金融政策概観(2024年度上期後半)
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2024年度上期後半の見出し
2024/09/30「早期解散総選挙ですか/石破さんになって黒田緩和前面支持の多角化レビューはどこへ/7月議事要旨と9月の整合性が」
2024/09/28「自民党総裁選挙で石破茂さんが新総裁にということで雑談(リフレ一派大発狂を楽しむの巻)」
2024/09/27「3M短国がWIで0.011%まで金利低下/物国と流動性供給入札の発行予定」
2024/09/26「日銀基調的物価は落ち着いた展開/期末を前に短国金利が軒並み低下」
2024/09/25「高市氏が日銀利上げを露骨に牽制(メモ)/結局20日のMPMはハトハトチキンの引用が強かった市場動向」
2024/09/24「立憲民主は野田さん党首(メモ)/全国CPI/7月会合のタカ派を中和して円安飛ばすとは間抜けな(メモ)」
2024/09/12「変動金利方式にしたのに貸増の残高が全然減らないとは何ごとぞ」
2024/09/09「日銀にも東大にも経済学にもマイナスしかない渡辺努教授はとりあえず金融政策の話しないで黙ってろ」
2024/09/05「4日の株安を日銀初の世界市場混乱とか言ってる馬鹿がおる/高田委員の金懇は市場の不安定ネタでしょうね」
2024/09/04「海外中銀はインフレ抑制に自信満々/債券市場サーベイ/経済財政諮問会議の日銀資料に微妙に悪態など」
2024/09/03「自民党総裁選高市候補の経済ブレーンが本田悦郎に若田部昌澄ェ・・・(マクラのメモ)」
2024/08/28「基調的物価落ち着いてきました/短観に賃金項目を追加とな」
2024/08/27「審議委員金懇の日程が2週間で3人って真面目にコミュニケーションする気があるのか日銀は」
2024/08/26「植田総裁国会閉会中審議招致では内田発言を中和しようとしているのだが他市場に伝わっているかは怪しい/全国CPI」
2024/08/21「展望レポートBOXのフォローアップで政策修正を肯定する系のスタッフペーパー2本」
2024/08/20「ダイヤモンドオンラインで今日び電波浴ができるようですが書いているのは東大の渡辺努教授です」
2024/08/16「2QGDPの個人消費強いじゃないですか(メモ)/展望レポートハイライトが意味のある絵になっている!」
2024/08/15「岸田首相退陣表明!/展望レポート鏡を前回比較」
2024/08/14「閉会中審査は23日に実施ですがシカゴ連銀総裁に当てつけ言われていますなw」
2024/08/13「日銀が市場機能の話をするのは基本的に政策の問題点の論点ずらしのデコイです(個人の感想です)」
2024/08/09「7月会合主な意見は利上げしたのだから当たり前だが強い意見が並ぶ」
2024/08/08「内田副総裁金懇で株式市場に全面降伏して債券は2年カレントが利上げ織り込みを完全に0になるなど」
2024/08/07「株安で国会やら自民党一部議員からはいちゃもんつくわ閉会中審査をするらしいわ(マクラのメモ)/今日の内田講演またもHPに告知無し」
2024/08/06「8月5日のハチャメチャ相場の記念メモ/株価と為替は実際には「4−6月の過剰を是正しただけ」なんですけどね」
2024/08/05「米国雇用統計で米株急落とな/ゆうて3月前戻っただけ/輪番減額がチキン/3M短国入札が利上げした後とは思えない強さ」
2024/08/02「植田総裁記者会見の政策金利回りの話は中の人が入れ替わったのかという位に今後の政策修正に前向きでした」
2024/08/01「金融政策のステージが政策修正モードに入りましたと明確に示した7月決定会合」
2024/07/31「決定会合当日の朝報道も各社微妙な書き方ですね(メモ)/三村財務官が円安デメリットに言及するインタビューで植田包囲網」
2024/07/30「お漏らし無しでも決定会合できるじゃないですか笑/多角的レビューと政策変更を絡ませる読み筋は筋が悪い」
2024/07/29「日経が「利上げあるかも」トーンの報道/山口広秀元副総裁「遅すぎる」とインタビュー記事/財政ファイナンス煽るBBGの謎記事」
2024/07/26「為替市場が利上げの期待値高めてるかな(ドル円152円など)/円債も極端なスティープが止まり利上げ等の期待ですかね」
2024/07/25「ロイターのただの観測報道で為替円高だが今回は利上げあるのかないのか事前に決め打ち出ないままですね」
2024/07/24「日銀の計算する基調的物価が再上昇してきましたが/7月会合は9月利上げ予告ホームランと踏み込み不足の輪番減額と予想しよう」
2024/07/23「茂木幹事長が日銀利上げを支持する意外な砲撃/BBGは「意見が割れている」報/2014年4月議事録での物価の議論(その2)」
2024/07/22「バイデン大統領選挙戦から撤退(メモ)/臨時参加者会合議事要旨が当日に出ていたアンケート回答集と同じで真面目に対話する気あるのかと/河野太郎BBGインタビューで叱責される/2014年4月30日議事要旨:物価に関する議論が盛り上がるが今思えば唯一の勝ち逃げチャンスでした」
2024/07/18「河野デジタル大臣が円安是正の利上げに言及/利上げ期待で円高だが7月無回答だと失望の大円安の懸念が」
2024/07/17「為替介入実施でこれは日銀も「手ぶら」は許されなくなってきましたね/生活意識アンケートで円安物価高の弊害が如実に出ています」
2024/07/16「さくらレポート別冊の賃金動向の話は「どちらにも使える」内容に仕上がっています」
2024/07/12「神田財務官発言などで円高だがこれはもしかして7月利上げのチャンス来てないか」
2024/07/11「臨時債券市場参加者会合バイサイド編:意見の幅は広いのだが何でバイサイドが「市場金利が上がらないように変え」って言うんだよ」
2024/07/10「臨時債券市場参加者会合セルサイドと銀行は比較的減額に前向き姿勢のようで」
2024/07/09「さくらレポートは「どっちともとれる」書きぶりで政策修正に向けたインパクトには欠ける」
2024/07/08「さくらレポートで賃金の強さを示すものがでる、とロイター謎の報道/ECB高官からQEの副作用の再検討が必要との発言があるようで日銀の多角的レビューの浅さが露呈しちゃいますね」
2024/07/05「奥理財局長インタビューで「投資家層の多様化」に言及/需給ギャップが悪化とな/MPMまで臨時参加者会合以外ネタ無いのかしら」
2024/07/03「円安進行して金利上昇してるけど7月会合まで持つのか?/シントラのECBフォーラム日銀は不参加ですか」
2024/07/02「短観は日銀のケツ叩くにはパンチ不足/GDP2次速報はスタグフレーション?/既定路線通りですがCP社債買入減額してますね」
2024/07/01「これは久々に今日の短観は重要指標かな/サービス価格上昇が重要とかいう後付け屁理屈補完リサーチペーパーが出てきましたね」
2024/09/30
ほうほう
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA292MB0Z20C24A9000000/
衆院選、10月27日投開票軸に 自民党・石破茂総裁が方針
選挙
2024年9月29日 23:05 (2024年9月30日 1:10更新) [会員限定記事]
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA291CA0Z20C24A9000000/
財務相加藤氏・外相岩屋氏起用へ 自民副総裁に菅義偉氏
石破茂新総裁
2024年9月30日 1:00 [会員限定記事]
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA291US0Z20C24A9000000/
自民政調会長に小野寺氏、総務会長は鈴木氏 党4役そろう
石破茂新総裁
2024年9月29日 17:17 (2024年9月29日 20:29更新) [会員限定記事]
しかしまあ何ですな、よつべショートというよつべくんが勝手に流してくれる奴ではひたすら高市推し続いてたのが土曜になって少し静かになったと思ったら土曜の夕方位からまた高市推しばっかり流れてくる(まあワシのよつべ君の見方にも問題あるんでしょうけど)ってのを見ると何かを邪推してしまいますわ。2回目投票前の5分間演説を真面目に比較して聞いた方がエエンチャウノ(どっちが良いとかいう以前であれはプラスとマイナス状態でしょ)かと思うんだが。
〇そういや多角的レビューどうするんでしょうね日銀ちゃんwwwwww
例の「多角的レビューシリーズ」というロゴが付いた日銀のスタッフペーパーを見るたびに「結論先にありきで分析しているので読む意味はない」と秒で却下して回っている多角的レビューなんですけどね。
これって兎に角「異次元金融緩和は間違っていない」というのを前提にしているし、何なら先般のワークショップの議事要旨で軽薄人の極み某大先生が「やらなかったことの検証も必要」とおおむね白川さんになりますが、福井さん白川さんに喧嘩を売るようなことをいうような流れになっていて、思いっきり黒田緩和は正しかった、の線で進んでいるようにしか見えないわけですよね。
岸田さんは内心どう思っているのかは裏金対応でだいたいお察しとしても、基本的にアベノミクス継承という触れ込みで政権運営をしてきたので、まあ日銀の今やっている多角的レビューに過去の政策に対する批判的な反省がなくても毒にも薬にもならずに済んだと思いますが、ゲルは(まあ実際に始まってみるとそこまで過激にはならんでしょうけれども)アベノミクスの問題点を正すべきは正す、というのはよりアカラサマになって来るわけで、そんな状況の中で「黒田緩和は正しい対応でしたこんなに効果が高かったですぅ〜」とかいう多角的レビューを出すのって滅茶苦茶間抜けにもほどがあるし、何ならゲル総理総裁(衆院選で大負けしない限り)に向かって喧嘩を売ってるまでアリエールな訳でして、いや〜マジでこれ植田さんお立場的に大丈夫かよという感じが漂ってくるんですよね(個人の感想です)。
不幸中の幸いにしてまだ最終結論いつ出すとか決めていないので、ここからしらっと「最新の研究なども踏まえたところこのような弊害もあった」とかいうのを出してみるなり、それこそ今の短国市場の惨状を踏まえて「オペレーションの乱発によって金利のある世界に戻った時に担保ニーズが超過してしまって市場にストレスをかけるという形で後から副作用が表れている面があった」とか、なんかそういうの入れていかないと、まずいんじゃないですかねえ(・∀・)ニヤニヤ
という雑感でした。
まあ土曜日も書きましたけど、ここから先日銀は結構かじ取り難しくなると思いますし、そんな中であのブレブレおじさんの植田さん大丈夫かねと心配してしまいます。
〇7月決定会合議事要旨(たぶんその1):米国ガーの連発が直近行われている理由が分からん
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240731.pdf
政策委員会
金融政策決定会合
議事要旨
(2024年7月30、31日開催分)
これは利上げを行った時の議事要旨なのでいくつか確認事項があって多分時間の関係で今朝は間に合わない(おまえ土日にもっとやっとけと言われるとぐうの音も出ない)ので今日はこのネタをば。
・9月決定会合以降物凄い勢いで米国経済下振れリスクガーと言っていますが・・・・・・
まあご案内の通りで、9月決定会合の後の植田さんの記者会見、その後24日に行われた大阪経済4団体会合での総裁挨拶(と会見)に示されていますように、とにかく直近植田さん(か振付師か)は隙あらば「米国経済の下方リスクガー」と連呼してハトハトチキン音頭を盛大に踊っていたわけです。
ではそんなに米国経済が気になるならお前ら7月にどういう情勢判断してたんだよしかも利上げまでしちゃって、ということになるのは当たり前の話になりますので、その辺を確認しようというのが本日の企画であります。
まずはスタッフによる情勢判断も見ておこう、ということで珍しく『T.金融経済情勢に関する執行部からの報告の概要』も見ておこうかと。
『海外経済は、総じてみれば緩やかに成長している。米国経済は、FRBによる既往の利上げの影響を受けつつも、個人消費を中心に緩やかに成長している。欧州経済は、下げ止まりつつある。中国経済は、不動産市場の調整の影響は続いているものの、政策面の下支えもあって緩やかに改善している。中国以外の新興国・資源国経済は、輸出に持ち直しの動きがみられており、総じてみれば緩やかに改善している。』
まあ米国以外の話は折角なのでついでにつけています。では先行き見通しはと言いますと、
『先行きの海外経済は、緩やかな成長が続くと考えられる。先行きの見通しを巡っては、各国中央銀行の既往の利上げの影響のほか、中国経済の動向や地政学的緊張の展開などについて、不確実性が高い。』
中国と地政学はありますが米国の不確実性ってコメント無いですよね。では政策委員の皆さんの討議部分を見てみましょう。『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』の『1.経済・物価情勢の現状』です。
『海外経済について、委員は、総じてみれば緩やかに成長しているとの認識を共有した。』
ということでこちら米国の話が仔細にありますが、
『米国経済について、委員は、FRBによる既往の利上げの影響を受けつつも、個人消費を中心に緩やかに成長しているとの認識で一致した。』
ほほう。それが何でまたわずか1か月半で「下振れリスク連呼」になったんでしょうかねえ。
『そのうえで、何人かの委員は、これまで高止まりしてきた物価上昇率が鈍化していることを指摘し、景気の急減速を避けつつ物価安定が実現するソフトランディング・シナリオが実現する蓋然性が高まっているとの見解を示した。』
という見通しを覆すほどの大きな問題ってその後米国に発生していましたっけ????
『このうちの一人の委員は、日次の価格調査をみると、消費者物価指数よりも更に鈍化傾向にあると付け加えた。』
というのはさておきまして次が米国減速を指摘する人の発言でして、
『別の委員は、雇用・所得環境には軟化の兆しが窺われており、先行き景気は緩やかに減速する可能性が高いと指摘した。そのうえで、この委員は、中東情勢の緊迫化や貿易摩擦の拡大などに伴うインフレ再燃リスクには引き続き注意する必要があると付け加えた。』
この委員、米国減速の話もしているけどインフレリスクの話をしていますね。
『ある委員は、既往の財政拡大もあって民間部門の手元流動性は潤沢であり、このことがインフレ下でも支出を支えていると述べた。』
ということで、なんか今回米国経済下押しリスクガーって連呼するほど状況変化しているのかが謎にもほどがあるのですが。
さらに『2.経済・物価情勢の展望』のリスク要因の部分を見ましても、
『次に、委員は、経済・物価の見通しのリスク要因(上振れ・下振れの可能性)について議論を行った。委員は、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高いとの認識で一致した。また、そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要があるとの見方を共有した。』
ここは展望レポートに合った通りです。海外経済はいつも出ている項目ですからね。
『そのうえで、経済の主なリスク要因として、委員は、@海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向、A資源・穀物価格を中心とした輸入物価の動向、Bわが国を巡る様々な環境変化が企業や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響、の3点を挙げた。』
でまあこの会合では物価の上振れリスクを一つの材料にして利上げしているのでこの先の物価のリスクのところは明日以降別途ネタにします、今日のお題に即して言えばこの先のリスクバランスの方になりますのでそっちに飛びますけど、
『リスクバランスについて、委員は、経済の見通しについては、2025年度は上振れリスクの方が大きいとの見方を共有した。また、物価の見通しについては、2024
年度と 2025 年度は上振れリスクの方が大きいとの見方で一致した。多くの委員は、輸入物価が再び上昇に転じていることを踏まえると、金融政策運営上、先行き、物価が上振れするリスクに注意する必要があるとの認識を共有した。』
>経済の見通しについては、2025年度は上振れリスクの方が大きいとの見方を共有した
・・・・・・うーんこのwwww
とまあそういうわけでございますので、今回の会合で急に「米国経済の下振れリスク」を盛大に連呼した理由がまるで意味不明、というお話でありまして、「丁寧な説明」とか言ってるけどそもそも植田さんの説明まやは振付師の振付が毎度毎度行き当たりばったりにもほどがあるのがコミュニケーションをぐだぐだにしている主犯であることは言うまでもないのでないでしょうか、というのが今朝のお話でございましたとさw
2024/09/28
〇いやー高市来るのかと覚悟してましたよ〜ということで
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240927/k10014593201000.html
【詳しく】自民新総裁に石破茂氏 高市氏を抑え選出
2024年9月28日 1時36分
いやーもう1回目出たときにこれは遂に高市かよと覚悟してたら当然ながら市場ちゃんは円安ぶっ飛ぶし、債券は先物上がるし中短期金利下がるし、ということでエライコッチャになっておりました。
この前は総裁選期間中でしたから敢えてこまごま書きませんでしたが、何せ高市大先生、先日の記事にありましたように、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2325C0T20C24A9000000/
高市早苗氏、日銀をけん制 「今、利上げはあほ」
自民党総裁選2024
2024年9月23日 17:54
『自民党総裁選に出馬している高市早苗経済安全保障担当相は23日公開のインターネット番組で、日銀の金融政策運営を巡り「金利を今、上げるのはあほやと思う」とけん制した。個人消費や企業の設備投資に悪影響との認識を示し「長いデフレに戻る不安がある」と強調。円安についてもメリットがあると指摘した。』(上記URL先より、以下同様)
円安についてメリットとか何言ってるのという話ですが、まあ円安で輸出企業ガーの話をするだけならまだいいんですけど、
『高市氏は「消費マインド、投資マインドを下げることは今しては駄目だ」と明言した。円安を巡り「輸出産業はどんどん輸出できるチャンスだ」と言及。円安で外国為替資金特別会計の剰余金が増加するとも説明した。』
ってこの先生、直近円安になると消費者マインド系の指数が軒並み悪化しているという話ご存じないんですかっていうことだし、まあ他にもこの記事には出ていませんけれども、例の「資産も考えれば財政状況は問題ない」みたいな無茶苦茶な(国道とか換金できるわけないだろ)話をおっぱじめておりまして、もうこの大先生金融財政に関する話が幻想的過ぎて普通に5ノッチくらい格下げ食らっても全然文句の言えない話を連発していました訳ですよ。
でまあこの前もさらっと書きましたけど、安倍ちゃんは輪転機ぐるぐる、とか言いながらも結局はそういうことしないし、外交だって強硬派っぽくしてたけどプーチンにはゴロニャンしてたとか、(良し悪しはさておくけど)現実を踏まえた対応をしてたんですけど、どう見ても高市先生の場合はそのまま全方位に幻想的な理論通りに全自動で突撃するラーテルとかイイズナかというようなイタチ科の香りしかしないので、これはもうトラスショックみたいな破局待ったなし、とか思うじゃないですか。
ただまあアレです、第1回投票終わったところで思ったのは、まあゆうてトラスショック起きて一時的には激烈な痛みが発生するのですが、その結果リフレ派とかいう邪宗門と一緒に全部駆除されて頂いた方が中長期的にはプラスなのではないか、という焼け野原思想にまで至って遠い目で第2回開票を眺めておった次第なのですが、まあそういう事にはならなかったなというお話ではあります。
しかしまあ何ですな、高市先生大好きな産経新聞によりますと、
https://www.sankei.com/article/20240927-PJ7N6D3JEFGCFAT4DKXAUUZNAQ/
市場は石破ショック≠フ様相 円急騰、日経平均株価の先物は一時2000円超も急落
2024/9/27 18:33
なーにが石破ショックじゃという話で、昨日(金曜日)は麻生が高市支持とかそういう報道(をしてたのでも産経ですが)もあって朝から円安な上に総裁選第1回投票結果出てさらに円安進んでいたのがゲルで戻ったんですが、もっと前から見てみれば、総裁選の終盤情勢で高市さんが伸びてきたのを受けて(米金利の影響とか植田総裁のハトハトチキンとかもあるけど)今月前半は142円近辺で推移していたドル円が円安に振れて来てた訳ですな。
然るに、この産経の記事って26日の夕方からの動きのグラフだけだして自民党総裁選のせいで円が急騰したように見せていますが、こんなの9月の月中チャートを出せば単に「高市期待(あるいは高市リスク)の剥落」以外の何物でもなくて、「石破ショック」とか言って直近1日分だけのチャートを出すというのはもうアカラサマな印象操作な訳で、報道機関として如何なものかという感想しか起きないですが産経なのでこれが平常運転でもあります。
なお、このように「チャートを自分の都合の良い期間だけ取り出して印象操作をする」というのはリフレ一派の得意技の一つ(そのほかには相手の言葉尻をとらえて相手の主張を勝手に改変して非難する藁人形論法などが著名ですな)なのですが、まあ産経新聞くやしいのうくやしいのうということで、昨日は夕方以降産経新聞などがこのように発狂しているのを見てメシウマにも程があると眺めておりましたとさ。
あと話はワープしますが、産経の「麻生さん高市支持」ってのがマジだったとすると、最初河野太郎を麻生派として支持するとか言ってたのに梯子を外して(弊駄文では河野さんに関しては閣僚に起用された途端に原発に関するブログの記事を全部削除したりその前からツイッターブロック芸で以前より批判的スタンスでたがさすがに今回は)河野さん何ぼ何でもカワイソスという結果に追い込んでしまい、直前には進次郎が支援要請に来たのを足蹴にした挙句にこの結果ということで、麻生さんが相当ヤバイ(ちなみに総裁選の最後に石破さんが壇上の偉い人たちのところに拍手で迎えられるシーンで麻生さんアカラサマに拍手するタイミング遅らせていてクソ笑いました)立場になったわなと思いました。
〇ゲル総理総裁になって日銀ホッと一息、というのはちょっと読みが浅いんじゃないかと思います
まあそんなわけで超円安起点か格下げ起点かはさておきまして、高市大先生によります幻想的な金融財政理論に則って金融財政政策を強要したらまああっという間に破局が来る(とは言えトラスと同様に首ちょんぱになるから収拾はされるとは踏んでいましたが)訳でして、まあ「あほ」だの言う(自主規制)が総理総裁だとしますと、実は日銀ってヘイコラ言う事を聞いておけばその後に来る破局は全部(自主規制)のせいになるのでその点では実は免責コースだった訳ですよ。
然るに、今度ゲル総理総裁になって、金融緩和を基調としながらも徐々にその緩和度合いを調整していきましょう、という至極ご尤もな話が基本線になってしまいますと、今度はその調整の判断は日銀が責任もって行わなければいけないわけで、その調整およびその後のコミュニケ―ションに大失敗して円安は飛ぶ飛ぶ炎と燃えてしまって日銀非難轟轟になったのが6月7月、ということなので実を言うとここからの日銀が正念場で、緩和調整の判断を間違えないようにしないといけなくなった訳です。
しかしですね、9月決定会合後の会見というのは昨日までにネタにしましたが、ここからネタにする先日の講演に見られますように、植田さんがまたまたハトハトチキンになってしまっていまして、まあこれが高市リスクまで考えた上での偽装ハトハトチキンなら救いはあるんですけど、あの米国経済ガーの連呼は普通にみたら「植田さんはやっぱりハトハトチキンだった」という風に読まざるを得ない訳で、さてそのスタンスのままで日銀は政策調整の判断を間違えずにいけるのでしょうか、ってな話な訳ですよ。
これが9月会合の時にごく普通に「見通し通りに推移すれば緩和政策の調整を今後も徐々に行ってきますよその判断は総合的にやっていくから予告ホームランはしませんよ」と説明していればさほど問題ではなかったかもしれませんけれども、植田さん(なのか振付師なのか知らんですけど)の間の悪さが中々の芸術点が高くて、うっかり9月会合で特に他市場からベタ降りと捉えられるようなコミュニケーションをしてしまっているのが激痛レベルでこれから効いてくるだろうなあ、と日銀の行く末にも心配しかありませんが、まあこれは身から出た錆にも程があるので同情の余地はあんまりありませんwwwwwwwwww
2024/09/27
〇さらに短国ェ・・・・・・・・
今日はトム末な訳ですよトム末、ということで昨日の売参ですが。
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(9/26引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.059
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.060
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.050
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.011
・・・・・は???
前日のこの辺の銘柄の売参はどうなっていたかと申しますと昨日も書いていましたけれども(と言って実は1259は書いてなかったけど)、
(9/25引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.050
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.059
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.050
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.050
(9/24引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.100
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.050
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.095
昨日の朝の駄文で25日の引けが軒並みクソ強くなりました、って話を書きましたが、1259回だけ昨日は引けがなんと1.1bpとかいう利上げ前のレートになってしまうの巻。
でもって何がドイヒーと言いましてもこの1259回というのはですね、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240920.htm
国庫短期証券(第1259回)の発行予定額等
『1. 入札予定日 令和6年9月27日
2. 発行予定日 令和6年9月30日
3. 償還予定日 令和7年1月8日
4. 発行予定額 額面金額で4兆6,000億円程度』
ということで、この銘柄まだ発行されていなくて今日新発入札を行って4.6兆円も供給が出てくる新発債の入札前取引(WI)の気配でありますのがアイヤーな訳ですな。
ここもと何回か入札の前日に引値をお値段高い(利回り低い)方にぶっ飛ばすというプレイがでておりまして、まあ最近WIが入札前に強くなってナンジャソラと思ったら斜め上を行くつよつよ入札になる、というのを見ているような気がしますので、これは今日の新発3M下手したらマイナス金利に突っ込んでしまう(まあそれは不幸中の最悪な場合であってほしいっすけど)んじゃないか位の勢いを感じるわけで、何ぼ期末要因(しかもこの新発年末年始越えてくれる)とは言え、いくら何でも調子に乗りすぎにも程があります。
ということでですね、いくら何でもこんな状況になっているのに対して金融市場局は問題意識無いのかと小一時間問い詰めたいい訳で、今こそ国債売現先発動しろやヴォケといったところではございますが、日銀やる気ねえから「誘導目標は無担保コールだから知らんがな」で放置プレイするに1万アルゼンチンペソといった風情なのですが、短国市場放置するんだったらお前ら何で長期国債の買入減額にはあんなに及び腰なんだよ結局財政ファイナンスかよトラスショック起きたらどうするんだとか悪態が壮大になってくる今日このごろでございますwwwwwwwww
・・・・ということで自民党総裁選挙も注目ですが、総裁選まだその時間だと第一回投票が終わっていないと思いますので、12時30分(長期国債より5分早い)の落札結果発表をお楽しみにしておくのもまた一興かと存じますので自民党総裁選待ちのひと時の清涼剤(ワイは凍死するがw)に如何でございましょうか。
〇物国と流動性供給の10-12月予定
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/240925pd.html
国債市場特別参加者会合(第110回)議事の要点
・日時 令和6年9月25日(水)16:00〜16:55
・場所 財務省 第3特別会議室
内容
『1.令和6年10-12月期における物価連動債の発行額等について
<当局案>
・発行額・買入消却額について、現状通り、1回(四半期に一度実施)の入札当たりの発行額を2,500億円とし、毎月200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうか。』
『<参加者からの意見>
・BEIは8月初の相場混乱時に乱高下し、通して見れば水準を切り下げているものの、需給や流動性等を踏まえると現状の取り扱いを維持することが適当である旨、当局案を支持する意見が聞かれた。また、一部の参加者から、投資家の購入意欲の減退に十分留意し、買入消却額の増額等を含めた対応を検討すべきとの意見が聞かれた。』
とまあそういうことで同額なんですが、買入消却増やせってあーた物国市場って新方式(フロア付き)になって最初の17回債から始まって今月は19回債が償還になっていて、次は3月に20回債が償還になる(その後の21回以降は毎年3月に償還になる)訳でして、今の輪番と買入消却がほぼ新発とバランスしているんだから償還分だけ市場規模が縮小している訳でして、物価連動国債市場を中長期的に育成する、という観点からしたらそもそも今の時点でも市場規模が縮小するということになっているのがどうなのか(デフレ期なら仕方ないけど物価目標2%達成が視野に入るとかいう話になっているというのに・・・・)ってところなんですけどね、とは思いますがどうなんでしょうかねえ。
『2. 令和6年10-12月期における流動性供給入札の実施額等について
<当局案>
・現状通り、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の11月に5,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,500億円、残存15.5-39年ゾーンについては、偶数月の10月と12月に4,000億円の発行としてはどうか。』
『<参加者からの意見>
・ほとんどの参加者から、前回会合から顕著な変化はないことから、現状の取り扱いを維持することが適当である旨、当局案を支持する意見が聞かれた。また、ごく一部の参加者から、足元の需要が旺盛である残存15.5-39年の発行額を増額し、その代わりに残存5-15.5年を減額して当初の発行計画額に戻すことを希望する、との意見が聞かれた。』
短国の流動性供給をしたら月額4000とか5000なんてちゃちな話じゃなくて毎週5000億円くらい大楽勝で発行できますわよ、って国債発行計画の中に入っているのは1年短国でそれより短いのは別の話になるけど1年短国の成れの果てなら期近ものもありますわ、というのは冗談ですがマジでこの短期ゾーンはどうにかならんのでしょうかね。
『3. 令和6年10月以降におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について
・令和6年10月以降におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について、令和6年3月に公表のとおり、10月に10年債、令和7年1月に5年債、それぞれ3,500億円程度をリオープン発行とすることに対し、全ての参加者から異論が無いことを確認。』
GXボンドェ・・・・・・・・・
とまあそういうことで、
https://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/20240926-01.htm
令和6年10月から12月における物価連動債の発行額等
https://www.mof.go.jp/jgbs/topics/press_release/20240926-02.htm
令和6年10月から12月における流動性供給入札の実施額等
という四半期末近くの恒例行事でした。
2024/09/26
〇基調的なインフレちゃんはやや弱めになっておるのだがワシの体感と合わん(ナンジャソラ)
いつもの
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
毎度のようにエクセルをDLしてみますと・・・・・
いつものように左から刈込平均、加重中央値、最頻値
Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0
Aug-23 3.3 1.8 3.0
Sep-23 3.4 2.0 2.8
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9
Apr-24 1.8 1.1 1.6
May-24 2.1 1.3 1.5
Jun-24 2.1 1.4 1.6
Jul-24 1.8 1.1 1.5
Aug-24 1.8 0.7 1.3
ということで加重中央値1%割れとかになっているのですが、個人的には生活必需品しか買っていないせいかなんか全然体感に合わないんですけどとは思いますが、まあ伸びませんな、というように見える数値になっておりまして、うーんこのという感じですが、これでまたぞろ金融緩和続けろみたいな話になって円安に飛ぶと誰得にもほどがある(まあリフレ派とかいう連中は円安が絶対正義らしいのでリフレ派大喜びですけど)話になるんですけど、まあそうなったらそうなったで面倒ですな。
品目ベースの方は、
Jan-23 80.3 12.6 67.6
Feb-23 81.0 11.7 69.3
Mar-23 82.6 10.0 72.6
Apr-23 84.3 9.2 75.1
May-23 84.9 8.8 76.1
Jun-23 84.9 9.2 75.7
Jul-23 85.6 8.4 77.2
Aug-23 86.0 8.2 77.8
Sep-23 87.0 7.3 79.7
Oct-23 84.7 9.6 75.1
Nov-23 83.0 11.3 71.6
Dec-23 82.0 12.1 69.9
Jan-24 83.9 10.7 73.2
Feb-24 81.8 12.8 69.0
Mar-24 79.5 15.1 64.4
Apr-24 80.8 14.0 66.9
May-24 79.3 15.5 63.8
Jun-24 78.7 16.1 62.6
Jul-24 75.7 18.8 56.9
Aug-24 74.7 19.9 54.8
ということで(下手糞で波打っててすいません)品目ベースでは相変わらず4分の3の品目が値上がりしている訳でして、まあこの品目の方が相変わらずの値上がり感を続けているのが体感とイマイチ合わないなあという感想の元になっているのかなと思いました、知らんけど。
〇短国ェ・・・・・・・・・・・・
売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
昨日の短国の引値なんですけどね、
期近のあたり(なお来週月曜償還は期内だしクソ短いのでここだけ別でしたが)
国庫短期証券1241 2024/10/07 平均値単利 0.060
国庫短期証券1224 2024/10/10 平均値単利 0.060
国庫短期証券1243 2024/10/15 平均値単利 0.060
3Mカレントの辺り
国庫短期証券1254 2024/12/09 平均値単利 0.060
国庫短期証券1235 2024/12/10 平均値単利 0.060
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.050
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.059
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.050
ということで軒並み6bpとかいう地獄のような利回りになっているのですが、前々日の引値ちゃんですとこの辺が
国庫短期証券1241 2024/10/07 平均値単利 0.100
国庫短期証券1224 2024/10/10 平均値単利 0.100
国庫短期証券1243 2024/10/15 平均値単利 0.100
とか
国庫短期証券1254 2024/12/09 平均値単利 0.100
国庫短期証券1235 2024/12/10 平均値単利 0.100
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.100
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.050
とかいう水準でして、まあ火曜までの引けの10bpってのも需給強い中でワイ思うに10bpの引けはちょっと甘いかもという感じ(なお1258は先週木曜の入札で強かったのがそのまま引きずられている)ではあったのですが、それにしても期末直前でいきなり引値4bp飛ばすわ水準が6bpだわってナンジャソラという状態でして、まあ期末期初の需給ひっ迫(なので10/1になったからと言っていきなり解消するわけではなくて何回か短国入札を通過しないと需給が緩和しないのが困りもん)の影響で値付けを動かして来たんだとは思うので、需給はともかく値付け自体は期末通過たら変わるのかもしれませんが、思いっきり強い方にサヤ寄せしやがってきましたな、というメモ。
しかしまあ短国市場真面目に育成する気があるんだったら国庫短期証券の発行をもっと増やせと思うんですが、短国市場何ぞ育成してもどうせターンオーバーが速いので発行するの面倒だしぃ、とかまあ短期って割とそういう仕打ちを食らいやすい市場なので(僻み根性)あまり期待はしていないものの、しかしこの「利上げしたのに全然金利が上がっていない短国市場(の3Mとかその近辺くらいまで)」ってのは市場機能が壊れているにも程があるだろという話なので市場機能市場機能と毎度偉そうにおっしゃる割に何もしないどころか市場機能の破壊には熱心な日銀さんもちょっと問題意識持てやゴルァ、といういつもの悪態になるのでした。
まあ悪態はさておきそんなことが起きてますという備忘ということで。
2024/09/24
おお野田さんですか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240923/k10014589651000.html
立民代表選【結果】野田新代表 党役員骨格人事「刷新感重要」
2024年9月23日 18時57分
野田さんが保守系を率いて自民党に合流して自民党総裁になってええんやで(大妄想)。
〇全国CPI相変わらずお強いですが
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消 費 者 物価指数
全 国 2024年(令和6年)8月分
『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として109.1
前年同月比は3.0%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は108.7
前年同月比は2.8%の上昇 前月比(季節調整値)は0.4%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は107.4
前年同月比は2.0%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇』
なにこの前月比という感じですが、2ページ目の[総合指数の前年同月比に寄与した主な内訳]を見ますと、
『生鮮野菜 12.5%(0.23) ・・・・・ たまねぎ 31.3%(0.03) など
穀類 6.5%(0.15) ・・・・・ うるち米(コシヒカリを除く)29.9%(0.10) など
肉類 4.6%(0.12) ・・・・・ 豚肉(国産品)7.2%(0.04) など
外食 2.5%(0.12) ・・・・・ 焼肉(外食)3.8%(0.02) など
菓子類 4.1%(0.11) ・・・・・ チョコレート 12.7%(0.04) など
生鮮果物 10.1%(0.10) ・・・・・ 梨 12.8%(0.02) など
調理食品 2.5%(0.09) ・・・・・ すし(弁当)4.2%(0.01) など
飲料 3.9%(0.07) ・・・・・ 果実ジュース 34.9%(0.03) など』
・・・・泣いた。
という所ですし、1ページ目の『表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比』を見ますと相変わらず前年同月比でもお高いわけですが、このような物価情勢の中だというのに、どこぞの某有力議員様におかれましては、「コアコア物価が2%に達していないので金融緩和を続けるべき」とかいうご発言をされていたやに記憶しておりまして、アタクシの記憶違いであることを切に願いたいのですが、もしかしてこのお方は先月発表されたCPIのコアコア前年同月比+1.9%というのだけを見てそのようなご認識を示されたのでございましょうかとか、まさかとは思いますが総務省の出している重要統計の公表文書のほぼ鏡の部分もお読みになっておられないのでしょうかと杞憂してしまいますが、どういう幻想的な思考をするとあの統計表を見て「コアコア物価がまだ弱い」という話になるのかと思いますと、まあ何と申しますか以下自粛。
〇決定会合レビュー:7月のタカ色を中和しようとして円安に振ってるとか間抜けにもほどがある
・声明文比較の前にそもそも何なんですかあの会見は為替また動かしちゃったじゃないですか
ということでレビューなのですが、7月のタカ色を中和したいのはわからんでもないのだが、そもそも論として7月会合の後に内田副総裁の株式市場に全面降伏ワンワン講演があった訳でして、アレのあとまた内田さんの市場従属とかいう無見識モードの中和をしている中で、今回のメッセージの出し方が「10月利上げ観測の払拭」だったのかもしれないけれども、一々余計なのでして、今回は会見の方が間抜け(途中結構植田さん良い話をしている場面もあったのですが)にも程があって、それは本日会見要旨が出るからそこでまた確認しますけど。
いやね、10月利上げ観測を消しておきたいのはわかるんだが、そもそも論としてそんな幻想的な観測しているの馬鹿メディアとかド素人市場のド素人だけな訳で、一々馬鹿向けにサービスして説明をするもんだから、特に会見で出てくるメッセージの振れ幅が大きくなるわけですよ。
結局ですね、利上げ観測を叩き潰してみたり、今度は利上げやる気満々な強い言い方をしてみたり、の繰り返しをしているのが良くなくて、今回なんて内田ワンワン講演のやりすぎを一旦少し中和したんですから、そのまま「見通し通りに推移すれば緩和度合いの調整を今後も続けます、以上それまで」で良いのにも関わらず、「米国経済のリスクガー」を連呼するもんだから、特に為替市場が盛大に反応してしまって、債券市場も先物が反応してしまって、という余計な動きを発生させている訳でして、まあ植田さんも余計なことを言う悪い癖があるようですけれども、あれだけ米国経済下振れリスクを連呼するということは、こんなの植田さん個人な訳なくて振付師の振付がヘタクソというか学習効果が無いのか市場のことを分かった積りになって生兵法を振り回してるのか知らんけど、無風会合になる筈なのに為替をまたもう動かしてしまったことには猛省を促したいと思います。
2024/09/12
〇貸増ェ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんでそうなるの
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope240911a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2024年9月実施分)
『今回の貸付の概要
貸付予定額 121,454億円
貸付先数 23先
(参考)貸付日時点の貸付残高および貸付先数の見込み
大手行 316,185億円 6先
地域金融機関等 467,629億円 111先
合計 783,814億円 117先』
・・・・・1年物変動金利にしても全然減らないんですがどうなってるのよ、という感じですが、変動金利にしても全然減らないんだったら、そもそも気候変動とか被災地支支援オペも変動金利にすればいいんじゃないですかという気がだいぶしてきました次第なのですが、貸付日とかそういうのはHPに出ているのですがもしかして今回って固定金利でやってるんですかと言いたくなってしまう実施額になっていてナンジャソラ状態。
今回って前回の4年貸増の期落ちがあって、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/rel200914a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2020 年 9 月実施分)
『今回の貸付の概要
貸付予定額 132,310 億円
貸付先数 35 先』
期落ちが13兆円あるからかなりの部分が落ちてその分だけ日銀当座預金が減るじゃろ、と思っていたのですが、1兆しか減らないということになってしまいましたので、貸増全体の残高も碌すっぽ減らないわけで・・・・・・
前回の貸増実施時点でこうなっていたんですよね。
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope240617a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2024年6月実施分)
『(参考)貸付日時点の貸付残高および貸付先数の見込み
大手行 320,968億円 6先
地域金融機関等 469,678億円 111先
合計 790,646億円 117先』
79兆の貸増が78.4兆に減っただけ、という誤差の範囲内しか減らないという飛んでもない結果になっておりましたが、もしかしたら先週今週と短国入札のところでアホみたいに強くなっているのって今回の貸増(13日スタート来年9月12日エンド)分の担保繰り要因があったのかのかもしれませんが、しかし貸増全然減らないとなるとこの見合いの担保ニーズが減らない訳で、短国のレートが明後日の方向に飛んでいく現象は続くわ(しかし短国を担保にして付利金利で調達するという取引単体で見たら赤字にも程があるし、途中で政策金利上がったらどうするんじゃという話ではあるのだが、まあそんな単純な話ではないんですよねこればっかりは)と頭のくらくらする結果を見て世を儚んで西行法師の如く山奥に庵を結ぼうかと思う今日この頃です(大嘘ですのでご安心?ください)。
まあ短国市場とかそんな限界市場知らんがな、ということなのかもしれないのですが、リスクフリーレートの市場をちゃんと作るとか言ってた話はどこ行った(GCレポ市場はシステム対応的な意味での参入障壁が高くて短期金利が2%にでもなればともかくこの金利水準で参入障壁を越えて参加しようとはなかなかならんでしょうからね)という所なのですが、まあそんな話はすっかり忘れているでしょうからねえ日銀ちゃん。
2024/09/25
ほうほうそうですかそうですか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2325C0T20C24A9000000/
高市早苗氏、日銀をけん制 「今、利上げはあほ」
自民党総裁選2024
2024年9月23日 17:54
まあ何ですな、こちらの先生におかれましてはアベノミクスが神聖不可侵な聖典みたいになってしまっているように見えるのがアレでして、よくよく思い起こせば安倍ちゃんって実はかなり柔軟な現実主義者で、何のかんの言いながら現実を見て政策対応を柔軟に行い続けたからこそ政権も長く続いていたんじゃないかと思う訳ですが、聖典は安倍ちゃんしか書き換えられないので、安倍ちゃんの柔軟性がなくなるとこのURL先のように「円安と金融緩和がどこまで行っても善」みたいになってしまうんですけれどもそれって・・・・・・・・
なお上記報道によりますと中々のアレな発言が散見される気がしますが、以下自主規制ということでオナシャス。
〇決定会合のたびに利上げ観測が大幅に前倒しや後ろ倒しになるのはコミュ障日銀のせい
・結局金曜の会見(と昨日の大阪講演)は「ハト派」扱いにされましたなあ
結局こうなったわけでして
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/LCM22TH2KBIJNNRPY3RQRHKY2Y-2024-09-24/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反発、長期金利0.805% 早期の追加利上げ観測後退
By ロイター編集
2024年9月24日午後 3:21 GMT+9
『[東京 24日 ロイター] - <15:10> 国債先物は大幅反発、長期金利0.805% 早期の追加利上げ観測後退』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『国債先物中心限月12月限は、前営業日比64銭高の145円11銭と大幅反発して取引を終えた。日銀による早期の追加利上げ観測が後退したことが買い材料だった。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.5ベーシスポイント(bp)低下の0.805%と、8月15日以来1カ月超ぶりの低水準をつけた。』
以下(時間の関係で今朝全部ネタにできるかアレですが)でネタにしますけど、植田さん今回の会見では「米国経済下振れリスクガー」を連呼するもんだからものの見事にそれがハト扱いになってしまって、最初は為替が反応してましたが、金曜のイブニングでも円債先物ちゃんも反応しだして、(ノ∀`)アチャーって思っていたのですが、結局週明けになってみますと「総裁定例会見はハト派的」という話になりましたな。
とまあそんなわけでして、
『国債先物は、前週末の日銀金融政策決定会合終了後の記者会見での植田和男総裁の発言が「ハト派的」だったとの受け止めから、大幅な買い優勢でスタートした。午後には植田総裁が大阪の経済4団体共催の懇談会であいさつを行い、「政策判断に当たっては、内外の金融資本市場の動向やその背後にある海外経済の状況などについて丁寧に確認していく必要があり、そうした時間的な余裕はある」など20日の記者会見と同様の見解を示したことから、終盤にかけてあらためて国債を買い直す動きとなった。』
となった次第でして、いやもう昨年終わりくらいからそうなのですが、特に最近は金融政策決定会合の度に利上げ観測が思いっきり前倒しになったり、思いっきり後ろ倒しになっている次第でして、植田総裁が二重人格(多重人格)状態なのか振付師の振付がドのつく下手糞なのかその合わせ技なのかさっぱりその辺はわかりませんけれども、ここまで愚劣なコミュニケーションやってる中央銀行というのは、なかなかお目に掛かれないレベルのトンチ
中央銀行ですわな。
・てめえが説明に余計なものをゴテゴテとデコるからちゃんと伝わらないんだよアホが
ちょっと先走って昨日の大阪講演の一部から引用しますけどね、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240924a1.pdf
5ページ目(PDF6枚目)にこんな記述があるわけですよ。
『こうした8月にみられた市場の乱高下の背景の一つとして、日本銀行の政策運営の考え方が十分に伝わっていなかったとの批判があることは承知しています。日本銀行は、これまでも「展望レポート」のほか、講演や記者会見等も活用しながら、金融政策運営に関する基本的な考え方をご説明してきましたが、引き続き、丁寧な説明と情報発信に努めてまいる所存です。この場では、8月以降の状況変化を踏まえつつ、先行きの金融政策運営について、改めて、2点、お話ししたいと思います。』(この部分直上URL先の9/24植田総裁大阪講演より)
ということでああでもないこうでもないと説明しているのですが、「日銀の政策運営の考え方が十分に伝わっている」ならこうも毎度毎度市場の利上げ観測(といわれるもの)が前倒しになったり後ろ倒しにならない訳で、直前のMPMの結果為替が2円以上円安に飛び、長期金利どころか2年金利とかまでも前日比5bpの低下を示す、って時点でお前らの考え方は全然正確に伝わってないんじゃヴォケとしか申し上げようが無いわけです。
ちなみにこのウスラヘチマですが、この講演では以下うだうだと説明をしていまして、まあそれは後で(明日かもしれないけど)改めてネタにして「その説明が余計なんだよこのバカスケ」と悪態をつく予定なのですが、とにかく余計な話をゴテゴテとつけまくっているからハトだのタカだの好き放題に解釈されるんですよね。
こんなの話は簡単で、講演のさっき引用した先の部分にある、「今後、「展望レポート」でお示ししている経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、政策金利を引き上げていくことになります。」以上それまで、でシンプルに説明すれば済むわけですっよ。
然るにこのヘチマの講演ですが、講演でのこの部分でも実質金利、中立金利、不確実性、米国経済、金融資本市場が不安定、円安是正で物価上昇リスク減少、時間の余裕がある、だの盛りだくさんにいろんなもん入れているので、その時の雰囲気で行きたい方向の話をクローズアップされて金融市場の値動きが増幅するだけのことになるわけです。
・・・・というのにいい加減に気が付けよと思うのですが、説明の要素がどんどん追加されている、というのが現状の流れでして、どんどん追加するもんだから益々わけがわからなくなってしまっていて、もうちょっとどうしようもない状態になっているのですが、振付師ちょっと何とかしろよとしか申し上げようがない。
・ここで「見通し通りなら利上げ」が素直に伝わっていないことに関する田村委員の説明を確認しましょう
先日ネタにしました田村委員の岡山金懇ですけれども、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240912a.htm
同じく8月頭の金融市場の大幅な動きに関しましてこのように説明していました。
『日本銀行の政策を少し振り返りますと、本年4月以降、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「金融緩和度合いを調整していくことになる」という考え方は一貫していました。しかし、そのことが過不足なく市場に伝わっていたのか、市場の受け止めに対してより適切に対応する術はなかったのか、後付けにはなりますが改めて振り返り、市場とのコミュニケーションの改善に絶えず努めていくことが重要であると感じています。』(この部分直上URL先9/12田村審議委員の金懇挨拶より)
さっきのヘチマの講演テキストでは「伝わっていなかったとの批判があると承知しています」→「では説明しましょう」→(いつものゴテゴテ満艦飾説明に米国経済のニューデコレーション追加)という反省という言葉も全くないうえに、説明をさらに複雑にして恬として恥じることのない、というコミュ障というのがコミュ障に失礼なくらいのお馬鹿っぷりを発揮しているのに対して、田村委員は率直に「本来の説明である「見通し通りに推移すれば緩和度合いの調整を行う」が伝わっていなかったのではないか」と率直に認めている訳でして、何でヒラ委員が大本営が言うべきことをきちんというのに総裁があの調子なのかというお話であります(確かに伝わっていないから7月利上げとその後の説明がサプライズ扱いされた訳ですから)。
・てかそもそも論としてそんなに債券市場の中の人たち利上げ観測時期をぶらしてますかしら問題
てかね、そもそも論として8月のあのドタバタと政治日程見たら9月10月の政策変更ってもともと無理筋で、まあ12月か1月じゃないの、っていうのが債券市場の中の人たちの中心的な見解で、ただまあその時期ともなるとちょっと先なので、今から決め打ちする話でもないので、皆さんそこは半身で構えていると思いますし、本来今回の決定会合ってそういう点で言えば無風オブ無風で、10月の展望レポートの方がまあ注目されるって感じだったはずなんですよ。
よって、この説明があったから12月1月の利上げが消えたって話でも何でもないので、おそらくは市場の価格に出ているほど「肚の中で思っている利上げ時期想定」にそんなに変化が起きるような話ではないし、そもそも米国経済ガーって言ってるけどFEDは50bpも利下げしたんだし、そんなにクラッシュするような話ありましたっけ、ってなもんでして、こんなの10月利上げ観測(そんなもんそもそも円債市場の中の人には存在しないんだが)を消すためのその場しのぎの話じゃろ、と思っているんじゃなかろうかと勝手に想像している訳ですよ。
結局馬鹿騒ぎしているのって為替市場とメディアとメディアの尻馬に乗ってる何とかストと株式市場な訳でして、さすがにここ数回のコミュ障コミュニケーションを見れば、総裁会見を一々全部真に受けてポジションなりポートフォリオをドテンドテンするのは、トレーディングならともかく、ポートでこの植田説明に乗って一々ドテンしてたらエライ勢いで往復ビンタ食らってテンコシャンコになるの必定な訳ですが、どうも今の植田総裁なんだか下手糞振付師なのか知らんですが、一々そういう阿呆向けにと親切の積りでああでもないこうでもないと説明をするもんだから、説明の本来の根幹(見通し通りに推移すれば金融緩和の調整を進めて行きますよ)がますます伝わりにくくなって、短期的なメッセージに一々右往左往することになってしまっているんですよね。しかもさらに悪いのはその動きが行き過ぎだと思って慌てて逆側のニュアンスの説明するもんだから市場の動きが増幅されるわけで、「不安定な金融市場」を作ってるのは日銀自身だという自覚が(田村さんにはありそうですが)無いというのがもう救いようがありません。
ということで、本来クソ無風会合で終わるはずなのに悪態ネタ満載、という決定会合になってしまうあたり、植田クオリティなのか振付師クオリティなのか知らんですけど、あまりのことに思わず悪態ばかり最初に書いてしまいましたすいませんすいません。
2024/09/25
ほうほうそうですかそうですか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2325C0T20C24A9000000/
高市早苗氏、日銀をけん制 「今、利上げはあほ」
自民党総裁選2024
2024年9月23日 17:54
まあ何ですな、こちらの先生におかれましてはアベノミクスが神聖不可侵な聖典みたいになってしまっているように見えるのがアレでして、よくよく思い起こせば安倍ちゃんって実はかなり柔軟な現実主義者で、何のかんの言いながら現実を見て政策対応を柔軟に行い続けたからこそ政権も長く続いていたんじゃないかと思う訳ですが、聖典は安倍ちゃんしか書き換えられないので、安倍ちゃんの柔軟性がなくなるとこのURL先のように「円安と金融緩和がどこまで行っても善」みたいになってしまうんですけれどもそれって・・・・・・・・
なお上記報道によりますと中々のアレな発言が散見される気がしますが、以下自主規制ということでオナシャス。
〇決定会合のたびに利上げ観測が大幅に前倒しや後ろ倒しになるのはコミュ障日銀のせい
・結局金曜の会見(と昨日の大阪講演)は「ハト派」扱いにされましたなあ
結局こうなったわけでして
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/LCM22TH2KBIJNNRPY3RQRHKY2Y-2024-09-24/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反発、長期金利0.805% 早期の追加利上げ観測後退
By ロイター編集
2024年9月24日午後 3:21 GMT+9
『[東京 24日 ロイター] - <15:10> 国債先物は大幅反発、長期金利0.805% 早期の追加利上げ観測後退』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『国債先物中心限月12月限は、前営業日比64銭高の145円11銭と大幅反発して取引を終えた。日銀による早期の追加利上げ観測が後退したことが買い材料だった。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.5ベーシスポイント(bp)低下の0.805%と、8月15日以来1カ月超ぶりの低水準をつけた。』
以下(時間の関係で今朝全部ネタにできるかアレですが)でネタにしますけど、植田さん今回の会見では「米国経済下振れリスクガー」を連呼するもんだからものの見事にそれがハト扱いになってしまって、最初は為替が反応してましたが、金曜のイブニングでも円債先物ちゃんも反応しだして、(ノ∀`)アチャーって思っていたのですが、結局週明けになってみますと「総裁定例会見はハト派的」という話になりましたな。
とまあそんなわけでして、
『国債先物は、前週末の日銀金融政策決定会合終了後の記者会見での植田和男総裁の発言が「ハト派的」だったとの受け止めから、大幅な買い優勢でスタートした。午後には植田総裁が大阪の経済4団体共催の懇談会であいさつを行い、「政策判断に当たっては、内外の金融資本市場の動向やその背後にある海外経済の状況などについて丁寧に確認していく必要があり、そうした時間的な余裕はある」など20日の記者会見と同様の見解を示したことから、終盤にかけてあらためて国債を買い直す動きとなった。』
となった次第でして、いやもう昨年終わりくらいからそうなのですが、特に最近は金融政策決定会合の度に利上げ観測が思いっきり前倒しになったり、思いっきり後ろ倒しになっている次第でして、植田総裁が二重人格(多重人格)状態なのか振付師の振付がドのつく下手糞なのかその合わせ技なのかさっぱりその辺はわかりませんけれども、ここまで愚劣なコミュニケーションやってる中央銀行というのは、なかなかお目に掛かれないレベルのトンチ
中央銀行ですわな。
・てめえが説明に余計なものをゴテゴテとデコるからちゃんと伝わらないんだよアホが
ちょっと先走って昨日の大阪講演の一部から引用しますけどね、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240924a1.pdf
5ページ目(PDF6枚目)にこんな記述があるわけですよ。
『こうした8月にみられた市場の乱高下の背景の一つとして、日本銀行の政策運営の考え方が十分に伝わっていなかったとの批判があることは承知しています。日本銀行は、これまでも「展望レポート」のほか、講演や記者会見等も活用しながら、金融政策運営に関する基本的な考え方をご説明してきましたが、引き続き、丁寧な説明と情報発信に努めてまいる所存です。この場では、8月以降の状況変化を踏まえつつ、先行きの金融政策運営について、改めて、2点、お話ししたいと思います。』(この部分直上URL先の9/24植田総裁大阪講演より)
ということでああでもないこうでもないと説明しているのですが、「日銀の政策運営の考え方が十分に伝わっている」ならこうも毎度毎度市場の利上げ観測(といわれるもの)が前倒しになったり後ろ倒しにならない訳で、直前のMPMの結果為替が2円以上円安に飛び、長期金利どころか2年金利とかまでも前日比5bpの低下を示す、って時点でお前らの考え方は全然正確に伝わってないんじゃヴォケとしか申し上げようが無いわけです。
ちなみにこのウスラヘチマですが、この講演では以下うだうだと説明をしていまして、まあそれは後で(明日かもしれないけど)改めてネタにして「その説明が余計なんだよこのバカスケ」と悪態をつく予定なのですが、とにかく余計な話をゴテゴテとつけまくっているからハトだのタカだの好き放題に解釈されるんですよね。
こんなの話は簡単で、講演のさっき引用した先の部分にある、「今後、「展望レポート」でお示ししている経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、政策金利を引き上げていくことになります。」以上それまで、でシンプルに説明すれば済むわけですっよ。
然るにこのヘチマの講演ですが、講演でのこの部分でも実質金利、中立金利、不確実性、米国経済、金融資本市場が不安定、円安是正で物価上昇リスク減少、時間の余裕がある、だの盛りだくさんにいろんなもん入れているので、その時の雰囲気で行きたい方向の話をクローズアップされて金融市場の値動きが増幅するだけのことになるわけです。
・・・・というのにいい加減に気が付けよと思うのですが、説明の要素がどんどん追加されている、というのが現状の流れでして、どんどん追加するもんだから益々わけがわからなくなってしまっていて、もうちょっとどうしようもない状態になっているのですが、振付師ちょっと何とかしろよとしか申し上げようがない。
・ここで「見通し通りなら利上げ」が素直に伝わっていないことに関する田村委員の説明を確認しましょう
先日ネタにしました田村委員の岡山金懇ですけれども、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240912a.htm
同じく8月頭の金融市場の大幅な動きに関しましてこのように説明していました。
『日本銀行の政策を少し振り返りますと、本年4月以降、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「金融緩和度合いを調整していくことになる」という考え方は一貫していました。しかし、そのことが過不足なく市場に伝わっていたのか、市場の受け止めに対してより適切に対応する術はなかったのか、後付けにはなりますが改めて振り返り、市場とのコミュニケーションの改善に絶えず努めていくことが重要であると感じています。』(この部分直上URL先9/12田村審議委員の金懇挨拶より)
さっきのヘチマの講演テキストでは「伝わっていなかったとの批判があると承知しています」→「では説明しましょう」→(いつものゴテゴテ満艦飾説明に米国経済のニューデコレーション追加)という反省という言葉も全くないうえに、説明をさらに複雑にして恬として恥じることのない、というコミュ障というのがコミュ障に失礼なくらいのお馬鹿っぷりを発揮しているのに対して、田村委員は率直に「本来の説明である「見通し通りに推移すれば緩和度合いの調整を行う」が伝わっていなかったのではないか」と率直に認めている訳でして、何でヒラ委員が大本営が言うべきことをきちんというのに総裁があの調子なのかというお話であります(確かに伝わっていないから7月利上げとその後の説明がサプライズ扱いされた訳ですから)。
・てかそもそも論としてそんなに債券市場の中の人たち利上げ観測時期をぶらしてますかしら問題
てかね、そもそも論として8月のあのドタバタと政治日程見たら9月10月の政策変更ってもともと無理筋で、まあ12月か1月じゃないの、っていうのが債券市場の中の人たちの中心的な見解で、ただまあその時期ともなるとちょっと先なので、今から決め打ちする話でもないので、皆さんそこは半身で構えていると思いますし、本来今回の決定会合ってそういう点で言えば無風オブ無風で、10月の展望レポートの方がまあ注目されるって感じだったはずなんですよ。
よって、この説明があったから12月1月の利上げが消えたって話でも何でもないので、おそらくは市場の価格に出ているほど「肚の中で思っている利上げ時期想定」にそんなに変化が起きるような話ではないし、そもそも米国経済ガーって言ってるけどFEDは50bpも利下げしたんだし、そんなにクラッシュするような話ありましたっけ、ってなもんでして、こんなの10月利上げ観測(そんなもんそもそも円債市場の中の人には存在しないんだが)を消すためのその場しのぎの話じゃろ、と思っているんじゃなかろうかと勝手に想像している訳ですよ。
結局馬鹿騒ぎしているのって為替市場とメディアとメディアの尻馬に乗ってる何とかストと株式市場な訳でして、さすがにここ数回のコミュ障コミュニケーションを見れば、総裁会見を一々全部真に受けてポジションなりポートフォリオをドテンドテンするのは、トレーディングならともかく、ポートでこの植田説明に乗って一々ドテンしてたらエライ勢いで往復ビンタ食らってテンコシャンコになるの必定な訳ですが、どうも今の植田総裁なんだか下手糞振付師なのか知らんですが、一々そういう阿呆向けにと親切の積りでああでもないこうでもないと説明をするもんだから、説明の本来の根幹(見通し通りに推移すれば金融緩和の調整を進めて行きますよ)がますます伝わりにくくなって、短期的なメッセージに一々右往左往することになってしまっているんですよね。しかもさらに悪いのはその動きが行き過ぎだと思って慌てて逆側のニュアンスの説明するもんだから市場の動きが増幅されるわけで、「不安定な金融市場」を作ってるのは日銀自身だという自覚が(田村さんにはありそうですが)無いというのがもう救いようがありません。
ということで、本来クソ無風会合で終わるはずなのに悪態ネタ満載、という決定会合になってしまうあたり、植田クオリティなのか振付師クオリティなのか知らんですけど、あまりのことに思わず悪態ばかり最初に書いてしまいましたすいませんすいません。
2024/09/09
〇これはひどい(某つとむちゃん)
これまたマクラにしようとしたが独立小見出しをつけてしまった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-06/SJBOSMT1UM0W00
日銀の次回利上げ、市場予想より前倒しの可能性−渡辺東大教授
梅川崇、藤岡徹
2024年9月6日 9:50 JST
『不況などのショックが訪れた際の準備として考えると、「今利上げしておくというのは理屈がないことではない」としつつ、「日銀にはやはり金利を上げたいというDNAがある」と分析した。』(上記URL先より)
ついこの前は
https://diamond.jp/articles/-/348830
日銀の追加利上げは「全く理解できない」物価研究の第一人者が警鐘、「初歩的な経済学から逸脱」
渡辺努 東京大学大学院経済学研究科教授インタビュー
ダイヤモンド編集部
永吉泰貴:記者
連載
渡辺努 物価の教室
2024.8.16 8:30
『7月31日の日本銀行の追加利上げについて、物価研究の第一人者である渡辺努・東大教授は「利上げの時期が適切か否かというレベル以前に、経済学の初歩的な観点から全く理解できない」と厳しく批判した。その真意と、追加利上げが今後の物価に与える影響について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)』(上記URL先より)
・・・・・しかも今回のBBGで言ってる話、ナンジャソラという説明だし、元日銀で東大教授って肩書(さらに肩書について申し上げれば「物価研究の第一人者」には日銀出身でそう呼ばれるにふさわしい方が他にいるんですけどねえ)でこのような不誠実な発言を連発するのって、日銀にも東大にもついでに言えば経済学という学問全体にとってもレピュテーションを下げまくっている(少なくとも円債市場の中の人は呆れまくっておりますよ)訳で、まあこのオッサンに変な権威付けをするとレピュテーションリスクが高まるだけなので、日銀は未来永劫コンファランスとかそういう日銀主催のイベントに呼ばないことをお勧めしたいですな。
いやマジでなんなのこのオッサン・・・・・・
2024/09/05
ふむふむ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240904/k10014572221000.html
株価 4日の東京株式市場で1800円以上の下落 背景に3つの主要因
2024年9月4日 22時16分
『理由1. ISM製造業景況指数でアメリカの景気減速懸念』
『理由2. 半導体関連の銘柄下落』
『理由3.円高ドル安に伴う輸出関連銘柄の売り注文』
(以上上記URL先より)
・・・・・とまあこういう解説がある中、どこの誰とは言いませんけど昨日どこぞのアホウ何とかストが「(8月頭と同様に)日本発の国際市場混乱の側面(がある)」とか抜かしているとかいうのをベンダーのヘッドラインで見たわけで、日銀に永遠に異次元緩和しててほしいという心の発露でしょうなとは思いますが、とりあえずこの馬鹿は義務教育どころか幼稚園からやり直してこいと思いましたし、まあこのドアホウがどこの誰とは言わないけどそれなりに知名度も名声値も高い人なのが悲しい話ではあります。
〇高田審議委員金懇ですがこれはもう「市場の不安定」について聞かれまくりますなあ
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
『今後の講演・挨拶等の予定
日程 講演者等 講演内容等
2024年 9月 5日 高田審議委員 石川県金融経済懇談会における挨拶
2024年 9月11日 中川審議委員 秋田県金融経済懇談会における挨拶
2024年 9月12日 田村審議委員 岡山県金融経済懇談会における挨拶』
ということで、相変わらず日銀は情報発信を真面目にやる気あるのか、というようなこのタイミング(だって6月から7月は金懇0で8月9月で金懇5本ですよ)で金懇が設定されていまして、こんなの中間レビューみたいな話をさせたいんだったら期日分散させろよと思いますし、各委員の意見のばらつきを見せてくれるなら敢えて期日接近させるのもおもろいとは言え、田村さんと中村さん以外はカカシあるいは腹話術人形という説が大有りなので、腹話術人形に腹話術させるんだったら期日分散しろや、としか思えませんけどね。
でまあお誂え向きのように昨日に引き続き今日もアメリカン株式市場がおさげになって戻ってこられておりますので、もうここぞとばかりに会見では「今まさに金融市場が不安定な状態にある、というご認識でよろしいでしょうか」ということになりまして、高田さんって民間にいるときは結構威勢の良い話をしていたのに、いざ審議委員になってみると借りてきたチワワのような大人しさになっているという印象なので(個人の偏見です)、まあ普通にこの市場の定義とか言われたらビビりんちょ発言をするでしょうというのに1万ドラギといったところであります。
どうも円債方面でも高田さんが金融政策の修正推進に前向き発言をするんじゃないかという期待をしている向きもそこそこおられると思うのですが、正直ワイは期待していないし、何ならビビりんちょチキンの助発言になるんとちゃいまっかと(金懇テキストは昨日の今日だから間に合わない可能性があるが会見ではビビりんちょするでしょ)いうところでございますな。あくまでもアタクシ個人の偏見ですけど。
・・・・でまあそれはそれとして、この市場の不安定云々に関してはこうやって後々までずーっと尾を引くイッシューになってしまいましたよね、というのが今週来週の金懇後の会見で明らかになると思われますが、まあ確かに内田さんの発言は明らかに言いすぎというか言わなくても良いことを言ってしまったというのはあるんですけど、さらに元を辿ってみますと、3月のマイナス金利解除の時に必要以上に「マイナス金利解除しても緩和的な政策を続ける」を連呼してしまい、まあ初手でビビるのはわかるんですが、4月の展望では説明が悪くて市場の期待をハト方向に思いっきり振ってしまい、その結果7月の利上げの段階では今後はハト方向に振れている市場の期待を戻すべく政策修正に威勢の良い発言をぶっこんでしまう、という風に、中の人たちは必ずしもその意図ではなくても、結果としては市場の皆様(およびワシ)の先行き金融政策運営に関する「予告ホームラン」を打って、しかもその予告ホームランが首尾一貫してなくて、市場の反応見て変えてくるもんだから、3月4月⇒7月会合後⇒内田さんのビビりんちょ金懇⇒植田さんの国会答弁や経済財政諮問会議などでの情報発信、という風に市場の期待を右や左に大きく振り回している訳で、もとはといえば、先行きのことなんぞ分からんって自分らで言ってるのに、なぜか先行きに関して予告ホームランをしたがるという今の日銀の謎コミュニケーションポリシーが混乱を呼んでるんで、まあちょっとお前ら少しは反省しろと思いますし、この「金融市場が不安定」云々に関しては相当尾を引くことになりそうですし、変に策を弄さずに骨太でぶれない説明というのをしてほしいもんだと思います。
んですけど、まあ今日の高田さんの金懇もなんか8月の市場のムーブで腰砕けになっていそうな気しかしなくて、市場のムーブで腰砕けってコミュニケーションを出されますと、益々「金融市場が不安定だと動きません」がクローズアップされる形になるんだろうなあ、とまあそういう風にちょっと今日の金懇および会見に関しては決め打ちをしてみましたwww
2024/09/04
お題「コミュニケーションに関する雑談とかそんな感じです今日は」
そういやこんなニュースがあったんだメモメモと
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240902/k10014568571000.html
食品の値上げ 今月は1300品目余 5か月ぶり1000品目超に
2024年9月2日 6時39分
〇FEDもECBもインフレ鎮静化自信ニキなのですがこの段階で大勝利宣言するのはねえ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/HSHGCCCU3NPPJPXSPZMUS3PIOM-2024-09-03/
インフレの大波は去り「正しい軌道に」=独連銀総裁
By ロイター編集
2024年9月4日午前 3:21 GMT+9
『[ベルリン 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのナーゲル独連邦銀行(中銀)総裁は3日、「インフレの大波は去り」、現在は「正しい軌道に乗っている」との見解を示した。ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)が3日に報じたインタビューで語った。9月の理事会で利下げに投票するかどうかは来週まで決めるつもりはなく、全てのデータを確認したいとした。』(上記URL先より)
ということでドイツニキもインフレ鎮静化に自信ニキとなっている今日この頃ですけど、まあこちらに関しては本当は本チャンの文脈をみないと本当の本当に大勝利宣言をしているかというとそうでもなさそうな気がせんでもないですけど。
まあとにもかくにも、昨日ネタにしましたように7月FOMC議事要旨が「ほとんど反対もなく物価鎮静化大勝利宣言モード」になっているのは気持ち悪い以外の何物でもなくて(相場、特に債券方面を長年やっていると「皆の意見が揃うとき」に碌なことが起きないというひねくれ精神が身につくし着かない人は早死にします)でまあインフレの内容とスケール感は違いますがドイツニキまでこれかよという感じでして、これは9月に欧米が利下げ(欧州は再利下げ)してみたら金融環境がヒャッハーとなって、特に米国の場合は金融環境がヒャッハーになるとホイホイ消費するアメリカンドリームの国なので(個人の偏見です)個人消費が上向いて物価がサガランチ会長になってパウエル何やってるんだこのバカチンが、となるに1万アルゼンチンペソ。
というかですね、なんか今回FEDがパウちゃんに合わせてるんだか、大統領選挙のある政治の季節だから威勢の良いことを言いたいのか、その辺が謎にもほどがあるんだが、基本的に毎度両論併記している議事要旨でここまでインフレ戦争大勝利宣言をぶっこんでくるのは怪しいわけで、これを見て大喜びして9月50bp利下げとかいうのはちょっと早計なんでネーノとは思うのよ。先日来申し上げていますように、ここまで大勝利宣言して外したら信認問題にかかわるし、そもそも論としてこいつら2021年の時だってインフレ見通しを後から見たら盛大に外しまくってインフレは一時的を連呼していた訳ですし、大幅利下げしてインフレ鎮静化が遅れたらパウちゃん磔獄門余の物終生遠島を申し付けるってお白洲に引き出されるの待ったなしになるわけで、そんな決め打ち利下げしてくるのは外した時にFEDの信認無くすからやらんと思うのよね。
とは思ったものの、まあ連中雇用雇用言ってるので雇用統計が楽しみになって参りましたなという雑談でした。
〇債券市場サーベイだが何ちゅうタイミングで調査してますねん
https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond_list/bond2408.pdf
債券市場サーベイ
<2024年8月調査>
回答期間:2024年8月1日〜8月7日
調査対象先数:72先
いやまあ回答期間って毎度対象月の頭(から10日前後まで)なので仕方ないちゃあ仕方ないのですけれども、7/31に政策金利動かした直後に市場機能がどうしたとかアスクビットスプレッドがどうしたとかいう調査するのって、わざわざ外れ値のところを取りに行ってるようなもんで、展望会合が1月以外ほぼ月末に実施されていることを勘案すると、これせめて第2週目を回答期間にするとかした方が良いんじゃないでしょうか。
まあこれおっぱじめたときには黒田時代で政策が変わらんのが仕様だったのであんまり気にならなかったんですけど、金融政策が動くような時代になると展望会合の時って基本的に政策変更が起きやすいタイミングになるのですから、まあ月の半ばとか月末近くのタイミングの方がよろしいんじゃないでしょうかご検討いただきたいです。
でまあそれは兎も角結果だけ見ますと、
『(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度』
機能度判断DI(現状)
前回 -24 ⇒今回 -23
まあ1日とか2日くらいにちゃちゃっと回答しちゃっているとそこまでアレなわけではなくて、先物爆発炎上とかしてたの週明けでしたし、まあ値動き無茶苦茶でしたけどアクティブはアクティブでしたということでしょうか、と思って内訳見たら
1. 高い 前回 7 ⇒今回 3
2. さほど高くない 前回 62⇒今回 71
3. 低い 前回 31 ⇒今回 26
って低いが減ったのかほうほうほう、と思って横の方見たら、
機能度判断DI(3か月前と比べた変化)
機能度判断DI(変化)
前回 7 ⇒今回 -6
って機能度変化でみたらドテン悪化じゃん、ということで
1. 改善した 前回 15 ⇒今回 3
2. さほど改善していない 前回 76 ⇒今回 86
3. 低下した 前回 8 ⇒今回 11
ということですので何のことはない、「機能度は悪化しているけど、低いというほどまでは悪化していませんですわ」というのがお答えだったようですな。
ただまあ何ですな、マイナス金利政策の時とかと違って、金利がまともにあって経済物価状況に応じて政策金利が上がったり下がったりする世界における市場の機能度ってのは何なんですかと考えますと、市場の価格形成において多種多様な参加者が多様なビューで参加してきてその総和が市場での価格になる、というような生物多様性とでも言いますか(ナンジャソラ)そういう体系が結果として安定的になるわけでして、一部のドミナントな少数の参加者がポジション振り回すとか、画一的な管理手法によって参加者のポジションや投資行動が金太郎飴状態になってしまうとか、そういうのは市場として健全じゃないんですよねーとは思うものの、大昔と違って参加者の規模が大きくなっているわ、各種金融規制の強化によってポジションの画一化が起きやすくなっているわ、日本の場合はどっかのアホウがドミナントに買って持ち切りのアホールドをするわで、まあ碌なもんじゃない訳です。
日本の場合は兎に角日銀の輪番もっと減らせやヴォケという話ですけどね。
まあしかし何ですな、その後の質問項目なのですが、
@貴行(庫・社)からみたビッド・アスク・スプレッドについてご回答下さい。
A貴行(庫・社)からみた市場参加者の注文量について、板の厚み(注)等を念頭においてご回答下さい。
ってそれはあのタイミングで聞く質問じゃないだろという感じ(いやまあ定例の質問項目なので聞くのは当たり前ではあるのですが)の話なのですが、先ほども申し上げました通りで、2月5月8月11月の頭に質問期間置いていると、何回かに1回のタイミングで「金融政策変更直後でまだ落としどころが決まっていない状態の市場の状況をわざわざ質問する」ことになるのでどうなんでしょとは思います。
まあ変更直後のを毎度狙って質問することによって、「この時の金融政策変更は市場にサプライズを与える結果になっておりそのせいで直後の債券市場の機能度はこうなっていますね」というような集計を取ってみたい、とかいうような深慮遠謀がありましたらそれはそれで結構なんですけど、だったら政策変更の直後に臨時で同じサーベイヤればエエンチャウノとは思いますけどw
〇経済財政諮問会議での資料でどうのこうのとか言ってましたが
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0903/agenda.html
第12回会議資料:会議結果 令和6年
議事次第
令和6年第12回経済財政諮問会議
開催日時:令和6年9月3日(火曜日)13時30分〜14時00分
開催場所:総理大臣官邸4階大会議室
議事
マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)
ほうほうそうですかってなもんですが、そちらの資料とやらに日銀謹製の物件があって、
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0903/shiryo_01.pdf
資料1 植田議員提出資料 令和6年9月3日
資料自体別に新しいお話があるわけではないのですが、なぜか知らんがこの中の『202年7月金融政策決定会合での決定内容』の資料を見て(債券市場は別に無視してたと思いますが)為替市場ちゃんが反応したことになっていて、そっちの方がビックらこきました、まあ実際に本当の本当に為替がこれに反応したのかどうかはワシもベンダーの後付け講釈見ているだけなのであれなんですけどね。
『2024年7月金融政策決定会合での決定内容
(1)金融市場調節方針の変更
●経済・物価は、これまで示してきた見通しに概ね沿って推移、賃上げの動きに広がり
● 輸入物価は再び上昇に転じており、先行き、物価が上振れするリスクには注意』
ってなっていまして、「見通しに概ね沿って推移」と「物価が上振れするリスクには注意」というのを赤字でハイライトしていますので、まあその点では決定会合の説明を改めて分かりやすく示した、という格好になっていますわな。
でもってその下に、
『2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整』
ってあって、その結果として利上げしましたよ、という話をしているんですけど。
『短期金利(無担保コールO/N物):「0.25%程度」に引き上げ(従来は「0〜0.1%程度」)』
はまあ良いんですけどね、
『●実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持 → 経済活動をしっかりとサポート
● 見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整』
ってなっていまして、これ2番目の「金融緩和の度合いを調整」の方が今回ハイライトされているのですけれども、相変わらず日銀クソコミュニケーションしてるな、とアタクシが思うのは1番目の方な訳ですよ。
つまりですね、
(再掲)
『●実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持 → 経済活動をしっかりとサポート』
ってあって、「経済活動をしっかりとサポート」というのを赤字でハイライトしているのですけれども、何で今更お前らこれをアピールするんだと小一時間問い詰めたいわけでして、いやまあどっかの党の総裁選の某候補者の経済政策に馬鹿が二匹参画しているように、馬鹿がうるさい(まあ馬鹿だからうるさいというのもあるが)のでこういうのを政治的配慮で入れる、というのはお気持ちとしてはわかるのですが、このしょうもない忖度が市場とのコミュニケーションにノイズを与えているんですよね。
すなわち、上記の話って「実質金利は大幅マイナスが続き」は良いんですけど「緩和的な金融環境は維持」っていうのがおかしくて、お前らこれから「金融環境の度合いを調整」するって言ってるんだから、その口が「維持する」って言葉使うなよという話な訳でして、4月の展望レポートの先行きの金融政策運営の文言に変なものを入れたが為にドル円は160円方面にぶっ飛ぶわ、利上げ観測が大きく後退するわとなって、その結果7月の利上げが半分くらい騙し討ち成分の入るムーブになったわけですよ。
でまあこの「維持」って言葉使うなよなと思う訳で、これ日銀は「維持」というのは状態のことを示しているってことだと思うし、まあそういう意味で使っているんでしょうけれども、「維持」ってのは金融政策決定における文章でも使う言葉なので、こう書くと「日銀は政策を変更しない」っていうニュアンスが出てしまう訳ですよ。実際に4月がそうだったように。
ということでですね、日本語ちょっと考え直した方が良いんじゃないかと思うんですよね。何がいいのかと言われますと共通一次試験(歳がバレる)の現国で国語の勉強が終了して久しいワイとしてはアレでございますが、「実質金利は大幅なマイナスが続いているので金融環境引き続き緩和的」みたいな感じで、「維持」とかいう日銀の政策意図を示すものと誤認されやすそうな言葉を使わない方がエエンチャウノ、というのはまあ個人の感想ですが一応共通一次の現国は得意科目でした(しつこい)ので申し添えますwwwwww
あとですね、先日の氷見野副総裁の金懇会見でもアホほど質問されていましたが、この「実質金利」の説明もあまり前面に出してしまうと、「じゃあ中立金利はいくらですか」というような泥沼にはまってしまってこれまたコミュニケーションのノイズを増すことになるので、もうちょっと何とかならんか、とも思いますのですが、実質金利云々の話は高校現国ではフォローできませんので今日はパスしますw
・・・・・と、注目されていない文言の方にツッコミを入れるというデギンドス副総裁の頭髪並みに不毛な話をしてしまいましたが(ちなみにデギンドスは某カシュカリ大僧正と違って頭髪がサイドにありますので念のため申し添えます^^)、今回の植田さん提出の資料に関して言えば、内田副総裁の金懇講演でちょっと威勢よく言いすぎてしまって利上げ観測がぶっ飛んでしまったことに対する態勢立て直しの一貫という感じだと思います。
すなわち、国会招致での植田総裁の答弁も態勢立て直しですし、氷見野副総裁もやんわりというかほんわかという感じですが、市場が不安定云々に関しては「総合判断の一つの要素」みたいな説明をしていたわけですが、内田副総裁の説明だと思いっきり「株式市場本位主義」みたいな言い方に取られても文句の言えない説明でした(のでその後散々質問されるわけです)すが、すこしはその辺の改善はできている、というか円債市場の方はさすがに伝わっているとは思うのですけれども、為替市場ちゃんが(本当かウソか知らんけど本当ならば)この提出資料の「金利調整」の部分に反応しちゃっている、ということは他市場は内田副総裁発言を上書きする植田さんたちのコミュニケーションがイマイチ伝わっていない、ということを意味するんじゃないかと思いまして、次回の政策金利調整の際も騙し討ちだの何だの言われるリスク高いな、って思いました。
2024/09/03
えーっとこれは・・・・・・・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/14ee42d5a591bf20c300eed58267568a2a9fdf06
安倍路線」継承の布陣、高市早苗氏の新刊『国力研究』が話題 外交、防衛、
経済など第一人者も強固 「総裁選にもプラス」と識者
9/2(月) 17:00配信
『経済力」を本田悦朗元内閣官房参与、若田部昌澄元日銀副総裁』(上記URL先より)
・・・・・・第一人者とは??と思ったが第一人者とか言ってるお方がアレだしそもそもこの記事が金融政策ネタで怪電波を飛ばすのを得意技にしている産経グループということで安倍残滓ホイホイってところですな。
2024/08/28
〇基調的な物価ちゃん今月は落ち着いたじゃないですかー
いつもの
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
例によって左から刈込平均値、加重中央値、最頻値
Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0
Aug-23 3.3 1.8 3.0
Sep-23 3.4 2.0 2.8
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9
Apr-24 1.8 1.1 1.6
May-24 2.1 1.3 1.5
Jun-24 2.1 1.4 1.6
Jul-24 1.8 1.1 1.5
刈込平均が4月以来の2%割れで加重中央値も4月の水準に戻り、最頻値は1.5%でここもと落ち着いているような感じですな。まあ最頻値1.5%でなんか物価高騰から少しマシになった気がしないでもない(でも日用品はホイホイ値上がりしてますけど)という気がするので、そもそも論としてこの辺の数値が2%とかになるの頭おかしいということにしていただかないと賃金上昇が追い付かないんで勘弁して欲しいですな。
上昇品目下落品目では
Jan-23 80.3 12.6 67.6
Feb-23 81.0 11.7 69.3
Mar-23 82.6 10.0 72.6
Apr-23 84.3 9.2 75.1
May-23 84.9 8.8 76.1
Jun-23 84.9 9.2 75.7
Jul-23 85.6 8.4 77.2
Aug-23 86.0 8.2 77.8
Sep-23 87.0 7.3 79.7
Oct-23 84.7 9.6 75.1
Nov-23 83.0 11.3 71.6
Dec-23 82.0 12.1 69.9
Jan-24 83.9 10.7 73.2
Feb-24 81.8 12.8 69.0
Mar-24 79.5 15.1 64.4
Apr-24 80.8 14.0 66.9
May-24 79.3 15.5 63.8
Jun-24 78.7 16.1 62.6
Jul-24 75.7 18.8 56.9
もう4分の3の品目が上昇する、というのがデフォになっておりまして物価上昇は定着していると思うのですが、いまさら何で物価の押し上げになる強力緩和を引っ張る必要があるのかと小一時間問い詰めたいですな。
・・・・・・しかしまあ何ですな、この基調的物価も出したときはいろいろと意味合い持って出していた(さっきのURL先に参考資料なんてのがある)のですが、いざ物価2%安定目標達成だという話になる頃には「サービス価格ガー」とか「賃金と物価の好循環ガー」とか「2%目標達成の確度ガー」とか言い出して結局この数字は何ですねんというような物件になってしまっているのが日銀クオリティなのと、そんな状況になっていて政策的に意味がないんだったら数字を継続して公表する意味ってあったんだっけという気もするのですが、一度こういうのを出しだすと牛の涎の如く延々とダラダラ出し続ける、というのも日銀クオリティでして、政策の指標として使っていないなら使っていないって言ってくれればこっちもスルーするんですけど、そういうのを明確にしないまま大事な指標とソウジャナイ指標を区別しないで出してくるもんだから困るわけですな。
ま、日銀ちゃんとしてみますとこの数値に関してもどっかでまた説明の道具として復活する可能性があり、便利な道具になりえるもんだからとりあえず生かしておいて使えるときに使おうってなもんだとは思いますが・・・・・・・・・・・
〇おちんぎんの調査をさらにするのか(短観)
https://www.boj.or.jp/statistics/outline/notice_2024/not240827a.pdf
「全国企業短期経済観測調査」の予備調査の実施について
『1. 予備調査の概要
日本銀行では、現在、「全国企業短期経済観測調査」(短観)の調査項目の見直しを検討しています。』
ほうほう。
『これまでも、日本銀行は、短観について累次にわたる見直しを実施してきており、最近では2020年に調査項目の一部廃止を行ったほか、「海外での事業活動」に関する調査項目の新設などを実施したところです。』
ほう。
『その後も、調査にご協力いただく企業の回答負担の軽減を図りつつ、金融経済構造の変化に対応した的確な統計を提供する観点から、さらなる見直しの余地がないか、不断に検討してまいりました。
こうした取り組みの一環として、企業における賃金の動向(賃上げ率の実績や見通し)を的確に捉える調査項目の新設を企図して、適切な設問形式等を確認するため、2024年9月調査以降の調査において、一部の調査対象企業に対して予備調査を行うことといたしました。』
ほーーーーーーー
『予備調査の結果などを踏まえて見直しの方向性が決定した場合には、検討内容を「見直し方針」として公表し、広く皆様からのご意見を募集することといたします。日本銀行では、頂いたご意見を踏まえて、最終的な見直しの内容を決定してまいります。』
ということなので、まあ後日どんな調査をしたのかとかは大々的に公表されることになると思うのですが、長期間の調査に耐えられるような項目を設定していただきたい、という辺りは調査統計局なので抜かりはないと思いますが期待しましょう(これが市場局だの企画局だのが考えるとその場でしか使い物にならない調査項目を考え出しそうで怖いのですが調査統計局なら大丈夫でしょうという意味ですわよおほほほほ)
2024/08/27
〇氷見野副総裁が明日金懇ですよ
https://jp.reuters.com/business/7PTNY4Y4UZNS7PATIUXPBYKBZI-2024-08-26/
氷見野副総裁、28日に甲府市で懇談会出席・記者会見へ=日銀
By 和田崇彦
2024年8月26日午前 10:21 GMT+9
『[東京 26日 ロイター] - 日銀は26日、氷見野良三副総裁が28日に山梨県甲府市に出張して金融経済懇談会に出席し、午後2時から記者会見に臨むと発表した。懇談会でのあいさつ要旨は同午前10時30分に日銀ホームページに掲載される。』(上記URL先より、以下同様)
ということで相変わらずぎりぎりにならないと公表されないのは何でじゃろという話でして、なんかの飛び入り講演とかならまあシャーナイですけど、金懇なんてかなり前の段階から段取り組む必要のあるイベントな訳で、日程なんてとっくの昔に確定している話だし、他のヒラ審議委員の場合2〜3週間前には日程が公表されるというのに何なんでしょうね。
『今月上旬の株価乱高下を受けて23日に衆参両院で開催された閉会中審査では、植田和男総裁が「当面は高い緊張感を持って市場動向を注視するとともに、経済・物価見通しあるいはそのリスクにどういう影響があるか、丹念に見ていきたい」と指摘した。その一方で「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和度合いを調整していくという基本的な姿勢には変わりがない」と述べ、利上げ戦略の継続方針を示しており、氷見野副総裁の見解が注目される。』
注目される、ということにはなっていますが、そこまでファンキーな話が出るとは思えませんけれども、昨年12月の金懇(大分)の時にはなかなか良いお話をしておられましたので、そういう含蓄の深いお話を期待したいです。
でですね、政策に関してはおそらくこれは植田総裁の国会答弁の線で来るとおもうので、見通し通りに推移して物価2%達成が確実になっていけば今後も政策金利の調整を行う、とは言え金融市場が大荒れになっているようなときに敢えて政策金利の調整をするようなことはせんでもよろしかろ、という線で来るんだと思います。逆にそれ以外の話をしたらうへーって思う予定です。
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
今後の講演・挨拶等の予定
今後の講演・挨拶等の予定
2024年 8月28日 氷見野副総裁 山梨県金融経済懇談会における挨拶
2024年 9月 5日 高田審議委員 石川県金融経済懇談会における挨拶
2024年 9月11日 中川審議委員 秋田県金融経済懇談会における挨拶
2024年 9月12日 田村審議委員 岡山県金融経済懇談会における挨拶
しかし何なんですかねえこの金懇の詰め込みぶりは、というところでして、7月会合前って全然金懇が無かった訳ですけれども、展望の後に行われる内田さんの金懇はまあ展望枠ということですけれども、ヒラ審議委員の金懇を何も3本もまとめて同じ時期に突っ込む(しかも中川さんと田村さんは2日連続)必要はないでしょと思う訳ですよ。
前回の輪番減額と利上げと、の前に何も政策委員からの情報発信の機会がなかった訳ですが、とにかく金懇の日程を無駄に詰めすぎでして、審議委員6人いて、各人が年に2回金懇やったら本来は毎月誰かの金懇がある、というのが自然だし、決定会合以降の中間評価の一環としても金懇の講演を読むことができるわけですよね。しかも黒ちゃんの時みたいにそもそも政策をいじらん、というのであれば別にそりゃそういう中間評価あってもなくても同じかもしれないけど、「物価2%目標達成に向けた推移が確実に進んでいるかの評価をしながら政策を調整する」って言ってるんですから、進捗度合いの中間評価って結構重要なことになるはずなんですよね。
然るに、このお前ナメトンノカという日程の組み方。いやまあ確かに田村さん(と別の意味で中村さん)以外の審議委員が空気だからそういう情報発信できませんですわアイヤーと言われてしまえばそうなのかもしれませんけれども、いや別に大本営腹話術人形でも良いから、物価目標達成への進捗度合いの中間評価ってのしてくれませんかねえ、と思うのですよ。
まあそういう点から言えば本来は金懇が各委員年に2回じゃなくて3回か4回くらいやってもらってバンバン情報発信してほしいんですけどね(それに耐えられる人が田村さんと独自ワールドなのでだいぶ意味合い違いますが多分中村さんはできると思うのですが、その2名しかいない説があるのが悲しいところですが)。
2024/08/26
〇植田総裁国会お呼び出しの巻でしたが
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/LYRCAVZWMRLSJOESRW7TPLHYKE-2024-08-23/
内田副総裁と「考え違わず」と日銀総裁、政策調整の戦略を再強調
By 和田崇彦, 石田仁志
2024年8月23日午後 5:30 GMT+9
『[東京 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日午後に行われた参院財政金融委員会の閉会中審査で、金融政策の考え方について「私と内田(真一)副総裁に違いはない」と述べた。その上で、午前の衆院での質疑に続き、市場動向が経済・物価見通しやリスクに及ぼす影響を見極めた上で「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和度合いを調整していくという基本的な姿勢には変わりがない」と語った。』
『植田総裁は7月の金融政策決定会合後の記者会見で追加利上げに前向きな姿勢を示した。一方で、内田副総裁は8月7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と強調した。』
『植田総裁は、内田副総裁の発言は7月会合後の金融市場の変動を踏まえたものだとの認識を示し、「適切だった」と述べた。』(上記URL先より)
そんなに反応していたようにも見えませんでしたが、「内田副総裁と考えが同じ」というのを債券の方は「つまり内田さんも同様に利上げを排除しているわけではない」と読みとり、株式の方は「つまり植田さんも利上げには慎重」と読み取っていたような気がしますが、内田さんの過去の講演見ればわかるように、内田さんってその場その場での最適な説明はするんですけど、前提条件が変わるといきなり全然違う事言い出すという特性がある、というのはまあだいたい日銀のこのあたりの話を見ていると思われるところでありまして(あくまでも個人の感想です)、内田さん今後利上げ行ったときに「昨年8月の発言との整合性」とか突っ込まれても「あの説明はあの時点における状況を元に行ったもので、その後時間の経過と共に状況は変化しているのだから、その変化を踏まえたうえで最適な政策を行うのは当然である」とか平然と言ってきそうなんですよね。
ということですから、債券市場の反応(というか半というか)の方が妥当だと思うんですけど、まあこればっかりは今後になってみないとわからんし、9月は自民党総裁選の前だし10月は解散総選挙やってそうだし、いずれにしても政策はしばらく地蔵でしょうからまあ今後ということで。
〇そういえば全国CPI
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消 費 者 物価指数
全国 2024年(令和6年)7月分
『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として108.6
前年同月比は2.8%の上昇 前月比(季節調整値)は0.2%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は108.3
前年同月比は2.7%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は106.9
前年同月比は1.9%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇』
ということで、相変わらずの数値なんですけど、2020年を100として足元総合が108.6になっておるわけでして、そら2020年から見て物価108.6にされている中でてめえの給与は以下悲しいので割愛。
しかしまあ何ですな、『表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)』を見ますと、今年度になって前月比の上昇が中々エゲツナイ感じで上がっていて、これのどこが「基調的な物価は2%に達していない」なのかさっぱりよくわからんですな、と毎度のように思うのでありました。
2024/08/21
〇展望レポート本文BOXのフォローアップみたいな日銀レビューが2本出ました
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j11.htm
消費者物価における最近の企業のサービス価格設定行動
2024年8月20日
調査統計局 尾崎達哉、八木智之*、吉井彬人
本文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j11.pdf
消費者物価における最近の企業のサービス価格設定行動
というのと、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j12.htm
人口動態の変化が労働市場や賃金の動向に与える影響
2024年8月20日
池田周一郎*、川野潮、高田耕平、眞壁祥史、八木智之**
本文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j12.pdf
人口動態の変化が労働市場や賃金の動向に与える影響
という物件が出ている訳ですが、これって先般ネタにしました展望レポート全文の最後のコラム「BOX」の
展望レポート全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407b.pdf
『(BOX1)2024 年春季労使交渉の振り返り 』
『(BOX2)サービス価格の動向:「期初の値上げ」の広がり 』
の詳細版というか背景説明みたいな風情で出してきている物件でして、なんでこういうのが出てくるのかといえば、つまりそれは「展望レポート全文のBOX1とBOX2は大事な論点ですよぜひ見てくださいね」というメッセージ、ということになるわけですな、知らんけど。
・サービス価格の上昇が広がっていますよという話
再掲します。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j11.htm
消費者物価における最近の企業のサービス価格設定行動
2024年8月20日
調査統計局 尾崎達哉、八木智之*、吉井彬人
まずは紹介ページのHTMLの方から。
『要旨
消費者物価におけるサービス価格は、産出価格に占める人件費の比率が高いという特徴を持ち、今後、賃金・物価の相互連関の強まりを通じて、消費者物価の基調的な上昇率が高まっていくための重要なファクターとなる。』
ということですが、だったら最初からそう言っておけば良い話なのに、コアコアCPIだの基調的な物価だの色々と手を変え品を変え説明する元ネタをホイホイと動かしていましたので、こっちは当然ながら「政策に都合の良いようにゴールポストを動かしておられますなあ」という理解になりまして、それすなわち「日銀の政策反応関数が全然ロジカルじゃない」という話になるわけです。政策反応関数が訳わからなくなるとロジカルに政策の見通しができないわけで、そうなると「メディアの抜き」が注目されてしまう、という阿呆のような話になるわけです。
なのでこのサービス価格云々も都合が悪くなると引っ込めてくる可能性は大有りでございますので、サービス価格云々の話よりも、このサービス価格にかこつけて何を主張しているのか、というのを読むほうが吉、ということになっているのが今の日銀観察の面倒くささではありますな(あくまでも個人の偏見です)。
『わが国のサービス価格は、過去、前年比ゼロ%近傍で推移し、きわめて粘着性の高い状態が続いてきた。最近の企業行動を分析すると、春季労使交渉において2年連続で賃金改定率が大幅に加速するなかで、2024年春の価格改定において多くのサービス品目で「期初の値上げ」が広がるなど、足もと、企業の価格設定行動が変化してきている。』
はいきました期初の値上げ。展望レポートBOX2ですな。
『今後、こうした動きがさらに広がり、基調的な物価上昇率が着実に高まっていくか、幅広い観点から丁寧に見極めていくことが重要である。』
ということで本文
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j11.pdf
消費者物価における最近の企業のサービス価格設定行動
『はじめに』の最初は、
『消費者物価(CPI)の「生鮮食品・エネルギーを除く総合」の前年比は、2021
年以降の輸入物価の大幅な上昇を受けて、2023 年半ばにかけて財価格を中心にプラス幅を大きく拡大した(図表
1)。こうした既往の輸入物価上昇を起点とした物価上昇圧力はこのところ減衰してきており、今後、物価上昇のドライバーが、これまでみられてきたコストプッシュ圧力から、賃金と物価の相互連関の強まりを背景としたものにシフトしていくか、丁寧に見極めていくことが求められる1。』
という説明をしているのですが、一方でこの前の内田副総裁の金懇周りでは「2%を超えた物価が継続していること」についても論点として置いておりまして、このあたりの説明も何ちゅうか微妙ではあるのですよね。
つまりですね、そもそも論として物価上昇圧力の要因が何か、ということもそりゃまあ大事は大事なのですが、中央銀行が物価安定の達成ということで見るのであれば、現在起きている物価上昇(下落)が一時的なのか持続的なのか、ってのが大事であって、コストプッシュだろうとそれが持続的な要因に基づくのであれば、金融政策で対処すべきところは対処しないといけない訳でして、先般の内田副総裁の金懇での話って上記の第一の力第二の力とは必ずしも一致しない論点を出してきていますし、だいたいからして今回の決定会合の時の会見でも第一の力第二の力ってのを出さなくなってきていますので、実はこの分析自体は(完全にお蔵入りすることはないでしょうけれども)前面に出さなくなる可能性もあるのよね。という点には留意が必要かと思うのですよ、個人の感想ですけど。
まあそれはそれとしてこの次の小見出し『サービス価格の変動要因は何か? 』の結論部分を見ますと、
『次に、計量的な手法(スパース推計)を用いて消費者物価の各品目の変動要因を分析しても、同様のことが指摘できる4。財のうち食料工業製品では、輸入物価の影響が大きく、サービスのうち外食では、輸入物価に加え、自社の賃金や運輸等の他サービスの影響も受ける(図表
3)。サービスのうち、より人件費ウエイトの大きい教養娯楽サービスでは、自社の賃金や運輸の影響が大きい。』
『したがって、幅広い品目における物価上昇を実現するためには、サービスを中心に、賃金から物価への波及が強まることが重要といえる。』
ということでさっきの要旨部分にもありましたし、だったら最初からそれを言えよとしか申し上げようがない(だって黒田末期はまだサービス価格がそんなに上がっていなかった訳で、サービス価格がそんなに上がっていないのになんで長期金利の変動幅拡大しましたのんとかいう話を遡及して突っ込みたくなるわけですがなwww)のですが、とりあえず「サービス価格推し」なのは把握した。
でもって次の小見出しが『「期初の値上げ」の動向 』というキタコレの話で、重要なのはこの結論部分でして、
『品目別の価格変動分布は、分布の「山(ピーク)」がゼロ%近傍から 2%近傍へシフトしており、サービス業全体として、価格設定行動が変化していることが窺える(図表
5)。』
本文の図表5ってのを見てちょんまげという話ですが、これなんで直近1年の数字しか出していないのかが訳わからんところでして、どうせならもっと前の0のところに思いっきり山がある(んだったと思うの、どっかで見たことがあるんだがそういうの)のを出して比較しろよと思うのですが、ここのところが重要、という建付けになっている筈です。
『より子細に把握するために、分布を「コストに占める人件費比率」の高い品目と低い品目に分けて描くと、既往のコスト上昇圧力の影響で高い伸びとなっていた、同比率の低い品目(外食等)の分布が左方へシフトした一方、同比率の高い品目(各種講習料等)では分布が右方へはっきりとシフトしたことが分かる(図表
6)。前述のスパース推計の結果と合わせて考えれば、賃金の上昇によって、幅広い企業の行動が変化してきていることが示唆される。』
ということで企業行動が変わったんですってよ奥様、というのが主張する点ですね。
次の小見出しは『最近の価格設定行動における特徴点』でして、
『以上のように、これまで、財価格対比で変動が小さかったサービス価格でも、価格改定の動きが着実に広がっている。』
『最近の企業の価格設定行動について、日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)の個票等を用いて特徴点を考察しても、長年にわたって定着してきた、賃金や物価が上がりにくいことを前提とした考え方が変化していることが窺える。』
でもって以下色々と説明がありますがその辺は飛ばしまして最後が『おわりに』でござる。
『本稿では、消費者物価における最近の企業の価格設定行動について、サービス価格を中心に整理した。サービス価格は、その産出価格に占める人件費の比率が高く、今後、賃金と物価の相互連関がさらに強まり、消費者物価の基調的な上昇率が高まっていくかをみるうえで、重要なファクターとなる。』
ほうほう。
『わが国のサービス価格は、1990 年代末以降、前年比ゼロ%近傍で推移し、きわめて粘着性の高い状態が続いていたが、本稿における各種分析結果が示すとおり、春季労使交渉において、2
年連続で賃金改定率が大幅に加速するなど、賃金上昇圧力が高まるなかで、企業の価格設定行動も変化してきている。』
でもって、
『先行き、企業の価格設定行動の変化がさらに広がり、物価上昇のドライバーが、既往の輸入物価上昇を起点としたコストプッシュ圧力から、賃金と物価の相互連関の強まりを背景としたものにシフトしていくか、引き続き、幅広い観点から点検していく必要がある。』
どうやって点検するのかというと、
『とくに、@春季労使交渉における高水準の賃上げが、サービスを中心とした販売価格に反映されていくか、A賃金上昇を見据えた販売価格設定が広がっていくか、そして、Bこうした動きが継続することで、賃金・物価の相互連関がさらに強まっていくか、企業の賃金設定行動と合わせて、丁寧に見極めていく必要がある。』
と思いっきり決め打ちしているけど大丈夫かしらと思いつつ先に行きますと、
『また、企業の価格設定行動をみるうえでは、需要動向、すなわち個人消費の動向も注視する必要がある。この点、企業収益の改善が続くもとで、賃金上昇率が高まっていき、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まっていくか、確認していくことが求められる。』
というふわっとした説明をしておりますなこちらはw
『以上の点を確認していくにあたっては、様々な角度から定量的な分析を行うとともに、ヒアリング等の定性的な調査も丹念に行い、企業行動の変化を的確に把握することが重要となる9。』
一瞬決め打ちするのかと思いましたが結局いつもの総合判断ではありますが、話の筋として「物価安定目標の定着が見えてきております」という話なので、まあそういうことでしょうという話で、つまりは先般は内田さんが株安を受けてものすごい勢いで腰砕けになっていましたが、まあアレはその場しのぎの話であって、本質的には緩和修正路線継続ですよ勘違いしないでくださいね、というのが(次のも含めて)今回のキーメッセージですわな、というお話になりますな。
・賃金が構造的に上がりやすくなっているというお話なのだが
再掲します
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j12.htm
人口動態の変化が労働市場や賃金の動向に与える影響
2024年8月20日
池田周一郎*、川野潮、高田耕平、眞壁祥史、八木智之**
要旨から参りますと、
『わが国の人口動態の見通しを前提にすると、先行き、労働供給量の大幅な増加は見込みにくく、人手不足が継続する可能性が高い。本稿では、こうした人手不足が労働市場や賃金の動向に与える影響を考察した。』
しかしこの話を前面に出しちゃうと少子高齢化でインフレというホンマカイナという話になるので用法容量には注意して使った方が良いんじゃないかと老婆心ながら思うのでありますが。
『わが国の労働市場では、流動性の低さや、雇用形態等によって賃金決定メカニズムが異なること――いわゆる「二重構造」――が課題とされてきたが、人手不足感が強まるもとで、状況に変化がみられ始めている。』
この辺の話ってアタクシ当然ながら詳しくないので、それこそ濱口桂一郎先生とかの著書でも読んで勉強しないといかんのですけど、この「いわゆる二重構造」って本当に強固なものなのかってのが若干???には思えるんですよね。
『すなわち、本稿の分析結果をみると、転職市場の拡大によって雇用の流動性が変化し始めていることや、これまで異なる仕組みで賃金が決まってきた市場間で、相互に連関して賃金が上昇するメカニズムが働き始めている――例えば、パートの賃金上昇が正社員の賃金上昇圧力となっている――ことが窺える。』
『先行き、こうした変化が続き、企業の賃金設定行動が一段と積極化する可能性がある。』
まあその二重構造云々はともかくとして、結論項は上記のようになっていまして、さっきの賃金とサービス価格の話の中にある「賃金」が構造的に上がりやすくなっているという話につながって、賃金と価格の相互作用がしっかりしたものになる、という話のようです。
本文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j12.pdf
人口動態の変化が労働市場や賃金の動向に与える影響
まあ何ですな、最初の『わが国の労働市場における課題』について、
『わが国の労働市場を巡っては、数多くの課題が挙げられてきた4。とりわけ、労働市場の流動性の低さに関する課題が指摘されることが多い。』
という話になっているのですが、これが本当の本当なのかというのが多少ワイ疑問でして、
『わが国では、長年、終身雇用型の雇用形態のもとで転職などの労働移動が限られるなど、人的資本の効率的な再配分が生じにくい構図となってきた。1990
年代以降、グローバルな競争環境や国内の経済構造が変化するなかで、必要な人材が衰退分野から成長分野にスムーズに移動することが求められてきたが、わが国の硬直的な労働市場はその障害となってきたとの指摘は多い5。』
この辺りがホンマカイナというのは多少あって、衰退分野の企業を無駄に延命させるようなマクロ政策(金融政策もそうですが経済政策も)バンバン打ちまくっていたことも問題だったんじゃネーノという気はするので、この割り切り方は微妙にどうなのかとは思うのですけど、まあその辺はさておいて実際に起きている現象についての部分を見ますと、
『企業の賃金設定行動の変化点 』という小見出しになりますが、
『足もとにかけて、こうした労働需給の引き締まりを受けて賃金上昇圧力が働きやすくなっており、正社員やパートの賃金は高い伸びとなっている(図表
5)。この間、前述の二重構造に代表されるように、これまで異なる仕組みで賃金が決まってきた市場間において、相互に連関して賃金が上昇するメカニズムが働き始めている可能性がある。』
から、
『(パート賃金上昇の正社員賃金への波及)』
『(転職市場拡大の正社員賃金への影響)』
という小見出しになっておりまして、中身は飛ばしますがまあ見てちょというお話。
『おわりに』までワープしますと(手抜き)、
『本稿では、人口動態が変化し、追加的な労働供給余地が縮小するもとで、わが国の労働市場を取り巻く構造的な課題について、変化がみられ始めていることを指摘した。』
『すなわち、分析結果をみると、@人手不足を契機に、転職市場が拡大し、労働市場の流動性が変化し始めていることや、A二重構造に代表されるように、これまで異なるメカニズムで賃金が決定されてきた市場間で、相互に連関して賃金が上昇するメカニズムが働き始めていることが窺える。』
まあ良いんですけどこれ言い出したらさっきも申し上げたように人口増加社会では労働供給が増えやすいのでデフレ圧力って話になってしまうのですがそうじゃない筈なんで、なんかこの説明って微妙感は拭えない面があります。
『先行き、こうした変化が続き、企業の賃金設定行動が一段と積極化する可能性がある。さらには、労働市場の変化を契機に資源配分の効率化が進み、生産性の向上を通じて経済を押し上げる方向に作用するか、注視していく必要がある。』
これは前向きな話なんですが、裏を返せば賃金上げられない企業は退出しなはれという話でもあるのですけど、まあそういう風にならんと資源配分の効率化は進まんわけなのですけれども、決定会合の植田総裁定例記者会見の中で、アタクシ敢えてネタにするのを飛ばしましたが、どこぞのアホウが「防衛的な賃上げをしたりゼロゼロ融資の返済に追われている企業が利上げに耐えられるのでしょうか」とかアホウな質問をしていて、いやお前賃金上げれないわゼロゼロ融資の返済もできないわ、というような利潤しか出せない企業にマクロ政策を合わせる必要があるのかよと思いましたが(ちなみに植田さんものすごくオブラートに包んでいましたが結構いい回答していました)、相変わらず「利上げで住宅ローンガー」とか抜かしている馬鹿メディアの意識改革が必要ですよね、なんて思いながらこの部分を読む訳です、なんか話の筋と外れて恐縮ですが。
本文に戻りまして、
『なお、労働市場や賃金の動向を巡っては、本稿で取り上げた論点以外にも、経済情勢や労働政策など、多岐にわたる要因が影響を及ぼしうる。引き続き、労働市場の状況や企業の賃金設定行動について、様々なデータを分析するとともに、ヒアリング情報も丁寧に収集・確認していくことが重要となる13。』
またヒアリング情報か!!!というのが締め文言でした。
2024/08/20
〇最近はダイヤモンドオンラインで電波浴ができるのか・・・・・・・・
昔よく産経電波浴とか言って産経新聞とか産経系のイエローペーパーで怪電波が放映されていたりしましたが、最近では天下のダイヤモンドオンライン様でも電波浴ができるようになったとは世もまつとしか言いようが無い。
https://diamond.jp/articles/-/348830
日銀の追加利上げは「全く理解できない」物価研究の第一人者が警鐘、「初歩的な経済学から逸脱」
渡辺努 東京大学大学院経済学研究科教授インタビュー
ダイヤモンド編集部
永吉泰貴:記者
連載
渡辺努 物価の教室
2024.8.16 8:30
2%を上回るコアCPIが2年以上続いているのに、短期政策金利がマイナス金利だゼロ金利だってのを漫然と続けている方が「初歩的な経済学から逸脱」してるんじゃないですかねえという気しかしないんですが、残念ながら2ページ目以降は有料会員じゃないと読めないっぽいので中身は知らんがなということで。
というかこのおっちゃん、正常化しろとか正常化するなとか言ってることがコロコロ変わってて、馬鹿のアタクシには一体全体なんだかさっぱり分からんのですが東大教授なんですよねえ・・・・・・・
2024/08/16
〇なんだ個人消費堅調じゃないですかヤダー(4-6月期GDP)
ゆうてアタクシは何とかスト様ほどの知能を持ち合わせておりませんので、数字の内容を詳しくどうのこうのというのは知らんがなとしか申し上げようがないですが。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/YHFBC5CNMBKULGC5RKFLVLRUVE-2024-08-15/
GDP4─6月期は2期ぶりプラス、年率3.1%増 車の生産回復などで
By 杉山健太郎
2024年8月15日午前 10:33 GMT+9
『GDPの過半を占める個人消費は前期比1.0%増と、5四半期ぶりのプラス。自動車に加え、衣服や外食などが増加に寄与した。個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資も同0.9%増と、2四半期ぶりのプラスとなった。』(上記URL先より)
ということでござんして、「消費が弱いから利上げしにくいんでネーノ」っての今回の利上げ前の時に結構指摘されていたりしましたけど、なんだ堅調じゃん良かったですね(まあそもそも論としてGDPの個人消費本当にこれでいいのか説はややあるのですがそれはさておき)という話でして、こうなって来ますと23日の国会招致とかでも植田さん堂々と「ご覧の通り経済は底堅く推移しております」って話ができますよね、とは思うので益々結構な結果でございましたな。
まあ政治日程からしてどっからどう見ても9月10月の利上げというのは(円安アゲインで160円になっていない限り)無理筋に見えますが(個人の感想です)、じゃあその後もできないのか、という話になりますと、これはまあ懸念されていた個人消費も存外底堅いということになれば、利上げをするときにつけられるいちゃもんの一大要素「〇〇が弱いのに何で利上げするんだ」が外れることになります(なお本来的に言えば「オントラックであれば政策金利の調整=利上げ」なのでただのマドルスルーであれば利上げの障害にはならないのですけど)ので、これはますます12月1月って逝けるんでネーノとは思った次第でありますがどうでしょうかね。
〇前回との継続性がない開示文書とか悪態をついてたら今回は前回との比較に意味があるポンチ絵でしたwwwwwww
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202407.htm
展望レポート・ハイライト(2024年7月)
経済・物価情勢の展望
過去の開示文書(笑)はこちら
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202404.htm(4月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202401.htm(1月)
最初のポンチ絵ですが、
『日本経済は成長を続ける』(今回)
『日本経済は成長を続ける』(4月)
『日本経済は緩やかな回復を続ける』(1月)
ご案内かとは存じますが「成長」は潜在成長率(推計)よりも高成長の場合で方向が上向きの時に使いまして、「回復」は潜在成長率以下の場合で上向きの場合に使います。
『日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(今回)
『日本経済は、海外経済が緩やかに成長するもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(4月)
『日本経済は、海外経済の回復の鈍さにより下押しされますが、消費の増加などに支えられて、緩やかな回復を続けていきます。』(1月)
ということで展望の鏡が前回とほぼ同じだったのですからまあ同じだな、とは思うのですが、実はこの「金融面からの後押しなどもあって」というのが中々の謎文言でして、4月展望の時には金融政策運営の部分で例の悪名が高かった文言「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」が今後の金融政策運営にかかわる部分に記載されていた訳ですが、今回ってその文言削除しているんですよね。
とはいえ声明文の方には「政策金利の変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。」とありますし、そらまあ現実問題として円安大爆発とか驚異の物価一段高でもしない限りにおいて、向こう1年とかのスパンで政策金利が中立水準に届く気はしないので、そういう意味では「金融面からの後押し」があるのはその通りなんですけど、「物価目標を達成する見通しになっている、あとは確度の問題」という話が後段にある中で、「金融面からの後押し」ってのいつまでするんですか、というのがあって、これが目先の話ならそらまあ今急に政策金利が中立水準になりはしないけど、2026年度までというタイムスパンで考えた場合、ちょっとこの表現も次回以降の展望で考えた方がエエンチャウノという気はします。
でもってこのポンチ絵ですが、前回は2026年度に向けて階段を上がっていくという姿だったのですが、今回は丘をウォーキングでホイホイと上がっていくという姿になっておりますので、これはどう見ても前回対比で自信ニキ、ということになっていると思いますな。
次のポンチ絵は物価です。
『物価は来年度以降2%程度で推移する』(今回)
『物価は来年度以降2%程度で推移する』(4月)
『物価のトレンドは2%目標に向けて徐々に高まる』(1月)
4月とは同じなんで今回から、という訳ではないのですが、物価のトレンドが徐々に上がる、というようなイカサマ臭い説明から、マイナス金利解除によって詭弁を弄する必要が少しだけ減ったので、前回からは「今の物価はこれから2%に向かって下がります」というポンチ絵に進化(?)しまして、前回は単純に「今はちょっと上にいるけど今後2%に下がります」って表示だったのですが、今回はその物価の軌跡が「トラックコースを走っている陸上ランナー」になっているのがクソワロタというお話でして、「物価見通しはオントラックで推移しています」という説明に重ねた絵じゃんということでこれは笑いました。
説明文の方ですが、
『消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(今回)
『消費者物価の前年比は、今年度に2%台後半となったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(4月)
『消費者物価の基調的な上昇率は、2%の「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていきます。こうしたシナリオが実現する可能性は、引き続き、少しずつ高まっています。』(1月)
これを見ればわかると思うのですが、本来4月の展望レポートって「物価目標は今後達成するでしょう、あとは確信度合いの問題なので、オントラックで推移していると確認したら徐々に(将来一気に調整したくないから)政策金利を調整しますよ」って言っていたし、そういう文書だったはずなのですが、例の「当面緩和的な金融環境が続く」という文言だったり、会見での植田総裁のハトハトチキン発言などで台無しにしていた、という事は言える訳なのですが、展望だして1週間でドテンひっくり返す形になった内田副総裁金懇から今後どういうコミュニケーションをしてくるのかは楽しみですな。
3つ目のポンチ絵ですが、
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(今回)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(4月)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(1月)
というお題目は同じ、ポンチ絵は1月から4月の間に「人が不確実性要因を考えて???となっている」から「スライドに投影されている不確実要因についてセミナーかなんかで話を聞いている」ということで、なんとなく身近じゃなくしました、というのがありますが、4月から7月にかけては同じポンチ絵になっております。
『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(今回)
『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(4月)
『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(1月)
この不確実性要因に関しては文言自体は同じです。
でもって4つ目のポンチ絵。
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(今回)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(4月)
『強力な金融緩和を継続する』(1月)
1月はまだマイナス金利とYCCやっていたので文言が違いますが、1月に謎としか言いようのない変なイラストになったと思ったら、4月は日銀本館のイラストと2%という旗、という益々わけのわからんイラストになりましたが、今回は少しまた説明チックな絵になりましたね。
でまあ絵の話の前に説明文見ますけど、
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(今回)
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していきます。』(4月)
『日本銀行は、粘り強く金融緩和を継続することで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していきます。』(1月)
1月はさておきまして、4月のポンチ絵は何が何だかわけわからない絵に加えて説明文の方もお前は何を言ってるんだという感じでいいかんじで何か言っているようで何も言ってない文章になっている(意味があるとすれば従来と違ってコンディショナルに政策運営しますと書き換えた、ってところですね)のでして、展望レポート基本的見解には書かれていたもののこっちのポンチ絵ではスルーされていた「見通し通りに推移すれば利上げ」というのを今回のポンチ絵では明確に記載した、というのが大いなる変更点になります。
でもってポンチ絵ですけれども、前回のまるで何の意味もないポンチ絵から一転して、なんかいろんなものを見ながら計器のつまみ(というには大きいですけど)を調整しようとしている人たちの巻、という面白イラストになっていまして、しかもその計器の調整でゼロから少し調整しております、ってな絵になっているのはチャーミング。
でですね、計器の調整をするために見ているモニターに映っている一つ目のが、「買い物をしている人とその上にグラフっぽいのがあって2%って数字がある」という図なのですが、この物価推移らしきものが現状では2%を上回っていて、それが徐々に2%に向けて下がる、という図になっているのは芸が細かい。
これはですね、アタクシが勝手に妄想しているだけかもしれませんけれども、先般の内田副総裁の金懇でも「物価が高止まりしていること」に対するマイナス面についての説明があったわけですけれども、従来の「物価上昇第一の力、第二の力」の説明ではなく、そもそも論として物価が長期に高止まりするのイクナイ、という極めて当たり前の話に日銀が回帰してるんジャマイカということを示しています。
さらに芸が細かいのはこの1つ目のモニターで買い物をしている図が見るからにスーパーのカートを押しているお姉さん、って図になっておりまして、これすなわち輸入価格上昇に伴う物価上昇も気にしていますよ、と言わんばかりの絵になっていて、なんか急に変なもんでも食ったのかという位に細かいニュアンスが読み取れますね。
そして2つ目のモニターに映っているのは「飛行機が飛んでてその下に一回落ち込んだ後に上向きトレンドになってきている線」というのが上半分にあるわけでして、これはどう見てもインバウンド需要です本当にありがとうございました、ということですのでインバウンドまで含めれば消費は強いんですよとでも言いたいのかね、と思ってしまいました。下半分のイラストは工場生産の絵みたいになっているので、これは生産を意味しているのかなとも思いました。
・・・・とまあそういうわけで、何でしょう今回はそもそも前回との継続性があるわ、絵にいろんなニュアンスが込められているわと、ハイライト作成担当の中の人が急に覚醒でもしたのか、ついこの前までのもはや何を言っているのかが無茶苦茶だわ前回との絵の継続性が全く無いわという無茶苦茶プレイから変化した訳です。
これをどう解釈するか、と30秒ほど考えたわけですが、そもそも論としてこのポンチ絵で@「2%」が近かったはずが突如急に遠くなる、という怪奇現象が発生したのが2023年4月展望→7月展望のところ、A物価上振れについてマイナス金利YCC解除をした前回から急にポンチ絵に織り込むようになった、という点を勘案しますと、植田さん就任後のハトハトモードの時っていうのは説明に大いなる無理があった、すなわち本来マイナス金利の解除やその後の政策修正などを行って然るべきであった時期に延々と黒田緩和を引っ張ってしまったので、展望レポートハイライトでの絵の説明が無理矢理観満載のものになったのだが、マイナス金利YCCを解除して、今回利上げも行った時点になって、やっと説明で変な無理をしなくて済んで、ということなのではないかと思いますし、そう考えるとウッチーの先般のハト転換はなんかその場しのぎの偽装ハト転なんじゃネーノ、とも思ったりします。
2024/08/15
〇なんと首相退陣ときましたかそうですかそうですか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240815/k10014549291000.html
【解説】岸田首相 退陣へ 自民総裁選どうなる?動き本格化へ
2024年8月15日 4時59分
結局安部ちゃんの後始末に追いまくられた挙句に安倍派の捲いた政治と金問題で退任とかもうねという感じですが、ちらっとネット見てたら早速岸田さんを後ろから追い打ちコメントしている自民党の某馬鹿議員とかいてアホなのかと思いました。どこの神奈川県選出参院議員とか言いませんけれどもwwwww
・・・・・まあ何ですな、後任誰になるのかとか知らんけど、アベノミクスとかリフレとかいうような妄言を吐く人は勘弁して欲しいのと、何なら安部ちゃんの後始末一切しないで逃げ切りを図っている黒田とかいうゴミクズカスダニを引っ張りだしてコンコルド広場で(以下の記述は自主規制されました)。
まあどうせ次の政権は選挙乗り切るための目くらまし政権の意味合いが強くならざるを得ないので、ワシ的にはこんなところで進次郎とかの貴重なカードを切ってしまうの勿体ないということでゲル選挙管理内閣で十分じゃ無かろうかと思うのですが、当然ながらそこにはポジトーも入っておるわけでwww
こんなんあったんですけどね
https://jp.reuters.com/world/japan/PAPA7GTTANNWNE4662CT36T6FI-2024-08-07/
インタビュー:金利ある世界の実現、物価上昇抑制や構造改革に資する=石破元自民幹事長
By 竹本能文, 山崎牧子
2024年8月7日午前 9:09 GMT+9
『[東京 7日 ロイター] - 自民党の石破茂元幹事長は、ロイターとのインタビューで、徐々に金利のある世界を実現することが物価上昇の抑制や構造改革に資すると述べ、日銀の金融政策運営を評価した。適正な為替水準については「常識的に110円−140円と言われている」としたが、日銀のさらなる利上げの是非に関しては明言を避けた。』(上記URL先より、以下同様)
と来ましたんですが、これ記事見ても分かりますが記事の最後の方に、
『*インタビューは6日に実施しました。』
ってありますように、株価が爆下げする中で以下の内容を堂々とお話になっている辺り、閉会中審査とか息巻いていた馬鹿議員とは一線を画していて大変に素晴らしいのですが、
『7月末の日銀による追加利上げとその後の世界的な株価急落によって、市場関係者の一部では日銀の利上げ判断に批判も出ているが、石破氏は「金融緩和という基本的政策を変えないなかで徐々に金利のある世界を実現していくのは正しい政策だ」と評価。今は株価下落など負の側面だけが強調されるが、輸入物価の引き下げにつながる」との考えを示した。』
どうですかこの発言。まあ気楽な立場で言ってるから、という説は無いわけでもないのですが、8月6日にこれを堂々と言う(しかもメディアに出るの分かっているインタビューで)ってのは大変に結構だと思うのですけどね。
目先の株価で大騒ぎして国会招致だとか抜かしてる馬鹿に関してもコメントがあって、
『株安を受け与野党は国会の閉会中審査を開催し、日銀の植田和男総裁を参考人として呼ぶ方針だが、石破氏は「少しでも金利のある世界というものに戻していくことによって得られるメリットもあり、それが日本の経済の構造そのものを転換することに繋がるものだということを、国会の場を通じて多くの国民に納得してもらえるように努めていただきたい」と述べた。』
(;∀;)イイハナシダナー
『適正な為替水準については「そんなことはわからないし、政治の立場で言えない」としつつ、「常識的に110−140円が適正な水準と言われている」とした。一時161円台まで進んだ円安に関しては「GDPに占める輸出比率は日本は18%に過ぎず、日本経済は内需主導」との認識を示し、「円安で企業が史上最高の利益を上げているのは経営者にとってはうれしいことかもしれないが、多くの労働者にとっては決して幸せではない」と語った。』
とまあそんな感じでして、例によって国会議員の推薦人集めで苦労するんでしょうけれども(進次郎がゲルを弾除けにしてゲルの後とか後の後とかを狙うとかいう判断になると滅茶苦茶おもろいのだが)まあ金融市場に関する話はゲルが一番マシっぽいので希望はしたいが期待はあんまりしていない(立候補に持ち込めるかが最大のネックなので)。
しかしまあ何ですな、ここもとバイデンさんも結局再選出馬しなかったし、フランスは大統領は変わらんけど総選挙で勢力図変わってしまったし、英国は総選挙で保守党大敗北しちゃうし、ということで、普通選挙やってる民主主義国家においてインフレ下における政権の維持ってのは中々大変である、というインプリケーションもあるんじゃなかろうか、と思ってしまう今日この頃でもございました(個人の感想です)。
〇利上げからこの方アホみたいにいろんなことがあって結局全然できていなかった件を徐々に成敗します
ショパンの事情(7割くらいはワイの体力の問題)によってそもそ7月FOMCに関しても碌すっぽフォローしていないのですが、こういうのは1回飛ばすと後で苦労するので今週末こそはちょっと成敗をしないと(なおワイの体力の問題は継続しておるのですサーセン)いけないとさすがに思う今日この頃ですが。
ということでクッソ昔の話になりますし、何ならそろそろ展望レポートハイライトとかいう「継続性のない開示文書」という民間がやるとすかさずどこぞかの方面からお叱りを食らいそうだというのに、日銀が継続性のない開示ポンチ絵を出しても無罪放免という民間人として極めて釈然としない物件が出てきそうなのでせめて展望の鏡だけでも。
ということで今更ジローですが展望の鏡を改めて確認しておきます。
7月基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407a.pdf
4月基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404a.pdf
1ポツ目
『・先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(今回7月)
『・先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかに成長していくもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(前回4月)
この「先行き見通しは今回別に引き上げたわけではない」というのは明らかに意図的にやっておる訳でして、「見通し通りに推移すれば徐々に政策金利の調整を行う」という4月展望で書いていたこと(だというのに会見で台無しにしてしまって円安をぶっ飛ばしてしまったのはご案内の通り)の通りな訳です。
よって、「見通しの引き上げが無くても今後も政策金利の修正ができる」となっているので、今回の場合は展望レポート会合のタイミングで確認をして上振れリスクも高まったということで政策修正をしましたが、7月会合後の会見での説明にもありましたように「ある程度データが揃ってオントラックが確認出来たら」政策金利の修正は可能、という建付けになっているので、別に展望会合ではなくても次回の利上げは可能という話になるんですなこれがまた。
まあウッチーが(後でひっくり返すことのできるような詭弁を駆使はしているけどそうは言っても事実上)この1週間後にベタ降りしてしまったので次の調整に向けてはまた情報発信を1からやり直さないといけなくなっている(しかも岸田さん退陣確定で官邸にゴマをすったつもりが肝心の官邸がなくなってしまうという辺りに日銀の日銀たる間の悪さが出ていて実にほほえましいですね!!!)のはそれはそうなので、まー12月1月とかが良いとこ(為替次第の面はあるけど)かなって感じになるんですかね、知らんけど。
2ポツ目
『・物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台半ばとなったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。』(今回7月)
『・物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台後半となったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。』(前回4月)
そもそも論としてこの見通しなら「物価目標は達成」なのですが、見通しが当たるかどうかはワカランチ会長、ということで政策修正をモタモタとやっている、という建付けですね、いまさら言うまでもないのですが念のため。
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、2025 年度にかけては、政府による施策の反動等が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。』(今回7月)
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、2025 年度にかけては、このところの原油価格上昇の影響や政府による経済対策の反動が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。』(前回4月)
原油価格上昇の影響や、が抜けただけで言ってることは基本同じですぬー。
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回7月)
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(前回4月)
基調的な物価(って何なのという説があるのですがそれはさておきまして)に関しても言ってることは同じでして、「見通しオントラック」であれば政策金利の調整はできますよというお話な訳です。
3ポツ目
『・前回の見通しと比べると、成長率については、2024 年度は、前年度の統計改定の影響等から、幾分下振れている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度は、政府の施策がエネルギー価格を押し下げることを主因に下振れている一方、2025
年度は、こうした施策による押し下げの反動から、幾分上振れている。』(今回7月)
『・2025 年度までの見通しを前回の見通しと比べると、成長率については、2023
年度と2024 年度は、個人消費を中心に下振れているが、2025 年度は概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度が上振れているが、2025 年度は概ね不変である。』(前回4月)
ゆうてこれまた基本的には変わっていないのでした。
4ポツ目
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。』(今回7月)
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。』(前回4月)
と4ポツ目もここまでは同じですが皆様既にご案内の通りで、
『とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(今回7月)
というのがぶっこまれていて、「企業の賃金・価格設定行動が積極化する」という現状認識と、「為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」を加えているので、今回は「見通しオントラック+円安進行によるリスク認識の変化」によって政策金利の調整をしました、という触れ込みになるわけですな。
そうなりますと、ウッチーがああやってベタ降りした(ような見せ方の講演を行った)のですが、ウッチーベタ降りした結果として円安再燃になると結局リスク認識がまた物価の望ましくない上昇のリスク、となるので政策金利の調整待ったなし、という話になりますが、それをやっておりますといやお前ら利上げしたの何だったのって話にもなるわけで、なんであそこまでベタ降りしたのかというのが訳ワカメですが、面倒になると皆で日銀のせいにするムーブが湧きおこって来たので自衛したら過剰防衛になった、ってところなんでしょうけど、防衛力の行使も節度を持つ必要がありますなwwwww
5ポツ目
『・リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2025 年度は上振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、2024
年度と 2025 年度は上振れリスクの方が大きい。』(今回7月)
『・リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2024 年度以降、概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2024
年度は上振れリスクの方が大きいが、その後は概ね上下にバランスしている。』(前回4月)
ということで、リスクバランスが経済も物価も上振れになるとかいうことで政策金利の調整をしましたよ、という形になっていますので、「見通しがオントラックなのを確認する」とかいうこれまた「お気持ち」の世界で政策金利の調整は可能、という建付けを崩していませんし、リスク上振れの認識が続いたらなおのこと政策金利の調整待ったなし、となります。
でもってこの「リスク上振れの認識」が先週の相場変動を受けて変化した、というのが内田副総裁の説明になっているのですから、結局のところ内田副総裁の説明もベタ降りのようには見えますし、本人それを明らかに意識しているでしょとは思いますが、仕掛け上はベタ降りしたように見せて急に息を吹き返すことは可能になっている、というのが諸葛孔明の罠といったところかと思います。
#てな感じでちょいちょい成敗してまいりますすいませんすいません
2024/08/14
〇23日に閉会中審査ですかそうですか(どうでもいいがメモ)
このまとめ方はなかなか分かりやすいw
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240813/k10014547901000.html
衆院の財務金融委 8月23日閉会中審査開催 株価不安定な値動き
2024年8月13日 19時11分
『株価の不安定な値動きが続く中、衆議院の財務金融委員会は、今月23日に鈴木財務大臣や日銀の植田総裁に出席を求めて閉会中審査を開くことで、与野党が合意しました。』(上記URL先より、以下同様)
円安是正に関しては知らんぷりですね、と思ったら、
『東京株式市場で不安定な値動きが続く中、衆議院財務金融委員会は13日、理事懇談会を開き、国会で政府・日銀に説明を求める必要があるとして日程を協議しました。そして、今月23日の午前に鈴木財務大臣や日銀の植田総裁に出席を求めて閉会中審査を開くことで、与野党が合意しました。』
なるほど株価が大きく動いた(下がった)から説明を求めるんですかそうですかというところですが、株価ってだいぶ戻って(今朝も夜間の先物は戻っているように見えますな)おられるようで、23日になったらあっさり元に戻って居たら笑えるわ。
というかですね、そもそも日銀の金融緩和修正ペースが無駄に遅いから、その結果円安進行とか株高が進んでポジションが積みあがっていた訳で、その前の投機ポジションの積み上がりを発生させた方に対してモノ申すんでしたら評価して差し上げますが、もうこの記事のように「株が下がったから説明しろ」といっている時点で23日の閉会中審査は馬鹿の見本市が開催されるのが火を見るより明らかというが悲しいとしか申し上げようがありませんな。
さてここでシカゴ連銀グールズビー総裁のお言葉を見てみましょう。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/JGNQNLBCNVMM7J6AGNFYIHPYJU-2024-08-08/
FRB、政治や株価ではなく経済指標に対応=シカゴ連銀総裁
By ロイター編集
2024年8月9日午前 7:32 GMT+9
先週木曜日のご発言なのですが、
『[8日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は8日、米連邦準備理事会(FRB)の仕事は株式市場の急落や政治的事象に対応することではないとの見解を改めて示した。』
『同総裁はフォックス・ニュースのインタビューに応じ、このところの株価急落について「われわれは株式市場に対応する仕事をしているわけではない。われわれの仕事は雇用の最大化と物価の安定だ」と述べた。』
『また「FRBは選挙には関係はない」と明言し、FRBはどのような経済データが金利政策判断の動機となるかについて非常に明確にしてきたと指摘した。』(上記URL先より)
とまあそういうことでして、これどこからどう見ても内田副総裁および日銀に対して強烈なイヤミになっていますけれども、真面目な話日銀ってECBとかFRBから見たら何やってるんだあいつらって感じになってるんじゃないのと心配であります。
まあ何ですな、こうなったら23日に向けて円安が進行して株はまあこの辺からちょっと上がる位でも良いんですけど、ところでこの閉会中審査って何でしたっけ位の状態になって迎えて頂けると大変に間抜けなことになってよろしいんじゃないですかねえw
2024/08/13
〇なんか謎の紙がでておられますが
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j12.htm
量的・質的金融緩和やイールドカーブ・コントロールが国債市場の機能度に及ぼした影響
これ下の方にありますように、
『本稿は、2023年12月4日に開催された「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ第1回「非伝統的金融政策の効果と副作用」の第1セッション(金融市場)における報告内容の一部をベースに作成した。本稿の作成にあたっては、粟井益大、岩壷健太郎、開発壮平、加藤出、川本卓司、久保太基、倉知善行、清水誠一、長野哲平、永幡崇、藤田研二、宮川大介、Alexander
Dueringの各氏及び日本銀行スタッフから有益なコメントを頂戴した。また、図表作成では、村本布美子氏にご協力を頂いた。ここに記して感謝の意を表したい。ただし、本稿のあり得べき誤りは全て筆者たち個人に帰する。また、本稿に示される内容は筆者たち個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。』
ということで、本チャンを見ますと
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j12.pdf
量的・質的金融緩和やイールドカーブ・コントロールが国債市場の機能度に及ぼした影響
というのがあるのはいいんですけど、表紙を見ますとそこに燦然と輝く「多角的レビューシリーズ」のロゴがある時点で、だいたいこのロゴのあるペーパーはQQEやYCCは間違っていなかった、という結論が先にあるのでその結論から逆算した分析を行っているので読むだけ時間の無駄、という認定をアタクシはしておりますのでどうせ論じるに値しない(そもそも12月の多角的レビューの資料もなんだかねえという感じでしたが)物件だと思うのでパス。
というかさ、そもそも論としてこの「国債市場の機能度」ってのが本質的な問題から目をそらすためのデコイであって、QQEやYCCによって国債市場に介入しまくったことの弊害は、「国債市場で価格が形成されることによって、財政リスクプレミアムなどのシグナルを市場が発する事が出来なくなる」という話だし、そうやって市場をジャンキーにした結果、今般の輪番減額の際に「日銀の買入を減らすと国債の金利が上がってよくない」とかいう節子それは財政マネタイズっていう一番ヤバい奴や、というような話が市場の中の人(の一部の現実派と自分たちは思っているであろう理念なき薬物中毒なアホウ連中)から堂々と出てしまっている、というのが本来の悪影響であって、オファービットのスプレッドとか取引量とかそういう数字の話をしているのは、QQE(といよりYCCなんでしょうけど)の本当の意味での副作用の話について論じるのを忘れさせるものでしか無いと断じておきましょう。
ということで中身はだいたい想像がつくのでパス。お暇なら読んでみてちょ。
2024/08/09
〇決定会合主な意見は利上げしたんだから当たり前だが強い見解が並ぶ
そらそうよという感じですが
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240731.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 7 月 30、31 日開催分)1
・経済に関しては「消費」が話題になっていたのですがよくよく見ると「高物価放置プレイの弊害」の話だったりする
『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』は消費の話のオンパレードでして、
『● わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しており、先行きも、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる。』
『● 春季労使交渉の結果が賃金に反映されてきているなど、経済・物価はオントラックである。』
とまあそういうのはあるのですが、この後が連続して消費の話になっていまして、
『●個人消費は決して強くないが、この先春季労使交渉の結果の賃金への反映がさらに進むこと、夏季賞与が好調であることに加えて、定額減税等もあり、底堅い動きが続くとみられる。』
『● 個人消費はマクロでは力強さに欠けるが、ミクロでみれば強弱があり、必ずしも弱さだけではない。』
『● 名目賃金の伸びを上回る物価上昇により、実質賃金の低下が続くなか、個人消費などに弱さがみられる。名目賃金上昇のモメンタムが維持される限り、時間の経過とともに経済状況は改善すると思われるが、足もとは、賃金上昇の波が幅広く浸透し、その持続可能性が高まることを見守る忍耐が重要な局面にある。』
ということで、消費だけで3つ立て続けにならんでいるのですが、まあベースは別に弱くはないという話になっています。しかしこの3番目の意見とかそうなんですけど、結局のところ個人消費が弱いのって物価が上がりすぎな状態になっているからなのでありまして、昨日ネタにした内田副総裁函館金懇の中でしれっと書かれていた、
『また、図表 14 をご覧ください。左のグラフの通り、2年以上にわたって物価が2%を上回っており、今年度の見通しでも上回ると予想されます。このことは、わが国経済やここにおられる皆様の生活に直接影響を及ぼしており、政策判断において、重要な要素だと考えています。』(8/7内田副総裁函館金懇挨拶より)
の話になっているという事でつながっているんだと思います。まあ今まで散々物価高を放置して基調的インフレが行ってないで突っぱねていたのに、急にここに来て(利上げをしたから、なのかどうかは判然としませんが)このような話がクローズアップされてくるのはナンジャソラ感はありますが、まあ正常な方向といえば正常な方向になっているのでは、と思いますがどうですかね。
『● 実質金利のマイナスの長期化が、家計などの資金の出し手から、実質負担減となる資金の受け手への所得移転をもたらす面があることを意識して、金融経済情勢を確認していく必要がある。』
こっちも物価高止まり放置プレイによって発生している話なのですが、これまた従来そういうのを言ってなかっただろおまいらと考えるとかなり味わいのある記載のように思えました。
『● 新しい環境への適応度に応じ企業間の差が大きくなっており、全体の動きだけでは経済の実態を捉えにくくなっている。』
消費を念頭に置いてるのかどうかは分からんですけれども、マクロ統計だけではよくわからんという話がありまして、このコーナー最後を飾るのは中村審議委員と思われるお方ですが、ちと長いので分割します。
『● 日本経済の構造的問題は、少子高齢化による消費低迷と低収益化した産業構造にある。』
ふむふむふむ。
『今後、新NISAによる金融資産所得の持続的増加が消費を刺激するとともに、』
ちょwwwwww唐突に新NISAしかも金融資産所得が持続的に増加することになっているのがチャーミング。
『国際競争力の高い事業の育成が産業集積と輸出拡大に繋がり、成長志向の中堅・中小企業の能増投資や雇用の拡大に波及すると期待される。』
まあ何ちゅうかそれはそれでまあそうかも知れんねという話なんですが、でもって金融政策でなんかできるんでしたっけ、という話になってしまいますし、低収益化した産業構造を不必要な低金利政策により温存されるのイクナイって話にはならんのですな。
・金融政策変更の会合なのに物価の意見が5個しかないwwwww
『(物価)』なのですが、小見出しで書いた通りで物価の意見が5個しかなくて、おまいらインフレターゲットやってるんじゃなかったのかよという話ですけど、まあこういう辺り、なし崩し的(なのはどうかと思うけど)に「厳格なインフレ目標」から「インフレ目標はあるけど政策運営はフレキシブル」に代わってきているような気がしないでもないな、と思いました。
『●消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』
はいはい大本営大本営。
『● 中長期の予想インフレ率の上昇や春季労使交渉の結果が統計に反映され始めたこと等を勘案すると、賃金と物価の好循環が働きだしたと考えられ、基調的な物価上昇率は2%に向けて着実な歩みをみせている。』
好循環働き出しているそうですよ!!!!
『● 物価目標の実現の確度はさらに高まった。ただし、人手不足の結果、供給不足・需要超過の業種が増えており、物価の上振れリスクに注意する必要がある。』
上振れリスク・・・・・・
『● 海外のインフレやこれまでの円安による輸入物価の上昇に加え、タイトな労働需給や、労働時間の上限規制の影響もあり、価格上昇圧力が続くと考えられる。』
もう「足元までの上昇は一時的でそのうち2%割る」という話はすっかり無くなっているんですな。
『● 2%を超える物価上昇が3年目となるなか、「物価安定の目標」の厳密な意味での実現とは別に、家計を中心に「目標」実現が従来よりも意識されてきていることを認識する必要がある。』
ちょwwwwwwwww
ということで、物価の意見が5個しかない(1個大本営枠だから実質4個)のもウケたが、全員上振れだわアクチュアルの物価が高止まりしている件の影響の話まであるわで、そもそも言ってることの理屈がなんか変わっているんですよね。
・金融政策運営パートに参りますがやっぱり基本ロジックには君子豹変感が強いですよね
次が『U.金融政策運営に関する意見』です。利上げ会合だからうじゃうじゃ並んでいるのは仕様としまして鑑賞しましょう。
『●経済・物価は、これまで示してきた見通しに概ね沿って推移しているほか、輸入物価は再び上昇に転じており、物価の上振れリスクには注意する必要もある。「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整することが適切である。』
これは大本営。
『● 3月の政策変更以降、経済・物価は概ね想定通りに推移している。足もとの経済の状態は、現在の極めて低い政策金利を幾分引き上げることができる程度には良いと考えている。』
しかし今までこの理屈を前面に出していなかったのに、今回の政策変更にあたってこの説明を堂々と前面に出してくる、というのはコミュニケーションという意味で違和感は拭えないわけで、だったらもっと前の段階から政策委員の金懇でもよいから、「実質金利で考えれば今の金利はマイナス圏にあり、インフレ期待などの上昇が続けば一段とマイナスが拡大する」みたいな説明をもって行ってほしかったわけですよ。
でまあそういうのが何となくなあなあで流しながら、いざ利上げとなるとこの実質金利は低い理論を前面に出してくる、というのは日々日銀見物をしてきゃあきゃあ言ってるマニアのアタクシであってもやっぱり「唐突感」はぬぐえないわけですから、そらまあ普段そこまで日銀シャカリキになってみているわけでもなさそうな他市場の方とか海外さんとかからすると今回青天の霹靂でジャガーチェンジしたと思う罠、と感じますね。
でもって以下がジャガーチェンジの皆様のお話でして、
『● 実質金利は過去 25 年間で最も深いマイナスとなっており、様々な指標でみた金融緩和の度合いは、量的・質的金融緩和期の平均的な水準を大きく上回っている。』
『● 金利を引き上げたとしても、0.25%という名目金利は引き続き極めて緩和的な水準であり、経済をしっかりと支えていく姿勢に変わりはない。』
なんか後者って内田さんの金懇での説明に似ている部分がありますが、「緩和で経済をしっかり支える」という理屈を持ち出すのが話を混乱させるもとでして、緩和の調整をする位に物価目標達成に自信があるんですから、そういう経済に対して「緩和でしっかり支える」というのが本当に必要なのかという話はあるんですよね。
つまり、物価目標達成への自信が高まる中で緩和修正しているんですから、それはもはや本来的に言えば大いなる緩和は不要(大いなる緩和をやりすぎたら欧米みたいなドテン引き締めをしないといけないので)な話で、「日本の場合はゼロインフレ均衡からの脱却を行っている関係上、物価目標達成の確認までの期間は金融政策が緩和的になるのは過去からの経緯からそうなるもんです」という感じになるのが本来の理屈であって、緩和で経済をしっかり支える、というのはゼロインフレ均衡の時から思考が変わっていない、ということを意味するので、ちょっとこの説明には違和感がありますな、うんうん。
『● 金融政策の正常化が自己目的になってはならず、今後の政策運営については、注意深く進めていく必要がある。』
わけわからん。物価目標達成するなら自己目的も糞もなくて正常化しないとダメでしょ。慎重にやりたいという意見はわかるけど。
『● 足もとの物価を取り巻く環境を踏まえると、小幅な利上げを検討してもよい時期だと考える。なお、緩やかなペースの利上げは基調的な物価の上昇に応じて緩和の程度を調整するものであり、引き締め効果を持たない。』
まあそうなんですけど、緩和の時に緩和緩和緩和と盛大に強調していたので、逆で引き締めと言われるのは安易な緩和アピールのつけです。
・少なくとも2名は今後の利上げもとっととやれという主張ですね
『● 2025 年度後半の「物価安定の目標」実現を前提とすると、そこに向けて、政策金利を中立金利まで引き上げていくべきである。中立金利は最低でも1%程度とみているが、急ピッチの利上げを避けるためには、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要がある。』
1%キタコレという感じですが、0.5%とは言わず0.75%か1%まではさくっと利上げして、その後はゆっくり経済物価情勢見ながら考えていく、という感じになるんでしょうね、とは思います(内田副総裁講演で割とダイナシーになっていますが)。
『● 今回の政策変更後も、物価が見通しに沿って推移するもと、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続といった前向きな企業行動の持続性が確認されていけば、その都度、金融緩和の一段の調整を進めていくことが必要である。』
まさかの展望の都度上げそうな勢いの見解来ました。
・なお慎重派2名は反対した2名ですね
『●現状は、政策金利の引き上げがまったく不可能とは捉えていないが、経済成長率や消費など下振れ気味のデータが多いため、賃金上昇の浸透による経済状況の改善をデータに基づいてより慎重に見極める必要がある。』
というのが野口さんで、
『● 現時点では経済の持続的成長を裏付けるデータが少ないため、次回会合で重要な経済データを点検して変更を判断すべきで、今次会合での利上げについては反対する。』
というのが中村さん。
・以下輪番の話になりますね
『●長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切である。』
『● 市場に金利形成を委ねるため、基本的には計画に沿って、国債買入れの減額を淡々と進めていくべきである。』
大本営ですね。
『● 国債買入れの減額計画の目的は、あくまでも市場領域の回復であり、金融引き締めにあるのではない。』
とは言え買入増やしながら緩和って言ってたんでね〜。
『● 国債買入れの減額は緩やかなペースで着実に実施していくことが望ましい。債券市場参加者会合の結果から、市場の減額への見方には相応にばらつきがみられるため、予想形成が一方向に偏ることによる市場の混乱のリスクは高くないと考える。』
前半は良いけど後半言ってることがイミフ。
『● 国債買入れ減額については、1年半強かけて四半期毎に月3兆円程度まで等速で減額することとし、機動的対応の余地を残し中間評価を実施するなど、慎重に進めれば、市場にサプライズを起こさず実施可能と思われる。』
まあ言いたいことも分かるし猫かぶっているんだろうなというのもあるんですけど、そもそも今がアホみたいに買いすぎなので、減額が足りない可能性という方が高いのですが、そっちへの配慮が無いのが何ともかんとも。
『● 今後、長期金利がより自由な形で形成されるようになるなかで、国債市場の投資家層が広がっていくことを期待している。』
これはまあ今の短国市場見れば一目瞭然なんですが、金融安定化委員会とかああいうのが金融機関が本来持っているマチュリティートランスフォーメーション機能をつぶそうつぶそうとしやがって親の仇のように規制かけている訳で、日銀マターではないのですが、そっちの「過度な安定化志向による過剰な規制」について何とかしないとアカンのではなかろうか、と思います。
・日銀が国債買入を止めても新規発行が増えるのと同じというのは誤認を誘発しやすいので如何なものかと
『● 仮に国債買入れの減額を市中への国債供給の増加という点で新規発行と同等と捉えると、今回の減額により、歴史的にも有数の大量発行局面を迎えると考えられる。国債の保有構造の在り方を念頭に、市場や投資家動向をモニタリングしていくことが重要である。』
よくこの理屈が飛び出すんですけど、マクロの資金的に言ってしまえば、国債発行されて日銀が買入をするっていうのは、国債が日銀負債の形でマチュリティートランスフォーメーションが起きているだけの話であって、もちろんそれがマネープリンティングで出ればインフレ要因にも程がある話ですが、日銀の場合は利息付日銀当座預金に国債が化けているだけのお話なんですよね。
つまり「国債大量発行と同等」というのは非常に語弊のある言い方であって、「国債発行年限の長期化と同等」というのが資金循環的に考えれば妥当な表現になるのでして、まあそれもあるから発行年限を調整しましょうとかそういう話が発行サイドから出ているんですよね。
この「国債大量発行と同等」という言い方をするのって、突き詰めていってしまうと「国債を中央銀行が買入をすると国債が消える」とかいう例えば某ジンバブエ元審議委員が審議委員就任直前に某新聞のインタビューで堂々と言っていたロバート・ムガベも裸足で逃げ出すジンバブエ理論を別の角度から言ってるのと同じことになりますので、甚だ誤解を招きやすい例えだと思うので、この言い方はすべきではないと思います。
・市場機能論はほどほどに
『● 日本銀行のバランスシート正常化の道のりは長く、国債大量保有に伴う副作用が残り続けてしまう。引き続き、市場機能の状況等を注意深く見ていく必要がある。』
アタクシ的には市場機能論を押し出していく説明あんまり好きじゃなくて、まあ根っこは同じように市場機能ではあるんですけれども、「財政運営に関する市場からの警告が行われない(ので馬鹿官邸を筆頭とする馬鹿の巣窟がコストタダだと思って隙あらばノーズロ失禁脱糞垂れ流し財政運営を行い大惨事を巻き起こすリスクが高い)」という事の方が大事だと思います。
とまあそんな感じで。
2024/08/08
お題「植田さんが真人間になったと思ったら内田副総裁がハトハトチキンジジイになってしまったでござるの巻」
なお正確には「ハトハトチキンイカサマジジイ」であることについては後述しますwwwww
〇その前に昨日の債券市場ちゃんをロイターさんから貼っておく
ということで昨日の債券市場ちゃんばいロイターを備忘で貼っておきますと、
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/MP2B2FQMLNMDTAZNDQMXAGRNFA-2024-08-07/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、日銀副総裁のハト派発言で買い 長期金利0.875%
By ロイター編集
2024年8月7日午後 3:50 GMT+9
『[東京 7日 ロイター] - <15:15> 国債先物は反発、日銀副総裁のハト派発言で買い 長期金利0.875%
国債先物中心限月9月限は、前営業日比6銭高の144円96銭と反発して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.0ベーシスポイント(bp)低下の0.875%。日銀副総裁のハト派的な発言が買い材料だった。』(上記URL先より、以下同様)
『その後、午前10時半過ぎに、函館市金融経済懇談会に出席した日銀の内田真一副総裁による「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」などの発言
もっと見る が伝わると、ハト派的だと受け止められて先物相場は上昇基調に転じた。』
ハト派的どころかこんなのベタ降りのハトハトチキンですがな(後述)。
『現物市場で10年物以外の新発国債利回りはまちまち。2年債は前営業日比2.0bp低下の0.265%、5年債は同1.5bp低下の0.410%と、追加利上げの織り込みの後退を反映した動きとなった。』
>2年債は前営業日比2.0bp低下の0.265%
>2年債は前営業日比2.0bp低下の0.265%
>2年債は前営業日比2.0bp低下の0.265%
ちょwwwwwおまwwwwwwww利上げ織り込みの後退どころか「利上げ無し」じゃねえかその金利wwww
ということでエライコッチャになっておりましたが、為替市場ちゃんの方もエライことになっていて、一時148円台とかやっていたのはご案内の通り。
しかし今日は30年国債ちゃんの入札がある(6か月TDBもあるけど)のですが、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.259 0.268 -0.02 15:15
5年 0.405 0.414 -0.017 15:15
10年 0.871 0.879 -0.017 15:15
20年 1.736 1.744 0.034 15:09
30年 2.18 2.189 0.088 15:15
40年 2.435 2.446 0.107 15:15』
超長期の後ろドイヒーですな・・・・・・・
〇コミュニケーションをまた崩壊させて度し難いアホウ以外の感想がないのだが(内田副総裁函館金懇)
という訳で金懇テキストですが
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240807a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 函館市金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 内田 眞一
あとで引用するので英文ちゃんも(英文はあくまでもオマケ扱いで正本は日本語)
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2024/data/ko240807a1.pdf
Japan's Economy and Monetary Policy
Speech at a Meeting with Local Leaders in Hakodate
UCHIDA Shinichi
Deputy Governor of the Bank of Japan
(English translation based on the Japanese original)
・途中まではただの7月展望レポートのご紹介です
『1.はじめに』では
『日本銀行の内田でございます。本日は、道南地域の各界を代表する皆様とお話しする機会を賜り、誠にありがとうございます。皆様には、日頃から、函館支店の業務運営に多大なご協力を頂いております。この場をお借りしまして、改めて厚く御礼を申し上げます。意見交換に先立ちまして、まず私から、わが国の経済・物価情勢と、日本銀行の金融政策運営について、ご説明したいと思います。』
とあって、『2.経済情勢』に入るのですが、今回も
『図表1をご覧ください。はじめに、経済情勢です。わが国経済は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。振り返りますと、昨年前半にかけて、コロナ禍からの経済活動の正常化を受けて、高めの成長を続けました。その後、一部自動車メーカーの生産停止等もあって、いったん成長率はマイナスとなりましたが、景気の改善基調は続いています。先行きも、潜在成長率を上回る成長が続くと予想しています。』
『図表2をご覧ください。企業部門では、業況感は良好な水準を維持し、企業収益も既往ピーク水準にあります。そのもとで、短観の設備投資計画をみますと、昨年度は前年比+9.9%で着地し、今年度も+10%台の増加が計画されています。人手不足への対応などでソフトウェア投資が増加しているほか、研究開発投資を一段と積み増す動きが目立ちます。こうした将来を見据えた案件が引き続き投資を押し上げるほか、工事の人手不足などで先送りせざるを得なかった案件も積み上がっていますので、高水準の設備投資が続く可能性が高いと思います。』
という内田さんだけがこれをしているのですが、スピーチでしゃべる原稿というかカンペそのものを出してきています。
ちなみにこれは豆ですが、例えば先日の中村審議委員の札幌金懇では
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240606a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 札幌市金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
なんですけど、今回の内田さんの函館金懇は
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240807a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 函館市金融経済懇談会における挨拶 ──
と「挨拶」であって「挨拶要旨」ではないので、もう完全にこれがカンペと化して読んでおりますって状況ですな。(中村さん以外の政策委員の金懇も日銀に出てくるのは「挨拶要旨」ですのでご確認あれ)
でもってこの辺のおしゃべり部分は7月展望レポートの趣旨に沿った話をしていますので、まあどうでもよい(と言っても最初から読んでいきましたので「ふーん」と流し読みしておったわけですがw)のであります。
まあ展望会合の後にやる総裁副総裁の講演類なので展望レポートに沿った説明をする、というのはこれはこれで平常運転なのでまあ平常運転ですなというところです。
・しかも物価の構造変化とか堂々と言ってるんですよね
でまあその説明の部分ですけど『3.物価情勢と労働市場の構造変化』を見ますと、
『次に、物価情勢についてお話しします。図表5をご覧ください。赤い線の生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、振れを伴いつつもプラス幅が緩やかに縮小しており、直近の6月で
2.6%となっています。内訳をみますと、水色の「食料品」や、青色の「その他の財」では、既往の輸入物価上昇に伴うコスト転嫁の影響が残っていますが、これが和らいでいく中で、緩やかにプラス寄与を縮小しています。』
からの、
『一方、ピンクの「サービス」も、プラス幅がやや縮小しているようにみえますが、内容面では、賃金上昇がサービス価格を緩やかに押し上げる構図が徐々に明確になってきています。』
とかいうのを思いっきり言ってて、
『図表6をご覧ください。こちらは、消費者物価の「サービス」を構成する個別の品目について、前年比でどれだけ価格が上昇したか、それぞれの上昇率ごとに集計したものです。』
でたなサービス価格。
『左のグラフ、昨年4月時点では、大きな山はゼロ%付近にありました。+10%のあたりにもう一つ山がありますが、これは外食など、原材料コスト上昇の影響を受けた品目であり、コストプッシュの一環でした。サービスのうちでも人件費の割合が高い品目の価格(濃い青色)は、ゼロ%付近に集中していました。』
『一方で、右のグラフの通り、最近(本年4月)では、この濃い青色を含めて、価格分布の山は、+2%を中心とする形になっています。』
とまあ説明に都合の良いものをホイホイと出してくるこの日銀クオリティという感じで、だったら最初からサービス価格に注目しています、といえば余計なもんみなくて済むんですが、ってなもんですが、この説明だって都合がいい時だけ出してくるのが日銀(あるいは内田副総裁)の三百代言クオリティと言って差し支えないものな訳ですな。
まあこうやってインフレ期待が変わったという話をしようとしておるわけでして、この辺りまでの説明って普通に「物価目標達成に向けてドンドン状況が良くなっています」って話ですわな。
・労働市場の話ではお前そんなこと言ってたっけという堂々の歴史改竄が行われていまして
さらに『(労働市場の構造変化)』でも流れるように説明をしていまして、三百代言おそるべしと言ったところなのですが、どさくさに紛れておっさん何言ってますねんというのがあってクソ笑いました。
本文5ページ(PDF6枚目)の冗談もとい上段のあたり。
『私自身は、この 10 年ほど、「日本経済に変革をもたらすドライビング・フォース(原動力)は、人手不足しかない」と言い続けてきました。』
・・・・・いやお前ら異次元緩和行ったときに言ってたのは「インフレ期待の引き上げ」だろうが何嘘八百言ってるんだというお話なのですが、わざと言ってるのかそれとも脳内ファンタジーで勝手に歴史が改ざんされているのか、という話になりますと、あくまでもワイの考察するところ、置物大師匠のような方の場合はファンタジー脳なので未だに自分のマネタリーベース直線一気理論が正しいとか、そもそも昔言ってた話をすっかり脳内で無かったことにしているとおもうのですが、内田副総裁の場合は自分でそんなこと言ってなかったのに後出しで言ってることくらい先刻ご承知の助でこういう事を堂々といってると想像されますのでおそロシアとしか申し上げようがないですね。
でまあそのコーナーですが、締めの部分が、
『もちろん、失業を生みにくいとはいえ、変革に摩擦はつきものです。また、個々の企業や個人、さらには、地域によって、受ける恩恵や影響は異なります。言葉を選ばずに言えば、これまで人手に余裕があったから可能であったサービスは、市場メカニズムの中では供給されなくなります。』
『昔は、都市部以外の地域でも駅を降りるとタクシーが待っていたが、今は呼んでもなかなか来ない、といった声がありますが、都市部の需給環境が変わり、お客さんが容易につかまるのであれば、当然の帰結です。』
『この先も人手は足りないことを前提に、地域の機能をどう維持していくのか、都市部と周辺部との関係をどう構築していくのか、市場メカニズムでは満たされないニーズをどう補完していくか、考えていく必要があると思います。皆さんの周りで起きている各種の変化は、この図表の水色の棒の帰結なのかもしれません。少なくとも、何もしなければ、元に戻ることはありません。』
元に戻ることはありません、と思いっきり構造変化が不可逆である、と言い切っていまして、まあこの前の金研国際フォーラムで「ディスタイムイズディファレント」って思いっきり言ってたのと同じ話をしておるわけです。
・・・・・とまあそういうことで、ここまでの部分を見ますと思いっきり「2%物価目標に向けた構造変化が起きているし、しかもその構造変化には不可逆の部分もあるのでこのまま定着ですよ」と全力で威勢の良いことを言っているんですな。ところが皆様ご案内の通り、
・利上げの説明を見ますと今まで前面に出していなかったことまで言っているという諸葛孔明の罠
『4.日本銀行の金融政策運営』ですが、最初の方は長期国債買入規模の減額計画の話、政策金利引き上げの話をこれまた今回の決定の説明通りにおこなっていますので、
『(短期政策金利の引き上げ)』の部分、途中から急に変なことを言い出す形になっていますので、最初から続けてみていきましょう。
『次に、短期の政策金利の引き上げについて、ご説明します。図表 13 をご覧ください。景気は、緩やかに回復しており、先行きも潜在成長率を上回る成長を続けると考えています。もとより、個人消費には、物価上昇の影響が表れていますし、1〜3月の成長率は自動車生産の影響もあってマイナスになるなど、弱い動きもみられています。そうしたこともあって、3月にマイナス金利政策を終了したのちも、短期の政策金利(赤い線)は、0〜0.1%という低い水準に設定していました。』
で、
『これは、現実の物価や物価の予想が上がっていることも考えますと、実質ベース(青い線)では、かなり低い水準で、極めて緩和的な状況です。経済や物価が見通しに沿って展開していくのであれば、それに応じて、この金融緩和の度合いを調整していくことが適切になります。』
と来まして、
『先週の金融政策決定会合では、今春の労使交渉の結果が賃金に反映されてきていることなど、前半でご説明したような経済・物価の状況は、見通しに沿って推移している、と判断しました。』
賃金が強かったし見通し通りにオントラックで推移しているから利上げした、と言ってさらにこの先の説明がかなりとんでもない話をしていまして、
『また、図表 14 をご覧ください。左のグラフの通り、2年以上にわたって物価が2%を上回っており、今年度の見通しでも上回ると予想されます。』
この部分って今まであんまり前面に出していなかった話なんですけど、
『このことは、わが国経済やここにおられる皆様の生活に直接影響を及ぼしており、政策判断において、重要な要素だと考えています。』
おwwwwwwいwwwwwwwwwww
今まで延々と2%を上回っている間「基調的物価ガー」とか言って実際の物価上昇の話を散々ネグっていたくせに利上げした瞬間にこれを言い出すとかお前ナメトンノカとしか言いようが無い訳ですよ。
『そうしたもとで、右のグラフにあります通り、一度は落ち着いていた輸入物価が、円安の影響などから再び上昇しています。』
ときまして、例の「為替円安が物価の上振れリスクになりかねないので利上げしました」という方の話になるのですけど、
『その消費者段階への影響については、企業の行動がデフレ期とは異なってきていることも踏まえて点検していく必要があります。』
というのは以下にありますが、
『デフレ期には、企業はコストが上がってもできるだけ価格に転嫁しないように行動したため、輸入コストの上昇が消費者段階に伝わる程度は緩やかでした。ここ数年は、輸入コストの上昇幅が大きかったこともあって、消費者段階の価格に転嫁されました。また、それが人手不足の中で賃金上昇につながり、基調的な物価上昇率を押し上げました。このように企業の賃金・価格設定行動が積極化していることを踏まえますと、為替の変動が物価に影響を及ぼす程度やスピードは高まっていると考えられます。』
構造変化によって輸入価格上昇が持続的なインフレ圧力になりやすくなった、とかいう説明をしていまして、
『2年前のように輸入物価が 50%上昇しているわけではありませんが、円安とそのもとでの輸入物価の上昇は、消費者物価を上振れさせるリスク要因です。』
とまあそんな状況だから利上げしました、という話な訳で、
『以上のように経済・物価見通しがオントラックであることを確認したうえで、リスクの観点からも、消費者物価が2年以上にわたって2%を上回って推移する中で、円安を受けて輸入物価が再び上昇に転じていることを踏まえて、0〜0.1%よりも
0.25%程度の金利水準の方が、よりリスクに中立的で、適切であると判断したということです。』
っていう話なので、まあつまりは足元の個人消費云々という話よりも、物価をめぐる構造変化が起きているなかで、物価をめぐるリスクバランスが以前のように隙あらば下振れの世界から大きく変わっている、という俯瞰的というか中長期的というか壮大なというか、かなり大きなビューのもとで利上げしました、って説明だし、今回の内田さんの説明って「アクチュアルな物価が2%を超えて長期間推移していること自体も望ましい事ではない」という趣旨の説明をしているので、何気に踏み込んでいる部分もあるんですよこれがまた。
・しかしこの威勢の良い話が怪しくなりましていきなりのジャガーチェンジである
とまあそんなこと書いてあるのに、上記文章って実はこの直後に
『もちろん、0.25%という水準は、名目金利としても、また特に実質ベースでみれば、極めて低い水準ですので、引き続き、極めて緩和的な金融環境によって、経済を支えていきます。』
と怪しい空気になって締められている辺りからちょっと様子がおかしくなるわけでして、その次の段落がご案内のように、
『先行きにつきましては、結論から申し上げますと、内外の金融資本市場の急激な変動がみられるもとで、当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要があると考えています。』
>当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある
>当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある
>当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある
・・・・・・・お前は何を言ってるだという話でして、その直前で散々「上振れリスクがあるので金融緩和の度合いを調整するのが適切だから調整した」って言ってるのに、その直後に「金融緩和を現水準でしっかり続ける必要がある」って支離滅裂にもほどがあるわけで豹変にあきれるしかありません。
英文の方ではこの部分、
『As for the future conduct of monetary policy, in a nutshell, I believe
that the Bank needs to maintain monetary easing with the current policy
interest rate for the time being, with developments in financial and capital
markets at home and abroad being extremely volatile.』
ということで、フォーザタイムビーイングは政策金利いじりませんって言ってるわけでして、これは海外投資家とかいう単細胞生物から見たら「当分利上げをしない、と突如足元の相場を見て腰砕けになった」と思う、というかまあ国内も思うのだが、笑ってしまうのは「with
developments in financial and capital markets at home and abroad being
extremely volatile」って言ってるんだがそのエクストリームリーボラタイルなマーケットは誰が作ったんだよという話で、1週間前の説明を思いっきりひっくり返すような言い方をしているし、まあその前からもずっとそうですけど、政策運営にかかわる説明が足元の何かに過剰反応してハトかタカにブレブレメッセージを出してしまっているのはお前ら日銀だし、自分でボラ作っておいて「エクストリームリーボラタイル」とか何を言ってるんだという話で、控えめに申し上げましてもその場で腹掻っ捌いて津軽海峡に身投げしてこいとしか申し上げようがないこのクソ情報発信はひどすぎるとしか言いようがありませんな。
でもってこの続きですが、
『この点、展望レポートの中で、「金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」という考え方を示しました。』
と来まして、
『この考え方は、その前提「経済・物価の見通しが実現していくとすれば」という条件が付いています。』
三百代言キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
『そして、この点で、ここ 1 週間弱の株価・為替相場の大幅な変動が影響します。』
・・・・・・いやお前さあ、今回の政策変更について「足もとの消費動向とかよりも先行きのリスクバランスを考えた」ということで凄い俯瞰的かつ中長期的な話をしていたのに、いきなりたかが1週間の株式市場と為替市場に反応してるとかアホなのかと。
いやもちろんそのバックになんか戦争とか災厄とかあるのなら反応しても良いんですけど、今回面倒だから引用しなかった前半部分の本文2ページ(PDF3枚目)下から6行目に『私自身は、米国はソフトランディングする可能性が高いと思っています。』って言ってるわけで、そう思ってるなら益々こんなビビッドな反応をした講演をする必要があるのかという話ですよ。
しかも今回って「リスク対応」とは言ってるけどそこに円安による輸入物価上昇の影響がセカンドラウンドエフェクトを出して物価の上振れにつながるってロジックがあるんだから、円安が是正されたことに関してはリスクでも何でもなくて、むしろ望ましい方向に進んでいるので歓迎すべき話で、懸念も糞もあったもんじゃないでしょ、というお話な訳ですよね。
ということですから、これは「足もとの株安にビビりました」と降参宣言をしているのに等しい、とまあ普通はそのようにメッセージを読み取るわけでして、「日銀は株価が下がると本来行うべき金融政策を行わない」と解釈された日には、お前らは中央銀行としての責務を何だと思ってるんだという話で、かなりの重症レベルの中央銀行ということでして、これは亡きロバート・ムガベ大統領もニッコリという悲惨な低レベルの中央銀行ですよ、ってのをこともあろうに中央銀行プロパーの副総裁が言っているんですからこれはたちが悪いというか罪万死に値するレベルの説明な訳ですな。
そんなこと言わなくても「足もとでは米国でのやや過剰とも言える景気後退懸念の影響も含めて内外金融市場が大きく動いていますが、この状況については今後物価目標達成に向けた悪影響となるかどうかを時間をかけて注意深く分析していきたいと思います」程度でも早期追加利上げの牽制できるじゃろ、と思う訳でして、なんでお前らは一々タカでもハトでも強すぎる決め打ちトーンで説明をおっぱじめるのかという話でもあります。まあ端的に言ってお前らもう見てらんないから大蔵省日銀局に格下げされとけと。
・株価は重要って中銀が正面切っていうのは見識を疑う
でまあその説明をくどくどとしているのですが、
『金融資本市場では、最初にお話しした米国の景気減速懸念を契機に、世界的に急速なドル安の動きと株価の下落が生じています。特に円ドル相場は、これまで円安方向で大きなポジションが積み上がっていたことの巻き戻しがあり、変動幅が大きくなっています。また、わが国の株価は、円安の修正もあって、他国に比べても下落幅が大きくなっています。』
で?
『株価は、基本的には企業収益や経済の先行きの見通しを反映して形成されるものであり、この点、わが国企業の収益は歴史的な高水準にあります。これは単なる円安の恩恵といったものではなく、より本質的な収益力の強化によるものです。』
じゃあ問題ないじゃん、と思うjのですが、
『もちろん、株価の変動は、企業の投資行動や、資産効果などを通じた個人消費、ひいては経済・物価の見通しに影響するものであり、政策運営上重要な要素です。』
単に官邸とかいう木偶の坊に言われたから政策運営上重要なんでしょ、と言いたくなりますが、重要な要素って言い切るの流石にヤバくないかというお話で、これって1987年のブラマンの時に既に資産バブルの動きは始まっていたのに、ブラマンでビビって金融政策、経済政策(金融行政)の引き締めが完全に後手に回って取り返しがつくまで35年くらいかかっている壮大なバブル崩壊を巻き起こしたときから何も進歩していない説明にしか見えませんし、日銀って組織は反省という行為をしないのかと情けなくなるわけですな。
『また、為替相場の面では、円安が修正された結果、輸入物価を通じた物価上振れのリスクは、その分だけ小さくなりました。図表
14 の緑の線にあります通り、輸入物価の上昇は、契約通貨ベースではほぼゼロ%ですので、円ベースでの上昇は、ほぼこれまでの円安によるものです。この点で円安の修正は、政策運営に影響します。』
って言ってるのも間抜けな話で、その結果1週間前に言っていた「見通し通りに推移すれば淡々と政策調整を行う」を反故にしたらまた円安が進むし、現に昨日は148円台に乗った(結局147円近辺でしたっけ)りして早速円安が息を吹き返している訳で、馬鹿なのかとしか言いようが無い。
・挙句にこれである
でもってその次がご案内の通り、
『こうした市場の変動の結果として、見通しやその上下のリスク、見通しの確度が変われば、当然金利のパスは変わってきます。もともと、欧米の利上げプロセスとは異なり、わが国の場合、一定のペースで利上げをしないとビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうような状況ではありません。したがって、金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはありません。』
って話なのだが、そもそも為替円安で物価上振れリスクも意識して利上げしておいて、「ビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうような状況ではありません」もあったもんか、ってなもんでして、まあこれ内田さん的には「欧米のようなペースで利上げしないとビハインドになるようなことはないといっただけで、ビハインドのリスクがないといったわけではない」という説明をすると思うのですが(会見はヘッドラインしか見てないからこの点誰か質問をしたかは知らんけど)、まあ普通にこの部分だって「ベタ降り」としか見えませんよね。
英文だと、
『If the outlook, the upside and downside risks to the outlook, or the
likelihood of realizing the outlook change as a result of these market
developments, the path of the policy interest rate will certainly change.
In fact, in contrast to the process of policy interest rate hikes in Europe
and the United States, Japan's economy is not in a situation where the
Bank may fall behind the curve if it does not raise the policy interest
rate at a certain pace. Therefore, the Bank will not raise its policy interest
rate when financial and capital markets are unstable.』
なのですが、そもそも金融資本市場が不安定だから利上げしないってアホの極みで、市場なんて基本的にunstableな訳だし、(動かない市場は市場じゃないでしょ)中央銀行は通貨価値の安定のために必要なことをすべきなんだから、通貨価値安定のために金融引き締めが必要なら金融資本市場が不安定な時だって必要な政策をとらないといけない筈で、まあとにかくこれ切り取ってみれば不見識の極みな説明ばっかりしてるんですよね。
『先ほど申し上げた通り、私自身は、米国経済はソフトランディングする可能性が高いと考えていますし、わが国の株価が上昇してきた背景には企業の収益力の強化があると思っています。両国の経済のファンダメンタルズが大きく変わったとは思えませんので、米国の単月の指標に対する反応としては、大きすぎると思っています。』
じゃあこんな強い「ベタ降り」メッセージ出すなよ。
『もっとも、最近の内外の金融資本市場の動きは極めて急激ですので、その動向や経済・物価に与える影響について、極めて高い緊張感をもって注視し、政策運営において適切に対応してまいります。繰り返しになりますが、当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要があると考えています。』
現在の水準、が余計にもほどがあるわけで、見通し通りに推移したら実質金利のマイナスがまた深まるから利上げして調整するのは然るべき、と言ってた説明との整合性全然取れていないですよね、という話で、まあこれはひどすぎるコミュニケーションでして、ちょっとお前その場で腹かっさ(以下同文)
・なおこれでまた円安に飛んだりすると三百代言クオリティが炸裂するのは言うまでもありませんのでご注意を
上記の説明、まあメッセージは明らかに「ベタ降り」だし言ってることも中央銀行副総裁としての見識を疑うフレーズがちりばめられている、というとんでもない過去最悪に近いクソ講演なのですけれども、なんだかんだと変な留保条件はちょいちょい入れているのでして、為替に関しても「今は円安が修正されたので懸念した物価上振れリスクが後退した」と言っているだけなので、またぞろ為替が155円だとか言い出したらあっという間に再度のジャガーチェンジをすると思いますし、その時は「あの時点での為替と今の為替は違うんだから言う事が違って当たり前」位のことを平然と説明すると思います(だから最初に「イカサマジジイ」というのを入れたわけです)ので、まあ面白いからちょっと米国で強い経済指標がここからバンバンと出てきてドル円再度160円に向かっていくと滅茶苦茶笑えることになりそうなので(日本経済にとってはただの災厄だが)もう頭きたんでそっちでお願いしますわ、というところですな。
とまあそんな感じですか今回の金懇挨拶。
2024/08/07
ほほう
https://news.yahoo.co.jp/articles/278dbf973ccc19a29f33d97a63bd1d31c741fcce
ひろゆき氏、日銀総裁批判の自民党市議に反論「アベノミクスの尻拭いで叩かれている」石丸氏も市議を挑発
8/6(火) 15:30配信
尻ぬぐいの着手が遅れた、というか就任当初黒田継承みたいなことを大々的に言ったせいで余計な円安を招いた、というのはどっからどうみても植田さんの失敗なのですけど、それはさておきまして「行き過ぎた円安が是正された」(勢い良すぎではあったがwww)のにたいして文句言ってるのはつまり「円安コストプッシュで一般人の生活コストが上がっても株が上がればOK」という格差拡大論者ですってもんですから議員に向いてるのかというとどうなのかね、と思う訳ですが。
しかしまあ何ですな、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA062II0W4A800C2000000/
株価乱高下で月内に閉会中審査 植田日銀総裁の出席要請
政治
2024年8月6日 11:46 (2024年8月6日 20:04更新)
閉会中審査して何の意味があるんだ馬鹿としか言いようが無いのですが、まあ立憲がドヤ顔でこういうのをやれって言ってるんだからその逆が正しいということですwwwwww
てかね、過去最大の下落率だった1987年のブラマンってその後政府日銀がビビって金融緩和を無駄に長く続けてしまって、その後の取り返しがつかない資産バブルを発生させてその崩壊でワシら長年にわたって困っている訳で、今回の値動きでビビって無駄に緩和状況を長く続けることによって同じことが起きたら斬首もんだぞとしか申し上げようがないし、さすがにそれは「利上げのトラウマ」が裸足で逃げ出す日銀の痛恨の大失敗だというのは植田さんが分かっていない訳はないので、そこは真の植田和男に戻った植田さんに期待するしかありませんな。
〇さて本日は内田副総裁の金懇挨拶がありますな
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/7N34NMSFBFP2NBX3AGNWKC7DSQ-2024-08-02/
日銀の内田副総裁、7日に金融経済懇談会 函館市で
By 和田崇彦
2024年8月2日午後 5:33 GMT+9
ところで日銀のHPでは
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
の『今後の講演・挨拶等の予定』を見ても何もなし、
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
を見ても何もなし、ということで、おまいらコミュニケーションを真面目にやるきあるのか、というのは相変わらずですわなという感じですが、まあ今日の金懇でどの程度のトーンで話をしてくるか、によっては1987年ブラマン以降の再現もあるでとかそういう話になる(とは言いましても、あんまりハトハト情報発信をすると円安が再燃して元の木阿弥になる上に円安はいかんがねという話が復活して利上げになるという説はあるが、まあ何はともあれ確認ではありまする。
2024/08/06
〇いやーしかし無茶苦茶な動きをしましたなあ(記念メモ)
・株式市場ェ・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/quote/.N225/
日経平均 .N225
直近の取引 31,458.42
変化 -4,451.28
変化 -12.40%
こりゃまたよーさがりましたな、と思いましたがちょうどロイターちゃんもチャートを1年で出しているのですが、これ結局のところ昨年11月とかに「マイナス金利解除近い」で盛り上がっていた時期まで戻った、というだけのお話だったりするのですな。まあ新NISAでインフレ時代に備えようって突っ込んだ皆様におかれましてはご愁傷様としか申し上げようがないですが、気を失っていればそのうちなんとかなるんじゃないですかねえ(ただし長期間必要だと思うので気を失っているうちに寿命が来そうなジジイは残念無念)知らんけど。
なお、
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through
先物価格情報
日経225先物
限月 24年9月限
取引日 08/06 日通し
始値 31,690 (08/05)(16:30)
高値 33,830 (08/06)(01:27)
安値 31,140 (08/05)(21:21)
現在値 33,030 (08/06) (04:47)
前日比 +1,650 取引高 61,106
とか何とかいう大変にチャーミングな反発を示しておられまして、いやまあそりゅあそうじゃろという感じでして、何もこの世の終わりみたいな売り方をせんでもよろしかろとは思いました。まあビックリしたけど。
これでスターリン暴落が下落率で歴代5位まで下がってしまったのが何とも。ちなみにアタクシちょっと資料をどっかにやってしまいましたが、スターリン暴落の日の日経の市況面が物凄い煽りタイトルだらけで中々下品でよろしいので昔の日経縮刷版を図書館などで探すと面白いですよ。
・債券市場なのですがいやお前ら金利水準というものを考えて踏みあがれと
債券先物ちゃん。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 24年9月限
取引日 2024/08/05
立会区分 日中取引
始値 144.81(08/05)(08:45)
高値 146.14(08/05)(09:32)
安値 144.78(08/05)(08:45)
現在値 146.06(08/05)(15:02)
前日比 +2.26
取引高 49,683
ということで226銭高とかいうとんでもないことになってしまいましたが、これ先物だから7年なのですけど、7年チーペスト(10年364回)の利回りって単利で0.475%、複利で0.470%になっていまして、いやお前ら向こう7年間で政策金利が0.50%にならんとでもいうのかというお話ですが、まあそれを言い出すと5年カレントとかもひどいもんで・・・・・・
いつもの売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
まあいろんなもんがアレでして、
先物チーペストすなわち7年金利
長期国債 364 2031/09/20 0.1:平均値複利 0.470 平均値単利 0.475
って先ほど申し上げた通りの利回りなのですが、5年カレントが
中期国債 170(5) 2029/06/20 0.6:平均値複利 0.363 平均値単利 0.360
って0.5%までは普通に利上げしてきそうな説明(まあ日銀のことですから今回のムーブでまたションベンチビッテびびりんちょと化して植田和男先生がまたハトハトチキンおじさんに戻ってしまうのではないかという懸念が大いにあるのですが・・・・・・)してたのに5年金利でこのストロングな利回りとか草も生えません。
しかしまあ何ですな、引値といえば短いところの短国が(あまりにもクソ短いのはさておきまして)
国庫短期証券1233 2024/08/26 平均値単利 0.100
国庫短期証券1234 2024/09/02 平均値単利 0.100
国庫短期証券1236 2024/09/09 平均値単利 0.100
ってなっているんですが、この辺って弊駄文が利上げ直後から指摘しておりましたように、前日の売買参考統計値って8月償還で0.190%、9月償還で0.180%とかいういやそれは無いだろうという引値を出していまして、しかも金曜日に3M新発TDB入札が平均0.121%という利回りで決着してその時点で既に短国のニーズが強いのが分かっているのに、2日の引値が上述のような変な値付けになっていまして、昨日になって急に9毛強だの8毛強だのとか値付けしているんですけど、いいからお前ら真面目に値付けしろという話で、債券市場の市場機能回復ってのにはこういうのも含まれているんだぞと思う次第でありまして、関係各位の猛省を促したいところであります。
・短国とかもなかなかのアレでして
短国の短いところが8毛強だの9毛強だのになっているのはこれはそもそも論としてその前の値付けに疑問が大いにあった、ということでまあ外れ値なんですけど、ゆうて3Mとかもこういうリスクオフ祭りになりますと、とりあえず短国に逃げておく系のニーズが発生してしまいますので、金曜の入札で0.121%つえええよ、と思ったものの引値は何とか0.125%(どうせビットサイドでしょうけど)で踏みとどまった新発3Mちゃんですが、
金曜日
国庫短期証券1247 2024/11/05 平均値単利 0.125
月曜日
国庫短期証券1247 2024/11/05 平均値単利 0.070
・・・・・お、おぅ
またも利上げが何ぼのもんじゃいというレートになりやがってしまいましたが、
こちらはリスクオフ祭りの避難マネーが流入してきているのでシャーナイナイではありますけど、7bpって何だよそれって利回りでして、日銀が買入を減らすと国債消化がどうのこうのとか言ってますけど、その一方で何か起こると短い国債の需給がこんな状態になってしまう訳でして、現実問題として「国債」自体は不足している訳ですので、発行サイドも国債発行を思い切って短期化する(発行する側としてはあんまり短期化したくないでしょうけど)とか考えた方が良いのでは、って思ってしまいました。まあ一昔前と違ってやれ流動性規制だやらIRRBBだとリスクを取らせないように金融監督の方が進んでいますので、それによる短い国債へのニーズってすごい増えている筈なんですよね。まあ今回のリスクオフ局面でもろによくわかったなと。
しかし地味に派手な引値だったのがこちら。
物価連動国債 28 2033/03/10 平均値単価 102.35 前日比 -245
物価連動国債 29 2034/03/10 平均値単価 101.95 前日比 -285
長期国債 370 2033/03/20 0.5 平均値単価 98.97 前日比 +175
長期国債 374 2034/03/20 0.8 平均値単価 100.58 前日比 +182
まあ物国って国債のくせに流動性が低い金融商品でして、「リスクオフで売られるときは流動性の低い金融商品が自動的に売られる」の法則があるというのはわかるんですけど、単価ベース(連動係数の話は置く)で普通国債対比4円逆に行くのはさすがに何だよという話で、いやまあ昨日の株価の下げ方はコロナショックとかリーマンショックとかそういう世界ではございますけど、何がどうなっているのやら。
・・・・・・とまあ訳の分からん値動きだったり、値動きの訳は分かるのだが水準は何なんのよという値動きだったり、まあそうかなーって値動きだったり、リスクオフ相場の怪奇現象をいろいろとみせられておとーさんは月曜から疲れてしまいましたわよwwwwwwww
なお、株価指数先物がもどっておられるようですので債券先物ちゃんも70銭くらい下がっておられるようでして、なんかまあ今日も今日とてバタバタしそうではありますな。
〇しかしこうしてみますと「12月解除、4月利上げ」でしたなあと思う訳で
さっき「株価下がったといっても結局は去年のマイナス解除あるでと言ってた頃じゃん」というのはまあこの雑談に繋がるのですが。
そもそもですね、昨年12月ってその前に「さすがにマイナス金利解除いけるじゃん」という話になっていて、それこそ氷見野副総裁の金懇での話など、いかにもやるんじゃないか、というような流れだったのに、国会で植田総裁が口が滑って威勢の良い事いったらハレーションが起きてしまって、それにビビって急に12月会合でそれまでの話を無かったことにする、というハトハト情報発信を行った訳ですな。
まあその後は1月会合で急にそれをひっくり返して3月おあ4月解除予告みたいな感じになって3月のマイナス金利YCC解除につながったんですけど、まあ後付け軍師にもほどがありますけれども、こうなってしまいますとやはり米国が利下げ局面入りする前の段階で初回利上げに着手すべきだったし、マイナス金利YCCをあの時の流れのまま12月に解除して、賃金を確認して4月に利上げしておけば、今回変な貰い事故にならずに済んだとしか申し上げようがない、後付けで何言ってもしょうもないんですけど。
だいたいからして12月の植田国会発言→火消しで12月にハトハト発信、の辺りから(まあ正確には植田総裁就任以降ずーっとですけど)日銀の説明っておかしくて、片側の示唆をする→ハレーションにビビってその逆の話をする→ハレーションにビビって以下同文、ってのを繰り返しながらマイナス金利YCC解除と今回の利上げをぶっこんでいる訳でして、3月の時は仕方ないにしても、その後4月の情報発信がハトに寄りすぎて過度な円安を生させ、そのために過度な株高を発生させて、今回の利上げもある程度織り込んでいたとは言え、4月以降の説明が「展望レポートに書かれている先行き政策運営の書きっぷりだと次回展望レポートで利上げなのに、会見でもその後でも植田さんの説明が全然利上げをやりそうもない説明だった」というのがアカンタレだった訳ですな。
これはまあ今の日銀が変なところで器用(個人の感想です)なのが良くない方向に作用しているとあたしゃ思うのでして、そもそも「経済物価情勢を見ながら適時適切な政策を実施します」というような感じである種頭の悪い説明をしておけば良いのに、一々説明しようとするからその場その場の状況で説明がフラフラとしてしまうし、おまけに(今回の会見ではその点改善されましたが)植田さんが国会にしても会見にしても、本人は丁寧に説明しているつもりなんでしょうけど一々余計なことを言って話を混乱させるという困った芸風を確立させているのがやばいわけですな。
今回だって先般の総裁記者会見における「政策金利」の部分をネタにしたことで分かりますように、日銀としては円安圧力を止めたかったんでしょうけど、政策金利についてずいぶん威勢の良い話をしておりまして、まああの説明をゴリゴリ詰めると「10月展望の時点で経済物価情勢、なかんずく物価情勢がオントラックなら再利上げ」になってしまう説明を堂々としていた訳ですが、この株安円高(140円とか割と快適な水準に戻ってきたのでめでたしめでたしだと思うけど速度がw)を受けて日銀ちゃんお得意のションベンちびってハトハト情報発信をしてくると、益々「結局日銀の政策反応関数が読めない」となってしまいますので、まあどうなるのやら、明日内田副総裁の金懇だか何だかがあるような報道があった(ただし日銀のHPにはなんも書いてない)ので、楽しみに待ちたいと思います。
〇しかしコミュニケーションといえば今回って「実質金利はまだまだ無茶苦茶低い」って言ってますが・・・・・
今申し上げましたように、先日ネタにした通りで、今回って日銀は思いっきり「実質金利が物凄くマイナス」って話をしていて、だからこそ次回の利上げも全然アリエール、という情報発信に繋がっていて、まあそれはその通りではあるんですよ。
ただね・・・・・・・・・
5月8日読売国際での植田総裁講演
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240508a.htm
『先行きの金融政策運営
先行きの金融政策については、毎回の金融政策決定会合で経済・物価の見通しやリスクを点検したうえで、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に運営していく方針です。
そのうえで申し上げますと、先行き、見通しに沿って基調的な物価上昇率が高まっていけば、「物価安定の目標」実現の観点から適切となる金融緩和の程度も変化しますので、緩和度合いを調整していくことになると考えられます。また、経済・物価見通しやそれを巡るリスクが変化すれば、当然、金利を動かす理由となります。』
とまあこれは直前の4月展望レポートの金融政策運営部分に記載されている話なのですが、
『この点、先ほども申し上げたとおり、物価を巡るリスクが上下双方向に引き続き大きいことは認識しておく必要があります。仮に、物価見通しが上振れたり、あるいは上振れリスクが大きくなった場合には、金利をより早めに調整していくことが適当になると考えられます。』
といった口から、
『一方、見通しが下振れたり、下振れリスクが高まった場合には、現在の緩和的な環境をより長く維持していくことが求められます。また、経済・物価に対する大きな下方ショックが生じるような場合には、必要があれば、これまで用いてきた様々な非伝統的な手段も含め、あらゆる手段を予め排除することなく、対応を考えていくことになります。』
ってまあ思い切り両論併記でして、今回の利上げにあたって言ってた「上振れリスクが大きい」みたいな話はなかったんですね。まあこれは5/8だからちょっと前、と言ってしまえばそれまでなんですけど、1年前の内外情勢調査会で「待つことのコストは大きくない」って言ってた発言を明示的に否定しているわけでもないし、そこまでの流れから言ったらまあ普通にこれハトハトに見えてしまう訳ですよ。
さらに5月27日での金研国際コンファランスでのスピーチでは
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240527a.htm
『3.今後の課題
それでは、今後の課題を簡単に述べたいと思います。日本銀行の目標は、2%のインフレを持続的かつ安定的に実現することです。これまでのところ、インフレ予想をゼロ%から押し上げることには成功したように思いますが、それを今回は2%の目標値にアンカーしなければなりません。日本銀行は、インフレ目標の枠組みを有する他の中央銀行と同様に、その実現に向けて注意深く進んでいくつもりです。日本銀行が直面する課題の多くは他の中央銀行が直面したものと似た側面を有していますが、いくつかの課題には日本に特有の難しさもあります。
そうした課題のうち主要な一つが、自然利子率(r*)をできるだけ正確に把握することです。その正確な計測は、どの中央銀行にとっても容易なことではありませんが、過去30年間の長きにわたって短期金利がほぼゼロに張り付いてきた日本では、特に難しいことです。実質金利は多少なりとも変動してきたとはいえ、金利変動が乏しいもとでは、金利変動に対する経済の反応度合いを計測することには相応の難しさがあります。』
前半はともかくとして、後半でRスターの話、すなわち実質金利論の話をしているわけですが、この時点で植田総裁は「Rスターはわからん」とまあそれはそれで事実なのですが、そういう話をしていた訳でして、それが7/31には「今の実質金利はとってもマイナスですし多少利上げしてもマイナスですよ」って言ってしまうってのは、まあ日銀に言わせれば「計測は難しいけど今の実質金利が大変にマイナスであるのは事実でしょ」って話だと思うのですが、植田さんのこういう説明の際に少しでも「自然利子率の測定は特に直近過去の事例に乏しい日本では難しいものがありますが、現在の金利水準で見た場合に実質金利が大幅にマイナスの領域にあるのではないか」位の事を言ってほしいわけでして、そういうのなんも言わないでいきなり7月に変なもの食ったのかという位に真人間に戻られましても、そりゃ植田さんの言ってること真に受けてたら痛い目に遭うわ、としか思えない人の方がドンドン増えるわけで、もうちょっとコミュニケーションというか説明の仕方を何とかしてほしいと思います。
2024/08/05
お題「ゆうて3月前に戻っただけの話ですが/国債買入はチキンベース/3M短国入札・・・・・」
いやー土日になんか更新するとか申しておりましたがショパンの事情によりまして特に大したこともできませんで更新もせず、と大変に失礼いたしました。
〇雇用統計ェ・・・・・・・・・・
おやおやまあまあ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-02/SHLX2EDWLU6800
【米国市況】円が146円台に上昇、弱い雇用統計で株急落−金利低下
Rita Nazareth
2024年8月3日 5:52 JST
→円は対ドルで一時146円42銭まで上昇、週間では約4.6%高
→ナスダック100は「調整局面」入りの定義と整合、VIXも大幅上昇
これは盛大な振り落としキタコレですなあ。
『2日の外国為替市場では、円相場が対ドルで大幅高となり、146円台に突入した。米雇用統計が弱い内容となり、景気悪化への懸念が増大。米金利が急低下し、ドルへの売り圧力が強まった。』(上記URL先より、以下同様)
いやー利上げしておいてよかったですねえ植田さん(というかもっと早くやっておけば良かったんですけどね)。
『円は対ドルで一時、2%高の146円42銭に上昇し、2月以来の高値をつけた。これで4日連続で上げた。米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比11万4000人増と、伸びは予想中央値の17万5000人増を下回った。失業率は4カ月連続で上昇し、4.3%となった。』
なのはまあ良いんですけど、
『金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は年内4回の0.25ポイント利下げを織り込んでいる。先物相場では9月会合を待たずに緊急会合を開催して利下げするとの見方も浮上している。』
『米国債はこれで7営業日続伸。市場は今年1ポイントの利下げを完全に織り込んだ。』
『金利の動きに敏感な2年債利回りは一時31ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。全年限で利回り低下幅は16bpを超え、指標の10年債利回りは約3.8%まで下がった。』
ちょwwwwおまwwwwwwwなんちゅう極端なアメリカンwwwwwwwww
まあしかしその記事にあるナスダック100のチャートとか見ると、直近如何にアホみたいに上がっていたかという話のような気もするので、何が何やらわからんですが、だいたいアメリカン市場の場合近年の傾向ってあくまでもアタクシの個人の感想ですが、債券市場が一番極端なアホムーブをかましてて、株式市場見ている方がまだ反応が普通だと思っておりまして、正直米国債券市場は頭のネジ外れている(というかどうせAIとかいう知能指数の低い馬鹿がやってるんでしょうけど)と思うので、まあいろんな株価を見ながらふーんと思う方が吉のような気がします、知らんけど。
〇これはなかなか良いグラフ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240802/k10014532861000.html
円安局面は終わるのか?【経済コラム】
2024年8月4日 1時18分
『先月初めは1ドル=161円台だった円相場。これが1か月近くで10円余り円高ドル安が進み、一時1ドル=148円台に(8月1日時点)。ジェットコースターのような急激な変動の主な要因だったのは、日銀の利上げとアメリカの利下げ示唆でした。日米の金融政策の転換がより鮮明になった今、歴史的とも言われた円安局面は終わったのでしょうか。』(上記URL先より、以下同様)
とありまして、次の小見出しが『ジェットコースター』となってるのですが、
『ドルに対する円相場のグラフを見てみると円の急騰ぶりがわかります。7月上旬は1ドル=161円台で1986年12月以来37年半ぶりの円安水準でした。』
って感じで記事はありますが、そこにあるドル円チャートが「年初来」で出しているのが中々優秀でして、これはつまり年初来円安進んだのが戻っただけの話だよ、というのが示されておりまして、これが煽り記事でしたら6月辺りからのチャートをだすのですが、この辺はさすが公共放送さんきちんと書いてるな、と感心しました。
まあドル円だけ見て語ってもしょうがないちゃあしょうがないですけど、為替に関しては3月のマイナス金利YCC解除に向けてハトハト発信を結果としては過剰にしてしまい、まあその後の解除後の動きを見てもう少し利上げトーンを出せばよかったのに、その後一段とハトハトチキン発信をしていたのが悪くて、あれで過剰な円安を招いた分がやっと戻ってきた、というだけの話ってえのがわかるし、まあ何なら植田総裁就任時のドル円っていくらでしたっけというお話でもあるので、こんなの過剰の修正以外の何物でもないんですが、日銀砲とか言って煽る馬鹿が現れてきますので、そういう意味では馬鹿発見器として今後のインチキ野郎のインチキコメントを見つけてワイの「信用ならない何とかスト閻魔帳」に書き加えないといけませんな、と思うのでありました。
・・・・・という雑談はさておき決定会合レビュー(FOMCはもうちょい後で勘弁、推計3連休で何とかしますわ)はまだ続く。
〇決定会合レビュー:長期国債買入減額は「予見可能性」は高いちゃあ高いのだが
今更声明文だが
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf
金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について
別紙の方。
『長期国債買入れの減額計画について
長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切である。こうした観点から、2026
年3月までの長期国債の買入れは、以下のとおり運営する。』
この「安定に配慮」ってのが何なんでしょうねというのは先日も申し上げた通りでして、過去の黒田緩和、特に後半のYCCでは「市場安定」と言いながら飛んでもない介入をしてしまったのはご案内の通りでして、同じ言葉を使ってるんじゃねえよ思う訳ですよ。
つまりこれ「減額をするのが基本」なのか「国債市場の安定を図るのが基本」なのか、主目的がどっちなのか微妙に分かりにくいわけで、本当に減額を基本にするんだったら「減額するのが基本だが、減額の規模は市場に過剰なストレスを与えない」みたいな「市場が暴れないなら減額はバンバンやっていく」というのをもうちょっと見せても良かったんじゃないの、と思うのですが。
『1.月間の長期国債の買入れ予定額を、原則として毎四半期 4,000 億円程度ずつ減額し、2026
年1〜3月に3兆円程度とする(詳細は、別添)。』
『2.来年6月の金融政策決定会合では、長期国債買入れの減額計画の中間評価を行う。中間評価では、今回の減額計画を維持することが基本となるが、国債市場の動向や機能度を点検したうえで、必要と判断すれば、適宜、計画に修正を加える。また、同時に、2026
年4月以降の長期国債の買入れ方針について検討し、その結果を示すこととする。』
仮に「減額が基本」であり「一方で減額が原因で市場に無用の混乱を与えるのは良くない」という考えなのであれば、本来は「維持することが基本」なのではなく、減額を行ってみて市場が特に問題なく減額を消化する、あるいは減額が足りなくて国債需給がタイトなままということであれば、「1年後は維持ではなくて減額を加速するのが基本」じゃないの、って思うのですよね。
『3.長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。』
やらんでよろしい。
『4.なお、必要な場合には、金融政策決定会合において、減額計画を見直すこともありうる。』
って話なのですが、まあアレです。今回って政策金利に関しては「実質金利は大幅マイナス」とか物凄く威勢の良い話をしていて、この先さらに利上げをしても全然緩和的ですがな、みたいな自信ニキの話をしているのと、こちらの長期国債買入減額に対する話がだいぶ対照的だな、と思う訳ですよ。
まあね、ここまでアホみたいに国債買入を積み上げてしまって、しかも圧倒的なフローでまだ買入をしている、という状況なのに関してってのは、政策金利よりも話が難しいというのもこれまたお話としては分からんでもないところでして、まるで分らんからとりあえず上記のリリースに関しても及び腰っぽい書き方になっているんだろうなあとは思うのですよ。
でもね、さすがに日銀もアホじゃないので今の日銀の保有国債の残高が過剰オブ過剰なのは分かっていると思うので、本来は「減らしても混乱しないんだったら減らしたい」はずなのは上記の文章からも出てきていると思うのですが、とにかく初手は混乱を回避したい、というチキン(気持ちは分からんでもないが)な方が先行しているからこうなっているんでしょうな、ということだと思うのでありまして、輪番が相変わらず長期金利を抑圧していて碌なことになっていない、という認識が広がって固まってきたら1年後には輪番減額ペース加速したっておかしくないよね、とはさすがに思うのであります。まあ1年後世の中どうなってるのかよく分からんけど。
〇3MTDBが利上げとは何かという価格になってしまってますがこれって政策金利との整合性は気にならんのかね
金曜の3MTDBですが、まあ売参WI全然参考になっておりませんで・・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240802.htm
国庫短期証券(第1247回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1247回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1247回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年8月5日
4.償還期限 令和6年11月5日
5.価格競争入札について
(1)応募額 14兆4,252億円
(2)募入決定額 3兆9,473億7,000万円
(3)募入最低価格 99円96銭7厘0毛
(募入最高利回り) (0.1309%)
(4)募入最低価格における案分比率 44.9889%
(5)募入平均価格 99円96銭9厘5毛
(募入平均利回り) (0.1210%)』
>募入平均利回り 0.1210%
>募入平均利回り 0.1210%
>募入平均利回り 0.1210%
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(゚д゚)
ちょwwwwwおまwwwwwwコール0.227%だぞ何ぞその乖離はwwwwwwww
と草も生えない結果になってしまいましたが、まあ短国のニーズ自体がもともと強いのと、利上げ後一発目ということもあったのだとは思うのですけれども、それにしましてもGCレートだってちゃんと上昇しているのに、もともと低位の短国の利回りが一番上がらん形になっているのは何ちゅうことやというお話。
まあ0-10の時はその間にいろんな金利が詰まっておりましたのでそこまで派手に乖離していませんでしたけれども、付利金利が25bpになったら思いっきり乖離が目立つようになってきましたな。まあ始まったばかりなのでこれからどうなるかというのがあるので今から決め打ちしてもしょうがないのではありますが、この結構派手な乖離が続くと、「政策金利の調整とは??」というお話になってくる可能性だってあるんじゃネーノという気がせんでもないわけですよ。
すなわち、短期政策金利ってイールドカーブの起点となる翌日物金利を定める、ということで政策金利として存在している訳ですが、国債イールドカーブの起点になっている短いゾーンの国債金利がこの政策金利と乖離してしまっていると、それはそもそも何のために政策金利水準を定めたのか、というお話になってくるわけですわ。だいたいからして現時点でコールレートって日銀当座預金に放り込んで超過準備付利を獲得することとの裁定になっていて、本来的な意味での「金融機関のファンディングコスト」と必ずしも一致していないわけでして、実体経済に影響を与える金利ってのは金融機関のファンディングコストであり、長期金利である、と考えますと、コール翌日物がこの金利だから金融政策運営のディレクティブは達成できている(キリッ)っていう理屈も妙な話じゃなかろうか、とまあそんなことを思うのですけれども、短国のレート自体がここからまあ上がってくればそんな話にも並んで済むかもしれませんのでとりあえず言ってみただけというところです。
ちなみに新発3Mの引けですけれども、売買参考統計値のお告げによりますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1247 2024/11/05:平均値単利 0.125
とアベレージより若干甘めになっておりますが、まあこれがマジなのかどうかはわからんけど、さすがに新発だけに板はあるでしょうから板からはそんなに乖離していないと思います。
しかしまあ何ですな、東京レポレートちゃんを見ますと、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
今日はご参考に6Mと1Y(などというテナーのGCに流動性あるのか問題はさておきまして)も引用してみますけど、
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/7/30 0.024 0.006 0.069 0.077 0.080 0.089 0.119 0.156 0.211
2024/7/31 -0.062 0.100 0.110 0.111 0.112 0.117 0.138 0.176 0.230
2024/8/1 0.166 0.200 0.186 0.186 0.187 0.189 0.202 0.244 0.317
2024/8/2 0.220 0.228 0.192 0.192 0.191 0.192 0.203 0.254 0.332
まあタームに関しては一応利上げをちったあ織り込んでいたはずなので、フルスライドで金利上がらんでもええんじゃが、しかし短国とGCの金利差、政策金利が0.25%になったら結構目立ってきましたね、という話でして、超大昔(政府短期証券が日銀引受で市中に現先方式で放出されていた時代)には割引短期国債って恒常的にモノ不足で(海外がリザーブ需要で買うのだが発行が少ないので)常に現先レートやコールレート対比大幅な逆ザヤだったという時代があったのですが、時代がそこまで遡るのかよという世界でして、これちょっと短国増発ってできないもんですかねえとは結構マジで思うのであります。まあ要りもしない金のために国債発行せんわ、と言われたらぐうの音もでませんけれども。
・・・・・ということですいません決定会合レビューとか言いながら決定会合ネタの続きがあまりございません&甚だ簡単で恐縮至極(ショパンの事情によりご勘弁)ということで今朝はこの辺でご勘弁していただきとう存じます。
2024/08/02
〇決定会合レビューシリーズの続き:輪番の話の前に総裁会見の話を少々(その1:政策金利回りを中心に)
金利政策に関する部分はまあだいたい昨日申し上げた通りで、あれ書いてあるロジックを真に受けると、「2%物価目標に向かってオントラックで推移しているんだったら、実質金利がクッソ低い状態になって却ってよろしくないので利上げをしまっせ」ということになるので、それはすなわちナンジャラホイというと、10月展望の時点で進捗が順調なのを確認したら再利上げ、になるんですよね。
ただまあ7月10月ってやってしまうと次は1月って話になってしまうので、そこまで根性据わってるのか、と考えると10月は微妙だと思うのですが、もしかして「調整を行って極端な緩和からマイルドな緩和じゃないかと思われるところまではホイホイ利上げして、その後はマイルド緩和を続けて様子見をする」という根性が据わっているのであれば、どうせ今次局面の利上げだって(余程の物価上振れが起きない限り)一旦1%(下手したら0.75%)まで利上げしたら「ちょっと様子見」になると勝手に思っていますので、何ならポンポン利上げしちゃって1%まで来たところで「当面打ち止め、この後はマジのマジで2%物価定着を確認しますのでお時間ちょんまげ」とやるくらいまで腹くくっているなら10月利上げだって普通にありますわな、と思います。
てな話はさておきまして、今回の総裁会見は中の人が入れ替わったとしか思えないほどに秀逸な会見でして、ついこの前までハトハトチキン会見で記者のツッコミにヒーコラ言ってたのに、今回は植田総裁が真人間に戻ってしまった途端に記者の皆様との格の違いを見せつけて、植田無双状態だったし、記者の方がわかりきった質問の連発で、会見止めて「かずおくんのスパチャ読みタイム」にでもしてくれと思うような内容になってしまいましたぬー。
まあアレです、植田総裁が本来の真人間を取り戻せばこんなもんな訳でして、見たかお前らこれが真の植田和男じゃああああああ!!!!といったところでしょうな、
まあ単に羽交い絞めにされてハトハトチキンを封印しているだけの可能性もあるんですけど、やはり今回は何と言いましても昨日ご紹介したように、「金融政策が本当の意味での「普通の中央銀行」に戻り、黒田緩和の呪縛から解放された(長期国債買入とETF残高という特級呪物は残っているのですが)」ということが背景にあり、呪縛から解放されたので植田総裁が真人間に戻った、という説を積極的に提唱したいと思います。
#「金融政策腐蝕列島 呪縛」って電波が空から降りてきましたw
では総裁会見から少々
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240801a.pdf
総裁記者会見
――2024年7月31日(水)午後3時30分から約65分
まずは政策金利に関する説明を確認しましょう、というのもそっちのロジックがかなり明快になったからなんですけど。
・利上げの背景となる現状認識
『(問)(前半割愛)二問目は、追加利上げに関してです。3 月の決定会合でマイナス金利政策を解除してから約
4 か月で今回政策金利の追加の引き上げを決めました。その背景となる基調的な物価や経済の動向についての現状認識と、懸念材料として個人消費の弱さを指摘する声などもありますが、これらについて総裁の見解を併せてお聞かせください。』
『(答)(前半割愛)それから、後半のご質問ですけれども、今回の政策金利引き上げの背景ですが、まず、個人消費ですけれども、物価上昇の影響などがみられますが、底堅く推移していると判断しています。最近では、マインド指標にも底入れの兆しが窺われます。』
消費に関して「底堅い」と認識していますね。
『また、5 月の毎月勤労統計では、一般労働者の所定内給与が伸び率を高めたほか、私ども本支店のネットワークを活用して、中堅・中小企業に対して実施したヒアリングでも、幅広い地域・業種・企業規模において、賃上げの実施を指摘する声が聞かれるなど、賃上げの動きが広がってきていることが確認できます。』
中小含む賃金、と来ました。これも従来賃金賃金言ってたわけですので、このタイミングで賃金の強さがあるんだからまあそもそもは利上げしない方がロジックの整合性が無いともいえたんですよね。
『先行き、こうした動きが一段と進むことが見込まれ、賃金・所得の増加が個人消費を支えていくと判断しています。』
先行きはお気持ちの世界なのでまあ何とでも・・・・・・
『物価面ですが、サービス分野を中心に、年度初めの「期初の値上げ」が相応に広がったことが確認されたと考えています。』
サービス価格キタコレ。
『企業ヒアリングでも、ばらつきを伴いつつも、賃金上昇を販売価格に反映する動きが強まってきている点が指摘されていまして、』
賃金の価格転嫁キタコレ。
『先行きも、賃金と物価が連関を高めつつ、緩やかに上昇していくと見込まれます。』
まあこれはお気持ちですが、
『このように、わが国の経済・物価は、これまで展望レポートで示してきた見通しに概ね沿って推移しています。』
オントラックで推移しています、からの、
『また、加えまして、これまでの為替円安もあって、輸入物価が再び上昇に転じていまして、物価の上振れリスクには注意する必要もあると考えています。』
いままで明確にこの話をしないでうにゃうにゃとごまかしていたというのに急に変なもんでも食ったかのように円安輸入物価上昇からのリスクについて言明www
『こうした状況を踏まえ、物価安定目標の持続的・安定的な実現という観点から、今回、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整することが適切であると判断しました。』
でもって今回は「金融緩和度合いの調整」ですが・・・・・・・
『先行きについても、先ほども申し上げましたが、経済・物価情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針です。』
・「待つことのリスクは大きくない」はいつのまにか封印された模様
こんな質疑がありました。
『(問)(前半割愛)もう一点は、展望レポートの物価見通しについて、円安が基調的な物価に与える影響についてどのように評価されたのか、またそれが今回の利上げの決定においてどの程度考慮されたのかという点も併せてお願いします。』
この部分今回目立ちましたもんね。
『(答)(前半割愛)それから、円安と私どもの[物価]見通しと政策変更の関係という点に関するご質問ですけれども、まず例えば年初来あるいは昨年末来の円安ですけれども、これは消費者物価見通しはほとんど前回と比べて動いていないということですので、[物価]見通しのところに大きな影響を与えたということではないということだと思います。』
とこの点は相変わらずなのだが、
『しかし、先ほど来申し上げておりますように[物価]見通しに対して現実が上振れるというリスクとしては、かなり大きなものであるというふうに評価したうえで、そこまで含めて政策的な対応を今回は打ったということでございます。』
>上振れるというリスクとしては、かなり大きなものである
>上振れるというリスクとしては、かなり大きなものである
>上振れるというリスクとしては、かなり大きなものである
昨年5月のハトハトチキン宣言となった内外情勢調査会での例の「逆方向の、政策転換が遅れて2%を超える物価上昇率が持続してしまうリスクもありますが、こうした2%の定着を十分に見極めるまで基調的なインフレ率の上昇を「待つことのコスト」は、前者に比べれば大きくないと思われます。」(2023年5月19日の内外情勢調査会での植田総裁講演テキストより)と言ってたのは時間の経過とともに情勢判断を変えた、ということだと思うのですが、まあ次の講演どこになるのか分からんけど、リスク認識が変わったから利上げした、っていうのをもうちょっと明示的に講演とかで説明してほしいんですよね。1年経過して判断が変わるのはそりゃまああり得る話なんだから別に恥でも何でもないわけですし。
今回の会見での説明で上記のように「上振れリスクにも対応して政策金利の調整をした」と明言はしているのですが、まあこのあたりの背景説明を今月どうせ総裁か副総裁が説明の金懇なり講演会なりをすると思うのですけれども、この際に「待つことのリスクが大きくないという状況から大きく変化している」というのを明示してほしいし、そうじゃないとまたぞろ「政策調整はゆっくりと行うので当分金利上がらない」みたいな意識って出てしまうと思うんですよね。利上げ前は言いにくかったのかもしれませんけど、利上げしたんですからもうそこは堂々と言ってほしいです。
・「利上げしないリスク」と「そもそも今の金利水準がクソ低い」の明確化
こんな質疑がありまして、
『(問)先ほど利上げに踏み切った理由の部分でですね、利上げするリスク、それから利上げしないリスクを少しお話し頂けたと思うんですが、その辺りちょっと詳しくお伺いしたいと思います。』
良いですね〜
『低い水準の金利を調整しておいた方が、慌てて急激に上げなくて済むというところが、一番今回の追加利上げの判断に影響したのかなと思うんですけれども、一方ですね、景気の腰折れリスクみたいな部分をどう考えられたかというところです。というのも、先週発表されました東京都区部の消費者物価指数をみてみましても、物価の基調がみやすいところの生鮮食品とエネルギーを除く総合の部分は、市場の予想を下回っていますし、サービス価格の部分も鈍化していることが確認されています。そうした中でも、今回利上げをして、日本経済問題ないということなのでしょうか。(後半割愛)』
『(答)前半ですけれども、まずこの辺で金利を引き上げておいた方がいいという際の、その理由ですけれども、それはおっしゃったように中長期的な意味で、持続的・安定的な
2%の物価目標をちゃんと実現するという観点からは、少し早めに調整をしておいた方がいい、というのが一つ大きな理由になったかと思います。』
からの、
『他方でそれは、景気腰折れのリスクを高めてしまうのではないかというご指摘ですけれども、これは、先ほど来申し上げてますように、25bps
に上がったといっても、非常に低い水準ですし、実質金利で考えれば、非常に深いマイナスであります。』
まあ今回はこの質疑をネタにしましたが、この点何度も同じ会話になっていて正直げんなりしましたが、「そもそも今の金利水準がクソ低すぎなんだから調整するのは当たり前」っていう説明ですと、これは次の利上げに対してそんなに障害はないって話なので、本来順当な話ではあるけど今までのハトハト風味からしたらウヒャーとなるわけです。
『従って、強いブレーキが景気等にかかる、というふうには考えていないということです。』
実質金利の説明が今回多かったですね。
『その関連で、東京CPIですけれども、私もちょっとみると、少し弱めかなと思ったんですが、いろいろ分析してみますと、一時的な要因を除いたところでは、必ずしも弱くなく、サービス価格等の着実な上昇がみえている、というふうに判断しています。(後半割愛)』
・しれっと「数回利上げしても中立金利より下」というニュアンスの説明がw
最後の方になりますが、
『(問)先ほど、今回の利上げに関して、中立金利の不確実な範囲よりもかなり下の方にあるなかでの調整というふうにおっしゃられましたけれども、では、どの程度ですね、利上げすれば不確実な領域に入るのか、ということなんですが、例えば、0.5%を超えれば意識する必要があるのか、それともあと数回はですね、そういった領域に入らないので大丈夫そうなのか、その辺の総裁のイメージとして持たれていることがあれば、お願い致します。』
うんうん。
『(答)あまり具体的なことは申し上げにくいですが、以前から申し上げてるような中立金利に関するレンジを前提としますと、まだ暫くそういうところには入ってこないというふうには認識しております。』
>まだ暫くそういうところには入ってこない
>まだ暫くそういうところには入ってこない
>まだ暫くそういうところには入ってこない
ちょwwwwwwwwまだしばらく利上げしても緩和的領域です発言キタコレ。でもってその直後の質問で、
『(問)一点ご質問で政策金利の今後の推移について伺いたいんですけれども、総裁は以前展望レポートの見通し期間の後半に、政策金利がこの中立金利近辺になっているんではないかというお話をされてました。今回改めて例えば追加利上げ、それからインフレリスク、物価のですね上昇リスク、あるいは展望レポート改定されたものも含めて、総裁のこの政策金利のパス、従前と変更ないかどうかお聞かせください。』
『(答)先ほど申し上げたんですが、行き着く先の、それこそ中立金利について、ものすごい絞り切れてるという状況ではないので、はっきりとしたパスを将来まで引いたうえで今この辺を走ってるというのではなく、走りながら考えているというところかなと思います。』
まあそりゃそうだ、と思ったらついでに、
『ただ、先ほど直前のご質問にあるようなところを今の状況で走ってるということは言えるかと思います。』
ということで、数回利上げしても緩和的状態キタコレでありますな。
・・・・・まだまだ盛りだくさんなのですが利上げのせいでワシの生業も忙しいので今朝はこんなところで勘弁してつかあさい。週末元気があればさすがに少し何か投下したいと思います(投下確定ではありませんが努力はします)。
2024/08/01
お題「金融政策のステージがやっと「緩和の縮小」に明確化した日銀会合でした(FOMCネタは勘弁)」
ということで、いつもですと本日は寝起きでFOMCシリーズなんですが、さすがに昨日の日銀ネタが大ネタすぎまして処理能力が追い付かないので今しばらく日銀ネタで勘弁してつかあさい。
#どうせFED動くの9月以降だし(おい)
しかしまあ何ですな、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-31/SHHNEST0AFB400
円が対ドルで一時149円台、3月19日以来−米ADP統計後に一段高
Masaki Kondo、グラス美亜、Alice Atkins
2024年7月31日 22:26 JST
今まさにこのタイミングで円安是正介入をぶっこんでドル円140円目指す気概で弾幕投下したらバチクソ効きそうな気がするんですがもうぶっこんじゃえぶっこんじゃえ!!!!
〇その前に昨日の訂正というか差し替え(時事通信の報道の件)
時事通信さん、昨日ネタにしたネット(=無料版)の記事ですが、確かに一昨日の夜に投下された記事ではあるのですが、よくよく調べてみますとその後朝刊締め切り前の段階(時事さん自体は朝刊出すわけじゃないですけど新聞社に出してますからね)に以下の記事に有料版(というか会員向けというか)は差し替えになっていまして、無料版の方は昨日の朝7時過ぎにこの記事になっていました。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024073100039&g=eco
0.25%への追加利上げ検討 国債購入減額の計画決定へ―日銀
時事通信 経済部2024年07月31日07時35分配信
『日銀が31日の金融政策決定会合で、追加利上げする検討に入ったことが30日明らかになった。短期金利を現在の「0〜0.1%程度」から「0.25%程度」に引き上げる案を軸に議論する。中小企業を含め、賃上げの動きが地方にも広がり、日銀は先行きの物価上昇率が目標である2%程度で推移する見通しに一段と自信を強めている。このため、会合では、3月のマイナス金利政策の解除に続く追加利上げを検討する。』(上記URL先より、以下同様)
とありまして、記事の中で
『物価高で個人消費はもたついているものの、日銀は賃金上昇や政府による定額減税などの効果で、景気の腰折れは回避できると判断している。また、最近の急速な円安で輸入インフレが再燃する恐れもあり、日銀内では、利上げが妥当との見方が広がっている。ただ、一部に実質賃金がプラスになるまで待つべきだとの意見もあり、会合で最終調整する。』
円安でインフレ云々って今回のいくつかあるキーワードの一つになっていまして、この点もきちんと指摘していますね、というのと、まあこの「検討に入った」は基本的に「多分やるでしょう(ただし自信満々に裏取れているわけではない)」という意味のメディア話法になりますので、かなりやりそうですなという感じの記事になっていましたので、謹んで訂正いたします(過去ログは後で追記しておきます)。
ということで決定会合ですが・・・・・・・・
〇決定会合声明文より(その1)金融政策のステージ変化を声明文にぶちこんできました
今回声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf
金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について
前回6月声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240614a.pdf
4月声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240426a.pdf
4月展望基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404a.pdf
もちろん利上げ云々ダイジダイジネーなのですが、今回見て「おおおおお」と最初に思ったのが項番5です。すなわち、
『5.今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回)
というのが鎮座しておられるわけですが、この「先行きの金融政策運営」に関する文言って3月のマイナス金利YCC解除の時にはこの項番5に相当する記述(独立項目ではなく、声明文項番1の中で記述されている)が声明文にありましたけれども、4月と6月って「声明文」には項番5に相当する記述がなかったわけなんですよ。
でもって4月の展望レポートでは今回の項番5に相当する文言が基本的見解の最終パラグラフ(『4.金融政策運営
』の最終パラグラフ)に記載されていまして、6月には声明文本紙からは上述のように乗っていなかった(ので展望回じゃないから別に記載なし状態)訳ですな。
そして今回項番5が「声明文」として復活したのってこれは当然ながら「声明文」の「重み」というのを考えますと意味がある話で、今後の金融政策運営に関する姿勢を「わかりやすく示した」と解釈するのが妥当ということになるんですよね知らんけど(おい)。
つまりこの項番5はダイジダイジネーなので過去のと比較するわけですよ。
『5.今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(再掲、今回の声明文)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(4月展望レポート)
『日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する1。現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』(ご参考までに3月決定会合声明文項番1より抜粋)
・・・・ベタ打ちだと微妙に比較しにくいですな(汗)、3月のはさておき4月展望と今回のを比較しましょう。
『今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、』(今回声明文)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、』(4月展望基本的見解)
これは実質同じこと言っていますが、この先が違いまして
『この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。』(4月展望基本的見解)
という文言を今回削除しているんですよね。じゃあ先行き見通しが不確実なのか、というとこれは(今日間に合うか知らんけど)展望レポート基本的見解のいわゆる鏡の部分(概要ってところ)の中のリスク認識に関する項番のところで相変わらず「わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。」としているんで、実際には先行きの不確実性が高いというのは変わっていないんですよね。でもこの先行きの金融政策運営に関する部分ではそれに触れていない、というのがポイントになります、と思います。
そのうえ、今回は
『現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、』(今回声明文)
って文言が加わっています。これは総裁記者会見で再三再四植田総裁(急に呼称が変わっているような気がするのは気のせいではなく意図がありますwwww)が言及していましたように、「足もと消費が多少弱めとかそういうのは別に景気が大崩れするわけじゃないから良いんだよそもそも実質金利クソ低いじゃろ」と急にマジックマッシュルームでもおキメになられたのかというようなホーキッシュ(まあ当然のことなので普通ともいえるが)発言を繰り返していたこととつながっていると思われますが、「そもそも実質金利がクソ低いんだから多少調整するのは当たり前田のクラッカー」という堂々たる政策修正継続宣言文言になっている訳です。これが4月展望の金融政策運営部分では入っていなかった文言でして、その次は
『今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(今回声明文)
『以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、』(4月展望基本的見解)
金融緩和度合いの調整、に関しても前段の文言があるため、より明確に金融政策調整局面というのが分かりますし、今回輪番減額を明確に示して計画も出したので、輪番については今後は計画通りやりまっせということで、金融緩和度合いの調整という部分から分離しまして、今後の金融緩和修正は「利上げ」で行いますってのがより明確化されました。
でですな、4月展望レポートの金融政策運営に関しては、3月声明文にあった悪名高き文言を引っ張って、
『当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』(4月展望基本的見解)
という腐れうんこ文言があって、先行きの金融政策運営に関して相当にやる気ナッシング感を醸成して円安ヒャッハーの一翼を担った、というゴミカスうんこ文言があったのですがこれもめでたく削除されました。
でも実はですね、この「当面緩和的」云々に関しても実は今回の声明文のこの文言のある項番5の直上にある項番4の最終段落に『政策金利の変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。』(今回声明文項番4より)とあるので、実態認識として当面の金融政策は状況としては極めて緩和的である、という認識のままな訳ですよね(そりゃ0.25で中立だとか言われても困るがw)。
ということで、今回項番5ってoutした2つの文言は、認識としては持ったままなのだが先行きの金融政策運営に関する文言から外した、という形にしていますので、これはもう明らかに意図的に外している訳ですな。すなわち、4月展望における先行き金融政策運営に関する文言というのは、今回外した2つのフレーズによって「金融政策修正に関する消極的なスタンスという連想」を働かせやすくなる内容になっていた、というのはその後の市場の反応などなどを見れば明らかなのであって、今回それを敢えて(認識を持っていても)外した、というのは、「先行きの金融政策運営」に関する文言の部分でさらなる金融緩和修正に対する日銀のスタンスを明確に示すために外した、と考えるべきだと思う訳ですよ。
とまあそういうことですので、今回の決定の中での「今後の政策金利」に関する部分はこの項番5に集約されていて、「金融政策のステージが「とりあえず異次元緩和解除してみた」から「緩和政策の修正ステージに入った」という変化を示す」という解釈になります(個人の解釈ですがw)のでありまして、まあ重要な「政策ステージの変化」を示したんだと思います。
〇決定会合声明文より(その2)ステージが変わったので貸増の意義はなくなった、というのはよくやりました
あたくし昨日の朝「利上げするのは良いんだけど貸増どうするんだよ」という話をしましたし、その前から貸増の扱いにつきましてぶーぶーと悪態ついていたのですが、今回しらっと貸増の扱いを変更してきたのは「おおおおおやるじゃん!」と思いました、褒めて遣わす。
声明文項番3になります。
『3.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変更等を決定した3(賛成7反対2)(注)。
(1)補完当座預金制度の適用利率
補完当座預金制度の適用利率(日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除く>への付利金利)については、0.25%とする。
(2)基準貸付利率4
補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を0.5%とする。
(3)貸出増加支援資金供給等(新規実行分)に対する適用金利被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペについては、貸付利率を0.25%とする。貸出増加支援資金供給については、変動金利貸付に変更のうえ5、実施する。』(今回声明文)
まあ本当は気候変動もいるのかって気はしますが(残高何気に増えてますし)、まあ被災地金融機関支援と気候変動オペに関しては政策的意図(被災地オペはまあ良いんですけど気候変動に関してはミクロの資源配分に日銀が介入する話なので筋が良いとは思わないけど)があるのでシャーナシなんですが、何度か弊駄文で指摘しておりますように、貸増というのはですね、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo80.htm
貸出支援基金運営基本要領
『1. 趣旨
この基本要領は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する観点から、金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置として、貸出支援基金(わが国経済の成長基盤強化および貸出増加に向けた民間金融機関による取り組みを支援するため、適格担保を担保とする資金供給を行うために本行バランスシート上に創設する基金をいう。以下同じ。)の運営を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。』(この部分直上URL先の貸出支援基金運営基本要領より)
>金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置として
>金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置として
>金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置として
とありますので、そもそも論として今回の声明文項番5で示されたように、今回の金融政策決定によって「金融政策のステージが変わった」という事であれば、金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置というのはその存在意義を失っている、というかあると政策の尻が滅裂ですよという切れ痔金融政策状態になるわけでして、今回貸増について見直しをしたのは、その意味では極めてロジカルなんですけど、ちゃんとやったのエライエライと褒めて遣わすという感じですわ(謎のウエメセ)。
とは言いましても、この前貸増継続ってしちゃってますし、先行きの実施時期とかも出しているので、いきなりなしという訳にはいかないのもその通りではあるのですが、前回6月に実施した貸増(弊駄文でもネタにしましたが)のように「この時点での政策金利1年固定」だと「金融政策の修正ステージに入った」という状況においては飛んでもない勢いでの緩和的なオペになってしまいますので、今回上記の脚注5にありますように、
『5 貸付利率は、貸付期間中の補完当座預金制度の適用利率の平均値とする。』(7月会合声明文からの引用に戻ります)
としまして、単なる「付利金利で貸すという流動性だけつけてやるわ」オペになりまして、金無し芳一の金融機関には応札インセンティブが起きますが、ご案内のように世の中カネアルコ号ばっかりという状況なので、これでまあ貸増の新規取り組みは大きく減るだろうと思いますし、貸出支援基金そのものに関しましても、そもそもが「金融緩和を支援するための臨時措置」なので今後の廃止も含めて検討していくんでしょうなあ(既に実施すると言っている分はやるとしても)ということで、これは「金融政策のステージが変わった」というのが明確化されたというのと実はセットになっている話でして、いやまあ貸増でこれだけああでもないこうでもないと書くのも大概にマニアかとは思いますけれども(自覚は一応ある)地味ながら(総裁会見で当たり前ですが誰も貸増の話をしてませんでしたなwww)これは「おおおおおお」と思ったので思わず熱く語るの巻。
〇決定会合声明文より(その3)指値売現はONRRPになるのかならないのか
さっきの声明文項番3の中に地味に脚注3というのがあって、
『3 補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率は、翌営業日(8月1日)から適用する。また、金融調節の一層の円滑化を図る観点から、固定金利方式の国債売現先オペを新たに導入することとした。』
>金融調節の一層の円滑化を図る観点から、固定金利方式の国債売現先オペを新たに導入することとした。
>金融調節の一層の円滑化を図る観点から、固定金利方式の国債売現先オペを新たに導入することとした。
>金融調節の一層の円滑化を図る観点から、固定金利方式の国債売現先オペを新たに導入することとした。
これは!!!!!
ということで、今日以降の市場金利形成がどうなるかは蓋を開けてみないとワカランチ会長ではあるのですけれども、短いところの国債の利回りがこれまでも補完当座預金金利(超過準備付利金利)よりも低かったり、3M短国がコール翌日物と盛大にインバートしたり、というようなアホアホ状態になっておりまして、この部分で国債の金利がコール目標よりも低い、という状態になりますと、それってイールドカーブの起点のところが政策金利よりも低い状態になるので、えーっとそれって政策金利の意味合いとしてどうなのよ、というのはあると思うのです。まあ日銀は既にYCC撤廃していてイールドカーブは知らんがな、というスタンスだと割り切ってしまえばコールはコール、国債イールドカーブは国債イールドカーブですから知らんがな、という話になる、と言ってしまえばそれまでなんですけどね。
でまあそういう意味も含めて、この指値売現先がFEDのONRRPみたいに、短期の(日本の用語でいえば)オープン市場の金利低下を牽制するものとして機能する、というようになるとまた短期の市場の変化、というものも見込まれる次第でございますが・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240731c.pdf
「補完当座預金制度基本要領」の一部改正等について
『日本銀行は、令和6年7月30・31日の政策委員会・金融政策決定会合において、金融市場調節方針の変更に伴い、下記の諸措置を講ずることを決定しましたので、お知らせします。
なお、本件に伴い必要となる関係諸規程の改正に関しては、所要の準備が整い次第、別途、各対象先に通知します。
』
『2.「国債の条件付売買基本要領」(平成14年9月18日決定)を別紙2のとおり一部改正すること。 』
ってあるのですが、別紙2を見たらなんか新機軸のオペを打つような雰囲気はカシュカリ総裁の頭髪ほども無い、というちょっと残念な感じ(単に既存の国債売現先のコンベンショナル方式に指値方式が加わっただけ)なのですが、まあ今回の利上げの後の短いところの国債市場とか、それこそ次の利上げの後とかも考えた場合に、ONRRPちっくなオープン市場の金利低下を牽制する機能ってあった方がよさそうには思える(いやまあ財務省様が短国を今の3倍くらい発行してくれれば問題は解決する説は大有り名古屋は城で持つんだが)のですがどうなることやら。
〇一方で輪番の扱いはなんか微妙に曖昧な面がありまして・・・・・・・
えーっとすいません、あまりに盛りだくさんで全然書ききれなくてすいませんなのですが・・・・・・・・・・
今まで申し上げてきましたように、基本的に今回の決定って「金利操作に関しては政策のステージが変わった事を大々的に明確化した」という内容になっていますので、そうなると次の展望レポート(10月)で追加の利上げをしない説明をする方が面倒というような感じ(まあ「データを確認したい」でスキップしたけりゃスキップすると思いますのでアタクシ的には12月会合かな次の利上げはとか思いますけど、筋から言えば10月に再利上げとなってもおかしくはない)になっています、ということでかなり明確何ですけど・・・・・・・・・
URL再掲
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf(今回声明文)
こちらの「別紙」が輪番減額計画なんですけど、
『長期国債買入れの減額計画について
長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切である。こうした観点から、2026
年3月までの長期国債の買入れは、以下のとおり運営する。』
この「国債市場の安定に配慮」ってのが怪しげな文言でして、いやそもそも国債市場を不安定化していたのお前らのこの世のものとは思えない長期国債大買入だろいい加減にしろという話ではあるんですが、この文言が入ると「まーたこいつら変な不規則オペ打ってくるんじゃネーノ」という懸念がどうしても残ってしまいます。
『1.月間の長期国債の買入れ予定額を、原則として毎四半期 4,000 億円程度ずつ減額し、2026
年1〜3月に3兆円程度とする(詳細は、別添)。』
はさておき、
『2.来年6月の金融政策決定会合では、長期国債買入れの減額計画の中間評価を行う。中間評価では、今回の減額計画を維持することが基本となるが、国債市場の動向や機能度を点検したうえで、必要と判断すれば、適宜、計画に修正を加える。また、同時に、2026
年4月以降の長期国債の買入れ方針について検討し、その結果を示すこととする。』
っていうのが中々チャーミングで、だったら最初から計画1年でだしておけよって気はしますが、これ2年にしたのって「出来上がりの減額幅を大きく見せたい」という為替配慮がありました、ってのを大々的にゲロっているのでなかなか笑いました。
まあ2年間動かさんとか言い出すよりはマシなので良いんですけどね。
『3.長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。』
『4.なお、必要な場合には、金融政策決定会合において、減額計画を見直すこともありうる。』
これですけれども、YCCの生きていた時代みたいにちょっと金利が上がるとすぐにビビりんちょして変な指値入れる、みたいなことが無くて事実上の空文なら良いんですけどどうするんでしょうかね。
という感じで扱いが謎なのもさることながら、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731b.pdf
2024年7月金融政策決定会合での決定内容
ポンチ絵2枚目の『2024年7月金融政策決定会合での決定内容A:長期国債買入れの減額計画』ですけれども、相変わらずストック効果の話をしている訳ですが、金利部分の方では「金融政策のステージが金融緩和修正方向になった」ってのを明確に示しているのに対して、長期国債買入に関してはストックがこんなにありますよ見たいなポンチ絵が出ていまして、いやお前ら金融緩和政策は修正するって言ってるのに「こんなにストックがあります」って話をするの矛盾してないか、と思う訳ですよ。
まあ結局この「長期国債買入」に関しては「ところで金融緩和の修正を行っている最中なのに何でこんな大量の国債買入をしているんでしたっけ」に対する明確な回答が総裁会見でも(誰もそれ質問しないから仕方ないとはいえ)なかったですし、輪番に関しては鵺みたいな状態になっている、ということですな。
〇つまり今回は輪番をデコイにして短期政策金利の修正局面入りを行ったとも言えます
とまあそういうことで、輪番の方がエライ曖昧な状態のままですが(減額とか買入額とかは明確ですので定義づけという意味で曖昧という事です、為念)金利に関してはかなり明確に「修正局面入り宣言」をしているので、何のことはない輪番をデコイにして利上げステージ入り作戦大成功、ということなのかもしれませんし、それならまあ「おぬしやるな」ってなもんですが、果たしてどうだったのかというのは今後(展望会合の後だから)総裁または副総裁の然るべき講演なども実施されると思いますし、おいおいみていくことにしましょう。
〇総裁会見も今回は過去に無い(下手したら就任以来の)上出来でした
会見に関してはこれまた後日になると思いますが、さすがに今回は日銀よつべチャンネルで会見放送を見ていました。
今回の植田総裁ですが、なんか変なもんでも食ったのか、という位に真人間に戻っていて、これはノミネートの時に大きな期待をしていた植田和男先生じゃないですか!!!今までどこに幽体離脱してたんですか!!!!と目頭が熱くなる(大げさ)会見でしたな。
ま、今回の植田総裁の会見ですが「今まで猫かぶっていましたがこれから本物の植田和男をお見せしますよ(フフッ)」なのか、実は本質はハトハトチキンなんだけどあちこちから突き上げられて背中にナイフ突き付けられてああなっているのか、というのがイマイチまだ安心できない説はありますけど、まあよかったと思います。
ちなみによつべチャンネル、最初同接4000人くらいからスタートして、途中5000人近くになったのですけれども、会見前半でちょいちょいホワイトノイズや瞬間ブラックアウトが生じていまして、そのせいで他のメディアに逃げた人もいるようで、中盤以降は同接4500人程度になっていました。
しかしまあ何ですな、質疑が途中から同じことをぐるぐるしてて、植田総裁の答弁がシャキッとしているのに対して何だよお前らこの馬鹿記者どもがと思ってしまった人は多いのではないかと愚考するのですが、この際もう記者クラブの会見とか無しにして、よつべチャンネルで「植田和男のよつべ生配信!」とかやって、質疑応答は赤スパのスパチャ読みの形で実施すれば日銀は赤スパでウハウハだし、赤スパぶっこまない程度の質問が排除できませんかねえ、と思いましたがよく考えたら「あー〇〇さん、今回も赤スパありがと〜(はあと)」でごまかされるだけの気がしてきましたorzorz
(なお赤スパ云々は冗談ですので念のためお間違えないようにwwwww)
続きは明日以降ということで勘弁島倉千代子
2024/07/31
〇NHKや時事通信などが報道しているのは微妙な寸止め感がw
昨日の債券市場とか「事前報道がないから利上げ無し」みたいな市場の中の人の声が多かったらしい、と聞きまして、最近のお漏らし報道に慣れ親しんだ馬鹿は肥溜めにでも飛び込んでろと思っていたのですが・・・・・・・・・・・・
・NHKは「ロジカルに考えたら利上げするんじゃねえの」みたいな読ませ方をする記事
昨日23時過ぎのNHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240730/k10014530221000.html
日銀 追加の利上げ検討へ 0.25%程度に引き上げる案など議論か
2024年7月30日 23時43分
『日銀は31日、2日目の金融政策決定会合を開きます。政策委員の間で物価が見通しに沿って上昇しているという見方が強まる中、追加の利上げについて検討し、最終的な判断を行います。日銀は31日、2日目の会合を開き、当面の政策運営の方針について9人の政策委員が議論します。』(上記URL先より、以下同様)
とありまして、断定報道ではないのですが、NHKのこのニュースの書き方の出来が大変によろしいと思うのはこの次に、
『植田総裁は基調的な物価上昇率が目標とする2%に向けて安定的に上昇すれば、追加の利上げを行う考えを示していますが、多くの委員が物価は見通しに沿って上昇しているという見方を示しているものとみられます。』
とあるのが大変によく書けている記事なんですよね。
これ断言はしていないけど、「今までの日銀のロジックから言えば多くの委員が物価が見通しに沿って上昇している、という見解なのであれば政策金利の調整は実施されて然るべき」って形で、利上げあるでーって報道しているという読者に読ませて察しろという高度な(高度かあ?)書き方で断言調を避けているので、これならお漏らしとも言い難いというのが良くできてるなと思いました。
まあ何ですな、もともと4月展望の時に上記のように「物価が見通し通りに推移すれば金融政策の調整を行う」って言ってた訳でして、しかもこれまで散々言ってた賃金は強い結果になっており、短観などで見られる企業の期待インフレだって明らかに今までと違っている訳で、そもそも論としてはここで利上げを「行わない」というのは3か月前に言ってたことを自分で反故にしているのと同じな訳ですよ。
じゃあお前は何で「今回は予告ホームラン」としたのかと突っ込まれますと、それはまあどうせ植田のウスラトンカチがハトハトチキンで輪番減額と利上げを同時にやるような腹の座り方をしていないでしょということでして、個人消費云々よりも中小の賃上げを全部確認するとなると6月7月のデータを見る、つまり9月会合まで確認作業するとかいうチキンプレイに出るかなと思ったためでして、ハトハトチキンが決断できるならまあ7月の方が(展望レポートの会合なんだし)ロジカルにはアリだな、とまあそういう感じで。
『委員の中には円安が物価を押し上げるリスクを注視すべきだという意見もあり、関係者によりますと、31日の会合で日銀は追加の利上げを検討する方針です。』
個人消費がーってのを言う人もいるんですが、そもそも個人消費が伸びないのは円安コストプッシュで物価が無駄に押し上げられていることなのですから、個人消費を見極めたいとか言って政策修正に消極的なスタンスを出したら円安飛んでさらに個人消費の下押しになるだけなので、もともと個人消費がどうのこうのを政策修正の言い訳にしているのは、そういう背景をなんも考えられない大リーグ級の馬鹿か、詭弁大王のいずれかな訳でして、まあ個人消費は言い訳にならんよね、と思います(賃金の最終動向と価格転嫁の動向を見極める、なら意味はまだ通る)。
・時事通信も「利上げを議論」だが断定調ではないように見えますけど
時事通信のほうが1時間早いですね(いずれにせよワシは今日に備えて早寝してたんだがw)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024073001082&g=eco
追加利上げの是非焦点 国債購入、減額計画決定へ―日銀会合
時事通信 経済部2024年07月30日22時24分配信
『日銀の金融政策決定会合が30日から2日間の日程で始まった。31日には国債の買い入れを減額していくための具体的な計画を決定する予定で、さらに追加利上げに踏み込むかが焦点。日銀内では、賃上げの動きが中小企業を含めて地方にも広がっているとの見方がある一方、物価高による個人消費の低迷を警戒する声もあり、利上げの是非を慎重に議論する。』(上記URL先より、以下同様)
となっていますが、
『日銀は今年3月、マイナス金利政策を解除し、短期金利の誘導目標を「0〜0.1%程度」に引き上げた。追加利上げを行う場合は、新たな目標を「0.25%程度」とする公算が大きい。国債買い入れの減額については、現在の月間6兆円程度から2025年度末に3兆円程度になるよう段階的に減らす案などが有力視されている。』
ということで、案のところが思いっきり毒にも薬にもならない書き方。
・ロイターがおまとめサービスwwwww
次にネタにする日経の記事も併せてロイターさんがおまとめサービスwwwwwwwww
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/MYUUWCN6Y5IDXERCBCNNVRNPRM-2024-07-30/
日銀が追加利上げ検討、0.25%程度への引き上げ議論へ=報道
By ロイター編集
2024年7月31日午前 2:14 GMT+9
『[東京 31日 ロイター] - NHKや時事通信など国内メディアは、日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論すると報じた。NHKは、9人の政策委員の多くが物価は見通しに沿って上昇しているという見方を示しているものとみられると伝えた。』(上記URL先より、以下同様)
おまとめサービス中々優秀で、
『時事通信は、物価高で個人消費が鈍る一方、賃上げや政府の定額減税などの効果で景気の腰折れは回避できると日銀は判断していると報じた。急速な円安で輸入インフレが再燃する恐れもあり、利上げが妥当との見方が広がっているという。』
『日本経済新聞は、会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構えと伝えている。』
『一方、NHKと時事は、実質賃金はマイナスが続いていることから委員の間で追加利上げに慎重な声もあり、会合で最終判断すると報じている。』
いやこれマジで当日ガチンコ対決になるんだったら面白いなと思いますが、これ日経が一番間抜けでして、「会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構え」とか書いてんじゃねえよボケがという話で、時事とNHKはお漏らし記事の体裁にならないように書き方結構工夫しているのに日経は何ちゅうことをしてくれますねんという感じでして、これじゃあお漏らし記事(なお日経のはそもそも会員記事なので詳しくは読めていない)になっちゃうじゃんアホなのかNHKと時事通信の配慮をよく考えろってなもんですけどね。
いやまあお漏らしじゃなくて単に内閣府とか財務省に「今回利上げするとなったら止めに掛かりますか」って取材した成果物を書いているだけなのかもしれないけど、うーんなんか日経ダメだなと思いました、いつものことだけど。
でもって日経ですけどこれは朝刊記事ですね要するに(タイムスタンプが2時AMだから)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB25AMT0V20C24A7000000/
日銀が追加利上げ検討、0.25%に 量的引き締めも決定へ
日経スクープ
2024年7月31日 2:00 [有料会員限定記事]
まずね、この題名の「量的引き締め」って何だよ馬鹿なのかとしか言いようが無いわけで、日銀のこの世のものとは思えない規模の国債買入がいきなり売りに転じるのだったらそりゃ引き締めだけど、(巷間言われている2年後に月額3兆円だとして)単に「買入の規模が少し減る」だけの話で、何なら黒田がQQE始めた初期の買入よりも巨額の国債買入は続くんだが、何が「量的引き締め」じゃアホかという話で、経済のクオリティペーパーを名乗ってこの表題を書いている時点で「センセーショナルな表題を書くこと>>>>>>正確な報道」という社是が伝わってきて泣けてきますな。
でまあ記事の方は会員記事なのでリードのクソどうでもよいところしか見れないので割愛しますが、まあそういうことでこれが断定調なのかはわからんですが、まあいずれにしましても各社ともにこの出し方ということですな。
〇利上げする(かどうかはともかくとして)なら「今後の緩和度合いの調整」を描く必要がある
とまあそういう事ですので、少なくとも利上げの議案はぶっこまれるでしょって話だし、まあ最悪でも次回は利上げでしょうってことになるかなとは思うのですが、これで政策金利に関して手ぶらだったら爆笑の発作で笑い死ぬ自信があるから頼むからアタクシを笑い殺させないでください。
それはともかく、まあ今回(かどうか知らんが)利上げするのは、この前のマイナス解除と違いまして(いや本来はマイナス解除もそうだったんですが)単発で終わるものではなくて、この先の中立により近い金融政策への移行、を示すものになるはずなので、仮に今回利上げするとしたら、今後の金融政策の調整というのをちゃんとだしていかんと、という話になるんですよね。まさか今回の利上げ単発ですよとか言ったらそれはそれであたおか事案。
でもってそうなると実は政策金利以外にも、(1)輪番でアホみたいに買っている長期国債の意味は何でしたっけ?(2)政策スタンスが緩和じゃないのに何で期間1年固定金利のオペとかやってるんでしたっけ?(3)日銀の目標が達成されたときには中立に近い金利にすると思うんですが計算してます?とかいろんな論点についてこれからお出ししていただきたいと思う訳ですな。まあ当然そんなのは日銀の中ではあると思うのですが、利上げが開始されないとその話もちょっと先の話っぽくて現実問題として遠かったかもですが、もう利上げすれば現実の論点になってくると思うの。
ということで、まあ今日利上げするのかしないのかは知らんけど、この調子なら遅くとも9月会合では利上げになると思うので、10月展望とか、展望の後に行われる総裁か副総裁の講演とかで徐々にそういうのを出していただきたいものです。
と書いてみただけですがまあそういう事で。
〇三村財務官BBGインタビューでは円安デメリットの話をするとな
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-30/SGEGUHT0AFB400
三村新財務官、円安「デメリット目立つ」−為替介入の判断は総合的に
梅川崇、横山恵利香
2024年7月31日 0:00 JST
→為替介入巡る市場との対話、疑心暗鬼を生む戦略も時には有効
→為替の問題が国民の関心事に、財務官として念頭に置いて対応
でまあ記事の中身とか面白いのですが、今朝は何せ日銀ニュースになってしまいましたのでそんなに朝のお時間も取れないちゅうことですが為替の部分だけ。
『財務省の国際部門トップに31日就任する三村淳財務官は、足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きいとの認識を示した。ブルームバーグの単独インタビューに29日応じた。』(上記URL先より、以下同様)
>足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい
>足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい
>足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい
『三村財務官は、為替相場は「円高だろうが円安だろうが、メリットもデメリットもある」とする一方、最近の円安はエネルギーや食品価格の上昇を招いており「デメリットが少し目立つ」と指摘。円安のデメリットを感じている向きが多いからこそ「為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている」とし、財務官として今の状況を念頭に置きながら対応すると話した。』
>為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている
>為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている
>為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている
・・・・・・どう見ても日銀の決断を促しています本当にありがとうございました(^^)
まあ大坂夏の陣の如く植田ハトハトチキン城は外堀内堀埋め立てられているようにしか見えませんが、さあ植田さんの決断や如何に(とか言ったら植田さんと中村さん以外の7対2とかになったらマジ受けるんだがw)
2024/07/30
〇なんだお漏らし無しでちゃんとできるじゃないですか!(フラグではありません)
昨日の夕方の記事ですが
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB291JV0Z20C24A7000000/
日銀、30日から決定会合 追加利上げの有無焦点
金融政策
2024年7月29日 18:00 [会員限定記事]
『日銀は30、31日に金融政策決定会合を開く。国債買い入れの減額に関する具体策に加えて、追加利上げを決めるかどうかが焦点となる。日銀の政策委員からは7月の追加利上げを支持する声が上がる一方、物価上昇を加味した実質賃金は前年割れの状態が続き、消費の先行きに慎重な意見もある。日銀の判断に市場の注目が集まる。』(上記URL先より)
ということで土日開けてなんか変化でも起きるかと思いましたが、昨日の夕方の日経さんも上記のように(って記事全文読んでないけど)毒にも薬にもならない書き出しの記事を入れてきまして、いやこれマジで事前のお漏らしなんもなし状態で決定会合に突入というよくよく考えてみれば極めて当たり前なのですが、何せここもとお漏らしジジイ状態でムーニーマン状態の連続だった金融政策決定会合なだけに、おじいちゃんお漏らししないでエライエライとほめてつかわすといった風情(とか書いたら明日の朝刊で盛大なアレという悲しいことがあるかもしれませんけど)。
まあ何ですな、すっかりお漏らしに慣れてしまっていると、通常ですと「今回は無しですね」で終わるのですが、なんせ今回の場合は「長期国債買入減額計画が出る」ってのは事前予告されていて所与と化しているので、もともと「何もない」ということがあり得なくて、しかも利上げに関して言えば理屈の上(見通し通りに推移すれば徐々に政策金利の調整を行う、と4月展望で明言している)では今回利上げしてもおかしくなくて、6月の会見でうっかり植田さんが余計なこと言ったから一旦利上げ観測後退しましたけど、その後「7月同時の可能性だって排除しません」ってのを何回か説明した上に、茂木さんやら岸田さんからの援護射撃まで飛んでいるので、7月利上げに関しても別に排除されていない、しかしながらお漏らし無し、という面白パターン。
まあ今回最悪なのが「市場の期待以下で日銀はやっぱり緩和継続姿勢」ってみられてせっかくここまでいい流れで来た円高をぶち壊すことなので、事前にお漏らしをしないことによって市場の期待値を上げない、というのは結構なことですし、いくら太平楽な植田総裁と言えども今回失敗したら夏の終わる前には謎の体調不良で途中退任くらいしないと落とし前が付かないくらいはわかっていると思いたいので、「市場の期待よりもちょっとでもいいから上(政策修正が強い)の方の施策」ってのを出すと思うんですよね。
ということなので、まあこれだんまりな方が結構怪しくて、一応まだ利上げに関しては9月予告ホームランだと思っているのですが、マジでホームラン打ってきてもおかしくはないな、という感じが徐々に気持ちの中では強まっておる次第、だからどうしたといわれますとこまりますが。
しかしお漏らし無し、ってやればできるじゃんという話な訳で、まあマイナス金利YCC解除の時はその後に来るリアクションが怖くて事前にお漏らしをしながら、その間からずーーーっと緩和的なスタンスの強調をした、ってのは気持ちとしてはわかりますが、結果的に緩和強調しすぎてその後の円安コストプッシュを呼んでしまいましたけど、、今回これで7月利上げして特段のサプライズにならず、かつ円高の流れも止めることなく何なら加速できたら、まあ捌きとしては良かった(本当はそんなことより中身が問題なのだがまあそこれはさておく)となりそうで、お漏らしに頼らないコミュニケーションを今後もよろしくお願いします。
〇多角的レビューを利上げと絡めるのは多分筋悪
ネタだしのノルマでもあるのか昨日のあさっぱらからこんなのが
https://www.reuters.com/markets/asia/bojs-victory-lap-deflation-paves-way-rate-hike-cycle-2024-07-28/
BOJ's victory lap on deflation paves way for rate-hike cycle
By Leika Kihara
July 29, 20247:10 AM GMT+9
『Summary
・Comprehensive review to help BOJ make case for future rate hikes
・Key message of review is that Japan is 'ready for higher rates'
・Deputy governor highlights change in Japan's deflationary norm
・Review won't lead to change in price goal, policy framework』
めんどくさいので記事はかっ飛ばしてサマリーだけ読みますと要するに多角的レビューをもって経済の構造が変わったから政策修正の根拠になる、って話ですな。
まあこの中でもありますけれども、「労働市場の需給構造が変わった(ので賃金が構造的に上がりやすくなった)」というのと、「価格設定行動などに変化がみられる」というのは(多角的レビューでも言ってますけど)多角的レビュー云々の前に既にこの前の金研国際コンファランスでの内田副総裁の講演などでも示されていますように、まあそういう話はしていますので、何も多角的レビューと一緒くたにする必要はないんですよね。
というかですね、そもそも多角的レビューで本来もっとやるべきなのは「物価目標達成に時間がかかっているけれども足許状況が改選しているのは結局構造要因」って話の深堀でありまして、何を深堀するかといえば「結局構造要因が問題なのであれば、マイナス金利だの長期金利ペッグだのというようなショック療法に近い過激な金融緩和政策を長期間継続する必要があったのか」という話であり、少なくともQQE2、最悪でもマイナス金利導入の前に「総需要喚起策としての金融緩和政策を長期的に副作用の小さい形で継続する方法」について考えなければいけなかった、という点であり、その話一切しないでああでもないこうでもないと小理屈捏ねまくったしょうもないスタッフペーパー量産しているのって大げさに言えば日本の頭脳の無駄遣いにも程があって、植田総裁の趣味だか何だか知らんけど、ハトハトチキンかつウスラハゲの趣味のためにやってる多角的レビューをネタにこの先の金融政策運営の話に使ってしまうのは恥の上塗りだから止めなさいとしか申し上げようがありません、などとボロカス言ってますが。
まあそれよりもなんでまたこのタイミングで金融政策と多角的レビューと絡めた記事が出てきたのか謎でして、謎の多いネタではありました。まあ市場が反応しているかと言えば東京時間の月曜朝の英文記事とかアジア在住の外人さんか余程のクソマニアくらいなもんでしょうから関係なかったように思えますが・・・・・・・・なぞでしたなこれ
2024/07/29
〇日経結局決め打ちはできないものの「近く利上げです」になったようで
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB253GJ0V20C24A7000000/
日銀、焦点の追加利上げは 家計にはプラス面も
金融政策
2024年7月28日 5:00 [会員限定記事]
『日銀は30?31日に金融政策決定会合を開く。長期国債の買い入れ減額の具体策とともに、追加利上げに踏み込むかが焦点となる。貸出金利が上昇すれば企業や家計の負担になるが、預金金利の上昇といったプラス面もありそうだ。日銀の政策委員には7月会合での追加利上げを支持する声も出ており、判断が注目されている。』(上記URL先より、以下同様)
この書き方、決め打ちを一切行わないというパターンで来ていますね。ただこの記事なのですが、
『トータルで家計にはプラスか
日銀は無担保コール翌日物金利を政策金利とし0?0.1%程度に誘導している(以下有料会員記事)』
とあって、記事の方は例によって課金しないと内容分からんのですが、小見出しが小見出しなだけに以下の記事は「利上げになったことを前提にした経済へのプラマイはどうなんですか」というお話になっているのはまあ想像は付きますよね。
・・・・・・と考えますと日経ちゃん、「7月の利上げに関しては全く読めないし5分5分でどちらにも寄せない」、「とは言え近いうちには利上げがあることは必定」という見方になっているという解釈で問題なさそうでして、7月じゃなければ9月とかそういう見通しであれば、その1か月半は3Mの金利には全力で影響しますけど、10年とか20年とかそういう金利に対してどうなのかというとまあそこだけ見れば誤差(先のパスにも影響するから誤差と言い切るのはやや無茶だが)という話ではありますな、うんうん。
でまあ日経もこんなトーンですので、実際問題7月に利上げしてもサプライズとなるかというと別にサプライズにはならん(メディアが喚くかもしれないけど)でしょとおもいますし、これで7月予告ホームランもなんもなしで決定会合をやってしまうとそっちの方がサプライズじゃ、という感じになって来たんじゃないでしょうかねえ、知らんけど。
〇山口元副総裁が「遅すぎる」とコメントとな(これも惜しくも有料記事)
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20240724/biz/00m/070/004000d
週刊エコノミスト Onlineから
山口広秀・元日銀副総裁「植田日銀は後手に回っている」
週刊エコノミスト Online
2024年7月27日
サムネで山口元副総裁のご尊顔を拝みつつ有料記事とはいえ頭の部分だけは公開されておりますので。
『国債購入の減額や利上げの時期を探り、「金融の正常化」に踏み出す日銀。白川方明総裁時代を副総裁として支えた山口広秀氏は、すでに後手に回っていると指摘する。(聞き手=浜條元保/浜田健太郎・編集部/永野原梨香・ライター)』(上記URL先より、以下同様)
『── 植田総裁の評価は?
■消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は、2022年4月に前年同月比2%を超えている。植田氏が総裁に就任した23年4月には2%を大きく超える上昇が1年続いていた。コアCPIの上昇率は、電気・ガスの補助金やエネルギー関連の補助金を除いて考えれば、今や実勢ベースでは3%ぐらいになっていると思う。できるだけ早くマイナス金利などの異次元緩和政策からかじを切り替えるべきだった。端的に言うなら、後手に回ってしまっている。すでに金融引き締めが後手に回るビハインド・ザ・カーブに陥っていると言ってもよい。』
誠に手厳しいですが誠にご指摘の通りかと。
『── 総裁は、早く異次元緩和をやめることで2%インフレを安定的に実現する芽を摘んでしまうリスクが大きいと説明していた。
■その総裁の認識とは私は違う。10年代までの日本経済のデフレ構造と、20年のコロナ禍以降の構造は明らかに異なっている。日本経済はインフレの時代に入ってきている。そういう大局観に立って、打つべき手は何か、どういうタイミングで打つべきかを考える…(以下は惜しくも有料記事)』
ということで以下は惜しくも有料記事なのですが、リードの部分だけでも話の一端が垣間見れておりまして、経済の構造が変化しているのにその変化をいつまでも起きていないことにしているのは何でや、というお話ですよね。
ここで多角的レビューを思い出してみますと、内田副総裁の説明とか他のスタッフの説明とかがそうですけれども、ここに来て物価が上がってきている、インフレ期待があがってきている、賃金が上がってきている、っていう背景としては「経済構造の変化」「労働市場構造の変化」を挙げていた訳でして、そういう認識を多角的レビューでしているのに、いまだに昨年5月の内外情勢調査会での「待つことのリスクは大きくない」を公式には全然否定してないでそのまま維持しているのがハトハトチキン植田な訳でして、待つことによって官邸に怒られるリスクは大きくないというのはわかるのですが、下がると言ってたインフレ全然下がらんで推移して、さすがに最近インフレ批判もだいぶ増えてきている(まあ私もネットしか見ないので入手する情報には相当の偏りがありますけど)ように見える次第で、どう見たって山口さんの説明に分があるとしか思えません。
まあ水曜の決定会合後の会見って、国債買入減額のテクニカルな話は正直どうでもよくて(会見でやるほどのことでもないという意味)、それよりもこのように山口さんが指摘するような「待つことのリスク」とか「構造変化が起きているという認識なのになぜ金融政策スタンスが黒田のままなのか」とか、そういう話をいろいろと突っ込んでいただきたいなと思いますし、後国債買入に関しては「何のために国債の買入を継続するのか」ということが重要なんですよねーーーーーー。
〇財務省が遂に「財政ファイナンス」を公式に認めたのかと思って焦ったわwwwwwwww(BBGニュース)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-26/SH7FRWT1UM0W00
財務省、日銀国債購入は銀行保有余力踏まえた減額重要と認識−関係者
伊藤純夫、梅川崇
2024年7月26日 18:14 JST 更新日時 2024年7月26日 20:31 JST
→市場の混乱回避へ、財務省は段階的減額が望ましいとの考え−関係者
→来週の会合で減額計画決定、財務省の慎重なスタンスが計画に影響も
ちょwwwwwwwおまwwwwwwwwwwついに財務省が「日銀の買入がないと国債発行が困難になるんでちゅーーーー財政ファイナンス今既に実施してるんでちゅーーーーーーーー」ってゲロったのかよ通貨売りじゃ通貨売りじゃ、と思ってしまいましたが記事の方を拝読しますと、
『日本銀行が来週の金融政策決定会合で決める国債買い入れの減額計画に関し、国債の発行当局である財務省は、銀行の国債保有余力を踏まえた減額幅になることが重要で、段階的な実施が望ましいと考えている。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
いつもの「事情に詳しい複数の関係者への取材」のようですが、こんなの正面切って国債発行当局が公式に言い出したらそれは「中央銀行に国債買入をさせることを前提に国債発行が行われています」っていう「中銀財政ファイナンスを公式に認める発言」とかいうムガベ大統領もニッコリのジンバブエ発言になりますし、そういうのを正面切って報道する方も報道する方で、これが本格的な通貨売り投機のきっかけにでもなったらお前ら一族郎党磔獄門級の国賊プレイなんだが分かってるの、ってお話なんですけどねえ。
まあ今のところ太平の惰眠をむさぼっておられるようで通貨売り投機にならんで済んでるけど、トラスショックみたいなのは起きたって不思議じゃないんですけどねえ。
などと悪態をつきながら記事を読み進めますと、
『関係者によると、財務省は、日銀に代わる買い手として期待される銀行の国債保有余力などを念頭に置いた上で、減額幅を考えていくことが重要との認識だ。減額ペースに関しては、市場の混乱を極力回避する観点から、一度に大きく買い入れを縮小するのではなく、段階的に減らしていくことが望ましいとの考えだという。』
これなんですけどね、市場ってのは不確実性、しかも予想できない不確実性ってのが一番困るのでありまして、特に今の日銀みたいに政策運営の軸が全然ロジカルじゃない(輪番の意味付けにしろ、「見通し通りに推移すれば政策調整」にしろ、すべてがあいまいでしかも言ってることが黒田末期以降そうなのだがコロコロと理屈が変わってしまい、前と別の理屈を急に持ち出す)という何とかに刃物状態の当局が一番ヤバいわけでして、そのせいで市場がイマイチ落ち着かないで入札が一々イベント化している訳ですよ。
でですね、今どうせ出てきそうなのって「2年後(または2025年度末)に月額何ぼの長期国債買入、その間四半期ごとに平均的に減額」みたいなのだと思うのですけれども、この2年後何ぼってのを本当の本当に2年間石にかじりついてでも順守できるのか、というと今までの日銀の所業からして、「金融市場局の裁量」とかいうマジックワードで平気でひっくり返すりすくというのが否めない訳でして、むしろだったら最初に多めに減らしておいて、来年3月(でも6月でもいいけど)末まではこのペースで買入ます」にしておいた方がひっくり返されリスクが少なさそうに見えるんですよね。
これがまあ1年だったらまだいいんですけど、2年ってのは期間としていかにも長すぎでして、普通見通し出すんだって1年くらいはまあなんかいろんなもん置けば出せるかもしれないけど、2年って完全に鉛筆舐め舐めの世界になってしまいますから、その鉛筆舐め舐めの時期までの計画を出すってのは、それを本当に計画通りに実施できるのか、というのに疑問を感じざるを得ないわけで、そもそも論としてなんで2年にしたのかって話で、1年にしておけよ(さすがに1年ならまあこの通りやるだろうと思いやすい)と思うんですよね。
なお、ここで日銀のいつものインチキプレゼンテーションを考えればわかりますように、2年で出したのは、「数字を大きく見せるため」という毎度おなじみの奴でして、そういうセコいこと考えて2年とかいう本当にその通りにできるのか大丈夫なのか&そもそも2年目になったらその計画実態ベースとして現実から乖離してるんじゃないか、というような期間を設定して後で死ぬ、というのが何となく見えるわけでして、本来この買入減額計画は「とりあえず当初1年分考えて1年後にその後をどうするか再検討しましょう」というのが正しかったんじゃなかろうか、と今更ジローですが思うのでした。
なお、
『ブルームバーグの報道に対する財務省からのコメントは得られていない。』
ってそりゃコメントしないわという話で、こんなのうっかりコメントしたら大変なことになるから当たり前。
しかしまあ何ですな、
『財務省の「国の債務管理に関する研究会」で、三菱UFJ銀行は、預金取り扱い金融機関の国債購入余地について、日銀保有の3割前後との試算を示した。日銀の長期国債保有残高である580兆円程度に当てはめれば170兆円程度となる。』
『他の主体の購入余力が限られる上、今年度並みの35兆円程度の新規国債発行が続くことを前提とすれば、仮に月間3兆円程度・年間36兆円程度の減額なら2年超で余力がなくなる計算だ。』
それは今の資金フローを所与とした場合であって、そんなの金利が上がって預金や個人向け国債や円金利に投資する投資信託の利回りが上昇すればフローが変わるじゃろなにゆうとんねん。
『財務省の減額に対するスタンスは慎重とも言える。国債管理政策を担う同省の認識は、日銀による減額計画の策定に影響を与える可能性がある。』
記事の以下は割愛しますが、ブルームバーグは財政ファイナンスを煽ってトラスショックでも起こしたいのですかねえと思いました。
2024/07/26
〇どこからどこまでが日銀への期待なのか分からんけど・・・・・・・・
昨日の市場ちゃん、といっても債券じゃなくて為替みますとですね、
・為替って日銀のどこをどう期待しているのでしょうかよくわからんけど期待値上がってねえかこれ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/6CQXA63TKJJJ5DDNSO6GUWS6RM-2024-07-25/
〔マーケットアイ〕外為:午前のドルは152円台へ下落、2カ月半ぶり安値 円高地合いが続く
By 基太村真司
2024年7月25日午後 12:31 GMT+9
(検索へたっぴで前場引けしか取れてないけど)
『[東京 25日 ロイター] - <12:18> 午前のドルは152円台へ下落、2カ月半ぶり安値 円高地合いが続く
午前のドルは153円後半から152円半ばまで一段安となり、5月6日以来約2カ月半ぶり安値を更新した。市場では、円売りポジションの巻き戻しが続いているとの見方が大勢で、円は対ドル以外の通貨に対しても幅広く上昇した。
この日も東京市場では、目立った手掛かりがない中で円が続伸。豪ドルが99円後半と3カ月ぶり、ユーロが165円前半と2カ月半ぶり、英ポンドが196円半ば、スイスフランが172円といずれも2カ月ぶり安値を更新した。
しかし、大和証券チーフ為替ストラテジストの多田出健太氏は「ドル/円の潮目が変わったと決め打ちするのは時期尚早だ」とみている。これまでの円安は投機的な側面が強かっただけに「いったん調整が始まると連鎖的に巻き戻しが発生しやすい」上、円買いの手掛かりとされる日銀の利上げについても「今後の利上げペース加速などが意識されない限り、早期に日米の短期金利差が大きく縮小するような見通しは描けない」ためだとしている。』(上記URL先より)
ということで、午後はドル円152円ぎりぎり近くまで円高になっていた場面もありましたが、これで来週日銀が輪番の減額を2年で出来上がり3兆円とか織り込み済みのものを出した挙句に利上げについては慎重な言い方をしたら為替ってどうなるのやらというのは為替の人じゃないから分からんのですが、また一気に巻き戻しが入ってしまうのではないかという恐れがぬぐい切れない訳でして、そんなこんなで円高に行けば行くほど日銀は「より威勢の良いことをしないといけない」となって来たように思えます。
まあ今でも「株が下がるから利上げするな」とか「円高になったから日銀は動かなくてよくなった」とか寝言を言ってるポンコツ何とかストのご見解がニュースベンダーみてると散見されるのですが、そもそも株これまでどれだけ上がったと思ってるんだとか、いや足もとの円高の背景は日銀に対する期待がかなりあるだろ、とかまあそういう風に考えますと、円安で追い込まれるのと違った意味でこれは市場が日銀をシバキにきている、という中々面白い展開なのでまあダラダラとメモっておこうというところではあります。
・すこし方向性が分かってきたということで極端なスティープに歯止めがかかっているのなら結構は話なのは円債
でもって円債ちゃん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PK5KNMBN2RO23LT73WEN7XANBU-2024-07-25/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、日銀の利上げ警戒感が重し 長期金利1.065%
By ロイター編集
2024年7月25日午後 3:47 GMT+9
『[東京 25日 ロイター] - <15:20> 国債先物は小幅続落、日銀の利上げ警戒感が重し 長期金利1.065%
国債先物中心限月9月限は、前営業日比6銭安の142円74銭と小幅ながら7営業日続落して取引を終えた。日銀の追加利上げを巡る警戒感が相場の重しとなった。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)低下の1.065%。朝方には3週ぶり高水準の1.100%に上昇する場面もあった。
きょうの国債先物は、日銀が来週の金融政策決定会合で追加利上げの要否について議論するなどとしたロイターの観測報道をきっかけに利上げを巡る投資家の警戒感が強まり、大幅な売り先行でスタートした。』(上記URL先より、以下同様)
さすがロイターだけに自分のところの記事で動きましたと書いている辺りに浅ましいものを感じますが、まあそれはさておきまして、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.388 0.396 0.03 15:13
5年 0.624 0.631 0.013 15:16
10年 1.063 1.07 -0.005 14:59
20年 1.833 1.842 -0.024 15:19
30年 2.157 2.166 -0.034 15:16
40年 2.421 2.43 -0.037 15:19』
えらい勢いでツイストフラットしていますが、まあ1日だけだから単になんかの勢いかもしれないから即断はできませんけれども、輪番減額規模の件もそうですし、利上げに関しても7月か9月かは兎も角として、それなりに早い時期に来るでしょう、という感じで見方が揃ってきて、しかも利上げも当然単発で終わるものではなくて、その後(どうせ半年に25bpとかでしょうけれども)利上げが続く、というスタンスで日銀が来る、ということになれば、今まで中短期に避難してきた人たちが長い方の金利上昇を見て乗り換えていく動きがあってもおかしくない。
つまりですね、中央銀行が何考えてどういう動きをするのか、というロジックがしっかりしていて、そのロジックに則って市場が考えられるような動きを中央銀行が行っていれば、そう極端な事ってのは(財政破綻でもしない限り)起きないわけでして、とにかく黒田日銀の末期からこの方ずっとそうなのですが、「次に日銀が何をやらかしてくるのかが全く読めない、なんせあいつらお気持ちでオペやら政策いじってくる」という「不確実性」の塊みたいな状況になっているのが怪しからんわけで、いみじくもハトハトチキンが3月会合の時にいった「普通の金融政策」というのをやってくれれば、避難民が短いところに殺到して短国の金利がクソ低いとか、そういう事は起きにくくなるんですよ(個人の見解です)。
まあ昨日1日ツイストしたからといって鬼の首を取ったように喜んでいる場合でもないのですが、日銀が何考えてアクションをするのか、というのをきちんと定義づけること、あと弊駄文で50回位申し上げていますが、特に長期国債買入に関しての位置づけ(金融緩和手段なのか、昔買ってしまったうんこタワーをいきなり壊すわけにいかないのでスムージングで買っているだけなのか)を明確にしていただかないと、長期国債買入に関してはいったん今回の会合である程度先に何やるのかは見えるんでしょうけれども、また変な理屈をだして変な事をしてくると話がややこしくなるので、ちゃんと長期国債買入に関しては検討をしていただきたいですな。
・短国が!なんと!WIだけど新発3Mが5bpオーバーに!!!!
感嘆符のつけすぎですかそうですかw
いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
昨日の引値(7/26付け)を見ますと・・・・・・・
国庫短期証券1240 2024/09/30:平均値単利 0.010
国庫短期証券1241 2024/10/07:平均値単利 0.050
国庫短期証券1224 2024/10/10:平均値単利 0.050
国庫短期証券1189 2024/10/21:平均値単利 0.050
国庫短期証券1245 2024/10/21:平均値単利 0.050
国庫短期証券1246 2024/10/28:平均値単利 0.064
9月末と10月頭で4bpも階段つけるなよとは思いますが、これ一昨日の引値ですと、
国庫短期証券1240 2024/09/30:平均値単利 0.010
国庫短期証券1241 2024/10/07:平均値単利 0.025
国庫短期証券1224 2024/10/10:平均値単利 0.025
国庫短期証券1243 2024/10/15:平均値単利 0.025
国庫短期証券1189 2024/10/21:平均値単利 0.025
国庫短期証券1245 2024/10/21:平均値単利 0.025
国庫短期証券1246 2024/10/28:平均値単利 0.025
となっておりまして、新発WIの気配に引っ張られたのかなんだか知らんですけど、10月償還の短国の引値を軒並み修正してきまして、今日入札新発のWIはご覧の通りで売参ベースで6.4bpとやっと5bpを明確にオーバーした水準になっておるわけです。
まあ今日の新発3Mって足が10月だから10月利上げの場合は別に手前とそんなにレートが変わらなくても罰は当たらない(タームの流動性リスクプレミアムというのを考えて頂きたいというのはあるけど)のですが、7月か9月かって利上げの話をしているのに(まあ7月だったら手前のイールドだって修正しろよと思いますがそれはいったんおきまして)いつまでたっても無反応で困ったもんだと思っていたら昨日になって急に反応しているように見えるわけでして、まあ実力は今日の入札を見ないと何とも言えませんけれども、もしかしたらさっきのツイストフラットと同じくで、「長期金利の行く末がさっぱり分からないのでリスクを取れないから値段を気にせず短国へ」という需要が終わってくれたのかもしれませんし、まあやっと面白くなってまいりましたという展開です。
ちなみにアタクシはクソジジイなので前回量的緩和解除から短期金利0.5%の時って短国とかよく見ていた(何なら過去ログよんでちょ)訳ですが、かつてはちゃんとこの短国だって先行きの政策金利変更を織り込んだり、タームが長くなると期間による流動性プレミアムによって順イールドになったりとか、そういうまともな市場だったのですが、よくよく考えてみますと7/31か9/20に短期政策金利が0.10→0.25になるというのを織り込みに行くにしてはショボすぎる金利形成な訳で、その辺は悲しいなと思っておりますです、はい。
・東京レポレート(メモ)
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/7/22 0.092 0.081 0.055 0.056 0.056 0.058 0.088
2024/7/23 0.073 0.062 0.054 0.054 0.057 0.059 0.088
2024/7/24 0.043 0.045 0.052 0.054 0.056 0.059 0.090
2024/7/25 0.065 0.033 0.049 0.056 0.058 0.069 0.096
木曜にSNがさがるのはお約束なのですが、先週のように極端にさがるでもなく、ONは上がっていますし、それよりも1Mと3M(右の2つ)がしらっと金利があがっているのがちょっとチャーミングですね、
〇日経がなんか書いておるのだがこれはまあ単なる一般記事状態ですね
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB24AI80U4A720C2000000/
日銀、追加利上げの時期模索 7月論も浮上
金融政策
2024年7月25日 19:00 [会員限定記事]
『日銀が追加利上げの時期を模索している。一部の政策委員は、日銀が7月30、31日に開く金融政策決定会合での追加利上げを支持するとみられる。一方、物価上昇を加味した実質賃金は前年比を下回った状態が続くなか、賃金や消費の動きをもう少し見極めるべきだとの意見も根強い。
日銀は慎重に経済・物価情勢を点検し、追加利上げの是非を議論する見通しだ。』(上記URL先より、以下会員記事)
でまあ毎度申し上げておりますように日経無課金おじいちゃんなので記事内容みておりませんが、まあ冒頭のこのかきっぷりからすると「特に日銀から何か決め打ちの情報発信は出てませんですなあ」という感じの記事なんでしょうね、と想像しまして想像をもとに申し上げますが。
まあアレです、本来次の利上げって(単発で終わりとかいうのなら別ですが常識的に考えてそんなことはないので)政策修正が始まりましたという号砲なんで、あんまりサプライズで打ち込むもんじゃないよね、という風には思う訳ですよ(ちなみに福井の俊ちゃんの時はその前に追加利上げに向けてこう考えておりますので利上げの環境が整いますなあみたいな説明は散々している)。しかしながら、6月決定会合でテレビ東京の大江さんに思いっきり指摘されていたように、ニュースワイヤーが事前に威勢の良い話をする→市場の期待値を上げる→期待通りのことをしない→円安、というのを繰り返してしまったことから、今回の利上げって事前織り込ませがやりにくくなってしまったと言えるんですよね。
7月やるにしろ7月予告ホームランするにしろ、まあどちらも市場は覚悟はしていますけど、でもまだ皆が皆織り込んでいるかというとよくわからん、という状況でこそ利上げ(または事実上の利上げである予告ホームラン)の効果(主に為替)が出るわけですので、昨日の日経さんの記事までで結局どこもかしこも両論併記(ロイターさんは英文と日本文で別のヘッドラインで両論併記をするという無茶苦茶なプレイをしてきましたが)で決定会合を迎えることに(お日柄的にもうここからはガチの情報流出になって別の意味でヤバい)なりそうで、逆にベンダーがだんまりなのは、変な小細工しないという文脈で日銀7月に利上げに関するなんか(予告ホームラン予想していますが、利上げしちゃった方がすっきりするし筋論としてはそっちの方が正しい)はあるかも感がますます高まってまいりました(個人の印象です)。
〇しかし出口で結局何らかの災厄を甘受しないといけないのが大規模YCC政策の弊害である
とまあそんなわけで今日も取り留めもない雑談で恐縮ですが、ちょっと視点を変えて考えてみますと、長期国債買入の減額にしろ、短期政策金利を中立金利に向けて引き上げていくにしろ、今回これだけ大騒ぎしているように、大規模YCC政策というのがどれだけ副作用が大きかったか、ということだし、そういうのを全部植田さんにおっかぶせて「私の履歴書」とかのうのうと書いていた黒田とかいう人外外道には天から落雷でも食らうべきで、植田さんはまあこの後始末しているんだからその点はご苦労なこった(ただし手際が悪すぎるのはまったくもってダメダメ)とは思います。
ということでですね、結局この大規模な長期金利イールドペッグ政策ってのは、出口において円安か株安か債券安か、この3つのうち最低1つ、運が悪いと2つ(3つの時はオワットル)をお選びくださいってなもんでありまして、そもそも論としてどうせ構造変化とコロナショックでしか物価の基調が変わらなかったのに、なんでこんな頭の逝かれた政策を延々とやっていたのか、ということについてはちゃんと反省すべきなんですよね。
今やっていると思われる多角的レビューって、その辺についてなんも考察しないで、効果があったで終わらせそうなのがやばいわけでして、同じようなことが起きたときにもう一回同じ馬鹿政策をやったら日本が持たないんじゃないのってアタクシは思うのですが、このままなあなあで多角的レビューを終わらせますと、じゃあ次も長期金利ペッグのマイナス金利政策をやりますか!とか言い出しそうで怖いです。余談ですけど。
2024/07/25
〇利上げについては謎のまま決定会合突入ですかねえ
・ロイターの報道が英文と日本語で題名のニュアンスがだいぶ違うんだがそういうのは止めていただきたい
その前にブルームバーグの市況解説
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-24/SH4NL3T0AFB400
円が対ドルで1%超える上昇、一時153円台−5月以来の高値
宮井伸明
2024年7月24日 21:24 JST 更新日時 2024年7月24日 21:39 JST
→日銀は利上げを来週検討へ、債券購入半減も発表の計画−ロイター
→日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要−茂木氏
『ニューヨーク時間24日朝の外国為替市場で、円相場は対ドルで上げ幅を拡大。1%を超える上昇で一時1ドル=153円91銭を付けた。5月以来の高値。日本銀行が月末の金融政策決定会合で大幅な政策変更をするとの臆測で円が買われている。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『ロイター通信は事情に詳しい関係者の話として、日銀は来週の金融政策決定会合で、利上げを検討するとともに向こう数年間に債券購入額をほぼ半減させる計画を公表する可能性が高いと報じた。』
バランスシート半減じゃなくて購入額半減なんで別に大幅な削減でも何でもないんですし、福井総裁の時代に短期政策金利0.50%まで上げる中で長期国債買入って月額1.2兆円だったのですから、3兆ってとんでもない緩和な訳で、なんで2%目標達成とか言ってるのにそんな金融緩和をする必要があるのか小一時間問いつめたいんだがまあそれはさておき。
『自民党の茂木敏充幹事長は日本時間24日夜、インターネット番組に出演し、「日本経済の再生によってまずは強い日本を作る。それによって強くて安定した円を作っていくということが必要だ」と語った。』
円安万歳の話が消えてきたのは結構なことである。
・・・・・・とまあそれはそれでさておくとしまして、ロイターさんなんですけど
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/PJ5RJO45NJPPTHDBRZF3X2VWHI-2024-07-24/
日銀、国債購入3兆円程度に違和感なし 利上げ時期は慎重に判断
By 和田崇彦, 木原麗花
2024年7月24日午後 6:28 GMT+9
というのが出ていた返す刀で英文版が、
https://www.reuters.com/markets/asia/boj-weigh-rate-hike-next-week-detail-plan-halve-bond-buying-sources-say-2024-07-24/
Exclusive: BOJ to weigh rate hike next week, detail plan to halve bond buying, sources say
By Leika Kihara and Takahiko Wada
July 24, 202410:32 PM GMT+9
・・・・・・これ日本語だと利上げが多少先の話のようにしか見えないのだが、英文だと7月にも利上げってニュアンスが強く出てるだろなんだよこの二枚舌はいい加減にしろと思う訳で。
英語の方だと(以下引用部分が日本語なのは上記ロイター記事日本語版、英語なのは上記ロイター記事英語版から引用します)題名の後にサマリーがあって、
『Summary
・BOJ to taper bond buying gradually at pace near market consensus
・July rate hike decision a close call, consumption outlook key
・BOJ has 'long way to go' toward rate levels deemed neutral
・BOJ to hold policy meeting July 30-31』
ということで7月利上げはクロースコールって仰せになっているんだが、日本語版の記事のリード部分では、
『[東京 24日 ロイター] - 日銀は30―31日の金融政策決定会合で、今後1─2年の国債買い入れの減額方針を決定するとともに経済・物価情勢を点検し、追加利上げの要否について議論する。日銀内では国債買い入れについて月額3兆円程度まで減額するとの市場の見方に近い水準が望ましいとの意見がある。追加利上げに関しては、その必要性ではおおむね一致しているものの、弱含んでいる消費動向を確認すべきとの意見もあり、慎重に時期を判断するとみられる。』
7月利上げがクロースコールとは思えない文章になっているんですよねーーーーーー。
英文だと、
『TOKYO, July 24 (Reuters) - The Bank of Japan is likely to debate whether
to raise interest rates when it meets next week and unveil a plan to roughly
halve bond purchases in coming years, sources said, signalling its resolve
to steadily unwind its massive monetary stimulus.』
『The rate decision will depend on how long the board members prefer to
wait for clarity on whether consumption will recover and keep inflation
stably around the bank's 2% target, said four people familiar with the
BOJ's thinking.』
となっていて「慎重に時期を判断する」じゃなくて単純に「意見が割れている」になっていて、たぶんこれ英文の方がニュアンスちゃんと伝わっているんじゃないかなと思うの。
ということで英文記事の続きを見ると
『Over three-quarters of economists polled by Reuters expect the central
bank to stand pat this month and possibly next move in September or October,
but sources suggested the outcome of the July 30-31 meeting was considerably
less certain.』
マーケットエコノミストにロイターが聞いて回ったら3/4のエコノミストが今回は政策金利引き上げ無し、9月か10月に利上げ実施、と回答しているけど、ロイターの取材先様におかれましては「いやいやもっと不確実ですよ(=7月利上げの可能性はあるよ)」と仰せですよ、と来てからの、
『"The decision will be a close call and a hard one to make,"
given uncertainty over the consumption outlook, one of the sources said.
"It's really a judgment call, in terms of whether to act now or later
this year," another person said.』
今回利上げするかしないかはエイヤーの世界でやっても全然不思議じゃないというようなニュアンス(と思いましたが)の発言が別の取材先からでたりしているようですね。
『While the nine-member board broadly agrees on the need for a near-term
rate hike, there is no consensus on whether it should happen next week
or later in the year, they said.』
まあコンセンサス無いんでしょうね
『Core inflation hit 2.6% in June, having exceeded the BOJ's target for
well over two years, and workers' base pay rose by the most in three decades
in May, enough to for hawks to argue that conditions are right to hike
rates now.』
利上げする条件はとっくにそろっている、というか利上げしないお理由はもうとっくにないんですが、
『However, recent weak consumption and household sentiment have helped
policy doves make the case for holding off for now and waiting for more
data to see whether tax cuts and rising wages will lift consumption as
projected.』
これ毎回申し上げていますが、そもそも消費って円安コストプッシュに足引っ張られているんだから、消費を理由に利上げを躊躇って阿呆な話で、今回利上げ見送って予告ホームランもしなくて、背景説明に消費が弱いって話をしたら会見でボコボコにされるじゃろ、と思いますが大丈夫なんでしょうかねえ。
『The outcome of next week's meeting is uncertain in part because the BOJ
sees no compelling reason to rush, with price rises still moderate and
inflation expectations stable near 2%, the sources said.』
「no compelling reason to rush」とのことですが、逆に動かない理由だってねえだろとは思いますわ。
ということでどうせ日本語版は読めばわかると思いますので、この英文版のニュアンスと日本語版のニュアンス比較して味噌ってなもんでして、長期国債買入減額よりも利上げの方がイッシューとして大きい(その通りなのだが)という認識で海外は考えているんでしょうねえ、というのもよくわかる、というか日本の皆さん日銀の輪番減額という目くらまし砲に引っかかりすぎwwwwwww
・しかしまた決定会合前に期待値が上がってしまいましたなあ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB239FC0T20C24A7000000/
円全面安一服、153円10銭台 日米金融政策の転機にらむ
生田弦己
ポジション・フラッシュ
2024年7月24日 13:18 (2024年7月24日 23:12更新) [会員限定記事]
『外国為替市場で円売り圧力が一服している。24日の夜には円相場が対ドルで一時、1ドル=153円10銭台まで上昇した。幅広い通貨に対して全面安だった局面から一転、対ユーロや英ポンドでも円高が進む。日米金融政策の転機が近いとの見方が強まり、金利差に着目した円売りを見直す動きが出てきたからだ。ただ円安再燃リスクは残っており、当面は不安定な展開が予想される。』(上記URL先より、以下会員記事)
ということですが、こうやって決定会合前に日銀今回の会合で結構頑張るんじゃないか、という思惑が出てきますと、逆に手ぶらってわけにいかなくなるので、やはり昨日申し上げたように2年後に月額3兆円程度(とかいうしょぼい)輪番減額だけでは許してくれなくなりそうで、利上げまたは利上げ予告ホームランが急務ということになってきているかと思います(個人の感想です)。
この円高見て日銀が余裕ぶっかましてショボい結果でOKOKとか勘違いしそうなのが怖い・・・・・・
〇40年とか東京レポレートとか
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/GQ6ZY6TXXRLBJEE2OGH3GG3PVI-2024-07-24/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.07% 低調な40年債入札などで
By ロイター編集
2024年7月24日午後 3:31 GMT+9
『東京 24日 ロイター] - <15:18> 国債先物は続落、長期金利1.07% 低調な40年債入札などで
国債先物中心限月9月限は前営業日比10銭安の142円80銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.0bp上昇の1.070%。日銀の追加利上げへの警戒感や40年債入札が低調だったことを背景に、国債先物は軟調に推移した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『国債先物は朝方から売りが先行。前日の夜間取引で国債先物が下落した流れを引き継いで始まった。40年債入札が低調な結果となったことを受けて、後場に入り先物は下げ幅を拡大。現物市場では超長期ゾーンを中心に金利が上昇した。』
40年って結構売り込まれて安くなったのですが、それでもまあイベント直前で買いにくい、ということなのかなあとは思いますけど、そもそもここに来て利上げ観測で崩れているのって、6月会合の時に植田総裁がうっかり「輪番減額の影響も政策金利変更の判断材料に入る」みたいなことを口走ったのが悪くて、あのせいで7月利上げ観測を一気に消してしまったから反動が来ている面が多分にあって、つまりは日銀のコミュニケーションが下手くそというか植田さんは一言余計なことを言うのをマジで反省していただきたいと思う訳ですよ。
『 OFFER BID 前日比 時間
2年 0.358 0.366 0.015 15:15
5年 0.611 0.617 0.014 15:18
10年 1.069 1.075 0.014 15:15
20年 1.856 1.863 0.003 15:17
30年 2.189 2.197 0.023 15:17
40年 2.454 2.462 0.038 15:19』
ということで昨日も基本ベアスティープになっていますが、利上げネタがあるだけに中短期も弱いと。
・東京レポ―レート案の定の低下である
うーんこの
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/7/22 0.092 0.081 0.055 0.056 0.056 0.058 0.088
2024/7/23 0.073 0.062 0.054 0.054 0.057 0.059 0.088
2024/7/24 0.043 0.045 0.052 0.054 0.056 0.059 0.090
ということで水曜日は下がるの法則で案の定低下しておりますが、まあ利上げ観測だから短いところに緊急避難、ってのは今更そういうのもあんまりないようには見えます(まあこの期に及んで、ですわな)が、明日の3Mどうなるんでしょうかねえ・・・・・・・
・そういえば火曜日交付税特会6Mがあったのでした
すいませんネタにするの忘れてました
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240723.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果
なので、
『令和6年7月23日
財務省』
ですすいません。
『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項
2.借入日 令和6年7月31日
3.償還期限 令和7年1月30日
4.償還方法 令和7年1月30日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 5兆9,919億円
(2)募入決定額 1兆2,990億円
(3)募入最高利率 0.215%
(4)募入最高利率における案分比率 64.7500%
(5)募入平均利率 0.205%』
こちらは先週の特会6Mが0.206%/0.220%だったのでレートが低下しておりまして、しかも後ろに行けば当然利上げリスクが高まるのでレート上がって然るべきなのですが下がっておりまして、前回の特会6Mが9/20利上げをフルフルに織り込んでいるレートだったので、それならいけるやんとでもなりましたかしら。知らんけど。
ちなみに0.205%だとほんのちょっとだけ9/20以降の金利が0.25%に届かないという結果になります(0.246くらい)ので、この辺りをみていると7月はあって予告ホームランってイメージなんですかね。特会借入に応札している人にだいたいどんなイメージなのか聞いてみたいでありますわ〜
ということで今朝はこの辺で勘弁
2024/07/24
〇日銀謹製の基調的物価ちゃんが再上昇してきましたが・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
昨年1月からの推移、左から刈込、加重中央、最頻
Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0
Aug-23 3.3 1.8 3.0
Sep-23 3.4 2.0 2.8
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9
Apr-24 1.8 1.1 1.6
May-24 2.1 1.3 1.5
Jun-24 2.1 1.4 1.6
4月に刈込平均1.8まで下がって日銀のシナリオキタコレとか思ったら結局5月6月と2.1に戻ってしまってナンテコッタイという感じですが、最近の日銀はもはや「この先2%を割り込んだ後に第二の力で2%超え」というシナリオの前半を言わなくなっているのですが、第一の力第二の力とか正直何とでもいえる部分が結構あるわけで、この推移を見て「第二の力に移行してきている」とか言い出したっていいんですよなんなら。というような感じですが、まあこの「第一の力第二の力」ってのは「金融政策の修正に踏み出すのが怖いからビハインドした方が日銀にとって(゚д゚)ウマー(国民にとってはいい迷惑)」というハトハトチキン総裁の理論のもとに日本におけるトップのマクロ経済学者が言うとは思えないような変な理屈を振りかざしているだけの話なので(個人の偏見です)すな。
ということで悠長なことが許されなくなっている、というのは6月会合主な意見における政府側参加者の見解(当然あれって発表原稿を中の人たちが用意して発言させているものなので出ているデージンの個人的なポエムとは違うから重みはある)からこの方、ついには茂木さんまでもがぶっこみにくるというように、日銀は悠長なことをしている場合ではないという情勢に追い込まれていますので、まあ屁理屈に使えるものは何でも使ってくるからこの流れ(加重中央とかきれいに反転しているし)も使えますね、とは思います。
品目ベースでは
Jan-23 80.3 12.6 67.6
Feb-23 81.0 11.7 69.3
Mar-23 82.6 10.0 72.6
Apr-23 84.3 9.2 75.1
May-23 84.9 8.8 76.1
Jun-23 84.9 9.2 75.7
Jul-23 85.6 8.4 77.2
Aug-23 86.0 8.2 77.8
Sep-23 87.0 7.3 79.7
Oct-23 84.7 9.6 75.1
Nov-23 83.0 11.3 71.6
Dec-23 82.0 12.1 69.9
Jan-24 83.9 10.7 73.2
Feb-24 81.8 12.8 69.0
Mar-24 79.5 15.1 64.4
Apr-24 80.8 14.0 66.9
May-24 79.3 15.5 63.8
Jun-24 78.7 16.1 62.6
ほうほうそうですかってなもんですが、下落品目が徐々に増えているのって別にデフレマインドとかそういうのではなくて、物価上昇が起きる中で、ニーズの少ない商品というか相対的な魅力度の低い商品は値上げに耐えられないので落ちこぼれる、ということなのであれば、それって今まであまり起きなかった市場メカニズムみたいなのが起きているって話で、マクロ的には良い話になるんじゃないですかねえ、個別で言えばシバキ上げってことですが、そもそもシバかれるべき商品や企業や無能な高給取り(高級取ってる覚えはないが目から汗がwwww)などをやりやすくするのがインフレであるともいえるんじゃないかねえとは思いますし、よー知らんけど。
〇そろそろ証文の出し遅れになるから決定会合プレビュー雑談
・踏み込まない輪番減額と9月利上げ予告ホームランという大予想(フラグではない)
まだ変な確定報道は出ていないな(というか多分今回事前はもう「普通の観測記事」しか出ないと思うんだけど念のため)と思いつつ雑談。
先日の茂木さんの例のどう見ても裏にプロが付いているとしか思えない発言にもありましたが、まあ本来は利上げとっとと行って、かつ「物価安定目標達成への確度が高まってくれば徐々に政策金利の調整を今後も実施する」ってのを明確に打ち出す、ってのが先に来て、その時に長期金利跳ねるのって最初は怖いでしょうから(正直跳ねないんだが・・・・)輪番はその後手を付ける、って順序の方がやりやすかったと思うのよ。
ということでありまして、まあ輪番も明日から0にしろとアタクシ的には思いますけど、そうも言ってられないとい中で輪番をガッツリ削るのと短期政策金利を上げるのとどっちかを選べって言われたら日銀としては短期政策金利を選ぶと思うのですよね。いわゆる糊代論的に考えても短期政策金利の方を1%に近いところまでは上げたいでしょ。
しかしながら、なんでそうなったのかというと結局のところ5.13事件(サプライズ長期輪番減額)で輪番に無駄に注目が集まってしまったために輪番に手を付けざるを得なくなって、6月会合で何もしないと為替がやばいし、かといって輪番減額についてまとめきる時間もないし、となって今回のような謎施策になったんだと思いますわ。個人の妄想ですけれども。
でもってアタクシはネタにするのも時間の無駄かと思って割愛しましたが、参加者会合の議事要旨の方ではやや「ハト派的」な意見が目に付くように編集されていた、ってえ辺りからしまして、日銀ちゃん、今回の輪番減額で踏み込んだ減額をするほど根性が据わっているとは思えない節が多々あるわけですよ。
・・・・・と考えますと、やはり今回って「市場が考える目途、と言われる程度の減額(2年後に月額3兆ペース)」と「9月利上げ予告ホームラン」のセットが順当じゃないかと思います。
まあ7月に利上げしない理由もないのですけれども、輪番の踏み込んだ減額にも腰が引けている日銀ちゃんが輪番減額と利上げを同時に出す根性など持ち合わせている訳が無い(個人の感想です)のですが、たぶん「市場予想程度の輪番減額」で終わったら再度円売り安心感来々軒というリスクが高くなります、と思うので、どうせやるなら1月パターンで利上げ予告ホームランを打つということで。
・会見でうっかりいつもの「緩和的な金融環境が続く」をアピールしたら全てが水の泡
ここで重要なのって、マイナス金利解除の時と状況が違う事で、マイナス金利解除の時は実際にはYCCも撤廃したし、リスク性資産の買入も止めたし、出た瞬間は満額回答の内容だった訳で、ただ満額回答してしまうと金利やら資産価格がアイヤーとなるのが怖い、ということで「マイナス解除しても緩和的環境」ってのを無茶苦茶強調したんですよね。
その結果として緩和的環境アピールが過ぎて、挙句に輪番減らさないし6兆円強調しちゃうしで円安が進んだうえに4月会合での植田総裁のチョンボ発言と海外金利サガランチ会長で円安加速となってしまった、という実績があるので、今回の輪番減額と予告ホームラン(する前提で書いていますがw)に関しては「これを行ってもまだ緩和的」ってのをあんまりアピールしないようにしていくことが肝心だと思うんですよね。
実際問題として0.25%に政策金利が上がったって超越緩和には変わりないのですけれども、「今後も徐々に利上げする」って話の方に力点を置いて説明をしないと、ただでなくさえ植田総裁がしゃべると円安に飛びやすいので、植田さんサービス精神で全部を細かく説明しようとするんでしょうけど、そこはちょっと仕込みを用意しておいて余計なことを言いそうになったラジコンで会見場にいるはずの広報なり企画なりが植田さんの背中に電気流すくらいの事をしないとアカンと思います。
なんか会見で「このような措置を実施しましても緩和的な金融環境は続きます(ドヤア)」って言って折角の措置を台無しにする未来しか想像できないので、植田さんのスーツに今から仕込みの準備をしておいた方がええんでねえのと思いました(結構マジ)。
てかですね、黒ちゃんだったからボロが出にくかったものの、記者会見の生放映を日銀公式がやるってのは(いやまあFRBもECBもやってるからやらないってわけにはいかないというのも分かるけど)結構リスクで、政策反応関数が破綻している政策を理屈で説明できるわけないんだから、そんな政策をやっているのに会見質疑応答をまともに流し、かつちゃんとすべての説明を網羅しようとする(とほめていえばそうなる)植田総裁が説明にならない説明で政策の説明をしている、というのはノーリターンでリスクしか無いですな、と思ってしまいます、南無三。
・しかし2年間の減額計画初手で確定させるんですかねえ
2年間の輪番の減額計画ってどういう出し方してくるんでしょうねえ、というのも謎でして、年限別のバケットだってそのままなのか(ワイは途中のどこかで簡略化すべきと思う)、そもそも論として「2年後月額3兆円」っての過大な買入だと思っているワイとしては減額していく中で日銀が懸念するような金利の跳ね上がりが起きないのであれば、途中で減額拡大したっていいじゃんと思うので、最初から踏み込んだもの出すなら別ですが、腰が引けているのを出すんだったら2年間じゃなくて1年間くらいで出しておいて、その時の市場動向を見てその後減額を加速してもいいじゃんと思うのですよね。
ということで、2年間の減額ってのを初手で確定させるのって却ってよくない気しかない(2年後にゼロにするとか1兆にするとかなら別に良いのですがどう見たってそういう元気なものが出てくる雰囲気を感じないので)これもどういう出し方してくるんでしょうというのが謎ではあります。四半期ごとのオペ紙を2年先まで出して来たらそれはそれで笑えますけどさてどうなるのやら・・・・・・・・
ということで今朝は時間の関係上こんなところで勘弁してつかあさい
2024/07/23
〇茂木幹事長砲とは意外な砲撃が来ましたなこりゃ(日経記事)
ちょwwwwwww
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA224FB0S4A720C2000000/
自民・茂木氏、日銀の利上げ言及 「金融正常化を明確に」
政治
2024年7月22日 17:36
河野太郎がドヤ顔でBBG相手に英語インタビューをしてバチクソ怒られた後にぶっこんでくる、というのが茂木さん大胆不敵なプレイでその時点で凄いんですけれども。
『自民党の茂木敏充幹事長は22日の都内での講演で、日銀について「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と語った。過度な円安の是正へ分かりやすい情報発信を求めた。』(上記URL先より、以下同様)
まあアレです、日銀ちゃんも今まで自民党方面から「金利は上げるな円安にはするな」とか無茶苦茶言われていて、しかも金利上げるとかいうとアベノミクスとかいう邪宗門の信者が生き残っているのでバチクソ言われた挙句にどうせ景気が減速したら日銀のせいとぼこぼこにされるから利上げしたくないでござる円安は株上がるし大丈夫っしょ(格差拡大とか知らんがな)という考えで現状維持で粘ろうとしていたんだろうなーというのはだいたい想像できますので、茂木さんなのでアベノミクス残滓でも何でもないところが惜しいのですが、そうは言っても自民党の幹事長であらされますので、これは日銀が利上げしやすくなるお話。
というかですね、「正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」ということで過度な円安の是正にわかりやすい情報発信をしろ、とか別に過激派でも何でもなくて、普通に穏健なお話であって、そもそも論としてなんで隙あらば円安になるかといえば、ハトハトチキン総裁が隙あらばハトハトチキン発言を繰り返して、「現状維持で粘りたいでござる」という本音が見え見えなのが悪いわけですよ。
なお、日銀に言わせると「物価目標達成に向けて見通し通りに推移すれば政策金利の調整を行う」と常に言ってます、ということになるんですけれども(公式文書はそうなっている)、今回の輪番減額だって「市場参加者会合を実施します」とか言って1か月半時間稼ぎして先送りし、その結果展望回だから本来は物価目標達成に向けて見通し通りに推移しているかどうか点検するタイミングなのに、輪番減額をショーアップすることによって利上げ判断を先に送る(いやまあ利上げする可能性はワンチャンのワンくらいはあるかもしれないけど)という技に出ている時点で、ああこいつら一歩踏み出すのが怖いんだろうなあとゆーのはよーーーーく伝わってくるわけで(とか言って来週蛮勇振るったら脱帽しますがズラは外しません)すな。
などとアタクシの悪態になってしまいましたが、茂木さんの指摘通りで、本来もう「通常の金融政策」になったのだから「タイミングを見ながら徐々に政策金利を中立に近いところに向けて引き上げていく」という方向性を明確に出せばいいだけの話なのですが、それを兎に角したがらない日銀のスタンスが円売り安心感になるわけですわ。
『政治から独立した立場にある日銀の対応に関し、自民党の執行部が公の場で注文をつけるのは異例だ。茂木氏は「過度な円安は日本経済にとってマイナスなのは明らかだ」と述べ、円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した。』
>円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した
>円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した
>円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した
ねーーーーーー
『円安の是正策として「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」と説明した。金融引き締めは「日本企業の経営からいって基本的に十分対応できる」と主張した。』
>「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」
>「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」
>「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」
いやこれ真面目な話、だれか結構ちゃんとした知恵袋がついてるんじゃないのと思いました。河野太郎のしょうもないインタビューとは出来が違いすぎる・・・・・・・・・・・
〇BBGちゃんの観測記事は「現時点で見解が全然収斂していない」ということでしょうかね
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-22/SH0DJ0T1UM0W00
来週の日銀会合、弱めの個人消費で追加利上げ判断が複雑化−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年7月22日 19:38 JST 更新日時 2024年7月22日 19:55 JST
→消費回復を今後のデータで確認へ、今回は見送りが妥当と一部当局者
→物価が予想通りに推移で一部当局者は前向き、機会逃すリスクも意識
「関係者」とはあるもののあんまりリーク記事っぽい書き方ではなくて、情勢についての講釈みたいになっていますね。まあ昨年来変なリーク記事っぽいのが出て決定会合の前に一々騒ぎになった挙句に国会で怒られたりしてましたし、まあ変なリーク記事なんぞ出ない方が健全というものです。
というか、まあ上記のリードの部分にありますように、そもそも意見が収斂するような状況になっていないので、決め打ちで書くことができなくて、その結果リーク記事っぽくならなくなっているだけ、という説も無きにしも非ずだがw
『日本銀行が来週開く金融政策決定会合では、足元で弱めの個人消費が追加利上げに踏み切るかどうかの判断を複雑化させている。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
ということなのですが、そもそも論として「個人消費が弱いから利上げを躊躇する」ってのは普通にブーメランな話でして、さっきの茂木さんのネタのところにもあったように、「円安による物価高」が個人消費を弱める大きな要因になっている訳で、個人消費が弱いから利上げを躊躇するってやったら円安進行しろって言ってるようなもんで、しかも円安進行すると物価に跳ねて個人消費がさらに弱まるんですから益々利上げできなくなる、という猫でもわかる理屈に対してどういう答えを用意しているのかと小一時間問い詰めたいし、最近は円安=物価高、ってイメージが多くの国民に広がっているように見えます(ので円安がニュースになると消費に跳ねやすい)、弱めの個人消費を理由に利上げ判断を先送りしようという人間の首から上についている物体はカボチャか何かなのかと小一時間問い詰めたい訳です。
しかしまあ何ですな、
『関係者によると、一部の日銀当局者は、高水準の賃上げを背景に個人消費が想定通りに回復していくかを今後のデータや情報などで確認したいとし、今回会合では利上げ見送りが妥当な選択肢と考えている。日銀が利上げを急いでいると受け取られることへの警戒感もあるという。』
『同時に、足元のインフレ動向が日銀のシナリオに沿って推移していることから、今会合での利上げに前向きな当局者もいると関係者は指摘。政策金利が0−0.1%という極めて低い水準にある中で、先行き不透明感の強さを踏まえれば、機会を逃すリスクを意識する声もある。』
ってなかなか見事な両論併記になっていまして、
『日銀は30、31日の会合での利上げの是非について、経済・物価情勢や市場動向を会合直前まで見極めた上で、最終的に判断する。』
って話なんだが今更ここから1週間でなんか天変地異でも起きるなら別ですけど、会合直前まで何を見極めますねんというお話なので、これはまあ要するに意見が全然まとまっていない、ということを意味する記事なんだろうなあと思いますし、意見がまとまらない、となると結局のところハトハトチキンのあのおじさんのご意向というのが反映されやすくなる、と考えられる訳ですので、そらまあハトハトチキンになってしまうんじゃないですかねえ(そうであってほしくはないが予想とべき論は別)、というところですな。
ところでこの記事、後半に輪番減額があるのですが・・・・・・・・・・・
〇結局日銀は長期国債買入減額の位置づけを誤魔化したまま減額計画を開始しそうですな(呆)
引き続き
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-22/SH0DJ0T1UM0W00
来週の日銀会合、弱めの個人消費で追加利上げ判断が複雑化−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年7月22日 19:38 JST 更新日時 2024年7月22日 19:55 JST
の後半です、小見出しが「国債買入減額」以下のところ。
『今会合で決定する今後1−2年程度の国債買い入れの減額計画について、日銀は市場にサプライズを与えるつもりはないと関係者は指摘する。』(上記URL先より、以下同様)
もうね、この時点で出オチのようにダメダメスタンスなのが明白なんですよお前らバナナのたたき売りやっとるんと違うんだぞという話。
何度か弊駄文で申し上げておりますように、そもそも論として、マイナス金利解除の時点で「普通の金融政策」になったという状況になった、という説明をハトハトチキン総裁が言明しておりますように、少なくともYCCは終わりましたし、じゃあQQEはというと、リスク性資産の買入は終了(満期がないものの残高が残るという大問題はあるが)していますし、大量の国債購入というのはどうなっているのか、という点についてちゃんと明確に定義づければ、そこから「あるべき将来像」が明らかに決まるのですから、市場にサプライズもへったくれもないわけです。
然るに、今回の輪番減額においては、長期国債買入(フローもストックも含め)の新しい位置づけをなーーーーーんも定義しないままただ「減額する」って言ってるし、その中で3月4月には「緩和的な環境が維持される」みたいなお前まだ金融緩和を積極的にやる気なのって情報発信をしている訳でして、長期国債買入減額を何のために実施するのかがさっぱり分からんわけです。
まあどうせ日銀からしてみたら、本当はもっと現状維持でノラリクラリとしていたかったのでしょうけど、外部環境がそれを許さなくなってきたので、なんかしなきゃいけなくなって、その際に利上げだとさすがに「一発やってはいおしまい」という情報発信ができないので実行するのがコワイヨーということで、じゃあまだしも輪番減額の方がマシか、ってなもんで輪番減額の話になった(正直アタクシは3月4月の感じだったら利上げ先行で輪番減額はそこそこ後になると思ってた)ってことで、そういう意味では為替円安対策の目くらましにぶっこんだんでしょ、ってツッコミを入れたくなる次第で、だからこそ「市場にサプライズ」みたいな論点が最初に出てくるんだと思います。(個人の感想です)
いやだってさ、将来的に適正なバランスシート(超過準備がある程度残る形になるのか残らない形になるのかはともかくとして今の超過準備が大杉栄なことは明白)に持っていくんだけど、長期国債売却みたいなことはしないでスムージングをするために減額する、ってんだったら2年後も月3兆円とかいう白川緩和時代をはるかに上回る買入してるのおかしいだろという話だし、一方でこの長期国債買入減額はあくまでも「緩和政策の調整であって緩和政策自体は継続する」ってんだったら2年とかいうような長いサイクルじゃなくて、精々1年間程度の話で計画考えるってことになるでしょうし、まあそういうそもそも論をすっ飛ばして対処療法のバナナのたたき売りやっているので、これ将来もまた訳の分からんことが起きるに1兆ジンバブエドルといったところではあります。
と、いきなり出オチに対して悪態をついてしまいましたが、記事を拝読すると、
『関係者によると、一部の日銀当局者は、市場参加者との会合などを踏まえて日銀の国債買い入れの減額姿勢に対する市場の理解が深まったと受け止めている。当初は減額は限定的との見方もあったが、現在は2年後に月間3兆円程度に縮小されるとの見方が市場の一つの目安になっていることを、日銀も認識しているという。』
お前は何を言ってるんだという話で、そもそも何のために国債買入減額をするのか、ということにたいして何の定義もしていないのに「減額姿勢に対する市場の理解が深まった」ってアホなのかと思いますし、2年後に月額3兆とかやる気無いにもほどがあるわ(1年後に3兆ならまだしも)という話。
てかあの参加者会合の事前意見と議事要旨みたら意見バラバラで別に何のコンセンサスも無いだろとしか思えないのですが、勝手に話を作るんじゃねえよと存じます次第でありますな。
〇またも2014年4月30日決定会合議事録から
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2014/gjrk140430a.pdf
このタイミングが「勝ち逃げ」の準備をする絶好のタイミングだったわけですけれども、まあ逃してしまったのはご案内の通りですけど、この時期の物価に関する各委員の見解は今読むと実に味わいが深いので、今日はPDFの53枚目からペタペタと貼っていくという磔刑増量企画です。
その前振りの部分です。
『黒田議長(途中思いっきり割愛しまして)この 4 点に限ることなくさらに議論したいと思うが、議論を整理するために、経済・物価情勢と金融政策運営の
2 つに分けて議論したいと思う。まず、経済・物価情勢に関して追加的なご意見があればどうぞ。』
まずは石田審議委員。
『石田委員
4 月の東京の消費者物価について、「2.7%の上昇のうち 1.7%が消費税率引き上げの影響であり、差し引き
1.0%が消費税を除く分で、これは前月と同じ水準なので、消費税分がフルに転嫁され基調はあまり変わっていない」との判断が多いようであるが、消費税の転嫁に絞ってみれば、転嫁しなかった人――1
番典型的なのはスーパーマーケット業界だと思う――も多かったと思う。転嫁しなかったところを他の一般的な上昇が埋めた結果、1%という数字が計算上出ている。』
『消費税を転嫁する人としない人がいて、消費税率以上に値上げした人の転嫁分が転嫁しない人に補給される訳ではないので、転嫁しない人の収益は減り、その分を仕入先に負担させるか自分の収益が減るかは別にして、いずれにせよ、ろくなことではない。』
『ただ、そうだとすると、今後、消費者の消費意欲がリバウンドすれば、転嫁できなかった人たちが徐々に3%引き上げてくると思う。その意味で、消費税分が全部転嫁されたというよりは、実質的には将来の価格引き上げ余地が残ったというのが私の考えである。その意味では、なかなか良い数字であったと思っている。』
次が中曽副総裁。
『中曽副総裁
黒田議長が論点として挙げられた 3番目のポイント、すなわち労働需給の引締まりが企業行動や賃金引き上げにどのように影響してくるかという点であるが、労働需給がタイト化し賃金への上昇圧力が高まっているので物価は上昇しやすくなっていると述べたが、問題は持続性である。』
『生産・所得・支出の好循環が働き始めているので、その下地はできていると思っているが、物価安定目標の達成をより確かなものとするためには、ベア――調査統計局によれば0.4%ないし0.5%の上昇が実現した――が重要だと思う。先程宮尾委員は、ベアがメカニズムとして入ってきたことが重要だと指摘されたが、私もそのとおりだと思う。』
『ちょっと気は早いが、このメカニズムに沿って、今年度の物価上昇率を反映して来年度もベアが実施され、結果として名目賃金が
2%の物価上昇率と整合的な水準に向けて持続的に徐々に上昇していくかどうかが、ポイントになると考えている。』
次が置物副総裁。
『岩田副総裁
物価動向については、エコノミストフォーキャストは別にして、家計と企業という実際に買い物をしたり現場で仕入れたり売ったりする人の判断が、物価上昇方向に歴然と変わってきていると判断している。先日、連合の人と会ったが、今後の賃金も企業の価格設定も、これまでのような「物価は下がるもの」との前提で行動するのではなく、上がることを前提にしなければ、収益が確保できないような状況になってきているということであった。デフレマインドから穏やかなインフレマインドに変わり、家計や企業の行動が変わってきていることが、2%へ向けた物価の持続的な上昇を担保すると考えている。』
実は以下延々と続いているのですがいったんこの辺で磔を打ち止めにしますけど、労働需給の引き締まりによるどーたらこーたらとかって話、既に10年前もそういう話をしていたわけで、何のことはない物価に関する論点って既にここの辺りで出尽くしていたのですから、「2年で達成」が難しくなった時点でQQE拡大じゃなくて他に取るべきことはあったんじゃないのでしょうかねえ、と今更にして思うのでありました、ということで単純に貼り付けただけの手抜き企画で大変恐縮ですがちょいとだけ貼ってみました。ちなみにこの会合では佐藤審議委員の発言が全般的に見ごたえがあるのですが、佐藤さんのだけ貼ってても何なので今回はパスしました(実はこの次が佐藤さんのターン)。
2024/07/22
おやおや
https://jp.reuters.com/world/us/MDAKABD3XZNIBH43JMYYMVNU7I-2024-07-21/
バイデン大統領、米大統領選から撤退表明 「ハリス氏を支持」
By ロイター編集
2024年7月22日午前 4:46 GMT+9
『[ワシントン/リホーボスビーチ(米デラウェア州) 21日 ロイター]
- バイデン米大統領は21日、米大統領選挙から撤退する意向を表明し、ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持すると述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ありゃまあ。
『共和党の大統領候補のトランプ前大統領は21日、バイデン氏の撤退表明を受け、バイデン氏よりもハリス副大統領のほうが負かしやすいとの認識を示した。』
やっぱりヒラリークリントンをだな(大嘘)
〇当日公表の事前アンケート回答と変わらんやないけ(参加者会合議事要旨)
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240719.pdf
「債券市場参加者会合」第 20 回議事要旨
というのが出たのは良いんですけど、結局書いていることが事前アンケート回答と変わらんやんけ、というのがあるんですが、そもそも論としてこういう中途半端な公表の方法ってのもどうなのかと思う訳でして、例えば減額幅にしても出た意見を一つづつ並べているんですけれども、本来はこれウェイトがあったはずだし、業態によっても見解が違っている筈なので(業態によって見える景色が違うんだから当たり前)グループごとにどういう意見が多かったとかそういうの書けよと思う訳ですよ。
あと、意見にしても意見をそのまま来た通りに載せないで事務局の方で変に端折っているせいで、これはこの前の事前意見公表の時にもツッコミをいれましたが、なんかポジショントーク丸出しのアホの極みみたいな意見があるように見えてしまうんですが、今回のこれはさすがに参加の皆さん「どうあるべきなのか」とか「現実的にどうなのか」とか多種多様な考えを持って極めて真面目に回答している筈なんで、意見を出すならパブコメみたいに素のままで出した方が良くて(その代わり最初の時点で「意見は出した個社名が分からないような形ですべて公開します」とする)意見の文章を事務局で丸めるのは良くないと思うのよね。
結果的には、「意見集めるだけ集めているけど、結局のところ日銀が自分のやりたいことに都合のいい意見を選んでくるだけの会合なのではないか」という話だし、しかもこれ対外的に言えば輪番減額して長期金利が跳ねたら(跳ねないと思うけど)「市場の言うとおりにやりました市場が悪いんです私たちは悪くないんです」って責任転嫁するための儀式にすぎませんでしたねえ、という悪寒しかしてこないのです(個人の偏見です)。
〇河野太郎クソワロタ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-19/SGUNBNT0G1KW00
鈴木財務相「発言は慎重に」、河野デジタル相に苦言−利上げ巡り
梅川崇
2024年7月19日 12:35 JST
よくよく考えてみたら河野ってデジタル何とか担当大臣で現役閣僚なのにあんな発言したというのもアレですが、河野って普段なんか答弁に困る質問が来ると(マイナ保険証とか)「所管外です」を連発して回答を逃げているのに、思いっきり所管外の金融政策についてドヤ顔(かどうか知らんが)で発言したとか面の皮が厚くて結構ですなあという風情。
『鈴木俊一財務相は19日の閣議後会見で、河野太郎デジタル相が円安是正を目的に政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めたインタビュー内容について、発言を慎重にするよう苦言を呈した。
鈴木財務相は、「市場に与える不測の影響というものを考えるなら、発言は慎重であってほしいと思っている」との見解を示した。「不用意な発言が市場に影響を与えてはいけない」ため、為替相場の水準や動きなどに関して自身は発言を控えていると述べる一方、河野氏は「そういう認識をお持ちでない中での発言だったのではないか」と語った。』(上記URL先より、以下同様)
これは相当怒られましたね。まあしかし円高に振れたんだからエエンチャウノとは思うのですけれども、株が下がってビビったんでしょうね、しょーもな。
『共同通信によれば、河野氏は19日の記者会見で、インタビューでの発言について、「日銀に直接利上げを求めたわけではない。デジタル収支の赤字などの中で、金利が上がれば円高になるという理論を申し上げただけだ」と説明した。』
wwwwwwwww
この記事のチャーミングなところは、上記部分の直後に
『関連記事:
●日銀は円安是正のため利上げを−河野デジタル相単独インタビュー
●円が1%余り上昇、河野大臣の利上げ要求で全面高−156円台前半』
ってなっているところでして、まるでそんな理論でいってねえだろこのアホがとしか言いようが無いのですが、金曜日にこのヘッドライン見て心の底から爆笑しましたのでクリップクリップ。
〇時々小出しにしていく金融政策決定会合議事録ネタ(2014年4月決定会合)
2014年4月の展望といえば、このころはまだ2%行くんじゃねえかとアタクシも思ったりした次第だし、何なら夏には勝ち逃げできるんじゃないかとか思っていた時期でしたが、勝ち逃げをしないでいたら結局今に至っている訳ですな。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2014/gjrk140430a.pdf
『W.金融経済情勢および当面の金融政策運営に関する討議』
『黒田議長
議論を再開する。本日は、金融経済情勢と展望レポートの評価および次回決定会合までの金融政策運営について、1
ラウンドで 1 人 7 分程度を目途に発言をお願いする。中曽副総裁からお願いする。』
というのがPDF27枚目にありますが、途中をかっ飛ばして佐藤審議委員の説明の辺りから鑑賞しましょう。
佐藤委員の説明の途中から引用しますね。PDF40枚目の途中からになります。
『展望レポートについては、物価の先行きに関する記述以外は執行部案で良いと思う。物価の先行きに関する表現については、私自身の物価見通しとの関係で違和感があること、また、私自身は「物価安定の目標」の枠組みは柔軟なものとの理解のもと、実績として
2%の消費者物価上昇率を達成することは必ずしも必要ではなく、達成のハードルもまた柔軟であるべきと考えているので、私自身の考えを反映した修文案を、後程議案として提出したいと思う。』
>「物価安定の目標」の枠組みは柔軟なものとの理解のもと
>実績として 2%の消費者物価上昇率を達成することは必ずしも必要ではなく
>達成のハードルもまた柔軟であるべきと考えているので
今見ればこの佐藤委員の考えに則ってとっとと勝ち逃げするなり、目標の柔軟化をしてアホな追加緩和とかをしなければよかった、という話になりますわな。
『見通し期間中の経済・物価の回復メカニズムについては、執行部案では、足もとの需給ギャップはゼロ近傍で、雇用面のスラック縮小が賃金・物価に影響を及ぼし始めているとの評価であった。これに対し、内閣府の推計による需給ギャップは依然マイナス
1%台半ばだが、資本ストック統計にまつわる諸問題を勘案し、また足もとの雇用情勢や先の短観における生産設備の過剰感の後退等の情報を総合すると、執行部案にあるように、需給ギャップはゼロ近傍にあると考えた方が実感に近い。』
『ただし、こうした需給ギャップ縮小は、生産性の低下などに伴う潜在成長率の低下によるとみられ、経済・物価の回復メカニズムとして本行が本来目指している姿とは異なる可能性がある点には注意が必要である。』
イイシテキダナー
『すなわち、製造業では、とりわけリーマン・ショック以降、国内での設備投資が低迷したことから設備ストック蓄積のペースが鈍り、その結果として潜在成長率が低下した可能性がある。』
『非製造業中心の回復で雇用情勢が逼迫しているのも、非製造業の生産性が製造業対比劣ることが影響しているとみられる。』
ふむふむ。
『こうした中で、持続的な回復に必要なことは、例えば、省力化投資による非製造業の生産性の底上げであろう。そうした非製造業の生産性の改善努力が製造業にフィードバックされ、全体として好循環が形成されれば、先行き潜在成長率の底上げ、ひいては
2%の物価安定の目標達成の蓋然性も高まると思われる。』
こうやって拝読しますと、既に10年前に物価に関する論点も出そろっていたんじゃないでしょうか、って思ってしまいますよね。
でもってPDFだと41枚目のところにまた良いことがかいてありましてですね、
『昨年 1 月の物価安定の目標決定に際して出した文書では、「金融政策は、物価安定のもとでの持続的成長を実現する観点から、経済・物価の現状と見通しに加え、金融面での不均衡を含めた様々なリスクも点検しながら、柔軟に運営していく必要がある」こと、また「持続可能な物価の安定を実現するには、特定の物価上昇率を特定の期限内に達成するといった機械的な金融政策は適切ではない」ことを明記している。』
『また、特定の物価上昇率という点では、展望レポートにおける政策委員の物価見通しがコアで示されていることから、物価安定の目標の達成度合いがあたかもコアのみで判定されるかのような誤解がしばしば見受けられる。』
『しかし、物価安定の目標の定義は、単に消費者物価であってコアではない。だからといって、私は物価安定の目標の達成度合いをヘッドラインのみで判定すると言っている訳ではない。達成度合いをみるに当たっては、ヘッドラインやコア、あるいはコアコアのみならず、帰属家賃を除く総合といったより生計費に近い概念、ひいては賃金を含む幅広い概念を包括的にみていくことが大事で、特定の指数に政策が紐付きになっているかのような情報発信は、政策の柔軟性確保という観点からは避ける方が無難と考える。』
この次に木内委員の発表タイムがありまして、こちらも木内審議委員の途中から引用しますが、PDFの44枚目になります。
『次に、物価の見通しである。過去 1 年間の物価上昇率は、自身の当初見通しを上回った。これは物価の為替感応度が従来よりも高まったことが主因であると考えている。ただ、先行きは、円安の効果が徐々に剥落していく可能性が高いと思う。これは、企業物価の前年比が昨年
11 月をピークに明確に低下傾向をたどっていることにも示されている。』
なるほど。
『他方、労働需給の逼迫を受けた賃金上昇を背景に、サービス価格が今後上昇ペースを概して速めていく可能性は比較的高いと思うが、円安効果の剥落分を相殺できるほどかどうかは不確実である。労働需給の逼迫が賃金全体をどれだけ強く押し上げるか不確かであることに加え、円安などによる原材料価格上昇分の価格転嫁と比べて、賃金上昇分を価格転嫁することは、消費者に受け入れられにくい面があると考えられるためである。』
実際そうでしたわな。
『また、中長期の予想物価上昇率は、足もとの物価上昇分を反映した程度しか上がっておらず、実際の物価上昇率を大きく押し上げる力を欠いていると引き続き考えている。これらを踏まえ、全国消費者物価のコアの前年比は、増税の影響を除いて暫く
1%台前半で推移した後、夏場以降 1%を割り込んでいくことを自身のメインシナリオとしている。』
はい。
『他方で、想定以上の需給逼迫から賃金・物価の上昇率が先行き上振れる可能性を排除するものではない。ただ、その場合は、成長ののりしろが限られているため、成長率は容易に高まらない一方、経済が不安定化することで物価上昇率の高まりも一時的に終わりやすいと思うし、その結果、中長期の予想物価上昇率も高まりにくいと思う。従って、物価上昇率が持続的に
2%程度で推移することを目指す「物価安定の目標」の達成に近づくことには、必ずしもならないと考えている。』
でもってこの次が金融政策運営の話ですが、
『最後に、こうした経済環境下での政策姿勢についてであるが、需給ギャップがゼロ近傍にあるとすれば、それは量的・質的金融緩和が既に相応の成果を上げたことを意味するとともに、需要側に働きかける金融政策の役割は低下してきているとも考えられる。』
実際にそういう状況だったのにも関わらず一段と金融緩和政策を強化した結果聳え立つクソのような緩和の残滓が残って今エライ目になっている訳ですな。
『このような環境のもと、緩和強化を通じて需要をさらに押し上げていくことは、経済の安定を逆に損なう可能性がある点にも留意し始めるべきかもしれない。』
!!!!!!!!!
『今後は成長余力が次第に縮小することが見込まれる中、成長率が巡航速度を保つことで息の長い景気回復が実現し、その間に、供給側では企業の取組みや政府の成長戦略などを背景に生産性上昇率や潜在成長率が高められ、それに応じて物価や実質賃金の基調的な上昇率が安定的に高まっていくことが望ましいパスであると考えている。私自身が今回の展望レポートで示した成長率、物価見通しは、こうした姿に近いものと考えている。』
今頃になって当時の佐藤さんや木内さんの指摘した論点をドヤ顔で説明しているということでありまして、まあ誰が正しかったのか、というのの決着もついてきているんじゃないかと思いました。
なお他にも興味深い指摘がありますのでまた続きはいずれ。
2024/07/18
〇河野デジタル相なのか介入なのかトランプなのか知らんけどこれは干天の慈雨な円高
サムネが実にあれだがまあしゃあないので引用wwwww
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-17/SGQYCADWRGG000
日銀は円安是正のため利上げを−河野デジタル相単独インタビュー
Alastair Gale、Shery Ahn
2024年7月17日 12:46 JST 更新日時 2024年7月17日 13:46 JST
→河野氏は自民党を率いて首相に就任することを目指している
→日銀は追加利上げのタイミング模索する中、月末に決定会合を開催
ということで、タイムスタンプ見ればお分かりのように、昨日の後場になってこれヘッドラインが出たんですが、なんか少し債券先物ちゃんが下がりまして、「えー河野太郎で反応するのかよー」などと見ておったわけですわ。まあ記事を見ますと、
『河野太郎デジタル相は、円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた。』(上記URL先より、以下同様)
ってアカラサマなヘッドラインが出ていたわけですよ。
『河野氏は17日、ブルームバーグテレビジョンに出演し、急激な円安がもたらす国内物価への影響などの問題を強調した。河野氏は円が安くなれば輸出の増加につながるが、多くの日本企業は海外に生産拠点を置いており、日本にとっての恩恵は限られていると述べた。インタビューは英語で行われた。』
ふーん。
『河野氏は「為替は日本にとって問題だ」とした上で、「円は安過ぎる。価値を戻す必要がある」と付け加えた。
』
だそうなのですが、そもそもこのおっちゃんデジタル推進担当大臣とかで、別に金融政策関係ないじゃないですかという話がある上に、デジタル推進で散々馬脚を現した結果、
『9月の自民党総裁選に正式に出馬表明した議員はこれまでのところいない。週末に行われたANNの世論調査では、石破茂氏への支持が27%で最も高く、次いで小泉進次郎氏が18%、河野氏と他の2人が6%だった。』
ということで一般の皆様からの人気もかなり落ちている訳でして、よほどなんかの間違いでも無い限り次期総理とか現実的でもないわけで、何の意味もねえだろとは思う次第ではあるのですけど・・・・・・・・・
Oh・・・・・・・
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024071701064&g
円急伸、一時156円台前半 日銀利上げ思惑で―欧米市場
時事通信 外経部 2024年07月17日22時57分配信
ってな訳ですが、海外時間の前に東京時間でも後場途中から円高ちっくになってきたと思ったら東京の夕方(というか3時位以降)になってホイホイと円高が進行する有様でして、アタクシの記憶と目が間違っていなければ昨日の東京時間の夕方5時から6時の間には156円20銭とか10銭とかいう水準になったりしてて、むしろこれ155円台に乗るんじゃねえかった感じに見えました、
上記記事より引用しますが。
『【ロンドン、ニューヨーク時事】17日の欧米外国為替市場の円相場は、日銀の利上げを巡る思惑から円買い・ドル売りが加速し、一時1ドル=156円10銭台と、約1カ月ぶりの高値に急伸した。ニューヨーク市場の午前9時40分現在は156円10〜20銭と、前日午後5時比2円16銭の大幅な円高・ドル安。』(上記URL先より、以下同様)
ということは東京の夕方からそのままって感じだったのですかね。
『河野太郎デジタル相が、円安是正には日銀の利上げが必要だと発言したとする米ブルームバーグ通信の報道をきっかけに円買い・ドル売りが拡大。トランプ前米大統領が同通信とのインタビューでドル高をけん制していたことも伝わり、ドルを一段と圧迫した。』
トランプでドル安はまあわかるが、河野太郎で動いたのを見てた感想としては「海外投機筋ってアホなのか」という方が先に来てしまいましたw
まあ日本でのデジタル推進での散々な馬脚の現し方とか冷静に考えてみれば海外の投資家がそんなクソ細かい話をしっている訳もないので、かつての一般人気の高さや、前回の自民党総裁選挙で次点、とかいうの考えて「河野総理になったら」みたいなことを考えるのかなあとは思った訳ですよ(河野総理とか悪夢以外の何物でもないが)。
『最近の米経済指標や連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を背景に、FRBが9月に利下げを始めるとの観測が広がったこともドル売りを促している。市場では日本政府・日銀による為替介入を疑う声も聞かれたが、邦銀筋は「ドルは対ポンドやユーロでも下げており、ドル売り要因が大きい」と指摘した。』
とまあそんな解説になっているのですが、ロイターさんによりますと・・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/WTKE67BJXVMU5PLM3EB3BCTUK4-2024-07-17/
円が対ドルで急伸、一時156.09円 介入の観測も=NY外為午前
By ロイター編集
2024年7月18日午前 1:32 GMT+9
介入観測ってのがもっと大々的に出ていますね。大明神の思い出介入ラッシュ来ましたかこれは!!!
『[ニューヨーク 17日 ロイター] - 17日午前のニューヨーク外為市場で、円が対ドルで急伸し、一時6月12日以来の高値を更新した。市場では日本当局による新たな介入との観測が出ている。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『ドル/円は一時156.09円まで下落。その後は1.12%安の156.56円近辺で推移している。コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は、他の通貨と比較し動きが大きかったことが「何らかの介入を示唆しているようだが、タイミングは理にかなっていない」と指摘。「実際に介入が行われたかどうかは判断が難しい。現時点では介入を示唆するようなフローデータは見られない」と述べた。』
『市場参加者の間では、11月の米大統領選の共和党候補であるトランプ前大統領が16日に放映されたブルームバーグとのインタビューで、最近のドル高について懸念を示したことが指摘されている。』
以下若干記事がありますが全文引用になっちゃうんでそれは回避しますけど、ロイターさんは太郎ちゃんのインタビューはBBG単独とかいうBBG日本的に目玉記事だから、なのかどうかは知りませんが言及がないのがチャーミングwwwww
なるほどまあこのタイミングで思い出介入もとい円押し上げ介入をぶっこんできた、たまたま河野太郎ちゃんの記事があったし、トランプトレードっぽくなっているし、という流れの中で介入をすれば円の押し上げにたいして「こうかはばつぐんだ」ってなもんですから、と考えるとそれはそれで思い出介入ではないもっと意思を感じる次第なのでありますが、まあ実際に介入しているのかどうかとか、その規模感とかもわからん(単に円安ドル高ポジションが巻き戻されただけでも戻る時は戻りそうだし)ところではありますが。
〇これで7月会合が「失望」だと日銀エライことになるという変な追い詰められ方が起きていますね
とまあそういうことで昨日も、というかこの前の介入の時も申し上げましたが、これは日銀にとっては本来であれば結構痺れる展開になってきておるわけでして、こうやって円安が戻ってくれたと言いましても、7/31に日銀が「失望」レベルの施策しか出してこない場合、この反動たるや結構ヤバいことになりかねないし、まあ仮にその後米国要因でおちついてくれたとしましても、「4月会合に続いてまた7月会合の植田会見で円安炸裂」とかいう話になってくると、さすがにこれは植田総裁におかれましては謎の体調不良になっていただいて途中辞任すべきではないかみたいな話になりかねないレベルのヤバさだと思うのですよね(6月会合の主な意見がもう既にヤバさを醸し出している)。
でまあそんなわけですので、うっかりしたら利上げ予告ホームラン位では許してくれないのかもしれませんとか思うとオラワクワクしてきただ、ってなもんですが、今回の場合って「事前の期待に満額以下の回答しかしない」となるのが一番日銀にとっては危険な結果を招くという会合になりますので、いまさらこの時間帯から「事前織り込みをさせる」ってのも割と難しくて、事前織り込みをさせると「期待」のハードルを上げてしまう格好になるので、実際の会合で「期待外れの刑」を食らうリスクが高まるんじゃなかろうかと思うのよね、まあ今回問題にしているのはほぼ為替市場で為替市場の中の人の発想は知らんのだけど(おいおい)。
とまあ妄想をたくましくして考えますと、ことここに至ると日銀からなんか情報発信って出しにくくなっているよな(自分でハードル上げて首を絞めるから)とも思いまして益々わけわからなくなってしまいましたがはてさてどうなるのやら。
引き続き「これで日銀に余裕ができた」という見方もできるんですけど、いや今回の場合はちょっと違くて、神田大明神の渾身の介入(渾身なのかどうかは微妙だけど)がマジで日銀のチョンボのせいで思い出介入(ちなみに「思い出介入」って「思い出王手」のオマージュですのでご存じない方は適当に検索してちょんまげ)に成り下がってしまいますと、やっぱりヤバいと思いますし、しかも介入込みで円安阻止している傍からとなるので、問題は大きくなっている、とアタクシは考えます、ただしいかどうかは自信一切ないけど。
まあもちろんのこと、これ米国株式市場が微妙に微妙(テックがアレ)だったり、大きな流れの中でドル高是正となっている、ってんだったら日銀が多少チョンボしてもリカバー可能なので、もしかしたらそういう事なのかもしれませんけれども、いずれにせよここまで来たら日銀からは変な情報発信出さないで決定会合に突撃なさった方が安全じゃないですかねえとは思います、
2024/07/17
昨日黒ちゃんの割と有名な講演「2%への招待状」のまとめの部分でダーウィンの進化論を引き合いに出していた部分がありましたが、ご参考までにこんな記事がございましたわ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/37932
自民Twitter炎上で注目 「ダーウィンの進化論」とは
2020年6月26日 05時55分
〇米国が引き締め撤収(一部か完全かは不明だが)モードで介入もした訳ですかそうですか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-16/SGOY4NDWRGG000
政府・日銀、12日に2.1兆円の円買い介入実施した可能性−2日連続
伊藤純夫
2024年7月16日 17:59 JST 更新日時 2024年7月16日 18:37 JST
→介入反映の17日の日銀当座預金の増減要因予想、市場推計とずれ
→円の振れ幅の割には金額が大きい印象、複数回の介入指摘する声も
『円相場が急騰した先週の外国為替市場で、政府・日本銀行は12日に2日連続で円買い介入を実施した可能性が高い。為替介入が反映される日銀当座預金の見通しと事前の市場推計とに開きがあるためで、介入額は約2.1兆円と推定される。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほう。
『為替取引の決済は2営業日後となる。日銀が16日発表した17日の日銀当座預金増減要因の予想によると、12日に介入が行われた場合に反映される財政等要因の予想はマイナス2兆7400億円。東短リサーチとセントラル短資、上田八木短資の事前予想はいずれもマイナス6000億円だった。』
『円相場は11日夜、市場予想を下回る米消費者物価指数(CPI)の発表後に、1ドル=161円台後半から157円台前半まで急騰。12日にも急速に円高に振れる場面が見られた。当座預金見通しからは、11日には約3.5兆円の円買い介入が行われたと推定される。』
とのことですが、ゆうてこれだけ介入して、しかも米国がやっと利下げ云々という話になって、
https://jp.reuters.com/markets/bonds/
金利・国債
債券利回り
米国債10年 利回り US10YT=XX +4.181
とか言ってるのに、
外国為替
米ドル/日本円 158.3300 +0.20%
とか言ってるわけでして、昨日の東京時間帯だって朝方の158円ドタくらいからホイホイと円安が進んで158円80銭水準まで円安になる、という隙あらば円安の様相を呈している訳でして、こういう状況において「米国が利下げモードになって来たので日銀は政策修正を急がなくて済む」とか言ってる何とかスト様って目が節穴か何かなのかと小一時間問い詰めたい次第でして、7月会合で大したもん出さなかったりしようものなら神田大明神の思い出介入がガチの思い出介入になってしまうという台無しモードになるわけでして、いやここは何かの形で威勢のよさを示す必要があるんじゃないのかね、と思うのでした。まあ思いっきり個人の感想ですけど。
まあ何度か申し上げているように、派手に輪番減額計画を打ち出すか、減額は普通でも9月利上げ予告ホームランをするか、という感じかとは思うのですが、あとは「将来の姿」として日銀のバランスシートは将来的には「必要最低限の超過準備」状態まで圧縮していきます、今の段階でその「必要最低限の超過準備」の水準が幾らなのかはさっぱりわかりませんが、どっからどう見ても今の状態ではないのは間違いないです。という話をきっちりと出す、というのが効くのかどうか知らんけど、バランスシートにしろ政策金利水準にしろ、「将来の定常状態は実はこんな感じです、ちょっと今の時点で数字までは示せないけど」っていうのを出して、方向性をきっちりと示すのダイジダイジネーと思うのでございますわよ(個人の感想です)。
〇生活意識アンケート結果が色々とヤバい件について
サーセン出遅れました。
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2407.htm(簡易版)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2407.pdf(全文)
でもって全文のPDFバージョンから以下引用します。『1.要 旨』ということで・・・・・・・・
・景況感が悪化ですかそうですか
『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』がもうのっけからヤバい。
『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)についても、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。』
3月調査で改善したと思ったらまた悪化しやがっている訳ですが、昨年は6月調査でジャンプアップしてその後下がって今年の3月調査で盛り返したと思ったらまた下がる、という動きになっていますね、本文2ページ(PDFも2枚目)の『<景況感D.I.の推移>』ってのを見ると目の子でそんな感じになっています。
『現在の景気水準は、『良い』(注1)との回答が減少し、『悪い』(注2)との回答が増加した。』
そらまあそうなりますけど、『1-1-2. 景況判断の根拠』を見ますと、
『景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」といった回答が多かった。』
っていうのは上位項目の順位とか変わらんのでさておく(ついでに金利水準の話もどうでもよいのでさておきます)としまして、問題は次の『1-2.
暮らし向き、消費意識』でして、
・暮らし向きや雇用に関する回答が軒並み悪化しているのが景況感悪化の背景なんでしょうね知らんけど
『1-2-1. 現在の暮らし向き』
『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が減少し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。』
でもって『<暮らし向きD.I.の推移>』というのがありまして(ちなみに本文5ページ)、前回3月調査で上向きになった、と思わせておいていきなりの下げで元の木阿弥という図式になっておりまして、次の項目では
『1-2-2. 収入・支出』
『収入については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が増加したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。先行き(1年後)については、「減る」との回答が増加したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。』
減ったというよりも実質が減っているという印象なんじゃないのかな、と思うのですが、
『支出については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が増加したものの、「増えた」との回答も増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が小幅に拡大した。先行き(1年後)は、「減らす」との回答が増加したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が拡大した。』
これどう見ても生活アイテムの価格上昇が体感的に言って止まっていない(毎度なんかのアイテムが値上げになっている印象が強いんですよねえ、第二種兼業主夫としては)
『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。』
これは回答の過去2回分含めた『(図表8)今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視すること(複数回答)〔Q11(2)〕』を見るとわかりやすいんですが、上位陣の順位は毎度こんなもんなのですが、ただまあポイントを見ますと『今後の物価の動向』というのが徐々にぶっちぎりの状態になってきています。
ということでですね、そもそも論として「インフレ期待が高まれば先に消費をしようとする動きが出る」とか寝言言ってたリフレ派とかいう連中の論がどれだけ机上の空論だったのかというのがよくわかるわけですよ、いやはやなんとも。
でもって、
『商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「長く使える」といった回答が多かった。』
これも『(図表9)今後1年間、商品やサービスを選ぶ際に特に重視すること(3つまでの複数回答)〔Q11(3)〕』だと直近半年しか見れませんけど、一時は安いだけじゃない、ということで「コト消費」とかいう言葉がよく言われていた頃もありましたが、最近すっかりそういうの言われなくなりましたよねえ。まあその手の「イベントでは使う」ってムーブは終わったわけではないと思いますけど。
まあ1回だけなら誤差かもしれないのですが、次の『1-2-3. 雇用環境』は割と意外でして、
『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は悪化した。』
マジっすかという感じで、最近の日銀の得意技は「労働市場の構造変化」とかいうお題になっているのですが、『<雇用環境D.I.の推移>』見ても前回がピークみたいになっているのは何ですねんと思いました、1回だけならダマシかもしれんけど。
・物価ですがこの期に及んで予想インフレが上がっているようにしか見えませんけど
でまあ本命の物価ちゃんですけどね、ということで『1-3. 物価に対する実感』に入ります。
『1-3-1. 現在の物価』からの、
『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+15.7%(前回:+14.2%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』
あらあら前回より上昇していますわ、CPIで出てきている流れと微妙に違いますな、ってな感じですが、ヘッドラインの物価指数って原数値で見ても1月106.9→5月108.1となっていて、季節調整後の前月比でみると昨年11月以降2月まではゼロ近傍(全部総合で話をしておりますので念のため)ですが、3月からは0.2→0.2→0.5って感じで上がっているから、まあそっちの方が効いているんじゃなかろうか、とは思いました。
まあそれはさておきこの先ですよヤバいのは、ということで『1-3-2. 1年後の物価』に行きますと、
『1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台後半となった。』
まあこれは良いとしまして、
『1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+11.5%(前回:+9.4%)、中央値は+10.0%(前回:+5.0%)となった。』
ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwwジャンプアップにもほどがあるだろwwwwwwww
ということで『(図表12)1年後の物価に対する見方〔Q14、15〕』の『<1年後を現在と比べると>』とか『<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか>』とかが中々のアレ。
・・・・ただまあどうせ日銀のことですから短期の物価見通しが上がることについては「これは物価目標で重視する予想インフレではない」(キリッ)って言ってみなかったことにするんでしょうけれども、まあこの結果見ますとこりゃ先行きの消費が防衛的になるわな(さっきの方の雇用判断DIの悪化も含めまして)という大変に香ばしいお話になるわけでして、それもこれも円安コストプッシュが悪いのであり、円安を放置どころか、MPM前に威勢の良いこと言って円安阻止の口先介入をするのに、肝心のMPMで出すものがショボいわ記者会見ではハトハト音頭を踊りだすわで、期待させて失望の繰り返しをしてわざと円安にしてるんじゃないか位言いたくなるような日銀が悪い、という刃がいつ向かってくるのでしょうかねえというお話ではありますな、ちーん。
でまあ日銀ちゃん、どうせ「1年後の物価見通しは政策とはあまり関係ない」で押し通すのでしょうけれども、『1-3-3.
5年後の物価』を見ますとですな、
『5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台前半となった。』
というのは良いとしまして、
『これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+8.7%(前回:+7.5%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』
文字列の方を見てもいまいちヤバさが伝わりませんが、『(図表13)5年後の物価に対する見方〔Q16、17〕』というのが分かりやすい(ちなみにこの部分は本文12ページ)訳で、『<5年後の見通し>』とか『<5年後の物価は現在と比べ毎年、
平均何%程度変化すると思うか>』とか普通にヤバいだろこれ、と思うのでございます。
ちなみにその先の『1-3-5. 5年後の物価が上昇すると考える理由』では、
『5年後の物価について『上がる』(注)と答えた人(8割台前半)に、その理由を尋ねたところ、「最近物価が上がっているから」との回答が最も多く、次いで「中長期的に物価は上がるものだから」といった回答が多かった。』
となっているのですが、『(図表15)5年後の物価が上昇すると考える理由(複数回答)〔Q16-a〕』を見ますと、『最近物価が上がっているから』の回答が増え続けている一方で『中長期的に物価は上がるものだから』が減っているというのがチャーミングですね。
・日銀言われてるゾ(おまけ)
半年ごとに実施している『1-6. 日本銀行に関する認知度・信頼度等』ですけど、
『1-6-5. 日本銀行への信頼度』のところなんですけど、『(図表24)日本銀行への信頼度』の中にあります、『(3)日本銀行を信頼していない理由(2つまでの複数回答)〔Q23-c〕』を見たら、
『日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思わないから』
ってのがガンガンズンズングイグイ上昇という風情で推移しているのが大変にセクシーな結果になっておりまして、これは大変に心温まる結果でした。
ということでですな、同日に出た展望レポート別冊ちゃんと違いまして、こっちはさすがに出てきた数字を変える訳にもいかないし、忖度入れたアグリゲートをする訳にもいきませんので、そのままドドーンと生で出てしまえば、こういう感じになりますよっては事ではありますな。
まあそんなこんなで日銀ちゃん、7月会合余裕をもって対応している場合じゃないとは思うのですが、どうせ余裕ぶっかまして対応して9月会合に向けて泣きを見るという毎度の未来予想図に1万アルゼンチンペソと言ったところでございますな。
2024/07/16
〇さくらレポート別冊が早速来たのだがこれまた「どっちでも使える」内容になっていますなあ
金曜に出すくらいなら支店長会議と同時に出せたんじゃないですかねえ。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb240712a.pdf
地域経済報告
── さくらレポート ──
(別冊シリーズ)
地域の中堅・中小企業における賃金動向
―― 最近の企業行動の変化を中心に ―
ということで出たのですが・・・・・・・・・・・
本文1ページ(PDF3枚目)に鏡があってですね、
『地域の中堅・中小企業における賃金動向
―― 最近の企業行動の変化を中心に ――
【要旨】』
ってことで囲みの部分を鑑賞しますと、
『地域の中堅・中小企業へのヒアリングによると、今年の賃金動向については、昨年を上回るあるいは高水準であった昨年並みの賃上げの動きに広がりがみられている。』
はいはい威勢が良い威勢が良い
『こうした賃金動向の背景としては、@物価上昇を受けた従業員の生活への配慮、A競合他社や大企業等との人材獲得競争、B業績の回復・好調、C効率化や生産性向上の取り組みの進捗などが指摘されている。』
イイハナシダナー(じっと住民税課税通知書を見るが目から汗がorz)
『また、年齢層や専門性等による賃上げ率のメリハリ付けや、賃上げとセットでの労働環境の改善や福利厚生面の充実など、経営の基盤となる人的資源を巡っては多様な取り組みがみられている。』
イイ(以下同文)
『ヒアリングでは、中堅・中小企業が直面する環境の厳しさを指摘する声も少なくなかった。すなわち、@原資が十分でない中でも人材の確保・係留を優先した「防衛的な賃上げ」を実施、A賃上げの一方で、給与カーブのフラット化などにより総人件費上昇を抑制、B収益不芳や原資不足で賃上げを見送り、といった企業も相応に存在することが確認された。』
なにかが心に突き刺・・・いやなんでもありません。
『賃上げの動きが広がるもとで、企業間の格差・ばらつきも大きくなっている。』
まあでもゆうてこの「経済成長続いて価格ダイナミクスのある世界」ってのは必然的に基礎的な収益力の無い企業は優勝劣敗の原則がワークするのでこうなるのは当然である、というお話でもあるので、ここを捕まえて全企業が上がらないのは怪しからんとかそういう事をいってるとおかしなことになってしまうんですが、まあこの部分をどういう解釈で「使う」のかってのは大事な話なんですよね。
つまりですね、黒ちゃんが2014年末の経団連講演で言ってた
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2014/ko141225a.htm
【講演】「2%」への招待状
日本経済団体連合会審議員会における講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2014年12月25日
の最後の部分、
『要するに今の過渡期的な状況を利用するかどうかは、早い者勝ちの面があるということです。デフレのもとでの「縮小均衡」の経済と、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」の経済とでは、企業を取り巻く環境は全く異なります。企業経営のルールブックが変わるということです。進化論を唱えたダーウィンは、「生き残るのは、強い生き物ではなく、変化に対応できる生き物だ」と言ったと伝えられています。いち早く環境変化を先取りし、「拡大均衡」の経済に対応できた企業こそが競争の「勝者」となり、新しい時代における繁栄を享受できることになるのだと思います。』(この部分だけ直上URL先の2014年12月黒田総裁講演より)
ちなみにこのダーウィンの云々は実はダーウィンの言葉じゃないとかなんとかそういうツッコミがあったような気がしますがそれはさておきまして、拡大均衡(拡大してましたっけとか言わないw)の世界ではまあこうなるのはこうなるわけで、ついていけない企業はそもそも社会的意義を果たしていませんのでその資源はきちんと意義を果たしている企業にどうぞってな話になりますわな。
・・・・・・・とは日銀言わないんですよね、円安放置して生活困窮化進める方には全然無神経な癖に。まあ連中がどっち向いて仕事してるのかって話だがその悪態はまた後日としまして先に進みましょう。
『また、人手不足は一過性のものではなく、今後も継続して賃上げを実施することが必要との認識も深まっている。このことは、以下のように、賃上げ原資の確保も見据えた企業行動を促している。』
ということで、なんか構造的に賃金上がって物価が上がるみたいになっている、ってな話はしているのですが、
『第1に、価格設定スタンスの変化である。今年の賃上げに関しては、既往の原材料コスト等の価格転嫁の進捗が賃上げ原資の確保につながったという声が多い。』
『この間、賃金上昇を価格に転嫁する動きについては、人件費の価格転嫁は難しいとする企業はなお少なくないものの、非製造業では、サービス業など、人件費比率が高い業種や人手不足感の強い業種を中心に、転嫁を実施・検討する動きに広がりがみられている。』
『製造業についても、最近の政府の後押しもあって、価格転嫁が進めやすい環境に向かいつつあるとの声が聞かれた。』
と、いきなりいつもの第一の力第二の力の話をおっぱじめてしまう訳でして、いつもの屁理屈の理屈を使うとこれですと第二の力になっているかどうかは今後次第、とかいう話になっていつまでたっても物価目標達成にならないですなあ。
でまあこういう表現をしている、という時点で「物価目標達成が視野に入ってきたのでゼロ金利とかいう明らかに超緩和的な金利水準の修正を実施する」という話にはならない、というのが明らかです。
『第2に、生産性の向上に向けて、設備投資やAIなどのデジタル活用が活発化している。ただし、専門人材やノウハウの不足、財務面の弱さなどが、投資の制約になる事例も増えており、今後注意が必要である。』
生産性が上がると基調的な物価が上がるって話ですな。
『第3に、事業再構築、他社や大学等との連携強化、M&Aなど、経営の持続性や成長力を高めるための抜本的な経営変革の動きも徐々に増えている。』
まあ正直大学と連携して何になるのか知らんけど、事業再構築とか、企業の承継に伴って生産性の高い企業に資源が集約されていく、というのは全体的にみたら悪い話ではないので、この話も基調的な物価が上がるって話。
『今後の賃金動向とともに、こうした企業行動の変化が着実に続いていくか、さらに、それが地域経済にどのような影響を及ぼすかが注目される。』
ということなので、要旨部分で言ってるのは「成長力強化が進んできている動きは見られるのでその点は良いのだが、好循環は道半ばです」っていう話で、これはまあ普通に解釈すれば「政策修正はゆっくりとしかしませんよ」ってなもんでして、この要旨を単体で見ますと7月にゼロ金利状態からの脱出をしそうな雰囲気は感じられませんですな、残念無念。
まあゆうて結局のところ日銀の政策修正は「お気持ち」と「なんかの圧力」によるものであって理屈はどうせ後付け(だから言ってることが首尾一貫していないわけで、それが一番わかりやすく示されているのが展望レポートハイライトでそろそろ出る頃なので今回は何を出すのか楽しみにしていますわ)なので、まああと半月残っているので決め打ちは禁物ではあるんですけどね。
『1.はじめに』ってところだけ見ますとですね、
『わが国の企業では、人口減少・少子高齢化などを受けた追加的な労働供給余地の減少にコロナ禍以降の経済活動の回復の影響も加わり、人手不足感の強い状態が続いている(図表1)。』
結局QQEは何だったのかという話(ただの金融緩和でよかったのではないかという話)になりますけど。
『日本銀行のアンケート調査1によると、働き手の確保に支障が出ることへの懸念などから、業種・企業規模を問わず、多くの企業が賃上げスタンスを積極化させている(図表2)。』
ほうほう。
『こうした中、今年の春季労使交渉では、大企業における高水準の妥結が相次ぎ、賃上げ率は、大きく改善した昨年からさらに加速した。この間、中堅・中小企業については、労働組合の組織率の低さや賃金改定時期のばらつき等から、賃上げの実態をタイムリーかつ包括的に把握することは難しいが、現時点で利用可能なデータを踏まえると、大企業には見劣りするとは言え、高水準の賃上げが実現した昨年程度か、それを上回る賃上げが実現する可能性が高い(図表3、4)。』
はい、ここの表現がまあ事実そうだけど味わいがあるわけで、中小も含めた賃金動向を確認したい、ということになりますと9月決定会合までの間にはさすがにデータがそろいますので、そういう意味では7月会合で9月までのデータを見て最終確認したい、というような予告ホームランを打ってくる方が、賃金動向だけを見た場合には妥当ということになるわけですなこの説明っぷりだと。
しかしまあ氷見野副総裁が以前の講演で言ってたように「そもそも全部青信号ってことは無い」のだから普通はこれだけのデータそろったら7月展望で利上げできるじゃろと思うのですし、まあもっとそれ以前の話でこの人たちやる気がない場合は賃金の話は忘れてしまって別の屁理屈繰り出してくるので、まあこれがあるから7月予告ホームラン来るで、と決め打ちもできないのが残念なところです。
なぜかといえばこの次の段落は、
『ただし、こうした中堅・中小企業の中には、十分な業績改善や原資の裏付けを伴わない「防衛的な賃上げ」に踏み切った企業が相応にみられると指摘されることも少なくない2。』
ほらきた。
『このため、今後、中堅・中小企業が持続的な賃上げ力を具備していくには、収益力や生産性の向上が必要との声は多い。積極的な賃上げが、価格設定のほか、設備投資やデジタル化の積極化などの企業行動の変化を伴いながら定着していくかが注目される。』
ということで、中村審議委員が大好きそうな話になっている上に、この言い方ですと「持続的な賃金上昇の定着には課題が残っている」という説明になるので、見極め地蔵になるための理屈がきっちりと用意されているんですよね。
『日本銀行では、こうした問題意識から、地域の中堅・中小企業(零細企業を含む)における賃金動向、価格設定等の企業行動の変化、賃上げの持続性に向けた課題等を把握するため、本年4月後半から6月にかけて、本支店・事務所で集中的に地場企業や経済団体等へのヒアリングを実施した。本稿はその取り纏めである。』
以下の部分は本日は割愛ということで(面白そうならネタにします)。結論は小見出しに書いた通りで、書いていることのどっちをフレームアップするかによって話はどっちにもできるという代物に仕上がっていました、という事かと思います。
2024/07/12
なるほど
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240711/k10014509401000.html
円相場 一時1ドル=157円台前半まで急速に円高が加速
2024年7月12日 4時46分
『11日のニューヨーク外国為替市場ではアメリカの消費者物価指数が市場の予想を下回ったことをきっかけに円を買ってドルを売る動きが強まりました。その後、一時、1ドル=157円台前半まで急速に円高が加速し、政府・日銀による市場介入が行われたのではないかとの見方も出ています。』
『11日のニューヨーク外国為替市場では、この日発表されたアメリカの先月の消費者物価指数の上昇率が市場の予想を下回ったことをきっかけに、FRB=連邦準備制度理事会が9月にも利下げに踏み切るとの観測が強まりました。』
『このため、日米の金利差の縮小が意識されて円を買ってドルを売る動きが強まりました。円相場はその後、急速に円高が加速し、一時1ドル=157円台前半まで値上がりしました。統計の発表前と比べ4円以上、円高に振れ、市場では政府・日銀による市場介入が行われたのではないかとの見方も出ています。』(上記URL先より)
ということで・・・・・・・・・・・・・・・・
〇7月利上げのチャンス来々軒なのではなかろうかという与太話(アメリカンCPI界隈)
これはさっきのURLですが
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240711/k10014509401000.html
円相場 一時1ドル=157円台前半まで急速に円高が加速
2024年7月12日 4時46分
『円相場はその後、急速に円高が加速し、一時1ドル=157円台前半まで値上がりしました。統計の発表前と比べ4円以上、円高に振れ、市場では政府・日銀による市場介入が行われたのではないかとの見方も出ています。』(上記URL先より、先ほどの再掲です)
指標で反応した後に追撃があったんですね。つまりは大明神の思い出介入???
大明神コメント、ってかそんな時間にもちゃんとコメントするのタフですね
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-11/SGGJLDT0AFB400
円急伸、一時157円台−神田財務官「介入有無コメントする立場にない」
宮井伸明、森 茂生、Rita Nazareth
2024年7月11日 21:31 JST 更新日時 2024年7月12日 2:05 JST
『神田財務官は米CPIを見て合理的に判断したか、それ以外の力が働いたとの市場の見方があると指摘。足元の為替の動きはファンダメンタルズに沿った合理的な動きとは言えないとし、投機が支配しているマーケットになっていると言われていると語った。
その上で、円安の国民に対する影響は無視できないとした上で、少しコレクションがあってもよかったと思っているとの見解を示した。』(上記URL先より)
だそうなのですが、これはイエレン先生の「介入するなら金融政策何とかしてから来やがれ(超意訳)」発言を考えまするに、この流れなら7月末のMPMでジャパンは長期国債買入減額計画出すのはまあこれは予定通りとして、それに政策金利の引き上げをぶち込んでおいて、でもってその日の晩にはFOMCで9月利下げの予告ホームランが出るとなりまして、かつ日本は利上げとともに「これからも物価情勢がオントラックで推移するならペースは慎重かも知れんけど利上げはやります見ててくださいゼロ金利制約の外れた植田和男の姿を、もうハトハトチキンなんて言わせませんよ!!!!(誰も言ってませんかそうですか)」と会見で華麗にジャガーチェンジして頂ければ、緩和垂れ流し日銀ということで進んでいた円安が止まるんじゃなかろうか、ってのを思ってしまった次第。
・・・・・・・うーんかなりのファンタジー物語になっていますが、米国は年前半の経済物価データが出そろったところで「2%物価鎮静化オントラック」ということで引き締め度合いの修正をぶっこむ、すなわち年前半の経済指標は7月〜8月にかけて出てくるのですから、それを受けて9月18日のFOMCで利下げ一発目、という風になるのであれば、日銀としては米国利下げとセット販売の如く緩和修正(利上げ)を打ち出せばダブル効果で効くし、何ならその瞬間に戦艦大和級の介入砲撃をぶちかませば(゚д゚)ウマーなのではないか、などとなんかオラワクワクしてきたゾ!!!!!!!
という妄想で頭がワクワクしてくるわけですが、これはいずれにせよ日銀としてはそりゃまあ建前上為替とは言わないにしたって、どうせどっかで切る利上げカードなら為替的に一番良いタイミングと考えると9月どころか7月も結構なチャンス来々軒になったのではないかという楽しい妄想は起きるというものです。
〇とは言いましてもまあ7月ってこれ減額の出し方とのセット販売になりそうに見えますが
さらに雑談ですけど、結局のところ今月のMPMの前にちゃんとした公式の平場での見解表明タイムが終わってしまって、このあと多分MPMまで何もない(国会も閉会中)ということになるのですが、
・短観→度肝を抜くほど強いわけではなかったけど、価格見通しとか「企業の価格設定行動」に関するところが「従来とちがったパターンで」強く、この「従来と違ったパターン」ってのがいわゆるノルムやインフレ期待だと思うと利上げの後押しにはなる、でもヘッドラインの部分がバチクソ強いかというとそれもまた微妙なので決定打にするにはちょっと
・支店長会議→さくらレポートのアネクの表現はどっちから見ても使える内容で利上げの言い訳にならんわけではないという
・債券市場参加者会合→ただの集計かよって感じだし、皆さんの回答の分布はこうなっていまーーーすみたいなのを出さないという技を使ってきましたので、一番邪推度を上げますと輪番減額公表してそのあと長期金利が跳ねたら「市場が金利が上がったら買うといってたので安心してこのような計画をだしたんですウソツキ市場が悪いんですあいつらクソです」と日銀が大保身モードになるための責任転嫁材料にしかなっていない気がしますな(個人の偏見です)
ということで、まあどれもこれも利上げ実施の機運に水を差すようなものではないのですが、さりとてよーしパパこれで7月は利上げだーーーと言って予告ホームランをするようなものでも惜しくもない、という物件が並んだ感じですね。
まあアレです、次回会合って輪番減額計画の規模をどのくらいにするのか、と政策金利引き上げをセットで売り込みにいくのか、はたまた利上げポーズを闘魂込めて大空にぶっこんでくるのか、というのは組み合わせの問題になるとゆー感じかなと。
つまり、最悪なのは「ショボい減額規模(個人的には2年で3兆までだとショボいというイメージだが市場コンセンサスがどこにあるのかは知らんし、そもそも為替様がどのように思っているのかはもっと知らん)」だけ」って奴で、これはもう円安再燃待ったなしということになりますわな。さすがに「相応の減額をする」って言ってるんだからそんなチョンボはしないと思いますが。
なので、「結構頑張った減額規模(個人的には最初の1年で半減まで持って行くのは最低限だと思っているけど市場的にはそれなら頑張ったで評価されるのとチャイマスカね)の減額」を入れてくるというのが次点ですが、その何兆円なら十分不十分ってバナナのたたき売り(昭和脳では普通の比喩表現でしたが最近聞きませんねえそういえば)みたいな話をしているのもどうなのかと思うのと、そもそも出したときに為替市場様がどう反応するのかがよく分からん面がある訳ですよ。こっちで相応の減額に値するんじゃねえのと思っても為替市場様がせせら笑って円安じゃ円安じゃとなるリスクはあるので。
と考えますと「まあ何となくコンセンサスっぽい輪番減額を打ち出しながら展望レポートの中で「物価目標達成への確度が一段と高まってきた」とかぶっこんでおいて、さらに会見で「今年前半の経済指標を確認して確度の高まりを確認していきたい」とか思いっきり予告ホームランを打ってしまう、という1月展望→3月利上げのパティーンを突っ込むのは、ちょうどアメリカン政策金利もこの調子なら9月には下がるとなっているので、日本単体じゃなくてUSも相まって金融政策の方向性の変曲点到来、となってなんか雰囲気変わるんじゃないの、という風に思いました。
・・・・・・・うーん我ながらなんかエライファンタジー成分の強いストーリーになっている気がしますが(自爆)、さらにファンタジーの上塗りをするならば、大明神の思い出介入にも見えるムーブがマジの介入だとしたら、それは思い出なのではなく、米国の金融政策がまさに変曲点に差し掛かろうとしている今が最大の政策修正開始チャンスだ、って日銀に行動を迫っている、という妄想にすると、これは思い出介入とかいうほのぼの案件から急に凄みのあるプレイに代わってしまうのがエッシャーの騙し絵みたいな話になりますな。
まあ為替は関係ないことにしているとはいえ、円安トレンドを反転させる必要があって、かつアメリカン政策が変曲点に達していない場合は円安対策的に無駄玉になりそうな利上げ着手ですが、米国が変曲点にあるなら無駄玉にならないどころかこうかはばつぐんだ、となるようにも見えなくはないので、7月利上げしなくても前回のような予告ホームラン攻撃をしておく、ってのはチャンス来々軒だと思うんですよねーーーーーー(個人のファンタジーです)。
2024/07/11
〇国債市場参加者会合バイサイドの巻&市場局資料の文字化け問題が解決していました報告
・・・・の前に
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf
「債券市場参加者会合」(第20回)金融市場局説明資料[PDF 706KB]
こちらなんですけど、昨日の朝「変なエディタでも使っているのかMS標準のテキストはおろかワードエクセルでもコピペすると文字化けする」と悪態をついたわけですが、今朝見てみたら文字化け問題が解消してちゃんとMS標準でコピペができるような状態になっていました。
差し替え頂きまして多謝であります。
さて本件、またもBBGさんの記事ですが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-10/SGE2HZT0G1KW00
日銀の国債買い入れ減額、生保など投資家の意見割れる−実務者会合
日向貴彦、田村康剛、伊藤純夫
2024年7月10日 14:18 JST 更新日時 2024年7月10日 19:54 JST
→生損保や資産運用会社など国内外25社が市場参加者会合に出席
→前日の銀行や証券との会合ではメガ中心に積極的な減額を求める意見
ええええええええ、なんでバイサイドの方がそうなるのよ、と思いましたが以下記事を拝読。
『日本銀行は10日、生命保険会社など機関投資家との債券市場参加者会合を開いた。会合では日銀の国債買い入れについて、過度な減額に反対するなどさまざまな意見が出たことが、関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
『会合には生保のほか、損害保険会社や資産運用会社など国内外の25社が参加した。流動性への懸念から日銀に緩やかな減額を求める意見が出た一方で、買い入れ自体をやめるべきだとの声もあった。会合の参加者が匿名を条件に明らかにした。』
「流動性への懸念から日銀に緩やかな減額を求める意見」とはこれまた面妖なというか、そもそも論として特に5-10(これから長期国債先物受渡最割安銘柄になるものとか)って日銀の買入のやりすぎで流動性が無いんですから、買入の減額が遅かったら今後も流動性が回復しないんですけどナンジャソラという感じですが、まあゆうてこの記事自体も又聞きな訳ですのでどういう趣旨でそういう話になっているのかさっぱり分からんけどどうなんでしょうね。
てか、「大規模緩和の慎重な解除」ってやってて結局その解除が遅すぎたがゆえに欧米ってインフレが飛んでしまって引き締めをゴリゴリやらないといけなくなって、特に欧州はスタグフちっくになってきている、というのが眼前に進行していたのに、なんでもっと極端な金融緩和やってるのの解除をクソのように慎重にやろうって発想になるのかがわけわからん次第でして、日本の場合は物価こそ精々3%とは言えもともとがゼロコンマいくらのインフレだったので実質所得や個人消費に思いっきり効いてきているわけだし、さらに言えばインフレはスパークしてなくてもその代わりに為替市場の方で無慈悲な調整が発生している訳ですわな。
挙句に「流動性への懸念(ナンジャソラというのはさておいて)もあるということで日銀は今のハイパー緩和の修正がなかなかできない」という認識が内外に広まれば、株価は上がるかも知らんけど円安がますます止まらなくなって輸入インフレの業火で一般国民の生活は焼き尽くされて資産今持ってる人だけウハウハとかいう美しい日本の対極みたいな世界になりかねないんですが良いんですかねえそれで。
しかしまあ何ですな、
『前日の銀行との会合では、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3行のうち、1行が早い段階で大きく減額すべきだと発言。別の1行は最終的に月間1兆円への減額を主張し、もう1行は3兆円に減額すべきだと述べた。地銀からはより慎重な姿勢が示された。
また、証券会社などとの会合では、複数の社が8月に即時に3兆円に減額した上で1年間継続するよう要望したほか、1年をかけて徐々に3兆円に減らすことを求めた社も複数あった。日銀は具体的な減額計画を提示しなかった。』
って言う事で、具体策出さなかったそうですけど、じゃあ何のために会合やりましたのやら(アンケート出させて個別に各社にヒアリング掛けてその結果を(個社が分からない形で)公表すれば良くて、何も人を集めてやる必要ないですよね)という感じで、まあなんかこれは対外アピールのために市場の意見を参考にしました、すなわち「市場の要望を参考にしてこのような計画をしたんで金利急騰したら市場のせいです私らのせいじゃないですウソツキ市場が悪いんです」と市場に責任転嫁するための姑息な保身のためのセレモニーでございますかそうですかそうですか、ってなもんで、6月の総裁会見の時にニュースソクラの方と日経の方に相次いで指摘されたまんまじゃん、って感じになりましたな。まあ過大には期待してなかったけどなんだったんですかねえ・・・・・・・・
そう言えば昨日ネタにした参加者会合資料ですけどちょっと思ったのは、
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf
『意見照会へのご回答(残存期間別の減額の進め方)』
『● 残存期間別の減額の進め方については、「短中期ゾーン中心に減額すべき」、「中長期ゾーンを優先すべき」、「10
年以下のゾーンを優先的に減額すべき」、「超長期ゾーンの減額を優先すべき」といったゾーン別の需給環境などを踏まえたご意見のほか、「市場中立的な買い方に見直していくべき」といったご意見を頂きました。』
って(文字化け問題が解消しているのでサクサクと入れられますな)話なんですが、意見色々とあって、個別個別で見るとどれもリーズナブルではあるのですけど、そもそも論として長期国債買入を何のために今後やっていくのか、というのを明確にすることから始まるのかな、と思います。
つまりですね、QQEの時には「MBを大きく拡大する、インフレ期待を引き上げる」ってので買っていたのですが、YCCの時には10年金利をピン止めする、という目的になっていた訳で、じゃあ今は何なんですかって言ったら、まあ「理念的には日銀の実質長期負債(発行銀行券+所要準備預金相当)見合いの長期資産まで落とすのが筋なんですが、そうはいってもこれまでアホみたいに買入をしていたので急にゼロにするわけにはいかない(ゼロにしろよと個人的には思うけどそれは別の話^^)のでスムージング」というのが正しい筈なんですが、その間にストック効果だの減額による長期金利の影響を見たいだのとかハトハトチキンが言い出すから話がややこしくなるわけです。
ということで、そもそも「何のために長期国債の買入を今後も継続するか」ってのが決まればそこからデザインする話ではないのかね、と思います。
でまあFED方式だといわゆる「マーケットニュートラル」になる方式、たしか国債の市中残存銘柄構成比率にできるだけ沿った形で買う、というのがあって、まあこの方法が市場中立的だから綺麗ちゃあ綺麗なのですが、この方式って日本の場合は取り扱いが微妙だと思うのですよね。
なぜかと申しますと、日本の場合は財政規律がガバガバになっている訳で、そのガバガバ財政の方がある日急に「将来のことを考えたら30年40年をバカスカ出すわ、どうせ日銀が買うんだし」みたいになった時にどうするの問題があって、市場中立に買おうとして財政マネタイズに加担することになりかねないわけですよガバガバ財政の下では。まあ普通の国ではそういうガバガバ事案は発生しないので特殊にもほどがあるのですが、その点ってのは気になりますなあと思います。
ってか昨日もこの市場局資料の意見に一言申し上げましたように「市場が買えないから日銀に買わせる」みたいな発想とか「金利が上がると困るから日銀に買わせる(これは長期金利ペッグ政策やってたら政策として押さえているのだからその行為の是非はさておいてまあ理にはかなっていたんだがおじいちゃん長期金利ペッグ政策はもう終わったのよ)」みたいな発想が涌いて出てくるあたり、どうみてもそんなの財政マネタイズだし、そういう状況だって認識がさらに広まれば円売りの格好の材料(というかまあすでに起きてるという説もなくはないが)になるわけでして、何でしょうかねえ結局のところ脳汁垂れ流しで財政垂れ流している緩和政策の弊害が歩いているような状況にこそ問題があるので、せめて市場からの規律付けをしていかないと、って思うんですけどね。
2024/07/10
〇国債市場参加者会合
・アンケート?まとめが公表される親切設計だったのでちょっと鑑賞しようと思ったら変なエディタ使ってやがるorz
「債券市場参加者会合」(第20回)金融市場局説明資料[PDF 761KB]
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf
ということですが、最初の方はどうでもよいのでPDF5枚目、本文4ページ以降のご意見が中々面白いというかカオスなのですが、今回のこの資料、何の風の吹き回しかいつも市場局が使っているエディターと違う物件になっているようで、資料の文字部分をコピペしようとするとマイクロソフトの標準装備(ちなみにワイは使っているソフトが古いこともあってプレーンテキストで書き物しているという変態でございます)のプレーンテキストはおろか、エクセルワードでも文字化けしやがるということをやらかしやがっておられます。
ちなみに前回以前の物はちゃんとプレーンテキストにも落とせるんで、明らかに今回だけ作った人間が別の編集ソフトしかもMS系じゃないもの使いやがったな、というお話なんですが、MSの変なフォント使う位ならまだしもMS標準装備でフォローされていない(一応ワイのこの書き物だって今日は最新とは言わないけど最近型のPCを使っているんですが)エディタを使うなと小一時間説教をしたい。
・・・・・・・ということでコメント手打ちしても良いんですがやってると時間を無駄に食うだけなので気が向いたら後日やっておきますわってなもんですorz
・でまあ意見紹介を見ると漸進的なのかと思いきや(BBG記事より)
ほうほうそうですかそうですか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-09/SG5ABFT0AFB400
メガバンクと証券、国債購入の積極的な減額を主張−日銀の実務者会合
日向貴彦、船曳三郎、伊藤純夫
2024年7月9日 9:15 JST 更新日時 2024年7月9日 20:26 JST
→メガ1行が1兆円、複数の証券は即時に3兆円へ減額を要望−関係者
→今月末の決定会合で減額計画を公表、市場の意見は重要な判断材料に
あらそうなんですか、って感じでして、さっきの資料見ると「最終的にはゼロにすべき」から「4兆円程度」まで幅があるのですが、各数字に対して意見の数は出さないで1個づつ出したという形になっているので、見た感じ「あれーあんまり積極的じゃないのかなー」とうっかり思ってしまったのですが、なんだちゃんとおまいら正常化志向あるじゃん、と安心しました。
ということで以下BBG記事から。
『日本銀行が9日午後に開催した債券市場参加者会合では、メガバンク3行と複数の証券会社が、日銀に国債買い入れの積極的な減額を求めた。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
ということで以下鑑賞。
『関係者によると、銀行との会合で、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3行のうち、1行が早い段階で大きく一気に減額すべきだと発言。別の1行は最終的に月間1兆円への減額を主張し、もう1行は3兆円に減額すべきだと述べた。地銀からはより慎重な姿勢が示されたという。メガ3行の広報担当者はいずれも、コメントを差し控えると回答した。』
前回金利のあった時代ってのが前にも申し上げましたが福井総裁の後期になりますが、この時の輪番が月に1.2兆円なのですからまあこの辺りは一つの目安になりますわな。
『証券会社などとの会合では、複数の社が8月に即時に3兆円に減額した上で1年間継続するよう要望したほか、1年をかけて徐々に3兆円に減らすことを求めた社も複数あったという。日銀は現在6兆円程度を毎月買い入れている。』
まあやっぱり1年間で半減は最低線ですよねーーーーーーーーーー
『日銀は6月に国債購入の減額方針を決定。市場の意見は30、31日の金融政策決定会合で決める「今後1−2年程度の具体的な減額計画」を議論する上で重要な材料となる。きょうの会合では減額の幅やペースに関する日銀の情報発信や参加者の意見が注目を集めていた。日銀は具体的な減額計画を提示しなかったが、参加者からは積極的な姿勢が示された形だ。』
ということでしばらく前に出てたベンダーのアンケート結果は何だったのかという話になるんだが、
『植田和男総裁は6月会合後の記者会見で、「減額する以上、 相応な規模になる」との見解を表明。ブルームバーグがその後実施したエコノミスト調査では、まず5兆円程度に減額し、半年ごとに段階的に縮小して、2年後に3兆円程度まで圧縮する姿が中心的な見方となった。それ以上の減額となれば、市場にインパクトを与える可能性がある。』
ってことなんだが2年間でやっと半減じゃ全然スピード感が無いでしょ、とアタクシ思いっきり思っていましたので、このBBG記事で報道されている内容がおおむね会合の状況を伝えているのであれば、結構なことだというか当たり前じゃろという話で、何とかストお前らこういうときに「日銀はどうせやる気がないだろうからたいして減らさん」みたいな頭で回答するんじゃねえよと思ったのですが、まあワイの考え方の方がオカシイという可能性も大いにあるので(自分で変態なのは認識しているから)、いったんだんまりモードだったのですが、この記事を見てワイの感覚そんなに市場の実務者の皆さんとズレてなかったんだと安心(??)しましたwwwwww
でまあ今日はバイサイド相手の会合で、バイサイドの場合はそもそも輪番もそうですけど、日銀当座預金先ではない場合には日銀当座預金付利のメリットもなかったりする人たちですので、輪番なんざあ普通に民業圧迫以外の何者でもないという方々である、とお見受けしますので、もう減らせ減らせの大合唱になるかなと思います(^^)。
・参加者会合の意見で気になったのがあったので(たぶんこれは意見の要約が舌足らずだと思うんですが・・・・)
さっきの
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf
5ページのところ見てて気になったので老骨に鞭打って手打ち引用しますと、
『投資家の保有余力等を勘案すると、「量的・質的金融緩和」導入前の3兆円程度が一旦のめどとなるのではないか。』
『IRRBB上の制約等を踏まえると、国内銀行の債券購入ニーズは限定的と考えられ、4兆円程度までの減額が適当と考える。』(上記URL先PDF5枚目の図表4)
ってのがあって、別に晒し上げる意図で書くわけではない点はご理解いただきたいのですが、「投資家の買い余力がないから日銀の買入を続けるべき」ってのは節子それは財政ファイナンスや、って話であって、投資家が買えないほど国債を発行しているのであれば、国債発行の方が是正されるべきであって、そこを日銀がファイナンスし続けるのが適正、って話になっちゃうのは如何なものかと思うのですが、まあこのロジックって普通に債券市場の何とかスト方面からもカジュアルに出てくる理屈だったりするので、別にこの2つの意見を晒し上げしているわけではないのですが(大事なことなので2回繰り返しました)、まあこういうロジックになってしまうことが、黒田大規模金融緩和の残した大いなる弊害なんじゃないかなーって思いました(あくまでも個人の感想です)。
まあ財政インフレかド円安インフレが起きない限りにおいて、積みあがった国債の山はいずれ償還される話なので、もちろん弊害は弊害なのですが、それによって即死事案になるかというとそこは即死にはならんような気もするんですが、「民間が消化できないなら日銀に買わせればいいじゃないか」という発想がカジュアルに出てしまうようなマインドセットが醸成されてしまうようになった、というのはこれは使い方を間違えると財政ファイナンスからの即死事案になりかねない話に通じるわけでして、まさに黒田緩和が大規模長期化した置き土産(ゴミ)なのであります。
などといきなり申し上げましたけど、まあ実際には上記の回答された方々は別に「民間が買えないなら日銀が買えばいいじゃないか」という発想で言っているわけではなく、現実問題として足元の保有余力ってこんなもんだからそのくらいまでは減らせるけどその先はいろいろと大変なんじゃないか、って感じの意見をだしていたんだと思うんで、あくまでも晒し上げではない点、三度目ですが申し上げます。
・・・・まあつまりこれは意見を掲載するにあたって誤解を招きやすい端折り方をしているんだと思うので、もうちょっと意見をまとめるときにモノを考えて纏めろと苦言を呈しておきますけど事務方に。
今は誰もそういう点をネタにしないから良いようなもんですが、「日本の国債は日銀の買入が無いとサステイナブルじゃないと当の市場参加者が言っている」って誤読されかねないまとめをしてそれが信認問題に繋がったら危ないだろ、と結構これは深刻な問題なのでちゃんと意識して要約をしていただきたいわけですな、うんうん。
2024/07/09
〇さくらレポート単体だとこれはちょっと決め手に欠けますが
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer240708.htm
地域経済報告―さくらレポート―(2024年7月)*
・総括判断は上げ2下げ2で決めて不足
『I.各地域の景気判断の概要』
『(1)各地域の景気の総括判断
北陸を除く8地域では、景気は、一部に弱めの動きもみられるが、「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。北陸では、地震の影響による下押しが一部にみられるものの、「回復に向けた動きがみられている」としている。』
なのですが、
『各地域の景気の総括判断と前回との比較』
北海道:持ち直している→(下方修正)一部に弱めの動きがみられるが、持ち直している
東北: 緩やかに持ち直している→(横ばい)緩やかに持ち直している
北陸 : 能登半島地震の影響により個人消費や生産の一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、持ち直しの動きがみられている
→(上方修正)能登半島地震の影響により一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、回復に向けた動きがみられている
関東甲信越:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している→(横ばい)一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
東海: 一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している→(横ばい)一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
近畿: 一部に弱めの動きがみられるものの、基調としては緩やかに持ち直している→(横ばい)一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している
中国: 緩やかな回復基調にある→(横ばい)緩やかな回復基調にある
四国: 持ち直している→(下方修正)持ち直しのペースが鈍化している
九州・沖縄: 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している→(横ばい)一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している
結局下方修正2上方修正2でチャラ。基調判断自体は(需給ギャップがマイナスとか言ってたりするから順当ちゃあ順当ですけど)「回復」「持ち直し」ということで「拡大」ではないので潜在成長率を上回った状態ではない、という定義の言葉使っていますよね、今に始まったことではないですが。
でまあ拡大になっていないということは、2%達成が視野に入るという話にもならん、というのが従来からの説明からだとそうなるんで、まあ政策金利の調整をしまーすって言ってもいやそれはどうなのか、という慎重派を動かすには力足りないですなあ、というのが第一印象。
まあ所詮はアネクの話なんで、なんとでも解釈してこれるわけで、利上げする気が満々だったら別に何とでも屁理屈はつけてくるんでしょうけれども、あんまりそこまでのパッションは感じないなあと何と無しに思いました。
〇さくらレポート本ちゃんの「アネクの集計表」を見ると消費は微妙、賃金は解釈次第、価格設定は構造変化??ってところですね
さくらレポート本ちゃんはこちら
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer240708.pdf
本文4ページ(PDFの6枚目)
『(3)企業等の主な声(トピック別)※』ってのがまあアネク祭りなのでこれを見るわけですが。
・個人消費はどうみてもただの格差拡大です本当にありがとうございました
『@個人消費(インバウンド需要を含む)』を見ていると中々物悲しい次第でして、
『 ・一部メーカーの生産停止が解除され、受注・登録台数ともに持ち直しているものの、新たな認証不正の問題もあり、影響を懸念(鹿児島[自動車販売])。』
まあこれはともかくとしまして、
『・ 物価上昇の影響が続くもとで旧型モデルなどのセール品や廉価品の引き合いが強く、引き続き販売動向は弱め(福岡[家電販売])。』
そうでしょうねえ・・・・・・
『・ 長引く物価高の中、家計応援キャンペーンと銘打って食料品や日用品の値下げを実施。値下げをした商品の販売は非常に好調であり、顧客の節約志向の高まりを感じている(高松[商業施設])。』
節約できるもんは節約しないとですね。
『・ 物価上昇が続くもとで、購入点数の減少や相対的に安価なプライベートブランド商品へのシフトがみられる一方、高単価商品の販売も引き続き好調であるなど、メリハリの利いた消費行動が広がっている(那覇[小売])。』
これ実際にはどうなんでしょう。メリハリが効いているのか、単に金持ちと庶民で買うものが違っているだけなんじゃないか疑惑もあるんですけどね。
『・ 富裕層を中心に高価格帯の化粧品やブランド品の売れ行きが好調。円安を受けてインバウンド客の購買意欲も旺盛(金沢[百貨店])。』
ふゆうそうとかいんばうんどとかしょみんのわたしにはかんけいのないはなしですね(しろめ)
『・ 値上げを進めてきたもとでも、地元客の宴会需要や観光客の来店回復が続いており、売上は好調に推移している(松本[飲食])。』
なんか読んでるとただの格差拡大にしか見えないのはアタクシの僻みですかそうですか。
『・ 為替円安などで海外旅行が不人気な中、国内旅行へ支出を振り向ける動きもみられ、GWは沖縄方面などの遠方旅行が好調であった(大阪[旅行])。』
まあ旅行は好調なんでしょうね、知らんけど。
『・ 国内レジャー客の需要は、GWを含め宿泊価格を引き上げるもとでも底堅く推移している。インバウンドは、東アジア圏の個人旅行客が大幅に増加しており、旺盛な需要が続いている(大阪[宿泊])。』
だそうですわ。旅行とか何のことでしょう日本語難しいですねという感じなので知らんけど好調なんですよね。
・賃金設定のところは「まだら模様」と言いたいのか「物価高によるノルムの変化」と言いたいのか・・・・
でもって生産のところは足元の局面では正直どうでも良いので飛ばしまして肝心の『B雇用、賃金設定』を見ますと・・・・・・
『・ 2024 年度に大幅な賃上げを実施したところ、同業他社から転職の応募が増加するなど採用競争力が向上した(秋田[小売])。』
『・ 業績が非常に好調に推移する中、昨今の物価上昇も考慮して従業員に報いるべく、今春は昨年を上回る高い賃上げを実施した(名古屋[輸送用機械])。』
と、最初の2つはお宅の会社さん元気でよろしゅおすなあという話なのですが、
『・ 業績低迷で賃上げに踏み切れずにいた中、若手が数名退職したこともあり、2024
年度は原資の確保に先行して平均8%の賃上げを実施(福岡[情報通信])。』
原資もないのに8%も賃上げとな。
『・ 2024 年のベア率については、当初は昨年並みとする予定であったが、同業他社の多くが昨年を上回る賃上げ方針を打ち出す中、多少無理をして昨年以上の水準に引き上げた(福島[生産用機械])。』
多少無理ですかそうですか。
『・ 将来の中核を担う若年層の退職を防止するため、2024 年度は、40 代以上の社員よりも30
代以下の社員の賃上げ幅を大きくし、限られた原資を若年層に重点配分した(仙台[食料品])。』
あーこれなんですけどね、まあ上の待遇も上げてるんだったら大丈夫だと思うのですが、上の待遇切り下げて下の待遇切り上げの原資にするとこの会社長くいたらエライ目に合うって若い人が却って離職するリスク高まるから用法容量は注意しないといけないんですよね。
『・ ドラッグストア等との競合が激しい中、厳しい収益状況が続いており、賞与は夏しか支給できていない。このため、人材流出が激しく、新卒採用についても、2024
年度入社はゼロ名となるなど非常に苦しい経営が続いている(高松[小売])。』
これは落涙を禁じ得ないのだがインフレによる振り落としとはこういう事ですってのは日銀は堂々と言うと政治的にいろいろヤバいのですがそういうことなんですよね。
『・ 建設業界では人材確保を目的とした企業買収の動きが活発化しており、当社も技術者の確保に向けてM&Aを検討している(札幌[建設])。』
ほほう。
『・ 転職後の賃金が転職前を上回るケースが増えているもと、転職市場は引き続き活発な動きとなっている。先行きも、タイトな労働需給と雇用の流動化がドライバーとなり、賃金上昇の傾向が続くと見込まれる(本店[人材サービス])。』
と、威勢の弱い話を威勢の良い話でサンドイッチして作っていまして、この出し方だと本当に持続性のある賃金上昇ってあるのかね、と思ってしまいますが、思いっきり逆方向というか別の方向から考えた場合は、そもそも賃金引き上げのできないような非効率な企業は賃金引き上げのできる効率的な企業に取って代わられた方が資源配分の適正化に繋がって社会全体の生産性が向上する、というシバキ理論にもつながるのですな。
ということなので、あたくしが小見出しにしたように、この部分って単純に「賃上げができる企業もいればできない企業もいますので今後の賃金上昇が本当に持続的なのかが微妙です」といいたいのか、はたまた「そもそも論として物価fが上昇する中で賃上げ原資が出せないような非効率な企業は雇用確保の面からもご退場された方がよろしいんじゃないですか」ってのを暗に示しているのか、どっちの意図なのかがわかりかねる次第で、後者でしたらこれも日銀が使う万能ワード「ノルムの変化」が起きる中で発生する避けがたいフリクションである、という考えもできるわけで、そうなるとノルムの変化が生じてきていて物価安定目標達成に近づいている、ともとれるんですな。
まあノルムの変化、とかいうときには後者の理屈使ってきそうなきがします。、
・価格転嫁のところは総じて威勢がよい
結局ですね、足許で重要なのって「消費が中々威勢良くならない」「賃金が本当に持続的に上昇するのか」「価格設定行動に構造的な変化が起きているか」の3点セットになるので、その意味で次の『C価格設定』もみる。
『・ 原材料価格の上昇一服から、再値上げは当面想定していなかった。ただし、最近の為替円安を受け、既に収益が下振れており、次の値上げを前倒しで行うかどうかを検討している(本店[食料品])。』
あいやー
『・ 物価高の影響で、近隣にディスカウントストアがある店舗の客数が減少しているため、対抗して一部商品を値下げし、顧客の係留を図っている(長崎[スーパー])。』
『・ 定番商品の価格は据え置く一方、付加価値を高めた新規商品や季節限定の商品は値上げを実施することで、客離れを抑制しつつ、コスト上昇分の価格転嫁を進めている(福島[飲食])。』
まあそうなりますわな。
『・ レンタカーの利用料金の値上げ以外にも、従来無料だった乗り捨て料金の有料化など、様々な手段を組み合わせながら価格転嫁を進めている(仙台[物品賃貸])。』
ほほう
『・ ホテルの宿泊価格は昨年来上昇傾向にある。円安が続く中で旺盛なインバウンド需要に陰りがみられないため、値上げの流れはしばらく続く見通し(京都[宿泊])。』
でたなインバウンド様
『・ 優秀な講師確保のためには継続的な賃上げおよび授業料の値上げが必要と認識しており、すでに社内では、来年の上げ幅を議論している(本店[対個人サービス])。』
優秀なベテランいやなんでもありませんorz
『・ 競合他社の価格改定もあり、値上げしやすい環境にあるため、新規出店など先行きの業容拡大を見据えた値上げを実施(本店[対個人サービス])。』
ということで、まあ価格設定は威勢が良いということですな。
つまりですね、これ全体的に言いますと「政策の説明にチェリーピッキングするのにはちょうどよろしい」って物件になっていまして、政策修正渋るなら消費の弱さを強調すればよいし、政策修正やる気あるなら価格設定行動が抜本的に変わりつつあります、ってのを打ち出せばよろしあるねという感じなので、「使い勝手のいい」内容にまとまっております。
まあ何ですな、以下陰謀論になりますが、何らかの明確な方向性が大本営にある場合ってさくらレポートというか支店長報告がこれまた忖度祭りになる、という傾向は残念ながら否めない(特に黒田以降)ところはあるので、今回のこのアネク集計を見ると、おまいらどっちに転んでも困らないように両面で作ったな、というような陰謀論的な感想を強く感じるところであります。ということは大本営の方向性がはっきりしていない、ってのもあるんでしょうなあというインプリケーション(超陰謀論ですが)も得ました、って感じでございますかね、まー知らんけど。
〇アネク報告のまとめってのもあるので
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera240708.htm
各地域からみた景気の現状(2024年7月支店長会議における報告)
というまとめ文書がありますのですが、これもともとさくらレポートの本文にあったのをちょっと分量増やして移設した感じでなんで移設したんだか今となってはよくわからん物件(出した当初は鉦や太鼓で宣伝してたのに出てみたら従来と変わらんやんとがっかりした覚えがある)ではありますが読んでみましょう。
『今回の支店長会議における報告を総括すると、各地の景気は、8地域で「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。1地域では「回復に向けた動きがみられている」としている。前回の支店長会議開催時点(2024年4月)と比較すると、全9地域中2地域で総括判断を引き上げ、2地域で引き下げている(参考参照)。』
これは最初のやつね。
『主な需要項目等別にみると(注)、』
ということで始まりますが、
・設備投資は短観でも示されたように強いですよね
『設備投資については、建設コスト高による先送り・縮小、発注先の人手不足による工事・納入の遅れ等が一部でみられるものの、IT関連需要の中長期的な拡大期待に基づく能力増強投資、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資、環境対応投資、都市再開発など、幅広い分野で積極的な投資姿勢が維持されているとの報告が多かった。』
はい強い。
・個人消費はただの格差拡大にしか見えないがそういう表現はしていませんね
『個人消費(インバウンド需要を含む)については、スーパー等を中心に、物価高を受け消費者の節約志向の影響が強まっているとの報告が複数あった。ただし、多くの地域から、観光・宿泊や外食などのサービス消費が堅調に推移し、都市部の百貨店等における高額品販売の好調も続く中、個人消費は全体として底堅く推移しており、旺盛なインバウンド需要がこれを押し上げているとの報告があった。』
「全体として底堅く推移しており」って節子それただの二極化や、と思いますが全体として底堅く推移、というポジティブ表現にしているのがそこはかとなく意思を感じますねえ。
・生産は自動車関連が引き続き懸念材料
『生産については、IT関連財に関し、グローバルな調整進捗や需要回復を受けた増産の動き等が複数報告された。自動車に関しては、一部メーカーの生産停止の影響が和らいでいるものの、下押しがなお続いている中、先行きの不確実性を指摘する企業の声も報告された。』
まあこれは今回に関してはそんなに気にしなくてエエンチャウノ
・雇用と賃金は強い話はしているけれども留保付きになっていて全面的な威勢のよさというほどではない
でもって次が雇用とおちんぎんである。
『雇用・賃金面では、地域の中小企業における賃金改定について、多くの地域から、春季労使交渉における大企業を中心とした高水準の賃上げ妥結の動きが波及するとともに、人材の係留・確保の必要性や、物価上昇を受けた従業員の生活への配慮等から、昨年を上回るあるいは高水準であった昨年並みの賃上げの動きに広がりがみられるとの報告があった。』
『また、賃上げ原資の安定確保に向けて生産性向上のための投資強化や事業見直し、M&Aの動き等も喚起されてきていることも紹介された。』
『一方で、収益面の厳しさから賃上げを見送る企業や、十分な原資を確保していない中でも人手の係留・確保を優先し賃上げに踏み切る企業等も相応にみられるとの報告もあった。賃上げが広がるもとでの企業の行動変化や地域経済への影響等について、今後も丁寧にみていく必要性が指摘された。』
前半がやたら強気に書かれているのですが、さすがに締めは「賃上げが広がるもとでの企業の行動変化や地域経済への影響等について、今後も丁寧にみていく必要性が指摘された。」となっていて、能天気に賃金上昇が持続するぞーとはなっていないですね。
なおベンダーの報道バイアスってのが毎度のアレでして、ベンダーのヘッドラインを見るとこの説明の前半部分がハイライトされていて結構強いことを言っているように見受けられますが、実際には留保が思いっきり入っていまして、賃金絶好調!7月でも利上げOKOK!というような威勢のよさは感じられない書きっぷりになっているかと思うのですがどうでしょうかねえ。
・価格設定はこちらでも強気強気
『企業の価格設定面では、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の動きは一段と緩やかになっているほか、消費者の節約志向が強まるもとで、値上げの抑制や一部商品の値下げ、低価格の品揃え強化などの動きも増えてきているとの報告が複数あった。一方で、最近の為替円安に伴うコスト増の影響を指摘する企業の声も報告された。人件費の価格転嫁は難しいとする企業はなお少なくないものの、サービス業など、人件費比率の高い業種や人手不足感が強い業種を中心に、転嫁を実施・検討する動きに広がりがみられているとの報告が多かった。製造業についても、最近の政府の後押しもあって、価格転嫁が進めやすい環境に向かいつつあるとの企業の声が複数報告された。』
価格は上がる話がほとんどで途中にちょっと消費者の節約志向の話があるけど、それ以外は結局のところ威勢の良い話ばっかりということで、賃金上昇の持続性に関しては留保はついているのに価格設定は勢いよしよしというまた財布が軽くなるような流れで甚だアレですが、まあ価格のところは全然強いって感じだと思います。
ただまああくまでもざっと見印象ですけれども、こっちのまとめ文章の方がややさっきのさくらレポート本文の「代表的なアネク集」よりも強めのトーンで纏めている感じはして、そこはまあ利上げの口実に使いやすく作っているな、という風には思いました。
って感じですね。
2024/07/08
〇結局MPMまでに金懇や講演はこのまま無しなんですかねえと思ったらロイター記事登場
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
公表予定見ましても今後の今後の講演・挨拶等の予定を見ましても金曜に更新されている(講演の方は金曜に更新されるとかではないと思いますが)のですけれども決定会合後の定例記者会見の予定は出ていますがそれ以外は無し、ということでして、こうなりますと今日の支店長会議(とさくらレポート)、あとはワンチャン明日明後日の債券市場参加者会合(基本的に金融市場局がやるものなので日々のオペレーションで政策の先取りをすることはない、という仕切りからしたら普通は政策インプリケーションは無いはずだが)位しか公式な対外公表ってないんですよね。
でまあ日銀が何を言おうとも、6月金融政策決定会合とその後の会見での説明は明らかに「7月には輪番減額計画を出します、利上げはしません」って言ってるのと同じだし、まだワンチャンあるかもとは思っているけど7月利上げ見通しが大きく後退したのですから、このままの状態で7月利上げするとまあ抜き打ちチックな利上げになるわけですな。
さてどうするんですかねえと思ったら金曜にはこんな記事が。
https://jp.reuters.com/world/japan/R3CRSMYCCVOZFPJLQRJGYHDIPU-2024-07-05/
「中小企業にも賃上げに広がり」、日銀がリポートで公表へ=関係筋
By 木原麗花
2024年7月5日午後 5:35 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - 日銀が、中小企業にも広く賃上げが波及しているとの調査結果をまとめたリポートを月内にも公表する見通しであることが分かった。賃金と物価の好循環を目指してきた日銀にとって、追加利上げの是非を判断する際の材料の1つになるとみられる。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうそうですかそうですか、と思ったら、
『8日の支店長会議で発表する「地域経済報告(さくらリポート)」の別冊の位置づけで、全国の支店が実施した調査とヒアリングに基づく。支店長会議当日ではなく、後日公表する見通し。』
何で当日出さねえんだよオイコラ。
『日銀の考えに詳しい関係者3人によると、さくらリポートも別冊リポートも、今年の春闘で大企業を中心に高い賃上げ率が実現したことや深刻化する人手不足を受け、賃上げする中小企業が全国的に増えていることを指摘する可能性が高い。』
まあ「日銀の考えに詳しい関係者3人」ってのが何ですかそれはって感じですけど、まあ中小企業への好循環の広がりが足りないということで中村委員が反対している訳でして、中村委員の反対を覆すか、そうでなくてもそこまでの積極的な反対にならない程度に、という事なのかもしれませんけれども、いずれにしても「後日出す」ってのが小賢しさ満載で小細工感が否めない。
『リポートの内容は、日銀が今月30-31日に開く金融政策決定会合の材料になるとみられる。日銀が3月にゼロ金利政策を解除した際、春闘の第1次集計で基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率が5%を超える強い結果となったことが決め手の1つになった。』
まあこんなの「決め手の一つになった」んじゃなくて、結論が先にあってそれに合う話として一番使えそうなのがこれだっただけの話でしょとしか言いようが無いわけで、昨年来植田さんがひたすらハトハト説明をして、なぜかその後に謎の理屈によってひっくり返る(昨年7月のYCC変動幅拡大)、とか如何にもやる気のある説明が出たと思ったら決定会合でひっくり返ってしまう(昨年12月と今回6月の決定会合)というような感じで、説明が全然首尾一貫していないのですから、そもそもこんなのも要は後付け理屈としてどれだけ使う気があるのか次第ですけどね。
・・・・・・・・しかしまあ何ですな、これで7月利上げしてその先の段階的(欧米と違ってクソのように時間がかかるという話になるでしょうけれどもそれでもとりあえず1%くらいまで上げていく、というのが示されれば、という意味です)が示されるみたいな威勢の良い話が出てくるならまあ評価するのもやぶさかではないのですが、どうせこれって円安進行に配慮した時間稼ぎの小細工でしょ、と思っておる次第(個人の偏見です)な訳で、いやおまいらこの前の会見で某O江さんに思いっきり指摘されてた「事前に変な期待を盛り上げてしまって結果がそれに足りないから決定会合の都度円安が加速するんじゃないですか」ってことをまるで反省していないというのが非常によくわかるところでしてお父ちゃんは悲しいよ、と言ったところでありまする、ナムナム。
〇コストで思い出しましたがECBがこんなレビューをするようで多角的レビューとは何なのかという話ですわなwww
でまあコストってので思い出しましたが先日こんな記事がロイターさんから。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/A2ZMZ4O42RNCTHPBOOWUCHJTKM-2024-07-04/
ECB政策担当者の一部からQE再検証論、効果より弊害との見方
By Balazs Koranyi, Francesco Canepa
2024年7月4日午前 9:10 GMT+9
『[シントラ(ポルトガル) 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の政策担当者の間から、約10年にわたって実施された大規模な債券買い入れ(量的緩和=QE)は効果より弊害が大きかったのではないかとの視点に立ち、改めて検証すべきだとの見方が出ている。複数の関係者がロイターに明かした。』(上記URL先より、以下同様)
(;∀;)イイハナシダナー
でもってこちら「シントラ発」となっているのでECBフォーラムでの取材によるものですね。うんうん。
『ドラギ前総裁の下でECBが物価低迷に対応する目玉政策として積極的に推進してきたQEを巡り、これまでで最もはっきりした形で内部から異論が出てきたとも受け取れる動きだ。』
よすよす。
『QEは、世界金融危機の際に米連邦準備理事会(FRB)が主要中銀の中でいち早く採用し、景気刺激とデフレ突入リスクの回避を図った。ECBもコロナ禍前までの10年近くで国債を大部分とするおよそ5兆ユーロの債券を購入し、同時に銀行向け低利融資を実行した。』
『しかしECBの6人の政策担当者は、もう一度QEについて議論し、QEを超低金利局面で求められる「特に強力かつ持続的な」行動としているECBの戦略規定をできれば修正したいと述べた。』
6人キタコレ!!!!!
『こうした議論は、間もなく始動して数年内にまとめられるECBの全般的な戦略の見直し作業において行われる見通しだ。』
ほほう。
『関係者の一人は「われわれは何兆ユーロもの資産を買い入れた挙げ句、物価上昇率を目標に戻せなかった。この刺激策を打ち切って数年を経過した今も、3兆ユーロ余りの過剰流動性を抱え、何年にもわたって政策対応の足かせになっている」と指摘した。』
まったくな訳でして、この調子で引用していると全文引用になりそうだから結論に飛びますと、
『これに対して6人の政策担当者はいずれもロイターに、パンデミックなどのショック発生時には確かに債券買い入れは正しい手段だが、その際の規模で長期間行うべきではなく、特に経済が構造的な問題を抱えている場合は、中銀でなく政府が動かなければならないと強調した。』
でまあこの前の日銀の多角的レビューでは「労働市場にあった構造問題のせいでなかなか政策が効かなかった」とか抜かしておりましたが、最初の「2年で2%」はともかくとして、それが難しいと分かった時点で普通の金融政策に戻すどころかQQE2やって補完措置やってマイナス金利やってYCCやって、とぶっこんでいった件については何もレビューしないで済ませようとしている多角的レビューとかレビューの名に値しない、というのが非常に良くわかる話でありまして、あんなクソレビュー今すぐ全部ゴミ箱に送って桶と思いますし、あれをクソレビューと喝破したのこの前出てた要旨(ネタにしたやつね)を見たら吉川先生だけ、という日本の経済学者のテイタラクにもあきれてしまいますな、と隙あらば悪態をつくアタクシでしたwwwwwwwww
2024/07/05
理財局長としての最後のインタビューになるのかしら
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-04/SG10JJT0G1KW00
日銀の空白埋める国債投資家を確保へ、多様化が不可欠−奥理財局長
梅川崇、横山恵利香
2024年7月4日 11:15 JST
→年限短期化は発行側の金利リスク、「効率的な財政にならない」
→銀行に一定程度の余地、保有割合に当局として具体的イメージ持たず
ってのが昨日出てましたが、
『奥局長は、国債の保有を幅広い投資家層に広げることは「安定的に市場が推移するための一つの大事な条件だ」と指摘した。さまざまな投資家がいれば「一つの現象に対しても反応が多様になり、一方向に向かって大きく動くことが避けやすくなる」と語った。ブルームバーグのインタビューに3日応じた。』
この”さまざまな投資家がいれば「一つの現象に対しても反応が多様になり、一方向に向かって大きく動くことが避けやすくなる」”ってのとても重要なポイントで、アタクシのような老害ジジイですとこの「一つの現象に対して反応が多様」っていう債券市場の状態がある程度あった時代も見てないわけでもないんで、実に心に響く指摘ではありまする。
でまあその点からしますとGCレポのT+0市場をデザインした時の流れってのがその対極にあるのですが、その話をしているとマクラじゃなくなってしまうのでいつの日か市場デザインの話でもあったらその時に。
〇また政策変更を渋る言い訳がでてきておったわけだが(需給ギャップ)
https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm
需給ギャップと潜在成長率
すいましぇん昨日はFOMC議事要旨やってたんで後回しになりました。
左から、需給ギャップ、資本投入ギャップ、労働投入ギャップ
2023.1Q -0.31 -0.56 0.26
2023.2Q -0.08 -0.41 0.33
2023.3Q -0.34 -0.59 0.26
2023.4Q -0.03 -0.27 0.24
2024.1Q -0.66 -0.93 0.26
まあ何ですな、1Qって一部の生産停止とかあったって影響何でしょうが、折角ゼロ近辺まで戻ってきたのにまーたマイナスに。
・・・・・・ただですね、本来的に言えば「物価安定目標達成」ってのは「経済が1サイクル回る間に平均的に物価がこの程度の上昇率を示している」って状態を意味するのでありまして、寧ろ需給ギャップがこれだけ下がっているのに(そらまあラグがあるとかそういうツッコミはありますけど)物価ちゃんの方は全然下方圧力掛かっているような感じじゃないのですから、それは物価目標達成のエビデンスにむしろなるんじゃネーノと思うのですけど、なぜかこれが今の日銀って「需給ギャップのプラス状態が続かないと物価目標が達成しない」という屁理屈を通しているし、市場の何とかストもすっかりその屁理屈に乗っかっているのですが、そもそも論として「需給ギャップのプラス状態が続いていないと達成していない」というのはそれ「経済1サイクルの中で平均的に達成した状態」とは異なるわけなので、そんなの単に緩和政策の修正を先送りしたい日銀の詭弁なんですよね。
いやまあ経済の見通し的に需給ギャップがどうのこうのっての大事ですけど、需給ギャップがマイナスだから物価目標達成じゃない、ってのも無理筋の話だと思うんですけど、まあなにせ日銀様がその詭弁を前面にだしている以上、また政策変更を渋る材料だわと(ノ∀`)アチャーって思ってみておりました、ちゃんちゃん。
〇しかし日銀静かですし来週でとりあえず予定されている大きめのネタ提供が終わるのだが(ただの備忘メモ)
こちらはまた今日更新されると思いますが
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
8日(月) 未定 ○ ● 地域経済報告(7月)
ということでですな、月曜日に支店長会議があるはずなんですよね(だからさくらレポートが出る)。
あとは
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240621.pdf
「債券市場参加者会合」(第 20 回)の開催について
火曜日と水曜日に市場参加者会合で輪番減額に関する話題がありますよ。
・・・・・は良いんですけど、それ以外7月会合までの予定でなんかの講演とかそういうのが相変わらず出てこない格好でして、あとはまた例によって例の如く週末になって突然変なインタビュー記事とか変な思惑記事みたいなのが出てくる、というのでもない限り、国会もないのでこの調子では7月会合前に特になんも言わないで会合に突入となりますわな。
でもって6月会合では7月利上げの予告ホームランをしていないし、円安飛んでも株高になると元来格差の上位カテゴリーにいらっしゃる報道機関とかいうのもおとなしくなるしで、なんかもっとこう威勢よく円安行かないと盛り上がらないのかねえとしょんぼりしながら茲許みている訳です。
さてどうなるのやら、というただの備忘メモです。
2024/07/03
〇7月会合まで持つのかよこれという円安だし円安見て金利上昇だし
一応メモ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/VTSMIDKHQZISZCNDFCHI76DHHA-2024-07-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.085% 10年債入札後も地合い改善せず
By ロイター編集
2024年7月2日午後 3:35 GMT+9
『[東京 2日 ロイター] - <15:21> 国債先物は続落、長期金利1.085% 10年債入札後も地合い改善せず
国債先物中心限月9月限は、前営業日比23銭安の142円42銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5bp上昇の1.085%。米金利上昇や日銀の政策修正観測を背景に終日軟調に推移した。10年債入札はややしっかりの結果と受け止められたものの、地合いは改善しなかった。』(上記URL先より、以下同様)
10年国債入札って足切りがベンダー集計の予想よりも2銭くらい上で切れてて、まあそもそも先物ちゃんも後場寄りのところで前場引けからギャップアップして始まっていたんですけど、
『10年債の入札結果はややしっかりと受け止められた。結果を受けて国債先物は下げ幅を縮小するの場面があったものの、その後再び軟調に推移。新発10年債利回りも一時1.07%まで低下した後、引けにかけてはじりじりと売られた。』
でまあ結局
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.353 0.362 0.007 15:15
5年 0.598 0.606 0.01 15:15
10年 1.078 1.086 0.025 15:16
20年 1.914 1.924 0.029 15:17
30年 2.249 2.26 0.014 15:18
40年 2.382 2.393 0.01 15:15』
となっている訳ですが、まあ円安が効いてるというか、この調子で日銀が「想定通り」程度の国債買入減額だけやって短期政策金利に関しては知らんがなだったりした日には一段の円安になってしまうんじゃないのということで、結構派手めに政策修正に向けた強いものを出すしかないって感じなのか、単純に日銀の出方が読めないから様子見地蔵のひとだらけなのかがよく分からんでございます。
まあアレですよ。日銀もここまであっという間に追い込まれていくっていう展開を想定していなかったと思うのですが、3月のマイナス解除前の「マイナス金利解除しても緩和状態」の宣伝はマイナス金利解除後の動きに自信がなかったからある程度しょうがなかった面もあるかもしれませんが、結局3月解除の後の市場(為替も含めて)の反応を見たら、4月に「6兆円の強調」をしたのが完全に悪手でして、まあ3月のもあそこまでビビる必要なかったと思いますが、とにかくあのセットと、植田総裁の「隙あらばハトハト発言」によってこんなになっている訳ですな。
まあここらで昨年5月の内外情勢調査会で言ってた植田さんの「逆方向の、政策転換が遅れて2%を超える物価上昇率が持続してしまうリスクもありますが、こうした2%の定着を十分に見極めるまで基調的なインフレ率の上昇を「待つことのコスト」は、前者に比べれば大きくないと思われます。」と言ってた寝言に関する評価、特に円安進行という飛んでもないコストに関してちょっと植田説明してみろや円安はプラスとでも言いたいのかこのヴォケとは思う訳ですな、ナムナム。
てかさ、そもそも論として中曽さんでも雨宮さんでもない黒田緩和と関係なかった人が総裁になったことの意味は何だったのかという話になるのですが、なにせこの前の金研国際コンファランスでこの総裁、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240527a.htm
日本銀行金融研究所主催2024年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳
『日本銀行は、最終的には2013年1月に、2%の物価安定の目標を導入しました。後知恵になってしまいますが、仮に明確なインフレ目標値が導入されていれば、例えば、2000年8月のゼロ金利政策解除に至るまでの議論の様相は、実際とは異なったものになったかもしれません。』
『日本銀行は、2001年3月の量的緩和政策の開始に伴い、以前よりも多くの額の長期国債を購入し始めたものの、図表3が示すように、その保有残高は、2013年に入るまでは、顕著に増えてはいませんでした。』
『すなわち、2013年に導入された新たな金融緩和の枠組みや、顕在化し始めた人手不足の影響を受けて、まず、賃金が小幅ながらも上昇し始め、その後、昨年から今年にかけては、恐らくは、近年の世界的なインフレと金融緩和の枠組みが維持されたことの影響から、急速に上昇していきました3。』
(以上の部分は直上URL先2024年5月27日金研国際コンファランスでの植田総裁挨拶の邦訳より)
ってことで、思いっきり「黒田緩和は効果があった」という立脚点からスタートしていて、むしろその前の速水福井白川時代はなんもやってなかったに等しい、と黒田前の歴代日銀をコケにしている訳で、まあその立場でいる以上、この人が座敷牢に放り込まれるか脳味噌取り換えるかしない限りにおいて、金融政策の正常化に舵を切らんわなという話になりそうではありまして、円安物価高批判でシバき倒されて行かないと無理なんじゃねとは思うのでした。
〇ECBフォーラム@シントラですが今回のポリシーパネルに我らがハトハトチキンさんの姿がありませんなあ
お品書きはこちら
https://www.ecb.europa.eu/press/conferences/html/20240701_ecb_forum_on_central_banking.en.html
Programme
All times are local (CET -1)
・日銀からは誰も参加しませんかそうですかそうですか(なおアジア勢の登壇無し)
でもって日本時間的に昨晩実施されたところででは
Tuesday, 2 July 2024
14:30
Policy panel
Roberto Campos Neto, Governor, Banco Central do Brasil
Christine Lagarde, President, European Central Bank
Jerome Powell, Chair, Board of Governors of the Federal Reserve System
Moderator: Sara Eisen, Anchor, CNBC
あー去年為替がらみで他国の金融政策をあてこするクソくだらないジョークを言ってしまった植田さん呼ばれませんでしたねーガハハというところでございまして、今回はブラジル中銀総裁がパウちゃんクリステーヌちゃんのお二方にジョインして対談ご参加の巻ですね。
でまあここに出てこないだけのことはあって、今回のシントラフォーラム、日銀からは誰も出てこないということですが、まあ幸か不幸かプログラムを見ると登壇するアジア勢が居ないというお品書きになっている(韓国中銀の李総裁でも出てくるかと思って三度見しましたが、韓国中銀どころがシンガポールとかその辺からも誰も登壇しないようですな)のでちょっとだけ安心しました、って安心する話ではないのですがw
2024/07/02
あらあらあらあら
https://jp.reuters.com/markets/bonds/
米国債10年 利回り
US10YT=XX
+4.489 +0.146
米ドル/日本円
161.4600 +0.39%
〇短観私家版分析:うーん決め手に欠けるなあ(政策修正加速的に)
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2406.pdf
短 観(概要)―2024年6月―
第201回 全国企業短期経済観測調査
・業況判断DI:前回が見通し対比強くて今回も見通し対比強いんですよね(しかも今回は上昇)
(3月短観) (6月短観)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +11→+10 +13→+14
製造業中堅企業 +6→+5 +8→+7
製造業中小企業 ▲1→+0 ▲1→0
非製造業大企業 +34→+27 +33→+27
非製造業中堅企業 +20→+15 +22→+16
非製造業中小企業 +13→+8 +12→+6
(前回クソ出遅れて4/5にネタにしましたがその時の駄文)
でですね、確かにこれ前回対比悪化なんですけど、前回時点の「3月予測」と比べると結構な上方乖離をしておりまして、でもって前回の短観がとにかくバチクソ強かった、という事を踏まえると企業部門強いじゃん、という話になると思うんですよね。
(ここまで3月短観時のコメント)
でまあそういう意味で「数字は前回から下がったけど内容的には強いんじゃね」という前回の見通しを達成(中小製造業除く)した上に水準も前回より強いってんですからこれはまあ文句なしに強いのですな。
ただまあここで突発性中村審議委員になってみた場合、製造業の中堅以下がそこまで強いわけでもない、というのが思いっきり気になってしまいまして、これを見て中村審議委員が「中小企業も含めて企業部門に死角なし(だから政策修正バンバンOKOK)」とはならないんじゃないかなーって思うので、その点ではうーんと唸ってしまいます。
まあ全体的に見ればクソ強いのはクソ強いというか、そもそも企業部門はここもとずーっとクソ強くて、一方で物価上がって家計部門が弱いってんですからそれを確認したという話ではありますが。
・企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、と前回書いたがさらに堅調
販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 6月:2.9%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%
3年後 6月:3.5%→9月:3.8%→12月:3.8%→3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%
5年後 6月:4.0%→9月:4.2%→12月:4.3%→3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%
大 企 業 製 造 業
1年後 6月:2.7%→9月:3.2%→12月:3.0%→3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%
3年後 6月:2.5%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%
5年後 6月:2.5%→9月:3.2%→12月:3.1%→3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%
大 企 業 非製造業
1年後 6月:1.5%→9月:1.9%→12月:2.1%→3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%
3年後 6月:2.2%→9月:2.4%→12月:2.6%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.1%
5年後 6月:2.6%→9月:2.8%→12月:2.9%→3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%
(3月短観時の1行コメントはこちら)
ちょwwwwwwwおまえらwwwwwwまた上昇しとるやないかwwwwwwwww
って3月短観で書いたのですが、なんか上昇加速してるじゃんということで、しょみーんの財布には1ミリも優しくない訳ですが、それはおどれがてーして給料も上がらん程度の無能だから仕方ないんですねわかります。
てかさ、そういう実質ベースの調整がしやすくなるのがインフレレジームのメリットだということを勘案しますと、そもそも論として実質賃金のプラスとか好循環とかいうのがインフレ目標政策で掲げられていることが頭おかしいとしか言いようが無いわけで、これ言い出した黒田は罪万死に値するし、それを否定するどころかさらに拡大再生産している植田は地獄の火の中に投げ込まれるべきという話になりますわな。
・企業の物価全般見通しですがこういうのは「インフレ期待が2%にアンカーされている」と言わんのか???(こちらは中小企業を)
物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 6月:2.4%→9月:2.6%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%
3年後 6月:2.0%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%
5年後 6月:1.9%→9月:2.0%→12月:2.0%→3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%
中小企業 製 造 業
1年後 6月:2.8%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%
3年後 6月:2.3%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%
5年後 6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%
中小企業 非製造業
1年後 6月:2.5%→9月:2.7%→12月:2.8%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%
3年後 6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%
5年後 6月:2.0%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%
(3月短観時のコメントはこちら)
これさあ、もう完全に「安定期」に入ってるじゃんという話でして、これでなんで期待インフレがまだ2%に行ってない!とか言い切るわけあのハトハトチキンジジイは、というお話な訳ですけど・・・・・・・(ちなみにハトハトチキンちゃん頼みの物価連動国債のBEIが足元ツエツエ蠅なのは先ほど申し上げた通りですw)。
(ここまで3月短観時のコメント)
って3月短観の時にも書いた(というか上記小見出しがそもそも前回と同じw)のですが、これでなんでインフレ期待が2%じゃないって言い張っているのかが全く意味がわからなくて、この物価上昇局面で完璧なまでに外しまくってもうお前ら全員退場しろとしか言いようが無いESPフォーキャストとかいうポンコツサーベイ持ち出して説明するのいい加減止めてくれませんかねえ。
ちなみに物価連動国債のBEIはなんだか知らんけど月末月初の2日で突如下がってしまったのですが、それでも10年カレントで150とかなんで、たしかにまあ200じゃないけどこれが200行ってないから市場の織り込むインフレ期待が2%にアンカーされていないというのは話に無理があるんじゃねえのとは思いますけどね。
・販売価格判断:コストプッシュの循環メカニズムがワークしておられるようにしか見えませんが・・・・・・・・・
(3月短観) (6月短観)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +25→+24 +29→+27
製造業中小企業 +26→+33 +30→+37
非製造業大企業 +27→+28 +29→+30
非製造業中小企業 +26→+32 +28→+33
・仕入価格判断
(3月短観) (6月短観)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 +42→+41 +47→+44
製造業中小企業 +56→+59 +61→+62
非製造業大企業 +43→+42 +47→+46
非製造業中小企業 +53→+56 +55→+58
(3月短観時のコメントはこちら)
こちらなんですけど、製造業中心に「先行きの販売価格判断が上がっている」のが目に着くわけでして、こんなんどっからどう見てもノルム変化しとるわけで、むしろインフレ期待が上に振れる方を心配しないといけない時間帯に入っているんじゃないのか、としか思えないのに、なんでああ皆さんのほほんとしておられるのでしょうかとくにハトハトチキンジジイお前だよお前。
(ここまで3月短観時のコメント)
これね、前回はノルム変化とか申し上げていましたが、仕入判断が前回対比上がって販売判断が前回対比上がっている訳でして、ノルムとかそんなぬるいものではなくて、ただの輸入価格コストプッシュの前向き(全然前向きじゃないけど)循環メカニズムがワークしているようにしか見えませんし、足許では財務省や内閣府からも苦情の出る驚異の馬鹿コミュニケーションによって一段と円安になっている訳でして、いやマジでこれどうするの。
・雇用判断DI:強いんだが中堅中小が前回対比悪化しているのでこれは中村審議委員の出番orz
(3月短観) (6月短観)
現状→6月予測 現状→9月予測
製造業大企業 ▲17→▲18 ▲18→▲18
製造業中堅企業 ▲24→▲27 ▲23→▲28
製造業中小企業 ▲24→▲31 ▲21→▲27
非製造業大企業 ▲37→▲37 ▲39→▲38
非製造業中堅企業 ▲46→▲49 ▲46→▲49
非製造業中小企業 ▲47→▲50 ▲45→▲51
(3月短観時のコメントはこちら)
雇用に関しては前回の短観では「前回強いと書いた以上に強い!」と書きましたがそれは変わらずでございまして、これまた強いわけですよ。
(ここまで3月短観時のコメント)
ということでして、まあ水準自体強いのはいつもの通りなのですが、これ気になるのは「現状判断DIを前回対比で見た場合」ですけど、大企業はマイナス幅拡大=雇用不足感の拡大になっているのですが、それこそ中村審議委員(たぶん他にもハト系の人でいると思うんだが)が注目する中小企業に関しては、中堅以下が地味に前回対比でマイナス幅が縮小=雇用不足感の縮小になっているのが地味に痛くて、これはチキン総裁がチキンの理由にしたくなるのに絶好の展開。
・その他
想定為替レート
(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)
2024年度 米ドル円
2024年3月調査:通期 141.42 上期 141.60 下期 141.25
2024年6月調査:通期 144.77 上期 144.96 下期 144.59
これ調査のタイミング的には6月上旬の回答だったと思うのですが、うーん上期145円かよってなところでして、まあねえって感じです。
設備投資計画
・・・・・はグラフの方を見る話になるのでこっちには貼れない(スキルがない)のですが、これは別にビビるような強さとか弱さとかは無いって感じなのかな、知らんけど。
アタクシこのへんただ門前の小僧としてみているだけなのであれなんですけど、この数字だと強いには強いのでしょうけれども、政策修正慎重派の腰をあげさせるほど強いのかというと、「企業部門が強い」ってのはそもそも論としてメインシナリオのど真ん中に鎮座している話だと思われますので、そういう意味ではただの「見通し通りに推移しておりますなあ」だけで短観一発で7月利上げまでセットで打ち込んでくださるのはちょっと力不足かなとは思ったのですがどうでしょうか。
まあその前に円安がちまちまと進行しておられる次第なのでそっちのせいで云々というのは大有りだし、何なら神田大明神最後のご奉公でちょっとハトハトチキンをシバキ上げて輪番大減額と0.25%への利上げを飲ませてから退任していただけると誠にありがたいのですがwww
〇これはもしやスタグフレーションって奴なのではないかと(GDP2次速報改定値)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
国民経済計算(GDP統計)
最新の四半期別GDP速報
2024年1-3月期・2次速報(改定値)(2024(令和6)年7月1日公表)
記者公表資料(PDF形式:84KB)PDFを別ウインドウで開きます
主な時系列データ(PDF形式:493KB)PDFを別ウインドウで開きます
統計表一覧
ということで記者公表資料を見ますと
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1r.pdf
国内総生産(GDP)
前 期 比
2次速報値(2024.6.10公表):-0.5
2次速報(改定値):-0.7
でもって年率換算だと-1.8→-2.9ということで、公的需要のところで改定があったから大きく下方修正になったんですけど・・・・・・・・
PDF5枚目の『3−1.四半期別の実質成長率(季節調整系列)』ってのの最初のところを見ますと、GDPの伸び率が前期比季節調整ベースで
2023年7-9:▲1.0(年率換算▲4.0)
2023年10-12:+0.0(年率換算+0.1)
2024年1-3:▲0.7(年率換算▲2.9)
とかいうお洒落な数字になっている訳でして、いやこれ円安物価高何とかしろやこのクソボケ植田って話になるんじゃなかろうかと普通は思うのですが、ここで植田大先生の場合は「経済が弱いので緩和的な金融環境で経済を支えなければいけない(キリッ)」とか言い出して政策修正を一段と渋って円安がさらに進んでコストプッシュのスタグフレーションに本格的に日本を投げ込む貧乏神として活躍するに1万麿という感じなのが恐ろしい・・・・・・・・・・
〇そういえばCP社債買入減額ですな(まあ既定路線なのでアレですが)
さーせん昨日なんも書かなかったので備忘に
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240628a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2024年7月〜8月)
8月買入分から、CPは3000×2→4000×1、社債は750×1→500×1ですが、まあこれは既定路線なのでこの調子で減額ってことですし、減額すること自体は織り込み済みなんでこれがにわかに材料になることもない、ということですな。まあ輪番もバンバン減らしていただければ宜しいかと思いますし、「市場で消化できないから日銀が買うしかない」とか言ってる向きが割とちゃんとした人の中にもいるのですが、節子それは財政ファイナンスやという話で、そんなもんは市場で消化できない国債発行しているのが悪いのであって、市場で消化できないなら国債発行を減らせやという話だし、それでも発行したけりゃトラスショックで馬鹿政治家の目が覚めるってなもんでしょ、などというと過激派扱いされるので用法容量には十分注意してくださいませwww
ということで甚だ簡単ではございますが今朝はこの辺で勘弁
2024/07/01
〇こうなってくると今日の日銀短観は久々に注目材料になりますな
日銀の公表ご予定金曜日アップデート後
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
『資料や統計などの公表予定、金融政策決定会合や総裁定例記者会見の開催日程などを掲載しています。原則として、毎週金曜日に更新されます
(2024年6月28日更新)。』
ということで以下掲載されていますが、どう見ても政策委員の講演予定は追加されていません本当にありがとうございましたorzorz
いやおまえらさあ、6月にあれだけ重めの公表して、しかも円安はホイホイと進んでいるって状況なんだからせめてなんかの講演(金懇は無観客金懇というのがあり得ないから急には入れられない)無理なので日経センターでも時事通信でも共同通信でも読売国際でもなんかぶっこんでやれよと思うのですが、いやーまあだんまりで通すつもりですかねえ。
ただまあ今の日銀だと情報発信すればするほどドツボにハマりそうなので、人間が発信するよりも淡々と指標が出てくるのを市場に判断させた方が良いともいえるのですが、やらないならやらないで「特に予定ないっす」って何らかの形でお伝えした方が良いと思うの。市場の中の人たち「いつぶっこまれるか」で結構ピリピリしてると思うんだ。
それは兎も角本日はこれですよこれ。
7月 1日(月)
8:50 ○ ● 短観(6月概要)
8:50 ○ ● 短観(6月要旨)
黒ちゃんになってから「政策先にありき」だったし、短観とか知らんがな状態が続いておりましたけれども、最近は「普通の金融政策」を標榜しているだけに、物価指標の数字だけではなくて経済の状況を見ましょう、ということに徐々にシフトしている(はず)わけで、まあそれはそれで健全な方向に進んでいる訳ですからして、そうなると昔みたいに短観がクッソ重要になってくる、ということになりますわな。
この前の主な意見でも
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240614.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 6 月 13、14 日開催分)1
『・当面、中小企業の正規雇用や年金受給者については、賃金や受給額の増加が物価上昇に追いつかない可能性がある一方、非正規雇用や大企業の正規雇用については物価上昇以上の賃金上昇が期待できる。こうした賃金動向が個人消費の先行きに及ぼす影響を注意してみていく必要がある。』
『・中小企業の収益力はコロナ前より大幅改善した大・中堅企業に比べ弱く、投資も低調で賃上げ率も低い。少子高齢化等の構造的問題を抱え国際競争力が低下している日本で、賃金と物価の好循環を実現するには、成長志向の中小・中堅企業が投資・事業構造強化を進め、スタートアップが躍進し、資金・人材を集め成長スパイラルを創出する必要がある。』
『・為替円安に伴う物価上昇のもとでも賃金と物価の好循環が着実に強まっていくためには、中小企業の価格転嫁が進展するとともに、名目賃金上昇率が一段と高まっていくことが重要である。』
まあ全部中村審議委員だったりしたら何ですが(2番目のは間違いなく中村さん)、それはともかくとして主な意見見た感じですと先日申し上げたように意見拮抗ややハト寄り、となっている訳ですので、そうなってくると中小企業にフォーカスしてハトの立場になっている中村さんがサクッと政策修正まあ問題なじゃろとなってくれるのは割と重要な気はするわけですな。いやまあもちろんハトハトチキン総裁がチキンじゃ無ければ押し切ってしまうんでしょうけれども、とにかく総裁がハトハトチキンなんでがっつりハトな人がいると中々まとまりにくい。
・・・・・・・・・ということでですね、どうせ大企業の景況感は良いに決まっているので、そっちは比較的どうでもよくて、中堅中小の内容の方がポイントになるという割と珍しいパティーンが想定されるわけでござんすな。マクロを見るための短観ではなくて、中堅中小の状況を見る短観ですわ、というのはあくまでもアタクシの個人の感想でございますがどうかしらね。
〇サービス価格が基調物価判断に重要ですという後付けペーパーキタコレ
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab24j02.htm
わが国における賃金・物価上昇率の連関
上野陽一(日本銀行)
Research LAB No. 24-J-2, 2024年6月28日
リサーチラボシリーズは基本的にがっつりペーパーのお子様向けバージョンという物件なので、では元のペーパーどこにありますねん、という間もなく日銀新着にリンクがありますが、
https://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24e07.pdf
Bank of Japan Working Paper Series
Broad-Perspective Review Series
Linkage between Wage and Price Inflation in Japan
Yoichi Ueno
ということでこれまた英文キタコレなのですけれども、悲しいかなペーパーの頭に例の「多角的レビューシリーズ」のロゴが付着している時点でお察しなんですが、ではまあ日本語のお子様向け解説の方を拝読してみましょう。
URL再掲
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab24j02.htm
わが国における賃金・物価上昇率の連関
上野陽一(日本銀行)
Research LAB No. 24-J-2, 2024年6月28日
『要旨
今次局面では、(1)コストプッシュによる物価上昇と、(2)賃金と物価の好循環の強まり、という2つの変化が生じており、(2)の動きを抽出することが物価の基調を捉えるうえで重要である。本稿では、こうした考えに基づいて、賃金と物価の基調的な動きを抽出するとともに、両者の連関について定量的に分析したUeno(2024)
[PDF 1,562KB] の概要を紹介する。』
とのお告げなのですが、コストプッシュだから対応しなくて良い、というのはそもそも論としておかしくて、現実に起きている物価上昇が持続的なものなのか一時的なものなのか、という点を考えて政策対応をするのが「通貨の番人」のお仕事ですよねという話なので、まあだいたいからして最初のアジェンダセッティングが問題含みにしか見えません。
コストプッシュだからと言ったってそれが構造要因に起因するもので(それこそグローバルな分断の発生とかまさにそうじゃん)あれば、それは一時的なものにとどまらない可能性がある訳で、それを一時的だからいずれ下がるといい続けている間に適合的期待形成が上振れてインフレ期待がアンカーされなくなってもお前は対応しないと言ってるのかと小一時間。、
『主な分析結果は次の3点である。第一に、物価の基調を捕捉するには、賃金・物価のきめ細かい情報を用いるモデルによって、サービス価格のトレンドを抽出・活用することが有益である。』
サービス価格キタコレ!!!!!
『第二に、賃金と物価の連関は、1998年頃に失われたが、コロナ禍以降はサービス価格と非製造業の賃金を中心に相応に回復している。』
はいはいサービス価格サービス価格。
『第三に、賃金と物価の連関が強まった契機としては、賃金交渉時に物価を参照する動きの拡がりや、労働需給の顕著な引き締まり、海外ショックの波及の変化、企業の価格マークアップの安定化などが挙げられる。』
だそうなのですが、さてここれ日銀謹製の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」の能書きを再確認しましょう。
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
『物価動向の分析にあたっては、現実に観測される消費者物価の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率(いわゆる「コア指標」)がよく利用されています。その際には、特定のコア指標に依存するのではなく、様々なコア指標を総合的にみていくことによって、基調的な物価変動をより的確に把握することができると考えられます。』
だそうなのですが、関連ペーパーとして示されているペーパーを見ますと、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j11.htm
消費者物価コア指標とその特性
景気変動との関係を中心に
2015年11月20日
調査統計局 川本卓司、中浜萌、法眼吉彦
ペーパーはこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/data/rev15j11.pdf
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j12.htm
消費者物価コア指標のパフォーマンスについて
2015年11月20日
企画局 白塚重典
ペーパーはこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/data/rev15j12.pdf
ってのがあるんですが、「物価の基調を捕捉するには、賃金・物価のきめ細かい情報を用いるモデルによって、サービス価格のトレンドを抽出・活用することが有益である」って話が欠片も無いんですよねーーーーーー、なんですかこれって感じですな。
ついでに言うとYCC導入時に行った総括的検証をしたときは
2016年9月
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160921b.pdf
「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証
【背景説明】(注)
・・・・・思いっきり「予想物価上昇率がQQEとその後のマイナス金利政策で思うように上がらなかったのがアカンでした」という話で基調的物価がどうのこうのなどという話はなく、その後2018年にフォワードガイダンスを導入して金融緩和を強化した、ということになっている時には展望レポートのBOXが特集になっていまして、
2018年7月
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2018/rel180731f.pdf
経済・物価情勢の展望(2018 年 7 月)
─ 賃金・物価に関する分析資料* ─
ちなみにこの時のBOX祭りの見出しですが、
(資料1)最近の労働供給の増加と賃金動向
(資料2)家計の値上げに対する許容度
(資料3)企業の慎重な価格設定スタンス
(資料4)企業による生産性向上に向けた最近の取り組み
(資料5)競争激化と部門ショック
(資料6)公共料金と家賃の動向
(資料7)予想物価上昇率の「適合的な期待形成」メカニズム
ってなっていまして、まあこういう話を散々しておいて、いざ物価が上がって政策修正を渋る段になったら今度は急に「サービス価格ガー」とか言い出している訳ですな。
でもってちょっとこのペーパーからは話がずれるんですけど、多角化レビューのWSの資料とかにもありましたが、ここに来て急に「労働市場の構造変化が云々」ってのを言い出しているのも目立つんですけど、こちらは上記のように2018年7月の展望レポートでも示されているんですけど、
『足もと人手不足が強まるもとで、女性や高齢者を中心に労働力率の上昇ペースが加速している。仔細にみると、「女性(15〜64
歳)」は、人口が減少しているにも関わらず、政府による就労環境の整備もあって、労働力人口が増加している2(図表
B1-1@)。また、「高齢者(65 歳以上)」は、高齢化に伴って人口が増加するなか、最近は労働力人口がそれ以上のペースで増加している(図表B1-1A)。』
『ここで、女性や高齢者のパートにおける労働供給の賃金弾力性(賃金が1%増加した場合の労働供給の増加率)を計測してみると、労働参加が近年顕著な女性(15〜64
歳)および高齢者(65 歳以上)で、男性(15〜64 歳)よりも高いことが確認できる3(図表
B1-2)。』
『すなわち、こうした層では、同じ賃金上昇率に対して、より多くの労働供給がなされることになる(図表
B1-3)。この結果、労働需要が高まると(図中の労働需要曲線の右方シフト)、より多くの労働供給がなされる一方で、結果として、賃金上昇を抑制することになる。』
『仮に、女性や高齢者の労働供給が弾力的になされていなければ、賃金上昇はより大きくなっていたと考えられる。』
(以上の部分は直上URL先、2018年7月決定会合付属資料の「資料1」から引用)
ってことで、別に今に始まった話じゃないのですが、労働市場の構造変化は高圧経済アプローチのおかげとか言ってたりするんですけど、どう見てもただの人口動態要因です本当にありがとうございましたというのが2018年から現在にかけて何年かかっていましたっけとか考えると妥当にしか見えないわけで、どうもこの多角的レビューって結局黒田緩和の正当化に使っているだけで、先般吉川先生が指摘したような「そもそも巻き戻すのにこんなに苦労しないといけない政策を導入する必要があったのか」という観点からのレビューになっていない時点でポンコツレビューだし、このロゴがついてるペーパーが最近やたらめったら量産されているのですが、結局QQE政策が本当に実施すべきものだったのか、という点に対してクソの役にもたたないもんばっかり出てきてて、何ちゅう才能の無駄遣いと思っておじいちゃんは悲しくなってしまいます。
ついでに言えば
https://www.boj.or.jp/mopo/r_menu_ron/index.htm
金融政策に関連する論文等の一覧
を見ても賃金とサービス価格がどうのこうのとか今まで全然言ってなかったものがQQEおっぱじめて11年もしてから出てくるってどういう事よとは思う訳ですな、あっはっは。
・・・・・・いやまあ宮仕えはつらいのはわかるんで、書いてる当人たちよりではなく、この多角的レビューを嬉々としてやっているスットコドッコイのハトハトチキンが悪態をつかれるべき、というのを最後に付け加えさせていただきます。