金融政策概観(2012年度下期前半分(2012年10月〜12月))
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2012/12/28「11月決定会合議事要旨の英文版も見ながらインプリケーションを得ようという話」
2012/12/27「重要なので11月決定会合議事要旨ネタをこちらにも/安倍さんの経済ブレーンが電波過ぎます」
2012/12/26「物価が上昇したら景気が良くなるとか意味不明な政治家発言が多いのですが・・・・・」
2012/12/25「為替に働きかける方法という意味で石田さんの提案を再考する」
2012/12/21「追加緩和の他盛りだくさんだった決定会合レビュー」
2012/12/20「決定会合プレビュー」
2012/12/19「MPM初日を前に安倍さんと麿の会談とな」
2012/12/18「更に選挙関連雑談」
2012/12/17「選挙結果雑談」
2012/12/14「ETFとRITがどう見ても未達になりそうなのを懸念する/新貸出スキーム関連」
2012/12/12「マイナス金利再考の再考/オペ金利又も低下/安倍さん聞く相手が悪いよ・・・/ロイターで電波浴」
2012/12/10「先物ネタの訂正/基金ETF未達が気になる/ECBのマイナス金利検討に関連して」
2012/12/07「先物が2003年の高値を抜ける/公明党山口代表に見るスマートな圧力のかけ方」
2012/12/06「基金オペや短期国債入札金利がますます低下」
2012/12/05「特例公債発行中/基金オペの進捗状況と今後の拡大について考察」
2012/12/03「安倍さんおよび安倍ブレーンの皆様のアレな発言は続く」
2012/11/30「今日も元気だ安倍さんは支離滅裂発言/買入系オペの金利がしらっと低下」
2012/11/29「安倍さんおよび取り巻き連中の発言がどんどん支離滅裂になっています/銀行券ルール雑考」
2012/11/28「安倍さんの馬鹿発言は止まらず経団連米倉会長に俊ちゃんまで参戦」
2012/11/26「引き続き滑りまくる安倍さんに対して冷静な公明党の山口代表が対照的」
2012/11/22「自民党政権公約はトーンダウン??/安倍さんにアホウな事を吹き込む人たちに脱力」
2012/11/21「安倍発言の反応があちこちからあるのでネタクリップ/英国の「新手の金融緩和」が謎な件について」
2012/11/20「安倍さんの財政ファイナンス発言はさすがにあちこちから批判が来ていますが本人は至って有頂天」
2012/11/19「衆議院解散で安倍自民党総裁の日銀への発言が財政マネタイズ要請までエスカレートとな」
2012/11/09「オバマ再選でブルフラットとな/特例公債成立で次は衆議院選挙ですかね」
2012/11/08「オバマ再選/安倍さんの金融政策に関する発言がアレな件について/特例公債成立の方向へ」
2012/11/05「大久保財務副大臣の電力債買え発言にorz/基金国債買入のフィージビリティーについて愚考」
2012/11/02「決定会合受けてTIBOR金利が低下/佐藤、木内両委員の反対する展望レポートの部分について考察」
2012/10/31「色々とややこしいものがゴタゴタ出てきた決定会合レビュー」
2012/10/30「決定会合プレビュー/PD懇は財務省の振り付けはあったにせよ市場の怒りが連発の巻」
2012/10/29「自民党安倍総裁インタビューがあまりにもお粗末な内容な件について」
2012/10/26「日経が10兆円緩和報道で何故か円安(本当の理由は米国2年債金利の0.30%乗せ)/安倍自民党総裁が特例公債法案審議に柔軟な姿勢を示す/今日は臨時PD懇談会」
2012/10/24「産経の追加緩和20兆円要求報道や石田前内閣府副大臣のインタビューなどに悪態」
2012/10/23「NHKが”追加緩和の検討”報道」
2012/10/22「特例公債法案審議が怪しげな雰囲気」
2012/10/19「やはりまた毎度のリーク記事のようで各紙が追加緩和報道を」
2012/10/18「また謎のリークなのか観測なのか判らん決定会合記事が」
2012/10/12「自民党安倍総裁も日銀に圧力発言」
2012/10/09「MPMに乗り込んで最後の1時間だけ出席した前原さんは何だったんでしょう」
2012/10/05「決定会合に前原国家戦略担当・経済財政大臣が乗り込むとな」
2012/10/01「社債買入オペのペースを調整の為落としました/LIBOR関連/政治雑談」
2012/12/28
お題「昨日の続きの積りで書いたら昨日の追補版になってしましましたぞなもし」
モーサテ今年の締めは吉崎さんとな(^^)。
うむ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121228/k10014490381000.html
NY市場 1ドル86円台に 12月28日 0時27分
『27日のニューヨーク外国為替市場は、安倍内閣が発足し、日銀が一段の金融緩和に踏み切るのではないかという見方から、円を売ってドルを買う動きが強まり、円相場はおよそ2年4か月ぶりに1ドル=86円台をつけました。』(上記URLより)
これね、何でこういう時に日銀の名前が受動的になっているのかと思うのですけれども・・・・・って何でもへったくれもなくていわゆるコメントする人たちとそれを受けて報道する人たちのレベルを反映しているだけではあるのですが、昨日ああだこうだ書きましたように、11月の日銀金融政策決定会合議事要旨に示されているように「11月の時点から日銀は円安を促して物価を上昇させようという姿勢が強まっている」という事が明確になった(だから議事要旨の出たタイミングで為替が84円台から85円台に上昇した)訳でして、未だに「安倍さんの圧力ガー」とか言っている方は以下悪態。
ということで、大ネタが最後に出た上に今週は月曜が休みだったので金曜日気分ですらない年末週末でございます(あたくしだけですかそうですか^^)ので今日も平壌運転のこのあたくしで昨日の続きで11月決定会合議事要旨ネタです。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121120.pdf
そして実はマニア向け(ではありませんので念の為^^)にはこのようなものも出ているのでして・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121120.pdf
○しつこく昨日と同じ部分を今度は英文議事要旨を踏まえながら再確認してみる
ということで昨日は『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の部分を引用してああだこうだ書きましたが、「為替市場への働きかけ」云々の部分を改めて英文版で読みますとこれが更に味わいがあります。ちなみにその部分は『III.
Summary of Discussions on Monetary Policy for the Immediate Future』です(以下議事要旨の引用部分ですが、基本的に日本文は日本語版、英文は英語版からの引用となります)。
『Some members raised the point that it might be necessary for the Bank
to improve its policy measures further to enhance the influence of monetary
policy on foreign exchange rates. 』
>policy measures further to enhance the influence of monetary policy on foreign exchange rates.
ふむこっちの方が判りやすいですなという所ですが、まあマニアと申しましてもこのあたくし、マニアレベルから言えばまだまだカルトレベルに全然達していない(世の中の一番の中銀カルトは多分麿だと思われます^^)あたくしでございますので普段の英文書き振りに慣れていないのでございますが、この先の文章を見ると・・・・・・・
『A few of these members expressed the recognition that misunderstanding
and suspicions about the Bank's monetary easing stance existed in, for
example, the foreign exchange market.』
ということで(当たり前ですが)a fewとsomeを使い分けておりまして、昨日引用した時には明らかに文章の流れと12月会合の石田さんの提案から勘案するに3名が為替の働きかけという話をしましたが、もしかしたら3名だけではないかもしれませんな。つーかまあ日本語の方の議事要旨でもあれだけああだこうだ書いてあったという所から勘案すると相当の議論があったはずで、3名だけの話だとここまでああだこうだ書かないという事も実は想定されるので、想定の話かもしれないですけど3名超なのかもとか思いつつ。
ただし、日銀の場合はFRBのミニッツと違うので、たぶん「2名の」という表記を英語ではしていない(日本語で2名という記述をしていないので英文表記でも避ける筈)ので、まあa
fewが2名でsomeが3名の可能性もあるんですけどね。
でまあそれはそれと致しまして。
『In view of the need to dispel such misunderstanding and suspicions, thereby
encouraging further permeation of monetary easing effects, as well as to
influence market expectations, these members then raised the issue, as
in the previous meeting, of whether it would be effective to change the
current wording of the Bank's policy commitment -- namely, that the Bank
aimed to achieve its goal of 1 percent for the time being in terms of the
year-on-year rate of increase in the CPI through the pursuit of powerful
monetary easing, conducting its virtually zero interest rate policy and
implementing the Program mainly through the purchase of financial assets,
and would continue with this powerful easing until it judged the 1 percent
goal to be in sight.』
一文がなげえよと思いますが、こちらはコミットメント文言の変更というか明確化の話で、10月30日の会合で佐藤さんが提案して木内さんが賛成した件です。
○オープンエンドの部分に関して
『One of these members said that an option for the Bank would be to clearly
present in the statement, which was to be released immediately after the
meeting, that it would continue powerful monetary easing mainly through
the virtually zero interest rate policy and the purchase of financial assets,
without setting any timeframe, until it achieved a CPI inflation rate of
1 percent.』
『このうちの一人の委員は、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を通じた強力な金融緩和について、消費者物価の前年比上昇率1%を達成するまでオープン・エンドとすることを対外公表文に明記することが考えられると述べた。』
ということで日本文(ちなみに日本文がMPMの承認を経た正本で英文は日本文を底本に日銀スタッフが作成したものですので念の為)で「消費者物価の前年比上昇率1%を達成するまでオープン・エンド」とありますが、英文の方がより判りやすくなっているのがチャーミングでして「時間的なフレームを設定しないで」となっている訳で、まあつまり(APPの枠組みを変更しない事を前提に考えた場合)APPについて「2013年12月まで幾らの達成」に上乗せするとすれば、「その後についても一定額の購入を行い、基金買入の償還分については再投資を行う」というような言い方になるのかねとゆー所でしょうかね。
で、ここは英文を読んでいてもあまり確信できなかったのですが、「消費者物価の1%を達成」という所が現在の物価安定の目途に示されている「見通し」ベースのものなのか、「実際に達成すべき数値」なのかがワカランチ会長なのですが、何となくこの書き方のニュアンスは実績ベースのような希ガス。
まあ勝手に想像しますと、実績ベースで1%達成するまで緩和継続という言い方ですと、これは失業率を低下させようとしてロンガーランの5.2-6.0%ゴールの手前である「実績値6.5%」の所に閾値を置いてガイダンス文言を設定したFRBに似たフレームでもあるなあとか思った訳ですけれどもどうでしょうかね(^^)。
○石田さん失礼しましたすいませんでもあの見せ方をされますと・・・・・・・・・
でまあその後の多くの委員の指摘とそれに対するツッコミの部分はスルーしまして、石田審議委員と思われる方の付利撤廃に関する指摘。
『One member -- noting that the shorter-end government bond yields in some
countries with high creditworthiness were in negative territory -- said
that, although the abolishment of the payment of interest on excess reserve
balances at the Bank would pose various problems, such as a decline in
the functioning of financial markets, if such abolishment could bring down
yields further on T-Bills in Japan, this might reduce the attractiveness
of the yen as a safe-haven currency and exert influence on foreign exchange
rates.』
『一人の委員は、信用力の高い一部の国の短めの国債利回りがマイナス圏にあることを指摘したうえで、超過準備への付利の廃止には金融市場の機能低下等の様々な問題があるものの、これによりわが国の短期国債の利回りを一段と引き下げることができれば、退避通貨としての円の魅力を減ずることになり、為替相場にも働きかける可能性があると述べた。』
ということで、こちらも英文の説明の方がニュアンスが伝わりやすい(まあ日本文でも判るちゃあ判るのですが)訳で、石田審議委員としては「付利撤廃を行う事によって短期市場金利がゼロ(下手したら国債の金利などはマイナス)になって短期市場が壊滅状態になったとしても、市場金利の低下で為替市場の円安誘導が図れるのであればそれも止む無し」という認識を示しているというのが英語の方がより判りやすいのですが、つまりはそれだけの危機意識を認識として示したうえで付利金利の撤廃の議論を11月の時点から行っていて、その結果が12月の提案として出た、とまあそういう事だった訳ですよね。
まあ何ですな、そういう背景とかが予め判っていれば12月会合の時に一部市場関係者の間に衝撃と共にブーイングが巻き起こる事も少なかったと思われる次第で、石田さん向けに言い訳を致しますと、何も前振り無しであの提案だけポコッと出され、その理由についての声明文注釈が「為替市場により働きかけるため」だけですとナンジャソラと思うのが市場の中の人的に普通の反応になるのですよ。まあ麿の会見では「金利の引き下げで為替市場に働きかける」という話だけあったのですが、これだけでもやはりポコッと出た感を受けて思いつきっぽく見えてしまうので、そういう反応になって(二日酔いの勢いもありますが^^)しまう訳ですなうんうん。
然るに、実は前振りとしてこのような背景がありましたと言う事ですと、石田さんの提案の背景に対する外野のワタクシ達の認識が全然違ってくる訳で、実務家出身者として大きなデメリットも認識した上で、そのデメリットを背負ってまでも為替市場をどげんとせんといかんとゆーお話をしているってえ事ですので、そらまあ悪態をつくような話とは違いますがなって所ですぞなもしという所で。
ただし、付利撤廃という事になればAPPの残高積み上げは実務上困難(はっきり言って現時点では目標があるからオペ参加者も超過準備積み上げながら対応している面があって、超過準備を積むメリットが無くなって単にバランスシートが拡大(対日銀だからリスク資産は拡大しないと思いますけど)するだけの超過準備をそんなに積む人は居なくなりますし、超過準備持っているよりも国債の形で持っていた方がバランスシート的に美しいからそんなにホイホイと買入オペ(単なる資金供給オペでは無い点に注意)に札入れてこないでしょう)になるでしょうし、そもそも成長基盤強化やら今回の貸出増加支援策などのフレームワークに参加する意味が無くなる(上に従来の固定金利貸出が全部やられになってしまうので、参加した分馬鹿を見た格好になりますので金融機関的にはナンジャソラ状態)ので、それらの枠組みを全面的に入れ替えないといけないという事で、その辺の制度再設計も含めてガラガラポンしないといかんぞなもしというのは連日申し上げている通り。つーかだいたいこういう流れを見て思うのだが、日銀はこの手の仕組みを緻密というか堅牢に作り過ぎで、その後の変化に対応しにくくて現場のオペレーション担当が複雑骨折状態になりながら対応するという残念な事案が良く見られるぞなと思いますので、もうちょっとこの辺の設計をラフにするというのも(FRBなんて前後矛盾をモノともせずにホイホイ変えていまして、あれはあれでいい加減過ぎると思いますが)考慮されたいと思いますけどね。
ちと話が逸れましたが、まあそういう事で、今回の石田さんの提案に関して実は既に前回の会合から問題提起があって、その辺りの議論を経て今回石田さんの提案に至った、というような話が全然伝わらないでいきなり結果だけ出されたのはコミュニケーションポリシーとして実に残念でありまして、まあ連続緩和した翌月だったからあまりその手の話をして市場を煽りたく無かったのだろうなあとは想像できるのですが、11月会見で特に為替市場への働きかけについて様々な議論があったというような話が全然なかったですし、12月会見での石田審議委員の提案に関する説明も金利を下げて為替に影響というだけのあっさり味説明でして、何と申しますか非常に勿体ない話で、別に安倍さんだけじゃなくて日銀だって既に強い問題意識を持って取り組んでいるという部分をアピールできたんじゃないのと思うのですよね。
そのアピール足りないから85円乗せからの円安に関しても未だに一般的な報道が安倍内閣発足云々の方で安倍さんが完全に主体のようになっているように認知されてしまい、日銀の取り組みがアピールされないとか、これはもう見せ方が残念にも程があるとしか申し上げようがございません訳ですな。
#まあ議事要旨のニュアンスを見ると為替云々については執行部サイドじゃなくて審議委員サイド(特に民間企業出身の4名と思われますが)が主導しているので麿的にアレなのかもしれませんけれども
なお、金利市場の中の人的に申し上げると付利撤廃で金利ゼロとかになるとやはり色々な面でのデメリットがありまして、それをするなら「絶対に」円安と株高に持って行って頂かないと、中期ゾーン以下大体短期からやや長めの短期の金利を扱う人間にとっては金利という糧食が無くなってしまってアラカン山脈白骨街道状態になるだけでありまして、従来のオペ拡大の無駄打ちとはレベルの違う何やってるんだ状態になる訳でございますので、それなりの覚悟と用意を持って頂かないとまさに金利のインパール作戦となるという点は全力で指摘させていただきたいと思います。
○やはり短国買入については「確信犯で金利押し下げ」の狙いがあった訳で
さて話が全力で逸れましたが先ほどの続きが残っておりますのでちと引用します。
『On this point, a different member commented that another measure to encourage
a decline in yields on T-Bills would be to increase the Bank's outright
purchases of T-Bills while continuing with the payment of interest on excess
reserve balances.』
『この点に関し、別の一人の委員は、短期国債利回りの低下を図る手法として、現状の超過準備への付利を維持したまま、短期国債買入れを増額することも考えられるとコメントした。』
まあここは日本文で読んでも判りますが、「安全通貨としての円の魅力を下げる」という観点であれば、付利撤廃で短期市場壊滅させなくてもそもそもTBの金利を下げてしまえば良かろうという論点で、これはこれでまあ有り得る話ですし、この手段で確信犯で短国金利を押し下げるというのであればTBの買入枠をもっと増やせますがなという話にはなりますな。
しかしこの点に関しても声明文や会見での説明ではスルーしておりまして、この部分だって「市場金利の一段の低下を促す為に短期国債も含めて買入を拡大する」というような見せ方をしてくれれば、MPMの当日に為替市場がちゃんと反応してくれていた可能性がある訳で、これも見せ方が勿体ないにも程があるわと思うのですが。
ちなみに今回の声明文ではこんな書き方になっていたのですが・・・・・・
『「資産買入等の基金」を91 兆円程度から101 兆円程度に10 兆円程度増額する。基金増額の対象については、別紙2のとおり、短期国債を5兆円程度、長期国債を5兆円程度とする。「資産買入等の基金」を通じた今後1年間の追加的な資産買入れ額は、既に決定したものと合わせ、36
兆円程度となる。このほかに、日本銀行は、年間21.6 兆円の長期国債の買入れを行っている。』(12月決定会合声明文より)
『以上の景気・物価情勢を踏まえ、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく軌道を踏みはずさないようにするため、日本銀行は、金融緩和を一段と強化することが適当と判断した。』(12月決定会合声明文より)
この辺りのどこにもその辺のニュアンスが出ていないというのが残念で、まあ現状で「為替市場へのより積極的な働きかけ」というのが全員の認識になるまで至っていないという事の反映(だから先ほども昨日も書きましたように、12月の決定は「審議委員からの積極的な」という感を受けた訳ですが)なのかも知れないので、そういう出し方をしていない、と言ってしまえばそれまでかも知れませんけど、まあ一事が万事で結果として行っている「オペレーション」そのものはそれこそびた1ユーロたりともOMT買入を実行していないECBと比べたら飛んでも無い勢いで行っているというのに「見劣りがする」だの「緩和が足りない」だの言われる訳ですな。実に残念。
まあ今さら麿がどうのこうの言ってもシャーナイのですが、金融危機における国際協調とか対応とかに関しては麿大活躍(まあ大活躍は麿一人だけではないですが)なのですし、例えば成長基盤強化に類するものをBOEがやっているとかのように、金融政策のあるべき枠組みとか方向性を示す制度設計とかに関しても麿(というか日銀全体)の技量って卓越していると思うのですけれども、ドラギの大爆笑先生のような「ハッタリかまして宝刀見せるけど抜かずに済まして実はタダ」的な非伝統的政策とか、逆さ絵おじさんのように「ストックビューで始めた筈の資産買入の説明がいつの間にかフロービューになっている」というようなインチキ成分が悲しいほど欠如しておられるのがこの辺りの残念な見せ方に反映されているんでしょうなあとは思う所でございます、はい。
・・・・・・・えーっと、何か昨日の繰り返しで景気の現状認識と見通しがエライ弱いという話はどこに逝ったんだというツッコミが聞こえそうな気がしますが、まあ年末ですのでそういう事はツッコまない方向でよろしくお願いいたします。
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2012/12/27
お題「これは大ネタだった11月会合議事要旨/年の瀬に素敵な電波浴」
年の瀬も押し詰まる中にも大ネタが出るので全然年末気分にならないのですが・・・・・・
ということで本日の大ネタは昨日公表になった11月会合議事要旨であることは皆様ご案内の通りでありまする。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2012/g121120.pdf
○11月会合で思いっ切り追加緩和やら為替市場への働きかけやらの話があったのですね
つーかね、不思議でしょうがないのですけれども、昨日の為替市場で朝9時ちょっと前にドル円が85円台に乗ったのに対して(さっきのモーサテのコメントもそうですけど)「安倍内閣への期待が云々」という後講釈が見られるのですけれども、それよりもこの時間帯にあった材料というのはどー見てもこちらの議事要旨だと思うのですよね。
で、この議事要旨が出たタイミングでは中身にあった「為替により強く働き掛ける工夫が必要」「付利撤廃の検討も」「オープンエンド方式の資産買入の検討も」「コミットメント文言の変更も」など、これは(追加緩和決定の)12月決定会合議事要旨ですかと思ってしまうような政策委員の論点が次々にヘッドラインとして出て参りまして、まあ11月会合後の会見では麿の金融政策に関する丁寧な説明(がメディアによって無駄に「安倍VS白川」みたいにフレームアップされた結果として日銀にとっては災難な事になった訳でメディアは全く困ったもんだと思いますがそれは兎も角)の方ばかりになっていまして、この手の論議があったという事はスルー(まあ議事要旨で公表される訳ですから質問されなきゃ答えなくても良いのですけど・・・・・・)という状況だったので、正直これは金融政策動向に注目する人たち的にはかなりのサプライズな内容だったと思うのですよね。
もちろん他の理由もあったとは思いますが、タイミング的に昨日為替がどどーんと動いた時にあった材料はこの議事要旨であって、しかも議事要旨の内容が実は日銀が既に「チェンジ」をしつつあることを示唆するのではないかという物である、という評価になると思う(以下で説明しますけど)のでありまして、普段日銀の姿勢ガーとか言いながらエエカゲンにも程がある講釈をしておられる一部の為替系何とかストやコメンテーターの皆様がこの議事要旨に言及しないのが不思議で仕方ありませんなあという所ではございます。
つーかですな、毎度思うのですけれども、決定会合の議事要旨内容について決定会合での承認事項になっているという今の日銀法の作りってこういう時に非常に残念な事態を招くのでありまして、もしこの議事要旨がもう少し早く出ていたら、まるで1から10まで総選挙と安倍総裁発言(というか殆ど恫喝モード)を受けたかのように報道される12月決定会合の結果も、実は11月の時点で既に政策委員(たぶん執行部系では無くて審議委員の皆さんでしょと思いますけど)の間では「日銀のチェンジが必要である」という議論が醸成されてきていて、その結果として12月の決定があったという事もあったのではないか(即ち実は追加緩和の流れは既に始まっていた)、とまあそういう認識になると思うのですよね。
BOEとかFRBとか、ポリシーミーティングのミニッツを公開している所では次回の決定会合の前にミニッツを公開しておりまして、正直日本の場合MPMのペースが早いのでロジ的にしんどい(特に2回会合の時と盆暮れが絡む時)というのもあるのですが、政策決定関数についての考察をしやすくするという点から言えば、ミニッツは次回のMPMの前に出した方が吉であって、コミュニケーションポリシー上も有益ではないかと思う所でありまして、日銀法改正するならその手のテクニカルな問題点についても改善の余地があると思いますので何卒よろしく。
・・・・・・・・うむ、話が逸れましたな。
○『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』を読むべしということですな
ということですが、最初の方はまあいつもの話なのですけどね。
『当面の金融政策運営について、委員は、日本経済がデフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると確認したうえで、この課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものであるとの認識を共有した。こうした認識のもとで、金融機関による成長基盤強化の取り組みおよび貸出の増加を支援するとともに、実質的なゼロ金利政策と資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて、強力な金融緩和を間断なく推進していくとの方針で一致した。そのうえで、委員は、引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していくとの方針を共有した。』
まあいつもの話である。
『前回会合における金融緩和の強化について、委員は、景気・物価見通しの下振れと先行きのリスクを踏まえて果断に対応したことは、オーソドックスな政策運営として受け止められたのではないかとの認識を共有した。』
それはどちらかというと9月の話で10月は前原・・・・いや何でも無いです。
『そのうえで、何人かの委員は、今後も適切な情報発信を通じ、日本銀行の政策に対する信認を確保していくことは、金融政策の波及効果を高めるうえで、きわめて重要であるとの認識を改めて示した。』
ということでこの辺から論点が面白くなってまいります!
『何人かの委員は、景気や物価の見通しが更に下振れたり、見通しを巡るリスクが大きく高まるような場合には、様々な選択肢をあらかじめ排除することなく、その効果とリスクを十分検討したうえで、適切な措置を果断に講じていく必要があると述べた。』
ほほう。
・為替市場への働きかけ:コミュニケーションポリシー
『何人かの委員は、金融政策による為替相場への働きかけを強める観点から、一段の工夫が必要ではないかとの問題意識を示した。』
何人かの委員キターーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーー!!
『このうち複数の委員は、為替市場などでは日本銀行の金融緩和姿勢に誤解や疑念が存在するとの認識を示したうえで、それらを払拭し、金融緩和効果の一層の浸透を図る観点から、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」とのコミットメントの文言を変更することが市場の予想に働きかけるうえで有効ではないかと、前回会合と同様の問題提起を行った。』
佐藤委員と木内委員ですねわかります。
『このうちの一人の委員は、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を通じた強力な金融緩和について、消費者物価の前年比上昇率1%を達成するまでオープン・エンドとすることを対外公表文に明記することが考えられると述べた。』
オープンエンドキタコレという所ですが、まあそもそも物価安定の目途についてはその性質は本来目標達成するまでオープンエンドとなる物でございまして、何でオープンエンドの書き方になっていないかと言うと資産買入等基金という「ストックの量で勝負」をしているから、そのストックの額について幾らですよという話をする為には「何時何時までに幾らの残高にする」という見せ方を採用しているというだけの話ではあるのですが、確かに金融政策が非伝統的な領域に入っているという事を考えますと、さきほどの複数の委員による指摘にありますように、金融政策効果の浸透という意味では「市場の予想(=期待)に働きかける」ための「見せ方」について、金融政策を普段から見ていてそういう点でミスコミュニケーションが発生しにくい金利市場(の一部の・・・・)人に伝わればそれで十分という訳にはいかないのではないか、という論点がここでは提示されていると読みましたが、確かにこれは重要ではあります。
『これに対して、多くの委員は、仮に日本銀行の金融緩和姿勢に誤解や疑念が存在しているのであれば、それは丁寧な説明を通じて解消していくべきものであると指摘した。』
そらまあ本来はそうなのですが、とにかくメディアがあの有様で、他市場から見た場合にどうですねんという話は同様に蒟蒻問答化しやすくなるというややこしい説明になっている上に、これはまあそう言われても麿的に酷な話ではあるものの、一々全部丁寧に説明を尽くした結果としてベースの知識が不足している人たちにとっては却って判りにくくなってしまってませんかという現状も踏まえるべきではないかというのはあたくしも思うのでございまする。
『このうちの複数の委員は、イールドカーブが現状きわめて低位で安定していることを踏まえると、たとえコミットメントの文言を変更しても追加的な長めの金利の低下効果は殆ど期待できないとみられ、そうした意味では日本銀行の金融緩和姿勢は金融市場にしっかりと浸透している、との見解を表明した。』
でまあこの辺が一面では仰る通りなのですが、最初にこの話をした委員からしたら、金利市場の方よりもより幅広い市場の期待に対する働きかけという話をしているのですから、お前それは違うだろというか何を今さら寝ぼけた話してるんだとかそういう言い合いになっていたら非常に面白いのですがそれはさすがに無いですかそうですか(^^)。
『別の一人の委員は、長期金利の低下には、@コミットメント政策により実質的なゼロ金利の予想継続期間が長期化する場合と、A景気・物価見通しの悪化により実質的なゼロ金利の予想継続期間が長期化する場合の2種類あり、両者を明確に識別することは難しいため、注意深く議論していく必要があるとコメントした。』
イイシテキダナー(;∀;)
・為替市場への働きかけ:短期市場金利の低位誘導方策
で、ここで付利撤廃の話が出るのでした。
『一人の委員は、信用力の高い一部の国の短めの国債利回りがマイナス圏にあることを指摘したうえで、超過準備への付利の廃止には金融市場の機能低下等の様々な問題があるものの、これによりわが国の短期国債の利回りを一段と引き下げることができれば、退避通貨としての円の魅力を減ずることになり、為替相場にも働きかける可能性があると述べた。』
石田委員キタコレ(・∀・)という所ですが、先月からこの話をしているのであるならば、直近会合での超過準備付利撤廃提案の際には現在のAPPの枠組みとの整合性を取った形での提案をして頂きたかった訳で、市場機能低下云々以前にそもそも技術論的に整合性の取れない提案を出したのは誠に残念としか申し上げようが無く、あれが出た時にそこらじゅうで「何を考えているんだ」という声が続出して、一部の二日酔い駄文書きからアホだの馬鹿だのという発言が飛び出したのはご案内の通りであります。
『この点に関し、別の一人の委員は、短期国債利回りの低下を図る手法として、現状の超過準備への付利を維持したまま、短期国債買入れを増額することも考えられるとコメントした。』
これも地味だけど重要な話で、直近の追加緩和の際に長期国債の買入5兆円拡大が来年の前半と後半に2.5兆円ずつ割り振られているのですが、短期国債買入の5兆円は来年の前半に全部突っ込まれている、というのはこの「別の一人の委員」の論点を反映したものではないかとゆー話でございます。
・最後の所はまあそらそうなのですがという話
でまあここまで盛り上がったの所で最後の論点ははあそうですかという話ですがせっかく引用しているので一応引用しておく。
『ある委員は、日本を含めた主要先進国では、きわめて積極的な金融緩和政策が講じられているにもかかわらず、各国の景気が本格的な回復に至っていない背景をどのように考えるべきかとの論点提示を行った。この委員は、@米欧経済はバブル崩壊後のわが国と同様、バランスシート調整過程にあり、過剰債務を抱えた経済主体の金利感応度は低下していること、A将来の支出を現在に繰り上げるという低金利の需要創出効果は、低金利の長期化に伴い次第に低減してくること、などを指摘した。』
そらそうなのですが、まあそこは丁寧に説明する所では無い、というのが逆さ絵先生とか俊ちゃんとかの行動を見ると判るような気がするんですけどね。
○安倍さんの押し込みだけではなくて「審議委員の押し込み」もあったのではないかという件
・・・・・・・という事で今日は今回の議事要旨に関して思いっきり1つのコーナーを重点的に攻めて(?)みましたが、少なくとも「為替に積極的に働きかけるべき」という論点について、当初一番強く主張していた佐藤審議委員だけでは無く、少なくともこの議事要旨では(前回展望レポートに反対した)木内さんに加えて石田さんも11月会合の時点で加勢している、というのが明らかになったというのが今回の議事要旨の興味深いというか重要な点。
つまりですな、この会合11月19〜20日の実施ですので、安倍さんの一連の発言第一弾が出た所ではありましたので安倍さん発言の影響も勿論あるのでしょうし、「より物価上昇に強く働き掛けるルートについて積極的にならないといけない」というこの辺の審議委員の皆さんの危機意識が強く示されている、という意味でも見所のある議事要旨であったと思うのですよ。
安倍さんなどによる圧力チックな話がどうもフレームアップされやすいのですけれども、11月会合での(少なくとも3名の)審議委員による危機意識表明というのが12月会合での追加緩和実施の伏線にあるというのはまあ見やすい所でありまして、そう考えますと安倍さん云々だけでは無い意味で、審議委員の方からの日本銀行の「チェンジ」の可能性というのが実はあるんじゃネーノと思わせるのが11月の決定会合議事要旨の金融政策論議に関する部分から読み取れるのでありまして、そういう意味ではこの議事要旨は非常に面白かったと思いますです、はい。
なお、この議事要旨ですけれども、他に景気見通しなどが結構弱いじゃネーノとかそういうのもあったりしますので、それはネタが無ければ明日続きを投入の所存でございます。
ということで11月決定会合議事要旨ネタはここまでね。
○年の瀬に電波浴をしばし堪能というお話
金融政策決定会合議事要旨という大ネタによってこちらの話が霞んでしまいましたが、実は昨日の朝はもう一丁面白怪電波浴ネタがございまして、これがこれで盛大な怪電波を発していたのであります。
で、このネタ元は金融ファクシミリ新聞という金融業界でもかなーりマニアというか濃いというか一部の方御用達メディアでして、名前の通り基本はファックスでして、一応Web版というのもあるのですが一般向けには出しておりませんです。
金融ファクシミリ新聞社さんのWebはこちら
http://www.fng-net.co.jp/
んでまあ昨日(12月26日)の朝刊1面(というか1ページというか)トップ記事の題名が『2年内に2%以上 インフレ目標で自民党筋』(以下『』で書いておりますのは12月26日水曜日の金融ファクシミリ新聞朝刊の当該記事部分の記載となりますのでよろしくです)となっていまして、『安倍自民党総裁の経済ブレーン』へのインタビューを基にした内容となっていまして、まあ要するに安倍自民党総裁の「経済ブレーン」様のお話をまとめたものとなっておりますが、これがもう中々のテイストで頭がクラクラとしてきた次第というお話なのですな。
#ちなみに頭がクラクラするのは金ファクさんに対してでは無く、当然ながらこのインタビュー元の「経済ブレーン」様に対してですので念のため
かいつまんで(詳しくは昨日の金ファク見てくんなまし)ご紹介すると、この「経済ブレーン」様におかれましては・・・・・
『インフレ率を遅くとも2年以内に2%以上にすべき』
とのお考えのようでございまして、そらまた随分と豪快な話だと思うのですが、その根拠として最初に挙げているのが『2年は多くの国が金融政策のメドとしている期間である』との事なのですが、既にその時点で事実関係として如何なものかと思う次第。
つまりですよ、こちらのブレーン様(主張の内容からして該当しそうなのが2名、というか恐らくその中の1名しか思い浮かばないのですけど)におかれましては「2年で目標は達成するもんだろグローバルに考えて」との事のようですが、FRB様におかれましてはそもそもこれらの目標に関して今年の1月に「longer-run
goals」として金融政策のゴールとしての数値を「長期的な期間のゴール」として示しておりますよねえ。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20120125c.htm
January 25, 2012
Federal Reserve issues FOMC statement of longer-run goals and policy strategy
さらに付け加えますと、FRBは直近の「Summary of Economic Projections」(要するに経済見通し)に置きまして、そのデュアルマンデートの一方であります所の失業率につきまして、先行き見通しを・・・・・・・
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20121212.pdf
Unemployment rate
2012:7.8 to 7.9
2013:7.4 to 7.7
2014:6.8 to 7.3
2015:6.0 to 6.6
Longer Run:5.2 to 6.0
という形で出しておりまして、いわゆる長期的に達成すべき目標である失業率5.2%〜6.0%というレンジに対しまして、向こう2年どころか向こう3年経っても達成できませんぞなもしという見通しを堂々とお出しになっている訳でございまして、『2年は多くの国が金融政策のメドとしている期間である』との事ですと、FRBは逆さ絵議長を筆頭に全員クビというお話になりそうなものですが、寡聞にして安倍総裁(今は自民党総裁でもありますが総理と言った方が良いのでしょうけれども)の経済ブレーン様と言われる方々の口から「FRBの金融政策運営はダメである」という評価を聞いた覚えがない訳でございまして、これはどのような理屈を繰り出すとこういう話になるのかという点をとっくりとご説明頂きたいと思うのであります。
#つーか昨日ご紹介した公明党の石井さんの「物価目標は2年で達成」の出所もこのブレーン様なんですかね
でまあその程度で済めば怪電波呼ばわりをしないのでありまして、更に素晴らしいのはこの2%目標の根拠として、『インフレ率が2%以上の場合、失業率が低下することが過去の経済データに基づくフィリップス曲線によって示されていることを挙げている。』との事なのですが、物価が上昇したから失業率が低下するんというような相関じゃなくて、経済成長をする中で物価上昇が適正な資源配分を促すような水準で推移していれば失業率が低下するとかそういうような含意を示す文脈としての相関を指しているんでしょフィリップス曲線云々ってという風に突っ込みたくなるわけですよ。
大体からして何でもいいから物価を上昇させれば失業率が改善するかといえば、世の中にはコストプッシュのインフレだってスタグフレーションだってジンバブエ(は極端ですが)だってある訳ですし、最近で言えば英国のCPIがこの3年程度の間に3%近辺から5%台まで上昇して今度は2%台前半まで低下(して最近はまた2%後半になってますが)と盛大に上がったり下がったりしておりますが、一方で失業率って8%近辺で高止まったまま(リーマンショック以降5%台から8%レベルに上昇してそのままという推移だった筈)ですが、そのような事案があるのにフィリップス曲線ガーで物価さえ上がれば失業が減るんだとかこらまたお洒落なお話。
しかしその程度で済まないのか電波浴の極意でありまして、『同筋によると、インフレ率2%が達成できれば、日経平均株価が1万1300円程度、円相場は1ドル=98円程度となると予測される。』との事ですが、1980年代後半の資産バブル最末期の時でCPIが前年比2%にやっと乗ったとかいうことから勘案致しますと、2%インフレで日経平均株価が11300円とか何処をどう計算するとそういう数値になるのかと言うか、その物価水準になる位の経済状況だったら常識的に日経平均2万円以上無かったらそれはデフレは脱却しているかも知れないですけどどう見てもスタグフレーションでしょうがそれという所でございますわ。
ちなみに日経平均11300円だったら2010年の4月頃にその位の水準でドル円90円台前半ですし、ついでにその時期のCPIって前年比マイナス推移しておりますが、CPIの2%と0.2%を間違えているのではないかと思う位の凄まじい水準感の予測なのですが、金ファクさんによれば誤植でも何でも無いとの事でございますので、その盛大な怪電波に何か壮大なものを感じざるを得ませんという大変に頭のクラクラ来る怪電波をついうっかり受信致しました。ちなみにあともう一文素晴らしい電波浴部分があるのですが、それは皆様におかれまして昨日の金ファクをご確認頂く事をオヌヌメ致したいと思います。
つーことで、昨日の朝の金融ファクシミリ新聞の同インタビュー記事を読み流した方は再度金ファクをご覧になり怪電波の接受をして年の瀬の電波浴をお楽しみいただければと斯様思うのでございますが、そらまあ安倍さんの金融政策関連の話が細かい部分でツッコミどころ多くて時に総叩きにはなる罠という所でありますので、安倍ちゃんにおかれましてはブレーン様とやらの換装を全力で推奨させて頂きたく存じますです、はい。
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2012/12/26
○物価に関する認識が色々と根本的な部分でアレなのではないかという雑談
ということで今日も最初はニュース悪態と申しますか何と申しますか。
正直申し上げましてここで申し上げますように、そもそも冷静に論理的な会話が出来るような状態になってねえだろこの人たちという風に思いますので、そういう意味では悪態申し上げても何か残念モードではあるのですけれども、かといっても脊髄反射で悪態ネタが出てくるのがドラめもんクオリティ。
まあ小見出しの通りなのですが、最近のニュースフローを見ておりますとそういう感を益々強くする次第なのでありまして・・・・・・・
・人に厳しく自分に甘くですねわかります
http://mainichi.jp/select/news/20121226k0000m010024000c.html
自公党首会談:連立政権合意の要旨
毎日新聞 2012年12月25日 18時20分
『・経済財政諮問会議と日本経済再生本部を設置。物価目標2%を設定し、大胆な金融緩和を断行してデフレからの脱却を図る
・エネルギー・環境、健康・医療などの成長分野で大胆な規制緩和や新たな需要喚起をし、名目3%以上の経済成長を実現する』(上記URLより)
・・・・・・・・・・えーっと、現在の潜在成長率が(推計の方法にもよるが)大体1%弱の水準とか言われていると思いますが、日銀に対して物価目標2%に罰則付きでコミットさせようとしている訳ですから、当然ながら名目3%を分解すると物価部分が2%になって実質成長率が1%という計算になると存じますが、そらまた随分と甘い目標で、日銀に対しては80年代バブルの最後の最後の時代での水準というようなハードルを設定しているのと比較してちょっと差がありますなあ。
人に厳しく自分に甘くっていうのが上司にぶち当たりますと宮仕えとしては不幸中の最悪の世界でございますが、その上仲間以外からの批判を受け付けないと来たらまあ碌でもありませんなあとしか言う所で、他の安倍カラーを封印しているだけに「日銀叩き」に拍車が掛かって殆どイジメの世界になっているのがオソロシスという所ではございます。
というかですよ、それ以前の問題として実態の伴った意義のある物価上昇(単なる交易条件とか購買力の悪化となるような誰得物価上昇では無いという意味の物価上昇)をしながら物価上昇率が2%になっている頃には当然ながら潜在成長率が少なくとも今の米国並みの水準(2.5%程度と言われている)とかになっていそうなもんで、そうなると名目GDPってもっと高くなってないとおかしい筈でして、そもそもやる気があるのかと申しますか、政策目標としての整合性が全くないわ何考えてるんだと小一時間問い詰めたい所ではありますという話で。
でまあ偶々自公連立合意とかで検索してたら昔の自公連立合意のニュースが出てきたのですが。
http://www.47news.jp/CN/200311/CN2003111801000443.html
自公連立政権合意の要旨
2003/11/18 13:04 【共同通信】
『一、デフレを早期に克服し、2006年度に名目国内総生産(GDP)の2%成長を実現。』(上記URLより)
・・・・・・ということでして、この時は当然ながら物価目標云々という話は無かった訳ですが、まあとりあえずデフレ脱却という話でしたからベースの物価がちょっとプラスとかそういう話だと思われます(当時2%とかいう話をしてもそもそも非現実的にも程があるという感じで、まずはプラスにどう持って行けるでしょうかという話をしていた時代)ので、この時の方が実質的に自分たちに課している目標高くなかったかねとか思う次第で、9年経過したら自民党の経済政策に関する根本的な認識が劣化しているのではないかという疑惑が持ち上がってくる所がオソロシスとゆー話。
・そもそも物価という物に関する認識がアレなのではないかというさっきの小見出しの件
つーかですね、
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121224/wlf12122419090010-n1.htm
生活保護費、数%ずつ段階削減へ 自民政権復帰
2012.12.24 19:08
このニュース話題になっていたからご案内の方も多いと思うのですが、日銀に物価目標2%を課してしかもそれをとっとと達成しないと総裁クビだ位の勢いでの話をする中で生活保護費を数%ずつ段階削減とか、そもそも政策としての整合性はどうなっているのだよと申し上げたい次第でして、格差ガーみたいな話をするのってあたくしあまり好きでは無いのですが、セーフティーネットはどんどん外して経済成長させようとか、どうしてそうなったというお話ではございますなあという所で。
それとかですよ、
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201212/2012122400130&g=pol
2%達成「2年間で」=公明・石井氏(2012/12/24-15:36)
『公明党の石井啓一政調会長は24日のBS朝日の番組で、自民党の安倍晋三総裁が日銀に対し2%の物価目標の導入を要請していることに関し、新政権と日銀のアコード(政策協定)に達成期限が盛り込まれるとの見方を示した。実現の見通しについては「これからの議論だと思うが、2年間ぐらいではないか」と語った。』(上記URLより)
2年間で2%達成とかどんだけ日銀が万能なんだよという所でございまして、一方でさっきの連立合意では『公務員の総人件費を縮減する』などという表示もあって、それはどう見てもデフレ政策です本当にありがとうございましたというのをやって物価上昇の足を引っ張りながら日銀には2年で物価上昇2%達成とか、とりあえずどうやって達成するのかその方法と政策の波及パスを具体的に説明して頂きたい物だと小一時間なのですが、やはりどうもこの辺りの人たちにおかれましては物価ってホイホイと中央銀行が操作できて、しかも物価が上がると景気が良くなるという普通に考えて因果関係が逆ではないでしょうかというような認識でおられるのではないか疑惑がますます高まるのです。
さらにこれもえーと思ったのですが、
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012122500766
自民執行部の会見要旨(2012/12/25-19:39)
『安倍晋三総裁 衆院選でわが党は大きな勝利を得たが、来年の参院選に勝って初めて衆参のねじれを解消し、中長期的な大きな目的に進むことができる。』(上記URLより)
・・・・・・・・デフレ脱却は中長期的な大きな目標では無く目先の目標ですかそうですかという事で、喫緊の課題だから先にやるというのは判りますが、そもそも日銀が一言言ったらホイホイと物価が短期的に上昇するのであればそんなの(日銀だってバカアホ言われたくはないんだから)とっくの昔にやってますがなという風に思うのですが、どうもこの辺りの物価目標導入論を唱える政治方面の各位におかれましては、物価は中央銀行の操作で簡単にホイホイ上昇するものであり、日銀のケツを叩けば物価は上がるだけの話で政府の長期的な取り組みとかとそんなに関係ないだろと認識されているのではないかと疑いたくなる次第ではございます。
つまりですな、この人たちったら「物価上昇」と「経済成長」の因果関係を逆に取ってて、物価上昇が景気対策になると思いっきり認識しているんじゃないのと思いっきり疑いたくなる訳でして、仮に「何でもいいから物価が上昇すれば景気は良くなるんです」とかいうような仰天理論を信奉しておられるのであったりすると、そもそもそういう人たちが出してくる金融政策への「要望」とかについて考察しようにも根本的に論理的じゃない話が出てくる訳でして、そうなりますと議論どころか会話が成立しない訳で、これはまた碌でも無いカウンターパートが出てきましたなという極めてオソロシスな事態になったとしか思えませんぞなもし。
ということで、そもそもの前提認識がアレという方々がカウンターパートとは日銀もご愁傷様としか申し上げようがございませんが、とにかく論理的かつ冷静な議論ができそうもないという状況でありますと、自称ヲチャーであります所のあたくしと致しましても次の金融政策決定会合で何が起きますねんとか言われても兎に角ロジカルな答えを出してもカウンターパートがロジカルじゃない時点で予想不能ですかなという所でございますぞな。
・結局は財政ファイナンス懸念が起きるかどうかという話なのでして・・・・・・
共同通信のニュースを探すつもりが検索に引っかかったのがこちらだったのでまあどうせニュース元は共同通信だと思いますので西日本新聞から。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/340616
経団連会長、新政権に協力表明 金融緩和に不安ない
2012年12月25日 20:06
『経団連の米倉弘昌会長は25日の定例記者会見で、自民党の安倍晋三総裁の経済政策について「金融緩和とともに財政規律は堅持すると言っているので何も心配することはない」と述べ、新政権の政策運営に協力する意向を表明した。』(上記URLより)
最初に安倍ちゃんが言ってたのは「財政を出しますけど財源の国債は日銀買ってくださいね、あそうそう前例のない金融緩和もして輪転機回して市場に金を流してください」だった訳で、そういう財政ファイナンス全開&中央銀行への脅しみたいな近代国家とは思えない文脈が報道されたから総叩きだった訳で、後から「そう言った訳では無い」という風になって、財政規律を堅持という話になったらまあ話が違うがなという事になりますわな。
でもまあニュース報道する方としてはフレームアップした方が面白いでしょうから、これも経団連VS安倍ちゃんみたいなネタになって、米倉さん全面屈服みたいな書き方(そういうフレームアップ報道が最近目立つので共同通信様におかれましては汐留のビル諸共アレして頂きたいと存じます次第なのですがそれは兎も角)になるんでしょうけれども、そうじゃないですわな。
大体からしてですな、そもそも大胆な金融緩和で国債買う云々だって極端に言えば財政の方が均衡財政やっているのなら別にホイホイ買っても財政ファイナンスどうのこうのという話にはならないのですから通貨の信認がどうのこうのとかなる訳は無いですが、どこからどう見てもそういう文脈と全然違う話をしていたから最初総叩きだった訳ですし、PBベースで真っ赤っ赤な上に累積債務も真っ赤っ赤な所にGDPギャップ埋めるのに財政支出するとか言ってるから、いやあのそれは財政ファイナンスがどうのこうのという話になって財政インフレが間違って起きたら止めるの困難を極めるし誰得インフレ何ですけどという話をしているのでございますけど、またその辺のロジックをスルーして「だから無限に緩和しても大丈夫」とか「はい論破」とか言い出すブレーン(笑)の皆様のドヤ顔が目に浮かびたくないので画像処理はしませんが浮かんでまいりますなあという所で実に頭が痛くなりますの。
・どうでも良いですが某マンガのシーンを思い出したので
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49945650U2A221C1MM8000/
安倍総裁、物価目標来月見送りなら「日銀法改正」
2012/12/24付
どう見ても恫喝です本当にありがとうございましたと申しますか、そうなら日銀も敢えてスルーして物価目標設定を政治のせいにしたらどないですかとまで思ってしまいますが、どうも過激な発言をして為替とか株が反応するのに安倍ちゃん酔ってるんじゃネーノとか心配でして、まあ杞憂であれば結構なのですが、そんなあたくしは平野耕太さんの著名かつ名作マンガ(とあたくしは思ってます)で有ります所の「ヘルシング」の中にあった会話を思い出すのよ。
主人公の敵方の「最後の大隊」総帥と部下の会話部分です(漫画につき句読点がございませんので引用者が趣旨を損なわないような積りで句読点を補記しております)。
少佐:すばらしい能力だね、リップヴァーン中尉、さすがは「魔弾」、まさしく伝説の魔の猟師だ
中尉:はッ、はい、少佐殿ッ!!
少佐:「魔弾の射手」か、まるでまさしく魔の所業そのものだ、しかし心に留めておいた方がよいぞ中尉
中尉:は、はい?
少佐:「魔弾の射手」の終幕(ラスト)を知っているかね中尉、歌劇の最後、狩りの魔王ザミエルをもて遊んだカスパールは、ザミエルによって地獄へと連れ去られ、その骸(むくろ)は谷底へと投げ捨てられる。亡霊を装いてたわむれなば、汝(なんじ)・亡霊となるべし。中尉、心せよ、君の前にも魔王(ザミエル)が現れよう
(以上の会話は平野耕太「ヘルシング」第5巻第5話「DF」(83p9より:少年画報社YOUNG
KING COMICS )
何かね、自分の発言が市場に評価されて(評価されたというのも何だかなあという感じですがまあそこは措きまして)おられてすっかりご機嫌で日銀叩けば円安株高でハッピーとか思ってるのではないかとか考えておられたりすると、これまた相場という魔王はいつまでも思うとおりに動いてくれる物では無いのですけれどもねえとか思ってしまうのですが、まあ何度も申し上げておりますように、あたくしの杞憂であることを強く祈念する所ではございまする。
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2012/12/25
○為替により働きかけるという論点の雑談を少々
金曜日はその提案があまりにも唐突だったという衝撃および前日都内某所で摂取したスペインワインが抜けていなかった勢いで一部不穏当な表現で石田審議委員の提案について評価致しまして、一部の不穏当な表現については遺憾の意を表明致しますが、まあ趣旨的に「実務家出身というカテゴリーで役割期待されている審議委員が実務上(オペレーション技術上)のフィージビリティー丸無視の政策提案をするというのは如何なものかと思われるので出すならもっとフィージビリティーを練り込んで頂きたい」という事でございまして、それに衝撃の怒り成分と二日酔い成分を入れるとあんな感じになるという事で一つご勘弁願いたい所でございます。
・・・・・・・と、とりあえず詫び証文を入れた訳ですがそれは兎も角として石田さんの提案についてトサカ成分を排して愚考するとこれはこれで重要かもしれない論点を含んでいるとは思います。
つまりですね、総裁会見の中にあるのですが、『石田委員は、金利水準の一段の低下を促すとともに、それを通じて為替相場に働き掛ける観点から、補完当座預金制度における適用利率をゼロ%とする議案を提出しました。詳細は、議事要旨を参照して頂ければと思います。』という風にございますので、為替市場に働き掛ける為に短期市場金利の低下を促すという論点はある訳ですよ。
#ただし現在のAPPおよび成長基盤強化、貸出増加支援制度などの枠組みと付利撤廃がマッコウクジラで矛盾するので制度設計という観点からして付利撤廃がダメダメ提案であるというのは金曜の悪態の通り
そもそも「為替により直接的に働きかけよう」という話が政策委員会的に堂々と出るようになったのは佐藤審議委員の就任会見での外債購入云々発言からと存じますが、暫く前に出ていた10月議事要旨でも為替市場への働きかけがどうのこうのとございますし、そーゆー意味では「為替市場に働きかける」という金融政策の波及ルートについてより直接的な方策は無いか、という観点からの話が佐藤さんだけでは無く他の審議委員からも出ている、という事の表れであると今回の提案を解釈するとまあほほうという所でもございます。
つまりですね、金曜は実務上のフィージビリティーの解説というよりは先ほどの詫び証文のようなもの(遺憾の意だけしか表明しておりませんけどね)にありますように悪態説明をしておりましたが、より物価に強く働き掛ける金融政策のルートというのを考えたら為替コースか資産価格コースという事になる(財政インフレは国民厚生的に誰得インフレなので除外)訳でして、今後アコードだインフレ目標だという話を持ち込まれるという事を考えますと、麿会見では麿が『また、金融政策と並んで、政府の果たすべき役割についても深い議論が必要と考えています。』などと仰せでございましたが、それよりも「高い目標張るならもっと強力なツールを寄越しやがれコノヤロー」という論点もあって然るべきですし、まあ金利ルートからの金融緩和がろくすっぽ効きませんぞなもしという状況下において、金融政策の有効な波及効果は何ぞやという事を考えれば、こういう話になって行きますぞなもしという話。
ただまあここでその道具寄越せという問題につきまして、日銀法の話が出てくるとゆーのはお馴染みの話ではありますが、この際俺様備忘録としてこちらに書いて置きますぞなという事で。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO089.html
日本銀行法(平成九年六月十八日法律第八十九号)
『(他業の禁止)
第四十三条 日本銀行は、この法律の規定により日本銀行の業務とされた業務以外の業務を行ってはならない。ただし、この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。』
でまあこの43条認可で為替市場の操作を目的にする取引が出来るのかという論点について、白川総裁はどこかの会見で40条2項の条文を引き合いに出しまして、こちらが上位規定になるだろ常識的に考えて、という説明をしておられますにゃ。
『(外国為替の売買)
第四十条 (前項の引用割愛)
2 日本銀行は、その行う外国為替の売買であって本邦通貨の外国為替相場の安定を目的とするものについては、第三十六条第一項の規定により国の事務の取扱いをする者として行うものとする。』
ということでございます(36条は日銀が通貨および金融に関する国の事務の取り扱いを行うという規定)ので、外国為替平衡操作をするのは財務省であって、日銀はその事務取扱いを行うという解釈になっていますし、まあ当然ながら財務省との調整という問題が有る上に通貨外交をするのが中銀なのかトレジャリーなのかという話とかありますし、今の状況に日銀の為替操作を入れるとそもそも通貨外交が二元外交にならないかとか、まあ色々とネックがあるのは確かなのですが、それはそれとしてこの40条2項と43条との関係に関しては何か法解釈の問題(なので現行法上でも43条認可で行けそうな気がするんだが)のような気もせんでもないのですがどうでしょうかねえ。
2%目標というのを作れだの、より拘束力のある目標を作れだのという話をされるならば、そらまあ日銀の方でも「じゃあもっと強力な政策ツールを寄越せ」というのは自然な話でございますので、今後は為替市場に対するツールをどうしましょうか的な話が更に議論を深めていく事を想定するこのあたくしなのでございました。
・・・・・まあそういう文脈で考えた場合、今回の会見で(他のネタが重かったので)すっかりスルーされていましたが、もう一つのツール足りえる資産価格ルートのETFが月末時点での目標に未達となりそうな件って「ツール使ってねえじゃねーか」と逆ねじくらわされる原因になる訳でして、やはり目標未達如何なものかと思いますが、どう見ても未達間違いなし状態ではございますなとまあそういうことで。
ということでまあ要するに今後高めの目標をどうするかという話になった場合、「より直接的に物価に影響を与えるツールをどう考えるか」というのが重要な論点になるんじゃネーノとまあそういうお話を悪態を交えずに書いてみたのでございましたという事です。
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2012/12/21
お題「決定会合レビュー悪態(え?)」
今回の決定会合ですが、とにかく衝撃というかアレというかな「こりゃダメだ」な事案が2件ほどございまして、約2名に関しまして如何なものかと思ってしまうという大変に頭の痛い決定会合であったという所でございまする。
○付利金利撤廃提案とかアホかと馬鹿かというか出身母体まで心配になるわという悪態
(後日(1/3)追記:実はこの後11月議事要旨が出まして、石田審議委員の提案がポッと出でも何でも無く、以前からの問題意識および危機意識を表したものであった、という事が判明したのですが、この時はその手の情報が無かったので悪口大会になってしまいました)
ということで声明文。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121220a.pdf
さてまあご案内の通り今回は資産買入拡大が決まりまして、あたくしと致しましてはAPP拡大は次回の決定会合、即ち新政権の経済対策および補正予算策定にぶつける形でインフレ目標のようなものの設定に加えて追加緩和打ち込みというような形で次回会合で出来るだけたくさんのメニューを並べて「チェンジ」的な雰囲気を出した方が見せ方としてビューテホーではないかと思ってましたし、まあ今でもその方が良かったとは思いますが、資産買入拡大が打ち込まれたのは予想を外してこりゃ失礼いたしましたとゆー所ですが、何せ昨日の決定会合で金利市場の中で金融政策にそれなりに認識のある一部の皆様の間で話題沸騰になったのは声明文の本文における資産買入等基金拡大でも貸出促進制度の決定でも物価安定の理解見直し指示でもなく、1ページ目の脚注なのでありました。
『(注)これらとは別に、石田委員より、補完当座預金制度における適用利率をゼロ%とする議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:石田委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、佐藤委員、木内委員)。』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
どの位衝撃だったかと言いますと、この提案の提案者がまさか銀行出身の方とは思わず、このような感じの会話があたくしとお友達の間で展開される次第。
人:えーっと、(他の人の名前)さんって何でこんな提案するの実務知らないんじゃないの?
私:いやあのアタクシも信じがたいが提案してるのSMBC出身の石田さんぞな
人:・・・・・・・・・・・・・・・(;゚д゚)
何せこういう会話が1例だけではなく複数例発生したという状況でして、恐らく市場のあちこちで似たような会話が展開されていたと勘案しますと、金融政策をきちんと理解している人と申しますかマニア筋と申しますか綺麗に言えば玄人筋と申しますか、まあその手の人たちでは余りと言えば余りの事案発生に最早10兆円とか2%検討指示とかどうでも良いという状態で騒ぎになっておったのですが、その割には昨日の債券市場や金利先物市場が反応しないのを見ての感想。
人:ユーロ円金先も中期債も反応しませんなあ
私:付利撤廃提案って衝撃の提案なんだけどねえ
人:もしかして私たちって市場の超マイナー筋だったの???
私:・・・・・・・・・・・・・・orz
まあ「8対1で否決されたから関係ないじゃん」ということなのかも知れませんが、何はともあれこの提案をしたのが市場の素人衆ではなく、住友銀行資金為替部長や企画部長を歴任された銀行出身の方というのが一部の市場関係者の間で腰を激しく抜かすというか椅子から転げ落ちそうになった事案でございまして、簡単に申し上げますと「何アホウな提案しているんだこのオッサン何考えているんだおいおいおい」という所でございまして、「このオッサン資金為替部長や企画部長やってて何も理解してないとか大丈夫か」という話でもあり、更には「緑の銀行ってこんなのが役員やってるのか大丈夫か」とそこまで話が及ぶ次第でございまして(もはやただのコジツケの域ですかそうですか)、もう皆さん(ただし一部の人々ですが)大騒ぎですよ奥様という所でございます。
えーっとですな、何回かこちらの駄文で申し上げておりますが再度申し上げますと、資産買入の積み上げを行うという事は、その買入に対応して当座預金残高が積みあがるという形になる訳でございまして、その結果として超過準備預金額も積みあがる、とまあそのような形になりますがな(もちろん経済が絶賛急拡大した結果として所要準備額が急拡大すれば積みあがりませんが、どこからどう見ても資産買入基金の増え方がそんなチンケな話を超越する勢いなのは皆様ご案内の通り)という話。
即ち、資産買入等基金(めんどいのでAPPの略称使いますが)の大幅な積み上げにおいては超過準備の大幅な拡大がセットで付いてくる訳でございまして、その超過準備の付利金利をゼロに下げるという事は、超過準備が積みあがりにくくなるという事を意味している訳で、短期市場の金利は下がるかも知れない(というか下がる)のですが、超過準備が積みあがりにくくなるような措置を取るというのは資産買入等基金の残高を積み上げて行くという現在の金融緩和政策のフレームワークに真っ向から矛盾する話でございます。
更に申し上げますと、今回の声明文の5ページになりますが、(別紙3)に『貸出増加を支援するための資金供給の概要』にございますように、今回決定された貸出増加促進スキームにおいて、
『5.貸付利率
貸付けの通知日における無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標水準(現在は、年0.1%とする)。』
ということで、この貸出金利が現状では0.10%の固定金利になっているのですが、付利金利が下がるというような話になれば市場金利がその水準まで低下(だから撤廃したら金利がゼロになる)することが想定される訳でして、そんな事が想定される状況下でどこの誰が0.10%などという高金利固定金利での1年とか2年とか3年とかのファンディングをするのだという話になる訳で、貸出増加促進スキームもワークしませんですし、既に実施している成長基盤強化貸出とか、被災地金融機関支援貸出も1年固定金利での貸出を行っている訳でして、これらの貸出がワークしなくなるというのは即ち日銀が重視する成長基盤強化の取り組みを否定するとか、まあそういう話になる訳ですよ。
もちろん、これら貸出制度の枠組みを変更するとか、APPの枠組みを変更して買入残高で勝負するの止めて毎月の買入オファー額だけコミットするとか(市場金利がゼロになってしまうと資産買入だって応じる人が減るのは自明で一定以上の残高積み上げは困難になる)、その辺りの枠組みを全面的に入れ替えるというのとセットであれば付利金利撤廃というのも話としてはアリエール(ただしそれは量的引き締めをもたらしますし、ただでなくさえ開店休業の短期金融市場がどう見ても閉店です本当にありがとうございましたとなるのでそもそも完全ゼロ金利自体が有り得ないとは思いますが)ではあるのですが、このおじちゃん今回の決定においてAPP拡大とか貸出増加支援制度については賛成票を投じている訳で、つまり金融政策運営における提案内容が支離滅裂であるとまあそういう話になりますぞなもしという話。
市場に関して全くのど素人の方が良く判らずに提案しているのなら兎も角、この石田審議委員様におかれましては住友銀行の資金為替部長や企画部長、三井住友銀行でも経営企画部長など歴任されている方でして、いわゆるマーケット出身のカテゴリとは違いますけれども、当然ながら市場のメカニズムなどは熟知されているお方であると理解しておりましたが、石田審議委員におかれましてはもしかして貴殿は馬鹿でいらっしゃいますかとお問い合わせ申し上げたい次第でございまして、今回の提案で市場(ただし一部の金利関係の玄人筋^^)の方々から呆れ果てられたという事はご報告申し上げたい所であります。
つーかですな、こんな提案して付利金利引き下げあるいは撤廃の可能性について本当に可能性が論じられるようになりますと、APPにおける固定金利オペに応札する人がゼロ名に接近してくる(将来の市場金利低下の可能性があるのに0.10%での5か月だの6か月だのの固定金利オペの資金供給に応じる人はいないという意味)のでありまして、早速年明けからの固定金利オペの応札動向が注目されるとまあそういう話になりますぞなもしという所でございます。
#いかん悪態が長くなってしまった
○今回買入拡大ねえ・・・・・・・
新政権の経済対策および大型補正予算策定にぶつけてという形を取って、かつ物価安定の目途の見直しとのセットで資産買入拡大を打ち出した方が「日銀も大型対策」で「チェンジ」というのを見せられたように思えまして、今回は貸出増加支援策と物価安定の目途見直しの議長指示だけに留めても良かったのではないかとあたしゃ思っておったというのは先ほども申し上げましたが、結果出た後の市場の反応が株も為替も債券も「はてこれどう反応したら良いのやら」という感じで上がったり下がったりしたのがチャーミング。
でまあ結果として何だかワカランチ会長ですが、円高に振れたせいもあったのか株が下落して引けてしまいまして、あたくし的には「折角追加緩和したんだから株価前日比プラスで引けろよ」と念じながら画面を見ておったのですが(本当^^)日経平均はずっとマイナスでしたが、引けに掛けてプラスだったトピックスもマイナスになってしまいまして、これなら次回でも良かったんじゃネーノとか残念に思うあたくし。
つーか株式市場あれだけクレクレ言ってたんだから反応してやれよと思う次第で、どうみてもチンピラのカツアゲ状態です本当にありがとうございましたという所ではありますが、まあ買入拡大しなかったらもっと残念な動きになったのかも知れませんし、あたくし的には残念な気もしますが仕方なかったのかも知れずという所ですな。
○短国買入拡大も地味にビックリである
『(1)「資産買入等の基金」の増額決定(全員一致)
「資産買入等の基金」を91 兆円程度から101 兆円程度に10 兆円程度増額する。基金増額の対象については、別紙2のとおり、短期国債を5兆円程度、長期国債を5兆円程度とする。「資産買入等の基金」を通じた今後1年間の追加的な資産買入れ額は、既に決定したものと合わせ、36
兆円程度となる。このほかに、日本銀行は、年間21.6 兆円の長期国債の買入れを行っている。』
ということでAPPの拡大が行われたのですが、10兆円の内訳が短期国債5兆円で長期国債5兆円、しかも別紙2を見ますと、長期国債の増額は来年の前半後半で各2.5兆円の割り振りとなっているのに、短期国債の増額は前倒しで来年の前半で実施というのが目に付きます。
もともと短期国債市場においては、季節的な資金余剰要因(12月は年金と国債償還で月後半に掛けて大幅な資金余剰になる)に加えて日銀買入効果もありまして、短国レートの低下がここへ来て顕著になっていまして、ご案内の方も多いとは存じますが、今月のTB入札は回を追うごとに落札金利が低下していまして、現状では3か月TBが0.09%台前半とかそういう水準感。
現在9.5兆円の買入という状況において既にこの有様なのに、来年前半にはこの残高を19.5兆円にするという事でして、買入の短期国債が概ね3か月TBになっているという現状を勘案しますと、ターンオーバーを考えると(少なくとも後半3カ月は)月に6兆円ペースで短国を買わないと残高の達成が出来ないという状態になりますので、超過準備の付利云々が無い場合でも短期国債の需給がかなりタイトになる事が想定され、金利は来年の6月に向けて一段低下するでしょという事は容易に想定できるお話。
いやまあこれだけ短国を日銀が市場から吸い上げるのであれば、この際財務省様におかれましては大規模に為替介入を実施して頂きまして円安誘導しますと、不胎化介入がどうのこうのとかいうようなチンケな話では無く、何と「為替市場介入資金の国債を日銀が買切しますぞな」という事になる訳で、実質的には日銀の外債購入に近い話になるという大変にファンタスティックな状況となりますので、この際麻生財務大臣(になるという前提で書いておりますが)におかれましては内閣成立と同時に為替介入を名刺代わりにどどーんと打って頂きまして、政府日銀の一体感と為替誘導に関する決意を示すというのは如何でございましょうかと思ったのですがどうっすかねえ^^;
○しかし貸出増加支援制度の所が読みにくいぞな
引用するのが七面倒、というのは言い訳でして単に表組みのコピペとかの能力があたくしに欠如しているだけの事ですが、(別紙1)の所で『各基金の規模と今後の追加資金供給』というのがございまして、ここの表示が最終系の部分での時期が揃ってなかたり、(別紙3)の制度の詳細の部分が2ページに渡っていてこれが一読すると何が何やらという感じで読みにくいのはうーむと思いましたがまあ多くは悪態をつきますまい。
○今回は時間を随分節約しましたなというお話
今回の発表時間は13時01分でございましたが、ご案内の通り今回の声明文は別紙が沢山あって7ページ組でして、議決事項も2つ(否決された提案があったので3つですかね)あったのですが、これを13時01分に終了させるということで前回のアコードとか追加緩和とかの措置で妙に時間が長引いてしまって市場に余計な思惑を起こしたり、残り時間の関係で市場が消化しきれなかったりという悪事例があったのですが、今回はこの前の時間かかり過ぎを反省したのかやたら迅速に処理した観がございまして、これはロジを行っている事務方の皆様大変お疲れ様でしたというのと共に、議事の仕切りも大変だったのではないかと議長であります総裁様お疲れ様でしたという所です。
・・・・・・・・・ということで、決定会合そのもののレビューについては今朝の所はここまでで勘弁ということでした、声明文での景気認識とかの話はどうなっているのかというツッコミはしないように。
以下その他ネタ。
○やっぱり不安だわ・・・・・・・・・・・・・・・
決定会合後に話題になっていたネタはやはりこれ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL200KV_Q2A221C1000000/
日銀総裁の電話「会合終了後」 安倍氏が訂正
2012/12/20 16:43
『自民党の安倍晋三総裁は20日午後、日銀の金融政策決定会合の結果に関する白川方明総裁の電話について「連絡を受けたのは午後だ。(会合が)終わってからだ」と訂正した。党本部で記者団の質問に答えた。安倍氏は同日の党の政調正副会長・部会長合同会議で「けさ白川総裁から電話で報告を受けた」と話していた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕』(上記URLより)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000134-jij-pol
「朝」か「午後」かで一騒動=日銀総裁との電話時刻訂正―安倍自民総裁
時事通信 12月20日(木)19時12分配信
『白川方明日銀総裁が20日、金融政策決定会合の決定内容を説明するために安倍晋三自民党総裁にかけた電話の時刻が「朝」か「午後」かをめぐり、両者の説明が食い違う騒動があった。安倍氏は同日午後、自民党本部での会合あいさつで「きょう朝、白川日銀総裁から電話をいただいた。金融政策決定会合の結果を含めて報告いただいた」と発言した。』
『決定会合終了は午後0時56分。「朝」が本当なら、安倍氏にだけ白川総裁が決定内容を事前通告していたことになり大問題に発展する。記者会見で事実関係を問われた白川総裁は、安倍氏に電話した時刻を「午後1時30分ごろ」とし、午前中ではないと説明。夕方になって安倍氏も記者団に対し「午後だ」と訂正し、ようやく騒動は落ち着いた。』(以上上記URLより)
もうね、この人困ったもんだという事でございまして、仮に総裁からの電話が朝にあった(決定会合は合議制ですから、決定内容の話とか事前にするのはそもそも無理ですからまあご挨拶の電話でしょと思いますけど・・・・・・)にしてもそんな話は絶対にしないのがお作法というものでありまして、口が軽いにも程がある上に、こんなプロトコル丸無視な言動をするとカウンターパートの顔を思いっきり潰す話でありまして、ダメダメにも程があるわと思うのでした。
これね、日本国内だと内閣総理大臣様ですから顔を潰された方は不満があっても飲みこむでしょうけれども、対外交渉もこの調子でやってプロトコル無視で相手の顔を潰して回ると決まるものも決まらなくなりますし、そこらじゅうで敵を作って回るだけの話でありまして、この人の前回政権が短命に終わったのも何となく判るわという風に思うのでありました。
と思ったら要を得た解説記事がこちらにございましたのでご紹介。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL200KA_Q2A221C1000000/
安倍氏「日銀総裁から電話」 口の軽さにため息も
2012/12/20 16:15
〔日経QUICKニュース(NQN) 大谷篤〕
『安倍氏はこの日午後の党本部の会合で、日銀が金融政策決定会合で追加金融緩和や物価上昇率目標の検討を決めたことを巡り「けさ日銀の白川方明総裁から電話で報告を受けた。我々が選挙で訴えてきたことが一つ一つ実現してきている」と述べた。言葉通りなら日銀が午後に追加緩和と物価目標の検討を決める予定だということについて事前に報告があったと受け止めることができる。』
しかしまあ何ですな、この記事にありましたように「我々が選挙で訴えてきたことが一つ一つ実現してきている」とか言っちゃう所もケツの穴が小さいと申しますか狭量と申しますかという所でございまして、こんなのは相手に花を持たせて「日銀もデフレ脱却の重要性に鑑みて重要な決定をした事に感謝したい」とか言っておけば相手も気分が良くなる訳で、「俺様の手柄だ」みたいな言い方をしたら経緯や背景事情はどうであっても相手は顔を潰されたとか思うかもしれませんし、少なくとも良い印象は受けない訳でございまして、先ほども申し上げましたが、こうやって一々そこらじゅうで味方を無くすような言動をしちゃうのが安倍さんのダメな所じゃネーノと思いますとやはり組閣前から不安が募る今日この頃。
『市場には戸惑いの声が広がった。安倍氏は18日に白川総裁と会談し、2%の物価上昇率目標の設定を要請したばかり。「結局、安倍氏の圧力で金融政策が決まった」との印象が拭えない。「これまでも日銀から政府に対して事前に報告はあっただろうが、それを手柄のように公言するのは問題」(国内証券)。「日銀と水面下で交渉するのが政治家の腕の見せどころのはずだ」(国内銀行)と、市場関係者は次期首相と目される安倍氏の口の軽さにため息を漏らしていた。』(以上上記URLより)
ということで、「こりゃダメだ」の2件目はこの安倍さんの事案でございましたとさ。
○その他少々
・他に悪態事案があったのですが
まあどこぞの汐留通信社様が「民意の反映で」みたいな解説記事を書いていたのにまたまたこのあたくし釣られるはずだったのですが、肝心の汐留通信社様の記事URLがうまくヒットしなかったので悪態をそんなに書けないのが残念。
えーっとですな、その「民意ガー」で煽られた事にも影響されたのか「バブル退治」を過剰にやり過ぎ、しかもその間民意ガーの皆様拍手喝采していたら、その結果大変な事になりましたぞなという事案がつい最近(つーても20年前とかですが)どこぞの国で行われていた訳でして、民意ガーとかで金融政策の話するんじゃねえよと存じます次第。
その民意ガーが今度実際に物価がそれなりに上昇した場合に、当初賃金などの上昇の前に物価が上昇するであろうことが想像できる訳で、民意ガーが今度は不必要な引き締め政策を求めるようになって、金融政策がそれに引き摺られたら元も子も無いじゃんというのは先般来申し上げている通りでありまする。
・公共放送の解説
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121221/t10014340971000.html
日銀 適切な物価目標設定など検討へ
12月21日 4時59分
公共放送ニュースの本チャンの方では「物価上昇→企業収益増加→賃金上昇」という循環の図の説明と共に、「賃金が上昇せずに物価のみが上昇する懸念も」みたいな説明がありまして、ふーんと思いながら見ておりましたです、はい。
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2012/12/20
○決定会合プレビュー雑談もへったくれもありませんが
何か株式市場の方が異様にクレクレで盛り上がっているのですが、その国債買入が増えることによってどのような波及効果で株式市場に効果が出るのかサパーリワカランチ会長ではございますが、何か米国でも量で勝負の世界から金利ガイダンスの政策運営になっているという中でそんなに国債の買入量でどうのこうのという話なのかいなと国債を吸い上げられて特に中短期ゾーンについては金利が沈んで収益ますます下がってオッペケペーな無力市場参加者としては思うのですが。
つーかクレクレ言って更に「材料出尽くしになるか」とかいうコメントをモーサテの株式電話コメントのお方が仰せでしたが何が何やら良く判らん、つーかおまいらETFとREITの買入が未達なの何で気にしないんだよと思う訳で、何でそっちを全然見ないんだと。
国債買入で金利潰してもご覧の有様でありまして、それよりも為替ルートや資産価格ルートから物価に働き掛けるような方向性で考える方が(国債買入そのものがオペレーション的に無理気味になっているので)まだ費用対効果があるんじゃネーノと思う訳でして、その点から先日来ETFとREITの買入が未達(どうせ中間目標なので少々の未達は細けぇこたあいいんだよ基金の総残高はオーバーしてるだろとか言い訳するのでしょうけれども)というのに悪態を申し上げておる次第でございますが、国債買うよりもETFとか買った方が良い(しかし問題は相場が下がらないと買わないという今のパターンだと押し上げ介入的な効果が無い事で、国債市場は金利押し下げ介入するのにリスク資産はそうしないのねという所ですが)とは思うのですが、インフレ目標論議でその辺りがすっかりスルーされているのが誠に不思議ちゃんではございます。
基本的にはMPMの前の日に次期首相ほぼ確定候補と会談してその次期首相候補様が「要請した」とかいう話をしている中でいきなりその通りに実施とかさすがにアレにも程がありますので、昨日申し上げましたように「物価安定の目途の表現についてより明確化する為の検討を執行部に指示」とかいう所(そもそもアコードとやらを締結しようにもカウンターパートいませんし)でしょうし、買入拡大が物理的に少々アレな中(という意味では補正で国債増発されると中短期ゾーン的には干天の慈雨なのですが、増発が中短期オンリーで行われる訳でも無いでしょうからねえ)でそんなにホイホイと基金の額を増やせない(大体からして3か月TB金利が0.09%台前半という状態の中で6か月固定金利0.10%ファンディングのニーズがどれだけあるんですかとか考えると固定金利オペの目標も益々大変でしょうし)とか考えますと、やはり出すタマは1月決定会合でどどーんとまとめて景気よく出した方が良いとは思いますけどね。
#麻生内閣の時に経済対策とタイアップした形の政策を打ったという前例もありますからして、今回は財務大臣に麻生さんなのですから同じように見せてくるとか思うのですけれども
つーかさ、今急に思ったのですけど、毎月のようにクレクレ攻撃をするのに「小出しはケシカラン」とか「材料出尽くし感が出ないように」とか抜かしやがる方々って良く考えたらどこのチンピラ当たり屋だよと思いますけどにゃあ。今回基金拡大をやっちゃうと1月に打つ実弾の方が無くなる訳で・・・・・・・
ま、今月基金拡大して来月2%がどうのこうのというのもアリエールではありますけれども、安倍白川会談が余りにも露骨過ぎるのでどうなのかねとは思いますけど。それが「貸しを作る」という認識になってもらうなら先にやる意味もあるのですけれども、追加出しても「貸し」にならないで却って「脅せば出てくる」というカツアゲモードを促進するだけというプロトコルもへったくれも無い昨今の傾向でございますからねえとは思いますけど。
#ただまあ今回貸出制度の内容発表と「検討を指示」という形での決定をする場合、ヘッドラインで「検討を指示」を最初に打たせるような発表方法を考えないと外野が五月蝿いとは思いますけれどもね
しかしまあ何ですな、今回でも次回でもどうせ追加の基金拡大という話になるとは思いますけれども、基金拡大を今月実施するかしないかという予想についてのレポートを適当に読んだり、人の話を適当に聞いたりしておりますと、金融政策のロジックとかプロトコルとかを重視するタイプ、というと格好は良いですが、まあ悪口言えば日銀に発想が近い人ほど別に12月にやる必要ないじゃんという答えになっているのが(まあ当然なのかも知れませんが)オモシロスという所でもございますなあとか思うこのあたくしは日銀に毒されていますかそうですか。
ちなみに以前も多分引用させていただいた気がするのですが、日銀の独立性云々に関してはbewaadさんのこの辺の解説が詳しいのでご覧あれ。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20100810/p1
2010-08-10 アリフレ政策の政
なお、とりあえず公共放送では追加緩和というニュースフローは出ておりませんようでございますが・・・・・・・・
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL190HY_Z11C12A2000000/
自民党本部に山口日銀副総裁 石破幹事長と面会
2012/12/19 11:52
前日に麿先生がご訪問したのに昨日もMPM当日だというのに(MPMは午後からなので午前中に訪問は可能)山口副総裁がご訪問という事で、そのニュースを見て「来月の補正予算に合わせて我々も景気よくぶち上げますから今月は一つご勘弁」という話をつけに逝ったのではないかと邪推するあたくしは陰謀論ですかそうですか^^;
どうせアコードみたいなのを出すとかいうのであれば政府についても長期的な財政維持可能性に対するコミットとか、物価上昇に向けた経済政策運営に対するコミットとか、そういうのを引っ張り出さないと全部日銀に責任おっかぶされる事になる訳ですが・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MF9SXO6K50XT01.html
安倍自民総裁:金融・財政、成長戦略の3本柱で−デフレ・円高対策
更新日時: 2012/12/19 18:33 JST
『12月19日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は19日夕、関西テレビの番組に出演し、新政権の経済・金融政策について、デフレ脱却と円高是正には「金融政策だけやれば必要十分条件ではない」と述べた上で、「金融政策と財政政策と成長戦略の3本柱でいきたい」との方針を示した。』(上記URLより)
ということで、日銀が金融政策やれば全てバラ色的な(ある意味日銀全能論で金利市場の中の人的にはそら日銀への過大評価にも程があるわともいえる話ですけどね)話から、まあ段々普通の話になってきて、「前例のない金融緩和」みたいな話から徐々に常識の範囲内に寄ってきている(プロトコル無視なのは常識の範囲外ですが)ように見えるのがちょっとマシになってきてる罠とは思うのでございますけど。
それから蛇足ですが、円安誘導に関しては貿易収支が燃料費要因で赤字の中でバンバン実施すると物価には上昇要因として働くかも知れんが、それはコストプッシュによる誰得物価上昇と誰得円安になってしまいますので、セットとして原発再稼働で電力コスト上昇要因を是正していく(そうすると円安要因の大きいのが一つなくなるのですが)っつー動きをしてくれないと当初は輸出企業の収益拡大に効くけど国内コストプッシュで更に製造業が海外に流出とかそっちの方から悪影響とかになったらトンマにも程があると思いますけどね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MF94YE6JIJVC01.html
貿易収支は5カ月連続の赤字、額は予想下回るー11月では過去最大 (1)
更新日時: 2012/12/19 10:57 JST
#なお念のため申し上げますと、公共放送様におかれましては本日のMPMでの追加緩和がというニュースは5時台でも6時台でも7時台でも言及がございませんでしたことをご報告させていただきます
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2012/12/19
「政策の実行力が問われます」と言いながら何で日銀の金融政策の話を言い出すんだこの株屋はんそれは安倍政権の実行力ちゃいますがな恫喝力ですがな(表に出さないで日銀にやらせるのは実行力かもしれんが^^)肝心なのは財政出す時にしょうもない使い方をしないで有効に使うこと(の他にTPPとかその辺りも)で、その為の実行力が問われるんじゃねえかこのオッサンは何をゆうとるんだよと朝からモーサテ見てトサカに来るこのあたくし。そういう事言うから株屋は目先の金の話しかしないとか言われるんだよと過去に株屋でもあったあたくしは思うのでした。
○タイミングが何ともアレでしたな&物価目標関連雑感(安倍さんと麿の会談関連)
これは結果の方のニュースですけどね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121218-00000068-jij-pol
2%物価目標の検討要請=政策協定も―安倍氏と白川総裁が初会談
時事通信 12月18日(火)15時47分配信
『自民党の安倍晋三総裁は18日午後、党本部で白川方明日銀総裁と約20分間会談し、新政権発足後、消費者物価の2%上昇を目指すインフレ(物価)目標を柱とするアコード(政策協定)を締結したいとの意向を伝え、検討を求めた。衆院選後に、安倍氏が白川総裁と会談するのは初めて。』(上記URLより、以下同様)
ということでしたが、「白川総裁が安倍さんの所にこれから訪問する」というニュースが出たのが超長期国債入札の落札結果が出たちょっと後(確か12時50分前後)という時間でございまして、しかも超長期国債入札がやや流れた後でしたので、このヘッドライン見て債券先物売られてその直後に先物が当日安値の143円80銭(前日比▲43銭)をマークするという大変素敵な展開に。
ちょうど昨日はオバマさんの財政の崖に向けた前向きな話が前場の時間帯に出てきたのもあって売りモードになっていたのであちゃーという感じでしたが、その後下がった所で投資家買いもあって持ち直した訳ですが、先物がやや売りモードっぽくて(一方で超長期などは比較的底堅い)結局144円割れで終了の巻となったようでございますな。
まあ入札が超長期だったというのもありますが、追加金融緩和を連想させるニュースで先物売りでの反応となるのが、ここまでの流れからしたら債券市場の中の人的にはそうでしょうなあという所ですが、追加緩和必ずしも長期債買いになるのかが怪しいという展開になってきているのがニヤニヤという所ですの。
『次期首相に選出される予定の安倍氏からの要請を受け、日銀は19、20の両日開く金融政策決定会合で2%物価目標やアコードの検討に着手。早ければ来月にも結論を出す。ただ、金融政策に対する政府関与を強める内容になれば、日銀の独立性への懸念が浮上する恐れもある。』
基本的には1月に安倍政権が総合経済対策を出してそこにセットで追加金融緩和に加えてアコードとやらを設定という話になるんでしょうな。で、今回の会合では「物価上昇の目途についてより表現を改善するなどの方法についての検討を執行部に指示」というような感じで次回会合への期待を持たせておけばヨロシとまあそういう話になるんでしょ。日銀の独立性の懸念云々はまあ今さら何の話ですねんという所ではあるのですけど。
しかしまあ何ですな、2%物価目標やらアコードやらという事ですが、そもそも今日銀が出している「物価安定の目途」に関しても別に1%を目標にしている訳では無くて、「2%以下のプラス」が本当の目途ですが、そもそも足元がゼロとかマイナスとかをウロウロしている状態ですし、大体からして過去の経緯を見ると資産バブル経済で超バブル時代の後期にやっと2%とかに乗ったという位の状況だった訳でして、そんな状態でいきなり2%と言っても話が遠すぎるからまずは1%を目指して、それが経済の実力に見合っている上昇だったら更に上を目指しましょう、という話になって居た筈。
ただまあそーゆー説明じゃなくて(それこそモーサテですら)「目標1%」みたいな表現の方が先行しているという事ですから、まあその意味では表現方法の見直しとかゆーのもシャーナイナイ所ではあるのですが、これ報道各社に対するちゃんとした教育もしないといかんという話でしょうし、まあそれ以前の問題として何を言ってるのか一般に判りにくい表現をする日銀も残念ですねという話になるんでしょうな。
でまあ2%目標は目標ではあそうですかという感じですが、従来の物価安定の目途は「偏差値30の成績を70位まで持って行きたいですが何せ長年30でしたのでとりあえずは50位には持って行きましょう」という話だったのが、今度はいきなり70を目指すという話になるのか大変ですなあという所ではあります。
『安倍氏は会談後、記者団に対し、消費増税ができるよう経済を安定させる必要があると指摘。その上で衆院選で訴えてきた2%の物価目標とアコードについて「検討をいただきたい」と述べたことを明らかにした。』
まあブラックアウトルールは日銀のルールですから安倍さんが喋る事までは規制できないのですけれども、翌日にMPMを控えている中で、日銀が喋る事が出来ないという状況でありますので、プロトコルというのは尊重して頂きたいと思う次第で、この辺りにも安倍さんのアレな香りと申しますか、どこの民主党政権だよという風情を漂わせるのは野党期間中に自民党劣化しちゃいましたねえと思うのでありまする。
そらまあ物価上昇率2%を目指して延々と金融緩和が続くという話で、更に補正予算をどどーんと打ちます財政出しますという話に加えて円安誘導しますとゆーのがセットになってその辺の政策がワークするかもしれないと思えば長期金利の均衡水準が変わるのも当然という話になりますが、金融経済政策がワークするという認識になると長期金利が上昇しやすくなるという事になりまして、それはそれで世の中的にも金利低下による収益性悪化に困り果てている金利市場関係者的にも結構なお話ではありますが、短期的には金利上昇の方が先に来る可能性があるので財務省的にはうーむという所になるんですかね、よー知らんけど。
#想定する金利は今の所より思いっきり高い所にあるので少々の金利上昇はキニシナイのでしょうが
○更に目標とかアコードに関する雑談は続く
ところでですな、そのインフレ目標2%でアコードがどうのこうのでより拘束力のある目標がどうのこうのという話でございますが、先日来ネタにしておりますFOMC後の逆さ絵おじさんの会見では「閾値」型のフォワードガイダンスを設定したものの、その内容がどうにも裁量型という感じになっておりまして、市場の皆様も今回のFRBの政策変更を「裁量が高まった」との評価が一般的になっていると理解しております。さらにインフレターゲットの先進国(?)の英国に関してはご案内の状況な上に、そもそもターゲット政策このままで良いのか的な問題提起があったりする訳で、そんな中で「拘束力のあるインフレ目標」って今さら2周回位遅れた議論をしてどうするねんとは思いますけどとは思いますがそれは兎も角。
毎度申し上げておりますように、実際に物価が上昇しだすと当然ながら物価上昇の方が名目賃金上昇の前に来る事が想定されまして、インフレフォビアが根付いておりますこのジャパンにおかれましては文句出まくって、その結果として日銀に対して引き締めろやみたいな話が出て来る方が正直オソロシスであって、んな事になったら洒落にならんなあとは思います。
でまあその世論ガーという件ですが、インフレフォビア丸出しの世論様が実際にCPIベースで1%位の物価上昇を目の当たりにするとどういう話になるかというしょうもない事を妄想してみたのですが、恐らくは「品質向上で物価が低下するという物価統計のあり方がおかしい」とかいうような話になってくるのではないかと妄想。即ち庶民ガーの世論様が言い出す屁理屈としては、「家電製品の性能が向上したからと言っても支払の額が変わる訳でも無いのに物価が統計上下がるというのはおかしい!!実際に生活者の支出実態に即した物価統計を参考にすべき!!」とか何とか言いだしてヘドニック推計の方式が変えられるまたは参考とする物価統計が変わってしまうという素敵な結果が起こるに1万ジンバブエドルという風に妄想していますがどうでしょうかねえ(^^)。
もちろん景気が良くなって物価が上昇するのが結構なお話なのですが、前回の景気拡大期でも物価の状況ってあの程度だった事を勘案しますと、(物価統計の鉛筆をいじるという荒業を使う以外で^^)中々簡単に物価アガランチ会長になって、第二の柱の方が炸裂するのか、はたまた世論ガーのバックラッシュが起こって更に問題がこじれるかのどちらかになりそうな悪寒がするのはあたくしが心配性だからですかそうですか。何か物価を無理くり上げる方が目的化しちゃうとそれはそれで誰得物価上昇になるんですがねえとは思いますけど。
ま、いずれにせよ2%の目標でしたら(その拘束力の内容次第ですが)そんなに無茶苦茶な話でも無いですし、政策協定がこれまたどういう内容になるのかという所がアレなのですけれども、物価目標達成の為に政府も政策対応で頑張りますという話であれば(まあその一方で公務員給与減額とか絶賛デフレ政策実施するなよと思いますが)当初安倍さんがぶち上げていた過激な話が現実的な所に修正されるというのであれば結構な方向性ではないかなあとは思いますけど。
更にどうでも良いですが、このアコード話って元はと言えばどこぞの前ナントカさんがおっぱじめた事で、「この人がドヤ顔でしゃしゃり出てくるとその後碌な事が起きない」という前原デスノートの法則(今勝手に命名した^^)は今回も健在という所ではあろうかと存じます。まあ良い方向になればいいんですけどね。
ということで大型補正ですが、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121218-00000069-jij-pol
大型補正編成で一致=自公党首、連立協議入り
時事通信 12月18日(火)15時47分配信
『自民党の安倍晋三総裁は18日午後、公明党の山口那津男代表と国会内で会談し、低迷する景気を立て直すため、大型の2012年度補正予算案を編成することで合意した。新政権発足後、速やかに検討を開始する。両党は今後、連立政権に向けた政策協議に入り、週内の合意を目指す。』(上記URLより)
兎に角、ここで安倍さんにコケられますと次の参議院選挙がまたまたリセット志向で維新が伸びて本当に日本リセットになるというのが杞憂レベルから危機感レベルにと今回の選挙結果を見て思ってしまう次第でございますので、何としてもコケないで頂きたいと存じます。
とゆー事ですので、この補正が出たからと言ってどこぞの誰かさんのように道路建設ヒャッハーとかいうような長期的な経済効果がそんなに出ないでその場で終了するわその後のメンテコストが掛かるわというような費消のされかた(なお、道路建設のすべてが悪いと言ってる積りは1ミリもありませんので念のため)しちゃうと誠に残念な展開というか、昔と同じ話になってしまいますので、本来「実行力が問われる」のはそっちの方だろと思うのですけどねえ。
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2012/12/18
○選挙も終わり色々とニュースがアレなので雑談
・しかし比例の票が維新>民主なのかよ・・・・・・・・・
選挙結果見て何が絶望したって比例の票が上記の通りってゆー相変わらずの「リセット志向」とでも申しますか、シバキアゲを主張する素人集団に「一回やらせてみよう」思考が変わっていないとか民主党への政権交代の時から全然勉強していないとかあたくし何ぞはおもってしまうのですが、まあ投票する人たちの発想としては恐らく「民主党に政権交代させて期待したのに従来通りの政治しか出来なかったので今度は維新」というような発想なんでしょうねえと類推する次第でございまして。
・・・・・・・・・・・・となりますと、何がオソロシスと申しましても、安倍ちゃんが相変わらず危なっかしいぞなと思うあたくしと致しましては、次の参議院選挙までに安倍ちゃんがコケて支持率下げた日には維新が伸びるとかいうリセット攻撃になって本当に日本がリセットされるんじゃネーノというのを恐れる訳でございまして、まあ悪態は多分これからもつくのですけれども、そうは申しましても安倍さん兎に角変に突っ走ってコケないで下さいお願いしますお願いしますとゆー所で、これが安倍さんじゃなければここまでビクビクする事も無いのにねえとか思うと実にアレ。
でまあその維新様でございますが、馬鹿ネタには事欠きませんなあ。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news/20121216-OYT1T00704.htm
橋下氏「安倍総裁に投票」、石原氏は「論外」
(2012年12月17日10時31分 読売新聞)
『橋下代表代行はテレビ朝日の番組で、特別国会での首相指名選挙の対応について「自公でこれだけの議席を得ているのに独自候補を出すのは、ばかげている」とし、自民党の安倍総裁への投票が「多数決の原理原則だ」と述べた。』(上記URLより)
・・・・・・・・・・・・「自民公明でこれだけの議席があったのでそれに従う」ってお前さんどこの民主集中制だよという所でございまして、そのような決定を是とするのであればたぶん別のお国に逝かれた方が宜しいかと存じます。民主集中制なのか国家社会主義なのか存じませんが、まあ無茶苦茶なのが集まっておりますので来年の参議院選挙までに空中分解される事を心から願って止まない所でございます。
・是非数か月でデフレ脱却をして頂きたく存じますが
http://mainichi.jp/select/news/20121218k0000m010099000c.html
内閣官房参与:緩和支持の浜田氏、安倍氏が起用へ
毎日新聞 2012年12月18日 00時37分(最終更新 12月18日 00時40分)
『自民党の安倍件晋三総裁は17日、新内閣の内閣官房参与に米エール大の浜田宏一名誉教授(元内閣府経済社会総合研究所長)を起用する意向を固めた。党幹部が取材に明らかにした。』(上記URLより)
まあそう来るかと思いましたが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST
先日ネタにしたのでご案内の通り、浜田大先生におかれましては「数か月以内のデフレ脱却が可能」との画期的な金融政策理論をお持ちの事という話でございますので、そこまで大口を叩くなら4月から日銀総裁に就任して頂いて、「数か月以内のデフレ脱却」とやらを是非お見せ頂きたい物であると存じます。
あ、コストプッシュで物価が上がるとか、財政インフレで物価が上がるとか、そういう国民厚生的に誰得にも程がある物価上昇になってそれはただのスタグフレーションだろというような「デフレ脱却」をされても困るのですが、当然イェール大学の大先生でございますのでそういう事は先刻ご承知と存じますので、まあ是非ともデフレ脱却を実践して頂きたく、当然ですがこれだけ大口叩いてるんでしたら来年4月から計算して数か月以上もある来年末にデフレ脱却して無かったらドラム缶で逝く日本海溝海底片道クルーズの旅にお出掛け頂くという事で何卒よろしくお願い申し上げます。
まあ無責任に時の権力者に勝手放題吹き込んで猟官活動ウッシッシというだけで実際に責任取る気も無いとかいうような事はまさかございませんと信じておりますので内閣参与なんてケチな事は言わずに是非「数か月でのデフレ脱却」とやらを実践して頂きたい物でありますなあ(棒読み)。
・どうしてこの人は一言多いのか&「民意ガー」スキームはいい加減にして欲しいという悪態
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012121701353
安倍自民総裁、緩和圧力強める=日銀判断に影響も
(2012/12/17-20:26)
『衆院選で圧勝した自民党の安倍晋三総裁は17日の記者会見で、日銀が19、20日に開く金融政策決定会合について「(選挙の)結果を十分に受け止め、適切に判断してもらえると期待している」と述べた。安倍氏は選挙戦を通じて日銀に大胆な金融緩和を求めており、圧勝を背景に早くも緩和圧力を強めた形だ。日銀の判断に影響を与える可能性がある。』(上記URLより)
・・・・・・・・・・・・・orz
だから真正面から相手の顔を潰しながら圧力掛けたら却って相手がやりにくくなるのであって、本当に何かをやりたいというのがあるのならそういう表立った形じゃなくて色々とやりようがあるじゃろと思うのでありますが、まあそれは兎も角として脱力したのは「選挙の結果」云々する部分ですな。
いやあのですね、そもそも中央銀行の政治家らの独立性って「政治は短期的な利益追求に走りやすい傾向にあり、その結果として通貨価値の長期的な安定を損なう事から経済の長期的な安定を損なうリスクがあるので、中央銀行に独立性を付与する」というのが前提にある訳ですからして、「選挙結果で民意ガー」という理屈を持ち出すのはお前何も判ってないだろというツッコミを食らうぞなもしという話。
その手の「民意ガー」の話で金融緩和圧力とか言うのが色々な意味で筋悪の話でして、その「民意ガー」のロジックで行くと、実際に物価がちょっと上昇した際にインフレフォビア炸裂して「何とか値下げ隊」みたいなのが練り歩くようになってしまった時(当然ながらこの状況で物価が上昇するなら賃金とかが上昇する前に物価が上昇するでしょうし、コストプッシュで上昇するなら更にその方向でしょ)に今度はその「民意ガー」が逆に作用したらそれこそ悲劇になる訳でございます。
つまりですな、安倍さんにおかれましては「民意ガー」の話をするのではなくて、経済政策運営として堂々と自分の考えがどう見ても正しいという話をすれば良いだけの事で、そこで「民意ガー」を持ち出すと「中央銀行の独立性の意味を全然理解して無いだろ」とツッコまれる隙を作っているだけじゃんという事でございます。
つーかね、「民意ガー」のネタって東電関連で枝野とかいう人が無茶苦茶な無法スキームの話をした時に連発していたロジックでございまして、「民意が通れば道理引っ込む」じゃあ政治の責任放棄にも程があるわと思うのですけどどうでしょうかね。
#民意を丸無視しろという意味ではありませんので念の為。民意を盾に責任放棄するなという意味ですよ
いやまあここで安倍さんの発言を最大限好意的に解釈すると、「経済問題やデフレ脱却を前面に打ち出した選挙で自公が圧勝したという選挙結果は、経済の状態がそれだけ悪いという事を意味している訳で、経済の浮揚のために日銀の金融緩和を更に積極化したほうが良いのではないか」とまあそんな感じになるのでしょうが、報道されているこの発言(他の通信社でも同じように報道してますからそういう物言いだったんでしょ)だけ見たら「選挙結果を受けて緩和圧力」という解釈を普通にされますし、とにかく首相になるのですから金融政策関連の発言であまりナイーブ(って英語の方のニュアンスね^^)な物言いをされますと、市場は馬鹿反応を示すか、呆れて相手にしなくなるかのどっちかになると思いますので、発言はもうちょっと慎重にして頂きたいと斯様思うのでございまする。
・一方で石破さんの安定感が^^;
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012121701427
日銀法改正に慎重=安倍総裁と温度差も−自民幹事長
(2012/12/18-00:44)
『自民党の石破茂幹事長は17日夜、テレビ東京の報道番組に出演し、日銀法改正について「必ずしも賛成しない」と語った。政府・日銀の連携を強化するために日銀法改正も辞さない構えの安倍晋三同党総裁との温度差が出た形だ。石破氏は日銀法改正に関連して「言うことを聞かないと(日銀)総裁を代えるというのは相当に行き過ぎ。そこまで考えている人はいない」と述べ、総裁解任権には否定的な見解を示した。』(上記URLより)
公明党の山口代表も「別に日銀法改正しなくても色々とやれることはある」と先般発言していまして、まあこういうスマートな出方の方が余程オソロシスであるとゆーのは皆様も身に覚えがあるかとは存じますが(^^)、結局本件ってあまりギャースカやって本当に長期金利が上昇しちゃうとか、物価がちゃんと上がる前からインフレフォビアに火がついてしまうとか、そういう風になった場合のバックラッシュが怖い訳でございます。
つーかさ、昨日からネタにしだしている(のですが今日は時間がなさそうなのでパス)直近FOMCでの会見を見ていますと、米国の金融緩和政策についても低金利については引っ張りそうですけれども、資産買入に関しては段々及び腰な雰囲気も見える中で日銀はせっせとAPP拡大して市場金利は沈むわCP社債スプレッドはぶっ潰れるわという誠にアレな事をしておられる訳で、まあどっからどう見ても麿の見せ方が麿なのでアレという面もある訳で、追加緩和と言っても変に無理筋の話をしないでまずは「見せ方」の工夫から入ればとは思うのですけどね。
まー安倍ちゃんが変に眦決して突っ走る時には石破さんやらそれこそ公明党なんかがブレーキを掛けてくれる事を期待するしかないですなあとか思うのでありまする。
・閣僚人事とか雑談
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012121701443
官房長官に菅氏=経済再生相を創設−安倍内閣
(2012/12/18-00:44)
こちらにはないですが報道ベースだと麻生さんが副総理財務相ということらしいので、まあ麻生さんも積極財政&金融緩和論者ではありますが、日銀法改正ガーとか強引な振りをしてくるとも思えませんのでこちらも安定感に期待したい所でございます。で、経済再生相って何しますねんというか経済財政諮問会議復活させるなら別に経済企画庁長官でいいじゃねえのと思うのですが、まあ甘利さんが財務大臣や官房長官やらないなら順当(経済産業大臣の方が良いような気もしますが)という所ですかそうですか。
#菅さんの官房長官というのが少々アレな気もするのですが・・・・・・・・・・・
しかし安定感と言えばやはりこの安定のクオリティにはワロタとしか言いようがありません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121217-00000011-san-l30
自民・二階氏、貫禄&笑顔の10選 和歌山3区
産経新聞 12月17日(月)7時55分配信
『二階氏は「郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する」と力強く抱負を語った。』(上記URLより)
>郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する
>郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する
>郷土の期待に応え、悲願である高速道路の半島一周を実現する
・・・・・・・・・・・これはまた二階先生まさに貫録のクオリティ^^;
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2012/12/17
○選挙結果雑感というか何というか
備忘録なので結果だけ書いておく。
自民:294
民主:57
維新:54
公明:31
みんな:18
未来:9
共産:8
社民:2
その他諸々:7
・・・・・・・・・まあ事前に言われていたような数字なのではあそうですかという所なのですけれども、あたくし的には前回の選挙で「特段問題も起こさず、というか海外の信用バブル崩壊に対して割と的確に対応していた」麻生政権が不信任を食らい、今回は今回で、「やっと政権党としてマシになってきた」野田政権が不信任を食らうという構図に絶望以外の感慨が起きないのですが、まあ絶望した!とか言っててもシャーナイので、今度は自民党が前の民主党よりはもっとマシにやって頂ければと思うのですが、何せ党首の言動がアレな上に、維新とかいう超有象無象連中が絶賛当選とかもう大丈夫かという感じです(が、維新はどうせ全力で空中分解するでしょうけれども)。
しかし野田さんに関してはここ数代の首相の中では一番マシだったとあたしゃ思うのですけれども、さすがにこの負けっぷりはちとカワイソスですが、これで民主もまた何のためらいもなく嫌がらせ路線に戻るのでしょうなあと思うとこれまた頭が痛くなって参りますな。
金融政策への圧力云々に関しては、今まで吹き込まれている無茶苦茶な話を安倍さんが排除して正確な現状認識の下で改めて判断して頂ければマシになるでしょうとは思うのですけれどもね。
ということで今日の本ネタは逆さ絵会見でありまして、まあそちらのフルテキストが出たのが金曜でしたという事で週末の読書の成果(?)をドヤ顔でご披露するというのもあるのですけれども、今回の会見を見ますと従来路線とは一線を画した話があちこちで出ているという意味では結構あれれれれな会見であります。
つまりね、安倍さんが選挙前に言ってた「無期限、無制限の緩和」という(吹き込み元はこの前ネタにしたロイターインタビュー辺りを見ておりますと佐藤ゆかり議員辺りと思われますが、元本職ならちゃんと教えればと思うのですが、そもそも本職時代も金融政策のプロと豪語しながら以下自主規制)ような言葉から想像されるような話とは全然違う話を逆さ絵のおじさんは展開しているのでございます。
更にどうでも良いですが、安倍さん途中から「目標達成するまでは無期限、無制限の緩和をする」という風に言いかえた見たいですが、それは普通無期限無制限とは言わないでしょうし、それなら既に日銀はドンドン基金の目標を拡大しております訳で、同じじゃねえの(確かに白川総裁の麿発言および麿スタンスによってそう見えていない、という問題点はあるのですが、実際に行っている事という意味では十分に同じなんですよねえ)などとも思うのですが、安倍さんも実際に首相という立場になって、変な取り巻きではない所から正確な事実認識を学んで頂ければ従来の無茶振りは緩和されるのではないかという期待だけは表明しておきますです。というかその位期待しないと金融政策だけじゃなくても発言が暴走気味でオソロシスにも程があるのですが、カオスになるリスクとしては大勝によって調子に乗った安倍さんが早速アホウな方の政策をバンバンおっぱじめる事ですかねえ。安倍さん自身の言動はど〜見ても「一部には受けるけど一般には受けない」政策ですからねえ。
#まあ公明党が自民党(というか安倍さん)の暴走のブレーキ役として期待されますが
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2012/12/14
○オペ雑談など
本当は昨日書いておくネタなのですが遅れましてサーセン。
営業毎旬報告(平成24年12月10日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121210.htm/
前回はこちら
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121130.htm/
基金オペのETFとJ−REITの残高が全然増えていないんですけど・・・・・・・・・・・ってまあ判ってはおりましたけど。
でまああたくしがネタにするようなことは当然皆様も気が付く訳でございまして、最近では基金オペのETF未達の可能性に関する記事もありまして、人様のコメントなども拝読したり拝聴したりするのですが、実は短期市場系というか日銀政策を年中見てああだこうだ言ってる人たちの方がこの未達を気にしている節があって、肝心の株式市場とか「株が上がってるからキニシナイ」とかなっている傾向があるのがオモシロス。
でまああたくしとしては先日申し上げた通りでして、リスク性資産買入の象徴であり、物価に対する資産価格ルートによる効果という意味でも象徴的ではないかとあたくし的には思っておるのですが、まあそのETFとREITの買入が未達で終了するというのは、いずれものこりちょっとという所まで来ているだけに勿体ないとしか申し上げようがありません。
つまり、資産買入等基金ということで残高の数値目標を設定して買入を推進する中で、他の物は達成するのにETFとREITという買入をするときに「これは額は小さいけれどもリスク量的に言えば国債の13倍です(キリッ)」とか言って(13倍だったかは忘れたが)買入を開始した訳でして、それが未達と言う事はつまり国債買入で言えば1400億円×13倍ですから国債買入未達1.8兆円にも相当するというエライコッチャな話であるということですがそれで良いのでしょうかというお話でもありますし、大体からして他が達成してリスク性資産の象徴的存在だけ達成しないとかなると「日銀はリスク性資産の購入を本当はやりたくないから「概ねこの位という意味です」とか言いながらサボタージュしている」という風に言われて、折角リスク性資産を買っているのに「日銀はやる気がない」とか言われるネタを作るだけであって、頑張っているのに批判のネタを投下するとか間抜けというかトンマというか。
でまあ「株価が上がっているのでちょっと届きませんでしたねえ」という話をするのかもしれませんが、そんな事言った日には「日銀は日経平均1万円割れトピックス900も遠いという状態の今の株価が満足する水準と思っているのですか、米国の株価と比較して考えないんですか」となって更に「日銀は株価などの資産価格に対して無頓着、というかこいつらこの価格でバブル警戒とかしてるのかよ!」と言う風に叩かれるネタを提供するだけのお話でありまして、まあガードの甘い事よと思うのですけどね。「残高行かなくなりそうになったら上を買っても良いからとりあえず目標必達」という握りになっていないように思われる節がある訳ですが、何という間抜けな話かと。
大体からしてここで資産買入等基金が終了する訳では無く、来年になったらまた買入目標がETFにしろREITにしろ拡大される訳でして、それを考えたら少し前倒しになっちゃいましたえへへのへというのなら判るのですが、足りないとか何考えてるんだとゆー風に思うのですけれども、先ほど申し上げましたように割と金融政策に対してああだこうだ気にしている人たちの方が、日銀批判のロジックが見えているだけに日銀のガードの甘さに呆れるという所でしょうか。
でまあ一昨日一部のマニアの間で話題を提供したのはこれ。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of121212.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年12月14日 2013年6月17日
固定金利オペに関しては既に目標25兆円をオーバーして26兆2千億円での着地が確定しているのに、何故か14日の資金余剰日に先日打ち込んだ1カ月物の固定金利オペのロールを6か月で実施。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121212.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(12月14日スタート分) 6,608 6,608
このオペ入ると予定していた人は普通居ないと思いますので、まあ当然の如く札が入らない訳ですし、この日の2か月と昨日の3か月TB入札の金利が絶賛大低下して(昨日の3か月に至っては応札の刻みで言うと0.10%水準の3つ(0.15銭)上になる99.9745円の足きりになってレート水準は0.095%をちょっと切るというアチャーな水準)おりまして、そんな中で0.10%の資金いるのかよ大体麿が居るのは来年の4月の1回目会合までじゃろと考えたりしますとそら札が入らん罠という所。つーかよく6600億円も入ったとそっちに感心しましたが。
もうね、別にニーズも大して無さそうな所に固定オペ打ち込むとか、資産買入等基金の残高をとりあえず固定オペで嵩上げして総額が目標よりも上振れましたよ凄いでしょうと言ってETFが未達な部分の目くらましをしようという風にあたくしは性格が非常に悪いので解釈してしまうのですが、そういうのはもちろん邪な考えによる間違った憶測であって、このオペって市場の資金ニーズに応じて実施したんですよね!!!!!!
○そういやこんなのがありましたが
こんなニュースがございましたが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEW5KE6KLVTC01.html
ヘッジファンド向け融資もOK、円押し下げ狙う−日銀が20日に新制度
『12月13日(ブルームバーグ):日本銀行は近く詳細を発表する新たな貸出支援制度について、外国金融機関の日本法人・支店を対象に加えるほか、貸出増加額を算出する融資先として、ヘッジファンドを含む国内外のノンバンクも加える。国内での貸出増加だけでなく、円で資金調達して外貨に転換する円キャリー取引や、対外M&A(企業の合併・買収)の増加を狙う。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)
まあそもそも何でこういうのが事前にメディアに漏れるのかと小一時間問い詰めたい訳ですが、それは兎も角としてこの制度、一瞬インパクトがあるのですが、冷静に考えてみればそもそも優良担保があれば市場で何ぼでもファンディングできるという状態にありますので、この制度を使うメリットは「0.10%固定金利で3年借りれまっせ旦那さん」という所になりますということで、ファンディングサイドの金利を3年間固められるのがメリット。
・・・・・・・・・・ではあるのですが、追加金融緩和圧力ガーとかいう思惑がある中で(まあ下がらないとあたくしは思っていますが)付利金利の引き下げへの警戒がある(そらあるでしょ)中で0.1%の固定金利で長めのファンディングを固めるメリットがあるのかという話もある訳で、まーしばらくは苦戦するんじゃないのとは思います。(固定金利オペも来年になると同じ問題が生じる)
まあこの手の政策が効くのってどちらかというと金利が上がりそうな雰囲気が漂うような時でありまして、そういう時には3年固定0.10%のこうかはばつぐんだ状態になると思いますので、もうキャリートレードでも何でもやってくれという話になるんでしょうなあとは思うのでありまする。
つーことで、即効性はどうかとは思いますが、金利見通しなどに変化が起きた時にはこのスキームは中々の効果を出す事になるかもしれないなあとは思っているのですけどね。
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2012/12/12
○まずは先日の間違いの訂正であります
月曜日にマイナス金利雑考についてああだこうだと書いたのですが、その中でドヤ顔で説明した部分に大間違いのトンチキ部分がございまして、まあ実は書いている本人も書きながら「あれこれ大丈夫かな??」と思って書いていた(最初に書いたのを消して直したのが間違い、という蟻がチーな事案です)のですが、ツッコミ&ご教授賜りまして謹んで訂正させて頂きたく存じます。
ということでその間違い部分を再掲致します。
(以下月曜の間違い部分)『大体からして銀行が貸出を実施してもその貸出の代わり金というのは融資先企業の預金に化けるのでありまして、融資先企業の預金が増えた場合はその企業の取引先である融資元銀行の預金が拡大している訳で、それは結局元の銀行の中銀当座預金勘定になっておりまして、つまり中銀当座預金という意味では変化は無いどころか貸出増えたらその分当該銀行の中銀当座預金勘定が増えるぞなという話に。』(以上月曜の駄文より)
でまあこのどこがどう間違いかと申しますと、「中銀当座預金勘定が増える」という部分が全力で間違えておりますというのが結論です。
さて、それでは何がどうなるのやらという話ですが・・・・・・・・・
銀行が企業に貸出をしました、という行為が起きた場合には、貸出を実行した銀行から見た場合、「貸出金」という資産と、「預金」という負債(借入を行った企業の預金残高が増えるので)という両建てが発生するのですが、この時点では銀行の資産負債構成に変化が生じるだけで、中銀の当座預金勘定に関しては変化は起きません。
つまりですな、中銀の当座預金勘定の増減が発生するのは(1)銀行券の増減、(2)財政要因、(3)中央銀行による資金供給/吸収オペレーション(現先方式でも売買方式でも)、のケースにのみよるものであり、中銀の当座預金勘定は動かないというのが正しいのです。
・・・・・・・・・・というかですね、あたくしも最初実は「中銀の当座預金は動かない」と書いていたのですけれども、恥を忍んで申し上げますと、書いているうちに「あれ?企業の預金が増えたらその銀行の預金残高が増えるのだから中央銀行当座預金勘定増えないか???」などと頭の中が混乱して「当該銀行の中銀当座預金勘定が増える」などと書いてしまった次第です。
でも良く良く考えてみますと、というよりは師匠からツッコミを受けて質問しながら「あれ?あれ??」となりながら話をしているうちにクリアになった訳ですが、「銀行の預金残高が増える増えないは中銀当座預金勘定とは別問題」というのがそもそも基本にございまして、先ほど申し上げたようにこの場合は貸出を行った銀行の「資産負債構成の変化」は起きますが、あくまでも計理上の変化であるという形になります。
ではどうなると中銀当座預金勘定が動くかと言いますと、この企業が貸出代わり金を何らかの支払いの為に他行に仕向送金をした場合、内国為替決済尻の調整のために仕向銀行の中銀当座預金勘定から被仕向銀行の中銀当座預金勘定への振替が行われますので、その時点では貸出を行った銀行の中銀当座預金勘定が減りますが、この場合だとその資金を受け取った被仕向銀行の中銀当座預金勘定が同額増えるので、インターバンク市場における資金需給トータルで見た場合というのはやっぱり中立ということになります。
これまた表現の使い方が微妙なのですが、民間銀行の貸出が増えても別に「ベースマネー」が増える訳では無く、この場合に増えるのは「マネーサプライ」の部分が増えるけどベースマネーは増えません、とまあそういう話になるのですな。んでまあ民間銀行の貸出が増えるとそれと同額の民間銀行の預金が増えます(のでマネーサプライは増える)が、それは瞬間的にはベースマネー中立であるというのは今説明した通りですけれども、もうちょっと長い目で見た場合、民間銀行の預金が増えるという事は、預金準備率を所与とした場合、将来(というか翌月というか)の法定準備預金残高の増加要因になりますので、その分は将来のベースマネー需要拡大要因になる(その分は理念的に言えば中央銀行が資金供給オペで供給することになる)ので、まあ1ミリも影響がない訳では無いですが、あくまでもそれは元の貸出金増加から比べたら屁のようなもんですがな。
・・・・・・・・・・てな現象の話をああだこうだ申し上げますと、「積みあがった超過準備を貸出に回すようにする為に超過準備付利金利をマイナスにする」という構想が全くのナンセンスであるというのがお判りになろうかと存じます次第でございます。
○では改めてマイナス金利導入したらどうなるかという話
月曜日にあたくしこんな事を申し上げました。
(月曜の駄文から)『つまりですね、中銀デポに関してマイナス金利をチャージしますと、当然ながら域内の金融機関は中銀のデポのうち余計なものは減らしましょうという動きになりますので、その分だけ市場でもっている流動性が減ることになりますし、逆に流動性を確保しないといけない微妙なクレジットの金融機関に取ってみたら、安全の為に確保する流動性に対してマイナス金利チャージというコストが掛かるとか泣きっ面に蜂にも程がある訳ですよ』(以上月曜のあたくしの駄文より)
ここも話を端折り気味なので補足しますと、中銀デポにマイナス金利をチャージする(法定準備にマイナスチャージしたら鬼畜にも程があるのでまあ普通は超過準備にマイナスチャージになるでしょう)場合にどういう事が起きるかと申しますと、当然ながら「超過準備を持っているとリアル損失(機会費用とかそんなチャチなもんでは無くて何せリアル損失)が発生するならば、超過準備の保有を減らそう」という金融機関が増えるでしょうという話は月曜の駄文の通りでありまする。
ではその超過準備の減らし方ですが、(1)超過準備を銀行券に振り替える、(2)中央銀行の資金吸収オペへの参加、あるいは現先方式の資金供給オペの期落ち分をロールしない事によって中央銀行に「お返し」する、(3)何らかの資産購入を行って(この場合銀行が取引先企業に貸出をする、というスキームだと超過準備が減らない)資金を他の金融機関に流出させる、というような方式が考えられます。
このうち(1)は銀行券現物の保管や維持管理に掛かる費用を考えると基本的にパスとなると思われます(ただし日本みたいに銀行券がうじゃうじゃ流通している国ではそのコストが比較的意識されないかもしれませんが)でしょうから、(2)か(3)ということになります。で、(2)がインターバンクで広がるとインターバンクにおける流動性資金が絞り込まれる事になりますので、これは量的緩和政策の推進とは逆方向の話になります。
とは言いましても、ECBの場合は既に預金ファシリティーがゼロで一方のLTROやMROでは0.75%での資金供給が行われていまして、既にそういう意味ではオペで調達した場合は超過準備保有機会が費用は75bpとなっておりますので、スライドで下げたからと言ってそこまで金をお返しするのが出ないのかもしれませんし、たぶんまあECBもそのようなイメージを持っている(ここの金利差が相変わらず大きくあるのが日米とは違っている部分ですな)のかもとは思うのですけれども、機会費用が75bpのままであっても恐らく「付利金利がゼロ」というのと「チャージされる」というのの差というのはあるようにも思えますし、その辺をECBは安易に考えているように思えるのですがどうですかね。
でまあ超過準備をお返しするという方策よりも手っ取り早いのは(3)にありますように何らかの資産購入をするというのがありまして、これがまあ資産価格ルートを通じて景気にプラスになれば結構な話なのですが、そもそも超過準備で持っているような性格の資金がいきなり株式とか不動産とかに行くとは到底思えず、まー普通に考えて買うのは換金するにも担保にするにも流動性の高い国債ですよねとなりまして、この場合は預金ファシリティーがマイナスならそのマイナス金利よりもマシなら買いますかという事になり得るので、どこまでの期間までそれが進むかは良く判りませんが、短い所の国債金利がマイナスになるでしょうなあというのは想定できます。
ちなみに、この場合って資産を買った金融機関は超過準備が減りますけれども、その資産を売った相手方には売却代わり金が入ってきますので、ババ抜きのババの如く同じような現象が起きるのでして、その結果として国債などの市場金利がマイナスになって、それが何がしかの効果を出すかもしれませんが、ここまで散々申し上げましたように「積みあがった超過準備を貸出に回すために超過準備にマイナスチャージをする」という観点からの効果とは全然違う話でありまして、月曜の駄文で申し上げた全体としての結論、即ち「超過準備を貸し出しに回すためのマイナス金利というのは物事を理解していないだけ」というのはカワランチ会長なのでございました。
でもまあうっかりすると中銀の人間とかでも平気でそういう趣旨の発言が出てしまう位ですし、大体からして自称マニアのあたくしも良く頭を整理しないで書いていると書きながら頭が混乱して間違えますがなという残念な代物ですので、そらまあ「超過準備が積みあがっていて貸出に回らないのはケシカラン」とか全力で勘違いする人たちが発生する(=中央銀行が資産買入やら資金供給の無理矢理拡大やらを実施してベースマネーを増やそうとすると超過準備が積みあがってしまいますがなという事の裏側として発生することなので、超過準備を減らせというのは資金供給を減らせと言っているのに等しい)のは仕方ないかなとも思いつつ、まあこういうのをちゃんと解説するのがメディアの役割だと思うのですが、どう見てもそんな解説能力あるのは片手で数えるほどしか居なさそうですよねという所です。
以上、クソ長くなってしまいましたがあたくしの間違い晒しと共に再度能書きを垂れてみました。
○債券先物が高値を更新した件やCPオペの金利がまた低下した件について
・債券先物当限が2文新値とな
昨日の債券市場様におかれましては、前場は流動性供給入札があるから超長期弱いのかと思ったら妙に強くなりやがりまして、ついでに輪番も入りまして(今月は営業日が19日しか無い上に20日に利払いと償還があるので多くの銘柄の振替停止期間があって、ついでにMPMと国債入札があって、MPM前に基金買入を終わらせておくと日程を詰めていくと、昨日輪番が入るのはスケジュール上仕方なかったのですが、流動性供給入札に輪番とか中々アレでしたな)、債券先物の12月限はしらっと145円30銭をマーク。
これで流動性供給入札が強くなって後場更にワッショイ相場になったら完全に上抜けだったのですけれども、そういう時に限って流動性入札が弱くて後場失速という事で、高値更新したのかチャートポイントで跳ね返されたのかさっぱりワカランチ会長ではございますが、とりあえず債券先物の最高値をさらに更新しましたなという所です。12月限は昨日が売買最終日なので、限月交代でカレンダースプレッド分だけ値段が落ちてしまいましたので、先物高値再更新まではちょっと遠くなりましたな、うんうん。
・CP買入オペ金利がアレ
昨日のオペ結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121211.htm
米ドル資金供給(固定金利方式)(12月20日エンド分) 1 1
米ドル資金供給(固定金利方式)(3月7日エンド分) 0 0
国債買入(残存期間1年以下) 14,126 3,100 0.009 0.009 93.4
国債買入(残存期間1年超10年以下) 10,995 2,506 0.001 0.002 0.6
CP等買入(資産買入等基金) 5,675 3,852 0.096 0.101 27.1
ということでCP買入の足切り金利が0.096%まで低下しやがりまして、昨日は短国の金利とかも業者間でアヒャヒャヒャヒャ状態になっておられたようで、既にこの時点で短期市場金利が0.10%を割って沈んできているというアチャーな状態になっている訳で、付利下げとかする必要ねえわと申しますか、さらにここから短国とか国債の買入を拡大するとかする訳でして、もう何だか勘弁という感じではございます。
○LIBOR関連メモ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121211-00000090-mai-int
<LIBOR不正>関与で英国人の男3人逮捕 初の逮捕者
毎日新聞 12月11日(火)23時19分配信
『【ロンドン坂井隆之】英国で経済犯罪などを担当する重大不正捜査局(SFO)とロンドン市警察は11日、短期金利の国際的な指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR、ライボー)の不正操作に関与したとして、30〜40歳代の英国人の男3人を逮捕し、同国内の3人の自宅を家宅捜索した。3人は年齢がそれぞれ33歳、41歳、47歳の金融トレーダー経験者。共謀してLIBORを不正に操作した疑いがあるが、SFOは3人が所属した金融機関名や容疑の詳細などは明らかにしていない。』(上記URLより)
はあそうですかという所ですが、こういうのってそもそも取引が無い物に対してリファレンスレート出せというような場合にうっかり変なレート出したらタイーホとか言われた日にはそのうち「それだったら別にウチはウチの基準金利でやりますんでそんなの知らんがな」というような流れになってしまうと角を矯めて牛を殺すという事になりかねませんので、この手の「取引所取引では無い物に関するリファレンス価格呈示」という件については良く良く考えて進めていく方が良いと思います。
つまりですな、そもそも店頭取引での価格ってのはそのブローカーに取ってみたら業者の玉支配力と営業基盤によって得られた貴重な取引情報な訳でして、大体からしてそれをタダで出せという時点で業者目線で言えばどういう事やという話でありますからして、それに対して参考価格を呈示させられてしょうがないから出したら談合だケシカランのでタイーホとか言われましても困りますぞなという話もありますが・・・・・というのはLIBORじゃなくて他の店頭取引に関する論点ですのでまあその話はそのうちするかもしれませんししないかも知れません。
ちなみにこんなのもありますが英文なので読んでおりません。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2012/wp12e10.htm/
インターバンク市場におけるレファレンス・レートの役割に関する理論的考察
本文はこちらですが英語です。
http://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2012/data/wp12e10.pdf
A Simple Interest Rate Model with Unobserved Components: The Role of the Interbank Reference Rate
○ニュース雑談等
・いやだから聞く人がですなあ・・・・・・
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012121100003
安倍氏、金融専門家と会談=「お墨付き」狙う?【12衆院選】(2012/12/11-00:02)
ということで「金融専門家」ってどこの市場関係者だよと思って記事を見たら全力で脱力。
『自民党の安倍晋三総裁は10日夜、日銀の金融政策に批判的な米エール大学の浜田宏一名誉教授と党本部で意見交換した。』(上記URLより)
いやだから日銀法の条文とFederal Reserve Actの条文の違いの読みこなしも出来ない人が金融専門家ってそれ違うだろと思うのですけどねえ。まあやったら色々とアレな事になるんでしょうなあ。
・公明党キタコレ
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012121000790
連立離脱の可能性も=集団的自衛権行使なら−山口公明代表【12衆院選】(2012/12/10-21:28)
『公明党の山口那津男代表は10日のTBSラジオ番組で、自民党が衆院選公約に基づき集団的自衛権を行使できるよう憲法解釈を変更したり、憲法9条改正に動いたりした場合、衆院選後に自公両党で連立政権を組んだとしても、連立離脱があり得るとの見解を示し、けん制した。』(上記URLより)
うーむ、自民党のいわゆるハト派系列の役割を公明党が担う日が来ることになるとは・・・・・・・
○ロイターで電波浴とな
一部の電波浴マニア(?)の間では既に知られていた記事なんですけど(^^)。
http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPTK057007920121209
再送:〔総選挙こうみる〕財政危機説は嘘、アベノミクスで株価急騰
2012年 12月 10日 07:57 JST
まあURL先見れば誰でも気が付きますが、敢えて今回はコメントをしている人の名前を引用割愛して起きましょう。何かああだこうだ仰せで全般的にアレ感が漂うのですが、拝読しておりましてこれは本物のアレだと思ったのはこちらの部分です。
『──国債を大量発行すれば財政が悪化するとの懸念も多い。
「世間一般で言われている財政危機説は嘘だ。国債を発行しても財政は悪化しない。例えば政府債務残1000兆円、GDP500兆円の場合、政府債務残高のGDP比率は200%だが、国債を10兆円発行(債務残高1010兆円)し、全て公共投資などに用いればGDPは510兆円に増加、債務残GDP比率は198%に低下する。GDPが増加することで税収も増えるため、債務残高GDP比率の低下はさらに加速する」』(上記URLより)
・・・・・・・・・・・・・・(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)
こっち見んなと言われそうですが、こんな斬新な解決策があるんだったらギリシャ政府の債務GDP比率問題もポルトガル政府の債務GDPも財政削減策不要で解決するんですから今すぐこの理論をEU首脳会議でプレゼンしてきたら如何でございましょうか。
つーかロイター社さんってえのは一般的には金融経済関連の専門性が高いメディアとして世間に認知されている訳でございまして、そういうメディアがネットで一般人も見れるような所にこのような珍理論を堂々掲載するというのは晒し上げの積りなのかもしれませんが、編集機能どうなってるんだというのは気になりましたですよ。
メディアの機能ってゴミ情報をフィルタリングする機能だとあたしゃ思っていまして、ネットで検索するといくらでも「ぼくのかんがえたさいきょうの○○」が飛び交うこの世の中で、電波浴情報は別に幾らでも拾えるのでございますし、大体からしてこうやって電波浴とか言ってネタにする分には無害ですけれども、予備知識の無い善男善女が電波浴に当たって電波感染してしまうとマイナス以外の何物でも無いのでありまして、メディア様におかれましてはちゃんとフィルタリング機能を果たして頂きたいと思うのですが、肝心のメディアが良く判っていなくて堂々電波発信しているというのは良くネタにする産経などに見られるような状況でございますので困ったもんだという所でございますな。
ということで今日も雑談シリーズで恐縮至極。
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2012/12/10
○金曜の訂正ですすいませんすいません
えーっと、金曜日の駄文の訂正だったりしますが、長期国債先物2003年6月限の高値に関する話で、中心限月最高値の「限月交代翌々日」に2003年6月限としての最高値をつけたと申し上げましたが、「翌日」というのが正解でありましたので謹んで訂正させて頂きます。
事実関係としましては、長期国債先物6月限が中心限月であった時のザラバ最高値をつけたのが2003/6/9でして、その翌日に9月限に中心限月が交代しまして、6月限の最高値をつけたのが最終売買日のザラバでその日が2003/6/11なので、「限月交代の翌日」というのが正解、とまあそういう事になりまして、9日と11日の関係が丁度翌々日だったので筆(キーボード)が滑ってしまいましたと言う事で誠に恐縮。
○やはりETF買入が未達になりそうなのが気になる件について
先日の駄文で基金オペの進捗状況について申し上げましたが、11月30日現在の基金EFT残高(別表2の指数連動型上場投資信託の所ね)が『1,468,785,640千円』ということで目標1兆6000億円に対して1400億円程足りませんがどうなんでしょうかと申し上げましたが(11月30日現在の数字はこちら→http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121130.htm/)、その後の日銀当座預金残高の実績および見込み数値を見ますと(日々の動きはこちら→http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htmをご覧あれ)、受渡日ベースで今月に入ってからETFの買入が行われた形跡なしという状態。
約定ベースであと14営業日残っていますので帳尻オペを実施するのかも知れませんけれども、「株価が下がるとオペ実施で100億円か200億円購入」攻撃をしていると目標到達に間に合わないように思えるので(たぶん誰も話題にしていませんが)あたくし勝手に気にしているのでありまする。
いやですね、これもこの前も申し上げていますが、CPとかが未達の分には別にまあシャーナイかという話だと思うのですが(CP金利は散々下がっているのでまあ効果は思いっきり出ていますし)、ETFが未達ということになると「やっぱり日銀はETFの購入をやりたくないから目標に不足する買入しかしなかった」とか何とかいう話になって、これまで散々リスク資産の購入をやって、ETFも1兆4600億円買っているのに最後の着地1400億円の所で「日銀のやる気」が問われる事態になるとかになったら勿体ないというか大間抜けにも程がある(まあ日銀らしいと言ってしまえば日銀らしいのですが・・・・・・・)そなということで。
大体からしてデフレ脱却という観点からしたら一般的な金利ルートだけではなくて為替ルートとか資産価格ルートというのの効果も考えた方が良いでしょと思う訳でして、まあ日銀的にはあまり為替ルートとか資産価格ルートとかを前面に出したくないというのも何となく判らんでも無いのですが、折角リスク資産の買入をして、この前も買入拡大をしているという形で動いているのに、わざわざ未達になって逆方向のアナウンスメント効果を出す必要は無いと思いますので、受託している信託銀行との握りがどうなっているのか判らんので何ともというのはございますが、信託銀行のケツを叩いて目標残高必達させた方が良いと思うのですけどどうなんでしょ。
まー何ですな、そんなこんなであたくし的には物凄く心配しているのですが、もしかしてこれ実は12月末になると評価替えで残高行くとかそういうオチが待っているのでしょうかと思う位に月初からのETF残高目標に対する余裕ぶっかましぶりが気になるという雑談でした。
○本当は詳しく行く所ですがとりあえず「マイナス金利の検討」部分だけ
http://www.ecb.int/press/pressconf/2012/html/is121206.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 6 December 2012
金曜のニュースでは例えばこんな感じで、マイナス金利の検討がどうのこうのという記事が出ていたのですけれども・・・・・・・・・
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE8B500S20121206
ECB、中銀預金金利のマイナス金利含む利下げ討議
2012年 12月 7日 04:33 JST
該当する質疑を読むとこうなります。
『Question: (最初の質問割愛)And my second question is: Did you discuss
interest rate cuts today and, in that respect, what - in your view - are
the greatest downside risks associated with a negative deposit rate in
the euro area? 』
ということでその部分に関する答えですけれども、
『Draghi: (最初の部分割愛)Did we discuss interest rate cuts? That was
your second question. There was a wide discussion but, in the end, the
prevailing consensus was to leave the rates unchanged. On the issue of
negative interest rates on the deposit facility, there is nothing new to
report. As Mr Praet recently has said we are operationally ready, but the
discussions in this respect did not go into any depth. We briefly touched
upon the complexities that such measure would involve and on possible unintended
consequences. But we did not elaborate on this any further.』
利下げに関しては「幅広い意見の交換がありましたが今回は金利を据え置きました」という話になっているので、まあ確かに利下げ討議もありましたという事になるのですが、マイナス金利に関しては「オペレーショナルには可能ですが特段議論が深まった訳では無い」「我々はマイナス金利が含む複雑性や、それによって発生する可能性のある意図しない結果について言及している」とゆー話をしていて、これを捕まえてどこがどう預金ファシリティー金利のマイナス金利検討という話になるのかがイマイチワカランチ会長なのですが、これ出た後ドイツ国債とか金利さがってたみたいでございますし、まあ向こうの市場はそーゆー反応をした(そーゆー反応をしたからこそ上記のような記事になったんでしょうし)という事なんでしょうか、良くわかりません。
毎度申し上げておりますように、『同金利をマイナス圏に引き下げれば、銀行がECBに資金を預け入れる際にECBに利子を支払うことになるため、銀行融資促進効果があるとされている。』(先ほどのロイター記事による解説より)というようなアホアホ解説が相変わらず人口に膾炙しておりまして、(さすがに最近債券の人からは質問来ないのですがそれ以外の人から)質問されたりもするのですけれども、そもそも預金ファシリティーにマイナス金利をチャージしたら貸出が増えるというのが間違いにも程がある話で、預金ファシリティーにマイナスチャージしたら各銀行のやる事は預金ファシリティーの残高を減らす事であります。大体からして銀行が貸出を実施してもその貸出の代わり金というのは融資先企業の預金に化けるのでありまして、融資先企業の預金が増えた場合はその企業の取引先である融資元銀行の預金が拡大している訳で、それは結局元の銀行の中銀当座預金勘定になっておりまして、つまり中銀当座預金という意味では変化は無いどころか貸出増えたらその分当該銀行の中銀当座預金勘定が増えるぞなという話に。(12月12日追記:間違いがありましたので訂正をしています)。
じゃあその企業が金を使えばという話になりますが、その企業が金を使ってもその金を受け取った取引先の銀行預金が増える勘定になりますので、他行の中銀当座預金が拡大するという事になって、結局は同じ話ですがなとまあそういう話になります。という感じで説明しているのですが、中々口で説明してもその場では判ったつもりになっていても理解できておられない模様で、そらまあ金融調節とか元々1ミリも興味が無かったら判らん罠と思いますし、貸出実行って要するに銀行の中での勘定振替みたいなもんですがなというような話って実際に銀行実務をやっていないと感覚として判らんだろうなあとも思います次第。
まあ物凄く厳密に言えば取引先の預金勘定が増えた分だけ中銀当座預金勘定を減らして中銀当座預金勘定のバランスを取るという形を取れば、超過準備と取引先預金の勘定移動になるので、何となく「超過準備が貸し出しに回る」というような絵になりますけれども中銀当座預金勘定の総額には変化がなく、預金が増えた分だけ所要準備が拡大するのでその限界的な部分で超過準備は減りますけれども、それは(1−準備預金率)という屁のような部分だけの話であって、そんな事している暇があったら超過準備部分を中央銀行に「お返し」するのが手っ取り早い訳です。
とまあ書いている本人もこの説明だと何か煙に巻いている感はするのですが、この手の「中銀デポに関するマイナスチャージ」というのは一般的には「資本流入対策」として行われるものであって、つまりどういう事かと言いますと、ペッグ制を取っている国の為替市場で自国通貨が何らかの理由で買われてペッグ維持が困難になった場合に、元通貨よりも中銀デポの金利を下げる事によって、その通貨買いを止めさせる効果を狙って実施するというものだと理解しております。
つまりですね、中銀デポに関してマイナス金利をチャージしますと、当然ながら域内の金融機関は中銀のデポのうち余計なものは減らしましょうという動きになりますので、その分だけ市場でもっている流動性が減ることになりますし、逆に流動性を確保しないといけない微妙なクレジットの金融機関に取ってみたら、安全の為に確保する流動性に対してマイナス金利チャージというコストが掛かるとか泣きっ面に蜂にも程がある訳ですよ。
ということで、実は中銀デポのマイナス金利チャージというのは貸出推進になるどころか短期金融市場における金融環境を引き締める効果がありまして、そもそも未だにその議論をしているECBも何考えてますねんという風に思うのです(中銀デポマイナスにしたらLTROの金とか余力のある金融機関から順にご返済が始まってしまうので潤沢な流動性の供給という施策に反する)けれども、どうなっているのやら・・・・・・
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2012/12/07
ということで久々に先物が20銭も動くわ見事にフラットニングするわだったのでこういう時に相場備忘録をつけておかないで何時付けますねんという事ですな。
○30年国債入札でウヒョーとな
・先物も高値更新したので後々の為にメモをおいておく
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJPWK6K50XT01.html
債券続伸、先物は過去最高値を更新−30年債の入札結果順調で
更新日時: 2012/12/06 16:19 JST
『12月6日(ブルームバーグ):債券相場は続伸。先物中心限月は9年半ぶりに過去最高値を更新した。午後発表の30年債入札結果が順調となったことで買い安心感が広がったほか、日本銀行による追加金融緩和の観測も相場を押し上げた。三井住友海上あいおい生命保険経理財務部の堀川真一部長は、総選挙で自民党が勝利するとの観測報道を受け、金融緩和圧力が高まるとの見方から買いが優勢だと指摘した。30年債入札については「需要が入り、強い結果。超長期債も買われている」と話した。』(上記URLより)
ということですが、昨日は上記にもありますように朝の新聞各紙による衆議院選挙の序盤情勢で各紙とも「自民党単独過半数」という見通し記事が出ておりまして、
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEKY2U6KLVRV01.html
【主要朝刊】自民過半数の勢い、旧長銀ビル建て替え、先発薬価格下げ
更新日時: 2012/12/06 07:48 JST
先週末の各種調査では比例の投票先調査で自民党が盛大にドロップしていたので、その辺りの流れからしますと若干意外感があったというのもございまして、自民党単独過半数→安倍さん大勝利→安倍さん発言力高まる→金融緩和圧力高まる、というような事で相場様が強くなってしまいましたとゆーことですかね、よー知らんが。
本当は安倍さんの発言力が高まると例のアレな金融政策の話とか出るんじゃネーノ的な話もある筈なのですが、そっちの方に関しては為替市場や株式市場の方では盛り上がるものの、債券市場の方では「結局無茶振りは出来ないでしょうから金融緩和圧力の方だけ来るんでしょ」という認識にでもなっておられるのでしょうかにゃあ。
ということで30年国債入札が行われましたが。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul058.htm
30年利付国債(第37回)の入札結果
(3)募入最低価格 99円35銭
(募入最高利回り) (1.934%)
(4)募入最低価格における案分比率 30.1819%
(5)募入平均価格 99円40銭
(募入平均利回り) (1.931%)
・・・・・・・・ということで前場引けが確か先物6銭高の143.06円で30年が5糸強とか1毛強とかの辺りだったと思うのですが、オファーサイドの向こう側の落札結果になるわ不明玉は(発行予定が7000億円中の)2900億円程度だわという事で、その後先物の位置はあまりカワランチ会長な中で超長期が堅調になって、先物の位置が前場引けと同じなのに30年の位置が2毛位強くなってますなあとか思っているうちに2時前位からイールドカーブ更にフラットニングするわ先物は高値を抜けるわとやっておりまして、2時半前位からはさらに一段高で引け近くには先物が22銭高で20年4毛強で30年6毛強とかまさに盛り上がって参りましたの巻。
ということで日本相互証券さんの引けは10年2.5毛強で20年4毛強で30年が5.5毛強ということになりまして先物ちゃんは145円22銭と、中心限月の最高値の確か145.09円を楽勝で抜いて幻の最高値(というか幻では無いのですが、先物当限が限月交代した翌々日(訂正:中心限月最高値が2003/6/9で当限最高値が2003/6/11でして、限月交代が2003/6/10でしたので翌々日ではなくて翌日が正解でした)に付けた高値)の145.28円も抜くかと思ったら惜しくもそちらは抜きませんでした。
しかしまあ何ですな、昨日お友達から言われてしまったのですが、「お前が超長期がこの上げに着いて行かないとか変なフラグを立てるから超長期がフラットしちまったじゃないか謝罪と賠(ry」と言われてこれはこれはという所ですが、ここもとの相場様って「まあ安倍トレードとか抜かしてるけどどうせ過激な金融政策は無いので緩和圧力がうじゃうじゃって所でしょ2%インフレ何それおいしいの?」という感じではあるものの、そうは言っても財政とか出るだろうしとかゆーことで、超長期は中々買いにくいので先物から10年がやたら堅調という展開でしたが、昨日はそういうことで30年入札をネタにして超長期一段高二段高という感じになりまして、先物も高値更新しましたしさあ盛り上がって参りましたという風情であります。
・先物が最高値更新と言われますと改めて確認したくなるのですが
ということで先物様が最高値更新とかしたので2003年当時のノートを引っ張り出して見たのですが、まあ2003年の時のノートは結構雑なので大した事は書いて無かったりしますけど、6月9日に中心限月のザラ場高値145.05円を付けて、2003年6月限先物最終日の6月限高値が145.28円だったりしますが、惜しくもノートに現物のザラ場高値とか買いてないので引値(日本相互証券さんの引値)しか見れないのですが、引値ベースしかも単利表示な上にあたくしの手控えベースという惜しい代物で見ますとこの近辺の最低金利ってこんな感じみたいです。内容は全力で無保証ですが、まあ大体この近辺というレベル感だけでもご鑑賞くらはい。
5年26回0.145%(6/6と6/9)
10年250回0.440%(6/12)
20年61回0.755%(6/11)
ちなみに何故か30年の引値は書いていないので数値欠測状態ですすいませんすいません。
でまあどうでも良いですがドル円が118円とかで日経平均がこの週にザラ場9000円回復とか仰せだった訳ですが、この時ご案内の通りコールレートはゼロだったのでベース金利が違うのですが、今と違ってベースレートゼロでも2年金利は0.03〜0.04%が付いておりまして、残存3年までベースレート金利となっているという短期ゾーンのイールドカーブの潰れっぷりは2003年を凌駕する勢い。
ですから当たり前なのですが、その当時に比べて中短期のカーブが潰れていて長い所のカーブが立っているという形に。昨日の日本相互証券さんの引値(全部単利表示ですすいません)が、
5年106回0.155%
10年326回0.685%
20年140回1.640%
30年37回1.890%
40年5回2.080%
ということで、過去最高値と比較すると20年とか80毛以上遠い所にありまして、そらまあこの当時と発行量が全然違って需給全然違いますがなというのも当然ある訳で単純比較するとか無謀にも程があるのですが、相場様が盛り上がって参りますと「2003年と比較すると長期以降にまだまだ金利低下余地」という話が盛り上がってきてウヒョヒョヒョヒョとなるというのが相場の常という物でありまして、まあ大真面目にそういう話が広がって来てこそ真に盛り上がってまいりましたという事になりますぞなということで。
ま、昨日はようやく「さあ盛り上がって参りました!!!」という言葉がしっくりくる流れという物を見せてもらいましたが、まー正直言って金利下がって誰得展開という気はしますので、誰得状態のうちは・・・・・・・・・・(^^)
・そう言えば超長期62回がオーバーパーになっていた件について
不覚にもどこぞの誰かさんの金融政策論議ネタなどで多忙(?)のためにネタにしないままスルーしておりましたが、2003年6月に入札が行われて0.8%クーポンで平均100円20銭足切り100円15銭で確か按分が7割5分位だった(というのはあたくしこの時にどこぞの証券会社で中短期債のディーラーだというのに何故か入札で落札したので覚えているつもりなのですが、平均とか按分とかの数字は怪しいので記憶違いだったらスマソ)というもので、その日の引け後に100円(0.80%)が業者間で出合って翌日からは絶賛アンダーパーとなり、これがオーバーパーになるのは短期になってからでしょうかとか思っていたあの超長期62回ですけれども(前振りが長い)、先月29日の引値ベースで貫録の0.795%になって昨日の引けは0.735%で既に単価も100円60銭台まで上昇していて入札時の価格をとっくに上回っておりましたです。
この債券が短期債になるころには短期金利がゼロって事はないだろうからもしかしたら一生オーバーパーにならないのではとか思っていたのですが、まさか残存10年半を残したこの時期にオーバーパーになるとはとか感動するのはジジイの証明ですかそうですか。
○CP買入まで0.10%割れとか短国入札とか
これは参りました。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121206.htm
CP等買入(資産買入等基金) 6,045 3,817 0.099 0.102 92.0
ちょwwwwwwwwww
CPのレート自体はまあもうちょっと高いので発行されているものとかも散見されるのですが、買入オペに入れられるものがこちらも物無芳一状態になっておられるという事は把握致しました。
んでもって昨日の3か月短国入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20121206.htm
(3)募入最低価格 99円97銭4厘0毛
(募入最高利回り) (0.0968%)
(4)募入最低価格における案分比率 54.4630%
(5)募入平均価格 99円97銭4厘0毛
(募入平均利回り )(0.0968%)
・・・・・・・・orz
ということでこちらも貫録の足切り0.10%割れということで、短期市場全般に既に物無芳一の香りが漂っているという状態でございまして、まあ要するに高格付けの銘柄を買おうと思ったら0.10%では買わせてくれないという残念な状況である、ということをこの2つの結果は示している訳でございまして、日銀当座預金制度の内側の人は超過準備付利という攻撃がありますが、それが無い人にしてみますとアチャーというかウヒョーというかという風情になっておりますです。
しかしまあ何ですな、日銀当座預金だって各銀行さんそんなにアホのように積んで決算の見せ方的にどうなのかとかそういう話になりだすと更におそロシアな事になってしまう訳でございまして、まあさすがに信用リスクのあるCPがそう無茶な金利の沈みはしないでしょとは思いますが、日銀当座預金と信用力的に同じで、決算の見栄え上どう見てもこっちの方が美しい短期国債に関しては更にアチャーな香りが。
勿論足元では白川総裁の任期切れ以降に付利がどうなるとかその手のリスクを意識した動きというのもある(まあ普通に考えると付利は下がらないのですが、何せ政治方面が普通じゃないですからねえ)ので、全部が全部物無芳一要因ではないのかもしれませんが、今でこの調子であと資産買入等基金で国債15兆に短国10兆円を積み増すとか、先行きに悪い予感しかしないすけど。
○公明党山口代表のインタビュー記事
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEL9VH6K50YA01.html
山口公明代表:日銀との政策協定は現行法下で−物価目標1−2%(1)
『12月6日(ブルームバーグ):自民党と協力して政権奪還を目指す公明党は、政府と日本銀行が共通の物価上昇率の目標を設定する政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能として、自民党などで検討されている日銀法改正には慎重に対応する姿勢だ。』(上記URLより)
>政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能
>政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能
>政策協定(アコード)を締結するのは現行法下でも可能
・・・・・・・・・・まあ何ですな、どこかの誰かさんのように平場で思いっきり声を上げてあからさまに圧力掛けるよりはどう見ても山口代表の方がスマートだし効果的でしょと思うのですが。
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2012/12/06
○各種市場雑談
・先物145円ェ・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEHY7J6JTSF501.html
債券上昇、先物は9年半ぶり145円台乗せ−10年入札で需要の強さ確認
『12月5日(ブルームバーグ):債券相場は上昇。先物は9年半ぶりに一時145円台に乗せた。前日実施の10年債入札が順調な結果となり、投資家需要の強さがあらためて確認されたことが支えとなった。』(上記URLより)
ということで火曜日は10年国債入札あって何か知らんが不明玉も多くて入札堅調の巻で10年までは前日比変わらずで超長期は前日比甘という展開でしたが、昨日は昨日で前場は145円寸止めの微妙な所でうだうだしていると思ったら後場になってもう一発上昇して目出度く145円台。先週金曜に引け後先物が144円94銭に上昇して10年325回が0.695%になった訳ですが、イブニングセッション(昔ならLIFFE)で付いた高値は更新するの法則(?)が今回も適用されまして目出度く先週末の高値を更新いたしました(ちなみに325回の引けは0.680%である)と言う事で。
いやもう株式市場とか為替市場の動きとはまるで関係なく日々10年辺りが引っ張って金利低下するけど超長期が微妙において行かれるという判で押したような展開が毎日続いて中々お洒落な感じになっておりますが、何か過熱感があるのか無いのかワカランチ会長なのですけど、超長期が置いて行かれているから過熱感無いという事になるんでしょうかねえ・・・・・・・・・(・・?)
・基金国債買入ェ・・・・・・・・・
昨日の基金国債買入の結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121205.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 13,874 7,011 0.096 0.097 68.1
基金国債買入は前回が11/29のオファーで0.098/0.097の結果、前々回が11/14のオファーで0.099/0.098の結果とゆーことで着実に落札金利が低下しておりまして、基金短国買入もそうですけれども短い所は物無し芳一モードが更に進んでいるという所でありまして金利で飯を食うあたくし共と致しましては甚だ遺憾な展開なのでもっと国債増発して下さいという風情ですが、まあシャーナイナイという所ですの。
ちなみに昨日の6か月TB入札の落札結果ですが。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20121205.htm
(3)募入最低価格 99円95銭2厘
(募入最高利回り)(0.0963%)
(4)募入最低価格における案分比率 18.8633%
(5)募入平均価格 99円95銭3厘
(募入平均利回り)(0.0943%)
ということで0.10%を大きく(これを大きいと言うのかとゆー議論はありますが)割っての落札結果と相成りましてすっかり0.10%割れが定着の図という感じですが、はてさて今日の3か月TB入札はどうなるのやらという所ですな、ナムナム。
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2012/12/05
お題「『特例公債買いオペ』なら可能というどうでも良い与太ネタ/営業毎旬報告と保有残高を見ながらのマニア向け集計ネタ」
さあ盛り上がって参・・・・・・・って無いような気もしますが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121205/k10013961211000.html
選挙戦本格化 各党首が全国遊説へ
12月5日 4時0分
『今回の選挙は、民主党中心の政権が継続するのか、それとも自民・公明両党が政権に復帰するのか、2大政党に対抗する第3極が勢力を伸ばすのか、選挙後の「政権の枠組み」が焦点です。また、政策課題では、消費税増税の是非、原発を含む今後のエネルギー政策の在り方、それにTPP=環太平洋パートナーシップ協定への対応などが主な争点となっています。』(上記URLより)
き、きんゆうせいさくは????
#個別具体的に党名を出すのも何なので控えますが、どこぞの政党の偉い人が「日本を衰弱させている1つの原因に憲法があると思う」と仰せなのを公共放送ニュースで見てしまったのですが、おじいちゃんにしつもんなんですけど、今の憲法の体制下で焼け野原から日本が大復活してたんじゃなかったでしたっけ?????
#「時代の変化と共に変化すべきもの」位にしておけば良いのに何であの手の方々は一々いう事が大袈裟なんでしょ
#更にどうでも良いのですが、今日の某モーサテのコメントしてる人、リスクオンリスクオフの判断するのに「欧米中国と比較して日本の株価だけ上昇」という例を出しているのですけれども、その期間が11月14日〜11月16日ってサンプルにもならん短期間比較を出してお前視聴者全員ど素人だと思ってんのかと小一時間
・・・・・・でまあお題がクソ長いのですが、ここの所日銀とか海外中銀とかの講演ネタが多くてアレでございますので、本来の市場雑談をしようと思ったのですが気が付けば市場雑談では無くマニア向けマニア雑談となっているのが誠に遺憾なこのあたくしでございますので、以下はマニアの方向けの話題となっている点にご留意下さいm(__)m
#と申しましても普段は一般向けネタを書いているとかそんな認識はありませんけど(自爆)
○「建設国債買いオペ」は出来ないけれども・・・・・・・・・・
昨日の10年国債入札は償還が伸びたので何となく誤魔化していますが、何気に前日までの10年カレントは引値が貫録の0.695%(前日比5糸強)と0.7%割れの威風堂々たる相場となっておりまして誠にアレでございましたが、その10年入札に関するどうでも良い雑談を朝からドヤ顔で騙るこのあたくし(^^)。
昨日の10年国債入札落札結果はこちら
10年利付国債(第326回)の入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul057.htm
でまあ普通の場合ここの平均落札だの最低落札だの按分比率だのを見て、その次に応札倍率を見るのがいつもの市場参加者の仕様なのですが、マニアは見るところが違うのでございます(ドヤ顔)、でその場所とは・・・・・・・・
『2. 発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第2条第1項 』
どう見ても特例公債法です本当にありがとうございました。
・・・・・・・でまあこの中長期国債の発行根拠法なのですが、だいたいいつもの場合どういう風になっているかと申しますと、先月発行の中長期国債入札で例えば20年140回の入札時の発行根拠法を見ますとこうなっています。
20年利付国債(第140回)の入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul054.htm
『2. 発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第47条及び第62条第1項
』
ということで、まあ大体色々な根拠法が入り混じって発行されているのですが、今回の10年だけではなく、今月発行の2年債(11月27日に入札を行いました)でも発行根拠法が特例公債法になっておりまして、特例公債法案が成立して良かったですねという所でございます。
・・・・・・・・・・・・でまあ何でそんなマニアな話をしているかと申しますと、どこぞの政党の偉い人がつい先日「建設国債をできればオペで日銀に全部買って欲しい」とゆうとりましたが、実は「建設国債買いオペ」というのは物理的なフィージビリティ皆無の残念な提案ではございましたけれども、この結果を見た所「特例公債だけを買いオペ」することが可能(ただし今だと2年323回と10年326回という事になるんですかねえ、笑)という誠にワンダホーな事実を見つけてしまって一人で勝手にウケて盛り上がってしまいましたから、マニアネタのドヤ顔自慢をしたくなった、とまあそういう事にしておいてください。
ということで是非どこぞの政党の偉い人は思いっきり勘違いしていただいて「特例公債を買いオペで日銀にできれば全額買って・・・・・」という話をして頂きますと誠に香ばしい事になりますので(大嘘)。
○基金短国買入の金利がまた低下している件について
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of121204.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 8,000 2012年12月6日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年12月6日 2012年12月13日 0.660
オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121204.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 36,165 8,004 0.097 0.097 76.1
米ドル資金供給(固定金利方式)(12月6日スタート分) 0 0
ということで基金短国買入の金利ですが、前回の11月28日オファー分が平均足切りともに0.098%となっておりまして、ついでに言えばその前が11月22日オファー分で平均足切りがともに0.099%となっておりまして、ここの所3回連続で国庫短期証券買入の買入金利が低下したでござるの巻。
他の買入系オペの金利もしらっと低下していますねえという話を先日しましたけれども、まあ足元ではもしかして付利下げあったらオッペケペーなので買入にそうそう突っ込みませんがなというのがあるのかも知れませんし、そうじゃないかもしれませんけれども、何はともあれ短国市場そのものが物無し芳一状態になっておりまして、よーは突っ込む玉が業者にもございませんし投資家にしても全てスッカラカンになるまで突っ込むかというとさにあらずという辺りが背景にあって、買入系のオペ金利がじり安シーザーになっておられるとまあそういう事なんでしょうな。オソロシス。
でまあ何がどうおそロシアなのかという話に続くのでありまして、まあこれは話のマクラみたいなもんであります・・・・・・・・・
○12月になったので基金オペの進捗状況と着地までの距離をもさもさとチェックしてみる
使うのは毎度おなじみの営業毎旬報告と月末営業日時点の計数が公表される「日銀の銘柄別保有状況」の資料であります。どちらも基準日の2営業日後に公表されますな。
営業毎旬報告(平成24年11月30日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121130.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高(2012年11月30日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1211.pdf
でまあ基金オペ相当分に関しては営業毎旬報告の『(別表2)「資産買入等の基金」の内訳』の所と、銘柄別残高の『2.資産買入等基金』という所にありますので、まあそこの数字を拾って足し算引き算をするだけの電卓があれば大体できる作業なので、まあここでドヤ顔で申し上げるほどでもございませんが(汗)。
そして誰もが知っているけれども中々細かく暗記できていない(のはあたくしだけですかそうですか)各資産の買入残高目標はこの辺でも見れば宜しいかと。
10月30日決定会合声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121030a.pdf
こちらの3ページの『「資産買入等の基金」の規模』がちょうど前回拡大した後の結果ですのでまあこの辺を毎度見るあるヨロシアル。
・基金長期国債買入:残り2兆円少々の買入が必要で基金オペはあと2回
んでまあ長期国債買入ですけれども、営業毎旬報告の数字を拾いますと11月末の買入残高が『22,129,675,433千円』ということで22兆1296.75億円とまあそういう数字になります。んでもって目標値が24兆円ですので、これだけを見ると残り買入額は1.87兆円という計算になりますけれども、さっきURL付けた国債の銘柄別残高の中から12月中に償還の来る銘柄(2年299、5年68〜69回、10年244〜246回)の額面(こちらは時価ベースでは無くて額面ベースで公表されています)が1720億円ありますので、残高達成のためには1.87兆円+1720億円ということで、2兆600億円の買入が必要という事になります。
うち、今月に入っては基金国債買入が受渡ベースで1回(11月29日オファーの12月3日受渡分)オファーされていて、7006億円の購入となっております。前回のオファーが7000億円でしたが、残り2回を各7000億円オファーしてちゃんと札が入れば(入りますが)額面合計で2.1兆円の買入となるのでちょうど着地となりますな。
・基金短期国債買入:残り5500億円に見えるが実は2兆3400億円の買入が必要とな
短期国債買入は残高の走りが『8,962,839,997千円』で目標9.5兆円なので一見楽勝に見えるのですけれども、こちらに関しても実は(わざと先ほどスルーしたのですが)このような数字が取れるのでございましてですな、
日本銀行による国庫短期証券の銘柄別買入額(2012年11月30日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/tmei/release/2012/tmei1211.pdf
こちらの右側に『2.資産買入等基金』というのがございまして、この中で12月中に償還の来る銘柄の残高額面を足し合わせますと(償還の近い順に306、316、309、285、308、246、311の各銘柄)その合計が貫録の18021億円、つまり1兆8021億円の償還が来るという事で、つまり着地の為には5380億円+1兆8021億円で結局2兆3400億円の買入が必要になります。
でもって基金国庫短期証券買入は今月になって打ち込まれたのが昨日(つまりさっきネタにしたオペ)の分が8004億円となっておりまして、8000億円ペースとすると3回買入を実施すれば2兆4000億円になりますので、あと2回(ただし12月償還物を打ち込まれた場合は残念ながらその分未達になるので未達分の帳尻オペを実施しないといけませんが)各8000億円の国庫短期証券買入で着地です。
・CP買入:これは償還が読みにくいのだがとりあえずスケジュール通りで着地でしょう
CP買入は残高の走りが『1,932,661,625千円』で目標が2.1兆円なので楽勝そうに見えますが、これまた短期物商品の為に償還が結構なペースでドカドカ来るのですな。でもってCPについては買入銘柄の明細とか償還スケジュールとか惜しくも公表されていない(というか公表されると個別発行体企業のネームが出るので公表はされる筈が無いです)ので、償還については適当に辺りを付けて考える次第。
あたくしもそこまでマメではないのでざっくりですけれども、営業毎旬報告の基金オペ勘定でのCP残高増減と、オペ実施時の落札結果から差分を取れば償還額が計算上は出てくるということで、これを計算すると10月の償還が5911億円、11月の償還が6649億円になりますけど、どうせ12月なのでCPのエンドはやや多いと思って償還を8000億円に仮置きすると、着地までの残りは1700億円+8000億円で9700億円。CP買入と社債社債の直近からのオファー日程は、
CP・社債等買入(資産買入等基金)オペレーションのオファー日程について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel121130c.pdf
というのがありまして(基本的に月末更新)、今月は4000億円×3回の買入が予定されていまして、そのうち年内償還(12月28日エンドとか)物がどのくらい打ち込まれるかによってやや流動的ではありますが、まあさすがに1.2兆の買入オファーすれば札割れしない限り着地するんでしょうとは思いますが、CP買入については発行銘柄の制約があるのは留意が必要ということですな。
・社債買入:まあ普通に着地でしょう
社債買入の残高は『3,003,322,871千円』で目標の2.9兆円を既にオーバー。ただし社債はこれから償還があるのでその分落ちもありますが、上記URL先にありますように、というか既にオペは実施されたのですが社債買入が1222億円実施されていますので、まあ普通に着地ですな。
・ETF、J−REIT:ETFって意外に進んでないんですね
ETFが『1,468,785,640千円』で目標の1.6兆円に対して何気に1320億円も未達になっておりまして、1日100億買うとしても14営業日とか掛かる話でして、巷で言われている「1%下がったら後場から買い出動」とか悠長な事をしている場合でも無さそうな感じがするんですけどどうでしょうか。
REITについては『110,771,051千円』で目標の1200億円に対して残り100億円を買えば目出度く着地となります。まあ何とかなるんでしょと思いますが。
・固定金利オペ:これは目標オーバーで達成
固定金利オペに関してはオペ結果を集計すれば計算が出来るのですけれども、あたくしの手控えベースとなりますが、固定金利オペに関しては今年の年末は26兆2346億円近辺(オペ落札結果をあたくしが手元で集計したベースなので多少の差はある)になる筈でして、こちらは目標が25兆円ですのでオペ1回分ちょいの余裕を残して目標オーバーで達成となっています。
つーかそもそも今週実施された基金共担オペのロールが少々意外だったのですが、これはまあ何かの拍子でCPオペ辺りが未達になった場合のヘッジ(資産買入等基金の総額65兆円の達成)なのでしょうかね。まあオペの期落ちは今月まだちょっとだけありますけれどもこれは普通に考えてロールしないという事になるんでしょう。
○今後の基金長期国債買入の展望について
とか何とかエラソーに言わなくても足し算引き算ができれば計算可能な話なのですけれども(汗)。
先ほどURL付けた日銀保有長期国債の銘柄別残高を償還毎に整理すれば判るのですが、あたくしがだいたい手計算でヘコヘコ計算した所、来年の前半以降半年ごとの償還額の額面は以下の通りになります(あたくしの計算ベースなので本人はちゃんと計算している積りですが内容無保証なのは念の為)。
2013年前半:1兆2529億円
2013年後半:5兆0839億円
2014年前半:8兆3460億円
2014年後半:2兆8579億円
2015年前半:3兆8566億円
2015年後半:7256億円
でもって今後の基金積み上げ目標ですけれども、2013年前半が31.5兆円なので7.5兆円拡大、2013年後半が39.0兆円なので7.5兆円更に拡大という事ですが、こちらに関しては償還分の購入を考えると、来年前半が月に1.5兆円、来年後半が月に2.1兆円、というペースはまあ以前から言われている通り。
んでもって2014年の前半ですけれどもここの償還が8.3兆円あって、基金長期国債買入は1年以上3年以下を購入という建付けになっていますので、もう少しこの償還が増える可能性は若干あります。まあその分ネグって考えても残高維持するだけで月に1.4兆円の買入が必要という事ですな。
つまりですよ、買入残高を維持するだけでも結構な買入を行わないといけないという状況になる中で、基金オペの買入期間を仮に半年延長したとしても実は10兆円更に積み増しとかになると買入のペースがトンデモナイ状況になるという訳であります。
大体からして購入ペースの問題もさることながら、基金買入を拡大すると反対サイドの日銀当座預金残高が積みあがって行くわけですが、その日銀当座預金残高の方も本当に積めるのかいなという話もある訳でして、この辺のフィージビリティーを具体的に計算した場合に、バナナの叩き売りよろしく10兆だ20兆だと簡単に言うのは如何なものかとまあそういう話になりますわな。
○実は基金短国買入が今後スノーボール状態になってくる件について
でまあそれはそれとして実は短国買入の方がアレというのがございましてですな・・・・・・
同じくさっき出したURL先にありますように、日銀保有国庫短期証券残高を集計するとこれがまたおそロシアな事実が判るのでございます。と申しますのは、まあある意味当たり前ではあるのですが、基金国庫短期証券買入に関しては買入下限金利があるうちはまあ1年とかの物が主に入っていたような感じですが、それでは札がハイランチ会長なので下限金利撤廃した結果、その時の入札状況にも依存しますが、新発に近い3か月物が入り易くなる傾向になっているようです。
となるとど〜ゆ〜事になるかと申しますと、基金短国買入の買入国債のデュレーションがびっくりするほど短いという状況になる訳でして、あたくしが計算した所、来年前半の償還額が6兆9758億円というお洒落な状態になるのですが、もっとお洒落なのは来年後半の償還額が1882億円しか無い事であります。
つまりですな、基金短国買入で購入する分は大体3か月程度で償還食らうのが殆どで、基金残高の達成の為には償還分をロールしないといけないとか考えますと、今の時点で既に来年前半に購入しないといけない額が増額分の5兆円プラス償還額7兆円で12兆円となるのですが、恐らく来年前半のうち第1四半期に購入したものは6月までに償還が来る3か月TB中心になってしまいますので、歩留まり次第にもよりますが、同ペースでの買入を前提にすると買入ペースが20兆を超えるとかいう話になりそうな勢い恐るべし。
まあ残高着地を前提に考えれば、第1四半期に買ったものはどうせ償還で落ちてしまうから第2四半期になってから買入ペースを加速させるという風になると思うのですけれども、それにしてもかなり大変な話なのに、来年後半には残高目標が更に5兆円乗るので、これはまたケージの中のハムスターもビックリの買入コマネズミ状態になるのがこれまたオソロシスでございます。まあ財務省様におかれましてはこの国庫短期証券買入の為にもぜひ為替市場に介入して頂いてFBの発行をバカスカ増やして頂きますと甚だ幸いというものでございます(違)。
・・・・・・・・・とまあそういうことで、さっきも申しあげましたが、基金買入の残高を10兆20兆増やすと簡単に言うのってどうなのよというのがありますなあというお話でございますわな。期間の延長と買入拡大をセットで話す人も多いのですが、まあ良く良く考えますと基金買入については「途中の買入ペース」ではなく「残高」にコミットするもので、かつ償還というものも来るとか考えますと、そう話は単純じゃないですよねえというのが本日の結論になろうかと思います。
いやー何か特に短国買入とかそうですけれども、これオペの調整して基金残高目標に着地をさせる為にどういうペースでのオペするのかとか金融市場局の調節課の中の人たちの苦労には涙してしまいます。まあ12月の基金残高は無事着地しそうですが、来年の方が更に大変になるとかナムナムとしか申し上げようがございませんです、はい。
#ということで一般的には極めてどうでも良いがマニア的には大ネタであります所の超越マニア向け雑談で誠に恐縮でございました
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2012/12/03
○だんだんどうでも良くなっておりますがあまりにもアレなのでクリップ
・安倍さん言えば言うほどボロが出るので金融政策については・・・・・・
金曜日に腰を抜かしそうになったあの人の発言。
http://jp.reuters.com/article/jpmarket/idJPTK056492320121130?sp=true
WRAPUP1: 金融政策で論戦、安倍氏「首相になれば手段言わない」・首相「ばらまきより種まき」=党首討論
2012年 11月 30日 16:57 JST
『[東京 30日 ロイター] 来月4日の衆議院選公示を前に30日午後、日本記者クラブで党首討論が行われ、自民党の安倍晋三総裁は、日銀の金融政策をめぐる自身の発言について、首相になったら手段は申し上げないとし、金融政策の手段は日銀が決めていくとの考えを示した。』(上記URLより、以下同様)
>首相になったら手段は申し上げない
>首相になったら手段は申し上げない
>首相になったら手段は申し上げない
・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)
えーっと、確か「出来る事しか言わない」というのを売り文句にして政権公約を出して選挙に臨もうとしているとゆーことで、安倍様におかれましては首相になった時のお話を今まさにしておられると理解しているのですが、何を仰っているのかさっぱり理解致しかねるのですが・・・・・・・・・・・・
『また、建設国債を買い入れるとの発言の意図について、建設国債の範囲で買いオペを進めることが必要だと説明した。』
・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)ナニガナンダカワカラナイ
『安倍総裁はデフレ脱却と円高是正に向けた金融政策について「伝統的な緩和でなく、2%のインフレターゲットを設けて、ありとあらゆる手段をとっていく。財政政策も行う」との考えを示した。』
物価安定の目途って「当面の目途」が1%なのであって、さっきの麿会見での質疑にありましたように、実際に1%が見えてくる時点での状況によってはそれよりも上を目指すという話になる可能性もあるんですけど、まあ確かにそれを日銀の過去の実績から見て信用しろと言われても中々信用できないのは判りますが、党首討論で(この先にあるけど引用しない)1%か2%かでああだこうだとか何だかなあという感じではありますが。
『その上で、建設国債を日銀が買い入れるべきとの発言について、直接引き受けとは言ってない、とあらためて否定。「建設国債といったのは、赤字国債ではないという意味だ。建設国債というと、いきなりコンクリートというイメージがあることを、その時は気づかなかった」と説明した。』
何を仰っておられるのかがよく判りませんが、そもそも「直接引受」という「(安倍さんによれば)「誤報」も大きく影響して金融市場が反応した訳ですが、その反応を捕まえて「勝負あった」とか勝手に勝利宣言していたのは何だったんでしょうかねえ。
『さらに「金融緩和ということでは、外債を買っていくこともそうだし、FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていくこともやっていくべきだろう」と緩和の具体的手法に言及した。』
>FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていく
>FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていく
>FRB(米連邦準備理事会)のように株式市場に直接影響を及ぼしていく
・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)
どうも安倍さんのブレーン(笑)様におかれましては現実把握能力が絶望的に欠如しておられるようで、FRBは株式市場に直接影響を及ぼすような政策なんぞリーマンショック以来一度も実施しておりませんのですが、何の政策を捕まえてこのような認識になるのか、その政策とやらはブレーン様の妄想の産物ではないでしょうかと小一時間。
大体からして株式市場ターゲットで金融政策とかそんな政策どこにありますねんという所ですが、FRBの場合は金融緩和政策の効果として「結果としての株価上昇」という話は確かにしておりますけど、それを言うなら総合指数型ETFを買っている日銀がまさに「株式市場に直接」となるオペを既に実施している(厳密に言えば「株を上げる」のではなくて「資産市場のリスクプレミアムの縮小」をしますと言っているので「株式市場に直接影響を及ぼす」というのではないので念のため)訳で、最早何が何だか。
外債購入に関しては要するに為替介入であって、介入するにはその相手国様とのネゴが必要になるのでありまして、まさか安倍様におかれましては「そのネゴは下々の人間が行う事」とでも思っておられるのではないかと甚だ心配でございますがそれは兎も角。
『ただ、「私が首相になったら、手段は申し上げない。日銀が手段を決めていく。今、野党の立場だから、たとえばということで手段にも言及している」と明言した。』
もうさっき呆れた通りでございます。
・これもまたポカーンな
まあ大体ここは電波浴御用達メディアなのでネタにするのも何ですけどつい釣られクマー。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34188
浜田宏一(イェール大学教授)×安倍晋三(自民党総裁)「官邸で感じた日銀、財務省への疑問。経済成長なしに財政再建などありえない」
まあ経済成長しないで財政再建するのが大変というお題は判るのですが・・・・・・・・・
そこの4ページ目より。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34188?page=4
『浜田:それが日銀法の問題点だと思うのです。日銀法ができたのは、大蔵省不祥事とかいろんな政治的きっかけがある。中央銀行の独立性がある国のほうが上手くマクロ政策をやっていたような例もありました。独立性自体はいいんでしょうが、困ったことに、日銀法では手段の独立性だけではなくて、目的の独立性まで日本銀行に与えてしまった。ですから、国民に対して政治責任を負っている政府が考えるべき、国民生活の雇用とか国民所得などに対して、どの辺まで政策が努力したらいいのかを日本銀行が決めるかのようになってしまったのです。』(上記URLより)
・・・・・・・・・・・・・・・( ゚д゚)
日本銀行法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO089.html
『(目的)
第一条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
2 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
(通貨及び金融の調節の理念)
第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
(第3条引用割愛)
(政府との関係)
第四条 日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。』
Federal Reserve Act
http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/fract.htm
2A Monetary Policy Objectives
http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/section2a.htm
Section 2A. Monetary Policy Objectives
『The Board of Governors of the Federal Reserve System and the Federal
Open Market Committee shall maintain long run growth of the monetary and
credit aggregates commensurate with the economy's long run potential to
increase production, so as to promote effectively the goals of maximum
employment, stable prices, and moderate long-term interest rates.』
・・・・・・・・・・・・・・・うーむ、日銀法と連邦準備制度法で示している「目的」はどちらも設定されております(日本の場合は銀行券の発行、決済システムの円滑、信用秩序の維持、物価の安定とならんでいて、米国の場合はご案内のように「the
goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest
rates」ですな)が、このどこをどう読むと「日銀法では目的の独立性がある」という話になるのかさっぱりわからないのですが、もしかしたらイェール大学の教授ってえのはご本人の母国語で書かれた文章が読めなくても務まるものなんでしょうか?????
ということで、何かさっきの安倍さんの話でそもそも前提となる理解に事実誤認がございますが大丈夫ですかというツッコミが(今日だけじゃなくて)成立することの原因って結局ブレーンとやらの方々のアレっぷりがそのまま出ているという風情でありまして・・・・・・
これまた電波浴御用達メディアですがちょっと前の記事。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121121/plt1211211825010-n1.htm
自民・安倍総裁「突破する政治」特別インタビュー デフレ脱却、尖閣防衛を大いに語る
2012.11.21
安倍さん曰く『野田首相が、財務省・日銀に操られたパペット(人形)であることを証明している』(上記URLより)との事ですが以下自粛。
#しかしいい加減このネタに釣られるのも生産性が無いのでスルーしたいのですが、次から次へとツッコミの釣り餌を提供してくれるもんだから困ったもんです
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2012/11/30
ということで今日も安倍さんに釣られるあたくしなのでありました。
○「経済の安倍」で売り出そうとしているのは判るのですが・・・・・・
昨日も金利市場の皆様は朝っぱらから安倍さん発言のヘッドラインに釣られクマーなのであります。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME819F6KLVRQ01.html
自民党の安倍総裁:物価上昇2%まで無制限緩和、手段は日銀が (1)
更新日時: 2012/11/29 10:36 JST
『11月29日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は29日午前、都内のホテルで開かれた日本アカデメイアとの交流会で講演し、政府・日銀が2%のインフレ目標を設定した場合はそれに到達するまで無制限に緩和し、超えた場合は引き締めに入るとの認識を示した。』(上記URLより、以下同様)
上記記事はまとめ物なので10時過ぎの配信になっていますが、実際はこの交流会は所謂朝食会みたいなもので、ブルームバーグの関連ヘッドラインはこんな感じでした。
8:14*安倍自民総裁:日銀の国債引き受けするべきと言ったこと1回も無い
8:15*安倍氏:日銀の国債引き受け報道はマスコミが間違えた
8:16*安倍氏:次元の違う新しい強力なデフレ脱却策をする
8:17*安倍氏:このままでは平成の大不況に突入する可能性
8:17*安倍氏:インフレターゲットはそれ以上でもそれ以下でもだめ
8:17*安倍自民総裁は:日本アカデメイアとの交流会で語った
8:18*安倍氏:2%を超えたら引き締めに入る
8:19*安倍氏:2%までは無制限に緩和
8:23*安倍氏:日銀の独立性脅かしているというのは全くわかっていない批判
8:24*安倍氏:中央銀行が完全に独立性担保されているのは金融政策の手段
8:26*安倍氏:インフレ期待を高めるのは公共投資
8:27*安倍氏:インフレ期待の後に円安と株高が来る
ということで朝から威勢よくヘッドラインが流れた(他のベンダーまで一々チェックしていませんがまあこんな感じだったんでしょうな)のですが、いやもうねという所で安倍さんって本当に面白いですわ(棒読み)という所でにゃんとも。
『安倍氏は「インフレターゲットはそれ以下でもだめだが、それ以上でもだめだ。例えば2%というものを決めれば2%を超えていくという段階で引き締めに入っていく。この技術が中央銀行の人たちには問われる」と指摘。その上で、「制限は2%。額にではなくて目標に対して無制限で緩和をしていくということだ。政策手段については日銀が行っていく」と説明した。』
2%までは「無制限緩和」を実施して2%を超えていくという段階で「引き締めに入っていく」ってそんな事したらフルスロットルでアクセル踏んでいたものをいきなり急ブレーキ掛けるようなもんで、それはどこをどう考えても金融市場全般に対して物凄い勢いでストレスを掛ける話で、ボルカーショックも裸足で逃げ出す超越金融調節方針にも程があるんですけど・・・・・・
>この技術が中央銀行の人たちには問われる
>この技術が中央銀行の人たちには問われる
>この技術が中央銀行の人たちには問われる
・・・・・・・・・・いやあのそんな技術問われましても出来ないものは出来ないのでありまして、安倍先生の仰るのは言うてみれば生身の人間にイカロスの翼渡してこれで太平洋無着陸飛行してこいとかいうようなもんで、実務上のフィージビリティーを何も考えずに無茶振りして「あとはお前がうまくやれ」とかパワハラ上司も土下座しそうなお話に腰が抜けるというものであります。昨日も申し上げましたが、そもそもそんな超厳格なターゲット政策は世界のどこの中央銀行でもやってませんぞなもし。
つーかですな、
http://jp.reuters.com/article/topnews/idjptye8aq03g20121127
日銀は2%の物価目標を、法改正なら雇用にも責任負うべき=安倍総裁
2012年 11月 27日 16:25 JST
2日前には「雇用にも責任負うべき」という話をしていまして、もしデュアルマンデートを求めるというのであれば物価目標の2%を達成したとしても雇用目標との関係で引き締めをしない方が適切という場面が生じるのでありまして、日銀引受と財政規律喪失のセットで財政インフレ懸念というのに対する反論をしたいというのはよく判るのですが、その説明をするのに今度はいきなり厳格なインフレターゲットの話を始めて、つい2日前に言っていたデュアルマンデートの話といきなり矛盾するとか、そもそも安倍さんがあるべき政策フレームワークを理解しないでああだこうだ吠えているのがバレバレになるので、毎度申し上げておりますようにあまりこの件を突っ込んで話をなさらない方が良いと思うのですけど・・・・
大体そんな細かい技術論を首相(まだ首相じゃないけど)が知っていなければいかんというものでもなくて、もっと大括りの理解で本質的な所(政府が中央銀行に財政ファイナンスを強要するのは良くないですよねとか)を押さえておけば良いだけの話だと思うのですよね。
てかさ、上記のニュースヘッドラインにしても、「金融政策の手段は独立している」と言いながら「無制限緩和しろ」とか金融政策の手段について言及してみたり、「インフレ期待を高めるのは公共投資」ってだったらインフレ目標2%は何のために実施するんだよとか、どうも金融政策に関する安倍さんのここ2週間のご発言を拝読するに、「一つ一つの話(というかパーツパーツの部分というか)は内容の是非はともかくとしてそれなりに筋が通っている」話をするのですが、「一連の話を通して読むと各個の話(パーツ)の内容が前後で相互矛盾を起こしている」というのが誠にアレでございまして、色々と勉強をして微調整しているというのは有るのかも知れませんが、何か政策ブレーン()の某ウォッチマン先生がそういうのを得意にしているのにまるでそっくりというのが何ともアレでございまする。
まあそんなこんなで債券市場は「この調子じゃあ政権取っても金融緩和バイアスは掛かるけど債券売りになるような過激な政策は実施できないでしょ」と思いっきり高を括るの巻となって昨日も昨日で10年カレントは直近高値(低金利)更新でござるの巻だったりしておりましたな。
まあここまで散々話題にしてしまっているので引っ込みが付きにくいのは判るのですが、いい加減安倍さんの生兵法で村正の妖刀を振り回しまくるの図を止めさせないと、今は安倍トレードとか言って囃し立てている市場も呆れだします(まあ金融政策への認識がある金利市場が真っ先に呆れているのですが)し、一国の宰相(まだ宰相じゃないけど)が海外投機筋の絶好のカモの図とか正直見たくはございませんのですけどねえ。
いやまあ相手が一般ピープル向けだったらこの程度の話でも「安倍さんって経済にも強いんだ!すごーい!!」って事になるのかもしれませんが、その挙句部分部分はあっているけど全体を見ると矛盾している謎の金融政策理論を一般ピープルに啓蒙されますと世の中の為になるとは到底思えないので心底ご勘弁願いたいのですが、あと2週間この調子でニュースを見させられるということですかそうですか。
#ということですが、まあ安倍さんの話も多分ここから先は同じ話が循環して出てくるだけのような気がします。ウォッチマン先生の俺様理論の展開状況からするとそんな感じがするのですが
追記:どうでも良いけど朝の公共放送ニュースでニコ動の党首討論ニュースやっていたのですけれども、原子力政策に関して安倍さん「原子力発電で廉価な電力を得て日本は高度成長を達成してきた」と仰せなのだが原子力発電の本格推進ってオイルショック(即ち高度成長後)で「いつまでもあると思うな廉価な原油」状態になってからじゃなかったでしたっけ?????
○相場雑談を少々
・買入オペ金利がちゃっかり低下している件について
昨日の基金長期国債買入結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121129.htm
国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上3年以下) 14,332 7,006 0.097 0.098 86.2
共通担保資金供給(資産買入等基金)(12月3日スタート分) 34,169 8,013 23.5
一昨日の基金短期国債買入結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121128.htm
国庫短期証券買入(資産買入等基金) 29,478 8,006 0.098 0.098 32.9
月曜日の基金CP買入結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba121126.htm
CP等買入(資産買入等基金) 5,665 3,982 0.102 0.106 57.1
という結果なのですが、これらのオペの前回の結果は以下の通り。
基金長期国債買入は前回が14日で買入利回りは平均0.099%足切り0.098%
基金短期国債買入は前回が22日で買入利回りは平均0.099%足切り0.099%
基金CP買入は前回が19日で買入利回りは平均0.110%足切り0.109%
・・・・・・ということで、各種買入オペの金利が低下となっています(CP買入なんぞ平均0.4bp足切り0.7bpも低下してやがります)って動きでございまして、買入残高積みあがり効果ともしかしたら利下げあるかも思惑が無い訳では無いというのもあり、CPに関しては買入対象銘柄の中で利回りが高め(つまりクレジット的に少々アレ)の銘柄が日銀様の買入枠いっぱいになってきたのでというような所があるんでしょうな、うんうん。
・今さらですが業態別当座預金残高推移
本当はこれ16日に出ているものなので証文の出し遅れにも程があるのですが備忘録という事で。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/jcabs.pdf
今回見て「ほほー」と思ったのは、季節柄超過準備が落ちる(9月積み期間は国債償還要因があるので超過準備が積みあがる傾向があって10月は資金需給の問題もあってその反動が起きる)傾向にある10月積み期間だというのに「都市銀行」と「外国銀行」の超過準備が絶賛拡大していること。一方で「地方銀行」とか「その他準備預金制度適用先」とかは平常モードで超過準備が減少しているので、突出して伸びてますなという感じです。
まあ考察すると、というほどの事でも無いですけれども都市銀行の超過準備(ちなみに見るのは月中平残の方を見るのが基本ですので念の為申し添えます)が平残ベースで9月、10月と順調に拡大しているというのが目立ちますなというのはどういうインプリケーションかと申しますと、要は超過準備積み上げ上等スタンスになったというのと、超過準備発生する背景として日銀の国債などの買入オペに積極的に参加して基金オペに国債とかをせっせと打ち込んでいるというのがあるんでしょうなあという所でしょうな。
そらまあ0.10%で3年以下の国債買って買入オペに0.098%で打ち込んで超過準備に積んでというのをすれば微かながらも鞘は取れますから(だから実際には3年以下の国債を0.10%では買わせてくれませんけど話の例えで言っているのを念の為申し添えます。逆に言えばこれらの日銀買入対象ゾーンの金利が0.10%になったらそれこそ青州黄巾兵30万人の如く怒涛の買いが大軍団となって押し寄せてくるというおそロシアな話ではあります)、そーゆーのもせっせとやれば金利が下がって瀕死の状態の短期部門(3年を短期というのかは微妙だが・・・・・)も雀の涙であっても無いよりはマシな収益が上がりますし、日銀からしてみると資産買入が順調に進捗しますし、まあ皆様ウハウハの展開という事ですな、うんうん。
まあその結果として市場金利が更に低下して日銀当座預金非適用先の享受できる金利が下がって投信生損保涙目の展開という事になる訳ですけど・・・・・・・
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2012/11/29
○やはりまた安倍さんのアレとかの続き
・財政ファイナンスしろの話が問題なんですけどね
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012112800727
2%超えたら金融引き締め=インフレ目標は厳格運用−安倍総裁【12衆院選】
(2012/11/28-19:10)
『安倍晋三自民党総裁は28日午後、都内で街頭演説を行い、同党が政権公約として掲げる2%のインフレ目標について、「2%を超えていけば(金融政策を)引き締めるということだ。インフレ目標を定めた国で、ハイパーインフレになった国は世界中どこにもない」と述べた。』(上記URLより)
うーむ、相変わらずよく判っていないようですが、そもそもインフレ目標政策というのは足元の数字に直接対応して金融政策を上げ下げするのではないというのは英国の状況を見れば一目瞭然でございますし、大体からして金融政策の波及効果にタイムラグがある上に物価って景気に遅行して動く傾向があるので、そんなリジットな物価ターゲット政策を打ったら金融の緩め過ぎと引締め過ぎの連発になるだけなんですけど。今頃「インフレ目標を厳格運用する」ような政策枠組み組んでる国は「世界中どこにもない」と思いますけどにゃあ。
つーかですな、「インフレ目標を定めたらハイパーインフレにならない」というのはあまりにもナイーブな話で、過去に起きなかったから将来も起きないというのは理由にならない訳で、財政規律無視しながら金融緩和を強要して財政ファイナンスしやがれとかやっているとやはりマズーな気はしますがね。
まあ先の大戦後の日本の大インフレは供給能力に下方ショック(戦争による生産力破壊と植民地喪失)に敗戦に伴う軍事関連支出の急激な拡大に財政ファイナンスが加わっての通貨膨張の合わせ技が原因で、普通に考えたら供給ショックが起きなければまあそう簡単にとんでもないインフレにはならないでしょうけれども、ただまあ足元の日本ではエネルギー関連の輸入超で貿易収支が赤くなっている所に来て財政ファイナンスとか無茶振り言い出すと輸入物価ルートでショックが掛かるという日本国内的に誰得な物価上昇パスはあるんじゃネーノとは思いますけどね。
何はともあれ重要なのは財政規律の方で、延々とネット減税しかしないような政治が続いているというスカポンタンな状況の下で社会保障関連で支出は確実に増えていくのでございますからして、そっちの方をどうにかして頂かないと困る訳で。
・・・・・・それは兎も角として、安倍さん何でこの件をしつこく発言するのかというのがワケワカランチ会長なのですけれども。話せば話すほど「付け焼刃の生兵法」というのがバレバレになるのでありまして、いやまあ聞いている方も素人だからよく判ってないでしょうしそれはそれで「安倍さんって経済通で凄い」的な印象を与えるのには良いのかもしれませんけれども、浅学菲才ながら一応物事を素人さんより判っているつもりでいるこのあたくしのような市場関係者とか政策担当者からすると最早見るに堪えない状態になってしまわれているというのはご本人の為にも宜しくないと思うのですけれどもねえ。
・ウォッチマン先生は何トーンダウンしてるのやら
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME6GNM6TTDT501.html
安倍総裁ブレーン・高橋氏:日銀総裁に英国式説明責任を−物価目標で
『11月28日(ブルームバーグ):嘉悦大学の高橋洋一教授はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、日本政府はインフレ目標を設定するとともに、目標が達成できない場合は日本銀行総裁に理由を説明するよう求めるべきだと述べた。同教授は、自民党の安倍晋三総裁のブレーンの1人。インタビューは27日に行った。』(上記URLより、以下同様)
この先生以前はみんなの党のヨッシー先生のブレーンやってた筈で、つい最近は橋下さんのところでアドバイザーみたいなのをやっていたという具合の方で、なんちゅうか政治家さんってそういう渡り鳥にも程がある人(まあ本人の理屈からしたら政治信条云々では無くて正しい経済政策を理解してもらいたいのでそういう人にアドバイスするという事なのでしょうけれども)を良くもまあ重用しますなあ安倍さんとか思いますがそれは兎も角。
『高橋教授はインフレ目標が達成できない場合、中央銀行総裁を「英国と同じように議会に呼んで質問するか、言い訳をレター(公開書簡)にして議会で説明させる」べきだと主張。一方で、ニュージーランドのように総裁を退任させるのは「ちょっとやりすぎ」と述べた。』
・・・・・・・・・??????
えーっと、議会に呼んで質問って言いましても既に日銀総裁の国会出席回数って他の主要国の中銀対比異常なまでに多いですし、BOEの書いているレターなんぞ「これこれの理由で中長期的に見たら物価は2%に下がります(キリッ)」というのを1年じゃ効かなく書き続けているだけの紙状態でございますけど。つーか総裁の解任権が無いのはおかしいとかこの先生主張してた筈なんですけど、何かこの先生言う事がコロコロ変わり過ぎで(大体からしてかつては「マンデルフレミングモデルによって財政支出効かない」とか主張してたのに今の生徒の安倍さんはゴリゴリの財政支出派じゃないですか)もう何が何やらという所で。
#まあそんな感じで安倍さんのトーンが落ちているのが見えてきたのも効を奏したのか債券市場におかれましては売る理由が無くなってしまいまして0.715%テイクンとかやりやがっている訳ですが
○銀行券ルールの実務的妥当性に関する雑談
公明党の西田さんと言えば以前も結構強烈な緩和主張をしていましたが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME5YH16K50Z301.html
公明・西田氏:大胆な金融緩和、日銀券ルールの撤廃を−インタビュー
『11月28日(ブルームバーグ):公明党の西田実仁参院国会対策委員長は、デフレ脱却に向けて日本銀行が大胆な金融緩和に踏み切るよう求めた上で、購入する長期国債の保有残高を日銀券の発行残高内に抑える「日銀券ルール」を撤廃すべきだとの考えを明らかにした。26日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで語った。』(上記URLより、以下同様)
えーっと既に基金買入の分で銀行券残高超えているんですけど。
『西田氏は、「日銀券ルール」について「こんなルールを内規で定めているのは日本しかない。この際、デフレを脱却するまでは廃棄すべきだ」と述べた。デフレ脱却後は一定のルールを設定することは必要とも付け加えた。』
うむ、基金国債買入は「物価安定の目途達成が見通せるようになるまで」継続するのですから、「デフレを脱却するまで銀行券ルールを廃棄してデフレ脱却後に一定のルールと設定することは必要」なら今の枠組みと同じのような気がするんですが・・・・・・
『日銀の資産買い入れ等基金による国債購入が同ルールの例外扱いされていることについては「分かりにくい。すでに従来のルールはもう壊れている」と指摘した。』
まあ判りにくいという指摘は判らんでもないですが、ただまあ西田さんの主張されている話だと(話がこの記事通りという前提で考えた場合)今の枠組みと同じでして、何がどう違うのかという話ではあります。
#確かに「見せ方を判りやすくすることによって気合を見せる」という効果があるのは否定しません
そもそも銀行券ルール自体が日銀総裁などの説明によりますと「野放図な国債購入拡大によって日銀が大量に保有する長期国債が財政ファイナンスと見なされないようにする」という事になっているらしいので、要は財政規律の方がきちんと確保されていて、それが将来的にも担保されているというのであれば、そもそもの問題意識である「中央銀行による財政ファイナンス化懸念」というのが発生しないのですから、銀行券ルールがどうしたこうしたというのは別にどうでも良い話という事になりますぞな。
然るに、どう考えても財政規律どころかPB達成すらいつまでたってもできそうもないという状況な中で財政バンバン出しましょう的な話ばかりが(選挙だから仕方ないけど)次期政権与党になりそうな所からバンバン出てくるという状況でございますので、まあ中々この手の歯止めを外すというのもアレではないかという気もしますけどどうなんでしょうかね。
・・・・・・・でまあ銀行券ルールって財政ファイナンス懸念を起こさせない的な話にはなっているようなのですが、短期市場とか資金需給とか判っている人だったら何を今更の話ですけど、銀行券ルールはまあ実務的に考えた場合にも妥当ですよねというお話を一席(まあどこかの席で話をした気もしますし、以前(数年前)簡単に書いた事はあるのでご存知の方はスルーしてくらはい)。
日銀が資金供給するだの吸収するだのというのっていうのは結局の所インターバンク市場での資金需給を調整することなのですが、これを日銀のバランスシートで見た場合、市中の資金需要分っていうのは思いっきりざっくりと言ってしまえば「発行銀行券総額」に「所要準備預金額+日々の資金需給分」が相当する(たぶん政府預金分がそれに加わると思うが)という話でありまして、このうち短期的に動くのは日々の資金需給に相当する部分で、銀行券の増発(がインターバンク市場の資金不足要因になるという理屈を理解する所から短期市場の理解がスタートしますので判らないかたは東京マネーマーケットでも麿の本でも読んでくらはい)や還流、財政の揚げと支払という事になります。
一方で長期的に資金需要として固定化されている部分っていうのは発行銀行券残高の底溜まり部分と、インターバンクの所要準備のほぼベース部分と見られる部分でして、日々の日銀のオペレーションで資金需給を均そうとすることを考えた場合、長期的に固定化されていると見られる部分については「足の長い期間の資金供給」を行うのが理に叶っていて、短期的な部分については「足の短い期間の資金供給」を行うのが適切という話になりますわな。
ただまあテクニック的に言えば、上澄み部分相当だけを短期のオペで出し入れすると、そもそも市場全体の資金過不足と個別参加者の資金過不足は必ずしも一致しない(例えば市場全体で1兆不足の時もしかしたら2兆不足の金融機関と1兆余剰の金融機関があるかもしれませんという話)ですし、何らかの事情で資金需給がおおきくぶれた時の対応がややこしくなるので、基本的に言えば長期的な固定部分の資金にある程度食い込んだ形で短期の資金供給オペレーションを行って、そこの上げ下げをしながら調節する方が技術的にもやりやすいし市場関係者的にも楽(ある時はオペ残高が1兆である時は11兆というよりは、21兆から31兆というような形でオペの底溜まり部分がある方が市場の方も対応しやすいという意味)という事になりますぞなもしという事であります。
でまあその資金供給のうち「足が長い」のが中長期国債の買入であり、「足の短い」のが通常の短期オペですよねという事でありますので、短期金融市場における資金過不足調整を円滑に行うという観点からすると銀行券ルールっていうのは調節技術上も比較的意味のある話ですよねというのがまあ結論になるのですが、この説明自体は少々ざっくりベースで行っていますのでもうちょっと正確な説明するにはどうしたら良いのかという件については読者の皆様におかれましては誰か親切にご教授頂きますと誠に有り難く存じますのですが。
#ということで、何か今日はしょうも無い雑談(しかも知っている人には何を今更ネタをドヤ顔で説明するの巻でしたし)になってしまいましたすいませんすいません
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2012/11/28
○例によって安倍さん関連
・もう何と申しますか
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112700749
「米倉経団連会長は勉強を」=緩和強化批判に安倍自民総裁
(2012/11/27-17:51)
『自民党の安倍晋三総裁は27日、都内で講演し、金融緩和強化の一環として日銀に建設国債の購入を求める持論に対し経団連の米倉弘昌会長が「禁じ手」と批判したことについて「今も日銀は市場から国債を買っている。米倉さんは勉強してもらいたい」と反論した。』(上記URLより以下同様)
・・・・・・・・えーっと、米倉さんは(以下の記事にもありますが)「中央銀行による財政ファイナンス」を念頭に「禁じ手」と言ったんですけど。「米倉さんは私の発言を誤解しているようなので正しい理解をして頂きたい」程度に話を止めておけば良いのに「日銀は市場から国債を買っている事も知らないのか」的な言い方をしてどうするねんというか、要は批判されたのでムキーとなっているというのが見え見えなので一国の宰相として如何なものかと見られ兼ねない話になるだけなのでこの件どうせ安倍さん得意じゃないんですから余計な物言いをしない方が良いと思うのですけど。
『米倉会長は26日の記者会見で、日銀による国債の直接引き受けを念頭に「安倍総裁は『建設国債を日銀が引き受けなさい』ということで、世界各国で禁じ手となっている政策は無謀に過ぎるのではないか」と述べていた。安倍総裁は「建設国債の直接引き受けと言ったことは一回もない」と強調。「これから選挙戦を戦う上で米倉さんとけんかする気は全くないが、間違った認識は正しておく必要がある」と語った。』
・・・・・・・・「輪転機を回してお金を増やす」「建設国債を全部買ってマネーを強制的に市場に流す」とか「無制限に緩和」「従来の自民党とは違った次元の大胆な金融緩和」などという言葉を散々並べたら、受け止める側でまあ市場の事を理解している記者さんも市場関係者も普通に「中央銀行に財政ファイナンスをやらせる」という趣旨として理解する方が自然でして、従来やっている日銀の国債買入と同様の話ですとか後から言われましてもと思いますが。
大体からして本当に「中銀の国債引受要請じゃない」って思っているのなら当初「引受」と解釈された報道が流れた時点の先週土曜の夜以降即座に否定すれば良いものを、世間が大騒ぎして批判がドカドカ出てから「そのような意味で申し上げたわけではない」(どこかで聞いたような物言いを思い出しますが^^)とかえーっともしもしどういう事ですか(しかもその間に安倍さんブレーンの一人と言われている某ウォッチマン先生は「中央銀行の引受が禁じ手というのは世界的に見て間違い」とかネットで発信(ちなみにそれも変なのですが)してましたぞなもし)と存じますが、元々経済政策は安倍さんの得意分野とも思えませんし、いつのまにか3%のインフレ目標の話が2%になったりとかにもありますように、あまりこの件で詳細な部分に踏み込んで話をしない方が変なボロが出ないと思いますけどね。
つーか、「米倉さんは勉強してもらいたい」と仰せの安倍さんにおかれましては、確かに勉強はしておられているようなのですが、残念な事にその勉強を教えている教師が少々アレな方々であって、アレな先生にアレな事を教わった結果として発言が市場をちったあ判っている者から見ると大丈夫かおいという風になるという一連の動きは誠にご勘弁願いたいものでございます。
ちなみに先週末のWSJでは安倍総裁のインタビュー記事がありまして、紙ベースの物を読んだだけなので一々引用できないのが残念ですが、そちらの記事は題名が「日本の安倍氏は財政支出にフォーカスを置く」とかいう話になっていまして、「我々の政策はデフレ脱却に集中する」として「しかしデフレ脱却は金融政策単体では達成できない、財政政策も必要である」とゆー話をしてまして、何か国内ベースの報道での安倍発言とトーンが違うんですがという違和感はあるので、興味のある方はWSJの先週末の週末版を読んでちょ(1面と14面にあるぞな)。
・俊ちゃんキタコレ
まあ話題になっていたのでご覧になられた方も多いと存じますが。
http://www.canon-igs.org/management/toshihiko_fukui/20121121_1663.html
2012.11.21 [役員室から] 打ち出の小槌はない
理事長 福井 俊彦
・・・・・・・・・・・・・俊ちゃんキタコレでございますが、全くご尤もという所でございまして、安倍さんも勉強熱心であるというのは把握致しましたので、できましたら今周囲におられます変な取り巻きからのレクチャーというのを止めて頂いて(そういや月曜の某六本木テレビの某番組で取り巻きさんが雁首揃えて出ておられたとの話を小耳に挟みましたが)俊ちゃんなどからの授業を受講されますと誠に有り難く存じますが、どうも取り巻きさんたちが「日銀の陰謀ガー」「財務省の陰謀ガー」とか言う人たちのようでございまして、聞く耳持たないとか言い出さないかと不安はございますな。
という事でしかしまあこのネタで書く事が毎度あるとかネタに困らないのは結構でございますが、どう見てもいち国民としては不幸だなあとしか思えないのがorzorzでありまする。
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2012/11/26
○安倍さんネタが尽きませんなあorzorzorz
金曜の朝の時点ではちょっとトーンダウンしたのかと思いきやこれはまた・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDVMGI0UQVI901.html
安倍総裁:日銀は円安を謙虚に受け止めよ−自民政策発表で80円台 (1)
『11月22日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は22日午後、東京都内で開かれた商工会全国大会であいさつし、自らの政策発表を受け、外為市場で円安が進んでいることを日本銀行は謙虚に受け止めるべきだとの認識を示した。』(上記URLより、以下同様)
・・・・・・・・・・・・・・・中央銀行に財政ファイナンスを要請した発言をして円安が進行したのを捕まえて「謙虚に受け止めるべき」とは大きく出ましたなと申しますか、そもそも政府の責任で実行する政策について市場が好感したなら百歩譲ってドヤ顔するのも判らんでも無いが、そうじゃない筋違いの話を受けて市場が反応したからドヤ顔とかやはり事の重大性を全然認識しておりませんぞなという所で。
つーかさ、「自分の発言でこのように市場が反応したぞどうだエライだろ」とかそういうのは自分の心の中で思っていたとしても口に出したら「自分の発言で市場をマニュピレートしようとしている」と受け止められ兼ねない話であって、いいからそういうのは本人は口にするなというか、ドヤ顔(これがまたアレな事に安倍さんのドヤ顔が想像できてしまう所があたくし的にはアレなのですが^^)で言わない方が良いと思うのですけどねえ。
まあそれ以前の問題として、安倍さんの言うとおりになって期待インフレが上昇するのであれば債券市場は長期債超長期債中心に絶賛大暴落になっている筈でして、当初はまあ反応したものの結局の所反応は限定的(全く金利上昇していないとは言わない)でして、ソイヤソイヤとやっているのは政治ネタ大好きの海外投資家(投機筋?)メインの為替市場のようにも思えますがね。
『その上で、「われわれが政策を発表しただけで、なかなか80円台に戻らなかった円は下がった。下がったことによって一体、何人の雇用が守られたか。このことも日銀にも、ちゃんと謙虚に考え直してもらいたい」と語った。』
ふーん、為替が2円位動くと雇用がビビットに動くんですねえ(棒読み)、ていうか為替介入するなら財務省に介入させればよいだけの話じゃないの??
でまあ公明党の反応が冷静なのですよね。
http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012112201001698.html
公明の山口氏、「国防軍」否定的 日銀法改正も不要
2012/11/22 20:15 【共同通信】
『公明党の山口代表は22日、自民党が衆院選政権公約で掲げた憲法改正による「国防軍」保持に否定的な見解を表明、金融緩和実現に向けた日銀法改正についても不要だとの考えを示した。自民党が公約で保守色の強い「安倍カラー」を前面に出したことに対し、政権復帰後をにらみブレーキをかけた格好だ。』(上記URLより)
そういや超どうでも良いのですが、わざわざ国防軍とか名前を変えるのも周辺諸国の批判ネタを提供するような気もしますが、自民党政権公約の項番96で「中国・韓国・ロシアとの関係を改善」すると仰せの割には他の項番でアレな項目があったりしるような気もして大体からして政権公約に328項目とか盛り込み過ぎにも程があるわと思いますがそれは兎も角。
山口代表は既にこのような発言をしておられましてですね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LAAC6J1A74E901.html
公明党・山口代表:日銀法改正論に賛同できず、独立性に影響
『10月15日(ブルームバーグ):公明党の山口那津男代表は、政府と日銀によるインフレ目標政策の共有を目指す日本銀行法の改正論は、日銀の独立性に影響を与えかねないとして同党としては賛同できないとの考えを明らかにした。ブルームバーグ・ニュースとの14日のインタビューで語った。』(上記URLより、以下同様)
10月に既にこのような話をしていた次第。
『山口氏は日銀法改正について「にわかに賛同しない」と言明。その理由としては「政治の多数決原理に委ねてしまうということは日銀の独立性に影響を与える。独立性が必ずしもなくなるという意味ではないが、やはり、政治の介入が強くなってまずい」と指摘した。』
仰る通り。
『山口氏は物価目標政策について「仮に法律をつくらなくても、政府と日銀の大きな意味での連携は図れる」と指摘し、法改正なしでも政府・日銀がデフレ脱却に向けた共通の政策目標を設定することは可能との認識を強調。日銀が5日の金融政策決定会合で決めた包括的な金融緩和策について「実質的にはわれわれの言っている政策に近いものがある。一応、評価している」と明言した。』
直近の山口代表の発言でもあたくしがどこかのベンダーで見た時には「日銀法改正なしでも運用次第で出来る」という趣旨の発言を山口代表がしていたというのを拝読しておりますが、肝心のニュースがネットで拾えなかったので10月のインタビューを拾ってみました。
『また、民主党議員有志で作る「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)が検討している、日銀の政策目標の一つに「雇用の最大化」を日銀法上に明記する案に関しても、「にわかにこれも賛成できない。物価の安定というのが日銀の本来の使命だから、雇用をどうつくり出すかというのは産業政策や、財政政策、税制、規制緩和等の手段によるべきであって、これはまさに行政のサイドの話だ」と否定的な見解を示した。』
誠に仰る通りで、一方で為替が数円動くと雇用が何人守られるとかドヤ顔で仰せのどこかの誰かさんには山口代表の爪の垢を煎じて飲んで頂きたい物であります。
『一方、政府・日銀による再度の為替介入については「急激な円高が進むということは、現実に厳しい影響を受ける国民や企業がいるということ。為替介入が一定の効果があると見込めれば、それは果断にやるべしというのが政治家の務めではないか」と語った。』
ただまあ物価目標の話もそうですが、公明党の方が極端な話をしてこないだけに緩和に関するプレッシャーはこれはこれであるようにも思えますにゃ(^^)。
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2012/11/22
○ということで先に自民党公約関連その他
・自民党政権公約来ました
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121121/stt12112122520013-n1.htm
自民党公約要旨
2012.11.21 22:51 (1/3ページ)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20121122-00000000-nnn-pol
自民党、衆院選の政権公約を発表
日本テレビ系(NNN) 11月22日(木)1時17分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20121122-00000825-fnn-pol
自民党政権公約発表 安倍総裁「『次元の違う』政策を」
フジテレビ系(FNN) 11月22日(木)1時7分配信
ということですが、本チャンは自民党のサイトにアップされていますので、それを見るのが吉なんですけど・・・・・・・・・
http://www.jimin.jp/policy/manifest/
公約関連
自民党がみなさんにお約束する公約を掲載しています。自民党では、実現できる約束こそが、本当の公約と考えます。
第46回衆議院議員選挙(平成24年度)
とのことで、詳細はこちら
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/j_file2012.pdf(1M以上あるのでご注意)
何せ1MB以上あるという代物でして、貫録の54ページ組(ファイルは表紙と目次入れて56ページ)で公約の項目が328項目もあって、ざっと斜め読みするだけでも死ねるので週末にのんびり読みたいとは思いますが、何か実行するのに色々と重そうな件があると思えば「建国記念の日の式典を政府主催で実施します」とかまあその手のイデオロギーの方的には重要なのかも知らんが何かわざわざ政権公約でいう話かというのもあって、色々な物をここぞとばかりに突っ込んでいる感はするのですけど。
ちなみに金融屋御用達のニュースベンダーとかではこちらの政権公約の項番40については報道されていましてですな。
『40 アジアNo.1の金融・資本市場の構築』(上記自民党政権公約ファイル本文7ページ、ファイルの9ページ目)
『日本をアジアの金融・運用の中心地にするべく、企業の活力ある経済行動と国民資産を適切に運用できる公正な競争条件の確保かつ十分競争できる活発な金融資本市場を構築します。まずは金融セクターの対GDP比を英国並みの10%台に押し上げ、「業」としての金融を育成します。』
『そのために、「貯蓄から投資へ」の流れを促進する簡素で分かりやすい証券税制への見直しや東証「グローバル30社」インデックスの創設、「日本総合取引所」の創設、外資誘致のための新たな金融特区の創設など、民間金融機関・証券市場の活性化や資産運用マーケットの強化を行います。その際、国民にとって健全な経済と成長に結びつく企業法制と資本市場法制を統合したガバナンス構築を目指します。』
まあその制度改革の方は良いとしまして、金融特区の話とか金融育成の話とかってリーマンショック前の話の蒸し返しにも程がありまして、今や世界的に金融がシュリンクしますぞなという状況下において外資誘致だの金融特区だの、そらまあ金融屋的には金融振興して頂いて金融業に財政支出の恩恵でも頂ければアリガタヤではありますけれども、海外金融機関がグローバルに縮小という中で外資融資の為の新たな金融特区ですかそうですかという風に思いましたが。
懐かしの東京金融街構想につきましては本石町日記さんの過去ログでも(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/7020034/
金融街構想はマジなんですかね by bank.of.japan | 2007-06-25 22:08
・・・・・・・うむ、2007年6月と言えば安倍政権ですかそうですか。
・安倍さんトーンダウンとな
そらまあ昨日の朝刊では日経まで社説でケチョンケチョンに批判に回ると来たらさすがにトーンダウンしますわなと思いながら。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121121-00000152-jij-pol
安倍総裁の「日銀」発言を修正=物価目標、2%で決着―自民党公約【12衆院選】
時事通信 11月21日(水)19時44分配信
『自民党は、21日発表した衆院選の政権公約に、デフレ・円高脱却を最優先として日銀に「大胆な金融緩和」を迫ることを盛り込んだ。しかし、日銀による国債引き受けなど異例の金融政策を求めた安倍晋三自民党総裁の発言について、事実上修正。目指す物価上昇率の目標も2%に落ち着き、「選挙向けのアドバルーンから現実路線への軌道修正」(大手証券ストラテジスト)を図った形だ。』(上記URLより、以下同様)
『安倍総裁は「次元の違う政策」を合言葉に、政権交代を織り込む株式・為替市場の期待をあおってきた。(1)物価目標3%(2)無制限の金融緩和(3)日銀法改正や日銀による建設国債引き受け―を矢継ぎ早に提唱。円安・株高が進行する「安倍相場」を演出した。』
『ただ、日銀が目指す物価目標は当面1%であり、日銀の国債引き受けは財政法で原則禁止されている。このため与野党幹部だけでなく、白川方明日銀総裁も「現実的ではない」と反論。国際金融界に影響力のある英経済紙フィナンシャル・タイムズは「賢明でない」と批判し、反響の大きさに慌てた石破茂幹事長ら自民党幹部が「火消し」に回る事態に発展した。』
この辺の書き方に微妙に悪意を感じますが・・・・・・
『安倍総裁は21日の記者会見で、物価目標について「私は3%がいいと思っているが、2%か3%かは専門家に任せる」と発言。批判が集中した国債引き受けでは「市場から日銀が(国債を)買う。直接買うと言ってはいない」と述べ、事実上トーンダウンした。』
ということでほとんど引用になってしまって甚だ申し訳ございませんが、一応話が現実的なものになるという動きになるのは結構ですが、そもそも安倍さん経済政策で勝負するタイプの人じゃないですし、その上更に細かい話までああだこうだ言いだしてドンドン突っ込み所を増やして盛大に墓穴を掘っているという風に見える訳でございまして、正直この手の経済ネタは甘利さんにスポークスマンやってもらって堅実な話をしておけば良いのにと思う次第。
大体からして民主党政権になって一番アレだったのは「安定感が無い」という所だったのですからして、もっとどっしり構えれば良いのに何でまた得意分野でも無い経済の所で大騒ぎを起こして何か安定感無いなあ的な雰囲気を出すんだか安倍さんわざわざ自分を不利な状況に持って行ってどうしますねんとは思いますがの。
ちょっとワロタのはこの辺りのニュース。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121121/k10013671831000.html
安倍総裁“直接買い受けと言わず”
11月21日 23時20分
『これについて、安倍総裁は、21日の記者会見で、「私の発言が正確に伝えられていない。私は、日銀がいわゆる『買いオペレーション』により市場から建設国債を買うと言ったのであって、『日銀が、政府から直接買い受ける』とは言っていない」と述べ、財政規律の観点からの懸念は当たらないという考えを示しました。』(上記URLより)
という事ですが、「全部買ってもらいたい」とか「輪転機を回してお金を刷って」とか言いながらそういう話をしたら世間は「引受による財政ファイナンス」という文脈でしか受け取りませんし、大体からして昨日の日経新聞によれば安倍さんの知恵袋らしいどこぞのウォッチマン先生とかも普通に日銀引受の正当性を主張していたりしてましたぞなもし。
だいたいからして「そのような意味で申し上げた訳では無い」とか後から言っても、特に金融政策のように市場が相手で、その市場は過敏に反応しやすく、事と次第によっては取り返しのつかないような動きをその場の勢いで平気でやってしまうようなものでありますので、発言は慎重にして頂きたい訳で、変な生兵法で聞きかじりの事を適当に言うのが一番危ないので本当に勘弁して頂きたい物だと存じます。
#つーか、「建設国債の買いオペ」って物理的フィージビリティーが無いのですが詳しくはめんどいので割愛
つーか、いつも日銀批判する人たちが単に国会の質問で質問されたから答えただけの「低金利の影響で家計の収入は幾ら減ったと計算されます」というのを捕まえて「日銀はトンデモ主張で金利を上げようとしている」とか批判したりとか、「日銀はデフレターゲットをしている」というような悪意のすりかえ主張(あくまでも日銀の目標はデフレ脱却であって、それに向かって金融緩和をしている訳ですから、それが出来ない事を批判するならともかく、日銀が意図的にデフレ誘導している訳では無いでしょ)をしたりしてますが、こういう時に急にこういう話になる辺りが実にまあアレですなあとかある意味微苦笑という所でもありましたとさ。
・佐藤ゆかり議員のアレな認識
関連してこんな所にもツッコミどころが。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK055917920121121
〔アングル〕公明党が「日銀の国債引き受け」発言に待った、自民党も現実路線に軌道修正
2012年 11月 21日 21:48 JST
『[東京 21日 ロイター] 政府・民主、日銀に次いで、公明党も安倍晋三自民党総裁が主張する「日銀の国債引き受け」に待ったをかけた。中央銀行の独立性と財政の信認をゆるがし、経済への悪影響が懸念される強硬論に慎重な対応を求めた。こうした動きを察知してか、安倍総裁は政権公約発表の記者会見で自身の発言を軌道修正した。』(上記URL先から、以下同様)
というのは良いのですが、最後の方に何か思いっきりアレな発言が。
『佐藤氏は「米連邦準備理事会(FRB)も欧州中銀(ECB)も金融政策の主要な考え方は、無制限緩和、無期限緩和が主流になりつつあり、日銀は逸脱している。日銀は基金は増加させるというが、輪番オペによって保有した国債の償還分を乗り換えですべて買い入れていない」と指摘した。』
・・・・・・・この佐藤氏というのは佐藤ゆかり議員のことなのですが、別にFEDもECBも無制限無期限緩和とかいう言葉でイメージされるような政策フレームは採用しておらず、「政策目的を達成するまでの政策継続」であって、単にその期間やそれまでの額が「事前に決定できないから額や期間の期限を切らない」というだけの話ですし、ECBに至ってはそもそもOMTは条件付き発動だし未だに1ユーロも購入してませんし、OMTで買った国債は不胎化するって宣言しているのですけれども、「無制限緩和、無期限緩和が主流」とか都合のいい曲解にも程がある訳で、これで良く「金融政策の専門家」を名乗って何とかストやってたわと呆れる次第、つーか無期限無制限とかの安倍さんの話ってこの辺からも吹き込まれているのかと思うとorz感が更に高まるのでありました。
・・・・・・・いかん、悪態書いてたら肝心のネタががががが
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2012/11/21
○引き続き安倍総裁発言関連の続き
色々とクリップだけしておく。
・自民党の公約案はトーンダウン???
昨日の日経新聞朝刊にもアウトラインが出ていて、今日も公共放送でさらっと案について触れていましたが。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112000674
日銀法改正視野に金融緩和=物価上昇2%目標−自民経済公約案
『自民党がまとめた衆院選の政権公約のうち、経済政策の最終案が20日、分かった。デフレ・円高からの脱却を最優先と位置付け、2%の物価上昇率の目標を設定。目標達成に向けて「日銀法改正も視野に政府・日銀の連携強化の仕組みをつくり、大胆な金融緩和を行う」と明記した。政権を奪還すれば速やかに「第1弾緊急経済対策」を断行し、「本格的大型補正予算」を編成することも盛り込んだ。』(上記URLより)
3%じゃなくて2%なの??しかも日銀法改正を「視野に」ってそれ随分とトーンダウンしてますね。
・・・・・・・というのもあった上に、安倍さんの発言がエスカレートしていくうちに元々現実的と言えば現実的ですが冷ややかというかシラケ鳥的なメンタリティーのある債券市場様におかれましては、安倍さんの話って結局実現性低いですかそうですか的な認識が強まったのか昨日は貫録のブルフラット(先物は結局1銭安でしたが)となっておりましてオソロシス。
・公明党も日銀の国債直接引受には反対とな
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201211/2012112001027&rel=j&g=pol
日銀国債引き受けは問題=公明・斉藤氏(2012/11/20-23:00)
『公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は20日夜のBSフジの番組で、自民党の安倍晋三総裁が日銀による建設国債の引き受けを提案したことについて「財政規律の面で非常に問題がある」と指摘した』(上記URLより)
ほっほー、これはこれは(^^)。
・中塚さんとか岡田さんとかの発言
中塚金融相
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20121120-00000043-jnn-bus_all
金融相「軍事独裁政権じゃあるまいし」
TBS系(JNN) 11月20日(火)18時29分配信
『自民党の安倍総裁が日銀に対し、大胆な金融緩和を求めると発言していることについて、中塚金融担当大臣は「軍事独裁政権じゃあるまいし」と述べて、強く批判しました。「日本銀行に無制限の緩和をさせるとか、建設国債は全部引き受けさせるとか、発展途上国の軍事独裁政権じゃあるまいし。一国のリーダーとしてはふさわしくない」(中塚一宏
金融相)』(上記URLより)
・・・・・・・・・(^^)。
岡田副総理
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112000844
「安倍氏は慎重に発言を」=日銀の金融政策−岡田氏(2012/11/20-18:44)
『岡田克也副総理は20日午後の記者会見で、日銀の金融政策をめぐる安倍晋三自民党総裁の一連の発言に関し、「マーケットで円安、株高といい反応が出ていると思っているかもしれないが、野党の総裁だから許されるもので、首相が同じ発言をすれば、国債の金利高騰を招きかねない」と批判した。その上で「永遠の野党ならいいが、政権交代を目指すなら、慎重に発言を」と述べた。』(上記URLより)
>政権交代を目指すなら、慎重に発言を
>政権交代を目指すなら、慎重に発言を
>政権交代を目指すなら、慎重に発言を
・・・・・・・・・・いやお前がその口で言うかという気はしますが、それよりも昨日市場に乾いた笑いを巻き起こしたのはいつものあの方でした。
・前原先生貫録のクオリティ
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121120/fnc12112011560010-n1.htm
前原経財相が自民・安倍氏発言を批判 日銀の独立性担保を強調
2012.11.20 11:54
『前原誠司経済財政担当相は20日の閣議後の記者会見で、自民党の安倍晋三総裁が日銀にさらなる金融緩和を求め、日銀法の改正にも言及していることについて、「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判。「日銀の独立性は担保されないといけない」と述べ、日銀法改正には慎重な姿勢を示した。』(上記URLより)
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
>「政治が金融政策に介入しようとしている」と批判
・・・・・・・・・・・・・・さすが前原さん!俺たちに言えない事を平然と言ってのける!そこにシビれる憧れるぅ!(AA略)
・安倍さんの反応
一方の安倍さん。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012112001011
安倍氏、野田首相の批判に反論=金融政策、学者の「お墨付き」(2012/11/20-22:31)
『自民党の安倍晋三総裁は20日、都内の会合で、自身が提唱した日銀による建設国債引き受けを「禁じ手だ」などと野田佳彦首相が批判したことに対し、「エール大学の浜田宏一教授から『非常識なのは野田さんの方だ』とのファクスが来た」と述べた。さらに、自らの金融政策について「金融の泰斗(権威)にお墨付きを頂いた」と強調したが、これ以上の反論はなかった。浜田氏は日銀の金融政策を批判している経済学者として知られる。』(上記URLより)
何かこの記事の書き方には微妙に悪意があるような気がするのだが・・・・・・・
以上、ただのネタクリップでした。
○英国の「新手の金融緩和」ってのがありましてですな
いやまあこれあたくしもうっかりスルーしていたので、ロイターさんの記事で色々と調べる機会が出来てそれはそれで良かったんですけど。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/article/topNews/idJPTYE8AJ05520121120
アングル:英中銀が「新手」の金融緩和、マネタイゼーション議論に一石
2012年 11月 20日 18:02 JST
まずは上記URL先の記事を読んでくらはい(長いけど)。
・・・・・・・でまあこれ読んで「何でマネタイゼーション論議と関係あるのか判らん」という感想を持つほうがまあ普通でして、ここで「単なる国庫納付の話じゃネーノ」と思うのはまあ短期市場や資金繰り実務への理解がある方ではないかと思います。
でまあこの施策の元ネタは実はこの辺にあるのですな。英国財務省のサイトから。
http://www.hm-treasury.gov.uk/press_109_12.htm
09 November 2012
Changes to cash management operations
『On 9 November 2012 the Government agreed with the Bank of England to
transfer to the Exchequer the excess cash held in the Bank’s Quantitative
Easing (QE) facility. 』
『This will align the cash management arrangements for the facility with
normal government practice and with the approach followed by other countries
undertaking QE. On the 9 November 2012 the Chancellor of the Exchequer
and the Governor of the Bank of England exchanged letters agreeing the
cash management arrangements. 』
『Since 2009 the Bank of England has operated QE by buying gilts and holding
them in a dedicated facility called the Asset Purchase Facility (APF).
These gilts attract regular coupon payments from the Exchequer. With the
purchases of the APF having reached £375 billion, this Facility has now
accumulated a large cash balance. As the scale and likely duration of the
scheme has increased significantly since its inception, it makes sense
to normalise the cash management arrangements for the APF. 』
『From now on this excess cash will be transferred to the Exchequer on
a regular basis. This will improve transparency and align our practices
with those of major central banks like the United States Federal Reserve
and the Bank of Japan. 』
・・・・・・そういやこの辺に関連する話題として以前某大師匠様と「そういやBOEのAPFって何か変な会計してたような気がしますなあ」という話をしておりまして、この記事見て英国財務省のページを探したら見落としていた物が見つかったので感謝ということで。
えーっとですね、BOEの資産買入(APF)の場合、購入した債券の利金収入についてこれまで実はわざわざAPFの中のポジションとして管理している格好になっていまして、その為にAPFの中でキャッシュ勘定をしこたま抱え込んでいる状態だったのを、FEDや日銀のように、利子収入に関しては国庫にお返しする形にしましたよというのが今回の動きでして、ここのリリース文のどこをどう読むと「新手の金融緩和」という事になるのか小一時間問い詰めたいのですが、実はまあ確かに記事にあるような話もあるのですがそれは後ほど。
でまあその後の方を読むとこんな事が書いてあるのだ。
『At some point in the future, as monetary conditions normalise, it is
likely that the cash flows will need to be reversed. Return payments from
the Government to the APF may be necessary to meet shortfalls in the APF’s
net income as the Bank Rate rises, or capital losses on its gilt holdings
as the Monetary Policy Committee unwinds QE. The previous Government agreed
that any future losses incurred by the APF will be met in full by the Government.
For this reason, any net coupon income transferred from the APF to the
Exchequer should be used solely to pay down government debt.』
『These changes will have no effect on the Monetary Policy Committee’s
ability to set monetary policy: the APF remains fully indemnified by the
Treasury and all future gains or losses are due to the Treasury. 』
つまり、金融正常化の過程では当然短期金利が引き上げられることになるのですが、この場合APFはキャッシュポジションが払い超になって資金ショートになるという説明になっているので、どうもAPFはその勘定として、保有する債券のファンディングコストを政策金利だか何だかこれだけ見ても判らないのですが、まあチャージするような会計になっているようで、その結果として今持っている長期国債の利回りよりも短期金利が高くなったら逆鞘になるという話のようでして、その場合は財務省が面倒を見るという握りになりましたということのようですな。
この辺に関しては厳密な理解はあたくしもあまり自信は無いのですが、FEDや日銀の場合は資産買入や通常のオペレーションなどによる利息収入については(もちろん個別には認識しているでしょうけれども)まとめて全体として収益がこれだけだから国庫納付がこれだけですよというような形になっていると理解しておりますので、例えば長期国債買いが嵩んで急に利上げが来たのでという事になった場合、全体としての国庫納付金が減る(とか場合によっては赤字決算になるとか)という結果になると思うのですが、BOEの場合は出口政策以降における期間収益問題に関してもAPFはAPF単体として認識して言ってみれば勘定分離するような形を取っていたのですね、というのは把握しました。
ちなみにBOEのAPFの説明のページが
http://www.bankofengland.co.uk/markets/Pages/apf/default.aspx
にあって色々と説明があるのですが、ドキュメントが大杉で実はあまり精読した事がないぞな(汗)
さてさて、ロイターも釣られた「新手の金融緩和」云々ですが、実はこの件BOEのサイトにそんな記述がありましてですな。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2012/104.aspx
Transfer of cash from the Asset Purchase Facility to HM Treasury
http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/Documents/pdf/govletter121109.pdf(BOEからHMTresuaryへの書簡)
http://www.hm-treasury.gov.uk/d/chx_letter_091112.pdf(HMTresuaryからBOEへの書簡)
でまあ上の方のBOEからの書簡の1ページ目の下の辺りから2ページ目に掛けてこんな記載があるのよ。
『During its meeting of 7-8 November I briefed the MPC on the agreement
we have reached. The Committee was content that its ability to set the
appropriate stance of monetary policy would not be affected by this action.』
これはさっきの財務省の説明と同じ。
『But the Committee noted that its policy setting would need to take account
of the effect of this action, which amounts to a small loosening of monetary
conditions.』
どう見てもただの両建て解消にしか見えないのですけれども・・・・・・・・・
『This is because, as the Committee noted, your intention is to use any
funds transferred to the Exchequer to reduce the stock of outstanding government
debt. As a result the private sector will hold fewer gilts and more money
than otherwise. That implies an easing in monetary conditions relative
to the present position in which the coupon payments are held on deposit
by the APF. The Committee therefore views the use of coupon income to reduce
the stock of outstanding gilts as having an effect similar to the MPC purchasing
gilts of the same value.』
まあ正直言って物凄い細かい話でして、これをもうちょっと判りやすくする為に日本の政府のキャッシュマネジメント効率化に例えてみれば良いと思うのですが(って言ったら更に判りにくくなりますかそうですか)、財政収支が真っ黒でも無い限り、普通に考えれば政府の資金繰りって国債(長期なり短期なり)とキャッシュがバランスの左右にある訳で、その中でキャッシュマネジメントを効率化して政府預金のキャッシュを圧縮すると、その分だけ見合いとなる国債による資金調達が減りますよというお話なのですが、本質的には単なる両建て解消ですし、元々APFで持っているキャッシュというのは国債の利息即ち国から払われたキャッシュでございますので、まあハナクソ程度の意味合いだと思うのですけどねえとは思います。
BOEが「an easing in monetary conditions」って盛大に言ってますからロイターの記者さんが釣られるのは致し方ない罠とは思いますけれども、これは広義の政府部門におけるキャッシュマネジメントの効率化というだけの話でありまして、これを捕まえて「金融環境緩和」というのはかなり強弁にも程があるように思えますので、最初記事読んだときにロイター何ゆうとるんじゃと思いました(明らかにマネタイゼーションとは関係ないですし、国債発行が減る方なのですからむしろ逆ですぞな)が、これは怪しげな説明を繰り広げるBOEの方が悪いわと思いました。
以上超越マニアネタですが、面白い話だったのでメモメモという事で。
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2012/11/20
○安倍さん発言関連昨日のニュースフローとか市場雑談とか
・債券市場の反応について1週間プライスアクション見てなかったあたくしが感想
ふむふむ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDPFZM6JIJXL01.html
債券は下落、円安・株高や安倍自民党総裁発言を警戒−日銀会合見極め
『11月19日(ブルームバーグ):債券相場は下落。為替市場で円安基調が続く中、国内株価が続伸したことが重しとなった。自民党の安倍晋三総裁が建設国債の日銀引き受けに言及したことへの警戒感も強まり、売りが優勢となった。』(上記URLより)
ということですが、次期首相最有力候補が「中央銀行による財政マネタイズ」を堂々と発言した割にはそんなに反応しませんでしたねという風にあたしゃ思った(話が逸れるけど目の前のモーサテとかで「踏み込んだ金融政策が期待される」とか為替の人がゆうとるのだが「中銀の財政マネタイズ」って最早金融政策じゃねえだろそれと思うのですけどねえ・・・・・)次第で、ついでにイールドカーブ的には昨日は先物から10年が弱めで20年とかまあ確り目(というほど極端に変化があった訳でも無いが)とかでしたので、まあ債券市場的には「ど〜せ選挙対策で威勢の良い事言ってるだけで実際にやる訳ねえだろ」という風に高を括っているという所でしょうかね。それから15日以降に特にスティープが進行しました(何せあたくしが更新さぼっている間に5年が1.5毛強くなっている間に30年が4毛甘くなっていましたからにゃあ)のでその反動分もあるでしょうなとは思いました。
先物も一時そこそこ下がったのですが終わってみれば7年10年5糸甘で超長期は5糸強ということではあそうですかという結果ですが、まあ債券市場的にはまだ高括っているモードだという所(もともと安倍さんの場合は前回の首相時代にそれまで言っていた威勢の良い事(外交関連とかで)をそんなに実行しなかったですよねというのがあるのが大きいと思う)でしょうなあとは思いました。
・安倍さんが益々絶好調なのは兎も角自民党自体も有頂天モードになってねえかこれ
http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS1900F_Z11C12A1EB2000/
金融政策で舌戦 自民に無制限緩和論、民主は警戒
前原氏、20日に日銀会合出席 2012/11/19付
『安倍氏は19日昼、党本部で開いた会合で「かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している。大胆な金融緩和をするために日銀と協調し、インフレ目標を設定する」と述べた。2〜3%の消費者物価上昇や無制限の金融緩和に加え、積極的な財政出動が必要だとの認識を示した。』(上記URLより、以下同様)
>かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している
>かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している
>かつての自民党政権とは次元の違うデフレ脱却政策を説明している
・・・・・・・・・そら中央銀行に財政マネタイズさせるとか「次元が違う」わなとしか申し上げようがございませんが、どうも市場の反応を見てすっかり有頂天モードになっているんじゃネーノと言うのがオソロシス。
『これに先立ち、自民党の菅義偉幹事長代行は同日午前、地元の横浜市内で街頭演説し「安倍総裁が日銀法改正と無制限の金融緩和に言及したことで、円が7カ月ぶりに1ドル=81円台になった」と訴えた。』
・・・・・・・・・・うーむ、「中央銀行に財政マネタイズさせて積極財政政策」という普通に有り得ないレベルの発言を止めるどころか党幹部までが円安株高を見て盛り上がってしまっているとかどうなってるんだ自民党はorzorzという所。
#しかし前原さん日銀会合出席とかもうお前は以下悪態につき自主規制
公共放送ニュースでもこんな感じ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121119/k10013599601000.html
安倍総裁“デフレ脱却が最優先”
11月19日 20時10分
『自民党の安倍総裁は党の地方議員の会合であいさつし、デフレからの脱却が最優先の課題だとして、政権に復帰した場合には2%か3%の物価上昇の目標を設定し、日銀にさらなる金融緩和を行うよう求めていく考えを改めて示しました』(上記URLより)
朝の公共放送ニュースでは「デフレ脱却」の方じゃなくて「日銀への金融緩和を求める」というのがヘッドラインになっていたのですが、それに該当するニュース記事がNHKのサイトにございませんでしたのでその前のニュースURLを付けておきましたが、まあいずれにせよ今日も今日とて安倍さんの金融政策関連発言が公共放送のニュースヘッドラインを飾る形になりましたとな。
・まあさすがに反動も
http://mainichi.jp/select/news/20121120k0000m020056000c.html
経済同友会:財政規律言及を…代表幹事、安倍氏発言に苦言
毎日新聞 2012年11月19日 19時54分
『経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事は19日の記者会見で、自民党の安倍晋三総裁が建設国債の日銀引き受けなどを提唱していることについて「財政規律の問題もバランスを取って言わないと(市場に)間違った捉え方をされる」と苦言を呈した。「財政規律が緩んだまま金融緩和をじゃぶじゃぶやりますと言うだけでは規律が効かない」と指摘。財政不信が国債金利急騰など弊害を招く事態に懸念を示した。』(上記URLより)
・・・・・・・・・・・まあ仰る通りですが積極財政をすると思いっきり言っている中ですからそれは無い物ねだりだと思います。
つーかね、別に日銀に国債引受させなくたって市中消化可能だし、日銀の金融緩和は物価安定の目途があるのだから当面延々と継続しますし、今でも新発2年債を市場から全力で吸収する勢いでの基金買入ペースになっているのですから、そこまで露骨に言わなくても別に黙って復興名目で公共事業出して国債増発すれば良いじゃんと思う訳で、そこに日銀への政治圧力を絡めるとか財政マネタイズを絡めるとか筋悪も筋悪の話を絡める必要はねえだろとゆー所で、どんだけ筋の悪いブレーンがついてるんだかと残念無念に思う所であります。
・お告げキタコレ
どうもね、あたくしの場合途中を割愛していきなり安倍さん発言連発の結果から入っているからその分だけインパクトがデカイのかもしれませんけど、ちょっとお前さん方それは幾らなんでも有り得ないだろうという話を見て頭が痛いこのあたくしにお告げキタコレ。
http://www.musha.co.jp/4248
・・・・・・・・・・・・ほほー
『創造的金融緩和を試す意義はあるのに、なぜトライしないのだろうか。』(上記URLより)との事ですが、積極財政するから「無制限の」金融緩和しろとか財政マネタイズしろとかいうのってどこがどう「創造的」な金融緩和なのかおじちゃんさっぱり意味が分からないのですけど、単にそれは破壊的な金融緩和(というか破壊的な財政政策という方が正しいのでは??)ではないかと思うのですが、次の小見出しを拝読すると『臨界点に来たデフレの災禍』とのことですが、もしや臨界点なのは(以下禿しく自主規制)。
#うむ、創造性の無い悪態を書いてしまったぞな
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2012/11/19
○まずは安倍さん関連のニュース時系列整理をしておくぞな
衆議院解散します発言が党首討論で出た辺りから安倍さんがアレということで、とりあえず休載中の時系列メモね。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8AE02H20121115
安倍自民党総裁、無制限な金融緩和や景気刺激型予算を提唱
2012年 11月 15日 17:08 JST
『[東京 15日 ロイター] 自民党の安倍晋三総裁は15日、政権を奪還した際の経済運営に関して、これまでの自民党政権の対応とは次元の違う政策で対応するとの決意を語った。総裁は、デフレと円高が最大の問題だと指摘。』(上記URLより、以下同様)
『政策の実効性をあげるには「一番良いのはインフレ目標をもつことだ。2%がいいのか3%がいいのかは専門家に議論して判断してもらいたい。この達成のためには、無制限に緩和をしてもらう。』
インフレ目標って今の物価安定の目途と何がどう違うのかまず説明して頂きたいですな。
『日銀の政策手法の「まずさ」にも言及し、「たとえば、最も安全な日本銀行に0.1%で預けられるのでは日銀に預けることになる。逆にゼロにするかマイナス(金利)にするくらいにして、貸出圧力を高めてもらわなければならない」としたほか、国債の買いオペに関して短期債のローリングでは不十分だとも指摘。「無制限にやって、それを続けてやることでインフレ期待が起こる」と注文を付けた。』
・・・・・・・・・・orz
えーっと、日銀当座預金付利をマイナスにしたら量的緩和が出来なくなる(資金供給オペの金利もよりマイナスにするなら出来ますけどそれやっても意味は無いでしょ)りますし、大体からして市中の金は何ぼ回っても最終的には日銀当座預金の形で戻ってくるのですからそこの金利をマイナスにしたから貸出伸びるとか考えている時点でアレですぞなもし。
ついでにですな、「インフレ目標達成まで無制限に緩和」ということですが、物価というのは遅行指標ですからして無制限緩和で長期債バカバカ買うと今度は目標達成後の正常化オペが物凄く大変な事になって市中金利を乱高下(というか急騰)させることになるのですけれども大丈夫ですかいなとか、まあ何とも穴だらけの話をしておりまして、どういう人から金融政策のレクを受けているのか大丈夫かよ自民党という所ですが・・・・・
でまあ次期首相候補最右翼の方がそんな事言うから市場は反応します罠。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121115-00000212-jij-int
円、半年ぶり81円台=安倍氏の「無制限緩和」発言で―ロンドン市場
時事通信 11月15日(木)23時1分配信
『【ロンドン時事】15日午前のロンドン外国為替市場は、自民党の安倍晋三総裁がこの日の講演で「無制限の金融緩和」を求める発言をしたことで円売りが加速、円相場は4月27日以来約6カ月半ぶりに1ドル=81円台まで下落した。』(上記URL先より)
となりました所で、市場が反応したので更に安倍先生調子に乗って週末にはこんな発言が出たようでございますな。
http://www.asahi.com/politics/update/1117/TKY201211170629.html
2012年11月17日21時54分
「建設国債は日銀に買ってもらう」 自民・安倍総裁
『自民党の安倍晋三総裁は17日、熊本市内で講演し、「建設国債はできれば日本銀行に全部買ってもらう。これによって新しいマネーが強制的に市場に出て行く」と語り、政権に返り咲けば日銀に建設国債の引き受けを促す考えを示した。』(上記URL先より)
・・・・・・・・・・えーっと、中央銀行に新規財源債の引受をさせますとかOECD加盟国でG7国の内閣総理大臣最有力候補者が発言とか何を仰る兎さんという話がそもそも論としてある訳で、どこのロバートムガベ先生ですかという所で、週明けの本日の債券市場様はどのくらい反応するのやらと思うのですが、本当の本当にそんな話を堂々するのが政権公約ですよという事になりますとマジで景気も吹かないのに長期金利上昇とかいう素敵な事になって株価にも良いとも思えないのですけどねえ。
まあその他どうでも良いのですが、そもそも「これによって新しいマネーガー」とか言う話と15日講演での日銀当座マイナス金利の話が思いっきり整合性が取れないのでありまして、日銀当座預金金利マイナスとかにしたら当座預金残高急減要因なんですよね、と思ったらこんな話もしていたのか安倍先生。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121115-OYT1T01105.htm
安倍総裁、「タンス預金」の活用に前向き
(2012年11月16日11時11分 読売新聞)
との事でございますが、タンス預金を使うとこれまたマネーが減る話になるのですけど、どうも金融政策に関する話について、一つ一つに関しては一応纏まった見解になっているのですが、話を通してみるとあちこちで矛盾が生じるという誠に素敵な状態になっておられるようで、いやあの選挙までにもうちょっと何とかして頂きたいと存じますが自民党本部様におかれましてはそれなりに優秀なスタッフの方々も居た筈なのですがどうなってしまってるのよという所でございますわな。
しかし他の記事を拝読いたしますと・・・・・・
http://mainichi.jp/select/news/20121118k0000m020037000c.html
安倍総裁:建設国債の全額日銀引き受け検討 独立性懸念
毎日新聞 2012年11月17日 20時01分(最終更新 11月17日 22時16分)
『自民党の政権復帰が有力視される中、安倍氏が衆院選後の一段の金融緩和に言及した14日以降、円相場は対ドルで2円近くも円安が進行した。この日の講演では「私が講演しただけで円安になり株価は上がり続けた。市場は私たちの実行を望んでいる」とも述べたが、政府・民主党内からは「日銀の独立性を度外視したような発言だ」(前原誠司経済財政担当相)との批判が出ている。』(上記URL先より)
・・・・・・・・・えーっと、債券市場は日本に対して特にコミットしている訳でも無い売り豚以外は国債市場そのものがあじゃぱーになり兼ねない国債引受の実行は望んでいないでしょうし、大体からして国債引受で財政サステイナビリティの信認低下で円安になったらそらまあ市場の一部は大喜びしますけど、どうみても誰得な円安になるだけの話なんですけど、すっかり市場が動いたのでご機嫌上得意のドヤ顔になっておられるようで勘違いに拍車が掛かっていそうでオソロシスとしか申し上げようがございません。
・・・・・・・というのをとりあえず時系列(一部順序違いますが)でまとめておきましたが、まあ週末のコメントは日経新聞夕刊(土曜日)にも出ていましたようですので皆様におかれましては当然ながら先刻ご承知の介だと存じますが。
でまあ「中央銀行に国債引受」というさすがにアレな発言に野田さんがしっかり反応したようで、公共放送の朝6時台と7時台のトップニュースがこれでございましたぞなもし。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121119/t10013588551000.html
選挙戦で金融緩和と日銀の役割も論点に
11月19日 5時9分
『野田総理大臣は、自民党の安倍総裁が、公共事業の財源に充てるために発行される建設国債を日銀が引き受けることを検討する考えを示していることについて、「財政規律が緩むことになる」などと批判しました。衆議院が解散され、各党が事実上の選挙戦に入るなかで、デフレからの脱却に向けて、金融緩和と日銀の役割も、今後、論点の1つになりそうです。』(上記URLより、以下同様)
『自民党の安倍総裁は、17日の講演で、「やるべき公共投資を行い、そのための建設国債を、できれば日銀に全部買ってもらうことで、新しいマネーが強制的に市場に出ていく。景気にもよい影響がある」と述べ、政権に復帰した場合、公共事業の財源に充てるために発行される建設国債を日銀に引き受けさせることを検討する考えを示しました。』
『これに対し野田総理大臣は、イギリスのフィナンシャル・タイムズのインタビューに答え、「日銀による建設国債の直接買い入れを実施すれば財政規律が緩む。財政の観点からおかしい」と批判しました。』
と思いっきり公共放送は安倍さんの発言に関して「中央銀行の国債引受」という文脈で報道しています罠キタコレという所でございます。
しかしまあ何ですな、最後から2番目の記事にございました前原大先生様の発言ですが・・・・・・・
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121115-00000129-reut-bus_all
前原経財相が安倍自民総裁の日銀発言を批判、「独立性を度外視」
ロイター 11月15日(木)22時56分配信
『[東京 15日 ロイター] 前原誠司経済財政担当相は15日夜の会見で、自民党の安倍晋三総裁が最近の講演などで、日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し「日銀の独立性をまったく度外視したような発言をしている」と批判した。』(上記URL先より)
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
>日銀の金融政策に繰り返し言及していることに対し
・・・・・・・・・・・・・いやとりあえずお前が言うなというかブーメランというか。某偽メール問題と言い、どこぞのダム問題と言い、この人がドヤ顔でしゃしゃり出てくると碌な事にならないの法則がこんなに早くに炸裂するとかさすがとしか申し上げようがございませんな。
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2012/11/09
・ここでブルフラットとな
昨日の債券市場様におかれましては平壌運転どころか40年国債入札前から超長期が堅調で入札結果も前場引けのオファーサイドよりも強い結果で、たぶん市場の事前予想よりも1毛近く強かったんじゃネーノという事になりまして、先物は何か微妙にうだうだする間に超長期がいい感じでフラットニング。引けに掛けては先物が強くなったのか置いてかれ中期が若干買われたっぽいからなのかは知らんですが先物ホイホイ上昇して終了して10年カレントは久々の0.75割れで引けは2毛強の0.74%だわ20年カレントの引けは3毛強の1.660%だわと。
まー何ですな、アメリカ大統領選挙&議会選挙ちゃんは元々の想定通りにねじれで終了しましたし、特例公債法案は審議入りして来週には目出度く成立と散々待たせやがりましたがこちらも片付くという事で、まあテールリスク的な位置づけではあったものの踏むと地雷な政治リスク案件のうち大きいのが2丁片付いたとゆーことで買わない言い訳が無くなって来ましたなあとゆーのは何となく判らんでも無いが、何ともまあな昨日の相場ちゃんでございました。つーか先物と関係なく(というのは今に始まった事ではないですが)超長期が勝手に旅に出ておられたという感じですかそうですか。
・次は衆院選挙ですかねえ
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121108-OYT1T00817.htm
特例公債法案審議入り…13日の衆院通過目指す
(2012年11月8日13時20分 読売新聞)
まあ本当に衆参両院を通過しないと安心は出来ないとは言え、さすがに今回は他の重要法案を通す話も進んでいるようですし、更に早期解散に関する話も今朝になったらホイホイ出てくるという事で、まー何とかなるでしょ。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20121108-OYT1T01763.htm
首相、年内解散を検討…TPP参加表明の直後に
(2012年11月9日03時06分 読売新聞)
TPPを選挙の争点にするだの何だのというのがニュース番組の報道ベースでは出てたと思うのですが、これまた地雷臭のするネタで、何か野田さんって地雷を踏む趣味でもあるのかと毎度毎度不思議に思うのでありました。
ま、どうせ安倍さんの事ですから政権に就くとそれまで言ってた派手な話のうちちょっとさすがにそれはどうよという話は急に現実的になるとは思うのですが、選挙後に安倍さんが本当にインフレ目標3%だとか言い出すと話がこれまたヤヤコシヤな事になるのでそれはそれでリスクかなあとは思いますが、ど〜せ早くて年末の話ですからね。
#朝の公共放送ニュースによると15日に成立の見込みだそうですな
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2012/11/08
○ニュース雑談
・結局順当な結果となりましたが・・・・・・
でまあオバマ再選で上院が民主党で下院が共和党という順当な結果になったのですけれどもダウだうーんとか。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121108/k10013335031000.html
ウォール街 オバマ氏再選に失望の声
11月8日 4時35分
ということで、公共放送はいきなりオバマ再選の市場の受け止め方とか言って「悲しい事だ」とかいう街頭インタビューを放映するとか「財政の崖問題が急に浮上した」というファンドのオッサンのインタビューを放映するとか予想通りの選挙結果で何でそうなるんじゃと小一時間。と申しますか今朝これだけ下げるなら何で前日に「結果がどうなっても不安材料一掃で買い」という話になったのやら・・・・・・・ワケワカラン。
東京時間ではオバマ勝ちそうですなあとなった(と思うのだが)後場寄りに株下げ債券上げになったのですが、その後引けに掛けては結局どっちも前日比ほぼ変わらずという動きになりまして、こらまあ海外の様子見ですなあとか思ったら今朝は盛大にダウだうーんとか雨市場の後講釈を聞いても意味がさっぱりワカランチ会長なので教えてくんなまし。
・CPI3%の世界にインフレフォビアのこの国が耐えられるのかと小一時間
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5176098.html
自民・安倍総裁 日銀に“プレッシャー” (07日18:36)
『自民党の安倍総裁は講演で、次の総選挙で政権を取った場合、日銀に対し物価上昇率の目標である「インフレターゲット」を年率3%に設定させ、達成するまでは無制限に金融緩和を行うよう求める考えを示しました。「(物価上昇率)3%達成するまでは、基本的に無制限で金融緩和していくという発表をしていただく必要がある」(自民党・安倍晋三総裁)』(上記URLより)
ふむ、この前は「無期限、無制限で」とかゆうとったが、さすがにそれは誤認と気が付いたようで何よりですが、ヘドニック掛けた後の状態で物価上昇率が3%とかいう状況に日本の世論様が耐えられるとは到底思えないのですが。
大体からしてそれならまず雇用者所得が毎年上昇するような世の中になってくれないとインフレ期待もへったくれも無い訳でして、公務員給与下げるだの電力料金値上げするならリストラして賃下げしろだの賃金上げない話ばっかり熱心にするこの国でCPI3%どころか1%でも世論様が大騒ぎして大変な事になると思いますけどというのは毎度申し上げている通り。
『また、安倍総裁は、日銀の政策目標に「物価安定」だけでなく、アメリカの中央銀行にならって「雇用の最大化」も加える日銀法の改正を明言しました。』
これまた誰が吹き込んでいるのか知らんけど、デュアルマンデートにすると政策の裁量余地が上がってしまうので本当は望ましくないと思うのですけどね。
まあいずれにせよ今の状況でインフレターゲットだけ高く設定しても、市場的には「はあ?」となりそうですけれども、このインフレターゲット3%が本当に効くという認識になったら物価が上昇する前に市場金利が盛大に上昇するでしょうし、給与が上がらないという認識の下で物価が上がるという話になったら更に消費に悪影響でただのスタグフレーションになって誰得な展開になると思うのですが、何かどうも別の意味で某文部科学大臣的なアレなものを感じざるを得ないのが誠に遺憾ですが、他の選択肢はもっとどうしようも無いというのが日本の
残念な状況orz
・ところで特例公債法案とか解散とか
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5176680.html
特例公債法案、8日から審議入り (08日00:28)
『国会では、8日から、赤字国債の発行を可能にする特例公債法案の審議に入ります。法案は、来週13日にも衆議院を通過する見通しです。衆議院の議院運営委員会の理事会は、8日の本会議に、野田総理と城島財務大臣が出席し、特例公債法案の審議に入ることで合意しました。委員会での質疑を経て、13日にも衆議院を通過する見通しです。』(上記URLより)
いやーやっと成立の方向ですなあという事で。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121108/t10013335001000.html
首相 年内も視野に解散時期探る
11月8日 5時7分
『野田総理大臣は、政府・民主党内から、赤字国債発行法案の成立などに向けて、自民・公明両党の参議院側も含めた協力が確実に得られるならば、衆議院の解散もやむをえないという意見が出ていることを踏まえ、年内も視野に、解散の具体的な時期を探っています。』(上記URLより)
だそうですので、まあ無事に特例公債も通って衆議院解散ということで、じゃあ安倍政権ですねさて前原さんの作ったあの「紙」が禍根を残しそうですなあとか色々と気になるご時世ではあるのですけれども、今のところはニポーンの債券市場様は平壌運転で推移するんでしょうなあとは思いますが、金融政策に関しては何か頭痛と悪態の絶えない展開が待っているような悪寒だけは全力でするのでございまして、はてさて平壌運転で宜しいのでしょうかねえという気もせんではないがどうせ早くても年末で基本的に来年の話ですかそうですか。
#まあ安倍さんの場合、前回の例を勘案すると政権入りすると急に言う事やる事が現実的になるという不思議な仕様になっているような気もするのでそこまで気にせんでも良いのかもしれませんが、デフレがイクナイの認識は結構なのですが処方薬が無茶振りにならない事を希望いたします
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2012/11/05
○これは何と申しますか・・・・・・
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/article/topNews/idJPTYE8A006J20121101
日銀の決定は「歴史的」、政府は成長力向上にコミット=財務副大臣
2012年 11月 1日 18:00 JST
ということで民主党の中では金融通の先端を行く事になっている大久保副大臣のロイターインタビューでして、ほうあの紙が歴史的ですかそうですか、というのはさて置きまして、顎が外れそうになったのはこの部分。
『追加緩和策についても、資産購入基金の11兆円増額を「いわゆる量的緩和は10兆円で、1兆円は質的な緩和」として、指数連動型上場投資信託(ETF)や社債などの増額に踏み込んだ点を評価。「日本経済のボトルネックとなるものがあれば、日銀が支えて風通しをよくする決意が見られる」と述べた。』(上記URLより、以下同様)
とまあここまでは良いのですが・・・・・・・・
『同時に、個人的な要望としながら「一番弱い金融、社債セクターで影響力が大きいのは電力債。電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば」と期待を示した。』
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
>電力債等も含んだものをしっかりと買ってくれれば
・・・・・・・・・・・・・えーっと、電力債を買いにくい状態にしたのはどこのどなたでございましょうかという所でございまして、てめえらの政策で電力債ズタボロにしておいて日銀に買えとかもう無責任にも程があるわと呆れる次第ですが、この他人事感溢れる発言を見ますとお前ら何年政権与党やっているんだと小一時間問い詰めたい所でございます。
○月末の数字が出たので再集計^^;
営業毎旬報告
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac121031.htm/
日銀の保有長期国債銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1210.pdf
別表2を見ますと、
長期国債 20,881,308,148
ということで、目標24兆円まであと3.2兆円弱となりましたが、償還が3366億円ありますので3.5兆円という所で、今月と来月で1.8兆円ずつの買入。先月は3.1兆円ペースで追い込みモードの買入となっていたのでここから買入のペースはやや遅くなるのですが、まあ良く良く考えてみますと特例公債法案成立が遅延すると日銀の買入がスクイーズ効果を出してしまうという本来の趣旨と全然違う残念なことになり兼ねないので少し前倒しで買入をしたのかなというのもありますし、来年頭からの買入フローが若干落ちる(そして年後半にフローが再加速するという謎状態なのだが)のでペースがここで事前調整されるとゆー効果もあったりするのですが。
でまあ銘柄別残高をあたくしの手元で集計してみた(あたくしの集計ベースなので一応確認はしましたが正確性無保証)償還ペースですが、以下の通り。
2013年6月まで:12529億円
2013年12月まで:49852億円
2014年6月まで:82136億円
2014年12月まで:20562億円
2015年6月まで:32771億円
2015年12月まで:6467億円
んでもって今後の残高積み上げは2013年6月までと12月までに各+7.5兆円ですので、来年前半の買入が8.7兆円(月1.5兆円弱)、後半の買入が12.5兆円(月2.1兆円弱)、おまけに言えば残高を維持するという前提で再来年前半は残高維持するだけで8.2兆円(月1.4兆円弱)とまあ盛大な買入になりますなあという感じです。
つーかこれ追加で国債買入増やそうとした場合、来年の後半の買入額を5兆とか増やすと毎月の買入額が2年債の毎月の発行額を超えるとか凄まじい事になってしまう訳で、もはやフィージビリティー的にどうなのかという話でございますし、どう見ても財政マネタイズです本当にありがとうございましたというのも有りますし、大体からして市場がそんな買い受けきれませんぞなもしと申しますか、そういう買入をしておいて金融システムレポート(そういや詳細ネタにするのを忘れてましたorz)で「銀行の国債保有で金利リスクガー」とかどこのマッチポンプだという話になりますな。
・・・・・・・・まあ今回の買入拡大分を来年前半に全部振っておくと月割りで0.4兆円分がさっきの計算上後半から前半にシフトするのでもうちょっと違う形になりますけれども、いずれにせよ5兆円増やした結果としてその後の事を考えますとかなりの盛大な市場からの吸い上げ状態になるという事を勘案しますと、先般の金融政策決定会合前にどうせどこぞの政治家方面から出たんでしょうなあという「20兆円拡大を政府が要望」の電波浴新聞記事でございますが、そもそもお前20兆円という数字にフィージビリティーがあるのかと小一時間問い詰めたいという所でございまして、だからこそ「いやその数字はおかしい」という悪態を書いたと思うのでございますよね。
でまあ2013年12月までの償還分はまあここからそんなに増えないと思います(買うの1年超だから)けれども、ここからせっせと買入をすると償還予定額もホイホイ積みあがるのでございまして、基金増額ガーと割と安易にお話をする人もいるのですが、そんなこんなで償還分のロールという事を考えて物事を語って頂きたい物だと考える所でございます。
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2012/11/02
お題「市場雑談/しつこく展望レポートの物価1%絡みのワーディングの考察」
これは結構なお話。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121101-00000038-asahi-pol
特例公債法案の審議入り容認 安倍氏が方針転換表明
朝日新聞デジタル 11月1日(木)21時20分配信
・・・・・などと言いつつまたモーサテに悪態だが「ECBの国債”無制限”買入プログラム」と日経系のメディアが率先して報道しやがるから世の中の金融政策に対する誤解が拡大してこの前悪態ついた安倍総裁インタビュー記事での話みたいになるのであって、どこぞの電波浴新聞とか電波浴夕刊紙並みの事を日経とあろうものが報道するとかなんだかねえという所であります。
○市場雑談
・今回の緩和では低下ですかそうですか
つーことで市場雑談なのですが、昨日は日本円TIBORが0.32500%となりまして、前日の0.32833%から低下致しました。ちなみにレートについては全銀協のサイトのこのへん(→http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/)で公表されています。
2012年先月までのレート
http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/rate/entryitems/JAPANESEYEN2012.pdf
今月のレート
http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/rate/entryitems/JAPANESEYENTIBOR.pdf
リファレンス銀行ごとのレートとかは多分情報ベンダーの方を見た方が良いと思うのですけれども、都銀さんなどの数行が0.33%の提示レートを0.32%に下げるという動き。
ちなみにユーロ円TIBORは30日の0.32727%から31日に0.32636%、1日に0.32182%と低下しておりまして、まあ今回の金融緩和に敬意を表した格好でございまして、その一連の流れを受けてかどうか知りませんが、ユーロ円金先は緩和を打ち込んだ日には何故か金利上昇の巻だったのですが、その後は金利低下の巻となっておりますな。
だからどうしたと言われると困りますが、まあそういうことで。
・謎の後場寄付きとか
昨日は10年国債入札だったのですが、前場引けた後後場の寄りに先物謎の急落、と思ったらさっくり戻った上に入札はやや強めで更に確りとなったものの、結局先物レベルは前場の引け近辺での推移とかになってましたが、入札が強かった10年ではなくて超長期の方が堅調という謎展開。
誰が何で先物叩いたのか存じませんが、まあそれはそれと致しまして、最近の債券市場は他市場との関連で動くという形がやや崩れている感があって、米国がスティープするのに日本はフラットとか、株が上がっても債券サガランチ会長とか、何か不思議ちゃんな展開がここの所続いているのが何か不気味っちゃあ不気味でございますな。
○展望レポート関連である
今日は基本的見解部分で勘弁。
日本語版
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1204a.pdf(前回)
英語版
http://www.boj.or.jp/en/mopo/outlook/gor1210a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/en/mopo/outlook/gor1204a.pdf(前回)
ということで展望レポート基本的見解でございますが。
・物は試しに佐藤さんと木内さんが反対した部分の英文を読んでみる
物価が「着実に近づいて行く(前回が「遠からず達する」)」と金融政策のセット部分については『VI.
Conduct of Monetary Policy』の所になります。
『The year-on-year rate of change in the CPI, excluding the effects of
the consumption tax hike, is expected to hover around 0 percent for the
time being and start rising gradually thereafter as the aggregate supply
and demand balance improves. In fiscal 2014, it appears likely that it
will move steadily closer toward the Bank's "price stability goal
in the medium to long term" of 1 percent for the time being.』(今回)
『On the assumption that medium- to long-term inflation expectations remain
stable, the year-on-year rate of change in the CPI is expected to gradually
rise to a range of above 0.5 percent and less than 1 percent toward the
latter half of the projection period as the aggregate supply and demand
balance improves. Thereafter, it will likely be not too long before the
rate reaches the Bank's "price stability goal in the medium to long
term" of 1 percent for the time being.』(前回)
これね、まあ前回と比較という話とは別にしまして考えますと、英語の表現と日本語の表現って同じなのは間違いないのですが、ワーディングを見ると日本語よりも英語の方が明瞭になっているのがチャーミングというか何というか。
つまりですね、英語の表現だと上記のように、1%の定義が「足元の数字」じゃなくて「中長期的な物価としての1%」という言い方を明瞭にしているのですが、日本語の表現はご案内の通りでございまして、今回分の該当箇所はこうなっています。
『消費税率引き上げの直接的な影響を除いた消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度には、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくとみられる。』(今回)
これと、物価見通しとしての2014年度平均+0.8%という数字を出されると、ここでの1%という表現が普通に足元の数値としての1%であるとしか読めない訳でございまして、ロンガーランの物価数値なのか足元の物価数値なのか判らんぞなもしというか、普通に読んだらこれロンガーランの1%とは読めないでしょと思うのですよ。
だからこそ昨日引用したように、総裁記者会見での物価に関する質疑でも2014年平均が+0.8%で「着実に近づいて行く」のだったら2015年は1%ですよねという質問が飛んできて、それって中長期的な物価安定の目途を達成ですかそうですか、という風に解釈されやすいと思うので、ここのワーディングってもう少し工夫の余地があるのではないかと思うのですよ。このまままともに解釈すると時間軸が全然長くないという話になっちゃいますし、日銀は中長期的な物価安定の目途達成とか直ぐに言い出すんじゃないかとか思われるリスクを高めているだけのように思えます。
で、1%云々の英文表現を見ると前回が「it will likely be not too long before
the rate reaches the Bank's "price stability goal in the medium to
long term" of 1 percent for the time being.」で今回が「it will move
steadily closer toward the Bank's "price stability goal in the medium
to long term" of 1 percent for the time being.」なので、確かに英文で見ると1%に達するまでの見通しが明言状態から近づくでしょう状態になっているので、表現としては後退しているというのがまあ判るのですが、日本語の表現の場合はそもそもそこが判りにくい上に、昨日も申し上げておりますように数値としての見通しが2014年度で+0.8%中心という置きをされると、2014年度後半には+1%乗せですよね物価安定の目途達成ですよねという解釈をされやすいでしょとゆー話。
どうもここのワーディングに連日拘っておる訳ですが、やはりこの辺りの書きっぷりをもうちょっと工夫した方が良いのではないかと思うのでああだこうだ書くあたくし。昨日会見ネタの所で申し上げましたように、この2014年度+0.8%という数値に「政策効果を織り込む」成分が強く入ったりしてるんじゃネーノというのがあるせいか、どうも展望レポートの中の見通しも随所に微妙にそれ強いんじゃねえのというのが見受けられるような気もせんでもないですし、何かねえ感がするという一環でこの辺りのワーディングも気になる、とまあそういう事ですな。
でまあ強力な緩和を推進云々ですが。
『First, the Bank aims to achieve its "price stability goal in the
medium to long term" of 1 percent for the time being in terms of the
year-on-year rate of increase in the CPI through the pursuit of powerful
monetary easing, conducting its virtually zero interest rate policy and
implementing the Asset Purchase Program mainly through the purchase of
financial assets.』(今回)
『First, the Bank aims to achieve its "price stability goal in the
medium to long term" of 1percent for the time being in terms of the
year-on-year rate of increase in the CPI through the pursuit of powerful
monetary easing, conducting its virtually zero interest rate policy and
implementing the Asset Purchase Program mainly through the purchase of
financial assets.』(前回)
ということで、前回と表現に変化は無く、さっきの部分とセットでみると「ロンガーランの1%」は2014年度ではまだ達することがなく、その先は「着実に近づく」とは言っているものの、前回のように「not
too long」とかいう表現が抜けているので、したがって2014年度一杯は強力な金融緩和を推進しますという結論になる(はずなのに買入のコミットメントをしているのは2013年末までというのも微妙にアレですし、まあそういう質問も総裁会見でありました)のですが、日本語の表現では前段の1%云々の部分が足元の数字なのかロンガーランの数字なのかが判りにくい事から、想定される時間軸が英文と日本文で微妙にこれ違いませんかという気がしますがどうなんでしょ。
でもって総裁会見での説明を通して読む(といいつつまだ成敗してませんなすいませんすいません)、どうも日本語の正本よりも参考扱いの英文の方のニュアンスで総裁は話をしているようにも読めますし、微妙にそうじゃなさそうな部分もあったりしてわけわかんねーという感じなのですが、ここは時間軸に関する部分なので、もう少し全体として判りやすい言い方をした方が良いと思うのですが如何なもんでしょうかねえ。
#まあ曖昧にしておいてフリーハンドを確保したいという気持ちも判らんでも無いが、今はそんな事言ってる場合じゃないでしょと思いますので・・・・・
・リスクバランスチャートがしらっと変更
図なので磔の刑が出来ないという事で、基本的見解の最終頁を見てちょという所ですが・・・・・・
ご覧になると判るように、リスクバランスチャートが今回若干BOEのファンチャートっぽくなっております。で、上位○%とかの分布で色を塗っていますので、例えばCPIに関しての2014年度の予想ですが、全体のレンジが+0.2〜+1.0で上下1名控除後の大勢見通しが+0.4〜+1.0となっていますが、そこに分布が見えるので途中の票の入り方が何となく透けて見える感じです。
で見ると、リスク認識は明らかに下なのですが、政策効果とやらを織り込んだ人が結構いやがるなあとか思うのでございますが、見通しのレンジに対して中央値が+0.8%というのは、そらまあ投票集計的にはそういう事になるんでしょうが、分布をみるとうーむという感じではございます。
とか何とか書いていたら時間が無くなったので、景気見通しだのその辺の話と総裁会見ネタの続きは来週でご勘弁くらはい。
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2012/10/31
お題「決定会合レビューでござる」
まあごちゃごちゃとありましたので色々と。
○しかしまあ時間が掛かりましたな
金融市場調節方針に関する公表文 2012年
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2012/index.htm/
『2012年10月30日 金融緩和の強化について(14時46分公表) [PDF 305KB] 』
ということで結果発表は14:46という事で、ご案内の通りに展望レポートの公表が30分後ろ倒しになって総裁会見が15分後ろ倒しになりましたけれども、まあ散々引っ張ったので為替市場はやや円安(と言っても80円乗せ程度だが)に時間の経過と共に振れるわ、株式市場は為替を見て平均株価先物で9000円手前近辺にじり高になるわとやっておりました。
で、結果出たのは良いのですが、あまりにも引っ張った上に何か情報ベンダーを見るとややこしいヘッドラインがゴタゴタ出てきたということで、ナンジャコリャとなるのが人情というもので、その人情が殺到した結果日銀のサイトへのアクセスが鬼のように重くなり(かく言うあたくしも暫くエラーで往生しまっせ〜状態)という事になりましたが、どうもAPP拡大11兆円という数字が、事前にどこぞの電波浴新聞辺りが20兆とか意味不明の煽りをしたせいもあってインパクトがイマイチだったのかどうか知らんですが、まあその数字の件と、他に色々とゴタゴタと文書が出たり貸出制度が出たりで何が何やらと混乱したせいもあるのかどうか知らんですが、ドル円は80円近辺からいきなり79円30銭位まで(最近の為替市場の値動きからしたら)急落ちっくな円高になってしまい、それを見て株価も指数先物で8800円レベル位までどどーんと落ちるの巻。
債券は最初どうしたもんかという感じで、0.1%の貸出制度で4年だのとかいうヘッドラインで確りしかかったような感じもありますが、APPは拡大されたものの、まあ債券関連の買入については債券的には予想通りだったという事だったのか、単に何かよく判らないからクローズしたかったのかどうか知らんですけど、前場安値の1銭上まで押し込む(47銭近辺から28銭近辺まで下げたでござるの巻)という動きになりましたが、引けに掛けては先物とか10年とか戻って結局144.40(+0.18)で終了の巻となりました。
でですな、今回は以下に申し上げるように色々と変な物がでたせいもあって、本来もっと注目されないといけない声明文での経済現状認識の大下げとか、市場の煽り文句は兎も角として、実際問題として総合指数型ETFの市場規模というか流通残高から勘案するとそんなに買って大丈夫かというレベルになりそうなETFの5000億円追加購入という、他が無ければ結構目立つネタがスルーされてしまったのが日銀クオリティと申しましょうか、それよりは前何とかさんがドヤ顔で首を突っ込むとロクな事にならない(どこぞの偽メール事件に始まり、どこぞのダムとかどこぞの離島の侵犯船問題とか)の法則が炸裂して日銀残念無念と言った所では無かろうかと存じます。
○では本線から参りますので声明文比較:景気の現状認識を下げるが先行きの所が良くワカランチ会長
今回の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121030a.pdf
前回(10/5)の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121005a.pdf
APPとか貸出支援何とかの話は後ほど行いますのでまずは声明文相当部分から。
・景気認識(その1)海外経済は減速感を高める
『海外経済は、減速した状態が強まっている。国際金融資本市場では、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢はやや後退した状態が続いているものの、今後の市場の展開には十分注意していく必要がある。』(今回)
『海外経済は、減速した状態がやや強まっている。国際金融資本市場では、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢はやや後退した状態が続いているものの、今後の市場の展開には十分注意していく必要がある。』(前回)
一瞬同じかと思いますが、前回は減速に関して「やや強まる」という表現だったのが「強まる」となっておりまして、これは即ち海外経済の減速感が高まっているということです。
・景気認識(その2)輸出や鉱工業生産を下げ、内需にも悪影響という認識を示す
ちょうどまた間の良い事にというか悪い事にというか、当日朝に公表された鉱工業生産が華麗にうんこな内容でございましたが・・・・・
『こうした状況のもとで、わが国の輸出や鉱工業生産は減少し、これまで堅調に推移してきた内需にもその影響が一部及び始めている。』(今回)
『輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速した状態がやや強まるもとで、弱めとなっている。一方、国内需要は、復興関連需要などから底堅く推移している。』(前回)
ということで、この辺思いっきり下がっておりましてその結果ですが・・・・・・・
・景気認識(その3)総括判断を引き下げる
『このため、景気は弱含みとなっている。』(今回)
『わが国の景気は、横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)
通常は総括判断が最初にあるのですが、今回は追加緩和の実施というのもあったりしましたので、語順がいつもと違いまして、その辺に関しては今回の声明文の語順に合わせております。
・景気の先行き見通しについては不確実性のコメントのみで、こちらも下方リスク物拡大
『先行きについては、欧州債務問題の今後の展開や米国経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響の広がりなど、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。金融・為替市場動向の景気・物価への影響にも、引き続き注意が必要である。』(今回)
ということで、リスク要因の話はあれども見通しの話は無しということで、これは展望レポートの方では中長期見通しが出ますけど、金融経済月報は月初のMPMで作っていますのでちょっと比較の仕様がありません。
『先行きのわが国経済についてみると、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられるが、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)
というのが前回の先行き見通しで、リスク要因はこうなっています。
『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復力、新興国・資源国の物価安定と成長の両立の可能性など、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きいほか、金融・為替市場動向の景気・物価への影響には注意が必要である。』(前回)
でまあ今回の声明文での話と比較してみますと、新興国資源国に関しては従来は「物価安定と成長の両立の可能性」とあったものが「持続的成長経路への円滑な移行の可能性」とありまして、これは即ち新興国資源国において、成長という認識から、持続的成長になれるかどうかですねえというステージに変化しているという事でこれまた下げな上に、今回は「日中関係の影響の広がり」というのも入っているということで、下方リスク拡大という格好になっておりますな。
・謎の文書に関連して政府への要望が入る
今回の第6パラグラフになりますが。
『政府と日本銀行は、この課題を達成するために、それぞれの役割を果たしていく必要がある。日本銀行は、上述の認識に立って、強力な金融緩和を推進していく。日本銀行としては、政府が「デフレからの脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠である」との認識のもとで、日本経済の成長力強化の取組を強力に推進することを強く期待する。』(今回)
まあ政府もやれやゴルァ!としたのは結構な話ではありますが・・・・・・・・
『こうした両者の取組について、共有している認識を改めて明確に示すため、本日、政府とともに「デフレ脱却に向けた取組について」を公表することとした(別紙3)。このことは、それぞれが行う政策をより効果的なものとしていくと考えている。』(今回)
この謎文書に関しては後ほどコメントというか悪態を申し上げますが、また前原かという感じでございまして、この人が首を突っ込んだ案件はその場あるいは近い将来地雷化するの法則からしますと、何だかなあという文章がでましたねという所です。
○APPの拡大なんですけどね
声明文3ページ目の(別紙1)がAPPの増額内容に関してです。
声明文本文の最初のパラグラフにもありますように、今回の買入拡大は・・・・・・・
長期国債:5兆円程度
国庫短期証券:5兆円程度
CP等 :0.1 兆円程度
社債等 :0.3 兆円程度
指数連動型上場投資信託:0.5 兆円程度
不動産投資信託:0.01 兆円程度
となっております。CPとか最早買入せんでええぞなもしという所ではあるのですが、何気に今回ETFの買入を5000億円打ち込んでいるのは市場規模的に頑張っていると思うのですが、他に色々あって霞んだのは残念というのはさっき申し上げた通り。
あと国債買入のペースについてまた計算してみた(ただし電卓片手にやっつけで計算しているので間違ってたらゴミンナサイ。計算ロジックは以下の通りだから自分で計算できるでしょ)ので一応書いてみる。
データ元はこの辺。
営業毎旬報告(平成24年9月30日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac120930.htm/
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高(2012年9月28日現在)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1209.pdf
でまあこちらの銘柄の額面残高を償還毎に集計するとこうなる(はずですが間違っていたらスイマセン)のですけどね。
2012年12月までの償還:4898億円
2013年1月〜6月の償還:12529億円
2013年7月〜12月の償還:46966億円
2014年1月〜6月の償還:80847億円
2014年7月〜12月の償還:12549億円
2015年1月〜6月の償還:22663億円
2015年7月〜12月の償還:43億円
んでもって、9月30日時点でのAPPでの長期国債買入残高が営業毎旬報告の別表2にありますように18.1兆円程度ある(ちなみにこれは簿価ベースの数字で、上記のは額面ベースなので微妙に違います)のですが、ここから10月の買入が4回で合計3.1兆円の購入となっておりますので、10月末時点での買入残高が21.2兆円。12月までに4900億円の償還があるので、それを差し引くと今のラップは20.7兆円。年末の目標残高24兆円に対して残り3.3兆円の買入が必要になりますので、11月12月の買入は月に1.7兆円程度の買入を行えばヨロシという計算になりますな。
でもって来年前半ですが、今回の基金国債買入の割り振りは何故か前半に全部振らないで2.5兆円ずつ前半と後半に拡大分を振っていますので、目標31.5兆円なので残高拡大での必要額が7.5兆円、償還(買入は1年超なのでここの償還額は確定)は1.3兆円弱となりますので8.8兆円の買い増しが必要となり、6で割ると月に1.5兆円弱の買入ペースになります。
来年後半に関しては償還額が増える可能性も無いでは無いですが、普通に考えると残存1年はあまり入らないと思いますのでまあこの償還額と思いますと、目標拡大額が7.5兆円で償還が4.7兆円になりますので買い増し額が12.2兆円になり、月に2兆円強の買入ペースになりますな。
でまあ目標達成後も残高維持という話になりますと、2014年の前半は黙っていても8兆円の償還手当の買入が必要になりますので、結局月に1.4兆円弱の買入ペースになるという計算。
恐らく買入で入りやすいのは2年超の部分と2年カレント近辺になると思われますが、そうなると今後の買入では2014年後半以降の償還物が打ち込まれやすくなると思いますが、いずれにせよ基金残高を維持するだけでも結構な買入を継続する、という話になる訳で、そんな中で長期国債の買入額をもっと増やせ云々という話をするのってお前らこういうフィージビリティー考えているんかいなと小一時間という気はする訳です。
まあいずれにせよ、今回の拡大は11月以降の買入ペースという意味ではスムージングな割り振りにも見えるのですが、何気に来年後半の方が厚い割り振りになっておりまして、来年後半になると買入ペースが加速するというお洒落な配分になっているのはどういう意味なのでしょうかねとゆー所ですが、ありそうな推測ではありますが、まだ来年前半の買入拡大余地(つーても5兆はもう物理的に無理なので買入の期限を半年延長しながらとかしながら嵌めるのかな)が辛うじて残っているという事で念のため温存したのかも知れませんが、後半にペースが拡大する形になるというのも「先々の買入ペース拡大を確約して買入が強力に続く事を示す」という所ではあるかと思います。
○企業向け貸し出し云々は物凄く効くのかニーズが無いのかよく判らんのですが・・・・・・
声明文にこんなのがありましたが。
『(2)貸出増加を支援するための資金供給の枠組みの創設(全員一致)
金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、金融機関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利・長期で資金供給する。資金供給の総額の上限は設定せず、無制限とする。議長は、執行部に対し、この新たな資金供給の枠組みについて具体的な検討を行い、改めて金融政策決定会合に報告するよう指示した(骨子素案は別紙2)。』
・・・・・・・・無制限とアピールしたかったんですね判ります。
で、別紙2ですが。
『「貸出増加を支援するための資金供給」骨子
・取引先金融機関の貸出増加額(基準時点からのネット貸出増加額)について、当該金融機関からの希望に応じて、その「全額」を日本銀行から資金供給する。
・ 本措置による資金供給の総額の上限は、設定せず、「無制限」とする。
・ 貸付金利は、貸付実行時の誘導目標金利(現在は0.1%とする。)による長期固定金利とする。
・ 貸付期間は、各取引先の希望に応じて、1年、2年または3年とし、最長4年までロールオーバー可能とする。
・ 本措置の開始後、1年程度の間、適宜の頻度で資金供給を行う。
・ 資金供給の方式は、共通担保を担保とする貸付けとする。
・ 対象先は、預金取扱金融機関とする。
・ 貸出増加額を算出する対象与信は、対民間(金融機関向けを除く)貸出とし、円貨建て・外貨建てを含む。
・ 本措置による資金供給と「成長基盤強化を支援するための資金供給」を合わせて、「貸出支援基金」とする。』
ということで詳細は次回以降の会合で決定のようですが、これはFLSチックではあるのですが、FLSの場合は貸出先に対していちゃもん付けたり、プログラム参加した銀行の貸出動向を公表したり、貸出が伸びないとFLSで出したものに対してペナルティー金利を適用したりと、割と喧しい制度であるのに対して、日銀の出した今回の資金供給はかなりの「掴み金」的な風情を漂わせるものがございます。
つまりですな、金融機関向けを除く対民間貸出の増加額について、資金使途を問わずに4年まで0.1%まで貸出をしますよというのはこらまた結構な大盤振る舞いという話。しかも円貨外貨問わずということですから、どこぞの携帯電話会社の海外買収資金だろうが、REIT向けの貸出だろうが、じゃんじゃんオッケーですよという事ですし、まあ金融機関は預金超過で金イラネというのはあるかも知れませんが、それはそれとして0.1%で最大4年まで調達サイドをFIX出来るのはこらまあオイチイ話である、という面もありますので、これはこれでワークしたらかなりの大漢和辞典じゃなかった大緩和になると思いますが、銀行さんがどういう反応するか次第ですわな。
記者会見では(会見要旨は今日出るので続きは明日)全部出たら15兆円との事ですが、さてどうなりますやら。
・・・・・・・・・でもって、このスキームに関してはまたまた共通担保方式の貸出を行うという事でして、銀行の担保繰りがまあ足元で逼迫というような話は聞いていませんので特段の問題は無いと思うのですけれども、今後の基金国債や基金短国の買入拡大に加えて、全力で今回のスキームがワークした暁には更に担保が使われるという事になります。
まあ国債発行自体も増えていますし、また為替介入でもやってくれれば更に短国の発行が増えてくれるとは思いますが、日銀がこの調子で色々と資金供給をしてくると少なくとも共通担保オペの固定金利物のニーズが落ちてきたりするでしょうし、まあ短期市場的な悪夢としては量的緩和で当座預金30兆円とかやってた時にターゲット達成の為に無理無理短国の買入をした結果、短国市場が割引債なのに100円入札という勘弁してください状態になり、担保不足で有担保コール市場が瀕死状態となるとかゆーのがございますので、まあ買入等もほどほどにという感じであります。つーかCP買入増やさんでもええちゅうに。
あとですね、何気に言えるのですけど、今回のスキームに関しても固定金利オペと同様で「貸出実行時の金利が適用」という形になっておりますので、つまりこれは途中で利下げをした場合には日銀のこれらの資金供給の趣旨を踏まえて一生懸命応札した金融機関の梯子を盛大に外すという事になりますので、益々付利下げとかの措置が遠くなると思うのですが、相変わらず付利下げをすると当座預金に滞留している資金が市中に出回って云々という資金需給の基本すら抑えない議論をする方が本職の方々の中でも存在するのが甚だ遺憾の極みでございます。
○謎の文書ですがまあ前原さんの法則炸裂という感じですなあ
声明文別紙3にもありますが、この文書は何ですねんという感じで。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k121030b.pdf
デフレ脱却に向けた取組について
『政府及び日本銀行は、我が国経済のデフレ脱却に向けて、当面、以下のとおり取り組む。』
ということでうだうだとクソ長い文章がありますが一応全部引用である。
『1. 政府及び日本銀行は、我が国経済にとって、デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であるとの認識を共有しており、一体となってこの課題の達成に最大限の努力を行う。』
はあそうですか。
『2. 日本銀行としては、上記1.の課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものであると認識しており、政府が成長力強化の取組を強力に推進することを強く期待する。』
まあこういう共同文書出すんですから「政府もやれやゴルァ!」という文言はいれます罠。
『日本銀行としては、「中長期的な物価安定の目途」を消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく。その際、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。』
従来から説明していることですね。
『日本銀行は、『経済・物価情勢の展望』(平成24年10月30日)において消費者物価の見通しを公表した。日本銀行としては、引き続き「1%」を目指して、強力に金融緩和を推進していく。今後の物価動向については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において定期的に報告する。』
何じゃこの会議と思ったらこんなのがあるのね。
http://www5.cao.go.jp/keizai1/deflation/
デフレ脱却等経済状況検討会議
『また、日本銀行は、金融政策運営の考え方を市場にわかりやすく説明していく努力を続ける。』
判りやすく説明するよりも、麿の麿節を止めさせて、ハッタリをかまして配慮をしたプレゼンをさせればそれだけでこうかはばつぐんだではないかと思いますけどねえ・・・・・・・
で、政府ですが。
『3. 政府は、日本銀行に対して、上記2.の方針にしたがってデフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続することを強く期待する。』
それは判ったがあんさんは何をするのよ。
『政府は、デフレからの脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠であると認識している。このため、政府としては、足下の景気下押しリスクに対応し経済活性化に向けた取組を加速すべく、平成24年10月17日の内閣総理大臣指示に基づき、経済対策を速やかに取りまとめる。』
日銀の緩和実施に対してお前ら何やってますねん。
『また、政府は、「日本再生戦略」(平成24年7月31日閣議決定)に基づき、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」をダイナミックに動かすため、規制・制度改革、予算・財政投融資、税制など最適な政策手段を動員する。』
で、何かしましたっけ??
『デフレ状況を含めた経済状況及び経済運営については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において、定期的に点検を行う。』
とまあそういう事で、どうせこんなの政府、というか前原さんがお手柄にしたいから作らせたというものでしょうが、ここには新しい取り組みとかの話は1ミリも無く、更に政府に関しては特に何もしていなくてこれから頑張りますよという「明日から本気出す」みたいな話な上に何らコミットメントも無い、という事でまあはっきり言ってただの作文じゃねえかと思うのですが、前ナントカさんは会見でドヤ顔で画期的などうのこうのとか仰せで全くもって何やってるんだかと申しますか、政府が実は何もやっていない事をこの文書で大々的に大公開しているのによくもまあ恥ずかしげもなくドヤ顔出来るわと呆れる次第。
つーかね、小泉首相と福井総裁時代だったらこんな文書を書くまでも無く、ここの文書に示されたような話って共通認識されていましたし、経済財政諮問会議に俊ちゃんも出席していた訳で、わざわざこのような作文を公表してドヤ顔で会見をしなくてもこの程度というよりはこれ以上の連携感を出していた訳ですよ。
然るに民主党政権は日銀がデフレ脱却でどうのこうのとか言ってる側から何の対策もセットにしない「デフレ宣言」をするアホウは居るわ、本来当たり前の事をわざわざ作文にさせてドヤ顔して自分の手柄アピールするアホウは居るわとか、もういい加減にしろと思うのですよね。
でまあこの文書はこれ自体では何も言っていない(どころか政治の無策を浮き彫りにしているだけ)代物なので、このままこのしょうも無い文書がフェードアウトしてくれれば何の問題もないのですけれども、将来更にアホウな政権が発足して、「過去にこういうの出したんだからウチの政権時にも文書出せやゴルア!」と言い出して今度は中央銀行の独立性を裏口からおかしくしていって財政発散マネタイズで通貨価値毀損で誰も得しない悪性インフレの種を撒くとかになりますと、全くもって糞としか言いようがない訳でございまして、こういうのがハンス・フォン・ゼークトの言う(実際はゼークトの言葉じゃないそうですが)ところの以下暴言の為割愛という所ではないかと存じます。
つーかこんな文書公表を入れるもんだからMPMがアホのように長引いて引け際15分しかなかったのは全く参りましたぞな。MPM引っ張るから変な期待が高まっちゃった(先般の学習効果で今回はそこまで極端に為替や株が動かなかったのが不幸中の幸いでしたが)じゃねえかゴルァという所です。
でまあ余談ですけど。
『平成24年10月30日
日本銀行総裁 内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)
白川 方明 前原 誠司
財務大臣
城島 光力』
署名している皆さん来年の今頃はこの地位に居ませんよねとかいうブラックなツッコミは兎も角と
いたしまして(^^)。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel121030a.pdf
「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等について
の別紙3にある財務大臣宛認可申請書を見たら宛先が『財務大臣 城島 正光 殿』となっていまして、間違えたのかと思ったら城島財務大臣って堺屋太一あるいは扇千景スキームで本名が正光さんで光力さんというのは芸名というか政治活動名なんですね。不覚にも存じませんでしたです。
○展望レポートですが詳細は会見要旨と共に明日である
本当は展望レポート詳細(というほど詳細でも無いが、汗)のあたりもあるのですが、つい例によってノリノリで悪態を書いていたら時間ががががが。
基本的見解が昨日でまして、全文は今日出ます。
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210a.pdf
経済・物価情勢の展望(2012年10月)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1204a.pdf
経済・物価情勢の展望(2012 年4月)
展望レポート9ページです。
『以上の環境を前提に、消費税率引き上げの直接的な影響を除いて物価情勢の先行きを展望すると、国内企業物価は、当面、国際商品市況が弱含みで推移することを反映して、前年比で下落するものの、2013年度以降は、国際商品市況の緩やかな上昇や、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、緩やかな上昇基調に復していくと見込まれる。消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度には当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくとみられる。』(今回)
ちなみに前回の同様部分ですけどね。
『以上の環境を前提に、物価情勢の先行きを展望すると、国内企業物価指数の前年比は、国際商品市況の緩やかな上昇や、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、見通し期間を通じて緩やかな上昇を続けると見込まれる。消費者物価の前年比は、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、今回の見通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に遠からず達する可能性が高い。』(前回)
ということで、「遠からず達成する可能性が高い」というのと「着実に近づいていくとみられる」の表現がこれがまたどっちが強いのかがさっぱり判らんという難解ホークスにも程があるのでございますのでこういうイミフ表現は勘弁願いたいのですが、会見の報道を見る限りでは「着実に近づいているというのは1%を見通せるという意味では無い」という話らしいのですが、2014年の物価見通しが平均で0.8%となっているという数字を出した上に「着実に近づいていくとみられる」と表現されると、素直に考えると「えーっと、2014年後半には1.0%になってくるという話ですよねえ」と受け止められても仕方ないと思うのですよね。
で、その一方でいつものように金融政策の所では16ページにありますように、
『すなわち、第1に、日本銀行は、当面の「中長期的な物価安定の目途」である消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく方針である。』(今回)
と説明していまして、上記の「着実に近づいていくとみられる」のワーディングと、2014年0.8%という数字(この数字が妙に高いのではないかという話は明日また行いますとして)と、この文言のセットを見ると、何かあっさり金融緩和が終わりそうな感じで読めてしまいまして、誤解を招くのではないかと思うのですけどどうなんでしょうかねえ・・・・・・・・・
とまあそんな所で本日は勘弁。
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2012/10/30
いやね、遂に注目の決定会合ですとかドヤ顔(かどうか電話コメントだから判らんけど)でモーサテの市場コメントをしている他市場の皆様におかれましては何の話をしてるのやらという感じですな。
○ということで決定会合だが最早そーほわっと状態なので
もうね、債券市場的には「だから何なの」という状態で別に盛りあがる訳でもないですし、大体からして既に買入のせいで3年から手前の金利が0.10%割れで運用するのにどうしろちゅうねんという状態だと言うのに更に買入増やされてもねえという感じですし、これで買入対象の年限でも延ばされた日には特に銀行業態は困りますがなという所。しかし一方で(まだまとまったネタにしてなくて恐縮ですが)この前出たFSRとかでは地方銀行の金利リスクが大きいだの何だのとか解説がありましたが、そもそも国債買入しまくって特に短い所の金利を潰して長い所をポートに入れざるを得なくなったのは誰のせいだと小一時間。
などという話はまあどうでも良い(よくないが)のですが、今回に関しては基本的には展望レポートでの見通し期間が延びて、やはり物価安定の目途達成までの時間が遠くなりましたねという事になるので追加緩和、というのが極めて自然ですが、緩和については物理的に考えて基金国債買入を5兆円増やしておまけに短国を5兆買入とまあここまでは順当。
長期国債買入を更に増やせと言う意見もあるのですが、どうせ物価安定の目途に関してそう簡単に達成という話にならないのですから、半年後にはおかわりをしないといけないという話になりますが、ここで長国10兆とか打ち込むと半年後に突っ込むのがしんどくなりますぞなという話でして、大体からして基金買入だって償還分の再投資もしないと行けないのですから、基金残高拡大を延々と続けろというのは実は物理的に困難な話だという考察がどうもあまり見られないのは困ったもんだという感じでございまする。
リスク性資産の買入に関しては先日のMPM議事要旨にあったような理屈もさることながら、そもそも買入が市場のシェア的にどうなのみたいな事も勘案するとそうそうバカスカ買入を増やす訳にも行かないという面もあってムツカシヤという所でしょうか。まあ個人的にはETF買入増やして、その一方で総合指数型の上場ETFをもっと編成して株式市場から株式吸収しちゃえばとか思うのですけどそう簡単には行かないもんですかね。
CPはもうイラネという感じで、社債は期待はあると思うのですが、まあ社債に関しては買入総額がどうのこうのよりも買入銘柄の範囲を拡大とか適格要件を緩和してくれ的な期待の方が大きいと思われまして、それはまあどちらもムツカシヤな感じはしますな。
ということでETFが4ケタの前半億円位のオーダーで増えるというのがおまけでつくかねという所ですが、ヤケクソで来年1年間で1兆円のおかわり位入れて頂ければ株式市場歓喜という所かとは思いますが期待はしません。
でですな、まあそれはそれとして所謂オープンエンド型導入って話なのですけれども、まあ例えば大体月に2.1兆円とか2.2兆円とかの基金買入を行いますという形にして、その基金買入は物価安定の目途達成まで期限を切ることなく(というのが既にインチキ的な言い方ですがこれで「無期限」という話になるのですから何だかなあという感じですが・・・・・・)買入を継続します(キリッ)という事にすれば実はこれから償還がうじゃうじゃ来て残高維持だけでも大変という基金買入の枠組みが一転して運営しやすくなります(ついでに固定金利オペもそのどさくさに紛れて廃止して通常のオペにしておけばヨロシアル)のでまあオヌヌメではあるのですが、これはこれで将来の金融政策運営という事を考えた場合にどうなのかという論点がございます。
つまりですね、まあクレクレの連中が「オープンエンド型」をクレクレ言うからそれを出す、というのでありますと、一見すると市場の期待に沿っているように感じられますが、これ一つ重大な問題がございますのよ。で、それは何かと申しますと「先に作った資産買入等基金の枠組みのコミットメントを途中で破棄する」というのがどうなのか、という金融政策運営のコミットメントの信頼性という部分に関して将来に禍根を残さないかという点なのですよね。
即ち、米国のオープンエンド方式というのは、もともとQE2が終了していてツイストオペをやっている途中に上乗せ措置としてオープンエンドの買入を突っ込んだ形なので、まあ従来の金融緩和政策の枠組みにおけるコミットメントのどこかを破棄してこの政策を打ち込んだ、という形では無いですな。
で、仮に日銀が今回オープンエンドみたいな基金買入を行うと言った場合ですが、従来の枠組みってのは資産買入等基金の残高達成に対して来年末までの期間を使ってこの残高を達成しますお!とコミットして居る訳でして、そのコミットメントを達成しようとする期間中であり、特段その政策の枠組みの前提が崩れる不具合(=金融緩和を継続できないような事態の急変発生)が発生しているという訳でも無いのに途中で政策の枠組みを破棄する形になるのが如何なものかというのはあるのですよね。
いやまあそんなの気にしないという理屈も有るのですが、やはりまあ普通に考えますと途中でのコミットメント破棄というのは、「日銀はコミットメントをすると言っても都合が悪くなると途中でそのコミットメントを発展的解消とか何とか言って無かったことにするので信用ならん」というような見方をされるリスク、つまり政策実施におけるクレディビリティーの問題が生じるという事で、実はそうホイホイと枠組みの変更が出来る訳でもありません。というのが政策作る側のロジックだと思うのですけれどもどうでしょうかね。
そもそもコミットメントの残高目標の第1回期限すら来ていない状態でありまして、せめて第1回目標を達成して、「我々はこの通りコミットメントを達成しましたですお(キリッ)」というのをやって「コミットメントの達成」を見せないとマズーなのではないかと思います。
ま、そんな事よりも今回は総裁会見で是非最近の金融政策クレクレ政治に対して悪態をついて頂きたいと思う次第でございまして、「例えば特例公債法案の成立遅延によって予算執行が遅れて経済に悪影響を与えたり、債券市場を混乱させる先行き懸念を起こさせると言ったような事は極めて遺憾であり、我々の金融緩和効果を減殺するものであって、金融緩和効果を発揮する為の取り組みを進めて頂きたい」とかもう言って下さいなと思うのは最近のてめえらは引っ掻き回すばっかりで金融政策にはクレクレ言うどころか恫喝するアホー政治家連中を見ていて思うのですがね。まあどうせ白川さん再任とか無いでしょうからこの際政治に悪態ついたらどうでしょうかと(笑)。
○PD懇では市場の懸念と言うよりは最早怒りのメッセージとな
国債市場特別参加者会合(第46回)議事要旨
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/20121026.html
配布資料はこちら
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/20121026pdset.pdf
特例公債法案の成立遅延による国債発行への影響
でまあ議事要旨の理財局の説明から引用。
『特例公債法案については先の通常国会で廃案となっており、臨時国会において再提出する予定である。財務省としては、法案の早期成立に向け、引き続き努力してまいる考えであるが、仮に、特例公債法案が成立しない状態が続く場合、利付国債の入札及び発行については、11月中の利付国債の入札を最後として、12月以降の利付国債の市中発行、具体的には、12月4日の10年債入札から支障が生じ、その後は、特例公債法案が成立するまでの間、利付国債の発行は休止せざるを得ない。』
だそうです。
『一方、発行が休止となった場合、特例公債法案が成立した後は、休止されていた間の発行額を取り戻す必要があるため、毎月の利付国債の市中発行額を現在よりも増額する必要が生じる。』
まあそうですな。
『このように特例公債法案の成立が遅延した場合の国債市場への影響について、国債市場特別参加者会合の皆様の御意見を伺いたい。また、仮定の話ではあるが、利付国債の発行を休止せざるを得なくなるような場合において、市場への影響を少しでも緩和する方策についてアイディアがあれば、あわせて伺いたい。なお、特例公債法案の状況にかかわらず、国債の元利払いを行う国債整理基金特別会計には十分な資金を確保できていることから、本年度の国債の元利払いに支障を生じることはないことを念のため申し上げておく。』
支払いに支障を生じたらそらヤバスとしか申し上げようがないのでそれは一安心ですが、どう見ても碌な話ではありませんぞな。
ということで参加者の意見ですけど、最初の人のコメントをまずは全部引用しておきますが、市場の懸念というよりはもはや怒り心頭モードとなっているのが誠に当然とは言え、市場の憤怒を伝えるのには結構なお話ですわな。
『この時期に本会合において、今回の議題が議論されることに関しては、プライマリー・ディーラーの一社として極めて強い危機感と、これまでにない大きな不安を抱かざるを得ない。』
全くで。
『例年、この時期には、年々膨れ上がる翌年度の国債発行をどのような計画で安定発行・安定消化するかという、非常に重要な議論の準備を行っている。ところが、この時期に今年度予算の4割超に及ぶ財源に対する法案成立の目処が立っておらず、目の前に迫る12月債の発行が危ぶまれるという現状は、金融市場に対して極めて大きな悪影響を及ぼし得るものであり、待ったなしで打開する必要がある。』
『本邦の国債残高や年間発行額は、国の生産力、成長力対比で極めて高い水準にある。それだけでなく、近年は政治リスクが懸案事項として加わり、国際的な格付機関は、日本国債に対して、格下げを含めた極めて厳しい評価を下している。その中で、弊社を含むプライマリー・ディーラーは、これまで発行当局及び市場関係者等とともに、そのときどきの金融市場環境を踏まえ、幅広い業態にわたる多くの投資家との対話を通じて、大量発行が続く国債の安定消化を維持すべく、長い年月をかけて、国債に対する信頼構築に尽力してきた。こうした努力により維持してきた安定発行・安定消化が、今日の国債費抑制に寄与しているという認識もある。』
普段のPD懇談会では参加者の皆様ここまで大きく出る事は無いのでありまして、それだけ市場の人たちが怒っているという事であるという話ではございます。
『来週から予定されている臨時国会において、法案が成立せず12月債の発行が不可能な状況となれば、これまで築いてきた市場との信頼関係が基礎から崩れ落ちる。』
何度も出ていますが「市場との信頼関係」なんですよね。
『また、年度末に向けて安全資産として40兆円近い運用を予定する投資家への影響も避けられないことから、国債市場とその参加者に対しては、多大な混乱を及ぼすものと考えている。加えて、法案不成立による発行停止は、政治リスクの顕現化を懸念してきた国際的な格付機関に対しても、大きなマイナス要因になると想定される。主要国の中で相対的に低い日本国債への現在の格付を考えると、格下げによる市場の動揺は、将来的に大きな不安材料を残すだけでなく、それに伴う金利上昇によって、これまでの努力で抑制してきた国債費が増大し、本邦の債務管理政策にとって負のスパイラルを招きかねない。』
全くで。
『法案の成否に関する今回の件がなかったとしても、足元の大量発行を支える市場環境は綱渡りの状況が続いている。今年度実施された国債発行額の増額に対しても、供給に対する需要が必ずしも十分とはみられず、年限によっては、イールドカーブの変形を伴って価格が崩れている。』
『以上のように、極めて困難な状況下で、今後市場の動揺や国の債務管理政策に対する信用失墜も想定される中、法案の成否に伴う混乱は、日本国債の将来と本邦財政にとって致命的なダメージを及ぼしかねない。』
というのに与党も野党も何やってるんですかという所ですが。
『最後になるが、膨大な発行残高と発行額に至った今日の国債市場を支えるべく、これまで力を尽くしてきたプライマリー・ディーラーの一社として、今回の臨時国会において、会期中一日も早い法案成立を強く要望させて頂きたい。』
とまあかなり大きく出ていますが、政治家の先生方ちょっと読めやという所ですな。
まあ他にもこんなのが。
『特例公債は一般会計予算の約4割以上の歳入であり、発行できないとなれば、株式・債券・為替市場のみならず、日本経済に甚大な影響を及ぼすことは明らかである。それにもかかわらず、年度の半ばを過ぎても法案が成立していない中本会合を開催することになったことについて、強い懸念と落胆を覚える。』
『今回の問題のポイントは、財政の運営・債務管理におけるマーケットとの信頼関係であり、国内外の投資家が注目している。この信頼関係が崩れてしまうと、悪い金利上昇を引き起こし、国民の負担に大きく跳ね返ってくる。一旦この信頼関係が崩れてしまうと、回復には非常に大きなコストと時間を要する。早いうちに法案を可決し、市場の混乱を回避してほしい。』
ということなのですが、まあどうなんでしょうね。さすがに自民党も法案審議して来月の前半には成立の方向みたいな段取りみたいなのがどこかのニュースベンダーにあったような無かったような気もするのですが、そうは言っても解散総選挙の絡みで何が飛び出すか判らんというのがオソロシスなのが政治ですからねえ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121029/k10013096641000.html
赤字国債発行法案 国会に再提出
10月29日 18時39分
『政府は、先の通常国会で廃案となった、今年度予算の執行に必要な財源を確保するための、赤字国債発行法案を、29日、国会に再提出しました。』(上記URLより)
との事ですが、一方でこの人は相変わらずのクオリティ維持。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89S05920121029
30日の日銀会合、出席して意見を表明する=前原経財相
2012年 10月 29日 17:04 JST
・・・・・・・・・いやだからそんな事より特例公債法案の成立に努力してくださいな。
#うむ、BOEの議事要旨ネタ(昨日の続き)とかあったのだが時間ががががが
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2012/10/29
○まあ詳細が判らんので何だがこれは残念な認識
時事通信の記事から。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012102600918
日銀は「無制限緩和」を=自民・安倍総裁
『自民党の安倍晋三総裁は26日の時事通信とのインタビューで、日銀の金融政策運営について「何兆円という枠を決めて金融緩和をしても効かない。無制限にいかなければいけない」と述べ、無制限あるいは無期限での資金供給を約束している米欧型の緩和策が必要だとの認識を明らかにした。(2012/10/26-21:06)』
・・・・・・・・・・・orz
えーっとですな、そもそも「無制限に金融緩和をします」とかおっぱじめたら財政を物凄い勢いで引締めをするなら話は別かもしれませんけれども、普通の状況だったら「無制限」に実施したら財政マネタイズの無限実施になって通貨価値がゼロに向けて驀進するのでありまして、そもそも「無制限緩和をしろ」とか次期首相最有力候補のお方がそういう事言いだす時点で本来的に言えば無茶苦茶にも程があるお話なのですけれども、まあこのインタビューの全文を読んでいないのでどういう言い方をしているのか判断致しかねるのでまあその程度で。
つーかですね、それ以前の問題として海外の金融政策に関しても何か誤解をしているのではないかという不安が起きるのがこの短い記事の中からうかがえるのですが、『無制限あるいは無期限での資金供給を約束している米欧型の緩和策』というのが安倍さんの発言なのか時事通信の記者が勝手に端折って書いているのかが判らないですから、まあ時事の記者が勝手に書いているものだと信じたい所ではある(とは言え、それはそれでインタビューして記事書いた記者は日銀記者クラブに何で確認しないのと思います)のですけれども、米国にしても欧州にしても別にやっている資産買入は「無制限」でも「無期限」でもございませんがなという所です。
つまりですね、米国に関してはMBSの買入実施をしていますが、「物価安定の文脈の元で労働市場が相応に改善されるまで」という期限があり、「今の環境だと2015年半ば位までの異例の低金利政策実施が適切になると予想される」と言うとりまして、別に無期限でも無制限でもありませんぞなとゆーのって普通に金融政策を理解している人が居ればちゃんとご進講される筈なのですが(安倍さんは別に金融政策とかの専門家じゃないですし、そちらはご本人的にも売りにしている訳では無いでしょうから要するに周囲のスタッフなりがご進講しているんでしょ)、今の自民党にはその程度のご進講をする人も居ないのかよと禿しく不安になると同時に、誰がこんなしょーも無いロジックを吹き込んでいるのやらと小一時間問い詰めたい所ではございます。
それにですよ、そもそも欧州の場合はOMTの実施をするとは決定していますが、そのOMT実施においては「コンディショナリティー(つまり条件)」をドラギ総裁は連呼しているのでありまして、その条件を達成するのは政治の仕事であり、今は政治に球があるという話を強調している訳でございます。という事はどういう事かと申しますと、そもそもECB様におかれましてはOMTプログラムにおいて国債の購入を現在の所1ユーロも実施していない訳でございまして、どこがどう無期限無制限の資金供給なのか小一時間問い詰めたい所でございます。ECBの場合は「条件が達成されるまでは買入を実施する」ので「その条件が達成されるための額が事前には判らないので予め買入額の上限とかは設定しません」と言っているだけの話でありまして、別に無期限とか無制限とかで買入をするとは言っておりませんし、そもそもOMTで買入を行った分の資金については見合いの吸収措置を実施すると言ってるのですから「資金供給」ですらありませんがな(信用緩和措置です)というお話。
更にツッコミを入れますと(ってこの短い記事で何ぼツッコミいれられますねんという感じでございますが^^)安倍さん『何兆円という枠を決めて金融緩和をしても効かない』と仰せとこちらの記事ではございますが、ついこの前まで米国の資産買入は「ある期間までの間にこれだけの資産買入を行う」という形で実施している訳でございまして、それは効かなかったのでしょうかと小一時間問い詰めたい、というよりは安倍先生にご進講させて頂きたいと思う次第でございまして誠にアレ。それを言うなら従来から実施している輪番オペが「月に幾ら購入」という形で、かつ期限を特段切っている訳でも無いという方式(ですが所謂銀行券ルールが存在しているという了解があるのでまあ別ではございますけれども、ただしこの購入は経済物価情勢関係なく成長通貨供給という形で続くという面もある)なのですけど・・・・・という感じでして、何とも残念としか申し上げようが無い所でございます。
一方で先般来ネタにしておりますが、米国でもダドリー総裁やスタイン理事など、普通にFRBの執行部サイドと思われる方が直近の講演で「資産買入政策の効果が逓減している」という論点を提示しておりますように、非伝統的政策の実施において資産買入政策の効きが悪くなっているとか、資産買入政策の限界論のような物が議論されている、という状況になっているなどとゆーのはあたくしのような者であっても最近の講演などをチェックしておりますと判る次第なのでございまして、その一方で日本では1周回以上遅れた話を未だに行っているとか残念というか情けないというかという所ですし、大体からして安倍さんのような次期首相最有力候補の方のご理解がこのレベルというのはどういう事だと誠に遺憾に存じますという次第。
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2012/10/26
○えーっと「10兆円では足りない」んじゃなかったんですか???
追加緩和報道が日々出る、というそらまあ金融政策動向に関しては金融商品取引法上のサイダーには該当しない話なのですが、サイダー関係者は証券業界永久追放を検討というような流れ(基本的に当然の流れだと思うのですが)になっている中で何でこちらはゆるふんにも程がある状態なのでしょうか流す方も流す方だし書く方も書く方だろふざけんなヴォケと思うのですがまあそのような悪態は兎も角として。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC25007_V21C12A0MM0000/
日銀、追加金融緩和へ 基金増額10兆円軸に検討
異例の2カ月連続 2012/10/25 14:00 情報元 日本経済新聞 電子版
『日銀は30日の金融政策決定会合で追加の金融緩和に踏み切る方針だ。国債などの資産買い入れ基金の規模を10兆円積み増す案を軸に検討する。日銀は同日に2014年度の物価上昇率の見通しを示すが、目標とする1%には届かない見通し。日銀は9月に10兆円の金融緩和を決めた。異例となる2カ月連続の緩和でデフレ脱却への姿勢を明確にする。』(上記URLより)
でまあこの先は会員記事になりますので読みたい人は電子版の会員登録してちょという話になる訳ですが、10兆円にプラスアルファがあるかもしれませんとかいう話みたいなので反応したのかもしれませんが、日経電子版の記事を引いた報道では「10兆円」の話がメインだったので、はあ10兆円ですかそうですかまあそれは既に予想されてますからねえとか思っていたのですが・・・・・・・・
日経電子版の記事が出た時&日経電子版が追加緩和報道をしましたという他のベンダーの報道が出た時というタイミングから為替市場というかドル円が反応しまして、それまで80円ちょっと手前でうだうだしていたドル円が80円10銭近くまで上昇。まあ15銭とかその位の動きなのですが、大台替わりなのでインパクトはあって平均株価が反応して上昇して債券は下落・・・・・と思ったら債券先物は数銭程度下がったのですが、それよりも前場超長期が弱くて中期から10年までが強かったのに何故かその逆になって終わってみれば中期以降がツイストスティープと貫録のワケワカランチ会長な動きだったのはご愛嬌。
引け後もドル円は円安モードで、夕方には80円20銭近辺までドル高とか思ったら今朝はNYが80円30銭近辺で戻ってきているようでございまして、えーっと待ておまいら「市場予想程度の緩和じゃ足りない」とか言ってた為替何とかストちょっとどうなってるんじゃ説明しろやゴルァという感じなのですが、まあよーするに為替がドル高円安をやりたがっているんでしょ目先的に(長期的な話は知らん)という事だとは思うのですけれども、「長期国債5兆円んと短期国債5兆円では他の市場は失望するでしょう」と債券市場的には思いっきり認識していたと思われますので、恐らく債券市場および金利市場の皆様におかれましては昨日来の為替市場の動きはポカーンという所では無かったかと思うのですがどうでしょうかね。
しかしまあ何ですな、「異例となる2カ月連続の緩和」っておまいらついこの前までクレクレ言いまくっていた癖に今度は「異例となる」とかどの口がそれを言うのかと申しますか、つまりおまいらのクレクレは「異例のクレクレお願い」をしていたという事ではないかちったあ前の発言の整合性とか考えろやと小一時間問い詰めたいと存じます次第でございますけれども、全くもって何なんでしょうね。
・・・・・・・・・・などと申し上げておりましたら、今朝の公共放送ニュースでは朝6時台のトップで日銀の追加緩和検討というのが出まして、火曜日(さくらレポートの翌日)は「追加緩和の実施必要性の有無も含めて検討」みたいな報道っぷりでした(下のURL記事の下の方にある関連ニュースをご覧あれ)が、今朝は追加金融緩和ダンディールっぽい報道になっておりますわよ奥様。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121026/k10013027191000.html
日銀 追加の金融緩和策を検討へ
10月26日 5時10分
『日銀は、来週開く金融政策決定会合で、景気が一段と弱い動きになっていることから、2か月連続となる追加の金融緩和策を検討することになり、国債などを買い入れ市場に大量の資金を供給する基金の規模をさらに拡大することなどを議論することにしてます。』(上記URLより、以下同様)
でまあ中長期的な展望として物価1%の達成が厳しいですからどうのこうのというのがありますけれどもそこはスルー致しまして。
『具体的には、市場に大量の資金を供給するために設けている、国債などを買い入れる基金の規模を現在の80兆円からさらに拡大することを検討し、この中で、幅広い株式を組み込んで証券取引所で売買されている上場投資信託=ETFを買い入れる規模を拡大するかどうかについても議論するものとみられます。』
ほっほー。
まあ何ですな、国債買うよりもETF買った方が(リスク量の話はさておきまして^^)買う額自体は少なくてもこうかはばつぐんだだと思うのですけれども、海外の金融政策が「量で勝負」から脱却しているという中で日本の場合は相変わらず「量ガー」という批判ばかりが飛んでくるという状況でございまして、5兆円だの10兆円だのという話をするのには国債しかございません(つーか5兆の総合指数型ETFとか存在しないので物理的に無理ですし^^)のでこの話になるとかはあそうですかという所ではございます。
でまあETFの買入拡大の議論がという話はまあリスク性資産の方に踏み込んでますなあとは思うのですけれども、先般の追加緩和を行った時の議事要旨が出た時のあの執行部の説明っぷりを見ると本当にリスク性資産をオリャーと買うのかいなという気は思いっきりするのです(12日の駄文でネタにしましたのでご参考になれば有り難き幸せ)けれどもどうなんでしょうかねえ。
『さらに日銀が、いつまで金融緩和を続けることになるのか分かりにくいという指摘もあるため、今の「物価上昇率1%を目指してそれが見通せるまで金融緩和を推進する」としている表現を見直すべきかどうかについても、会合で議論される見通しです。』
これはまた。
・・・・・・・・「中長期的な見通し」ベースでは無くて量的緩和コミットメント方式で「安定的に1%となるまで」というのでもやるというのであればそれはそれでほほうという感じなのですが、しかし何か将来に渡って政策決定を思いっきり拘束するようなコミットメントをもうすぐ総裁副総裁全部入替の可能性が高いという時期に打ち込むのかねという気もするのですが、まあこの表現の所に関しては、決定会合の議事要旨を額面通りに受け止めますと議論されている形跡がないという状態の中でいきなり出るもんかねとも思いますが、現在の日銀はコンセンサスというか全員一致を重視しているように見える節がございまして、地区連銀総裁や理事が入り乱れて好き放題言いながら、徐々に大勢見解が遷移していく状況が見えやすいFOMCと違って、変化する時はいきなり変化するというのが仕様になっておりますので、まあ確かに出るときは兆候なくいきなり出る可能性はあるのですけれども、さすがに時期尚早のような気もしますけどどうなんでしょうかね。
・・・・・・ということでプレビューもへったくれも無くなっている今日この頃ですが、とりあえず長期国債5兆円分は嵌め所がある(来年前半の残高拡大)ので入れるとして、それだけだとしょぼい感があるので短期国債5兆円、とまでは順当に予想できますが、何かあるのかと言う話についてはここまでの日銀から出ている決定会合議事要旨や白川総裁会見などからは微妙としか申し上げようがないですの。
大体からしてどうせまたクレクレ言われるのですからして、弾を出し尽くす訳にもいかんでしょと思いますし、それよりも最近すっかり貿易赤字体質になってきているなど、放置していても実は円高止まって円安に向かうんじゃネーノとかいう気もしますし、欧米の金融政策運営も徐々に「量で勝負」じゃなくなっているので、そんなに頑張って量で勝負する必要があるんかいなという気もするので、普通に普通の結果になるような気もします・・・・・・・が、普通の結果にならないというのがこういう時のパターンでもありますので、ETF3000億円位おまけがつきますかねえとかそんな予想しかできませんですすいません。
つーかそれよりも展望レポートで示される経済物価パスの数値、というよりも、より重要なのは回復パスのメカニズムをどう表現する(あるいはギブアップする)のかというのが本当はヲチャー(というよりただの見物人だが)としてはポイントなのでして、ロジックに何らかの変化があって、その変化ってどうなのというのを重要視したいですけどねえ、と申し上げておきますです、はい。
○追加緩和報道や石原新党ネタに埋もれてしまいましたが・・・・・・・・・
追加緩和報道とか石原新党報道とかの中、何気に重要な気がするニュースがこちらに。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2503A_V21C12A0PP8000/?dg=1
自民総裁「審議拒否考えず」 赤字国債で柔軟論も
2012/10/25 20:53 (2012/10/26 1:25更新)
『自民党の安倍晋三総裁は25日、鹿児島県薩摩川内市の街頭演説で、29日召集の臨時国会について「審議拒否など全く考えていない」と表明した。当初は解散時期の明示が無ければ審議に応じない構えだったが、世論の批判を懸念して方針を転換した。ただ野田佳彦首相の所信表明演説や代表質問の本会議を欠席する案も残っており、他の野党の動向を見ながら最終的な対応を決める方針だ。』(上記URLより、以下同様)
>審議拒否など全く考えていない
>審議拒否など全く考えていない
>審議拒否など全く考えていない
・・・・・・・・・これは特例公債法案チキンレース終了のお知らせですか???
『会合後、党首脳は記者団に「所信表明を聞かなくても法案の審議はできる」と語った。首相問責決議をした参院に配慮し、衆参両院の首相の所信表明演説や代表質問は欠席するが、首相が出席しない赤字国債発行法案などの委員会審議には応じることを検討する趣旨だ。一方、別の幹部は「自民党だけが欠席することは難しい」と述べ、公明党などと26日に協議して決める考えを示した。』
>赤字国債発行法案などの委員会審議には応じることを検討する趣旨だ
まあこれは特定の人名を出さない形の「党首脳」の発言ではありますが・・・・・・・
まあ何ですな、特例公債法案成立の目処も立ちませんので、11月2日だったと思いますが、地方交付税交付金の次の支払いも誠に遺憾ながら致しかねますという状況になり、官公庁関連の支払いに関してもそもそも節季払いなのが多い中でこの調子で特例公債法案成立が越年しちゃうとかになったら年末の支払だって渋滞して困る人続出でございますがなという事で、さすがにマズイでしょとゆーことで自民党の方が本件に関しては大人の対応モードになる、というのであれば国民経済的には結構なお話ではないかと存じますが、まあそれがすんなり行くかというと政治は一寸先は闇みたいですし、大体からしてそんなのシロートのあたくしが知る由も無いのでワカランチ会長。
『こうした「奇策」が浮上したのはかたくなな参院側に党執行部が苦慮しているためだ。浜田靖一国会対策委員長は25日、参院の脇雅史国会対策委員長と協議したが、脇氏は「参院で所信表明と代表質問はやらない」と譲らなかった』
『衆院側が解散カードと位置付ける赤字国債発行法案についても、参院は独自論を展開する。参院の溝手顕正幹事長は党内の会合で「解散の件は自分たちのことではない。参院に送ってくれば通る」と述べ、野党が採決を欠席すれば、与党が半数に満たない参院でも同法案が成立すると語った。』
・・・・・・・・もはや何がどういう理屈の展開になってそういう話になっているのかがシロートのあたくしには判りかねますので誰かあたくしに教えてジェネラル。
『公明党の山口那津男代表は記者会見で、参院自民党の赤字国債法案への協力論について「自民党内の一部の意見にすぎない。政党としてどう対応するか決めてほしい」と、不快感を示した。』
そら自民党と一緒になってチキンレースをしているのにいきなり自民党が大人の対応モードになったら梯子外されにも程があるから不快感示しますな。
・・・・・・でまあこちらも日経→NHKのニュース引用の流れとなって恐縮至極ですが、こちらに関しても今朝の公共放送ニュースでやや詳しく説明しておりましてですね。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121026/k10013026831000.html
自民 赤字国債法案の成立図る意見
10月26日 4時40分
『自民党は、来週、召集される臨時国会への対応を巡って、25日夜、幹部が協議し、衆議院の年内解散を確約しない場合には、野田総理大臣の所信表明演説に応じるべきではないという意見が相次ぎました。』(上記URLより、以下同様)
『ただ、赤字国債発行法案は、国民生活に与える影響が大きいとして、成立を図るべきだという意見が出され、公明党とも調整したうえで最終的な対応を決めることになりました。』
キタコレ。
『参議院側を中心に、「先の通常国会で野田総理大臣に対する問責決議が可決されたことは重く、野田総理大臣の所信表明演説や代表質問に応じるべきではない」という意見が相次ぎました。ただ、赤字国債発行法案については、成立が遅れれば国民生活に与える影響が大きいとして、何らかの形で成立を図るべきだという意見が出されました。さらに、衆議院のいわゆる1票の格差の是正や、将来の年金制度などを議論する「国民会議」の早期の設置について、「大人の対応をすべきだ」という意見が出され、今後、対応を検討することになりました。』
>大人の対応をすべきだ
>大人の対応をすべきだ
>大人の対応をすべきだ
・・・・・・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
既にご案内の通り(月曜にアナウンスされております)、本日は特例公債法案成立遅延の影響というお題でのPD懇が実施されますので、発行がどうなるとかその辺の話は議事要旨と共に月曜には財務省のサイトに公表されるでしょう(ネタが重いからその前に出る可能性もあるかもしれませんが、その場合は関係者の皆様が夜勤はするわ休日出勤はするわという状態である、という事です)。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/press_release/20121022.html
国債市場特別参加者会合(第46回)開催日程
○日 時:平成24年10月26日(金) 16:00から
○テーマ:特例公債法案成立遅延の市場への影響について
○場 所:財務省 第3特別会議室
まあ今臨時国会で無事に成立してくれれば良いですねという所でありますな。
・・・・・・良く良く考えてみると東京都知事選挙が知事辞任受理から50日以内に実施されるというスケジュールになると思ったので(だとすると12月9日日曜が大安なので9日投票ではないかと勝手に思料したがどうでしょ)ですが、民主自民公明的にダブル選挙にした方が良いのか、都知事選挙専念モードにした方が良いのか次第で解散時期とかも変わるでしょうし、何かチキンレースでデッドロック状態になりそうだった情勢が動くという事になるんでしょうかねえ、よく判らんけど。
(追記:読売新聞によれば16日みたいですね:http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/20121025-OYT1T01250.htm)
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2012/10/24
お題「色々と酷い金融緩和関連ニュースに悪態である」
本当は明日のFOMCステートメントネタ投入の前にスタイン理事講演の続きを投入しようと思っていた(ちなみにLSAPおかわりのプロコンの話で「市場機能」とか「金融不均衡」とかの話も出てきて、「UST買うよりもMBS買う方がベターである」という一応の結論が出てくるという代物です)のですが、昨日のニュースフローに対してああだこうだと悪態を書いていたら時間が無くなってしまうでござるの巻となりましたので、ただの悪態コーナーとなるのでありました。
#役立たずコーナーでどうもすいません
○手続きというものをどうしてすっ飛ばすんでしょうねえ
まあ産経のニュースに反応したら負けなのかも知れませんが。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121023/fnc12102306070001-n1.htm
政府、日銀に20兆円の追加緩和を要求 資産買い入れ基金100兆円規模へ
2012.10.23 06:07 (1/2ページ)
『景気浮揚を狙い、金融緩和圧力を強めている政府が日銀に対し、国債などの資産買い入れ基金を20兆円増額する追加金融緩和策を求めていることが22日、分かった。2年前から行っている日銀の資産買い入れ総額は、100兆円規模に拡大する』(上記URLより)
・・・・・・・・・えーっとですね、具体的な数字まで出して「要求」とかこらまた随分と筋の悪い話をしていますなあ(報道がその通りなら)という所ですが、更にアホウとしか思えないのはそういうのが平場で出てきて報道されちゃうって所でありまして、中央銀行の手段の独立性とかどこに逝ったんでしょうかという話ですわな。
大体ですね、本当に経済のために20兆円の追加緩和が必要で、日銀に強力に要請したいというのであれば、まああまり良い話では無いとは思いますけど、圧力掛けるなり何なりするとしたって裏でこっそりと行う話(まあそれ以前の問題として通常からちゃんとコミュニケーションしていれば圧力とかの以前で会話が成立しているでしょと思いますけどねえ)であって、その結果として日銀がサプライズ緩和を行って「おお!日銀どうしたんだYO!」となって目出度し目出度しとなるのが美しい姿。
まあ何処の誰が産経にネタ提供したのか存じ上げる由もございませんが、まあ日銀の追加緩和(20兆は兎も角まあ追加緩和自体はあるでしょ)についてもてめえらの手柄にしたいという浅ましい政治家様の動きが反映されているものと拝察いたしますが、その結果として仮に報道通りに日銀の買入等基金拡大が20兆円になっても「政治圧力」とかの話になり、「中央銀行の政策手段の独立性を政治が冒している」という評価になる訳でありまして、産経新聞およびこのネタを提供している「政府関係者」とやらにおかれましては経済よりも自社ニュースの売り上げや自分の手柄が大事である、とまあ斯様にご認識であるとしか思えない次第でございます。
つーかさ、こんな具体的な数字出して要請とかいう記事が出るのって手続き的にもちょっとおかしいんじゃネーノという感触は無いのかねとか思うのですけれども、まあ所詮は金融政策絡みでは電波浴に最適な産経新聞様のヨタ記事にそんなに釣られる必要も無いという気もするのだが色々な意味で酷いのでつい悪態を。
まあ同時にこんな記事出ているから産経およびこの記事のネタ元のポジショントークではあるのでしょうけれども、題名見て呆れるというか何というか。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121023/fnc12102306070002-n1.htm
20兆円の追加緩和要求 背景に政府の苛立ち 日銀法改正議論加速も
2012.10.23 06:07
特例公債法案放置プレイに見られるような無策モードになっておいて何が苛立ちなのかと・・・・・・
閣僚などのコメントはこんな感じ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCBQG86K50YL01.html
城島財務相:日銀は果断な金融緩和推進を−20兆円緩和要求の報道否定
・・・・・・・そらまあ報道否定しないと色々な意味でオワットル罠。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCBR296KLVR901.html
経財相:追加緩和要求「コメントしない」−次回の日銀会合出席に意欲
・・・・・・・あんさんがしゃしゃり出ると話が混乱するだけなんだが。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCCAYZ6K50YZ01.html
細野民主政調会長:日銀の政策決定に関心、前原氏と足並みそろえたい
・・・・・・・しかしこの党って自民党が日銀に色々と言った時に散々批判した上に「財金分離」とか言って武藤さん(と田波さん)の総裁就任を拒否した癖に何を今更ゆうとるんじゃと言うか記憶力が鶏並みかと小一時間。
なお、何となくのイメージ論だけで申し上げますと、20兆円拡大というのは多分物理的に無理が生じると思われます(長期国債についても償還が来るから5兆円超の拡大をするのは市場からの吸い上げが多くなりすぎるように感覚的には思えますし、短国もさすがに20兆とか買うと需給バランスが崩れそうです。まあ大丈夫かもしれないけど)ので、まあここから先は枠拡大をするというよりはFED方式(FEDは先日来ご紹介しているように「量で勝負」から政策の枠組みが変わって来てますぞな)で「通常の輪番と別の時限的措置として」という枠組みの中で「月に幾ら購入し、物価安定の目途である中長期的に1%を達成するまでそれを続ける」という風にした方が無理が無いと思いますがどうでしょうかね。
○もっとアレな記事がございましたので晒し上げ
昨日の午後にこんなのが出てましたけどね。
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_534550
日銀、インフレ目標の提案を素通り=石田前副大臣
2012年 10月 23日 14:41 JST
政府から何か提案あったという記録はどこにも見当たらないのですが何ですねんこれは?と思って記事を見たら色々な意味で酷いクオリティでもうね。
『石田氏はインタビューで、「目処(めど)や目途(もくと)という言葉はわかりにくいので、もっと皆がターゲティングと分かる言葉にしたらどうか、と話したことはある」と語った。』(上記URLより、以下同様)
そんな発言があったとかいうのは過去の議事要旨に無かったと思うのですが、と思って記事を見るとこれは酷いとしか申し上げようがないのが続く。
『石田氏は政府を代表するオブザーバーとして今回の会合に出席し、自らの見解を示すことができたが、投票権はなかった。提案は会合の休憩中に日銀当局者に対して行ったという。』
>提案は会合の休憩中に日銀当局者に対して行ったという
>提案は会合の休憩中に日銀当局者に対して行ったという
>提案は会合の休憩中に日銀当局者に対して行ったという
・・・・・・・・いやあの色々な意味で手続きもへったくれも無い無茶苦茶な話でございまして、「会合の休憩中」ってそれ公式発言扱いにならないのに「提案」とか認識してるというのは手続きという言葉をご存知ないのでしょうかというお話ですし、そもそも話した相手の「日銀当局者」って誰なのよという話。政策委員に話をするならばまあ個人的見解を雑談で行ったという事ですから手続き的にはどうかとは思いますがまだ話は分からんでも無いですが、その当局者が理事だの局長だのというような面々だとしますと(というか政策委員と言ってないのですから理事とか局長なんでしょ)、そんな人たちに意見を言ったって言われた方だって困りますがなとしか申し上げようが無い話。
でまあそれを記事見出しのように『日銀、インフレ目標の提案を素通り』とするとか無茶にも程がある話で、まあ例えが難しいですがハンバーガーチェーンのアルバイト店員に「こんな新商品を作ったらどうだ」と言ったらスルーされてファビョーンとかなっている訳のわかんない人みたいな光景が例えとして出るような話ですわな。
つーかさ、決定会合で意見表明は出来るのですから、何で討議の最中に「目処とか目途とかいう言葉は判りにくいのでわかりやすい言葉にして欲しい」と正式に発言しないのかという所でございまして、正式に発言するとその発言には当然ながら責任が伴う訳だから、その責任を取りたくないという事で「休憩中」に「日銀当局者」に行ったとか邪推したくなるわけでして、そういう文脈で考えますと、「個人的にはこう思うんだけどなあ」とか部下に言って、うまく行ったら俺の手柄、失敗したら部下のミスで済ませるようなロクデナシの姿も想起される所ではございますが何なんでしょこの人。
『デフレ脱却に向けた超党派グループに参加する石田氏によれば、日銀がインフレ目標を設定すると決めたのは、2月の会合前にデフレ対策を強化するよう求める圧力を政府から受けた結果だ。』
>デフレ脱却に向けた超党派グループに参加する
>デフレ脱却に向けた超党派グループに参加する
>デフレ脱却に向けた超党派グループに参加する
・・・・・・・・・・デフレ脱却議連ですかあ。つーか議員は兎も角として、あの議連やら国民会議とやらが出来た時にそこに名を連ねていた何とかストとかの皆様におかれましてはこのような記事を見てどういう感想をお持ちなのか小一時間問い詰めいたいのですがその関連悪態も後ほど。
でね、「圧力を政府から受けた結果だ」とか自分たちの手柄顔で話をする訳ですが、本来は圧力はスマートに掛けるものであって、その結果良かったら日銀に花を持たせておけば良い話であって、経済の事を本当に重要だと思っているのであれば「金融政策に政治が一々介入する」というような認識を広めるという中長期的な観点から国民経済に寄与するとは思えない行為をして自分たちの手柄をアピールというのは、先ほどの産経記事でついた悪態と同じ理屈でまあ何考えてるんだと。
『石田氏は、もう日銀とはコンタクトしていないとした上で、日銀には30日の次回金融政策決定会合で追加緩和を決める以外に選択肢がないとの考えを示した。』
>もう日銀とはコンタクトしていない
>もう日銀とはコンタクトしていない
>もう日銀とはコンタクトしていない
まあ追加緩和の方はともかく、「もう日銀とはコンタクトしていない」ってデフレ脱却議連だか何だかやっていて副大臣やってMPMに出席という形で日銀とコンタクトが出来たのに、その後「コンタクトしていない」とかお前は何のために副大臣やっていたのかと小一時間でありますわな。本当にデフレ脱却に対して真剣に取り組むというのであれば、この時に出来た日銀とのルートを生かして色々と政策について議論を深めて、自分たちの主張する政策とやらの実現に向けて取り組めよと思うのでありますよ。まあこれだけ「圧力を掛けました」アピールをする人間が「引き続きコンタクトして圧力を掛けているんですけど」とか言ってもまあアレではございますけどねえ。
しかしまあ何ですな、更に申し上げますとこういうのを平気で記事にするWSJ日本版の見識って何なんですかと思う訳で、言う方も言う方ですが書く方も書く方であって、ここまでダメダメ感漂うものをそのまま垂れ流すとか「WSJ」の看板が泣くわとしか思えませんが、所詮は日本版で出先だからこんなもんなのでしょうかねえとか思う次第なのですけど、色々な意味で酷いので悪態モードになってしまいましたがな。
○その他関連悪態
・まあこういうのに権威づけしちゃう「専門家」もアレなのですけどね
まあどこの誰とは敢えて申しませんが、昨日ベンダーのニュースをつらつら眺めておりましたら、どこぞの何とかストさんが「日銀が追加緩和しても意味が無い」というようなコメントをしていたとのニュースがございましてね。
いやまあその方が前からそういう話でもしているのならそうですかねという話なのですが、この何とかストさんって従来より日銀の緩和ガーとか言って政治家先生(と言ってもデフレ何とか議連とかではないと記憶してます)などを散々煽っておられたお方と記憶しております次第で、何でしょうかね、足元のクレクレ合唱と露骨に過ぎる政治圧力の大合唱にさすがにマズイとでも思ったのかもしれませんし、米国の金融政策が明らかに量で勝負の世界から脱却しているので、それに追随しようとしているのかも知れませんけど、それまで散々煽っておいて火が燃え広がりまくってそれに驚いているという風情が実にアレ。
結局ですな、上記ネタのように手続き論もへったくれも無くて騒ぐ政治家も政治家なのですが、そういう政治家にとりあえず目立ちそうな派手なネタを吹き込む「専門家」という存在が更に如何なものかと思われる訳でございまして、そういう連中が駆逐されねえかとか思うのですけれども、残念ながら政治方面にしてもメディア方面にしても、とにかくキャッチーで派手な物に飛びつく傾向にあるように見えまして、その手の世に阿る系の専門家が排除される気配も無いというのが誠に遺憾の極みであると存じます次第。
#などと悪態を書いておりましたら、昨日の続きであります所のスタイン理事講演ネタが出来なくなってしまいましたが、明日はFOMCステートメントが出るので恐らくそっちが優先になるかと存じますです(汗)
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2012/10/23
・と思ったら公共放送も追加緩和検討報道
今朝の公共放送ニュースから。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121023/t10015937051000.html
日銀が政策決定会合で議論へ
10月23日 4時16分
『日銀は、中国をはじめとする海外経済の減速が国内の生産などに悪影響を及ぼし、景気が一段と弱い動きになっていることを踏まえ、来週開く金融政策決定会合では景気を下支えするための追加の金融緩和策が必要か議論することにしています。』(上記URL先より)
ということのようです。
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2012/10/22
○特例公債法案どうなっとるのよ
金曜の3党首会談は始まったと思ったらあっという間に何も決まらず終了。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121019/k10015872891000.html
首相は解散時期示さず 会談物別れ
10月19日 18時16分
小見出しがorz
『首相“理解いただけなかった”』
『安倍総裁“正直驚いている”』
『山口代表“国民をバカにした話”』
どう見てもチキンレースです本当にありがとうございました。
で、国会召集だけはするようですが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121019/k10015877091000.html
臨時国会 今月29日に召集へ
10月19日 19時4分
『野田政権は、民主・自民・公明の3党の党首会談のあと、「政府・民主三役会議」を開き、赤字国債発行法案などの成立を図るため、臨時国会を今月29日に召集し、会期はおよそ1か月とする方針を決めました』(上記URLより)
で、今朝の解説。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121022/t10015909211000.html
臨時国会にらみ与野党の駆け引き続く
10月22日 5時6分
政治的には特例公債法案が回らなくなってもどうでも良しという雰囲気が漂っている訳ですが、先日ご紹介したwhat_a_dudeさんの所みたいに、そこら中で特例公債法案通らないと大変な事になるぞなという懸念で色々と準備作業に追われているというのを何となく聞くにつけまして、こいつら何考えてるんだというお話。まあ与野党とも相手のせいにする攻撃に余念がないのでどっちもどっちという感じですが、あたしゃ当初は野党ふざけるなと思っていた節があるのですけれども、どうも最近は政権サイドがもうちょっとやる気だせよと思ってみたりするざんす。
まあ何ですな、これが店晒しになるとどの年限の国債発行にどのタイミングで影響が来るのかという話は詳細に確認しないで書くのも何ですので割愛しますけど、どこからどう考えても碌でも無い波乱要因ではあるというのは確かで、債券市場のボラを高める話でしょうなあという所です。
しかし前原さん貫録のクオリティで安心した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK21007_R21C12A0000000/
首相は年内に解散 前原戦略相「約束守る人だ」
2012/10/21 11:16
何でこの人は一々余計な首の突っ込み方をして話をややこしくするんでしょうねえw
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2012/10/19
○追加緩和関連記事はあちこち出ていたようで
こんなのとか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121018-00000006-mai-bus_all
<日銀>追加緩和検討へ 2カ月連続、基金積み増し
毎日新聞 10月18日(木)2時31分配信
こんなのとか
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC1700Y_X11C12A0MM8000/?dg=1
物価上昇0%台後半 日銀、追加緩和検討へ
14年度見通し、1%目標に届かず
2012/10/18 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版
が出ておりまして、まあ要するに昨日の朝刊で追加緩和検討がどうのこうのという記事があちこちから出ていたようですが、世の中に疎いこのあたくし(自慢にならんが)は日経朝刊とかそのような物はここ10年以上読まない(ので朝の話題についていけない事は多々あるというのは如何なものかと思いますので良い子は真似しないように)のでそんなのつゆ知らずに昨日はブルームバーグが出した前日の記事に微妙な悪態(という程でも無いが)を付けておりましたな(汗)。
で、これに債券市場が反応したかと言いますと、昨日も申し上げましたように、そもそも金融政策のロジックを真面目に考えて素直に足元の経済物価情勢および9月の日銀の見通し下方修正を解釈すると、30日の決定会合(ちなみに会話ではめんどいから月末月末と申しておりますが本当は月末前日でおじゃる)で出す展望レポートで中長期的な物価見通しを出してそれが下方修正になるのが必至ですから、物価安定の目途というのを出している手前、追加緩和しないとロジックの整合性が取れないという結果になる(いやまあ経済物価見通しを4月と同じにすれば追加しなくても良いですけど、9月の時点で4月見通しの下方修正しているのですから)のは必定、とまあそういう事ですので、そちらには債券市場ちゃん全然反応せず。
それよりも為替市場が追加緩和期待で反応した、という事になっておりますが、まあそんなアホウな事はねえだろと思いまして、単にここもとドイツ国債やら米国債やらが欧州解決期待だか足元の経済指標だか知りませんが、微妙に売りモードになっていて、その流れで円を売りたがっていたので言い訳に使われただけでしょと思うのですが、まあ何はともあれ円安になって株高になった方に債券市場が反応して、ついでに超長期国債入札もありましたのでという所だとは思いますが、そっちの方に反応しているのがチャーミングというものです。
まあ為替市場様におかれましては、大体からして誰がどう考えても政策変更無いとしか思えない先々週の決定会合の時に前原さんが出席するから何かあるかもとか、政治圧力で金融政策が左右されたとみられるのが望ましくないという万国共通の中央銀行ロジックをまる無視する講釈を元に、現状維持で何故か反応する位のオモシロマーケットでございますので、もしかしたら本当に反応しているのかとか思うのですけど(苦笑)。
・・・・・・でですな、それはそれとしまして記事見ててふーんと思ったのですけどね。
上記の毎日新聞(のヤフーニュース転載分)記事から。
『日銀は17日、今月30日に開く金融政策決定会合で追加の金融緩和に踏み切る方向で検討に入った。』(上記ヤフーニュース経由の毎日新聞記事URLより)
いやね、「17日に検討に入った」という書き方が何ですかねという所でございまして、政策決定そのものは決定会合で行うという建付けでございまして、そらまあ展望レポートの文章を決定会合で一から作っていたら決定会合を3日徹夜くらい実施しないと間に合わないでしょうから事前のたたき台というものがというのは判りますが、「検討に入った」ってその見てきたかのような言い方が誠にアレ。
まあ何ですな、それが各社報道しているので、何となくこういう記事の出てくる背景って想像できるのですけれども、まあ妄想でああだこうだ書くのも微妙ですのでその辺は控えておきますけど、一つ言えるのは、この手の話ってまあ確かに金商法的な意味でのインサイダー云々には該当しないですけれども、やはり金融市場に対して影響を与える(今回は債券市場では追加緩和あるでしょというのと、まあそうは言っても金利が下がるかどうか判らんぞなと思っていましたので反応してませんが)話であって、そういうのが正式なルート(例えば公開の記者会見とかでそういう示唆が総裁から出る、とかそういうのであればまあそれはやや勘弁だがありとは思いますが)じゃない所からこうやって出てくるとかマジでふざけんなと思う所でありまして、こういうのメディアに漏らす(漏らしているのがいるのなら、ですが)アホウはドラム缶で逝く日本海溝海底片道クルーズツアーなり三途の川観光渡し船片道ツアーなりのご参加を全力でお勧めしたい物でございます。
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2012/10/18
○観測記事には【観測記事】とか入れて頂きたいもので
昨日のブルームバーグニュース。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MC0IJ66KLVRY01.html
日銀:物価1%達成を半年以上先送り、追加緩和も−30日会合 (訂正)
『10月17日(ブルームバーグ):日本銀行は消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)前年比上昇率が「2014年度以降、遠からず1%に達する可能性が高い」との見通しを少なくとも半年先送りする方向で検討している。関係者への取材で明らかになった。』(上記URLより)
ということで「関係者への取材」って何ですねんという所ですが、内容を拝読しますと単に市場の皆様の観測を合計したような話で、まあ一部に日銀の〜みたいなのも書いてありますが、まあごく普通の観測記事ではございます。
・・・・・・は良いのですけど、これニュースヘッドラインで出た時って、特に英語の方を見て思ったのですが、如何にも「日銀からのリーク記事」みたいな印象を与えるのでございまして(日本語だって「日銀:」って書いてあって如何にも日銀がそう言ったという形ですし)、いやまあ本当に独自の迫真取材なのかも知れませんのであたくしのいちゃもんが間違いだったらどうもスイマセンですけれども、内容的に観測記事じゃねえかと思うものを思いっきりリークっぽい話になるとか何なんでしょ。
まあ今回は(あたくしもそんな駄文を書いてますが)普通に考えたら物価目処1%の達成だって時間がより掛かるってのは先般の総裁会見でも明らかにそういう話をしていますし、物価安定の目途との整合性をロジカルに考えたら追加緩和でしょと思いますし、丁度うまい具合に(笑)来年の前半に基金での長期国債購入を5兆円乗せると買入額がスムージングになるとか、大体そんな予想は出来るのでニュース出ても「ああそうですか」で終了なのですが、観測記事なら【観測】とか頭に入れてほしいものだと思いますが、そんなのを頭に入れたら誰も記事読まなくなるから入れませんですかそうですか。
あとさ、毎度思うのですがリーク(日銀のそれなりの所からリークが出るとかいう妄想をする方も多いようですが、色々見ておりましてそんなこたあ有り得んと思いますよ。だってリークしたって何の得にもならないですから)みたいな事前報道が出ると、市場が先に織り込んでしまって実際に政策が出た時に打ち止めになってしまうので、大きな意味では国益的に如何なものかと思うのでありますのでいい加減何とかして欲しいものだと思いますけどね。
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2012/10/12
○その他少々ネタ
・自民党安倍総裁発言
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012101100727
日銀の量的緩和不十分=総裁人事にも言及−自民・安倍氏(2012/10/11-17:35)
『また白川総裁が来年4月に任期満了となることに関し「わが党が政権を取っていれば、(新総裁には)政府と協調してデフレ脱却のために大胆な金融緩和を行う方、2〜3%のインフレターゲットを持ってもらえる方が良いのではないか」と語った。』(上記URLより)
時事メインで最初「白川総裁を解任して」みたいなヘッドラインが出て「はあ?」という話になったそうなのですが、まあそれはさすがに間違いだったようで(そもそも政策委員については本人が申し出るか欠格事由に該当しない限り任期途中で首が飛ぶことは無い)ヘッドラインそのものが取り消されていましたが、高めのインフレターゲットの方に反応したのか総裁クビの方に反応したのか知らんけどまあ金先とか反応してましたな(債券先物は反応して無かったような気もするが)。
まあ別に2%でも3%でも結構でございますが、そもそも雇用所得環境が改善するというような期待が世の中で持てないどころか直ぐにやれ賃下げだ首切りだという話は横行する中でCPIが2%になる世界って政治的に耐えられるのかというような話に安倍さんどういう見識を持っておられるのかが聞きたい所ですな。物価が上がってそのままスライドで所得が上がってくれればそれはそれで良いのですが、どー見てもそんな雰囲気が毛ほども見られないという中ですし、大体からして(毎度申し上げていますが)ちょっと物価上昇の話があると直ぐに「物価上昇ガー」という報道が始まるという状況なんですからねえという所で。
てな事に関してお友達と雑談してたら「そもそも物価云々というから良くないのであって、本来行うべきは所得引き上げ政策だろ常識的に考えて」という指摘を賜りまして、まあ確かにそうでございますわなあとか思った昨日のひとときでございました。
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2012/10/09
○で、結局前原さんは何だったんでしょうか・・・・・・・・・
金曜の決定会合ですが、ベンダー情報などを見ていたら「前原大臣が日銀に入った」というようなフラッシュが11時位(共同のフラッシュは11時02分だったと思う)に打ち込まれまして、ほうそんな時間にやってきましたかそうですかとか思いつつメシに逝ったら・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2012/index.htm/
2012年10月 5日 当面の金融政策運営について(現状維持、12時14分公表) [PDF 158KB]
ご案内の通り、決定会合の結果は12時14分に公表されておりまして、いやあ前原先生が来てから1時間で決定会合結果発表かよとかズッコケにも程があるのですが、先ほど引用した声明文を見ますと政府からの出席者の詳細が判ります。
『上記のほか、
10 月4 日
佐藤 慎一 財務省大臣官房総括審議官(14:00〜17:04)
松山 健士 内閣府審議官(14:00〜17:04)
10 月5 日
武正 公一 財務副大臣(8:59〜12:00、12:04〜12:09)
松山 健士 内閣府審議官(8:59〜10:56)
前原 誠司 経済財政政策担当大臣(10:57〜12:00、12:04〜12:09)
が出席。』(声明分から)
で、この12時00分〜12時04分というのは採決を行っている時間で、この時間帯は政府から出席者は席を外していまして、出来上がった声明文などをリリースするまでのロジに必要な時間(声明文の紙をスキャンしてPDFに出してとかやってるんでしょうなあ)が5分という事になりますので、前原先生がおいでになった時間はほぼ1時間。
直近で閣僚の方がご出席していたのは報道されてご案内の通りですが、2003年4月8日(銀行が潰れるだの何だの言ってメガの合併最終時期でしたなあ)の決定会合となりますけれども、この時は・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k030408a.htm/
『上記のほか、
4月7日
津田廣喜 財務省大臣官房総括審議官(14:00〜15:52)
小林勇造 内閣府審議官(14:00〜15:52)
4月8日
谷口隆義 財務副大臣(9:00〜12:46、12:55〜13:17)
小林勇造 内閣府審議官(9:00〜10:28)、
竹中平蔵 経済財政政策担当大臣(10:41〜12:46)
が出席。』(2003年4月8日決定会合声明文より)
となっておりまして、竹中平蔵大臣(当時)は採決前の2時間5分に渡って参加しておりまして、開始から採決前までの時間が3時間46分あるのですが、その半分以上に参加していますがなという所でございます。決定会合の議事要旨を見ると判りますように、「経済物価情勢に関する委員会の検討」というのと「当面の金融政策に関する委員会の検討」というパートがあって、各審議委員が一人一人意見表明を行います。あと、過去の議事録見ていると声明文の表現とかで議決前にああだこうだという場面もあり(今回は割とすんなりだと思うけど)まして、そんなこんなを考えますと前原先生のように最後の1時間の出席だとどこからどう見ましても討議の最後の方にしか出てないだろという風に思える次第でございます。
いやね、まあ当然日銀サイドとしてはヨイショしますから、総裁会見では『大臣には、私どもの真剣な議論を聞いて頂き、また大臣も自らの考え方を披瀝され、私も大臣のお考えとして受け止めさせて頂きました。私どもの真剣な議論を直接聞いて頂くことは、意義があることと考えています。』(今日ネタにする時間が無いがこれは総裁会見からです)というようにヨイショヨイショとなりますけれども、結局の所肝心の議論の内容とか別に全部見ているとも思えない次第でございまして、お前は一体全体何をしに来たのかと小一時間問い詰めたい所ではございますが、まあ前原先生が勢い込んでドヤ顔で乗り込んで予想通り過ぎる展開に落涙を禁じ得ないものでございます。
まあ何ですな、ボロクソ言うばかりでは申し訳ないのでちょっとだけ前原さんの為に前回の竹中さんの時と比較すると、出席した時間の頭については10時41分VS10時57分ですから16分違いで大差ないというのが支援材料なのですが、まあ結局そこから1時間で会議が終了しているという事は即ち前原先生議論に特段貢献しないで、最後だか最初だか知りませんが「ぼくのかんがえたきんゆうせいさく」の話をして「いやあご高説ありがとうございました(棒読み)」となったのでしょうなあとか思うと更に落涙がトマランチ会長となるのでございました。
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2012/10/05
○さて日本の決定会合ネタですが・・・・・・・・・・・・
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121004-00000128-jij-pol
日銀決定会合に出席へ=「強力な緩和」求める―前原経財相
時事通信 10月4日(木)17時29分配信
『前原誠司経済財政担当相は4日、時事通信などとのインタビューで、日銀が5日に開く金融政策決定会合に自ら出席する方針を明らかにした。日銀が掲げる当面1%の上昇を目指す物価目標について「早急に達成するため、強力な金融緩和を行ってほしいということに尽きる」と強調。早期のデフレ脱却に向けた取り組みを求める考えを重ねて示した。』(上記URLより)
・・・・・・・・・まあ何ですな、このお方が張り切って何かに突き進む時って大体碌な事が無いというのが仕様じゃねえのと存じます次第でありまして、皆様記憶に新しい偽メール事件とか八ツ場ダム問題とかでのこちらのお方の動きというのを見ておりますと、どうも前原大先生様におかれましては脳内に不思議な幸せ回路またはお花畑が設定されていて、何か「これが正しい」と思いこんでしまうとその幸せ回路が絶賛大発動して、周りから見てお前ちょっとという状態になっても全然引かないで、思い込みのまま突き進んでトンデモナイ事になるんでしょうなあとか思うのですよ。世の中見ると割とこの手の幸せ脳のお方って散見されるようにも見えますが、思い込みフィルターが入ると最早全然トマランチ会長とかいうのが閣僚というのがオソロシスという所でございます。
つーかね、アコードとか外債購入とか、そらまあ色々と「個人的見解」がおありになるのはわかりますが、そういう「個人的見解」レベルの話を金融政策決定会合に出席して延々と大演説ぶたれても「だからどうしろとおっしゃる??」というだけの世界でございまして、そういう話は政府部内でのまとめとかを行って「組織として」こういう見解ですがどうでしょうかという風にして頂きませんと何の建設性も無い訳でございまして、まさに「言うだけ番長」の面目躍如としか申し上げようがございません。
とまあそんなこんなを考えますと、前原大先生様が決定会合で張り切った挙句にどんなトンチキモードになるのかというのが非常に楽しみあるいは頭が痛い所ではございますが、幸か不幸か決定会合の議事録(議事要旨では無い)が出るのは10年後でございますので、10年後にオモシロ議事録が出てきてあたくしの駄文の(って10年後にやってますかねえ^^)ネタになって笑いを提供して下さることを願って止まないものでございます。
なお、その手のオモシロ事案と致しましては、1998年4月9日の金融政策決定会合で尾身経済企画庁長官(当時)が張り切って大暴れしまして、10年後に乾いた笑いを提供してくれたというのがございますが、まあ2008年時点では尾身さんも一丁上がりモードでございましたから笑いのネタになっただけで終了でしたけれども、前原大先生様におかれましては10年後もきっとバリバリに活躍しておられると思いますので、その時になってから爆笑ネタを提供するとどうなるのだろうとか考えると更に胸が熱くなります。
ということで、あたくしの過去の駄文になりますが、尾身さん大暴れの図に関しては、2008年の8月1日の駄文で書いておりますので、この辺をご参照下され。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisakugijiroku.html#gijiroku080801(の後半になります)
また、この尾身さん大暴れの図には後日談がございまして1998年5月19日の金融政策決定会合で尾身さん大暴れ会合議事要旨のまとめをする際に塩谷経済企画庁調整局長(当時)が収拾するの図というのがございまして、こちらも味わいが深いのでその辺引用した駄文のリンクを付けておきますね。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisakugijiroku.html#gijiroku080818
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2012/10/01
○社債オペのスケジュールとか
基金買入のスケジュールが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120928a.pdf
CP・社債等買入(資産買入等基金)オペレーションのオファー日程について
『日本銀行では、資産買入等の基金の運営として行うCP・社債等買入オペレーションのオファー日程について、以下のとおり、11月オファー分を追加しましたので、お知らせします。なお、社債等買入オペの10月オファー分のオファー金額については、2,500億円から2,000億円に変更しています。』
これ基本的に月末に翌月分と翌々月分が公表される(総額の変更があった場合は別)のですけれども、前回2000億円の買入額が2500億円に増額されたのですけれども、今回2000億円に戻すという謎プレイ。別に最近の社債買入で変な札割れが起きていたとかゆー訳でも無いのですが、前回増やしたのも微妙に???だったのですが今回元に戻したとかこの経緯がワカランチ会長。
ちなみに買入状況ですけれども。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac120920.htm/
コマーシャル・ペーパー等:1,671,098,613
社債:2,722,200,173
でまあ買入目標は
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120919a.pdf
の3ページにありますようにCPが2.1兆円、社債が2.9兆円になっていまして、社債に関しては残り1800億円なのですが、償還分があります(社債に関しては明細は表に出さない)ので、その分の購入をしないといけませんのでまあこんなもんになるんでしょうかね。
CPに関しては買った側からバカスカ償還が来るので、これはまあ最後の最後までせっせと購入し続けないといけないのですが、こっちの目標数字も中々大変ですけれども、まあ世の中に玉自体はありますし0.10%割っても買うのですから(そこまで行かないと思うが)これ自体は目標大丈夫でしょとは思いますです。
○LIBORがどうのこうの
英国財務省のページから
http://www.hm-treasury.gov.uk/wheatley_review.htm
The Wheatley Review Final Report
『On 28 September 2012 the Wheatley Review published its final report ‘The
Wheatley Review of LIBOR’,which included a 10-point plan for comprehensive
reform of LIBOR. 』
ということで、LIBOR改革のポイントがどうのこうのというのが出たのですが、この最終レポートが1MBとか書いてある時点でお分かりのように、表紙も含めて92ページ組という代物でさすがに全部読んでいる暇は無かったのできっと誰かが読んでいる(暫く前に途中のレポートというのが60ページ少々で出ている)ので、誰かがちゃんとレポートを出してくれるでしょう(何という手抜き)。
まあ読みやすいレポートが出ないなら週末が3連休のようなので(完全に失念してた今カレンダー見て初めて気が付いた)頑張って読んでみるかもしれないが本人のやる気次第。
公表時のコメントもございます。
財務省の中の人
http://www.hm-treasury.gov.uk/fst_speech_280912.htm
28 September 2012
Speech by Financial Secretary to the Treasury, Rt Hon Greg Clark MP; Wheatley Review Final Report
FSAの中の人(つーかこのレポートのまとめ役)
http://www.fsa.gov.uk/library/communication/speeches/2012/0928-mw.shtml
28 Sep 2012
Speech by Martin Wheatley - Managing Director, FSA, and CEO Designate, FCA at the Wheatley Review of LIBOR
あとThe Wheatley Review公表におけるプレスへの公表文。
http://www.hm-treasury.gov.uk/wheatley_review_pn_280912.htm
Independent Review into Libor published
28 September 2012
Press notice by the Wheatley Review
でまあこちらをざくっと読みますと・・・・・・
『Today the Wheatley Review of LIBOR published its final report.
Recent revelations have demonstrated that the current system of LIBOR is
broken and needs a complete overhaul. It is clear that wholesale reform
is required to restore credibility in the benchmark.
The Wheatley Review sets out a clear a 10-point plan for reform, which includes:
・new and robust regulation;
・a fundamental overhaul of the way LIBOR is run, including taking responsibility
away from the BBA;
・a requirement for banks to back up their submissions with evidence of relevant transactions; and
・detailed technical changes to refine the way LIBOR is put together, to make it much harder to manipulate. 』
ということですが、『the current system of LIBOR is broken』という認識を示しているわけでございますが(まあこれ自体は今に始まった話では無い)、この先の方にこんなのがありまして。
『Financial Secretary to the Treasury, Greg Clark, said:』
ってんですからまあ上の方のリンク先にもあるのですがね。
『“Today’s independent report is very clear - the self-regulation of
LIBOR has failed. It’s yet another example of the broken regulatory system
that this Government is committed to fixing. 』
『“LIBOR is a hugely important international benchmark and this report
makes a series of comprehensive and practical recommendations designed
to restore its credibility. The Government will respond, in full, once
Parliament returns.”』
でまあ2番目の方は良いとして、こちらにあるように「the self-regulation of
LIBOR has failed」というのがまあ実にその通りだけど残念な指摘でありまして、「お前らの自主的な規律に任せておくとロクなことにならん」という論理っていうのはまあ今後の金融に関する規制監督の方向性というの物を考えますと、誠にアレな展開が想定できますなあ、とまあそんな話になろうかと思います。
ちなみに、スピーチの方はめんどいのでパスしますが、とにかく「the reputation
of the City of London」というのが連呼されているのが印象に残りました。
○ニュース雑感
・だからまずこの手の話で大騒ぎするのがですなあ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121001/k10015412791000.html
食用油など相次いで値上げ
10月1日 4時21分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121001/k10015412801000.html
環境税導入 家計負担増見通し
10月1日 5時8分
まあ環境税の方は微妙ですけれども、そもそもデフレ脱却にはマインドの改善が必要であり、「この手の物価は毎年上昇するもの」という認識が共有されるようにならないとデフレ脱却という話にならんじゃろと思うのでありまして、毎度おなじみの値上げキタコレというような雰囲気にならないとねえという所で。
まあ何ですな、歳がバレるからアレですが(^^)、毎年のように鉄道運賃とかがホイホイ上昇していたのが記憶にあるあたくしと致しましてはこんなんで一々ニュースになって大騒ぎしていたら上がるもんも上がらなくなるぞなもしという気はします。いやまあ当時も物価が上がって大変ですなあ的なニュースはいつもあったのですけれども、まあそうは言っても上がるもんだよねというのがあった(だからこそ「ベア」という言葉(弱気相場という意味では無い方)があった訳で^^)のですけどね。
・自民党人事雑談
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120928/k10015358991000.html
自民 新執行部の陣容固まる
9月28日 14時14分
『自民党の安倍新総裁は28日、新しい執行部を発足させる方針で、新たに、細田博之元幹事長を総務会長に、甘利明元経済産業大臣を政務調査会長に起用する意向を固め、執行部の陣容が固まりました。』(上記URLより)
今回の自民党総裁選ですが、良く良く考えてみれば安倍さん第1回投票で党員票も国会議員票も2位で、まあ国会議員票の2位は僅差ですけれども党員票では大きく水をあけられていたのですからして、小泉さんの後を受けた時に比べたら党内をしっかり固めないといけませんぞなもしという話になるんでしょうなあとか思う布陣。
政調会長の甘利さんというのは報道とか見ると「お友達人事」との話もありますが、まあはまり役だと思いますのでこれはこれで良いと思うのですが。まあ安定感のある布陣にしておいた方が選挙的にも良いような気もするのですけれども、それはあたくしが勝手に思っているだけ。
でもってこちらは意外。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120930/k10015409051000.html
中川元幹事長 衆院選立候補せず
9月30日 23時0分
そちらの記事にもありますように、前回の安倍内閣の時には幹事長になって「閣議で首相入場時に起立して挨拶しないとはケシカラン」とか大変にお洒落な事を仰せになられたりというお方で、いわゆる上げ潮派の重鎮で安倍さん総裁返り咲きで中川さんウハウハだったと思ったのですがこれは何としたことぞ。
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