分類不能の雑文

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とりあえずここにぶち込んでおきますが、いずれ整理する所存・・・と言い続けて早や2年以上整理していません。あえてカテゴリーを作るなら「国会での呆れた質疑応答ネタ」「経済財政諮問会議のゆかいな仲間たち」「某経済新聞ネタ」というような話ですか。まあ相場とはあまり関係の無い雑談ですが、正直イヤミたらたらでもございます(おい)。最近は「安倍内閣のゆかいな仲間たち」カテゴリーが作れそうな勢いになっておりますが、ネタが増えて喜ぶ・・・・訳もなく、実に先行きが不安です(この一文11月26日追記)。

過去の雑談

2006年上期
2005年下期
2005年上期
2004年下期
2004年上期
2003年下期(以前の整理はまだできていない)


最近の雑談のお題(下に行くほど昔の雑談)

2007/03/23「地価公示雑感」
2007/03/20「引き続き不動産特集で金融庁の人のインタビューが」
2007/03/19
「日経金融新聞の不動産特集にふむふむなるほど」
2007/03/15「また会議ですか、官邸さん」
2007/03/07「日銀のサイトから雑談ネタ」
2007/03/05「日経金融新聞から雑談ネタ2本」
2007/03/02「間が悪いのは誰だ?(世界同時株安関連)」
2007/02/19「読書室」
2007/02/08「FTの妄言/割引国債の利回り計算」
2007/02/05「大学に仕組債とかオルタナ投資を煽る記事を書くいつもの新聞」
2007/01/24「バーナンキ議長の議会証言クリップ:財政赤字問題に言及」
2007/01/15「中川幹事長、利上げ阻止するなら他に言い様があるのでは?」
2007/01/10「ニュース雑談」
2007/01/09「読書室/新年相場神競演/安倍首相驚天動地の珍説披露(か?)」
2007/01/05「悪態系雑談:財界の皆さん頭(以下自主検定により削除^^)」
2007/01/04「新春読書室」
2006/12/29「佐田国務大臣後任にどうも不安が/国土交通省も不動産監視?/日経とクイック」
2006/12/28「利上げ観測ネタで実に香ばしい日経」
2006/12/27「不動産バブル終了のお知らせ・・・・かも」
2006/12/19「取引所機能のキモを理解しないで取引所改革をしだしそうな危うい政務官発見」
2006/12/15「日経新聞今更言うか/経済財政諮問会議の税制論議」
2006/12/12「政府の経済政策は完全にスルーで日銀だけ関東軍呼ばわりというのもどうかと思う」
2006/11/30「自民党金融政策小委員会に悪態をついてみる」
2006/11/24「尾身さん飛ばしますなあ(G20後の記者会見より)」
2006/11/20「渡辺内閣府副大臣の香ばしいインタビュー」
2006/11/14「ネタがないときの国会ウォッチング」
2006/11/10「経済財政諮問会議の議論が何とも/これは酷い言いがかり」
2006/11/07「一つ一つは尤もなんですがトータルすると大丈夫か経済政策」
2006/11/06「ネタメモ」
2006/10/31「小ネタメモ」
2006/10/30「あまりお馬鹿な説を放送するのは如何なものか/ヘッドラインリスクというもの」
2006/10/27「尾身財務大臣の不規則発言注目か/驚愕の珍説(予告編)」
2006/10/23「日経太田編集委員のコラム:良い素材なのに料理法悪すぎ・・・」
2006/10/11「それは因果関係が逆だと/良い団信と悪い団信があるのかね」
2006/10/05「髪のコンボ爆発(雑談メモ)」
2006/10/04「急に報道が利上げモードになったのは/怪電波コラム発見」


2007/03/23

○地価公示にシロウトの雑感

#シロートにつきトンチンカンなのは笑って下さい

金融庁の幹部様が都心部の一部における不動産価格の上昇に関して日経金融インタビューで警戒感を表明しているそばから国土交通省様が都心部地価絶賛上昇を世間一般に大公表する公示地価公表とは実に香ばしい。

で、「全国平均で上昇」といってますが、面積的に言えば下落してる方が断然多くて2極化が絶賛拡大しているようにしか思えませんが、まあこういうのは雰囲気が出来ると、またぞろ新築マンションブームとか言って価格がさっくり上昇するんでしょうなあと思う次第。記者発表では「このままの勢いで都心部が上昇する訳ではありません」とかわざわざ言ってたようですけど。

で、あたくし昨日の夜9時の公共放送ニュースを見ておりましたら、「私たちのマイホーム購入にどういう影響があるでしょう」と言うことで、「都内では手ごろな価格の新築マンションが減っています」「待っていると買えない」「あの時買っておけば良かった」「夢のマイホームが遠のく」などと煽り文句が満艦飾の報道に誠に微笑ましいものを感じましたけどね、おっほっほ。(追記:しかし決定会合のフライング報道もそうですけど、何か公共放送なのに一生懸命センセーショナルな報道を追い求めてませんかねえ、全く困ったもんだ)

#新築マンション人気の江東区臨海部なんですけど、今まで放置プレイになってた地所が幾らあるか自転車でも乗ってロケハンする事をお勧めします。推奨ルートは有明から辰巳回って木場に抜ける感じで♪

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2007/03/20

○日経金融新聞の不動産関連インタビュー

昨日の続きですが、日経金融新聞の連載特集『不動産は「バブル」か』の後半はインタビューでして、その中で金融庁の遠藤課長(監督局銀行第一課長)のインタビューがございました。

で、収益還元法で導かれた価格に対して『根拠があって収益還元価格の適切さを説明できるならいいが、願望を織り込んでいるなら、価格の妥当性を疑わざるを得ない』ということで、結論部分では都心部などの絶賛資金流入物件を念頭に置いての指摘だと思いますが『今の不動産はやはり通常の状態ではないと思っている』との指摘をしておりました。

まーあたくしシロートの類なので本当はどうなのよというのは存じませんけど、都心部の状況とか、ファンド売買絡みなどでは(そもそもあたくし確か一昨年から昨年に掛けてファンド関連の売買とかレポートとか見てて「???」と思って何か書いたような気もするのですがサルベージしてませんです)ちょっと昔のアレを思い出させるような雰囲気を感じるんざますがね。特にあたくしなんぞ金貸しの手先としてバブル崩壊途中で過去の金貸し案件資料を見て血圧が良く上昇しただけに、その手の香りには妙に敏感に反応するのよね。

まあそれはともかく、収益還元法に関して疑問ということですが、基本的にこの手の物には鉛筆舐め舐めの要素がどこかに入る面がございまして、まあそこのところをどう評価するのかが難しいという話でございますわな。でも何かこの指摘に既視感があると思ったら本石町日記さんの指摘で判りました(^^)。

http://hongokucho.exblog.jp/6624023/
金融庁幹部インタビューの感想=笑った点、疑問と違和感覚える点

の最初の部分ですな(^^)。そうそうDCF法ですよDCF法、これって日銀も言ってましたが、金融庁さまもDCF法の話をしてましたなあと思うのでした。いやはやそうですなあという感じ。

で、不動産市況(地面の価格とは限らない話ですけど)に関してはあたくし都心部分の特に住宅系物件とか、ファンド絡みのあたりとかを興味本位でテキトーにシロウトヲチしてるせいか、ちょっとねえと思う部分はございます(東証REIT指数の昨年末近くからの上げっぷりなんかもご参考に^^)。ただし、それを日銀が警戒して利上げするとかいうのはそりゃ話が変でして、誰がとなると金融庁になるんでしょうな。そのあたりコメント欄の飛車さんの見解に同意です。

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2007/03/19

○日経金融の不動産関連記事にふむふむなるほど

16日金曜日の日経金融新聞1面特集記事のお題は『不動産は「バブル」か』ってお話でして、読んだ感じでは「バブルでは無いが注意すべき点が見受けられる」という流れになっておりました。ふむふむなるほどと思いながら読んでおりましたが、中々良さそうな記事なので続編に期待したいです。で、その記事を見てて2箇所ほど特に「ほっほー」と思ったんですが。

特に都心部の不動産価格絶賛上昇状態で、『ファンドの運用資金に対する負債の比率が70%程度の案件の場合、2−3年前までは2%程度だったが、相次ぐ競争で1%を下回る水準のケースも珍しくない。』(同記事より、以下の引用も同様)そうなのですが、この状態に関しては『「バブル」とみることに不動産業界は否定的だ。』とのことでして『「運用利回りは長期金利を上回り、買われすぎではない」(REIT運用会社)と反論する。』そうです。

・・・・長期金利と比較している時点でやり過ぎのような気がするんですけど・・・・・

それとですな、もうひとつ「ええっ」と思ったのは記事で指摘しているファンド間の転売でして、『ファンド間で転売が繰り返される結果、賃料など物件価値は同じなのに販売価格だけが上昇する現象も起きている。』というのは、その価格がどうのこうのは存じませんが、ファンド間での売買というか物件入替に「???」なものを感じたのはあたくし1年ちょっと前にこの駄文で言及したような気がするんですが。

で、その「ええっ」部分はその続き部分です。『「土地転がし」と見まがうばかりの取引の登場で、ある大手リース会社は「物件所有者の履歴もしっかり確認するようにした」という。』との事です。えーっともしかして今までそのあたり確認しないで融資つけてたりしてたんでしょうかと目がテンになってしまいましたことよ。素人のあたくしだって「何か引っ掛かるなあ」って思うんですけど・・・ま、取材に答える形でコメントしたのでそういう表現になっているだけだと思うんですが。

ということで、どうもこうやり過ぎ感は漂うのですが、まあ「不動産バブル懸念」ってネタが言われるうちはバブルではないという理屈も成り立ちますので(笑)、まー今後の金融庁の舵取りを見守りたいですな。

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2007/03/15

・また会議ですか

昨日情報ベンダーを見てたら、「政府、成長力底上げ円卓会議を設置−議長に樋口慶大教授」というヘッドラインを見てポカーン。

3月14日(ブルームバーグ):塩崎泰久官房長官は14日午後の記者会見で、安倍内閣が掲げる「成長力底上げ戦略」を推進するため、政労使の代表に学識経験者で構成する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」の初会合を22日に首相官邸で開催することを発表した。議長には樋口美雄慶大教授が就任することも明らかにした。(以下略、14日ブルームバーグ17:55記事より)

・・・・・営業実績が上らない→対策会議が開かれる→会議のために業務が停滞→最初に戻るとかいうような世の中でよく見受けられるダメ会社の典型のような状況になってるんジャマイカと思うんですが。

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2007/03/07

○新着情報に出てこない新着情報ご案内

リニューアルしてからというもの使いにくくなったと絶賛を博している日本銀行のサイト(階層が複雑になりすぎなのと、カテゴリーが訳判らんからですが)ですが、実はトップページに出てこない新着情報がありますので、メールサービスを利用しないでいるとうっかり見落とすこともございます。

金融市場調査・分析担当者の募集について
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/recruit0703a.htm

1年期限の職員募集だそうで、去年も募集してて今年も募集するということは期限が切れると終了ということですが、出向形式も募集してますんで、まあそういう方も来るのかな。ところで先生!応募要綱にある『選考の参考となる公表可能な分析等の成果物』にあたくしの駄文は含まれるでしょうか?(んなこたあねえ^^)

何か法律の専門家も募集してるようですが、そちらのお仕事の内容が『日本銀行の金融市場調節や適格担保等に関する法律問題の調査・検討、取引先金融機関等との約定や業務規程の起案・調整等。』というのはもしかして適格担保の範囲を変更するとかの話でもあるんですかなどと適当な事を言って見るテスト(^^)。

募集は若い人を千人(オヤジギャグ)。

あたくし的には実はそのニュースよりも2日に公表された『日本銀行当座預金・現金供給サービスの見直しについて』の方が興味あったりするのですが、実はこれに気が付いたの昨日なのでまだ内容を読んでおりません。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/un0703a.htm

えーっと、この手の随時公表資料はこちらから読めます。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/index.htm

その中で『入札公募情報』へのリンクがあって、そこの内容を見てるときちんとやってるんですねと思う反面、こりゃまたご苦労なこってとも思うのでありました(^^)。以上ただの雑談与太話。

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2007/03/05

○日経金融新聞の記事ネタで2つほど

・2月28日の2面「ポジション」記事

ここの記事にはしょっちゅう悪態ついてますが、良い記事もご紹介しないと申し訳ないというものですな。

えーっと、お題は『トリプルAに潜む罠 カネ余りが生む「変型商品」』ということで、内容はCPDO(constant propotion debt obligation)投資に関するお話。あたくしも暫く前にこの商品に関する話題を聞きつけて(確かCPOD大量発行でCDSスプレッド縮小したという話題だった気が)「何たるレバレッジの高い商品」と感心しちゃったんですが、「格付けが高くて高利回り」商品のリスクがどこにあるのかということについて、ややざっくりではありますが判りやすい記事になってます。

まあアレですな。こういう表面を美しく作った商品ってのは売れるんですよね。あたしゃリスク管理というのは金融取引手法を駆使してリスクを軽減することよりも、自分の持ってるリスクの所在を把握して、そのリスクを自分でコントロール可能な状態にしておくこと(勿論そのモニターもしますが)だと思う人ですので、プレーンな商品が大好きでこの手の商品は好きじゃないんですけどね。


・3月2日の1面左上の記事

確定拠出年金に関する話なのですが、みずほが加入者向けサービスということで『運用実績、他人と比較』ってのをするそうな。記事によりますと、加入者の利回り実績が社内全体ではどのような分布になってて、貴方は幾らだからどの辺にいますよってサービスをするそうな。まあ元本確保型の預金とか保険がDCの残高中でかなり多いので他人の運用利回りと比較することによって投信などにシフトしてほしいってのがあるようですけど。

でね、確かにその試みは好評を博すと思うんですけど、あたくし思うにそんなの余計なお世話でして、DCと言っても個人の資産ポートフォリオの一環なのですから、本来必要なアドバイスは個人の資産運用(住宅ローン組んで家買うとかいう話まで含めたトータルでの)に対してどういう運用をすべき(ってほどDCにカネを突っ込めないのが現状ですが)かという話じゃねえのかと思うんすけどねえ。他の資産ポートフォリオが違う人同士で利回り比較してどうするのよという感じですな。

でもまあこの記事は如何にも日本的な心情にマッチするサービスだなあということで、中々象徴的なネタだと思ったのでクリップ。あたくしのDCでこれをやって貰われたくはない(自分の運用実績はただのデータであっても開示されたくはないから)ですけどね。

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2007/03/02

○間が悪いのは誰だ?

日曜の福井総裁講演、というか日経様主催の「イエコノミー」とかいうセミナー(イエコノミーといい、円借り取引といい、そのオヤジギャグのような命名センス何とかならんのかと言うとまたお前が言うなと言われそうですが)で「家計の皆さん投資をしましょう」というお話をしてまして、水曜にご案内の通りの急落で総裁の髪様振りに落涙を禁じ得なかったのですが、冷静に考えると本当に間が悪いのはこのセミナーの主催者なんジャマイカという気がしてきました(笑)。

だってね、セミナーの趣旨が「貯蓄から投資」みたいな話なのに、そこに出てきて「日本銀行は実態経済から離れた低金利の長期化観測が定着すると投資活動の過熱化を招いてその後の調整コストが大きくなると思ってる」などと言い出したら正に場が凍るのは間違いない訳で、リップサービスもあるんでしょ(って中身実は半分も読んでないのに言うのも何ですが)。

#ま、そういうセミナーにノコノコ日銀総裁が出席するのはどうなのという論点はありますけど

そしてですな、米国株が大下落(中国発だの円キャリーの巻き戻しだのというコメントが聞かれますが、今回の下落の根本は米国の問題としか思えません。円キャリー巻き戻しも日本の利上げじゃなくて米国の問題でしょ、これだけ事前に利上げの話が出てたのに、実際に利上げになってからポジションを大々的に巻き戻す奴はおらんだろ。予想の範囲内利上げなんだから・・・・)した日の朝のテレビ東京様のニュース番組に登場したのは毎度おなじみ某証券の某大先生。

まあゲスト出演を今日の今日依頼する筈は無いので、某大先生を呼んだと言うことは、当然ながら「日銀の利上げが有っても黄金の市場環境は変らない」という話をぶちあげてもらう為に呼んだとしか思えないので、実は間が悪いのは(以下自粛)。

そういや今朝のゲスト解説者は弱気を唱える某銀行の大先生だったので、これは底打ちかと思わせてくれたのですが、何故か「それ見たことか」という発言ではなくて、「一方的に下げる展開になるかどうかは様子をみないとわからない」みたいなヘッジ入りになっていたので朝からガクガクブルブルなのでした。

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2007/02/19

○唐突ですが読書室

・戦国時代の大誤解(鈴木眞哉著、PHP新書)

本屋で立ち読みして購入したあと1時間で読了してしまいました。最近の某公共放送大河ドラマで勝手に歴史上の話を作りまくるのにお気づきでない(あたしゃ呆れて最近は全然見てませんが)人たちへの入門書として宜しいのではないかと存じます。まあ逆流の歴史で戦国シミュレーションゲームから戦国歴史に興味を持ったあたくしとしては、最後の戦場における「誤った常識」部分あたりにしか新鮮味は無かったんですが、こういうのコンパクトにまとめているのも良いなあって思います。

ただし、こういうのを読んでから大河ドラマを見ると興醒めになる事は請け合います(歴史を元ネタにしたただの虚構劇場だと思って見れば良いんですけどね)ので諸刃の剣。

なお、本書でも紹介されてますが、より突っ込んだものを読みたい人には以前ご紹介しました「信長の戦争(藤本正行著、講談社学術文庫)」税別1,000円也をお勧め致します。

ISBN978-4-569-65940-4 C0221 \700E


・日米開戦の真実 大川周明著「米英東亜侵略史」を読み解く(佐藤優著、小学館)

日米開戦直後にNHKラジオ放送で大川周明氏が12回にわたって行った講演を出版した「米英東亜侵略史」(第一書房、昭和17年1月出版)のテキストと、佐藤優氏の解説という形式になっております。

まあこちらもアレでございまして、いわゆる東京裁判的史観とは違う歴史について勉強していただきたいと思う人に読んでもらうための本だなあと思う次第でして、あたくし的には大川周明氏の書いている部分は歴史的な部分よりは最近(当時の最近)の事例に関する説明とかで「この話は具体的にはしらなんだ」ってのが幾つかあってほほうと思ったのと、実は大川周明氏の著作って読んだこと無かったので、その点でもほほうと思いながら。平明な書き方するのは頭が相当に切れるからなんでしょうな。

ただまあ佐藤さんの解説部分に関してはある程度の予備知識がある人には若干退屈かなあと思います。

ISBN4-09-389731-X C0031 \1600E

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2007/02/08

○その他雑談等

・日銀は円を買えですか

モーサテでFTの記事だかコラムだかを紹介してたのですが、本石町日記さんが盛大にツッコミを入れておりますので熟知すべし。「日銀は」という時点で不勉強爆発ですなFT(追記:当初はBOJと書いてあったのですが、どうもツッコミを食らったらしくBOJがJapanに変ってたのは笑いました)

と申しますか、FTといえば本邦金融不安時代に好き放題のヨタ記事を書き並べて不安を随分煽ってくれましたなあという印象が今でも強く、日本(というかアジア?)関連記事に関しては今でも金融界の東スポ認定しているあたくしなのでした。


・割引国債の残存日数計算

時々ちらちらとツッコムのですが、財務省様ご発表の割引短期国債と政府短期証券の落札結果で参考表示される利回り。

以前は利付国債の利息が両端入りで計算されていたので、割引国債に関しても残存日数を両端入りで計算して、売買の利回りを単価に引きなおして(呼び値は利回りなんで)取引してましたが、現在は片端入れで残存日数計算をして利回りと単価の換算を行っております。

ところが、財務省様発表の落札結果で利回りを()書きで表示しているのは相変わらず残存日数計算が両端になっておりまして、特に短くなると市場の呼び値との乖離がでかくなって瞬間的に「えーっと幾らでしたっけ」となりますわな、というのは大げさで、実際は参加者はそんなの先刻ご承知なので換算用のツールなりシートなりを手控えで持ってますので気にしてませんが、よく見てない人に説明するのがめんどい。

#まあ価格競争入札なので利回り自体はご参考なのですが

まあ何か理由があるんでしょうけれども、利付国債の利息計算も実質片端になっているのですし、表示の利回り換算を片端にして欲しいなあとちょっと書いてみるテスト。

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2007/02/05

○どう見ても煽り記事です。本当に(略

先日来日経金融新聞の1面で「大学 資産運用調査」って記事を連載してました(31日〜2日の3日間)のですが、連日お題に並ぶのは「仕組債投資で利回り確保」とか「代替投資に熱い視線」だとかもう大学たるもの資金運用を一生懸命やりましょうって内容になっておりまして実に香ばしかったです。

特に強烈だったのは1日木曜のネタで、東北福祉大学が積極的な資金運用で得た収益によってJR仙山線に駅を10億円全額拠出して作りましたよというのがマクラになっておりました。運用対象を拡大するのが時代の流れでございますかそうですか。まあさすが「リスク管理が重要です」って話はしてるのですが、もう運用をやらない人はナットランみたいなトーンが全体に流れているのは心温まるお話でして、東北福祉大学のような事例紹介も交えながらの連載でしたな。

いやね、別に運用頑張っても結構なのですが、仕組債を購入する記事のあたりとか見てたら、「最近は元本確保型の仕組債が流行で云々」って話がでてまして、元本確保の上利回りも狙えるという仕組債など結構そうな話なんですけど、だいたいそういう仕組債はノックインすると10年間無利息確定で途中解約しようとしたらトンでもないペナルティが掛かって元本絶賛割り込みとかいうのが常識でありまして(そうじゃなかったら発行しない)、そーゆー影の部分を華麗にスルーして仕組債だの代替投資だのという話をするのはどう見ても煽り記事です。本当にありがとうございました。

資金運用も大事かもしれませんが、それよりも将来のキャッシュフローを考えて、それに対してどういう資金計画を練るのかとか、その場合にどのようなリスクがあるので、運用面でどのようなヘッジをすべきなのかとか、要するに本業に掛かる部分を真面目に考えるのが一番大事なのではないかなどと思いますがね。

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2007/01/23

○バーナンキ氏、経済成長だけで財政赤字問題は解消しないと語ったような気が

ちと古いネタですが、利上げ騒動のどさくさでスルーしてしまったのでクリップだけととりあえずしておきます。このままだと忘れちまいそうでございますんで。

18日の上院予算委員会(と言うのか?)での議会証言。

http://www.federalreserve.gov/boarddocs/testimony/2007/20070118/default.htm

の中盤。1段落丸々引用しちゃいますので、途中で段落分けします。

To some extent, strong economic growth can help to mitigate budgetary pressures, and all else being equal, fiscal policies that are supportive of growth would be beneficial. Unfortunately, economic growth alone is unlikely to solve the nation's impending fiscal problems.

Economic growth leads to higher wages and profits and thus increases tax receipts, but higher wages also imply increased Social Security benefits, as those benefits are tied to wages. Higher incomes also tend to increase the demand for medical services so that, indirectly, higher incomes may also increase federal health expenditures.

Increased rates of immigration could raise growth by raising the growth rate of the labor force. However, economists who have looked at the issue have found that even a doubling in the rate of immigration to the United States, from about 1 million to 2 million immigrants per year, would not significantly reduce the federal government's fiscal imbalance.

ドラめもん仮訳すらつけずにクリップしておきますが(手抜き)、後日追記予定。要するに「財政赤字削減努力をされたほうが宜しいのではないでしょうか」というのが趣旨なんですかこりゃ。(引用の前段落で財政赤字に警鐘をならしておりますんですよ)

(1月28日追記)
本件のインプリケーションは色々とありそうですが・・・・
1.バーナンキ氏が「越権行為発言」を出来るほど信認を回復している
2.実は氏はコストプッシュのインフレが発生するのをかなり懸念してるんじゃネーノ?
3.「成長すれば増税無しで財政再建」と言ってる上げ底上げ潮路線プギャー

特に3.については上げ潮マンセーな人たちが本件に全然触れないあたりに怪しいものを感じるわけだがw

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2007/01/15

○本当に阻止する積りなら言い方が別にあるのでは

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070114AT3S1401314012007.html

利上げなら議決延期請求を、自民幹事長が政府に呼びかけ

自民党の中川秀直幹事長は14日、愛知県豊川市内で講演し、日銀の追加利上げについて「政府と金融当局、日銀の景気判断は一体でなければいけない」と述べ、反対姿勢を強調した。そのうえで「日銀が異なる判断をするなら、政府は日銀法19条に基づく権利を行使する義務がある」と述べ、日銀が金融政策決定会合で利上げを決める場合は議決延期請求権を行使するよう政府に呼びかけた。(中間割愛) 中川幹事長は「再び否決する歴史を繰り返すなら、重大な法制度の欠陥ととらえざるを得ない」と述べ、日銀法改正もやむを得ないとの認識を示した。(以上NIKKEI NETの上記URL先の記事より)

ということで、政権与党の幹事長様という責任ある地位の方が「日銀法改正」をまたまた持ち出しているようなのですが、さすがにモーサテのゲストコメンテーター(株式市場の人)も「はっきり言って恫喝」とコメントしてますが、まああたくしも「本当に利上げ阻止する気があるのかね」と思う次第。

いやね、12月の場合は中川さんがサイトで平成の関東軍云々に言及するのと時事や読売が利上げ見送り報道するのとタイミングが似たようなものでしたけど、今回の場合はさすがに露骨な圧力に見える次第でして、これじゃ逆に日銀としては何かアクションをしないと(せめて少数提案で利上げ提案して6対3とか5対4くらいの僅差で否決するとか)「日銀は政治圧力に屈した」という評価になるっしょ。何だかなあって感じ。

どう見てもこの発言「日銀法改正」が余計ですがな。

#まあ前回は全員一致で利上げ見送りだったのに1ヶ月でいきなり利上げ決定というのも何のこっちゃでございますから、その点から言えば前回が金利据え置きが全員一致だった政策委員会もトンマでしたなあと思うのですが

あたくしが勝手に推測するに、政府との協調に関しては今の日銀は結構気を使ってる節がありそうですので、本当に阻止する気があるのなら別にこんな恫喝まがいの発言を公然としなくたってルートはあるんじゃねえのかよと存じます訳で、今の日銀は政府の強硬な反対を押し切ってまで利上げを実施するとは思えませんけどねえ。。。。実効性という点で考えたら、日銀法改正という恫喝まがいの文句を持ち出すんじゃなくて、官邸ルートなどから(まあ水面下でってのは方法としてどうなのよと言う議論はありますが、その点は別に致しまして)意思を日銀にキチンと伝えることじゃないんですかと思うのですが。わざわざ「中央銀行に政治圧力を掛ける」という図を作ってどうするのよ。(言っても聞かないから公然と物言いをつけたという事なのかも知れませんが)

激しく意地の悪い解釈をしますと、この中川発言って「自分の影響力の誇示」および「利上げ後に景気が悪化した場合に全部日銀のせいにするための準備」であって、本当に利上げを阻止する気あんのかねと鼻白んでしまうあたくしなのでした。


ちなみに政調会長の中川昭一さんも12日に反対の話をしてましたが、報道を見る限り「日銀法改正」は持ち出してなかったと思うのですけどね。

1月29日追記:週刊新潮が内幕レポート出してたり、先日のTBSの報道なんかを見てますと、何の事はないこの発言の時点で福井総裁は執行部の意見を「利上げ見送り」の方向にしてたと見たほうが良さそうですね。となりますと、この発言なんですが・・・・
・執行部利上げ見送りを知ってて言ってるのなら「結果がわかっている喧嘩をわざと吹っかけて自分の影響力を誇示する見苦しい行為」のみならず、「日銀の信認をわざと毀損するような行為」でもあり、誠に遺憾としか言いようが無い
・執行部利上げ見送りを知らないで言ってるのなら、「事情知らされてない中川幹事長プギャー」な上に「とんでもない勇み足のスタンドプレー」でどっちにしても政府と日銀の金融政策にに関するギクシャク感を出してしまったこれまた遺憾な発言ではございます


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2007/01/10

○ニュース雑感

・衛藤議員秘書に不透明な給与…形を変えた迂回献金か
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070110it01.htm?from=top

ネット上の情報を冊子にして販売して収益ガポガポとは結構な商売でございますなあ(棒読み)ってかよく色々と話がでますね。松岡先生の言い訳もあれでオッケーかよという疑問が拭えないのですが。


・東京に金融特区創設、金融相が検討表明
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070109AT2C0900609012007.html

『英金融街シティーのように内外の金融機関の集積を促し、日本の金融・資本市場の活性化に弾みをつけたい考えだ。』(同記事より)

だそうですが、既に外資系金融山のように参入してるのに今更特区とはポカーンなのですが、もしかしてこれは先般可決した政治資金規正法改正案とうわなにをするくぁwせdrftgyふじこl

まあアレですな。ホワイトカラー何ちゃらなんぞが典型だと思うのですが、かつては日本企業がライバル視された頃はニホンジンはエコノミックアニマルでケシカランとかいう話だったのに、投資先になったら早速配当増やせ残業代払うな(以下激しく自粛)


・みずほ証券と新光証券、08年1月めど合併
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070110AT2C0904Q09012007.html

えーっと銀行(みずほ銀行)との共同店舗を絶賛展開中のみずほインベスターズ証券はどうなるのでしょうか。何か相変わらずグループ内の証券戦略がワケワカランですが、リテール販売網を持ってないと大変だってことなんでしょうかね。まあ生暖かく見守るだけですけど。

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2007/01/09

○またも読書室

やはり人間インプットは大事ですので今年は読書室も復活させナイト。で、あたくし興味が涌くと同じ著者の本とか同じネタの本を立て続けに読むという傾向がありまして、本日もまた佐藤優さんの本で。

・「自壊する帝国」(佐藤優著、新潮社)

ソビエト連邦の崩壊に関わった人たちの動きという視点から描いてます。著者のソビエト連邦という「植民地なき帝国」への見立てとか、ソ連崩壊の中で著者が見た人々の立ち居振る舞いとか、テーマは全然違いますが、深田祐介さんの「革命商人」の読後感に似てましたというのがあたくし的な印象。(ちなみに「革命商人」の感想駄文は2004年5月18日に書いてます)

著者は大学時代に神学を研究していたこともありまして、宗教に関する見立てや宗教と国家の関係についての見立てなどが話の中で何度か出てくるのですが、そのあたりも面白かったですな。あたくしとしてはテンポが良いので読みやすいのですが、人間にスポットを当てる構成上、同じ登場人物の話が続きまして、次の場面で時間や場所が飛ぶ箇所もままありますので、読みにくいという人もいるかもしれませんな。

ISBN4-10-475202-9 C0095 \1600

#実はこの本は土曜に買って日曜に読んじゃったんで、積読は全然解消されていないのでした。次の予定は「日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」(小学館)で、メインは大川周明ですが、これまた書いてるのは佐藤優だったりします、と次回予告をすることによって積読解消を促進しようというテスト(^^)


○雑談メモ

以下余談。

その1:5日謎の急落の株式でしたが・・・・・

・5日のモーサテ初日に「ストラテジストなどにアンケートをとりました」として平均株価の年間高安予想アンケート結果が「安値が16000円台中心でした」というゆっこ様のアナウンス

・オープニングベルでムーシャ先生登場し超強気をぶつ

おまけに場中は髪様のボログ更新と来たら垂直落下も仕方無かったのでしょうかねえ・・・・


その2:何となく朝日新聞に釣られている気もするが・・・・

http://www.asahi.com/politics/update/0105/007.html
残業代ゼロ 首相「少子化対策にも必要」
安倍首相は5日、一定条件下で会社員の残業代をゼロにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入について「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」と述べ、労働時間短縮につながるとの見方を示した。さらに「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。 (以下略)

・・・・・・・・(゜д゜)

ソースが朝日新聞なだけに発言の一部を切り取っている可能性も無きにしも非ずなのですが、かつては「満州の権益は第一次大戦の結果ドイツから割譲されたものもある」というようなご発言をテレビの討論でなされたというご実績もありますので、何か素で言ってそうでオソロシス。いやあ皆さん吹き込み放題でうわなにをするくぁwせdrftgy


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2007/01/05

○まあ雑談シリーズですが

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=ahYfBFmY.0tg
景気に取り残される車、国内市場は07年も前年割れへ−競争力に危機も

各社首脳の困惑コメントが出ておられますが、あたくし愚考するに単に景気拡大の中で所謂2極化が相変わらず治らなくて、大衆車が売れないって事じゃないかと。困惑コメントで出ているようなミクロの問題も勿論あるんでしょうが、それよりも単に今般の景気拡大の裾野が個人や家計に十分に広がっていない事の証左ではないかと思うのでして。

かなり大昔の記憶(駄文でも書いた)ですが、日経新聞の講演会だか特集記事だかで中国市場万歳話を絶賛展開する中でアイシン精機の社長さんが「高級車ばかり飛ぶように売れて大衆車の売れ行きが悪いのは歪みがあるとしか言いようが無い」というような趣旨の発言をしていたのを思い出すわけで。

投資(というか投機というか)マネーは相変わらずの威勢の良さですし、百貨店の年末年始商戦も好調とかいう話も聞くのですけど、一方で実感として景気が良いのかというと人によって言うことまちまちですし、正月商戦もあたくしが見に逝った場所が悪いのか実感としては「ふーん」程度だったわけでして(人混みがダメなんでその時点でオワットルのですけど、笑)、中々「全体が実感する景気回復」っつーのは難しいんではないかと思います。


そういや御手洗ビジョン(PDFで巨大ファイルです)にも突っ込もうかと思いましたが、まあ内容に関しては時間の関係上割愛します。で、悪態ですが、このビジョンをPDFファイルで公開しておきながら、印刷不可でコピペ不可って一体全体どういう了見なんでしょうなあ。「希望の国、日本」は皆様に頒布する時には後日本にするので有料(ですよね)ってのが何とも言えませんですなあ。きっとね、「希望の国、日本」は金の無い人は参加するんじゃねえよって事なんですよ。

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2007/01/04

○新春読書室

今年の正月休みは積読を2冊成敗するという課題を立てたのですが、積読成敗しないのに本を2冊買ってしまいました。しかも読了1冊読みかけ2冊で目標未達orz

・「インテリジェンス 武器なき戦争」(手嶋龍一、佐藤優共著、幻冬舎新書)

共著と書きましたが、形式は全部対談になっているので、まあお気軽に読めてしまいますが、中身はなかなかオモロイです。序章の部分を読んでて耳に痛かった(対談形式なのでそういう書き方しますけど^^)のでほんのさわりを引用。

(手嶋)『(前半割愛)大きな国際事件が起きると、商社マンは、「こうなることを示す情報をすでに持っていた」と言います。それは後講釈というものです。大きな地震が起きた後に、微動地震の記録用紙を取り出して、「ここに地震の予兆があった」と釈明する予知学者に似ています。なにしろ巨額の国家予算を使ってますから言い訳をせざるを得ない。事前に決定的な情報を分析し、国家の舵取りに役立つような形で報告させなければ、インテリジェンスとしての価値はありません。ところが彼らは、自分の会社のトップにさえ報告していないケースがある。見通しが外れるリスクがあったからなのです。』

(佐藤)『さらにいえばそんな後講釈は、自分自身のビジネスにさえ役立たない。インテリジェンスを本当にビジネスに生かしている人間は。「こうなることはだいたい読めていた」なんて絶対に言いません。「知っていた」ではなく、必ず「教えてください」と言うんです。(以下割愛)』

(以上同書19、20ページより引用)

いやーもう耳が痛い痛い。「こう思ってたけど出来なかった」というのは相場の見通し外して損こくのの1億倍くらい頭に来ますからこのくだり読んでて誠に痛いものを感じましたですよマッタク。

しかし別の出版社の本でも指摘したことがあるんですが、この本も宣伝用の帯カバーに書いてあるのが内容と全然違う次第でして、『日本存亡の鍵はスパイが握っている』って営業部門が内容を見ないで作ってるとしか思えない(題名だけで判断したんでしょ)次第でございます。帯カバーの宣伝文句と中身の乖離を見せられる度に出版社の営業部門の知性に疑問を呈したくなりますよ。

ISBN4-344-98011-5 C0285 \740


それでは本年もよろしくお願い致しますm(__)m

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2006/12/29

○愛の構造改革ですかそうですか

佐田国務相の後任に渡辺喜美内閣府副大臣が就任して、いきなり「愛の構造改革」とか妙なことを言い出しております。まあ「非情じゃなくて愛情の」って事なんでしょうが、もう何か初っ端から痛い痛い。

で、このセンセイは政策通と言うことになっておりますが、11月20日のドラめもんで書きましたブルームバーグニュースインタビュー紹介記事を改めてご覧いただければ吉かと存じますが、少なくとも金融政策に関する問題については率直に申し上げて「中途半端に変な知識がある人」としか思えないインタビュー内容でして、こういう手合いが一番危なっかしいというのは、政策がどうのこうのというようなエラソーなレベルじゃなくて、それこそサラリーマンやってての経験でも味わえるものだと思うんですよね。

その分野に対してちゃんとした知見がある人、あるいは全く知見は無いけれども正しい情報を汲み上げて何をすべきかの判断が下せる人(追記:要は「ちゃんと人の話を聞いてくれる人」ですわな)、というのがエライ人の資質としては望ましいと思う訳でして、中途半端に変な知識がベースにあっておまけに本人が自信満々だったりすると、まさに「善意の絨毯を敷き詰めて地獄への道へご案内する」の巻に陥りやすいと言うことでして、まあ杞憂またはあたくしの誤解であることを心の底から祈りたいものであります。


○国土交通省も都心部の地価に注意ですかそうですか

というニュースが出てたのですが、何故かそのような景気の悪い話はテレビニュースでは華麗にスルーされる傾向にあるようでして(昨日の金融庁の話もそうですが)、肝心のソースがネットでも査収できませんでしたが(見つけたら追記しときます)、まあそういうことのようですな。国土交通省のサイトでも見つからなかったのですけど・・・・

まあ何となくそんな匂いもするので事前に手を打って過熱防止っていう事を考えているんだろうなあと思いますが、こういうのはボディーブローのように効いてくるんジャマイカと存じます。まあ上手く軟着陸できると良いですけどね。


○クイックと日経新聞

昨日はあたくしも一応何となく理解しながらクイックの記事に関して日経新聞向けに「正論だがお前が言うな」というのを書きましたが、詳しい人からどーなってるのかの解説を頂きました(のですが、ややこしいのであたくしもよく理解できてなかったりしますが、汗)ので話のネタに。

えーっと、日本経済新聞社の記者さんが書いてる記事と、日経QUICKニュース社の記者さんが出してるものがあるそうでして、新聞に出てくる記事は日経さんとクイックニュースさんの物らしいです。で、あたくしが悪態をついた記事はデリバティブズコメントっていう名前の記事で、こちらは株式会社QUICKのデリバティブズコメントチームさんの書いてる記事だそうです。

・・・・と、書いてるあたくしも頭がこんがらがりそうで、まるでどこぞのファイナンシャルグループの資本関係のようにワケワカランですが、要するにデリバティブズコメントの記事に「正論だがお前が言うな」と日経新聞向けに言った積りになって書いてるのは、まあ誤射ということですな。それが言いたかったのですけど(^^)。

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2006/12/28

○正論だがお前が言うな

さてまあそんなことで時事通信報道に振り回された昨日でございましたが、落涙を禁じ得なかったのは日本経済新聞社様でした。

昨日の日経金融新聞朝刊1面の「アングル」欄では『来月利上げ 消費者物価、決め手欠く』『上昇品目と下落品目の差 11月、前月より微減』というお題の記事をお出しになられてまして、市場の「1月利上げも無理でっしゃろ」という(時事の記事見る前時点での)市場の動き(特に円安進行した為替はありゃ一体何だったんでしょうかと思ってた金利市場関係者は多かったと思うのですけど)を裏付けするような記事が出ておりましたですな。

で、時事の報道と言うことで見事に債券相場下落して落涙を禁じ得なかったのですが、その後日経クイック様におかれましては、時事の地均し記事に関して『一部報道に市場の不満続出』ということで前回の日銀幹部発言記事(火消し記事)も含めまして、「市場の対話としての情報発信の姿勢が如何なものか」と難ずる記事がございまして、「ああ涙目モードですなあ」とこれまた落涙を禁じ得ない風情でありました。

いやね、リーク記事っぽいのが出てきて相場が動くってのも誠に如何な物かと思うわけで、品の無い事夥しいと思いますし、講演などでの情報発信と変なリークっぽい動き(本当にリークしてるのかどうかは知らんが、結果から逆算するとリークじゃないかという疑いが濃厚)を何か変に使い分けて動きに整合性が無いという日銀の「市場との対話」はどうにかならんのかと思うので、クイックの「日銀は市場の対話としての情報発信の姿勢に問題あり」というのは誠に仰せの通り。

・・・・ではございますが、(日経クイックは日経本紙+金融新聞とは別組織ですので一緒くたにしちゃあちとカワイソスですが)それはまさしく「オマエモナー」でございまして、量的緩和解除直前の「議案内容まで報道」記事なんかはありゃどこのどなたがやっておられたのかと小一時間問い詰めたいと思う訳で、まずは日経の金融政策関連記事のクオリティを上げて下さいな(クイックの中の人と日経の中の人は全然別ですのでクイックに悪態つくのは筋違いなのは重々承知してますのでヨロシク^^)という所ですな。全員滝田さんになってくださいとまでは申しませんが。

(追記@12月31日:この後のネタには余りにもカワイソウなのでしませんでしたが、翌日には産経新聞で福井総裁のインタビュー記事がでまして、もう物の見事に抜かれたというかハブられた日経新聞妙に意地になってしまったらしく、やたらその後も「利上げすべきでない」論調の記事ばかり書いております。哀れ日経・・・ていうか12月利上げ騒動だって半分以上は日経が先走りして大騒ぎしたせいなのですから、まあおまえらはバイアス掛けた報道をするなと言うことでしょうな)

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2006/12/27

○リスク管理強化のお知らせ

昨日しらっと出てたニュースがありまして、金融庁のサイトにこの内容が出たのは多分夜になってからでした。
http://www.fsa.go.jp/news/18/20061226-7.html

お題は『主要行等向け監督方針及び証券会社等向け監督方針の付記について』ということで、内容はまあ上記URL先(およびそこに詳しい資料へのリンクあり)をご覧頂くのが宜しいかと存じますが。

『3.当庁では、これらを踏まえ、平成18年10月〜11月にかけて、各金融機関に対し、不動産ファンドに対する投融資の実態把握のためのヒアリングを実施し、その結果を踏まえ、以下の内容を留意事項として、監督方針に付記することとした。』

ということで、現状認識はこうなってます(改行変更+○数字を○なし数字に変更しています)。

『(1)地価については、3大都市圏の商業地が15年ぶりに上昇しているが、これは一部地域の大幅な上昇が圏内の平均上昇率を牽引していることによる。実際に賃料が上昇しているのは東京都心等の一部に限られ、これまでの地価上昇は将来の賃料上昇期待による面が大きい ことが伺えた。』

『(2)また、運用中の不動産ファンドが保有している不動産残高(簿価ベース)が、最近1年半で2倍以上になっているとの指摘もあるなど、不動産ファンド市場は拡大している。』

この(1)の表現はちと気になるところでして、「将来の賃料上昇期待で地価上昇」って表現は「本来その地価は収益還元的に見合った価格ではない」という見方が反映されている訳でして、ぶっちゃけ「都心部の一部ではバブル現象になりつつある」って言ってるのと同じように読めるのは気にしすぎですかねえ。

で、今後の方針らしいのがその先にございます。

『(3)このような中で、

1.信託銀行は、不動産管理処分信託にかかる今春の行政処分も踏まえ受託審査を厳格化している模様。

2.他方、主要行等の不動産ファンド向けノンリコースローンは、各金融機関でその取組みにかなりの差がありつつも、全体としてみれば、17年9月期の5兆円から18年9月期6.6兆円へと約3割増加しており、業種集中リスク等を勘案した、適正なリスク管理が行われているかについて十分留意する必要がある。

3.また、J-REITの運用会社等に対しては、利益相反取引防止態勢、物件取得時のデューデリジェンス態勢等、業務を公正かつ的確に遂行する態勢の整備状況について、今後も注視していく必要がある。

4.証券会社に対しては、J-REITの引受、不動産私募ファンドの募集及びCMBS(商業用不動産担保証券)等の組成の際の審査態勢や、それらの商品の販売時における顧客への説明状況について、今後も注視していく必要がある。』

2番のあたりですか、「業種集中リスク等を勘案した、適正なリスク管理が行われているかについて十分留意する必要がある」というくだりを読んでるとつい総量規制などという言葉を思い出してしまうのはあたくしだけですかそうですか。

不動産関連の融資への「リスク管理強化」はするわ、バーゼルUでアウトライヤー規制がかかるわと、銀行の皆さん一体全体どうやって収益上げにいくのでしょうと誠に同情の念に耐えませんが、この一連の動きが「不動産バブル終了のお知らせ」になるのかどうか注目していかないといけませんな。

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2006/12/19

○証券取引所はやろうと思えば明日からできるビジネスモデル??

金曜の日経金融新聞で内閣府の金融担当政務官の田村耕太郎さんのインタビュー記事がございました。この人以前国会の委員会質疑(参議院財政金融委員会)で、福井総裁にとんでもない馬鹿質問をした挙句、ご本人のサイトで「ギャグを交えた」と自慢をしてた誠に香ばしい方なのですが(2005年10月21あんど28日のドラめもんご参照)、東証に関してこのようなご発言を(以下12月15日の日経金融1面インタビュー記事より)。

『(前半割愛)取引所の本質は売り手と買い手に最善の価格を提供することだ。グーグルなどが明日からやろうと思えばできる陳腐なビジネスモデルと言っていい。取引シェアの92%を握っているといってあぐらをかいているようでは吹き飛ばされる』

まあ東証が如何なものかというのは同意なんですが、売り手と買い手に最善の価格を提供するだけならカカクコムあたりでもやってるわけでして、取引所の本質はそういう所ではなくて、執行と決済にあると実際に売買を(まあ債券の場合相対が多いですけど先物は取引所ですわな)してると思うんですが。

ちゃんと決済ができるかとか、取引所がカウンターパーティーになることによる決済リスクの軽減とか、取引が集中することによって執行がスムーズに行くとか、諸々のノウハウと決済インフラの必要なものでしょうと実務で売買(あたくし株式のディーラーもやってたことありますんで)してた人としては思うんですが、このセンセイ証券会社にいたときにそういうことやって無かったのかなあ(まあやっててもそういうこと意識しない人もいると思いますけれども)と不思議に思うのでありました。

てか、そういう認識で金融担当政務官をやってる人と言うのがオソロシスな訳でして、変に半端な知識があるがために現場の状況を聞かないで自分の脳内理念で爆走されると目も当てられないのは貸金業規制関連で大暴れしてたどこぞのボンボン議員様を見るまでもございませんので、まあそれがあたくしの取り越し苦労であることを祈りたく存じます。

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2006/12/15

○これは酷い(と皆様思ってるでしょうが)

昨日の某経済新聞様の1面にあった利上げ見送りの観測記事はご覧になった皆様「何を今更」だったと存じますが、念には念を入れてこちらにメモメモしておく所存(笑)。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061214AT1F1300213122006.html

『これに対し、7―9月期の国内総生産(GDP)改定値で消費が下方修正されたうえ、10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)も前年同月比0.1%の小幅上昇にとどまるなど、消費や物価面で力強さを欠く指標が相次いでいる。』(上記記事より)

いやあのそういうのはとっくの昔にでてまして、「それでも利上げするんですよ」って報道してたんじゃなかったんでしたっけと小一時間問い詰めたいとはこのことでございますが、昨日はこの記事を読んで「今更お前が言うな」と突っ込みを入れた人が物凄い勢いでいたかと存じます。

まずおまいらのその「シナリオ営業」のような「結論先にありき」チックな論調をなんとかしやがれ(おまけにいつの間にやらドテンするし)と思うんですけどねえ。


○そういや税制なんちゃらの答申がでてましたが

昨日は一相場終わったのでひねもす経済財政諮問会議の議事要旨なんぞを鑑賞しておりましたが、税制に関してお話があったのは11月24日の第26回でございました。
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1124/shimon-s.pdf

ぼーっと読んでおりましたが、11ページあたりを読んでると不思議な話が。

『(八代議員)伊藤議員が言われたことを補足する。税制は、基本的に個人や企業の行動に中立でなければいけない。配偶者控除の例も挙げられたが、配偶者が働くか働かないかは家計が自ら決めること。今の税制は、基本的に配偶者が働くと損するような仕組みがビルトインされて、こういうことは速やかに変えていただく必要がある。(以下略)』

一応補足しておきますと、配偶者控除に関しては「雇用者世帯の半数以上が共稼ぎ」という現状を踏まえての話なんですが、何かこれって「配偶者が働くと損する」んじゃなくて「配偶者が家事専業だった場合に得をする」という話だと思うんですが、どうも理念とやらが負担増の免罪符に都合よく使われますなあって脊髄反応。

そういえば、企業から個人への経済効果波及に関しましては甘利議員からこのようにお言葉を賜っております(12ページ)

『(甘利議員)日本の企業が国際競争に勝ち抜いていける環境を整備する、イコールフッティングを図っていくという私の主張に関して、丹羽議員からの御発言で、法人税の減税だけが声高に叫ばれることにならないように、という御指摘をいただいた。まさにそのとおりだと思う。企業が得た収益は、次なる競争力に向ける、株主に向けると同時に、やはり雇用者にも向ける。あるいは下請け、中小企業への配慮にも向ける。これは社会政策上も必要になるかもしれないが、消費の拡大を通じて企業に跳ね返ってくるという、消費と企業の収益の好循環を早く作り出す必要があるので、そういったことに対する自主的なコミットメントを期待する。』

ということで、「自主的なコミットメント」を「期待する」だけのようです(まあそれしか言えないですけどね^^)ので、直近トラックレコードから勘案するとどう見ても期待薄です。本当にありがとうございました。そういう時の為に「所得の再分配機能」というのがあると思うんですが(といつものグチ)。

粘着質のあたくしはこれを読んでるうちにまたサルベージしたくなったんで付け加えますと、11月9日の第24回経済財政諮問会議で丹羽議員(伊藤忠商事会長)さまが誠に景気の良いお話をしておられまして、その点について安倍議長がこのようなお話をしておられましたな。

『また、丹羽議員から、だんだん企業の収益が個人に移転され始めており、フリーターや非正規の人たちの給料も15%上がっているという御発言があった。我々はいつも国会で、企業は収益を上げているが格差が広がっているではないかという厳しい指摘をいただいているので、そういう調査結果、指標があれば、是非出していただきたい。』(これは11月9日実施の経済財政諮問会議議事要旨の最終ページ)

そういう調査結果、指標が提出された雰囲気はここもとの議事要旨をざっと読んだ範囲内では残念ながら見当たらないのですなあ。何せ『新入社員の初任給は、これまた確実に10%以上上昇過程にある。』(丹羽議員の発言)という景気の良いお話だそうですので、あたくしも是非拝見致したく存じます♪

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2006/12/12

○何でも日銀のせいなんですかねえ

自民党中川幹事長の日銀牽制(?)見解なんですが。
http://www.nakagawahidenao.jp/pc/modules/wordpress0/index.php?p=377

『7−8月の統計と7−9月の統計の差の原因は何か。この間に影響を与えた政策転換といえば、私には日銀による3月の量的緩和解除と7月のゼロ金利解除しか思い浮かばない。』

多分7−8月というのは4−6月のタイポだと思いますが、まあそれは兎も角として、定率減税の半減だって給与所得者で年末調整する人は12月の年末調整で手取りに跳ねてきますが、年末調整しないで確定申告する人にとっては3月の所得税納税で納税額に跳ねてくる話でして、その効果が出てきてるのかもしれませんよね。
#そっちは政策「転換」じゃないって事なのかなあ

実質個人増税(社会保険料も昨年11月以降段階的に小出し引き上げでして、今年も10月納付分から引上げになっております)している政府の施策は華麗にスルーですかそうですかとつい思ってしまうのでありました。

企業を強くするときっと所得に反映するというここまでの実績を考えると???がつきような理屈で法人減税(の一方で定率減税廃止はそのまま)というような個人消費に逆に作用しそうな政策を絶賛推進している件も華麗にスルーですかそうですか。大体からして「きっと所得に反映する」とか言う前に税の所得再分配機能使えばいいじゃんよと思うんですけどねえ。

などと、つい自分の財布にもかかわる話なので熱くなってしまいましたが(自爆)、まあ日銀全部悪いってのもどうかと思うんですが。金融政策決定会合で政府は議決延期請求だってできるんですし。

なお、毎度言ってるのでお判りかと存じますが、念の為申し上げますと、別に慌てて日銀が今すぐに利上げしなきゃいけないような環境では無いと思いますけどね。

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2006/11/30

○自民党金融政策小委員会に悪態をついてみる

昨日ちょっと悪態をついた自民党金融政策小委員会。念の為申し上げますと、「インタゲ導入汁!」とかいうような提言(例えばそんな提言はしてませんが、日銀もFRBみたいに雇用の安定も政策目的に加えるべきだとかね)をするのまで悪態ついてる訳じゃないので。ただ日銀法改正をちらつかせて「提言」するのは常識的に考えて政治の恫喝と取られると思いますのでやっぱどうなのよとは思いますが。

で、その小委員会なんですが、28日17時56分配信のブルームバーグニュースの記事を見ますと、展望レポートについて議論したそうなのですけれども、翌日以降に重要な経済指標が目白押しというタイミングで議論したら早速翌日に激強の鉱工業生産指数が公表されると言う実に間の抜けた話になっておりまして、実に香ばしいというか間の悪い人たちですなあと落涙を禁じ得ません(^^)。

で、毎度お馴染み山本幸三先生におかれましては、追加利上げに関して『何をとぼけたことを言っているのか。追加利下げの話ではないかと言っている』(ブルームバーグニュースより)と述べられたそうでございますが、ご自身が副大臣を務めておられる経済産業省がそのポジティブサプライズ鉱工業生産指数を公表している所に、芸の細かさというものを感じる次第でございます。

てかね、憤る気持ちは判らんでもないですが、現在金融市場で議論されている問題に関して、あまり「ばかげた」とか「とぼけた」とか言うのは金融市場に向けてバカアホと説教してる(ご本人はそんな意図は無くて日銀に対して言ってると思いますが)ようで、ネタ芸人としての評価はともかくとして、市場からそっぽ向かれる効果しかないような気がするんですけど。ってあたくしもバカアホ言ってるからあまり人の事言えた義理じゃないですけど(笑)、僭越ながらやはりお立場というものをご考慮された方が宜しいのではないかと存じます。

ま、それ以前の問題として、「利下げだ」って言うような経済状況というご認識があるのでしたら、経済産業省として何らかの景気対策をお打ちになられる方が宜しいのではないかと存じますが・・・・・(^^)


ま、別に慌てて追加利上げする必要は無いんじゃネーノという見立てに関しては同意(「全くない」かと言うとそこはふがふがもごもごですが)しますが、後藤小委員長が『実体経済は投資が良くなり、企業収益が良くなっているが、雇用にきちんと波及していない。』(ブルームバーグニュースより)と発言された点に関して小委員会の皆様の認識が一致しているのでしたらば、自民党の中の人として、「好調な企業部門が家計部門に波及するような施策」を党内で是非ご提言していただきたく存じます。例えば景気回復に伴う税収の増加を法人減税に回す(12月31日追記:自然増収分は新規国債発行減額に回りましたな。恐縮至極)んじゃなくて個人の定率減税廃止を先送りするとか、提言できることはあるんじゃないんですかと存じますが、それは「上げ潮政策」に反旗を翻すことになるから提言できませんですかそうですか(^^)。

(追記@12月3日:結局のところ、この自民党金融政策小委員会とやらにあたくしがどうも気分的に反発するのは「日銀にあれこれやれと言う前にお前らがやることが出来る立場にあるのに、やりもしねえでケツを全部日銀に持ち込むんじゃねえ」という所なんでしょうな。どうせこの人たち法人税減税よりも定率減税廃止を延長すべき、なんて執行部に喧嘩売るような主張する根性ないからで文句言い易い日銀に「提言」とやらをしてるんでしょ。ってところですな。)よく吼えてる山本幸三先生なんぞは福井総裁辞任すべしと自分の支持者向けのメルマガで意見書いたのが新聞で話題になったら自分のサイトで「あれは支持者向けの個人的意見なのでホームページでは公表しない」などという素晴らしいヘタレっぷりを発揮して市場の失笑を買ってましたわな

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2006/11/24

○景気付けもほどほどに(尾身財務大臣会見)

水曜にURLだけ置いた20日の尾身財務大臣会見ですが・・・・
http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_my20061119.htm

まあ色々と「うーむ」という部分があるのですが、今回のG20コミュニケに「成長が減速した際の税収減にも耐えられる財政を目指す」というお話がありましたが、その点についてどう思われますかって質問に対する尾身大臣のコメントはこりゃ如何なものかと。

『成長が減速したらどうかというようなことは、私共はあんまり考えていないことで、少なくとも見通しうる将来は日本経済は順調な成長を続けていくだろう、来年の数字がどうなるか、予想数字はまだこれから色々相談するわけですけれども、そういう中で成長なくして財政再建なし、あるいは経済の活性化と財政再建を両立させていくという考え方は少なくとも来年の予算編成の時にはこれを守っていきたい、その方向でいきたいと思っております。』

恐らく、過去の「桜の咲く頃に景気回復」発言と同じように(その時の真意について参議院財政金融委員会で質疑応答というよりは武勇伝をしていたくだりを先日ご紹介しましたが)、「成長が減速することはないですから皆さんご安心下さい」って言いたいのでしょうが、先日の国会での武勇伝じゃなかった答弁によりますと「桜の咲く頃」発言をしている時に実は良くないと思ってたそうですので、はてさてどうお考えなのやら。

で、さすがに後のほうで同じようにツッコミが入ったんですよ。

『(問)大臣、冒頭で成長が減速したらどうかということはあまり考えていないというお話でしたけども、このコミュニケのグローバル・アウトルックの中でも、その全世界的な課題として成長が減速した場合の税収減に耐えられる財政というものが求められているという、世界的な課題として入っているんですけど、それを踏まえても認識というのは変わっていないということでしょうか。』

まあ当然こういう質問してくれないと困るんですが、この答が何とも。

『世界全体の成長が減速するかどうかについて、私は学識がありません。日本の経済の成長については、減速ということを懸念するような状況にはないというふうに思ってます。従って、そういうことを前提とした時にどうするかというような感じではなしに、そこそこの成長、順調な回復という言葉で表されるような成長を来年もするであろうという考えの下に、経済財政政策を進めていくことになるだろうと。』

台湾沖航空戦の幻戦果を前提に現地が反対したレイテ沖決戦・・・などということは申しますまい。

『しかし、19年度予算は無駄を省いていく基本的な姿勢をきちっととって改革を進めていきたいというのが私の考えで、世界全体の成長がどうなるとかいうことについては、私は議論もあまりしておりませんし、コミュニケにその点どういうふうに書いてあるかよく見てませんけども、私自身の関心は、そういう世界経済の全体の流れの中で日本経済は来年も順調な回復過程を辿るであろうというふうに考えております。』

・・・・・・・・・(-_-メ)

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2006/11/20

○これはちょっと・・・・(渡辺喜美内閣府副大臣インタビュー)

渡辺喜美内閣府副大臣のインタビュー記事が金曜日のブルームバーグニュースに掲載されていました。で、渡辺さんといいますと確か金融関連の政策通というお話だったと思うのですが、記事を見てますと「利上げ反対ありき」で言ってることがどうも支離滅裂じゃないのかと少々絶望する次第のあたくし。以下17日16時45分配信のブルームバーグ記事から。

一問一答の部分から引用するんですが、最初の時点でいきなりひっかかるあたくし。まずは利上げは時期尚早って話をしてるんですけど。

『ちょうど実質実効為替レートがプラザ合意くらいの水準に来ている。あの時も思い起こせば、日銀が無理して利上げして超円高を加速したという苦い教訓がある』

『米国経済が軟着陸できるかどうかにもよるが、クリスマス商戦がうまくいって軟着陸できて想定の範囲内の減速になってきたとなると、いよいよ米国は来年から利下げのトレンドに入るかもしれない。そういう時に利上げをしたら、またプラザ合意の際の超円高の二の舞を繰り返しかねない。世間では12月利上げなんて言う人もいるが、そんな状況では到底ない』

えーっとですな、プラザ合意後の高め誘導→デフレ懸念といわゆる円高不況→金融緩和→金融緩和引っ張りすぎてバブル経済っていう歴史から鑑みると、「円高になるから利上げすんな」という理屈は「教訓」から(追記@12月3日:突っ込まれたので補足しますと、プラザ合意の「教訓」というのは、「為替操作を目的とした金融政策を実施すると国内経済に副作用が生じるのですべきではない」ということですな)学んでおられるとは思えないのですけれども(つーかだいたいプラザ合意ってドル高是正だろうが)。

(追記@11月26日:先般の金融政策決定会合でもしてきされていましたが、、実質実効為替レートは確かにプラザ合意直前の水準になっているそうですが、それって「ドル高是正が必要」っていう合意が必要だったレベルであって、為替レートの話をするなら円高懸念するよりも円安懸念するんじゃないんですかね。それに上でも書いてますが、プラザ合意の教訓は「為替是正を目的とした金融政策の操作を行うと副作用が大きいのですべきではない」ですから、金融政策に対して為替が云々という議論をするのは筋違いですわな。まあ「政策新人類」の底が見えるお話ではございます)

ま、それよりも驚愕なのは「米国経済が想定内に軟着陸したら利下げのトレンドに入る」って所でして、いやあの想定内だったら米国の金融政策は据え置きのまんまで推移すると思うんですが(その後は物価動向次第)。しかもその後に渡辺センセはこうも仰せなのですが。

『大事な場面で米国経済の軟着陸ができるかどうか、見極めが必要だ。クリスマス商戦がソフトランディングにつながるかは来年にならないと分からない。』

さっき「想定内の軟着陸したら利下げ」って話してませんでしたっけ?何かもうね、ここまでグタグタな「まず結論ありき」をやられると「別に利上げ急ぐ必要ない」と思ってるあたくしなんぞでも「政府側の認識がこれじゃあちょっとねえ」って感じになってきますわな。

で、同じ文脈でインフレターゲットに言及してるのですけれども。

『今のように信頼関係があれば、取り立てて透明な目標設定は必要ないかもしれないが、大事な場面で米国経済の軟着陸ができるかどうか、見極めが必要だ。クリスマス商戦がソフトランディングにつながるかは来年にならないと分からない。そんな時に利上げするという話になれば、ちょっと早すぎるということになる。それでも突っ走るということになれば目標設定しかないということになる。そんなことはないと信じているが、全くあり得ないとは言えない』

インタゲ政策はインフレ目標に中央銀行がコミットすることによってインフレ期待の安定化を図るというお話だと存じますが、物価の話じゃなくて円高がどうのこうのって理由から利上げ反対して、インタゲ導入ってのはちょっと話の筋が違うんじゃないでしょうか。いやまあ百歩譲れば超円高になる(米国が物凄い勢いで利下げするなら兎も角、ちょっと位の利下げに対して日銀が0.25%程度の利上げをしたからといって超円高になるとも思えんが)とデフレになるという理屈なのかも知れないけど。

まあ別の質疑の所で『どんどん人出不足が深刻になり、給料を上げないとダメだということになって、それが最終価格に転嫁されるようになれば完璧にデフレ脱却だ、まだそういう段階になっていない。(略)やはり外需主導型で景気が回復してきた。』って話をしてるから、そっちが理由なんでしょうが、それなら円高云々の話は言わずもがなであって、その部分読まされると一気に話全体の説得力が落ちるというものでございます。

で、質疑の最後にorz

『構造改革を進めるためにもマクロ経済政策のかじ取りが大事だ。景気がちょっと減速したら財政支出で元気良くしようという時代ではない。金融政策の果たす役割は非常に大きい』

上げ潮政策とか言ってるのと話が何か平仄合ってないんですが、財政締めて大丈夫なんですかねえ。

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2006/11/14

#以下ネタのないときの国会ウォッチネタ
国会の会議録検索はhttp://kokkai.ndl.go.jp/からお願いします。

○政府が「大本営発表」をしても良いという超越議論

まあ世の中には善意のウソというものがございますが、はてさて政府の経済官庁のトップがそのようなことを言って良いんでしょうかという質疑応答が。って先日ブルームバーグニュースで見たんでちょっとだけネタにしましたが、国会の会議録が出てますんでくだんの応答を読んでみたのですが、何かそれで良いのかと思うのでした。

参議院財政金融委員会10月31日の質疑応答の冒頭部分でございます。質問してるのは沓掛哲男委員で答えているのは尾身財務大臣。勿論ですが、質問も応答も長いので、あたくしが脱力したところを引用。

沓掛委員の質問から(元の質問は勿論やたら長い)。

(沓掛委員)
『尾身大臣はちょうどそのころ、平成九年の秋に経済企画庁長官になられ、そして平成十年の八月ごろまで正にこの経済企画庁長官をされておられまして、この平成十年不況対策に真っ正面から取り組まれた豊富な経験をお持ちでもございます。』

『私、そのとき非常に感心したのは、やっぱりこの年の、平成九年の暮れというのはもう正に大変厳しい状況でした。中小企業者はたくさんの借金を抱え、返済できない。また、取立ても厳しくなっていたんです。これは大変なことになるなと思ったとき、それを救ったのが時の経済企画庁長官尾身大臣の発言でございました。その発言は、一言、来年の桜の咲くころには景気は明るくなるだろうという言葉でした。私は、正に政治的発言であり、この一言葉であの年の暮れ、中小企業の経営者がたくさん死ななければならなかった命が救われたというふうに思っております。』

あたくしこの時期は金融市場にどっぷりと首までつかっていた(てかまあ今も似たようなもんですけど)ので実際に沓掛さんがおっしゃっているような状況だったのかとか判らん(そもそも平成何年とか言われて咄嗟に何があったかの記憶が怪しくてノートを見直さないといけませんが、爆)のですが、金融市場的には「これは酷い大本営発表ですね」という評価だったと思いますが。いやまあ金融市場に「何じゃそりゃ」呼ばわりされるのと中小企業経営者がたくさん死ぬのとでは前者を取るのが正しいのでしょうというのも判りますけどね。

でもまあ政府の経済官庁のトップがそういう話をすると、政府としての経済見通しが「桜の咲く頃に景気回復」という前提になる筈ですんで、やはりその目先はそれで凌いだとしても将来に渡る政府の経済見通しが「政治的」というのは良くないのではないかと思うのですが。

「人々を鼓舞するために威勢の良い戦果を発表」したがために、その戦果が次の作戦計画の前提になり、実際の戦況と大本営で把握している戦況の間に物凄い勢いで齟齬が生じてしまい、無茶な作戦によって戦死者続出ってのをつい60年ちょっと前にやらかしていると思うんですけどこの国は。

んでまあ尾身財務大臣の答弁ですが。

(尾身財務大臣)
『平成九年の秋に、私が、桜の咲くころは日本景気は良くなるということを経済企画庁長官のときに申し上げました。景気が正にどん底でございまして、言わば末期のがん患者が死の直前にあるというような景気の状況でございました。そのときに、更に景気の悪い状態が続くというようなことを私が責任者として申し上げたならば、いわゆるコンフィデンスといいますか、将来に対する展望が一層悪化して、それが心理的な影響を持って景気の崩壊といいますか、を加速するのではないかという実は心配がございまして、あえて向こう傷を負うのは承知の上で、いずれ良くなると言ったのでは印象が薄いものですから、桜の咲くころ良くなると申しましたら、三月になってもなかなか良くならない。』

何と申しますか、尾身経済企画庁長官(当時)の向こう傷で済めば別に良いんですけど、経済企画庁の見通しってそれだけで済まないもんでしょとはさっきも申し上げましたが。

『東京の桜か北海道の桜かというようなことを国会でも聞かれましたし、そのうちに、まだまだ景気の状態が厳しかったものですから、今年の桜か来年の桜かというようなことも聞かれて大変に苦しい思いをしたのでございますが、つい一、二年前、ある銀行の幹部の方にお目に掛かったら、あのときの発言で実は日本経済が大変助かったというようなお話も伺って、感無量の思いがしております。沓掛議員におかれまして、そのことについて御理解をいただいたことに対して心から感謝を申し上げる次第でございます。』

どう見ても馴れ合いです。本当にありがとうございました。


○民主党ブーメランの法則

11月2日の参議院予算委員会では日銀の半期報告がありまして、その中で大久保勉委員が日銀の金融政策に関する発言などに物申しております。例によってその他にも色々な話をしているので当該部分だけ引用しますが。

(大久保委員)
『そこで質問なんですが、こちら新聞記事、これは読売新聞朝刊、三月九日の記事であります。見出しは「量的緩和解除へ」「日銀、きょう最終判断」ということです。じゃ、これに対しまして、まず三月六日から九日の総裁記者会見終了時までブラックアウト期間であり、さらには、総裁以下政策決定会合出席者全員がマスコミや市場関係者等に面会したり外部に対する発言をすべきでないということは、イエスかノーかで端的にお答えください。』

ということで、当然ですが「原則としてノー」という話をしているのですけど、それに対して大久保委員は詰めた後にこんな話を。

『このブラックアウトルールに関して、実際の運用に関して原則という言葉は何もありませんが、非常に、原則という言葉を使わないといけないほどに何か困った状況だと私は推測しました。』

と、推測するのは結構なのですが、実はこのブラックアウト期間でありますところの3月6日に参議院予算委員会が実施されておりまして、この時に福井総裁は参考人として出席しております。

で、(URLは長くなるので割愛しますが、上のほうで書いた国会会議録検索システムで検索キボンヌ)この時の会議録から発言順の見出し(フレームの左側に発言順に名前が出てる)を見ますと、福井総裁が答弁を最初にしたのは民主党の平野達男委員の質問に対してなんですな。勿論質問内容は金融政策に関する話でございます。

ちなみに、ブラックアウト期間であっても国会での質問があった時に答えるのは例外(規程なのか運用なのかはちと咄嗟に覚えておりませんが)でございますので、この時の福井総裁の対応は別にブラックアウト違反でも何でもないですが、大久保委員が『原則という言葉を使わないといけないほどに何か困った状況』ってのはお前の所属する政党が困った状況をつくってるんですが何か?という感じで思わず読んでて「質問前には下調べくらいちゃんとしとけ」と思うあたくしなのでありました。元々このひと証券会社勤務でしょ?勘弁して欲しいですな。

しかしまあ「困った状況だと推測しました」とか言って一本取った積りなんでしょうが、どう見てもブーメランです。本当にありがとうございました。

ちなみに、質問の基本的趣旨は「新聞なんかにリーク記事みたいなのがでるけどあれはどうなっているんだ」という切り口なんですけれども、あれじゃあ追及にも何にもなってないでしょ。まあ10点満点で3点といった所でしょうか。

久々に国会会議録ヲチしてたら他にも気が付いたのがあるんですけど、時間の都合上今日はこんなところで。

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2006/11/10

お題「経済財政諮問会議は踊りそうな悪寒/その他少々」

ネタも一巡したので経済財政諮問会議でも見てみましょうと思い、実質第2回の諮問会議会議録を読んでみましたが、論議には何かアレなものを感じてしまうのですが。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1102/shimon-s.pdf

○農業分野に関する話はあたくし素人なんですけどね

この時は「グローバル化改革に向けて―EPA交渉の加速を中心に―」というののが集中審議のお題だったんで、当然ながらEPAに関する議論が多かったんですけど(全21ページ中の本文が20ページありまして、14ページがその話)、そこを読んでてちょっと気になった応答があったのよね。あ、ちなみにあたくしは農業に関するお話はドの付くシロートですのでそちらに関する意見はないんですけど。

会議録13ページ目のあたりで農業の生産性向上というお話で営農の集約化とか株式会社の参入とかいう話をしてまして、そこでのお話。

『(麻生臨時議員)何となく農林水産省が農林の話をするとみんな色眼鏡を使って見るのが癖だから、これは止むを得ぬところである。一つだけ現実問題として、米は海外では幾らで売られていると思うか。日本で60 キロ1万6,000 円である。60キロ1俵、海外だと幾らぐらいだと思われるか。』

『(松岡臨時議員)台湾はキロ1,000 円以上で売っている。だから、我々は売りたいのだ。1俵6万円以上というのはざらである。』

『(麻生臨時議員) 実際に100 万トン以上も売られたら、今度は日本で米がなくなる。100 万トンの分だけキロ1,000 円で売らせてもらったら、農業の収益は全く違う。』

エライ景気のいい話をしてるんですが、「日本で米がなくなる」ほどの量を売りに行ったら、需給バランスが狂って価格が物凄い勢いで下がると思うんですが・・・・・・

ま、麻生さんのことですからその辺は判ってて敢えて威勢の良い話をしているのだと思いたいですが、ファンと致しましては少々引っ掛かるものを感じてしまいました。

なお、麻生さんのためにこの発言の後半部分を付け加えると、何となく説得力がありそうに見えます。しかし台湾だったら恐らく日本と似たような米を生産してると思うんで、キロ1000円ってのはブランドプレミアム米特別値付けだとは思うんですけどね。

『(麻生臨時議員) 実際に100 万トン以上も売られたら、今度は日本で米がなくなる。100 万トンの分だけキロ1,000 円で売らせてもらったら、農業の収益は全く違う。私どもは経営者だったから、どうもそちらの方に目が行く。寿司のおかげ、日本食のおかげで、今はナショナルの炊飯器はやたら中国人が買っているのが秋葉原の現実である。そういった現実を見ると、私も農業に関して外務省に来るまでそんなに詳しくなかったが、現実問題としてえらいことになっている。日本食が非常なブームになったと思っているが、これが農家にとってはものすごく大きな収入になる。』

「秋葉原の現実」という部分に微苦笑。


○ここの質疑応答は香ばしいものを感じますが

同じく農業分野のお話。この話の続きで、民間議員の丹羽さん(伊藤忠商事会長)が指摘したことに対して松岡臨時議員(農相)が返してますが。13ページ目から14ページ目のあたり。

『(丹羽議員)でも、コストが高いことは間違いない。アメリカの7倍ぐらいだと思うが、それをできるだけ国際競争に勝てるようにしていくのが日本の農業を強くする道である。』

農業って多分与えられている条件制約が強いと思うんで、丹羽さんが持ち出す「アメリカと比べてどうこう」とか言うのも変な話だと思いますが、これに対する松岡さんの反論は話がどう見ても噛み合ってませんが。

『(松岡臨時議員)日本の米と競争できる世界の米というのは、カリフォルニア米と中国の東北地方の米しかない。長粒種のタイ米はあまり食べない。ベトナム米も。だから、カリフォルニア米は、大体1俵8,000 円〜9,000円の間である。だから、逆に言うと、それが日本に来て競争するとなると、日本米の方がうまいから、日本米と同じ値段なら誰も買わない。そうすると業務用として、カリフォルニア米は1万2,000 円〜1万2,500 円である。それでないと買わない。これはSBS(売買同時入札)というやり方で売る値段と買う値段を決めるが、8,000円以上する。中国のものも、日本に来るものは向こうの国内での値段は1俵8,000円ちょっとしている。だから7倍とかそんなことはない(後半は割愛)』

生産コストの話しをしてるのに実売価格(ってそもそも関税混みでしょ)の話で切り返すのは話合ってないと思うんですが・・・・・それにカリフォルニア米が日本米と競争しようとして何で8000円がいつのまにか1万2000円になるのかが良く判らんのですが。

ちなみに、後半の引用は割愛しましたが、そこもまた読んでて何だかなあというお話でしたので是非ご一読をお勧めしたいです。さっきの「キロ1000円を100万トン」の話なんですけどね。


○えーっと、それは御社のお話でしょうか

肝心の金融政策がらみの話(マクロ経済政策に関する議論)は華麗にスルー致しまして、まあそのマクロ経済政策の中で景気に関する話になったところで甘利議員(経済産業相)がこんなお話を。

『(甘利議員)現在の日本の景気回復は設備投資が牽引していて、消費になかなか点火しないのはどこに原因があるのか。八代議員からは、雇用者所得がなかなか伸びないという指摘があった。(長いので割愛します)いずれにしても、大手企業が過去最高の収益を更新するニュースが流れる中、なかなか雇用者の所得が増えないのは、国民的には若干違和感があるのではないか。設備の更新、株主への還元、内部留保、これらは大事なことだが、企業から家計への所得移転についても、少し思いを馳せていただきたい。増えれば使うのであって、消費が拡大すれば、更にまた景気回復に寄与するのではないか。』

で、これに対して福井議員(日銀総裁)が「企業の置かれている国際競争が厳しく、人件費に対して慎重なスタンスを崩していないのが原因なのではないか(意訳)」という話(の他に別の話をしててそっちの方が長いのですが)をしていましたが、『企業から家計への所得移転についても、少し思いを馳せていただきたい。』という言葉に大手企業の経営者であらされるところの丹羽議員早速反応。

『(丹羽議員)福井議員の言われるとおりだと理解している。ただ、甘利議員の言われた給料について、所得移転は現実に少しずつ起きている。フリーターや、非正社員の時間給が、確実に15%や20%上がっている。新入社員の初任給は、これまた確実に10%以上上昇過程にある。(後半割愛)』

まじっすかあああああああ!!!!!

ちなみに、経団連様が会員企業に対して行った給与本年4月の新入社員の初任給調査というのが公表されておりますのでそちらのURLを置いておきましょう(PDFです)。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/062.pdf

初任給を10%も上げたら給与テーブルも物凄い勢いで上昇すると思いますよ(初任給だけやたら低いのなら無理かもね^^)。ということは伊藤忠商事ご勤務の皆様来年が楽しみですねえ。ウラヤマシイナー。

なお、最後のまとめ的に安倍議長(当然首相ですな)が発言するのですが、その中で当然ながらこのようなお話をしておられます。

『また、丹羽議員から、だんだん企業の収益が個人に移転され始めており、フリーターや非正規の人たちの給料も15%上がっているという御発言があった。我々はいつも国会で、企業は収益を上げているが格差が広がっているではないかという厳しい指摘をいただいているので、そういう調査結果、指標があれば、是非出していただきたい。』

あたくしも是非拝見させていただきたく存じます。

・・・ということで、経済財政諮問会議での素晴らしい議論はいつもながらネタになりますなあというところでございます。機嫌の宜しい時に読むのが吉かと。


#軽く済ませる積りが引用多くて結構長くなったのでおまけに小ネタ。

○これは酷いBOJウォッチャーですね

と言いましても特定個人のお話ではなくて某金融新聞のお話。

どこぞの金融専門新聞の2面記事というのがツッコミどころ満載で機嫌の良い時に読むと実に結構なものなのですが(笑)、その2面左上にある定例コーナー(書いている人は何人かいるようですが)の「BOJウォッチャー」欄で水曜日の水野審議委員講演について書いております。

内容にもツッコミどころはあるのですが、それは面倒なので華麗にスルーしながら読んでいたのですが、最後の部分で思わず顎が外れそうになりました。曰く、

『そもそも非公開の講演の内容をなぜ今回は明らかにしたのか。債券相場が大きく動いたことを考えれば、今回の講演録公表は日銀が重視する「市場との対話」に課題を残したものといえる。』(11月9日日経金融新聞2面「BOJウォッチャー」欄より)

えーっと、つい半月ほど前に御社の太田編集委員さまが御社のサイトで福井総裁の非公開講演に関して大変に厳しい物言いをしておられまして、非公開での講演でCPIに対する見方について言及したことを『「公平な情報開示」欠如、市場への背信行為 』と仰せでしたが。
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/ota/20061019nb9aj000_19.html

書いている人が別だと言っても、幾らなんでもそりゃ酷いんじゃないですかい?

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2006/11/07

○一つ一つはご尤もでも・・・・

あたくしがこれを書いている時間には日経新聞のWebには載ってなかったようですが、時期政府税調会長予定の本間センセイが日経新聞のインタビューで証券税制軽減延長に否定的なお話をして、金融商品一体課税の構想を提唱しているそうで(ソースはモーサテ^^)。

モーサテに出演してたゲスト解説の人も言ってましたが、そりゃまあ金融商品一体課税は構想として美しいですけれども、配当2重課税の問題とか他に処理することあるだろうし、美しい構想言うだけなら誰でも出来ます罠ってのには激しく同意。

一方で昨日も国会では減価償却制度の見直しの話が出てましたが、これまた話としては結構なのかも知れませんけど、法人税実効税率引下げ(これも活性化という意味では別に間違った話ではないと思う)と言い、法人課税の負担軽減の話が出てる中で証券税制の軽減は延長ですかそうですかって考えると何だかな〜感を強くするのでありました。企業部門の好調さの家計部門への波及が遅れているという経済状況があるということになっているのに企業部門の税負担を軽減する方向ってのが根本的に変ではないかと思うのですが。

何と申しますか、一つ一つの話はご尤もなんですが、トータルしてみると話が変じゃねえのってのは別に今に始まった事ではなくて、ミクロ介入の権化状態になっていた(今でもそうだとは思うけどね)金融庁の「一つ一つの言ってる事は正しいけど、全部トータルすると広げた風呂敷の左と右で違うことをやっている」(=色々あるけど、「リレーションシップバンキングをやれ」と言いながら「融資でスコアリングモデルを使うことを推奨」するなんてのが典型的な矛盾ですな)政策が今政権になって更にスケールアップされているのでは無いかという風に思う次第。誠にガクガクブルブル(風邪のせいではない)でございまする。

経済政策だけではなく、どうもシロート目に思うに看板政策らしい教育に関しても何か「一つ一つはご尤もですが・・・」になってるんジャマイカという気が少々するのですが、まあとりあえずその話はいずれ。

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2006/11/06

○国会で日銀半期報告

先週木曜は参議院財政金融委員会で日銀半期報告がございまして、半期報告だけに皆さん勢揃いで出席して午前午後とやっていたようです。会議録が出るのは例によって最低1週間はかかるので後日またチェックしようかと思います。

ブルームバーグニュースが本件について11日16時12分に記事を配信していまして、答弁内容を拝見したのですが、基本的には展望レポートや総裁記者会見と同じ話をしているように見えました。なお、記事では触れられていませんが、別の切り口からの質問が民主党の大久保委員からあったようですな。本石町日記さんのところで知ったんですが(惜しくも内容が判らんが、空振りだったようです)。


○あたくしの探し方が悪いのかもしれませんが

日曜に過去の駄文整理帳(サイトともいう)の更新をしててふと思い立って日銀のウェブサイトにある日銀政策委員のプロフィールへのリンクを修正しようとしたら驚愕の事実が。

・・・って別に大した話じゃないんですけど(笑)、中原眞審議委員のプロフィールまでは日銀のサイトにあるのですが、リニューアル前にあった植田前審議委員と田谷前審議委員のリンクが切れてて、ログが残っていない(そりゃまあGoogleのキャッシュとか見れば残ってるでしょうがそれは別問題)んですなこれがまた。

いやあたくしの探し方が悪いだけなのかも知れないですけれども、一応考えられるファイル名を打ち込んだりしてトライしたんですが、どうもサイトをリニューアルした時に、その時点までに退任していた過去の審議委員(副総裁の確認はしてない)のプロフィールはリニューアル対象から外れたようですな。

まあ確かに分量が増えすぎたらスリム化ってのも必要なのかもしれませんが、ちょっと残念に思うのでした。それから、以前も悪態つきましたが、サイトリニューアルに伴い過去の政策委員講演やら会見要旨などのアドレスが全部変わってしまい、過去のアドレスから飛ぼうとすると「ページを表示することができませんでした」になっちゃうんですよね。リニューアルでサイトの階層が複雑になったし、どうも未だに使いにくくなった印象が強いです。

元に戻せとは言いませんが、何かサイトデザインした人が色々考えたんだろうなってのは判るけど、企画倒れ(失礼)の感が拭えないのでした。

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2006/10/31

○その他雑談

・民主党の日銀法改正案??(内容を知らずに書く)

総裁のファンド出資問題に絡んで日銀法改正案を民主党が提出すると朝のテレビニュースが報道してましたが、報道によると服務規程を法案化するんですかそうですか。服務規程変えるたびに日銀法改正とかいう間の抜けた事態が起きるような気がするんですが。

何か国会の質問もそうなんですが、やってることピントずれまくりですな。


・法人税の実効税率引下げの話に関して

ソースは失念しましたが、「上げ潮」路線の一環で法人税の実効税率引下げ話が出ているようでして、どうも法人税の実効税率下げによって企業活動を活性化して、設備投資の拡大やら雇用環境の改善につなげるって理屈のようなのですな。

あたくしが勝手に愚考するに、いわゆるダム論の話になっちゃいますが、実感なき景気回復/拡大というお話の中に、上流(大企業を中心にした企業部門)に溜まった水(収益)が中流下流に思ったほど流れてないという点が指摘されていると思う次第でして、上げ潮したいんならどっちかというとダムの上より下のほうをケアーすべき話なんじゃねえのかと思うんですけど。

法人税の実効税率引下げする余裕があるんでしたら、定率減税廃止をストップした方が個人消費にまともに効いて来るとか言うのはポジショントークが入っていないとは申しませんが(笑)、何か力を入れる方向が微妙に変な気がするんですけど上げ潮路線。


・ソフトバンクモバイル

サービスインする時にてめぇのインフラ整備をしないで発車するというのはヤフーBBの時に派手にやらかしてくれているので、ここまで来るとお約束のネタ状態。様式美まで感じてしまいます(嘘)。まあ他の2キャリアとの罵り合いが実に香ばしい状況になっているのを楽しむしかありませんな。中の人たちにはお疲れ様としか申し上げようがございませんが。

#そのうち街で赤装束軍団が「携帯端末0円」と言って端末配りだしたりして

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2006/10/30

○経済番組なんだから幾らなんでもそれは・・・(金曜の続き)

金曜に予告編と書いた話の続き。

先週火曜のモーサテでゲスト解説として出てきたのが毎度お馴染みの円安資産インフレ提唱のおじさん。金曜に申し上げたように、このおじさんは「国の借金680兆円」という現実から「金利が上昇したら利払い負担が増加して大変なことになる」というお話をしまして、「だからこそ円安で資産インフレ」という毎度お馴染みの主張から提言したのが「日本国がドル建て国債を個人向け発行する」というもの。

で、そのスキームを説明してたんですが、まあ要するに個人にドルを買わせれば、基本的に持ちきりになるので円安圧力になりますよって話なんですが、この説明をしているうちに本村ゆっこ様も何か変だと思ったのかちょっとツッコミを入れていたような気が(現実に突っ込んだのか、突っ込みそうな空気を察知しておじさんが先回りして話をしたのか忘れましたが)致します。

根本問題として「金利が上昇すると大変なことになる」というのがどうなのよという話はさておきまして、もっと単純なツッコミを致しますと、そもそもドル建てで国債発行したら利払い負担がドル金利ベースになるのでまさにその「大変なこと」が発行時点で発生するという大変香ばしい事態になりますわな(笑)。

で、その点について説明途中でおじさん気が付いたようで、「国の発行コストは為替ヘッジをすれば円ベースの低金利に転換できるので無問題」という補足をしておりました。はてさてそうするとどうなるかという話ですが(先週の火曜はここで自分の書いてる説明を読み返して納得いかなかったので20分間掛けて書いたものをばっさり削除^^)、図じゃなくて文で説明するとアレですが、箇条書きにしますと・・・・・

金利部分の関係
・日本の購入者:ドル金利を受け取り
・日本政府:ドル金利の支払いを円金利ベースに直すために為替市場でヘッジのドル売り円買いを先渡しで入れる(期間を短期で取るのか長期で取るのかというのはあるけど)=日米金利差がディスカウントになるので高金利通貨売れば受取超になる

元本部分の為替
・日本の購入者:手持ちの円を売ってドル買って政府に払込
・日本政府:入って来たドルを上記のようにヘッジするのでドル売り円買いを実施

・・・・どう見ても意味がありません。本当にありがとうございました。

#つーか手間隙書ける分だけ執行コストで損するだけです


という頭の体操を致しましたが(笑)、いやあのね、モーニングサテライトって一応経済番組として認知されているんですから、あんまり無茶苦茶なものは頼むから放送しないで欲しいと思うんですよ。今月は11日の朝にも別の人が「内閣支持率と株価の関係」とか言って「内閣支持率が就任から退任までの間に下がると株価が下がる」とか因果関係逆だろうって話を堂々としてましたが、個人向けドル建て国債提言の場合は根本的に話が間違えてますから救いよう無し。

月に2度のペースでそれは如何なものかモーニングサテライト。


○尾身財務大臣メモ

手元のメモやら資料がぐちゃぐちゃなので記憶ベースですが。

金曜の尾身財務大臣ですが、国会(手元のメモがぐちゃぐちゃでどっちだか判らん、汗)で尾身財務大臣は海外投資家の国債投資に関して「短期的に売買をする投資家の購入が増えると国債市場が不安定化する恐れも」というような趣旨の答弁をしていたそうですな。

勿論、その答弁の中で「長期に渡って安定的に保有する海外投資家の購入が増えることは望ましいことだ」というお話もしておりまして、全く仰る通りかと存じますが、最初のヘッドラインを見たときにあたしゃー「まー海外IRやってる後ろから何て素敵な銃撃♪」と感心したのでありました。ええまあ勿論財務省の海外IRは別に一部のアクティブファンドのおもちゃにして貰うためにやってる訳ではございませんで、本来の趣旨は海外投資家に長期安定保有して欲しいって事でしょうから、財務大臣の仰ることその通りなんですが。

ただまあ発言順にヘッドライン出ますし、聞いたほうの印象もまた発言順になる訳ですから、この答弁は短期売買云々は余計で、国内外問わず長期安定保有する投資家が増える事が望ましいって話をすりゃあ良いんでしょうな。尾身大臣は中々イイヨイイヨー。

#ま、そんな悪態ついてるあたくしも咄嗟にそこまで考えは及ばないと思う次第でして、そう考えるとヘッドラインリスクが全然無さそうな武藤副総裁って凄いお人でございます。

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2006/10/27

○尾身財務大臣にワクワク

昨日は朝というか寄り付き前から話題になってたのが尾身財務大臣の米WSJ紙のインタビュー記事(を伝えた記事^^)。肝心の本尊の記事を読む前に本業が多忙になったので日本語ベースの報道を読むの巻でございますが、26日8時32分配信のブルームバーグニュースによりますと、『尾身幸次財務相は日本銀行に対し、当面は低金利政策を維持し、経済成長を支援するよう要請した。尾身財務相とのインタビューを基に伝えた。』そうですな。

いやまあ元記事見てないからアレなんですが、タイミングがタイミングなだけに日銀への介入っぽく取られそうな発言をしちゃうのはちょっとねえってのが。いやまあ今までもそういう発言が財務省筋から出てたとは思うのですが、ロジックとして「デフレ脱却の為に量的緩和(あるいはゼロ金利)を維持してくれ」という話。「成長支援のため」ってのはちょっと話が違うんジャマイカという希ガス。(10月29日追記:ちと端折りましたが、インタビューの中では個人的見方としてデフレは脱却しているというような発言もしてまして、従来のロジックと話がちと違っているなあって意味合いです)

で、まあそんな発言が報じられた日に三菱東京UFJ銀行のディーリングルームを見学したそうですな。後から報道された結果を見ると、どうも素でただの「お勉強の見学会」だったようですが、当初ニュースが出た時には「見学して為替市場で意見交換」とヘッドライン打たれてましたんで、「何か市場に対してコメントするのか」と思わず身構えて(というのは大げさですが)しまいました。朝のWSJのインタビュー記事で「金利についてコメント」が出た直後だっただけにね。ちとタイミングが・・・・

何と申しますか、ここのところ割と安定感のある大臣が続いてた財務省なんですが、ヘッドラインリスクのある人が久々に登場したなあという感じでして、今後もこの大臣様にワクワクさせていただけるものかと存じます。

○驚愕の珍説(予告編)

この前書きかけて全部削除したお話というのがあったのですが(24日のお話です)、人と話していて頭の整理がついたので今日のネタにする積りだったのですが時間切れの為に予告だけ。

24日火曜日のモーニングサテライトに毎度お馴染みの円安資産インフレ提唱の某氏が登場して「(個人向け)ドル建て日本国債発行の勧め」というのを説いていました。で、これがどう考えても無意味なお話なのですが、無意味さについて書いているうちにこっちの頭が混乱したのでばっさりと駄文を削って20分を無駄にしてしまったあたくし。

この理屈のホネは、「国の債務が680兆円あるから金利上昇すると大変な話になる」「だから円安で資産インフレ」「その為に個人向けにドル建て国債発行して、個人のドル投資を国として推進して円安に」って感じだったんですが、では何故それは変かという話については週明けにでも。まあ簡単な話なんですが、こういうのってマネーとか金利のフローを図にしないで、こうやってキーボード叩いてるだけだと頭の中が混乱するなってのが判りました(^^)。

で、まあモーサテ制作の皆様におかれましては、ゲスト解説で出てくる人の話って(フリップ作ってる位だから)事前に確認してると思うのですけれども、あまりにもネタ臭が強すぎるものは一応却下された方が良いのではないかと思います。しょうもねーとか思いながらも、他に見るものないですから一応市場の中の人とかも見てたり見てなかったりする番組ですんで、あまりにもそれはってのを出すのはどうかと思いますよ。

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2006/10/23

○結論部分は同意だが途中の立論過程が無理矢理すぎます

Baatarismさんのブログで(http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20061020)知ったのですが、日経新聞太田編集委員が「福井総裁の新たな火種」ということで"不適切な講演"についてNIKKEI NETに記事を書いておられたそうです。当該記事はこちら→http://www.nikkei.co.jp/neteye5/ota/20061019nb9aj000_19.html

えーっと、こちらのコラムによりますと、9月4日に福井総裁が不動産証券化協会(http://www.ares.or.jp/)で講演した時にCPI改定に関するコメントをしたということだそうで、その講演が非公開のものであり、(正直あたくしも全然知らなかった)9月8日の定例記者会見の前に非公開の場で金融政策に関する発言をするのはケシカランという事でございます。こちらの記事によりますと、福井総裁はこのように発言したそうです。

『消費者物価の改定値が予想を下回ったことで、市場が反応を示しています。現在、市場の反応と私たちのベーシックな判断との間にギャップがありますが、無理にギャップを埋める必要はありません』

また市場水準について語っていたのかよという感じで呆れてしまうのですが、何も非公開の場でそういう話をするこたあねえだろうと思う訳でして、この発言に関して太田編集委員が『公平な情報開示を求めた「日本銀行員の心得」に違反するとともに、公平な市場への背信行為にあたるといえる。』と指摘したことに関しては、(8日の定例記者会見前の発言だったことから)背信行為とまで言うかどうかはともかくとして適切な発言だったのかは疑問が。

9月8日の決定会合の日のあたくしの手控え帳面を見ると、「福井総裁会見で長期金利低下の牽制発言無かったことから引け後に先物上昇」とありまして(翌日から夏休みだったのでメモがかなり雑だわ^^)そういえばこの週は「定例記者会見で総裁が長期金利低下について牽制発言をするんじゃないか」という話が聞かれていたのを思い出しました。「そんな発言する訳ないじゃん」と思った(し駄文でも書いた気がする)のですが、もしかしてもしかすると背景にこの発言があったのかなあ??単なる脳内妄想だから思いっきり外しているかも知れませんので念の為。


・・・と、まあここまでは良いのですが、太田編集委員と言えば日経ウォッチャー(人の借りて読んでるだけですすいませんすいません)の間では「やたらと日銀批判記事を書く」人だけど、「立論過程が無茶な記事になる」ということで著名なお方でもございまして、途中の話が正直無茶苦茶過ぎでして、市場の中の人が読むと説得力が超越的に失われるという残念な点がございます。何か個人的に日銀に含むところでもあるんじゃないかと想像しちゃうような日銀悪玉論なんですけど、過ぎたるは及ばざるが如し。

・発言内容は物凄く重大だったのか

『基準改定を日銀がどう受け止めるかは、年内利上げの有無を探る市場の最大の関心事だった。』(上記コラムより)

Google大先生で「CPI 基準改定 影響 金融政策」とキーワード並べて検索をすると、あたくしのPCでは最初にヒットしたのが8月29日の本石町日記さんのエントリーで、その次は大和SMBCが8月28日に出したレポートなのでした。

本石町日記さん→http://hongokucho.exblog.jp/5581825
大和SMBCのレポート→http://bond.daiwasmbc.co.jp/kinyu/bojw236.pdf

まあ中身はURL先をご覧いただきたいのですが、当代切っての日銀ウォッチャーの方2名の見解はいずれも「基準年改定そのものに関しては金融政策に影響を与えるものではないでしょう、日銀は自然体」というものでございまして、その点から申し上げますと、指摘された福井総裁の発言に関しては(市場動向にコメントしている点は如何なものかと思うが)既にそういう発言をするでしょうと予想されているお話ですし、その発言が定例記者会見で出た8日引け後は長期金利低下の牽制発言が無かったということで相場が上昇しておりますわな。

残念ながら「市場の最大の関心事」なのかというとそれは「否」と申し上げてしまいますな(そりゃまあ「CPI改定でデフレ懸念だ大変だ」とか言うのならサプライズでございますが、んなこたあねえ)。それに、CPI改定が出てくる前から「金融政策は総合判断」という予防線(苦笑)が出てましたし。


・この「情報」で儲かったんでしょうか

『福井氏は空白の4日間を作ることで、金融機関や不動産会社が講演情報を元に債券や株式を売買できる物理的な余地を与えたことになる。』(上記コラムより)

9月4日の講演ですから5日の寄り辺りから見るのかもしれませんが、この週は金曜日に先物が下落しましたが、トータルで見てまあそんなに下がっておらずおまけに8日の会見後は相場上昇し、週明けの11日には衝撃の機械受注統計で相場が大爆発しましたですな。残念無念。


・それはちょっと・・・

『その講演は福井氏が株式を保有する不動産会社の社長からの依頼で実施していた。』(上記コラムの冒頭部分より)

もちろん記事の中にはこの講演が「不動産証券化協会」で行われたという事が書いてありますが、これじゃあまるで不動産会社が単独で行ったセミナーでの講演みたいな印象を与えると思うんですが、最初にこういう書き方するのがテクニックなんだなあとその点では感心しますけど。

で、くだんの不動産証券化協会ですけれども、そのメンバーを見るとこんな感じ。
http://www.ares.or.jp/ares/officer.html

どう見てもただの業界団体で、金融業界入りまくりです。本当にありがとうございました。

ということで、折角の指摘なんですが、話の展開に「???」があるので説得力が落ちているのが誠に残念なコラムなのでございました。

・そもそもですな

と、立論過程にイチャモンをつけさせていただきましたが、論議のキモでありますところの「金融政策に関する情報発信は全て公開で行うべし」というのはあたくしも同意したい所ではございます。

でもね、その結論出すんだったら「展望レポートのリークかと思しき記事」とか「新しい金融政策に関するリークかと思しき記事」を決定会合の何日も前に掲載している新聞はどこの誰だったっけと小一時間問い詰めたくなりますし、それなら「単独インタビュー」も止めてくれませんかねえと嫌味の一つも言いたくなってしまいますですな。

ま、福井総裁がサービス精神旺盛で、いらん事を喋ってしまうというのは(例えば本件だって別にそんな発言しないで金融政策に関する基本的な話を繰り返していれば全く問題視されるようなものでもなかったと思いますが)今に始まったことではありませんが、まあ勘弁頂ければと思うのでございます。脇の甘さは相変わらず感じますなあというところでございます。

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2006/10/11

○それは因果関係逆だろう

今朝のモーサテのゲスト解説には感動すら覚えました。「株価と内閣支持率」というお題だったのですが、宮澤内閣以来の就任時、退任時のデータを持ち出して「内閣支持率が下がると株価も下がる」という結論を導いているのですが、常識的に考えて因果関係は逆だろう・・・・・(-_-メ)

ネタが無いからと言ってトンデモに走るのはテレビ東京如何なものかと思いつつ、あたくしとしても我が身を振り返り自戒致したく存じます。


○団信には良い団信と悪い団信があるようです(雑談です)

あんまり消費者金融ネタをちゃんとフォローしてるわけでは無いので、この話もネットやら今朝のニュースやらで知った次第なのに物申すのもお恥ずかしい話ですが。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20061010i211.htm
アイフルも「借り手保険」廃止…大手4社足並みそろう

ということで、いずれ記事はアーカイブになっちゃうのでかいつまんで書きますと、要するにローン契約者に消費者金融会社が付保している団体信用生命保険(金融業界では「団信」と呼んでます)を廃止するって話でして、記事でもニュースでも言ってましたが、『「命を担保に取っている」と社会的な批判が高まっている』そうです。いや全くですよ、さいむしゃがしぬとろーんがかんさいになるなんてとんでもないはなしです(棒読み)。

えーっと、銀行や住宅ローン会社(その他でも同じ)で住宅ローンを借りると団信に加入させられる(と言っても保険料は債権者が負担。これはどこでも同じ)のですけれども、消費者金融の団信が社会的批判を浴びるのならば住宅ローンの団信だって社会的批判を浴びると思うんですが、世の中には良い団信と悪い団信があるですかそうですか。それとも消費者金融が団信を利用するのは制度の悪用とでも言うんでしょうかねえ。団信をあたかも「債務者に保険を掛けさせて自殺に追い込む」ようなものと勘違いして社会的な批判とやらが発生してるのではないかと。

#過酷な取り立ての段階で「団信で返せ」みたいなケースがあるのかも知れない(というかそういう事例があるから批判になってるんでしょうが)けれども、その批判は団信ではなく過剰に厳しい取立て行為に対して向けられるべき物なんじゃないのかなあ

何かね、ここまで来ると「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の世界になってるんじゃないのかって感じです。消費者金融問題に関しては別に現状に問題が無いなどという積りはさらさらございませんが、それにしても何か改善しようとしてあさっての方向へあさっての方向へと突き進んでいるように思えるのは気のせいでしょうかねえ。

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2006/10/05

モーサテの「歴史的な日」連呼にムーシャ先生のご託宣「バスに乗り遅れるな」と北ハマー先生のお告げというコンボの恐ろしさに感動を覚える昨日の株式市場ではございましたが(-_-メ)、今朝6時の公共放送様トップニュースがNYダウ最高値更新と来たもんだ(6時半のトップはGMと日産・ルノーの提携交渉話)。

しかしこういう髪技を見てると、相場って何なんだろうなと思ってしまうのです。何年やってても奥が深いとしか申し上げようがございませんです。あ、そんなもんを一々注目するお前の方がおかしいとかいうツッコミは却下です(^^)。

追記:これだけでは何の事か判りにくいですが、NYダウが2001年の高値を更新して、モーサテ大騒ぎ、武者先生のレポートに北浜先生のブログで大喜びと来たら、いきなり日経平均が下落してしまったという笑うに笑えない事態が発生したのですよ。10月4日は。

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2006/10/04

○急に新聞報道が景気回復利上げモードになったのは?

毎度お馴染み本石町日記さんが興味深いエントリーを。→http://hongokucho.exblog.jp/5802684

何か今週になって急に景気回復物価上昇ですよって記事を日経を始めとして新聞やらテレビ報道で出てきてるのは金利市場的には「????」感を持っていたのですが、今回は本石町さんの指摘と同じで日銀の地均しという感じは見受けられないです。それならそもそも野田審議委員のインタビュー記事であんな内容にはならん訳で、あの記事が出た直後に景気回復物価上昇利上げモードになるのは動きが正反対もいいところ。

で、まああたくしが勝手に脳内妄想を逞しくすると、これはまあデフレ脱却宣言に向けた地均しなんですよきっと。新政権になってからの景気付けにって感じがするんですけど。大体(本石町さんも指摘してますが)政権メンバーが日銀に冷淡というか事有らば日銀の足をすくいそうな面子が揃ってる上に、別に経済状況的に利上げ急ぐメリットは日銀に無いと思いますんで。

そんな中で昨日は尾身財務大臣様におかれましては、記者会見で「デフレ脱却宣言やってもよいのではないか」「今の段階でやらないのは不自然」と仰せ(ブルームバーグニュースのヘッドラインより)との事でございまして、経済企画庁長官時代のアレな大本営発表発言を思いだしてしまい、誠に何ともうしますかという所ではございますです(←これじゃ何言ってるかワケワカランですな、あっはっは)。

とは言え、新聞報道というのは恐ろしいもので、こういう論調が並ぶと立派なお部屋で新聞読んでおられるエライ人たちはそれはそれで影響されちゃったりするところがまたアレな所でございますので、このトーンがいつまで続くのかは注視したいものです。と言いながら日経購読してないんですけど(爆)。



○メモメモ(与太話です)

bewaadさんのコメント欄(9月22日のエントリー分です)で知ったコラムをブックマーク。→http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/51/

竹中氏は与謝野氏に追い落とされたとの森永卓郎センセイの見立てですが、閣僚や補佐官人事からはどう見ても逆にしか取れません。本当にありがとうございました。

っていうか、このSAFTY JAPANとかいうのは以前量的緩和解除に関する言説で信じ難い怪電波を発しているコラムを発見してネタにした事がある(しかもその時は気が付かなかったんですが、よくよく読んだらコラムのお題が「量的規制緩和解除は・・」とかなってたんですよ。総量規制と量的緩和がごっちゃになってますな^^)んですが、ここはもしかして怪電波発信所なんでしょうか。そしてそれを「SAFTY」の冠つけたコーナーで発信するとは大丈夫か日経BP。

しかしまあ自宅に立派な棚作って立派な模型コレクションを並べてるのを「自慢のコレクション」とか言ってテレビで自慢してる大先生様(たまたまどっかの番組で見たんですけどね)に「拝金思想を疑え!」とか言われても「オマエモナー」としか返しようがありませんな。

#笑えるコラムだったのでついネタにしちゃいました。

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