金融政策概観(2006年度下期分)


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2006年下期

2007/03/30「最後は平和な期末越え」
2007/03/29「国債投資家懇談会に見る銀行業態への利上げの影響」
2007/03/28「期末越え金利は落ち着きまくる/決定会合議事要旨(続き)」
2007/03/27「2月決定会合議事要旨より」
2007/03/26「国債市場特別参加者会合より雑感メモ」
2007/03/23「足元の金利上昇一服(メモ)」
2007/03/22「引き続きフライング報道問題が国会で論議に」
2007/03/20「週明けの期末越え&足元GCレートは更に上昇」
2007/03/16「国会でフライング報道問題が追及されました/突如期末越え金利上昇」
2007/03/09「筋違いの日銀批判レポートを斬る」
2007/03/08「次期政策委員が内定の報道」
2007/02/28「大田担当大臣会見を見ましたが、内閣府のロジックが全く判らん」
2007/02/27「内閣府が強い調子でご意見したたようですな」
2007/02/26「ところで何故議決延期請求出さなかったんでしょ/総裁の市場との対話」
2007/02/23「NHKリーク報道関連補足/総裁記者会見」
2007/02/22「第2の柱の利上げ?/月報/NHKがまたリーク報道/その他」
2007/02/21「織り込みは最後まで50%/その先の予想など」
2007/02/20「週初の市場雑感/中川幹事長発言が微妙にトーン違う件」
2007/02/19「利上げに対する反応が正反対の長期とと短期」
2007/02/16「さてGDPが出たのですがこれがまた見事な中途半端な反応」
2007/02/15「GCレートが上昇してきました/尾身財務大臣イイヨイイヨー」
2007/02/06「為替是正で利上げという理屈は有り得ないと思うのですが」
2007/02/05「国債買い切りに関するお話(その3)」
2007/02/02「今月も利上げ思惑やるのかなあ/国債買い切りに関するお話(その2)」
2007/02/01「国債買い切りに関するお話(その1)」
2007/01/31「金融政策と為替相場などに関するあたくし的雑感」
2007/01/29「須田審議委員記者会見を読みながら金融政策雑感」
2007/01/25「ロジックの再構築が必要なのではないかと」
2007/01/24「12月議事要旨に見る路線の分裂/バーナンキ議長の議会証言メモ」
2007/01/23「オペ金利は2月利上げ無しを織り込んでます/日銀の短期市場レポート」
2007/01/22「総裁記者会見では意見の違いが少ないことを強調していますが・・・・」
2007/01/19「実は内容不変の月報/票決に思う/TBSの爆弾ニュース他」
2007/01/18「市場とのとの対話路線には無理があるのでは無いのでしょうか」
2007/01/17「利上げを100%織り込んでしまったら利上げ見送り報道相次ぐ」
2007/01/16「幹事長発言は逆効果の声多し/反対するのは景気より物価で」
2007/01/15「幹事長の恫喝発言/支店長会議総裁挨拶/さくらレポート/他」
2007/01/12「オペ金利なお低下/議決延期請求の過去資料/生活意識アンケート」
2007/01/11「海外レポートなどで利上げ思惑後退」
2007/01/10「週明けにいきなり1月利上げ織り込みの短期/OISにバンク参入」
2007/01/04「年始は利上げ関連報道/皆さんフラットニングと言いますが」
2006/12/28「時事通信ニュースで1月利上げ観測急復活」
2006/12/27「CPIなどはまあまあでしたが/末初のレート」
2006/12/26「穏当な総裁講演/さてCPI/CPやオペの金利低下」
2006/12/22「なおも総裁会見続き」
2006/12/21「やはり個人消費の先行き見通しも下方修正/会見はトーンダウンですね」
2006/12/20「今度は逆方向に火付けとなった総裁記者会見と月報」
2006/12/19「決定会合の注目材料」
2006/12/18「日銀短観/GCレート上昇/OISキャンペーン?」
2006/12/15「FB3か月0.45%まで金利低下/日経新聞お前が今更・・・」
2006/12/14「市場の利上げ観測時期が12月どころか年度内も怪しいまで先送られてますが」
2006/12/13「短観前に相場終了/ところでこれで来週全会一致で現状維持じゃないですよね」
2006/12/12「利上げ観測後退/国債市場懇/幹事長は日銀叩いて政府はスルーですか」
2006/12/11「12月利上げを織り込んでしまった金曜の市場」
2006/12/08「共通担保オペ金利やCP金利など上昇」
2006/12/07「買いの手が引っ込んで3か月FB入札ヘロヘロ」
2006/12/05「利上げに関する雑感/国債投資家懇談会議事要旨を読む」
2006/12/04「この期に及んでブルフラット」
2006/11/30「自民党金融政策小委員会に悪態をついてみる」
2006/11/29「日銀を煽ったり追い詰めたりする人たち」
2006/11/24「オペ金利は12月利上げをあまり気にしていないようです」
2006/11/21「国債市場特別参加者会合議事要旨を読む」
2006/11/17「落ち着いた総裁記者会見/内容不変の金融経済月報」
2006/11/16「FB入札・オペ金利」
2006/11/15「GDPに素直に反応」
2006/11/14「地均しよりも経済指標?」
2006/11/09「水野審議委員講演は景気先行き不安でも利上げするもんね状態」
2006/11/08「きさらぎ会における講演で福井総裁地均し全開」
2006/11/02「総裁記者会見」
2006/11/01「展望レポート概説/総裁発言に反応/ネタメモ」
2006/10/31「短国利回り見てると早期利上げ懸念は後退と見るが」
2006/10/30「CPIで短期金利低下/展望レポートの展望/またも尾身さんメモ」
2006/10/27「展望レポートリーク?それとも観測記事?/尾身財務大臣にワクワク」
2006/10/26「FB市場は1月利上げ警戒モード?」
2006/10/25「携帯電話新価格プランと金融政策」
2006/10/24「主要銀行貸出動向アンケート調査:何か貸出変調じゃね?」
2006/10/23「日銀の情報発信に関する日経太田編集委員のコラム」
2006/10/20「妙な思惑が飛び交い1週間で2年0.1%上昇/政府の経済政策に迷走の悪寒」
2006/10/18「日銀の生活意識アンケート/宿題ネタメモ」
2006/10/13「伊藤隆敏教授のインタビュー」
2006/10/11「財務大臣に不規則発言の香りがします」
2006/10/05「財務大臣記者会見:デフレ脱却宣言間近?」
2006/10/04「急に新聞報道が景気回復利上げモードになったのは何故?」
2006/10/02「期末のロンバート状況」

2007/03/30

○最後は平和な期末越え

毎日この話ばかりですが、来年になって忘れないようにクリップしてるわけですな。すぐ忘れますから(^^)。

昨日は共通担保オペが実施されましたが、この期間が30日スタート4月3日エンドという短いものでして、オファー額が4000億円とややしょぼかったんですが、レートのほうは平均0.682%で足切り0.67%となっておりまして、こりゃまあ末初レート0.7%ちょいとかになりますので冷静な結果ということで宜しいんじゃないかと。

荒れれば悪態、落ち着けば悪態と、要は単に悪態つきたいんじゃねえかというのがドラめもんクオリティですが、こうあっさり落ち着いてしまうと悪態の一つも言ってみたくなります(爆)。いやね、期末ってのはもっと殺伐としてるべきもんなんですよ。ちょっと取り損なったと思った人が慌てて末初をコールの1.5%くらい上を取ってみたり、それに対抗して本当は資金の取りニーズある人が気合で叩いてみたりとか、戦いでレートが上ったり下がったりするのが悲喜こもごもで良いのですよ、うんうん。

しかし今回はロンバートがありますので、担保を確保しておけば「よーしパパロンバート借りちゃうぞー」ということで、末初レートもそんなに上らん訳ですな。そんなわけで、まあ今回動いたと言いましてもせいぜい末初がロンバートから0.75%くらい上った程度(オペレートの末初換算が1.5%位になったのはテラアホスでしたけれども)でしたんで、やはり最後のお助け措置としてのロンバートは効いてますなっちゅうことでしょう。

#この1.5%というのが「ロンバートから0.75%上」と見るのか「ロンバートの倍」と見るのかというのはビミョーなのですけど(^^)

資金需要が高まる時(期末とか)にロンバートが頼りになってしまうというのは、結果として短期市場での資金調達が日銀頼りという流れがいつまでたっても払拭されませんなあということにもなりそうな話ではあります。だからコール誘導レートの変更とは別にしらっとロンバートを動かせるようにして置いた方が良かったんジャマイカと思うのですが、福井総裁様におかれましては余計なことに「ロンバートだけ動かすことは無い」などと抜かしてしまったのが残念無念でございます。

とそこまで書いて物凄く逆のことを申し上げますと(笑)、資金偏在状況の変化によって無担保コール翌日物金利が妙にランコルゲしやすくなっているので、ロンバートをアンカーというかシーリングの目途にしておきたいという考えもございまして、まあ利上げからここまでの間、少々波乱はありましたがコールレートが誘導目標水準近傍で安定しているのはロンバートのシーリングが寄与しているとも思えますんで、まーこのあたりの匙加減って難しいですよね。

来年の決算期末ではどうなっているのでしょうかな。


○ターム物のレートは引き続き低下しやすいようで

スポット渡しは昨日の時点で期末を抜けておりましたんで、CP発行市場的にはだいたい期末は終わってたんですが、昨日は2日スタートのCPがちょっと多目のような気がしました。で、そのレートですけど、上位格付けの発行体で大型連休越えの1か月ものが0.59%あたりの水準ということで、まー落ち着きまくりの展開。てか大型連休越えの事忘れてるだろという感じでもありますな。

CPレートに関しては、今回の期末越えでも長めのターム物金利は大きな影響を受けず(さすがに先週前半は上昇しましたけど)、非常に落ち着いた推移となっておりました。まあ3週間とか1か月と言った期間のものは末初レートの上昇に出来上がりの金利が影響されやすいのは仕方ないにしても、2か月だの3か月だのというあたりはあまり踊らされないという動き。というか最後の方は発行体も「別に4月になってからロールすれば良いから、ここで長い資金をレート出して取ることも無かろう」とばかりに3か月とかの発行が大いに減ってしまったのはテラワロス。

CPの場合は銀行のCPディーラーが特攻しだすとレートが急に上ってみたり下がってみたりしますが、投資家主体だと上げも下げもマイルド(というとカッコイイけど、要は反応が遅いだけ^^)になる傾向が強いです。今回は19日の週にディーラーがどん引きしましたが、投資家の買いは比較的安定してました。まあ先行きの政策金利予想がぶれてないですから投資家的には「末初でプレミアム乗った部分は美味しく頂きました」ってやりやすい訳で、まあこんなもんなんでしょう。逆に言えば政策金利の引上げ観測がある中で期末を迎えた場合にはランコルゲという事もあろうかと。

TB/FBレートについては、何か先週金曜の一大踏み上げ入札以降、現先だの買い切りだののニーズが止まらないようでして、こちらは結局踏み上げモードの新発債のレートに既発債が鞘寄せされるという恐怖の展開なので、イマイチ次回の参考にならんですな。まあ期末恐るべしということで。


○ただまあ4月入ってからちゃんと下がるのかですが

昨日も書きましたが、この点は少々微妙。特に足元の資金がどうのこうのって所では需給動向が全てともいえますので、「皆がもう直ぐ下がると思う」→「ファンディングの足が短くなる」→「リファイナンスのニーズが中々減らん」という循環になりますと案外レートの劇的低下というのは難しいのかなとも思うのであります。まあこのあたりは1週間物のGCレートあたりでも見ていくしかないでしょうな。

足元のTB/FBレートがやたら低く、CPレートも現先に近いところまで低下しているということは、投資家の資金が短期市場に向いている(それが「キャッシュ潰し」としても)ことの表れですんで、まあどうせレート自体はカレンダーベースで4月になったら低下するんでしょって感はあります。来週はTB/FBの入札も復活するので(今週は期末の関係で入札ありませんでした)そのあたり注目でございます。(そういや去年は量的緩和解除にも関わらず当座預金残高は減らないの巻でしたんで、余った金と中長期債から逃げてきた金が入ってきて、驚くべき金利低下をしましたなあ)

昨日は債券市場は「経済指標の前に先回り買い」ってな感じでございましたが、まーそんな感じ(やっぱ買いたいっすなあ)が投資家心理の平均値だと思いますんで、超足元は兎も角、3か月程度のどう見ても政策変更影響なしタームに関しても金利は下がりやすい(ただしGCや現先レートがフロアーなので低下余地は乏しいっすけど)のかなって思うのでした。

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2007/03/29

○国債投資家懇談会

特別参加者会合と比べますと参加者の頭数が少ないこともありまして、こちらの会議要旨は「ほほう」と思いながら読むものの、オモシロネタにしにくいのが惜しいですな(と不謹慎発言^^)。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b190327.htm

で、まあ皆様の意見は『(2)最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて』の辺りに色々とあるんですけど、一つ一つ引用してると物凄く長くなるので割愛。

で、見解としては会議時点(27日の昼間に会議は実施)での長期金利については『ファンダメンタルズの要因もあるが、期末で好需給であることの影響も大きいと思われ、現在の金利低下は行き過ぎと考えている。』(参加者のコメントより)というのがコンセンサスとなっておりますな。

・・・・ということは、逆に言えば金利が上る(まさにここへ来てそうなってますが)場面では「行き過ぎゾーンから修正した」と分析した人から順に買いが着々と入ってくるという理解で宜しいということでございますな(^^)。

んでもって、銀行業態からの出席者のコメントとして「ほうほう」と思ったのはこの部分ですかな。

『一部の不動産業を除いた中小企業の資金需要はほとんど見えておらず、なかなか貸出金利を上げにくい状態が続いている。そういった中で、日本銀行の金利の正常化に関しては、超低金利の是正はよいが、中小企業への配慮をどのように行っていくのかに関心を持っている。収益的に非常に厳しいものがあるので、運用セクターにかかるプレッシャーはきつくなるだろう。そのため、逆に金利はなかなか上がってこないとも思う。』

ということでございますので、誠に残念ながら「政策金利が上昇すると銀行収益の向上に寄与する」という「外国がそうだから日本もそうでしょう」的な連想には少々無理があるということをご認識頂けると宜しいのではないかと存じます。

じゃあ何で外国と日本が違ってくるのかという話になるとこれはまあいろんな要因があるでしょうけどね。

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2007/03/28

○事前に盛り上がりすぎたようですな

昨日は決定会合議事要旨の話だけでスルーしちゃいましたが、期末越えの金利は今週に入って益々落ち着くの巻となっているようですな。昨日は4月4日足の共通担保本店オペが実施されましたが、平均落札金利が0.662%で最低落札金利が0.66%とまあ落ち着いたもんでございますな。末初金利は目の子で(期末までと期初からの金利を幾らに置くのよというのがあるので)まあ0.72%とか0.73%とか、0.75%ちょっと切るくらいという勘定になるかと思います。まあ妥当なレベルではないかと思いますが。

と申しますか、そもそも無担保取引なら兎も角、共通担保使って調達するのに末初レート1%以上とかで取るのがあのそれはちょっと過剰反応って奴でしたんで、事前に大盛り上がりしすぎたのでここへ来て正常化ということでしょうな。


金曜に大踏み上げ入札になってしまったFBですけれども、案の定というか懸念したとおりというか(苦笑)、既発のFBが買われて全体的に気配が低下するの巻となっておりまして、特に4月償還の短い所はキャッシュ潰し(よく考えたらバチアタリな表現ですわな^^)の買い対象となって引け値0.555%とか0.56%とかですけど、どう考えてもそれよりもレート低かろうという感じです。

このあたりのレートが利回りベースじゃ買いたくなくなる水準まで低下する間に中長期の金利がベアスティープするという図は何か暫く前にも見た事があった気がするのですが、別にこれ長いところ売ってる人と超短い所買ってる人が同じなのでは無い(と思う)んですけど、何かオモロイですな。



○2月決定会合議事要旨から(昨日の続き)

昨日はCPIの部分に注目してみましたが、もうちょっと景気に関する審議委員の検討内容を見ておくのも吉かと存じますので、『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』(本文4ページ以降、ファイルでは6ページ以降)のあたりから読んでみます。

・米国経済に関して(本文5ページ)

『米国経済について、委員は、住宅市場の調整が続いているものの、この調整が他のセクターに広範な影響を与えるには至っておらず、雇用者所得の増加やガソリン価格の低下などを背景に、足もと、個人消費は堅調であるとの認識で一致した。』

2月21日の時点では左様でございましたが、ご案内の通りで、審査基準がゆるゆるの住宅担保貸付(またの名をサブプライムローン)問題がどうなのよという話が盛り上がっているのが昨今の情勢。ということで、政策委員会で多くの人が懸念していた、

『多くの委員は、住宅市場の調整の帰趨はなおみえていないほか、食料品・エネルギーを除いたコア・インフレ率は引き続き高めであることなどを踏まえると、先行き、上下両サイドのリスクに引き続き注意を払っていく必要があると付け加えた。』

の下サイドのリスクが発生しているような気がしますが、さて・・・


・個人消費に関して(本文6ページ)

『委員は、底堅く推移しており、先行きについても、雇用者所得の緩やかな増加などを背景に、緩やかな増加基調をたどる可能性が高いとの見方を共有した。』

で、以下は個人消費が堅調ですという見方の人たちの意見が並びますが、先行き懸念してる人(=岩田副総裁)の見方はどうなっているかと言いますと、

『一人の委員は、10〜12月のGDP統計の個人消費を前年比でみると雇用者数の伸びに満たず、また、賃金の動きが鈍いといった弱めの動きがあることにも留意する必要があると述べた。』


・雇用・所得に関して(本文7ページ)

『委員は、労働需給を反映する諸指標が引き締まり傾向を続ける中、雇用者所得は緩やかな増加を続けているとの見方を共有した。先行きも、企業の人手不足感が強まる方向にあり、企業収益も高水準を続けるとみられることから、雇用者所得は緩やかな増加を続ける可能性が高いとの見方で一致した。』

ということで、こちらに関してはさすがに「弱めの指標がでてるけど色々と勘案すると堅調です」というトーンの意見が多く、個人消費の部分ほど威勢良く無いのですが、まあこちらに関しても先行き堅調という意見が大勢なのですが、一人の意見はちと弱め。

『一人の委員は、4 月に初任給、パート賃金などが上昇する可能性はあるものの、ここにきて賃金は予想以上に伸び悩んでおり、これが個人消費や物価の下押しに働く可能性には注意を払う必要があると述べた。』

ということで、この辺りを見ておりますと、引き続き雇用者所得の動向を注目する必要があるという感じになると思います。岩田副総裁(上記の一人の委員が必ずしも岩田さんである保証はございませんが、為念)が今後判断を強気転化していくとすれば、雇用者所得の動向に力強いものが見えてくる場合というのは一つの目安になるという事でしょう。


・資産価格に関して(本文8ページ)

『一人の委員は、都心における企業のオフィス需要は高まっており、不動産市場の活況には注意を払う必要があると述べた。その上で、この委員は、全体としてみれば、これまでのところ、企業は採算を慎重に見極めて不動産投資を行っており、実勢に見合った価格形成が行われているとの見方を示した。』

この資産価格に関する話は「一人の委員」さんが毎度毎度言及しております。今回もまあ一人の委員のコメントだけなんですが、これが複数委員とかになると恐らく会議場でのトーンが変わって来るという事になるんでしょうな。しかし企業の不動産投資云々ですけど、どっちかというと「まあラッキー♪」とばかりに企業は前回のバブルで売り損なった不動産売ってるような気がしますけれども、まあいっか(^^)。

地価が上昇しても、容積率が緩和されたり用途規制が緩和されてオフィスや住宅の供給が増えれば、不動産の利用者でありますところの一般ピープルにとっては無問題というか喜ばしい話でして、地価だけに注目して用途制限を厳しくするとかいうようなお馬鹿な施策は国民厚生上極めて宜しくないというのは前回バブルの教訓だと存じますが、今回はそのような事は無いように願いたいですな。

#しかし高さ規制が厳しい(56メートルでしたっけ)銀座4丁目山野楽器前が平米単価最高というあの算定基準もシロートとしてはよー判らん話です。収益還元法での取引という観点だったら高さ制限が緩い土地の単価の方が高いだろ常識的に考えて・・・・

と、最後は脱線しましたが、まあこのあたりが気になった所でございます。

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2007/03/27

お題「利上げした時の議事要旨」

2月の決定会合議事要旨がでましたのでその辺のお話を。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g070221.pdf

○第2の柱ですか?

『当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』ということでどう検討したのかを読みませう。本文9ページ(ファイルでは11ページ)から。

『大方の委員は、今回の会合までに明らかになった内外の指標や情報をもとに、日本経済の先行きを展望すると、生産・所得・支出の好循環のメカニズムに変調は生じておらず、物価安定のもとで、息の長い成長を続ける蓋然性が高まっているとの認識を示した。』

『さらに、このように、経済・物価情勢の改善が展望できることから、現行の政策金利水準を維持した場合、金融政策面からの刺激効果は次第に強まっていくと考えられ、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資源配分に歪みが生じ、息の長い成長が阻害される可能性がある、との見方を示した。』

声明文(最終ページにもございます)で公表されていたのと同じ話ですな(当たり前といえば当たり前ですけど)。これを見るとどうも「第2の柱」にウェイト置いて利上げしたんじゃネーノって思うんですけど・・・・

『また、このうちのある委員は、経済情勢の改善が展望できるのであれば、資産や設備の中長期的な予想実質収益率も回復すると指摘した上で、長期的な物価安定のもとで息の長い経済発展を実現するためには、予想実質収益率の回復に対応して、実質利子率を調整し、資源および資金の効率的配分を促すことが望ましいとの見解を示した。』

福井総裁でしょうかね、この資源及び資金の効率的配分ってのこの前国会でも言ってましたな。


○消費者物価指数が目先マイナスになるかもという話

消費者物価指数の先行きに関してですが・・・

・執行部報告(本文4ページ、ファイルの6ページ)

『先行きについては、目先、原油価格反落の影響などからゼロ近傍となる可能性があるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』

これは当月の金融経済月報と同じですな。

・審議委員の検討(本文8ページ、ファイルの10ページ)

『委員は、小幅のプラスで推移しており、目先、原油価格反落の影響などからゼロ近傍となる可能性があるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想されるとの見方を共有した。』

というのが一応結論のようですが・・・・

『大方の委員は、このところの原油価格の反落が当面の消費者物価の前年比の下押しに働くとみられ、場合によっては一時的に前年比がゼロ%ないし若干のマイナスとなる可能性があると指摘した。このうちの何人かの委員は、原油価格反落に加え、携帯電話の新料金プラン導入も、下押しに働く可能性があると述べた。』

ということで、大方の委員はマイナスの可能性を指摘してるのですが、最終ページにございますように、当日公表された声明文では

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)は、小幅の前年比プラスとなっており、原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある。』

という風になっておりまして(ちなみに月報も同じ)、マイナスの可能性に関してはここでは触れてないんですな。今月の月報でもマイナスの可能性については書いてなくて、今月の総裁記者会見でしらっとマイナスの可能性についてコメントしております。

ま、確かに利上げしてる側から「コアCPIが目先マイナスになることも」とは言いにくいというのは判るんですが・・・・・


・利上げの議案検討時点では(本文9ページ、ファイルの11ページ)

『これらの委員は、今回、政策金利引き上げが決定された場合には、その判断は、1〜2年先の経済や物価の姿を展望した上での、フォワード・ルッキングな視点に基づくものであること、いいかえれば、目先、消費者物価が弱含みに推移し、場合によってはマイナスとなることは十分念頭に置いた上で、その先を展望したものであることを明確に説明するべきとの見解で一致した。』

と言うことで、「1〜2年先」の経済物価情勢を展望した「フォワード・ルッキング」だそうですので、1〜2年先になってもコアCPIがゼロ近傍だったり瞬間マイナスになったりということにはならないという事でよろしゅうございますでしょうか、おっほっほ。


○岩田副総裁の反対意見

本文10ページ(ファイルで12ページ)より。

『一方、ある委員は、フォワード・ルッキングな視点に立った上で、賃金、個人消費の弱めの動きが払拭されておらず、生産面で、軽度であれ踊り場となる可能性が高いという状況のもとで、物価上昇率の先行きに不透明感が強いことから、無担保コールレート( オーバーナイト物) の誘導目標を、現在の0.25% 前後に維持することが適当であるとの意見を表明した。この委員は、2008 年度を含めた物価の先行きについて、「展望レポート」などで説明した上で、政策金利の引き上げを行っても遅くないのではないか、と述べた。』

前段と最後の展望レポート云々の部分で何かニュアンスが違う気がする(フォワードルッキングで利上げできないなら展望レポートで説明しても利上げできないんじゃないのかなあ)けど、要はCPIの先行き上昇に対する不透明感が払拭されてから利上げをすれば良いじゃないかという話でしょう。


○市場との対話

同じく本文10ページ(ファイル12ページ)以降。

『市場との対話について、多くの委員は、日本銀行が発信すべき情報は、具体的な政策のタイミングではなく、あくまでも経済・物価情勢に関する判断や金融政策運営に関する基本的な考え方であると述べた。』

でも、その「金融政策運営に関する基本的な考え」に具体的な金融政策の方向性がでまくるのは如何なものかと思うのですが。いやあの正常化路線で利上げバイアスってのならそれはそれで堂々主張していただければ宜しいのですけれども。

『その上で、日本銀行が発信した情報を受け止めた市場参加者がこれを自らの経済・物価に関する判断とすり合わせて金利観を形成し、日本銀行は市場で形成された金利から市場の経済・物価観を知る、という双方向のコミュニケーションのプロセスが重要であるとの認識を示した。一人の委員は、簡潔な情報発信に努めることが重要であると述べた。』

最後の人の「簡潔な情報発信」に関しては同意です。双方向のコミュニケーションってのは何かこう円環性の香りがするのでどうもなんだかねって気はするんですが。


○採決前の議事中断タイミング

本文12ページ(ファイル14ページ)を見るとこうなっております。

『議長が金融市場調節方針の変更などについての議案を取りまとめたことを受け、財務省および内閣府の出席者より、議案への対応について両者の間で協議するとともに、必要に応じ、財務大臣および経済財政政策担当大臣と連絡を取るため、会議の一時中断の申し出があった。議長はこれを承諾した(午後1時01 分中断、午後1時26 分再開)。』

ということで、議長提案が出て議事中断したのは午後1時なのですが、よくよく考えてみるとその前の段階で多数意見が利上げになっていたというのは議事要旨にある通りでございますので、少なくとも議事の内容が判っていれば「今回は利上げの提案が出るでしょう」というのは想像がつくような希ガス。さて・・・・・・


○何で内閣府は議事延期請求しなかったの?

採決前に財務省と内閣府の出席者から発言がありました。

『先ほど、政策金利を0.25%から0.50%へ引き上げる旨の議案が議長より提出された。政府としては、従来から申し上げているように、最近の経済・物価情勢に鑑みれば、景気回復を持続的なものとするため、経済を金融面から支えて頂きたいというのが基本的な考え方である。その上で、具体的な金融政策運営については日本銀行に委ねられており、政策変更については政策委員会のご判断にお任せしたいと考えている。』

というのが財務省の発言。経済を金融面から支えるという基本的なラインから今回の決定は逸脱してないという認識だとあたしゃ理解しますけど、そんな認識で良いのでしょうか。

で、内閣府の発言がやたら長いのですが、結論部分と思われる所はこうなってるんですよね。

『ほど、利上げに関する議長提案がなされたが、現在は、デフレから脱却するかどうかの正念場であり、また消費も足もと弱いという極めて重要な局面であることに鑑みれば、責任を持って金融面からしっかり経済を支えていただくことが重要であり、利上げを急ぐ局面ではないものと考える。』

『具体的な金融政策運営は金融政策決定会合において政策委員の過半数をもって決せられるものであるが、こうした点を十分考慮して、慎重にご判断いただきたいと考える。』

そこまで言うなら(否決されるにせよ)議決延期請求をすべきではないかと思うんですが、内閣府は何だか言うだけ言ってやることやらないっていう印象を受けてしまうのは内閣府にキビシイですかねえ。

ということで本日はこの辺で。

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2007/03/26

○ちと古い話ですが特別参加者会合から雑感

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c190316.htm
先々週の金曜(3月16日)に行われた特別参加者会合ですが、「ふーん」と思ったのが2点ほど。

・新窓販スキームに関して

『新窓販については、個人に対する利付債の販売は証券会社等一部の民間金融機関では今でも行われているものの、その機関数は少なく、販売を行っている金融機関でも個人販売向けに用意している国債はそれほど多くない。また、その上募集期間も短く、個人が(個人向け国債以外の)国債を購入しようとしてもなかなか購入しにくいという声が聞かれたことから検討を行っている。』

個人向け国債が始まってから窓販ってそんな扱いになっているとはあたくし存じませんでした。まあ大昔の国債窓販に関しては2年新発国債の販売が主に行われて、(その後2年の金利がまるで付かなくなったので量的緩和以降は知らんが)他には10年新発の募集販売と言った所でございましたが、最近はそんなに購入しにくくなっているんですかそうですか。はね返り玉の買取とかもあるので別にまるっきり在庫ないという事もないとは思うのですが、大体想像できることとして、個人向け国債の販売やってる分には在庫リスクないですし、手数料も入ってきてウハウハなんで、在庫リスクあるわ、利鞘も取りにくい(量的緩和時代よりはマシでしょうが)既存の国債窓販スキームをやるのがアホラシカとなってるんジャマイカと思うのですが。

まー個人消化強化が重点施策だからやりやすいスキームを作るということなのかも知れませんが、スキームを一読すると何かこう既存の窓販と比較して購入者&販売会社に寄ったスキームに見えますけど。。。。


・流通市場の活性化について

というお題での論議が最後の方にありまして、これがまた見事に非居住者というか外国人投資家様の方をむいた話ばかりが連続していて実にこうアレでございます。誠に血圧の上がることよと思って読み進めていたら最後の方で「おお!」という意見を発見。曰く、

『(前半略)セカンダリーでの外国人投資家のフローは確かに増えているものの、最終投資家としては圧倒的に国内投資家が多いという状況にある。したがって、もう少し絶対金利水準が上がってきてグローバルに日本国債が保有されるという環境が生まれた場合には、最終投資家としての外国人投資家を意識したリオープン発行を真剣に検討しても良いと思うが、現時点では、国内投資家が扱いやすいことをポイントにしたほうが良いのではないか。』

いやあ全く仰せの通りかと存じます。だいたいからして外国人投資家云々と言いますけど、この前日銀から出ておりました日銀レビューシリーズ『円金利市場における海外投資家の動向について』(まだご紹介してませんでしたが、汗)(http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev07j02.htm)に参加してきてる投資家様の動向がレポートされております。

めんどいのでサマリーの部分から引用しますと斯くの如し。

『特に海外投資家は、わが国の景気・物価に対する強気な見方などを背景に、(1)イールドカーブの短中期ゾーンのショート・長期ゾーンのロング、(2)物価連動債ロング・名目国債ショート、(3)ボラティリティ・ロングなどのポジションを積み上げて、相場に強い影響を与えた。一方、市場価格の歪みを主な収益源として、アセット・スワップ等の裁定ポジションの組成を積極的に行っている海外投資家もいるほか、相場のトレンドに乗じるかたちで取引を行っている海外投資家もいる。近年の日米間における長期金利の高い連動性は、こうした海外投資家の取引動向と関連している可能性がある。』

どう見てもただのアービトラージです。本当にありがとうございました。

・・・・ということで、海外の年金資金とかが長期安定的に投資するというような話だったら兎も角、別に鞘取りで入ってくる人に特段の「ご配慮」をしてやるこたあねえ(排除する必要は全くございませんが^^)と思うんですけどね。

じゃあ何で「海外投資家が使い易い云々」っていう人がいるかと言えば、海外投資家様がディーリングタッチでドタバタ動いてくれれば業者としては商売のネタが増えてオイチイですから、そりゃまあよりドタバタやれるようになってくれと言いたくなります。ポジショントークの類ですわなこりゃ。

業者間の引け値(とは要するに日本相互証券の引け値だと思いますが)が恣意的(恣意的になるのは日本相互証券のせいでは大体ございませんので念の為)でどうのこうのという話もございまして、まあ確かにあまり無茶な引け値は勘弁して欲しいのですが、長い目で見れば結局フェアな所に収斂されるもんですからケンチャナヨと思うんですけどね。それよりどこぞの債券インデックスで出してる一般債(自粛)

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2007/03/23

○足元の金利上昇一服

0.7%とかまで上昇したGC取引でしたが、さすがに昨日は何ぼなんでもそれはねえだろという事で資金が出てきて結局GCも0.6%台に低下したようですな。ついでにCPのレートもさすがに上昇一服したような感じで。そりゃまあ末初が上昇するのは仕方ないけどそれ以外の金利まで上るこたあねえよなって感じです。CP金利なども(もともとショートターム以外あまり反応してませんでしたが)上昇一服の感じ。まあ末までにもう一回やらかすかもしれませんが・・・・

そんな訳で、今期最後の3か月FB入札が行われるのですが、別にどうということも無い入札になっちゃうんじゃないかという予感が致しますけど。2年に関しては・・・・・知らんけど受渡が4月だから末初のファンディングも関係ないしモウマンタイなのではないでせうか。

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2007/03/22

○引き続きフライング報道ネタ(メモ程度で)

衆議院に引き続きまして、20日火曜日は参議院財政金融委員会でNHK等のフライング報道に関して山口理事、浜野内閣府審議官、勝財務省総括審議官などへの質疑が行われました。で、内容に関してはやはり会議録が出てから改めて読んで見ますが、当然ながら情報漏れなどもなく、そもそも福井総裁の利上げ提案はNHK報道の後だという話になっております(火曜の総裁記者会見でも本件がネタになってたようですが)。

となりますと、NHKのフライング報道は「見込みで飛ばし報道をした」ということになるというちょっと常識的に考えてそりゃねえだろうとなるのですが、どうもこう釈然としませんわなあという感じではございます。

しかし追及してる大久保委員(民主党)様におかれましては、「ブラックアウトルールの徹底」という話をしておられますが、それであれば、ブラックアウト期間に日銀総裁などを国会に呼び出して答弁させるのもお止めにならないといかんと思う訳でして、ブラックアウトルールがどうのこうのって突っ込みをし過ぎると自分達にもブーメランになりますなあと民主党らしい芸風に感心するのでありました(苦笑)。

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2007/03/20

○期末越え金利が益々上昇

先週後半から突如上昇の勢いになった期末越えの金利ですが、昨日も金利上昇圧力は収まらずの巻でして、無担保コールの末初取引で金曜に1%とか言ってたのがどうも1.5%とかの水準まで切りあがっているとのこと。背景にはまあ色々と言われておりますが、基本的には今回はバーゼルU対応に関する諸々の問題で期末越え資金の出が悪くなる可能性があるので、念の為足元の資金を確保する必要があるでしょうって事になっておりますです、はい。

まあそれで無担保の資金が上昇するのは判る(ロンバートの倍まで上る理由は理解に苦しむが)のですが、何もそれにオペ金利が追随せんでも良い(担保があればロンバートを使えば良いじゃないかと)と思う次第でして、昨日の共通担保本店オペの金利は3月22日〜4月13日で平均が何と0.688%になってます。この金利なんですが、末初以外の金利を期末まで0.65%、期末越え後0.60%と置く(前半はともかく、期末越えて0.6%というのは設定として高いんですけどね)としても末初金利は1.1%とかいう計算になってしまいます。ロンバートの遥か向こうでございますが・・・・・

この金利上昇、雰囲気に煽られて上昇してるのか、誰かが煽ってるのか知りませんが、バーゼルU絡みでどうのこうのって話は別に昨日今日出てきたような種類の話じゃない訳でして、直前までまるで気にしてないレート形成だったものが直近になって突如上昇というのは(以下連日の悪態と同文^^)。正直申し上げて何でここまでやるのかよという感じで、どうせならこの上昇は実は期末資金を予め確保してる人が運用レート引き上げの為に不安心理を煽ったんですよって結果の方がまだあたくし的には納得(何の納得だ)行く位のお話ですよ。単に「急に資金が止まったので」というのが原因だとするとあまりと言えばあまりな展開で、まさに香ばしいとしか・・・・

#まあこんなになる前に着々とCPなどを発行して資金調達をしている手回しの良い人たちもいるんですけどね。

とまあそんな状態ですので、CPのレートも絶賛上昇しているようでして、昨日は期末越えのCP発行レートが上位格付けの中でも格上扱いされるような銘柄でもほぼ共通担保オペ金利水準となっている(まあオペ金利がそれですから仕方ない面はございますが)ようでして、こりゃ何たる金利上昇って感じではございます。ナムナム。


いやあのですな、言われているように「制度改革が絡むので期末越えの流動性を確保しておこう」というのがここもとの金利上昇の要因なのであれば(と書くのは、本当の所は実際に取りあがっている人に聞かないと判らんというのがありますんでね)、不確定要因が外れる頃、即ち遅くても期末を抜けた後、普通に考えれば期末当日とか前日とかで資金の流れなどが読めてきた所になれば、いざと言う時に確保しておいた資金も出てきまして、通常ベースに戻るのは割と早いと思うんですけどねえ。今月末までと期末越えの末初取引は仕方ないと思うんですけど、その先まで高いというのはちょっとねえ。

#ただまあそう言ってる人が極めて多い時に世の中そう行ったためしは無いということには注意する必要がございます(笑)

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2007/03/16

○フライング報道に関して国会で質疑応答

昨日(15日)午後の衆議院財務金融委員会で民主党の平野達夫委員がNHKのフライング報道に関して福井総裁と尾身財務大臣に質問をしておりました。まあ後日会議録を精読したく存じますが、昨日のブルームバーグニュース記事をソースに内容をチェックするということで、元記事はブルームバーグニュースの15日17時52分配信記事です。

『決定会合の開催中であり、私どもも大変驚いたし、大変遺憾なことだと思っている。報道は憶測に基づくものだと思っている。日銀では、決定会合の開始の時から記者クラブで決定内容を公表するまでの間は、日銀の出席者は原則として外部と接触しないという厳しいルールを設けている。同時に、政府から出席いただいている方々に対しても、このルールの趣旨を十分お伝えして、厳格な情報管理をお願いしている。私は議長席から見ていて、このことは厳格に守られていると常々確認している。したがって、あのような報道がなぜ起こるのか、なかなか不可思議なところがあって、恐らく憶測に基づくものではないかと思っている』

という風に福井総裁は説明したわけですが、それに対して平野委員は当然のようにゴリゴリ突っ込んでくるのです。元ネタがブルームバーグの記事ですので敬意を表して長くは引用しませんが、質問の中でこんなくだりがあったのは誠に仰るとおりでございます。

『憶測と総裁はおっしゃったが、本当に憶測なのか。それも確かめるべきだ。NHKに対しては、あのような報道を行うことは全く異常なことだと抗議しなければならないのではないか。』(これは質問の一部)

『まず事実関係をしっかり把握することだ。それに、もうひとつはNHKが報道したということだ。これは大変な問題だと思う。国内だけでなく世界的にも大きな問題だ。そういうことに対して、NHKに対して何らかの接触もないというのも問題だ』(これは質疑の締めくくり部分で再度なされた質問です)

ということで、福井総裁はこれらのツッコミに対しては上記の引用文にありますように「今回情報漏洩は起きていない」が「情報管理については改めて徹底した」という趣旨での応答になっておりますが、質疑応答の流れを記事から見た限りではNHKに抗議するという方向にはならないようですな、ナンデデショーカネー。


尾身財務大臣へのツッコミも行われたと申し上げましたが、ツッコミの内容はこういうものでございました。

『どうも財務省の担当者が日銀の決定会合の最中に、携帯電話でやり取りしていたという話が伝わってくる。福井総裁によると、今のルールの中では、携帯電話を持ってきて外部と連絡することは禁止されているということだが、尾身財務相はそれを把握しているのか』

これに対しては、やや話が噛み合わない質疑応答が入りながらも尾身大臣は否定しております、当たり前ですわな(そんなあからさまな漏洩ルートは有り得ないだろ常識的に考えて・・・・)。

記事にございましたのは主な質疑でして、詳しくは会議録の公開を待ちたいと思います(たぶん2週間くらい掛かると思いますが)。いずれにせよ、次の金融政策変更(利上げだと思うが利下げだったりして^^)時に同じ事が起きないようにお願いしたいものです。

○期末に向けて突如盛り上がって参りました

昨日は積み最終日で、資金供給した分をいつまで経っても引かなかった事から無担保コール翌日物の最低金利は久々に0.001%とかいう涙目レートになっておりました。午後にビットを泣きながら叩く人がいたんでしょうなあ、合掌。

超足元はそんな感じでしたが、20日スタートのGCレートが朝方の0.5%台前半から午後いきなり上昇して、0.6%台まで持ち上がったようでこりゃまたビックリ。まあ期末体制になって資金の出し手が出し渋りモードに入ったとか、昨日ご紹介したオペ金利上昇が雰囲気を悪くしたとか色々あるようですが、つい一昨日くらいまで全然期末警戒してねえのかよという価格形成だったのが一転して盛り上がるという訳の判らん展開になっております。

そんなことで、20日以降(19日の所もやや怪しいのですが)のファンディングコストが上昇しそうということになりまして、昨日の2か月物FBの入札がだだ流れとなってしまい、平均落札は0.584%とかでしたが、最低落札は0.597%くらいまで上昇しましたが、そもそもGCが0.6%台に乗ってしまうと持ってるだけで逆鞘の巻ですから中々困ったちゃんではございます。うーむ、昨日のオペ金利上昇の時点で「2か月のFB入札は大丈夫か」とか書かないのは我ながら情けないというか面目ない。

まーそんなこんなでございまして、20日以降のレポ・現先金利が高止まりするという話になりますと、ショートタームのレートはやや上昇しやすくなるんでしょう。それが4月になったところであっさり解消となると見れば3週間とか1か月程度の金利にしか影響はしてこないでしょうし、長引くと見ると話は別かもしれません。まあこれは期末特有の話だとは思いますけどね。

・・・・しかしまあついこの前までまるで期末越え無警戒みたいな金利形成をやってたと思ったらいきなり20日渡しからGCレートがドカンと上昇とかいうのも、まあ参加者が慣れてない面があるのかなあとか思っちゃいます。それこそジジイの昔話になって恐縮なのですが、こーゆーのって徐々に期末警戒で期末越えにプレミアムがついてみたり、そのプレミアムが付きすぎとなると今度はそこを取りに行く動きが出てプレミアム剥がれるとか、もうちょっと相場らしい動きが有るもんだったんですけど、相場というよりはデジタルな動きはどうもねえって感じであります。

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2007/03/09

○これは酷い

えーっと、基本的にあたくしの駄文ではどっかのレポートとかをネタにするのは自粛してるのですが、あまりにもアレなレポートを査収してしまったので、ちょっとだけネタに。

えーっと、先日査収したどこぞの外資系証券会社様のレポート(の一部)ですが、『日銀の稚拙な金融市場調節が「世界同時株安」の一因となった』という小見出しで、先月末に外銀がコールを取りあがっても資金供給オペを実施せずに、海外勢が円キャリー取引の巻き戻しを余儀なくされた!日銀のヘボな金融調節が世界同時株安の一因だ!という趣旨でございました。

えーっと、オーバーナイトの金利なんぞ上ったり下がったりするもん(現に1月は利上げ確実観測が広がった時に決定会合後スタートのGCが0.55%越えてみたり、2月は利上げ確率半々ってことで積み期間が変ったらコールが0.375%に上昇しました)ですが、翌日物のファンディングコストが2日や3日くらい誘導目標から20bp上に降れた(←「振れた」の誤字です:追記)如きで巻き戻さないといけないキャリー取引とはこれまた随分とバッファの無い投資行動でございますが、為替リスク取ってそんなバッファの無い取引しないと思うんですが常識的に考えて・・・・・(ついでに言えば、ある程度予想されてた利上げでいきなりガンガン資金を上まで取らないといけない状況ってどういうリスク管理してるんだよと言いたい)

それにタームだってビット立てりゃ出す人いるでしょうし、日銀のオペもありますし(担保が無かったらオペはダメですが)、色々と選択肢はあると思う訳でして、どっちかというと市場では「あそこは一体全体何を考えて朝からあんなに派手派手に上を取ってるんだ」という話になっていたと思うのですけどね。

まあアレだ、金融調節は資金需給を均す目的と、コールレートの誘導の目的で実施してるわけで、どっかの誰かさんの稚拙なファンディングのケツを拭く為に実施してるわけじゃない(あまりにも稚拙すぎて金融市場が壊れたら出動かもしれんが)のですけどねえ。

#久々に香ばしさ爆発だったのでついネタにしてしまったよ

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2007/03/08

○新しい審議委員がお二人

福間審議委員と春審議委員の後任に三菱商事副社長の亀崎英敏氏、商船三井フェリー社長の中村清次氏が内定したとの報道がございました。

・・・・で、どのようなお方かとか全く存じませんので何とも申し上げようがないのですが、本石町日記さんのエントリー(http://hongokucho.exblog.jp/6574831)にありますように、『給料は下がるうえに、小難しい業務が多く、フルタイムで拘束され、自由にしゃべるのは難しい。それに資産公開もしないといけないし。』というお仕事ですが(ちなみに通常の政策委員会は週に2回やってまして、金融政策以外の通常業務に関しても総覧しないといけないわけですな)ご活躍を期待致します。

ただ、中原伸之さんが著書で指摘したように、「産業界出身者の後任が産業界出身者」というような形が固定化しちゃうのもまた問題が全く無いとも言えない気もします(じゃあどうするのかと突っ込まれると前向きな対案は無いのですけど、汗)が・・・・・

まあ正直よく存じ上げませんので、今後の就任会見などに期待したく存じます。基本的にはあまり政策委員会の流れが大きく変るとは思えませんけれど。

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2007/02/28

○議決延期請求をしないロジックが全く判りません(内閣府)

昨日話をしてた大田担当大臣の記者会見キタコレ。
http://www.cao.go.jp/kaiken/0609ota/2007/0221kaiken.html

で、まあ当たり前のように「何で議決延期請求をしないのか」というツッコミが延々と繰り広げられておりますが、大田大臣のロジックが全くわかりません。これじゃあどう見てもアリバイ反対です。本当にありがとうございました。

質疑応答の2番目の質問から延々と続くのですが、最初の時点で何じゃこりゃですよ先生。

『(問)今回、こちらの内閣府の出席者が、利上げを急ぐ局面ではないと考えていると指摘する一方で議決延期請求は行っていないわけですが、ここはどういう理由でされなかったのか、お伺いできますか。』

『(答)内閣府の出席者からは、今申し上げたような意見を強く申し上げました。その上で日本銀行が判断されたということです。 議決延期請求を行わなかったのは政府の決定であり、日本銀行の判断を尊重しているということですね。政府としての決定プロセスについては、詳しくコメントすることは控えたいと思います。政府としては、現在の景気に対する認識については、明確に意見を申し上げたということです。』

この説明だとさっぱり判らんですなということで、1つ質問を置いた後にまたまた質疑応答がこのネタで続くのでした。

『(問)議決延期請求の関係ですが、先ほどのお話では、内閣府としては利上げを急ぐ局面ではないと。議決延期請求を行使すべきである、あるいはすることもあり得べしという判断だったけれども、政府として調整をした結果、議決延期請求は行うべきではないという判断だと理解してよろしいですか。』

『(答)違います。内閣府としては、現在の景気についてはお配りしたような出席者の発言にあるような認識を持っております。ただ、そのことと議決延期請求をするかどうかという判断はまた別のものだと考えております。』

益々訳判らん。そしてひたすら苦しい質疑応答が続く。

『(問)そうすると、この場合でも内閣府としては、議決延期請求権ではなくて、意見表明に止めるというやり方が……。』

『(答)意見表明は明確にいたしました。その上で議決延期請求をするかどうかは、政府の判断としていたしました。』

『(問)どうして政府の判断として議決延期請求をしないということにしたのでしょうか。』

『(答)日本銀行が責任を持って金融政策運営の判断をされたということですね。その日銀の判断を尊重するということです。』

そして別の質疑を受けたあとに、またまた本件が蒸し返されるのでした。

『(問)蒸し返すようで恐縮ですけれども、どうして議決延期請求を行使しなかったのですか。日銀の判断を尊重するというのはわかるのですけれども、それは結果ですからね。結果をもって結果の説明をされても困るので、どうして行使しなかったのかですね。恐らく程度問題だと思うのですけれども、議決延期請求権と意見表明との間というのは。その程度の違いがそこまでは及んでいなかったという理解でいいのでしょうか。』

『(答)意見は表明いたしましたが、金融政策運営は、9名の日銀の審議委員がご判断なされることです。その御判断を尊重するということですね。』

これでは埒があかないと思ったのかこれ以降は本件の質問はございませんでした。しかしこの「意見は強く表明したが、判断を尊重して議決延期請求をしない」というのは全く訳判らん。ただのアリバイ工作としか思えんし、岩田副総裁見殺しでキングカワイソスと言ったところでございますけど。


ちなみに、7月の利上げの時には財務省出席者から『ゼロ金利の解除については、必ずしも急ぐ必要はないものと考えている』という意見が表明されましたが、このときはどういう話になっていたかというのは7月会合の議事要旨にこのように記載されています。

『しかし、仮にゼロ金利が解除される場合には、実体経済との関係では、景気回復を持続的なものとするため、ゼロ金利解除後も、引き続き十分に緩和的な金融環境を維持することにより、経済をしっかりと支えることが重要と考えている。また、市場の安定の確保も重要である。具体的には、市場は憶測で動いて不安定になることもあるので、金融政策の先行きの考え方や道筋について、丁寧に説明して頂く必要があり、特に、今後の利上げが連続的なものとなるわけではないというメッセージをきちんと発信して頂きたいと考えている。加えて、長期金利を含めた金利全般に目配りして頂き、長期国債の買入れ額については、現状を維持することが必要であると考えている。』

ということで、具体的にこれらの条件を満たしていることから財務省としては日本銀行の判断を尊重するという事で、これは話の筋が通っておりますわな。今回の内閣府出席者の表明した意見が記者会見でペーパーとして配布されてるようなのですが、ちょっと見つからなかったので、まあ来月の議事要旨公表で読んで見ますかといった所です。

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2007/02/27

○昨日の補足ですが

中川幹事長のWebで内閣府からの意見表明があったという話が出てたのをネタにしましたが、金融政策の変更があった場合などのように政府としても説明責任を果たすべく、対外説明をする旨決定会合の席上で説明するんですな。具体的には例によって昨年7月14日の議事要旨ですけど。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060714.pdf

こちらの14ページ(ファイルでは15ページ目)にある採決結果の後に政府の出席者から『なお、政府からの出席者は、本日の政府の対応については、本日中に公表する予定であると付け加えた。』とございますな。このときの政府出席者からの見解についても改めて読んで見ると味わいがございますな。

で、財務省の対応については当日に田中和徳財務副大臣が会見をして「これは確かに仰せの通り」と思った(財務省のサイトに会見要旨があります)のですが、内閣府の大田担当大臣の会見要旨は何故かまだ出ておりません(財務省や日銀を標準だと思ってるあたくしとしては内閣府(金融庁もそうだな)ってこの手の情報公開が遅いって思うんですが)ので、まあどういうロジックで議決延期請求を提出しなかったのかを楽しみに待ちたいと思います。ちなみに大田大臣の会見要旨一覧はこちらです。
http://www.cao.go.jp/kaiken/0609ota/ota_kaiken.html

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2007/02/26

○議決延期請求をしなかったのは何でなんざんしょ?

中川秀直自民党幹事長のサイトの22日付けの記事ですが。
http://www.nakagawahidenao.jp/pc/modules/wordpress0/index.php?p=458

ま、結果責任がどうのこうのという話に関しては会見でも言及してまして、まあ左様でございますなと思います。とは申しましても、個人消費が弱いとか言ってるのに定率減税を廃止するような政府の施策もある訳でして、個人消費が弱いから利上げすんなというのはその通りにしても、それなら定率減税廃止(および社会保険等の負担増)と法人の実質減税をセットにする政府の経済政策は華麗にスルーというのは如何なものかと思いますけれども。

で、その話ではなくて、気になったのは『―中川の眼―』の冒頭部分でございます。

『昨日の政策決定会合で政府の代表者は「デフレから脱却するかどうかの正念場で利上げを急ぐ局面ではない」といったにもかかわらず、利上げをした理由について、日銀はよく国民に説明してほしい。それこそが政府・日銀の認識の共有化をさらに深めることになる。』

で、疑問なのですが、「利上げを急ぐ局面ではない」という認識なのなら何で議決延期請求をしなかったんでしょうか。あたくしには全く理解致しかねるのですが・・・・・・

上記の言い回しも微妙でして、一読すると「決定会合での席上で政府出席者が利上げを急ぐ局面ではない」と言及し、政府の反対を突っぱねて利上げたように読めちゃいますが、よくよく読みますと「代表者」が言ったのは必ずしも席上では無いのかも知れません(というかそもそも決定会合の席上での発言要旨に関しては議事要旨公開まで非公開なんですが)し、まあそれならそもそも論として議決延期請求を出すはずでしょって感じですが。

(翌日に追記の補足をしています)

以下総裁記者会見の続きです。

○市場との対話ねえ・・・・

市場との対話に関する質問に対する総裁のお答え(3ページ)より。

『(前半割愛)こうした枠組み(注:合議制での決定)において、具体的な政策のタイミングを予め示唆することはあり得ないし、そうしたことをすると、市場の持つ経済・物価観を読み取ることができなくなってしまいます。つまり、私どもとして、双方向のコミュニケーションをしようとした場合、私どもからみて市場はもはや鏡ではなくなってしまうわけです。市場との対話を双方向の有意義なものとするためにも、是非こうした仕組みであることの理解が一層浸透して欲しいと思います。』

ほほうなるほど。確かに政策の「タイミング」につきましては決め打ち発言はしていないかも知れませんが、どう見ても過去の実績においては「地均し」のような発言などあったと存じますが、そのあたりはまあ相変わらず都合よく話しますなあという感じです。

『私の個人的な感想をあえて一言付け加えさせて頂くと、本日の決定に至るまでの直前の状況まで市場は、憶測に振り回されることなく、懸命に織り込むべきところは織り込んでこられたと感じています。』

織り込みようが無かったので(0.25%+0.5%)÷2とかやっていたんですけど。そもそも政策決定のロジック構成が明快なら憶測もへったくれもございませんですけどねえ。

『政策措置の決定以降、まだ時間的経過が非常に短いのでよくわかりませんが、市場の不規則なリアクションは今のところまだ出ていないということからも、そのことが窺えると思います。』

債券先物の21日の日中足でもご覧になられたほうが吉かと。


16ページ目の最後の方でまた質問がありまして、それに対する総裁の答があるのですが、質問が中々ふるっているの質問から引用します(^^)。

『(問) 市場との対話についてお伺いします。総裁は先程、「経済指標を受けて市場が金利形成をしていくことが日本銀行にとって鏡となる」というお話をされましたが、今回の金利形成をみていますと、今回やるかやらないか五分五分という程度であったと思います。出てきた経済指標が決め手を欠くものであったからだと思いますが、実際にフタを開けてみると、金融政策決定会合の多数決は8対1と圧倒的な多数で利上げに賛成されました。このところ、日本銀行と市場との間で、経済・物価情勢に対する見方にズレが生じてきているのではないかという印象を受けますが、総裁のご意見を教えて下さい。』

『(答) 私も市場のすべてを知り尽くしているわけではありませんので、正確性を欠くことを惧れますが、重ねて申し上げると、それぞれの市場参加者が持っておられる経済・物価情勢の判断と私どもがお示しする判断との擦り合わせの中で、願わくば市場金利の形成を進めてもらいたいと思います。(この段落部分以下割愛)』

『(前の部分割愛)しかし、経済指標が強弱入り乱れる中で市場参加者の判断が全く欠けていたかというと、やはりそれぞれお持ちであったのではないでしょうか。その証拠に、私どもが本日結論を出した後、市場が非常にサプライズしたかというと、おそらくそうはなっていないのではないかというところにも、もしかしたら現れているという気がします。先程も申し上げました通り、措置を発表してからまだ時間の経過が短いものですから、そこまで私が踏み込んで良いかどうかわかりませんが、とりあえずそのような感じを持っています。』

いやあのそうじゃなくて全く読みようが無かったから短い所の金利は織り込みが半々だったんですし、長いところの金利はどっちかというと「利上げしたらその次上げられないからプギャー」って感じになってたと思うのですけど。


ということで、どうも「市場との対話」に関しては我田引水の香りが物凄い勢いで漂って来るのが福井総裁クオリティ。相変わらずでございますなあという感じです。

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2007/02/23

お題「総裁記者会見その他」

○会見の前にNHKリーク関連の訂正&補足

NHKが議長提案のリーク報道をしたという話を昨日しましたが、ちと勘違いしている事がありましたので訂正&補足をば。

昨日は決定会合の公表文に書いてある政府出席者の出席時間(の空白時間)を議事中断時間ではないかと申し上げましたが、よくよく考えたらこの時間帯は採決のお時間でした(採決の時には政府出席者が退席する)。政策委員の出席時間がシームレスになっていて、政府出席者の出席時間に中断時間があるのはそのせいでした。誤解してたので訂正致します。

んじゃあいつ議事が中断してたかと言いますと、これは決定会合議事要旨が出れば正確に判るのですが、7月の実績から勘案すると採決の30分程度前と勝手に類推しておきましょう。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060714.pdf
の本文10ページ(PDFファイルでは11ページ目)の最後のあたりから記述がございます。

『議長が金融市場調節方針の変更についての議案を取りまとめたことを受け、財務省および内閣府の出席者より、議案への対応について政府部内の意見を調整し、また、必要に応じて財務大臣および経済財政政策担当大臣と連絡を取るため、会議の一時中断の申し出があった。議長はこれを承諾した(午後0時39 分中断、午後1時00分再開)。』

ちなみに、決定会合の結果公表文書では
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k060714.pdf
の2ページ目にありますように政府出席者の出席時間は『9:00〜13:06、13:14〜13:30』となっております。


まあいずれにせよ、量的緩和解除、ゼロ金利解除、追加利上げと3回連続でNHKがリーク報道してるわけでして、どこのおしゃべりが漏らしてるのか存じませんが、いい加減にして頂きたいものです。漏らす方も漏らす方だし、報道する方も報道する方だと。特に今回に関しては前2回と違って「やるかやらんか判らん」状態だったんで尚の事血圧上昇ですよ。

どうも記者会見で突っ込む人はいなかったように見えますが、是非次回の定例記者会見で突っ込んで頂きたいものです。



という訳でやたら長い総裁記者会見に参ります。

会見要旨はPDFで23ページの大量物件でして、全部読んだのですが、紹介箇所大杉ですがな(悩)。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0702c.pdf


○一応第1の柱で政策変更したことになっております

昨日ご紹介したように、公表文を読みますとどうもこう第2の柱の説明の方が利上げの理屈として話が通っているように見えるのですけれども、さすがに会見を読みますと第1の柱で政策変更したことになっております、そりゃまあ当然ですわな。4ページ目の質問で「1月と2月にどういう変化があったんですか」という趣旨のツッコミに対して。

『1月と2月の間に出てきた新しいデータだけで判断したのではありません。決定会合の都度、その時点で入手可能なすべてのデータ、情報をもとに判断を積み重ねていくと申し上げています。(中間割愛)これまでの丹念な分析、検討の積み重ねの結果としての本日の判断ということであり、1月と2月の間の新しいデータだけで大きく判断が左右される度合いは相対的に小さいと思います。』

『ただそうは言っても、新しいデータについて申し上げると、海外経済の面では、米国経済がソフト・ランディングに向かう可能性が幾ばくか高まったことは、おそらく世界共通の認識だろうと思います。(以下内訳部分割愛)』

『国内については、2006 年第4四半期の主な指標が出揃いました。(これまた内訳部分割愛)なお、物価面について申し上げると、消費者物価、特に生鮮食品を除く消費者物価は、原油価格の動向などによっては目先前年比ゼロ近傍で推移する可能性がありますが、より長い目で消費者物価の動きをみると、設備や労働といった資源の稼動状況は高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくと判断しました。あくまでも、こうした判断は、それ以前のデータとつなぎ合わせて先行きの経済を描き直してみる、そういう判断のプロセスを経て本日の結論に至っているということです。』

ということで、冒頭の説明でもそうでしたが(そこまで引用すると長くなりすぎなので割愛します)、会見のテキストを読みますと第1の柱にもとづいて利上げをしましたという風になっておりますわな。


○でもホンネはどうなんでしょ?

素晴らしいツッコミが12ページ目にございます。

『(問) 今の質問とも多少関係しますが、2つの柱についての質問です。ゼロ金利を解除した7月の場合は、2つの柱のうち、主に第1の柱にもとづいて行われたものと理解しています。(長いので途中割愛)今回の2度目の利上げについて、今回は第1の柱なのか、あるいは第2の柱なのか、どちらにもとづいてなされたのかというのが質問です。(また割愛)今回については第1の柱なのか、第2の柱なのか、明確にお答えするのは難しいかもしれませんが、仮に第2の柱だとすると、今後の金融政策についても市場の関係者は「次からはこういう考え方をするのか」という参考になると思います。』

『(答) 今の質問には、ややフェアでない部分があると思いますが、先程のお尋ねは市場の歪み、ないしは円キャリー・トレードに関連した質問でしたから、第2の柱の範囲内で答えたまでで、第2の柱に絞って今回判断したということを申し上げたわけではありません。今回の政策変更は、あくまで2つの柱による点検を踏まえたものです。(以下割愛)』

『(問) 確認ですが、2つの柱の両方とも踏まえたということでよろしいでしょうか。』

『(答) その通りです。本日の公表文「金融市場調節方針の変更について」において、基本的に第1の柱、つまり「先行きを展望すると、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、緩やかな拡大を続ける蓋然性が高い」と述べています。そしてまた、「仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資金配分に歪みが生じ、息の長い成長が阻害される可能性がある」と、この2つのことを述べています。そして日銀としては「2つの『柱』による点検を踏まえた上で」と明記しておりますので、この公表文でも明確にさせて頂いたつもりであります。』

ということで、まあ一応原則論に話を引き戻しておりますが、やっぱ「第2の柱」ですかそうですかと申し上げたくなるのはあたくしの意地が悪いからですよきっと。


○正常化路線というのを物凄い勢いで否定

いやあのあたくし思うに中立金利水準への正常化路線(かつてのFRB方式)でメジャードペースの利上げって方がこの際すっきりすると思うんですけどねえ(ただしその理屈だと何でこのタイミングで正常化開始するのと言われるから出せないというのも判らんではないのですけど)・・・・

6ページ目の最後からしつこく正常化について質問するあたくしのような人がいます。

『(問) 昨年の量的緩和政策の解除の際には、消費者物価(除く生鮮食品)でプラスが維持されるといったわかりやすい目途があったのですが、今回はそのようなわかりやすい指標がありません。本日の利上げは、いわゆる金利の正常化を優先したための判断と考えてよろしいのでしょうか。』

『(答) おっしゃった金利の正常化が一体何を意図されておられるのかわかりませんので、直接的にはお答えしにくいのですが、(途中の大部分を割愛しちゃいます)。やはり、フォワード・ルッキングに先々の経済の展望は何かということを明確につかみながら、より望ましい金利水準を遅からず早からず設定していくという、量的緩和政策を続けている時よりも、はるかにダイナミックな判断が必要な状況になったということではないかと思います。』

『(問) 望ましい金利水準の設定というのは、正常化を模索するプロセスと考えてよろしいですか。』

『(答) 正常化という言葉で何を言っておられるかよくわかりません。』

『(問) 中立金利と想定される水準まで引き上げる過程とした場合です。』

『(答) 経済は日々変わっておりますので、何か固定的に計算式をもって事前に中立的な水準を想定し、それを目指して一定のスケジュール感をもって金利を引き上げるというようなお尋ねであれば、そういうことはないということです。』

何かここのやり取りを見てますと、正常化路線ってロジックは日銀総裁が福井さんのうちは出てこないように見えますな。


えーっと、他にも読むところあるんですが、時間(すいません昨日呑み過ぎて寝坊しました)と量の都合上ちょっと本日はこのあたりでご勘弁ありたし(ネタの温存という説もありますが^^)。

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2007/02/22

お題「利上げしちゃいましたね」

まあ今回の利上げが「失敗にならない」ことを「日本経済」の為に祈りたいと存じます。

で、総裁記者会見に関しては今日テキストが出ると思いますので、それを読んでから書くということで、というか本日は月報および昨日起きた出来事に関する雑感です。まずは決定会合の結果&月報を。


○どう見ても第2の柱です。本当に(略

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/k070221.pdf

今回の政策判断の理由が出たわけですが・・・・

『3.会合までに明らかになった内外の指標や情報をもとに、日本経済の先行きを展望すると、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、緩やかな拡大を続ける蓋然性が高いと判断した。すなわち、米国経済など海外経済についての不透明感は和らいでいる。そのもとで、企業収益の好調と設備投資の増加が続くとみられる。個人消費については、昨年夏場の落ち込みは一時的であり、緩やかな増加基調にあると判断される。』

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)は、小幅の前年比プラスとなっており、原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある。もっとも、より長い目で消費者物価の動きを見通すと、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくと考えられる。』

目先消費者物価ゼロ近傍の可能性ありますが、将来的には上昇するのでというのもちょっとアレな理屈だと思う訳ですけれども・・・・・

『4.経済・物価情勢の改善が展望できることから、現在の政策金利水準を維持した場合、金融政策面からの刺激効果は次第に強まっていくと考えられる。このような状況のもとで、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資源配分に歪みが生じ、息の長い成長が阻害される可能性がある。』

『日本銀行としては、2つの「柱」による点検を踏まえた上で、経済・物価が今後とも望ましい経路を辿っていくためには、この際金利水準の調整を行うことが適当と判断した。この措置の後も、極めて緩和的な金融環境は維持され、中長期的に、物価安定を確保し持続的な成長を実現していくことに貢献するものと考えている。』

という文言を読んでおりますと、どう見ても「第2の柱」による利上げですなあって感じです。これなら正常化路線を前面に出した方がまだ話がすっきりするというものです。本来的には第1の柱(引用の3.以下の部分ですね)で利上げするもんじゃないんですかねえと思うのですが。

ま、4月の金融経済月報あるいは今後の議事要旨の中でロジックの立て直しが模索されるんでしょうけど。物価安定の理解+第1の柱+第2の柱というセットは理屈的に混乱しやすいように思えるのでした。


○判断が前進してない金融経済月報

えーっとですな、昨年7月にゼロ金利解除をした時の金融経済月報はそれはもうノリノリでして、何か物凄い勢いで威勢の良い内容に判断が大前進してたんですよね。で、今回はどうなのかと申しますと、何かこうしょんぼりしちゃいますなって感じがするのは気のせいであろうか・・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0702.htm
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0701.htm

例によって上が今回、下が前回の金融経済月報。で、前回と表現が変った箇所は5点ございます。

・景気の現状判断部分の要因部分

公共投資
『公共投資は、足もと幾分増加しているが、基調としては減少している。』(2月)
『公共投資は減少傾向にあるが、』(1月)

個人消費
『個人消費は、底堅く推移している。』(2月)
『個人消費は、やや伸び悩みつつも増加基調にある。』(1月)

何かどー見ましても判断が上向いてる感じがしないのですが・・・

・物価の現状判断部分

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスで推移している。』(2月)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移している。』(1月)

まあここはそうなりますわな。

・物価の先行き部分

国内企業物価
『国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みで推移するとみられる。』(2月)
『国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。』(1月)

消費者物価
『消費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響などからゼロ近傍となる可能性があるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(2月)
『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(1月)

いやー、どう見ても先行き見通しが下方修正されてるんですよね。まあそういう見通しになるのは衆目の一致するところではあるのですが、先行きの見通しが強くなってないのに利上げするってのも何だかな〜って感じ。いやまあ利上げをすることによって景気拡大のスピード調整が行われるから先行きを見通しが少し弱くなりますって理屈なら兎も角、今回はそういう感じでもないしなあ・・・・

ということで、やはりどう見ても第2の柱がメインの利上げです。本当にありがとうございました。



さて、昨日起きたことのクリップや雑感などを以下に。

○またNHKのリーク

NHKが「議長提案で利上げが提案された」というようなテロップを打ったのが多分(というのはNHK見てなくて他のベンダー情報を見たからでして、債券先物の歩み値を見て想像するのですが)12時42分か43分のようでして、当初は「また中断時間か」と思ったのですが、先ほどご紹介した決定会合の決定事項公表文書の最後の方にある時間を見ますと政府からの出席者の出席時間が(9:00〜13:30、13:38〜14:15)となっている所を見ると(追記:この部分ですけれどもちょっと勘違いしてた部分があり、翌日に補足説明と訂正を入れていますのでそれもご確認されたし)その前のニュースですわな。よって会議場で何か動きがあったから決め打ち報道したって訳でもなさそうな感じ。

まあ中断時間かなとか思ってた人は多かったので、何でこんなに結果が出るのに時間が掛かる(実際はその45分後に中断になってたんですので勘違いするのは当然)のかと不思議に思っていた向きもあったんじゃないかと思いますがそれは兎も角。

えー何でNHKはこの情報を入手したんでしょ。情報源に関して調査していただきたい訳でして、今回はNHKの報道があってから駆け込みロンバートで信用機構局の皆さんヘロヘロになったんではないかと思います(今回で最後ですが)。ってそれが問題なのではなく(追記:ロンバート駆け込みを可能にしたのは銀行に対する事実上の便宜供与に当たるのではないかとの指摘があり、確かにその点はその通りです。この部分かいてるときは単に「信用機構局の仕事が爆発して大変でしたなあ」程度の感想しかなく、それよりもリークで債券先物とかが派手に動いた方の記憶が生々しかったもんで)、今回みたいに「やるのかやらないのかさっぱり判りましぇん」という状態でのこの記事は如何なものかと思いますわな。所謂一つのサイダー(法令上厳密に言えばこれはいわゆるサイダーにはならないんですが、道義的にはどう見てもサイダーですなあ)じゃないんですかねえ(怒)

まったく血圧が上昇するというものです。


○アリバイ発言をする閣僚はいかがなものか

決定会合の結果を受けての閣僚コメントを見ておったのですが、その中で大変に血圧の上昇するコメントが2本見つかりました。

渡辺行革担当相:日銀総裁の説明責任は極めて重大だ
2月21日(ブルームバーグ):渡辺喜美内閣府特命大臣は21日午後、国会内でブルームバーグニュースの取材に対し、日銀が追加利上げに踏み切ったことについて「福井日銀総裁の説明責任は極めて重大だ」と語った。
(ブルームバーグニュース21日14時36分)

大田経財相:「決定内容咀嚼しておらずコメント控える」−日銀利上げ
2月21日(ブルームバーグ):大田弘子経済財政担当相は21日午後、日本銀行が追加利上げに踏み切ったことについて、「先ほど報告を受けたので咀嚼(そしゃく)していないのでコメントは控えたい」と言及を避けた。その上で「後ほど記者会見でお話しする」と語った。(ブルームバーグニュース21日15時51分)


えー渡辺大臣様、「説明責任が極めて重大」っていうことは説明が足りませんってご認識だと思うんですが、説明が足りないのであれば、国務大臣として議決延期請求を提出するように働きかけるべきではなかったんでしょうか。主務大臣じゃないってのは言い訳にならないでしょ。行政権の行使は内閣(=内閣総理大臣+国務大臣)の連帯責任ですがな。

いやこれで政府が議決延期請求を提出した結果としてこういうコメントが出てくるなら判るんですが、まるでこれではやることやらず、出るとこに出ずに、人の背中越しに勝手な事言ってる連中(サラリーマンやっておりますとよくそういう輩に出くわしますなあ)と変らんじゃねえのと思う訳です。

大田さんの方はもっとビックリなんですけど、大田さん主務大臣ですよね。あなた様が「咀嚼してない」利上げだったらそれこそ議決延期(以下同文)。ま、「後で記者会見やるから今はコメントできない」って言いたくてそういう発言になってしまったと思うんですが、何かこの発言からは当事者意識を感じ取れない訳で、正直激しく絶望いたしました。何かこう閣僚の発言が軽いんですよね。困ったもんだ。。。

ちなみに自民党方面からも当然声は上っておりますが、中川幹事長は「日銀は説明責任だけでなく結果責任を負うものと考えている」と結果責任について言及したのは(今までの発言からして当然出てくると思いましたが)さすがですなあという感じです。

#あたしゃね、責任や権限のある人が本来やることやらないで安全地帯からアリバイみたいなこと言うってのを見ると血圧急上昇なんですよ


○しかし2年0.8%は如何なものか

昨日の市場では何故か(前日の為替市場で利上げ無しという話になっていたためとの話もありますが)前場に威勢良く債券先物+金先が上昇して変に上昇した為に利上げフライングで急落し、岩田副総裁の反対票(これは筋を通したと思うのであたくし的には評価高い)ということでなのか「噂で売って事実で買う」だったのか知りませんがまた上昇と。まあ振り回されたファンド系プギャーと言った所ですが、終わってみると2年0.8%に5年1.215%ですかそうですか(驚)。

あのですな、足元金利がこれから0.5%になって、ロンバートが0.75%になりまして、GCのレートが大体通常日で0.55%になると思うんですが、2年が0.8%でいいのかの水準と言いたくなるんですけど、それはどうなのかと思うのでした。確かに普通預金金利は0.1%しか上げない(出来上がり0.2%)ですからコア預金見合いという話だとそんなに上らないのかもしれないんですけど、やっぱその金利には首を傾げざるを得ませんな。

そして5年の1.2%というのもかなり驚き桃の木でして、あの事前に全部織り込んでなかったはずなのに利上げしたその日に中期債の引けが前日比変らずってのはそれはどんな需給要因だよと、買ってなかった人のパワーに感心するやら呆れるやら。

ま、これからゆっくりと調整するんでしょうが、当日に入札やった3か月FBが0.56%の引け(引け後もうちょっと弱くなっていたようですが)なんですからちょっとどうなのよって思うのでありました。

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2007/02/21

お題「今日も決定会合に関する雑感で」

材料待ちで超様子見のためネタが(汗)。

○結局織り込みは50%のままで推移と

昨日も国債買現先での資金供給が実施されました。で、この期間が22日〜3月7日で平均落札利回りが0.387%で最低落札利回りが0.38%(按分34.4%)ということで前日から0.01%位上昇したような感じ。まあきっとこのレートは(0.25%+0.50%)÷2あたりを意識してるんでしょうなあということで、その意味で言えば利上げ織り込み50%と言ったところですか(^^)。

まあ実際問題としては、何も無い時の国債買現先でこの位の期間のレートは0.30%をちょっと切る位になるものと想定されますので、利上げがあった場合のレートを考えると0.55%をちょっと切るくらいの水準になるのかなあと思うので、その点で言えば利上げ織り込み確率50%をちょっと切るのかもしれませんが(^^)、まあそのあたりに関しては大体50%ですなあということでケンチャナヨ。

共通担保オペは銀行主体で、国債買現先オペは証券主体という違いがありまして、まあ総じて証券の方がレートに関しては厳しいというかしっかりしてるというか(この部署をやってる人たちって証券の方が経験豊富なベテランを揃えてるというのもあると思いますが^^)、まあレートを見て「ほっほー」と思ったあたくしなのでした。

昨日も申し上げましたが、これに対してCPとかのレートの方が利上げ織り込み度合いが高くなっています(1か月弱の上位格付でも0.5%に急接近してるらしい)し、共通担保オペのレートがやや高めに出てるのは、銀行の方が警戒感強いっちゅうか、特に長めの資金の放出を控えているという感じなんでしょうな。



まあそんな訳で、結局今日になっても何も出ません、というか本来何も出ないのがアタリマエなのでして、今までの騒動はありゃ一体全体何だったんでしょうと小一時間問い詰めたい所なのですが、どっちに転ぶかさっぱり判らない→参加者としてはどっちにもポジションを傾けられない→結果として皆さんのポジションが軽くなる→結果がどっちになっても相場に対してショック的な影響を与えない→ウマーとなるのでした。あれ?

まあ金曜にもそんな悪態をつきましたが(^^)、「政策の予見性を高めると市場が安定する」というのがまあ一般的な見解であり、普通に考えるとそーなる筈なのですが、今回のように「全くワカランです完全サイコロ博打状態」となった場合も何故か市場が安定するという画期的事例(笑)が発生した訳でして、まさに天才現るとしか言いようがございません。え、短期的に目先の市場が安定しても意味ないですかそうですか(爆)。


ま、これまた金曜に申し上げましたが、事前に市場に織り込ませようとして政策変更って事例は海外ではあります(というか現にやってますわな)し、そうなるのが美しいんでしょうけれども、まだまだ日本では難しいと割り切って、市場との対話路線として情報発信しまくる(しかもノイズ付き)前に、政策のトラックレコードを積み上げていくことに注力すべきではないかと。いやまあ注力してますと言われそうですが、どうも市場サイドから見ておりますと、市場の期待を誘導しようとしてノイズを撒いてしまうという図になっとりゃあせんかと思うのでした(特に誰とはあえて申しませんが)。


とまあつらつらと雑感を並べましたが、では決定会合関連の当たらない予想を。


○決定会合後の展開予想

現状維持の場合

票決が6対3またはそれより賛成票が多い場合は、まあ素直に債券市場ブルスティープして、擬似的CPI時間軸が復活するの巻になるんでしょう。ただまあその時間軸がどこで外れるのかというのは非常に悩ましい所で、まあCPIの前年同月比プラス幅が3か月くらい拡大続けば正常化の続きをおっぱじめると思いますけれども。ある意味リスクシナリオとしては最初ブルスティープなんでしょうが、利上げが有ったら買おうとしている投資家の皆様沢山いますので、利上げ無しで相場が持ち上げられたまま値持ちしちゃうと「降参の買い」が出てブルフラットしちゃったりするかも。まあここまで我慢してるんだから我慢するんでしょうが。


で、票決が5対4になるとこれが中々香ばしい展開になると思うのですが、「3月利上げですかそうですか」となるので、まあ超短期の3月決定会合までの金利は下がるでしょうが、その余の金利はそのまま様子見モード継続と。でも正直様子見になるかどうかもよめましぇん。色々とあちこちで香ばしい展開が見れそうな。


利上げの場合

まあ利上げでも全員一致は無いと思うのですが、いずれにせよ「利上げして相場が下がったらそこで買い」とやる気満々で待ち構えている投資家様がわさわさおいでですし、「目先の不透明感が払拭」ということで買いが来るんですが、さて売る人はどこにいるのかと思うとこれがまた謎だったりします(まあ現実に短期金利が上昇するんで、少なくともその分現物のベーシスが剥がれると思うんですが)。需給的に言えばそんなに金利が上るとも思えませんし、今回は皆さんのポジションが特に利上げ無しで傾いている訳でも無いので、影響は徐々に出てくるんでしょう。

ここから先は益々妄想モードになるのですけど、まあ「利上げしても、その次はかなり先で、下手したら年内の追加は無いでしょう」というのが市場的コンセンサスだと思いますし、日銀もまあ利上げ後の金利急騰というのは(本来は別に困ることでも無いのですが、変に騒動になると困るでしょうから)好ましくはないでしょうから、その市場コンセンサスに乗っかるようなメッセージが出てくるんじゃないかなあと思っとるんですよ。

でも、量的緩和解除の時を思い出しますと、あの時点でも何となく「ゼロ金利が当分の間続くんじゃないか」というような市場の理解というか誤解があって、金融政策の枠組みに関しても当初は時間軸っぽく理解されたりしてた節がございましたわな。結局4ヵ月後にゼロ金利はあっさり解除された訳ですが。

つーことでですな、今回も利上げした場合当初は「当面次の利上げはないでしょ」ということでベアフラット(下手したら中期以降がブルフラットしちゃったりして)しそうなんですが、どこか(5月を想定^^)で梯子を外されるんじゃねえのと思うあたくしなのでした。だってこの前から言ってますけど、「経済情勢に見合った金利水準への調整」のステージ途上なのに、「利上げしたら目先の利上げ一旦打ち止め」は有り得ない訳でして、そんな利上げだったらしない方が気が利いてるでしょ。となると利上げというのは結局近い将来の利上げも展望できてるからやるって事だと思うんですが・・・・・

#ま、何はともあれ今日は昼から腕まくりと

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2007/02/20

お題「さて決定会合ですと言いながら今日も雑談」

訳判らんものの予想をする暇があったら、「こうなったらこう」という絵を描いて構える方が吉ですので、まあ皆さんそんなことをつらつら考えながらの閑散モードではないかと思われ。

#公共放送様も今回はさっぱり判らないようで(^^)

○GCレートなどなおも上昇

昨日のT+3のGCレポですが、金曜に無担保コール翌日物で0.50%などという出合い(そこそこのロット)をやらかした事も効いて、0.45−0.50とかいうような雰囲気からスタートしたようですな。まあ22日スタートだと利上げがあった場合に「じゃあ寝転んでロンバート逝きますか」攻撃が効かないから資金を出し惜しみされるとレート上昇するのかも知れません(21日スタートならとりあえず朝一でロンバートに駆け込めば0.40%で資金を取れます)が、それでいいのかという気も。

と思っていたら、0.45%で出合った後にレートはさすがに低下したようで、そのあとは0.4%台前半に低下したようなのですけれども、それに引っ張られてなのか現先方面の資金の出も悪くなったのか現先利回りとかも結構高めのようでした。まあ例えば0.45%としますと、利上げがあった場合の想定されるGCや現先利回りが0.55%−0.60%(これはあたくしの勝手読みですので念の為)でして、現在のGCや現先の利回りが0.28%−0.33%(利上げ警戒じゃないのを前提で、中心は0.30%)あたりになってますんで、まあそーゆー意味で言えば0.4%台前半で半々、後半だとやや織り込み度合いが高いかなとも言えますな(この水準を想定レポレートから見るのか、コールから見るのかでまた話変りますが)。

まーどっちに転ぶかさっぱり判らないのでこういうレートになるのは妥当っちゃあ妥当なのかも知れませんが、今日のT+3は23日スタートで3日分あるのでこりゃまたややこしい話になりそうですわな。資金出す方も悩ましいから出し渋りたくなるのは判らんでもないですが、要はレート次第(当たり前)。

あたくし勝手に思いまするに、資金出し渋ってる方も利上げを確信してる訳じゃなくて、まあのうのうと資金を出しちまったら利上げになり、爆安レートで放出してましたって結果だと目も当てられないから、「利上げ半々」レートまで上昇しねえと出さねえよと、絞ってるという事なんでしょうな。まあ出し手が少数の大口に偏ってるので、こういう時に力関係がどうしても出てしまうという所でしょう。


○その割には資金供給オペ金利が上らない訳でして

そんな中で行われた昨日の国債買現先オペですが、21日スタートの3月6日エンドで平均利回り0.380%で足切りが0.37%でしたが、この期間は21日は兎も角としてそれ以降全部決定会合後に当たるんですが、これまた低い利回りに見えてしまいます。何も利上げを織り込みまくったレートで取るこたあねえだろうと言うことなのか、単に21日スタートの玉がそんなに無いのか(利上げへの準備しすぎで)よー判りませんけど、このレートには???感が、というか結局参加者って数字に出てくるほど警戒してねえのかな。

まあこのレートもあったからちょっとGCとかが冷静になったのかもしれませんが、このレートを見ると、やっぱりGCの0.5%近い気配とかは過剰反応というか出し渋りのやり過ぎの反映だったんでしょうなあという所で。


○CPレートはだいぶ織り込みになってるようですが

まあお日柄がお日柄ですのであまり月曜はCPの発行無かったのですけれども、上位格付けの3か月物で0.6%近傍まで金利が上昇しており(まあ元々0.55%近くだったので、上昇したと言ってもまあそんなもんですかって感じですが)、ここまで来ると利上げを結構織り込んだ水準に見えて参ります(利上げ後の現先金利水準と3月末期越え+大型連休越えを勘案していい勝負でしょう。勿論2回目の利上げは考えてませんが)。それから1か月物が結構また上昇しているようでして、こちらも0.4%台後半から0.5%近くの水準と、まあ結構利上げを織り込んだ水準(と言いましても、現先金利水準との勝負だと利上げあったら負けですが、利上げ無ければそこそこオイチイ)になってます。

CPに関しては買い手が短期国債と違う(重なる部分も多いですが)ので、まあこれは買い手の違いと、そもそも短期国債のようにジャンジャン流通したり、オペで吸い上げたりという流動性が低いという特徴があるので、最終的な資金出し手の腰が引けると金利も上るし、逆に途中までは金利感応度が低いという特徴もありますな。

まあこの辺りの人たちはちょっと様子見のようですなあ。


#などと短期市場雑談書いてるうちに時間が無くなって来ましたのであとはメモメモ程度で勘弁


○中川幹事長の発言が微妙に前回と違う気が

昨日の国会内での会見のヘッドラインからですので、まあヘッドラインに踊らされてるかもしれませんが(ソースはブルームバーグニュース)、中川幹事長曰く、

−政府・日銀は政策目標共有していると思う
−政府はしっかり与党の景気認識を共有していると思う

以前は「政府・日銀は景気認識を共有すべしって」話をしてたような気がしまして、景気認識を共有する主体が「政府・与党」って何かニュアンスが微妙に違くね?とも思うのですが、単にそれはあたくしの勘違いかもしれません。

#まあ利上げの気配が無いから余裕をかましているという解釈も可能なのですが、ちょっと引っ掛かるのでメモメモ


○ところで票決に関して

まあ明日になってまた考えれば良いのですが、利上げするにしろしないにしろ、その票決が何対何というのでも市場的にはひと悶着あるでしょうな。

6対3で利上げ見送り(前回と同じ)またはそれよりも少ない反対票ならば市場的にはブルスティープ商状になるんでしょうし、利上げの場合でも反対票が幾ら出てくるかによってまた話が違うかもしれないし、あまり気にされないかも知れません。

5対4で利上げ見送りになった場合は結構反応に困るでしょうな。それは「3月に利上げします」というのをかなりの確率で示唆する票決ですが、結構香ばしい光景があちこちで展開されるんでしょうね。

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2007/02/19

○短い所は利上げ警戒して長い所は強いとは

先週末の市場では短い所では利上げ確率50%ですかという動きをしておりまして、長い所はカーブ上では先物が一番強い形で買われたの巻と相成りました。短い所と長いところの反応が思いっきり違うようにも見えますし、実は利上げになったら長いところは材料出尽くしになる(利上げをした場合はその次の利上げを当分しないとのセットになると参加者が信じ込んでおりますんで^^)のでこうなりますよってのを実演してるのかも知れませんが、どっちにしても「いやあ何か対照的ですねえ」という感じ。

ま、実は1月も似たような話をしてまして、1月の場合は利上げ100%織り込みモードになった日に5年国債の入札があって、結構入札は確りだったりしてまして、まあそういう点では似たようなアクションではあるのですが、金曜は何かそういう動きというよりはただの需給っぽい感じでもありますが、まあ兎に角不思議な対照ぶりでございました。

しかし「金利の正常化路線」モードでの利上げをするかもしれませんっていうのを市場が織り込むのであれば、正常化路線即ち連続的な利上げであるので、利上げ懸念で中長期債が強いとかフラットニングするとかいうのはそこだけ見るとどう見ても間違ってる反応なのですけれども、まるで「利上げ最終局面」の如く反応するのは景気に対する市場の見方と政策委員会の見方にギャップがありますよって話なんじゃないかと思うんですけど、そのあたりどう議論がされるのかを見てやりたいですわな。


○しかしあの今月も同じパターンってどうよと思うのですが

先ほども申し上げたように金曜日の短期市場では超短い所の金利が絶賛上昇。準備預金の積み初日で週末挟みの無担保コールレートの加重平均金利は0.362%となりました。3日分の準備預金積みがありますので、お金持ってて準備預金を積まないといけない人が資金を出し渋って、資金取りサイドの人たちが取り上がったという図が目に浮かぶ次第なのですが・・・・・

あのですな、先月の事を思い出して頂きたい訳ですが、先月もGCレートが新しい積み期間入りから上昇して、利上げ100%織り込みモードになった積み初日(1月16日)はコールの加重平均が0.343%でしたわな。確かに利上げ警戒度合いは全然低いですけど、利上げの可能性があると思う人が多ければ(今回の場合は全員が「半々というか丁半博打モードで読みようが無い」と思ってて決め打ち全くしてないだけですけど)、そりゃまあ先月と似たようなパターンになるのは仕方ないと思うんですが、何でこう2か月連続でコール取り上がりになるんだかとオジサンはちょっと呆れてしまうのでした。

と申しますのは、今回に関しては1月と違いまして事前の盛り上がりパワーが乏しく、事前準備をする暇はあったでしょうとあたしゃ思うのですよ。日銀オペのレートで言えば、大盛り上がり前の1月9日の時点で1か月位の期間の共通担保オペとか国債買現先のレートが0.43%レベルまで上昇してまして、そりゃまあ利上げを相当織り込んでおりましたから、そんならまあ無理して資金取らなくても良いかなって思う人が出てくるのは当然でしょうなと思うんですが、今月の場合は先週水曜の国債買現先1か月ものでも平均落札利回り0.325%にしかなってなかった訳でして、事前の利上げ織り込み度合いが1月よりも低いレート形成されてたのに何でお前ら準備しないとその何も考えてないっぷりに対して小一時間問い詰めたいとしか言いようが無いです(まあオペ担保無くてコールしか取れないのなら仕方ないですが、それでもタームとか取っとけよと思いますけどね)。

もちろんきちんと準備をしている人もいまして、「いやー小商いしてまっせウッシッシ」という話も聞こえて来ますし、「別にうちらはそんなところに手間隙掛ける気は無いもんね」というのがお家の事情かも知れませんのでアホバカ言うのは筋違いなのかも知れませんけど、2か月連続で同じように新しい積み期間に入った所の資金取りでハマリコフというのは正直如何なものかと思うんですけどねえ。お前らちょっとその席どけと言いたくなりますが、まあそうやって突撃してくださる鴨大先生がいないとオイチイ思いができませんので、今後ともハマリコフでお願い致したく存じますということで(笑)。

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2007/02/16

お題「GDPが出たわけですが」

ご案内の通りGDPはヘッドラインは前回分下方修正を含めても強い数字で、内容に関しては正直あたくし本職じゃないので人の書いたものを幾つか並べて読んだのですが、まあ強かったようですが、さて・・・・

#公共放送様におかれましては「追加利上げ 見方分かれる」というお題になってますね


○これは見事な半信半疑

GDP出た後最初にオファーされたオペは9時半オファーの国債買現先で、期間が2月19日から28日の9日間。この結果をマニアの皆さん注目しておった訳ですが、平均落札レートが0.371%で足切りが0.36%という結果。この時点でGCレート幾らでしたかって言いますとまあ大体0.37%とか0.38%とかって感じだったので、物の見事に足元のGCと同じレート。

で、足元のGCと同じだから利上げを織り込んでないかというとさにあらず(ってか数字みりゃ判りますわな)で、そもそも一昨日の時点から利上げのリスクを見たレートになってまして、仮に21日に利上げがあればこのレートでのファンディングはウハウハですが、なければどう見ても割高です、本当にありがとうございましたレートな訳でして、チョー中途半端な水準なのが中々結構。

#てか(0.25+0.50)÷2=0.375ですかそうですか

午後には16日スタート3月8日エンドの共通担保オペがオファーされてましたが、こっちは平均0.394%の足切り0.39%で、こっちの方がちょっと高いですが、まあこれも中途半端でして、「利上げなんかネーヨ」状態に近かったのが「まあとりあえず半信半疑モード」という水準になったという所ではないかと思います。


で、市場の片隅に棲息するあたくしが見ますと、今月は利上げ云々に関する参加者のポジションが12月、1月と比べて軽くなってるように思えます(一部のオフバランス振り回し組は別^^)。まあ「買わないといけない人は買うし、売らないといけない人は売るけど、そうじゃない人はどっちに転んでも困らないように手当てして様子見」って奴でございますな。べき論の話は別にして(というか理屈で考えれば利上げするとは思えんのだが)市場的には「まあやるならどうぞ、あ、やらなくても別に良いですよ」ってなもんでしょう。


○フォワードルッキングなのにGDPで利上げ観測拡大とは

いやまあ小見出しで終了なんですが(笑)、そもそも過去の実績数字だわ、後から修正される事も多いわという経済指標の内容が良いって言いましてもそれは「過去の実績が強かったですねえというのを確認しました」って事ですんで、対外的な説明としては「ほらこんなに景気が強いんだから金利調整をしてもいいでしょ」って言い易いというのは判るんですが、それはまさにバックワードルッキング(^^)。

結局のところ、複数の本職アナリストの方々が指摘していますように「政策ロジック的にはやれなくても結局利上げするかどうかは気合の問題ですから」ってのが市場的な読み筋になってしまってるんで、「フォワードルッキングな金融政策という枠組みなのにGDP見て利上げ観測が拡大」という実に香ばしい状態になるのでありました。

ということで、12月や1月のときと違って今回は市場自体は一応利上げ観測での動きはあるものの、正直言ってドッチラケムードが漂う中でしらーっと動いてる感じを強く受けるのは、まああたくしの心理的要因で物を見る目にバイアスが掛かっているのはありますけれども(爆)、12月や1月と違って「政策ロジックとして考えても意味ねーじゃん」って雰囲気が漂っているので「気合の問題なんてワケワカランからそれで相場を張るのもアホクサ」という所なんではないかと思うのですが。あと、特に短期のキャッシュ(オフバランスの人たちは知らん)をやってる人からすると、「もう一々動くの疲れたよパトラッシュ」となってるのもあると思いますが(^^)。



○市場との関係で言えばフリーハンドになっている珍現象

という訳で、今回に関しては物の見事に金融政策に関する事前の市場の織り込みが中途半端という実に素晴らしい状態ですわな。12月以降の動きと言いますと毎回毎回「利上げ方向に火が付く」→「火消し」→「火消ししすぎで利上げ無し方向に火付け」→「またまた利上げ方向に火が付く」のドタバタ無限ループだったのですが、今回はどう見ても織り込みが半々、てか織り込みようがないのでどっちに転んでもいいような状態(というか半分困る状態ですか)になっておりますというのはここまで申し上げたとおり。

ということはアレですよ先生、政策ロジックとか市場との対話とかを超越した結果として、市場との関係で言えば今回は見事なフリーハンド状態な訳で(べき論は別ですが^^)、これはこれで金融政策変更(するかどうか知りませんが)によって生じる市場の混乱が起きませんなあという事ですな(苦笑)。何せどっちに転んでも「半分サプライズだけど、半分そうですか」状態ですから同じことという画期的なフリーハンド確保手法(-_-メ)

ま、もうひとつのファクターとして「ど〜せ利上げやってもその次の連続利上げなんぞ出来ないっていうセットになるのは経済物価情勢から言って間違いないでしょ」ってのがあって、その先の金利引上げはど〜せございませんがって考えが大勢だからというのもあるんでしょうけれども・・・・・

あたくし的には「利上げするなら先行き中立水準に向けてメジャードペースでサクサク金利調整をしていきますよ」(暫く前のFRB状態)って言い切れるような経済物価情勢(つーか物価情勢ですか)になるまで今の状態を引っ張って別に何が困るのよという気はするんですけどね。今の「金利調整」ってステージでは「利上げしたらまた次の利上げが展望できますよ」って状態じゃないとそもそも金利調整って利上げする意味ねえんジャマイカって希ガス。


#と、個人的雑感で恐縮至極でございますが、まあそんな感じであたしゃ見ておるのでございますがどうでしょう

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2007/02/15

さて、GCレポレートが急に上昇しやがったのでその辺から。

○今月も出し渋りですかそうですか

てな訳で昨日だと午後から19日スタートのレポ取引が行われるのですが、資金の出し惜しみ攻撃によって0.3%台後半にレート上昇しやがったようで、現先レートなども当然上昇の巻と相成りました。16日スタートの取引(というのは火曜日の午後ですな)ではGCレート0.32−33%くらいだったと思うのですが、まあ確かにやや上昇してたんですが、どっちかというと「新しい積み期間になりましたがまあ普通にGCやってますなあ」という感じだったので、昨日になって急に出し惜しみ攻撃になるのがイマイチ訳判らん(やるなら16日スタートを出し渋った方が3日間積めるからオイチイんじゃネーノ?と思うのだが)のでした。

ここのレートが上昇しやがったので、FBの短い所に影響が出たということになっていまして、2月償還のFBとかが0.35%レベルまで甘くされておりました(当たり前ですけど)。そんな時にFBの入札もありましたので、ちと間が悪いですなあという感じですが、3か月で0.49%の引けはさすがに0.50%を背に買いを集めるでしょ。

そんな訳で、何故か一日ずれたタイミングで今月もまた「決定会合まで準備預金積んでおこう」攻撃が発生してまして、これを見てまたどこぞの経済クオリティーペーパー様あたりが「市場は2月利上げを警戒してる」と妙な盛り上げ記事を書くのではないかという悪寒が致しますが、まあGDPの内容(ヘッドラインの数字が強いというのは織り込んでるので、問題は内容ですよ内容)次第なんでしょうね。

ただ、12月や1月のような「利上げ警戒」というよりは「とは言っても間違って利上げがあった時に準備預金積んでなかったとなるとマズーですわなあ」くらいの感じで誰かが資金出し渋ったらあっという間に横並びって奴だと思うので、あまりそれで外野が騒ぐ必要はない(足元の超短期をいじってる人には大問題ですが)と思いますけど、まー瓢箪から駒が出まくる自己実現性が市場クオリティですので、少々気になるところではあります。

#頼むから今月こそは静かに決定会合を迎えて欲しいです



○最近尾身財務大臣の会見に良い感じの味わいが出ています

就任当初は何か不規則発言の香ばしいものがあった尾身財務大臣でございます(経済企画庁長官時代の「桜の咲く頃に景気回復」発言を武勇伝扱いした国会発言には仰天しましたなあ)が、最近の会見には中々宜しい味わいが出てきております。例えば2月6日の会見。
http://www.mof.go.jp/kaiken/my20070206.htm

『(問)週末にテレビ東京の方で世論調査をちょっと行ったんですが、(途中割愛)7割近くの方が景気の現状が悪いという認識を持っているという結果が出たんですけれども、このような結果に対して、大臣はどのような見解を…。』
『(答)私は、日本経済の状況は、物価が非常に安定している中で順調な発展過程を遂げていると思っておりまして、多分、私の意見はその3割の方に入るだろうと思います。』
『(問)今の関連ですけれども、ただ、今の調査によると7割近い人がまだ景気は良くないと思っているというのが、非常に、経済運営をする側としては厳しい数字だと思うんですけれども、そこまで多くの人が景気が良いということを受け止めていないということについてはどう感じられますか。』
『(答)さっき言ったように、物価安定の下で順調な回復過程にあるというふうに私は考えておりまして、先程の調査の方から言えば3割の方に入るだろうと。』
『(問)7割の人はそういうことがよく分かってないということですか。』
『(答)いやいや、分かってないとか分かってるとか、それぞれの人の調査だし、どういう人を調査対象にしたのかも分からないわけですから、調査の内容については、結果については、それが妥当であるとか妥当でないとかいうことをコメントする立場にはありません。』

・・・・・(^^)

『(問)同じような関連なんですが、昨年の9月のG7の時には、谷垣大臣が出られて、G7の声明の中に、日本の経済について、日本はゼロ金利を解除し景気回復は広がりを見せているという表現を使ったんですけれども、それを受けて谷垣さんが為替相場もそういった経済の状況を反映すべきだということで、ヨーロッパの懸念を緩和させたというような、そういった経緯があったわけですけども、大臣がおっしゃる先程の景気認識と、去年のいわゆる景気が回復を示しているというところから、変化というのはないんでしょうか。』
『(答)いや、今ね、あなたがおっしゃった、谷垣前大臣がどういうふうに言ったかということ、私、聞いていません。従って、それについて、聞いてないことを自分で確認しない上にコメントするというのは極めて危険だから、特別、コメントすることは良くない、今。聞いてませんから、私自身が。』

まー閣僚の不規則発言とかがネタにされてるから慎重になってるというのもあると思いますが、これは良い慎重対応だと思います。


G7後の尾身財務大臣、福井日銀総裁共同記者会見に関しては財務省のサイトに掲載されているものの方が中身が多いので、ご参考にされるのが宜しいのではないかと存じます。
http://www.mof.go.jp/kaiken/my20070210.htm

冒頭の説明部分で尾身さんはこのように言ってます。

『それともう1つ、為替レートにつきまして、「我々は為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」と、こういう表現になっておりまして、為替レートの表現は、前回のシンガポールの時の表現と変わっておりません。経済サーベイランスの方では、為替レートの問題につきまして、円が安過ぎるのではないかという意見がございました。私から、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映したものであるべきであるし、我が国経済は経済活性化と財政構造改革を両立させるとの経済運営の下で、物価安定下で持続的な回復を続けているということを説明をいたしまして、各国の理解を得たわけでございます。従いまして、コミュニケは前回と変わらないというふうになりました。』

この先にもうちょっと細かい説明が続きますが、まあそんな議論になっていたんですねということで。終わってみればあの騒ぎというか思惑満載モードは一体全体何だったんでしょう(ポジショントークのネタに使われただけだったんじゃねえのかと)という感じですわなあ。


#ま、何はともあれ本日はGDPの「内容」に注目ということで

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2007/02/06

○引け後に中短期売られたようで

昨日はまあ物の見事にウゴカンチ会長な相場で、何となく現物が重め(というか先物が確りめというか)の推移だったのですが、引け後になって2年だの5年だのが弱くなるの巻でございました。材料が特に出た訳でもないのですが、先週木曜の引け後と同じような展開でして、先週木曜だと「海外の有力レポートで2月利上げの話が云々」という話題が出て、おまけに中期ゾーンに巨大なスワップの払いが出てましたって感じでしたけど、さて今回は何なんでしょうかねえ。まあどうせ海外発の2月利上げ観測で、ネタとしてはG7で円安是正って話しか思いつきませんけど。

で、円安是正の為に利上げをするという発想は本邦においては根本的に間違いという話は何度もしてますので割愛するのですが、お馴染みの本石町日記さんが為替と金融政策に絡んだエントリーを最近2本上げているので、
http://hongokucho.exblog.jp/6437940/
http://hongokucho.exblog.jp/6419556/
を熟知すべし。

ちなみに、2本目のエントリーで引用されている「為替相場と金融政策に関する日銀の公式見解」の1999年9月21日の文書のURLはこちらですので熟知すべし。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k990921a.htm


ということで、まあ常識的に考えると為替を金融政策に絡める論議は「あなたはアフォですか?」で終了なのですが、このまえまで内閣府副大臣だった現閣僚様が(副大臣当時に)「今利上げをすると円高になるから反対」などと言う話をしてたりするのがちとオソロシスなところでもあります(その反対論の裏を返せば「為替是正のための金融政策はアリ」ということになる)し、そもそも日銀の「金融政策正常化路線」があるのでそちらも少々オソロシスなのですが、コアCPIがトレンドとして明確に上向きになっていないのに利上げするのは正常化路線と言えどもちょっと無理あるんじゃネーノとは思いますが。

海外レポートとかで一応盛り上げておりますが、さすがに笛吹いて踊る人も国内勢には乏しくなってきてますな。今月は正直ドッチラケモードだと思われ。


#まー5年に関しては木曜の入札に備えて1.3%に近いところに持って行きたいというのは判らんでもない。

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2007/02/05

○毎月出てる物ですが丁度輪番の話をしてましたので

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/ac07/ac070131.htm
1月末の営業毎旬報告です。まあ毎月出てるもので特にネタにしたことはございませんが、先週後半に輪番の話をしていたので少々。

総資産が114兆円あるのですが、その中で発行銀行券が75兆円ということでして、この発行銀行券ってのは負債となってますけど、まあ永久債みたいなもんですから、日本銀行の負債って長期負債がやたら多いという話になるんでしょうな。

で、これに対する資産を見ますと、長期国債と短期国債を合わせると77兆円になってるんですが、長期国債が51兆円で短期国債が25兆円。長期国債のデュレーションは実を言えば同時に公表されている銘柄別保有残高を見れば判るのですが、普段から真面目にチェックしていませんのでちょっとそれはパスしますが、今のオペ方式だとそんなに長くなるとは思えず。短期国債は基本的に来年になると現金償還されてしまいますので、資産サイドの「国債」は一瞬見ると長期資産のように見えますが、実は資産サイドの足はすげえ短くて(資産中で長い資産といえるのは金地金4400億円ってところですな)、金貸し的な発想をすると「負債が固定性になっている一方で、資産は流動性が高く、返済の懸念無し」っていう奴ですなこりゃ。

よく「長期国債を沢山買うと日銀のバランスシートが云々」って議論が起きるのですが、そもそも負債サイドの足が長いのに資産サイドの足が短いという支払い面に関してはチョー健全なバランスになっており(普通の企業だと金利が順イールドの下では金利収入部分で逆鞘になるのですが、銀行券は無利子負債なので無問題)ますんで、あまり気にするこたあねえという感じですわな。まあ長期国債の残高が多くなりすぎたところで銀行券が何らかの事情で急減したらオペレーションが技術的にやりにくくなるというのは有りますけど。

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2007/02/02

お題「えー今月もですかあ?」

10年入札は順調だったのですが・・・・

○2年確りとか書いたら弱くなるのがドラめもんクオリティ

どこぞの禿先生のようで誠に遺憾でございますが(><;

いやまあ一昨日の引けあたりから怪しげではあったのですが、昨日は終わってみると引け値ベースでは2年だの5年が1.5毛甘で、20年が0.5毛強で30年は1.5毛強と相変わらずのイールドカーブツイスト攻撃になっておりました。で、引け後になると先物とかも売られてたんですが、2年253回債は引けの2毛甘(0.75%)とか叩かれたようで、金先も下落となるの巻でございます。ナンノコッチャ。

何か経済指標が出た訳でもないですし、福井総裁の国会答弁で別に新しい話が出た訳でもない(経済に強気の見通しを言うのは福井総裁の仕様なので材料にならん)のにどーしたのやらと思うのですが、どーも2月利上げがどうのこうのというのをまたやらかそうとしているような動きもあるような感じで、「また外野で騒ぐのか」とちょっとげんなり。

まー今回のネタとしてGDPが出てくるのは判らんでもないのですが、最近は為替動向で云々というネタも時々聞かれるようになってまいりまして甚だ遺憾なことでございます(-_-メ)。それはさすがにやらないと思うが。

とは申しましても、3か月FBなんぞは相変わらず確りとしているようで、一昨日入札が行われたFB430回債が引けの0.44%テイクンとかやってますんで、まさしくリアルマネーの人たちが絶賛参加しているゾーンでは引き続き「2月利上げって何でしたっけそれ」状態となっているようです。何と申しますか、参加者層が微妙に違っているせいがあると思うのですけどゾーンによって利上げに関する温度差があるのが興味深いです。


チョー短い所に関しては、12月と1月に振り回されて正直もうエエカゲンニセエと呆れ果ててるという面もございまして(苦笑)、直前になるとまたドタバタするのかもしれませんが、CPIの伸びが前月よりも鈍化してるのに利上げはねえだろうというのがまあベースにあるとは思います。でも何か2年とかの妙な叩かれ方(実際に実弾売りが出たのは別のゾーンかもしれないけど、ヘッジでとりあえず叩きやすいのはカレントですから)を見てると、叩きあるいは実弾が正当化されるような利上げ観測攻撃をまた今月もやるのかもしれませんな。(利上げは無いと思ってますが、あたしゃー)

#まあポジション振り回す人にとっては動いた方がオモシロイのでしょうが、金融政策絡みの思惑出ると途端にターム物の取引が止まる(当たり前ですが)のでマネー系の人はやり難くて敵わんですがな


まーやるとしたら金先、OISという先物というかデリバティブ市場の方から動くんでしょうけど、中長期債市場と違ってデリバティブ市場とリアルマネーの現物市場が分断されているのが短期クオリティでして、どーせ現物市場と先物市場の温度差が素晴らしく出てくるでしょうなあと暫くはニヤニヤしながら動向を注視したいと存じます。

ちなみに債券市場の場合は先物が受渡最割安現物国債の金利(今の金利状況だと当分は残存7年)に裁定される(最終決済が現物国債だから)ので、7年金利の位置など気にしないで値段だけ見る人でも現物市場のイールドカーブ形成に貢献しちゃいますが、金先市場だと最終決済がTIBORなんですが、どー見てもそっちよりも短期国債市場とかの方がしっかりと値段がついてまして、まあお互い影響は与えますけど、債券先物と現物のようにきっちり裁定する訳ではございません(というか全然裁定しませんが)というのが「分断」の意味でございます。

#だから「市場の金利観を見るのに先物金利が一番適している」といういつぞやのBOJレポートには噛み付いた訳なのですが、最近は上記のようなご認識もおありなようで誠に喜ばしいことでございます


○ところで昨日の補足(日銀の償還乗り換え)

昨日書きました「償還乗換えが現金償還されたときの話」ですが、仕訳もどきの説明が我ながら雑だったので補足。とは言え、勘定科目に関しては多分正確じゃないと思うので(こら)、アドバイスプリーズ。

長期国債の買入を行った場合には
(長期国債)/(日銀当座預金)
となって、買入に応じた金融機関の当座預金が増えてその中から銀行券として出て行くものがあるでしょうということで、成長通貨の供給が行われますっちゅうお話。

で、この長期国債は一応理屈としてはB/S上では
(長期国債)/(銀行券)
という形で(日銀のバランスを見れば判りますが、別にヒモ付きで長期国債と銀行券がバランスしてる訳ではないです)、長期国債の保有が銀行券残高を上回らないという所謂「銀行券ルール」がありますよというお話。

で、この長期国債が(短期国債を経由して)現金償還となった場合何事が起こるかと申しますと
償還乗り換え時:(短期国債)/(長期国債)
と、資産サイドの長期国債が短期国債に変り(だから償還乗り換え)
現金償還時:(現金)/(短期国債)
と、今度は短期国債が現金に変るという話ですな。

そして、実際問題としては国債の償還金が現金でやってくる訳ではないので、どうなるのかといいますと、政府預金の減少となるので、
(政府預金)/(短期国債)
となりますわな。

で、このままだと政府預金の減少分の穴をどう埋めますかという話になるわけで、資金繰りのFB発行すりゃあ埋まりますが、それを放置すると民間が資金不足になりますので資金供給を何らかの形で行う必要がありますよという話な訳ですわな。現状で償還と買入がバランスしているので、今後買入を減らすということになると、その分を短期の資金供給オペで穴埋めしないといけませんので、買入は減らせませんですわなあというのが「輪番は減らせない、というか増額余地あり」というお話ですな。

ってこの話、本職のストラテジストでちゃんとしたレポート書いている人がいるんで、市場の人だったらそれをご参照されるのが吉かと存じますが、まああたくしの頭の整理にここまでつき合わせて正直スマンカッタ。


で、ちと話は変りますが、そもそも論として日銀の公開市場操作(オペ)は現在は「無担保コール翌日物金利は誘導するけど、他に関しては基本的にマーケットニュートラル」というのが原則だと理解しておりまして、その論点から言えば、本当は輪番オペを月1兆2000億とかやって債券市場に入るよりは、長期国債(まあ短期国債でもいいですけど)を償還乗り換えで直接引受やったほうがオペを減らせる上にマーケットニュートラルに近づくと思うのですが、そんなことやったら「輪番減額」と大騒ぎになるので中々難しいでしょうね。

何か昨日の蒸し返しのようなお話で恐縮でした。本当は日銀の金融市場レポートとか色々出てるので、そっちもクリップしておきたかったんですが。。。

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2007/02/01

○国債買入の償還乗り換えに関する件

人のふんどしかつちょっと前のネタですが、本石町日記さんのところから→http://hongokucho.exblog.jp/6405980/

数年前に日銀保有の長期国債の償還乗り換えルールが変更になった時に、「成長通貨見合いで国債保有してるのに、これを現金償還したら償還分の手当てで資金供給しないといけないんじゃないの?」と疑問に思った事がありまして(自分の過去の書き物をサルベージすると見つかるかもしれないのですが、ここんとこ多忙に付きサルベージしてません)、その辺の資金繰りどうなってるんだろうと思ったんですよ。その頃は明快な解説に出会えなくて「?????」感を持ったままだったのですけど。


えーっと、あたくしが下手なりに説明すると、国債買入が名目としては銀行券見合いという話になっておりまして、この銀行券というのは「成長通貨」と言われるように、一時的な出入りの部分は別にして、経済成長に伴い通貨残高も成長する(つまり基本的に減らん)という理屈になっておりますんで、買った国債というのは基本的に根雪のように溜まっていく類のモノでございます。

よって、以前は日銀が保有する長期国債は償還が来るとその分新発長期国債の日銀引受(これは財政法で禁止されてる引受の除外条項)をしてまして、俗に償還乗り換えとか言ってたんですが、償還乗り換えの方式変更に伴い、本石町日記さんのエントリーにあるように長期国債から短期国債に乗り換えた後現金償還(なので1年で償還になる)となった次第。

と、書きますと何となく判っていただけるかと存じますが、本来の理屈から言えば根雪になる筈のモノが、償還乗り換え方式の変更に伴いまして、その根雪ちゃんが気が付けば底の方からドカドカ溶けてしまう訳ですな。簿記で理解していただければ吉なのですが、資産サイド(国債)/負債サイド(銀行券)の資産部分が現金になっちゃうと相殺になる(激しくイイカゲンな説明ですが)訳ですから、その分何かの供給をしないと話が合わなくなるんですな。

で、それを短期のオペでやろうとすると大繁忙資金供給祭りになってしまうのはお判りになると思いますが、現状で日銀保有の国債償還額とオペでの買入額がほぼマッチングしていると本石町さんのエントリーにもありますように推移しとりますので、輪番オペをここから減らすのは短期オペに無駄に負担がかかることになるのでできまへんなあという話になる訳ですな。

でも、長期国債買入に何か深い意味があるかのように金融政策決定会合での議決事項状態になってますし、本石町さんご指摘のように債券市場は需給に関する話に異常にナーバスになる傾向があるので、この額を技術的な理由でいじるときにはその意味するところをかなり詳細に説明しないと物凄い誤解が発生して(というのが面倒なので技術的にいじるのは中々難しいと思う)しまいそうですな。

その実態的な意味は何であれ、世の中(というか市場というか)がそのアクションをどう理解するのかという事が金融政策(だけに限定されないと思いますが)をいじるときに考慮に入れるべき重要な点(でありますので、訳の判らん解説をする不勉強なメディアは罪万死に値するのですけど)だと存じますので、この問題も(別に目先で不具合は発生しませんが)今後どうやって着地させるのかは難しい話でございますなあという感は致します。


#などと本石町さんのエントリーにコバンザメのような話で汗顔至極なのであります。

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2007/01/31

お題「金融政策は事実上CPIペッグだと思うのですが・・・」

正直相場的なネタはあまりないので雑談と人のふんどし。

○あたくしはCPIペッグの事実上復活という説に同意です

昨日は生産指数が強めで消費指数が弱めにでて差し引きチャラというような感じで経済指標自体には反応しなかったような相場なのですが、あたくしが勝手に思いまするに、それよりも本石町日記さんが指摘している「CPIペッグの事実上復活か」という説に賛成してたりします。

説明責任っつーか政府の経済政策との整合性って話になると思うんすけど、利上げに関して否定的になる根拠は物価動向以外は考えられない(というか一時的要因であっさりマイナスに転化する水準で利上げするのはちょっとあの・・)と思うんですよね。政府がそれこそ「個人消費の伸びが弱く」とか言い出したら「じゃあ何で定率減税廃止したのよ」という話(ええもうしつこいですよあたくし)が出てくる訳ですし、基本的に政府の経済見通しは強気で出てますから、物価のノリシロが確保(それが幾らなのかは難しい問題ですがそこはスルー^^)できれば金融政策正常化路線自体を拒否する理由は無いですな。

という事を考えているあたくしでございますので、まあ正直次の利上げはCPIが明確に上を向いてこないとやりにくいのではないかと思うのですけれどもどうなんでしょ。


○為替と金融政策との関係ですが

bewaadさんのところでネタになってた(http://bewaad.com/20070130.html)のですが、毎度お馴染み日経金融新聞2面の「ポジション」欄でこれまたお馴染みの太田編集委員様が「日銀内の利上げ派は為替是正を利上げの方便にしようとしているのではないか」というようなコラムを書いておられたようで。

あたくしの駄文で再三指摘しておりますが、この太田編集委員というお方が日銀関連の記事とかコラムを書くと何か無闇矢鱈と悪意を感じる構成のモノになってしまうという仕様になっておりまして、おまけに日経金融のポジション欄と言えば現場の人が「???」というような記事が多かったりするコーナーで、あたくしの駄文ネタには格好の素材なのですが、これをエライ人が読んで下々の者に「どうなってるんだこれは」と聞かれると誠に遺憾な事が多々ありますんで、などという話はどうでも良いのですが。

この「円安是正のための利上げ」ですが、何ちゃらのトリレンマという話でもあると存じますが、何せ過去には「プラザ合意」という日銀黒歴史(と思われますがどうなんでしょ^^)がある訳でして、為替水準の是正の為に金融政策をいじるというのは筋としてさすがにアリエネーと思います。んなことマジで言い出したらあたくしとしてはいつの間に日本がカレンシーボード制になったのかと小一時間問い詰めたくなりますわな。

で、まあ為替是正するなら当然の如く介入で対処するんじゃないですかと思う(日本がドル売り介入して対ユーロで水準が訂正されないのであればユーロ圏でドル買い介入するんかいな?よー知らんが)のですが、どうもここもと出てくる報道が「G7でユーロ高是正の為に利上げ話出てくるんじゃネーノ」調になっているのが気になるところです。例えば昨日のブルームバーグニュースではこんな話が。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aBPp1MdE4_F0&refer=jp_news_index#

『1月30日(ブルームバーグ):欧州政府の当局者らは来週開催される7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、日本銀行の利上げの遅れが既に下落している円の為替相場をさらにゆがめる恐れがあると警告する見通しだ。ブルームバーグ・ニュースが入手したG7会合に向けて準備された機密文書草案から分かった。(以下割愛)』


で、あたくしの杞憂だと誠に有り難いのですが、ガイアツ様のパワーによって政府サイドが「利上げ容認」姿勢に転じてしまった場合、日銀(というか総裁?)が「こりゃラッキー」とホイホイ乗って利上げに突撃する懸念が物凄い勢いである訳でして(苦笑)、まかり間違ってそんな事になったら、そりゃまさしく「為替是正のための利上げ」という本末転倒も甚だしい話になるのですけれども・・・・ま、んなこたあねえとは思うのですが。

#「円安懸念で利上げをしようとしてる人が沢山いる」かのような観測報道には正直言って悪意を物凄く感じます。この新聞は「市場との対話が出来てない」とか批判してたとおもうんですが、てめーらのそういう記事が市場との対話を阻害してるんじゃねえのかと小一時間。


○少々気になるのはこのあたりでして

ちと古いのですが、CPIを受けた閣僚発言で少々気になったのがありましたのでクリップしときます。

尾身財務大臣の26日会見要旨より
http://www.mof.go.jp/kaiken/my20070126.htm

『物価は、私は、安定していることが一番であって、上がっていくことがいいとは必ずしも思っていません。物価安定なので、皆さんは何となく物価が上がった方がいいと思っている人が大勢いるみたいな感じがするけれども、物価は安定していることが一番なんだろうと。で、じゃあ、物価が安定しているから景気が悪いか、経済が悪いかというとそうではなくて、経済は順調に発展しているという状況ですから、そういう意味では物価が上がる方がいいというのは、何か変だなという感じもするんですね。だから、経済全体は順調な、まあ、石油の原油価格の動向等にも影響されて、いろんな変動がありますけれども、全体としては安定しているんだろうというふうに思っています。』

『だから、弱いというかね、あなた方、上がった方がいいようなことを言っているけどね、私は安定していることが一番いいんで、物価が上がる方がいいというのは、昔の、他の、私この前外国を随分回ったけれども、みんな物価上昇のことを心配しているんですよね。インフレになるのではないかという、今、特に財務大臣とか中央銀行の総裁は心配しているんだけど、日本はちょっと雰囲気が違うんで、何か世界的な考え方とちょっと違うような感じがしますね。』

塩崎官房長官の26日会見・・・・なのですが、官房長官の会見に関してはなぜか知らんが質疑応答部分が公開されないという摩訶不思議な仕様になっています(あたくしの探し方が悪いのかもしれませんが)ので、ブルームバーグニュースの記事から。

(塩崎官房長官は)金融政策について「当然、為替も考慮に入れて判断するのは当たり前だが、それだけで決めるのかというとそれも違う話。あくまでもさまざまな指標を考慮し、先を見通しながら判断していくというのが政府も日銀もやらなければいけないことだと思う」と延べ、為替レートも判断財衣料にして決定すべきだとの認識を示した。(出所:ブルームバーグニュース)

市場はあんまり反応しなかったようなのですが、何かちと妙なものを感じるのは気にしすぎですかそうですか。

#てな訳で本日もまた雑談でした。正直CPI終わったので終了と思ってるのは決め打ちし過ぎですかそうですか(苦笑)

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2007/01/29

お題「須田審議委員記者会見」

PDFファイルで8ページになるのですが、一つ一つオモロイ。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0701b.pdf

質疑の中で多かったのは「フォワードルッキングのスタンス」に関してと、利上げするという人と現状維持の人の差がどこから来ているのかという話でした。まあ当然なのですが。


○須田審議委員の基本的な考え

という訳で、須田審議委員のフォワードルッキングのスタンスについてですが、質疑の3ページ目のあたりからその話です。講演(正しくは挨拶)要旨の中で「先行きのシナリオにある程度確信が持てるのであれば躊躇なく政策変更を検討すべき」という部分があったことに対する質問に対する答えから。

『先行きのシナリオについて、今のところ我々は07 年度まで持っていますが、それは将来のことであり、基本的には確実ではありません。従って、ある程度は、リスクをとる必要があると思っています。』

『そのリスクをとるにあたっては、自分たちの描いているシナリオの蓋然性がどれくらいか――それが何パーセントかということは申し上げられませんが――、そのシナリオの蓋然性は高いが、下振れリスクなり、上振れリスクなりの不安の程度が大きければ、それは今のシナリオにより確信をもてるまで色々と分析等を行うということになると思います。』

『私自身、12 月の決定会合の時期と1月の会合の時期を比較してみた時に、いわゆる標準シナリオが実現する蓋然性はより高まっていると感じたわけです。』

ということでして、そのフォワードルッキングに関してどういう話をしているかというと別の質問に対する答えの部分の方が判りやすいですわな。

『私は先ほども申し上げたように、フォワード・ルッキングであるからには、ある程度のリスクをとって政策を行っていかなければ、利上げが遅れ過ぎるリスクを抱えることになるという思いがあり、物価安定のもとでの持続的な成長ないしは息の長い景気拡大を続けていくためには、ある程度景気の山谷を均していくことが必要になると思っています。』

まあこれはこれで一つの見識だと思うのですが、やはり標準的なシナリオの中に利上げが前提になっとるのがまた話がややこしくなると思うんすけど。「展望レポート方式」だと中長期のシナリオを先に出す形になってしまうので、足元の指標が中長期のシナリオ通りに行かなかった場合に(例えば現在に関して言えば、ちょっと足踏み状態になってる訳ですが)現在のように路線が違ってるんじゃねえのって話になってきて訳判らんモードになるのかと思うのですな。

で、まあこの「中長期のシナリオを出す」(1−2年は中長期とは言わないとツッコミを受けそうですが、笑)というのは経済が動くという事を考えますと、ちょっとリスキーなんじゃないのかなあとあたくし考える次第。経済情勢の変化によってシナリオをちょこちょこ書き換えていたら「何だか安定しませんな」って感じになるし、かと言って「シナリオ不変」を貫いたままでいると以前の判断に縛られてしまい、判断を変更するタイミングが遅れる結果になりかねないということで。

まあ「新たな金融政策の枠組み」をやって見ましたが、市場との対話という点で齟齬が発生してますので、枠組み構築を見直すということでご検討されるのも宜しいのではないかと思うんですよね。結局「物価安定の理解」が数値目標っぽく見えるのに、実はターゲットじゃなくてアンダースタンディング(??)であり、政策は総合判断っていうのはやっぱ判りにくいと思うのですよね。


○市場との対話がどうも上手く行ってませんがという話

市場との対話についての質問に対して。

『今回私がこのようなテーマでスピーチをしたのも、情報発信力を少しでも高めようとする努力の表れです。ただし、対話の再構築ということではく、私自身としては、新たな金融政策運営の枠組みがまだ理解されていないとの思いが非常に強かったため、この点についても本日お話させて頂きたいと思いました。』

先ほども申し上げたように、あたくし思うに展望レポートの作り方を変えてみたほうが良いのではと。正直金融経済月報だけで十分であって、第1の柱とか第2の柱に関しては決定会合の中で議論してくれれば、それが議事要旨という形で出てくるので(よって、議事要旨が次回の会合前に出てくれると良いのですが)、それで判断できると思うのですけど。判りやすくしようとする中で色々なものを盛り込んでしまったので、ポイントが見えにくくなっているという面があると思うんですよね、今の金融政策の枠組みって。

#ポイントを曖昧にすることによってフリーハンド確保なんてことはまさか考えてないと思うが・・・・

『この考え方をしっかり共有してもらえれば、もう少し対話しやすくなるのではないか、あるいは枠組みが共有財産となっていない中ではなかなか対話も難しい、と判断しました。この点は私も反省するところであり、もう少ししっかりとこの枠組みについて情報発信してくるべきだったと思っています。』

率直に申し上げまして、多分須田審議委員のご説明でも枠組みへの理解は中々進まないと存じます><;


○利上げ派と現状維持派の距離について

その距離はフィロソフィー(哲学)の違いからきているのではないかという質問がございまして、それに対する須田さんの答え。

『フィロソフィーの違いと言われると、何ともお答えできませんが、金融政策決定会合で議論する上で、そもそもの考え方という点で議論するのに困るというようなメンバーがいたことは一度もなく、それがフィロソフィーの違い――定義はわかりませんが――という感じは一切持っていません。』

とは仰っていますが、どうも微妙に違うような気がするんだが・・・

『私自身の感覚としても、先行きの見通しについての確信度合いは皆さんそれぞれであって、それぞれのメンバーが経済全体として何か特定の指標をみて判断されるということではないため、新しい指標が顕著に良くならないと考え方が変わらないというわけではありません。もともと持っているのは標準シナリオであり、これを確認するためのデータがもう少し欲しいという人と、もうこれでOKという人の差ですから、私としては先行きのこと(引用者注:ここで言ってる先行きのこととは、慎重派の意見が1〜2か月で変わるのかという事に関してです。質問を引用してないので文脈から読み取れないですね)は全くわかりません。』

「標準シナリオが確認できない」というのは要するに「シナリオ通りに行ってません」って話のような気もするんですけど、一度書くと中々ホイホイと書き換える訳にも行かんので、先ほどと同じ話になりますが、金融経済月報でやった方が良いと思うんですよね。現状判断と先行きをどうせ月報で書いてるんですから・・・・


○原油価格に関して

以前は「原油価格上昇の背景には投機があるが、根本には世界経済の拡大があるのでCPIの判断には原油も含めるのが適当」と言ってた点について須田さんの答え。

『次に、原油の問題ですが、原油取引にはもともと投機的な部分がありますが、その一方で、NIEs、加えてASEANといった新たなアジアの力、経済の発展のもとで、原油等の需要は基本的には増加していきます。また、世界経済が拡大していく前提のもとでは、先進国の原油需要も増加し、その中で原油価格は上昇基調にあると思っています。その意味では、それを物価の一つの力として捉える必要があると思っています。』

『ただ、どこまでがトレンドで、どこまでが投機的なものかわからない面があり、振り返ってみれば、最近原油価格が急激に落ちたのは、投機的な部分の影響があったと判断しています。そういう意味では、考え方が変わったということではなく、もともと実体経済の強さを反映したものである限りは、それは物価に反映されて、それを含んだもので良いと思っています。ただし、一時的な要因で動きがあったとわかった時には一時的だという判断をした方が良いと私は思っています。』

何か判ったような判らんような話ですが、そうすると一時的だという判断になった部分で行った金融政策に関しては是正をするべきという結論になるように思えますが(^^)。

結局ですね、色々と物差しを出してくる中で、その時の政策運営に都合の良い(というか日銀様の標準シナリオに都合の良いと言うか・・・・)ものがホイホイ出てきて、都合が悪くなるとあっさり引っ込めると市場から(市場以外からもだと思うが)思われている時点で対話が上手く行っとらんと思うんっすよね。

・・・という訳で、本日は須田さんの記者会見のご紹介なんだかあたくしの金融政策雑感なんだかよく判らん展開になってしまい誠に汗顔の至りでございます。こんなところで。

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2007/01/25

○ロジックの再構築が必要なのではないかと(考え中のネタ編)

小見出しにあるようにまあ考え中の話なんですけど。

昨日ご紹介した12月の決定会合議事要旨からあたくしが読み取ったのは「利上げすべき」というのと「現状維持すべき」という間にはロジックにギャップが出てきてるんじゃないかという所なのですが、展望レポートで示されたロジックの「第2の柱」というのがフォワードルッキングだということなのでしょうが、ここの位置づけがどうも曖昧なあたりでロジックの分裂が起きている(と思ってますが、見たてが違うのであればゴメンナサイ)のではないかと思います。

それともう一つ思いつく論点としては、展望レポートにあります「先行きの経済見通し」でありまして、政策委員メンバーの先行き見通しを公表してる中での前提となる将来の政策金利が「市場が織り込んでいる将来の政策金利推移」という風になっているあたりは再考の余地があるかなあという所。その結果として「日銀の見通しが利上げを前提にしているので、利上げをしないと論理的に変」という本末転倒な話になってしまう訳でして、ここの所は展望レポートでのロジックが「利上げを前提にしている」のがどうなんでしょうねというのに繋がる話ですわなあという感じ。ま、自分でぶち上げたロジックで自分に妙な縛りが出来てしまうと言う点では自業自得プギャーでもあるのですが、この際その辺も再構築した方が良いんジャマイカって思うのでありました。

この件につきましては以下続く、というか思いついたらまた書いてみますが、こればっかりは一人でひねもす沈思黙考しててもしょうがないので色々と議論しないといかんでしょうな。


○ところで須田審議委員の講演がありますが

タカ派というか金利調整派の人ですので、そうじゃない内容だとサプライズですが、順当な内容だったら別に市場へのインパクトは無さそうですな。この手の発言というか講演で注目すべきなのは旗幟不鮮明な人たちの物だというのは基本中の基本ですわな。

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2007/01/24

お題「正常化VS足元重視の香り」

12月の決定会合議事要旨が公表されましたのでその辺りから。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g061219.pdf

まあ今回の注目は利上げ云々に関する議論はどうだったのよという所ではないかと思うのですが、市場の反応的にはあまり新味ありませんなあという感じだったのかなと思います。でもまあ色々考えさせられる(というか考えると頭が混乱してくる^^)ネタなのでこのあたりを。

本文8ページ目(PDFファイルで9ページ目)からが「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」でしてそこから。


○この辺は正常化路線っぽいお話に見えますな

『この間、一人の委員は、次回会合における展望レポートの中間評価で、経済・物価情勢が展望レポートで示した見通しに沿って展開していく蓋然性が高いと自信を持って判断できるのであれば、政策変更を行うべきであると述べた。』

『複数の委員も、金利調整を急ぐ必要はないが、経済・物価情勢の見通しがより確かなものとなれば、1月会合以降の適切なタイミングで、異例の超低金利からの調整を進めることが適当であると述べた。』

恐らくこの中の委員が1月会合で利上げ賛成に回ったんでしょうなという事ですが、ここの発言(の要旨)から読み取れるロジックはそもそも日銀が展望レポートなどで示しているものですな。で、「異例の超低金利からの調整」ってありますように基本的には「正常化路線」がクローズアップされているような印象を受けます。

「異例の超低金利から」中立金利への調整を徐々に行うというのはグリーンスパンがやってたメジャードペースでの金利調整と同じような話だと思いますが、このロジックを量的緩和解除直後に持ち出した水野審議委員は余計なことに中立金利水準の数字をやたら高い数字を言ってしまって物議をかもしてその後中立金利水準の話が持ち出しにくくなってますが、まあ12月要旨のこの部分を見ますと「メジャードペースでの正常化」論をちゃんとするようになってきましたなあという感じ(まあ元々の展望レポートなどのロジックを突き詰めるとそうなるのですけど)。

じゃあ現在の経済状態が「メジャードペースでの金利正常化」に着手するタイミングなのかというとこれまた議論になりそうなのですけれども、展望レポートでの見通し不変とすればそのタイミングですって話になっちゃう訳でして、まー昨年4月の威勢の良さげだった景気状況で威勢良くぶち上げた展望レポートが却って重荷になっておりますな、合掌。

もう一つですが、後半の発言にあるように、利上げに関してそもそも『金利調整を急ぐ必要はないが』『1月会合以降の適切なタイミングで』という風に述べられていることでして、この点はあたくし従来から受けていた印象と合致するのですけど、もともと日銀的には利上げにそんなに前のめりな訳ではなく、「まあ年度内のどこかで金利調整をするタイミングがあるだろうからそこで次の調整でしょうなあ」ってなのんびりした感じだと思う次第でして、まあその印象を裏付けているようにも読めますが、それはあたくしの印象が正しかったと勝手に喜んでいるためにバイアスが掛かってる可能性もありますので念の為。

ということで、12月の時も今回もそうですが、「今回利上げできないともう当分利上げ全然ムリムリですよ」という話になってくるのは、(特にガイジン様から見て)理屈としては判りやすいのですが、どっちかと言うと「まあどっかのタイミングでやるんじゃないですかねえ」というファジーな考えで構えてた方が良いような気もするのでした。後は経済物価情勢次第でして、据え置き長期化観測で為替や株価に影響が出るとまあそれが経済物価情勢にも影響が出てきてって話になるとは思いますが、何せ市場は極端から極端に振れやすいっすから。


○足元重視だと展望レポートと話の整合性が・・・

さて、ではまだ据え置きの主張はどうなのかと見ますと・・・

『別の複数の委員は、政策金利の調整を進めていく際は、経済・物価見通しを巡る不透明感がある程度晴れるまで、様々な材料を丹念に点検し、タイミングを適切に見極めていく必要があると指摘した。』

こちらの意見は先ほど申し上げた話を敷衍すると、「現在はまだメジャードペースの金利調整をする段階には至っていない」という意見になるかと存じます。でもこの主張するなら展望レポートの書き方を変える必要があるんじゃないですかねえと思うのですが。

というのと、この主張だとフォワードルッキングというよりはデータ重視の時間軸に近い話になってくると思うのですが、結局のところ量的緩和解除の時に出された「物価安定に関する理解」と展望レポートでの「フォワードルッキングによるメジャードペースでの金利調整」という話が現在の物価情勢だと不協和音を起こしている為にロジックがワケワカランというか混乱しております(混乱してるのはあたくしの頭の中だけかもしれませんが)なあという所なのではないかと存じます。

例えばの話、CPIが前年同月比+1%くらいで推移していて、その中で中立金利への調整をするからメジャードペースで中立水準まで利上げするって話ならまあ(CPIが+1%の時に中立金利って幾らなのよという話はありますがその話をしだすとあたくしの手に負えないので華麗にスルー)話として両立しそうな気もするのですが・・・・


1月会合後の総裁記者会見で総裁様が賛成票と反対票の間の「意見の違いはほんの僅かですよ」と言ってましたが、どうも12月の議事要旨を見ると、意見の相違は表面上はタイミングの問題かもしれないけど、その中身は正常化路線VS時間軸という内容になっているようにも読めます(もちろんあたくしの勝手な誤読かもしれませんけど)んで、結構これは1月会合記事要旨をとっとと公表してくれと言いたくなる所ですな。

というか、議事要旨次回の会合前に(2回ある月は仕方ないけど)議事要旨を公表してくれると誠に有り難しと申しますか、ここまで思惑で大盛り上がりしないんじゃないですかと思うのですけど、ご検討あられると誠に幸いでございます。


以下クリップ

○バーナンキ氏、経済成長だけで財政赤字問題は解消しないと語ったような気が

ちと古いネタですが、利上げ騒動のどさくさでスルーしてしまったのでクリップだけととりあえずしておきます。このままだと忘れちまいそうでございますんで。

18日の上院予算委員会(と言うのか?)での議会証言。

http://www.federalreserve.gov/boarddocs/testimony/2007/20070118/default.htm

の中盤。1段落丸々引用しちゃいますので、途中で段落分けします。

To some extent, strong economic growth can help to mitigate budgetary pressures, and all else being equal, fiscal policies that are supportive of growth would be beneficial. Unfortunately, economic growth alone is unlikely to solve the nation's impending fiscal problems.

Economic growth leads to higher wages and profits and thus increases tax receipts, but higher wages also imply increased Social Security benefits, as those benefits are tied to wages. Higher incomes also tend to increase the demand for medical services so that, indirectly, higher incomes may also increase federal health expenditures.

Increased rates of immigration could raise growth by raising the growth rate of the labor force. However, economists who have looked at the issue have found that even a doubling in the rate of immigration to the United States, from about 1 million to 2 million immigrants per year, would not significantly reduce the federal government's fiscal imbalance.

ドラめもん仮訳すらつけずにクリップしておきますが(手抜き)、後日追記予定。要するに「財政赤字削減努力をされたほうが宜しいのではないでしょうか」というのが趣旨なんですかこりゃ。(引用の前段落で財政赤字に警鐘をならしておりますんですよ)

(1月28日追記)
本件のインプリケーションは色々とありそうですが・・・・
1.バーナンキ氏が「越権行為発言」を出来るほど信認を回復している
2.実は氏はコストプッシュのインフレが発生するのをかなり懸念してるんじゃネーノ?
3.「成長すれば増税無しで財政再建」と言ってる上げ底上げ潮路線プギャー

特に3.については上げ潮マンセーな人たちが本件に全然触れないあたりに怪しいものを感じるわけだがw

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2007/01/23

お題「2月利上げ警戒感も盛り下がってまいりました」

○オペ金利などは「決定会合越え」も気にせずに

昨日の市場もブルスティープ、というか20年とか30年とか(特に30年)弱くて前日比利回り上昇してる向こうで、2年5年がレート低下という状況。利上げに時間がかかる→将来の時点で必要になる利上げがより大きな幅になる→中短期金利低下して超長期上昇。。。という風に後付け理屈を並べることはできますが、まあそんなことよりも中短期(特に2年とか)は買いというか踏みじゃねえのという圧力が強くて、長期投資というか安定持ち切りに近い人が多い超長期ゾーンは金利が下がると買いの手が引っ込むという需給要因だと思いますが。

昨日も引け後に金先が上昇(期先の上げ方が目立った)してたり、2年ゾーンの買いというか踏みパワーも大変なもんで、0.72%などと威勢良く上昇してるんで、まあ海外なのかなあと勝手に想像しておりますよ。今般の利上げするのしないので実は一番振り回されてたのって海外勢なんじゃねえのかという気が思いっきりするここ数日の流れなのでした。

と、小見出しと全然違う話が延々と続きましたが、昨日の短期オペあたりの金利。昨日は24日スタートの短期オペが行われたのですが、共通担保本店オペの2月15日エンドが平均0.327%の足切り0.32%で、国債買現先オペの2月26日エンドが平均0.325%の足切り0.32%となっておりました。国債買現先と共通担保オペの金利を単純比較するのもちとざっくりの話にはなりますがまあそこは兎も角として、2月の決定会合は20日、21日に行われますので、この2本のオペ金利レベルが似たようなもん(一般的に国債買現先の方が共通担保よりも低めに出る事が多いので実質的には期間の長い買現先のレートのほうが若干高いと思われるが)だというのは「2月決定会合への警戒をしたレートで資金をわざわざ取りに行くこともあんめえ」という状態になってる事を意味しますわな。CPの1か月もの(決定会合越え)も最上位格で0.4%は楽勝で割っているようですし(とは言え3月期末越えは0.5%台ですんで、資金運用サイドはまだ利上げへの警戒(運用だから期待)は根強いですけどね)、とりあえず12月決定会合終了後と同じ状態になったようですな。


○日銀の金融市場レポート

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/mkr/mkr0701a.pdf
半期に一回のペースで出てくるのですが、こういうのを金曜の午後に出されますと、週末に読むのには良いのですが、うっかりエライ人に見つかって「このレポートのここについて教えてくれ」との質問攻撃が来ると大変なことになるという説も(笑)。

ページ数は14ページになりますが、図表などが多くてまあ知ってる人にはあっさり読めるし、あまり馴染みの無い人でも読みやすいのではないかと思います。何せこのレポートは日銀様が良く出されるペーパーと違いまして難しい数式が1つも出てこないという誠にありがたいお話。

で、最初のページにサマリーがあるのですが、短期金融市場の機能回復がまた進みましたよでもまだまだ課題はあるねというのがまとめだとは思うのですが、こちらであまり強調されてない論点について少々。

レポートの中では市場間の裁定が徐々に進んできているという話になっているのですが、実感としてはまだまだ歪みまくっているという気はします。その最大の原因としてあたくし思うのは何と申しましても大手銀行(というかメガバンク)様が機動的に動かないことでして、最も売り買い(資金の出し入れ)をしやすく、その体力もある人たちが市場間分断モードから中々脱却できていないなあと思うのですよね。

と、大手銀行様に悪態つくわけですが、メガバンクの立場を思うと同情すべき点も多々ございまして、何せ市場に対するメガバンクのシェアがでかすぎなので、自分達のマーケットインパクトがでかい(昔のように上位行同士での打ち合いとかができない)こととか、商品ごとにセクションが分かれてて機動的に動きにくいとか、まあ市場という観点からすると、参加者のメガ化というのは市場機能の阻害要因でございますわなあという感じでございます。んあ訳で悪態をついても解決しない部分というのがあるとは思う。

それから、今絶賛話題のOIS取引なんですが、やたらBOJタームの取引ばかりが出来てるようでして、あたくしこの前も申し上げましたが、BOJタームのOISって要するに次の政策金利の当てっこですがなとおもう(当てっこと言えばこれは合百とどこがどう違うとか言うと総スカンを食らうのでそのようなことは言ってはなりません^^)次第でして、短期資金取引のヘッジ目的で入る人たちが増えてくる前にロットだけでかくなちゃうと、金先同様にバンクALMと巨大ポジションを振り回すディーラー(のような人)の特殊格闘場になっちゃうんジャマイカと少々懸念。

「日銀様も注目してる」とか言うと、じゃあ市場の見方をここで出してやろうじぇねえのと振り回しだす人は世の中にいます(参加者が薄いと特に)んで、あまりそういうこと(どの市場を注目してるとか)は名言しないほうが宜しいのではないかと思うのですけどね。もちろん現場の人たちは色々なレートを見ながら「総合判断」して「市場の考える先行き金利見通し」を見てると思いますが。

あとまあ有担保コール取引がバーゼルUの関係でややこしい話になるらしいというのをちと聞いた(というか年末にペーパーが出てた)のですが、有担保取引の拡充をどうするのという話は本編でも触れられてますが課題ですなあという話とか、オペ先以外の参加者の話も一つお願いしますとか思いつくことは少々あるような気もしますが、気が付けば時間が無いので本日はこの辺で勘弁してください。

ま、このレポートは17ページなので一瞬読むのを躊躇しそうになりますが、先ほども申し上げたように図表を駆使し、難しい計算式とか全くございませんので、短期市場に興味のある方にはマジでお勧めです。

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2007/01/22

お題「総裁記者会見」

捏造ばれたら売れ残る、
ハイッ!ハイッ!ハイ!ハイ!ハイ!

・・・スーパーの納豆売り場における土曜と日曜の風景の余りの違いっぷりに思わず爆笑を禁じ得ず、某テレビ番組を鵜呑みにして踊らされる連中プギャーとか思ったのですが、ふと思えば今般の利上げ騒動で市場の人たち(あたしも含む^^)や外野の皆さんは気持ちよく踊りましたので納豆に群がった人たちを笑えませんな、あっはっは。

#中川幹事長の「提案」に関しては趣旨にどうもきな臭いものを直感的に感じるのですが、とりあえず保留(てか書いたものを全部消したんですが)。まあいずれにせよ権力はそれが強大であればあるほど行使は慎重に行うべきであるというのがあたくしの基本思想なもんで辛口バイアスはかかりますな

と、いう前置きはともかくとして総裁記者会見。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0701a.pdf


○フォワードルッキングとは

金利を引き上げるべきという提案も出たようですが、さて利上げすべきの人たちと据え置きの違いはいずこということでして・・・・

『経済・物価情勢の変化をこれまでのシナリオに照らしてみた場合、少なくとも現状を出発点として先行きをみた場合、生産・所得・支出の前向きの好循環なメカニズムが変わっていない、その蓋然性が高いという点では一致しています。しかし、さらに追加的に情報を蓄積し分析を重ね、全体を再構築してその判断をより確かなものにするために、さらに丹念に今後の見通しを追求するかどうかという点で、もう今回でその判断は十分できるという方と、さらにもう少し丹念に検討を加えようという方との差ということです。そういったところから差が出ているとご理解頂ければと思います。』

ということは、利上げの人はフォワードルッキングという話なんでしょうかという質問が出てくる訳で、次の質問でこんなくだりがありました。

(これは質問の一部)『今のお話だと、フォワード・ルッキングという基本方針と、足許を丹念に点検するといういわばバックワード・ルッキングとの整合性について、日銀の外部からみると、その都度その都度、日銀の主観的な判断で優先順位が左右されているのではないかと受け止めてしまいます。』

で、もうその答えが落涙モンですな。長いので抜粋。

『フォワード・ルッキングなスタンスには、いささかも揺らぎはありません。記者会見の場でも何回かお答えした覚えがありますが、フォワード・ルッキングは、手前の指標を一切無視してただ遠眼鏡で先々を想像によって判断するということでは絶対にありません。』

『市場でも個々の指標をみながら様々な判断が形成され、あるいは実際に取引をされる場合にも、先々の経済を直接写し出す経済指標があるわけではありませんので、市場参加者も結局は私どもと同じ思考経路を組み立てながら、将来の経済を予測し、決断をもって様々な取引をしておられます。私どもの姿勢と市場の姿勢が基本的に異なっているわけではありません。』

『私どもがスケジュール感をもって政策行動を予定していることはなく、その点について示唆的な情報を日本銀行から一切差し上げていないことも事実です。そこは市場参加者自らが判断されることで、そこには明確な峻別があると思います。』

まあいつもの公式見解ですけど、どうも分裂気味の回答ですな。


○CPIと金融政策

これまた厳しい(というかまあ普通は普通ですが)ツッコミが。

『総裁の今のお話と、本日の展望レポートの中間評価を拝見していると、かなりの方が追加利上げの環境はもう整っているのではないかという印象を持つのではないかと思います。さらに丹念に点検を続けていくとすれば、総裁は、どのポイントに焦点を当てて今後点検していくのでしょうか。例えば、CPIも、今後原油の動向次第では一時的にマイナスになるのではないかとの予想が出ていますが、例えば単月でマイナスになるような事態になれば、追加利上げは困難になってしまうといったことが起き得るのでしょうか。現在、市場は総裁が何をご覧になって政策を判断しているのか、非常に分かりにくくなっている状態だと思いますので、是非説明をお願いします。』

で、まあ説明は当然の如く長いので抜粋するのですが・・・・

『繰り返しになりますが、何か特定の指標が出れば、あるいは、特定の指標が強ければ即政策判断に結びつく、ということではないという点を、もう少し市場関係者と私どもとで理解を共有したいと思います。』

『CPIのことをおっしゃいましたが、CPIの数字的な伸び率が仮にある程度下がった場合に、このインプリケーションは、数字としての物価上昇率が低くなったから利上げが遠のくというような単純なものではありません。』

とはいえ、CPIが前年同月比ゼロとかマイナスとかって話をしてる時に利上げをする中央銀行っつーのもそれはそれで変な気もしますけどね。BOEは確かにCPIがインフレ目標レンジの下にいる時に利上げしましたが。

『原油の値段が上がったら経済は悪くなると心配しますが、原油の値段が下がったらやはり心配するのでしょうか。そうではなく、原油価格が上がった場合にも下がった場合にも、将来の経済に対しては様々な角度から再構築してみないと本当の姿はわからないという部分があります』

原油の価格が上昇してCPIが上昇した時は「この上昇が一時的なものなのか継続的な上昇定着になるのかという事を考えないといけません」っていう話をしてたような気がするんですが・・・・・


○ロンバートだけ引上げることあり得るのかな??

補完貸付金利に関しての質問がありまして、その答えの中で。

『当初のように市場参加者がいつも資金の取り入れに不便を感ずるという状況がだんだんなくなってきて、出し手、取り手相互間での資金のやり取りもかなり円滑になってきていると感じています。そういう意味で、今の0.25%と0.4%というレンジの中で市場機能の回復、向上も徐々に進んできたと思っていますが、この0.25%と0.4%の幅が今後とも適当かどうかということは、引き続き検討課題として残しています。』

まあ日銀渾身の金融調節によって足元金利はあまり跳ねない(積み前半が高くて後半が低いとか何だかなあって部分もありますが)ようになっておりますので、ロンバートだけしらっと上げておいても別に問題ないとは思うのですが、そもそもロンバートの位置だけ変えることはありませんとか7月に言ってたのは総裁だったような気も。

まあ次回の利上げ(いつだか知らんが)で幅を広くするって意味での話だとは思うのですが、この言い方だと利上げの前にロンバートの「正常化」(?)をしようという話なのかも知れず。



○事前協議とか圧力とか

これは当然とは言えキツイ質問。

『民の関心も高いですが、今回の金融政策決定会合前に政府・与党の間で、利上げするのではないかということについて反対意見がかなり出ました。一部市場関係者の中には、今回の政策維持が政府・与党からの言わば圧力というか、そういうものに対して何らかの配慮もあったのではないかという思惑も出ています。こういった見方について総裁自身はどのようにお考えですか。また、日銀の独立性について改めてお伺いします。』

んでまあ回答は長いのですがまたも抜粋。

『思惑は思惑であり、思惑に対してお答えする立場にありません。繰り返し申し上げれば、今回の決定も従来と全く同じであり、経済・物価情勢を丹念に点検した上で、かつ委員の間で十分議論を戦わせて最終的には多数決で決まったということです。そこに経済・物価情勢の判断以外の要素が入り込む余地は全くありません。それ以外の要素を入れて議論した形跡は全くないということです。』

いやあ実に心のこもった回答です(棒読み)。

『つまり私どもの判断と責任において適切な金融政策運営に努めて参る所存です。判断誤りなきを期し正しい政策を行っていくということが、日本銀行の独立性に対して国民の皆様から信を置いて頂ける結果につながり、それ以外にそこにつながる道はないと思っています。』

まあそういうことで、トラックレコードを積み上げるしかない訳でして、もうちょっと慎重にやっていただいても宜しいんじゃないでしょうかと思うのですけどね。

別の質問でTBS報道について質問されておりますわな。

『色々な報道がされましたが、直前の週明けに、政府の方に今回利上げをしないという連絡があったという報道が一部でなされています。それに象徴されるように、市場としては、今回の一連の色々な騒動といいますか、結果についても非常に日銀に対して不信が渦巻いています。こういう不信に対してどのようにお答えなさるか、お願いします。』

『今週になって政策措置をしないと日本銀行から連絡したというのは、全くの事実無根です。こういうことで日本銀行に不信感を持たれるのは非常に遺憾なことです。事実がないということですので、私どもの方からは如何とも仕様がありませんが、そのような事実はなく、何も連絡はしておりません。』

まあ雲の上の人同士の間でどういう話をしてるのかは存じませんが、全くの事実無根だというのであれば、例のTBS報道は日銀法によって定められている政策決定プロセスに対して不信感を激しく呼び起こす内容であり、強い言い方をすれば国益に反する国賊的報道であると存じますが、如何とも仕様がありませんとはこれいかに。


○審議委員の票が割れる場合の話続き

質疑の後半では審議委員の票決が割れたことに関して、現状維持派と利上げ派の意見の相違について個人消費、物価、経済のグランドデザインなどについてどのような議論があったのかという話が多くて、これもまあ読んでてオモロイのですが、「大きな差はないんですよ(><;)」という回答に終始している印象を受けました。最初に引用した部分と同じような話を手を変え品を変えしているようですので引用を割愛しちゃいますが、気が付いたらまた書きますね。

で、票決に関する質問が最後の方にもありまして、審議委員の票が2対4になったりしたらどうすんのよという問いに対する総裁の答のまたまた抜粋。

『今回はたまたま総裁、副総裁の3人は現状維持の方向で揃っておりましたが、理論的に言えば、この3人の意見が違うということも将来的にはあり得ます。従って、執行部であるとか、その他の審議委員であるとかといった色分けなしに議長としては公平に議論をさばいていきたいと思います。』

『本日のように結果的に意見が分かれる場合があると思いますが、究極の場合には4対4に分かれます。その時には最終的に議長が決めなければなりませんので、私自身判断をいっそう研ぎ澄ましながら臨んでいかなければならないと思っています。』

ということで、まあ外から見れば票決が割れた方が色々な意見が出てるというのが伝わってきて面白いんで、今回の議事要旨をワクワクしながら待ちたいと思います。執行部の票が割れたっていいじゃないかかいごうだものって感じですな。

#引用が多くて恐縮でございました

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2007/01/19

お題「金融政策決定会合であれこれ書いてみる」

まあドタバタ劇場だと思えば随分と楽しませてくれましたな。さてどこから逝きましょうか。

#福井総裁会見まで手が回らないと思います。総裁会見で為替とか債券先物とかがやたら反応してましたが、ヘッドラインだけ見てると何でそんなに反応するの?って感じなんですけれども・・・・ま、ガイジンの考えることは判らん


○金融経済月報は実は12月とほぼ同内容なのです

金融経済月報の基本的見解が本日公表されまして、その中に展望レポートの中間レビューもございます。で、中間レビューでの現状判断部分の下振れが当たり前のように注目されるのですが、ふと冷静に月報を読んでみると、12月と判断を殆ど変えていないことに気が付くのでありました。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0701.htm(今回分)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0612.htm(12月分)

でまあ、この2つの文書を紙にでも打ち出して比較すりゃいいのですけれども、経済の見立てに関わる部分で前月と比較して表現に変化があるのは2箇所だけでして、そのうちの1箇所は短観を受けた企業業績に関わる表現ですので、実質的には1箇所を直したに留まっております。

その箇所は国内企業物価の現状判断部分でして、このようになっております。

『国内企業物価は、国際商品市況の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて弱含んでいる。』(今回)
『国内企業物価は、原油価格の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて横ばいとなっている。』(12月)

ということで、現象というか事実に関わる部分に関して弱含みという表現をつかっておりますが、他の部分に関する記述は物の見事に12月の判断を踏襲した形になっております。

で、下振れだの弱含みだのという話は中間レビュー部分にございまして、こちらはどのような表現を使っているのかと申しますと・・・・・

『わが国の景気は、昨年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」に比べて、これまでのところ、天候要因等一時的な下押し要因もあって個人消費を中心に幾分下振れている(注)。』

ご丁寧にも注記がありまして、そこを読むとこう書いてあります。

『(注)成長率の下振れについては、2005年度計数が確報化により下方修正されたことに伴い、2006年度への発射台(年度中の各期の前期比伸び率がゼロであった場合の年度平均の前年比)が0.3%ポイント縮小したことも影響している。』

ということで、「下振れしているけれども、それは一時的な要因です」と主張しておいででございますので勘違いの無い様にしたいものです。

『先行きについては、生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持されるもとで、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ということで先行き判断は不変ですという少々アクロバットな形になっておりますが、要は「今の状況は一時的要因」だと言いたいのでしょうな。はいはい一時的要因一時的要因。

『物価面では、国内企業物価は、原油価格反落の影響などを背景に、「見通し」に比べて幾分下振れるものと見込まれる。この間、消費者物価は、「見通し」に比べて、これまでのところ、原油価格反落の影響もあって幾分下振れているが、先行きは、「見通し」に概ね沿って推移すると予想される。』

ということです。総じていえば、決定会合後に出てきた文書ベースでの発信を見ると「とは言っても相変わらず強気の旗は降ろしません」という雰囲気が伝わってくるなあというのは何となく理解した。



○票決が割れたのは本来あるべき姿ではないかとも思いますし

えーっと、6対3と言うことは正副総裁が議長提案に賛成するのですから残り3名の審議委員の票が綺麗にスプリットということで両論分かれて喧々諤々っぽくていいじゃないですか。というか反対3票で短期はともかく債券先物がスルスルと売られたのはナンノコッチャでございますけれども、まー「1月無ければ当面無い」というのも理屈としては判らんでもないので、その期待がちょっと剥がれた分ということでしょうかな。何か判ったようなわからんような話だが。

そもそも論で考えますと、前回のゼロ金利解除がそうですが、その直前まで全員一致で現状維持で、1か月経ったら全員一致で政策変更なんていう方が気持ち悪いこと夥しい(量的緩和解除の時は当座預金残高目標引下げ提案という形での反対はありましたが、解除すべしという反対提案は出ていないので、まあ似たようなもんですわな)わけですがな。票決が毎度毎度割れまくるのが仕様のような中央銀行はあちこちにある訳でして、これはこれで良かったのではないかと存じます、利上げの是非はさておいて。

というかね、12月に全員一致だったのが理解に苦しむ訳でして、まあこの票決差が動くことによってボードメンバーの意見の推移が判って、「ボードメンバーの見方」が発信されるというのが本来の「市場との対話」の一つなんじゃないですかねえと思います。それから、正副議長の票が毎回一致するというのも変な話で、執行部が自動的に3票持ってるというのも何なんでしょうねと思うのでした。

#というか「政策変更は全員一致じゃないと説明責任が云々」とかいう論調を時々見るのですが、それはちょっとおかしくねえかと

まーあまり頭数を絞るのも何なんでしょうが、執行部3票っての止めて議長1票+審議委員3人にして、2対2の場合は今回は決定事項無し(なので事実上は現状維持)ってのどうかな何て勝手に妄想してみるテストなのでした(あくまでも咄嗟に思いついた妄想ですが)。


○これは酷い

今回もまた決定会合中にNHKが「今回は執行部からの利上げ提案はなかった」というようなフライング報道をしてて、どういう根拠でそういう報道をしてるのかと話題になってましたが、それよりもTBSが凄い事を放送してるぞって話題沸騰になったのはこのニュース。

http://news.tbs.co.jp/20070118/headline/tbs_headline3472551.html
日銀、「利上げ見送り」事前に政府側に
『(前半略)こうした中、日銀は、今週初めまでに、政府側に対して「今回は金利の引き上げを見送る見通しである」と非公式に伝えていたことが、JNNの取材で明らかになりました。(以下略)』

ニュース映像もリンク先で見れますので拝聴しましたが、どうもこの内容の重大性を認識して放送しているような雰囲気は1ミリも見受けられませんで、これを世の中では俗に「知らぬが仏」と申します(または放送禁止用語を使用した諺もありますが自主規制)。しかし「金融政策劇場1月公演」の締めを飾るのには誠にふさわしいというか花を添える実に香ばしいニュースでございました。

えーっと、まあこちらの駄文をお読みの皆様には先刻ご承知かと存じますが、これが事実だとするともう無茶苦茶なお話でございます。従ってこれはもう徹底的に誤報として華麗にスルーし続けるものと思われますが、こんな巨大な釣り餌には釣られない事にはあたくしの沽券にかかわりますので釣られて見ますよ。

報道が事実だった場合(絶対に誤報扱いになるに100福井)の問題点としてはまあ色々とありますが、何といいましても日銀および政府は「金融政策決定会合を何だと思ってるんでしょうか」という事でしょうかな。審議委員をコケにした話もいいところで、これじゃあスリーピングボード+マル卓時代に逆戻りですかそうですかって感じで、中原伸之さんが著書「日銀は誰のものか」で指摘していた「旧法時代に先祖帰り?」という現象ではないでしょうかという所でございます。次回の会合で審議委員の皆様におかれましては全員揃ってどんな提案であっても議長提案に反対されることを強く推奨致します^^(冗談ですよ、じょうだん)。別にマル卓ならマル卓でも結構なのですが、独立しているようで独立していない機関なんて責任の所在が一番ワケワカラン無責任な話ですから、まあちゃんとしていただきたいものですな。あ、報道は誤報ですよね(爆)。

で、報道は誤報なのでしょうが(笑)仮に事実だったとして話を続けると、「今週初めまでに」非公式打診があったということは日銀法改正まで持ち出してしまい、「与党からの圧力」を強く印象付けた中川幹事長(巨大与党の幹事長という立場は「日銀法改正」をする力があるものと見做されるので、他の与党議員が発言するのとは重みが違う)の発言は、もしこの経緯を知ってて言った(日銀法改正云々は日曜の発言なのでそこでは微妙ですが、月曜は「日銀法改正」には触れませんでしたが、発言は続いてましたわな)のならば、状況を徒に混乱させ、中央銀行が政治圧力に屈したという印象を作ってしまったということですし、経緯を知らないで言ってたのなら何か劇場に飛び込んできて勝手に大暴れした感じで何ともアレな話ではございます。あ、報道は誤報ですのでこれはあくまでも虚構のお話ですんで念の為。

まあそれはそれとして、この誤報(しつこい)がどのような経緯でJNNの取材するところとなり、ニュースになったのかという点は非常に興味のあるところでして、どうしてこんな話が出たのかは考察の余地があるかと存じます。情報管理体制どうなってるのよとか、そもそも金融政策の決定に関する理解に欠ける人がJNNの取材対象にいますなあってところですわな。うーむ恐ろしい話だ。

なお、誤報誤報とTBSとJNNに対して申し上げておりますが、是非JNN様におかれましてはこの報道について突っ込んだ追加取材をしていただきたいものと存じます、オッホッホ。

#「意見や情報の交換」で政府と日銀の連絡をどんどん取るのは非常に大事なことで、それに文句をつける気は1ミリもございませんので念の為付け加えておきます



○政府、日銀の景気認識の共有に関する素朴な疑問

手元にニュースのクリップが無いのでアレなのですが、中川幹事長が金融政策の現状維持に関してコメントを発表したそうで、その中で「政府、日銀は景気認識を共有して・・・」という話をしてたそうです。そりゃまあ政府と日銀が全然違う景気認識の元に政策運営をしてたらポリシーミックス無茶苦茶になるのでそれは正論なのですが、ちと素朴な疑問もあるんですよね。

と申しますのは、その政府の景気認識ですけれども、最終決裁権限者は大臣様なのでして、そこに「政治的ご配慮」が働かないための担保をどうするのよってお話でして、まあだからこそ中央銀行の独立性がどうのこうのって話があるような気もするんですが。

そこで思い出すのが2006年10月31日の参議院財政金融委員会における沓掛委員と尾身財務大臣の質疑応答でして、あたくし11月14日の駄文で国会会議録から引用して『政府が「大本営発表」をしても良いという超越議論』という小見出しでお話したんですよね。尾身財務大臣が経済企画庁長官時代のお話について尾身さんご答弁の部分を再掲致します。(ちなみに、同日の委員会会議録の冒頭部分(発言番号で6番以降です)ですので、割とあっさり見つかると思います)

『平成九年の秋に、私が、桜の咲くころは日本景気は良くなるということを経済企画庁長官のときに申し上げました。景気が正にどん底でございまして、言わば末期のがん患者が死の直前にあるというような景気の状況でございました。そのときに、更に景気の悪い状態が続くというようなことを私が責任者として申し上げたならば、いわゆるコンフィデンスといいますか、将来に対する展望が一層悪化して、それが心理的な影響を持って景気の崩壊といいますか、を加速するのではないかという実は心配がございまして、あえて向こう傷を負うのは承知の上で、いずれ良くなると言ったのでは印象が薄いものですから、桜の咲くころ良くなると申しましたら、三月になってもなかなか良くならない。』

まあ確かに「見通し」であって「現状認識」ではないかも知れませんが、政治的ご配慮は政治的ご配慮な訳でして、その後の質疑応答を見ても「ああいうことはしてはいけない」というような雰囲気はあまり漂ってきませんでした(会議録に当たって読むのが吉)訳なんですよね。

そーゆー事をつらつら考えておりますと、「政府と日銀の景気認識の共有」ってのはある意味正論は正論だけど、何か落とし穴もあるんじゃないのかなあって気がするんですよね。まあムツカシイ話ですけど。

#政治的ご配慮が今そこにあるとは申しておりませんのでこれまた念の為。

まあ景気認識と先行き見通しに絶対正しいものがあるのかというとこれまたややこしい話になるような気がしますのでそこまで立ち入らないで逃げ帰ってしまいましたが・・・(滝汗)

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2007/01/18

お題「市場との対話路線は一時放棄された方がよろしいのではないでしょうか」

題が長すぎですかそうですか(^^)

○市場はドテン利上げ見送り

共同のリーク報道に各社追随したことから(今朝も読売と毎日と日経の1面に「利上げ見送りへ」と出てるようですが)「まあこりゃ見送りでしょ」となった(というよりは「金融政策どうしようって時になるとリーク報道合戦になる(=決定会合に何の意味あるのか)三流国家振りに呆れたといった方が正しいのですが、苦笑)金融市場では火曜に殆ど織り込んだ利上げを全部剥がす形。

22日スタートのGC取引は0.35%と前日比0.2%(笑)金利低下して、完全に元に戻ってしまいましたし(ただし、一応本日の利上げリスクが完全に無い訳ではないので、ターム物取引は超低調)、新発3か月ものFBの平均落札利回りは0.474%あたりになりまして、メンドクサイので物凄くイイカゲンに計算すると手前の1か月が0.33%とおいて後半2か月が0.545%とかになるので、実は2月利上げの織り込み度合いも必ずしも100%じゃなかったりするような気もします。

12月見送りの時も同じ現象が起きてましたが、「今回見送りなら年度内見送り」という話が出てくるのが市場ってもんでして、まあ昨日もそういう動きを先取りするような感じも見られたちゅうことでしょうかねえ。

それにしても凄いのは金先でして、正直バンクALMと海外ファンドの叩き合い格闘場のような市場なんぞどうでも良いのですが、ここのプライスアクションをボケーっと見てますとまあ踏み圧力恐るべしという感じ。早い時間帯から全限月で威勢良く価格上昇(=金利低下)しておりまして、まあ期先限月の価格が威勢良く上昇するのは判りますが、期近限月の07年3月限まで威勢良く上昇してるのには笑ってしまいました。おまいら1月利上げでも2月利上げでも最終精算価格は同じだろうと小一時間なのですが、それだけまあ売り込んでたってことと、ガイジンさんの方が上記「今月無ければ当分無い」という発想をしやすい(まあ確かに理屈としてそう考えたくなるのは理解できますが)って事でしょう。

あ、念の為付け加えますが、そもそも最終精算価格いくらよって考えた場合、年末の時事報道以降につけている0.68%だの0.7%だのという07年3月限の金先価格がそりゃ変じゃねえのという議論はありますので、ようやく正気に戻ったとも言えますけど。

まあそんな感じで、ほぼ織り込み状態だった利上げを一転して全部剥がすという実に香ばしい展開になった昨日の市場なのでありました。あっはっは。


○まあ本日の注目は票決内容と展望レポート中間レビューですな

ということで、本日の会合では利上げ見送り(もし罷り間違って執行部提案で利上げが出たら驚倒モン(とは言えまあ昨日戻した分をお返しするだけの話で市場的に大したことは無いでしょう)ですが、この場合は議決延期請求をするかの最終判断を大臣に求める為に議事が一旦中断する可能性が高く、その時にどこかのアホウが「議長が利上げを提案した見込み」というフライング憶測報道を打つのではないかと勝手に想像しておりますけど)でしょうが、注目されるのはその票決内容かと。

全員一致で現状維持だったら今までの情報発信は何だったのかと小一時間問い詰めたいところと申しますか、その茶番振りに呆れる次第でして、まあ反対(および少数提案で利上げの提議)が何票か入るとは思ってますが、何せ新聞辞令先行の政策委員会なだけに何が起こるか判らん。

一応今回は近い先行き(というか2月)の利上げに関しては含みを持たせるような方向(じゃないと今までの話と整合性が取れませんが)になるとは思うのですけど、展望レポートの中間レビューと金融経済月報(はセットですけど)の内容と、福井総裁の不規則発言(笑)に注目と言った所ですな。

いやまあこれで「景気悪化したりデフレに再突入したら辞任をするし量的緩和大復活するので今回は利上げ」とか福井総裁が言い出したら、利上げの是非は兎も角としてケツの穴の大きさに感動します(ってその時に辞任しなかったらただの無責任言うだけ番長ですが、爆)けど、まー某企業経営者逮捕の後に某私募ファンドをコソコソとご解約なされる(以下割愛^^)。



○市場との対話路線はお諦めになられた方が賢明では

量的緩和解除の時には「新たな政策の枠組みのようなものが出ます」という報道が出てみたり、12月以降はもうリーク合戦でございますかこれはというような報道の連発でして、金融政策決定会合は一体全体何のためにやっているのでしょうかと申し上げたくなるのでありました。何か量的緩和解除の時にも同じ悪態ついてましたので要はいつまで経っても変りませんよということですわな。

まー報道の人たちがどういう所からどういう取材をしてこんな動きになるのかはあたくしの知らない世界ですけれども、観測記事じゃなくて具体的な行動に関する予想記事みたいなのが物凄い勢いで出てくるというのは、どこの未開国だよと小一時間。


7月の利上げがスムーズに行った事に味を占めたのかもしれませんが、地均し路線で市場に織り込ませてっていうような「市場との対話」路線によって、自分で機動性を封じてしまったり(事前に方向性を出しちゃいますから)、丁寧に説明しようとして変なノイズは出してみたり、市場に燃料を投下してみたり、その燃料に別の方向から反応が出てきてどうみてもうんこの投げ合い状態になってみたりとなるというのは皆様も痛感してるのではないかと。

バーナンキ議長も就任当初色々と情報発信をしてた感じですが、議長発言がノイズだと散々な評価になって結局は露出を抑える方向になったような印象(詳しく見て無いので誤認だったら指摘お願いしたいのですが)で、(モスコウみたいなおしゃべりさんはいますけど)その辺りから金融政策に関する市場の思惑は経済指標で動くことが多くなっているように見えますが、福井総裁におかれましてはご参考にされるという発想はございませんでしょうかねえ。

あたくしが勝手に問題点だと認識するものを思いつくまま並べますと・・・・・

まず公式な講演やら会見に関して言えば、暫く前に西村審議委員も指摘してましたが、委員の個人的な見解と政策委員会全体との見解を峻別するというかあまり個人的な見解を連発するのは如何なものかという所でしょう。それに個人的見解なら見解でちゃんと決定会合での票決態度で示して頂きたいと思うのですけどね。かつての篠塚さんや中原(伸之)さんのように。

それから、何かよく判らんところから情報が出てきてるのじゃないかというのが多過ぎですわな。観測記事にしては妙に真実っぽいのが出てくるとか、それこそ量的緩和解除の時のように実際に出た「新しい金融政策の枠組み」に酷似した内容が事前に新聞記事になってみたり(あの時は記事を書いてる人の理解力に若干問題があったようで、結果からするとミスリードな部分があったのはご愛嬌でしたが)とか、意思決定がどうなってるのよと言いたくなるような話多過ぎ。

で、情報発信とはちと違いますが、政策に関する説明がその時その時で何かこう「自分がやりたいことに対して都合の良い理屈を引っ張り出してくる」という傾向が強くて、じゃあ「総合判断」とは何ぞやというのがサッパリ見えてこないところですな。「やりたいこと」だけは見えてくるんですけど、爆。


という訳で、正直言って日銀の情報発信に関して発想を変えた方が良いのではないかと思ってしまうのですけど。大体からして金融政策の変更の度にこんなにリーク紛いの報道が出まくる状況で東京に金融特区作って世界の金融センターをとかいう寝言が出てくるのが信じ難いです。いやマジで・・・・

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2007/01/17

お題「利上げを100%織り込んじゃったんですけど一転して見送り報道相次ぐ」

今朝のお題は「やあ100%利上げ織り込みましたなあ」の筈だったのですが、いきなりお題が変わっちゃいましたよ。

#NHKは見送り、テレビ東京はどっちだか判らんと報道してますね


○ということで共同通信の報道

http://www.47news.jp/CN/200701/CN2007011601000695.html

追加利上げ見送りへ
日銀が17、18両日の金融政策決定会合で、昨年7月のゼロ金利解除に続く追加利上げを見送る見通しになった。景気の拡大基調は続いているが、個人消費の勢いが鈍く、物価の先行きにも不透明感があるためだ。18日に議決する。当面は景気の点検を続け、2月以降に利上げ時期を探る。ただ決定会合に参加する審議委員などには早期利上げを求める意見もあり、最終日の18日に向けて調整を続ける。(上記URLより)

はあそうなんですか。昨日の閣僚発言は「日銀の自主性を重視」というニュアンスだったので「ああこれはさすがに利上げ容認ですねえ」という解釈になったんですが(市場状況については下で書きます)。ではそもそも何で「自主性重視」のコメントを出させられる事になったかと言えば「政府(ではなくて自民党なのだが)と日銀の齟齬」が急にクローズアップしたわけでありましてその原因は(以下同文につき割愛)。まああれがなければ情勢急展開にならなかったと思うのですけどね。はい。

べき論その他は別にして、市場状況を申し上げますと、昨日の時点で明日の利上げを(少なくともGCなどのマーケットでは)100%織り込んだ上で、足元から2か月程度の利上げ直撃ゾーン以外の金利は落ち着いて推移しておりましたんですが、これでまた来月も騒動やるのかよと脱力と共に、こりゃ今日は19日以降の資金取引が全然動かないじゃないで参りますなあって所ですか。正直言って金融市場は利上げしても別に金利上るような状況じゃ無かったと思うんですがねえ。(材料出尽くしで株式市場も灰汁抜けじゃないのかと)

しかし100%織り込みで「やあ最大の材料が決着して当分は金融政策のことで悩む必要もないですねえ」と一相場終了の雰囲気が漲っておりました昨日の雰囲気がまたこれでピリピリモードになるんでしょうなあ。特に短期は「これで2か月連続かよ!」という感じ。

まー共同の報道が正しいとすれば今回の落としどころは少数提案で利上げが出て6対3か5対4で否決ってことになるんですかね。もし「全員一致で据え置き」だったら何なんだよそれは(というか何たる茶番)って感じですが。

まあしかし2か月連続でこれじゃ疲れますな。来月もやるのか・・・・

#というのと、北ハマー先生がマジ当りモードになっていることに驚倒するのでありました。何かの前触れでは・・・・ガクガクブルブル


○昨日は思いっきり100%織り込みになったのですが

という訳で昨日の市場ですが、尾身財務大臣の発言や塩崎官房長官の発言などが、まあ市場としては「利上げを容認するんでしょうなあ」という解釈(その解釈には「利上げをしてもその後の利上げについては慎重に行い急がないというようなニュアンスを出す事によって、金利の跳ね上がりを抑える」というのがセットになってるのですけど)になりまして、19日スタートの翌日物GCレポ金利も最終的には0.55%レベルまで上昇しました。

で、これまたワケワカラン所ではあるのですが、日本相互証券の引け利回りを拝見しますと1月29日償還のFB414回債が前日比13毛甘(苦笑)の0.54%となっておりまして、3か月もの最長のFB427回債(4月16日償還)の引け値が0.535%となっておりました。おいおいGCから逆イールドかよ・・・・・

まあ一応ここでは昨日の市場の話なので上記の共同通信の記事を度外視して1月利上げ前提で申し上げますと、利上げ後のGCレートが0.55%あたりからスタートしてるのにGCレートより低いFBとなりますと、在庫ファンディングをする必要のある業者としては中々保有しにくいという話になりますわな。実質ゼロファンディングというか、マークトゥーマーケットと関係ない人としてはまあそれより低くても持てる人もいるんでしょうけど、現先やGCよりも低い利回りのままで定着というのはチト無理がある希ガス。

で、そもそもこの「3月期末越えが足元よりも低い」という(と言っても実際の業者間取引でどうなってたのかは知らんというか日本相互証券のスクリーンではろくすっぽ出合ってなかったとの話もあるのですが)現象はさすがに変ではないかと思うのですよね。

と申しますのは、(利上げを前提にすると)ロンバートの「誘導目標+0.15%」というありがたい上限が拡大されて「誘導目標+0.25%」と(多分)なる最初ということでして、ロンバートとオペに頼りっきり(まあオペの方は引き続きお助けオペをやってくれるのでしょうが)の期末やら年末越えをやってた人たちの集団がちゃんと対処するんでしょうかと言うのは少々「???」だと思ってるとゆーのが背景に。正直今の市場は最後にロンバートあるからと寝転びモードになる人大杉。

でですな、今回の3月期末越えは週末にぶつかるので末初の翌日物金利は(コール0.5%前提で)0.75%に張り付いても何ら不思議は無いのでして、3日間はレートが普段のGCレートから20bp跳ねますよってコスト計算が華麗にスルーされるというのも如何なものかと思うのですがどうなんでしょ。


○3か月FB入札はもはやワケワカラン

昨日の感じでは0.55%よりレートの高いところはちと難しいというところでしたが、いきなり足元の利上げ予想時期がぶれてしまいましたので、どのくらい織り込むのかは正直ワケワカランです。まあある程度運用の皆さん足元にキャッシュが多くなってるでしょうから、消化ニーズはあるでしょうし、こーゆーケースではたいていドテン全力で1月利上げ無しモードになるものというのが世の中の仕様ですので、つよーい入札になっちゃうんでしょうな。2月100%モードになるんですかね。


○一応クリップしておきます

とりあえずソースはブルームバーグニュースですが、会見テキストが出る分に関しては後ほど差し替え予定。


・尾身財務大臣

『全体としては順調な回復過程にあると考えていますが、具体的な金融政策の判断は日銀が判断すべきである』

『議決延期請求権というようなものを使うような局面ではないのではないか』

『現在の景気の局面が全体としては順調な基調であるという点では意見は大体一致している。消費動向はそう強くないが弱くもない。経済の状況は全体としては順調』

・塩崎官房長官

『(尾身発言について)私は特に聞いていない。尾身財務相は個人的な意見をおっしゃったのだと思う。政府としては日銀がそもそも利上げをするとか聞いていない』

『そう言う(日銀に対して金融政策、というか低金利維持で経済を支えて欲しいという意見)人もいるが、金融政策は大きいものだから、お互いの立場で、政府の考え方を踏まえつつ日銀が判断していくのが大事だ』

『中長期的に安定した物価の中で安定的に成長していって国民生活が安定していくのが大事なことだ。そのための政策が何なのかを政府は政府なり、中央銀行は中央銀行なりの手段を使いながら達成していくということで互いに息を合わせていくということではないか』

『(政府と日銀の間に)あまり大きな意見の差はないと思っている。表現の差があると思っている。それなりに私どもは話し合う機会があるので、お互いにどんなことを考えているか分かっている』

『(無担保コール利回りが上昇している事について)一番大きいのは皆さんが書くからではないか』

ニュース記事読みながら上記の発言のところで思わずプッと吹いてしまいました(^^)

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2007/01/16

昨日は見事に様子見モードになっちゃいましたね。で、まあ動きにくいので本日はつらつら考えたことを少々。

○中川幹事長発言は逆効果との指摘多し

昨日の市場はどう反応するのかと思ってたら、寄り前に公表時間が変更された機械受注統計が市場予想よりもやや強め(というか予想通り強いというか)だった方に反応して下がってスタートしました。で、市場では「決定会合後はどっちにしても一旦買われる」という見方が多いようでして、他にネタもないのに下を威勢良く叩くパワーも乏しく時間の経過と共に戻るの巻でしたが、別に閣僚発言に反応したわけでもないようで。

当たり前ですが昨日はニュースベンダーから色々とコメントが出てきたり、緊急アンケート取ったりとしておりましたが、その中でも「中川幹事長が日銀法改正に言及したのは利上げ阻止に対しては逆効果」という指摘が多く、あたくしが昨日ニュースを聞いて半ば脊髄反射で「本当に阻止する気があるなら他にやりようがあるんじゃないのかねえ」などと書きましたが、まあたまにはあたくしの考えも市場の平均的な考えと同じこともありますなあって所ですわな。

というわけで、日銀法改正に言及した中川幹事長発言ですが、昨日あたくしが申し上げたような「また事前ヘッジか!」ってのが市場の平均的な評価だったりするようです。市場の人は先刻ご承知だと思いますが念の為申し上げます。

てかあんな恫喝的な発言をしたら却って日銀の選択肢が狭くなるというのを理解してなければアフォ(んな事は無いと思うが)ですし、判ってて言ってるのならば、日銀を追い詰めるという政略としては結構かもしれませんが、目的(経済が悪化した場合に日銀を悪者にしたり法改正したり)のために手段(経済に悪影響のある利上げを日銀に決断させるように追い詰める)を問わず(日銀が断念したら自分の大手柄だし)って話でやはりいかがなものかと思いますけどねえ。


ま、講演での話で勢い余って議決延期請求を日銀が否決できるのがケシカラン(全部延期できるとなると政府の認めない議案は一本も通せないという話になるのでその理屈もどうかと思うが)とか日銀法改正だとかになったのかも知れませんが、ちょっとねえという感じです。中川幹事長の公式サイトでは12日と15日に金融政策の話をしてますが、日銀法改正云々については触れてませんですわな。(ただし法改正について話をした部分もきっちり新聞記事引用してて、その部分はノーコメントという微妙な書き方で^^)


○景気判断じゃなくて物価を全面に出した方が・・・・

と、まあ昨日および本日と中川幹事長発言に粘着してみましたが、市場の片隅に居る無力参加者として政策動向を予想して動くとかいう論点を全く別にして「べき論」で考えた場合に「別に1月利上げを急ぐこともなく、11月に一旦底打ちをしたように見える全国コアCPIの底打ちをもうちょっと確認してからでも良いんじゃないっすかねえ」って思う次第でして、まあ外野が大騒ぎして却って動きにくくなるような状況の決定打を打ち込んだ「日銀法改正」云々はどうだったのよという風に思う訳ですよ。

で、まあ日銀法改正の話を別にしても、中川幹事長や塩崎官房長官のコメントは「景気判断」の方に力点を置いてるように見える(大田大臣は物価の話を前面に出している)んですけど、「景気判断」という意味で言えば政府の景気見通しも結構強いものだった筈でして、景気判断を持ち出して反対というのはどうも理屈として弱いですわな。

#何せ経済対策の一環で実施した定率減税という「恒久的減税」(苦笑)を全廃しちゃう位ですから

となりますと、やはり物価を前面に出して反対する方が筋が通ってると思うのですが、(中川昭一政調会長は「現在はまだデフレなので利上げ時期尚早」という言い方をしていたと記憶しています。先週金曜でしたが)その点から突っ込めない理由でもあるのかなあと不思議に思うのでした。



○つらつらと思考実験

なおも雑談は続く^^

議長提案で利上げを提案(するのかどうか知りませんが)した場合に議決延期請求が出たら「はいはいそうですかじゃあ延期」と延期しちゃうというのも日銀が腹黒かったら選択肢としてありえるのではないかという思考実験です。

いやまあそうすると「利上げをしてはいけない理由」について政府にも説明責任(という言葉はあんまり好きじゃないのですが、まあそれはともかくとして)が生じるような気がする次第でして、政府の論理展開と日銀の論理展開のどっちが説得的かという話がガチンコで発生するのも見てみたい気がするのですけど。ただしそんなことになったら延々と不透明要因が残り続けるので市場は堪ったもんじゃないですが(笑)

まあそんな腹黒さは日銀には無くて常に直球投げてくるので(レトリックは上手いが^^)んなこたあねえんでしょうが。


まあ恐らくは「目先一旦打ち止め感」を出すような公表文を出して「足元金利(から3か月位までの金利)は上るけど、中長期金利はあまり上昇しません」って方向にするんでしょうなあと思うのですけどね。そのあたりが昨年7月の利上げ時点と大いに違う訳でして、昨年7月の場合、市場で想定される最速の金利上昇ペースは「今後3か月程度の間隔で0.25%ずつ利上げ」でしたし、まあ「年度内にあと2回」というのが一般的に言われてて、利上げ直前には2年が0.9%になるわ5年が1.51%になるわ10年が1.975%になるわと金利上昇してましたわな。

現在は四半期ベースでの政策金利上昇を見込む人は殆ど見当たらなくて、まあ1月に利上げしたとして次の次は7−9月期という人と、10−12月期という人が概ね半々って所のようですから、変に追加利上げに色気を出さずに暫く大人しくしてれば金利の跳ね上がりも抑えられるのではないかと思います。

#ただしカーブがベアフラットすると運用してる人たちはしんどい


○雑談の余談(2行だけ)

http://blog.livedoor.jp/orion3/archives/50823669.html

髪様のお告げによりますと、どうも議決延期請求も出されずに利上げになるようです。

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2007/01/15

今月から機械受注は寄り前に発表なので、北ハマー先生伝説の「虹が見えてきた」も見られませんですわな。

○本当に阻止する積りなら言い方が別にあるのでは

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070114AT3S1401314012007.html

利上げなら議決延期請求を、自民幹事長が政府に呼びかけ

自民党の中川秀直幹事長は14日、愛知県豊川市内で講演し、日銀の追加利上げについて「政府と金融当局、日銀の景気判断は一体でなければいけない」と述べ、反対姿勢を強調した。そのうえで「日銀が異なる判断をするなら、政府は日銀法19条に基づく権利を行使する義務がある」と述べ、日銀が金融政策決定会合で利上げを決める場合は議決延期請求権を行使するよう政府に呼びかけた。(中間割愛) 中川幹事長は「再び否決する歴史を繰り返すなら、重大な法制度の欠陥ととらえざるを得ない」と述べ、日銀法改正もやむを得ないとの認識を示した。(以上NIKKEI NETの上記URL先の記事より)

ということで、政権与党の幹事長様という責任ある地位の方が「日銀法改正」をまたまた持ち出しているようなのですが、さすがにモーサテのゲストコメンテーター(株式市場の人)も「はっきり言って恫喝」とコメントしてますが、まああたくしも「本当に利上げ阻止する気があるのかね」と思う次第。

いやね、12月の場合は中川さんがサイトで平成の関東軍云々に言及するのと時事や読売が利上げ見送り報道するのとタイミングが似たようなものでしたけど、今回の場合はさすがに露骨な圧力に見える次第でして、これじゃ逆に日銀としては何かアクションをしないと(せめて少数提案で利上げ提案して6対3とか5対4くらいの僅差で否決するとか)「日銀は政治圧力に屈した」という評価になるっしょ。何だかなあって感じ。

どう見てもこの発言「日銀法改正」が余計ですがな。

#まあ前回は全員一致で利上げ見送りだったのに1ヶ月でいきなり利上げ決定というのも何のこっちゃでございますから、その点から言えば前回が金利据え置きが全員一致だった政策委員会もトンマでしたなあと思うのですが

あたくしが勝手に推測するに、政府との協調に関しては今の日銀は結構気を使ってる節がありそうですので、本当に阻止する気があるのなら別にこんな恫喝まがいの発言を公然としなくたってルートはあるんじゃねえのかよと存じます訳で、今の日銀は政府の強硬な反対を押し切ってまで利上げを実施するとは思えませんけどねえ。。。。実効性という点で考えたら、日銀法改正という恫喝まがいの文句を持ち出すんじゃなくて、官邸ルートなどから(まあ水面下でってのは方法としてどうなのよと言う議論はありますが、その点は別に致しまして)意思を日銀にキチンと伝えることじゃないんですかと思うのですが。わざわざ「中央銀行に政治圧力を掛ける」という図を作ってどうするのよ。(言っても聞かないから公然と物言いをつけたという事なのかも知れませんが)

激しく意地の悪い解釈をしますと、この中川発言って「自分の影響力の誇示」および「利上げ後に景気が悪化した場合に全部日銀のせいにするための準備」であって、本当に利上げを阻止する気あんのかねと鼻白んでしまうあたくしなのでした。


ちなみに政調会長の中川昭一さんも12日に反対の話をしてましたが、報道を見る限り「日銀法改正」は持ち出してなかったと思うのですけどね。



○支店長会議での総裁挨拶

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/siten0701.htm

支店長会議の挨拶なんつーのは基本的に華麗にスルーなのですけれども、金曜はこの挨拶もネタにしてた節が少々あったようですわな。

『(2)物価面では、原油価格反落の影響がなお残ることから、国内企業物価は、3か月前対比でみて、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移しており、先行きについても、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』

基本的には展望レポートならびに金融経済月報の通りの話をしておりまして、要するに基本シナリオに変化が無いというのが挨拶内容。まあ当たり前といえば当たり前なのですが、景気見通しに関しても強気で、物価に関しては原油価格反落の影響ということで「一時的要因」の話にするんですなあという感じ。何か原油価格が上昇してた時と話が違うような気もしますが・・・・・(-_-)



○で、さくらレポートですが

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0701.htm

実際はこのURL先にリンクが貼ってある全文を読むと物凄く面白いのですが、まだ半分も読んでない(週末に中々読まないのは怠け者たるあたくしの仕様です)ので中身の話は兎も角。

表にあるように、全地域で持ち直し、回復、拡大の前回総括判断を維持しております。で、注目されるのは「12月以降に新しく出た材料」に該当する部分でして、表の続きに書いてあります要因分解の部分にはこのような記述がございます。

(個人消費)『なお、歳末商戦・初売りの状況をみると、食料品(お歳暮、おせち料理等)や高額商品等の販売が好調に推移するなど、多くの地域で前年を上回る盛況となった。』

(雇用・所得)『所得面は、労働需給の改善や好調な企業収益などを背景に冬季賞与も前年を上回っている中』

ということで、まあ理屈としては「年末に新たに明らかになった経済の状況は改善が続いており、緩やかな景気拡大という動きに変化はない」というのをサポートしてます。てか結果から逆(ry


○その他小ネタですが

・ところでやたらオペが多いのですが

先週は毎日のように「国債買現先」「共通担保オペ2本」がセットでオファーされておりまして、しかも期間的に「使いやすい」ものをバシバシやって頂いております。誠に結構なお話でして、レート推移も見れまして参加者の意識も見えてきて実にオモロイ。金曜はさすがに気持ちレートが強含みましたね。

・・・・で、これって16日からの積みニーズを意識してるんでしょうなあと思う次第でして、お助け有り難しと言ったところでございます。


・東京新聞が「日銀が18日に利上げの公算」記事

13日土曜日の朝刊経済面に「18日利上げの公算」という記事が出ておりますが、あたくしの探し方が悪いせいかネットでは拾えませんでした。

『日銀が17、18日に開く金融政策決定会合で、短期市場の無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の年0.25%から年0.5%への追加利上げを検討する見通しとなってきた。』(1月13日東京新聞9面記事より)というのがリードでして、題字とリードは威勢が良いのですが、本文の出だしは『ただ、政策委員の一部には「消費や物価の弱さが本当に解消したと言えるかどうか、もう少し見極める必要がある」といった慎重論もくすぶっており、決定会合での討議内容や今後の金融・経済情勢によっては、利上げが2月以降に先送りされる可能性もある。』といきなりトーンダウンしておりまして、何とも言い難い記事の作り方でありました。

ま、何せ今週も疲れる週になりそうです。

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2007/01/12

お題「オペ金利低下/日銀の生活意識アンケート」

今朝は日経が「利上げ機運」報道ですかそうですか。これがどう影響するのでしょうか、昨日は利上げ懸念がまたまた剥落してたんですけど・・・

○オペ金利は1月利上げ懸念大幅後退と申してます

昨日実施された資金供給オペはまたまた金利絶賛低下の巻となりました。1月15日〜22日の国債買現先オペの利回りが平均0.373%の足切り0.37%となり、1月15日〜24日の共通担保本店オペの利回りが平均0.385%の足切り0.37%ということで、18日の利上げをあまり織り込まない水準になっております。

もし18日の利上げを織り込むというのであれば、新しい積み期間に入る16日からは準備預金積み上げニーズが発生するので金利が上りやすくなりますんで、まあ0.373%だの0.385%だのというレートでは織り込み度は低いという話になります。18日までの金利を(仕方が無いので)0.33%にでも置くとしますと、18日以降の金利が幾らになりますかというのを簡単に計算すると、国債買現先で後半が0.405%、共通担保本店オペで後半が0.4125%となりますので、全くの無警戒という金利ではありませんが、まあ織り込み度合いは剥がれてしまいましたなあ。


○ところで議決延期請求に関してですが

政府サイドが利上げ阻止の為に(来週の会合で議長提案で利上げが提案された場合)議決延期請求をするのではという観測もあるようで、というか一昨日のセミナーで中原伸之元審議委員もそんな見立てをしてましたけど、「ところで昔の議決延期請求に関して何かあったっけ?」というご照会が来ますので先に申し上げておきませう。

それは2000年8月11日のことでした。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k000811b.htm

『本日決定した金融市場調節方針に対しては、大蔵省および経済企画庁からの出席者が、日本銀行法第19条第2項に基づき、議決を次回金融政策決定会合まで延期することを求めた。政策委員会は、同条第3項に基づいて採決した結果、これを反対多数で否決した。』

ということで、議決延期の請求が来てもまあ否決はできるのですが、政府と日銀の意見が思いっきり合わなかったですというお話でして、この後日銀の見立てどおりに物価が上昇基調を継続してれば良かったのですけどその後はご存知の通りですな。

ちなみに、過去の決定会合の結果は
http://www.boj.or.jp/theme/seisaku/kettei/index.htm
で一覧(1998年以降のものですが)できますので、いつ当預を引き上げたかとか買い切り増やしたかとかは上記URL先のリンクをポチポチ押していけば調べられますのでご利用になられると吉かと。

あたくしの場合は昔の公表文をポチポチ押しながら「いやあ色々ありましたなあ」とか「政府からの出席者」を見て谷垣さんやら武藤さんやらの名前を見て「ほっほー」と思うのでありました(^^;


○生活意識に関するアンケートがでてましたが

半年に一度の生活意識に関するアンケート
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/data/ishiki0701.pdf
ちなみに前回(2006年10月公表)のURLは皆様の予想通りに
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/data/ishiki0610.pdf
であります。

まあこれを細かく見て行くと中々味わい深いのですが、ちと時間切れの香りですので今回公表(12月調査)分について簡単に。

・景況感ダメじゃん

資料16ページ目からがアンケート調査の内訳を箇条書きしてるのでこっちの方が読みやすいと思います。で、その16ページ。

(引用開始)
問3. 現在の景気をどう感じますか。※今回新設
1 良い0.6
2 どちらかと言えば、良い13.2
3 どちらとも言えない40.7
4 どちらかと言えば、悪い35.6
5 悪い9.5
(ここまで引用)

・・・・・どう見てもマインドがダメダメです。本当にありがとうございました。


・しかも前回対比で全般マインド低下ということですが

(引用開始)
問4. 1年後の景気は、今と比べてどうなると思いますか。
1 良くなる10.3 ( 13.8 )
2 変わらない67.5 ( 65.7 )
3 悪くなる21.7 ( 19.7 )

問5. 景気の状況を考えたとき、現在の金利水準をどのようにお考えになりますか。
1 金利が低すぎる63.5 ( 64.2 )
2 適当な水準である23.0 ( 25.4 )
3 金利が高すぎる10.9 ( 7.7 )
(ここまで引用)

()内は前回調査の数字でして、このあたりを見ますと「フォワードルッキング」の精神から致しますと、マインドが悪化傾向にあるのですから、足元の数字が良くても慎重に対応した方が良いって話になりませんかねえと思う訳ですが。

金利水準にしても、低すぎるという方が物凄い勢いで多いですが、それにしても低いが減って高いが増えてるわけでして、そのあたりはご考慮頂きたいものです。


・物価に関しても・・・・

18ページから物価の質問ですよ先生。

(引用開始)
問12.あなたご自身の感じでは、「物価」は1年前と比べてどう変わりましたか。

1 かなり上がった7.5 ( 11.2 )
2 少し上がった39.0 ( 48.0 )
3 ほとんど変わらない45.5 ( 36.1 )
4 少し下がった7.0 ( 3.5 )
5 かなり下がった0.3 ( 0.2 )

問13. それでは、1年前に比べ現在の「物価」は何%程度変わったと思いますか。

平均値: +2.9 ( +4.2 )
中央値: +0.5 ( +2.0 )

問14. 1年後の「物価」は、現在と比べるとどうなると思いますか。

1 かなり上がる6.7 ( 14.4 )
2 少し上がる60.9 ( 65.0 )
3 ほとんど変わらない28.2 ( 18.9 )
4 少し下がる3.5 ( 1.4 )
5 かなり下がる0.2 ( - )

問15. それでは、1年後の「物価」は現在と比べ何%程度変わると思いますか。

平均値: +3.5 ( +5.1 )
中央値: +2.0 ( +3.0 )
(ここまで引用)

ちなみに、質問文の一部と、回答部分の注記を割愛して引用しておりますので、原資料に当たってご確認いただきたいのですが、足元の意識として「物価が最近上昇したなあ」というイメージが涌かず、先行きの物価上昇への意識もやや低下しているという結果になっているようです。とは言えまあ物価が下がると思ってる人はあまりいないのはまあ良かったですねという感じですが。


まあこのあたりの数字を見てると、消費者マインドは夏ごろから比較して悪化してますねえという所で、まあそうでしょうなという感じですが、個人消費の先行き見通しもどうなのよという結果でございました。

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2007/01/11

お題「思惑がぶれますな」

○海外レポートでオペ金利など低下

昨日は夜中のうちに毎度お馴染みのメドレーレポートで「日銀は1月利上げを見送る見込み」というのが出たらしく(現物は見てませんが、まあ世の中でそういう話になってました)金先、債券とも反発してスタート。債先に関しては入札だの早川調査統計局長の講演などで結局前日比安となってましたが、短い所は確りのまま推移と相成りました。

昨日実施されたオペですが、国債買現先が1月12日〜2月15日の期間で平均0.429%の最低0.41%となってまして、一昨日の1月31日エンドが平均0.430%最低0.40%でして、足が15日伸びて平均レート低下。オペの時間は早川局長の講演要因が無かったというのもありますが、それにしても織り込み度がまた低下の巻です。

1月18日までを0.35%で(GCで0.35%とするとちと高いのですが面倒なのでキリの良い所にしました)計算すると、一昨日の国債買現先オペだと1月18日以降の金利が0.473%になるのですが、昨日の結果だと18日以降の金利が0.446%ということで、このあたりからも織り込み度低下という感じかと存じます。

昨日は共通担保オペも行われましたが、同じようなエンドで行われた2月8日エンド(前日実施分は2月5日エンド)の本店オペが平均0.423%と前日の0.436%から低下しとりまして、こちらでも1月織り込みに逝ったものがまた剥落しましたという所ですわな。



○この調子で盛り上がったり盛り下がったりするんでしょうな

長いところの金利に関しては正直言って利上げが1か月ずれてそれが何なのよという所だとも思うのですが、短期のゾーンに関してはさすがにそんな事も言ってられません(当たり前ですが)ので、来週の会合までこんな感じでやらかすのかと思うと参加者の皆様に同情の念を禁じ得ません。

でね、実物レポート見ないで言うのも何ですが、1月利上げが行われないという見通しがど〜ゆ〜流れで出てきたのかとあたくし勝手に想像してみたのですが、中原伸之元審議委員が昨日都内の大手証券会社のセミナー(というか講演会)で話していた中で「1月利上げは政府が反対していて議決延期請求が出るかもしれません」みたいなお話をしておりまして、そのあたりの政府スタンスが伝わってそういう報道になったのかなあと勝手な憶測をしてみます。ただ政府が反対の意思を明確にしているのに利上げ強行するのが正当化できるような物価動向でもないのに、日銀が利上げに意欲満々になるというのも有り得ない話だと思いますので、もし政府のスタンスが利上げケシカランで一致してるなら今までの報道の流れが逆に理解致しかねますという所でもあります。

まあそんなあたくしのしょうもない憶測は兎も角として、フォワードルッキングで金融政策を変更しようと言ってるのに、変更前に市場にそれを全部織り込ませようという(いやまあそうじゃないというのが日銀の公式スタンスだと思いますが、どう見ても地均し絶賛の話が政策委員の皆様から出てる訳ですから・・・)のはやはりちと変な話だと思います。市場の全員が「いやもうこれは政策変更でしょう」というのを「地均し無しで」認識するという状態というのはフォワードルッキングじゃなくてビハインド・ザ・カーブの政策変更なのではないかと存じます。

つーことで、何か毎月この調子かよ!という感じですが、また新聞や通信社の報道に注目しないといけないのでしょうな。


○早川調査統計局長は景気の先行きに強気ですが

ブルームバーグニュース10日17時05分配信記事からで、発言引用するとこれが結構長いので、割愛(後日追記予定)しますが、まあ報道された局長の発言を勝手に端折るとこんな感じかと。

・個人消費について

グローバル化に伴う先進国の労働分配率の低下は必至であり賃金が伸びにくいのはベースラインとしてある。ただ、昨年のGDP統計で個人消費が大きなマイナスをつけた点はベースラインとは別問題で、一時的な要因と統計のかく乱によるもの。10−12月のGDPベースの個人消費は結構大きな増加になる可能性が高い。

・海外経済について

米国の住宅市場の調整はまだ終わった訳ではなく、ソフトランディングしたというにはまだ早いが、個人消費が伸び、サービス産業が拡大していることもあり、ソフトランディングの方向にあると思われる。

・景気展望

世界経済は米国の減速にもかかわらず極めて安定しており、米国の住宅過熱の反動が最大のリスク要因だったことを勘案すると、住宅市場の調整が進みながらも世界経済の安定が続いていることは世界経済全体のリスクが少し低下しているということ。その中で日本経済の経済拡大のメカニズムは基本的に変化していないので、今後もある程度の成長が続くと考える。日本経済は今後も潜在成長率を若干上回る成長が続くという見方は変化ない。

といったところで、入札があるのにメドレーレポートを買いのネタにして(別に100%信用してるわけじゃないでしょ^^)ちょっと余計に上昇しちゃって前日比上昇で10年国債の入札をやっちまった分を剥がすネタにはなりましたという事かと存じます。

#てかね、金利低下局面だったら別ですけど、前日比高い所で入札すると碌なことにならんのよね

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2007/01/10

○2月償還あたりのFBが弱くなったようですが

昨日は2月後半償還のFBに売りが出た(のか別の要因か知らんですけど)ようで、2月後半償還のFB(FB418〜421あたり)の日本相互証券引値が軒並み0.48%に上昇しました。前日はこの辺0.42%〜0.45%ということになっていましたがこれはまた豪快なレート上昇(0.50%まで一時売られてたという話もござんしたが)。

と申しましても、そもそも1月12日(昨日のレギュラー受渡日)スタートの2月後半エンドのFBで1月利上げを想定したら0.4%台はねえだろう(16日からコールが上昇して、18日から誘導目標が上昇する訳ですから)と思う訳でして、ようやっとこのゾーンが織り込んで来ましたなあという感じです。

1月利上げが有りや無しやで一番極端に違ってくるゾーンの2月償還ものFBレートが修正された訳ですが、そもそも持ち切り前提の参加者シェアの高いCP市場ではとっくにレートが上昇しておりまして、まあやっと追いつきましたねという感じではないかと存じますが。

ちなみに、昨日は既に利上げをだいぶ織り込んでいた3月償還あたりよりも、2月償還辺りの方がレート上昇が目立ったのはCP新発レートでも同じような感じだったようでして、いよいよ利上げ絶賛織り込み体制になってきたという感じでしょう。


○という訳でオペ金利も上昇

国債買現先1月11日〜31日が平均0.430%(足切り0.40%)だったり、短国買入が平均5毛甘(足切り4毛3糸甘)だったりとこれはまた結構なレート上昇ですねという所ですが、国債買現先のレートも同期間のa-1+格CPの発行レートから見るとまだまだ低いような気もしますにゃ(というか持ち切り前提で来週木曜に利上げだと思うと絶対水準で0.5%が1つのメドになると思う)。

実際に利上げになった後はコールが0.5%でロンバートが0.75%(さすがに今回は幅が広くなるでしょうと皆さん思っているので、ロンバートが上昇しても無問題かと)となって、GCや現先は幾らなんでしょうかと言うと、まあ通常は0.55%〜0.60%あたりでやるんじゃないですかねえと思う次第でして、オペ金利で言えば0.50%〜0.55%あたりになるのかと(あくまでもあたくしの勝手な勘であって、市場のコンセンサスは知らん)想像してますので、そこから考えるとオペ金利の方はようやく織り込み度合いが高まって来たものの、まだ織り込み足りないかなっていう気もするのでありました。

そういえばユーロ円金先の3月限って99.30近辺になってるのですけれども、「利上げ後の次」はど〜せ半年は先でしょうという世の中のコンセンサスから考えるとその水準は絶対値としておかしくねえかと思うのだが。とりあえず利上げしたら目先の3か月金利あたりは(その次の利上げが意識されないのだから)GCに毛が生えた(下手したら禿)程度の金利にしかならんと思うんですけど常識的に考えて・・・・(よって0.7%水準はちと高杉では?)


○OISにメガバンク参入ですかそうですか

昨日18時10分配信のブルームバーグニュースによりますと、OIS取引に三菱東京UFJ銀行様がメガバンクとして初参入だそうで誠に結構なお話でございます。

と思ってニュース読んでたのですが、記事によりますと「ALM上のヘッジが目的」という所から入っておられるようで、何と申しますかあのALMヘッジがまともに入ってくると砂場にブルトーザー持ち込まれるような市場になっちゃうんで、どっちかというとスペキュレーションのトレーディング玉が入ってくれた方が市場としては面白くなるんじゃねえのかと。まあそのうち入ってくるのを期待したいところです。

あたくし不勉強でアレなのですが、OIS取引ではBOJターム(MPMの間の1か月)が人気と記事にあるのですが、それって要するに丁半博打とあまり変らん(追記:というか日銀が利上げするかしないかの合百ではないかという気もしますが、まあ倍になったりゼロになったりする当て物じゃないって言うんでしょうな。本質的には変らんだろうに)ような気がする次第でして、普通にスポット1か月とかスポット2週間とかいうような資金取引に近いようなものって活発化してくれないのかなあとも思いますけれども。スワップだと元本キャッシュが要らないので資金ディーリングの代替に使えないですかねえ(途中で反対売買できないから無理なのかなあ)。

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2007/01/04

○総裁とか副総裁のインタビューがあったらしいですが

年頭インタビューということで、武藤副総裁のインタビューが産経新聞に出たようでして、先日の総裁インタビューに引き続き産経新聞というのが実にアレでございまして、総裁インタビューが掲載されたらしい日経新聞がまたファビョりそうでございますな(笑)。全面的に誤解してました。勝手な私の勘違いでして、武藤さんのインタビューは日経新聞の3日朝刊でした。深くお詫びして訂正致します(産経は年末の福井総裁インタビュー!)。だから現物を見ないで書き物しちゃダメなんですよね、勝手な思い込みほど恐ろしいものはありません。新年早々自戒。

で、内容は惜しくも読んでおりませんのでこれ以上のコメントをする話でもないのですが、どうも金融政策の正常化がどうのこうのということのようですので、まあこれまた1月利上げへの地均しちゃんですかねえという所。まあ何と申しますか火消しをしたり火付けをしたり誠にご多忙極まりないという感じですけど、そんなにやる気があるなら12月の会合で何故誰も利上げの提案をしなかったのかと、そのヘボさに呆れるあたくしなのでございます。

ま、確かに12月の決定会合前はメディアと市場が相乗作用を起こして12月利上げ観測を盛り上げすぎた(ただし燃料投下になったのは水野審議委員の講演ですのでお忘れなく)時期もありましたので、敢えて利上げ提案することもあるまいという考えもあったのかもしれませんが、実際に12月の会合が行われる時点では火消しが効きすぎて良好な内容の短観でも全然反応しなかったという事を考えて欲しい訳ですな。「市場との対話」(笑)をしてる積りなら。全会一致と月報での個人消費判断(現状&先行き)にただし書きとは言え弱めという言及をした事は市場に1月利上げも困難ってメッセージとして伝わりましたわなあ。

てな訳でして、武藤さんのインタビュー記事(追記:1月5日にネタにしました)読まないで(福井総裁のはこの前産経で出てたんでまあどうせ同じような話でしょうと勝手に判断)書くのも何ですが、特に12月以降の日銀の動きは市場との対話をしようとして却って市場へ変な燃料を投下してるに過ぎないと新年早々いつもの悪態。

まあ「下手な考え休むに似たりと」は申しますが、へぼい対話ならしない方が良いんじゃネーノとも思いますし、これも試行錯誤しながらの正常化路線だというのなら、今回のドタバタは今後の情報発信への反省材料として頂きたいものであります。多分反省しないでしょうけれども(爆)。


○フラットニングに関するちょっとした雑感

金融政策正常化とやらで短期金利が上昇するけど益々インフレ期待が抑制(も糞もそもそも現時点でインフレ期待ってあるのかよという話ですがそこは割愛^^)されるという文脈や、国際的にイールドカーブの形状が似てくる(というのは本当にそうなのかよという気もしますがそこも割愛^^)とかまあ色々と理屈はあるようなのですが、今は猫も杓子もフラットニングという見方が多うございます。

で、まあ皆さんがそう考えるのに対して参加者としての行動で逆らっても仕方ないのですが、短期金利がちゃんと付いている時代から金利が低下していく局面を見てました年寄り(もっと年寄りだと短プラ8.9%時代とか市場でご存知なんでしょうが、そこまであたしゃ詳しくない)と致しましては、やっぱ短期金利はファンディングコストだという発想がありますので、「ファイディングコストが上昇するのに現物債のベーシスがつくのかよ」という疑問がどうもこう払拭できない所でございます。

とは言え、ファンディングコストがどうのこうのって話は投資家的には効果が出てくるのってボディーブローっぽいんで、徐々に効いてくる話なんでしょうな。ファンディングコストを毎日チャージされる人じゃないと実感として把握しにくいのかもしれませんなあという所(よって債券ディーラーでも短期または一般債をいじってた人のほうが実感を持ってると思われ)かも知れん。

#などと妄想を言ってみただけですけど、一応世の中のトレンドと言われているものには一々茶々をいれてみないと気がすまないヒネクレモノですんであたしゃー

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2006/12/28

お題「エライ早くに狼煙が派手にぶち上がりましたが」

頭でっかちのボンボン仲良し集団が実務を回そうとするとこうなるちゅうことなんでしょうな(追記:政府税調本間会長辞任+佐田国務大臣辞任です。念の為)。まあそれを言ったら民主党の方が以前からそんな感じ(一番最初のネクストキャビネットが出た時にそのメンバーを見て絶望したんですよね、あたしゃ)が強いので、民主党がまるで代替になり得ない所がオワットルとしか言いようが無い訳で。

などという話は兎も角、予想より早く相場が暴れましたのでまあその辺りのメモメモ。

ところで、昨日の駄文でコアコアCPIが▲0.2%とか書いたのですが、いわゆるコアコアと言われるのは▲0.1%でございました。お詫びして訂正します。

○また時事か!

えーっと、あたくしも不覚にも存じ上げなかったのですが、実は火曜日の夜中に時事メインがしらっと観測記事にしては突っ込んだニュースを配信しておりました。そんなことを露知らずに(ダメダメですな)昨日のドラめもんでは「指標自体は日銀の早期利上げサポートの内容になってるようですので、あまり利上げ無しを楽観するのも如何なものかと思われるのですが、まー変に12月利上げで盛り上がった反動なので仕方ないのかなという感じです。」などとのんびりした事を書いておりましたですな、猛省。で、その時事のニュースですが。

お題が『来年1月、追加利上げ議題に=経済指標が好転』。

『日銀が来年1月17、18両日に開く政策委員会・金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標を年0.25%から0.50%に引き上げる案が26日、議題に上る見通しとなった。(中間割愛)ただ、金融・証券市場で不測の事態などが起きた場合、2月以降に先送りされる可能性もある。』

金融・証券市場じゃなくて不測の事態は別のところで起きるような気もしますが(苦笑)。

『日銀は物価上昇率や個人消費の回復遅れなどと背景に、年内追加利上げを見送り、経済指標を注視する意向を表明していた。このうち、26日発表された11月全国消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は変動の大きい生鮮食品を除くと0.2%上昇となり、プラス幅が3ケ月ぶりに拡大。日銀が注目する石油価格なども除いたベースでは0.1%下落にとどまり、マイナス幅は10月(0.4%下落)から大幅縮小した。(以下雇用統計、家計調査、株価の話が続くけど割愛)』

(以上時事メインニュースより)

という事で相場は反応したわけですが、何せ時事通信様におかれましては先般の「日銀幹部火消し発言報道」というトラックレコードがございますので(^^)、市場の人と致しましては「これはただのヨタ観測記事ではなくて1月利上げに向けた地均しにちがいない」と反応したくなる所でして、まあ相場は中期から先物中心に売られまして、2年5毛甘の0.8%だの5年7.5毛甘の1.23%だのという豪快な下げをやらかしてくれました。

まあ今回に関しては、あたくしも再三申し上げてましたが、「12月利上げ困難」って見方になった後にいきなり「1月も無理」と話がワープしてしまった事に対して「そりゃちょっと話が飛びすぎ」と思ってた人もそれなりに多かったんじゃないかと思う訳ですよ。でもまあ相場が(現物債の需給関係があると思いますが)何かやたらめったら強くて、その勢いに圧倒されて「そんなもんかいな」となってた人たちが降りた(あるいは追撃した)のも下げに拍車をかけたという所でしょう。元々経済指標を見て下がるタイミングを待ってたものの背中を思いっきり押したという事じゃないですかねえ。

昨日も申し上げた2年で言えば、12月利上げ織り込みモードの先々週(訂正:3週間前でした)木曜(7日)に0.845%だった2年カレントが一昨日は0.75%とほぼ0.1%という「そこまでやるか」という勢いになってた訳でして、「短観も良くてCPIや家計調査も別に悪くはないのに、12月利上げが無くなっただけで別に年度内利上げが消えた訳でもない筈なのにそんなにグイグイ持ち上げて良いんでしょうか?」って思って半身に構えてた人は多かったんじゃないかなと存じますですよ。


しかしまあここもと一連の流れを見てますと・・・・そもそも景気が良くてもう早期利上げですよって話を日経がしてて、そこに総裁の11月7日の講演に10日の読売新聞インタビューで雰囲気が出まして、GDPに鉱工業生産で利上げモードが盛り上がり、CPIとGDP2次速報で冷やされたものの、12月5日の水野審議委員講演に6日の西村審議委員の「ヘッドラインリスク」会見で盛り上がるまでが利上げモード。で、週末の時事報道や中川幹事長の牽制で一挙に利上げモードが終了したと思ったら、今度は決定会合で全会一致で現状維持だわ、総裁会見で弱気の発言(実は基調は弱気転換してないのですが)が出たあたりで、短観も気にせずに1月利上げもネーヨという逆方向に盛り上がった次第。

結局ね、変に12月利上げで大盛り上がりしなかったら、11月末の経済指標で「12月はちょっと材料不足」ってなって、短観とCPI受けて「1月の材料は出てきましたなあ」という感じになっていたんじゃないかと(今日の鉱工業生産もございますが)思う次第でして(その間に決定会合で誰か利上げ提案して「まだ様子見すべき」と否定されれば尚の事判り易し)。変に丁寧な「市場との対話」路線が単にマーケットを無用に引っ掻き回してるという面があると思いますな。結果論ですけどね。

要するに変に相場に織り込ませようとするから無茶苦茶になるということで、日銀というか(ごく一部の)政策委員様におかれましては猛省を促したいところでございます。



○正論だがお前が言うな

さてまあそんなことで時事通信報道に振り回された昨日でございましたが、落涙を禁じ得なかったのは日本経済新聞社様でした。

昨日の日経金融新聞朝刊1面の「アングル」欄では『来月利上げ 消費者物価、決め手欠く』『上昇品目と下落品目の差 11月、前月より微減』というお題の記事をお出しになられてまして、市場の「1月利上げも無理でっしゃろ」という(時事の記事見る前時点での)市場の動き(特に円安進行した為替はありゃ一体何だったんでしょうかと思ってた金利市場関係者は多かったと思うのですけど)を裏付けするような記事が出ておりましたですな。

で、時事の報道と言うことで見事に債券相場下落して落涙を禁じ得なかったのですが、その後日経クイック様におかれましては、時事の地均し記事に関して『一部報道に市場の不満続出』ということで前回の日銀幹部発言記事(火消し記事)も含めまして、「市場の対話としての情報発信の姿勢が如何なものか」と難ずる記事がございまして、「ああ涙目モードですなあ」とこれまた落涙を禁じ得ない風情でありました。

いやね、リーク記事っぽいのが出てきて相場が動くってのも誠に如何な物かと思うわけで、品の無い事夥しいと思いますし、講演などでの情報発信と変なリークっぽい動き(本当にリークしてるのかどうかは知らんが、結果から逆算するとリークじゃないかという疑いが濃厚)を何か変に使い分けて動きに整合性が無いという日銀の「市場との対話」はどうにかならんのかと思うので、クイックの「日銀は市場の対話としての情報発信の姿勢に問題あり」というのは誠に仰せの通り。

・・・・ではございますが、(日経クイックは日経本紙+金融新聞とは別組織ですので一緒くたにしちゃあちとカワイソスですが)それはまさしく「オマエモナー」でございまして、量的緩和解除直前の「議案内容まで報道」記事なんかはありゃどこのどなたがやっておられたのかと小一時間問い詰めたいと思う訳で、まずは日経の金融政策関連記事のクオリティを上げて下さいな(クイックの中の人と日経の中の人は全然別ですのでクイックに悪態つくのは筋違いなのは重々承知してますのでヨロシク^^)という所ですな。全員滝田さんになってくださいとまでは申しませんが。


#という訳で、ただの与太話になってしまいましたが、年末ですので勘弁した頂きたく存じます。しかし昨日のモーサテで「日銀利上げ当分困難」とか言ってた某ストラテジストは髪様でございますな。まあ為替市場の反応を見るとそう言いたくなるのも判らんでもないけど・・・・・

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2006/12/27

お題「相場は静かっぽいので雑談でも」

最近髪へ近づきつつあるどこぞのストラテジスト様がモーサテで「日銀は来年も利上げしにくい」と仰せだということは・・・・・・(追記:ご存知の通り、この前の日の深夜に書かれた時事通信の記事によって利上げ観測が急浮上しました、まさに天災現る)

○CPIはまあまあだったようですが

昨日は割と重要と思われるCPIとか家計調査とかが出まして、ヘッドラインとしては予想通りというものでしたが、内容を良く読むと所謂コアコアCPIのマイナス幅が縮小(▲0.4%→▲0.2%訂正:▲0.1%)してるとか、家計調査の内容とかもまあ悪くは無いという結果でした。

でもまあそんな分析が出る前に、相場の方は年内最終受渡で末初のキャリー稼ぎだの「CPIが出ないと動けませんなあ」という買わない言い訳をしてた人の買い(まだ鉱工業生産という言い訳は残ってるが^^)やらでまあ確り。全般確りですが、2年なんかまたまた0.75%まで金利低下しておりまして、いやあの足元金利との裁定で持ち切りするとして(実際にそんなことをする人は居ないと思うけど)ざっくりと考えると、1−3月期あたりに次回利上げがあると思うと、0.75%というのが間尺に合うんかいなという気も致しますが、「短期間のキャリーを確保して(2年新発ではキャリー取れませんが^^)本格的に買うのはもうちょっと金利上ってから」というのなら良いのかも知れませんな。

まあキャッシュ潰しといえば1月償還あたりのFBもやたら買いが強かった(というかモノがあまり無いと思うが)そうでして、連休前お得意のキャッシュ潰し攻撃に対して、売る人もあまりいないと言ったところなんでしょ。

指標自体は日銀の早期利上げサポートの内容になってるようですので、あまり利上げ無しを楽観するのも如何なものかと思われるのですが、まー変に12月利上げで盛り上がった反動なので仕方ないのかなという感じです。


○末初のレポ取引

昨日もまた国債買現先オペで12月28日から1月4日までという末初お助けオペが実施されておりまして、平均落札レートは0.389%となりました。28日から29日を0.35%とすると、29日から4日の年末年始翌日物金利が0.3955%となるので極めて妥当な結果でした。GCレポ取引などでも0.4%になっていたようですので、結局ロンバート金利が落ち着きどころで、参加者が事前に想定してた通りの結果と言った所でしょう。

#あたくし的にはもうちょっと下がるかと思ったのですが、まあこれだとコールしか下がらないって感じですね

しかし思うに、昨日もそんな感じでお助けオペを打っていまして、低め誘導時代(古いね)の放置プレイ状態が記憶にある者としては(当時は足元金利が0.5%をちょっと切ってて、末初レートは毎回1.5%だの2%だのという換算から始まってさてどこまで下がるのか、たまに下がったと思ったら上る事もありましたな)随分と丁寧にお助けオペを打ってくれるもんだなあとある意味羨ましい感じです。

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2006/12/26

お題「閑散ですが総裁講演など」

まずは総裁記者会見(訂正です)講演。

○最初からそういう話をしておけば・・・・

昨日は福井総裁の講演が行われました。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0612e.htm
お題は『日本経済の本年の回顧と来年の展望』

総じて極めて穏当な内容でして、11月のきさらぎ会でのやる気満々講演はどこに逝ったんでしょうかという風情ですけれども、まあ本来はこういうトーンで淡々と話をしていけば、経済指標の好転と共に勝手に相場の方が利上げを織り込みに逝く筈だったんですがねえ。

講演自体は量もそんなに大きくなく、個別項目ごとに簡単にまとまってますので、まあ全部お読みいただくのも吉かと存じますが、一応ピックアップ。

・設備投資は過熱していません

『企業部門の動向』の部分から。

『ただし、企業が、国内市場のみではなく、拡大する海外市場からの収益機会も意識して、供給体制を強化していることを考えれば、現在の設備投資の増勢は「過熱」という状況ではないと考えています。』

『企業は、資本市場からの規律が高まっているもとで、個々の投資案件の採算性を厳しく見定める姿勢を堅持しておられます。緩和的な金融環境の中にあって、こうした規律の効いた投資活動が今後も維持されていくことは、日本経済が持続可能な安定成長の経路を辿っていくうえで、たいへん重要なポイントだと思っています。』

ということで、第2の柱である将来のリスク要因としての「設備投資の過熱」には全然至ってないという話ですな。まあどう考えても当たり前なんですけど。


・個人消費をや消費者物価を丹念に検討とな

『家計部門の動向』の部分から。

『賃金の上昇がより明確化していけば、所得の伸びは高まり、個人消費の増加基調の持続性を高めていくものと考えています。このところ、個人消費の関連指標には、天候要因や新製品投入前の買い控えなど一時的な要因もあって、やや伸び悩みの動きがみられます。今後とも、その動向は注視する必要がありますが、所得が伸びていくと展望できるのであれば、個人消費も増勢を維持するというのが基本的な見方だと思っています。』

ということで、今後の消費関連の指標に注視する必要ありと。

『このように、企業部門がやや強め、家計部門がやや弱めとなっている点はありますが、生産・所得・支出の好循環という景気拡大の基本的メカニズムは崩れていないと考えています。ただ、このところ、個人消費や消費者物価などの面で弱めの指標が出ていることも事実であり、今後公表される指標や様々な情報を、引き続き丹念に点検していきたいと思います。』

ということで、丹念に点検と言うのが立て続けに出てくるあたり話してる相手が経団連評議会ということもあると思いますが、「慎重に」ってのを見せてますな。まあ本来そういうもんだったと思うのですけどね。


・物価に関して

企業物価は上昇基調って話をしてますが、消費者物価について。

『消費者物価の前年比は、プラス基調で推移していますが、経済の改善に比べると、その上昇率の変化はごく緩やかなものにとどまっています。経済活動に対する物価の感応度が従来に比べて低下している可能性があります。こうした傾向は、近年、わが国だけでなく海外を含めて観察されています。』

『その背景としては、規制緩和や情報通信技術の発達といった要因に加え、経済のグローバル化が影響していると考えられています。例えば、新興諸国から輸入される製品との競合が強まれば、物価上昇圧力は高まりにくくなります。また、先ほど述べたように、激化するグローバルな競争に直面して、企業が賃金の引上げに慎重になれば、物価にも影響を及ぼすと考えられます。』

左様でございますか。ふーん。

『特にわが国の場合には、消費者物価上昇率がマイナスの状況から改善してきている過程にありますので、他の主要国に比べても、消費者物価の前年比は低い水準で推移しています。先行きは、経済が息の長い拡大を続ける中で、消費者物価上昇率のプラス幅は徐々に拡大するとみていますが、物価上昇率の拡大テンポがどうなっていくか、引き続き注意してみていく必要があると思います。』

ということで、ここでも「注意してみていく必要」と言及しております。


・てかまあ元々この話だけしてれば良いのでして

『新たな金融政策運営の枠組み』の中でこういう話をしてまして。

『こうした点検結果を踏まえ、先行きの金融政策運営としては、見通しに沿って経済・物価情勢が推移していくと見込まれるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持しながら、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えています。』

『もとより、フォワード・ルッキングと言っても、特定の政策金利の水準やタイミングを予め念頭に置いているということではありません。経済や物価情勢に関する情報は毎日新しく加わってきます。それらを丹念に点検したうえで、先行きの日本経済の姿を虚心坦懐に見通して、最善と考えられる判断を下していきたいと考えています。』

まあアレですな、本来この線でぶっきらぼうに話をしてればそれで無問題ではないかと思う次第でして、福井総裁の場合は自分の言葉で丁寧に説明しようとしてドツボに嵌まるという展開が多いと存じます。何と申しますか、中途半端に丁寧と言いますか・・・・


ということで、全体のトーンとしては慎重な姿勢に終始してる感じでございますわな。


○さてCPIですが(雑談メモ)

本日はCPIの公表。先日来申し上げておりますように、何だかんだと言いましてもやはりCPIが明確に上向きトレンドじゃないと利上げを正当化する論拠は弱いと見るのが順当だと存じます(第2の柱を全面に押し出すのは余程衆目の一致するバブル大発生でもしてない限りちょっと苦しいでしょうなあ)ので、ここのところ3か月連続で伸び率が鈍化しているCPIが再び上向きトレンドにならないとちと利上げ云々は先の話って感じじゃないですかね。

ということで、0.2%だった時が一番微妙な気がする。0.3%以上だったら1月利上げ観測がまたぞろ強くなるんでしょうかね。


○オペやCP金利など

実は金曜もオペ金利低下傾向でしたが、月曜のオペ金利もまあ低下。

国債買現先オペが12月27日〜1月16日で平均落札利回りが0.342%となりまして、現在の足元のGCレートが0.35%あたりで中々下がりにくい事を勘案すると年末年始の翌日物金利のプレミアムもだいぶ剥落したような感じがしますな。大体のパターンとして、年始のGCとか現先レートというのも暫くは年末モードになっている事が多く(ただし今年は金利の付いた正月明けで久々のパターンなのでよく判らん)、中々GCレートが下がりにくいというのもございますので念の為申し添えます。まあ金利分解するときには1月10日あたりからは0.30%で計算するんでしょうけれども。

昨日はスポット受渡が27日ということで、そろそろ月末&年末の資金繰りの為にCPの発行も増える時期ってなもんで、大手の最上位格発行体を中心に発行がそこそこありました。で、発行する人たちも当たり前ですがよく見てまして、1月利上げを必ずしも100%織り込んでいる訳ではないゾーンの1月末エンドあたりの(あたくしから見ると)お得な(発行体にとって、です)ゾーンの発行が目立ちますわな。

そんな中で3か月ものもそれなりに発行されてましたが、最上位格の月末近くのエンドもので0.47%近辺と0.50%を結構割り込んだ位置に低下したようですわな。まあ月末は発行も多いですが償還も多く、特に年末越えの資金繰りにメドがついたところから順に資金放出ニーズが出てきますので、年末接近と共に金利が低下しやすいというのはあると思いますが、レートはじりじり低下と言った感じでしょう。

#まあとにかくCPI注目ですな。

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2006/12/22

お題「総裁記者会見続き」

サハリン2の結末は「また露助か!」でございますな。まあそれはともかく総裁記者会見の続きを。

○個人消費の先行き見通しについて

先行きの個人消費に関してどう見てますかという質問への福井総裁の説明。

『私どもは、個人消費は基調的には増加を続けているという判断をベースにしています。賃金が伸び悩んでいるという話をよく聞きますが、企業部門から家計部門への所得の移転という目でみると、雇用が一貫して着実に増えており、賃金面でも、時間外、ボーナス、あるいはパートタイマーや契約社員の賃金という順序で増えています。』

『所定内賃金の伸びが十分みられないということですが、賃金を離れても配当とか、最近は団塊世代の退職が次第に増え始めていることによる退職金の支払い増加も、かなり目立っています。色々なかたち、幅広いルートで所得が家計部門に流れており、基調的には、これらを背景として個人消費が伸び続けているとみています。』

うーむ、ちょっと説明として苦しい気もするんだが・・・で、続き。

『しかしそうは言っても、現実の経済は生き物であり、個人消費も生き物であり、いくらか波を打ちながら動いていくだろうと、前もってそういう目で個人消費についても追いかけています。最近は、天候不順の影響があったり、あるいはいくつかの新製品の登場に伴ってその前後のやや不規則な動きが入ってきているとか、個人消費に関する統計データについても、――統計上のノイズという言葉は悪いのですが――非常に読みにくい数字が出ているという要素もあります。そこで、先々につなげて個人消費の基調をよりしっかりと確信を持って判断していくために、もう少し丹念に見極めたいということです。』

ホンネがどの辺りにあるのか、公式文書の方を見てると先に強気をぶち上げている手前、依然として強気の旗を降ろしてはいませんが、このあたりのトーンを読んでいると、個人消費に関してちょっと弱気というか、思ったより良くない状況が続いてちと困ったなってニュアンスを感じるところではございます。

で、いわゆるダム論の実現という点で見るとちょっとシナリオ通りに行ってないんじゃネーノってところなんでしょうが、まあそのあたりと利上げ時期が必ずしもリンクしないと思われるのがまたややこしい所でございます。


○追加利上げと個人消費

ということで、その後でこんな質問が。

『(問)(前半割愛)10 月に出した展望レポートでは、金利の調整、あるいは追加利上げを予定ないし模索している内容だったと思います。追加利上げをする際に個人消費が持ち直すことを確認する必要があるのか、もしくは、それが重要な要素になるのかという点についてどのようにお考えでしょうか。』

『(答)(前半割愛)次の政策変更につながるかどうかについて、個人消費あるいは物価の動きだけでなく、経済全体の動きを常に総合的に点検しながら判断していくことになると思いますが、足許やや弱めの指標が出ている個人消費あるいは消費者物価指数の動きについて、新しい指標に基づいてより深い分析を加えたいという気持ちは当然持っています。』

ということで、こちらでの答えのように「個人消費が持ち直さないと利上げができないわけでは無いけれども、個人消費とCPIに弱めの数字が出ているからちょっと先行きを見極めたい」という理解で良いのではないでしょうか。

でね、個人消費の方が経済情勢という点では気になる話なんですけれども、政府与党の経済見通しも強気に設定されているという点からすると、利上げ判断はやっぱりCPIの方に縛られやすいとあたくしは思うのでございます。即ち、政府との政策協調で云々と言われる中で政府というか与党サイドから利上げに反対する論拠として使われ易いのは「デフレ再突入懸念」だと思われる訳でして、(将来の効果はともかく、短期的には個人負担増大で個人消費を冷やす蓋然性が高い税制改正をしてるので個人消費ネタは使いにくいでしょ)結局のところはCPIが再度上向きトレンドになってきましたよってデータが無いと利上げを政府与党に納得させるのは難しいんじゃないですかね。

んな訳で来週のCPI注目してるんですが。


○「徐々に」とか「ゆっくりと」のタイムスパンについて

次の政策変更に対してどのような時間感覚を持っていますかという質問に対する総裁のお答え。

『マスコミの皆様方からよくそういう質問を受けますが、私どもとしてはこれに答える材料を持っているとしたら、私どもが判断を間違うケースではないかといつも心配しながらお答えしています。経済・物価の動きを将来につなげる形で十分分析して判断していきますが、「ゆっくりと」というのは、日本経済の現状は私どもがゆっくり分析する時間的余裕を与えてくれているという意味です。』

『従って、カレンダー的に7月から何か月経ったから残りの期間が短くなったのではないか、もうあと1か月か2か月か、という発想に立っておりませんので、ご質問と私どもの答えとの間にはギャップが存在するし、それはやむを得ないと思っています。(以下割愛)』

最初からこの話だけしてりゃ良いんですよね〜マッタクモウ。

ということで、全体のトーンに関しても強気丸出しモードからは後退した感が強い会見ですなあという所だと思います。ただまあ経済指標が好転してきたら利上げをするだろうなあというのもまた感じられますので、結局のところは今後出てくる物価と家計関連の指標が好転するかどうかという話ではないでしょうか。


以下おまけ。

○村上ファンド問題

この質問は大変に結構でございます(^^)。

『(問) 今年1年を振り返るお話の中で、村上ファンドの投資問題についての言及がなかったのでお尋ねします。改めて世論から厳しい批判を受けたあの問題をどう振り返られますか。また、現在の村上ファンドの解約状況についてお伺いします。』

『(答) 前回の記者会見でご報告した拠出金の返戻のプロセスにつきましては、前回ご報告申し上げた以降進展はみておりません。そして私自身振り返って、様々なご批判を謙虚に受け止め、深く反省しているという点について重ねて申し上げます。』

私募ファンドだから色々なやりかたがあるんでしょうが、基本的に上場されてる株式を投資対象にしている(と理解してるんですが)ファンドなのに解約申し出してから10か月経過してまだ全部返金されないファンドってあたくしの理解の範疇を超えるとっても不可思議なファンドでしたなあ。


○金融政策決定会合の日程

6月までの金融政策決定会合の日程が前回の会合で決定されておりまして、日程が公表されておりました。

http://www.boj.or.jp/type/schedule/s061219.htm

ふむふむ、金曜に最終日が来るのは6月と4月の2回目だけということで、日程は一応考えてますな(^^)。

市場金利急騰への配慮のためにロンバート金利を0.4%にしてますけど、次回の利上げの際にまた駆け込みロンバートが炸裂してエライコッチャになるものと思料されますので、決定会合のケツは金曜を避けるようにしております。本当は「短期金融市場の機能も回復してきたので、避難的措置で行っていたロンバート金利の0.4%を0.5%に引き上げる」ってのをどっかでしらっとやっておけば良かったのにと思うのですが、何せ利上げ直後の会見で総裁自らがご丁寧に選択肢を排除しちゃいましたので不可能でございます。残念無念。

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2006/12/21

○個人消費の先行き見通しがやや下方修正されてました

昨日ご紹介した金融経済月報の基本的見解(要旨とか言ってましたね、すいません)では、個人消費についての現状判断に一言入りましたなあというお話をしまして、『ただまあ月報レベルでは下方修正というよりは但し書きをつけというべきもの(基調判断そのものが「増加基調」のままだから)であって、「下方修正」と見るのは過大評価ではないかと存じますので要注意』と申し上げたのですが、全文を読むと実は先行き見通しも下方修正しているのでありました。

全文のURLはこちら(PDFで69ページあります)→
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/data/gp0612.pdf
で、11月分はこちらです→
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/data/gp0611.pdf

この中で個人消費の先行きに関しては、12月分では本文9ページ(ファイルだと10ページ目)、11月分では本文7ページ(ファイルだと8ページ目)に記述がございまして、このように変化しています。

『先行きの個人消費については、雇用者所得の緩やかな増加等を背景に、増加基調をたどると考えられる。』(12月)
『先行きの個人消費については、雇用者所得の緩やかな増加等を背景に、着実な増加を続ける可能性が高いと考えられる。』(11月)

とまあ並べて見るとトーンが下がっていることがお判りになるかと存じます。

では何で昨日はあたくし先行きの判断変化ないという話をしたかという言い訳をしますと、基本的見解では先行き見通しに関しては「国内民間需要」という形で括っていまして、そこでは『引き続き増加していく可能性が高い』という表現が継続してたんですな。

ということでございますので、目立たない形ではありますが、個人消費の先行き見通しの強気トーンがやや後退しているというお話でございました。

ちなみに現状弱含みの要因に関しては次のところでさらっと。


○総裁記者会見は盛りだくさん

盛りだくさん過ぎて明日に続きそうな予感。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0612c.pdf
PDF13ページなのですが、比較的しょうもない質問が少なくて、結構バシバシ突っ込まれてた感じをこの要旨からは受けます。

・冒頭の説明部分での個人消費への言及

冒頭で総裁が金融経済月報(基本的見解)をベースに景気判断の話をしまして、基本的にこの部分はスルーしちゃうんですが。

『個人消費は、天候要因や新製品投入前の買い控えなど一時的な要因もあり、足許はやや伸び悩んでいますが、基調としては増加していると判断しています。』

ということになっておりまして、その辺りに関しては月報基本的見解を読みましても載ってないのですが、先ほどご紹介した月報全文の個人消費に関する部分を読みますと(本文7〜8ページです)、上記発言のような趣旨の分析がございますのでご参考までに。

まあ「足許個人消費が弱いのは一時的要因」ということで、強気は強気というのは継続してるようですが、ちと確信持てるかというとそれはどうかなっていうニュアンスなのかなと読みました。


・市場との対話について

地均しした挙句にこれですがどうですか(意訳)って質問に対して。

『(答)私どもは、毎回、私だけではなく他の政策委員の皆さんも、政策決定について予断を持って臨まないとの姿勢で一貫して本日まできており、今後もその方針です。つまり、政策変更のタイミングを予め示唆するということは、これまで一度もしていないということです。市場もそのところは十分おわかりの上で行動していると私どもは理解しています。』

梯子外し発言キター!!という所でございまして、いやまあ確かに具体的時期に関しては何も言ってませんでしたが、あのトーンを並べられたら「早期利上げに前のめり」としか取れないんですけどねえ。もともとの方針の「経済物価情勢を点検しながら必要になれば利上げする。そのペースは今の情勢だとインターバルは兎も角としてまあゆっくりとなるんでしょう」という話しかしなければ、経済指標を見ながら市場は動くと思うんですがねえ。

変に対話を意識して、バランサーみたいな発言(市場が利上げ無しで盛り上がると第2の柱を持ち出して、早期利上げで盛り上がるもまだ様子見たい時は火消しに回る)が出てくるから話がややこしくなると昨日も似たようなことを申し上げましたが、市場なんて極端から極端に振れやすいものなんですから、変にバランス取りに行くと却って振り子の振れが大きくなるって事なんでしょうな。

まあ7月の利上げが上手くできたんでそれが過信に繋がったということっすかねえ。今とあの時では外部環境が違うということで。


・消費者物価指数発言について

昨日ご紹介したときに、企業物価じゃなくて消費者物価の弱含みに総裁が言及しましたねって話をしましたが、会見場で突っ込まれておりました。

『(問) 今回の現状維持の背景として、(内容部分省略)ということをおっしゃいました。その後、個人消費だけではなく消費者物価も些か弱めということをおっしゃっていますが、一致した点については、個人消費だけではなく消費者物価についても若干弱いという認識で一致されたのかどうか、というのをまずお伺いします。(以下割愛)』

『(答) 最初にお尋ねの点は、先ほども個人消費や消費者物価などで弱めの指標が出ていると申し上げました。しかし、今後点検していく材料というのは何もこの2点にだけ絞るということではなく、これらも含め引き続き様々な指標を丹念に分析していき、政策変更を行うことが適当だという十分な確信を得られるところまでの点検結果が結論として出てくるかどうかということであります。(以下割愛)』

えーっと、どうも回答を回避してますなこりゃ。ちょっとサービスしちゃったかなって所なのかも知れない(^^)。


・定率減税の影響について

これはまた素晴らしい質問。

『(問)1月から定率減税が全廃になり、家計部門にとってみれば実質増税になると思いますが、個人消費が少し弱い中でその影響について、どのようにお考えですか。』

『(答)そう単純ではないと思います。定率減税によって受けていた家計部門のメリットがなくなるというのは、確かに負担が増えるということになるわけです。しかし、経済が今後とも息の長い成長を続けていけば、民間部門内での所得の増加は当然期待できるわけですので、併せて考えますと、やはり息の長い成長が続くということが、家計部門にとっても将来のコンフィデンスをより強めていくことになるだろうと思っています。』

まるでこれでは答えになっておりません(^^)。ということは「悪影響あるんだよな〜、でも政府与党の庭に特攻する訳にもいかないからな〜」というのがホンネでは無いかと勝手に総裁の心を妄想するあたくしなのでありました(^^)。

その他幾つか論点というかネタらしきものがあるのですが、時間と量の関係上とりあえずこんなところでご勘弁下さい。続きは明日。

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2006/12/20

お題「今度は逆方向に火付けとは・・・・(-_-メ)」

全会一致で現状維持は予想当たりましたが、まさか総裁会見で金先債先など大暴騰の火付けが発生するとは予想大外れでしたな。毎度の事ながらありゃりゃですよ。

という訳で、昨日の総裁会見に関しては「じゃあ今までの地均しはありゃ何だったんでしょうかねえ」ということで、「最初からそう言って置けば振り回されなかったんですけどねえ」と文句の声多数と逝ったところでしょうな。

しかしモーサテ見てると日経新聞では「日銀は市場が織り込む形での利上げを重視しており1月の利上げは難しい」(今までの路線は事実上日銀による織り込ませ路線なんで市場の織り込みは正直日銀次第でしょ。それの是非は別として)とか金融経済月報のニュースで「企業物価は当面弱含みが横ばい(報道ママ)」(「目先、弱含みないし横ばい」が正しく、当面ではない)とか、ついさっきまで「利上げバイアス報道」だったのがドテンして「利上げまるで無しバイアス報道」になったとしか思えんメディアで実に困ったもんだと存じます。

などと前置きが長くなりましたが、まずは月報から。


○金融経済月報:個人消費の現状判断をやや変更

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0612.htm
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0611.htm
(例によって上が12月分)

で、ご案内のように、現状判断部分で個人消費がやや伸び悩んでいるという事をやっと認めましたなあということでございます。

確かにここもとの審議委員の講演でも個人消費関連の経済指標が冴えませんという話は多かったので、こういう風になっても不思議では無かったんでしょうけれども、地均し(というのが悪ければ、第2の柱を全面に押し立てた利上げロジック満載の情報発信)を散々した挙句に決定会合は全員一致で現状維持だわ月報は消費の現状判断に弱めのフレーズ入れるわ、会見ではなおトーンダウンだというのは何だかねって感じです。

正直言って「市場との対話」をしようとして結局のところ「市場をかき回して大騒動を起こして元の木阿弥」と逝ったところでございまして、総裁と水野審議委員イイカゲンにしやがれと思ってる市場の中の人は結構いると思いますけど。

で、くだんの部分ですけど。

『雇用者所得も緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費は、やや伸び悩みつつも増加基調にある。』(12月)

『雇用者所得も緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費は増加基調にある。』(11月)

ということでして、やや「伸び悩みつつ」も「増加基調」という増加基調の旗は降ろしてないのですが、項目が「個人消費」という景気拡大ロジックのキモになっている部分なだけにインパクトがございましたなあという所です。ただまあ月報レベルでは下方修正というよりは但し書きをつけというべきもの(基調判断そのものが「増加基調」のままだから)であって、「下方修正」と見るのは過大評価ではないかと存じますので要注意(ちなみにブルームバーグニュースのヘッドラインでは「下方修正」とは書いてませんでした。時事とロイターは存じませんが)。この調子の個人消費指標が続くとどっかで本格的に下方修正になるんでしょうけれども。ナムナム。

他の部分ですけれども、短観を受けて企業の業況感に一言『業況感も良好な水準で推移する中』と入っている以外で違うのは国内企業物価の部分ですな。

・国内企業物価の現状判断

『国内企業物価は、原油価格の反落が影響し、足もとでは3か月前比でみて横ばいとなっている。』(12月)

『国内企業物価は、原油価格の反落が影響し、上昇テンポが鈍化している。』(11月)

・国内企業物価の先行き見通し

『国内企業物価は、原油価格反落の影響がなお残ることから、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。』(12月)

『国内企業物価は、当面、原油価格反落の影響が残ることから、上昇テンポの鈍化が続くとみられる。』(11月)

ということで国内企業物価に関しては弱めになっております。


○総裁記者会見

詳しくは例によって日銀発表の会見要旨が本日出るでしょうからそれを真面目に読む必要が物凄い勢いでありますので、本日は諸般の事情(最終報出る前に呑みに逝ったからですが^^)で最終報を見てないブルームバーグニュース(プロフェッショナル)ではなくて、珍しくネット上のブルームバーグニュースから簡単に。リンクはどうせ暫くすると切れると思うんですがこちらです。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aL4W2pscI1kA&refer=jp_news_index

上記URLから引用致します。

・利上げ見送りになった背景は?という質問に対して

『本日の決定会合で現状維持を決定した。政策の先送りとおっしゃったが、先送りではなくて、諸情勢を丹念に点検し続けた結果、今回は現状維持となった。背景となる経済・物価情勢は、短観やGDP統計を含め、前回会合以降明らかになったいくつかの指標を踏まえて、丹念に検討した結果、日本経済は引き続き緩やかに拡大していることを確認した。先行きについても生産、所得、支出の好循環の下で、景気は息の長い成長を続けていく可能性が高いと判断した』

『ただ、このところご承知の通り、個人消費や消費者物価などの面で弱めの指標が出ているということも事実だ。今後公表される指標やさまざまな情報を引き続き丹念に点検していくことが適当である、という点で意見が一致した』

ということで、まあ月報で個人消費と国内企業物価に関しての言及があったのですが、会見では消費者物価に関しても弱めという話をしております。月報要旨との整合性はどうなのよという気もします(ちなみに消費者物価指数については『生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)前年比上昇率は、石油製品価格の影響によって伸びが鈍化しているが、なおプラス基調で推移している。』と言及してます)がそこは追及せずに(^^)別の質疑を。


・フォワードルッキングと足元の数字について

実に素晴らしいツッコミをする人がいます。質問も引用。

(問)『日銀はこれまでフォワード・ルッキング(先見的)な政策、先手を打つ政策を標榜されてきたが、今回は足元の指標を重視したかのように聞こえるが。』

で、これに対する答え。

『フォワード・ルッキング・アプローチというのは、先々まで経済・物価の状況を深く読みながら、必要とする政策を早めに適切なタイミングでやっていく。この点はおっしゃった通りだ。ただ、フォワード・ルッキング・アプローチと言っても、手前の現実に出てくる経済指標、物価指標を無視して、これを飛び越えて、遠眼鏡で先だけ見ているというアプローチではない』

いやあ第2の柱を全面に押し立てて「手前の指標が強弱あっても必要な時は判断する」というような趣旨の講演要旨をここんところ何回か拝読しておりました愚昧なあたくしから致しますと、何を今更言い出すんだという感は拭えない(べき論で言えば当たり前のことをやっと言ったかという所ですが、笑)ご発言でありますな。

その続き。

『やはり刻々と出てくる経済指標、あるいはさまざまな情報、データを先につなげる形できちんと分析しながら、先を判断していく。先々の経済の姿が指標で出てくるわけではないので、やはり現実に出てくる情報を丹念に分析し、将来の展望という形で組み立てながら政策判断につなげていく、そういうやり方をとっている』

『したがって、手前に出てくる情報に乱れがなく、整斉と一定の方向で出てくる場合と、つい最近のように強い指標、弱い指標が入り乱れて出てくる、あるいは過去の数値が改定される、こういうふうなときには、手前の指標の丹念な分析が一層必要になる。そうでなければ、確信を持って先を見にくいという面が出てくる』

GDP改定まで言及しておりまして、何と申しますか「データ重視」と逝ってみたり、将来のリスクを重視してみたり、その時々で言うことに一貫性がないから結局のところ市場は「ロジックじゃなくて政策委員の意向重視」になるんじゃないでしょうかねえ。これじゃあ市場の対話とか言わないでルール重視でやってもらった方がよっぽど動きやすいんですけどねえ。更に続き。

『そういう意味で、手前の情報をより重視しているように見えるが、実際にはわれわれはたんたんと同じペースでいろんな情報を分析し続けている。今後もそうしていく』

どう見ても転向です。本当にありがとうございました。

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2006/12/19

さて、昨日は久々にまあ平和な市場でございまして、利上げ懸念で大騒ぎ、そして懸念剥落で大騒ぎと相場で疲れ、年末宴会モードで疲れたのでほっと一息と言ったところでございましょう。そんな訳であまりトピックスも無いので金融政策決定会合と総裁会見の予想でも。相場の予想と違って(こら)、そこそこ当たると思うんだけどなあ。

○現状維持の票決差、あるいは利上げ提案はあるのか

まあこれで今日利上げやったら驚天動地ですが、そもそも火消しの決め手が「日銀幹部発言と伝えられた発言」でありますところから勘案するとさすがに現状維持で間違い無いでしょう。あったらマジで暴動もの(笑)。

問題は誰か利上げの提案する人はいねえかって所でして、正常化路線を昔からよく主張する福間審議委員とか、毎度毎度余計な過激発言をするうえにやたらと発言の出る機会も多い水野審議委員とかに利上げのご提案でも賜りたいところでございますわな。というか騒動の責任の半分くらい水野さんなんですから(あたくしの主観的判断ですが)、おめーは発言の責任取って利上げ提案しやがれという感じです。「正常化路線」という意味では、ある意味緊急避難的な措置であったロンバート金利とコール誘導目標金利の回廊幅を、正常化にふさわしく拡大するという提案を福間さんがするのもどうでしょうかと思いますけど。

まあこれで全員一致で現状維持だったら今までの騒ぎが何たる茶番という感じですけど、あたくしの予想は実は全員一致だったりするのですな。あたくしが勝手に考えるべき論と予想は別もんですよ別もん(ま、だから予想が外れたときにもやたら対応が早いのですが、苦笑)。


○金融経済月報

7月の利上げ以降、特に景気判断部分に関して毎回毎回判で押したように同じような内容(当然ながら物価に関しては原油価格だの国際商品市況だのの影響で表現が変わってますが)となっている金融経済月報(要旨)も本日公表されます。こちらでの表現に何か変化があるのかも注目したいです。というかここん所同じ内容が続いているので注目度がどうも下がっておりますな。

ちなみに、この間金融政策決定会合の議事要旨を見ると、少数意見として景気先行きに関してどうなのよというのが出てきてますが、月報要旨が不変ということは多数派意見は前回までの段階では変化なしということです。今回の割と良い内容である短観を受けて判断をどういじってくるか、あるいはいじらないかを注目したいです。ただまあこれまた予想としては、そもそも7月時点で強気満々の月報だった(当然ですが、7月時点で内容を一歩強くしている)ので、今更これを強くすることもねえだろうという所ですが。


○総裁記者会見

あたくしの過去の駄文でもご覧頂くとお判りになるかと存じますが、実は総裁記者会見そのものは11月のきさらぎ会での地均し節全開講演以降は極めて穏当なものになっております。まあ一度言えば十分ですから、そういう点では市場のオドシ方へのご理解がこの期に及んで進んだのでしょうか(苦笑)。

まあその間に他の人がやらかしてくれてますので、総裁がそれ以上火を点けて回る必要が無いというのもあるかとは存じますが、今回はまあ会見で散々っぱらツッコミを受けることになるんでしょう。何か言い出すかちょっとだけワクワクテカテカ。

#しかし超長期入札にぶつかっている決定会合最終日ってのも中々アレでございますなあ

ま、ここもとの流れから行きますと、総裁は原則的な話に終始すると思いますので、どこかの勇者が「中川幹事長が日銀は平成の関東軍にならないようになどとおっしゃっていたことについてどう思いますか」とか総裁の機嫌を悪くするような質問をして頂くとアレでございますが(いやまあ半分冗談ですよ、冗談)。

これまた予想ですが、「こんなに良い短観を受けてるのに12月利上げできなくて無念」ってのがどっかに出てくるのではないかとやや思ってますです、はい。

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2006/12/18

お題「日銀短観/その他世間話を少々」

○短観をいつもと同じようにチェック

日銀短観が公表されました。「予想通りなら大してインパクト無いでしょ」と予想してたら、利上げ予想時期が1月に寄せられたインパクトが割とあったのが少々意外でございました。てかまた外した訳ですが(こら)。

短観に関しては本職の方々がレポート出してると思いますので、あたくし如きの出る幕は無いのですが、駄文書き出してから毎度同じパターンでチェックしてるので今回もチェックでございます。ちなみに、短観の1ページ目を見たときの印象は「こりゃ良い数字ですなあ」でございましたので念の為。

・3か月前には先行き下向きでしたが・・・・

ずーっとチェックしてるのが「前回調査での先行き予測が実際にはどうなったか」というお話です。3か月前の現状判断DI、先行き予測DIが今回どうなったかというのを並べて見ましょう。

            (9月時点)       (12月時点)
            現状→12月予測  現状→3月予測
製造業大企業   +24→+21     +25→+22
製造業中堅企業  +14→+11    +17→+12
製造業中小企業  +6→+7      +10→+5

非製造業大企業  +20→+21    +22→+20
非製造業中堅企業 +5→+4      +4→+2
非製造業中小企業 ▲8→▲9      ▲6→▲10

で、あたくしが毎回注目しているのは上記数字で言うと真ん中の2つの数字でございますが、今回もまた殆どのセクターで「前回の先行き予測よりも好転」しておりますわな。ついでに申し上げると、前回時点では多くのセクターで「先行きは今よりも悪化(というか減速というか)する」という予測DIとなっておりましたが、蓋を開けてみれば殆どのセクターで「9月時点よりも現状判断が好転」しておりますわな。

今回の調査でも先行き予測DIが現状判断よりも小さい(またはマイナス拡大)数値になっておりますが、これは景気が緩やかに拡大している(まあ企業部門はそうでしょ)ここまでの局面での短観の仕様みたいなもんでして、ややあたくしの妄想と毒も入りますけど、先行き予測DIが現状より好転するような結果が出るようなら「天井の時には皆さん揃って強気」っていう奴になるんじゃないかなあとも思うのでした。まあ景気弱気派のストラテジスト様やらエコノミスト様(区別が良く判らんが)におかれましては「先行き予測DIが下を向いている」というのを鬼の首を取ったように宣伝する向きもありますが、残念ながらこれは仕様ですのであまり注目しない方が吉かと(^^)。


・雇用判断DI

こちらも最近見るようにしたのですが、こっちは今回も「前回予想するほど雇用の不足感が拡大していない、だけど不足感拡大」という結果になっております。でもどうもこれも短観の仕様のようです。短観概要の6ページ目です。

            (9月時点)       (12月時点)
            現状→12月予測  現状→3月予測
製造業大企業    ▲2→▲6      ▲5→▲7
製造業中堅企業  ▲5→▲7      ▲7→▲8
製造業中小企業  ▲7→▲10     ▲8→▲9

非製造業大企業  ▲13→▲16    ▲15→▲19
非製造業中堅企業 ▲12→▲16    ▲12→▲17
非製造業中小企業 ▲11→▲13    ▲10→▲13

過剰−不足で数字が出てくるので、マイナスのほうが人手不足感が強いっていう意味では良い数字だと思います。


・証券業の業況判断DIはいつ見ても笑えます

7ページ目にある「金融機関の業況判断等」のコーナーで証券業のDIを見ると今回もまた実に香ばしい。

        (9月時点)       (12月時点)
        現状→12月予測  現状→3月予測
証券業    ▲4→+36      0→+40

前回予測がここまで豪快に外れまくっているのは短観概要の1ページ目を見ても見当たらない次第。てかおまいら3月予測でそんなに好転すると思ってるなら冬季賞与のファンドを何でそんなに減らしたのかと小一時間問い詰めたいですが(というのは半分冗談)、いくら市況産業とは言え、この「先行きの楽観予測が見事にダメダメ」というのを見ると、「大本営発表」という文字を大書して証券会社の経営ナンチャラ部の人たちにご進呈申し上げたくなりますな。マッタクモウ。


○20日スタートのレポが

金曜はご案内の通り、短観を受けて先行きの過度な楽観(というか利上げ予測時期が延びているのだがら景気には悲観だが)が剥落する形になって、ロングの外しが出たのかなあとは思いますが、思ったよりも下がったような感じ。で、短い所はさてどうよという所だったのですけれども、こちらは中長期債ほどの反応はしておらず。まあもともと「年度内利上げ無しかも」というような価格形成になってなかったので反動も小さかったとも言えますけど。

ところが、金曜もまたまたGCレポ市場では何でそんなに出し渋るのかあたくしなどにはどうも釈然としないのですが、資金の絶賛出し渋り現象が発生したようでして、15日〜18日の当預積み上げ大会が一旦ピークアウトして低下したと思われてたGCレポレートが0.33%あたりからあれよあれよと上昇して0.37%−0.39%レベルまで上昇。

金曜のレポは20日スタートのものになりますが、12月利払い銘柄のレポが期落ちになって通常ベースに戻るのに加えて、12月なので国債償還が多いという要因はあるにせよ、別に短観で12月利上げ観測が高まった訳でもないのに何でそんなに資金出し渋るのか訳判らんです。そこまで上るこたあねえだろうと思うのですが、金曜は業者のレポ担当の皆様大変な一日だったようで誠に同情の念を禁じ得ません。

資金の出し手が横並びだからすぐこうなってしまうんですよねえ。


○OISとレポ金利先物キャンペーンが展開されてますが

金曜の日経金融新聞1面は最近絶賛展開中のOISキャンペーンにレポ金利先物のお話も出ております。OIS取引の市場規模が拡大しましたよ凄いですねって話なんですが、オフバランスの取引の想定元本とコール取引の元本を比較する時点で香ばしいものを感じますが、記事を読んでて吹いたのは以下のくだり。

『(OIS取引は)欧米で開発・普及した取引で、ノウハウを持たない国内金融機関では様子を見るところが多い。』(15日日経金融新聞記事)

いやあのそれは量的緩和が延々と続いていて国内で取引のニーズが無かった事に加えて、参加者のニーズが一方方向に振れやすい(まあその点は鶏と卵みたいなもんで、参加者増えれば解決するかもしれないけど)し、金融政策を予測してヘッジする云々ということならば、(これもまあ変な市場ですが)ユーロ円金利先物がありますわなってところでしょう。大体からしてスペキュレーターが参加するには金利の絶対水準も低いし金融政策の先行き予想方向が双方向じゃないから値動きオモロナイでしょうし。

そもそも論として、国内金融機関は今や資金余剰ですので、別に翌日物金利を積極的にヘッジするニーズがそんなにあるとは思えませんですわな。日銀オペや短期国債で調節できるでしょうし、その方がカウンターパーティーリスク無いし、一発でロット捌けるし。

まあアレでございますよ。「取引が拡大」「ノウハウを持たない国内金融機関は参加してない」「日銀様も注目されておられます」って記事を日経金融様の1面に乗っけると、朝から新聞を隅から隅まで熟読されておられるエライ人たちが下々の者に向って「こんな記事があるが当行はどうなっているんだ」と御下問をなされますので、そーゆー意味での効果はあるんでしょうなってところですな、てかそれが狙いでしょ(笑)。

#大体からしてこんな単純な取引にノウハウも糞も無いと思うが。


などとまた月曜の朝から悪態ばかり書いておりますが、記事の中でTIFFEがレポ金利先物上場を計画している話も出ておりまして、この話まだ継続してるのかよと暫く前に鳴り物入りで導入して見事に大コケした(金融ファクシミリ新聞の報道によりますと11月は全ての限月で売買高0枚という素晴らしい状況)「スワップ先物」の二の舞となりそうなお話で実に香ばしい。

何で無担保コール翌日物をリファレンスにしないのか全く意味が判らないのですが、もしかすると「レポ取引市場の方がコール市場よりも取引規模が大きい」とか思ってるのではないかという気がするんですけれども、それはまあ「取引高がでかい」のはその通りですが、マネーの取引市場として価格発見機能がどうなのよって話とは別問題だと思うんで、リファレンスにするには不適当(そもそもリファレンスレートに耐えられるものが無いですけどねえ)と思いますので、TIFFEさまにおかれましては「レポ金利先物上場」は是非思い止まって頂きたく存じます。コケた場合の責任問題はまあ他人事ですのでどうでも結構ですけど、無駄投資のツケは結局会員企業に回って来るんですから。

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2006/12/15

○短観でございますが

本日は短観。大企業製造業のDIが前回の+24から若干改善というのが市場予想だと存じますが、まあトンでもなく凄い数字(あたくし的には29とか30とかいうようなとてつもないものじゃない限り・・・と思うけど)をが出ない限りは相場は反応しないものと思料。

#まあ「短観の結果が出てから行動」という言い訳じゃなかった投資行動の説明重視の人が世の中には大層おいででございますので、そうは言っても動きはあるんでしょうが。

で、問題は下ブレした時の筈なんですが、何せ既に12月利上げどころかその先の利上げに関しても疑問符が付くという実に香ばしい展開になっている昨今ですので、まあそうなった場合には5年あたりがもう一回買い直されるとかいうような話になるんじゃないですかねえ。いや何となくあてずっぽうですけど。


○FB3か月0.45%まで低下

短観を待たずして12月利上げ観測はどこぞへ逝ってしまい、昨日あたりは短いゾーンの買いが絶賛優勢だったようでして、3か月も強いですし、1月償還物あたりのTBFBにも買いがご到来遊ばされたようで確りとなってます。

で、3か月FBは0.45%とかになっているのですが、まあ1月利上げになるとGCや現先対比で絶賛大負けという利回り水準ではありますが、短期国債に関してはそーゆーコストと関係ない人のご参入もありますので、そんな買いもあって誠に堅調ではございます。あまり意識してないけど、一応先週のFBは期内物最終便で、来週以降は期越えになるし。

昨日申し上げていたCPですけれども、まあ当然ながら3か月あたりのレートは低下してきまして、週初の現先レート上昇モードの時から見ると3か月でざっくり4bpくらい低下したようなイメージですわな。FB421回(先週の3か月もの)のように0.49%(先週水曜の入札)→0.52%(先週金曜)→0.45%(昨日)という豪快さには欠けますが、まあちゃんと反応しているような感じですな。ちなみに水準的には0.5%台前半かと。

年末越えに関しては次の積み期間に向けて積みを進捗させようって人がいる上に、まあ一応資金繰りに関しては慎重にやる人が多いので、CPの金利自体は暫くこんなもんなのかもしれませんな。銀行のCPディーラーが頑張りだすともっと豪快にレート低下するとは思いますけど。

月末近くになって(既に利上げ無い事を前提に話してますが)ギリギリになれば資金が余ってくるでしょうし、月末は発行も多いですが償還も多いので、運用圧力が高まって月末近くの何処かの時点でCPレートそのものは低下すると思料されます。


○これは必見(人のふんどしですが)

毎度お馴染み本石町日記さん→http://hongokucho.exblog.jp/6192017/

ま、必見もへったくれも無く皆さんご覧になっておられると思いますんで別にご紹介する必要もないと存じますが(笑)、「ヘッドラインリスクが生じる理由」シリーズ第2弾のエントリー投入。

例によってコメント欄も示唆に富む、と申しますかあたくしも最初のお二方のご意見に激しく同意でございます。まあそうなるとあたくしの駄文のネタが減って困るのですが(笑)。

コメント欄でa-kunさんが『でも一番困るのはブラックアウト期間や国債入札日ですらおかまいなく呼び出したり牽制したりする国会のみなさんかな。責任ある立場として経済政策を語るのならせめてクリティカルな時間帯かどうか確認してから発言してほしい。』とご指摘ですが、あたくしも全くその通りだと思います。昔の決定会合の結果を見ると「国会出席の為に金融政策決定会合が一時中断」というような無茶な事もありましたわなあ(しかも大事な時でしたが)。

ま、あたくし趣味(実益も兼ねてますが)で政策委員様の講演要旨や会見要旨を毎度毎度読んでおりますが、武藤副総裁の安定感たるや抜群でございまして、さすがは官僚としての最高地位までお勤めになられただけの事はあると敬服する次第です。だから想定問答に無さそうな発言をした場合に重みがあるんですけれども。



○これは酷い(と皆様思ってるでしょうが)

昨日の某経済新聞様の1面にあった利上げ見送りの観測記事はご覧になった皆様「何を今更」だったと存じますが、念には念を入れてこちらにメモメモしておく所存(笑)。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061214AT1F1300213122006.html

『これに対し、7―9月期の国内総生産(GDP)改定値で消費が下方修正されたうえ、10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)も前年同月比0.1%の小幅上昇にとどまるなど、消費や物価面で力強さを欠く指標が相次いでいる。』(上記記事より)

いやあのそういうのはとっくの昔にでてまして、「それでも利上げするんですよ」って報道してたんじゃなかったんでしたっけと小一時間問い詰めたいとはこのことでございますが、昨日はこの記事を読んで「今更お前が言うな」と突っ込みを入れた人が物凄い勢いでいたかと存じます。

まずおまいらのその「シナリオ営業」のような「結論先にありき」チックな論調をなんとかしやがれ(おまけにいつの間にやらドテンするし)と思うんですけどねえ。

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2006/12/14

お題「利上げ観測時期が物凄い勢いで先送られ」

昨日に引き続きまして訂正。昨日「利上げだとベアスティープでカーブがフラット化へ」などと意味不明の事を書いてしまいましたが(アホです)、文脈からお判りの通りベアフラットです。日々忘年会(という名目の単なる飲み会)続きで宴会脳になっているというのは言い訳です。

さてまあ決定会合前にとうとう日経様まで「年内見送りの公算」という記事を書いてました(本紙は当然未確認、モーサテでやってた)が、既にその向こうに逝きつつあるのが相場クオリティ。


○オペ金利

昨日実施された共通担保本店オペは15日スタートの1月19日エンドで0.410%/0.39%(平均/足切り)となりました。んでもって全店オペでは15日スタートの2月19日エンドで0.466%/0.44%ということで絶賛金利低下と相成りました。1月エンドの方をご覧頂きますと、どう見ても12月利上げがノーケアーとしか言いようの無いレートになってますわな。

で、1月エンドのオペが19日足でして、1月の決定会合が17、18日という日程だからまあちょっと誤差ありますがこのオペ結果を使って2月足のオペ金利を分解すると平均を使えば後半1ヶ月が0.529%くらい、足切りを使えば0.496%くらいということで、まあ一応1月利上げには敬意を表しているという金利ですが、つい先週は12月以降の金利が0.53%換算などという脅威の金利をやっていた事を考えると隔世の感(3日しか経ってませんが、笑)。

ちなみに、全店オペは本店オペよりもレートが上昇しやすい傾向がありますので、実際に今のような比較をして金利を分解するのは少々問題があるのですが、まあざっくりと考える分にはこんなもんで勘弁ということでよろしくです。


○FB入札

で、昨日「あっちゃー」となったのは3か月FB入札。前日の2か月FB入札は落札結果発表後に葉っぱ踏み踏みモードになっておりましたが、昨日はそれがなお大掛かりになるの図。

前場の引け時点では0.495%から0.50%あたりだったらしいのですが、平均落札が0.49%で最低落札が0.493%というジャンピング入札になった挙句にショートカバーだか何だか知りませんが0.46%まで買われるの巻。あまりにも入札が強いので債券先物もビックリして135円近くまで上昇しておりましたが、新発FB423回は先週発行された3か月もののFB421回(当然1週間償還が短い)のオファーを差し置いてより低いレートで出合うというのはさすがにそれはいやはや何とも。

市場観測によりますと、どこぞの業者が物凄い勢いで落札していたようで、バックにはお家の事情というか細かいお値段は兎も角としてモノが欲しいというようなお人がいたんじゃネーノという話もございますが、1週間短い償還ものよりも低いレートまで買わなきゃいけないような状況になるのは参りますわな。ということで、日本相互証券の引け値ベースではFB423回が0.455%でFB421回が0.46%かと存じますが、見事に需給のみによって発生した逆イールド見参と相成りました。オーオソロシ。

で、まあそのレートですけど、それはもう1月利上げでも「持ってたら負けだと思っている」の状態でございまして、そこまで戻るのかよ!という感じで眩暈がしますが、まあそういうレートなのでございますから、短期国債はまたまた強気モードになってしまいましたなあという所でしょうか。戻るときも早いのは流動性が高くて売買が行われるからでして、これがCPになると基本が持ちきりなのでのんびりと動くのですな。


○一応CP

ということでCPなんですが、月の中盤と言うのは基本的に発行償還が少ない(相対で発行されてる分は別で、入札発行されている分について話をしてるので念の為)ので元々低調ではございますが、こちらに関しては年末資金ニーズに対応した発行が多くなっていることからディーラーの在庫が依然として重いようでレートの下げは遅行気味のようですにゃ。

CPのディーラーってのは基本的に大手銀行中心ですんで、その銀行が次の積み期間で準備預金を積みたい=CPを買うのに回す資金が減るという(あたくしが勝手に推測する)お家事情も相俟って買い手に乏しいちゅうことなんでしょうな。ここ数日のTB/FBの買い手様とは懐事情が違う(と思われる)ので金利に差がでるのもむべなるかなと逝った所でございましょう。上った金利がサガランチ会長になってますが、さすがにFB対比でレート下がるのか、逆に新しい積み期間で足元の金利が高止まりして(するかどうか判らんけど)ファンディングコストの問題からFBのレートが若干上昇するのかという所で、いずれスプレッドは縮小すると思いますけどね。


○1月どころか年度内も難しいという話も

いやもう12月利上げとかいう話だったのがコケたら次は1月という話をすっ飛ばして「年度内利上げも困難になってくるでしょう」的な言説がどんどん増えているような感じでございまして、節操の無いお話としか申し上げようがございません(オマエモナーというツッコミは却下)。

昨日も申し上げましたが、もともと1−3月期のあたりで利上げですかねえという話をしながら経済指標見ながら一々反応していたのがついこの前までの相場だったんですが、ヘタにその時期を手前に寄せてみたら(いやまあ地均しの意思は無いと言うんでしょうが、水野審議委員講演なんぞは地均しと言われても致し方ないと存じます)、引っ張ったゴムが(弱めの経済指標と中川幹事長のコンボで)切れてしまい、その反動で引っ張ったモノ(市場の利上げ織り込み)が遠くに逝ってしまったの巻、まさに「山高ければ谷深し」の典型ですな(先週末からFB421回は0.52%→0.46%ですよあっはっは)。雉も啼かずば撃たれまいというか過ぎたるは及ばざるが如しというか、まあ実に香ばしいことです。

市場が勝手に解釈しやがって反応するからだろうがコノヤローと政策委員会様的には歯軋りしたいところでもあるかと存じますが、まあ「市場との対話」路線やって試行錯誤中ということでございますので、この手のご批判はご批判として今後の(と、すっかり12月利上げ無し一点張りになってるあたくし)情報発信に生かして頂きたいのですが、何かあまり反省して無さそうな気がするので、またどこかで性懲りも無く「やるやる詐欺」が出るのかね。

本石町日記さん(また受け売り)のところでヘッドラインリスクの件について連載(するんですよね?)エントリーが投入されておりますが、コメント欄も含めて示唆に富みますので必読でございます。

#と、本日も世間話で恐縮至極

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2006/12/13

お題「短観を待たずしてひとテーマ終了(か?)」

まずは我ながら超恥ずかしい物凄い訂正。

昨日あたくし2か月FBに関して「発行量1.4兆円」と書いて話をしておりましたが、1.4兆円の発行は金曜の1年TBでございまして、2か月FBは2.8兆円でございました。伏してお詫び申し上げます。すいませんすいません。

「入札大丈夫でしょう」というのは珍しく当たってましたが、もしかしたら「誤字があると怪推奨の呪いが掛からない」という某兜町の撃墜王である髪様と同じパターンになっているのではないかとガクガクブルブル。

まあ本日も相場雑談。FOMC声明文は寝坊したのでパス。


○12月利上げ観測後退ですなあ

昨日は5年国債の入札も(というかそっちがメインイベント)ございましたが、入札堅調で引けに向けて相場上昇するわ5年は堅調だわということで、5年60回ベースで見れば先週金曜の引けが1.255%だったのが昨日の引けで1.180%とはまあ豪快な展開(新発は1.215%)でございます。

まー「利上げだとベアスティープ(間違えてました)でカーブがフラット化へ」という話を市場で皆さんしてるようですので、逆になるとブルスティープというのは実にこうお約束な展開でございますが、様子見してた人たちがここぞとばかりに買いに来たんですかねえ。


で、昨日世の中の失笑を買っていたのは某著名海外レポートでございまして、あたくしも実物を見ている訳ではないので詳しくは知らんよって事実誤認があるかもしれませんが、先週の火曜だか水曜に出たレポートでは物凄い勢いで「12月利上げですよ大変ですよ」というものを出しておきながら、今週のレポートでは「12月利上げなんぞございませんが何か?」というものだったというのが世の中で言われていることでした。何たる風雪のルル。

ま、かくいうあたくしも先週の火曜日に水野審議委員が行った「利上げ理屈をやたら並べた講演」(先週水曜のドラめもんご参照)そしてその中にあった『もちろん、景気のベクトルが右肩下がりになる、すなわち、景気が踊り場に入った後に景気後退局面に入る蓋然性が高いと判断されるような状況判断ならば、金融政策は現状維持が適切だと思います。』という無茶苦茶(適切な金融政策は「現状維持」じゃなくて「利下げ」だろうよという意味で)なフレーズに驚倒してしまった口でございます。

そのために、「質疑応答で言わされちゃった」西村審議委員の会見に関して最初のヘッドラインの印象も残り、つい「もしかして西村さんも利上げバイアス?」と疑問を入れながら読んでおりました(先週木曜と金曜のドラめもんご参照)んであんまりエラソーな事は申せませんが(自爆)、毎度毎度日本の金融政策に関してどういう取材をしてるのか知りませんが困ったレポート会社でございますなあという所ですが、そもそも一番その手の話を煽りまくっていたのは日本経(ry

#なぜかいつの間にか悪態に(苦笑)


○15日スタートのレポレート上昇と・・・

昨日のレポ取引は15日〜18日の期間が主にトレード。で、そのレートですが最終的には0.38%近傍だったようでございまして、そのココロは16日から準備預金の新しい積み期間に入るによって、先に準備預金沢山積み上げておこうというインセンティブがレポの主要資金出し手様であられますところの大手銀行様に働いたものと思料されます。資金の出が悪くなってレート上昇と。

何で準備預金を先に積んでおこうかという話になるのかと申しますと、勝手に人の事情を類推しますと、(1)多分無いとは言え、短観が度肝を抜くほどよければ(特に中堅以下で)利上げが無いわけでは無く、足元金利が0.5%になる前に積めばその分丸儲け(儲かる訳ではなくて準備預金のコストが下がると言うのが正しいですが)の巻、(2)それはそれとして今年は冷静に考えると年末年始が6日間もあって、どう考えてもその時の翌日物(なのに6日もの)金利は上昇するので、そんな高金利の時に準備預金をあまり積み上げたくはない、ということで、16日から前倒しで準備預金積んでおきましょうという話になるんでしょう。

で、この影響が昨日(というか先週後半からその気配はありましたが)のコールに出て参りまして、翌日物コール市場のビットが減ってレートも見事に低下。月曜に0.246%だった加重平均金利は昨日は0.226%まで低下しちゃいました。

16日からの準備預金積み上げを行うという事になりますと、土日の関係上必然的に今回の積み最終日の15日にドカンと準備預金を積むという結果になる次第でして、そうなると今回の積みはもうそんなにする必要はないとなって(ただでなくさえ準備預金の進捗が進んでいるし)足元の資金取り意欲が激減するという訳ですな。実に奥が深い。

まあそんな訳ですので、必ずしも12月利上げノーケアーという訳でもないですわな。昨日の2か月FBは葉っぱ踏み踏みで0.47%平均が終わってみれば0.455%になってましたが、まーそれでも12月利上げを無警戒な訳ではございませんし。

ちなみにオペレートですが、昨日は共通担保本店オペが2本実施されてましたが、期間の長いほうは2月22日エンドで0.499%/0.48%(平均/足切り)でして、12月19日エンドのオペ結果の平均0.309%を手前の金利として認定すると、平均からだと後ろの金利が0.516%ですが、足切りからだと0.496%ということで、おお0.5%割れまで入ってるじゃんという結果でした。


○まあ短観で後押しされなかったとして決定会合で・・・・

金融政策は当然現状維持ということになるんでしょうけれども、利上げロジック大爆発の講演をしておられ、結果として市場をかき回す燃料を投下して頂きました水野審議委員様におかれましては、講演のロジック通りに利上げの提案とかをなされるのではないかと大変期待をするところでございます。ワクワクテカテカ。

まあメディアが煽ったり、変なレポートが出たり、相場が勝手に織り込みに逝ったというのも勿論ございますけれども、このままだと外部的な印象としては「日銀(の政策委員)が利上げに意欲を示したら、自民党幹事長から一喝されてシュンとなりました」というのが残像になる次第でして(まあ中川幹事長にとっても「政治介入」っぽく言われるのは本意じゃないと思いますが)、現に市場では早速「12月利上げ出来ないと年度内の利上げも中々出来ず」っていう見解が入ったレポートも散見される有様。てか参加者の皆様におかれましてもそーゆーイメージが何となく頭に浮かんで来ていると存じますが。

#まあこれも不幸ちゃあ不幸で、そもそもやる気全開と取られて致し方無しなのはあたくし思うに水野さんの講演と11月頭のきさらぎ会での福井総裁講演(それでやったひと相場はちょっと前にやりましたが)なんで別に日銀が一丸となって地均ししてたわけじゃないんですけど・・・

そもそもこのひと相場の前においては市場的には年内利上げに関してケアーしてなかった(ストラテジスト様の見解は兎も角、ポジション動かしてるプレーヤー的にはノーケアーもいいとこ)だった訳ですから、何もなければ何もないで淡々と動いてた(で、まあ1月から3月の間に利上げなんでしょで相場は動いてた)筈なんですけど、変な燃料を投下して却って自分の首を絞めた結果になっとりゃあせんかと思うのですが。

大体からして次回(いつだか知らんが)利上げする時にもその直前まで全員一致で現状維持とかいうのがキモチワルイと思うのはあたくしだけではありますまい。これだけ燃料を投下していただいて次回の会合で誰も利上げ提案しないとかだとまさにやるやる詐欺

・・・などと悪態全開でございますが(苦笑)、水野さんの講演に関しては確かにそれは一般論として述べた話ということではあるんでしょうが、結論として「方向性は利上げ」という状況下で「こういう点で金利の調整が必要です」って話を連発されたらそりゃまあ「利上げしますよ」って読んでしまうと思うんですけどねえ。まあこれで「全会一致で現状維持」だとこの騒動は一体全体何だったんでしょうって感じですな。

なお、短観がまあボチボチ程度で決め手にならないという状況を前提に上記の悪態をついておりますので念の為申し添えます。

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2006/12/12

お題「とりあえず12月利上げ観測トーンダウン」

昨日は「そんなにトーンダウンしますかね」と書いてたら物の見事にトーンダウンしたのは米国雇用統計に幻惑されたという言い訳をしておきましょう(大汗)。しかしあたくしが何か言い出すと逆に逝くような気がするのはきっと気のせいですよ気のせい・・・・なのかなあ??

○しかしまあ派手に戻りますな

何が効いたのか存じませんが(まあ「利上げ見送り」報道に中川幹事長の牽制のコンボによって改めて機械受注と景気ウォッチャー調査が見直されたということなんでしょうけれども)とりあえず相場は戻って一安心の巻・・・・ではあるのですが、本日は5年入札があると言うのに何もその前日に5年に買いが入らなくてもと思うあたくし。

で、「12月利上げが1月利上げになって(そりゃまあ1月だって無いかも知れないけど)1か月しか変らないのに5年が4毛も5毛も動くもんなんですかねえ」と言ってたら知人の一人は「5年分の1か月ではなく、下期ベースで言えば残り3.5か月分の1か月なんだよきっと」などとうまいことを言われて思わず頷いてしまいました(いやまあ半分ギャグですけど)。まあそれは兎も角。

市場が12月利上げに関して殆どノーケアーだったものが一気に12月利上げを織り込みに行った為に動きが派手になったというのもあるとは思いますが、米国みたいに次のFEDのアクションが利上げなのか利下げなのか判らんという訳じゃなくて方向性はまあ見え見えだというのによーやりますなあという所で(特に為替市場)。国内的、というか短期市場的には突如物凄い勢いで様子見地蔵になられてしまった人たちが多かったという印象なので、まあそういう人たちが5年とかでも買ったんでしょうかねえというところでございます。


○5年入札は華麗にスルーして2か月入札ですが

さてそんな市場でございますが、ふと見ると本日入札の2か月FBのWI引けが0.475%になっております(というか金曜の0.48%ってオペ金利と比較してどうなのよという気もしますが)。今週のFB以降は保有期間は殆ど12月会合後ですけど、その利回りが0.5%切っている(のかどうかは最終的に蓋を開けてみないと判らん、所詮引値は引値なんで)ということは12月利上げ無しの読みも増えておりますよってなもんでしょう。

証券ディーラーみたいに在庫ファイナンスをしなければいけない人からすると保有期間中のGCとか現先利回りが気になりますし、マネー系の投信のような運用の人だととりあえず保有期間中の無担保コール翌日物利回りが気になる所ですが、どっちの立場にしても12月利上げを思いっきり意識すると買いにくいし、1月利上げだと思えば行けるという微妙な所ですな。

まあ発行が1兆4千億しかなくて、誰かひとり大手の人が積極的に行ったら終了しちゃうんで大きく崩れるということはさすがに想定しづらいんですけど。(これ発行量勘違いしてました)

一方で先週発行された3か月FBは堂々0.505%がオファーで引けている(引値も0.505%で前日比1毛5糸強水準)ので、そんなに威勢良く12月利上げ無しの一点張りで突き進む訳にもいかん(短観あるし)でしょってところかと存じます。まあ本命は水曜の3か月FB入札という感じでしょう。


ちなみに、クーポン銘柄のGCは特に波乱なかったようで、まあ良かったですねというところでしょう。確かに19日に利上げがあって即日実施したとしても、その時間が3時近くとかになっていれば、その前に取引行われちゃうかもしれませんし(ただし前回の場合は翌日実施だと思ってた人が普通に資金放出したという面もありますので微妙ですが)、利上げがあったにしても実質20日からだと思えばそれはそれで無問題なんでしょうかねえ(ちと釈然としないが)。

#などと昨日と全然違う話をしている事はケンチャナヨ


○国債市場特別参加者会合議事要旨で雑感

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c181208.htm

国債発行計画の話と発行方式をどうするという話で、特に後半部分に関しては現物の対顧客取引をしているディーラーにはモロに利害関係のある話でございますが、まあ実際に現物をやらない人にはあまり関係ないお話ですかね。

まあ色んな意見がありますなあと思いながら流し読みしたのですが、ここのところあたくしが読んでて目につくなあと思うのが「海外投資家が云々」というくだりでございまして、現物国債のセカンダリー市場で海外投資家が暴れるじゃなかった存在感を高めているという事なんでしょうなあという話。

で、あたくしここは業者主体の会合の落とし穴なんじゃないかなあとふと思ったんですが、業者(といったら語弊があるかな。トレードの現場という意味ね)としては入札の札がどうなるというのも大事なんですが(価格を調整しても誰も買わないのでは困る)、セカンダリーマーケットでの存在感がでかい人(要するに相場で暴れて方向性を出す投資主体)の動向というのが何だかんだ言って気になりますので、どうしてもそういう人を意識した意見が多く出るような気がするんですよね。この会合って。

大手銀行さんの存在感が今よりももっとでかい(今でも十分でかいですが)時の市場懇議事要旨のことを思い出しますと、大手銀行の売買動向を意識した意見をよくみたような気もしますし、まあ業者としてはどうしてもそういう風になっちゃうんジャマイカと存じますが、それはあたくしの気のせいでしょうかねえ。

てな訳で、業者の話だけ聞いていると「買ったらホールドですよ」という安定消化の人の動向がなおざりになる可能性もあるのかなあ何て書いていると、ちゃんとそのあたりに目配りしている意見もありますし、その上投資家懇談会もあったりすのでまあ問題ないですか(^^)。

今回の会合は発行方法の話が多く、さすがにこれは意見が分かれる所ですのでまあ読んでみた雑感だけでございましたけれども。


○何でも日銀のせいなんですかねえ

自民党中川幹事長の日銀牽制(?)見解なんですが。
http://www.nakagawahidenao.jp/pc/modules/wordpress0/index.php?p=377

『7−8月の統計と7−9月の統計の差の原因は何か。この間に影響を与えた政策転換といえば、私には日銀による3月の量的緩和解除と7月のゼロ金利解除しか思い浮かばない。』

多分7−8月というのは4−6月のタイポだと思いますが、まあそれは兎も角として、定率減税の半減だって給与所得者で年末調整する人は12月の年末調整で手取りに跳ねてきますが、年末調整しないで確定申告する人にとっては3月の所得税納税で納税額に跳ねてくる話でして、その効果が出てきてるのかもしれませんよね。
#そっちは政策「転換」じゃないって事なのかなあ

実質個人増税(社会保険料も昨年11月以降段階的に小出し引き上げでして、今年も10月納付分から引上げになっております)している政府の施策は華麗にスルーですかそうですかとつい思ってしまうのでありました。

企業を強くするときっと所得に反映するというここまでの実績を考えると???がつきような理屈で法人減税(の一方で定率減税廃止はそのまま)というような個人消費に逆に作用しそうな政策を絶賛推進している件も華麗にスルーですかそうですか。大体からして「きっと所得に反映する」とか言う前に税の所得再分配機能使えばいいじゃんよと思うんですけどねえ。

などと、つい自分の財布にもかかわる話なので熱くなってしまいましたが(自爆)、まあ日銀全部悪いってのもどうかと思うんですが。金融政策決定会合で政府は議決延期請求だってできるんですし。

なお、毎度言ってるのでお判りかと存じますが、念の為申し上げますと、別に慌てて日銀が今すぐに利上げしなきゃいけないような環境では無いと思いますけどね。


という訳でなんかとりとめも無い雑談ばかりで誠に恐縮至極。

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2006/12/11

お題「あっという間に12月利上げを織り込んじゃいましたが」

来月から機械受注が8時50分発表だそうで、北ハマー髪様の迷言「虹が見えてきた」はこのまま殿堂入りになるんですな。

○オペ金利ますます上昇

昨日は12月12日〜2月15日の期間で共通担保全店オペが実施されまして、オペ落札金利は平均0.507%の最低0.50%で按分34.6%ということでレート上昇。これを例によって19日のところで切って手前を0.30%とした場合の後ろの金利は0.53%ちょっとになってて、まあ12月利上げをかなり織り込みに逝っておりますわな。

てかそもそも全店オペは本店オペよりも落札金利が上昇しやすいので、何もこんなセンシティブな時にレートが上るようなオペ打たんでもとは思うのですが、まあこれ自体に意図は無いと思いますが、金利上りそうなオペを打ちやがったですなあという感じでございます。まあそれは兎も角。

FB3か月に関しては0.52%レベルまで利回りが上昇したようでして、ご案内のように午後2時公表の機械受注は予想よりも低めに出て債券市場は何となく戻りましたが、こちらはあまり戻りも無くパッとしませんでした。CP発行市場は発行そのものは閑散だったようですが、閑散な中応札意欲が碌になくてまたまたレートが上昇してたようですし、まあこの1週間であっという間に12月利上げを織り込みに逝ってますなあという感じです。いやはや。

まあその後景気ウォッチャー調査もDI50割れしてみたり、何かまた変な「発言」が報道されてみたりしているようですので(内容見てないから良く判らんけど)、週明けの本日はちょっとは12月利上げは後退するのかもしれませんが、逆に逝った場合にお陀仏さん確定なので警戒しだすと最大限警戒を始める短期市場的には「そうは言っても短観がある程度上向きになってれば利上げをやらかすんじゃないか」という動きになるんでしょうなあというのもありますので、警戒は警戒なんでしょうかねえ。正直蓋を開けてみないと判らん。

で、今回の警戒モード下でターム物金利がさっくり上昇するのは、そもそも12月利上げ(があるかどうか知らん)が直前までノーケアーだった事や、そもそも利上げ後にどう考えても誘導目標とロンバートのスプレッドが現行の0.15%から拡大するでしょう(たぶん0.25%)という事でGCやら現先の落ち着きどころにコンセンサスができてない事に加えまして、資金需要が強くてレートが跳ねやすい年末年始の翌日物が6日間もあるのが要因といった所かと存じます。

というテクニカルな問題もあるので、何も12月にやる(ような姿勢を見せてくれる)こたあねえだろう(しかも今回は決定会合最終日が19日なのでクーポンGCの問題もある)と思ったんですが、そういうテクニカルな問題で金融政策のご判断を先送りすると大変なリスクを残しますかそうですか。


○で、今週は2か月と3か月のFB入札があるんですが

実は1年TBや5年国債もあったような気がしますが、足元が気になるあたくしにはケンチャナヨということで、火曜水曜の2本に注目。

まあ本日になって12月利上げ警戒がどのくらい後退するのかによる訳でございますが、何せ年末年始6日間攻撃がございますので12月警戒がありますと特に1か月だの2か月と行った短い所は弾薬庫被弾になるので買いにくいというか値付けが難しいこと夥しい。

で、金曜の雰囲気だと2か月でも平気で0.5%を越えそうな感じ(オペが既に0.5%)ですし、3か月だと0.55%近くにはなりそうな感じという所で、誠に遺憾な価格となっております。まあ利上げ後のコール対比だったらそろそろ良さそうなのかも知れませんけど、そもそもFBのファンディングコストという事で考えるべきなのは現先やGCとかでして、その予想レート対比で考えると、それでもまだ上昇余地はあるし、年末年始攻撃もあるので、12月利上げ観測が払拭されるまではちとしんどいんでしょうな。積極的な買いが引っ込んでしまうとどうもダメダメでございまして困ったもんです。

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2006/12/08

○共通担保本店オペ金利上昇

昨日の短期市場では前日の新発FBが0.4975%→0.50%と売られまして、0.50%オファーとなってしまいました。あらまあ0.5%乗せですかそうですかという所ですが、午後に行われた共通担保本店オペは12月11日〜2月21日の期間で平均落札が0.475%で最低落札が0.47%と先週金曜の2月15日足の0.423%/0.42%から5bpの上昇と相成りました。このオペ金利ですが、12月19日までとそれ以降に例によって分解すると、12月19日までの手前8日間が0.30%として、後ろ64日間は0.497%となりますんで、まあGCや現先の予想レートとは言いませんが、コール金利くらいにはなっておりますな。

ということで、まあオペ金利も12月利上げをかなりの所まで一気に織り込みに行きましたというようで。いや何と申しますか最近の季節の移り変わりのようにあっという間に冬モードと逝ったところでございましょうか。ついでにCP発行市場だと上位格付けの中でもまあ比較的格上とされている銘柄の3か月ものとかの金利が0.55%あたりまで逝っておられるようですな。0.55%と言えばあたくしが勝手に予想する現先レートと殆ど変らん(あたしの予想は0.55%〜0.6%でセンターは0.56−57)のですが。いやはや何とも。

で、また「市場も織り込んでいるので利上げ」とか言い出すのかと思うと、誠に血圧が上昇する所存でございます。寒い時の血圧上昇は体によろしくないのですけどねえ。

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2006/12/07

○3か月FB入札はヘロヘロ感が

昨日は3か月FBの入札。1週間短い先週の新発の前日引けは0.455%で、新発は一応0.475%に引けを置いていましたけど、まあ水野さんの「利上げやるもんね」攻撃もありまして雰囲気宜しくなく、前場引けで0.485%がヒットされて入札を迎えました。

で、落札結果は平均が0.488%相当で最低が0.492%相当でございまして、落札結果発表後も平気で平均よりも安いオファーが出ていたようですな。引けも0.49%ということで、ここ暫くの入札で見られた「入札の時は水準をちょっと安くするけどその後盛り返す」というパターンが崩れるの巻と相成りました。

大手購入者の方々に「様子見」モードになられた向きが増えたのがその原因でしょうなと思うのは、昨日のCP発行市場でもディーラーの応札が消極的になってきた感じで、特に期間の長いものに関してはレートが上昇傾向になっておりましたからです、はい。まあ急に皆さん勢揃いで引きモードになってきましたなあという感じがするのが相変わらずなのでございますが。来週は2か月、3か月、1年、5年と中短期の入札がドカドカございますが、さてどうなるのやら。

火曜の6か月TBは0.53%レベルでの平均落札だったんですけれども、こちらも0.52%まで戻ったと思ったら昨日の引けはあっさり0.535%と相成りまして、まあパッとしませんわなあという感じ。そういう時に限って年末向けのCP発行が多くて(先月末に大量に出てた)ディーラー(主に大手銀行)の持ちが重そうですし、雰囲気悪い時はまとめて悪くなりますなあって感じです。

ま、短い所は12月利上げに関してあまりにもノーケアー(って長いところも別にケアーしてた訳じゃなくて「勝手にやればぁ」状態なだけですけど)になってましたんで、ちと仕方ない面もあるかなあとは思いますけど。。。。

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2006/12/05

お題「昨日は様子見デーなので雑談」

○やるなよと思いながらも12月利上げに関する愚考

本日は日銀総裁と安倍首相の会談がありまして、先月後半からの政策委員の皆様の講演ラッシュとあわせると如何にもアレなのですが、12月利上げをするとどうなるんでしょという雑考を。

まあ債券市場的に問題なのは「その次の利上げ」でございまして、現在は「その次の利上げ?んなの当分デキネーヨ」という認識ですので、現実に短期金利が上昇しても下手したら長期金利低下するんじゃないかという勢いで(本当にそうなるかどうかは知らんが)、これって利上げに関する日銀の論理であります所の「金利の調整」に関して債券市場から駄目出しを食らってると思うんですけど。日銀的理屈によると徐々に政策金利を調整する筈でしたんで。

ところで、次の展望レポートの時に市場金利が将来の利上げを織り込まなくなった場合にはやはり景気見通しは上方修正されるんでしょうか(笑)?

とまあ長い方は利上げ材料を消化しちまった感じ(ではありますが、なんぼなんでも「短期金利水準上昇」を舐めすぎなのではないかとい思いも無きにしも非ず)なのですが、短期はどうなのよと考えますと、これがまた12月利上げ織り込み不足としか申し上げようが無い所が実に香ばしい。

仮に12月に利上げになりますると、19日から適用なのか20日なのか適用なのか知りませんが(ちなみに、今回も即日実施する積りならとっとと結論を出してくれないと、当日のコール取引が無茶苦茶停滞する(出し手はそりゃ出し渋るでしょ)と存じますので、午前中にでも結論出してくれと思うのですが)、まあいずれにせよ20日の国債大量償還と25日の国債大量発行(今月は月末発行を避ける筈で、普通に考えると25日の月曜に発行の山が来て、この日にFB発行もぶつかるので結構出入りがでかい)があって、年末年始は6日間ということで、如何にも金利が上りそうな所に利上げがぶつかるの巻ですな。

まあ日銀は頑張って供給するからコールは抑えられるし積みはアフォのように進捗するんでしょうが、GCとか現先(11月末に物凄い勢いで発行されたCPの重さがどこまで残るのかというのはございますが、今はCPやたら重くて現先金利高止まり中)のレートがどこまで抑えられるかは少々???な所もございます。ど〜せ大手銀行はギリギリまで資金放出渋るでしょうし。

で、極めて勝手な都合で言えば、12月利上げやると年末年始のレートとかがアフォのように上昇する、と言いますか、上昇するようなレート形成が行われると言うのが正しく、恐らくギリギリになると資金が出てきてそんなに無茶な金利(というのは予想されるロンバートの0.75%)にはならないと思うのですが、とにかくそういう状況でもございますので、局地的には結構な騒動になると思うのですが。ロイターあたりが聞いて回った電話アンケートで「12月利上げの意見が多い」とかいうのを「市場の声」とか解釈するのではなくて、市場金利をみて頂戴ね(はあと)という所でしょうか(苦笑)。

12月でも1月でも2月でも、今のような「パッとしない経済指標時々素晴らしい経済指標」っていうような状態だと、利上げしたら「材料出尽くしですなあ、次の利上げ?何ですかそれ??」って話になるんで、足元は兎も角ターム物はフラットするんでしょうけれども、何も年の瀬にぶつけなくても良いんジャマイカと言う気は致しますが。どうせこうなったら12月見送れば「じゃあ1月利上げ」って前提で市場金利は動くでしょ、と思うんですが。


○国債投資家懇談会議事要旨
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b181201.htm

あたくし恥ずかしながら、正直HTMLとか良く知らんのでよく判らんのですが、この画面を普通にIEで表示した後に印刷を掛けたら右端が切れてしまったのです(時々この手の議事要旨だすとそうなる)けれども、これってあたくしが単にヘタなだけでしょうか。それなら良いのですが、HTMLで何かが設定されているような気がするのですけれども。ちゃんと印刷する方法誰かプリーズ。という話は兎も角として。

今回のお題は市場懇(国債市場特別参加者会合)と同じく来年度の国債発行計画に関する話で、まあ皆さん色々とお話してるのですけれども、あたくしが勝手に「ほほう」と思ったのを少々ピックアップして見ますが、本日は正直雑談的に読んでみるのでした。

・総論部分で思わず苦笑したところ

『全体として、日本の国債発行の種類は他の先進国に比べ、超長期のゾーン及び物価連動国債の比重が少なく、一方で他の主要国にない変動利付国債がある。来年度以降も、それを他の主要国と同様の方向に向けていく変化があったらいいのではないか。』

つい1年半前までは変動利付国債を増やせの大合唱だったのにこのジャガーチェンジ振りは実に香ばしい。いや同じ人が言ってるわけじゃないんでしょうけれども。


・超長期はいろんな意見が出ますなあ

『超長期は、生保・年金からのALMのマッチング・ニーズがあるため増額は可能。一方で、バイ・アンド・ホールドが前提となる投資家が多いため、既発債の流動性が向上しないという問題もある。したがって、新発債を増額するよりも、流動性供給入札で増額してはどうか。』

これはなるほどと思いました。まあ超長期の問題点としては「既発債の流動性が全然向上しない」ってのがありますし、かと言って流動性が全く問題ないってなるような発行をしたら多分発行しすぎで価格が下がりすぎの巻になってしまう恐れもあるんで、現実的には良いのかなあと思います。一方でこういう事を言う人もいて面白い。

『20〜30年の間にイールドカーブの空白期間があり、これは継続的に30年を発行することにより自然体で完結することができるが、たとえば、25年債を発行して早期にイールドカーブを繋げることも検討課題と成りうる。』

元々流動性が低いゾーンの発行をこれ以上細かくしてどうするのかと小一時間。そんな事言い出したら40年債発行したら35年債とか32年債とか同時に発行しないと行けないんでしょうか(苦笑)??


・中短期ゾーン

『中短期ゾーンの中では、TB6MとTB1Yの余剰感が強い。TB6MとTB1Yとでは、TB6Mを若干減額すべき。ただ、金利の上昇懸念がでた場合、一番リスクプレミアムがつくのが3か月ものであるため、FB3Mの減額も併せて他年限への分散を検討するべき。』

これって似たような話が市場懇でも出てて、まあ大手銀行さんの意見だ(というか生保とか年金とかは短期国債なんぞシラネーヨでしょうし)と思いますが、あたくしが思うのは逆で3か月がちょっと重くて6か月と1年は恒常的に品薄の感が強いのですけれども。まあこのあたりは難しい話で、6か月や1年を増発するとその辺の金利は上昇圧力が掛かりやすくなって、後ろのカーブ形成に影響を与える可能性もあるんで、匙加減はどうなのよというのもございますけど。正直難しい。


・物価連動国債

15年変動の話は華麗にスルー(減額の大合唱には落涙を禁じ得ませんけど)しまして物価連動国債なのですが、まあこういう事なんじゃないかと思うんですよ。

『商品自体は分析対象としては面白いが、実際の需要として考えると、年金や保険のデュレーション長期化の目的では投資対象とはならない。また、銀行のポートフォリオでも、全体のバランスシートで考えれば、エクイティや預貸ギャップにおいて、インフレに対するリスクヘッジ効果が出ていることもあり、強いニーズが出てこないのではないか。』

アセットクラスとして物価連動国債って「債券」カテゴリーなんでしょうかという問いに繋がってくるお話のような気がする次第。いや真面目な話これこそ「個人向け」商品じゃねえのかという感はするんですけど。個人向けに直接発行するのもそうですが、DCに向いてる商品じゃネーノと思う次第ですんで。


・最後におまけ

で、まあこの先に相場見通しの話が延々と続くのですが、時間の都合もありますのでその辺は全部飛ばします。最後に読んでて微苦笑したのがイールドダッチ入札に関する意見。

『イールドダッチは投資家にとっては有利だと思うが、マーケットが成熟するまでの過渡的な措置であり、30年債のマーケットがしっかりしてきたという認識で価格コンベンショナルにするということであれば、プロの運用者を自負している我々としては問題ないと考えている 』

アベレージ握りとかしてる人に対する嫌味なのか何だか知りませんが、(これで言ってる本人が業者に平均落札握りとか発注してたらその頭の悪さに涙数行下るの巻ですけど)「プロの運用者を自負」ってフレーズを聞く(読む)と村上某の記者会見を思い出してしてしまうんですけど。貴方プライド高杉晋作ですな。

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2006/12/04

○この期に及んでブルフラットですかそうですか

先週末の債券市場はご存知のようにブルフラット。まあ何と申しますか、相場がここまで戻ってきた所でブルフラットというのはまさに「感極まって踏み上げ」って奴でございまして、こりゃまさに「投資家の踏み」でございますな。合掌。

週末につらつらと先月の動きを見直したんですが、まあ月前半に早期利上げ観測が浮上して月半ばに向けて全体的に弱くなったものの、「冷静に考えてこの経済状況で利上げしてもその次は当分先じゃろ」ということで中長期が戻ってきましたという感じでしたな。その間短期ゾーンはちょっと戻ったけどまた売られて来ましたんで、結局戻ったのは中長期ゾーンということですな。

まあ早期利上げ観測がどうのこうのって話をしてる時にはど〜しても様子見したくなる訳でして、押し目待ちの人たちが行列状態になってたんでしょう。だから先月後半は「何か材料が出て下がった後にはさっくりと戻る」という状況になっていたのですが、先週水曜と金曜日には月末(金曜は月初ですが)のでかい経済指標が登場し、月末のリバランスもあるし、まあ遂に様子見の理由も無くなりましたでございますかそうですかという事だったんでしょうな。

そんな中ですが、短期ゾーンは先週末も重くて、FB3か月利回りはまたまた0.45%を超えて来たんで、短い方を見ているとあんまり相場が上った気がしないのが誠にアレでございます。しかも金先上昇してるんで、現物持っててヘッジしてたら絵に描いたような股裂きであることに涙を禁じ得ません。

・・・・などと起きた相場の後講釈をエラソーするのは誰にでもできますですかそうですか(自爆)。

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2006/11/30

○自民党金融政策小委員会に悪態をついてみる

昨日ちょっと悪態をついた自民党金融政策小委員会。念の為申し上げますと、「インタゲ導入汁!」とかいうような提言(例えばそんな提言はしてませんが、日銀もFRBみたいに雇用の安定も政策目的に加えるべきだとかね)をするのまで悪態ついてる訳じゃないので。ただ日銀法改正をちらつかせて「提言」するのは常識的に考えて政治の恫喝と取られると思いますのでやっぱどうなのよとは思いますが。

で、その小委員会なんですが、28日17時56分配信のブルームバーグニュースの記事を見ますと、展望レポートについて議論したそうなのですけれども、翌日以降に重要な経済指標が目白押しというタイミングで議論したら早速翌日に激強の鉱工業生産指数が公表されると言う実に間の抜けた話になっておりまして、実に香ばしいというか間の悪い人たちですなあと落涙を禁じ得ません(^^)。

で、毎度お馴染み山本幸三先生におかれましては、追加利上げに関して『何をとぼけたことを言っているのか。追加利下げの話ではないかと言っている』(ブルームバーグニュースより)と述べられたそうでございますが、ご自身が副大臣を務めておられる経済産業省がそのポジティブサプライズ鉱工業生産指数を公表している所に、芸の細かさというものを感じる次第でございます。

てかね、憤る気持ちは判らんでもないですが、現在金融市場で議論されている問題に関して、あまり「ばかげた」とか「とぼけた」とか言うのは金融市場に向けてバカアホと説教してる(ご本人はそんな意図は無くて日銀に対して言ってると思いますが)ようで、ネタ芸人としての評価はともかくとして、市場からそっぽ向かれる効果しかないような気がするんですけど。ってあたくしもバカアホ言ってるからあまり人の事言えた義理じゃないですけど(笑)、僭越ながらやはりお立場というものをご考慮された方が宜しいのではないかと存じます。

ま、それ以前の問題として、「利下げだ」って言うような経済状況というご認識があるのでしたら、経済産業省として何らかの景気対策をお打ちになられる方が宜しいのではないかと存じますが・・・・・(^^)


ま、別に慌てて追加利上げする必要は無いんじゃネーノという見立てに関しては同意(「全くない」かと言うとそこはふがふがもごもごですが)しますが、後藤小委員長が『実体経済は投資が良くなり、企業収益が良くなっているが、雇用にきちんと波及していない。』(ブルームバーグニュースより)と発言された点に関して小委員会の皆様の認識が一致しているのでしたらば、自民党の中の人として、「好調な企業部門が家計部門に波及するような施策」を党内で是非ご提言していただきたく存じます。例えば景気回復に伴う税収の増加を法人減税に回すんじゃなくて個人の定率減税廃止を先送りするとか、提言できることはあるんじゃないんですかと存じますが、それは「上げ潮政策」に反旗を翻すことになるから提言できませんですかそうですか(^^)。

(追記@12月3日:結局のところ、この自民党金融政策小委員会とやらにあたくしがどうも気分的に反発するのは「日銀にあれこれやれと言う前にお前らがやることが出来る立場にあるのに、やりもしねえでケツを全部日銀に持ち込むんじゃねえ」という所なんでしょうな。どうせこの人たち法人税減税よりも定率減税廃止を延長すべき、なんて執行部に喧嘩売るような主張する根性ないからで文句言い易い日銀に「提言」とやらをしてるんでしょ。ってところですな。)よく吼えてる山本幸三先生なんぞは福井総裁辞任すべしと自分の支持者向けのメルマガで意見書いたのが新聞で話題になったら自分のサイトで「あれは支持者向けの個人的意見なのでホームページでは公表しない」などという素晴らしいヘタレっぷりを発揮して市場の失笑を買ってましたわな

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2006/11/29

○まあそう煽るなと

11月27日の大阪での講演後の総裁記者会見。質疑応答の中でこんな質問をする人がいました。

『(前半割愛) 展望レポートでは、既に4月の段階で息の長い景気回復が続くという見通しを出されていて、その見通しのもとで徐々に金利を調整していくという考え方が既に4月の段階に出ています。それが10 月の展望レポートでまた確認されているわけですが、その10 月のレポートを中間評価する来年1月を過ぎてもなお、この金利の調整がずるずるとできないような状況が仮に続いた場合には、日銀が示しているメイン・シナリオの信憑性、市場からの信頼性が問われるのではないかと思いますが、この点について、どのようにお考えでしょうか。』

答えは面倒なので(というか別にいつもの話なので)引用しませんが、正直申し上げまして、あたくしとしては「利上げをしなかったらシナリオ通りじゃない」っていう発想は誰かに言われるまで全く思い浮かばなかった発想ですし、まあ(母集団に偏りがあるんですが^^)あたくしの周囲でも(最近はこの理屈が人口に膾炙してますんで皆知ってはいますが)その発想は無かったわという感じです。だってシナリオはシナリオだけど、経済がそのシナリオどおりに動くかどうかなんてその時になって見ないと判らないじゃん。

という訳で、「市場からの信頼性」ってよく言われるんですが、シナリオだってそもそもが利上げペースについて明示してる訳じゃないですし、シナリオよりもいわゆるダム論の具現化が遅いんだったら無理に利上げしない方が「市場からの信頼」は高まると思う次第でして、まあお前らそんなに日銀を煽るなと。



○ゼロ金利解除の時とは市場の雰囲気違うと存じますが

で、ここから話は総裁記者会見から外れるのですが、昨日の日経金融やらモーサテ見てると未だに「12月利上げがどうのこうの」って相変わらずやっている訳ですな。ゲスト解説の人が(記憶ベースなので間違えていたらゴメンナサイですが)「12月(と1月?)に利上げのタイミングを逸したら暫く利上げのタイミングが掴めないですから」みたいな話をしてまして後になってタイミングが無くなるようなら利上げをそもそもする必要がないでしょうにとテレビに向って思わずツッコミを入れてしましましたが、まあ相変わらず煽る煽る。

で、市場ですけど、短期方面で言えば先週火曜に入札が行われて0.45%レベルだった3か月もの新発FBは0.42%まで金利低下してますし、昨日は月末発行のCPがバカスカ出たのですが、12月の決定会合越えのa-1+格1か月もので(ややばらつきはありますが)0.35〜0.37%あたりだったようで、こりゃ12月利上げをあんまりリスクとして意識していないレートですなあという感じになっております。年末越えでレートが上昇して、1月の決定会合越えでまたレート上昇という感じのようですんで、「まあ1月だったら」って感じで意識してるという感じですな。

中長期の方はご案内の通りでして、月末近いから需給要因もあるんでしょうけれども、下がっても直ぐに戻るような相場になってますし、「あ、利上げですかそうですか」ってなもんで、「利上げしたってその次は暫くできないでしょ」と見られているのが明々白々な相場が形成されている次第。

そーゆー意味では金利市場的には「ふ〜ん」状態になってまして、ゼロ金利解除の時のように「これからも連続的に政策金利上げていくでしょう」というような思惑で動いてる訳でもない次第でございますわな。何かそう言っちゃあ表現が不適切だと思うのですが、「市場の外で大騒ぎしてますなあ」っていう感じを受けますけど。


で、自民党の金融政策小委員会で「12月、1月」とか時期を明示して「そんな時期に利上げするんじゃねえ」とかいう議論をしてたらしく(記者会見などの記事を見た限りにおいては)、お前ら相変わらずセンスねえなと思ったのですが、気が付けば時間が無いので暴言だけしておきます。

いやあのですな、政権与党の人間が時期を特定して金融政策に関して注文をつけてどうするんだと。そんなことしたら「12月、1月に利上げをしなかったら日銀は政治圧力に屈したことになる」とか言い出す人が出てくるし、そういう話が大好きな人たち世の中(国内外を含めて)多い訳で、わざわざ変な思惑(しかも政治との関係という筋悪の思惑)を台頭させかねない「提言」とやらをするセンスを疑いますな。

金融政策を政治パフォーマンスに使わんで頂きたいものです。(そんな意図は無いと信じたいのですが、どうもタイミングが・・・・)

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2006/11/24

○オペ金利は相変わらず・・・・

水曜日にはターム物の資金供給オペが3発ございまして、その落札金利に一部のマニアの間では「ちと低いんじゃネーノ」と話題になっておりました。11月27日スタートのオペ3本が、12月14日エンドの国債買現先が平均0.311%の最低0.31%で、1月11日エンドの共通担保本店オペが平均0.354%の最低0.35%、2月9日エンドの共通担保本店オペが平均0.405%の最低0.40%となっておりました(って文章で書くと読みにくいですな)。

まず最初の国債買現先オペ金利を見ますと、これは火曜日に行われた12月26日エンドの国債買現先の落札利回り(平均0.314%の最低0.31%)と変らんという結果。12月の金融政策決定会合を越えてても越えてなくても金利が変らないぜという状況ですかそうですかという所でございます。

で、1月11日エンドの共通担保オペなんですが、これを国債買現先オペの期間で分解しますと、この0.354%というのが12月14日まで0.311%、それ以降0.380%って話になります。まあ12月14日で切るのもあまり意味が無いので、12月19日(この前は18日で切って計算してましたが、よく考えたら19日で切る方が適切でした、どうもスイマセン)まで0.311%で計算した場合どうなるかと申しますと、12月19日以降の金利が0.395%となりますわな。

年末年始越えが今年の場合6日間ございまして、ここでの金利上昇も考えますと、(例えば上記の分解を年末年始0.40%というのも入れると残りの期間が0.393%)この金利はどう見ても「12月利上げノーケアーモード」になってきた感じですな。

ついでに申し上げますと、年末越えの金利もそう簡単に落ち着くのかという話はまた微妙な問題でして、最終的にロンバートがあるから何とかなるだろうって妙な安心感があるよう(まあ確かに安心なんですが)で、資金を取る人が全然あたふたする雰囲気が1ミリも漂ってこないのが気になりますな。なお、あたくしのお友達であります所の年寄りじゃなかったベテラン参加者の人たちは「こんなに安心してて大丈夫ですかねえ」と思いつつ、直前になって市場がアタフタしたら小遣い稼ぎのチャンスなどと馬鹿話をするのでありました。

ちなみに、2月9日エンドの共通担保オペですが、これを1月11日までで分解すると、1月11日まで0.354%(はオペ結果)に対して1月11日〜2月9日の金利が0.484%ですんで、まあ一応1月利上げに関してはケアー入っているような感じですか。


という訳で、オペ金利に関しては今週になってあっさりと12月利上げをほぼノーケアーになっている価格形成(ちとあたくし的にはそれは楽観しすぎのような気がするが)になっているかと存じます。

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2006/11/21

お題「市場懇要旨を読みながらへーへーへー」

分割投資(要するにナンピン)が大切とかモーサテのゲストが言ってるところを見るとまだ底底詐欺状態ですか。ってか、ナンピンとか言ってる場合かと思うんですけどね。昨日だって年初来安値更新してる銘柄がうじゃうじゃ(全市場で500銘柄くらいだったと思いますが)ある訳で、体感的(別に株のトレードしてるわけはないですが)には市場の下げは日経225の下げよりも激しい印象なんですが。この解説者指数しか見てないんじゃネーノ?

・・・と思ったら次のゲストは「資産運用をするのにインフレかデフレかは関係ない」と物凄い話をしてますな。何かカリスマ先生どう見ても焼きが回ってますなあ。合掌。

などという悪態は兎も角、本日は金曜に行われた国債市場特別参加者会合(お題は長くなるので市場懇にしちゃいましたが^^)議事要旨を。今回のお題は国債発行計画絡みでして、まあポジショントークの巣窟のような状態になっておりますが読んでて「ふ〜ん」と思ったあたりを。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c181117.htm


○物価連動はインパクトでかいですかそうですか

『物価連動債の今の市場環境はやや厳しいが、主に海外投資家を中心としたBEIトレード、要するに10年債を売って物価連動債を買うというような取引の影響から、潜在的に10年ゾーンの金利リスクがマーケットでは溢れている感じがある。そういう観点から、何か減らすのであればまず10年債を例えば1回当たり0.1兆円減らしても良い。』

そんなに物価連動って影響大きいのかと思った次第ですが、15年変動利付国債は10年新発国債の利回りに利払いが連動する商品なのにそっちの影響はネタにならないというのが「へー」と思った次第。

まあ勝手に考えると、変動15年国債は買った人がホールドする割合が多く(まあ商品の正確上そうなって然るべきですが)、物価連動国債は海外投資家のトレーディングベースの売買が多いので発行額がまともに影響を与えるって事なんですかねえ。


○超長期ゾーン増発に関して

『長期・超長期ゾーンは、大きな流れとして投資家からの需要が潜在的にあると思うが、来年度に関しては、例えば制度的に生保の時価会計の導入が具体化しているわけではないし、いまだインデックス運用をしている年金基金が多いといったことを考えると、少なくとも来年度いきなり需要が旺盛になるとは考え難く、実際にそのような話も聞いてはいない。これまで増やしてきた流れの中で現状のままで良い。』

『実質的な需要を考えると超長期の増額は今の段階ではそれほど簡単ではない。』

『40年債や50年債を勉強した方が 良いとの議論が、先日の「国の債務管理の在り方に関する懇談会」等でも示されている。確かに生保、年金が、ライアビリティにあわせて買うというニーズは潜在的にはあると思っているが、本当に強いニーズがあるのかということはもう少し議論した方が良い。非常に安ければ買いたいという声は投資家からあるとは思うが、30年債から5bp〜10bp程度乗せたフェアなところで買いたい、もしくは水準に関係なくライアビリティにマッチングさせなければいけないといった投資家の数や、そういう投資家が本当に安く放置されている30年債のグリッドポイントのマッチングを既に終えているのかどうかといったことを、もう少し話した方が良いのではないか。』

超長期ゾーンに関しては毎度毎度話題になりますが、あたくしは今引用したようなまあ「水ぶっかけ系」の意見の方がしっくりと来るのであります。国債投資家懇談会で散々「ニーズがある」と言われて増発したら相場が上ると全然上らんという有様になっている超長期ということでして、正直「ニーズがある」って言ってるのは単に「安く買いたいから増発しろ」と言ってるんじゃないのって投資家懇談会の議事要旨を見てると思うあたくしなのでありました。

そんな中で次の意見にはちょっとビックリというかへーへーへーというか。

『超長期ゾーンは、マッチング運用の流れから生保・年金等の需要が強いことに加えて、最近、銀行勢も安定運用のニーズから、金融政策変更の影響を受けにくいこのゾーンの売買量を増やしていることもあり、増発の余地がある。』

マッチング運用で生保年金の需要が強いと言うのは自然というか健全なお話だと思うのですが、銀行の負債デュレーション勘案したら超長期ゾーンって基本的に要らんでしょう。「金融政策変更の影響を受けにくい」ってのはぶっちゃけ「動きが安定してるから時価評価に耐えられる」って話だと思うんですが、それで本当に良いのかと。経済状況次第ではいつまでも超長期ゾーンが安定してるとは限らないんですが・・・・・

ま、銀行勢における超長期のニーズ増大はそれだけ運用利回りを上げなければいけないあるいは運用難にあるってことなんでしょうけれども。


○中短期、というか短期ゾーン

中短期ゾーンの話については結構違和感を感じました。

『中短期セクターは減額の余地があり。現状の金融政策の方向性を見ると、状況によってはニーズの増減が激しく変動する可能性があるので、減額するのであれば、荷持たれ感のある5年債やTB1Yではないか。TB1Yに関しては、日銀短国オペに玉が回っており、減額が考えられる。』

というような感じで1年もの(と6か月もの)の短期国債の減額余地があるって意見がやたら多かったんですが、あたくし思いまするに、2年や3か月と比較して6か月や1年のゾーンには割高感を受ける(いやまあちゃんと分析してるわけではなくて、持ち切り前提で考えたときにこの絶対水準はどうなのよと考えるだけなんでイイカゲンな話ですけど、滝汗)次第。今月のTB1年は月初に0.53%だったものが粛々と打たれ続けて(というのはオーバーですが)市場懇の前日にはやや復活したとは言え0.635%(この間に新発が銘柄代わりしてるので償還が1か月延びています、新発TB入札平均は0.674%でした)と2週間で0.1%金利上昇してたんで「荷もたれ感」がやたら強調されているんじゃないかと思いますけど。市場の需給関係から言えばどっちかと言うと3か月減らして6か月や1年を増やす方がよさそうな気もしますけど・・・・

日銀の短国買入オペに玉が回っているから減額ってのも妙な話でして、短国買入のオペレーションの技術的な性格上1年とか6ヶ月とかまあ長いものが入りやすいので、日銀の短国買入で特に1年なんかは見事に吸い上げられている訳ですが、その為に市場の流通玉が乏しいので投資家が買いにくい水準まで金利が低下してしまい、結果としてニーズが無くなっているという話のような気がします。

20年国債の15年ゾーンは輪番オペで吸い上げられた上に償還まで持ち切りの投資家が多くて流通玉が無いから流動性確保の為にも流動性供給入札を開始してる訳ですが、こちらのご意見では日銀の短国買入で吸い上げられているから発行減らして良しって事でして、これは素晴らしいダブルスタンダードですねという感じがします。

#まー悪態つくとすれば、この意見言った業者さん今月1年ゾーン打ち込まれてエライ目に遭ったんでしょうかねって所ですが(笑)。


ただまあ3か月と2年のところは発行量というか流通量も多いので、投資家がロットを捌く時に使いやすく、そのため益々売買が増えて流動性が上るって相乗効果もありますんで、振り分けのバランスをいじるのはって難しいでしょうな。


○まあ同じ人が言ってるわけではないんでしょうが

読んでて微苦笑したのはこの辺。

『海外投資家が相当程度JGBに参入してきているが、銘柄毎の需給の偏りが非常に大きく、流通市場に歪みが生じているため、個別銘柄の流動性が低く、希望するロットでの取引ができないとの意見が出ている。その結果、JGBから撤退してスワップに移行する投資家もいる。このため流動性を高める見地から、2年債を除いて3ヵ月間同じクーポンで発行する強制リオープン方式を検討してはどうか。』

前回の会合ではいわゆるCPIショックを受けた物価連動国債の悲惨な状況に関して意見だか苦情だかが出てましたが、その中で「海外投資家のシェアが大きくてマーケットの需給が一方方向にぶれやすく不安定で困ったもんだ(意訳)」というような意見が出ておりましたが、今度は海外投資家参加大歓迎ですかそうですか。

まあ別に同じ人が話しているわけじゃないでしょうから悪態つくのもどうかと思いますが(笑)、まあ海外投資家が入ってこなきゃ物言いがついて、入ってくりゃあ物言いがついてと財務省の中の人もご苦労なことでございますわな。

ま、海外云々の問題よりも、個別銘柄間の需給に歪みがあって、その需給を見てタイトな銘柄を買いたがる投資家が(特に短期売買する傾向のある人に)多くて益々需給の歪みに拍車が掛かり、しまいにレポをスクイーズもどきのことをする連中まで出てくるといった状況も如何なものかと思われますので、何らかの方策は必要だとは思いますけれども。

#スワップに投資家が入って円金利への「投資」をしてくれるのであれば、受けた業者はヘッジするんですから、回りまわって国債購入に繋がるわけで、国債の消化には寄与すると思うんですが>上の意見


○国債に係る手数料の見直しについて

日銀への登録口座を設定して売買するって制度の殆どの部分が振替国債に移行し、国債の本券も(今残っているもの以外)無くなってしまった現状を鑑みると、まあ事務手間なんぞは激しく軽い負担になっている訳で(本券保護預かりの国債の利札切りは失敗すると大変だから気を使いましたよ^^)、手数料見直しはまあ当然の流れでございましょうか。

『利払手数料及び償還手数料の見直しは、日本銀行におけるシステムの変更に要する期間や手数料の変更がマーケットの価格形成に与える影響等を踏まえ、ある程度のアナウンスメント期間を設ける必要があることから、2年程度後(早ければ平成20年10月)を目途に、その後に償還又は利払が行われる分から適用することとする。』

1年以内の利付債では手数料込みの価格で売買が行われていたりするという現状を踏まえますと、2年後から適用と言うのは十分な周知期間かと思います。妥当じゃないでしょうか。

で、まあこれで0.8%クーポン平均落札価格100円15銭の超長期62回債は入札当日の引け後に100円を割り込んで以来、償還までアンダーパーになることはほぼ確定となりましたな。あっはっは。

#償還の頃に短期金利が0.5%だとかだとそれはそれで寒い・・・

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2006/11/17

お題「金融経済月報、総裁記者会見」

米国株式市場と債券市場の後講釈をするのに、背景になる景気というかインフレに関する説明が物凄い勢いで矛盾しているモーサテの番組編集はもうちょっと物を考えて頂きたいものです。

○先に総裁記者会見

昨日は総裁のスケジュールの関係上会見時間が短かかったので、ブルームバーグの会見中継録画(というか実質音声だけですが)を放送を全部聴く時間がございました。

で、聴いた印象ですが、「総裁随分おとなしいな」というところでございました。まあさすがにこれだけ散々事前に注目注目と言われただけに変な話をしなくて良かったですねという所ではございますが、別の言い方をすれば金利市場の方が既に12月か1月の利上げですなあっていう価格形成になっているのでこれ以上地均ししても軋轢だけ増える結果になるので、余裕綽々という心境なのかもしれませんし、その辺までは判らん(のは当たり前ですが)。

で、会見内容が流れている間に債券先物はちょっと上昇(その後下がったりして結局小動きだったんですが)したようですが、まあそれだけ総裁のタカ発言に警戒が強かったということなんでしょうか。どうもよく判らんです(てかそもそもイブニングセッションですから板薄いですし)。

記者会見を聞きながら適当に取ったメモと、16日18時05分配信のブルームバーグニュースからまあ気になったくだりを少々。

・12月利上げの可能性について

『いかなるタイミングも排除して考えない、というのが、われわれは予断を持たない、ということの定義と一番平仄が合っている』

・財政健全化のスケジュールに絡めて、金融政策正常化のスケジュールのタイムスパンはどうなっているかという趣旨の質問に

『多分、金融政策というのは、そういうカレンダーをにらんで、日にちをにらんで見通しを立てると必ず失敗するのではないか。経済は本当に生き物で、そんなに予定通り動いてくれない。だから、それはやはり情勢を丹念に点検しながら、十分フレキシブルに対応していかなければならない。そうでなければ、予定表の通り行動すれば、景気の芽を摘んだり、逆に景気を過度に刺激したりするリスクの方が大きいのではないか。』

まあこんな感じの質疑応答で、金融政策のタイミングという問題に関する言及は恐らく意識して控えめにしてたんでしょうな。つーか地均しとかすんじゃねえと思うのですけど、苦笑。でもまあ景気に関しては「基本シナリオのままよん」って言ってるのですな。

・金先市場を引き合いにだして、「市場が日銀のシナリオ通りに動いてきたと考えてますか」という質問をした人がいたんですが(^^)

『市場は新しい指標にいろいろ反応しながら、引き続き基調判断を固めようとして、市場自身も努力を続けている状況だと思う。日銀の方では、これまでのところ、さまざまな現象を分析して、展望リポートでお示ししている基本的なシナリオから経済・物価の動きがずれ始めているとは、われわれはみていない。市場の方は今後とも新しい指標にかなり敏感に反応しながら織り込んでいくということだと思うので、市場が判断を固めつつあるとはまだ言えないのではないかと思う』

何か判ったような判らんようなお答えではございますが、ここの発言とか聴いて(って結構聞き流しながらでしたが、爆)た感じだと、まあ総裁余裕モードって印象をあたくし的には受けましたが。


とまあ(非常にちょっとだけですが)総裁記者会見の一部を拾いましたけれども、まあベンダーのヘッドラインと債券先物の反応を見ても判るように、当初の印象は「思ったほど突っ込んだ話が無かったですねえ」というものだったのですが、一晩明けてモーサテを見ると「日銀総裁、年内利上げを否定せず」ってなってまして、「12月の決定会合までこんな経済指標が出ますが、この数字を見て12月に利上げをするのではないか」というようなトーンのお話になっておりましたですな。メディアがせっせと鉦や太鼓を打ち鳴らすの図になっているような気が致しますが・・・・



○金融経済月報は今月も変化なし

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0611.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0610.htm(前回)

紙に打ち出して2枚重ねてすかし読みをするのが比較するのに速いというくらい同じ文章が続いております(^^)。


・景気の現状判断

『わが国の景気は、緩やかに拡大している。』から始まる現状判断ですが、10月分には短観を受けた企業の景況感に関する言及がありまして、この部分が今回削除されていますが、これは順当。

・景気の先行き判断

これも相変わらず同じ。記者会見でも福井総裁は「バランスの取れた景気拡大が続く」という話をしてました。本当かよというツッコミはございますけれども。

・物価の現状判断

(今回)『国内企業物価は、原油価格の反落が影響し、上昇テンポが鈍化している。』
(前回)『国内企業物価は、既往の国際商品市況高などを背景に、上昇している。』

ということで原油価格の反落について言及してます。

・物価の先行き判断

(今回)『国内企業物価は、当面、原油価格反落の影響が残ることから、上昇テンポの鈍化が続くとみられる。』
(前回)『国内企業物価は、最近の国際商品市況の反落が影響し、当面、上昇テンポが鈍化していくとみられる。』

まあ変らんといえば変らんのですが、影響が「残る」って所に「影響は長続きするもんじゃないですよ」という気持ちがこもっているのではないかと言い出すあたくしは裏読みのし過ぎですかそうですか。

・金融面

これは市場実勢に関わる部分だけ前回と表現が違いますが、現実に起きている話の部分なので特筆する話ではないかと存じまして引用割愛。


・・・・という訳で、まあ見事に今月も変化なしという月報でございました。

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2006/11/16

お題「オペ金利とFB入札と」

首都圏マンション販売戸数減の要因に販売業者の売り惜しみってのはマジなのか先高感を煽る提灯報道なのか存じませんが、それって昔も聞いた事があるような気がするのですが・・・・何だかね。

#朝の気温低下と共に目覚ましを無視する頻度が上昇してしまい、今朝は昨日あったことのヨタ講釈話で誠に恐縮至極でございます。


○オペ金利

昨日の共通担保オペですが、11月17日〜1月26日の期間で平均落札利回りが0.394%で最低落札利回りが0.39%となってましたんで、まあ0.40〜0.39に札が入りましたということでしょう。で、その0.394%ですが、昨日と同じように12月18日で分解して手前を0.30%とすると後半が0.468%とかになりますな。一昨日のオペ結果では後半0.455%の計算になってたんで若干の上昇となったようですな。

で、ここで問題になるのは(昨日も申し上げましたが)利上げがあった場合の足元金利とGCレポや現先、ショートタームのオペ金利の関係。利上げになって足元0.5%になった時にロンバートは恐らく0.75%になるでしょうというところまではコンセンサスなんですが、どうもその「ロンバート金利と足元のスプレッドが0.10%→0.15%になる」というのが過大評価されているような気が致しますわな。まあこういうのは「蓋を開けてみないと判らない」というのがあるので最初は最大級のリスクを織り込み行きがちなんで仕方無い面はございますけど。

どこぞの情報ベンダー(正直この某ベンダーは取材対象が売り方、というか金利上昇歓迎な人に寄ってる感じが見受けられるのでちょっとアレなんですが)では「足元金利が0.5%になった時に現先やGCのレートが0.6%」って話になってましたが、ロンバートの足元対比スプレッドが開いた分がまともに上昇するというのはちとどうなのよと思います。

これがもうちょっとベースの金利高いというのなら別ですが、たかだか0.5%の水準での0.1%のスプレッドは直感的に「ちょっと広すぎ」というイメージが涌く(はっきり言って直感の話であって科学的な根拠レスですけど)次第。


とまあそんなことを昨日も申し上げて同じ話ばかりで恐縮ですが、そんな訳で12月18日以降(実はまあこれも19日からで計算するのが正しいのかも知れないとか微妙な面はあるんですが)の金利が0.468%だとしますと、まあ半分程度12月利上げのリスクを織り込みに逝ってますって事になるんでしょうなこの結果は。半分以上じゃないのかという気もすると思いますが、実は年末年始の金利の話をここではスルーしてるんで、その分と考えていただくと宜しいかと。


○FB入札

昨日のFB入札はと申しますと、こちらは前場引けの時点で0.465%レベルに対して平均落札が利回り換算で0.465%で最低落札が0.468%だったんで、まあ妥当な結果。これまた同じように11月20日〜12月18日と12月18日〜2月26日に分解して手前の金利を0.30%とすると、後半の金利が0.53%(ちなみにこの辺の数字全部あたくしが電卓を叩いて出しているので、本人は一応計算合っているつもりでおりますが、間違っていたらゴメンナサイ)になると思います。

で、さっきもさらっと書きました年末年始挟みの金利と言うファクターもありますんで、この0.53%というのは12月利上げをやっぱり半分織り込んでいるってお話になるんでしょうな。


多分債券市場的には「12月利上げでも1月利上げでも、とにかく今度利上げしたら暫く打ち止めでしょう」という見方の方が強くて、まあどっちでも同じじゃネーノって感じになっているのではないかとゆーのがあたくしのお友達トレーダーとお話をした(なのでサンプルの設定に問題がございますが、爆)印象なんですけど、まあ動きもそんな感じかと。

ゼロ金利解除前には「連続利上げ」の思惑が出てまだ足元がゼロ金利(というか0,05%くらいでしたが)なのに2年0.9%とかやらかしていた訳でして、今回ベースの金利が0.25%上昇してるのにまだまだゼロ金利解除前の安値を切ってない(FBなどは別)のは経済実態から言って連続的な利上げ(3か月ごとに0.25%引上げとか)なんぞ出来ないでしょって冷静に反応してるんでしょうな。


○一番前傾姿勢なのは実はメディア?

また人のふんどしで恐縮ですが本石町日記さんのエントリー。
http://hongokucho.exblog.jp/6044833
「ベアフラット化の意味は…=日銀“ヘッドラインリスク”を警戒?」

『現状、追加利上げに向けて走り始めたのは、金利マーケットの方々はお分かりであるようにマスコミ(一部新聞)であろうと思う。利上げ局面では、マスコミはどうしてもフロントランニングする体質なのです。』

なるほど、確かにそうですな。

#まあ今日の記者会見でGDPについて「それ見たことか」コメントが出ないように期待したいのはあたくしも同じですが、言うんじゃないかなあという絶望もあるあたくしなのでございました。

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2006/11/15

お題「GDPで12月利上げリスク意識する短期」

まあ何もないでしょうが、今日明日は金融政策決定会合。

○経済指標のヘッドラインに素直に反応

ご案内のように昨日公表されたGDP速報値のヘッドラインが強い数字になりました(中身に関してはツッコミどころはあるらしいのですが)ので寄り前から2年カレント5毛甘ヒットしてさっくりオファーなどと豪快な展開。昨日は間の悪いことに5年入札と1年TB入札という中短期ゾーンの入札があったので下げに勢いが付くの巻でございましたな。

それにしても、一時は2年カレントが前日比10.5毛甘の0.835%まで叩かれるとはこりゃまた凄い下げですねと(引けは7.5毛甘の0.805%)いう感じでした。まあその前に機械受注(の前からですが)金利が低下してましたんでその分の反動ということもございますが、2年が10毛も動くとなると先行き利上げの回数予想が1回変る位のイメージになりますんで、それはさすがに勢い付き過ぎジャマイカと。

#でも今日は3か月FBの入札があるんですなこれがまた。

ま、経済指標が出るたんびに一々素直に反応するのは水野審議委員の仰せになる「Data Dependense」な世界ですんで結構なんじゃないですかな。


○オペ金利上昇

で、昨日の共通担保オペ(本店)ですが、11月16日〜1月23日の落札利回りが平均で0.382%の最低落札利回りが0.37%となりました。前日の共通担保オペは全店オペだったんですが、11月15日〜1月17日で平均0.345%の最低0.34%でした。本店オペの方が若干レートが低めになる事を考えますと実質的に3毛以上レート上昇という形になったという所です。

このレートを12月19日(12月の金融政策決定会合)までとその先に分解して考えると、昨日の場合は手前の金利0.30%(まあ大体オペ金利の実勢に近い水準)として計算すると、12月19日以降の金利が0.455%(手元の電卓で計算したんですが、ロジックは0.3%×32日+A%×36日=0.382%のAを計算するというざっくり計算)となりますわな。月曜の金利を同じ理屈で分解すると後半金利は0.395%となりますので、これはまた一気に12月利上げを意識しましたなあという所でしょう。

さすがに完全織り込みしてる訳じゃあございませんが、まあ12月の利上げをかなーり意識してきてるという所でしょう(現実には足元金利が0.5%になった時にオペやらGCの金利は0.55%〜0.60%のレンジが中心になるんじゃないかとは思うので、まだ低いと言えば低いのですが)。


○今日はFB入札

昨日は1年TBの入札がありまして、まあ予想される次回の利上げタイミングが手前に来た分、先行きの利上げサイクルに関する予想も変化するから仕方無いのですが、最低落札レベルが0.685%近くまで金利上昇の巻となってしまいました。

えーっと物凄いイメージ話で恐縮なんですが、最後まで持ち切りという前提で考えましてもそのレベルだったら所有期間中の2回利上げでも心配ないぜという(物凄い勢いで2回上昇したら困りますが)レートなのではないかと直感的に(ちゃんと分析しろというツッコミが飛んできそうですが)思う次第。不明札が8000億くらいあってショートカバー気味に0.655%まで買われたようですが、まー直感的に(またか)は持ち切り前提だと0.65%からご相談って感じなんでそんなに違和感のないところかなあとあたくしは勝手に思うのでした。

で、本日は3か月FBの入札なんですが、WIの0.47%というのはご愛嬌と致しましても、先週入札が行われたカレントの3か月FB(なので今日のFBよりも1週間短い)が0.43%オファーとかやらかしていたようですので、まあ0.45%あたりになるって話でしょうかねえとは存じます。1回の発行量4兆2千億がこーゆー時になると重しなんですが、12月利上げになってもまあそんなに負けない(何を足元金利で見るのかによって微妙に違いまして、必ずしも0.5%で計算するのが正しいのかというと、そりゃやっぱ違うって意見もあるんですけど)レベルになりつつあるんで、何とかなるんでしょ。WIのまんまで0.47%なんぞになったら衝撃ですけど。



○明日は総裁記者会見

金融政策決定会合後に福井総裁の記者会見が行われる訳ですが、GDPを受けて金利が上昇した債券あんど短期市場に対して誰かコメントを求めて頂きたいものでございます。

と申しますのは、前回の定例記者会見で債券市場などの市場金利の動きについてコメントを求められた福井総裁はこんな話をしてたんで、今回何というのかが結構楽しみでして。

『私どもは、経済を判断するアプローチとして、今申し上げたように全ての指標を少し深く分析しながら、基調的判断というものを探り当てようというアプローチの仕方をします。しかし、市場はこれとは違ったアプローチをします。そこに市場の存在価値があり、新しい指標が出る度に大きく反応しながら、しかし結局は、市場も経済・物価の基調は何かということを探り当てていく動きをします。』

『市場は強い指標が出たら一時的に金利の引き上げを手前に引き寄せてみる、あるいは弱い指標が出たら一時的に金利の引き上げを先ずれさせてみる、こういうことの繰り返しの中で、いつしか日本銀行と市場の基調判断が次第に擦り寄ってくる可能性が常にあり、今もその事情に変わりはないと思います。』

(以上10月31日の福井総裁記者会見要旨より)

で、今回「それ見たことか」というような勢いで「日銀の基調判断と市場の基調判断の差が埋まってきた」などと言い出す方に1000点といったところのあたくしでございます。でもまあそれってどう見ても「金利上昇は良い反応、金利低下は悪い反応」って言ってるのと変らんお話でして、そーゆー事は本当は言わないで欲しいところでもございますわな。

・・・・などと書いておりましたが、既に本石町日記さんが『GDPの焦点→「日銀がヘッドラインに飛び付いてはしゃぐリスク」』という素晴らしいエントリーを上げてました。思いっきり重複してしまいましたよorz→http://hongokucho.exblog.jp/6038472/

まさに仰るとおりですな。あたくしは本石町さんほど日銀、というよりも一部政策委員の「成熟度」に関しては懐疑的でございますので(笑)、「GDPの内容は華麗にスルーしてヘッドラインにはしゃいで絶賛地均し」の悪寒の方が強いのですが。コメント欄で指摘している方がいましたが、本来は「沈黙は金」だと存じますがねえ・・・・

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2006/11/14

○地均しが効く時と効かない時と

先週は福井総裁と水野審議委員、というかまあ福井総裁の発言やらインタビューが相場のネタにされた訳ですが、結局は長いところは予想より下振れした機械受注統計(ヘッドラインは極悪だったけど本職の方によりますと中身はそんなに悪くはないということのようで)とか、GDPが予想より悪くなるかもというようなネタの方への反応の方がでかいという感じ。

まあFBなんかは相変わらずカレント物が0.41%(こっちは先週末の福井総裁インタビューやら国会答弁でのやる気満々ぶりや、水野審議委員の「でも利上げはするもんね」講演が効いて、水曜の入札後ちょっと戻ったものの上値重い)などとどうも冴えませんわな。

で、まあこれを勝手に解釈すると、短期というかFBとかの短いところを見ている人たちとしては「さすがに今月利上げとかは有り得ないけど、経済指標がちょっと良くなってきたら利上げするでしょ」と考えて「経済指標が年末までに好転してきたら1月に利上げがあっても不思議ではない」という解釈になってるんでしょう。で、この状況を見て日銀政策委員の皆様におかれましては「市場が1月利上げ織り込んでいるから1月利上げしても無問題」とか思われても困る訳でして、先行きの経済指標が戻って来たらという留保条件付でリスクに備えているだけですから勘違いの無いようにして欲しいものです(苦笑)。

で、長いほうは経済指標に素直に反応して「利上げできる訳ねえ」あるいは「利上げ強行したとしても、その次の利上げが当分できるような状況じゃないから利上げが打ち止めになるだけですがな」という感じになってるんでしょうな。

ということですので、市場との対話路線を重視しておられるのであれば、長期金利が総裁や水野審議委員の地均し的な発言に対してほんのちょっとだけしか反応せず、その後の経済指標に思いっきり反応しているという現実をよー考えて頂きたいものでございます。てか水野さんの講演なんかが出ると最近は水野さんの言ってる反対に債券相場が反応してるような感じでございますけど(笑)。

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2006/11/09

お題「水野審議委員講演」

この人の講演要旨は毎度毎度やたら長いのが仕様です。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0611b.htm

○景気にはトーンダウン、金融政策は強気の旗降ろさず

全体のトーンに関しての印象はそ〜ゆ〜感じでございまして、今回の講演では事前に「またタカ丸出し発言が出るんじゃないか」と皆さんが懸念しまくったせいで昨日の時点で過剰織り込みしたせいか(苦笑)、債券先物やらユーロ円金利先物は反発の巻と相成りました。

景気に関するトーンダウンに関しては特に個人所得というか賃金の動向を注視したいというお話で、まあ違和感の無いところでございますが、金融政策に関しては少々何でしょうかって感じはする所でございます。景気に関するお話の部分とか見てると水野さん君子豹変したのかなとも思うし、金融政策の所を見てると、ヘッジクローズはサービスフレーズのようにも見えるので強気の旗を注意するのか、うーむ判断に苦しむ。

ということで量も多いので端折り気味ですが読んでみます。


○個人消費に関して

個人消費の前に企業部門のお話もあるのですが、まあ企業部門が好調という話に関しては皆さんコンセンサスだと思いますし、水野さんのお話もそーゆー趣旨ですのでスルー。

個人消費に関しては統計によって温度差があると言う説明をした後にこんな感じでまとめています。

『個人消費について、現時点では増加基調にあるとの判断を変えなければならない確証は得られていません。しかし、個人消費関連統計に表れている温度差については、今後慎重に分析を深めていきたいと思います。』

『先行きの経済情勢のリスク要因は、展望レポートで指摘したことに加え、家計部門への波及が想定よりも遅れることだと考えています。今後、10月の展望レポートで示した経済のメカニズムに変化がないことを確認する上で、特に、(1)雇用者数の増加のみならず、所定内給与が増加して雇用者所得の増加傾向がさらに明確になるかどうか、(2)好調な企業部門から家計部門への波及が順調に進んでいくかどうか、注目していきたいと思います。』

ということで、先行きの経済情勢の下振れリスク追加キター!でございますわな。


○物価に関して

でまあこの名目賃金の話は物価にも影響するわけでして。

『ユニット・レーバー・コストは、生産性と名目賃金の要因に分解できますが、個人的には、名目賃金の動きに注目しています。足許までゼロ近傍で推移している所定内給与がプラスに転じないと、物価上昇率の先行きについて、下振れ懸念が払拭できないと考えています。』

物価下振れ懸念払拭できないキター!

『これまでのところ賃金上昇率が極めて緩やかなものにとどまっていることは、消費者物価指数(除く生鮮食品)(コアCPI)インフレ率の上昇テンポが緩やかなものになる可能性を示唆しています。』

ということで、その名目賃金の先行き見通しに関して両論併記の形で説明しています。一応は「賃金は先行き上昇」という方にウェイトを置いた書き方にはなっています。上昇の方に関しては

『今後、非正規雇用の比率が高いサービス分野などでは労働需給が更にタイト化することによって、賃金が一段と上昇し、サービス価格への転嫁の必要性が強まってくることは十分考えられます。』

となっていまして、上昇してこない方に関しては、

『そのような見方が正しいならば、失業率がさらに低下しても、賃金がなかなか上昇してこない可能性があると考えられます。』

ということで、「十分考えられます」VS「可能性があると考えられます」なので上昇するの勝ちですな(^^)。


○CPIの基準改定に関して苦言を

『消費者物価指数の精度を向上させる努力は大切であり、総務省による今回の基準改定もそうした方向への努力を反映したものとして評価しています。しかし、基準改定でこれほどイメージが変わってしまうと、消費者物価指数のユーザーが「連続した統計としては使いにくい」という印象を持つ可能性があります。このように基準改定毎に大幅な下方修正が生じることは、消費者物価指数の作成方法について改善余地があるのではないか、という疑念を高めてしまう可能性も否定できません。』

『債券市場では、消費者物価指数の基準改定が事前予想を大幅に上回ったことから、物価連動国債が急落するなど、大きな影響が出ました。5年に一度の基準改定でこれほど消費者物価指数のイメージが変わってしまうと、今後物価連動国債の発行増加の足かせになるリスクもあるように思います。』

物価連動国債云々は財務省を意識してるんでしょうな。ちょっと苦笑。


○金融政策に関しては強気ですなあ

さてこの講演は米国経済の話とか国際的なマネーフローがどうしたこうしたとかいう話が出ておりまして、これがやたらと長いのですが華麗に全部スルーしちゃいまして、今後の金融政策運営に関しての部分に参ります。

基本スタンスについて改めて確認をしています。

『先行きの金融政策の運営方針について、(1)コアCPIインフレ率に偏重せず、あらゆる経済・物価指標を注視する「Data Dependence」で行うこと、(2)先を見て早めに政策を微調整するというフォワード・ルッキングな金融政策運営を行うこと、(3)経済・物価情勢が展望レポートの見通しに沿って展開していくと見込まれるのであれば、政策金利水準の調整については、経済・物価情勢の変化に応じて徐々に行うことになること、という基本的な考え方に変化がないことを読み取っていただきたいと思います。』

さようでございますな。ところが後のほうでこんな話をしてるんですが、この意味は判らんですなあ。

『すなわち、年末にかけて個々の指標が弱い数字になったとしても、それが一時的な振れによるものであり、日本銀行の「経済・物価情勢の見通し」が実現する蓋然性は引き続き高いと判断されるのであれば、徐々に金利水準の調整を行うことが適切です。』

一時的な振れなのかどうかってのは後にならないと判らんと思うのですけれども(誰もが認める明白な特殊要因というのはあるかも知れませんけど)、「弱い数字になったとしても」「日銀の見通しが実現する蓋然性が高いと判断するなら」「金利水準の調整を行う」という行為のどこがどう『あらゆる経済・物価指標を注視する「Data Dependence」』なのかと小一時間問い詰めたいとはこのことでございますわな。

#きっと「それはフォワードルッキングです」と言うんでしょうけど


で、まあその前には『今後の金融政策においては、「金利水準の調整をどのように行っていくか」は悩ましい問題です。』という話もしてたりするんでこれまたアレなのですが、金融政策に関するお話を見てると金利調整(要するに利上げ)はやりますよって感じを受けますわな。

『個人的には、4月の展望レポートの中間評価を行った7月時点との比較でみると、企業収益改善や設備投資計画の上方修正を受けて、景気拡大の持続性については自信を深めています。その一方で、(1)今ひとつ冴えない個人消費関連指標、(2)前年比上昇率がゼロ近辺で推移する所定内賃金、はインフレ圧力の高まりを示唆していないと判断しています。また、ゼロ金利解除後、地方銀行は貸出金利引上げに向けて企業に説得することに難航しているように、わが国全体でみると、資金需要は高まっていないこと、都市と地方の経済格差が拡大していること、も理解しています。』

ということで、配慮を滲ませた表現なのか、ヘッジクローズを入れだしたのかという所ですが、その直後にはこんな話もしてたりするんですな。

『一方、経済のグローバル化が主要国の経済・物価に与える影響については、もはや主要国のディスインフレを保証しないとの見解がFRB・コーン副議長やBOE・キング総裁等によって紹介されています。今年前半までの原油価格や国際商品市況の高騰、中国における賃金などコスト上昇分を輸出価格に転嫁する動き等をみると、中国やインドが世界経済に組み込まれることが、主要国の物価安定を保証すると考えるべきでないと思います。』

いつまでもあると思うな物価安定という話をかましている訳ですにゃ。


○妙にあちこち意識してませんかねえ

先ほど物価連動国債の発行増加に対して云々とかいう話が出てましたが、今回の講演要旨を見ると何か特定の人に向けたメッセージみたいなものも見られるのが微苦笑を誘います。

『わが国では金融政策の発動余地を残すために、金利の調整の必要性について議論すると、よく「のりしろ論」といった批判を頂くことがありますが、私が申し上げたいのは、単に「先行き政策金利を下げる余地を作るためだけに、今政策金利を上げる」ということではありません。』

本石町日記さんを意識しているものと思料(笑)。
ちなみにそれじゃあどういう意味なんですかというお話はその直後ですが。

『申し上げたいことは、「フォワード・ルッキングな視点から経済・物価情勢に見合った政策金利水準の調整を適時適切に行っていくことが、結局は先行きのマクロ政策の対応余地を広げることにもつながる」ということです。』

何か判ったような判らんようなお話ですな。


まとめのところでもこんなのがありまして。

『主要国の長期金利については、各国が現実に「金融政策の正常化」を行うと、むしろ低下するといった現象がみられています。これは、各国経済に対する見方の変化ということもあるでしょうが、各国が経済情勢に対応した適切な利上げ措置をとったことにより、インフレ期待が抑制されているという面もあろうかと思います。このことを踏まえても、「長期金利の上昇抑制」といった期待から中央銀行の政策運営を制約することは、長い目でみて決してプラスにはならないと思います。』

山本幸三先生あたりへのメッセージでしょうか?いやまあこの部分も何か少々違和感無きにしも非ずなんですけどスルーしておきましょう。


○これ誰が言ってるんですか?

この部分は「ほうほうそうなんですか。で、誰から言われたの?」と思わず読みながら突っ込んでしまいましたとさ。

『最近、「日本銀行はフォワード・ルッキングな金融政策運営を行うことを宣言したのであるから、経済・物価情勢が全体として概ね見通しに沿って推移しているならば、金利の正常化を粛々と行うべきである」との意見を頂戴することが少なくありません。』

利上げしないと日銀の信認問題になるとかいう本末転倒というか自作自演の強引な理屈に通じるお話だと存じますけど。で、「少なくない」ってホント?

で、この次にキャリートレードの話が出てくるんですが、そういう文章の流れを見ていますと、「もしやと思いますがそのご意見は海外様の(伏字)では?」などとあらぬ妄想を逞しくしてしまうのはあたくしの頭が陰謀論に毒されているからですかそうですか。


『他方、市場参加者からは、インフレ圧力が高まる兆しがみえない中、「金融政策の正常化」を急ぐ必要はないとの声も多く聞かれます。10月の展望レポートでも「景気拡大の長期化にもかかわらず、生産性の上昇が継続し、賃金の上昇が遅れる場合には、物価が上昇しにくい状態が続くことも考えられる」と記述しています。』

という話もしてるんですが、その続きでは思いっきり利上げするって話になっているのがなんともこりゃこりゃ。

『しかし、生産性上昇によって潜在成長率が上昇すれば、「供給面からは、物価の押し下げ要因となる一方、需要面からは、所得見通しの改善や期待収益率の高まりによる支出の増大を通じて物価の押し上げ要因となり得る」ため、(1)潜在成長率が上昇する過程において設備投資に過熱感が出る可能性があること、(2)いわゆる中立的な金利水準が上昇することから、中長期的には、「経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行う」ことが適当であるとの判断になります。』

金融政策に関してはこんな感じでして、基本的に「でも利上げするもんね」ってトーンが続くのでありました。で、まあ本石町日記さんの受け売りになりますけれども、あたくしも経済指標がアゲンストな状況で利上げを強行するのは難しいと思うのですが、信認だのリスク要因だのフォワードルッキングだのという話を持ち出して「殿、ご乱心」の懸念は確かにございますわな。

誠に(ご乱心にとって)都合の宜しいことに、昨日の3か月FB入札結果を見ると、こりゃ1月利上げを織り込んでる水準ですなあって感じなのがこれまたアレなところでございますな。

#ご乱心の結果「改易」やら「お取り潰し」にならないよう願います

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2006/11/08

お題「この地均しはいかがなものか」

先月の記者会見あたりから福井節が戻ってきた感じがして非常にいやーな予感はしてたのですが、村上ファンド問題逃げ切り濃厚になったらもう福井節復活ですかそうですか。

で、まあ本日は金先あたりの売り方が喜ぶ水野審議委員の講演がございまして、昨日の講演とコンボで地均し大作戦でもやらかすんでしょうかねえ(怒)。

ということで講演要旨はこちら
http://www.boj.or.jp/type/press/koen/ko0611a.htm

○本石町日記さんのところから

既に皆様ご覧になっているかもしれませんが本石町日記さん→http://hongokucho.exblog.jp/6001100/
『フォワードルッキングは「やりたいようにやる」の方便=利上げのための景気過熱論』

で本石町日記さんがご指摘されているように、あたくしめも自分の理屈に引きずられて理論倒錯の利上げをぶちかますリスクが恐ろしいと感じております。

何かね、それこそ「市場が○月利上げを織り込んでいるのに日銀が利上げをしなかったら日銀の信認が問われる」とかいうような無茶苦茶な話をしだす人が出そうですよね。この俺様理論を敷衍していきますと。それに地均しがコンボになるのですからもうハチャメチャとしか言いようが無くなると思うのですが、いかがなもんでしょうか。

でですな、上記エントリーで本石町日記さん(正確にはbank.of.japanさんね)がコメントしているように『景気がその後下降した場合に、日銀が結果責任を負わされるリスクが大であることです。今度失敗すると2度目ですので、下手すると法改正のリスクがあります。』という危惧をあたくしも持っている次第。

昨日おっぱじまった政府税調の話のように、いわゆるダム論の展開にフォローどころかアゲインストになりそうな路線が進みそうな状況の中で利上げをすると景気が下降した時の全責任が日銀逝きとなるのですけど良いんでしょうかと総裁様を問い詰めたくなる次第。



○経済に関する見立ては展望レポートよりも強気のトーン

前半は経済の現状に関して世界経済、日本経済に関して話をしておりますが、その日本景気に関する最後の部分でこんなお話をしております。

『わが国の景気は、生産・所得・支出の好循環が働くもとで、緩やかに拡大しています。外需の動向が強い追い風となってきていることは間違いないと思いますが、日本経済の現状について、単なる「外需の恩恵」によりもたらされたものと評価することは適当でないように思います。』

でもその前でど〜ゆ〜話をしているかというとちょっとねという感が。

好循環とやらの生産に関してはこんな見立てになっています。

『最近の設備投資の積極化は、製造業から非製造業へ、大企業から中小企業へと、より広い範囲でみられるようになってきていますが、現時点での主役は、引き続き製造業です。その背景には、企業が、海外における収益機会の増大を意識しつつ、設備増強による供給体制の強化に努めていることがあります。』

どう見ても外需の恩恵です。本当にありがとうございました。


所得はと言いますと・・・・

『労働需給は引き締まり傾向を続けています。新卒採用の回復もあって、雇用者数は着実に伸びていますが、そうした中にあっても、これまでのところ、賃金の伸びは緩やかなものとなっています。』
『企業と労働者の行動は次第に変化し、所定内給与を含め賃金の上昇圧力は徐々に高まっていくと想定されます。』

好循環はどう見ても先行きへの願望です。本当にありがとうございました。


支出(消費でしょうか)はと言いますと・・・・

『百貨店売上高やスーパー売上高といった指標は、天候が不順であった7月までは弱めの動きとなっていましたが、8月、9月は落ち込みを取り戻しています。家電販売やサービス関連支出などは、引き続き良好に推移しています。』
『恒常的な所得の変化と認識されやすい所定内給与が上昇していくにつれて、耐久財やサービスの支出を中心に、個人消費の持続性はより高まっていくと考えられます。』

好循環はどう見ても先行きへの(以下同文)。


ちなみに、都合のいい所だけ切り出したからこうなっているというのではないかというツッコミが飛んできそうですが、景気の見立てに関する部分を読んでも、外需が引っ張って生産が好調だけど、国内民間需要に景気の牽引役がバトンタッチするというシナリオには至っていないとしか読めないんですけど、どこがどう『生産・所得・支出の好循環』なのかと小一時間問い詰めたいところでございます。


○さて金融政策に関して

経済の上振れ下振れ要因の話はとりあえずパスしまして金融政策運営に関するお話に関して。

日銀の描く経済のシナリオには利上げが必要という理屈。

『こうした見通しは市場や企業が先行きの政策変更を織り込んだ上で意思決定していることを前提としたものですので、経済・物価が今後とも見通しに沿った動きを続けていくためには、政策金利水準の調整を行っていくことが必要となってくると考えられます。』

市場金利(そもそもその市場金利がスペキュレーション玉が入りまくってやたらぶれまくる上に、清算金利がTIBOR3か月という今やバーチャルマーケットでありますユーロ円金先市場を参考にしているらしい時点で変じゃないかという話は昔書きましたが)で示される先行きの政策変更を前提にしてシナリオを書くのであれば、逆に市場の金利がぶれた場合はシナリオを書き換えないといけないと思うんですが、その割には「市場の短期的な見方と日銀の見方は違う」とかいう話をしたり(先日の総裁記者会見)する訳でして、まあ屁理屈はいくらでもつけられると思いますけれども、どう見てもてめえの都合の良いときだけ「市場」を錦の御旗にしているとしか思えませんなあ。

大体からして、もし上記の理屈を出すんだったらBOEみたいに先行きの政策金利不変の場合の先行きシナリオも示せと申し上げたいのですけれども(それは上振れリスクで言及してると言い返してきそうですが)。

これだとアラン・ブラインダーFRB元副議長が指摘する中央銀行の「自分の尾を追う犬」化そのものじゃねえのかと思いますがね。


また自画自賛の市場との対話ってお話を最後の最後でしています。

『「新たな金融政策運営の枠組み」においては、日本銀行の金融経済情勢に関する判断や金融政策運営に関する基本的な考え方について、丁寧に対外説明していくことが、非常に重要です。』

経済を語るのは結構ですが、金利の上げ下げについて語る必要があるんでしょうか。

『7月に、5年以上の長きに及んだゼロ金利を解除した際にも、金融市場は安定して推移しました。この点は、海外の中央銀行や国際機関からも高い評価を得ているところですが、情報発信を通じて日本銀行のメッセージが市場参加者に浸透し、「新たな金融政策運営の枠組み」が市場との対話において有効に機能していた証左だと思います。』

例えば新発3か月ものFBの平均落札利回りは7月12日の0.404%(財務省方式だと0.3998%)が一番高くてそこから金利下がってますし、(ちなみに現実に足元金利が上昇して追加利上げがどうのこうのという話になっている先週や先々週よりも利回りは高い!)2年カレント国債の引け利回りは7月6日、10日の0.900%が一番高くなっております。利上げを行ったのは言うまでもなくその後でございますから、この事が何を意味するのかと言いますと、地均し路線によって利上げ効果を余計に織り込ませておいてから実際の利上げを行ったということではないかと。『金融市場は安定して推移した』とは片腹痛い。

言うなれば無茶苦茶に償却とか除却とかしまくっておいて大赤字を先行して出しておいてから後から関連会社の含み益などを持ち出して「V字回復」とかいうようなもんでして(別に具体的な事例を意識している訳ではありませんので念の為^^)、地均しで市場に織り込ませる段階で金融市場が荒れたんですから、利上げ後に安定して推移したとかいうのは単なるペテンでしかありませんですな。

『新たな枠組みのもとで、しっかりと情報発信を行っていくことは、市場とのコミュニケーションの活性化ということにとどまらず、金融政策の有効性を十二分に引き出していくことからも、重要であると考えています。』

はいはい自画自賛自画自賛。


○このベンダーのヘッドラインの打ち方はいかがなものか

手元にロイターが無いので人から聞いた話ベースで恐縮ですが、昨日の債券先物市場ではロイター日本語版の打ったヘッドラインのうち、

「短期金利は経済・物価の水準から見て極めて低い水準」

というの(聞いた話をメモ書きしたので正確性は保証致しかねます)に一番派手に反応したらしいですな。で、その部分なんですが、講演要旨の中を見ますと経済の上振れ・下振れ要因の中で言及している部分に確かにございました。

『景気の緩やかな拡大が続く中で、金融環境は極めて緩和的な状態が続いてきています。短期金利は、経済や物価との関係からみて、極めて低い水準で推移しています。また、為替レートは、円安基調で推移しており、(中略)ます。そのように極めて緩和的な金融環境のもとで、企業が、(中略)投資を一段と積極化する場合には、成長率が一時的に大きく上振れる反面、その後は(中略)反動が生じ、調整を余儀なくされる可能性があります。』

・・・と全部を読むと(長いので趣旨を損なわないように割愛してます)これって展望レポートと同じ話をしてるだけなんですが、あえて上記の部分だけ切り取ると、あたかも特定水準に対して言及したように見えてしまうのが文章切り取りマジック。ちなみにブルームバーグニュースでは当然のことながらこの部分だけ切り取ってヘッドラインを打つなどという下品な事は行っておりません。

総裁の記者会見におけるヘッドラインの打ち方もそうなんですが、 どうもロイターは発言とか講演とかを作為的にセンセーショナルに見えるように切り取ってヘッドラインを打つ傾向にあるのではないかと思う次第でして、営業政策なんだか存じませんが、下品な行為はほどほどにして頂きたく存じますわな。

#アドリブ発言に関しても書きたかったんですが時間の都合上この辺で

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2006/11/02

お題「総裁記者会見」

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0611a.pdf

○会見内容の前にあたくしの見立てでも

昨日展望レポートをご紹介したときに申し上げましたが、ここもとの経済指標を受けて「現状の金利水準が長期化するという見方が固定化するのはイクナイ!」というニュアンスが一貫しているように見えました。ということで、あたくしの見立てとしては(1)10−12がマイナス成長とかになったら(追記:よく考えたら3QのGDP出るのはずっと先ですね)話にならないので年度内利上げはかなり難しい、(2)先月末に出た経済指標の水準だと、さすがに目先の利上げは難しく、(3)年末に掛けての経済指標がそれなりにちゃんと好転して短観が横ばい圏以上だったら「日銀の標準シナリオに則った金利水準の調整」って話で1−3に利上げできるかなあ、くらいに考えております。

リスク要因としては昨日も申し上げましたが、外部から妙な茶々が入ることでして、変に「利上げしたい日銀」VS「利上げ許さんという政府与党」などという対立をフレームアップされちゃうと、中央銀行の独立性を守るとか変な方向に話が進んで、無理気味な利上げをしないと「政治圧力に屈した」となるような状況に追い込まれるなんて最悪の事態は一応妄想しているあたくしなのでした。

それではまあそんな妄想はさておいて会見から。


○最近の経済指標について

最近の経済指標についてどう考えるかという質問に対して2ページ半ほどの量の回答がございまして、まあこの辺が景気に関する見立てとしてのポイントかと存じます。会見要旨の6ページ目から8ページ目あたりです。

『短期的には、米国経済の特に住宅市場を中心とする調整が現実に始まり、少なくとも住宅市場については事前の予想よりも早く調整が進んでいるということをどう理解するか、あるいは国内的にも、最近の消費者物価指数、生産、あるいは家計調査の指標は、少し弱めの数字が出ているのではないか、これらのことが私どもがより短期的に経済・物価の動きをみるときの判断に強い影響を及ぼすものであるかどうか、この面からも十分な点検が必要です。』

十分な点検が必要ということで、まあ余裕を持って対応の感じが出ているとは思うのですが、何で金先は火曜日の引け後に下がった所から戻らんのかなあ。まあ色々見立てはあるだろうけれども・・・・


『米国経済については、先程のご質問に対して答えたことにほぼ尽きています。GDP統計が低く出ましたけれど、今のところ米国経済のソフト・ランディング・シナリオの枠内で動いており、このシナリオが全うされる可能性がまだ相当程度残っているということであります。』

先ほどの質問の引用は割愛しますが、住宅投資の落ち込みについて事前想定よりも厳しいという認識をして、今のところは軟着陸シナリオとしながらも、『現実の軟着陸のシナリオを、これから歩きながら描き直さなければならない部分が残るかもしれないと思います。』としておりまして、割と慎重。

そのため「このシナリオが全うされる可能性がまだ相当程度残っている」という必ずしも先行き楽観じゃない表現になっていると存じます。


国内に関しては、直近の指標についてコメントしてます。

『9月の消費者物価指数の数字が+0.3%から+0.2%に0.1%ポイント下がりましたが、石油製品や帰属家賃の寄与度が下がったということであります。しかし、東京の指数がひと月先取りしながら出ています。東京の10 月の計数などから類推しますと、物価のトレンドに変化が生じたというようには見ていないということです。』

ということで物価についてはまあフツーのコメントかと。生産に関してのコメントは長いのですが、電子部品に関する部分を付け加えたのが注目される所かと。

『あえてひとつ付け加えれば、9月の計数の中で特に電子部品・デバイスの在庫が若干跳ね上がっています。経済全体としては出荷と在庫のバランスは比較的良くとれたまま推移していますが、電子部品・デバイスに限定してみれば、9月は出荷と在庫のバランスが若干崩れ、在庫が跳ね上がったという印象を持っています。これは一体どういうことが背景にあるかということはもう少し詳しく突きとめたいと思っています。』

『特殊要因であれば特殊要因として理解すればよいのですが、いわゆるITの循環的調整サイクルみたいなものがこの中に潜んでいるとすれば、景気判断の中で重要なファクターとしてとり入れていかなくてはなりません。』

IT関連の調整サイクルという話は、金融経済月報などでもリスクシナリオとして時々登場するものですんで、本件に関しては見極めをしたいということなのかと思いますが。

家計調査に関しては率直に判断に迷うとコメントしてますな。

『本日公表された家計調査については、世帯の支出額の前年比が−6%と、率直に言って、私どもにとって若干パズリングな(判断に迷う)難しい数字が出たと思います。公表されたばかりで内容をよく分析できておりません。今後、きちんと分析したいと思っております。』

『ただし私どもは、これまでの色々なデータを全部総合してみると、個人消費がそんなに弱いとは思っていませんし、逆にそんなに強いとも思っていません。(中間割愛)本日公表の家計調査の数字がそうした私どもの判断を根本的に塗り替えるものであるとは今のところ思っておりませんが、よく分析したいと思っています。』

と基本判断は変えないで済むとは思いますがとなっていますが。

最後のまとめのところではこうなっておりますので、まあ白旗モードではございませんですよって言いたいんでしょうな。

『そうしてみますと、物価、個人消費、鉱工業生産、米国経済をはじめ、短期的にみても私どもの情勢判断を今のところ大きく塗り替えなくてはならないような要素は出てきていないと考えています。』



○でもまあ「政策金利の調整」スタンスは不変でありますので

こんな質問がありました。

『(問)上振れリスク、下振れリスクともに等しいという趣旨のご発言がありました。リスク・バランスがとれているとすれば、今後政策変更で追加の利上げを検討する際には、例えば上振れリスクが少しでも強まった時に政策変更を具体的に検討するのか、それともリスクが均衡している状態とは切り離して金利水準を調整することがあり得るのかについて、お考えをお聞きしたいと思います。』

回答はこのようになっています。

『(答) リスクの均衡が崩れ始めるということは、私どもが第1の柱でお示ししている標準的なシナリオが狂う可能性が出てくるということですので、その場合には、先々の金融政策の運営方針についてより深い検討を重ねていく必要があります。』

ここまでは当たり前の話。次の部分は展望レポートの第2の柱にリスク要因として挙げられていた「経済実態を反映しない低金利が長期化するという認識が発生する」という点を考慮に入れればこういう話が出てくるのは当たり前だけどこれもポイントですな。

『それでは、両サイドのリスクがずっとバランスのとれたまま推移すれば金利の変更の必要性がないのかというと、そうではなく、やはりあります。なぜならば、私どもの標準的なシナリオは、物価安定のもとで息の長い景気回復が続くとしていますが、政策金利がある程度上昇するということを前提としたシナリオだからです。政策金利のある程度の上昇については、市場関係者も程度の差こそあれ、それを市場金利で表現しており、その中で先行きの経済を見極めようとしています。』

『従って、望ましいシナリオ通り、つまり展望レポートの第1の柱でお示ししたシナリオ通りに経済が推移する場合に、ゆっくりと金利水準の調整を行っていくことは整合的です。むしろ調整をしないと、政策的に不突合な部分を生じさせることになると思って頂きたいと思います。そういう意味では非常に長い時間をかけてゆっくりと、と今まで申し上げてきた政策スタンスの基本的な考え方は変わっていないということです。』

ということですんで、まあ今後は「日銀の描いている標準的シナリオ」がその通りに進んでいるのかってのを経済指標見ながら判断していく作業が大事じゃないかと思うのでした。その点検のポイントがどこかという話は本職の方が詳しいと思うのですが(と、肝心な所で逃げを打つあたくし)。

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2006/11/01

お題「展望レポート、どちらかと言うとトーンダウンじゃないのかと」

ネタはいつでもまとめて来ます、ということで他にもお話あるのですけれども、とりあえずは展望レポートをメインで、総裁記者会見はとりあえず現時点で手元にある資料などから(続編は会見要旨が出てから)ということで。

まずは展望レポートです。

今回分→http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0610.htm
4月分→http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0604.htm

○長くなりそうなので先にまとめてみます

まず全体的な印象ですが、利上げに対する前傾姿勢が今回の展望レポートからは感じられません。4月の展望レポートでは物凄い勢いと言うか意気込みを感じたのですが、今回に関してはヘッジクローズ入りで、まあ一応強気姿勢は継続しておきましょうって感じがします。

ちと話が脱線しますが、総裁記者会見の内容が「利上げに積極姿勢」と取られて引け後に中短期ゾーンやら金先やらがヘロヘロになっておりましたが、こちらも記事(あたくしの出典はブルームバーグ)をよく見てみると両論併記でニュートラルって感じ。ただまあ相変わらずヘッドラインで誤解してみたり、日本語ではニュアンス伝わるけど英語ニュースになるといきなり強烈なタカ発言をしているように見えたりという事も相まってあーゆー相場付きになったんでしょうかね。まあ海外ファンドの皆様方がせっせと東京市場で損こいてお金を落としていただくのは大歓迎でございますが(またそれか)。

ということで、引け後の反応はちと過剰反応というかミスリードに引っ掛かってるように思えます。前回の展望レポートではもう直ぐにでも利上げしそうな論法でしたが、今回は「まあ様子見ながらチャンスを待ちますか」というような雰囲気を感じます。ただまあ「もう利上げは無理ぽです」という白旗降参モードではなく、「機会があれば現在の緩和的な金利水準の調整、要するに利上げを行いますよ」という旗は降ろしませんよという所でしょうか。あんまり利上げに対して前のめりな印象は受けませんでした。

#現状の水準が本当に緩和的なのかというツッコミはここでは措く


では個別にどの辺がどうなのかというのを前回と比較してみたりしながら申し上げたいと存じます。


○いわゆるダム論の実現蓋然性に関して

『前回(2006年4月)の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で示した「経済・物価情勢の見通し」と比べると、これまでのところ、企業部門は幾分強め、家計部門は幾分弱めとなっているが、全体として概ね見通しに沿って推移している。』

というのが冒頭にございして、先行きに関しては・・・

『先行き2006年度後半から2007年度を展望しても、内需と外需がともに増加し、企業部門から家計部門への波及が進むもとで、息の長い拡大を続けると予想される。』

というのがメインシナリオでございます。まあいわゆるダム論って奴ですが、さてその前提条件として企業部門から家計部門への波及はどうなのよという見込みは、直後にある前提の第3部分に書かれています。曰く、

『第3に、雇用者所得や配当の増加などを通じて、好調な企業部門から家計部門への波及が進んでいくとみられる。雇用者数は着実な増加を続けるとみられる。賃金の上昇は、これまでのところ、企業の根強い人件費抑制姿勢などから緩やかであるが、労働市場の需給が着実に引き締まってきていることを踏まえると、いずれは上昇が明確になる可能性が高い。こうしたもとで、個人消費は、着実な増加を続けるとみられる。』(これが今回の展望レポート)

前回の展望レポートでこの部分どう書いてあったかと申しますと、

『第3に、企業部門から家計部門への波及がより明確になってくるとみられる。企業部門の好調の影響は、雇用や賃金の増加に加え、配当の増加や株価の上昇を通じて、家計部門にも波及している。そうしたもとで、個人消費は、着実な増加を続けると予想される。住宅投資も、都心部などで地価が上昇に転じる中で、金利の底値感が台頭していることもあって、緩やかな増加基調を辿る可能性が高い。この結果、家計支出は、国内民間需要の主たる牽引役になっていくとともに、その堅調が企業部門にフィードバックして、前向きの循環メカニズムが維持されていくと考えられる。』(これは4月の展望レポート)

ざっと見て前回のほうがトーンが強いという事が窺えるかと存じます。まあ書き方がくど・・・じゃなくて丁寧なのは前回までの仕様(本石町日記さんの見立てでは白川方明前理事の影響だそうです)ですのでそこの所は措くとしましても・・・・

個人消費の見通しに関して「着実な増加を続けると予想される」が「見られる」と微妙に表現を変えてみたり(「予想される」の方が意思入ってるでしょ)、「家計支出は国内民間需要の主たる牽引役」だの「前向きの循環メカニズムが維持」だのというような威勢の良い部分がさっくりと無くなっておりますわな。トーンダウントーンダウン。

で、肝心の賃金に関しても、前回はもう賃金が上昇するのは確定事項のような勢いだったんですが、今回は「いずれは」上昇が明確になる「可能性が高い」と何気にヘッジクローズ入り。まあ確かに4月のシナリオ通りに景気の牽引役が家計にバトンタッチされているかと言えば、誠に心許ないものがございますので、このトーンダウンも当然とは存じますが。


○しらっと入るヘッジクローズ

今回何気にヘッジクローズが散りばめられている印象が。

・海外経済の前提に関して

『米国経済は足もと減速しているが』


・設備投資の前提に関して

『もっとも、企業が投資採算を厳しく見定める姿勢を堅持している点を踏まえると、』
(前回レポートでは『グローバルな競争環境も意識した上で、基本的には、慎重な姿勢を続けてきており、』でして、書き方のトーンがちと後退してる印象)


・先行きのリスク要因でIT関連の在庫調整に言及

『海外経済が予想外に減速した場合などには、供給拡大のペースが速いIT関連財などで在庫調整が発生する可能性もある。』
この点に関しては、記者会見でも触れられていました。


○上振れ要因やリスク要因

経済見通しの上振れ、下振れ要因に関して今回も列強しているのですが、まずは順番逆になりますが今回「第2」の要因として示しているものについて。

『第2に、企業の投資行動の一段の積極化である。(中略)もっとも、極めて緩和的な金融環境のもとで、企業が、期待成長率や資金調達コスト・為替相場見通しなど、採算に関する楽観的な想定に基づいて投資を一段と積極化する場合には、成長率が一時的に大きく上振れる反面、その後は資本ストックの過剰な積み上がりの反動が生じ、調整を余儀なくされる可能性がある。』

前回レポートではこれが第3だった(第2は在庫調整)のですが、リスク要因として指摘しているロジックは同じように「投資行動が積極化しすぎると反動のリスクあり」という話です。

でも、先ほど引用した設備投資に関する指摘で「企業の設備投資に対する姿勢は採算に厳しいスタンス堅持」という認識を示し、4月時点よりもちと厳しい目に見ているのではないか(ここはあたくしの読んだ印象なので必ずしも正しいか判らん)という点からすると、この上振れ要因はちと苦しくなってるのかなって思うのでした。


また、金融政策運営の第2の柱として指摘している『より長期的な視点を踏まえつつ、確率は高くなくても発生した場合に生じるコストも意識しながら、金融政策運営という観点から重視すべきリスク』に今回も挙げている「金融政策の刺激効果が強くなりすぎるリスク」ですが。

『仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、金融行動・投資活動などを通じて、中長期的にみて、経済活動の振幅が大きくなり、ひいては物価上昇率も大きく変動するリスクは意識する必要がある。』

前回はこの部分こうなってました。

『現在、需給ギャップの水準がゼロ近傍にあることから、中長期的にみると、経済活動の振幅が大きくなり、ひいては物価上昇率も大きく変動するリスクは意識する必要がある。』(これは4月の展望レポート)

前回の言い切り体(とでも言うのか)から比較してトーンダウンしてますなってのに気が付くとは思います(政策金利水準が違うのだからトーンダウンしててもおかしくはないとも言える)が、もう一つ注目されるのは今回指摘している『低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着』という条件でして、あくまでもフォワードルッキングの旗は降ろしませんって言ってる訳ですなこりゃ。フォワードルッキングを止めてビハインド・ザ・カーブになるとリスクがありますよと言ってるわけですからね。

ということで、最初に申し上げましたが「もう利上げはダメポ」というのは見せないでチャンス待ちという所でしょう。先月末にかけて出た指標が悉く弱めに出てきているのを見ると、目先は大人しくするしか無さそうですけれども。特に海外系が懸念する逆噴射利上げはやらないのではないかと思うのですが、あたくしちょっと懸念してるのは変に政治的な圧力が掛かる可能性でして、反動で日銀の独立性を誇示するために逆噴射が起きねえかと。裏読みしすぎかな?


○なおも上振れ下振れ要因など

・地価動向への言及が増えてますが・・・・

『大都市を中心に地価の上昇地点が広範化してきていることなど、資産価格の動きも、民間需要を押し上げる方向に作用することが考えられる。』

4月はどう書いていたかというとこんな感じ。
『最近における地価、株価等の資産価格の動きも民間需要を押し上げる方向に作用している。』(これは4月の展望レポート)

株価へのコメントが外れたのはまあ当然として、地価上昇に関してこのようにちと詳しくなっているのは資産バブル懸念をしているようにも読めますが、実は今回の展望レポートでは『中小企業設備投資や住宅投資の増加』という点への言及が外れておりまして(ここは先行きのシナリオ部分で言及してたんですが)、さてどうなんでしょうって感じですね。


・需給ギャップと物価に関して

『第1に、需給ギャップに対する物価の感応度に不確実性がある。需給ギャップの需要超過幅が緩やかに拡大していけば、インフレ予想の上昇とも相まって、賃金や物価に上振れ圧力が加わる可能性がある。一方、景気拡大の長期化にもかかわらず、生産性の上昇が継続し、賃金の上昇が遅れる場合には、物価が上昇しにくい状態が続くことも考えられる。』

前回はどう書いているかと申しますと、ちと長いのですが引用。

『第1に、需給ギャップのプラス転化(需要超過)の影響である。需給ギャップに対する消費者物価上昇率の感応度の低下傾向はわが国だけでなく、世界的にも観察されており、(以下背景説明部分割愛)もっとも、需給ギャップがゼロ近傍から徐々に需要超過に転化すると予想される中では、いずれかの時点で、予想インフレ率の切り上がりを伴いつつ、賃金・物価上昇率が上振れする可能性もある。』
(これは4月の展望レポート)

どう見てもトーンダウンです。本当にありがとうございました。


・潜在成長率に関して

これは前回から上方修正しております。

『わが国の潜在成長率は近年上昇しているとみられる。』(今回)

『わが国の潜在成長率は、様々な構造調整を経て、足もと上昇方向にあると考えられるが、その変化をリアルタイムで認識することは難しいだけに、この面からも不確実性が存在する。 』(4月)


#という訳でここまでで結構な量になってしまいましたな。

総裁記者会見に関してはブルームバーグニュースの31日19時51分配信の記事から(展望レポートが多くなったので)簡単に。


○また発言に反応しちゃいましたな

昨日は中短期債が強くて長期ゾーンパッとしないという展開だったのですが、引け後は総裁会見を受けて金先や債先下がって、2年だの5年だのも2.5毛〜3毛甘くらいになってたらしいですな。その一方で超長期だの30年だのビット確りという真逆の展開。

反応したヘッドラインは恐らく『市場と日銀の判断、いずれ一致−追加利上げ』(ブルームバーグニュース16時39分)あたりだと思うのですが、特に英文でどう報道されてたのかなあって所もありまして、まあ日本語のヘッドラインでも「利上げ積極姿勢」と解釈されてもおかしくない(あたくしには強がりに見えますが、笑)状況なんで、英文報道だと売りたくなるんでしょうな。

当該発言は「市場が年内や来年1月あたりの利上げ困難と見ている動きに関してどう考えるのか」という質問に対して出たものでして、発言部分以降をブルームバーグニュース記事から引用させて頂きますと、このようになります。

『したがって、強い指標が出たから市場が一時的に金利の引き上げを手前に引き寄せてみる、あるいは弱い指標が出たから一時的に市場は金利の引き上げのタイミングを先ずれさせてみる、こういうことを繰り返しながら、いつしか日銀の基調判断と市場の基調判断が次第に擦り寄ってくる可能性、それは常にあるのであって、今もその事情に変わりはないと思う』

『8月のCPIの基準改定でいったん市場が非常に弱気になり、その後の短観その他の動きを見てかなり修正し、またこの最近の一連の指標で少し弱気に修正し、市場としては非常に自然な動きをして、その中で基調的な判断にいずれ行き着くであろうし、われわれも今申し上げたようにこれから勉強しなければならない材料もいろいろあるので、両方の判断が一致する時期が必ず来る。それが遅いか早いか、今のところ分からない。オープンだ。こういうことだ』

強気な前のめりという感じは致しませんですな。というかどっちかと言うと「必ず来る」の後に「だと良いなあ」ってつぶやきが入っていそうな気がするのは展望レポートのトーンに幻惑されているのかな?

その他論点がございまして、個人消費の指数が悪い話とか、電子部品の出荷と在庫バランスが変調という話とかの話もあるんですが、その余の話は明日にでも。



すごく長く(テキストファイルで12KBは通常比倍以上)なってしまいましたが、最後に備忘ネタメモを。


○本当はこの辺の話もしたかったんですが

・FB入札

思いっきり予想外しちゃいましたすいませんすいません。実はニーズがあるのは年内償還ばかりなりだったようで。展望レポートと言う材料が消化されたらまた変化あると思うんだけどなあ。

・民主党の日銀法改正案

(追記:前日のテレビニュースで知ってメモをしています)実は10月26日の東京新聞経済面で記事が出ていた(ただしWebには載っていない)というご指摘を頂きました。感謝感激。で、記事も読みましたが、さすがに細かい服務規程まで全部法律にするわけではないようですな。でも内容的にちょっとどうなのよという印象が。

・尾身財務大臣の国会発言

かつての「桜の咲く頃に・・・」の真相(?)を話してたんですが、やはり経済企画庁長官という立場の人が景気付けに大本営発表をするのは如何なものかと思うんですが。

・円キャリー取引を制限するために12月利上げをという馬鹿論

思わず馬鹿とか書いちゃいましたが、円キャリー取引の巻き戻しが起こったら危険だという理由で利上げして日本経済が悪化したら本末転倒もいい所ですな。ちなみに言ってるのは早稲田大学インド経済研究所所長様であらされますが、何だかねーって感じでございます。

#と、ここまでお付き合い頂きましてありがとうございました。

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2006/10/31

お題「短期国債見てると早期利上げ警戒は後退ですかな」

日経平均が下がった翌朝のモーサテのコメンテーターは「今までの上げが日経平均中心で実は脆弱な上げでした」という後講釈をして(させられて?)います。いやー終わってから講釈するのは楽でちゅねーってそんな悪態はまさしくオマエモナーですな(自爆)。

○火曜にFB入札ですな

何で月末の火曜にFB入札なのかよと思ったら金曜が祝日なので、T+3のレギュラー受渡が月曜なんですな。で、長期国債の入札が来週から入るという形になるんですが、月初にいきなり連休入るとタイトな日程になりますな。色んなところでorz

という訳で本日はFB3か月ものの入札が絶賛実施されるのですけれども、2週間前位に突如騒ぎになった早期利上げ観測も先週中盤あたりからは(少なくともTB/FBを見る限りでは)だいぶ沈静化したような観はございます。先週0.38%まで上昇した新発FB3か月(=今日入札するFBより1週間短いもの)は昨日の引け値が0.36%でまあ仲値っぽい感じ。んでもってその前のFB利回りを日本相互証券の引け値(というか値付けというか何というか)を見てると、一応1月決定会合越えからレートは上昇させてますが、先週の入札前には1週間で1.5bpちょっとの段差をつけてたのが1bpの段差になってまして、今日の入札もその段差で迎えるとなれば先週よりもレートが低下するでしょうってお話になりますわな。

まあ微妙なレートの差ではありますが、何せ足元のGCレートが0.3%くらいの所から幾らのスプレッドでやりますかって形でのレート推移のため、1bpと言えどもデカイんですな。そーゆー事言ってるからセコイとか言われるんですが(それは違う^^)。


それはそれとして、TB/FBの現先レートが妙に低下気味になっておりまして、これは業者の在庫が軽くなっていることを意味するわけでございますわな。先週後半からの新発CPのレート形成を見ておりますと、何のかんのと言っても年内償還物に関するニーズがむやみやたらと強く(どう頑張っても12月より前に利上げするのは無理でしょうというのは確定的コンセンサス)なってますので、同じ理由から短いゾーンのTB/FBの在庫がここぞとばかりに捌けて来てますという所ではないかと。

そーなりますと、今日のFB入札は業者の在庫も軽いですし、まあ償還見合いの買いは入るでしょうし、展望レポートはありますけど無難と言うかしょーもない入札になるのではないかと思いますが、変な踏み入札になると後続があるのかよとは存じます。最低落札が0.37%台になって平均は正直判らんが、0.37%くらいになるんジャマイカと。


○今日は展望レポートですが

再三再四申し上げているように、今回の展望レポートは4月のものを基本的に踏襲したものになるでしょうってのがあたくしの勝手な予想ですけれども、多分金利市場の中の人たちは皆さんそういう風に思っているかと存じます。変に期待してるのは為替市場とか海外筋とかなんですが、それに乗っかって報道するなよと小一時間。

あたくし的に若干ですが気になるのは総裁記者会見。と申しますのは、9月の定例記者会見の会見要旨を見た時に受けた印象として、「総裁また元気になってきましたなあ」というのがございましてですな(書いたと思いますが)、調子に乗ってくると発言が滑るというのが福井俊彦クオリティだという事を勘案致しますと、誘導質問みたいな質問にまんまと嵌まってヘッドライン打ち込まれるという光景が想像される訳ですな。

まあ勝手な妄想を逞しくしているあたくしの妄想を続けますと、海外勢なんぞはこの会見を結構まともに注目しているようにも見える訳ですが、そんな会見でヘッドライン打ち込み攻撃によって変な反応が発生するという事もアリエールなのではないかという所でしょうか。2段落目から完全に妄想が入ってますけれども(笑)。

今朝の報道によりますと、民主党が何かよく判らん日銀法改正案を提出するらしいですが、それでちったあ福井総裁大人しくなって頂きますと誠に結構なんですけど、とか言っちゃあちとカワイソウですかね。


いやまあ一応債券市場とかでも展望レポートと記者会見注目とは言ってますけれども、それって運用担当の「売買しない(というか買わない)言い訳」だったりする(まかり間違ってサプライズの内容が出た時に逆のポジションを持っていた時の言い訳が大変だということですな、笑)んで。展望レポートの内容にサプライズ無しは殆どコンセンサスだと思うんですが。少なくとも国内の金利市場プレーヤーにとっては。総裁記者会見での不規則発言は確かにリスクではありますが、出てくる経済指標がそんなに強くない(ここが今年前半と違う)状況下で地均し開始はさすがに無理筋の香りがするんですけど(でもやりかねないという恐怖心は完全には払拭できませんな)。

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2006/10/30

○CPIで(だけではないが)短期は金利低下

金曜に公表された全国CPIは事前予想よりも弱めの数字となりました。ただまあその前日(木曜)から「全国CPIの数字が事前予想よりも弱い数字になるのではないか」という話が出ていたようでして(だから木曜にいきなり相場上昇したのですけれども)、債券先物ベースではそんなに派手派手な上昇にはならなかったという形になりましたな。何で直前になってそーゆー話で相場が動いて、しかもその話が大体「当たり」になるんでしょうかねえ全く東京市場って奴は。

まーそれは兎も角として、水曜に入札が行われた3か月FBですけれども、最低落札価格の0.38%から水曜の取引は始まりましたが、木曜の引けが0.37%で昨日の引けが0.36%とじわじわとレート低下の模様。びみょーなレート低下ではありますが、1月決定会合越えのレートについていた段差が小さくなるちゅう形になってますんで、こりゃまあ1月利上げへの警戒モードが若干低下ちゅうことでしょうか。

ただまあ基本的に日銀の金融政策へのスタンスは「物価安定に関する理解」の下での「総合判断」でありますんで、これはこれとして鉱工業生産とかのような(あたくしとしてはいわゆるダム論が実現してるかどうかに関して雇用・所得に関する統計と、消費に関する統計がどーなってるのかが気になりますが)指標も重要ってことだと思うんですが。

で、その点から見るとそんなに利上げ急ぐ必要あるのかなとは疑問に思うのですが。シロートの勝手なドタ勘としてはあたくし物価に強気で景気に弱気だったりするんですが(たぶん世の中とは違うと思う)。


○ところで月末は展望レポートですが

勝手にあたくしが予想致しますると、基本的な線は4月のレポートと変らない(=日銀の基本的なシナリオは変らない)内容で、先日の武藤副総裁の講演にあるような景気への見立てになるんではないかと思うのですけど。

ということで、将来の金融政策に関しては「余裕をもって金利の調整を行う」っていう今までの書き方が継続されると思ってるんですが、どうも金利市場から遠くなるとマスコミ報道が影響しやすいのか、今朝のモーサテ様で出てきた外国為替市場関係者のコメントでも「日銀の展望レポートで年内利上げを後押しする内容が出るかどうか注目」とか朝から寝言は寝て言えと申し上げたくなるようなのがございましたが、海外のファンド様とか反応し過ぎだって。

まー海外が勝手に反応しててめえらの金を東京市場で焼いていただくのは誠に結構なお話ですが、問題は立派なお部屋の中でふんぞりかえっているエライ人たちも反応しちゃうところだったりするんですけどね、何度も申し上げましたけれども。

まー話はずれますけど、利上げを遅めに対応となりますと、将来に必要になる利上げというか金融引き締めがよりキツイ物になる事が予想されますんで、どっかの時点(景気上昇や物価上昇が確認された時点)で長期金利は上昇圧力かかりやすくなると思うんですが。で、そうなってくれば「頼むから利上げして下さい」モードになるんじゃないのかねえと思うんでして、日銀が現時点でそんなに早期利上げ頑張ることもないんじゃネーノ?って感じはします。



○尾身財務大臣メモ

手元のメモやら資料がぐちゃぐちゃなので記憶ベースですが。

金曜の尾身財務大臣ですが、国会(手元のメモがぐちゃぐちゃでどっちだか判らん、汗)で尾身財務大臣は海外投資家の国債投資に関して「短期的に売買をする投資家の購入が増えると国債市場が不安定化する恐れも」というような趣旨の答弁をしていたそうですな。

勿論、その答弁の中で「長期に渡って安定的に保有する海外投資家の購入が増えることは望ましいことだ」というお話もしておりまして、全く仰る通りかと存じますが、最初のヘッドラインを見たときにあたしゃー「まー海外IRやってる後ろから何て素敵な銃撃♪」と感心したのでありました。ええまあ勿論財務省の海外IRは別に一部のアクティブファンドのおもちゃにして貰うためにやってる訳ではございませんで、本来の趣旨は海外投資家に長期安定保有して欲しいって事でしょうから、財務大臣の仰ることその通りなんですが。

ただまあ発言順にヘッドライン出ますし、聞いたほうの印象もまた発言順になる訳ですから、この答弁は短期売買云々は余計で、国内外問わず長期安定保有する投資家が増える事が望ましいって話をすりゃあ良いんでしょうな。尾身大臣は中々イイヨイイヨー。

#ま、そんな悪態ついてるあたくしも咄嗟にそこまで考えは及ばないと思う次第でして、そう考えるとヘッドラインリスクが全然無さそうな武藤副総裁って凄いお人でございます。

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2006/10/27

○こういう記事が出ると脱力するんですが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061025-00000625-reu-bus_all

一昨日の夕方に出てたらしいロイターの展望レポート見込み記事。内容それ自体はそんなに突飛な話ではなく、今までの流れから順当に類推するとそうなるでしょうって話ですんで別にサプライズではないと思うのですけれども、記事冒頭にある『複数の日銀幹部に対するロイターの取材で明らかになった。』というフレーズに物凄い勢い脱力&血圧上昇。

この書き方をまともに額面どおり受け止めますと、記事にあるやたら詳しい展望レポートの内容予想は「複数の日銀幹部」に聞いて出来上がりましたということでして、決定会合後に発表されるべきものをリークですかそりゃまた随分立派な市場との対話ですなあと感心してしまうところではございます。端的に言えば「逝って良し」。

まあ実際に「複数の日銀幹部」が記事にあるお話を具体的な数字を並べて微に入り細に入りしている訳ではなくて、一般的に予想されているストーリー(ストラテジストのレポートとかでも予想している人はいると思う)をベースに取材で感触を掴んで書いた観測記事だと思うのですが、というか思いたいのですが、如何にも「日銀の内部者が展望レポートの内容をリークしてますよ」という書き方をするのはロイタージャパン如何なものかと思うのでした(本当に内容をリークしてるなら論外だが)。

まあ何ですな、情報管理はきちんとやっていただかないと、先般ご紹介した日経太田編集委員の指摘した『公平な情報開示を求めた「日本銀行員の心得」に違反するとともに、公平な市場への背信行為』って奴じゃネーノと思うのでした。まあちゃんと情報管理はやっているのでしょうが、上記記事のように「情報管理が疎漏なのではないか」と思わせるような記事が出るのが如何なものかと思うわけで。

で、それに対する物言いがろくすっぽつかないように見える(のですが気のせいかもしれません)のが東京市場クオリティなのですけれども、これは逆に考えると過去のトラックレコードからして「重要な決定するときに事前に内容が出てくるのは東京市場のデフォ」と皆様が認識しているという事を意味しちゃってるということではないかと存じます次第で、文句が出ない(こんなのに一々目くじら立ててブーブー言うのはあまりいない)のはそれはそれで問題なのではないかと思うんですが。


○尾身財務大臣にワクワク

昨日は朝というか寄り付き前から話題になってたのが尾身財務大臣の米WSJ紙のインタビュー記事(を伝えた記事^^)。肝心の本尊の記事を読む前に本業が多忙になったので日本語ベースの報道を読むの巻でございますが、26日8時32分配信のブルームバーグニュースによりますと、『尾身幸次財務相は日本銀行に対し、当面は低金利政策を維持し、経済成長を支援するよう要請した。尾身財務相とのインタビューを基に伝えた。』そうですな。

いやまあ元記事見てないからアレなんですが、タイミングがタイミングなだけに日銀への介入っぽく取られそうな発言をしちゃうのはちょっとねえってのが。いやまあ今までもそういう発言が財務省筋から出てたとは思うのですが、ロジックとして「デフレ脱却の為に量的緩和(あるいはゼロ金利)を維持してくれ」という話。「成長支援のため」ってのはちょっと話が違うんジャマイカという希ガス。(10月29日追記:ちと端折りましたが、インタビューの中では個人的見方としてデフレは脱却しているというような発言もしてまして、従来のロジックと話がちと違っているなあって意味合いです)

で、まあそんな発言が報じられた日に三菱東京UFJ銀行のディーリングルームを見学したそうですな。後から報道された結果を見ると、どうも素でただの「お勉強の見学会」だったようですが、当初ニュースが出た時には「見学して為替市場で意見交換」とヘッドライン打たれてましたんで、「何か市場に対してコメントするのか」と思わず身構えて(というのは大げさですが)しまいました。朝のWSJのインタビュー記事で「金利についてコメント」が出た直後だっただけにね。ちとタイミングが・・・・

何と申しますか、ここのところ割と安定感のある大臣が続いてた財務省なんですが、ヘッドラインリスクのある人が久々に登場したなあという感じでして、今後もこの大臣様にワクワクさせていただけるものかと存じます。

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2006/10/26

○FB入札、1月利上げ警戒モード(か?)

さて昨日はFB入札。償還が2月5日となりましたが、平均落札価格が0.376%くらいで最低落札価格は0.380%くらい(例によって財務省発表の数値と違いますが、市場での利回り換算方式にすると上記の数字になります)とまあ順当といえば順当ですが、前場の引け時点では0.375%出合いのビットとかでしたので、少々引き気味の落札結果という感じ。最低落札価格での按分比率が52%でして、この最低落札価格は利回り0.38%ですからまあ「ここで切れるかな」と思う所のように見えるのですが、割と按分入ったという感じですかな。

最近(超ごく最近の話です、為念)は何か国内勢はちょっと様子見気味で海外勢の買い意欲の方が強いような感じで、昨日に関しても落札結果発表後暫くは最低落札価格の0.38%は堂々オファーというヘロヘロな展開だったのですが、大引けにかけて0.38%は買われて日本相互証券の引値は0.375%に置いてたようですな。一応平均落札が引けですな。


で、このTB/FBの値段の付きかたを見ますと、年末越えの所で利回りがギャップアップして上昇(と書くと大げさですけど、要はそこで利回り上昇ってことで)してまして、そこから利回りが同じような感じで推移した後に1月決定会合越えの所から利回りが1週間償還が先になるに連れて0.015%くらい上昇するという値付けになっております。でまあ昨日の入札に関しても前回債が0.36%くらいですかねえという所から0.015%くらいの利回り上昇という形になってますし、この値付けは「1月利上げを警戒しています」ってか織り込みに行ってるという値段の付きかたですわな。

まあ値段の付きかたがそうだから皆が皆1月利上げを見てるのかというと、そこは市場でございますので(と言い訳)、そういう値付けで皆が動き出すと「ああそうなんですね、おいらは別のシナリオだけど」と思いながらも付いていくという自己実現性がございますんで(笑)、これがまたややこしい話ではございますが(だって10月入って暫くは1月利上げどころか年末越えのプレミアム金利まで潰しに行く勢いだったんですから。この間にそんなに経済情勢に関する見方に変化が起きるような事象があったのかと小一時間)。

でもまあ1月利上げは警戒強いんじゃないですかね。

月末も近いのでCPの発行も昨日から今日、明日に掛けて多くなる筈ですが、昨日に関しては年末越えの発行があまりございませんでしたので、持ち切り(と現先玉用)ニーズが基本のCP購入層の金利観ははっきりは現れなかった印象。年内(しかも12月決定会合前)償還物へのニーズは相変わらず確りのようなんで金利はそんなに上ってなく、年末越えに関してはさすがに若干上昇という感じみたいですけれども、昨日のFB入札結果を受けてどうなるのか一応注目。

CPに関しては需給関係が比較的タイトな事と、月末に関して言えば発行も多いですが償還も多いので、よほどの発行超にならない限りは需給関係上実はあまり金利が上らないという香ばしい状況になりますので、まあ上ると言っても大したこと無くて、そうなりますとFB対比でCPの割安感が薄れますなあという感じでもございます。ま、蓋を開けてみないと判らんですが。


○2年国債入札ですが

で、本日は2年国債入札。カレントが0.8%クーポンで、足元金利がGCレートで計算して0.3%くらいですんで、発行日が以前よりも前倒しになったとは言え、翌月15日の発行というのはちょっと先渡し過ぎではないかと。大昔は0.1%クーポンとかでしたからそれほど大きな話じゃなかったんですが、さすがにここまで来ると先渡し分のネガティブキャリー(つーかクーポンが入ってこないというか)が結構気になってきますわな(今に始まった事ではないのですが、急に思い出したので書いてみる)。

20年国債とかは殆どレギュラー渡しに近い日程で発行してくれる訳でして、まあ国債窓販のことを考えて先渡にしているのだとは思うのですが、個人向けには個人向け国債もあることですから、あまり先渡しにするのもどうなんでしょうとは思うのですが。

で、この2年なんですが、ヒジョーにざっくりした言い方になりますけれども0.8%あれば今後利上げ2回分は耐えられるでしょうから、まあ絶対水準バイヤーというか持ち切り前提の人は参加できる水準になってますし、まあ別に懸念するような事もないでしょう、と思うんですが。

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2006/10/25

○携帯電話新価格プランでCPI押し下げだそうですが

昨日の債券というか金先とか中短期債ではソフトバンクモバイルが発表した携帯電話の新しい価格プランがCPIを押し下げる効果→日銀の利上げが遅れるのではないか→金先など上昇というのをやってくれました。何を隠そうあたくしも「メール無料」に「おお!」と思ったクチですが、無料なのはSMSだけと知って「何だメールが全部無料じゃねえのか・・・・」と脱力したのですがまあそれは兎も角として。

まあこれで携帯電話の通話料が下がるとCPIが下がるって話は確かに仰せの通りのようですので、如何にもそういう話に食いつきの良さそうな海外ファンド勢大喜びのようでして、場中に強かった金先は引け後にまた上昇してました。ありがちな展開。

でもちょっと待てという感じはするんですよね。と申しますのは、携帯電話の通話料が下がった場合に他の商品の価格に対して波及効果ってどうなのよって思うんですな。これが例えば原油価格だったら原油価格の上昇が燃料やら化学製品の原材料価格の上昇を意味するので物価全体への波及効果がって話になると思うんですが、携帯電話の通話料って(そりゃまあ全然影響ないことはないでしょうけれども)所詮は局地的な話ではないかとシロートのあたくしは思うのでした。

以前米が不作で米価が上昇した時に「米価上昇で上るCPIはテクニカルな問題でデフレ脱却とは別問題だろう」(それは確かにそうですな)というお話がありましたが、まあ携帯通話料の場合は多分下がったら下がりっぱなしという点で違うのかもしれませんけど、これもまた似たような話じゃないのかなあと。

ついでに脱線致しますと、携帯電話通話料と言えば普段使うお金の中でも(たぶん特に若い衆にとっては)ちょっとした額になっていると存じますが、これが値下がってくれると他の消費に金が回って目出度し目出度しなんてのはどうでしょう(笑)?



○テクニカルよりも経済シナリオの検証が大事ではないかと

あたくし思いまするに、この手の事案に関しては「CPIの数値に与える影響」も大事ですけど、景気に対してポジティブなのかネガティブなのかって観点も入れて評価しないと、何か妙な話になるんじゃないかって気はするんですけど、何か今回のネタへの食いつきっぷりを見ておりますと、「量的緩和政策のCPIペッグの幻影」が色濃く残っているなあと思うのでありました。と申し上げるあたくしは日銀の「物価安定への理解」を華麗にスルーしているともいえそうですが(笑)。

あまり各方面の一般物価への波及がどうなのよっていう価格の変化でCPIがどうのこうのという話をする(のも大事ですが)よりは、「日銀が考える経済見通し、即ち展望レポートやら金融経済月報やら決定会合議事要旨やらで示されている日銀の経済シナリオの通りに世の中回ってるのか」という事を注目した方が良いんジャマイカとあたしゃー思うんですけど。そうなりますと、昨日申し上げましたさくらレポートやら主要銀行貸出動向アンケート調査の中身なんぞは「景気回復or拡大継続だけど、何か肝心の大企業/主要企業からの中小企業への波及効果があんまり出てないんじゃネーノ」って思わせる部分がありましたし、まあ雇用とか個人消費とかの個人部門に関する統計とかを注目するもんじゃないのかなあって思うのでありました(まあ昨日は他にネタが無かったからってのもあるかもしれないけど)。


などとエラソーなお話をしましたが、まあシロートの戯言ということでご寛恕賜れば、とヘッジクローズを入れるヘタレのあたくしでした(汗)。

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2006/10/24

お題「主要銀行貸出動向アンケート調査」

○銀行貸出の話

と言ってもこの話は本来銀行の中の人のほうが詳しいので、あくまでもシロートにわか評論でございます(汗)。

先週日銀から地域経済報告(さくらレポート)が公表されていました。ヘッドラインは「全地域において景況感が回復あるいは拡大」というお話になっていたのは既にご紹介申し上げましたが、では仔細に見るとどうなのよというお話ですけれども、本石町日記さんがエントリーを上げてましたので既に皆様ご存知かと。あたくし用に備忘録リンクを貼って置く所存→http://hongokucho.exblog.jp/5901428/
「さくらリポートに見る貸出事情=後ろ向きの資金需要と金利ダンピング」

皆様ご覧になってると思うのでややこしいことは書きませんが、要するに銀行貸出に関しては伸びはあるものの、その中身に「後ろ向きの資金需要」「貸出金利利鞘の縮小」というものが見られるというのがレポートにありますってご指摘でした。

そんな話が出た所で昨日は日銀から「主要銀行貸出アンケート調査」というのが発表されていましたんでつい読んでしまった訳なのですが→http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0610.pdf

何か色々と項目があるのですが、前回調査(は7月)と比較してDIに変化があるのは最初の方のページに記載されているあたり。

トップの質問の「資金需要動向」に関しては全体的にDI数値が悪化(=資金需要減少)しておりますが、特に地公体向けと個人向けが悪化。まあ地公体向けは悪化してもそんなに悪い話ではないと存じますが、個人向けも悪化してますな。住宅ローンとかなんでしょうし、季節要因もあるかもしれませんし、そもそもこのアンケートを時系列でフォローしてる訳ではないのですけど(苦笑)、ニュースベンダーでのヘッドラインでもこの部分は報道されていた感じです。

で、2ページ目になりまして、「企業向け」のうちの規模別はどうなのかという話になりますと、大企業向けには著変ないものの、中堅企業向け、中小企業向けと規模が小さくなるに連れて資金需要が増大しているという傾向が見られます。

で、この話は先ほどの本石町日記さんのエントリーにありました指摘、

『後ろ向きの資金需要とは、利益が減少して支払いが苦しくなり、借り入れを増やすこと。簡単に言えば、財務内容の悪化である。後ろ向きの貸出が増えているとき、それを景気回復を裏付ける材料の一つと錯覚して利上げすると、後ろ向きの借り入れを増やした中小企業は打撃を受ける。貸出は増加基調とは言え、後ろ向き・前向の見極めが必要と思われる。』

と重ね合わせて考えてしまうのでありました。まあこういう話は最後の所は金貸し現場に丹念なヒアリングが必要なんですけど、さくらレポートで一部地域から報告されていた話とこのアンケートはまあ話として整合性がございますなあという感じです。


アンケートの8ページ目には「利鞘設定」の話がありまして、こちらに関して見ると、貸出先の格付け(信用格付け)による利鞘設定の変化ですが、利鞘設定が拡大してるのは「下位格付け先」だけで、上位、中位の格付け先に関しては相変わらず利鞘設定縮小と。まあ前回調査でもそんな感じですので相変わらずの状況という所でしょうが。

しかし中小企業資金需要が増大してて、下位格付け先の利鞘設定が拡大っていうのを見ると、景気回復と称するものが実は中小企業への皺寄せで維持されているんじゃねーのかと思ってしまうのでありました。うーむ。(10月29日追記:この部分に関しては「クレジットスプレッド正常化(今まで量的緩和によってクレジットスプレッドが潰れていた面があった為)の動きではないか」という確かにその面もあるかなというご指摘を頂きましたことを追記させていただきます)

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2006/10/23

○結論部分は同意だが途中の立論過程が無理矢理すぎます

Baatarismさんのブログで(http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20061020)知ったのですが、日経新聞太田編集委員が「福井総裁の新たな火種」ということで"不適切な講演"についてNIKKEI NETに記事を書いておられたそうです。当該記事はこちら→http://www.nikkei.co.jp/neteye5/ota/20061019nb9aj000_19.html

えーっと、こちらのコラムによりますと、9月4日に福井総裁が不動産証券化協会(http://www.ares.or.jp/)で講演した時にCPI改定に関するコメントをしたということだそうで、その講演が非公開のものであり、(正直あたくしも全然知らなかった)9月8日の定例記者会見の前に非公開の場で金融政策に関する発言をするのはケシカランという事でございます。こちらの記事によりますと、福井総裁はこのように発言したそうです。

『消費者物価の改定値が予想を下回ったことで、市場が反応を示しています。現在、市場の反応と私たちのベーシックな判断との間にギャップがありますが、無理にギャップを埋める必要はありません』

また市場水準について語っていたのかよという感じで呆れてしまうのですが、何も非公開の場でそういう話をするこたあねえだろうと思う訳でして、この発言に関して太田編集委員が『公平な情報開示を求めた「日本銀行員の心得」に違反するとともに、公平な市場への背信行為にあたるといえる。』と指摘したことに関しては、(8日の定例記者会見前の発言だったことから)背信行為とまで言うかどうかはともかくとして適切な発言だったのかは疑問が。

9月8日の決定会合の日のあたくしの手控え帳面を見ると、「福井総裁会見で長期金利低下の牽制発言無かったことから引け後に先物上昇」とありまして(翌日から夏休みだったのでメモがかなり雑だわ^^)そういえばこの週は「定例記者会見で総裁が長期金利低下について牽制発言をするんじゃないか」という話が聞かれていたのを思い出しました。「そんな発言する訳ないじゃん」と思った(し駄文でも書いた気がする)のですが、もしかしてもしかすると背景にこの発言があったのかなあ??単なる脳内妄想だから思いっきり外しているかも知れませんので念の為。


・・・と、まあここまでは良いのですが、太田編集委員と言えば日経ウォッチャー(人の借りて読んでるだけですすいませんすいません)の間では「やたらと日銀批判記事を書く」人だけど、「立論過程が無茶な記事になる」ということで著名なお方でもございまして、途中の話が正直無茶苦茶過ぎでして、市場の中の人が読むと説得力が超越的に失われるという残念な点がございます。何か個人的に日銀に含むところでもあるんじゃないかと想像しちゃうような日銀悪玉論なんですけど、過ぎたるは及ばざるが如し。

・発言内容は物凄く重大だったのか

『基準改定を日銀がどう受け止めるかは、年内利上げの有無を探る市場の最大の関心事だった。』(上記コラムより)

Google大先生で「CPI 基準改定 影響 金融政策」とキーワード並べて検索をすると、あたくしのPCでは最初にヒットしたのが8月29日の本石町日記さんのエントリーで、その次は大和SMBCが8月28日に出したレポートなのでした。

本石町日記さん→http://hongokucho.exblog.jp/5581825
大和SMBCのレポート→http://bond.daiwasmbc.co.jp/kinyu/bojw236.pdf

まあ中身はURL先をご覧いただきたいのですが、当代切っての日銀ウォッチャーの方2名の見解はいずれも「基準年改定そのものに関しては金融政策に影響を与えるものではないでしょう、日銀は自然体」というものでございまして、その点から申し上げますと、指摘された福井総裁の発言に関しては(市場動向にコメントしている点は如何なものかと思うが)既にそういう発言をするでしょうと予想されているお話ですし、その発言が定例記者会見で出た8日引け後は長期金利低下の牽制発言が無かったということで相場が上昇しておりますわな。

残念ながら「市場の最大の関心事」なのかというとそれは「否」と申し上げてしまいますな(そりゃまあ「CPI改定でデフレ懸念だ大変だ」とか言うのならサプライズでございますが、んなこたあねえ)。それに、CPI改定が出てくる前から「金融政策は総合判断」という予防線(苦笑)が出てましたし。


・この「情報」で儲かったんでしょうか

『福井氏は空白の4日間を作ることで、金融機関や不動産会社が講演情報を元に債券や株式を売買できる物理的な余地を与えたことになる。』(上記コラムより)

9月4日の講演ですから5日の寄り辺りから見るのかもしれませんが、この週は金曜日に先物が下落しましたが、トータルで見てまあそんなに下がっておらずおまけに8日の会見後は相場上昇し、週明けの11日には衝撃の機械受注統計で相場が大爆発しましたですな。残念無念。


・それはちょっと・・・

『その講演は福井氏が株式を保有する不動産会社の社長からの依頼で実施していた。』(上記コラムの冒頭部分より)

もちろん記事の中にはこの講演が「不動産証券化協会」で行われたという事が書いてありますが、これじゃあまるで不動産会社が単独で行ったセミナーでの講演みたいな印象を与えると思うんですが、最初にこういう書き方するのがテクニックなんだなあとその点では感心しますけど。

で、くだんの不動産証券化協会ですけれども、そのメンバーを見るとこんな感じ。
http://www.ares.or.jp/ares/officer.html

どう見てもただの業界団体で、金融業界入りまくりです。本当にありがとうございました。

ということで、折角の指摘なんですが、話の展開に「???」があるので説得力が落ちているのが誠に残念なコラムなのでございました。

・そもそもですな

と、立論過程にイチャモンをつけさせていただきましたが、論議のキモでありますところの「金融政策に関する情報発信は全て公開で行うべし」というのはあたくしも同意したい所ではございます。

でもね、その結論出すんだったら「展望レポートのリークかと思しき記事」とか「新しい金融政策に関するリークかと思しき記事」を決定会合の何日も前に掲載している新聞はどこの誰だったっけと小一時間問い詰めたくなりますし、それなら「単独インタビュー」も止めてくれませんかねえと嫌味の一つも言いたくなってしまいますですな。

ま、福井総裁がサービス精神旺盛で、いらん事を喋ってしまうというのは(例えば本件だって別にそんな発言しないで金融政策に関する基本的な話を繰り返していれば全く問題視されるようなものでもなかったと思いますが)今に始まったことではありませんが、まあ勘弁頂ければと思うのでございます。脇の甘さは相変わらず感じますなあというところでございます。

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2006/10/20

○2年0.8%ですかそうですか

昨日の債券市場、というか中短期債券ゾーンはまたもヘロヘロになっていたようでして、2年カレントは何と0.8%まで金利上昇。あのー先週木曜の引けは0.685%だったんですけど・・・・

で、この間の激しく面妖な所は、「年度内の利上げ無し」という勢いで威勢良く動いていた中短期ゾーンがいきなり「12月の利上げ懸念」とか言い出すところ。まあ実際にトレードしている人たちはそんなに極端に金融政策への読みをぶらしている訳では無いと思う(小僧とエライ人と海外ファンドの人は別)のですが(だいたいイメージの中心は1−3月だと思うんですが)、何せ相場がそう動くのですから「同じアホなら踊らにゃ損損」ざますんで(とは言えどこかで向わないとタダのアホになりますが、爆)。

でですな、まあこの間に経済指標とかが出て経済のファンダメンタルズへの見方に大きな変化がありましたっていうのなら判るんですが、先週から今週に掛けてはそんな大きな指標が出たわけでも無し、他市場もそんなに動かず。福井総裁会見だって別にまあ従来と変った話をしてるわけではないという事で、せっせと金先やら2年やらを売っている皆様におかれましては、おまいらの情勢判断は新聞報道とか風雪とかで行うのかと問いたい、問い詰めたい、小一時間問い詰めたく存じます。もうね、アホかと馬鹿かと。


今週に入って何故か唐突に「円キャリートレード」話が出てきたり(皆様ご案内のように、本件は先月に公表された金融政策決定会合議事要旨ネタで、本石町日記さんがとうの昔にご指摘してます)、昨日の新聞などの報道では「OIS市場取引で年内利上げを50%織り込んでいる」という話が出てみたりしてて、この如何にもという流れは何なんでしょうかね。しかも昨日の朝は毎度お馴染みの某海外レポートが「FED年内利上げ説」とか出してたようですし。

ついでに、あまりにも短期ゾーンがヘロヘロになっているのであんなウワサやこんなウワサもあったらしく、本石町日記さんが(って毎度ネタにしてスイマセン)エントリー上げてるんでご参照ありたし(と言わなくてもご覧になってると思いますが)。
http://hongokucho.exblog.jp/5895087
『噂の真相=尾ひれの付き方は複雑性』

何かこう一連の変な流れがあるって感じですな。誠に遺憾。


ちなみにOIS市場ですが、想定元本ベースでの取引高は結構あるようですが、参加者の層が薄く、ニーズは特にこういう動きが出たときにはぶっち切りの一方通行。んなもんを参考にするよりは、リアルマネーというか持ち切り前提の参加者が存在して毎週4兆円発行されてるFB3か月物の金利でも見たほうがマーケットのリファレンスになると思うんですけどね。


○尾身財務大臣会見メモ(10月17日)

http://www.mof.go.jp/kaiken/my20061017.htm
17日の記者会見でこんな話が。

『07年度というか19年度予算については、何回もここで申し上げているように、基本方針2006に基づいて、厳しい歳出削減合理化をやっていくということが決まっているわけで、その方針の中で進めていきたい。』

『ただ、9月に安倍政権が発足をして、例えば再チャレンジとか地域の活性化とか、いろんなことが政権の大きな課題としてなってきておりますから、それについては各関係省庁のご意見も伺いながら、全体の予算の大枠を変えない中で、出来るだけの弾力的な対応をしていきたいと考えております。』

質疑応答の中から出てきたコメントなんですけど、先日の会見でも『新しい内閣の基本的な考え方に沿って、追加というか差替要求等をするものについては、財務省は前向きに対応します』って話をしてましたけれども、何か「上げ潮」路線と併せて考えると財政拡大の香りが。政府税調会長も交替するようですし。

でね、財政拡大路線に金融緩和を継続って話になると、すっかり忘れられている「財政マネタイゼーション懸念で長期金利跳ね上がり」シナリオが復活しませんかねえってのはまあ随分と先の長い杞憂ではございますけれども、何かちょっと気になるなあということでメモメモ。まあ別にあたくし財政均衡優先すべしって考えともちと違うんで、別にそれで長期金利が跳ねても程度で許容できると思いますけど。


ところがですな、bewaadさんが経済財政諮問会議の議事要旨から指摘してるのですが(http://bewaad.com/20061020.html#p02)、経済財政諮問会議ではまた別の話をしているようですな(実質第1回の経済財政諮問会議議事要旨をまだ読んでなかったあたくしはorzでございます)。「中長期的な平均インフレ率が0.8%」だったら日銀の物価安定の理解の中央値よりも低いじゃないですか。これのどこがどう上げ潮路線なのかと小一時間。

#日銀よりも政府の方がインフレファイター(デフレ愛好者?)だったとは!

てなわけで、財政マネタイゼーション懸念の長期金利上昇などという遠い話を心配する前に、経済政策が全体として支離滅裂になって、何となく見た目が世論受けしそうな尤もらしいミクロ介入のオンパレードになる方を懸念した方が良いのかもしれませんね。とほほのほ。

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2006/10/18

お題「生活意識に関するアンケート調査/その他」

○日銀の「生活意識に関するアンケート調査」

月曜の話ですが、上記アンケート調査が発表されました。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/ishiki/data/ishiki0610.pdf

PDFで24ページもございますので、実はまだ全部読んでない(追記:実はこの駄文書きながら全部読了しました、笑)のですが、まあとりあえず物価に関するあたりを読むのが基本ですわな。と申しますのは、政策委員の皆様の講演などを読んでおりますと物価の先行きに関して「人々の見方」に言及してますからなんですけど。

PDFの19ページ目に物価に関する質問とその回答が出ております。

『問11. 次に「物価」についておうかがいします。あなたご自身の感じでは、「物価」は1 年前と比べてどう変わりましたか(「物価」とは、あなたが購入される物やサービスの価格全体のことです)』

ということで、その回答に関して詳しくはPDFを見て下さいなんですけれども、総じて「物価が上っている」「上昇率が拡大している」「今後も上昇する」という答えになっておりますな。とは言え、その上昇率に関しては回答の中央値が3%になってるので、上ると言ってもまあそんなもんですかという感じですけど。

#ちなみに、極私的な話をしますと、普段の日用品お買物ベースで考えると物価上昇と申しますか、安売り品が段々減ってきているということは感じますな。

生活意識に関するアンケートの部分(17ページ以降)を見ると何か「暮らしぶりが苦しくなった」とか「収入が減った」とかいう答えの割合が増えているのが気になりますが。景気に関しては悪くなったという答えがそんなに増えてるわけでも無いと思うんですが、こりゃ国民負担増がジワリと効いてきてると見たほうが良いのかなあ。


○同じく生活意識アンケートの日銀に対する質問

『(5)日本銀行を信頼していますか』って質問がございまして、これに対してまあ色々とございましたので「信頼しない」の答が増えるのはやむを得ない所ではございますが、この部分を新聞がどう取り扱ってますかというのがオモロイのでまあ小ネタ的に。

まずは皆さんご覧になられる日経新聞ですが、NIKKEI NETより。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C1603F%2016102006&g=E3&d=20061016
『1年後の物価上昇率、5.1%と予測・9月の日銀アンケート』

まあこういうお題になりますわな。実際問題としてはこのアンケートでは極端な数字を出す人がいるらしいので、平均値じゃなくて中央値を重視して「3.0%と予測」と出すべきではないかと思うのですが、まあそれはそれと致しまして。

これが東京新聞(中日新聞)になるとこうなります。
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006101601000492.html
『「日銀信頼しない」急増 調査、総裁投資問題響く』

何せ昨日の東京新聞朝刊では1面左側の「今日の紙面から」っていうお題ご紹介の経済記事に同じく「日銀信頼しない」急増と出てまして、新聞を見たあたくしは思わず「その発想は無かったわ」と声を出してしまった次第(笑)。

記事の順番ですが、日経は物価の話がほとんどで最後に「日銀信頼しない」の結果に対して触れるという構成に対しまして、東京新聞はほとんどがこの「日銀を信頼するかしないか」の話で、その後物価と景況感の部分に触れているという流れになっております。中々オモロイなあと思いましたよ。


で、まあその東京新聞記事では先ほど引用したように、総裁のファンド投資問題が響くと書いております。記事の冒頭部分は『福井俊彦総裁の村上ファンドへの投資問題などの不祥事が表面化した日銀に対し、「信頼していない」との回答が調査対象の16・4%と、3カ月前と比べ7・3ポイント急増したことが、日銀自身が16日公表した生活意識アンケートで分かった。』と書いております。

さて、日本経済新聞様におかれましてはいかがかと存じますと、上記URL先の記事にはこのように記述されています。

『また日銀の評価に関しては「日銀を信頼していない」が16.4%と前回調査よりも7.3ポイント上昇。職員への出張旅費の過払いなどが響いたとみられる。』

どう見ても誰かさんへの遠慮(配慮?)です。本当にありがとうございました。


○ネタメモ

#以下個人的備忘メモ

・次世代RTGSプロジェクト通信ってのが日銀から出てます。マニア必見(か?)。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/set0610b.pdf(創刊号)
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/set0610c.pdf(第2号)


・「適格担保取扱基本要領」の一部改正等について
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k061013b.htm
金融政策決定会合で同時に公表された文書


・「次期日銀ネット端末」の利用開始について
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/set0610a.htm
あたくし的には専用端末の方が安心感あるんですが、まあこれが技術の流れなんでしょうね


・バーゼルU関連
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/bis0610a.htm
「実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」改定版の公表について

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/bis0610b.htm
「先進的計測手法(AMA)の主な論点についてみられたプラクティスの幅」の公表について

正直、ここまで手が回らない上に、あたくしの知能ではお取扱い致しかねるので、誰か判りやすく解説してくれないかなあとクレクレ君状態。

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2006/10/13

お題「決定会合より諮問会議」

本日は経済財政諮問会議の安倍政権下での初回会合が実施される予定だと存じますが、それを控えました昨日は諮問会議の民間議員でありますところの伊藤敏隆氏がブルームバーグのインタビューに登場してました。本日はまあその辺から。

以下、ソースはブルームバーグニュース12日13:44配信のニュース「伊藤敏隆東大大学院教授:インフレ目標を議論の余地ある‐諮問会議で」です。

○インフレ目標をどう位置づけるか

『インフレ目標を採用すると金融政策が縛られてしまうと言うが、私は柔軟な目標を考えている。いろいろなショックがあった場合に、ある一定の幅の中ではインフレ率を高めに持っていったり、低めに持っていったりということは仕方がない。それはショックの種類によって金融政策は柔軟にかえる、そういう余地を残している』

ということで、具体的にどのくらいのレンジを考えているのかは良く判らんのですが、まあ柔軟対応の余地は残してってお話になっているようです。で、そのインフレ目標の議論に関してですが、このような位置づけになっているそうで。

『インフレ目標政策は、中央銀行と政府の適切な関係につながり、独立している中央銀行の説明責任、透明性を高めるのに役立つ。それは金融政策の枠組みの在り方の議論であって、個別の金融政策の議論とは全く別の話。金利を上げるか下げるか、現状維持か、金融政策の決定については日銀の金融政策決定会合で決まる。諮問会議で議論するのは適切ではない』

ということで、まあいつもの話といえばいつもの話なんですが、日銀にインフレ目標をやらせている側から政府方面からは、財政審報告で国債新規発行をバンバン減らしましょうなどというように財政引締め施策(需要抑制に繋がりませんかねえ)が出てくるんで、本当に「適切な関係」になるんかいなという疑問が払拭できないシロートのあたくしなのでございます。


○枠組み作りは大変なのかもしれませんな

現在の日銀が示している「中長期的な物価安定の理解」に関する伊藤先生の見解。

『今回の日銀の理解という0%か2%というのが柔軟なインフレ目標かというと、それは違う。日銀も明確にインフレ目標ではないと言っているし、参照値でもないと言っている。我々から見てもインフレ目標政策とは呼べない。何もコミットメントはなく、それを目標としてそれに向かって金融政策を説明したり、運営したりしようとしていない』

それはその通りでございますな。

『そういう意味で、数値は言っているけれどもインフレ目標にはなっていない。コミットメント(責任)がなければアンカーの意味はない。何か大きなショックがあった時にそのアンカーを持ち続けるといった効果はない。枠組みの議論ではそこが重要になってくる』

この責任ちゅうのも難しい話ではないかと思う次第で。と申しますのは、あたくしドシロートなりに愚考しますと、確かにインフレ目標導入で中央銀行にコミットメントって話は判りますが、中銀では財政政策やら経済政策は出来ない(ように分業してるんですから)と思うんで、中銀がインフレ目標をやってるそばから政府が絶賛シバキアゲ政策取って需要が壊滅しちゃったりしたような場合も中央銀行だけが悪いのでしょうかっていう気はするんざます。インフレ目標を政府と中銀が共有するって話になると、当然ながら政府の側にもコミットメントが求められる話になりますが、はてこの場合どういう責任分担になるのでしょうかねえという気が。理論的には物価に関しては全部中央銀行マターだって話だとは存じますが、何か本当にそうなのかなあというのが頭の隅に常にあるんですよ。

実際問題としてはインフレ目標設定によってインフレ期待の安定化を図るという経路が効いてくるっていうのが一番効果がありそうな気がするんですけど。


○デフレは脱却しているそうです

『デフレをどう定義するかはいろいろあるが、日銀がこれまで金融政策の指針としてきた消費者物価指数(CPI)除く生鮮食品を見ると、ずっとプラスが続いている。基準改定によってプラス0.6%だったものがプラス0.2%に改定されたが、プラスはプラス。単純に見ると、デフレは脱却していると言える』

『ただ、将来的にこのプラスが続くのか、ひょっとするとマイナスにいく可能性がないのかという懸念に関してはいろいろな見通しがあるが、少なくとも日銀はデフレに戻るとは考えていない。だから金利も上げたし、これからの展望についてもおそらくプラスの基調が続くということを言うと思う。日銀はおそらくプラス0.2がもう少し上がっていくだろうと思っている』

ふむふむ、まあ左様でございますな。

『政府の見通しでも成長率は少なくとも現状を維持したうえで、実質で2.2%、名目で3.0%を目指しており、政府もデフレに戻ることは考えていない。そういう意味ですでにデフレは脱却していると見ても差し支えない。CPIはプラスが続いており、先行きもそれほど心配される状況にはない。』

ここまでは把握した。

『ただ、それを宣言して『やったぞ』という感じのこと(引用者注:デフレ脱却宣言のことです)を今やる意味があるとは思わない』

最後の所が良くわからん。期待に働きかける政策をやろうって提唱してるんだから、デフレ脱却していると考えるのならデフレ脱却宣言をしてマインドの好転を図った方が良いんじゃないのかなあ。

諮問会議でデフレ脱却について取り上げるかという質問に対しては「議論する必要なし」というお話をしてまして、何か肝心な所を曖昧にして先に進むんじゃないのかなって気がするんですけど。。。。


○とは言え、直ぐにこの話題が出るわけでもなさそうです

『ただ、枠組みに関しては、中央銀行と政府の関係になる。これは議論する必要が出てくるかも知れない。枠組みをどうつくるかということについて私は議論の余地があると思う。それを、今すぐプライオリティーを持って議論すべき状況にあるかどうかというのはよく考えてみたい』

ということですので、今日いきなりその話が出てくるという訳でもなさそうですね。


#以上、シロートの戯言を並べましたのでご指摘事項ございましたら一つよろしくお願い致します

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2006/10/11

○財務大臣に注目(か?)

既にあちこちで話題になってるんですが備忘メモ。6日の大臣会見。
http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_my20061006.htm

『今日は、後でお配りしますが、再チャレンジ等について、新しい内閣が出来ましたし、9月に各省から概算要求をしたものを、新しい内閣の基本的な考え方に沿って、追加というか差替要求等をするものについては、財務省は前向きに対応しますということを、今日、閣僚懇談会で申し上げました。再チャレンジ担当大臣からもお話がありましたが、そういう方向になろうと思います。ただ、全体の予算の枠、及び来年度予算編成についての私共の従来の考え方は変えないと、こういうことです。』

で、以下質疑応答になるのですが、その一発目がこれですな

『(問)では追加受付だけじゃなくて、差替え自体も構わないと、そういうことなんでしょうか。』
『(答)  いえ、そうじゃなくて、基本的には差替要求で、新しい状況に応じて、そういうお話があった時は、私共は前向きに検討いたしますと、こういうことです。ただし全体の枠組みは変えないということです。』
(元の文書は問、答の()が閉じてないので引用者が補記しました)

もしかしてこの大臣様におかれましては、どこぞの中央銀行総裁同様にサービスフレーズを発する傾向があるのかなと思わせてます。ネタとしては大変結構なのですが、大臣やら中銀総裁やらとなりますと下手なサービスフレーズは市場をミスリードすることもございます。直ぐに元に戻れば良いのでしょうけれども、市場が自己実現しちゃう事も無いわけでは無いので、やはりご発言の言葉は慎重にお選びになった方が吉かと。

#藤井事務次官の5日の会見で財政審の話が出てたのも少々気になるのですが、頭の中が生煮えなので割愛

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2006/10/05

○財務大臣記者会見(10月3日)

http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_my20061003.htm

デフレ脱却宣言がどうのこうのというヘッドラインが打たれてましたが、そのくだりをブックマークするでござる。まずは短観に関するコメントを求められてこのようにご発言。

『日銀の短観は、これまでの景気、非常に好調な状況を表しているものだというふうに認識をしております。デフレ脱却宣言というのをまだやっていないというふうに聞いていますが、私もそういうデフレ脱却の宣言をするのはどういう条件が整ってからだというような、やや専門的な話もあまり細かくは聞いておりませんが、こういう景気の状況を全般的、総合的に判断すれば、デフレ脱却宣言と言うのはやってもいいんじゃないかなと。どうも今の段階でデフレ脱却宣言というのをやらないのは何となく不自然だなというふうに思っております。』

ほうほうそうですか。で、別の質疑になったあとで、再度このネタで質問が飛んでくるのは当たり前でございます。

『(問)先程のデフレ脱却宣言のことで、脱却宣言をしてもいいんじゃないかと。しないのは不自然だというふうにお感じになる根拠というのは、今の経済実態と…。』

『(答)企業の利益も空前と言ってもいいような利益が上がっているし、それから、今日辺りの報道を見ると、人手不足も顕在化しつつあるというような話もございまして、そういう中でどういう指標がどうなったらデフレ脱却宣言をするんだという極めて専門的な方の意見があって、まだしていないように思っていますけれども、素直に経済全般を見れば、さっき申し上げたように、どうももう脱却宣言をしてもいいのではないかというふうに私は感じていると言うことを申し上げているわけです 』

何かこうですな、最初の答えと合わせると「世の中の空気がそうですからこうです」って言ってるように思えるのですが、それで良いのかなあと思うんですけど・・・・・(-_-メ)、と思ったら続いてツッコミが飛んでくるのであります。

『(問)今のデフレの関係なんですけれども、今デフレ脱却をしていないのは、物価の下落傾向から抜け出して、またもう一度下落にも戻らないということを見極めるということで、まだデフレ脱却宣言は出されていないという私は理解でいるんですけれども、そうすると大臣は、もう物価の下落というのは、もう再び下落する傾向はもう起きないだろうというご判断ということでしょうか。』

このお答えが何というかアレなのですが、長いので段落分け致しまして全部引用するだよ。

『(答)物価の下落はどうかとか、生産の向上がどうかとか、いろんな指標があるんですが、そういう1つ1つの指標に捉われて、全体としての経済がここまで良くなっているにもかかわらず、まだデフレを脱却しないんだというのは、ちょっとどうかなと私自身は感じているということを申し上げているわけで、これから政府部内で色々検討した上でどうするかという対応をするんだろうと思います。』

ほほう。

『極めて、私流に言えば、総合判断的な言い方ですが、別な言い方をすれば素人的な考え方かもしれませんが、普通の常識的な見方はそうじゃないかなということを申し上げているわけです。』

いやまあ国務大臣は執行機関というよりは判断をする人だと思うんで、必ずしも専門家である必要はないとは存じますが、それにしても先生6年前に経済企画庁長官やってましたよね。まあ素人だの普通の常識的な見方というのは尾身大臣が自らを謙遜して表現してるんでしょうと解釈致しましてその次に。

『だから、政府としてこれを脱却宣言をすべきであるとか、そういうことを今の段階で財務大臣として申し上げているわけでありません。しかし、感じとしては全体的に見ると、もう脱却宣言をしてもいいのではないかというふうに、全体の経済の大きな動きというものを見ると、そうじゃないかなというふうに思っているということを申し上げたわけです。』

ということで、個人的見解という但し書き付きではありますが、これはもうどう見てもデフレ脱却宣言でございますわな。政権内でそういう認識という話になると、まあ脱却宣言は時間の問題でしょうね。

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2006/10/04

○急に新聞報道が景気回復利上げモードになったのは?

毎度お馴染み本石町日記さんが興味深いエントリーを。→http://hongokucho.exblog.jp/5802684

何か今週になって急に景気回復物価上昇ですよって記事を日経を始めとして新聞やらテレビ報道で出てきてるのは金利市場的には「????」感を持っていたのですが、今回は本石町さんの指摘と同じで日銀の地均しという感じは見受けられないです。それならそもそも野田審議委員のインタビュー記事であんな内容にはならん訳で、あの記事が出た直後に景気回復物価上昇利上げモードになるのは動きが正反対もいいところ。

で、まああたくしが勝手に脳内妄想を逞しくすると、これはまあデフレ脱却宣言に向けた地均しなんですよきっと。新政権になってからの景気付けにって感じがするんですけど。大体(本石町さんも指摘してますが)政権メンバーが日銀に冷淡というか事有らば日銀の足をすくいそうな面子が揃ってる上に、別に経済状況的に利上げ急ぐメリットは日銀に無いと思いますんで。

そんな中で昨日は尾身財務大臣様におかれましては、記者会見で「デフレ脱却宣言やってもよいのではないか」「今の段階でやらないのは不自然」と仰せ(ブルームバーグニュースのヘッドラインより)との事でございまして、経済企画庁長官時代のアレな大本営発表発言を思いだしてしまい、誠に何ともうしますかという所ではございますです(←これじゃ何言ってるかワケワカランですな、あっはっは)。

とは言え、新聞報道というのは恐ろしいもので、こういう論調が並ぶと立派なお部屋で新聞読んでおられるエライ人たちはそれはそれで影響されちゃったりするところがまたアレな所でございますので、このトーンがいつまで続くのかは注視したいものです。と言いながら日経購読してないんですけど(爆)。

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2006/10/02

○期末のロンバート利用状況

金曜日は即日オペで1兆円を供給。外野のあたくしとしては、そんなに出したら積みが進捗しまくる(と、後の運営が絞り気味にしないといけなくなってしんどい)のでどうなのよと思ってまして、午後落ち着いたら吸収するのかなあと思ってました。無担保コールの平均は速報ベースで0.339%だったのですが、どうも最後の方まで0.4%近くのビットが残るという状況だったようで、ロンバートの無い時代の末初取引を見慣れていたジジイと致しましては「そんな時間まで何やってるのよ」という感じですが、まあそういうことで吸収どころでは無かったようで。

んでまあ公表されたロンバート利用状況ですけれども、結局7400億円実行されたようでして、その一方で超過準備が2兆2800億円(木曜の超過準備は8000億円)とはナンジャソリャという感じなのですが、どこかでブタ積み抱えた人がいたという事なんでしょうか、随分とまあ金でましたなあという感じです。積みの方も進捗しまして、木曜終了時点では1日辺りの残り所要が4兆3700億円だったのに対して末初3日の積み進捗によって金曜終了時点での1日辺りの残り所要が4兆700億円まで進みましたな。

まあしかし随分出ましたなあという感じでしたが、ロンバートよりも何か午後遅い時間になっても高いレートの取りが残っていたというのがあたくし的には「はあ?」でございまして、どうせまあ限界的な調達なんでしょうけれども、限界的な調達をしないといけない身分の取り手がそんな時間まで取りを残すとはアフォというか何というか。普通そういう人は早めに手当てするもんじゃねえのかと思うのは信用収縮時代の羹に懲りて膾を吹いているジジイの感想なんでしょうかねえ。

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