金融政策概観(2014年度下期後半(2015年01月〜03月))

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2014年度下期後半の見出し

2015/03/30「CPIゼロで色々とごまかしモード始まりそうですな」
2015/03/23「国債投資家懇談会では市場流動性の低下などの指摘多い」
2015/03/10「景気ウォッチャーは「物価上昇の懸念」とな/アリバイサーベイ結果はやはり市場の流動性に懸念」
2015/03/04「2年の期日を前にリフレ派の足並み乱れる(笑)」
2015/02/27「国債決済T+1急ぐ必要あるのかね/大門みきしさんのツッコミで黒田総裁もタジタジ」
2015/02/26「参議院では民主党の反対演説を受けて松田公太氏や猪木寛治氏が原田氏に反対とな」
2015/02/25「目出度く原田さん人事は衆議院で通過」
2015/02/24「官邸周辺から黒田総裁の梯子外しな発言が連発している件について」
2015/02/23「財政諮問会議発言は箝口令とな/CPI構成品目の価格硬直性に関するレポート」
2015/02/19「経済財政諮問会議で日銀総裁が財政再建の重要性を説明→安倍ちゃん格付け会社に圧力示唆とな」
2015/02/18「決定会合は今回は超無風でしょうがメカニズムについては質問して欲しいですな」
2015/02/16「GPIFの運用委員が外貨建て資産の為替ヘッジをしろという妄言を」
2015/02/13「3M短国入札が3か月ぶりのプラス金利足切!!!/ブルームバーグの憶測記事キタコレ」
2015/02/09「6M短国はマイナス足切り/その他オペ雑談」
2015/02/06「原田先生と同様のリフレ派早稲田大学教授若田部先生も原田ジンバブエ理論を提唱と馬鹿かこいつら」
2015/02/05「日経事前リーク記事の情報漏れ調査で1日審議委員人事の提示が遅れるとな」
2015/02/04「10年入札テール45銭と大荒れ入札/2月短国買入予想/なんと原田先生審議委員候補とな」
2015/02/03「1月は財政要因分を短国買入で埋める形のオペ実施/黒田総裁発言も追加緩和不要論」
2015/01/30「政府から追加緩和不要論?/リフレ派の原田早大教授の馬鹿にさらに磨きがかかるとな」
2015/01/28「甘利発言はもしかして政権からのタオルなのか少々謎ではあるものの・・・・・」
2015/01/22「決定会合はまさかの事実上ゼロ回答で追加緩和時期も10月まで延びそうです」
2015/01/20「10年0.205%!!/MPMプレビュー/オランドがお漏らしとな/山本幸三先生に見るリフレ派敗走」
2015/01/19「SNBの無限介入降参を受けてMPMとECBプレビュー雑談」
2015/01/14「決定会合プレビュー雑談/物価に関して梯子外し?/リフレ派の早稲田大学原田教授が珍理論」
2015/01/13「また地方選負けとな/貯蓄性保険商品の販売停止を検討/審議委員人事ネタ」
2015/01/09「生活意識アンケートの結果が日銀に対して色々と厳しい件」
2015/01/07「年初2日目にして債券市場壊れてしまったので早速悪態初め」
2015/01/06「正月早々債券株式はインチキ相場で海外はおはぎゃー」
2015/01/05「MBはまた見事にプラマイ1兆円以内で着地/輪番は超長期の後ろと中短期を減額」

2015/03/30

ほほう。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150328-OYT1T50156.html
債務GDP比を財政再建の新指標に…政府方針
2015年03月29日 07時12分

『政府は、2020年度までの財政健全化目標として、国と地方の債務残高(借金)の総額を国内総生産(GDP)比で減少させることを掲げる方針を固めた。』(上記URLより)

まー前から話はありましたが、目標が行かなさそうになると目標を差し替えてしまうという中々こう斬新な(以下自主規制)。この調子で物価目標2%の2年も(内務省検閲)。


○CPI2年でゼロ%キター

http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm
平成22年基準 消費者物価指数 全国 平成27年(2015年)2月分 (2015年3月27日公表)

コアもコアコアも0.0(消費税除く)キタコレという所でありますが。


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MN06920150327?sp=true
アングル:CPI失速、日銀は原油下落で説明可能と静観スタンス
2015年 03月 27日 11:45 JST

『[東京 27日 ロイター] - 2月消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)は、消費税引き上げの影響を除き前年比ゼロ%にとどまった。日銀が目標に掲げる2%への道のりは遠い。未曾有の国債買い入れで昨年4月には1.5%まで上昇した物価は、振り出しに戻った印象だ。だが、日銀は現時点で物価下落は昨年来の原油急落で説明可能として、静観のスタンスを維持している。』(上記URLより)

(・∀・)ニヤニヤ

これ毎度原油価格ガーって言ってるけどコアコアもゼロな訳でして、米国のようにエネルギー除きだとそこまで弱くないというのと全然違うんですが、どこまで原油ガーで言い逃れをするのかが楽しみですが、需給ギャップが改善して賃金が上昇するからそんなことは心配しなくて良いんですね!!!!!!(白目)


なお、こんな記事もあるようで。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE96800420130709?sp=true
〔焦点〕政府のデフレ脱却判断、「コアコアCPI」採用へ
2013年 07月 9日 21:23 JST

『[東京 9日 ロイター] - 5月全国消費者物価指数(除く生鮮、コア)が前年比0.0%とマイナスを脱し、デフレ脱却の局面が近づいているとの声が一部のエコノミストから出ているが、政府はエネルギー関連を除いた「コアコア指数」で判断する方針を明らかにしている。』(上記URLより)

そもそも政府と日銀で一般物価の定義が違うというのってどうなのよ(なお日銀の政策目標としての物価目標の計測は本来的に言うと「中期的な総合CPI」である)とは思いますが、結局コアコアもアガランチ会長な訳でそうなってくると益々マズーな気がするんですけどねえ。2年で達成は諦めたにしろ2015年度中心という話なのですから1年以内に何とかなっていないとさすがにどうしようもなくなると思います(その前に輪番が火を吹く可能性の方が高そう)けどねえ。

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2015/03/23

・ということで国債投資家懇談会だが

木曜の投資家懇の議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/150319.html

『○リオープン方式等について、理財局から以下のように説明を行った。』

『・ここで10年債の各銘柄の市中残高をみると、大規模な日銀買入が継続する中、資料1のP3のとおり、1銘柄当たりの市中残高が著しく減少している。特にシングル・イシューとなった銘柄の中には市中残高が1兆円を切るものも出てきており、こうした銘柄が将来チーペスト銘柄になった場合における先物市場への影響等も懸念される状況となっている。 』

ということで10年長国でカレントが30bp動いたら新銘柄、超長期は強制リオープンと現物債市場の流動性の低下(特に先物CTDになった時の影響)を気にしていますがまあ当然。

『・なお、前回の懇談会でもお伝えしたとおり、4月以降、すべての国債及び国庫短期証券の入札において、各入札参加者による応募の限度額が発行予定額の2分の1に引き下げられるとともに、国債市場特別参加者の応札責任が発行予定額の4%以上となるので、協力願いたい。 』

短国に関しては買占め日銀トレードヒャッハー(最近は普通にベンダー記事のネット版に日銀トレードがどうのこうのとか出てきてヤフーニュースでも見れるようになるとか大丈夫かよと思ったりしますが)防止の為の施策が来月から発動ということで、これも流動性向上施策で、そらまあ発行サイドですから市場の流動性について気にするのは順当なのですけれども、無邪気に買入をホイホイ増やしている日銀ェ・・・・・・という所ではありますが、まあそもそも論として麿の頃はこういう事はやらずに済んでおりまして、債券市場の流動性とか知らんがなという筆頭が黒田総裁その人なので、そういう意味では財務省としては製造物責任を取って貰っている訳でまあ頑張って頂きたいものです。

でまあ参加者の見解(投資家懇談会は意見コーナーがPD懇よりも一つ一つが長くてよい)ですが。

『3. 最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて〔参考配布:参考資料〕 』ということで。

市場ボラや市場の流動性低下に関して。

『・1月末からの金利やボラティリティの上昇は、国債市場の機能低下・流動性低下を反映しており、日本国債は現状、リターンに比してリスクが高い印象を持っている。何かをきっかけに金利やボラティリティが上昇する事態は今後これまで以上に起こるものと考えているが、リターンとリスクを勘案した慎重な運用を行い、国債投資の残高は維持していきたい。 』

うむ。

『・先日の20年債入札以降、再び金利が低下しており、来年度の運用を不安視している。金利水準が購入ターゲットに入ってくればしっかり買うというスタンスで臨む所存。日本銀行による巨額の国債買入が継続する中、証券会社から必要な量を必要な時に買うことができない状況となっており、証券会社のマーケット・メイク能力が低下していることを懸念している。』

金利が低いと債券市場の人って困るんですよね。つーか良く良く考えたら「利息を払う人」がいるから市場がトータルで運用としてウマーな訳で、ゼロ金利だのマイナス金利だのになったらそら市場トータルのパイが減るからマズーな訳で、金利が上がって債券に損が出ると市場関係者は困るのでどうのこうのという外れたご意見を良くリフレの一派の方々が仰せですがそういうこと。


『・国債市場の流動性が低下する中、売りが売りを呼び、買いが買いを呼ぶ不安定な市場となっている。市場機能が低下する中、中央銀行の適正なバランス・シートの大きさについても、今の金融緩和が続いているうちに議論する必要があるのではないか。 』

なおECBは日本のどこをどう参考にしているのか知らんけど、いきなりQQE+追加緩和位の市場インパクトで買入を行っているので日本よりも欧州の方が先に爆発するかもしれません。バランス自体は欧州の方が小さくてもそもそも国債市場が小さいですからねえ。


『・1月から2月にかけてのボラティリティ上昇は、日銀買入を背景に金利が投資家の求める水準を下回る中、金利が上昇しても買い手が現れず、市場参加者のリスク許容度が低下したこと等が要因。国内投資家は今回、一定の経験を積んだものと思うが、今後欧州マネーの流入がボラティリティを増幅しないか懸念している。(後半割愛)』

ですなあ。

『・金利が投資対象として誰にとっても魅力のないところまで低下し、その後上昇したという動きを見れば、日本国債はバブルの領域に入っていると言えよう。こうした動きを生んだのは中央銀行であり、その政策が続く限り、金利は低位で推移を続けるものと思う。(途中割愛)証券会社がヘッジをしづらくなっていることもボラティリティ上昇の一因ではないか。証券会社からすると、市場の流動性が低下し、最大の国債保有者である中央銀行が国債の補完的な供給しか行わない中、ある銘柄を買った時に他の銘柄でヘッジすることが難しい。そのため保有する国債を売却しようとすれば、利回りが投資家の求める水準に届かない結果、自然とボラティリティが上昇してしまう。』

その通りなのだが日銀ケチョンケチョンでワロタ。

『・(前半割愛)証券会社のマーケット・メイク能力低下の背景には、国際的に資本規制が強化される中、流動性低下によって収益を上げづらくなっている日本国債部門に対して資本やスタッフの配分が薄くなっている面があるのではないか。この結果、日本国債のボラティリティが上昇すると、投資家としては他の投資対象も検討せざるを得なくなる。(以下割愛)』

アチャーという所ですな。でまあ財政健全化に関してはこんなのが仰せのとおりなので引用しておきます。

『・(前半割愛)財政規律に関連して、財政健全化目標を巡る議論に注目している。日本はGDPの2倍を超える債務を抱えており、他の要因が一定であれば、GDPが金利上昇の2倍以上のペースで拡大しないと債務残高対GDP比が拡大することとなるが、この達成は非常に困難。債務残高対GDP比の削減が達成できないと市場が見た場合や、急激な円安に伴う金利上昇などによって成長率と金利が逆転した場合の反応が懸念される。将来の人口減少を考えると、一人当たりの債務が累増することは明白であり、これにより潜在成長率が押し下げられる可能性もある。歳入・歳出の見直しを先送りせず着実に進めることが必要。』

ですなあ。

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2015/03/10

○まあ事実なので仕方ないですけど内閣府今回も後ろから銃撃

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2015/0309watcher/menu.html
平成27年2月調査(平成27年3月9日公表):景気ウォッチャー調査

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2015/0309watcher/bassui.html
平成27年2月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査

『今月の動き(2月)』ですが・・・・・・・

『2月の現状判断DIは、前月比4.5ポイント上昇の50.1となった。
家計動向関連DIは、小売関連が上昇したこと等から上昇した。企業動向関連DIは、製造業及び非製造業が上昇したことから上昇した。雇用関連DIは、求人の増加がみられたこと等から上昇した。』

ほう。

『2月の先行き判断DIは、前月比3.2ポイント上昇の53.2となった。
先行き判断DIについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、賃上げへの期待や燃料価格低下への期待等がみられ、家計動向部門、企業動向部門及び雇用部門で上昇した。』

>物価上昇への懸念等がみられるものの(略)燃料価格低下への期待等がみられ

ちなみに物価上昇への懸念というのは昨年の10月調査(そこまでは「エネルギー価格上昇等の上昇懸念」)から入っていまして、燃料価格低下の期待は昨年12月調査から入っているの今に始まった話ではないのですが、日銀執行部の皆さんが「2年で2%達成の意欲」というのを示しているタイミングでこの銃撃というのが実に味わいが深いという所でして。

『今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、一部に弱さが残るものの、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、賃上げへの期待や燃料価格低下への期待等がみられる」とまとめられる。』

てな話でして、まあ内閣府としては調査結果を平明に出したらこうなりましたという結果なのでしょうけれども、実際問題として物価の方が日銀の思惑通りにホイホイ上昇(またぞろドル高モードですしガソリン価格とか底打ちチックになってきましたし)してきた時点で政治的に厳しくなってきた場合に急に政治サイドが「日銀は国民生活を無視して自分の事だけを考えて物価上昇させようとしている」とか盛大に梯子を外しに来るに100ドラクマという所ですな、うんうん。


○アリバイサーベイキタコレだが内容ワロタ

http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1502.pdf
債券市場サーベイ<2015年2月調査>
回答期間:2015年2月18日〜2月25日
調査対象先数:40先

・・・・・・・・ということでサーベイキタコレであるが、そもそも長期金利の先行き見通しなどというものが無駄以外の何物でもなく、質問内容に関しても別に自由記述欄や要望みたいなのがある訳でもなくて、これならQSS調査の方がよっぽど読む意味あるわという物件なのですが、何せ「市場との対話を行っています」という一貫の中で「市場機能はありまぁす(キリッ)」とエクスキューズするためのアリバイサーベイにしか見えない物件なのでこのようになるのも止む無し。

などと悪態をつきながら中身を読みますと、

『1.債券市場の機能度の状況(長期国債の流通市場を念頭において、ご回答下さい)』

短期国債の流通市場は何故念頭に置かないのでしょうか??????などと突っ込んではいけません。

『(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)』

『(現状)
1. 高い 2先
2. さほど高くない 26先
3. 低い 12先』

40社中2社しか「債券市場の機能度が高い」と言ってませんがそれでも債券市場の機能などに問題がないと仰せで。

『A貴行(庫・社)からみた市場参加者の注文量について、板の厚み(注)等を念頭においてご回答下さい。』

『(現状)
1. 多い 0先
2. さほど多くない 22先
3. 少ない 18先』

多いというのがゼロとかもうね。

でまあこの項目の最後の当たりが更に味わいが深い。

『E貴行(庫・社)の概ね意図した価格で取引ができているかご回答下さい。』

『(現状)
1. できている 13先
2. さほどできていない 19先
3. できていない 7先』

『F貴行(庫・社)の概ね意図した取引ロット(1回当たりの取引金額)で取引ができているかご回答下さい。』

『(現状)
1. できている 14先
2. さほどできていない 13先
3. できていない 12先』

・・・・・・・・ということで、現時点で取引の流動性に問題があると考えている向きが6割超という状態になっております次第ですが、これはまあどこからどう見ても将来の金融正常化に対して阻害要因になる話でありますし、更に言えばこんな状態でレポ取引にストレスを掛けることになる国債決済のT+1化を推進するとか自殺行為としか思えないのですが大丈夫かよという感を更に強くするアタクシ。

念のためしつこく申し上げておきますが、流動性が急になくなるとどういう事になるのかというのは昔々その昔(確か1998年)に債券先物の取引システムを意味不明に改定した際に、注意気配制度とか特別注意気配制度とかを無くしてしまって値段がとんでもなくワープするようになった結果、当時多くの現物債の取引のヘッジが集中していた債券先物市場の流動性が蒸発してしまい、ヘッジ市場の流動性が急になくなってしまったのでオファービットは開くわ売買のロットは捌けなくなるわとなって、その後の債券暴落の土壌を作った(引き金になったのは運用部ショックと言われるものだが、実際問題としては運用部の国債買入停止額自体は当時の市場規模でも屁であって、本当の原因はその前に行われた東証の債券先物システム変更による極端な流動性の低下)という事案がある訳で、せっせと国債買入を継続して流動性を無くしていくところに国債決済のT+1化とか将来の悲劇の伏線を張りまくっているようにしか思えないのですけどねえ。

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2015/03/04

○追加緩和に関してリフレ派でご意見が分かれるとな

リフレって世界標準の金融政策なんですから出てくる話も世界標準だと思うのですけどねえ(棒読み)。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0LZ0PB20150303
原油下落による物価下落で追加緩和不要=本田内閣官房参与
2015年 03月 3日 18:38 JST

『[東京 3日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済アドバイザーを務める本田悦朗・内閣官房参与は3日、ロイターに対して、原油価格下落の影響で消費者物価指数はしばらく上昇しないが、経済の基調は改善を続けており、日銀が追加緩和に踏み切る必要は当面ないの見解を示した。』(上記URLより)

ええまあ何の責任も無い立場で勝手に日銀を「2年2%」という無茶目標に追い込んで、追い込んだ本人は2年たったところでさっさと梯子外したあおめでてえなというかお前何様だよという風情ではあります(てかインタビューするから図に乗るんだけどな)が、「目先の物価の動きではなく経済の基調が重要」ってそれ白川ドクトリンのまんまだろと小一時間ですけれども、まあ要するにこれ以上の円安は困るって話で、その手のヘッドラインが出た昨日の昼にドル円が120円20銭近辺から119円80銭近辺までスココーンと下がったのはご案内の通り。


一方でこういう見解もある訳で。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NKFBXL6K50Y901.html
リフレ派の嶋中氏:黒田総裁の日銀理論に異論
2015/03/02 12:00 JST

『その上で「日銀が物価目標達成のためにどれくらい強い決意を持っているのか、原油が理由であろうとなかろうと絶対にマイナスを定着させない、という強い決意を持っているかどうかが試されている」と発言。「断固たる態度で臨むと言ってきたので、周りの雑音がいかに喧しくても、ぜひそれを見せてほしい。それでこそ黒田総裁だ」と述べた。 』(上記URLより)

えーっとすいませんリフレって世界標準の金融政策のはずなのですが、追加緩和に関して思いっきり正反対の話が出てくるとかどういう事なんでしょうかねえ(ニヤニヤ)と思いますけれども、10月の追加緩和の時の黒田ロジックを敷衍するとそらまあCPIがマイナス近辺に突入して暫くゼロ近傍で推移しそう(なんですよね?)という状況が発生するというのは「バックワードルッキングで形成される物価上昇期待」に悪影響を与えるという話になる(そもそもアクチュアルの物価が上昇していた時にその理屈でインフレ期待が上がっていますといったのだから逆の時にだんまりなのはおかしい)ということですので、まあそういう意味では4月に「死んだふり追加緩和」をしたって10月の理屈ではおかしくはないですな。

とは言いましても、ご案内のように1月2月ですっかり10月緩和のロジックが引っ込んでいるという事実もあって、最早何が何だか分からんというのが予想する方としての見解になるのですが(涙)、屋根の上に颯爽と上がって纏を振り回していた筈なのに気が付いたら下の建物が火の海で、しかもその屋根に上がれと言ってた人たちが「あいつは何であんなに燃えている屋根に乗っているんだ」と言い出すという始末になっているのが現在の日銀と考えますと、怒りの追加緩和とかもはや何が何だか分からないですが面白いからやってみたらとも思ってしまいますわうひょひょのひょ。

しかしまあ何ですな、追加緩和は追加緩和で良い(ちなみに債券市場と短期市場的には堪ったもんではないので良くない)のですが、そもそもこれだけの国債馬鹿買入を実施してMBを馬鹿拡大しているのに物価の方が中々上がらんどころか2年でゼロ%とかもう何だかねという所で、マネタリーベース理論を唱えておられたリフレ派諸氏におかれましては、「どれだけやったらどれだけ物価が動くのか」について「物価はマネタリーな現象」というのですからきちんと定量的に示して頂きたい訳で、定量的な適正値を示すことができない金融政策理論ってただの机上の空論で実際に使えないだろこのスットコドッコイとしか申し上げようがないので、その説明をはよとは思いますけどね。


なお、実践的に考えた場合、10月追加緩和でどう見ても追加緩和のタマを(国債買入によるMB拡大方面では)打ち尽くしている格好になっておりまして、次にMB拡大ペースを更に上げると政策が技術的に行き詰るまでの時間を早くして自分の首を絞めるだけになりますので、まあ実際問題としては追加緩和するにしても「ツイストオペ」みたいな目くらましをするとか、なんかの変化球を投げないといけない(付利下げ等はMB政策を放棄しない限り技術的に無理だし本格的なマイナス金利政策は日本の金融構造における事情的に実施は困難)でしょうなと思います。

しかしこの本田先生の説明(言い訳)はウケますな。

『本田氏は「原油価格の急落は予想ができなかったのだから、2年で達成できないのは仕方がない。しかし(2年程度で達成との)目標を外すと(人々の物価観である)期待インフレ率が落ちてしまう」とし、2年程度で2%との文言維持が望ましいとの見解を示した。』(上記本田参与の記事URLより)

毎度の引用になりますが、2013年4月にはこのような質疑応答が国会で展開されておりました。

『○岩田参考人 私が一番懸念しているのは、どうも日本銀行が、物価の安定あるいは一%とか二%とかそういうインフレ目標達成を金融政策だけではなかなかできないという立場に立っている。やはり、世界のインフレ目標国のように、物価の安定は責任を持って日銀がやるんだ、中央銀行がやるんだ、そういうような考えをもう少し持っていただきたいというふうに思っておりますので、それが組織上の問題でそうなっているのかどうかよくわかりませんが、私、そういうふうな考え方も、もう少し柔軟になってほしいなという気持ちは持っております。』

『○阪口委員 岩田候補の、とにかく、そのときの経済や政府の政策のせいにはせず、日銀の責任で二%を達成する、この覚悟、これは大変にすばらしいものだと思います。また、先ほど、それが二年という期間内に達成されなかった場合には責任を負うんだと。このことも、ある意味、きょうは、市場を動かす上での大きな御発言であったかと思います。(以下割愛)』(以上上記2013年3月5日での国会質疑より)

・・・・・・・・いやあもうねという所ですけど、ただまあ物価が上がらん方面での未達でどうのこうのというのはまだ「緩和が足りないから」という逃げ口上があって面白くない訳でして、実は不肖このアタクシも「これだけの過激な緩和をするんだから物価さすがに上がるだろ」と思っていた口でして、どちらかというと「経済の成長とかを伴わないで物価だけ先行してホイホイと上昇した結果「2%の物価上昇ケシカラン」となって日銀火達磨」という展開が来る方が胸が熱いという風に思う次第。

つまり、本当の地獄は物価が上がらないことではなくて、物価が上がった時にその物価上昇に世間が耐えられないという展開だと思いますし、だいたいからしてこれだけ国債を盛大に買って物価が上がらないなら本当に無税国家キタコレになるとかバーナンキの背理法を持ち出すまでもなくあり得ないお話が展開される(そもそもそうなったら「物価は貨幣的現象」というのも否定されますし、金融政策無効論になってしまいますし)ので、まあどこかで物価がホイホイ上昇しだすとは思いますが、その時にどういうフリクションが起きるのかというのを(あまり見たくはないが)見て、無理矢理インフレに振るという政策の当否がそこで問われるという話になると思うのですけどね。

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2015/02/27

○国債決済T+1化関連で少々気になる別の論点についての雑談

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/index.html
国の債務管理の在り方に関する懇談会(議事要旨等)

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20150225-3.pdf
国債の決済期間の短縮(T+1)化に向けた取組

・・・・・・ということで相変わらず国債流通市場の現状が日銀大量買入で市場流動性にプレッシャーをかけている(から足元のようなドタバタ相場になる)という状況になる、という当初このT+1化をどうしようって話をしていた時期とは前提状況が大いに異なるのに相変わらず線表通りに推進してどうしますねんという案件ですけどね。

#なお毎度申し上げておりますように、QQE政策が終了して金利水準や国債流通市場の状況が平常に戻ったら別にやっても良いんじゃないですかねえというお話

この資料の『(参考1) 国債決済短縮(T+1)化のイメージ』と『(参考2) 銘柄後決め方式GCレポ取引のスキーム』を見ていてだいぶ気になったのは、T+1でアウトライトSCがT+1になる問題もさることながら、GCがT+0になることに関してで、GCがT+0になった時点でのスキーム図を見ておりますと、これってJSCC使うのが前提になっていますけれどその費用負担とか事務体制構築(関連システム投資も含めて)についていけない規模の投資家はGC市場から振り落とされる格好になると思うのですよね。

でまあ日証協はそんなものは振り落としてしまえという発想なのでしょうけれども、そうなってしまいますと、国債流通市場における在庫ファイナンスを担うGCレポ市場の参加者が債券ディーラーと大手機関投資家(というか多分大手銀行)だけという話になってしまい、「市場の規模は大きいけれども参加者の多様性が確保されていない市場」というものになってしまう惧れがある訳で、その結果としてどういうことが起きるかというと、市場の構造的にショック耐性に弱い市場が出来上がることになりませんかねと思うんですよね。

まあそうなるのかどうかは知らんですけれども、仮にアタクシの懸念(杞憂であれば良いのですが)が顕在化した場合って決済リスクの削減で市場の安全確保みたいな話に逆行する皮肉な結果も待っている(そもそも論として今の市場状況でSC取引にストレスを与える国債決済期間の短縮化それ自体の問題も思いっきり有る訳ですが)ような気がする訳ですが、この手の市場ストレスだの参加者の多様化喪失によるショック耐性だのという話というのは定量的な評価が難しい一方で未決済残高の圧縮のようなものは定量評価が一発で計算できるので、直接的に見えるリスクを削減しようとして見えにくいテールリスクを拡大する、というような結果にならないように、推進するにしても慎重に進めていただきたいものだと思うのでありました。




○大門先生キター!(後日用メモ)

昨日は参議院財政金融委員会で恒例の日銀半期報告。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/ko150226b.htm/
通貨及び金融の調節に関する報告書
参議院財政金融委員会における概要説明
日本銀行総裁 黒田 東彦 2015年2月26日

でまあ質疑やっていて幾つか面白かったのですけれども、実際にちょっと聞いたのをヘッドラインと比較してみると例によって例のごとくベンダーのヘッドライン詐欺っぽいのが散見されますので注意した方が良いかもしれません。

そんなヘッドラインの中で市場の中の方々の腰が抜けたと思われるのは「2016年度末には2%達成」という説明で、おいおいQQEの「2倍」の最後の落ちは「達成期間が実は2倍に延長」かよと思いましたが、一応「2016年度末にはどう見ても達成しておりますが何か?」という意味の発言だったようですけれども、2015年度に達成しますよもしかしたら2016年度にはみ出すかもしれませんという話が更に後ろに倒れやがってどうなっているんだこのウソツキという白けた空気が漂ったで有ろう事は申すまでもありません。

でまあこちらに逝くと審議中継が見れます(アドビのフラッシュプレーヤーの最新版がインスコされている事と、WinだとOSはVista以上が必要のようです)ので、昨日の財政金融委員会の毎度おなじみ大門先生の質疑を見るとこれがまた素敵だと思いますので、いずれ会議録が出たらネタにする所存ですが先にメモを置いておきますね。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
参議院インターネット審議中継

大門委員の質問は金融政策のコミュニケーション論だったのですが、そこのツッコミどころが昨年の追加緩和に関する話というのが見事すぎるツッコミどころでして、詳しくは会議録が出てからネタにしますが、質問だけでそのまま金融政策のコミュニケーションに関する論点整理になるようなお話でした。

でまあだいたいどんな質問をしていたかというと、昨年10月の追加緩和に関しての説明で、追加緩和を実施する直前に国会で黒田総裁や岩田副総裁が委員会答弁をしていた時の内容が「経済物価情勢は順調に推移しており物価は2015年度を中心とする期間に目標に達する可能性が高いと判断しています」という説明になっていたのに、その直後にサプライズ緩和をしたのはどういう事だ、何をしに国会にきているんだ、という所から攻めてきて、最終的には「サプライズ狙いの金融政策を続けると市場は更に大きなサプライズを求めるようになりキリがないし、一番重要なことを伝えたいという時に市場に伝わらなくなるという問題がある」ってな話になりまして、最後の方はもう黒田総裁反論不能状態で言われるがまま状態になっておりましたな。

んでまあその時に10月の追加緩和は「サプライズを狙ったものではない」と黒田総裁思いっきり言ってしまいましたのはほほーという感じでしたし、あとまあこの点はそういう流れになるのかどうかは微妙ではありますが、国会発言と直後に行われた政策行動の整合性を問われる、という事になりますと、「2年で2%」の期限がやってくる4月以降になりますと岩田副総裁の就任時の見解聴取との整合性についてゴリゴリと来るという変化も想定されますなという所ですな。

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2015/02/26

○デフレよりもハイパーインフレがマシとはこりゃ恐れ入りました

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H02_V20C15A2EAF000/
日銀審議委員に原田氏 国会、15機関58人を承認
2015/2/25 10:37

・・・・・・参議院では民主党の大久保先生の反対見解表明を受けて当初の賛成予定から反対に替わった議員さんなども出たよう(某議員のツイッターによると)ですが、まあ順当に原田大先生の審議委員就任が内定したようで何よりです(吐血)。

でまあその大先生ですが、ちょっと前にはこんな主張もしておられたようで。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3727
歴史に学ぶ インフレより怖いデフレの危険性
2014年05月15日(Thu)  原田 泰 (早稲田大学政治経済学部教授・東京財団上席研究員)

・・・・・・・なんか頭がクラクラするような説明でツッコミどころ満載なのですが、何が凄いって「デフレよりもハイパーインフレの方がマシ」との事でして、ああそうですか上流階級であらされます所の原田大先生様は中産階級がハイパーインフレで死滅して上流階級の肥やしになるべきだという事ですかさすがですなあと感心する事しきりでございますが、ハイパーインフレの害よりデフレの害の方が大きいというご高説まさしくジンバブエ理論でございますなという所で、就任記者会見以降で続々とツッコミどころがあって楽しそうですなあ(棒読み)というかこのウェッジでの大先生の投下している記事がこれ以外も色々と中々こう何と申しますかだったりしますな。

いやまあ同じリフレ派にしたってもう少し普通の話する人居なかったのかねとは思いますし、資産と負債の関係も分からないで日銀が国債買うと統合政府の債務が消滅とか言い出すのがそもそも大学の教授になれるという世の中が分からんぞなという所ではあるのですが、奇しくも某置物大先生が「日銀に入って理解が深まった」などとおめーの勉強の為に貴重な国費を使ってるのかよヴォケというような事案のパート2がこれから展開される事になるのでしょうなあと思うと俺にも勉強させろと申し上げたくなりますな(白目)。

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2015/02/25

ジンバブエキター!!
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H6I_U5A220C1PP8000/
衆院、日銀審議委員らの人事案可決
2015/2/24 19:36

『衆院は24日の本会議で、日銀審議委員に原田泰早大教授、預金保険機構理事長に三国谷勝範元金融庁長官を充てるなど、15機関58人の国会同意人事案を与党などの賛成多数で可決した。参院は25日に採決する。』(上記URLより)

ということで予算委員会は止まっていましたが議院運営委員会はやっていたようで、ついでに審議委員の場合所信表明みたいなのって会議録が出てこない筈なので惜しくもこの辺の内容が分からんというのが残念です。でもって審議委員就任が決まるとジンバブエ理論についての入れ知恵大会が日銀企画方面から入るので就任会見でジンバブエ理論について突っ込みを入れても企画様謹製の屁理屈しか聞けないのが実に残念なところです。

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2015/02/24

○黒田総裁が登った梯子が盛大に外されそうな件

昨日は本田先生や浜田先生から以下のような情報発信が。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NK5C006K50XT01.html
本田氏:円は心地の良い水準、現在は追加緩和の必要なし
更新日時: 2015/02/23 11:52 JST

『(ブルームバーグ):安倍晋三首相の政策ブレーン、本田悦朗内閣府参与は足元の円が「心地の良い」水準になっており、経済の状況を踏まえると日本銀行が追加緩和する必要はないとの見方を示した。』(上記URLより)

物価の状況を踏まえると2年で2%目標が達成できなくなりそうなのですがそれは気にしなくてよろしい、となりますとそもそもリフレ派諸氏の提唱されておりましたインフレ目標とは何ぞやという話になると思うのですが、すっかりその辺は無かったことになって経済状況が良いので無問題という話になっておりますが、それって世界標準の政策であるところのインフレ目標政策を導入しないで常に恣意的な判断を加えている日銀ケシカランと批判していた時代の政策判断基準とどこがどう違うのか小一時間。


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LR0G920150223
インタビュー:日銀は物価目標の再考を、1%や3年など=浜田参与
2015年 02月 23日 18:29 JST

『原油安は外生要因であり、かつ日本経済に恩恵をもたらすと指摘。目標水準を1%近くに引き下げたり、達成期限を現行の2年程度から3年程度に延長しても日銀への信認が損なわれることはないとし、目標を再検討すべきと語った。』(上記URLより)

・・・・・・えーっとどこの白川総裁ですかという風情で、いやまあ現実的に考えれば先生の仰せの通りではあるのですが目標って簡単にホイホイ変えてしまうと目標に対する信頼性が下がってしまうのではないかと存じますので、目標を再検討って中々そう簡単な話でもないと思うのですけれどもねえ。というか1%とかに下げたら円高に思いっきり振れそうな悪寒が。


いやまあ最近すっかり「2年」がフレキシブルになって「2015年度を中心とする期間」とかになっている時点で色々と先送りする気満々ですねという雰囲気はプンプンと漂っていたのですけれども、「中心とする期間」に先送りしたのですから秋口前位まではその流れで有耶無耶のうちに目標達成期間が延びた状態でのらりくらりと躱していくのかと思っていたのですが、今年4月の「2年で2%」の当初設定していた期限が到来するところで目標の解釈を変更する動きが早速キタコレというのが少々意外感があって、そんなに早い時期にこういう話がドンドコと持ちあがるとはねえと思う次第。

ただまあ実際問題としては4月の時点でそんなに慌てる必要あるのかという気もしますし、そうは言っても当初大口叩いたのだから大風呂敷はどうなったとゴリゴリ突っ込まれるのも具合が悪いという事なのかも知れずでして、今年の10月から遅くとも12月の所でそれなりに落とし前をつけに逝くからその時点で色々とコンフリクトが起こるでしょうとかノンビリ考えていたのがそうも言ってられないとなるとやや意外感はあるところですが、まあ今の所何が何やらワカランチ会長な状況ではあります。

ま、一つ確実に言えそうなのは、目先の所で追加緩和をしろというような雰囲気にはなっていないという話(これからネタにしますが1月決定会合議事要旨がこれまた追加緩和無し無しモード全開になっている)ですなというお話ですな。

ただし黒田総裁としては昨日も国会でこのように言及していましてね、

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LR05Y20150223
物価見通し、2年程度で2%達成の目標変わらず=日銀総裁
2015年 02月 23日 16:28 JST

なんちゅうか2年で2%の置物ドクトリンに基づきまして盛大に屋根に上って置物踊りを始めたものの、ふと気が付けばリフレ派の皆様が梯子を盛大に外しているという風情に大変味わいの深いものを感じる今日この頃ですが、黒田さんってQQE導入後の長期金利上昇ではビビらずに「逐次投入はしない(キリッ)」でしたし、昨年10月は2年で2%が相当ヤバくなって追加緩和を果敢に突撃した(消費税の後押しとか色々と言われていて決め打ちできませんがまあ公式見解に敬意を表するとそうなる)とか、実は「2年で2%」に対して最も忠実(最近はさすがに2年を誤魔化しにかかってはいるものの)でして、梯子を外された黒田総裁ブチ切れて果敢に特攻という変化も考えられない訳でもないですので黒田さんがどう出るかは楽しみ(?)ですな。


・・・・・そういや置物ドクトリンと言えばこんなのがありましてね。

http://www.seijo.ac.jp/keiken/kankou/nenpo.html
成城大学経済研究所年報 1〜27号

こちらの25号(2012年4月)にこんなのがあります。
http://www.seijo.ac.jp/files/www.seijo.ac.jp/univ/keiken/kankou/nenpo/keiken_nenpo25_iwata.pdf
なぜ,日本銀行の金融政策ではデフレから脱却できないのか
岩田規久男

これを拝読すると中々じわじわと来るのですよね、具体的にどこがと言い出すと鑑賞の妨げになるかもしれませんが特に8ページの下の方とか9ページとか10ページのグラフの縦軸にある「予想インフレ率」という文言(どうやって計測したんでちゅかねえ)とか17ページの置物理論(その通りに行ってましたっけ)とか、心がほっこりしますのでお暇な方はどうぞ(^^)。

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2015/02/23

例のニュースでのネタの続報が金曜に出ていましたな。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000044868.html
「議事録から削除と箝口令」 日銀黒田総裁の発言(02/20 11:48)

この件はそもそも最初に出てきたのがFNNというフジサンケイ系だったのが中々味わいがあるなあと思ったわけですが(金曜のはテレビ朝日系)、そういえば最近は暫く前から財政再建の指標でPBだけではなく政府債務の対GDP比がどうのこうのという話もあったりするのですが、まさかとは思いますがジンバブエ理論を持ち出して「政府債務の対GDPは日銀が買っている分は事実上控除」とかうっかり安部ちゃんが言い出さないかが不安でありますな。

しかしまあ何ですな、リフレ派の主張ってついこの前までは「2%インフレ目標達成でめでたしめでたし」だったのが最近は「日銀が国債を買うと政府債務がチャラ」となっていますが、結局言ってることって「耳障りの良い単純安直な解決方法(しかも別に解決方法になっていない)」なんですよねえ。


○消費者物価指数構成品目の価格粘着性に関するレポートというか論文

http://www.nikko-fi.co.jp/release/3655/
東京大学大学院教授との共同論文を発表

『我が国の消費者物価は、デフレ期を脱しつつも上昇ペースは緩やかなものとなっている。当社では、物価について、何が起こっているのか、その原因はどのようなものか、また、金融緩和が物価の押上げにどの程度効果を有しているか等を解明すべく、渡辺努東京大学大学院経済学研究科教授(当社客員研究員)をリーダーに、物価に関する共同研究を進め、その成果を「デフレ期における価格の硬直化 原因と含意」として取り纏め公表した。』(上記URLより)

ということで、東大物価指数の渡辺先生ならではで、物価に関する考察を思いっきり個別の積み上げの方から行っている時点で「個別の積み上げで考えるのはおかしい(キリッ)」っと言っておられたどこぞの置物大先生に対する盛大なイヤミになっている(ちなみに本文でも「マクロでみるべきであり、ミクロの積み上げで見ると本質を見失うという考え方とは異なっています」と明言しています)のがお洒落というものですな。

ということで概要と本文はこちら。

http://www.nikko-fi.co.jp/wp-content/uploads/2015/02/oab_article_02.pdf(概要版)
http://www.nikko-fi.co.jp/wp-content/uploads/2015/02/oab_article_01.pdf(本文)

なお本文の方ですが、フォントが非常に良く見慣れたものでございまして、日銀がペーパーを出すときの構成およびフォントに良く似ているのはこれは何かのイヤミなのか単にこの手のペーパーはこういうフォントや台組みを使うのがデファクトなのかはよくわかりません。

公的機関が出しているものではないので内容の詳しい話は割愛しますけれども、フィリップスカーブの話とかを見ているうちに、ターニングポイントとなっている80年代から90年代への変化(フィリップスカーブがこの時期から平坦化してくる)という辺りで、そういや1975年体制という説明をしているのが昔読んだ「平成バブルの研究:バブルの発生とその背景構造(2002)」にあったなあとか思い出して久々に引っ張り出して再読しておりますのでそのうちに読書室を更新するかもです(^^)。

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2015/02/19

総裁会見で質問があったので知ったニュースがこれ。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00286636.html
日銀総裁、安倍首相に直談判 財政健全化に本腰入れるよう訴え
02/18 18:11

『黒田総裁は、日本国債の格付けの引き下げで、国債を大量に保有する日本の銀行の経営に対する影響を懸念し、状況は極めてリスキーと指摘した。』

『これを受け、安倍首相は、格付け会社に働きかけるのが重要との考えを示した。しかし、黒田総裁は、以前、格付け会社のトップと話した結果として、格付けを変えることはできなかったと答えた。』(以上上記URL先より)

>格付け会社に働きかけるのが重要との考えを示した
>格付け会社に働きかけるのが重要との考えを示した
>格付け会社に働きかけるのが重要との考えを示した

つまり財政再建努力についての丁寧な説明をより一層行うということですよね(白目)!!!!!

・・・・・・しかしその一方で「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」という珍理論を提唱する人をいやまあどうでもよいです。

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2015/02/18

○決定会合プレビュー雑談

つーてもまあ今回は見事に無風(この前決定した「日銀当座預金非取引先向けの成長基盤強化等オペの実施要綱」が出るという案件があるのは念のため申し添えます)でございますが、声明文で示す経済物価情勢のうち、どうせ物価はアレですので問題は経済の方でして、どうせどこかの項目を上方修正ということになるんでしょうが、どの程度強くしてくるのかはちょっと確認ですかね。

まああと会見という話になるのですが、これ以上の円安がどうのこうのというブルームバーグの飛ばし記事関連質問についてはどう見ても「円安が別に問題だとは思っていませんが何か?」という話をして終了だと思いますし、物価安定目標の2年での達成に関しては前回の決定会合およびその前後の政府方面からの情報発信も相まってすっかり2年という期間が1年延長の巻となってしまいましたので、これについてツッコミを入れても暖簾に腕押し糠に釘でしょう。もしゴリゴリやるなら師匠を国会に呼び出して連日その点について過去の説明との整合性をゴリゴリ突っ込んで辞任しないのかとやればもしかしたら効果があるかもしれませんけどね!!!(ただしリフレ派の皆さんというのはその時その時で自分の説明に都合の良い理屈を繰り出してくるけれどもトータルとしての主張の整合性というのは重度の健忘症なのか全くもって気にしない傾向があるようなのではいはいおじいちゃんその理屈は前言ったのと違うでしょと言っても暖簾に腕押しの悪寒もしますが)

でですね、それよりも気になるのは「そもそも2%物価安定目標が達成されるためのメカニズムがきちんとワークしているのか」という話でして、先般のGDPを見ますと個人消費と設備投資が盛大に見通しから下振れしている訳でして、まあ他のデータとの整合性的にGDPが過小推計しているのではないか的な話もあるにせよ、そもそも消費が伸びないと前向きのメカニズムが回らないですし、物価安定目標が持続的に実現できるためにという観点で言えば潜在成長率を引き上げないといけない訳で、そのためには設備投資が出てこないと行けない筈なのですけど、この設備投資が出る出る詐欺でいつまでたっても伸びない件についてはヒジョーに気になっておりますな。

つーことで、足元の物価とか為替水準がどうのこうのという話ばかりがどうせ注目されると思うのですけれども、日銀のシナリオに示されるメカニズムの蓋然性とか、物価目標の安定的な達成という意味での成長力の引き上げ的な話という方向のメカニズムに関してのツッコミおよびそれに対する説得性のある答え(があるのかただの大本営発表で返されるのか大和魂根性論で返されるのかは知らんけど)というものを質疑の中で期待したいとは思うので誰か質問して下さいお願いします。

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2015/02/16

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJOJWI6K50Z001.html
GPIFは為替ヘッジ検討を、リスクゼロあり得ず−清水運用委員 (3)
更新日時: 2015/02/13 14:35 JST

『(ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )の運用委員会の委員を務める清水順子学習院大学教授は、外貨建て資産を大幅に増やす中で、円高到来時の為替差損を回避する金融取引(ヘッジ)を検討していくべきだと主張している。』(上記URLより)

・・・・・・・・・orz

えーっとすいません、外貨建て資産はアセットアロケーションとして増やしているのだと思うのですけれども、そこでヘッジしたら何のためにアセットアロケーションしているのか分からないのですけれども。つーかヘッジするくらいなら原資産のアロケーション減額した方が一般論としてはコスト安くつくと思いますし、だいたいからして「リスクゼロあり得ず」ってタカ&トシ大先生は円債持ってるのもリスクだとか仰せな訳で、何を言ってるんだこの人は。

・・・・・と思ったのですが、良く良く見たら置物大先生がこの前まで教鞭をとっておられた学習院大学の先生でいらっしゃいますかそうですか。しかしこんな認識の方が運用委員でございって中の方々には深く同情せざるを得ないですな、ナムナム。

#日本の経済成長への課題ガーとかモーサテの特別ゲスト様が仰せのようですが、一番の課題は「勝手放題言うだけ言って肝心の実行段階で逃げ出す政策提言者」みたいな無責任な人を排除することじゃないですかねえ

#逃げなかったものの置物になって責任も取らないというのも居るみたいですけど

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2015/02/13

○短国3M入札が久々のプラスになりましたよ!!!

さあ久々のプラスですよ!
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150212.htm

(3)募入最低価格 99円99銭9厘5毛(募入最高利回り)(0.0020%)
(4)募入最低価格における案分比率 12.8163%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘1毛(募入平均利回り)(-0.0004%)

・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

ということで平均はオーバーパーでしたが足切はプラス金利まで戻りまして、何か月ぶりかよとか思ったのですが、よく考えたら10月追加緩和の直後にMB拡大に対して短国買入に掛かるストレスを軽減するというのが出て、一瞬金利が上昇したというのがあるので、3か月ぶりというお話(つまりその間に3M短国が綺麗に1回転している)であります。

ただまあ11月の頭の金利プラス化も一瞬で、その後日銀短国買入が全然減らないどころか無慈悲買入ををして金利がまたマイナスになるという追加緩和の時の説明は何だったのかという動きやら、中曽副総裁の講演での「マイナス金利は政策効果(キリッ)」ってのがあって短国金利形成マイナス長期化待ったなしとなって、その後短国マイナスの長期化が利付債にも波及となって色々と騒ぎになったのですけれども、さらに申し上げるとその前に9月に期末要因と短国買入の打ち方のコラボでマイナス金利になったのが10月の頭に一旦緩和された筈なのにその直後に過去最大の短国買入をやっていきなりマイナスに突入した、という事案がありまして、そう考えますとまあ短国やっている人の気分的な点からしたら半年近く短国マイナス金利で青息吐息状態だったという状況でしたな。

でまあ昨年9月とかその後の10月の推移とかでは確かに玉が枯渇していたのでそらまあマイナスになるのも仕方ない(日銀の買入残高が大きい)面はあったにせよ、特に12月以降とかの動きですとGCレートや現先レートは下がらない中で短国の気配(とか引け値とか売参)だけは何故か不思議に値持ちする、という何だかなあという動きになっていた訳でして、違和感のある価格形成が続いておりましたな。

一方で昨日は足切がプラス利回りに流れてセカンダリーでもプラス利回りで取引されていたようで(なおBBの引けが0.1bpで売参は0.0bpですが)、プラス利回りになればそらまあ普通の運用として買える投資家が出てきますので、マイナス金利の時と違って新発段階で投資家にそれなりに玉が嵌る訳で、短国の金利はプラスになる一方で新発の業者の在庫は軽めになっているので短国発行日スタートになるけどGCレポや現先のレートは低下気味という流れになっておりますが、こちらの方がどう見ても自然な価格形成だわというお話。

まあ何ですな、今の状況から考えると短国買入が3月になるとかなりフローベースが減る(一方で期末要因のニーズについては高まるから短国買入が減っても需給はそこまでコケないと思うけど、期末だけ現先ニーズとかその手の可能性もありますからね)のが読めるから在庫を軽くしておきたいという事で金利がプラスになったという事でしょうけれども、ついでに言えば短国入札で買ってマイナス金利維持して成行買いの日銀買入に打ち込んでウマー的な動きも短国買入のフローが減れば意味がなくなるので、というようなサムシングもあるんでしょうな。そういやうっかりしていましたが先週末のヴェリタスでは1面に堂々と「縮む日銀トレード」という見出しがありまして大変に味わいの深いものを感じましたですよ。


・・・・・・・とは言いましても、在庫が捌ければ日銀短国買入に入れる玉も減る訳でして、そうなるとレートもタイトになる可能性があり、そこでやっぱり玉がないジャン的な事になればマイナス金利ヒャッハーとなるというのは今後も発生するでしょとは思いますけれども、日銀短国買入をバックにした需要(というのか?)でマイナス金利を維持する的な動きが駆逐されますと市場の価格形成がより健全なものに近づくでしょとは思うのでありますが、そういう点でも本日の短国買入から来週の入札(なお1年ものがあるのが味わい深い)、短国買入という一連の流れを確認しないとまだまだ安心はできませんなという所ではあります。


○毎度の憶測記事キタコレ

憶測飛ばし記事はかつてはロイターの専売特許でしたが最近はブルームバーグが得意としておりますようで。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJN6936TTDS601.html
日銀の追加緩和は逆効果、10月緩和は消費者マインドに悪影響
更新日時: 2015/02/12 19:25 JST

『(ブルームバーグ):現時点で一段の追加緩和を行うことは日本経済にとってむしろ逆効果になるとの見方が日本銀行内で浮上している。関係者への取材によると、足元で輸出と生産が持ち直しており、原油価格の下落、消費増税の先送り、政府の経済対策などにより、日銀は景気の先行きに自信を深めている。そうした中、原油安により消費者物価だけはさえない動きとなる可能性が高いが、日銀内では、ここで追加緩和を行えば、さらなる円安を引き起こし、回復しつつある消費マインドに水を差すなど悪影響の方が大きい、との声が上がり始めている。日銀幹部の一部で、為替相場に対する考え方に変化が生じている可能性もある。』(上記URLより)

・・・・・・・・ってもともと10月緩和には反対が4票入っていたのですから10月緩和に加えて更に緩和とか言ったらそら反対が出るでしょうし、経済情勢に関する見方が強くなっているのは12月の決定会合議事要旨や1月の声明文および月報、黒田総裁の会見などからも明らかでして、これただの記者の観測記事じゃねえかよと思うのですが、なんか為替が飛んでいましてこれはまた例のアレかと思ったら、英文ヘッドラインがまたまた「BOJ said〜」というのになっておりましてまた例のアレかよという所で。

これ日本語の方はともかくとして、英文ヘッドラインがヘッドライン詐欺じゃねえかというところでして、こういうお馬鹿なヘッドラインというか注目浴びて商売ヒャッハー的なベンダーの姿勢というのはちょっと酷いんじゃないのと思うのですよねえ。


まあ何ですな、この憶測記事の出し方には相変わらずどうなのよとは思いますが、内容的には別に新しい話ではないですし、そもそも政府与党の方からも過度の円安必要なしとか追加緩和必要なし的な発信が出ていたりしますし、原油価格絶賛下落を受けて「2年で2%」の2年の方はすっかり達成期限を誤魔化す方向に走っている訳で、10月追加緩和時に見せた「2年という時期に拘っているから追加緩和」的な説明が1月会合での総裁会見からすっかり消えてしまっている、などという事を考えますと、今の日銀の説明ロジックから普通に論理的に考えれば「賃金動向と原油価格下落の経済に対する好影響が確認されるまでは次の政策判断は保留する」という結論になるはずで、そういう意味では憶測記事ではありますが言っている話の基本線がそこまで変な訳ではない。

ただし妙に追加緩和のデメリットを強調しているのでその点はちょっとフカシが入っているだろとは思うのですが、まあそこは差し引いて考えましても、相変わらず追加緩和待ったなし的な期待が特に海外投資家などでは多いようで、マネタリーベース目標の量的緩和とマイナス金利政策は親和性が悪いというのも良く分からん連中が欧州マイナス金利で通貨戦争だから日本もマイナス金利みたいな話を相変わらず行っている(金利政策から量的緩和に移行したのにマイナスの預金ファシリティを維持するという実務的にオッペケペーな施策をしているECBのバカスケが混乱を招く元凶なのだが)ようですので、そういう向きからするとガックリという所で為替が飛んだんでしょうなあとは思いますが、国内債券の人たち的には今更言われんでも分かっとるわ的なお話ではあると思います。

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2015/02/09

○市場雑談である

・6MTBはマイナス足切ですかそうですか&本日は短国買入

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150206.htm
(3)募入最低価格 100円00銭1厘(募入最高利回り)(-0.0020%)
(4)募入最低価格における案分比率 89.6994%
(5)募入平均価格 100円00銭2厘(募入平均利回り)(-0.0040%)

ということで100円足切とか申し上げていたらちゃっかり1つ上で厚め案分という切られ方となっておりまして、いわゆる不明玉が発行3.5兆円に対して2.2兆円ほどございまして、ふーんという所ですけれども、なかなかワロタのはこの短国入札がマイナスで切れたのを受けたのかどうかは本当のところはどうなのか知らんですけれども、中短期の気配が堅調になりまして、引けの2年は1毛強(カレントだけ、他は5糸強)だわ5年は2毛強だわとなりまして、短国入札が中短期の気配を強くした(本当は知らんが)と考えますとなかなか胸が熱い展開。

なお、売参値を見ますと新発6Mがマイナス0.9bp、1年がマイナス0.9bp、新発3Mは0.0bpで前週の3M509回債がマイナス1.3bpとなっておりますので、入札コストからの利回り差的には509回ですが、bpv加味すると6Mの方が入りそうな気もしますがよくわからん。

ということで本日はまたまた短国買入があるのですが、どうせ2.5兆円で打ってくるというパターンで来るんでしょとは思われますが、しかしまあ短国をマイナスでキープするよりもマイナスにならないようにオペを打ってイールドカーブの起点を下手に沈めないようにした方が全体的なイールドカーブの無用な沈降を防ぐことが出来ますので、輪番とかも順調に実施できると思うのですけどねえ。


・固定金利オペである&短国買入予想(というほどでもないが)

めんどいのでオペ結果の固定金利部分だけ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150206.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(2月10日スタート分) 3,600 3,600

こちらは元はと言えば固定金利オペのなれの果て(なのでオファーが1.5兆円なのですが)だったりしますけれども、折り返し元が4701億円だったのでまあそこそこの歩留りを今回も示しておりまして、この調子ですと今月ドカドカ来る予定の固定金利オペは精々1兆円程度の落ちで済むのではないかと思われるのですが、まあこればっかりは実際にオペが進まないとワカランチ会長。

でまあ固定金利オペの落ちが1兆円程度としますと、今月は10兆円ある短国買入の落ち分を普通に埋めればマネタリーベースは前月比伸びるという結果になるのかなとゆーところで、まあこの調子で2.5兆円のペースで短国買入が継続すると思われますな、うんうん。


しかしまあ何ですな、MBが目標で設定されているから仕方ないのですが、財政要因で盛大にぶれる資金需給の部分を短国買入で調整するという形になっているので、これ3月になると短国買入のフローが大きく落ちることになる事が想定されまして、そらまあ3月は期末ニーズがあるので買入が全然なくても問題ないというか無い方がアリガタヤ位の話ではあるのですが、短国買入の残高そのもの自体が市場のキャパ的には依然として厳しい状態(厳しくないのだったら金利がマイナスにならん)となっている訳なので、その状態から買入のフローがぶれるというのは、市場の価格形成的に厳しいものがありますなあと思うのですけどね。


○ということでちょっとオペ雑談とか

そういえば先週は途中で「超長期がこれだけコケているのだから輪番で超長期の増額でも」みたいな話もあったやに聞きましたが、短国市場がご案内のようにマイナス継続であばばばばーとなっているのに放置プレイとなっている現状を見ますと、そんなもん債券市場に気を使って超長期輪番が増額とかするくらいならとっくの昔に短国買入のやり方を工夫してマイナス恒常化にならないようにしているわヴォケという所で、超長期の輪番を増やしてほしいなら皆さんでせっせと超長期輪番で短い年限の所を応札して日銀の買入平均残存年限を短くするようにしないと超長期輪番が増えるとは思えんわと存じます次第。

・・・・・・・てな感じで、まあ今のオペがいろいろと微妙なのってそもそも論として「国債(と短国)買入の建付けが量を出したいのか金利を下げたいのかがはっきりしていない」からであって、それは更にそもそも論で言えば「マネタリーベース直線一気理論」なのか「(実質)金利を下げて効果をだす」のかが不明瞭であるという事に起因すると思われます。

つまりですね、本来の建付けで言えば「MB直線一気理論で予想インフレ率が上昇する」というのがあって、それに対してフィッシャー効果で名目金利が上昇してしまいますと宜しくないので長期国債の長いところまで購入して名目金利の上昇を抑制する、というのがQQEの基本的なスタンスなのですな。

しかしながら、問題となるのはそもそも論のMB直線一気置物理論がワークしていないから最近は「実質金利」の方に話が傾斜していて、しかも予想インフレ率の方が思いのほか上昇してくれないものだから「実質金利を下げるには名目金利を下げればよいじゃないか」という話になって「マイナス金利は政策効果(キリッ)」という話になってしまい、その流れでマイナスだろうとなんだろうと無慈悲買入をすることによって「金利が下がって政策効果かくにん!よかった!」という話になってしまい、挙句の果てには付利下げだのという話まで出てくる次第。


最近だと欧州の金利がアレですのでマイナス金利ガーという話もあったりしますが、そもそも日本の場合は「現在2%でアンカーされていないインフレ期待を引き上げて2%にアンカーさせる」というのが2%物価目標達成に必要な手段でありまして、一方の欧州の場合は建付け上では「2%以下で2%に近い水準のインフレ期待」に関しては中長期的には現在アンカーされている(ただし下がる懸念あり)という状態になっておりますので、ゼロ金利制約化における実質金利の引き下げによって政策効果を出す、という政策を実施するためには欧州の場合は名目金利を下げるしかないので無理繰りマイナス金利を投下しているのであって、日本の場合はそもそもインフレ期待を引き上げる方が圧倒的に重要なファクターであることを考えますと、名目金利の引き下げをせっせと図るのが重要なのではなくてインフレ期待を引き上げる必要があり、米国にしろ欧州にしろ「インフレ期待を上げる(または下げない)」という政策は「量的緩和系の政策」で実施しているのがスタンダードであります。

とまあそう考えますと、普通に考えて付利下げとかそっちの政策って「量的緩和政策がインフレ期待に対してワークしないので金利で勝負すます」という事を意味する政策フレームワークの大転換であり、置物副総裁の置物直線一気理論の全面否定になりますので、まあ普通に無いんじゃないですかね、黒田さんのキャラクターからして。

#すいませんあんまりまとまっていませんでした

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2015/02/06

○原田先生に加えて若田部先生の珍理論コンボキタコレ!

原田先生に加えて若田部先生も「日銀が国債を買うと政府債務が消滅」という珍理論を展開していまして、都の西北方面には何か瘴気でも漂っているのではないかと申し上げたくなる次第なのでございますが早稲田の政経の経済出身の方のご見解をお伺いしたい。

http://www.asahi.com/articles/ASH1V5GGDH1VULFA024.html
日銀法改正でアベノミクス再起動 若田部昌澄・早大教授
聞き手・福田直之
2015年2月5日09時17分

・原田先生のジンバブエ理論と同じ話もあるのですがその前の話も大概にアレ

ということで色々とツッコミどころはあるのだが金融政策の効果に関する説明もかなりアレなので鑑賞しましょう。

『「日銀の金融緩和には基本的に賛成だ。日本経済によい影響をもたらしている。緩和でまず株や不動産といった資産価格が上昇する。人々が物価が上がると思うようになり、消費と投資が増える。そして輸出が増える。そうした経路が予想通りに来ている。就業者数が増えて、失業が減って、企業倒産件数が減っている。株高と円安は金融緩和の直接的な結果と言え、経済全体により影響を及ぼしている」』(上記URL先より、以下同様)

金融緩和の効果が前向きの循環として効いてきているとのご解釈ではあそうですかという所ですが・・・・・・

『「アベノミクス全体で見た場合、財政は3分の1、金融は3分の2を牽引(けんいん)していると思う。さすがに今、金融政策が効いていないというのは難しいだろう」』

・・・・・・・えーっとすいません、財政政策と金融政策での牽引が100%でしたら先ほど仰せになっておられました前向きの循環は働いていないと思いますけど。自律的な成長拡大サイクルに入っていないのであったら単なる一時的なカンフル剤あるいは未来から力を前借りしてくるドリンク剤みたいなもんで、その効果を捕まえて「効いた効いた」と言われましても、それは無いよりはマシ程度の話にしかならないと思いますけどねえ。


・物価は貨幣的な現象じゃなかったのでしょうか??????

しかしこの先生の説明の一番のアレは直線一気置物リフレ理論を擁護しようとしてものすごい勢いで過去のリフレ理論と全然違う話をしているところ。

『――日銀が掲げる2年程度で2%の物価上昇率を実現するという物価目標はどうご覧になっていますか。

 「達成するのはかなり怪しくなってきた。ただ、それは日銀自身だけではなく政府の問題が大きい。昨年4月の消費増税による景気低迷が大きな足かせになっているからだ。消費増税の影響で2015年度の成長率はマイナスになりそうだが、それがなければもっと良い数字になっていただろう」』

>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい
>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい
>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい

・・・・・(;゚д゚)

えーっとすいません確か置物リフレ理論によりますと「物価は貨幣的現象であるから、物価は金融政策で対処する問題であり、他の要因を理由にしている(当時の)日銀は無能で屑であり、今すぐ置物リフレ理論を用いてインフレ目標を金融政策のみで達成すべし」だったと思いますけれども、実際にMB直線一気置物理論を投下して大口叩いた達成期限になったら消費増税ガーに政府の政策ガーですかそうですか。


・政府と日銀の共同文書の建付けも否定していますね!!!!

『「本当にコミットメント(公約)を強めたいのならば、元々のアベノミクスの基本文書である政府と日銀の共同声明を強化して、具体的に法律にしてしまうのが一つの方法だ。その次は、年来の課題となっている日銀法に物価目標を正式に入れ込む改正をすることだ」』

ご高説によりますと金融政策だけで達成できない場合もある物価目標なのですが、それを法的に義務付けるって無茶苦茶でござりますがな。

『「ただし、デフレ脱却には政府の責任が大きい。これらは安倍晋三首相が主導権を握って進めるべきだ。アベノミクスを再起動するときに、そういう『レジーム・チェンジ(体制転換)』的なことを強化する手立てが必要だ」』

えーっとすいません。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122c.pdf
「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」

を見ましてもデフレ脱却に関しては日銀の責務であり、政府の責務は持続的な経済成長をもたらす成長力の強化や構造改革、財政の長期的な持続可能性の構造構築ということになっておりますが、いつの間にデフレ脱却が政府の責任になったのでしょうか?????それに今申し上げましたけど、人の責任によって決まる物価目標の達成可能性に対してなんで日銀が法的に責任取るような制度を作らないといけないのでしょうか??????


・都の西北に漂う珍理論再び

なお他にもツッコミどころがあるような気がしますが、この後に本日は師匠会見というメインイベントがございますので適当に切り上げて早稲田大学政治経済学部に漂う瘴気もとい珍理論の説明を鑑賞しましょう!!!

『――国内総生産(GDP)比240%の政府債務残高は重荷になります。

「財政の話をするときに見過ごされている観点がある。日本政府が持っている資産から国債残高などの負債を差し引きすれば、純債務は13年度で490兆円。仮にこれまでと同じペースで増えたとすると、14年度は530兆円弱だ。』

なるほど。

『もちろん政府資産は全部は売れないとしても、巨額だし、売却やリースが可能なものも多額に上る。』

・・・・・・・・ここは一応好意的に解釈すると聞き手の人が変に端折っているから一瞬ビビるのですが、政府資産を削減して国債も削減しようという話のようです。もちろん余計な遊休状態になっている政府資産と国債の両建てを落とそうというのは分かりますが、政策遂行に必要な政府資産は売却とかリースとかできませんなと思いますけどまあここまでは良い。

『そのうえで、政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる。』

>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac150131.htm/
営業毎旬報告(平成27年1月31日現在)

まあ確かに日銀はバランスシートに国債260兆円を持っていまして、日銀と政府を統合して考えてみれば政府の発行している国債残高とこの260兆円部分が両建てになっておりますので、それを落としても結構なのですが、そうなりますと日銀バランスシートの負債サイドにあります「日銀当座預金」と「銀行券」の部分(他もあるけど大きいのこれね)はどうなるのでしょうか????????????

この後の若田部大大大先生の説明だと「負債は270兆円弱」という説明をしておりますので、どうも(銀行券は還流しない限り永久負債という風に考えれば実質上は負債というより資本みたいなもんだとも言えますが)185兆円ほどあります所の当座預金に関しては踏み倒す以外に消滅させる方法はないのでして、つまり若田部大大大大大先生の理論は「民間保有資産の強制接収を行えば政府の債務が減ります」と言ってるのと同じなのですけど、窃盗現行犯タイーホとかチャチなレベルではない壮大な構想に思わず頭がクラクラしてしまいます。

一応そのあとを鑑賞しておきましょう。

『政府が利子を払う相手は日銀になるので、日銀はそれを納付金として国庫に納めるだけになる。そうすると負債は270兆円弱でGDPに対して57%ぐらいだ。だから、日本では財政破綻(はたん)が誇張されすぎている感じがする」』

ということで「負債は270兆円弱」と思いっきり仰せになっておりまして、結局のところ原田大審議委員候補者様の仰る「日銀はタダで国債を買っているので日銀が国債を買うと政府債務が消滅する」というジンバブエが裸足で逃げ出す珍理論と同じような話をしているのが分かると思います。

・・・・・・・ちなみに超余談になりますが、この若田部先生様の珍理論自体はゴミにも程がありますが、この論法で参考になるのは、いわゆる「銀行券ルール」には妥当性があるという話がこの論法から導かれる訳ですよ。つまり、統合政府という意味でみた場合に、発行銀行券の底溜り分を永久無利子負債として、見なしの資本的性格のものだと考えれば、日銀が発行銀行券の範囲内で保有する国債に関しては銀行券見合い部分なので、実質的には統合政府の純債務と考えなくても済むという話であり、それを超えて保有する分においては財政ファイナンス部分であって、統合政府の純債務の政府から日銀への付け替えにすぎないという話になると思いますがどうでしょうかね。

まあそんな余談はともかく、日銀当座預金を踏み倒さないとすると国道とかが日銀当座預金の見合いとして民間金融機関に譲渡されるとなるのかも知れませんが、そうなると民間金融機関は預金者などへの預金支払いの原資を賄うために国道に関所作って通行料を徴収するとか、戦国時代もビックリの群雄割拠の時代が到来するのかもしれませんね!!!!!!!!!1111

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2015/02/05

○日経新聞は別にどうでもいいことでリーク記事書くなと小一時間

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJ8ATZ6K50Y001.html
政府:日銀人事の国会提示、5日に−事前報道で1日延期
更新日時: 2015/02/04 18:23 JST

『民主党の笠浩史衆院議運委理事は4日昼、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、「一部で日銀審議委員の後任が報じられた。情報漏えいの調査をして理事会に報告すべきだ、今日の提示は認められない」と主張したことを明らかにした。同氏によると、その後の調整の結果、与野党は5日午後12時30分から両院の議運理事会を開催し、日銀を含めた国会同意人事の提示を受けることで一致した。』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・・いやまあ正副総裁人事とかだったらそれなりに影響あるからハッスルしたくなると思いますけれども、執行部追認機関学者委員の後任人事なんぞ別に速報する程のものでもないのですから、日経新聞も報道しないでスルーしておけよと思う次第。

『日銀審議委員人事をめぐっては、民主党の野田佳彦政権下の2012年3月、一部報道で伊藤忠相談役の渡辺康平氏が候補として報じられたが、結局、提示されなかった経緯がある。』

ってやらかしの前科があって、事前報道ルールに関してはなくなったとはいえ、リーク報道が出ると必ずこういう話になるわけですから、別に急いで報道しなくても問題ないようなネタでリーク報道するなよとしか思えないですな。

いやまあ一瞬「提示見送り」のニュースを見て、あの珍理論に対して日銀審議委員としてふさわしくないという文脈でリストの差し替えという話になったのかと思いましたが、ただの手続き問題とは惜しいですけど、まあいずれにせよあのジンバブエも裸足で逃げ出す「日銀が国債を買うと債務が消滅」という珍理論を持った人が日銀の政策委員会の委員としてふさわしいと判断していること自体についての審議をきっちりとやっていただきたいと思いますし、大塚なにがしさんとか津村なにがしさんとかこういう時の為にいると思うので精々頑張っていただきたいものです。

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2015/02/04

お題「10年国債入札/短国買入のてきとうな予想/審議委員に原田さんノミネートとな」

さあ師匠の講演はどうでもいいけど楽しい会見の時間ですよ!!

○市場雑談系

・10年国債でヒャッハー

昨日の10年国債入札はご案内の通りでヒャッハー!
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul078.htm

(1)応募額 5兆8,822億円
(2)募入決定額 2兆1,912億円
(3)募入最低価格 99円42銭 (募入最高利回り)(0.360%)
(4)募入最低価格における案分比率 10.9581%
(5)募入平均価格 99円87銭 (募入平均利回り)(0.313%)

ということでテール45銭で利回り的には4毛7糸の流れとかかなーり久し振りに10年入札で流れましたなという所ですが、落札結果出てすかさず債券先物と10年が大下げした後は押し目買いとかもあって先物とかの水準は落ちた辺りで推移しておりましたが、まあ前場から中期とかも弱めに推移しておりましたが、5年も0.10%台に戻ってみたり、超長期とかも結局弱くなってみたりということで素敵な調整となるの巻でした。

まー10年はここもとの超長期下げ相場の中で不気味なまでに値持ちしていて他年限比で割高に推移しておりましたし、調整したとはいえ絶対水準が絶対水準ですから投資家の買いが入りにくいところに輪番トレード的なポジションが持ちにくくなっている中で新発債の供給があったらこうなってしまいましたという話で、別にまあ暴落して投資家が困っている訳でもないでしょう(むしろ上げ相場の中で買えないまま泡吹き状態だったと思われます)し、まー普通に最終投資家が買ってもよかろうと思うレベルまで調整したら普通に落ち着くんじゃないのという所ですかね、よー知らんけど。

したがって多分この記事とかの説明は的を外していると思う。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0VD3EP20150203
〔金利ウオッチャー〕長期金利の急上昇、損失抱え動けぬ投資家が背景 変動率に警戒感
2015年 02月 3日 16:27 JST

「損失抱え動けぬ投資家」とかどこにいますねんと思う訳で、単に金利水準的にどう見ても買う訳にも逝かないのだが、そんなことを言っているうちにあれよあれよという間に6年ゾーンまで金利が親指を立てながら溶鉱炉に沈んでしまい、悶絶しながら泡吹き状態になっていたという状況と思われまして、そういう意味では「こんな水準になってしまって動けない」という状態で動かぬというのは多いと思うのですけど、別に投資家がこれで食らって死亡とかんなこたぁねえだろと思うのでありました。

一方で安定の淡々とした説明の同じロイターさんの市場記事をまた貼っておきますね。
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0VD30B20150203
〔金利マーケットアイ〕国債先物は入札不調で大幅続落、長期金利一時1カ月半ぶり0.360%
2015年 02月 3日 15:28 JST

『午後に発表された10年債入札結果が不調となったことを受けて、在庫を抱えた業者から調整売りが持ち込まれて急落。先物3月限は一時147円23銭と昨年12月12日以来の水準に下落した。1月下旬からのボラティリティ拡大で損失を抱えた市場参加者のリスク許容度が低下したことが応札を慎重にさせた。急落後はいったんショートポジションをカバーする動きが入ったが、相場の戻りは限られた。現物市場は、朝方から中長期ゾーンを中心に銀行勢や業者などから入札に絡んだ持ち高調整売りが膨らんだ。入札結果発表後に大きく売られた場面では、地方投資家などからいったん押し目買いが観測されたが、あすにも予想される日銀買い入れ結果を見極めたいとの見方から積極的な買いが手控えられた。』(上記URLより)

まあいろいろと後講釈されていますけど、短国市場で展開されていた「投資家不在の業者と日銀買入だけの世界」が中期ゾーンまで波及してしまって投資家不在相場をやらかしている中で、金利水準やりすぎて投資家が本当の本当に不在になってしまって、そこにボラ上昇が来て投資家不在の輪番相場が耐えられなくなったという話だし、投資家の方はと言えば金利上昇したといってもまだまだ全然間尺に合う水準じゃないからこんな所で本格的に買いに入れるかよヴォケという話なだけだと思います。

まーいずれにせよ最終投資家の買いがそれなりに入ってくれるまでは落ち着きにくい相場でございましょうなあという所でしょうかね。


・しかしまあ何ですな

いやー思いのほかあじゃぱー相場が続いておりまして、どうしてこうなったという所ではあるのですが、つらつら考えますに「日銀の輪番で無駄に値持ちしていた」上に「1月に入って投資家不在で輪番ヒャッハートレードが積みあがった」というのがあって、そこに加えて余計だったのが「1月決定会合で付利下げ思惑」というのが出たのが実は結果から逆算すると大きかったのかねという所ですな。

#結果から逆算なので何の役にも立たない考察だが

まーかくいうアタクシも先日申し上げたようにどう考えても無いとは思っても、黒田日銀はヤケクソになっているので何をしでかすか分からんという認識があの10月緩和を受けてアタクシも持ってしまうという状況でしたので、そういう点では「1月追加緩和に対する恐怖感」というのはあったと思うのですよ。

でまあそれが特に中短期の輪番ヒャッハー相場と相まって雰囲気を盛り上げてしまったので、そらまあ今の債券市場的には追加緩和を食らうのが少なくとも投資家的には恐怖以外の何物でも無いので、そういう恐怖からヘッジポジションが入ってしまったという面があって、それこそ先ほど「これは的を外しているでしょ」としたロイター記事も全部が変な訳ではなくて、「追加緩和の恐怖に対してヘッジを入れた部分」だけ投資家の押し目買い意欲が弱まっているともいえますし、追加緩和に対する投資家的な恐怖に対して輪番トレードヒャッハー的な向きはさらにワッショイ状態になるでしょうから、まあその分だけ余計に調整が続いているという事なのかもしれませんね。




・2月資金需給見込みと短国買入がどうなるのかの話

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1502.htm/
日銀当座預金増減要因(2015年2月見込み)

こちらを見ますと財政要因での2月資金不足見込みが17.5兆円程度になっておりますが、これに対して今月の輪番は9.2兆円(受け渡しベースの入り繰りを考えないといけないのだが今回はざっくりで行きます)となるので、残りが8.3兆円の不足になります。

で、今月は固定金利オペの落ちが盛大に入っていまして、シグナルのなれの果てとかも含めて5.4兆円近くの落ちがあります(今の残高は7.5兆円)ので、これがどの程度歩留りになるのかが不確定にも程がありまして、まあざっくり半分落ちるとすると2.7兆円になるので、そうなると短国買入で11兆円の打ち込みの可能性がありますなとかそういう話。

しかしまあ何ですな、毎度申し上げていますがMB拡大の帳尻をアウトライトのオペで実施すると、そのアウトライトを食らっている市場の需給関係が財政要因というファンメタと無関係なところで盛大にぶれるわけでして、その買入の絶対額が小さいうちはどうでもよいのですが、ここまで日銀の買入がフローもストックも大きいという状態になりますと、短国市場が全然安定化しなくていろいろと弊害あるんですけどねえと思うのですが、まあ1月の買入を見ればわかるようにもうそんな市場に対するエトセトラとか知らんがなというスタンスなのが見えているので悪態つくだけ無駄という感じではありますな(でも悪態つくけど)。

でまあ2月はその調子で買入をするのはそうとしまして、3月になると財政が思いっきり払い超になってしまう上に買入短国の償還も少なくなるので、この調子だと2月には主に2.5兆円ペース(共通担保の歩留りと業者の在庫状況を見ながら3兆円の会もありそう)での買入が続くのですけれども、3月になると短国買入がほとんど無状態になってしまうというこの需給のぶらせっぷりは何なんでしょという事になると存じます。

まあ3月は期末のニーズがあるから日銀の買入が止まってくれると需給的には助かりますから別にそういうペースでもよいのですが、いずれにせよ財政要因で大きくぶれる資金需給の尻をそのまま短国買入に反映させるというのは何だかなあというか、市場に対するストレスのかけ方半端ないわと思うのでありました。

なお、この資金需給見込みを見た結果なのかどうかは知りませんが、なぜか昨日の(今日付けになる)売買参考統計値を見ますと(今週に入ってその傾向がありますが)先週入札があった509回債の引けが強くなっておりますが、ほかの銘柄の推移も見ると実に味わいが深いですな。なお売参見るのめんどい人はBBの引けでも大体同じなのでその辺でもヨロシ。




○師匠の講演を前にこの前の講演の日本語版が

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/ko150203a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko150203a.pdf
少子・高齢化の視点から見た我が国の金融教育
ADBI・OECD・日本 ハイレベル・グローバル・シンポジウムにおける特別講演の邦訳
日本銀行副総裁 岩田 規久男
2015年1月23日

まあ正直この前ネタにしたのでどうでもよいですが・・・・・・・・・・

『金融広報中央委員会の調べでは、高齢者は他の年齢層に比べ、自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くないという結果が出ています。このような自信と実際のリテラシーのギャップを埋めていくことが重要です。』

>自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くない
>自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くない
>自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くない

というのは何度見ても実にこうじわじわ来る滋味に富んだ講演テキストで、テキスト原稿を作ったと想像される人の悪意を感じます、などという事は全くございませんので念のため申し添えます。




○日銀審議員人事に馬鹿提示キタコレ!

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJ6MRS6JTSEF01.html
政府:日銀審議委員人事を4日午前に国会提示へ−関係者
更新日時: 2015/02/03 16:34 JST

ということで昨日こんなニュースが出ていまして、まあ若田部先生辺りですかそうですかとか思っておりましたが、何せ最近の学者審議委員というのは見事なまでに屁の突っ張りにもならない執行部翼賛機関でございますので、まあ宮尾さんが交代してもそんなに変わらんわなとは思いましたが、念のため今朝日経のサイトを見に逝ったらまさかの人選キタコレである。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF03H17_T00C15A2EE8000/?dg=1
日銀審議委員に原田氏起用へ 早大教授、リフレ派
2015/2/4 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

先日ネタにしたので単純にURLだけ置いておきますが・・・・・・・・・・

http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html
さらに金融緩和を、国債まだ買える 原田泰・早大教授
聞き手・福田直之 2015年1月21日11時34分

日銀に国債引受やれとか言っておきながらいざ副総裁にノミネートされると「あれは方便」とか言い出した置物大先生も大概でしたが、今度は「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」というような珍理論のオッサンがノミネートとかもうアホか馬鹿かとって感じですが、おそらくこのレベルの方ですと置物先生のように「例えばオペについても、外部にいたときは簡単だと思っていたが、実務はそのような簡単なものではないとわかった。」とか「日本銀行の実務に対する理解を深めつつある状況だ」とか面白発言がでるのか、それとも何も勉強しないでクソの役にも立たない提案をするのかのどちらかという事になるんでしょうなあとは思われます。まあしかしこれで学者が揃いも揃って馬鹿キター状態になると執行部としてはロボットがさらに増えてウハウハでしょうな。

しかしまあ何ですな、良く良く考えるとMB直線一気理論であるところの置物リフレ理論がその理論を超越するようなMB拡大しているのに「2年で2%」どころか「2年でゼロに逆戻り」だわ、インフレ期待は上がったということになっているけど最初に嬉々として持ち出していたBEIについてはだんまりだわとか、全然そのシミュレーション通りに逝かないという状態になっている訳で、そんな中で審議委員を受けるというのも中々こう大変ですなあとしか思えないところです。

で、日経渾身のリークは事前報道で馬鹿潰しに来たのかと一瞬思いましたが、良く考えたら事前報道があったら人事案受けないでござるのルールは廃止になっていたんでしたっけ。残念無念という所ですな。

まーいずれにせよ「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」という珍理論を唱える方をそのまますんなり通すようでは国会も何やってるんだと思いますので、就任の是非を問う国会審議の場では原田大先生の珍理論に関してきちんと吊るし上げをして頂きたいものだと思います。まあ最終的には与党が絶対多数だから通るでしょとは思いますが、ここまで突き抜けた珍理論を唱える方が講演とかでオモシロ話をして下さいますと円安に振れて物価目標達成でニッコリですね!!!!!!!!!!!!!!!!

#ということで就任前に毒電波を受信しておいてちょうどよかったですな(−−;

しかしまあリフレ派でももう少しマシなのいると思うのだがよりによって「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」という珍理論を平然と唱えるスカタンを選ぶとかどうしてそうなったとしか申し上げようがないですな。

なお先月受信した毒電波はこのへんとかこのへんにおいてあります。

ま、これだけ突き抜けたアレな方ですと多分屁の突っ張りにもならないと思う(結局実務を何もわかっていない人なので勉強して普通の方になるのか、何の勉強もしないでゴミ提案をするだけになるのか、執行部追認ロボットになるのか、という3択だと思いますので)のではあそうですかとだけ申し上げておきまして、ぜひ海外などでその「国債を中央銀行が購入すると債務が消滅する」という理論を吹聴していただきますと、もしかしたらジンバブエ中央銀行の総裁辺りにスカウトされるかも知れませんよ!!!!!1111

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2015/02/03

○1月の調節合計が出ておりますな(メモ)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqf/juqf.htm/
日銀当座預金増減要因と金融調節(1月実績)

てな事でこちらからエクセルに落としてきますと、1月は当座預金的には6.8兆円の増加になっていまして、うち銀行券還流要因が4.1兆円なのでMB的には2.7兆円程度の増加という形になりました。

で、オペ要因の調節具合を見ると、財政要因が一般財政で2.5兆円の揚げ超、国債要因は中長期国債の発行超過部分を輪番で吸収して、短国の日銀保有分の償還部分8兆円に対して買入が11.5兆円になっていて、この3.5兆円部分がMBの増加部分に寄与(共担オペの落ちとかその他項目とかありますが)した形になっておりますな。

でまあその結果は結果としてわかるのですが、MB目標の建て付け的に2014年末の数値があってそこの数値に向けて調整をしていた時と違いまして、現在の建て付けですと「次回MPMまでのオープンエンド」となっていまして、まあさすがにMPMのところで数字を調整する訳にもいかないのでしょうけれども、1月の動きを見ていると「四半期または半期ベースで調整」ではなくて「月次ベースで調整」という感じで動いているようにも見えますので、実際問題としてここの所をどう調整しようとしているのかによって最後の帳尻部分になる短国市場のレート形成に影響が出るので、どういうやり方なのか気になるところです。

短国買入自体がピークより残高減ったとは言え残高そのものが大きいという事もありまして、そもそも論として需給要因的に札が集まるかという問題があるので、実は事前に決め打ちできない(月次調整しようとしてもそもそも短国買入の札が割れるような状態だと調整できないから、そういう意味で事前コミットしたくないというのは調節技術上の問題として存在する)という問題があって、事前にこの辺りをアナウンスできないという事だとは思われますが、ニュアンス的にどういう感じなのかが微妙に???ではあります。

まあ何ですな、金利形成全体の事を考えると短国のレート形成が投資家参加型で円滑に進む(その結果季節要因で自然体でマイナスも今だったらアリエールでしょ)というのが美しいのですが、そもそも金融政策のディレクティブがMB先にありきになっているので、短国買入を帳尻に使うというのもまあそれはそうでしょうなあとは思うのですけど、その結果として価格形成が歪になってしまうというのは金利市場全体的にどうなのよとは思うのであります。

結局のところQQEの建て付けの中で国債ならびに短国買入で「買入によって直接的に何をしたいのか」が不明確になっているのが問題なのですが、MB直線一気理論がどこからどう見ても棄却されて、いつの間にやら金利を下げたりリスク資産の購入をしたりポートフォリオリバランス的な話にすり替わってしまっているのに、ディレクティブがMB直線一気理論のままなのが根本にあるのですけどね。

#なおマイナス金利を維持しようというオペの打ち方がイミフなのはまた別のレベルの問題


○追加緩和にさらにトーンダウンとな

黒田総裁が国会に呼ばれていまして全然発言でないなとか思ってたら最後の方に出てきました。
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPKBN0L60EY20150202
首相・日銀総裁が円安めぐり慎重発言、デメリットにも配慮
2015年 02月 2日 15:54 JST

『[東京 2日 ロイター] - 安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁はいずれも2日の参院予算委員会で円安についてメリットとデメリットの双方について指摘した。あくまで一般論だが黒田総裁は昨年「円安は全体として日本経済にプラス」と繰り返し発信しており、円安の負の面に対する配慮も感じられる。』

『総裁も「輸入コストの上昇、あるいはその価格転嫁を通じて、中小企業、非製造業の収益、家計の実質所得に対する押し下げ圧力として、作用する面があるのも事実」と指摘。「現時点で為替レートが今の水準にあることで日本経済全体に大きなマイナスになっていることはない」としつつ、「円安の影響は産業・地域・企業規模で異なる面があるので、十分注視したい」と警戒した。』(以上上記URL先より)

とまあそういうことで、追加緩和で円安に振って物価上昇を促すルートに関してこの前は政府から追加緩和不要とかいう謎の情報発信らしきものがニュースベンダーに出ておりましたけれども、黒田総裁もトーンダウンで益々追加緩和の方向が見えにくくなってきましたなという状況ですな。

#その割に最近マイナス金利政策が追加緩和でみたいな話が妙に出てくるのは何なんでしょうかね

たぶん足元では統一地方選挙も近い中で物価上昇で生活がしんどい系のアレがあるのでその中で円安に振ってコストプッシュで物価あげても仕方ないでしょという話になっていて、一連のイベントが片付いた後にどうなるのかというのもまた微妙な気もしますけれども、まあこんな感じで追加緩和がトーンダウンの流れになっているのは味わいがあるというものですな。


しかしまあ何ですな。
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPKBN0L60F020150202
出口での金利・バランスシート取扱い、具体論は時期尚早=日銀総裁
2015年 02月 2日 15:55 JST

『総裁は「金利あるいは日銀のバランスシートの取り扱いについてどういったかたちのことを考えるかは、そのときの経済あるいは金融市場の状況に応じてもっとも適切な対応を取る」と回答。「今から具体的にご指摘のような(再投資見送り、テーパリング)ことをするかどうか、かえって市場に混乱をもたらすことあり、今の時点で具体的な話をするのは時期尚早」と述べた。』(上記URLより)

えーっとすいませんできるだけ早期に物価安定目標を達成するんだったら当然検討していないとまずいんじゃないでしょうか実は早期に達成する気ないでしょというツッコミはさておきまして、出口議論に関しては逆に「全く出口関係ないやろ!」という状況の時にある程度のイメージを出しておいた方が市場が反応しないで意識を持たせることが出来るのではとも思いますので、今のように春に向けてCPIゼロ近傍までの低下待ったなしとか言われているタイミングの時に出口後の本来あるべき姿についてお話をしておくというのも一つの作戦のように思えますけどね。

ともうしますのは、本当に出口が意識されるようなところになってからですと、出口政策の話をするのが時すでにお寿司状態になっており、下手にトークをするだけで市場がヒャッハーとかなると思われますので、その前にある程度イメージを持たせておけば、実際に経済物価情勢が改善する中でよりスムーズに出口の織り込みが進むように思えるのですけどね。まあ理想論かもしれないけどご一考をば。

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2015/01/30

○タオルキターというかなんじゃこのニュースは

ぽかーん。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L21JY20150129/?sp=true
日銀の追加緩和は当面不要、政府見解固まる=関係筋
2015年 01月 29日 22:13 JST

『[東京 29日 ロイター] - 政府が、日銀の実施している量的・質的金融緩和(QQE)について、当面は追加緩和の必要性がないと見解を固めていたことが明らかになった。複数の関係筋が明らかにした。原油価格の下落は日本経済にとって大きなチャンスであり、追加緩和で円安が進めば、メリットが減殺されるとみているためだ。』(上記URLより)

ナンジャソラというか、そういうのは政府は思っていても口には出さないし、こういう記事を書かれるような隙は出さないのが金融政策の独立性云々という意味で政府のたしなみだと思うのですが、さすがは「私の金融緩和」というところですかそうですかという所。

しかしまあ何ですな、この前のあまりん発言といい、こういうのが出てくるとかいう風になると、「無理して物価目標を推進しなくても良いじゃないかでふれだっきゃくだもの」という話になってきて、さて金融政策どうするのという話が先般も申しあげたように意外に早い時期で投下されてくるのかもしれませんね。

となりますと、矢折れ刀尽きる(物価的に)10月よりも「2年」の期限からあまり遠くない時期とかでタオルが飛んでくる可能性も無きにしも非ず、というかもっと意地の悪い言い方をすると「そもそも強引に2%達成させるようにするよりも原油安で天の助けで地方も助かっているからこの際日銀の梯子を軽く外して日銀だけ屋根の上にあげておくか」状態になるのかもしれず、ちょうど統一地方選挙も近くなってきてという政治状況の中では暫くこの辺に関する思惑というのも出やすくなるのかねえとか思うのでした。



○この連載はおもろいのでオヌヌメ

http://www.asahi.com/topics/word/金融政策 私の視点.html
http://www.asahi.com/topics/word/%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%94%BF%E7%AD%96%E3%80%80%E7%A7%81%E3%81%AE%E8%A6%96%E7%82%B9.html

同じなのですけど、朝日新聞デジタルで最近この連載がなかなか面白いのでオヌヌメであります。いろいろなのがあって面白いのですが今朝は軽く毒電波浴をしておきましょう!!!

この前もロイターで毒電波を放出しておられたので繰り返しみたいなもんですが。

http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html
さらに金融緩和を、国債まだ買える 原田泰・早大教授
聞き手・福田直之
2015年1月21日11時34分

いろいろとおかしいので月末の締めは電波浴で。

『――2013年春から2年程度で物価上昇率2%を目指す日本銀行の物価目標は、達成できるでしょうか。

 「2%まではなかなかいかないかもしれない。最終目標の雇用がよくなっているなら、そんなにこだわらなくてもいい。大事なのは景気が良くなることで、2%というのは金融政策でそのくらいにしたほうが雇用が良くなるという経験則があるからだ」』(直上のURL先のインタビュー記事より、以下同様)

えーっとすいません、リフレの皆さんは「2%物価目標達成で世の中がよくなる」という話をしていた筈で、そのような簡単な世界標準政策をやろうとしない日銀は無能の巣窟なので置物大先生が堂々と副総裁で乗り込んできたんじゃなかったでしたっけ??いつの間に最終目標が雇用になっているんでしょうか???

『――日銀も期限を定めず緩和すると言っていますが、それでは国債購入の際限がなくなりませんか。

 「さすがにいつかは2%の物価上昇を迎えるだろう。そのときに静かに金融緩和を縮小すればいい。2%の物価目標は金融緩和の行き過ぎを抑える歯止めにもなる」』

えーっとすいません、米国のTaperingトークでの市場の動きはご覧にならなかったのでしょうか???

『――金融緩和の結果、円安が進んでも、期待していたような輸出増につながっていません。

 「期待していた効果は出ていない。ただ、金融緩和に反対していた人たちは、円安になったら世界貿易戦争が起きると言っていたが起きていない。確かに私も輸出は増えると思っていて間違えたが金融緩和の反対派はもっと間違えている」』

ほうほう、大きく出ましたなあ。ああそれから最近の世界の金融政策の動向は「通貨安競争」とか市場で言われたりもしてますけどねえ。

『「効果が出ない主要な原因はリーマン・ショック後の日銀の対応だ。他の国がものすごい金融緩和をしていたのに、日本はしていなかったから円高になった。工場が海外に移転してしまって空洞化が進んだのが原因だ。もう一つの原因として、輸出先の海外の景気が良くないという点もある」』

えーっとすいません、そんな昔の政策が原因だったらそもそも円安にしても効かないという話になると思うのですが・・・・・・・・・

『「円安になって輸入品が高くなっているが、その輸入品を加工することで、従業員への賃金を上乗せして売るのだから、この分は円安による値上がり分より基本的に大きいはずなので問題はない」』

最早何を仰っているのかがさっぱりわかりませんが、この特集インタビュー記事を見ますと聞き手の方が原田大先生の説明を下手に端折った結果意味不明になったというような可能性は低いと思いますので、大先生の大先生理論が上記のようになっていると思われます。

『――仮に日銀が物価目標を達成して、国債を買う量を減らせば、日銀が持っている国債価格も理論的には含み損を抱えます。時価評価しないとはいえ、財務の健全性は大丈夫ですか。

 「日銀は国債をコストをかけずにただで買っている。10兆円分の国債を購入して、仮に2割損してももうけは8兆円ある。日銀の利益は国庫に渡ってきた。国債の価格が下がっても、財務省が埋めればそれでいいだけだ」』

大先生理論キタコレ!!

ということで、相変わらず日銀はタダで国債を買っている理論でこれで早大の教授が務まる世の中というのは一体全体どうなっているのかと思うし、このゼミの卒業生がいるのかどうか知らんが人生の貴重な時間をこのような電波浴で費やすとか不憫で不憫で。

『――仮に損を出したら、日銀の信認が傷つきませんか。

 「日銀のバランスシートが傷んだと思われても、信用が失われることはありえない。国はすでに1千兆円もの国債を発行して、バランスシートを傷めているのだから、日銀のバランスシートが傷もうが関係ない。制度上、日銀が財務省に補?(ほてん)を頼むのがいやというのはあるのかも
しれないが」

「円の信認は日本の経済力に対する信認であって、日銀の信認とは関係ない」』

・・・・・・・・・えーっとすいません、国債発行は借金なのでその時点ではただの債務で別にバランスシートは傷まない一方で損失というのはそのものズバリなのでバランスシートの資本の部が毀損する形になるのですが、国債をタダで買っている理論を先般拝読した時に複式簿記の基本がわかっていないのかと申し上げましたが、そもそも貸借対照表と損益計算書の区別もつかなくても早稲田大学では経済学の教授をやって、超ドマクロの話をしているだけならまあそれでも実害はなさそうですけど事もあろうに金融政策の話をしたり提言をしたりするとか、都の西北大丈夫か状態でございまして、今回もなかなかの電波浴を楽しむことができましたとさ。

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2015/01/28

○あまりんキター!!!

最初のヘッドラインだと『日銀物価目標、具体的期限にコミットしていない=甘利経済再生相 』となっておりまして(ちなみにロイターのネット版で「甘利」で検索かけると元のヘッドラインだけは読めるのですが、記事のヘッドラインは下記のほうになっております)、ナンジャコリャという話題を攫っておりましたが、アップデートを見るとタオルなんだか何だか微妙なテイストを。

http://jp.reuters.com/article/idJPL4N0V61AB20150127
UPDATE 1-日銀物価目標、2年の中心線より余裕があっていい=甘利経済再生相
2015年 01月 27日 11:44 JST

『[東京 27日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は27日、閣議後の会見で、日銀の2%の物価安定目標について、具体的にいつまでという厳格な期限を政府も日銀もコミットしているわけではない、と述べた。』(上記URLより、以下同様)

ということでこれは「2年でどう見ても行かない件に対する助け舟」の話をしているのか、それともついにタオルを投げたのかというのが謎にも程がありますし、これが安倍ちゃんの発言だとだいぶビビるのですが、まあゆうたらあまりんですからねえとは思いつつ。

さてここで岩田副総裁の就任記者会見での師匠の名言を鑑賞しましょう。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf

『私は、2%のインフレを達成するため、あるいはデフレを脱却するためには、2 つの条件が必要だと思っています。1 つは、2%のインフレ目標を大体いつ頃までに責任をもって達成するのかということに日本銀行がコミットするということです。これにコミットすることが、非常に大事なことです。大体いつ頃までに達成するかということについては、主要国の中央銀行は、大体、「中期的」とか「ミディアムターム」という言葉で表現しています。その「ミディアムターム」というのが実際何年くらいなのか、色々な研究者が調べたところ、大体2 年くらいということになっています。平均すると2 年くらいでインフレターゲットの中に入っているので、そういう経験から言っているわけです。』(上記2013年3月21日の岩田副総裁記者会見から)


ついでにQQE導入時の総裁会見も鑑賞してみましょう。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304a.pdf

『第2 に、政策を分かりやすく伝えるように、枠組みを見直したということです。まず、2%の「物価安定の目標」を、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現することを明確にコミットし、そのための枠組みとして、操作目標を「マネタリーベース」とする新しい金融調節方式を導入しました。』(上記2013年4月4日の総裁記者会見から)

・・・・・・・・えーっとですな、まあ別に2%なんぞ中長期に達成すれば良くて経済の実力丸無視して為替とかを使って物価を無理繰り振ろうとしても無駄にコンフリクトが起きるだけの話ではないかと思いますので、別に2年である必要もないし、そのために強引な緩和をする必要もないと思いますけれども、白川日銀をケチョンケチョンに貶して石もて追い出して「2年で2%」と大口を叩いて強引な緩和政策を拡大して先ほど申し上げたように足元では遂に市場が本格的に変になってきているという弊害まで出てきたところで急に言い訳をするんでしたらまずは落とし前をつけて頂きたいと思うのですけどねえ。

なお、先ほどのあまりん発言ですがしらっとこんなのも(ヘッドラインにあるやつです)。

『さらに、現状の原油安を勘案すると、物価目標の達成は日銀がメドとしている2年の中心線より余裕をとってもいいのではないか、との認識を示した。』(上記ロイター記事より)

原油安は一時的な話なのに目標達成の数値をその一時的な話を背景に変えるのはおかしくねえかと思うのですけれども、これって単なる言い訳のつもりなのか、それとも物価上昇で生活が苦しくなる系の選挙区からの話(あまりんのところだとどうなのかなとは思うけど)を受けて2%物価目標そのものを急にヒットさせに行かなくても系の話になっているのかがよくわからんところではございます。

まあしかし何ですな、このニュース見てて思ったのですが、良く良く考えますと「タオルを投げる」のは2年の期限の前にした方が格好がつくというもので、今の日銀の理屈ですと(それがどこまで豹変しないで持つのかが微妙ですけど)10月の展望レポートの頃におそらく焼け野原状態になって矢折れ刀尽きた状態で追加緩和なのか降参なのか枠組み変更なのか知らんですけど、まあボロボロの状態になってしまう可能性もあります(まあ見通しが正しければそうはならないのですけどね!!)が、そうなる前にタオル投げてしまう方がボロボロにならずに済むと考えれば合理的かもしれませんな!!!

とまあそういう訳で、もしかしたら政府からのタオル投入への瀬踏みの可能性もやや存在するような気もせんでもないという所ですが、あまりん先生の事ですからそんなことを特段考えずに単に助け舟のつもりでいつもの不規則発言モードなのかも知れず、なんだかよくワカランチ会長という所ではあります。

ただまあ先ほど申し上げましたように、債券市場がちとここもと不安定という事もあって、後付では債券市場の下げとあまりん発言をある程度関連つける(ちなみに下がったのもあまりん発言よりも後ですのでそういう言い方は可能)という話も出そうですねと思ったのでメモメモ。

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2015/01/22

お題「決定会合レビューだがPC復旧中にてやや簡単バージョンです」

しかしまあ何ですな、このタイミングで愛機があばばばばーというのは、「悪態を何度も書いていると負のオーラでパソコンがいかれる」っていう水の伝説みたいなオカルトですか(だいぶ違う)。

#業務連絡:メーラーが復活していないのでメール対応が暫時とまっております

○決定会合:市場の期待(?)を盛大に外した上に実質的にはロジックも修正

まあ何ですな、丁度昨日の朝に金ファクさんの水曜コラムで「ハト派タカ派と言った次元ではなく日銀はヤケクソになっているので何が出てもおかしくない」というような趣旨の指摘がありましたように、実際問題としては10月に追加緩和した後に3ヶ月で更に追加に追い込まれたらどこからどう見ても逐次投入ですし、失敗を認めたようなもんだから追加は無い、とは思いましてもやはり金ファクさんの指摘にはアタクシなんぞも頷く所が大でしたから、ここで追加緩和打たれたらほかの人たちはともかくとして債券市場は更に死亡だわとか頭を抱えておりましたですよ。

ということで今回は市場の期待(というか事前の煽り)を盛大に外してくれて市場破壊が進んで虫の息でありますところの債券市場的なところの人としてはホッと一息でございましたが・・・・・・・・・・

でまあ昨日申し上げたような事情で本日もちょっと簡略バージョンなのでいつもとややパターンを変えましてみます(今晩ECBあるから早めに修復したいところではありますな)。

・資産買入に変化なし(あっても債券市場的にはもはや困るが)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/k150121a.pdf

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成8反対1)(注1)。

マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。』

『2.資産の買入れについては、以下の方針を継続する(賛成8反対1)(注2)。

@ 長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。ただし、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、金融市場の状況に応じて柔軟に運営する。買入れの平均残存期間は7年〜10年程度とする。

A ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。

B CP等、社債等について、それぞれ約2.2 兆円、約3.2 兆円の残高を維持する。』

・・・・・ということで買入に特段の変更はなしですな、つーかここでやられたら死ぬのでホッと一息ですな。なお反対は木内さんの「追加緩和前のペースに戻せ」です。

まあ何ですな、会見ネタは明日投下予定ですが、会見聞いた感じ&展望レポートの中間レビューを見ますと「追加緩和に関して結構なゼロ回答」であったなあという所で、もしかしてサプライズ好きの黒田日銀なので「ここまで期待されたら外すしかない」としたのかも知れませんね!!!!

#たぶん政策ロジックを立て直しにかかったからなのですが


・成長基盤は「額や期間の拡大」ではなくて「対象先の拡大」で来た上に拡大した先が画期的

『3.近く期限の到来する「貸出増加を支援するための資金供給」(以下「貸出増加支援」)、「成長基盤強化を支援するための資金供給」(以下「成長基盤強化支援」)、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」および「被災地企業等にかかる担保要件の緩和措置」について、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)1。

@ 期限を1年間延長する。

A 「成長基盤強化支援」(本則)の対象金融機関毎の上限を1兆円から2兆円へ、総枠を7兆円から10兆円にそれぞれ引き上げる。

B 「貸出増加支援」および「成長基盤強化支援」について、日本銀行の非取引先金融機関が各々の系統中央機関を通じて制度を利用し得る枠組みを導入する。』

「貸出増加額の2倍」の部分とか「4年」の部分とかを増やすのではないかという予想をしてたような気がしますが(やるなら額かなとか)、そのような方向での変更は無しという結論となりました。本則とか総枠とかは増やしましたが、これに関してはそもそも論として受動的に決まる額なのでここを増やしたからといって成長基盤や貸出増加支援がそのとおりに増える訳でもありません。

ただし、今回「おー」と思ったのはBの部分で、これは結構な画期的な変更。

つまりですね、今回のBは「日銀考査対象ではない所に与信をしますよん」という話ですし、「日銀考査対象じゃない所に日銀取引を開放しますよん」という話でもありまして、かなーり画期的ですわなあとか思いつつ、これ何ぼ担保付貸出と言っても考査しない所への貸出とか従来の個別プルーデンスな建付からだいぶ踏み込んだ感じです。

まあ「非取引先金融機関」ではあるけれども取引先としての適格性に関するモニタリングは制度利用に当たって仲介をすることになる系統中央機関が行うので、という整理になるものだと思います。実際の主な対象は信用組合と日銀当座預金口座を持っていない信用金庫とかですかねえ(後は労金とか農林系とか)という所ですので、MB拡大的な意味でのインパクトは2倍のところをいじるよりは小さいでしょうが、地域金融機関への門戸拡大というのは質的な意味では大きな話だと思いますので、これ自体はマクロ的に地味でも意味は大きいっすな、うんうん。

なお、脚注にある『1 基本要領等の所要の改正は次回以降の金融政策決定会合で行う。』というのは、決定事項のB部分に関しての詳細を詰めるのにそこそこ時間がかかる(事務面とか手続面とか)ということで、これはまあ2月には間に合わないで3月になるんでしょうかねと思います。


・・・・・・・・・でですな、当座預金非取引先に対して日銀の貸出増加支援とか成長基盤強化支援の貸出制度を開放するという施策を行いまして、日銀の考査先でもないところに与信を出すという施策が出たわけですから、与信ですらないことでもありますし「補完当座預金制度」について日銀当座預金非取引先に開放するのも検討すべきではないでしょうかねえ(ニヤニヤ)。

ええ別に非取引先が決済システムに参加したいと言っている訳ではありませんから、別に補完当座預金制度に非取引先が入ったからと言って決済システムにリスクが増える訳でもありませんし、これだと別に与信でもないですから今回の決定よりも信用機構的な意味でのハードルは低いと思いますがねえウヘヘヘヘヘ。


・展望レポート中間レビュー:ロジックが元に戻るというかなんと言うか

声明文の景気物価認識および見通しの部分は本日は簡略版のためパス(金融経済月報での前回比較で代用する予定です、基本的にそちらに包含されますので)しまして、展望レポート中間レビューにワープします(^^)。

まずは声明文の記述から。

『6.10月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率は、2014年度について下振れる一方、2015年度、2016年度はともに上振れるとみられる。消費者物価は、基調的な動きに変化はないが、原油価格の大幅下落の影響から、2015年度にかけて下振れると予想される。2016年度については概ね不変である2。』

『2 今回の中間評価では、原油価格が大幅に変動していることを踏まえ、政策委員は、見通し作成に当たって、原油価格の前提を次の通りとした。すなわち、原油価格(ドバイ)は、1バレル55ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて70ドル程度に緩やかに上昇していくと想定している。その場合の消費者物価指数(除く生鮮食品)におけるエネルギー価格の寄与度は、2015年度で−0.7〜−0.8%ポイント程度、2016年度で+0.1〜+0.2%ポイント程度と試算される。』

原油の置きの方とか物価の方とかを先に見てしまいますが、何気に力強いのは今回の見通しって「2015年度、2016年度ともに成長率見通しが上振れ」なことですな。「物価見通し(の2015年度)が下がったのに追加緩和しないとはこれ如何に」という話が多いですし、そもそも10月の追加緩和の時には足元の原油価格下落を受けた物価低下に思いっきり反応した形で追加緩和を実施したのですから、足元の物価見通しが下がった(しかも盛大に)のに追加緩和をしないのは何ですねんとなりますわな。

でですね、それに対するお答えというのが総裁会見でも出ていたので詳しくは明日なのですけれども、今回はそもそも論として「成長率見通しは上振れ」なわけですから普通に経済見通しをベースにした金融政策という意味では追加緩和するほうが変ですし、総裁会見でのお答えは10月の説明はいったい全体なんだったんですかというような感じで「原油価格の下落による影響はそれが2次的な効果を出してインフレ期待の低下に繋がらなければ無問題だしむしろプラス」(キリッ)という説明になっていまして、お前は何を言ってるんだというところですが、まあそういうロジックに盛大に摩り替えてきた(いやまあ日銀執行部に言わせれば「別にぶれていませんが何か」という所でしょうが、外野からしたらロジックを思いっきり都合よくカメレオンしているとなるわな)という所ですな。


・・・・・・となりますと、脚注の原油価格の置きですけれども、10月ロジックを踏まえますと「1バレル55ドル」という出発点の数値ですけど、それこそ4月に40ドルくらいにでもなっていた日にはもう出オチにも程がある状態ですから次回展望レポートで追加緩和待ったなしとなるはずですが、上記のようなロジックを前面に出してきた(どう見ても傍から見たら変更だが変更でないと言い張るみたいなので一応そういう風に書いておく)ので、次の展望レポートのときに状況が違っても平然としていると思いますし、これだと4月にコアCPIがマイ転しても平気な顔して「メカニズムに変化がないですし更に成長見通しは上昇しています、追加緩和?何ですかそれ??」と言い出しそうな勢いですな。


それから物価のところではわざわざ「基調的な動きに変化はないが」と入れている辺りがカメレオンロジックで七色の変化球キタコレとしか申し上げようが無いところで、基調的な動きに変化が無いので原油価格が下がってもヘーキヘーキという説明であって、ロジックのレインボーマン状態の日銀執行部(というか企画局というか)恐るべしという所ではございますな、うんうん。

でまあその辺の背景となるレインボーロジックに関しては会見ネタのところで更に確認するということで見通し数値の変化に参ります。



・見通し数値もご案内のとおりでして

コアCPI(除く消費税)

2015年度:+0.4〜+1.3<+1.0>
前回見通し:+1.1〜+1.9<+1.7>

2016年度:+1.5〜+2.3<+2.2>
前回見通し:+1.2〜+2.3<+2.1>

ということでクソワロタという所ですが、手前の見通しをここまで盛大に下げた上で「2015年度を中心とする期間に2%達成」とか抜かしておられますので、これは即ち15年度の頭であります所の4月分CPIが相当低くても(後ろに向けて盛大に上昇すれば)+1.0%の年度平均は達成できるからヘーキヘーキという話ができますし、そうなると3月の全国CPIと4月の東京CPIが確認できるであろう時期でありますところの次回の展望レポート時点で「見通し変わったから政策変更」というのは(物価推移を受けた形では、ということで外的ショックがあったら別でしょうけど)無いですなという所です。


実質GDP

2014年度:−0.6〜−0.4<−0.5>
前回見通し:+0.2〜+0.7<+0.5>

2015年度:+1.8〜+2.3<+2.1>
前回見通し:+1.2〜+1.7<+1.5>

2016年度:+1.5〜+1.7<+1.6>
前回見通し:+1.0〜+1.4<+1.2>

こちらは2015年度が盛大にあがっていますが、足元を下げているので下駄の部分がありますからそれはそれなのですけれども、基調的な話としては上方修正ということになっておりまして、潜在成長率を上回る実質成長の続く中で需給ギャップはプラスで推移して物価が上昇しますぜウェーハッハッハというお話ですな。


○ということで追加緩和が出るのは10月に延びましたがオペの手直しにも注意

つーことで簡略版につき簡単におさらい状態でどうもすいませんという所ですが、今回はここまで見ましたように、10月の追加緩和はなんだったんですかというような感じで「基調的な物価の動きは維持されている」(キリッ)というのに戻して来まして、原油価格の一時的な低下の影響は知らんがな状態になりましたし、上記のように来年度の見通しを下げましたので、「えーっとすいません2015年4月ってQQE導入から2年ですよね」というツッコミに対しては盛大にスルーしつつレインボー屁理屈を繰り出す準備が万端になりましたから、こら4月追加緩和はねえわとしか思えませんですな。従来はアクチュアルの物価がだめだったら4月に申し開きできないでしょとなっていましたが、「原油の影響はどうしようも無いのでそれは知らん」と開き直って2015年4月近辺のはずの達成時期をスルーすることに成功したので、まあタイムリミットは延びましたなとしか申し上げようが無い。

でまあ会見での説明とかも含めまして考えますと、結局のところお賃金の動向とかの話とか原油価格下落の2次的な効果が出るのかどうかとか、まあその手の話って明確になってくるのが夏以降でしょうなあ、ということになることが想定されますので、まあ次の政策どうするのという話は10月展望レポートまで引っ張れるとなるでしょうなあと思われまして、4月までに追加緩和に追い込まれる予想は撤回ですなこりゃという所です。

ただここで落とし穴がありまして、ご案内のように債券市場があばばばばーとなっている訳で、昨日の追加緩和無ししかもどう見ても10月まで追加緩和こねえだろ(というのが普通に読むと読み取れると思うのだが)となりましたせいかどうか知らんけど債券市場がちょっと調整しましたが、それはそれとしまして、別に国債買入ペースは無慈悲ペースのままなのですから、日銀の描いている絵のとおりに行くかよヴォケとなったらまたまた債券市場がヒャッハーになってオペがヒャッハーになっていくでしょと思われますので、そうなった場合には輪番夢の札割れまたはとんでもないマイナス金利での購入とかいうのも相変わらずアリエールですな。

で、そうなりますと「そもそもの金融政策の持続可能性」という話が出てきますので、それはそれでどう見てもマズーという話になりますから、そういう意味では輪番に関してはオペが爆発しないように注意しながら運営しないと思わぬところで日銀も足を掬われる結果になりますから注意しましょうね
という所でありますな、うんうん。

#ということでやや簡略版で恐縮至極

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2015/01/20

うむ。
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPL4N0UY00F20150119
シャープ、15年3月期業績が予想下回る見通し 為替変動などで
2015年 01月 19日 09:10 JST

『[東京 19日 ロイター] - シャープは19日、2015年3月期の業績について、急激な為替変動による国内販売の採算悪化や、液晶事業の競争激化などを受け、昨年10月に発表した通期の連結業績予想を下回る見通しだと明らかにした。』(上記URLより)

>急激な為替変動による国内販売の採算悪化

とのことですが日銀ガーの皆様におかれましてはこの件に関してご感想を賜りたいものです。

#話は全然違いますが需給関係が全然違うし採掘コストも違うはずなのに過去100年の平均価格から適正価格を持ち出すことに意味があるんでしょうか中原センセイ>モーサテ

#もっと全然違うが「日銀はコアCPIにコミットしている」とか「外貨建て資産じゃないし時価評価しないから日銀のバランスで国債を大量に持っても損は出ない」とか妄言レポートを昨日見た気がするのだが、金融政策の話で事実誤認だろという記述が(今に始まった訳では無いレベルで)多すぎるお方がいるのだが本職として如何なものかと、どこの誰とは言いませんが


○市場雑談というか金利が更に溶鉱炉な件について

・またも糸の切れた凧状態

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0UY24Y20150119
〔金利マーケットアイ〕国債先物が一時最高値、長期金利は0.205%と5日連続で最低更新
2015年 01月 19日 15:17 JST

『<15:10> 国債先物が一時最高値、長期金利は0.205%と5日連続で最低更新

国債先物中心限月3月限は前営業日比22銭高の148円62銭と続伸で引けた。前週末の米債安に加えて、日経平均株価の反発など外部環境からの逆風で、朝方は売りが先行したが、売り一巡後は下げ渋った。午後に入ると、日銀買い入れ結果で残存5年超10年以下を中心に一段の現物需給引き締まりが意識されると上昇に転じ、1月14日の夜間取引で付けた史上最高(148円58銭)を更新して、一時148円65銭まで買われた。現物市場は長期・超長期ゾーンを中心に堅調。10年最長期国債利回り(長期金利)は5営業日連続して過去最低を更新して、同3bp低い0.205%に低下。20年超長期国債利回りは一時同4bp低い0.865%と2013年4月5日以来の水準に低下した。急激な金利低下への警戒感から国内投資家の動意が鈍かったが、海外勢からの買いが観測された。』(上記URLより)

ということでまあロイターのネット版さんで説明がある通りではございますが、輪番の長期ゾーンが結果が強かったのと応札が少なかったのがあって長期がヒャッハーとなり、この後4時過ぎには0.200%までマークする有様。中期とかに関してはユーロ円金先が珍しく盛り上がって金利低下して(ユーロ円TIBORとかが下がっていたり付利がどうのの思惑があったりということのようですが)という事でもう大変な事に。

昨日のオペ結果(短国買入に関しては後ほど)

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150119.htm
国庫短期証券買入 76,064 30,000 0.020 0.025 77.3
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,915 4,001 -0.007 -0.001 15.0
国債買入(残存期間10年超25年以下) 4,608 2,406 0.012 0.014 64.4
国債買入(残存期間25年超) 3,822 1,405 0.013 0.016 44.3

ということで、長期輪番の応札が6915億円と少ないのと足切りがやや流れたことから後場にヒャッハー相場になりましたぞなという展開だった訳ですが、この調子ですと(もとより新発債の供給に対して買入が過大と言われている)長期ゾーンが夢の輪番札割れまたは輪番が盛大に流れてとんでもない金利まで日銀様お買い上げというようなお洒落な話に来月にでもなるんじゃネーノと申し上げたくなるこの展開ヒドスとしか申し上げようがございませんな。

しかしまあ何ですな、輪番札割れとかになると「国債買入のオペレーションとしての限界」ってな話が出てきて、盛大にMB積み上げまくったのに全然CPIが伸びていませんがマッカラムルールだの何だのとは何だったのかと置物先生を小一時間問い詰めたい状態の中でそういう事態が起きますと、「金融政策の目標が達成できない中でオペレーションに限界」とかどこぞのスイッツアランドみたいな連想が働くと日銀としてもマズーだと思うのですけど大丈夫ですかねえ(ニヤニヤ)。


・短国買入は相変わらずの3兆円

はいはい3兆円3兆円
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150119.htm
国庫短期証券買入 30,000 2015年1月21日

だいたい昨日なんぞ売買参考統計値的に3か月のカレントしか札が入らないのが予想されるのですから1年TB買って残高の安定的な積み上げ&ロールオーバーの頻度を減らして買入できなくなるリスク回避、という視点で考えたらここで3兆買わないで減らしてオペ先に緊張感ださせればエエヤンなどと思うのですが、そんな事をするのであればそもそも延々と短国金利がマイナスになるようなオペの打ち方をしていないので文句を言うだけ時間の無駄というものです。

で結果はさっきの通りですけど。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150119.htm
国庫短期証券買入 76,064 30,000 0.020 0.025 77.3

まあこんなもんでしょという所ですが、昨日付の売参で突出して利回りが低いのは3Mのうち年初1発目と2発目の分になる503回と504回(近い償還の1年短国も同じくですがそもそもそんな銘柄は流通玉が無いのでどうでもよい)で両銘柄ともマイナス5.5bpとなっております(なお1年新発507回はマイナス2.0bp)ので、まあ2甘だの2.5甘だので放り込んでも入札レベルから見たら鼻歌混じりでワークするレートですな(一方1年新発507回だとゼロ以上の金利になるから入札レベル対比負けになるのでこれは入っていない筈)。

なお、その次に入札があった3Mの506回はマイナス3.9bpだったのでまあワークするにはワークするけどちと微妙かなという所ではありましたが、いずれにせよこの落札結果ですと1年TBは入っていませんので、これだけの札がある上に1年TBを買いたいという日銀の意向は強いでしょうとか思うと、今週金曜も3兆で短国買入を打ちやがる可能性があるなあと思う訳で、そうやって国内の普通の投資家をマイナス金利で排除することに何の意味があるのかと小一時間問い詰めたい所ではありますな。

長期国債買入の場合は買入の回数も多いし、銘柄も多いので「どの銘柄がどのレートで入ったか」とか類推するのがかなり面倒ですけれども、短国買入の場合は基本的に買入が週1で買入銘柄の方は10日毎に公表されますし、そもそも流通玉のある銘柄がカレント近辺に限られている(四半期末通過後は残高調整玉の売りが出る場合もありますが)し、買入対象銘柄も2Mよりも長い所になるので銘柄数も少ない、という事で、まあオペ結果と売買参考統計値を見ながら出来上がりレートとかまで想像できますので、売買参考統計値(売参見るの面倒でしたら日本相互証券さんの引けでも良いけど)の推移を鑑賞しながらオペ結果の鑑賞をすると味わいが深いというものでございます。


・という事でユーロ円金先が強かったりしましたが・・・・・・・・・

いやまあ昨日はユーロ円金先強くて、短い所のレシーブとかも強くてまた金利が下がるネタが意識されているようですがその話はプレビュー雑談コーナーに続くのだ。


○今日もプレビュー雑談の続き

・日銀の超過準備付利金利に関して

つーことで付利金利ガーみたいな話が(欧州がマイナス金利攻撃しているのもあって)またまた浮上という所ですが、これに関しては「MB拡大にコミットするという政策を放棄すれば可能ではないですかね」というのが答えになると思います。

資産買入の積み上げをするためには、複式簿記で考えれば判りますが資産積み上げた分だけ日銀当座預金が拡大しないと間尺に合わないので、超過準備の積み上げにある程度のインセンティブを与えないと超過準備の積み上げが厳しくなります。でまあ最近ですと昨日ネタにしましたが都銀さんが最近超過準備を積み上げなくなっているのは、バランスシートのご都合とかそういう話になっているんでしょうかねえとか思いますと、まあそんなように「超過準備に付利しているからと言ってもバランスシートを無限に積み上げられるかどうか判らん」という状態なので、付利下げはMB拡大の政策を実務的に困難にするので普通に考えると選択肢にはなりません。

そもそもですね、今の日銀の金融政策の枠組みは「マネタリーベースターゲット(のようなもの)」を基本的な建付けにしていて、別に金利レジームで政策を組んでいる訳ではない訳ですよ。つまり「マネタリーベースの拡大によって期待インフレの引き上げを行い」(実際にワークしているのかは別として)、そのMB拡大を行うツールとして国債の買入を行うのですが、その際に国債の買入を実施することによって、「長期国債の買入によって期待インフレ率の上昇に伴って起きるフィッシャー効果を抑制して実質金利を下げる」というセットになっている訳ですよ。

でまあその実質金利が低下することによって消費は伸びるわ設備投資は増えるわ爺さんのリューマチは治るわ(嘘)でウハウハですよ奥様!!というフレームな訳で、別に名目金利レジームな訳ではないので、ここで付利下げて金利レジームに切り替えるというのはちょっと無いんじゃないですかね。というか置物の首飛ばさないとレジーム変えられないでしょうし、それは政治的なコンフリクトが大きすぎるので難しいんじゃないですかねえ。

なお、理屈を全部すっ飛ばして付利下げる可能性も無くは無い(昨年10月の追加緩和で従来のロジックがだいぶ崩壊しましたからねえ、最近少し立て直していますが)のですが、その場合輪番での買入が更に厳しくなってきて、それこそとんでもない金利での購入やら夢の札割れやらというのが早くにやって来るだけで、それは国債大量購入でMB拡大政策の限界点を手前に手繰り寄せるだけの効果しかないので、アホじゃなかったらやらないと思います。いきなりそれをやらかしたらそこまで追い詰められて居るという事でしょうな。



・貸出支援関連の大幅増強は色々とできそう

ということでまあ普通に考えて事前報道の通りで貸出支援の増強となりますが、0.1%4年固定というのは今の国債市場の金利体系を考えると高利貸しにも程があると言いたい所ですが、この借入を取り入れる事によってALM的に言えば負債のデュレーションを長くすることが出来るのはメリットですな。

特に足元では4年以下の金利が軒並みマイナスになっていますので、商品有価証券ならともかく、投資有価証券的にマイナス金利の債券買えますかという事を考えますと、実はポートのデュレーション調整が直近では難しい状態になっている(ストラテジックなイールドカーブ戦略でマイナス買うとか値上がり狙いでマイナス買うとかいう理屈は立てられるとは思いますがポートのコアポジションでマイナス金利って訳にも逝かんでしょ)ので、そういう意味でも使い勝手が良くなっているように思えますがどうでしょうかねえ。

てな訳ですから、まあ貸出支援ならば大義名分もありますし、「貸出した分の5倍」でも何でも良いですけれども威勢の良い数字を出して、ついでに4年というのも伸ばすという手はあるんでしょうなと思います。ただまあオッズをあまり増やすと銀行優遇批判に繋がり兼ねませんし、期間をあまり長くすると「そもそもお前ら2年で達成と言っていたのにそんなに長い期間の固定金利貸出をするとか達成への意欲が本当にあるのか」と言われかねないので、そこら辺の屁理屈の整合性を取らないといけませんな。


・展望レポートの物価見通しって今年度下げて来年度上げになるんでしょうなあ

まあさすがに今回追加緩和だと麿もビックリの逐次投入スキームになってしまいますので普通に考えて追加緩和はしない(貸出支援の方を鉦や太鼓で宣伝するのはあり得る)と思われますが、10月の追加緩和との整合性を取るという追及は来る罠と思います。

そこでどういう話になるかというと、「本年度の前半は原油価格などの影響で物価の伸びが弱いですが、後半になりますと原油価格の前年比辺りの物価指数の影響は徐々に剥落しますし、そのころになると原油価格低下のメリットが出るわ今年の春闘でお賃金は上がるわ設備投資も出てくるわでもうウハウハですよ先生」という話になって「したがって物価目標達成時期については変わりません」(キリッ)となる筈ですな。

・・・・・・・となりますと、この屁理屈を先に持って逝きますと、恐ろしい事に2016年度の物価見通しは上方修正必至という事になってしまいますので、それこそ2%台半ばくらいの中間的な数値が出てきても何らおかしくないというのが大本営発表クオリティオソロシスという所ですが、展望レポートの見通し数値というのは特に黒田日銀になってからその傾向が高まりましたが、純粋にエコノミスト的にこうだという予想なだけではなく、「現行の政策目的が達成されます(キリッ)」という前提を置いた威勢の良い気合成分の入った数値というのも加わるものである、というのが仕様となっておりますので、真面目な話大本営軍団が先の物価見通し上げてくるんじゃないのかと思いまするに、実は2016年度の物価見通しの方が鑑賞物としては面白いのかもしれませんぜウヘヘヘヘ。


○更にニュース雑談というか何というか

今日は雑談ばっかでどうもすいません。

・オランドのお漏らしキターーーーーーーー(・∀・)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H8T_Z10C15A1MM8000/?dg=1
仏大統領「欧州中銀、22日に国債購入決定する」
2015/1/20 1:05

『【パリ=竹内康雄】フランスのオランド大統領は19日、欧州中央銀行(ECB)が22日に予定する理事会で「国債を購入する決定をするだろう」と述べ、量的金融緩和策に踏み切るとの見通しを明らかにした。景気の低迷によりデフレの懸念が強まる欧州経済を金融面から後押しする狙いにも言及した。パリで開かれた企業経営者らとの会合で語った。』(上記URLより)

日銀ガーの皆様におかれましてはこのお漏らしに関する感想を賜りたい所ですが、それはそれと致しましてもこういうのが出てしまうとブンデスバンクが盛大にヘソを曲げて国債購入が3月に先送りされるに1マルク。


・山本幸三先生ェ・・・・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KS0NE20150119
インタビュー:当面、追加緩和は必要ない=自民・山本幸三氏
2015年 01月 19日 20:29 JST

『[東京 19日 ロイター] - 「アベノミクス」の仕掛け人である自民党の山本幸三衆議院議員は19日、ロイターのインタビューに応じ、当面、追加緩和の必要はないとの認識を示した。 日銀が掲げる「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果だとして十分説明可能と述べた。』(上記URLより)

>「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果
>「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果
>「2%の物価安定目標」達成は、2016年度に後ズレするが、消費税率引き上げによるマイナスの影響が強すぎた結果

・・・・・・・えーっとすいません金融政策で2%物価目標達成は可能で、適切な政策を実施すれば早期に達成できるという話をしていたのはどこのどなたでしたっけ。

『その後「(16年)秋口にはデフレ脱却宣言ができるのではないか」と見通す一方、17年4月に予定される消費税率10%への引き上げで「再びマイナスショックが出る可能性がある」と述べ、出口論は時期尚早だとし、「消費税引き上げの影響を見極めて、大丈夫と思えるまでは緩和スタンスを続けるべきだ」と述べた』(上記URLより)

>消費税引き上げの影響を見極めて、大丈夫と思えるまでは緩和スタンスを続けるべきだ

・・・・・・・えーっとすいません、そんなに消費増税に効果があるんだったらそもそも金融緩和をする前に消費税引き下げ(とか撤廃)すれば良かったんじゃないですかね。それで消費税分減収になってもそれだけの効果絶大の政策を実施した日には景気が盛大に浮上するからそっちの効果で思いっきり増収になって、最終的にはネットでプラスになるんじゃないですか、というかリフレの皆様って大体そういう打ち出の小づち的な説明しますよねえ税収に関しては(なお同じリフレでも山本先生は微妙にこの辺の話が違っているのはそうなのですけど)。

ということで、もう少し悪態を奉呈申し上げようかと思ったのですが、時間が無くなったので本日はこの辺で勘弁、つーか全部雑談でどうもすいませんすいません。

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2015/01/19

さて今週は決定会合にECB理事会ですの。

○決定会合とかECB関連のプレビュー雑談とかSNB雑談とか

まー今週は日銀は単に「前向きのメカニズムはあります」で終わってECBはソブリンQEやるのかやるやる詐欺で引っ張るのかどうなんでしょうねとかいう感じではあったのですが、SNBのアレで色々と風雲急を告げている感じで誠にアレではございます。

ということで厭債害債さんの解説を置いときますね。
http://ensaigaisai.at.webry.info/201501/article_5.html
スイス中銀(SNB)からのサプライズ

金曜はとりあえず決定内容&声明文と、総裁のオープニングステートメントを見て「何か判ったような判らんような説明なのだが要するにギブアップなのですかねえ」とか申し上げましたが、色々と解説などを見ますとやはりギブアップという所で、理論上自国通貨売り介入は無制限に可能、とは言ってもやはり限界というのがあるってえ話ですし、そもそも論として自国通貨売り介入で盛大にバランスシート拡大しているのに絶賛物価低迷というスイスの状況を見ますとそらまあ出口無しという状況でしてから、結局の所「出口の見えない政策をいつまでも続ける訳には行かない」という話だったんでしょうかねえというのと、SNBのユーロ建て資産が通貨バスケット的に見た時に食らっているし、この先ECBが追加緩和すると更に食らうわ介入は増やさないといけないわという状態が見えているのでギブアップだったという事のようですの。

#そういやこの前スイスでは中銀に「ついに買いました!金!!」をやらせようなんて国民投票があったりしましたし

しかしまあ何ですな、スイス中銀ギブアップというのを見せつけられますと「そもそも無理のある金融政策を出口なしの状態で続ける訳には行かない」という話がこれからの金融政策の論点としてのテーマに浮上してくる訳でございまして、火の粉はいずれ日銀にもやってくるでしょうという素敵な話になるかとは思われますな。

つまりですな、置物MB直線一気理論でMBバンバン拡大ということで国債をバカスカ買ってもはや金利の水準が合理的な説明できませんぞな(特に中期以下)な状況になっているのですけれども、MB拡大して債券市場を叩き壊しながら金利を無理矢理下げている状態になっているものの、この政策自体がどこまで維持可能なのか(まあ年内持たないでしょ常識的に考えて)という中で、物価の方はご案内の通りとなりますと「QQEは何時出口に行けるのか」と考えた場合に現状では出口どころか追加緩和待ったなしみたいな状態(実際は今月は粘って4月の展望レポートどうするのという所でしょ)になっている訳で、そうなりますと現行QQEの継続可能期間と政策が効果発揮して出口が展望できそうな時期とのギャップにオペレーションが耐えられなくなるのでさてどうするんでしょ。

とか何とか考えますと、まあ政策の爆発時期を速めることになった追加緩和って悪手にも程があったのではないかとも思いますが、そもそも論として先般来悪態を申し上げておりますように、オペレーションの所でもうちょっと金利の下げをマイルドにしていく方策も有った筈で、短国買入の運営なんて日銀が好んでマイナス金利を維持しようとしているとしか思えないのだが、そもそもここのマイナスが恒常化するから中期に波及している訳で、QQEの継続時間が長くなりそうという状態なのだから政策をもう少し長く続けられるようにするには中短期の金利の恒常的なマイナス化を避けるようなオペ運営をした方が吉だと思いますな(事務方がわざとQQEのオペレーショナルな爆発時期を早めようとして無言の抵抗をしているのだったら笑いますが)。

つーことで、まあQQEのオペレーショナルな限界が最近の市場動向を見るとあからさまにも程があると思う中で、SNBのご教訓として「無理のある金融政策は長期的には継続できない」というのが出てきた訳ですし、そもそもQQE自体が「2年で達成」という意気込みで投下された訳ですからあれだけの規模のバランスシート拡大になった訳で、元の建付けから考えたら3年も4年も続けられるような代物ではない政策ですし、そんなに時間がかかるという想定にもなっていなかった事を踏まえますと、さてQQEの落とし前はどういう付け方になるのやら、というのが今年前半か後半か知らんが(今の買入方法だと後半に来る辺りでは既にオペレーションが爆発していると思われますが。短国金利をプラスに持って逝けばもう少し延命しそうだけど)のテーマになりそうですな。いやはや。


でまあECBですけれども、これは今回やるのか次回(3月)やるのか知らんけどさすがにソブリンQEを実施するんでしょという所なのですが、「資産買入」に重点を置くのか「バランスシート拡大というかMB方面」に重点を置くのかが良く判らん所。

つまり、今のマイナス20という預金ファシリティ残したままですと、ソブリンQEやってもそんなに札が入らないでしょ(余程とんでもないマイナス金利まで買入をすればある程度は買えるかもしれないけど)と思われますし、そうなると何の為にうちこんでいるのか良く判らんという話になりますけどどうするのやらと。まあ最終兵器として「このように買入をしようとしましたが応札が集まらないですなあ(棒読み)」という市場のせいにする攻撃でお茶を濁すみたいなイカサマスキームは無いではないと思いますが、さすがにインチキにも程があるような気はします。


話戻って日銀ですけど。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities/idJPL3N0UU5CH20150115
日銀、次回会合で貸出支援制度を延長・拡充へ
2015年 01月 16日 08:40 JST

『[東京 16日 ロイター] - 日銀は20─21日に開く金融政策決定会合で、今年3月に期限を迎える貸出増加と成長基盤強化を支援するための2つの融資制度を1年間延長するとともに、貸出額増額などの拡充策を決める。デフレ脱却に向けて量的・質的金融緩和を強力に推進している中で、大規模な資金供給が金融機関の貸し出し増加につながるよう引き続き後押ししていくことが適当と判断した。』(上記URLより)

ロイター以外からも報道されていますので、まあこれは打ち込まれると思いますが、4年の国債金利がマイナスという状態になると固定4年の10bpというのが高利貸しに見えてくる所がオソロシスという所ですな。まあそもそも国債金利の方がおかしいと思えば札はそれなりに集まるのでしょうが。

ただまあ固定4年10bpの貸出を延長しかも拡大って良く考えたら執行部はQQEの出口時期をいつだと思ってるんだと小一時間問い詰めたい所ではありますし、この拡大と拡充するとなりますと益々超過準備付利って下げにくくなる(そもそも超過準備付利を下げると資産買入拡大の困難性が高まってオペレーションの爆発時期が早くなる)でしょうなという所で。

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2014/01/14

○決定会合プレビュー雑談のようなもの

展望レポート中間レビューを前に思惑記事キタコレですが、あまりこの手のしょうもない飛ばしチックな記事のアクセスを稼がせるのも業腹ではある。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM1FP20150113
日銀が15年度物価見通し下方修正へ、1%前半から半ばに=関係筋
2015年 01月 13日 22:53 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NI43KG6S972N01.html
15年度中の物価2%実現は不透明感増す、政策は維持−関係者
更新日時: 2015/01/13 21:05 JST

この関係筋とか関係者って何なんでしょうねと毎度思いますが、中間レビューでもう見通し下げて2015年度の達成は無理という話になりますと、物価目標達成時期がまたまた先送りになる訳で、「2年で2%」は完全に無かった話になってしまいますし、大体からして2%達成の為には何でもするという主張の中で物価目標達成時期の見通しが遅れるとなると10月の追加緩和と同じ理屈を出せは追加緩和待ったなしという話になるのですが大丈夫ですかねえと。

つまり、「2年で2%達成の為に頑張る」という姿勢を示しているのに目標達成見込み時期が遅れるのに何もしないとなりますと、そもそも日銀はやる気あるんですかという話になる訳ですし、そういう風に言われたくないから昨年10月に追加緩和したんじゃなかったでしたっけという所で、今回の展望レポート中間見直しで来年度中の物価目標達成見通し困難となりますと前任者をケチョンケチョンに貶して「2年で達成も2%目標もグローバルスタンダード」(キリッ)で「金融政策で達成できる」(キリッ)と大口叩いた落とし前というのを付けて頂かないと困りますなあと。

まあ何ですな、今回の中間レビューに関しては「基本的なメカニズムは維持されている」という理屈で突っ張るしかない(10月に追加緩和投下して早速1月に追加緩和だったら逐次投入にも程がある)とは思いますが、物価見通しをあっさり下げてくるとなりますとどういう屁理屈を繰り出して来るのかが中々興味深いので楽しみにお待ち申し上げたいと存じます。

なお、物価見通しに関しては「年度平均値」を出すという建付けになっておりますので、一番簡単な屁理屈は「手前の物価が原油価格などの影響で下がった為に年度平均の見通しが下がりましたが、原油価格下落は家計などの実質購買力の引上げになるので、年度後半の物価上昇圧力が従来より高まりますからヘーキヘーキ」ということで「年度見通しの数値は下がるが物価目標達成時期については変化ありません」という代物になりますので、恐らくその線で屁理屈が展開されるものと見ておりますので念の為申し添えます。

なお、そういう屁理屈を出して今回は追加緩和回避だと思いますし、ここで追加緩和投入となると逐次投入にも程があるし、そもそも5年金利が間もなく溶鉱炉に沈もうとしている中で追加緩和って何やりますねん(国債5兆でETF5兆ですかねえ^^)というのもありますので、常識的に考えたら追加緩和カードは最後まで引っ張ると思います。

ただまあそもそも論として現状の債券市場金利の状態を鑑みると今の国債買入は今年度どころか今年中にサステイナブルに運営できるのかも怪しい訳で、いずれにせよ年内には今の国債買入の枠組み自体が回らなくなると考えればヤケクソで早めに追加緩和を投下してサプライズ起こして円安株高に振れば一発逆転もアリエールとか言ってヤケクソ特攻緩和拡大の絶賛投下スキームも無い訳ではないのが恐ろしい所ではありますな、ナムナム。


○でまあ物価見通しと言えば物価目標ネタ関連でこんなのも

・あまりん発言はどっちの意味だ???

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KM07W20150113
来年度物価上昇2%達成なかなか困難、日銀判断みたい=経済再生相
2015年 01月 13日 12:37 JST

ヘッドラインだけ見ると「2%が困難だから追加緩和しろ」と言ってるのか「2%困難だから2年で達成を取り下げて現実的に達成可能な時点にしましょう」と言っているのかがワカランチ会長。

ということで記事を見る訳だが。

『[東京 13日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は13日午前の会見で、来年度(15年度)の政府の物価上昇率見通しが1.4%になっていることに触れ、来年度に2%に達するのはなかなか難しいという見通しになっていると述べた。そのうえで、15年度を中心とする期間に2%を達成するとの日銀の物価安定目標に関して「日銀は日銀としての見方がある。日銀の判断を見たい」との考えを示した。』(上記URLより、以下同様)

これは「追加緩和しろやゴルァ」と言っているのかと思ってしまうのですがこの次を見ると甚だ真意が不明だったりする。

『甘利経済再生相は、原油価格下落は日本経済にとってはプラスとの考えを改めて示したうえで、日銀の物価安定目標達成にはマイナス要因だと指摘。「(物価上昇率を)コアコアで見れば状況は変わるかもしれないが、日銀の物価安定目標は総合だ。原油価格の下落を織り込んだCPIになる」と述べた。』

原油価格下落は日本経済にプラスだが云々もそうですし、「コアコアだと状況が変わるかもしれない」というのも微妙で、これはつまり2年で2%達成しなくても良いじゃないか景気にプラスだものとゆー話をして日銀にもう頑張らなくて良いよという話をしているようにも読める訳で、いやまあ何だかよく判りませんな。

ちなみにあまりんちゃんと理解してるなと思いましたが、日銀の物価安定目標は総合でして、というか普通どこの中央銀行も物価安定目標は総合指数を使っていまして、ただし総合は季節要因などで振れる要素が入っているので、トレンドを見る為にコアなども見ますという話ですので、まあそういう意味でもコアCPI2%にやたらリジットにこだわる今の置物理論の方が元々違和感が大きいのですが、今さらそんな事を言うと置物を処分しないといけなくなって、そうなると影響する所が大きいので置物理論は引っ込められませんなという所ですね。



・景気ウォッチャー調査の総合判断部分の内閣府のコメントが凄まじい梯子外しな件について

昨日は内閣府様から毎度お馴染み景気ウォッチャーが投下。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2015/0113watcher/menu.html
平成26年12月調査(平成27年1月13日公表):景気ウォッチャー調査

でまあ中身を色々と見ると実は相当面白いのだが本日は手抜きで「平成26年12月調査結果(抜粋)」を引用するがここの表現が実に味わい深い。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2015/0113watcher/bassui.html
平成26年12月調査結果(抜粋):景気ウォッチャー調査

『今月の動き(12月)』って奴だな。

『12月の現状判断DIは、前月比3.7ポイント上昇の45.2となった。家計動向関連DIは、小売関連などが上昇したこと等から上昇した。企業動向関連DIは、製造業及び非製造業が上昇したことから上昇した。雇用関連DIは、求人の増加がみられたこと等から上昇した。』

ほうほう。

『12月の先行き判断DIは、前月比2.7ポイント上昇の46.7となった。』

まだ50割れですが前月対比改善改善(^^)。

『先行き判断DIについては、物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの、経済対策や燃料価格低下への期待等から、家計動向部門、企業動向部門及び雇用部門で上昇した。』

なるほど上昇しましたか・・・・・・・ってえーっと???

『今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの、経済対策や燃料価格低下への期待等がみられる」とまとめられる。』

>物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの
>物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの
>物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの

>燃料価格低下への期待等がみられる
>燃料価格低下への期待等がみられる
>燃料価格低下への期待等がみられる

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

・・・・・・・・・いやあーたそこまで日銀の梯子を外さんでも良いでしょうにとは思いますし、大体からして2%物価目標達成に向けて政府と日銀が共同文書作った筈なのに、その2%物価目標どころか足元で1%割れ(除く消費税分)水準になんなんとしている状況だというのに、内閣府様がいきなり「物価上昇への懸念等が見られる」だの「燃料価格低下への期待党が見られる」だの言い出したら2%物価目標達成に向けた日銀の取り組みはそもそも経済に対してマイナスであると鉦や太鼓で宣伝しているようなもんで、何もそんな露骨に言わなくても良いのにとは思うのです。

まあ超超超超超超うがった見方をしますと、さきほどのあまりんの会見も含めまして「無理に2%の物価を短期間で目指す必要が本当にあるのかという問題意識に政府の方は目覚めつつあるのですが日銀さんどうでございましょうかねえ」というメッセージが込められているのかも知れませんなという事になりますが、たぶんそんな事を考えているのではなく、単にアンケート内容を分析するとどこからどう見てもそういう結論になるからそこはフラットに記載しただけなのかなあとは思いますけど、なんちゅうかこう意味深な総括判断ですなあという所です。

4月展望レポートの時点では明らかにどうしようもなくなるので、その時点に向けて政府からタオルが投げ込まれる準備だったりすると中々素敵なのですけどさてどうなるのやら(ただタオル飛んできても置物理論を継続して「MB275兆で足りないならMB550兆円にすれば良いじゃないか」と言い出しそうな所がオソロシスなのだが)。


○ロイターインタビューで電波浴

なおロイターが電波な訳では無くてインタビューでコメントしているのが電波なのですけどね。

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KM0FA20150113
インタビュー:日銀は景気重視を、国債買入増も選択肢=早大教授
2015年 01月 13日 15:31 JST

・・・・・・マジでこれは頭沸いてるのかレベルにしか思えないのだが

『[東京 13日 ロイター] - 大胆な金融政策を主張するリフレ派の論客で知られる早稲田大学・政治経済学術院の原田泰教授はロイターの取材に応じ、金融政策は景気をよくするのが主眼で、物価目標はあくまで手段であり、現在のように原油安で物価動向が見えにくい局面では、景気をみて政策判断すればよいと指摘した。』(上記URLより、以下同様)

リフレ派ですかそうですかという所ですが、リフレな諸氏におかれましては2%物価目標を達成すれば景気が良くなって万々歳という説明をしていて、それをしようとしない日銀(当時)は屑の無能みたいな宣伝していました筈ですが、何時の間に「物価目標はあくまでも手段」となったのかさっぱり分かりかねますが、「物価動向が見えにくい局面では景気を見て政策判断」ってその「物価動向が見えにくい局面」というのはどうやって判断するのでしょうかねえそこに裁量を入れると良くないってのが「インフレ目標政策」だったんじゃないですかねえ。

なおご参考にこんなのがあるので「インフレ目標で全て上手く行くとなんてことは言ってませんが」とは言わせませんよ(^^)。
http://seesaawiki.jp/w/reflation/

まあその後も何だかなあというのが続きますが、白眉はこの辺りですかね。

『一方、国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」とした。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)

えーっとあのすいません、国債を日銀が買ったら国の債務が消滅するとはこれまた斬新な話ですが、最近のリフレ派諸氏はそういう与太話をするのが仕様になっているのでしょうか会計とか分かっていますかとしか思えませんし、そんな認識で政策提言するとか変な葉っぱをキメてラリっている人にダンプカー運転させるようなもんですがなと小一時間。

この前も人が突っ込んでいるURLをご紹介した気がしますが、日銀が国債を購入すると、確かに統合政府の中で国債は減りますけれども、減った国債の分だけ日銀当座預金(=日銀の負債)が増えますので、それって単に国が国債発行して長期調達した資金を統合政府の中で短期調達に変換しているだけなんですけどね。

で、日銀当座預金の超過準備相当額への付利金利は10bpだし、いざとなったら付利しなければ調達金利がゼロになるじゃないかというツッコミがどうせ来るのでついでに説明しておきますと、そらまあゼロ金利政策を続ける内はそういう事になりますが、当然ながら国債買入を行って緩和政策を実施することによって、いずれかの時点で経済が上向いて物価安定目標が達成されるということになる(ならないのならそもそもそんな政策を実行する意味がないですよね)のですが、物価安定目標が達成された時には当然その物価目標に対する中立金利水準まで金利が上がっていくようにしないと今度は物価が上にオーバーシュートして望ましくないインフレになってしまうので、政策金利を上げる必要が生じる訳ですな。

で、ここで問題になるのが超過準備の存在でして、金融機関の予備的資金需要を大きく超える水準の超過準備の存在を放置しておきますと、短期市場金利が常に超過準備に付利をしていなければゼロ金利、付利していれば超過準備付利金利水準(あまりにも超過準備が多いと今のように超過準備付利金利を市場金利が平気で下回る事も起きますので)あるいはそれよりも下に突きぬけてしまい、上げないといけない政策金利を上げそこなって望ましくないインフレが発生する恐れが高まります。

となりますと、当たり前ですが国債買入を実施した見合いの日銀当座預金が、所要準備の範囲内に入っているなら兎も角、盛大に突き抜けている状態の中で物価安定目標が達成できるような状態になれば、超過準備部分に対して中立金利水準に向けて付利を行う必要がありますし、そうでないならば保有国債を売却して当座預金残高と保有国債の両建てを解消しないといけません。

てな訳で、日銀が国債購入してもそれは単に政府の長期調達を日銀が短期化しているだけで、短期化した結果として金融緩和政策が所期の効果を発揮して中立金利に向けて金融政策を正常化する必要が発生した場合、その時点で急に短期化した負債の利払い負担が顕在化するという話になる訳ですな。

・・・・・・まあ何ですな、基本的にあたくしの駄文の読者の皆様におかれましては先刻ご承知の助だとは存じますが、そういうことで『国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」』とか基本的な事も踏まえないお方が『リフレ派の論客で知られる』人というのは何なんですかもしかして置物副総裁も同じ認識だったらどうしようとか不安になる今日この頃ではございますな。


『さらに「金融政策には経済を刺激する効果がある。財政政策の効果は小さいから、金融政策のみ実施して、財政発動をしなければ、金融政策の効果で税収が増大し、結果的に財政再建につながる」と主張した。』

これはまあリフレ派の皆様が現在の状況に立ち至る前には良く主張されていた話ですので、説明がここだけは一貫してますねと思いますが、最近のリフレ派の皆さんって「消費増税ガー」という話で今の問題を説明するのが仕様になっているように見受けられますし、ご説明のような感じですとリフレ金融政策を打ち込めば消費増税如き跳ね返すことが出来そうにしか見えないですし、そもそもこれだけの政策をやっておいて3%の消費増税に耐えられないのであれば、一体全体どの位の金融政策を打たないといけないのでしょうかと小一時間問い詰めたいですな。

『原田教授は「米国の代表的な金融論の教科書には、金利政策が効かない場合には量的緩和が有効と書かれている。教科書を理解していることが必要だ」との見解を示した。』

大体からしてゼロ金利制約になった時に非伝統的政策をするしかなくて、非伝統的政策が1から100まで全く効果が無いという人は普通居ないと思いますが、効果と副作用を天秤に掛けて意味が無いとか、毒にも薬にもならないような時間稼ぎにしかならない手段もあるとか、その手の話はあるでしょうし、そういう点を指摘しているだけなのに何で量的緩和が全部無効と言ってるような宣伝になるのか良くわかりませんですなあという所ですが、『教科書を理解していることが必要だ』と(キリッ)と締めているご本人がそもそも複式簿記の基本を理解していないとしか思えない『国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」』(キリッ)と妄言をお述べになられるというのが実に味わいが深いので物は試しにツッコミを入れてみましたです。というかこんな先生が早大大学院で教鞭を取っておられるというのが早大の学生さんに不憫で不憫でと思いますがねえ。

#原田泰さんってこんなホームラン級の馬さん鹿さんではないと思っていたのですが・・・・・・・・

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2015/01/13

○ニュース雑談というか何というか

・また知事選負けですかそうですか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150112-00000029-mai-pol
<佐賀県知事選>山口氏が初当選 樋渡流政治手法は届かず
毎日新聞 1月12日(月)15時43分配信

滋賀沖縄に続いて3連敗とはという所ですが、農協改革云々よりも単に候補者のタマが悪すぎるだけの話だったように思えるのですが、逆にこのタマを公認しようという動きになる自民党の感覚(あまり詳しくないが中央が押し切ったみたいですね)が大丈夫かという気がするのですけれども。

色々と解説がありますがやまもといちろうさんのこの辺でもご参照あれ。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2015/01/post-e6ff.html


・低金利の弊害キタコレ!

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150113/t10014623181000.html
低金利で貯蓄性保険の販売停止など相次ぐ
1月13日 4時43分

『日銀の大規模な金融緩和を背景に歴史的な低金利が続いていることで、生命保険会社の間では、運用利回りの確保が難しくなったとして、貯蓄性のある一時払いタイプの保険の販売停止などに踏み切る動きが相次いでいます』(上記URLより)

ということで一般ニュースネタになっておりまして実にこうキタコレなのでございますけれども、日銀置物理論によりますと、このような事が起きるのは別に低金利の弊害でも何でも無くて、当該商品に回る一般個人の運用資金がより高い利回りを求めて別の運用商品に向かう事によってポートフォリオリバランス効果が出て、資産価格が上昇することによって経済に対して好影響を与える(キリッ)という建付けになっております。

てな訳ですので、日銀置物理論によりますとこのような状況が起きるのは金融政策の副作用でも何でも無い訳で、低金利長期化によって商品が提供できなくなるなどという泣き言は、それこそ非効率不採算部門からの転業をしないお前らが悪いという話になりますので、まあこのような悪態を百万回申し上げても馬耳東風ということですな、うんうん。

まあそれはそれで理屈は通っているのですが、しかしながら金利を叩き潰すことによって個人などにもリスク性資産の購入を促すというのは、一方で金融システムレポートを出して金融機関の資産の健全性に関してどうのこうのとか言ってる日銀プルーデンス(つーか金融庁も含めてのプルーデンス)的にどうなのかという風に思う訳で、その辺の整合性をどう考えているのかという話をついぞ聞いた事が無いのが何ともという所ですな。


・審議委員人事に関連してなのですがまあニュース雑談である

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHUBYU6K50XX01.html
浜田氏:業界の利益代表は日銀審議委員にふさわしくない
更新日時: 2015/01/09 06:00 JST

『浜田氏は日銀審議委員の人事についてのブルームバーグ・ニュースの問い合わせに対し、電子メールで「日銀の審議委員は経済学、金融論の高度な知見を必要とする職」と指摘した上で、「業界の利益代表のような審議委員の選び方は好ましくないと思う」と述べた。』(上記URLより、以下同様)

「業界代表のような形で固定して出るのは如何なものか」というなら兎も角、「利益代表」という表現をするのは第1に日銀政策委員会の建付けと関係ないですし、第2に今の政策委員や過去の政策委員に対して随分と失礼な話でして、少なくともそのような「業界利益代表」というような言動をした政策委員というのは過去にも別に居ませんがなと思いますので、まあ相変わらず浜田先生一言余計な言い方をして無駄に攻撃的なんですよねえと思う訳で。

『農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「長引く停滞を終わらせる上で金融政策はかつてないほど重要になっている。黒田総裁が大規模緩和を進めやすいよう新しい審議委員は総裁と同じ考えを共有する人物になる可能性が高い」との見方を示した。』

これべき論で「総裁と同じ考えを共有する人物」とか言い出したら顎が外れるのですが、まあそこは寸止めしているなあとは思いますけど、「金融政策がかつてないほど重要」というのであれば、まさに色々な意見を政策委員会の中で戦わせて金融政策運営を検討すべきじゃないですかねえと思う訳で総裁の意見に唯々諾々と従うロボットを政策委員会に入れる事は、そもそも今行っている政策の建付けがアプリオリに正しいのかというのは後になってみないと判らないという事を考えますと、将来に大きな禍根を残すリスクがあると思うんですけどねえ浜田先生・・・・・と思ったら浜田先生の指摘じゃないのかこの部分www

『南氏は「離任する審議委員と同じ分野、業界出身だからという理由で後任を選ぶのは間違っている。日銀はこれまでの古い伝統を続ける必要はない。能力ベースで選ぶことが重要だ」と述べた。』

しかしまあ何ですな、では人物本位だか何だか知らんけど能力ベースとやらで選任されているという事になるんでしょうと思われる今の学識経験者の政策委員が何をやっているかと言えば、執行部の意向に唯々諾々と従うもうすぐ任期切れの人とか、アタシがアタシがのスタンドプレーだけに熱心で、しかも執行部が変わると急に次の執行部に媚を売る提案をするのは熱心だが講演などでの話は全く持って意味不明な上に不勉強にも程がある人とか、前執行部を無能人非人呼ばわりして置物理論を引っ提げて登場したにも関わらずその理論が全然その通りに逝ってない置物副総裁とか、そんなのしか居ない訳でして、学者の方がよっぽど使い物にならんわとしか申し上げようが無いですな。

その一方で10月の結果的にどう見ても悪手だろとしか思えない追加金融緩和に対して反対したのが実業界および実務家の政策委員の皆様であり、実業界での見識とか金融実務からの知見とかの方がよっぽど大事だろと思いますし、大体からしてこのコメント言ってる人の「これまでの古い伝統」っておまえ新法の日銀政策委員会になってからまだ20年も経っていないのに古い伝統も糞もあるかよと小一時間問い詰めたい所ではありますな。

ということで、ちょうど現在読み中(時間を掛けてじっくり読めば良いのだが細切れ読書なのと同じところを何度も読むのでまだ明治時代が終わった所なのだが、汗)の講談社学術文庫でこの前の12月に復刊された吉野俊彦さんの「歴代日本銀行総裁論」(ISBN978-4-06-292272-2 C0133 \1430E)の岩崎彌之助論に良い記述がありますので折角だから引用しましょう。

同書第4章「岩崎彌之助論」72〜73ページより引用しますね。

『明治時代の有名な経済学者田口卯吉博士は、担保品制度が見返品制度に改められた直後に、つぎのようなおもしろい論評を加えている。(論評部分割愛)日本郵船会社の株式は担保品の時代には、比較的高い掛目で貸出しの担保にとられたのが、見返品となるにおよんで掛目がいちじるしく低くなったのである。田口卯吉博士が「猿の如く泣けること」といった意味は、ここにあるのではないかと思う。それにしても三菱に関係の深い企業について例外を認めなかった岩崎総裁の態度は立派であった。』(講談社学術文庫 吉野俊彦「歴代日本銀行総裁論」第四章72〜73ページより引用)

これは川田前総裁の時に便法として行われた株式担保貸付を株式担保の掛目を大幅に下げて見返品貸付制度に変更する、という実業界的には自分たちの日銀貸出上の株式担保掛目の大幅引き下げですから明らかに不利な施策なのですが、金融(というか担保政策というか)の健全化を図る為に岩崎総裁が断行した件に関する説明でございますな。

とまあ普通は出身母体だの利益誘導だのという事にはならないと思うのですが、逆に「利益代表」とか「業界代表」とか言い切ってしまわれますと何だかなあというか、逆にこういうコメントをする皆様がそういう発想なんじゃネーノとか邪推したくなりますがなもしという所ですな、うんうん。

ちなみに第4代総裁の岩崎彌之助さんの超簡単なご紹介は日銀のページにもありますよ。
http://www.boj.or.jp/about/outline/history/pre_gov/sousai04.htm/

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2015/01/09

○生活意識アンケートの結果が非常に味わいが深いのでじっくり(?)鑑賞

今回のこれは面白かった。
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki1501.pdf
「生活意識に関するアンケート調査」(第60回)の結果 ―― 2014年12月調査 ――

でまあ結果をビジュアルに見るのは前半部分をじっくりと鑑賞するのがオヌヌメですけれども、数字を拾ってコピペするのは最後の所を使うのが良いので、引用関連は「説明は前半、数字は後ろのページ」から引っ張って参ります。

・景況感悪化キタコレ

『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』の解説から。

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。』

『なお、現在の景気水準については、「どちらかと言えば、良い」が減少した一方、「どちらかと言えば、悪い」、「悪い」との回答の合計が増加した。』

まあグラフ見れば思いっ切り分かりますが、盛大に悪化していますなあ株価は上がってるんですけどね!!

『Q1.1年前と比べて、今の景気はどう変わりましたか。
1良くなった5.9(11.1)
2変わらない54.7(56.9)
3悪くなった38.8(31.5)』

『Q2.Q1のご回答について、そのようにお考えになるのは、主にどのようなことからですか。【2つまでの複数回答】

1マスコミ報道を通じて21.5(18.6)
2景気関連指標、経済統計をみて11.0(9.1)
3勤め先や自分の店の経営状況から31.4(32.1)
4自分や家族の収入の状況から57.7(60.4)
5商店街、繁華街などの混み具合をみて26.7(24.1)
6その他3.8(4.5)』

実は収入状況とか経営状況とかで悪化している訳ではないのがお洒落ですが・・・・・・・


・収入は増えているけど支出が更に増えていて暮らし向き悪化キタコレ

『1-2. 暮らし向き、消費意識』の所が更に味わいが深い。

『1-2-1. 現在の暮らし向き』

『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。』

まあこれはグラフの方を鑑賞すればよろしかバイと思います。

『1-2-2. 収入・支出』

『収入の増減については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅を縮小した。先行き(1年後)は、「減る」との回答が増加したことから1年後の収入D.I.はマイナス幅を拡大した。』

『支出の増減については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅を拡大した。1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。』

・・・・・・・・ということで、この先に雇用環境の部分もあるのですが、それも含めましてマインドとして見た場合に雇用環境は改善して収入も増えているのですが、それ以上に支出が増えている結果として暮らし向きの判断が悪化しているのはまあ仕方ないとしまして、実に味わいがあるのは将来の支出に関する部分でして、

>1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。
>1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。
>1年後の支出D.I.は「減らす」との回答が増加したことから、マイナス幅を拡大した。

・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

というか全然イイハナシダナーでも何でも無いですが(涙)、この後に出てくる物価に関する結果を見ますと実感としてのアクチュアルな物価上昇傾向は更に高まっており、先行きの物価上昇期待に関してもおおむね横ばい(ヘッドラインでは下がった下がったと出ていますが、良く見ると概ね横ばいと読むほうが妥当ではないかと思うのですが)と思われる訳でして、「デフレマインドが払拭されてインフレ期待が定着すると現金を持っているのが損になるので消費や投資が活発になる」というリフレ置物理論とは一体全体何だったのかと小一時間問い詰めたいのですが、どう見ても「収入は増えて雇用マインドが改善しており、インフレ期待もそれなりにあるという中で消費者が将来の消費を減らすと言ってます」って結果はその置物理論を盛大に打ち砕いておられるので、それはつまりQQEの根本的な理論に欠陥があったという話になりませんかねえ(ニヤニヤ)。


・雇用マインドは改善しているのが更にタチが悪い

『1-2-3. 雇用環境』

『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が減少したことから、雇用環境D.I.は改善した。(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』

ということでこれまたグラフの方を見るとマインドは改善するの巻なのは先ほど申し上げた通り。


・物価マインドは恐らく横ばいだし足元の上昇意識は更に高まっていると思う

『1-3. 物価に対する実感』の所ですけどね。

『1-3-1. 現在の物価』

『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)との回答が減少した。
また、1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+5.3%(前回:+4.8%)、中央値は +5.0%(前回:+5.0%)となった。

(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』



『1-3-2. 1年後の物価』

『1年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。
また、1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.8%(前回:+4.8%)、中央値は+3.0%(前回:+3.0%)となった。

(注1)消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』



『1-3-3. 5年後の物価』

『5年後の物価(注1)については、『上がる』(注2)との回答が減少した。
また、これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると 思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+4.0%(前回:+3.8%)、中央値は+2.0%(前回:+2.0%)となった。

(注1)消費税率引上げの影響を除くベース。
(注2)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』

・・・・・・とまあこうなっていまして、この中では先行きの物価に関しての「上がる」が減少というのがヘッドラインに思いっきり出ていましたけれども、まあ減ったと言ってもグラフを見れば判るように微減にとどまっていまして、それよりも実際の数値を見ると特に5年後の物価に関しては前回よりも平均値が上昇していたりしますので、まあこれって基本的に先行きの物価見通しは概ね横ばい程度(なお数字がやたら高いのはアンケートの仕様)という感じで良いのではないかと思いますし、現在の物価に関する部分は平均値、中央値とも変化した数値が更に高まっておりまして、まあバックワードルッキング的な物価期待は上昇する可能性が思いっきり高いという結果になっておりまして、この点で言えばまあ日銀的にはニッコリの筈。

ではあるのですが、先ほども申し上げましたように物価に対しては上昇したという意識が強まって雇用に関するマインドも改善していて収入も増えているという評価になる中で、実際の物価上昇に伴って景況感は悪化するわ先行きの消費マインドは下がるわでは、そもそもの置物QQE理論の前提のどこか(または全て^^)に欠陥があるということですから全然ニッコリじゃないと思います
けどね!!!


・物価上昇が困ったことだがまた増えるの巻

『1-3-4. 物価上昇・下落についての感想』

『1年前と比べて物価が『上がった』(注1)と答えた人(約8割)に、その感想を聞くと、8割台前半の人が「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答した。
また、1年前に比べて物価が『下がった』(注2)と答えた人(約2%)に、その感想を聞くと、「どちらかと言えば、困ったことだ」との回答が5割台半ばとなった。

(注1)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。
(注2)『下がった』は「かなり下がった」と「少し下がった」の合計。』

まあこの状況で「下がった」と答えるのは余程の変わり者なので放置するとして、上がった方の「困ったこと」が多いのはいつもの仕様としましても、この回答が結構増えているのが中々こう味わいがあります。


・大変に深い味わいがあるのが日銀に関する部分

『1-6. 日本銀行に関する認知度、信頼度等
(注)原則6月・12月調査において質問。ただし2011年6月は実施していない。』

の所が実にこう味わいがあるのですよ。で、それは何処かというと・・・・・・・・・

『1-6-4. 日本銀行への信頼度』

さあ盛り上がって参りました!!!!

『日本銀行への信頼度を尋ねたところ、『信頼している』(注1)と回答した人の割合は4割台前半となり、『信頼していない』(注2)と回答した人の割合は約1割となった(図表19(1))。

(注1)『信頼している』は「信頼している」と「どちらかと言えば、信頼している」の合計。
(注2)『信頼していない』は「信頼していない」と「どちらかと言えば、信頼していない」の合計。』

『(5)日本銀行を信頼していますか。
1信頼している14.2(13.5)
2どちらかと言えば、信頼している29.0(30.2)
3どちらとも言えない45.3(46.7)
4どちらかと言えば、信頼していない7.7(6.6)
5信頼していない3.0(2.2)』

信頼していないが増えているように見えますが。

『『信頼している』との回答の理由としては、「日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思うから」との回答が最も多く、次いで「中立の立場で政策が行われていると思うから」との回答が多かった(図表19(2))。』

まあこれは良いとして。

『一方、『信頼していない』との回答の理由としては、「中立の立場で政策が行われていると思わないから」、「日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思わないから」、「日本銀行の活動について分かりやすい広報や意見聴取の努力が不足していると思うから」との回答が多かった(図表19(3))。

でまあこのグラフを見ると判りやすい(コピペがしにくいので数字の方はパス)のですが、信頼していないというのの回答で多いのが「中立では無い」「物価や金融システムの安定に役立っていない」というような政策に直結する反対が絶賛増加していて、某福井の俊ちゃんの何とかファンド問題とかの時に盛大に増えた『組織や職員に誠実なイメージを持っていないから』的なイメージの方の反対見解は減っているというのが中々こう深い味わいという物を感じる訳で、このままですと「物価安定目標2%」に対して生活者の方から十字砲火が飛んできて日銀火達磨になるんじゃないですか大丈夫ですかというのが気になる所ではあります。

いやまあ信頼していないの1割を捕まえた部分なので大勢意見は別の所にあるかもしれませんけれども、物価と雇用に関するマインドと先行き景況感や消費マインドの乖離を見ておりますと、今後急速にそういう話になったらそもそも何のための2%目標だという話になって、却ってデフレマインドの強化になってしまう訳で、「2年で2%」という無理ゲーではなくて「中長期的に」とか「フォーキャストターゲット」みたいな話をメインに持っていくようなQQEの戦線縮小を考えた方がいいんじゃないかと思いますが、それは置物の首が飛ぶ(連座して残りの2名も飛ぶかもしらんが)話になるのでまあ無理でしょうね。

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2015/01/07

○債券市場が色々とあばばばばーとなっておりまして色々と雑談というか何というか

月曜はまだしもでしたが昨日から早速短期市場も債券市場もぶっ飛んでおりましてまあ去年のうちにインフルエンザやっておいて不幸中の幸いかもしれないとか軽口叩いていたら「インフルエンザには幾つか種類あるんですけど・・・・」と言われて俺様涙目の展開orz

・短国がドヒャー

いやまあ落札結果見た時はそんなもんですかねえまあシャーナイナイと思ったのですけどね・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150106.htm
(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛(募入最高利回り) (0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 80.5632%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘0毛 (募入平均利回り)(0.0000%)

てな訳で下馬評ではプラスという話だったので100円1本値状態でちと強いですねという所だったのですが、昨日の駄文で申し上げましたようにそもそも論として3月期末越えの短国ニーズは相当にある筈なので、もしかしたら3月償還は2bpでも4月償還はゼロ利回りでもおかしくないとか、まあニーズ的にはそんな感じだろと思ったので、とりあえず1発目が100円厚め按分だったら残念ながら順当かなとは思ったのですが・・・・・・

毎度のロイター金利マーケットアイから。
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UL2YN20150106
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.07─0.075%中心、レポGCT+10.1%と高止まり
2015年 01月 6日 15:20 JST

『<15:17>(途中割愛)財務省が実施した新発3カ月物国庫短期証券(TB)の入札結果で、最高・平均落札利回りがともにゼロ%になった。落札利回りがプラス圏に浮上する可能性もあったため、ゼロ%の決着は、強めの入札結果だったが、入札ラッシュとなる中、日銀買い入れの頻度が減っているため、需給はやや緩んだ。ただ、あす日銀オペの期待がある中、セカンダリーマーケットでは、3カ月物(502回、503回)の利回りがマイナス水準で推移した。』(上記URLより)

ということで微妙に新発の出合いが書いていませんが、セカンダリーでいきなりマイナス9bpとかその辺の凄まじいマイナス金利の出合いがあって、その後も強いビットが入ってしまい、前日に2bp水準に上昇して既発の3月償還もマイナス1bpとかの水準に沈むというあばばばばーな展開。

いやまあ最初は「えーっと100円厚め按分だったらやや強いとは言え期末越えのニーズ考えたら仕方ないだろ何でそこまで強くするんだ翌日のオペ狙いかよ」などと思っていたのですが、市場推計落札分布が出たら4.5兆円以上がいわゆる不明玉となっていまして、結構多くの人が入札空振りになったと見られる結果で、ショートカバーなのか空振りの人が多くてどうせ売りが出ないのが分かっているので煽っているのかは知らんけど、まあそういう事ですかという展開に落涙を禁じ得ない所でありまする。

でまあ昨日はつい筆が滑って今日の短国買入実施したらテロとか申し上げましたが、まあ冷静に考えますと今月の日銀保有短国償還が8兆円あるので、2兆円×4回の短国買入が実施されると考えると今日2兆円の短国買入がオファーされると思われます(ので昨日の過去ログは取消線入れて訂正しています)が、今日付けの売買参考統計値を見ますとこの新発503回の平均利回り単利は堂々のマイナス8.7bpとなっているので、まあ今日の短国買入でどこで入れても利食いですなあ(ただし持っていない人は売りようがないので残念でした)というオソロシスな状況になっておりまして、もう何なのこの相場という所ですな。

しかしまあ何ですな、前日に3月償還物が2bp水準まで上昇したのって、まあ売りが出たという事ではありますけれども、そもそも論として四半期末の決算調整ニーズで買いがあったものの売りが出ているのだったら、売った分について次の四半期末越えの短国にニーズがあるのって普通に考えて判らねえかと思いますし、大体からして前日に他から買いがあまり入らなかったのも3月末越えのニーズがあるから購入余力を3月後半に償還が来るような再投資リスクの塊のような銘柄に手を出さないで様子見しているだけでしょと考えますと、オーバーパーで切れているなら兎も角100円厚め按分で何でそんなに空振りが続出するのかさっぱりワカランチ会長なのですが。いやまあ今回は空振りでも別にショートカバーとかしないでただ放置というのなら判らんでも無いけど・・・・・・・・・

とまあそんなわけで月初1日だけ短国金利が一部プラスになった訳ですが、結局1日天下に終わってしまいました(いやまあ今後どうなるか知らんけど)という残念な展開になったのが昨日という事で、アタクシの相場悪態も続くのでありましたとさという所です。


・短国購入分残高は38兆円(営業毎旬報告の数値は償還乗換分が含まれるので異なります)

ということで短国買入残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/

例によってこちらからDLしてヘコヘコ計算しますと、1月2月の償還スケジュールは1月:80238億円、2月100065億円となりまして、短国買入残高維持のペースでオペを実施すると考えますと1月の短国買入が8兆円、2月の短国買入が10兆円となります(3月は今の所5.3兆円の償還ですけれども、暫くは3月償還も短国買入の対象になる筈なのでもうちょっと増える可能性がある)。

で、合計を見ますと383650億円ということで、38.3兆円の残高という事になりますとひところ42兆だの43兆だのという残高になってマイナスに突っ込んでしまったという事を考えると、この残高を維持するのであれば期末ニーズは別として通常運転だとそこまでマイナスが恒常化しなくてもよさそうな日銀の買入水準という感じもせんでもない訳ですよ。

しかしですな、ご案内の通り一旦マイナス金利状態が長期化してしまいますと、これを戻すというのは中々大変というのが残高38.3兆円に落ちてもマイナス状態が続いていますよねという現象からも明らかでありまして、まあ結局の所昨年10月にいったん短国金利がプラスに戻った所で3.5兆円の買入とか打ち込んで短国金利をあっさりマイナスに下げてしまったのと、11月に再度買入の見直しをした所で短国金利がまたプラスに戻った所で、またまた買入をドカンと打ち込んでマイナスに下げるという短国買入の意味不明運営(というか要するに市場機能とかそういうのはどうでも良いから兎に角MB目標達成優先というディレクティブに機械的に従っているだけという局名が泣く対応をしているだけの話なので意味は分かるのだが)をしたのが思いっきり効いてしまっていますなとゆー所ですが、まあオペ打つ方としても置物じゃない方の(自粛)モノ副総裁が「マイナス金利は買入効果(キリッ)」と言っているんだから市場のゴキブリが悪態ついても知らんがなというお立場に成らざるを得ないのも理解できますので究極的には総裁副総裁がスットコドッコイなのがイカンのですけど、まあそんな感じでこりゃ中々厳しいですなという所で。

まあ色々な物を円滑に回したいのであれば、一旦金利をプラスに持って行って、あまり金利を過度に下げ過ぎないように運営した方がどう見ても良いと思いますので、本来的には今日の短国買入を2兆では無く減額するとか思い切ってスキップするとか(スキップしても来週火曜、金曜、再来週の金曜に水曜みたいな入れ方すれば月内間に合うと思いますけどね)したらお洒落なのですが、まあそもそもそういう気の使い方を出来るのであれば今の惨状は無かったので今日は普通に短国買入2兆円打ち込まれて、問題はその2兆円の札がどこにあるのかですが、恐らく月曜の打ち込み玉があるので新発で2兆円無くても既発まで入れればあるでしょと思われます(スポネの現先とかレポとかの金利が別に急低下した訳でも何でも無いから玉はどこかにあるでしょう)ので、まー札は普通に入って問題は玉が余るか余らないかとかそんな話ですかね。



・長期金利が・・・・・・・・・・

再掲だが
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UL2YN20150106

『<14:25> 超長期債利回り大幅低下、20年債が節目の1%割る

超長期ゾーンの利回りが大幅に低下。足元の20年151回債利回りは前営業日比7.5bp低下の0.970%と心理的な節目の1%を割り込んで推移している。30年45回債利回りも同7.5bp低下の1.165%で取引されており、一時は1.160%を付けた。20年債、30年ともに2013年4月5日以来の低水準で推移。マーケットでは、低水準の利回りだが、他のゾーンとの相対比較から、年金勢や一部生保などのリアルマネーが入っているとの観測が浮上している。順調に入札をこなした10年最長期国債利回り(長期金利)も前営業日比3.5bp低下の0.285%と過去最低水準を更新。JPモルガン証券・山脇氏は「足元の5年債金利が0.015%まで低下する状況で、中短期ゾーンの金利低下が進み過ぎており、10年債金利もサポートされてしまう流れになっている」と指摘。国債先物も148円台で上値を追っている。』(上記URLより)

・・・・・・・ということで昨日は朝から超長期とか強くて、10年入札も好調で中期の金利も朝から強くてと何でも強いのですがもう強烈にブルフラットする展開となりまして、10年は0.3割るわ20年は1.0割るわ30年は引けで8毛強だわとかもう凄まじい展開。

短国がアレだったのが影響した訳ではなくて勝手に下がっているだけだと思いますが、中期もお洒落な事になっていまして、BB引値ベースでのマイナス金利が2019年6月償還まで伸びてしまっておりまして、日銀の物価安定目標達成時期に対する理解とかはどこに逝ったのでしょうかというような大変に素敵な展開となりまして、5年カレントはBB引値が遂に0.010%(ってこれ最近は引値が毎度結構なオファーサイドなのに翌日になるとしっかり強くなっていくという中期の勢いがオソロシスなのですけど)となってしまいまして、今日は中期輪番があると思われます(月曜が短期と超長期だったから今日は中期と長期ですな)ので、これはもう輪番で5年カレント夢(悪夢)のゼロ金利とかになって5年がマイナス金利になるのも時間の問題という所ですねわかります><;


・・・・・という事で親指を立てながらイールドカーブは今日も今日とて溶鉱炉に沈んで行くのでありましたという所ですが、まあ投資家の売りが枯渇したところからの金利低下の速度が速い速いという話でございまして、そらまあ良く良く考えますと日銀様におかれましては普通の投資家のように調達コストだの経費だのという概念が無いですからブレークイーブンする金利水準よりも低い金利は買えませんわなあみたいな話が皆無でありまして、兎に角その時の市場価格で成行買いするのですから、投資家の売りが枯渇したら相場水準上げ(金利下げ)放題になる罠という所で誠にアレな状況になっておりますな。


でまあ何ですな、実はこの先更に問題が深刻になるのって短国よりも中長期の方でしょというお話でありまして、投資家の売りが枯渇している中で需給バランスどうなのよと考えますと、中長期国債の場合は何せ輪番での購入がフローベースで新発の発行並とかそれ以上とかになっておりますので、先ほど申し上げた理屈で言えば新発が出る⇒日銀が買う、という流れの中で当たり前なのですが、「余りモノ」が出ますとその余りモノ自体をどうさばくかという問題が発生しますので、最終的にはどこかの投資家が買える水準に持って逝かないと最後の余りモノが捌けないという話になりますが、余りモノが出ないのであればそらまあ水準は強くし放題という話になりますよねというお話。

しかも国債はドンドン償還も来ますので、投資家的にも償還分をさてどう再投資するのよという話になる訳で、ネット発行額(除く日銀保有分)のフローと輪番の買入フローの計算とか結果を見たく無いのでしたくないのですがそのうちするかも知れません(ってもしかしたら誰かがレポートでも出してるかね)。

その点で言えば短国の場合は38兆円程度の残高を維持という形であれば、海外の買いが一巡したら期末ニーズの時期はまあどうしようも無いと思いますけど、それ以外の時には実はあまり極端なマイナスにはならないような気もするんで、実は今後無抵抗で金利が溶鉱炉に沈んで行くのは中長超長期(というか中期は既に溶鉱炉状態だが)ではなかろうかという感じがするのですがそんな話は聞きたくないですかそうですか。

なお、日銀の物価目標達成が強く意識されるのであれば、馬鹿買入のフローも収まる訳ですし、別に投資家としても今持っている国債ポートを後生大事に維持する必要はないので売り圧力が発生してくれるのですけれども、何せ足元の状況では「2年で2%」のまさにその2年の所でCPIが0.5%割れどころか下手したら0%になりそうな勢いというナイスジョークとしか申し上げようがない展開であって、買入フローが収まるどころか追加緩和待ったなしという状況の中で、売ったら最後再投資が当分できないという状況の中で売りが出る訳もございませんなというのが更に状況を悪化させているという所ですな。


○展望レポート中間レビューでのリスクアセスメントに期待しないが期待する

ということでまたも市場雑談悪態だけで駄文書きタイムが終了してしまうのでついでに悪態を書いて置きますけれども、今回のMPMでは展望レポートの中間レビュータイムでありまして、まあどうせ「見通し通りに推移」という話になるでしょうし、「この前の追加緩和の効果で期待インフレは全体として上昇している」という話になっておしマイケルだとは思いますけど、リスクアセスメントの所で最近のこの債券市場の惨状についての影響について何らかの言及があったらお洒落というか感心して暗黒舞踏くらい踊っても良いかなとは思いますけど期待はしません。

まあどこからどう見てもこの金利低下状態って低金利のコストが金融仲介機能に悪影響を与えるレベルになっていますから中長期的に見た場合に金融システムに対して悪影響としか思えないのですが、何せ「金利低下は政策効果(キリッ)」と仰せになっておられますように、置物直線一気理論に寄りますとMB拡大して期待インフレを引き上げて、国債買入で名目金利に低下圧力を掛けて、の合わせ技で実質金利を下げると全て上手く行くという話なので、「金利の過度の低下が金融システムに対して中長期的にリスク」などとは口が裂けても言えない(置物のクビを飛ばせば言えるけど)でしょうなと思いますが、少数意見で誰か反対したのを残してほしいなとは思ったりもします。

でまあその手の話が全然でないまま推移となりますと、まー債券市場は死ねという話ではあるのですが、ええまあ別にそれによって実体経済が盛大に復活してノーマルな世界が戻ってくれるのであれば一旦殺されましても別に名誉の戦死ではあるのですが、ドンドン緩和を拡大して結局物価目標もインフレ期待も全然ダメで更に追加緩和という話になりますと、ただの犬死にも程があるので勘弁して欲しい所ですな、うんうん。

つーかまあノーマルな世界が戻ったら溶鉱炉に沈んだはずの人(機械でしたっけ)がまた復活してターミネーター3が始まるのと同様に、死んだはずの債券市場も生き返りますのでその方がありがたいのですが、ただの犬死にされますと永遠に化けて出るしか無いので殺すにしてもきちんと意味のある殺し方をして欲しい物ですな。

しかしまあ最近の現象を見ますとやはり10月の追加緩和が決定的に悪手だったなあと思いますがその悪態雑談はまた追々。

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2015/01/06

○市場雑談メモ系

・新年おはぎゃあございます

昨日の株式市場ちゃんですが、
http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0KE0FW20150105
初日からボラタイルな「官製相場」、2015年の展開暗示か
2015年 01月 5日 16:29 JST

『[東京 5日 ロイター] - 新年初日の東京市場は、動きの激しいボラタイルな展開となった。ギリシャの政情不安など海外の不透明感が強いにもかかわらず、特段の材料がないまま日本株はマイナス圏から急反転。日銀のETF(上場投資信託)購入を期待した買いが入るなど「官製相場」への期待が株価を押し上げた格好で、ドル/円JPY=EBSも切り返した。緩和マネー主導で大きく振れる今年の相場展開を暗示しているようだとの声も出ている。』(上記URLより)

平均株価で200円以上下げていたと思ったら急に戻ってプラスになって顎が外れそうになったのですが引けに掛けて失速とか何ですかこれはという動きを見ますに、最近すっかりお死にになっている国内債券市場の暫く前のような気もしますが、まあ債券市場みたいに全方面爆撃なのではなくてインデックス中心なのが救いっちゃあ救いでしょうかね。よー知らんけど。

そして今朝はおはぎゃあキタコレ!

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150106/t10014464941000.html
NY原油先物 1バレル=50ドル下回る
1月6日 2時41分

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHODCZ6JTSEG01.html
ロンドン外為:ユーロ、対ドルで06年来の安値付近−緩和観測で
更新日時: 2015/01/05 18:24 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHPZIZ6VDKI401.html
米国債:30年債は12年以来の低利回り−原油安がインフレ抑制
更新日時: 2015/01/06 05:12 JST

・・・・・・・ということで何か正月早々お洒落な事になっておりますが、原油下がって日本経済に天の助けとか思ったりするのですが、お賃金の動向ガーとか言いながら春闘の結果まで引っ張るという日銀作戦参謀本部の思惑がある中ではございますが、さすがにCPIが+0.5%を割り込む展開になるとおちんぎんガーで引っ張れるのかねというのは懸念されますな。

でまあその時に何をやるかというのも読めない(この前飲み会で追加緩和予想の雑談をした中で「ついに買いました!金!!」とやったらビール吹かれましたが何か)次第でございますが、置物MB理論を継承すると考えますと「物価が行かないならMBを増やせば良いじゃないか」というマリーアントワネットばりの攻撃になりまして、その場合MBの拡大ペースを増やさないといけませんので、10兆円以上の上積みが必要となります。

でですな、まあ前回だって実質10兆円のMB拡大ペース引上げでしたが、構成的に長期国債を30兆円増やして多く見せるという悪ノリに近い動きをしましたが、今回もしやるとしてもMB拡大10兆円以上は必須とは言え、そもそも11月以降の相場を見ればお察しの通りで長期国債買入だってどこまで続けられるのかという話でありますので、どこからどう見ても10兆円拡大以上は出しにくいでしょうなと思います。

そうなりますと、もうこの際ヤケクソでやるならMB10兆円拡大で長期国債5兆円にETF5兆円増やして、「ETF5兆円」をメインにして「5」を出すとかもう無茶苦茶スキームしか思い浮かばないのですがどうするんでしょうかねえ。

あとですね、実は問題になるのが輪番のオペレーショナル的な限界でして、特にこの1−3月期は来年度の事を考えたら投資家が債券売るニーズが多分無い筈(今売ると目先の収益は上がるけど来期の資金収入を失う訳で、もう目先の収益は要らないし来年度苦しいのは端から分かっている話なので)なので、そらまあ新発を右から左に日銀に放り込む業者の皆様が何とかするとは思いますけれども、償還分の買いとかは投資家から飛んでくる事も勘案すると夢の輪番札割れとかが発生してもおかしくない訳で、それって1−3も危ないですけど買入残高が累増して来れば益々その傾向が高まる訳で、実は国債買入のオペレーショナルな限界到達というのが先になればなるほど可能性高まりますよね。

そう考えますと、まあ追加緩和やるにしても輪番のオペレーショナルな限界が露呈した後だと益々打つ手が無くなるというお洒落な事態になりますし、まあ債券市場の中の人てきに見た場合にどう見ても今の政策1年継続するのも物理的に困難でしょと思われる所ですので、結局追加緩和やらないといけないなら実は早めの時期に実施しないとそもそもの打つ手なし状態になるリスクがあったりするというのがおそロシアな所です。


しかしまあ何ですな、「2年で2%達成するために必要な措置を行った(キリッ)」という話をしたその2年の期日が近づく中で盛大にCPIが低下していくとか中々のナイスジョークではあるのですが、「適切な金融政策で短期間で2%目標達成可能」と大口を叩いて副総裁にご就任なされた置物大師匠の弁明マダーという所ですな、うんうん。


・さて今日は10年と短国3Mの入札ですが引値がオモシロ状態なのでその辺の雑談でも

10年はもうこの金利水準で何をせえちゅうねんという所ですが、3Mに関しては中々味わいがありそうな展開。

http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL3N0UK1CR20150105
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.07%中心、3カ月物TBプラス圏に浮上
2015年 01月 5日 15:33 JST

『<15:24> 翌日物0.07%中心、3カ月物TBプラス圏に浮上

無担保コール翌日物は0.070%近辺を中心に取引された。主な取り手は地銀、信託、証券で、0.070─0.072%での出合いが多くなった。大手行は0.068%で資金を調達した。レポ(現金担保付債券貸借取引)レートが高止まりしていることが影響したため、総じて強含みで推移した。レポGCT+1レート(平均)は前営業日からは低下したが、0.086%と高め。3カ月物国庫短期証券(502回/TB)利回りは入札ラッシュなどで需給が今後緩むと見た売りが優勢でプラス圏に浮上した。ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。』(上記URLより)

・・・・・・ということで四半期末ニーズの分もあったと思われる短国に関してはその四半期末ニーズ終了分の売りでも出たのか先月の新発3M分が珍しくも2bp水準まで金利が上昇するという動きになった訳で、従来ですとここですかさずマイナス金利で飢え死にしそうな人たちが炊き出しキターと群がる所なのですが、何せ今日からの入札3発(今日と木曜が3Mで金曜が6M)は夢の(別に夢ではないが^^)「3月期末越え銘柄」でありまして、どこからどう見てもそっちの方がニーズがアリアリでしょうという事で、期末越え銘柄の購入の為に待ち状態でしょうな、つーか昨日3月償還売った人も今週の新発に来るという所でしょうな、うんうん。

短国買入がどう推移するのかはまだ微妙な所ではあるのですが、まさか財政要因に合わせて短国買入を増減させるような「MBの為に金利が乱高下しても良し」的なオペレーションをしてくるとは思いにくい(これが普通の現先方式での短期資金供給オペだったら財政要因に合わせた帳尻を打っても問題無いけど、買入系のオペで帳尻をするのは市場をおかしくするだけなので普通はやらないと考えるのが妥当)ので、そうなりますと基本は「現在の短国買入残高を維持」という形になるので、短国買入要因で急に需給がおかしくなるという流れには暫くはならないかなと(・・・と普通だと考えるのですが、何せ昨年10月の前科があるだけに今の調節はアホアホオペレーションをやってくるリスクはある。それこそ明日短国買入やったら思いっきりテロだわ←というのはちと言い過ぎでした、まあ普通だと2兆円実施ですね)。

ただ、日銀の国債買入残高が累増するという事になりますと、その分担保不足になりますし、投資家の方の国債残高の帳尻ニーズの方も高まりますから、3月末に掛けてまたまた短国の需給が思いっきり逼迫するであろうというのは見え見えとか考えますと、まあ普通に考えて3月の特に後半に足の来る短国は再投資リスクが高すぎて要らんがなという話になるでしょうし、(逆に1か月程度の日銀買入対象外の方が短い資金ニーズに対応してニーズあるんじゃネーノと思う)3月期末越えの所の残高は早めに積んで置きたいとなるでしょうから、うっかりすると3月末の所で盛大に利回りが逆イールドになって、3月償還2bp越えで4月償還ゼロ利回りとか平気で起きる可能性もありますなという所で。

つーかですな、昨日の日本相互証券の債券引値とか輪番が減額になったうちの1年以内と超長期の後ろが謎に甘くなって、一方で中期はメインの減額対象だったのに何故か全然甘くならないどころか引けで謎の5糸強(つーかそもそも年末の2.5bpの引けも強いだろそれという所でしたが)となって、5年2.5bpで3M(ただし3月償還)2bpとかオモシロ引値になっていますし、利付の所でも残存1年の所で輪番の関係で需給が違うとばかりに2年335回(12月15日償還)がマイナス0.5bpで2年336回(来年1月15日償還)がマイナス3bpとかどんだけインバートしてますねんというオモシロ引値になっておりまして、もう需給だけの末期症状(いやまあだいぶ前から末期症状ではあるのですが)という所で、新年早々何やってるんだかというお話なのでした。

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2015/01/05

○マネタリーベース目標達成ですねと言いつつ雑談

資金需給月曜の確報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd141229.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節 (12月29日<月>分)

マネタリーベース 2,758,800

資金需給火曜の速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx141230.htm
日銀当座預金増減要因と金融調節 (12月30日<火>分)

銀行券要因(発行超=マイナス) -400
財政等要因(受超=マイナス) -5,700
金融調節 合計         +5,700

ということですので、財政とオペがツーペーですからMBは前日と同じとなる筈なので、12月末のMBは275兆8800億円となる予定で10月の追加緩和で示された

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf
(別紙)日本銀行のバランスシートの見通し

の数値275兆円にきっちり着地させるという相変わらず数字の着地はやたら正確な所に収めてくるという金融市場局のオペ帳尻能力の高さを示してくれましたのでおめでとうございますという所ですな。

でまあそれは結構ではございますけれども、誠に遺憾なのはその着地に向けて債券市場は死ぬわ短国利回りは相変わらずのゼロ近傍だわで、年末にも悪態を申し上げましたように過度な金利低下の負担によって金利商品の提供が今後出来かねます的な話が出てくるようになっている(確定ではないようだが)訳で、何の為にマネタリーベースを拡大しているのかというのがよく判らんですなあというお話。

まー市場局はあくまでもオペ実行部隊ですから知らんがなという事ではあると思いますが、MB拡大しても別にインフレ期待が高まるどころかBEIは直近低下するわ、名目金利を盛大に下げた副作用は出てきているのに実質金利低下とやらで出るはずの消費や投資は別に盛大に出てくる訳でも無いわ、そもそもファイナンシャルコンディション自体はとっくの昔に緩和的だわというような状態で、普通に考えて作戦の立て方がおかしいと思われますし、市場局だって市場の状況およびその弊害について大本営に報告すれば良いと思うのに、市場との対話アリバイ会議の開催には熱心ですけれども実際の状況をまともに伝えているとは思えない(まともに伝えていたら先般の中曽さんのスットコドッコイ講演はあり得ん)わとゆー事で、まるで昔のソ連で党のエライ人が農場視察に行くときに行き先の農場同士で生産物を山積みになるように在庫を融通し合っていたような光景が見られるような状況になっているのが実にアレ。

#まあそもそも安倍ちゃんの経済政策がやたら指導が多いという点で(内務省検閲^^)

とまあ毎度の悪態ではあるのですが、何ちゅうかこう元々の戦略が全然当を得ない状態の中で、戦略の間違いを認める訳に行かないので更に間違いを過激に実行していって、最終的に焦土になるまで知らんがなとなるという話で、戦略爆撃で焦土にされるのかソ連の参戦で置き去りにされるのか知らんですが、まあ酷い目にあわさせるのが金利市場ですねえと思いますと早い所終戦(=MB直線一気で2年で2%理論の見直し)をして頂きたいのですが、まあ空襲で焼かれたりシベリア抑留されたりるす訳ではない昔陸軍今日銀の方々にとっては知らんがなという所ですから念仏唱えて待っているしか無いんでしょうなあ我々は。


でまあ債券市場的には輪番オペがどこまで持ちこたえるのかという話になると思いますが、どこからどう見ても1年この調子で継続とか無理としか思えないのですがどうするんでしょうかねえ・・・・・・・・・・・・・

つーことで、今の国債買入がどこまで続けられるのかというのが今年のテーマなのですが、恐らく日銀作戦本部としてはマイナス金利を拡大していけば買入出来るでしょという考えだと思われます(執行部からの情報発信はそうとしか思えない)ので、債券市場の死にっぷりがどのような形で実体経済に波及するのか、というか波及して問題視されない限りはひたすら馬鹿のようにイールドカーブがおかしくなるという素敵な展開しか想像できないのが誠にアレですな。大体からして「金利低下は買入効果(キリッ)」とか言っている執行部が存在しているけれども、そもそも論として物価目標達成が見込めるという期待が高まれば本来は金利は低下しない筈(一昨年の5月を見よ)であり、追加緩和以降特に12月になって急速に金利が低下した(12月の過去ログ見たら金利が下がった市場が壊れたという話を毎日行っておりましてそらインフルエンザにもなるわと思った^^)のは市場の物価目標達成期待が更に後退しているだけでしょと思うのですが、金利が下がって「政策効果」とか言ってる場合じゃないと思いますけどね。


などといつもの悪態ですいませんが、特に追加緩和以降はロジックがハチャメチャになっている上に、その後の中曽講演やら黒田講演の「『2%』への招待状」(ちなみに英文の題名がもっと舐めくさっておりまして「"Welcome to the '2 Percent' Club" 」とか「2%クラブ」じゃなくて「マイナス金利クラブ」の間違いだろおいこらナメトンノカという題名で、上手い事言った積りだがどう見ても盛大に滑っている素敵な題名ですよ)という講演とか。12月の謎としか言いようがない上方修正とか、まあなんちゅうか経済物価情勢があって政策があるのではなくて、やりたい政策が先にあってそれに整合的なネタを探して屁理屈構成してるだろうという戦争末期的な状態になっているので、この先何が出てくるのかが難しいなあと思うのでありました。


○輪番は中期を減額して超長期の後ろをほんの少しデュレーション調整

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141230b.pdf
当面の長期国債買入れの運営について

(注4)2015年1月5日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下700億円、残存期間1年超3年以下4,000億円、残存期間3年超5年以下4,000億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,400億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です。

ちなみに12月はこの通り(11月末のリリースから引用してますよ)。

(注4)2014年12月1日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下1,100億円、残存期間1年超3年以下4,500億円、残存期間3年超5年以下4,500億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,600億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です

ということで中短期市場が盛大にぶっ壊れておりますので中期と1年以下の買入が減りまして(というか1年以下とか意味ないから買入止めろよと思うが)デュレーション調整で25年超が200億円減っているという構成になっておりますが、レンジの方を見ると超長期のレンジの下限が妙に上がっている(1300億円〜4000億円→2500億円〜4000億円)のは何ですねんという所で、まあ25年超を減らしたので単なる現状追認ではあるのでしょうが、レンジの下を切り上げてリップサービスでもしたつもりなんでしょうかさっぱりよくわかりません。

まあそれはそれとしまして、翌月のイールドカーブに(場合によっては)思いっきり影響を与える可能性が高いこのイベントなのですが、毎度申し上げておりますようにそういう物件でありますので、債券インデックス対応の売買を月末の引け基準で調整されるという事を鑑みまして、月末前日(というか25日位)に出して頂きたいと再度申し上げておきましょうというか、月末当日の引け後に出すという時点で市場局債券市場分かってねえだろ感を債券市場の中の人に強く見せつけてしまいまうので改善してくださいお願いしますお願いします。

なお営業毎旬と国債銘柄別残高を見ながら計数を確認するのは後日。

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