金融政策概観(2013年度下期(2013年10月〜2014年03月))

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2013年度下期の見出し

2014/03/31「東京レポレートが集計以来初のマイナスに/企画局レポートネタの一部訂正」
2014/03/28「末初レートがゼロ近傍に低下/企画局から家計のインフレ予想の興味深い我田引水レポートが」
2014/03/26「謎の行動原則が登場するわ3年計画が5年計画になるわで謎の日銀経営計画などなど」
2014/03/24「木内、佐藤両審議委員が中々の講演を行い執行部2名の講演が霞んで見える件(メモ)」
2014/03/17「短国買入は2兆継続&貸出支援オペは3.5兆円実施/浜田先生遂に「どうして2%を目指さないといけないのか全く分からない」との妄言を」
2014/03/14「超長期輪番100億円減額をきっかけに交通事故下落で先物が瞬間1円安/3MTB入札は3bpに流れる」
2014/03/12「決定会合は体勢立て直して思いっきり追加緩和期待を打ち砕く」
2014/03/11「決定会合プレビュー雑談:前回のGDP発言の落とし前をどうつけるのか」
2014/03/10「短国買入は市場レート低下にもかかわらず2兆円継続」
2014/03/07「3MTBが入札後に3bp割れ」
2014/03/06「オペや長期債市場の動かなさを見ると追加緩和手段は非常に限られていると思う」
2014/03/05「各種係数を確認/伊藤隆敏先生の発言があまりにも酷くてお前はお前はそれでも学者かと申し上げたい」
2014/03/03「短国買入2兆円実施で金利は低下続きそう/佐藤審議委員も物価が単に上がれば良いのではないと講演」
2014/02/28「石田審議委員が講演でしらっと「帰属家賃除くCPIが2%に上昇している」と説明」
2014/02/27「石田審議委員もシマウマ説明を行っています」
2014/02/25「早速内閣参与から追加緩和クレクレ攻撃&浜田先生驚愕の「物価は重視していない」発言」
2014/02/21「金融経済月報は全く判断不変(なのに何故タイヤを変えたんでしょう)/森本審議委員もシマウマ説明」
2014/02/20「総裁会見での説明も従来の黒日銀に白日銀が混じっている感じですよ」
2014/02/19「2月会合での貸出支援措置フレームアップは色々と従来と違っていますよ」
2014/01/24「黒田総裁定例会見は物価パスの説明がかなり丁寧にされています」
2014/01/23「決定会合レビュー」
2014/01/22「MPM2日目になりますが何でこう海外の追加緩和期待が高いのかワケワカラン」
2014/01/20「決定会合プレビュー(追加緩和は無いと言う件)/中原伸之さん去年の正論をすっかり忘れて何言いだすの」
2013/12/30「MB中間目標は無事達成/1月の短国買入は2兆円×5回か/CPI堅調とな」
2013/12/27「MBの末残は見事に調整」
2013/12/26「来年のMB達成には「その他」部分が結構クリティカルになるという試算」
2013/12/25「国債発行計画/来年の国債買入額を月割りして計算すると今年対比減額になるのはその通り(メモ)」
2013/12/20「分かり切った事を独自取材の追加緩和ネタニュースみたいにして挙句に市場に影響とかBloomberg大丈夫か」
2013/12/18「PD懇より/日銀株式売却延期とな/謎の貸出支援延長検討報道byBloomberg」
2013/12/16「安倍ちゃんは政治資源をご趣味方面で使って欲しくないのですが」
2013/12/12「東電の融資を無担保にしろとな/石破さんも特定秘密法で怪しげな発言を」
2013/12/11「日銀がノリノリである/通常国会がこの調子だと最初から空転しそう」
2013/12/10「政治資源を経済政策以外に使う安倍政権の最近の運営に少々不安も」
2013/12/09「引き続き公的立場の人間としてあり得ない伊藤隆敏先生の発言」
2013/12/06「ニュースを見ているとどうも安倍ちゃんに微妙なアレがしてくるのだが・・・・」
2013/11/29「木内審議委員講演のロジックと異次元緩和イリュージョンロジックの間に真実はあるのかなあ(雑談)」
2013/11/25「公的年金諮問会議座長の伊藤隆敏先生のあり得ない不見識発言」
2013/11/21「公的年金に関する諮問会議報告が来ていましたが」
2013/11/20「国の債務在り方懇を読みつつ結局国債管理政策に日銀買入ががががという雑談」
2013/10/30「日経の滝田さんまで追加緩和ネタで盛り上がっている件について」
2013/10/28「MPMプレビュー:マーケットはすっかり次の追加緩和を見るモードになっていますが」
2013/10/24「10年0.60%ビット!/内閣参与本田先生方面から追加緩和しろという電波を感知」
2013/10/11「イエレン議長ノミネートの反応/BOE据え置き/短国やや重そう/償還乗換に関する雑談」
2013/10/10「やっと来ましたイエレン議長ノミネート」
2013/10/09「物国入札はBEI1%/6MTBやや金利上昇/時間軸は強化されないだろうよ常識的に考えて」
2013/10/08「伊藤隆敏先生の意味不明発言/短国買入2兆円攻撃で12月末残を早く積みたい意志が見え見え」
2013/10/04「短国は5bp台に上昇/水野元審議委員の身も蓋もないご指摘ご尤も」
2013/10/02「固定金利オペが減ると買入系に負担が来ますなあ/結局消費税予定通り」
2013/10/01「米国とか消費税とかの雑談」

2014/03/31

○マイナス金利キタ!!

東京レポレート
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html

こちらから金曜の数字を取りますと、T/N取引つまり31日スタート1日エンドのGCレポレートがTKRR集計開始以来の初のマイナス金利と相成りまして、堂々の▲0.011%ということでマイナス1.1bpという数値が公表数値で思いっきり出てきましたですよアヒャヒャヒャヒャ。

まあ朝からもうちょっと低い(マイナスの大きい)レートでの出合いの話もあったりしてましたからレートマイナス出てきてもシャーナイナイなのではありますが、市場の出合いと言いましてもレポとか現先って店頭取引だからベンダーとかでは出てきますけどこの手の公定みたいなのに出てくるのが中々お洒落とゆー所ですな。

そんな中(時間的にはTKRRの公表の方が後)ですが期末跨ぎで短国買入オファー。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140328.htm
国庫短期証券買入 10,000 2014年4月1日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2014年4月1日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,500 2014年4月1日
国債買入(残存期間10年超) 1,700 2014年4月1日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 2,000 2014年3月28日 2014年3月31日

短国買入ですが、何も前日に末初レポレートがクソ低下しているの分かっているんだから約定ベースで末を超えるまで待てないのかねとか思ったりするのですが、まあご案内の通り4月はシグナルオペの足がバカスカ来る訳で、このオペを仮に1年でロールしてくれればそこそこ札が入りそうな気はする(先般の貸出増加支援オペでも1年物が結構入っていたようですので1年だったらニーズが一応あるんじゃねえかと)のですが、まあ平常運転で3か月でロールすると残高ガタ落ちしそうというのが4月にはございます。

でまあそういう背景があるのは念頭にあるので、実際問題としては金曜は短国買入を引き続き2兆円突っ込んで来るという予想もあって、1兆円のオファーというのはもう日銀がそもそも市場に配慮とかしてる場合じゃないというような感じでオペレーションの実施のやりくりに追われる中で一応市場に気を使ったという評価が(その界隈では)一般的とゆー所でしょうか。

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140328.htm
国庫短期証券買入 28,734 10,001 0.002 0.005 61.3
国債買入(残存期間1年超3年以下) 12,689 2,500 0.008 0.008
国債買入(残存期間3年超5年以下) 11,702 2,504 -0.003 -0.003 55.0
国債買入(残存期間10年超) 6,461 1,702 -0.006 -0.005 40.2
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 263 263 -0.400 -0.400

一応前日引け対比では甘になって良かったですね(棒)という所ですが、応札が2.8兆円しかなくて、2兆でオファーしてたら(さすがにその辺は市場状況ヒアリングしてるでしょうからまあ無かったと思うが)夢(悪夢)の出来上がりマイナスとかあったでこれという所でしゅかねえっつー事で。いやはや何とも。

なお、日本相互証券さんの引値を見ますと2年カレント近辺から手前に掛けてとか短国とかの水準見ると微妙に引けが金利上昇の巻となっておりまして、受渡ベースで期末の残高確保したからもうイラネという気のだいぶ早い方が早速叩き売ったのではないかと思われる風情はあるのですけれども、引き続き1日〜2日のGCレポとか短国現先レートとかあばばばばーな状況は継続しているようでして、玉無芳一状態が続いております次第な上に日銀が短国を1兆円お吸い上げになっておられますからもうねという所で、短国レートの方がろくすっぽアガランチ会長になっておられる訳で、短国レートが下がったままの状態が継続→有担保コールやら無担保コールの金利に低下圧力が掛かる→他の金利も波及して下がる→短国レートが更に低下圧力、というあばばばばーな循環が継続致しまして、MB積み上げのオペレーションが技術上困難になってきやがりますなあという話にもなろうかと想定しておる所です。

つーかですな、末初の玉が極端に無くなってマイナスレートになるとか、そらまあ金利は下がっているかも知れないけど、世の中には程度という物がございまして、ここまで金利が低下してしまいますと市場取引が極端に低調というかストレスが掛かっている状態(マイナス金利では取引が出来ない人もいます)になりますし、そもそも収益的に厳しい中で更に飯の種が無くなりますと市場参加者が戦線維持できなくて退出して更に市場機能が低下する(今に始まった事では無いだろうという夢も希望も無いツッコミをしないように)とか、最早何の為に金融緩和政策を実施しているのかワケワカランぞなもし(MB積み上げると実質金利が低下して投資や消費が活発化するらしいのですが)という状況ですな、ナムナムナム。


○そういえば金曜のちょっとした訂正である

昨日は日銀企画局の中の人謹製(ただし日銀の公式見解を示すものではありません)という大変に味わいのある家計のインフレ期待に関する分析レポートの鑑賞会(単に合いの手入れながら読んでいただけではないかというツッコミは却下)を行いましたが、その中でちょっと訂正を(過去ログは取消線入れて訂正済みです)。

えーっとですな、金曜に鑑賞をした際にこんな事を申し上げた訳ですけどね。

(以下金曜の駄文再掲、下の『』内は日銀レビューシリーズ「家計のインフレ予想の多様性とその変化」(2014年3月から)

『2013 年9 月調査と12 月調査には、「物価安定の目標」──消費者物価の前年比上昇率で2 %── の認知度に関する問いが設けられている。この設問の回答をもとに認知度別の予想分布を算出したところ、5 年予想の分布は、「物価安定の目標」を認識している家計の方が、2%を中心に鋭く尖った形状となっている(図表8)。一方、同目標を見聞きしたことのない家計は、予想分布の山が低く、その分、両裾が相対的に厚い。』

そういう質問を前に入れたら回答が誘(内務省検閲)。(ここまで金曜の駄文ね)


直近の生活意識アンケートですが
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1401.pdf

こちらの1ページ目の目次にありますように、質問の順序としては

『1-1. 景況感等
1-2. 暮らし向き、消費意識
1-3. 物価に対する実感
1-4. 先行きの地価動向
1-5. 日本経済の成長力
1-6. 日本銀行に関する認知度、信頼度等
1-7. 銀行振込に関する認知度等』

となっておりまして、一応順序としては物価に対する実感という所で5年先のインフレ予想を回答してもらうという建て付けになっているので「そういう質問を前に入れたら」という「前に入れたら」部分は間違いでございますので謹んで取消させて頂きますが回答が内務省検閲な件についてはやはり同じアンケートでそういう質問しててインフレ予想をヒアリングするってのはうーむという感じはするんですけどね。

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2014/03/28

○一応昨日がスポ末なので市場メモ

・末初レートががががが

昨日はスポ末期末の日でございましたが、日銀の買入スチームローラー大作戦のお蔭を持ちまして玉無芳一状態ではあるものの、期末なので債券残高調整ニーズはあるわ資金の運用ニーズはいつもの通りにあるわという事で、GCレートやら現先レートやらが1bpだの何だのという世界になり、最終的には1bp割れとかの世界というおそロシアな状態になっておられたようで誠にアレ。

まあ何ですな、期末なので特殊ニーズという分は勿論あるのですけれども、じゃあ期初になって特殊ニーズが剥落した分でどうなるかというのがこれまた気になる所でして、剥落してもそれはそれでレートは低いままという悪寒は思いっきりする訳でございます。

つーのはですな、これまた期末要因があるとは思うのですけれども、新発CPレートがここの所低下傾向となっているようでして、まあ期末なのでバランスシート抑制の為にCP発行が抑制されるといういつもの仕様によって需給が締まる傾向はあるのですが、こちらも日銀のCP買入はせっせと行われていますし、そもそも短国レートが足元から残存1年まで3bp台で並んでしまっており、上記のようにキャッシュの運用ニーズは強いと来てますので、まあ金利低下の影響が波及しやがりますなという所です。


・固定金利オペェ・・・・・・・・・

昨日のオペ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140327.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2014年3月31日 2014年6月30日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 4,000 2014年3月27日 2014年3月28日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140327.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(3月31日スタート分) 990 990
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 166 166 -0.400 -0.400

つーことでまあ足元で短国のレートが全ゾーン3bpとかやってる上に末初のレートがそんな感じになっているのですから3Mの0.1%なんぞ要らんわという話になるのは当然ではありますけれども、6874億円の期落ち(12/26オファー分)に対して990億円の落札ということで、固定金利オペの残高はこれで14兆円カツカツの水準まで減少という流れでございますな。

ま、3か月の0.1%固定金利オペなんぞに共通担保使う位なら次回貸出増加支援オペの4年0.1%に共通担保使う方が明らかに意味がありますので、そらまあ固定金利オペの札は益々集まらないです罠という所で、4月にバカスカ固定金利オペが落ちてくるのは仕方ないとは思うのですが、そこで4月固定金利オペが落ちてMBが前月比減少した場合にこれがまたちょうど間の悪い事に消費税増税とぶつかるというのが味わいがある話で、さて来月ってその分短国買入に皺寄せるんでしょうかねえという所なんですけど、先ほど申し上げたように末初がまさに末期的状態(って意味が違うか)になっているのでして、そのまま4月になだれ込みますとアチャーな事になると思われましておそロシアでありまする。

まあ昨日間違って短国買入を末渡しで打ち込んだ日には夢の買入出来上がりレートマイナスとか夢の札割れとか(下手したら両方)発生していたと思われますので、短国買入打ちこまなかったのは見てホッとしましたが、オペの方も最近はMB目標の帳尻に向けて短国市場にドンドン皺を寄せてくるわ、輪番オペの方ではデュレーション調整の為に闇討ち超長期減額をしてくるわとか、何ちゅうかこうディレクティブ達成に相当ヒーコラという感じで、市場機能論とか市場との対話ってなんでしたっけという感じがするのも実にこうアレという所ではありまする。


○インフレ予想に関する味わいの深い日銀レビューキタコレ!!

さて本日は本当は師匠の先般のしょうもない講演をネタにする予定でしたが、そのような物件よりも遥かに意義深いかもしれない日銀レビューが投下されましたので鑑賞させて頂きたいと存じます。

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2014/rev14j01.htm/
家計のインフレ予想の多様性とその変化

『要旨』

『インフレ予想を特徴付ける要素のひとつは、その「多様性」もしくは「ばらつき」の大きさであり、家計のインフレ予想の「ばらつき」はとりわけ大きい。インフレ予想が変化する局面では、平均値や中央値といったインフレ予想指標の統計量では把握しきれない「ばらつき」の変化が、予想分布の形状の変化として現れる。本稿は、こうした観点から、家計がもつ中期インフレ予想の分布が時間の経過とともにどのように変化してきたかという点について、『生活意識に関するアンケート調査』を用いて検証を行った。その結果、2013年入り後の物価上昇局面における予想分布には、2008年の物価上昇局面に観察されなかった特徴的な変化がみられた。』

足元で家計のインフレ予想に「今までに無かった特徴的な変化がみられた」という事で、続きはWebでではなくて日銀レビュー本文ででございますよ!!!

本文はこちら(Webですかそうですか)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2014/data/rev14j01.pdf

『はじめに』から。

『インフレ予想(inflation expectations)とは、各種の経済主体がもつ、「将来の物価動向に対する見方」である。インフレ予想は重要な経済変数のひとつであり、実質金利(名目金利とインフレ予想の差)や価格・賃金設定行動を通じて、経済・物価動向に幅広く影響を及ぼすことが考えられる。』

ということで物価安定目標などに置かれましても重要なインフレ予想に関するペーパーが出たということになりますとこれは正座して読まなければいけないのがマニアの心得というものです(^^)。

『こうしたインフレ予想を表す指標には、インフレ予想を直接尋ねるサーベイから、物価連動国債やインフレスワップなどの市場情報からインフレ予想を抽出するものまで、様々なものがある1。このうちインフレ予想に関するサーベイは、2000年代半ば以降、整備・拡充されてきた(図表1)。近年では、調査対象者が企業や市場関係者に拡充されるだけでなく、予想対象期間の長期化が進められている。2014 年3 月からは、日本銀行の『短観』でも、企業のインフレ予想について調査が開始される。こうした整備・拡充の結果、対象者間のインフレ予想の多様性(disagreement)や、予想対象期間ごとのインフレ予想の多様性を把握することが以前に比べ容易になっている。』

ということで、まずは次の『インフレ予想の多様性』という所に参ります。


・インフレ予想のばらつきという図表に滋味がありますな

『インフレ予想は予想する主体によって様々であり、全ての人が同じ予想を共有している訳ではない。家計、市場、企業を対象としたサーベイの結果をみると、いずれのインフレ予想にもばらつきがあり、特定の水準に収斂していないことが分かる(図表2)2。』

ということで図表2というのは本文の方を見て頂きたいのですが、よーするに家計のインフレ予想の分布が裾が広い形になっているものの、企業と市場のインフレ予想分布は一定の数値に収斂する傾向があって、更に言うと企業よりも市場のインフレ予想の中心値が低いという日銀的に見てケシカラン状態になっている訳ですよ。

『インフレ予想の多様性は、予想を立てる際に参照した情報の違いによって規定される面がある。例えば家計の場合、消費バスケットや収入水準など自身の置かれた環境のもとで、インフレ予想を立てている。このため、参照する情報は家計によって区々となり、インフレ予想のばらつきが大きくなりやすい。』

なるほど。

『一方、市場関係者やエコノミストの場合、予測モデルにマクロ経済情報を投入することで、インフレ予想を立てている。このため、インフレ予想のばらつきは、モデルの予測精度の差などに起因したものとなる傾向が指摘されている3。』

>予測モデルにマクロ経済情報を投入することで、インフレ予想を立てている

ふむふむ。

『市場のインフレ予想の多様性は家計ほど強くなく、今後10 年間のインフレ予想(10 年予想)は、2004 年の調査開始以降、中央値を挟んで上下0.3%pt という極めて狭い範囲に半数の予想が集中している。上場企業間のインフレ予想のばらつきも、市場のそれに近い。特に大企業では、業界の需要予測を立てる際、エコノミストの経済・物価予測を参照したりすることから、結果として、市場と似通ったばらつきが生じやすいと考えられる。』

つまりまあ市場と家計のインフレ予想が思いっ切りベースとなっている物に相違があって、その結果として期待インフレ率として示されている物としてあるのが「市場由来」と「家計由来」で思いっ切り異なってくるという話をしておりますが、何気にこうお洒落なのは先ほどの市場の期待インフレの推計に関する記述でございまして「予測モデルにマクロ経済情報を投入することで」という部分はまあ事実そうなのですけれども、この記述部分を戸田奈津子先生ばりに超訳しますと、市場のインフレ予想は予測モデルでカバーが難しい何らかの不連続な変化が生じた場合には足元のアクチュアルな個別物価変化に敏感に反応しやすい傾向のある家計のインフレ予想の変化に対して遅行する可能性がある、とまあそういう事を暗に説明しているというのが大体この後の展開を見ると読み取れると思ったのですがアタクシの妄想ですかそうですか(^^)。


・家計のインフレ予想の分析が以下続くのだ

つーことでこの後は暫く家計のインフレ予想の計測結果に関する分析があって、これはこれで中々面白いのですが引用してるとオワランチ会長になるので何で多様性が発生するのかという部分の解説を引用しますが、その前の部分図表見ながら読むと面白い(だいたい直観的にそうですねという説明になっています)ので一読をオヌヌメ。

『こうした家計間のインフレ予想の多様性やその変化を規定している要因のひとつとして、インフレ予想を立てる際に家計が参照する情報の違いが挙げられる。『生活意識に関するアンケート調査』で問われている「物価」は、消費者物価指数など特定の物価指標で代表されるものではなく、「回答者が購入する物やサービスの価格全体」である。このため、それぞれの家計がイメージする「物価」は、それぞれの消費バスケットに対応したものとなっている。この点も、家計間のインフレ予想に多様性をもたらす一因となっている。』

ですな。

『そこで、インフレ予想を立てる際に参照する価格情報の違いを定量的に確認するため、時系列モデルを使った分析を試みた。具体的には、@購入頻度の高い品目の価格情報、A購入頻度の低い品目の価格情報、Bインフレ実感、C5 年予想からなる4 変数VAR(ベクトル自己回帰)モデルを用いて、2 種類の価格上昇ショックの発生時における5 年予想の変化幅を、年齢階層別に計測した。』

なお結果の「図表5」は本文をご覧あれ。

『計測結果から、2 つの傾向を読みとることができる(図表5)。第一に、購入頻度の高い品目の価格(食料・エネルギー価格)が上昇した場合、いずれの年齢階層も5 年予想を引き上げている。なかでも、若年層の引き上げ幅が大きく、他の年齢階層に比べ、こうした品目の価格情報を重視する傾向をみてとれる。』

『第二に、購入頻度の低い品目の価格(食料・エネルギー価格を除く、財・サービス価格全般)が上昇した場合、若年層や高年層が5 年予想を据え置く傾向があるのに対し、中年層は5 年予想を引き上げている。中年層は、購入頻度の高い品目のみならず、基調的な価格変動を表す、より幅広い品目の価格情報を重視する傾向がみられる。』

ほほー。

『このように、同じ価格情報に直面していても、参照する価格情報が異なることで、家計間にインフレ予想の多様性が生じていると考えられる。』

で、生活意識アンケートの昨年9月の調査に関する話とかもあるので読んで味噌。


・最近の予想分布に変化が表れているというキタコレな話

というのが序論でして、4ページの『最近の予想分布の特徴』という所からがキタコレであります。

『2013 年入り後、家計の5 年予想の分布に、2 つの特徴的な変化が生じている(前掲図表4)。』

ほほう。

『第一に、物価下落方向の歪みが大きく縮小した(同様の変化は、市場の予想分布からも確認できる。詳細はBOX 参照)。第二に、物価下落方向の左裾だけでなく、物価上昇方向の右裾も薄くなり、2%の予想を中心に尖りが増した。すなわち、デフレを予想する家計だけでなく、高インフレを予想する家計も少なくなり、2%近辺に予想が集中するようになっている。これら2 つの特徴には、どのような要因が影響しているのだろうか。』

>2%近辺に予想が集中するようになっている
>2%近辺に予想が集中するようになっている
>2%近辺に予想が集中するようになっている
>2%近辺に予想が集中するようになっている
>2%近辺に予想が集中するようになっている

さあ盛り上がって参りました!!!!!!!

『第一の特徴である物価下落方向の歪みには、過去の価格情報が強く影響していると考えられる。』

つまりバックワードルッキングでアダブティブにインフレ期待が上昇するという「まず物価が上がればこっちのもの」論でありまして、そこの説明はすっ飛ばして結論を引用しますとこうなります。

『結果をみると、先に紹介した2013 年入り後の特徴のうち、第一の特徴である物価下落方向の歪みが縮小していく様子は、過去の価格情報で概ね説明されている(図表7)。実績値、予測値とも、予想分布の左裾が薄くなっており、デフレ予想の割合が減少している。』

物価が現実に上昇したのでインフレ予想の中で物価下落方向の予想即ちデフレ予想が弱まっているとのことですよ!!!

『ただし、シミュレーションによる予想分布の予測値は、山がなだらかであり、実績値が2013 年入り後に2 %の予想を中心に尖りを増していった点を再現できていない。また、予想分布の予測値は、時間の経過とともに物価上昇方向の右裾が厚くなる結果、平均値が上昇するのに対し、図表3で示したとおり、現実の平均値は不変であった。このように、過去の価格情報のみでは、第二の特徴である予想分布の尖りを十分に説明することができない。』

さあ益々盛り上がって参りました!!!!!!!


・インフレ目標の周知が効果を出している可能性とな

次の『(予想分布の尖りを形成した要因)』という小見出し部分に参ります。

『以上の結果は、2013 年入り後の予想分布の変化を理解するには、過去の価格情報以外の情報を無視することができない可能性を示唆している。すなわち、2013 年入り後の局面では、過去の価格情報(インフレ実績の上昇)が予想分布を物価上昇方向にシフトさせる圧力として働いているなかで、過去の価格情報以外の何らかの情報が2 %に予想を収斂させている可能性が考えられる』

2013年入り後に発生した「過去の価格情報以外の何らかの情報」ということですと消費税増税に関する議論が妙に盛り上がって結局増税が決定されて近い将来の消費税増税の期待が幅広い経済主体にビルトインされたという情報ですね!!!!(すっとぼけ)

『この予想分布の尖りは、2008 年にかけての物価上昇局面にはみられなかった現象である(前掲図表4 )。当時は、2007 年央から物価下落方向の歪みが縮小するにつれて、予想分布が全体として物価上昇方向にシフトしていった。さらに2008 年には、予想分布の山は尖らずにむしろ低くなり、緩やかなインフレ予想と高インフレ予想からなる2 つの山を形成していた。』

先般の円安コストプッシュインフレとは違いますとな。

『今回の局面で生じた予想分布の尖りは、前回の物価上昇局面で観察されなかっただけでなく、今回の局面における1 年予想の分布からも観察されない(前掲図表4)。この間の1 年予想の分布は、全体として物価上昇方向にシフトしており、特定の水準に予想が集中する様子はみられない。また、5 年予想の分布の尖りは、徐々に形成されたものではなく、2013 年入り後に突如として生じている。』

短期のインフレ予想では無く5年のインフレ予想に影響を与えているとな。

『これら一連の事実は、予想分布の尖りの形成には、5 年予想のみに影響する中期的な要素が2013 年初から新たに作用している可能性を示唆している。』

更に盛り上がって参りました!!!!!!!!!!!!

『以上の分析からは、中期的な要素の中身を特定することはできないが、ひとつの可能性として、金融政策の認知度が考えられる。』

キターーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーー!

『2013 年9 月調査と12 月調査には、「物価安定の目標」──消費者物価の前年比上昇率で2 %── の認知度に関する問いが設けられている。この設問の回答をもとに認知度別の予想分布を算出したところ、5 年予想の分布は、「物価安定の目標」を認識している家計の方が、2%を中心に鋭く尖った形状となっている(図表8)。一方、同目標を見聞きしたことのない家計は、予想分布の山が低く、その分、両裾が相対的に厚い。』

そういう質問を前に入れたら回答が誘(内務省検閲)。(追記:一応質問の順序を確認したら先に長期インフレ予想を出させる建付けになっていましたが、そこの回答をしてから前の答えを見直す可能性だってある訳でやはり同じ疑念は残る)

『こうした現象は、金融政策に関する情報発信が、家計の多様なインフレ予想を2 %に収斂させる役割を果たしている可能性を示唆している6。』

(;∀;)イイハナシダナー

日銀が目標を設定したからと言って物価が2%に誘導される訳じゃねえという話を金懇で思いっきりしておられた木内審議委員のご感想を是非お伺いしたい所ではあります(^^)。


・最後に市場の予想分布の話もありますよん

でまああとちょっと記述があるのですがそこはパスして、結論部分の後にある『BOX 市場のインフレ予想の多様性』という所も少々鑑賞。

市場の予想分布のこれまでの傾向の所はまあ本文読んでちょという所ですが、その後の『(2013 年入り後の特徴)』という所から。

『こうした市場のデフレ懸念は、その後、弱まっている。2013 年入り後、物価の下落よりも上昇を意識した予想が多く形成されるようになっており、予想分布の歪みは、物価下落方向から上昇方向に変化している。これは、長期的な物価動向に関する市場のリスク認識が変化するなかで、1%以上の予想が増加していることを表している。予想対象期間が異なるので単純比較はできないが、物価下落方向の歪みが縮小する動きは、本文中でみた家計と同じである。』

ほほう。

『一方、市場では、2%の予想自体はなお少数派であり、10 年予想の平均値は2%の「物価安定の目標」を下回っている。こうした背景として、市場では、デフレやゼロ・インフレがリスクとしてなお意識されており、引き続き、予想分布の左裾がマイナス圏に伸びている。こうした予想が残存していると、市場の平均予想は上昇しにくくなる。』

「残存していると」「上昇しにくくなる」って辺りに誠に味わいの深いワーディングを感じる訳でございまして、以下お察しということで自主規制(^^)。


#ところで何で企画局?と思ったのですが直近でもインフレ予想に関するリサーチペーパーって企画局の中の人が出してるのね、ふーん

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2013/wp13e11.htm/
ゼロ金利下におけるインフレ予想と家計支出の関係:マイクロデータによる分析
2013年7月12日

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2013/wp13j11.htm/
購買力平価を利用したわが国のインフレ予想の計測の有用性について
2013年9月20日


なお、最後に念の為申し添えますが、「日銀レビュー」シリーズ(その他のWPも同様)は(本文にもありますように)日銀の公式見解を必ずしも示すものではありませんという建付けになっておりますのでよろしくお願いいたします。

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2014/03/26

○その他少々

・行動原則ねえ

http://www.boj.or.jp/about/activities/principle.htm/
日本銀行の行動原則

まあ何ですな、どこぞの国がかつて戦局の悪化に伴いドンドンと精神論に走るというような事例があったとの指摘もありまして、何か困った時には精神論に走るという奴ですかそうですかなどと意地の悪い話をしたくなりますが、中期経営計画が出たのでそれに合わせましたという事なんでしょうね(棒読み)。

『公益の実現

日本銀行法に定められた目的と理念を達成することにより、公益の実現を図る。』

要するに「マンデートがこうなんだからとにかく達成するんだよ」という現在の黒日銀的な説明というか法学部的な説明というか割り切りと言うかを綺麗に書くとこうなるんですね分かります。


・中期経営計画とな

http://www.boj.or.jp/about/activities/strategy/hoshin14.htm/
中期経営計画(平成26〜30 年度)

ここのURLを見て「方針」を別の単語にうっかり空目する位にはアタクシの性格は悪いのですが、もちろんこのURLは毎回同じ表記なので念のため(^^)。

http://www.boj.or.jp/about/activities/strategy/index.htm/
中期経営計画一覧

正直あまりこれを根詰めて読んだ事はあまり無い(ネタにした事もあまりないと思う)のですが、日銀は向こう3年間の中期経営計画というのを毎年更新(というのも味わいがありますなこりゃ)しているのですが、今回は中期経営計画の期間が5年間に伸びておりまして、まあ大体こういう微妙な変化がある時には何か匂いますので、経営計画を過去の分に遡って熟読すると味わいの深い発掘ができるのではないかと思うのですけれども、今日の所は今回の経営計画を斜め読みしただけなので、発掘して何か出土品と思われる物件が出てきたらネタにしようかと思います(^^)。


・会見エンバーゴが無くなるとな

一昨日のリリースですが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140324b.htm/
総裁定例記者会見の報道解禁タイミングの変更について
2014年3月24日 日本銀行

『日本銀行は、総裁定例記者会見の報道解禁のタイミングを、これまで「会見終了後」としてきましたが、情報発信を速やかに行う観点から、4月8日(火)の定例記者会見より、会見開始と同時に報道可とする扱いに変更することとしましたのでお知らせします。なお、総裁定例記者会見以外の会見についても、原則として、会見開始と同時に報道可とする方針です。』

ほうほうそうですかという所ですが、会見開始と同時に報道となりますと早めの時間にホイホイとヘッドラインが出てくるので実はボラが上がったりして(^^)。


・年度最後の短国入札

本日は年度最後の3MTB入札ですが、最近は短国入札が行われてから短国買入が行われるまでの間だけGCや現先レートがやや上昇して、短国買入が行われてから次の入札まではGCや現先レートが盛大に低下するというどう見ても官制相場です本当にカムサハムニダという状況になっております。

てなわけでまあ当然のように足元は玉無芳一状態なのですが、期末の残高調整のニーズがどの位残っているのか(発行日は金曜)というのと、年度末越えの短国買入がオファーされるのかどうかが微妙な所なので、もし年度末越えが回避(昨年はQQE前だったからあまり参考にはならないが年度末越えの輪番と短国買入はどちらも無し)されると次の短国買入が4月1日の火曜日になってしまうので、少々間があり年末の需給ひっ迫タイミングにぶつけられないと暫くネガティブキャリーの惧れありかもしれず、一方で物無だしまあ瞬間蒸発するかもしれないし、末初現先ニーズがどうせアホほどあるでしょとも思えますので、そんなこんなでまあ幾らになるのかイマイチワカランチ会長です(とか言ってたら明日短国買入実施したら凄い出来上がりレートの買入になりそうな希ガス)。

しかしこの短国3bp台攻撃いつまで続くんでしょと思いますが来月は固定金利オペが盛大に落ちるから来月も続きますかそうですか。

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2014/03/24

○その前に直近の講演大会の簡単な感想をば

木内さんの講演&会見に総裁の講演が三連発で佐藤さんの講演と来ておりましてその間にFOMCとか何でそうネタが全部一緒にやってくるのよという所ですが。

で、まず先に感想を申し上げますと、木内さんの講演と会見ですが、講演の方もクリアカットなのですが、特に会見質疑での説明がクリアカットになっていまして、従来微妙に日銀の公式というか中心的見解に気を使っていた面もあったのかなという感じでしたが、今回は何か綺麗に吹っ切れて説明している感がありまして、これは非常に話の筋が通った話でした。

でもって佐藤さんのNYジャパンソサエティの講演ですが、これはまたエライ気合の入った講演で読むほうも読みごたえありますし、最初日本語をサラサラ読んだ後英文読んだらこれがまたかなりの物でして、しまいに英文と日本文を逐語読解始める有様と相成りましてもうエライコッチャですよ先生という感じです(ちなみに日本語訳だと一文になっているのが英文だと複数文に分かれていて、英文の方が分かりよいですし、使っている言い回しとか微妙に辛辣で英文も読むのがオヌヌメ)。なお内容は正論も正論なのですけれども結構キツい事をゆうてはりますな。

・・・・・・でまあ総裁の講演なのですが、三連発の最後に出ているのをまだ読めていないのが誠に遺憾なのですが、少なくとも商工会議所での講演を拝見いたしますと、木内さんや佐藤さんのロジカルなお話に対しまして、師匠的机上の空論とただの気合だけという内容になっております関係上、まあ誠に恐縮ですがこりゃプアーですなという話になってしまいまして、QQEで気合でヒャッハーというそれはそれで宗教みたいな話をしておりますので、まあ何ちゅうかそういう話の対極のイイハナシダナーを2本立て続けに見せられた後に総裁講演を出されますと甚だ残念感が漂うという結果になるのですが、そもそも論としてQQEで2年で2%という話に無理があるのですから致し方ない所でございまして、そらまあ置物副総裁理論みたいなのしか出てこん罠という話になりますね。

という所がまずは結論なのですが、まあ総裁のは兎も角としまして、木内さんの講演&会見と佐藤さんの講演はどちらも中々入魂の作品だと思われまして、だから連休中に書き物更新しておけとツッコまれそうですが、結局本日フォローできるのは佐藤さんの講演となりますので、すいませんすいません他のネタもうちょっと頑張って明日以降投下しますという事で。

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2014/03/17

○オペ関連雑談

・短国買入は貫録の2兆円継続

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140314.htm
国庫短期証券買入 20,000 2014年3月18日

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140314.htm
国庫短期証券買入 45,483 20,005 0.002 0.004 90.9

ということで短国買入は普通に2兆円の継続となりまして、足切りは前日比甘となっていますが、木曜日の入札で玉が出た分はちゃっかり吸収(同じ銘柄かどうかは別だが)という運びになりましてGCレートとかは低下したみたいでもう需給的に玉がまともに出てくるタイミングが3M入札のタイミングしかございませんなあっはっはという所ですね。

ま、この前の輪番超長期減額と言い貫録の短国買入と言い、一々市場に配慮してられるか知らんがなという状態にオペの運営の方が進んでいますなあというのは把握しました。


・貸出増加支援オペ

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140314a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2014 年3 月実施分)

『付日における貸付予定総額34,653 億円
貸付先数 54 先』

3.5兆円ということは対象になる残高分ほぼほぼカバーした感じの貸出が出たんじゃないですかね。で、内訳は以下の通り。

『2.貸付(予定)総額および貸付先数の内訳
大手行 4 先 23,604 億円
地域金融機関等 50 先11,049 億円
合計 54 先 34,653 億円』

『3.貸付期間別の貸付(予定)額
1年 15,760 億円
2年 100 億円
3年 18,793 億円
合計 34,653 億円』

ということで、内訳見ててほーと思ったのは今回は1年と3年の借入が綺麗に割れている結果になっている事で、従来から2年はほぼ残高ゼロ近辺なのはまあ中途半端な年限だからという所なのでしょうけれども、1年の所の残高が多いのは何でなんじゃろと思って見るのでありました。

まあロールの時の金利が1年後だったらどう見ても0.10%だけれども2年や3年だと怪しいからという可能性を考えているのか、それとも担保繰りを柔軟に運営するとかとか思うのですが、もしかして昨年の1年固定金利オペのロール(落ちは4月からですが)の積りで入れているのかとか思いますと、今回の貸出増加支援の残高入って良かったねとは思いましたが、1年オペの方はきっちりと残高が落ちそうでして、日銀のMB積み上げ大作戦は今後もヒーコラという所で、それに煽られて短国市場もヒーコラの巻という事ですな。


○浜田先生ェ・・・・・・・・・・

金曜の夕方に金利市場関係者総出でのけぞるインタビューキタコレ。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N2EUA06JIJVL01.html
浜田教授:日銀の長期国債買い入れ倍増は「可能」−追加緩和5月にも
更新日時: 2014/03/14 17:39 JST

この記事は日高さんのクレジット入っているので、インタビューしたのも日高さんだと思われますが、テープ回しながらニッコリで、記事を書きながら会心の笑みを浮かべながら書いておられたのではないかと思料する次第。

『3月14日(ブルームバーグ):安倍首相のブレーンである浜田宏一・米エール大名誉教授は、日本銀行は消費税率引き上げの影響が深刻だと判断すれば、5月中にも追加緩和を実施すべきだと述べた。具体的な手段としては、長期国債の買い入れペースを倍増し、新規に発行された長期国債を全て買い入れることも可能との見方を示した。』(上記URLより、以下同様)

まあどう見てもそれは買入そのものは「物理的に可能」であっても、債券市場がぶっ壊れてしまうので、この緩和政策を正常化しようとした時に大きな障害が発生してしまう、つまり政策を突っ込むのは出来ますけれども収拾が出来なくなるという手段ですので、当然ながら追加緩和するだけではなくて出口というものも考えた場合に物理的に無理だと思われます。

ただまあそういう話に関しては残念ながら市場の状況が実際どうなのよというような話を先生がご存知とも思えず、まあそもそも論としてそういう市場の状況を把握していない人が政策提言をするというのが机上の空論だろというツッコミはありますが、それよりも以下の所が色々と素敵なのでついこの件もかすむというものです。


もうね、小見出しの『インフレを回避せよ』って日高さん面白がってつけてるでしょという所ですが、そこの小見出し以降に降参致しました。

『一方、日銀が2%の物価上昇を目指していることについては「物価をどうして2%にしなければいけないのか、全く分からない。1.5%だっていい。2%までなら何の問題もないが、4、5%になれば人々への大衆課税になる」と指摘。』

>物価をどうして2%にしなければいけないのか、全く分からない
>物価をどうして2%にしなければいけないのか、全く分からない
>物価をどうして2%にしなければいけないのか、全く分からない

ほほう。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST

『浜田氏は日銀が2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張。さらに、16日の衆院選で自民党が勝利し、より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではないと述べた。』(上記2012年12月5日ブルームバーグニュース記事より)

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE8BQ04C20121227
インタビュー:日銀は無制限緩和を、物価目標2─3%が適切=浜田宏一教授
2012年 12月 28日 08:47 JST

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(-_-メ)

さて記事に戻りまして。

『「雇用と生産、GDPが回復すればいいわけなので、2%にならないからアベノミクスは目的を達成できなかったと言われる筋合いはない」と語った。』(最初のブルームバーグ記事URLから)

まあ何ですな、100無量大数歩ほど譲って解釈すると「目標は兎も角として、実際に目標に行かなかったら即ダメであるという考え方はおかしい」という事を言いたかったのだと好意的には解釈できるのですが、そもそもコミットメントというのは「行かせる」という意思を示すことによってそのコミットメントの達成に対する期待が醸成されてインフレ目標ならインフレ目標達成のための期待ですからこの場合は中長期の期待インフレがアンカーされるという話になりますので、目標達成しているなら兎も角達成の前からこんな話をしちゃダメですよねという話だと思うのですけれども、浜田先生どうしちゃったんでございましょうかねえ。

『さらに、「人の気持ちは簡単に変わる。これから心配しなければならないのは、デフレを脱却できるかどうかではなく、どうしたら国民経済にインフレ体質が舞い戻ってこないようにできるかだ」と言明。「毒を持って毒を制するということで、インフレ的にしていろいろな良いこともあるが、行き過ぎないように止めることは重要だ。日銀はインフレファイターであることを忘れてもらっては困る」と述べた。』

>日銀はインフレファイターであることを忘れてもらっては困る
>日銀はインフレファイターであることを忘れてもらっては困る
>日銀はインフレファイターであることを忘れてもらっては困る

・・・・・・・・・・・・・・(^□^)

つーかその前の「毒を持って毒を制する」というのも何かこう実にアレなのですが、まあ金曜の夕方にこの記事を見た債券市場や短期金融市場の皆様の反応がどうであったかなどと思いつつ、あの感動をもう一度という事で謹んでネタにさせて頂きましたm(__)m

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2014/03/14

武者先生お告げ投下のタイミングが凄すぎます・・・・・・・・・
http://www.musha.co.jp/short_comment/detail/116
2014年03月12日 ストラテジーブレティン 第116号
岩盤円安の先に起きる事

ということでメジャーSQの朝ですがおはぎゃあございますorzorzorz


○輪番であじゃぱー

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N2B8VC6TTDSC01.html
債券は下落、日銀買いオペ「10年超」減額を警戒−先物は一時急落も
更新日時: 2014/03/13 16:26 JST

『3月13日(ブルームバーグ):債券相場は下落。日本銀行がきょう実施した長期国債買い入れオペで、残存「10年超」を減額したことで需給悪化に対する警戒感から売りが優勢となった。現物債市場では超長期ゾーン中心に安くなり、先物は急落する場面があった。』(上記URLより)

ということで輪番オペの超長期が突如100億円減額オファー攻撃が来まして、ちょっとさがりましたねえああ仕方ないですねえとか思っていたらいきなり先物盛大に下落して1円安まで落ちたものの、すかさずホイホイ戻りましたけど、結局20銭程度安の水準までしかモドランチ会長となっておりまして、その後はその辺での推移。一旦戻ったりもしてましたが後場もう一発下がって結局18銭安で終了の巻となりました。


『日本取引所の高橋直也広報課長は、午前の取引で国債先物が急落した後にすぐに戻したことについて、「特にシステム面や取引面では問題はないようだ。通常の取引。誤発注という報告は来ていない」と説明した』(上記URLより)

まあこういう質問に対応しないといけない東証お疲れ様という所ですが、まあ下がって戻ったにしても全戻しじゃないですからそれなりに実弾もあったんでしょうな偶々誰かのストップロスに引っ掛かったとかのような気もするがそこはまあ詮索してもシャーナイナイなのでパス。

まあそれよりもアレなのはここもと「先生!債券先物ちゃんが息をしていないの!」状態になっておりまして、しかも現物債市場では入札と輪番が相場の材料というそれは材料というのかという状況になって、板がスカスカになっている中で交通事故みたいな動きで突如の急落という事案になっている事でして、まあどう見ても異次元緩和の副作用です本当にカムサハムニダという話ではなかろうかと申しますか、どうせMB270兆円までは無理してでも拡大するんでしょうけれども、その後政府や日銀の思惑通りに正常化が出来る環境になった際に余程注意しないと債券市場が何らかのアクシデンタルな動きであってもリアル北斗の拳状態になるリスクを見せてくれましたなといいだすのは大袈裟ですかそうですか。

ということで勢いでMB270兆円とか突っ込んでみたものの、短期市場はご案内の通りだわ債券市場までこの調子(そらまあ以前の量的緩和政策の債券市場バージョンやってるんですからそうなる訳ですが)だわという事で、いやまあ大規模買入継続しているうちは金融抑圧でも何でもやってますけれども、正常化という「帰るまでが遠足」の肝心のステージはどうやって収拾するのか非常に難しい所ではございますなという話で。


ということで一応輪番オファーはこちら。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140313.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年3月20日
国債買入(残存期間10年超) 1,700 2014年3月20日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2014年3月17日 2014年6月9日


まあ超長期の輪番を減額したのは「買入国債の平均年限を7年程度とする」というディレクティブに関して忠実に運営した結果として、おそらく今月の超長期輪番の札の入り方から勘案すると平均残存年限が8年台に乗ってしまうのが確実なので、デュレーション調整の為に100億円減額したという単純に技術的な問題だとは思うのですよね。

まあ前回もそんな形で超長期輪番を200億円減額した訳ですが、前回減額した時はその前の月の買入平均年限が8年を超えていたというのが公表された保有残高の一覧から逆算すると明らかで、市場の中の人たちもそういう事実があるというのが分かっていましたので、減額そのものはサプライズでしたけれども、「まあそんなものか」という事でナンジャソラとなりながらも一応話としては判ったという所だったのですよね。

然るに今回に関してですが、直近公表された先月末の国債保有残高一覧から見ますと、先月の買入平均残存は7.92年位になっておりまして、平均残存期間が短くなりましたね輪番減額して良かったですねという認識になっていた所でして、月中の買入銘柄がどうなっているのかに関して当然ながら市場の方は判らないのですから、今回の減額は市場的に見たら闇討ちというか不意打ちにも程がある訳でございまして、突如闇討ちされたらそら相場が不安定になります罠という話で、まあ輪番減額⇒誰かが実弾売り⇒実弾来たから先物ヘッジ⇒何か交通事故みたいな流れでヒャッハーとかそういう話になったんじゃネーノとは思いますが、いずれにせよ輪番の闇討ち減額なかりせばこういう話にもならんと思う次第。


まあ何ですな、輪番に関しては以前出した買入予定額の紙がありますが、こういう感じで不意打ちで逸脱しかも減額とかされますと市場に無用のボラを与えるだけの話になりまして、只でなくさえ大規模買入で市場の流動性を枯渇させている中ですからボラ与えた途端に交通事故でピャーとか勘弁して欲しい所であります。

つーかですな、そもそも論として輪番の月額購入予定表って昨年基準の目標残高をベースにして作っていまして、あの時は2013年3月末の国債買入残高が輪番と基金で91兆円だった所に対して12月末に140兆円にしようというペースで、今年の場合は年末で142兆円(141.6兆な)の所を12月末で190兆円にするというペースだからして、そもそも論として表を作り変えて改めて計算しなおした方が良いんじゃないですかという感じはする所でして、今回のような調子でダマテンで買入フローを減額する方向で調整を行うというのが市場にとっては一番「予見可能性を下げる」方向でして、何せ市場の動くネタが入札と輪番しか無いという状況の元では、今回のようなダマテン減額調整攻撃をするのが一番市場が困るパターンとなると思うので、今後はもうちょっとこうその辺考慮した運営を願いたい物だと存じます。

まあ輪番100億減額だけでこの有様で、ってまあ輪番100億で債券先物1円下がるという訳では無くて複合事故みたいなもんでしょうが、年寄りはこういうのを見ると運用部買入の月1000億円ぽっちの停止で先物が最終的に10円以上下がるというお洒落な事案があった件をつい思い出してしまう次第(ちなみにあの時もその前に東証が債券先物のシステム変更して値付けがおかしくなって先物の流動性が極端に無くなって現物の流動性が無くなったという背景があったのだが)でして、流動性の無くなった市場というのはほんのちょっとしたことで大雪崩になるリスクがあるという片鱗を見せたんですかねえとか言うのは杞憂だと良いのですけど、まあ将来の出口政策と言いますか、異次元緩和の大風呂敷の畳み方に関して政策ロジックだけではなくオペレーション的な課題も見せてくれたのではないでしょうかねえ。

#4月から超長期先物始まって先物の板が分散した場合どうなるのかはあまり考えないことにします。

何せ日銀におかれましてはシャチョーが「ストックビュー」での説明をしているだけに、ストックを中心に考えるとどうしてもフローがグシャグシャになりやすいのですが、まあその「量的緩和」というロジックからしたらそらまあ「量」の方が重要ですし、中長期的に量が定量的に効果があるんちゃいますかという方が普通に理屈として通っているとは思う(なお置物理論によりますと今頃この量が効果を発揮して以下同文)のですが、まあ売買している身にとってみましてはやはり流通市場でのフローの方が短期的には全力で影響がある話ですので、もうちょっとこの辺のバランス何とかならんのかねという気はする所なのでありました。まあ難しい話ですけど。



○3か月短国入札

ヒャッハー
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140313.htm

(3)募入最低価格 99円99銭1厘5毛 (募入最高利回り) (0.0340%)
(4)募入最低価格における案分比率 87.5541%
(5)募入平均価格 99円99銭2厘8毛 (募入平均利回り) (0.0288%)

・・・・・・・・と思ったらやはり3bp割れのニーズは限定的だったようで、足切りは流れたぜヒャッハーと思ったのですが、良く良く考えてみるとこの足切り3.4bpというのは先週のヒャッハー入札の足切りと同じ水準で、これでも大概に金利が低いという事実は厳然としてあるのでした。

でまあ新発が出ると発行日のGCとかも上昇してくれるのですが、新発が出た翌日には毎度お馴染みの日銀攻撃がダイソン掃除機の如く登場し、市場の中を高速回転しながら盛大に短国を吸引してしまいますので、ど〜せ需給が締まる上に来週には国債大量償還デーが待っておりますのでアヒャヒャヒャヒャという所ですな。

ま、足切りが3に乗ったのは今の所3bp割れのニーズはさすがに限定的というのが見えたという話で、そういう意味でのインプリケーションはあったという所ですにゃ。

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2014/03/12

今回の決定会合は皆様予想していた通りに会見の方が注目となりましたが、会見テキストは本日出ますのでテキスト読みながらのネタは明日にも続くとゆー所で宜しくオナシャス。


○決定会合声明文:堂々の先行き見通しリスク認識不変の巻

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140311.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140218a.pdf(前回)

・現状判断:輸出を下げて設備投資と生産を上げ

『わが国の景気は、緩やかな回復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかな回復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。』(前回)

ということで総括判断は毎度おなじみの緩やかな回復ね。

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある。輸出は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)
『海外経済は、一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。』(前回)

輸出の現状認識を下げてきましたが、海外経済の認識は変わっていないのですな。

『設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直しが明確になっている。公共投資は増加を続けている。雇用・所得環境が改善するもとで、引き続き住宅投資は増加し、個人消費は底堅く推移しており、これらの分野では消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は伸びが幾分高まっている。』(今回)

『設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けている。雇用・所得環境が改善するもとで、引き続き住宅投資は増加し、個人消費は底堅く推移しており、これらの分野では消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(前回)

ということで設備投資の現状判断に持ち直しが「明確」と来ましたので判断引き上げ、生産に関しても「伸びが幾分高まっている」という表現でこれも判断引き上げでして、他の需要項目の表現は前回と同じですね。

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

金融環境と物価の表現は同じです。


・先行き見通し:貫録の全文一致

『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(前回)

どう見ても全文一致です本当にカムサハムニダという所ですが、つまりそれは金融政策に関して特段の調整は必要ないっすなあウッシッシという事を意味しております。


・リスク要因もカワランチ会長で白井さんの意味不明提案も同様

『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる(注1)。』(今回)
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる(注1)。』(前回)

『(注1)白井委員は、国内の雇用・所得環境の改善ペースにも言及すべきであるとして、5.の記述に反対した。』(今回)
『(注1)白井委員は、国内の雇用・所得環境の改善ペースにも言及すべきであるとして、7.の記述に反対した。』(前回)

ということでリスク要因の文言は全然変更なしという所ですが、正直欧州債務問題よりも他の要因の方が重要じゃねえかという気もするんだが、直近での動向を踏まえた表現の変更とかが特段無いというのは、まあ要するに最近の動向でリスクガーとか言う程の事も無いですぞなもしという話で、これまた強気の見方を反映しています。

で、白井さんの反対(項番が前回と今回で違うのは貸出支援措置の延長強化に関する記述が前回あった関係です)も相変わらず謎というかセンスねえなあと思うのですが、「リスク要因」が何でその「雇用所得環境の改善ペース」という事になるのかと小一時間問い詰めたい訳で、普通そういうのはリスク要因じゃなくてメインの見通しの中に含めるものじゃないですかという話でございますよ。もしリスク要因入れるなら新興国の金融市場とかじゃないですかねえ。

#ちなみに狂乱物価と言わた時代にはベアが想定外の大幅上昇で物価上昇に加速が掛かったなどという記述をどこかで見たことがあったような気がしますけどね

まあ何ですな、この雇用所得環境云々ってえのはさっきニュースネタにしたあまりんの謎発言にありますように、政権注目のネタでもありますので、白井さんったらもう自己アピールに熱心で一人目立ちたがるんですからもう困りますわねえ奥様という所でございまして、そういや昨日はOECDがECBと日銀はもっと緩和が必要な場合もとか市場が喜びそうな発表をしていたようですけれども、緩和が必要なのはいいけど手段が無いんだよクソボケという所で、無責任にも程があるわこの国際機関とか思いましたが白井さんも国際機関(OECDじゃなくてIMF)のエコノミストとかやってらっしゃいましたっけとか禿しくどうでもいい事を思い出しましたわ。


・最後の文言も相変わらず同じで木内さんの提案も同じなので今回分引用だけ

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(今回)

実際問題としては安定的にCPIが1%以上という見通しになっているのですから、デフレからの「脱却に導く」って表現さすがに変えた方が良いんじゃないかと思いまして、物価安定の目標に向けて進むとかそういう表現にしたらどうなのよとも思うのですけれども、まあ変に文言いじってああだこうだと外野から言われるのも(お前が言うなと思わないように)マンドクサという話だと思うので変化させてないんでしょうな。

木内さんの提案もいつも通りです。

『木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)。』(今回)

中長期的に目指す件に関しては木内さんの提案は毎度反対されていますが、先般来の審議委員(ただし学者2名を除く)の情報発信を見ますと、経済の成長を伴わないで物価だけ上昇するのは政策当局として如何なものかと考えるみたいな話は多く出ていますし、この集中対応措置云々というのがもうちょっと何とかならんのかとは思いますが、いずれ物価安定目標の定義というか考え方の部分で「とにかくマンデートなんだから物価上昇に持って行けば良いんだよ」と開き直ってしまっている(ように見える)執行部と、いやそのりくつはおかしいという審議委員との間でのギャップが表面化して大変に面白い展開になる事を希望致したく存じます。



○つーことで明日の会見ネタの先取りで:今回は前回見られたサービス成分(のようなもの)を排除ですな

会見ネタは本日の会見要旨を見てからまた投下しますがとりあえずブルームバーグニュースから。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N29L506JTSET01.html
黒田日銀総裁:現時点で何か金融政策を調整する必要あるとは思わない
更新日時: 2014/03/11 18:03 JST

『黒田総裁は一方で、輸出については「勢いに欠けている」と指摘。「昨年、量的・質的金融緩和を導入した時点で思っていたよりも、輸出が弱め」となっていると述べた。 その背景としては、東南アジア諸国連合(ASEAN)など新興国経済のもたつきに加え、「米国の寒波や東アジアの春節の影響、それから駆け込み需要への対応で国内向け出荷を優先する一部企業の動きなど一時的要因も作用しているのではないか」と指摘。先行きについては「これら一時的要因がはく落するもとで、先進国の成長率が高まっていることから、中国やNIESなどアジアを経由した間接的な影響も含めて、輸出は緩やかに増加していく」と述べた。』(上記URLより)

どうも構造的な問題(輸出品の現地生産)も言及したようなのですが、それよりも一時的な要因の方を強調しておりまして、現状判断で輸出の判断を下げたのはあくまでも現実がそうだから下げただけで先行きの見通しは変わらんぞなもしという強気の姿勢です。


『黒田総裁はGDPについて「外需が弱めとなった一方で、国内需要が堅調に推移していることを確認する内容であり、全体として景気の前向きな循環メカニズムは引き続き働いている」と言明。先行きについても「こうした前向きの循環は途切れずに、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けていくという見通しには変わりがない」と述べた。』(上記URLより)

直近のGDP2次速報が弱かった訳ですが、このような説明をしているという事はつまり物価は順調に推移しているし先行きのメカニズムは変わっていないし見通しも変わってませんよ平気平気という話ですが、成長率が見通しよりも弱くて物価は堅調に推移ってそれただ単にコストプッシュとかそういう話じゃないですか国民厚生的にどうなんですかと小一時間。


『黒田総裁は11日の定例会見であらためて13年度の成長率見通しについて問われ、「その先の年度と併せて、4月の展望リポートであらためて公表する」と述べるにとどめた。』(上記URLより)

で、注目の前回定例会見での「+2.7%は行きます」発言の再ツッコミでございますが、先ほどの部分にありましたように「そのような数字よりも前向きの循環メカニズムが継続していることが重要なのです(キリッ)」という攻撃に出ておりまして、更に数字の話については忍法先送りの術ということで4月の展望レポートで攻撃に出ましたな。

でまあ展望レポートで攻撃というのは単なる忍法先送りの術なだけではなく、足元の数値が見通しに行かなかったらそれが直接的に政策判断に自動直結するのではなく、あくまでも展望レポートという先行き見通しの中で示しますということですから、先行きの見通しが重要でありますよという話でもありまして、つまりは+2.7%行かなかったから自動的に追加緩和というのはあり得ん(まあGDPターゲットにしている訳じゃ無いから当然ですが)というメッセージも含めていると思われますので、その点でも体勢を立て直したという感じだと思います。

つーかですな、今回の発言内容(正式版は本日出ますが)を見ますと、2月会見での「+2.7%達成が困難とは思っていない」発言が黒田さんにしては珍しいレベルの失言というかやっちまった発言だったという事になりまして、あの時点で「GDPに関して言えば数値がどうなるというだけではなく、前向きの循環メカニズムが途切れることなく続いていることが重要なのです(キリッ)」とか何とか言って具体的な数値の話を回避しておけば良かった(具体的数値が重要なのはディレクティブの量的数値とマンデートの2%物価上昇目標ですから)訳でして、ただまあ今回の発言が出るまでは「これはGDP+2.7%行かないのを何かの言い訳に使う布石なのではないか」とも想像(妄想寄り)される状況でしたので、今回このような説明をしているのは前回ちょっとやっちまったという所なのでしょうなあと思われますがどうでしょうかね。


まあ詳しくは会見要旨と共に投下しますが、出ているものを見て回った感じですと、今回の総裁会見は色々な意味で「体勢を立て直した」という感じでして、前回の貸出支援関連施策の延長強化において妙にフレームアップして、それこそ2倍とかまたガイジンとか他市場の金融政策シロートが喜びそうなフレーズを出してアピールしちゃった結果として、金融政策運営に関して「退かぬ、媚びぬ」という体勢への疑問が思いっきり浮上して、追加緩和観測が思いっきり前倒しとか浮上とかいう感じになっていた訳ですが、今回はそのようなサービス成分は皆無という展開になっておりまして、まあ元に戻ったという印象を強くしたという所だと思います。

まあ日銀としても前回の措置についてそこまで市場ウケする積りで考えていなかったのかもという所はあるのかと思いますが、ドラギのおっちゃんの先般の会見(もう少し書き残しネタもあるので後日)に関しても、もしかしたら市場のクレクレ観測が強いことに関して必要以上に火消しをしていたという感じで体勢の立て直しをしたのかなとも思えるのですな。まあクレクレ市場に対してはちょっとしたサービスでも過剰サービスになる可能性があり、コミュニケーションというのは難しいという事じゃないかという所で、この場合先入観というのも重要で、サービスにしろ火消しにしろ、言う人が違う(例えば麿だったらと想像しましょう^^)と市場の反応も全然違ったりするので、まあ難しい話だ罠と。


ちなみに公共放送でもこういうヘッドラインですので、追加緩和無いですよのニュアンスは伝わっているんでしょうな。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140311/k10015894111000.html
日銀総裁 金融政策の調整必要ない
3月11日 16時54分

#貸出支援の要綱に関しては時間の都合で本日はパスで勘弁してつかあさい、なお内容は想定通りです

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2014/03/11

○決定会合プレビュー雑談

つーことで今日の決定会合ですが、今回は前回決定した貸出支援関連施策の延長と強化に関する具体的な実施要綱が出る以外にはまあ普通に考えると特段の案件は出てこないと思われます、というのはまあ衆目の一致する所。

でまあ会見に注目となっていますが、アタクシ的に一番気になっているのは前回会見で堂々と言っていたこの件の落とし前なのですよね。

『(答) 最初に申し上げた通り、毎回、金融政策決定会合で色々な議論が行われるわけですし、経済・物価情勢を点検して、上下双方向のリスクが明らかになれば、それぞれに対応した政策の調整を行うということであり、その点には全く変わりありません。従って、ご指摘のようなリスクが顕在化するようなことがあれば、躊躇なく現在の「量的・質的金融緩和」の調整を行うことになります。もっとも、今のところわが国経済は順調に推移し、日本銀行の経済見通しに沿って動いていると思っており、今の時点で+2.7%の経済成長が達成できないとは考えていません。』(2月金融政策決定会合後の総裁会見から)

でまあ昨日GDP2次速報が出た訳ですが、予想通りというか予想以上に1次速報から下振れしている訳で、これだけ自信満々に(キリッ)と発言していたので何か謎の隠し玉でもあるのかとまで思ってしまいましたが、案の定2013年度の+2.7%成長は無理としか申し上げようがない状態になっておりまして、さてこれの落とし前をどうつけるのかというのが非常に気になるというか会見で誰かが質問すると思うのでどういう想定問答が用意されているのかが気になります。

いやね、まあ超恥ずかしいからそういう話になるとは思えないし、大体からして最近の審議委員講演を見ても別に追加緩和を慌てて実施しないといけないというニュアンスの情報発信は無い(白井さんだけは意味不明の供述を繰り返しているので適用除外)訳でございますので、そーゆー辺りからも特段の金融緩和あるいはそのようなものというのが出るとは思えない、となるのが普通です。

ただですね、あの時点でも行くのかどうか判らんという+2.7%の達成が自信満々みたいな言い方をしたのは行かなかった場合に何らかの措置を取る為の布石じゃねえのと取られる可能性がある話でして、もしかしてそういうのを意図しているんだったら展望レポートの所で「見通しよりも下振れて推移してきているので」と言って緩和を強化するみたいな措置を入れる可能性がありますよねという風に思ってしまうので、まあ今回の会見で何らかの落とし前をつけて頂きますとこの想像(かなり妄想寄り)の方向性がもうちょっと見えてくるかも知れませんな。

ただまあ消費税織り込んで十分な施策を実施しているという話ですし、先月打ち込んだ施策に関しても妙にフレームアップしちゃって悪目立ちさせちゃいましたけれども、実際問題としては期限の来る施策の延長という意味では政策の枠組みに大きな影響を与える話では無かった次第ですから、異次元緩和政策の枠組み(つまりMB年間60〜70兆円拡大と長期国債買入残高50兆円拡大およびその他諸々のコンビネーション)に手を付けている話では無くて、実はそんなに重い話でも無かった(しつこく申し上げますが悪ノリして妙にフレームアップしたのが話をややこしくしている原因)ので、今のディレクティブの変更に繋がる話というのは本来は相当ハードルが高い筈なので、そう簡単に枠組みの変更をするもんじゃない、というのが中央銀行的というか行政官的なロジックになる筈で、実際は外野が思っているほど簡単な話ではないとは思われます。


あと可能性があるとすれば足元の短国市場の推移の影響でして、つまりは「その他」の部分でのMB積み上げがテクニカルに困難という認識になった場合(短国利回りがマイナスだろうと何だろうと気にしないで購入すれば購入はできるが、それは短期金融市場その他の大きな機能毀損のリスクが高いので現実問題としては選択しずらいのだが、昨日軽く悪態申し上げたように短期市場自体が特殊市場というと語弊がありますけど、まあ債券市場の人でも良く判っていない人がいるという状況ですので、そらまあ政策当局の中の人だって分かってない人も多いでしょと思うので安心はできない)、MB拡大のテクニカル的な困難さがあるのでその他(主に短期でのMB拡大部分)を中期以下の国債購入に振るというテクニカルな対応というのはあり得るかも知れないなとは思っています。

ただまあこれに関しては延長強化された貸出支援関連措置による4年オペの残高が伸びるとその他部分の残高が稼げますので、オペ残高の伸び方を見ないうちに長い方の国債に振るというのもちと考えずらいので、まあ普通に考えると直ぐにどうのこうのという話にはならないとは思います。

とまあ常識的に考えてみるとそうなるのですが、意表をついてやるならまあ展望レポートの所じゃないですかねえそうじゃなかったら7−9ですかねえとか思うのですけど、何せMB70兆円の拡大とか長期国債の買入拡大とかどこからどう見ても限界で2倍とか無理ですからETF2倍というのでも展望レポートの所で打ってお茶でも濁しますかねと(^^)。

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2014/03/10

○何とかの一つ覚えのように短国ェ・・・・・・・・・

金曜の短国買入は減額するのではとの予想も一部にありましたが誠に遺憾なことに2兆円の買入を継続の巻。

オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140307.htm
国庫短期証券買入 20,000 2014年3月11日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2014年3月11日
国債買入(残存期間10年超) 1,800 2014年3月11日

落札結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140307.htm
国庫短期証券買入 40,940 20,003 -0.007 -0.004 42.9
国債買入(残存期間1年以下) 2,396 1,102 -0.002 0.000 60.9
国債買入(残存期間10年超) 4,487 1,804 0.013 0.017 27.8

ということで落札結果は平均4糸強の足切り7糸強まで入ってまして、これは結構強めの所まで入りましたなという所でして、新発3Mもこれは強い所まで入りましたぞなという所ですけれども、流れっぷりから見ると新発3Mの応札が少なめだったのかも知れませんなあという感じはしますが実際に札を見れる訳では無いのでよーわからんけどな。

でまあ金曜は新発3Mが何と2.3bpとかで出合っていたようで、中長期の方がこう日々カーブのケツだけはちょっと動くけど先物とか先生先物ちゃんが息をしていないの状態になっていてウゴカンチ会長な中では短国のこの調子は異彩を放っているせいかベンダーでもニュースっちゅうか話題になっていたりしてますな、うんうん。

まー今月の場合は日銀の短国買入が先月末のオファー2兆円というのを見せられて、3月の需給逼迫が全力で危惧されて来ましたので、そーゆー意味では期末の残高確保の動きが前倒しになっている可能性はあるのですけれども、まあ現実問題としてそれ以外に日銀の買入残高が拡大しているというのもありますからして(フローも増えてますが)、まあこれはアチャーですわという所ですな。

期末の残高確保の動きで嵩上げされているのでしたら期初になると需給はやや緩んでくれるかも知れませんが、まあそれよりも貸出支援関連オペの残高をバカスカ伸ばして頂きませんと短国買入に掛かる負担というのは本質的には変わらないという事になりまして、MBを積み上げる中で低金利恒常化とかもアレですし、マイナスとか間違って付いてしまうとまあ特定銘柄が瞬間芸で付くのなら局地的な話で済みますが、ある程度全体的に恒常的な感じで推移しますと、それはそれで色々と不具合が生じるのですけれども、短国金利の低下がベンダーとかで話題になる中でのコメント見たらセルサイドの人たちのコメント的にマイナス金利無問題とかゆーのがありましたが、商品有価証券的な見方ではそらまあそうかも知れんが、世の中それだけではございませんのでやはりまあ不具合というものが生じると思われますので、とりあえず三途の川で沐浴をされて心を洗って来られる事を推奨させて頂きたいと存じます。

しかしまあ短国レートが馬鹿低下する状況まで短国買入拡大して市場にストレス掛けてまでMB増やしてそれは何の意味があるんでちゅかねえという気はするのですが、短期市場に掛けるストレスを軽減するという事を考えると貸出増加支援もこの際2倍とか言わないで10倍くらいオッケーにするとか、海外中銀の日銀デポに付利して短国買入圧力を軽減するとかして、よーは物理的な短国成行買い圧力を減らせば需給はちったあ改善するとは思いますが、まあ貸出支援関連の拡大ならともかく、海外中銀のデポに付利とか量的拡大をやりやすくはなるものの、それは金利的には上昇要因(そらまあ短国需給を緩和しようという観点で考えるからそうなるのは当然だが)になるので、益々何のためにMB拡大しますねんという話になりますな(大汗)。

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2014/03/07

○短国ェ・・・・・・・・・・・

昨日は30年国債入札で超長期ゾーンは動いたけど先物は瞬間10銭位動いておーと思ったらやたら底堅くて結局昨日も引値は10銭以内の巻とかなっておられましたが、一方で着実にヒャッハーとなっているのが短国ちゃん。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140306.htm

(3)募入最低価格 99円99銭1厘5毛(募入最高利回り)(0.0340%)
(4)募入最低価格における案分比率 60.0541%
(5)募入平均価格 99円99銭1厘8毛(募入平均利回り)(0.0328%)

前場引けが3.3bpの出合いでオファーとなっていた訳ですが、一応0.0340%の所まで入って按分60%ですかそうですかという結果だったものの、いわゆる不明玉がやたら多くて(3.4兆円とか)うーむこれはとか思ってたら2.7bpの出合いとかになって引けは3bpとかおそロシアな展開になっております。

どこの有担保コールだというレートになっているのは去年の3月にもそんな事がありましたけれども、去年の3月の場合は異次元緩和実施待ったなし状態の中で、実際に何が起こるのかワカランチ会長という状態でして、間違って異次元とか言って超過準備付利下げたり撤廃されたりしたらテラヤバスという思惑もあったのでターム物となります短国の金利が低下するのはまあ有りだったのですが、今年の場合さすがにここから付利金利の引き下げとかやる可能性皆無(やったら間違いなくMB拡大政策が崩壊します)なので、そういう意味で金融政策の先行き見通しベースなどでの金利低下なのでは無く、単に日銀がMB拡大の為に馬鹿買いをしているから金利が無理矢理下がっているという話なのがアレという事ですな。

でまあ2.7bpとかやってて引けが3bpとかなのですが、どこからどこまでがマジ買いなのか煽りんちょの買いなのかがワカランチ会長ではございますけれども、まあ今日の短国買入も3Mの新発が(不明玉の人たちがそのままガメ無い限り)打ち込まれて結局3Mカレントは物無芳一となるんですなあという所で、今月は引き続きヒャッハーな短国市場となるのですなナムナムという結果で。

なおGCレートは発行要因でちと上昇してまして、現物の利回りだけこの調子だと中々大変ですなあと思うのでありました。

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2014/03/06

だいたい雑談ですいませんすいません。

○市場メモと関連して追加緩和する手段の雑考

・6MTB入札ェ・・・・・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140305.htm

(3)募入最低価格 99円98銭2厘 (募入最高利回り)(0.0357%)
(4)募入最低価格における案分比率 7.8707%
(5)募入平均価格 99円98銭3厘 (募入平均利回り)(0.0337%)

ということでまあ短国物無芳一なのでシャーナイナイなのですけれども、平均は3.5bpを切るレートとかになりやがりまして、足切りで3.5bpに乗っていますが按分7.9%と薄い按分でございまして、実質的には3.37bpの札がメインという事ですねわかりますという結果でまあ流れもしないしセカンダリーも確り(カバーニーズみたいな感じですけど)という結果になりましたな。

でもって本日は3Mの入札があるのですが、まあこの調子で物無し状態となっているとあまり流れるとも思えずで3bp台の半ばあたりからご相談という話でしょうし、流れると言っても4bpとかそういう話になるのでもう何だかねという所でございまして、今月頑張ってMB積み上げの短国買入攻撃が来るとまあろくすっぽレート上がらないどころか下がるリスクがががががという話ですなナムナム。

ちなみに今月償還物に関しては日銀の保有なんぼですねんと思ってみますと、昨日の6Mと今日の3Mの折り返し元の銘柄に相当する6Mの394回債が13,270億円、3Mの414回債が14,332億円となっていまして、この分に関しては(日銀に嵌っているのですから)償還ロールのニーズが無い筈なのですが、まあ3.5兆円のうち1.3兆円が日銀に沈んでいて普通に市中にあるのが2.2兆円しか無い筈なのにこの堅調入札というのが昨日の結果でございましたので、5.7兆円の入札であります所の3M入札もどう見ても堅調です本当にカムサハムニダという所ですな、うんうん。

なお、日銀保有の3月償還物の残高は先月末の数値によりますと89515億円となっていますので、まあ確かに日銀保有分の残高維持でも9兆購入とかそういう話になるからそこそこ買いが来る罠とか思いつつ見ている訳ですが、まだここから270兆円に向けて残高拡大しないと行けない訳でして、うち長期国債で50兆円だから残り20兆円積まないと行けなくて、長期国債買入以外の積み上げが本当に20兆円出来るのかねという気がだいぶしてくる今日この頃なのでありました。

とは言いましても長期国債の買入明細の方を見ましても結局流動性のあるカレントしか入ってこないという状況で、長期国債買入攻撃によって市場の流動性が極端に低下してきているのは顕著な訳でして、長期国債の買入をこれ以上増やすとかゆーのも中々難しい話で、1−5年の所はもう少し買入余地がありそうですが、特に長期ゾーンとかこれ以上拡大するとマジで流動性が皆無になりそうですから10兆とか増やすのかなり難しいですよねとか思いますとそもそもの270兆円という大風呂敷が大風呂敷過ぎましたねどうしましょという所ですな、うんうん。


・債券先物ェ・・・・・・・・・・

昨日の債券先物は前日比10銭安で引けておりまして、10年カレントの引けが1毛5糸甘とかなっていて前日比動いたじゃんとか思ってしまうのが悲しいのですが、良く良く見たら債券先物の引けが前日比10銭動いたのが2月20日の16銭高以来という残念な話。

では昨日は動いたのかというと日中の高安が6銭しか無くて、日中のティックチャートとか見ていると泣きそうになってしまう訳で、これまた日銀買入効果でマーケットのボラを下げていると言えば聞こえが良いのですが、どう見ても無茶振り状態になってきてますよねという所でして、まあこの手の市場動向を見ると追加緩和でMBを拡大するとか相当無理な話で、国債の買入もそんなに増やせないでしょとか考えると、実は量的な意味での追加緩和ってまあ技術的にも市場に与えるストレス的にも難しいですよねという話になります罠。


・つーことで追加緩和と言いましてもという話になるのだが

とまあつらつらと最近のアチャーな市場を見てて思うのですが、いやマジでこんな調子で市場にストレス掛けながら量的拡大で金融緩和でございとやっておりますと、いずれ実施しないといけない筈の金融正常化という話になった場合にどんだけおそロシアになるのかと思う訳で、これ以上何の追加しますねんというのが債券および短期市場の技術的な観点からのイメージだと思うのですけれども、追加緩和がどうのこうの言ってる人たちって実際に何を実施するという事になるんでしょうかねえという所です。

ま、どどーんと増やせるのETF位しか無いですよねとかそういう話になると思う(MB増やさないで長期と短期を若干振替するのは出来そうですが、1−5年の買入を増やして年間に直して数兆円のオーダーですよねえ)ので、もうこうなったら成長基盤オペを無理矢理何かにこじつけて金融機関に「押し貸し」でもしないといけませんねというか、そもそも量で勝負方式の追加緩和は難しいっすよねえとゆー所ですな、うんうん。

ただまあ従来の説明が「MB増やして長期国債買って異次元緩和で期待の転換を図って期待インフレを上げて実質金利を下げて」という理屈で勝負していただけに、いずれ追加緩和のようなものを出すとなった場合にはどう見ても従来のロジックでは説明できない方法を取らざるを得なくなりますし、そもそも「2年で目標達成」という話をしている以上、時間軸の長期化という政策は取れないですし、大体からしてMB270兆円達成にも相当のストレスが掛かっているのにこれに70兆円おかわりとかどこからどう考えてもミッションインポッシブルなので時間軸の長期化自体が物理的に無理という感じになって参りましたよね、とまあ考えるとどこぞの逆さ絵先生張りに「前のロジックを有耶無耶のうちに無かったことにする」攻撃をせざるを得ない訳です。でまあその中で最近執行部以外の審議委員の方々が異次元緩和の量で勝負ロジックだけではなく、成長基盤強化だのそもそも物価が単に上昇すれば良いもんじゃないですよねとか、(本来はそれが筋だと思うのですが)異次元じゃない白麿ロジックを出してきているのはその露払いですかそうですか、と考えると中々味わいが深い訳ですな。

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2014/03/05

お題「月初恒例の計数が出たので計数雑談/ニュース雑談悪態」

とりあえず落とし所をという流れで株高なのだがプーチン先生の会見って結局の所実効支配しているからこっちのもんだもんねという話のような気がせんでもないが良く判らん>ウクライナ

記事が無いので良く判らんが、SF連銀のウィリアムス総裁が数値ベースのスレッショルドが足かせになっているので定性的なスレッショルドにするという話をした件について解説の人(北野さんね)が「そもそもフォワードガイダンスというのは中銀の行動に手枷足枷を掛けるものなのだが」と的確なツッコミを入れておりまして誠にご尤もという所です。

それは兎も角本日は月初恒例の計数なので計数ネタという事ですが、白井審議委員の謎講演が色々謎な件に関しては悪い意味での当たり案件なのだが面白半分に更に明日にでも地雷を踏み抜きに逝こうかと(^^)。

#しかし計数ネタは書く前に確認とかするのでどうも書くのに時間がかかりますな(汗)


○市場関連計数ネタ

・日銀当座預金増減要因見込み計数

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1403.htm/
日銀当座預金増減要因(2014年3月見込み)

3月の資金過不足は国債償還要因とオペ要因を含めて1兆円程度の不足ということで、先月とは様変わりの筈なのですが、ここから今月は長期国債買入がたぶん6兆円台の後半位入って、貸出増加支援オペも入る一方で短国買入も2兆円ペースを維持するとなった場合には3月は順当に行けば4回入りますという事で、3月は相当の積み上げになりそうです。

なお、固定金利オペの期落ちが3月中に5本計2.8兆円程度ありまして、うち1回目の分は若干の増額ロールとなる3310億円のロールになりましたので、間違って全部落ちて2.5兆円減額になります。

あと、貸出増加支援オペがどれだけ出るのかはさっぱりワカランチ会長ではあるのですけれども・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo81.htm/
貸出支援基金の運営として行う貸出増加を支援するための資金供給基本要領

『9. 貸付限度額

貸付実行日毎の貸付先毎の貸付限度額は、次の(1)から(2)を控除した金額相当額とする。ただし、貸付先が借り換えを希望する場合には、次の(1)から(2)を控除した金額相当額と借り換えの対象となる貸付けの金額とを比較して、いずれか小さい方の金額の範囲内でこれに応じる。

(1) 当該貸付先による平成24年10月から12月までの各月末における貸出(政府に対する貸出、地方自治体に対する貸出ならびに金融機関等および預金保険機構その他の別に定める公的法人に対する貸出を除く。以下同じ。)の残高の平均額に対する、貸付毎に別に定める四半期の各月末における貸出の残高の平均額の増加額

(2) 当該貸付先に対する、この基本要領に基づく貸付残高』

ということですけれども、

http://www.boj.or.jp/statistics/dl/depo/kashi/index.htm/
貸出・預金動向

ここの辺りの数値とか、この計数に関する時系列データを拾ったりして計算しますと(2012年の分は時系列データサイトの方を見に行かないといけないので)2012年10月〜12月の貸出金平残の銀行計というのを平均すると460兆9427億円で、2013年10月〜12月(今回のオファー時点での基準となる残高)の同数値が470兆9259億円になると思いますので、そこの数値を拾うと約10兆円という数字になりますな。

#なお拾っている数字が平残で、実際は末残ベースですし、そもそもこのオペ先自体が全金融機関対象ではなくて銀行、信用金庫など92先となっていますし、上記貸出計数に関してはそもそも貸出増加支援オペ対象にならない貸出も含まれていますので念の為

んでまあ営業毎旬報告を見ますと
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2014/ac140228.htm/

(別表2)の『「貸出支援基金」の内訳』を見ますと、貸出増加支援オペの残高が5兆843億円になっていますので、貸出増加支援オペ自体は全部出て5兆円までは行かないけれども、3兆から4兆位は出るのかもしれませんなよー知らんが(これ貸出先別計数とかどこかで公表されていると思うのでその辺を拾って回るともう少しちゃんと出せるのですが安直コースで勘弁)という所ですかねえ。

となりますと、恐らく貸出増加支援オペと固定金利オペのネットアウトもプラスとなりそうでして、そうなりますと今月はまたMBが盛大に拡大するという話になるんですかねえ。いやまあ確かに4月に固定金利オペがバカスカ落ちるので3月に積んでも4月に落ちが来るというのもあるのですけれども、いやー何と申しますかという所ではございます。


・国債の銘柄別残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/

例によってここからZIPで落として表計算ソフトに出してヘコヘコと計算するのですが、最近は輪番is需給イベントという事になっておりますので、何とかストだけではなく皆さんヘコヘコと計算しておられると思いますので今さらあたくしが申し上げても何ですが俺様メモという事で。

えーっとですな、前月との比較をして見たら最早笑ってしまうしかないのですが、差分を取ると買入年限のケツのカレント銘柄ばかり入っていまして、10年332回が20875億円、5年116回が10632億円、40年6回が532億円となっていましてナンジャソラという所ですが、20年カレントとか輪番の年限の切り方的には両端じゃないのですけれども、入札のタイミングとその時の状況的に入りやすかったと思われる20年147回が5810億円とそこそこ。ちなみにで30年41回は138億円となっていますという事で、まあ結局の所輪番が新発銘柄の大打ち込み大会になっているという状況となっております。

でもって平均残存年限なのですが、めんどいから償還日と2月28日の差分を365で割って年限を出すというアバウト方式で差分の加重平均を取ったら、アタクシの計算(およびタイピングと数字コピペ)が間違って居なければ(寝る前にヘコヘコ計算したので内容無保証)70096億円の買入分の平均残存が7.928年という数字になりましたがどうでしょうかね。

ということで、まあ先月の謎の超長期買入200億円減額攻撃が見事に効を奏しまして買入銘柄の平均残存は当月月末基準で見た場合には6年〜8年のレンジ内に綺麗に収まってとても良かったですね(棒読み)という所ではございます。

なお、来年の金融政策という意味ではMB拡大だったらそんなに悩まなくても良いのですが、そうじゃ無い場合には償還スケジュールとの兼ね合いでMBがどの位維持できるのかとか、国債買入残高を維持するペースは何ぼですねんという計算をヒマな時に行う所存。


・短期国債残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/

これまた表計算ソフトに落として差分を取ったり残高計算してみますと、先月発行の1年TBでありますところの432回が9800億円入っていまして、1年物が買えてよかったですね(棒読み)という所でございますが、残高ベースで見ますと年末残高に跳ねる1年TB2銘柄の残高合計が24940億円となっておりまして、残高積み上げはそうは簡単に進みませんなあという所ですな。

で、4月の償還分って結構少ないのですが、これは12月に買入を絞った分の影響なのですけれども、MB200兆円の着地が見えたから減らしたというのもあるんでしょうが、良く考えたら4月には固定金利オペ1年物の落ちがバカスカ来るからその分を勘案して償還を減らそうとしていたんですか今頃気が付きましたすいませんすいません。

ま、その辺も勘案すると将来の償還デコボコを作らないようにという事で、短国買入のペースは遺憾ながらそう簡単に落とせないんでしょうなあ。で、短国市場が期末にヒャッハーということですかオラシラネ。


・MBは無事に拡大だがまだ足りぬということか

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1402.pdf

2月は平残、末残共にMB拡大していまして、末残ベースで204兆7525億円となっておりまして、まあ順調に拡大していますねという所ですが、年間70兆円という目標からしますと2か月経っているのですから6分の1、つまり10兆円以上は稼いでいないと数字上宜しくないという事になりますな。

んでもって3月に70兆円の4分の1稼ぐという話でしたら、17.5兆円を稼ぐという話になるので、ここから13兆稼ぐからやっぱり短国買入はそんなに減らせませんねとかそういう話ですかいなという気もするが、この辺は何をどう計画しているのやら良くワカランチ会長でしゅ。



○ニュース雑談というか悪態

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N1VX6G6JTSF701.html
伊藤教授:GPIF改革は受給者のため、国内債52%まで落とせる (2)
更新日時: 2014/03/04 15:05 JST

色々とツッコミどころがあるのですが・・・・・・・・

『最近のGPIFの国内債比率の低下は相場環境の変化が主因で、同法人自身による積極的な動きではないと見る伊藤教授は、「52%で終わりではない。海外主要ファンドは内外債券で35−40%、どうしてここまでいかないのか」とし、基本ポートフォリオの改定では、「ラディカルな変更を行ってほしい」と述べた。』(上記URLより)

えーっとすいません多分比較している「海外主要ファンド」というのは日本で言うと年金のいわゆる2階建て部分以上の所に相当する話で、海外と言いましても基礎年金部分にあたる運用ってそこまでリスク取ってましたっけという、そもそもの比較の対象が大丈夫かという話もありますし、ラディカルな変更なんぞしたらマーケットインパクトどんだけありますねんという話もありますし、今後のキャッシュフローが基本的に支払超のステージに入る中でリスク性の高い資産にラディカルに特攻したり、流動性の低い資産に突っ込むみたいな話が出るというのは何なんでしょという所で、単に物事のほんの一部分だけを見て全体の話をしているんじゃないかと思うのですがこれがそこらの居酒屋でクダ巻いているオッサンではなくて東大教授なんですよねえ。

『伊藤教授は午後にも都内で講演し、国内債の保有比率の引き下げに関連して、「日銀が大量の国債を買っている今がチャンス」との見解を表明した。国内株については、「株価はまだバブルでない」と指摘し、GPIFが買い増す好機だと語った。また、不動産やインフラ投資など新たな資産に運用を拡大すべきだとの考えも示した。』(上記URLより)

もう何を仰っているのか良くわかりませんが、そんなに株式を買い増す好機なのでしたら伊藤先生がまず率先して預貯金全部突っ込んだ上に全財産担保に突っ込んで株式市場に信用2階建て位で特攻されたら如何でございましょうか何でしたら一族郎党皆さんで実施されたら如何でしょうかと存じますが、人の金だからってまあ随分な無責任発言と思いますなあという所で。

そこまで言うならお前運用したらと言われるとどうせこの先生実際の売買は専門家にやってもらうとかいう話をするでしょうし、何というか無茶な作戦計画を立てて無茶作戦が崩壊していく中で師団長が悪いとか言ってドンドン師団長の首は飛ばすが本人は状況を改善する努力はろくすっぽ行わなかったと言われる第15軍司令官牟田口廉也中将かと言いたくなる訳ですが、牟田口中将だって一応予備役編入みたいな責任取らされた訳ですが、何せこの先生の場合はGPIFの運用に対して直接的には何の責任も権限も無いのでして、より一層タチが悪い訳でして、東京大学はグローバルスタンダードで秋入学の検討とかしている暇があったらこのオッサンの口を何とかする方が先決なんじゃないですかねえとか思うのでありました。

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2014/03/03

安倍ちゃんが熱心に訪問していた国がトルコにインドにロシアだった訳ですが、ことごとく政治的にアレで通貨が下落している現象について何か命名(銃声)。

○短国買入ェ・・・・・・・・

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140228.htm
国庫短期証券買入 20,000 2014年3月4日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2014年3月4日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,500 2014年3月4日
国債買入(変動利付債) 1,400 2014年3月4日

ということで3月渡し一発目の短国買入は堂々の2兆円オファーとなりまして、3月の想定される資金需給からするとそんなペースでオペを打たなくてもMBの積み上げは可能な筈なのですが、どんだけMB積み上げる気なんじゃというオファー額。

なおオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140228.htm
国庫短期証券買入 52,111 20,003 -0.004 -0.002 42.6
国債買入(残存期間1年超3年以下) 10,913 2,503 0.001 0.002 28.2
国債買入(残存期間3年超5年以下) 12,113 2,506 0.000 0.001 33.3
国債買入(変動利付債) 5,219 1,401 -0.060 -0.082 80.3

2糸強平均の足切り4糸強ということでまあ順当に堅調な結果になっておりますが、何せ金曜は前場から3Mの短国が3.5bpレベルで出合っていたりしてまして、ただでなくさえ短国市場強い状況になっている訳ですが、特段市場の状況には気にせずに2兆円の買入を突っ込んでくるというのはどうしたんじゃという所なのですが、今3か月をせっせと買っても12月末の残高に跳ねる訳では無くて、それどころか償還が3か月後に来るのですからその分を買入しないといけなくなって、フローベースの買入が更に増えてしまうというケージの中でクルクル回る短国買入ハムスター状態になってしまう悪寒なのですが、資金需給的にそこまで買わなくてもMB残高の2月末対比の積み上げが可能なはずの所でどどーんと買入を入れてくるというのはちょっとふーんという感じではあります。

まあ3月は期末月で、期末独特の残高調整ニーズでの短国買い(とか買現先とか)のニーズがあるというのは調節の中の人も十分ご承知だと思いますが、そんな中で2兆円の買入を堂々打ち込んで来た(まあ資金需給見通しが出てから変わるかもしれないけど)訳でして、仮にこのペースで買入を実施すると3月の短国市場はかなりヒャッハーなことになってしまうと懸念されるのですが、そこまでして短国を買いに行くのはどうしてなのという所です。まあ市場の金利形成とか需給とか知らんがなそれよりもMBを兎に角積みたいという事かも知れませんが、買入大攻撃によって短国の利回りが盛大に低下してくると「短国買入の限界が出てきた」という話になって、今度はマリーアントワネット張りに「短国が買えないなら長国を買えばいいじゃない」という話になって、輪番拡大の思惑という話になるんじゃネーノという話になる次第。

つーかですな、水曜の輪番で超長期を謎の200億円買入縮小とか微妙にクソ細かい(たぶん)デュレーション調整をしている側から短国買入の方は市場動向知らんがなとばかりに盛大に2兆円の買入を行うというこのざっくり振りの落差があまりにも禿しいのは何なんですねんという所ではございますな、うんうん。

なおデュレーションが気になるのであれば、超長期の買入を減らすよりも中短期部分の買入を増やせば短期のオペに掛かる負担も減る(1〜3年買っておけばその分そのまま年末のMB残高に跳ねるのだから短国オペへの負担が減るし、そうは言っても短いですから将来的なバランスシート負担も小さいでしょ)と思うのですがどうでしょうかね。


○佐藤審議委員講演ネタの続き:

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko140301a1.pdf

金曜は国債決済関連の話の方を注目しましょうという事でスルーした(というと尤もらしいですが実は単なる時間切れです)佐藤審議委員講演の最後のパートの所です。金融政策に関する話の部分だけニュースベンダーのヘッドラインが並んでいたのですが、講演テキストを見れば判るようにどう見ても今回の講演は国債決済に関する話がメインだと思うのですが肝心のメインの話はニュースにしないというのも何だかねえという気はせんでもない。

という話は兎も角として、『6.最近の金融政策運営』のパートから。

『最後に最近の金融政策運営について申し上げる。昨年4 月の「量的・質的金融緩和」の導入から間もなく1 年が経つ。その間の国内経済・物価動向は展望レポートとその中間評価で示した政策委員会の中心的なシナリオに沿い概ね順調に推移しており、政策委員会では現在の資産買入れ方針のもとで、「量的・質的金融緩和」をしっかりと推進していくことが適当と考えている。』

『一方、市場関係者の間では政策委員会の中心的な見通し、とりわけ物価見通しが達成困難、あるいは時間がかかるとの見方から「量的・質的金融緩和」の継続期間や追加緩和等についてさまざまな見方があることは承知している。市場の観測に政策当局者がコメントすることに逡巡はあるが、市場との対話は重要であるので、ここでは「量的・質的金融緩和」の継続期間に絞ってお話したい。』

ということで2年で2%という話がありますがそこはご案内の話なので割愛しましてその次。

『ここで「量的・質的金融緩和」の継続期間について、私なりに整理すると、そのポイントは以下の3 点である。』

ということで・・・・・・・

・フォーキャストターゲットキタコレ

『第一に、「量的・質的金融緩和」の継続期間は2 年という期間で厳密に区切っている訳ではない。ただし、そのことによって「2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」というコミットメントをいささかも後退させることがあってはならないと考える。』

とまあこれは良いとしまして・・・・・・・

『第二に、「2%の物価安定目標を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」継続する」との方針は上記のコミットメントと矛盾するものではない。すなわち、「安定的に持続するために必要な時点まで」の部分は私の理解ではフォーキャスト・ターゲティングである。したがって、例えば、実際の物価上昇率が2%に届いていなくても、諸情勢を勘案して先行き2%を安定的に持続できると判断できれば、政策効果の波及ラグを考慮して2%に達する前に出口に向かうことはあり得るし、逆に、仮に2%を超えても持続性がないと判断すれば政策を継続しているかもしれない。「必要な時点まで」という文言はそうした先行きの不確実性に対応した幅のある概念であり、先に述べた強いコミットメントを補完するものである。』

フォーキャストターゲッティングキタコレということでありまして、2%の物価安定目標に関して「実際の数値」なのか「見通しの数値」なのかという問題がありますし、ついでに言えばインフレ期待がどの水準でアンカーされているとかそういう計測が難しい(が故にお手盛りモードが可能な)概念があったりしまして、物価安定目標を2年を念頭に出来るだけ早期に達成という話をして残り1年になった所で徐々にこの物価安定目標の定義とは何ぞやという話が盛り上がってくるというか、かなーりのカオスになってくる可能性がありますなという事で。

なお、フォーキャストターゲッティングの概念は佐藤審議委員は以前からお話をしていましたので、この話自体は以前からあるのですが、ここもと審議委員の講演で次々と黒日銀の話に白日銀の話が混じってくるというシマウマ日銀コースの話が出ている中でありますので、この流れキタコレという感じではございます。


・柔軟な枠組みキタコレ

『第三に、2%の「物価安定の目標」自体も他の主要国の中央銀行が採用する枠組み同様、柔軟なものである。すなわち、金融政策の効果は、経済活動に波及し、それがさらに物価に波及するまでに、長期かつ可変のタイムラグが存在する。』

さいですな。

『金融政策は、物価安定のもとでの持続的成長を実現する観点から、経済・物価の現状と見通しに加え、金融面での不均衡を含めた様々なリスクも点検しながら、柔軟に運営していく必要がある。こうした考え方は、各国で広く共有されており、とくに、世界的な金融危機以降、海外主要国では、金融システムの安定へ配慮することの重要性を対外的に明確にするなど、金融政策運営の柔軟性という視点が強く意識されるようになってきている。』

うんうん。

『その点、「物価安定の目標」はたとえば2%の物価上昇率を一時的に実現すればよいといった硬直的かつ表面的な枠組みではなく、柔軟性のある、経済実勢に即した実質的なものである。私は、昨年10月末の金融政策決定会合議事要旨等に示されているように、政策委員会の中心的な見通し対比、物価の先行きを幾分慎重に見ているが、これは私が「量的・質的金融緩和」の効果に懐疑的であったり、期待の転換を促すという政策委員会の描くメカニズムを否定しているからではない。「物価安定の目標」は、もとより2%をピンポイントで目指す硬直的な枠組みではなく、上下双方向にアローワンスを持つ柔軟な枠組みであると私は理解しており、そうした理解のもと、その達成のハードルを柔軟に考えているのである。』

達成のハードルを柔軟に考えているというのはつまり・・・・・・・

『この点、そもそも、「物価安定の目標」が目指すのは、物価だけが上昇するのではなく、全般的な経済情勢の改善とともに賃金が上昇し、それとバランスよく物価が上昇する世界である。4 月からの消費税率引き上げで人々はますます物価動向に敏感になるであろう。そうしたなかで日本銀行が単に物価上昇だけを追求していくといった誤解は避けなければならない。そういう意味でも2%の「物価安定の目標」は柔軟な枠組みであることを改めて強調したい。』

(;∀;)イイハナシダナーという所ですが、どう見ても黒日銀の話って「とにかくインフレ期待を引き上げて実質金利を下げる」という話で、実質金利を下げると資産価格は上昇するわリスク投資は増えるわ消費は活発になるわ設備投資は拡大するわ所得は増えるわ爺さんのリューマチは治るわ(それは言ってない)といいことずくめですので実質金利引き下げの為に物価が上昇するのが良い事なのですという話を展開して、しまいには「バックワードルッキングで期待インフレが高まる」というルートに期待するという、何でも良いからまずは物価が上昇すればインフレ期待も上昇しますよという豪直球な話も展開するという大変に楽しい展開になっておられる訳でして、まあ佐藤さんは元よりそういう何でもいいから物価上理論は批判していたサイドですのでこの説明自体は新しい話では無いのですが、黒い日銀におかれましては「日本銀行が単に物価上昇だけを追求していく」というのは残念ながら「誤解」ではないようにしか見えませんぞなという所ではございます。

でまあ直近では企業経営者出身の審議委員(森本さん、石田さん)も本来的な「そもそも物価安定目標は国民の厚生の為にあるんですよね」という論点をより強く見せるような講演を行っておりましたけれども、佐藤さんは従来からこの話をしておりますように、現実問題として考えた場合に黒日銀一本槍というのはどうなのよという話になり、気合と根性が不足しているという点が大問題だった訳ですけれどもそもそも論からしてどう見ても正論な白日銀の「成長力を強化して経済の実力を上げてそれに見合った物価上昇を達成していくのがヨロシ」という白日銀話がこうやって出てきますと何とも味わいが深いと申しますか、置物副総裁先生の置物金融政策理論に関してのご見解をお伺いしたい所です。

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2014/02/28

○石田審議委員講演ネタと会見ネタである

まずは講演ネタの続きですけど。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko140226a1.pdf

昨日は前半の金融政策に関するシマウマ説明部分に気を取られてしまい、改めて石田審議委員の講演を見たら最後の物価に関する説明部分が色々な意味でインプリケーションがあるという事に改めて気が付いた(鈍くてスイマセン)のでその辺りから。

・物価安定の定義に関して今後大きな論点になりそうという話

最後の『2.「物価安定の目標」と物価指数』の所ですが、ここでの説明が講演の最初の所にあった「白日銀時代の共同文書」にある本来の考え方に則した話になっているのですよね。

『日本銀行では、この「物価安定の目標」に対応する物価指数としては、国民の実感に即した、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーした指標が基本と考えており、消費者物価指数の総合指数が重要であると考えています。ただし、消費者物価の総合指数は、一部品目の一時的な変動の影響を受けることから、変動の激しい生鮮食品を除いた総合指数を用いて、基調的な動きを把握するようにしています。』

まあ総合が重要なのはこれ世界的にみて普通の話でございます。ちなみにFRBのロンガーランゴールの2%というのもPCE総合物価上昇率ですからね。

『また、消費者物価の基調的な動きを把握するため、「除く食料・エネルギー」指数や「ラスパイレス連鎖指数(除く生鮮食品)」、「10%刈込平均値」なども参考指標として点検しています。その他の物価指数としては、家計の消費支出に関する統計などにおいて、名目値を実質化する際に「除く持家の帰属家賃」指数が使われていますが、これは持家の家賃支払いは実際に発生しないことを踏まえ、現実の家計の消費支出に最も対応する物価指数として、採用されていると考えられます。』

という物価統計の話をしていまして・・・・・・・・・・

『それぞれの物価指数は、やや長い目でみれば総合指数と同じ動きになると考えられますが、その時々では一時的な変動要因により異なった動きとなることがあります。例えば、昨年12 月の前年比伸び率をみると、「除く生鮮食品」指数と「除く食料・エネルギー」指数は、先ほど述べたようにそれぞれ+1.3%、+0.7%ですが、「総合指数」は+1.6%、「ラスパイレス連鎖指数(除く生鮮食品)」は+1.2%、「10%刈込平均値」は+0.8%、「除く持家の帰属家賃」指数は+2.0%となっています(図表18)。』

>「除く持家の帰属家賃」指数は+2.0%となっています
>「除く持家の帰属家賃」指数は+2.0%となっています
>「除く持家の帰属家賃」指数は+2.0%となっています

で、その「除く持家の帰属家賃」は先ほどの所にありましたように「現実の家計の消費支出に最も対応する物価指数」という話をしておりますので、つまり現実の家計の消費支出として見た場合の物価上昇率は既に2%に達していますという話をしている訳でして、しらっと結構重要な指摘をしていますなという話をうっかりスルーしておりましたすいませんすいません。

つまりですね、これって物価目標の建付けに関する論点に関わる話で、そもそも物価目標の達成は達成すりゃ良いってもんじゃなくて、国民厚生の向上の為のツールとしての物価安定目標であって、何でもいいからとにかく2%にすりゃ良いもんじゃねえだろという話に繋がる説明でありまして、まあそら正論なのですが黒日銀というか置物理論ではその辺りを軽視しているような感じ(まあ重視したら従来の白日銀のままで異次元じゃないから期待の転換できませんからねえ)でしたので、この辺りからも風呂敷畳みモードというのが垣間見えてくるという所ですな。

まあこの辺の説明って今までの日銀の説明では突っ込んでいなかった話なので、石田さんの主張という所なのかも知れませんが、これは中々重要な論点キタコレという話なのでネタにした次第です。

でまあここの部分の最後は昨日引用したようにこうなっています。

『私どもとしては、これら様々な物価指標を幅広く点検していくことを通じて、物価情勢について総合的に判断していく必要があると考えています。そうして「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成し、これを安定的に持続させていくことにより、日銀法が定める「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」という理念を果たしていきたいと考えています。』

というのだけ引用して黒日銀の色落ち現象が見られますなあとか申し上げたような気もしますが、実は前段の方も併せて読むとそもそもの物価上昇に関する論点を呈示している重要な所でございましたです。


・会見では割と穏当な話をしつつも・・・・・・・・

講演で論点を示しながら会見では割と穏当に説明するというのは中々斬新なパターンかも。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1402e.pdf

この質疑応答が一番典型的だと思うの。

『(問) 石田委員は、昨年、ボードとしての決定事項に関しては尊重するべきだが、一人の審議委員として自らの考えを主張すべきだと話されていましたが、本日の講演の中でも、先行きの景気に関し、消費税率の引き上げ、海外経済・輸出動向、雇用・所得動向の3つを懸念材料として挙げられていました。現状として、景気・物価の上振れリスクと下振れリスクをみた場合、バランスしているのか、それとも下振れリスクの方が大きいのか、また下振れリスクが顕在化するような場合の政策対応について教えて下さい。』

『(答) 私どもがリスクとして挙げているものは、どちらかというと下振れリスクが多いわけですが、リスクは顕現化しないと全く何にもならないものです。要するに、若干心配している程度の場合と、本当にリスクとして真剣に考えなければならない場合とがあります。今の段階で、私どもが展望レポートで示している経路について、真剣に下振れを心配しているかというと、私はそうでないと思います。ただ、考えられるリスクを挙げたうえで、それについては慎重に着実に注意を怠りなくみていこうという意味です。』

『本日の懇談会でも3つ留意点を挙げましたが、必ずしも心配しているということではなく、場合によっては足を引っ張る可能性があるため、注意してみていくとのニュアンスで申し上げたつもりです。』

うーむこの微妙な表現という所ですが、会見での説明は割と日銀の中心的な見解に沿った話をするというのもほほーという感じではあります。


でまあ輸出の件については色々とお話をしているので引用。

『(答) 懇談会でも申し上げましたが、輸出については、足許やや勢いを欠いた状況であるのは確かだと思います。これについては、循環的・構造的に色々と議論があるところですが、基本的には海外経済が回復するにつれて伸びていくとの展望レポートのシナリオは崩れていないとみています。そのうえで個人的には色々な要因があると考えています。』

ということで説明。

『一つには、今回の海外経済の回復過程で設備投資が非常に弱く──設備投資がなぜ出てこないのかということは欧米でよく言われていますが──、お金が貯まっている割には資本投資をしないということです。それが、ある意味で日本のお家芸である資本財・その他部品の輸出が伸びない理由かもしれません。もう一つは、世界経済が回復しつつあるとは言え、日本の主要マーケットであるASEAN等の景気が今一つであることも、輸出が今一つ伸びない理由かもしれません。そのほかにも、国内需要が強いことから、一部業種で国内向けを優先している動き、すなわち本来は輸出しているものについて国内に回しているということがあるのかもしれません。』

『さらには輸出物価です。数量が伸びないと言われていますが、輸出物価の変動幅は円相場の変動幅に比べかなり小さいのではないかとみています。例えば、ブンデスバンクの論文にも紹介されていましたが、米国の対日輸入価格の変化をみると、為替相場が大きく円安に振れた割には、日本からの輸入価格はあまり下がっていません。一部の企業では、マージン確保を第一にして、数量確保を第二にしている場合があるのではないかとも思います。すなわち、円相場要因をドルベースの価格引き下げに利用していないのではないかということだと思います。そうした傾向があることから、所謂Jカーブ効果がなかなか出にくい環境にあるのではないかという気がしています。』

これ確か前回の円安局面でもそういう傾向があって、ただその時は海外経済が事後的に見たら信用バブルでヒャッハーだったのでそっちの効果で輸出数量が伸びたという話でしたよね。

『そうであれば、循環要因として、海外の景気が良くなり、それに均霑してASEANも回復してくること、あるいは海外の設備投資も盛り上がってくること、が求められます。』

ですな。

『また、日本国内は駆け込みの動きもあって内需が強いわけですが、この強さが弱くなったときに、輸出ドライブがかかってくることも考えられます。それらを勘案すると、特に1月の指標については、内外ともに季節要因もありますので、それをもって基調変化とみるのは難しいと思っております。ただ、弱いのは事実だと認識しています。』

という所ですが、金融政策運営の論点という意味ではシマウマ化の兆候はこんな所にもございます。

『(問) 物価についてですが、今後半年程度は1%台前半で推移を続けて、その後再び上昇するという見方をしていると思われるのですが、物価が再び上昇に向かうもとで、先程3点今後の留意点を挙げられていましたが、最も重要なことは何だと考えられていますか。この半年以内に、1%台前半を下回るような物価情勢になった場合、日銀のシナリオも下振れたということになってくるのでしょうか。』

『(答) 先行きの留意点として3点申し上げましたが、何れにせよ、一番重要なのは景気全般の勢いが失われないことであり、そのために注目する要因として3つあるということです。』

期待の転換でインフレ期待が上昇してフィリップスカーブを上方シフトさせて目標達成!!!という話を前面に押し出している黒日銀的な話からすると(こっちの方が王道だと思うが)一番重要なのは持続的な景気回復という話を最初に持って行く辺りが白い訳ですよ。

『物価については、円安方向での為替要因がなくなれば、その分物価の上昇圧力が弱まるというのはその通りだと思います。もっとも、このところそれ以外の分野でも販売価格の引き上げが少しずつ受け入れられてきているようです。これから需給ギャップがさらに縮小していけば、さらに物価の底上げに作用してくると思っています。』

『短観をみると、仕入価格判断DIと販売価格判断DIの差が非常に大きく、仕入価格が上がっても販売価格が上がらない姿となっています。この点は、逆に言えば、今後販売価格が上がっていく方向への圧力が大きいというようにも考えられます。仕入価格が上がる中で、企業が様々な努力によって販売価格を上げていかなければ自らの収益が出ません。そういう企業行動がこれから続いていくと思っています。また、それによって予想物価上昇率も何がしか上がってくると思います。そうしたことがまた現実の価格設定行動や消費者の購買行動を変えていきます。こういうことでプラスの回転が効いてくるとみています。』

『1%を切った場合にどうするのか、という話ですが、先程申し上げた通り、私どもとしては絶えず情勢を判断して、上下両方向のリスクを判断して、必要とあれば調整するということですので、予め何らかの仮定に基づいて、こうなったらどうするということを議論もしておりませんし、考えてもいないということです。』

まあ後段では割といつもの黒い話をしているのですが、ただまあバックワードルッキングでのインフレ上昇期待みたいな話を持ち出さないあたりは白い話も微妙に混在という事で。

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2014/02/27

○石田審議委員講演:風呂敷畳みモードへの流れに見えてしまうのは深読みのし過ぎですかそうですか

埼玉での金懇。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko140226a1.pdf

・金融政策手段の説明部分の章立てに反応するアタクシ

『本日は、まず私の方から、日本銀行の金融政策と経済・物価情勢についてお話させていただき、その後、皆様から当地の実情に即したお話やご意見などを拝聴させていただきたいと思っております。』

ということで講演が始まるのですが、『U.日本銀行の金融政策』の章立てを見て反応してしまうこのアタクシでありまして・・・・・・・・・

『U.日本銀行の金融政策』なのですが、章立てがこうなっております。

『1.「物価安定の目標」の導入と政府・日本銀行の共同声明
2.量的・質的金融緩和
3.貸出支援基金
4.金融環境・金融市場の状況』

ということで、一番「おー」と思ったのは最初に「共同声明」の話が思いっきり出ている事でございまして、これはご案内の通り麿時代の最後に突っ込んだ物でして、共同声明では政府が成長戦略を実行して中長期的な財政健全化を目指すという話が思いっきり書いてあるという代物でありますが、そーゆー意味で「政府の取り組みはどうなっとるんじゃ」というメッセージを送りたいというのが伝わってくる次第でして、そっちの取り組みの方は財政をホイホイ出す話ばかりで成長戦略の方は遅々として進まないのに消費税増税の影響ガーとか言ってクレクレだけ言いやがってコノヤローというのを言外に示しているんでしょうなというのは把握しました。

でまあそういう意識はあるんでしょというのは判るのですが、それはそれとして注目したというかえーと思ったのはこの説明部分の分量でして、分量を見ますと、ざっくりと見て共同声明が2分の1ページ分程度、貸出支援基金が3分の2ページ分程度、QQEが1ページ分程度という分量になっていまして、従来金融政策の説明という中では「異次元QQEで異次元の政策をして皆さんの期待を転換してインフレ目標達成」というのを思いっ切りフレームアップしてアピールする、というのが通常のパターンでございましたので、この「3本建て構成に見える」というのはちょっと新鮮な感じがしますです。

つまりですな、黒日銀モードで従来とは異次元にQQEですよ!という話をしていた筈なのですが、共同声明の方ですと日銀の部分ってこういう文章になっているんですよね。

『2. 日本銀行は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することを理念として金融政策を運営するとともに、金融システムの安定確保を図る責務を負っている。その際、物価は短期的には様々な要因から影響を受けることを踏まえ、持続可能な物価の安定の実現を目指している。

日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取組の進展に伴い持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識している。この認識に立って、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。

日本銀行は、上記の物価安定の目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。その際、日本銀行は、金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。』

まあその後QQEで「2年で2%」という話にはなったのですが、元々この共同文書は麿時代(の最後)に作られたもので、この時の書きっぷりは「成長力強化によって持続可能な物価安定水準が高まっていく」という麿時代の包括緩和と成長基盤強化施策のセット販売時代の色合いを踏襲した物でありまして、「期待を転換して物価安定目標を達成」という建付けの話にはなっていない訳でして、そういう意味でこの章立てっていうのは1番と3番が白日銀時代の成長力強化で実力ベースの中立物価水準を引き上げようという話を踏襲し、2番が黒日銀での気合で期待の転換で物価水準を引き上げよういう話を踏襲しているという事で、あたかもシマウマ日銀状態になっているという章立てになっている訳ですよね。


でまあ今回は石田審議委員の講演(挨拶)ですので、石田審議委員の個人的見解を強く反映させている部分と、金懇ということで日銀政策委員会が全体として決定した事項を総意として説明させている部分というのが混在している可能性がありまして、どこからどこまでが石田審議委員の意向を強く反映しているのかがワカランチ会長なのが非常に残念なのですが、石田審議委員個人の意向として政策ロジックのシマウマ化を意識しているとしても、まあ流れとしてそういうのがあるのかもねとか思ってしまった次第でございますし、これが政策委員会の総意に近くて全般的にロジックが期待の転換で物価目標達成一本槍からの脱却への布石ならなおの事という所でしょうなと思うのです。

つまり、異次元金融緩和と言っておっぴろげて見た大風呂敷なのですが、実際問題として事態が進行する中でそろそろ風呂敷を微妙に畳んで行ってもう少し調整しようというような話なんじゃネーノと
まあ思うのでありました。

#内容は基本的にあっさり味なので長くなるのを避ける為に(実はただの手抜き)引用割愛します


・景気認識に関して

というのだけで終わりにしてしまうと章立てだけで講演ネタ終了となって余りと言えば余りですが、経済物価情勢に関する所の方が説明が多めなので(前半はあっさり味でした)そちらから少々。


新興国関連

『このように、先進国には改善の動きがみられる一方で、新興国・資源国はバラつきがみられます。まず、中国については、昨年10〜12 月の成長率は前年比7%台後半を維持しており、一頃に比べ低めではありますが安定した成長を続けています(図表11)。製造業PMIは足もとやや弱めの動きとなっていますが、基本的には政府によるコントロールの下で現状程度の安定した成長が続くものとみられます。その他の新興国・資源国については、NIEsは先進国の景気回復が波及するかたちで輸出を中心に上向きとなっている一方、ASEANはそれらを取り込む力が相対的に弱いことなどから、成長の勢いが鈍化した状態が続いています。とくに一部の国では政治情勢が不安定になっており、わが国との貿易面などへの影響が心配されます。これら新興国・資源国については、米国FRBによる資産買入れの減額が進むなかで、経常収支赤字などの構造面での脆弱性を抱える一部の国において神経質な動きがみられた局面も一時期ありましたが、このところそうした動きは落ち着いてきています(図表12)。』

ということで、まあいわゆるフラジャイルファイブとかその辺に関連する話は今の所リスクとして強く意識するほどのもんでもねえと言うお話のようですな。


駆け込み需要が予想以上なのに対して輸出がががが

『先週公表された昨年10〜12 月の実質GDPは前期比+0.3%と、4四半期連続のプラス成長となりました(図表13)。内訳をみると、個人消費や設備投資など民間需要の伸び率が7〜9月と比べて加速しています。個人消費については、冬のボーナスが増加するなど雇用・所得環境が改善するもとで、消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあって耐久財などが増加しています。』

『設備投資も、これまで企業の年度計画や収益の改善傾向と比べて勢いを欠く状態が続いてきましたが、10〜12 月にようやくはっきりと増加しました。』

と、ここまではキタコレですが・・・・・・・・・

『これに対し、輸出については、先進国を中心とした海外経済の回復傾向や為替相場の動向にもかかわらず、これまでのところ勢いを欠く状態が続いています。輸入が大幅に増加したことから、純輸出としては7〜9月に引き続き大幅なマイナス寄与となりました』

で、直近に関してもこういう指摘が。

『本年入り後の動きを示す経済指標は多くありませんが、消費関連では、1月の新車登録台数が季調済前月比+6.9%とかなり強めの動きとなっており、駆け込み需要が強まっている可能性があります(図表14)。一方、1月の実質輸出は、中国向けが減少したとみられることなどから、全体で同▲2.3%の減少となりました。これら内外需要の動きを受けた1月の鉱工業生産は明後日に公表される予定ですが、先月の製造工業生産予測調査における1月の予測値は、内需向けの生産に牽引され比較的強めの伸びとなっています。』


先行き見通し

『このように、今後のわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみていますが、当面は次のような点に注目しています。』

ということで並んでいるのが、

『@消費税率引き上げの影響』、『A海外経済に関するリスクと輸出動向』、『B雇用・所得動向』となっていまして、雇用所得の話はまあ普通、消費税に関しては基本的には大きく懸念していないという話ですが、慎重に見る必要があるという話をしているのと共に、先ほどの部分にありますように足元の駆け込みが想定以上に大きい可能性を指摘しているので、その分の落ちこみの可能性という話になる訳ですから微妙に慎重ですよねという感じです。

で、海外経済と輸出に関しては、

『輸出については、4月以降の消費税率引き上げによる一時的な落ち込みをカバーし、伝統的な景気循環の起点としての役割を果たすようになることが期待されますが、足もとやや勢いを欠いた状態にあります。この原因については、海外経済の回復テンポや製造業の海外生産シフトなど循環・構造的な問題の両面で様々な論点があります。輸出については、設備投資への波及も大きいことから、期待どおり来年度以降の景気の牽引役となれるか、注目するところです。』

と割と慎重でして、全体的には中心的な見方よりやや慎重ではないかと思われます。


・まあ最後おまけに

最後の所でも物価目標達成に関してこういう話を

『私どもとしては、これら様々な物価指標を幅広く点検していくことを通じて、物価情勢について総合的に判断していく必要があると考えています。そうして「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成し、これを安定的に持続させていくことにより、日銀法が定める「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」という理念を果たしていきたいと考えています。』

>日銀法が定める「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」
>日銀法が定める「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」
>日銀法が定める「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」

・・・・・・・・従来はとにかくまずは期待の転換みたいな話をして、期待が転換するのに(コストプッシュでも良いから、とまでは明言しませんが)バックワードルッキングのルートもあるでよという話を盛大にしていたのにまとめにこういうのが出てくるのもちょっとトーンの変化というのを感じる所ではございますという感じっすな。

#ま、アタクシが気にし過ぎなのかもしれませんけどね

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2014/02/25

○追加緩和圧力早速キタコレ&まさかのなし崩しの白復活コースですか

ふむ。

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0LT1G420140224
UPDATE 1-海外リスクには機動的対応必要、日銀総裁もそういう状況出れば対応=安倍首相2014年 02月 24日 14:21 JST

『[東京 24日 ロイター] - 安倍晋三首相は24日午後の衆議院予算委員会で経済政策運営に関連して「海外の状況は確かにリスクがある」と指摘。「リスクには機動的に対応していかなければならない。日銀の黒田東彦総裁もそういう状況が出てくればちゅうちょなく対応していくということだ」と述べた。』(上記URLより)

ということでリスクが出たら対応しろ攻撃が来ておりまして、一方で黒田さんは成長戦略をちゃんと実施してくれという話をいつものようにしておりまして、微妙に話が噛み合ってないなあと思いますし、大体からして消費税前にあれだけ財政吹かして置いて更にリスクに対応して補正予算とか言っているようですが、そんな調子で財政吹かしてサステイナブルなのかよという気は大分しますが、まあいずれにせよ2月の政策対応によって「日銀は追加緩和をやってくるかも」という期待値が高まっているというのは現象として起きていると思います。

で、本田内閣参与が消費税増税の影響を見て5月に追加緩和判断が必要みたいな話をしていたというニュースも見たのですが、惜しくもネット媒体で記事が無いので割愛しますが、まあそんな感じで追加緩和に向けたクレクレが盛り上がって来ましたという事で、まー当然ながら日銀の作戦参謀の皆様におかれましてもこういう展開を想定して先般のノリノリプレゼンテーションを企画したと思いますので、こうやっていつの間にかなし崩し的に市場を喜ばせようと逐次ネタを投下するという作戦が復活するんじゃネーノという話になります罠という所です。

なお、本田先生は以前追加緩和手段にMBS購入という話をしてそこら中から「フィージビリティーも効果も分かってないでしょ」とツッコミを食らった事を反省したのかどうか知らんけど、今回は追加緩和手段に「財投機関債の購入」という話をしていると報道で拝読しましたが、財投って今それなりのロットで出しているのって道路と都市再生機構と学生支援機構くらいじゃネーノという所でして、何でそう斜め上の提言が出るのか謎なお方ではございます。

でもって浜田先生。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYEA1N06420140224
訂正:インタビュー:雇用足踏みなら消費税10%に反対=浜田内閣官房参与
2014年 02月 24日 19:06 JST

『[東京 24日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は24日、ロイターのインタビューに応じ、4月に迫った消費税率引き上げが日本経済に与える影響は不確実とし、日銀は夏場に公表される指標などを見極めた上で追加金融緩和の是非を迅速に判断すべきと語った。』(上記URLより)

ということで浜田先生もとっとと追加緩和しろやという話ですが、まあ株価と為替が落ち着いている分には追加緩和ネタでヒャッハーというのにもやや無理がありますが、株価や為替があばばばばーとなってくると追加緩和に関して盛大に追い込みが入ってくるのではないかと思われる所です。

でまあどうせ逐次投入のなんちゃって追加緩和(MBは同じだけどその構成をいじるみたいな感じ)をするんだったら2013年度のGDPがちょっと弱いみたいですねという話をしながら展望レポートの所で「見通しは変わらないけれどもタイヤを強化」ってやった方が市場が喜ぶんじゃないですかね(ホジホジ)と思うのでありまして、消費税増税の影響がどうのこうのだったら7月辺りの判断になりそうな感じがするんですけどどうでしょうかね。

しかしこれは・・・・・・・・・・・

『もっとも、日銀が掲げる2%の物価安定目標に関連し、「雇用と生産が回復しているかが重要。私はそれほど物価をみているわけではない」と成長と雇用を重視している姿勢をあらためて強調した。』(同じく直上のURL先より)

>私はそれほど物価をみているわけではない
>私はそれほど物価をみているわけではない
>私はそれほど物価をみているわけではない

・・・・・・・・・・・・・・えーっとそれじゃあ浜田先生がかつて口を極めて罵っておられた白川総裁の話と同じになってしまうんですがもしもしあのそのすいませんという所でございまして、まあ浜田先生今までも似たような話をしてはいましたが「それほど物価をみているわけではない」とはこれまた大きく出ましたなあという所で、白川さんのご感想をぜひとっくりとお伺いしたい物だとは思いますけれども、まあ白川さんの事ですから別に悪態も毒舌も出てこないでしょうなあと存じますな。

昨日も申し上げましたように、円安進行で輸出回復して経済回復がどうのこうのという話が何気にこんな筈じゃなかった的な話になっている昨今ですが、物価に関しては2%目標に向けて上昇する中で物価は順調に推移するものの景気の方がパッとしないという実にこう残念な展開になる方が可能性としてあるんじゃネーノという気もする昨今の値上げ攻勢でございまして、これまた2%物価目標とはナンダッタンダという話になる前に大風呂敷を畳みに来て、なし崩し的に黒日銀が漂白されてくるという図も浮かぶというものでありまする。

#しかし雇用足踏みとか言われましても既にほとんど数字だけで言えば完全雇用に近くねえかという気がするんだが

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2014/02/21

○金融経済月報(概要)は経済物価部分見事に全文一致

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2014/gp1402.pdf
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2014/gp1401.pdf

えーっとですな、今回ですが経済物価情勢と金融環境の総括部分が見事に全文一致となっています。以上終了というとアレですので今回分だけ引用しておきます。

・現状判断部分

『わが国の景気は緩やかな回復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。』

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けている。雇用・所得環境が改善するもとで、引き続き住宅投資は増加し、個人消費は底堅く推移しており、これらの分野では消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』

この辺は声明文でも示されています。


・先行き見通し部分

『先行きのわが国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。』

『輸出は、海外経済の回復などを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。国内需要については、公共投資は、当面増加傾向をたどったあと、高水準で横ばい圏内の動きとなっていくとみられる。設備投資は、企業収益が改善を続けるなかで、緩やかな増加基調をたどると予想される。個人消費や住宅投資は、振れを伴いつつも、基調的には、雇用・所得環境の改善などに支えられて、底堅く推移するとみられる。こうしたもとで、鉱工業生産は緩やかな増加基調をたどると考えられる。』

ということでこちらは前回と全文一致(なのでめんどいから前回分との比較をしていませんけれども念の為ご確認ください)となっていますが、輸出の所に見られるように海外経済は回復して緩やかに上昇するそうですよ先生。


・リスク要因

『この間、リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』

これも声明文と同様で、新興国経済の動向というのはありますが、新興国市場がどうのこうのという話に関しては言及していないのは、まあメジャーなリスクじゃないですよね今の所という所ですな。


・物価に関して

『物価の現状について、国内企業物価を3か月前比でみると、国際商品市況や為替相場の動きなどを背景に、緩やかに上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』

『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、当面、緩やかな上昇を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』

この「暫くの間」ってのですが前回の声明文や月報でこういう表現になりまして、約半年前後という話になっていましたので、これあと2か月ほどした時にどういう表現になるのかが楽しみですなあ(棒読み)。


・金融環境に関して

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』

これもいつも通りです。あとコンポーネントの部分に関しては数字的な部分基本的に起きた現象の説明となっていますので、前月比較で計数が動いたものはその通りに表現されていますが、認識として示されている部分は前月と同じです。めんどいので引用割愛。


ということで、ものの見事に金融経済月報も同じということで、今回は貸出支援関連措置の延長と強化を実施して「ほーれほれ」とプレゼンする一方で、ここら辺の文言を全く変えなかったというのは「追加緩和ではない」「逐次投入では無い」「見通しは不変」というのを強調したいという面もあろうかと思うのですが、先日来申し上げておりますように、これによって逆に「経済物価情勢に変化が無くても何らかのサービス政策が打ち込まれる可能性がある」という認識が持たれるようになったんじゃないですかねえという気はするのでありました。

ということでほーれほれ作戦というのは2倍のプレゼンの辺りとかも含めてちょっと悪ノリだったんじゃないかなあとは思いますが、実は今回の麿イズム強調攻撃というのが必殺技「なし崩しで黒日銀を(ちょっと)漂白して大風呂敷撤退大作戦」への布石という意図があるならそれはそれでアリかも知れませんね、ヲチャー的には困ったもんだ(というかそういうロジックの有耶無耶転換って恥ずかしくないのかねとも)とは思いますが。


○森本審議委員講演:やはりメカニズムの説明に若干の混乱が


http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko140220a.pdf

・経済物価情勢の所は簡単に引用しておきます

『先行きの日本経済を展望すると、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調的には0%台半ばとみられる潜在成長率を上回る成長を続けていくと予想しています。先進国を中心に海外経済が緩やかに回復していくもとで、輸出も緩やかに増加していくと考えられます。この間、設備投資は企業収益の改善につれて緩やかな増加基調をたどるとみられます。個人消費や住宅投資については、雇用者所得の改善が次第にはっきりとしていくとみられることから、振れを伴いつつも、基調的には底堅く推移するとみています。公共投資は、当面、2013年度補正予算の効果等にも支えられて増加傾向で推移したのち、高水準で推移するとみられます。日本銀行が1月に発表した展望レポート・中間評価における政策委員見通しの中央値では、2013年度の成長率は2.7%、2014年度は1.4%、2015年度は1.5%とみています。』

ということで展望レポートの話をしていますが、まあどう見ても2013年度2.7%は無理だろと思うのですけれども、この前の会見で総裁が大見得を切った件に関連する質問は飛んでいたっぽいので今日出る会見要旨を確認したいと思います。


『先行きは、石油製品価格等の押し上げ効果が剥落するため、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられます。その後は、景気回復に伴うマクロ的な需給バランスの改善や、期待の転換による中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇し、2015年度までの見通し期間の後半に、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみています。具体的な数値で申し上げれば、日本銀行が1月に発表した展望レポート・中間評価における政策委員見通しの中央値では、2013年度の消費者物価(除く生鮮食品、2014・2015年度は消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)の上昇率は0.7%、2014年度は1.3%、2015年度は1.9%とみています。』

つーことで数字は兎も角としまして、メカニズムとしては需給ギャップの改善などの要因による押し上げとエネルギーや円安などの押し上げ要因の前年対比の剥落効果による押し下げが相殺して1%台で推移する間に、物価が現実に1%(名目ベースは消費税もあるからもっと上)という状況を受けてインフレ期待に変化が起きるのでその後はインフレ期待による物価上昇効果もありますよという毎度のお話で、この辺に関する説明には当然ながら変化はありません。

ちなみに、海外経済に関する説明部分では新興国経済に関連する中で最近何かあちこちで山猫ストのように個別国通貨が盛大に下落したりしていますが、その件に関する言及は1行もございませんで、まあ森本審議委員の金懇での説明は基本的に執行部見解をベースにしていると思われますので、そーゆー意味では執行部見解的にこの辺りの部分について特段懸念するに当たらずというFEDのペースに似ていますなという所です。


・メカニズムの話が微妙に混乱

まずは『「量的・質的金融緩和」の効果』という所。

『この金融緩和策の実体経済への波及経路としては、主に名目の長期金利への低下圧力と予想物価上昇率の引き上げを通じた実質金利の引き下げと、ポートフォリオ・リバランス効果を念頭に置いて取り組んでいます。』

はあそうですか。

『実質金利の引き下げに際しては、まず巨額の国債買入れにより需給を引き締めることで、名目の長期金利に強力な低下圧力を加えています。そして、「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束し、これを裏付ける大規模な資産の買入れを継続することで、経済活動が活発化するとの人々の期待を高め、予想物価上昇率の引き上げを図ります。この結果、予想物価上昇率の上昇に比べて、名目金利の上昇を小幅にとどめることができれば、その分、実質金利を低下させることができます。』

実質金利キタコレ。

『企業や家計の支出行動は実質金利に影響されますので、実質金利が低下すれば、企業・家計の投資・消費活動の活性化につながると考えています。』

まあ従来の説明ですな。

『足もとの実質金利は、名目の長期金利が低位安定して推移する中、予想物価上昇率は全体として上昇しており、低下傾向にあるとみられます。先行きも、実際の物価上昇率の高まりと相俟って予想物価上昇率が高まっていくもとで、日本銀行による大規模な国債買入れが名目の長期金利に強力な低下圧力を加えることから、実質金利の低下傾向が続くと考えています。』

というのはまあ毎度の説明なのですが、では今般の貸出支援基金強化に関する話は何ですねんという部分ですけれども、『(2)「貸出支援基金」について』での説明はですな。

『これからも経済の好循環を持続させていくためには、企業や家計が緩和的な金融環境を実際に活用して資金を調達し、これが投資や支出の増加を通じて、マクロ的な需給バランスの改善につながり、そのうえで成長力も高まっていくことが大事です。』

えーっとですな、今しがた(と言っても4ページ程前)説明していたのは「企業や家計の支出行動は実質金利に影響される」という話なので、「緩和的な金融環境を実際に活用して〜投資や支出の増加を通じて〜」云々というのは実質金利の引き下げによって達成されるものであって、そもそも(昨日引用した総裁会見でのツッコミと同じになりますが)金融環境は緩和した状態にあるという認識をだいぶ前から日銀は示している訳で、その中で実質金利を下げたら自動的に企業や個人の資金需要が高まるんじゃないんですかねえ(棒読み)という所でありまする。

『今回の両制度の延長・見直しは、そうした動きを加速させるものと考えています。』

何で加速するのかが判らんですなあ(棒)、実質金利低下で銀行から見たらインバウンドで貸出が増えますよと言う話になる筈なのに、銀行に対してインセンティブを与えてアウトバウンドで貸出を伸ばさせるという話をここで引っ張り出すというのはやはりロジックの混乱(というか麿時代への回帰)と思いますけどねえ。

『企業部門では、投資をキャッシュ・フローの範囲内にとどめる動きが長らく続くもとで230兆円もの現預金を積み上げてきましたが、このところは外部からの資金調達で新たな投資に果敢にチャレンジする動きも増えてきています。日本銀行としても、これらの措置を通じて、企業の挑戦をしっかりとサポートして参りたいと考えています。』

えーっとだから実質金利が低下すると自動的にそういう事になるんじゃなかったでしたっけ。

『このような取り組みが、政府の競争力の強化に向けた「日本再興戦略」の具体的展開と相俟って、貸出増加や成長基盤の強化に向け、金融機関の一段と積極的な行動や企業や家計の前向きな資金需要の増加を促すことを期待しています。』

ま、この施策を宣伝するメリットの一つとして「政治対策」というのもあるんでしょうなあと意地悪く思ってしまうのはこの部分を見てという所で、まーそういう意味ではかつてハチャメチャなロジックで当座預金残高を拡大して、積極性のアピールと政治へのアピールを強くして政治資源を確保した(何せ前任が速水の優ちゃんでしたから)福井の俊ちゃん化となりますと、まあ出口戦略着手前の俊ちゃんがまさにそうでしたが、何を理屈に「次の一手」を捻りだして来るかさっぱりワカランチ会長(ちなみに俊ちゃんはSARSをネタに当座預金目標を拡大するという最早何が何だかワカランチなプレイを炸裂させたりしてましたからねえ)となるでしょうし、過去との整合性をしらっとスルーするようになるという事は昨年4月4日に広げた大風呂敷もいつまでもあると思わない方が良いかもしれませんな、とまあそういう事になると思います。

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2014/02/20

お題「総裁会見ネタでMPMレビュー:政策(とオペ)の予見可能性が著しく低下した感があります」

ブルームバーグに社説ってあったのかよ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N15DW36S974001.html
更新日時: 2014/02/19 07:31 JST

でまあそれは兎も角として今日は他のネタもあるような気がしますが総裁会見と雑談で終わってしまいそうなので総裁会見ネタのみという事で。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1402b.pdf

○このフレームアップは金融政策の予見可能性を低下させたと思います

『(問) 本日の決定内容について、とりわけ貸出増加支援制度の延長・拡充の狙い、それからこのタイミングでそれを決められた理由についてご説明下さい。』

つーことで最初の質問に対する答えですが、貸出支援に関する部分が最初にありましてですな、

『(答) 本日の決定会合では、「マネタリーベースが、年間約60〜70 兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。」という金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定しました。資産買入れに関しても、長期国債、ETF、J−REITなどの資産について、これまでの買入れ方針を継続することとしました。』

というのは兎も角としまして、

『また、本日は、近く期限が到来する貸出増加支援資金供給、成長基盤強化支援資金供給、被災地金融機関支援資金供給について、それぞれ1年間延長することを決定しました。その上で、貸出増加支援資金供給については、金融機関が貸出を増加させた額の2 倍まで、日本銀行から資金供給を受けられることとします。また、成長基盤強化支援資金供給については、本則の総枠を3兆5 千億円から7 兆円に倍増します。さらに、この両方の資金供給について、固定金利0.1%で4 年間の資金供給を受けられることとします。』

ほうほうそれでそれで?

『「量的・質的金融緩和」により供給している大量のマネタリーベースが、金融機関の貸出増加や成長力強化の取組みに利用されることは極めて重要であり、今回の見直しは、「量的・質的金融緩和」の効果波及メカニズムを強化するものです。喩えていえば、「量的・質的金融緩和」の導入でエンジンの馬力を大幅に上げたので、その性能を十分に活かすためにタイヤを強化したと言っても良いと思います。』

ということで、明らかにこれは「ほーれほれ」と見せびらかしている状態になっている訳ですが、エンジンの馬力上げてもトランスミッションメカニズムがちゃんとワークしないとタイヤをどうこうしても知らんがなという気はしますが問題はそこだけではないのです。

つまりですな、今回の決定って確かに日銀的に言えば景気判断も先行きもリスク認識も全ての文言に関して現状維持しているので、追加緩和ではないという建付けになっているものの、この説明ですと「景気判断に関わらず現在のMB60-70兆円/年拡大という現状維持の中でも『タイヤを強化する』可能性がある」という話になっている訳ですよね。

ということはどういう事かと申しますと、景気判断とかに変化がない中でも「タイヤを強化」というような言い方を使って例えば次にニバーイニバーイをやりやすそうなものと言えばリスク性資産即ち主にETFとかになると思いますし、大体からしてMB総体から見れば誤差の数字になる部分なのでこれってやっぱり「タイヤ強化」で「2倍」をやりやすいよね、という発想が出てくる訳でして、そうなりますとまあ(債券というよりは他市場になりますが)市場のクレクレ催促が来る、という形になるでしょうなあと思います。

実際問題としては、今回の措置というのは「終了予定措置の延長にちょっと手直しを加えた」という案件なので当初決めたQQEの枠組み変更には当たらないですから、そういう意味ではハードル低いのですけれども、ETFの買入拡大とかそういう話になるとこれは当初決めたQQEの枠組みの手直しという事になるので、それこそ逐次投入モードになってしまうので、今回施策を打ち込んだからじゃあ今後は資産買入の構成変更を「タイヤの強化」という比喩でホイホイ打ち込んでくるのかというと政策決定的なハードルは高くなるのですよね。

でも当たり前ですが、そんな理屈を把握しているのは余程のマニアが重症化して医師の診察を勧められそうな人だけと思われる訳でして、別に日銀の金融政策のその辺の細かい仕切りを理解しようとする気のなさそうな特に海外投資家の皆様なんぞにおかれましては、「今回プリエンティブに対応したから今後も追加の措置があるべし」となって近い将来より一層のクレクレを行ってくるのが見え見えですし、まあ当然ながら市場の方がそうやって煽って追い立てる展開というのが出やすくなると先ほどのロジックを理解している(と思われる)円金利の人たちだって振らされる可能性は出てくる罠という話になるでしょうし、追加緩和ガーと言ってた人たちもそれ見たことかという話になるでしょうなあと。

つーことでですな、本来は淡々と「貸出支援関連措置が期限が来るので延長したのですが、皆様のニーズもあるようですのでこの機会に内容をちょっと充実させましたよ」という感じで軽く説明しておけば良いだけの話だったと思いますし、更に言えば2倍2倍に関してもまあ実際問題としては残高を拡大させたいから2倍という理由があったと思われますが、変に2倍の所がクローズアップされてしまうような見せ方をした(単に「3.5兆円を7.0兆円にしました」だけで良かったんじゃないですか)ので盛大に「2倍」が目立ってしまう結果になるという形。

てな訳で、今回何か妙に悪目立ちさせるような出し方をする事によって、特に最近目立っていた海外投資家の失望気味モードを解消させる事は出来ましたし、まあ株価もその日は盛大に上昇しましたし、クレクレタコラの皆さん大満足だったのでその場は凌げたと思いますが、まあどう見ましてもこれによって「何だ黒田日銀も市場が恫喝すればお土産が出てくるじゃないか」という話が出やすくなりますなあと思う訳で、融通無碍モードになったのかは実際の所良く判らんのですけれども、まあ傍から見る分には明らかに従来の姿勢が変化したと見られるリスクを盛大に高めるという動きをするとはどうしてこうなったという感じではあります。


○ロジックの整合性に混乱があるのも政策予見可能性を下げる訳だが

『(問)(前半割愛)2 点目は、今回の貸出支援関係の拡充です。去年の4 月にやれることは全てやるということで緩和を行ったわけですが、今回の措置は、いわゆる追加的な緩和策とみているのか、総裁の中でどういう位置付けで考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。』

そらまあ聞く罠。

『(答)(前半割愛)2 点目のご質問ですが、貸出支援等の3 つの制度について、それぞれ1年延長し、特に貸出増加支援資金供給と成長基盤強化支援資金供給の2 つについては、大幅な拡充を図りました。この趣旨は、最初に申し上げた通り、「量的・質的金融緩和」の実体経済への波及効果を強化するということです。金融機関の貸出増加や成長力強化の取組みを促すということでかなり思い切った拡充をしたわけであり、そういった意味では、「量的・質的金融緩和」の効果をより強くし、より確実なものとするものであると思っています。』

「かなり思い切った拡充」とか言わなきゃ良いのにという感じですが、「「量的・質的金融緩和」の実体経済への波及効果を強化する」ってまんま麿時代の「量だけではだめで成長基盤強化が車の両輪」という話じゃないっすかねえ。


でまあ次にこんな質問が。

『(問) 貸出増加支援制度に関してですが、ステートメントにもあるように、金融環境は既に緩和状況にあって、銀行貸出も増えています。今回の制度見直しでどれだけ貸出が増えるのか、資金需要という面ではまだまだと思いますが、資金需要についてどのようにみていらっしゃるのか、ご所見をお願い致します。』

『(答) 最初に申し上げた通り、貸出は着実に伸びを高めていますが、こうした制度を拡充することを通じて、さらに貸出が増加していくことを期待しています。今回の公表文の別紙として「貸出増加支援資金供給等の制度見直しの骨子」が付いていますが、貸出増加支援資金供給について、金融機関の貸出増加額の2 倍相当額の貸付を行えるようにすることによって、今の制度の利用率と同程度という仮定で、最終的な貸付残高は30 兆円程度になると見込まれます。これは金融機関による貸出をかなり押し上げる効果を持つのではないかと思っています。』

うーんこのという感じでして、そもそもMBを拡大して異次元に長期国債を買ったら期待インフレが上昇して実質金利が低下して、実質金利の低下それ自体が資金需要を呼び起こすというロジックをQQE始まってから盛大に展開されていた訳ですが、この措置で貸出が伸びるんだったらそもそも国債の買入は異次元じゃなくても良かったんじゃないですかという話になりゃせんですかねえという気もする訳で、従来の話と違うだろヴォケちょっと副総裁室にいる置物出て説明してみろやオラオラオラという感じは非常にするのであります。

・・・・・・・・・てな話を某所の識者と話していたら、「そもそもそのような政策ロジックの整合性を気にする事自体が白い日銀に毒されている証拠である(キリッ)」って話ですなきっと(−_−メというようなネタで盛り上がってしまいましたが、確かにロジックの整合性も気にしないでその時々で説明に都合の良い話を展開するという逆さ絵おじさん(または前半の俊ちゃん)張りの展開だと思ってしまえばそういうものなのかも知れません(−−)。

ただまあ先ほどの話と被りますが、今回の施策のこのフレームアップおよび説明ロジックの混乱というか整合性の低下というのは、当然ながら今後の金融政策運営における予見可能性を低下させることに繋がりますので、まあ物理的に買入が一定量確定している長期国債市場は別かも知れませんが、予見可能性の低下即ちマーケットのボラティリティーを高める方向になると思いますので注意が必要ではないかと思います。


○2倍2倍に関して&0.1%4年の意味合い

昨日駄文でも申し上げましたが。

『(問) 2 点お伺いします。まず、貸出増加支援資金供給と成長基盤強化支援資金供給の規模は2 倍、それからそれぞれ1 年間延長するということです。規模を2 倍にした根拠について、かなりアナウンスメント効果を狙っていらっしゃるという印象があるのですが、改めてお聞かせ下さい。(後半割愛)』

「かなりアナウンスメント効果を狙っていらっしゃるという印象があるのですが」ってそりゃ言われますがなという所で、まあ確信犯的にロジックの整合性から逃れて軟着陸モードを目指して融通無碍モードにするという狙いがあって今回の措置をフレームアップしたのであればそれはそれで作戦の一環だと思いますが、そうじゃなくて今回のフレームアップを実施したのであればちょっとやり過ぎにも程があるんじゃネーノという所ではあります。

『(答) まず1 点目の、貸出増加支援資金供給あるいは成長基盤強化支援資金供給について、前者は、貸出増加額まで貸付を受けられるというものから、貸出増加額の倍まで貸付が受けられるものにしました。また、後者は、総枠を3兆5 千億円から7 兆円と倍にしました。』

はいな。

『理由は、それぞれにあります。貸出増加支援資金供給の方は、先程申し上げたような形で大手銀行は相当活用している一方、地域銀行はまだそこまで活用していません。そういう中で、これを1 年延長し、その際にいわばインセンティブを一層強化するという意味で、貸出増加額の2 倍まで日本銀行からの貸付を受けられることにしました。また、0.1%の固定金利で4 年間借りられることで、金融機関としては金利リスクに対する耐性を強化できます。これによって貸出増加を相当程度支援しますので、この利用が進むだろうと思っています。』

ここの「0.1%の固定金利で4 年間借りられることで、金融機関としては金利リスクに対する耐性を強化できます」というのはまあしらっと説明していますが一番分かりやすい効果ではありますな(ただしALM上のリスクが落ちてもロスカットに抵触すればどうせ金利上昇局面での売り攻撃が出るのですけれども)という所です。

ただ、「これによって貸出増加を相当程度支援しますので、この利用が進むだろうと思っています」ってのは違うだろおいと思いますけどね。

『一方、成長基盤強化支援資金供給は、3 兆5 千億円という総枠が決まっていました。先程申し上げたように、貸出増加支援資金供給の方は総枠がないので、貸出を増やしていけば、いくらでも日本銀行から借りられますが、こちらの方はそもそも総枠が3 兆5 千億円となっており、現状それに近いところまで残高が来ています。そして、一部の銀行では1 行あたりのリミットまで残高が来ているということで、これを拡大する必要があります。倍に拡大すれば、おそらく十分なだけの拡大になるだろうと、こちらの方は総枠を2 倍にしました。』

まあこっちは何となくわかるが、1兆円にしたのは何だかなあ感はあって大手行優遇の香りがプンプン。

『従って、それぞれに2 倍にした理由があり、これらはいずれも貸出増加あるいは成長基盤強化に向けた日本銀行としての強い支援の姿勢、メッセージを含んでいるものとして決定したのです。』

えーっとあまりそれ強調しない方がとは思いますが、まあそういう政策の整合性とかそれは白麿だろとかそういう話を抜きにしますとアピール度は抜群だという事ですかそうですか。


○なお景気認識は妙に強い訳ですが

『(問) 2 点お伺いさせて下さい。1 点は、新興国経済の不安が再燃していますが、週末開かれるG20でどのような分析がなされ、あるいはどのような政策・対策が議論されるのか、見通しを教えて下さい。それからもう1 点は、国内経済についてです。消費税の増税まで1 か月強になりましたが、駆け込み需要とその反動に関し、これまで再三シナリオについてご説明頂いております。そのシナリオに狂いがないかどうか、改めてお聞かせ下さい。』

ふむ。

『(答) まず、1 点目について、国際金融資本市場では、現状、経常収支の赤字などの構造面での脆弱性を抱える一部の国において、神経質な動きがみられています。これら新興国では、当面、成長に勢いを欠き、不確実性も高い状態が続くとみられます。もっとも、米国をはじめとした世界経済の回復テンポが今後、増していく中で、やや長い目でみて、その好影響はこういった新興国経済および市場にも及んでいくと考えられます。』

うーむ結局大丈夫ということか。

『G20では、通常通り、世界経済の現状と先行きや、国際金融情勢について、活発な議論が行われると思います。その中では、新興国市場の動向についても、取り上げられることになると思います。そのほか、議長国のオーストラリアは本年のG20の目標として、成長と雇用を促進すること、経済の頑健性を高めることを掲げています。今回のG20では、こうした構造問題に対しても、11 月のサミットに向けて、どのように議論をしていくかについても、意見の交換が行われると思います。』

何か短期的な混乱の話が無いですな。

『2 点目の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動については、先程申し上げた通り、駆け込み需要は、既に家計支出の一部で顕在化していると思います。例えば、住宅投資については、昨年秋までに契約ベースで発生した注文住宅の駆け込みが、若干のラグを伴って着工に移されてきています。また、乗用車や家電など耐久財の消費についても、このところ駆け込みの影響が強まってきているのではないかと思います。さらに、衣料品や雑貨などの耐久財以外の消費についても、今後、3 月にかけて駆け込みが発生すると予想されます。』

と来ましたが・・・・・・・・

『ただ、住宅投資の増加あるいは個人消費の底堅さの基本的な背景には、冬のボーナスの増額など雇用・所得環境の改善があり、先行きも、雇用・所得環境の改善が続く中で、住宅投資や個人消費は、こうした駆け込みとその反動という振れを伴いつつも、基調的には、底堅く推移するとみています。』

うーん堅調な話ですなあ。


○今年度実質GDP+2.7%(キリッ)って大丈夫なのか?????

『(問) 先程、GDPにつきまして、堅調な内需を背景に伸びが続いているとおっしゃられていましたが、今年度については、日銀の見通しである+2.7%を下振れるのではないかという声が多く聞かれます。その場合は、需給ギャップの改善が遅れる可能性もあります。このような見通しの下振れと、その際の政策対応について、繰り返しになるかもしれませんが、改めてお聞かせ下さい。』

さてこの質問ですが・・・・・・・・・

『(答) 最初に申し上げた通り、毎回、金融政策決定会合で色々な議論が行われるわけですし、経済・物価情勢を点検して、上下双方向のリスクが明らかになれば、それぞれに対応した政策の調整を行うということであり、その点には全く変わりありません。従って、ご指摘のようなリスクが顕在化するようなことがあれば、躊躇なく現在の「量的・質的金融緩和」の調整を行うことになります。もっとも、今のところわが国経済は順調に推移し、日本銀行の経済見通しに沿って動いていると思っており、今の時点で+2.7%の経済成長が達成できないとは考えていません。』

えーそうなんですかねえという所ですが、これ意地の悪い見方をすれば、+2.7%の実質GDPが達成できないと見通し変更に繋がるので調整が行われる、とまあそういう見方をする事も可能ですので、こらまあ今後の定例会見でも同じような質問を繰り返して意地悪く詰めて行くように記者の皆様にはぜひお願い致したいものでありまする(^^)。

『先程申し上げたように、1〜3 月期は若干の駆け込みもあると思いますし、10〜12 月期の成長率でも潜在成長率を上回っていますので、GDPギャップはさらに縮んでいると思います。今後もGDPギャップは縮小していき、最終的にはプラスになり、物価上昇率あるいは予想物価上昇率を押し上げていくと思います。』

ほうほうそうですかそうですか。


○しつこく聞かれてやっと一部あばばばばーな新興国に関する話が

『(問) 2 点伺います。まず、前回の決定会合のステートメントのリスク要因のところで日本経済を取り巻くリスクについて多少上向きの判断をされた後に、米国の金融緩和縮小をきっかけにして、かなりマーケットが荒れました。』

ワロタ。

『今日の総裁のご説明でも中国なり米国なりASEAN等については前向きになっているという話がありましたが、最近問題になっているフラジャイル・ファイブと言われる国々については、米国の金融緩和縮小の影響が相当出るのではないかという懸念が拡がっていると思います。その点について、ある程度長引くとお考えなのか、それとも一時的なものですぐに戻ると思われているのでしょうか。(2点目割愛)』

でそのお答え。

『(答) 1 点目について、まず、米国の資産買入れプログラムが少しずつ縮小していくことの影響がどのように及ぶかですが、何が原因で、何が原因でないか、というのはなかなか言い難いと思います。前回の決定会合以降の状況でみると、一部の新興国・資源国の通貨や株がかなり売られたことは事実です。その後、そうした通貨や株も一部戻っているところもありますし、また、アジアの多くの新興国はそもそもそうした影響をほとんど受けていないので、一概には何とも言い難いということがあります。』

まあこれはこうしか言いようがない罠。

『それから、影響を受けた一部の新興国・資源国も、それぞれの経常赤字や財政赤字、インフレ状況などに対応して金融政策やその他の対応策を打ってきており、それらを含めると今後もまた同じようなことが起こるとも言えないと思います。他方でこういうことが起こったということは、そういうリスクはあり得るということを示したわけですので、十分によくみていく必要があると思います。特に、構造的な問題を抱えた新興国・資源国については、その市場の変動というリスクを考えていく必要があると思っています。ただ、全体として、前回の決定会合でみた海外経済の動向についての基本シナリオが変わったということはないと思います。』

うーんこれですと確かに懸念を示してはいるのですが、何かそんなにリスク認識という感じでは無いですなという所で、まー米国も日本も自分の庭先に火が点かない限り新興国のフラジャイル何とかが火を噴いても知らんがな状態であるというのは把握しました。


とまあそういう所で、金融経済月報(ただし経済物価部分全文一致)とFOMCミニッツ(まだ肝心と思われる所の斜め読みしただけ)ネタは本日はパスという所ですが、再度申し上げますと、今回このタイミングで打ち込んだ施策に関しては、日銀にその意図があったのか無かったのかは今一歩分かりかねるので、議事要旨でその辺に関する話がどう盛り込まれているかを見たいというかちゃんとその辺についての議論してるんでしょうね頼みますよという所です。なおこういう時に困るのはミニッツが出て来るのが遅い事なのだがこればかりは日銀法の建付け上次回決定会合(通常政策委員会ではない)での承認事項になっているのでどうしようも無いのですよね。

いずれにせよ、現象として出てきた事象を外野的に見た場合、黒田日銀の従来の姿勢の変化とか、政策ロジックの整合性低下というような解釈をする事が大いに可能な話でありますので、その点コミュニケーションポリシー的にどうなのかという風には思います。まあ確信犯的にやっているなら軟着陸に向けた融通無碍大作戦なのかもしれませんけどね!!

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2014/02/19

お題「政策的な論点が拡散してしまった今回のMPMレビュー」

副題をつけるとすれば「この決定に関して置物副総裁の説明を求めたい」であります。

○景気判断は兎も角リスク認識も変わっていないのはどういう事でしょうか

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140218a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140122a.pdf(前回)

景気判断に関わる部分のうち現状判断部分。

『わが国の景気は、緩やかな回復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。海外経済は、一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けている。雇用・所得環境が改善するもとで、引き続き住宅投資は増加し、個人消費は底堅く推移しており、これらの分野では消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)

『わが国の景気は、緩やかな回復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。海外経済は、一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けている。雇用・所得環境が改善するもとで、引き続き住宅投資は増加し、個人消費は底堅く推移しており、これらの分野では消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)


景気判断に関わる部分のうち先行き見通し部分。

『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(前回)


リスク認識に関わる部分。

『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる(注1)。』(今回)
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる(注1)。』(前回)

注1というのは白井さんの謎反対でして、声明文のワーディングで反対するのだったら木内さんみたいに議案出してくれないと何の為に反対しているんだか意味不明にも程があるので議案を出せと思うのですが。


・・・・・・・・・・とまあこういう感じで今回の決定会合ですが見事なまでに景気判断、見通し、リスク認識共に全文一致となっていまして、ECBが先般の定例理事会で新興国市場の混乱が金融市場に与える影響について下方リスク認識を示したのと比較対照してみますと何とも認識がのほほんとしていますなあという所です。

で、この件については最初に決定内容見てから景気の部分を見て「何じゃこの全文一致は」という感想を持った人が(少なくともアタクシの知り合いには)多かった次第でして、せめて新興国市場関連のリスク認識について言及した方が良いんじゃネーノと思うのですけれども(見通し下方修正しろとはさすがに申し上げませんが)、今回は謎の目くらまし政策を打ちこんで何かやりました的なアピールをしながら景気判断も見通しもリスク認識も変化なしという「政策的に分かりにくい」決定になっておりますという所です。

まあ後で再度申し上げますが、こういう訳のわからん出し方って「白日銀」みたいなデジャビュ感が漂ってくる訳でありまして、まあそもそも今回出てきた施策が麿日銀時代の(当初は何かヤケクソで出した感もありましたが途中からは)麿ご自慢(かどうか知らんが)の包括緩和政策の両輪的な物件を大々的にだして来るという時点でどうなのよとも思います。

それは兎も角、注1の方を見たら白井審議委員は相変わらず『(注1)白井委員は、国内の雇用・所得環境の改善ペースにも言及すべきであるとして、6.の記述に反対した。』と仰せのようですが、今回は普通に考えて一部の新興国などにおける金融市場の混乱などの今後の影響に関しての言及を入れるだろセンスねえなあと思うのでありました。

なお報道ベースによりますと、新興国市場に関するリスク認識を会見で総裁が言及したとのことでして、まあこれは会見テキスト出てからまたネタにしますが、声明文には示さないけれども会見で言及というのも何ともバランスの悪い話ですなあとは思う(日銀的理屈で言えばメジャーなリスクとしては認識していないので掲載していません、という事になる筈)のですけれどもねえ。

ちなみに英文の声明文でも当該部分は全文一致である事を申し添えます(引用すると長くなるので今回はパス)。


○さて今回の政策ですが色々とツッコミ所はある訳で

・またニバーイニバーイかよ!!!

なお丸八真綿さんのCMで高見山大五郎さんがという話をしても若い衆はポカーンとして自分の歳がばれてしまいますので注意しましょう(^^)。

『3.近く期限の到来する「貸出増加を支援するための資金供給」と「成長基盤強化を支援するための資金供給」について、規模を2倍としたうえで、1年間延長することを決定した(全員一致)1。』

『すなわち、「貸出増加を支援するための資金供給」については、金融機関が貸出を増加させた額の2倍まで、日本銀行から資金供給を受けられることとする。「成長基盤強化を支援するための資金供給」については、本則の総枠を3兆5千億円から7兆円に倍増する。また、両資金供給について、固定金利0.1%で4年間(現在は1〜3年間)の資金供給を受けられることとする。』

『日本銀行としては、こうした見直しが、貸出増加や成長基盤の強化に向け、金融機関の一段と積極的な行動や企業・家計の前向きな資金需要の増加を促すことを期待している。』

まあ色々とツッコミ所はあるのですが、成長基盤強化貸出の残高内訳を見ると・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131129c.pdf
成長基盤強化を支援するための資金供給の実施結果

こちらにありますように、本則32,393.4 億円、ABL等特則1,035.9 億円、小口特則74.77 億円、米ドル特則7,368.9 百万米ドルとなっていまして、本則の方が枠をかなり使っている状態なのでそれを2倍にするというのは判るのですが、貸出増加支援供給に関して「貸出増加させた額の2倍」にする合理的な理由が全くもって意味不明としか申し上げようがなく、これは何なんでしょうという所です。

まあとにかく「2」を連呼してニバーイニバーイが昨年4月4日のキャッチフレーズだから2倍にしたかったんでしょうという話ではあるのですが、しかしどこをどう捻ってもこの貸出増加の2倍というのは銀行への飴玉以外の意味が判らん話ではありますがその辺のネタは後ほど。


・4年固定というのには意味がありますが

これ最初出た時に4年のLTROみたいな勘違いを誘発するような書き方になっているのが「見せ方が上手」と言ってしまえば上手なのですが、こういうのは誤認勧誘いやまあどうでもいいです。

声明文別紙の『貸出増加支援資金供給等の制度見直しの骨子(注1)』ですけどね(注1というのは「要綱に関しては次回のMPMで決定します」という事です)。

『1.貸出増加を支援するための資金供給
@ 受付期限を1年間延長する(注2)。
A 貸付限度額は金融機関の貸出増加額の2倍相当額とする(注3)。
B 貸付金利は4年固定0.1%とする。ただし、1年毎に金融機関のオプションによる期日前返済を認める。

2.成長基盤強化を支援するための資金供給
@ 受付期限を1年間延長する(本則、ABL 特則、小口特則、ドル特則)(注4)。
A 本則の総枠を3兆5千億円から7兆円に倍増する。対象金融機関毎の上限を1,500 億円から1兆円に引き上げる。
B 本則、ABL 特則、小口特則について、貸付金利は4年固定0.1%とする。ただし、1年毎に金融機関のオプションによる期日前返済を認める。』

従来は貸出増加支援については1年、2年、3年のどれかを金融機関が選択して、その時の適用金利は0.1%、エンドが来た時にトータルで4年になる所まではロールが可能(ただしこの時に貸出が減っている場合はダメ)で、その時の適用金利はその時の誘導目標金利(なお元々この制度できた時(基本要綱制定2012年12月20日)に誘導金利はバンドでしたので「現在は0.1%」としていまして金利誘導止めている現在もそれが生きている格好です)。従って0.1%確約の期間が1年延びた格好になっているのと、今回は貸出増加額の2倍という謎施策になっているという事です。

成長基盤強化に関してはABL等特則だけ2年で、本則、小口特則、ドル特則は1年となっていまして、最終的には同様に4年まではロール可能となっていましたが、適用レートはドル特則以外は先ほどと同様(つーかそもそも貸出増加支援の方が後から出来ています。こちら最初に出来たのが2010年6月15日)となっています(ドル特則は6か月リセットのLIBORベース変動金利)ので、今回こちらも0.1%確約の期間が長くなったのと、「1行あたりの限度額を大きく拡大」したことが目玉ですな。

つーことでですな、まあこれが4年に伸びたことと、「2倍借りれる(貸出増加支援)」だの「1行あたりの限度額拡大(成長基盤強化)」だのというのは大手銀行さんを中心とする人たちにとってはウハウハになる話ですな、ただし当該貸出が伸びれば、という前提が付きますが。


・4年とか5年とかの金利が下がるという話もありますがさて・・・・・・・

でまあ今申し上げましたように、これって大手中心に銀行さん(しつこく申し上げますが貸出が伸びれば)ウハウハとなり得る施策なのですが、これによってのメリットってファンディングが4年0.1%でフィックスできるという部分で、ALM的な意味で調達のデュレーションが伸びるのがポイントじゃねえかと思うのでありまして、まあ綺麗な言い方をすると将来の金融正常化の時に銀行の調達デュレーションを少しでも長くすることによって長期ゾーンの国債売却を抑制する効果がありますねという所ですが、意地の悪い言い方をすればこれって2年で2%達成の暁には将来的に金融正常化局面になる筈で、本当に来年の今頃に目標達成という事になっていればどう遅く見積もっても2年後くらいにはゼロ金利政策じゃなくなっているでしょうからその時にはこの4年固定借入がもうウハウハ状態になっていまして銀行に対する掴み金状態になってますなあという所でありまする。

なお、話が少々脱線しますが、そのような銀行ウハウハ施策を制定するに当たりまして、従来学者様でいらっしゃった際に「日銀は天下り先の銀行や短資などを優遇するインセンティブがあって金融政策がゆがめられている」などと大変に品のよろしいご批判というかただの言いがかりをしておられた方が最近は副総裁という名前の置物になっておられると聞いておりますが、その置物師匠におかれましてはこのような銀行優遇貸出制度に対して何故反対なさらないのか全く持って理解致しかねますので明快なご説明を願いたい物であります。

それは兎も角。

でまあ直接にこれで0.10%越えの金利の中期国債を買う、というよりは多分先ほどと同じ理屈で「ALM的に調達デュレーションが伸びる」という事になりますので、別に中期では無くてもこの分は国債を買いやすくなりますわな、という所なのでまあ(しつこく申し上げますが貸出が伸びれば)金利にもそこそこ効果が出るのかもしれませんし出ないかも知れません。


・貸出増加支援に関しての仕掛けについて

『(注2) 現行制度に基づく貸付は3月実行分を最後とし、6月実行分から新制度(1.A、B)に移行する。現行制度のもとでの貸付限度額の未利用枠は引き継がれない。新制度では、四半期毎の貸付限度額の未利用枠は次回以降に引き継がれない。』

ということですが、そらまあこれ固定4年で借りれるなら枠は温存して正常化が近くなる所まで引っ張る事になるでしょう(大体からして今は無担保コールで調達した方が安いから)となりますから、まあ次回に引き継げないというのは「オラオラお前らさっさと利用しやがれコノヤロー」という事でして、これによって金融機関が未使用の枠をドンドン使ってくれるといいですね(棒読み)という所です。


・成長基盤強化の1行あたりの限度額設定がどうなのかという点について

『A 本則の総枠を3兆5千億円から7兆円に倍増する。対象金融機関毎の上限を1,500 億円から1兆円に引き上げる。』

とありますが、現状の本則の利用状況は先ほど引用した
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131129c.pdf
の3ページを見ると

          貸付残高     貸付先数
大手行       11,563.6 億円  10 先
地域金融機関等 20,829.8 億円  109 先
合計         32,393.4 億円  119 先

となっていまして、地域金融機関等の方が利用額が大きくて貸付先も分散されているので、本来の趣旨に叶っていると思うのですが、上限をここで引き上げると大手金融機関が枠を使ってしまう結果になりゃせんかねという気がして、それって本来の趣旨的にどうなのかねという気がするんですが。

まあそうなったらなったで枠を増やせば良いという事なのかもしれませんが、何か制度の趣旨よりも残高を拡大したいという意向の方が前面に出ているように見えて個人的には釈然としない面もあるぞなという所です。どちらかというと地域金融機関による成長基盤強化融資に繋がるような施策になった方が良いような気がするんですがね。


・ところで貸出増加支援の30兆円の積算根拠は???

『(注3) 金融機関の貸出増加率と本制度の利用率が現状程度となるとの仮定で試算すると、本制度による最終的な貸付残高は30 兆円程度となると見込まれる。』

こちらは正直判らん。まあなんとなく「枠はその時じゃないと使えない」攻撃によって残高の拡大ペースは早まる(しつこいですが貸出が増えればの話ですけどね)かも知れませんけど。




○政策ロジックの混線に関して

・追加緩和では無いのですよね&今さら麿施策復活ですかそうですか

そもそも論として今回は最初に申し上げましたように景気判断も見通しもリスク認識も変えていないのですから、その中で金融政策に関して変更をするというのはあり得ない話でございまして、そういう意味では今回の施策は金融政策のフレームワーク的には緩和では無いという建付け。

しかしながら(詳しくは会見要旨が出てからまた悪態を申し上げると思いますが)今回は白川麿総裁時代の目玉施策を箪笥の底から引っ張り出してきてちょっと刺繍を施して「ほらこんな綺麗なおべべがありますよ」と仰々しくだして来るというのをして、まあ追加緩和と勘違いしてくれればそれで良しみたいな見せ方になっておりまして、何だかなあという感じであります。

いやね、貸出が伸びないと意味がないのはその通りなのですけれども、それって元々麿総裁時代のロジックでして、そういう麿理論をケチョンケチョンにしていた筈の置物副総裁におかれましては今回の施策に関してご説明を頂きたいと思うのですよねえ。


なお、MBの目標は変わっていませんので、「仮に日銀の目論見通りに」成長基盤と貸出増加支援が伸びて来ると、その分短期のオペが減る、というか運営が楽になるので、月曜に1年新発4bp割れとかいうエクストリーム金利になっていた短国金利がゼロだのマイナスだのに突っ込むリスクが少しは下がるかもしれませんねとは思いますが、まあそもそも貸出が伸びなければ意味ないですけどね。


・フレームアップの仕方が麿状態になっている点の落とし前をつけてほしい件

まあそもそも今回の施策は6月末に期限が来る施策を延長するのに際してちょっと色を付けてみました程度の話でもあるのです(ただしこれ本当に出口が直ぐに見えてくるようになったら金融機関に対してウハウハ効果を発揮します)が、さてそれをどういう見せ方をするかという話なのですが・・・・・・・・・

『日本銀行としては、こうした見直しが、貸出増加や成長基盤の強化に向け、金融機関の一段と積極的な行動や企業・家計の前向きな資金需要の増加を促すことを期待している。』

と声明文にはあるのですが、はてさてどうなんでしょという所でありまして、会見を報道ベースで見た感じでは、結構「どうだ凄いだろう!!」という感じで見せていたように思われます。

・・・・・・・・えーっとですな、それはそれで本来はそういう話だと思うのですが、そもそも異次元緩和政策というのはMBを拡大すると期待インフレが高まって実質金利が下がることから資金需要が発生する、という理屈を展開していた筈でありまして、MBの目標を変えないのに貸出支援関連のオペを手直しすると「企業・家計の前向きな資金需要の増加」が起きるというのはどういう事でしょうか。

貸出に直接働きかけるような政策を打ってそもそも効果があるのか(日本の場合は別に金融機関サイドに貸出が伸びないボトルネックがある訳では無い)という話もありますが、それはそれとしましても、当初は「MBを異次元に拡大すると実質金利が下がって色々と上手くいく」という木久扇師匠の超越理論をベースにして説明していた筈で、今回の施策をフレームアップし過ぎると今までの話はナンダッタンダという事になる訳でして、それは政策ロジック的に如何なものかという感じはします。

#なお念のために申し上げますが、あたしゃMB増やせばすべてうまくいくとかいう理論を信じている訳では無くて、麿理論の方がまあ本来の話で、ただ麿の問題点は気合とハッタリが足りなかったという所だと思うのですので、方向性として今回の方がまあオーソドックスでしょと思いますが、これまでとの整合性を問うている次第

#特に置物副総裁におかれましては「MB増やして長期国債買って期待を転換してインフレ期待を高めれば実質金利が下がるので資金需要が発生する」という話を展開していましたし、それまでの麿日銀をケチョンケチョンに言っていた訳でして、その辺の落とし前というのをちゃんとつけて頂かないと心情的に全くもって釈然としない所ではあります

まあいずれにせよ、この施策をフレームアップし過ぎると「逐次投入」的な印象を与えることにもなりますし、さてどうなんでしょうかねえという気はしますけどどうなんでしょ。


○他にも突っ込みネタがあるような気がするが時間がががが

ということで続きは明日なのですが、本来淡々と延長すれば良いだけのネタをわざわざ着飾って「ほーれほれ」と見せつけて市場にアピールする、というのが何ともこうインチキというか狸的な所でありまして、黒日銀は「退かぬ、媚びぬ、振れぬ」という感じだったのがちょっと腰が砕け気味になってきたなあという印象を与えるのでありました。こりゃ市場が恫喝すると何か出るという期待は高まるだろうなあとは思うのでありました。

続きは会見要旨と共に明日。

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2014/01/24

お題「黒田総裁会見をちょっと詳しく読んでみましょうという話」

株価が下がると死んじゃうから何かしたいのは判るが・・・・・・・・
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140124/t10014728051000.html
法人税の実効税率引き下げ 議論活発化へ
1月24日 4時25分

減税すると経済効果が出るからその分で税収ガーとか言い出すとそれは先の大戦での戦争先行き見込みたいな話になるんで勘弁して欲しいのですけど。


○黒田総裁会見はドヤ顔満載モードも物価の説明が丁寧

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1401a.pdf


・冒頭の説明部分から

最初の質疑は実質的に説明部分になりますが、まずはこちらの方からちょこちょこと。

『わが国の景気ですが、生産から所得、支出へという前向きの循環メカニズムが引き続き働いており、これまでと同様、「緩やかな回復を続けている」と判断しました。先日開催された支店長会議でも、全ての地域から「回復している」あるいは「回復しつつある」との報告が聞かれており、景気回復の裾野も着実に拡がってきています。』

景気回復の裾野が広がっているとな。

『物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、上昇品目の広がりを伴いながらプラス幅の拡大を続けており、11 月は+1.2%となっています。除く食料・エネルギーの前年比も改善傾向を続けており、11 月は+0.6%となっています。予想物価上昇率は、全体としてみれば上昇していると判断されます。』

物価については「上昇品目の広がりを伴い」「コアコア(除く食料エネ)も改善」とかもうキタコレとしか申し上げようがないですな。

『以上のように、「量的・質的金融緩和」のもとで、実体経済や金融市場、人々のマインドや期待など、好転の動きが幅広くみられており、わが国経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調に辿っています。また、海外経済を中心として下振れリスクはこれまでより低下してきています。』

どう見ても満面のドヤ顔です本当にありがとうございました。


・リスク認識に関して

声明文でリスク認識が従来の下振れ警戒から中立に近い表現になった所に関連して。

『(答) 第1点目については、ご指摘の通り、従来からリスク要因として海外経済の不確実性を挙げていましたが、先程もご説明した通り、米国、欧州といった先進国の回復基調が明確になってきました。これを踏まえて世界経済全体としてのリスクが低下してきているとみています。』

>先進国の回復基調が明確になってきました
>先進国の回復基調が明確になってきました
>先進国の回復基調が明確になってきました

どう見てもドヤ顔です。

『ちなみに、IMFも新しい世界経済見通しを発表しましたが、先進国を中心にして、2014年の成長率見通しを上方修正しています。世界経済全体の経済成長率は、2013年より2014年、2014年より2015年というように、だんだんと高まっていくとみられています。従って、ステートメントには、リスク要因として非常に大きいというよりも、むしろ、リスク要因として残っているという意味で、3つを挙げています。』

という表現から判りますように、まあリスク認識は一応下は下なのですが、気分は中立という感じのウキウキ表現になっていますな。


○総裁会見ネタは続きまして物価上昇のメカニズムに関連して

今回の質疑応答ですが、先ほど申し上げたように物価上昇のメカニズムの説明が従来よりもだいぶクリアな感じ(ただしそのロジック自体は気合だ気合だ気合だ部分が思いっきり入っているのですけれども)になっているように見えます。まあコアが1%台に上昇したので説明をよりクリアにして自信満々っぽくプレゼンしてもヨロシカロというのもあるのかもしれませんが、自信を強めたから説明が更にクリアになったという感じも。

6ページ目と11ページ目にある黒田総裁の説明を読みますとその辺の説明がありますので読むべし。

・期待インフレの上方シフトというメカニズム

『(答) 物価については、昨年4 月に「量的・質的金融緩和」を決定し、その後着実に実行する中で、実際の物価上昇率も徐々に上がってきており、先程申し上げたように、生鮮食品を除くベースで+1.2%、食料・エネルギーを除くベースでも+0.6%になっています。そうした中で、最近の民間の見通しは徐々に上昇しており、2013 年度あるいは2014 年度について、私どもの見通しとかなり近い数字になってきていると理解しています。』

ドヤッ!って所ですね分かります。というか日銀某局あたりから高笑いの声が聞こえてきたように思えるのは幻聴ですかそうですか。

『ただ、2015 年度の見通しについては、依然として私どもの大勢見通しと民間の見通しとにややギャップが残っていると思います。』

で、そのポイントは何かと言いますと「予想物価上昇率の上方シフト」だそうです。

『前にも出た論点ですが、経済成長率については、私どもと民間の見通しにそれほど大きな違いはありません。そういう意味では、需給ギャップがだんだん縮小し、いずれプラスになるという方向については、あまり違いはないと思いますが、予想物価上昇率について、まだ民間の方がやや慎重な見方をしているのかなという気がします。』

つまりフィリップスカーブの上方シフトなりスティープ化が起こるかどうか(恐らくスティープだとサステイナブルでは無いので上方シフトだと思うのだが)という点になるのですが、この辺りに関して従来は割と日銀からの情報発信ではフィリップスカーブがどうのこうのという説明をしていましたが、今回の説明ではフィリップスカーブの上方シフトみたいな話をしないで、以下にありますように「中長期的な期待インフレ率の上昇」という話に絞っているのが味わいがございます。

『ただし、民間の見通しがどういう経済モデルを想定して立てているのかなど分かりませんので何とも申し上げかねますが、おそらく、予想物価上昇率の今後についての考え方が違うのかと思います。』

ということで、予想物価上昇率(まあ要するに期待インフレ率だが)という話をしているのがお洒落なのですが、更にお洒落なのはここにありますように「期待インフレ」とか「インフレ期待」というような単語を使っていない所で、これは足元相変わらず安定推移の10年カレント物価連動国債BEIのネタを持ち出さない伏線であると見ましたがどうですかねえ(ニヤニヤ)。


・期待インフレ率がどのようにして上昇するのか

『以前から申し上げている通り、日本銀行が物価上昇率2%を2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現する、そのために「量的・質的金融緩和」を導入すると単に言ったからといって、予想物価上昇率が直ちに2%に跳ね上がるとは思っていません。』

師匠の高度な計算式はどうなったのでございましょうか??????

『そういった政策のアナウンスメントに対応してフォワード・ルッキングに上昇する部分もあると思いますが、実際に物価上昇率が上がっていく過程の中で、いわばバックワード・ルッキングに予想物価上昇率が上昇していく要素も、両方あると思います。』

つまり、従来行われたことの無かった「期待インフレ率をデフレ均衡状態から引き上げて新たな均衡にアンカーさせる」という中においては(インフレ期待が「不安定化して」高くなった状態からの安定化という従来型の金融政策での課題と違って)フォワードルッキングな期待形成だけではなく、実際の物価推移に適合的な期待形成が行われないと、デフレ均衡となっていて望ましくない状況で安定化している期待を動かす為に重要なファクターである、とまあそんな説明になっている訳ですな、うんうん。

『私どもは、私どもの大勢見通しが正しいと思っていますし、実際に物価上昇率が上がってくる中で予想物価上昇率も徐々に上がってきています。そうした傾向が続いていく中で、私どもが申し上げているように、見通し期間の後半、具体的には2014 年度の終わり頃から2015 年度にかけて、2%程度に達する可能性が高いとみています。』

どう見てもドヤ顔ですというか民間エコノミストに盛大に喧嘩売ってます本当にカムサハムニダ。


・今後の物価推移のパスとそのコンポーネント

11ページ目の部分である。

『(答)(別の質問部分割愛)1 点目の、「物価安定の目標」に向けて進む道筋です。色々な前提のもとでみると、エネルギー価格などが物価を押し上げていた部分はだんだん減衰していく一方、GDPギャップは少しずつ改善していき、インフレ期待も、少しずつ上がってきており、今後も上がっていくと想定されます。エネルギー価格による押し上げが小さくなるということと、内需を中心に、経済取引全般について需給がタイトになってきて、少しずつ幅広い品目で物価面の改善がみられるということの、両方の面があります。それがちょうど綱引きで、概ね現状程度の1%台前半という水準が、「暫くの間」――これは、半年程度だと思って頂いてよいと思いますが――、続くだろうとみています。』

ということで、ここで総裁が明言していますが、今回の声明文における「暫くの間」というのは「半年程度」という事のようですので、この間コアCPIの上昇ペースが+1.2%近傍で推移して伸びない場合でも「見通し通り」でありますので追加金融緩和は無いですよというメッセージでもあるという事になります。

それは兎も角として、今後半年程度の期間におきましては、徐々に食料エネの前年比上昇要因が剥落する側から、需給ギャップの改善による実力ベースの物価上昇要因が変わっていく、つまり「同じ物価上昇率でもその質が改善される」という図を想定しているという話ですな。

『その後は、前者の部分はなくなりますので、後者の部分だけになってきます。さらに、後者の部分についても、潜在成長率を上回る成長が続くわけですので、当然、GDPギャップがずっと改善していきます。そうした中で、物価上昇率が上がり、インフレ期待も上がっていくという形で、物価が上昇していくとみているわけです。その結果として、ここにあるような見通しができているということです。』

で、その後の物価上昇に関しては需給ギャップの改善に加え、先ほどの質疑応答で説明していたバックワードルッキングによる予想物価上昇率の上方シフトが起こり、それによって実際の物価も予想物価上昇の上昇に伴い、従来のフィリップスカーブで説明できる需給ギャップによる上昇を上回って上昇する(過去のフィリップスカーブを前提にすると2%は相当の改善が必要ですので)という説明になっておりますな。

『ちなみに、政策委員の大勢見通しの表をみて頂いても分かるように、基本的に、昨年10月時点の展望レポートとほとんど変わらないのですが、仔細にみると、消費者物価の上昇率については、例えば足許の2013 年度については幅がだいぶ縮んできていますし、2014 年度、2015 年度についても、幅のうち、下の方が上がってきています。個々の物価見通しはそれぞれの政策委員の方々の見通しですが、その全体を大勢でみれば、中心値は変わっておりませんし、その幅も、少し下の方が上がってきているということでして、そういった見通しを、政策委員会として持っているということだと思います。』

>少し下の方が上がってきているということでして

ドヤ顔キタコレですなあっはっは。


○金融政策運営(というか追加緩和)に関する部分&市場の動きは勝手にやってろ発言部分とか

先ほどの所でもドヤァ!ってテイストの部分が多々ございましたが、さて他にもこんなのがががが。

『(問) 昨年の1 月22 日に日本銀行が2%の「物価安定の目標」を導入してから、本日でちょうど1 年になります。「物価安定の目標」を導入するメリットについて、先程、総裁から、2%という目標を掲げたからといって、すぐに期待物価上昇率は上昇するわけではないというお話もありました。目標を定めたことの効果について、この1 年間の動きをみていてまだ効果は出ていないのか、それとももう手応えを感じつつあるのか、また、人々の期待が目標の設定によってどのくらい変化したか、ということについて、総裁のご見解をお伺いできればと思います。』

『(答) 私どもとしては、もちろん手応えを感じています。先程申し上げた生鮮食品を除くベースで+1.2%、それから食料、エネルギーを除くいわゆるコアコア指数でも+0.6%になっています。物価上昇率は、徐々にですが、明らかに上昇しています。予想物価上昇率も全体としてみると上昇しており、先行きの見通しについては、先程申し上げた通りであり、「量的・質的金融緩和」は効果を発揮していると思います。』

はいはいドヤ顔ドヤ顔。

『ご指摘のように、昨年の1 月には、2%の「物価安定の目標」を決定して、これをできるだけ早期に実現しようということでした。4 月4 日には、これを「2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」ために必要にして十分なだけの金融緩和措置を採るということで、「量的・質的金融緩和」を導入しました。2%の「物価安定の目標」も非常に重要ですし、それをいわば「2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」という決意のもとに、「量的・質的金融緩和」を導入して、これを毎月着実に実行してきているということも極めて重要な要素であろうと思っています。』

ということで、ドヤ顔の方も宜しいのですが、こちらにありますように「2年」でという方の説明も強調しているのがもう一つのポイントで、必要な措置を投入しましたと改めて説明しているのはつまり相変わらず期待の多い「消費税引上げの落ち込みに対応した予防的追加緩和」への否定をしている訳ですがな。

更に追加緩和に関する直球質問が別の所で。

『(問) 物価は、日銀がみている通り順調に2%に向かっているということですが、市場では日銀の追加緩和期待が根強くあります。その中で、仮にこのまま順調に推移した場合、調整は必要ないことになると思いますが、例えば、今日の決定会合の後などは一旦、株安になったり円高になったりしています。追加緩和に関する思惑があるため、緩和がない場合に市場が荒れ、株安になったり円高になったりすることについて、総裁は懸念を持っていらっしゃいますか。』

これは良い煽り質問(^^)。

『(答) マーケットの状況については常に注視していますが、全体の動きについて何か特別な懸念を持っているかと言われれば、持っていません。』

キターーーーーーーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

『その1 番大きな理由は、4 月4 日に「量的・質的金融緩和」を決定し、その後、半期毎の展望レポート、またそれを中間評価することを続けてきていますが、基本的に、物価は想定した道筋を辿ってきているということです。』

まあ財務官やってましたからそうなんでしょうなあとは思いますが、やはり黒田さん本質的には「マーケットが俺様の見立て通りに動かないとはケシカラン」という俺様スタンスであるというのが思いっ切り透けて見える、というかまる見え状態になっているのが実に味わいの深い物を感じます。

#財務官と違って「ケシカランので成敗してやる」と逝かないのが残念ですね!!!!

『当然、物価見通しについて上下双方向のリスクはあり得るわけですが、これまでのところそういうリスクは顕在化していませんし、そういうリスクが顕在化しなければ、現在の政策が続いていくということです。』

もうこれに尽きる訳で、顕在化しなければ動かないという訳ですから、そらまあ見えやすい海外大失速でモロにリセッションとか、金融危機発生とかでも無い限り、消費税増税の反動如きでの予防的反応と言うのは無く、消費税増税の反動がどの位になったのかが明らかになる時期に予想よりも莫大な反動減がキタコレとなった場合じゃないと動きません罠となりますので、どこからどう見ても1−3はおろか4−6での追加緩和も期待する方がオカシイという結論になります罠、今のところの話ですけど。

『「マーケットはマーケットに聞け」というくらいで、マーケットはマーケットで色々動くと思いますが、実体経済の動きと物価の動きを十分注視して、適切な金融政策を運営していくことに尽きると思います。』

これがまた豪快にも程がある発言でして、つまりこれまでの間物価見通しに関しては市場の見立てよりも日銀の見立てが大勝利の行進状態になっていた訳でして、俺様の見方に負け続ける市場の動きなんぞ知るかヴォケ勝手にやってろというドヤ顔大勝利モードになっているのがヒジョーに良く判るお話ではございました。


・・・・・・・ということでして、ドヤ顔大勝利モードは今の所勝っているだけに誠に仰せのとおりですと申し上げるしかないのですが、まあ良く良く見たらこの先の物価上昇メカニズムに関しても「バックワードルッキングによる期待の変化」というヒジョーにフワフワしたものを気合で包んでご提供しているだけの話でありまして、結局の所信じるか信じないかの世界である事は変わらん、というかその要素更に強くなっておりますぞなもしという所です。

さはさりながら、この「信じるかどうか」というのは例えが不適切かも知れませんが一種宗教ちっくなものがありまして、じゃあその宗教ちっくなものを信じるかという話になると、目の前で物価上昇という名の実績(最初奇跡と書こうと思ったが思いとどまって実績に文言変更^^)を示されますと信憑性が高まってしまう所がオソロシスな訳であります。

でまあインフレ期待に関連してはこれまた難しくて、(歳がバレるからあまり申し上げたくないが)物価が年々上昇して毎年のように国鉄の運賃や市電の運賃が上昇していた時代の記憶があるあたくしのような世代と、低インフレデフレ時代しか知らない世代とではこの辺の期待変化についても違うんじゃないのかなあとか思ったりして、中々こう難しいというか奥が深い話ではあると思いますが、それこそ世代別のインフレ期待の変化とかを今以上に大々的にサーベイ取って行くと面白いのかもしれないな(難しいと思うけど)などと思ったりしながら今回の総裁会見テキストやら金融経済月報(は今日間に合わないのでネタにしませんすいませんすいません)を読んだりしたアタクシなのでありました。

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2014/01/23

お題「決定会合レビュー」

ということで概ね声明文からであります。

○市場の反応(ただし株と為替)に?????

決定会合の結果自体は当然のように「現在のQQEを継続」(だから表現は現状維持なのですが緩和拡大継続ではあるんですけど)だったのですが、株式市場とか為替市場の反応がワケワカランチ会長。

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0KW26920140122
東京株式市場・大引け=小幅続伸、日銀会合で売買交錯
2014年 01月 22日 15:34 JST

『金融政策の据え置き決定後は、外為市場で一時1ドル104円割れとドル安/円高が進行。連動して日経平均も下げ幅を拡大し、一時164円安となった。ただ、下値を売り込む向きは限られ、ドル/円の切り返しとともに日経平均もプラス圏を回復。日銀がリスク要因として「日本経済をめぐる不確実性は引き続き大きい」との表現を削除したことを評価する声もあった。』(上記URLより)

ということでMPM結果出て為替ドリブンなのか株式ドリブンなのかイマイチワカランチ会長ではあったのですが、(上記URLだと為替ドリブンっぽいが株式ドリブンな気もする)なんかおまいら期待していたのかよというのも???でしたが、その後全値戻し以上に戻ったとゆーのもアレでございましてもう何が何やらという所でしたな。

まあ債券市場的には予想通りにも程があるのでそんな反応は無かったのですけど、ということで声明文の辺りから。


○声明文:さらに強気化していますなウェーハッハッハ

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140122a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k131220a.pdf(前回)

ちなみに後で使うので英文声明文も

http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2014/k140122a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2013/k131220a.pdf(前回)

・現状認識:駆け込み需要の言及に海外経済判断引き上げ

『わが国の景気は、緩やかな回復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(前回)

ということで消費税上げ前の駆け込み需要言及キタコレです。

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。』(今回)
『海外経済は、一部に緩慢な動きもみられているが、全体として緩やかに持ち直している。そうしたもとで、輸出は持ち直し傾向にある。』(前回)

更にキタコレなのはこちらで、海外経済の判断が持ち直しから回復に引き上げ。

『設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けている。雇用・所得環境が改善するもとで、引き続き住宅投資は増加し、個人消費は底堅く推移しており、これらの分野では消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。』(今回)

『設備投資は、企業収益が改善するなかで、持ち直している。公共投資は増加を続けており、住宅投資も増加している。個人消費は、雇用・所得環境が改善するなかで、引き続き底堅く推移している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかに増加している。企業の業況感は、広がりを伴いつつ改善を続けている。』(前回)

住宅投資と個人消費に関して消費税駆け込みに関する言及が加わりました。企業業況感については前回分が短観が出た直後のMPMなので今回は出ていないという形なので無いのには政策インプリケーションはありませんです。

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(前回)

まあここはこうでしょう。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

物価に関してですが、直近公表分のコアCPIが+1.2%になったのを受けて「1%程度」から「1%台前半」と表現を強くしていますなということで・・・・・・・


・先行き見通しは物価に関する言及に注目

『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。』(前回)

こちらは全文一致。

『消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(今回)
『消費者物価の前年比は、当面、プラス幅を拡大するとみられる。』(前回)

これがまたワケワカランチ会長でして、「プラス幅を拡大」という部分が削除されているという事で、一見すると物価の先行き上昇に対して判断を弱めたようにも読めるのですが・・・・・・・・

総裁会見の記事から
http://jp.reuters.com/article/idJPTYEA0L04S20140122
物価目標2%達成に自信、増税による実質所得減など注視=日銀総裁
2014年 01月 22日 19:06 JST

こちらでの説明では来年度末辺りに2%の物価目標達成に対する自信度を更に深めているような話になっております通り、別に先行きの見通しに自信がなくなった訳ではありませんので、ここの表現を見て先行き自信が弱くなったので追加緩和示唆キタコレと喜ぶと糠喜びになりますし、そーゆーレポートを見たらどう見ても誤認です本当にカムサハムニダと認識するのが吉。

と申しますのは、その次の部分に展望レポートの中間レビュー部分がありますけれども・・・・・・・・

『昨年10 月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率、消費者物価ともに、概ね見通しに沿って推移すると見込まれる。』(今回)

とありまして、後ろにある展望レポート中間レビューの参考図表にもありますように、特段大きな変更が行われた訳でもなくという内容(つーか物価見通しのレンジが下が若干上がっていますが)でありまして、展望レポートで示す中長期的なタイムホライズンでの経済物価見通しが不変ということはこれつまり物価の先行き見通しに関して何か変化があった訳では無い、という話になる訳でございますな。

でもって何でここの表現が微妙に分かりにくいかと言いますと、物価の先行き見通しの部分で今回使っている『暫くの間』と『当面』の差が一見さんに分かりにくいからでありまして、ではニュアンスが分かりやすくなる場合もある英文の当該部分を比較してみましょう。

『The year-on-year rate of increase in the CPI, excluding the direct effects of the consumption tax hike, is likely to be around 1-1/4 percent for some time.』(今回)(なおクオーターの部分はあたくしのPC環境上1-1/4に改変しています)
『The year-on-year rate of increase in the CPI is likely to rise for the time being.』(前回)

・・・・・・・・・フォーザタイムビーイングとフォーサムタイムの差が判るかと言われますとこれがまた分かりにくいにも程があるのですが、見通しが変わっていない、つまりベースラインシナリオ通りに物価が推移しており、その結果表現が変わっている、アンド今回の物価先行き見通しに「消費税増税の直接的な影響」という言及があり、それは必然的に4月以降の物価見通しも含まれるという事を勘案しますと・・・・・・・

「暫くの間」というのは消費税増税の直接的な影響が物価に跳ねている期間も含めた期間、すなわち3か月超半年程度までの期間を指していますという事になりますし、そもそも物価見通しを変えて居ない中で前回が「当面上昇する」という説明をしているというのは、つまり前々回の+0.9%から今回+1.2%に上昇するという見通しの話をしていましたぞなもしという話を意味する訳で、まあ確かに元々年末にかけて1%台に上昇してその後しばらく(食料品やエネルギーの効果が剥落するので)1%台で上昇率はその辺の水準で推移するというのが基本的な見通しだった事を踏まえるとそういうことですなという所です。


ところで話は戻りますが、今回の声明文英訳バージョンですけれども、「1%台前半」という表現が「アラウンドワンアンドクオーター」になっているのはナンジャソラという感じで、まあ要するに11月コアCPIの+1.2%近辺で暫く推移するという事を言いたかったというのは伝わるのですが、何というかピンポイント予想しているみたいで珍妙でワロタです。


・リスク要因の表現がどう見てもドヤ顔です本当にカムサハムニダ

『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる(注1)。』(今回)
『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、新興国・資源国経済の動向、米国経済の回復ペースなど、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(前回)

この(注1)については後ほど申し上げます。まあそれよりも今回おーというのはリスク認識の表現の下振れ警戒文言が外れた所。英文だとニュアンスが更に分かりやすい。

『Risks to the outlook include developments in the emerging and commodity-exporting economies, the prospects for the European debt problem, and the pace of recovery in the U.S. economy.[Note 1]』(今回)

『Regarding risks, there remains a high degree of uncertainty concerning Japan's economy, including the prospects for the European debt problem, developments in the emerging and commodity-exporting economies, and the pace of recovery in the U.S. economy.』(前回)

ということで、前回はリスクに関して経済にconcerningなリスクが大きいという説明だったのが、経済のリスクはこの通り、という話になっていまして、先ほど現状認識で海外の認識の引き上げが行われたのがありましたが、こちらのリスク認識が改善している方が更にウヒョーという感じです。

なお、リスク認識の順序が変わっていまして、これは欧州問題に関するリスク認識が下がったという事を意味するというのが日銀文学のお作法です。


・最後の文言はいつもと同じ

『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(今回)

で、注2にある木内さんのいつのもの提案も同じです。

『(注2)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)。』(今回)


○展望レポートの数値ネタは割愛

先ほどの5番目を再掲します。

『5.昨年10 月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率、消費者物価ともに、概ね見通しに沿って推移すると見込まれる。』(今回)

ということで数値ネタを入れるのが本来のお作法なのですが、時間と他ネタの都合で華麗にスルーの方向でありまして、まあ今回に関しては物価見通しの下限の方の人がちょっと見通しを上げてきたのがほほーという感じを受けた程度(細かい数値は声明文の別紙を見てちょ)ですかね、うんうん。


○白井さんの提案の意味不明度合いに更に拍車が掛かっている件について

さて今回の声明文ですが先ほどご紹介した6番の所に戻ってみましょう。

『6.リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる(注1)。』(今回)

で、この注1ですけれども・・・・・・・

『(注1)白井委員は、国内の雇用・所得環境の改善ペースにも言及すべきであるとして、6.の記述に反対した。』(今回)

・・・・・・・・・・・?????

いやあのかなーりどうでも良い部分で反対とか何なんでしょという所でして、これ「下振れリスクはまだ大きい」とか言うならまだ意味があると思うのですが、別に声明文に掲載していなかったらその部分について警戒していないという訳では無い筈で、その中で国内の雇用所得環境の改善ベースをわざわざ載せるかどうかというので一々反対とかもう何のための反対だか判らんわ。

単に賃上げが重要と吠えている政権の皆様に対してアピールでもしたかったんですかMPMは貴方様のアピール会場じゃないんですよという所で、決定内容や金融政策の根幹にかかわる部分を普通に賛成しているのにこのような瑣末な部分でわざわざ反対するという頭の構造が理解致しかねますが、この前の謎講演での説明でもそうですが、これ本人は「コミュニケーションの改善の為に分かりやすい表現を」という文脈で大真面目にやっているっぽい所に本格派のアレの風格を感じるものでして、早い所任期が来ていただきたい物だと願って止みません。


○ところで貸出支援基金関連の延長という暫く前のニュースは何だったのかという件

ちなみに貸出支援基金の延長みたいな話は特段無かったのですが・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/index.htm/
貸出支援基金

http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo80.htm/
貸出支援基金運営基本要領

http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo81.htm/
貸出支援基金の運営として行う貸出増加を支援するための資金供給基本要領

ちなみに「3年固定が可能」なのは一番下にある貸出増加を支援する資金供給になりますが、2番目と3番目のURL先にああだこうだと書いてありますが、例えば貸出増加支援の基本要綱の7番目に『7. 貸付実行日および借り換え』というのがあって、この項番1にこのような記述が。

『(1) 貸付実行日は、別に定める日とする。ただし、平成26年6月30日以降、(2)および(3)に定める借り換えを除く貸付実行は行わない。』

で、この(2)と(3)は当初貸出のロールオーバーになりますので、実質的には現在貸出支援基金は今年の6末までオファーされる可能性があるという話でして、まあそう考えますと別に今すぐ期限を延長しないといけない話では無いので、そもそも何でこの話が出て来たのかが良く判らんという説もだいぶあったりしますな。

なお、QQEでの資産買入拡大予定表によりますと、貸出支援基金に関しては昨年が10兆円、今年が5兆円拡大の見込み(で作ったものの昨年は結局6兆円しか増えていないのはご案内の通り)で作っていますが、今年が昨年の半分になっているのは単に期間が半分になっているから、という理解で良かったですよね???


会見と月報ネタに関しては明日でございますが、会見に関しては更に強気度が上昇しているように見えまして、今回のMPM捕まえて追加緩和の可能性が高まるとか示唆とか言い出すアホウはあまり居ないとは思いますけれども、ウケを取りに平然と言い出す本職の方もこれまた散見されますので誠にアレという事で。

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2014/01/22

○決定会合プレビュー雑談続き

まあこの前大体お話を申し上げた通りですが、今回は普通に政策変更はなく、声明文における経済物価情勢に関する認識については、さくらレポートでも上方修正でしたので現状認識を若干上方修正、先行き見通しを前回と同じという感じにしてくるんじゃないですかね。

でもって物価の所ですが、ついにこの前出てきた11月コアCPIが+1.2%に上昇という部分について更にヒャッハーという表現をするのかが楽しみでありまして、ちなみに前回は『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。』(12月声明文より)となっていたのですが、威勢よく「1%台に上昇している」とか書いてウヒョー感を出して頂き、大勝利感を見せて頂きたい物であると思うのですが、調子に乗ってやがるとか言われるのもアレですし、大体からして1%台に上昇とか書くと1%割れた時に残念無念になってしまうから惜しくも糊代確保の為に「1%程度」という表現のままになるんでしょうな。

展望レポートはそんなに大きな修正はしてこないと思います。まあ基本的に前回の見通し通りに推移しておりまっせウェーハッハッハという感じじゃないですかね。実際問題として確認したいのは展望レポートの中で基本的見解だとそんなに記述されないと思いますし、まああまりこれまでのレビューを詳しくはしないのが展望レポートの仕様ではあるのですが、「ではここまでどのようなメカニズムで物価が上昇しているのか」という検証部分でありまして、そのコンポーネントというのはそらまあ事後的にしか判らないものではあるのですが、それにしてもある程度のあたりがついていないと今後の物価推移に関する予測もへったくれもないと思うので、実際問題として何でこういう推移になっているのかという点についての見解を知りたい所ではあります。


会見については別に新しい話は出ないどころか、それ見たことかウェーハッハッハという話で、異次元緩和で期待に働きかけてフィリップスカーブをシフトアップさせて気合だ気合だ気合だ2年で達成だという話が繰り返される(なお「2年と言わなくなった」という指摘が時々あって、その理由に関して「自信がなくなったから」という珍解釈をする人が別府温泉地獄巡りの間欠泉の如く飛び出るのでありますが、これは単にスタート時点からの時間が短くなっているので「2年」と言わなくなっているだけの話ですので念の為)だけの話ですな。

ただし、一般論としての追加緩和の可能性はそらまあ普通に下振れ顕在化して見通しの変更が待ったなしとなったら追加緩和を実施するのは当たり前にも程がありますので、それについては質問されたら答えるでしょうし、そういう時に黒田総裁は威勢の良い言い方をするのが仕様でもありますので、追加緩和ネタが好きな情報ベンダーが追加緩和に関する発言を思いっきりリファーして流してくるから海外投資家の皆様におかれましては盛大に早期追加緩和期待を持ったまま走ってくれるでしょとしか申し上げようがございませんな。はいはいワロスワロスという感じですが。

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2014/01/20

○決定会合プレビュー雑談

はやいもんでもう展望レポートの中間レビューの季節がやってまいりましたが・・・・・・・

先日の支店長会議での総裁のお告げを目先の金融政策に関する観点から解釈すると多分こうなると思うのだががが。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/siten1401.htm/

『(1)わが国の景気は、緩やかに回復している。先行きについては、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。』

『(2)物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、上昇品目の拡がりを伴いながらプラス幅を拡大しており、1%程度となっている。先行きは、当面、プラス幅を拡大するとみられる。』

『(3)わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。そうしたもとで、金融環境は、緩和した状態にある。』

この辺は基本的に金融政策決定会合の声明文にある話ではあるのですが、これを普通に説明するという事は、普通に現状の政策を継続するだけという事で、追加緩和は無いですねわかります。

『(4)「量的・質的金融緩和」は、所期の効果を着実に発揮しており、日本経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調にたどっている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』

でまあこの「所期の効果を着実に発揮しており」という部分は金融政策決定会合の声明文には出ていない文言になりますが、この部分がもう鼻息フンガーという所でありまして、「2年で2%目標達成に必要な施策は全て投入済み」の政策が「所期の効果を着実に発揮」という状況である中で4月の消費税への影響に対してプリエンティブに政策対応とか説明する方におかれましては、日本語の理解能力が著しく低いと思われますので、まずは共通一次の現国の過去問を30年分ほど使って勉強をされた方が良いのではないかと存じます。


・・・・・・・・・・・・でまあそういう事で最近はさすがに1−3で追加緩和という話が思いっきり大真面目に出てくるという展開ではなくなっているとは思いますが、そらまあ何か全然想定していない災厄的事態が起きれば別ですけれども、そうじゃなければどうなるかと想像するとまあこうなるでしょという話ですけどね。

まず1−3って物価に関してはどうも上昇ペースが鈍化するという見通しが妥当なようですが、とりあえず2年で2%の期限まではもう暫くありますし、そこまでが順調にも程がある展開ですからして物価面で問題が出るとは思えず。景気に関しては増税前の駆け込みがまだ続くでしょうからそもそも論としてそんなに景気は落ちないでしょう。でまあ現在の金融政策運営に関しては「フォワードルッキングで小出し」というのはしてこないとなっておりますので、足元がシナリオ通りに展開されている中では追加策は出てこないと見るのが妥当。

でもって4−6ですけれども、消費税増税の影響がどうなるかさっぱり判らないのですが、どうせその部分が経済指標として反映してくるのはその後ですから知らんがなという状況。一方で物価に関してですけれども、一応日銀は「消費税増税分がフルに転嫁された場合にCPIに2%の押し上げ効果」という置きにしているのですが、そもそも消費税分がCPIに何ぼ転嫁されましたかというのは相当後になってみないと実際の所は計測できない話でありまして、実はこの部分には鉛筆舐め舐め要素を入れる事が可能な訳ですよね。

つまりですな、そもそも物価に関しては4月以降になると消費税の影響でぐちゃぐちゃになってしまって正確な数値が見えなくなってしまうというので、いざとなったら都合の良い解釈が可能になるというオサレな話がありまして、サーベイとか使いながらやっぱり消費税の転嫁が2%もありませんですねえテペヘロとか言って大勝利宣言を出すというのも極端に言えばアリエールな話ですし、そもそもその次の消費税増税がどうのこうのというのがあると、今回の流れからすると更にコストプッシュ分の価格転嫁とか進みそうなイメージがありますので表面上のCPI数値って普通に堅調推移して、更に大勝利宣言が近くなるという可能性も無きにしも非ずなんじゃネーノという気はするんですよね。

つーことでまあ4月以降って物価に関してはそんなに大コケはしなさそうで、問題はまあ景気の方がどうなりますかねという所になるかと存じます。ただまあ消費税10%増税判断が年内にという事になっている以上、財政当局におかれましては増税決定に向けて色々と吹かして来るとゆーのがこれまた容易に想像できるわけでございまして、そういう中でそんなに景気が大コケするんでしょうかねえと思う訳で、そうなりますと7−9以降に現在の政策フレームをどうのこうのという話ってどうなるんですかねえという気が段々してきているのでありました。


あと、別の角度から申し上げますと、そもそも追加緩和がどうのこうのと言われましても、ではその追加のメニューは何かあるんですかいなという話でありまして、MB270兆円が出来るのかどうかも怪しいという中(銀行業態が意図的にバンバン超過準備積んで行けば何とかなると思いますけど、ここから自然体となるとしんどいと思う)で、追加でMBの量を稼ぐような物は無いと考えるのが妥当だと思います。まあ株式市場方面ではETF拡大とか期待しているらしいですが、ETFで10兆とか数字が作れるのであれば話としてあるかもしれませんが、市場規模からして精々1兆とかの数字で、それは短期オペの誤差程度の数字になるのでこれまた普通に考えてあり得ません。なおJPX400のETFを買うべきとかいう夢想の話もあるらしいですが、そういうのは市場がちゃんと出来てからのご相談です罠。

大体からして元々がMB年間60兆〜70兆円だの長期国債年間50兆円だのというようなデカイ数字をぶち上げてQQEローンチしたのですから、それなりに数字のインパクトがあるような事をしないと追加緩和でございと言って出してきて却って「足りない」とか言われるリスクがあると思いますので、下手に小出し感のあるものって出せないですが、じゃあ物理的に何か出せるのかというと技術的な限界は見えているので、実際問題として「追加緩和期待」とか言われましても、そもそも論として無い袖は振れない状態でもあると思うのですよね〜。


なお、このまえどこぞのレポートで拝見したのですが、何でも一部では「2015年末の資産買入想定額」を出すという追加緩和策という見解もあるらしく(ちなみにあたくしが拝読したレポートはその説を紹介した上で「そんなのあり得ん」という解説をしているので内容は普通にちゃんとしていました、為念)、ナンジャソラという所ではあるのですが、「2年で2%達成」と言っているのですから2015年に入った時点では2%達成だぜウェーハッハッハという状態の筈でして、2015年末の資産買入額に関してそのまま今の買入がプロラタで拡大されるという数字を出すのはそもそも「2年で」の方に対する放棄と見なされませんかね(ちなみに件のレポートもそういう説明ね)という話。

いやまあ2年で行かなかった場合はオープンエンドで実行とか言っておりますので、コミットでも何でも無くて単なるご参考ですがなと言って2015年末はこうなるというのを出そうと思えば出せない事は無いでしょうけれども、コミュニケーション上は混乱しますし、目標行ったからさっきの無しという話をすると更にややこしい事になると思うのでまあやらない方が吉のような気はします。


それから、貸出支援オペに関してはまあ普通に今のままで1年延長とかするんでしょうなあと思います。なお前も書きましたが、当初金利での固定金利の貸出は最大3年(それを延長すると4年だけど延長の時はその時の金利になる)になりますので、本当に大勝利宣言待ったなしという状況になったら3年0.1%固定金利の貸出が急にお宝ヒャッハーになって札が入りまくるという展開になるんでしょうなあという事で。



○これは残念というか何というか(中原伸之さんのインタビュー)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MZIQ4T6JIJW201.html
中原元委員:日銀は追加緩和余地ある、マネタリーベース300兆円も (2)
更新日時: 2014/01/17 15:39 JST

『1月17日(ブルームバーグ):中原伸之元日本銀行審議委員は日銀には追加金融緩和の余地があり、為替相場は年内に1ドル=115円程度へ下落する可能性があるとの見方を示した。中原氏は16日のブルームバーグとのインタビューで、日銀は4月の消費税率引き上げによる国内景気への影響などを見極めた上で、「必要があれば追加緩和をすると思う。量的・質的金融緩和を強化し、マネタリーベースを300兆円程度へ拡大する余地はある」と述べた。』(上記URLより)

>マネタリーベースを300兆円程度へ拡大する余地はある
>マネタリーベースを300兆円程度へ拡大する余地はある
>マネタリーベースを300兆円程度へ拡大する余地はある

ほほう。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE93306B20130404
インタビュー:急激な円安や金利上昇心配=中原元日銀審議委員
2013年 04月 5日 08:42 JST

『[東京 5日 ロイター] 元日銀審議委員の中原伸之氏は4日、ロイターのインタビューに応じ、日銀が打ち出したマネタリーベース(資金供給量)を2年で倍増させる量的緩和について、あまりに急激・巨額な金融緩和であり、「急激な円安や長期金利上昇などが起きないか私も心配」と懸念を示した。中原氏は2001年の量的緩和導入の先導役だった。』(上記URLより)

えーっとですね、まあ昨年4月時点ではMBの拡大が大きすぎるから弊害という話をしていて、それはそれで従来の木久扇師匠なども仰せの高度な計算式に則った話でこれは正論とかネタにした訳なのですけれども、ところでおじいちゃん高度な計算式の方はどこに逝ってしまわれたのでしょうか説明をお願い申し上げたいという所なのですが、もしかして去年仰せになられたことはすっかり忘れて無かった事にしているのでしょうかはいはい満州満州というところで。

ま、そういう意味では来月6日に賑々しく行われる師匠の金融経済懇談会(記者会見付き)でもその辺の高度な計算式に関する質問をして頂きたい訳で、高度な計算式によりますと当座預金80兆円程度、つまりMBで180兆円程度の水準で物価2%達成であって、金融政策のタイムラグと物価の遅行性を考えた場合、MB270兆円拡大なんかすると物価が上昇しすぎるんじゃ無かったでしたっけどうなんでしょうかという質問は(これを見ている物好きな記者さんがいたら)質問して頂きたいとか思ったのですけれども、どうせ想定問答は用意されていますかそうですか(−−:

という話は兎も角としまして、さっきの方のURLで「MB300兆円程度に拡大する余地」という話をしていますが、まあその数字自体どうせ根拠ない(市場を見てたら270兆円でも本当に大丈夫かという状況なので)のですけれども、そもそも既に260〜270兆円の実施というのはコミットされている中で、たかだか30〜40兆円拡大というのを出した場合に「小出し感」にならないかねと思うのですけどね。まあいいですけど。

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2013/12/30

○市場雑談メモ

・MB目標達成で着地ですかそうですか

まあ既に読めている話ですが記念に備忘メモ。

27日速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx131227.htm
当座預金残高 1,063,600

30日予想
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp131230.htm
当座預金増減 +6,800

ということで、当座預金残高が107兆円で着地という見込みになりまして、26日時点で当座預金残高106.4兆円でMB200.3兆円になっている(というのは今時点での日銀トップページに表示されている数値)のですが、この数値から当座預金が6000億円程度拡大して、銀行券が9000億円程度増発(というのは上記速報と予想の数値を拾って合計)しているので、末残のMB着地が大体202兆円という事になりまして目出度くMB目標達成ですな、うんうん。


・1月の短国買入は2兆円×5ですかそうですか

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131227.htm
国庫短期証券買入 20,000 2014年1月6日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年1月6日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2014年1月6日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2014年1月6日 2014年4月2日

輪番は予想通りの実施で、固定オペはロールなのですが、短国買入がいきなり年初渡しで入るというのがほほうという感じです。

1月は国債発行と日銀保有の短国償還などの要因で盛大に資金不足になるので、その分に対応して短国買入のペースが上がるとは予想されていたのですが、アタクシ的には8日の資金不足にぶつけて6日に短国買入一発目を実施するのかと思ったのですが、年始早々の受渡で短国買入2兆円打ち込み。

その結果年始スタートのレポとか短国とかの金利はきっちり低下でござるの巻と相成りまして、1月からの短国買入攻撃で短国市場がまたピャーとなってしまうのを年末から見せられるという大変に夢の無い事案が発生しておりますが(−−)、これは1月の短国買入が2兆円×5となるようで、さて1月中にどの程度短国金利が沈むのやらという話ですな。まあ2.5兆円×5だったらもっと悶絶するので2兆円でぶーたれてもシャーナイナイなのですけどね。

なお結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131227.htm
国庫短期証券買入 43,037 20,004 -0.005 0.000 6.7
国債買入(残存期間5年超10年以下) 8,119 4,005 0.000 0.003 12.6
国債買入(残存期間10年超) 5,270 2,002 0.007 0.016 86.7
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(1月6日スタート分) 3,200 3,200



○CPIキタコレとか関連世間話

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE9BP09020131227
訂正:消費者物価が5年ぶり1%超え、食料・エネルギー除く指数15年ぶりの上昇
2013年 12月 27日 12:36 JST

『[東京 27日 ロイター] -総務省が27日発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は100.7となり前年同月比で1.2%上昇した。6カ月連続で前年を上回り5年ぶりに1%台に乗せた。振れの大きい食料(酒類を除く)やエネルギーを除いた指数は、前年比0.6%のプラスで15年3カ月ぶりの上昇となった。円安とエネルギー価格の上昇を背景に、値上げがテレビやパソコン、缶詰など幅広い品目に波及しつつある。来春以降は消費税の引き上げも物価上昇要因となりそうだ。』(上記URLより)

ということで+1.2%ですよ来ましたねえ〜という所ですが、何かどう見てもコストプッシュでこれって本当に国民厚生的にグッドインフレーションなのかよと盛大にツッコミをしたい所ではありますし、物価に関しても目先上昇は鈍化の見込みとはなりそうなのですが、消費税増税でとりあえず表面上の物価は更に上昇するという形になりますので、この流れで物価観が変わるとなりますと正しく期待の転換とかなり兼ねないのがオソロシス。

ま、その前に実質所得低下の方が先に影響してあばばばばーとか、物価が上昇するのに所得の増加が追いつかなくてそもそも2%インフレ目標ケシカランとかそんなお洒落な事態になるような気もせんでも無いですが、何はともあれ日銀の中ではまたまた「ESPフォーキャストにまた勝った」ということで提灯行列が執り行われていたのではないか(ウソ)と存じます次第で年始からも黒田総裁のドヤ顔講演が全力で見られることでしょう。

・・・・・・・・・という状況の中で早期追加緩和とかどこからどう考えてもあり得ない話でございますし、まあこの前ヘコヘコ計算しましたように、追加緩和のようなものをという話になるとすれば、来年のMB拡大において「その他」の部分の積み上げがかなり難しい訳ですよね。

ちなみに先日は一応「その他」で15兆拡大という計算でも死ねるという結果が出た訳ですけれども、実際問題として4月4日の声明文で出していたポンチ絵によりますと2014年末のMBは270兆円で出しておりましたので、多分アレを出しているという事は本来的に言えば来年末はMB270兆円になるように事務方は努力してくると思いますので、その場合「その他」で20兆円拡大というオソロシスな事態になるので今の市場環境だとかなーり厳しいのですよ。

なので、この調子の市場環境が継続という事であれば、短国買入が回らなくなる(札割れかマイナス金利か)可能性が高く、そうなるとマリーアントワネットよろしく(違)短国が買えないのなら長国を買えばいいじゃないとなる可能性が高い、とまあそういう予想になり、つまりはこれが技術的要因による追加緩和みたいなもんになるでしょうとなるのです。

ただし、これは「今の市場環境」を前提としておりますので、まさかの物価目標達成が見えてきましたよとかいう話になると、当然ながら貸出支援の最大3年固定金利とか急に掴み金モードになりますし、その時にここぞとばかりに1年固定金利オペ(今は基本3か月で実施)をバンバン打てばバンバン札が入ってしまう可能性もあるので、今の時点では予想として「短期オペが行かなくなるので長国買入が拡大されるでしょう」というのは順当なのですけれども、だからと言ってそれに張るのもご注意あれという事ですな。

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2013/12/27

○昨日がスポ末だったので市場メモ:見事に末残調整とか末初GCとか

オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131226.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年12月30日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2013年12月30日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,500 2013年12月30日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年12月30日 2014年3月31日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 2,000 2013年12月26日 2013年12月27日

まあ輪番と補完供給は良いとしまして、昨日はまたまた新規で末スタート(しかしエンドが期末かよという感じですが)の固定金利オペ実施。昨日はスポ末だったので末初GCとかやっていてスタートはここまでの流れを受けてやや強め(つーても0.10ですけど)で推移していたのでここぞとばかりに新規で固定金利入れてきたんですかねと思いましたがどうでしょう。


なおオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131226.htm
国債買入(残存期間1年以下) 5,890 1,104 0.006 0.008 5.8
国債買入(残存期間1年超3年以下) 9,681 2,505 0.005 0.006 59.4
国債買入(残存期間3年超5年以下) 9,537 2,502 0.015 0.018 29.9
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(12月30日スタート分) 6,874 6,874
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 21 21 -0.400 -0.400

按分にはなりませんでしたが6800億も入りましたかという所で、見事に末残調整の止めをさしましたなという所です。

つまりですな、上田八木さんの予想(http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html)ではこの固定オペの追加で年末の当座預金残高が108兆円弱となりますが、25日の時点で当預が106.5兆円弱でMBが199兆8500億円となっておりまして(日銀のトップページをご参照あれ)、輪番などの買入で数字を稼いで200兆円ちょいという所でしたが、抜け目なく固定金利オペを追加して更に6800億円のおかわりをして財政要因のブレのヘッジをしましたな(銀行券要因で当座預金減る分にはMBには中立)という事で、相変わらず芸術的な着地で見事な末残調整にも程があるわという所です。

なお、短期(というか資金繰り絡み)やっているとこの手の数値を綺麗に着地させるのには妙に情熱を燃やしてしまうのは別に日銀だけじゃなくて市場関係者の仕様のような気がするのですがどうですかね(^^)。

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2013/12/26

○来年のMB目標達成に必要な「短国買入」残高をてきとうに計算してみるの巻

昨日は来年末までに買入を行う中長期国債の額についててきとうに計算してみました(なお本人は結構ちゃんと計算した積りですが内容に関しては無担保無保証無利子でございますので念の為申し添えます)けれども、物は試しに短期市場注目(というか戦々恐々)の短国買入はどうなりますねんというのを計算してみた。一応計算過程を書いてみたので誰でも計算可能です(ドヤァ)・・・・って実は単に自分の計算過程を後で検証したいから書いているだけなのですが(^^)


・そもそもの前提条件

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf

の4ページ目にありますが、公表文ですと「MBを年60〜70兆円拡大」で、「うち長期国債で50兆円」となっていて、残りの10〜20兆円を「その他」で稼がないといけませんという計算になりますが、そもそも20兆円拡大で置くと目も当てられないのでとりあえず間を取って15兆円で見るとしましょう。


・まずオペで短国何ぼ買ってますねんという話

11月末の短国保有明細
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/

でまあここからZIPで落として計算すると27兆6853億円という数字が出てきますが、ここから12月渡しの短国買入が全部で3兆円あって、一方で年内償還の短国(333、371、392、393、395、397の各回号)の残高を足すと6兆4842億円という数字になりますので、(このまま年内受け渡しで短国買入が実施されなければ)12月末の短国買入残高は大体24.2兆円という数字が出てきます。(または20日の営業毎旬からこの後で出てくる対政府取引分を引いて、397回の残高を引いても良いかと思います)


・主な増減要因:償還乗換分

これは月末の数値が取れるので、先ほどのオペでの保有残高と対政府取引分を念の為照合してみましょう。

11月末の営業毎旬報告
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac131130.htm/
国庫短期証券 43,755,889,688

一方で11月末の短国保有明細から出てくる数値が27兆6853億円でしたので、差分が16兆円となるのですが、短国保有明細の方の注記にありますように、この差分は「対政府取引等」となります。

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tseifu/release/2013/seifu1311.pdf
日本銀行の対政府取引 (2013年11月)

こちらのストックの数値にある

政府短期証券引受残高 (1)8,500
割引短期国債借換引受残高 (2)152,386

(1)政府短期証券の引受残高。引受の累計額から償還分を控除したもの。額面金額ベース。
(2)長期国債・割引短期国債の借換のための割引短期国債の引受残高。借換引受の累計額から償還分等を控除したもの。額面金額ベース。

が同じく16兆円ということで、めでたく突合するのですが(当たり前)、この額は基本的に項番2の償還乗換という事になりますして、でまあその額が11月末現在15.2兆円。償還乗換の額は会計年度で出していて、償還分は基本的に1年物割引短期国債を引き受けているのですが、直近各年度の償還乗換額は・・・・・・・

平成24年度が16.7兆円
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel111226b.htm/

平成25年度が11.7兆円
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130129c.htm/

となっているので、恐らく会計年度とのズレの関係で11月末現在では15.2兆円となっているとかそういう事なんでしょう(厳密には過去の日銀保有長期国債償還を割ってみれば判ると思うのですがめんどいのでパス)。

なお、1番その他の取引に関してはこちらをご参照あれ。
https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/exseifu01.htm/
「日本銀行の対政府取引」について

でですね、来年の償還乗換なのですが・・・・・・・

平成26年度が11.1兆円
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131224a.htm/

となっておりますので、恐らく来年の末の時点では償還乗換額が現在よりもやや減っている可能性がありまして、つまりは日銀の保有する短期国債残高が減るのですから、その分MB達成のためには短国を買う必要があるのかと思うと必ずしもそうではありませんというのが第一の不確定要素です。

つまり、償還乗換が減るという事は、当然の如く日銀の資産サイドが減る話なのですが、ではMB的にどうよという事になりますと、ついこの前までアタクシも勘違いしていたのですが、償還乗換減った分だけ国庫資金繰りに穴が開くので、その分については国債(蔵券とかの政府短期証券だと思う)を発行して埋めないといけなくて、その分民間からのマネー吸い上げになってMB減るから日銀が短国買入を市中から行って埋めるんでしょとか思ったのですが、良く良く考えますと、国庫資金繰りの範囲内で日銀保有国債の現金償還を行うのであれば、この時に日銀のバランスシートは落ちるのですが、落ちるのは日銀保有の国債と政府預金(または対政府売現先勘定)になり、対民間では資金中立要因であって、MBに対しても中立要因になるのでした。

つーことで、償還乗換額はストックベースのカレンダーイヤーでは(12月の償還乗換分のネット償還額を計算していないので何ともですが)恐らく減るのですが、この分については国庫(国債整理基金ですかね)の方でどういう資金繰りをしてくるかによってズレるという話です。

でもって国庫資金繰りの関係で政府短期証券が何ぼの市中消化になるかという話は国債発行計画の中での市中消化ベースの発行額がどうのこうのの所には出てこない(資金繰りの世界ですから)ので、まあこの部分に関わるブレの可能性が4兆とか5兆とかある訳ですな。


・主な増減要因:固定金利オペと貸出支援基金

固定金利オペの残高は例えば上田八木短資さんの集計を見ますと・・・・・・
http://www.ueda-net.co.jp/uedayagi/02-market/02_1.html

右の方にある「共通担保(全店)」の残高が固定金利オペでして、現在17.4兆円あるのですが、これに関してはひじょーに不確実性が高い部分になります。

まずは来年4月から5月に掛けて今年のQQE実施後に盛大に金利が上昇した時にバンバン実施したシグナルオペの足がバカスカ来るのですが、直近2回のオペは別にして、その前は固定金利オペのロールで残高が毎回減るという大変に素敵な状態になっていまして、さてこれが今年どんだけ落ちるかというのは正直謎ですが、GCが高止まりでもしない限りは残高は減る方向でしょうな。

ただまあ最終的に固定金利オペがゼロになるとかいう事はなく、共通担保の中でも市場ファンディングがしにくい物がありますので、その分に対しては固定金利オペのニーズが発生するので、ある程度は残るんじゃないですか。

貸出支援基金は結局9兆円程度で着地していまして、こちらに関してはそもそも4月の見通しから4兆円下振れの結果になっていのですが、この残高がどの程度来年伸びるのかも不確定要素の世界です。


ちなみに、固定金利オペに関してはまあ中々伸びるという訳にも行かないでしょうが、もしかして本当の本当に物価が上昇してQQE大勝利という思惑が出てきた場合は、当然ながら将来の金利先高観という話になりますので、この場合貸出支援基金での固定金利貸出が盛大に伸びる(つーてそもそも貸出が伸びていないと枠がががの世界だが)可能性はあります。


・ということで足し算引き算

つーことで、結論としては来年末の短国買入の残高には相当の幅を見る必要はあるのですが、とりあえず言えるのは「その他」で稼がないといけない10兆円から20兆円(というのも相当に幅のある話だが)の数字ですが、

MB拡大「その他」部分の増分=(短国買入の拡大額)+(銀行券増発額)+(ETF買入拡大額)+(貸出支援基金の増加分)▲(償還乗換のFB市中消化増発分)▲(固定金利オペの減少分)

概ねこの数字になる筈です。(間違っていたらご指摘プリーズ)

MB拡大に必要な額を間の15兆円で見ると、15兆円のうちETFで1兆円の残高拡大があって、まあ銀行券がそんなに莫大にはぶれないので精々1兆円とか2兆円の世界ですので両方合わせて2兆円程度。貸出支援基金が今年並みで6兆と置くと8兆円そこで稼げるのですが、何せ固定金利がドカドカ落ちるリスクが有り、固定金利が7兆落ち(もっと落ちるかも)で見て、償還乗換の分は半分FB増発として償還乗換要因2兆円とすると、結局短国買入以外の要因はチャラとかいう計算になってしまいます。

となりますと結局の所MB拡大に必要な「その他」分って短国で稼がざるを得なくなりますので、今年末の買入オペ残の24兆円に15兆円オンした場合39兆円という数字になりまして、短国買入が全部新発3か月で回ったとすると13週間で割って週に3兆円の買入が必要とかいうオソロシスな状態になります。

これがどの位オソロシスかと言いますと、週に2兆円の買入を1か月コンスタントに実施すると、今年の11月のように月初0.08%台だった短国の利回りが月末に0.04%台に低下するという位の破壊力でありますので、本当に週3兆円の3か月間コンスタント買入をしたらあっという間にマイナス金利が見えて来そうな市場破壊力を持っていると思われます。つーか札割れするんじゃないですかねえ。

ただまあ銘柄別買入残高を見て頂くと判るのですが、何気に1年物の短国も毎回5000億円から1兆円前後入っているので、その分が滞留するともう少し楽になりますが、そうは言ってもMB拡大に必要な部分は残高増やす話になりますので、短国買入の方でオペが回らなくなるリスクというのは結構ありますよね来年は、というのが結論でした。


・となりますと・・・・・・・・

「その他」部分での10兆円〜20兆円のMB拡大が困難になりますな、という話になりますと、現在の政策建付けから考えてMB拡大必須ですからして、じゃあ他の所でMB拡大しないといけませんねという話になります罠となります。その場合は結局の所で増やせるものと言えばどう見ても長期国債です本当にありがとうございました。という事になる可能性もございますよね、ただし今の話って相当幅のある話ですから内容は無利子無担保無保証無催促ですので念の為という事で。


#うーむ簡単にするつもりがゴテゴテになって読みにくいですねすいませんすいません

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2013/12/25

○国債発行計画

キタコレ
http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/20131224.htm
平成26年度国債発行計画の策定等を行いました

http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/gaiyou131224.pdf
平成26年度国債管理政策の概要

http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/yoteigaku131224.pdf
平成26年度国債発行予定額

http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2014/calendar131224.pdf
カレンダーベース市中発行額

でもって平均年限が結構伸びたのですが、カレンダーベース市中発行額を見ると2年と1年を削って超長期と流動性供給を増やしたという格好になっているように見えますが、そもそもこの1年短国の所は3MのFBを削ってチャラにするので、実際はここの3Mが減るのか減らないのかがワカランチ会長(単純に2.5兆円を3Mから振るのだったら13回の入札が1回2000億円減る勘定になるけど、そこは他の資金繰り諸々の問題があるから外から見ていると謎のブラックボックスで、そもそもFB部分は国債発行計画のカレンダーベース市中発行額と別件バウアー)ではありますな、うんうん。


http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131224a.htm/
平成26年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受け
および平成26年度における国債買入消却への対応に関する件

『平成26年度中に償還期限の到来する本行保有国債(以下「償還期限到来国債」という。)の借換えのための引受け(以下「借換引受け」という。)にかかる取扱いについて、「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日決定)2.の規定に基づき、償還期限到来国債のうち、利付国債額面総額11兆1,000億円について、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。』

『平成26年度中に財政投融資特別会計が国債整理基金特別会計を通じて行う財政投融資特別会計国債の買入消却において、本行保有国債に関し、次のとおり取扱うこと。

(1) 本行保有国債額面総額2,000億円を上限に、現金を対価として買入消却に応じ得る扱いとすること。
(2) (1)の国債買入消却への対応方針に基づき、「平成26年度において財政投融資特別会計が行う買入消却に現金を対価として応じるための国債売却実施要領」を別紙のとおり制定すること。』

ということですが、来年は麿時代の包括緩和(懐かしいね)の名残で日銀保有国債の償還が11月末の日銀保有残高ベースで計算すると額面で25.54兆円ありまして(あと12月に輪番で買う残存1年以内2200億円(うち1100億円はオペ実施済)のうち年内償還物以外の部分が加わります)、これを全部償還乗換すると今年はウハウハですけれども来年になると乗換分の償還が来てあじゃぱーになりますので、まあ償還乗換はほぼ前年並みにして平準化したんですな分かります。

あと、国債整理基金による日銀保有国債買入が2000億円ですがこれは前年度並みですな。

ちなみに本年度はこうなっていました。(本年度分は予算の遅れがあったので1月29日公表)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130129c.htm/

今年度は償還乗換の再乗換が行われていましたが、来年度は償還乗換の再乗換はやらないということですので、じゃあ再乗換幾らやったのかとか何処の計数見ると判るのかがイマイチ判っていませんが(たぶん営業毎旬と対政府取引の辺りを目を皿のようにして見ると判るような気がしますが)、償還乗換は再乗換を含めやや減るんですかね、良くわかりませんが。

#詳しい人教えてジェネラル


○おまけ:ちなみに今計算するとこうなる筈

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高(11月末)

こちらからZIPで落としてきて各回号の償還を見ながら来年1年の間に償還が来る銘柄の額面合計を計算すればほぼ償還額が読める筈です罠。ちなみに来年償還が来るのは2年は323回まで、5年は87回まで、10年は267回まで、20年は27回までになりまして、11月の計数なので12月償還が入っている事に注意して計算すると、あたくしの計算が間違って居なければ来年に償還が来る中長期国債の残高は25兆5398億円になりまして、これに12月に買入をする1年以内の輪番が入るのですが、11日に行った輪番は足切りがクソ流れしているので20日償還銘柄を打ち込んでいる可能性がありまして微妙なのですが、まあ2200億円おかわりして25兆7598億円。

これに拡大予定額の50兆円を加えると75兆7598億円を年間で買入するという話になり、もっと言えば2000億円分国債整理基金の買入で日銀保有分が減るので結局の所76兆円という計算になります罠。

でもってこの76兆円を12で割りますと6.3から6.4兆円という事になりますので、現在の7兆円強という数字からするとまあ減るには減りますが・・・・・・・という事です罠。

なお、その他要因が本当に行くのかという考察がありまして、それが行かないのなら最終的に長期国債に寄せるしか無いんじゃないですかねえという論点もあるがその話はまた後日(考察の途中なので)。

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2013/12/20

○金融緩和ニュースをしたい気持ちも判らんでは無いが・・・・・・・

今日はMPMですがその関連で一昨日の悪態ネタというか雑談ネタ。

一昨日は昼過ぎ(ベンダー端末だと12時40分近辺だったのですが)にこんな記事が出ておりましてですなあ・・・・・・・・・・

ネット版だとこちら(本当は以下に述べる理由で直リンするのもアレなのですが)。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXZ9076JIJXM01.html
日銀は長期国債大量買い増し辞さず、物価下振れなら異次元第2弾 (1)
更新日時: 2013/12/18 13:56 JST

『12月18日(ブルームバーグ):日本銀行は2%の物価安定目標の早期実現のため、必要であれば長期国債のさらなる大規模な買い増しを辞さない構えだ。関係者への取材で明らかになった。』
(上記URLより、以下同様)

ということでその続きですが・・・・・・・・・・

『日銀は生鮮食品を除く消費者物価 (コアCPI、消費増税の影響を除く)の前年比が「2015年度までの見通し期間の後半にかけて2%程度に達する」としている。関係者によると、こうした見通しが大きく下振れした場合、現在の長期国債の買い入れペースを一段と上回る大規模な購入を検討する構えだ。』

・・・・・・・・・えーっと「見通しが大きく下振れたら追加緩和」って別にそれ今に始まった話じゃないですし当たり前の話なんですがががが。

『一方、関係者によると、足元の景気・物価が見通し通りに推移していることから、日銀は当面、静観を続け、来年4月の消費税率引き上げ後の駆け込みの反動を見極める構えだ。』

んーっとですね、そういう趣旨の話は関係者への取材で明らかになるもへったくれもなくて誰でも見通せる話だと思う次第で、何じゃこのニュースはという感じとゆーか、スクープ記事でも何でもない話を何でまたスクープ記事みたいな書き方してるんでしょう????という感じ。

実際には後場寄り直後の時間帯にベンダー向けヘッドラインで日本語英語で見出しが盛大に踊っておられまして、甚だ?????感が有ったのですが、何となく引け後の記事を見て背景を理解した気がせんでも無い。ネット版はこちら。


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXZ4J16JIJVK01.html
円全面安、国内株上昇で売り優勢−日銀の金融強化報道も影響
更新日時: 2013/12/18 15:32 JST

『12月18日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、円が全面安となった。国内株が上昇したのに伴って、円への売り圧力が強まった。市場関係者によれば、日本銀行が物価下振れなら金融緩和の強化を辞さないとする報道も影響した。』(上記URLより)

・・・・・・・・・えーっとですな、実際にこの日のドル円なのですが、先ほどのニュースが出る前に既に円安に振れていまして、昼以降と15時までの値動きって大して変化ありませんでして、どう見てもブルームバーグのニュース影響してねえだろと思うのでして、ああそうですか自分のニュースが相場を動かしたとアピール(以下盛大に自粛)。


ということでして、その前は謎の貸出支援延長ネタが突如ニュースになっていたりしてまして、当初は日銀何やってるんだと思ったのですが、これ単に前からそういう話がある(そらまあ貸出支援等のオペは延長されても全く不思議では無いので)件をわざわざブラックアウト期間という日銀が文句が言えない時期にぶつけてわざと書いたんでちゅかねえとか意地と性格と顔の悪い不肖このアタクシなんぞは邪推したくなってしまう今日この頃。

まあ確かに海外投資家中心に日銀の追加緩和ネタでヒャッハーとかクレクレとかしているという背景はありまして、何か最近一部のベンダーさんで妙に追加緩和バイアスを掛けたニュースの書き方が目につく所ではありますが、ブルームバーグさんが今回のように「取材で明らかになった」と称して既にそれは皆さん分かり切っていますがなというネタをことさらセンセーショナルっぽいヘッドラインでブラックアウト期間中に記事を出すとか随分と「らしくない」品の無いお話でございまして、この一連の記事を見て失望したという所でございますので悪態というか苦言というかなのでありました。

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2013/12/18

○PD懇とか投資家懇とか

PD懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/131216.html

投資家懇議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/131216.html

・物価連動国債について

PD懇の方では割とスルー気味でしたが、さすがに投資家懇の方では物価連動国債に関する意見が色々と出ていましたな。

皆様ご案内のように先週金曜にこんなの出てましたけえのお。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131213-00000025-reut-bus_all
GPIF、4000億円超の物価連動国債を購入へ=関係筋
ロイター 12月13日(金)7時8分配信

何せこの前発行再開になったばかりで今年度は3000億円×2回の発行という(なおこれグロスではこの発行ですが、既発のバイバックがあるので物価連動国債全体のネット増額はもっと少ない)状況の中でいきなりこんなでかい数字だされますといやまあ買うのはヨロシのですが量ががががががと思ってたらまあさすがにその手の見解が色々と。


『・平成26年度発行計画について、公的年金が物価連動債の購入を検討するという話があるが、その場合は玉不足になる可能性があるため増額する方が望ましい。

・来年度の発行計画について、公的年金等が物価連動債を運用対象とするのであれば、物価連動債の更なる増額は可能。

・物価連動債について発行量を増やしてマーケットの流動性を高める方向には賛成。ただし、現時点では公的年金の投資方針が明確ではないため、当社の投資がどの程度になるかは明確に判断できない。』(投資家懇要旨)

んでまあちと長い意見がありまして、

『・平成26年度発行計画については、公的年金が物価連動債に参入する件について、物価連動債を投資対象とする投資家の立場として、以下の2点の理由により、投資判断が難しくなっている。まず1点目は、公的年金の購入規模がいくらか、また、それに対応して、発行サイドの反応がどうなるかわからず、購入規模の影響が判断できないことである。2点目は、公的年金は価格が安くなれば買いたいというアクティブなバイヤーなのか、日本銀行のようなパッシブなバイヤーとなるのかによって、市場への影響が異なることである。例えば、現状の社債市場は、パッシブな運用によってファンダメンタルズよりもリスクプレミアムが極めて低く抑えられ、投資しにくくなっている。社債市場のように物価連動債がファンダメンタルズよりもリスクプレミアムが極めて低く抑えられ、割高な水準に押し上げられるリスクを懸念している。』(投資家懇要旨)

うーむ。パッシブ運用でリスクプレミアムがファンメタよりも低くなる、というのはつまり市場規模が小さいという事なのですかなって思いましたが、社債と違って物価連動国債ならば発行体が発行額をコントロールできるからニーズがある分ホイホイ出せば割高になってもそれは一時的になるような気もしますしどうなんでしょ良くわかりません。


・流動性供給入札について

リオープンの話もありまして、まあどう見ても今回一番長く議論されている話だと思うのですが、これについては簿価分散や銘柄分散やカレントへのニーズVS個別銘柄の流動性確保のニーズというのがマッコウクジラでありまして、まあ前者に関しては会計上の規制があるのでシャーナイナイでありますし、後者についてはそらそうよという話で、結局の所何ともかんともの世界だったりするのでごじゃります。

つーことでこれは結局どこに落とすかという話で、その落としどころが実際の需給にどういう影響を与えて価格形成にどういう影響を与えるかという話で、まあ論点に関しては正直出尽くしている話で問題は会計上のニーズと流通円滑化のニーズをどの辺で落とすか(流動性ばかり考えて投資家のニーズが無くなるような方式にしたら元も子もない訳だから)という所なので鑑賞物としては見るもののまあいつもの話だなあという感じです。

#もう面倒だから4半期入札にしたらというと恐らく業者も投資家もブーイングになりそうですがががががが

ということでそこはスルーして流動性供給入札の部分なのですが・・・・・・・・

これは事務局からの説明部分ね。

『・また、26年4月以降の流動性供給入札においては、資料3-5のとおり、対象銘柄をさらに拡大し、カレント銘柄以外の全ての銘柄を対象とすることや、流通市場における国債市場特別参加者の役割に鑑み、応札義務の設定を検討することを提案したい。

・こうした点について、事前にご意見を伺った際には、対象銘柄の拡大については特段異論がなく、また、落札義務は困難であるが、応札義務の設定については、強く反対する先はなかったように思う。』(PD懇要旨から)

でまあPD懇でも投資家懇でも落札義務は勘弁という話になっていましたが、応札義務に関してはまあシャーナイナイという話もある中でこういう見解も。

『・応札義務の設定はやむなしと考えるが、落札義務は将来的にもなるべく課さないでほしい。

・応札義務については、そもそもの流動性供給入札の趣旨からすれば義務化するようなものではないと考える。札の集まりに懸念がある場合は、金額で調整すべきものと考える。

・落札義務を課さないのであれば概ね問題はないと思うが、補完的位置付けであるとの観点からすれば、応札義務を課すのもいかがなものかと思う。』(PD懇要旨から)

まあそうじゃネーノと思う次第でして、恐らく事務局サイドでは特にそこまでの意図はないと思うのですけれども、そもそもこれってあくまでも「補完的措置」であって「流動性が逼迫した既発銘柄に関して追加発行を行って国債流通市場の円滑化に寄与する」というものである以上、そもそも論として落札義務もそうですが応札義務も要らんだろと思う訳で、何かわざわざこういう補完的措置に応札義務を課そうとしているという動きを見ますと、もしかして先行きの国債管理政策に何か不安でもあるんじゃネーノとか要らぬ妄想をするのは妄想がすぎますかそうですか。

ま、今申し上げたように事務方にそういう意図がある訳ではなくて、恐らくは発行規模が小さい筈の流動性供給入札が妙に流れたりした時に市場が結構ぶれたりするのを見ているから、何でそうなるねん(より発行の禿上がるほど多い通常の入札のよりも相場が動く事も多々ありますからねえ)という問題意識があるからなんだとは思うのですけどね。


○株式関連雑談というか何というか

・株式売却の延期ですかそうですか

金融機関から購入した株式の件は元々が通常の政策委員会での決定で、大引け直前にその話が出て大騒ぎになったという事案がありましたなあ(遠い目)。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131217a.pdf
2013年12月17日
日本銀行が金融機関から買入れた株式の売却延期について

『日本銀行は、本日開催した政策委員会において、「株式買入等基本要領」の一部改正等について別紙のとおり決定しました。』

へえへえさいだっか。

『日本銀行が金融機関から買入れた株式については、2014年3月末までは原則として売却を行わない扱いとしてきました。今回の決定では、内外金融資本市場の動向等を踏まえ、その期限を2年間延長し、2016年3月末とすることとしました。あわせて、従来と同じ売却期間を確保する観点から、売却を完了する期限についても、2019年9月末から、2021年9月末まで2年間延長することとしました。』

ほうほうそうですかいい感じで株式市場上昇してますけどねえ。いやあのETF買入と矛盾するから延長と言うのでしたら判るのですが、この「内外金融資本市場の動向等」というのを見ると昔むかしその昔に国鉄清算事業団が汐留の土地の売却を不動産価格高騰を煽るとか言って延期しているうちに不動産市場があじゃぱーとなった事案が頭に浮かぶのはジジイですかそうですか。


・武者先生ェ・・・・・・・・・・・・

株式市場が軟調になるとレポートの更新がパタリと止まり好調になると連投が始まるという大変に分かりやすいムーシャ先生。

http://www.musha.co.jp/5124
2013年12月17日ストラテジーブレティン (110号)
2014年の投資戦略、高レバレッジを
〜危機克服、米日欧主導のグローバル繁栄、日本株一段高へ〜

えーっとすいませんボルカールールががががなのですがという話は兎も角としまして、『アベノミクス期待から現実へ』って所でムーシャ先生は2%インフレ達成が困難と見られるので来年春先にも日銀の追加緩和と仰せになっておられますが・・・・・・・・・・

http://www.musha.co.jp/5107
2013年12月10日ストラテジーブレティン (109号)
年金運用思想転換、2014年日経平均22,000円へ

えーっとですね、こちらにありますように1週間前にはムーシャ大先生様におかれましてはニャンコ先生の仰ることについて「至極妥当」と仰せになっておられましたが、そのニャンコ先生の主張というのは「2%物価目標が達成されることを前提にポートフォリオを今すぐ作れ」という話でございまして、ちゃんとその部分も引いた上でお話をされているというのに1週間後には2%インフレ達成が困難なので追加緩和とかもしかして先生は馬鹿の人でいらっしゃいますでしょうかと小一時間問い詰めたいと申しますか、てめえのポジショントークの為でしたら年金資産がどうなろうと知った事かとでも仰りたいのか、下々の頭の悪いアタクシのような下賤の者にはこの辺りの話の繋がりが分かりかねますなあというところでありまする。

つーてまあ別にどうでも良い話なのですが余りにもワロタのでちょっと書いただけです。


○えーっとすいませんブラックアウト期間中なのですが・・・・・・・・・

昨日の夕方こんなのが出ててアチャーである。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXY58Q6TTDS201.html
日銀が成長基盤強化の資金供給拡大を検討、1兆円が柱−早ければ1月
更新日時: 2013/12/18 00:01 JST

こちらの更新日時は18日になっていますが、最初に出たのは確か昨日の夕方過ぎ位だったと思う。

『12月18日(ブルームバーグ):日本銀行は来年3月末に期限が来る「成長基盤強化を支援するための資金供給」を1−2年間延長し、供給枠を拡大することを検討する。増額規模は1兆円が柱。併せて、「貸出増加を支援するための資金供給」と「被災地金融機関を支援するための資金供給」の延長も検討する。早ければ来年1月の金融政策決定会合で決める。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)

・・・・・・・・・・えーっとですね、まあマーケットインパクトという意味ではあまり関係ない話ですし、まあこの話は今回の議事議案とは関係ない話みたいですけれども、この成長基盤強化や貸出支援オペに関してだって金融政策決定会合議決事項なのですから、何でMPM直前にこういうのが出て来るんですかという話です罠。

そもそも日銀って昔から議決事項の事前リークガーでメディアとの癒着ガーとか言われて国会でもいちゃもんつけられた事案があったりする訳でして(実際はそんなトンチキな話は無いでしょと思いますけどね)、何もこういう事前に出て別にどこかの市場が好転反応するような話でも無いようなネタをブラックアウト期間中にニュースネタになるとか、全然得しない(市場が好反応する訳でも無いという意味で)のに批判の種だけ撒くとか間抜けというか何というかで、何もこのタイミングで書く事もねえだろブルームバーグはと思う訳なのですががががが。

まあこの「関係者」がどこの誰なのか分かりません(なお英文ヘッドラインでは思いっきり「BOJ SAID」になっていましたけどね)ですし、もしかして異次元緩和が今の所順調で経済物価情勢が超強気の見通しに割と沿って推移しているからちょっと緊張感が緩んでるんじゃないのとか思っちゃいましたよという悪態でございましたとさ。

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2013/12/16

・だから政治資源は第三の矢にですなあ

ちょっと前のニュースだがこの報道通りだったらこれはひどい
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131211-00000128-jij-pol
「マスコミ報道に問題」=支持率低下で礒崎補佐官
時事通信 12月11日(水)19時5分配信

『礒崎陽輔首相補佐官は11日のTBSラジオで、特定秘密保護法の成立後、各種世論調査で安倍内閣の支持率が低下していることについて「マスコミの報道に問題がある。非常に不正確なことが伝わったのではないか」と述べ、同法の内容や与党の国会運営への懸念を報じたメディアに責任を転嫁した。同法では、特定秘密の範囲が行政に拡大解釈される恐れが指摘されているが、礒崎氏は「皆さんが勝手な解釈を言っているだけ。悪い役人は出てこない」と持論を展開し、懸念を否定した。一方、情報公開の在り方に関しては、「次の(通常)国会でぜひ情報公開法の議論はしたい」と語った。』(上記URLより)

>悪い役人は出てこない
>悪い役人は出てこない
>悪い役人は出てこない

・・・・・・・・・・・えーっとだったらそもそも特定秘密保護法が要らないと思うのですが。つーかゲルの報道自粛発言もそうなのですが、この法律で一番懸念されている件についてこうも無神経な発言がポンポン飛び出すというのは何か大丈夫ですかねという所ですが。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20131213-00000001-ann-pol
自民・高市氏 「共謀罪」創設の法改正に前向き
テレビ朝日系(ANN) 12月13日(金)0時6分配信

まあ何ですな、政治資源は第三の矢に発揮して頂きたいと思う訳で、設立当初莫大な政治資源があった筈の第一次内閣が何で急にコケることになったのかという件についてのレビューが足りてないんと違いますかとゆー懸念はあるのですけどね。

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2013/12/12

○ニュース雑談

・なんじゃこりゃ

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE9BA04W20131211
東電、金融機関に一般担保の解除を要請=関係筋
2013年 12月 11日 15:26 JST

『[東京 11日 ロイター] -東京電力と政府の原子力損害賠償機構が取引金融機関に対して、来年1月以降、新たに借り換えを迎える融資や追加融資について、一般担保を解除して実行するように要請していることが分かった。福島第1原発事故の処理に国費が投入されるなかで金融機関も相応の負担をすべきとの国会の議論に配慮したかたちだ。複数の関係筋が11日、明らかにした。』(上記URLより)

えーっとですね、そういう無理筋の話というのは菅だの枝野だのという方々の専売特許だと思っていたのですが、何でまた今になってこういう話が出るのかと。

「金融機関も相応の負担をすべきなので無担保融資しろ」って見方によっちゃあ返済しない気満々で融資依頼を持ち込んでいるように見えます次第で、それ借金じゃなくてカツアゲですかと申し上げたくなる豪気なスタンスに腰が砕けざるを得ませんが、そもそも銀行の融資の原資は預貯金でありますからして、「金融機関も相応の負担をすべき」というのは要するに「預金者に負担させろ」という話になるのですけどねえ。

つーか何か別の保証措置でも付くから無担保でも融資の保全が確保できますというようなスキームがセットになっているのなら兎も角、「金融機関も相応の負担をすべき」とか正面切って言われて担保解除したらそれは株主や預金者から怒鳴り込まれるレベルの話でありまして、まあ本件は報道の方が話を端折って紹介しているだけで、何ぼ何でも正面切ってそんな話をしているようなスットコドッコイな事案ではないと信じたい所ではありますが、これじゃ民主党政権時代の枝野無法スキームを思い出す話じゃネーノと存じます次第で、どこの統制経済だよという話っすけどねえ。

#こんな事正面切って言われたら「ロールには応じません」で終了するだけではないかと


・相変わらずの特定秘密保護法案関連

あちゃーという感じですな。

http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013121101001960.html
石破氏、報道機関の処罰に言及 直ちに撤回
2013/12/11 19:08 【共同通信】

えーっとですね、法律の運用の根幹にかかわる部分で与党の幹事長の発言が出たと思ったらいきなり撤回とか、単にゲル幹事長の能力の問題なのか法律の建付けの問題なのかと考えますとまあ普通に考えて前者じゃなくて後者だろと思う訳で、そんなフワフワ法を施行できるのですか大丈夫ですかという話。

しかしどういう話の流れでそういう言及になっているのか知らんが、報道への制限がどうのこうのとか懸念されている中でど真ん中ストレートの話をするとか、ゲル先生もっと手堅い人だと思っていたのだが、この案件に関連してはボロがボロボロ出てきておりましてどうなってしまってるんでしょうねえという所ですな。

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2013/12/11

さてさて、何か知らんが今朝のモーサテによりますと来週のMPMで追加緩和を示す発言が出るかどうか注目しているという為替市場の方がおいでのようですが、一般論でよろしければ何ぼでも出ると思いますが、ここもと審議委員の皆様が色々と話していましたが、ここにきて執行部方面からは威勢の良いメッセージが出ているという流れになっているように思えますので、まあその辺りを見ながら雑談モードでございますわよ奥様。


○それにしても日銀がノリノリである

日銀のトップページ
http://www.boj.or.jp/

・・・・・・・・・・えーっとですね、あたくし気が付いたのが昨日の昼過ぎなのですが、毎日(除く週末)だいたい欠かさずにこのページを見ている変人のあたくしこちらを見て「???」な違和感を受けてふと見ると上段に赤い枠が二つ。うち左の方は前からある震災関連情報のコーナーなのですが、いつの間にか(というか多分昨日の昼だと思うのですが)その右に『2%の「物価安定の目標」と「量的・質的金融緩和」』という謎のリンクが発生しております。

ということで早速見に行くアタクシ。

http://www.boj.or.jp/mopo/outline/qqe.htm/
2%の「物価安定の目標」と「量的・質的金融緩和」

ということで、『2%の「物価安定の目標」』というのと『「量的・質的金融緩和」 』という小見出しのコーナーがあって何か説明を展開しております。

んでもってふーんと思ったのは後半の「量的・質的金融緩和」の説明部分で『(4)「量的・質的金融緩和」の継続』というのを明記している部分でして、まあもとより建付け上資産買入はオープンエンド状態になっているのですが、一応その部分を明記したのねという所。

『(4)「量的・質的金融緩和」の継続

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』

とありますように、QQE実施時の声明文をそのまま書いているだけではあるのですけど。

なお、ご丁寧に英文のページもあります(当然だが)。

http://www.boj.or.jp/en/mopo/outline/qqe.htm/
"Price Stability Target" of 2 Percent and "Quantitative and Qualitative Monetary Easing"

・・・・・・・・まあ何ですな。ここにきてこんなページが新設されるというのは、追加緩和ガーとかいう外野が喧しいから説明文入れるかというのもあるでしょうが、それよりも足元で物価水準がコアCPIで1%近くになってきて来年1Qでは1%乗せも見えて来ているという状況になり、QQEローンチ当初は雲をつかむような話だった本件も(ただの円安や燃料費コストプッシュ要因のような気もだいぶしますが)数字の上では順調に進んでいる(ように見える)という状況になり、日銀の中の人がノリノリになって出してきましたねえという印象を受けるのは気のせいですかそうですか。

しかも昨日ネタにした黒田総裁講演にもありますように、最近はすっかりもう日銀様におかれましては「マンデートでやれと言われてるんだからやるんだよ」「フィリップスカーブを気合で上げるんだよ」「そのためには良い物価上昇でも悪い物価上昇でも何でもいいから現実の物価が上昇するのが大事なんだよ」という大変にノリノリの気合モードになっておられるようにしか見えませんので、その気合モードの一貫でこのようなページがQQE突っ込んでから半年経過という妙なタイミングで新設されるという事であると勝手に解釈致しましたが如何でしょうかねえ(ニヤニヤ)。

・・・・・・・・てな訳で、どう見ても日銀ノリノリであるという状況なのに、消費税増税で景気が落ち込んであばばばばーになるでしょうとかそういう話が出て予防的追加緩和ガーとかいう話になると思う方が無理があると思うのですがねえ。


○ニュース雑談メモ

・通常国会大丈夫かね

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013121000668
委員長2ポスト、返還に慎重=自民・脇氏(2013/12/10-16:50)

いや常任委員長のポスト野党に戻さないって通常国会始まった途端に空転じゃねえかと思いますし、大体からして『「政局的に国会を運営するのが民主党の価値判断だ。中立、公正な委員長ポストを渡すことに大きな疑問がある」』(上記URLより)ってお前が言うなの世界だし更に『脇氏は、国土交通委など民主党が現在就いている別の3委員長ポストに関しても、「場合によっては取らねばならないのではないかという気すらする」と語った。』(上記URLより)ってそんな強引な運営今まで見たことないぞおい。

でまあ安倍ちゃん経済の安倍からまた毎度の方向になって来てるような気ががががが。

http://www.asahi.com/articles/TKY201312100267.html
安全保障戦略に「愛国心」明記へ 自公が了承
2013年12月10日19時55分


・こちらは想定通りの展開ですなあ

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013121000055
江田氏らの勉強会発足=野党再編へ細野、松野氏と(2013/12/10-13:26)

もうね、この勉強会の名前が上記記事によりますと「既得権益を打破する会」だそうで、そのネーミングが想定通りではありますが大体こういう事を言い出すのに碌なのはいないとあたしゃ認識しておりますので。人々にはこれまで培った生活というのが有る訳で、その培った中での利害というのがあって、その利害をどう上手に調整して多くの人々のためになるような動きをするのというのが政治の役割でしょと思うのでして、そういうのを打破とかってヨシフおじさんの民族集団強制移住的な発想か、はたまた俺様に権益を寄越せという発想か、まあそのどちらかとしか思っていないのでこりゃまた碌でも無いですなあと存じます。

でまあ野党方面と言えばこのハゲは有権者を舐めとるんかと思うのだが、まあ当選しちゃうから図に乗るんですよねえ。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013121000986&g=pol
維新・東国原氏が辞職意向(2013/12/11-00:30)

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2013/12/10

クソワロタ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013687031000.html
猪瀬知事 1年間給与返上を表明
12月9日 15時17分

・・・・・・・・・・・・・お前元々落選した後の生活に不安があるから5000万円を無利子無担保無催促で借りたんじゃねえのかと思うのですが、しょうもない言い訳の数々に整合性の全然とれない発言と、この方は馬鹿のホームラン王どころかメジャーリーグ殿堂級の馬鹿なのではないかと大変に感心することしきりでございますし、その馬鹿振りを教えてあげる人が誰も周囲にいないという大変に素晴らしい人徳に腰が砕けてしまいますな。

○備忘ということでニュースメモ

・政治資源は経済政策に使って頂きたいものです

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013695191000.html
安倍内閣支持率 50%に下がる
12月9日 19時17分

最近すっかり提灯(銃声)な公共放送でこの数字ですかそうですか。JNNが13.9%下げの54.6%で共同通信が10.3%下げの47.6%となっておりましたな。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013694281000.html
首相「国民の懸念払拭に努める」
12月9日 18時42分

『安倍総理大臣は、臨時国会の閉会を受けて総理大臣官邸で記者会見し、特定秘密保護法について、秘密の範囲が際限なく広がることはないとしたうえで、「通常の生活が脅かされるようなことは断じてありえない」と強調しました。』(上記URLより)

いやだからそれは法案の建付けで担保するものでして国会通す時に政府が口で言っても屁の突っ張りにもならないですし、大体からしてこの法案に関する元々の趣旨自体はそんなに反対が猛然と起こるような代物にならないで作れる筈で、この法案でこんなに政治資源を使う必要は本来無かったと思うのですけどねえ。

つーことで確か成長戦略国会だった筈の国会なのにすっかり政治資源が安倍ちゃんの趣味(つーかこの法案を変に運用すると特定秘密の名の元に政治家でも情報アクセスが出来なくなると思うので自分で自分の首を絞めているようにしか見えんのだが)に浪費されまして誠に遺憾の極みという所ですな。

んでもってTPP
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131210/t10013703971000.html
TPP 年内の実質的妥結は困難か
12月10日 4時0分

ほうほうそうですかそうですか。そういや法人減税も結局復興特別部分の終了前倒しだけでお茶を濁されそうですし何だかねえという所で。


・見世物として見物すべき事案と思われます

殿堂級の馬鹿知事もワロタがこちらもワロタ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013688081000.html
14人が離党届 みんなの党 分裂へ
12月9日 15時46分

2〜3人程度が辞めて無所属と合わせて辛うじて5人の要件確保位かと思ってたら35打数14安打とはこれはまた猛打でございまして(柿沢さんがその前に辞めてるので36打数15安打とも言えるが)ヨッシー先生の人望の無さに敬服する次第ですが、何せ昔からあたくしの駄文をご覧の皆様におかれましては私メがヨッシー先生に対しては金融担当大臣の頃からヨッシー先生は中途半端に知識のあるただのエエカッコウシイという評価だったというのをご存知かと思いますが、そんなこんなですのであたしゃーやっとそうなりましたかそうですかと生温かく見守るのでありました。

しかし何かこの事案の場合、ヨッシー先生もズラ先生(あくまでも仮称)も正直言ってどっちもどっちのレベルにしか見えませんのでさっそくうんこの投げ合いが開始されているとかエンターテイメントとしては楽しめますが、野党結集して間違って多数派形成しても形成した途端に民主党よりも悲惨な事になるだけの結果が今から見え見えではありますな。合掌。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131209/k10013696171000.html
渡辺代表「当選1回の議員をマインドコントロール」
12月9日 19時51分

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2013/12/09

○色々とこれは酷いというニャンコ発言

金曜の債券市場はまあ何か知らんが前場から売りっぽくて昼過ぎに一段下がったと思ったら例のニャンコ発言の英文ヘッドラインが出た辺りで先物下がってうひょーと思ったらそこで買いでも入ったかやや戻るの巻、とまあそんな感じで推移していた訳でありますが・・・・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXDA7V6K50Y001.html
GPIF理事長こそ誤解、国内債売却すぐ着手を−伊藤隆敏教授 (3)
更新日時: 2013/12/06 16:55 JST

実際はインタビュー記事全部が出る前に13時半くらいからヘッドラインがブルームバーグに出ていたのですが、まあしかしこれはさすがに酷いっつーか公的な立場で発言するという事の意味が分かっていないという意味で可及的速やかに心を洗いに聖なる川で沐浴などをされてこられた方が宜しいのではないかとしか申し上げようがないご発言の数々に大変に敬服の念を禁じ得ない所ではございました。ちなみに三(自粛)あたりオヌヌメしておくんですかよくわかりません><

色々と面白いので週初の雑談代わりにツッコんでみますが。

『伊藤教授は満期保有なので名目上は損失が生じないとしても、消費者物価や市場金利の上昇に見劣りする機会損失を被れば「受託者責任を果たしていない」ことになるとけん制。』(上記URLより、以下同様)

んーっとですね、逆にニャンコ先生の仰るように経済物価情勢や市場金利が動かなかった場合なのですけれども、ニャンコ先生の仰る通りにポートフォリオを動かして発生した機会損失についてはニャンコ先生が全財産投げ出した程度じゃ足りないと思うのですけれども、人様に対して機会損失で受託者責任をどうのこうのとかそもそもあんさんが委託者な訳でもないのに何様の積りで仰せなのかさっぱりワカランチ会長なのですが、まあ当然ながらそうならなかった場合は伊藤大先生におかれましては全財産投げ出してリアル切腹でもして頂くというご覚悟の元でご発言されていると思いますと大変に素晴らしい発言と敬服せざるを得ませんな。

『平常時なら巨額の売却は国債市場の波乱要因となりかねない。だが、黒田東彦日銀総裁が「量的・質的金融緩和」を推進しているとし、「今なら大丈夫だ。市場もGPIFの売りを歓迎する。物価と予想インフレ率、市場金利が上がってからでは危険だ」と語った。』

色々な意味で良く判らんのですが、まあ金曜の債券市場の動きを見たら歓迎せんだろと思いますし、大体からして異次元緩和の実施で国債を大量に購入して経済物価情勢よりも金利水準を低い状態にしようとしている側からその買入効果を全力で減殺するような売りを入れるとか、アベノミクス第一の矢を後ろから撃ってどうするのでしょうかねえ。

てかね、確か今回の改革ガーの話をしている中で専門家をもっと登用してどうのこうのというのがあった筈なのですが、そもそも運用部隊と全然関係の無い外部の素人な外野の人間がホイホイしゃしゃり出てきて偉そうな能書きを垂れて受託者責任ガーとか言い出すような姑小姑付きの状態になっている組織で大先生様の仰せになる専門家のモチベーションをどうやって保つのかという点について小一時間問い詰めたいのですがボクちゃん頭が悪いのでさっぱりワカランチ会長でございますわ。

ちなみに最後にその辺の専門家ガーという話をしているのですが色々と意味不明。

『政府の有識者会議が中期的な課題に挙げたGPIFの組織改革に関しては、行財政改革の観点で歴代内閣が進めてきた独立行政法人全体の改革を待たずに「GPIFから独法のくびきを外すべきだ」と主張。「これだけ重要な問題なので、GPIFを例外化する閣議決定を明日にでもしてほしい」と述べ、予算・人員・給与に関する制約が緩めば常勤の専門家の採用は「今すぐにも可能だ」と述べた。その後に法改正を進め、日銀のような自由度の高い特殊法人にすべきだと強調した。』

色々と意味が分からないのですが、「独法のくびきを外すべきだ」と仰せになる同じ口でアセットアロケーションに対して好き勝手に発言されるという豪気さに頭が下がりますし、日銀が自由度の高い特殊法人ですかそうですかふーんという所ではございます。

なお、そういう話をする一方でこのようなご発言も。

『公的年金であるGPIFは安倍晋三内閣と日銀が目指す2%の物価目標を「共有しなくてはならない立場だ。達成が困難だと公言すれば、海外投資家はアベノミクスとGPIFのどちらが間違っているのかと混乱する」とも、伊藤教授は指摘。』

運用の専門家を採用して自由度の高い特殊法人にすべきだと言いながら「物価目標を共有すべき」というその間の理屈がどういう構成になっているのか頭の悪いアタクシにはさっぱり理解致しかねるので、大先生におかれましてはその辺りのロジック構成についてもう少し下々の者に判るようにご説明を賜りたいと存じますが、そもそも「目標を共有しろ」とか言われましてもその目標が行かなかったり行くのに時間がかかるという事は別にアベノミクスが正しい正しくない云々と関係なく発生し得る問題でありまして、政策実施という意味で物価目標行かなかったら次善の策がどうのこうのとかそういう話になりますが、経済政策の話と運用の話は別だろというか、ポートフォリオをいきなり2%物価目標前提で作るというのは全くの別問題であって、仮に物価目標の達成が想定以上に時間がかかるとなった場合に「現実問題として機会損失(うっかりしたら実損)が発生する」という行為を基礎年金で取らせようという発想そのものが頭の悪い下々のアタクシと致しましては理解致しかねる次第でございます。

『消費者物価と予想インフレ率が2%前後に高まれば長期金利は将来的には3%程度に上昇するのが自然な姿だと述べ、デフレからインフレに転換した経済・物価見通しに基づき、利益を追求すべきだと話した。』

まあ計画経済かよというツッコミまでしたくなる訳で、どこのソ連かマルクスボーイですかと大変に頭の下がる思いでございますが、それ以前の問題として内閣府参与であります所の浜田先生などは「2%に仮に行かなくても経済が好調に推移してデフレのリスクが無ければ良い」という(それはそれで単体ではそうですよねという話ですが)お話をされておられたりしてましたので、三谷理事長にああだこうだ言う前に浜田先生の所に2%の物価目標を共有しないのはケシカランという話をされに逝かれた方が宜しいのではないかと存じますが如何でございましょうか(棒読み)。

てかね、そもそも何とか諮問会議で機関決定した話を超える話を勝手気ままに吹きまくるというのがお前何様だよとゆーか(この件については)公的立場にある人として如何なものかと思われる訳でございまして、まあこの前のモーサテの話っぷりでまたやるだろうなあとは思っておりましたので、この手の話を吹くだろうなあとは想像できましたが、勝手に機関決定以上だわ権限以上だわの話を座長が個人的に行うとかちょっと立場を弁えないんじゃないですかねえと申し上げたい次第で、いやあこの人日銀副総裁じゃなくて良かったですなあという所でございますし、勝手気ままに吹く座長を放置プレイする他の委員はカカシかよと思うのですけどね。

#とまあそんなツッコミでありましたとさ

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2013/12/06

○ニュース雑感

・あまりん・・・・・・・

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013120501002098.html
甘利氏が治療でTPP会合欠席へ 早期の舌がん、一時辞意も慰留 
2013年12月5日 22時35分

何はともあれ無事にご快復される事をお祈りするのですが、がんで辞任をしようとする人を慰留ってそらあまりんが余人をもって代えがたいというのは判らんでもないけどあまりんカワイソス。

・特定秘密保護法案

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013120501001664.html
秘密法案、成立強行は6日に 野党は問責決議提出 
2013年12月6日 01時27分

そもそもこの法案って民主党政権でも必要性がどうのこうのとか出ていた話なのですから、法案をもっときちんと作り込めばこんなに突っ張って(一昨日の与党からの常任委員長解任とか無茶にも程があるわ)通しに行かなくても済む話だったと思うのですけどねえ。赤点再履修レベルのフワフワ法案じゃなくて内容をちゃんと作れば経緯から考えて反対するの代々木と三宅坂(は引っ越しましたっけ)くらいだったと思うのだが、何でこんな状態で突っ張る事になったのかがさっぱりワカランチ会長。

#うーん第一次内閣の・・・・・・・

・経済対策である

詳しい内容はこちら
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2013/131205_koujyunkan.pdf

概要はこちら
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2013/131205_koujyunkan_gaiyo.pdf

でまあめんどいので概要の結論部分だけ引用という手抜き。

『本対策の規模 合計 5.5兆円程度(注) 18.6兆円程度
(注)このほか、地方交付税交付金の増1.2兆円、公共事業等の国庫債務負担行為0.3兆円、財政融資0.1兆円。』

『本対策の効果

○予算措置による経済効果(現時点での概算)実質GDP比概ね1%程度、雇用創出25万人程度

○盛り込まれた成長力底上げに資する施策に加えて、経済の好循環の実現に向けた取組、さらには、経済政策パッケージで決定された1兆円規模の税制措置等の実行⇒民間投資、消費の喚起や生産性向上につながり、所得・雇用の増大を伴う経済成長』

はあそうですかという所ですが、まあその内容がどうのこうのという詳しい話は本職の方が分析して下さるとは思うのですけど、よーするに消費税増税というイベントに経済対策をがっつりとぶつけてくるという財政運営スタンスが維持されているっつー事で、つまりは10%への増税に向けて経済対策は続くでしょ、という所だけ確認。

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2013/11/29

○木内審議委員講演ネタ追記雑談

昨日は木内さんの講演をネタにしたら「何かエライ絶賛してるじゃん」というお問い合わせ(というか何というか)を結構頂きまして書いた本人の方がちとビックラしたので追記雑談。

んーっとですね、今回の木内さんの講演ですけれども、まあシンプルに纏まっていたのと、ロジック内容が良く判って「こりゃ執行部(つーか今の日銀の基本ロジック)とは水と油だわ」というのが理解できましたし、木内さんの論点はなるほどこれは筋通っていますなと読んでてご機嫌モードになったのでそれがあったのかとか思ったのですが、良く良く考えたら木内さんのロジックって債券市場的にも無理がないっすなあというのがあるので、それもあったかもねと思いました(^^)。

つまりですな、今の無理繰りなMB拡大大会ってフィージビリティー的に3年も4年も続けられる物ではなく、それどころか既に債券市場の流動性は数値的に何といわれようとも市場前線労務者の体感的に言って明らかに盛大に低下している状態でこの政策あと丸々1年は最低続く上に、どうせ来年末時点で2%達成してねえだろと債券市場の多くの人は見ているだけに、そうなると(やり方の変更がなければ)更にこのおかわりが続くというオソロシスな流れになりますと債券市場そのものが市場の体を成さなくなりそうですよねどうしましょアヒャヒャヒャヒャとまあそんな意識があるので、まず2年やってみてその後は別途考えるという話と、MBの無理繰り拡大をやり過ぎると弊害があるでしょという話はいやもうそうですわとなるっつーことですね。

てな訳で絶賛モード(?)であったのですが、しかしこの木内さんのロジックって基本的にその気合でフィリップスカーブをどうのこうのという話と全然違うグラデュアリズムの世界でありまして、それって実は以前からの日銀ドクトリンでもありますので、これはこれで筋は通っているし、話として無理がないという点でアタクシ的にも共感する所はあるのですが、じゃあ4月4日の時点でこのロジックを全面的に押し出して追加金融緩和をして「期待の変化」が起きたかというとそれは相当怪しいですし、大体からして対政治という面を見た場合に全然通らないでしょという話でもありますので、現実世界にこのロジックを押し出していくのはまあ普通に時期尚早ですよねと思います。つまり、少数意見としては有りかも知らんし、異次元緩和を実行してその後さてどうしましょとなった時点では異次元世界からの徐々に足抜けをしてこの話へとシフトするというのも有りかも知らんですが、惜しくもそういう環境を勘案するとフィージブルではないという話で、実際の政策運営的には異次元イリュージョンよりも無理なくフィージブルではあっても中々難しいでしょうなと思うのでした。

そういや9月のきさらぎ会での総裁講演も何だかんだ言って後からネタにしてこれまたあたくし絶賛モード(?)だった記憶があるのですが、あれはあれで異次元緩和イリュージョンのロジック(というかイリュージョンなのでロジックは怪しい部分があるのだが^^)を丁寧に総括して説明していて非常に分かりやすかった(のに微妙に誤解したのが最初に色々と出ていたのでトサカに来て後からネタにしたのだが)という所でして、異次元イリュージョンにとりあえず乗っている状況(だけどポジションはそうじゃない人の方が多そうだが)でもありますので、日銀の動きがどうなるのよと考える場合はやはり異次元イリュージョン劇場で気合だ気合だとゆーロジック(??)を把握するのも重要ということですな、うんうん。

恐らくですね、きさらぎ会で総裁が言っていた「デフレはそれが長期化することによって脱却が困難になる」というのもこれまた相当正しい話で、セントルイス連銀のブラード総裁が言う「望ましくないデフレ均衡」から「望ましい適正なインフレ均衡」へと遷移させる為にはグラデュアリズムだけでは厳しい(だいたいからしてそれをやって今まで遷移できていなかったのだし)からイリュージョンでも何でもいいから兎に角思い切った政策の実施で均衡をぶち破る必要があるというのもこれまでの推移だと全く可能性無しという訳でもないかもね程度の進展はしている訳ですから、今の異次元イリュージョンもこれはこれで有りだと思いますし、じゃあ何が正解なのかと言われるとワタクシも良くわかりません。どうなんでしょうかねえ。

・・・・・・・・・・てな独り言でした。何か勝手な独り言でどうもすいません。

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2013/11/25

・例のニャンコ先生ネタ

金曜の駄文の頭にちょっと書いたのですけどね。

>何かモーサテでニャンコ先生が妙な数字入りの工程表(どうも一部にニャンコ先生の勝手な個人的見解っぽいのが入っているような言い方だが)を出して色々と能書きを垂れているるのですが、「海外の年金基金と同じくらいのポートフォリオ構成に」ってあのその単純に海外との比較とか言ってるけど年金財政のキャッシュフローは人口構成が違ったら当然違うのですが、そこだけ聞いているともしかして負債の方を考えないで資産の方だけ考えて議論してねえか大丈夫かと思ってしまうのでもうちょっと丁寧なご説明をお願いしたいものでありまする(−−;
(金曜の駄文の頭を再掲)

んーっとですね、実際にこれモーサテでフリップ出してニャンコ先生が能書き垂れていたのを見たのですが、だされた数字とその時間軸があまりと言えばあまりで、放送されたものではあってもネタに数字入れてあたくしが風雪のルル拡散装置になるのも如何なものか(ただの自意識過剰)と思って華麗にスルーしたのですが、日経クイックがニュースにしているっぽいので追記。

NQNスペシャル
http://www.nikkei.com/markets/features/26.aspx?g=DGXNASFL220RB_22112013000000
伊藤東大教授の私案か GPIF資産、 1〜2年後に「国内債35%」テレビ東京番組で
2013/11/22 16:51

『伊藤隆敏・東大教授が22日朝のテレビ東京番組に出演し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオ(資産運用構成)の1〜2年後の姿として国内債券が35%、国内株式20%、外国債券2・・・(続きを読みたい人は会員登録をヨロ)』(上記URLより)

フリップでは国内債券52%までの引き下げを行ったあと、「1〜2年後」としてその国内債券35%というのを出して、さすがに池谷さんが「これは報告書に出ていましたっけ?」とツッコミを入れてニャンコ先生が「これは報告書では無くて私の考えですが」と言っていました。

そもそも報告書の結論部分に自分の個人的見解を加えて一つのフリップにするとか、その時点でお前それ誤認を誘発するだろ何考えてんだという所ですが、そんな事よりちょっと待て資産規模から勘案してオペレーションのフィージビリティーを考えているのかこの有識者会議座長様はというお話な訳ですよこれがまた。

いやあのそういうの勝手に吹くのもどうかと思いますし、大体からして基礎年金部分でそんなにリスク取って良いのかよとか、年金財政のキャッシュフローはどうなのよとか、とてもそういうのを真面目に考えての発言に見えないのがホイホイと出てくるのが如何なものかと思いましたし、金曜はその隣にいる別の解説者として出演していたどこの誰とは申しませんが(まあモーサテのHP見れば分かりますが)どこぞの何とかストの方がニャンコ私案の「1〜2年で国債比率を17%(52%から計算するとそうなる)下げ」という無茶振りネタに1ミリも突っ込まないというのはまあ露骨にツッコむのは難しいにしたってイヤミの一つでもいうかと思ったら、ものの見事に普通にヨイショしておりまして、もう何なんだかと。

いやまあ確かに株の方からしたら株式の買いが期待ということだから株の絶賛大資金流入ってのを単体で見たらウハウハかも知れんけど、そんな無茶振りで国債売りをぶつけたらそもそも金融市場にどういう影響がとかそういう観点を持てば普通何らかのツッコミ待ったなしだと思うのだが、専門家の何とかストとしての知見は大丈夫なのかこのオッサンっつーか、こういう時にツッコミ入れないで何の存在意義があるんだよとか、まああたしゃそっちの方にトサカが立って朝から血圧急上昇だったのですよマッタクモウ。

というただの悪態メモでありましたとさ。まあ数字に触れないと悪態書けないので我慢したのが金曜の出来事だったので。

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2013/11/21

・有識者会議報告書キタコレでちょっとだけ雑感

ほいな
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koutekisikin_unyourisk/index.html

んでもって最終報告書の概要はこちら。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koutekisikin_unyourisk/houkoku/h251120_gaiyou.pdf

『・デフレからの脱却を図り、適度なインフレ環境へと移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、国内債券を中心とする現在のポートフォリオの見直しが必要。』

うむ、適度なインフレ環境だったら一旦債券減らしてもその後金利が適正水準になったらまた債券を持った方が良いような気がしますがまあいいです。

まあそれよりも見ててふと思ったのですが、QQEやっている間って基本的に経済物価状況に対して適正と考えられる金利よりも実際の金利水準を低い所に置くことによって実質金利の引き下げを行い、政策効果を出しましょうって話をしておりますので、そらまあ2%インフレの物価安定が具現化できるというのであれば10年0.6%ってどうよという論点も判らんではないのですが、QQE政策を後ろから撃つような話でもあったりしまして、うーんこのという気もせんでも無い。

#実際問題として債券を今すぐ売却とかそういう話では全くないのでそこまでナーバスにならんでもよかろうという説はだいぶありますけど(^^)

昨日ネタにした国の債務の在り方がどうのこうのの懇談会資料見てても思ったのですが、日銀が異次元亜空間政策を実施してしまい思いっきり債券市場のスーパープレーヤーになる事によって政策効果を出しましょう、というプレイを演じるようになってしまいましたので(従来もまあ買いはザクザクしていましたが積極的に長期金利を適正水準より低くしましょうとかいう事はしてなかった訳で)、そーゆー意味では各部門が自分の庭先を綺麗にするような動きだけするとゆーのもどうなんですかねという気がするのですがどうっすかね。

とはいえ、その整合性について日銀も含めて思いっきり表でああだこうだやっていると今度は中銀による財政ファイナンスしてるじゃねえかとかそっちに話が発展するリスクがあるのでこれまたムツカシヤといずれにしてもQQEが拡大する中で「国債発行流通市場における広義の政府部門における動きの整合性をどうするのか」というのが段々重いネタになってくる、つーかそこ適当にやっていると出口政策時点とか、QQEの技術的限界の時点とかであばばばばーのリスクも高まるというような希ガス。

#ちらっと書いてみましたが実際問題としてはこれ結構重いネタなのでもうちょっと考えてみます(そもそも今日明日の話ではないので正月にでものんびり考えますかね^^)

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2013/11/20

○国の債務管理の在り方懇だが議事要旨マダー

まあ先週金曜のネタですけど。

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/index.html
国の債務管理の在り方に関する懇談会(議事要旨等)

議事要旨マダーという所ですが、まあ一応こちらの資料1にありますように、議論の中に「平均償還年限長期化」というのがあるので一応超長期を押し込む言い訳にはなっているようでごじゃりますな。

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20131115-1.pdf
第25 回会合の議論の整理及び当面の進め方(案)

1.年内
○ 国債流通市場の現状を踏まえた国債管理政策
○ 平均償還年限長期化
○ 26 年度国債発行計画

2.来年以降
○ 人口高齢化に伴う家計金融資産の動向、国債の海外保有、マクロ的な資金フローの変化など中長期的な国債を巡る環境変化
○ 中長期的な国債を巡る環境変化を踏まえた国債発行制度、商品性の在り方
○ 投資家等への情報発信

でまあ今回の資料2以降を見ますと、基本的に上記のお題のうち最初の部分にあたる「国債流通市場の現状を踏まえた国債管理政策」ということで国債市場の流動性がどうのこうのという話が議事になっていたように見えますが、まあ国債管理政策として市場の流動性を確保するのは大事っつーか、たぶんこの調子で流動性が順調に低下していきますと何らかのショックが有った際に国債市場があばばばばーで金利がヒャッハーとかなり兼ねない、という問題意識を今年の華麗な金利ランコルゲで再認識されたとゆーことですかな良く判らんですが。


ただまあそう言ってしまうと身も蓋も無いのですが、そもそも日銀が異次元緩和とか言って国債をバカスカお買い上げしているわ、その買入年限が国債インデックス位の平均まで伸ばして来るわという状況になっているのが全ての努力をいきなりひっくり返してしまうという物でございまして、大体からして国債の平均償還年限を長期化している側から日銀がジャンジャン長めの国債を買っているとなりますと、統合政府で考えた場合に確かに償還年限は長期化されるかも知れませんが、金利リスクという意味では日銀が全力で変動金利に変換しているというのがチャーミングな所ですな。

で、流動性に関しては日銀がせっせと買入を行っているのですっかり流動性低下しているのはご案内の通りですし、そもそも日銀の異次元金融政策における「実質金利の低下」には期待インフレ率の上昇というのもありますが、「経済物価情勢から妥当と思われる金利水準よりも実際の金利水準を低位水準に押さえつけることによって実質金利を低水準(またはマイナス)にする」というのがございまして、大体からしてそういう時点で日銀が市場を歪める意志満々という状況な訳です(もちろん本当は歪めない方が良いに決まっているのですが、名目ゼロ金利制約に引っ掛かってしまった中央銀行としては何らかの形で歪めないと政策意図を達成できないですからね)からして、発行サイドでの努力も色々とございますが、とりあえず日銀の異次元緩和が続くうちは何をやっても日銀が全部ブルドーザーで踏みつぶしそうですなナムナム。

ま、その辺は全部承知の上で「そうは言っても発行サイドとして何か工夫の余地はありませんか」という話だと思いますし、来年のお題を見ると(というか元々のこの懇談会の趣旨から言って)年内の話は市場の現状認識に関する部分で、より中長期的な課題に関しての情報発信の方を期待したい所ではございますな。うんうん。


つーかまあ今年のMB目標は良いとしまして、来年になるともっと買入残高が拡大する訳ですし、これで2年で2%間に合わなくて「MBを60兆〜70兆円のペースで拡大」の自動延長措置が発動となりますと、国債市場の流動性が益々あじゃぱーになるのでこの際増発してくれや位の勢いになる(まあそれを財政マネタイズというような気がするが)のでして、結局の所財務省の事務方が気を揉むものの最終的には日銀の馬鹿買いがどのような形でいつまで続くかというのが最大の国債管理政策上の課題だったりするのが誠に遺憾というか、中銀の国債買入が国債管理政策上重要問題になりそうという時点でそれは財政マネタイズというか自主規制(−−;

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2013/10/30

○いやあ何か外野の追加緩和盛り上げ来てますなあ

昨日は日経ちゃんでこんなのがあったようで。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2500A_V21C13A0000000/
アベノミクス、第1の矢に戻るタイミング  編集委員 滝田洋一
2013/10/29 7:00 情報元 日本経済新聞 電子版

『アベノミクスは結局、1本目の矢つまり金融緩和に戻るだろう。10月下旬にニューヨークを訪ね金融関係者に話を聞くと、日本に詳しい人ほどそんな感想をもらした。』(上記URLより、以下有料版ですので本紙か有料電子版を読んでちょ)

という事で、何かここに来て追加緩和クレクレ祭りが4か月ぶり位に始まっている感じでして、まあ先日ネタにした本田内閣府参与のインタビュー辺りから盛り上がり感が強まった印象でして、日銀の異次元緩和に関する政策の考え方、というか「レジームチェンジによる期待の変化」という異次元緩和の政策のキモ部分についての理解が滝田さんにも伝わってないのかねという意味で結構ビックラした(実際に記事を子細に読んでいないので滝田さんは理解した上でこういうお題の記事になったのかも知れないのでその時はスイマセン)という所でありまする。

だから最近しつこく申し上げておりますように、異次元緩和で2%達成するためのキモというのはデフレ均衡状態にある経済状況に対して均衡状態を破る位の異次元政策を実施することによって新たな均衡状態である「物価安定目標」へ遷移させようという所でもありますので、景気物価情勢が明確に落ち込んでいるという状態なら話は別ですが、特段落ち込みを示している訳でも無い状況の元で「追加緩和が必要」みたいな議論をする事自体が「異次元政策」を「普通の金融緩和」の次元へと貶める事になる訳でして、上記滝田さんの記事にあるような『日本に詳しい人ほどそんな感想をもらした。』という見解は、そもそも論として異次元政策を異次元政策であると認識していないという事になりますので、日本に詳しいかも知らんがお前らきさらぎ会での黒田講演テキストを50回素読しやがれと同じ結論になるのでした。

つまりですな、今回の展望レポートって誰がどう見ても中長期の景気見通しが前回対比で下がる可能性は無い訳ですからして、この時点で(本田参与の言うような)追加緩和をコミットするというのは異次元緩和を異次元緩和たらしめなくする事になりますし、そらまあ会見では「状況によって必要な調整は行う」というような当たり前の発言は出ると思いますけれども、それを捕まえて「追加緩和示唆」みたいな報道が出てくるだろうなあというのもこれまた火を見るより明らかではあるのですが、そもそもそういう報道をすること自体が異次元緩和の異次元振りを貶める事になり、レジームチェンジの為に行っている「異次元政策」を「いつもよりも大規模なだけの金融緩和政策」レベルにしてしまうんですけどねえという所です。

つまり第一の矢に「戻る」というのはそもそも第一の矢の失敗を意味すると思うのですけど、どうも異次元緩和と通常の逐次対応の区別のついていない人が多いなあと思われ、そういう意味ではまだ「レジームチェンジ」に成功していないのかも知れませんなあとか思うと色々とアレですな。

・・・・・・・・・とまあうだうだ申し上げておりますが、念のため申し上げますと不肖このアタクシ、異次元緩和政策日銀のこのロジックは理解致しましたが、では何で国債を異次元に買うとレジームチェンジで期待が変化してデフレ均衡を脱してフィリップスカーブが上方シフトするのか、という部分については誠に残念な事にさっぱりワカランチ会長であるので、日銀の政策フレームの能書きならば幾らでも垂れる事ができますが、その通りに行くと信用するかどうかは別問題ですのでよろしくお願いいたします(台無し)。

#ここで追加緩和を明示的に示唆みたいな事になると異次元緩和早くも敗北になるのですが、それは1年後の今頃の話でしょ(2年で達成の大風呂敷の期日が残り半年になるから)と思いますよ

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2013/10/28

○決定会合プレビュー雑談、というか追加緩和ネタに関する雑談

今週は展望レポートちゃんが出るMPMが実施される訳ですが、まあ先週のさくらレポートでも強い話が出ているという位ですから、相変わらず市場のビューよりも盛大に強い見通しが出てきて「2年で2%の目標達成に向け順調に推移」という紙芝居もとい説明が出てくる事になるでしょうな。


でまあそれは良いと致しまして、何か知らんけど最近日銀ネタでネタが無いことが影響しているのかどうか知りませんけれども(^^)、足元では「4月に追加緩和」というレポートが何とかストの皆さんからちょくちょく出てくるようになって来ていまして、えーっとそうですかねえという気がするという雑談ですが、頭の整理は途中なので雑談程度にお願いします。

そらまあ海外要因とかで飛んでもないリスク(リセッション級あるいは金融危機級)でも発生すれば話は別ですのでそれは無いという前提の元で話を致しますと、来年の4月時点での追加緩和というのはちょっと違うんじゃないの(まあ半年も先の話を今からどうこうというのも何ですが)と思われる所です。そらまあ他市場からのクレクレとかうっかりすると内閣府参与方面からのクレクレとかが来るかなあとは思いますけれども、じゃあ追加緩和を実施するかどうかというのはちょっと別問題だと思います。

つまりですな、9月のきさらぎ会での黒田総裁講演(だいぶ後になってネタにしてどうもすいませんという所なのですが)をきちんと精読した方が良いんじゃネーノと思う次第で、あの講演って内容的には従来からのQQEのロジックの説明であって新しい論点を提供している訳では無いのですが、「QQEのロジックについての現時点での纏め」という意味では非常に良くまとまっておりまして、その中で重要なのは2つほどあって一つが皆様ご存じの「期待に直接働きかける事によってフィリップスカーブを上方シフトさせる」というQQEによってもたらされる(事になっているらしい)物価安定目標達成のメカニズムですけれども、もう一つ重要なポイントとして、その講演の中で説明していた「デフレはそれが長期化すると脱却するのが難しくなる」という所なのは意外に本職の何とかストの皆さんも引き続き華麗にスルーしている話ではないかと思うのですよ。

でまあそちらについてスルー気味の人が多いから「2年で達成よりも2%を重視するスタンスになっている」みたいな謎解釈が横行する事になっていると思われる次第でございまして、もとよりQQE実施の際に重要視しているのが「期待の変化」であり、黒田さんのきさらぎ会講演で示されている2つ目の重要なメッセージである「デフレは長期化すると脱却が困難」という部分を考えますと(下振れリスク要因が大きく顕在化しない限り)それこそ先日本田内閣府参与が提言していた「今から4月の追加緩和をコミット」みたいな話というのはちょっとピントが有っていないでしょと思うのですよね。

えーっとどういう事かと申しますと(これはまあ確かに最初の時点ではその辺り良く伝わっていなかった、というかアタクシも理解できてなかったなあと思いますが)、「戦力の逐次投入は行わない」というのは「デフレはそれが長期化することによって脱却が困難になる」という説明に通じるものであって、QQEによってデフレの早期脱却を図り物価安定目標への移行を図るというためには、「必要な措置を適宜調整しながら行う」という形では難しいという話。

まあ人のふんどし的な言い方をするとセントルイス連銀のブラード総裁がかつて『Seven Faces of 'The Peril'』という講演(http://research.stlouisfed.org/publications/review/10/09/Bullard.pdf)で示していた「望ましくないデフレ均衡状態」と「物価の望ましい均衡状態」という状態がありまして、今QQEでやろうとしているのは前者から後者へのジャンプが必要なのであって、均衡状態を脱する為には従来の「適宜適切な対応によって徐々に物価上昇の目途への道筋を作る」というのではない「大胆な政策」が必要、という事になっていて、まあQQEもそういう発想でやっているんでしょと思われる訳ですよ。

従いまして、その均衡状態の打破に必要と思われる大胆な政策を実施している以上、経済物価見通しが大きく悪化するなどのような事が無い限りにおいて追加の施策を打つというのは変、というか元の政策が大胆な政策ではありませんでしたという事を自ら示す形になってしまいますので、従来のロジックが崩壊してしまう訳でございますよ。ですからして、通常の見通しの中で4月に追加緩和(いやまあ例えば4月になると米国の財政協議が大爆発して米国大炎上状態になるとかユーロ圏の銀行資産査定が大爆発して欧州蜃気楼状態になるとかいうシナリオをメインに置けば別ですけど)という見通しを普通に出してくるというのは、恐らくQQEのロジックについて丁寧に説明している9月のきさらぎ会での総裁講演を10回ほど音読されることを推奨したい訳でございまする。

なお、来年10月の展望レポートになりますと当初の「2年」まで残り半年になりますので、さすがに手形の期日到来が見えてくる次第で、その時にはどうするんでしょうねえというのは有りますが、まあ来年4月段階だと「まだ半分」状態ですから「以前より想定しているシナリオどおりに推移しています(キリッ)」で良い筈です。

ああそれから念の為付け加えますと、現在の日銀の日本景気の認識はご案内の通り「前向きの循環メカニズムが働き出している」という状況であり、かつさくらレポートにおける殆どの地域(北陸以外全部)の景気認識が「回復」となっているという事ですから、ロジック的に言いますと「国内要因での自律的な景気回復モード」となっておりますので、海外経済が少々足踏みした位では本来はコケないというステージになっているという事になります。もちろん先ほど来申し上げているような盛大な問題が発生すれば別ですが、海外が少々足踏みした程度で国内景気の回復基調がコケるという話ですと、そもそもの「前向きの循環メカニズム」という認識が大間違いのコンコンチキであったという事になりますので、これまたゴメンナサイモードにならない限りそういう話は出てこない、とまあそんな事になると思います。

とまあそんな雑談を展開してみましたが、アタクシも頭の中が整理できているようで出来ていないような気もしますし、どの辺で自分の文章のロジックがワープしているのかとか、忍法煙に巻く状態になっているのかとかが判ってない(だいぶ脊髄反応で書いているので)のでご指摘賜るとアリガタヤではございます。

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2013/10/24

○市場雑談

・10年0.60%ビットキタコレ!までは行きましたが

昨日は雇用統計で株高債券高な上に昼から中国の金融引き締め観測がどうのこうので為替が円高に振れて(これがまたしぶとい事に200日移動平均の所(NYの夕方基準で計算させると97円30銭をちょっと切る辺り)で妙に止まるのですが、そもそも200日移動平均にそんなに意味があるのかは知らん)後場に先物145円タッチするわ0.60%出合うわとかやっておりましたが、とりあえずそこで抵抗しましたの巻。とは言いながらも時間の経過と共にカーブがフラットする感じでしたのでまあ堅調っすなあという所ですか、よー知らんけど。

つーことでまあここもとは相場が上がる時に超長期確りフラットしてて日々の値動き自体は派手派手ではないけれども、何日か経ってみるといやあ強いですねえみたいな感じ(ただし足元超長期強いのはリアルマネーの買いなのかスワップなのかは微妙なのでその点は割り引く必要あり)で、しかもろくすっぽ押し目らしい押し目が無いというのが何ともやりにくいんじゃネーノとか思いつつメモだけしておきました。


・で本日は3M入札ですが

本日は3MTB入札です。でまあ新発406回が何故かWIで0.07%出合ったりしていたようでほうほうそうですかという所ではあるのですが、日銀が短国買入を実施すると買入の度に応札が2兆円ずつ減っておりますので、そうは言っても在庫が重くて困るという状況でも無さそう。

あとはまあ0.10%割れの短国に関して超過準備に放置プレイする場合との裁定が効く人がどの程度買うんでしょうかね次第なのでニャンともワカランチ会長ではありますけれども、まあ順当に考えると平均が7bp割って足切りが7をかするかどうかという感じかと思いますが、思ったより下が入ってこの銘柄だけ引値が天知茂になりますと明日の短国買入で放り込めなくなるのでテラ残念となりますが、最近の短国は余程大コケしない限りセカンダリーでバカスカ買いがという展開にはなりにくく(海外が夕方に買いに来るのは別)、基本プライマリーで終了の巻ですからその辺りがリスクっちゃあリスクでござりますかの。

まあ入札も気になりますが明日の短国買入をどう入れてくるのかも気になる所です。調子に乗ってまた2兆とか入れるとまた日銀買入が需給を無駄にゆがめやがってという話になると思いますけど(ダチョウ倶楽部スキームではありません^^)。


・輪番ェ・・・・・・・・・・・・

昨日の輪番オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131023.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2013年10月25日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 3,500 2013年10月25日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2013年10月25日

1−3年の輪番が3000億から2500億に減っていますな。1−5の輪番トータルでの1回毎の買入額として提示されているのは5000−7000程度となっているので、まあ元が多めで合計6000億なのでそもそもの建付けからしたら普通なのですけど、短期のオペの帳尻が最終的に面倒ですよねそうなったら只でなくさえ歪みが出ている短国市場が更に玉無芳一になるよねとかゆー事を考えている短期方面と致しましては、いいから買入はもっと後ろにしやがれと切に願っていると存じますので、この辺のオファーを減らされるとちょっとギョッとなってしまうのは短期マニアだけですかそうですか。

いやまあどうでも良いっちゃあどうでも良いのですが、どちらかと申しますと短期の買入に関しては今年の末はまだ良いのですけれども、来年の展望とか考えると頭がクラクラしてくるので、もうちょっと長い所の買入増やしても良いんじゃないですかと、ただの押し付け合いのような話をすると長期の方から文句が出ますか(^^)。

○追加緩和でMBS買入とはこれは何ぼ何でも・・・・・・・・

この前ブルームバーグでも追加緩和がどうのこうのというのがあってネタにした気がしますが、更にロイターと共同通信で新しい記事が有ったので軽くツッコミを少々。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE99M04I20131023?sp=true
日銀は追加緩和でMBS買入れを=本田内閣官房参与
2013年 10月 23日 14:50 JST

正直色々な点で????なのですけどね。

『[東京 23日 ロイター] - 内閣官房参与の本田悦朗・静岡県立大学教授は23日都内で講演し、3%の消費増税により染みついたデフレ心理の払しょくが失敗することがないよう、日銀は来年4月以降に追加緩和を辞さない姿勢を明確にして欲しいと述べた。追加緩和手段としては、住宅ローン担保証券(MBS)などリスク性資産を買入れるのが望ましいとの見解を述べた。また日銀法を改正し、物価の安定と雇用の最大化を目標とすべきとの持論を繰り返した。』(上記URLより、以下同様)

え、MBSですか?????

んーっとですね、金融政策で何らかの動きをするという際には、当然ながらその行動によってどのような市場の変化が起きて、その市場の変化によってどのような政策効果を狙っているのか、という考察が必要だと思われるのですが、住宅ローン担保証券って市場規模何ぼですねんというのもさることながら、それ以前の問題として住公RBBSの現在のOASスプレッド何ぼだか判ってますかとか、さらにそれ以前の問題として、その住公RMBSのセカンダリー利回りが低下した時に実体経済に何の効果があるのかというのって考察して物を言ってるんでしょうかと小一時間問い詰めいたい訳ですよ。

現時点で大概に低いOASスプレッドに対して日銀が買入を行う事によて低下余地がどの位あるんですかという話に加え、じゃあその金利が下がったら住宅ローン金利が下がるのかという点や、そもそも現在の日本経済において住宅市場って別に景気の足を引っ張っている訳ではなく、むしろ好調ですよね何でそこで施策打たないといけないんですかねえとか思う訳で、それなら単純に現在行っている実質金利低下大作戦である所のノミナルの金利を低位安定させておけば住宅ローン金利だって低位安定したままで推移するから無問題ですよねと思うのですが、この程度の認識で金融政策提言とか(自主規制)じゃねえんだから勘弁して頂きたいものでありまする。


なお、他にも不思議な箇所があるのですがががが。

『安倍政権の経済政策アベノミクスのポイントは「第一の矢、強力な金融政策であり、これによるデフレ脱却前に成長戦略を進めると需給ギャップは拡大してしまう」との見解を強調した。』

フィリップスカーブの上方シフトに加えて成長力強化も重要という黒田さんの説明からマッコウクジラで対決ですねわかります。


『本田氏は安倍晋三首相の経済ブレーンとして、9月まで来春の消費増税を毎年1%ずつ引き上げるなど小刻みにすることで、景気・物価の回復を妨げないよう進言してきた経緯がある。このため、「3%の増税で期待インフレが腰折れしないよう、日銀は4月以降、さらなる金融緩和の用意があると発信してほしい」と強調した。』

ここが良く判らないのですが、3%の増税で実質個人所得が減少するので金融緩和でサポートしろというのなら話は分かるのですが、「期待インフレが腰折れ」というのが良く判らんのですよ。

ノミナルの物価は増税に伴いまして全部とは言わないけれどもそれなりに転嫁されるので、少なくともノミナルの物価は上昇する筈で、実際の物価が上昇するとそれに伴って「物価は上がるもの」という認識が強まるという自己実現サイクルは少なくとも1回は起こると思うので「期待インフレが腰折れ」というのがどういうメカニズムなのかの説明が欲しいですなあと思うのですよ。実質所得の減少により購買力が落ちて、結局の所企業の価格設定行動が強気になれなくなるので、購買力低下に伴う消費減速と共に却ってデフレ状況になるのではないか、という話をしているにしてはなにゆえ「期待インフレが腰折れ」という表現なのか不思議。単に「期待インフレ」という言葉を使いたかっただけちゃうんかと思ってしまいますな。

『これまでの政策効果については、「期待インフレ率の上昇に伴い実質金利が低下しておりアベノミクスが効いている証拠」と述べた。物価連動債と普通国債の利回り差を示すBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は、「物価連動債の市場が薄いものの、期待インフレ率の大きな方向性は示している」とし、「現在は消費増税の影響を除いて1.3─1.4%程度まで上昇している」と指摘した。物価連動債の発行が再開されたことで、BEIの信ぴょう性も高まるとの見方を示した。』

>現在は消費増税の影響を除いて1.3─1.4%程度まで上昇している
>現在は消費増税の影響を除いて1.3─1.4%程度まで上昇している
>現在は消費増税の影響を除いて1.3─1.4%程度まで上昇している

いやまあどこの年限取るかで話は変わりますよねと思いますけど、『物価連動債の発行が再開されたことで、BEIの信ぴょう性も高まるとの見方を示した』って話をしているんだったら当然ながらこの前発行再開されて物国市場の中で一番流動性が高いと思われる新発10年物価連動国債の話をするのが普通だと思うですが、BEIは1%位で間接税の影響ってオンされた後の数字でのトレードなんですけど。


とまあ色々と微妙なのですが、講演のテキストなどが公開されている訳でもなく、単にロイターの取材結果の孫引き状態なのでまあ本当はもっとクリアカットな説明をしているのかもしれませんからまあ軽く疑問に思いましたと言う程度の所ではありますけどね(棒読み)。

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2013/10/11

お題「市場関連雑談少々/償還乗換ネタで少々あたくしの愚解説をば」

おおまたネタが投下されとる(黒田総裁講演とか)・・・・・・・・

○海外ネタ関連メモメモ

・何か米国株指数が爆騰しているので

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MUG20K6S972801.html
NY外為:ドルが対円で続伸、債務上限引き上げで合意観測
更新日時: 2013/10/11 05:12 JST

株価指数が物凄い勢いで上昇しているように見えたので急転直下合意したのかと思ったら合意観測ですかそうですか。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MUGRPJ6TTDSW01.html
米共和党、債務上限の短期引き上げを提案−大統領と協議へ
更新日時: 2013/10/11 03:33 JST

・・・・・・・・・・なんだよただの「6週間の先送り」じゃねえかよと思ったらモーサテの為替の人が今月償還のビルが買われる一方で11月終わりの償還のビルが売らているという大変に素敵な状況についての説明をしていたのが中々のヒットでございまして、実に良いポイントを指摘してるわと思うのでした(^^)。

まあ株の上昇ってとりあえず買戻しをしたいんですね明るい話をしたいんですね分かりますとゆー所で、債券市場でのビルの動きにありますように本質的に解決するとゆー見方な訳では無くて、単なるポジションの一旦手じまいの域を出ない話でしょとゆーことですし、金融政策大予想的に言えばこの「6週間」が決まれば今月末のTaperingは先ず無理(6週間延長したら揉める期間が6週間の延長戦になるだけというのが明白)ですし、この期限が接近した時にどうせ何も決まらないで越年の為先送りの巻となるでしょうから12月のTaperingも厳しいんじゃないですかねえというもうお約束の展開ですなああっはっは。

って解釈を勝手にしているんですがそれで良いのかな????よー知らんけど。



・BOE据え置き

据え置き自体は市場予想通り
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2013/010.aspx

Bank of England maintains Bank Rate at 0.5% and the size of the Asset Purchase Programme at £375 billion
10 October 2013

『The Bank of England's Monetary Policy Committee at its meeting on 9 October voted to maintain the official Bank Rate paid on commercial bank reserves at 0.5%. The Committee also voted to maintain the stock of asset purchases financed by the issuance of central bank reserves at £375 billion.』

『The Committee reached its decisions in the context of the monetary policy forward guidance announced alongside the publication of the August 2013 Inflation Report.』

『The minutes of the meeting will be published at 9.30am on Wednesday 23 October.』

ということでフォワードガイダンスも資産買入も金利も据え置きですが、蟹総裁就任前後から何か知らんが(もしかして蟹総裁に天性のバカヅキ属性があるのでは疑惑があるのですが^^)英国経済が順調に推移してやがりまして、読んだのにまだネタにしていない前回のMPC議事要旨でも当たり前のように金融政策は別に動かさんでええぞなもしという話で推移しているという状況で妙に順風満帆。

どうもミニッツ見てると住宅の所が堅調なのと、他の先進国経済がそこそこ順調なせいか輸出が好調で、何故か知らんが生産がここの所堅調でもしかしたら昔からずーっと問題にされている生産能力のスラックが縮小しているのではないかみたいな景気の良い話をしておりまして、謎の堅調経済モードとなっていますな、うんうん。


・でまあ欧州金融政策雑談のようなもの(ECB総裁会見ネタの代替物件)

そういや折角読んだのに結局1週間ネタにしそこなっているのにBOEの前回MPCミニッツとこの前のドラギ総裁の質疑応答があるのですが、BOEにしてもECBにしても、金融政策について資産買入の量がどうのこうのという話や金利がどうのこうのという話よりも、「クレジットの供給拡大をどう実現するか」という観点の話に重点が置かれる傾向が更に鮮明になっているように見えるんですよね。

いやまあBOEのFLS導入辺りからその傾向は明らかではあるのですが、ここ2回のECBドラギ総裁会見での質疑応答なんかも見ておりますと、質問する方の注目もECBの場合はこれから実施される予定の「金融機関の資産査定」になっていて金利の上げ下げについては一応質問はあるものの、そんなにゴリゴリ追及されるような感じではありませんな。

んでですね、まあ確かにそうだなと思うのですけれども、ゼロ金利制約で金利の効果を出そうとして色々とやるというのもそらまあやるに越した事はないのですが、それよりも経済に効くのは「クレジット供給をバンバン行う」という奴でして、そう考えますと欧州金融当局のやっている方向性の方が効きが良さそうに思えます。つまり金利がどうのこうのというよりは、金融機関の資本を増強してリスクキャピタルの許容度を拡大するようにして、リスクキャピタルを供給させるように動かすという方が話としては手っ取り早い訳で(資本増強じゃなくて規制緩和でも良いですけれどもコケた時に死ねるのでどうでしょうかね)、金利の上げ下げよりも問題は金融機関の資本充実でしょというのは経済に効かせるとゆー意味では実は王道じゃないのと思ったりします。

ただまあそれって中銀の金融政策の話かというとこれまた微妙な話だったりするのですが・・・・・・・


○市場雑談

・30年国債入札なのに債券先物の高安が10銭とな!!!

ってまあ小見出しだけで終了なのですが、債券先物の高安10銭とはこれ如何にとか思いましたが、30年だけは引けで1.5強とかやっておられますので入札があって動いていたのですよね(白目)。


・3MTB入札である

落札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20131010.htm

(3)募入最低価格 99円98銭4厘0毛 (募入最高利回り)(0.0602%)
(4)募入最低価格における案分比率 64.5527%
(5)募入平均価格 99円98銭4厘2毛 (募入平均利回り)(0.0594%)

うーんこの微妙な落札結果とゆーところでしたが、セカンダリーでは伸びが無くてベンダーの仰せによりますとその後は0.06%乗せで推移とからしいので何とも中途半端な推移となっておられる訳ですが、ダブル発行日の15日スタートのGCは上昇していてそこそこ持ちがあるのかねという所で。

んでもって本日はどうせ短国買入2兆円攻撃とかがあるでしょうなあと思われますが、売参統計値で見るとここの所の新発と玉がスッカスカ状態になっている既発に乖離が4糸から6糸程度あるので、新発がどの程度入るか(=セカンダリーで玉無し芳一になっていてどこかに沈んでいる既発を買入でどこまで打ち込んでくるか)次第で来週の需給動向が予想できそうですな、うんうん。

しかしまあ何度も申し上げておりますように、9月末近辺に需給丸無視で短国買入をバカスカ打ち込んだ(いやまあペース的には淡々と打ち込んだということになるのですが、市場の需給を勘案するとどう見ても鬼吸い上げです本当にカムサハムニダという形でしたからねえ)結果として市場に無駄なボラを発生させているという大変にあばばばばばーなお話であります事よとゆーのが何とも味わい深いものがございまする。

長期債の市場と違って短期市場の場合はそもそもの需給関係が資金需給にダイレクトに影響される所があって、公開市場操作ってそのデコボコのある資金需給をスムージングする為に実施するというのが本来の姿なのですが、ご案内のようにMB2ばいニバーイ攻撃を絶賛実施中の中、淡々と短国買入という資金供給をしないといけない、とまあそうなりますと、買入の規模が大きくなってきて市場の玉吸い上げ攻撃で段々市場がマージナル化してきますと、その「淡々と打つオペ」が逆にかく乱要因になるというだまし絵のような話になるのですかね、などと思うのでありました。

#TKRR見てても連日まあよー動きますからね


○償還乗換がどうのこうの

まあ何ですな、金融政策に関してはどう見たって動かざること山の如し状態というせいか、この前のきさらぎ会での黒田総裁講演ネタとか、一昨日の中曽副総裁講演ネタ(すいませんネタにできてません)とか、何かネタを捻りだそうというような傾向があるようで誠にアレなのですが、正直申し上げてそういうネタよりも、レギュレーション関連とか海外金融政策ネタの方がオモロイのではないかという気もします(と大口をたたいているアタクシも最近は読むのが全然追いつかなくてorzorz)けれども、昨日はこんなネタが投下されていたので脊髄反射。


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MUAGLV6JIK0R01.html
日銀:来年度の国債引き受けを今年度並みに抑制−「財政穴埋め」回避
更新日時: 2013/10/09 23:04 JST

『10月9日(ブルームバーグ):日本銀行は、来年度償還が来る保有長期国債の乗り換えに伴う引き受けを今年度並みの規模に抑える方針だ。市場を通さない国債引き受けは財政法5条で禁じられているが、償還到来国債の乗り換えは例外措置として認められている。異次元緩和で従来の2倍以上に増えるとの見方もあるが、財政穴埋めと受け止められないよう大幅な拡大を回避する。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)

ということで以下ああだこうだ説明があるのですが、償還乗換が増えたから財政ファイナンスと言われる云々というのはこれはちょっと????な論点でありまする。

もちろん償還乗換は名目上「日銀引受」でありますので、その引受額が多いと何となく「日本銀行が国債の直接引受をバンバン増やしてます」みたいな見え方になるので、そういう点から財政ファイナンスガーとなって見栄え上問題があるというのはあるのですが、この償還乗換自体はそもそもテクニカルな問題に近い話でこれをとらまえてどうのこうのと言うのはあまり意味がないですし、下手にそこで論点を拡散させると上記記事のようなちょっと違うんじゃないのという議論になってしまうので、まああまりこの点で表面上の現象に惑わされないのが吉。

そもそも「日銀引受」って言ったってやっている事は元々持っている国債の償還部分の現金見合いになっている話で引受したから新規に残高が増えるという話では無いですし、しかも引受しているの1年短国で1年後には現金償還するという話なので、いわゆる財政マネタイズとは話の質が違うのですけれども、相変わらず「引受」の言葉で過大評価している人大杉勝男ですわとゆーのが第一の点ですな。

でですね、第二の点として留意して頂きたいのは、償還乗換しないで現金償還した場合に、その分の資金見合いで財政が不足になるので資金需給上は資金不足要因になりますから、結局その分というのは日銀が公開市場操作(オペ)で資金供給をしないと資金需給がおかしくなってしまいますから、償還乗換をしなかったら何らかの資金供給オペレーションを実施する要因になりますという話。

また、日銀の資産サイドで考えてみても同じ結論になりますが、日銀が保有する長期国債が償還で落ちる分について、償還乗換を行わなかった場合というのはその分日銀のバランスシートが縮小してしまいますので、例えば現在の政策での建付けでは事実上バランスシート目標が存在する(実際の目標はMBだが)ので、縮小した分の見合いで短期国債なり中長期国債を買わないといけないという話になります(目標が無い場合でもトン調節をしていれば結局の所トン調節をする為にバランスシート規模を調節しないといけないので同じ事なのですが)。

つまりですね、償還乗換を減らすとその分って日銀の市中からの国債なり短期国債なりの「フローとしての買入額」が自動的に増える事になって、つまりは「日銀がフローで買う国債買入額の増加要因」となりまして、それって実際問題としては「日銀の市中からの国債買入がこんなに行われています!」という話に繋がるので、財政ファイナンス云々の話がそっち方面から飛んでくるんじゃネーノという事でして、実は財政ファイナンス云々の論点でこの償還乗換の話をするのってあまり意味が無い事になります罠という話。

ちなみに「フローの日銀買入額増加要因」となるとキタコレと思うかも知れませんが、当然ながら償還乗換が減った分については国債発行における市中消化増加要因になりまして結局の所ツーペーになりますのであまり色めき立たないようにするのが吉。

とは申しましても、ここから先はまあ仮定の置きだらけの話なのでその辺留意して聞いて頂きたいのですけれども、1年短国の償還乗換分というのが、発行サイド(財務省)および購入サイド(日銀)でどういう代替をするのかというのかによって、実際の影響というのが出るかもしれないし出ないかも知れないという話になると思うのですよね。

即ち、償還乗換の減少分に対して発行サイドが短国で対応するのか借換債で対応するのかによっても話が違ってくるように思えます(この辺の話になるとアタクシも正直不案内なのでちょっと教えろ下さいお願いします)し、購入サイドの日銀にしても、バランスシート維持の為に買うのが短国であっても長国であっても良い訳で、どういうバランスになるかという話かと思います。例えば見合いの市中消化が3か月短国になって、日銀の買入が短国買入拡大で対応(何となくそうなる気がするが)だったらほぼ無影響ですし、仮に市中消化が3か月短国だけど日銀の方は短国市場の需給が強すぎるので長期の買いをもうちょっと増やしますかとなると実は償還乗換を減らした方がよっぽど財政マネタイズガーみたいな話に事実上なってしまう訳でして、償還乗換単体で見てもまあ意味があまりないというのがお判り頂けるのではないかと存じます。

ですからして、まあ上記URL記事でああだこうだ話が出ているのを見て正直アタクシなんぞは???と申しますか、はあそうですか(棒読み)という感じではあるのですが、この手の話というのは中々難しい(アタクシだって申し上げていること全部自信満々で言ってる訳ではなく詳しい人教えろ下さい状態なのですががががが)のですが、つつくと面白いのでついつついてしまいましたぞな。

あとこれまたちゃんと計算していないので申し訳ありませんが、基金買入を実施して3年以内の国債買入がどどーんと増えた後に、異次元緩和を実施して日銀の買入国債の平均残存年限が全力で長期化されましたので、つまりは日銀の保有国債の年度別償還額(真面目に保有国債明細見れば計算できるのだがしていませんすいませんすいません)に「崖」が出来ている筈なのですよね(ドタ勘で2年後から3年後の間くらい)。そうなりますと従来通りに償還額を全額乗換とかしていると「崖」が生じた部分で急に国債の市中消化額が償還乗換要因で増える事になるので、そのスムージングの為には償還乗換額を急に増やしたり減らしたりしない方が良いということだと思います。

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2013/10/10

○イエレン総裁キタコレとかミニッツとかのメモ

まあ何だ、米国に関してはどうせ財政協議の方が片付かないと先に進まないですし、その財政協議だってどうせ「年末まで先送り」攻撃になって本質的に片付くのはいいとこ来年の頭でしょと思っておりますので、そーゆー意味ではとりあえず週末に精読すれば間に合うかと思うネタがこの辺に。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/other/20131009b.htm
Statement by Federal Reserve Board Chairman Ben S. Bernanke:

『President Obama has made an outstanding choice in nominating my colleague and friend Janet Yellen to chair the Federal Reserve Board. Janet is exceptionally well qualified for the position, with stellar academic credentials and a strong record as a leader and a policymaker. 』

ということでイエレンさんが議長ノミネートで本来あるべき流れに戻って良かったですねとゆー所ですが、従来ハト派扱いでしたけれどもじゃあ今後どうなりますねんという話に関しては、逆さ絵先生のパターンを継承するとなりますと(というか多分もうそうならざるを得ないと思うが)議長という立場になった場合には個人的主張を全力で打ち出してくるという事は中々難しいのではないかとも思われます。

んでまあこの辺
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomc.htm

下の方に向こう3年間の投票権メンバー構成のローテーションが書いてありますが、次回はフィラデルフィアとダラスというタカ派連銀が入ってきて、クリーブランドはまあハトより中立でミネアポリスのコチャラコタ先生が今はハトなのですがこの人急にタカになったりハトになったりする人(物価が弱くなってくるとハトになるので物価重視系だという気もするが)ということで、地区連銀総裁のタカハトのバランスがちと微妙。

元々スタイン理事がタカ(というかBISビューバリバリ系)の流れなので、うっかりすると票決で3人位反対票が入るというような可能性もありますが、そこでどうまとめて行くのかとゆーのも中々大変ですなとは思われます。

イエレンさんの声明。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/other/20131009a.htm
Statement by Federal Reserve Board Vice Chair Janet L. Yellen:

でまあペライチだからとっとと読めという説もあるが後で読む(汗)。


なお、9月FOMCの議事要旨も出た訳で、どういう判断基準でTaperingに関する決定を行ったのかという辺りと、経済情勢に関するメンバーの見解がどう割れているのかという辺りが見所になると思いますが、同様に米国財政協議が進まないと次の話になりませんので、これまた週末の読み物候補ということでパスだが読み物候補と書いておいて自分にプレッシャーを掛けておきますね!!!(いいわけ)

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130918.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130918.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee

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2013/10/09

お題「入札関連雑談/時間軸がどうのこうのという話題があったのでうだうだとツッコミ雑談」

確か週の頭に0.1%台になったと言ってほうほうと思ってたのですが・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MUD7ZO6TTDTI01.html
米国債:1カ月物短期証券入札で落札利回りが08年来の高水準
更新日時: 2013/10/09 04:55 JST

『財務省が実施した1カ月物TB入札(発行額300億ドル)では最高落札利回りが0.35%と、08年11月以来の高水準となった。中国と日本は米国に対し、債務問題での協議の行き詰まりを解決するよう圧力を強めている。中国と日本は世界最大の米国債保有国で、保有高は合計2兆4000億ドル超に上る。財務省はこの日3年債入札(発行額300億ドル)も実施。落札全体に占める間接入札者 の比率が過去の平均を上回った。』(上記URLより、強調は引用者による)

米国政府とか連銀向けの担保にしておけば良いんじゃないですかね(てきとう)。

○入札関連雑談

・6MTB入札

ここでぶっこくの前に短国の話をおっぱじめるのが空気を読まないクオリティ。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20131008.htm

(3)募入最低価格 99円96銭9厘(募入最高利回り)(0.0621%)
(4)募入最低価格における案分比率 37.9510%
(5)募入平均価格 99円97銭0厘(募入平均利回り)(0.0601%)

つーことで平均足切りとも0.06%台という結果になりまして、まあそんなもんですかねえとゆー所ではありますが、何気に落札分布見るといわゆる不明玉が多めで、つまり月曜の短国買入で外した分の見合いとかのニーズも入ったということですかよく判らんけどと存じますが入れた本人じゃないとこういうのはワカランチ会長なので判断保留。

つーても6bpですから絶対水準的には付利金利の4つ下という素敵な水準であることは変わらないのですけれども、とりあえず9月中旬以降のパニック金利低下が一服して何よりと存じます。今週は今日の2M、明日の3Mとあるのですが、その後金曜にどう考えても短国買入がオファーされて、月曜のオペの入れ方から類推するとどう考えてもオファーが2兆円攻撃になるでしょうから、需給が緩んでも緩んだ側から日銀のバキューム買いが入ってしまう訳で、吸引力が強いのは掃除機だけにして頂きたいと思うのでありまする。

ちなみに今日の2MTBですけれども、12月足の2か月物TBは季節的なお約束として、償還が税揚げにぶつけられて、償還時にはロール発行されない上に、まあいままでのパターンを踏襲すれば日銀短国買入対象外ですので、使いやすいのか使いにくいのかというのは人それぞれではありますが、通常の短国とはちと違うのでニーズが凄く有るのか全然無いのかの両極端の悪寒もします(けど今回に関しては期末の金利馬鹿低下の影響で玉の持ちが足りない人が多いと思うのであんまり極端なことにはならないと思います)。

これで米国1MTBはアレなので米国ビルが変えなければ日本のビルが有るじゃないか!!とかなって2Mのビルのニーズが沸騰したらジャパンの投資家の皆様見事な貰い事故状態になるのですが海外の動きは益々わからんのでよー知らんですな(^^)。


・物価連動国債入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/resul047.htm

6.応募額 1兆1,231億円
7.募入決定額 2,999億円
8.発行価格 (募入最低価格)104円65銭
9.募入最高利回り ▲0.352%
10.募入最低価格における案分比率 46.4000%

ということで10年物価連動ですが、名目債の利回りが大体0.65%位の所にいたので、BEIはざっくり1.00%という結果になりました。事前の予想はもうちょっと弱めだったのですが、ただまあ出来上がりのBEI1%という数字自体は別に違和感なかったようですし、結果的に業者の持ちになったと思われる分もそれほど多くは無かったと思われるのでセカンダリーも堅調でまあ無事に終わってめでたしめでたし。

ちなみに物国の参照する物価指数は当然ながら「間接税の影響によって上昇した分は込み」となりますので念の為申し添えます。それで向こう10年のCPI上昇率1%とは何ぞやという話についてはまあ色々と要因について考えないといけませんのであまりてきとうなコメントはしないでおきます(本職のレポートでも見てちょ)と逃げを打つのでした。

ちなみに俺様用メモですが。

午前の買入消却
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/syokyaku/resul254.htm
3. 買入決定額 額面金額で202億円
4. 買入最大価格較差 ▲41銭
5. 買入最大価格較差に係る案分比率   40.6451%
6. 買入平均価格較差 ▲47銭5厘

第U非価格競争入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/resul047a.htm
6. 募入決定額 438億円

午後の買入消却
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/syokyaku/resul255.htm
2. 買入決定額 額面金額で2,022億円
3. 買入価格較差 ▲47銭5厘

ということですので、物価連動国債全体で見た場合、2999+438-202-2022=1213億円が新規に打ち込まれた(というか純増になったというか)という結果ですが、純増分がそこそこあるという事は入札時点で既発債との入れ替えニーズだけではない新規資金によるニーズが割とあったんですね良かったですねという所ですな、うんうん。

なお、買入消却銘柄の分析とかはめんどいのでパス。


○時間軸がどうのこうのというネタについての雑談

ちょっとうーんとなってしまう記事にリンクをしてアクセス数に貢献するのも遺憾というか、アクセス増えるもんだからベンダー的には評価が上がってしまい、益々ベンダー記事のアレ化に貢献する事になるのも甚だアレなのですけれどもまあリンクをば。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE99703A20131008?sp=true
アングル:日銀総裁発言が波紋、時間軸強化の思惑浮上
2013年 10月 8日 13:02 JST

『[東京 8日 ロイター] - 黒田東彦・日銀総裁が「異次元緩和」の時間軸強化に向け、事前準備を始めたのではないかとの思惑がBOJウォッチャーの一部で浮上している。』(上記URLより、以下同様)

どこのBOJウォッチャーだよちょっと出て来なさいという所ですが、どうもこういう事のようで。

『多くの金融関係者に「おやっ」と思わせる発言が最初に飛び出したのは9月20日の都内での講演会だった。』

これは従来と同じ話を繰り返していたきさらぎ会の講演で、あたくしとしては面白ネタでもあるかと楽しみにして読んだら何だこのコピペのようないつもの話はとゆー事でしたが、まあある意味予想通りでもあったので海原雄山状態にもならずにそっと閉じるという感じでスルーした物件です。

そういや昨日ネタにした総裁定例会見でもこの講演関連の質問があったが、あの時の質問は「フィリップスカーブをどうやって引き上げるんですか金融政策だけで足りるのですか」という質問だったのでほうほうと思って読んでおりましたが、もしかして時間軸強化という答えを期待した質問だったら???でありますな。まああの質疑応答要旨も適宜丸めているケースがあるので何ですけど。

『総裁は「安定的に2%の物価上昇率を実現するためには、景気が普通の状態の時に2%になるような経済・物価の関係を作る必要がある」と指摘。景気拡大期に仮に達成しても、その後の景気変動で再び低下しかねないという点を説明した。総裁は「普通の景気、つまり需給ギャップがゼロのとき」にこれを達成すべきとした。』

『しかし、BOJウォッチャーらが現実的だと想定していたのは「2%程度のプラスの需給ギャップ下での達成」(JPモルガン証券・チーフエコノミスト・菅野雅明氏)だった。より厳しい条件を持ち出した総裁発言について、BOJウォッチャーのもとには投資家からの問い合わせが相次いだという。』

んーっとですね、「安定的に2%の物価上昇を実現する」のだったら当然そうなるものであって、そもそも日本経済そのものが成熟モードであって、慢性的に供給不足経済で高度成長時代とか言うのでも無いのに、「常に需給ギャップがプラスの状態じゃないと達成できない物価水準」という状況を「安定的な水準」と定義する方がおかしいだろ常識的に考えてと思うのですが、何でこの発言をネタにするのか意味が分かりませんぞなもし。

事後的に見て潜在成長率が上昇を続ける経済でしたってんだったらまあ可能性はあるのかも知れませんが、それとて数年間のスパンではアリエールかも知れんがやっぱサステイナブルな話じゃない訳で、「需給ギャップがゼロの時に物価2%となるのが安定的な2%物価上昇である」というののどこがどう厳しい条件なのか小一時間問い詰めたい所です。

つまり、この話って単に「インフレ期待を高めることによってフィリップスカーブの上方シフトを起こしたい」という話をしているのを別の言い方でしているだけの事だと思うのですよね。何でそんなにネタになるのか判らんし、投資家からの問い合わせが相次ぐとはこれはこれはという所で。


まあ更に申し上げると、時間軸強化というのがこれまたアレでして、そもそも論として「2年で2%の物価安定目標を達成する」と言って「そのために必要な異次元緩和を行っている」のに、その時間軸を延長したら「2年で達成」の看板が外れる訳ですからそれは期待形成に逆方向に作用し、結果インフレ期待の上方シフトを困難にする訳で、政策論としておかしい罠と存じます次第で、何をどういう解釈してるんだかとちょっと首捻ってしまいますわ。

まあ何ですな、政策がどう見てもウゴカンチ会長になっていてネタが無いので無理矢理ネタを捻り出してご苦労さんという事ですかそうですかという風情も感じる詫び寂びの世界ではございますが、時間軸が仮に伸びるという話をするのであれば、木内さん提案のように「2%物価目標を中長期的に目指すもの」という定義をして(ここまでは木内さんと同じだが以下はあたくしが勝手に別の話をしているので念の為申し添えます)、現在物凄い勢いで行っている異次元緩和(MBを年間70兆円だかの勢いで増やすという無理のある状況)をもうちょっとマイルドに行い、その代わり期間を長めというか「必要な所まで実施する」という風にすればこれはまあリーズナブルなお話になります。

しかしそれって麿総裁の時の話と何がどう違うんだと言われるとこれがまた親分のキャラしか違わないのではないか(いやまあ買う国債の平均年限が長くなりますよとかのアピールはできますか)という説がだいぶある訳で、それ異次元緩和ちゃう麿緩和やとゆー話になりますので、中々今直ぐにそういう話にはならないですねという事で考えとしてはあってもまあねーわなという所ですな。


でまあ更にそもそも論を考えますと、先般ネタにした水野元審議委員のブルームバーグインタビュー記事の受け売りっぽくなっちゃいますけれども、「2%の物価目標水準というのが本当に妥当なのか」という話になると思うのですよね。つまりフィリップスカーブの上方シフトだと言ってもやはり2%の水準にいきなりジャンプというのは相当の無理がある訳で、そらまあその無理が上手く通れば良いんですけれども、フィリップスカーブ上方シフトの為に無理したものの空振りとなった場合に、その無理がどこかに変な歪みを作る訳で、それを考えたら「2%は中長期的目標」という看板は当然ながら残すとしても、現実問題として1%台前半から半ば程度の水準で安定的に推移しながら徐々にフィリップスカーブが上方にシフトして行って、それこそ需給ギャップゼロの時に1%程度の物価上昇にという辺りが金融政策として打ち出す妥当な線なんじゃないですかねとなるような気がしますがどうっすかね。

つまり元々のハードル設定である2年で2%というのが高杉晋作で、そのために無茶振り政策を実施しているっつーのをどこかで軌道修正しないといかんでしょというか、まあそのツケ回しが異次元緩和ローンチ後1年経過辺り、つまり来年4月の展望レポート辺りでツケあるいは手形の期日がご到来すると思われますので、その時にさてどうすんのという話にはなると思いますが、そもそも「MB年間70兆円拡大」という政策そのものが物理的に見て3年も4年も安定的に続けられるような代物ではないという前提を無視して「時間軸が伸びる」という話をするのってアホだろと思いますがね。

つーか記事の最後の方にこういうのがあるんですが。

『総裁の意図が時間軸強化による長期金利の低位安定にあるとしても、毎年70兆円のバランシートの拡大継続によって「長期金利がいずれ上昇に転じるのは不可避」(菅野氏)との声も少なくない。2年を超えた異次元緩和の継続について、井上氏は「国債購入の量をこれ以上拡大することには、疑問を感じる」と違和感を示している。時間軸の長期化は、将来の長期金利上昇というリスクを高める副作用も持ち合わせている。』(やっぱりさっきのURLより)

いやあのだから時間軸の強化して長期金利が上昇したら何のために時間軸強化するのよという話でありまして、もし時間軸で勝負するんだったら当然緩和ペースを落としてサステイナブルな形で緩和期間を長くできるようにしないとワークしないでしょと思う訳で、正直言って何を言いたいのか全くワカランチ会長な記事だったのですが、「何を言いたいんだかわからんのだが何だこの解説は」という質問もリアルで頂戴しちゃったりしたのでネタにした次第ではございまする。

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2013/10/08

なお本日は物価連動国債入札ですが無事に消費税増税決まっていて良かったですな。

うーむ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MU9Y1E1A74E901.html
GPIFに巨大な金利リスク、日銀の目標達成前提に備えを−伊藤教授
更新日時: 2013/10/08 00:01 JST

『伊藤教授は4日のインタビューで厚生年金、国民年金の積立金を運用する「GPIFなどが抱える金利リスクは非常に大きいというのが有識者会議の多数意見だ」と指摘。「真剣に金利リスクを捉えているのか、どうして国内債を60%も持っているのか。一義的にはGPIFが考えるべき課題だ」と述べた。』

『日銀の物価目標は「十分可能だ」とし、日銀が導入して、政府も共同文書に署名した以上、GPIFも「メ−ンシナリオとして考えるべきだ」と語った。』

『伊藤教授は、国内外の債券・株式や新たな運用対象の「何をどれほど増やすかは全く議論していない。数字を出すのは有識者会議のマンデート(責務)ではない気がすると述べた。』(以上、上記URLより)

これじゃあ「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」なのか投資政策委員会なのかがさっぱりワカランのだが、こういうのはちゃんと最終提言の最終形を出してきちんと説明して欲しい訳で、途中で会議の結論なのかニャンコ先生の個人的見解なのか判らないものが出てくるのは只のノイズにしかならないので勘弁して頂きたい物です。


○短国買入オペ2兆円とな

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131007.htm
国庫短期証券買入 20,000 2013年10月9日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2013年10月9日
国債買入(残存期間10年超) 2,000 2013年10月9日

長期が相変わらず4000億円のままで増やさないのかとか、10年物価連動国債の入札があるのに10年買うとはこれ如何にとか、そっちのネタも無くは無いのですが短国ネタで。

えーっとですね、今週は今日から木曜まで6、2、3か月の新発TB入札がありますので、昨日短国買入オペ入れないと金曜までオペが入れられなくなるので、まあオペがあるのは市場予想通りだったのですが、ロットがいきなり2兆円だったのはどこぞの北禿先生じゃないですけど「意外だが予想通り」って奴ですな、うんうん。

と申しますのは、まあ先週の3MTB入札は5bp台まで金利は上昇したものの、そうは言ってもその前の期末ギリギリの新発3Mはご案内の通り亜空間レートになっておりましたので、需給が別に悪いという訳ではなく、1兆5000億か2兆のどっちで打ってくるのかというと市場の需給、まあだいぶ緩和されましたがそもそもレート水準が5bp台で推移しているという事自体市場の需給が良いことを示す訳ですが、その需給が良い状況で予想される方の多い方を打ってくるとはあまり市場の需給に気を使っている雰囲気が無い罠、という解釈になるのが妥当というものでございます。

つまり、ここで市場の需給が依然として強めではある中で予想されるオファーのうち多目の方を打ってきたという事は、「こりゃまあ年末の残高を早めに積み上げたいんだなあ」という印象を与える訳でございまして、10月以降もハイペースで短国買入が入りやすい罠と思うのでありましたですよ。

でまあこれでオペが強くなったらプギャーにも程があるのですが、一応結果は以下の通り穏当になって、応札も多かったのでふーんという感じです。以下一応メモメモ。

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131007.htm
国庫短期証券買入 58,567 20,003 0.000 0.001 69.8
国債買入(残存期間5年超10年以下) 11,709 4,011 -0.009 -0.008 42.6
国債買入(残存期間10年超) 6,421 2,005 0.002 0.004 89.7

短国買入の下馬評としては1毛強とかになったらつえええという話だったと思うのですが、平均が引けで足切りが1糸甘になっていまして、買入オペのベースとなる7日発表の売買参考統計値的に言えば一番業者の持ちになっている筈の400回(先週の新発3M)の引けが0.055%になっているので、これはまあ重ければ入るでしょうけれども普通は5糸強とかで入れて来そうな水準でございまして、引けが強い銘柄としては入札水準が亜空間になった399回(先々週の新発3M)で0.045%になっていまして、これならまあ引けで入れてくるかも知れませんねという所で、まあ399回が入っているんだったらこの銘柄の償還は1月9日ですから年末残高を稼げて良かったですねという所ですな、うんうん。

ちなみに400回から後ろの銘柄も(403回WIを除き)0.047%か0.048%なので、そっちが入っても(あまり持ちが多くなさそうですが)残高は稼げるのですが、いずれにせよ400回以外の銘柄が主に入ったんでしょうかね、良く判らんが。


とメモが入りましたが、要するに昨日の短国オペのインプリケーションは「年末残高を早めに積み上げて安心したいんですねわかります」という事でございましたとさ、っつーこってす。

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2013/10/04

○短国は5bp台とな

めでたく400回というキリ番回号となりました短国ですが。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20131003.htm

(3)募入最低価格 99円98銭5厘0毛 (募入最高利回り) (0.0553%)
(4)募入最低価格における案分比率 1.3703%
(5)募入平均価格 99円98銭5厘7毛 (募入平均利回り) (0.0527%)

つーことで足切りが0.055%レベルまで流れましたが按分極薄で基本はその上のレベルということで、とりあえず期末に金利が急低下してさすがに買うのを見送りますかねという人が登場の巻っちゅう感じですかよく判らんけど。

まあ来週掛けて短国の居場所については決まっていくという感じでしょうが、9月に数字作りだか何だか知りませんが威勢よく短国の買いを(市場のキャパを無視して)行った結果金利水準が盛大にあばばばばーになったという実績を一度見せられた訳で、どうせ12月には似たような事案があり、しかも12月については年末年始の関係上短国入札(新規の玉供給)が前倒しで終わってしまいますので、年末年始はどう見てもあばばばばーです本当にありがとうございましたという予想は誰でも可能でして、しかも今年は年始4日が土曜日になりやがるので、年末年始の末初取引が1週間物ですから更にあばばばばーの悪寒がしますからして、まー普通に年末越えの運用については金利低下のリスクを勘案しながらという事になるでしょうね(つまり金利が上がれば上がった分だけ相応にジャンジャン買いが来やすい)と思われますがどうでしょうかね。


○これはまた身も蓋もない指摘を(^^)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MU17VK6JTSF001.html
債券市場は「壊れた温度計」、日銀は2%目標修正が最良−水野元委員
更新日時: 2013/10/03 13:22 JST

『10月3日(ブルームバーグ):日本銀行の審議委員を務めた、クレディ・スイス証券の水野温氏副会長は、国債市場について「表面的には安定している」としながらも、景気の先行きや財政規律の有無を測る機能は低下しており、「壊れた温度計だ」と語った。また、人々が望んでいるのは景気の持続的回復であり物価上昇ではない、とした上で、日銀は2%の物価目標をいずれ修正するのが「ベスト」との見方を示した。』(上記URLより、以下同様)

全くですなと存じますが、これはまた随分なケチョンケチョンモードでありまして、記事の方読んで味噌という所ですが、「2%の物価目標の修正」というのはこれはいずれ浮上する問題だと思うのですよね。

既に木内審議委員が「中長期的に目指すべき」という提案をしている訳ですが、そもそもこの「2%」の数値自体が実際の数値なのか見通し数値なのかという部分も曖昧になっていますし、仮に見通し数値とした場合のタイムホライズンも不明確ですしという事ですが、ただまあこの「修正」に関しては実際の物価指数が0%台であるうちにその話をしてもただの逃げにしか思われないでしょうから、せめてCPIが1%台に乗ってきてからさてどうしましょという話になるんでしょうかね。

とは言いましても、異次元緩和をローンチして半年経過しちゃいましたので、「2年で2%」の落とし前に関しては来年の春にはそろそろ手形の期日状態になると思うのですけれども、まあ現状では(上記記事にもありますが)経済物価情勢はオントラックでドヤ顔モードになっておられるので、落とし前の件に関しては恐らく来年4月の展望レポート位になってやっと問題になると思われ、それまでロジカルに考えたら追加で何かをするのも無いですし、一方で物価目標の見直しみたいなことも無いでしょうし、ひたすら「経済はオントラック」というだけでしょうなあと思われます。


しかしまあ何ですな。

『8月の生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)前年比はプラス0.8%と事前予想を上回る伸びを示した。黒田総裁は9月20日の講演で、2%の物価安定目標について「実現に向けた道筋を順調にたどっている」と自信を示した。しかし、水野氏は2%の物価目標の是非に対しても疑問を投げ掛ける。「日銀は2%を目標を掲げているが、欧米諸国で消費者物価 上昇率が1%台前半というディスインフレが定着していることをみても、2%の物価目標はもはやグロバール・スタンダードだとは言えない」と指摘。「家計にとって賃金上昇を伴わずに物価が上がることが一番辛い。既に電気料金が10%上がっていて、生活費も上がっている」と語る。』

昨日ネタにした生活意識アンケートで絵に描いたような結果が出ておりましたな。

『さらに、「ほとんどの人は、デフレ脱却イコール2%の物価上昇だとは思ってないはずだ。『え、デフレ脱却って2%の物価上昇という意味だったの? 不況脱出のことだと思ってました』という人がたくさん出てくるだろう」という。』

そうですな。

『その上で「仮に1%か、1%から1%半ばくらいの物価上昇が定着し、政府も日銀はよく頑張ったと言って、最終的に2%という『物価安定の目標』を修正し、1%か1−2%にすることができれば、日銀にとってはベストだろう」と言明。「日銀が2年で2%の物価目標の実現を目指して、日本経済が良くなるのか、この政策をやることによって皆が前よりも幸せになるのか、これらを答えられないと、この政策は難しくなってくる」としている。』

というご指摘ご尤も。まあ良く良く考えてみるとそもそも論として経済に関する政策というのは国民を幸せにする為のものであって、「2年で2%」という設定に対して本当にそれで良いのかという検討が後からやってくる、というのも政策としては変な話ではあるなあと思いますけど、まああの状況では日銀的にシャーナイというのもこれまた分かりますので、適宜大風呂敷に関しては適切に畳んで頂きますように退却戦を上手にやってくらはいと思うのでした。

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2013/10/02


○オペ雑談

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of131001.htm
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年10月3日 2013年10月10日 0.590
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年10月3日 2014年2月3日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba131001.htm
米ドル資金供給(固定金利方式)(10月3日スタート分) 0 0
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(10月3日スタート分) 4,100 4,100

んでまあ買入系の話はその後に余計な雑談が付くのでその前に、共通担保資金供給全店固定金利方式ちゃんですが、10月3日に足が来るのも8000億円程度ありまして、このロールが今回4100億円に減少と相成りまして、これで固定金利オペ残はまた4000億円程度減少するので、たぶん残高は17兆円台前半の水準に減少とかそういう話になるんじゃなかったですかね。

これ市場金利動向にもよるのですが、GCレートやTBレートが低水準を維持するという形になる場合(というかなるのだが)、固定金利の水準との兼ね合いとか、そもそも超過準備が拡大するとその分世の中金余るのですから金イラネとなったりという事で、固定オペのニーズが減るのでその分の埋め合わせェ・・・・・という事になりますな。まあシャーナイナイなのですが。

で、ドルオペの方はまあ良いとしまして、昨日も短国買入がスキップとなりまして、これで今日短国買入をやるのかどうか知らん(短国の場合は別に事前にヘッジのショートを入れるという事はしないので入札の前日に日銀が買入をするのはただの嫌がらせプレイなのですが)のですが、今日実施しないとなりますと実質1週間スキップ(仮に今日スキップした場合には木金は入札にMPM2日目だから実施しない筈なので月曜になる)することになるのでちったあ需給は改善・・・・するかというとまあ結局需給は強いままですけどね。

しかしまあ何ですな、先週来申し上げておりますように、先週火曜日(実質月曜日)に実施した短国買入1兆5000億円が明らかに余計で、その前の週にあった短国入札3連発で入札が後に行く程過熱して金利がアチャーな低下をしていた時点で、市場の需給逼迫を配慮して市場機能に気を使う積りがあるのでしたら買入パスするだろと市場の中の人的には思うのですが、先週火曜日に買入やって市場を荒らした後になって配慮とかされましてもですなあとゆーのを連日グチグチと申し上げておりますが・・・・・・・・・・

んーっとですね、いやまあ色々と難しいというのは判るのですけれども、どうもこのオペに関連しては過去にもちょくちょくイチャモンを申し上げておりますように、何か市場動向に対しての反応が悪いというか、簡単に申し上げると「反応するのが遅い」という傾向が時々見られるんですよね。

つまりですな、オペレーションをディレクティブ達成ということで機械的にやって市場の需給がおかしくなっているのにそのまま淡々と実施する(またはしない、というのもある)中で市場がシャレにならない水準まで逝ってしまった後に急に市場配慮型のオペ運営になるというのが微妙でして、いやまあ市場に配慮しないままだとそれはそれで困るのですけれども、市場が変に進み過ぎるまで放置プレイしてその後取り返すのに市場配慮運営をするというのは、市場に対して不必要なボラティリティーを与えると同時に、修復のコストが事前対応型よりもより多く掛かってしまいますので、政策技術論的にもあまり上手いやり方とは思えないのですよね。

まあ今のように市場金利が潰れる方向の場合はこの手のボラ拡大事象についてもまあ笑ってすまされる部分がある(ちなみに当事者的にはあまり笑えないのですが、全体の中で見た場合という話ではそれにより市場全てが崩壊するという話では無いよね、という程度の意味です、為念)のですが、例えばリーマンショックの後のGCレポ市場とかCP市場とかの動き(そういやあの時には後日「CP現先オペで金利低下効果が出た」というお前どう見てもそれ当時の事実と違う分析だろというレポートが日銀から出て悪態ついた覚えがありますが)に対する対応とか、洒落で済まされない時もある訳でして、今はまあ良いですけれども、今後異次元緩和の風呂敷をどう畳みますかという話になった場合に、これまでの調子で「後付け市場配慮型オペレーション運営」というのをやっていると、出口政策のコストが莫大なものになってしまうという潜在的なリスクが有るんじゃネーノとまあそういう風に思うのはあたくしだけではありますまいて(ただし短期市場でレポとか短国とかCPとかの所謂オープン市場にそこそこ興味がないと実感は無いかも知れんので全部で100人居るかいないかですかそうですか)と存じます次第。

つーことでまあオペレーション運営に関しては従来インターバンク系については芸術的としか申し上げようがない運営ノウハウがあるのですが、金融政策のステージが非伝統的政策となり、インターバンク市場ではなくオープン市場とか、もっと外延になる債券市場とかのように、正直中の人間でも何がどうなっているのかの全体像がつかみにくいというカオス度のより高い市場における市場秩序の維持とかゆーのは普通に他の中銀でもヒーコラもんだと思いますけれども、特に日銀の場合は異次元緩和前なら兎も角、異次元緩和という異次元なものを打ち込んで既に直近の短期国債市場のように異次元な市場動向になるという状態になっておりますので、真面目な話風呂敷を畳むときの事を考えた運営というのも考えて頂きたいと斯様思うのであります。今の調子で出口に突入すると債券市場とか大変な事になりそうな悪寒。

#なお2%物価目標がそもそも逝かないので出口は無いというツッコミはしないのがお約束


○消費税予定通りですな

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131001/plc13100121500023-n1.htm
首相、来年4月から8%を正式発表 5兆円規模の経済対策
2013.10.1 21:49

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/k10014952611000.html
来年4月から消費税8% 首相会見
10月1日 18時35分

しかしまあ毎度思いますが、消費税増税に対する消費の落ち込みに対応するなら戻し税方式の特別減税を一時的に実施する方が直接効果あるだろというのはポジショントークですかそうですかという所でありまする。

しかし消費税増税分は社会保障に使って法人税下げて復興財源は確保してとか、どういう計算になっているのか知らんですけれども、その上に国土強靭化に五輪対応ヒャッハーですからにゃあと思いつつ、そんなことよりもどうせまた社会保険料とかで給与所得者の懐直撃弾でしょと思うのでありました。

東京新聞(=中日新聞東京本社)から
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013100102000117.html
企業優遇策だけ先行 個人の負担は増加
2013年10月1日 朝刊

『政府と与党がまとめる経済対策で、焦点だった復興特別法人税は「前倒し廃止について検討する」と明記して決着した。だが実際に廃止となれば、国民全体で東日本大震災の復興費を分かち合う理念はかすみ、企業優遇策に資金が回ることになる。法人税減税分が賃金上昇につながるかも見通せず、「企業は減税、個人は消費税増税による負担増」の構図が現実になろうとしている。』(上記URLより)


でまあ復興税の法人分に関しては年内に廃止らしいですが、個人の利子配当所得に関する復興税分は継続ですねわかります。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013100102000118.html
復興法人税 年度末廃止検討で合意
2013年10月1日 朝刊

まー消費税云々以前の問題でどうせ社会保険料とかそっちの方も上がってくる(10月徴収分から上がるんじゃなかったでしたっけ)んですけれどもね!!!!!orzorz

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2013/10/01

ムーシャ大明神が欧州に目をつけられたようですorzorzorz
http://www.musha.co.jp/5010
ストラテジーブレティン (106号) ユーロ危機の終息
〜欧州が先進国主導世界経済回復の機関車に〜

>ユーロ危機の終息
>ユーロ危機の終息
>ユーロ危機の終息

中国に対してご託宣を下された際には連発でdisって下さったというのに・・・・・・・


○ニュースクリップ

・ガバメントシャットダウン(17年ぶり5回目)とな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MTYBQZ6JTSEX01.html
17年ぶりの米政府機関閉鎖に近づく−上院が下院修正案を否決
更新日時: 2013/10/01 05:37 JST

まー今晩から一部止まってもどうという話では無いみたいですけれども、債務上限の方もこの調子でギリギリまでなだれ込みそうで、まあそっちの方がテクニカルとは言え連邦政府資金繰りの問題になるので困りますぞなというのと、経済統計が全然でなくなるのでTaperingどころの話じゃなくなるのと、それはそれとして次期FRB議長ノミネートがどうのこうのという件もこれじゃあどこかに逝ってしまいますなという話で、こら金融政策が動けませんわという状態ですな。

つーことでこの調子だと10月末のFOMCは何もできず、12月に何か出来るかという話ですが、ど〜せ足元では暫定合意しかできずに年末か年始になだれ込むのが毎度の仕様ですから下手したら来年1月でも何も出来ないですなハーコリャコリャ。


・さて消費税増税ですがその他のニュースも含め

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/t10014932393000.html
首相 消費税率の引き上げを表明へ
10月1日 4時14分

そこまで賃上げにこだわるなら初手から所得税戻し税とかで対応しろよと思うのですけれども、ど〜してそう法人減税にこだわるんですかねえ。まあしかし消費税増税する側から大盤振る舞いしてたら肝心の財政再建はどこへやらという気もするので、何か最近努力する方向が微妙な気はする。


今朝の公共放送ニュースは消費税ニュースと経済対策ニュースの次にこのネタを熱心にやっておりましたぞな。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131001/t10014931841000.html
食料品の出荷価格 引き上げ相次ぐ
10月1日 4時14分

『円安による原材料の高騰などを受け、牛乳やごま油など、日常生活に必要な食料品の出荷価格が10月に入って相次いで引き上げられ、消費者が手にする商品の値上がりにもつながりそうです。』(上記URLより)

いち一般ピープルの第2種兼業主夫として申し上げますと暫く前は値上げしてたのですが、最近は「値札の価格は元に戻して量や質で調整」という流れが来ているように思えるのですけれども、まあ極私的個人的印象なので良く判らん。物価統計上はどっちでも同じなのでしょうが、出来上がりの消費統計の方に影響が跳ねてくるような気がしますが、あくまでも私的印象なので普遍性はありません。まあ独り言。

#ちなみに公共放送ですが「消費税増税に備え街の人は」として節約するだの服などを買わないだのダンナの小遣い減らすだの景気の悪いインタビューを7時のニュースで放映してましたぞなもし


なお、全然関係ないですが安倍ちゃんェ・・・・・・・・・

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201309/2013092700162&g=pol
アフリカは「稼ぐ農業」を=安倍首相 (2013/09/27-08:15)

『【ニューヨーク時事】安倍晋三首相は26日午後(日本時間27日早朝)、コートジボワールのウワタラ大統領、マラウイのバンダ大統領らと国連本部で会談し、アフリカの農業について意見交換した。首相は「『食べるための農業』だけでなく、『稼ぐための農業』を目指すべきだ。農民が豊かな生活を送るようになれば、アフリカは巨大な消費市場へと変わっていく」と述べ、経済発展を見据えた農業開発の必要性を訴えた。』(上記URLより)

あのですな、モノカルチャー経済とか飢餓輸出とか言う言葉がございましてですなあ・・・・・・・・・

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