分類不能の雑文
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とりあえずここにぶち込んでおきますが、いずれ整理する所存(^^)
・・・といいつつまだ整理未着手の巻
2003年下期
2004/03/30「読書室(2冊ご紹介)」
2004/03/12「スペインの爆弾テロ」
2004/03/11「読書室(3冊ご紹介)」
2004/03/10「民主党某議員の情けない国会質疑(その2)」
2004/03/09「民主党某議員の情けない国会質疑(その1)」
2004/03/03「物価連動国債に対する素朴な疑問」
2004/02/26「法的な穴を塞ぐ努力をしましょうよ」
2004/02/23「舶来思想崇拝」
2004/02/18「書評:『リフレと金融政策』(バーナンキ講演集)」
2004/02/17「発行日前取引の停止条件不成就問題続き」
2004/02/13「WI取引に関する徒然なる愚考」
2004/02/10「故事成語は正しく使いましょう」
2004/01/07「今年の相場のテーマを愚考」
2004/01/05「新春読書室」
2003/12/26「JRは民営化で成功したといえるのか」
2003/12/25「踏み出し悪しき時は・・・・・」
2003/12/15「フセイン拘束/新規国債発行37兆円」
「本のご紹介」(2004/03/30)
昭和恐慌と経済政策(中村隆英著:講談社学術文庫)
ベースになる本は昭和42年に出版された「経済政策の運命」という本。井上準之助蔵相の実施した金解禁政策の政策導入から崩壊に至る過程を詳細かつコンパクトにまとめてあります。経済をまともに勉強していないあたくしには序論にあった金本位制に関する解説(金本位制を維持するためにはどういう事が必要だったのかというお話)が判り易くて勉強になっていたりもします。
経済理論がどうのこうのというよりは実態に即した実証検証的な一冊です。
ISBN4-06-159130-4 \760
信長の戦争(藤本正行著:講談社学術文庫)
副題は「『信長公記』にみる戦国軍事学」となっており、戦国時代の良質な資料である太田牛一の所謂「信長公記」をベースにして、史実として人口に膾炙している織田信長の合戦の真実を探った一冊。
まぁ正直歴史あるいは戦国ヲタ向けの本ですけど、「桶狭間の合戦は奇襲ではなく、正面攻撃で行われた」とか「墨俣一夜城の伝説はまるっきりのでっち上げ」とか「長篠合戦での『三千挺の鉄砲の三段構え一斉射撃』はなかった」などといった論証が緻密に行われておりまして、戦国ヲタ必見の一冊でありますが、そもそもドラめもん読者に戦国ヲタがいるかどうかは不明だったりします(汗)
ISBN4-06-159578-4 \1000
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「スペインの爆弾テロ」(2004/03/12)
旅行で2度行った街という事もありまして、何とも申し上げる言葉がございません。爆発のあった駅の近所のホテルが個人的にお気に入りなもので・・・・・・(TT)犠牲者の方々のご冥福をお祈りしたいと思います。
最初はETAのテロかという話でしたが、アルカイダの仕業という話も出ているようで、NY株式は下落。東京市場も影響は免れないと思います。円債は例によって株価を睨んで動くのでしょうが、本当に円債を買っていいのかというとこれがまた怪しいところであります。何せアルカイダのテロということであれば、問題は深刻な訳で、とうとう同盟国の本国で大規模なテロ攻撃ってお話。ブッシュ君が挙げる大絶賛同盟国リストの上位に位置する日本国と致しましては、まぁとても懸念される訳であります。
最新ニュースではETAのテロらしいという事になっているようですが、まだ不明みたいですね。何ともやりきれないです。
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「本の紹介」(2004/03/11)
リフレと金融政策(ベン・バーナンキ著、高橋洋一訳:日本経済新聞社)
以前ドラめもんでご紹介しましたが、バーナンキFRB理事の講演集の翻訳です。本の帯では岩田規久男先生が大絶賛。まぁ日本でも岩田一政副総裁が水を得た魚のように頑張る今日この頃でありますので、リフレ派と言われている人たちの主張を簡単に知るのにはよろしいかと。
しかし1900円はちと高いような気がする。
ISBN4-532-35075-1 \1900
金融政策論議の争点 日銀批判とその反論
(小宮隆太郎、日本経済研究センター編:日本経済新聞社)
以前ドラめもんでちょっとだけ取り上げましたが、ヒーヒー言いながらも8割方読みました。初版が2002年7月ですので、参加している岩田一政さんが内閣府政策統括官だったりしておりますが、それだからこそまた面白いというところもあったりする訳です。執筆陣も豪華メンバーで、メンバーに白川方明日銀理事(当時審議役)が参加している所がまた論議を充実させていると思います。読むのには予備知識が必要かも知れませんが、この内容で2800円は割安だとおもいますけど。
ISBN4-532-13236-3 \2800
証券取引等監視委員会の活動状況(証券取引等監視委員会編:国立印刷局)
毎年出ておりまして、只今出ているのは平成15年版。平成14年検査年度(14年7月〜15年6月)までに検査が終了して勧告のでた事案のご紹介何ぞがございます。個別の内容はSESCのWebで出ていることと同じなのですが、一冊の本にコンパクトにして貰いますと、読むという面については便利ですな。
興味本位でお読みになるのも吉かと。
ISBN4-17-211254-4 \760
美人(ブス)投票入門 ブス銘柄をつかまされないための13か条
(山本一郎著:オーエス出版社)
山本一郎といってもこの前実刑が確定した経済革命倶楽部の人ではなく、「ネット界の切込隊長」として局地的に有名な人の本。株式投資本と言う事になっていますが、どちらかというと経済社会批評みたいな本ですな。面白いけど1500円は高いです。1時間も有れば読めますので(以下自粛)。
ISBN4-7573-0213-4 \1500
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「この質問者は何なんだ?」(2004/03/10)
昨日は旧聞ではありますが話題になった1月30日の衆議院財務金融委員会の福井総裁答弁を改めて確認致しました。
で、ドラめもんを書いているうちに、福井総裁の答弁よりも質問者のアフォぶりのほうが気になってしまいました所、読者様から「このレベルの低い質問者は日銀出身だというのが情けない限りなところです」というご指摘を頂きまして、検索エンジンで「津村啓介」氏を調べたら確かにもと日銀マン。しかも随分とお若いお方ですな。
という事がわかりましたので、本日はこの質問者の方を肴にしてみることに致します。あたくし体調が悪いと文章が攻撃的になる傾向がありますので、最初に念のためお断りしておきますね^^。
その前に一応昨日の続きの「出口戦略」に関する総裁答弁。
『ただいまの御質問に対しましては極めて簡潔にお答え申し上げるということでお許しいただきたいと思いますが、と申しますのは、出口戦略の詳細を申し上げるには余りにも時期尚早だという点が一つございます。ただし、将来におきまして、この量的緩和のフレームワークから通常の金融政策のフレームワークに切りかえていく、いわゆる出口戦略というのは非常に重要だという点は同時に強く認識をいたしております。』
と言うのはいつも言っている事と同じ。
『CPI、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまでというものは、私ども、当面の非常に重要なゴール、目標といたしておりますけれども、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%以上になれば、すぐ、均衡ある、将来望ましい日本経済の姿になるかどうかということとはまた別問題。その先、本当に均衡ある日本経済の姿、いわゆる最終的なゴールに行くまでさらに距離があるかもしれないというふうに思っていかなきゃいけないと思います。したがいまして、そういう意味では、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上に達するというのは、一つの通過点であるかもしれないということでございます。』
この発言が「あらら?」と思わせる内容でした、この部分を読みますと「CPIがゼロ以上になっても量的緩和を続けるのか?」というお話になります。まぁ量的緩和のコミットメントが出た頃から「CPIゼロ以上は必要条件であって、CPIだけで量的緩和を自動的に終了させる訳では有りません」という事は言われていましたが・・・・・
またお得意の「サービス発言」が出てしまったという所なんでしょうが(以前も同じ事を言いましたが)自分たちで「CPI時間軸」を改めて明文化したのに、せっかく明文化した時間軸の条件に余計な「均衡ある日本経済の姿」という具体的に何を意味するのか判断に苦しむような条件を加えてしまってどうするんでしょうか。
毎度毎度こんな事ばかりやっているので、日銀の金融政策が「何をやらかすのかさっぱり判らん」というまるでリスク要因状態になっていますし、ひいては(今はまだ信認度絶大のようですが)日銀の金融政策への信認低下をひき起こす原因にならないだろうかと懸念してしまいますな。
なにせ(何度も槍玉に挙げますが^^)「私の使う単語について、あまり厳密にその連続性をご理解頂かないほうが会話がしやすい気がする。」と言い放つ総裁様でございますので。
ということで本日も前振り(というか元々のテーマ)が長くなりましたので、結局本題の話は端折って駆け足で。
○わざわざ国会に呼ぶ必要の無い答弁ですな
さて、津村議員様の質問なんですが、日銀総裁をわざわざ呼んで答弁をさせた内容はといえば、会議録をご覧頂きますとより判りやすいのですが普段の講演や記者会見などで総裁をはじめとして各審議委員が日頃から言っている見解と同じものです。総裁の答弁を読んでいると、日銀Webに載っている文書と同じじゃね〜のって感じです。強いて言えば「均衡ある日本経済の姿云々」の部分くらいですか。これも別に驚倒するほど新しい話ではないんですけど。
『本日、大変御足労いただいておるわけでありますけれども、言うまでもなく国会の場は国民との対話の場でありまして、また、金融市場も大変注目をしていると理解しております。』
となどと格好良く見栄を切って、普段の公式見解をそのまま繰り返させるだけに日銀総裁を呼んで何の意味があるのかと小一時間問い詰めたい所であります。
もと日銀マン(しかもこの人海外留学までさせてもらっているようですが)が質問するのであれば、もっと核心を突く質問をして頂きたいわけでして、少なくとも門前の小僧たるあたくしのドラめもん程度の突っ込みは必要ではないかと思う訳ですな。例えば・・・・
・景気判断が上向きになっているのに緩和を強化すると、過剰流動性の供給が将来に禍根を残さないのか
・ところで、10月の金融政策決定会合で量的緩和の強化を行ったが、衆議院解散にあわせた政治的な意図が見られる
・岩田副総裁は講演で「事後的に当座預金残高引上げと為替介入の累増額がバランスしている」という話をしている。これは「当座預金残高目標引上げは為替介入のバックファイナンス」であり、「日銀による米国債購入政策」だという事を意味するのではないか
なんて感じですかね。読者様のアイデアを拝借しておりますが。
○自分の言葉で質問しましょう
昨日も書きましたが、この議員様の質問の進め方が実に香しい。長々と質問しているので途中を端折ります。(略)というのは割愛部分です。
『こちら、BNPパリバ証券というフランス系の証券会社がございますが、(略)ここで、総裁記者会見の文言を引きつつ、総裁のコメントに対して次のように論評しています。』
『例えば、「日銀はこれまで「量的緩和はデフレ解消の効果は薄い」と主張しており、突然の「路線変更」には、市場を始め、日銀内部ですら、戸惑いの声が出ている。」これは朝日新聞でございますが、こう報道されております。』
昨日は「一生懸命勉強しているのでしょうが」などと甘い事を申し上げましたが、日銀出身で海外留学を売りにして民主党の候補者公募で候補者になったようなお方がご本人の出身母体である日銀に対する質問がこれではこの候補者のレベルは推して知るべしと言った所であります。
何の事は無い総裁に普段どおりの公式見解の繰り返しを述べさせただけで、おまけに野党議員だというのに質問のあいだじゅう、日銀総裁のヨイショに終始するというテイタラク。何なんだこいつはって感じです。正直、最初この会議録を見たときには完全に「ああ、与党議員の質問なんだな〜」と思っておりまして、質問の冒頭部分をみて「民主党・無所属クラブの」という文言が出た時に腰を抜かした次第であります。もうアフォかヴァカかと。
ちなみにこのセンセイ、国債管理政策への質問もしているのですが、これもまた過去の海江田議員の質問を引き合いにしていて、その上質問内容が全てといっていいほど政府の既に実施した施策を賛美するような内容だったりする訳でして、情けない限りです。
「国債発行30兆円枠の欺瞞」について自由党(当時)の達増議員あたりが辛辣に突っ込んでいた時期、ちょうどりそなの話やら予定利率の話なんかもあり、中々盛り上がっていたのですが、あの時期の会議録は面白かったのですが、この民主党の状況は如何な物かと思うわけです。何だかな〜。
○とにかくこれが「日銀出身」でどうするんだ
というお話になる訳ですな。自分のバックグラウンドである筈の金融政策に関して日銀総裁に質問して出てくる回答は公式見解どおり。おまけに総裁をヨイショしておりますが、お前は本当に野党議員だという自覚があるのかとまたも小一時間問い詰めてみたくなる訳であります。しかもこの人海外留学までしてます。日銀の金で行っているのかどうかがこの人のWebでイマイチ良く判らなかったのでどっちなのか判らないのですが、もし仮に日銀の金で留学までしたお方がこの状況だとすれば、明治の軍人、児玉源太郎氏の有名な言葉(ただし司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」からの孫引きですが)を奉りたいと存じます。
「国家は貴官を大学校に学ばせた。貴官の栄達のために学ばせたのではない」
もっと書く積りでしたが時間切れかつ体調不良なのでこの辺で。
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「今に始まった事ではないが困ったちゃんの国会」(2004/03/09)
さて、ここの所の債券下げ相場の前に発生した「時間軸効果への過剰な期待感」の一因を担ったとあたくしのみならず、各所からブーブー言われつつある福井総裁の国会発言。まぁ今更ではありますが、問題の衆議院財務金融委員会が行われた1月30日の会議録を衆議院Webで確認してみましょう。
この日の委員会では「平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出第一号)」と「農業共済再保険特別会計の農業勘定における平成十五年度の再保険金の支払財源の不足に充てるために行う積立金の歳入への繰入れに関する法律案(内閣提出第二号)」の審議を行うという名目で参考人として福井総裁が呼ばれているのですが、そもそも何でこの名目で福井総裁が呼ばれるのか判りませんな。
で、問題の質疑は、民主党・無所属クラブの津村啓介委員とのやり取りにあるのですが、どうもこの委員は一生懸命調べて質問しているようなのですが、正直申し上げて勉強不足というよりは、勉強している方向に問題があるようで、質問というか突っ込んでいる内容が甚だしくトンチンカンに思えます。
以前の国会の財務金融委員会で「国債発行30兆円枠とは一体何だったのか」という議論が行われた時には見事な突っ込みをしていて実に楽しく会議録を拝読したのですが、今回は質問からして非常に下らん。色々なレポートを引用している時点で既に失格です。
と、質問者のレベルの低さを嘆いても仕方が無いので該当箇所を読んでみましょう。長いのであちこちで省略します。
『(津村委員)(冒頭部略)福井日銀総裁に御質問をさせていただきたいと思います。先般の追加的な金融緩和についての御質問でございます。質問の趣旨ですが、今回の措置につきまして、一部市場参加者からは、そもそも今回の政策変更の背景には、量的緩和政策の効果に対する福井総裁御自身の認識の変化があったのではないか、そういった見方をする向きもあるようでございます。』
と言った後、この委員は某社のレポートを『こちらは英語にも訳されて、海外の投資家にも広く読まれているレポートだと聞いております。』などと言いながら引用してからこんな感じで質問を続けています。
『そのほか、追加緩和措置が発表された翌日の一月の二十一日の新聞各紙にも同様の指摘が見られまして、今回の日銀の追加緩和については、市場との対話、これまで福井総裁が昨年三月に就任されて以来大変努力をされてきたと思うんですけれども、この市場との対話という部分で若干配慮不足があったんではないか、そういった論調が一月二十一日の報道に大変目立ったのが残念でございます。』
まぁここは良いとしましょう。
『例えば、「日銀はこれまで「量的緩和はデフレ解消の効果は薄い」と主張しており、突然の「路線変更」には、市場を始め、日銀内部ですら、戸惑いの声が出ている。」これは朝日新聞でございますが、こう報道されております。』
それは朝日新聞が勝手に言っている事でして、日銀の見解は折にふれて日銀から発信されており、きちんとWebに載っておりますな。そもそも「突然の路線変更」って既にその前に「強気の景気判断と当座預金残高目標引上げ」というセット政策は始まっておりますが何か?
と、日銀総裁の発言を分析する積りで書き出したドラめもんなのですが、何時の間にか津島啓介氏が肴になってますな、あはは。
結局この人は田谷審議委員の講演を引用する事ですら何故かブルームバーグの記事から引用するという、本人は他の議員の前で「自分は金融通である」と自慢したいのだろうな〜と思わせる香しい(田谷審議委員の講演は当日中に日銀Webにアップされていますので、正確を期すなら報道の引用ではなく日銀の公式発表文を引用すべきでしょ)質問で、自分の言葉で質問できないのかねこの人は、って思いますな。で、最終的にどんな質問をしようとしていたかというとこんな感じでした。
『言うまでもなく国会の場は国民との対話の場でありまして、また、金融市場も大変注目をしていると理解しております。ただいま御紹介いたしました、ついに日銀は量的緩和の効果を積極的に認めたとか、日銀は新たな領域に踏み出したとか、突然の路線変更、こういった受けとめ方が本当に正しいのか、もし仮に誤解であるとすれば、量的緩和政策の効果に対する福井総裁のこれまでと変わらない御評価と、今回の政策変更の正しいねらいについて、この場を通じて、私、多少時間がございますので、改めて説明をしていただきたいと思います。』
思わず質問者に釣られて余計な前振りをあたくしもしてしまいましたな。
やっと肝心の総裁答弁になりました(^^)。
さて、この答弁、実を言うと恐ろしく長く、しかもこの質問者はこの答弁の後に「出口戦略」について質問をするというこのやり取りだけ見ていると意味不明な質問をしていまして、(実はこの委員の質疑を最初から読むと、何で出口戦略について質問したのかが判るのですが)それに対してまたも延々と総裁の答弁がございます。という訳で、長くなりすぎるので本日は最初の答弁について。
情報ベンダーに出て債券相場がやたらめったら反応してしまったのが総裁の『量的緩和の効果というものは、もう御承知のとおり、流動性をたくさんマーケットに供給することによりまして、短期金利のみならず期間の長い金利についても極力低位に抑えて』という件でございました。確かに先ほどの質問に対してこのような発言が出ていたのは事実でありますが、良く良くこの答弁を読んでみると、総裁はこんなお話もしております。同じ答弁の中からフレーズを拾ってみます。
『私どもの感覚では、昨年の夏ごろまでは、経済が、どちらかというと、ともすれば落ち込もう落ち込もうとするような環境でございました。幸いにも、昨年の夏過ぎ以降は、経済が少しずつ上向きの方向に、いわばいい方向に局面変化をした、こういう状況でございます。』
『政策姿勢は一貫しておりますが、局面はいい方向に変わっているということでございます。』
『現在の状況に即して申し上げますと、景気は確かに緩やかに回復をしておりまして、先行きにつきましても、当面景気が後戻りしてくる心配はない』
『今度は、経済が前向きに動き始めましたら、その下支えしていた力は、これに伴って後押しをしていくという力になるわけで、表現は、下支えから後押しというふうに変わるといたしましても、金融緩和の効果、実態的な効果そのものは何ら変わりがない。』
とまぁ随分景気の良い進軍ラッパが響き渡る現状認識でございますが、これだけ言っていると例によって金融市場が動揺するといけないと思うようでして、消費者物価に関してはこんなことを仰っています。
『ただ、回復テンポは、まだ過剰債務など構造的な問題が多々残っておりますもとで、緩やかなものにとどまる可能性が強いと私ども判断しております。』
『消費者物価指数の動きを見ておりますと、基調的にはなおしばらく下落基調をたどる、つまりデフレ脱却の展望はなお容易につかみにくいという状況にございます。』
『私どもの認識は、残り〇・幾らのデフレを克服していく道、つまりこの最後の一マイル、ザ・ラスト・ワン・マイルはなお非常に厳しい道だ、これが私どもの基本的な認識でございます。』
という訳でして、この答弁を真面目に読むとどこがどう債券市場の買い材料になるのかさっぱり判らない内容でして、精々中立じゃないんですかね〜って感じであります。
元々の質問をご覧になるとおわかりのように、話題となった「長短金利云々」の答弁は「量的緩和とは何ぞや」というお話の中での一節でありまして、正直申しあげて「市場金利を今ある水準からどうしよう」という意図は答弁の中からは全く感じられません。この部分を引用してみましょう。
『量的緩和の効果というものは、もう御承知のとおり、流動性をたくさんマーケットに供給することによりまして、短期金利のみならず期間の長い金利についても極力低位に抑えて、企業及び金融機関、特に企業にとっての資金コストを常に最低限のものに抑える、信用スプレッドについても、非常に幅の狭い、低位なものに抑えて、金融環境を企業にとって有利なものにしていくということのほかに、金融市場あるいは我が国の経済にはさまざまなショック要因が今後とも舞い込んでくると思いますが、そのショックを金融市場の中で極力速やかに吸収してしまう、そういう安定的な金融環境を企業に提供することによりまして、今後とも、リストラ、さらにはより前向きに価値創造に向かっての新しいビジネスモデル構築を支援してまいりたい、こういうことでございます。』
現在の金利水準がどうのこうのという話は当たり前ですが一言もなく、量的緩和の効果について話をしているだけなのですが、時あたかも債券市場が上に行きたがっていた所でしたので、このお話に飛びついたと言った所なのでしょう。
で、国会の会議録というのは正式にリリースされるまで数日〜2週間程度掛かっておりまして、答弁の全文が明らかになる頃には既に次の話題に興味が向かっている訳ですな。よって情報ベンダーで出てくるフラッシュがそのまま参加者の記憶に残ってしまう訳でございます。良く良く見ると別にこの答弁でも大した話はしていないというのですが、そんな検証なんぞをするのは余程のマニアでしょう。過去の国会答弁を一々議会発表の会議録まで見るのはさすがに(^^)。
で、ここであたくしの愚案なんですが、やはり日銀総裁が国会で答弁する場合なんぞは当該質疑の部分を文責日銀ということで翌日にでもリリースして頂きたいわけであります。どうも国会答弁の場合は正式なものが出てくるのが遅いので、情報ベンダーからの情報が一人歩きしてしまう傾向にあるので。FRBだって議長の議会証言(というかあれは演説だが)なんかをすかさずリリースしているのですから、日銀がやってイカンという事でもないでしょう。色々と手続き上の問題はあると思いますが、是非ご検討いただければ(って日銀の人が見る可能性あるのかこの文書??)と思うわけです。
まぁそれ以前に、大した話でもないのに一々日銀総裁を呼びつけて何か喋らせようとする国会を何とかするほうが先決なのですが。最近はあまり有りませんが、政治的にウケの悪かった速水総裁時代は、金融政策決定会合中に国会に呼び出したり、決定会合の直前に国会で金融政策運営について答弁させたりともう無茶苦茶でしたからね〜。
という訳で、出口戦略に関する答弁は他にネタが無ければ明日にでも。ちなみに会議録は衆議院Web(http://www.shugiin.go.jp)から「会議録」で本会議や各委員会をクリックすると過去のものを見る事が出来ます。お暇なときにどうぞ。
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「物価連動国債に対する素朴な疑問(とその答えメモ)」(2004/03/03)
明日は初の物価連動国債の入札が行われます。正直訳がわからない債券なのですが、この物価連動国債の商品性のある1点に対して素朴な疑問。
「何で機関投資家向けなんでしょうか?」
この国債、要するに「CPIの上昇に対するヘッジ商品」な訳ですが、そもそも日本の機関投資家でCPIの上昇を直接ヘッジする必要がある人がいるのか甚だ疑問であります。年金にしろ預貯金にしろインフレヘッジをする必要はさらさら無い(表現にやや語弊がありますが)訳でして、インフレリスクは契約者なり預金者が負担するものですから・・・・CPIが上がって困るのは貯蓄主体のセクターでありますから基本的には個人という事になる筈で、本来この債券は個人向けに発行したほうが良いのではないかと思う訳です。
とは申しましても、いきなり個人向けを出すわけにもいかないですから、最初に機関投資家向けの物価連動国債を発行して、将来の個人向け国債に向けた瀬踏みを行うという意味もあるのではないかと勝手に想像を逞しくしております。
商品バスケットの取引市場でもあるならヘッジのやり様もあるかと思いますが、わが国では個別商品の先物くらいしか市場が無く、おまけに市場規模も小さいと来ておりますので、物価連動国債を業者としてポジションを取った場合にはヘッジが出来ずに途方にくれる(相場観でノーヘッジでホールドするというなら可能ですが)だけのお話になると思いますので、この商品もまた前途多難ではないかと思ってしまう次第であります。個人投資家としての見方をすれば時代のニーズにマッチした商品だとは思いますが。
(3月4日のドラめもんより追記)
昨日物価連動国債について駄文を書きましたが、個人向けが出てこないのは主に課税事務の問題が大きいということのようです。多くの皆様からご指摘いただきまして、感謝と共に自分の不勉強振りを反省する次第でございます。
(追記2:物価連動国債を対象にした投信が設定されるらしいという話も聞きました。なるほど、課税事務関係で譲渡制限がついているだけだというのであれば、投信を設定する形式にしておけば煩雑な課税問題が回避できます。別に個人に持たせたくない商品でもないですから、脱法行為扱いもされないでしょうし。)
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「備え有れば憂いが無いと思うのですが」(2004/02/26)
WI取引は目出度く無事に始まりまして、小額ながらも出合いもあります。まぁ業者の売買テストの意味もあって値が付いているのかも知れませんが、とりあえず昨日も申し上げましたが、機能して結構な事です。
で、無事に機能すると当初あたくしが市場の片隅で声を大にして言っていた「発行日前取引が一般売買と法的扱いが違う事によって起こるであろう混乱」などという懸念はどこかへ忘れられるのが世の常であります。
確かに「非常災害などの場合でもバックアップはしており、決済参加者には危機管理マニュアルを作って準備させているから」「入札の延期や発行の延期などという事は『有り得ない』」というお話になるのでしょう。
こういう法的不備というか制度的不備ってぇのは有名な「ヘルシュタット・リスク」みたいに、大問題が発生しないと改善されないという事なのかもしれませんが、一応想定可能な問題については「有り得ないから問題なし」とするのではなく、制度面の手当をして頂きたいと思います。
そもそも有り得ないなら、わざわざ証券業協会が「入札や発行が延期や中止になった場合の取引の扱い」について説明義務を課す事がおかしいということになると思いますがねぇ。
同様の問題が債券レポ取引にもありまして、「レポ取引は消費貸借か売買か」という点を突き詰めますと、取引相手方が法的に破綻したような場合に、レポ取引によって自分が保有している現金あるいは債券をどう処分するのかという扱いが変わってくるわけでありますな。この点に関しては米国では裁判事例がありまして(肝心の参考文献を大昔に後輩にプレゼントしてしまったので詳しく覚えてませんが)当初はレポ取引の法的性格が曖昧であった事から、取引当事者に不利な判決が出た事もあったようです。その後法的な性格の位置付けなんかが行われたようです。
例によって日本では事例っつーのがないのですが、レポ取引の相手方が破産したりして保全命令が出た時に、レポ取引を消費貸借の契約にしている場合、借りて来た債券の所有権は貸し手にある訳ですので、勝手に換価処分して取引を勝手に終了させて良いのかはちょっと疑問なわけでして(現先形式にしておけば問題無い)。
まぁ基本契約には一応何か書いてあったとは思いますし、弁護士意見なんかも求めてはいるのですが、そんなものは裁判上の命令に対しては効力が無い訳でして、これもいずれ問題が発生してから裁判上で屁理屈をこねる人が出てきてから改善されていくのでしょうが・・・・・・・
あたくし思うに、諸外国(というか米国)の良い制度を取り入れるのは結構なのですが、日本国内の法令諸規則との整合性をもっとよく検討して、あたくしのようなド素人でも指摘しそうな点は極力手当していただきたいです。
全然話は飛びますが、証券決済のT+1に向けて頑張りましょうというお話になっておりまして、色々と制度上の手当が進んでおりますが、債券市場においてもっとも肝心なのは「フェイルもまた通常ベースの出来事」という認識が共有される事だと思います。現状では「フェイルは許さん」というスタンスの投資家様も相変わらず多うございますが、翌日決済なんて事をやるのに、現状のような銘柄数および流動性のままでは物理的に回らんと思いますが。体感的なお話と致しまして。
だいたい、日銀が売買オペにさいして事実上「フェイルは許さん」というスタンスでいる状況で、フェイルが慣行として(そりゃーフェイルしない方が良いに決まってますが)定着する訳も無く、前途は多難というか、T+1が強行されたら決済に関る手間隙が莫大な量になるのが今から予想されますな。
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「お手本は無いのではと思うのですが」(2004/02/23)
○岩田副総裁の講演
先週ご紹介した岩田副総裁の講演には「新たな金融システムの構築」というお題のコーナーがございました。で、まぁこのお話が中々なものがございまして、昨今の経済学者の傾向をよく現しているのではないかと思う訳であります。
『日本の金融システムの特徴は、「銀行優位の間接金融」であると言われています。』ってな感じで日本の金融システムのお話をした後に比較対象に出てくるのが「アメリカの金融制度」でございます。どうもこの先生におかれましては「アメリカの金融制度を取り入れる事」というのは論証の余地の無い「定説」らしゅうございます。
『(日本に対して)アメリカのように市場を中心とする直接金融システムでは、リスクは市場参加者の間で広く負担されており、情報も市場参加者の間で共有されることになります。この結果、資産価格の崩壊があった場合に、そのリスクは広く市場参加者の間で分担されることになります。』
と言う事のようなのです。さて本当に「情報が市場参加者の間で共有されている」のか(エンロンを始めとして・・・・・)などという突っ込みもあるのですが、それ以前の問題として、日本の金融システムを米国と比較して論じているのですが、どうも米国のシステムが正しいので日本もそういう風にしましょうってお話になっているのが謎であります。大体日本と米国では社会構造も産業構造も全然違う訳でして、日本にそのまま米国流を持ち込んで上手く行くとは到底思えないのですが。
ちなみにこの講演ではひたすら「アメリカ」が出続けまして、読んでいると「そんなに米国の金融システムが偉いんですかね〜」と言いたくなる所ではございます。
○ある討論会における突っ込み
ちょっと前の本なのですが、「金融政策論議の争点」というあたくしが只今読みかけの本がございます。ちなみに初版出版日は昨年7月8日です。(小宮隆太郎、日本経済研究センター編、ISBN-4-532-13236-3、\2800)中々宜しいかと思いますがまだまだ読み途上でございますので本の内容についてのお話はまたいずれ。
さて、この本では論文と紙上討論の他に現実に討論会が行われまして、編者のお勧めに従ってまずこの部分を読んでいるのですが、この討論の終わりに日銀白川理事(当時は企画室審議役)の発言で思わずあたくし的には大ウケしてしまいました。本書380ページから引用させて頂きます。新保生二(青山学院大教授)氏への突っ込みの部分です。ちなみにここに出てくる岩田さんは岩田一政内閣府政策統括官(現日銀副総裁)。
新保「1930年代との比較で、たしか白川さんがスウェーデンとか米国とかを取り上げて、30年代の時は金利が十分高く、ゼロに張り付いていなかったとの議論をされているが、米国はゼロに張り付いていたとテーラーなどは言っている」
岩田「米国は38年から41年くらいまでゼロだ。」
新保「テーラーは、日本も米国の30年代も同じであって、マネタリーベースを増やすことによって米国はデフレから脱却できたのだから、日本も同様にすべきだと言っている。」
白川「現在の日本経済の問題を議論する時には、テーラーがどういったとかクルーグマンがどういったかではなくて、日本経済の現実からスタートし、そのうえで、理論も過去の歴史も総動員して議論するという姿勢が必要だと思う。だれそれがいったという話ではなくて、まず自分の頭で考えることが重要だと思う。(以下割愛)」
実に香しい(^^)。
○高橋亀吉先生の言葉
高橋亀吉氏の著書「私の実践経済学」。初版が昭和51年1月という本なのですが(東洋経済新報社 ISBN4-492-39005-7
\1750)同書196ページ「私の実践経済学への側面的アプローチ」という稿にこんなご指摘が。
「経済理論というものは、それぞれの時代およびその国の経済の実態を基礎にして発展したものである。(中略)経済理論には時代や国を超越したものもあるが、むしろ多くはそうではないという前提でこれを学ぶべきではないか、というのが私の経済哲学である。」
「だから、アメリカやイギリスで育った経済理論がそのまま日本経済に妥当するわけではない。また、最近(1973-75年)のように実体経済が物の豊富な経済から不足経済に突入した段階では、従来の経済理論は、そのままの形では妥当しない。したがって、ものを考える場合、既成の理論、学説から演繹していくと言う方法を、私はできるだけ避けている。現実を調べ、そこから自分で帰納的な結論を得る、あるいはそこから現実を説明できる新しい理論の発見に努める(以下割愛)」
この時から30年、日本の経済学っつーのはどうなっていったのでしょうかね〜ってあたくしも引用ばかりしてないでもっと考えないといけませんな。よく見れば本日は引用のオンパレードでした(超大汗)・・・・・・・
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「書評:『リフレと金融政策』」(2004/02/18)
英「エコノミスト」誌で「世界で最優秀の中央銀行総裁かもしれない」などと相変わらず海外で絶賛されて国内では日銀のお膝元に行けば行くほど酷評されるという不思議な日本銀行総裁様でございます。
FRB理事にバーナンキというお方がいらっしゃいますが、このお方の講演を訳出して解説、インタビューを加えてまとめた本が日本経済新聞社から「リフレと金融政策」という題で出版されています。(高橋洋一訳、吉次弘志解説・インタビュー:ISBN4-532-35075-1価格1900円)
一応読み終えたとはいえ、浅学非才でまだまだ勉強途上の段階で、極めて稚拙な疑問点しか出せないのですが、読後感第一弾という感じで。
○日銀総裁が海外で絶賛なのは当たり前ですな
本書に出てくる氏の講演は5本あるのですが、リフレ政策に関する提言として出てくるのが正に日銀がせっせと実行しているものとして現出しております。かつてあたくし(去年の4月くらいでしたっけ)「日本を新型兵器の実験場にしないで頂きたいものですな」というような駄文を書いたことがあるのですが、まさしく新型兵器の実験中。そりゃ海外からは評判高くなりますわな。
何で日本がわざわざ人柱になって新型兵器の実験を行わなければいけないのかは相変わらず理解に苦しみますし、だいたい株価は戻ってますけど、金融政策が株価の戻りに対してどのような波及効果を与えているのかも明確なパスは見出せていないと思うのですがねぇ。株価の戻りは「りそな救済」と「産業再生機構による救済」という一種の財政政策というか税金投入政策によるところが大きいと思いますが・・・・・。
○通貨価値毀損は良くて財政破綻は不可というのが現実に可能か?
リフレ派の皆様と同様に「不換紙幣システムの元では政府が紙幣をより多く発行する事によって調整インフレが可能である」という貨幣数量論をベースにした金融政策のお話をしております。
貨幣数量論自体はその通りなんですけど、政府部門が通貨供給を野放図に拡大するようなリスクをどうやって抑えるかという話になりますと「財政政策は国債の対GDP比率を妥当な水準に安定させておく必要があります。」としかも「どんなに厳しくても構いません」とまで言っております。
実際の政治の場でそんな規律がきっちり守れるというのは歴史的に見た場合どうなんでしょう?
いわゆる高橋財政でデフレ脱却には大成功しました(リフレ派の方はそれ故高橋財政への評価が非常に高いのですが)が、デフレ脱却に成功し、引締めと財政健全化へと転換しようとしたら軍部の猛反発を受けまして2・26事件に至る伏線になったというのは歴史の教訓。経済問題とは関係ないですけど、ナチス党が政権を取ったのは「最も民主的な憲法」が生きていたワイマールドイツでの出来事でもあります。
金融政策は何でもありで財政政策はきっちり縛るというのは非常に難しいお話だと思うのですが、その点は何かスルーしちゃっているんですよね〜。
というか日本では既に国債の対GDP比率が絶賛増大中なんですけど、その状況を放置して調整インフレ政策とやらを実施したらやはり大変なことになると思いますが。氏の講演を援用いたしますと・・・・・・・・・
○長期金利へのコミットメント
最近は氏もこの主張を取り下げているというお話を聞いたような気もするのですが、「長期財務省証券の金利操作で政策目的を達成できるのではないか」という仮説を述べておられます。
短期金利がゼロになってしまった場合の政策オプションとしてというお話で現在の日本銀行のやっているような「ゼロ金利へのコミットによって長期金利の下落誘導」というのと、「短期金利ではなくやや長い財務省証券(氏は2年物を例にあげています)の利回り上限を公表する」というのをあげております。
でも、結局金利下落が碌に効果を生んでいない(生んでいたらとっくの昔にデフレ脱却できていると思いますが、この低金利状態ですから)のは既に日本において実証済み。
まぁ日本経済と米国経済では根本的な構成要因に色々な違いがあるわけで、日本では効かなくても米国では効くかも知れませんけど、氏が「より好む政策」としている財務省証券の利回りコミットメントっていうのはありていに言えば金利統制みたいなものでして、市場関係者としてはどうかな〜と思ってしまいます。有効かも知れませんけどね、と市場関係者にあるまじき印象は有りますが。
もしかしたら最近急に長期金利の話を福井総裁が国会でするようになったのは「バーナンキ講演集を見た議員あたりが何か言い出す前にコメントしておくと受けが良いだろう」なんて思っていたりして。
○解説で喧嘩を売るのは止めましょう(-_-メ)
この本は解説が2本立てになっていて、その一本が各講演の解説でして、そちらの部分は訳者でもあります高橋洋一氏(財務省総合政策研究所研究員)によります。講演への解説部分はわかりやすく書いてあって大変結構なのですが、高橋氏の主張部分で日本におけるインフレ目標批判に対する解説(反論)がありまして、ここにくるといきなりこの書の格調が低くなってしまうのは残念です。
日本でのインフレ目標批判を列挙して「無効論タイプ」と「弊害論タイプ」に分けております。それはそのとおりですが、その後に「批判には互いに矛盾する無効論タイプと弊害論タイプがある」と文章のレトリックを駆使して如何にもインフレ目標批判者が支離滅裂であるかのような印象をあたえるような書き方をしているのはいただけません。
で、その後には「金利債券市場関係者の反対論が強い」として、その理由を「インフレ目標が採用されると名目長期金利が上昇(フィッシャー効果)し保有債券の評価損が生じると信じられているからであるといわれている」などとあたかも市場関係者が私利私欲の権化であるかのような印象を与えるような書き方をしております(-_-メ)。
せっかく喧嘩を売っていただきましたので格調低く同じレトリックを使用致しますと、「野放図に拡大した財政赤字縮減の政策努力を放棄する為にインフレ目標導入を提唱する存在があるともいわれている」とでも申し上げましょうか、財務省総合政策研究所研究員様。
日本におけるリフレ派の方々の著作(≠思いっきり研究的著作)っつーのを真面目に読むのはこれで2冊目なのですが、自説に対する批判が何でこう格調の低い(というかはっきり言って罵詈雑言)書き方になるのか実に理解に苦しみます。といっているあたくしも殆ど悪口雑言になっている場合が多いのですが、一応学究の徒なんですからもうちょっと格調高く批判して頂きたいのですけど。
2005年3月3日追記:上記取り消し線部分は全面的に撤回します。と申しますのも、追記部分を記入している現在起こっている「当座預金残高目標引き下げ問題」に関して「市場関係者」と言われる人たち(特にマーケットストラテジストとかマーケットエコノミストとかの肩書きで「市場の声」を外部に発信する役割を担っている人)の言説がいかにポジショントーク全開かが良く判ったためです。以下その件を長くなりますが引用します。
まぁそういうわけで徐々に「筋論派」の周囲からは楚の歌なんかが聞こえて来るような展開が絶賛進行中な訳でございますが、正直申しあげて日銀の政策が筋として(もともとかなり理屈が破綻している政策ではありましたが)崩壊するような「技術的対応」論を勧めるというのはいかがなものかと思う訳ですよ。そりゃ相場が動いて金利が全体的に上昇してくれりゃぁ市場参加者としては商売繁盛だし運用環境も改善するし結構な話なんですが、だからと言ってもポジショントークというのにも限度があると思うんですよね。
景気がそんなに絶賛大回復していて金融引き締めにも無問題ってぇ話だというのなら別に結構なんですが、「技術的対応」って言ったってアナウンスメント効果って物もある訳ですし、それなりに長期金利やら貸出金利に響いてくる中期ゾーンの金利やらが上昇して経済やら財政やらに悪影響を与えないんでしょうかねぇと思うんですよ。「それよりも俺様の明日のメシの種が大事だ」って話ならまぁそれはそれで一つの考えですし、いちトレーダーとしては当座預金残高目標問題で相場が盛り上がった方が収益チャンスもありますが。
ただねぇ。一応「市場の声」として機能しているマーケットエコノミストだとかマーケットストラテジスト(などという表現が適切かどうか判りませんが、ニュアンス汲み取って頂けると幸甚)だとかの人が「技術的対応論」を支持するのは如何な物かと思いますよ。そういう事を言っているから「市場の人間はポジショントークばっかりしている」と言われてしまうのではないでしょうかねぇ。
以前ご紹介したバーナンキ氏講演集「リフレと金融政策」(日本経済新聞社)の書評を書いた時に、訳者の高橋洋一(しかもドラめもんに書いた時に「高橋進」と間違えると言う失礼の上塗りを・・)さんが解説で書いた「ボンドトレーダーなどの金融市場関係者はインフレ目標が採用されるとフィッシャー効果によって名目長期金利が上昇して保有債券の評価損が生じると信じられている」という部分に「市場関係者はそんなポジション上の理由で反対しているんじゃない」と散々悪態をつきましたが、謹んで撤回して深くお詫び申し上げたい(って高橋さんが見ている訳ではないのでお詫びもないが気持ちの問題)と存じます。ええ、市場関係者はどうも「政策は如何にあるべきか」などと言うことは考えてないようですわ。ポジショントーク全開なんですな。
(追記終了)
念のため申し上げますと、バーナンキ氏の講演は格調の高い調子でありまして、その格調の高さというのは訳者でもある高橋氏の高い能力のお蔭でもあると思います。
とりあえず第一次読後感想ということで本日は簡単に。
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「発行日前取引の停止条件不成就問題続き」(2004/02/17)
昨日は日経平均の日中値幅が80円、連日2兆円台だった債券先物の出来高がいきなり今年初の1兆円割れという閑散ここに極まるという相場でしたが、如何お過ごしでしょうか?
相場に大したお話もないのでこの前のWI取引のお話続き。
13日のドラめもんで申し上げた「停止条件不成就問題」に関して悩むあたくし。
・やはり「取消」は如何なものかと
新発国債の売買というのはそれだけ独立して行われている訳ではなく、既発債やら先物の売買との絡みで業者はポジションを調整しながら投資家様の需要にお応えしているわけであります。
発行日前取引、即ち現在一般的に言われる「新発国債の売買」に関して何らかの事情で発行が延期になった場合は「停止条件の不成就」に該当するので約定が取消になるというのは、「新発国債」という存在していないもの(リオープン発行は別)の売買を現行の法体系で解釈すると実に正しい処理になります。
然しながら、上述の通り、既発債の一般売買と同様に売買されている新発国債の発行日前取引を「国債発行が延期になった場合にこの取引だけ法的に違うから取消になってしまう」という事になってしまうと、(発行が延期になるくらいだから何らかの大災厄が起きてモラトリアム状態になるんでしょ)ただでなくさえ混乱しているであろう債券売買取引がより一層混乱する事間違いなし。不測の大損害が発生する証券会社も出る事でしょうな。
・リオープンの場合も問題が
ここまでは先日もお話しましたが、実はリオープンの場合も問題が発生します。この場合は発行日前取引とは別の問題になりますが。
リオープン発行の国債が何らかの事情で発行延期あるいは中止になった場合は、そもそもリオープン発行というのが「既発国債の追加発行」であることから、何事も無かったかのように決済をすることになります。
しかし、当たり前ですが追加発行される新発国債を当てにして玉を繰り回しているわけでして、この場合発行が中止あるいは延期になった場合には強烈なスクイーズが発生してしまいます。
で、「そういうときにはフェイルをすれば良い」というのは実態をご存知ないお方の発言でして、現在の国債流通市場では相変わらず「フェイル不可」というスタンスを取っている投資家様が多うございますし、そもそも日本銀行が「フェイルは事故扱い」というスタンスを取っておられるという意識の低さ。
何せRTGS導入後に当初結構頻発したフェイル件数が、「最近になって減っている」のが制度定着の証拠だと喜んでみたり、あまつさえ「日銀のオペレーションでフェイルをしたら事故扱い」という状況になっているんですから。
あまり外国の証券決済事情には詳しくないのですが、あたくしの印象では海外での証券決済ではフェイルが日本よりも遥かに一般的な事象であるという認識なのですが、どうなんでしょうか?
・世の中に絶対はない筈ですが
とまぁそんな訳で、発行日前取引の法的性格を周知徹底するのは結構なのですが、御覧の通り法的定義が取引実態に合っていないという状態をそのままにしておくのは如何なものかと思う訳であります。
恐らく、財務省としては「入札のアナウンスを行ったら必ず入札を行うので、そのような事は有り得ない」「入札が終了し、募入決定通知を行った国債の発行が中止になったり遅延になったりする事は有り得ない」と言うのでしょうが、世の中に絶対というのが無いのはここ10年で散々見せつけられております(-_-メ)。
現在の国債決済制度っつーのは基本的に金利低下局面で導入されているものですし、入札の事前アナウンスなどといったものも同様。本格的な金利上昇局面になった時の試練という物は受けていない制度でありまして、あたくしの如き人間であっても指摘できるような穴は事前に塞いでおいて頂きたいものであります。
・あたくしの愚案
と、言うだけだと何ですので、あたくしがテキトーに考えた代案をば。
→国債の入札中止、発行中止といった事態になった場合は、民法の停止条件不成就を援用するのではなく、当事者代表ということで国債市場懇談会と国債投資家懇談会と財務省、証券業協会で協議して清算価格を決定して、その清算価格で反対売買して現物の授受は行わない。清算価格は直前の既発債の流通利回りから合理的かつ理論的に算定する。
→国債の発行が延期になる場合は延期になった発行日まで決済は繰延
リオープン債の発行が中止または延期になった場合のスクイーズ防止対策も必要でしょうな。今一歩思い浮かばない。。。。
まぁ先物出来高4000枚の昨日後場に呆然としながら考えていた妄想でありますので、かな〜り難点がありそうな代案ですが、「法的には取消だけどもあとは当事者間で何とかしろ」という無責任な扱いよりは遥かにマシだとは思いますが(^^)。
とここまで書いたら時間切れになってしまった。あたくしはやはり考え過ぎなんでしょうかねぇ??ゼロ金利から通算すればもう何年になるのでしょうか、超絶的低金利時代に慣れすぎて市場全体が一種の平和ボケになっているのではないかと思えるのですが、あたくしには・・・・・
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「WI取引に関する徒然なる愚考」(2004/02/13)
昨日の債券相場はあっと驚くブルフラット。というか先物が碌に動かないのに先物よりも長い年限(まぁ10年あたりなのですが)の気配が動く動く。そんな中で一時はスクイーズ懸念まであった先物受渡際割安銘柄の227回債は業者間のベーシス取引で玉が出てきて(先週後半あたりから動きが怪しかったのですが)こちらは突如として気配が甘くなるというのもありまして、まぁ長期債は実に賑やかに動いてました。
忙中おのずから閑ありという訳でもないですが、そんな中で画面を見ながらつらつらと下らない事を考えていたので今朝はそんな与太話でも。
○発行日前取引の説明義務の謎
国債の入札前取引というのが正式に開始されるのが今月23日ということでして、最近はあちこちで取り上げられるようになりました。で、まぁ既に昨年7月31日付で国債の発行日前取引に関するガイドラインは出ておりまして、12月には証券業協会からFAQが送られてきておりましたな。ちなみにガイドラインはこちらです。
http://www.jsda.or.jp/html/saiken/wi/gline.html
国債の発行日前に行われる売買っつーのは当該債券が発行される事を条件としている売買ですので、所謂「停止条件付売買」にあたります。
で、今般突如公正慣習規則に追加条項が入って、「国債の発行日前取引が停止条件付売買であり、停止条件が不成就の場合(国債の発行が予定通り行われなかった場合ですな)の取扱に関して説明する義務がある」と言う事に相成りました。
入札前取引は新設されますが、入札結果判明以降の発行日前取引自体はとっくの昔にやっていたので今更説明ってのも何だかな〜とは思いますが、それは良いと致しまして、激しく理解に苦しむのはこの「説明義務」が何故か日本証券業協会の協会員どうしでの売買にまで課せられている事でございます。
形式的な問題で言えば、説明自体は一回すれば良い話なので別に大した問題ではないのですが、「協会員どうしでの売買」に説明義務を課すというのは理解に苦しむところでございますな。
協会員が顧客との売買を行う際に説明するのが必要だってぇ事になっているのであれば、協会員は当然説明義務になっている内容については周知しているのが協会員の義務です。また、この説明義務の本旨は「投資家に対して、取引の法的性格が既発債の一般売買と異なることを周知させる」という事の筈だとおもいます。そんなこと考えますと、協会員どうしでの売買において説明の義務が発生するというのはどうも不思議というか、本来の趣旨に合っていないというか。
まぁこの件に限らず一事が万事って奴なんですけれども、所謂「取引に関するルール」の中には、「何のためにそのルールを作ったんでしょうか」という趣旨を考えるとどうも理解に苦しむ形式的な部分があったり、巨大な抜け穴が空いていたりという所が散見されるんですよね。でも規則は規則ですんで、実にどうでも良いような形式違反(をしても良いとは全く思いませんが)が問題になったりする訳であります。肝心の投資家保護が出来ているのか疑問なことが一方で行われていたりするのにね。
○停止条件付売買なのは判りますが・・・・・・・
さて、今回のガイドラインによって明確になったのが国債の発行日前取引が「停止条件付売買」だという事です。具体的には国債の発行が中止されたり延期されたりした場合や、国債の入札が中止された場合は停止条件不成就ということで(リオープン発行の場合はちょっと扱いが違いますので、この表現は正確さに欠ける事を予めお断り致します)民法の規定をそのまま援用するとそれまでの約定が「取消」の扱いになります。
でも本当に「取消」扱いで良いのでしょうか??
物騒な例えですが、国債の発行日(払込日)当日にでも関東大震災を超えるような大災厄が発生して、どうしても当日中に決済が完了しないっつー可能性だってある訳で、この時に払込が数日日延べになるような場合にポジション上都合の悪い側が「停止条件不成就」を盾に取って約定取消を主張して来た場合どうする積りなんでしょうかね。
本来、こういう場合は「強制解け合い(落札玉の問題があるので解け合いは難しいでしょうが)」あるいは「強制日延べ」を行うのが通常の運用だと思うんですけれども、証券業協会のガイドラインは「売買当事者間において、別途合意する事を妨げるものではない」としかありません。
このような混乱時においてこそ、中立な立場にある証券業協会のような組織が混乱収拾に動くのが本来のあり方ではないかと思うのですが、「勝手に当事者間で何とかしろ」ってのは職務放棄ではないかと思う訳ですよ。きつい言い方かもしれませんが。
国債の入札が中止されるようなケースもまた然り。1週間前に「やる」と言っていた国債の入札が中止される場合は相場がとんでもなく暴落している時でしょう。
当然買い方は大喜びして約定取消を主張するでしょう。一方の売り方ですが、全ての売り玉を入札での落札を前提に裸でショートしていれば期待収益が消滅するだけでしょうが、当日の売り玉ならともかく1週間前から涼しい顔して裸でショートしっぱなしなんて出来る訳ありませんから、既発債あるいは先物なんかで買いヘッジをしている(で、入札直前に買いヘッジを解除して入札でカバーすれば良い訳です)でしょうから、約定取消を食らったら反対側のロングポジションだけ残ってしまう訳でございまして、まぁ即死でしょうな。
法律上は「停止条件不成就」であり、「取消あるいは当事者間で何とかしろ」と言う事なのでしょうが、新株発行あるいは売り出しのような場合と同じような扱いにしておいて良いのかは甚だ疑問であります。何せ10年債で1兆9000億円の発行がある訳でして、その影響たるや甚大。時価総額数十億の新株発行と同一に論ずるのは如何なものかと思いますがね。
常にWI取引で買い方に回って直近発行債券をショートしておけば、なんかの拍子に大儲けって事ですか。まぁ目先直ぐに起きはしないでしょうが、世の中何が起こるか判りません。
あたくしが小僧の頃には国債の入札って大体の予定は何となく判っていましたが、正式なアナウンスは前日のヒアリングにならないと判らないという時代だったのですが、ある時に「20年債の入札をやるタイミングなんだけど、相場環境が極悪だから6年債にしますか。え?6年債も駄目?じゃあ2年債の入札を先にやるか」なんて事があっていきなり2.6%クーポンの2年債入札が行われた事があります。
当然のように入札はボロボロで2.6%クーポンなのに最低落札価格における利回りが2.7%になった上に、翌日には中期債に投げが入って安値2.8%をマークするという実に涙な相場になりました。この時は一人で国債窓販玉の管理をしていたから鮮明に覚えてますよ。恐ろしかったな〜。
ま、そんな事でございまして、民法の規定を安易に援用して単純に「取消扱い」としてしまう辺りに、短期金利が動かない時代に慣れ親しみすぎているなぁという物を感じてしまうあたくしでありました。
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「故事成語は正しく使いましょう」(2004/02/10)
http://www.be.asahi.com/20040207/W11/0019.html
ニュースのチェックをしているうちに偶々拾ったのですが、朝日新聞の土曜日の暮らしと経済みたいなコーナーにりそなHDの細谷会長ご登場。随分精神論の多い方だな〜と思うのですがそれは兎も角。
この会長さま故事成語の「先憂後楽」を思いっきり誤用していて、朝日新聞社もそのままスルーして掲載しております。「先憂後楽」というのは君主(人の上に立つ物)は人々よりも先に世を憂い、人々が楽しんだ後に楽しむべしというような君主の心得を説く言葉(何かあたくしの説明も下手下手ですね^^)なんですが。ちなみに「後楽園」というのがありますが、この「先憂後楽」から取ってる訳ですな。
「先に苦しいことをやり遂げ、あとで楽になろう」というのはもしかしたら中学入試レベルではないかと思うくらい(某進学塾の電車内広告で出てきそうという意味です。本当はいつ勉強する言葉なのかな?)の超有名な誤用で、ライター(記者)やっていれば普通気が付くし、ライターをスルーしても校閲が気がつかなければいけない問題でしょう。どうなってるんだ朝日新聞(嫌がらせの為にわざとおとぼけでスルーさせている可能性はありますが、基本的に記事の書き方が提灯系ですので、スルーしたのは素でやったと思われます)。
それ以前の問題として、こういう古典の誤用っつーのは(あたくしも時々やらかしそうになりますが)基礎的教養を問われるお話なんで、下手に使わないで自分の言葉で話した方が良いのではないかと思いますがね〜。
自分の言葉で話す事が出来ないから、そこらのお手軽な「中国の古典を経営に生かしましょう」みたいな本を齧ったフレーズを出すんでしょうな。他国への侵攻を非とした墨子(ちなみに墨子は防衛戦争は否定しません、念のため)の言葉を事もあろうにイラク派兵に際して引用しちゃう人が国家の最高責任者というお国なんで仕方がないのかも知れませんが。
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「今年の相場のテーマを愚考しつつ」(2004/01/07)
昨日の債券市場もまぁ訳の判らん動きでしたが、要するに年末年始にお休みしていた人がここぞとばかり買いに来たので、いきなり年末のレベルまで相場が戻っちゃいましたという事でしょうか。
そんなに買うなら年末年始に幾らでも買うタイミングがあったぢゃあないですかと突っ込むのは野暮らしい訳でして(-_-メ)、最近(というか昨年の下落開始以来)の債券市場では、「お家の事情」的なタイミングでの売買が目立つようになっているという状況を新年早々(いまさら正月気分でもありませんが^^)見せてしまったと言うことでしょうな。どうにもやりにくい訳でございます。
年末年始の平均株価上昇を見事に無視したような相場の戻りを呆然として眺めながらつらつらと相場のテーマを愚考する訳でございまして、まぁ思考のたたき台に使ってください。
○メインテーマは景気回復
なのは衆目の一致するところな訳なんですけど、んじゃあこの回復がどういう経路で進むかっつーのが問題。経路として挙げられるものは概ね、@米国経済の順調な成長による外需増とA国内民間設備投資の回復による内需増という所のようでしょう。他には中国の経済成長による外需増っつーのもあるんでしょうか。
米国の方は後で申し上げますが、どうもあたくし的には「?」を百万個くらいつけたくなる所なのですがそれはさておきまして国内民間設備投資。
国内民間設備投資が回復しているようですが、昨今あちこちの工場などでしょうもない事故が多発している事に象徴されるように設備更新を思いっきり遅らせていたという面もありますので、こちらはそれなりに持続性のあるものかと勝手に考えております。
内需に関する最も重要な位置を占める個人消費に関しては相変わらず期待できないでしょう。もともと国内個人消費っつーのは住宅ローンに代表されるように「終身雇用制度」「最悪でも横ばい、基本は定期昇給」っていう素晴らしい雇用環境によって将来の需要を先食いしながら走っていた面がございます。
雇用環境が悪化し、それなりの規模の企業であっても給与所得が減少する可能性が当たり前に考えられるようになってしまった以上、過去の終身雇用時代のような「将来の需要先食い」的な消費は全体でみればシュリンクしてしまうと考える方が自然な訳でありますので、やはり少々雇用環境が好転したからと言っても個人消費の大幅な復活はちと考えにくいでしょうな。
というのがあたくしの極めてノーマルな考えなのですが、御覧の通り論議に穴が開きまくっているような気がするので、これを敷衍していきながら考えていくっつー感じですな。以下は段々極端なお話になります(^^)。
○日米融通手形経済の持続可能性
年末納会の日に「日米融通手形経済」などと好き勝手に命名しました日米の相互依存状況。ある方から「それは日米経済の巨大な『エンロン化』ですな」と的確なるご指摘を賜りましたが(^^)、本日も融通手形経済と申し上げておきます。
相変わらずドル安は止まらず、日本政府のドル買い介入も同様に止まらずという状況になっております。幾らでも介入できるように色々と打ち出の小槌も準備万端怠り無しと言ったところでもありますので、当分は介入が続く事になるでしょう。
で、この無節操と申しますか無限大の介入。良く良く見ておりますとひたすら別に押上げ介入をするでもなく、ひたすら坦々と買い下がりをしているって感じでありまして、円高阻止は円高阻止なんでしょうけどじゃあ円安にしようという意図があるかと思うとそんな雰囲気はあまり見られなかったりする訳です。
そんなことをつらつらと考えておりますと、実を言えばこの為替介入は「円高阻止」を意図しているのではなく、「米国の財政赤字ファイナンス」を意図しているのではないかと妙な勘ぐりをしてしまったりする訳でございます(^^)。フセイン征伐戦争以来米国の財政支出も増大してますし、それに伴ってドルは下落するわ、日本政府の為替介入は増えるわというところでもありますので、ついついそう考えたくもなりますな。
財政赤字ファイナンスが無事に回っているので米国の「双子の赤字」も話題にはなるが懸念材料にはなりきれず、戦争需要の好影響という側が出てきて米国の株式市場は益々堅調という見方も出来る訳でして、そう考え出しますと、日米経済はますます「融通手形経済」化が進展しているという見方もあながちトンデモ議論ではないと思うのですが。
当面は日米双方の経済でバランスシートの拡大(要するに財政の拡大)が起きて、見かけ上の景気は好調そのものってな状況が「今年は」継続するのではないかと思います。
融通手形の繰り回しが出来なくなった時が大変なので、どういう経路から繰り回しが出来なくなるのかということを考えると吉かと存じます。
○日本財政の持続可能性
というわけで、日本の財政は外為特会で「融通手形経済」の一翼を担いつつ、一般会計はあちこちにツケ回しをして何とか格好をつけているのですが、公的債務は相変わらず増大止まらずというわけですか。
んな財政の持続が可能であるとは到底思えないのですが、最早そのテーマは語るのがアンタッチャブルであるかの如く話題になりません。確かに財政持続可能性について疑問を持って債券を売ってみたところで、誰も追随しないので踏まされるだけなんですけど(^^)。
財政持続可能性の議論をしないから売られないのか、売られないから誰も議論しなくなったのか、どっちが先なのか良く判りませんが、こちらでもある意味「チキンレース」が行われているという気は思いっきりする訳でございます。
こっちの均衡が崩れるきっかけは「量的緩和解除」によってまともな金利が付き出すようになってからなのかな〜とも思ってしまう訳でして、これまた昨日申し上げたように日銀にその気がない(ような気がする)以上、暫くはチキンレースに参加するのも吉かというところでしょうな。
うーん、あまり纏まっていない・・・・・・
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「新春読書室」(2004/01/05)
ど〜も、あけましておめでとうございます。本年もご愛読のほどよろしくお願い致しますm(__)m。
本日は半日立会いという事でもございますので、相変わらず正月ボケ気分で正月に読んだ本の書評という全然マーケットと関係ないお話で(^^)。
○武富士対山口組(木村勝美、イーストプレス)
イーストプレスがこの本の宣伝広告を全国紙に打とうとしたらどこからともなく(自主規制)ので広告無しでの出版になってしまったというウワサを聞いたので千代田書店に行ったら思いっきり平積みになっていたと言う本。
あえてやっているのかも知れませんが、構成が散漫(特に前半部分)なので、ちと読みにくいのが難点ですが、まぁあっさりと読める本でしょう。背景知識が全然無い状態で読むのはちとしんどいかも。
著者の事情もあるでしょうから仕方無い面もありますが、武井会長がほぼ一方的に問題があるような書き方になっているのは(事実なのかもしれませんが)やや残念ですな。株式公開に絡む話にもっと突っ込むと株屋的には面白かったかな〜と思いますが。
海外投資家に向けてこの本を英訳して送り付けたら洒落にならんだろうな〜などと思ってしまったりする訳です(^^)。
ISBN4-87257-395-1 C0036 \1600
○三酔人経綸問答(中江兆民、岩波文庫)
新刊の次はいきなり古典。中江兆民の有名な「恩賜の民権」「回復の民権」というフレーズや、問答の最後に国権拡張論者の豪傑君が上海に渡る件なんかはとても明治20年に書かれたものとは思えません。辛亥革命の支援を行った日本人に所謂右翼系の人が相当加わっていたのを予言していたのでしょうか・・・・・
吉田茂の「大磯随想」を読んだ時にも感じたのですが、優れた洞察力の持ち主の書いた文章ってのは後世になってその評価が定まるものなんでしょうな。
桑原武夫・島田虔次訳・校注
ISBN4-00-331101-9 C0110 \600
○国家なる幻影 わが政治への反回想(石原慎太郎、文春文庫)
文庫の初版が出たときに流し読みしたのですが、改めて熟読。
この人に関する報道は悪意で歪められている場合と好意で歪められている場合がありますが、というよりは淡々と報道されないお方であるな〜と改めて認識してしまいました。まぁこの人の発言をきちんと見たければ都庁のWebを見るか、東京MXテレビの都知事定例記者会見を見るかが必要でしょうな。
読み物としては面白いです。文体が25年くらい前に流行ったような新文学系のキザなものだったりする事や、東京都知事選挙で美濃部知事と選挙戦をやって敗れた事が相当「恨み骨髄」なのね〜と思わせる所なんかもございまして、このお方のやっている諸政策や言動なんかがど〜ゆ〜ベースにあるのかという事を理解するには宜しいかと。
上下2巻ですがそんなに重くはありません。議員辞職をした所までの回顧録ですので、現在のお話はございません。念のため。
ISBN4-16-712804-7 C0131 \590
ISBN4-16-712805-5 C0131 \552
○チベットわが祖国(ダライ・ラマ、中公文庫)
これも前に読んだ本なのですが多分ご紹介していなかったと思うので。
インドと共産中国が協力関係に転じてしまってますし、人権外交を標榜していたクリントンからブッシュ政権になって益々孤立無援状況が深まるチベットの今日この頃ではありますが、アジアで爆発する可能性のある爆弾候補の「台湾問題」「チベット問題」の一方を理解する一助になるのではないかと思うわけです。もちろん「ダライ・ラマ14世の主張」でありますので、その辺は割り引いて読まないといけないとは思いますけど。
そういえばダライ・ラマ師が昨年訪日して両国で講演会を行ったのですが、誰に遠慮しているのか知りませんが、ダライ・ラマ師の来日に関して全くと言って良いほどメジャーなメディアで報道されていなかったような気がします。気のせいでしょうか??
木村肥佐生訳
ISBN4-12-203938-X C1123 \1048
というわけで、本日は思いっきり趣味に走ってしまいました(^^)。
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「JRは民営化で成功したといえるのか」(2003/12/26)
知人との雑談ネタ。全然話として練れていないので軽いノリで。
民営化の成功事例ということで引き合いに出される事の多いJR。確かに業務の発展は大変素晴らしいのですが、その事業展開には「民業の圧迫」によって成功した面もあるのではないかな〜という雑談で少々盛り上がっていたりしたのですな、これが。
ご存知のようにJRは駅の真上に立派なターミナルビルを建ててホテルだのショッピングセンターだのをおったてております。元々このような事業は旧国鉄時代はやろうと思っても出来ない事でありまして、ちょっと大きな駅前であれば百貨店が進出したり、立派な駅前商店街が形成されていた訳でございますな。
しかし、鉄道会社が自分の駅にビルをおったてるとなりますと、誰がどう考えてもそっちのほうが便利でありますので、顧客の動きが変わってしまう訳でございます。商圏が相乗効果で拡大すると言うケースもあるかもしれませんが、民営化された官業が民業を食って拡大しているという結果になっているケースも多いのではないでしょうか?
悪評高いNTTの回線問題なんか民間企業にしないで官業でやっていた方が「政策的配慮」が出る事によってもっとスムーズに開放されていた(というか今でも問題ありありですが)のではないかと思ってしまいますし・・・・・・・
利用者の利便性が大事なのは当然ではありますが、結果として民業圧迫になる民営化って一体全体何のための民営化なのか非常に訳の判らぬ所であります。
全て採算を度外視されても困りますが、何でもかんでも「不採算だから駄目」というのではそもそも行政とは何ぞや?という話になるのではないかと思うわけでございます。そういう点でさっぱり判らないのは郵政事業の中でも郵便事業の民営化っつーのと道路公団の民営化ですか。特に道路公団なんて民営化して競争者が出てくるような類の物の訳がないのに、何で民営化するのかさっぱり理解できませんですな。相変わらず。
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「商内は踏み出しが大切なり」(2003/12/25)
今日は雑談です(^^)。
題はご存知、本間宗久秘録(相場三昧伝)の冒頭のお言葉です。思わず自分でも引用していて日々のお仕事を反省してしまうお言葉でございます。
米商内は踏み出し大切なり。踏み出し悪しき時は決して手違いになるなり。又、商内進み急ぐべからず。急ぐ時は踏み出し悪しきと同じ。売買共、今日より外、商い場なしと進み立ち候時、三日待つべし。是伝なり。
改めて引用すると耳が痛いですが、最近は特にこのお言葉を皆で噛みしめなければいけないのではないかと思ってしまうのでありますな。
○パッシブ運用さま宛
最近はアクティブ運用の肩身がやたらと狭い日々が続いておりまして、益々パッシブ運用的な債券売買の動きが相場へ影響を与えるようになっております。
このお方たちに相場三昧伝を説くのはお門違い(だからこそパッシブ運用なんですけど)という気もかなり致しますが、それにしてもこのお方たちの動きがあまりにも機械的というか何というか。
いつも思うのですが、まるで「明日は相場がない」ような売買をしてくるので、ベンチマークに対してニュートラルになっているかもしれませんが、自分たちの動きで肝心のベンチマークのパフォーマンスを悪化させているという説もあるわけでして。ま〜困ったものでございます。
資金配分と同時に買いを入れるとか、月末の引け値ギャランティーで買いを入れるとかって売買なら別に優秀なコストの高い人材を張ってやる事はないと思うのですがね。
あまり書いていると怒られるので以下自粛。
○日銀総裁さま宛
まー普段からドラめもんで好き勝手申し上げておりますので、読者の皆様この後何を書くかお判りだと思いますが(^^)、やはり書く訳で。
昨日の時事メインコラム「金融観測」では「今年の日銀十大ニュース=やった全てが事件?」というお題で、福井日銀新総裁就任以来の9ヶ月の金融政策を見直しております。で、結局日銀が矢継ぎ早に動いた事が全て事件なのですが、そもそも何でこんなに派手に日銀が動くようになったかと言う点については「日銀総裁の行動主義の結果と受け止められる」と指摘しております。
まぁ思い出してみれば、総裁就任直後の3月24日に「25日に臨時政策委員会を開催」とアナウンスして以来、この総裁は動く動く。で、この動きもちゃんと現状認識して動いているというよりは、いつの間にやら「動く事自体が目的化してませんか総裁」ってな状況になっているのはご存知の通りです。
先日の金融政策決定会合では「資産担保証券買入の基準見直しについて執行部に検討を指示」をしていた日銀総裁。どういう基準見直しをする結果になるのか知りませんが、先日ドラめもんで悪態をついたように、どっちにしても当初の「中小企業金融の目詰まり論」の政策目的に合致しない方向での基準見直しになる事は間違いない(執行部がゼロ回答すれば別ですが)所でございます。
当初の入口部分に間違いがあった訳ですから、損切り(=施策の中止)をすればいいだけのことですし、「まず行動してみて、うまく機能しないなら取りやめる」という事こそが本来の「行動主義」ではないかと思うのでございますが・・・・・結局「はじめた事を止められない」という帝國陸軍状態に陥りつつあるのが今年の日銀ではなかったかと思う訳ですな。
○最近の行政全般にも宛てられそうですな
改革改革と言うのは結構なのですが、何のために民営化するのかという当初の議論が完全に彼方へと行ってしまった道路公団民営化や郵政民営化。
まぁこれは踏み出しが悪いというよりは、巧みな問題のすり替えによって却って焼け太り状態を狙う既得権益保護軍団の戦略が上手だったということなのでしょうが、結局は当初「何のために改革を行うのか」という点に理念がないままにウケ狙いで突っ走ってしまったのが問題の始まりだったという事なのでしょう。
昨日ドラめもんでご紹介した「再建計画に則って貸出債権の一部を劣後ローンにすると不良債権が消える」という素晴らしいスキームも、読めば読むほど「単に不良債権額を減らしたいだけの数字あわせ」という発想が見え見えでございます。端的に申し上げると、「再建計画に則って一部債権放棄したゾンビ企業への貸出金が正常先債権になる」と言っているのと同じ発想でございますが、そもそも「実現性の高い再建計画」の実現性が今までの例を見れば明らかに怪しいのですがね。
何か施策をおっぱじめる時に、政策の目的が超目先的になっているのが問題なのではないかと思う訳ですよ。そのためにあちこちで合成の誤謬が発生している訳でして。しかも金融庁と日銀は「動く事が重要」と言わんばかりに色々な施策を打ち出してきますが、「まぁお前ら落ち着け」と言いたくなってしまうのはあたくしだけでしょうか??
おまけ:2年国債入札
誰も相手にしない2年国債入札が行われます。根本的には価格さえある程度(0.1%台後半まで)調整すれば何とかなってしまうかとおもいますが、同残存の10年債や5年債と比較すると単利ベースで見ると無茶苦茶割安に見えてしまいますな。というか需給要因だけで外の債券が割高になっているだけの話なのですが。
「時間軸」がもろに直撃するゾーンでもありますが、現在の2年債の価格形成を見ておりますと(というよりは、2年債自体もカレント物以外は需給要因でインチキイールドカーブが形成されているのですが)、一応来年の9月くらいまでは量的緩和の解除はありえないという感じの状況になっております。
んなわけでして、これからの2年債入札は徐々に「時間軸はどこまでなんざんしょ」という所への意識をしながらの入札になってくると思いますので、その味ではもうちょっと注目してあげてください。
ではでは。良いクリスマスを。
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2003/12/15
○フセインくんタイーホ
まー小泉さん悪運がお強い。今度こそ政権の命取りになるかと思ったのですが、フセイン君拘束。ということで、イラクの政情安定化が進めば慶祝モードになりますんで当然ながら株式市場に好影響を与えることになるでしょう。
あたしゃーイラク国民ではありませんし、知人もおりませんので、現在のイラク国内でのテロ活動の本質が、ただのテロ行為なのか、米軍に対する民族的レジスタンスなのか、旧政権組織が地下に潜って抵抗している一種のゲリラ戦なのかさっぱり判りません。判らないので、この先どういう風に転ぶのか予測不可能なのですが、フセイン抜きでテロが全然終わらないとなりますとそれはそれで困るでしょうな。
この先のことを考えますと、フセインくん同じ捕まるなら生きて捕まった方が後の処理が難しいような気がする訳ですよ。処刑するにしたって変にやってしまうと却って反米意識を煽るだけでして、敢えて残酷な言い方をすれば「拘束しようとしたら戦闘になって戦死した」となっていた方があとの話がややこしくなかったような気もしますな。シロート考えですけど。
ま、単純なる発想ではとりあえず「めでたしめでたし」でありますので、株式市場が買いで反応して、日本の債券市場の場合は「景気回復モード」でありますのでイールドカーブのスティープ化が進むとなるのでしょうが、とりあえず株価次第というお馴染みのパターンになるでしょうな。
これで泥沼状態が収まらなかったら洒落にならないのですが。
○念のため国債の需給
当初予算における新規財源債の発行額は40兆円以下死守っつーことで、週末の新聞報道(大掃除していて不覚にも捨ててしまった)では37兆円とかいう数字がでておりました。
まぁ何度も申し上げておりますように、昨今の国債需給は新規財源債の発行額に対しては反応しないようにできています。とは言いましてもさすがに40兆円の大台をあっさり突破ともなりますと、なんぼなんでも反応するかな〜と懸念しておりました。
発行年限の長期化については全く問題になっておりません、というよりは既に織り込み済みでしょうし、「新規国債発行額40兆円以下」となりますと国債の需給に関しては特に問題はないでしょう。
実際問題としては色々とやり繰りをしている様ですので(これもまた怠慢で真面目に調べていなかったりするのですが)別の政府部門に皺寄せが来ているような気がするのですが、まぁとりあえず国債に関しては問題ないでしょう。
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