。という訳で、今日は11月2日分(質疑を紙に打ち出すと33ページになる)の前半3分の2くらいまで何とか読んだので、そのあたりから適当にご紹介したいと思います。なお、当該会議録は参議院Web(http://www.sangiin.go.jp/)から「会議録検索」→「財政金融委員会」から検索できます。
○「デフレ脱却にインフレターゲッ」ト論者の限界か
自民党からの質問者はお馴染み舛添要一先生です。インタゲというよりはもう日銀は実物資産でも何でも買えやという話をするお方で、昔のバーナンキ先生の影響を受けているのでしょう。肝心のバーナンキ先生はFRBの理事になってからすっかり普通の事しか言わなくなっているというのはまるで気にしていない所が実に香しいのですが。
基本的に質疑がやたら長いのが難点なのですが、変に割愛するのも何なので舛添委員の質問からまる引用です。まぁこのあたりがはしなくも「インフレターゲットを導入してデフレを脱却しましょう」論者(=インフレ抑制の為にインフレターゲットを導入するという話とは本質的に違うという点にご留意ください)の限界を示したのかな〜と思わせてくれました。
以下舛添さんの質問。
『次に、デフレをどう克服するかということについて議論したいと思いますけれども、この点に関しては、日銀もいつどこでと、これ明確に言えない状況だと思いますし、依然としてデフレは続いていると思います。』
『そして、その政策手段として、これは私どもがずっと日銀を批判してきたことでありますし、私はやっぱりインフレターゲットということをもっと明確に掲げるべきであるということをずっと申し上げてきました。』
『ただ、消費者物価、このCPI、全国規模で生鮮食料品を除いて前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するということですから、ある意味でこれはもうインフレターゲットだと私は見て、それでしようがないかと、しようがないかというか、ないよりはいいと。』
『ただ、私の立場からいうと、今の段階でも二とか三とかいう数字をやってくれていればもっとうまくいったし、今でもそうじゃないかなという感じがするんですが、出口論との、いつこの量的金融緩和をやめるかという出口論との関係もありますが、この今の私の考え方に対して、総裁、どういうふうにお答えになりますか。』
第3段落まではまぁ良いとしまして、最後の段落の質問のあたりが要するにインタゲ導入しろやゴルァという訳ですな。ところがこの最後の段落で舛添先生が仰せなのは、現在の量的緩和政策のコミットメントであります「CPIが安定的にゼロ%以上になるまで量的緩和政策を行う」という「ゼロ%」を「プラス2%とか3%」にしたらより早くデフレから脱却できるのではないかという意見であるとしか読めない訳です。
現実問題としてデフレ絶賛継続中(というか物価が上がらないというのが現在をあらわす言い方としては正しいわけだが)なのですが、コミットメントの数字をゼロからプラスなんぼかにしても、結局日銀が打てる手は同じようなものな訳ですから、ど〜考えてもその数字をプラスなんぼかにしても結果は同じであろうかと思うわけです。
「デフレ脱却の為にインフレターゲット政策の導入」という政策提案をする人が世の中結構多くて、なぜだか知りませんが官庁系のお方(経済官僚のキャリアのお方なんかは特に)に多かったりするのですが、この人たちの最大の弱点は「じゃあ具体的に何をすればいいのよ?」という質問に対して処方箋が出てこない所です。苦し紛れに出してくる処方箋は大体が本質的に「ヘリコプターマネー」だと言うところが如何なものかと思いますな。
ちなみに、福井総裁の答弁もやたら長いのですが、インフレターゲットに関する部分だけ抜粋しますとこんな感じです。
『委員御指摘のとおり、私どもは、いわゆる明確なインフレーションターゲティングの政策は取っておりませんが、取りあえず物価が下落し続けるという異常な事態から脱却するために消費者物価指数がゼロ%という、これは私は一つの通過点と申し上げております。通過点において明確なターゲットを掲げ、そして人々の限りなきデフレ心理というものを修正しながら、つまり限りなく物価が下がるんだというふうな、そういう期待は修正しながら、そして企業、金融機関の構造改革努力を背後からサポートして、とにかくおっしゃるとおり出口に早く到達して、出口の後の正常な経済運営、そして金融政策の運営の局面に早く移りたいと、こういう作戦を取っているわけでございます。』
『私自身は、インフレターゲティングというものは、いつも申し上げておりますとおり、中央銀行の政策手段の一つの重要な選択肢としてこれを一度も排除して考えたことはございません。将来もしあり得るとすれば、局面に応じては一つの選択肢として十分考えたい、本当にこれが採用できるかどうか。米国の場合にも、やっぱり連銀はなかなかインフレターゲティングを採用しておりません。世界経済の中で非常に重要な位置付けを占める通貨の、通貨政策の場合に、その透明性を上げるという要素とフレキシビリティーを保つという要素、この利害得失の関係を最終的にどう判断するかという難しい問題が残っているというふうに思っています。』
「デフレ脱却の為に行うのではなく、インフレ抑制という意味でのインフレターゲットは検討に値する」という総裁の答弁は何度も聞いて(見て?)おりますのでお馴染みではあるのですが、ひところ情報ベンダーからは「日銀総裁インフレターゲット導入も選択肢と語る」みたいな言い方をされて「???」という印象を与えてみたり、「すわインタゲ導入」などという動きをされてみたりしておりましたが、さすがに最近はこの福井総裁の言い方も世の中で周知されているようです。
○オモシロ質問というかトンデモ質問というか
1回分の多分3分の2位の質疑応答というか論戦をざーっと読んだのですが、色々な面白い応酬がありまして、何といいますか激しく楽しめます。特に今回は質問する側も自信満々で登場しているようですので大変に結構です。
とは言いましても何か激しくスカタンな質問もある訳でして、本日は(この会議録は正直小ネタの宝庫という感じですので、またネタに使う可能性大^^)質問者の方にのみ注目してイチャモンをつけてみましょう(^^)、という事で「そりゃ何ですか〜」って質問列伝をば。
・舛添要一委員(自民党)
『それで、最初、お札の経済学のような話をお伺いしたいんですけれども、低金利でたんす預金が非常に増えていると思いますが、日銀総裁、どれぐらいたんす預金あると思われていますか。』
→この先の質疑応答を見ても意味がある質問とは思えん。ちなみに福井総裁も『たんす預金というのは、厳格に言いますと本当にたんすの中に入っているお金ですので正確にはつかめませんが』と返しながら銀行券発券残高の話をしてました。ちなみに舛添先生この後に続けて質問というか意見を言ってますが、
『この新札発行を機にたんす預金が外に出て少し世の中の金巡りがよくなるんじゃないか、そういう意味でマネーサプライ増えるんじゃないかと、こういうふうに期待していますけれども、そういうことはございませんかね。』
→言いたい意味はわかりますが、たんす預金が外に出てきてもマネーサプライに変化は無いとおもいますが何か?
で、まぁ新札発行だのマネーサプライだのの話を延々としているのですが、こんな質問をしても答えられないというか、そもそも新札発行は経済対策でも何でもないのに何を聞いているのでしょうって質問もありまして・・・・
『それと、この新しいお札はサイズは前のと同じなんで、自動販売機なんかを総取替えということはないと思いますけれども、少なくともソフトを替えないといけない。そうすると、この内需拡大効果というのは、総裁、どれぐらいになると見通しておられますか。これも難しい質問ですが、お見通しで結構です。』
→お見通しも何も答えようが無いので、総裁は一般論でかわしていました(^^)。
で、この話の続きでマネーサプライの伸びが2%台なのは少なすぎでケシカランという話になっていくのですが、その辺は割愛します。ちなみに話は逸れますが、その流れの中で日銀総裁の景気強気発言として注目された「銀行貸出はこれから増加に転じる云々」の発言もでていましたが、会議録を見る限りではどっちかというと話の勢いで強気カンカンの発言をしちゃいましたって印象をうけました。そのほかにも舛添さんとの質疑の中では景気見通しの話なんかもあったのですが、やはり総じて言いますと日銀の公式見解というか展望リポートの内容に即した強気の見通しになっています。
で、どうでもいいのだが舛添先生そんなこと聞くなよな〜っていう質問が。
『アメリカ経済についてですけれども、正に今日、アメリカ大統領選挙ということでありますが、ブッシュさん勝利の場合は、これは基本的な政策、継続すると思っていいんでしょうが、ケリーさんになった場合に、例えば最悪のシナリオを描きますと、ドル安に意図的に持っていく、したがって日本の輸出に対してマイナスのダメージを与える可能性がある。ドル安、裏は円高ですから。これどちらが勝つかはなってみないと分かりませんが、仮にケリー政権となった場合に、日銀総裁としては、こういうことになったら困るなとか、こういう政策を取ることは懸念だなということを他国の内政に干渉しない範囲でお答え願いたいと思います。』
→そんな答えようの無い質問をしないように。しかし福井総裁の偉いな〜と思えるところは、このようなしょうも無い質問に対しても丁寧に答弁しているところでして(といっても結局何も答えてはいないのですが^^)、これが別人だったら「誰が当選したら良い悪いというようにとられるような質問についてはお答えできません」と言ってもおかしくないかと。
・平野達男委員(民主党)
こちらの先生は延々と量的緩和政策のコミットメント部分に関して同じような質疑を長々と繰り返していまして、まぁ質問全体が「この人何でここまでしつこく同じ事を聞いてるんだ」って感じです。とにかく引用しているとアホのように長くなってくるのでどれがどうという話は今日は割愛ですな。総裁の答弁の方が面白かったり示唆に富んだりしているのですが(^^)。
・大久保勉委員(民主党)
某外資系証券のマネージングダイレクターから候補者公募で当選したお方だと記憶しておりまして、まぁ民主党お得意の「専門家」ってお方なのですが、頼むからそんな事聞かないでくれという質問が爆裂するわけです。
『まず、日本銀行のバランスシートに関して質問します。この五年間で日本銀行のバランスシートが二倍に、そして過去十年間では三倍に膨れ上がっています。具体的な数字を申し上げますと、一九九八年が八十兆、これはGDPの一六%です。これが二〇〇三年では百五十兆、GDPの三〇%になっています。国際比較をしますと、米国連銀は七%、欧州中央銀行一二%。この数字に比べても極めて日本銀行のバランスシートが急激に拡大している、また絶対的な金額も大きいと。このことに関して日本銀行総裁に質問します。』
『日銀の資産のアセットサイド、資産の七割が国債ということに関して、日本銀行が事実上、政府の国債管理政策に組み込まれていると、こういった懸念があります。また、このことによりまして政府の財政の規律をそいでいると、こういう指摘もあります。このことに対して総裁はどのようなお考えでしょうか。』
もうね、アホか馬鹿かと。量的緩和政策で日銀当座預金残高を拡大しているのだから、日銀のバランスシートが拡大するのは当たり前であって、日銀当座預金という負債サイド(銀行の預金は銀行から見れば外部からの債務ですな)が拡大している反対側の資産サイドが国債なのがどこがどう悪いのかと。一番安全じゃねーのかと思うわけでして、日銀当座預金の見合いがどこの馬の骨ともわからない所への貸出だったり、どこぞの原野だったりしたらそっちの方が危ねぇじゃねぇかと小一時間問い詰めたいところです。
総裁もこうとしか言いようが無いわけでして、
『日本銀行のバランスシート、資産、負債ともに非常に大きくなっておりますのは御指摘のとおりでございます。これは、ひとえに、量的緩和政策によって市場に流動性をたくさん供給する政策目的から結果として起こったことでございます。市場にたくさん流動性を供給するということは、市場の中から日本銀行が資産を買い入れて、対価として流動性を供給すると、こういう形になるためでございます。』
多分「お前はそれでも某証券のMDかよ」って言いたかったでしょうな〜。で、この話の流れで総裁も言わずもがなの話をする訳で、その答弁の部分がフラッシュとして打たれてしまいました。
『様々な資産を買っておりますけれども、おっしゃいましたとおり、長期国債の金額も非常に大きく増えていると、このことは確かでございますが、今申し上げましたとおり、これは政府の国債管理政策の一環として行っているわけではないと。ましてや、先ほどからも御質問に出ておりましたけれども、長期金利を経済の実勢以上に人為的に低く抑えると、あるいは抑え続けるということを目的にやっているものではございません。』
その通りなのですが、別にそこまで言う必然性があったのかと。今年2月に量的緩和政策の効果について「金利に蓋をする」と言ったのと同じものを感じる次第です。
#延々と書いていたらもう一つのネタであるFOMCステートメントの話を書く暇が無くなってしまいました。基本的な枠組みは変らず、景気には依然として強気であります。
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2004/11/09
○負担増キャンペーンはいかがなものか
昨日マクラでも書きましたが、結構マジで国民負担増加キャンペーンをおっぱじめているようでして、定率減税の縮小(というか下手したら撤廃)話は確定状態で、「このままでは消費税21%」などと言って脅しキャンペーンまで開始という実に香しい状態。
どうも施策として出てくるのが「既存の取りやすい連中からより取り立てる」という方向になっているのが気になるというか、相変わらず所得が全部捕捉されてきっちりと納税しているあたくしと致しましては誠に遺憾であると言った所です。そんなに増税したいのなら課税ベースの拡大とか消費税のインボイス方式導入(で捕捉をきっちりと行う)とか本来やるべきことは他にあるのではないかと思う訳でして、何か「国民負担増キャンペーン」でまたまた将来不安を煽ってどうするんだって感じではあります。
そんなこんなでこの「景気回復」(本当かね)に早速お慶びになった日銀は「量的緩和政策はしょーがねーから続けている」といわんばかりの言い方を益々強め、税務当局が「景気も回復したし増税しましょう」と言い出すというのは橋本内閣の「9兆円負担増」を髣髴とさせて激しく如何なものかという感じでありますな(-_-メ)。
橋本内閣の時は結局負担増はしたものの、景気が大失速してその後に小渕、森と財政大盤振る舞い(ま、昨年あたりから小泉内閣も「一般財政を使わない財政大盤振る舞い」をやってますが)をする破目になって財政状況は益々悪化したわけでして、もうちょっと物事考えてくれって感じではあります。
もしかしたら中原伸之さんはこちらの増税問題も念頭にあって講演をしていたのかもしれませんな。
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2004/10/26
○円高VS原油高
円高進行、と言うよりドル安進行なのですが、まぁとりあえず対ドルベースで円高が絶賛大進行となっておりまして、長い間ウゴカンチ会長状態だった市場は俄かに風雲急。よー知りませんが、大体過去のパターンですと105円くらいまで円高ドル安が進行すると下らねぇオプションのバリアが爆発して相場がなお一発動いてしまうという事が容易に想像される訳で(しかしまた同じことが起きたら「学習効果という言葉はないのか」と小一時間)すので、この水準は中々寒いようです。
で、円高と言えば財務省外国為替特別会計というお馴染みの伏魔殿じゃなかったドル買いマシーンの登場が期待されるのですが、はてさて今回も介入するのかと言うと(まぁ恐らくは介入してくるんでしょうが)「ちょっと待ったぁ!」と突っ込みを入れたくなる訳です。
と申しますのは、小見出しに書いてあるからお判りのように現在は原油価格上昇も絶賛進行中(上昇しているのは軽質油だからどうのこうのという議論をしだすとややこしくなるのでその話は置いておきます)だという点。海外経済の回復によって国内景気回復がもたらされているので円高は困るという面はありますが、原油価格が上昇している中でもありますので、ここで円安に強引に持っていくと「輸入インフレ」という激しく日本経済のアキレス腱を刺激する事にも繋がるんじゃないかな〜とも思う訳ですよ。
ま、為替がどのへんにどのくらい寄与しているとかいうのを判って話をしているわけではないので(調べてから書けよって言われそうですが^^)、禿しくいい加減なお話なのですが、輸入インフレのリスクを気にせずに円売りドル買い介入をやってくるのかという点はちょっと個人的には注目しています。
まぁ介入の主管はインフレ絶賛熱望(財政問題が誤魔化せるので)の財務省なので委細構わず介入してくると思いますがね。
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2004/10/20
お題「本日はまとまらない雑談」
書こうかと言うネタが無いわけではないのですが構想が纏まらず。
○衆議院予算委員会
国会が始まりますと代表質問を本会議でやった後は予算委員会でひとくさりお話があると言うのがお約束。で、昨日は福井日銀総裁が予算委員会に呼び出されて答弁をさせられたようです、
国会の会議録は例によって例の如く早くて1週間後位にならないとアップされないので、とりあえず情報ベンダーによる報道を見ておりますと・・・・・・
日本の景気について民主党の中塚議員からの質問に対して構造調整の進展をやたらとアピールしていたようです。ロジックとしては景気の足を引っ張っていた構造問題が解消されることによって景気回復が進展しやすくなったというモノでして、思いっきり現内閣の「構造改革で景気回復」というほんまかいな(改革の必要性には同意しますがね)という理屈をサポートするお話になっています。福井総裁相変わらずサービス精神が旺盛で。
「日本の景気は回復している。先行きについても、経済成長率そのものは多少調整されていくだろうが、より安定的な、というか、より持続可能なベースに沿う形で景気回復が続くだろうという判断をしている」
「その背景としては、もちろん米国や中国を中心に世界経済の拡大が順調に続き、そのなかで日本の輸出の増加が国内で生産活動の活発化を招き、企業収益の好調ぶりを生み出して、設備投資の拡大を促すという前向きの循環がしっかり働いていることが1つの根拠だ」
「もう一つの根拠としては、長い間苦しんだ企業の過剰投資や過剰債務、過剰雇用、あるいは信用システムの脆弱性といった、バブル経済の崩壊以降、日本経済の回復を遅らせてきたさまざまな要因の調整が相当進んだ。したがって、経済の足取りが再び軽くなった。構造調整の進展の成果を享受できるようになったことが挙げられる。」
(以上ブルームバーグニュースの19日16時28分配信記事より)
他の情報ベンダーで打たれたフラッシュで「日本経済は構造調整の進展をエンジョイしている」などというのがありまして、「そりゃ政治的にいかがなものよ」って思ったわけですが、もしかして上記発言の最後の部分かと。また変なところで変に英語を使ってたようですが、却ってニュアンスが伝わらない外来語の使用(以前は「ヴィンテージの高い設備」などというお笑いなフレーズがありましたが)はいい加減ヤメレと思うわけですな。
ま〜あたくし的に思うのは構造調整が進展って言ったって結局政府部門にややこしいのを押し付けてるだけじゃんって事でして、そんなに過剰投資だの過剰債務問題なんぞがマクロで片付いているのなら政府部門の赤字が絶賛大拡大したりせんでしょうし、政府のバランスシートや日銀のバランスシートに民間企業のモノがどしどし入ってきませんわなって認識ですが、まぁその辺は相変わらずスルーしているようですな。
実際問題としてはだいぶ前にご紹介した「驚愕の審議会」にありますように、構造調整の問題点の「飛ばし」を受けた政府部門をどうするのってことは極めて深刻に政府(というか霞ヶ関)内部で検討されている形跡があるのでこれまた気にかかるところではあります。
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2004/10/14
本題の前にまぁ一応ダイエー話でひとくさり悪態を。
結局産業再生機構の活用がどうのこうのって話になったのですが、まぁ金融庁VS銀行業界における「繰延税金資産の梯子外し問題」と同じ穴のムジナっつー話でありまして、散々問題を引っ張った挙句に再建計画を否認ってのはまぁダイエー側としては「話が違う」って事なんでしょうな。そもそも問題を引っ張らせたのは銀行であり、その銀行の行動を是認していたのは金融庁なんですから、今になって「怪しからんのはすべてダイエー」みたいな態度で臨む金融庁なんかの姿勢は激しくいかがなものかと思いますが。
で、民間主導にしたって再生機構送りにしたって結局債権放棄を伴う処理になるのでツケが回ってくるのは国民負担なんでどっちにしてもあまり変わりが無い筈なのですが、朝から見ている某経済ニュースでは小売アナリストのセンセイが「産業再生機構で抜本処理をするので大変に結構」などという話をしておりまして、また朝から提灯かと感服する次第。
さすがに「産業再生機構を使うと不良債権が正常債権になる」ってカラクリに関してはどのニュースでも言及されているのですが、解説の部分で「んじゃぁ産業再生機構でちゃんと抜本処理するのかよ」って事への突っ込みが無い(まぁそんな突っ込みをしたら激しく以下自粛な事になるんでしょうが・・・って書いていたら目の前の某公共放送様が「産業再生機構が抜本処理を行えるのか真価が問われる」と極めてまともなコメントをしておりました。中々やるじゃん。)のが残念な所でございます。
カネボウだのりそな銀行(は産業再生機構とは関係ないがまぁ同じようなもんでしょ)の税金絶賛大注入後の動きを拝見していると、官のご計画通りに実施する企業再生のどこがどう抜本処理なのか激しく理解に苦しむわけですが。
そんなニュースのドサクサに紛れましてUFJ銀行様では経営監査なんちゃらという組織が新設されて元判事だか検事だかの偉い人やらがお呼ばれするという報道がございましたが、まぁひねくれ者のあたくしとしてはどうも一連の流れに「経済における官の絶賛大拡大」という物を感じてしまうのですが、あまり悪態ばかりついていると以下自主規制な訳ですので(謎)、悪態はこの辺までにしておきます。
2004/10/12
お題「雑談です(半分くらい旅行雑談)」
台風御到来で大変な連休でしたが、あたくしはJALだのJASだのという所のマイレージが期限切れになりそうだったので無理矢理台湾なんぞに行って参りました。
○台湾立法院選挙
まぁ見るとも無しに何となくテレビ番組をつらつら眺めていたところ、とある放送局(たぶん与党民進党系の局)で憲法改正問題がどうのこうのというシンポジウムを報道する特別番組をやっておりまして、総統府政策顧問の人やら李登輝前総統やら、どこぞの米国人が出てきたりして憲法改正問題を大いに盛り上げているような感じ(あたしゃー中国語良く判らんので番組の字幕の字面を追っていただけなのですが)でありました。
台湾の憲法改正は憲法改正っつーよりは新憲法制定っていう意味でありまして(向こうでどう表現しているのか不覚にもメモ取り忘れた)、国民党支配時代に制定された憲法は当然ながら中華民国の大陸反攻をベースにしているものですが、これを現状に即したものにしつつ「1つの中国」から方向性としては台湾独立(というと大陸が軍事介入をすると公言しているので行政機関の人間が堂々と口に出すわけには行かないが)っつーお話になるということのようであります。
前回の総統選挙では同時に憲法改正に関する国民投票(国民というと同じ理由で大陸からミサイルなので公民投票と言ってましたが)が実施されて、憲法改正に関しては否定という形で陳水扁総統の再選とセットでバランスの取れた結果になった訳ですが、今年の年末(確か12月)に立法院選挙がある筈ですので、こちらの結果次第では再度憲法改正問題が盛り上がって大陸との緊張が高まる可能性も否定できないと思う次第でありました。
まぁ中国共産党に気を使っているのか何だか知りませんが、隣国であります台湾に関する報道って日本では本当に少ない(観光情報は別ですけど)と思うわけでして、あたくし不覚にもテレビ番組を見てこれらの話を思い出した次第であります。まぁ東アジアで戦火が走るとすれば北朝鮮よりも台湾海峡の方が可能性があるし規模もでかいでしょうとあたくし的には思うのでして、もうちょっと注目した方が良いのではないかと感じました。
○厳重警戒の祝賀式典
10月10日は台湾の国慶節でして、当日は色々な催物が各地で行われておりました。台北の総統府前広場では祝賀式典(軍時パレードなどの出し物を含む)が行われておりまして、テレビでも生放送していたので、近くに泊まっていたあたくしはどのくらい近くにいけるものかと総統府に向けてお散歩。まぁ平和ボケした日本人の想像以上に警備が厳重でして、総統府から300メートル位離れた所にある講演は完全封鎖してまして、近くの道路は警察と軍(か憲兵隊だか判りませんが)が絶賛警戒中。式典会場に近づくには入場証と荷物あんどボディーチェックが必要で、軍用銃に鉄兜というお方が物々しく構えているという警戒振りでありました。(さすがに偉い人が出てこない夜の出し物時間には軍隊ご登場という警戒はありませんでしたが)
3月の総統選挙では陳水扁総統が銃撃される(陰謀説などもありましたが)という事件もありましたが、憲法制定問題で国内的には色々と動きのあるさなかでの国慶節祝賀式典という事ですからまぁ大厳重警戒も当然ではありますわなと思いつつその場を後にするあたくしでありました。
○だいぶ前から読んでいる本の続き
話は思いっきり飛ぶのですが、以前ドラめもんでご紹介した「金融政策論議の争点(小宮隆太郎+日本経済研究センター編、日本経済新聞社)」という本を旅行に連れて行きましてまぁ読んでみた訳ですな。
この本では日銀の金融政策に批判的な立場とそれに反論する立場の論文や討論などを交えております。まぁ大変に良くまとまった本なのですが、少々ムツカシイので字面は追えるのですが、経済学の素養に乏しいあたくしなんぞは大変読み込むのに苦労する本な訳であります。
この本では現在日銀副総裁であります岩田一政さんが内閣府政策統括官としてご登場しておりまして、日銀批判の立場から論じているのが今になって読むと結構面白いところでありまして、このあたりを読んでいたのですが、基本的に主張がこの時と今とあまり大きな隔たりがないのはある意味感心してしまう次第であります。
90年代後半以降の「デフレ均衡」の定着の要因として3つ挙げているのですが、その中の一つに「円高シンドロームとデフレ期待の定着」ってのがありまして、円高(98年8月に147円まで円安になったあと日米協調介入で120円台まで戻ってしまいましたな)の定着について結構なウェイトをおいているのが目に付く所であります。
で、岩田さんはこの為替問題に絡みまして円売り為替介入の非不胎化の必要性を強調しておりまして、「ふ〜ん」と思いながら読んでおりました訳です。岩田さんは円売り為替介入の非不胎化の話をしてますし、他の論者は国債買いきりの拡大の話をしたりという感じで、日銀批判の立場の論議もそれはそれなりに説得力があるのですが、金融調節の技術問題として「???」がつくものが多いのが如何な物かな〜と改めて思った次第であります。
もっと書こうと思ったのですが、頭の中が整理されていないので以下後日(大汗)。
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2004/10/06
お題「本日は受け売り話モードです」
○中国経済ばなしの続き
中国経済に関する見方って話を昨日しましたが、中国でのビジネス展開という点について読者様からこのようなお話を頂きました。ご本人の承諾を頂きましたので皆様のご参考に転載させて頂きます。
『えー、中国経済、というか日系企業に関してチマチマとした小商いの観点からウォッチしています。
時間外勤務手当が日本よりブ厚い。通常残業が 1.5 倍、休日出勤 2 倍、法定祝日
3 倍という超過勤務料金を払わなければなりません。ほぼ日本の倍か?
というわけでソフトウェア産業や工場のような「労働時間イコール成果」となるような業界は、今後結構厳しくなっていくでしょう。業務管理コストなどは大手
SI では乗っけて出してきますが、零細ソフトハウスでは、単なる人月受注金額から管理コストと中国の人件費を算出、下手すりゃ出張者を出し、なんてことまでやるわけですから、「業務にあわない仕様」が頻繁に発生してしまう日本の業務アプリ開発ではオーバーヘッドが多く危険です。』
『では、労働単価の安い地方に産業を持ち込むのはどうか?と申しますとやはりリーダーを育成するまでの期間は他所からリーダーを連れてきたいということになるかと思います。しかしながら、日本人でも、あんまり中国のクソ田舎には住みたくないです。不便ですし医療など生活に必要なインフラが…。中国人の場合は戸籍問題というのが出てきまして、都市戸籍を持ってるのに、好き好んで農村なんかに行けるかい、となるわけです。
遠隔地と密なコミュニケーションと強力な執行力を持つ現地リーダーが不可欠ではありますが、なかなか難しいんじゃないか、などと思うわけです。』
沿海部の経済発展に伴いまして、労働コストは確実に上昇しているようで、労働集約型産業が次第に地方にという流れになっていくのでしょうか。もともとITの上流仕事みたいな業務やる人のコストは中国も随分高かった(従って管理コストまで考えると中国に現地展開しても実は余りコストメリットは無い)のですが、まぁそりゃ経済発展すりゃー単位労働コストが安いままって訳にはイカンですわな。
で、そうなった場合に外資導入主体で発展してきた経済がどうなるかって事を考えますと、まぁあとは連想の世界なのでまぁアレなのですが、色々と不具合が発生しそうな悪寒もするわけですな。
有益なレポート有難うございました。>Yさん
○妄想モード全開ではあるのですが
今月というか今週になってから急にどこぞの経済新聞の論調が「景気回復奉祝モード」に一転し、何となく株は上がり債券は下がるという動きになっておりまして、「何でまた急に某新聞社は景気回復キャンペーンを始めたのでしょうか」と訝しく思いつつ過ごしている方々が多いと存じます。っていうか、あたくしはその某新聞を真面目に読んでない人なのでよー知らんのですが「唐突な景気回復キャンペーンが発生した」という指摘をしている方は複数いらっしゃいます。
まー日銀短観っつーのも出てましたが、それにしては債券先物を1円以上下げて10年新発国債を1.6%までマークさせるという派手な相場下落をさせるほどの物かいなって内容。何でこう唐突に「景気回復キャンペーン」がおっぱじまったのかと某読者様に聞きながらつらつら考えるあたくし。
あたくしが夏休みと称してのうのうと旅にでていた頃に、毎度おなじみの「定率減税廃止」話が出ておりまして、「あぁまた取りやすいところから取る攻撃かね〜」と暗澹たる気分にさせて下さいましたが、昨日は財務省方面から、
「来年度の新規国債発行額は今年度以下に抑える」
「各省庁の財務諸表を出すと全省庁債務超過」
などという話が出てきておりました。まぁ新規国債発行を抑えるという話は「ふ〜ん」って感じですが、省庁の財務諸表が債務超過って一般ピープルには危機感をアピールさせる話でしょうな〜って感じでして、まぁ景気が何となく回復しているように見えるので財務省様早速増税路線に着手しましたの巻って印象を強くするわけですな。
で、まぁ妄想というか与太話モードになっておりますが、読者さまとそういうお話をしておりましてお互いに一致したのは「増税路線への地ならしをするために急に景気回復キャンペーンに転じたんでしょうな〜」という点でございます(^^)。まぁさすがに某経済新聞の面目躍如(以下著しく自粛)。
ところで、その財務省様ご発表の財務諸表って奴を真面目に見ている訳ではないので、あくまでもニュースを聞いての感想なのですが、政府部門のバランスシート作ったら債務超過っていうのは別に変な事では無いと思うんですが。政府部門が資産超過だったらその分民間が債務超過になるというのは激しくシロート考えでしょうかねぇ。
ま〜財政問題に目を向けさせるという意図はあるんでしょうが、政府のバランスシートを省庁毎にどうのこうのってのも何の意味があるのかがよ〜判らんところではあります。何も出さないよりは良いと思いますが。
本日は寝坊によってこんなところで。
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2004/10/05
お題「まぁ雑感みたいな感じで」
話のネタっつーか叩き台みたいな小ネタで恐縮至極。
○常用雇用者数基準の日銀短観
表題のようなものが日銀Webにアップされております。日銀短観での企業分類は資本金を基準にしておりまして、これを常用雇用者数に引きなおして算出しなおすとどうなるのよって話です。ただし常用雇用者数50人未満の企業は常用雇用者数基準の集計から除外されるので、調査対象対象社数が全体で10312社→8114社と相成ります。
で、まぁその数字は日銀Webをご覧頂きたいわけなのですが、これを並べてみると「ほうほう」と感想が起こる(分析という程の読み込みはしていない)訳でございます。
・出来上がりの業況判断がトータルで好転
2000社弱にあたる常用雇用者50人未満企業を集計から除外するとトータルの業況判断DIが製造業で13→15、非製造業で▲7→▲5と好転します。まぁ直感的に当たり前という気もしますが。
・いわゆる2極化が鮮明に
算出方法の引きなおし効果(^^)が顕著にでるのが大企業製造業でして、業況判断DIが26→33と好転しちゃうわけです。大企業の鉄鋼なんてDIなんと70ですよ先生。つい数年前から比較すると隔世の感があります。で、引きなおしによって悲しくも業況判断が悪化しているのが大企業非製造業でして、こちらの業況判断DIは11→5となっております。いやはや。
余り真面目に読み込んではいないのですが、資本金基準の短観と並べてボケーっと見ているだけで色々と思いつきますな。
○中国経済に関する2つの意見
本当に話をしだすと激しく重いネタなのですが、あたくし正直不勉強なので人の意見の受け売りしかできませんな。で、2つの意見なんですが、まずは「読みます」と言っておきながらまだご紹介していないあたくしの夏休み中に行われた岩田副総裁の講演(証文の出し遅れ感が強いのですが)。
岩田副総裁は9月22日の講演の中で中国経済の現状と先行きに関して以下のようにコメントしております。
『中国の減速については、多くの議論がありますが、その本質的な要因は電力不足にあるものと見ております。90年代の引締期に発電所建設を先送りしたことや、輸送部門などでエネルギー価格が規制されており需給メカニズムが働きにくいことから、電力不足が深刻化しました。そこで、中国政府は、過大な伸びを示している固定資産投資について、エネルギー多消費型産業を中心に選択的な抑制を行なっています。中国政府は、巡航速度へのソフト・ランデイングを実現しようとしているのであり、中国経済の失速リスクは、電力不足が供給増加によって解消されるにつれて小さなものになると考えています。』
で、昨日読んだ本(後でご紹介します)では「猫も杓子も中国バブル斬り!」と言うことで中国経済の問題点について「流入した資金が不動産とその関連で建設、でまぁその流れで鉄鋼だのセメントだのに吸い込まれている」と指摘しておりまして、当てにならない統計だがと前置きをしながら(笑)「不動産関連の不良債権化がまるで日本のかつてのバブルを彷彿させており、資金流入が止まった時に資本蓄積の乏しい中国が耐えられるのか」というお話をしております。
まぁこの2つの意見、タイムスパンが違うのでどっちが正しくてどっちが正しくないとかいう話ではないようにも思えますが、まぁ中国経済に関しては色々な見方があって実に興味深い所ではあります。どうも短観の先行き予想DIを見ていると、日本の大企業はそろそろちょっとどうよ?って思っているように感じられますが。
○まぁ色々と考えてはいるようですが
りそな銀行という所に公的資金絶賛大突っ込み攻撃が行われてからはや1年。その後の決算をみればどう考えても突っ込んだ時点で債務超過でして、まぁもともと公的資金突っ込み基準を決めた法律が建前重視で作ったのが問題の始まりだったのですが、ど〜考えても法律を無視した措置でしたな。結果オーライではありましたがね(ただし、この手の結果オーライって2度目に同じことをやると恐ろしく悲惨な結果を招くと思うので、やっぱり如何なものかという感は拭えません)。
で、この銀行さまは時々訳の判らない施策を打ち出してきてあたくしを驚かせてくれますが、今度は吉野家に行員を派遣して24時間営業のノウハウを学ばせると朝のテレビニュースが申しております。あたくしの脳内メモリーから読み出しているので正確さに欠けるかもしれませんが、吉野家の店舗内にATMを設置するという施策もあるそうですな。
まぁ色々と面白い施策を打ち出すのは壮としたいところなのですが、銀行員をとっ捕まえて吉野家で働かせるという訳ではないんでしょうけど、何だかここの社長だか会長だかの出身母体であります旧国鉄が民営化した時に言うことを聞かない国労の組合員で客商売なんかした事ない人間を駅のコーヒースタンドに無理矢理配置転換していた事を思い出してどうもアレな訳であります。
まぁ吉野家でノウハウ学ぶってことですから24時間有人店舗にでもする気なんでしょうけど、それはちょっと努力する方向が変なのではないかと思いますが。それなら土日に住宅地の店舗を開けたほうが良いのでは??と思いますし、ついでに吉野家で500円で釣りがくる飯を食っている時にATMで金をおろすっつー図も今一歩想像しづらいのですが。時間外手数料で(タダなら話は別だが)半熟玉子食ってお釣りがくるんですけど(^^)。
まぁりそな再生だとか言って人間送り込むだけ送り込んだ竹中大臣もアドバイザーとか言って偉そうに仕切っているように世間にアピールしていた木村某もすっかり当事者ではなくなって、苦労するのは送り込まれた連中ですか。でも経営と全く関係ない世界で日々業務を淡々とこなしていた一般行員が一番苦労させられているんですけどね。
○久々に読書室
投資情報のカラクリ(山本一郎著、ソフトバンクパブリッシング)
以前ご紹介した「ネット界の切込隊長」の本第2弾。今回は一応統計なんぞを引っ張り出しつつ、アニメ産業、M&A、中国、バイオ、消費者金融の5つのカテゴリーのバブル斬りをしております(消費者金融はバブル崩壊してそうですが)。前回作よりは面白おかしさが減少している分、内容は掘り下げておりますな。
まぁいまさら「中国株で億万長者!」とかいうような本がうじゃうじゃ出版されている訳ですから、この辺の事情を理解した上で株式売買をやっている人に取っては「あっそう、だから何?」って感じかもしれませんが、まぁ今からこの手のバブルものに金を突っ込もうという方を一旦冷静にさせるのには良い本ではないかと思うわけです(^^)。
ISBN4-7973-2780-4
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