金融政策概観(2014年度上期前半(2014年04月〜06月))

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2014年度上期前半の見出し

2014/06/27「国債決済期間短縮化関連/短国玉無入札で2bp台/金融庁と日銀の連絡会」
2014/06/25「伊藤隆敏さんのGPIF発言が今度はヘッジ入りの浅ましい発言」
2014/06/23「短国買入2兆円実施/国債投資家懇談会から」
2014/06/20「輪番変更でイールド―カーブのロンガーエンドが火の海に」
2014/06/19「3週間前の輪番変更なのにまた輪番が変更とは無茶苦茶なプレイ炸裂」
2014/06/18「安倍首相のアレな発言ががががが」
2014/06/17「CPオペ足切り金利が0.1bpに低下&短国買入減額も短国需給大逼迫中」
2014/06/13「ブルームバーグニュースが買入長期化の飛ばしネタ投下も市場は無反応」
2014/06/09「ECB追加緩和に関する市場の反応等々の雑談」
2014/06/05「長期輪番は4000億円と早速紙の数値を下に逸脱/GCや短国レート低下」
2014/06/04「5月の買入長期国債年限は6.9年/雨宮理事再任」
2014/06/03「超長期輪番減額+中期の輪番を1-3年増額3-5年減額」
2014/05/30「輪番スケジュールの紙をリバイスしましたが内容が色々とおかしい」
2014/05/23「総裁定例会館はすっかり白い日銀ですけど/国債残高旬報で超長期買入縮小の思惑が」
2014/05/20「早川前理事のQQE評価メモ/決定会合プレビュー雑談」
2014/05/07「引き続き展望レポートの総裁会見から/展望レポート全文も味わい有り(その1)」
2014/05/02「展望レポートの総裁会見が面白かったので雑談がてらご紹介」
2014/05/01「一読すると超強気なのだが良く良く見ると色々とツッコミどころのある展望レポート(基本的見解)」
2014/04/30「決定会合プレビュー雑談の続き/FSRは地域金融機関に厳しい話が多い」
2014/04/28「決定会合プレビュー雑談」
2014/04/25「ブルームバーグの飛ばし記事とは思われるが金利の緩やかな上昇を望むとのニュースが」
2014/04/23「GPIFの運用委員任命とな/2%の定義がこれから話題になるんでしょうなあ」
2014/04/21「GPIFに関しては引き続き底の浅い話が出るもんですなあ」
2014/04/18「伊藤隆敏先生のGPIF改革話がドンドンひどくなるのに市場が反応しませんな」
2014/04/16「黒田総裁と安倍首相会談/甘利さんのお前が言うな/中原伸之さんの追加緩和発言が残念な件」
2014/04/15「国債補完供給に見る日銀の「市場との対話」の危うさについて」
2014/04/11「ドラギ総裁が最近俊ちゃん化していますが本家の福井総裁ロジックはもっと無茶苦茶(2004年1月)」
2014/04/09「総裁会見ライブ中継でヘッドライン詐欺が激減し追加緩和期待も低下とな」
2014/04/08「何故追加緩和の本命が7月になるのか全く意味不明というメモ」
2014/04/07「オペ関連雑談/決定会合プレビュー:追加緩和はあり得ん筈だがサプライズするなら今回ETFで」
2014/04/04「今度は需給ギャップの話が出てきているとな(メモ)」
2014/04/03「短観の企業物価アンケートから少々」
2014/04/02「1年オペは4か月で実施し結構応札入る/GCレートは上昇」
2014/04/01「期末にマイナスになった東京レポレート翌日物はプラスに/1年オペの期落ちに注目」


2014/06/27

○国債決済T+1の進捗状況とな

進捗状況の報告とな。
http://www.fsa.go.jp/news/25/syouken/20140624-1.html
平成26年6月24日 金融庁
証券決済リスク削減に向けた市場関係者の取組の進捗状況について

ということで、詳しくはそこにあるリンク先にありまして、まあ国内債券の人的には国債決済T+1の話が気になるので日証協のページに行きますが。

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/kessai/jgb_kotei/index.html
国債取引の決済リスク削減に関する工程表及び貸株取引に係る決済リスク削減に関する工程表の進捗状況
平成26年6月24日

んでもってそちらの中の上から2番目のリンクの『国債取引の決済リスク削減に関する工程表(平成26年6月24日)』というのが状況の報告みたいになっている(最初のは単に「こういうのを出しました」という表紙みたいなもん)ので、まあそちらをご覧になるのがヨロシアル。

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/kessai/jgb_kotei/files/20140624koutei.pdf
国債取引の決済リスク削減に関する工程表

でまあ項目の中で最初に出てくる項番1『1.国債取引の決済期間の短縮化』の直近の所はこうなっております。

『@ 日証協WGが調査・分析等を依頼した外部コンサルティング・ファームは、幅広い市場関係者へのヒアリング及びアンケート調査を行い、平成26 年3月、コンサルティング報告書を取りまとめた。

A WGでは、引き続き、コンサルティング報告書も踏まえ、アウトライトT+1化(GCレポT+0化)の実現に向けた取引手法及び担保管理インフラ機能の導入等の論点を中心に議論を行っており、平成26 年6月に、その実現に向けた課題の整理及び解決策をグランドデザイン(暫定版)として取りまとめる予定。これを踏まえ、同暫定版を周知するとともに、平成26 年9月を目標に、同確定版を取りまとめることとしている。

B 上記グランドデザインを踏まえ、市場参加者、インフラ提供機関等は、平成29 年以降の速やかなアウトライトT+1化の実現に向けて、システム整備や市場慣行の見直しに取り組む。』
(以上上記工程表の2ページ目より引用)

ということでまあそういう具合との事ですが、時々このネタになりますと申し上げておりますように、まあその「決済リスク削減」という趣旨は理解しますし、そらまあ削減できるリスクは削減した方が良いに決まっておりますが、ただまあ現状でアウトライトT+1、GCレポT+0というのはさすがにどうか(まあ実現するの2017年以降という話にはなっているけど)という話でございまして、ちょっと頭を整理する為に論点を整理してみるというごくごく一部のマニア向けネタになって恐縮至極。

現実問題としてアウトライトT+2とT+1の間にはかなり大きな事務面でのギャップが発生するというのはレポ取引がT+0になってしまうことで、そらまあ業者としてはベースの部分はT+0になる前にGCでもSCでも手当はすると思いますが、当日発生した売買に関する部分の調整はどうしてもT+0になだれ込まざるを得ず、そうなると事務的な負担と事務リスク(例えばセールスが伝票回し遅れてとかてコンファメーションが遅延したとか、売買のフロントシステムへの入力が遅れてポジションの把握が遅延するとかその手の話が起こす影響を処理しなければいけないケツの時間が物凄く短くなるとかそういう話ね)が従来のアウトライトT+2と比較するとかなり厳しくなる訳で、T+3をT+2にした時とは話のレベルが相当違う(のでまあ慎重にやっているという事なんでしょうが)のですな。

でまあ今一般的に行われている現担レポ方式だとT+0で事務を回すの事務量的に無理とか、レポのT+0での貸債とか出来るかよとか、まあその辺の話に関しては取引慣行の変更(新現先方式への全面移行)とかトライパーティーレポ方式への移行というような対策はあるのですが、ここで思いっきりネックになるのが「それに掛かるコストどうすんの」という残念な話でして、ご案内の通り短期資金取引の金利が雀の涙にもならない状態になっている中で、そらまあ業者は商品有価証券の手当てと在庫ファイナンスをしないといけないからなったらなったで対処するんでしょうが、投資家サイドとしてはそれだけのコスト掛けるメリットはどこにありますねんとかそういう話になるでしょうと思う訳で、決済短くなる分在庫ポジションや資金ポジションの把握をよりリアルタイムに近くしないと言う話になったり、取引のSTP化(これは債券決済ではそれなりに進んでいる筈だが短期資金取引の場合は取引によって別途になっている)でもシステム改修のコスト掛かるでしょうし、レポ取引の取引手法が変わればそれ用のシステム対応が必要(なのかどうかは少々良く判らん所があるが)かも知れませんし、そもそも論としてトライパーティーレポやるのは良いけど、そこに出すフィーがどこをどう叩いても出てこないという状態な訳で、まあ色々とその銭の問題がある訳ですよ。つーか事務リスク高まる分人も配置しないといけないからその人件費もありますし。

でまあそのゼニの問題は短期金利が0.5%位まで上がってくれればほぼ問題なく解決する筈なのですけれども(だから別に正常化が全部完了しなくてもいけると思う)、当然ながらこの手の改修は準備段階において対応の為のシステムコストが掛かる部分がある訳ですからして、準備に1年半とか2年とか掛かる事を考えるとやっぱりしんどいので早く2%に物価上昇して下さいよろしくお願い申し上げますという話になる訳ですな。

んでもって更にそもそも論に突っ込みますと、そもそもそれだけのコストと事務負担の拡大をして国債決済をT+1にするメリットって何ですねんという所で、国債の決済リスクって言いましても国債なんですから基本的には取引再構築コストの部分であって(これが非国債だとカウンターが飛ぶのと証券そのものが飛ぶのとという問題があるのですが、国債だったら証券そのものは飛ばないのだから最終的にはそれを持って日銀に駆け込めばマージナルレンディングファシリティーがあるのですから資金繰りそのものは何とかなるでしょ)、それが膨大に積み上がったからと言ってシステミックリスクに繋がるような話じゃないでしょと思う訳ですし、市場参加者の方でカウンターパーティーリスクの管理をしているでしょうし、まあその辺りに関してはバーゼルとかIOSCOとかその辺の規制も強化されている訳ですから、別に米国に合わせなくてもエエヤンとは思うのですけどね。

あと、決済リスク削減以外のメリットとしては、国債決済の期間を短縮することによって資金化が容易になるので円の国際化に資するという話もあるのですが、現実問題としては国債決済は全てT+2でやっている訳ではなくて、必要であればT+1でもT+0でも相対でやろうと思えば出来ない事はない(さすがにT+0は事務回す手間が重いけど)ので、それよりも日銀ネットでの担保差入回収とかそっちの方をよりスピーディーにやれる方に持っていった方が(というか今それもやっている最中の筈だが)良さそうな気もしますし、決済期間短縮したら国際化が進むんだったら欧州市場の国債とかどうですねんと思う訳で、まあそのメリットという考えも判らんことは無いですけれども、それと事務リスク拡大のプロコン分析ってどうなんでしょと思うのだが、何せ事務リスク拡大という話って実際に回してみないと判らないという面があるせいかどうしても計測が難しくて、なかなかこう現場の感覚としてどうのこうのと言っても通じにくい所ではあるなあと思うのでありまする。

で、これまた以前にも申し上げましたが、足元では日銀のQQEによる国債馬鹿買入による玉吸い上げによって国債の流動玉が激減し、その結果セカンダリー売買の流動性が(特にオフザランになると)落ちているという状況な訳で、一方で日銀におかれましては補完供給貸付は5営業日までしか連続して同じ銘柄を同じ先には出さないなどと大変にケチ臭い話をして、国債売買の流動性なんぞ知らんがなというスタンス(大体からしてセカンダリー市場とかをちゃんと理解してるならこの前の騙し討ち輪番変更とかやらんだろと思う)でございまして、そういう状況下においてアウトライトがT+1になるとレポがT+0になる訳で、レポ市場に掛かるストレスはそらまあ決済のケツが短くなる分だけどうしても高くなってしまうので、QQEの出口の時に国債流通市場にストレスをより強く掛けた状態で迎えるという事になった場合に不測の事態が起きませんかねえというのも気になる所でして、まあ要するにQQEが終わって国債の馬鹿買いも終わって短期金利が0.5%に上昇して、となった所でその手の取り組みを加速させれば良いように思えるのですがどうでしょうかねえとゆー所ではございます。

というこの前も話をしましたのでだいぶ繰り返しになっておりますが、またちょっと頭を整理してみたのでごく一部の方向けのマニアネタを投下すると同時に、一応円債やっている方に無縁の話でも無いと思いますので意識のどこかに置いてちょという意味で投下したのでありました。

#頭の整理をしてもまた起きてから頭の整理をしたりしながら書くと時間がかかるなあと思ったのですが、それにしてはお前全然整理できていないのではないかというツッコミをしてはいけません


○さて短国入札ですがががが

えーっと本日は3MTBの入札があるのですが、昨日の日本相互証券さんの短国の引値を見ますと償還が近くて使いにくい銘柄(オペにも入らん)は別ですが、あとはまあ見事に0.03%だの0.03%割れだのという素敵なレートが並んでおりまして、日銀の短国買入の対象になっているゾーンは軒並み3bp割れの引値という大変に素敵な状態になっております。

でもってそんな感じで短国市場の玉がカラカラ帝となっておられる中で月末発行日の3か月TBが出るという事ですが、3bp割れかよと落涙を禁じ得ない状態になっているのですが、ご案内の通り7月は共通担保オペの落ちがあるのと資金需給上放置しておくとMBが落ちやすくなる筈ですので、MB維持するなら短国買入が続くとなるともうエライコッチャでございますがなという話ですが、ディレクティブに忠実に運営すると短国市場の玉が無くなってマイナス金利になっても知った事かですし、短期金融市場の機能がおかしくなっても知った事かという話でございましょうから(金利の馬鹿低下は兎も角市場機能がおかしくなったら金融政策運営上ゆゆ式だと思うのだが)このしょうもない金利水準VS先行きの短国需給見通し(って言ったって単なるオペ読みですが)の対決はどうなるでしょうという所ですな、ナムナム。


○マクロプルーデンスか金融機関経営問題かその心は?

昨日はこんなんでてますが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140625a.pdf
2014年6月25日 金融庁 日本銀行
「金融庁・日本銀行連絡会」の開催について

『金融庁と日本銀行は、本日、金融システム・金融市場を巡る諸情勢について意見交換を行うため、金融庁長官と日本銀行副総裁を含むメンバーからなる「金融庁・日本銀行連絡会」を開催しました。今後も、連携強化を図っていく観点から、連絡会を半年に一回程度の頻度で開催していく予定です。』

ほほう。

『(主な参加者)
・金融庁 畑中長官 ほか
・日本銀行 中曽副総裁 ほか

(開催頻度)
・半年に一回程度。必要に応じ随時開催。

(目的)
・最近の金融システム・金融市場の諸情勢に関する意見交換』

金融システム云々と言えば日銀からはFSRというのが出ておりまして、暫く前に出た奴をちょっとだけ以前ネタにしましたが、まあ今回ですと地域金融機関の経営課題というか、基礎的な収益力の弱い金融機関と強い金融機関の差が拡大傾向にあるみたいなレビューの部分がヒジョーにこう気になった訳ですけれども、まあ直近ではその手の話がネタになり、将来はまたどうなるかというのはそれこそFSRで問題意識の一端を垣間見せてくれるんでしょうかねえなどと思いつつ、何でまたこの時期に急に出てきたという感じ(そらまあ金融システムの監督という面では被る所が多いから現場レベルでの協力関係とかはあるでしょうから全くない所から急に始まった訳ではないでしょうけれども)ではありますなという所で。

つーかまあこういう話はもう一人いるはずの木彫りの置物状態の人にはどだい無理なのは判りきっておりますけれども、しかし対外の部分でも役立たずで内部管理とか更に役立たず(内管どころか自分の管理出来てるんかいなという世界でしょ)とか随分とお高い置物でございますなあとふとこのメンバーを見て思うのでありまして、黒田さんも大概お忙しいですけど中曽さんは更にまた負担が掛かってますなあと同情の念を禁じ得ません。

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2014/06/25

○恥知らずと言えばこれは昨日の顎が外れたニュースの白眉

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7MS2K6S972V01.html
伊藤教授:GPIFは日本株の高値づかみ避けよ、国債売却直ちに (2)
更新日時: 2014/06/24 16:19 JST

『6月24日(ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )は、保有国債を直ちに売却すべきだが、国内株式などの高値づかみは避ける必要がある−。伊藤隆敏政策研究大学院大学教授は、債券を売却した後は、リスク資産への運用時期を見極めるまで現金などで一時保有することも一案だと話す。』(上記URLより)

ということで、昨日はこのヘッドラインが出た瞬間に顎が外れたり席から転げ落ちたりした方々が続出されたものと存じますが、ついこの前こんな事をおっしゃっていた筈なんですけれどもねえ。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N1VX6G6JTSF701.html
伊藤教授:GPIF改革は受給者のため、国内債52%まで落とせる (2)
更新日時: 2014/03/04 15:05 JST

『伊藤教授は午後にも都内で講演し、国内債の保有比率の引き下げに関連して、「日銀が大量の国債を買っている今がチャンス」との見解を表明した。国内株については、「株価はまだバブルでない」と指摘し、GPIFが買い増す好機だと語った。また、不動産やインフラ投資など新たな資産に運用を拡大すべきだとの考えも示した。』(上記URLより)

えーっと今年の3月の頭から見ますと株価インデックスベースですと3月4日の引けで日経平均が14721円でTOPIXが1204とかでして株価って1割も上がっていませんが、前回はバブルでは無く今回は高値掴みを避けろとか急に何を言い出しているんでしょうかこの先生はという所ですが、要するに無責任に好き放題言ってたのが実際に行われそうになってくると急に自分の吹いていた与太話の結果が恐ろしくなって逃げに入るというようなことは全く無いと存じますのできっと前回と今回との間での株価分析に関して我々のような凡下の及びもつかない高度な計算をしておられるものと存じます(棒読み)。

でまあ更にツッコミ所があるので生産性の無いツッコミでも。

『国債の売却と、日本株や外貨建て資産に投資する時期には「ズレがあっても仕方がない」と、伊藤教授はみる。GPIFの資産構成見直しに先回りした投資家の買いでリスク資産が割高化した場合には、慌てて後追いせず「ひとまず現金や国庫短期証券(TB)で保有し、投資機会をうかがうのが賢明だ」と言う。』(最初の記事の方つまり昨日のニュースのURLから、以下同様)

いやーその間って運用利回りが物凄い勢いで低下するんですけど大丈夫ですかねえ。その「ひとまず」がどんだけ継続するのかというのが判れば誰も苦労はしないのですけれども、そんなに売買タイミングがネ申様のように判断できるのでしたら大学のセンセなんぞやるよりもグローバルマクロのヘッジファンドでも立ち上げて頂きまして、御自身も全財産を担保にしてそこに突っ込んで全力で100倍レバレッジでも掛けて頂いて大儲けして下さった方が世のため人の為になると存じますが如何でございましょうか。

『国債についても、経済・物価情勢が長期的な安定状態に入り、「利回りが上がり切ったら、再び買い増す選択肢もある」と指摘。例えば、「いったん35%まで落とし、将来的に長期金利が4%程度で安定したら45%に戻す」運用もあり得ると語った。』

えーっとアタクシ頭が悪いので良く判らないのですが、年金の基本ポートフォリオからのアローワンスの範囲内で動かすのは相場観でというのがあると思うのですが、基本ポートっていうのはもっと長期的な財政計算とかを元に検討するもんで、相場観でホイホイ動かすものじゃ無かったようにも思えるのですがきっとそれはアタクシの気のせいに違いありません(白目)。

『ただ、伊藤教授はインフラ投資を含めたオルタナティブ(代替)投資の本格的な拡大には現時点で反対だ。リスク資産への投資拡大にはガバナンスの抜本的な強化が不可欠だと言う。』

何の責任も無い外野から散々お話をしている人がガバナンスの強化とか鏡をプレゼントしたくなる件は兎も角として、えーっとオルタナ投資に関して先生様3月には何を仰っておられましたっけ先ほど引用しましたけどねえという所で、もしかしてこの大先生におかれましては記憶力や思考能力に重大な(以下の部分は諸般の事情により削除されました^^)。

まあしかし何ですな。

『米沢委員長は3日付の日本経済新聞で、何年何月までにどの資産を何%にするかの工程表を示すと表明した。しかし、伊藤教授は「市場に先取りされる」恐れがある工程表は「事前に出さない方が良い」と指摘。GPIFは「過小評価されている国や産業分野、企業などを巧みに拾っていく」ことで「年金受給者のため、長期的に運用利回りを上げるのが至上命題だ」と話した。』

部下の下士官や兵にバンザイ突撃させるだけさせて本人はのうのうと生き残る上官といった風情を感じて誠に趣が深いというのはあたくしの理解が間違っていると思いますので、ワタクシのどこがどう間違っているのかを教えてジェネラルと言った所でございますな、うんうん(棒)。

という訳でまあタカ&トシ先生の仰せになられる事は現世の凡下のアタクシには中々理解に苦しむ所ではあるのですが、もしかすると大先生様におかれましては現世の人間には理解できないような超越したお立場におられるのではないかと愚考致したくなる所で、そうであれば大先生様におかれましては可及的速やかにra(内務省検閲)。


#いかん朝から生産性の無い悪態がががががが。

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2014/06/23

○市場関連メモ

・短国買入2兆円とな

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140620.htm
国庫短期証券買入 20,000 2014年6月24日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 7,205 2014年6月20日 2014年6月23日

ということで金曜は何か知らんが短国買入2兆円のオファーということで、そんなにMBを積まないといかんのかねとか、

ちなみにMBですけど19日のMBは
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd140619.htm
マネタリーベース 2,307,600

となっておりまして、金曜は国債償還と貸出増加支援オペ要因があって
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx140620.htm
当座預金増減 +107,400 +107,100

となっておりますので、要するに240兆円とかになっているのですけれども、貸出増加支援オペが思ったより伸びなかったから2兆にしたのかも知れませんがしかしまあ短いのでそんなに威勢よくMBを途中で積み上げてどうしますねんとは思いますが、その結果・・・・・・・

http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

こちらからエクセル形式で数字落とせますけれども、TKRRベースではレポレートも5割れとかになっていますが、短国現先とかのレートは更に需給ひっ迫を反映して低下の巻となっているようでございまして、既に玉が無いのくらいはヒアリングしてるだろと思うのですが、その状況にも構わずオペ実施ですかそうですかまあいつもの話ですねえという所で。

まー今回に関しては直近で1年TBの入札があったので、年末の買入残高に跳ねる1年TBを購入したかったというのがあるのは把握しましたが、ここもとではまあどこからどこまでが本当の影響かは判らんですけれども、ECBのマイナス預金金利攻撃が出て以来短国の需給が逼迫している中でそのハイペースでの短国買入積み上げは何ですねん(どうせ主に買うのは3か月なのだから今買っても年内にまた再購入しないといかんのだが)という風に思いますが、もっとオソロシスなのは7月になるとシグナルオペをロールした分の落ちがバカスカ来ることでして、6月に積み上げたMBの残高を7月にも維持するという話になった場合に、貸出増加支援オペの残高で積み上がった分の見合いで1年シグナルオペ(のなれの果て)の残高が落ちるのが見えるので、その分を埋める為に短国買入とか思うともう財務省に発行増額して頂かないと短国市場が物凄くお洒落な事になりそうですな。

なお金曜のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140620.htm
国庫短期証券買入 27,047 20,002 -0.010 -0.006 55.1
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 20 20 -0.400 -0.400

金利がかなーり低い水準にいるというのに1毛強まで入ったのかよという所ですが、まあそもそも2兆もオファーして札が割れて夢の出来上がりマイナス金利になるんじゃネーノとか恐れていたので札が割れなくて良かったですね(棒読み)という風情ですな、うんうん。


・国債投資家懇談会から少しだけ

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/140619.html
国債投資家懇談会(第55回)議事要旨
日時 平成26年6月19日(木)14:30〜15:30

ということでFOMC直後に実施となりましたが。

『2. 最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて〔参考配布:参考資料〕』から先の所を読みますと、まあ見事なまでに「先行きはいずれ金利が上昇」という話になっていて、そらまあそうなのですがこれだけ皆さんの見解が「どこかで金利が上昇」となりますとこりゃ暫く金利が上昇しねえわという感じですな。

『国債市場の見通しについては、引き続き日銀買入オペの影響が極めて大きいため、当面動きづらい相場が続くと感じている。物価水準などを考慮すると足元の金利水準は本来あるべき水準よりも低いと感じており、また、現時点では現実味がないが、日本銀行の出口戦略についても頭の片隅においておく必要があるため、積極的に国債を購入するのは難しい。しかし、償還資金の再投資や、キャリー収益を確保する必要があるため、引き続き一定額は買うつもりである。』

『上向きになりつつある景況感や物価動向から考えると現状の金利水準はかなり低いと思われるが、日銀買入オペの影響が圧倒的に大きく、政策に大きな変更がない限り、当面は膠着状態が続くと考えている。当面は日銀買入オペを上回る材料は見当たらない。しかし、BOEの利上げやFRBの緩和縮小など海外の中央銀行が金融緩和の出口に向かっており、また、海外の経済状況からも良い影響を受けて市場がファンダメンタルズにより注目するようになれば、具体的な時期は分からないが、円金利の水準が変化してくると考えている。現在はデュレーションを短くして耐えている状況。』

てな感じで「今の金利水準は日銀の買入によって下駄を履いている」「金融政策の変化が起きれば金利が上昇するのでそれを念頭に置いてポジションは軽く」「金融政策の出口については直ぐに来るとは思わないが意識はしないと」というのが揃っているのが見所ちゃあ見所ですな、うんうん。

でまああと見ててふーんと思ったのと少々アレだったのが2つほど。

まずは最後の人の意見ですけどね(全部同じ発言の流れです)。

『円債に関しては、実質金利がマイナス0.8%台と、大幅なマイナスになっており、債券投資家としては極めて受難の時代である。これは、すなわち債券を保有していることで、顧客の実質的な富が移転をしているということであり、その運用に関しては慎重にならなくてはいけない。』

うーむ。

『中長期的に考える必要があるのは、JGBの市場のみならず、グローバル市場でも流動性は極めて低下しているという点である。その背景としては、リーマンショック以降のグローバルな金融機関に対する資本規制強化の動き及びそれによるバランスシートの縮小がある。』

ですなあ。

『短期的な見方だけで運用を行うということは、流動性がそれなりに確保できて、見方が変わった時に手仕舞いできるということが前提となると思うが、流動性に乏しいマーケットが中長期的に続くと考えると、流動性のプレミアムを要求しながら、長い感覚で行う必要がある。』

確かに。

『世界中で積みあがった債務等を考えると、中長期的にグローバル経済は低成長・ディスインフレとなることが見込まれるため、日本だけが2%のインフレ、2%の実質成長になっていくというシナリオは考えづらい。行き着くところは恐らく1%の程度の実質成長、1%程度のインフレという均衡の模索になるのではないか。』

一々ご尤も。

『この環境で円債の投資をする際重要になってくるのが、国内の預金動向・預貸ギャップであり、それ程大きく預貸ギャップが縮まらず、預金が大きく動かず、そして1%程度のインフレであれば、日本の今の財政状況を考えると、日本銀行の金融政策は極めてゆっくりと進み、しばらく正常化のシナリオにはならないと考える。したがってイールドカーブは端が長期間にわたって抑えられる状況が続くと考える。イールドカーブが立つ、すなわち10年金利が上昇してくると、その際はキャリーを取りたい投資家が再参入してくるため、恐らく円金利はそう大きくは上がらないのではないか。』

なるほどとしか申し上げようがありませんな。

であとちょっと読んでてうーむと思ったのはこのコーナーの中盤辺りの人のご意見っすけどね。

『これまで日銀買入オペによって超長期ゾーン、特に30年債、40年債について、発行量対比大量に買い入れられていたところ、18日の日銀買入オペの方針変更で、30年債、40年債の買入が一定額に抑えられることとなった。これに伴い、需給がやや緩み、投資家目線の水準に徐々に近づいていくのではないかと期待している。(続きがあるが後で)』

日銀買入オペの変更に関するコメントはこの人だけだったのですけれども、まあ言いたい事の気持ちは判らんでも無いが見事なまでのポジショントークで実にアレなテイストを示しているのでついネタになるのでした。

えーっとですな、日銀の買入オペの方針変更のそもそものやり方に問題があるだろという話はさて置いて自分が買えて居なかったので日銀の買いが減って金利が上がって期待とか中々こうポジショントークにも程があるので大変に微笑ましいのですが、こういう方は逆に自分のポジションに都合の悪い話になると物凄い勢いで批判とかしそうですし、ニーズがあるから増発しろと言っていざ増発して金利が上がると中々買わないとかいうようなテイストも感じさせてくれるのがまあ何と申しますかでありまして、いやそれで金利が上昇しても業者がリスク取れなくなった結果としての金利上昇になると最終的にブーメランとなると思うんですが何という目先感の強いコメントと大変に敬服する次第であります。

でその続き。

『(さっきの続き)そして、これまで日本銀行を見て仕事をしていた証券会社が、投資家の意向等にしっかり目を向けて取引を行うという、良い循環が生まれることを期待している。』

えーっとですな、証券会社は別に投資家のドレイじゃなくて営利企業なのですから、そら日銀との取引の部分で収益チャンスがあって流動性も無いのにゴリゴリやってくる投資家の売買打ち込まれたら死亡確定というのであれば投資家の意向に目を向けるよりも前に目を向けるところがあるでしょうと思うのですけれども、中々心温まるテイストでここまでくると一種の清々しさまで感じてしまいますな、誠に素晴らしい。

とまあそんな辺りが少々目についたので市場雑談系のネタという感じです。しかしこの人以外のコメントって債券市場に関しては日銀買入の話を連発しているのに前日の突然の買入変更に関するコメントが無いのはこれまたどうなんでしょうねえとは思うのでありました。

まあPD懇では誰か暴れた人いますかねえというのは今日になったら議事要旨が出るのでワクテカしながら待つのでありました。

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2014/06/20

○輪番変更でイールドカーブのロンガーエンドが火の海とな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7CP2F6JIJUP01.html
債券、日銀オペ変更で30年や40年ゾーンが大幅安−10年以下には買い
更新日時: 2014/06/19 15:36 JST

ということで昨日の債券市場ですが、前日の輪番買入内訳の突如の変更攻撃によりまして前日から超長期の後ろが弱かったのですが、当然ながらその流れを引き継ぎまして超長期の30年、40年(たぶん25年超なのでしょうけれども)がヘロヘロだった訳ですが、前場は途中で30年1.7%(3甘)の所で一旦止まったかなあとも思わせてくれたのですが、後場中盤以降一段安という感じの2段下げモードという展開になって日本相互証券さんの引けは30年カレントが5.5甘の1.715%で40年カレントが6甘の1.800%となりまして、一方で引けベースで言いますと10年カレントが0.5強の0.585%でして、BB引値ベースで見ると10年30年が6毛、10年40年が6.5毛のスティープでして、20年が1.5甘だったので20年30年の所で4.5毛スティープという事で、輪番オペの運営変更ネタでイールドカーブのロンガーエンドに無慈悲な攻撃が行われて火の海になるの巻。

まあやっちまいましたなあというのは一昨日に紙が出た所で予想されてはいたものの、昨日の相場的には一旦節目(30年カレントの1.7%という絶対水準)で止まった感を見せつつ2段下げしてくれたので残念感が更に漂うという所で、しかも原因が輪番に関する不意打ちにも程がある変更という事で、ポジションで逆を食らった皆様におかれましては誠にお気の毒としか申し上げようのない展開であります。

これがまあ経済指標の結果とか、金融政策決定会合の結果とか、そういう要因での動きで食らったのであればまあ世の中そういう事もありますがなという感じでしょうけれども、妙ちくりんなタイミングあんどついこの前に変更したばっかりの輪番買入内訳変更とか誰も読めんわこんなのというプレイによって食らってしまうというのはまあ食らった人としては納得いかんわという所でしょう。

でまあ昨日も申し上げたような気がしますがしつこく申し上げますと、この調子で突如の「機動的見直し」攻撃が飛んできますと、只でなくさえ流動性が下がっていて業者としてクオートしにくい状況になっているのに、日銀将軍様の無慈悲な攻撃が突如飛んできてイールドカーブの特定ゾーンが焼き払われてしまって火の海になるというような話になりますと、業者的には店頭での引き合いに対してレートをクオートしにくくなるにも程があるという事になる訳でして、そうなりますと国債の流通市場への悪影響も必至ですし、ひいては国債の円滑消化にも悪影響を与えるでしょと思うのですが、今日のPD懇で誰か指摘する向きが出るのではないかとワクテカしているアタクシなのでありました。

なお、昨日は偶々こんな案件があって更に市場の皆様の神経を逆撫でする辺りが何とも見事なタイミング過ぎて落涙を禁じ得ません。

http://www.nikkei.com/markets/features/12.aspx?g=DGXNASFL190S7_19062014000000
黒田日銀総裁、国債の流動性「極度に低下した状況にない」
2014/6/19 14:20
〔日経QUICKニュース(NQN)〕

『日銀の大量の国債買い入れ影響については「(昨年4月の)量的・質的金融緩和の導入当初から問題意識を持って対応してきている。市場参加者との密接な対話を行いながら進めている」と説明した。』(上記URLより)

http://jp.reuters.com/article/idJPT9N0OT00920140619
BRIEF-市場と密接な対話しながら国債買い入れている=黒田日銀総裁
2014年 06月 19日 14:10 JST

『日銀の黒田東彦総裁は19日午後、参院財政金融委員会に出席し、国債買い入れについて、市場と密接な対話をしながら行っており、今後も点検し、市場参加者と対話を続けたいと述べた。』(上記URLより)

・・・・・・・・まあ元は同じネタなのですが、市場と密接な対話をした結果が輪番運営の不意打ち変更かよという辺りが市場の中の皆様のトサカを盛大に刺激する訳でございまして、もしかしてこのような頻繁(といっても3週間で2回目が出てきたという話ですが)な変更を打ち込んでくるのが「市場との対話」というご認識をシャチョー様が持ってらっしゃるという事になりますと、そういう動きも時と場合によっては「日銀が能動的に債券市場を焼き払いに行っているだけ」という場合もありますがなというのが今回のケースな訳でございまして、昨年5月6月の場合と今回とでは状況が全然違うのでありまして、昨年輪番の運営方法をこまめにいじって上手く行ったから今回も上手く行くとは限らんというのが相場様のオソロシスな所でありまして、そういう定性的な部分というのは頭のよろしい方におかれましてはイマイチ気が付いて下さらないのかも知れませんが、ちったあ気がついて頂きたいという所でありますな。

つーことでですな、市場における日銀買入のシェアがフローにしてもストックにしても巨大になっているという状況を鑑みますと、まあ市場職人という訳でも無さそうな皆様が変にジャッジメンタルに介入しようとするのは無理があるというか、今回のように結果として日銀がイールドカーブを能動的に焼きに行く(しかもそれがボードの決定などとは関係ないオペ技術的な部分でというのがミソ)事になってしまうような話になるというのは避けた方が無難であって、より機械的というかシステマティックに長期国債の買入を運営した方が宜しいのではないか、という昨日の結論を繰り返すのでありました。

結局の所、市場としては不確実性というのがボラを高める要因になる訳で、そらまあ不確実性が全部無くなったら商売あがったりだからそれは困るのですが(^^)、経済予測とか政策動向予測とかそういうのと全く関係ない部分で想定の出来ない不確実性が恣意的な形で炸裂するのが一番困るのであって、だったら最初から読める形でシステマティックに輪番運営した方が良かろうと思いますし、大体からして正常化のせの字も出てこない状況でこの有様ですと、QQEからの正常化を行う際に債券市場に何の燃料を投下しだすねん日銀はというヒジョーにオソロシスなものを感じさせてくれますので勘弁して頂きたい所であります。

・・・・・・・でまあ一番起きて欲しくないのは今回の輪番変更に関して「市場との対話を行って機動的に変更しています(キリッ)」とか「国債市場はこのように健全に値動きをしており流動性が極端に低下した状況というような質問を国会でされたような状態では無いです(キリッ)」とか謎の形でシャチョーを始めとした偉い人に認識されてしまう事でありまして、そういうような事になりますとそれこそ出口政策での債券市場がどうなるのかというのが非常に危惧されますな、という事になるので一応声を出してみましたという所でございまする。

#なお昨日の金融ファクシミリ新聞さんの朝刊では早速「金融緩和の縮小にらむ」とかいう題字が載っておりまして、まあ当然そういうヘッドライン出るわなと思ったりするのでありました

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2014/06/19

○輪番の予定がもう見直しというのは大悪手だと思うという悪態シリーズが先に来るのだ

昨日は決定会合議事要旨だの1年TB入札だの貸出支援オペだのというネタが色々とあったのですが、それらのネタを粉砕する大ネタがしらっと金融市場局から投下されたのが夕方タイム。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140618a.pdf
2014年6月18日
日本銀行 金融市場局
当面の長期国債買入れの運営について

ということで紙が出た訳ですが、ついこの前6月2日から適用の運営の紙を出したばかりだというのにその舌の根も乾かぬうちに、というか3週間でまた差し替えの紙が出てくるとはどういう事ですねんという感じですが、さて内容はと言いますと・・・・・・・・・

5月29日に出ていた紙
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140529b.pdf


・超長期の減額&もう30年40年は打ち込むんじゃねえ攻撃

別紙にありますように、今回の変更点は(1)超長期(残存10年超)の1回辺り買入額を前回の「1,500〜3,500程度」から「1,300〜3,500程度」としたことで、ついこの前減額してその下限での買入をおっぱじめたばかりだというのに3週間で更に減額とかナンジャソラというのが一つ。

でまあ更にアレなのはその下にある(注4)という所でして・・・・・・・・・・・

『(注4)残存期間10年超については、残存期間の区分を細分化して同時にオファーすることがあります。2014年6月23日以降に行う最初のオファーは、残存期間10年超25年以下1,000億円、残存期間25年超300億円とする予定です。』(今回の紙から)

ということで、今回のもう一つの眼目は超長期のゾーニングをした上に、超長期手前の方を厚くして超長期の後ろの方は要らんぞなというのを思いっきり明確にした事でして、超長期のゾーニングという話だったら前からそういう提言はあった筈で、だったら最初からやっておけやという感じなのですが、1年間(途中で「程度」を活用して下限を切る買入をしていたのにもかかわらず)放置プレイをしていた「紙」について変更したと思ったら3週間でまた変更とか何ということでしょうと言う話でありまして、何考えとるんじゃゴルァという声が債券市場で飛び交ったのは言うまでもありません。

背景として恐らくここまでの日銀保有国債の残高の増え方から考えると、40年カレントとかが超長期輪番でバカスカ打ち込まれてしまって、買入平均残存が中々短期化しないという事があって、まあそれに対して調整しましたよという事なのでしょうが、それにしてもここまでの輪番の札の入り方から考えたら40年のカレントが出た(直近の40年国債入札は5月27日です)後の超長期輪番で40年カレントがバカスカ打ち込まれる事くらいちょっと想像力があれば想像できると思うのですが、いざ輪番で超長期の中でも長いのが打ち込まれてしまってから(この前償還銘柄が沢山入りそうなタイミングで1年未満の輪番を増額したのはやはり平均残存の帳尻オペだったのでしょうなあ)泡を吹きながら(かどうか知らんが)更に超長期の輪番を減額&新規ゾーニングをしてくるとか朝令暮改にも程があるわという所であります。


でまあ30年40年をバカスカ打ち込まれると中々平均残存が7年に近くなってくれないから超長期のゾーニングを今さらながらに入れてきたというのは把握致しましたが、その結果として従来30年だの40年だののカレントがバカスカ入っていた超長期輪番の実態からすると、30年40年の日銀による輪番での買入が激減するという計算になりますので、この紙が出た後の債券市場では超長期の後ろ(実際問題としてのゾーニングは25年の所で切れていますが)の所、20年から30年の所で盛大にイールドカーブがスティープするような気配になりまして、何ともかんともという所ではございます。


・不確実性を思いっきり拡大させる今回の「紙」の書き換え

ということでまあそんな紙が出た訳ですが、今回まあ色々とナメトンノカという論点が多々見つかる訳で、そらもう湯気出ます罠という論点が幾つかあるので湯気を出しながら少々。

まず先ほど申し上げましたように、先月末近くに「これで当面行きます」というのを1年ぶりに出して来たというのにそれを3週間で新しくリバイスするということで、まあ債券市場からしてみれば朝令暮改にも程がある(しかも超長期減額ですし)話でして、それだったらその前の時点で紙をわざわざ出すなよとか思いますし、大体からして紙が出ても1か月すら持たないんだったら端から紙の内容が当てにならないという事ですから、そらまあ市場からしてみたら「不確実性にも程がある」という話になります罠。

特に足元では日銀の輪番と国債入札(と強いて言えば月末の債券インデックス長期化)が債券市場のイベントとなっている訳ですが、その中で輪番に関して紙が出たと思ったらあっという間に変更の紙が出るとかなりますと、輪番だけ無駄に不確実性が高いという話になりますし、しかもご案内の通りで輪番が債券需給に大きく影響する一大イベントとなっている中でその一大イベントが不確実と来た日には、マーケットメーカーだってポジション取れません罠(他の要因で動くなら兎も角、日銀が輪番スケジュールを急にホイホイ変えてくるというのは日銀が恣意的に決める話なので予測可能性もへったくれもないから、そうなるとポジションの持越しもリスクとかそういう話になる)ということでして、只でなくさえ流動性が無いからポジション取りにくく、ポジションが取りにくいからちょっとした売買でイールドカーブが振れ、それがポジションの取りにくさに拍車をかけるという流動性低下の負のスパイラルになっているというのに、それを助長してどうすんねんというお話です罠。


でまあ更にアチャーとしか申し上げようがないのが、超長期輪番ゾーニングの内容についての説明部分で、『2014年6月23日以降に行う最初のオファーは、残存期間10年超25年以下1,000億円、残存期間25年超300億円とする予定です。』(再掲)となっているこの「最初のオファーは」というのが何とも債券市場というかマーケットメーカーに対してフレンドリーさの欠片も無い部分であります。

つまりですね、まあダマテンでゾーニング出されても死亡しますからそれを出すのは判りますし、中期の輪番のようにウェイトを似たような感じ(当初は半々だったのが直近比率が動いた訳ですが)にしないで、超長期の後ろはもうイランという意志表示をするのに、ダマテンでいきなり実施したら債券市場がビックリするから事前にアナウンスして起きましょう、という日銀の意図はまあ判るのですが、残念な事に今回「最初のオファーは」という言い方をしているのがウンコにも程がある所です。

と申しますのは、まあこれはとりあえずこのウェイトでオファーしてみて、買入の平均残存年限の状況をみたり、超長期の後ろのイールドカーブ状況を見て必要ならばウェイトをいじってマーケットフレンドリーにしようという意図を持っているんだろうなあというのもこれまた判るのですが、そもそも輪番の買入が需給を大きく左右するという状態になっている訳ですから、「必要に応じて機動的に対応」というのは「日銀が恣意的にイールドカーブの形状に大きな影響を与える」というのと同義であり、しかもその変化が急に月の途中のエライ中途半端なタイミング(このタイミングに関しても後で悪態の予定)で行われるとなりますと、そらまあマーケットメーカーが店頭の売買に対応したり入札に参加したりする際の超不確実要因が日銀の胸先三寸という事になりますし、そもそもその胸先三寸の反応関数もよく判らんとなりますと、安心してマーケットメークもできませんという事になります罠。

もうちょっと端的に言ってしまうと、次回の超長期輪番が1000億/300億になったとして、その次の回の配分が判らんとかいう時点でどうひっくり返るか判らんとなると超長期ゾーンのマーケットメーカーは店頭での投資家からの引き合いに対応してポジションをとる事そのものがリスクになる訳でして、しかもこの年限がこの先どういう切られ方になるのかも謎とかになりましたら、昨日この紙が出た後は超長期の20年よりも後ろ(正確に言えば25年の所なのかもしれないが板が無いので判らん)の部分でカーブがスティープしましたが、そこのスティープフラットの関係も次の次のオファーでひっくり返るかもしれないし、下手したらカーブ形状が変わるグリッドですら変わるかもしれないという状況でマーケットメークまともに出来るかよという話になる訳で、せめて「当面はこうする」位の表現にしてくれよと思いますし、まあその「当面」も今回3週間如きでひっくり返されるという事案が発生した以上は当てにならんぞなもしという話ですし、まあ困ったもんだよという事ですよねこれって。


という訳で、まあ金融市場局様におかれましては恐らくそれなりには考えたと思われる部分もあるのですけれども、それがどこをどう見ても結果的にはマーケットフレンドリーどころか業者がリスクを取れなくなる方向に思いっきり燃料を投下するという材料になっている辺りがオッペケペーにも程があるプレイでして、何ちゅうセンスの無さとしか申し上げようがない次第ではあります。



・アナウンスするタイミングと1年以下の上限引き上げに対する悪態である

でもって更に悪態を申し上げますと、これを打ち込んだタイミングがFOMCの前日で、そのほかにもBOEの議事要旨が出るとか、新方式による貸出支援オペの結果が出るとか、そういう話題目白押しの中で出して来るという辺りが実にあざとい訳でして、超長期の買入減額と言う下手するとTaperingみたいな言われ方をするリスクのあるネタをFOMCにぶつけて、株式市場や為替市場がそっちに気をとられているタイミングを狙ってくるというのがもう何ともあざといというかセコいというか甚だケシカラン訳ですよ。

しかも今回超長期の買入の下限を減らしているのですが、良く良く見ますと残存1年以内の買入について、一回当たりの買入予定額の上限を500億円増やしておりまして、超長期の買入予定回数が月に5回で、1年以内の買入予定回数が月に2回、そして今回は1回辺りの買入について超長期の下限を200億円減額して1年以内の上限を500億円増額しているので、200×5=500×2という謎の計算式によりまして「総額ベースで下限が減っていますが上限も増えていますよ(キリッ)」とか、そもそも殆どの年限で下限の買入(つーか5〜10年は下限を切ってますけど)を行っているのに、帳尻的な意味しかない年限(1年以内という短期国債と同じ年限ですから)の上限増やして「下限を減らしたが上限も増やしている」という見せ方をする辺りが実に貧乏臭いというか(内務省検閲)丸出しというかでございまして、そういうのがまた分かりやすく見えてしまう所が債券市場をナメトンノカという話になる訳でして甚だ遺憾にも程がある所ではあります。


そして今申し上げましたように、今回の「紙」の変更にも何故か反映されていないのは、現実問題として下限を切って「程度」の中で運用されている5〜10年の買入の表示でして、今回も引き続き『4,500〜6,000程度』と表示しているのは、先般のバージョンが出た時に申し上げたように、買入のコアゾーンとなる部分の数字を小さくするとそれこそ細かいゾーニングとか見ていない為替市場とか株式市場辺りがネガティブな反応をするリスクを意識しているのでしょうなあとしか思えませんが、ここはここで「程度」の運用でレンジを逸脱した買入オファーが続いているのを紙の方で実態に合わせないという時点で紙の内容を墨守する気ねえだろという話になる訳です。


・紙の在り方に関してとかそんな点

もちろん、金融市場局として墨守しないといけないのは決定会合で示されているディレクティブであって、そちらを実務的にどう運用しようかという話になった時に出しているおまけが「紙」であるので、紙の通りに運用してディレクティブを逸脱する方が問題ではある、というのはその通りではあるのですが、墨守しない紙だったら変に出されると却って市場参加者に対して不確実性を与えるだけになる訳でして、まあ確かに昨年出した当初の時点では紙にも効用があったとは思いますし、機動的な対処にも効用があったかもしれないですけれども、実際に買入が累積してきて、債券市場における価格形成に対する日銀買入の影響があまりにも大きくなった現在となっては、変に「機動的な対応」や「柔軟な対応」をする方が市場に対する不確実性を与え、マーケットメーカーのポジションニングに対するリスク要因となり、ひいては債券市場の流動性の低下に拍車をかける結果を生むようになっているのではないか、とまあそんな事を今回の公表とそれに対する市場の反応やら感想やら苦情やらを見ていると思う訳ですよ。

つまりですね、こうなってくると実はもうここから先の輪番に関しては月の中でのタイミングの入り繰りとかは適宜調整するにしても、買入の対象や額に関しては、ディレクティブを順守する為にどのような年限をどのようなウェイトで買えば良いかを月当たりでブレークダウン(その際にもう少し年限区分を細かくしても良いと思いますし、その方がやりやすいでしょう)して、債券市場がどう動いても淡々とそのペースを守って買入を行うという、FED方式に近いやり方で輪番オペを運営した方が、却って市場に対する不確定要因を除去する結果になるんじゃないですかとも思う訳で(これはアタクシがそう思うだけで見解は分かれると思いますので念のため申し添えます)、しつこく申し上げますがこうホイホイと「紙」の内容をいじられますと、市場(特にマーケットメーカー)はポジションすら取れないわという話になってくると思いますが如何でしょうかねえという所ですな、うんうん。

#と、すこし穏当に纏めてみたつもりだが


・注記について少々追加

今回の追記に関して少々あたくしなりの解釈をば。

『(注1) 2つまたは3つの残存期間区分を同時にオファーします。』
『(注4)残存期間10年超については、残存期間の区分を細分化して同時にオファーすることがあります。2014年6月23日以降に行う最初のオファーは、残存期間10年超25年以下1,000億円、残存期間25年超300億円とする予定です』

ということで(注2と3は前回と同じ話)、今回ちょっと話題になっていたのは「残存期間区分が3つまでだとすると中期と超長期の輪番は同時にオファーしないのでは」という話でしたが、これは純粋に原則論で言えば「同時オファーはあり得る」という事になると思います。あくまでも残存期間区分として提示されているのは紙の表の中に出ている部分であって、その中でのゾーニングに関しては残存期間区分という大枠から見て細かい部分の話になると思います。

ただし、オファーバックして落札結果を決定して通知してというような事務フローが円滑に回るのかという観点からしますと、同時に応札する種類が増えると事務が輻輳してくると思いますので、その事務リスクという点で回避するというような事はあるかもしれません。ただまあ月のトータルの部分にこれは影響を与える話では無いので、そこでああだこうだという話をするのは狙公の家で飼われているエテ公が朝3つか暮れ3つかでウッキーと言うようなレベルの話なのでまあ細けぇこたあキニシナイという事ですが、事務輻輳がしんどいという話ですと先ほどの「もっと細かくしたら」という話も実務面で机上の空論化してしまうのでそこは気になる所。

あと、ウダウダ申し上げましたが、まあ基本的に注4に関しましては常識的に考えると「次回以降当面はこの配分とゾーニングで行きます」というのを事前にアナウンスしているだけで、何で数字の話をしているかと言えば、先ほども申し上げましたように、従来ゾーニングしている中期がほぼイーブンウェイトでの買入をしているのに対して今回は偏りがあるので、実際のオペオファー時にサプライズを与えるよりも、先にアナウンスしておきたいという事であって、毎回買入の入り方を見ながらホイホイと配分を変えてくるというような事はしないと思います。

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2014/06/18

良く良く見たら中々お洒落ですな。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140616/k10015260921000.html
首相 新成長戦略で「日本経済が一変」
6月16日 18時11分

『「日本人の創造性を解き放って付加価値を高めていくには、残業代という概念がないような時間で働く人々が成果を上げて、上がった成果について評価をしていくことが大切だ」』

『「大切な年金をお預かりして運用しており、損になることをするわけがない。経済が成長しているなかで、同じように国債を中心に運用しているのであれば、むしろ年金受給者や年金を納めている方々に対して不誠実な運用で、先を読んだ運用をするのは当然だ」』(以上上記URLより)

・・・・・・・・・・・・ほうほうそうですか(棒)。

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2014/06/17

○CPオペでアチャーとか

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140616.htm
CP等買入 4,500 2014年6月19日
国庫短期証券買入 10,000 2014年6月18日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2014年6月20日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,000 2014年6月20日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年6月20日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140616.htm
国庫短期証券買入 23,410 10,003 -0.001 -0.001 80.7
国債買入(残存期間1年超3年以下) 12,745 3,004 0.003 0.003 59.0
国債買入(残存期間3年超5年以下) 7,890 2,005 0.002 0.003 12.1
国債買入(残存期間5年超10年以下) 14,742 4,004 -0.006 -0.005 47.2
CP等買入 4,434 4,014 0.001 0.080

>CP等買入 4,434 4,014 0.001 0.080
>CP等買入 4,434 4,014 0.001 0.080
>CP等買入 4,434 4,014 0.001 0.080

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

えーっとあのその全取レートの0.001%って利回り較差・・・・・ではなくて出来上がりの利回りでございまして、札割れの巻という事になっておりましてアチャーとしか申し上げようがない結果に。

昨日のCP買入は事前にも応札する物がねえという状況ではあった(ちなみに金ファクさんが朝刊でその件を話題にしていましたぞ)のですが、札割れ(割れたのに切られた400億円が謎なのだがマイナス応札でもして切られたのか銘柄の限度に引っかかったのかは切られた当人とオペ担当部署しか判らんぞな)するわ(ちなみにQQE以降は初のようです)足切りは全取0.1bpになるわという大変にあじゃぱーな結果に。

最近は企業さんの調達も社債シフトになっていて、元からのCP発行常連の皆様(金融系)は残っているのですが、全体としての発行も特段の盛り上がりはないですし、結果としてCP市場の発行の業態とかも偏ってきているという形になっておりますので、日銀のCP買入に入れる玉が枯渇しているという状況にある中で、CP買入は残高維持の為にホイホイと買入が続くので今回のような結果になっている訳ですが、一方で発行が偏っている関係もあって日銀のCP買入の枠が一杯になっている状況というのも良くある話で、その場合はレートが日銀買入とは無縁のレートになるという感じですので、まあ端的に言って日銀のCP買入が市場を歪めてるだろという感じなんですけどねえ。

つーかもうとっくの昔に企業に対する金融環境が盛大に緩和された状態という認識を示し続けている(後で金融経済月報ネタに出てくるかもしれんが^^)というのにCP買入とか継続する意味あるんかいなという気も盛大にする訳で、そもそもCPや社債の買入はリーマンショック後の短期金融市場やクレジット市場における金融の引き締まりに対応するために実施したものですし、まあ社債はそれでも3年まで買うから企業金融緩和的な意味合いでは政策的な意味があると思いますが、CPとか短期金融市場もクレジット市場も超緩和状態になっている中ではMB積み上げ以外の意味があるのかよと思うのですけどねえ。

とは言いましても、これは金融政策決定会合のディレクティブにどどーんと書いてあるという建付けになっておりますので、アホラシカという状況になっているとしても継続せざるを得ないのが残念無念な所ではありますな。


あと、短国買入が1兆円にやっと減額になったのですが、減額しても買入結果がご覧のとおりで前日比利回り較差マイナスで決定されていまして、何かよく判らんけどやたら玉が枯渇してスッカラカンになっているという状況(一方でGCレートはそれほど派手に下がっていないので、明らかに短国の需給が突出して良いという状態)なのにまだ買うかね(下手にスキップすると保有銘柄の償還構成に変な歪みが出るのでスキップしたくないというのも判りますが)という所ではありまして、まあ短期市場におかれましては日銀の各種買入オペが市場の需給関係を盛大におかしくして回っているという大変に素敵というかMB積み上げを政策目標としているのでそらまあしょうがないのですが、一体全体何のために市場機能をグチャグチャにしてまでMBを積むのよという理論について置物副総裁の明確な説明を賜りたい物であります。

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2014/06/13

○久々のブラックアウト期間中の飛ばしネタキタコレ(まあ市場はスルーしていましたが)

折角ブルームバーグニュースが渾身(かどうか知らんが)の飛ばし記事(かどうか知らんが)を飛ばしているというのに市場が盛大に無反応ではいはいワロスワロス。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6ZYOB6TTDS101.html
日銀:出口後も大量の国債購入継続を検討、量的質的緩和−関係者 (1)
更新日時: 2014/06/12 15:47 JST

『6月12日(ブルームバーグ):日本銀行が現在行っている量的・質的金融緩和に関して、2%の物価目標が安定的に持続すると判断して出口政策を開始して以降も、長期金利の急騰を避けるため、引き続き大量の長期国債買い入れを続けることを検討していることが関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより、以下同様)

まさかとは思いますがこの「関係者」とはあなたの想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか、という林先生メソッド(「まさかとは思いますが」で検索するアルよろしだが予備校の林先生ではありません)はさて置きまして、関係者言いましても色々といますし、大体からしてこれいつ話をしたのかも書いていないという時点でまあアレ。

『関係者によると、出口政策の選択肢の1つとして、長期国債の買い入れ額を一気に削減してバランスシートを縮小させるのではなく、米連邦準備制度理事会(FRB)と同様、量的・質的緩和の出口以降も拡大したバランスシートを当分の間維持し、場合によっては、短期金利の引き上げを先行させることもあり得るという。』

ということですが、こんなのその時の状況次第としか言いようがない訳で、置物副総裁の当座預金残高直線理論が正しければインフレ期待の引き上げがトマランチ会長になるのですからそんな悠長な話をしている訳にも行かないですし、そうじゃなくて不胎化してしまえば長期国債残高なんぞヘーキヘーキ(ただし日銀の期間損益が毀損するので財政によってお注射チューが必要になるかもという話はあるが)というのであればそらまあ不胎化するでしょうしという話。

でも、この「関係者」が完全にスルーしている話として、銀行券ルールって「一時停止」しているに過ぎず、しかもQQE実施時に一時停止している訳で、財政ファイナンスガーと言われるのを避ける為の歯止めとか何とか言っている(まあそれよりも銀行券ルールって単なる調節技術上の問題だと思うのだが)件との整合性についての話を出さない時点で優は付けられませんな、うんうん。

『継続する買い入れ額の目安としては、日銀が保有する長期国債のうち、償還が到来した分の再投資を行いバランスシートを維持する案が有力となっているが、再投資分を上回る規模の買い入れを続ける可能性も排除していないという。』

だから銀行券ルールとの問題はどうするのと思いますし、再投資を上回る規模の買入を実施となると置物副総裁当座預金直線一気理論からしたらそれはインフレ期待がアンカーされなくなるんじゃなかったでしたっけという話ですが、それ以前の問題として「それはそもそも出口でじゃねえだろ」という某識者のツッコミが的確過ぎてワロタです。

まあこんなのその時の状況次第ということですし、長期金利の急騰を云々という話ですけれども、一方でここの所日銀の政策委員の皆様が折に触れて言及しているように、そもそも日銀がバカスカ国債を購入する中で財政がノーズロゆるふん状態で褌外しっぱなしとなって全裸中年男となってしまった日には、政府と日銀の共同文書が反故紙になる訳ですからして、そらまあ大規模買入がどうのこうのとか中々言ってられませんよねという話になるんでして、単なる「長期金利上昇を抑制」というだけの論点で大規模買入の維持に期待するというのはちょっと期待のし過ぎになる可能性があると思います。

つーかね、黒田総裁って市場に対してそこまでヘイコラするタイプじゃないのは昨年の5月以来の展開を見れば大概に気が付くべきであって、おそらく「早すぎる出口への思惑で市場金利が先走って上昇して景気(または株価や為替市場)に盛大な悪影響を与える」というような事態ではない限り平然とスルーしてくると思いますし、米国の住宅市場ほど日本の住宅市場って長期金利の動きにビビットに反応するとも思えないので、米国のようにテーパリングトークで長期金利が急上昇して住宅市場が大失速してあじゃぱーなので火消しに奔走というような姿は読みにくいと思うのですよね。

だいたいからして長期金利に対してセンシティブだったらこの前出した金融市場局謹製の輪番絡みの「紙」だって端から「程度」を適用して提示しているレンジの下限を下回る買入を実施するとかしないと思う訳で、あれはまあ色々な所に気を使ったからああいう数字の紙になった訳でして、色々な所に気を使うという事はつまり長期金利なんぞは自分の庭が盛大に燃えない限り別に知らんがなというのが本音であるという事を盛大に示しているという事である、としか思えないんですけどねえアタクシには。

ということで、何だか当初の記事と全然関係ないネタに走っていますが、まあ久々に金融政策ネタでブラックアウト期間中という日銀がコメント不可能なタイミングでの謎の「関係者」発言ソースという記事が出てきたのでついでに雑談にして、市場が反応どころか知り合いからの質問も無かったような残念な反応で誠に心が温まる事態でもあったので可哀想にも程があるのでサルベージして差し上げたという所でございまする。

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2014/06/09

ECBの資金供給量に注目とかモーサテの為替コメンテーターが言ってるとゆーことは為替市場の皆様におかれましてはマイナス金利クレクレと言いながら流動性は拡大しろと言っていたんですかそうですか・・・・・・・・・

○ECBレビュー雑談などなど

・欧州市場の初期反応はブルスティープ&イタスペ金利更に低下

金曜の結果に関しては既にあちこちで解説があると思うのでまあそういう事ですという感じですが、市場ちゃんの反応(ドラギ総裁会見は兎も角肝心の要綱が出たのが欧州の午後3時過ぎとかなので金曜も初期反応が続いていたと思う)ですけど欧州市場はカーブがブルスティープするわイタリアスペインの金利は引き続き低下するわという反応で、ユーロはまあ反応イマイチという感じのようで。

でまあベースレートが下がったのですからブルスティープするのはまあ良いとしまして、イタリアスペインの金利が一段低下というのは良くワカランチ会長なのですが、仮に追加策で国債買入期待だとちょっと外すんじゃネーノという気はします。

と申しますのは、毎度申し上げておりますからご案内の事だと思いますが、今回の預金ファシリティーマイナスは結構広範にいわゆる中銀預け金的な物に対してチャージを掛けてくるものでして、当然ながら流動性という意味では結構強烈な吸収オペになる訳でして、そんな中でユーロ高阻止でマイナス金利という事にしていた筈なのですが、資金供給量に注目とか為替市場が言い出すとまさに何をしようとしているのか判らんという所ですな、うんうん。

で、流動性を引く政策を実施するという事は、基本的に日米英などが実施している国債買入によるバランスシート政策を実施する際に限界がある訳で、国債買入というのは要するに国債と中銀預金の交換ということで、ある意味金と金の交換になるのですけれども、肝心の中銀預金がマイナスチャージされるという事になりますと国債を売る人がいるのかねという話になる訳で、つまりLSAPとなるような「規模の緩和」を実施する事が技術論として極めて困難になるという話です罠。

となりますと、実はマイナス金利導入の裏の狙いは大規模量的緩和の実施を阻止したいブンデスバンクによる諸葛孔明の罠ではないかという気もだいぶするんですけど、というかECBの中でもその孔明の罠に関して気が付いてい無さそうな委員とかいそうに思えます。


・施策の中でやはりマイナス金利が他の政策と整合性が取れない&色々悪手だろという雑談

ということで先週打ち込んだECBの施策ですけどね。

(1)超過準備にマイナス金利チャージ、MRO金利10bp引き下げ(コリドアを50bpに)、なお利下げはこれで基本的に打ち止め

(2)民間向け貸出残高の7%(4000億ユーロ相当らしい)を2018年9月まで0.25%の固定金利で貸出、その後は貸出増加額の3倍相当を2018年9月までの固定金利(金利はMRO+10bp)で貸出

(3)MRO、3MLTROを2016年12月までフルアロットメントで延長、SMPの不胎化資金吸収を停止

(4)ABS買入について更に検討

でまあ(4)はただのやるやる詐欺ですからどうでも良いとして、明らかに変なのは(1)と(3)が流動性供給という観点で何をやりたいのか判らんという件でして、特に不胎化吸収の停止がワケワカランとゆー所です。超過準備にマイナスチャージをするという事は基本的に参加者が超過準備を減らすインセンティブを与えれる訳で、特に資金繰りや流動性確保に余裕のある金融機関は極力超過準備を減らそうとするでしょうとなっている中で、吸収を停止する事に何の意味があるのか判らんにも程があるというものです(会見で別の観点から質問があって説明をしていたが説明を読むと意味がかなり不明)。

でまあ超過準備マイナスですから基本的に資金繰りに懸念が無ければ不要な流動性は持たないというのが合理的という事になるでしょう、となりますと、これ裏を返しますと「超過準備を大きく保有している金融機関は流動性確保に不安があるという事を意味すると受け止められる可能性がある」という話でもありまして、そらまあペナルティー金利が設定されているのですから当たり前ですけれども、これはつまり「超過準備保有に対するStigmaが発生」という話にもなりかねない訳で、まあ実際にそこまでの話に直ぐに繋がるのか判らんですけれども、まあそういう可能性はある訳でして、その辺りもまあ悪手だなあと思う次第。

んでもってスティグマ云々はさておくにしても、基本的には超過準備を減らしていくのが金融機関の合理的な行動になりますので、流れとしては超過準備を減らす方法としては、個別行ベースでは国債買うというのもアリエールですが、システム全体としてはそれは別の個別行に対して超過準備が発生するだけの事ですので、基本的にシステム全体として発生する現象は(1)期落ちになるMROやLTROをそのまま返済する、(2)銀行券の形で準備預金を取り崩す、という形になるでしょうという事ですが、まあ(2)はさすがにコスト掛かるからそうはならないと思う(つまりマイナス金利を深くすると銀行券需要が出てくるという事です、各行と連日中銀との間で現送車が行き来する姿とか想像するとシュールですが^^)のですが、まあ基本的に(1)の現象がこれから起きるでしょうという所ですな。

となりますと、限界的には翌日物のEONIA金利がぶれやすくなる訳で、特にユーロシステムの場合は日銀のような細かい調節を実施する訳ではないですから、超過準備がほとんどない状況ですと資金需給のブレによって翌日物金利が大きく動きやすくなる可能性は高まる罠(その点も勘案しているのかどうか知らんですが、ユーロシステムの預金準備率は高めなので超過準備をカツカツにしたとしてもリアル資金繰り部分でどうこうという話にはならない)という事になりますぞな。

まあそれに対してはMROがフルアロットメントで実施されますからそちらで担保というのはありますけれども、つーてMROは毎日実施しているようなファシリティーでもありませんので、まーやはり翌日物金利はぶれるでしょうなあと思います。

結局の所今回のマイナス金利導入というのは他の施策と並べると実務上の矛盾が生じるという問題がありますし、流動性吸収という意味でもどうなのと思いますが、先ほどの与太話ではないですがブンデスバンクの罠なのかも知れませんけど、まあそれよりは「マイナス金利」というのを事前にECB高官が吹聴してしまったせいで引っ込みが付かなくなった(恐らく今回マイナス金利やらないとユーロが盛大に失望でユーロ高になっていたんでしょ)というのもデカイと思います。で、良く良く考えるとマイナス金利吹いていたのはブンデス方面だったような気もするんですが・・・・・・・・・・・(^^)。


さてまあ(2)なんですけれども、これがまた微妙で(会見で説明していた)4000億ユーロの資金を金融機関が仮にフルに利用しますとなったとして、じゃあそれは何に使うのよという事ですが、何せ借入金利的には超過準備対比で35bpのコストが掛かっている訳で、この分でよーしパパ2018年9月までの期日の債券買ってウハウハ(ただし貸出が減ったら2年後には期日前返済の刑になる)だぞーとかそういう事になるという想像もあって短い所の金利が盛大に下がった訳ですが、実際問題としてはそういうオペレーションって資本の無駄遣いのような気もしますし、大体からしてAQR(資産査定)とかされている中でこの7%部分が全部掴み金だヒャッハーとかいう話になるのかねというのは少々謎。

何となくこれで負債サイドのデュレーションを長くした分はMROやLTROをせっせと返済してしまうといかそういう風になりそうな気がしますし、まあ金利の引き下げ効果についてはイニシャルの4000億ユーロ部分が効きそうな気はしますが、それ以降の貸出増加のインセンティブになるのかはかなり謎な気がします。

まあ日銀の貸出増加支援もそうなのですが、この手の固定金利で出してやる系の施策というのは金利先高観が発生するとか、資金需要が発生して放っておいても貸出が増える、というような時に凶悪な効果を発揮するものであって、欧州の場合は今まさに金融機関の資産査定をおっぱじめている中なのでどうなんでしょうねえ感はあるのでして、貸出増加支援に本当になるのかは謎としか申し上げようがありません。

#という辺りが論点のような気がするが漏れがあるかも知らん


・マイナス金利のメリットとしてナントカ発見器というかナントカホイホイというか

なおたまたま目についただけで殊更にこの記事を晒し物にしようという意図ではありません。

http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0EH03320140606?sp=true
ECB、マイナス金利など追加緩和決定:識者はこうみる
2014年 06月 6日 10:15 JST

ここでも誰とは申しませんが、「大規模流動性が供給」とか「量的緩和実施へ」とか説明している方がいまして、いやだから超過準備にマイナス金利をチャージしているんだから金融機関は超過準備を持たなくなるだろう貴殿の頭には虫でも湧いてらっしゃるんですかと小一時間問い詰めたい方がおいででして、今回のマイナス金利に関してはそういう意味ではナントカ発見器と申しますかナントカホイホイと申しますかというリトマス試験紙的な効果は抜群にも程がある(金曜朝のモーサテも「超過準備が貸出に回ることが期待されます」とか寝言を仰せになっていたのは金曜に悪態をついた通り)訳で、こういうコメントをするバカスケに対して金融政策に関するコメント取りに行ったりレポート出させたりするなよと関係各位におかれましてはお願い致したい所存でありますな。

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2014/06/05

○市場雑談関連

・輪番ェ・・・・・・・・・・・・

うっかり4500億円オファーされたら「焼き土下座の時期や場所についてはまだ明言していない」という言い訳を用意していたのですが、無事に(?)焼き土下座は回避と相成りました。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140604.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2014年6月6日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,000 2014年6月6日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2014年6月6日

ふむふむ長期4000億で焼き土下座回避かとか思っておりましたら、良く良く見ると(というか良く良く見なくても気が付くのですが)今回中期のオファーの割り方が変わっておりまして、従来1−3年と3−5年のバゲットに分けている割り振りが前回までの2500/2500から3000/2000と中期の手前というか3年以内の所を厚くした格好になっていておーという話。

でまあ長期4000(って普通想像するとそうなる筈なのだが一部今回の「紙」を全面信用していて4500で来るという人もいたようですな)に反応したのか、それとも中期の配分に反応したのか知らんですけど先物が瞬間5銭位下がっていましたが直ぐに戻っていたのがチャーミングではありましたが、まあそういう反応を瞬間だけしていましたな(オペ結果は特段波乱無かったようですけど)。

中期のバゲットの割り振りを変えてきたのはまあ誰もが予想できますように、恐らくは平均買入残存年限対策でして、買入平均が8年近辺まで伸びておいおいどうなるんやという話が毎度毎度のように発生されても困るので、それなら中期のバゲットをいじって調整すれば良いじゃないかという話になったという所(長期の4000はさすがに4500-6000程度を銘打っているだけにこれ以上は減らせないでしょう)ですし、元々あるのは買入平均年限の7年程度という方なので、要するにこれはディレクティブに合わせるためのただの調整になります。超長期の買入を1回辺り200億円(月に1000億円)減らしたのですが、それだけですとちょっと余裕が無いので中期をいじって来たんでしょうなあという事です。

ということでディレクティブに合わせるためのただの調整ではあるのですが、そらまあ債券市場的には「買入の短期化狙い」という事になりますのでうーんこのという感じではありますし、1−3年という麿ゾーン(勝手に命名)の買入拡大というのは黒日銀の漂白というイメージも与えるのでいやーあっはっはっはとゆー所です。

さてさて、まあ長期4000に関しては予想通りではあるものの、「紙」を出した適用開始の初回にいきなり「4500-6000程度」の程度(about)を使ってレンジブレイクとかナンジャソラという話ではありまして、何の為にあの「紙」を出しましたねんという話にはなると思いますし、まあ前回の量的緩和解除から良く良く考えますと結構時間が経過している訳でして、前回の量的緩和解除における動きとかの時に学生さんだったとかいう人が結構いるんだよなあとか非常に当たり前の事を思い出しますと、まあ色々と味わいもあるというものです。

というのはですな、こちとら前回の量的緩和解除の時も債券市場のらくろ二等兵だった訳ですが、当時は福井の俊ちゃんというイカサマ成分満載の大狸(なおこれは褒め言葉ですので念の為申し添えます^^)が日銀総裁だった訳ですが、この大狸先生(褒め言葉)におかれましては量的緩和解除に向けた地均しを開始してからというもの従来の話を一転して翻してくるという狸技をカマシてきまして、それに対して散々悪態をついていたという事案がありまして、まあ梯子というのは平然と外してくるのが中央銀行クオリティであるという認識は一応記憶のどこかに残っている訳ですよ。

然るに、そういうの実際に見て怪我したりウハウハになったりするような経験値が無いと、案外この手の梯子外しプレイに対する耐性が無い訳で、まあそういう意味では今回いきなり紙のレンジを初回から切るという何のための紙ですねんというのを出したというのは、「梯子は外される時には盛大に外される」という君子はジャガーチェンジする事もありますよという中央銀行クオリティを示すという意味では良い先触れだったのかも知れませんなという事でもあります。

ただまあやはりこういうのはどうせ4000億円でオファーするのが見え見えなのだったら最初の時点で誠実に「4000-7000程度」というように出した方が良かったんじゃネーノとは思う訳で、何もこんなしょうもない事で「中銀はいざとなったら盛大に梯子を外す」というのをお見せしなくても良い訳でして、梯子外しプレイをするのは明確に出口政策を志向するようになってからで良い(現時点で出口の地均しするのはちょっとねえ)と思われるのよ。つまりこういう紙の所で「日銀の出すものを真正直に捉えると梯子を外される」という風な認識を債券市場関係者に与えてしまうと、今後めでたく出口政策になるにせよ、追加金融緩和をしなければならないにせよ、日銀の出してくるものを額面通りに受け止めてくれなくなってしまうリスクが発生する訳で、それが市場の価格形成に日銀の意図しない影響を与えるリスクがありますよね、とか考えますと、こんなつまらん所で梯子外しプレイをするのは技術論的な観点からは実に残念としか申し上げようがありませんが、こちらは焼き土下座を回避できたので別に問題はありませんので念の為(違)。

ということで何か話が拡散しちゃいましたが、まあ要するにあの紙を見た時点でナメトンノカと申し上げて先週金曜にああだこうだと砲撃しましたが、まあ4000-7000と変更しなかったのはコアゾーンの買入額をいじって債券以外の市場が何か反応するのを恐れた訳で、そこの数字を同じにしておけば毎回の買入額が何ぼですねんという話はどうせ債券市場以外の人たちは見てないから、紙で目くらまししておけばヘーキヘーキという忍法その場凌ぎの術が出たという事でもありますので、今後の忍法その場凌ぎの術に惑わされないように注意が必要である、という事でもありますな、うんうん。

#そこで妖術に対処するためには経験値が重要ということです(自画自賛)


・3MTB入札と6MTB入札である

本日が3MTBで明日が6MTB入札ですが、今月(というか今週)に入ってから急にGCのレートが下がっていまして、まあ先週GCが妙に上がったのも???ではあったのですが、なんか良く判らん需給の変化というか、誰かのポジション繰りか担保繰りの変化でもあったのですかねという所なのですが、まあ謎は謎。

今週のGCレート低下は先週末の短国買入意表の2兆円オファー(資金需給的にはそこまで買わなくてもMBは進捗する)が効いているのかもしれませんが、いずれにせよまあそんな感じで入札が炸裂しますのでさてどうなるのやらというのと、今週は金曜に6Mの入札があるので、次回の短国買入が9日オファーとなり、その額が減るのか減らないのか(減らないと買い過ぎにも程があると思うが)という結果が出るのがいつもよりも遅いのが微妙な所ではありますなという所です。

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2014/06/04

○市場メモや雑談など

・国債保有銘柄別残高

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/

例によって例の如くここからZIPで落としてきて比較とかするのですが、4月末との比較をしますとあたくしの計算ベースでは平均残存期間が7.9年半ばという数字になったように見えます(あたくしがやっつけで計算したら物国変国含まず7.95年で含んで7.93年ですが、手抜きで平均残存を計算するのに閏年修正を掛けていない(償還日から5月30日を引いて365で割っているだけなので多分長い方に誤差が出る)のでその分は正確ではないがまあ勘弁)ので、8年以内に収まって良かったですね(棒読み)という所ですな。

でまあ今月から輪番超長期が1500億円になったのでとりあえず8年は切ってくれそうですね良かったですねという所ですが、しかしまあ5月の増加銘柄見ていると当然のようにカレント辺りが出てくる訳で、333回債19151億円の増加とかナンジャソラという所で、結局の所QQEを打ち込んでいる間じゅう各年限のカレント、特に10年カレントは盛大に打ち込まれる事になりますので、QQEやっているうちはまあシャーナイナイだとしてもこれ真面目に金融正常化しようと思ったら特定ゾーンの銘柄の需給が極端に逼迫するという状態を延々と続ける訳にも行かないから「国債入替売買オペ」でも実施してこの近辺のゾーンの需給を均しに行かないと国債市場における価格形成に悪影響を将来に渡っても与えることになると思いますけどねえ。

なお、短国の償還計算とか国債保有銘柄の償還額計算とかはまだ終わっていないので明日にでも(大汗)。

#ところで今日は長期の輪番でしたっけ焼き土下座の準備が必要でしたっけ(なお全身白塗り暗黒舞踏ショーはやっぱり準備していませんので念の為申し添えます)

・雨宮理事再任とな

暫く前から観測報道が出ておりました通り。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140603a.htm/

理事の任期は4年ありますので金融政策の正常化完了までよろしくお願いいたしますm(__)m

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2014/06/03

○輪番ネタとかその他市場雑談メモ

・超長期輪番1500億円キタコレ&関連して雑談

まあ市場の予想通りだと思いますけどね。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140602.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2014年6月4日
国債買入(残存期間10年超) 1,500 2014年6月4日

ということで超長期輪番は先週示されたテーブルで広げた下限に買入を減らして先週までの1700億円→1500億円となりまして、案の定1年以下に関してはレンジにして上限を上げたけれども変わらず1100億円となった訳で、まーこれは例の紙が出た所で1500に下げるでしょうねえというのが見え見えだったので金曜の時点で織り込んでいたと思われます。なお輪番オペのもう一つのネタの長期ゾーンに関しては明日以降となりますが、こちらは4000億円でどうせ実施してくるでしょうというか、まあさすがに4000からは減らないでしょうというのは把握したという感じですかね。

でまあそれはそれで良いのですが、買入平均年限の6〜8年に拘るのでしたらば、この超長期輪番をもっとバゲット切れば良いのにと思う訳で、10年までの所はカレントが3つある中でバゲットが3つあるのに超長期は平均残存年限的に言えば20年と40年では倍違う上に思いっきり買入平均残存の所に影響する訳でして、だったらバゲット切ってもうちょっと細かく分ければ超長期各カレントがその時に入れやすくなるので輪番使いやすくなるし、日銀も年限が読みやすくなってお互いめでたしめでたしに思えるのですが、変にここでバゲットを分けた時に海外投資家や株式市場への説明が難しいですかそうですか。

つーかですね、1500億円に減らしてもそれこそ40年カレントばかり集中的に打ち込まれたら平均残存長いままになってしまいますので、10日毎の買入残高推移見ながら輪番ゲームみたいな話が続くという生産性の無い話(しかし日銀の馬鹿買入が市場を圧倒しているので生産性が無いと言われようとも輪番ゲームで市場が盛り上がるのは致し方ないところです)ではございまして、どうせ紙を出すならもうちょっと練って欲しかったと思うのですが・・・・・・・・・


・更に超どうでも良いが正常化だけの事を考えたらバーベル輪番の方が吉かも

なお更に超どうでも良い事を申し上げますと、将来的な金融政策正常化という事を考えますと、実は今のように中長期を厚く買うよりも「短い所と超長期」というバーベル型で買入をした方が将来の金融政策正常化においてウマーの可能性がありますと存じます。

・・・・・・と申しますのは、まあ何だかんだと申し上げましても実は国債買入をバカスカ実施したとしても不胎化する事と、財政ファイナンス懸念を持たれないようにすることである程度の所までは何とかなるように見える(と言いつつ今のところはそうだというだけで実際に米国が正常化プロセスに入ってみないと本当の事は分からないのですが話の都合上今回はそういう事にしておく)ようで、そうなりますと出口政策における喫緊の問題は「国債売却しないといけない事態」というよりは「保有する膨大な国債の利息収支が赤字って財政負担になる事」のように思えます。

#なお、本当に問題なのは「マネタリストのある不快な算術」のケースですけどね

でまあ普通に正常化やるという事になった場合に、日銀のファンディングコストが利上げすると当然上昇しますし、金利政策をする場合には保有長期国債を基本的に不胎化(資金供給的な意味での不胎化ね)しないといけませんので、そうしますと保有長期国債の購入時利回りと不胎化に掛かるコスト(=誘導しようとする市場金利にほぼ等しい)との差が逆鞘になると財政負担マズーという話になる(準備金をこの前多目に積み増した理由にその対策が全く無いとは言わせない)訳ですが、ご案内の通り今の金利水準ですと中期ゾーン以下は1回の利上げで逆鞘確定ですし、長期も2回利上げして0.5%になった所でカツカツとなる次第で、そういう事を考えますと本当は短期と超長期にしておけば、短期は金利低いけど直ぐに償還が来るのでまあ気にしないで済みますし、超長期は利回り水準があるので短期金利が1%になってもまだ余裕という事で、出口まで考えるとバーベルの方が魅力あるように見えますなうんうん。

まあそんな事しますと市場の価格形成を思いっきり歪めそうなので無理でしょうけどね(^^)。


・そういえば「年内追加緩和なし」の転び何とかストが続出している件について

先週末のCPIを受けてなのかどうか知らんですけれども、金曜はアタクシが見た範囲内では3名ほどの何とかストの皆様が従来の追加緩和予想(だいたい7月)から転んで年内追加緩和無しという事で、先日来黒田総裁はじめ日銀のペーパーなどでも書かれておられます「民間エコノミストは物価動向にビハインド・ザ・カーブ」という民間エコノミストdisりモードを裏打ちする結果がゴロゴロと出てきておりまして、転びサヨクの姿を見るようで誠に心が温まるものを感じる次第。

しかしまあ何ですな、4−6の反動減だったら4月単月だけ見てもまだ変動要因あるでしょうし、その他アネクドータルな数値は実際は5〜6月の辺りの動向の方が重要にも思えるのでして、だったらもっと前に転向するかこの際4−6全部見てから転べばと思うのですけれども、このタイミングってねえとか思いつつ、これが何かの死亡フラグで無いことを祈る今日この頃でございまする(棒読み)。

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2014/05/30

はあそうですか。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140529a.htm/
ワークショップ「市場流動性の諸問題 ― 各種市場の流動性指標の活用に向けて ―」を開催

市場流動性の問題っていう題名を見てキャバクラ辺りで嬢相手に説教を垂れるクソオヤジというテンプレのような図を思い出さざるを得ない訳で、指標の活用は良いけどその前におまいらの国債異次元買いがだなあ・・・・・・・・

#またの名をマッチポンプですね

○「紙」の書き換えがキタコレだが色々とクオリティに問題がある(ように見える)件について

昨日の日銀様におかれましては、白井さんの異次元講演もありまして中々お洒落なネタを繰り出して頂きましたが、一日の終わりに出たネタがこれである。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140529b.pdf
2014年5月29日 日本銀行 金融市場局
当面の長期国債買入れの運営について

ということで出てきたのですが、色々な意味でツッコミどころがあるという訳のわからん「紙」を出してきやがりまして何というか読めば読むほど実にアレであるというお話で、まあ市場ちゃんの方も何となくそんな感じの反応だったりもしますな。

なおこの前までのはこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130530b.pdf
2013年5月30日 日本銀行 金融市場局
当面の長期国債買入れの運営について


・数字を減らしたくないのは気持ちは判るがそれは債券市場よりも他市場との対話を優先ということですな

今回の公表文書ですけどね。

『1.買入金額 毎月6〜8兆円程度を基本とする。ただし、政策効果の浸透を促すため、市場動向を踏まえて弾力的に運用する。』

『3.国債種類・残存期間による区分別の買入金額 別紙のとおり』

ということで、前回は7兆円程度だったのですが、ディレクティブにある長期国債買入残高を50兆円増加という数字に着地させることを考えると(年内に償還が来る銘柄の日銀保有残高を全部足せば見えますが)月の買入フローを6兆円前半に置かないと買入額がオーバーになってしまう訳でして、本当に着地から逆算するなら中心の数字を減らした形で、例えば「6.5兆円程度」とか書けば良いだけの話なんですし、そもそも今もその着地に向けたフローでの買入ペース(詳しく計算すると今のペースでもちと速いんですが)という流れの筈なんですよ。

然るに、今回「6〜8兆円」という数字の出し方をしたのは何でかと妄想しますと、こらまあ次に申し上げますコアゾーンの買入フロー額の数値がインチキであることも併せて踏まえますと「小さい数字を出してテーパリングなどと言われたくない」という意図が見え見えにも程がある訳でして、つまりこれは日銀買入で市場の流動性というかプライスアクションがもう残念な事になっている債券市場に向けて正確なスケジューリングを示して差し上げようというような意識ではなく、それよりもそういう細かいテクニカルな数値について全然気にしない癖にこの手の数字を見てヒャッハーと反応するプリオン脳の海外投機家の皆さんを筆頭にした他市場の皆様の反応を重視している、という事を示すものでありまして、つまり今回の数値発表の明細の意味はそういう事ですよ債券市場の皆様。


・買入フローの月額と月間買入予定のフロー明細の整合性が前回以上に取れていない件について

でまあ別紙のとおりと書いてある所に区分別の買入金額が書いてあるのですが、まあ最初に超長期の下限1500億円というのに目が行くと思うのですが、暫く見ている内に債券市場の皆様気が付いてナンジャソラの声が高まった(と思われる)のはこの別紙『<当面の月間買入予定>』の区分別買入のレンジの置き方です。

これね、1回辺りオファー金額のレンジがあって、買入金額の合計が書いてあるのですけれども、良く良く計算してみると各年限のオファー金額の小さい方の合計を全部足し合わせるとその総額が66700億円(変国物国を除く)になって、そもそも「6〜8兆円」のレンジの下限と整合性が無いわ、66700億円(プラス物国変国)の買入ペースで買入を実施して行ったらディレクティブで示している50兆円を軽く超過するわという数字になっていて、その時点でナメトンノカという話になるのですが、大きい方の数字を全部足すと何と97500億円になってしまいまして、レンジの8兆円を大きく上に逸脱するという数字になっております。

なお元々の数字の方もそういう意味では下限が6兆9200で上限が95200だからおかしいのですが、それでも前回は下限を全部足すと7兆円なので数字の整合性は取っていた訳ですが、その時に出した上げ底数字をそのまま維持しようとして出した結果更に上限の数字が拡大するという事で、要するに今回の数値は先ほども申し上げたように「数字を盛る」方を引き続き重視しているというのが継続しているという事で、本当に債券市場を向いて出した数字なのか甚だ疑問という話になる訳ですな。


・そもそもコアゾーンのオファー金額の提示がナメトンノカという件について

債券市場の皆様におかれまして超長期の1500億円下限という数値と共に次に気が付くのが『残存期間:5年超10年以下』のオファー金額であります。

つまり、ここの1回あたりオファー金額が『4,500〜6,000程度』になっておりまして、この数値は直近(といっても昨年5月だが)公表されていた数値と同じとなっているのですが、皆様ご案内の通り足元ではこのゾーンの買入のオファー額は4000億円で推移しておりまして、これに対しては「程度」の範囲内というような扱いになっているのは債券市場の皆様ご存知の通りでありまする。

で、今回当然ながらここの数字は現状に合わせて下限を4000億円にしてくるもんだと思っていた方が多い(というか殆ど)と存じますが、今回はここの数字を何と現状に合わせなかったとゆー驚愕のプレイが炸裂している訳です。

んでもってこの理由を考えると当然ながら一つしかない訳で、コアゾーンのオファー金額の数字をいじる事によってオッペケペーの皆さんからテーパリングと言われるのを懸念したという話ですよねとしか申し上げようがなく、そもそもここの数字を変に盛っているから買入フローの合計下限が全体の6兆円から整合性が取れていない訳でございます。

でまあ他市場の方々なんぞは毎回の実際の買入額がどうなったとかそんなの知らんがなでございますからして、てきとうに盛った数字を出しておけば目眩ましになりますからそれで無問題という事でしょうが、債券市場から致しますとここの5年超10年以下の月額フローが現状と合っていないという時点で「程度」を使ってレンジをブレイクする気が満々なのが端から明らかであるというのが見える訳で、そうなると超長期の下限1500億円だって必殺攻撃「程度」の解釈を使えば1000億円位までは減らされても不思議ではない罠という思惑が置きますがな、と思ったら引け後の超長期の気配的にはそんな感じになっている辺り実にこう味わいの深いプライスアクションではございまする。



・こんなんだったら出す必要あったのかねという感じも否めませんな

とまあそんな訳でございまして、そもそも今回の「紙」の書き直しですが誰に向かって出しているのかと小一時間問い詰めたくなるような物件で、市場との対話と言っても別に債券市場と対話する気無いでしょ、というのが見え見えという代物という所が何とも遺憾の極みという所でございまして、いやまあ中央銀行が市場との対話というのを推し進めすぎるとそれは「自分の尾を追う犬」になり兼ねないし、クレクレを助長する事にもなるから「退かぬ、媚びぬ」というのがあっても良いと思うし、一々全部市場の要望を聞く事も無いのですけれども、こういう風に「私たちは市場との対話をきちんと実施しています(キリッ)」というポーズを示しながら実際に出しているのは端から月間の買入予定がレンジブレイクしている代物という事でして、要するに債券市場と対話する気はありません、というのが見ている方に30秒で伝わってしまうというのは如何なものかと思う訳ですよ。

まあ別に1から100まで市場に配慮せんでも良いのですけれども、それにしたってお約束と言いますかお作法と言いますか、もう少しこう市場向けガイダンスとして整合性を取ったものを出して頂いた上で「状況の変化に応じて臨機の対応」というのをして頂きたい訳で、どうせ次回の5年超10年以下の買入オファー額が4000億円になるのは必定(というか債券市場的にも4000億円だと思っています罠)なのにレンジを4500〜6000と出すとか、端から程度の範囲を最大に炸裂させるとかですと、そもそもこの買入予定自体がエエカゲンという話になるので、それだったら出さない方がマシ位の勢いです罠。

でまあついでに申し上げますと、数字を「盛った」せいで例えば超長期は前回のレンジが2000〜3000億円だったのですが、今回下限の方を実体に合わせて1500に下げたのを誤魔化すために上限も上げて3500にしているのですが、じゃあお前ら超長期債がコケたら本当に3500億円買うんだなオラオラどうなんや!!という話でもあるのですが、誠に惜しい事にそうやって超長期を叩きに行こうという人が居たら皆さんが「どうぞどうぞ」とダチョウ倶楽部状態になってしまう所が今の債券市場の残念な所(売る玉を持っているのは発行体様しかおらんわ)ではございますけれども、当然こういう数字の出し方をすると「相場がコケた時に日銀が馬鹿買いの上塗りをしてくれる」というイメージを振りまく事になります罠。

でも実際問題として出口に対してグラデュアルに金利上昇するのを下手に止めるのが正しいのかとか、あるマネタリストの不快な算術状態になった時にインフレ高進上等と長期国債の買入を増やして更なるスパイラルを招かないのかとか、実際問題としては一筋縄ではいかない話でもありますし、大体からして「出口政策を意識して金利が上昇した場合に買入を増やせるように上限が上がっている」という見方をした人がふと我に帰りますと「あれ?日銀は出口政策を意識しているのか????」という話になる訳でございまして、却って変な思惑を招くリスクもあるというのがあったりして、色々とワラタというか何というかな「紙」なのでございましたとさ。

なお、念のため申し添えますが次回の5-10年の輪番で4500億円オファーしたらナメトンノカ云々は全面的に撤回致しまして焼き土下座でもさせて頂きたく存じます。

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2014/05/23

○総裁会見である

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1405c.pdf

・デフレ脱却宣言(もどき)関連質疑

実質最初の質問で早速来ておりますが・・・・・・・・・

『(問) 本日発表されたステートメントの最後のところで、「『量的・質的金融緩和』は所期の効果を発揮しており」という文言を加えたと同時に、日銀の金融政策運営について、「15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている」という文言が外されたわけですが、日銀として、現在の物価情勢というか、日本経済は、デフレではないと考えている、あるいはデフレからもう既に脱却していると考えているとみてよいのか、総裁のお考えをお聞かせ下さい。』

で、そのお答え。

『(答) 「量的・質的金融緩和」の効果については、先般公表した展望レポートでかなり詳しく説明したところですが、所期の効果を発揮していると認識しています。今回の対外公表文は、こうした認識を踏まえたもので、特別なことを申し上げているわけではありません。』

前回展望レポートで申し上げたものを声明文に落とし込んだだけという意味では特別に何か変えた訳ではないのですが、まあそうは言っても「所期の効果を発揮」というアセスメントをステートメントで示したのは特別じゃないですかねえと思いますけど。

『なお、デフレという言葉は、一般的には「物価が持続的に下落する状態」を示すと理解していますが、その判断にあたっては、背後にある経済の様々な動きと併せて、色々な指標を総合的に点検していく必要があると思っています。』

これは「政府として決めているのは旧経済企画庁なのでうちらは宣言とかしませんのよ」という話をソフトに言っているんですねわかります。

『いずれにしても、日本銀行としては、「物価安定の目標」は、消費者物価の前年比上昇率で2%であり、その実現のため強い決意をもって、今後とも「量的・質的金融緩和」を推進していく所存です。』

と、ここで切れていまして、今回は全編に渡ってそうなのですが、「達成が難しいと思われるような情勢の変化が生じたら躊躇なく対応」的な追加緩和クレクレの皆様歓喜の発言を一切行わないというのが仕様になっていまして、この辺に関しては全く無いと思われても困るのだが、クレクレが図に乗ると一々MPMの度にああだこうだと言われるとそれはそれで困るという話ですな。

でまあここにあります発言部分ですが、「物価安定の目標が2%」という話をしているというのはどういう事を仰せになりたいのか、という事を考えますと、昨日も申し上げましたように「日銀のマンデートは2%物価安定目標であり、デフレ脱却してもマンデート達成でも何でも無いのだからその点に関して一々宣言したって意味が無いでしょ」という所だと思います。


別途こんな質問も。

『(問) 2 点お伺いします。1 点目は、先程も少しお話がありましたが、公表文について、「『量的・質的金融緩和』は、所期の効果を発揮しており」と明記する一方で、「15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている」という表現が抜けたことについてです。消費者物価が1%台前半でずっとプラスで推移している状況も踏まえて、「デフレからの脱却に導くもの」という表現が合わなくなってきているということを捉えての変化なのか、マーケットの一部には、日銀による静かなるデフレ脱却宣言みたいな声もあるようなのですが、今回表現を変えた意味合いをもう少し詳しく教えて下さい。(以下割愛)』

どう見ても重複質問です本当にありがとうございました。

『(答) まず第1 点については、先程申し上げた通り、展望レポートで相当詳しく議論しましたし、現在の「量的・質的金融緩和」を昨年4 月4 日に導入して以来1 年強とあって、ご指摘のような事態の流れというものも頭の中にあったことは事実ですが、何かサブスタンスを変えたということでは全くありません。』

サブスタンスキタコレ!というので喜んでいる場合ではありませんが(^^)、まあデフレ状態とはさすがに言わんでしょという意識はあるんですねわかります。

『あくまでも1 年1 か月、ないし2 か月の状況をみて、展望レポートでも2%の「物価安定の目標」へ向けての道筋を順調に辿るという意味で、所期の効果を発揮していると申し上げたわけで、それと同様な言い方をして、引き続き「2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する」という従来通りの言い方を繰り返しました。』

展望レポート基本的見解の最終部分は「順調」文言が無くなっていましたけどね!!!!


・クレクレとか知らんがなとな

『(問) 金融市場の動向についてお尋ねします。連休明けの株価がアベノミクス始まって以来初めて、前年同日を下回る状況になって、それが足許も続いています。為替も、今日、チャート上の節目を若干上回って円高が進む場面がありました。そういう中で円安・株高というトレンドについて、トレンドとして何か変化が起き始めているのではないかという指摘があると思うのですが、その指摘をどうお考えになりますか。また、そのことが金融政策の運営上リスクとなってくる可能性があるのかどうか、その点をお聞かせ下さい。』

つまりクレクレ質問という事ですが、今回の会見で良く良く考えたら明確なクレクレ質問はこの程度となっておりまして、日銀の洗じゃなかった宣伝効果がやっと出てきましたね!!(白目)

『(答) 株式市場の動向については、様々な要因によって毎日、毎週、毎月と、影響を受けるわけであり、何か具体的なことを申し上げるのは避けたいと思います。』

というのはまあ普通。

『前々から申し上げている通り、基本的に株価は、企業収益の動向、先行きによって決まってくるところが大きいと思います。日本企業の収益は、2013年度は非常に大きく増加しましたが、2014 年度もそこそこの増加になるとみられており、そういった意味からは、トレンドとしては株高の方向が全く変わったとか、そう言うことは感じていません。』

自信満々キタコレ。

『為替は、もっと色々な要素によって影響され、特に外国の情勢に影響されますので、なかなか具体的なことは申し上げにくいですが、日本経済は緩やかな回復軌道に乗っておるわけですが、まだ2%の「物価安定の目標」に向けた道筋は半ばといったところであり、引き続き「量的・質的金融緩和」を継続していくということです。』

為替の方が株式より複雑というのはさすが元財務官ですね(^^)。

『他方で、米国経済を中心に、順調な回復がみられるところでは、金融政策もテーパーオフと言うか、テーパリングオフと言うか、緩和の程度をだんだん縮めていっているわけであり、そういった内外の景気、あるいは金融資本市場の動向を考えると、為替が円高になっていかなければならないという理由はあまりないと思います。』

まあ言ってる事は分からんでも無いがそこまで言うと辺りが元財務官(^^)。

『金融政策との関係では、どこの国でもそうですが、金融政策は、株価や為替にリンクして考えられているものではありません。』

中銀当局者として当然の発言だがクレクレに砲撃。

『基本的に、ほとんどの中央銀行は物価安定目標を定めて、その達成・維持に努力しており、その際には、各種の経済指標を見ていくわけです。その場合に、為替や株のことも経済に対する影響という観点から見ていくことは当然ですが、中央銀行としては、基本的に物価安定を目標にして、様々の経済指標を見ながら運営していくということだと思います。』

中銀としては全く当然の発言ですがこれでは麿ではないですかという説も有ったりする訳で・・・・・・・


・麿モードキタコレの辺り

幾つかの話があったのだが一番イイハナシダナーな質疑応答はこれですかね。

『(問) 私も潜在成長率についての質問です。私が質問する前から、この問題ばかり総裁は語っておられて、聞いている方は、おやっと、びっくりしているのではないかと思います。15 日の講演でも、潜在成長率について随分おっしゃっておられて、中長期的な成長力、潜在成長率を引き上げる必要があると主張されています。』

ですなあ。

『日銀の金融政策としては、潜在的成長率が高かろうが低かろうが、2%の物価目標を目指してやるということに尽きるのだと思いますが、仮にこの潜在成長率が高くならず、今のような1%を切る、0%に近いような状況の中で物価2%が実現した場合、これは日本経済そして国民の生活にはどのような影響を及ぼすのか、あるいは「量的・質的金融緩和」にどのような影響を及ぼすのか、これについてお聞きしたいと思います。』

(;∀;)イイシツモンダナー

『おそらく、仮定の話にはお答えできないとおっしゃるのではないかとも思うのですが、もともと15 日の講演でも、成長力引き上げについて、デフレ脱却と日本経済の復活を繋ぐ最後の、そして最も重要なピースになると力説されていらっしゃいます。物価が2%だけど成長は0%と、そういった状況になることはもちろん好ましくないと思うのですが、ただこれはこうなっては困るという意味も含めて、分かりやすく丁寧にご説明頂ければと思います。』

これは中々良い孔明の罠。で黒田総裁が見事に漂白されて答えが麿モード全開となるのでした。

『(答) 中央銀行として、物価安定目標を立て、それを実現していくということは、最大の使命です。最初に言われた通り、実質成長率がどのくらいかということと直接的にリンクして金融政策を緩和したり引き締めたりということは、基本的にはないわけで、あくまでも与えられた経済のもとで2%の「物価安定の目標」を実現し、それを安定的に持続させるということが、中央銀行としての使命だと思っています。』

でここから先が漂白モード。

『ただ、日銀法にも書かれている通り、日本銀行としては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するということを使命としているわけですので、2%の「物価安定の目標」が達成されれば、後はどうでもよいというわけではもちろんありません。』

な、何だってーーーーー!!!!!!!

『先程申し上げたように、生産・所得・支出の好循環のもとで、日本経済がバランスよく成長して、雇用・賃金などの増加を伴いながら、物価が2%程度の上昇率に達する、あるいはそれを安定的に持続するということが一番望ましいわけです。そういった面では、先程から申し上げているような努力をしているわけですが、一方で、やはり、中長期的な成長率を高めていくという観点からは、中央銀行の域を超えた、政府とか、あるいは民間企業の努力、先程申し上げた3 つの点――設備投資の前向きの投資を通じて、資本ストックを増やしていく、女性などの労働参加等を高めて労働の供給を高めていく、そして、規制あるいは制度改革を通じて、生産性を上昇させていくということ――が、どうしても必要であろうということを申し上げているわけです。』

どう見ても漂白状態です本当にありがとうございました。

つーかですね、従来の日銀の説明は質問者が言っているように「まず2%の物価安定目標を達成してから後は考える訳で、成長率がどうのこうのとの関係とか知らんがな」という一種のヤケクソ開き直りスタンス(上記回答の最初の部分はその成分っすよね)であって、そのヤケクソ振りがデフレ均衡からの脱却という期待の転換に効果を発揮した訳ですが、デフレ脱却した所で突如このどこの白川総裁ですかというジャガーチェンジ振りを発揮するとかおいおいおいおいおいという感じはするのですな。

まあこれ単体で見た場合にはそらまあ正論ではあるのでして、単に単体での正論の話をしているのか、それとも微妙に曖昧なままで済ませている物価安定目標の定義部分(概念的にはフィリップスカーブで見た場合のY切片が2%であり、あるいは景気サイクルの中で平均的に2%程度の推移をするという話ですが、いずれも相当の事後にならないと判らないので、QQE政策の今後の運営という意味ではあまり意味が無い定義)に関する話が徐々に本格化していく中で一つの方向性を示しているのか、というのは現状では判断しがたい部分ではありますな。


・消費税反動は思ったより小さいキタコレ

これ字面で見るよりは会見録画の方がトーンは景気強気っぽかったように見えますがまあこの要旨がある意味正式版なので、そういう意味ではそこまで盛大に進軍ラッパを鳴らすのもさすがにリスクあるでしょという認識なんですかね(^^)。

めんどいので質問は割愛して答えから引用。

『(答) ご指摘のように、1〜3 月期の実質GDP成長率は、個人消費の駆け込み需要の影響もあって大きく増加し、それに加えて、設備投資も伸びを高めたということがあって、前期比年率+5.9%となったわけです。』

しらっと設備投資の話をしているのね。

『4〜6 月期の成長率は、確かに駆け込み需要の反動の影響から、個人消費が落ち込み、全体としてもマイナスになると予想しています。もっとも、雇用・所得環境が明確に改善するもとで、先程申し上げたように個人消費の基調的な底堅さは維持されるとみており、駆け込み需要の反動の影響も、夏場以降は減衰していくという展望レポートの見方に変わりはありません。』

ふむ。

『実際、4 月入り後の消費動向については、自動車など駆け込み需要が大きかった耐久財を中心に、反動減がはっきり現れているようですが、企業からは、反動減の大きさは概ね想定の範囲内であり、消費の基調的な底堅さは維持されているという声が多いようです。また、百貨店やスーパーなどの小売業界からは、反動減の程度は徐々に縮小してきているという声も聞かれています。外食や旅行などのサービスは、その性質上、消費税率引き上げの影響は限定的であり、底堅い動きが続いているという声が多いようです。今申し上げたような見方は、4 月の景気ウォッチャー調査においても、2〜3 か月先の先行き判断DIが、はっきりと改善していることにも現れているように思います。』

強気キタコレ。

『いずれにしても、消費税率引き上げの影響については、今後とも、各種の経済統計だけでなく、支店等を通じたヒアリング情報も含めた様々な利用可能な情報をできる限り集め、活用して、予断をもつことなく丹念に点検していきたいと思っています。』


・潜在成長率イカサマ説明キタコレの件

『(問) 今説明された潜在成長率についてお伺いします。まず、少し細かい点で恐縮ですが、先般公表された展望レポートのデータによると、潜在成長率は足許で0.2%を少し割っているのではないかと思います。展望レポートでは0%台半ばとご説明されていますが、ほぼ0%まで低下しているのではないでしょうか。数字のご認識を伺います。また、そうした供給制約がある中で、大規模な金融緩和を継続していくことによって、今後、物価上昇と鈍い成長という形で、やや物価と成長のバランスが崩れてしまうのではないかということはご懸念としてあるのか、お伺いします。』

ちなみにこの質問はさっき引用したイイシツモンダナーの前でして、つまり何度もこの潜在成長力を引き上げて云々の話をしているのですよね。

『(答) 潜在成長率の計算というのは、色々なところが行っていまして、その結果、数字も色々違っているわけです。確かIMFは0.8%と言っていたと思いますが、私どものエコノミストは0%台半ばという感触を持っていたわけです。』

か、感触だと????図表出してるやん。

『ただ、この潜在成長率は、何か固定したものというよりも、様々な要因によって変動していきます。その上、政策的な努力によって引き上げることもできますので、あまり固定的に考える必要はないのではないかと思っています。』

えーっとすいません展望レポートとかの説明では思いっきり「潜在成長率を上回る成長ガー」という話をしているんですけど、その基本的部分になる数字が「固定的に考える必要はない」とはこれはまたイカサマ説明ですな。

『ご指摘の点について、確かに2%の「物価安定の目標」の実現という場合には、わが国の経済が生産・所得・支出の好循環のもとでバランス良く成長して、その中で賃金や物価が次第に上がっていくことが望ましいわけです。』

この辺もやや白いですね。

『そのために、日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を推進し、緩和的な金融環境を提供して、さらにはデフレ・マインドからの転換を図っているわけです。その結果もあって、このところ労働需給がかなり引き締まり傾向にあり、賃金の上昇圧力が着実に高まっており、企業収益も改善しているということで、好循環は作用していると思います。』

ふむ。

『ただ、中長期的な成長力を高めていくという観点からは、どうしても3 つのことが重要だと思います。まず、第1 が、企業における前向きな投資を促すということであり、第2 には、女性や高齢者などの労働参加を高めることや高度な外国人材を活用することを通じて、労働の供給力を高めていくということです。そして第3 には、規制あるいは制度改革を通じて、生産性自体を向上させていくということで、これらの3 つの取り組みが非常に重要であろうと思っています。』

潜在成長率の推計がおかしいのではないかという質問に対して思いっきり違う話に持ち込んでおりますが、困った質問の時に何時の間にか質問の趣旨と違う話に持ち込んでしまうのは常套手段。

『日本銀行としては、先程申し上げたように、「量的・質的金融緩和」を推進して、企業における前向きな投資を促す努力もしていますし、また、様々な形でリスクテイクをしてイノベーションをしていくということも、側面から応援をしているということです。』

ということでイカサマ説明クオリティの鑑賞でした。


○総裁会見の続きですが債券市場の流動性低下に関しては最後が市場雑談ネタになるのでした

今回もその質問があったのですが毎度のお答えでしたな。質問は割愛。

『(答) 前にも申し上げた通り、国債市場の流動性が非常に低下して、国債の取引がスムーズに行われていないとか、価格付けが適切に行われていないといったことは無いと思っています。ただ、大量の国債の買い入れを行っていますので、常に市場の関係者と意見の交換をし、一番適切な形で、金融緩和が経済全体に波及していくように努めています。』

はあそうですか(棒読み)。

『金利が低いこと自体は、色々な要因があると思いますけれども、1 つの大きな要因は、もちろん日本銀行が大量の国債を毎月購入し、保有残高を着々と増やしていることにあると思います。これは「量的・質的金融緩和」の目的自体がイールドカーブ全体を、短期金利だけでなくて、長期金利まで含めて、低位に安定させることによって、経済の回復、ひいては「物価安定の目標」の達成に繋げようということであり、これ自体は別におかしいことではないと思います。』

まあそうですが。

『将来に亘って金利がどういう経路を辿るかは、日本銀行の国債買い入れのみならず、市場関係者のインフレ期待、物価上昇期待がどのように変わっていくか、あるいは海外の長期金利の動向にも影響されるかもしれません。様々な要因によって影響されますので、今の時点で具体的に将来の姿を申し上げるわけにもいきませんし、あまり具体的に申し上げますと、金利についてフォワードガイダンスを出している様にも見られかねませんので、具体的には申し上げません。しかし、今の時点で何か国債市場が問題を孕んでいるとか、金利が低いことが如何か、といったようなことは全く考えておりません。』

はあそうですか(棒読み)という所でまあこの調子が続くんでしょ。で、国債買入に関してはこんな質問も。

『(問)(冒頭割愛)2 点目は、昨年5 月30 日に日銀は「当面の長期国債買入れの運営について」というペーパーで、1 回あたりの長期国債買入れのオファー金額の目安を公表されています。その資料では、残存期間5 年超10 年以下の長期国債は1回あたり4,500〜6,000 億円程度、10 年超については1 回あたり2,000〜3,000億円程度とありますが、ここ2、3 か月はずっと記載の数字を下回って買入れがされています。この数字について、改めて変更されたり、ペーパーを出されたりすることはしないのでしょうか。理由とか背景とかお伺いできるようであればお願いします。(以下割愛)』

『(答)(冒頭割愛)2 点目については、買入れの方針は金融政策決定会合で決めており、ご指摘のペーパーはあくまでも、それを受けた事務方の運営の指針ということです。常に市場の関係者とは、意見交換をしながら金融政策が一番適切な形で効果を発揮できるように運営していますが、先程申し上げたように金融政策決定会合で決める買入れ方針は全く変化していません。(以下割愛)』

という説明でまあ誤魔化されてしまっているのが残念無念という所なのですが、要するにMPMで決められている「残高増加が年間50兆円程度」「買入銘柄の平均残存期間が7年程度」という方針に対して、金融市場局が出している紙との間にコンフリクトが発生する可能性がある訳で、そのコンフリクトが発生した場合にどういう扱いになるのか、という点と、そもそもコンフリクトが発生したと認識する閾値のようなものがあるのか、という点が市場の一番困っている所なんですよね。

でまあここの説明にあるように「コンフリクトがあった場合はMPMが優先なのは当然」という事ではありますので、金融市場局が出した「紙」の通りに実施する訳ではないのですが、そもそも論としてMPMの指針のアローアンスがワカランチ会長という事ですし、実際問題として今や入札と輪番とインデックス長期化対応位しか債券市場のネタが無い中で、輪番どうなるのな話は超超超超注目されている訳ですからして、そろそろ例の「紙」も含めてちょっと見直した方がエエンチャイマスカとは思います。

ただまあその場合ですけど、市場との対話とか言ってヒアリングかけまくるよりは、ある日突如何の予告も無く出す方が良いんじゃネーノとは思う訳で、前回紙を出した時はどちらかと言えばきゃりーぱみゅぱみゅがマーライオン相場だった時の気休め効果とかそういう世界のものだったので、数字に関するインパクトが無茶苦茶あったかと言うと全体感として見ていたように思えるのですが、今回は市場のネタが輪番しか無いというような状態で、細かい数字の上げ下げだけでも何かインパクトありそうなので、やるならある時突然やらないとその前に無駄に思惑ばっかり出るでしょうなあという風には思うのですがどうですかね。

というのはですね、
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/mei.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高

こやつなのですが、今月から旬報になったのは良いのですが、旬報になったせいで今度は「今月の買入平均年限の中間ラップ」とかの集計が可能になった、というかもう皆さんこの数字をせっせと計算するのが仕様となってしまい、旬報の出るときは皆さんせっせと残業に勤しんでおられる(これ出る時間が遅め)と存じます次第なのですが、今回ですとカレントばかり入ってしまって平均残存の走りが8年キタコレとか話題になる事なる事。

つまりですな、保有銘柄残高公表の方の透明性を高めたのは良いのですが、肝心の輪番オペの運営の方が何かこう中途半端にファジーになっているので、却ってその透明性拡大が市場的には思惑という名前のエサを与える結果になってねえかという大変皮肉な展開ワロタという感じですな。ま、この旬報攻撃は補完供給で借入可能な銘柄をよりタイムリーに見やすくしようという趣旨の方がメインで、どの銘柄を購入したしたのお知らせは副次的(だって短国買入の方は旬報になっていないですから)な話な気もしますが、何ちゅうかアレですなあという事で、最後は総裁会見と関係ない話になってしまいました誠に恐縮至極。

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2014/05/20

・早川前理事のQQE評価とな(惜しくもメモ)

こんなのがあったのに今更気が付くのでした(汗)。

http://jp.fujitsu.com/group/fri/column/opinion/201405/2014-5-1.html
「異次元金融緩和」:1年後の評価
2014年5月13日(火曜日)

暫く前にブルームバーグニュースでインタビュー記事が出ていて↓

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N56W7R6JTSEO01.html
国債暴落必至、日銀の「不都合な真実」潜在成長率低下で−早川氏 (1)
更新日時: 2014/05/07 16:27 JST

何じゃこのヘッドラインはと思ったらやはりブルームバーグニュースが発言の中の部分で一番センセーショナルな所を切り取ってヘッドラインに仕立て上げるというイカサマクオリティが炸裂した結果ああいうヘッドラインになっただけというのが最初の早川さんのコラムを読むと判るかと存じますが、折角インタビューをしてもああいうヘッドライン打たれるとメディアに出て見解を述べる意味というのが無くなってしまうのではないかと存じますので、このようなイカサマヘッドラインしか打たないようなメディアに対しては真の意味で有識者だと思われる方におかれましてはインタビューなどをお受けにならない方がよろしいのではないかと存じますがねえ。

でまあネタにしようかと思ったのですが、富士通総研様におかれましてはコラムなどを盛大にネット上に公開している割にはコンテンツ利用条件の中に引用に関する項目が入って居ないので引用して良いのか良くないのか判らんという状態なので惜しくもメモとして置いておくだけなのでした。
http://jp.fujitsu.com/group/fri/terms/

ちなみに超まとめるとQQEは資産価格には影響を与え、就中為替市場と株式市場にはこうかはばつぐんだであったという話でして、「実質金利が下がれば全てハッピー」のリフレ派(の一部)をdisりながら返す刀で株高円安の進展を評価しないで「株高円安の効果は所詮偽薬」という反リフレ派(のうち一部)をdisるという話をしています。

でまあ問題は出口ですよね、というのが結論で第三の矢マダーって話でありまして、国債暴落必至とかそういう話ではありませんので念の為。

あとですね、昨日モーサテで早川さんがああだこうだお話をしていたのですが、その中で潜在成長率云々の話をしながら出していたフリップがアチャーという代物だったのですが、それは何でしょうと言いますと展望レポートの図表40とだけ申しておきましょう(^^)。


・一応決定会合プレビューメモ

まあ今回の決定会合で何かある訳はありませんのでそれはそれでプレビューもへったくれも無いのですけれども、今回は決定会合後の総裁会見でこんなツッコミがあった場合にどういう答えが帰ってくるのかなあという辺りを期待したいなあと思います。

でまあツッコミ希望なのは先日の黒田総裁の講演で示されていた「供給力の天井」の話でして、この話って突き詰めると「そもそもそういう状況の中で2%の物価上昇を短期的に目指すのは国民厚生上適切なのか」とか「供給制約があって潜在成長力が低下している経済において2%の物価上昇目標の水準をサステイナブルに達成できるのか(経済が下向きになった途端に物価の低下圧力が強くなるのでは)」とかいう話になって来ますし、そもそも潜在成長率が0%台半ば近辺辺りにあって、将来的にそれが徐々に引きあがって行くという展望レポートの根本部分が正しいのかよという話になるのですな。

あとツッコミ希望なのは先行き物価が上昇していくパスがどうなのかという話で、需給ギャップで押していくと先ほどの潜在成長率低下の話になりますし、為替ルートの話はまあ最近はしないようになっていますから、はてさてどうなんでしょと思われる次第ですな。

なお、まだツッコミをするのは早いと思うのですが、そもそも論として「2年で2%の物価上昇目標」というのの落とし前という意味では、物価上昇目標達成とはどういう状態を指すのか、というのが不明確でして、一応「フィリップスカーブで見た場合にY切片が2%」とか「景気循環の中で平均的に2%で推移」というような話はありますけれども、これらの説明だと超事後的にしか判らないのでありまして、通常の金利政策をやっているなら別にまあそれでも良いのですが、超越QQEを実施しているのですから、そういう事後的な指標を見て達成したのが確認できた時には(QQEが物価に大きな効果を与えているならば)恐らく緩和政策のやり過ぎで手の施しようがなくなっていると思われますので、物価上昇目標達成とは何ですねんという点をどう整理すれば良いのかという説明もそろそろ総裁会見で示して欲しい物ですな(なお今質問したら「総合的に判断」としか言わないと思います)。

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2014/05/07

お題「総裁会見ネタ続き&金曜の雑感訂正/展望レポート背景説明はこれはこれでまた味わいがある件(その1)」

結局連休中は特段の更新をしませんでした(大汗)。

○金曜の会見雑感の補足というか何というか

引き続き総裁会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1405a.pdf

・潜在成長率に関する雑談の訂正

金曜日は総裁会見見ながらダラダラと駄文というか愚意見を並べてみましたが、今回の展望レポートの基本的見解に関してみておりますと、先般申し上げましたように一見するといつもの強気の話ではあるのですが、良く良く見るとツッコミ所が色々とあって、そのツッコミ所が盛大に記者会見でツッコまれているので今回の会見は見ごたえがあったという所ですな。

で、金曜に書きました需給ギャップだの潜在成長だのの話が微妙におかしかったのでもう一度整理してみます。

質疑でもありましたように、今回の展望レポート(基本的見解)では直近で成長率見通しが下振れて物価が上振れとなった件についての説明が主にインフレ期待の上昇による変化という点で説明しているのが微妙に怪しい所なのですよね。つまり、単に趨勢的に潜在成長率が低下しているから経済成長に対する需給ギャップの感応度が高くなっており、低成長でも物価が上昇しやすくなっているという可能性がある件をスルーしているという話ですな。

あと、直近では消費税増税前の駆け込みが影響して輸入が増えたりしたのが外需のマイナス寄与になったというのはあるのですが、これに関しても実際問題としては経済に供給制約があるという形で潜在成長率が低下している可能性があって、供給制約があって直ぐに天井に達してしまうのでちょっと内需を吹かすと物価が上昇しやすくなるという経済になっておりましたね、という結果になっているのかも知れませんな、という可能性に関しては盛大にスルーしていまして、潜在成長率に関しては見通し期間の後ろに掛けて上昇するという見通しになっている、というのがだいぶ怪しげな話だと思われます。

とは言いましても、そもそも潜在成長率が低下しているという話になりますと、物価安定目標の2%という数値は経済の現在の実力に対して過大である、という議論に繋がりまして、そうなりますとそもそもの金融政策のグランドデザインに影響してくる話になってしまう訳でして(そういう検討を盛大にスルーして「グローバルスタンダードだから2%」で押しているのが現在の執行部)、その点をスルーせざるを得ないのも事実だったりするのが誠に遺憾な所ではあります。

でまあ実際の所どうなのかは後にならないとワカランチ会長なのが物凄い勢いで困る話ではあるのですけれども、仮に足元の経済の実力対比で2%の目標設定が短期的に超過大という事になってしまいますと、実はここから先のリスクは物価上昇の方にあって、成長率自体は大したことないのに物価だけはホイホイ上昇するというスタグフレーション状態(なおリフレ的な理論だとそもそもスタグフレーションというのは辞書に無いように思えるのですがどうでしたっけ)になるという誰得経済になってしまう方がリスクになり兼ねない訳で、もうちょっとこの需給ギャップや潜在成長の推計の部分に関しては色々な可能性を見ながらやって、無理無理2%を作りに行くよりはデフレ均衡から脱却できたことで良しとして、その後の部分は長期的に考えた方が宜しいのではないか(そういう意味ではそれまでの発言との整合性を全く無視すれば浜田先生の指摘ご尤もとしか申し上げようがない)という気がするんですけどそれはグラデュアリズムだからダメですかそうですか。

という話を勢いで書いていたら色々と用語がゴチャゴチャに(何せ経済学関連についてちゃんとトレーニング受けた訳でもなく単なる門前の小僧ですもんで、と言い訳)なってしまいまして金曜は誠に恐縮至極。


・成長と物価の関係について

別の論点からの質問もありましてですね。

『(問) 2 つ質問がございます。2014 年度の見通しで経済成長率が若干下振れていますが、この先も仮に経済成長率がやや下振れても、物価の上昇率が見通しのパスの上に乗っている限りは、現行の政策を維持するという理解でよろしいでしょうか。(後半の質問割愛)』

先ほどああだこうだ書きましたようにこれも中々のトラップ質問ですよね。

『(答) 従来から申し上げている通り、私どもの金融政策は物価安定が最大の使命です。』

ほほう。

『具体的には、2%の「物価安定の目標」を2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現しようということで、昨年4 月に「量的・質的金融緩和」を導入しました。その際にも申し上げている通り、この政策は2%の「物価安定の目標」を実現し、それを安定的に持続できるようになるまで継続します。それとともに、上下双方向のリスクを点検し、必要があれば調整を行うということですので、「物価安定の目標」に向けての道筋から外れるようなことがあれば、当然調整が行われるということです。』

いつも通りですな。

『これまでのところ、全体としてその道筋を着実に辿っていますが、道半ばですので、今後ともよく状況をみて、必要ならば調整を行うということだと思います。』

先月はクレクレ対応にちょっとキツめの話をしてましたかね。後の方で質疑がありますが今回はちょっとクレクレへの突き放し成分を下げている感はありますな。

『経済成長率がどうなるかということは、物価上昇率への影響もあり得ますので、私どももみています。先程来申し上げている通り、2014 年度、2015年度、2016 年度とも、潜在成長率を上回る成長が続き、基調としてそういった成長が続く中で、需給バランスがさらに改善していって、物価が次第に上がっていくという姿が描かれています。それに沿っていくということであれば、現状の金融政策を続けますが、リスク要因から「物価安定の目標」の実現に対して変化が出てくるということになれば、躊躇なく政策を調整していくということです。』

・・・・・・・という事で、まあトラップ質問にしっかり引っ掛かっている感じもありますが、つまり潜在成長率が推計よりも低い状態になっていた場合は物価だけはホイホイ上昇してしまいますので気にせずに目標達成という話になるんですかそうですかという所ではありますな。何せ金融政策で潜在成長を急にホイホイと上げ下げする事はできません罠という所ではありますので実際問題としては「物価だけ上昇すれば良い」のではなくて、本来中央銀行が目指すべきなのは「経済の適切な成長に伴う安定的な物価(若干の上昇)」という話なのですけれども、まあ総裁のこの辺の説明を見ますと成長と物価のバランスという意味では明らかにバランスを失した説明していますよね、という所ではあります。

で、本当の所それで良いのでしょうかねえ、というような辺りも今後の物価安定目標の議論には出てくる話になると思いますし、明らかに「物価だけ上昇すれば良いというのは変」という話をしているのは木内さん、佐藤さん、石田さんがそういう話をしている(木内さんの場合はそもそも2%は中長期で目指すという提案をしていますし)訳で、そもそものマンデートとはみたいな話ってデフレ均衡脱却したという認識になったら盛り上がる可能性はあるでしょうなあとは思うのでありまする。


・そんな訳で追加緩和に関するツッコミ2つ

まあ何と申しますか・・・・・・・・・

『(問) 展望レポートでは、需給環境が改善していくということを今後の物価上昇要因に挙げておられますが、仮に今後輸出が伸びないという状況になって、成長や物価が思うように上がってこない場合は、需給ギャップがプラスの領域に入っていく中でも、追加緩和を検討されることはあり得るのでしょうか。また、追加策に限らず、そういった需給環境の中で、今後、現行政策を継続していくことによる国内景気の過熱リスクみたいなものをどのようにお考えか、教えて下さい。』

そらまあ潜在成長率を上回る成長を3年もしているのに異次元緩和政策が続いていたらどうなりますかねという話ではありますな。

『(答) この点については、今回の展望レポートの中でも触れていますが、最初に申し上げた通り、2014 年度、2015 年度、2016 年度といずれも潜在成長率を上回る成長が見通されており、そうしたもとで、徐々に、しかし着実に物価上昇率が2%の「物価安定の目標」に向けて上がっていく姿を予想しています。そのもとで、当然ながら、上下双方向のリスクは常に考えているわけで、この点も、昨年の4 月に「量的・質的金融緩和」を導入して以降、毎回申し上げている通り、上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うということです。先程申し上げたように、2%の「物価安定の目標」に向けた見通しに変化が生じて、目標を実現するために必要だということになれば、躊躇なく調整を行う方針に全く変わりはありません。』

何という全然答えになっていない答え・・・・・・・・

『(問) 前回の総裁会見の時に、追加緩和の質問に対して、黒田総裁はかなりはっきりと「現時点では考えていない」とおっしゃって、それが結果的に円高・株安になりました。今回、色々追加緩和の質問は出ていますが、その発言をされないということは、市場に対して配慮しているのか、あるいは考えが少し変わったのか、教えて下さい。』

ワロタ。

『(答) これはなかなか微妙なご質問ですので、お答えもやや微妙になりますが、私は、一貫して、2%の「物価安定の目標」へ向けての道筋をこれまで順調に辿っているとはいえ道半ばであり、上下双方向の様々なリスク要因、特に海外要因等がありますので、それを毎回、金融政策決定会合毎に十分点検し、必要あれば躊躇なく調整をするということを申し上げており、今回もその旨を申し上げたわけです。』

どう見ても壊れたレコードあるいはオートリバーステープです(何のことか判らない若者は周囲のジイサマに質問して下さい)本当にありがとうございました。


・債券市場に関して

『(問) (前半割愛)もう1 点は、最近、債券市場で取引が低迷しておりまして、特に4 月14 日はかなり久しぶりに新発10 年物国債の取引が1 日中成立しないということもございました。この債券市場の動向については、やはり機能不全に陥っているのではないかという見方も強いのですが、債券市場の動向の現状について、総裁の今のご認識をお伺いしたいと思います。』

イイシツモンダナー。

『(答)(前半割愛)債券市場の取引については、色々な指標──流動性であるとか、その他──を常にみています。特定の日に取引がなかったことはありましたが、ご承知のように、その前後の日をみても先物にしても現物にしても非常に大きな取引が行われており、債券市場の流動性が極度に低下しているとか、取引が低迷している、停滞しているという状況にはなっていないと思います。』

ひ、ひじょうにおおきなとりひきですか??????????

『ある特定の日に、市場参加者の金利見通しが同じになりますと取引が行われないということであり、1 日の特別な例外的な事象だったと思っております。』

まあ前場各年限のカレントのBBでの売買皆無とか最近良くあると思いますけどねえという事で、どうも現状の日銀における位置づけとしては「QQEによる市場への介入は市場機能を歪めておりません(キリッ)」という話になっているようで、QQE導入当初に混乱して市場との対話ガーとか言ってオペ先集めて会合やったりしていましたが、市場が単にウゴカンチ会長になってしまった点については「市場が安定しています(キリッ)」という位置づけになっているようでして、この前の補完供給貸付の「5営業日限定」に示されますように、どうも本質的には日銀というのは市場は統制下に置くものではあっても、対話の対象として対峙するという認識には無いようでして、まあこの辺りの認識に関しては現在のQQE政策を何等かの形で着地させに行くときに物凄い勢いで禍根になりそうな気が致します。

でまあそこでMOFとの比較を出すと日銀が嫌な顔をしそうですが、MOFの場合は国債大量発行当局でありまして、市場に対しては国債の消化をお願いする側でもありますので、まあ市場に関してそこまで独りよがりな話はしてこないのですが、どうも日銀は公開市場操作という名もありますように、その辺が相変わらず独りよがりというか何というかな所があって、現在のように市場に対するシェアが圧倒的という事になっている中でも相変わらず市場に対する姿勢が「俺様がこう思うのだからそうなっている」という印象を受けるのは何なんでしょうねと思いますが、どうもこればっかりは本質的な所で変わらないなあと思ったりするのでありました。組織的なファクターもあったりしそうですからねえ。


○展望レポート背景説明を含めた全文は中々面白いという件について

89ページ版PDFにつき注意下さい。
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1404b.pdf

・2013年度後半のレビューに関して

背景説明は12ページ目(ファイルの14枚目です)からになります。

『2013年度後半の日本経済を振り返ると(図表1)、輸出は全体として勢いに欠ける状況を続けたものの、国内需要が堅調に推移するもとで、労働需給の着実な改善を伴いながら、景気は緩やかな回復を続けた。年度末にかけては、個人消費や住宅投資において、消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられた。』

図表1を見ますと直近2Qは外需マイナスで内需に関しては民需が徐々に上昇という絵です。

でまあ輸出入に関して。

『輸出については、海外経済が回復しつつあるもとで、為替相場の動きも下支えとなって、秋口までは持ち直し傾向をたどったが、年度末にかけて横ばい圏内の動きとなった(図表4(1)(2))。この点については、わが国製造業の海外生産移管の拡大といった構造的な要因も相応に影響しているが、わが国経済との結びつきが強いASEANなどの新興国経済のもたつきの影響が大きく(前掲図表2(2))、さらには、駆け込み需要への対応から国内向け出荷を優先する動きや米国の寒波など、一時的な下押し要因も作用したと考えられる。』

で、輸出がヨコの中で輸入が上昇したので外需マイナスなのですが、輸出に関しては駆け込みでの影響があるならばその後は回復という絵になるのですが、ここの点について本当に戻るのかという点についてはホンマカイナという感じではあります罠。今後に注目。

『もっとも、こうした輸出の勢いの鈍さにもかかわらず、国内需要が堅調に推移するもとで(図表5)、景気全体の前向きな循環メカニズムは、しっかりと働き続けた。企業の生産活動の水準をみると(図表6)、過去の局面では輸出の影響を受けやすかった鉱工業生産を含めて、緩やかに増加し、そのもとで企業の収益・業況感は広がりを伴いつつ改善を続けた(図表7、図表8(1))。』

ふむ。

『また、雇用の誘発効果が大きい内需中心の景気回復が続く中で、失業率が構造的失業率に近付くなど(後掲図表11(3))、労働需給は引き締まり傾向となった(前掲図表5(2))。』

キタコレ。

『この間、国内需要の堅調さは、輸入の大幅な増加を通じて(前掲図表4(1)(3))、ネットでみた外需の減少にも影響した(前掲図表1(1))。』

ということですが、まあこの点に関しては実は供給制約の可能性というのもあったりして、内需を吹かし過ぎるとコストプッシュでの物価上昇になりやすくなるという可能性も。

でまあその他国内需要や物価に関してはまあ強い話をしていますが、物価に関する図表15辺りを見ますと何か公共料金の上昇が盛大に寄与しているように見えますけどキニシナイ!


・先行き見通しの部分だが記述が怪しい

『3.2014年度〜2016年度の経済・物価の見通し』から。

『2016年度までのわが国経済の先行きを展望すると、国内需要の堅調さが持続し、輸出も緩やかながら増加していくことから、生産・所得・支出の前向きの循環メカニズムは働き続けると考えられる。このため、わが国経済は、2回の消費税率引き上げの影響による振れを伴いつつも13、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。』

というのはまあ良いとしまして。

『2014年度については、家計支出は、上期を中心に、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が相応に見込まれる。また、公共投資は、昨年度補正予算の執行などから引き続き高水準で推移したあと、下期にかけて緩やかな減少に転じていく可能性が高い。このため、年度全体の成長率も、かなり高かった2013年度に比べれば、鈍化すると見込まれる。』

ふむ。

『もっとも、輸出は、海外経済の回復を背景に、為替相場の下支え効果もあって、緩やかな増加に転じていくと考えられる。』

この見通しが色々と怪しげな気がする・・・・・・・

『また、国内民間需要の基調的な動きをみると、設備投資は、企業収益の改善傾向が続く中、金融緩和効果や各種の企業向け減税策の効果が下支えとなり、緩やかに増加していくと予想される。個人消費については、消費税率引き上げ等が実質可処分所得の押し下げに働くもとでも、雇用・所得環境の改善に支えられて、基調的な底堅さが維持されると考えられる。』

ふむ。

『このように、国内民間需要が基調的にはしっかりとした動きを続け、輸出の改善も加わることで、2013年度に続いて前向きの所得形成の力が働き、年度全体の成長率は、引き続き潜在成長率を上回ると考えられる。』

でまあその後の記述が何気にほほうという感じなのがありましてですね・・・・・・・

『2015年度から2016年度にかけても、設備投資には次第に循環的な減速方向の力が作用していくものの、前向きの循環メカニズムは働き続けると考えられる。』

しらっと書いていますが、景気循環サイクル的にも先行きは下向きになるというのがあるのがおーという感じです。

『2015年度については、公共投資が緩やかな減少傾向をたどると考えられる。その一方で、海外経済が長期平均並みの成長ペースに復するもとで輸出が緩やかに増加するほか、国内でも、成長期待の高まりと緩和的な金融環境が、設備投資や住宅投資を下支えすると想定している。』

という話ですが、そもそも海外経済が拡大して輸出が伸びてという形ではない回復になっている訳でして、しかもここまでの輸出の拡大が期待外れになっているという中で本当に大丈夫なのかねという話でして・・・・・・

『また、個人消費についても、雇用・所得環境の改善に支えられた基調的な底堅さが続く中で、駆け込み需要の反動減の影響を受ける2014年度と比べれば、伸び率が高まるとみられる。このため、2回目の消費税率引き上げによる振れを伴いつつも、基調的には引き続き潜在成長率を上回る成長が見込まれる。』


さらにこの後の説明も何か微妙な部分ががががが。

『2016年度については、海外経済が長期平均並みの成長を続けるもとで輸出が増加を続けるうえ、緩和的な金融環境が成長期待の高まりとも相まって国内民需を支えると考えられるため、なお潜在成長率を上回る成長が続くと予想している。』

ということですが、本来物価安定目標が達成されますと、QQE政策というのは終了しますし、その間に潜在成長を上回る成長が継続するとなりますと、物価には当然ながら上昇圧力が掛かり続ける訳でして、そうなった場合には「緩和的な金融環境」がいつまでも続けられる訳ではないと思うのですが、何でここでの置きが「緩和的な金融環境」になっているのかがワケワカランチ会長ではあります。

いやまあ市場の金利を置きとして(今回は長期金利中心に一部補正が入っているようですが)見通し期間中の金利がゼロでの置きになっているような事が基本的見解の方にも書いてあるので、これはこれでそうなのかも知れませんけれども、実際問題としては仮に見通し通りに推移して物価安定目標が達成されているならば、少なくとも2016年度には中立水準に向けた調整が開始される筈で、QQEのような強力な金融緩和は無くなっている筈で、緩和的な金融環境を当てにした見通しというのは変じゃネーノとも思えますがどうなんでしょ。

ま、もしかしたら目標達成に自信がないのかもしれませんけどね!!

で、この後個別需給項目の話になりまして、輸出入、ISバランス、企業、雇用所得環境の辺りが色々と面白いのですが、連休明けで頭の暖機運転に時間がかかったせいで既に時間切れになってしまいました続きは明日ですすいませんすいません。

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2014/05/02

お題「総裁記者会見を鑑賞しつつ展望レポート雑感の続きを」

「2年間」まで1年となった為に色々と矛盾というか微妙な部分が出てきていますなあというのが展望レポートの印象で、総裁会見でもいい感じで質問が飛んでいるという所です罠、ということで総裁会見の鑑賞とアタクシの雑感が混在(というか殆どワシの雑談ですすいませんすいません)して誠に恐縮ですがそんな感じになると思いまふ。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1405a.pdf

○物価安定目標の解釈

実質2番目(最初の幹事社からの質問は「冒頭説明お願いします」なので)の質問からですけど。

『(問) 今回のレポートで、2016 年度の物価の前年比は2.1%と、目標をやや超えている数字です。経済成長率も、2015 年度に比べればやや下がりますが、潜在成長率を上回る数字になっています。そうした中で、この2%の物価の数字自体を、日銀が言う安定的に持続と受け止めてもよいのではないかとの声もあると思うのですが、そうした声をどう思うかお聞かせ下さい。また、これに関連して、金融政策については、安定的に持続するために必要な時点まで続けるとのことですが、今回のレポートをみて、総裁は、そういう時点は2016 年度までの間に訪れる可能性はあると思っていますか。この2 点につきお聞かせ下さい。』

ということで、そもそも論として2015年度、2016年度の物価見通しが2%水準にアンカーされているんだったらそれは物価安定目標達成じゃねえのとはそらまあ聞く罠。

『(答) 度々申し上げている通り、「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続することとしています。その判断にあたっては、当然のことながら、その時点までの物価上昇率の実績だけでなく、予想物価上昇率の動向、さらにはそこから先の経済・物価の見通しがどうなっていくかを見極める必要があります。その上で、「物価安定の目標」を安定的に持続するような政策運営を具体的に検討することになります。従って、現時点の見通しをもって、出口の時期を特定することは時期尚早であると思います。』

という話をして、出口の話が出ることによって市場(債券とか海外投資家とか)がドッヒャーとなるのを避けたいのは把握しましたが、やはりこの説明だとわけわからん。まあ補足するとなりますと、フィリップスカーブの考え方と期待インフレ率というどちらも揃ってリアルタイムでの計測が困難なものを並べて話をするのが極めてアレですが、これまでの日銀の話からしますと、フィリップスカーブで見た場合に需給ギャップがゼロの時に物価が2%上昇を示しているというのと、中長期の期待インフレ率が2%でアンカーされているというのが物価安定目標の理念的な話らしいので、そういう意味では単に見通し物価が行けば良いという物ではないとゆー話をしてるんでしょうなあという所で。

『足許の物価上昇率をみると、3 月は全国の除く生鮮食品で1.3%、除く食料・エネルギーはもう少し低い水準ですが、いずれにしてもまだ道半ばです。また、先程申し上げた通り、現在の「量的・質的金融緩和」を継続し、2%の「物価安定の目標」を実現し、それを安定的に持続できるようになることが一番重要であり、先程申し上げた理由から、現時点の見通しをもって出口の時期を云々することは、時期尚早であると思います。』

出口の話をするのは時期尚早ってえのを2回言っていまして、とりあえず「日銀ショック」みたいなのが起こるのは困るという話なのは分かったが、そもそも論からして金融政策が物価に与える影響には一定のラグがある訳ですので、足元の数値の話を持ち出して出口時期尚早とか言うのはえーという感じではあるのですが、とにかく出口の話をしたくないのは把握しました。

・・・・・・・・・でまあそれは良いのですけれども、目標達成時期まで1年となってきたという時期になりまして、案の定と申しますか何と申しますかですけれども、「そもそも物価安定の目標の状態はどういう状態なのか」という点を結構華麗にスルーした状態のまま走っている問題点が時期の接近と共に出るという感じではありますな。

つまり、まあふわっとした概念としては先ほど申し上げたような「フィリップスカーブのY切片」と「中長期の期待インフレ率」というのがあるのですが、そもそもこれらの概念に関しても実際にじゃあ経済指標や市場の指標としてどのようなものとして示されるのかとか、判断する基準って何なのよという話になると、需給ギャップとか潜在成長率とかの推計って方法によって誤差が生じるもので、それなりの幅を持ってしか推計できないものですから、そもそもフィリップスカーブのY切片が云々とか言いましても実際に判るのは事後的ですし、もとより物価が遅行指標な所に加えて事後的にかつ幅をもってしか判らん数値についてああだこうだという話というのも変ですよねというのはあると思うのですよ。

つまり、インフレ均衡状態で推移しているのであれば事後的な話でもある程度ワークするとは思うのですけれども、現在の金融政策ってデフレ均衡状態からの遷移を促すために強力な政策を打っているという建付けにもなっている(まあ確かにデフレ均衡から脱却したようにも見えますし)わけで、それだけの強力な政策を実施しているという事は、本来的に言えば下手にその政策を無用に継続するとインフレ均衡を通過して今度は望ましくないインフレ状態になるリスクだってある訳で、出口政策が遅れる事は通常の緩和政策よりもリスクが大きい筈なんですよね(そうじゃないのであればそもそも今の金融政策そのものの効果は実は小さくて足元の経済物価情勢への寄与に他のファクターが大きいという話になるでしょ)。

とまあ考えますと、物価安定目標に関して本来的にどういう状態の物なのかという概念についてふわっとしたままの状態で目標達成までの期限が近づいてくるというのはどうなんでしょうかねえという風に思うのでありました。

・・・・・・・てな感じで、本日は恐らくこんな感じで進行しまして雑感うぜえという突っ込みが飛んできそうですがまあ書いてる方もこう綺麗に纏まっている訳では無くてここの所ずーっと今後のQQE政策について考えているものを今回の展望レポートを読みながらまた練っている状態なので勘弁してちょという所で。


○物価安定目標達成時期の後ズレではないとは言ってますが・・・・・・・・・・・

『(問) 物価上昇率2%の達成の時期についてですが、今回の展望レポートでは見通し期間の中盤頃と示されています。この時期について、もう少し具体的にお考えをお聞かせ下さい。また、これまでのご説明にあった2014 年度の終わり頃から2015 年度にかけてという目標達成時期の見通しから何か修正があるのかどうかについてお聞かせ下さい。』

この質問にあるように、そもそも「物価上昇率2%の達成」というアクチュアルな物価上昇率の達成問題と、「物価安定目標としての2%物価上昇達成」というのは実は概念的に差がある話でして、理念的に言えば実際の物価上昇率が2%に達する前であっても物価安定目標達成の為に必要な調整として金融政策の緩和度合を縮小するという可能性だってある(物価上昇の勢いが付きすぎたらそうなる)訳で、まあそんなこんなで実際の物価見通しと物価安定目標の間にも差があるというのがヤヤコシヤ。

『(答) 今回の見通し期間は、ご承知のように2014 年度から2016 年度までの3 年間ですので、序盤と終盤の間である「中盤」とは、当然、2015 年度を中心とする期間を考えています。』

ほほう。

『ただ、具体的にどの時点で消費者物価の前年比が2%に達するかは、政策委員の間で見方が若干異なるところもあるので、「中盤頃」と、ある程度幅を持った表現としています。いずれにせよ、2015 年度までの今回の物価見通しは、政策委員の見通し計数をみても分かる通り、従来の見通しから全く変わっていません。そういう意味で、2%の達成時期が後ずれしているということはない、従来と変わらないということです。』

とは答えているのですが、しかし黒田総裁の定義(というかまあ展望レポートの表現の示す所)からすると、これはどこからどう見ても後ズレしてねえかという気がするんだがががが。

でまあそういう質問をするとどうせ「そもそも2年間という期間はピンポイントの時期ではなくある程度幅を持って見て頂きたい」とか「CPI2%をピンポイントで誘導しようとしている訳ではなく、それよりも経済物価情勢を幅広く考えた上の物価安定目標」とか煙に巻かれるのが確実視されますので、ここからゴリゴリ突っ込んでも実は暖簾に腕押しになってしまうのが残念な所ですが、やはりここは怪しいわ(昨日ご紹介した展望レポート基本的見解の最後の最後の所で「順調に辿っている」が抜けた件と言い)という所ではあります。

まあこの部分に関してはそもそも展望レポートの反対が3人もいるので、反対意見まで含めてアグリゲートするとそこまで強い書き方をするのもムツカシヤという状況だったのかも知れず、この辺りの微妙さに関しては恐らくツッコミを入れてもよく判らん所かなあとは思います。


なお追加でツッコミ質問が飛んでいるので引用しておきますね。

『(問) 今の点と関連して、もう2 点お伺いします。達成時期について、これまでの会見等での総裁のご発言では2014 年度の終わり頃から2015 年度にかけて2%程度に達するとお話をされていましたが、今のお話だと、もう少し幅が出たような言い方に聞こえますけれども、変化があるのかどうか、あと変化があるとすれば、多少意見の相違があるということがありましたので、そういったことが影響しているのかどうか、というのが1つです。』

『関連して今回物価の見通しをみると、政策委員の間で相当幅があって、特に2016 年度にかけては下がるという見通しを示している方もいらっしゃる。中心値としては2.1%となっていますが、2016 年度は、これだけ幅があると、見通しの蓋然性に疑いを持つ方も出てくると思うのですが、その点についてどうお考えなのかというのがもう1 つです。(実は3つ目があるのだが割愛)』

後半の質問は「見通しの蓋然性に疑い」ではなくて「そもそもこれだけの幅のある見通ししか出ないのであれば見通しを出す意味があるのでしょうか」の方が良いようにも思えますがそれは兎も角。

『(答) 先程申し上げた通り、2%の「物価安定の目標」の達成時期が後ずれしているということは全くありません。これは参考で示している政策委員の大勢見通しの数字を見て頂いても分かるように、2014 年度の見通しが消費税率引き上げの直接的影響を除くものは1.3%ということで、従来の見通しと全く変わりませんし、2015 年度は1.9%ということで、これも従来の見通しと全く変わっていません。従って、2%の「物価安定の目標」の達成時期についての考え方、見方が変わったということは全くありません。』

微妙に怪しげですが要は「後ズレしていません(キリッ)」との由。

『先程申し上げたように、見通し期間が2014 年度から2016 年度までの3 年間でありますし、政策委員の間で若干の見方の違いもありますので、それらを含めて中盤頃といった言い方をしたというだけで、大勢見通し自体は、全く変わっていません。さらに2014 年度と2015 年度について、中央値以外に幅を示していますが、むしろ1 月の見通しよりも2014 年度も2015 年度も幅が狭くなっており、この1.3%、1.9%という見通しについては、より確度が高いとみているということを示していると思います。』

数値の話に持ち込んでしかも見通し数値が収斂された話に巧みに話を逸らすとは巧妙にも程がある。

『なお、2016 年度はさらに先であり──中央値は2.1%ですが──、見通しについて幅があるのはその通りです。3 年後ということで、今の時点では見通しに幅があるということだと思います。これはある意味で自然なことではないかと思います。』

まあこれはこうなる罠という所で、ですからして「そもそもそういう数値を出すのはconfusingではないか」というような質問に持ち込んだ方が良いような気がします。まあどうでも良いけど。



○成長率と物価の問題、あるいは潜在成長率の問題

成長率見通しが下がる中で物価の見通しは堅調なままという点についてのツッコミも当然の如く飛んでまいります。

『(問) 展望レポートに関して1 点、その他1 点お伺いします。物価は順調に2%へのパスを辿っている見通しになっていると思いますが、成長率をみると、1%台の前半という見通しになっています。物価に比べて成長率の伸びが弱いというのは、いわゆる生活者からすると物価だけ上がっている状況に今後3 年間なるのではないかとも受け取れます。日銀としては、やはり成長率の引き上げということも重要だと思うのですが、総裁は実質GDPの見通し1%台前半という見通しについて、これが日銀の目指すべき成長率なのかどうか、もう少し高めていくようなことを考える必要があるのかどうか、この辺を1 つお伺いしたいと思います。(2点目割愛)』

で、そのお答え。

『(答) まず、第1 点の成長率についてですが、今回の展望レポートでも示している通り、2014 年度の成長見通しは若干下振れていますが、2015 年度は従来の見通しと変わりません。そして2016 年度も1%台前半の成長で、いずれも潜在成長率を上回っており、需給ギャップが縮小し、賃金・物価を引き上げていく状況になっています。』

ふむ。

『その上で実質成長率がもっと高い方が望ましいのではないか、ということだと思いますが、それはその通りだと思います。現に政府でも、中長期的な実質成長率を、現在、潜在成長率として見込まれている1%以下から、2%程度に引き上げていくことが成長戦略の大きな柱になっているわけです。そういった意味で成長戦略その他、特に民間の企業の設備投資というのが、これまでやや低迷していたわけですが──このところは設備投資が少しずつ出てきていますが──、こういったことも潜在成長率あるいは労働生産性の上昇率を引き上げるファクターになると思いますので、そういったことを十分私どもとしても注視していきたいと思っております。』

という答えをしていますが、後の方で更にもうちょっとゴリゴリとツッコミが入ってきます。

『(問) 成長率については、13 年度、14 年度とも下方修正されています。一方で、物価については、ほぼ前回と変わらない見通しになっていますし、先々は2%で安定するとみていると思います。成長率が下方修正されても、物価は市場の見通しに比べて高い。これは単純に考えると、ゼロ%台半ばとみられている潜在成長率は、もしかしたらもっと低いのではないか、そういう可能性もあるのではと思うのですが、展望レポートでは全く言及されていません。』

(;∀;)イイシテキダナー

『総裁は、前回会見の頃から、需給バランスについて、GDPギャップは概ねゼロに近付いているのではないかと言われています。そういうことを考えると、潜在成長率が、もしかしたら趨勢的に下がっているかもしれない点についてどのようにお考えかお伺いします。(2点目割愛)』

ということでこれは良いゴリゴリ質問ですな。まあ答えはしているのですが、この答えは色々とツッコミ所のある答えでして中々イイシツモンダナーな訳です。

『(答) いずれも難しい質問でして、ごくシンプルにお答えしたいと思います。1 点目の潜在成長率については、その計測方法は色々あり、それによって少し違った数字が出ますので、もともと、ある程度の幅をもってみなければいけないと思っています。現時点で、私どもはゼロ%台半ばとみていますが、ゼロ%台の上の方とみる人もいますし、ゼロ%台半ばより下の方とみる人もいるかもしれません。』

まあそれはそうなのだが、だったら展望レポートの見通しの主要部分に「潜在成長率を上回る成長を」とか入れてメインの説明に置いている件との整合性を小一時間問い詰めたい訳ですが。

『いずれにせよポイントは、成長率はやや下振れましたが、今回の景気回復が内需中心、非製造業中心に進んでおり、ご承知のように非製造業は労働需要を誘発する効果が大きいセクターですので、労働市場はよりタイトになってきているということです。』

それは現状はそうかも知れんが、逆に言えば景気循環サイクルが下向きになった場合には労働市場の現在のタイトさから一気にスラックの状態になるリスクがあるちゅうことであり、それってつまりは需給ギャップの縮小あるいはプラス転換によってもたらされる物価上昇というのはシクリカルに下向き圧力が強くかかりやすくなるという事からすると「安定的な物価上昇」に繋がらないんとちゃいますかねえ。

『潜在成長率が現時点でどのくらいになっているかは、色々な計測があり一概には言えないと思いますが、ご指摘のように、潜在成長率が全然変わらないということはなく、労働力の伸びや資本ストックの伸びなどにある程度影響されることは事実です。私どもは従来から申し上げている通り、まず潜在成長率を計算してというよりも、労働市場あるいは資本の稼働率などをみて、そこから判断をしているわけでして、より実務的、実践的な形でみています。現に、労働市場は非常にタイトになり、名目賃金も上がってきています。』

という理屈は判るが、非製造業中心の回復という局面においては、労働や資本の稼働がよりシクリカルに動きやすいという事なのであれば、従来製造業中心の景気回復で推計していた方式だと過大計測になっている可能性もあります罠という希ガス。

『潜在成長率がどのくらいであり、これをどのように引き上げていくかについては、まずどのくらいであるかは、色々な指標があります。また、どのように引き上げていくかについては、基本的には、やはり成長戦略といいますか、供給力をどのように伸ばしていくのか、労働力をどのように増やしていくのか、資本ストックをどのように増やしていくのか、あるいは技術革新をどのように促進していくのか、にかかっていると思います。』

という事になりますと、期待の転換によってフィリップスカーブの引き上げを行ってカーブのY切片を2%水準に持って行くという話ではありますが、そもそも潜在成長率が上がらない中では自ずとフィリップスカーブを平行移動型でシフトアップさせるというのも限界があると思われる訳で、その潜在成長率に関して金融政策が直接働きかけられる部分というのはかなり限定的であるという事を考慮しますと、そもそも論として物価安定目標2%という数値自体が「ピンポイントの2%そのもの」あるいは「短期的に目指す数値として」経済の実力から見て適正なのかという話も出てくるような気もするので、まあこの「成長は下方修正だけど物価は上方修正」というのは色々な意味でツッコミ所がある訳ですよ。


つまりですね、展望レポートの説明だと成長下振れでも物価上振れとなっている要因として、昨日ご紹介したように非製造業における労働需給の急速な引き締まりによる需給ギャップの縮小と、中長期的な予想物価上昇率の上昇による企業行動への影響というのをあげているのですが、実際問題としてここで質問した記者さんの指摘にありますような「潜在成長率の趨勢的な低下」というのが背景にあったとしますと、今申し上げたように物価安定目標2%のセッティング自体への問題にもなってくると思うのですよね。

すなわち、潜在成長率が日銀(など)が従来考えていたよりも下がっていたという場合、当然ながら通常の場合は需給ギャップやら成長率やらに対する物価の感応度が高まっている、即ちちょっと経済成長率が加速すると物価がホイホイ上昇してしまう訳で、その感応度がアホみたいに高いとちょっと前の質問者が質問していたように、成長率が大して高まらないのに物価だけはホイホイ上昇してしまうというスタグフレーションみたいな状態に陥るという事になる訳ですよね。

でまあ従来はデフレ均衡にあったのでその点が発覚しなかったものの、QQEというショック政策によってデフレ均衡を脱却してみたら実は潜在成長率が低下していて、均衡の向こう側は非常にスティープしたフィリップスカーブが待っていた、という事だったりすると悲劇というか喜劇というかな展開であるのかも知れませんですよね。ちょうど労働人口の趨勢的な低下傾向とか、貿易構造の変化とかがぶつかっているので、実はこの間に趨勢的に低下していた潜在成長率の問題がデフレ均衡の結果発覚していなかったとかだとオソロシスとしか申し上げようがない訳で。

または駆け込み対応で輸入がアホほど伸びた(その結果昨年度後半のGDPがコケたとも言えますが)辺りが示すのは、経済の供給制約が実は結構低い所にあって(というのも潜在成長率の低下という話になります罠)、その結果として成長率に対する物価の感応度が高くなっているとか、まあその手の構造的な問題が「成長率は予想より低かったのに物価は予想通りどころかやや上振れ」という現象として顕在化した、とか考え出すと中々こう気分が暗くなる次第でありまする。

#まあそう考えますと政府の成長戦略は何をやってやがるんだという話ですよねえ・・・・・・・・


もちろん潜在成長率は特段低下していなくて、物価の想定以上の強さについては予想インフレ率の上昇効果が大きく出ているからという推計も成り立つ話であって、こればっかりは事後的にしか判らないのですけれども、今後の経済物価情勢を見ながら判断していくしか無い話ではあると思うのですが、潜在成長率が低下しているという可能性についての金融政策運営に関するインプリケーションとか考えると中々これが奥が深そうなので連休中にのんびり考えたいという所ですな、はい。

#つーことで質疑紹介が一部だけになっていてすいませんすいません、暇だったら連休中に投下するかもしれませんけどあまり期待しないで下さい(去年も大口叩いて結局連休最終日の夕方に一本投下しただけ)

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2014/05/01

○展望レポート:何か今回は色々な方向に伏線を張っていますな

展望レポート(基本的見解)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1404a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1310a.pdf(前回10月)

・全体的な感想:微妙に色々な伏線を張っているようにも見えますし解釈が少々困るわ

・・・・・とまあ書いてみましたが、今回の展望レポートなのですけれども、基本的にはここまでの推移がオントラック、というよりは物価に関してはむしろ上振れ推移しているという部分に関しては想定通りに強い話が展開されていまして、先行きに関しても強気の話が入っているのですが、微妙な所で微妙にヘッジが入っていたり、その一方で貫録の上振れみたいな出口政策への意識付けをさせるような見通しも入っていたりと、読み方にバイアスを掛けると上下両方に読める可能性があるという中々微妙な作品に仕上がっています。

ということで、恐らく今日は展望レポートを受けて何とかストの皆様がああだこうだとコメントやらレポートを出して来るのですが、割とバイアス掛けて読むことが可能な展望レポートである、という点を認識してコメントを読んだ方が吉のような気がする訳で、てめえの相場観やポジションに都合の良さそうなものに安易に飛びつくと怪我の元かも知れませんよ。

なお、普通に読むとやはり追加緩和は無い、という話になる筈なのでクレクレの皆さん残念でした(^^)。


・内容に入る前に先に数字の方を確認しましょう

2013年度の数字についてはまあご案内の通り下方修正ですが、まあこれに関してはところで何でそうなりましたねんという話について概要説明の中で一応あるのでそちらで。

でまあ先行きですけれども、

2014年度:GDP見通しが下がっているけど物価見通しは上昇。特に全体見通しを見ると下限の人が+0.7%だったのが+0.9%、下から2番目の人が+0.9%だったのが+1.0%となっていまして、ある程度想定範囲内でしたが物価見通しの下の人が上に寄せてきましたな。

2015年度:こちらはそれほど変わっていないのですが、物価見通しの大勢見通しを見ると何故か上限の人が+2.2%から+2.1%に降りてきておりまして、何か知らんが謎だぞそれという所です。

2016年度:今回初めて出ましたが、まあ想像通り+2.1%とかで物価が出ているのですが、後の方にご紹介しますが、潜在成長率について0%台後半から徐々に上昇という見通しになっている中ですし、説明部分でも「基調的には潜在成長率を上回る成長を続ける」という話になっているのに、物価の方は2015年度が+1.9%で2016年度が+2.1%って、潜在成長率を上回る成長が続いて、しかも(後の方で出てきますが)金融緩和政策は継続しているというような前提っぽい想定になっているのに何で物価が上に跳ねないのかは意味がワカランチ会長。

・・・・・・ではありますが、まあこれを質問しても(つーか会見で質問があったような気もするが)これは政策委員会の各メンバーの数値をアグリゲートしたもので前提が違いますからと逃げられてしまいますのですよね。

ということで、数字を細かく見ると何か物価の見通しが微妙に下がった人がいる辺りに味わいもあるなあという所ですが、では内容に参りますとこれがまた一見すると強気の内容で、二度読むと微妙にほえ??というのがあるという味わいのある内容です。


・「基本的見解」の「概要」とな

今回は基本的見解の文章部分が前回の7pから9p(最後の1pは2行なので実質8p)と増えていまして、えーっと確かQQE導入後に一回この基本的見解を簡素化するとか言って色々な説明をバッサリ減らしませんでしたっけ何で増えるんでちゅかねえという所なのですが、良く良く見たら基本的見解の最初の所に「概要」という概要の概要みたいな屋上屋を架すみたいなコーナーが追加になっております。

ナンノコッチャという感じですが、これって勝手な妄想をしますと「分かりやすい表現」がどうのこうのと謎提案をする白井審議委員の見解を反映して最初にエグゼクティブサマリーみたいなのを突っ込んだという事かなと思いますし、白井審議委員ニッコリと言いたい所ですが、後の所でリスク要因の中で雇用や所得に関する部分が削除されていて従来よりリスクとして認識という話をしていた白井さん涙目で相殺ですかそうですかという所で。

でまあ概要なんですけどね。

『・2014年度から2016年度までの日本経済を展望すると、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。』(以下暫く今回分)

まあここは毎度同じですな。展望する年度が1年延びています。

『・ 消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)は、暫くの間、1%台前半で推移したあと、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、見通し期間の中盤頃に2%程度に達する可能性が高い。その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移行していくとみられる。』

総裁会見で質問がありましたが、この「見通し期間の中盤」というのは2015年度半ば頃という話だが若干幅はあるという概念だそうでしてここについては後ほど。

『・ 従来の見通しと比べると、成長率の見通しは、輸出の回復の後ずれなどから、2014年度について幾分下振れるものの、物価の見通しは、@雇用誘発効果の大きい国内需要が堅調に推移するもとで、労働需給が引き締まっており、この傾向はさらに強まることや、A中長期的な予想物価上昇率の高まりが実際の賃金・物価形成に影響を与え始めているとみられることから、概ね不変である。』

@の労働市場を中心として経済のスラックがほぼ解消に向かう中で需給ギャップが改善傾向を辿る、という需給ギャップ方面のアプローチに加え、Aの方がキタコレな話で、フィリップスカーブが上方シフトしているのではないか攻撃キタコレであります。

『・「物価安定の目標」のもとで、以上の中心的な見通し(第1の柱)と、これに対する上下双方向のリスク要因(第2の柱)を点検した2。金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(今回)

ここの金融政策運営の部分については文言に非常に深い味わいがありますのでそれも後ほど。

つーことで、まあ表面上は強い話でしてフィリップスカーブの上方シフトの可能性を全面的に指摘とかキタキタキターな部分が思いっきりある一方で、ヘッジクローズにあまり良く見えないけれどもヘッジとしても使える部分というオモシロイ部分がありまして、そういう点では実にこう何か「周到に作られた」印象を受けますですよ、はい。

・中心的な見通し:輸出の現状判断は下がったけど内容は強いです罠

『わが国の景気は、消費税率引き上げの影響による振れを伴いつつも、基調的には緩やかな回復を続けている。輸出は弱めとなっているが、国内需要が堅調に推移するもとで、景気の前向きの循環メカニズムはしっかりと作用し続けている。国内需要は雇用の誘発効果が大きいため、2013年度の成長率の下振れにもかかわらず、労働需給は概ね想定に沿って引き締まり傾向が強まっている。』(今回)

『わが国の景気は、緩やかに回復している。需要面をみると、輸出は持ち直しつつもやや勢いに欠ける一方、個人消費をはじめ国内需要は堅調に推移している。こうした内外需要を反映して、生産面では、鉱工業生産の増加ペースが緩やかにとどまる一方で、サービスや建設など非製造業の活動は強めに推移している。』(前回)

輸出が「弱め」と下がっている(4月金融経済月報概要は「横ばい」ですがこれは方向性の話で水準とは別)のですが、一方で「景気の前向きの循環メカニズム」というのが思いっきり入っているのが強いですなあという所で、しかも今回は「労働需給の引き締まり」ということで、雇用のスラックがほぼ解消されたと見なされるという話も出ていてまあ強い強い。


『先行きを展望すると、国内需要が堅調さを維持する中で、輸出も緩やかながら増加していくと見込まれ、生産・所得・支出の好循環は持続すると考えられる。このため、わが国経済は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想される3。』(今回)

『先行きは、内需が堅調さを維持する中で、外需も緩やかながら増加していくと見込まれ、生産・所得・支出の好循環は持続すると考えられる。このため、わが国経済は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想される2。』(前回)

輸出の見通しはしつこく「今度こそ上昇する」というオオカミおじさん状態ですが、それ以外に関しては基調として強い話です罠。

脚注は潜在成長率に関する記述です。

『3 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、このところ「0%台半ば」と計算されるが、見通し期間の終盤にかけて徐々に上昇していくと見込まれる。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータにも左右される性格のものであるため、相当幅をもってみる必要がある。』(今回)

『2 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、見通し期間平均では「0%台半ば」と計算されるが、見通し期間の終盤にかけて徐々に上昇していくと見込まれる。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータにも左右される性格のものであるため、相当幅をもってみる必要がある。』(前回)

ということで、潜在成長率の推計が微妙に上がっている(前回は平均が0%台半ばだったのに対して今回は直近の数値として0%台半ばだから)ように見えるのですが、潜在成長率が上がったら物価って上がりにくくなるんじゃないですかねえ何でGDPが見通し下振れているのに物価が上昇するねんというのは後ほど説明が出てくるですよ。


・謎の脚注4

その続き。

『こうした見通しの背景にある前提は、以下のとおりである。第1に、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を着実に推進していく中で、金融環境の緩和度合いは一段と強まっていくと考えられる4。』(今回)

でまあそこの話は良いとしまして(実質金利の低下が効果で云々の話)脚注4が今回の展望レポートの謎記述にも程がある部分。

『4 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。具体的には、短期金利について、市場は、見通し期間を通じて、実質的にゼロ金利が継続することを織り込んでいる。長期金利について、市場は、見通し期間を通じて、低位で推移すると予想しているが、これには市場参加者の物価見通しが展望レポートに比べ低いことが影響している。各政策委員は、こうした市場の見方を踏まえ、物価見通しの違いも勘案して、長期金利の先行きを想定している。』(今回)

ということなのですけど、まあ基本的に展望レポートの作りというのは置きになる金融政策運営に関して「市場の織り込む金融政策パス」というのが全体になるというのがお約束になっていると理解している(ちなみにFEDのSEPは「各参加者が適切と考える金融政策パス」というのが置きになりますし、BOEの場合は「市場織り込み」と「現状維持」の二本立ての筈)のですが、今回に関しては脚注にもありますように、市場の先行き経済物価見通し(というよりは物価見通し)と日銀の出して来る見通しとの間に相当のギャップがありますので、市場の織り込む金利パスを使うとそもそも金融政策として適切ではない(緩和し過ぎ)パスになるように思えます。

しかしどうもこの書きっぷりだと政策金利の置きをゼロ金利政策2016年度まで継続するような形になっていますが、実質金利がマイナスで潜在成長率を上回るような状態が1年半位は続くという中で物価水準が2%近辺でそのままアンカーされるには経済に相応のスラックでも無いと難しいんじゃないでしょうかと思うのですが、一方で日銀の見通しの中心的なベースの説明では需給ギャップは解消からプラス方向に推移するという話になっており、基本的に経済のスラックが解消方向という説明をしているのに、何で2015年度は兎も角2016年度に安定して2015年度の水準を維持するのかが良く判らんですなあというようなお話です。

これ「長期金利の先行き想定」って話で最後サラッと逃げているので、短期金利の想定がどうなっているのかが判らないですし、「物価見通しの違いも勘案して、長期金利の先行きを想定している」って言うのは要するに市場の織り込みパスだと低すぎるから上方修正しているという事だと思うのですが、何かここって丁寧に説明しようとして却って訳分からなくなっているように思えるのですけどねえ。


・先行き見通しの主な変更部分

『第1に、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を着実に推進していく中で、金融環境の緩和度合いは一段と強まっていくと考えられる。』(今回)
『第1に、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を着実に推進していく中で、金融環境の緩和度合いは一段と強まっていくと考えられる。』(前回)

金融環境の緩和云々については前回と今回ほぼ同じ(謎の脚注部分を除く)です。

『第2に、海外経済については、先進国が堅調な景気回復を続け、その好影響が新興国にも徐々に波及していく中で、緩やかに成長率を高めていく姿を見込んでいる。』(今回)
『第2に、海外経済については、4月の展望レポート時点の想定と比べると幾分弱めに推移しているが、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するとの前提のもとで、先進国を中心に、次第に持ち直していく姿を見込んでいる。』(前回)

ここに関しては項目別に見ると中国経済が若干下がっていますが、米国欧州は割と上げ、その他新興国資源国については
やや上がっています。

『第3に、公共投資は、2014年度上期にかけて、経済対策の押し上げ効果から高水準で推移したあと、次第に緩やかな減少傾向に転じていくと想定している。』(今回)
『第3に、公共投資は、既往の各種経済対策の効果に加え、新たに策定される予定の経済対策による追加の押し上げ効果も予想されることから、2014年度上期にかけて高水準で推移するとみられる。』(前回)

こちらはさすがに下がります。


『第4に、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進や、そのもとでの女性や高齢者による労働参加の高まり、企業による生産性向上に向けた取り組みと内外需要の掘り起こしなどもあって、企業や家計の中長期的な成長期待は、緩やかに高まっていくと想定している。』(今回)

『第4に、政府による規制・制度改革や今後見込まれる各種の企業向け減税措置、企業による内外需要の掘り起こしなどもあって、企業や家計の中長期的な成長期待は、緩やかに高まっていくと想定している。』(前回)

今回ほほうと思ったのは『女性や高齢者による労働参加の高まり』、『企業による生産性向上に向けた取り組み』という部分ですな。


・駆け込み需要の反動からの回復時期

『もっとも、雇用・所得環境の改善に支えられて、個人消費の基調的な底堅さは維持され、駆け込み需要の反動の影響も夏場以降、減衰していくと考えられる。』(今回)

『以上の内外需要を反映して、わが国経済は夏場以降、潜在成長率を上回る成長経路に復していくと予想される。』(今回)

ということで、まあ元々そういう感じではありましたが、前回の見通しよりはややニュアンス的には強くなっていると思います。というのは前回は下の通り。

『2014年度の成長率については、上期を中心に駆け込み需要の反動が出ることから、前年度に比べればかなり鈍化するとみられる。ただし、海外経済の持ち直しが明確となる中で輸出が伸びを高めるほか、金融緩和や各種企業減税の効果などから設備投資もしっかりとした増加を続けるため、潜在成長率を上回る成長は維持されると考えられる。』(前回)


・物価情勢の所は色々とオモロイ

『物価上昇率を規定する主たる要因について点検すると、第1に、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給バランスは6、雇用誘発効果の大きい国内需要が堅調に推移していることを反映して、労働面を中心に改善を続けており、最近は過去の長期平均並みであるゼロ近傍に達しているとみられる。』(今回)

『第1に、マクロ的な需給バランスは、消費税率引き上げの影響による振れを伴いつつも、緩やかな改善傾向をたどり、見通し期間後半にかけて需要超過幅を拡大させていくと予想される』(前回)

という事でまずここで需給ギャップゼロキタコレですよ!!というのと、今回は需給ギャップの改善時期に関しても前倒しになっていいてキタコレです。

『すなわち、失業率が3%台半ばとみられる構造的失業率に近づきつつあるなど7、労働需給は着実に引き締まり傾向が強まっているほか、非製造業を中心に設備の不足感も強まってきている。先行きも、消費税率引き上げの影響による振れを伴いながら、2014年度下期にプラス(需要超過)基調が定着したあと、プラス幅が一段と拡大していくと考えられる。そうしたもとで、需給面からみた賃金と物価の上昇圧力は、着実に強まっていくと予想される。』(今回)

いやー強い強い。更に・・・・・・・

『第2に、中長期的な予想物価上昇率については、全体として上昇しており、こうした動きは実際の賃金・物価形成にも影響を及ぼし始めているとみられる。』(今回)

『第2に、中長期的な予想物価上昇率については、「量的・質的金融緩和」のもとで、実際の物価上昇率の高まりもあって上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していくと考えられる。こうした予想物価上昇率の高まりは、企業や家計を含めた価格・賃金形成に徐々に浸透していくとみられる』(前回)

ということでここのインフレ予想に関する表現も強くなるわフィリップスカーブの上方シフトを示唆する表現になるわで強い強い。

『第3に、輸入物価については、国際商品市況や為替相場の動きを反映して、エネルギーを中心とした押し上げ効果は本年夏頃にかけて減衰していくと予想される。』(今回)
『第3に、輸入物価については、国際商品市況や為替相場の動きを反映して、当面は上昇要因として作用すると見込まれる。』(前回)

まあこれは下がる罠。

で全体なのですが・・・・・・・・・

『以上を踏まえ、消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)の先行きを展望すると8、暫くの間、1%台前半で推移したあと、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、見通し期間の中盤頃に、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高い。』(今回)

『以上を踏まえ、消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)の先行きを展望すると4、マクロ的な需給バランスの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇傾向をたどり、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみている。』(前回)

えーっとですな、前回の見通し期間は2013年度から2015年度までなので、見通し期間の後半に掛けてと言いますと2015年度の頭は既に後半になると思うのですけれども、今回の見通し期間の中盤頃というのは会見によると2015年度中ということですので、この表現だと物価安定目標の達成見込み時期が後ズレしているような書きっぷりになっているのが実にこう怪しい表現。

でまあ会見(詳しくはテキストを見てから)によりますとどうもここは「特段の政策的な意図はなく、見方は変わっていません(キリッ)」という話らしいのですが、そうは言いましてもここの表現はそろそろ達成云々の時期が近づいてきたので、微妙に表現をぼやかしてインチキグラデーション攻撃を掛けてきたのではないかとの疑惑も流れる所でございまする。


・上下要因(経済):白井審議委員涙目&輸出に注目

こちらに関しては基本的な部分は前回と同じなのですが違ったのが2か所。

今回の要因としては輸出、消費税の影響、成長期待、財政の維持可能性というのがありまして、前回あった『第2に、家計の雇用・所得動向がある。』(前回)というのが無くなっていまして、雇用所得動向に関するリスク認識が無くなったとか強い強い&白井さん涙目。

輸出に関しては今回新たにこのような記述が入りました。

『このところの輸出の弱さの背景には、基本的に、わが国経済との結びつきが強いASEANなどの新興国経済のもたつきの影響が大きいが、わが国製造業の海外生産移管の拡大といった構造的な要因も相応に影響している可能性が高い。』(今回)

ということでシクリカルな部分だけでは無くてストラクチュアルな部分を入れていますな。まあ輸出に関しては明らかに日銀の期待外れの状態が続いていますからね。


・上下要因(物価):上振れ要因キタコレ

『それ以外に物価の上振れ、下振れをもたらす要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。中心的な見通しでは、実際の物価や賃金の上昇率が高まっていく中で、人々の予想物価上昇率も一段と上昇していく姿を想定しているが、どのようなペースで上昇していくかについては注意する必要がある。加えて、消費税率引き上げに伴う幅広い品目の一斉の価格上昇が、人々のインフレ予想に与える影響についても注意してみていく必要がある。』(今回)

『物価に固有の上振れ、下振れ要因としては、第1に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向について不確実性が高い。人々のインフレ予想が、過去にみられた物価や賃金の緩やかな下落を反映して、なかなか高まらない可能性がある一方、実際の物価や賃金の上昇率が高まっていく過程で、予想物価上昇率が比較的早期に上昇する可能性もある。加えて、消費税率引き上げに伴う幅広い品目の一斉の価格上昇が、人々のインフレ予想に与える影響についても注意してみていく必要がある。』(前回)

ということで、既に今回は予想物価上昇率について上がる事を前提にした話になっている(前回は動向が不確実とか割と謙虚な表現でしたけど)上に、最後の所なんぞインフレ予想が上振れの話ですがな・・・・・


『第2に、マクロ的な需給バランス、とくに労働需給の動向がある。中心的な見通しでは、労働供給面で、近年の高齢者や女性による労働参加の高まりが、今後もある程度続くことを前提としているが、この点を巡っては不確実性がある。また、同じ成長率であっても、労働集約度の異なる製造業・非製造業間のバランス次第で、経済全体でみた人手不足感は変化する可能性がある。』(今回)

これ新しく入った所ですな、でこちらも上振れ方向の話がメインっぽいですよオソロシス。


『第3に、物価上昇率のマクロ的な需給バランスに対する感応度、すなわち、企業が需給の引き締まりに応じて価格や賃金をどの程度引き上げていくかについて注意が必要である。』(今回)

『第2に、マクロ的な需給バランスに対する物価の感応度についても不確実性がある。企業が、厳しい競争環境が続く中でも、財・サービスや労働の需給の引き締まりに応じて、価格や賃金を引き上げていくかどうか注意が必要である。』(前回)

こちらも既に上昇するのが前提で、その幅が問題という感じですな。でまあ最後は輸入物価ですがここは前回同様なので割愛。


・金融政策運営の表現がこれまた微妙

第一の柱ですが時期の表現が先ほどと同様に微妙。

『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、わが国経済は、見通し期間の中盤頃に、2%程度の物価上昇率を実現し、その後次第に、これを安定的に持続する成長経路へと移行していく可能性が高いと判断される。』(今回)

『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、見通し期間の後半にかけて、日本経済は、2%程度の物価上昇率が実現し、持続的成長経路に復する可能性が高いと判断される。』(前回)

ということで先ほどと同様に時期の表現が妙ですな。

第二の柱の点検部分はニュアンス概ね同じなので割愛しますが、最後の結論部分の表現が更に妙です。

『金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(今回)

『金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」のもとで、実体経済や金融市場、人々のマインドや期待など、好転の動きが幅広くみられており、わが国経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調にたどっている。今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(前回)

・・・・・・・・・・・さてどこが変わっているかと言いますと、まず第一文の中でQQEの効果に関しては「所期の効果を発揮しており」と勝利宣言っぽい表現をして(キリッ)という風情を醸し出しているのですが、その後いきなり「今後とも、日本銀行は〜」という文章になっていて、文章の流れに違和感ががががが。

で、良く良く前回と比較してみると、前回あった「わが国経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調にたどっている」という一文が抜けておりまして、つまり前回は「ここまでの政策評価」→「経済物価情勢のパス」→「今後の金融政策運営」という表現の流れだったのが、今回はその「経済物価情勢のパス」に関する表現が無くなっているというのが実にこう味わいが深い訳ですよ。

まあ総裁会見によりますと展望レポートに3名反対が出たとの由ですので、その反対の3名(の誰かか全員か知らんが)が2%へのパスを「順調に」辿るとはケシカラン表現であると全力で主張したのではないかと妄想される所ですが、ここの「順調に」云々が削られている辺りや、達成時期の表現が微妙に変化している辺りなどにフォーカスを当てると実は今回の展望レポートって「先行きの物価目標達成の時期やパスに関して微妙に日和った表現が入っていてヘッジを入れていますな」という解釈も可能というのが何ともまあ味わいの深い所で、これはもうジャパニーズ侘び寂の世界であると認識せざるを得ないという所でありまする。

なお、全文と総裁会見のテキストが今日出ますのでまたそれを鑑賞しつつ続きます、という所で。

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2014/04/30

○決定会合プレビュー雑談をしつこく少々

そういや今回は展望レポートの予測期間が延びるのですけれども、それに関連してアタクシ的には全然気にしていなかったのですが、2014年末以降のバランスシートに関する発表マダーという話ってそこそこあるらしいと聞きましてほほーという感じではあります。

まあ確かに目標達成が難しいということであれば、現時点で決まっている事をベースにすれば「今の枠組みを継続しますよ」という話になりますので、「年間MB60〜70兆円拡大、うち国債を年間50兆円残高拡大、平均残存7年程度、ETFを年間1兆円残高拡大、J−REITを年間300億円残高拡大」というのがそのままリニアに継続されるという話になりますので、例えば2015年のバランスシートを出せという話になるとそのような数値が出る訳ですな。

しかしながら、そもそも論としてQQEは「物価安定目標を達成するまで」実施となっていまして、その目標が達成されたという話になった場合には今の枠組みが見直しされるという話になる訳でございますからして、昨年時点で「2年を目処に早期に達成」という話をしており、かつ現時点での執行部の説明(会見などでの黒田総裁の発言)では14年度末の辺り(つまり来年の4月近辺)では目標が達成できているでしょうという見通しになっている訳でして、そういう中で2015年末のバランスシートの見通しのようなものを出すというのはそもそも論として矛盾した話ですし、日銀の見通しが正しければ本来2015年末のバランスシートというのは別途ご検討という話になる筈ですので、まあ出すのは簡単なのですが、それによって市場の期待をミスリードした場合に出口政策の困難さが高まるという朝三暮四もビックリの展開になってしまいますので、まあ今の見通しに対して真面目に行くと思っているのであれば、2015年末とかのバランスシートをそのまま今のリニアで出して来るというのは普通に真面目な態度とは思えません。

ということでそういうのは当分出てこない(もちろん物価安定の目標の達成に対する考察が金融政策決定会合で出てくる、つまりQQEの落とし前が出てくるのであれば、その際に何らかのモノが出る可能性はありますけど)と考える方が普通でして、間違ってその手の物が出てくるようでしたらそもそも日銀が真面目に自分たちの見通しが行くと思っていないのか、それとも俊ちゃんスキームでインチキロジック満載攻撃に舵を切ったかのどちらかというのが正しい読み解き方になる次第ですが、前者はまあ普通に考えにくく、後者の可能性は無いでも無いのでしょうが、就任以降の黒田総裁の金融政策運営の基本的部分に関する話については、QQE導入当初は(どうせドタバタで導入した上に置物副総裁の置物理論がpoorにも程があって使い物にならなかったからだと思いますが)微妙に何をどうしたいのかの話が混乱していましたが、暫くして「期待に働きかけてデフレ均衡から脱却してインフレ均衡に持って行く」というコンセプトが固まった(最初の時点でも期待に働きかけるという話はあったが中身は微妙に変化していた)以降に関しては清々しいまでに同じ話を繰り返していまして、某福井の俊ちゃんみたいにイカサマロジック(というか最早ロジックですらない)を振り回すの巻とはならないように思えます。


あと、今回は見通し期間が延びるのですけれども、直近で出ていました昨年10月の展望レポートによりますと、2015年度って中心値ベースで実質GDPが+1.5%でコアCPIが+1.9%(除く消費税要因)という数値になっているのですが、これ2016年度に伸ばした時にどういう数値になるんでしょというのもマニア的には注目しております。

つまりですね、そもそも潜在成長率の推計って日銀の説明だと足元が0%台後半で見通し期間の終わりごろに掛けて徐々に上昇するかもしれませんね的な建付けになっているのですが、まあそれにしても2015年度の実質GDPって潜在成長率を比較的幅を持って上回った水準で推移するという推計な訳ですよ。

でもって2016年度ってどうなるのよという話でして、例えば2016年度の実質GDP見通しが2014、2015年度と同じで+1.5%程度の水準ですよ、という話を出したとしますと、物価見通しの方が2%超で出さないとそもそも論としての説明がおかしくなる訳ですよね。つまり日銀の場合、物価上昇メカニズムについて2014年度後半以降に関しては需給ギャップが解消されて上昇するというのをメインに置いている訳ですし、日本においては企業や家計のバランスシート調整は基本的に終了している(調整しないといけないのは財政)上に、雇用のスラックという意味でも失業率がNAIRUに近い水準に既に低下しているという状態になっている訳ですから、スラックの無い中で潜在成長率を上回る成長を3年も続けた日には物価の上昇圧力が高まってどちらかと言うとインフレ期待の上振れを心配しないといけない位の話になりますよね、とまあそういう風になる筈ですが、どうせそういう数値的整合性を出してこないだろうなあとは思いますが、さてどうやって話の帳尻を合わせに行くんでしょうかねえとニヤニヤ。

でまあ延びる方は兎も角として、もう一つのネタは2013年度の見通しのGDP数値(+2.7%)がどう見ても未達です本当にカムサハムニダという点についてどういう落とし前をつけてくるかという点なのですが、2月決定会合後の会見で黒田総裁何か変な物でも食ったのか+2.7%達成とか言ってしまった手前、この点についても落とし前をつけて頂きたいのですけれども、まあその分に関してはその後の会見などで強気発言を連発しているので、その時点でだいぶ有耶無耶になってきている感じはするのですが、まあ当然ながらこの部分についての質問も飛んでくるでしょうなあとは思います。

ただし、物価に関しては見通しを変えてはこないと思われまして、それはもうアクチュアルの物価水準が見通しを基本的に上振れて推移しているからという話になりますので、その部分の整合性をどう説明して来るかと言いますと「期待の変化に伴ってフィリップス曲線の形状が変化している可能性があります(キリッ)」という日銀の思う壺の説明が待っているという辺りが誠に憎たらしい所でございまして(−−)、その説明が会見で流れるとまたぞろアチャーという感じになるんでしょうね、よー知らんけど。

ま、そんな訳でして、アタクシ的には手前の方の数値に関する話よりも2016年度の見通しの前提として先行きの潜在成長率とNAIRUをどのような前提で置いているのか、経済のスラックをどの程度の所で置いているのか、というのを知りたい訳ですが、これまた憎たらしい事に「これは各政策委員の判断をアグリゲートしたものなので、各委員によって前提の数値が異なると思われますので特定の数値についてお示しする事は物理的に不可能ですが何か?(すっとぼけ)」という想定問答が返ってくるのが明らかな所が実にこうケシカラン所でして、どうせ質問してもそのような答えしか出てこないのですが、だったら各政策委員の皆様におかれましては個別で良いので展望レポートの前提となる潜在成長率やNAIRUに関する数値について講演などで示して欲しいもんだという気もしますが、まあ出し過ぎると今度はFEDのSEPみたいに何が何だかワカランチ会長な物が出てくる結果になるという悪事例もアリエールなのが誠に遺憾の極みという所ではございます。


○金融システムレポート関連雑談メモ(とりあえずメモのみ)

FSR雑談を書こうかと思ったのですが本文を引っ張り出してああだこうだという話をおっぱじめようとしますと結構ヘビーだったりするので本日はメモだけ書いておきます。先日概要部分をネタにしたのですがその追加みたいな感じです。

本文16ページで金融機関の貸出と有価証券投資に関する話がああだこうだとあるのですが、この辺りをみておりますと「貸出は伸びている」という話をしておりまして、企業向け貸出に関しては幅広い業種や、従来の大企業中心から中小企業にも貸出が伸びていますよという話もしていてほほーという感じではあるのですが、不動産関連貸出に関して本文21ページに微妙な記述がありまして、本文21ページで言及されているのですが、不動産向け貸出の伸びが地域銀行や地方圏での伸びが高くなっているという指摘をさらっとしておりまして、ほほうという感じでありまする。

で、本文54ページ以降で「地域銀行の収益性について」というコーナーがありまして、まあ地域銀行の収益性に関する話は毎度言及されていて今回はその辺の記述が露骨になったなあというのは概要部分の紹介をした時に申し上げたと思いますが、この部分に関する記述がこれでもかと本文の方でも続いているのが印象的な所ではあります。

つまり、「地域銀行の域外貸出増加の影響」(56p、域外貸出をするとロットは増えるし多様性も増すけれども導入段階でサービスレートを入れないといけないので収益性が手前で悪化する上に進出先の金融機関が貸出競争に巻き込まれる)とか、概要の方でもあった「BOX1 人口動態の変化と家計預金」(59p、今後の人口動態の変化は金融機関の預金吸収力の低下をもたらすがその影響は地域金融機関の方が先に出てきて大きいでしょう)などの話をしておりまして、まあうーむという感じではあります。

一方でマクロストレステストの方では国内基準行に関してはTier1に金利上昇時の国債含み損発生部分を気にせんでよいというのを使っている(もちろん売却すると損が出るので影響するという話はしているけれども)ので、そこまで厳しい話をしていないのは、まあマクロストレステストの部分って報道で使われる可能性の高い部分だから、こちらではセンセーショナルな書き方をしないのが吉というのは(今に始まった事では無く前回もそういう計算してます、為念)継続しておりまして、地域金融機関に対するやや厳し目のトーンはあるのですが、報道ベースなどで悪目立ちしないようにという配慮をしている辺りが味わいがあるっちゅうか却ってアレな所でもあるなあ、という話をもうちょっと詳しくやろうかと思ったのですが、うまく考えが纏まらなかったのでメモで勘弁させて頂きましたです、はい。

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2014/04/28

・決定会合プレビュー雑談

ほほう。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4KKEW6SETEP01.html
「日銀追加緩和なし」じわり増加、日銀サーベイ−時期は7月が依然最多
更新日時: 2014/04/25 13:28 JST

『4月25日(ブルームバーグ):日本銀行の追加緩和はない、との見方がエコノミストの間でじわりと増えている。経済・物価情勢が日本銀行の見通しに沿って推移している上、黒田東彦総裁が2%の物価目標実現に向けて強気な姿勢を打ち出しているのが背景だ。』(上記URLより、以下同様)

ほほう。

『ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト35人を対象に行った調査で、追加緩和予想時期は7月が15人(43%)と最も多く、前回(44%)に引き続き最多となった。同時に追加緩和なしとの回答が6人(17%)と、前回の4月1回目の会合前(11%)、前々回の3月会合前(9%)に比べて回を重ねるごとに増えつつある。』

ということで、相変わらず何とかスト様の経済予想VS日銀の経済予想という感じになっているのですけれども、先日来申し上げておりますように7月に追加緩和というのは日銀の従来からの説明をベースにしますと一番「あり得ない」時期でございまして、7月に追加緩和という位でしたら相当の落ちこみが7月会合時点でデータとして確認されている必要があるのですが、そんな経済予想なのかと小一時間問い詰めたい訳でございます。まあ7月予想してるのは日銀の行動様式を無視しててめえの経済予想が大きく落ち込むというのに張っている場合のみに可能な予想だと思われます。

あと、良く言われるのが「次の消費税率引き上げ決定のタイミング」があるから追加緩和という話なのですけれども、これまた政策ロジック的にはセンスが無い話でして、あーた良く考えてみたら追加的な金融緩和政策を実施しないといけないような経済状況の中で増税しますよとか決定する訳無いじゃんと思う訳です。消費税増税の前後で消費などに短期的なデコボコが発生するという面で財政政策での手当がというのはまだ話が分かるのですが、あくまでもその話は短期的なものであって、短期的な経済変動に対して金融政策が一々対応するのかというとそうじゃないでしょ(流動性対策みたいな場合は別だけど)というロジックからしますと、まあ消費税増税決定と絡めて追加金融緩和がどうのこうのとか言い出すのはナンセンスにも程がありますな。

・・・・・・・・とまあここまで書いていて気が付く(というか前々からそうは思っている)のですが、どうもあたくしの予想ってまず政策当局の行動変数を考えるという所から入る傾向にあって、でまあ最近は何か知らんけど日銀の経済物価見通しがズバズバ当たるという風になっているので、何とかストの皆様全員枕を並べて討ち死にという展開になっているんですなあとか思われる次第。もとより日銀って経済物価見通しの少なくとも短期的な部分は(あれだけスタッフ張っているから当たり前だが)恐らく日本で一番正確な予測が出来ている筈でして、ただまあ中長期の話になると願望レポート状態になってしまうという残念な展開となり今に至るという所だったのですが、何がどうなっているのか知らんけどとりあえず今のところは日銀大勝利状態なのですからもうちょっと日銀の理屈(または屁理屈)も考慮して予想した方が良いんじゃネーノなどと傍観者的に思うのでした。

まあそれはそれで良いとして、毎度の事だがこのサーベイ35人とか膨大な人数に調査しているのだが、どう見ても日銀ウォッチャーを名乗るにはニワカとかシロウトみたいなのがだいぶ混在している(なお誰に聞いているのかはブルームバーグのプロ向けの方だと書いてあると思う。誰がニワカでシロウトなのかは自粛するけど)ので、そもそもこのサーベイ自体がスットコドッコイな数字を出してくるという点には留意が必要だと思われます。

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2014/04/25

○何じゃこのニュースは???

昨日の夕方出て先物が10銭位下がっていた案件。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4J24Y6JIJVG01.html
日銀は長期金利急騰を懸念、動かぬ債券相場が心配の種−物価反映せず
更新日時: 2014/04/25 00:00 JST

何かこうやってネット版の記事になったらトーンが下がった感じはするのですが、最初出た時はBOJのオフィシャルが債券市場をconcernとかそんな感じのヘッドラインが飛んでいてナンジャコリャという感じでした。

『4月25日(ブルームバーグ):経済・物価情勢が日本銀行の見通しに沿って推移する中でも長期金利は低水準にとどまっており、今後の長期金利の急騰リスクに日銀が懸念を強めている。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより、以下同様)

ナンジャソラ。

『黒田東彦総裁はことあるごとに、日銀の長期国債買い入れが長期金利に対して強い下方圧力を加えていると述べている。しかし、関係者によると、日銀は長期国債を特定の水準に抑えることを目的としているわけではなく、経済・物価情勢が日銀の見通し通りに推移するならば、長期金利もそれを反映して緩やかに上昇することを望んでいる。』

という事ですが、そもそも市場のキャパを考えない馬鹿買いをして官製相場を作っているのはあんさんらでして、市場が反映しないのはケシカランとか言われてもお前が言うなとしか申し上げようが無い訳で。

『経済・物価情勢の改善にもかかわらず、長期金利が現状の0.6%前後の水準で推移する場合、債券市場が先行き大幅な変動に見舞われるリスクは高まる、と関係者は口を揃える。』

まー今の状況というのは日銀が2%物価安定目標の2年での達成待ったなし(キリッ)と言っている中で市場の方は物価がそんなに上がるかよ大体今の上昇持続的に行ける訳ねえじゃんヴォケとゆうとる状態な訳でございまして、お互いに「将来見通しが外れて泣くのはおめーだろ」となっているからこの有様という事ですよね。

ただまあここまでの所物価の推移においては日銀の見通しが大当たりしているだけに日銀が鼻息荒くフンガーとしておりますとこういう話になりますよね、という所だと思うのと、何かこれ最初に(プロ向けベンダーに)出ていたヘッドラインだともっと強いトーンのまるで地均しでも始めたかのようなヘッドラインだったのですが、記事全文に直してみると随分トーンが下がった感じで、ブルームバーグのヘッドライン詐欺攻撃キタコレという所だったのかも知れませんな。

とは申しましても、日銀様の経済物価見通しがリアルに大当たりした場合というのは当然ながらQQE政策も継続される訳ではございませんので、そらまあ潜在成長率プラス物価上昇率とか考えた時に債券市場の水準がががががというのは仰せの通りでございまして、まあ日銀様からしてみますと経済物価情勢が日銀の思うつぼに展開した場合にも債券市場がウゴカンチ会長になっていると、いざQQE政策見直しという事になった時に日銀ショック的な金利上昇されると困るってえのはあるでしょう。

でまあ中央銀行としてはこれは日銀だけじゃなくてどこでもそうだと思いますが、緩和政策から転換するというのは人気の起きない政策だったりしますから、その際にショックがどうのこうのとかなるのはあまり上手く無いですし、そこで悪影響が出ても困りますから、本来的には市場が徐々に織り込んで行って実際に出口の際には市場追認みたいな形で出口に出れる方が美しいしストレスも無い、とまあそういう風には思うでしょうから、そういう意味で「ワシらの見通しが当たっているなら徐々に市場が織り込んでくれた方が先行きの運営が楽ですよね」位の事は言うかもしれませんし、まあブルームバーグニュースのヘッドラインがそれをセンセーショナルな書き方にしましたよね、という所なんじゃないですかねえ、ただの妄想だけど。

まーそうは言いましても今の強烈な買入によって市場の価格発見機能ってだいぶ喪失しているような気がする訳で、日銀の思惑通りに物価情勢が推移するかどうかもアレですが、仮にその通りに推移したとしても市場がマイルドに織り込みに行く、というのはちょっと虫のよすぎる話なんじゃネーノとは思いまする。

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2014/04/23

○ニュース雑談と申しますか

・GPIFの運用委員がどうのこうのというメモ

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0ND1RT20140421
政府、GPIFの運用委員に米沢氏ら7人任命
2014年 04月 22日 00:00 JST

『田村憲久厚労相が同日付で任命する。新たに加わる運用委員の任期は2年。米沢氏のほか、佐藤節也・東洋大教授、清水順子・学習院大教授、菅家功・連合総合生活開発研究所専務理事、武田洋子・三菱総研主席研究員、堀江貞之・野村総研上席研究員の6人を選出。大野弘道・味の素常務執行役員は再任する。』(上記URLより)

やはりあの言いたい放題ジジイは運用委員という責任ある立場には就かずに安全地帯から勝手放題言うというポジションを確保されておられるようで、まさしく人間の(以下自粛)。

でまあ何がどうなるのかというのはこれからでしょうけれども、きちんとした財政検証ときちんとしたリスク分析をした結果としてきちんとした資産配分を考えていただけるものと期待しております(棒読み)という所でございまして、国民の年金を意味不明な費消をするようになった場合はとりあえずここのお名前の方々は永遠に語り継がれる位の覚悟をして頂きたい物だと存じます。まあそのプロモーターのジジイは逃げてるんですけどね。


・2%の定義とかどの程度まで拘ってくるのかという雑談

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3771?page=2
アベノミクスを支える浜田宏一に聞く 「成熟した債権国」化する日本 今後の針路
2014年04月21日(Mon)  WEDGE編集部

『─日銀が「2年で2%の物価上昇」を目標として掲げています。

無理に2%までもっていく必要性が分からない。日銀としては、経済政策をやるにはコンシステンシー(一貫性)が必要であり、おそらく失業率を改善させて完全雇用にするのに2%くらいは必要と見込んで目標に設定し、それを信頼してみんなが行動するといういわゆる合理的期待形成を目指したものであろう。研究上でも有益な考え方であるが、現実には予想は外れることが多い。』(上記URLより)

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE8BQ04C20121227
インタビュー:日銀は無制限緩和を、物価目標2─3%が適切=浜田宏一教授
2012年 12月 28日 08:47 JST

『「(物価安定の目途で示している)1%のインフレ率は、他の国が2%という中で、1%ずつ円高が進む政策。景気振興策としても非常に弱い。デフレだったから目指す物価上昇率が低くていい、という考えはまったく逆で、現在のようにデフレ予想が定着している中では、むしろショックを与えないといけない。(物価目標は)2%ないし3%がふさわしい」』(上記URLより)

とまあ毎度お馴染みのえーっと前何の話をしてましたっけ先生というのはさて置きまして、デフレ脱却に関しては引き続きああだこうだという話は飛んできますけれども、最近はすっかり安倍ちゃんのお取り巻きな方々から「2%」だの「3%」だのという声が出なくなっていて、別にこれ浜田先生だけの話じゃなかったりするような気がするんですよね。

でまあそうなりますと、木内さん方式じゃないですけれども「2%は中長期的に目指す目標」として看板は掲げるにしてもアプローチを変えた方が良いのでは的な話とか、まーその手の「2%の物価安定目標」の示す実際の内容はどうあるべきなのかという話がもう暫くすると(恐らく消費税増税で目先の物価指数がグダグダになるのでその影響がどの位かが見えてくる段階以降)議論になってくるでしょうなあという事になるでしょうし、その際に安倍ちゃんサイドが本当に実際の数値としての2%物価上昇に拘って来るのかという点は影響が無いとは言えないでしょうなあとか何となく思うのでございました。

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2014/04/21

・市場メモではないがGPIF関連

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL180U0_Y4A410C1000000/
官房長官、GPIF運用委人事「有識者の報告踏まえ人選中」
2014/4/18 17:19

『菅義偉官房長官は18日午後の記者会見で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用委員会の人選について「今、厚生労働省で有識者の報告書を踏まえて人選している」と述べた。GPIFの運用委員会の委員は今夏までに全員が任期切れとなり、後任には運用で株式を増やすなどの見直しに前向きな人が選ばれるとの見方が出ている。』(上記URLより)

日銀人事に法制局長官人事に公共放送人事と来てこれですかそうですか。まあ日銀人事は見事に無毒状態になっていますが。

『運用委の人選では一部報道で、国債を中心としたGPIFの資産構成を見直すよう提言した政府の有識者会議の参加者が後任に選ばれるとの観測が浮上している。』(上記URLより)

ということで、金曜顎が外れそうになったニュースヘッドラインとしては、官房副長官だか何だかが「国債よりも株式の方が信頼できる」とか何とか言ったとかゆー事案でしたが、惜しくもその発言ネットの方に転がっていないので残念ながら話の肴にならんのですけど、えーっとつまり国債を払う気が無いのかねとか思ってしまいましたよウヒョヒョヒョヒョ。

それは兎も角として、この調子だとそのうち「俺様の選挙区に敷設する高速道路や新幹線に投資するインフラファンドの方が国債や株式よりもGPIFの投資対象として適切だから投資しやがれ」とか言い出す人たちが出てきても不思議では無いかもしれませんねえあっはっは。

しかしまあ何ですな、昨日もタカ&トシ先生(って誰だよ言い出したの。最近タカ&トシを見ると自動的にクソジジイの顔が浮かんできてテレビ消したくなるんだがorzorz)が色々と仰せになっていましたけど債券市場全然反応して居なかったりするようですが、しかしこのジジイは「グローバルスタンダード」とか言ってる割に日本の年金と海外の年金の負債構造の違いとか、制度の違いとかを理解して話をしているのではなく、単に海外の(日本で言う)2階建て年金部分の運用と、GPIFの比較をしてああだこうだ言ってる訳で底が浅すぎて困りますし、アロケーションをそんなにダイナミックに動かせないだろとか、まあ何だかんだと底が浅いですなという所ですが、底が浅いのはどこぞの置物副総裁もそうですので安倍ちゃん人事の真骨頂という所ですなorzorz

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2014/04/18

○債券市場が盛大に無反応というのにワロタ訳ですが(伊藤先生の毎度の話)

昨日は前場からこんなのが出ていまして、超長期国債の入札があるのに前場から債券売る話をするとかお前は債券ショート筋から(内務省検閲)かと言いたくなるような話ではございますが、何が凄いってこのヘッドライン出ているのに債券市場が盛大に無反応どころか超長期入札後に相場堅調になっている(堅調だったのは先物から10年だが)こと。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N45Y1D6JTSF001.html
伊藤教授:GPIFは約25兆円の国債売却すべき、日銀が受け皿に (1)
更新日時: 2014/04/17 15:56 JST

『4月17日(ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )は国内債が6割を占める資産構成を6月にも改定し、大規模な国債売却を進めるべきだ−。伊藤隆敏政策研究大学院大学教授は、GPIFは日本経済が緩やかなインフレに向かう中、大胆な改革を進める必要があるとの見解を示した。』(上記URLより、以下同様)

色々とアレなのですが、アタクシなんぞは最初肩書の方を見てしまい、ああ遂に伊藤タカ&トシ先生(最近はそういう二つ名が流行してると聞いておりますが)東大から追放されたのかとか思ってしまいましたが惜しくもそうではないようですな(^^)、まあそれは兎も角。

まー何と申しますか、あんさん公的年金運用の何とかの座長やっているんだからそういう話は会議でやれという所でありまして、説得力があって合理的な意見を持っているんだったらその会議の中で普通に話が共有されるでしょと思うのでありまして、外のメディアに向かってああだこうだと与太話をすると言う時点であんさんの見解に無理があるのかダメダメなのかという事なんじゃないですかねえと言う所。

経済系の学者先生で色々とホイホイしゃしゃり出ると言えば竹中平蔵大先生がいらっしゃいました(まあ平蔵先生は学者というより政策プロモーター以下自主規制)けれども、平蔵先生におかれましては庇護者が居なくなったらさっさと逃げ出したとは言え、それまでの間は矢面に立ってやっていましたし、選挙にも出馬して、まあ責任は取りに行っていた訳ですが、どうせこのタカ&トシ先生はこのような変更を行った結果機会利益を喪失したり損失が出たりした場合に本人の財産(如きでは屁のつっぱりにもならんのだが)でも投げ出して貰いますかとか言い出したら「どのような資産に投資するかは専門家に決めてもらう」とか言い出して逃げるタマにしか少なくともアタクシには見えない所がうんこな所でありますな。

いやまあてめえの財産でやるなら勝手なんだが、GPIFの運用資産って「基礎年金部分も含む」年金支払原資なんですけどねえ・・・・・・・・・・

という所で、まあ中身を突っ込んでもアレだが一応備忘メモ。

『公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政府の有識者会議で座長を務めた伊藤教授は17日のインタビューで、日本銀行の黒田東彦総裁が掲げる「2%の物価目標の達成を視野に、いずれは国債利回りも上昇する」と予想。国内債券71兆円を抱えるGPIFは「国債からの急速なシフトが必要だ。25兆円程度、金利上昇時の損失がより大きくなる満期の長い物から売っていくのが望ましい」と述べた。今なら量的・質的金融緩和で巨額の国債購入を進める日銀が受け皿になり得ると言う。』

第一に日銀が受け皿になったとしてもその分日銀の市中からの買入が減る話ですから金利上昇要因になりますけどねえと思いますが、何気にワロエルのは「金利が上がって損が出るから日銀に売る」というロジックでして、それってGPIF的には損が減るかもしれませんけど、その分の損失は日銀に付きますので結局の所統合政府内での付け替えに過ぎない訳で、それって庭先論にも程がある話ですし、年金基金の損失(損が出る、という前提で考えた場合ですけど)を誰が負担するかという議論の話を完全にスルーしてねえかと思うのですけどねえ。

まあそもそもそれ以前の問題として「金利が上昇したら損失」というロジックもよく判らん所で、日々の時価評価的な含みは損だけど、満期保有すればどうせ(相手がデフォルトしない限り)元本帰ってくるんだし、金利が極端に急上昇しない限り「運用環境の改善」という事で、償還やクーポンの再投資利回りの上昇によって取り返しが可能な話になるんですけどねえと思う訳で、どうもこのジジイは債券投資を償還の無い株式投資(株式投資はクーポンないけど配当はあるな)と一緒くたにして考えてねえかと小一時間問い詰めたい次第。

何せこの先生かつての量的緩和時代に当座預金残高積み上げがオペレーション上困難になってきた(なにせリアルゼロ金利だったので)時に某経済新聞の経済教室だか何だかのコーナーに堂々と「量的緩和政策の拡大の為に当座預金付利」という話を執筆なされたという実績をお持ちな位に視野狭窄というか一知半解なお方でございますのから債券投資と株式投資をごっちゃにしている可能性が微し存な所がオソロシス。

『GPIFの資産構成比率を定めた基本ポートフォリオに関し、伊藤教授は「国内債を現在の60%から40%程度に引き下げ、乖離(かいり)許容幅は上下8%ずつから同10%に広げるのが一案だ」と言う。GPIFの裁量を拡大すれば「金利上昇の過程でいったん30%まで落とし、場合によってはその後50%に戻すことも可能だ」と説明した』

・・・・・・・・・マーケットインパクトというのがあってですねえ。

『伊藤教授は、海外の主要な年金基金は「内外債券の合計で35−40%しか持っていない」と指摘。かつては資産の大半を国債で運用していたが、世界的なゼロ金利政策と低金利という環境変化に対応してきたと説明し、GPIFは世界標準を目指して「早く出遅れを取り戻すべきだ」と語った。』

・・・・・・・・何か色々と事実誤認があるような気がするんだが。

まあいずれにしてもこれだけの大きな資金を運用する主体がポート動かすとなった場合に、事前の事前に「将来こうしますのでよろしくお願いします」とか鉦や太鼓で宣伝してどないしますねんという所で、そんな事したら市場に先回りされて肝心のポートの入替の時に高値掴みや安値叩きをさせられる事になってしまうだけの話でして、事前に大宣伝するとかナントカな働き者とはまさにこのジジイのような事を言うのでしょうなあと思うのでした。

そういや関連してこんなのもありましたよね、一昨日ですけど。

http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0N80SP20140416
UPDATE 1-GPIFの動きが6月以降出てくる=株式相場で麻生財務相
2014年 04月 16日 11:40 JST

『[東京 16日 ロイター] - 麻生太郎財務相は16日午前の衆議院財務金融委員会で、株式市場の動向に関連して、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の動きが6月以降出てくる。そうした動きが出てくるとはっきりすれば、外国人投資家が動く可能性が高くなる」と語った。』(上記URLより)

まあ海外投資家様に日本株支えて頂きたいというお気持ちは把握致しましたが、どちらかというと最近いったん買ったポジションを落としたと言われている海外投資家のヤロー共はそのまま放置プレイしておきまして、日本人の財産でもある年金資金で株を購入して株価が上がったのを見た海外投資家が泣きながら踏み上げ買いをして来るという図式の方が日本としてオイシイんじゃないですかねえとか思ってしまう訳でして、いやあの年金基金って国民の皆様の年金原資なんですから(以下の部分は内務省検閲により削除されました^^)。

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2014/04/16

○追加緩和がどうのこうの系ニュース雑談

・黒田総裁と安倍首相の会談とな

確か先週金曜にどこかのベンダーでニュースが出てた時にあたしゃもう会談終わったもんだと勘違いしてたのですが昨日だったのですな(大汗)。

http://mainichi.jp/select/news/20140416k0000m020061000c.html
安倍・黒田会談:追加緩和、必要なら「ちゅうちょなく」
毎日新聞 2014年04月15日 19時40分(最終更新 04月15日 20時22分)

『そのうえで、日銀が今後1年程度での達成を目指す2%の物価上昇の目標について「達成に向けた道筋を着実にたどっていると(首相に説明した)」と語った。一方で「(目標達成は)道半ば。目標達成に支障を来すような事態があれば、ちゅうちょなく金融政策の調整を行うと(首相に)お話しした」と述べ、物価・経済情勢が日銀の想定から大きく外れる状況になった場合、速やかに追加金融緩和に踏み切る意向を改めて示した。』(上記URLより)

ふむふむ。まあ例によってヘッドラインの印象でお得感を出していますが、冷静に読みますと「必要ならば必要な政策をする」とかそれ殆ど同語反復の世界ですし、もっと意地の悪い話をするとフォワードガイダンス的な政策というのは将来における政策運営に関して一定のコミットをする事によって金融政策の先の効果まで先食いしましょうという施策でありますから、本当はフォワードガイダンス的な政策を実施する場合って必要な時に調整するとかしたらガイダンスの意味がなくなってしまうのですけどね、とそれは余談ですけど。

まあ何ですな、黒田さんがお上手なのは「必要な時になったら躊躇なく必要な措置を取る」という話をしている中で「いや別に今は必要ないでしょ」という話は基本的にスルーする(この前の定例会見ではマッコウクジラで発言しましたが)所ですな。まあ良く見れば「順調に進捗中」という認識なんですから「今は必要ない」と言ってるのと同じなのですが、これ同じような話って麿総裁の時にも麿総裁は同様に「必要な時には追加緩和」みたいな話をしているのですが、残念なことに発言する側から「でも今は別に必要ないもんね」という話を直球で投げ込んで来るので、同じような話をしているのに麿総裁の場合は「今は必要ない」という方がヘッドラインになってしまい、黒田さんの場合は「ちゅうちょなく」がヘッドラインになるという所でございます罠。

つーことでまあ普通に「いやー金融政策が絶賛大効果ですよ」という話をして終了のような気はだいぶするんですけどね。


ちなみに念の為ですが、特にネタにせずスルーしておりましたがG20での黒田総裁会見でも・・・・・・

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2014/kk1404c.pdf
黒田総裁記者会見要旨(4月11日)
――G20 終了後の麻生副総理・黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要旨

『【答】特別なリアクションや注文はありませんでした。従って、日本の金融政策に関する理解というのは、十分進んでいると思いました。2%の物価安定目標に向けての道筋を着実に辿っていますが、まだ道半ばであり、今後とも引き続き、着実に実施していくということです。そうしたもとで、物価安定目標の達成に支障をきたすような事象が起きれば、当然躊躇することなく、必要な金融政策の調整を行う用意はもちろんあります。』

ということでして、先ほどの毎日新聞記事先にあるコメントと同じでして、この全くぶれない黒田総裁クオリティーっていうのは俊ちゃんのハチャメチャロジックとは対極の世界を形成しているなあ(というか俊ちゃんが2σの向こう側だったんだなあと今にしてみると思う、当時は割とふーんという感じで受けとめられていたが)という所でありまする。

ま、こういう総裁だと事務方はやりやすいですよね。見通しコケたら立て直しが大変そうだけど。



・ワロタというかこれはまたお前が言うなというか

で、あまりん。
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0N704Z20140415
UPDATE 1-日銀の追加緩和「勝手に期待し、勝手に落胆」=株価下落で甘利再生相
2014年 04月 15日 09:52 JST

えーっとですね、追加緩和がどうのこうのとかおたくらのブレーンとやらの人たちが散々話をしておりますし、それを受けてか知らんけど政権の皆様(安倍ちゃん含む)も「日銀の適切な対応に期待」とか何とかゆうとった訳でして、おまいらも追加緩和期待を煽っているんだが大丈夫か細川たかし先生ってな所ではございます。まあおとぼけで言ってるんだったら良いのですが、うっかりすると素で言っててもおかしくないのが現政権クオリティなので一抹の不安はあるのですががががが。


・中原伸之さんェ・・・・・・・・・・・・

読者様からこういう記事がありますがなとご指摘頂かないと気が付かない所でした、感謝感謝。

http://jp.reuters.com/article/idJPTYEA3E04X20140415?sp=true
アングル:中原・元日銀審議委員が追加緩和は「来年」と提唱
2014年 04月 15日 16:14 JST

『[東京 14日 ロイター] -元日銀審議委員の中原伸之氏が、日銀の追加緩和は来年の実施が望ましいと提唱している。現行の異次元緩和が予定している270兆円のマネタリーベース(資金供給量)達成を見極めた上で、さらに100兆円以上の増額を打ち出すべきという内容だ。』(上記URLより)

さて・・・・・・・

http://jp.reuters.com/article/idJPTYE93306B20130404
インタビュー:急激な円安や金利上昇心配=中原元日銀審議委員
2013年 04月 5日 08:42 JST

『これまでも中原氏は、安倍晋三首相の事実上のアドバイザーとして、現在は50兆円超の当座預金残高を年末まで100兆円に引き上げるなどの量的緩和策の再採用を提唱してきた。ただ同氏は2012年末に138兆円だったマネタリーベースを14年末に270兆円まで拡大するとの日銀の発表について「あまりに急激な金融緩和で驚いた」と指摘した。』(上記2013年4月5日の記事より)

とまあそういう事で、この前も似たような話をしていましたが、以前の話との整合性はどこへという感じでございますけれども、良く良く見るとインタビューのその先の部分もアレ。

今回のインタビュー関連記事に戻りまして
http://jp.reuters.com/article/idJPTYEA3E04X20140415?sp=true(再掲)

『そのうえで「米国も2008年以降、足かけ5年にわたり3回の量的緩和政策を続けた。日本も5─6年、量的緩和を続けるべき」との見解を示した。』(上記2014年4月15日の記事より、以下同様)

えーっとですね、2008年っていうのはサブプライムショックとかリーマンショックとかからの話でございまして、信用バブル崩壊による金融危機対応から始まっている米国の金融政策が5年だから日本も5年とか何を仰せなのかよく分かりませんですが、最近の日本のどこにバブル崩壊を伴う金融システム不安とかがあるのか小一時間お伺いしたい所でございます。つーかそもそも論からして日本の実質ゼロ金利も随分長いですし、量的緩和的な言い方を強めたオーバーナイトのバンド化した包括緩和から計算しても2010年10月以降になるんですけどねえ。

『また、追加緩和の手段としては新たに買い入れる資産の2割程度を米国債など外債にするのも選択肢と指摘した。為替介入と同じ効果を持つ外債購入に対して、海外から批判を招きかねないとの指摘も政策当局や学識経験者の中にあるが「米国は金融緩和縮小を進めており、(米国債を買い入れれば)米国から反対はないだろう」との見通しを示した。』

財政ファイナンスという意味ではそうかも知れませんが、以前の米国と違いまして今の米国金融政策当局はマクロプルーデンスの重視という姿勢を強めておりまして、足元で行われているTapringなんてモロにそのマクロプルーデンス丸出しの話をしてますからして、米国の金融政策当局からしてみますと金融政策を正常化方向に進め、しかもマクロプルーデンスの観点というのが追加されている(サブプライム問題前はマクロプルーデンスなんぞ知るかという事で問題起きてから対処すれば良しというスタンスでしたから)中で日本から国債買われたらいい迷惑だと思うのですけど、何か随分安易ですなあ。

ということで、何が何やらというかはいはいおじいちゃんというか何というかで実にこう残念なお話ではある事よと思うのでありました。

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2014/04/15

○一瞬改善にみえるが盛大に改悪の変更(正しくは「明確化」)とは遺憾の極み(補完供給関連)

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel140414b.pdf
国債補完供給の実務運用の変更について

これはペーパーの右上に「日本銀行金融市場局」とありますように金融市場局の判断での決定でありまして、基本要綱の範囲内の運用についてのお話ですな。

『日本銀行は、国債の市場取引や決済に係るストレス要因を緩和することにより、金融調節の一層の円滑化を図るとともに、国債決済の円滑確保にも資する観点から、国債補完供給に関して、下記の措置を実施することとしましたのでお知らせします。』

ほう。

『1.オファーの1 日2 回化』

『1 日2 回のオファー実施を可能とする取扱いに変更します。概要は以下のとおりです。』

・・・・・・・・ということで従来オファーが午後2時だけだったのですが午前のオファーもするようになったと。うんうん。(次の『ロ. 銘柄別の売却上限額』は単に前場に貸出した分は貸せなくなりますよという当たり前の話です)

『2.「日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」に関する公表頻度の引上げ』

『―― 本件の取扱いは、5 月9 日時点の残高にかかる公表(5 月13 日公表予定)から開始します。』

末残公表だけではなくて旬報方式になるようですな。

・・・・・・・・とまあここまでは良いのですけど、問題はこの次。


『3.連続利用に関する取扱いの明確化

国債補完供給の連続利用の可否について予見可能性を高める観点から、同一銘柄の売却(注1)に関する取扱いを以下のとおり明確化します。

今回明確化する取扱い

(2014 年4 月21 日以降のオファー実施分から適用)

同一銘柄の売却に関する取扱い
一のオペ先に対して同一銘柄を連続して売却することのできる日数は、原則として最長5 営業日とします(注2)。

- 金融市場の情勢等を勘案して日本銀行が必要と認める場合は、延長することがあります。

(注1) 利回り競争入札を通じた売却を指します(再売却は含みません)。
(注2) 買戻日については、従来の取扱い(原則として売却日の翌営業日に買戻を実施(オーバーナイト供給))から変更はありません。』

・・・・・・・・・・・・・おおもう何だかねえ。

えーっとですね、「5営業日までしか使えない」という制度にする意味が全くもって意味不明と言う所でございまして、オファーを1日2回にして残高公表を月3回に増やすという努力がこの「明確化」で全部台無しどころかドテンマイナスになっているというここまで市場センスの無いのも珍しいわという事でネタというか以下悪態になるのでした。

つまりですな、これロンバード貸出が最初に導入された時にも補完措置というような感じで同様に5営業日しか貸しませんという建付けになっていたのですが、この「5営業日しか貸しません」というのは要するに「この制度は限界的な制度だからなるべく使うな」と言っているのに等しく(仮に日銀の現場がそうではないと言ってもカウンターパーティーたる民間はそういう受け止め方をするし、大体からしてそういう認識が無いなら常設ファシリティー化するでしょ)、つまりは国債補完供給オペ利用にはStigmaがあると言っているのに等しい訳ですよ。

いやまあこれで足元で別に日銀がろくすっぽ国債を保有していないというのであれば別なのですが、国債市場の流動性を馬鹿買い政策で盛大に殺しているのに、わざわざ国債のレンディングにStigmaを設けて使いにくくしてどうしますねんと存じます次第。

更にこれ酷いと思うのは、先ほど引用しましたようにリリースで『国債の市場取引や決済に係るストレス要因を緩和する』とか言っている点でして、まあ確かに他の施策を見ると補完供給の使い勝手を良くしようと思って色々と新しい措置を突っ込んでいる積りなのでしょうが、この「努力したつもりでやっている事が逆方向」というのがもうアレな働き者の風情を醸し出している訳で、市場との対話がどうのこうのとか言ってその成果物がこれですかと非常に残念としか申し上げようがない部分。

金と違ってモノの場合って限界的な部分で問題になるのは該当のモノがあるかどうか(金には色は無いがモノは個別ですから)という話になるので、そのロールが5営業日しかできないというのはかなり問題になるというか基本的に借りに行かん罠となりますし、そうなりますと限界的にショートセールに制約が掛かりやすくなるんですけどという話っすな。

ちなみに通常ベースで業者が投資家からレポする場合って決算制約のような時期の場合は別ですが通常はロールを前提にタームで借りたりして、ロールが止まるというのはその投資家が売却をする場合ですから世の中のショートセールがその分減るというような状況な訳ですが、日銀の場合は国債は馬鹿買いして買い集めるわ、売却はしないわな所に来て、持っている玉をレポ市場でロールしないわと仰せという事ですから、国債流通市場的にはナンジャソラという話です罠。

いやあのですね、別に通常ベースの金融政策やってて日銀が国債市場に対するプレゼンス無いなら兎も角、しつこく申し上げておりますように日銀が盛大に国債を買い占めて国債流通市場に対して盛大にストレスを掛けている状態になっているのに、そのストレスを解消するどころか悪化する方向(正確にはこれ「明確化」ですので従来から運用面で使いにくくしてたんでしょうなあという想像に難くないので、悪化ではなくて明確化なのかも知れんが)の話をするとか、国債大量発行&事実上財政ファイナンスと言われても文句の言いにくい状態になっており、将来的にこの金融政策を正常化しようという事を考えているのであれば、何でレンディングファシリティーをわざわざ使いにくくする「明確化」するんだよと思う次第。

まー何ですな、これ借入の日数制限残したままで出口政策モードになった時に国債流通市場が更に低下しちゃって何かの拍子に金利急騰みたいなリスクの背景になる可能性も無い訳では無いという話になると思われます(1998年や2003年の国債市場暴落はトリガーは別ですが背景にはどちらの場合でも「国債流通市場での流動性の低下」(特に98年の場合は極端な低下で原因は前年の東証債券先物取引のシステム変更がきっかけでしたが)があるので、将来の出口政策モードあるいは財政拡大状態の継続時に大丈夫かよとか思うのでありますわ。

ちなみにFEDの場合ですが。
http://www.newyorkfed.org/markets/securitieslending.html
Securities Lending

『The Bank provides a secondary and temporary source of securities to the financing market through a Securities Lending program to promote smooth clearing of Treasury and Agency securities. The program offers securities for loan from the System Open Market Account (SOMA) portfolio in accordance with program terms and conditions. Securities loans are awarded to primary dealers based on competitive bidding in an auction held each business day at noon eastern standard time. 』

関連して各種のファシリティーの紹介ページ
http://www.newyorkfed.org/markets/Forms_of_Fed_Lending.pdf

細かい要綱がちと見つかりませんでしたが、別に「何日間限定」というような制限はなく借りれますと言う風にしか見えないのですし、セキュリティーレンディングの方のトランザクションボリュームを見ますと恒常的に残高があるようでして、日銀の補完供給のように実施される日があったりなかったりするようなオペではなくて、常設ファシリティ―みたいな形になっています罠という所です。まあ普通にこういうもんでしょと思うのですけどねえ。



そういや話はちと違いますが、国債市場の流動性という話では相変わらず「国債決済アウトライトT+1化」というのも日銀様におかれましては推進していると仄聞しますが、未決済取引残高の圧縮よりもレポT+0化によるレポ市場に掛かるストレスの拡大と、T+0化の事務コストを嫌ってレポ市場から退出する参加者が出る事による国債流通市場に掛かるストレスの方が同様に出口政策や国債大量発行という財政問題がある中ではシステミックリスクに繋がる話だと思うのですが、相変わらず少なくとも表に出ている部分ではそういう考察も無かったりするという次第で、引き続き債券市場との対話というのはどうもグダグダですなあというのと、庭先お掃除が得意ですなあというお話なのでございましたとさ。

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2014/04/11

○さてここで話は変わりますが俊ちゃんの過去の無茶苦茶ロジックを鑑賞してみましょう!!

先般駄文でドラギ総裁の会見ネタを持ち出した時に「ドラギ俊彦」と咄嗟に二つ名を付けてみたら一部の読者様におかれましては盛大にツボって頂いたようで今後はドラギ俊彦先生とお呼びして麿並みに定着を図りたい(誰に?)と思う今日この頃ではございますが、話が七色の変化球のように変わるドラギ俊彦先生と言えども本家の俊ちゃんにはまだまだである、という事を確認するために2004年1月の金融政策決定会合での福井総裁定例会見の要旨を鑑賞してみましょう、というヒマネタ(暇では無いが)なのでありました(^^)。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2004/kk0401a.htm/
平成16年1月20日(火)
総裁記者会見要旨 ( 1月20日)

なお引用時にスペースや改行で手を加えておりますので念のため申し添えます。

『(問)本日の金融政策変更の理由について説明を頂きたい。』

『(答)今年初めての記者会見である。本年もよろしくお願い申し上げる。本日は本年最初の決定会合であるが、皆様にご報告申し上げる点が2点ある。 1点目は、金融市場調節方針について、日銀当座預金残高の目標値を従来の「27〜32兆円程度」から「30〜35兆円程度」と、3兆円の幅を持って引き上げたということである。』

ということでこの回というのは「景気判断を据え置き(実質的には回復が継続しているという認識な上に上振れという認識)する中で追加緩和を行ったという中々不思議な会合でして、 田谷さんと須田さんが反対に回って7対2になったんですよね。

『(途中割愛)このうち、当座預金残高目標値の引き上げは、デフレ克服に向けた日本銀行の政策スタンスを改めて明確に示し、今後の景気回復の動きをさらに確かなものとすることを目的とするものである。(以下割愛)』

・・・・・・・・・・最早当座預金残高が拡大することによってどのような効果があるからどうだという話でも何でも無く「気合を入れる為に押し上げ緩和を行った」という訳のわからん話になっております。

『(問)当座預金残高目標値の引き上げについて伺いたい。本日発表された金融経済月報の基本的見解でも、経済・物価動向については標準シナリオ通りに沿って動いているという判断を示しているが、そうした中で、なぜ、当座預金残高目標値の引き上げが必要なのか、また円高けん制の狙いがあるのかという点について、説明を頂きたい。』

そら質問する罠。

『(答)経済あるいは金融情勢についての私どもの見方は、本日発表した金融経済月報の基本的見解の中で示している通り、現状、景気は緩やかに回復している。また、先行きについても景気は回復を続けると見込まれるが、引き続き企業の過剰債務など構造的な要因が根強いことを踏まえると、景気の回復テンポは緩やかにとどまる可能性が強いと考えている。現在のところ、米国、中国を始めとした海外経済が、事前の予想よりやや強めに推移しており、これを大きな背景として日本からの輸出が順調に増えている。さらに、生産の増加、企業所得の増加、企業の支出――設備投資の増加――というような前向きの循環メカニズムが既に働き始めている。むしろ、こうした循環メカニズムはやや強含みで作動し始めている。』

前向きの循環メカニズムというのは日銀の得意な言葉ですね。しかも上振れとな。

『そうした中、今後、こうした動きが持続的な回復につながり、デフレ脱却の目途をつけるところまで行くかどうかという点については、不透明要因が多い。特に、大企業・製造業を中心に始まった景気回復の動きの裾野が、非製造業さらには中堅・中小企業の分野においても――それぞれの企業におけるさらなるリストラ努力の成功を伴いながら――、広がっていくかどうか、そして経済全体としてみれば、需給ギャップの縮小が順調に進み、デフレ脱却の目途が見えてくるかどうかという点がなお不透明ということである。』

で?

『昨年10月に発表した展望レポートの中で示した標準シナリオとの関係では、概ね標準シナリオの通りに経済は動いているが、先行きこれをさらに良い姿につなげていく必要がある。そうした意味で、現在比較的良い方向に経済が動き始めていることは、極めて歓迎すべきことであるが、これで満足してはならない。おそらく、民間企業や金融機関におかれては、構造的な改善を伴いながら、こうした好循環をより確かなものに持っていこうという努力と決意を固められつつある段階ではないかと思う。金融政策の面でも、こうした民間の決意と努力をさらにしっかりとサポートしていきたい。今回の措置の真の狙いはこの点にある。』

ただの気合で追加緩和とかもう景気判断と関係ねええええええという所ですな。


『(問)標準シナリオについてもう一度お伺いしたい。現状では、経済は標準シナリオ通りに動いていると判断されており、長・短期金利についても、――先程、万全を期したいと指摘されたが――現状をみれば安定している。また、市場にショックが持ち込まれた時もあったが――金融機関の破綻があったけれども――、特融も出さずに今のところ落ち着いて動いている。今回は、事実上、景気回復局面での金融緩和ということになると思うが、デフレ脱却シナリオというものがあって、それを基に判断するということになれば、マーケットからは非常に読み難い、透明性に欠けるような金融政策と受け取られないか。』

当然の質問。

『(答) そのリスクは全くないと思う。』

えー!!

『デフレ脱却後の正常な経済の回転の中で――好況・不況の波の中で――動いている場合に、景気回復が進んでいる時には追加緩和はあり得ないということと、構造改革の推進を伴いながらデフレ脱却のプロセスを歩んでいる現在の状況とでは、前提条件が全く違うということだと思う。』

何という屁理屈。

『従って、我々は標準シナリオ通りに動いていても――あるいは標準シナリオから上振れる条件が幾らかあるにしても――必要に応じて追加緩和はあり得るということは、前から申し上げている。その通りのことを今回判断したということである。』

でまあこの俊ちゃんの凄まじいのはこんな感じで緩和やっておいてそこから半年位で出口政策に向けての地均し情報発信をおっぱじめだした(緩和政策のビハインド・ザ・カーブのリスクの話を始めたり、量的緩和終了後の政策の枠組みがどうのこうのみたいな話を始めた(出口後の政策枠組みについて最初に講演で言及したは中原(真)審議委員でこの年の5月)訳ですが本格的な地均しはもうちょっと後)という所でして、そらまあ市場も毎回振り回されるわという所です。

『量的緩和の場合には、金利が生きている時の経済とは違って、金融市場における金利の動きというものを、緩和効果である程度封じ込めているというところもある。』

ふむふむ。

『従って、追加緩和の有無を読めないというのは当然のことであり、ここを読めるように機械的にやっていくということはほとんど不可能なことだと思う。』

な、なんだってー!!!

『我々も金融政策決定会合に臨んであらゆる材料を点検し、ディスカッションをして始めて結論の出る話である。』

ということで、政策の予見可能性とか市場との対話とか全て放棄して俊ちゃんロジック全開という感じですが、ちなみにこの会見最初から最後まで読みますと最早何が何だか判らないとしか申し上げようがなく、この時期の俊ちゃん(まあ量的緩和解除するころには何か怪しげなるもののそこそこロジカルに戻っていたのですが)はもうロジックも何も放り出して「こうしないとイカンからこうする、市場との対話とか予見可能性とか知らんがな」という開き直りもここまでくると清々しい状態で、この時期の俊ちゃんから見ますと逆さ絵先生のインチキロジックやドラギ俊ちゃんのびりーぶみーなど可愛いもんですなという話だと思います。

という鑑賞会でありましたとさ。まあこの回の議事録は面白そうなので6月の公開を楽しみに待ちたいと思います。

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2014/04/09

ふむふむ。
http://jp.reuters.com/article/idJPTJEA3700F20140408
NY外為市場・序盤=円上昇、日銀の追加緩和見送り受け
2014年 04月 8日 23:48 JST

『[ニューヨーク 8日 ロイター] - 8日序盤のニューヨーク外為市場は、円がドルやユーロに対して上昇した。日銀が追加金融緩和を行わず、黒田東彦総裁が現時点で追加緩和を検討していないなどと表明したことを受け、円が買われた。』(上記URLより)

さてこれはという所ですけど・・・・・・・・・


○総裁会見ライブ中継でヘッドライン詐欺が大幅に軽減されたようです

昨日から総裁定例会見がライブ中継可能となった(従来は基本的に会見が15時半からで会見内容について会見終了だか16時半だかまでエンバーゴが掛かっていた)のですが、日経電子版とブルームバーグ(たぶんプロフェッショナル版限定だと思うが)が会見の内容を生中継していたようです。

でまあ当然ながらニュースの方も会見と同時にニュース配信可能で、中継画面が引きになった時に見たら最前列でラップトップPC使っている人とかいて会見の感じが違うように見えた訳ですが(ちなみに従来からエンバーゴの後にはブルームバーグと日経CNBCが会見の録画画像を放送していたと思います、ブルームバーグしか見たことないけど)、そんなわけで会見の音声が聞ける中でベンダーのヘッドラインが流れるという初めてのパターンで中々新鮮な感じがしましたよ。


でですね、まあ今回の会見なのですが、例によってテキストの方は本日出ますので詳しい話はまた明日のネタにしようか(今晩はFOMCミニッツがあったような気がしますが)という所っすけど、兎に角今までと全く違っているのが・・・・・・

「ベンダーのヘッドライン詐欺がほぼ皆無になった」

というのが物凄い勢いで大きな変化になったと思います。

・・・・・・・・・つまりですね、今までは会見終わってからベンダーがニュースヘッドラインを打つという形になっていまして、会見録画もまあ見ることは出来るのですけれども、普通はヘッドラインを見てから会見の最初から最後まで録画を見るというのも中々めんどいですし、そもそもヘッドラインが最初に出てしまって相場の方が反応してしまう(しない事もあるが)という事で、ヘッドラインでまずは動いていた訳ですな。

でまあよく不肖このアタクシなんぞが翌日に出てくる会見要旨の方をネタにしながら「ヘッドライン詐欺」などと申しておった訳ですが、会見要旨をどう見ても(たまに会見録画もチェックしたりしましたが)そんな趣旨の発言じゃねえだろという内容のヘッドラインを流すベンダーというのが複数(全部ではない)いまして、まあ要するに会見での発言の中でニュース見る側が反応しそうなフレーズだけを前後の脈絡をスルーして切り取ってヘッドラインにする、という動きってまー昔からあったのですよ。特に最近だと英文のヘッドラインが酷かったりするのですが。


然るに、今回からはライブ中継でベンダーの向こう側の人たちが見ているという事で、発言の一部を切り取ってセンセーショナルなヘッドラインをフレームアップするという時間的余裕(他社のヘッドラインに盛大に遅れるリスク)も恣意的な切り取り(をするとライブで見ている人たちに真っ向勝負でバレるので)も出来なくなったようで、今回の会見放送に関して言えばチェックしていたベンダーヘッドラインで従来あった発言の一部を切り取ってフレームアップしたヘッドラインというのがほぼ観測されなくなったというのが物凄い勢いで違っている点ではないかと思いました。

つーことでですね、まあ以前より会見要旨を確認(稀に気になる時だけ録画チェック)して内容を拝読しております不肖このアタクシに言わせて頂きますと、今回の総裁会見もまあ平常運転でいつもの話をしているようにしか見えないのですけれども、最初に引用した記事にありますように、会見の途中から徐々に円高進行しまして、まあ海外の円高は他の要因もありそうではございますが、ニュースでも追加緩和観測後退みたいな話がホイホイ出てきているようで実に香ばしい展開となっております。

よーするにですな、おまいらベンダーのヘッドライン詐欺に乗り過ぎじゃヴォケという所でございまして、大体からして今回だって日銀公表文書特段の変化なく(その件は下の方で)、その公表文書に沿った話を黒田さんしているだけの話だし、大体からして「現時点で追加緩和を考えていない」というのが何故かニュースになっていましたが、そもそも追加緩和を現時点で考えているんだったら当日の決定会合で追加緩和してるだろそらニュースでも何でも無い当たり前の話だろと思う次第でございまして、まあつまりは「追加緩和を煽ると市場(特に海外投資家)が好意的に反応する」ので追加緩和方向になる発言を殊更に強調したヘッドライン(英文の方が基本的に酷いケースが多い)詐欺だけ見てああだこうだ反応してただろおまいらという所でございまして、そういうノイズが激減したというのはコミュニケーションポリシー上大変に良い傾向になったと思うのでございます。

ただまあこのライブ中継の問題としては、不規則発言をうっかりしてしまうとそれはそれでエライコッチャになってしまいますので、現在の黒田総裁のように発言が大体安定している方(この前ちょっとアチャーという感じのもありましたがアレは珍しいケース)ですと大丈夫だと思うのですが、そうじゃない方だと色々とやらかしが発生しそうでリスクかなとは思います。

でもまあそんなリスクを勘案したとしても、ベンダーが勝手に掛けるバイアス(黒田さんの場合は就任時の経緯やQQEでのバズーカの影響で緩和バイアスをベンダーサイドが思いっきり掛ける傾向があって最近は市場のクレクレの影響で更にそのバイアスが強くなっている(なお念の為申し添えますが必ずしも全てのベンダーがバイアス掛けているわけでは無い)次第)によって本来発言している趣旨が微妙にバイアス掛かって伝わってしまう、というある意味ベンダーのプロテクションレントみたいな部分が排除されるというのは実に良い話でありまして、そう考えてみると何を発言しても兎に角台無し方向のヘッドラインバイアスを掛けられていた前の麿総裁なんぞはベンダーヘッドライン詐欺の被害者でありまして、こんなに効果があるならもっと早くから実施できていれば良かったですよねという所かと思います。

ま、いずれにせよ今までベンダーがどんだけヘッドライン詐欺をしていたのか、という事や、どこのベンダーのヘッドライン詐欺が酷かったのか、という事などを皆様におかれましてもご検証して、総裁会見でそういうのを従来していたという事は他のネタでもその手のベンダーバイアスが掛かっていたのではないか、などという辺りをご確認しつつニュースベンダーの見方を検討される事をオヌヌメしたいという所かと存じます。

この差が昨日の「追加緩和期待の剥落」という為替市場の反応でしょという所かと存じますが如何でございましょうかね。

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2014/04/08

・市場ネタでは無いが7月本命はおかしいだろと思う件のメモ雑談

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N3FZYM6KLVS501.html
日銀追加緩和は7月本命、エコノミスト予想−手段はETF倍増が有力
更新日時: 2014/04/07 11:26 JST

ということのようですが、7月の展望レポート中間レビュー時期に追加緩和実施というのは日銀の立場考えたら一番無い選択肢だと思うのですけどねえ。

つまりですね、そもそも消費税の影響で4−6は反動減があるってえ見通しを出している訳でして、その見通し通りに反動減が起きたのに対応して追加緩和実施って言うのはそもそも最初の反動減の予想時点でおかしいとか超恥ずかしい話でして、ゴメンナサイするにしたって普通に考えて予想通りの反動減の後の戻りが全然ないどころか下がってしまいました2年まであと半年ですからゴメンナサイとなる10月展望レポートだろと思う訳で、エコノミスト的に経済予想するとそうなるのかも知れんが、政策当局の行動パターン考えたら7月というのは一番あり得ん時期だろと思うんですけどね。

しかも7月に経済の落ち込み対応でやるなら今までのロジックからしてMB拡大方向じゃないとおかしいので、MBの稼げないETFというのは(他のMB拡大とセットなら判るが)メインに置けないと思うわけでして、そういう意味から言っても経済対応の調整で追加緩和やるのにETFというのは日銀のロジックと行動パターンから考えておかしいだろ(やる可能性はまあ皆無だと思うけど今日ビックリでやるならETF一択ですけどね)と思うのですけどね。「見通し通りに推移しているけどちょっと調整してみましたテペヘロ」という時じゃないとETFはメインにならんぞな、と思いますよ。

大体からしておまいらエコノミストの皆さん(ごく一部の人を除いて)全員揃って物価見通し盛大に外しまくってるんですけど物価見通しが日銀の目論見通りに推移したらそもそも追加緩和って無いんですよ分かってますかと小一時間問い詰めたい所ではございます。

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2014/04/07

○オペ関連雑談メモ

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140404.htm

国庫短期証券買入 15,000 2014年4月8日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2014年4月8日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,500 2014年4月8日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 2,500 2014年4月8日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140404.htm

国庫短期証券買入 35,525 15,006 0.005 0.006 52.9
国債買入(残存期間1年以下) 6,007 1,104 0.003 0.005 10.0
国債買入(残存期間1年超3年以下) 11,466 2,501 0.005 0.005 90.8
国債買入(残存期間3年超5年以下) 13,251 2,503 0.005 0.006 93.3

つーことでまず短国買入ですけれども、1.5兆円の打ち込みはまあ恐らく市場の予想通りと思われます。まあ今月に関してはご案内の通りで1年オペのエンドがバカスカ来るのですが、既に先週の2本が(多分衆目の一致する以上に)札を集めるという不思議現象が発生しておりまして(だって3か月とかいつものオペと同じで違うのはエンドの量が多いだけなのですが何故かこっちはロールの歩留まりが良いとな)短国買入をそうホイホイ実施しなくて済むとなっておりまして、当初ビビッていた2兆円連発攻撃とかには今の所なっていないようで何より。

しかしまあ冷静に考えますと、今短国買入を行っても入るのは概ね3か月物になってしまいますから、6月末までの残高には跳ねるにせよ、真に積まないといけないのは年末のMB残高ですからして、まー今ですと年末越えるのは1年短国しかありませんよって、そう考えますと1年TBの入札後の短国買入で1年物がバシッと入って頂くというのが一番ウマーな話でして、何もここで必要もない馬鹿買いをして短国の需給を無駄に逼迫させると本命の買入に支障をきたしますので(つーても結局入札後の引値次第というのもあるが)暫くこんな感じですかね。まあ1年オペロール分の札の入り方を見ながらの展開にはなるんでしょうが。


でまあ輪番の方ですが、金曜は超長期輪番を予想する向きが多かった(1年以下と超長期という予想では無かったかしら)ようで、輪番オファーを見て瞬間アチャーという動きになっておりましたが、まあ瞬間芸に留まったのでそれほどの話でも無かったかも知れませんけれども、まあ何ちゅうか超長期輪番に関しては毎度毎度微妙に物議を醸しますなあという感じですな。

まあ話がややこしくなるのは以前市場局が出した輪番スケジュールの「ようなもの」が昨年の買入ペースをベースにして作っている事でして、長期国債だけで言えば今年は昨年よりもペースを落とさないといけないという状況なのに出した紙を差し替えるでも引っ込めるでもなく継続する所に問題がある訳でして、まああのスケジュールのようなものは建付けとしてはあくまでも「目安」ですし、紙を出しているのは市場局ですから別にディレクティブとかでも何でも無いのですけれども、何もしないで有耶無耶のうちにというのは「市場との対話」という観点ではうーむという所かと。

いやね、短期市場における金融調節だと主要な参加者の頭数も少ないし、資金需給に関しては日銀の方が情報持っていますし、調節の呼吸みたいなのも日銀にしたって参加者にしたってまあ長年の蓄積があるのですけど、どうも債券市場となりますとそもそもが日銀の守備範囲外だったこともあって、相変わらず慣れないですなあというか、だいたい市場の予想を要らん所で外してやらかしになってしまうというのが散見されるのが残念という所なのですが、どうも外野から悪態が飛んでも定期的にやらかしをするのは、まあ何だかんだゆうて本来業務の守備範囲の問題でしょうなあと思うのでした。

つまりですね、以前は債券だけではなくてかつてはGCレポ市場とかCP市場とかでも微妙なやらかしがあったりしました(ってリーマンショック後にレポ金利が恒常的にロンバード水準に張り付いてCP金利も上昇して大変な事になったとかの事案だが、まあ調節担当部署的には当時はコールの金利にディレクティブが掛かっているのでレポやCP市場の金利上昇による金融引き締まりガーでやらかしと言われても調節部署的には困るのであって本来はボードはよ動けやという話になるのだが)ように、どうも日銀様におかれましてはインターバンクに関しては超越神業な天才調節をするんですけど、市場ちゃんの方にももう少しこう何とかならんかねと思うのですけどまあ難しいでしょうかねえ。


○決定会合プレビュー雑談というか何というか

今週は金融政策決定会合ですが、先般来各ベンダーが何とかストの皆様にアンケートとか取っておりまして、何をどうすると40人とかのサーベイになるのか判らん(金融政策に関するレポートで読む気が起きる代物って以下自粛)ですけれども、まあ何かその中で圧倒的に多いのは消費税増税の影響が経済指標として確認される7−9月期に追加の金融緩和という話みたいですな。

はあそうですかという感じではあるのですが、消費税増税の影響が数値として見えてくる7−9に緩和という予想は黒田日銀の行動様式を理解しとらんという風に思うのでありまして、まあ端的に申し上げますと7−9にやっぱり消費税増税の影響を緩和するから追加緩和しますとか言うのってそれは第一に逐次投入しないという現在の政策の枠組みに反しますし、第二に消費税増税で一時的に落ちこむ点も踏まえての見通しで政策をしているという話に反しますので、つまりは7−9に普通の追加緩和みたいなのを出すというのはエコノミスト的にはそういう話になるのかも知らんが、政策の行動様式というかプロトコルを考えた場合にタイミングとして????な所かと。

いやね、これがまた残り半年くらいになって点検して安定的に2%に行くという物価目標の達成に対して調整が必要という判断になるというのならまだ判らんでも無い(つまり展望レポートのタイミングとなる10月後半)のですが、少なくとも現在順調に推移しているという感じの情報発信が続いている中で普通の追加緩和というのは無いと思います。


でまあ普通に考えると追加緩和ってこりゃねえだろという話ではあるのですが、黒田日銀お得意の「期待の転換」理論からしますと、まあサプライズで実施するならば明日しかあり得んと思うのでございます(なお明日あるとは思ってませんので念の為)よね。つまり市場が予想するような範囲で何かをやるとしてもそれは期待の転換とかいうような効果には繋がらないですし、逐次投入モードに陥ってしまいますので、2%の物価目標に関して2年という看板辞めて中長期で達成という話にでも成れば別ですけれども、そうでない限りは追加緩和って普通やらないだろと思うのですよね。

大体からして追加緩和を普通に7−9に実施したらそれは「見通しを外した」という事を宣伝するようなもんで、第一の矢の失敗って話になりゃせんですかねえと思うんだが。

つーことであたくし的には今の感じが続くなら追加緩和しないでしょと思いますが、もし追加やるなら市場の後追いしても仕方ないので無警戒の今週(では何をするかと言うとETF買入位しか思い浮かばないが)でオナシャス(なお可能性はほぼ無いでしょうが)。

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2014/04/04

○決定会合プレビュー雑談という程でも無いが

ロイターの記事から
http://jp.reuters.com/article/idJPTYEA3202M20140403
需給ギャップが日銀の試算でゼロに改善、増税後も物価上昇=関係者
2014年 04月 3日 11:53 JST

『[東京 3日 ロイター] -日本経済の潜在的な供給力と需要との差を示す「需給ギャップ」が、日銀の試算でほぼゼロに縮小しているもようだ。試算通りに需給ギャップがゼロになれば、雇用や設備の過剰感がなくなり、物価上昇に弾みが付きやすくなる。』(上記URLより)

・・・・・・・・まあこんな報道がホイホイでる雰囲気の中で追加緩和とかねーわなという所ではあるのですけれども、需給ギャップと言えば鉛筆舐め舐めの余地がある物件でございまして以下お察しという事で内務省検閲の入る前に時間も時間なので雑談では無くただのメモでした。

#計数ネタ後回しで申し訳ないです、週末に数字精査してからネタにします

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2014/04/03

お題「短観の「企業の物価見通し」結果を肴に雑談三昧企画(^^)」

ということで企業の物価見通し集計(短観の一部です)ですが、まあ肴として面白いのでネタにせざるを得ないアタクシ(^^)なのですが、ノリノリで雑談してたら月初恒例の計数ネタを書いている時間が無くなるという誠に遺憾な事案が発生してしまったことを平にお詫びいたしますm(__)m

○「2%届いてないから追加緩和待ったなし」という奴は修業が足りん(と思う)

つーことで今回初見参の集計である。

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/bukka/2014/tkc1403.pdf
2014年4月2日 日本銀行調査統計局
短観(「企業の物価見通し」の概要)―2014年3月―
第160回 全国企業短期経済観測調査

・そもそも第一回なのであまり意味を捻りださない方が良いのですけどね

えーっとですな、この集計結果が話題になっていますし、この結果色々な意味で鑑賞物としてはかなり秀逸なので以下ネタにしない訳には逝かない(野次馬かと)という事でネタにはするのですが、極めて真面目に申し上げますと、この手の統計って数回行って統計の癖とかが出て来てからじゃないと直接インプリケーションを引っ張り出すべきではないと思われますので、そもそも論としてはこの統計をもって金融政策に対するインプリケーションを過大に引き出さない方が良い訳です。

とは申しましても、これ酒の肴としては(いやまあ今飲んでるのはペパーミント茶ですが)相当にウマーなのでネタにするという所である点は最初にお断りしておきますね、とマジレス。


・どう見ても執行部ウハウハです本当にありがとうございました

まずは上記URL先の2ページ目の『2.物価全般の見通し』に目が行くと思います、というか普通最初に注目するのはこれですけれども、この数字最初に見たアタクシの感想は「これはまた日銀執行部してやったりの結果キタコレ!!」という代物でありまして、この数字を見て「2%届いてないから追加緩和待ったなし」とか(4月馬鹿以外で)言う人は基本的に政策ウォッチャーを名乗ってはいけないと思いますが、アタクシが見た(あまり真面目に見てないが)範囲内ではさすがに円金利系の何とかストの皆様で2%達成しないから追加緩和待ったなしという話は無かったと思います。

まー何ですな、この数字自体は単なるアンケートで良く見ると「知らんがな」という回答も多くて正直どうなんだという気もするのですが、料理の仕方によってはかなり面白料理が仕上がるというものになりますので、まずは自信満々モードの執行部様になった積りでこのアンケート結果を見るあるヨロシアルね。


まず「1年後の全業種見通し平均1.5%」ってのが何故かニュースのヘッドラインになっていたりしてて、この数字を持ってああだこうだ言い出すのはもう根本的に赤点再履修クラスでして、1年という短期のインフレ予想というのは足元の色々な要因によってぶらされやすい物なので、そらまあ極端に上や下に振れた場合にはそれが中長期的なインフレ予想に影響するかとかを考えないといけませんけれども、金融政策インプリケーション的に言えば本来はどうでも良い数値であって、まあ極端にぶれない限り知らんがなという話です。


ということでまあ見るなら3年とか5年の所の数値を見るのが筋の良い話になる訳ですが、こちらの全業種全産業平均の数値は3年も5年も1.7%になっていまして。「1.7%なので2%に足りないから追加緩和」という方がまだ筋は良いのですけれども、まあそれもやっぱり指摘としてはちょっと残念な部類になる訳です。つまりですね、じゃあ逆に聞くけどこの数字が2.2%だったら引き締め待ったなしなのかという話でありまして、この手の数字って当然ながら上下に適宜アローワンスのある話でしょとゆー所で、1.7%という数値は「2%に近い」と十分に言える数値じゃないですかねえと解釈する方が政策当局者的には普通の解釈になる筈。

ただまあ先ほども申し上げましたが、この統計自体が初回ですから前回との比較とかできませんし、インフレ予想として使う事を考えた場合にどのような癖があるのかとかもわからなない状態ですから、これが本当の意味での物価安定2%に近いような結果なのかというとそれはまだワカランチ会長としか申し上げようがないでしょうねというのが本来の話。

でもこれを無理矢理料理すると「企業の期待を見た場合にデフレ期待からは脱却している可能性がありますなあ」とか「1.7%という数値になっているということでこれは日銀の提唱する物価安定目標2%に期待が収斂されていってるような状況を示唆していますなあ」とか威勢の良いことを言い放題となりますので実にこう心温まる内容ですな。

それからですな、欧米の中銀だっていつも「中長期的なインフレ期待はマンデート水準で確実にアンカーされています(キリッ)」とか言い張り続けてアクチュアルの物価水準がマンデート水準を盛大に上回って推移したり盛大に下回って推移したりしているのにインフレ目標は達成出来ているという話をしている(しかもそのインフレ期待とは何ぞやという話は細かく定義しないで有耶無耶のまま)訳でございまして、そういう意味からしたらこの数字だけを使えと言われたら普通は「中長期的なインフレ期待は2%近辺」とか平然と言ってのける事も可能という結果でございます罠、と思うのがこの統計の物価部分を見た場合の感想にならないと政策ウォッチャー的にはおかしいですという所です。


さてさて、ここで更に味わいがあるのは何かと申しますと、ここの物価全般の見通しに関して「大企業」と「中小企業」に分かれている所でございまして、ここの数字を見ると更に味わいというか侘び寂びというか伏線張りまくった映画かよというものを感じる訳でございます。

つまりですな、物価見通しに関しての数値ですけれども、大企業と中小企業では思いっきり差があって、大企業の見通しって短期も中長期も1.1〜1.3%という残念な水準となっている一方で中小企業の見通しは短期だと1.7%ですけれども中長期の見通しが1.9%で思いっきり揃っているという大変に素晴らしい結果で、日銀ヲチャーに年季が入るとまずこの数字を見てキタコレとなるのが正しい在り方(かどうかは知らんが)というものです。

さてそれはどういう事かと申しますと、日銀レビューとしては結構な話題になったような気もする先般の『家計のインフレ予想の多様性とその変化』という日銀レビューを先日アタクシもネタにしたと思いますが・・・・・・・・・

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2014/rev14j01.htm/(概要説明)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2014/data/rev14j01.pdf(本文)
家計のインフレ予想の多様性とその変化

こちらでああだこうだと説明している中で企業のインフレ期待に関するレビューが本文の1ページのケツの所から2ページの左側の辺りにありまして、『QUICK 短観』の2 年後以降予想を基にして試算している企業のインフレ予想に関してこのような分析をしております。

『上場企業間のインフレ予想のばらつきも、市場のそれに近い。特に大企業では、業界の需要予測を立てる際、エコノミストの経済・物価予測を参照したりすることから、結果として、市場と似通ったばらつきが生じやすいと考えられる』(上記日銀レビューより)

で、その参照にされる市場のインフレ予想に関してはこのように説明していましてですな・・・・・・・

『一方、市場関係者やエコノミストの場合、予測モデルにマクロ経済情報を投入することで、インフレ予想を立てている。このため、インフレ予想のばらつきは、モデルの予測精度の差などに起因したものとなる傾向が指摘されている3。市場のインフレ予想の多様性は家計ほど強くなく、今後10 年間のインフレ予想(10 年予想)は、2004 年の調査開始以降、中央値を挟んで上下0.3%pt という極めて狭い範囲に半数の予想が集中している。』(上記日銀レビューより)

ここの部分ってぼかした言い方してますけど、しらっと「市場の予想は予測モデルを使って経済の前提数値を置いてインフレ予想を出すという形なので、従来の延長線上の予想になってしまう」という事を暗に指摘しておりまして、つまり「日銀様が今行っている期待の転換によりフィリップスカーブを上方にシフトさせるというレジームチェンジの政策効果を市場関係者やエコノミストは織り込んでないんですよねえあっはっは」という事でもありますな。

でまあ先般このような伏線が張られていたものがここで回収される訳ですが(^^)、大企業のインフレ予想というのはつまり市場の予想であります所の「レジームシフトを織り込んでいない」数値を前提にしたものであるので低めに出るのは当たり前で、より幅広い経済主体のインフレ予想がどうなっているのかとして見た場合には中小企業のインフレ予想が中長期でほぼ2%となる1.9%になっている点により注目すべきではなかろうか、とまあそういう話になる訳ですよね、うんうん。

そうやってこの数字を執行部になったつもりで料理致しますと、2%行ってないから追加緩和待ったなしどころか執行部の大勝利宣言とか某局某課あたりで万歳三唱と共にインフレ予想2%慶祝提灯行列が練り歩かれてもおかしくは無い、というアンケート結果になるというキタコレにも程がある結果である、とまあそういう話になるので無いかと存じますが如何でございましょうかねえ。

まあしかし何ですな、「2%」って連呼してみるもんですなという所でありまして、気合でフィリップスカーブを上方シフトして信じる者は救われるというシンデレラの魔法も使ってみるもんですなあ(棒読み)というのが今回の結果(の物価全般の見通し)だと思われます。3ページ目に回答の分布図があるのですけれども、先ほどの日銀レビューで説明があったような分布の偏りに関しては2ページ目に思いっきり記載されていましたけど、折角だから規模別まで含めてグラフも乗っけて頂ければ更にビジュアル的に面白かったと思います。

ま、最初に申し上げたように、この数字って初回集計ですからまあこの結果を振りかざしてドヤ顔すると次回のアンケートで盛大なブーメランになるリスクも思いっきり存在しますから、そらまあこれでドヤ顔とかするとは思えません(というかドヤ顔したらトンマにも程がある)ですけれども、少なくともこの物価全般の見通し数値を見て悪い数値とかいう方は追加緩和クレクレ病の症状が深刻になっておられると存じますので、参禅でもして心を洗ってこられる事をお勧め申し上げたいと存じます。


・と申し上げましたが1ページを見ると実にアレな結果もあったりする訳で

とまあそういう事で政策自画自賛モードの脳内セッティングを行った場合に2ページ目が極めて魅力に富んだ解釈ができるという事がお判りになったかと存じますが、一方で1ページ目を見ていると実にこう寒風吹きすさぶシベリアの冬といった風情を感じさせるものであります。

つまりですね、1ページ目って『1.販売価格の見通し』なんですけれども、これを見ると大企業の見通しと中小企業の見通しに乖離があって、大企業は販売価格見通しを製造業でゼロ近辺だの甚だしきは5年後がマイナスとかどう見てもデフレマインドです本当にカムサハムニダという数値になっておる訳ですよね。

一方で中小企業に関しては製造業で短期が1.2%で中長期になると徐々にその数値が上がっているのですけれども、当然ながら価格支配力という観点で考えた場合、製造業大企業様が販売価格上げねえよという中で本当に製造業中小企業が見通し通りの販売価格上昇ができるんですかとか考えますと実にこう薄ら寒い物を感じる次第でありまして、こっちを見ると「コストプッシュのインフレが川上で止まって企業収益や生産性が低下してハイおしまい」というあばばばばーな図しか思い浮かばないという大変にアレな数値。

非製造業の方が若干数値は上になっていますが、こちらでも大企業の方が先行きの販売価格見通しが低くなっておりまして、つまりはコストプッシュの影響を吸収する体力のある大企業と体力が相対的に弱い(と思われる)中小企業の間の差が表れていると考えますと、なるほど短観で(ってこれも短観ですけど)中小企業の先行き業況指数(ってこの先行きは3か月後ですけど)の水準が落ちるわなとかこれまた勝手にオモシロストーリーを立てて料理ができる話だなあと思うのであります。

てな訳ですからして、まあいずれにせよこの数値をどう解釈するかという話はあと数回データの蓄積が無いと行かん訳ですが、まああと2回短観行えば10月展望レポートの季節となりますので、そういう意味では丁度良いかもしれませんな(ニヤニヤ)。


・ところでこのような指摘ががががが

あたしゃこの短観の回答票なんぞを見たことは当然の如くございませんのでよー知らんのですが、今回の見通しアンケートなんすけど物価見通しに関する選択肢の分布票(2ページにある)のを見ると数字を選ぶ方の選択肢(知らんがなという選択肢が3つある)の回答の真ん中になるのが選択肢の5番と6番になると思うのだが、その5番と6番ってゼロ近傍ではなくて何故か+2%程度、+1%程度という選択肢になっているのは何かの工夫あるいは意図でございましょうか???というツッコミをする人が実は大変に多いのでございますけれども、この点につきましては是非ともご説明をお伺いしたい物でありますな(^^)。


○月初計数関連ネタががががががが

なお、月初恒例の国債購入銘柄とか短国の償還予定計算とか資金需給とかに加え、生活意識アンケートの結果も出ておりまして、その辺のネタをいじらないと行けなかったのですが、最初に申し上げた(というか最初に申し上げた部分に今追記したのだが^^)ようについうっかりとノリノリで料理大会をしてしまったので、時間がなくなってしまいましたすいませんすいません。

まあ何ですな、今回一番困るのは国債購入銘柄の明細の中で月末跨ぎの輪番で超長期の購入があるので、平均残存を計算しても6年台半ばとかになってしまうので今月の平均残存調整攻撃が来るのかどうかの当たりが全然つけられないという役立たずな結果になっているのですよね〜。

まあ何ですな、当日の実勢と売参から入りそうな銘柄を想定して計算するのが一番良さそうで、そうじゃ無かったら月末跨ぎ分の1702億円を10年超の買入実績で按分して買ったことにでもしますかねとなるのですかね、よー知らんけど。

なおその辺のネタは多分明日投入の所存ですが、ついでに本日は3MTBの入札もあるので、まあどんな感じになるんでしょうかという所です。

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2014/04/02

○またまた市場雑談メモ

・1年固定金利オペが4か月でロールとな

昨日は10年国債入札とか、期初のとりあえず売買益確保の売りが来たと思ったらすかさず買いが入って(ってか入替ですかねえ)盛大に堅調相場とか、長い方も久々に色々と話題があった感じの相場様でございましたが、一方で地味にマニア方面で注目される1年固定金利オペのロールがやって参りました。

オペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140401.htm
米ドル資金供給 2014年4月3日 2014年4月10日 0.580
米ドル資金供給 2014年4月3日 2014年6月26日 0.580
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 15,000 2014年4月3日 2014年8月1日

オファーロットの1兆5000億円というのはこの折り返し元のオペが1兆5000億円でしたので、それに合わせたという事だと思うのですが、この8月1日というエンドを見せられて外野的にはポカーンという感じで「まあ札があるんだろうけどナンジャコリャ」というのが正直な感想。

と申しますのも、ここもとの固定金利オペって普通に3か月のタームでロールされていたので、1年でも3か月でもなく急に4か月というのが来るのが唐突感が思いっ切りあるという所でありまして(8月1日が資金過不足(この場合は余剰)の大きな日だというのならまだ判るのだが、特段資金過不足がデカイ日でも無い筈なのにわざわざ足を置く意味が無い)、見せられたほうとしては先ほどのような????感を持つのでありました。

で、オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140401.htm
米ドル資金供給(4月10日エンド分) 0 0
米ドル資金供給(6月26日エンド分) 0 0
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月3日スタート分) 10,430 10,430

まあそんな訳で8月1日エンドってナンジャソラというオペではありましたが、市場ヒアリングでニーズの調査をしたので1兆円もロールされて大勝利という事なのかも知れませんが、どうにも微妙なオペでしたなという感じですわ。

つまりですな、これ1年シグナルオペのロールになるので、1年(1年にすると来年足が集中しちゃうので適当にぶらしても良いのでしょうが)で打つとか、それとも貸出増加支援オペの今後の実行に合わせて足を置く(共通担保を4年固定金利オペに使って下さいね的な意味で)というイメージで6月なり9月なりの足にするとかいうのだと何か意味のありそうな話になったのですが、何ちゅうかこう「とりあえず市場ヒアリングした結果ニーズがありそうなのがこの辺だったのでオファーしました」感が満載で、シグナルオペのロールなんだからもうちょっとメッセージ性のあるオペを実施しても良かったんじゃないのという感じです。

でまあメッセージ無いなら無いで普通に3か月打つ(先ほど申し上げたようにここもとの固定金利オペって普通に3か月のタームで打っているので)とか、3か月近辺で8000億円二本立てで打つとかすれば、「固定金利オペに関しては淡々と実施する」というのが判りますし、一部を二本立ての片方だけ1年にするというのも有りだった気もするのですが、淡々と実施するでもなく、かと言って1年デュレーションの負債を金融機関に作るチャンスを与える訳でもなく、何かまあとりあえず今回はここの落ちにしておけば札が入りそうだからオペを打ちましたというように見えてしまうのはどうにもこうにも。

ま、そういう「見せ方」を工夫している余裕も無いという感じでオペでのMB積み上げが大変になっているというのがあるんでしょうなあとは思うのですが、それが露骨に見えてしまうというのも残念という感じでして、去年とりあえずヤケクソで打ち込んだQQEが何とか1年は運営できたものの、ここへきて最初の時点でフィージビリティーとかをろくすっぽ考えないで突っ込んだ弊害がボロボロと出てきたという感が満艦飾と相成っているのが実にこう味わいの深い物を感じるのでありました。

まあ何ですな、とりあえず今月はオペの足が多いから足をぶらす為にちょっと先のエンドで打って、今日以降(今日は3か月物のロール)のオペの足を適当に分散させる為に少し足を長くしただけとかそういうオチなのかも知れないですが、何にせよ折角市場に対してメッセージを出すチャンスだったので「何が何だかよく判らない」というオペエンドの設定は結果的に札は入っているのですけれども、市場との対話という意味ではセンスがねえなあとは思うのですが、そもそもこの前闇討ちで超長期輪番を減額している時点でセンスが無いのでこういう仕様なんでしょうなあとゆー話で、どうも日銀は(これまでそういうのやっていないからノウハウの蓄積とか無いから仕方ないけど)資金需給読みとかそういうのは超精緻なのですけれども、市場というもうちょっと意味不明な物を相手にするというのが苦手のようですな。

ただまあ苦手ですなとか言って済ませている場合でも無く、QQEでの長期国債馬鹿買いだって何時までも続けられる訳でもなく(というか来年継続とか無理じゃろ)いずれ買入規模の縮小とか、それこそ出口政策とかの話になった場合、ここまで市場にストレス与えているだけに反動も大きい訳でして、その反動で市場が変なことにならないようにというのは日銀にケツが回ってくると思いますのでこの調子で良いんでしょうかという懸念はありますなあ、などとたかが1年オペのロールネタでこれだけ雑談をするアタクシの方が変ですかそうですか。


・GCレートはとりあえずヒャッハー脱却のようで何より

昨日のGCレートはやっとマイナスだのゼロだの1bpだのというヒャッハーレベルから脱却したようで、昨日は先ほども申し上げたようにそこそこ投資家の売買があったようですので、その点からしてもGCの調達サイドのニーズも増えたとは思いますし、期末特殊ニーズも若干軽減されたという所で日中そこそこ動いた模様ですけど、とりあえずゼロだの1だのという素敵な水準じゃなくなった事も影響しているのか超短い所の利付とか短国のBB引値のレートは若干上昇しておりましたな。

つーことで明日から今期の短国入札が始まるので、まあ3bp割れとかいうような入札にはならないで済みそうというのでとりあえず短期市場崩壊の危機は次の四半期末まで先送りされたのかどうか知りませんが、目先直ぐに崩壊はしないで済みそうですなあっはっは。

しかしまあ何ですな、31日に短国買入1兆円というのがありましたが、28日だと末渡しだし1日だと残高の大きい1年固定金利オペのロールにぶつかるし、今日だと入札前日ということでまあ31日に短国買入を打ち込んだという話(明日は入札)だとは思うのですけれども、その辺りも何というかもう末初で需給厳しい中でも短国買入いれざるを得ないとかいう奴で、先ほど申しあげたオペの必死感が出ているようで何ともアレという所ですの。

とか何とか言ってるうちに明日の短国入札で3bp割れじゃなくて良かったですねとか言ってたらやっぱり短国買入2兆円とか打ち込まれると結局短国の需給は締まったままになってしまいそうな気もしますので、全然安心できんっつーか短国金利5bp割れた状態が恒常化すると他の金利に波及するぞなもし(というか既に波及してるんだが)というお話で、とりあえずゼロだのマイナスだののヒャッハーな短期市場焼け野原にはなっていないものの、誰得低位金利恒常化状態になってしまうというリスクは別に消えている訳では無いでしょうなあという残念な市場雑談メモなのでありました。

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2014/04/01

○市場(といっても短い方)メモ雑談を少々

・TKRRはプラスに戻りましたが・・・・・・

東京レポレート
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html

31日の数値ですが、翌日物のT+0が0.004%でT+1が0.001%という事でまあとりあえずプラスの数値にはなりましたが、つーてまあ普通のレートに戻っているのかというと0.1bpとかの世界ですし、何せ期末期初の関係で実弾の売りでも出ない限り短国の発行日までは需給に変化無し子ちゃんという事になります(つーか実弾売り出ていると思われる側から短国買入で盛大に吸い上げが行われていたのだが)ので、一応0.1bpとかになっていますがGCニーズはまだまだあるようでございましてこんな感じのレート推移が続きそう(まあ入札で改善するとは思うけれども)だわで、当たり前ですが短国のアウトライトのレートもアガランチ会長だわ(さすがに末渡しの時みたいに全部2bpとかいう事は無いようだが)という状況ですので、色々と波及しそうですなあという所で。

つーかまあ昨年も期末期初の所で現先とかレポとか逼迫して(昨年の場合は4月に実施されると見られていた大規模緩和の時に間違って利下げされると困るということで短国のレートが馬鹿下がりして玉が逼迫した面が大きいので今年とは話が違うが起きた現象は同じ)コールとかの金利の位置が結局変わってしまいましたなあというのがございましたが、期末期初の度にこれやられたら勘弁という所でありまして、まあ何と申しますか厳しいですなあ。


・今日から1年オペの期落ち祭りが開催されますよ!!!

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of140331.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2014年4月2日 2014年7月7日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 2,000 2014年3月31日 2014年4月1日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba140331.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月2日スタート分) 1,630 1,630
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 4 4 -0.400 -0.400

ということで今回の固定金利オペですけれども、元が3200億円実施されていた3か月固定金利オペの折り返しになりまして、きっちり半分だけロールされましたですかそうですかというか、半分くらいはロールされるんだほほーという所ではあります。まあロットが少ないっすからこんなもんかもしれないけど。

でまあ今月期落ちの来る3Mの固定金利オペは受渡で明日落ちの3200億円が一番ロットがでかい筈で、大体2000億円とか3000億円とかのロットですから恐らくこんな感じで半分程度の歩留まりという感じになるのかねとは把握しましたが、問題は今月期日が続々到来する1年固定金利オペの方がどうなるかという話。

早速4月3日の期落ちで1年物のうち4月12日(最初に固定金利1年物を突っ込んだのは11日ね)にオファーした(オファー額は15000億円)の期落ちが13470億円やって参りまして、さて今日はこのオペの折り返しどうするんでしょうかねえという話。

普通にいつもの3か月オペ固定金利で8000億円オファーとかしますとそもそもがロールに対してショートになる(2本立てにすれば別だが)訳ですし、まーそれ以前の問題としてこれ1年固定だったらニーズがあるんじゃネーノという気はするがその辺は期落ちの来る人たちに直接聞かないとワカランチ会長なのでよー知らんですけど、まあいずれにせよどういうオペの打ち方になってどれだけロールされるのかは注目という所ですな。つーかこのオペがバカスカ落ちると短国買入にまた皺寄せががががという話になるんですけど(ちなみに4月が大体7兆円、5月が大体3兆円の落ちがあったりします)。

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