金融政策概観(2014年度上期後半(2014年07月〜09月))

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2014年度上期後半の見出し

2014/09/29「スポ末も短国買入を実施して市場の現先玉吸い上げ攻撃とな(応札限度は10000/10000)」
2014/09/22「オペ先にある玉の分だけオペ打ち込みですか(ちなみに応札限度は15000/17500)」
2014/09/17「短国金利の低下は利付国債にも波及」
2014/09/16「金曜は玉も無いのに2500億円意地になって買入打ち込みキタコレ」
2014/09/12「短国金利のマイナスは更に延焼し、為替市場なども大きく影響されるのだが覚悟は大丈夫なのかね」
2014/09/11「直近発行の6Mと3Mがマイナス金利で迎える3M入札とな」
2014/09/10「短国買入でマイナス金利の買入が行われた模様です!!」
2014/09/08「短国買入オペをスキップするも短国金利がマイナスに低下!!」
2014/09/05「入札で大口買いの入った3Mは翌日にゼロ金利に利回り低下する」
2014/09/03「消費税引き上げ先送り論がアドバイザー方面から/物価見通し後ずれですなあ」
2014/08/29「2年で2%に関する雑考と岩田副総裁の国会での所信表明演説をサルベージ」
2014/08/20「銀行に預貸率目標とか頭のおかしい話がどうして出てくるかね」
2014/08/18「GDPなどを受けて追加緩和クレクレが海外辺りから/浜田先生今更実質所得の減少に文句言わんでよ」
2014/08/08「ロイターの記事やら夕刊フジの高橋洋一先生の解説やらにツッコミを入れてみます」
2014/08/06「決定会合プレビュー雑談だがブルームバーグサーベイは聞く相手もうちょっと考えろと」
2014/07/18「3MTB入札はさすがにややマイルドな結果も足切り金利は3bp割れに低下/固定オペロールやや低調」
2014/07/17「1年短国入札は1.5bpでの一本値とかもうね」
2014/07/16「決定会合は相変わらずの強気/会見では足元物価の1%云々が妙に注目される」
2014/07/15「短期オペの進ちょく状況等確認/決定会合だがコアCPIに過度の注目というのは如何なものか」
2014/07/11「3M入札は前場にマイナスでの取引の後落札は流れるが引けは2.5bpレベル」
2014/07/09「6か月TB入札後にショートカバーでまたまたまたまたゼロ%出合い」
2014/07/07「3か月カレントTBがショートカバーでゼロ%炸裂」
2014/07/03「6月下旬の10年ゾーンの買入はほぼ全部が新発債とな/短国金利が謎の上昇」
2014/07/02「伊藤隆敏先生モーサテで年金の話を一言もしないという完全な逃げモード/期初の相場が変調」
2014/07/01「決済システムフォーラムでT+1の話だが肝心の市場参加者があまり居ない件について」

2014/09/29

○短国買入ェ・・・・・・・・・・

明日が半期末ではあるのですが、スポ末でしたが短国買入キタコレ。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140926.htm
国庫短期証券買入 10,000 2014年9月30日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,000 2014年9月30日
国債買入(残存期間25年超) 300 2014年9月30日
国債買入(物価連動債) 200 2014年9月30日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注3) 2,000 2014年9月26日 2014年9月29日

ということで短国買入1兆円オファーとか実施しまして、なんちゅうかまあ「1兆打つということは1兆以上は札があるんでしょwww」という反応になるのが最近の市場の仕様なのでそれ自体はふーんなのですけどね。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140926.htm
国庫短期証券買入 16,802 10,001 -0.006 -0.002 84.6
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,235 1,004 -0.009 -0.007 19.0
国債買入(残存期間25年超) 1,609 302 -0.022 -0.017 15.7
国債買入(物価連動債) 886 201 -0.260 -0.347 7.3
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注4) 71 71 -0.400 -0.400

でまあ応札は1.7兆円しかないのもさいですかという所なのですが、まあ「応札が来そうな分だけオファーしました」っていうのが見え見えだからという事もあるのか落札利回りは相変わらず強い所で決まっていまして6糸強按分とか新発3Mでもマイナス金利というレベルになっていましてこれまたはあそうですかという結果。

・・・・・・・・・・でですね、まあそれはそれで来るかもねとは思っていたのですが、案の定という感じでスポ末で期末特殊ニーズとかで現先とかレポとかの需要が強い中で足元スーパー玉無状態になっているという市場でございましたので、当然のごとく1兆円の短国吸い上げによって更に玉無状態に拍車が掛かってリアル「玉がありません」状態になってしまって「短期金融市場における資金運用」という状態ではなくなってしまいましたというあばばばばーな展開になっておりまして、当然のようにこの前の3月末の期末よりも状況は酷い事に。

ということでですな、期末の玉無状態とか丸無視しててめえの残高の都合だけで名目ゼロ金利制約を突きぬけて買ってくるとか、それは「公開市場操作」という短期市場オペレーションの趣旨とは全く関係ないですよねとか、そもそも論としてヒアリングしてから「札がある分だけ買入オファー」をするとか、それはもはやオペでも何でも無いので市場を通さずに相対でやってくれと思いますし、金融政策当局としてやってて恥ずかしくないのかねというか「政策委員会がやれと言うからやりますけど市場への弊害は知りませんよやれと言われたんだから」で済むもんなんですかねえとは思うのですが、まあどう見ても9月のオペの打ち方が明らかにそういうヤケクソな打ち方なので、そういうオペレーションが前提という事で考えるしかありませんので、12月のMB末残確保の目処が立つまでは民間をクラウドアウトするような買い方をせっせとやってくるんでしょうなという事で。

つーことで10月に入りますと更にせっせと買入が入るのですが、末残調整で保有になっている年内償還の短国分は用無しになるのでその分の打ち込みが短国買入で入る事を勘案すると、短国の日銀買入残高ベースとしての額は足元の額よりも増えてくる(12月末に落ちるもののロール分についてのんびりギリギリまで調整をしてくるとは思えないから)ことになって、市場の玉無状態は結構長引く可能性があるかもしれませんし、そうなると益々短期市場ががががとなる可能性も。

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2014/09/22

○毎度の短期関連雑談メモ

・短国買入に味わいが

短国買入が2500だの5000だの申し上げていましたが1年短国のオペ打ち込み玉がそこそこあったのでオペ打ち込みですかそうですか。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140919.htm
国庫短期証券買入 17,500 2014年9月24日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2014年9月24日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2014年9月24日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,000 2014年9月24日

でまあ17500億円のオファーでほーという所ではあるのですが、まあ金曜の場合はオペが幾らでオファーされても「まあそれだけ札があるんでしょうな」という所で、最早入る札から逆算して短国買入が実施されるとか、それを金融調節というのかとしか申し上げようがない状態ですな。なおベンダーとかに出てこないからネタにしにくいネタとしては各種オペに関しては一社当たりの応札限度額というのがあって(当たり前だがオペ先には通知されているので市場(のオペ先とマニア)には(概ね)周知されています)、こいつは基本的に一定のオペもあるのですが、特に短期系についてはその時の状況によって必ずしも一定していなくて、この推移にも味わいがありますな。

なお結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140919.htm
国庫短期証券買入 24,609 17,501 0.002 0.003 97.8
国債買入(残存期間1年以下) 3,854 1,103 0.002 0.002 97.0
国債買入(残存期間1年超3年以下) 9,295 3,005 -0.002 -0.001 35.1
国債買入(残存期間3年超5年以下) 6,260 2,003 0.002 0.002 30.3

前週は2500億円の買入に対して5447億円の応札でしたが、先週は一転して24609億円の応札とか中々味わいがありますが、どんだけ新発1年を日銀に打ち込む気満々で入札してるのよという所でございまして、何ちゅうか日銀がセカンダリーで市場にあるものをマイナス金利だろうと買う攻撃に対して思いっきりぶつけに逝っているの図とか、まあ今に始まった訳ではないですが露骨な展開という所で、資産買入でMB拡大で実質金利引き下げという政策の趣旨に対して鑑みると味わいが深すぎますなという所ですが、結局単に日銀の買入が意味の無いボラを与えているだけのような気が。


・政府預金(国内指定預金)の金利とな

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140919c.htm/
「対政府取引に関する基本要領」等の一部改正に関する件

『日本銀行は、政策委員会において、最近の金融市場の動向を踏まえ、対政府取引の適切な運営を確保する観点から、下記1.および2.の諸規程の一部を別紙1および2のとおり改正することを決定しましたので、お知らせします。』

ということで。

http://www.boj.or.jp/note_tfjgs/trans/yoryo12.htm/
対政府取引に関する基本要領

今回の変更部分は
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/data/rel140919c.pdf

にありますけれども、政府当座預金勘定がゼロ金利なので国内指定預金の適用金利をマイナスにすると制度の意味がなくなるので下限金利を設定したという事ですが、下限をゼロにしているのはまあ当然ちゃあ当然ですがプラスじゃないのねという所で。でもって何らかの都合によってFBの引受を行う場合ですけど・・・・・・・・・

『3.政府短期証券の引受けおよび償還』

『(1) 政府短期証券の公募入札において募集残額等が生じた場合および国庫に予期せざる資金需要が生じた場合には、例外的に、所要の政府短期証券の引受けを行うものとする。この場合の引受け利回りは、引受け対象とする政府短期証券の引受け日が公募入札方式による当該政府短期証券の発行日である場合には、当該公募入札における募入平均利回りとし、その他の場合には、銘柄ごとの流通市場における実勢相場等を勘案した利回りとする。』

『6.政府短期証券の引受け利回りの下限等』から。

『(1) 3.(1)の規定による引受け利回りが0%を下回る場合には、引受け利回りは0%とし、3.(2)の規定により繰上償還を行う場合において、3.(4)に定める償還価格が額面を超えるときは、償還価格は額面とする。

(2) 5.(1)ハ、の規定により買入れを行う場合において、5.(2)に定める売買価格が額面を超えるときは、売買価格は額面とする。』

ということでして、預金に対しても引受に対しても下限金利をゼロに設定していて、まあそれはそれで話としてはそうだろうなあとは思うのですけれども、翻って考えますと、ECBのマイナス金利のように最初から預金ファシリティにマイナスチャージをするという明確な意図を持ってマイナス金利を実施している訳ではなく、単に資産買入政策の実施をしているうちにマイナス金利になってしまいましたよテペヘロという状態になっているという事を示しているとも言える今回の措置でございまして、結局の所日銀のマイナス金利買入によって日銀のオペレーションや当座預金制度の外側の部分で名目ゼロ金利制約によるコストが発生しているという事態になっているという形ですな。まあ日銀が政策的な意味で明確にマイナス金利にするという意図を持ってマイナス金利の資産買入をしている訳ではない、という事でしょうが、政策的な意図がないだけにタチが悪いというものですな、うんうん。

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2014/09/17

○短期市場関連メモメモ

・短い所の引値キタコレ

ここもと長い所に関しては円安(というかドル高というか)とか米国金利がどうのこうのとかで売られたりする展開なのですが、そんな中短期方面が延々と金利低下ヒャッハーとやっているので同じ金利の世界にいるのに思いっきり別天地感の強い今日この頃でありまする(−−;

でまあ昨日は短国買入も入札もございませんで、ついでに短国はお察し状態になっているので市場で(売る方はともかく)買いに行こうにも碌にモノが出てこない訳でございますから取引が低調にならざるを得ずという展開なのでさすがに昨日は短国の引値は大体前週末並みという結果(売買が碌すっぽ無いのだから前日比変わらずになるわな)になりました。

・・・・・・と思ったら今度は利付国債の残存の短いのの引値が強くなっておりまして、そらまあ短国買えないなら利付の短いのでもという話になるんでしょうなあとは思う次第で、ただ利付国債の場合は発行総額が短国ほど多くないですし、流通玉も少ないと来ていますので、短国みたいなロットでの買いは出来ませんですし、日銀の買入も短国のような盛大な買入額では無くて月に2200億円となっていますので、短国のヒャッハーに対してやや遅れて推移していたんですな。

という流れではあったのですが、先週金曜の短国買入で止めを刺してしまったようで、昨日は残存1年以内の利付国債の引けが軒並み1毛とか強くなってしまいまして、短国金利の低下というよりは短国市場の玉スッカラカンでマイナス金利という異常状態が波及して参りましたよという流れでして、中間期末を控えてこの状況とかもうねという所ではございます。

これが例えば利下げ観測とかで発生している事態ならば別にシャーナイナイなのですけれども、日銀がひたすら短国を買い続けている結果として起きているというのがねえ・・・・・・


・業態別当座預金残高の都銀残高は一時的現象なのかそれとも・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/cabs.htm/

毎度おなじみのこれですが、8月積み期間は超過準備預金残高が全体として若干程度の減少になっておりまして、当座預金残高で見ると証券の残高が若干拡大しているのでトータルで若干の拡大となっていますな(なお平残数値の方で話をしています)。

でまあそれはそれで良いのですけれども、今回見ていてほえーと思ったのは従来趨勢的に拡大傾向にあった「都市銀行」の超過準備が2兆円近く減少している所であります。まあ上記のURL先からZIPで落として来てご鑑賞いただきたいのですが、この1年着実に超過準備残高を拡大させていたので、減少するとはこらまたほほうというのと、まあ減少した分って短国の買入に化けている部分があるだろうなあとか思いますと、そら短国需給が逼迫するわという風にも思う訳で味わいがあります。

んでもってこちらの動きなのですが、一時的現象というのであればまあそういう事もありますねという話で良いのですけれども、これが超過準備の拡大も無限にやる訳にも行きませんですしねえという話が背景にあったりすると、そもそも論としてのMB拡大が物理的に可能なのか(MB拡大には日銀の資産買入が必要だが資産買入の裏側には日銀当座預金の拡大を伴うので、日銀当座預金をこれ以上拡大できないという参加者だらけになると資産買入が札割れになるのか無限に高い所まで買入を行わないといけなくなる)という話になるので9月積み期間の動向に注目しようかと思いましたがそもそも9月は国債償還要因などで資金が余剰になるのであまり比較参考できないのでした(汗)。

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2014/09/16

○相変わらず短期関連はネタが続くのでありました

もう短期のマイナス金利ヒャッハーだの師匠講演と会見が相変わらずのアレだのと先々週のECB以来ヒャッハーモードが続いて、書き物でコピペがおかしくなったり冒頭でうんこを連発したりとすっかりアレでしたが、短期市場のヒャッハーはまだ続くのでありまして・・・・・・・・・


・短国買入2500億円実施とな

金曜は直近カレント3銘柄が全部マイナスという状況の中でさて短国買入どうするのよという感じだった訳でして、まあ9月の中間ラップとかマジでどうでも良くて本命は10月からの3か月物を如何に円滑に購入するか、と考えたら先行き考えたら、どうせ期末ニーズが入ってくる9月だし、ここで期末ニーズに競合する形で日銀が買入をして短国市場をおかしくする必要もなかろう、とは思ったのですが・・・・・・・・

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140912.htm
国庫短期証券買入 2,500 2014年9月17日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2014年9月22日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,000 2014年9月22日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,000 2014年9月22日
国債買入(残存期間25年超) 300 2014年9月22日

ということで輪番オペに加えまして短国買入をオファーしてくるの巻でして、しかも買入オファー額が2500億円とかナンジャソラというロットで入って来まして、しかも売買参考統計値がマイナスの直近3銘柄も買入対象となりまして、火曜日だと新聞報道的にマイナス購入(でまあ多分マイナスが入ったとは思いますが)でしたが、まあ金曜はどこからどう考えてもマイナス金利の買入をする気満々という打ち方となりました。

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140912.htm
国庫短期証券買入 5,447 2,502 -0.009 0.000 88.8
国債買入(残存期間1年超3年以下) 8,208 3,005 0.003 0.003 68.4
国債買入(残存期間3年超5年以下) 7,924 2,000 0.005 0.005
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,116 1,004 0.007 0.009 3.9
国債買入(残存期間25年超) 1,334 301 -0.005 -0.003 88.0

・・・・・・・えーっと2500億円ぽっちの買入で平均引けは兎も角として足切りが9糸強と大流れとなるとはもうどんだけ市場に玉が無いのかという所で、確かに投資家は期末ニーズで持っている訳だからそう簡単に日銀に売却しないでしょうし、大体からして今日銀にロットで売却したは良いけどでは購入できますのというと買えないという状態なのですから誰も売らないでしょうし、業者は恐らく碌に在庫が無くて、入札で落札上位の人が持っているかも知れません程度の状況なんでしょうなあという状態でして、2500億円とかの超少額(短国市場にしては)の買入をしたら市場の悲惨な状態が更に分かりやすくなるというアチャーな結果となりました。

#つーか応札5447億円って何よ

でまあ2500億円とか殆ど残高積み上げ的に見た場合に誤差の範囲内にしかならないのに、わざわざマイナス金利を購入するという断固たる決意をお見せになるわ、お見せした結果として短国市場が盛大に壊れた状態であることを白日の下にさらすと共に、マイナス金利購入だけではなく短国市場が壊れた状態であってもMB積み上げの方が重要なので壊れた市場をさらに壊してでも短国買入を継続するという決意までお見せになられてしまいますともうねという所です。

#そら引値も更に全般下がる罠

ま、中央銀行が市場を壊すのを全く気にしない(というか積極的に壊そうとしている位の勢い)という形で買入をしますとそらまあ市場機能もへったくれもありませんからマイナス金利は期末要因抜けたらマイナスそのものは収まるかもしれませんけれども、兎に角市場機能など知らんという動きが控えている以上短国の金利は上がらないでしょうし、他にも色々と影響しそうですなあとゆー所ではございます。

しかし「壊れた市場を修復する為に資産買入政策を実施する中央銀行」というのは信用緩和政策として実施されましたけれども、「定量的に何の効果があるのか不明なマネタリーベース積み上げの為に市場機能を積極的に壊す中央銀行」というのは前代未聞にも程がありますが異次元緩和で中の人たちもすっかり異次元緩和されてしまったようで誠に遺憾の極みでございます。


・貸出増加支援が意外に出ている件

9月の貸出増加支援結果がでました。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140912b.pdf

『新規貸付の概要
貸付期間 4 年
貸付予定額 25,865 億円
貸付先数 32 先』

という事で、今回は1兆円そこそこ位しか出ないのかという予想もあったのですが、2.6兆円近くの新規実行となりまして、これはMB積み上げに朗報という所でございます。つーか貸出増加支援がこの程度出るのであれば何で無理繰り短国買入を実施するのかねと思う次第(借入予定額のヒアリングとかしてなかったら仕方ないけど)でして何だかなあという気も。

でまあ話をちょっと戻して2500億円の短国買入ですけれども、貸出増加支援が意外に出ているのはそれはそれとしても、足元で短国金利マイナスの中で短国買入をスキップしてしまうと「日銀のマネタリーベース積み上げに技術的困難が発生している」という風に解釈されて、12月の末残目標もあるし、2年で2%の物価安定目標達成もあるしという事を考えた場合、目標期間の手前で「異次元緩和政策の技術的な限界」という話が出てくるのがアナウンスメント効果的にマイナスとなるという考えもありまして、まあその結果として買入は継続してオファーするという事になったのでしょうなあとも想定されるところです。

とは言いましても現実問題としてオペが限界に達しているのは金利に出てしまっていますし、昨年の12月のようにMBの中間メドの数字を出していた所での着地が見えた時には短国買入をスキップしたりというのもありましたので、何か先週火曜日に短国買入を実施したのが以降に起きたことの全てを覚悟して行ったことなのか本当に大丈夫かよという風には思うのでした。

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2014/09/12

○短国市場のマイナス金利は3M新発にも延焼しておりますな:さらにしつこくマイナス金利談義

ということで昨日の注目ネタ(かどうか知らんが)の3M短国入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140911.htm

(3)募入最低価格 99円99銭8厘5毛(募入最高利回り)(0.0060%)
(4)募入最低価格における案分比率 89.2441%
(5)募入平均価格 99円99銭9厘3毛(募入平均利回り)(0.0028%)

前場から何か3M既発銘柄でホイホイマイナスの出合いが業者間で散見されてあちゃーという感じで推移しておりまして、何かもう前場引け時点でこりゃ1bpまで足切りが届くのかというような感じ(ただし盛大に流れる可能性もあってその場合は2から3が止まり所ってイメージ)だったと思われますが、平均が0.28bpで足切りが0.06bpという結果に。

んでもって落札結果発表後も全然コケる気配もなく、とか思ってたら市場推計の不明玉が4兆円とか見たことが無い数字になっておりまして(まあ推計値ですので本当は誰かが持っているのかも知れませんけど)、結局新発3Mは最終的にはマイナスの出合いになるわ、何か知らんけど月曜の6Mが更にレート進んでいましてマイナス深くなるわというあばばばばーの有様になっておりまして、日本相互証券の引値が新発479回がマイナス0.7bpだわ先週の3Mの477回がマイナス0.1bpだわ6M新発の478回に至ってはマイナス1.2bpだわという残念にも程があるレートになっておりまして、直近発行3銘柄が全部マイナス金利というアチャーな事案となりまして、いやあ日銀の火曜の短国買入が見事な燃料投下というかガソリン持って燃える火の中に突っ込んで行ったという感じで、盛大に短国市場が焼け野原になってしまいまして、関連市場(現先とか)にも延焼とかもう完全に偉大なる日本銀行様による無慈悲な砲撃によって火の海にされてしまったの巻。

ちょうどまあ足元では期末要因があって為替絡みで円転コストが爆安状態とかの要因も相俟っておりまして、そのタイミングで6M新発短国の買入で年末残高を稼ぐ買入をオファーしたらもう大々的に丸焼けになってしまった次第ですので、期末要因と海外要因が一巡すると少しはマシになるかなとは思います(というか思いたい)が、これ月末まで継続されるだけでも色々と弊害が滲み出てくるだろうなあと考えられます次第です。


でまあ何ですな、水曜の日経1面に思いっきりでていましたから皆様ご案内の通りでございますが・・・・・・・・・・・

http://www.nikkei.com/article/DGKDASGC09H0O_Z00C14A9MM8000/
日銀、損失覚悟で資金供給 短期国債オペ 初のマイナス金利 償還額より高く購入
2014/9/10付 情報元 日本経済新聞 朝刊

というような話ってえのはまあ火曜日の買入結果が出て「これだとマイナス買入してるのではないか」という話題になった辺りから為替が明らかに円安に振れていましたから、今回のマイナス金利での短国買入というのは相当なインパクトを市場に与える結果となりましたが、まあ当然ながらマイナス金利で買う気が無いのであればヒアリング段階であの程度(買入オファー5000億円に対して応札8000億円程度)の札しか入らないのがある程度想定できる段階で買入のオファーを行わないでしょうし、行うにしても引値でその当時だと1銘柄だけ突出して金利が低くてマイナス利回りになっている3M新発の477回債を買入対象から除外するという選択肢もあった訳で、それらの選択肢を排除して買入を実施したということですから、まあ「日銀の決意を示す為に損失覚悟で買入実施」という話になるし、「日銀も遂にマイナス金利政策を実施」と特に海外辺りがヒャッハーとなるのも当たり前ですな。

そんでもって翌日の師匠の高座では会見でマイナス金利に関しての弊害とか副作用に対する考慮はないのかという質問に対して全く無頓着な回答(後でネタにします)をしてますし、黒田総裁も円安は問題なしという話をしている訳ですので、まあ今回わざわざ短国市場の需給が超逼迫する中で敢えて出来上がりマイナス金利での買入となる短国買入を実施した、というのはマイナス金利の導入による円安誘導という日銀の強い意志を行動で示したもの、とまあそういう解釈を市場全体からされるのもまあ当然の結果であります。


その一方で(これまた後でネタにしますが)金沢金懇でも岩田副総裁は懇談会出席者(つまり地元企業の経営者など)から為替市場の安定が望ましいと言われたり、それよりも以前の支店長会議の時に梅森名古屋支店長が記者会見でこれ以上の円安は企業にデメリットという声も多いという話をされたりしておりまして、遂に足元では経済同友会からも・・・・・・・・・

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140910/k10014481211000.html
長谷川代表幹事 さらなる円安歓迎しない
9月10日 5時07分

『経済同友会の長谷川代表幹事は、訪問先の中国で記者団に対し、外国為替市場で円相場が1ドル=106円台の円安ドル高水準になったことについて、「さらに円安が進むことは多くの人が歓迎しない」と述べました。』(上記URL先より)

ということで円安に振っても誰得であるという話が産業界から続々出ているという状況なのが実にこう日銀の毎度の間の悪さクオリティを遺憾なく発揮しておられる次第でして、産業界からこのような声が出ている中ではあっても円安誘導を強行しているということで、「2年で物価2%がマンデートなので、実質購買力の低下も産業界の要望も知った事か物価が上がれば良いんだよ」というような「やれと言われたからやったんだもんボク悪くないもん」的なヤケクソプレイに打って出られましたかそうですかという図に完全に嵌っているのが実に見事なお話ではありますし、当然ながら短国買入実施する前にヒアリングとかしていて「やったら日銀がマイナス金利政策みたいな捉えられ方をしますよ」という指摘も市場からされていたと思いますので、このような諸々の動きに対する覚悟を持って火曜日の短国買入を実施されたのかと存じます次第。

しかしまあ何ですな、マイナス金利付けにいったタイミングの間が何ともという所でして、お蔭で為替市場のボラが高まった上に、為替の円安進行を受けて債券市場では久々にボラが出ながら金利上昇という形になっておりまして、日銀の短国買入でマイナス金利買入(と思われる)事象を作りに逝った結果としてマーケットに盛大にボラティリティを提供したという事で久々に破壊力のある日銀オペだったという感じですな。


・・・・・・・・・などとつらつらと申し上げてみましたが、まさかとは思いますが今回の買入は単に6Mの新発短国の買入残高を確保して年末のMB目標を進捗させようというだけの意識で実施したらマイナス金利(を買ったと言われても仕方のない結果)になっちゃいましたよテペヘロというような話だと致しますと、その無造作さと乱暴さに呆れて物も言えない(散々言ってるけど^^)わけでございますし、まさかとは思いますが金融市場でマイナス金利が恒常的に付いた場合に実体経済における名目ゼロ金利制約との間で起きる可能性のあるフリクションという副作用について何も考えずにいるなどいう状態で無邪気にお花畑を飛びまわっていたら地雷を踏んでさっきまで綺麗なお花畑だったのが一転して焼け野原という事案になった等という事は賢明な日銀諸氏におかれましては当然のごとくあり得ないと存じますが、アタクシの杞憂であることを切に願いたい物であります(-_-メ)。

一応本日は金曜日ですので短国買入デーではあるのですが、どう見ても今日買入入れても6Mが入る感じでも無いですし、キャピタル狙いで買入をして日銀打ち込みヒャッハーで強くなっているとしても、その場合って結局の所6Mをさらに深いマイナス金利で買う事になって焼け野原状態は更に地獄絵図へと発展していく訳でございますが、それだけの覚悟を示したいというのであれば別にまあ今日買入を入れるのも可能性としてはありますが、市場機能はかなり再起不能なダメージを受けるので正常化する際に物凄いコストが掛かる話ではあります。

でまあ需給面というのを考えたらカレント3銘柄がマイナス引けという事態だとこれ普通に考えたら短国買入入れているどころの騒ぎじゃないとなりますので、そうなりますと火曜日の5000億円の買入によってその先のオペレーションを非常に窮屈にしたという話になるので、お前の落とした斧は金の斧か銀の斧か状態ワロスワロスという話になるんですが、まあいずれにせよマイナス金利買入(と思われても仕方のない結果)の実施に対してこれだけのリアクションが起きる事になった訳ですが、どういう覚悟で買入を強行したのかが実に興味深い所ではありますので、是非次回のMPM後の定例会見ではその辺のご覚悟についてもお伺いしたいものであります。


なお、これまたしつこく申し上げていますが、日銀の「資産買入でマイナス金利」というのはECBの「預金ファシリティのマイナス金利適用でマイナス金利」というのと表面上の現象としてのマイナス金利は全く性質の異なるものなので(という話は恐らく短期市場で実務やっている人以外だと相当のマニアじゃないと直ぐにピンと来てくれないと思いますが・・・・・・)、量をターゲットにした金融政策では無く、金利政策として意図的にペナルティ金利を導入して派生して起きる量の縮小はスルー(今回ターゲットを絞った資産買入(要するに信用緩和的な物)を入れましたが)している現在のECBと違いまして、MB拡大を円滑に実施する(というと格好が良いが要するに札割れ対策)ためにプラスの預金ファシリティ金利以下の利回りでの債券購入をしていたらついにプラス金利で札が足りなくなってマイナス金利に突っ込んでしまった(かどうかはまだ確定していないが)という日銀とは、そもそも意図的か否かという部分からして違う訳で(いやまあ今回意図的にマイナスを付けに行ってるのだったら意図的かも知らんがMPMでスタンス表明していないという意味での意図的という話ね)、単に資産買入によるMB拡大政策の枠組みが実務的にフィージビリティーの限界に達しつつある為に起きた事象だとは思うのですが、まあ当然ながらそのような背景よりも現象としての「中央銀行がマイナス金利での資産買入」の方が注目されますからね。

なお、ちょうどその辺の質疑も師匠の会見であって、まあ師匠の答え自体はああそうですかという感じなのですけれども、その答えが出てくる背景というのを考えるとちょっとうーむという感じがする、というのはこの次にご紹介いたします。


#自分でも論点を整理しながら頭の体操をしているので、毎度話がくどくて誠に申し訳ございません

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2014/09/11

ドル高ェ・・・・・・・・・

○さて本日は3M短国入札ですが

えーっと昨日は日銀のマイナス金利買入雑感を書いてみたものの、中々こう上手く論点が整理できていないわ、書いたり消したりしながら書いていたら消し忘れとか接続詞がまあ落ち着け状態になったりと誠にアレでございましたな。

・・・・・・ということで本日は3M入札なのですが、昨日の短国市場ではベンダーも6M新発の価格が着くとニュースヘッドラインが出るとか中々の注目状態になっていたようで、それによりますと新発6Mはマイナス0.5bp→プラス0.1bp→マイナス0.9bpというような動きになっていたみたいで、引値も見事に強くされてBB引けはマイナス0.4bpだわ売買参考統計値平均単利はマイナス0.3bpだわと、前週の新発3Mと共に直近入札のあった2銘柄が共にマイナス金利(ちなみに477回の売参はマイナス0.1bpに金利上昇しています)という大変にスットコドッコイな状態になっておりましてもうねという状態。

という異常事態なんだかこれから恒常化するのか知らんあばばばばーな状態の中で本日の3M入札を迎える訳でございますが、まあ普通に考えるとゼロとかマイナスとかの金利で「資金運用商品」としての短国ニーズがバカスカあるとは思えない(為替絡みとか信用リスク絡みとかでマイナス調達が出来れば別だが)訳ですし、マイナス金利でも買いますよウヘヘヘヘと言っている日本銀行様はプライマリーでは買いに来ない訳ですし(というかプライマリーで買う位なら最初から相対で対政府取引してくれ)、まあ常識的には入札からいきなりゼロだのマイナスだのとはならんでしょとは思いつつも、兎に角日銀が短国市場の需給逼迫を無視して、というか需給逼迫に更に拍車をかけて市場を壊す買い方をしているだけに、在庫確保ニーズとか残高維持ニーズとかも相当エネルギー強いでしょうし、はてさてどうなるのやらという話で、もはや予想するだけ精神衛生上良くないので結果に注目しましょうねとだけ申し上げておきます。

しかしまあ何ですな、実体経済には名目ゼロ金利制約がある訳ですからマイナス金利というのが金融市場で恒常的に付くというのは金融政策を何のために実施しているのかと考えた場合に弊害の方が大きいんじゃないの、というのは引き続きの見解として置きますけれども、このマイナス状態も間違って恒常化(まあ普通に考えると期末要因含めているので恒常化しないと読むものなのですが)するとやはりマズーだと思うのです。


・・・・・でまあ昨日は日銀のマイナス金利買入の可能性がありました案件でさすがに何とかストのレポートとかベンダーの記事とかありましたが、あれで「追加緩和の可能性が高まる」とか言っている人はとりあえずお前らその席空けて俺様に用意しろやと申し上げたくなる次第でありまして、短期国債買入の買入残高累増に伴い市場のキャパを超えてしまったという状況がこのマイナス金利かもしれない買入や、実際についているマイナス金利として顕在化してきたという話ですから、「来年以降のMB拡大が同ペースで実施することができません」という政策実行におけるフィージビリティー問題に到達したという話ですし、「超過準備付利下げ」とかゆうとる方も居ましたが、買入でマイナス金利が付くという状態というのはつまり「バランスシート拡大政策をそれだけ無理をしないと実施できない」という事を意味しますので、同じ理屈で考えると超過準備付利についてはバランスシート拡大政策を更に実施する為には引き下げをするのは逆効果でもし追加でやるなら引き上げをしないといけないという話になるのですが判りますかね何とかストの皆様♪

まあさしあたってのオペ円滑実施でMB拡大円滑実施というのであれば、海外中銀のデポに対しても準備預金非対象先の当座預金残高と同様に付利対象にすれば海外分の短国自動購入ニーズがその分ドロップするから少しはオペ運営が楽になるんじゃないでしょうかねえと思いますが、それって一面ではシニョリッジの海外流出とも言える話で、えーっとシニョリッジを海外流出させて積み上げるMB残高の政策効果に対して払っているコストの方が物凄い勢いで大きいんじゃないですかねえ(まあシニョリッジ漏出云々マイナス金利の国債購入にも言えますが)と思う次第で、もっと真面目にQQEのプロコン比較というのを行っていただきたいですなあ次回のMPMでは、と思うのでありました。

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2014/09/10

○日銀短国買入でマイナスを購入しやがった可能性がありそうな件について

昨日短国買入をオファーしやがるとはねえ・・・・・・・・・

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140909.htm
国庫短期証券買入 5,000 2014年9月11日
米ドル資金供給 2014年9月11日 2014年9月18日 0.590

ドルオペの方は兎も角として、昨日は上記のように短国買入が5000億円打ち込みとなったのですが、まあ打ち込みの時点で対象銘柄に売買参考統計値がマイナスな477回債が入っている(日銀のサイトだと詳しいのは出てこないのですがベンダー情報による)時点でおいおいマイナス金利大丈夫かと思っておりましたが、まあ6M入札の翌日ですから要するに6Mをそんなに買いたいんですかねえとは思われる次第。

でも6M新発って入札の平均落札よりも売参が若干甘いのでそもそも6Mが主に入るにしても落札結果が甘になるとも思えないのだが大丈夫かよとか、そらまあ477回もショートカバーなどのマイナスの出合いあるけど、そもそも短国の場合は長国と違って業者が揃ってショート振ってレポして投資家ロングの業者全員ショートというような現象は起きない(償還までの期間が短いので大した売買益が期待できないのにコスト払ってショートポジションをキャリーする意味が無いし投資家層が限定だから)のであって、普通にロングになっている人もいますので、まあ477回を引けで入れてもマイナス0.4bpだよなあとか思う訳で・・・・・・・・

で、結果。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140909.htm
国庫短期証券買入 8,387 5,000 -0.011 -0.006 39.5
米ドル資金供給(9月11日スタート分) 0 0

結果は6糸強の1毛1糸強で、全部が6M新発だと辛うじてプラス金利での買入ですが、3か月ゾーンですと477回は勿論のことその手前の銘柄でも売参が1bpだったので足切りで入っていると出来上がりマイナス0.1bpでの買入となりやがりまして、まあこれはやっちまいましたなという結果。

と申しますか、今回の応札8387億円という方にえーと思った次第。まあ在庫状況から考えて札がそんなにあるのかいなとは思いましたが、ヒアリングとかしているだろうに8387億円しか札の無い状況で5000億円の買入をオファーするとか、高々5000億円ぽっちの買入の為にマイナスまで突っ込みに行くとはねえというところで、まあ何考えてるんだという感じではあります。

先日来申し上げておりますように、本来年末の残高目標という観点からしますと10月以降の3Mを着実に購入していって残高稼ぎをすれば良い話でして、そのためには只でなくさえ需給が逼迫している今月の短国市場における需給を更に逼迫させて(さらに言えばマイナス金利での購入によって不安定化もするリスクもありそうですがねえ)しまったら10月以降の短国購入を円滑に進められるのかいなという話になる訳で、MB積み上げの最後の最後の所とかなら兎も角、まだまだMB積み上げをしないといけない上に、年末以降をどうするのかという問題もある中で、目先の5000億円積み上げの為にマイナス金利の買入をするとか来年の種籾を全部食ってしまう貧すりゃ鈍すの典型のように見えてしまいますが大丈夫ですかねえとか思うのであります。

でまあこの結果を受けて6M新発も引け後だか引け近辺だかにはマイナスでの出合になっておりましたが、日本相互証券の引けはショートカバー銘柄の477回が相変わらずマイナスの他は6M新発がゼロで、あとは前日比強くなっていますが一応プラスの金利になっておりまして自重自重という所ですかそうですか。売買参考統計値は平均単利マイナスなのは477回だけで6M新発の478回も6bpなのでこれもまあ自重という感じですが、ただまあ市場で買いに行こうとすると素敵なレートを掴みに行くことになるでしょうなあという所で。

実際問題としては短国の買入銘柄明細は月イチでしか公表されないので、今回の買入で実際に出来上がりマイナス(オーバーパー)の買入があったかどうかについては売り付けた当事者と日銀しか判らない(来月477が入っているのが判れば間違いなしという所です)のですが、まあ以下はマイナス金利の買入があったというのを前提に申し上げますと(というかマイナス金利買入をする気が無いならそもそも論として477回を買入対象銘柄から外しているので普通にマイナス買っているでしょと思います)、マイナス金利で買入を今回行ったということで、只でなくさえ市場機能的にメタメタになっている短期国債市場の機能が更におかしくなるのは必定というのがまずやりやがったなあのその1という所ですか。

つまりですな、今や短国市場のドミナントプレーヤーになってしまった日銀はマイナス金利での買入をドカンと行うけれどもそれは週に1回程度で入札の日は外している訳で、それ以外の通常日と入札の日はマイナスで購入する投資家って非常に少ない(と思われる)訳で、時点による需給の差が極端にぶれる格好になりますので、当然ながらオファービットも開きますでしょと思われる次第。しかも日本の短期市場においては最大かつまともにロットの捌ける市場が短国市場しか無いので、その市場が機能不全になってくると短期市場全体の価格形成にも影響してくるリスクが有ります罠と。

まあ前回のマイナスキタコレの時は一時的かという印象もありましたが、こう何回も続くというのと、日銀がマイナス金利での買入を行うという事でドミナントプレーヤー(ただし買うだけ)の日銀の動きが入ったという事ですから、まあこりゃさすがに一時的現象という訳にも逝かんでしょうなあと思われるところで、これから年末の目標達成に向けて短期市場あばばばばーという感じでしょうなあと思うのでありました。

ちなみに、今回のマイナス買入ですけれども、まあ普通に考えると年末に向けて10月から本格的に買入の積み上げをしないといけないという前にわざわざ自分からガソリン背負って火の中に飛び込むとかスットコドッコイとしか思えないのですが、もしかしたらこれは12月のMB目標達成に関しても調節技術的に大変だし、今の買入パターンを来年も継続する事は物理的に不可能であるという事を早めにアピールすることによって調節部署から政策委員会だの執行部(というか企画)だのに対して「お前らのフィージビリティー無視のディレクティブは回らねえんだよヴォケ」というアピールをしているのではないかなどと格好の良い事も妄想してみたくなりますが、まあ単に残高積みたくて来年の種もみ種イモを全部食ってしまっているだけのプレイのような気もしますな、うんうん。


○まあ思考訓練の一環ですが「マイナス金利をドンドン買えば良いじゃないですか」という素朴な質問に対して

でまあこれ昔からずーっと言われるのですが、こうやってマイナス金利買入ケシカラン的な話をしておりますと、割と「別に高い値段で中央銀行が買っていって、札が入らなければ更に高い値段を買えば問題ないじゃないですか」というツッコミが飛んでくることが多いのですよね、というか実は市場の人の方がそういう傾向が強かったりもします。

でまあそう正面切って突っ込まれると意外に説明が難しいのですが、直観的に市場のマイナス金利が恒常化するというのは弊害あるだろというのはある訳で、その辺のギャップについて思考訓練の一環(?)としてつらつら考えてみたのでちょっと記してみます。まあ異論は色々とあると思いますけど。

・たぶん市場単体あるいは中銀と市場の関係でみれば「ただの価格の問題」となるのかも知れません

まあそういう事でして、要は国債金利がマイナスとかプラスとか言うのはあるにせよ「価格の問題」と考えてしまえばまあこれは単なる価格形成の問題で、マイナス金利で購入してもよりマイナスの深い金利で売却すれば間尺にあう話ですし、運用調達という面で見た場合でも市場金利が低下すれば運用も調達も金利が低下するでしょと考えると、はてさて何か困るのかねとツッコまれると確かに答えが難しいのですよね。

ひとつ言えそうなのはさっき申し上げたようにオファービットが更に拡大して流動性が更に低下するとなりますと、日銀がこの政策の出口に立った時に市場機能が落ちていることから市場による価格調整でのソフトランディングが難しくなり、激烈な調整を強いられるリスクが高まる、すなわち出口政策の潜在的コストが大幅に上昇するという話かなとは思いますが良く判らん。


・恐らく問題になるのは「市場と実体経済の間のゼロ金利制約」なのではないでしょうか

ということで考えてみますと、市場内部で話が完結している分にはマイナスだろうが何だろうがそれは価格の問題という事になると思うのですけれども、これを市場の外側との関係、つまりインターバンク市場やら中銀当座預金制度へのアクセスのできない世界との関係で考えた場合に色々と問題が生じると思うのですよね。

つまり、これは長期金利の世界になりますから今のケースとは違いますが、例えばの話市場金利が全部マイナスになりましたのでお預かりしております保険商品は自動的に元本割れになりますのでよろしくお願いしますという話になる訳で、そうなりますとマイナス金利の負担が実体経済の方に転嫁されるという現象が生じる話になります(後に述べるようにちょっと状況は違うのですがユーロ圏のマイナス金利だとカストディ預け金とかでマイナスチャージとか発生してるみたいですがそういうのも転嫁の一例でしょ)し、まあそもそそんな話はマーケットの中では通用しても世間様には通用しないというのが「名目ゼロ金利制約」という奴でございまして、マイナス金利の損失転嫁を嫌って閉店ガラガラという話になりますとそれこそ市場機能という意味でもそうですが、それ以上に「市場と実体経済の間のリンクが切れる」という話になるんじゃないですかねえと思うのですよね。

ユーロ圏だってマイナス金利になって資金の巡りが良くなったかと言えばまあ普通に悪くなっているようですが、まあ今回のマイナスが一時的現象で済めば良いのですが、オペの規模やら今後のMB拡大を「目標達成まで継続する」とか言っている状態な訳ですからして、マイナス金利問題というのはまあMB馬鹿拡大政策を修正しない限りは時間の経過と共に拡大していくリスクがあると思われまして、そうなった場合に「市場単体」で見た場合はマイナスだから直接的に何か凄まじい問題になるのかというとそうでも無さそうな感じではありますが、実体経済における名目ゼロ金利制約というのがある以上、市場でマイナス金利ヒャッハーとやる中で市場と実体経済のリンクがおかしくなってくるという問題が発生する(とりあえず短期の部分ではありますが)拡大するんじゃないのかなあとか何となくですけど思うのですよ。

で、そもそも金融政策というのは別に金融市場をどうこうしたいから金融政策を実施している訳ではなくて、あくまでも金融政策を通じて実体経済に対して望ましいと思われる影響を与えたいというのが最終目的でありますからして、金融市場と実体経済のリンクが一部とは言え切れてしまう中でディレクティブがこうなのだからこうやって行きますというのは金融政策の本来の趣旨からして何やってるんですかという話になってくると思うのですよね。

まあ今の(特に師匠の)理屈ですとMBを拡大すると実体経済にインフレ期待の上昇という形から実質金利の低下→投資や消費の拡大、という謎理論が構築されているから、マイナス金利も辞さずに資産買入政策を継続してMBを拡大すれば実体経済に好影響という話になっているのでしょうが、既に1年半実施してMBを幾ら拡大したら定量的にインフレ期待がこれだけ動くという話はどこに行っておられるのでしょうという状況ですし、実質金利が低下して設備投資って景気のドライバーになるような伸び方してましたっけという状況でもありまして、そもそもの前提となる戦略についてももうちょっと考えて頂かないと、金融市場と実体経済のリンクが一部でおかしくなる、すなわち金融政策のトランスミッションメカニズムの機能を落としてまで拡大するMB残高のメリットはどこにあるのか、というプロコンへの考察が必要な時期が思ったよりも早く来たのではないかという風に今の所考えている次第なのですがどうでしょうかねえ。

あと、実体経済と金融市場のリンクがおかしくなるというのは、


・ECBのマイナス預金金利は一種のペナルティ金利だし大規模量的緩和している訳ではないですが・・・・・・・

あとはあまり経済的な話ではないのですが、ECBのマイナス金利のケースと日銀のマイナス金利買入(買入をしている事を前提にしているけれども本当にそうなのかは確認不能ですのであくまでも仮定の話ですのでしつこいですけど念の為)の違いって、ECBの場合は「預り金に対するマイナスチャージ」なのに対して、日銀の場合は「金融機関(オペ先)の保有する債券をマイナス利回りで購入する」というのがだいぶ違う所。

つまりですな、ECBの場合はマイナス金利を適用しているのはあくまでもチャージであり一種のペナルティーであるのに対して、日銀の場合は明白な形で金融機関(オペ先)への利益提供になっているわけでございまして、一方で日銀は超過準備等に対して10bpの金利の支払いも実施しているという形になっている訳で、上記のようなマイナス金利チャージの問題が実体経済の方に波及するような話になってくると、これ前も申し上げましたが「日銀は金融機関に利益供与を行っている」という批判が飛びやすくなりますし、金融機関も金融機関で色々といちゃもん飛んでくるでしょと思う次第なので、そもそも政治的に持つのかよという疑問が。

まあ要するにマイナス金利での資産購入をしないとバランスシート拡大政策が実施できないという状況になるまでのバランスシートを無理矢理拡大しているからこういう結果になっているって事ですから、そもそも論として現在の政策運営に対するフィージビリティーに無理があって、この点で言えばバランスシート拡大政策そのものが実施するシステムとして破綻しているんじゃネーノ的にも思うのですけど。


・などとつらつら書いてみたがまだ思考実験の世界だしマイナス定着しないかもしれませんし

ということで本日は本当はドラギ総裁の楽しい会見ネタとか決定会合議事要旨ネタとか、SF連銀の割と味わいのあるペーパー(中身はまあ普通なのですけど別の意味で味わいがある)とかがあったのですけれども、思考実験のマイナス金利雑考みたいなしょうもない話ですいませんすいませんというところであります。

まあ直観的にはマイナス金利の恒常化って駄目だろうと思うのですが、では何故ダメなのかと考えるのは意外に頭の整理が難しくて、何となく整理した積りになっているものの、まだまだ全然整頓できていない話でありまして、今後も折に触れて雑考したいと思いますので皆様におかれましても何か論点ありましたらご教示いただけますと誠に幸いなのでありまするm(__)m

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2014/09/08

○短国買入見送ったけど新発短国マイナス金利ヒャッハー

ヒャッハー!!
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0R62E720140905
〔金利マーケットアイ〕翌日物0.06%後半中心、3カ月物国庫証券マイナス0.010%
2014年 09月 5日 15:14 JST

木曜はゼロレートが付いたりした新発3M短国でございますが、金曜は日銀の短国買入が見送られたにも関わらずマイナス0.1bp→マイナス0.2bpと順調に(?)金利が低下して結局最後はマイナス1bpをマーク。

でまあBBの引値がマイナス0.2bpになってマイナス利回りヒャッハーとか思いながら売買参考統計値の公表を正座して待っておりましたが、短国477回の売買参考統計値は平均値の利回りで0.000%ときっちりとゼロ金利になりました。最高値(最低利回り)がマイナス0.2bpで最低値がプラス0.3bpで中央値は堂々のマイナス0.2bpなのでお察しという所ですけれどもまあヒャッハー状態ですな。

でこれ何がオソロシスと申しましても金曜は短国買入が見送りになっていることでして、まあ一応ECBの利下げがどうのこうのという影響の話に後講釈的になっているのですけれども、利下げが入って急にフローが炸裂してどうのこうのという訳では無さそうで(影響皆無とは言わないが)、それ以前の問題で水曜の入札で期末ニーズらしきものが炸裂してヒャッハーの流れがそのまま続いているのと、更にそれ以前の問題として日銀の短国買入残高が資金需給の関係上8月にもちゃっかり伸びてしまっているのでフローではなくストック効果の方が効いていて、ちょっとニーズが高まるとあっという間にあばばばばばーとなるという流れでして、そういう意味では根が深い話。

いやまあ期末要因だから期末通過したらという意見もありますでしょうが、そもそも短期の主力商品が3か月(正確には13週間物)の短国であって、期末月1か月間ヒャッハーとかやりやがりますとその3か月の3分の1の期間な訳で、大概な長期間でもうねという所ですし、10月以降は資金不足になる上に年末のMBその他部分の積み上げを前倒しで来るでしょう(今までの行動パターンからするとギリギリに帳尻とはいかないでその前に前倒ししてくる)からかなりの大旱魃状態が続きそうでナムナム。


まあ何ですな、金曜に関しては事前にヒアリングしてどう見ても札が全然ないという事で短国買入を見送ったというのと、どこからどう見ても金曜に短国買入を実施しても入るのは(金曜も申し上げたように)年内物しか入らないので期末のMBその他要因には跳ねないわ、明らかにマイナス金利まで突っ込みに逝かないと買えないわという状態になるので、オペを実施してもメリットが無いから実施見送りという話になった訳で、本日は6MTBの入札がありまして、この入札が何ぼになるのかというのもオソロシスな話ですが、まあ買うなら年末越えのこの銘柄でしょうから、短国買入を明日にでも打ち込んだ方がマシという事で。

しかしですな、ここでオモシロ状態なのは金曜の(本日付)売買参考統計値の新発477回がゼロ利回りヒャッハーという事ですので、この銘柄を引けで入れてゼロ利回り、前日比強で入れたらマイナス利回りという買入が発生するのが明白な所でして、「マイナス利回りでの短期国債買入」となるとそれはそれでインパクトのある話で、それをやる覚悟の程がどうなんでしょうという所っす。

つまりですね、「マイナス利回りでの買入」ってえのは意外にこれ誰も得しない話で、まあアウトライトで目先儲かるとかそういう得する話はありますけれども、(超過準備に10bp付利しているから実態ベースでは何を今さらではありますが)マイナス金利で民間が保有する資産を購入するというのはもう明白なまでのシニョリッジの漏出になりますから、そらまあ瞬間芸でそういう事がある位なら兎も角、それが恒常化するってえ話になりますと「日銀の民間への利益供与」という批判がいつ飛んできてもおかしくない訳ですし、マイナス金利で売りつけてヒャッハーとか民間サイドも単純に喜べる話でも無く、またぞろ(信用創造のメカニズムからしたら全くの的外れな批判ですが)「銀行は日銀に国債をマイナス金利で売却して利益を上げながら貸出を増やさないのはケシカラン」というような批判も飛んでくるリスクのある話で、実はこれ誰も得しないんですよね・・・・・・・・・

#ECBのマイナス金利はECBの預け金にチャージという話だからシニョリッジの漏出とか民間への利益供与という話にはならないので「資産買入でマイナス金利」とは実は逆の話になるのですな

でまあその誰も得しないマイナス金利での民間保有国債買入ですけれども、まあ当然意味があるなら実施する必要がある訳ですけれども、マネタリーベース直線一気の置物師匠理論によるマネタリーベース拡大したらインフレ目標達成という定量的な関係が今や日銀ですら物価上昇のメカニズムにMBの定量的効果の話をしていないという状態な訳で、もはや何のためにマイナス金利まで短国を買いに行くんだかという話ってもうちょっと真面目に考えた方が宜しいのではないかと思うのですけどねえ。

とは言いましても、まあMB2倍2ばーいを提唱してしまった手前というのもありますし、買入政策で実質金利に低下圧力という話をしているのですから、まあ短期マイナスまで買う位ならば長期とか超長期とかの国債買った方がええんでねえのという風に思う次第で、10年は既に日銀の買入が短国程ではないけど市場のキャパオーバーとかになっていて、カレントの殆どが日銀保有(この辺の銘柄がチーペストになったら先物の価格形成がどうなってしまうんでしょうねえ)となっていますので、もう中短期と超長期買い増すしか無いじゃんと思うのですけど(今の年間MB70兆円をまだ続ける場合なので、見直しするなら知らんけど)。

ちなみに、マイナス金利買入を避ける究極の手段としては(オペを打たないという選択肢は目先は使えてもMB目標の手前長期化できないですから)オペ対象銘柄から477回短国を外すというのがありますが、それをしますと今度は「マイナス金利での買入をしないとなるとマネタリーベースの積み上げが困難になる時点がやってくるし、既に今この状態となると来年入り以降の異次元緩和継続が困難になるのが明白」という話になってきて、それはそれでまた問題が生じるという事で、中々見事な究極の選択になっておりましてオペ担当部隊の中の人たちにおかれましては結局どうするんでしょうかねえナムナムという所ではあります。

てなわけで、まあ今日は6Mの入札結果がまたオモシロ結果になる(結果もそうだが売買参考統計値が幾らで出るかも注目)でしょうねという話に加え、明日は短国買入を実施するのでしょうかというのもこれまた注目されるところではございます。

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2014/09/05

○市場メモ雑談

・短国市場が更にヒャッハー

ヒャッハー!!
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0R528X20140904
新発3カ月物国庫証券利回り、ゼロ%付ける
2014年 09月 4日 15:18 JST

・・・・・・・ということで昨日の短国市場ちゃんですが、在庫すっからかんなのでシャーナイナイではあるのですが、前日0.1bpとかで出合いやがった新発3MTBが昨日は貫録のゼロ出合いとなりまして、またやってくれましたなという所です。日本相互証券の引けは0.3bpになるわ、日本証券業協会の売買参考統計値の平均単利は0.4bpになるわと誠に香ばしい展開になっておりまして、本日は週に1度の短国買入フライデーでございまして、短国買入の足切りが4糸強となりますと出来上がりゼロ%、5糸強よりも強くなりますと、何と日本銀行様による債券のアウトライト買入オペで出来上がりマイナス(短国だからまさかのオーバーパー)での買入という大変に素敵な事案が発生する訳です。

という訳でまあこの際ECBも利下げした事ですしヤケクソで買入をどどーんと入れてマイナス金利で買入行って対抗でもしたら如何でしょうかただし短国市場が壊れますけどねえ(既に壊れているけどマイナスやったら止めも止めでインドで引導という感じですわ)と存じます次第。

なお、本日短国買入を入れてもそもそも札があるのかいなという気もします(水曜の新発を強い所で買った投資家さんは「短国というモノ」が必要で買っているので、よほどとんでもないマイナス金利にでもならない限りは持ってるのを日銀には入れないでしょ)し、仮に短国買入行ったとしても、ほぼ年内償還物が打ち込まれて年末のMB稼ぎに使えないと思われますので、思い切って今週はスキップして、もうどうせなら月曜に6か月があるんだから火曜日に短国買入を2兆でも2.5兆でも入れてみたらとか思ってしまう(したがって翌週は当然ながら17日の1年TBの翌日に短国買入ということで^^)次第です。


・固定金利オペの足の置き方

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140904.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2014年9月8日 2014年12月8日

・・・・・・まあ何の変哲もない3か月もの固定金利オペのロールオーバーなのですが、その前日に行った固定金利オペの足が12月12日でして、これで12月は固定金利オペの足が来る日が1、8、9、12日となり、オペのオファータイミングで言えば12月の第1週から第2週に3発のオファーという事になります。あと今月は22日足の固定金利があります。

でですね、最初見た時に何で12月に足を持ってくるかねと思ったのですが、これはつまり年末のMB積み上げ目標のある中で、残高維持に不確実性のある固定金利オペについては基本的に月の早い時期に年内分のロールを基本的に終了させておこうという計画なのねと思って勝手に納得しました(なおこれはアタクシが勝手に納得しているだけで事実は別の所にあるかも知れませんので念の為)。

となりますと、やはり日銀MB目標達成に向けた「その他」項目の帳尻という面を考えますと、10月11月に3か月物を含めてせっせと買入を進捗させ、その後に固定金利オペの不確実性のあるロールがやはり不確実で落ちてしまったとなった時に再度帳尻の短国買入オペ実施となる、という流れになるんでしょうなあとか思いますと10月11月の短国買入は相当ラッシュになりそうですね。

#なお落札の方は1430億円の落ちに対して1650億円の落札と220億円の差異(今回は増加)でした

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2014/09/03

ほうほう。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GW21V20140901
インタビュー:消費税10%、1年半先送り望ましい=内閣参与
2014年 09月 1日 23:14 JST

本田先生(この記事の内閣参与は本田参与な、ヘッドラインに入れておけと)の場合は以前から消費税上げダメよの話をしているのですが・・・・・・・

そもそも第二の矢では財政出すという前提に消費税引き上げとのバーターという部分があり、しかも「落ち込みが想定以上に大きい」と本田さんが仰せですが、その前の駆け込みも想定以上に大きかった訳ですし、この春の賃金引き上げに関してだって特に正規の所って「消費税が上がるのに賃金上げない訳にもいかんだろ」ということで消費増税以下の賃上げが入った訳ですからして、消費増税とセットで起きたプラスの部分を全部スルーしてマイナスの話を強調するとかズルい論法だと思うのですよねえ。

まあいずれにせよ今後増税先送りガーの話が出る中でどうするんでしょうねえ。地方創生とか俺たちの自民党が帰ってきた感のする施策するにもゼニが要るんですよねえ先送り出来るんですかねえ。

#1年半先送りmeans永久に先送りですもんねえ


○誰も反応しない日銀決定会合前観測記事でしたが・・・・・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NB79NH6KLVRC01.html
黒田日銀、必要なら追加緩和辞さず−消費増税の実施を要望
更新日時: 2014/09/01 13:34 JST

ちなみに英文ヘッドラインでは例によって「BOJ OFFICAL SAID」云々となっていましたが、どこのオフィシャルセッドだよという毎度お馴染みブラックアウト期間中に飛び出す飛ばしヘッドラインについては以前は日経の得意技でしたが、最近はページビュー欲しさに外資系ベンダーがプロ向けとか言ってる癖に投下してくるという実に残念な事案が続きますな。

まあヘッドライン出ても各市場とも1ミリも反応していないので超スーパーどうでも良いのですし、内容も羊頭狗肉にも程があって、こういう記事にコメントを名前入りで出される何とかストの皆様におかれましても誠に災難という感じっすけど、それは兎も角として味わいのある記述があったのでちょっとネタに。

上記URL記事でこんなのがありましてですね。

『9月1日(ブルームバーグ):2回目の消費税率の引き上げが予定通り実施された場合、それによって景気が落ち込み、2%の物価目標の達成が危うくなれば、日本銀行は追加緩和を辞さない構えだ。関係者によると、黒田東彦総裁は今年4月の消費増税と同様、2015年10月の2回目の消費増税についても予定通り実施することを政府に求める意向だ。同時に、増税で景気が落ち込んだ場合は日銀には対応の余地があるものの、増税先送りで財政再建に対する信認が揺らいだ場合はやれることはほとんどない、という姿勢を堅持する見込みだ。』(上記URLより)

さらっと読むと「そらそうよ」で終わりなのですけれども、良く良く考えますと来年の消費税率引き上げというのは来年の10月であり、『それによって景気が落ち込み』という事象が発生するのはどう見ても来年の年末から再来年の頭になりますが、その時点で『2%の物価目標の達成が危うくなれば、日本銀行は追加緩和を辞さない構えだ。』という説明がそもそも日銀による諸葛孔明の罠に嵌っているのか素で記事書いている人が寝惚けているのかのどちらかでありまする。

と申しますのは、そもそも2%の物価目標については置物副総裁が職を賭す覚悟で2年間で達成すると仰せで、しかもその覚悟と強いコミットメントによってインフレ期待を引き上げて実質金利を下げるという事を異次元金融緩和という政策の骨子にしておりました訳でして、すなわち来年の年末ごろになって「2%の物価目標の達成が危うくなる」とか言うのは寝言にも程がある話であって、何時の間にお前ら「2年で達成」のコミットメント取り下げたんだおい副総裁出てこいという世界のお話になる訳でございます。

まあこの「関係者によると」ってただの市場関係者じゃないかという気もだいぶします(でも英文ではBOJ OFFICIALって書いてるからねえ)けれども、仮に日銀サイドに取材してこの手のニュアンスの話を聞かされるとなりますと、明らかにそれは物価目標達成時期の盛大な後ズレを意味するので、来年の秋の消費増税の影響とか今から1年以上先の話をするまでも無く今直ぐ追加緩和しやがれとしか申し上げようがございませんので、そもそも記事の書き方として「関係者は物価目標達成時期が大幅に遅れることを示唆」という話になるんじゃないですかねえ(ニヤニヤ)という所ですな。

なお、念のため付け加えると、展望レポート辺りでの表現はどう見ても微妙で2年で2%達成はどうしたという話になるのですが、それにしても「消費増税後の落ちこみで達成が困難になる」というようなタイムスケジュールにはなっていないですし、政策企画的理屈からするとそもそも物価目標達成の見通し時期は後ズレすらしていないのであって、来年の年末の時点でまだ2%達成していないなどという状況そのものが「前提としてあり得ない」話なので、何でこういう記事構成になったのかブルームバーグニュース様のポンチ絵の描き方の方が気になる次第であります。

#したがってこの記事で市場が1ミリも反応しなかったのは、そもそも追加緩和辞さずの時期が再来年の話だしという意味で反応しなかったのか、それともそもそも置いている仮定が日銀のシナリオと整合的では無さすぎるからという意味で反応しなかったのかは知らんが、悲しいまでに無視されたのは当然ちゃあ当然なのでありました

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2014/08/29

○「2年で2%」雑考

昨日付けた国会会議録情報のリンクですけれども、あれは自分で検索とかをした直後だと直リンでページが開くのですが、普通に踏むとセッション時間切れになってしまうのですねすいませんすいません。

ということでまずは浜田先生のお告げから。

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0GR0RB20140827?sp=true
アベノミクスは成長戦略に注力を、2年・2%こだわらず=浜田参与
2014年 08月 27日 18:58 JST

まあ浜田先生が「2年2%にこだわらない」と仰せになるのは今に始まった事ではないので特段のサプライズでは無くてはいはいまたですねという所ではありますけど・・・・・・・・・・・・

『GDPや個人消費など足元のさえない指標を受け、市場では日銀による追加緩和観測も再燃しつつあるが、消費増税による反動減の影響という「ショックが発生している時に、金融政策の先行きを足元の数字で決めることは適切ではない」と語った。』(上記URLより、以下同様)

ほうほう追加緩和催促ではないとな。

『その上で、供給制約が意識されている中で「それを無視して需要を付ければ、(供給の)天井にぶつかり、金融緩和を続けていくこと自体ができなくなってしまう」と主張。一段の緩和によってインフレが生じる可能性にも言及し、「私はインフレが欲しいわけではない。(日銀が目標に掲げる)2年で物価2%にこだわる必要はない」との見解も示した。』

供給制約による物価上昇論なのですが、供給制約によって物価が上昇した場合って一段の緩和でインフレというよりは、供給制約によって物価が上昇した場合はコストプッシュ的な状況なので、上昇した物価によって需要に悪影響なのでサステイナブルでは無いというような話のような気もするんですけど、まあそれは兎も角として・・・・・・・・・・


2年で2%の看板なのですけど、これに関しては昨日一昨日とお笑いネタにしてしまったジャクソンホールでの黒田総裁の講演からしますとですね・・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/ko140824a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/data/ko140824a1.pdf

『こうしたもとで賃金を引き上げるには、何らかの仕組み、つまり「見える手」のサポートが必要です。』(上記URLの講演テキスト抄訳より、以下同様)

ってのを昨日は統制経済キタコレとか茶化してしまいましたが、実際問題としては先の方にあるように、

『日本銀行の物価安定の目標は、そうしたメカニズムの中で、企業が賃金を決定する際のメルクマールとなり得るものです。』

というのに「見える手」というのに掛かっているというのが話の本意でして(ですよね???)、要するにこの「2%」の看板を思いっきり掲げるのが重要という主張は全くぶれていないのが黒田緩和のポイントになっている(その部分には野党審議委員の反対もありますけど)訳でして、浜田先生の主張する「供給制約による天井論」を敷衍した場合って「2%が(短中期的に)本当に適正な水準なのか」という話に繋がってしまいますのでまあ現在の黒田さん的にそれは引けない所でしょと思います。

それに「2年で実施」という強力なコミットメントを行う事によって期待の転換を図って実質金利の引き下げを行うというのもQQEのもう一つの骨子であって、「中長期的に目指せば良いじゃないの潜在成長力が弱いんだもの」という話をしておりますと期待の転換が図れませんという事に繋がりますので、ここへきて急にひよるというのも難しいと思いますけどねえという所。

いやまあ現実問題考えたら落とし所を模索した方が良いんじゃネーノとか、浜田大先生以前何って仰ってましたっけとかそういう話もありますが(^^)、その辺はスルーしまして今後の政策運営という話を考えますと、まだ2年で2%の達成時期まで半年以上も残っている訳ですからして、こんな所でロジックをひよって落とし所に持って逝くという事は無理としか申し上げようがなく、同様に物価が盛大に落ちでもすれば別ですが、基本的に1%を軽く割れる位でも別に10月展望レポートでシナリオが崩れる訳でも無いのですから、10月緩和とかいうのはまー普通に考えると無いですよねという話になりますという事で。

流れとしては物価が上がってみたものの「こんな筈じゃなかった」という不満が澎湃として沸き起こって、2年で2%を目指す必要は無くて1〜2%位でいいじゃないか的な話が一般ピープルから政治的な動きになってきて外からタオルが飛んでくるという事にならない限り、日銀はQQEのリングで大量緩和のタコ踊りを継続しないといけないという誠にアレな状態が続くものと思われますがどうでしょうかねえ。


○ということで関連で国会ネタサルベージというか久々に会議録鑑賞会

てなわけで国会会議録検索システム
http://kokkai.ndl.go.jp/

こちらの詳細検索というのをクリックして、真ん中の辺りにある発言者検索に「岩田規久男」と入力しますと師匠の国会での答弁がサルベージできます。

で、就任前の所信聴取祭りが

183 参議院 議院運営委員会 13号 平成25年03月12日
183 衆議院 議院運営委員会 12号 平成25年03月05日

ということで、第183回通常国会の議員運営会で行われたのですが(中曽さんとセット)、まずは3月5日の衆議院議員運営委員会から。

衆議院のサイトからも検索できて、こちらからですと会議録に直リンもできます(というか上記の会議録検索システムでも直リンできた筈なのだが久々なのでやり方忘れました)。なお参議院のサイトですと過去30日分は参議院のサイトから検索できるのですが、その前については会議録検索システムで見ろという仕様になっています。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/002018320130305012.htm
第12号 平成25年3月5日(火曜日)

会議録検索システムの検索結果だと発言順に発言者と番号が振ってあるのでそちらから見る方が吉なのですが、発言番号で言いますと20番目からがアレ。

・忘れたとは言わせませんよ!!!!!

『○津村委員 はい。失礼いたしました。二%ということを先ほどおっしゃられていましたが、岩田さんは、全責任を負う、マンデートだ、それを市場が信頼するからこそインフレ期待が上がるんだ、それについては現行の日銀法では不十分ということをおっしゃいましたが、これから中央銀行のトップ、副総裁につかれるとなれば、運用で、自分はこうやるんだ、全責任を負うんだということを明確にされることで、ある意味では、岩田さんのおっしゃる今の法の不備といいますか、そこを補っていかれるということだと思います。そこで、お伺いしたいんです。 一つは、二年とおっしゃるのは、この就任の三月から二年後、つまり再来年の春ということでよろしいかというのが一点。それから、もう一つは、全責任を負って市場の信頼をかち取るということですから、それが達成できなかった場合の責任の所在ということははっきりとさせていかなければいけないと思いますが、それは、職を賭すということですか。』

『○岩田参考人 それは当然、就任して最初からの二年でございますが、それを達成できないというのは、やはり責任が自分たちにあるというふうに思いますので、その責任のとり方、一番どれがいいのかはちょっとわかりませんけれども、やはり、最高の責任のとり方は、辞職するということだというふうに認識はしております。』

(;∀;)イイハナシダナー

『○津村委員 二年間というのは、二年後の春、つまり、二〇一五年の春の消費者物価の上昇率二%ということを目標とされる、そして、最高の責任のとり方としては、職をかけるということでよろしいですね。』

津村さん念押しキタコレ!

『○岩田参考人 それで結構でございます。』

(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー

・・・・・・・まあ何ですな、参考人の所信聴取ですから別に嘘こいたから偽証とかいう話にはならないですけれども、国会でこれだけの大口を叩いたのを無かった事にするというのはつまり国民に対して大嘘をついて日銀副総裁にご就任された、というとんでもない話になりますので、こちらにありますように来年の春に消費者物価指数が2%に達していなかったら当然のごとく責任を取って頂くという事でちゃんと落とし前をつけて頂くようにお願い致します。


・なお「消費増税ガー」などという泣き言は不可ですので念の為

津村さんの質疑が続きますがその先の阪口直人委員による質疑ではこのような説明がががが。

発言番号の29からです。

『○阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。日本維新の会は、改革をとにかく前に進めていく、そして地方の自立を実現していく、そういった基本的な考え、哲学を持っておりますので、本日は、そういった考えに立って質問させていただきたいと思います。さて、特殊法人や霞が関の改革が、スピード感があるかどうかは別として、ある程度進んでくる中で、日銀の組織、これはなかなか進んでいかないということが言われておりますが、日銀の組織の評価と、そして、その改革のあり方について、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。』

なんじゃこの質問はという所ですが師匠の答弁が実に素敵。

『○岩田参考人 私が一番懸念しているのは、どうも日本銀行が、物価の安定あるいは一%とか二%とかそういうインフレ目標達成を金融政策だけではなかなかできないという立場に立っている。やはり、世界のインフレ目標国のように、物価の安定は責任を持って日銀がやるんだ、中央銀行がやるんだ、そういうような考えをもう少し持っていただきたいというふうに思っておりますので、それが組織上の問題でそうなっているのかどうかよくわかりませんが、私、そういうふうな考え方も、もう少し柔軟になってほしいなという気持ちは持っております。』

ということですので、当然ながら師匠におかれましては来年の春に2%達成できなかった場合には言い訳も泣き言も無く、最高の責任を取って頂けるものと期待しております。いやもちろんアタクシとしては来年の春に2%達成している事を期待しておりますのでそのような事態が起きないように心の底から祈念申し上げておりますけれどもね(棒読み)。


『○阪口委員 岩田候補の、とにかく、そのときの経済や政府の政策のせいにはせず、日銀の責任で二%を達成する、この覚悟、これは大変にすばらしいものだと思います。また、先ほど、それが二年という期間内に達成されなかった場合には責任を負うんだと。このことも、ある意味、きょうは、市場を動かす上での大きな御発言であったかと思います。(以下割愛)』

いやあここでも念を押されていて実に素敵ですが、良く良く考えたら「そのときの経済や政府の政策のせいにはせず」といか「二年という期間内に達成されなかった場合には責任を負うんだと」とか勿論賞賛して話をしているのですが、良く良く考えると中々こうオソロシスな賞賛ですな、うんうん。



・出口政策の話をしているのですが・・・・・・・・・・・・・

さっきの津村さんの質疑の続き。

『○津村委員 私は、失敗してほしいと思っているわけではありません。ぜひ、二年間で頑張っていただきたい。しかし、任期は五年ございます。そうしますと、二年後に目標を達成した残り三年間、ここも大事な職責があるわけで、いわゆる出口戦略について、中央銀行のトップの方はしっかりとシナリオを描いていただきたい。大変大きな国債残高が積み上がって、しかも、長期のものを買おうとおっしゃっているわけですから、なかなかそれを売却するのは難しいと思います。そういう意味では、副総裁候補は、日銀の自己資本はマイナスになってもいいという御発言までされていますけれども、出口戦略について具体的なシナリオをお持ちですか。』

ここで委員長から時間が無いので早くしてというのが入りますがそこは飛ばします。

『○岩田参考人 はい。出口戦略をするためには、国債を、まず売りオペをするというよりも、日銀当座預金の付利を引き上げていって銀行の信用創造を少し抑えるというのが最初の常道だというふうに思っています。それからもう一つ、金融システムの安定化をさせるためにこそ、銀行等にはもう少しデュレーションを短いものにしていただきたい。三年ぐらいまでにしていただきたい。そのためにこそ日本銀行は長期国債を買う、そのかわり短期の国債を民間には持っていただく。そのことをうまく進めるためには、やはり物価連動債を、これはインフレヘッジになりますので、ぜひ発行を再開していただきたい。そうすれば、投資家はインフレヘッジのできる国債を持つということになって、金融システムは安定しますので、出口戦略が非常にやりやすくなるというふうに思っております。』

これ発言がベンダーで出た時も「ナンジャソラ」の声が飛び交っておりましたが、銀行の信用創造がどうのこうのという話(これ全部読むとまあその手の話があるのですが)ということはつまり異次元緩和をすると銀行は自動的に信用創造が拡大という理屈になっているようでして誠にオモシロスと思いますし、物価連動国債を銀行が購入してインフレヘッジって話も(発言が出た時にもツッコミを入れたと思いますが)そもそも論として銀行は負債がインフレ連動している訳ではないですので、そらまあBEIが割安とか儲かるからというような理由で買う事はありますけれども、別にALM的に物価連動国債を買う必要ってない(負債が基本的に預金なのでインフレリスクは無いようなもんだわ)ですし、株も持っていますから別に物国そのものをヘッジで買う必然性ないですし、それで金融システムが安定して出口戦略がやりやすくなるとか中々意味不明で実に心が温まるものを感じます。


#なお、参議院での所信聴取に関しては金融緩和を盛大に行うとどうやって効果があるのかという説明が実に味わいが深いのでまた後日というかネタが無かったら来週月曜にでも(^^)今日は時間切れですすいません

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2014/08/20

○銀行に預貸率目標だと??

まあ既にご案内のネタですがメモとして置いておく。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF1800T_Y4A810C1EE8000/
銀行に預貸率目標、自民内で浮上 規制論に戸惑いの声も
2014/8/18 20:30

もう何を言ってるんだかというか、そんなに銀行の預貸バランス改善(貸出が増えるのが改善というのかは知らんが)させたいなら、預金がアホのように増える要因、すなわち政府部門の資金不足の絶賛拡大の方を何とかしてから話をしろと申し上げたい訳で、国債等の発行残高を盛大に減らして頂ければ黙っていても銀行の預貸バランスは改善するんでちゅけどねえと思う次第。まあおまいらのザル財政のケツを銀行に持ってくるんじゃねえとしか。

まあ以前の場合は不良債権処理の資本制約を解消するために公的資金突っ込んだんだからその趣旨を鑑みて不良債権処理だけじゃなくて前向きな貸出をしやがれというのは理屈としては無い訳でも無かったとは思いますが、公的資金も返済しておりますし、そもそも民間の資金余剰の原因は政府部門の財政赤字垂れ流し状態によるものなのですけどという事で、今回の目標という話は賃上げ要請的なサムシングを感じる訳で、色々と出てくる要請とか株式市場に対しての一連のアレとかも含めますとどこの満sy(以下の記述は内務省検閲により削除されました^^)。

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2014/08/18

・追加緩和ネタがそろそろ復活と思えば

まあニュースベンダーもネタなしで困っているんでしょうけど。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NABWLR6K50XU01.html
日銀が14年度成長率を下方修正へ、4回連続−追加緩和の公算も (1)
更新日時: 2014/08/15 14:12 JST

『8月15日(ブルームバーグ):日本銀行は2014年度の実質国内総生産(GDP)見通しを4回連続で下方修正する可能性が浮上している。期待していた輸出の回復が遅れていることで、消費税率引き上げ後の個人消費の落ち込みをカバーできず、4−6月の実質成長率が大幅に落ち込んだことが背景にある。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)

ついこの前のブルームバーグが出しているBOJウォッチャー(とも思えないのが結構混入しているけど)サーベイですと追加緩和なしが遂に最多とかになっていましたが、足元のハードデータが弱いので早速こういう流れ来ましたかと思ったのですが、何ぼ何でも「関係者への取材」という記事の中にいる「関係者」がどう見ても市場の関係者しかいないという記事って何ですねんと思ったらこの記事の英語版のヘッドラインは『BOJ Officilals Said・・・・』ってなっていたのにはワロタです。

まあ何ですな、経済データに関してはここから7−9月期に持ち直すという話になっていますし、大体からして7−9自体は4−6が弱いから下駄もあって前期比で見たらまあそこそこの数字になるでしょうという事で、そういう中で中々追加緩和というのって難しいでしょうし、大体からして消費税増税の影響で追加緩和とかしたら再増税は何で行うのですかという話になるでしょうから、まー普通に考えると意地でも追加は出来なくて、多分追加緩和自体は難しいと思うのですよね。ただまあ一方でこういうネタがそろそろまた出てくるとなりますと、ここから10月に向けて追加緩和クレクレ隊が息を吹き返すかも知れませんねと思ったのでメモメモ。


・まあその消費増税ですが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140814-00007249-wsj-int
増税は消費者に「大きな打撃」=浜田内閣官房参与
ウォール・ストリート・ジャーナル 8月14日(木)10時2分配信

この前は安倍ちゃんどこぞの先生と焼肉をご会食されておられましたが、浜田先生もこのような話になっていて、いやあの財政散々吹かして消費税引き上げ前の駆け込み需要で大いに持ち上がった部分の話は金融緩和の効果で反動減は消費税増税ガーとか、かつて麿日銀時代には悪いのは全部金融政策のせいになっていた麿批判の真逆やってるだけじゃないですかと小一時間問い詰めたい所ではあるのですが、まあ消費税増税の影響ガーの話がこうホイホイと出てくる中で安倍ちゃんどうするんでしょうなあというのが若干気にはなっている所。

ま、普通に考えると再増税をやらない訳にも行かないのでしょうけれども、徐々にまた怪しげな雰囲気を漂わせつつあるということで、さっきの追加緩和クレクレも含めまして気になる所なのでメモメモ。

しかしまあ何ですな、

http://diamond.jp/articles/-/30804?page=6
浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」
【第15回】 2013年1月20日

『その意味では、雇用されている人々が、実質賃金の面では少しずつ我慢し、失業者を減らして、それが生産のパイを増やす。それが安定的な景気回復につながり、国民生活が全体的に豊かになるというのが、リフレ政策と言えます。』(上記URLより)

消費税増税して法人減税とかは行っている訳ですから、そういう意味では「雇用されている人々が実質賃金の面では少しずつ我慢」というのって物価上昇も含めて今まさに進行している話なのですけれども、実際にやってみたら「増税は消費者に大きな打撃」っていやあのその先生「実験してみたら想定の効果が出ませんでしたねえ」と今更言われましても困るんですけど・・・・・・・・・・

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2014/08/08

○夏休みお勉強ネタで間違いさがし2題ほど(ただのヒマ(暇ではないが)ネタ)

まずはロイターより。
http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0G705420140807
日銀固定金利オペ応札が増加、短国からシフトする銀行に別の思惑も
2014年 08月 7日 11:56 JST

中々こう腹筋の崩壊を禁じ得ない記事で、こういう記事にうっかりコメントを採用される何とかストの方もいい迷惑にも程があると存じますが、さてどこが変でしょう?????

(考慮時間1分^^)


・・・・・・・・まあ幾つかツッコミ所がありますが、最大のツッコミ所は冒頭部分という出落ちなところがもう何なんでしょという所です。

『[東京 7日 ロイター] - 札割れが多発していた日銀の固定金利方式の資金供給オペ(金融市場調節、固定金利オペ)で、応札が増え始めるという「珍現象」が起き、7月末のオペでは札割れを回避した。背景には、超人気の短期国債運用から固定金利オペに金融機関が資金をシフトさせている事情があるようだ。』(上記URLより)

>超人気の短期国債運用から固定金利オペに金融機関が資金をシフト

・・・・・・・・・・・・・・・・えーっとすいません。短期国債は運用ですけれども固定金利オペは「資金調達」になるのですが固定金利オペにどうやって資金をシフトするのでしょうかと小一時間問い詰めたい訳で、生兵法は怪我の元とはよく言ったものです(と言ってるアタクシも生兵法で良く細かい怪我はしておりますので他山の石と致しますが)。


続きまして久しぶりに産経電波浴シリーズで某ヨーイチ先生。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140807/dms1408070830010-n1.htm(1ページ)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140807/dms1408070830010-n2.htm(2ページ)
マクロ経済学の重鎮が「学部レベル」の誤り 実態とは真逆の論を説く不思議 (1/2ページ)
2014.08.07

まあ何ですな、前半のページで批判している「国債購入して民間から資金を吸い上げという理屈がおかしいだろ」というのは仰せのとおり(国債購入して当座預金が増えても貸出が碌に伸びない、というのは要するに日銀の買入が「単なる両建て化」しているだけだという指摘をするのなら意味はあるけれども、「資金を吸い上げ」というのは明らかに間違いで、資金供給オペでクラウディングアウトは起きませんわな、なお更に追加するとヨーイチ先生時々人の批判する時に恣意的な切り取りの仕方をする場合があってあたしゃ元文書読んでないので実際の所がどうなのか知らんのだが)でございますが、威勢よく一刀両断しに行ったら振り下ろした刀で自分の足を思いっきり斬っているのが誠に見事なヨーイチ先生本領発揮の芸風であります。

さてどこで自分の足に斬り付けてしまっているでしょうか??????

(考慮時間3分^^)


・・・・・えーっとですな、

『日銀が民間金融機関から国債を購入し、民間金融機関の日銀預け金が増え、それが家計や企業の預金増になるというのは金融論のイロハだ。』(上記URLの2ページ目の部分の方の中段辺り)

という説明が刀の振り過ぎで自分の足を思いっきり斬っているというチャーミングな所でして、日本銀行と民間金融機関の取引と、民間金融機関と民間の非金融機関における取引は別の次元の話になりまして、日銀当座預金の増減と民間金融機関の預金増減は基本的に独立事象な訳ですよね。

何度か説明してますが折角ですので(暇ですので、ではありませんよ!キリッ)もうちょっと詳しく説明しますと、どこぞの銀行が融資先に融資をします、という時にどのような現象が起きるかと言いますと、その銀行は自分の所のバランスシート上で資産勘定に貸出金を立てて、負債勘定に預金(普通の企業だと預金は資産だが銀行からしたら預り金なので負債ですな)が立つのですが、この時に日銀当座預金勘定の増減は発生しません。つまり日銀と関係なく個別金融機関のバランスシートが拡大するのかどうかというのが預金貸出金の増減に反映されるのですな。

#ですから「超過準備を貸出に回せ」という話はそもそも話の筋がおかしいという事です

ではその預金を企業が使ったらどうなりますねんという話ですが、これまた以前から何度も説明しておりますように、企業が使うにしても結局回りまわって結局どこかの人の預金口座に入ってきますので、金融機関間でのデコボコはあるかもしれませんが、金融機関全体という意味で見た場合には金融機関同士での資金の入り繰りはあっても全体の総額は同じという話になるんですよね。

なお念のため申し上げますが、貸出が伸びて預金が伸びてという事になると、恐らくは銀行券の需要が高まると思われますので、その分だけ民間金融機関の対日銀ベースでの資金不足が生じる(ワタクシらのケースを考えればよろしい訳だが、現金を引き出せば預金残高が減るのと同様で、預金者が預金から現金を引き出してくると金融機関は日銀当座預金を取り崩して現金を調達するニーズが起きるので日銀当座預金残高減少要因になる)でしょうし、預金が金融機関全体で拡大すると所要準備預金が拡大するのでその分だけ対日銀での資金需要が高まるというのもありますので、「中長期的に事後的に見て」金融機関の預貸金が増えた場合に中央銀行の資金供給が拡大せざるを得なくなるという話はあるのですが、ヨーイチ先生の仰っているのはヨーイチ先生一派がお得意とする「因果関係をひっくり返す攻撃」の典型の説明ですな。

ということで、「金融論のイロハ」と仰せのようですが、まさかとは思いますがその「金融論」とはヨーイチ大大大先生様の想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか???????

#つい見つけてしまったので思わず久々にしょうもないクイズネタになってしまいましたとさ

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2014/08/06

○決定会合プレビュー雑談

という程の事でも無いですけどね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N9T82M6LUTXG01.html
日銀「追加緩和なし」最多に、想定外の悪化で緩和期待復活も
更新日時: 2014/08/05 17:21 JST 

『8月5日(ブルームバーグ):物価情勢がおおむね日本銀行の想定通りに推移していることを受けて、追加緩和の予想時期について「追加緩和なし」が初めて最多回答となった。もっとも、消費増税の落ち込みが想定以上に大きいとの見方が強まり始めており、今後の展開次第では再び追加緩和予想が前倒しされる可能性もある。』(上記URLより)

との事で、やっと追加緩和なしが最多回答になったとはこれはまた随分とビハインド・ザ・カーブ(多分誤用)ですねと誠に心温まるものを禁じ得ない訳でございますが、従来より日銀が何度も説明しているように、まあ今の所は「暫くの間」物価が1%台前半での推移になるという話になっておりますので、そうなりますと7−9で明確な落ち込みでもしない限りは10月末の展望レポートでも「標準シナリオ通りに推移していて物価安定目標の達成に向けて着実に進展」と突っ張り続けるのは明らかですし、最近はちゃっかり2%到達時期を「2015年度を中心とする時期」と後ずれさせておりまして、それで2%の物価安定目標はQQE導入から2年で達成していますか大丈夫ですか出来なかったら辞任する置物副総裁首洗って待ってますか命乞いの準備は出来てますかという所ではあるのですが、まあ何はともあれそういう説明をしている以上は「日銀のスタンス的に見た場合に」追加緩和は無いでしょうし、大体からしてさっき色々と計算したように現在のQQEでのMB拡大ペースだって来年維持するのはかなり無理筋な訳でして、追加緩和ゆうても何をやれちゅうねんという話ではある訳ですな。

・・・・・・・・・・・という状況の中で追加緩和予想というのも何ですねんとは思いますが、逆に今更転向しておられている向きというのもナンジャソラと思う訳で、上記URL先の記事にもありますように、消費増税の影響、というよりもあたしゃ増税だけではなくて税や社会保障負担とかその他の手当てみたいなのの変更に伴う財政面と、石田審議委員が説明していた帰属家賃除く総合物価指数がやや大きく上昇しているという面による実質可処分所得の低下の影響じゃネーノと思うのですが、駆け込みからの戻りが実は弱いですねというような話になって来ている中で何で転向するのよと思う訳ですけどどうなんでしょうかねえ。

つーかブルームバーグのサーベイのアンケート先の名前が上記URL記事にあるのですが、人数集めりゃ良いってもんじゃねえだろと(以下禿しく自主規制)。

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2014/07/18

○毎度の市場ネタ

・3M入札は先週のアレをもう少しマイルド(?)に

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140717.htm

(3)募入最低価格 99円99銭3厘5毛 (募入最高利回り) (0.0263%)
(4)募入最低価格における案分比率 98.5333%
(5)募入平均価格 99円99銭4厘9毛 (募入平均利回り) (0.0206%)

ということで今回の短国入札も流れましたが先週の盛大な流れ方よりはマイルドという結果でしたが、入札前の動きも先週よりはマイルドとなっていまして(^^)、前場はまたまた気配を強くしていって2bpビット位から最終的には1bp前半のオファービットという気配で前場を終了させるという展開。さすがにゼロは入札前につかなくてホッと一息という所。

でまあ落札結果は上記のとおりでアベレージで2bp乗せとなっていて足切りは2.6bpとなっていまして前場の気配からまた流れるの巻となりまして2週連続で同じ(今回の方がマイルドですが)動きになるとかワロタという結果ではあるのですが、先週の3M新発は入札前がアレでしたが落札結果自体は平均は兎も角足切りが3bpに届いておりましたので、足切り的に言えば先週の入札より強い(というか先週の入札の後に結局2bp台に押し戻されたので目線が定まったというのが正しいのでしょうが)結果になっておりまして、着実に無慈悲な日銀の買入が効いているという事ですなorzorz

でまあこうやって2回連続で入札前の気配強い→入札が流れてまあそこそこ普通の所まで行く、というのが発生すると次回かその次あたりになると楽勝気分で普通の気配から普通の入札をやろうという流れになるのが市場ちゃんの仕様なのですが、その時が一番危ない訳でございまして、また闇討ち攻撃で入札を上で切るパワープレイが炸裂する恐れがあるので注意注意という所でございます(^^)。


・固定金利オペは微妙に残高を落としています

昨日のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140717.htm
国債買入(残存期間5年超10年以下) 12,203 4,010 -0.004 -0.003 48.6
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,990 1,009 -0.003 -0.002 97.0
国債買入(残存期間25年超) 1,515 302 -0.015 -0.012 5.2
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(7月22日スタート分) 3,991 3,991

今回の固定金利オペの折り返し元は実は2本の足があって、その2本を合わせて6151億円となっていまして、良く良く考えたら前回のオファー額を継承するならオファー1.6兆円という手も無くは無いのですが、まあ落ちが6151億円しか無いのに1.6兆もオファーしてもシャーナイナイだから普通に8000億円でオファー打って来たんでしょうかね。

んでもって今回は2000億円ちょいロールで残高落ちておりまして、まあこの金利の状況ですし、貸出増加支援オペもありますしという事で固定金利オペのニーズが伸びるという事も無いでしょうからこちらの残高落ちる→短国買入に負担という流れは続くのでしょうが、固定金利オペの歩留まりが短国買入必要残高にモロに効いてきますから段々気になってくるところではありまする。


・一方で東京レポレートはと言いますと・・・・・・・・

東京レポレートである。
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html

こちらを見ますと昨日のT/N取引のGCレートは前日、前々日の4bp台からいきなりジャンプして8.4bpと華麗に上昇しておりますが、17日のT/Nとなりますと取り組み日が22日の翌日物でありまして、1年TBと3MTBの新発発行日となる訳ですが、そこの部分での在庫はそこそこあるからレートは上昇する、とまあそういう話ですな。

・・・・・・・でまあそれはそれで短国発行日にGCレポレートが上昇するのは普通のプレイではあるのですけれども、良く良く考えてみますと一方で短国の入札の落札金利は1年短国が華麗に1bp台だわ3M短国も落ち着いたとは言え足切りが3bp割れだわという展開になっている訳ですよね。

短国の投資家の引き合いが物凄く多くてプライマリー段階で売れ売れで瞬間蒸発!というような市場の地合いの場合って基本的に入札も強くなりますが、発行日時点で売れ売れなので短国の在庫も軽くなっていてGCレポとか現先レートとかは上がりにくくなるとかそういう展開になる訳でございまして、一方で足元でこの現象とは何ぞやと考えますと、市場の需給に対する超巨大要因がオペになってしまっている(オペの場合は金曜にオファーが入るので発行日当日の受渡しにはならんので発行日は受渡しベースで在庫のまま)という事を示す訳でございまして、ここが年度末要因などによる買いで強くなっていた時と話が違う所だと思うのよね(6月末は現先やレポの金利も盛大に低下した)。

まあつまり日銀無慈悲な買入で短期市場が火の海といういつものフレーズを言いたいだけですが(−−)。


・そういえば短国買入の残高ですけれども・・・・・・・・・・

先日は日銀の旬報の方から数字を拾って話をしておりまして、まあそれはそれで日銀のバランスシート残高という意味では合っているのですが、短国買入という意味になりますと若干違ってくるというのを華麗にスルーした書き方になっていたので再度。

6月30日の営業毎旬報告
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2014/ac140630.htm/

別表1にある短国残高は
『国庫短期証券 45,281,968,924』
ですな。

6月30日現在の日銀短国買入銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/tmei.htm/

ここから銘柄別の額面残高をDLしてきて額面(短国なのでまあ額面と時価はそんなに変わらん)残高を合計すると33兆9800億円となっておりまして、11兆円少々の差が生じております。

ではその11兆円とは何ぞやという話ですが・・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel131224a.htm/

『平成26年度中に償還期限の到来する本行保有国債(以下「償還期限到来国債」という。)の借換えのための引受け(以下「借換引受け」という。)にかかる取扱いについて、「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日決定)2.の規定に基づき、償還期限到来国債のうち、利付国債額面総額11兆1,000億円について、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。』

ということで、これは償還乗換分が乗っかっておりまして、つまり日銀のバランスシート的な計算だと多分短国の買入は50兆円程度まで持って行くことになるのでしょうが、うち11兆円程度は償還乗換の部分になるので実際は年末までの買入必要残高は40兆円弱になるのでした(大汗)。

でまあその40兆円って何ぞやと言いますと短国の市中発行額が大体130兆円(5.7兆×13+3.5兆×6+2.5兆×12+2.5兆×2)になりますので、そのうち3分の1近くを日銀が盛大にご購入遊ばされるという事ですのでそらまあ需給が逼迫する罠というのは同じなのですが、

なお、昨年度の償還乗換と比較しますと
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130129c.htm/

昨年度の償還乗換が11.7兆円でして、今年度は6000億円落ちますが、落ちた分というのは日銀のバランスと政府預金が相殺される形になるので、MB的に言えば中立になるのですが、政府預金の残高がそこで純減になるのか、その分の穴埋めに国債等が充当されるのかで話が違ってきて、償還乗換分の償還が財政揚げ要因に化けると市中の資金需給的には資金不足要因になるので、MB積み上げ上は短国買入をせっせと実施しないといけないという計算になりますが、まあ6000億円ですし、さっきの引用した部分からすると差分が11兆3000億円となっていて、ここから償還乗換要因でバランスシートから落ちるのは2000億円になりますからまあ誤差範囲内なのでネグってもよさそうですな、うんうん。


○短期オペ関連雑考の思考メモという雑談ですが

ということでまあ今月に入りまして短国レートがホイホイ暴れるようになっておりますが、まあ良く良く考えますとMB積み上げにおいて当座預金残高の推移を見ると大体分かりますように、前月末対比での当座預金残高をあまり落とさないようにして、できれば積むようにしながらという運営をしているように見えますよね。

でまあそれ自体はディレクティブの方で『マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。』と書いてあるので、あまり前月対比で減らすのは宜しくないとか、そもそもMBの数値自体が毎月(というか毎日ですが)公表されていますので、その額が減ると「緩和の後退」だの「日銀版テーパリング」だの言いだしそうな人たちが沢山いるのでMBを前月比で明確に落とすのはマズーという事なんだと思います。

という事情は事情で分かるのですが、一方で日本の場合は財政要因の振れがタダでなくさえ大きくなっていて、四半期とか半期で見た場合の入り繰り(中長期国債の発行が毎月なのに償還が四半期とか、年金の定時払いが偶数月のみとか)が大きいので、その入り繰り部分を短国買入で調節するという謎プレイが結果的に炸裂せざるを得なくなっておりまして、短国流通市場の需給を必要以上にぶらせる結果となってしまっていますな。

#通常のトン調節をしている分には別に問題ないし、大体からしてその辺の短期的な需給を均すのは買切ではなくて通常の共担オペのような方式になるから、そちらはレギュラーな話

まあ年内までのディレクティブについては今更動かす訳にも行かないから当面はこの調子になってしまうのは致し方ないにしましても、12月以降の調節運営に関しましては(2%付いていたら話は全然別なのですがそれはさておき^^)やはりオペレーション運営上の事を考えますと、マネタリーベースでの運営を行うにしても、ストックベースの残高での運営するなら「月ごと」の数値ではなくて四半期とか半期ベースでの数値を気にするようにするとか、そもそもストックの話はしないでフローの長期国債買入額をベースにするのが良いんじゃないかと愚考する次第。

例えば「長期国債買入を月間7兆円のペースで実施で他の残高は維持(短国については40兆円の
買入残高をベースで維持されても厳しいので減らした方が本当は良いのですが)」とやって、特に先の数値目処とかを出さない方がオペレーション上はだいぶ運営が楽になりますし、一々償還から逆算して買入額を計算してとかややこしい事を考えなくて良いですし・・・・と思う次第で、QQEの時はまあエイヤーで実施したから仕方ない部分はあるにせよ、オペレーションのフィージビリティーを碌すっぽ検討しないでヤケクソで打ち込んだQQE政策のオペレーショナルな問題が噴出してきたという所ではないかと思いまする。

なお、短国金利がマイナスに突っ込んでも良いじゃないか市場だもの、という意見もあろうかとは存じますが、それこそ先週の短国入札でも示されましたように、名目ゼロ金利の所には色々な観点からの「越えられない壁」というものがありまして、そこの壁をぶち破りますとその瞬間から制度的な問題とかその辺りに波及してくる可能性が(直ぐに問題が起きるとは言ってないので念の為)ありまして、その手の影響って意外に問題になる可能性もありますので、まあもうちょっと短期オペへの負担についてはフィージブルな対応をして運営して頂きたい物ではあると思うのであります。

今決まっている部分について変更するのは難しい、というか変に変更すると間違ったメッセージを与える可能性があるので現状のまま突っ走るしかないのですが、年末以降もどうせ何らかの形でそれなりの規模の資産買入が維持される(目標行きませんゴメンナサイだと継続どころか更に拡大かも知れず・・・・・)訳ですし、その際に今のパターンのオープンエンドは如何にも無茶というか長短オペのバランスがおかしいので、別に今直ぐにどうこうという訳ではありませんが、年末まで放置プレイという事の無いように願いたいものであります。


#金融経済月報ネタがスルーになってしまいましたすいませんすいません

#しかもネタが完全にマニア向け雑談になってしまって普通の長期債主戦場の方にもポカーンですよねすいませんすいません

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2014/07/17

○毎度の市場雑談メモ

・1年TB入札ェ・・・・・・・・・・

昨日の1年TB入札ですが、朝イチの時点でゼロ%オファーの3bpビットとかもはや何が何だかワカランチ会長の状況下でありましたがその結果。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140716.htm

(3)募入最低価格 99円98銭5厘 (募入最高利回り)(0.0150%)
(4)募入最低価格における案分比率 89.6209%
(5)募入平均価格 99円98銭5厘 (募入平均利回り)(0.0150%)

・・・・・・・・・おーのーという所ですが、今回もまたまた強いところで切れてしまった入札で、落札結果出た後にまたまたショートカバーでゼロ%の出合いとかやっておりまして、更におーのーという展開。市場推計の落札分布によりますといわゆる不明玉が発行額2.5兆のうち2.3兆とかになっていまして、そらショートカバーしないといけない人が出るわなという展開。なお本日の当銘柄の引けは1.6bpとなっておりましたようで。

しかしまあ何ですな、これって前週の6Mと同じような展開で、派手に強い所で落札をしたとしても足元では日銀が短国買入を更に派手派手に実施していますし、しかも日銀の短国買入の打ち方が露骨に年末越え残高を稼ごうという動きになって居ます(だから先週は無慈悲に3兆円オファーとかしてる訳で)ので、少々強い所で落札してもその週の短国買入の額がでかくなることが期待されるので日銀に打ち込み出来るでしょというオペディール状態になっているのが誠に遺憾の極みという所ですな。

でまあそのオペ関連の動き(年末越え銘柄の入札が上で切れるのも含め)でその度に一々市場が荒れてイールドがその度にすっ飛ぶとか実に迷惑この上ないので、この際ヤケクソで年末までの1年と6M入札は全額日銀引受してくれよと言いたくなってしまいます(ちなみに1年が2.5兆で6Mが3.5兆なので例えば6か月間それをやると年末に短国残高を50兆円程度になると考えた場合その予算(?)を7割ほど充当できるのですが^^)にゃあ・・・・・ってもちろん本気で言ってるのではなくギャグですので念の為お間違えの無いように(^^)。

なお次のネタに重なりますが、固定金利オペの残高も微妙にではありますが落ちていまして、昨日はその共通担保オペ結果を見てとりあえず明日の短国買入3兆は確定で、へたしたら来週の短国買入も超無慈悲に3兆の惧れがアリエールという懸念も浮上という所だと思うのですがどうですかね。

そして本日は3Mの入札があるのですがもう何だか知らんわ(ヤケクソ)。


・シグナルオペのロール来ました

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140716.htm
CP等買入 4,000 2014年7月22日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2014年7月18日 2014年10月28日

ということで2兆円とかでオファーが入るのは昔のシグナルオペのロールがこの前3カ月物で打ち込まれておりまして、その足が来たのでロールが来ましたという展開です。


オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140716.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(7月18日スタート分) 11,711 11,711
CP等買入 9,563 3,335 0.090 0.092 53.5

18日に足が来るオペの折り返し前の額は15180億円でして、今回は3500億円程残高が落ちている格好になっており、その分は日銀のバランスシートが落ち、当座預金残高が落ちる要因になりますので、その分を埋めに行こうとすると必然的に短国買入で埋め合わせをしないといけないという事になります。

一方で短国市場がご案内の通りのあばばばばーな状況になっておりまして、更に短国市場にストレス掛けてどうするねんという所なのですが、もうちょっと先でネタにしますが一昨日の総裁会見で短国市場の質問も出ていましたが「一時的な現象(キリッ)」「金利低下は政策効果の現れ(キリッ)」と市場機能論とか副作用論とか知らんがなという大変に素敵な説明になっておりますので、短国市場への皺寄せは今日も逝くという所ですなナムナム。

まあこの位は落ちるだろうという感じだったと思いますのでサプライズという事でも無いのですけれども一応メモメモ。今月はあと2回シグナルオペの足があって、あと8月1日にも足があるので、オファーベースではシグナルのロールが3本となる筈です。


・業態別当座預金残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/cabs.htm/

こちらからDLしますと数値が拾えますが、6月はどどーんと当座預金残高の積み上げが進んでおりまして、大体殆どの業態で当座預金残高が盛大に積み上がっておりますが、証券に関しては積み上がっていませんなあ、と申しましても証券の場合はそもそもが商品有価証券を持ってその在庫ファイナンスをするという業態の性格上バランスシートを積み上げるという訳にはいかないからそらそうよという所で、他の人たちほぼ皆さん積み上がっていますかね。

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2014/07/16

まあ政策継続で先行き見通しも強気のままという点では無風でしたけど・・・・・・・

○声明文比較:見通しオントラックという判断で更に表現が強くなる

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140715a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k140613a.pdf(前回)

・現状判断

『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(今回)
『わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。』(前回)

てな訳で総括部分は同じでして・・・・・・・・

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。個人消費や住宅投資は、このところ駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には、雇用・所得環境が改善するもとで底堅く推移している。』(今回)

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。個人消費や住宅投資は、このところ駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には、雇用・所得環境が改善するもとで底堅く推移している。』(前回)

とまあここまでは同じでして、違うのは生産の部分でしてここが引き上げになっています。

『鉱工業生産は、振れを伴いつつも、基調としては緩やかな増加を続けている。企業の業況感は、駆け込み需要の反動の影響がみられているが、総じて良好な水準を維持している。』(今回)
『鉱工業生産は、駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調としては緩やかな増加を続けている。』(前回)

業況感云々の所は短観を受けているので入っている部分ですけれども、駆け込み需要の反動云々の部分が今回生産の所からは外しておりまして強くなっているじゃんという所です。ただまあ今申し上げましたように駆け込み需要云々を業況感の所に入れて強気一辺倒っぽく見せていませんな、うんうん。

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(今回)

『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

つーことで金融環境と物価の話は同じですので、今回の現状判断では生産をしらっと引き上げとなっています。


・先行き見通し:強くなっていますがところで物価の見通しって・・・・・・・・

『先行きのわが国経済については、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。』(前回)

ということで、今回ウヒャーというのは先行きの所で、まあ「展望レポートに示した通りのシナリオで推移」という事ではあるのですが、「駆け込みの反動が次第に和らぐ」とは大きく出やがりましたなとゆー所でありまして、6月分の経済指標では微妙に暗雲垂れこめる物も出ているように見えるのですが、どうも暗雲の方は華麗にスルーしているようで大丈夫かという気もするのですけど・・・・・・・・・・

でですな、まあそれはそれと致しまして、ここの物価の先行き見通しなのですが、「暫くの間」1%台前半で推移という見通しを声明文で出したのが今年の1月でして、この時の会見で総裁はこの「暫くの間」について以下のように説明していた訳ですな。

1月決定会合後の総裁記者会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1401a.pdf

こちらの本文11ページにこのような説明がありましてですなあ・・・・・・・・・・

『1 点目の、「物価安定の目標」に向けて進む道筋です。色々な前提のもとでみると、エネルギー価格などが物価を押し上げていた部分はだんだん減衰していく一方、GDPギャップは少しずつ改善していき、インフレ期待も、少しずつ上がってきており、今後も上がっていくと想定されます。エネルギー価格による押し上げが小さくなるということと、内需を中心に、経済取引全般について需給がタイトになってきて、少しずつ幅広い品目で物価面の改善がみられるということの、両方の面があります。それがちょうど綱引きで、概ね現状程度の1%台前半という水準が、「暫くの間」――これは、半年程度だと思って頂いてよいと思いますが――、続くだろうとみています。』(1月総裁定例会見より)

1月から半年程度ですと7月になると思いますが、ではその後はどのようになるのでしょうか??

『その後は、前者の部分はなくなりますので、後者の部分だけになってきます。さらに、後者の部分についても、潜在成長率を上回る成長が続くわけですので、当然、GDPギャップがずっと改善していきます。そうした中で、物価上昇率が上がり、インフレ期待も上がっていくという形で、物価が上昇していくとみているわけです。その結果として、ここにあるような見通しができているということです。』(1月総裁定例会見より)

という話だったと記憶している訳ですが、この見通しを勘案するとそろそろ物価が上昇しだしてもおかしくはなくて、見通しにもその辺りが反映されているのかとは存じますが、声明文の方は相変わらず『暫くの間、1%台前半で推移』となっている訳で、「暫くの間」の時間軸はどうなっておられるのでしょうかと小一時間問い詰めたい所ではありますし、見通しが後ずれしてるならしてると言わないで日銀文学で華麗にスルーというのがジャパン的な侘び寂びの世界を感じさせるものです(棒読み)。


・リスク要因といつもの文言は同じですな

という事で物価の先行き見通しで「上昇」出すのはいつなんでしょうかねえという点はさて置きまして(しつこい)、以降の部分を比較しますが比較もクソも無く全文一致です。

『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(前回)


『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。』(今回)

『「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。』(前回)

ちなみに(注)は毎度おなじみの木内審議委員の提案ですが、提案内容の「2年間程度の集中対応措置」というのも既にQQE始まって1年以上経過しているのですから表現変えれば良いのにと思うのですけどご検討いただけませんか〜♪



○展望レポート中間レビュー:成長下げで物価が上げとな

『5.4月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率、消費者物価ともに、概ね見通しに沿って推移すると見込まれる。』(今回の声明文より)

ということで中間レビューはまあ予想通り「オントラック」でありました(それにしても再度申し上げますが経済指標が微妙に変なのも出ている筈なのに何じゃこの強さはという所ですけれども)が、声明文本文の後に出てくる(参考)の所で示される見通しは以下の通り。

大勢見通し

2014年度
実質GDP:+0.6〜+1.3<+1.0> 4月見通し+0.8〜+1.3<+1.1>
コアCPI:+1.2〜+1.5<+1.3> 4月見通し+1.0〜+1.5<+1.3>

2015年度
実質GDP:+1.2〜+1.6<+1.5> 4月見通し+1.2〜+1.5<+1.5>
コアCPI:+1.2〜+2.1<+1.9> 4月見通し+1.2〜+2.1<+1.9>

2016年度
実質GDP:+1.0〜+1.5<+1.3> 4月見通し+1.0〜+1.5<+1.3>
コアCPI:+1.3〜+2.3<+2.1> 4月見通し+1.3〜+2.3<+2.1>

という事で2015年度以降の大勢見通しは同じなのですが、2014年度に関しては実質GDPの見通しが下がっていて、コアCPIの見通しはレンジの下が切り上がっておりまして、えーっとすいませんこれって国民厚生的に誰得なんでしょうかという話だと思うのですが、

全員見通しを見ると更に分かりやすい訳で。

2014年度
実質GDP:+0.5〜+1.3 4月見通し+0.5〜+1.4
コアCPI:+1.0〜+1.7 4月見通し+0.9〜+1.7

2015年度
実質GDP:+0.9〜+1.7 4月見通し+1.0〜+1.8
コアCPI:+1.0〜+2.1 4月見通し+0.8〜+2.1

2016年度
実質GDP:+0.7〜+1.6 4月見通し+0.8〜+1.6
コアCPI:+0.9〜+2.3 4月見通し+0.7〜+2.3

ということで、物価と成長のバランスという観点から考えますと、今回の展望レポート中間レビューで示されている見通しというのは(これは政策委員個人個人の見通しを単純に集計したものなので合算して一つのビューみたいな捉え方をするなと言われるところであることは承知の上で申し上げますと)、全体として見た場合に成長見通しが下がり気味になっており、物価見通しは上がり気味になっているという結果になっておりまして、それは経済政策を担う部門が本来目指すべき姿なのかというような話って聞かれませんよねえという風には思います。

勿論今申し上げましたように、これは集計物ですから物価見通しを上げた人と成長見通しを下げた人というのが同一人物ではない(というか同一だと整合性としてどうよというのもありますが)ので、まあ直接的にこの点をツッコんでも集計したら偶々こうなったという話で基調的な部分で全員の見方が成長下げの物価上げになった訳ではありませんからそういう指摘は当たらないと思いますという想定問答が返されるかと思いますが、それでも「成長と物価のバランスというのは気にしなくて良いのでしょうか」という点は気になりますな。

なお、4月展望レポートの見通しによりますと先行きの物価は

『消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)は、暫くの間、1%台前半で推移したあと、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、見通し期間の中盤頃に2%程度に達する可能性が高い。』(4月展望レポート基本的見解の1ページ目にある<概要>より)

とありまして、本年度後半とはつまり10月以降の期間になる筈。そして今回の展望レポート中間レビューでは上記引用の通り「概ね見通しに沿って推移」としておりますので、すなわち見通し的言えば本年10月以降には物価上昇が再加速するという見通しが生きている筈でありまして、その見通しと声明文で相変わらず継続している「暫くの間」という表現の間に差があるように思えるのでございますがさて物価上昇見通しのパスはどうなっておられるのでしょうかねえ。

ってな話に関してはさすがに「2年で2%」の空手形もとい手形の期日が1年を切って参りまして、そろそろ手形がちゃんと落とせるのかが気になってくる中で物価上昇のパスはどうしましたかねえウリャウリャウリャという段々焦げ臭い香りが漂って参りますなあニヤニヤという所です。


○総裁会見関連メモ(詳しくはテキスト出てから):コアCPIの数値部分に話が行き過ぎのような希ガス

詳しくは本日テキストが出るのでそれを読みつつという所ですが、報道にありますように今回は「コアCPIは1%を割らない」という発言が思いっきりキャッチーだった為に、途中からの質疑がコアCPIの数値、しかも先行きの上昇パスの話ではなく目先の上昇鈍化という点に集中してしまいまして、会見としての出来は如何なものかという所だったというのが第一印象。

より重要なのは経済と物価のバランスの良い拡大(上昇)だと思いますし、物価に関しても目先の上昇鈍化の話ではなく、先行きのパスがどうなっているのか、そもそも出していた上昇パスとの差が出ているのかいないのかというような基調的な話の方がポイントではないかと思うのですが、どうもコアCPIが過度に注目されるとか、しかも足元の鈍化で1%割るか割らないかとかいう話で盛り上がるというのもちょっと残念ですな。つーか目標は「2%」なのですから2%行くか行かないかとか、そもそもその2%行く行かないというのをどういう風に判断するのかとか、そっちについてもっと突っ込んで頂きたかったという風に思うのですがどうでしょうかねえ。

ま、詳しくはテキスト見ながら明日。

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2014/07/15

○日銀計数関連メモ

・国債買入残高の旬報

日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/

でまあ例によってこちらから銘柄一覧をDLして6月30日の残高と比較しますと、今回は銘柄数では88銘柄も入っていて一瞬おーと思ったのですが、そもそも今回の期間の輪番って中期ゾーンが2回あって短期ゾーンが1回入っているのですから銘柄がばらけるんでした残念無念。

でまあ買入残高上位銘柄は5年118回(2110億円)、10年334回(2078億円)、10年304回(2000億円)、5年106回(1707億円)、2年341回(1541億円)という所で、毎度のカレント物と残存3年ちょいの5年106回債があるのですが、残存5年ちょいになる304回が入っているのねという所で。7/1の輪番とか10年新発入れにくい回だったからこの時には少し銘柄が分散されたように思えますがどうでしょうかね。なお平均残存は5.7年だと思いますが月ベースで見ないとあまり意味が無い(今回の対象期間に超長期輪番が無かったので)のでまあそういう数字ですという話です。

以上の計算はあたくしが人力でヘコヘコ計算したものですので内容については皆様ご確認を、というかやってる人沢山いると思いますが。


・営業毎旬報告

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2014/ac140710.htm/

たまには数字を見ましょうということで年末の目標値と比較してみる訳ですが。

年末の目標値はこちらの4ページ目にございますな。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf(昨年3月の異次元緩和声明文)

資産サイド

長期国債:目標190兆円、現在169.4兆円
CP:目標2.2兆円、現在2.3兆円
社債:目標3.2兆円、現在3.2兆円
ETF:目標3.5兆円、現在3.0兆円
貸出支援基金:目標18兆円、現在17.9兆円

資産合計:目標290兆円、現在262.9兆円

負債サイド

銀行券:目標90兆円、現在86.3兆円
当座預金:目標175兆円、現在152.9兆円

ということで、ストックベースで見た場合には長期国債がここから20兆円増えるので、当座預金残高も単純計算すると173兆円近辺まで増えるという話になって、MB目標はめでたく行くんじゃないですかという結論にはなってくれるのですけれども、超過準備が増えていく間に短期市場的には資金が更に余って行く訳でして、超過準備を素直に皆様が積んでくれるのか(バランスシート制約が起きないのか)とか、現在11.5兆円の残高がある固定金利オペの残高がこのまま無事に推移してくれるのか(貸出支援基金に振り替わるだけならオペ間の振替になるのでチャラだがここの部分がネットで減ると短国買入に負担が掛かる)とか、まあその辺が気になる所。

でまあ何ですな、ストックベースで言えば短国買入残高はここからそう爆発的には増えない筈という事にはなるのですが、市場の目先の価格形成的にはフローベースの方が恐らく効く(ここの部分は正直評価が難しくて主成分分析とかしても市場の体感的な価格形成とはイメージが違う結論になりそうだが、水準はストックが効いているかも知れんが、目先の価格の上下にはフローが効くという事なのではないかというのがざっくりとしたイメージ)ので、買入残高が累積的に増えてくると(買っているのが主に3か月カレントなので)償還ロールの額も増えてくるというのが実にこう残念な所ではあるなあと思いつつ、そろそろ真面目に年末までの買入フローに置きを適当においてシミュレーションできそうな感じになってきた(今買う3か月カレントは10月償還とかになるので次のロールは年末越え)かなあと思うので気が向いたら真面目に計算するかもしれません。

しかしストックベースという意味で考えますと、ストックが現水準の状態で四半期末要因だの海外要因だので買いがちょっと入るとゼロ近辺に金利が突っかけに行きますし、カレントの3M短国の金利は2〜3bpとかでやっていますしという所でして、超過準備増える中で固定金利オペの需要が更に減るのは見え見えとなりますと、貸出支援が相当伸びてくれないと短国買入のストックを更に増やさないと行けなくなるとかもう勘弁状態になる恐れもあるとゆー中々オソロシスな話ですので、まあ今月来月の固定オペのロール状況も重要ですし、更に波乱材料になりそうなのは超過準備が更に積み上がった後に来る次回の固定オペロール(3M中心にやっているので次のオペエンドの山は10月から11月に来る筈)ですなあという所で。


○決定会合プレビュー雑談

まあ何ですな、今回の決定会合は特段何か出るという事もないでしょうし、展望レポートでは目先の成長見通しを下げてくるけど物価見通しは不変で先行きの見通しは成長も物価も不変という話をしてくるでしょう(ゲタ部分の補正はあるかも知れんが)という事で、それは即ちただのスタグフレーションではないかというツッコミをしたくなりますが、マンデートは物価ですから物価が上がれば成長がダメダメでも良いんですよね(白目)!!!!

・・・・・・・という悪態は兎も角として、展望レポート中間レビューということで最近は何とかストの皆様におかれましては成長とか物価とか雇用とかの先行きに関連するレポートが色々と出ているようでございますが、まあ経済見通しという意味ではなるほどと思いつつも、先行きの金融政策インプリケーションという意味では別の視点もあるんじゃネーカと。

つまりですね、まあ経済物価見通しに関しては色々と見解が分かれる部分で、その辺りはエコノミスト的な見地から色々な見解があると思うのですが、QQEの今後という文脈で考えますと、そもそもQQEの導入自体がまあぶっちゃけ極めて政治的な背景があった訳でして、QQEで示した「2年で2%」の手形(空手形?)の期日が来た所で、まあ明白にダメダメだとアレなのですが、基本的には「失敗でした」とは言いにくいのではないかと思うのですよね。何せ今回はアベノミクス第一の矢とか言われている訳で金融政策コケたらアベノミクスもコケるというリスクがある訳で、従来(というか速水さんの時や麿の時)のように「日銀ケシカラン」で済ませる訳にはいかないという点は留意せんといかんのではと思うのですよね。

つまり、浜田内閣参与の説明じゃないですけれども、「デフレ脱却しているし景気も好調だからいいじゃないかにんげんだもの」(違)攻撃という極めてポリティカルな落とし所が炸裂するという可能性だってある訳で、純粋に経済見通し的な観点での先行き予測ってコアCPIの部分に妙に注目というか力が入り過ぎていて、そこだけフォーカスされている感があるのですが、そもそも物価だってコアCPIのアクチュアルな数字だけ見ていれば良い物でも無い(ただしこれはコアCPIにやたら注目をさせるようなプレゼンをする日銀執行部のせいでもあるが)訳で、何ちゅうかその辺の視点も考える必要があるんじゃネーノとは思うのですよね。

ということで全然プレビュー雑談になっていない雑談でしたとさ(汗)。

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2014/07/11

○短国入札が色々とアレでしたのでメモ

昨日は短国と30年の入札があったのですが、まさかの短国入札大注目になってしまって30年入札も霞む勢いとなったのはオソロシスでありましたが・・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPL4N0PL0T020140710
〔金利マーケットアイ〕3カ月物国庫証券入札、入札前取引で‐0.002%
2014年 07月 10日 11:29 JST

『[東京 10日 ロイター] 〔金利マーケットアイ〕
<11:24> 3カ月物国庫証券入札、入札前取引で‐0.002%
財務省は3カ月物国庫短期証券(465回)入札を実施している。足元の入札前取引(WI)でマイナス0.002%を付けた。落札利回りについて市場では「現状では予想がつかないが、マイナス利回りでの落札もあり得る。入札後に新発債利回りがマイナスを付ける可能性もありそうだ」(短資会社)との見方が出ていた。3日入札の前回の最高落札利回りは0.0461%だった。』(上記URLより)

ということで新発のWI取引は前場引けに向けてやや煽り気味にレートが低下していきまして、11時前についにマイナス0.2bpが出合ってしまいましてヒャッハーとなってベンダーのヘッドラインは出るわで短国3M入札が超大注目状態に。

でまあ前場の引けも結局0%ビットとかになりやがりまして、入札マイナスになるのかどうかという勢いになりつつ市場大注目の12時35分(結果発表時間)に。

落札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140710.htm

(3)募入最低価格 99円99銭2厘0毛 (募入最高利回り)(0.0317%)
(4)募入最低価格における案分比率 18.4767%
(5)募入平均価格 99円99銭5厘4毛 (募入平均利回り)(0.0182%)

ということで、入札結果は3厘4毛と盛大にテールが流れるというお洒落なものになりまして、夢のマイナス金利はお預けになりましたという所で、まあ昨日の新発入札前マイナス金利というのがインパクトあるのでニュースにはなっていますけど、落札結果がこれですので、まだ追い風参考記録的の範囲内という事になるんでしょうな。


ちなみにその後の状況。
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPL4N0PL1MA20140710
〔金利マーケットアイ〕新発3カ月物国庫証券、入札後0.025%で取引
2014年 07月 10日 14:01 JST

『[東京 10日 ロイター]〔金利マーケットアイ〕
<13:58> 新発3カ月物国庫証券、入札後0.025%で取引
新発3カ月物国庫短期証券(465回)は入札後に0.025%で取引されている。午前の入札前取引(WI)でマイナス0.002%を付けるなど、「一時はマイナス利回りでの落札も想定されたが、さすがに低過ぎるレートには需要が付いてこず、足元では0.02%台で落ち着き始めている」(国内金融機関)との指摘がみられた。』(上記URLより)

ということで引値は2.6bpとかになっているようですが、まあ何はともあれマイナス入札とか100円入札とかやらかすのかと盛大に肝が冷えまして精神衛生上誠に宜しくない入札ではありましたですな。

まあ何ですな、そもそも短国マイナスで購入するというのは基本的に経済合理的には意味が無い訳で、ある場合というのは(通常は為替が絡んで)マイナス金利での調達が可能になった時に、その調達分の見合いの運用として円の預金などではなくクレジットリスクフリーの日本国債を買いますというケースだと調達金利よりも運用金利が有利ならワークするのでゼロとかマイナスとかでも間尺に合いますが、それ以外での買いって基本的には経済合理性だけではない場合になるというのは今更の話ですが念の為整理しておきますと・・・・・・・

でまあそんな短国購入ニーズと言えば基本的にはバランスシート要因によるものという事になりまして、良くあるのは期末のバランスシート調整で国債残高の帳尻の為に購入という事で、四半期末になる度に最近は一々短国市場がヒャッハーになるのはその状態。あとは担保要因という奴で、まあ冷静に考えると日銀の超過準備に置いておけば流動性確保は出来ているのですが、担保繰りの関係で担保がショートになってしまって確保しないといけないとか、まあモノとしてのニーズ(空売りのカバーも同様)となる筈で、足元は四半期末を通過したばかりで基本的にその手の「モノとして短期国債をマイナスも辞さずで買うニーズ」はまあ普通に無いと思われる次第。

ただまあ運用だのキャッシュ潰しだのという話になりますと、超過準備付利の外側の人とか、そもそも超過準備残高をバランスシートにそんなに積み上げて良いのかとか、流動性カバレッジ規制などの絡み(広く言えばこの辺の話はバラスシート要因でもありますが)での短国ニーズというのもありますし、まあそんなこんなでニーズがあるから短国金利も付利より下の水準で推移する訳ですが、そうは言いましてもゼロだのマイナスだのという金利になった場合にこの手のニーズは超激減する筈ですので、結局の所海外のニーズ(と業者の在庫確保ニーズ)だけで5.7兆円の札は集まらなかったのでめでたくプラス金利になったというのと、入札が流れたのは前場引け前にマイナス金利が付いてしまったので通常はプライマリーでニーズのある人たちが揃って札を引いてしまったからという事だったんでしょうかねえと。

ではそもそもどうしてこうなったという話になりますと、今延々と申し上げた市場ニーズの他に「日本銀行」という大変にオッペケペーな成行買いの人がいまして、この人がそもそも置物直線定量2倍2倍理論でMB拡大ヒャッハーとか言って市場のキャパを無視して(というかその辺についてはエイヤーで2倍にしているからキャパの検討もへったくれも無かったんでしょうなあと思いますが)盛大な買入を行っているからでして、日銀の短国成行買い攻撃で短国市場を物無芳一状態にした所でベーシススワップとかがワークして海外の買いとかが入ったり、期末要因の成行買いとかが入ったりするとあっという間にヒャッハーとなってしまうという事ですので、まあ今回の入札は事前の煽りでビビらせてくれましたが追い風参考記録というので済みましたけれども、今後も何かの拍子でこういうヒャッハー現象が起きると思うと毛の抜ける思いではございますな。

とまあ落ち着いたような物の言い方をしておりますが、この入札結果を受けて今日の短国買入は普通に2.5兆円で無慈悲にオファーが入ってくると思いますので(100円入札をやらかして短国買入をどうするのか見たかったという気もせんでもないがやはりそれは色々とヤバイ事になるでしょうなあ)、この落札結果がまた激強プンプン丸とかになるとアッという間にヒャッハー再来とかになるので油断も隙もありません。しかも今月は共通担保の期落ちが沢山ありますので、このロールの歩留まりが悪いと帳尻の為に更に無慈悲な短国買入が行われる懸念がオオアリクイ。

まあ何ですな、恐らく短国マイナス金利の件は来週のMPMの後の総裁会見でも質問が出るのでしょうが、今日以降どうなるのかは今申し上げたように判らんですけれども、まあ今の状態で質問されても想定問答的には「一時的な需給要因でゼロ金利やマイナス金利になったようですが、基本的には市場の流動性に問題はなく日本銀行のオペレーションによって市場機能が毀損されているという事は無いものと認識しております(キリッ)」という答えになるのが見え見えでして、そういう意味では質疑応答は期待できないのですけれども、それはそれとしてこの市場動向はどう見ても調節技術上の限界という話であり、もし2%目標行かないという話になると2015年になっても年間70兆円のMB拡大でうち20兆円を短期関連オペなどで充足するという話になるのですが、これどこからどう考えても20兆円のおかわりとか無理無理無理なのでありまして、ヤケクソで2倍2倍攻撃をした大風呂敷のツケが段々回りだしてきたという所ですな。


でまあそんな事を考えますと、そらまあ年末時点で「もくひょう達成!やったね!」とか言えてるなら話は全然別なのですが、そうじゃない場合にそもそも論として今の政策の建付けであります所の「達成するまで今の政策を継続」という「継続」そのものが出来ませんがどうするんでしょうか(短国市場が崩壊して短期市場が機能不全になってシステミックな問題が発生しても知らんがなというのであれば別だが)という話になる訳で、まあ年間70兆円に拘るならば短国が買えないなら長国を買えば良いじゃないか理論しか無いと思いますけど、何らかの修正が必要になると思うのですけどどうするんでしょうかねえ。

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2014/07/09

○6MTB入札があじゃぱー

昨日の6MTB入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20140708.htm

(3)募入最低価格 99円98銭9厘 (募入最高利回り)(0.0213%)
(4)募入最低価格における案分比率 80.7449%
(5)募入平均価格 99円98銭9厘 (募入平均利回り)(0.0213%)

まあ確かに前日の時点で足切り3bp割るでしょうなという感じではあったのですが、2.1bpってやたら強い所で切れてしまいまして、落札結果出た後に入札空振りの方によるショートカバー攻撃でまたまたゼロ%がそこそこ出合うとゆー誠に遺憾な事に。

今回の入札は3.5兆円の発行予定に対していわゆる不明玉が2.5兆円ほどあるという結果でして、それで強い所で切れたらまたショートカバーだわなという事ですが、金曜日の3MTBゼロ%出合いに続きましてのショートカバーでゼロ%攻撃となりまして、またもゼロ%ということでニュースヘッドラインも出るの巻となっておりましたですな、うんうん。

でまあ先週木曜の3Mに続いて連発という事になりますとあちこち波及するようで(というかそういう状況だから入札が連発してアレになるのだが)既発の短国に関しても全般的にレートは低くなるわ、6Mの新発も結局2bp割れ水準で推移となるわという誠にあじゃぱーな状態になっておりまして、まあちょっと海外要因とかで買いが入ると流通玉が少ないためにこのような有様になるという状況。

でもって昨日は2年とかの金利も下がっておりまして2年新発の引けは1毛強の0.060%という水準になりやがりまして、2年で2%を達成したらどうなるかという話は何処へやらというような状態になっております。まあ実際問題としては短国の需給がアホのように強くて金利がご覧の有様なので担保玉とか国債残高確保(バランスシート上のお家の事情的な話ですな)とかキャッシュ潰し(これまた本当は超過準備でも良い筈だがバランスシート上の問題とか)とかのニーズとか色々とあるんでしょうねと存じますが、何せこの金利低下は別に誰も利下げとかそういう物を織り込んでいない(というかこうなってくると超過準備積み上げの為には超過準備付利金利を下げる訳には逝かなくなっているので今の枠組みだと下げられません)で発生しているのがおそロシアな所(例えば昨年の3月の場合大規模緩和が出る時にうっかりすると付利が下がる可能性とか意識されていましたので金利が下がった訳ですな)であります。

ついでに更におそロシアなのはこの金利低下が四半期末要因を抜けた後に起きていることでして、まあ足元では四半期末要因での短国ニーズが海外絡み(ベーシススワップとか)のニーズに置き換わったからというのもあるのでそちらの状況が変われば変わるのかも知れませんけれども、まあいずれにせよ日銀の短国買入によるマネタリーベースの積み上げが調節技術的に困難な状態に達してきているという話ですので、まあ枠組みどうするんでしょうねえという所ではあります。

まあ何ですな、どうせ年末の目標に向けて昨日の6Mは短国買入で吸い上げたいのでしょうから、この際短国買入金曜日じゃなくて今日2.5兆円で実施したら6Mカレントが沢山入るんじゃないですかねえ(てきとう)という所で、ついでに3Mカレント以降に買入銘柄限定したら6Mばかり入るかもしれませんねえ(棒読み)というところですが、その代わり出来上がりレートが幾らになるかは知らんぞなですけどね。

まあそれは冗談(にしては笑えない)としましても、6月下旬の輪番では長期ゾーンの輪番で新発334回債ばかりが打ち込まれるとか、今回の短国買入で連発のゼロ%攻撃とか、ど〜見てもマネタリーベースの積み上げをするのに無茶しやがって状態になっておりまして、この調子で年末まで買入するのかよと思うと頭がクラクラする次第ですし、短期の方に関して言えばこの調子で短国の金利が無茶苦茶下がった状態が長期化すると市場機能にもかなりの悪影響(まあゼロ金利政策の時点で悪影響は悪影響なのですが)が起きますので、この調子が続くのであれば短期のオペ部分でのマネタリーベース積み上げを長期債に振り替えるという「短期が買えないなら長期を買えば良いじゃない」というマリーアントワネット状態とならないと不味いんじゃないですかねえという感じががががが。

でまあその長期の方も輪番で入るのが新発だけというかなりおかしな状態になっているので、単純に短期での積み上げが困難だから長期を買えば良いじゃないという話でも無いかも知れないのがおそロシアでもあるのですが、展望レポート中間レビューとかマジでどうでも良い(どうせオントラックです以上でしょ)のでオペレーションが技術的問題に到達しつつある件について討議して頂きたいものでありますな、うんうん。そらまあ勿論なんでもマイナス金利まで買うのを辞さずでしたら何ぼでも買えますけれども、その時に市場機能は破滅的な事になっていると思いますのでねえ・・・・・・・・

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2014/07/07

○3か月カレントTBがゼロパーセントヒャッハー(ただし追い風参考記録)

金曜に申し上げましたように木曜の3M短国入札は入札前に弱くしたのに対して入札が上で切れてショートカバーヒャッハーとなって元の木阿弥になってしまうというかなりの鬼畜入札だったのですが、その余波(というか海外からのオーダーでもあったんですかねえ)で金曜は朝からショートカバーで業者間で0%での出合いとかやらかしやがりまして、さすがに短期市場ネタはおもんないので基本的にそんなに詳しくネタにしない情報ベンダー様におかれましても一斉にヘッドラインになって短期だけじゃなくて債券の人もおーという感じ。

まあショートカバーなんで仕方ないという奴だと思いますので、そういう意味ではさすがに今回のは追い風参考記録だとは思うのですが、そんな中でも無慈悲に短国買入を実施するのが日銀クオリティ(MB目標の関係上仕方ないのだが)。

#なお当該銘柄の引値は2.4bpとかになっていた筈

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140704.htm
CP等買入 4,000 2014年7月9日
国庫短期証券買入 20,000 2014年7月8日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2014年7月8日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年7月8日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 2,000 2014年7月4日 2014年7月7日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140704.htm
国庫短期証券買入 31,837 20,004 -0.010 -0.007 88.3
国債買入(残存期間1年以下) 6,456 1,102 0.003 0.007 3.0
国債買入(残存期間5年超10年以下) 15,264 4,004 -0.003 0.001 33.5
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 198 198 -0.400 -0.400
CP等買入 10,111 3,989 0.085 0.087 10.5

てな訳で、短国買入は無慈悲に2兆円なのですが、まあそうは言いましても金曜に逆算しました通りに固定金利オペが全部同額ロールされるという超楽観的な見通しを置いたとしても短国を10兆買わないといけない訳でして、まあ普通に考えると固定金利オペが全部同額ロールされるとも思えませんのでそのバッファ考えたら更にフローで買入を入れないといけないという残念な状態ですので、セカンダリーで0%が出合おうとも知らんがなという事で2兆円で来るでしょうなあというのが市場コンセンサスだったので別にまあ驚きも無しと。

でまあ落札は案の定この金利水準なのに平均7糸強だの足切り1毛強だのとなっていますが、これですと新発を入れても出来上がりが0%になっていないので根性が足りん根性が(違)という所ですが、まあ今回の場合は新発ショートカバー要因もありまして、他の日銀オペに入りそうな銘柄まで全部ゼロ近辺になるというようなスットコドッコイ状態になった場合にはどうするんでしょうかねえ(3月末はだいぶヤバかった)とは思うのであります。

でまあこの短国市場を受けてGCレートとか現先レートとか(特に現先)当然の如く低下でござるの巻という事になっておりまして、四半期末要因が終了して短国の需給が緩和したと思わせてくれたのは1週間と持たなかったという誠に残念な展開で、暗黒展開にも程があるという所ですな。


あとその他オペ雑談をしますと、CP買入に関しては今回は8台になっていますが、これはまあ恐らく何ですが、6月末の所で発行が多い一部の大手メーカーさんがCPの残高を大きく落としたことによって日銀オペの買入的にも枠が空いている状態になったので、いつものオペよりも今回は応札可能玉が増えているのが要因じゃネーノとは思いますがどうなんでしょうかね。

それから補完供給で10年323回が対象になっていますが、10年カレント近辺は新発が出たと思ったら10日で発行額の45%が日銀保有になるというアチャーな状態になっておりますが、まあ同じような理屈で最近のカレント銘柄は基本的に日銀様お吸い上げ状態になっていまして、最近はカレント銘柄が補完供給対象になっても驚かなくなっている(最初10年カレントそのものの補完供給を見た時には目を丸くしましたが)のがオソロシスという所ですな、うんうん。

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2014/07/03

○市場関連雑談と各種係数関連

・日銀の国債保有残高ェ・・・・・・・・・

毎度のこれですが。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

ということで月末版が出て参りましたが、皆様ヘコヘコと計算されたかと思いますので既にご案内とは存じますが、今回の白眉は前回(6/20残高)対比で見た時の10年新発の清々しいまでの増加っぷりでして、5〜10年の輪番はこの間に3回実施されて落札額が合計で12018億円だったのですが、前回対比での10年334回債の増加額は11199億円となりまして、どう見ても「新発買って輪番に持ち込む」というだけの図になっています。

しかも日銀保有残高は新発334回債の発行日が先月20日だというのに既に12229億円(差分の1030億円は6/16に実施されて20日渡だった輪番で打ち込まれた分)日銀様が保有しておられるのですが、そもそも新発334回債は発行額が27564億円(価格競争入札と非価格競争入札を全部足すとそうなる筈です)なので、既に発行額の45%程を日本銀行様が保有しておいでになっているという状態。

そらまあ市中残高が1.5兆円しか無かったら10年新発のレポがスクイーズするわなと思う訳ですが、新発が出て1か月もしないうちに発行額の45%を日銀がご購入とかもしもしそれはどこの財政ファイナンスですかという風情ですけれども、その他の銘柄に関しても残高増加額とか見ても殆どカレント銘柄になっていて、特にこの20日以降で見た場合にはもうナンジャそらという所なのですが、10年はご案内の通りカレントしか入っていませんが、20年も殆ど149回債(ただし20年カレントがまともに入れられるようになったのは23日オファー以降の区分変更からです)だし、超長期の後ろだと30年も40年もカレント銘柄の43回債&7回債しか入ってないとかもう何だかねという感じでして、「新発を入札で購入して速攻で日銀に売り付ける」という状況が長期、超長期では鮮明になっているという図ではあります。

でまあ財政ファイナンスじゃねえか業者は何しよんねんという話になるかも知れませんが、それはそれとしてこれはつまり日銀の国債買入が既に市場のキャパオーバーになっているために、最終投資家の保有でポートに沈んでいる分だけしかオフザランの銘柄の市中残高が無いという状態になっており、その結果として輪番に入れるものが新発しかなくなっている、とまあそういう状況であることを示しているんでしょう長期超長期では。

でまあ長期超長期と申し上げましたが、中期では2年と5年のカレントが当然多いのですが、こちらは5年債の既発ゾーン(現在だと100回債近辺)も打ち込みが入っていまして、新発購入して暫くキャリー取って日銀に外す投資家(というか銀行さんでしょ)がまだいるという事ですかそうですかという所。

まあいずれにせよ直近の輪番の銘柄の入り方が極端にカレントに傾斜してきまして、まあつまりは先ほども申し上げましたように日銀の馬鹿買いによって市場の流動性を全部吸い上げてしまったので流動性が供給されるのが新発しか無くなってしまったという事を意味しているという事で、何の為に国債買入やってるんだという感はヒジョーにしますなというのと、これ出口の時にどうするんだよという所ではありまする。


あと、先月の買入平均残存ですが、あたくしが計算(あたくしの計算方法は単純に前月末との差分を取って償還日と月末日の日数を365で割って平均残存の積数計算してそれを額面で割るというかなりの雑な方法)した所、物国変国を含めて7.43年、含めず7.49年とかになったのですが、どうもこれは微妙に計算する方法によってズレが生じるのですが、まあこの近辺となっていまして、今回は23日オファー分から超長期の買入を短期化しているので、その影響が全部出てくるのは今月ですが、恐らくこの感じですと暫くは買入平均年限7年近辺で推移する事になるんじゃないですかねえ、よーわからんけど。


・短国入札とかその他

1日の相場もわけワカランチ会長でしたが、昨日は昨日でこれまた微妙に謎な相場でした。

短国の金利はまたまた上昇していまして何か3か月近辺5bp近くまで上昇とかベンダーに書いてあった気がしますが、先週木曜の新発3M入札は何だったねんという所になる次第。まあ先週木曜の新発は発行日が30日という絶好の日で、末残稼ぎたい人にとっては大チャンスでございますし、一方で末残稼ぎ隊の皆様の影響によって短国市場の玉がスッカラカンになってしまって現先玉もねえよという状態になってしまった実需の皆様にもニーズがあったのであのレートになってしまったのですが、四半期末通過した途端にこれとはまた露骨な。

しかしまあ何ですな、四半期末如きでこの状態(つーか四半期末如きでこれだけ期末ニーズがあると思わなかったわ)という事になりますと9月末とかどういう事になるんじゃとかいうことはあまり考えないことにしますがいやはやという感じです。

あと訳分からなかったのが2年債でして、一昨日何か知らんが0.065%出合いとかやって金利が低下するというプレイがあったのですが、昨日は今度は売りでも出たのか0.070%出合いとか意味が判らんとしか申し上げようがありませんで、まあ一昨日の金利低下の方がワケワカランかったのではありますが、いずれにせよ何か知らんが変な動きしやがるなあと気になる今日この頃なのでありました。

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2014/07/02

モーサテに大先生登場で思わずモーサテを熱心に(かどうかしらんが)鑑賞。

「海外に行く場合には規制を良く調べることが重要ですね」とのタカ&トシ先生のお告げ(パリバの罰金に関連してのコメント)ですが、そもそも年金財政の設計とかを良く調べた上で米国と単純比較しておられるのかと小一時間問い詰めたいのですがががが。

で、タカ&トシ先生本編の方ではGPIFの話は一切しないで成長戦略で酪農という話を延々として、散々年金運用に関して引っ掻き回した結果どころか動きが正式に出る前に早速逃げるとか超高速取引もビックリな逃げ足のあまりの速さに船からどうのこうののネズミ状態ワロタという所で。しかしまあここまで無責任の言うだけ番長って見たことねえわ日銀副総裁にノミネートされた時に良い人選とか駄文で申し上げた自分の不明を恥じたいわという所でありますが、タカ&トシ大先生におかれましては酪農方面で新たなメシの種でも見つけましたですかねえ(ゲス顔)。

しかし先日の高値掴み云々発言の真意について説明させろやテレひがしとは申し上げたいが提灯番組にそのような批判精神を求めてはいけませんね。

#でもって締めも農業でしたよGPIFの話はどうしたんでしょうかねえ


○市場メモ雑談

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7YYJQ6K50Y201.html
債券は反発、新四半期で投資家需要との見方−長期金利1年ぶり低水準
更新日時: 2014/07/01 15:57 JST

ということで昨日の債券市場は値幅は毎度の値幅なのですが値動き的には味わいがあったのでメモを置いておく。

まず短期の所ですが、短国が何か知らんけど売りでも出たみたいで3M近辺から手前の気配が全体的に甘くなって、BBの引けベースだと3Mカレントの引けが6糸とか7糸とか甘くなって3bp台後半になっていますが多分カレント近辺の実力は4bp近辺だと思われますので、先週木曜に新発の入札を2.5bp割れでやったのにもう4bpですかそうですかという謎展開。

四半期末の残高調整ニーズがあった分が洋梨なのでイランという事で売りでも出たのかねとは思いますが、それにしても値動きするほどのニーズがあったのかというのが実にこうワケワカランチ会長な所ですけど、もしかして債券残高落としてるからその分期末(四半期末)の帳尻ニーズがあるのですかねえ良くわかりませんいう所ではあります。つーても結局5bp割れ水準なので絶対水準は低いのですけどね。

それから昨日ほほーと思ったのは短い所の利付の気配が全般的に強くなったことで、2年カレントの引けは5糸強の6.5bpになっていまして、出合いもその水準とかだったりしたと思いますのでこちらは堅調となっていますが、これまた謎で、短国との水準を調整しに来ているもかもしれませんが絶対水準的にどうよという所なのでナンジャソラという所ではありまする。BB引けベースだと償還銘柄からだいたい2年ちょいの所位までが軒並み5糸強という結果になっていまして、ここで短期ゾーン強くするとなという所ではありました。いやまあ短国の需給が強いから引っ張られるという可能性は判らんでも無いのですが、それにしても水準というものがあってだなあとか思うのではあります。短期はMB拡大のケツが来ているので短国の需給が自然と強くなるのだが、現実問題としてMBの増やし方に変化が起きたらあっという間に水準が変わってもおかしくはない(今直ぐの話は無いけどさ)のですけどねえ。

中長期に関しては10年入札の前日だというのに5−10対象の輪番を打ってくるという日銀の嫌がらせプレイが発生したのも影響したのかも知れませんが入札前なのに10年が強くなるという攻撃があって10年カレントの引けが0.550%(1毛強)になったのと、20年が弱めで30年がやたら堅調という謎な動き(単に誰かの売買フローがあっただけなのかも知れませんが・・・・・・・)でして、これまた値幅的には1毛かそこらの値幅なのですけれども、なんか妙に活発に動いたなあという感じですのでメモメモという所です。四半期の頭でポジション構築でもした人が何人かいて、全く別々の動きが組み合わさってこういう訳ワカランチな動きになったということですかねえとは思いますがメモという事で。

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2014/07/01

○決済システムフォーラムでも国債決済T+1の報告ですな

まあこのフォーラム自体は前からやっているんですけどね。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140630b.htm/
第16回決済システムフォーラムの議事の概要

でまあそちらの『III.決済インフラの安全性向上に向けた取組み』の中に『国債の決済期間の短縮化(T+1化)に向けた検討』って資料がありまして、日証協さんが作った資料(プレゼンテーション)なので細々と引用するのは避けますが少々気になったので備忘メモ。

最初のページでアウトライトT+1の話があるのですが、国債決済T+1化するとレポGCは当然の如くT+0になるのですが、SCの所が原則T+1になっているのがホンマカイナという感じがする所でありまして、いやそうは言ってもアウトライトでT+1をやってたら当日の売買で動く分のカバーが普通にT+0になだれ込むだろと思うので、ベースの部分は投資家からタームで借りるにしても、ポジションの日々変動する部分の対応必要だろと思いますがその件についての話があまり無くて、GCのT+0の方の話ばかりが出ているというのもバランス悪いなと思うのですがどうなんでしょうかねえ。

ということで上記プレゼンではGCのT+0に関する話の説明が続いていて、いわゆるトライパーティーでのレポという話になっているのですが、これまた良く良く考えたらGCがトライパーティーでやるのは良いとして、SCって投資家との相対でやるもので、そっちの取引はまた別の方式(約定は新現先でやるにせよ)となるのかなあとか、よーワカランチですなあとか思いつつも、上記URLのプレゼン3枚目(PDFの4ページ目)以降にいわゆるトライパーティーレポに関する説明があるので興味のある方(って何人いるか存じませんし、元々この件に詳しい方からしたら既にご案内の所でしょうが)は読んで味噌。

とまあそれはそれで良いのですが、この国債決済アウトライトT+1化っていうのは上記資料にありますように、というかこの前のアタクシの駄文でも説明した積りですが、商品在庫管理と在庫ファンディングに関する取引プロセスを大きく変更させる必要があるという事案でして、でまあ参加者にそれだけのコストと手間暇を掛けさせることによってどのようなメリットがあるのかというのが決済リスクの削減ですかそうですかという話は先般も申し上げた通りで、これって参加者的には「金利が上がって制度変更に対応するコストが出るようになるまでは待って欲しい」となる話でして、そらまあ制度変更で対応コストが掛かるという事はつまり制度対応の設備投資が必要という話になりまして、投資案件が発生するという事はメリットのある方もいるのですが、ここで今回の決済システムフォーラムの参加者名簿を拝読しましょう。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/data/rel140630b2.pdf

なんか決済システムの利用者の名前が少ないですし、信託銀行さんが出ていないような気がする訳でユーザーサイドの視点ってどうなのよという香りがしますなあなどと考えるのは気のせいですかそうですか。ちなみにさっきの日証協さんの資料の本文2枚目(PDFファイルの3ページ目)に国債決済T+1化に向けたアンケート実施というのがあるのですけれども、調査やらアンケートを行っている方がどう見ても制度変更でメリットのおありになる方のような気がするのですがそれも気のせいですので注意しましょう(−−)。

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