金融政策概観(2024年度下期前半)
トップページへ
見出し一覧のページに戻る
2024年度下期前半の見出し
2024/12/13「ロイターも火消しだが「CPIが強くならないから中立金利は低い」って日銀は80年代後半の失敗を繰り返す気なのか」
2024/12/12「今度はブルームバーグが12月利上げ火消報道だが急がない理由が「物価上昇が加速する状況ではない」って・・・」
2024/12/11「氷見野副総裁の金懇日程がなぜか前倒しで公表/吉川洋先生「利上げが後手に回っている」との指摘」
2024/12/09「週末の日経記事は12月利上げ観測に水を差す感じですね」
2024/12/06「中村審議委員会見で「私は利上げに別に反対してない」が出てさらに往復ビンタクソワロタ」
2024/12/05「時事通信から12月利上げ火消し記事きましたが間抜けな話だ/国際投資家懇談会がオモロイ」
2024/12/03「両論併記の情報発信で12月利上げ観測高まって墓穴コミュニケーション」
2024/12/02「東京都区部CPI強いです/日経インタビューを受けて債券先物は下落」
2024/11/30「日経新聞インタビュー:利上げ路線は利上げ路線なんでしょうけれどもなんかモヤっとした内容ですな」
2024/11/29「基調的な物価は落ち着いた展開ですが昔とは全然違いますよねベースが」
2024/11/26「名古屋金懇ですがよくよく見たら総裁の会見は米国の判断を引き上げていますね(上方リスクありに引き上げ)」
2024/11/25「展望レポート背景説明のBOXはどう見ても「利上げの状況が整っています」ですな」
2024/11/22「パリ・ユーロフォーラムでの講演後質疑がまさかの市場ネタになっていましたがもともと12月以降はフリーハンドですがな」
2024/11/20「東大渡辺先生へのインタビュー記事でBBGがぶぶ漬け話法www/金懇会見は前のめり感は全然ないので出たとこ勝負ですね」
2024/11/19「名古屋金懇での総裁講演は「丁寧にリスク要因を説明」というパターンで新情報なし」
2024/11/18「UAゼンセン会長が金融緩和継続を無邪気に主張しててアホなのかと/展望レポートハイライトが前回との差分がいつものように変」
2024/11/12「まあタマキン先生はもともと軽薄かつ迂闊な人ですから(玉木さん早速スキャンダルw)」
2024/11/11「財政支出によるインフレ圧力には対応可能とかどうしてそういう不用意な発言をするのよ植田さん(BIS)」
2024/11/07「トランプ雑感/玉木さん「高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ」って何だよそれ」
2024/11/06「国民民主党玉木さん昔はちゃんとした主張をしていたんですけどねえ/桜井元審議委員インタビュー(メモ)」
2024/11/05「決定会合レビュー(その2):総裁記者会見今回は棒読みムーブがいくつか/大門先生繰り上げ当選してましたね」
2024/11/01「決定会合レビュー(その1):コミュニケーションは立て直して今後の政策のフリーハンドは確保」
2024/10/31「決定会合プレビュー:トーン変更はあるのかというのが注目/潜在成長率とか中立金利のスタッフペーパーについて」
2024/10/30「G20の植田総裁、よくよく見たら時間的余裕には「一応」というフレーズ入れてますね/実質賃金上がるまで利上げするなと国民民主」
2024/10/29「ネット受け狙いの国民民主党の「高圧経済」アプローチに不安しかないですな/日銀の「時間的余裕」発言何とかせえ&G20会見」
2024/10/28「選挙結果クソワロタが結局日銀は追い込まれて政策修正コースでしょ」
2024/10/25「IMFのフォーラムで「米国経済が中期的に不透明だから」利上げを急がないという驚愕のハトハトチキン説明登場/FSRから」
2024/10/24「ドル円が153円ですが結局この先は円安で日銀利上げに追い込まれるんじゃないですかねえ」
2024/10/22「均衡イールドカーブとノルムの話には違和感しかない」
2024/10/21「植田総裁の信組大会の挨拶はリスク要因の説明が目立つ/多角的レビューでお蔵入りした筈の均衡イールドカーブがなぜか復活」
2024/10/11「若田部さんが「為替レートに影響されて金融政策をやるのは重大な誤り」とかブーメラン発言/生活意識アンケートもインフレ定着」
2024/10/09「赤澤再生相利上げ牽制発言を今更修正というドタバタが目も当てられない」
2024/10/08「さくらレポートも企業のインフレモードを示していますね」
2024/10/07「利上げ牽制発言で円安とか裏金議員対応で石破政権ドタバタしておりますね/短観は強いです」
2024/10/04「赤澤再生相が浮かれて脱線するのを林官房長官火消し/支持率スタートダッシュに失敗している気が」
2024/10/03「石破政権の市場との対話能力がヤバそう/7月会合支持要旨見ると9月主な意見との差が酷い(その2)」
2024/10/02「石破政権スタートですが「デフレ脱却最優先で日銀の利上げ慎重に」は先行き不安しかない/9月主な意見はハトハトチキン」
2024/10/01「短国アウトライト以外は高市リスクの巻き戻し&期末の波乱は短国のみ」
2024/12/13
〇もうやだこのコミュニケーション(日銀大本営って何でこう下手糞なのかと)
昨日の「関係筋」はロイターさんから来ました(なおMNIでも出てたんですがあれは有料会員じゃないと見れない記事なので内容は知らん)
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/24LJG2MELZK23HDTY7X376I3MY-2024-12-12/
日銀、利上げ見送り論強まる 直前まで情勢見極め=12月会合で関係筋
By 和田崇彦
2024年12月12日午後 2:34 GMT+9
『[東京 12日 ロイター] - 日銀内で追加利上げを急ぐ必要はないとの認識が広がっている。』(上記URL先より、以下同様)
急ぐも糞も物価情勢対比で今の政策金利頭おかしいんだから急ぐも急がないもないんですけどねえ。
『関係筋によると、18―19日の金融政策決定会合で足元の経済・物価情勢がオントラックであることを確認しつつ、海外経済や賃上げ動向をもう少し見極めた上で利上げしても問題ないとの声がある。一方、12月会合での利上げを排除すべきでないとの声もあり、日銀短観や米連邦公開市場委員会(FOMC)、市場動向を見ながら最終的に判断するとみられる。』
マジで「FOMCで円安に振れたら日銀は利上げ」という「当日の市場を見て判断」とかいう前代未聞(もちろん連中の事ですから小理屈を捏ねてそんなことは無いと言い張りますけど)の政策アクションが期待できるかもしれませんが、記事の途中にまた聞き捨てならない日銀心の俳句があるのよ、つまりですね・・・・・・
『日銀では、実質金利が非常に低い割に経済も物価も浮揚感に乏しく、中立金利は1%に届かないのではないかとの声も出始めている。利上げを急ぐ必要はなく、タイミングは慎重に選ぶべきだとの声が強まっている。』
この点って実は重大なポイントでして、こちとら1980年代後半の資産バブルの時は普通に物事の判断ができる学生あるいは社会人、という設定でありますので普通に分かるわけですが、あの時って資産価格(特に不動産)がキチガイのように値上がりする中(最後の89年とか確か半年で4割高とかやってなかったっけ)で、物価ってそんなに上がっていなかった(今から見たら上昇率高いですがその前の70年代インフレ経験からしたら低位安定にも程がある推移)んですよね。
でまあ最後にさすがにCPIも上がりだして「物価も上がりだしましたので金融引き締め」とかいう名目で引き締めしたけど時すでにお寿司だったのは歴史が示す通りでして、「物価が上がっていないから今の金融緩和を引っ張っても問題ない」というのは、日銀の戦後最大の大失態だったお話で、現に資産価格って、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB138VX0T11C24A1000000/
マンション価格、年収の10倍超える 東京は18倍に
商品ニュース
2024年12月12日 2:00 [会員限定記事]
ってこんなセクシーなことになっておられるわけでして、こんなんどうみても利上げ遅すぎで、お前らは1980年代末の資産価格バブルとその崩壊をもう1回やる気なのかという話でございますが何言ってるんだお前はって話でちょっとこの声出してる連中ツラ出せやこの野郎という所ではございますな、マッタクモウ。
昨日の「物価上昇が加速しないようだから緩和を引っ張れる」もそうですし、より重大な「CPIが上がっていないから(他の事はどうでもよくて)緩和引っ張れる」みたいな話をしているのって、まあ日銀大本営のいつもの「利上げをしないためにその場で都合の良い屁理屈を繰り出す」の一環ではあるのですが、どんどん言ってる屁理屈が危険なものになってきていまして(まあ既に「賃金と物価の好循環」とかいう屁理屈を捏ねた結果世間に幻想的な期待を振りまいてしまっている、という事案があるのですが)、いやお前ら何やってるんだよと思いました。
まあアレです、記事の続きに戻りますと、
『政府サイドからは、景気に配慮した金融政策運営を求める声が出ている。ある政府関係者は個人的な考えとしたうえで「景気がもう少し回復するまで金利は上げないでもらいたい」と話す。一方、別の政府関係者は「今の経済情勢やマーケットの状況をみて日銀が判断すること」と述べる。
和田崇彦 取材協力:木原麗花、竹本能文、杉山健太郎 編集:石田仁志』(最初のURL先のロイター記事より)
まあどうせ「物価高は怪しからん」と言いながら「日銀は利上げするな」とかいう馬鹿のホームラン王みたいな事ばっかり言ってる馬鹿政治家とか馬鹿経済評論家とか馬鹿メディアにビビってるから利上げできないんでしょ(なので円安にぶっ飛ぶと利上げができるしぶっ飛ばないと利上げができない)というのが大変に分かりやすい訳で、昨日のBBGでの「物価が急上昇する恐れはほとんどないので利上げを急がない」とか、この「CPIがそんなに上がってこない(十分上がっているけど)から中立金利も低いので利上げを急がない」とか、まあ利上げしない理由を並べ立てている時点で12月って余程追い込まれない限りやらんというつもりなのでしょうけれども、この理屈だと3月4月に利上げを引っ張ることも十分に可能ですので、そういう思惑になってきて為替がぶっ飛ぶと利上げが早まる、という謎の計算式になっておりまして、まあ為替市場の皆様におかれましてはバンバンドル買い円売りを繰り広げていただきたくよろしくお願いしますwwwwww
しかしまあ何ですな、先日ネタにした中村審議委員の「データを見て判断」の話ですえど、実は11月末の日経インタビューが出る前って結構経済指標(東京CPIとか)見ながら「やっぱりオントラックじゃんこれだと国内情勢で考えたら利上げをしない理由の方が難しいよね」というのと「でもまあ1月の展望レポートまで待つんじゃないの」というのがまあ普通に拮抗していて、わりとこう「経済指標見ながら利上げの可能性を前倒しするかしないか」みたいな感じで動いていたと思うのですよね。
然るに、そういう健全化しそうな流れを見事にぶちこわしたのがセンス皆無の11月末の日経インタビューで、「この時期にわざわざメディアでインタビューを受ける」という行為自体が何らかの強い意図をしめすもの、と市場が受け取るのは猫でもわかる話なのに、そこで全力で両論併記するもんだから早期利上げ派が勢いづいてしまって、そこから火消したり火点けしたり火消したりでもう無茶苦茶になってしまって、肝心の経済データではなくて日銀の「関係者発言」ばっかりがネタになるといういつものクソコミュニケーションに堕落してしまっている訳で、嘆かわしいにも程があるお話ではあります。
ま、市場追随(だいたい為替、たまに株価)と政治やら政府方面から怒られたくない、という2点がポイントだと思ってこの人たちの行動を考えれは実は割とシンプルに動いているのであって、「基調的物価」だの「賃金と物価の好循環」だの「目標達成に向けた確信度」などといような体裁取り繕うための屁理屈を真面目に見てしまうから話が混乱するわけでして、あれは全部「やろうとしている政策から屁理屈を逆算しているだけで、別にこいつら通貨の安定も国民厚生の向上もなんも考えてない」と思えば割とわかりやすいんじゃないかと思います。って本職の何とかストとか市場の皆さんとかに言われるようになったら日銀もおしマイケルなので、まあそういわれることの無いようにちゃんと「きちんとデータをみてファクトに基づいて意思決定をしたい(中村審議委員の12月5日の広島金懇会見での発言より)」という政策決定をしていただければよろしいかと存じます。ああこのパラグラフでの見立てはあくまでも仮の話ですからその辺はよろしくお願いいたしたく存じますあっはっは。
2024/12/12
〇でたな「関係者」ニュースwwwww(BBG報道)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-11/SO24P9T0AFB400
日銀は利上げ急がず、今月見送りでも物価加速リスク小さい−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年12月11日 18:11 JST 更新日時 2024年12月11日 19:34 JST
→経済・物価想定通りが共通認識、利上げは時間の問題になりつつある
→データや為替次第で12月利上げも排除せず、提案あれば賛成の委員も
・・・・・などという感じで題名がハト、最初のリードがタカ、という両論併記するなやヴォケという記事ですが、人騒がせにも程があるのでこの記事のヘッドラインが出た瞬間ご丁寧にも最初の方でタカヘッドラインが出てきて、その後ハトヘッドラインが出てきまして、円債はもう「またBBGの関係者か」で流していたと思う(そもそもイブニングセッションだし)のですが、ドル円市場ちゃんの方が見事に反応して瞬間円高に飛んでそのあと円安に飛んで、結局円安になる、という事態になっていました。
『日本銀行は、消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっている中で、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識している。もっとも、今後公表されるデータや為替相場の動向次第では、来週の金融政策決定会合での実施の可能性もあるという。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
まあ関係者ってのが日銀の出入り業者のオッサンとかだったら如何ともしがたいのですが、中の人も大概にこの手の取材対応について決定会合近い時には何か考えた方がエエンチャウノという気はだいぶしてきますけれどもこのようにホイホイとニュース流されてしまいますと・・・・・・
『関係者によると、賃上げコストを価格転嫁する動きに広がりが見られているが、引き続き物価上昇が加速する状況ではないと日銀はみている。トランプ次期米大統領の就任を来年1月に控え、具体的政策と世界経済への影響を含めた不確実性は大きく、1月以降に利上げを先送りした場合も大きなコストは伴わないとの認識という。』
でまあそもそも論としてここにツッコミどこがあるんですよ、つまり
>引き続き物価上昇が加速する状況ではない
>引き続き物価上昇が加速する状況ではない
>引き続き物価上昇が加速する状況ではない
さてここで先般出ていた展望レポートのハイライトを見てみましょう
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202410.htm
展望レポート・ハイライト(2024年10月)
経済・物価情勢の展望
『物価は来年度以降2%程度で推移する
消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。』(この部分直上URL先の「展望レポートハイライト2024年10月」より)
こちらのイラストを見ますと、どこからどう見ても物価の見通しは「2%に向かってスカイダイビングしていたのが無事に着陸します」って図になっている訳でして、つまりはお前らの見通しというのは「物価は2%に向かって上昇が鎮静化する」という見通しな訳ですよ。
しかるに「引き続き物価上昇が加速する状況ではない」から金融緩和調整を急がない、というのは明らかにペテン説明でありまして、見通しが「いまの2%超の物価は2%に向けて沈静化する」なのですからして、「物価上昇が加速する」とか言っている時点でおかしくて、物価の沈静化が見られないのだったら政策修正を急がないといけない、という理屈な訳ですよ。
もしそうじゃないと言いたいのであれば、日銀は堂々と「今の物価が下がってこなくても問題ない」と言い出さないといけないのですが、そんなこと言ったらゲルだの財務省だのが批判されて矢面に立っている所に堂々と出ていくことになるので言えませんわなということでして、まあ舐め腐った説明をしている訳ですよこの時点で。
でまあBBGも
『ブルームバーグの報道を受けて、円相場はいったん上げ幅を拡大した後に急落し、先月27日以来の水準となる1ドル=152円台後半まで円安が進んでいる。』
って書いているのは笑いましたが、1月〜3月は事前報道が出まくって問題になり、7月は輪番減額を大イベントに仕立て上げることによって利上げをカモフラージュして少なくとも他市場から見たら(債券では結構7月あるでと思っている人もいたと思いますが)不意打ちの利上げを行い、でもって今回はまた事前の報道が連日のように出てくるというテイタラク。
今回の場合はどっからどう見ても11月末の日経インタビューが余計なコミュニケーションで、それによって生まれた思惑をああだこうだコントロールしようとしてもう無茶苦茶になって来ているのですが、お前ら本当にヘタクソなの自覚してから行動を考えろという所でして、ゼークトの組織論と言われるもの(本当はハマーシュタインの言葉らしい)にある「無能な働き者」を地で言ってるコミュ障ぶりに涙が止まりませんな。
2024/12/11
お題「氷見野さんの金懇日程がエライ前倒しで公表されたのでただの雑談大会をお送りいたします」
イイシテキダナー
https://jp.reuters.com/markets/commodities/MTFB6TOVWJNSXDBSIMOT7JBEIE-2024-12-10/
過剰政府債務、25年に市場揺るがす恐れ=BIS報告書
By ロイター編集
2024年12月11日午前 1:37 GMT+9
『[ロンドン 10日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は10日、四半期報告書を公表し、急増する政府債務による金融市場の不安定化の脅威が強まっていると指摘し、経済的損失を防ぐために政策立案者に迅速な対応をするよう呼びかけた。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうほう。
『BISの金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は、過剰な政府債務が債券市場の混乱を引き起こし、他の資産にも波及する恐れがあると警告した。』
ほうほうほうほうほう。
『「金融市場は増大する政府債務を吸収しなければならないことを認識し始めている」とした上で、「政策立案者の政策調整には時間がかかり、市場が目覚めるのを待っていると手遅れになる」と述べた。』
中央銀行に政府債務を買わせれば良いんですよ(ジンバブエ脳)!!!!!!!!!
#と考えるとインフレってそう簡単に収まるもんじゃないという気しかしない・・・・・・・・・
〇そういや氷見野副総裁が年明けに金懇ですね(一昨日出てた話で恐縮ですが)
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/WLCBIW5ABJOE5J46UT4GYCLKYY-2024-12-09/
氷見野日銀副総裁、1月14日に横浜で懇談会と記者会見
By 和田崇彦
2024年12月9日午後 3:11 GMT+9
『[東京 9日 ロイター] - 日銀は9日、氷見野良三副総裁が2025年1月14日に横浜市で金融
経済懇談会に出席し、同日午後に記者会見に臨むと発表した。1月の金融政策決定会合(23、24日)の直前のタイミングでの実施となる。』
『懇談会は午前10時半からで、氷見野副総裁のあいさつ要旨が同時刻に公表される。記者会見は午後2時から。』(上記URL先より)
ということで一昨日のニュースを今更で恐縮ですが、会見午後2時からやってるんだったら会見の詳報をプレスが流す解禁時間はせめて2時半(できればもうちょっと早い方が良いけど)にして頂きたい訳でして、40分ってざっくり会見が30分から35分くらいやってその後エンバーゴという事だと思うのですが、この前の中村審議委員の金懇会見でもありましたように、引け前20分とかいう時間からヘッドライン打たれると消化する間もなく値が飛んでしまい、無駄なボラを与えるだけの話になって、そらまあ1カイ2ヤリおじさん、というか今の時代だとAIアルゴなのかもしれませんけれども、そういうのはウハウハかもしれんけど、普通に債券市場に投資目的で入る人たちには引け際にガシャガシャ動かされるの迷惑でしか無いので、会見のエンバーゴは日銀でコントロールできる話なんだから(ヘッドラインはしゃーないけど)是非その辺はご検討頂ければと存じます。
なお、日銀のサイトにはまだ出ていなくて、プレスの方には出る(そりゃ取材陣の段取りとかあるから前日に急にとかにはならんわな)ようですが、今回は何の風の吹き回しか1か月以上前(年末年始があるから事実上4週間前)に公表となりましたな。
ちな日銀HP
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
『今後の講演・挨拶等の予定
2024年12月25日 植田総裁 日本経済団体連合会審議員会における講演』
oh・・・・・・・
でもってなんか詳しい?記事がBBGさんから出ておるので鑑賞物としてオモロイので鑑賞しましょうじゃないですか。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-09/SO7Z0KT0AFB400
日銀が1月会合前に異例の懇談会、年明け利上げ観測高まる可能性
藤岡徹
2024年12月9日 18:34 JST 更新日時 2024年12月10日 13:37 JST
→氷見野副総裁は1月14日に神奈川県金融経済懇談会に出席、記者会見
→懇談会の時期を平準化、可能な範囲で早い段階で公表−日銀広報課
という見出しで、日銀広報のコメントというのがあるのが中々異色なのでこれは確認して起きましょうという感じですな。
『日本銀行は9日、来年1月の金融政策決定会合前に氷見野良三副総裁が懇談会で講演する予定を発表した。1月の決定会合前に政策委員が懇談会を開くのは異例。市場の1月利上げ観測を高める可能性がある。』(上記URL先より、以下同様)
これ1月利上げ観測と即断しているのですが、総裁副総裁の金懇(またはどっかの講演)っていうのは、例えば5月に総裁が内外経済調査会で講演ぶっこんだりしているように、基本的には「展望レポートのあとの1発目は総裁か副総裁が講演(金懇)を行う」というパターンになっているんですよね。
ですから、これ1月会合(1/23-24)前に会合があるから1月利上げの地均しだヒャッハーと断定するのは読みが足りなくて、12月に利上げを行った背景と今後の政策についてご説明する場、となる可能性だってあるんですよこれがまたwwwwwwww
何で異例云々となっているかというと、記事にもありますが1月ってあんまり金懇がない月(この調子で引用していると全文引用になるのでその部分パスしますが2014年以降そういうのはないみたい)なのですが、これは単純に1月って正月行事が目白押しで、その後支店長会議があって決定会合があり、ケースによっては通常国会も始まる場合もある、と基本的にクッソ忙しいですし、金懇に出席される経済界の要人の皆様も忙しいでしょうから設定しない、という割と単純な理由だと思うのですよね。
ただまあそのクソ忙しい中ぶっこんで来た上に1か月前にこうやって記事になるのはメズラシヤというお話。
『追加利上げを予想するエコノミストが増加している1月会合の前に氷見野副総裁が講演することで、日銀の政策運営に関する考え方を明確に市場に伝える機会となる。植田和男総裁は、7月の追加利上げがサプライズと受け止められ、世界的な市場乱高下の一因になったとの批判に対し、7月会合の前にコミュニケーションの機会があればよかったとの考えを示していた。』
まあ先般の日経インタビューからのドタバタを見る限りにおいて、「日銀の政策運営に関する考え方を明確に市場に伝える」つもりがまた余計なノイズを巻き散らかしてしまう、という間抜けプレイになってしまう可能性が大幅にあるのですけれども、そこは氷見野さんなのでしょうもないい両論併記してしまうようなプレイにはならんと期待したいところですが、下手糞振付師が振付をするとこの前の日経新聞インタビューの二の舞になりますので下手糞は黙っててもろて。
でまあ記事はここがオモロイ。
『日銀広報課は10日、ブルームバーグに対し、金融政策運営において情報発信は非常に重要な手段であり、「日銀は常により有効な情報発信に努めているところだ」と説明。その一環として、政策委員の金融懇談会について、「今後は、従来以上に時期を平準化して実施するほか、その実施時期についても、可能な範囲で早い段階で公表することとした」としている。』
「従来以上に平準化」って・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/index.htm
講演・挨拶等 2024年
2024年 9月12日 田村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(岡山県金融経済懇談会)
2024年 9月11日 中川審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(秋田県金融経済懇談会)
2024年 9月 5日 高田審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(石川県金融経済懇談会)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/index.htm
講演・挨拶等 2023年
2023年11月30日 中村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(兵庫県金融経済懇談会)
2023年11月29日 安達審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(愛媛県金融経済懇談会)
2023年 9月 7日 中川審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(高知県金融経済懇談会)
2023年 9月 6日 高田審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(山口県金融経済懇談会)
2023年 8月31日 中村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(岐阜県金融経済懇談会)
2023年 8月30日 田村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(道東地域金融経済懇談会)
2023年 3月 2日 高田審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(神奈川県金融経済懇談会)
2023年 3月 1日 中川審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(福島県金融経済懇談会)
2023年 2月22日 田村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(群馬県金融経済懇談会)
最後のは黒田総裁の時になりますが、黒田総裁の末期くらいからこのような舐め腐った金懇日程を組んでおった訳でして、なにが「従来以上に平準化」じゃヴォケとしか言いようが無いのでありまして、まるで従来も平準化するような日程を組んでいたかのような説明をする辺りが流石の日銀クオリティと感服する次第ですが、まあそれはともかくとして、
「その実施時期についても、可能な範囲で早い段階で公表することとした」っていうのはまあ公表しろよという話で、特に総裁副総裁の講演とか金懇とかが事前に全然出てこないで、うっかりすると当日まで日銀のHPの公表予定とかに出てこないとかいうバチクソとんでもない秘密主義(警備上の理由とかでもないでしょ)になっているのは特に最近顕著で甚だ怪しからんと思っておりましたので、まあ悪態はついたものの改善したのは結構である。
しかしまあなんですな、記事に戻りますと、
『日銀総裁が新年祝賀会で短いあいさつをしたり、一部の政策委員が特別イベントで講演したりすることはあったが、1月会合前に金融経済懇談会での講演や記者会見は少なくともこの10年以上なかった。講演は政策委員が金融政策に関する考えを自由に発信する機会であり、市場参加者らは予想を調整する手掛かりを得る。』(先ほどのブルームバーグ記事より)
予告ホームラン打ち込むにしても12月決定会合後の会見で「委員会の総意としては政策調整が近いとみているがまだ多少のデータ確認が必要となったので今回は現状維持」みたいな言い方をすれば委員会のコンセンサスとしてなるほど1月利上げに向けて最終点検ですね、ってなるんですけど、副総裁の金懇で予告ホームランを打つのっていうのは、「本来政策委員会で討議する話なのに勝手に執行部が予告ホームランを打った」ということになってしまって、委員会制度の建付けに関わる問題になるから、予告ホームランを打つにしたって打ち方が難しいわけで、うっかり両論併記をしてしまうと「1月利上げ見送りじゃないですかアイヤー!」ということになって翌週の決定会合で何やってもサプライズになってしまいますので、まあ大丈夫なのかねとは思います。
氷見野さんだからそこは上手くやってくれるのじゃないか、という期待値は結構アタクシの中では高いですので、何とかしてくれるとは思うのですが・・・・・・・・・・
しかしまあ何ですな、ブルームバーグさんの取材を受けた日銀広報ちゃんのコメントとして、「日銀は常により有効な情報発信に努めているところだ」ってのがあるのが中々カワチイネーという所でして、7月の政策変更がサプライズだのなんだの言われて(あれは輪番減額をフレームアップしすぎたから7月減額9月利上げじゃろという感じになった訳で金懇その他無かったのもあるけど輪番減額を大イベントにし過ぎたのが悪いので広報悪くない)今度は過剰サービスで日経インタビュー入れたら12月利上げ観測を煽ってしまって火消しをする破目になっているのに、さらに懲りず(ってまあ金懇の方が段取り考えたら日経インタビューよりも前に決まっていたとは思いますけど)1月会合1週間前に金懇を入れるとか、急にサービス大会になっている辺り、何ちゅうかこの「ほどほどに」というのが出来ないのかお前らはという所でして、まあ日銀ってクソ真面目なんですよ良くも悪くも、と思いました(^^)。
〇これは吉川無双(吉川先生のBBGインタビュー)
今日はブルームバーグさんネタばっかりですな、恐縮至極。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-10/SO7K0IT1UM0W00
日銀は早期利上げ必要、対応が遅れている可能性も−吉川東大名誉教授
伊藤純夫、藤岡徹
2024年12月10日 11:20 JST 更新日時 2024年12月10日 13:11 JST
→政策金利の低さは異常、正常化ペース「慎重に過ぎる」と旧友に苦言
→将来的な利下げ余地の確保も必要、マイナス金利の限界はすでに学習
『吉川洋東京大学名誉教授は、日本の経済・物価情勢を踏まえると現在の政策金利の低さは異常だとし、日本銀行による早期の追加利上げが必要との見解を示した。物価上昇への対応が遅れている可能性もあるとみている。』(上記URL先より、以下同様)
吉川先生と言えばしばらく前にネタにしましたけれども、多角的レビュー第2回ワークショップで
『吉川は、QQE は、わが国経済の低迷の原因はデフレであり、デフレは貨幣的な現象であるから、マネーを増やせば問題は解決する、という主張に基づくものであったと振り返った。今回の多角的レビューにおいて、この点の是非について議論せずに、物価上昇率が2%まで上がらなかった原因として、金融政策以外の要因であるノルムについて議論している点に、議論の内容自体に違和感はないものの、日本銀行の対外的なコミュニケーションとして大きな違和感があると述べた。』(多角的レビュー第2回ワークショップ議事要旨本文19ページより)
というそもそも論をぶっこんで来るというか、他の多くの人は何をしてたんだということでもありますが、まあそういう感じで吉川無双という風情な訳ですが。
『吉川氏は9日のインタビューで、インフレ率や需給ギャップなどから政策金利を割り出すテイラー・ルールに基づけば、適切な水準は日米欧でそれほど大きくは違わないとし、日本の0.25%は異常に低いと分析。』
はい。
『実体経済が米欧と比べて際立って弱い訳でもなく、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)が2年半以上も目標の2%を超えている中で、「日銀はできるだけ早めに利上げをした方がいい」と語った。』
いわゆるネット方面で幸か不幸か「日銀怪しからん」の矛先が向いていないから済んでいるだけというか、そもそも馬鹿政治家や馬鹿メディアが財政のために利上げするなとか住宅ローン金利ガーとか雇用のために利上げするなとか馬鹿ばっかり言ってるから良くも悪くも日銀免責になっているだけの話で、まあいつ風向き変わるか分からんよ、と思うんだが何で日銀はああ能天気に「急がない」って言えるのかが謎ですよね。
『その上で、日銀の政策対応が「すでにビハインド・ザ・カーブに陥っているとも言えると思う」と指摘した。景気を冷やしも過熱もしない名目中立金利はおそらく1%前後との見方も示した。』
1%じゃ低いと思いますが・・・・・・
『旧友が進める金融政策の正常化のスピードについては、「少し慎重に過ぎるのではないか」と苦言を呈した。2%を超える物価高が長期化している中で、多くの国民が困っているのが現状だとし、「インフレ抑制に最大のクスリ」である金融政策の機動性を発揮すべき状況にあるという。』
なのですが、なんせ外部状況が馬鹿政治家に馬鹿メディアと来ているので慎重になっていても矢が飛んでこない、というのがありますので中々ねえ・・・・・・・
あとまあ糊代論自体はあんまり筋の良い話ではないとは思いますが、
『吉川氏は将来的には経済が悪化して物価が下落し、「日銀が利下げしなければならない局面がいつか来る」と指摘。現在の0.25%のままで利下げ局面を迎えれば、すぐにゼロ%に戻ってしまうことを懸念する。マイナス金利政策の限界はすでに学習済みだとし、いわゆる「のりしろ」を確保するためにも金利を上げられる時に上げておくことが重要だと語った。』
これ一番怖いのは多角的レビューがとにかく「一連の金融緩和は正しかったのだが、「ノルム」があったので中々2%物価目標達成に至らなかった」の線で話を進めているのが明白(12月に出ますなあ)な訳で、そうなると利下げした後またマイナス金利だQQEだと碌なことをしないのが目に見えている訳でございまして、物価が0%近傍ならともかく2%オーバーなんだからとっとと利上げしろ何なら今日にでも、と思う訳ですが、まあそういう切迫感が無いわな、というのは日経インタビュー以降のドタバタを見ていると日銀はそんな感じじゃねえのと思うのでした、まあ吉川先生がこんな事いう位だから、あんまり日銀も盛り上がっていない(ので12月はちょっと・・・・)のではないかという気はしました。
なお、決定会合までに円安にかっ飛んでいる場合はその限りではありませんので、その場合は12月会合の利上げはオオアリクイだと思いますが、アタクシの大妄想としては、「12月現状維持」→「会見でいつもの両論併記」→「年末年始に円安進行」→「ションベンチビリながら涙目で1月利上げ」という面白展開が一番面白そう(不謹慎にも程があるが)なのでそちらでオナシャスという事で。
#すいません雑談大会になってしまいました
2024/12/09
〇先週末は毎度おなじみの日銀報道で特になんか出たという訳ではないようですな
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB061N50W4A201C2000000/
日銀利上げ、市場で高まる「1月」論 円安なら前倒しも
金融政策
2024年12月7日 5:00 [会員限定記事]
こんなのがありましたが、例によって会員限定記事なので中身はパスしますけどタダで見れるところだけ読みますと、
『市場で1月にも日銀が追加利上げに動くとみる観測が強まっている。日銀は直近で12月18-19日と2025年1月23-24日に金融政策決定会合を開く。日銀の植田和男総裁は日本経済新聞の11月28日の取材で拙速な利上げを避ける姿勢を示しつつ、米国の経済政策を含め経済・物価情勢を慎重に見極める構えを見せていた。急速な円安といった為替相場の動向が判断のタイミングに影響する可能性も残っている。』(上記URL先より、以下有料会員記事)
ということで日経さん、先週のインタビューのフォローという感じも漂いますが、題名にしましても、冒頭部分の、
「日銀の植田和男総裁は日本経済新聞の11月28日の取材で拙速な利上げを避ける姿勢を示しつつ、米国の経済政策を含め経済・物価情勢を慎重に見極める構えを見せていた。」
って辺りが、12月利上げ観測盛り上がりに水を掛けましょうという感じを示していまして、まあそういう事やぞという感じに見受けられますな。
まあアレです、この調子だとマジの話FOMCでFEDがどう出るか次第で、基本的にはドル高に飛び出したら慌てて利上げをするし、そうじゃなくて150円行くか行かないかという推移であれば堂々の1月に見送り(とか言ってるうちに1月にできなくなるのがおそロシアなシナリオではある)という感じになるんですかねえ、なんか当日の朝になって最終的に決めてそうな勢いですよねw
いずれにしましても、まだどっちとは決められない。まあ急いでやらないといけないという認識ではなさそう(こちとらとっととやれと思うけど)なので、12月にやるのは情勢が切迫(円安で)するか、さもなくば1月に先伸ばすよりもやれるうちにやっておいた方が良い(1月やりそこなうリスクを意識)、という場合になるんジャマイカとおもいましたがどうですかね〜。
2024/12/06
〇中村審議委員会見でひと騒ぎワロタ(中村さん的には貰い事故みたいな面もあるかなと)
順序が逆ですが中村さんの会見がクソ面白事案になったので。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/Z4QTPJWM2NN3NO6ZDGYZXPCDEA-2024-12-05/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.065% 日銀審議委員の発言で売り圧力
By ロイター編集
2024年12月5日午後 3:30 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - <15:19> 国債先物は反落、長期金利1.065% 日銀審議委員の発言で売り圧力
国債先物中心限月12月限は、前営業日18銭安の142円98銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5bp上昇の1.065%。中村豊明日銀審議委員の発言をきっかけに日銀の早期追加利上げが意識され、円債は軟調に推移した。』(上記URL先より)
昨日の債券先物ちゃん、後場の途中からはまったりモードだったというのに、引け前20分で突如の急落(143.10辺り→143円割れ水準に一気に下がるでござるの巻)となった訳ですが。
https://jp.reuters.com/economy/inflation/B3WSPQA5TBPBBPSQZIAOL7CCSA-2024-12-05/
利上げに反対ではない、データに基づき判断すべき=中村日銀委員
By 和田崇彦
2024年12月5日午後 4:28 GMT+9
『[広島市 5日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は5日、広島市内で行った金融経済懇談会後の記者会見で、「利上げに反対しているわけではない」と述べ、データに基づいて政策判断をすべきだと強調した。12月の金融政策決定会合で利上げするかどうかは13日に発表される日銀短観などのデータをよく見た上で判断したいと話した。
中村委員は追加利上げがいつか、予断を持って言うには「まだデータが少なすぎる」とも述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、この「利上げに反対しているわけではない」というのとか、「データに基づいて政策判断をすべき」っていうのがここまでの利上げの際に反対票を投じたりした中村審議委員が言ったもんだからあらまあという感じで下がったわけですが、まあよくよく考えてみたら前日の時事通信&MNI砲(MNIが効いたのかは知らんが時事通信のは効いている)で一旦12月利上げ観測ヒャッハー筋が降参したところにこれが出るもんだから華麗なる往復ビンタを食らわせた格好になってしまってこれは円債市場の皆さん益々の血圧上昇案件ということになってしまいました。いやもう日銀何やってるんだか。
まあ中村さん自体は従来通りで、
『中村委員は、自身の発言などから金融市場では「ハト派」と目されているようだとしつつ、従来から経済構造の転換に向けた芽は出ていると言ってきていると指摘。「日本経済の将来に明るい希望を持っている」と述べ、成長志向の中小企業が増えていくことに期待感を示した。』
ってお話してたようですし、そもそも金懇の方ではいつものように利上げ慎重なお話(とは言え構造改革待ってたら百年利上げできないし、その間に今の水準の緩和を継続することが本当に構造改革を推進するのかというとだいぶ疑問をぬぐえないのですけれども)をしていたので平常運転ちゃあ平常運転ですし、もともと単に「決め打ちしない」と言ってるだけだし、中村さんが反対しても利上げぶっこむ時はぶっこんでいますし、利上げ後に中村さんは別に利下げしろとか言ってるわけではないので、中村さんが利上げに反対ではない、というのが即12月利上げに影響するのかというとそれはまた別問題。
ではあるのですが、これは前々から申し上げているのですが、金懇会見がメディアのヘッドラインに出てくるお時間(エンバーゴのお時間なのかどうかは存じませんけれども)がだいたい14時40分くらい、という今の金懇の段取りがそもそも論としてよろしくなくて、それは国内債券市場の引け際になってしまうし、だいたいからして金懇会見ってライブ放送とかない(質疑応答の紙が出るのは翌日)からどうしてもヘッドラインに頼らざるを得なくなるので、引け際にヘッドラインリスクを誘発しやすく、市場に対して無駄にボラを与えるリスクがある段取りになっているんですよね。
とまあそういう事なんで、金懇会見やるなら4時過ぎとかの引け後思いっきり時間経過してからにするか、2時ちょうどくらいからにするとか、とにかく今の「引け際20分くらいでヘッドラインが飛んでくる」という運営に関しては勘弁して欲しい訳ですが、日銀はなんせかつて10年新発国債入札の日の前場引け直後(=すなわちマーケットメーカーが入札に備えて事前ヘッジが完了した後)のタイミングで、臨時政策委員会・金融政策決定会合の実施をアナウンス(=その時の臨時会合はどう見ても金融緩和で案の定緩和になった)してマーケットメーカー全員が踏み入札をしなければいけなくなった、という輝かしい前科がある位に、債券市場に関しての理解が足りない人たち、というのが伝統芸能(なのに長期国債市場に介入しまくったんだからそりゃ弊害もでる)として継承されているので(個人の感想です)、まあお前ら大概にせえよ、というお話ではございます。
しかしまあ何ですな、これ中村さん別に悪意があったわけでも何でもないと思うのですけれども、今週は土曜日の総裁日経インタビュー、水曜の時事通信砲、木曜の中村審議委員会見、という三連コンボで市場に超無駄なボラを与えてしまいまして、また債券市場に喧嘩を売ってしまうというプレイ(しかも本人たちは喧嘩を売る気はなくやっているのが無能な働き者にも程がある話)をしてしまった訳でして、おまいらマジで何なのこの下手糞はとしか申し上げようがありませんですけど、植田日銀の間中この調子だと思うと頭がくらくらします、まあ見世物としては面白いんですが見世物の端役にさせられて殴る蹴るの暴行を食らう役をさせられる市場の皆さん含むワイにとってはいい迷惑ではありますな。
というただの悪態でした。
2024/12/05
〇時事通信砲キタコレですが結局日経インタビューは何だったのかと小一時間
とはいえ時事通信さんの方は時事メインの「金融観測」記事なのでネット版というものは多分ない(探し方が下手くそなのかもしれないけど)ので残念ながら記事内容をネットから引用とはいかないのですが。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/AMYRR7E4JFKSLCLE43BM7EABWI-2024-12-04/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸、日銀利上げ観測後退 中長期債主導で金利低下
By ロイター編集
2024年12月4日午後 3:33 GMT+9
ちなみにクソどうでも良いですが、某ブルームバーグさんは昨日の市況解説の中で時事通信のニュースというのを頑なに書いていなくて「12月利上げ観測が一部で後退」としていてくやしいのうくやしいのう(日経のインタビューの両論併記のうちホーキッシュな方を思いっきりクローズアップしていましたからねえ・・・・)という感じでございましたがそれはそうとしまして、
『[東京 4日 ロイター] - <15:15> 国債先物は大幅続伸、日銀利上げ観測後退 中長期債主導で金利低下
国債先物中心限月12月限は、前営業日比29銭高の143円16銭と大幅続伸して取引を終えた。日銀の早期利上げ観測が後退し、金利は中長期ゾーン主導で低下。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5ベーシスポイント(bp)低下の1.050%。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことでして、
『先物相場は午後に入って一段高。時事通信とMNI(マーケットニュース・インターナショナル)から相次いで、日銀の早期利上げをやや慎重視する記事が日本語と英語で伝わったことが材料となり、国債買いの動きに勢いがついた。』
ということで、実際には時事通信の「金融観測」コラムは9時半くらいに出ていたと思うのですが、当然の如く日本語ですし、内容も(日本語使いじゃないひとだと)読むのにお時間かかるでしょうから、なんかまあ伝わるのにお時間かかった模様で後場になって思い出したかのように激強相場になったという有様でした。
でまあ時事さんの金融観測コラムはそういう訳で勝手に引用ってのもアレでございますが、かいつまんで申し上げると(というか後日のワシの備忘用に書いておくと)「日経新聞の植田総裁インタビューで12月利上げ観測が盛り上がったことに関して日銀の中の人たちにおいては困惑を隠せない向きが多いようです」「インタビューを素直に読むと利上げを急いでいるようには見えませんよね」というようなお話でして、中の人云々は取材結果だと思いますが、インタビューを素直に読んだ場合のお話ってのはまあ両論併記なんだからどっちに力点置くかって話なんですが、先日申し上げたように「トランプ政権の経済政策ガー」とか言い出すと実はかなりの先まで利上げを躊躇できるという罠のあるトラップ文言ではありますので、後はチキン日銀の腹の据わり方次第、というお話になろうかと思うのよね。
でまあそんなこんなで12月利上げ観測の火消し入りました(MNIの方は何かこれまた会員記事なのでよー分からんかったが円安対応云々とかこの辺りの水準では関係ねーよみたいな記事だったようですね)という事ですが、まあ少なくとも取材の結果「中の人が12月利上げに困惑」なのはわかったという前提でお話を進めましょうです。
えーっとですな、12月利上げ観測を煽る気が無かったんだったらそもそも何であの両論併記インタビューを実施したんだというお話でありまして、ああいうインタビューをしたら市場は「見たいものを見る」んだし、だいたいからしてついちょっと前の名古屋金懇で「この先いつでもライブよ〜」っていう感じの情報発信によってハトハト音頭のトーンを下げていた訳ですから、なんもあのタイミングで日経のインタビューをやって、しかも両論併記するってのは市場に対するコミュニケーションとして下策というのにも値しないアホの所業で、いつまでたってもマーケットセンスが無いわ日銀って、っていうお話でございます。
でまあ市場だって12月やるかもしれないしやらないかもしれない、って感じで構えている中だったのですから、なんも余計なこと言わないでそのまま決定会合を迎えれば無問題だったのに、結局日銀が市場を煽って火消するマッチポンプを実施して市場に余計なボラティリティを与えただけ、というクッソしょうもない対応をした結果になりまして、振り回された市場の中の人たちからはナンジャコラですし、さらにあの日経インタビューで思いっきり「これは12月利上げですわ」とぶっこんだ結構多くの何とかストの皆様におかれましては面目丸つぶれにも程があるわけでして、市場に喧嘩売ってどうするんだと思うのですが、これがまた日銀の悲しいところは本人たち市場に喧嘩を売るつもりで日経のインタビューを実施したとは到底思えないところでして、これがまあわざとやって12月利上げした時の円高に対する糊代つくりでもしているんだったら面白いんですけど、良かれと思って日経インタビューやった結果、市場が日銀の思う反応を示さなかった(まあワイから言わせてもらえば当然の反応を示したんですけどwww)ので困惑とかおじいちゃん情けなくて涙が止まらないですな、ナムナム。
とまあそういう訳ですので、12月やるにしてもやらないにしてもこれはまあその時の説明(引かれ者の小唄とも言う)がどのようになるのか、というのがクッソ楽しみになってまいりました、というお話でありますが、7月利上げの時にコミュニケーション不足って言われたと思ったら今回は余計なコミュニケーションをぶちこんでしまうというのがもう日銀らしくて素敵ではあります(全然褒めてない)ということで。
〇国債投資家懇談会の議事要旨がなんかすごいことになっている件について
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/241127.html
国債投資家懇談会(第95回)議事要旨
・日時 令和6年11月27日(水)10:00〜11:25
・場所 財務省 第3特別会議室
・内容 令和7年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について
とまあこちらなんですが、なんか今回物凄い大部になっていまして、中々ゴイスーな内容になっておりますので読み物としてご鑑賞されたいと思うのですが、ちょっと時間がないので本日は謹んでパスさせていただきとう存じますさーせん。
2024/12/03
〇植田総裁日経インタビューは結局両論併記の悪いところが出た結果のようですが
昨日の債券市場ちゃん、というかまあイブニングでも先物下がっていたのですが、まああれは金曜の夜だしサンクスギビング週の週末だし、と思っていましたが・・・・・
・12月利上げ派にとっては両論併記の都合の良いところが目に入りますよねそりゃもう
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/YRBGNYLCUVIPBPJDWAMYGAXA5E-2024-12-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、日銀利上げ観測強まり中期ゾーン主導で金利上昇
By ロイター編集
2024年12月2日午後 3:22 GMT+9
『[東京 2日 ロイター] - <15:12> 国債先物は反落、日銀利上げ観測強まり中期ゾーン主導で金利上昇
国債先物中心限月12月限は、前営業日比24銭安の142円82銭と大幅反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.075%。また2年金利は日銀の追加利上げ観測を背景に、16年ぶりの高水準に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
まあゆうて2年って16年ぶりとか言ってますが、所詮は0.62%とかな訳でして、0.5%への利上げはすぐに来るにしましても、その次の利上げが1年後くらいに来るとかいう無茶苦茶悠長な展開でやっとブレークイーブンとかいうのがもうねという感じですが、まあそれでも0.6%とかいう水準になっているだけ立派(??)と言えば立派。
『きょうの国債先物は、日本経済新聞が行った日銀の植田和男総裁のインタビューが売り材料となり週末の夜間取引で大幅安した流れが波及し、終日、軟調な展開が続いた。』
ということですが、まあ横綱の動きを見ると寄りと朝9時くらいがいっちゃん弱くて、その後は盛り返して推移、ただし前日よりは低い水準での推移、ってえ感じではございましたので、寄りとその後9時くらいに下がった後(日中安値は9時5分)は下に抜けきりませんなあという感じだと思ったんだがアタクシの気のせいですかしら。知らんけど。
『インタビューでは植田総裁が追加利上げの時期について「データがオントラックに推移しているという意味では近づいている」との認識を示し、円債市場では12月会合での利上げ可能性が強く意識されている。』
とまあそういう訳でして、あの記事出て土曜の朝っぱらから大枚200円はたいて日経朝刊を買って一問一答読みそこないましたが(しつこい)、まあ記事のトーンってあれちゃんと見るとどさくさに紛れて「25年の春季労働交渉(春闘)がどういうモメンタム(勢い)になるか、それはみたい」とか「米国の経済政策の先行きがどうなるか、大きなクエスチョンマークがある」(いずれも11月30日日経本紙朝刊1面の植田総裁発言として報道された部分より)とか抜かしていて、これまともに読むと12月の政策修正って普通やらんと言ってるようなもん、とも読めるんじゃないのと思うのですが、そっちはきっちりと丸無視して12月利上げ期待の皆さんが、「データはオントラック」(同様に11月30日日経朝刊本紙1面より)の方にバッチリと反応してしまって、みたいものだけ見る現象によってヒャッハーヒャッハーとなってしまいました。ということでしょうな。
現に昨日ってベンダーに出てくる何とかストコメントを見るともなく見ていると、12月利上げ地均しキタコレヒャッハー組が目の子で7割くらい、いや待て慌てるなこれは孔明の罠だ組が3割くらい(まあ別に何とかストコメントったって人数が大事なのではないけれども相場の世界数は力の面がありますからにゃー)という感じになっていまして、12月利上げ期待ニキネキの皆様におかれましては、まあそっち見て反応するわな、となるのですな。
でまあ市場ちゃんの続きですが、
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも上昇。金融政策の見通しを反映しやすい2年債は前営業日比2.5bp上昇の0.620%。一時、2008年10月末以来16年ぶり高水準の0.625%を付ける場面もあった。5年債は同3.0bp上昇の0.750%、20年債は同2.0bp上昇の1.870%、30年債は同0.5bp上昇の2.285%。40年債は同横ばいの2.635%。』
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.614 0.62 0.028 15:02
5年 0.743 0.75 0.025 15:09
10年 1.069 1.075 0.02 15:04
20年 1.864 1.87 0.015 14:57
30年 2.285 2.292 0.012 15:12
40年 2.634 2.644 -0.002 15:12』
ベアスティープ(というか40年w)ですかそうですかという所ですが、そもそも中短期が利上げ織り込み足りなさすぎだったのですから本当の本当に12月利上げを織り込みに行っているのかというと、単純に12月か1月には何ぼ何でもやるでしょという事になっただけという気もせんでもないですけれども。
・じゃお前はどう思うのかということなのでここで敢えて死亡フラグを立ててみましょうwwwww
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/4UIUBO4FGJJK5EBW7DDKVIXIK4-2024-12-02/
アングル:日銀、追加利上げへ地ならしか 身構える市場
By ロイター編集
2024年12月2日午後 5:01 GMT+9
でまあこんな感じになるわけですが。
『[東京 2日 ロイター] - 日本経済新聞が週末に配信した植田和男総裁インタビューを受け、市場で12月利上げを織り込む動きが加速している。7月の利上げ後に市場の混乱を招いたことから、日銀内では、コミュニケーション戦略の必要性を意識する声があった。12月会合まで1カ月を切る時点での発信に市場では、追加利上げへの地ならしとの見方も出ている。』(上記URL先より)
そんな訳で、そもそも論として日銀は日経インタビューで何をしたかったのか、というのが判然としないというか、先ほど申し上げましたように、朝刊本紙1面を見ますと全然12月利上げに前のめり感なくて、寧ろさっき引用した賃金のモメンタムを見たいだの米国の経済政策の影響が大きなクエスチョンとかいう両論併記部分のハトハトチキン部分を見ますと、下手したらこいつら12月も1月も利上げしないで25年の賃金ガーに米国新政権の経済政策の影響ガーとか言いながらクソ粘りするんじゃないか、という疑問すら思ってしまう、というのはもともと植田日銀はハトハトチキンで、7月末に一瞬覚醒したものの8月の円高株安で完全にビビってしまって市場に全面屈服する内田講演をぶっこんでしまい、足許若干威勢が良くなっているのは単純にドル円がこのままだとズンズングイグイ行ってしまうから火消ししたいだけ、くらいに考えて読んでみますと、これは何なら1月もやらへんで、とも読めるわけです。
でもってじゃあお前はどう思うのか、と言われると変なこと書くとどうせまた変な死亡フラグちゃんになって恥の上塗りになりそうなのですけれども、今回のクッソ両論併記インタビュー(ただし日経朝刊本紙ベース)って、結局のところは(土曜も書いたけど)方向性は利上げだけど慎重に、というお話で、慎重にというのがあの賃金ガー米国ガーを見ますとエライ先になるという懸念もあるものの、アタクシ思いまするに、あれっていうのは「方向性は次回利上げでそれはそんなに遠くないよ」と行っているだけだと「次の次」の話が浮上してくるのがコワイヨーといういつものチキンクオリティが炸裂した結果、「次の次は急がない」というコミュニケーションをしているつもりなんじゃないのか、とアタクシとしては整理しました(あくまでも個人の感想です)。
なので12月か1月に0.50%に持っていくにしても、またまたその次の利上げに関して腰の引けたメッセージを出してくる、という7月というよりも3月パティーンになる方があり得そうな気はするのですけれども、それやって円安になってしまうと次の次が早まる、という面白政策反応関数が存在しますので、まあ何ちゅうかお前らは先の話をそう一所懸命にするなと思いますし、どうせお前らコミュ障なんだから余計なこと言わない方が身のためですわとコミュ障ワイ将は思うのであります。
・下手糞コミュニケーションをするもんだからいずれにせよ12月スキップの説明が面倒になったんチャイマスカ
しかしまあ何ですな、あのまま12月利上げあるかもしれないし無いかもしれないし、まあでも1月にはやるでしょ、みたいなサイコロバクチ状態で決定会合を迎えておけば12月どっちでも行けたと思うのですけれども、このタイミングで下手糞な両論併記をするもんだから、とりあえず12月利上げ派の皆様が勢いついてしまいまして、さっきのロイターさんの「アングル」記事だけじゃなくてもっといろんな何とかストの方々が「12月利上げや!」とぶっこんでしまったし市場も何となくそっちの雰囲気を醸し出している(ただしプライスアクションはそうだけれども実際プレイヤーの皆さんが本当にあれで見方を決め打ちできるようになっているのか、と言われたら実はそんなに変わっていないんじゃないかと思うんですけどね、両論併記にも程があるんだし)という展開になりまして、まあ昨日だけじゃまだ分からん(現にイブニングでは8銭高だし)のではありますが、いずれにしましても、下手糞な両論併記をしたもんだから、12月スキップした場合の説明がクソ面倒になったんじゃないか、というのは言えると思います。
12月スキップした場合「オントラックと言ってたのに何で3会合連続で利上げ見送りなんですか」ってどこからどう見ても突っ込まれるし、「円安だってまた復活してますが」と突っ込まれるし、それに対してどうせまた下手な言い逃れをするんでしょうけれども、言い逃れが下手くそだと(円債よりもさらに利上げ云々に反応していると思われる)為替市場ちゃんが「日経インタビューは嘘だったのか騙された」となってヒャッハーと円安になって日銀順調に死亡、とかに成り兼ねない訳ですし、12月に1月の予告ホームラン打つのってそれするくらいなら12月にやれよアホウという話になるし、まあ自分でコミュニケーションをややこしくしたのは否めないですわな。
何でこう下手糞なのかと言えば、そんなのは植田さんの「丁寧な説明」が両論併記のため市場が見たい方だけ見て日銀の伝えたいことの片方だけクローズアップされてしまう、というのと、さらに8月の内田さんの講演で勝負がついた訳ですが、市場従属金融政策状態(そらまあ物価がこの状態なのに屏風の中から出てこない基調的物価とかいうのを持ち出して2%行ってないを連呼しているんですから物価情勢で金融政策の説明ができていないんだから市場に従属するしかない訳ですけれども)になっているせいでしょ、としか申し上げようがないのですが、その市場に何とか働きかけようとしてフォワードガイダンスみたいなことを言う上にそれをコロコロとひっくり返すことになってしまうのがまた良くない、という感じでしょうかね、まあイマイチ整理できていませんが・・・・
まあいずれにせよここから日米ともに重要な指標があるんだし、別に今の時点で決め打ちするメリットって日銀にだってないので、そういう点から言ってインタビューのタイミングが絶妙に悪かったという感じではないかと思いました。
という雑談ポエムで恐縮至極。
・なおレポレートは長めのリファレンスが反応
いつもの東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/28 0.197 0.145 0.171 0.200 0.208 0.216 0.304 0.365 0.442
2024/11/29 0.228 0.240 0.209 0.211 0.218 0.228 0.308 0.368 0.450
2024/12/2 0.234 0.240 0.211 0.212 0.224 0.252 0.324 0.380 0.456
ということで、既報の通り足元GCに関しては2か月連続で謎の月末レート低下(いやまあ需給問題なので謎でも何でもなくて資金調達が急に減ったか運用が急に増えたかの二択ですが今の市場構造から言って調達サイドが急に減っただけですけどその背景は謎)が発生していましたが、じゃあ植田総裁の日経インタビューを受けてどうでっしゃろ、と思ったら一応敬意を表しているかどうか知らんけど、決定会合跨ぎの1m(3wも跨ぐけど最後の最後だから)のレートの上がり方がわかりやすいという結果になっていますな。
まあ一応こちらも12月会合での利上げの可能性って話かとは思いますがどうなんでしょうかね。
2024/12/02
〇でもって今日の円債市場はどういう反応するのかよくわからんのですが・・・・・・
金曜はこの次にメモっておきますが東京都区部CPIだったわけですけれども。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/MKJ6WUS5XNPLBBQFKCRABL5BDI-2024-11-29/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続伸、終盤に切り返す 長期金利1.05%で横ばい
By ロイター編集
2024年11月29日午後 3:41 GMT+9
『[東京 29日 ロイター] - <15:10> 国債先物は小幅続伸、終盤に切り返す 長期金利1.05%で横ばい
国債先物中心限月12月限は、前営業日比4銭高の143円06銭と小幅続伸して取引を終えた。物価統計の上振れを受けて売りが先行したが、取引終盤に切り返した。新発10年国債利回り(長期金利)は同変わらずの1.050%。
国債先物は、総務省が朝方発表した11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、日銀による早期の追加利上げ観測が高まったことが売り材料となり、寄り付きから弱含みの展開が続いた。しかし午後2時以降は下げを取り戻し、プラス圏に浮上して取引を終えた。』(上記URL先より、あとで引け気配を引用します)
ということですが、まあゆうて債券先物ちゃんって
(いつものことですがこれは寄りの注文受付始まって20分くらいすると今日の日中足に切り替わります)
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 24年12月限
取引日 2024/11/29
立会区分 日中取引
始値 142.94 (11/29)(08:45)
高値 143.10 (11/29)(14:34)
安値 142.88 (11/29)(09:09)
現在値 143.06 (11/29)(15:02)
前日比 +0.04
取引高 26,783
という動きなのですが、朝方都区部CPI出てから暫くは弱めだったのですが、都区部CPI見て円高に振れた相場ちゃんを受けて前場の時点で既に142.95-98水準まで切り返していましたので、まあ確かに前日比でみたら弱含みちゃあ弱含みでしたけれども、東京都区部CPIがクッソ強かった割には底堅いというかサガランチ会長だな、というのがアタクシの印象(個人の感想です)になるんですけど、まあ金曜は月末特有の長期化フローとかもあったのでアレなんですけれども、朝方10時くらいにホイホイ切り返したのをみて、アタクシ的には「円高になったのを見て円債戻ってやがるうへえwwwww」という感想を得ました。まあその感想が正しいのかどうかは知らんけどw
すくなくとも7月の決定会合で「円安による不必要な物価上振れリスク」を入れて利上げした上に、先行きのリスク要因の中に例の『とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』というのを展望レポートのリスク要因の中に入れた、というのはこれすなわち従来は知らんがなだった為替要因が政策反応関数の中に組み込まれたことをゲロっているものですから、円債ちゃんとしては為替が円高に振れると「これは日銀の政策反応関数の一つが利上げを促さない方向になりましたわ」となるという実にチャーミングなムーブになるのですな。
てかまあ為替市場の方がナイーブにもほどがあって、植田日銀が東京CPI上振れで政策修正を早めるようなタマだったら今頃政策金利は普通に1%以上になっとるじゃろとしか言いようが無いので、その脳筋思考は何とかした方が良いと思いました(大きなお世話ですかそうですかすいません)。
〇CP社債買入やっと来年の1月で終了ですか
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr241129b.pdf
CP・社債等買入のオファー日程等(2024年12月〜2025年1月)
『3.CP等および社債等の買入れの終了について 』
『日本銀行では、本年3月の政策委員会・金融政策決定会合において、CP等および社債等について、買入れ額を段階的に減額し、1年後をめどに買入れを終了することを決定しました。この決定に沿う形で、金融市場局では、CP等および社債等の買入れ金額を段階的に減額しており、来年1月のオファー分をもって買入れを終了します。これに伴い、来月以降は、オファー日程の公表は行いません。』
だそうです。いやーまったくやっと終了かよおせーよって感じではありますが、まあ正常化正常化ということで。
〇東京都区部CPIがエゲツナイ件について
でもってその東京CPIはツエツエ蠅ですわ。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消費者物価指数
東京都区部 2024年(令和6年)11月分(中旬速報値)
※全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表するものです。
『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として109.3
前年同月比は2.6%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は108.3
前年同月比は2.2%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は107.7
前年同月比は1.9%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇』
ちょwwwwwwwww
『表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比』
ってのを見ましても、この「前年同月比+2.6%」とか見てもほーんって感じなのですが、原数値を見たらあーた2020年=100に対して総合が「109.3」なんですからそりゃ生活実感的にキテるわなというお話でございますし、
『表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)』
を見ますとですね、これ9月CPIが例の真夏の乗り切り対策とか言って出てきたエネルギー価格の引き下げ攻撃によって除くエネ以外のCPIって前月比マイナスになっているのですが、その後の10月と直近11月の前月比の上げ方がえげつなくて、総合でみると2か月連続で前月比+0.5%上昇しているし、何ならその前の8月も前月比+0.5%上昇とかいうエグいペースで上がっていますな。夏の乗り切り対策剥落要因とは言え。
でまあコアコアちゃんの前月比もこれまた着実に上がっておりまして、しかも+0.4だの+0.5だのとかいう数字がゴロゴロと並んでいる訳でして、この状態のどこがどう「基調的な物価は2%行ってない」だと小一時間問い詰めたい訳ですし、だいたいからして総裁日経インタビューで「インフレ率が2%を超え始めているときに」一段の円安になるのはリスクが大きいとか仰せになっていましたけど、今の大幅な金融緩和をやってて良いのか問題どうなってるんだよ、と減りゆく財布の中身を見ながら(いつもニコニコ現金で払っているとやたらと北里先生がホイホイと出荷していくの勘弁していただきたいと思っているから言う訳ではないのですが(おい)、まあ物価高批判が日銀にやってこないことをお祈りしておきます(棒読み)。
2024/11/30
お題「植田総裁の日経インタビュー:まあ利上げ路線は利上げ路線なんでしょうけどねえ・・・・」
ということでおはようございます土曜の朝(というか電子版は土曜の未明なんですね)にこういうの載せられますと新聞買いに走らないといけないですかwwwwww
〇日経インタビューですが本紙を買って読んでは見ましたので少々
とは言いましてもこちら基本的に有料記事ばっかりなのでそのあたりのことはほんわかとしか書けませんのと、日経本紙買って我憤怒したのは「一問一答を電子版に」ってあって駅売り課金人間には読ませない、という日経の根性が伝わってきたことで朝から血圧が上がるわけですがなこの記事読むだけのために200円も課金したんだぞ200円も(憤怒)。てかしばらく前に日経が総裁インタビューしたときには本紙に一問一答あったような記憶があるんだが(いやあれは読売だったかな)。
・・・・てな話はさておきまして、日経ちゃんの記事の無料部分だけ拾ってみますと、
・まずは日経電子版無課金おじさんでも読めるところから参ります
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB28D410Y4A121C2000000/
植田日銀総裁、利上げ「賃金・米国見極め」 データ想定通り
植田和男・日銀総裁インタビュー
2024年11月30日 2:00 [有料会員限定記事]
ということで電子版は夜中の2時に出る、ということでもはや紙媒体ってなんのためにあるの(スクラップするとか一覧できる以外にメリット無いじゃん)というお話ですし200円ですよ200円(しつこい)。
『日銀の植田和男総裁は日本経済新聞のインタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と述べた。市場では12月か2025年1月の金融政策決定会合で日銀が利上げするとの観測が浮かぶ。植田総裁は国内賃金と米国経済を見極めたいとも主張し、拙速な利上げは避ける考えを強調した。
インタビューは28日に実施した。日銀が追加利上げを決断す』(上記URL先より、以下有料会員記事)
とまあそういうのがあって、さすがに日経1面の見出しくらいは書いても罰が当たらんと思うので見出しを見ますと、本紙(ワシが200円はたいて査収したのは「12版」です)の1面トップ記事がこちらの植田総裁インタビューで、このサイズは何段抜きというのかわかりませんが、まあ一般的な1面トップの表題サイズで『利上げ・「賃金・米国見極め」』となっています。電子版しか契約していない人(という契約方式があるのかは知らんけど)は200円握って駅なりコンビニなりにどうぞ。
でまあ見出しがあって、その横に『経済データ「想定通り」』ともあって、本紙の方でも1面では上記URL先と同様な感じでして『植田総裁は追加利上げが近いと示唆しつつも、拙速な判断を避ける姿勢を強調した』(こちらは11月30日日経新聞朝刊本紙1面トップ記事の本文第4段落目になります)という記載になっていまして、電子版とは文章構成が違いますが、同じような紹介になっていますな。
でまあ電子版の上記の記事の関連記事で、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB28DE90Y4A121C2000000/
日銀総裁「一段の円安、リスク大きい」 政策変更で対応も
金融政策
2024年11月30日 2:00 [会員限定記事]
ってのがありますが、こちらが日経本紙だと3面に「関連記事」として解説記事がありまして、見出しが同様になっている(表題の構成はちょっと違うけど中身は同じ)という感じです。
『金融正常化を進める日銀が10年超続いた異次元緩和の副作用に向き合っている。植田和男総裁は日本経済新聞の取材で「一段の円安はリスクが大きい」との認識を示した。場合によっては政策変更で「対応しないといけなくなる」と強調した。円安圧力はくすぶり続けており、日銀は経済の不確実性と両にらみの対応を迫られる。』(上記URL先より)
ということで出てきたのはいいんですけどね・・・・・・・
・市場がデータ見ながらいろいろ考えているんだから勝手に考えさせておけばいんですけどねえ
そもそも論としてこれから米国の雇用統計もでるんだし、日銀短観というインフレ定着の度合いを測る大事な指標もあるんだし、インタビュー28日に行われていたということですが、それこそ29日の昨日は東京都区部CPIがバチクソ強い、というのもあったわけで、まだまだ重要なデータや情報が出てくるわけですよ次の決定会合までには(その次は年末跨ぐけど春闘とトランプですよね)。
植田さん、名古屋金懇でこう言いましたよね。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241119a.pdf
『(答)アメリカ経済を含めまして不確実な点とか、あるいは今後変動がいろいろ予想されるというような、変動を確かめたいというような点は、ある意味無数にありまして、それを全部待ってて、それから政策をするということではなくて、毎回の金融政策決定会合で、そこまでに入ってきましたデータ、それからその他の情報ですね、これを毎回毎回点検し、それに対応して適切な政策を行っていくという、これまでの基本姿勢に現在でも変わりはございませんとお答え致します。』(直上URL先11/18名古屋金懇での会見より)
って言ってるんだから、その話とインタビューでの米国経済分からん発言(まあもちろん本紙見ればそういうこと言ってるのは分かるのですがBBGの記事の方にあるので後で貼りますね)とかしているのは、やる気がないですという話にも見えますし、一方で円安はリスクとかいってるのもこれまた「会合までのデータや情報を見ていって判断」という話との間に妙な違和感というか、事前決め打ち感のある話になっているように見えてしまう訳で、何でこんなインタビューするんだよと思う訳ですな。
アタクシこの前の名古屋金懇って「余計な事前決め打ちはしない」、「とは言いましても仔細に読むと判断が前進しているという現状認識は示しているには示している」という感じになっていて、あとはお前ら市場が考えろ、そもそも政策はその時々で適切なものを行うんだし経済は生き物なんだからそんなに事前決め打ちできないから予告ホームランはせんわ、というスタンスになった点に関しては、過去との整合性という点ではナンジャソラとは思いますけど、ただまあ毎度毎度予告ホームランをして政策をする方がそもそも論としておかしい、という原理原則に立ち返ったという意味では評価に値すると思ってた訳ですな(なので最初見たときは何でこんなのするんだと書いたけど途中で少しトーンを変えましたw)。
然るに、なんですかこの余計なコミュニケーションは、って話でして、これ毎度の両論併記になっているから、市場はみたいものの方を見て反応しちゃうし、見たいものの方を見て反応した市場が両論のもう片方を結果として出されて「私言いましたよね」となると激怒激怒大激怒になる、って話ですからして、じゃあこんなインタビューやるなよな、ってなもんでございます、というのは個人の感想ですけれども。
とまあそんな訳でBBGさんが日経インタビュー記事をご紹介している記事を出しているので尻馬に乗ってみる。
・両論併記の弊害なんだが「市場は見たい方しか見ない」ってのまだ気が付かないのかね日銀は
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-29/SNNGT7T0AFB400
植田日銀総裁、一段の円安はリスク大きいとの認識示す−日経
伊藤純夫
2024年11月30日 2:12 JST 更新日時 2024年11月30日 4:04 JST
→円安進行なら場合によって政策変更で対応が必要になるとの見解
→データが想定通りに推移、その意味で利上げは近づいている−総裁
ということで、ヘッドラインと最初のリード部分は植田さんインタビュー両論併記の片方にバイアス掛かって報道されちゃっていますよね。まあそうなるのは致し方ない面がある。
『日本銀行の植田和男総裁は、一段の円安はリスクが大きいと指摘し、場合によっては政策変更で対応しないといけなくなるとの見解を示した。日本経済新聞が30日、インタビューでの発言を電子版で報じた。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことで思いっきりこういうご紹介なのですが、ブルームバーグさんそこまで書いていないのでアレなんですが、この「一段の円安」に関して日経本紙の方でも(というか無課金なので一問一答見れませんけど)『インフレ率が2%を超え始めているときに』(11月30日日経朝刊総合2面(3面)の記事より)というのが入っていて、一問一答見てないからどういう文脈で言ってるのか謎なんですが、いやお前アクチュアルの物価2%ずっと超えてるだろそれで円安進行がリスクとか何を今さら祐天寺って感じですが、とりあえず朝刊本紙総合2面(=3面)のトップにもデカデカと横に『「一段の円安、リスク大きい」』と出しておりまして、まあBBGさんも(為替市場も)これに反応したって感じですわな。
でまあBBGさんの記事の続きですけど、
『植田総裁は同インタビューで「経済データがオントラック(想定通り)に推移している」と発言。12月の利上げへの明確な支持は示さず、次の利上げのタイミングが近づいているとの認識を示した。その上で、「米国の経済政策の先行きがどうなるか、大きなクエスチョンマークがある」としたほか、賃金動向とその価格への転嫁も慎重に見極めて追加利上げの是非を判断する姿勢を示したと、日経は伝えている。』
ということで、この「米国の経済政策の先行きがどうなるか、大きなクエスチョンマークがある」っての「日経は伝えている」とあるように、日経本紙の方でも記載されていまして、これ言い出すと結局無限に利上げを引っ張れるという事になるので、その意味では飛んでもない逃げ道の用意もしているというインタビュー。
でまあ足元ってBBGさんがこういう記事にしていますけど、昨日の東京都区部CPIが割と飛んでもない強さ(総合は2か月連続で季節調整後前月比+0.5%、コアの前月比は+0.4%→+0.5%と絶賛加速)になっているのを見て、為替市場ちゃんって円高にきっちり振れていて、一方で円債ちゃんは(インデックス長期化とかの影響もあると思うけど)円高を見て金利低下とかいうお茶目なプレイになっているのですが、まあそういう為替市場様の風潮があるだけに、そらまあBBGさん「円安はリスク」を前面に出す罠と思いました。その方がウケるでしょうからぬー。
『ニューヨーク時間29日の外国為替市場では、総裁の発言が伝わった直後に円が対ドルで上げ幅を拡大し、149円90銭台を付けた。いったん150円台に戻した後、上げ幅をさらに拡大して日中としては10月21日以来の高値となる149円47銭まで円高が進んだ。』
ということで、まあ何のためにこのインタビューやったんだかさっぱり意味は分かりませんけれども、下手に両論併記するもんだから折角「フリーハンド」になっているものを逆に12月利上げしないと許さんモードになっていくリスクもあるし、12月やらなかった時の反動を大きくすることにもつながって、却って日銀の自由度を縛るんじゃないかって気はしてきましたこの反応ですと。
(アップしてから読み直して追記しましたけど)
読み直してみたらこれだとワシがこの記事を「12月利上げと見ている」ように読めてしまうのに気が付いたのでさっきの消して別に追記しますね。
えーっとですね、この記事って結局のところ「米国や賃金の見極め」に重点をおくのか、「経済データが想定通りだから利上げが近い」に重点を置くのかで見方が割れるのですが、「円安けしからん」というのがこれまた攪乱要因にも程があるわけで、為替市場様が反応して円高に振れてしまいますと、怪しからん円安傾向が弱まってしまうので、利上げを急ぐ大きな理由が消えてしまうんですよ。
でもってこの駄文の最後の方に書いておりますが、まあ記事のトーンからすると植田さんは利上げをあまりにも引っ張りすぎるのは流石にマズイ、とは思っているようなのですけれども、そもそも今の時点でまだ政策金利が0.25%にしかなっていない、という時点で植田日銀は利上げに対する胆力が乏しいとしか言いようが無いわけで、そういう植田日銀が市場に追い込まれない形で利上げするのか、と言われるとこれまたかなり疑問なところがあるので、結局何とも言えないんですけど、為替が円高に振れてしまうと利上げを急がなくなる、でもまあ引っ張りすぎると円安ぶっ飛ぶのでそれは避けたいでしょうな。
でもってですね、利上げ路線ってのはまあ伝わる構成だし、最後の(これまた後で書いてます)インタビューアーの所感部分見ましても、利上げをアホみたいに引っ張る感じではない、ということになりますと、まあそこまで利上げが先になることもない、という感じになるんじゃないでしょうか12月か1月か、に関しては変わらないんだったら、何でわざわざこんなインタビューしたんだ、という印象がぬぐえません。
いずれにしましても、へんな両論併記をするのは市場を勝手に暴走させるリスクがあるから避けてほしいですね
(とここまで追記しました)
・こういうのは対話強化になっていないように思えるんだが
でまあBBGさんの記事の締め部分(途中は飛ばしています)ですが、
『7月の利上げはサプライズと受け止められて市場が乱高下する一因になり、植田総裁は市場との対話を一段と丁寧に行う考えを表明していた。7月会合前には、政策委員による講演や記者会見など日銀から目立った情報発信はなかった。12月会合を控えたタイミングでの総裁発言を、市場は対話強化の一環と受け止める可能性がある。』
ということなんですけど、せっかく名古屋金懇のところで「将来的には利上げ路線、でもタイミングはフリーハンドですよ」という説明になったのに、やれ米国だやれ為替だとか言い出すと、折角市場もデータを見てああだこうだ動いているのに、また政策反応関数が訳わからなくなるというものでして、あんまりこういうのを総裁副総裁が言う必要ないんだよな(審議委員に足元の情勢判断を適当にしゃべらせておけば良いのであってその辺が言う事なら何ぼでも上書きできるけど、総裁が言ってしまうと上書きしにくいのですから)とは思うんですよね。
あとですね、この手の一問一答、別に日経電子版に金払いたくないから言う訳ではなくて、これはもうちょっと大真面目な話なんですけど、ECBだとエグゼクティブレベルとかの人がメディア向けにインタビューをすると、その一問一答って基本的にECBのサイトに公開されるような仕様になっていて、まあFEDの場合は地区連銀総裁が地区連銀単位で出したり出さなかったりしていますけど、何なら新聞掲載の翌日でも構わないのですが、一問一答を日銀も出して頂きたいと思います。ヘッドラインの初期反応に対して検証の仕様がない状態が続くと、バイアス掛かった転電記事にそのまま引っかかる、という事になってしまい、それではなんの為にインタビューやっているのか意味がなくなるでしょ、と思うのですよね。
まあそれに関しては一朝一夕にはできないかもしれないけど、一般も含めて世の中への意思疎通という点では、ちゃんと日銀も一問一答を出した方が良いと思います。
・でまあ結局記事読んだおめーの感想はと言われますと「利上げ路線は利上げ路線だが」ですかね
とまあそんな訳で土曜の朝っぱらから血圧を上げたり下げたりしながらw駄文を書き散らかしている訳ですが、日経本紙の記事の書き方のトーンとしては、1面の方はやや慎重に構えているような印象を与えますし、総合2面(3面)の方はやや利上げのやる気を感じるような印象を与える、という感じの紙面構成かな、とは思います。
でまあケチだの何だの申し上げたので詫び石代わりにですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB281770Y4A121C2000000/
日銀、テールリスクとの闘い 通貨防衛の危機感にじむ
金融政策
2024年11月30日 2:00 [会員限定記事]
こちら、無料部分だけですと何が何やらという印象しか受けませんが、電子版じゃなくて日経本紙の方でもこの記事は読めまして、今回のインタビューを行った日経新聞さん(だと思うのですが)の金融部長の河浪武史さんの署名入り記事でして、河浪さんが今回のインタビューで感じた印象とか感想とかまあそんな感じの話になっているのですが、中々この話がよくできていまして、これを見れましたので(さっきは散々言いましたけど)200円払って良かったと思います、と褒めてつかわす(謎の上から目線wwww)。
まあこの所感部分を見ますに、利上げをあんまりビビっているとそれはそれでマズイ、という認識は植田さんお持ちのようではあるのですが、まあそうなのでしたらあとは植田さんの胆力の問題になってくると思う(だって少なくとも国内情勢でみたら利上げを躊躇する理由は無いし何なら既にtoo
lateになっているかもしれないくらいでより中立に近いスタンスに戻すのは急務の筈で、それをしないのは胆力の乏しさとしか言いようが無い)のですが、さあどうなることやらですな。
2024/11/29
〇基調的なインフレちゃん
すいません出遅れました。
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
1年分くらいだしてみると
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9
Apr-24 1.8 1.1 1.6
May-24 2.1 1.3 1.5
Jun-24 2.1 1.4 1.6
Jul-24 1.8 1.1 1.5
Aug-24 1.8 0.7 1.3
Sep-24 1.7 0.8 1.4
Oct-24 1.5 0.8 1.3
(いつものように左から刈込平均値、加重中央値、最頻値)
ということで、昨年の鬼のような物価上昇は一服、という図になっているのですが、まあゆうて過去から見てみますと、消費増税の時に増税要因に便乗値上げ要因もあった2014年と比較してみたって、
Jan-14 0.7 0.0 0.2
Feb-14 0.8 0.1 0.2
Mar-14 0.8 0.1 0.1
Apr-14 0.8 0.1 0.2
May-14 0.9 0.1 0.1
Jun-14 0.9 0.1 0.1
Jul-14 0.9 0.1 0.2
Aug-14 0.8 0.1 0.1
Sep-14 0.6 0.2 0.2
Oct-14 0.5 0.1 0.2
Nov-14 0.4 0.0 0.2
Dec-14 0.4 0.0 0.3
2014年ってどさくさに紛れて結構物価があがりましたが、この時と比較したら一目瞭然な訳で、これで物価の基調がまだダメとかいうの頭おかしいだろという世界線だと思うのですけれども、(てか上記の数字以上に生活実感としては物価クソ上がりしているし足元でまた上昇してるだろ、と第二種兼業主夫のワイは思うんだが)この辺りの話もうっかり数字の話をするとややこしいことになるので言わなくなっているのが日銀のいつもの奴、という感じではあるのですが、物価が上がったあと落ち着いてきた(のかよという気はするけど)段階においても、加重中央値とか最頻値とか上がったところからは下がったとは言え落ち着いて推移しているわけで、物価目標という意味ではこんなん達成したという話にしても何らおかしくないと思いますし、それこそ先日ネタにしましたように、日銀調査統計局様謹製の展望レポート背景説明のBOXだって全編これ「物価目標達成間近」って感じなのでして、まあ結局あとは市場に振り回されるチキン執行部の皆さん(あるいはチキン大本営なのかもしれませんけど調査統計局は寧ろケツ叩いているように見えますわな)の胆力次第ではあるなとは思うのでした。
でまあ上昇下落品目の方ですけど
Jan-24 83.9 10.7 73.2
Feb-24 81.8 12.8 69.0
Mar-24 79.5 15.1 64.4
Apr-24 80.8 14.0 66.9
May-24 79.3 15.5 63.8
Jun-24 78.7 16.1 62.6
Jul-24 75.7 18.8 56.9
Aug-24 74.7 19.9 54.8
Sep-24 76.1 18.2 57.9
Oct-24 75.1 19.5 55.6
2割も下落品目あったっけという気はしますが、まあ何はともあれもはや7割以上の品目が値上がりするというのが定着していましてそら物価高の体感強くなるわというお話ではあります。
2024/11/26
〇そういえば植田総裁の名古屋金懇ですが流していた部分で重大な見落としがorzorz
すいませんすいませんすいません
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241118a.htm
最近の金融経済情勢と金融政策運営
名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶
日本銀行総裁 植田 和男
2024年11月18日
リスク要因の説明がクソ長い、という話をしていたのですがその間にすっかり見落としてどスルーしていた部分があったのでここで追記させていただきますが(滝汗)。
『3.経済・物価のリスク』の『海外経済の動向と金融資本市場』のところですね。
これ冒頭に、
『まず、第1のポイント、海外経済について申し上げます。図表5をご覧ください。最新のIMFの「世界経済見通し」では、前回7月の見通しがほぼ維持される形で、世界経済は2025年にかけて、3%台前半の成長を持続する見込みとされました。先行きの海外経済については、緩やかな成長の継続がメインシナリオですが、こうしたシナリオが実現していくか引き続き注意が必要と考えています。先月行われたG20の会合でも、世界経済の見通しを巡っては、このところ、不確実性が高まっているとの認識が共有されました。』
ってあるので「さらに不確実性が高まっているという認識ですがな」というように読めてしまう(まあそういう表現ですけど)ので幻惑されてしまいましたが、米国の部分って、
『米国経済については、夏場には、労働市場の減速を示唆する指標が相次ぎました。その後は良好な統計もみられており、米国において、景気の大幅な減速を避けつつインフレ率が2%に向けて低下していくソフトランディング・シナリオが実現する可能性は高まる方向にあります。』
とあっても、
『ただし、引き続き情勢を丁寧に確認していく必要はあると考えています。』
とあって、結局チキンに見えるわけですよ。でまあその次も、
『米国経済は、コロナ禍以降、新産業での起業の増加やAIの積極的な活用などもあって、生産性を高めてきました。移民の増加などから労働供給も増えており、経済の基調はしっかりとしているとみられます。』
しらっと構造的に強くなっている(生産性の増加は潜在成長率の押し上げに寄与しますわな)話を入れてみておいてからの、
『とはいえ、この間の堅調な個人消費を支えてきた一因であるコロナ禍で蓄積された超過貯蓄は減少していますし、今後、ここまでの急速な利上げの影響がラグを伴って経済活動を押し下げる可能性にも引き続き注意が必要です。』
とあって、下ブレ警戒が直後にあって前の部分を打ち消している、という文章構成になっているのが曲者でして、
『一方で、今後の景気展開や政策運営などを受けて、インフレが再燃する逆方向のリスクも否定はできません。』
ってあるのがポジティブの話なのかネガティブの話なのかが謎と読めますが、よくよく見ますとこの項の結論って、
『米国経済の動向については、こうした双方のリスクを念頭に置きつつ、丁寧に点検していきたいと思います。』
ってありまして、これどさくさに紛れて10月決定会合の発言をひっくり返しているんですよね。すなわち、10月決定会合における植田総裁の発言というのは・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241101a.pdf
総裁記者会見
――2024年10月31日(木)午後3時30分から約65分
いくつか米国のリスクに関して言及していた、というのはご案内の通りですが、代表的な物としましてはこちらの7ページから8ページに掛けての部分になります。
『(途中から引用します、植田総裁の発言部分です)これに対して、米国等海外要因については、下振れリスクを重視してみていたわけですけれども、少しその霧が晴れつつあるかなというところでございます。そのうえで、例えばアメリカの大統領がいずれにせよ変わるわけですけれども、その新しい政策がどういうものか判明するのはだいぶ先になるのではないかと、』
この文章、読点ばっかりで句点が全然ないから引用しだすとクソ長いので読点だけどここで切りますと、明らかに「従来は下振れで見ていた」だし、
『その点をどう考えるのかということだと思いますけれども、当面時間をかけて見極めたいというふうに申し上げていた米国にまつわるリスクは、少し長く取れば
6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスクについての見方ということであるというふうに私どもとしては認識しています。』
思いっきり10月31日の時点では「ダウンサイドリスク」の話しかしてなかった訳ですよこれがまた。
ですから、
『それが少しずつクリアになりつつあるというのが現状で、たださっきも申し上げましたようにそこが当面米国経済、所得も消費も強いというのが続いたとしても、そのうえで、新しい大統領が打ち出してくる政策次第では新たなリスクが出てくるということは申し上げるまでもないですけれども、そこはまた新たなリスクとして各会合で点検していきたいというふうに考えております。』
ということでですね、この時の説明を見るとここの「新たなリスク」ってダウンサイドにしか見えないし、おまけに説明の頭の方にあるように「その新しい政策がどういうものか判明するのはだいぶ先になるのではないかと」だった訳ですな。
然るに、先般の名古屋金懇での説明文ですと、思いっきり「双方のリスク」となっていまして、見極めに時間がかかるような話をしていたダウンサイドリスクが「それが少しずつクリアになりつつあるというのが現状」という説明をわずか半月前にしているのに、何ですかこの豹変は、というお話ではあります。今更気が付きましたすいませんすいませんすいません。
・・・・・ということで、植田総裁10月31日の「米国下振れ強調」をしらっと撤回しているということなんですが、じゃあ何でワイがこれスルーしてしまったかと言えば、ワイの目が節穴なのはもちろんその通りではあるのですが、もう一つだけ見苦しい言い訳をしますと、それは10月展望レポート基本的見解の記述にございましてですね、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf
経済・物価情勢の展望(2024 年10 月)
(基本的見解)
毎度問題になるのが最後の金融政策運営に関する文言でして、今回は以前ご紹介した通りですが、
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』
からの、
『そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。』
と来まして、
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』
という文章になっているのですが、今回って7月になかった「そのうえで〜」のところが加わって、ああチキン感が、とは思った訳ですが、これネタにした時にもそこは思った訳ですが、この「リスク」って別に下方リスク限定ではなくて、普通に読めば上下のリスクがあるのでそこを見ますよって話になるわけですよ。(今回の話のネタの米国経済とは関係ないですが、金融資本市場の動向、ってのは円安による物価上昇のリスクという上振れも含まれますよね)
なので、もともとこの文言を見たときに「待て慌てるなこれは諸葛孔明の罠」と思って最初下方リスクだけの話じゃないじゃんと思ったら上述のように総裁記者会見の方では思いっきり米国下振れの話をしてたし、しかもこれは会見聞いててのけぞったのですが、6月くらいから下振れリスクがありましたとか抜かしていた訳で、じゃあこの展望レポート基本的見解における金融政策運営の文言は何なのか、という風に思いつつも、そうは言っても会見発言というのは、それが総裁の発言であったとしても、それよりも展望レポートという議決事項で紙に落としてある文章の方がエライ、というのが公表文書の「格」としての建付けなので、はてやっぱり上振れだって検討するよね、という発想が頭にあったので、まあこの名古屋金懇のこの説明をワイどスルーしてしまったんですよ、とものすごく見苦しい言い訳をしておきます。
とまあそういう訳でして、名古屋金懇ってなんも言ってないように見えてどさくさに紛れて10月31日の総裁会見での米国下振れ連呼を打ち消して上下双方向のリスク、に上書きした形になっていて、何のことは無い見方は進んでいるというこの事実、って1週間もしてから気が付くとはワイも焼きが回っているなと反省することしきりな訳ですよこれがまた。
まあ確かに10月31日対比ではトランプ爆誕赤一色ということでトランプ爆誕までは兎も角として赤一色だわトランプさん相手にぐうの音も言わせない大勝利だわ、という上方サプライズはあったにせよ、10月31日にあれだけ(会見発言とは言え)米国下ブレがーって話をしていて、やっと「それが少しずつクリアになりつつあるというのが現状」位の認識をしていたものがいきなり「上下双方向のリスク」まで上書きされる話かよとは思うのですが、まあ実を言えば10月展望レポートでの金融政策運営の記述でも上下双方向のリスクを意識した文言になっていたことを踏まえれば、10月会見では植田さんちょっと口が滑っていたという事なのかもしれませんな、とは思いました。
・・・・・まあ何ですかね、その前に「丁寧に」喋りすぎだった、ということではあるのですけれども、説明がマジで分かりにくいというか、過去の余計な説明が足を引っ張っているせいではあるのですが、中々難しいわ、とか改めて思いました、とかいうアタクシの反省文をダラダラと垂れ流してしまいまして誠に恐れ入ります(汗)。
でまあ12月か1月かとか言われても正直分からんのですが、3月まで引っ張るというのはまた全然話が別次元になりそうではあるのですけど、いずれにしましても状況証拠的には政策修正いつやっても良いのでしょうね、と昨日今更ジローでネタにした展望レポートBOXもそうですけど、まあその辺の傍証はあるにせよ、あとは「お膳立て」の問題ではないかろうか、と斯様に思うのでありました(個人の見解です^^)。
2024/11/25
〇1か月も経過してバチクソ今更感が強いのですが今更展望レポートのBOXを
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410b.pdf
経済・物価情勢の展望
2024 年 10 月
まあ今更にも程があるのですが今のうちに書いておかないと、と思ったので(汗)
展望レポートの背景説明を含む全文ですが、これを真面目に読むとそれなりに面白いのですけれども、読んでいる時間も気力もない、という方のために親切設計として最後にBOXってのがあるのですが、こちらは毒にも薬にもならないものが出てくるとか、忖度爆裂系の物が出てくるとか、意外にファンキーな物が出てくるとかいう感じで、おおむねこの3パターンに分類されますな。
でもってご案内の通りですが、展望レポートって基本的見解は政策決定会合議決事項になりますのでこれは政策委員会でオーソライズされているのですけれども、全文の方になりますと「背景説明」の部分はこれ調査統計局様謹製のスタッフペーパーになるんですが、とは言いましても普段のペーパーみたいに「日本銀行の公式見解ではありません」とは違いますのでそこはちゃんとしているし、だいたいからしてここの背景説明にある内容をベースにして基本的見解を作っている(ということになっている)のですが。
てな訳で、今回のBOXですけれども、本文35ページ、PDFの37枚目以降になるんですけれども、今回はファンキーなものが出ておられまして中々味わいがあります。
最初のは、
『(BOX1)ITサイクルの動向 』
となっていますが、もう出オチにも程がある書きっぷりになっていまして曰く、
『わが国におけるIT関連財(情報関連・半導体製造装置)の生産・輸出は、グローバルなIT関連需要の回復を背景に増加すると見込まれる(図表
B1-1)。以下では、ITサイクルの動向と先行きの持続性について分析する。』
とあって、その結論部分に飛びますと、
『推計結果をみると、世界の半導体出荷額は、今次局面では、@コロナ禍で需要が盛り上がった
PC・スマホ等の買い替えサイクルが到来しつつあることに加え、A生成AI等による需要が高まっていることを背景に、中・長期循環成分が上方への転換点に差し掛かっており、こうした需要の強さは
2026 年頃まで続くことが見込まれている(図表 B1-3)。』
『同様にわが国の半導体出荷額について、推計結果をみると、世界の中・長期サイクルと比べれば、立ち上がりの時期が遅く、中・長期循環成分の上昇度合いも相対的に小さいが、先行きは需要の回復が見込まれている。』
とまあ威勢の良い話になっておりますし、
2番目のはさらに威勢が良くて、
『(BOX2)人手不足感の広がり 』
『短観の雇用人員判断DI(全規模)を長期でみると、最近の労働需給のひっ迫度合いは、歴史的にかなり高い水準にある(図表
B2-1)。』
いきなりのこれである。
『こうした労働需給のひっ迫度合いの広がりを、業種・企業規模横断的にみるため、今般、短観の雇用人員判断DIのヒートマップを作成した(図表
B2-2)。』
PDF39枚目の右の方に、『図表B2-2:労働需給ヒートマップ・短観』ってのがあって、これがもう強いのなんのというまっかっかの図になっています。
『同図表の赤は人手不足<−2 標準偏差>、白は人手過剰<+2 標準偏差>、黄色は過去平均的な水準<平均値>を示す。これをみると、@リーマンショック前の景気回復期では労働需給のひっ迫は、大企業のごく一部の業種に限られていた一方、Aコロナ禍直前の期間および直近は、人手不足感が幅広い業種・企業規模で強いことが確認できる。』
しらっと書かれていますが、コロナ無かったとしても労働需給のひっ迫からの物価上昇圧力が掛かっていた可能性があったんですな、と思いますとコストプッシュがクソ余計で、それが無ければもっと健全(というかなんというか)な物価上昇パスの世界線もあったのかもしれませんね。
『次に、正社員とパートに分けて、労働需給の状況を確認する。労働者過不足判断DIが正社員・パート別に取得可能な厚生労働省の「労働経済動向調査」を用いて、同様に、業種別・企業規模別・雇用形態別に労働需給のヒートマップを作成した。』
ほうほう。
『まず、正社員・パートの労働需給の状況を業種別にみると、最近では、パートに比べ、正社員の労働需給がひっ迫していることが分かる(図表
B2-3)。』
この図表(PDF40枚目にある)もかなりエグイですわ。
『団塊ジュニア世代の退職が今後見込まれることも相まって、企業としては正社員の採用意欲が高まっており、正社員の人手不足感が強くなっている22。』
ちょwwww団塊ジュニア世代のちょっと上のワイの扱いwwwwww
『こうした傾向は、企業規模別にみても確認することができ、相応に広がりがある大きな変化とみなすことができる(図表
B2-4)。』
構造変化ですと。
『なお、多角的レビューの一環で実施した企業行動アンケートの結果では、過去
25 年間の変化として、「賃上げをしなくても正規労働者を確保できた」状況でなくなってきていることが示唆された23。』
ほうほう。
『こうした事実を踏まえると、わが国では、正社員の人手不足感の強まりが企業のこれまでの賃金設定スタンスに変化をもたらしている可能性もある。』
人手不足感の強まりが仕事量のいやなんでもありませんが、まあとにかく労働供給不足であるという構造に変化しました、というお話でこれまたどちゃくそ威勢の良い話をしています。
さらに3つ目のBOXですが、
『(BOX3)最近のわが国における賃金と物価の関係について 』
これですけどね、
『本BOXでは、最近のわが国における賃金と物価の関係について確認する。』
という話なんですけど。
『まず、国内のインフレ圧力を示すGDPデフレーターをみると、2023年は価格転嫁が進展したことでユニット・プロフィット(UP)等を中心に高い伸びとなった(図表
B3-1)。一方、2024 年入り後は、ユニット・レーバー・コスト(ULC)を起点とした物価上昇に移行している。』
何処からどう見ても「賃金と物価の循環メカニズムに移行しています」って言ってるのと同じな訳でして、この説明ですとそもそも論として物価2%目標の達成だって普通に見えていますよというお話になっている訳で、この状況で利上げをしない方がおかしい、という話になりますので、これはかなりのファンキーなBOXですな。
『今後、賃金・物価が緩やかに上昇するもとで、UPとULCがバランスよく伸びていくと考えられる。』
マジか、ということで関連説明が入る。まずは賃金に関しては、
『次に、賃金関連の話題として、最低賃金について詳しくみると、近年は、参照されるCPIが上昇するもとで、今年度は、最低賃金の水準が相対的に低い地域での上げ幅が大きかったこともあり、前年比で+5.1%と過去最大の伸びとなった(図表B3-2@)。』
とは言いましてもそもそもCPIの原数値が10月全国の総合で109.5なのですから上がらんと死んでしまいます。
『こうしたもと、地域別の最低賃金上昇率の情報を用いて、最低賃金の引き上げがCPIサービス価格に与える影響をみると、最低賃金の引き上げは、サービス価格を有意に押し上げることが示唆される(図表
B3-2A)。』
これまたPDF41枚目の右にある『図表B3-2:最低賃金引き上げの影響』の図表がわかりやすくて良いですよ。
『今後、最低賃金の引き上げが継続すれば、サービス価格を中心に物価が押し上げられることが見込まれる。』
どう見ても物価目標達成です本当にありがとうございました。ですし、それなら中立金利まで上げないといけないからそもそも1%とかいうのも低すぎとかそういう世界で25上げるかどうかで大騒ぎしている場合じゃないんですけどねえ。
『続いて、コロナ以降の物価上昇がどのような要因で説明されるかを確認するため、CPIをエネルギー価格や食料品価格などの外生的要因とそれ以外に分解した
Bernanke and Blanchard モデル26を推計した。』
ちなみにバーナンキとブランシャールはプライスレベルターゲットだのあの手のクソ緩和理屈をいろいろといってた人たちなのでアタクシは基本的にこいつら碌なもんじゃねえ、と思う程度にはドン・コーンとかアラン・ブラインダーとかそっちの信奉者ではあります。
『CPIのヒストリカル分解をみると(図表 B3-3@)、コロナ以降のインフレ率の高まりは、主として、エネルギー価格や食料品などの輸入物価上昇の価格転嫁の影響で説明できる一方、足もとにかけては、そうした外生的な要因や需給環境などでは説明しきれない部分(図表B3-3@における残差)が押し上げ方向に寄与している。』
でもってこのPDF42枚目にある『図表B3-3:物価上昇メカニズム』ってのが中々味わいがあって、この「残差」項目なんですけど、このグラフ見ますと実はこの残差項が2022年の第2四半期からプラテンしていまして、しかもこれ年度じゃなくて歴年なので(年度の場合グラフ横軸に「年度」の文字が入る)、実は4−6月期の物価からこの「残差項」の躍動が始まっているんですよね。
日銀が2022年4月の展望レポートで「コアコア上がらんし」とか言って物価目標達成はまだまだです、と言って政策修正をしない理由にしていましたが、6月7月くらいから妙に賃金推しになっていたのはまだ皆さまの記憶に新しいとは思いますが、これを見ますとああなるほどこの時点でもうコアコアも上がりだすわと思って他の言い訳としてより遅効性の高い賃金を持ち出しやがった、というのが後付けでよくわかるわけで大変に興味深い次第ではあります。
『この残差を子細にみると(図表 B3-3A)、正の賃金ショックがCPIを押し上げていることから、企業の積極的な賃金設定行動が物価を押し上げていることが示唆される。』
22年の第2四半期から正の賃金ショックがプラス寄与しています。
『今後も、過去の低インフレ期における平均的な関係性以上に賃金ショックが物価の上押しに作用していくと考えられる。』
でもってですね、このBOX3のもう一つ良いのは、今回BOXの記述はここで終わりで、結局3番だけは全文ガッツリ引用しましたけど、この中で「賃金と物価の好循環」などというようなポエム文言が無かった、という所に無茶苦茶良い味わいを感じている訳でして、そらまあちゃんとした経済学徒だったらそんなことよ―言わんわというポエム文言をきっちりと使わない、という辺りに何かちょっと日銀の中の人(というか調査統計局の中の人というか)の自我をアタクシは受信してしまいましたが、気のせいでございましょうか(^^)。
しかしまあ何ですな。為替円安に関しても円安が物価に上振れ要因になりえる(ので政策修正の理由になる)という話で7月の政策修正をしていますし、こちらは政策委員会決定事項ではないにしましても、展望レポート本文という重みのあるものできっちりと賃金の正のショックが物価に対する与える影響が大きくなっていることを示している訳でして、こういうのを並べますと、「既に政策修正をする条件は整っている」という話だし、何ならその先だって展望できますよね、というお話を堂々としているのですけれども、なんかそこをストレートに説明しないってのも微妙ではありますな、と思いながら今更ですがこの辺を確認させていただきました。クッソ前のネタで申し訳ございません(忘れていたわけでは・・・・無いことにしておいてください)。
2024/11/22
〇植田総裁の講演・・・・は今の金融政策に関係なかったのですがまさかの質疑応答コーナーがネタになるとな
そういや毎年この時期にこのフォーラムがあるんでした(毎年「あ。そういやその時期だ」と思うの巻)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241121a.htm
【挨拶】
テクノロジーの進化がもたらす金融仲介機能の機会と課題
パリ・ユーロプラス ファイナンシャル・フォーラム 2024における挨拶の邦訳
日本銀行総裁 植田 和男
2024年11月21日
これパリって言ってるけど毎回東京でやっている奴でして、まあこちらの挨拶の方は足元の金融政策云々とは関係ない話なので、と思ったらこんなのがありました、というのは皆様ご案内の通り。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241121/k10014645751000.html
日銀 植田総裁 “今後発表の経済指標を見極めた上で政策判断”
2024年11月21日 18時34分
『日銀が来月開く金融政策決定会合で追加利上げを決めるかどうかに市場の関心が集まる中、植田総裁は21日、都内で開かれたイベントで、会合まで1か月ほどあるなどと述べ、今後発表される経済指標の内容を見極めたうえで政策を判断していく考えを改めて示しました。』(上記URL先より、以下同様)
そうそう「改めて示しました」であって名古屋金懇のガチガチガードの説明と同じなんですよね〜
『イベントで植田総裁は、英語で講演を行ったあと質疑に応じ、今後の金融政策について「次回12月の金融政策決定会合まで1か月ほどあり、それまでに多くのデータが出てくるため次の会合での結論を予期するのは不可能だ」と述べました。』
そらそうよ、という話ではあるのですが、これは10月展望レポート以降の流れと同じでして、10月会合の時点で8月以降に言ってた「時間的余裕がある」とかいうトンチキフォワードガイダンスもどきを引っ込めることによって、この「時間的余裕があるから政策調整は次回は無いよーん」という逆予告ホームランというか予告三振スタンスを引っ込めたわけですから、そもそも論としては12月以降の決定会合は「ライブ」ちゃあライブな状態になっているのは既定路線な訳ですよ。
ただまあその後の信組大会挨拶もそうですし、名古屋金懇でもそうなのですが、なぜかリスク要因の説明をやたらと「丁寧に」行うもんだからやる気があるのか無いのか分からんというかやる気ないのかね、という感じにはなっていますが、まあ予告三振をするわけでもなく、予告ホームランをするわけでもなく、という話ですので、12月やるぞとか1月やるぞとかいう意気込みは無いけど、まあその時にやれるようならやりますかねえ、というような感じなんでしょうね(個人の妄想です)。
ま、そこで問題なのはそもそも「やれるようなのかどうか」の判断基準が訳わからんというかお気持ちになっているのと、今までゴテゴテデコレーションをした「市場が不安定だと利上げしない」(とにかくこれはその場しのぎにしたって最悪の対応で泣いてる子供に下手な安請け合いするの図でしたわな)とか「米国経済下振れリスクガー」とか要らん事言ってるのをどうやって「無かったことにするのか」というイカサマコミュニケーションの手腕が問われるところですが、まあそういう過去の変な「丁寧な説明」があるので、ワシらとしては「じゃあ何をもって政策調整が可能になるのか」がまあ分からんのですが、寧ろ余計な説明をしないようにした方がまだマシ(変なこと考えないで済む)だと思うのよね。
『そのうえで植田総裁は、今後発表される経済指標の内容を見極めながら会合ごとに判断していく考えを重ねて示しました。市場関係者の間では来月の金融政策決定会合で日銀が追加利上げに踏み切るかどうかに関心が集まっていますが、植田総裁は現時点で方向性は決めていないという考えを示した形です。』
これ日銀の場合めんどいのは、そもそも論として現在の金利水準というか金融緩和度合いが政策目標達成に対して適切なのかという問題があって、総裁会見でも「実質金利がとても低い」みたいに認めているように、そもそもがクソ緩和になっているのに、見通しとしては再来年度の途中には物価目標達成と言っていて、そこに向けて政策調整をするって話なので、(状況が下ブレしない限りにおいて)政策ステイを続けるというのが適切な対応になり得ないということで、まあだから「見通し通りなら調整」って言ってるんですけれども、この辺りの理屈が複雑なのもコミュニケーションを非常にややこしくしているんですよね。
でまあそう考えると、下手なガイダンスを入れると、3月以降のように「緩和的な環境が続く」→「見通し通りなら政策調整」→「金融市場が不安定なうちは利上げしない」→「米国経済下振れガーなので時間的余裕がある」とまあ説明がヤヤコシヤ(ちなみにこの間に「円安」という要素の扱いに変化が生じているのにそこを詳しく説明しない)になってしまうのであって、「丁寧な説明」のつもりなんでしょうけれどもこちとらバチクソ振り回されるだけなので、名古屋金懇とか今回の質疑応答のペースを貫くなら貫いていただいた方がまだマシでして、一々次回予告クレクレを求めてそれに応じる、みたいな愚劣なコミュニケーションは要らんじゃろ、と思う次第なんだが、予告ホームラン方式って安易に使える手法だから安易に流れてその場しのぎに使っちゃうんですよね、困ったもんです。
『一方、外国為替市場では植田総裁の発言内容が報じられたあと急に円が買われ円高が進む場面がありましたが、その後は一転、円が売られるなど荒い値動きとなりました。』
ということですが、ついでにBBG先生
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-21/SNAKIVT0AFB400
12月会合の「予測は不可能」と植田日銀総裁、ライブになることを示唆
藤岡徹
2024年11月21日 19:12 JST
→12月末に向けまだ1カ月程度、非常に多くのデータや情報が利用可能
→今回の発言で12月の利上げに自らを追い込むことなく、選択肢を残す
『日本銀行の植田和男総裁は、12月の金融政策決定会合で利上げの是非を巡り活発な議論が行われるであろうことを示唆する、これまでで最も明確なヒントを提供したようだ。』(上記URL先より、以下同様)
??????????????
えーっと、まあ先ほどから申し上げておりますので耳にタコではありますが、そもそも論として10月展望の時点で12月以降の会合に関してはライブですわな、っていうのは建付け上そういうことになっている(時間的余裕を言わない、と明言したので)訳でして、最も明確なヒントを提供したようだ、って釣りか何かですか(だってこの記事の署名している方は端から分かってるでしょって思うのですが・・・・)と反応してしまいましたが、まあこのリードの部分は記事注目させるための釣りだと思うのは、その後に、
『今回の発言は、12月の利上げに自らを追い込むことなく、選択肢を残している。植田総裁は政策は毎回の会合で決定され、事前に決められるものではないとの見解を繰り返し示している。』
繰り返し示しているのに「これまでで最も明確なヒントを提供」もへったくれもないじゃろという話でして、まあデスクが勝手につけるとか色々とお家の事情はあると思うのですが、いきなりこっちは茶を吹きそうになったので勘弁してくださいwwwwwwwww
まあそれはともかくとして、
『市場では、次の利上げに動く前に日銀は7月会合で利上げした時よりも明確なシグナルを発信するとの期待が高まっている。7月の利上げは一部の投資家にとって予想外の決定となり、8月の市場混乱につながった一因とみられている。』
とまあそういうことになっている訳ですが、むしろこれまでが過剰に話をし過ぎで、その結果「緩和的な金融環境が続く」みたいな説明が呪縛になって利上げは先じゃろ、みたいなことになってしまったのと、6月輪番減額(その前に5.13事件という不意打ち輪番減額があったので6月はある意味追い込まれ減額に見えたわけですし)の時に「市場に聞きます」とか変な時間稼ぎに見えることをしててたりして、まあそんなこんなで「牛歩戦術」に見えてしまったり、とまあ日銀の意図どおりなのか意図ちがいのかは兎も角として、下手に丁寧なコミュニケーションをしようとしたらコミュ障なので却ってエライことになったでござるの巻、という図になっておられた訳でして、まあゆうてこんな駄文を書くくらいなのでアタクシもコミュ障陰キャの方に分類されるタイプだから身に染みて分かるのですが(泣)、コミュ障が急に社交的陽キャになるとか無理なんで(野々村的号泣)、端からそういうのは諦めた上で情報発信を考えるべきではなかろうか、と斯様に思う今日この頃でありまする(なんのこっちゃ)。
ということでこの辺で今朝は勘弁。週末余裕があればちょっと読みもの読んでみたいところですけど気が付けば師走が近い・・・・・・orz
2024/11/20
〇植田総裁会見ですが金融政策修正に関する根本的な部分でやる気のなさみたいなのが・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241119a.pdf
総裁記者会見
――2024年11月18日(月)午後1時45分から約30分
於 名古屋市
・不確実な点をこれでもかと並べておいてこの回答は嘘つけこのハゲとしか言いようが無い
幹事社質問(今日の所感とご当地質問)の次がもう早速「12月利上げの可能性」になるんですよね。
『(問)アメリカ経済の先行き、様々なリスクがあると、点検していく必要性があると説明されていますけれども、点検には一定の時間がかかるというご認識でしょうか。トランプ氏が大統領に着任するのは来年
1 月になりますが、経済・物価に及ぼす影響、どれぐらい時間をかけて見極めたいとお考えか教えてください。また、講演の中で、毎回のMPMで金融緩和の度合いを調整するか検討していくとおっしゃられてますが、来月にもMPMありますが、次回会合でも利上げの可能性はあるということか教えてください。』
前半は「見極めの時期」の話ですが結局流れるように12月利上げの可能性について話が落ち着いていくのでしたw
答えの冒頭がクソ受けるのですが、
『(答)アメリカ経済を含めまして不確実な点とか、あるいは今後変動がいろいろ予想されるというような、変動を確かめたいというような点は、ある意味無数にありまして、それを全部待ってて、それから政策をするということではなくて、』
じゃあちゃんとそういう説明をしろって話で、米国経済ガーを連呼しまくっていて、先行き分からんばっかりしか言わないで見極めたい見極めたいって連呼している今の日銀がですね、
『毎回の金融政策決定会合で、そこまでに入ってきましたデータ、それからその他の情報ですね、これを毎回毎回点検し、それに対応して適切な政策を行っていくという、これまでの基本姿勢に現在でも変わりはございませんとお答え致します。』
嘘つけという話でして、お前ら二言目には「不確実」をすぐに出してくる訳でして、挙句の果てに氷見野副総裁には昨年12月と今年の8月に会見で「全部青信号ということは無い」って言われている訳ですが、氷見野さんがそういってるのって、結局のところ「植田と内田は全部青信号にならないとやる気がない」って言ってるようなもんでして、やたらめったら「政策修正をしない言い訳を連呼」するもんだからコミュニケーションがおかしくなっている訳なのですが、「丁寧なコミュニケーション」とか言い出してからさらに無茶苦茶になっとるわけでして、昨日弊駄文で申し上げましたように、経済のメインシナリオの1.5倍の分量を使ってリスク要因の説明をおっぱじめたら「リスクがありますから動きませんでちゅー」って言ってるようなもんだし、もしそうでなくて「丁寧な説明」だと思ってあのバランスで講演テキスト作ってたら高校の現国からやり直した方が良いと思います。
・7月に為替の影響が物価に上振れリスクと言って政策修正しているのだからこの説明は如何なものかと
次の質問は為替ですな。
『(問)このところ為替市場で円安圧力が再び強まってます。最近の円安がですね、輸入インフレを上昇させて、国内物価を上振れさせるリスクは強まらないのか。特に
7 月はですね、国内物価の上振れリスクが利上げの一因になったと思います。当時の状況と現状は違うのか、また似たようなところがあるのか。この辺りについてお願いします。』
これ無茶苦茶丁寧な質問ですよね。まあ日銀のロジックを踏まえてゴリゴリ質問、とも言えますが(^^)。
でもって総裁の回答ですが、
『(答)いつものことで申し訳ないですけど、為替レートの短期的な動向にはコメントしないことにしております。』
じゃあ7月は何で為替の影響ガ―と言ってるんだという話だし、展望レポートのリスク要因の中でも「とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。」って言ってるんだから、「最近の円安の影響はどうなのか」と質問しているのに「短期的な動向にはコメントしない」の返しはおかしいだろ。
・・・・とは言いましても、まあこれは王手飛車取りみたいな質問でして、影響あるといえば利上げが近いという話になるし、影響がないといえば4月の金融政策決定会合後の植田円安の再来、という寧ろ王手王取りレベルになっているのですが、何でこの質問が王手飛車取りになるかと考えれば7月の政策修正とそれ以降に為替円安を政策コミュニケーションに加えた日銀の自らまいた種なので日銀擁護の仕様が無いわけですなw
『ただ、いずれにせよ、為替を動かしている背後の経済要因を含めて、私どもの物価・経済見通しにどういう影響があるか、あるいは中心的な見通しの周りのリスクにどういう影響があるかということを日々分析をし、毎回の決定会合でそれを積み重ねて、そのうえで、各会合で判断していくという姿勢でございます。』
まあこれも「回答せず」で今回は兎に角「回答せず」で一貫しているのは余計なこと言わないだけマシちゃあマシなのですが(なので予告ホームランが無い事を別に悪いとは思わないし、そもそも予告ホームランで地均しとかする必要はなくて、経済物価情勢から世間様が次回は利上げじゃろ、とロジカルに考えられるような情報発信を中央銀行は行うべきで、フォワードガイダンスだのドットチャートだのというのは邪道おぶ邪道というのがワイの基本スタンス)、ここの説明では「為替円安が物価上振れリスクを高めるのではないか」との疑問に一切回答していないという面ではまあどう見ても丁寧な回答とは言い難いですなw
・極端な金融緩和の弊害について「急速なインフレの可能性がゼロではない」だけとはこれ如何に
次の質疑ですけどまあこれも雑なんですよ雑。
『(問)今日午前の講演でですね、金融政策運営のところで、金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、息の長い成長を支え、物価安定目標を持続的・安定的に実現することに資するとご発言されました。この息の長い成長というのはどういうものをイメージされているのか、もう少し具体的にご説明頂きたい。』
ふむふむ。でもって質問はもう一丁ありまして(関連して話はつながっていますが)、
『あと、金融緩和の度合いを判断する上で、その先行きの見通しというのは、海外経済と賃金と物価の好循環の二つがポイントというふうにおっしゃいましたが、この息の長い成長というのを実現するためには、これもですね、その判断時期ですとか、ポイントになってくるのか、その点について教えてください。』
でもって植田さんの回答ですが、
『(答)息の長い成長と申し上げたのは、足元金融緩和度合いが、例えば実質金利等でみて、かなり強いということとの関係で申し上げたわけですけれども、』
実質金利って安易に使わない方が良いんですけど(講演で思いっきり図表8として出してましたけど)、と思う訳で、実質金利が計測できるんだったら名目金利との差になるんだから中立金利が計算できる、という話になってしまうので、「中立金利水準は広いレンジになっているので将来の政策金利水準に関して何かの具体的ガイダンスにするのは難しい」っていう(仰せご尤もな)説明と思いっきり矛盾するわけでして、あまり実質金利実質金利言わんほうがヨロシと思うのよ。
まあそれはさておきましてその続きですが、
『適宜その度合い、金融緩和度合いを私どもの見通しに応じて調整していかなかった場合には、場合によってはですけれども、どこかでインフレ率が急に加速するとかいうことが発生して、急速な金利の引き上げを迫られるという可能性もゼロではないわけです。』
お前は何を言ってるんだ(ネタ画像は貼れないので貼りませんがw)
という話でして、経済に対して極端な緩和政策を継続することのデメリットって他にもいっぱいあるだろという事なのですが、なんと「どこかでインフレ率が急に加速する」しか言わないし、しかもそれについても「可能性もゼロではないわけです」とか可能性が低いような事を堂々と説明しているのはこりゃ酷いというお話。
まあアレです、今やってて次回会合で結果公表されるらしい例の「多角的レビュー」において、何故だかさっぱりわかりませんけれども、「黒田緩和は正しかったが当初の期待ほど効果が直ぐに出てこなかったのは経済構造要因」という強引な過去の正当化で纏めていこうとしている中で、「極端な金融緩和の弊害」などということを認めるわけにはいかない、という大本営茶坊主が如何にも考え出しそうな発想から、「金融緩和度合いを適宜調整しないとインフレが急に加速する可能性もゼロではない」というエライ矮小化したデメリットの話しかしない、という結論になっているんだろうなあ、と思うとお前らセントラルバンカーとしての矜持は無いのかと小一時間問い詰めたいですが、そんなのは福井さん白川さんまでのお話なんでしょうなと思うと悲しくなってくるのでした(一応俊ちゃんの頃から真面目に見てるから)。
でまあ植田さんの説明ですが、
『そういうことがないような経済パス、あるいは政策運営を行うことによって、例えば、今
1%前後の成長が当面見込まれるという見通しを出していますが、これが長続きする可能性が出てくるというような意味合いで使っております。』
そういうこと、というのは「インフレ率が急に加速するとかいうことが発生して、急速な金利の引き上げを迫られる」という意味になるわけですが、ここにもインプリケーションがあるわけでして、これは二つの意味合いがあって、「インフレ率が急に加速しなければ政策調整なんぞ急いでやる必要はない=よって追い込まれるまでやらない」という話であり、もう一つは「急速な利上げはしたくない=よって利上げペースを速める気はガチの通貨防衛でベルにでもならない限り行わない」という本音が良くわかって中々味わいが深い訳ですが、現国の受験勉強とかいうほとんどパズル(特に共通一次レベルではw)みたいなのをやっておいて良かったわと思う今日この頃でもありますなwww
・なお質問者はこの辺の意図について知ってか知らずかまとめてしまった模様で
これは植田さんですが、
『それから、後半のご質問はちょっと聞き取れなかったんですが。』
からの、
『(問)今の説明で何となく理解できたんですけれども、要するにタイミングを誤らずにやりたいということで、その判断の鍵となるその見通しというのは、海外経済と賃金物価の好循環、これを見極めていくということに変わりはないということでよろしいでしょうか。』
とのことですが、アタクシの勝手な行間読みと言われるとまあぐうの音もでませんが、個人の見解ですということでご勘弁いただきたいのですが、政策修正遅れのデメリットについて「可能性はゼロではない」とかいう腰の引けた説明をしているのに何かエライ美しくまとめましたな、と思ったらしっかり植田さんこれに乗っかって、
『(答)はい。海外経済、賃金動向、そしてその他にもいろいろな要因がありますが、こういうことが物価・経済にどういう影響を及ぼしていくかという、そこの見通しを誤らない
ようにしたいということでございます。』
としていますが、とにかくその前に「調整が遅れた場合のデメリット」が「可能性はゼロではない」とかやる気無し無し説明しているので、まあこれは「シメシメ」と思って質問に乗っかったんでしょ、と思いっきり意地悪な読み方をしておきます。異論は認めるwwwwwww
・オントラックで時間が経過すれば当然ながら調整の必要性は高まりますよねと言われても回答回避とな
次の質問ですけどね。
『(問)先ほどの金融緩和の継続によってですね、場合によってはインフレが加速する可能性もあるというふうにご発言されまして、日銀では経済・物価が見通しに沿って推移すれば、利上げによって緩和度合いを調整してくる話をされてるんですが、』
と前置きをガッツリと置いてから詰めるのは結構結構。
『9 月、10 月の会合ではオントラックとの判断を示されながらも、金融緩和を維持されました。』
ですね。
『先ほどのご発言に沿って考えると、やはりそれによって、ビハインド・ザ・カーブのリスクというのは高まっているのではないか、蓄積されているのではないか。』
理屈の上からは間違いなくそうなりますよね。
『国内の経済・物価は順調な一方で、海外経済というですね、外部要因の不確実性によって金利を抑えつけていると、先行き利上げのマグマがたまるという、そういうようなご認識でよろしいのか確認も含めてお願い致します。』
これ認識でよろしい以外の回答をすると論理的におかしなことになってしまいますが、さてここで植田総裁はどう回避したかしなかったか、ということですが・・・・・・・・
『(答)そこは程度問題だと思いますけれども、』
程度問題で逃げる気満々キタコレ。
『7 月に戻ってみますと、為替からくる物価上振れリスクもありましたけれども、基本的には、そこまでの経済に関する情報が、その前の時点での見通し対比大体オントラックであり、その少し先もそのままいきそうであるという中で、利上げをしたわけでございます。』
あれ?10月の会見では「6月から米国の下振れリスクはあった」って言ってませんでしたっけ????
『その後のデータは、やはり広い意味でオントラックであるわけですけれども、7
月の時点でみていた姿に比べて、どれくらいオントラックの度合いが上方修正されたのか、こういうような点を毎回の決定会合で確認しながら進んでいくということでありまして、』
で??
『オントラックであれば毎回利上げをしていくということではなくて、』
利上げ云々じゃなくて「オントラックなのに緩和を維持したらビハインドのリスクを溜めることにならんのか」という質問なんだが、「自分たちの判断で利上げをしたくないでござる」って本音が駄々洩れですな。
『見通し通りに進んでいることによって、見通し期間後半の足元の見通しが見通し通りに進んでることによって、見通し期間後半の見通しが実現する蓋然性、確度がどれくらい高まったか、』
見通し何回言ってますねんwwww
というのは兎も角として、「オントラックなら金融緩和の調整を行う」って言ってるんだったら、どの程度の度合いで調整していくのが適切なのか、っていう基準があるはずで、その基準があるのか無いのか分からん(たぶんなくてその時の「お気持ち」だけじゃねえのと思いますけどね)ということでこういう話になってしまう訳ですな。だったら最初から「経済物価情勢に対して適切な政策金利水準になるように運営する」だけ言っておいて、緩和的環境が続くだの見通し通りなら利上げだの金融市場が不安定なら修正しないだの余計なこと言うなよという話なんですけどね。
『ある程度以上高まるということが自信が得られたときに次のステップに移るような、大まかなプロセスで考えております。そういう意味では、ビハインド・ザ・カーブには一方で陥らないように、適切に判断は続けていきたいというふうにはもちろん思っております。』
ある程度以上高まる、の基準が「お気持ち」あるいは「外部環境に追い込まれ」しか見えてこないからコミュニケーションがぐちゃぐちゃになるのですが、毎回毎回その場しのぎで適当な理屈を昭和温泉旅館方式で増築していくからグロテスクな理屈が構築されて何が何だか分からなくなるんですな。南無三。
・円安のデメリットとかいう話が中京財界からも出ているというのに・・・・・・・
中京財界と言えば輸送用機械関連を始めとする輸出製造業様の令名が高いわけですが。
『(問)すいません。もう一点あるんですけれども、財界との懇談の中で過度の円安については、コスト高を招いて、非製だけでなく製造業にも悪影響を及ぼすので望ましくないという趣旨の発言がありました。この円安の及ぼす物価だけでなく経済への影響についての評価をお願いします。』
こちらの質問はさっきの質問の続きではなくてちょっと途中を飛ばしています。でまあ輸出製造業様からも問題だという指摘があるが、と思いっきり出口を塞いで質問していて素敵なのですが、まあそういう事やぞという所ではあるのですが、
『(答)これはずっと前から申し上げていることですけれども、円安がコスト高になって、消費者あるいは一部の企業にマイナスの影響を与える面ももちろん大きいわけですけれども、当然輸出企業にはプラスになる面もありますし、それからインバウンドの需要にはプラスの影響もあるということで、経済全体の評価はなかなか難しい、経済全体への円安の影響の評価はそう簡単ではないと思ってはおります。』
・・・・うーんその回答で良いのかなあ(ゲス顔)
・改めて極度の金融緩和のデメリットを聞かれましたが「急にインフレになるかもしれませんね」以外は無い模様です
でまあ後ろの方の質疑(今の人の次ですけど)で先ほどの話を蒸し返した方がいましてこれまた優秀優秀。
『(問)二点お願いします。一つ目がですね、午前の講演の中で、実質金利の水準がかなりマイナスにありますよねという話をされてらっしゃったと思うんですけれども、経済の成長に資するものだとは思うんですけれども、一方で金利が大幅にマイナスな水準にあることの弊害というものがあるのではないかと思うんですけれども、その辺りのご認識をお伺いしたいのと、』
良いですな〜
『それが今後の利上げの判断の材料になるのではないかというふうな印象もあるんですけれども、その辺りのお考えをお聞かせ頂きたいということが一つ目です。(後半割愛)』
しかし植田総裁はこの回答である。
『(答)一点目は、先ほどご質問があった点とちょっと重なるとは思いますけれども、実質金利がすごい低いということからくる悪影響といいますか、弊害ですけれども、私どもの観点からしますと、やはりどこかでインフレ、特に基調的なインフレ率の上昇が加速してしまう、2[%]を超えて加速してしまうというリスクだと思っていますし、』
それだけしかないらしいです、どういう認識しているんでしょうねえ。
『そうなってしまうと利上げのペースを思った以上に早めないといけない、そこからくるいろんな問題が出てくる。』
利上げのペースを速めなければ問題は出ないという事ですね。
『そうならないように適切に金融緩和度合いを調整していきたいというところで、ここの判断は、私どもにとっては本質的に重要なものだというふうに思っております。(後半割愛)』
ということで、極度の金融緩和のデメリットは他にはないという説明になっていますので、経済の非効率の温存だとか財政規律の弛緩を助長するだとか、そういうことは一切知らんがな、という無責任極まりないスタンスである、ということはよくわかりましたwwwwwwwwwwwww
2024/11/19
お題「植田総裁名古屋講演ですが相変わらず「丁寧なリスク説明」するのは何なのよ」
日本の馬鹿政治家にレクをしてくださいお願いします
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-18/SN51JEDWRGG000
ECB副総裁、高債務によるリスク警告−長期的な課題克服の妨げに
Mark Schroers、Jana Randow
2024年11月18日 18:49 JST
『フランクフルトで開催された「ユーロ・ファイナンス・ウィーク」で講演したデギンドス氏は、プライマリーバランス(PB)の赤字が膨らみ、債務負担が増加すると、気候変動対策や国防支出、デジタル化、生産性向上といった分野への支出余地が欠如する恐れがあると述べた。
同氏は「財政の遅れや財政再建の道筋を巡る疑問は、ソブリンリスクのさらる(原文ママ)見直しを引き起こす可能性がある」と述べ、「また、現在の大幅なPB赤字は、不測の事態が発生した場合に政府が経済を支えることをより困難にする」と指摘した。』(上記URL先より)
ですよねーーーーーーー、と思うのだが日本に向かって格付け会社がもっとガリガリ言わないと(格付け会社が言うと馬鹿政治家にもちったあ伝わるじゃろ)、と思うのだが、なんだか知らんけど格付け会社なんもいわん(この前フィッチがちょっとコメントしてたようなきがするけど)のが残念無念。
〇植田総裁の名古屋講演は「何の回答もしていません」でしたがだったら金懇何で実施したのやらwwww
・本編の前に雑感その1:外国為替市場は何を期待していたのかと小一時間問い詰めたい
しかしまあ何ですな。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PJZUUIMSMZOI5P6BAFVNMUX7TU-2024-11-18/
東京マーケット・サマリー・最終(18日)
By ロイター編集
2024年11月18日午後 6:19 GMT+9
『午後5時のドル/円は、前週末のNY午後5時と比べて小幅ドル高/円安の154円半ばで推移している。名古屋市で講演を行った植田和男日銀総裁の発言を受けて午前中には155円前半まで上昇する場面もみられた。買いが一巡すると154円半ばから後半を中心に一進一退の展開が続いた。』(上記URL先より)
ということで、どうも外国為替市場の皆様は何故か昨日の植田総裁の金懇で威勢の良い12月予告ホームランでも打ってくるとでも思ったのか、金懇挨拶始まる前に154円割れ水準をやっていたのですが、講演テキスト出てよく見たら予告ホームランのよの時も無いという状況でしたので、いきなり円安に飛んで155円台前半にドルは飛ぶ飛ぶとなっておられましたのにはアホなのかと思ってみておりました。
昨日も弊駄文で申し上げましたように(と珍しく当たるとここぞとばかり「私言いましたよね」をするのが浅ましいですかそうですかwww)、そもそも論として政治的に益々微妙なご時世の中、胆力があるとは到底思えない今の日銀執行部(氷見野さんは胆力あると思うけど残りの2名がチキンにも程がある)がこんなところでラーテルの如く蛮勇を振るって予告ホームランとかするわけないじゃないですかヤダーと思っていたので別にアタクシは期待していなかった、というか債券市場の方の反応見ますと別にそんなに期待していなかった(ので失望の買戻しも限定的)という所だったかとは思います。
・雑感その2:まあゆうて予告ホームランは無理じゃないのかねえ
今の日銀って無茶苦茶中途半端な状態で、「見通しオントラックで推移したら金融緩和の度合いの調整(つまり利上げ)を行う」って言ってるんですが、何がどうチキンなのか、というかまあ植田内田に胆力が無いのが要因だとアタクシは見ているのですが、胆力が無いので、昨日ネタにしたような感じの「無邪気な利上げ慎重論を唱える馬鹿外野」の声がやかましい中、自主的に利上げしようとかするわけがなくて、周囲の状況が全部そろわないと利上げしない(まあ別の言い方をすれば追い込まれないと利上げしない、ですけどwwwwwwww)というスタンスで、7月急に利上げしたのって国債買入減額するって言ったのに円安修正大して起きなくて為替介入までする破目になったからその次の決定会合まで為替が持たないので上乗せ措置を講じざるを得なくなった、って話でしょ、という訳ですので、そんな状態の中の日銀ちゃんに予告ホームランなんぞは無理ですな。
・・・・・と考えますと、昨日ネタにした先週金曜に出てきた「展望レポートのハイライト」のホームランのイラストはあれ「植田の講演で予告ホームランができないのでせめてイラストでもホームランかっ飛ばして円安阻止ができるといいなあ」という悲しい大本営のお気持ち表明だと思うと中々味わいがありますなw
まあそれはさておきまして、とにかく「データ見ないとわからん」「0.5%への利上げはまだしもその先の利上げとか今世紀になって実施していないですぅ」みたいな状態では利上げのパスを描くのも怖いでしょうし(次回はともかくその先以降)、予告ホームランなんぞ怖くてこれまたできるもんじゃない、というお話になりますので、まあそもそも論として今回予告ホームランなりなんなりが出ると思う方に無理がある、と考えないといけませんでしたねということですし、今後の0.75%だの1%だのという利上げはもっとそういう予告は出てこない、と考えた方が妥当なんじゃないかなと思います。
・雑感その3:ベンダーのライブ映像配信とエンバーゴの関係について
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
1月18日(月) 10:05 ○ ● 【挨拶】植田総裁(名古屋)
1005とは珍しい時間ですが、金懇の場合だと1030とかが普通なのでちょっと早いのですが、もともと1005だったかどうかは昨日の朝の時点で不覚にも見てなくてアレでした(汗)。
でまあそれは良いんですけど、昨日は某ベンダーがこの講演会に関してライブ映像で放送をしていましたんですけれども、テキストのエンバーゴの前から講演始まっていて、まあ最初の挨拶の部分で本編に入る前にテキストが出てきたのでいいんですけど、これタイミングがずれたら結果的に某ベンダーエンバーゴ破りをやったことになってしまう諸葛孔明の罠じゃないのかねと思ったのですが。この辺の仕切りがなんか謎なのですがどうなってるんですかね。
という話はともかくとして本編ですが、まあこれが大した話はしていないのですけど総裁講演だから思いっきりネタにはする訳で^^
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241118a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
---名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ---
・経済物価の見立てと先行きの話は展望レポートの後追いで別にあたらしいアップデート無し
『2.経済・物価の現状と先行き』のところですが、これがまあ展望レポートの通りの話をするんですけれども、経済の部分でのまとめは、
『このように企業・家計の両部門で、所得が増加し、それが支出に回る前向きの循環メカニズムが徐々に強まってきています。今回の展望レポートでは、こうした動きが引き続き強まっていくと考え、図表3のとおり、来年度以降、1%程度の成長が続くと想定しました。』
ってことで話が終わっているのですが、展望レポートから3週間経過していて、次の金融政策決定会合まで4週間弱、ということは決定会合間の中間地点辺りにいるんだから、経済(物価もそうですけど)認識のアップデートをなんでしないの、って思うんですよね。
これは日銀の謎仕様でもありますが、先だっての10月会合でも同じようなことがあったわけで、つい直前の10月24日の時G20会見まで「時間的余裕がある」と「一応」」というのをつけながらも発言するもんだから、公共放送ニュースあたりからも『日銀
植田総裁「時間的な余裕ある」利上げ慎重に判断する考え2024年10月25日 9時22分』みたいに報道されてしまって、でもってその直後の10月会合で「時間的余裕があるというのはもう不適切」とか非連続で説明が飛ぶんですよ。
この辺りのコミュニケーションがなんか下手クソで、途中の経済物価情勢のアップデートをこまめに入れて(どの程度まで細かく説明するのかのさじ加減が難しいのは分かるけど)説明する、まあ執行部がそれやると色々とヤヤコシヤというのであれば政策委員が喋れば良いと思うのですが、インターミーティングでの何らかのアップデートが無くて決定会合でいきなり話が非連続に飛んでしまうから説明が訳わからんくなるのよ。
でまあそのアップデートって別に政策をどうしたいみたいな予告ホームランをする必要はなくて、単純に経済と物価の情勢について見通し対比の進捗とか望ましい方向に進んでいるのかどうかの認識とかを示せばいいだけの話だと思うのよね、まあ慣れの問題あるから急にそれを始めて最初はややこしいかもしれないけど。
然るに、なんか知らんけど政策の予告ホームランみたいな事前織り込ませはさせようとする(3月のマイナス解除がまさにそれだしその前の昨年12月のチャレンジングもそうですわな)から、経済物価情勢の認識よりも政策の方が先にあって経済物価情勢の話が後付けになっているようにしか見えないムーブになっているのが残念無念また来年、と思うのでありました。
などというアタクシのポエムはさておきまして物価に関しても同様で、
『物価の先行きですが、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、2024 年度に+2.5%となったあと、2025
年度および 2026 年度は、概ね2%程度で推移すると見込んでいます。既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は、引き続き、和らいでいく一方、景気の改善が続き、しっかりとした賃上げが継続するもとで、賃金上昇を起点とする物価上昇圧力が強まっていくと考えています。』
・「基調的物価上昇率は2%行ってない」そうですがそろそろ屏風から基調的物価を出してくれませんか
ところでこの続きに、
『輸入物価上昇などに伴う短期的な物価の変動を除いた物価のトレンド、基調的な物価上昇率は、現在は2%を下回っているとみていますが、』
って面白文言があるのですが、だったら「基調的物価」が幾らなのか数字出してくれませんですかねえ、計算根拠もつけて・・・・・・・・・
『今後緩やかな上昇を続け、2026 年度までの見通し期間の後半には、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移する見込みです。』
ということで、この謎の「基調的物価」ですが数字で出せるんだったら何で出さないのかというお話になりますし、そもそもお手盛りのブラックボックスでございますってんだったらそれはただの結果先にありきのインチキ数字じゃないの、という話になるのですが、そろそろこの「基調的物価上昇率」ってのを屏風から出してくれませんかねえ(一休さんのトンチ使用不可)。
まあ何ですな、黒田末期以降の日銀は「2%物価目標達成の判断根拠を達成していないことにするという結論に合うようにコロコロと変更してきた」という歴史でもあるのですが、とうとうこの「屏風に描かれた虎の絵」状態の説明をメインにするようになったかと思うとインチキここに極まれりとしか申し上げようがないですわ。
・そもそもメインシナリオが2ページでリスクが3ページって時点で説明がおかしい
でもって次が『3.経済・物価のリスク』となるわけですが、
『ここまで、経済・物価の現状と見通しについて申し上げてきましたが、こうした中心的な見通しを巡る不確実性は高いと考えています。先行きを見通していくうえで、特にカギとなるのは、「海外経済が緩やかな成長経路を辿っていくか」、「賃金の上昇が続き、物価との好循環が引き続き強まっていくか」という2点です。そこで、次に、この2つのポイントについて、ご説明させて頂きます。』
でまあこの説明が目の子で見た感じテキスト3ページ分使っていまして、さっきのメインである『2.経済・物価の現状と先行き』が2ページ分使っている、という事で、構成がおかしい訳でございますよ。
先般弊駄文で全国信用組合大会での植田総裁の挨拶(内田副総裁代読)って奴を見たときに指摘しました(10/18に行われた講演でして21日に弊駄文ではネタにしたのですけれども)が、その時は『2.経済・物価情勢』の中の経済物価見通し部分が経済と物価で合わせて473文字(経済131+物価342)リスク要因の説明部分が337文字でして、リスク要因の説明をやたらしてやがってこいつらやる気あんのか、とか悪態を申し上げたわけですが、今回は遂にパワーアップして「懇切丁寧にリスク要因の説明をした結果、メインよりもリスクの説明を延々とやっている」という講演になっておるわけですわ。
とまあそれだけリスクリスク言ってて12月利上げの予告ホームランどころの騒ぎじゃないという感じになろうかと思います。というのがまあわかるんですが、どんどんリスクの部分の説明を一生懸命にやる位なら最初から「なんかもう基調的物価って2%当面行きそうにないから政策修正しませんよ」と言い切ってもらった方が却って清々しいわって感じですな・・・・
なお予想屋さんとして考えた場合、日銀はどうせ自力で政策を決められなくて、周囲からケツ叩かれるまで動かないので、つまりは周辺情勢が悪化、具体的には円安がかっ飛べば政策変更に追い込まれますので、12月にスキップしてもその場合は1月に向けて阿鼻叫喚の円安になって利上げに追い込まれるじゃろ(鼻ホジホジ)って感じに1万ドラクマといったところです(^^)。
・でもってリスク要因ですがこれでもかと並べたてててマジでこいつらやる気あんのかと
『(海外経済の動向と金融資本市場)』って小見出しがあるのですが、これがもう各段落の結論部分を見ると、
全体認識
『先行きの海外経済については、緩やかな成長の継続がメインシナリオですが、こうしたシナリオが実現していくか引き続き注意が必要と考えています。先月行われたG20の会合でも、世界経済の見通しを巡っては、このところ、不確実性が高まっているとの認識が共有されました。』
米国経済
『米国経済の動向については、こうした双方のリスクを念頭に置きつつ、丁寧に点検していきたいと思います』
中国経済
『中国では、こうした内需動向を反映した一部の財での在庫調整圧力の高まりを背景に輸出が増加しており、各国への影響を含め注意を払う必要があります。』
地政学リスク(ここは冒頭部分です)
『地政学的リスクについても、引き続き注意が必要です。』
国際金融資本市場
『国際金融資本市場の変動が、わが国の経済・物価に影響を及ぼすことがないかについても、引き続き、注意していきたいと考えています。』
米国とか一部上振れがあったり、金融資本市場は円安もあって一部上振れ要因もあるのですが、まあこう丁寧に説明しているとそもそもお前らチキンで様子見地蔵だろ、っていう印象の方が強くなりますよねえ、というお話。
でもって次が相変わらずの『(賃金と物価の好循環)』で、
『続いて、第2のポイント、賃金の上昇が続き、物価との好循環が引き続き強まっていくか、という点について申し上げます。』
というのがあるんだが、そもそも好循環が強まっていくも糞も生活物価の上昇に全然賃金おいついてねえだろ(だから実質賃金が上昇するまで利上げするなという無邪気言説が外野から飛び出すんだが)という話で、良いからこの「賃金と物価の好循環」って言う幻想を振りまくの止めろとしか言いようが無いのですが、この説明もだらだらとあるけど読んでもしょうがないので割愛。
・金融政策はまあなんも言ってません(ので為替市場が失望していましたが)
『4.日本銀行の金融政策運営』ですがこれがまた全部引用しますと、
『次に、日本銀行の金融政策運営についてお話しします。
日本銀行は、本年3月に、先行き2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況となったとの判断から、マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールなどの大規模な金融緩和の枠組みを見直しました。その後、7月には、国債買入れの減額計画を決定するとともに、短期金利の誘導目標の水準を
0.25%程度に引き上げました。』
『先行きの金融政策運営については、本日ご説明差し上げたような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』
いやおまえリスクの説明ばっかり一生懸命やってるだろwwwwww
『ただし、金融政策が経済活動をしっかりとサポートしていく点に変わりはありません。図表8をご覧ください。金融政策は、主として名目の金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利の変化を通じて、経済活動に影響を及ぼします。その実質金利の水準をみますと、物価情勢が好転するもとでも、極めて低い名目金利の水準を維持していることから、2010
年代と比べてもマイナス幅が拡大しており、金融緩和の度合いはむしろ強まっていると評価できます。』
ここ段落分かれているのですが、いったんここで切りまして、
『今後、経済や物価の改善に併せて、金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、息の長い成長を支え、「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していくことに資すると考えています。』
?????????
これよくよく考えたら全然説明になっていない説明でして、緩和度合いが高まるんだったら寧ろ経済にさらにプラスのブーストが掛かるんだから別に調整する必要ないじゃん、と突っ込まれたらどう説明するんだよ、という話でこれ明らかに説明が片手落ちなんですよね。
当然ながらこの背景には「過剰な金融緩和は経済への効果よりも将来において大きなマイナスになる副作用の方が大きくなる」ってのがあるのですが、その説明をしない、というのが今の日銀の腰の引けまくったチキンさんのところでして、つまり高圧経済アプローチとかあんなものは馬鹿の所業、という説明(別に馬鹿とか言わなくてもいいけど)というようなことが言えない程度のチキンさんというか胆力がないもんだからこういう謎説明になるんですな。
まずは日銀はちゃんと「なぜ調整をしないといけないのか」というのを会見のオーラル(会見では一応言ってたようだが)ではなく、きちんとこういうテキストで示すべきだと思います。まあそれができないから追い込まれないと政策修正ができない人たちなんですけどね。
ということで以下続きを引用しますが、まあ何も言ってませんがなということで。
『金融緩和の度合いの調整を実際にどのようなタイミングで進めていくかは、あくまで、先行きの経済・物価・金融情勢次第です。米国をはじめとする海外経済の展開や金融資本市場の動向を含め展望レポートで指摘したような様々なリスク要因を十分注視する必要があります。そのうえで、これらの点が、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると考えています。毎回の金融政策決定会合では、その時点で利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく方針です。』
ということでございましたとさ。
2024/11/18
〇労働者代表が物価高助長政策を推奨するというデコスケ状態になっているのですが
いやマジでおまえ自分の立場を分かってもの言ってるのかと
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-15/SMV3I6T0AFB400
日銀の利上げ、実質賃金の持続的な上昇が必要−UAゼンセン永島会長
照喜納明美、横山恵利香
2024年11月15日 14:10 JST 更新日時 2024年11月15日 16:27 JST
→家計が先を見通せることが大事、急激な政策変更は避けるべきだ
→25年春闘の賃上げ目標は「ミニマムライン」、今年の水準上回る必要
『永島会長は14日のインタビューで、経済を持続可能なものにするためにも金融政策の正常化は必要だとの認識を示した。もっとも、「実質賃金の上昇や定着を確認してからでないと利上げは当然できない」と指摘。』(上記URL先より、以下同様)
労働者代表だったら「生活品を中心とした物価高は困る」って話をしろよって話だし、今やっている日銀の金融政策って超緩和政策なんだから、物価は基本的に上昇圧力が掛かりやすくて、物価上昇によって実質賃金の上昇に水を差すことになるんですけど、自分の言ってること分かっているのかと。
・・・・とは思うのですが、これインタビュー記事の後半読みますと、そもそも論としてこの方何を言ってるのかが支離滅裂でして、知性に何らかの不具合でもおありになるのではないかという疑問が涌いて出てくるんですが。
『永島氏は「賃上げと業績が好循環しているところと、慣れてないがゆえにコストがかさみ利益を圧迫してるところもある」と指摘。コスト上昇分を付加価値につなげるため、労使が生産性向上にコミットすることが大事だと語った。』
何で労働者側が生産性向上にコミットしないといけないんだよ。
『経営側が「できない時に賃上げはしなくていいとなってはいけない」と述べ、従業員の生活防衛へ企業に責任ある行動を求めた。』
生活給を出せというのは分かるが出せない企業は出せないんじゃないの??
『ただ、企業にとって「為替は非常に大事なポイント」であり、足元の円安の影響で賃上げの勢いを維持するのが難しい企業もあるとの見方も示している。』
だと思うなら何で日銀の利上げを後にしろ、っていう訳なのという話で、どうもこちらの大先生におかれましては自分で何を言っているのかわかっていないと思われる節がなくは無いのですが、まあゆうてこういう無邪気な馬鹿言説がたち悪い。
『原材料を輸入する企業などは、ドル・円相場が足元の1ドル=155円の水準で推移すれば厳しい経営状態が続き、「ない袖は振れない」とも語った。』
でもってなんで結論が「実質賃金が持続的に上がるまで利上げするな」になるんだよ・・・・・
・・・・とまあそういう訳で、こんな馬鹿言説が堂々と飛び交う結果として、日銀としてはどうするんですかという話でして、結局のところ円安批判や生活物価批判で行くところまで行って「追い込まれ利上げ」で行かないと日銀としては利上げをした後に上記のような無邪気な馬鹿にグチャグチャ言われるから馬鹿が黙るレベルの円安か物価高が起きるまで放置、というのが保身上有効な作戦(当然そんなスタンスでは日銀本来の責務はどう見ても放棄だけど馬鹿には気が付かれないからセーフでしょ)である、という話になってしまう訳ですな。
まあこの「賃金と物価の好循環」とかいうの、もともと黒田がQQE政策の出口をやりたくない、という黒田の御心に沿った茶坊主どもが捻りだした、利上げしないためのクソのような言い訳でございましたが、結局これが独り歩きした結果、そこらの馬鹿でも知ってる言葉になってしまって日銀利上げへの障害になっていく、ということでまあこれ考え出したスカポンタンの罪万死に値するわけですが、この手の「無邪気な利上げ忌避論」に対してどういうスタンスで臨むのか、植田さんの胆力が問われるところですが、まあどう見ても就任以来の一連の流れを見たら胆力は無いわなとしか言いようが無いので、まあ今日は名古屋金懇があるみたいだが正直期待はしていないです。
〇展望レポートハイライト:相変わらず前回との差分がおかしいんですが前回比較できないようなポンチ絵出すの止めたら??
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202410.htm
展望レポート・ハイライト(2024年10月)
経済・物価情勢の展望
前回はこちら
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202407.htm
・成長見通しって横ばいでリスクもバランスだったはずなのに何でイラストが変わるんですか????
最初のポンチ絵をみた瞬間にのけぞったアタクシ。
『日本経済は成長を続ける
日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(今回)
『日本経済は成長を続ける
日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(前回7月)
ということで文言同じ。そもそも今回の展望の見通しって実質GDPの大勢見通しで2025年度のレンジが上下ともに+0.1%上方シフトして、2026年度のレンジの上限が+0.1%上方シフトしただけなのですから、まるで変わらずのオントラック、というのが今回の展望における評価になるはずなんですよ。
然るに、イラストの方がお前舐めてんのかというイラストになっていまして、7月は2026年の丘に向けてジョギングしているような感じのおねえさんの図だったのに、なぜか今回は2026年のスタンドに向けてホームランかっ飛ばせ筒香だかサトテルだか村上だか知らんけど、左打者がバックスクリーン上段に向けて弾丸ライナーをかっ飛ばしているのはさすがに人を馬鹿にしているのかと思いました。
こんなの前回と同じイラストにして、オントラックってのを強調したいなら走っているコースの「2024」とか「2025」の看板の位置を手前に持っていく(またはランナーをゴールに近くしてみる)風にすればいいだけの話で、なんも弾丸ライナーかっ飛ばすとかいう力強い絵にする必要ないだろふざけるな、というお話。
まあこんなクソくだらない小細工しているのって外野のアタクシが見ても一発で分かるのですが、「威勢の良いイラストにすることによって円安を牽制したいでちゅーーー」という小賢しい下心が発露されたもの、としか申し上げようがないのですが、そういう小賢しい事をしないで正々堂々と説明をしていただきたいのですが、「丁寧な説明」「市場との認識の齟齬が無いようにしたい」とか言いながらやるのって、「余計な文言を使って説明して結果ドツボにハマる」という流れなのは再三再四指摘しております通りですが、今回のこのポンチ絵の一発目にも全く同じ類の「余計な説明」感を受けました。
・さすがにインフレ放置批判があることに関しては意識しているようですな
次が物価だがこっちはある意味マシになっていまして、
『物価は来年度以降2%程度で推移する
消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(今回)
『物価は来年度以降2%程度で推移する
消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(前回7月)
言ってることは同じだしそもそも見通しがほぼ同じなんだから絵を一々変えるなという話ですが、こちらに関しては前回のポンチ絵が2%に向かって疾走している感のある絵柄だったのですが、今回はパラセーリング(でしたっけ)か何かで「上から2%に着陸していく」という図になっていまして、物価高放置批判も選挙結果に影響したじゃろ、という辺りへの意識が出ているのはまあマシになったなとこっちは評価して差し上げる。
まあ問題なのはこの着陸態勢に向けて「過剰な金融緩和」によって下からものすごい勢いで上昇気流を大型扇風機回しているというのが実態になっていることなんですけどねwwwwwwwwww
・以下のイラストはだいたい同じになっているんですよね
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い
海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(今回)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い
海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(前回7月)
これイラストがほぼ同じなのですが、何で絵面を変えたのかが意味わからんw
・政策に関してもイラストは同じ
『2%目標のもとで金融政策を運営していく
金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(今回)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく
金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(前回7月)
ということで、声明文に余計に入った「そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある」とかいうトンチキ文言は入っていないのは結構ですが、ちなみに4月展望では、
『2%目標のもとで金融政策を運営していく
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していきます。』(前々回4月)
となっているので、そもそもそんなに長い文言は入らない仕様になっている、というのはあるのですが、とりあえず要らんもん入らなかったので、7月の路線は同じですよ、というアピールを入れて締めたという所ですな。
今朝はこの辺で〜
2024/11/12
〇まあゆうて財政拡張路線の方は死ぬことは無いでしょうから(某事案雑談)
ということで玉木大先生案件が発生しておりましたが、いやー昨日の朝このネタ気が付くのが遅くて書き物ネタにできませんでしたが、まあそもそも第一報の段階で書き物ネタにするもんか問題というのもありますけどwwwww
しかし釈明会見がまさか公共放送HPわざわざ実況中継してたのはクソ受けましたがそんなもん聞いているのは時間の無駄と思って聞いておりませんでした。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k10014634851000.html
国民 玉木代表 女性との不倫関係認め陳謝 代表は続投
2024年11月11日 14時16分
ネット見てたら「もともと玉木さんは迂闊と軽薄が服着て歩いているようなもん」という評がありましたが、まあ前からこの手の迂闊と軽薄は得意技(先般の東京15区衆院補選候補者問題でのやらかしは極めて遺憾なことになりましたよね)なのでどこかでやらかすだろうなあとは思っていましたけど早かったですなあ。
でもってさらにこれはつい半年前のお話ですので某案件が絶賛進行中の時になるかと存じますが・・・・・・・・・・
https://new-kokumin.jp/news/business/20240402_1
国民民主党 代表定例会見(2024年4月2日)
2024.04.02
『次に、今日も連合審査で議論が行われておりますけれども、いわゆるセキュリティクリアランス法案についてです。我が党としては、すでに法案の修正案を取りまとめました。今日は鈴木義弘議員、明日は浅野哲議員が質問に立つことになると思いますけれども、我が党の修正案は主に二つです。一つはいわゆる適性評価の調査事項の中に、海外では認められている「性的行動」、sexual
behaviorと英語では言いますけれども、この性的行動の節度に関する事項が入っておりませんのでこれを追加するということ。いわゆるハニートラップなどにかかっていないかどうかのチェックは必要だと思います。』(直上URL先の国民民主党玉木代表2024/04/02会見より)
ってのが実に味わいが深いとしか申し上げようがない。
という何とも情けないネタはさておきまして、まあゆうて減税だか財政バラマキだか知らんですけれども、別に国民民主がああだこうだ言われようとも、何らかの拡張的な財政政策というのはぶっこまれていくことになりまして、そう考えると昨日ネタしましたが、BISでの植田さんの発言、本当はこれ一般的な文脈としてグリーニアムのムーブメントによって一般物価に上昇圧力が掛かる場合に金融政策としてどう扱うべきか、という話題で、「日本の物価が2%行ってないから短期的に問題はない」というような話をするポイントではない筈で、なんでそういうしょうもないアピールしちゃうんでしょうかねえ国内ではこれから財政拡張が待っていますよ、ってなもんではあります。
まあアレです、「唯一最大の副作用はインフレ」という高圧経済アプローチをぶっこんで爆発炎上してこのタイミングで高圧経済とか言ってる馬鹿なのかポジショントークなのか自分の商売の為なのか知らんけど、目の前で欧州が苦労して、米国も結局は高インフレによる国民の怒りがチェンジを求めてトランプ大勝利(なおトランプはさらなるインフレ政策を実施するので「肉屋を支持する豚」状態なんですけど現状維持でもじり貧なら一発逆転を狙うというのはまあ人間の心理としてはよくわかる話っすよね)になっている、ということで高圧経済アプローチが高圧爆発を起こしてしまってエライことになっているのに、「高圧経済の副作用はインフレ」とか言いながら高圧経済やれとかいう無責任極まりないのがちったあ静かになってくれるのは良い事かもしれません。財政出すなら金融は最低でも中立に速く戻さないとダメでしょ。
2024/11/11
〇気候変動関連の会議だそうですが「財政支出によるインフレ圧力に対応できる」はどう見ても自爆発言です植田さん
https://jp.reuters.com/economy/inflation/XYLFN7K4SBOM3CVXULPORXKVFM-2024-11-10/
気候変動の影響注視しつつ2%インフレ目標維持したい=日銀総裁
By 木原麗花
2024年11月10日午後 12:14 GMT+9
『[東京 9日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は9日、スイスのバーゼルで国際決済銀行(BIS)などが主催した気候変動関連の会合に出席し、気候変動が将来の物価動向に長期的なショックを与えるとしても、日銀は2%のインフレ目標を維持したいと述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ということだそうでして、まあ気候変動関連のお会議のようですので目先の話をしているわけではないのですけれどもこれはいただけません。
『また、脱炭素化社会への転換を促すための政府補助金も短期的にはインフレ圧力を生むかもしれないが、基調的なインフレ率は現在まだ2%を下回っているため、日本は「当面はそのようなインフレ圧力に対応できる」と語った。』
うーんこのという感じでして、これどういう文脈で話をしているのか分からんので何ともではあるのですが、これ気候変動関連での補助金によるインフレ圧力に関して「問題ないし対応できる」って言ってしまうのはどこからどう見ても自分で自分の首を思いっきり絞めるはなしでして、これは「高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ」と仰せになっていた国民民主党に免罪符を与えたようなもんでして、ここから先政府がアホみたいなガバガバ財政を出してきた挙句に日銀に対して利上げ遅らせろプレッシャーかけて円安になったり生活物価中心に物価が上がって国民の怨嗟の声が高まった時に、「インフレ圧力に対応できる」とか大見得切ってしまっていたら、日銀がこの国民の怨嗟の声を一手に引き受けさせられることになるわけでして、国民民主だって最初のマクラのところに引用したように「ワシら減税主張するけどその主張を飲むなら財源考えるのは与党の責任」という世界線で生きている(それじゃあ連立与党には一生入れませんわなあ(嘲笑)と思いますが)人たちなので「唯一最大の副作用はインフレ」と言って高圧経済アプローチを呑ませに行ったあとのインフレ批判は日銀に全部おっかぶせるの明々白々なのでありまして、そんな状況なのに「財政補助金の支出によるインフレ圧力に対応できる」とか言い切ってしまうのは間抜け以外の何物でもないんですが、どうしてこう脇が甘いんですか植田さんは・・・・・・・
植田さん、総裁になって1年半もたっているんですから、発言がチェリーピッキングされて好き勝手な解釈をされることと、運が悪いとそれがどんどん独り歩きして後から自分の背中をさす刃になりかねないことに関していい加減自覚的になられた方がよろしいんじゃないですか、と思います。
まあ文脈としてどのように言ったのか、この記事自体もエライ短い記事なので、端折った挙句にこういう内容になっている可能性はある(木原さんの記事だから変な捻じ曲げはしていないのは信用できると思いますけどね)ので何なのですが、何で「当面はそのようなインフレ圧力に対応できる」って言ってしまうのか、ごくごく普通に「財政出動規模、内容によっては短期的なインフレ圧力だけにと留まらない可能性もあるので今後の気候変動対応の議論に関してはその影響を常に考えていく必要がある」とかなんとかフニャフニャした回答をしておくべきだと思いますよ。こんなの玉木さん大喜びですわよいやマジで。
でまあブルームバーグでも報道があったわけですが、こちらは植田さんの発言を箇条書きにした格好になっていまして(もしかしたら詳しいのが他にあるのかもしれないですけどネット版だとこれが最初に見えてしまうので)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-10/SMPMW3T1UM0W00
植田日銀総裁、グリーン投資による物価上昇圧力は対処可能
藤岡徹、エディ・ダン
2024年11月10日 10:44 JST
『日本銀行の植田和男総裁は日本の物価上昇率が2%を下回っている現状では、グリーン投資によるインフレ圧力にはしばらく対処できると、スイスで開催された国際会議で9日述べた。』(上記URL先より)
でまあ以下箇条書きになっている植田さんの発言を見ると、気候変動対応に関する政策がどのような影響を与えるか、という話の文脈で説明している話ではあるんですが、こんなの賢しらに「インフレ圧力にしばらく対処できる」とか言う必要ないじゃん以下同文、という話でして、1年半ミスコミュニケーションを繰り返しているのにこの脇がガバガバに甘いの何とか改善しないもんですかねえとしか申し上げようがない。
まあ植田さんがフリーで言ってるのか、大本営の振付師の通りに踊っているだけなのかはよくわからんのですけれども、大本営の振付師の振付でこの発言させてるんだったら、振付師ちょっとお前その席どけやという話で、ミスコミュニケーションの反省が全然ない(我々の発言を理解できない市場が悪い、としか思っていないとそういうムーブになりえる)のが植田さんなのか振付師なのかはわかりかねますが、いずれにしましてももうちょっと脇を締めて頂かないと政局だって不安なんだからいつなんどき日銀に集中砲火が向いてくるか分からんという緊張感をもって頂きたいものです(黒田時代にすっかり弛緩してしまって全然治っていない感が強いんですよ傍からみてると)。
2024/11/07
〇でまあトランプ先生な訳だが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-06/SMJ6J3T0G1KX00
トランプ氏勝利、FRBの独立性に暗影投じる−経済の先行きにも影響
Amara Omeokwe
2024年11月7日 3:01 JST
→FOMCは利下げの時期と幅に慎重になる可能性も−タン氏
→トランプ氏は議論に参加しないが、口だけは挟みたい−ベッセント氏
『トランプ氏は選挙戦で、貿易相手国に対してより積極的に関税をかけ、数百万人の不法移民を強制送還し、2017年に導入した減税の延長を公約した。これらの政策が実施されれば、物価や賃金、連邦財政赤字に上昇圧力がかかるとの試算は多い。』
『労働市場を保護しながらインフレ率を目標の2%まで引き下げるというFRBの任務が複雑になりそうだ。トランプ氏がパウエルFRB議長を公然と攻撃するこれまでの姿勢を維持すれば、FRBは金融政策の微妙なかじ取りの中で、不快な政治的スポットライトを浴びる恐れがある。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことで、今回は
『調査会社LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏はFOMCが今後、トランプ氏の経済公約が実際の政策にどのように反映されるかを見極めながら、利下げの時期と幅についてより慎重な姿勢で臨む可能性があるとの見方を示した。』
『さらに「関税引き上げや移民の減少によって、今後数年間はインフレリスクが高まると考えるかもしれない」とタン氏は指摘。「当局者の間で『もう少しゆっくり利下げを実施し、インフレ期待や労働市場で実際に何が起きているのかを見極める時間をもう少し増やそう』とする心理が働く可能性がある」と述べた。』
まあこの辺の見方が穏当なところになるかな、とは思いましたので今朝ちょろちょろ見た中でこれをクリップしておきましたが、なんかよーわからんけどインフレ的なことにはなりそうなので金融政策は締め気味にしておくしかなさそうですわな。
しかしまあ蓋開けてみるとメイクアメリカグレートアゲインのキャラ訴求がハリスさんと対照的だったってえのもありますけど、事前に民主党苦しかったのはやっぱり米国でもインフレの高進によって経済政策に対する不満があったんじゃないかと思う訳ですし、日本だって数字は低いけどそれまでがちょっとのプラスで安定してたインフレ率から見れば3倍とかの水準になってしまっておるのって効いていると思うのですが・・・・・・・・・・
〇そういや国民民主火曜日にも中々凄い事をおっしゃっておられましたね
忘れていたのでクリップクリップ
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/CY4WFPWOARLF7FAN2UNZN6M654-2024-11-05/
高圧経済の余地ある、日銀は賃上げ見定める必要=玉木国民民主代表
By ロイター編集
2024年11月5日午前 10:20 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - 国民民主党の玉木雄一郎代表は5日の定例会見で、同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレとの認識を示したうえで、日本は米国に比べ物価上昇が抑えられており、「高圧経済を推し進める余地がまだ残っている」と語った。金融政策についても「日銀はもう少し政策変更せず(中小企業の賃上げなどの状況を)見定める必要がある」とした。』(上記URL先より)
>同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ
>同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ
>同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ
・・・・・・お前は何を言ってるんだ。
どうも玉木n先生によりますと引用部分にありますように「インフレ水準が高くないのでまだ上がっても大丈夫」とのお告げですが、だったら「手取りを増やす政策」って何だよというお話だし、「賃金上昇率を物価控除後で2%で推移」っての無理筋にもほどがあるだろいい加減にしろというお話。
でまあアレです、どっかの誰かさんのように国宝級の無知蒙昧なのにうっかり変なものを信じた結果として「高圧経済が正しい」と信じ切って発言しているのなら単なる「情熱を持った馬鹿」なので可愛げというのもあるのですけれども(どこの誰かさんを差すのかは皆様のお好きな方でどぞ)、「唯一最大の副作用はインフレ」、って言いながら「賃金上がるまで高圧経済アプローチ」を提唱して、かつ「手取りを増やす」だの「実質賃金2%程度の上昇」とか言ってるんですから、このケースは悪意を持った確信犯がポピュリズムによるプロパガンダを行っているという文脈で整理できてしまうので一段とタチが悪い、というかアタクシの駄文にお付き合いいただいているとお分かりかとは存じますが、アタクシ何が嫌いかって「知的誠実性に欠ける悪意の確信犯」が一番嫌いであって、今まで出ている報道だけで見ておりますと、どうもそっち方面の分類に入れざるを得ないのではないか、と思わざるを得ないということで(あくまでも個人の感想ですwww)、まあメモしておきましょうという所です。
でもってこれ日銀も対岸の火事とか、立法府の話はこちらではどうしようもない(まあそれはそうなんだが)のでどうしようもないですねえとか拱手している場合でもないな、と思うのは、この「唯一最大の副作用はインフレ」という説明には「私言いましたよね」というのが含まれているところでして、つまりインフレ批判が高まってきた場合に玉木大先生におかれましては、自分たちが提唱した高圧経済アプローチが悪いのではなくて、端から起きる可能性があるのが分かっている副作用をコントロールできなかった日銀が無能オブ無能である、と言って盛大に日銀に責任を押し付けてくる、というのを今から予言させていただきたい訳でして、まあ日銀もあんまりノンビリしているわけにはいかないと思いますよ、という個人の感想でした。
まあメイクアメリカグレートアゲインになったことですし、インフレ圧力復活となりますと、円安ちゃんも気になる次第ですが、昨日引用した大先生のインタビューですと「為替を気にして金融政策やるべきではない」だそうなので、こうなってきますと155円とかケチなこと言わないで、160円170円バッチコーイというお話でして、そうなって再度円安批判が飛び回ってくる中で堂々と「為替にフォーカスした金融政策を取るべきではないし今取るべき金融政策は高圧経済アプローチ」って堂々と主張を続けるのか、という方が近い未来においてはインフレ批判の前にどういう所業に出るのかが楽しみになっておりますので、まあ是非その先行きもみたいので闘魂込めて大空に円安飛ぶ飛ぶ炎と燃えて頂きたいところではございますわ(ヤケクソ)
2024/11/06
〇何か財政問題が賑やかなのでちょっと決定会合レビューをさておいて財政ネタ雑談
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/54LUUEPRCRJKTHQ6QJ5S2VBORA-2024-11-01/
インタビュー:向こう半年は利上げ急ぐべきでない=玉木国民民主代表
By 山口貴也, 山崎牧子, Tim Kelly
2024年11月1日午後 6:55 GMT+9
まあ同じようなインタビューがBBGさんからも出ていたんですけど先にロイターさんから。
『[東京 1日 ロイター] - 国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、日銀の金融政策を巡り「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」と述べ、早期利上げに否定的な見解を示した。都内でロイターのインタビューに応じた。』(上記URL先記事より、以下同様)
玉木n先生ノリノリですなあwwwwwwwwww
えーっと、
『玉木代表はインタビューで「いつかは(金融政策を)正常化していくことは必要」と、正常化路線そのものには理解を示した。一方、物価高に負けない賃上げ定着に向け、現状の金融政策を「急激に変更すべきではない」と強調。少なくとも年度内は追加利上げを見送るべきかとの問いに、「動かすべきではない」と応えた。』
誰も連続利上げしろとか言ってるわけではないですし、そもそも今の金融政策が物価を上げようとしている政策なんですから、「物価高」の方が加速したら賃金もっと上げないといけなくなるんですけど大丈夫ですか玉木さん。
しかも低金利定着の予想が広まった結果今年の4−6は円安が進行してエライことになっていたのですが、
『利上げが後ずれすることに伴う為替円安にどう対処するかは「(そもそも)為替を目的に(金融政策を)変更すべきではない」とした。為替介入の効果は短期的との認識も示した。』
と思いっきり斜め上の回答をしておりまして、ネット受け狙いをやっているうちにエコーチェンバーのサイクルに入って来ている典型的な症状を示しておられます。お大事に。
でもってBBGの方ですが、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-01/SM94X0T0G1KW00
追加利上げは来年3月まで回避を、春闘見極め必要−国民・玉木代表
照喜納明美、野原良明
2024年11月1日 18:44 JST 更新日時 2024年11月1日 20:16 JST
→過度に為替への影響を意識して金融政策を動かすべきではない
→所得減税による税収減は4兆ー5兆円、消費喚起で大きく減らない
と来ましたが同じく、
『国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、金融政策の変更は来年の春闘の動向を見極める必要があるとし、3月までは利上げをすべきではないとの認識を明らかにした。ブルームバーグとのインタビューで語った。』(上記URL先記事より、以下同様)
だいたいからしてお前が利上げしろするなとか言ってるんじゃねえよという話ですが、
『玉木氏は「物価上昇率プラス2%の名目賃金上昇率が安定的に達成するまでは金融緩和と積極財政をやるべきだ」と指摘。』
潜在成長率が1%にもいかないような経済状況で「物価上昇率プラス2%の名目賃金上昇率」というのがそもそも持続可能な話の訳が無いのにお前は何を言ってるんだという話だし、その間に金融緩和と積極財政とかいう寧ろ経済の非効率を温存する政策を実施してたら経済の成長力が強化されないので益々無理になる話だろ何言ってるんだこいつは、という所ではあります。
しかしこの減税なんですけどね、
『こうした見方に対し、玉木氏は、4兆円から5兆円程度の税収減を想定しているが、消費の活性化に効果があるため、トータルでは大きく減らないと反論した。非課税枠を178万に恒久的に引き上げれば、「消費マインドはガラッと変わるだろう」とも述べた。』
でた「減税をしても税収は増えるので問題ない」理論、という所ですが、これはアタクシのような年寄りには懐かしい事案が既にありまして、前世紀のお話になるんですけど、とある国の大統領選挙で「減税して経済が活性化したら税収が増えるので問題ない」という面白経済学を唱えた人が大統領になったことがあったのですが、まあその頃はまだ選挙権もないガキでしたがガキながらに何かおかしくねえかと思っていたのですが、結局案の定で連邦債務はバチクソ増えたままになりました、という結果になったわけですな。
ちなみにこの時って高インフレで金融は引き締め状態だったようで、高圧経済とかいう圧力鍋が爆発する方向の話はなかった次第でして、それをも勘案すると玉木先生何言ってるんでしょうねえこの人は、という所だし、何ならチラ見しただけだからちゃんと見てないけど、直近ではどこかのアホウ何とかストが同じように「減税すると税収が増える」理論のレポートを出していたように思われるのですが、良心とか持ってないのかと思ってしまいました。誰とは言わないけど。
まあしかしあの面白経済学が40年以上の時を経て海の向こうの島国で復活するとは頭がクラクラ来るわけでして、こんなスーパーポピュリズムが若者に人気とかさらに頭痛いけど、氷河期世代辺りまでくると若者ほどには相対的に人気高くないようで、まあそれが答えでしょというお話ですわな、うんうん。
まあ定性的に考えたって消費刺激効果が永続するものではないし、課税ベースが減るのと政府債務拡大による利払いが増えることが負の複利で効いてくるんだから、単年度では兎も角消費効果の逓減と相まって政府債務は減るどころか増えるじゃろ、という理屈になる筈なんですけどね・・・・・・・
〇ここで玉木先生の過去の雄姿を確認しましょう(190回国会、財務金融委員会H280223)
例によって読者様から教えて頂いているんですが(人のふんどしばかりですいませんすいません)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/009519020160223005.htm
第190回国会 財務金融委員会 第5号(平成28年2月23日(火曜日))
第5号 平成28年2月23日(火曜日)
こちら質疑のトップバッターに玉木大先生が立っておられるわけでして、当時は民主党なので尺は多くなっておりましていくつかの話をしていますが、その中でも金融政策に関する質疑が誠に結構なお話になっておりまして、まあ詳しくは上記URL先を見てちょという話になりますけれども、ちょいちょい引用してみようかという企画です。
・マネタリーベース置物直線一気理論についての質疑
質疑の途中からになりまして恐縮ですが。
『○玉木委員 昨年の十二月十八日の金融政策決定会合後の記者会見で、総裁は同じようなことをおっしゃっていますね。ごく短期のインフレ期待が下がってきているが、中長期のインフレ期待はそれほど下がっていません、そういう話でありましたが、ただ、今、私、まさに日銀が出している調査結果をもとに申し上げたのは、一年後の物価上昇に加えて、五年後の物価上昇期待についても下がっているんですね。もちろん、いろいろな数字を出されると思いますが、私は、ここは少しファクトに正直に向き合った方がいいのではないかなと思うんですね。
岩田副総裁にお聞きします。
私も、今、黒田総裁がおっしゃったようなこと、つまり、マネタリーベースを量的に拡大すれば、そのことをもって期待インフレ率が上がっていくという極めてシンプルなメカニズムというのは、余り信用していません。ただ、この学習院大学の教授だったときに書かれた論文によると、手元に資料を配っていますが、ある種、非常に業界では有名な、一のこの右肩上がりの線ですけれども、マネタリーベースをふやすと予想インフレ率が上がるというこのグラフ。
岩田副総裁は、マネタリーベースをふやすと予想インフレ率が上がるというのは、論文に書かれているように、それは信じておられますね。』
置物の回答がクソのように長くて言い訳タラタラなので割愛しますがそれを受けた玉木委員のツッコミ。
『○玉木委員 同じ論文の中で、買う資産によって予想インフレ率が変わるということは、記述がありますか。』
『○岩田参考人 そこではちょっと覚えていませんが、私がずっと長年から書いていた論文を読んでいただければ、常に、長期国債を買いなさいといったことを言っています。』
『○玉木委員 よくわかりませんね。
これは、学者の岩田先生に私が申し上げるのもあれなんですが、この一のグラフ、確かに、リグレッションを走らせてみるとこういう線が引かれるんでしょう、リニアな。ただ、これはサンプル数が六つしかない。確かにアールスクエアが高い、〇・九一二出ていますけれども、これはそもそも統計的に有意なのかなというのは純粋に思います。』
>これはサンプル数が六つしかない
>これはサンプル数が六つしかない
>これはサンプル数が六つしかない
玉木先生さすがですwwwwwwwwwwww
『半年ごとのばらけた生データにすると下になりまして、それでリグレッションを走らせると決定係数はかなり落ちる。
もう一つ注目しているのは、私もこれは客観的にどうなのかなと思って、自分自身も虚心坦懐、さまざまなデータに今向き合っていますけれども、アメリカのことを言われるのでアメリカのをちょっと調べてみて、少し長い目で見て、これはかなり過去から、一九九七年から二〇一五年までの同じようなところからとってきて、それでプロットしてみました。
今、赤で引かれているところが岩田副総裁がとられたデータですね。ここだと、確かに右上の数字が書かれるんですけれども、全ての全データに基づいて回帰直線を引いてみると、ほとんど横一線になるわけです。
私が注目しているのは、二〇一二年一月二十五日に、まさにバーナンキがPCEのインフレ率二%を長期目標にするということを明確に出した後、むしろ量的緩和と期待インフレ率との相関が崩れているような気がするんです。
私はエコノメトリシャンではないですから、詳細な分析は学者に譲りますけれども、ただ、二〇一二年に岩田副総裁が書かれた論文、そしてそれに基づいて少なくとも私は行われているやに承知をしていた現在の日銀の量的緩和は、私は、理論的根拠は極めて乏しい、理論的、実証的にもそう思います。』
以下割愛しますが良い話をしていますねえ。(遠い目)でもってこの発言の最後の方には・・・・・・
・2年で達成しなければ職を辞すと言ってたはずですが問題
『(以下玉木委員の直上引用発言の最後の部分になります) 私、今同じ思いです。別に岩田副総裁が憎くも何ともありません。ただ、私が重視しているのは中央銀行のクレディビリティーです。これのみです。ですから、総裁、副総裁、この金融政策を担っている人々、そしてその発言、政策は、人々から、世界から信頼されるものでなければならないと思っています。さまざまな困難な時代ですから、財政、金融で実験的なことを試みるのは私は構わないと思う。しかし、コミットした期間、コミットした目標を達成できなければ、私は職を辞するということが明確な信認を保つ責任のとり方だと思いますけれども、岩田副総裁、いかがでしょうか。』
以下置物のクソ見苦しい言い訳が並びますが割愛しまして、この言い訳に対して
『○玉木委員 見苦しいという一言に尽きます。』
一刀両断さすがです!!!!!
・マイナス金利はデフレ的であるという話
でまあ一刀両断した後に黒田総裁に対してこのような質問をしておりまして、
『(以下直上の玉木委員の発言の続き)総裁にお伺いします。
マイナス金利の導入によって、私は、金融政策のありようが実はかなり変わったのではないかと思っています。今までは物価の上昇を求めていく、私はこれは、デフレはよくないですから、物の値段を上げていく、サービスの値段を上げていく、そういうことは方向性としては正しいと思っています。ただ、唯一上がっていない値段があって、それはお金の値段です。金利だけが極めてデフレなんですね。私は、この今回のマイナス金利のデフレ効果というのは軽視すべきではないと実は思っているんです。
住宅ローンが下がりますという話がプラスの面で語られることが多いですけれども、金利支払いを入れた住宅取得の価格が下がっているとも言えます。そして、総裁がおっしゃったように、さらに何かあればちゅうちょなく対応をとるということをおっしゃっていて、マイナス金利もさらに下げる余地があると思えば、もっと下がるんだと思ったら待ちますね。
これは予算委員会でも私指摘をしましたが、預金金利についてもそうです。個人の預金金利はマイナスにならないとおっしゃいましたけれども、これは日銀が当座預金に課している、ある種マイナスの付加の仕方と似ているんですけれども、名前はどうあれ、口座維持のための管理料であったり、あるいは手数料を上げたりということが極めて低金利の中で行われると、実質的なマイナス口座になってしまうことは明らかであります。
そうすると、消費者心理としては、持っているものが減っていく、特に元本まで食い込んでくるんだというある種の懸念、おそれ、そして、先ほど申し上げたように、お金の値段たる金利が下がるということは、ある種のデフレ効果をあるルートで経済に対して及ぼすというふうに私は思うんです。
改めてお伺いしますけれども、このマイナス金利が消費者の心理、特に消費者のコンフィデンスですね、この消費者の心理や購買の意欲、安心感、そういったものにマイナスの影響を与えるおそれが私はあると思いますけれども、総裁はいかがでしょうか。』
ほうほうそうですかそうですか。
・金融緩和を過度に続けることに対する弊害
さっきの質問の回答
『○玉木委員 私が申し上げている実質マイナス金利と今総裁がおっしゃった実質マイナス金利は、ちょっと話が違うと思いますので、そのことは申し述べたいと思います。
あと二つだけ聞いて、お忙しいと思いますのでお帰りいただきたいと思いますが、きのう、ほぼ我が国は完全雇用の状態にあるというふうな発言がありました。
お伺いします。
FRBのいわゆるデュアルマンデートであれば、雇用の安定と物価の安定ですけれども、我が国において、完全雇用が達成されてなお二%の物価安定目標が達成できない場合でも、今の質的・量的あるいはマイナス金利つき、この異次元の金融政策は完全雇用を達成してもなお続けるということでよろしいですか。』
でもって黒田さんの回答があるのですがそれは割愛しますので見に行ってくださいという所ですが、これに対して玉木委員は、
『○玉木委員 これも大事な答弁だと思います。
私は、完全雇用を達成してなお過度な金融緩和をすべきではないという立場です。もちろん、デフレに逆戻りするようなことがあってはならないと思いますが、二%、もう二年守られていませんけれども、二年で二%という期限を切った二%を完全雇用を達成してなおやっていくのは、私はやり過ぎだと思っています。』
以下最後の質問部分は割愛しますが、過去の玉木先生の雄姿をちょっと確認させていただきましたということでwww
〇また桜井さんがしゃべっておられる
何か知らんけど謎に定期的に出てきますよねこの人。
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/P2BFHMFCEJJTVFYFSQHHIAAI64-2024-11-05/
インタビュー:利上げは1月が最有力、市場動向と政治情勢が焦点=桜井元日銀委員
By 和田崇彦, 木原麗花
2024年11月5日午後 4:05 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - 桜井真・元日銀審議委員は5日、ロイターのインタビューに応じ、日銀の追加利上げは来年1月が最有力との見方を示した。利上げ時期の見極めに当たっては、市場動向と国内の政治情勢が焦点になると話した。日本の成長率が1%程度、物価上昇率が2%程度で推移するとすれば政策金利の上限は2%程度との見方を示し、日銀は2025年度以降27年度にかけては年1―2回のペースで利上げを実施すると予想した。』(上記URL先記事より、以下同様)
ということで何か知らんけど定期的に登場する元腹話術のおじさん(使い手ではない)ですけれども。
『桜井氏は日銀の追加利上げについて、12月、来年1月、3月と3回開かれる金融政策決定会合のどこかで実施される可能性が高いとした上で、最も可能性が高いのは来年1月だと述べた。』
3月と4月ってセットなんじゃないの??まあいいけど。
『鍵を握るのは「マーケットと政治状況」だと指摘した。その上で、12月の決定会合は来年度予算案の閣議決定が迫るタイミングで開かれるため、利上げに対する石破政権の理解を得るのは難しいのではないかとの見方を示した。』
政治状況はわかるが「マーケット」が何を言っているのかこの記事全般を読んでもいまいちわからん(多分為替だと思うのだが)のが惜しいのですが。むしろ1月に出来なかったら3月4月も厳しいんじゃないのと思いますけど、前回のように1月会合で思いっきり予告ホームランを入れてしまうなら3月というのはできるのかもしれないですね。
でまあちょっと面白かったのは記事中のこの部分でして、
『<政策金利、到達点は2%程度か>
桜井氏は、成長率が1%程度・物価上昇率が2%程度の状況が続けば、政策金利は「1.5%程度まではそれほど問題ないだろう」と指摘。2%を超えてくると政治からの反発が高まる可能性があり、2%程度が政策金利の上限になるとの見通しを示した。』
ほほうそうですかそうですか。
『その上で、政治情勢がなかなか安定しないことから、日銀の利上げは「年2回がやっとではないか」との見通しを示した。25年度入り後、0.25%ずつ年1―2回のペースで利上げしていけば、植田和男総裁が任期満了となる28年4月時点で政策金利は2%程度まで到達している計算になる。』
これ植田総裁の任期中に政策金利が2%程度になって出口完遂、という美しいお絵かきになっているのですが、この「植田総裁の任期との兼ね合い」を発想のタネにするのって、まだ任期2年も終わっていないのにいきなりこれですかというのはもちろんあるのですが、そのくらいの遠大な計画がある、というのであれば確かにこの発想は無くは無い話になりますので、その点面白いなあとは思いましたですよ。まあそこまで遠大な計画練ってるようなコミュニケーションを今の日銀がしているのか、と言いますとどこからどう見てもハイパーその場しのぎのコミュニケーションをしている訳でして、特に7月以降のコミュニケーションは酷いとしか言いようが無いので、まあ日銀大本営にそんな遠大な計画があるように見えないのが惜しいところです。
とは言え物価目標をガチで達成するならそもそも1%とかいう政策金利がゴールになるのはおかしいだろという話でありまして、桜井さんの言うように2%に近いところ、普通に考えて1.5%程度とか全然ありじゃろ、という方が発想として自然な訳でして(個人の感想です)、1%だって全然低いのに織り込めてないのは日銀の買入が悪いのと、やる気があるのか無いのかの間で手のひらをクルクルと返すしょうもないコミュニケーションをしている(最初からよくわからんから出たとこ勝負、ならそういえばいいのにあたかも分かったかのような言い方でハトハトチキンになってみたり急にやる気を出したりする不安定なメンヘルコミュニケーション勘弁して欲しい)日銀のせいだとは思うのですけどね。
などと書いていたら時間が無くなってしまったので本日はMPMレビューでも短国市場でもなくて引用祭りとかいう増量企画になってしまいまして誠に申し訳ございませんでした(土下座)。
2024/11/05
お題「決定会合レビュー:総裁記者会見から」
これは例によって読者様から教えていただいたのですが
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024102100951&g=pol
繰り上げ当選、3人を決定 参院【24衆院選】
時事通信 政治部2024年10月21日19時15分配信
『中央選挙管理会は21日の選挙会で、参院議員3人が衆院選に立候補して自動失職したことに伴う欠員補充として、共産党元職の大門実紀史氏、公明党新人の高橋次郎氏、日本維新の会元職の山口和之氏の繰り上げ当選を決めた。2019年と22年の参院選比例名簿に基づく。
大門 実紀史氏(だいもん・みきし)神戸大経中退。党参院国対副委員長。参院当選5回。68歳。』(上記URL先より)
これは参院財金の国会中継見るのが楽しみになってまいりました!!!!
日銀からいろんなものが出ていましたが、ちょいとこの連休は時間というよりも体力がなくて全然更新できませんでした(滝汗)。ぼちぼち追いついてまいりますがそんなことしているうちにアメリカン大統領選挙じゃないですかヤダー。
〇総裁記者会見:いくつか面白特徴のある会見でしたな
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241101a.pdf
総裁記者会見
――2024年10月31日(木)午後3時30分から約65分
・すさまじいまでの棒読みムーブに「余計な発言をしないように」という強い意志を感じたwww
最初の幹事社質問ですが、
『(問)一問目が次の利上げについての考え方についてお伺いしたいと思います。次回会合で7
月の利上げ決定から 5 か月ほど経過することになります。次回以降の会合で、経済・物価がオントラックなら、利上げできる環境は十分整うと考えていらっしゃいますか。足元の円安の進行による物価の上振れリスクへの見方も含めてお願い致します。』
円安に絡めては絶対来るわな。
『二問目は米国経済についてお伺いしたいと思います。展望レポートの政策運営のところでも、米国経済に言及しています。米国経済の現状をどう評価し、新大統領の政策が、日本経済、金融政策に及ぼす影響をどのくらいの時間軸で見極めていけるとお考えになりますでしょうか』
これもまあ聞かれる罠、という典型的な質問2問来ましたが植田さんの回答は・・・・・・・・
『(答)まず当面の政策運営についてですが、先ほどの繰り返しになりますけれども、金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。』
『そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると考えています。』
見事な棒読みムーブというか展望レポートの文言通り。
『見極めに必要な時間や利上げのタイミングについて予断は持っておらず、今後、毎回の決定会合において、その時点で利用可能な各種のデータや情報から、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく方針です。』
これもまた棒読みですねえ。
『為替相場ですけれども、その水準や評価について具体的なコメントは差し控えたいと思いますが、もちろん経済・物価に大きな影響を与えるものではあります。』
からの、
『為替円安の物価への影響を考える際には、先ほど申し上げましたが、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある点には、引き続き、留意する必要があると考えております。』
これまた展望レポートに書いてある文言通りの棒読みムーブ。さらに二問目については、
『米国経済ですけれども、前回会合以降、9 月の雇用統計が市場予想を大幅に上回るなど、良好な経済指標がみられています。もっとも、今後の米国経済を巡っては、これまでの利上げが経済・物価に及ぼす影響など、不透明な部分がまだなお大きいと判断しており、その動向を注視していく必要があると考えています。』
で??
『また、アメリカの大統領選挙後の新政権の政策運営、それがわが国に及ぼす影響ですが、これは、他国の政治情勢に関わるものですので、具体的なコメントは差し控えたいと思います。』
じゃあ米国ガーを連呼するなや、と思いますが。
『ただ、もとより、先ほど申し上げましたように、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や、金融資本市場動向を十分注視し、私どもの経済・物価見通し、リスク、見通し実現の確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると考えております。』
ちょwwwこれも展望レポートの文言通り、ということで初手から盛大な棒読みムーブをかましておりまして、植田さん「余計なことは言わないように」と本人がやっと反省して心掛けているのか、振付師に厳しく言われているのかは知らんですけど、まあ余計な事を言わないように、というのがこの棒読みムーブに出ているんでしょうなあと思いました。
・「時間的余裕」についてと政治圧力に対して植田さん「この正直者!」って思ったんですけどね
次の質問。
『(問)二問お伺いします。一点目が現状で追加利上げの判断に時間的余裕があるとお考えかどうか。もし先ほどの回答であえてそう発言されていないのであれば理由も併せてお願いします。
もう一点が政治との関係についてお伺いします。今月上旬に石破首相が追加利上げする環境にないと発言されました。また、衆院選で与党が過半数割れをして政権の枠組みによっては利上げを急ぐべきではないという声が強まる可能性もあると思います。こうした政治側の意向が日銀の政策判断に与える影響について、どのようにお考えか。』
まあ後半は紋切り型の回答になりますけどねw
『(答)どちらにつきましても私どもの基本的な姿勢は、先ほど申し上げましたように、金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて適宜政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくということでございます。』
wwwwww
『これは二問目が先になりますが、特定の政治家のコメントにはコメントしませんけれども、そうしたものがあるとないにかかわらず、今申し上げたようなスタンスで臨みたいというふうに思っております。』
>今申し上げたようなスタンスで臨みたい
ここはリアタイで聞いてて吹いたのですが、「臨む」じゃなくて「臨みたい」ってところに物凄い勢いで植田さんの本音が駄々洩れしているなと思いまして、「臨む」と言い切れないのはつまり日銀が政治圧力によわよわであり、それに対して植田さんは何らか思うところがあるのか、それとも植田さんが「臨みたいんだけどいざ政治圧力が来ると耐えられないんでちゅー」という悲しさを表明してるのか、そのあたりは判然としませんけれども、「臨みたい」という願望系になっていて「臨む」という意思表示系になっていない辺りに植田さんの本音を垣間見ることができましたwwwwwwwwww
『そのうえで一番目のご質問ですけれども、こうした判断、基本的な判断については毎回の決定会合で、そこまでに得られたデータ、その他の情報をもとに判断していくということにしたいと思います。』
>判断していくということにしたいと思います
これも同様なのですが、「判断していきます」じゃなくて「判断していくということにしたいと思います」って持って回った言い方が植田さんの悲しみが止まらないという風情でありまして、中々泣けてくるわと思いました。
・時間的余裕封印宣言
ということでさっきの質問では「時間的余裕」の回答が無かったので更問。
『(問)最近、時間的余裕という言葉を多く使っていらっしゃるように感じるんですけれども、改めて、今どういった理由で時間的余裕がある状況なのかというのと、またその余裕とおっしゃったときに、どのぐらいのスパン、期間で考えていらっしゃるのか、例えば次回の会合までの余裕なのか、それとももっと中長期的なものなのかというのを知りたい方が多いと思いますので教えて頂ければと思います。(後半割愛)』
さっき時間的余裕について微妙にスルーしてたのでこういう質問になったのですが、
『(答)前半ですけれども、時間的余裕という表現についてですが、やや長くなるかもしれませんが、私どもこの表現を使い始めたのは
8 月に入って以降だと思います。』
ほうほうそれでそれで?
『それで、その理由と致しましては申し上げるまでもないかと思いますが、当時の、特に米国の弱い雇用統計、予想以上に弱かった雇用統計、こうしたものに影響されまして、マーケットが非常に荒い動きになったというようなことを、非常に重要な現象だし今後の日本経済をみる際にも重要なリスクと判断しまして、ある意味他のリスク以上にここについて注意深く検討していかないといけないと、この姿勢を注意深く検討していくという意味で、時間的余裕を持ってみていくという表現で表したところでございます。』
振れ幅が大きくて遡及改定もホイホイと行われる雇用統計の単月のムーブでこれだけ注目する中央銀行、しかも自国じゃなくて他国ってのは何かもう笑えますし、そもそも論としてお前ら単に株式市場にビビっただけだろという過去は無かったことになっているのがインチキ臭い。
『現状、その以降の動きをみていますと、データが少しずつ改善し、市場も少しずつ安定を取り戻し、更に米国の統計に限りますと、さっき申し上げましたようにここ
1 か月くらいに出ている統計についてはかなり良いものが続いています。』
人の国の単月の指標で一喜一憂するなよ・・・・・・・・・・・
『それでもなお、完全に安心できるというところまではいっていないんで、先ほどの展望レポートの最後のところにある文章には、米国経済をはじめとする世界経済の動きという表現を付け加えて、ここのリスクをまだ重視してみてるという姿勢は貫いてはいますけれども、』
つまりこの説明ですと展望レポート基本的見解の最終部分にある「追加文言」は「下振れ警戒文言」になるので、こちらを見ますと普通に「政策修正に新たな留保文言を加えた」というハトハトチキンムーブに見えてしまいますが・・・・・・・
『やや行ったり来たりになりますが、リスクの度合いは少しずつ下がってきていますので、もう少しみて今のようないい動きが続けば、普通のリスクと同等のところになる。』
ああ要するに株式市場にビビって入れた「時間的余裕」をフェードアウトさせたいとwww
『そういう意味で、このリスクに光を強く当てて、時間的余裕を持ってみていくという表現は不要になるのではないかというふうに考えて、今日も使ってないということでございます。』
ということでここでやっと「時間的余裕」の封印ムーブが来ましたが、「リスクに強く光を当てる必要はない」のであれば、そもそも論として何で展望レポートの最終段落に余計なもんを追加したのかというのが訳わからんですわ。
『ただ他のリスクは常にあって、それはまた米国について新しいリスクが出てくるかもしれませんし、それについては毎回毎回、普段通り決定会合で判断して、政策判断につなげていくということでございます。(後半割愛)』
って言ってるけど、米国って上振れリスクだってあるよね、というかそっちの方が今は大きいんじゃないですか、というのは後の方でも質問がある。
・「市場の安定性」も結局は8月のその場しのぎのコミュニケーションでしたなwww
こんな質疑がこの次にありましてですね、
『(問)(前半割愛)もう一つ金融市場についてはですね、これまで引き続き不安定であるとおっしゃってましたが、徐々に安定はしてきたというような表現をされてましたけれども、円キャリートレードの投機的なポジションも解消されましたが、今後、市場の安定度合いを見極めるうえでは、どの辺を注意してみていくお考えでしょうか。』
と来まして植田さんの回答ですが、
『(答)(前半割愛)それから、市場の安定性を評価していく際にどういうデータをみていくのかという二番目のご質問ですけれども、これは特定のこのマーケットのこういう指標をみるということを具体的に申し上げるのは適切でないかと思います。つまり、いろいろ不安定な動きになるときにどこが不安定になるかというのは、その時その時で変わり得るものですし、われわれとしては様々な広い指標について、なるべく努力して良い情報を得て、全体をみているというふうに申し上げるしかないかなと思います。』
お前が最初に言い出したんだろうがお前が、ということでどの口がゆうてますねんという発言を堂々としておられる次第ですが、結局この「市場の安定性」も8月の株価にビビって慌ててその場しのぎで威勢の良い事言っちゃいましたゴメンチャイって素直に言えばいいものを素直に言わないもんだからこういう謎発言になるのでした、こまった人たちではあります。
・7月利上げにおける市場金利の動きが「予想通りの動き」ってウソつけとしか言いようが無い
この質疑なんですけどね、
『(問)二点伺います。一点目なんですけれども、現状の利上げの評価、有効性について伺えればと思います。7
月末の追加利上げで企業融資ですとか住宅ローン金利への影響の大きい短期プライムレートも上がりました。一方で、預金も金利が段階的に引き上げられまして、地域金融機関では、市場金利を上回る、ちょっと一見すると経済合理性に欠くんではないかという水準でキャンペーン的に集める先も広がってます。資金余剰の金融環境の中で、あとオーバー・バンキングであったり、あと金利形成で最近ネット銀行も全国的に存在感が増してます。今回の利上げ局面でです。金融緩和度合いは、想定通り調整されているのか、今のご認識を伺えればと思います。(後半割愛)』
長いわ質問が、と思いますがこの回答の中で植田さんはですね、
『(答)まず、7 月の利上げの影響ですけれども、これは概ね予想通りに近いところの動きになっているかなとみています。市場金利の動き、それから貸出・預金金利がいくぶん上昇しているというようなこと、』
ちょwwwwwwおまwwwwwww市場金利の動きwwwwwwwwwww
えーっとすいません、7月から足元にかけてなんですが、市場金利ってろくすっぽ上がっていませんし、何なら短国とか下がってるんじゃないか位の勢いになっていますけれども、どこがどう「7月利上げ後の市場金利の動きがおおむね予想通りに近いところの動き」になるのか小一時間問い詰めたいというか、どういう認識でいるんだよマーケットの事を、という所ではあります。
以下この質疑応答では、
『ただし、もちろんその中に、競争が厳しいところでは、ちょっと動きが大きかったり逆に小さかったり、予想からずれてるところもあるかと思います。それから、そうは言っても、もともとの利上げ幅が
15bps程度であったということで、金融機関の貸出態度や企業からみた資金繰り等のところには、強いマイナスの影響が出ているという状態では、全くないかと思います。マインド面にも今のところ大きな影響はみられていないということだと思います。8月の前半にマーケットの混乱はあったわけですが、それがわれわれの金融システムにマイナスの波及効果をもたらしているということも確認できていないというふうにみております。(後半割愛)』
ということで、そもそも質問も市場金利の話ではなくていわゆるファイナンシャルコンディションの質問だったのでそっちの回答になっているのはまあ良いんですけど、この「市場金利」に関しては聞き捨てならないというか、植田さんがうっかり口走っただけなのかもしれませんけれども、そういう事やぞ植田さん、というお話ではあります。
・市場金利とかいうから債券市場の質問があったのだが
その次の質問。
『(問)最近の債券相場についてお伺いしたいんですけども、ストック効果とか米国の金利低下に影響されてるのは分かるんですけれども、日銀は今日も言われてましたけど、見通し期間の後半にかけて基調的なインフレ率が
2%にいくという見通しを持たれてて、そうなってくると想定される中立金利が大体
1%で、生産性の上昇を入れるとそれよりも上で推移するのが普通かと思うんですけども、長期金利がやはり現状1%以下で推移していると。』
日銀の買入が過大なのがとにかくよくないんですけど。
『現にいろいろ聞くところによると、やっぱり日銀が言われている景気見通し、物価見通し、正常化のパスに関して市場参加者があまり信じてないような気もするんですけれども、』
それはどうかと思うのでありまして、市場でポジション持っている人たちも普通に12月か1月(12月と1月の間に本質的な差はない、これが3月になると本質的に違う感じになってくる)に利上げと思っている人の方が多いし、何なら正常化のパスが日銀は遅いと思っている人多いと思うんですけどね。
『どういう状況になってくれば、市場参加者が日銀の正常化のパスとか、物価の見通しを信じて、それを金利に織り込むようになっていくようなことが考えられるのか、その点をお伺いしたいと思います。』
という質問で、これひっかけなのかもしれないけど、何で輪番の弊害について聞かないんだと思いました。まあそれはともかくとして回答が中々の面白回答でして。
『(答)確かに現状 10 年金利が 1%ないし 1%弱というところと、持続的な物価安定が達成されたときのインフレ率は
2%というものを比べますと、中立金利の見方次第ですけれども、両者の整合性はどうかという質問はあり得ると思いますが、私どもの見通しにしましても、妙な言い方になりますけれども、中心的な見通しとしてこういうことであるという見通しを
24、25、26 年度について出しているわけで、例えば24[年度]については、その可能性はかなり高いと思いますけれども、25、26[年度]と先に行くほど
100%で当たるというところからは、かなり確度は下になっているということだと思います。』
何を言い出すのかと思ったら、
『マーケットの価格形成はそういうところまでも織り込んでなされていると思いますので、中心的な見通しがどうかという質問だけを投げかければ、そんなに違いはないかもしれないかと、そこも違うかもしれませんが、差はそれほど大きくないかもしれないと思います。しかし、いろいろなリスクシナリオを考えた際に、現状程度の長期金利水準になるということは十分あり得ると思います。』
市場が各種の下振れリスクを織り込んでいるので長期金利が一般的に考えられる長期的な中立金利よりもだいぶ下で推移しています、という面白説明をしているんだが、だったらお前ら「ストック効果」とか言ってるのはアレは何なんだという話でして、アホみたいに長期国債の買入を継続して冗談みたいなバランスシートを持っている状態で長期金利に押し下げ効果が出ているのに、その押し下げ効果があたかも無いような話をして「市場は下振れリスクを織り込んでいるのではないか」とか言い出すの幾ら何でも屁理屈にもほどがあると思います。
『両者が収束していくのは、お互いにどちらが先行するか分かりませんが、もう少し先の見通しに関する確度がもう少しみえてくるかなとは思います。』
とかいう無茶苦茶な説明になっていますが、これ長期国債の大量買入れが無いならおっしゃる通りではあるのですが、長期国債買入をバンバン実施して長期金利に低下圧力を恒常的に掛けているのにこの言い草は酷いとしか申し上げようがないのですが、とにかく今の日銀って「その場しのぎの屁理屈」だけは達者なので、このように「依然として続いている大量の長期国債買入というのを無視するとこの部分だけで言えば理屈は通っている」というようなその場しのぎ説明が見れてしまう、ということになってくるんだと思います(個人の感想です)。
・為替円安の物価上振れリスクに関しては終始棒読み対応
実は前にもそういう質疑があったのですが割愛しています。
『(問)質問二問あります。やや重なるんですけれども、足元の為替相場、円安にちょっと戻ってきてるっていう部分について、物価上振れリスクの警戒度合いみたいなところはどういうふうにご覧になってるかっていうのが一点です。(後半割愛)』
『(答)円安がもたらす物価上振れリスクについてですけれども、先ほどもちょっとお話ししたんですけれども、問二ですか、幹事社からの。過去と比べますと企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、為替の変動が、この場合円安ですが、物価に及ぼす影響が少し大きくなっているという面には注意しつつ、先ほども別の方の質問でお答えしましたように、円安の背後にある経済の動きと総合して物価への影響をみていくということでございます。(後半割愛)』
なんという棒読み(棒読み)
・米国経済のダウンサイドリスクが心配されていたのに7月に大胆にも利上げをしたという恐ろしい発言キタコレ
こちらの質疑で植田さん驚異の回答を行ったのですが、
『(問)総裁、先ほど時間的余裕があるという言葉、リスクが低減することによって必要なくなってきていることをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、それに加えて今日の展望レポートでもですね、オントラックという姿がみえてるということは、総裁の中では利上げへの環境は少しずつ、まだ不確実性は高いんですけど整いつつあるというお考えなのか。米国経済についてご覧になっていくということですけれども、大統領選は来週ですが、大統領就任というのは来年
1 月になると思います。それまで総裁は待たなければいけないというようなお考えを持っているのかどうか、お願い致します。(後半割愛)』
この回答、クソ長いので途中から引用しますのはビックリしたのはこの部分でして・・・・・
『(答)まず、ここのところ、私どもが私どもの見通し実現の確度についてどういうふうに判断しているかというご質問だと思いますけれども、これは政策委員一人一人で違うと思いますけれども、今日はそれを総合した結果、今日のところは現状維持でいいという答えになったということだと思います。(途中割愛)当面時間をかけて見極めたいというふうに申し上げていた米国にまつわるリスクは、少し長く取れば
6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスクについての見方ということであるというふうに私どもとしては認識しています。(以下割愛)』
> 6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスク
> 6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスク
> 6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスク
おいこらちょっと待てという話ですが、この次の質疑でも同様に、
『(問)(前半割愛)もう一点がさっきからちょっと出てる時間的余裕の部分なんですけれども、今日はあえて使っていないっていうふうにおっしゃったと思うんですけど、今日はあえて使ってないってことでよろしかったんでしょうか。』
というのに対して、
『(答)(前半割愛)それから、二番目の時間的余裕の話ですけれども、これは直前のご質問でもありましたが、6、7
月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスクにまつわるもの、そこのところを見極めるための時間的余裕という意味で使っていますので、これがなくなるとともにこの表現も使わなくなるというふうに考えています。』
>6、7 月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスク
>6、7 月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスク
>6、7 月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスク
まwwwwwじwwwwwwかwwwwwwww
こではリアタイで聞いてて思わず声が出てしまった部分ですが、ちょっと待てお前ら7月利上げの時に米国のダウンサイドリスクを心配してたのかよという話で、そんな心配があるのに何で利上げしたんだよおどれらはという話だし、だいたいからして7月お前らそんな説明してなかっただろというお話。
まあアレですな、この「米国経済のダウンサイドリスク」を持ち出したのも結局のところ8月の株価暴落にビビって言い訳を考えて後付けで持ってきた話であることはほぼ確実なんでしょうけれども、そう言ってしまうと身も蓋も無いので、もうちょっと高尚に考えていましたと見栄を張るために「8月」とは言わずに「6、7月」って言い出したんだろういい加減にしろというお話なんですが、別に植田さんが間違えていったわけではなさそうなのは2回連続してこの言い方をしていたのですから、そういうことに後付けで勝手になっている、という事を示すわけでございまして、さっきの市場金利の説明もそうですけれども、何ちゅうその場しのぎの屁理屈昭和温泉旅館、とあきれてしまう次第であります。
・8月の市場の動きはまさにお前らのコミュニケーションによる投機ポジションの積み上がりだろいい加減にしろ
こんな質疑がありましてですね、
『(問)(前半割愛)二点目は、先週ですか、IMFの講演において、総裁がおっしゃってた点で面白いなと思ったのが、不確実性が高いうちは、金融政策の変更は慎重にゆっくり動きたいんですけれども、あまりゆっくりするという印象を与え過ぎると、低金利が長期間続くことによって、そういう市場の期待によって、投機的なポジションが積み上がってしまう可能性もあると、その両方のバランスが大事なのである、というご発言があったと思います。両者のバランスを考えた際、今の日本の経済やマーケットの環境というのは、どちらをより重視して政策運営、コミュニケーションをとるべきなのか、お考えをお願いします。』
『(答)(前半割愛)二番目の不確実性が高いときには、確かにいろいろな政策は注意深く進めるということですが、金融政策においては、そういう期待を過度に作り出すと、場合によっては不健全な投機的ポジションの積み上がりになってしまうリスクもあるということで、その辺のバランスをどう考えるのか、というご質問だと思いますが、これは、今どの辺というふうにお答えするのは難しいですけれども、結局は、私どもの経済・物価見通しと、それから今後の金融政策の考え方、戦略を丁寧に繰り返しご説明していくということに尽きるのかな、というふうに思っております。』
いやそれに失敗して8月頭の盛大なポジション巻き戻し起こしたんだろ反省するという思想は無いのかよ・・・・・
・植田さんの本音駄々洩れシリーズその2で「8月9月は普通の政策運営じゃなかった」らしいです
これはワロタw
『(問)先ほど来からの繰り返しで恐縮なんですけども、時間的余裕があるという言葉をですね、今回使わなかったとおっしゃった理由に米国経済のある種のリスクが低減したということの趣旨をおっしゃっているんですけども、なかなかちょっと理解しにくいとか、市場も理解しにくいかなと思うんですが、この時間的余裕があるという表現、今回なくしたことは端的に大雑把に言うと、これは次の利上げに向けてのステップが以前よりも高まったという理解でいいんでしょうか。』
に対して、
『(答)先ほど来申し上げてきたような意味で米国経済に関するある種のリスクに特に注目するということは、将来復活する可能性はゼロではないとは思いますけれども、いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻るということでございます。毎回毎回データと情報を点検して判断していくということでございます。』
>いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る
>いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る
>いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る
本音駄々洩れwwwwwwwwwwwwwwwwww
ってこれつまりは8月9月は異常なことをしていた、っていうのが植田さんの認識だって話ですな。いや別にリスクが高いものがあるのを見極めるってのも普通の金融政策決定だと思うのですが、このように8月9月の動きから今回への流れを「変化」と見て「普通の金融政策決定のやり方に戻る」って言ってるのは、それ以前が普通じゃなかったというのを思いっきりお漏らししている状態で大変に味わいが深いですwww
・財政健全化についてはもっと言え
この質疑は良かったがもっと財政の健全運営について日銀は言うべきである。
『(問)
金利が上がってくるってことが前提として、企業とか家計とかっていうのは金利が出てくる世界に対して備えってのができてきてるかと思うんですけど、政府の部分ということを考えるとどうなのか、先ほどからも政治の影響っていうのが出てきますけど、だんだんと財政拡張的な政策が打ち出されていくと、今後日銀としてはどういうふうになっていくのかということを、お考えをお聞かせ頂けますでしょうか。』
『(答)私ども、財政政策については、政府、国会においてお決めになるものですので、コメントを差し控えるということでずっときております。ただし、そういう中でも、中長期的な財政の維持可能性についてきちんと配慮して頂くことは重要であるということはいつも申し上げています。』
いつも申し上げております、って大見得切るほど言ってるかいな・・・・・
・展望レポート最終段落の文言追加はこの質疑を見ているとやっぱり「下振れ警戒追加文言」に見えてしまいますよね
『(問)今回の展望レポートの最後の部分の金融政策運営の文章に加わった、7
月になかった新たな文章の部分ですけども、これは今のところ市場のファーストリアクションとしてはどちらかというと、物価目標実現の確度が下がる下振れリスクについて注意を喚起したって文章だという解釈をされているようですけども、』
でしたなあ。
『逆にその確度が高まる上振れリスク、例えばアメリカの新政権の政策運営次第ではインフレ的あるいは金利に上げ圧力がかかって円安になって、結果的に日本の物価に上げ圧力が加わる、結果的に確度が高まるような上振れリスクもあり得ると思うんですが、』
これは実にいい質問である。リアタイで聞いてて「よく聞いた」とか声出てしまったw
『そういったリスクも留意するという含意があってそれを加えているんでしょうか。その辺りはいかがでしょうか。』
でもって植田さんの回答。
『(答)ちょっと難しいところですけれども、7 月と比べますとおっしゃったような含意もあるかもしれませんが、むしろもっと直近の
9 月ぐらいに私どもが申し上げていたことからしますと、ここの米国をはじめとするというリスクをもっと強く申し上げていたわけで、それと比べて少しリスクの評価、弱めになってるけれどもちょっと残っているという感じを出せればなという文章でございます。』
うーんこれだと下振れ警戒だけに見えてしまうな〜。
・植田さんの本音駄々洩れシリーズの白眉「ワシは内田や渡辺とは違うんじゃ馬鹿にするな」
これはクソワロタんですけどね。
『(問)春闘についてお伺いします。先頃、連合は基本構想として 2025 年の春闘で
5%以上と、昨年と同じ水準の目標を示しました。昨年が 5.1%の賃上げを実現したことと、足元の物価を考えると抑えた目標とも言えるかと思うんですけれども、中長期、巡航軌道として
2%の物価目標が実現するという前提をもとに巡航軌道を描いているということです。政府・日銀が掲げる物価目標が、賃金の一つの、決める大きな要素である春闘でも前提とされたことについて総裁どう受け止めますか。』
とまあ質問の方は至って普通の質問なんですけどこの回答を聞いててこれまたリアタイで爆笑の発作が起きました。
『(答)以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが、物価や賃金が上がらないというノルムが社会の中に
形成されて、』
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
もうね、この枕詞の後に出てきたのが「ノルム」なわけですよ「ノルム」。
先般もこの話をネタにしましたが、
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240627a.pdf
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第2回「過去 25 年間の経済・物価情勢と金融政策」の模様
のPDF20枚目にある『(ノルムの位置づけ)』のコーナーで柳川先生と吉川先生が「ノルム」の話をケチョンケチョンにしていた訳ですが、植田さんも真っ当な学者として柳川先生や吉川先生の主張にシンパシーを感じている、というのがこの「以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが」に出ているのがクソ笑いましたし、
『それがインフレ率が上がることを難しくしてきたということがあったかと思います。おっしゃったように春闘の中で、2%という私どもの目標が一つのメルクマールとして使われるということになれば、』
という後にもう一度、
『そうしたノルムみたいなものが変わりつつあるということとも言えまして、2%の[物価安定の]目標が持続的になるという状態に一歩近づくのかなというふうに判断致します』
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
wwwwwwwwww
まあこれは「ワシは内田や渡辺とは違うぞ」という植田さんの気概を感じて大変に素晴らしく思いました。
といったところで他のネタまでやっている時間もないので本日はこれで勘弁。
2024/11/01
お題「決定会合レビュー(その1)」
円安に飛ばなかったのは結構ですけれども結局152円とかなのか・・・・・・・
〇展望レポート基本的見解概要部分:リスクバランスを下げてきましたな
今回の声明文は決定事項の話しかないので展望レポート基本的見解の比較と総裁記者会見での説明(例の「時間的余裕」や「米国経済下振れガー」のうち時間的余裕というのは講演とか会見での説明であって声明文や展望にはでてこない)がダイジダイジネーなのですが、会見ちゃんの方は(さすがに今回は最初から最後まできっちりと日銀よつべチャンネルで聞いていましたが)詳細が本日出ますので週末に追加する”時間的な余裕があれば”追加しますwwwww
10月展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf
9月金融政策決定会合声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240920a.pdf
7月展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407a.pdf
主に展望の比較をしつつ時々9月声明文も入るって感じでまずは参ります。
『<概要>』の部分(ワイは鏡とうっかり言ってしまうのだがそれが一般用語なのかどうかは知らん)を比較してみるある。
・先行き経済見通し総括部分:全文一致が続く
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(9月声明文)
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(7月展望)
毎回ここ同じことしか言ってませんwww見事に全文一致が継続。
・物価の先行き見通し部分
物価の先行き見通しに関しては年度別展開の説明が非展望会合の声明文では基本的に行われませんのでそこの表現が9月声明文で抜けているのはテクニカル要因です、為念。
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台半ばとなったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。』(今回)
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台半ばとなったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。』(7月展望)
9月声明文では比較該当部分無いです。こちらは展望レポートの見通し計数(はっきり言って今回の鉛筆舐め舐め感がものすごく強くて、何でこういう数字出来上がりになったのよというのはあるのですがそこはまあ追々)とその後の説明から見て「おおむね同じようなもん」という話なのと整合的な全文一致。
でもって背景説明がこの先になるのですが、書きぶり的に比較するときには展望同士で比較して9月はおまけの方がよさそうなのでそんな感じで引用しますが。
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回)
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、2025 年度にかけては、政府による施策の反動等が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(7月展望)
途中にある特殊要因でカクカクしている部分って説明が必要ではあるのはわかるのですが、展望レポート基本的見解の「概要」部分で説明すべきことなのか、というのは改めて考えて見ると若干疑問があって、基本的見解の本文の中で記載するような形にした方が良いのではないかと思うのですよね。
と申しますのも、特殊要因でカクカクしている部分って特殊要因だから本来はそこはネグって考える話の類のものであって、経済物価見通しにおける本質的な意味合いが無いものを鏡の部分という比較的重要な部分で説明していると、特殊要因が滅多にない場合は良いんですけれども、今のように馬鹿政治家共が隙あらばなんとか補助金とか出そうとすると、そのたびに特殊要因がカクカクするわけで、それを一々鏡に載せていると特殊要因の説明ばっかり悪目立ちしてしまいかねないと思うし、だいいち余計な文言が増えるので分かりにくくなりますがな、というのがアタクシの考え(個人の感想です)。
モチのロンですが、特殊要因ったって財政がガバガバ出てくるような施策に関しては、テクニカルにCPIを動かすだけではなく、ガバガバ財政によって総需要に影響が出るから経済物価見通しに影響する、というのはあるのですが、それはそれで鏡に書いてあるメインの見通し部分で討ち取ればよい話で、テクニカルの入り繰りを細かく書いていると、その要因がものすごく重要な話っぽく見えてしまうのイクナイんじゃないでしょうかね。
なお9月声明文ですが、
『消費者物価(除く生鮮食品)については、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、来年度にかけては、政府による施策の反動等が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(9月声明文)
年別展開の部分はさておきまして7月から10月まで見通しは同じですね。ちなみにこれ9月声明文の時にも申し上げましたが、本来声明文会合の時は見通しのタイムホライズンはそんなに長くなくて、展望レポートの時に長いタイムホライズンの見通しを出す、という建付けになっていたので、若干この「展望レポートの見通し期間後半には」云々のところは違和感があるなという感じはあります。
あと、最後に
『なお、2025 年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、政府による施策の反動が押し上げ方向で、このところの原油等の資源価格下落の影響などが押し下げ方向で、それぞれ作用すると見込まれる。』(今回)
ってのが今回入っています。
・前回見通しとの差異
『前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025
年度が、このところの原油等の資源価格下落の影響などから幾分下振れている。』(今回)
『前回の見通しと比べると、成長率については、2024 年度は、前年度の統計改定の影響等から、幾分下振れている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度は、政府の施策がエネルギー価格を押し下げることを主因に下振れている一方、2025
年度は、こうした施策による押し下げの反動から、幾分上振れている。』(7月展望)
まあここは前回と比較する意味あんまりありませんけどww2025年度の見通し下げておいて後のリスクバランスでは2025年度の上振れリスクって話があるのナンジャソラ感はあります。だったら見通し下げるなよと思うんだがwww
・リスクアセスメントの要因の表現に変化はないのよね
『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(今回)
『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(9月声明文)
『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(7月展望)
実はここは面白くて、8月9月、とくに9月会合って「米国経済の下振れリスクガー」を会見で大連呼するわ「主な意見」も7月まではそんな話なかったのに突如「米国経済の下振れリスクガー」の大連呼するわ、ということになっているのですが、声明文の方では別に大連呼していなかったのですよね。でもって比較してみると実は7月展望の「為替の変動ガー」の追加文言で注目されたリスク要因の記述がそのまま継続している、という形になっていまして、一方ではご案内の通りで米国経済下振れリスクガーの大連呼をしていた訳でして、なんのこっちゃという感じですよね。
・リスクバランスは前回対比引き下げ
9月はリスクバランスの評価はありませんでした。
『リスクバランスをみると、経済の見通しについては概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2025
年度は上振れリスクの方が大きい。』(今回)
『リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2025 年度は上振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、2024
年度と 2025 年度は上振れリスクの方が大きい。』(7月展望)
見通し下げておいてリスクバランスは上振れってぱっと見意味くじ分からん世界なんですよね、しかもこれ最後のチャートを見ますと2025年度の委員のリスクバランスって上振れ3、バランス5、下振れ1になっているんだから普通はこういうのは多数決で「おおむねバランス」になるじゃろと思いますが、以前もそんなのがあった記憶があるが、この記述方法なんか変じゃね??とは思います
〇問題になるのは「今後の金融政策運営」だがまた余計なもんを作りやがりまして甚だ怪しからん
でもって本来ですとここから経済物価見通しの逐語比較をしていくんですが、そっちよりも今回は今後の金融政策運営に関するコミュニケーションの方が大問題、という会合でしたので、展望レポート基本的見解の最終部分をネタにしてまいります。
『4.金融政策運営 』の最終パラフラフです。
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(今回)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(7月展望)
でまあこの次に「日本銀行は2%達成に向けて適切な政策をしまっせ」というのが入るのですが、ご案内の通り今回クソ意味不明な文言追加がぶっこまれております。
『そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。』(今回)
・・・・・( ゚д゚)
なんですかこれはという話でして、4月展望で余計な文言ぶっこんで利上げがだいぶ先という思惑を招いて円安をぶっ飛ばした挙句に7月利上げがサプライズ扱いになってしまった、という点の反省はどこに逝ったんでしょうか、という話ではありますわな。
いやまあこれが実は11月以降の米国新政権によって米国経済がウホウホと上向き米国物価もウホウホ状態になってくるので日本にも上振れリスクが出てくることも検討しないといけませんね、って意味だったら実は米国上振れ警戒、という話でそれはそれでオシャンティーなんですけれども、ここまでの話の流れからすると「米国経済下振れリスクガー」を「見える化」したという物件に見えてしまいますし、総裁会見でも
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/56YMURFM5FLALMREVDVSFK2MWY-2024-10-31/
今後「時間的余裕」は使わない、毎回会合で情勢判断=植田日銀総裁
By 和田崇彦, 杉山健太郎
2024年10月31日午後 6:25 GMT+9
『そのうえで植田総裁は、展望リポートの金融政策運営の部分には米国経済などの今後の展開を注視する考えを明記し、リスクを重視しているという姿勢は貫いていると語った。』(この部分のみ直上URL先のロイター記事より、以下同様)
って言ってまして、この説明だと「下振れリスク警戒文言をわざわざ入れた」という説明になっているように思えるわけですし、会見の配信聞いている感じだと「やっぱり下振れ文言なのかな」と思わせる印象があったんですよね(個人の感想です)。
ただまあロイターさんの記事でも上記の部分の直後に、
『11月上旬の米大統領選後の新政権の政策運営が日本に与える影響については、新大統領が打ち出してくる政策次第では新たなリスクになるが、各会合で点検していくと述べた。』
ってなっていて、この「新たなリスク」が上振れなのか下振れなのかは言ってなかった記憶がある(少なくとも上振れって言ってた記憶は無いのだがまあこれは会見録が出て点検しましょう)のですが、会見での説明の文脈だと新たな下振れリスク、って聞こえてしまうのですよね。
ただまあ書いてある文言では下振れとは限定して書いていないので、上振れも下振れもアリエールという話になってしまうのが諸葛孔明の罠にも程がある話で、それこそ先週の植田総裁のワシントンでの会見の「一応」2連発が(アタクシが最初に気が付いたわけではなくて読者様から指摘されて成程と思っただけなのでそこはタネを割っておきますがw)実は今回の「時間的余裕」撤廃の布石だったように、これも後から利上げする段になって「米国経済は下振れリスクよりもむしろ上振れの可能性の方が高まっており金融緩和度合いの調整をサポートしています(
ー`дー´)キリッ」とか言い出すための諸葛孔明の罠の可能性もある、という玉虫色文言になっています。
まあしかし何ですな、そういう諸葛孔明の罠なのかもしれませんけれども、こういう文言は基本的にゴテゴテと入れることによって、「条件付き」という印象を強めるものになりますし、しかも本来総合判断で行うべき金融政策判断に関して「米国経済に注目して金融政策を行っている」というような本筋からみたら明らかに変な事をやっている印象を与えるので、まあこういう表現を加えているのは筋悪にも程があるんですが、どういう事情でこの別に入れなくてもよさそうな文言を入れる破目になったのかというのは不思議ちゃんではございます。下振れリスク警戒しないといけないからそのためにこの文言を入れたのならまあ話は分からんでもないのですが、上下のリスクがあるのは何だってそうなんだからわざわざ入れる必要あるのか??って話ですよね。
ちなみに記憶の備忘のために、となりますが悪名高かった4月展望ですが、
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』(4月展望)
ってなっていて、この「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」が政策金利引き上げへの市場の、というか特に為替市場方面の金融政策に関する見方に大きく影響を与えていた訳ですな。
なお、最終パラの最後は、
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回)
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(7月展望)
でして、ちなみに4月展望をおまけでつけると、
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(4月展望)
となっています。
〇総裁記者会見:詳しくは会見録出てからですが「時間的余裕」を完全封印したのは結構結構
ロイターさん(再掲)
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/56YMURFM5FLALMREVDVSFK2MWY-2024-10-31/
今後「時間的余裕」は使わない、毎回会合で情勢判断=植田日銀総裁
By 和田崇彦, 杉山健太郎
2024年10月31日午後 6:25 GMT+9
ほぼ出オチですけど、
『[東京 31日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は31日、金融政策決定会合後の記者会見で、米国経済の下振れリスクが後退しているとして、今後、経済・物価情勢の見極めなどで「時間的な余裕はある」という表現は使わないと説明した。日銀の経済・物価見通しが実現していけば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と強調する一方で、追加利上げの是非は毎回の決定会合までに入ってきたデータや情報に基づいて判断していくと述べるにとどめた。』(上記URL先より、以下同様)
いやマジであの表現害悪以外の何物でもなかったので削除したのは結構なことでした。
『植田総裁は9月の決定会合後の記者会見以降、円安修正で輸入物価上昇に伴う物価上振れリスクが後退しており、政策判断に当たって「時間的な余裕がある」と繰り返し述べてきた。しかし、「時間的な余裕」との文言が市場で次回の利上げ時期を示すキーワード化しつつあるとの警戒感が日銀では出ていた
。』
次回どころかその先までのキーワードになっていましたけどwww
『植田総裁はこの日の会見で「時間的な余裕がある」との文言を封印。米国経済の現状について「良好な経済指標がみられる」とし、完全に安心できるまではいかないがリスクの度合いは下がっていると指摘。米経済や市場の波乱が日本経済に与えるリスクに強く光を当てる意味で使ってきた「時間的余裕」という表現は不要になったと説明した。米国経済のリスクに特に注目するのはやめ、「普通の金融政策決定のやり方に戻る」とも述べた。』
まあこの辺もツッコミどころがあるのですが、そのあたりは会見録出てから改めて参ります。
2024/10/31
〇その場しのぎコミュニケーションの昭和温泉旅館をどうするのか
でまあ今日は決定会合ですけれども
https://www.nikkei.com/
日経のネットみます(今朝の段階では)日銀のにの字もないというお洒落なことになっていまして、どんだけ無風なのと思いつつ他を見ますと、たぶん朝5時のニュースなんじゃないかと思いますが、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241031/k10014624461000.html
日銀 きょう2日目の金融政策決定会合 政策金利を据え置くか
2024年10月31日 5時11分
見通し自体はさておきまして、公共放送さんの説明がポイントをよく説明しておられまして(最近は公共放送さんの説明が一番出来が良い事が多いので変なバイアスの無い記事読みたかったらオヌヌメしておく、なお回し者ではない)、
『日銀は31日、2日目となる金融政策決定会合を開き、当面の政策を決定、公表します。日銀は利上げを検討する上でアメリカ経済の動向を重視するとしていますが、当面は慎重に見極めるべきだという意見が多く、今回は政策金利を据え置くとみられます。』(上記URL先より、以下同様)
ということで米国経済ガーを連呼していることを取り上げつつその先でしらっと、
『日銀が利上げを検討する上で最近重視しているアメリカ経済をめぐっては、経済指標が市場の予想を上回るケースが多くなっています。』
アメリカ経済ガーの話に加えて、「最近重視している」という説明を加えていまして、日銀の説明が毎度毎度コロコロとご都合主義で変わっている事も暗に示しているのが大変にチャーミングですね。
『ただ、植田総裁は先週、訪問先のワシントンで「先行きに対して楽観論が少し広がりつつある気がしている」と述べたほか、日銀内でも大統領選挙を控えアメリカの経済は当面、慎重に見極めるべきだという意見が多くなっています。』
この部分、前半と後半が文章として繋がっていなくて、逆接の接続詞いれないとアカンのじゃなかろうかと思うのですが、大統領選挙を控えて経済は慎重に見極めるべきとかよくよく考えてみたらそんなもんあることが事前にわかっているのだから頭の悪い言い訳ですよね、というのは弊駄文で何回か申し上げたので繰り返しませんwww
『さらに植田総裁は会見などで「時間的な余裕はある」と繰り返し述べていて、日銀は今回政策金利を据え置くとみられます。』
とまあそういうことで、こちら衆目の一致するポイントにすっかり昇華してしまいましたが、米国経済ガーと時間的な余裕ガーという8月以降に繰り出してきたその場しのぎの言い訳が悪目立ちするという格好になっておりますわな。
でまあどうせ日銀の事ですから、こういう目先の釣り餌に引っかかってしてやったりとか思っているんでしょうけれども(個人の感想です)、こうやって目先を誤魔化すために手を変え品を変えゴールポストを動かすもんだから、政策反応関数はさっぱりわからなくなっているし、ゴールポストの残骸が「実質賃金が2%に上がるまで金融緩和をしろ」というような円安コストプッシュ助長待ったなしのポピュリズム政策へとつながってしまう訳でして、とにかくコミュニケーション何とかしろとしか申し上げようがない。
ただまあ救いなのかもしれないのは、昨日ネタにしましたように、植田総裁がさすがにこの昭和温泉旅館コミュニケーションをヤバいと思っているんじゃなかろうかと思われるところであります。
すなわち、昨日ネタにしましたように、「時間的余裕がある」というのと「金融市場が不安定」っていうのに「一応」ってのをつけている件ですが、大本営の振付によって今回の決定会合でトーン変更をする布石と昨日は読み筋を申し上げましたが、先ほどの公共放送さんの記事なんかだとトーン変更する気あるんかいな感も漂ってくるわけで、そっちをベースに考えた場合、この「一応」というのは植田さんが今の昭和温泉旅館コミュニケーションに関してさすがにおかしいし、このまま振付師の振付通りにハトハトチキン昭和温泉音頭を踊っていると飛んだ道化師にされてしまうので「一応」という言葉で抵抗しだしている、とも読み取れるわけでして、などと人の心理を勝手に憶測しているだけですが、まあそうだったらそれはそれでコミュニケーション立てなおってくれないかねと思う次第です。
いやまあ別にもう利上げする気が無いってんだったら無いってはっきり言ってくれれば話はすっきりする(為替市場がどうなっても知らんがwww)訳ですし、段階的にあと少しは利上げする、ってんだったら変な留保条件を次から次に繰り出して屁理屈の昭和温泉旅館を構築しないですっきりと説明すればいいんだし、どっちでもいいから方向性を出せ方向性を、というお話ではありますな。
さてどうなるのやらということで、今回は展望レポート基本的見解の最後にある金融政策スタンスの話と、鏡の部分辺りで示すリスク認識の部分が注目材料、というインフレターゲットの本筋からは外れた部分が注目されてしまうという全然普通の金融政策ではない(普通なら経済物価見通しが重要だというのに)話ですが、展望の鏡とケツから見ていきましょうということでよろしくです。
〇唐突ですがこの前出てた多角的レビューシリーズスタッフペーパー3部作からちょっとだけ
日銀の新着の過去分を見ますと、
10/18(金) 調査・研究 (論文)わが国企業の価格設定行動とゼロインフレ・ノルム
10/18(金) 調査・研究 (論文)わが国の潜在成長率と物価・賃金の関係を巡る論点
10/18(金) 調査・研究 (論文)わが国における均衡イールドカーブの推計:時系列手法によるアプローチ
というのがあって、先週これを多少ネタにしたんですけど、その時にスルーした真ん中の物件に関して。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j17.htm
わが国の潜在成長率と物価・賃金の関係を巡る論点
2024年10月18日
福永一郎*1
法眼吉彦*2
伊藤洋二郎*3
金井健司*4
土田悟司*5
本文の前に要旨となる上記URL先を読みますと、
『要旨
本稿では、1990年代以降の日本の潜在成長率や労働生産性の低迷の背景を振り返るとともに、これらの計測上・概念上の論点や、物価・賃金との関係を巡る論点を提示する。』
ほうほう。
『具体的には、(1)潜在成長率の推計にはアプローチの違いなどによる不確実性が大きいこと、』
そりゃそうだ、という話だがこの先が何とも微妙な論点でして、
『(2)潜在成長率の低下とともに総需要がそれ以上に落ち込んで需給ギャップが悪化する場合もあること、』
ちょっと待てナンジャソラという話なんですが、潜在成長率が低下する局面では需給ギャップの悪化が大きくなる場合もあるって言う話をしだすと、つまりは潜在成長率が低下していったので2%物価目標達成に時間がかかったんですぅという言い訳をしているのかよという気がするんだがどういうことやというお話で、例の「物価が上がらないノルムがあったから物価目標達成に時間がかかった」と同じ話になって、構造要因のせいにして肝心のQQE政策が本当に妥当であったのか(=他の緩和手段でよかったのではないか)という政策検証を行わない格好の言い訳になるだけのように思えるのですよね。
それに潜在成長率が低下する局面ではこうなる、って話をしだすと、そもそも論として2%の物価安定目標の妥当性ってのも気になってくる(日銀の本来の理屈だと2%は潜在成長率に関係なく目標として妥当という話をしているので)し、金融政策単体で物価目標達成できるといってマネタリーベース直線一気理論をぶっこんでいたのは何だったんだというお話になろうかと。
ではその次。
『(3)労働生産性の伸びの鈍化は労働分配率の低下や交易条件の悪化とも相まって実質賃金を下押ししてきたこと、』
『(4)労働生産性の伸びの鈍化はユニット・レーバー・コストの上昇を通じて物価上昇圧力の高まりにもつながっていること、』
まあこれは2面ありますよね、ってお話ですよね。
『(5)デフレや低インフレが続いたこと自体が、設備投資需要の抑制などを通じて生産性にマイナスの影響を及ぼした可能性があることなどを指摘する。』
結局「ノルム」論になっていまして、ノルムがあったから黒田緩和はなかなか効果が出なかった、で全部済ませる大本営ムーブやめえとしか申し上げようがないのですけどねえ。
でもって
『潜在成長率や労働生産性の低迷はそれ自体が重要な問題であるが、物価の安定を目的に金融政策を運営するうえでも、これらの動向を常に把握しておく必要がある。また、これらに推計誤差がつきものである点に留意しつつ、物価や賃金との関係についても多面的に検討することが重要である。』
これ「物価の安定を目的に金融政策を運営するうえでも」ってのが引っかかる話でして、そもそも論として中立金利の概念自体が概念としては妥当な考え方であっても、実際の政策運営において使い物にならない、というのは実際に政策運営を行っている中央銀行家のコンセンサスなんじゃなかろうかと思うのですけれども、何でこう日銀ってわざわざ「ザ・中立金利」みたいな話を持ち出してきて自分でコミュニケーションをグチャグチャにしてしまうのかと思うのですが、この「金融政策を運営するうえでも」ってわざわざ言っちゃうのがとっても残念なんですよね。
でまあ本文ですが、これはかなりの大部になっておりまして、項目別にいろいろと書かれているのですが、なんせこちとら数字に関してはハクション大魔王(ジジババしか知らんか)レベルなので中の分析についてどうこうは申し上げる頭もないので割愛します。
でもって結論項でも見てやろうと思ったのですが、結論項の部分が先ほど引用したHTML版の「要旨」とまるで同じになっておりますので、そこを引用する余地もなかったですトホホ。
全文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j17.pdf
わが国の潜在成長率と物価・賃金の関係を巡る論点*
これ割と不思議なつくりになっているのは、最初のエグゼクティブサマリーにあたり要旨の部分(HTML版の要旨と同じ)と、イントロダクションに書かれている話と、最後のまとめにあたる結論項で結局同じ話をしているところでして、まあ要するに見せたいのは途中の分析ということなんでしょうけれども、序論本論結論みたいな構成になっているようでなっていないのがなんか妙な感じがしました。
2024/10/30
〇総裁会見ってよく見たら味わいがある部分があったことに今更気が付くなど
まあ気が付いたというよりも読者様から「これって意味あるんじゃないの」と言われてああそうだとなったわけですが、こういうのって画面でスクロールしながら見ていると見落としがちでして、紙に打ち出して一覧性のある形で視認した方が気が付くんですよね。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241028a.pdf
植田総裁記者会見(10月24日)
――G20終了後の加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言
2024年10月28日
日本銀行
―― 於・ワシントンDC
2024年10月24日(木)
午後2時20分から約18分間(現地時間)
2ページの部分ですけれども、ここで2回連続してある単語が出ているのですよ。それが・・・・・
『【問】時間的余裕は。
【答】 ””一応”” 、時間的な余裕はあるというふうに考えております。』(強調部分は引用者による、以下同じ)
『【問】 (割愛しますが金融市場が不安定云々の話)』
『【答】 マーケット動向ですけれども、 ””一応”” 、引き続き不安定な状況にある、あるいは例えばインプライド・ボラティリティ等をみても、(以下割愛)』
っていうことで、「時間的余裕」の話と「金融市場が不安定」の話に関して今回どっちも植田さんしらっと「一応」というのをつけている(ちなみにF5でテキスト検索すると「一応」がこの2か所だけなのでハイライトされたのを見るとビジュアル的にエモいですwww)という面白ポイントをうっかり見落としてしまいました。スクロールしながら逐語チェックだけするよりも、印刷で紙に出して紙ベースで全体を見る、という作業ダイジダイジネーと思ってしまいましたというご教訓ですな。(最近はワイも全部紙に出すのではなくてWebベースでみることが増えた)
てなわけで、この「一応」の連呼、しかも7月会合の後のハトハトチキン転換の際のポイントになっている「金融市場が不安定」という部分と、金融政策修正に対するやる気のなさ満々のメッセージとして打ち出している「時間的余裕」(この物言いがなんかの拍子に日銀を焼き尽くす言葉になりかねないので言い方変えろというのは昨日申し上げた通り)というのに「一応」というのが今回しらっと入っているのは実は大事かもしれない話でして・・・・・・・
まあ何ですな、この為替水準ですと、そもそも前回利上げ前の水準(介入前160円台、介入後155円近辺)に接近してきているのですから、その理屈から言えば「上振れリスク対応の政策調整」っていうのをしないと話がおかしくね??って水準になっている訳ですから、この状況でさらに円安を加速させる不用意なことをしてしまうのはあまりにも宜しくないということになるので、日銀とてそこまでのホームラン級の馬鹿ではないはずなので、今回は円安加速させないメッセージの出し方をしてくると思うのですよね。いやまあもちろん日銀がアタクシの考えるほど危機感以ってなくて能天気に太平楽なんだったらその限りに非ずですが。
という読み筋では考えているものの、先週金曜日の説明って結局時間的余裕はあるわ金融市場は不安定だわで大丈夫かこいつら、というのが昨日の趣旨だったと思うのですが、上述のように読者様(持つべきものはツッコミを入れてくれる読者様です感謝感謝)から「一応」の意味はどうよ、とぶっこまれてみまして「ほほー」と感じ入る次第。
つまりですね、この「一応」はトーン変更の予告でして、明日出てくる展望レポートというようりはその後の記者会見になると思うのですが、これまでのハトハトというかチキンの方に寄っていますけれども、「米国経済ガー」とか「金融市場の不安定ガー」とかの話について、ある程度中立に戻す形で説明することによって、ハトハトチキン会見からの円安爆裂、という日銀悪夢の展開を回避したいのだが、時間的余裕云々や、金融市場の不安定云々をいきなりジャガーチェンジしたらウソツキと言われますので、ここは一丁「一応」と入れることによって、「展望レポートの作成にあたり熟慮してみましたが」とか言いながらトーンをいじってくるんじゃなかろうかって気がしてきました。
とは言いましても、いきなり「時間的余裕はない」とか言い出すわけにもいかないでしょうから、「7月に政策調整を行う判断をした時点では上振れリスクの対応が必要だったが、現時点では7月の時のように直ぐに追加の政策調整を行わなくても良い状況と判断している」とかいう感じのトーンにする程度でしょうし、金融市場についても「投機的な動きによる不安定さなどは特段観測されません」位のトーンダウンにとどまるでしょうから、それで為替市場様が許してくれるかどうかは知らんけどな。
なので、7月展望の物価見落としのリスクの上振れ文言って削除しない方が安全(削除したら目立つので円安に飛びそう)だと思っていましたが、この「一応」というトーン修正予告(とアタクシが勝手に思っているだけ)を見てやっぱそっちの方向じゃないのかねと思うのでありました。
ま、当たるも八卦当たらぬも八卦ということでオナシャス!!
〇「賃金と物価の好循環」とかいうありもしない幻想を振りまくもんだから・・・・
しかしまあ何ですな、
https://jp.reuters.com/economy/M4KMJLDR3RIBFFB3T3GN2KO6DI-2024-10-29/
玉木国民民主代表、自公連立入り「全くない」 政策で協力求める
By 田中志保
2024年10月29日午後 12:00 GMT+9
『[東京 29日 ロイター] - 国民民主党の玉木雄一郎代表は29日の会見で、自民・公明の連立政権入りの可能性を問われ「全くない」と改めて否定した。国民民主が衆院選で公約に掲げた政策の実現に向けて、引き続き協力を求めていきたいという。』(上記URL先より、以下同様)
まあ赤澤ムーブにならんように注意してくだせえw
『玉木代表は衆院選の結果について「票を伸ばした政党が掲げている政策は今の民意。(与党は)もっと謙虚に、多様な民意に耳を傾ける姿勢が必要だ」と指摘した。国民民主として求めているのは政権のポストではなく政策の実現だとして「とにかく政策実現に全力を傾けるので、(自公と)連立することない」と述べた。』
っていうのある意味もっともらしいのですが、「政策を実現する」ってのがあるんだったら責任ある立場として実行してほしいわけで、無責任な立場から好き勝手言うのだったらそら気楽なもんですから(なんか「オマモモナー」という声が聞こえてきた気がするが聞こえなかったことにする)、外野から政策提言とかいうのもただの「いいとと取り」感が漂ってまいりまして唸ってしまう。
でまあそれはさておきまして、
『さらに「実質賃金が安定的にプラスになることを見定めたうえで経済政策を行ってほしいというのが財政当局にも金融当局にもお願いしたいこと」だと述べた。』
本文を読みますと実質賃金が安定的にプラスで、とりあえずの数字が実質賃金+2%程度とのことなんですが、その「安定的」の時間軸はいくらなのかは(一応ざっと見しましたが)政策提言見てもいまいちよくわからなかったのですが、まさかとは思いますが未来永劫2%って話じゃないですよね(書いてあることの趣旨から言ったら未来永劫ではなさそうですが・・・)
でまあその辺はレトリックの世界と言ってしまえばそれまで何ですが、そもそも論として実質賃金が安定的にプラスってそれ話に無理があるじゃろという所でして、どうしてそうなった(なお国民民主の政策提言?には成長戦略の話もありますので念のため申し添えます)という感は拭えない訳です。
・・・・でまあ考えますと、この手の賃金連呼の元凶の一つに挙げられるのが日銀が言ってる「賃金と物価の好循環」とかいう標準的な経済学でそんなもんあるか(それ以前に経済学だって社会科学という科学的な学問だから本来は「好」循環みたいな価値判断伴う言い方せんわなと思いますが)というレトリックを駆使してしまってあたかもそのようなものがあるかのような幻想を振りまいているのが悪いのでありまして、実質賃金のプラス化って欧米の今次インフレ局面見ればわかるように、高インフレが鎮静化する過程になってやっと起きる話なので、実質賃金のプラスを求めたいなら円安コストプッシュインフレを煽る「高圧経済アプローチ」とかもっての外という話になるはずなのですが、まあどう見てんも高圧経済推進とかいう話になっていますわな。
でまあこれ行き着く先は円安対応物価高対策がちゃんとできなかったのは日銀のせい、という矛先がある日突然やってきて、それまで日銀は政府やら政治方面の要請にこたえて一生懸命金融緩和の継続をしていたと思っていたらある日突然人民裁判にかけられて吊るされる、というリスクをどのくらいお考えなのかしらとは思いますが、頭のいいひとが変な理屈を振りかざすと、それを確信犯なんだかただの馬鹿なんだかはさておいて政治とかいう世間に耳辺りの良い話が大好きな連中がいいとこどりして幻想的な政策が打ち出されてしまってアイヤーということになる、ってのを絵に描いているようで大丈夫でしょうかと心配になる今日この頃ではあります。
・・・・・ということで明日が楽しみになってまいりました(政策はどうでもよいがコミュニケーション的に)
2024/10/29
しかしこんなのがあったのか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA263FT0W4A021C2000000/
石丸伸二氏、衆院選の投票訴え 国民民主の選挙カーから
衆議院選挙2024
2024年10月26日 23:42 (2024年10月26日 23:52更新)
しかも同記事によりますと、
『石丸氏は7月の東京都知事選に出馬し若者や無党派層の支持を取り込み2位につけた。衆院選の公示前に国民民主の玉木雄一郎代表とインターネット番組で対談した。』(上記URL先より)
ということで、かねてよりその傾向があるんですが、玉木さんってネットで大声出している連中に媚びすぎる傾向にあって、まあその点不安しかない訳ですし、そもそも金融財政政策がアレな訳で・・・・・・・
〇利上げってむしろ早まるんじゃないですかねえという選挙後雑感
惜しくも不朽の大記録ならずか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-28/SM1RZOT0AFB400
石破首相が続投に意欲、経済対策で「党派を超えて政策取り入れる」
萩原ゆき、広川高史
2024年10月28日 14:23 JST 更新日時 2024年10月28日 17:43 JST
→現時点で連立拡大想定せず、政策協議通じて信頼関係構築したい
→国政の停滞避け、政治改革に先頭に立って取り組む−国民理解を優先
『 石破氏は記者会見で、今後の対応について「国政の停滞を避け、政治改革や経済対策に先頭になって取り組む」と明言した。経済対策の策定や補正予算を国会に提出する時期を問われ、衆院選で各党が掲げた主張を踏まえ、「党派を超えて優れた政策を取り入れていく、その中で検討したい」と述べ、野党とも協議する考えも明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)
>党派を超えて優れた政策を取り入れていく
だそうですが、
『衆院選で維新は消費税・所得税・法人税の減税、国民は基礎控除などの拡大による所得税減税を主要政策に掲げていた。』
って話をしておりまして、いやだからアホみたいにばらまきまくって居る方を整理してからその話をしろとしか言いようが無いのですが、財政拡張方向になるのが火を見るより明らかな訳で、またぞろ財政拡大というか放漫財政にも程がある状態な訳ですわな。
でまあなぜか財務省ガーとか相変わらず言われていますが、財務省に本当に力があったらこんな放漫財政状態になってないわという話なので、財務省ガーとか財務何とか教みたいな話から入っている経済論議はすべてゴミだし、そういうの言ってる論者は全員信用ならんと考えるのが妥当なのですが(個人の見解です)、まーーーどーーーーー考えましてもそっちの声がまたデカくなり、アベノミクスの劣化コピーみたいな放漫財政金融政策方向になるんじゃネーノと存じます次第。
でもって、
『維新の馬場伸幸代表は27日、「今の与党に協力する気は全くない」と自公連立政権入りを否定。立民への協力にも慎重な考えを示した。』
まあ大阪で公明とあれだけ大戦争したし野田さんの前の時とは言え無茶苦茶立憲に悪口雑言吐きまくって居ましたからそうなるわな、と思いましたが、
『国民の玉木雄一郎代表は28日夕、首班指名の「少なくとも1回目は玉木雄一郎と書く」とし、自民から連立政権入りを呼び掛けられても交渉には応じないと強調した。ただ、「支援いただいた方々が納得できるような理屈があれば、いろんな形はあり得る」と、決選投票で他党と協力する可能性には含みを持たせた。』
さすがタマキ先生おっしゃることが一味違いますわ、ということでございます。
・・・・しかしまあ何ですな、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB274QH0X21C24A0000000/
日経平均691円高 幻の「暗黒の月曜日」立役者は国民民主
今堀祥和
スクランブル・フラッシュ
2024年10月28日 11:59 (2024年10月28日 15:23更新) [会員限定記事]
中身の記事が良くわからんけど、このヘッドラインだとまるで国民民主が株安を止めたヒーローみたいな書きっぷりに見えてしまって、さすがは日経だ株が上がれば何でもいいのか、とあきれましたが、今朝見ますとトップは
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA283LM0Y4A021C2000000/
高まる財政膨張圧力 物価対策や予算、財源議論置き去り
税・予算
2024年10月29日 2:00 [会員限定記事]
『政権の枠組みを巡る与野党の攻防が始まった。年内にも政府がまとめる経済対策と補正予算の中身は新たな枠組みに左右される。特別国会での首相指名選挙を控え、外交日程も立て込むなか、政党間で政策を協議する時間は限られる。与野党ともに家計や企業支援を主張しており、財政には拡張圧力が強まる。』(上記URL先より)
まあ昨日の正午前の記事だと株が上がってヒャッホウとなっていたんでしょうけれども、よくよく考えてみればこんなのどう見てもかじ取り次第ではトラスショック(あるいはそのミニ版)リスクを大いに高める流れですよね、ってことで日経さんも(課金してないから記事の中身は見れませんけど)夜になって落ち着いたら思ったようで何よりですわ。
ということでですな、
https://moneyworld.jp/news/05_00147752_news
与党大敗で進む円安・金利上昇 「高圧経済」を織り込み
記事公開日 2024/10/28 20:03
最終更新日 2024/10/28 20:09
『※10月28日正午過ぎにQUICK端末に配信された記事を再編集しています。
【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行、長谷部博史】衆院選から一夜明けた10月28日の金融市場では円安が加速し、長期金利が上昇した。自民、公明両党が議席を大きく減らす大敗を喫し、与党で過半数を割り込んだためだ。石破茂首相は政権維持に向けて野党との連携を模索する考えだ。協力を仰ぐとみられる日本維新の会や国民民主党との連携を見込み、市場は財政出動と緩和的な金融政策による「高圧経済」の実現を織り込み始めている。(以下会員記事)』
ということで円安になっておられた訳でして、ドル円154円行くかくらいの勢いになっていましたけどその後落ち着いたかと思いましたが米国金利様が上昇して結局153円になっておられるの巻となりましたな。
でまあこんな情勢になってしまいますと、日銀の金融政策がどうなるのかということで、12月の利上げ確率(毎度申し上げていますように12月と1月はセットのようなもんで、どっちであっても大差ないので12月かどうかを殊更に議論する意味はないと思います為念)が下がった、という話が横行しているのですが、よくよく考えてみますと為替市場は円安に進みやすくなっている(為替市場が財政拡張をどの程度価格に反映させるか、という話はあるし何なら米国大統領選挙の方が効く可能性が高いかもだが)になっている訳で、そんな中で日銀がノホホンとしていられるのか問題は実は選挙前より高まっている、としか言いようが無いですね。
〇今回の決定会合の注目材料は「日銀のハトハトチキン情報発信をどうるすのか」ですね
・・・・ということで木曜日の日銀会合、政策動かないのは確定で良いのですけれども、問題になるのは「ハトハトチキンモードの情報発信をどうするのか」という話になると思います。
でまあG20後の会見ですが(そういやネタにするの忘れてたかなと思ったら会見録が出たの昨日でしたので後の方でもう一度ネタにします)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241025/k10014618691000.html
日銀 植田総裁「時間的な余裕ある」利上げ慎重に判断する考え
2024年10月25日 9時22分
『その上で今後の金融政策の判断について植田総裁は「円安だけではなく、背後にあるアメリカ経済や大統領選挙の動向など全体を見た上で日本の物価にどういう影響を及ぼすのか丹念に分析して見極めていきたい。時間的な余裕はあると思っている」と述べ、利上げは急がず慎重に判断していく考えを改めて示しました。』(上記URL先より)
>時間的な余裕はあると思っている
>時間的な余裕はあると思っている
>時間的な余裕はあると思っている
って選挙前ではあるのですが、こう言ってしまったの結構な不覚でして、ここから円安が進行したり、物価高批判が高まったりした場合において、日銀がこのように「時間的な余裕はある」などと言っていると「日銀は人々の暮らしを何だと思ってるんだ」と批判の矛先を向けられやすくなる訳で、石破さん(あるいは野田さん)からしてみたら植田総裁って前任の首相から引き継がれた総裁だから別にぶった斬ってしまっても痛くも痒くも無いわけで、不人気モードの起死回生の一発に「日銀が円安などによるコストプッシュを抑制しないのが悪い」と批判の矛先を日銀に持って行って経済政策の不人気挽回というストラテジーに出るかもしれない訳でして、そんな中でこの「時間的な余裕はあると思っている」という言い方は表現として如何にもマズいと思うのですよね。
ということでして、今回の決定会合で別に予告ホームランとかそんなもん出る訳はないと思っていますが、従来の米国経済下振れリスクガーと金融資本市場の不安定さガーのハトハトというかチキン全開の物言いをどの程度修正してくるのか、それから「時間的な余裕がある」発言の中和(例えば「待つことのリスクがさほど大きくないと認識している」程度に寸止めしておけば、いざとなったら「状況が変化して待つことのリスクが大きくなったので対応した」と言えるのでまだマシかなと思うのですが)をしてくるのか、という辺りが注目されるところだと思います。
まあこの辺りで従来通りのハトハトチキン発言をして、「米国の中長期的な見通しが不透明」だの「時間的な余裕はある」とかチキンモードを連発しておりますと、それはどっからどう見ても円安投機してくださいと言わんばかりの情報発信になってしまいますし、さらに言いますとそれって12月利上げを完全否定する情報発信になってしまいます(日銀が後日どう屁理屈を捏ねようとも市場は「サプライズ」扱いするという意味)ので、やはり円安に飛びやすくなる訳でして、その辺の懸念が今の日銀大本営にアリやナシや、というのが会見(あるいは展望レポートのリスク認識とかの辺り)で見えてくるんじゃないかと思います。ということで注目したいですな。
〇しかし今時高圧経済ですか・・・・・・
再掲
https://moneyworld.jp/news/05_00147752_news
与党大敗で進む円安・金利上昇 「高圧経済」を織り込み
記事公開日 2024/10/28 20:03
最終更新日 2024/10/28 20:09
ということで国民民主って「高圧経済」とか幻想的な話をしておられるようで、またぞろアベノミクス復活かよということで頭がクラクラするのですが、今の状況で高圧経済アプローチなんぞしたら圧力鍋の蓋がすっ飛んで大惨事になるわという話で、圧力鍋の蓋は円安方向にすっ飛ぶのか、物価高方向にすっ飛ぶのか知らんけど、そんなんアカンじゃろという話だし、だいたいからして高圧経済アプローチ取った米国と欧州がその後高インフレに苦しんで、米国はゆうて一次産品自前で供給できる強みもあるからコストプッシュで死ななかったけど、欧州普通に虫の息じゃん、ということで目の前でインフレ爆発大怪我事案が発生しているのに「高圧経済」とか言い出すのリフレ派の残党にしたって出し方がダメすぎるだろと思うのですが、まあ大真面目に国民民主さん仰せのようですからこれはヤバイ。
ま、ミニトラスショックでも起きて痛い目に遭わないとアホウ政治家たちの財政クレクレ圧力は終らないのかも知れないなと軽く絶望していますけどね。
なんかネットの記事とか見ていると「現実的な政策が支持された」とかいう謎の言説ばかり見つけてしまうのですが、「高圧経済」とかいう幻想的な思考をしている時点でどこが現実的な政策やねんと思う(あくまでも個人の感想です)次第でございますが、アベノミクス見直しとか言ってた石破さんが結局アベノミクスをさらにたち悪い格好で実践させられることになるとは世の中皮肉なもんですな。
〇という訳でG20後の植田総裁会見です
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241028a.pdf
植田総裁記者会見(10月24日)
――G20終了後の加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言
2024年10月28日
日本銀行
―― 於・ワシントンDC
2024年10月24日(木)
午後2時20分から約18分間(現地時間)
・米国経済の不確実性問答
『【問】植田総裁に伺いたいんですけれども、総裁は最近の講演や会見で、今後の利上げの判断に当たって、米国をはじめとする海外経済を注視するという姿勢を繰り返し述べられています。特に、米国経済の先行きについては依然不透明だという認識も示されてきましたが、今回G20などの会議に参加されてですね、この辺の認識がどのように変わったか、それから特に、直前に迫っているアメリカの大統領選のですね、不確実性についてどういうふうにお考えになっているかというのを伺えますか。』
コミュニケーションの時にああでもないこうでもないと次から次へと条件を変えてその場で都合の良い話をするもんだからこうやって聞かれるわけですが米国経済について聞かれるわけですな。
『【答】まず、大統領選については、皆さん、選ばれた大統領はどういう政策をするか、そしてどちらが選ばれるか分からないということで不確実性が高いなということは気にされていたところですが、』
まずこの時点でアホなんじゃないかと思うのですが、日本の総選挙みたいに急に実施の運びになっているなら兎も角として、米国大統領選挙なんて大昔から日程が分かっている話で「不確実性が高いから何もしません」とか言ってたら、事前にわかっている日程を捕まえて不確実性とか言ってるポジションテイカー普通にシバかれますけどこの人(なのか振付師なのかは知らんけど)は何を言ってるんでしょうかというお話ではあります。
『どっちに転ぶかは分かりませんし、私も特別な情報を持っていないので、それ以上のことはちょっと申し上げられないというふうに思います。』
事前に予定されている大統領選挙が不確定だからって言い出したら未来永劫「不確実性が高い」になりますが、植田さんとてアホウじゃないはずなのでどういう思いでこのクソ屁理屈を捏ねているのかちょっと頭の中を見てみたいですな。
『それから、米国経済を中心として、何か今回の会合で追加的な情報ないし認識が得られたかという点ですけれども、素直に申し上げまして、ごく最近のデータがそこそこいい、ということから、雇用統計等ですね、多少アメリカ経済の先行きについて楽観論も少し広がりつつあるかな、という気も致しました。』
米国経済の下振れリスクガーは引っ込めるつもりなのかしら10月展望で。
『ただ冷静に考えてみますと、その前は少し暗いデータが出ていたわけで、その後はちょっといいデータが出ているということですので、もう少しこのいいデータが長く続くのか、あるいは一時的な振れに過ぎないのかということについて分析を深めないといけないな、というふうに思ったところです。』
人の心配する前に日本の心配してほしいですし、そういうのはFEDがちゃんと分析していますよね、ってお話でFEDからしてみたら大きなお世話にもほどがありますね。
・円安と「時間的余裕」問答
次の質問は円安です(しかしさすがにG20ともなると質問がちゃんとしていますね)。
『【問】足元で為替の円安が進行しています。物価の上振れリスクに対するご認識と政策判断の時間的余裕があると言えるのかどうかについてお願い致します。』
ということでもう早速「時間的余裕」がバズワードになって質問されるわけでして、これ事あるごとに質問されますし、この「時間的余裕がある」を連呼するとニアータームの政策修正をマッコウクジラで否定することになりますし、「時間的な余裕がある」を言わなくなった途端に予告ホームラン、みたいになってしまってコミュニぇーション的によろしくない(政策反応関数が「時間的余裕がある/ない」は不味いでしょ)と思うのですが、まあこれはマズイ傾向ではあります。
『【答】足元の円安傾向の日本のインフレ率への影響というご質問だと思うんですけれども、これは先ほど申し上げましたような米国経済に関する見方の振れ、それが特に足元はちょっと楽観的な方に振れてる可能性があるというような背景のもとで起こってる現象、他の要因もありますが、というふうに思いますので、円安だけではなくて、その背後にあるアメリカ経済動向に対する見方、その他大統領選も関係しているかもしれませんが、この全体をみたうえで、それが日本の物価にどういう影響をするかということを、丹念に分析して見極めていくということかなと思っております。』
とりあえず「円安で物価上振れ懸念」と言いたくないのだけはわかった。
『【問】時間的余裕は。』
『【答】一応、時間的な余裕はあるというふうに考えております。』
何だのこの「一応」ってのは、って感じですが、さて10/25にこういっておいて10/31には時間的余裕の部分をどう説明するのか、まあ不毛な話ではありますが笑えるネタではあります。
・金融市場の不安定性
次がこの問答。
『【問】マーケットは最近、8 月初旬の大きな混乱からは安定してきたように思いますが、マーケットの不安定な状態というのは解消されたのか、まだいろいろリスクが残っているのかという点をお願いしたいです。マーケットやアメリカ経済の動向全体を踏まえて、世界経済について、総裁ご自身は以前に比べて若干リスクは後退したというご認識なのか、改めての確認をお願いします。』
これも結局毎回「マーケットが不安定か」って聞かれるわけで、政策反応関数をわけわからなくする屁理屈なんですよね〜
では回答。
『【答】マーケット動向ですけれども、一応、引き続き不安定な状況にある、あるいは例えばインプライド・ボラティリティ等をみても、一部のマーケットではかなり高い状態が続いているというふうに考えております。今後については、先ほど申し上げましたように、これを生み出している背後にある経済に関する認識がどういうふうにいくかということも含めて考えたいと思います。』
これもさっき引用したニュース記事が金曜の朝には出ていたので引用しましたが、急にIVとか持ち出してきましてお前は何を言ってるんだ状態。
『それも含めて、世界経済全体ということですけれども、全体としてはソフトランディングが実現していくという認識は引き続き皆さんの中にあると思いますけれども、国毎にある程度のばらつき、かなりのばらつきがあるというところに皆さん注意を払っているという点はあったかな、というふうに今回の会合を通じてみておりました。』
世界経済に関してソフトランディングが全体として実現だったら米国経済下振れガーの連呼とか中期的に不確実性が高いとか言ってる場合じゃないと思うのですけどね〜
ということで、この辺の説明が木曜の決定会合でどうなるのかを見てみたいので、今日明日でドル円155円オーバーでオナシャスと言ったところですな〜
2024/10/28
〇総選挙クソワロタのだが金融政策に関しては結局追い込まれでしょ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241027/k10014620511000.html
【速報】衆院選 自民・公明 過半数下回る 立民・国民は大幅増
2024年10月28日 4時54分
『衆議院選挙で、自民・公明両党は、目標としていた過半数の233議席を下回ることになりました。与党が過半数を割り込むのは民主党政権が誕生した15年前の2009年以来となります。ただ、今後、自民党から公認されなかった無所属候補が当選した場合に執行部が追加で公認を出す可能性があります。
一方、立憲民主党は選挙前の98議席から大幅に増やすのは確実で、これまでに140議席を上回っています。立憲民主党の野田代表は、28日午前1時半ごろから党本部で記者会見し「与党の過半数割れが目標だったので、達成できたことは大きな成果だ」と述べました。』(上記URL先より)
ということですけど、何気に財政金融拡張の国民民主とかれいわ新選組とかが伸びているのでまあこれどういう枠組みになっても財政出る方向だし金融政策にはいちゃもんつけるのが多そうだし、ということで円安圧力掛かりそうですな。
・・・・となりますと結局は円安になって金融政策修正への圧力がかかって日銀はズタボロになりながら政策修正、という一番面白コースになって来そうですので、生温かく見守っていこうと思います。
しかしこれ首班指名で負けると(ワンチャンのワンくらいはあるかも)東久邇宮稔彦王を下回る憲政史上最短の首相在任期間あるでということで令和の爆笑王としか言いようが無いけど、早期解散とか公認の扱いとか2000万円とか森山幹事長超無能説が濃厚のような気がするんで、まあゲルは頑張って挽回してくらはい。
#期待外れという意味ではどっかにもいるんですがあれは選挙とかないからな〜
ということでどっち転んでも円安だし円安是正が求められることになる、に1万ドラクマと言ったところでありますw
〇いずれ追い込まれるとしましてもじゃあ今回の決定会合どうするのでしょうかね
ということで雑談の続きですけど。
まあ今日以降の為替の動き次第な面が多々あると思うのですけれども、チキン植田さんのことですからどうせ政局がカオスになって来てハトハトチキン音頭が炸裂するというのが本命の予想になりますけれども、木曜日までの間に円安が進行した場合はこの限りではないという可能性もあるわけですな。
いやまあ目先の為替で情報発信がぶれまくられても中央銀行として如何なものかという気はしますけど、何せハトハトチキン植田日銀は為替市場や株式市場にホイホイと振らされるというのが仕様になっていますので、為替が円安に振らされますとこのご時世で為替介入はできない(少なくとも米国大統領選挙終わるまではできないし、目先は「皇帝のいない八月」なので動きようがないですし)ので、うっかり31日にハトハト音頭を踊ってしまいますとそらもうエライコッチャになってそれはそれで日銀ヤバいことになるわけですな。
ということで為替次第で発言のトーンが変更されるに1万ジンバブエドルといったところではあるのですが、あとは日銀ちゃん、今回は「政治と金」でああだこうだという選挙ということになっていますけど、「物価高対策」ってのも結構重要な話でして、政治と金の一件をより燃やしたのは「政治家はタラフク食ってるぞ汝人民飢えてシネ」な物価上昇って影響していると思うんで、あんまり呑気に「物価はまだ2%行ってない」を連呼するのさすがにヤバいと思うんですが、まあそっちのトーンは変えてこないでしょうけれどもどうなることやら。
てなわけでまあ今回は株価よりも為替のように振らされる日銀、という読みになっておりますw
2024/10/25
〇今更10月利上げしない理由を「丁寧に」説明する意味が一切ないんですがねえ(一連の植田発言)
まあ順当に日銀公式から出てこないのでニュース報道で確認するしかないですな。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241024/k10014617711000.html
日銀 植田総裁“米経済の中期的な動向見極められず”
2024年10月24日 11時20分
『アメリカのワシントンを訪れている日銀の植田総裁は、IMF=国際通貨基金が主催するイベントに出席し、アメリカ経済がどうなるのかという懸念を持ち続けてきたがなお中期的な動向は見極められていないという認識を示しました。』(上記URL先より、以下同様)
ということですが、公共放送さん中々いい感じの説明になっていましてですね。
『日銀の植田総裁は、最近の講演などでアメリカ経済の先行きは不確実だと繰り返し発言していて、さらなる利上げについては慎重に検討する姿勢を示しています。』
とまあ解説を入れてから、植田さんの発言について報道していまして、
『植田総裁は日本時間の24日朝早くワシントンで開かれたイベントに出席し、アメリカ経済について、「この数か月間、アメリカ経済がどうなるのかという懸念を持ち続けてきたが雇用のデータが変動していることもあって中期的な動向はまだ見極められていない」と述べました。』
アメリカの中長期的な動向を見極めるとか何を寝言を言ってるんだという話ですが、まあこれは何でこうなっているかと言えば、「米国経済の下振れリスクガー」を(上記記事にありますように)連呼してしまった手前、その米国経済様がどうもソフトランディングするんじゃネーノとなって来た中で、10月利上げしない言い訳をするために「中期的な動向がわからん」とか普通分からんわという話を言い訳に持ち出す、という見苦しいことをしている訳ですな。
まあそう言っておかないと10月会合のところで「米国経済の下振れリスクは足元相当下がっているように見られますが何故利上げしないんですか」と言われたときに答えに窮するからなんですけれども、そもそも答えにもなっていない「中期的な動向は見極めていない」という無茶苦茶な理屈(日本どころか米国の中期的な動向が見極められるんだったら今すぐパウエルと交換して頂けますかねえ植田さん)を持ち出しているのは、そもそも論としてこの人たち別に米国経済について何らかの見通しができたら政策を動かす、というような発想はない(あったら中期的な見極めとか永遠にできもしないことを理由にするわけない)のですわ。
てなわけで、さすがにこの「中期的な動向」はアホチャイマスカという言い訳なので、これを堂々と持ち出してきたという所で、米国経済ガーを真に受けてはいけない、というのが確信できました、というのがワシの見立てです異論は認める。
でもって記事の方では
『また、日銀の金融政策について、ことし7月に追加の利上げを決めたものの依然としてかなり緩和的な金融政策のスタンスを維持していると説明しました。』
この言い方、なぜか植田さんがしたがるのですが「緩和的な金融政策のスタンスを維持」という言葉の使い方が悪い、というのは3月声明文や4月展望の時から散々指摘されていて、7月展望の時にやっと表現が整理されたと思ってたんですが、またこの言い方が元に戻ってきておりまして、これがまた植田日銀のミスコミュニケーション誘発話法なんですよね。
というのは「かなり緩和的な金融政策を維持」っていったらそれ利上げには消極的とすくなくとも市場をやっている人なら理解するし、これ英文でどういってるのかにもよりますけど、おそらくはこれ英文で見たらもっと直接的に「緩和姿勢の維持」っていうニュアンスが強くなると思うのでございまして、これは明らかに「見通し通りなら徐々に利上げ」と真っ向対立する説明になっているんですけど、性懲りもなくこれを続けるのマジで何とかならんのかね。
『その上で、日本では長い間、物価が低い水準で推移したことで物価上昇に対する考え方が非常にゆっくりと変化しているとし、2%の物価目標を持続的に達成するにはなお時間がかかるという認識を示しました。』
でもって「非常にゆっくり」でしょ。何で一々強調するんですかねえ。
『さらに植田総裁は、不確実性が大きい場合は、慎重に、そして徐々に政策を進めていくものだが、金融正常化を進める中で低い金利が続くという期待が生み出されるとのちに問題になることもあると指摘し、バランスをとって政策を進める必要があるという認識を示しました。』
ってすいません記事全文引用になって申し訳ないのですが、最後にこういっているのだが、「かなり緩和的な金融政策のスタンスを維持している」「慎重に、そして徐々に政策を進めていく」って言っておいて、低金利長期化期待を牽制したいような発言をするのは典型的な両建て説明で、まあこの調子でやっていると利上げするたびに大騒ぎになるに1万パウエルといったところですな、ナムナム。
でもって会見もあってこちらは後程出てくると思いますが、ロイターさんとブルームバーグさんが記事にしているのでそちらも拝読。
ロイターさん
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/BCQKANXV5ZNHFGNTPWAE4H6JTA-2024-10-24/
市場動向は不安定、物価情勢分析に「時間的余裕」=植田日銀総裁
By 山口貴也
2024年10月25日午前 4:28 GMT+9
『[24日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は24日、米ワシントンで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後に会見し、市場動向は引き続き不安定との認識を示した。為替の円安に伴う物価情勢への分析に時間的余裕があるとの考えも語った。』(上記URL先より、以下同様)
だから10月利上げを否定する説明はもうせんでええねんというお話なので、この説明見ていると12月1月もやらんのではないか、という感じになってしまいますよね。
まあ実際には日銀の振付師の皆さんが市場とのコミュニケーションという文脈においてポンコツにも程があるので(個人の妄想です)、これ12月1月の利上げを全面否定している積りではなくて、あくまでも10月会合というその場をしのぐための説明をしているに過ぎないので騙されてはいけないと思うのですよね、個人の感想ですけど。
『G20での討議を巡り、植田総裁は「ごく最近のデータがそこそこ良いということから、多少、米経済の先行きについて楽観論が広がりつつあるという気もした」と振り返った。「もう少し良いデータが長く続くのか、一時的な振れに過ぎないのかは分析を深めないといけない」と指摘した。』
自分の国の物価の分析してください。
『為替の円安に伴う物価影響に触れ、「日本の物価にどう影響するかを丹念に分析して見極めていく。時間的余裕はあると考えている」との認識も示した。』
この調子で来週会見して11月に円安地獄になって植田総裁の顔が真っ青になることを希望しますwwwwwwww
『「マーケット動向は引き続き不安定な状況にある。インプライドボラティリティ(将来の変動率)を見ても一部ではかなり高い。今後は背後にある経済に関する認識も含めて考えたい」と語った。』
IVまで持ち出してきてますが、そもそもお前の政策運営が何をどうしたいのかわからん上に突如変な物でも食ったかのようにジャガーチェンジして動いたりするからボラが高いんとチャイマスカって突っ込みたくなりますね。まあ「市場を見ています」アピールでしょIVとか言ってるの。シッタカカコワルイ。
BBGさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-24/SLVJQMDWRGG000
日銀植田総裁、「時間的な余裕はある」−金融政策の判断について
藤岡徹
2024年10月25日 4:57 JST
→米国経済の良いデータが長く続くのか分析を深める必要−植田総裁
→加藤財務相、為替市場の過度な変動をあらためて指摘−注意払う必要
『日本銀行の植田和男総裁は金融政策の判断について問われ、時間的な余裕があると回答した。』(上記URL先より、以下同様)
ってことで、この「時間的余裕」ってのをこのタイミングで聞かされたら市場の中の人的な感覚で言えば「ああじゃあ12月1月も政策修正する気ないんだな」と思う、という認識が全然無いのが困るんですよね。
『植田総裁はワシントン時間24日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終えて加藤勝信財務相との共同記者会見に臨んだ。
植田総裁は日本の物価への影響を見極める上で、円安だけでなく米国経済も含めて全体を見る必要があると指摘したうえで、政策判断については「時間的余裕はある」と述べた。前日のイベントでは「先行きの正常化の適切な規模が全体でどうなるかや、利上げ全体を時間的にどのように配分するのかについて考えている」とした上で、「四六時中」寝る間を惜しんで熟考していると語っていた。』
寝不足で考えると碌なことを思い浮かばないので寝る間は惜しまないでくださいと思うし、まあ本人はテーブルジョークみたいな感じで言ってるんでしょうけれども、市場の中の人はお前らの意味不明コミュニケーションで振り回されてそのたびに疲弊させられている訳で、こういうのをいうのって(全員がそう思わないでしょうけれども一部からしたら)おどりゃワシらに喧嘩売っとるのか、という感じでカチンとくる人もいるんじゃネーノと存じますので、植田さん下手糞なジョーク言うのは止めた方が良いと思うんだよな〜。センスがない。
『植田総裁は24日の会見で、米国経済についての楽観論が少し広がりつつあるが、米国の良いデータが長く続くのか分析を深めなくてはならないと述べた。市場は依然不安定という見方も示した。』
ということでロイターさんと解釈一致して(当たり前ですけど)いますので、これ結局は「ハトハト情報発信をしてきました」ということでして、この調子でやっているとまたどこかで情報発信のトーンが急変する可能性が多々ある罠という気はするのだがトリガーは多分為替なので今しばらくは米国長期金利様ってところになるでしょうね、しょーもな。
〇金融システムレポートが出ていましたな
紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr241024.htm
全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr241024a.pdf
紙芝居
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr241024b.pdf
FSRってなぜか他から出ている物件と文字コードが違うので、ワシの作業環境だと文字化け修正が必要になって甚だ困るんで、紹介ページの方から多少ネタにする程度であとは気が向いて文字化け修正をする暇があった場合に。
紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr241024.htm
金融システムレポート(2024年10月号)
『2024年10月号の問題意識
内外の金融市場では、今夏以降不安定な動きもみられ、地政学的リスクに起因して実体経済・金融市場が大きく変動する可能性も引き続き意識されている。国内では、不動産関連向け融資が引き続き増加するもとで、一部の不動産指標には注意すべき点がある。』
ほうほう不動産。
『また、わが国経済が緩やかに回復しているなかでも、収益の改善ペースが鈍い企業を中心に、デフォルトの増加がみられる。今回レポートでは、感染症拡大前からの脆弱性、および原材料価格高や人件費上昇の影響という観点から、足もとのデフォルト率上昇の背景の評価を試みる。』
これは後で読んでみますわ。
『日本銀行は、本年3月に金融政策枠組みの見直しを行ったあと、7月には政策金利を引き上げた。このもとで、金融機関は、市場金利の変化も踏まえつつ貸出金利や預金金利を設定している。今回レポートでは、一定の想定を置きつつ、金利環境の変化が金融機関や家計・企業に与える影響について、アップデートする。』
『以上の観点を踏まえつつ、わが国金融システムの頑健性と潜在的な脆弱性を評価する。』
まあこれ現状認識の話だから致し方ない面があるのですが、ここで「脆弱性がある」っていう結果になった場合(なっていないし、ガチに脆弱だった場合にはオブラートに包むと思うけどw)、本来は「このような現状になった原因は何ですか」ってのを考察しないと政策のPDCAにならんので、
そういうのはちゃんとやっていただきたいものです。
・ヒートマップ的には株価下がってビビっている場合ではなかったですねえwwwww
『わが国金融システムの安定性評価(要旨)*』に参ります。
『わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。』
まあそりゃこの回答になりますけど。
『金融仲介活動は円滑に行われている。貸出市場では、貸出金利が上昇するもとでも、企業の資金需要は増加しており、金融機関の融資姿勢も引き続き積極的である。こうした金融仲介活動に、大きな不均衡は認められない(図表I-1)。』
ってヒートマップ見ると株価が赤いんですがwwwwwというのは後で別項目があります。
『わが国の金融機関は、内外の金融市場や実体経済に大幅な調整が生じるリーマンショック型のストレスや、グローバルな金利上昇と実体経済の減速が同時に生じるストレスに対して耐え得る、充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有している。』
ほうほう。
『もっとも、先行きの国際金融市場や地政学的リスクの動向など、テールリスクへの警戒は引き続き重要である。』
あっそう。
『より長期的な視点からみると、人口減少などを背景に企業の借入需要が構造的に減少する状況が続いた場合、貸出市場の需給バランスによっては、金融機関の収益力や損失吸収力が低下し、金融仲介活動の停滞や、過度な利回り追求など金融仲介活動の過熱につながる可能性がある。』
『以下では、これらの観点も踏まえつつ、わが国金融システムを巡るリスクや脆弱性について点検する。』
ということで赤い「株価」「不動産関連」について『資産価格の動向』という小見出しがありまして、
『株式市場について、ヒートマップを構成する「株価」と「株式信用買残の対信用売残比率」、「機関投資家の株式投資の対証券投資比率」をみると、トレンドからの上方乖離を示す「赤」が点灯している(前掲図表I-1)。』
イイシテキダナー
『8月初には、米国の景気減速懸念を契機とする投資ポジションの巻き戻しの影響などから、グローバルに資産価格が変動した。この間、PERは過去平均的な水準での推移を続けており、バリュエーション上、大きな過熱感はみられない。もっとも、わが国の金融機関が相応の株式リスク量を有していることを踏まえると、資産価格の動向については留意する必要がある。』
つまり8月に株価が下がったのはどう見ても「健全な調整」であって、その前の株価上昇がバブルであって、そのバブルを作ったのはマネタリーポリシーウィングの金融政策スタンス(として世間に認知されたもの)であったという訳ですので、8月の株価下がったのにビビっていきなり情報発信を大幅に変更したマネタリーポリシーウィングは、プルーデンスウィングから見たらアカンタレの二乗みたいな事をしている、というお話でございまして中々の良い指摘である。
『また、わが国の不動産市場では、不動産貸出の趨勢的な増加が続くもとで、一部に価格の割高感が窺われる。「商業用不動産価格・賃料比率」は、ミニバブル期の水準を上回っているほか、都心の商業地区において、局所的な高額帯の取引がみられている(図表I-2)。』
『また、不動産取引業の一部では販売在庫水準も高まっている(図表I-3)。都心のオフィス空室率が最近では低下に転じているほか、不動産業の財務状況は景気回復とともに改善が続いており、デフォルト率も低位で推移しているものの、他業種と比べてレバレッジ比率の水準が高く金利感応度も高い点には留意が必要である。』
ということで不動産市況に関しても厳しい表現をしていまして、
『海外ファンドによるポートフォリオ・リバランスの一環として、日本の投資物件を売却する動きが引き続きみられていることも踏まえると、不動産市場の先行きには一段と注意していく必要がある。』
ということで締めていまして、この辺りの指摘のトーンがかなり強くなっているのは大変に結構だと思います。
すなわち、
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr240418.htm
金融システムレポート(2024年4月号)
この時も実は株価が赤くなりだしているんですけど、4月号の説明ページである上記URL先を見ますと(一々引用しないので見てちょんまげ)、今回のような指摘になっていないのが一目瞭然でして、寧ろマイナス金利解除以降の「緩和政策長期化期待」によって資産市場に不安定が積みあがっているのではないか的なところまで考えているかどうかはともかくとして、結果的にはそういう体裁になっているのがこの「資産価格」の部分なのが興味深いと思いました。
なお詳しくは全然読み切れていませんので紹介ページの後半も含め面白いのがあったら追々。
2024/10/24
どるーはとぶーとぶー、ほのおーとーもえーてー♪
ということですので闘魂込めて大空に飛んでいただけると面白展開が待っておりますので、この調子でぜひお願いいたします。
・・・・・・結局ドル円とかいう外圧が無いとあのポンコツは動かんですからぬー。
〇なんでもドル円さんが一時153円抜けたようで円安は正常化への第一歩w
昨日はまあ朝からホイホイドル高円安モードでしたが、ドル円153円と言いますとこれはもう「為替市場が物価上振れリスクを高める」と称して利上げを実施した7月の水準にドンドン近くなっている訳でして、さあもりあがってまいりましたとしか申し上げようがございません。
まあ決定会合の時にドル円156円くらいで迎えて頂くとどうせ今回は利上げをしないので、利上げをしない理由の中で為替市場を突っ込まれたときに大変に答えに困って碌でもない屁理屈を繰り出してドル円をさらにすっ飛ばして12月の決定会合まで日銀針の筵、という展開になってくれるので見てる方としては大変に面白い展開になりますし、ハトハト総裁がションベンちびって12月に泣きながら利上げに追い込まれるのもこれまた一興かなとは思う次第です。
まあしかし何ですな、選挙の方もどう転ぶのかまるでよくわからんですけれども、衆院選で金利がどうのこうのという話は多分にネタとしてはあるものの、よくよく考えてみますと、石破政権安泰→穏健な金融財政政策→日銀も大手を振って正常化、だし石破政権不安定→財政金融拡張圧力→円安が盛大に進行→日銀がションベンちびりながら利上げに追い込まれる、ということになるんじゃまいかと思いますので、結局のところ行き着く先は同じじゃないの(日銀が大手を振って威風堂々と利上げするのか、石礫投げられながら涙目で利上げするのかの違いなだけ)とは思いますので、結局どう転んでも同じでネーノ(円金利的には)状態ですなwwwwww
しかしアレです。先日こんなのがありましたが、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-21/SLOGVYT0AFB400
政治資金問題で自民に逆風続く、与党過半数割れなら政策停滞も-衆院選
広川高史、氏兼敬子
2024年10月21日 13:19 JST
→財政健全化打ち出しづらく、金融政策かじ取り困難に−エコノミスト
→与党の過半数維持は微妙、投票で54%が裏金問題を「重視」−朝日
ということで月曜の記事ですが、記事を拝読しますと・・・・・・
『一方、複数の関係者によると、日銀は衆院選後の30、31両日に開く金融政策決定会合で追加利上げを急ぐ必要性は乏しいとの認識を強めている。その後の追加利上げの可能性は排除されない状況との姿勢だが、仮に政権が不安定化すれば自民党内で金融緩和の継続を求める声が強まる可能性がある。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、次の小見出しが『紆余曲折』ってなっていますが、
『こうした中、総裁選で石破首相と決選投票を争った高市早苗元政調会長は先週の街頭演説で、選挙後には「党内で経済政策について声を上げていきたい」と宣言した。』
おんどれは経済政策が一番ヤバいのになにをゆうとるんじゃと思うのですが、その飛んでもない自意識過剰成分ってアタクシ残念ながら1ミリグラムも持ち合わせておりませんでして、どういう人生を送るとそのような自信過剰になれるのかと教わりたい訳ですし、こういう自意識モンスターみたいなのすげえですわ(1割くらい褒めてるw)
でもってこの次が凄い。
『その上で、「金融政策は政府が決める、手段は日銀が決める」と持論を展開し、「今、金融引き締めをしたら日本は大変なことになる」と追加利上げをけん制。「今はむしろ金融を緩和する、しっかりと政府は必要なところに財政出動する」とも述べた。高市氏は総裁選で、防衛増税への反対姿勢を示していた。』
どう見てもトラスショックです本当にありがとうございました。ということで、何なら高市登場からの爆発炎上によってこそ中長期的な財政の健全運営の重要性や、これまでの黒田馬鹿緩和の罪悪というのが国民の皆様にも共有されますので、爆発するなら早いうちにやった方がよろしいんじゃないでしょうか(超暴論)。
ということですので、そんじょそこらの何とかストが「石破政権不安定化して日銀は政策が動かせなくなる」とか言ってるのは解説がちょっと目先の話すぎにも程があるわけで、「その結果為替円安が大幅に進行して日銀は通貨防衛的な利上げをせざるを得なくなるしソブリンの格付けに影響した場合には企業業績への影響も懸念される」位の説明をしてこそ何とかストじゃろと思うのですが、なぜかその前で話は寸止めになってしまいますな、残念無念。
しかしまあ何ですな、石破さんって何でスタートの時に抜刀斎にならなかったのよとしか申し上げようがなくて、こんなに胆力のない人だとは思わなかったんですが、思い返してみれば植田さんが日銀総裁になった時にも従来の話からして正常化推進するのかと思ったら胆力のなさが爆裂してハトハトチキンとなってしまって今に至る、ということで、植田さんと石破さん似てるじゃんと思いましたが、さらに考えて見ますと、石破さんにしろ植田さんにしろいくつかの偶然が重なって総裁の座が転がり込んできた感が強いお方で、どうせ運よく拾ったポストなんだからダメ元で思いっきりやればいいいじゃんとか傍目では思うのですが、やっぱり急に天から転がり込んできたポストだから絶対に失わないように慎重にやっていこう、となって胆力無し無しのチキンモードになってしまうんでしょうかね。まあこんなこと書いてるアタクシには残念ながらそんな機会は人生のうちに来たことがない(あったのかも知れないが本人の自覚がない)のでその辺の心理ってのはよくわからんのですが、石破さんのしょうもないチキンぶりをみていると植田総裁のチキンモードにつながって見えてきました、あくまでも超個人の感想ですけどね〜
2024/10/22
〇昨日ネタにした多角的レビューネタですが追記のおまけ
昨日ネタにした多角的レビューのペーパーですが、読者の皆様からいろいろと「こんなツッコミもあるのではないか」とのご指摘をいただきまして多謝多謝。
ということなので折角ですから追記メモだしそもそも受け売りで大変恐縮なのですが、(とネタばらしをしておきまして)多少のツッコミ追記を。
まずは均衡イールドカーブに関して。
要旨
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j16.htm
本編
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j16.pdf
・政策評価をするのはどう見ても時期尚早なのに今すかさずやるのはアカンヤロ
しかしまあ何ですな、しばらく封印してたのに均衡イールドカーブの話を「多角的レビュー」の一環で出すというのってこれどこからどう見ても「YCCは長期金利を押し下げることによって政策効果を発揮したので黒田緩和は正しいぜヒャッハー」という話をしよう、という下心満載なのはわかるのですが、そもそも長期金利ペッグ政策なんぞは「出口」まで含めて評価しないといけない訳で、米国FRBが第二次大戦およびその後も続けた長期金利ペッグ政策って、市場が今と全然違って統制がそれなりに効くような時代であってもその出口に置いてFRB議長の首を二つだか三つだか飛ばしてやっと出れた、という政策だったというように、この黒田緩和の真価ってこれからの出口においてこそ問われる話だし、早速出口にビビってハトハトチキン状態になっている、という現状が今まさにそこにある中で、YCC政策を評価する「多角的レビュー」をやろうというのが前提からしてちゃんちゃらおかしいわけです。
ということで、過去のレビューするのと政策評価に関しては分けて頂きまして、今からでも遅くないから政策評価のパートを全部ぶった切ってなかったことにした方が良いですけど、まあどうせやらんのじゃろうなあと思います。
まあ何ですな、明の太祖朱元璋ムーブとでも申しますか、本来評価を定めるのはもっと後であるべき出口政策中、というか碌すっぽ始まってもいない状態でQQE政策の評価をするとかどこの洪武帝だよというお話でして、Wikipediaで「元史」を検索して味噌というお話ではありますな。
あと日銀のたちの悪いのは、今回このように評価してしまうと、これがそのまま後々まで生きてしまって、この時の多角的レビューはポンコツで使い物にならないので新レビューをするというような科学的態度(幾多の試みを経て「新元史」が20世紀になってできた訳ですよ中国では)ムーブを日銀の中の人にしても曲学阿世の提灯学者どもにしてもやりゃあしないもんだからこれが「正史」になってしまうんですよね。甚だ困ったもんですし、将来の政策対応でまた碌でもないことをすることになるわけですよ。
・実質自然利子率の推移を見ますと黒田緩和は・・・・・・・
でまあ昨日ネタにした本編の13ページ(PDF14枚目)のグラフですが、あたくし昨日は『図
3: 均衡イールドカーブ』の『(d) 年限別・名目』の2023年の数値がマイナスになっていることを見て心が曇っているので提灯忖度パラメーター操作じゃねえのとか申し上げておりましたが、よくよく見ますと、というか読者様からツッコミをいただいたのですが、これしらっと『(c)
年限別・実質』の方がおもろいですね。
ともうしますのは、この(c) 年限別・実質の実質中立金利の推計値を見ますと、グラフの起点である1993〜1996って実質中立金利が1%あたりから0%辺りへと急速に低下していまして、まあこれはバブル崩壊、というかその前のバブル生成がクッソ悪いのですが、まあその後のバブル崩壊期における後処理もよろしくなかった訳でしたな、という話だと思うのでこれはまあそうなのかな、と思うのです。
でですね、その後なんですけど、よくよく見ますと2013年あたりから2016年辺りも実質自然利子率が−0.3%くらいから−1%くらいまで低下していまして、えーっとこれは何ですか黒田異次元緩和ってのは問題の解決になっていなくて、事態をさらに悪化させました、っていう話なんですよね、と思ってしまいましたが、この点に関してはどういう解釈をすればよいのか、ちょっと教えていただけると甚だ幸いでございますのですが、一体全体どういうことなのでしょうかと思いました。
まあ2023年の名目自然利子率のところを見て忖度爆裂と思ってしまいましたが、よくよく見ると中々お茶目なグラフなので、毒もちゃんと入れているんだなと思いますと、ちょっと昨日はボロカス言いすぎたかなと反省はしておりますwwwwwww
でもってもう一つは昨日の「ノルム」のペーパーですけれどもこちらは補足メモです
・「ノルムのせい」で片づけることの最大の問題点は「適切な政策は何だったか」の議論をしていないこと
概要
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j18.htm
本文
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j18.pdf
昨日引用しました物の再掲で恐縮ですが、第2回WSにおける柳川先生と吉川先生のツッコミを再掲しますね。
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240627a.pdf
こちらの本文19ページ、PDF20枚目のところに『(ノルムの位置づけ)』というのがありまして、引用しますが、
『柳川は、ノルムという概念を使って金融政策を議論すると、本質的に重要な要素を捉え損ねるおそれはないのか――仮に均衡が複数あるとしても、それをどう動かすかを考える際に、ノルムという言葉を使うことでみえなくなる部分もあるのではないか――と指摘した。そのうえで、ノルムを政策議論の文脈においてどのように位置付けているのか、パネリストに見解を問うた。』
『吉川は、QQE は、わが国経済の低迷の原因はデフレであり、デフレは貨幣的な現象であるから、マネーを増やせば問題は解決する、という主張に基づくものであったと振り返った。今回の多角的レビューにおいて、この点の是非について議論せずに、物価上昇率が2%まで上がらなかった原因として、金融政策以外の要因であるノルムについて議論している点に、議論の内容自体に違和感はないものの、日本銀行の対外的なコミュニケーションとして大きな違和感があると述べた。』
とまあこの点なんですけど、柳川先生にしましても吉川先生にしましても、このツッコミのキーメッセージって本当は「そもそも効くか効かないかわからない(というか効かないといわれまくっていた)マネタリーベース直線一気理論について検証をしないで「ノルムのせい」で済ませるのは政策レビューとして不適切極まりない」ということなんですよねきっと(これは日銀の事務方が要旨として丸めちゃうからこうなる)。
長期間にわたる緩和政策を実施したことによって、「ノルム」の転換が起こるような神風(人口動態の推移と世界的な供給制約ショックの発生と世界的な財政出動かな)が発生した時に緩和効果が発現した、というのはまあホンマカイナという気はするけどそれを言うのはまだ許容範囲内の話ではあるんだが、じゃあその「長期間にわたる緩和政策」が本当にこの極端な政策である必要があったのか、という話をなんもしないでスルーしますと、次回に物価や経済が下がった時にまた同じQQEをやる破目になるんじゃないですか、ってなもんでして、別に「長期間にわたる緩和政策」がこんなに極端な政策じゃなくても、単なる実質ゼロ金利政策の長期化だけでよかったんじゃないのというレビューが起きないのはどう見てもおかしい。まあこれもさっきと同じですが、出口政策のコストまで含めてレビューしないと、次に同じようなことが起きたときに間違いの上塗りになってしまう訳ですよ。
あ、そういや黒田も日銀総裁退任した直後に逃げるように「私の履歴書」掲載してましたなwwww
とまあそういう補足でした。
2024/10/21
〇全国信用組合大会での植田総裁挨拶が相変わらずのハトハトチキン情報発信なんだよなー
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241018a.htm
全国信用組合大会における挨拶
日本銀行総裁 植田 和男
(代読 日本銀行副総裁 内田 眞一)
2024年10月18日
PDFバージョンしか出ていないのでPDFから参ります。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241018a.pdf
現世利益的には経済物価情勢のお話のところになるのでそこを拝読するのですが・・・・・・
・分量の構成が明らかに「リスク要因こわいでちゅーーーー」になっているのですよね
『2.経済・物価情勢』という部分ですが、
『はじめに経済・物価情勢についてです。』
ということで話が始まりますが、最初に景気面の話をして物価面の話をしまして、その後にリスク要因の話があるんですよね。
でもってその各パートなのですが、景気・物価の話、すなわちメインシナリオの話が文字数にして473文字(改行部分を0文字カウントで句読点含む)。景気の話が131文字で物価の話が342文字な訳ですよ。
でもってその次のリスク要因の説明がなんとまあ337文字もありまして、物価のメインシナリオと同じ分量をリスク要因に関して説明している訳でございまして、いやお前ウェイトのかけ方おかしくないか、という感じですが、とにかく「リスク要因の説明がクソ長い」というのが今回の特徴になります。
ということで、そもそも文章構成をみた時点で「リスク強調→政策修正のやる気が全然ない」という情報発信をしたいんですね、という解釈にならざるを得ない訳ですよこの挨拶。
これで来週の展望レポートでいきなり豹変してきたらお前馬鹿にしてるのか、ってな話ですし、そもそもこの文章構成をなんも考えないで作っているなら情報発信のあり方が何ぼ何でもおかしいとしか申し上げようがないんですし政策修正する気がないんだったらもっと堂々と「政策修正する気はありません」と言ってくれれば話はすっきりしますし、何なら長期債から短期に一時避難している資金も長期に戻るんじゃないですかねえ位のお話でして、とにかく日銀の情報発信が中途半端に両建てしているのは大変によろしくないと思います。
・経済物価見通しのメインシナリオはいつも通りの話ですが
文字数確認のために引用しておきますね。まずは経済状況。
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。先行きは、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けるとみています。』
『物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、賃金上昇などを受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、足もとは2%台半ばとなっています。先行きは、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、来年度にかけては、政府による施策の反動などが前年比を押し上げる方向に作用すると考えられます。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと想定しており、「展望レポート」の見通し期間後半には2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとみています。』
ということでこちらが131文字+342文字な訳ですよ。思いっきりいつも通りなんですな。
・リスク要因の説明が長いのもさることながら「米国の先行きが不安定」ってどういう認識なんですか
でもって問題はリスク認識のところで、文字数は先ほど申し上げたように337文字もある力作??になっておりまして、まあこちらは途中ぶつ切りしながら引用しますね。
『リスク要因としては、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高いと考えています。』
だそうですが、
『そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要があります。』
『特に、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があると考えています。』
円安修正止まったんですけれども再度注意するんですか、というのがあるもののこの次が酷くて、
『米国をはじめとする海外経済の先行きは引き続き不透明であり、金融資本市場も、引き続き不安定な状況にあります。』
米国って何だよそれという話でして、直近は米国経済の予想以上の堅調さというのがテーマだし、金融資本市場に関してだってSP500指数とか高値更新とかそういう威勢の良い話をしていますし、何なら日本株だってしっかり戻っているのですけれども、何がどういう認識だと「米国経済の先行きは不透明」となるのかという話で、将来のことが予想できないのが全部不透明だったら未来永劫不透明だろいい加減にしろという話だし、戻り高値(というかアメリカの場合は高値更新か)付けに行ってる株式市場が不安定な状況というのなら未来永劫不安定だろという話で、この「先行き不透明」と「金融資本市場が不安定」ってのを使い続けるのはコミュニケーションやる気あるのかと小一時間問い詰めたい。
まあこれが中国とか欧州とか書くならまだしもだが、「米国をはじめとする」とかいうのはお前ら7月末からタイムスリップでもしてきたのかという話でして、こういうのをアップデートしないでそのまま出してリスク認識って言ってしまうのはひどくないですかと思いますが、まあ政策修正したくないでしゅハトハトチキンでちゅーーーーバブバブって言ってるんだったら話は分かる(賛同しないが)。
なもんで、
『当面は、これらの動向を極めて高い緊張感をもって注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を、しっかりと見極めていく考えです。』
高い緊張感をもってって8月頭ならともかく今言う言葉じゃないだろ馬鹿にしてるのか、という所でリスク要因の説明が締まるのでした、ドイヒー。
なお、このコーナーの最後は、
『今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく方針です。』
とのことだが、全然経済物価に応じてないだろというお話でして、とにかく政策反応関数が全然定まっていないお前が何を言うという感じですな。
〇また多角的レビュー絡みの物件が出てきたのだが「均衡イールドカーブ」ってお蔵入りしたんじゃなかったの??
紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j16.htm
わが国における均衡イールドカーブの推計:時系列手法によるアプローチ
は????ということで紹介ページに要旨ってのがあるので読んでみますと、
『要旨
本稿では、わが国の名目・実質の均衡イールドカーブを同時推計する手法を提示する。』
お前らYCC末期に物価が上がっていく中で「均衡イールドカーブの考え方からしたら今の政策はやり過ぎなんじゃないか」と何度言われても均衡イールドカーブは出そうとしないし、政策の修正もクソ粘りしてたくせにYCC解除してから出すんじゃねえよこのバカチンがというお話なのですが、
『具体的には、名目・実質のイールドカーブに加えて、マクロ経済変数(需給ギャップ、インフレ率)を観測変数として用いつつ、代表的なイールドカーブ・モデルであるネルソン=シーゲル・モデル
(Nelson and Siegel, 1987) と、VAR with common trends(Del Negro et al.,
2017) を組み合わせた推計を行った。』
均衡イールドカーブというのは考え方の概念としては存在するけど、実際には計測誤差が大きいし、結局のところ後付けじゃないとわからない話だしということで、考え方として存在するけどそれを使って政策運営をするもんじゃないです、ああそれからYCC入れたときに説明したのはあくまでもその場しのぎのマジックですよ、って話はどこに逝ったのと思います。
というかですね、今このタイミングで「均衡イールドカーブが計算できます!!!」って出すんだったら、もっと簡単な話である「短期政策金利の均衡金利」とか出すのなんて朝飯前じゃないですかヤダーというお話に発展するわけでして、何でお前らそういう間の悪いタイミングでこういうのを出してくるのかねと思ってしまいました。
『本稿の推計結果からは、1990 年代以降、名目・実質の均衡イールドカーブは、自然利子率の低下を主因に趨勢的に低下しているほか、両者ともタームプレミアムの趨勢的な低下によりフラット化していることが示唆された。また、これらの度合いは、名目と実質の均衡イールドカーブで異なることも示唆された。ただし、均衡イールドカーブの推計はなお発展途上であり、本稿の結果についても十分に幅を持ってみる必要がある。』
ということなんですが本編はこちらになります。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j16.pdf
多角的レビューシリーズ
わが国における均衡イールドカーブの推計:時系列手法によるアプローチ
まあご案内の通り(というか金曜に出てきたの3本ともこのシリーズですが)の「このロゴが付いている物件は黒田緩和政策は正しかったという結論先にありきの忖度炸裂ペーパーです」という親切なラベルがついている物件でありますな、ナムナム。
でまあ計算式を読んでもアタクシの知能では謎の暗号にしか見えませんのでその辺は割愛しますが、目を泳がせていてクソワロタのは上記PDFの本文13ページ(PDFの14枚目)になりまして、
『図 3: 均衡イールドカーブ』ってのがあるんですが、一番わかりやすいのがその中にある右下の『(d)
年限別・名目』って奴です。
これ見ますと、グラフの赤い線、すなわち「名目自然利子率」の推移が出ているのですが、直近2023年の名目自然利子率の数値がマイナス圏にありまして、これはすなわち昨年植田総裁になってからハトハトチキンでマイナス金利解除を1年引っ張った、というのが実は妥当なのですよ!!という忖度が炸裂していまして、ああ忖度のためにパラメーター調整しやがったなと邪推するくらいには「多角的レビュー」の流れに関して汚れた心でみておりますもんで、ついそういう邪推をしたくなるのですが、あまりにもお見事な推計結果にクソ笑ってしまうしかありません。
しかしまあ何ですな、この自然利子率の話のところって本稿の最後の部分になるのですが、本文14ページ(PDFの15枚目)で思いっきり記述がありまして、
『図 4 では、自然利子率および長期年限の実質均衡金利について先行研究との比較を行っている。』
っていうのをぶっこんでおりまして、いや真面目な話足元で「中立金利はいくらですか数字出せないですか」の件でコミュニケーションがぐだぐだになっている時に出すなよこんなのと思うのですが、
『まず、自然利子率については、概ね様々な先行研究の推計値の範囲内に収まっていることが分かる。潜在成長率との関係を明示的に考慮した準構造型のモデル対比では、やや低めに出ているが、これは潜在成長率が実質金利のトレンド対比で高めに推移していることの影響が一因だと考えられる。Davis
et al. (2019) では、幾つかの先進国において、イールドカーブに基づく自然利子率の推計値は、準構造型モデルによる推計値対比で低めに出ることが指摘されており、彼らは、こうした現象を
“natural rate puzzle”と呼んでいるが、わが国においても “natural rate
puzzle”が存在する可能性がある。長期年限の実質均衡金利についても、他の研究と概ね整合的な値が得られている。』
ということで『図 4: 先行研究との比較』ってのがあって、これはまた中立金利はいくらなんですかという話で記者会見とかが不毛な話になるなあと思うのでした。
〇多角的レビューシリーズのこの話題まだやるのかよ・・・・・(ノルムとかメニューコストとか)
3丁あるうちの2丁を本日はネタメモということで。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j18.htm
わが国企業の価格設定行動とゼロインフレ・ノルム
これがまたうへーというやつでして、
『要旨
過去四半世紀、わが国では企業の価格据え置き行動が拡がった。これは、わが国で「物価・賃金が上がりにくいこと」を前提とした人々の考え方や規範(ゼロインフレ・ノルム)が定着した傍証とされ、この間、わが国でインフレ率が上がりづらかった要因の一つとして解釈されてきた。』
そもそも論として多角的レビューにおいてこの話をしているのが問題おおありでして、この「ノルム」ってのを持ち出すことによって金融政策が中々きかなかった、という言い訳に使っているのですが、そもそも効く訳もない政策をぶっこんでおいて後からノルムのせいで効きませんでした、ということにしているだけに過ぎないわけでして、この点については多角的レビュー第2回ワークショップで柳川先生と吉川先生が指摘しているんですよね、ということでそこを引用しますね。
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240627a.pdf
こちらの本文19ページ、PDF20枚目のところに『(ノルムの位置づけ)』というのがありまして、引用しますが、
『柳川は、ノルムという概念を使って金融政策を議論すると、本質的に重要な要素を捉え損ねるおそれはないのか――仮に均衡が複数あるとしても、それをどう動かすかを考える際に、ノルムという言葉を使うことでみえなくなる部分もあるのではないか――と指摘した。そのうえで、ノルムを政策議論の文脈においてどのように位置付けているのか、パネリストに見解を問うた。』
『吉川は、QQE は、わが国経済の低迷の原因はデフレであり、デフレは貨幣的な現象であるから、マネーを増やせば問題は解決する、という主張に基づくものであったと振り返った。今回の多角的レビューにおいて、この点の是非について議論せずに、物価上昇率が2%まで上がらなかった原因として、金融政策以外の要因であるノルムについて議論している点に、議論の内容自体に違和感はないものの、日本銀行の対外的なコミュニケーションとして大きな違和感があると述べた。』
・・・・・とまあそういう訳で、まあこの「ノルム」ってのはかなり胡散臭い話ではありますし、要旨の方に戻りますけれども、
『本稿では、Furukawa et al.(2024)などの先行研究で指摘されている過去四半世紀のわが国ミクロ価格データにおける観測事実を整理したうえで、価格設定モデルを用いて、こうした価格据え置き行動が拡がった背景について分析した。分析の結果、1990年代後半からみられた価格据え置き割合の上昇には、既存研究が指摘するような、インフレ率の趨勢的な低下だけではなく、低インフレ下での需要曲線の屈折度合いの強まりや価格改定コストの上昇といった要因も相応に作用してきた可能性が示唆された。また、これらの要因に起因する価格改定閾値の上昇は、この四半世紀、インフレ率上昇の抑制にも作用したとみられ、とりわけ、量的・質的金融緩和(QQE)の導入以降、物価安定目標の達成を難しくしてきた要因の一つであった可能性も示された。ただし、近年、これらの要因はインフレ率が上昇するにつれて、徐々に解消してきているとみられる。』
とあって、この引用部分の真ん中の辺りにあるんだが、またこの「メニューコスト」の話をしていまして、これが以前もこのネタでアタクシも話題にしましたが、標準的な経済学で言う「メニューコスト」と別の話をしている、というお話(引用すると長くなるから割愛しますが本編の方では思いっきり「メニューコスト」の術語を使っている)でして、まあこの件に関しては「キャッチーな言葉を使って本質的な問題から目くらましをする」という香りが非常に強い物件に仕上がっていますので、読む必要があるのかというと、ツッコミの練習に読むということでしょうなあと思います。コマッタモンダ。
本編はこちらです。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j18.pdf
2024/10/11
今日のお題のマクラにするつもりでしたが変更して次は与太トピックですw
〇置物一派って何でそうエエカゲンなんでしょうかねえ・・・・・
こちら門間さんが記事の表題ですが別件の方がアレでございまして、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-10/SL4TWNT1UM0W00
150円超の円安進行、日銀の利上げ早める要因になり得る−門間元理事
萩原ゆき、野原良明
2024年10月10日 20:15 JST
→景気の軟着陸期待などで米利下げ観測後退、心理的節目150円に接近
→為替レートに影響された政策決定は「重大な過ち」と若田部前副総裁
いや若田部呼ぶなよと思ったが、記事中のこれ(と上記のリード部分)はクソワロタ訳で、
『日銀前副総裁の若田部昌澄早稲田大学政治経済学術院教授は同討論会で、「為替レートからインフレ率への転嫁が大きくなっている可能性があることは理解している」としながらも、「為替レートがインフレ率にどの程度影響を与えるかはあまり明確ではない」と指摘。7月の利上げは時期尚早だったとし、為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」だとの見解を示した。』(上記URL先より)
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
ほうほうそうですかそうですか。さてここで異次元緩和の理論的支柱と言われる岩田規久男大先生の説明を確認して見ましょう。
https://jp.reuters.com/article/business/-idUSTYE924054/
アングル:岩田氏「金融緩和で円安」、誘導批判の回避がカギに
By Reuters
2013年3月5日午後 3:27 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] 次期日銀副総裁候補の岩田規久男・学習院大教授は5日、衆院議員運営委員会で所信表明し、日銀が金融緩和で金融機関の手元資金を示す当座預金を増やせば、期待物価上昇率が上昇し、円安や株高につながるとの見解を示した。』(上記URL先2013年3月ロイター記事より)
・・・・・いやお前ら一派ってどんだけ言ってることがエエカゲンなんやと。
ちなみにこちらで置物師匠は例の日銀当座預金直線一気理論を展開しているのでして、
『岩田氏は、日銀が2%の物価目標達成を目指し大胆に金融緩和を進める姿勢が市場の信認を得れば、予想物価上昇率の上昇を通じて予想実質金利が下がり、実際の物価が上がり始める前に円安・株高が進むと繰り返し説明。4日の講演では、当座預金残高が10%増えると予想物価上昇率が0.44ポイント上昇すると図表を使い説明。「期待物価上昇率が2%ポイント上がれば、為替は15円の円安、日経平均株価は4000円上昇する」と踏み込んだ。』(こちらも上記URL先2013年3月ロイター記事より)
いやはやなんとも。
〇生活意識アンケート:インフレ期待定着にしか見えませんが・・・・・
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2410.htm(概要)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2410.pdf(全文)
「生活意識に関するアンケート調査」(第99回<2024年9月調査>)の結果
ということで全文の方から引用しますが、
・景況感とかそのあたりの内容は基本的に悪くないですね
例えば『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』ですが、
『1-1-1. 景況感
景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少したものの、「悪くなった」との回答も減少したことから、景況感D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少したものの、「悪くなる」との回答も減少したことから、景況感D.I.は改善した。』
とか、
『現在の景気水準は、『良い』(注1)との回答が横ばいとなり、『悪い』(注2)との回答が減少した。』
となっていて、
『-1-2. 景況判断の根拠
景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」といった回答が多かった。』
あらあら皆さん収入が増えてらっしゃるの(というか増えてなかったらこの物価でエライコッチャ)ということで、実質賃金下がっていても名目上がっていると何となく名目の数字に幻惑される、という名目マジックが効いているようですな、結構なことと言えば結構なこと。
そんなこんなで『1-2. 暮らし向き、消費意識』に飛びますと、
『1-2-1. 現在の暮らし向き
現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が増加し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した。』
マジかワイの(以下略)というとことですが、こちらもまあ名目マジックで、
『1-2-2. 収入・支出
収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加し、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「増える」との回答が減少したものの、「減る」との回答も減少したことから、1年後の収入D.I.は改善した。』
そらこの物価で先行き減るのはちょっと。
『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が減少したものの、「減らす」との回答も減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』
単に減らしようがないだけ説もありますがまあ選択的消費をすれば何とかって感じですかね。
『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「日用品(洗剤、雑貨等)」、「自動車(ガソリン等、維持費用は含まない)」が多かった。』
わかるわかる。
『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』
そらそうよ(じっと手を見る)。
『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。
商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「長く使える」といった回答が多かった。』
これ明るい話としては、ここの「安全性が高い」という回答とか、「信頼性が高い」って回答が増えてくるときって割と消費が明るいときにそういう傾向があるように思える次第でして、もちろんこのワイがちゃんと分析している訳ではないですが(威張るなやw)「価格が安い」ってのが増加傾向にある時はだいたい消費が暗めの時って感じでこの数字見ていますので、実際にはもちろんきちんと分析すれば傾向はつかめるんでしょうけれども、イメージとしてはまあそんな感じという所であります。
なもんで、
『1-2-3. 雇用環境
1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「あまり感じない」との回答が増加し、「かなり感じる」との回答が減少したことから、雇用環境D.I.は改善した。』
ということで、基本的にこの辺全部明るい結果になっている訳でして、金融政策の調整を躊躇するようなネタは見当たらないという結果にしか見えんわけですよ。
・物価に関してはインフレ期待の定着っぽいようにしか見えませんが
ということでみんな大好き『1-3. 物価に対する実感』ですな。
『1-3-1. 現在の物価
現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。
1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+14.5%(前回:+15.7%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』
まあこの数字はCPIなどの数値よりもクソ高く出てくるのは仕様なので数値自体はさておきましても、
<1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか>
24/ 3月 平均値 +14.2 % 中央値 +10.0 %
24/ 6月 平均値 +15.7 % 中央値 +10.0 %
24/ 9月 平均値 +14.5 % 中央値 +10.0 %
って推移していますし、先行き見通しでも
『1-3-2. 1年後の物価
1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台半ばとなった。
1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+10.0%(前回:+11.5%)、中央値は+8.0%(前回:+10.0%)となった。』
下がったように見えますけど
<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか>
24/ 3月 平均値 + 9.4 % 中央値 + 5.0 %
24/ 6月 平均値 +11.5 % 中央値 +10.0 %
24/ 9月 平均値 +10.0 % 中央値 + 8.0 %
ということで、そもそも6月調査の数字がクソ高すぎで、6月調査って5/9〜6/4に実施しておりますので、まさに円安がホットイシューになっていた時、ということですから円安阻止はいいことでしたわってな話でもありますわな、今回生活実感に関わる数値改善しているんだし。
でもって1年よりも重要扱いになっている5年に行きますけど、
『1-3-3. 5年後の物価
5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台前半となった。これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+7.9%(前回+8.7%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』
ほうほう。
<5年後の物価は現在と比べ毎年平均何%程度変化すると思うか>
24/ 3月 平均値 + 7.5 % 中央値 + 5.0 %
24/ 6月 平均値 + 8.7 % 中央値 + 5.0 %
24/ 9月 平均値 + 7.9 % 中央値 + 5.0 %
いやー安定していますなあ、ということでこれまた何で金融政策の調整を躊躇するのかさっぱり分からん、という良い内容になっておりましたなというお話でしたが、どうせ日銀大本営は政策調整しようとした時だけこのアンケート結果をチェリーピッキングしてくるのが仕様なので、これが出たからどうなのかと言われると中々何ともという所ではあるんですけどね。
〇企業物価指数ェ・・・・・・(メモ)
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2409.pdf
企 業 物 価 指 数(2024年9月速報)
『国内企業物価指数は、前月比0.0%(前年比+2.8%)。
輸出物価指数は、契約通貨ベースで前月比▲0.4%、円ベースで同▲1.7%(前年比▲1.0%)。
輸入物価指数は、契約通貨ベースで前月比▲1.3%、円ベースで同▲2.9%(前年比▲2.6%)。』
どう見てもホームメードインフレです、というのはさすがに短絡的ですが、
『(前月比で上昇・下落した主な類別・品目)
農林水産物 0.32 % 精米、玄米、鶏卵』
・・・・これは泣きますが、泣いている場合でもなくて、なんだかんだ言ってコメ価格があんまりここまで上がってこなかったのでそうは言ってもしんどくなかったという面が多々あると思うのですが、コメ価格上がって来て(自然要因もそうですけどそれまで上がっていなかった分もあるので仕方ないとは思いますが)生活実感的に響くじゃろ、と思う訳ですが、まあたまたま石破政権も「デフレ脱却」とか寝言言って矢面に勝手に立ってくれそうだから助かっているものの、「物価の安定は日銀の役割なのできちんとやっていただくことを期待」とか言って日銀に丸投げくらっていた日には日銀が矢面に立つ時間帯になるわけですし、コメ価格上昇って結構ここからインフレ批判の文脈では効いてくると思うので、日銀大本営もあんまり能天気に「基調的物価が2%行ってないので金融緩和」とか言ってる場合じゃないと思うのですけどね(主食がコメの個人の感想です)。
2024/10/09
〇しかし大丈夫ですかこのおしゃべりさん(石破政権迷走編)
お前は何を言ってるんだ
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/YSJQ5VG7CVLXJA4OGZV456R56Y-2024-10-08/
0.25%は実質マイナス金利、日銀の判断信じる=赤沢経済再生相
By 竹本能文
2024年10月8日午後 8:07 GMT+9
『[東京 8日 ロイター] - 赤沢亮正経済再生相は8日、報道各社とのインタビューで、現在の日銀の政策金利0.25%は、物価上昇を考慮した実質ベースではマイナスで十分緩和的だとした上で、今後の日銀の政策運営について「日銀の判断を信じている」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)
は???って感じですが、また「日銀の判断を信じている」ってなにそのメンヘル童話みたいな言い回しというのも何ともアレですが。
『赤沢再生相は、デフレ脱却宣言まで日銀の追加利上げを認めないのか、経済状況に配慮した緩やかな利上げなら認めるのか、との質問に対して「後者だ」と回答した。』
この前の利上げダメ発言は何だったのかという話ですが、まあ円安になったのも石破ショックと一部報道で揶揄されていて、さすがにマズイと思ったのでしょうけれども、根がおしゃべりで大臣になって舞い上がっておられる(個人の印象です)せいかおしゃべりは止まらないというのが中々悲しくて、これは生兵法を振り回してそこらじゅうを傷つけてしまうお方のようですので珍獣観察的な意味では目が離せなくなりそう。
まあ親分の石破さんも昨日は
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/HJGXORFFNRJY3JEE7H7U7FAXJQ-2024-10-08/
金融政策は日銀に委ねられる、政策趣旨の丁寧な説明を期待=石破首相
By 竹本能文
2024年10月8日午後 2:54 GMT+9
『[東京 8日 ロイター] - 石破茂首相は8日、金融政策について、具体的な手法は日銀に委ねられるとの見方を改めて示した上で、「(日銀には)政策趣旨の丁寧な説明を期待する」と述べた。午後の参院本会議で、浅田均議員(日本維新の会・教育無償化を実現する会)の質問に答えた。』(上記URL先より、以下同様)
とかいうことになっていまして、最初の植田総裁との会談の後のコメントは何だったのかと小一時間なのですが、まあ個人の勝手な妄想を言わせてもらえば、石破さんちゃんと市場とか金融政策分かっているブレーンがいない(それ言い出したら高市さんなんてもっと悪いけどw)んでネーノと思ってしまう訳ですが、初動でこれだけやらかしてしまいますと、どっかの組織とかに知恵袋だしてくれって頼んだってどこもエースは出してくれなくなりますし、益々ヤバいことになるんですよね。いやもうなんだかねという所で。
しかしまあ何ですな。
『足元の日本経済はデフレ・インフレのどちらの状態にあるのかとの質問に対しては、「足元は消費者物価指数が緩やかに上昇しておりデフレではないが、再びデフレに戻ることはないと言える状況ではない」と答え、政府としてデフレ脱却に最優先で取り組む方針を繰り返した。』
この「再びデフレに戻ることはないと言える状況ではない」ってのさっき引用割愛しましたけれども赤澤さんも言ってますし、そもそも論としてしばらく前から政府が言い出して居ますけど、誰だよこの頭の悪いフレーズ考えたのはって話で、そんなの「経済がデフレに戻ることはない」なんて未来永劫言い切れないことなのに、この説明で堂々と押し通してしまうところに知性の劣化を感じざるを得ないので、もうちょっとまともな物の言い方をしてほしいのですが、それ以前にヘッドラインの物価が3%上昇とかいうのを2年とかやっていたような状況を捕まえて今更デフレがどうしたとかいうのが頭おかしいんですが、変な詭弁ばっかり上手くなっているのは黒田緩和の特に末期に日銀が詭弁を乱発しているのも何らかの影響があるんじゃないかって思ってしまいます。
でもってこの石破さんの「(日銀には)政策趣旨の丁寧な説明を期待する」ってのがこれまた頭の痛いところで、今の状況って植田総裁(および大本営)は自分たちが丁寧な説明を行っている、と信じている(その意味では善意の塊)のですが、実際にやっていることは説明の度にその時の説明に都合のよい要素をフレームアップして先行きの政策に関してスタンスがブレブレになる、というのを繰り返している訳で、「無能な働き者」を絵にかいたような説明しているんですが、石破さんなどにこう言われますと益々日銀が「働き者」を加速する未来しか見えませんな、ナムナム。
というただの悪態でした。
2024/10/08
〇短観に続いてさくらレポートでも企業行動のインフレモードが示されているように見えますが・・・・
さくらレポート全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer241007.pdf
各地域からみた景気の現状
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rera241007.pdf
この形式になってからずーーーーっと疑問何ですが、わざわざ「各地域から見た景気の現状」って分冊にする意味がよくわからなくて、本文にそのまま入れておけばいいだけじゃん、と思うのですが結局わざわざ分けた意味が良くワカランチ会長。
まあそれはともかくとして、各地域から見た景気の現状、のほうでは、
(URL再掲)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rera241007.pdf
『雇用・賃金面では、来年度の賃金設定について、構造的な人手不足のもと、最低賃金の引き上げもあって、賃上げを続けていく必要があるとの認識が企業の間で広がっているとの報告が多かった。』
ほうほう。
『また、その後も継続的な賃上げが必要になるとの考えから、その原資の確保に向けて、価格転嫁の実施・検討のほか、生産性向上のための投資強化や事業見直し、M&Aの動き等が喚起されてきていることが紹介された。』
ほうほうほうほう。
『ただし、中小企業を中心に、収益面の厳しさを指摘する企業の声は引き続き聞かれており、今後も注意してみていく必要があるとの指摘があった。』
まあでもこれって「価格が上昇する世界」によって発生するダイナミクスとしては甘受しないといけない話なんで、当事者としてはたまったもんじゃないのは重々承知する(ワイだってもう棺桶に片足突っ込んでいるようなもんだからウカウカしているとダイナミクスの波で沈んでしまう方の人ですからぬー)のですが、それは「マイルドインフレレジームの社会」のためにはコストとして割り切る話ですよね。まあ同じ理屈で利上げの時に住宅ローンガーとかゼロゼロ融資の債務負担で苦労している人ガーとか総裁会見で突っ込んでいるメディアはお前は何を言ってるんだという感想しか起きませんが。
すいません話が脱線しました。次行きます。
『企業の価格設定面では、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の動きは一段と緩やかになっているほか、消費者の節約志向の影響が引き続きみられるもとで、値上げの抑制や一部商品の値下げ、低価格の品揃え強化などの動きも増えてきているとの報告があった。』
普通に強いでやんすねえ。
『賃上げ原資の確保に向けた人件費の価格転嫁については、なお難しいとする企業の声はあるものの、サービス業などで、価格設定面での工夫などを図りながら転嫁を実施・検討する動きが引き続き広がっているほか、製造業についても、政府による後押しなどもあって、価格転嫁が進めやすい環境になってきているとの報告が多かった。』
しかしこの報告のダイジェスト版、ちょいちょい政府施策へのヨイショが入っていて、まあ日銀が何見て政策運営しているのか、ってのが支店長レベルにもちゃんと共有されて行ってヨイショコメントが入るんだなあ。と感心してしまいますわオホホホホホ。
というイヤミはともかくとして、こんなんどう見ても企業部門はインフレモード、って話にしかならんじゃないですかあああああというお話。全文の方でも、
(URL再掲)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer241007.pdf
『(3)企業等の主な声(トピック別)※』を見ますと、さっきのダイジェストの引用の時にかっ飛ばした個人消費からちゃんと見てみますとですね、
『@個人消費(インバウンド需要を含む)』
『・ 8月の宿泊者数は、日向灘における地震発生前の予約段階では前年を上回っていたが、実績は、同地震や台風
10 号によるキャンセルにより前年を下回って着地。もっとも、9月以降の予約は順調に埋まっており、需要は堅調(鹿児島[宿泊])。』
日向灘地震の栄養は一巡したとのことでそれは何よりでした。
『・ 高価格帯店舗ではインバウンド客を含む観光客の需要が旺盛であり、低価格帯店舗では地元客の普段使いの利用が好調(松本[飲食])。』
なるほど。
『・ 学生やファミリー層を中心に過去最高の客数を記録。特に若者の「推し活」需要は旺盛で、グッズなどの販売が好調なもと、客単価も上昇しており、レジャー施設での支出は惜しまない傾向がうかがわれる(本店[対個人サービス])。』
やべえ何でワイの体感と全然違う消費の話ばっかり出てくるんだ(=ワイが特殊事例だからwww)
『・ インバウンドの客数・単価ともにコロナ禍前を大きく上回っており、為替が幾分円高に進む中でも免税売上は好調が続く。国内客も富裕層を中心に堅調であり、株価が大きく変動する場面もあったが消費スタンスに変化はない(札幌[百貨店])。』
威勢が宜しいですな。
『・ ディスカウントストアやドラッグストアなどへの顧客の流出により来店客数が減少しており、消費者の節約志向の強まりを感じる(甲府[スーパー])。』
お、やっとワイの体感に合ったお話が(ソウジャナイ)。
『・ 南海トラフ地震への警戒感が高まり、お盆の帰省需要が減少した一方、水や保存食を中心に防災用品の需要が急増し、今夏の売上は前年を上回った(静岡[小売])。』
なるほど静岡ですもんね・・・・・・
『・ 一部車種の生産・出荷停止が解除されたことで、新車販売は回復傾向をたどっている(高松[自動車販売]<松山>)。』
『・ 消費者の節約志向は根強いものの、例年以上の猛暑によってエアコンの売上が増加。電気代の節約を意識した省エネモデルの売れ行きが好調(福岡[家電販売])。』
何ちゅうかこの威勢の良い話のオンパレード並べるのは何なのということで。
『・ ベア等での所得増加による消費の押し上げ効果をじわじわと感じている。ただし、高齢者比率の高い地域は、それ以外の地域と比べて売上が伸び悩んでいるなど、地域間でばらつきがみられている(北九州[スーパー])。』
「 ベア等での所得増加による消費の押し上げ効果」、「高齢者比率の高い地域は、それ以外の地域と比べて売上が伸び悩んでいる」・・・・・・うう頭が痛いorzorz
『・ 賃上げや夏季賞与の増加を受けて、若年層でも比較的高価格帯の車を購入するケースが増えている(秋田[自動車販売])。』
まじか!という話ですが、まあ将来の所得上昇期待というのがあればそういう昔みたいなことになるのかもですな。威勢の良い話ではあります。
・・・・・・とまあそんな話で消費強いですねのオンパレードなのですが、ここでちょっと時計を巻き戻して6月会合の主な意見を見直しますと
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240614.pdf
6月会合主な意見
『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』を見ますと、このころってやたらと個人消費の事を気にしていた(割には7月に堂々の利上げをした、というのが甚だ意味不明ですがそれはともかく)んですよね。まあ引用するとややこしくなるからワイの6/26の駄文(実は心を入れ替えて過去にさかのぼりながら過去ログを項目別整理を徐々にたっているのでその過程で読み直しをしているんでこれも思い出しましたが)にその辺のことをちょっと書いてあります。
でまあそうやって個人消費をやたら気にしていたはずの日銀ですが(最近は米国経済の下振れガーにゴールポストを動かしていますが)、これだけクソ強い消費の報告を見たら9月会合におけるドテン手のひら返しのハトハト転換は何だったのかという話になるんじゃないですかねえ、と思いました。
でもって日銀が一々言い出す「賃金と価格の好循環(そんなものは本来ないのだが)」ということで、『B雇用、賃金設定』を見ますと、
『・ 給与は同業他社と遜色ない水準にあるが、ネームバリューや執務環境の優れた他社への転職が相次いでおり、人手不足感がますます強まっている(金沢[化学])。』
Oh・・・・・・・
『・ コロナ禍明け以降の観光需要の回復により人手不足が深刻化したことから、採用を強化するため、給与を大幅に引き上げた結果、人材確保が進み、定着率も改善した。今後も積極的な賃上げによる人手の確保・係留を進める方針(函館[宿泊])。』
イイハナシダナー
『・ 新型車向け製品の売上が好調であることに加え、賃上げ原資の確保に向けた価格転嫁も少しずつ進んできたため、2024
年度は約4%の賃上げを行うとともに、夏季賞与も前年より増額した(仙台[非鉄金属])。』
しかし賃上げ原資の確保に向けた価格転嫁ってそれ普通に賃金価格スパイラルじゃんと思うのですが、今の日銀の理屈ではそれを是としているし何なら推奨しているのでシャーナイ。
『・ 人材係留の観点から来年度も持続的な賃上げが必要と考えており、価格転嫁や省人化投資等による生産性向上により原資をねん出する方針(松本[輸送用機械])。』
生産性向上の投資にも表れるとな。
『・ 最低賃金の引き上げを受け、今後も賃上げの継続が必要。利益率の高いプライベートブランド商品の比率を高めるほか
効率化により原資を確保する ( 本 店 [ス ーパー])。』
しかしまあ何ですな、こうやって「最低賃金が上がってしまったので賃上げ原資のために、ってことで価格転嫁ってことになると、政府は何のために物価高対策と言いながら最低賃金の引き上げをやるんだか全く意味が分からんという話にもなりますな。
『・ 収益環境は芳しくない状況にあるが、慢性的な人手不足の解消のため、ベア・賞与を含めて大きめの賃上げを行った
2024 年度に続き、2025 年度も同様の賃上げを実施せざるを得ないと考えている(北九州[小売])。』
こういうの見ると物価って下がらんだろうなあと思うわ。
『・ 継続的な賃上げの原資確保のためには、生産性の向上が必要不可欠と認識。こうしたもとで、シナジー効果によるグループ全体の生産性向上等を目的に、仕入先企業などの買収を行っている(鹿児島[卸売])。』
設備投資じゃなくて買収と来るか・・・・・
ってな訳で、賃金のところハチャメチャ強い話ばっかりですし、価格設定の方は・・・・・・
『C価格設定』
『・ 一部商材では仕入コストが引き続き上昇しているが、全体として上昇幅は縮小しており、それを受けて販売価格の上昇も緩やかになっている(本店[スーパー])。』
でも上昇はしているんですね。
『・ 為替円安は一服したものの、輸入原材料価格の上昇を幾分抑制する程度。現時点では、既往のコスト上昇分の3割程度しか価格転嫁できておらず、引き続き、他社の動向もみながら価格転嫁していく方針は変わらない(本店[食料品])。』
まだまだ価格転嫁しきれていないんですってよorzorz
『・ 毎週、特定の曜日に 65 歳以上の顧客を対象にした割引セールを行い、物価上昇のもとで節約志向が強まる年金受給者の需要を取り込んでいる(金沢[スーパー])。』
物価上昇のもとで節約志向が強まる高齢者・・・・うううう頭が痛い。
『・ 価格設定に関して、店舗ごとに需要動向を踏まえた値付けを実施しているほか、独自メニューも提供しており、地域の実情に応じた商品提供と価格設定を行うことで消費者からの支持獲得につながっている(岡山[飲食])。』
後学のためにぜひ具体的にどうなっているのか拝見したいですいやマジで。
『・ 人件費などのコスト増を転嫁する形で入場料を引き上げた。今後もコストの上昇傾向が続くため、コンテンツを拡充し、追加的な値上げを検討(新潟[観光施設])。』
まあこの手の施設は値上げ傾向強いですよね。
『・ 宿泊料金の引き上げがインバウンド需要に与える影響は軽微であることから、今後も値上げを継続していく方針(京都[宿泊])。』
インバウンドつええええええええええ
『・ 食材価格の上昇などから3年連続で値上げを行ったが、客足は落ち込んでいない。値上げの余地はまだあると感じており、競合他社の動向をうかがいつつ、慎重に進める計画(大阪[飲食])。』
マジかーーーーーー。
『・ 最低賃金の引き上げを踏まえ年末にかけて値上げを検討している。今後数年を見据えても、人手不足解消の見込みはなく、価格転嫁を継続する考え(本店[飲食])。』
飲食と観光関連がこれでは外食も国内旅行もできませんわって感じですが、それはワイだけの話で需要が落ちていないそうなので威勢が良いんですね。
『・ 競合メーカーとの価格競争が激しく、原材料や輸送費の価格転嫁はできても人件費の価格転嫁は難しい状況が続いている(鹿児島[電気機械])。』
『・ コスト上昇のしわ寄せが下請け企業に向けられないよう政府が旗振りをしているため、労務費も含めたコスト上昇分を、すべてではないものの、価格転嫁できている(水戸[窯業・土石])。』
最後のようにちょいと微妙なのが並んでいますが、こっちも威勢が良いにもほどがあるわけでして、まあ皆様景気のよろしいことでという話だし、これでむしろ10月政策調整しない方がオカシイわ、という話ではありますな本来的に言えば・・・・・・・・
2024/10/07
〇雇用統計でドル高になっちゃいましたが石破政権どう対応するのやらなどなど
・早速の円安進行でどういう話をしてくる(話をしないのを推奨だが)のかが楽しみですwww
https://jp.reuters.com/markets/us/IKAXLJRH6BPSNAGTXDWXSQTB2Q-2024-10-04/
NY外為市場=ドル一時149円台、雇用統計受け大幅利下げ観測後退
By ロイター編集
2024年10月5日午前 6:20 GMT+9
『[ニューヨーク 4日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではドルが上昇し、対円で一時149円台に乗せた。9月の米雇用統計が予想を大きく上回ったことで、連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退した。ドル/円は一時149.02円に上昇し、8月16日以来の高値を更新。日米金利差が縮まりにくいとの観測からドルは対円で上昇しており、週間ベースの上昇率は2009年以来の大きさとなる見通し。』
『米労働省発表の9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比25万4000人増で予想(14万人増)を大幅に上回り、過去6カ月で最大の伸びとなった。失業率は4.1%で、前月の4.2%から低下した。
』(以上上記URL先より)
ということで大変に素敵な展開になっておられるのですが、何ぼアメリカのせいと言いましても、その前に赤澤、石破、植田と揃いも揃って利上げしませんよ発言をしてお墨付き与えてしまった訳でしてすが、150円超えの円安とかになって来た日にはこの前の介入だの利上げの効果を使い果たす感じになってきますがな、ということで為替円安を見てまたアワアワしだしたら石破さんやばいわ、と思うのですがアワアワする方に1万アルゼンチンペソといったところだったりもします。
でまあそうやってアワアワしだすと、市場というのはとにかく嗜虐的でありますからして、政権が困るように困るようにと動くようになって、益々地獄を見る、ということになるのですけれども林官房長官に期待するしかないですし、赤澤大臣におかれましてはハッスルしているところ甚だ恐縮ではございますが、しばらく黙っていることをお勧めしたいですな。
・スタートでロケットスタートただし方向が真逆、というのを立て直しにかかってきましたかね(公認問題)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024100600225&g=pol
旧安倍派幹部ら非公認へ 衆院選、少なくとも6人―自民
時事通信 政治部2024年10月06日19時17分配信
『石破茂首相(自民党総裁)は6日、派閥裏金事件に関し、4月に党処分を受けた一部議員を衆院選(15日公示、27日投開票)で非公認とする方針を表明した。旧安倍派の萩生田光一元政調会長ら少なくとも6人が対象となる見通し。政治資金収支報告書に不記載があった全議員に小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない考えも明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)
公認するし重複認めるとかいう報道が出ててさすがにやべえだろと思ってたら、案の定世の中的にもフルボッコにされて方針変えたのか元の話が観測気球だったのか知らんけど、まあ立て直し立て直し。
『党執行部は当初、各都道府県連からの申請を踏まえ「裏金議員」を原則公認する方向だったが、世論の反発を考慮して方針を転換した。非公認は4月の党処分を基準とし、「選挙における非公認」より重い「党員資格停止」を受けた旧安倍派幹部の下村博文元政調会長、西村康稔元経済産業相、高木毅元国対委員長が対象となる。』
ということですが、まあここで刺客を立てれば小泉純一郎なのですが、そこまでしないんでしたらそれなりに実力者は当選してきて結局元鞘になるのかもしれませんけど、まあこれで選挙後もワチャワチャしそうではありますな。
しかしまあ何ですな、
https://news.yahoo.co.jp/articles/a25230dbe7d2d20b788c2e82c7a83dd6684ba582
自民、「裏金議員」原則公認へ 衆院選で比例重複も容認、首相方針
10/3(木) 20:59配信
『石破茂首相(自民党総裁)は、派閥の裏金事件で処分を受けた議員らについて、次期衆院選で原則公認する方針を固めた。都道府県連の申請を受けて公認していく考えで、小選挙区の公認候補は比例代表との重複立候補も認める。』(上記URL先より)
ってのは結局飛ばしだったのか石破さんがビビってこの方針を切り替えたのか、はたまた石破さんがわざと朝日新聞にこの話を流して記事にさせることによって「ほら世論の反発が凄まじいじゃないですか」と説明するための罠だったのか、まあ何が何やらさっぱりわかりませんけれども、マーケットとの対話が右往左往しているのを見ると観測気球とかいう策士じゃなくて単にふらふらしているだけのようにも見えてなんか判断付きかねますな。
でもこれで少しは頽勢に歯止め掛けられるかと思う訳で、首班指名→即解散総選挙→クソぼろ負けして退陣、という流れで憲政史上初の面白事案の可能性は低下していただきまして誠に結構なことではあろうかと存じますが、とにかく緊張感をもっていただきたいもんですな、という雑談でした。
〇おそくなりましたが短観私家版チェック:まあ普通に「企業部門は強くてオントラック」ですよね
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2409.pdf
短 観(概要)―2024年9月―
第202回 全国企業短期経済観測調査
< 回 答 期 間 > 8月27日 〜 9月30日
・業況判断DI:今回も強くて前回が見通し対比強くて今回も見通し対比強いんですよね(しかも今回は上昇)
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +13→+14 +13→+14
製造業中堅企業 +8→+7 +8→+9
製造業中小企業 ▲1→+0 +0→+0
非製造業大企業 +33→+27 +34→+28
非製造業中堅企業 +22→+16 +23→+16
非製造業中小企業 +12→+8 +14→+11
(前回7/2に書いた駄文から)
でまあそういう意味で「数字は前回から下がったけど内容的には強いんじゃね」という前回の見通しを達成(中小製造業除く)した上に水準も前回より強いってんですからこれはまあ文句なしに強いのですな。
ただまあここで突発性中村審議委員になってみた場合、製造業の中堅以下がそこまで強いわけでもない、というのが思いっきり気になってしまいまして、これを見て中村審議委員が「中小企業も含めて企業部門に死角なし(だから政策修正バンバンOKOK)」とはならないんじゃないかなーって思うので、その点ではうーんと唸ってしまいます。
まあ全体的に見ればクソ強いのはクソ強いというか、そもそも企業部門はここもとずーっとクソ強くて、一方で物価上がって家計部門が弱いってんですからそれを確認したという話ではありますが。
(ここまで7/2に書いた駄文)
今回ですけど、製造業大企業以外は「前回の見通し対比で現状DIが上振れ」だし、何なら非製造業がめちゃめちゃ強いですね、という感じですし、これ前々回も前回も見通し対比強い(前々回はそうは言ってもその前対比では下がっていたけど前回は上昇で今回も上昇)という流れでして、毎度毎度強いということで企業部門は強いし「オントラック」にも程がある世界。
・企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、と前回書いたがさらに堅調
販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%
3年後 9月:3.8%→12月:3.8%→3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%
5年後 9月:4.2%→12月:4.3%→3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%
大 企 業 製 造 業
1年後 9月:3.2%→12月:3.0%→3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%
3年後 9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%
5年後 9月:3.2%→12月:3.1%→3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%
大 企 業 非製造業
1年後 9月:1.9%→12月:2.1%→3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%
3年後 9月:2.4%→12月:2.6%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%(前回分3.1→3.0)
5年後 9月:2.8%→12月:2.9%→3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%
(前回7/2に書いた駄文から)
ちょwwwwwwwおまえらwwwwwwまた上昇しとるやないかwwwwwwwww
って3月短観で書いたのですが、なんか上昇加速してるじゃんということで、しょみーんの財布には1ミリも優しくない訳ですが、それはおどれがてーして給料も上がらん程度の無能だから仕方ないんですねわかります。
てかさ、そういう実質ベースの調整がしやすくなるのがインフレレジームのメリットだということを勘案しますと、そもそも論として実質賃金のプラスとか好循環とかいうのがインフレ目標政策で掲げられていることが頭おかしいとしか言いようが無いわけで、これ言い出した黒田は罪万死に値するし、それを否定するどころかさらに拡大再生産している植田は地獄の火の中に投げ込まれるべきという話になりますわな。
(前回7/2に書いた駄文から)
いやーもう前回7/2だから円安が160円に乗っかって来てたのでエライ怒り狂っておりますがwwwwwww
前々回も強くて、前回強いじゃんってなっている訳ですが、これ円安修正になった今回の時間帯(8/27〜9/30)になるのですが、円安修正されても販売価格見通し碌すっぽ下がっとらんやんけ、何なら非製造業維持&プラスじゃんということで、企業部門の価格設定は強いでございますことよ、という感じですな。
・企業の物価全般見通しですがこういうのは「インフレ期待が2%にアンカーされている」と言わんのか???(って毎回書いてる)
物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.6%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%
3年後 9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%
5年後 9月:2.0%→12月:2.0%→3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%
中小企業 製 造 業
1年後 9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%
3年後 9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%
5年後 9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%
中小企業 非製造業
1年後 9月:2.7%→12月:2.8%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%
5年後 9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%
(3月短観時のコメントはこちら)
これさあ、もう完全に「安定期」に入ってるじゃんという話でして、これでなんで期待インフレがまだ2%に行ってない!とか言い切るわけあのハトハトチキンジジイは、というお話な訳ですけど・・・・・・・(ちなみにハトハトチキンちゃん頼みの物価連動国債のBEIが足元ツエツエ蠅なのは先ほど申し上げた通りですw)。
(ここまで3月短観時のコメント)
(でもって6月短観時のコメントはこちらでしてですね)
って3月短観の時にも書いた(というか上記小見出しがそもそも前回と同じw)のですが、これでなんでインフレ期待が2%じゃないって言い張っているのかが全く意味がわからなくて、この物価上昇局面で完璧なまでに外しまくってもうお前ら全員退場しろとしか言いようが無いESPフォーキャストとかいうポンコツサーベイ持ち出して説明するのいい加減止めてくれませんかねえ。
ちなみに物価連動国債のBEIはなんだか知らんけど月末月初の2日で突如下がってしまったのですが、それでも10年カレントで150とかなんで、たしかにまあ200じゃないけどこれが200行ってないから市場の織り込むインフレ期待が2%にアンカーされていないというのは話に無理があるんじゃねえのとは思いますけどね。
(6月短観時のコメントはここまで)
ということで今回ですが、もうこれどこからどう見ても「企業のインフレ期待は2%でアンカーされている」としか言いようが無い筈なんですけれども、なんでいつまでたっても物価行ってないって話になるのやら、という感じであります。なお物価連動国債ちゃんのBEIは株式市場がウニョウニョしているせいなのか、はたまた海外のインフレ鎮静化モードのせいなのか知らんですけれども、10年カレントBEIで直近120近辺になっているんですよね〜。
・販売価格判断:販売価格判断下がっていますが仕入価格判断はそれ以上に低下と
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +29→+27 +26→+26
製造業中小企業 +30→+37 +29→+32
非製造業大企業 +29→+30 +29→+30
非製造業中小企業 +28→+33 +28→+33
・仕入価格判断
(6月短観) (9月短観)
現状→6月予測 現状→12月予測
製造業大企業 +47→+44 +41→+39
製造業中小企業 +61→+62 +57→+56
非製造業大企業 +47→+46 +46→+44
非製造業中小企業 +55→+58 +53→+55
(6月短観の時のコメント)
これね、前回はノルム変化とか申し上げていましたが、仕入判断が前回対比上がって販売判断が前回対比上がっている訳でして、ノルムとかそんなぬるいものではなくて、ただの輸入価格コストプッシュの前向き(全然前向きじゃないけど)循環メカニズムがワークしているようにしか見えませんし、足許では財務省や内閣府からも苦情の出る驚異の馬鹿コミュニケーションによって一段と円安になっている訳でして、いやマジでこれどうするの。(ここまで6月短観の時のコメント)
今回って販売価格判断が前回比下がっているのですが、仕入価格判断はそれ以上に下がっているので、結局のところ強いじゃんというお話に見えます。つまり結局強いということで。
・雇用判断DI:前回は中堅中小が悪化していましたが今回は前回並みから若干強い
(6月短観) (9月短観)
現状→9月予測 現状→12月予測
製造業大企業 ▲18→▲18 ▲19→▲22
製造業中堅企業 ▲23→▲28 ▲23→▲28
製造業中小企業 ▲23→▲31 ▲23→▲30
非製造業大企業 ▲39→▲38 ▲39→▲39
非製造業中堅企業 ▲46→▲49 ▲45→▲48
非製造業中小企業 ▲45→▲51 ▲47→▲52
(6月短観時のコメント)
ということでして、まあ水準自体強いのはいつもの通りなのですが、これ気になるのは「現状判断DIを前回対比で見た場合」ですけど、大企業はマイナス幅拡大=雇用不足感の拡大になっているのですが、それこそ中村審議委員(たぶん他にもハト系の人でいると思うんだが)が注目する中小企業に関しては、中堅以下が地味に前回対比でマイナス幅が縮小=雇用不足感の縮小になっているのが地味に痛くて、これはチキン総裁がチキンの理由にしたくなるのに絶好の展開。
(6月短観時のコメントここまで)
などと6月短観の時に書きましたが、今回は普通に前回対比強い(マイナスが大きい)ということで、雇用判断DIは強いってえことでよろしいかと思います。
・その他
想定為替レート
(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)
2024年度 米ドル円
2024年3月調査:通期 141.42 上期 141.60 下期 141.25
2024年6月調査:通期 144.77 上期 144.96 下期 144.59
2024年9月調査:通期 145.15 上期 146.00 下期 144.31
9月短観でもまあ普通に円安が前回対比で進んでしますね。
設備投資計画
・・・・・はグラフの方を見る話になるのでこっちには貼れない(スキルがない)のですが、こちらもまあ堅調なんすかね。
でですね、これが7月2日に書いた駄文で、7月末は結局利上げしているのですが・・・・・・・・
(6月短観時のコメントから)
アタクシこのへんただ門前の小僧としてみているだけなのであれなんですけど、この数字だと強いには強いのでしょうけれども、政策修正慎重派の腰をあげさせるほど強いのかというと、「企業部門が強い」ってのはそもそも論としてメインシナリオのど真ん中に鎮座している話だと思われますので、そういう意味ではただの「見通し通りに推移しておりますなあ」だけで短観一発で7月利上げまでセットで打ち込んでくださるのはちょっと力不足かなとは思ったのですがどうでしょうか。
まあその前に円安がちまちまと進行しておられる次第なのでそっちのせいで云々というのは大有りだし、何なら神田大明神最後のご奉公でちょっとハトハトチキンをシバキ上げて輪番大減額と0.25%への利上げを飲ませてから退任していただけると誠にありがたいのですがwww
(6月短観時のコメントここまで)
って自分で書いているのが中々恥ずかしい(金融政策の読み筋が外れているから)のですが、まあこの時は正直7月利上げまで行くとは思っていなくて精々7月予告ホームラン9月利上げで見ていたのですが、折から円安がバンバン進行して(6月終わりに160円突破した)このまま決定会合まで持つんでしょうか、って感じになってきていた時ですよね。
でまあ今回ですけれども、短観が全体的にクソ強いわけでして、少なくとも企業部門に関して言えばオントラックもオントラックで、こんなに順調に推移しているんだったら金融緩和の度合いを調整しない方がおかしいわ、という世界になるわけですな。
今月の決定会合は総選挙の結果が出た直後に近いタイミングだし米国大統領選挙もありますから動けん、というのはまあ理解するんですけど(本来はそんなの関係ないんですけどね)、この流れですと10月会合でまたまた12月1月に向けて威勢の良いこと言い出しそうだし、円安も進んでいるから決定会合の時の位置次第では円安牽制もかねてかなり威勢の良いことを言っても不思議ではない、ということになってしまいました。じゃあそうなるかと言いますと、7月会合で威勢の良い発言→8月頭に火消というよりも逆方向に思いっきり舵を切る株式市場従属宣言→8月後半は直前の株式降参を中和気味に推移→9月決定会合で思いっきりハトハトに舵を切る→10月会合では・・・・、ということで、10月会合で今度は普通に12月1月とかに政策調整をするのを排除しないみたいな話をおっぱじめると、また日銀はブレた、と見なされてしまって市場との対話が成立しなくなる(今でもかなり成立していないけど)のですが、まあ「丁寧な説明」とやらを見せて貰おうじゃないの、といったところで楽しみにしております。
12月短観は12月の半ばに出てくるのですが、12月短観も強かったらまさに12月1月なんもしない言い訳どうするのという話だし、オントラックなら政策調整って言ってるんだからそもそも論として10月だって政策修正しない理由は何なんですかってな話になるんですよね、さて12月短観の時にこの駄コメントを見てどういう思いになるのでしょうかアタクシはw
2024/10/04
〇なんかいろいろと政治方面カオスですなあ(林長官火消し発言や総選挙関連雑メモ)
・林官房長官火消しモードでご苦労なことです
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/W56VILJUFRJ7NFBYMKTOVSUZWE-2024-10-03/
首相は日銀総裁に具体的な要請していない=金融政策で官房長官
By ロイター編集
2024年10月3日午前 11:14 GMT+9
「石破発言で円安進行」ってなっちゃいましたからそら火消しないと、って感じですが、そもそも論としてその前の赤澤おしゃべり大臣がダメでしょ。呼び出して説教した方が良いと思いますが。
『[東京 3日 ロイター] - 林芳正官房長官は3日の臨時閣議後の会見で、石破茂首相が2日夜に日銀の追加利上げに慎重な発言をしたことに関連し、先立って行われた植田和男日銀総裁との会談では「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるべきとしており、植田総裁も首相から金融政策について具体的にこうしてほしいという話はなかったと述べたと承知している」と語った。
石破首相は2日夜、金融政策について「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と述べた。林官房長官は、首相が金融政策の在り方に異例の言及をしたことへの受け止めを問われた。』(上記URL先より)
記事が短いので全文引用になって申し訳ないのですが、そら火消ししますわという所ですが、火消ししても最早綸言汗の如しとはこの事でもう円安お墨付き頂きましたってなもんで、今日もアメリカン金利上昇のせいではあるけど147円ちかくは維持していますし、この調子で150円乗ってきて今度は円安牽制しだすともはや醜態なんてもんじゃない訳で、スタートダッシュに失敗どころが逆噴射して3週間にマイナスのモメンタムになったらエライコッチャなんですけど大丈夫かよという感じですな。
・おしゃべり大臣なんか舞い上がっているんでしょうかね
これはクソワロタ。こんな感じだったのか
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241002-OYT1T50159/
初入閣の赤沢経済再生相「冷や飯の本を書こうかと思っていたが、突然狂い咲きになった」
2024/10/02 20:54
『訓示では、首相が5回目の総裁選挑戦で勝利し、自身も初入閣に至ったことを念頭に、「『冷や飯のおいしい食べ方』との本を書こうかと思っていたが、突然狂い咲きになった」と述べ、職員の笑いを誘った。』(上記URL先より)
・・・・・どう見ても浮かれポンチです本当にありがとうございましたorzorz
・総選挙ネタと言えば前原さん・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241003/k10014599661000.html
教育 前原代表ら衆参の議員4人が維新に合流へ
2024年10月3日 18時52分
これはこれはキングボンビー前原さんじゃないですかお久しぶりで、というところですが、前原大先生と言えば永田メール事件とか小池百合子新党とか、肝心なところの二択で悉く外れを引くという凄まじいまでの政界の曲げ師という印象しかないのですが、そんなお方が維新に合流っていうのが何ともなのですが、さらにビビったのは合流するメンツの中に元滋賀県知事の嘉田由紀子さんがおいでになっていることでして、いやもともとの政治志向って維新の対極みたいな方じゃなかったでしたっけどういう風の吹き回しよ、と思ってしまいました。
・しかし支持率のスタートダッシュどころか逆噴射が開始されているようでどう見てもこれは懸念されますな
1日2日に実施したものですと
https://www.asahi.com/articles/ASSB2323ZSB2UZPS001M.html
石破新内閣「支持する」46% 組閣受け 朝日新聞世論調査
有料記事
2024年10月2日 20時46分
『石破茂内閣の発足を受け、朝日新聞社は10月1、2日、全国世論調査(電話)を実施した。内閣支持率は46%で、不支持率は30%だった。現行方式で調査を始めた2001年の小泉純一郎内閣以降、発足直後の内閣支持率としては、岸田文雄内閣の45%に次いで、2番目に低かった。一方、不支持率は、麻生太郎内閣の36%に次ぎ、2番目に高かった。』(上記URL先より)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d18be5f56de6b7a90025301a0b539f3a05a0e745
石破内閣、支持率50.7% 裏金議員公認、75%が否定的
10/2(水) 19:45配信
『共同通信社が石破内閣発足を受け1、2両日に実施した全国緊急電話世論調査で、内閣支持率は50.7%となった。不支持率は28.9%だった。』
『調査手法が異なるため単純比較はできないが、最近の内閣発足時の支持率は、21年10月の岸田内閣が55.7%、20年9月の菅内閣が66.4%、12年12月の第2次安倍内閣が62.0%。』(以上上記URL先より)
あと読売のがあったと思いますがかっ飛ばしまして(過去との比較の話が無かったから)何気に毎日が3日に調査したのがあって、
https://mainichi.jp/articles/20241003/k00/00m/010/154000c
石破内閣支持率46%、不支持率は37% 毎日新聞世論調査
速報
毎日新聞
2024/10/3 16:55(最終更新 10/3 21:35)
290文字
『毎日新聞と社会調査研究センターは3日、石破内閣発足を受けた緊急の全国世論調査を実施した。内閣支持率は46%、不支持率は37%だった。』(上記URL先より)
ってまあ支持率は各社横比較してもしょうがなくて(数字の出方に傾向がある、別に偏向とかではない)時系列でみないといけないのでこれを貼ってもしゃーなし説は大有りなのですがまあそこはさておきますが、これ面白そうだから各社週末に再度世論調査してくれると嬉しいんですけどね。
何ですかねえ、短期決戦で選挙に突入なんですが、折角「石破さんなら変えてくれる」って期待が(自民党内は知らんけど国民的には)あったわけなのですが、石破さんになって何か機軸を出してくれるもんだと思ったら「岸田政権の継承」とか言ってしまって、そもそも岸田が人気皆無で首ちょんぱになったんですから継承を標榜してどうするんだよというお話(いやまあ岸田さんの政策に関してアタクシも高評価するにやぶさかではない面は多々あると思うけどさ)な訳ですがな。
まあ石破さん的には選挙でマジノ線突破されなければ(よくわからんけど連立過半数確保くらいがマジノ線でしょ)その後は適当に石破アンチも落選してくれるからそこで石破カラーを出していこうって事なのかもしれませんけど、この政権寄り付きからの価格下落モメンタムがちょっと勢いつきかけている感がプンプン漂う訳でして、3週間の間に急落したらどうするんだよと頭が痛くなってきている今日この頃です。
という与太話メモで恐縮でした。
2024/10/03
おや、ドル円ちゃんのようすが・・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
『直近の取引
146.46 JPY
変化 2.89
+2.01%
2024年10月3日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています』
(これはアタクシが上記URLの画面を朝の時点で見たときの数値ですのでよろしゅう)
〇選挙なので「石破ショック」と言われたことが相当堪えたようですがビビりで円安再襲来ですかね
昨日は早速植田さんと石破さんの会談がありましたが・・・・・・
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-02/SKPX6CT1UM0W00
「現在、追加利上げするような環境にない」と石破首相−日銀と連携確認
萩原ゆき、照喜納明美
2024年10月2日 17:09 JST 更新日時 2024年10月2日 20:50 JST
→これから先も緩和基調維持しながら経済は持続的に発展へ−石破首相
→極めて緩和的な状態でわが国経済をしっかり支えていく−植田総裁
・・・・・・・これは円安OKOKの号砲ですねわかります。
・石破ショックと言われているのにビビるところは植田ショックと言われてベタ降りした日銀にお似合いのコンビですね
『石破首相は、政策金利の引き上げに関して「政府としてあれこれ指図をする立場ではない」としながらも、「個人的には現在そのような環境にあるとは思っていない。追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と語った。』(上記URL先より、以下同様)
ということで石破さんのご高説が続きますが、
『「これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展していく」とし、植田総裁には「デフレの脱却に向けてこれから先経済が推移していくことを期待している」と伝えたという。「市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。このために互いに緊密に連携するということを確認をした」とも説明した。』
>市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。
>市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。
>市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。
あーあーあーあーあ。
この「市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。」ってのが明らかに「石破ショック」と言われたことにビビってるというのが伝わるわけでして、8月の頭の「植田ショック(実はその前の緩和のやりすぎの巻き戻しに過ぎない)」にビビってベタ降りハトハト宣言をおっぱじめた植田日銀とお似合いとしか言いようが無くて、岸田さんはここまでビビっていなかったというのを踏まえますと、この石破政権相当のビビりでして、おまけに植田日銀がご案内の通りで外部環境でフラフラ振れる上に株式市場の値動きにすぐビビる、ときておりますので、どう見てもヘイヘイピッチャービビってるよビビってるよーとヤジを飛ばされながら6打者連続四球とか出してバンバン失点しそうで今から楽しみになってまいりました(全然楽しくはないけど)。
でまあこの人たち皆そろって「わかっとらん」と思うのですが、まあそうは言っても石破さんの本来の主張からすればこの「現在そのような環境にあるとは思っていない。追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」で述べている「現在」っていうのはガチの現在の事を意味していて、12月1月というのは「現在」と思っていないんじゃなかろうか、と思われるんですよ。まあこれは植田総裁(次に出てきます)もその辺同じなんですけどね。
でもね、市場ってのはこうやって「現在」って言われたら少なくとも12月1月の決定会合の辺りまでは「現在」のカテゴリーとして読んでしまうし、何なら来年3月4月の利上げだって怪しいというお話になってなんら不思議じゃない訳ですな。
まあ今朝のFXは米金利上昇とかもあるし中東情勢もあるし何がドル高円安に振ったのかは知らんけど、石破植田ラインがまるで追加の政策調整をやりたがらない、というのを盛大に示しているのも効いていると思うんですが、これで順調にドル円ちゃんが150円を再度抜けてきたらお前らどうするんだろうなと大変に楽しそうな展開になってきてまいりましたな。
ということで、これ丁度昨日ネタにした9月決定会合主な意見のコミュニケーションの中にあったけど、『長らく利上げを行っていなかったこともあり、言葉に対する日本銀行と市場の共通理解が薄れてしまっている面がある。市場とのずれが生じない発信、ずれが生じた場合の適時の修正等、コミュニケーションの改善に努めるべきである。』(2024年9月決定会合主な意見より)って指摘はこれ誰がしたのか存じませんけどイイシテキダナーとしか言いようが無いわけで、日銀の説明もそうなのですけれども、石破さんまで伝染してしまって、石破さんは確かに「現在」としか言っていないから12月会合のことについて決め打ちしているつもりはないのかもしれませんが、この言い方をして12月に日銀が利上げして政府もスルーしたら市場から見たら嘘つきって評価(現に4月にハトハト発信をして7月に利上げしたらサプライズ扱いになったんですからねー)される、というのをどうもお分かりではなく、単に足元で「石破は利上げ容認」と言われているのを中和したくて言っただけに見えますけど、まあやっちまいましたなということでして、今の日銀や政府回りってこの辺の感覚がダメダメにも程がありますな。
・植田さんはいつものように「見極める時間は十分にある」のハトハト音頭を踊っていますね
でもって記事後半の植田さんですがこれはいつものハトハトチキン植田のハトハト音頭が炸裂してまして、
『植田総裁は金融政策について、「極めて緩和的な状態でわが国経済をしっかり支えていく」との考えを示した。経済・物価の見通しが日銀の見通し通り実現し、見通しに沿って経済が動けば「金融緩和度合いを調整していくことになるが、本当にそうかどうかを見極めるための時間は十分ある」と述べた。』
まあこれは9月20日のMPM会見や24日の講演でも強調していたので今更のサプライズは無いのですけれども、石破さんはまだ「現在」と断っているだけ少しはマシなのですが、植田さんの場合は何せこの通り「見極めるための時間は十分ある」ということで、まあ要するにイナフタイムがあるという話になりますと、そりゃもうこれで12月1月に「見極めたので利上げします」とか言ったら「このウソツキジジイまた嘘をつきやがったな」と市場がさらに大反乱しても知らんぞってなもんでありまして、まあこの植田総裁のウソツキジジイコミュニケーションに関しては円債市場は何回か虐殺されているのでもはや話半分に聞いておくのが吉ということで、既にコミュニケーションにすらなっていませんけれども、そりゃまあ株式市場の人たちとか海外投資家さんとかは、中銀トップの言ってることですから額面通りに受け止めるのは止むを得ませんな。
ということで「時間は十分にある」っていうのですが、植田さんにしてみればこれは「10月の政策変更はありません」って意味で言っているようには過去のウソツキジジイ(なお本人は嘘ついたという意識は無くて、市場が真意を誤解曲解しているので甚だ遺憾としか思っていないと存じます)ぶりを勘案すれば、12月1月の政策変更を排除したものではない、と取る方が安全なのですが、まあ普通この文脈をみたら、来年の春先までは追加利上げ全然ないじゃんというコミュニケーションに捉える方が当たり前な訳でして、そもそも論としてこいつら揃いも揃って市場との対話できないんだから端から開き直った方が良いんじゃないのと思ってしまいました。
〇おしゃべり大臣今日も行く(赤澤経済再生相)
昨日も言ってたようですね
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241002/k10014598651000.html
赤澤経済再生相 “日銀との連携維持 利上げは慎重に判断を”
2024年10月2日 16時58分
『赤澤経済再生担当大臣は2日、就任後初めてとなる記者会見で、デフレの脱却などを目指して2013年に政府と日銀が出した「共同声明」を維持する考えを示し、「政策目標を共有してこれを基に必要な政策を遂行してきて経済・物価は着実に改善している認識だ。共同声明は非常に重要な役割を果たしている」と述べました。』(上記URL先より、以下同様)
えーっとすいません、日銀の方の2%物価安定目標達成は指呼の間だと思うのですが、あんたらに課せられている『また、政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。』(2013年1月の共同声明「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」から)っての全然達成できてないどころか隙あらばバラマキばっかりしているんですけど何が「非常に重要な役割を果たしてる」じゃ顔洗って出直してこいってもんですな。
まあそれはともかくとして、
『一方、今後の金融政策について赤澤大臣は、具体的な手段は日銀に委ねられるとしたうえで、「物価以上に賃金が上がっていくことに確信を持ってもらえないと、本格的にデフレから抜けることができたとは思えないので、私はかなり慎重に考えるべきだと思っていて総理も同じ考えだ」と述べ、日銀の利上げは慎重に判断されるべきという考えを示しました。』
とのお告げですが、現在の金融緩和状況ってのは日銀曰くで実質金利が大幅なマイナスで推移するという超緩和政策を継続している訳ですが、この政策って基本的に「物価を押し上げよう」として実施しているのですから、「物価以上に賃金が上がらないといかん」みたいな話をしたら、それは利上げを慎重に判断というのはおかしな話でして、本来であれば「物価の押し上げ効果を適正にコントロールしつつ適切な規模の金融緩和を継続しろ」という話になるのですから、緩和度合いの調整に関しては状況を的確に見極めて機動的に実施すべき、という話にならないと理屈がおかしいのですが、なぜか今の金融緩和政策は物価の押し上げよりも賃金の押し上げの効果の方が大きい、という幻想的な思考をしておられる模様で、なんか物凄い説明になっているのが面白すぎてこれは継続観察が欠かせないかもしれませんな。いやはやなんとも。
まあこれも実は単純にさっきの石破さんと同じくで、「石破ショック」と言われた動きにビビってそれを中和しようとしてハッスルした結果ハッスルのし過ぎになっているだけという気もしないでもないのですが、いずれにしても赤澤さん、なんかいわゆるゼークトの組織論(ということにされているだけで本当はゼークトそんなこと言ってなくて他の方のお話だそうですけど)に出てくる(内務省検閲)にならないようにご注意いただきたいものだと存じますが、このおしゃべりっぷりはなかなか面白そうですね。
・・・・・すいませんネタが渋滞しているのについうっかり世間話をw
〇7月決定会合議事要旨での話だが先行きの金利政策の部分が9月に合わせにいって会見と齟齬がある気がしますけど
すいません月曜にネタにした7月会合議事要旨の続きです
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240731.pdf
政策委員会
金融政策決定会合
議事要旨
(2024年7月30、31日開催分)
月曜は米国経済に関する部分を主に見て、何でこのトーンの議論をしていたのに9月会合後の植田総裁の会見では「米国経済下振れリスクガー」の連呼になっていたのか、という話をした訳ですが、何のことはない9月会合主な意見を拝読しました結果、昨日ネタにしましたように、そもそも政策委員会が全般的に「米国経済下振れガー」の連呼になっていた、というのが確認できた訳ですが、利上げの決定と先行きの金融政策に関する部分でではじゃあどういう話になっていましたか、ってな訳で確認をしておきましょうという企画です。
『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』
その前に国債買入減額の話にツッコミを
・日銀の国債買入減額を「事実上の歴史的な国債大量発行」という言説に対するツッコミがあった件
『まず、委員は、長期国債買入れの減額計画について議論した。』
から始まるところですが、なんか間の抜けた意見がありまして、
『また、別の委員は、債券市場参加者会合では減額に対する見方には相応にばらつきがみられており、予想形成が一方向に偏ることによる市場の混乱のリスクは高くないと指摘したうえで、こうした状況では、国債買入れの減額は緩やかなペースで着実に実施していくことが望ましいと述べた。』
えーっとすいません、予想がばらけていて市場の混乱のリスクが高くないんだったら本来望ましいのは国債買入をより大きく減額することなんですから、大きなペースで減額すればいいんじゃないですかねえ何言ってるんだこの人は、と思いましたがこれは前座でこの直後にメインイベントがあります。
『具体的な減額幅について、一人の委員は、仮に国債買入れの減額を市中への国債供給の増加という点で新規発行と同等と捉えると、今回の減額により、歴史的にも有数の大量発行局面を迎えるとも捉えられると指摘した。』
まあ誰なのかは皆様もご案内と思うのですが、これに対してこの指摘がありまして。
『この点に関連し、ある委員は、新規国債の発行と異なり、国債買入れの減額は金融機関の保有する日本銀行当座預金の減少を伴うものであり、金融機関は負債を一定とすればその分、何かの資産を購入することになる
---その意味で、資金面ではニュートラル ---と指摘した。』
この書き方、まとめ方が微妙に悪いので微妙になっていますけど、まあそもそも論として超過準備が死ぬほどある状態で、その超過準備を日銀当座預金付利によって実質不胎化しているのですから、この付利付き当座預金が減少したからと言って、超過準備が死ぬほどある状態は変わっていないので、実質的にはニュートラルになるんですよね。もちろんこの不胎化した超過準備がマネタリーベース直線一気理論でインフレ期待に効くとかいうような幻想的な思考をお持ちの方にとっては違う話になりますがwww
なお、この委員は、
『そのうえで、この委員は、金融機関のリスクテイク余力という観点からは、国債買入れの減額を進めると、当面は問題ないとみられるが、先行き国債の買い手不足が意識される可能性もありうると述べた。』
ということは補足しています。
・「消化能力を超えた国債発行を日銀がファイナンスする」というのを前提にした話をしているのは中銀として如何なものか
それからですね、この直後に別の方々が、
『一人の委員は、金融規制などを前提とすると、執行部案を大幅に上回るペースで減額を行うと、市場のリスクテイク余力の低下から金利上昇圧力が強まり、減額計画が強い金融引き締め効果をもたらすリスクがあると指摘した。』
『別の委員は、国債買入れの減額計画の目的は、あくまでも市場領域の回復であり、金融引き締めにあるのではないとの見解を示した。』
と言ってて、これ一見もっともらしいのですが、そもそも論として消化能力を超えて国債を発行しているのであれば、そのこと自体が凶悪な害悪なのであって、それを日銀の買入で補うという発想そのものが財政ファイナンスということで、まさに悪性インフレを招く話になるわけでして、中央銀行がこういうことを顧慮している、というだけでも本来は格下げもんだと思うのですが、まあ緩和ジャンキーで頭おかしくなっているのが世の中の風潮なので、幸いにも(幸いじゃないけど)スルーされているのですが、中銀は中銀らしく筋を通したうえで「でも現実問題として」というのならわかるのですが、この人たちその筋論言ってるのか言ってないのか謎、というか多分分かってないんじゃないかという感じがするので甚だ頭が痛いわけですな。
・しかし先行きの金融政策運営でこの話をしていたら何で会見の時にあんなに威勢がよかったんでしょうか
ちょっと先に行って金利の方の先行きの話から。
『先行きの金融政策運営について、委員は、経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当との見方で一致した。そのうえで、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営
していくとの考え方を共有した。』
ねえねえ何でベタ降りになっちゃったの??
『ある委員は、今回の政策変更後も、物価が見通しに沿って推移するもと、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続といった前向きな企業行動の持続性が確認されていけば、その都度、金融緩和の一段の調整を進めていくことが必要である
との意見を述べた。』
この人がベタ降りしているのかは存じませんが、何でこれが急に米国経済下振れリスクガーになるんでしょうかね。
『別の委員は、2025 年度後半の「物価安定の目標」実現を前提とすると、そこに向けて、政策金利を中立金利まで引き上げていくべきであると
指摘した。そのうえで、この委員は、中立金利は最低でも1%程度とみており、急ピッチの利上げを避けるためには、今後も、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要があるとの見方を示した。』
田村抜刀斎オッスオッス。
『これに対し、一人の委員は、金融政策の正常化が自己目的になってはならず、今後の政策運営については、今回の政策変更も含め、正常化を進めていくことに伴う様々なリスクに目配りして、注意深く進めていく必要があると述べた。』
自己目的云々って今回の主な意見にもあるのだが、田村さんと思しき方の言ってるのは「お前らの見通しが正しいなら論理的にいってこういう政策をしないとおかしいだろ」ということな訳で、まあこの意見の人が物価目標金輪際行かないと思っているならこの意見でも話の筋は通っていますけれども、だったら展望レポート基本的見解の記載に反対しろよとしか申し上げようがありません。
『また、別の委員は、中長期の予想物価上昇率が2%にアンカーされていないもとで、引き続き物価は下方リスクに脆弱であり、市場で、先行きの利上げ観測が強まりすぎることは避けるべきであると述べた。』
じゃあ声明文の記載(先行き緩和度合いの調整をしていく云々の記述)に反対しろよということで、なんかもう滅茶苦茶なんですけどこの人たち。
『この間、ある委員は、長らく短期金利を引き上げた経験がないわが国では、中立金利の水準を巡る不確実性が大きいと指摘した。そのうえで、この委員は、中立金利の試算値から到達金利を定め、そこに向けて機械的に政策金利を動かしていくという政策運営は難しく、実際には、今回の利上げの影響を含め、短期金利の変化に対して経済・物価がどのように反応するのか点検しながら、政策金利の道筋を探っていくほかないとの見解を示した。』
なんか抜刀斎がボコボコにされているように見えてしまいますが、そもそも中立金利水準が1%って実質均衡金利マイナス1%なんだからクソのように低い推計値であって、これが抜刀斎が中立金利3%って言って話をしているならこの反論も成立するのですが、1%ってアホみたいに低い金利に向けてあげるのもダメですみたいなのってお前ら脳味噌ついてるのかという世界の議論ですわな。
でまあそんだけハトハトなら(議事要旨が出てくるタイミングがなんせ9月末ですから、ここの部分って後付けで抜刀斎をボコボコにしているような部分を殊更にフレームアップして今回のハトハトベタ降りムーブを正当化しようとしているんじゃないか疑惑が濃厚にあるんですけれども)なんで7月会合後の記者会見のときに4月から一気呵成にジャガーチェンジしたような発言してたんだよ、と考えますと、何かこの辺りの記述はちょっと怪しげなものも感じますな。なんせ今の植田日銀、妙なところでしょうもない小細工をするという無駄に器用なところがあるので。
というところで出遅れましたが7月会合議事要旨の続きでした。
2024/10/02
〇あらあらデフレ脱却ですかそうですか何だか大丈夫ですかねえ(ゲル政権スタート)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-30/SKM90LT1UM0W00
石破内閣が発足、外交・経済は岸田路線を継承−経済対策の検討を指示
萩原ゆき、広川高史
2024年10月1日 8:30 JST 更新日時 2024年10月1日 23:16 JST
→加藤財務・赤沢再生相で経済財政運営、林官房長官は続投
→毎日新聞の世論調査で52%が期待、衆院選は15日告示・27日投開票
とまあそういうことですが、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-01/SKO4FKT0AFB400
日銀利上げ「慎重に判断を」、デフレ完全脱却が最優先−赤沢新再生相
伊藤純夫、萩原ゆき
2024年10月1日 18:25 JST
→経済を冷やすようなことは絶対にここしばらくやってはならない
→赤沢氏は石破新首相の側近、岸田政権では財務副大臣を務める
(ノ∀`)アチャーって感じのヘッドラインですが、
『赤沢氏は日銀の利上げに関する見解を問われ、「慎重に判断していただきたいし、ありとあらゆる方法で経済を冷やすようなことは絶対にここしばらくやってはならない」と述べた。デフレからの完全脱却が日本経済にとっての最優先課題だと重ねて強調した。』(上記URL先より)
ということで、折角期待していたのに認証式の初日でアタクシはもう呆れてしまった訳でして、ああダメダコリャということで高市先生復活してトラスショックもまた止む無しの焼き畑思想に戻りそうでありますわ、トホホ。
こんなの「金融政策は日銀に委ねており、2%物価安定目標の実現に向けて適切な政策を実行していただくということに尽きる」とだけ言っておけばいい話で、利上げ怪しからんでは高市さんと言ってること同じだし、さらにアカンのは引用部分のコメントにありますが、「経済を冷やしてはダメだから利上げするな」という説明でして、いや待てお前ら過剰な円安に飛ぶと株価はウハウハだけど消費とかに悪影響与えるしコストプッシュで誰得円安になるんだゾ、というお話なのに、どうせこいつらドル円150円超えてくると今度は円安の悪影響とか大騒ぎしだすの火を見るより明らかな訳ですよ。
その点ですね、高市さんであればそもそもが「円安は常に善」という思想で来ているので、金融緩和継続して円安にするのは正しい、ってなもんで突き進むので、別にそれが正しいとは思わないけれども一つの考え方ではあるんですが、こいつらどうせ石破ショックとか言われて株価が下がったのにビビって選挙もあるので言ってるだけだろ、ってのが見え隠れするわけでございまして、これはまあ「その場しのぎ」感が強くてよろしくない。
というのとですね、まあ石破ショックとか言われているのを気にしているんだとしたら、この政権って金融市場からのアタックに滅茶苦茶弱い政権ですねって話になりますので、まあいずれかの時点で金融市場の攻撃によってなんかやらかしてしまう恐れが強いなというのも心配材料であります。ただでなくさえ日銀が金融市場のアタックにクソ弱いのは8月9月のムーブで証明されているのですから政府もそれでは非常に危ないとしか言いようが無い。
でもってさらに気になるのはこの「デフレ完全脱却」とか言ってる話でして、ご案内の通りCPI断然高い(欧米から見たら屁かもしれないけど)状態な訳ですし、そもそも論としてインフレに対しての反感が岸田内閣の支持を下げている面って多々あると思う(それこそユーチューブショートとかでもしょっちゅう物価高は岸田のせいってのがあったし)わけでして、そういう状況なのにわざわざ好き好んで「デフレ完全脱却」とか言ってしまうの選挙的にも間抜けにもほどがあるわけで、こんなの野田さんが「デフレ完全脱却とか言って物価高を一段とすすめてはいけない、過剰な物価高は是正されるべき」とか言い出して対立軸にしたらどう見ても与党の分が悪いじゃろ、というお話な訳ですよ。
まあ日銀としてみたら、利上げするなとか抜かしやがるのがやってくるとうっとうしいにはうっとうしいでしょうけれども、利上げ判断の責任を政府にも負わせることができるので組織防衛上は助かる(国民厚生の話はここでは無視していますのであしからずw)話でして、こんなの「物価安定は日本銀行の責務で適切な金融政策で物価安定を達成していただくことをお願いしたい」と言って丸投げしておけば物価高批判は日銀が一手に負わないと行けなくなる訳で、そうなったら「日銀のアホウが悪い」と日銀をボコボコにすればよいだけの話だし、日銀はそっちの方が組織防衛上はかじ取り大変になるという「独立性には責任が伴う」というお話になるわけですな、ナムナム。
とまあそういう訳で、何ちゅうかゲル政権、日銀植田総裁の初期を思い出させる展開になりそうで頭が痛いし、日銀総裁と違って地位が保証されていないので大丈夫かよと思ってしまいました。
というほかに中銀の大ネタが並んでいるのに与太メモでした。
〇9月会合主な意見:7月の議論は何だったのかという振れ幅だがこれで10月また振ったら絶許
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240920.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 9 月 19、20 日開催分)1
9月会合後の会見における植田総裁の「米国経済の下振れリスクガー」の連呼やら、24日の大阪経済団体懇談会での講演でのハトハトチキンぶりは、植田さんが勝手に口を滑らかにして言っていたわけではなく、政策委委員会としての大勢意見だった、ということを確認できましたし、このようなアホウにもほどがある振れ幅で動いている政策委員会は即時解散しろと思いました、というのが感想ですわな。
とにかくね、なんかもう軸もなくあっちにフラフラこっちにフラフラされますと、金融市場もそれに応じて振れざるを得なくなるわけで(だんだん無視する傾向に円債の方はなりつつあるけど流石に丸無視するわけにもいかないですからやっぱり動く)、市場に無駄な不安定性をもたらしているのは日銀政策委員会なので、委員会の皆様におかれましては、ドラム缶で行く隅田川川下りと東京湾海底探索ツアーただし片道切符、というようなツアーにご参加されることを切に願って止みません。
あ、軸がしっかりしている田村委員と中村委員(中村委員の政策に関する意見には賛同しかねる部分があるが仰っていることには筋が通っていますのでその点は評価していますわアタクシ)はドラム缶川下り&海底探検ツアーに参加されなくても結構ですし、たぶん氷見野さんも参加しなくてよろしくってよ、ってのは付け加えておきますwwww
ということでまあそういう話やぞ、というのが主な意見ですが、おまけにこの主な意見の出来の悪さがかなり目立つというのも悲しいです。ということで以下サラサラと。
・政策修正後の動きに関する意見の中に「隠れハトハト」がいますな
『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』から参ります。最初から何も考えずに全部並べてみますね。
『・わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しており、先行きも、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる。』
大本営大本営。
『・ わが国経済は、足もと緩やかな回復を続けているほか、物価も着実に上昇しており、概ね想定通りの動きとなっている。この現状から、これまで実施してきた一連の政策変更が金融経済情勢に負の影響を及ぼす兆候はみられていない。』
オントラックオントラック、ということですが、この意見後半の書きっぷりが気になったのですよね。
と申しますのは、そもそも7月の政策修正って言うのは「緩和度合いを適正にするための修正」であって金融引き締めでも何でもない施策だし、緩和度合いを適正にするってえことは、そもそも論として「このままの緩和度合いを継続するのは適切ではない」という判断で政策修正を実施したのですから、本質的に「こまで実施してきた一連の政策変更が金融経済情勢に負の影響を及ぼす」ということ自体があり得ない話であるのでして、こういう言い方をするってえのはこの意見描いている人が内心で「3月のマイナス解除や7月の利上げは適正じゃないかも」って思っているという話で、つまりは現状維持バイアスがある人、って事になるんですよね。
なのでまあこの意見には引っかかるものがあって、誰だか知らんけどオントラックと言いながらもなんかの拍子でハトハトになるタイプだな、と思ってしまいました。
次の意見と比較対比すればより分かりやすいかと思うのですが、
『・ 国内の賃金・消費・設備投資・企業収益・物価などの最近の指標は、いずれも7月の
利上げの適切さを示す内容となっている。』
ということでですね、さっきの意見は本来こういう書き方をされて然るべきなのですけれども、さっきのような書き方になるのは「隠れハトハト」ということがお分かりになるかと存じます。
・米国経済下振れ三銃士登場なのですが円高を気にしているのが2人いるのはセンスがワケワカメ
じゃあ次に行きますがここからが「米国経済下振れガー」三銃士登場。
『・ 米国経済やFRBの利下げペースに関する不確実性が増しており、わが国の為替や企業業績に負の影響を及ぼす可能性に注意が必要である。』
三銃士1号のおもろいのは「我が国の為替」って言ってることで、文脈から言ってこれ為替円高の方を懸念しているようにしか読めなくて、いや160円の円高は是正したけどまだ140円半ばあたりの水準なんですけど、ここからの円高を懸念ってどういうセンスをしているんだよとしか申し上げようがないし、そもそもそんな円高行かねえだろうよ昔と構造違うんだぞと思うのですけどねえ。
『・ 米国経済は、家計や企業のバランスシートが健全で金融環境も安定しており、ソフトランディングを想定しているが、雇用を中心に底入れが確認できるまで注意深く見極める必要がある。』
『・ 米国経済はソフトランディングする可能性が高いが、そのための利下げの幅によっては、ドル安・円高、株安となるリスクがある。この点の見極めには、なお時間を要する。』
でもって三銃士2号はさておいて、三銃士3号までも円高懸念を表明していまして、いやいやいや何ゆうてますのん、と思ってしまうのですが、そもそもなんもなかったら円安じゃろ(米国利下げって言ってるけど日米金利差いくらありますねん、金利差だけの話じゃないけどさ)と思いますし、多少の円高になった方が国民厚生上マシとしか思えないのですが、そんなに140円割れる円高にナーバスになる必要があると思えないのですけど、まあこういう懸念が出てくるのが(ノ∀`)アチャーって感じです。
・残りの意見も全体的にハトチックなものが多いがそこまでのストロングハトかというとそうでもなさそう
続きまして米国ガーですけれどもこれはまた別の切り口。
『・米国の新政権の下で財政の拡大、移民の制限、保護貿易の強化などの政策がとられる場合、インフレが再燃し、米国の中長期の金利が上昇する展開も考えられる。』
ほうほう。
『・ 8月来の金融市場の変動が経済・物価に与える影響は大きくなく、経済・物価は見通し通り、オントラックで進んでいる。次回利上げに向けて、当面、@消費者物価、A来年の春闘に向けたモメンタム、B米国経済の推移に注目している。』
これはまあ利上げと言っているので米国経済ガーではないけど、来年の春闘に向けたモメンタムとか言ってると来年3月4月まで利上げできないんですけど大丈夫かよという気がするのでハト味がありますわな。
『・ 従業者の7割が働く中小企業は、防衛的賃上げが多く、稼ぐ力は力強さに欠け、消費者の節約志向を生む。将来不安の払拭に必要な実質賃金増加の定着に向けて、成長志向の中小・中堅企業の設備投資が積極化するか確認する必要がある。』
これは貫録の中村委員ですね。まあ言ってることはわかるのだが、それと政策金利の話って別もんじゃないのという話ではあるのだが。
『・ 円安修正が急速に進むもとで、原材料価格低下に伴う価格転嫁の巻き戻しや輸出数量の減少が続き、企業業績、賃上げ意欲や個人消費に影響することを懸念している。』
円安進むと消費マインド悪化するんで消費に影響云々は目先はプラスなのではないかと思うし、価格転嫁の捲き戻しの前にコスト低減効果の方が先に来ないかと思うのですが、まあハトハトなのはわかった。
『・ 身近なものの価格が大幅に上昇してきた中で、需要が維持されるかが重要である。賃金の動向を重視しているが、コロナ禍以降、消費者の行動様式が変容していると考えており、引き続き分析を充実させていくことも重要である。』
微妙に玉虫色。
・物価がオントラックで推移しているかを点検する時間帯なのに物価の意見が3本しかないんですが
『(物価)』を見ますと意見が3個しかない、しかも1個はただの大本営なので実質2個しかない、という事実には呆れて物も言えないのでお前らそこにあるドラム缶クルーズ船にちょっと乗ってくれませんですかねえというお話であるが気を取り直して引用引用。
『 ・消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』
これはただの大本営ですね。
『・ 円高進行や原油価格下落から、物価上振れリスクは後退しているが、再びデフレに戻る状況ではない。』
お、強気(というほどの話でもないが)。
『・ これまで長く続いてきた実質賃金低下による実質消費の押し下げが、足もとようやく和らぎつつある可能性がある。他方で、消費者の側にはまだ価格は上がらないのが当然という意識が根強く残っているようにもみえる。そうした意識が確かに薄らぎつつあるのか否かについては、今後もよく注視する必要がある。』
まあこれはよくわからんとしか言いようが無いですよね。ワシはかなり薄らいでいるようにも見えるけど。
・金融政策運営に関する意見がこれでもかというハトハトチキンのオンパレード
全部植田さんが書いたのかと思ってしまう勢いで笑ってしまうしかありませんでした。では『U.金融政策運営に関する意見』の意見も折角だから全部引用しましょう。なぜか意見が13本もありますなw
『・ 経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはない。もっとも、金融市場は引き続き不安定な状況にある。政策判断に当たっては、内外の金融市場の動きそのものだけではなく、その変動の背後にある米国をはじめとする海外経済の状況などについても、丁寧に確認していくことが重要である。』
まるで普段丁寧に確認していないみたいですねwwwwww
というまぜっかえしはさておき、「金融市場は不安定」だわ「米国経済」だわ「海外経済」だわともう一発目からチキン音頭が華麗に流れておりまして、以下ハトハトチキン音頭でポンコツの皆さんが盆踊りをしているのを鑑賞するコーナーになります。
『・ 当面は、米国はじめ海外経済や金融資本市場の動向と、それらが見通し・リスク・確度に及ぼす影響を見極めるべき局面である。最近の円安修正に伴って、輸入物価上昇による物価上振れリスクも減少しているので、見極めるための時間的余裕はある。』
「見極めるための余裕がある」ってのハトハトチキン総裁が言いそうな意見ですが、4月から6月の為替の動きを忘れているんじゃないですかねえ余裕なんてのはあっという間になくなるかもしれないのにそういって円安を誘発するリスクを高めているの間抜け以外の何物でも無いんですけどねえ。
『・ 一定のペースで利上げをしないとビハインドザカーブに陥ってしまうような状況にはないので、金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない。』
「ない」って言い切っているんですがビハインドにならないという判断根拠は何なんですかしらそんなにロバストでレジリアントな確信でもあるんですか????
『・ 「物価安定の目標」が実現しておらず、金融経済情勢を巡る不確実性が払拭できない中、現時点では本格的な引き締め政策への転換を連想させるような追加的な政策金利の変更は望ましくない。』
これは野口委員っぽいですが、どこの世界に本格的な引き締め政策をしろと言ってる人がいるのか、って話でして、こういう藁人形論法をするのがリフレ派残党っぽい意見ですなと思いました、まる。
『・ 海外経済の不確実性が高まっただけに、市場変動の影響も見極めるため、当面は海外・市場動向を見守り、金融緩和の一段の調整は不確実性が低下した段階にすることが妥当である。現在の緩和的な金融環境を粘り強く続ける我慢の局面と言える。』
我慢じゃなくてチキンでしょ、ってなもんでして、我慢した結果円安に飛んでまた泣きながら利上げする破目に追い込まれるに100万ジンバブエドル。
『・ 政策金利は、見通しに大きなマイナスの変化がないことが確認できるのであれば、時間をかけすぎず、引き上げていくことが望ましいとの考えは不変である。ただし、利上げ自体を目的とはしていない。日本経済の健全な成長に対する期待に見合う水準程度まで徐々に上げていけることが理想である。センチメントが実体経済に及ぼす影響も考慮し、政策変更には適切なタイミングを選ぶ必要がある。』
玉虫色ですなあ。という感じですが、この後に田村さんと思しき意見があるのでこれは田村さんじゃない可能性があるなと思いますし、この意見の書きっぷりを見ていると、「そもそも現状の金融緩和が経済物価情勢に対して馬鹿みたいな超緩和をしている」という認識を実は持っていないからこういう書き方になるんじゃないのかな、って思う次第です。
『・ 経済・物価がオントラックで推移していく場合、早ければ 2025年度後半の
1.0%という水準に向けて、段階的に利上げしていくパスを考えている。したがって、今回、政策金利は現状維持でよい。』
これが田村さんですね、前半の文と後半の文の接続詞は「したがって」ってのが一瞬読んでて???になるわけでして、これ接続詞を頭にしないで「連続利上げの必要はなく、政策金利は現状維持でよい」の方が趣旨が初見で伝わると思うのですがどうでしょうかね、と共通一次の現国を得意としていたワイ的には思うのですがまあ他の意見も併せて字数の関係ですかしら。
『・ 今後の政策運営は、下方リスクに十分配慮し、データを慎重に確認して進める必要がある。』
はいハトハトのおかわり来ました〜っと。
『・ 世界経済の下振れリスクとともに不確実性も高まった。市場にサプライズを起こさぬよう、日本銀行として、実体経済の変化の予兆や進捗を示して市場・企業の理解を高めたうえで、データの変化を点検し、改善に応じて金融政策を修正する、データディペンデントな姿勢について、浸透を図ることが重要である。』
何が「サプライズを起こさぬよう」じゃお前らのブレブレが毎回サプライズなんじゃ、とは思いますが、後半でデータディペンデントってちゃんと言っているので田村さんがぶぶ漬け話法を使っているのかも
しれません。
『・ 追加的な利上げを行う局面では、政策スタンスを始め、市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要がある。』
お前らの「丁寧な説明」は破綻のゲロゲロマーライオン状態でノイズをまき散らしているだけで、全く持って「無能な働き者」にも程がある、ということを分かっていない無能な働き者の意見なので、日銀様に置かれましては今後とも益々ノイズをまき散らして大変なことになる、に1兆ジンバブエドル。
『・ 長らく利上げを行っていなかったこともあり、言葉に対する日本銀行と市場の共通理解が薄れてしまっている面がある。市場とのずれが生じない発信、ずれが生じた場合の適時の修正等、コミュニケーションの改善に努めるべきである。』
何かコミュニケーションの話が最後の方に並んでくるのですが、そもそもお前らが無能な働き者以下同文。
『・ 経済状況の進展などによって日本銀行の経済に対する見方に変化が生じ、市場の見方との間に齟齬が生じる可能性がある場合には、そのギャップを埋めるべく、可能な限り丁寧なコミュニケーションを行う必要がある。』
そもそもお前らが無能な以下同文。
『・ 基調的な物価上昇率や経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に関するコミュニケーションについて、丁寧な情報発信が必要である。』
そもそも以下同文。
ということで、なんか4本も「丁寧な情報発信」があるのですが、田村委員が先般の金懇で言及していました「情報発信そもそもアカンかったのではないかと反省すべき」というようなレビューではなく、「よーしパパ張り切ってもっと懇切丁寧に説明しちゃうぞー」となっているのがもう救いようがないのですが、皆様におかれましてはドラム缶以下省略。
・これだけハトハトチキンを並べているんでしたら・・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241001/k10014597551000.html
日銀 9月会合の主な意見公表 “利上げ 慎重に検討すべき”
2024年10月1日 14時57分
『日銀は政策金利の据え置きを決めた9月の金融政策決定会合の主な意見を公表しました。委員からは海外経済や金融市場などのリスクに関する指摘が相次ぎ、この先の利上げについては慎重に検討すべきだという意見が相次いでいたことがわかりました。』(上記URL先より)
とまあこういう受け止めになるのは当たり前田のクラッカーな訳ですわな。
・・・・・まあ今までの日銀のブレブレっぷりを見ていると「またブレブレか!」と思って話半分にこの主な意見を読む向きもあるでしょうし(円債方面はそういう人がだんだん増えているようには思えます、知らんけど)、一方で就任以降のハトハトチキンぶりを思い出して「やっぱり日銀の本質はハトハトチキン」と見る人もいると思うのですが。
でもまあ書いてあることを額面通りに読んで、その行間から出てくるハトハトチキンの強い香りを感じますと、素直に読めばこれだと次の利上げってどう見たって3月4月辺り、下手したら来年の6月7月じゃろ、と読んでも全然おかしくない訳ですよ。
でですね、別に政策委員会の皆さん(のうち田村さんと中村さんはとりあえず除外です為念)がそういう強い見通しを持ってこの情報発信をしているんだったらまあそれはそれで良いんですけれども、この人たち(田村さんと中村さんは別です、しつこいですけどw)は円安に為替が飛べばブレるし、株が下がればブレるし、何なら今回だと「高市リスク」を意識しててブレた可能性も否定できない訳でして、本来は経済物価状況に応じて進めていく金融緩和の修正に対してもホイホイと他の要因でぶれてしまう訳ですよ。
と考えますと、こいつらのハトハトチキンって「10月会合の利上げはありません」という予告はしているけれども、12月会合に向けてまた豹変するかもしれないし、何なら10月展望レポートでまた「経済物価情勢はオントラック」を強調しだしても何ら不思議ではないという困った方々なのでして、説明していることの時間軸が近視眼にも程があるので、そりゃ一々市場の期待が大きく動いてそのたびに市場が大きくぶれる罠、と思うのですが、どんどんその近視眼がつよくなっているようにしか見えないわけです。
それにだいたいからして今の時点でそんな先の政策を決め打ち可能な状況ではない筈なのに、まるで先行き経済への確信がものすごい勢いであるかのようにハトハトチキンに思いっきり振った情報発信を(この主な意見だけではなく9月会合会見や24日の講演などでも)出してしまうというのがもうダメダメなんで、これは委員会の問題なのか振付師の問題なのか知らんけど、ちょっと酷すぎやしませんか、というのがまあ本日の結論ですし、これが出たからといってわかるのは、そもそも市場の誰もあると思っていない10月の政策変更がありません、って予告三振だけだと思うんですよね、個人の感想ですけど。
ということで短観その他諸々のネタ全然できませんでした。そっちの続きは明日以降(すいませんすいません)
2024/10/01
〇短国以外は高市リスクの捲き戻しですかそうですか(俺様備忘雑メモ)
・普通の国債ちゃんの方のカーブは見事に高市リスクの動きからの捲き戻し
昨日の債券市場ちゃん、先週高市リスクで中短期がアホみたいに強くなったのの反動が出てきまして、皆様ご案内のように・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/HK3MQ2XLKRKT3E62W43DJ5DYCM-2024-09-30/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反落、長期金利0.85% ポジションの巻き戻し続く
By ロイター編集
2024年9月30日午後 3:26 GMT+9
『[東京 30日 ロイター] - <15:13> 国債先物は大幅反落、長期金利0.85% ポジションの巻き戻し続く
国債先物中心限月12月限は前営業日比57銭安の144円65銭と大幅反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同4.5bp上昇の0.850%。27日の自民党総裁選で石破茂氏が選出されたことを受けたポジションの巻き戻しが継続し、国債先物は軟調に推移した。』(上記UIRL先より、以下同様)
と言いましても引けにかけては先物ちゃんエッホエッホと強含んでいましたので、月末なのでなんかあったんですかね、知らんけど。
まあ何せイールドカーブちゃんが、
『現物市場で新発国債利回りはまちまち。2年債は同7.0bp上昇の0.385%、5年債は同7.0bp上昇の0.505%。20年債は同0.5bp上昇の1.670%。一方、30年債は同3.0bp低下の2.070%、40年債は同4.0bp低下の2.365%。』
とかいう面白ツイストになっているのも高市リスクの捲き戻しでして、
『 OFFER BID 前日比 時間
2年 0.373 0.383 0.06 15:03
5年 0.493 0.5 0.063 15:12
10年 0.848 0.856 0.05 15:07
20年 1.665 1.677 0.013 15:10
30年 2.067 2.078 -0.018 15:11
40年 2.361 2.373 -0.037 15:03』
とかいう面白気配になってしまいました、という所ですが、一方で短期国債に関しましてはですな、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(9/30引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.060
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.060
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.060
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.030
とやっておられまして、金曜日が
(9/27引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.060
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.060
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.059
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.030
だったので微かに修正されている場所がありますがまあ無風無風ということで、短期国債だけは何も変わらん、というかまあ短国ちゃんの期末プレミアムは木曜のWIの時がアレだったという風情ですが、とは言いましても約定ベースで期初になるのが今日なので今日はどのくらい修正するのか、というかカレントの3bpとかお前ふざけるなというレートを修正するのかしないのか、ってなところではございまして、短国を見ても利上げ織り込みが全く読めないという市場機能の無し無しモードではありますな。
ということで長い方だけこんな動きになっていましたが、まあ確かに目先で言えば高市大先生が勝利した場合には日銀に鬼プレッシャーをかけて利上げさせないし、財政はバンバン出すしで、それはそれで中短期金利低下の超長期金利上昇で良いのでしょうけれども、もっと冷静に考えてみると、その上円安は常に善とかいっている高市大先生ですから、そんなに遠くない先にソブリン危機とか通貨防衛とかそっちの方で面白事案(全然面白くないけど)が発生するので、そもそも論として債券買っている場合なのかという説があって、短いのをホイホイ買うのも何やってるんだかとは思ってみてはおりました。
・結局短期で期末要因が大きく効いたのは短国アウトライトだけだったか・・・・・
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp240930.htm
無担保コールO/N物レート(9月30日<月>速報)
平均 0.225%
最高 0.228%
最低 0.217%
ということで、確か9月は0.226と0.227と0.228しか無かったので、おおお0.225%平均じゃん、などということも可能ですが、まあこれはどこからどう見ても誤差です本当にありがとうございましたという感じ。
なにせ25bpも付利される超過準備じゃぶじゃぶなので資金繰り的な調達サイドというのは限界的でして、あとは期末だから日銀当座預金の残高を無駄に増やさないでバランスシートのグロス総量を調整しようという向きがどのくらいいるのか、という話の世界なので、昔のトン調節の時代と違って期末は金利が下がる可能性が、とは思っていましたが、この感じですとまあ普通に調達サイドもたいして引くこともなく(レートがさがっているので若干引いているんでしょうけれども)推移って感じですかね。
ただまあこの無担保コールに関しても、集計上短資の媒介コールしか出てこないので、そっちじゃない方に関して取り切れているのかって話もこれあり(直近のコール市場残高集計とか見ますと、媒介コールの翌日物の残高が如何にも少ないように見えます)で、まあその辺は謎オブ謎ですけれども、いずれにしても市場が動揺するような動きにはなっていなかったんじゃネーノという印象。
東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
3日ほどの値動きを見ますと、
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m
2024/9/26 0.241 0.219 0.201 0.199 0.199 0.199 0.206
2024/9/27 0.244 0.208 0.199 0.198 0.198 0.199 0.207
2024/9/30 0.232 0.238 0.199 0.199 0.198 0.199 0.207
ちょっとだけ27日のトモネが末初に掛かって低下しましたが、目を見張るような低下をした訳でもなく、まあ特段波乱が起きたわけでもなさそうなレートでして、これですとアベイラビリティが急に下がってさあ大変、みたいなことも起きていないように見受けられるわけで(知らんけど)、結局のところ短国アウトライトだけ期末要因で9月の新発短国がクソ低下した、ということになるのですが、この短国アウトライトのタチが悪いのは別に期末要因じゃないんじゃネーノ説が大いに有力なことでして、ごくごく単純に担保需要とか(気候変動オペ増えているのに貸増が減らないとか地獄としか言いようが無いわけです)で強いだけ疑惑が非常に高いので、期初になって1週間くらいしても一向に戻る気配がない場合には、単に短国だけマーケットがマーケットとして機能していない、という悲惨なことなのかもしれない、というか多分そうなのですが、期初から血圧の上がる展開になるのかどうか、アタクシの健康のためにも(大嘘)ちったあ需給が緩んでいただきたいものであります。
〇オペ紙は予定通りの減額だが中期中心の減額だと何か少ねえなあと思っちゃいますなwwwww
・長国オペ紙
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240930c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2024年10〜12月)
〜1年: 1500×1(前回1500×1)
1〜3年: 3250×4(前回3500×4)
3〜5年: 3250×4(前回3750×4)
5〜10年:3750×4(前回4000×4)
10〜25年:1500×3(前回1500×3)
25年〜: 750×2(前回750×2)
物価連動: 600×1(前回600×1)
ということで月額換算で1−3が1000億円、3−5が2000億円、5−10が1000億円の減額ということで、ボリュームゾーンの減額を実施しましたよってなもんですが、しかし1回の減額が250億とかいうのを見るとショボすぎて涙が出てしまう訳で、いやまあこれが毎月このペースで減らすならまあやる気を認めるが、四半期でこれかよと、短いゾーンのクソ逼迫需給を毎日見ながら憤怒の念を禁じ得ないワイ将としてはこのちんたらぶりに涙しかでませんな。
そもそも超長期の1000億の減額と1−3年の1000億円の減額ではマーケットインパクトが全然違う訳で、いやまあ額で決めてしまっているからしょうがないのはしょうがないのですが、中短期減らすならもっと減らしたっていいじゃんと言いたくなるけど、これまあ変更するのにはMPMでの議決が必要なのでしゃあないですが、よくよく考えてみれば減額するゾーンが自由自在ってのもなんか変で、プロラタで減らす方が筋なんじゃないかねとは思いました。まあそれをされると益々中短期の減額が減ってしまうから頭痛いけどwwwwwwwww
・CP社債買入は6月公表時に減額したのと同じペースで今回も減額なので・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240930a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2024年10月〜11月)
10月は既にアナウンスされていますので、今回は実質11月の予告編になります。
CP買入:4000→2000
社債買入:500→250
ってことですが、前回が8月に減額になっていて、この時はCPが「3000×2→4000」で社債が「750→500」なので、このまま直線的に減らすと1月までは買入を継続して2月のところでゼロにするのか、お情けで2月3月まで続けるのか、って感じですかね。
しかしまあ何ですな、リスク性資産と国債って差があるからこんなもんと言えばこんなもんかも知れませんが、CP社債買入の減額の威勢のよさに対しまして、長期国債買入減額のへっぴり腰っぷりには涙を禁じえません。