決定会合議事要旨や金融経済月報などについて(2025年度下期に書いた分)
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2025/10/02「9月短観は10月利上げの後押し材料になる強い内容ですよね」
2025/10/01「9月会合主な意見は総裁会見の説明とだいぶ温度差があって利上げの議論が相当行われていました」
2025/10/02
お題「9月短観は今月の利上げを排除しないというか普通に後押し材料じゃろ」
????
https://www.afpbb.com/articles/-/3601072
トランプ氏、自身をノーベル平和賞に選ばないのは「米国への侮辱」
2025年10月1日 7:47 発信地:クアンティコ/米国 [ 米国 北米 ]
『【10月1日 AFP】ドナルド・トランプ大統領は9月30日、複数の戦争解決に貢献したと主張し、自身をノーベル平和賞に選ばないのは米国への「侮辱」になると述べた。』(上記URL先より)
〇日銀短観は10月利上げの障害にならないというか後押しになりますなあ(いつもの私家版チェック)
ほいな
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2509.pdf
短 観(概要)―2025年9月―
第206回 全国企業短期経済観測調査
< 回 答 期 間 > 8月27日 〜 9月30日
だいたい前半2週間くらいに回答されるものが多いらしいようなことを聞いた覚えがあるので、9月とは言ってますけど概ね9月前半の状況なんですかねという所で・・・・・・
・今回の短観は堅調な内容だったと思いますがまあこれからの材料待ちですしおすし
前回6月短観は悪くなると思いきや全然悪くない内容で、関税で国難とは何だったのかというような風情ではあったので、債券先物10銭ちょい反応しておりました(その後10年国債入札が激強の結果となったので全ての話がすっ飛んでしまいましたが)って感じでしたが、今回は今回で同じく全然悪くない内容だと思うのですが、これまた債券先物ちょっと反応してたように見えますけれども、その後期初の買いだか何だかしらんけど先物ホイホイと上昇した、と思ったら引けに掛けてはヘロヘロとしてて、結局まあ達観すればあんまり反応してなかったたって事になるのかなとは思いますが、そりゃまあここから先植田さんの講演会はあるし(と言っても自民党総裁選の前日になってしまったのでただで無くさえチキンさんの総裁が10月の話とかできんじゃろとしか言いようがない)自民党総裁選あるし、というところですかね、知らんけど。
とは言いましても7−9って成長率弱いと見込まれる筈のところでの短観なのに全然弱くないじゃんという物件だし、後述しますが企業の価格設定や物価観に得な変化もなく引き続きインフレ期待は確りとしている、という結果ですので、10月利上げをしない理由というものも特にない、ってお話ですな。
ただまあ別に10月に利上げしないと大変な事になるという訳でもない(10月利上げしなかった場合にいつものハトハトチキン踊りが出てしまって円安爆誕となると大変なことになるのですが・・・)という説もあるのですが、ゆうてこれもう1月(=年末の米国の消費と国内企業の冬季賞与設定と来年の春闘の出足の雰囲気が分かる段階)までの間に余程の下方屈曲が起きない限り利上げって話になりますよね、とは思うんですけどね、個人の感想ですけど。
・業況判断DIは「前回の先行き下がる見通しよりも全然強い」し何なら前回の短観はトラ公前なんですよ!!!
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +13→+12 +14→+12
製造業中堅企業 +10→+6 +12→+8
製造業中小企業 +1→▲2 +1→▲1
非製造業大企業 +34→+27 +34→+28
非製造業中堅企業 +25→+17 +24→+18
非製造業中小企業 +15→+9 +14→+10
ということで、いつものように「前回出ていた先行きの慎重な見方に対して結果は上振れ」で「そうは言っても先行きは現状よりも慎重」って結果になっていますが、こちらは基本的に短観DIが強いときに景気のモメンタムが盛大に良くない限りは先行きDIって足元対比で堅めに出てくる傾向が強い(と15年以上見てて思う)ので、まあこれは普通に堅調な結果でっしゃろと思います(たしかBBGの集計してた予想は大企業製造業+14だったので見事にインラインだったかと)。
ちなみに前回6月短観の時に書いた駄文を再掲しますと、
+
こちらですけど、何せ前回の短観は「 < 回 答 期 間 > 2月26日 〜 3月31日」でして、短観の回答ってのが概ね回答期間の前半の早いうちに回答される傾向がある、という風に聞いておりますので、すなわちあの4月に出たトラ公のキチガイ関税は織り込んでいない(トラ公の事だからある程度のブラッシュボールは投げてくるじゃろというのは織り込んでいたと思いますが)訳でして、その状況でトラ公に対するフワッとした懸念段階で出した先行きの下げ(特になぜか非製造業)見通しに対して、今回って軽々と上方修正していますし、殆ど3月短観から現状DI変わっていないという結果になっておりますので、これは堅調堅調。
ただまあどうせ大本営のことですから、「米国関税政策の悪影響はこれから出てくるんです」とか言い出す下がる下がる詐欺によってこの数字は追い風参考記録扱いしてくる、に1万ジンバブエドルといった所です。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文より)
まあ何ですな、この「米国政策の悪影響はこれから出てくる」攻撃は結構便利で下がらなければ何度でも使えるし、そりゃまあトラ公のやってるのって正気の沙汰とは思えないような事をやっているし、なんだかんだいって外国に対するカツアゲに成功しているのでその分米国内での悪影響が緩和されている面もあって(当然こっちが煽り食うんだが)イマイチはっきりと分からんまま推移するって事なのかもしれませんけれども、どこまで「米国政策の悪影響が懸念なので今の大規模緩和を物価高にも関わらず継続しますコケコッコー」というのが通じるのかというのは良くわからんですなwww
いずれにしましても企業セクターは全般的に見れば堅調です、ってのが1ページ目に堂々と出ているというお話。
しかしまあ何ですな、「自動車」セクター見ますと、
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→12月予測
「自動車」大企業 +8→+7 +10→+8
「自動車」中堅企業 +13→+0 +16→+2
「自動車」中小企業 +0→▲8 +5→▲3
まあ「先行きは警戒ですぅ」というのは特に中堅中小で今回も示されてはいますけれども、自動車の追加関税が無事に引き下がったことで何のことは無い業況感改善している訳でして、「関税政策の影響がこれから出てくるから云々」の話は、ここから米国のキチガイ政策によって米国経済が悪化するというルートが残っているとは言え、直接的な関税云々の話はもう一段落なんじゃネーノとしか思えないんですけど、それでも「米国の影響ガー」で利上げを引っ張るんですかねえ・・・・・・・
いやあのですね、これが今の政策金利水準自体がより中立金利っぽいところに近いような水準(知らんけど少なくとも1.5%とかそういう今よりも全然高い水準じゃろ)にいるなら「米国の影響ガー」で様子見地蔵をするのは分かるんですけど、政策金利水準が0.5%で思いっきり金融政策でアクセルベタ踏み状態で物価は3%だ何だと言ってて物価高で国民の不満が爆発して人心が荒廃しつつある今日この頃な訳ですから、そらお前らこの馬鹿緩和の調整をしろよとしか思えんのだが・・・・・・・
・企業の販売価格見通しはトラ公関税大会を経た6月9月短観でも安定推移していますよね
販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.8%→3月:2.9%→6月:2.9%→9月:2.8%
3年後 9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%→12月:4.2%→3月:4.4%→6月:4.3%→9月:4.3%
5年後 9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%→12月:5.0%→3月:5.2%→6月:5.1%→9月:5.2%
大 企 業 製 造 業
1年後 9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.2%
3年後 9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.4%→6月:3.1%→9月:3.2%
5年後 9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%→12月:3.4%→3月:3.7%→6月:3.8%→9月:3.9%
大 企 業 非製造業
1年後 9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.4%→6月:2.3%→9月:2.3%
3年後 9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.1%→6月:3.2%→9月:3.4%
5年後 9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%→12月:3.6%→3月:3.5%→6月:3.9%→9月:4.1%
とまあここ2年の推移を出すと普通に堅調なまま安定していますし、何なら(人件費などの影響が大きいという話になっている)非製造業の5年のところとかホイホイと上昇しているのでして、ハトハトチキン先生は相変わらず企業行動の下方屈曲が懸念されますって言いそうですけど、どう見たって企業の価格設定に関するノルムがゼロノルムからプラスのノルムに変化した、ということでここは高田っちの9月会合での意見そのものじゃん、と思います。
でですね、うっかりしておりましたがこれ前回駄文書いたのに対して日銀に土下座しないといけないのがありましてですね・・・・
(ここから前回6月短観を見て7/2に書いた駄文より)
この推移を見ますと、どこからどう見ても「企業の価格設定行動はこの2年間ほど全然変わらずに堅調」としか言いようが無いと思うのですが、これまた「米国関税政策の悪影響は以下同文」と言い張ってくると思います。まあこれを受けて7月展望が4月にクソ下げしたものを撤回でもすれば日銀も大したもんですけど、そんなタマではない、というのは散々見ておりますのでwwwww
(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文より)
よくよく考えたら7月展望レポートで物価見通しの足元だけですけれどもバチクソ引き上げておりました。結局足元だけしか上げてないので政策に直結しないという残念な上方修正ですけれども、珍しくあっさり味で見通し違いを認めて上方修正していたのですが、短観の時にこんな悪態ついてたの忘れていましたのでジャンピング土下座をさせていただきます(^^)。
・企業の物価全般見通しも同様でこの2年くらいずっと高値安定しているんですけどね
物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%
3年後 9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%
5年後 9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.4%
中小企業 製 造 業
1年後 9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%
5年後 9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.5%→9月:2.6%
中小企業 非製造業
1年後 9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%
5年後 9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%
これに対する感想ですが、前回7月短観の時に書いた駄文からまったく変わりませんので再掲しますwwwwwww
毎回申し上げていますが、こちらで大企業じゃなくて中小企業をだしているのは、かつてこの短観の数字を出しだしたときに日銀大本営は「大企業の価格見通しはエコノミスト見通しや市場見通しに影響されやすいが、より一般の見方に近いのは中小企業の見通しである(
ー`дー´)キリッ」とか言ってたんですが、黒田末期以降は利上げを渋る屁理屈を並べるのに忙しいので、すっかり言わなくなっているので可哀そうなので掲載している次第でありますw
でまあ今回は確かにスライトリーに下がってい入るものの、結局のところこの2年間ほど特に著変は無い、とも先ほどと同様に言える訳でございまして、「そもそも論として何を持ち出せば「インフレ期待がまだ2%に届いていない」とか言えるのか、というのを日銀は真面目に示すべきではないか、と斯様思う訳です、ってのを毎回のように言っているのですが、ひたすら誤魔化し続けているのが変わっていない、というのも皆様ご案内の通りかと存じます。
・販売価格判断と仕入価格判断は前回見通しよりはやや弱め(絶対水準は強いけど)
販売価格判断
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +25→+27 +24→+25
製造業中小企業 +27→+31 +25→+31
非製造業大企業 +34→+30 +28→+32
非製造業中小企業 +30→+33 +28→+33
仕入価格判断
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +39→+39 +38→+39
製造業中小企業 +54→+56 +52→+56
非製造業大企業 +45→+44 +41→+46
非製造業中小企業 +54→+56 +52→+57
ということでこちらの数値ですが仕入、販売共に「見込みほどは上がらなかった」という数字なので、まあ一応物価がこの後一旦上昇率は鈍化する、という見通しに整合的ではありますが、ゆうてこれ数字自体は強いのでまあ水準が下がるとかそういう夢のようなお話にはなりませんですね。
・雇用判断DI:ここのところずっと「見通しほどは一段の引き締まりなし」ですが今回は全般少しずつ逼迫傾向ですかね
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 ▲18→▲22 ▲19→▲22
製造業中堅企業 ▲24→▲28 ▲25→▲28
製造業中小企業 ▲23→▲28 ▲25→▲31
非製造業大企業 ▲39→▲40 ▲39→▲40
非製造業中堅企業 ▲46→▲48 ▲46→▲50
非製造業中小企業 ▲46→▲50 ▲46→▲50
これも傾向は同じで、毎度「先行き更に雇用人員が逼迫するという見通し程には引き締まらない」という結果ですが、今回は全般的にちょっとの数字ではあるのですが、雇用人員の逼迫度合いが全体的に強まっているように見えるなあとは思いました。
・設備投資計画:別にコケる気配が無いんだが・・・・・・・
▽設備投資額(含む土地投資額)の足取り
ってコーナーが短観の13ページ以降にありまして、例によって図表を貼り付けるスキルも無ければそもそも貼ってよいのか問題もあるので貼るのは割愛しますが、ここの数字を過去の足取りと比較すると、別に今回米国関税政策の影響が出て設備投資が下方屈曲、という図にはなっていないように見えますよね・・・・・・・
とまあそういう訳で私家版チェックをしてみましたが、この短観だと10月利上げを排除する理由にはならんじゃろ、としか思えませんが、ゆうてそこで利上げ観測が高まったかと言われると昨日の市場ちゃんだとよくわからんとしか言いようが無い結果だったと思うの。
・念のため昨日の相場についてロイターさん謹製解説を貼っておくの巻
まいど恐縮です
https://jp.reuters.com/markets/japan/Q7IWGH4HS5LNDOXXIHSOKIWUKE-2025-10-01/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、長期金利1.645%で横ばい 方向感乏しい
By ロイター編集
2025年10月1日午後 3:35 GMT+9
『[東京 1日 ロイター] - <15:15> 国債先物は小幅続落、長期金利1.645%で横ばい 方向感乏しい
国債先物中心限月12月限は、前営業日比1銭安の135円78銭とわずかながら続落して取引を終えた。前日比プラス圏で推移した時間も長く、相場の方向感は乏しかった。新発10年国債利回り(長期金利)は同横ばいの1.645%。
きょうの国債先物は、小幅な買い先行でスタート。その後9月調査分の日銀短観が売り材料となりマイナス圏に沈んだが続かず、取引序盤以降はプラス圏で推移。しかし相場に強い方向感は出ず、先物相場は取引終盤に再び小幅マイナスに転じて取引を終えた。』(上記URL先より、以下同様)
ということで同記事のその後を見ると何とかストの方に喧嘩を売られているような記載があるようにも見えますがwwwそれは兎も角として、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.945 0.955 -0.001 15:25
5年 1.225 1.233 0.001 15:25
10年 1.642 1.649 -0.003 15:25
20年 2.602 2.616 0.004 15:26
30年 3.144 3.163 0.015 15:26
40年 3.371 3.393 0.022 15:25』
ということですが、短い方がイマイチ反応していないっぽいのでまあ今回は反応薄って評価だとはおもうのですけれども、ただまあ野口さんの札幌講演、9月会合主な意見、というのを見れば次の利上げって10月にあるかどうかは兎も角としても時間の問題でしょって感じではあるかと思いますので、今後に関してはそもそも論として今次利上げ局面で1%で政策金利調整が終わるのか問題のリプライシングがどうなるか、ってお話になるんじゃないかと思うのですよね。だってガチに2%物価安定目標達成しているんだったら名目政策金利1%が中立金利って経済は何ぼ何でもねえだろということで・・・・・
期末期初で中々手が回らなくて手を付けられていないネタが積みあがる上に、駄文のネタって時間が経つと証文の出し遅れで読み物として成立しないものもあるので甚だ恐縮ですが期末期初進行を成敗しないといけませんわ(滝汗)
2025/10/01
お題「9月会合主な意見は10月の利上げを全然排除しない(むしろやるんじゃねえか位の勢い)内容でしたな」
下期入りということでこれからもよろしくお願いします(^^)
〇9月決定会合主な意見は利上げ提案に対して一蹴ではなく議論があったことを示すかと
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250919.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 9 月 18、19 日開催分)
・経済に関しては企業行動と消費と米国経済というお話ですな
まあそりゃそうよという話ではありますが、『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』の部分の意見自体は少なかったのですが、
『・ わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。先行きは、各国の通商政策等の影響を受けて成長ペースは鈍化するものの、その後は海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくとみられる。』
というのは公表文の公式見解なのでさておきまして、次からの意見が・・・・・
『・ わが国経済の現状は、まずまず堅調である。米を含む食料品の価格上昇の加速が天井を打ち、これまで回復軌道に乗らなかった個人消費が漸く上向きつつある。』
ほうほうそうなのか、という感じですが実際問題として食料品価格に関しては上昇せずとも水準が下がるわけでもないし、何なら10月からも値上げ自体は続くんで大丈夫かね、とは思いますけど。
『・ 企業の積極的な経営姿勢が維持されていることを、短観や企業ヒアリング情報で確認したい。』
ということで今日の短観と今月の支店長会議での報告は注目される所です。
『・ 設備投資を材料に経済情勢を判断する際には、企業内での計画策定と実行のタイミングに大きなズレが生じ、状況が変わり得ることに、留意する必要がある。』
そりゃそうなんだが端折りすぎていて「だから何なのか」がイマイチ分からん。
『・ 米国の関税政策の米国経済や世界経済への影響は、インフレや雇用の急激な悪化という形ではなく、じわじわと時間をかけて出てくる見通しになってきている。』
この点については「だから永遠に様子見をします」という風には読めそうな意見なのですが、ゆうて永遠に様子見してて良いのかという問題があるがそれは物価とか金融政策のパートの部分での考え方によりけりで、「だから永遠に様子見」なのか「そうは言ってもどこかでエイヤーと判断(綺麗な言い方をすればフォワードルッキングに判断、となるw)するべき」という話になっているのか、これだけだとどっちだか分からんですね。
『・ 最大のリスク要因は、米国経済の先行きである。米国の関税政策それ自体による不確実性は低下していくと思われるが、仮に今後、関税によるインフレが米国経済を大きく下押しするようであれば、わが国経済も影響を免れない。』
米国のインフレが米国の消費をコケさせて輸出が落ちるルートが懸念ってのはまあ話は分からんでもないのですが、これも言い出すと無限に様子見ができる(「これから悪影響が出てくるはず」となるから)ので、その点では除く大本営で5本の意見中様子見地蔵が後半3件、手前の2件が積極派ですな。
・物価については高田さん田村さん以外にも物価上振れの二次的波及に言及している人がいるような気がします
次が問題になりそうな物価のお話。『(物価)』ですな。
『・ 消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』
最初は常に公表文書通りの大本営なので次に行きます。
『・ 加工食品の大幅な値上げが続いているが、輸入物価の上昇が落ち着いている中でも、一部の企業は積極的な値上げに踏み切っている印象もある。消費者の購買状況次第では、値上げの流れに変化が生じることもあり得る。』
この人の意見は前半は輸入価格上昇の二次的効果が出ているような話になっているのですが、後半は物価高が消費を下押しして企業の価格設定の積極性が落ちる可能性がある、ということで謎の両論併記ですな。
『・ 物価の先行きについては、輸入物価や米などの原材料価格のトレンド、食料品価格への価格転嫁の継続度合い、食料品以外への価格転嫁の広がりの3点に注目している。銘柄米の価格水準は見通し対比でやや強めに持続する可能性があるとみているほか、データやヒアリング情報を踏まえると、食料品価格への価格転嫁の継続性が高まっているように思う。』
現在の物価高を引っ張っている食料品価格の上昇に対して、今の日銀大本営の見解では「これはあくまでも食料品価格というセクターでの上昇であって二次的な波及による一段の物価高の広がりは起きない」という読み筋になっていて(だから食品価格の上昇率が落ち着いて来れば(=価格水準が下がるとは言ってない)物価上昇率は2%を下回る、という見通しなのです)、その大本営見解に対して「それは違くね」というお話をしていますね。つまりは物価上振れリスクの指摘かと。
『・ 食料品価格の上昇の相当部分は米価を起点とするものだが、米価以外の要因に基づく部分もかなりの比重を有する。』
まあそうですね。ただ問題はそれがセカンドランドエフェクトを起こすかどうかなのでその見解も聞きたいところでした。
『・ 基調的な物価上昇率は、2%に向けて緩やかに上昇しているものの、なお2%に至っていないと考えている。そのうえで、食料品価格の上昇が想定以上に長期化した場合には、予想物価上昇率を通じて基調物価を押し上げる可能性がある一方で、家計のコンフィデンスの悪化が個人消費に影響すれば、基調物価を押し下げる方向に作用する可能性もある。』
言ってることは大本営で、こちらは「基調的な物価」の大本営パターンですけど、これ字数制限が元々あるので(たぶん300位)大本営で手分けして入れ込んだ感じなのか、それとも大本営以外の委員が書いているのか、よくわからんですな。
『・ 基調的な物価上昇率には推計の幅や計測誤差もあるため、2%に達したか、伸び悩んでいるかの識別は容易ではない。一方、2%近傍で定着したかを丁寧に確認する必要はあり、モデルからの示唆も含めてみていきたい。』
何かを言っているようでイマイチ良くわからん意見ではある。まあ基調的物価というのがそもそも論としてお気持ちなのでイリュージョンの世界、というのが大いにあるのでしゃーないないのですけど。
でもって物価の意見の最後は高田っちと田村抜刀斎ですね。
『・ 賃上げ定着を受けた国内要因によるインフレ圧力に加え、予想物価上昇率も高まるなど、「物価安定の目標」が概ね実現したと捉えている。既に物価が上がらないノルムが転換し、インフレ期待も引き上がる中、物価上昇の二次的影響が生じやすく、物価の上振れリスクが存在する。』
「「物価安定の目標」が概ね実現した」なので高田さん。
『・ 物価の基調は2%定着に向けて、着実に歩みを続ける公算が大きく、今後の財政政策の影響を含め、上振れリスクも大きい。』
まあこのお二方の見解は順当なのですが、上記のように物価のパートの中では大本営の基本シナリオとは異なった「セカンドラウンドエフェクト」への言及を行った人がいまして、この人が(字数の関係からすると抜刀斎の可能性もありますが)高田さん田村さんへの援護射撃になっているのはほほうと思いました。
・金利引き上げに関する部分は利上げ提案を結構真剣に議論していたような節が読み取れると思いましたが・・・・
『U.金融政策運営に関する意見』ですが、今回はETF等の話もあったので意見の数が多いのですが、金利に関しては何と10個の意見があったのですな。
『・ 経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。そのうえで、こうした見通しが実現していくかは、不確実性が高い状況が続いていることを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である。』
というのは大本営ですが、
『・ 米国の関税率が 15%になっても日本経済に影響はあり、成長率がいったんは鈍化するという見通しは不変である。物価面では、食料品のコストプッシュが収まることで、来年度に2%を下回ると予想される。こうした状況下、今は、現在の金利水準で緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべきである。』
ってのが次にあるのですが、そもそも論として「しっかりと支える」じゃなくて「かなり低い実質金利で経済を吹かしている」の間違いじゃろとツッコみたくなるこの「しっかりと支える」ですけど、野口委員辺りが言いそうだと思っていましたが月曜の札幌講演を見るとそうではないようなので、これは執行部のどなたかという感じのようですが・・・・・・
『・ わが国の経済状況という観点だけから判断すれば、前回の利上げから半年以上が経過していることもあり、そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期かもしれない。もっとも、米国経済の落ち込みの程度の目途がついていないため、当面の金融政策運営は、現状維持が適当と考える。』
月曜の講演からするとむしろこちらの方が野口さんっぽいですよね、って感じで、「米国がリスクなのでとりあえず様子は見るけど利上げしないと言っている訳ではない」なので既にこの意見の辺りで利上げを排除している訳ではない、のトーンになってきておりまして・・・・・・
『・ 市場にサプライズとなる現時点での利上げは避けるべきである。』
って意見が出ているのがヒエーと思った訳でして、こういう意見が出ているということは、今回の2名の利上げ提案っていうのが別に一蹴されたとかそういう世界なのではなくて、現実に利上げ可能か否か、ってのが結構突っ込んで討議されたことを意味するんですよね、と思いましたがどうでしょうかね(こればかりは決定会合の中での話だから知る由もないですが)。
まあ「市場にサプライズになるからやらない」という考え方に関してはちょっと如何な物かという面もあって、そうなりますと毎度決め打ちして事前織り込みさせないと政策が決まりません、という話になるので、それって結局大本営の思うがままに政策が運営されてしまうことになって、政策委員会の意味が無くなってしまいかねませんので、別に市場にサプライズになるからどうのこうのっていうのは本来は筋違いだと思います、というのは付け加えておきますです、はい。
『・ わが国経済の特徴として、内需が外的な負のショックに対し脆弱な傾向がある。金利の正常化を進める上では、ハードデータをもう少し確認してから判断しても遅くないだろう。』
この意見も別に利上げをするなと言っている訳ではなくて、タイミングとしてまだ早いという話をしているだけですので、最初の方にあった大本営第2号??の「経済をしっかりと支えるべきである」とはニュアンス違うんですよね。
『・ 今後の政策運営に当たっては、各国通商政策の世界経済への影響、米国の金融政策と為替相場の方向性、国内の物価と賃金の見通しの3点を注視していく必要がある。』
まあこれははあそうですなという話ですが、この流れでこう言っているのは「まだ利上げする時期ではない」ってことを言いたいんでしょうかね。
『・ 米国経済の帰趨が見えることを待つことで得られる知見もあるが、国内の物価との関係では待つことのコストも徐々に大きくなっていくので、待つことのコスト・ベネフィットやそれに伴うリスクの比較考量が必要になっていく。』
こちら抜刀斎っぽいのではあるのですが、この先にも抜刀斎チックなのがあるのでもしかしたら抜刀斎と同様に考えている人が1名他にいて、ただしまあ今回は利上げのタイミングじゃないので10月利上げは排除しない人なのかもしれません。
『・ 経済・物価が本行の見通しに対してオントラックであり、大きく軌道を外れなければ、ある程度定期的な間隔で政策金利の水準を調整していくべきであると考えている。この先、米国の関税の影響を含め、3月決算企業の上期決算と通期見通しや短観など、幅広い情報が揃うだろう。』
これですと10月か12月には利上げできますな。
『・ 米国の相互関税賦課以来の不安が後退し、物価見通し実現に向けて海外要因の制約が解消に向かう中、再び利上げスタンスに回帰し、海外対比で低水準の実質金利の調整を行い得る状況と考える。』
こちらは抜刀斎の提案理由と同じなので、もちろんさっきのと合わせて同一人物の可能性はある(もともとこの部分で意見が10本ありますので)のですが、さっきのが抜刀斎と別人28号だとオモロイなと。
『・ 0 .5%までの利上げの経済 全 体 への影響は 極めて 限定的である。上下双方向のリスクがある現時点で、政策金利を一気に引き締める領域まで引き上げるべきではないが、物価の上振れリスクがある中、将来の急激な利上げによるショックを避けるため、中立金利にもう少し近づけておくべきである。』
でもまあこれが利上げ提案と考えれば抜刀斎だったりするので、結局この主な意見を見ると利上げに対して別に排除しないし結構具体的に検討されたというのが読み取れるんじゃなかろうかと思う訳ですが、高田さんなのかも知れないのでそこは分からんですけど、田村さん高田さん以外に2名くらいは利上げをかなり現実的なものとして受け止めている向きがあったし、それ以外でも「今じゃない」という意見はありましたし、という所で、結構威勢の良い内容だったと思います。
・ETFに関してはまあこんなもんですか
ワシ的にはツッコミたいところは多々あるのだが。
『・ 金融機関から買入れた株式の処分を無事終了することができたので、その際のやり方で、あまり間を置かずにETFやJ−REITの売却を開始することが適当である。』
そりゃええんじゃが、だったらとっくの昔の時点で「あんな買入をしていたら処分するときに遼東半島租借もビックリのミレニアム計画になる」っての分かって悪ノリしたとしか思えない買入拡大を実施したって話になると思うのだがそっちの反省の弁は無いのかと小一時間問い詰めたい。
『・ 正常化を量と金利の両面からバランス良く進める上で、今回はバランスシート正常化を優先してもよい。マイナス金利政策の終了や、国債買入れの減額開始から時間が経ち、ETF等の処分にも踏み出すタイミングが来ているようにも思われる。』
今回は、っていうことは次回は利上げするのか(じゃあ何で去年の7月は利上げと輪番減額を同時にぶっこんだのかと小一時間。ってのもあるけどw)
『・ 少なからぬ規模の株式がマーケットに放出され得る状態で存在し続けることは、望ましい状況とはいえない。株式市場に大きな影響を与えない規模でETF等の処分を開始することが適当である。』
後処理としてそういう発想をするのは分かるが、だったらそんな買入が本当に必要だったのか、株価が盛大に上がっていく中での買入継続が本当に必要だったのか、ということをもうちょっと真剣にレビューして頂きたい。
『・ 市場のリスク・プレミアムに影響を与えるために購入したETF等を、市場に影響を与えないように処分していく以上、
処分完了まで長期間かかるのはやむを得ない。』
これも同じですし、そもそもリスクプレミアムはとっくの昔に解消されているのに「一体として効果を発揮する」とかいうフリードマンルール丸無視の屁理屈で漫然とETFの買入を継続していたのではないかという問題について以下同文。
『・ ETF等の処分に際しては、市場の状況に応じ、売却額の一時的な調整や停止を行うことができるとするなど、市場の安定に配慮するための柔軟性も確保すべきである。』
殊更に市場を押し下げようとして売る必要はないと思うがもっとバンバン売れないもんですかねえ。
『・ 株式市場のリスク・プレミアムは正常化している一方、J−REIT市場はリスク・プレミアムが依然として大きいことを踏まえると、売却ペースは相当緩やかにすることが望ましい。』
もちろんリートとマンション価格高騰は直接つながっている話ではないのは承知の上で言いますけど、お前は何を言ってるんだとしか言いようが無い。これ以上緩やかに売ってどうするんだよというか物件の耐用年数を大幅にオーバーした期間で売るってのも何だよそれってイメージなんですけど。