金融政策概観(2012年度上期後半分(2012年07月〜09月))

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2012/09/28「基金国債買入の年限区分撤廃/短国は期末で堅調」
2012/09/27「自民党総裁選は安倍晋三元首相が新総裁に」
2012/09/26「決済に関するレポート/愛宕元日銀物価課長のインタビュー記事」
2012/09/24「当座預金残高が既往ピークを更新/基金長期国債の償還スケジュールを確認」
2012/09/21「金融経済月報や総裁会見など」
2012/09/20「決定会合は景気見通し引き下げ&追加緩和実施」
2012/09/19「決定会合プレビュー関連ネタ」
2012/09/03「特例公債法案の成立困難で交付税支払い繰り延べ→日銀ここぞとばかりに長めの資金供給」
2012/08/30「問責可決で特例公債法案は今国会では不成立が確実に(メモ)」
2012/08/24「基金国債買入札割れ回避/固定オペの残高が減らない件/米国の緩和期待はどこまで織り込む?」
2012/08/21「オペ雑談/電力債の一般担保を廃止の構想とか意味判んない」
2012/08/17「5年カレントが0.24%に上昇!!」
2012/08/16「インフレフォビアや清貧シバキアゲに呆れる/5年が0.20%台に上昇」
2012/08/15「日銀保有長期国債が銀行券残高を上回る/基金短国買入を増額」
2012/08/09「消費税法案の3党合意の合意キタコレ/2年に投資家の売りが出たようで」
2012/08/08「東証デリバティブがまたまたトラブル/その他市場雑談/決定会合プレビュー」
2012/08/02「基金国債買入が2年以内どころか3年以内も揃って大札割れ」
2012/08/01「2年国債入札が0.10%に全然届かない激強入札/社債市場活性化PT/議事録キタコレ」
2012/07/31「6か月固定オペはまたまた札割れ&基金短国買入は順調消化」
2012/07/25「欧米金利最低更新/基金オペ結果が微妙にアレ/審議委員2名着任」
2012/07/24「2カ月入札は穏当な結果に/欧州マイナス金利雑考メモ」
2012/07/23「ユーロ炎上/6か月オペを調子に乗ってオファーねえ/謎の輪番結果/LIBOR騒動関連」
2012/07/20「3か月TB入札に大量の不明札/金曜電波浴で総裁会見から電波質問をピックアップ」
2012/07/19「基金オペと輪番オペの1年以内でマイナス金利応札可能へ」
2012/07/18「LIBOR関連で早速民主党財金が無能な働き者攻撃キタコレ」
2012/07/13「7月決定会合結果について」
2012/07/11「電波浴シリーズ:公明党の財源論議/馬淵議員の藁人形論法/共同通信の事実捻じ曲げ報道/高橋洋一先生の穴だらけ論法」
2012/07/10「ECB利下げの影響で短期金先がアヒャヒャヒャヒャ/6か月オペのうちまくりんぐ」
2012/07/05「エンゲル係数が上昇していたらコアコアじゃなくて総合物価指数重視ではないでしょうか第一生命経済研究所永浜主席研究員様・・・まあそれ以前に事実誤認がありますけどね」
2012/07/04「LIBOR問題関連/オペ雑談/インサイダーがどうのこうのというのに新聞報道はオッケーとな」

2012/09/28

○基金国債買入の対象年限分けを撤廃

こんなん出ました。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120927a.pdf
資産買入等基金による国債買入の当面の運営について

『同国債買入については、本年4月27日付「資産買入等基金の国債買入・社債等買入の当面の運営について」により、これまで、買入対象銘柄を「残存期間1年以上2年以下」と「残存期間2年超3年以下」に区分して入札を行ってきましたが、今後は、残存期間による区分を行わず、買入対象銘柄を「残存期間1年以上3年以下」として入札を行うことがあります。』

ということで、先般基金国債買入の応札下限金利を撤廃しましたが、その後に基金国債買入を実施したら落札金利が逆イールドになっちゃいましたなという現象もございますし、まあその前から手前が札割れして後ろが按分とか、逆に手前にどどんと札が入っているのに後ろが札割れとか起きて、まあ毎度毎度入札オファーをする金融市場局の調節担当部署も需給動向ヒアリングするのも大変ですがなという感じでございました。市場金利に関しても既に3年までは実質0.10%割れ状態(買いに行けば10割れで売りに行くと10)とゆーのが続いておりましたので、まあこれはそのような市場状況を追認したというのと、オペレーションをやりやすくしました、という所でしょう。

今回の措置に関しては上記URL先にありますように「金融市場局」名で出ておりますので、建付けとしては「金融政策としての何らかの政策的意図はございません」という事になります(何らかの政策的な意図を持ってアナウンスしたい時には決定会合での議決事項に持って行く)ので、これ自体は特段の政策的な意味合いは無いという事になりますが、市場的に言えば3年以内の国債金利形成の部分で、2年と2年超の所での需給の差(=新発国債が出る分)に伴う逆イールドチックな動きが無くなり、まあこの期間の利回り形成がスムーズになる、というと格好いいですけれども、要するに横一線になるということですな(^^)。

とか何とか考えますと、昨日の2年新発が0.10%一本値入札(なお一本値ではありますが電波発信装置のドクターZ先生にお断りしますがどう見ても日銀のご指導とかございませんので念の為^^)で按分が9%強となりまして、先月よりやや弱めの入札になった(先月は平均が0.10%割れで足切り100円の按分が5%でした)のですが、この銘柄が買入対象になって(発行日が来月15日なのでまだ対象にならない)以降は0.10%をちょっと切った辺りでこの銘柄が捌けて、その間は他の銘柄もまあその辺の金利に収斂する、とかまあそんな感じになるんでしょうかね、よー判らんけど(もうちょっと詳しく話をすると、当然ながら対顧客でショートセール対応をしたりするとカバーニーズが発生するので、その分だけ金利が下がりやすくなるので新発債よりもそれ以外の方が多分実力ベースの金利は低くなると思う)。

ま、今さらいう話でも無いですが、基金国債買入自体は来年の末まで継続するのが確定している(そらまあ状況が激変して物価でも物凄い勢いで上昇すれば別ですが)という大変に素敵な状態になっておりますので、どう見ても来年の秋口位まではこの調子の金利形成になるんでしょうなあ、とほほのほ。


○その他市場雑談

といっても短国とかGCとかの話ですが^^;

昨日の3か月TB入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20120927.htm

(3)募入最低価格 99円97銭2厘5毛
(募入最高利回り) (0.0994%)

(4)募入最低価格に 15.3673%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円97銭2厘6毛
(募入平均利回り) (0.0990%)


ちなみに前回の3MTBの結果はこちら
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20120920.htm

(3)募入最低価格 99円97銭5厘0毛
(募入最高利回り) (0.0992%)

(4)募入最低価格に 6.1397%
   おける案分比率

(5)募入平均価格 99円97銭5厘2毛
(募入平均利回り)(0.0984%)

直近3回(3週間)の3MTB入札では足切りが0.10%割れとなっておりまして(それまでは足切りが0.10%に乗っておりました)、まあ今回も足切りは0.10%割れとなっております。

足元では期末要因というのがあるのと、20日の国債大量償還の資金が当座預金残高水準に見られるように余っているということで、短期国債に資金潰しのニーズが絶賛到来の図となっておりまして、短国対象となるタームの現先レートとか全力で低下しておりますし、まあ短国に関しても在庫が減りましたぞなという状態。今回の3MTBに関しては発行日が期末越えになる(来週月曜)のですが、まあ若干平均が安くなった(今回の3MTBからは年末をまたぐ関係で13週間物では無くて14週間物で出てくるので価格で単純比較できません)かも程度しか変化も無く、引き続き堅調という形に。

まあタームの短国現先ニーズの強さとか見てますと、どう見ても待機資金です本当にありがとうございましたという風情を醸し出している所ではございまして、タームじゃない現先レートに関しても今回は期末接近のタイミングで瞬間的にはニーズありありの結果モノナシ状態になって急速に低下した(その後末初の所では戻りましたが)りしてまして、GCに関してはまあ相変わらず0.10%で張り付き状態で、0.10%割れでも買わざるを得ない人の買いで10を割るものの、持続的にどんどん下がる訳では無いという所のようで、まあ引き続きGCや現先市場でのレートは低い状況ですし、短国などのニーズは強いという短期市場銭ウナール状態は続くのでございました。つーかこれから日銀の買入残高増えるともっと銭が唸るのですけれども。

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2012/09/27

○自民党総裁選挙雑談メモ

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120926-OYT1T00783.htm
自民新総裁に安倍氏…石破氏を重要ポストで処遇

第一回投票
     党員票   議員票  合計
石破   165   34   199
安倍    87   54   141
石原    38   58    96
町村     7   27    34
林      3   24    27

第2回投票

安倍  108
石破   89

ということで、最初に(今回見た時に改めて議員投票の前に党員投票の結果が出るのか不思議だなとか思いましたが、そもそも党員投票やった多分第1回の大角連合での福田逆転時からそうだったですわな)党員票の結果が出てゲル過半数と出た時点では何となく債券先物が毛ほど買われましたがまあ様子見。

その後決選投票で安倍さん逆転で瞬間先物が5銭少々売られましたが、その後はまあ良く考えたら今すぐ何か変わる訳でもないですよねそれより今日は国債の9月内最終受渡しですぞなもしという事もあって結局債券堅調という所で、まあ市場はあんまり反応しないどころか、安倍さんの演説が報道されているタイミングのイブニングセッションでは債券先物続伸してました。まあそれは恐らく欧州懸念とかの方で買われていただけだと思いますが。


でまあ安倍さんの場合はいわゆる「上げ潮派」という事になっていますが、消費税増税の前にデフレ脱却云々はまあそらそうなのですが、財政問題に関しては現実的に考えた場合にデフレ脱却したら問題が解決するのかというと、何をどう考えても歳入云々よりも歳出の方を何とかしないと景気が少々良くなったとしても財政が真っ赤っ赤なのは変わらないと思う(それに物価が上昇したら黙っていても歳出が増えますし)ので、上げ潮で全て解決みたいな感じの言われ方をしているのがいかがなものかという感じがします。

つーかね、安倍さんの場合って、昨日テレビ番組で喋っていたのを見るとそう極端に無茶な話をしている訳でも無いのですが、どうも取り巻きおよび自称取り巻きの応援団に碌でも無いのがウジャウジャ居るイメージが強くて、その取り巻きおよび自称取り巻きが極論やら何やらを振りまくのでどうも何だかねえというのがあたくし的にございますがなというのがまず一点。

ご参考としてはもと切込隊長氏のこんなエントリーとか、つーか先日の野球ネタ投下前に何本もシリアスモードでのエントリー投下の方がビビりましたぞな(^^)。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/09/post-e1f0.html

あとですな、まあこれは相変わらず思うのですが、「美しい国」みたいな何だかよく判らないけど具体的な中身が見えないけれども格好はいいスローガンというのが出てくるのが安倍さんの仕様で、今回の総裁就任でも何かそういうお話をしていたように思えるのですが、そーゆーのって現実を見ないで突っ走ってあじゃぱーという結果になり兼ねない、と申しますか既に鳩ぽっぽで散々痛い目にあっておりますので、まあそうならない事を期待したいのですけれども、前回の総理在任期間中の記憶を戻すとどうもその懸念ががががが。

決選投票になったのが40年位ぶりで、2位が逆転したのが50年以上ぶりでという報道があったのですが、そもそも40年前の時って党員投票無かったのですからあまり関係ないぞなもしという感じがする(三角大福時代で、田中、福田、大平、三木の順番だった筈)し、2位が決戦で逆転した時って2位3位連合を組んでいて、当時は3位の石井支持の池田とか大野とかが岸を嫌って2位の石橋に突っ込んで行ったとか、まあ何かややこしい派閥論理があった訳ですが、今回は特段の2、3位連合があった訳でも無いですし、大体からして国会議員票だけ見たらゲルって3位なのでそういう意味では逆転でも何でも無いとも言えますぞなもしという感じで、まあ昭和時代とはだいぶ違いますなあとか思うのでありました。

しかしまあ何ですな、国会議員票で第1回の20票差が殆ど縮まらなかったゲル様の議員内における人望というのも誠にアレではないかと思われる次第ですが、国会議員票だけでやっていたら1回目が石原、安倍で2回目では恐らく2、3位連合が出来ていたので安倍にひっくり返ったという形になったでしょうから、そう考えると形は全然別ですが逆転は逆転という所なのでしょうか。

いずれにせよ、党員票でろくすっぽ票が取れなかった石原様におかれましては、この際親子共々政界からぜひ引退して風月でも楽しんで頂きたく存じます。つーか尖閣騒動を大騒動にするきっかけを作った親父出てきてちょっと説明してみろゴルァと思うのだが。


でまあ安倍さんですかそうですかという所なのですが、自民党的には安倍さんなのかねとは思うものの、世間的に見て安倍さんってやはりあの施政方針演説やった翌日にいきなり辞任という意味不明にも程がある攻撃のイメージが強くて、何で今さらという感じじゃないかと思いますし、経済政策だってまあデフレ脱却は良いとしてもインフレ3%とかこのインフレフォビアの国でその話どうなのよとか、改憲だって(まあゲルも改憲だからそこは似たようなもんですが)歯切れは良いけどそれはコアな支持者は掴めても国民政党としての支持を集めるという意味ではどうなのよとか、まあ何っつーかどっしり構えていれば普通に選挙に勝てそうな所なのに、わざわざこういうやや政治的主張が立ち過ぎている人を総裁に選ぶというのはどうなのよという感じがします。

まあ谷垣さん続投で何がまずかったのか良くワカランチ会長でございますし、別に普通に無難にやっておけば良かったような気もするんですが、週末に自民党と民主党の支持率がどう推移するのか楽しみに眺めたいと思います。


日銀法改正だの3%のインフレ目標だの威勢の良い話をしていますが、債券市場的にはまあ政権付いたら結局ヘタるだろうなあと高を括っている節があるような気がしますけどね。つーか威勢の良いことを言えば世の中がその通りになるならだれも苦労せんぞなもし。

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2012/09/26

○その他メモである

・これは後でじっくり読みたい

http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2012/ron120925a.htm/
金融機関間の資金決済のための流動性について
― 次世代RTGSプロジェクト第2期対応実施後の変化を中心に ―

要旨をまる引用。

『金融機関は、コール取引や外国為替取引等、様々な取引を行っており、取引の約定成立後、資金の支払側は、決済に必要な流動性を自らの日銀当座預金に用意したうえで、日銀ネットに対し振替依頼を送信すること等により決済している。本稿では、こうした金融機関が決済のために用意する流動性の状況について、日銀ネットの決済データを使って分析した。この結果、2011年11月の次世代RTGS第2期対応(1件1億円以上の大口内為取引のRTGS化)の実施に伴い、金融機関がRTGS決済のために投入した流動性は大きく増加したが、このうち結果的に決済に利用されなかった流動性が、相応に存在することが分かった。また、次世代RTGSプロジェクトによって導入された流動性節約機能は、現在の緩和的な金融環境の下でも、一定の節約効果を発揮していることが確認された。

足もとでは、決済のために多額の流動性を恒常的に用意している金融機関が少なくないとみられる。今後、金融環境等が変化した場合には、金融機関の流動性コストに対する意識にも変化が生じる可能性がある。そうした下で、決済の円滑性を維持していくためには、各金融機関や市場・制度運営者等の幅広い関係者における対応が必要となる可能性がある。本稿の分析が、そうした検討に資することを期待している。』

本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2012/data/ron120925a.pdf


http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2012/ron120925b.htm/
流動性節約機能付RTGS下における業態別・取引別の資金決済動向について

同じく要旨をまる引用。

『2011年11月の次世代RTGS第2期対応(1件1億円以上の大口内為取引のRTGS化)の実施により、次世代RTGSプロジェクトが完了した。これにより、大口内為取引、市場取引、外為円取引が、流動性節約機能付RTGS下で決済されるようになり、決済の安全性と効率性が一段と向上した。本稿では、次世代RTGSプロジェクト完了後における金融機関間の資金決済動向について、業態別・取引別に分析を行った。その結果、流動性の投入量や日中の時間帯別の受払状況、流動性節約機能の活用状況など各種の決済指標は、業態や取引によって大きく異なることが確認された。こうした違いは、日中の資金決済全体の進捗において、各業態が与える影響が異なることを示唆している。例えば、都市銀行は、大口内為取引について、支払指図の決済を朝方早くから進めているために支払いが先行しており、これは取引全体の円滑な決済に寄与しているものと考えられる。

こうした現状分析は、今後、金融機関を巡る環境変化が生じた際に、決済動向にどのような影響が現れるのかを考察するうえでの検討材料の一つになると考えられる。』

本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2012/data/ron120925b.pdf


・このインタビュー記事は中々良いです

本当はネタ投下予定だったのですが、時間が無くて投下できずにメモで勘弁。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MATYGE6KLVRD01.html
日銀は来月末追加緩和も、14年度物価1%未達なら−愛宕・前日銀課長

『9月25日(ブルームバーグ):日本銀行の物価統計課長を務めた愛宕伸康氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、日銀が来月30日の金融政策決定会合後に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2014年度の物価上昇率見通しが目標の1%に届かなければ、同会合で追加緩和が行われる可能性があるとの見方を示した。』(上記URLより、以下同様)

ということですが・・・・・

『愛宕氏は「7−9月、10−12月は2期連続マイナス成長もあり得る」と指摘。12年度の成長率も「どんな試算をしても2%は厳しい」と語る。日本経済を左右する最大の鍵は中国経済だが、「仮に改善に転じても、反日ムードがどの程度、日本からの輸出に影響するか分からないので、日本の輸出も回復するかどうかは慎重に見た方がよい」という。 同氏は13年度成長率はプラス1.3%を予想。前年度からの統計的な上乗せ要因であるゲタが0.3ポイント、消費税引き上げ前の駆け込み需要が0.7ポイントとみており、それらを差し引くと「実力は約0.3%。潜在成長率をやや下回る水準で、需給ギャップはよくて横ばい」とみる。14年度は駆け込みの反動が出るため、「住宅投資で税制面等の経過措置をとらないと、マイナス成長になってもおかしくない」という。』

とか

『愛宕氏は「いろいろな業種の人と話すと、やはり値上げなどできないという人が圧倒的に多い。皆が価格を据え置きに決めると、物価指数は品質調整で0.2−0.3%程度は必ず下がる」と指摘。さらに、「原材料価格の上昇や、品質を向上させるためのコストを人件費の圧縮で補うことになり、そうすると消費が盛り上がらず、ますます値上げができないという悪循環に陥っている」という。』

という辺り、まあそうですなあと思いましたです、はい。

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2012/09/24

ということで(どういうことだ)各種市場雑談ネタでありますが、MPMネタとかその前のFOMCネタとかでバタバタしておりましたが、スルーしておりました市場雑談ネタを少々。

○当座預金残高が7月2日のピークを上回るようです

金曜の当座預金残高
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx120921.htm

>当座預金残高 437,400

今日の当座預金残高見込
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp120924.htm

>当座預金増減 +5,400

ということで、9月20日の四半期恒例国債大量償還の巻の影響によりまして、当座預金残高は絶賛増加中で、現在の見込み段階では今日の当座預金残高は442800億円となる予定でございまして、既往ピークの7月2日(これも6月20日の国債大量償還の余波による)の当座預金残高440500億円を上回る予定となっております。

・・・・・・・・・でまあそれはどうでも良いのですが、当座預金残高が減って日銀の引き締めで円高ガーとか言ってた人たち出てきやがれゴルァと思うのですが、すっかり話題にならんとは何たる事ぞと思って悪態がてら書いただけである。

まあ当座預金残高が積みあがっているから金利がクソ低下するのかと言われますと必ずしもそういう訳では無く、短国の入札はまあ強めで推移していますがGCレートがどどーんと下がるという話でも無いですがなという所。そもそも当座預金残高の拡大は日銀の資産買入の拡大が背景としてあるので、これからも買入残高が拡大する中ではまー普通に当座預金残高が拡大していくのですが、拡大している時はだんまりでその前に震災の影響による前年比縮小の時だけ大騒ぎとかどんだけ悪意を持った人たちだよという所で、どこぞの夕刊紙で電波浴シリーズを垂れ流しているウォッチマンとかもそうですが、それより本職の何とかストで本件のネタを大騒ぎしていた以下悪態。


○物は試しに基金国債買入ペースを計算してみたお

8月末時点の営業毎旬報告
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac120831.htm/

8月末時点の日銀保有国債銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/release/2012/mei1208.pdf

営業毎旬報告を見ますと基金国債残高が15兆7099億円となっておりまして、まあここから年末までに24兆円、来年6月末までに29兆円、来年末までに34兆円の残高に持って行くという計算になるのですが、一方で既往の購入分の償還分の買入も実施しないといけない(目標は買入額ではなくて残高だから)ので、それを計算しようとすると上記保有銘柄別残高を確認する必要がございますな。

ということで、あたくし上記の保有銘柄別残高に対して各銘柄の償還確認して電卓(汗)で手計算した結果(でございまして、一応検算したつもりなのですが間違っていたらスイマセン)以下のような結果に。(縦長ですいません)

2012/12までに償還するもの

2年債(296-299)3723億円
5年債(68-69)448億円
10年債(244-245)800億円

合計:4971億円

2013/06までに償還するもの

2年債(300-305)8672億円
5年債(70-74)2497億円
10年債(247-252)1360億円
20年債(24)138億円

合計:12667億円

2013/12までに償還するもの

2年債(306-311)33186億円
5年債(75-80)1469億円
10年債(253-257)4711億円

合計:39366億円

2014/06までに償還するもの

2年債(312-317)65584億円
5年債(81-84)10088億円
10年債(258-262)559億円

合計:76231億円


つーことで、実は後に来ると償還が何気にドカドカ来るので、たとえば基金残高の期間をあと半年延長しようものなら、残高維持であっても既に現時点で償還見合いで半年で7兆6200億円(これ額面ベースで、実際の買入残高ガーの話は時価ベースになると思うので多少のブレはありますけれども、まあ今の所は2年債中心なのでそんなに派手にはぶれないとは思います)あるという大変に素敵な状態で、その上これから買う分だって普通に残存1年〜2年を買ったら残高が積みあがる可能性はある(まあ基本的にカレント近辺が多いとは思いますが、カレント買ってから暫くして打ち込む投資家もいるでしょうからまだこのゾーンの買い残高が増える余地はあるでしょう)のですから、まあ中々残高維持だけでも大変というお洒落な話に。

で、肝心の手前に関してですが、9月渡での基金国債買入は先週末までの時点で3本あって、それぞれ2508+4000億円、3425+4000億円、7000+3001億円の買入となっていますので、合計しますと23934億円になりまして、只今基金国債買入残高が(アタクシの計算が間違っていなければ)18兆1000億円の所まで確定している、という事になります。

んでもって償還が上記の通りですので、年末までには24兆円−18.1兆円+5000億円(償還分)ということで、あと6.4兆円の積み上げが必要となりますので、これを残り3か月で割ると月に2.2兆円弱の購入が必要と。

んでもって来年6月末までにはこれに5兆円の残高積み上げを行うのですが、償還が上記のように1.3兆円ありますので、半年で6.3兆円の積み上げが必要で月割りすると月1.1兆円弱の購入が必要ですの。

同様に来年の年末までには5兆円積み上げ+3.9兆円の償還対応がありますので、これを月割りすると月1.5兆円弱の購入が必要になるという事で、何気に今回の基金積み上げは来年の前半よりも後半の方が買入ペースが拡大するというオサレな結果になっておりますの。

なお、2014年6月末までの買入残高維持という話になると、この半年は償還対応だけで7.6兆円の積み上げが必要ですのでそれだけで月に1.3兆円弱の購入が必要となりますぞなもしという所です。


・・・・・・・・・・・とまあそんなものはどうせどこかの本職の方がレポート書いている筈なので皆様先刻合点承知の助だとは存じますが、まあ一応あたくし自力で計算してみたのでドヤ顔でご報告という話ですが(と言いつつこれで計算ミスしてたらアホス)、この数字を見ますと次の追加緩和(10月末の会合では展望レポートで中長期的な見通しおよび中長期的な物価安定の目途に対する見通しを示すのですが、まあどう見ても中長期的な物価安定の目途の達成が遅れるのは見え見えですからして、政策ロジックとしてはそこで何らかの追加緩和が行われるでしょという話になりますぞな)では来年前半の国債買入をあと5兆円積む(だけだとしょぼいので短国買入を5兆円追加がセット)のが一番据わりが良いという話になりますな。ほとんど絵合わせパズルの世界ですが。

また、この償還スケジュールを見ておりますと買入基金の期間延長を行った場合、残高の積み上げを行ってしまうと買入が相当のペースで実施しないと回らなくなるという中々アレな事態になりますなあ実務的にそれ大丈夫かという話になりますぞな。

まあいずれにしましても、基金買入に関しては物価安定の目途達成が展望レポートの見通し期間内になる辺りになるまでは最低でも続けないといけませんでしょうし、それに加えまして、そもそも1%の目途が達成できればそれで良いかというと必ずしもそうではなく、本来的に言えば欧米並みの2%を目指すもんでしょう(いきなり2%とか言うと余りにも遠すぎるという観点から1%として置いている、という説明はさすがの麿様でも仰っていますがな)とか何とかまあそういう話になれば残高維持しましょうとかいう話になってもおかしくは無いとか考えますと、何か短い所に関しては延々と日銀様絶賛お買い上げモードが続くのではないかとオソロシスなお話。


○基金国債買入の逆イールドとな

買入下限金利撤廃後の最初の基金国債買入が木曜なので、本来はこれも先週ネタにするべきものだったのですがすいませんすいません。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120920.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 23,331 7,000 0.100 0.100
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 8,172 3,001 0.096 0.100 9.9

・・・・・・・・・ということで、2年超3年以下の方が買入予定額3000億円と少なかったのですけれども、こちらの買入は平均こそ0.100%ですけれども足切りはきっちり0.096%となって、一方の1年以上2年以下の方が0.100%足切りだったので貫録のレート逆転となったのですが、こらまあ2年の所は2年国債の発行がある分だけ需給が違いますからある意味こういう事案になってもシャーナイナイなのですが、買入の逆イールドが定着しちゃうのも何だか思いっきり「日銀の買入によって市場の需給を必要以上に歪めている」というような話になりゃーせんですかのという気はするのですけど、じゃあ買入の割り振りをどうするかとゆーのもこれまた難しく、調節担当部署におかれましては買入下限金利撤廃で積み上げの方はまあ行くにしても今度は「市場の需給を必要以上に歪める」的な部分でのお悩みが発生と言ったところで、誠に同情の念に堪えない所でございます。

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2012/09/21

お題「月報とか総裁会見とか」

決定会合レビューネタはまだ続く^^;

○金融経済月報:先行き見通しが下がっているのですが・・・・・・

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2012/gp1209.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2012/gp1208.pdf(前回)

例によって概要部分だけで勘弁。

・現状判断

『わが国の景気は、持ち直しの動きが一服している。』(今回)
『わが国の景気は、復興関連需要などから国内需要が堅調に推移するもとで、緩やかに持ち直しつつある。』(前回)

ということで総括判断が下がったのは声明文と同様です。で、個別需給項目に関しては今回の声明文では無かったので以下概要部分で確認となるので確認ですな。

『輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速した状態がやや強まるもとで、弱めとなっている。一方、国内需要は、復興関連需要などから底堅く推移している。すなわち、公共投資は増加を続けている。設備投資は、企業収益が改善するもとで、緩やかな増加基調にある。また、個人消費は、雇用環境が改善傾向にあるなかで、底堅く推移している。住宅投資も持ち直し傾向にある。』(今回)

『海外経済は、緩やかながら一部に改善の動きもみられているが、全体としてなお減速した状態から脱していない。輸出は持ち直しの動きが緩やかになっており、生産も足もと弱めとなっている。一方、国内需要をみると、公共投資は増加を続けている。設備投資は、企業収益が改善するもとで、緩やかな増加基調にある。また、個人消費は、消費者マインドの改善傾向に加え、自動車に対する需要刺激策の効果もあって、緩やかな増加を続けているほか、住宅投資も持ち直し傾向にある。』(前回)

海外経済が「減速した状態がやや強まる」と判断が下がったのはこれまた声明文どおりでございまして、以下個別需要項目を見ると輸出が「持ち直しの動きが緩やか」から「弱め」に下がり、生産に関しても「足もと弱め」から「弱め」という形で、まあこちらは前回と同じちゃあ同じですが、「足もと」というのを抜いて弱くなっているニュアンスをやや強めています。

個人消費に関する部分では、「緩やかな増加」から「底堅く推移」とこれまた判断を下げておりまして、その背景になっている部分について「消費者マインドの改善傾向に加え、自動車に対する需要刺激策の効果」となっているのが「雇用環境が改善傾向」という形に変わっておりますな。


・先行き見通しなのですが・・・・・・・・

『先行きのわが国経済は、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられるが、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)

『先行きのわが国経済は、国内需要が引き続き堅調に推移し、海外経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回)

ということでほほうという感じなのですが、声明文では「当面横ばい圏内の動きにとどまる」という所で終了している訳ですが、月報の方ではその次の部分がありまして、そこは従来の見通しを残しているという何とも微妙なテイストで、一瞬「あれ見通し下がってないのか」と思ってしまいましたぞなもし。

・・・・・・・でまあ次にネタにする総裁会見を見るとまあその答えがあるのですが、会見での説明は「景気のメインシナリオを下方修正した」とありまして、「回復時期が後ずれしている」という説明をしております。でもって今回の追加緩和の意図として「従来の見通していた軌道を踏み外さないようにするために」という説明になっておりますので、これはまあつまり「今回の追加緩和が効果を出すことによって先行きの回復という流れが維持できると良いなあ」ということでまあ見通しの後半部分を維持しているという話でございましょうな、うんうん。

個別需要項目は以下のような感じです。

『輸出や鉱工業生産は、当面弱めに推移するとみられるが、その後は、海外経済が減速した状態を次第に脱していくにつれて、緩やかに増加していくと考えられる。国内需要については、復興関連需要などから、引き続き、公共投資は増加し、住宅投資も持ち直し傾向をたどると考えられる。設備投資は、当面海外経済減速の影響を受けつつも、企業収益が総じて改善を続けるもとで、防災・エネルギー関連の投資もあって、緩やかな増加基調を続けると予想される。個人消費は、雇用環境の改善傾向が維持されるもとで、引き続き底堅く推移するとみられる。』(今回)

『輸出は、海外経済が減速した状態を脱していくにつれて、緩やかに増加していくと考えられる。国内需要については、復興関連需要などを背景に、引き続き、公共投資は増加し、住宅投資も持ち直し傾向をたどると考えられる。設備投資は、企業収益が改善を続けるもとで、被災した設備の修復・建替えもあって、緩やかな増加基調を続けると予想される。個人消費も、雇用環境が改善傾向をたどるもとで、底堅く推移するとみられる。こうした内外需要を反映し、生産は緩やかに増加していくと考えられる。』(前回)

ということで、輸出と鉱工業生産の部分では「当面弱めに推移するとみられるが」というのが入っておりまして、当面の見通しが下がっているものの、その先に関しては引き続き「海外の減速が脱却したら増加」という見通しを維持しているのが微妙にアレではございますけど。

でもって他の部分に関してはまあ微妙に変化はあるものの、基本的な部分についてはそれほど大きな変化はありませんな。まあ何でそんなに変えていないのかは先ほどの通りだと勝手に推察します。


・不確実性の部分では「欧州債務問題」が抜けて「円高」が入る

ここは声明文でもございましたが、要するに円高懸念というのが入るというのが今回の変化として大きな部分の一つでございます罠。

『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きいほか、金融・為替市場動向の景気・物価への影響には注意が必要である。』(今回)
『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。とくに、欧州債務問題に伴う国際金融資本市場の状況については、十分注意してみていく必要がある。』(前回)

ということで為替市場動向というのに思いっきり言及しているのが何度も申し上げていますが、まあ今回踏み込んだなという所かと思います。


・物価見通しは変わっていないようですが

物価の現状認識。

『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、既往の国際商品市況の反落などから、下落している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(今回)
『物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、既往の国際商品市況の反落などから、下落に転じている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(前回)

まあここは数字的な話なので良いとしまして先行き見通し。

『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面、下落幅を縮小していくとみられる。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)
『物価の先行きについてみると、国内企業物価は、当面、国際商品市況の反落の影響が残ることなどから、緩やかな下落を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(前回)

ということで、物価見通しは変わっていないのですけれども、金融経済月報では「当面」の話しかございませんで、金融政策運営として呈示している「中長期的な物価安定の目途」というのが有る訳で、では中長期的な物価見通し、つまり例の「遠からず1%に達する」というのがどうなったのかという話は総裁会見の方に。

#金融面は特に言及する部分も無いので引用割愛します。



○総裁会見から:今回はメインシナリオの下方修正

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1209b.pdf

・冒頭説明部分から

冒頭説明の所が例によって長くていきなり3ページ分あるのですが、メインシナリオを下方修正しましたぞなというのが2ページのケツ辺りから説明されています。

『これまで、景気の先行きについて、やや長い目でみれば、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していく、という判断を行ってきました。また、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014 年度以降、遠からず1%に達する可能性が高い、と判断してきました。』

『しかし、先程申し上げたような情勢判断を踏まえると、日本経済がこうした「物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく」という軌道を踏み外さないようにするためには、一段の金融緩和を行うことが適当であると判断しました。すなわち、資産買入等の基金を10 兆円程度と大幅に増額するとともに、資産の買入れを着実に進めるための措置を講じることとしました。』

という事で、「「物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく」という軌道を踏み外さないようにするためには」とか微妙な物言いをしていますが、まあ要するに「追加緩和措置を打たないと見通しの達成が難しくなってきた」という話ですな。


・シナリオ下方修正を明言し「展望レポートを待たずに」追加緩和実施ということは・・・・・・

で、冒頭説明の後に最初の質問がこうなっていまして。

『(問) 景気判断については、前回の決定会合に比べると下振れリスクを強く意識した内容に変わっていますが、景気回復の時期、あるいは物価上昇率が1%に達する時期は、日銀のこれまでの想定に比べて後ずれしているという認識でよいのでしょうか。』

その答えですが・・・・・

『(答) 最初に申し上げると、下振れリスクを意識したというよりも、メインシナリオ自体を下方修正したということです。』

メインシナリオ下方修正キター!

『わが国の景気は、振り返ってみると、本年前半は「年率3%」と「緩やか」という形容詞で表現できる以上の高めの成長を実現しましたが、その持続性については慎重に見極めていく必要があると考え、「緩やかに持ち直しつつある」と表現してきました。とりわけ世界経済の下振れリスクに注意を払ってきましたが、実際このところ、世界経済は減速感を強めてきました。』

ということで海外経済の減速がメインシナリオ下方修正の最大のトリガーのようですな。後はまあ先月末の鉱工業生産とかも衝撃の弱さでしたけれども、その背景がこれまた同じで海外の減速に伴う輸出の減速なのですから、まあよーするに従来の回復シナリオにあった「海外が回復してそれに回復ドライバーが内需からバトンタッチ」というのがどう見ても無理ですなという話になったという所。

『そうした中で、わが国の景気についても、本日の会合で「持ち直しの動きが一服している」と判断を下方修正し、先行きも当面横ばい圏内の動きにとどまるとみています。そうした状態から脱して緩やかな回復経路に復していく時期については、半年程度後ずれすると予想しています。』

その半年の根拠はどうなんでしょとか思いますがまあ兎も角。

『これまで、景気の先行きについては、やや長い目でみれば国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくという判断を行ってきました。また、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014 年度以降、遠からず1%に達する可能性が高い、と判断してきました。』

さいですな。

『しかし、先程述べたような情勢判断を踏まえると、日本経済がこうした「物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく」という、日本銀行として当初想定していた軌道を踏み外さないようにするためには、展望レポートを待たずに一段の金融緩和を行うことが必要であると判断し、本日の決定を行ったということです。』

>展望レポートを待たずに
>展望レポートを待たずに
>展望レポートを待たずに

・・・・・・・・・つまり、経済物価見通しが展望レポートで示された経路ですすんでいるのであれば、展望レポートの見直し時期の点検作業によって金融政策をどうするかというのを決定する、というパスで問題は無い筈なのですが、今回に関しては「経済物価見通しが展望レポートで示された経路で進んでいない」ので「展望レポートを待たずに」追加緩和をする、とまあそういう理屈になっているのですな、うんうん。


・今回の対応はまあ協調緩和では無いです罠

まあ当然こういう質問が来ますが。

『(問) 9 月に入り、ECBが無制限の国債買入れを表明し、続いてFRBがいわゆるQE3を表明しましたが、こうした欧米の中央銀行の動向が今回の日銀の政策判断に影響したのかどうか、お伺いします。』

『(答) 各国の中央銀行は、常にそれぞれが置かれた経済・金融情勢に応じて、最適な政策を行うよう努めており、日本銀行も含めてどの国の中央銀行も、他国の中央銀行がある政策を行ったから自分たちも行う、という機械的な対応は採っていません。(以下割愛)』

でまあ別の質問に関する説明部分でこういうのがありまして。

『少し具体的に3 つの次元で申し上げます。1 つは、政策課題との関係です。FRBの場合は、米国経済の問題の中心である住宅市場の下支えが重要であるとの観点から、MBSや期間の長い国債の買入れを行っているということです。ECBの場合は、周縁国の国債金利が財政の問題も反映して上昇している中で、その周縁国の国債を一定のコンディショナリティのもとで買い入れることで、金利上昇に対応した政策を採っているということです。日本銀行については、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが重要な課題だという認識のもとで、リスク性資産を含めて様々な資産を幅広く買い入れると同時に、成長基盤強化の支援という、中央銀行としては異例の措置にも踏み込んでいるということです。』

これは金融緩和が積極的かとかいう質問に対する答えの部分なのですが、まあここの説明にありますように、今回の措置ってECBは危機対応の国債買入、FRBは景気判断を引き上げながらの労働市場重視の追加金融緩和となっていて、日銀の場合は景気判断の引き下げによる追加金融緩和と、まあ「景気判断による追加金融緩和」という一番素直な金融緩和措置でございまして、そういう意味では各国中銀のロジックが全然違う中ですから協調行動とかそういうのは表面的な見方という話になろうかと思います。


・日本の方がコミットメントが強いんですがという説明ではありますが・・・・・

上記の後半部分の答えの元質問はこちら。

『(問) 2 つお伺いします。1 つ目は、欧米の中央銀行の政策との比較についてです。9 月にECBとFRBがそれぞれ緩和の強化を打ち出しています。ECBは無制限に国債を買い入れる、FRBは期限をはっきり定めずに毎月MBSを買っていくという策を打ち出しています。日銀も、今回、緩和を強化したわけですが、ECBやFRBと比較すると、外形的には、「無制限」「無期限」という形の欧米に比べ、緩和姿勢が弱いとみる向きもあると思います。この点について、総裁はどうお考えですか。(2番目は次に)』

『(答) まず、各国の中央銀行は、それぞれの国や地域の政策課題や金融経済情勢を踏まえ、最も効果的な政策手段や政策の枠組みを選択するよう努めていると思います。従って、FRBあるいはECBとの比較で、日本銀行が、金融政策において、先程おっしゃった「大胆さ」あるいは「積極性」において見劣りするとは思っていません。』

ほう。

『緩和に対する姿勢は、どのような手段あるいは武器を使ったかではなく、どのような手段あるいは武器を使おうとも、最終的にどのような金融緩和の状態を実現したかという結果でもって判断されるものと思います。』

ほうほう。

『そういう意味では、先程も少し触れましたが、日本の金融環境は、先進国の中でも最も緩和的だと思っています。』

実質金利ェ・・・・・・・

というのは兎も角として、まあこの先の説明部分は中々良い説明。最初の部分はさっき引用した通りなのでその先から。

『第2 に、資産買入れの上限や期限についてです。FRBは、先週のFOMCにおいて、MBS買入れの上限や期限を予め定めず、労働市場の見通しが改善するまで継続すると決定しました。もっとも、予め上限や期限を定めておくかどうかに関わらず、政策目的の達成に不十分と判断されれば金融緩和を強化するという考え方は、どの中央銀行も同じです。』

これは仰る通りで、ECBにしてもFRBにしてもコンディショナリティ―付の「無制限」であって、ドラギ総裁が定例理事会の冒頭で説明したように「あらかじめ上限を設けない」というのが正確な話なんですよね。

『例えば、日本銀行では、資産買入等の基金に上限や期限を定めていますが、それらを累次にわたって拡大、延長してきており、当初の残高目標は35 兆円程度で期限2011 年末であったのが、現在は80 兆円程度で期限2013 年末と、当初の予定を遥かに上回る、大規模かつ長期の緩和政策となっています。』

ということで、必要ならば延長を続けるというのは物価安定の目途で示しているので、別に日銀の基金だって期限が来たら自動終了ではないのですよね、という話を更に詳しく説明。

『第3 に、実質的なゼロ金利を維持する期間の示し方です。FRBは、例外的に低い水準の政策金利が、少なくとも2015 年央まで正当化される可能性が高いとしていますが、これはあくまでも現時点での経済・物価見通しを前提にした場合の蓋然性を述べているものであって、2015 年央まで低金利を維持するというコミットメントではありません。』

その通りですな、というかこういうのを説明する辺りちょっと白川さんバーナンキにムッとしているのではないかと勝手に妄想を逞しくするあたくし。

『一方、日本銀行の場合は、当面の「中長期的な物価安定の目途」である消費者物価の前年比上昇率1%が見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していくこととしています。これは、政策の時間軸を日本銀行が目指す状態を見通せるかどうかに紐付けた明確なコミットメントです。』

こらまた微妙な説明ですが、この「中長期的な見通し」という部分だって裁量部分が入るので、「紐付けコミットメント」というのは説明的にどうなのかねという気はせんでもないが、まあ経済状況から考えて日本の方が結果的に低金利が長期化しそうなのはその通りでしょうな。

『従って、「日本銀行の政策の方が大胆さに欠ける」という批判については、政策の内容についてもそうは思っていませんし、政策の結果として実現している金融環境についても、そうした批判は全く当たっていないと強く思います。』

だそうな。


・物価見通しについて

先ほどの質問の2番目。

『もう1 点は、先程の質問と関連しますが、景気の先行きについて、当初のシナリオよりも回復時期が半年程度後ずれする可能性があるとの認識を示されましたが、物価についても、「2014 年度以降、遠からず1%に達する」という見通しが後ずれする可能性があるのか、お考えをお聞かせ下さい。』

これは良い質問。

『それから、物価上昇率1%の達成時期が後ずれしたのかというご質問です。半年に1 回、展望レポートを示す時には、経済・物価について包括的、体系的に検討を行い、その上で数字を出していくわけですが、今回は、経済のシナリオを基本的に修正していくに当たり、先々の経済・物価についてもある程度の見方を共有しながら議論を進めました。』

ほう。

『政策判断に当たって、私ども自身が望ましいと思っている姿を目指して最適と思われる政策を展開するわけですが、そうした軌道を踏み外さないように、今回、こうした対応を採ったということです。数字については、10 月末の展望レポートでお示ししますが、私どもの政策判断との関係でいえば、そうした望ましい状況に至る軌道を踏み外さないように、今回の対応を採ったということです。』

何か答えを誤魔化しておりますが、まあ要するに「遠からず1%に達する」というのはどう見ても遠ざかっている(大体からして物価見通しの前提に「経済回復で需給ギャップが縮小して物価が上昇する」というのがある訳で、その一方で見通しの経済回復が遅れるというのですから当たり前ではあるのですが)という所なのでしょうが、その辺は展望レポートで、という事でしょう。

つまり、展望レポートの所ではきっちりとその「遠からず1%に達する」の見通しが少なくとも後ずれするという形になって、そうなりますと必然的に追加金融緩和が必要という、まあそんな流れになるんでしょうなあというのは把握しました。

#もうちょっとあるのですが今日はこの辺で勘弁

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2012/09/20

お題「さすがに今回は評価したい追加金融緩和」

ええまあ昨日は「どうせ麿だから」と思いっきり悪態を散々申し上げておりましたが、こりゃまた大変すいませんでしたという所でございます。なお、予想のような物は豪快に外しましたので謝罪はしないでも無いですが賠償は受け付けませんのでよろしゅうに。


○声明文より:景気認識と先行き見通しを引き下げ、リスク要因に為替動向を追加

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120919a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120809a.pdf(前回)

なお、英文声明文の比較も入れていきますので英文版の声明文のURLもつけておきます。

http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2012/k120919a.pdf(今回英文)
http://www.boj.or.jp/en/announcements/release_2012/k120809a.pdf(前回英文)

今回は追加緩和に関する部分があるので景気に関する表現が前回(は現状維持)と比較して全体感のみの説明となっていますが、まあその辺は何かの措置を実施した時の仕様につきご勘弁ありたし。

・海外経済について

『海外経済は、減速した状態がやや強まっている。国際金融資本市場では、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢はやや後退しているものの、今後の市場の展開には十分注意していく必要がある。』(今回)

『海外経済は、緩やかながら一部に改善の動きもみられているが、全体としてなお減速した状態から脱していない。国際金融資本市場では、欧州債務問題を巡る懸念等から、神経質な動きが続いており、当面十分注意してみていく必要がある。』(前回)

ということで、海外経済についてこれまで入れていた「一部に改善の動き」というのが外れて、「減速」という形になっているのが下げ。欧州債務問題に関しては(そらまあECBのOMTが打ち込まれたのですから当たり前ですが)「リスク回避姿勢はやや後退」と現状認識を上げていますが、先行きについては「十分注意していく必要がある」が不変ですな。

でですね、この海外経済の部分を英文で見るとこうなります。後半の国際金融市場云々の前の部分だけを比較しますと・・・・・

『Overseas economies have moved somewhat deeper into a deceleration phase.』(今回)
『Overseas economies have shown moderate improvement, though limited in scope; on the whole, they still have not emerged from a deceleration phase.』(前回)

まあ日本語の表現と同じちゃあ同じですけれども、deceleration phaseから依然としてemerge(=持ち上がる)していないというのが、思いっきり今回はimprovementの文言が外れてdeceleration phaseに向けてmoved somewhat deeperとなっておりまして、英文で見た方が下方修正のニュアンスがより見やすいという感じがします。


・国内経済について:景気の現状認識

ここの部分も細々見てみるのだ。

『わが国の景気をみると、本年前半は堅調な内需を背景に高めの成長を実現してきたが、上述の海外経済の状況を反映し、持ち直しの動きが一服している。』(今回)

『わが国の景気は、復興関連需要などから国内需要が堅調に推移するもとで、緩やかに持ち直しつつある。(以下個別需要項目の部分は割愛)』(前回)

現状認識を「持ち直しの動きが一服」と下げていますが、こちらの英文はと申しますと・・・・・

『Japan's economy registered relatively high growth in the first half of 2012, supported by the firmness in domestic demand. Nonetheless, the pick-up in economic activity has come to a pause, reflecting the aforementioned developments in overseas economies.』(今回)

『Japan's economic activity has started picking up moderately as domestic demand remains firm mainly supported by reconstruction-related demand.』(前回)

ということで、「started picking up moderately」としていたものが「the pick-up in economic activity has come to a pause」と、こちらも英文で見た方がニュアンスとして下方修正しましたねえという感じがするのですがどうでしょうか。しかし「aforementioned」って確かに英和辞典見ると「先に述べた」って訳があるのですが、中々お目に掛かれない単語のような気がするんですけれども(^^)。


・国内経済について:物価の現状認識

『この間、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっているが、既往の原油価格の下落が下押し要因となっている。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。』(前回)

ここはまた微妙で、下押し要因の説明をしつつも、その要因は一時的要因ですよというアピールをしているという中々難しい説明(英文読んでもニュアンスは同じような感じなので引用割愛)。


・国内経済について:先行き見通し

でまあ今回は展望レポートを待たずに先行き見通しを下げたのは、まあタイミング的にはここで下げておくのが良いという話を昨日申し上げた通りの結果になってほほーという感じです。

『こうしたもとで、当面、景気は横ばい圏内の動きにとどまるとみられ、消費者物価の前年比はゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)

『先行きのわが国経済については、国内需要が引き続き堅調に推移し、海外経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(前回)

まあようやく「緩やかな回復経路に復していく」から「当面横ばい圏内」に見通しを引き下げたかという感じですが、その見通しの引き下げによって資産買入基金拡大と基金買入の期間延長を行っているという建付けになっておりますぞなという所です。

あとですね、消費者物価の見通しですが、これはここの日本語の接続の関係上仕方ないのですが、今回の声明文の日本文を見ると「当面」がどう掛かっているのかが微妙で、消費者物価の見通しが下がったかのように見えるのですが、英文声明文を見ますと・・・・・・

『Against the backdrop of these developments, economic activity is expected to level off more or less and the year-on-year rate of change in the CPI to remain at around 0 percent for the time being.』(今回)

『As for the outlook, Japan's economy is expected to return to a moderate recovery pat has domestic demand remains firm and overseas economies emerge from the deceleration phase. The year-on-year rate of change in the CPI is expected to remain at around 0 percent for the time being.』(前回)

ということで、CPIの見通しの所に前回も今回も「for the time being」ってありますので、CPIの見通しそのものに変化がある訳ではありません。しかし横ばいって「level off more or less」って言うのか・・・・・


・景気リスク要因:ついに円高(と株安かも)に言及とな!

『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復力、新興国・資源国の物価安定と成長の両立の可能性など、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きいほか、金融・為替市場動向の景気・物価への影響には注意が必要である。』(今回)

『景気のリスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復力、新興国・資源国の物価安定と成長の両立の可能性など、世界経済を巡る不確実性が引き続き大きい。物価面では、国際商品市況や中長期的な予想物価上昇率の動向などを、注視する必要がある。』(前回)

今回は思いっきり「金融・為替市場動向」というのを入れていまして、まあ金融市場というのが海外金融市場なのか株価なのかがよく判りませんが、為替市場動向というのはどこからどう見ても円高の影響懸念ですので、まあリスク要因部分ではありますが円高進行の悪影響について言及したのは、ちょうど昨日ネタにした先般の大阪での麿講演での為替に関する言及っぷりから見たら上出来上出来。

英文でもその部分はちゃんと記載されています、当たり前ですが。

『Regarding risks, there remains a high degree of uncertainty about the global economy, including the prospects for the European debt problem, the momentum toward recovery for the U.S. economy, and the likelihood of emerging and commodity-exporting economies simultaneously achieving price stability and economic growth. Furthermore, attention should be paid to the effects of financial and foreign exchange market developments on economic activity and prices.』(今回)

『Regarding risks to the economic outlook, there remains a high degree of uncertainty about the global economy, including the prospects for the European debt problem, the momentum toward recovery for the U.S. economy, and the likelihood of emerging and commodity-exporting economies simultaneously achieving price stability and economic growth. Regarding risks to the price outlook, careful attention should be paid to future developments in international commodity prices and in medium- to long-term inflation expectations.』(前回)

大体日本語通りですけれども、こちらでも為替市場への言及をしてアピールしておりますな。


・追加緩和実施で「一段と強力な追加緩和」と

まあそらそうですが。

『こうした景気・物価情勢を踏まえ、日本銀行は、資産買入等の基金を10 兆円程度と大幅に増額するとともに、資産の買入れを着実に進めるための措置を講じることが適当と判断した。これらによる一段と強力な金融緩和の推進は、長めの金利やリスク・プレミアムへのさらなる働きかけを通じて、企業や家計等の金融環境をより緩和的にする。本日決定した金融緩和の強化は、これまでの措置の累積的な効果と相まって、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくことを確実なものにすると考えられる。』(今回)

ここは追加緩和実施で今回入っている文言ですが、これに対応する英文では、

『Based on these economic and price developments, the Bank of Japan judged it appropriate to expand the total size of the Program substantially by about 10 trillion yen and take the aforementioned measure to ensure the steady implementation of asset purchases. These measures in pursuit of powerful monetary easing will make financial conditions for such economic entities as firms and households even more accommodative by further encouraging a decline in longer-term market interest rates and a reduction in risk premiums. The Bank expects that, together with the cumulative effects of earlier policy measures, today's decision to enhance monetary easing will ensure the return of Japan's economy to a sustainable growth path with price stability.』(今回)

ということで、ここで「measures in pursuit of powerful monetary easing」と入れていまして、最後のパラグラフには元々「the Bank has been providing support to strengthen the foundations for economic growth and pursuing powerful monetary easing.」というのがございまして、「pursuing powerful monetary easing」というのを2回入れる形でまあ強調していますなという所ではございます。


・最終パラグラフは同じ

ここの文言は前回と同じです。

『日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。この課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しを通じて実現されていくものである。こうした認識のもとで、成長基盤強化を支援するとともに、強力な金融緩和を推進している。今後とも、資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて間断なく金融緩和を進めていく。日本銀行としては、引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していく方針である。』(今回)

前回と全文一致ですので前回分の引用は割愛します。でまあどうでも良い話ではあるのですが、英文の声明文のこのパラグラフなのですが、英文自体は全文一致なのですが、何故か改行位置が違うのでどこか変更があったのかやたら悩んでしまいましたです、はい。



○基金買入の拡大と買入期間の延長と資産買入の下限金利撤廃

声明文別紙(ファイルの3ページ目以降)とこちらを参照。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120919b.pdf
「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等について

ということで今回は、

(1)短国買入5兆円拡大で拡大分を来年前半に積み上げる
(2)長国買入5兆円拡大で拡大分を来年後半に積み上げる
(3)(2)の結果として来年末まで他の買入分の残高を維持する(=基金の期間来年末まで延長)
(4)従来1年以下だけだった買入系オペの買入下限金利の0.1%を撤廃する

というセットになっています。

でですな、まああたくし的解釈からしますと、買入の拡大分の積み上げ期間について、短国なら年内、長国なら来年前半でも十分回ると思ったのですが、今回わざわざ買入分を後に持って行ってまして、その点で言いますと買入のペースが足元で拡大しないという話ではあるのですけれども、逆に来年になっても買入の残高が拡大するということですので、買入がオファーベースでは継続するという形になります。手前でどどーんと増やすよりも先の方まで買入が続くという形を取っているのは、米国のいつまでやるのかワカランチ会長なMBS買入のメソッドをちょっと意識しているのかなあと思いましたけれども、まあ市場的には手前でどどーんと買入が増えてその後は残高維持ペースに買入オファーが減るよりは日銀要因による需給のブレが平準化されますなという所でしょうか。

でもって今回は基金の期間を来年末まで延長となりましたが、景気見通しを引き下げた事にも対応しておりますぞなという所で、展望レポートを待たずに景気見通しの引き下げと買入期間の延長を行ったのは、まあ従来のシナリオがちょっとお前それ楽観的だろという内容でしたので、現実的な対応で誠に結構という話ではございますな。


さらに買入系オペの買入下限金利の0.1%を撤廃したわけですが、これは基金残高の積み上げという意味では撤廃するのがテクニカルに必要な話でして、これによってとりあえず基金買入対象銘柄の3年以内の国債金利がどの程度下がるかというとまあそんなに極端には下がらないとは思いますけれども、0.1%じゃないと入れられないという状態が解消されるので札が入りやすくなる分だけ需給が良くなりやすいという面もありますな。とは言え金利が下がってくると今度は当該年限の国債売って日銀当座預金に積み上げてしまえばヨロシという動きが出ますので、そうそう金利が馬鹿下がりとかにはならないという所でしょうな。

でね、この下限金利撤廃というのは「基金残高の積み上げをしやすくする」という事に繋がるのですけれども、それは当然ながらその買入拡大の結果として、「日銀当座預金残高が拡大する」という事になります。従いまして逆から言いますと「日銀当座預金残高の拡大をしやすくする」事によって「基金残高の積み上げが進む」という事になる訳でございまして、それはどういう事かと申しますと、日銀当座預金残高の積み上げをしにくくするような超過準備付利金利の撤廃などの引き下げ措置は施策として遠のいた、という事になる訳でございますのでその辺は誤解の無いように。

まあそれから、これによって買入オペの札割れ問題は解消されますから、買入対象銘柄の期間長期化も遠のいたという風に解釈できると思います。


○つーことでちょっと雑感

まあ何ですな、今日のモーサテでどこぞの株式コメンテーター(電話)が「日本の緩和が足りない」とか言ってましたが、日銀って元から他の中銀が買わないETFとかREITとか中銀的には結構無茶なもん買っているんですけどねえ。つーか長期債の購入だって昔から輪番を無期限に実施しているのは日銀だけですがな、というような従来からの話をスルーして目の前の現象面だけで日銀ガーとかクレクレ言ってるとか何なんでしょうねとか思いましたがそれは兎も角。

まあ先般のFOMCだも重要なのはMBSの買入がどうのこうのというのもありますが、それに加えて「ビハインド・ザ・カーブ」的な緩和スタンスの表明というのが重要なポイントであったと思いますので、まあそういう意味では今回の日銀の措置はここもとの麿モードからちょっと軌道を変えたというのが同じく重要ポイントだなあと思いましたけどどうなんでしょうか。

昨日の駄文でも申し上げましたが、もとより足元では政策委員の皆様の中で宮尾委員が明確に為替への懸念なども含めて下振れリスク強調の話を強いトーンで行い、山口副総裁も為替に振れて下振れリスクの話をしていましたし、西村副総裁は中国の不動産バブルへの言及など、やはりやや景気に弱いトーンの話をしておりました。

で、新任の佐藤委員は景気物価見通しが明らかに弱く、木内委員についてはちょっとその辺微妙によく判らない面があるのですが、まあ基本的には景気への見方は強くはない、というのは概ね示されていたと思いますので、先月末の鉱工業生産の衝撃の糞数字とか、海外経済のアレとかを見て麿がやっと諦めたのか、中の人たちが頑張って麿を押し切ったのかは存じませんが、まあ昨日申し上げた「そうは言ってもどうせ麿が突っ張るだろうからねえ」というイメージとは思いっきり違う結果になったのは中々結構な結果ではございました。

この前のFOMC出た時にも申し上げましたが、そもそも「景気認識を引き上げながらも追加金融緩和」というのは4月29日の時に実施しています(ちなみに2月の物価安定の目途とのセットでの金融緩和時には景気認識は引き上げてはいなかったものの下げてもいなかった)が、その後麿総裁が何か変なもんでも食ったのかという勢いで急に麿モードになっていて何かどうも顔が麿のきかんしゃトーマスが突っ走るでござるの巻という感が漂っていたのがここへ来て軌道修正というか元々の軌道に回帰してきたという感じでまあ良かったですねという所ではございます。足元で日銀の政策変数が何が何やらワカランチ会長的な所があったのですが、景気見通しに基づく中長期的な物価見通しと、その見通しのリスク認識を見ながらの緩和スタンスの継続強化というロジックが少し元に戻って見えやすくはなったかなあ、などと斯様思うあたくしではございました。


なお、市場の反応としては株高円安で債券は先物20銭とか上昇したのですが、その後はとりあえず上がったので戻り売りの人の実弾だか何だかの影響で先物は失速するわ、カーブはスティープするわという結果だったようですが、まあそんなもんですかね。

#とまあそんな所で本日は勘弁

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2012/09/19

ここ数日のモーサテでの為替コメント聞いてますと「決定会合に注目」とか言ってるのですが、その割には「今回の追加緩和は無し」という予想が多かったりするのは何ですねんという気がしますが・・・・・・・

○決定会合プレビューのマクラで今さらの大阪での麿講演&会見(8月24日分)

ということで本日はMPMなのでございますが、ここの所の政策委員の皆様の講演などを拝読しますと、西村副総裁が中国のバブル警戒の話をしてみたり、山口副総裁、宮尾委員が景気下振れリスクに対する話をしてみたりと、まあ割とその系統の話も多いのですが、何せ麿が・・・・・・・

8月24日の総裁講演
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120824a1.pdf

記者会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1208c.pdf

この時期はECBの方が注目ネタだった上に、講演内容も会見内容も毎度の麿モードだった事もあって債券市場的には華麗にスルーという感じでしたけれども、では改めて何で華麗にスルーしていたかを観察、と言いつつネタにしないでサボっていた言い訳をするあたくし。

まずは講演からですが、景気の先行き見通しに関して。

『いずれにせよ、先行きのわが国景気の展開を考えるうえでは、堅調な内需が景気を支えている間に、海外経済が減速局面を脱し、外需が回復していくかどうかが重要なポイントになります。』

ということで、まず内需の要因の説明をしているのですが、

『第1に、エコカー補助金等の政策効果が挙げられます。』
『第2に、広い意味での震災関連需要があります。』
『第3に、企業収益の改善を背景とした企業マインドの改善とそれを受けた賃金・所得の下げ止まりが挙げられます。』
『第4に、高齢化対応ビジネスなど、企業が潜在需要の掘り起こしに成功する例が増えてきているようです。』
『第5は、円高による輸出下押し効果と裏腹の要因ですが、実質購買力の高まりです。』

ということで、まあこの辺の話は前回決定会合後の記者会見でも同じような話をしておりまして、まあ円高の実質購買力高まりとか言わずもがなでしょという悪態も以前申し上げた通りなのですが、この講演後に国内もそうですし海外もうんこな経済指標がホイホイと出ているように見えますが、その辺を受けて麿様がどういう判断をするのかという話でしょうかね。

でまあ外需。

『他方、問題の外需ですが、回復のタイミングも含め、様々な不確実性が存在します。』

というのもいつもの話。

『先ほど申し上げたとおり、欧州債務問題は既に世界経済やわが国経済に大きな影響をもたらしており、この点は私どもの経済・物価見通しにも既に織り込んでいるところですが、この問題がさらに深刻化し、国際金融資本市場の動揺、ひいては世界経済の一段の下振れにつながるリスクについては、引き続き、最も強く意識しています。』

なのですがECBの対応でリスクが下がったとか言い出しそうな悪寒。

『中国経済については、金融緩和などの政策対応の効果もあって、インフラ投資や不動産販売など内需の一部で改善の兆しが見られ始めていますが、欧州向け輸出の弱さが続く中で、減速局面がさらに長引くことがないかどうか、十分な注意が必要です。』

てか固定資産投資も遅れてね?

『米国経済についても、緩和的な金融環境等に支えられ、緩やかな回復が続くとみていますが、バランスシート調整が徐々に進みつつあるとはいえなお重石として作用するもとで、財政政策に関する先行き不透明感が強い状態が続いており、その回復力を注視していく必要があります。』

まあそれよりも雇用回復が遅れているのですが。

・・・・・・でまあこの辺の話も従来の話と特段カワランチ会長ですが、この講演後に景気判断の変更をするような感じになっているのかどうかは麿の腹次第的なイメージがががが。


でまあ今月の追加とか麿的にどうでしょうかねと思われるのは金融政策に関する話の部分。

『実際に金融緩和を推進していくため、日本銀行では、「資産買入等の基金」と呼ばれる金融資産の買入れプログラムを実施しています。これは、国債をはじめとする幅広い金融資産を市場から買入れることにより、長めの市場金利の低下やリスク・プレミアムの縮小を促すための措置です。日本銀行は、2月と4月にこの基金の枠を相次いで拡充し、来年6月末までに、残高を70兆円程度まで積み上げることとしています。ちなみに、現在の残高は57.8兆円です(図表12)。』

ほう。

『日本銀行の金融緩和については、金融政策決定会合の都度、この基金の残高目標引き上げの有無に注目が集まりがちですが、現在はさらに12 兆円強の基金の積み上げを行っている途上にあります。このことは言い換えると、金融緩和の効果は今後も間断なく強まっていくということを意味しています。』

・・・・・・・・・・これまた毎度の説明なのですが、結局これかよという話。まあここにありますように、わざわざ大阪に総裁出張った割にはいつもと同じ話しかしていないのが残念な上に、こんな事まで言い出して、円高で困っているのにお前は喧嘩を売ってるのかという風味を醸し出す話までするところがどう見ても余計です本当にありがとうございましたという感じ。

『今必要なことは昨年の本席で詳しく述べたように、外需の取り込みと内需開拓の両面作戦です。そのためには、マクロ的には思い切った規制緩和が必要であり、個々の企業経営レベルでは、差別化戦略を意識したビジネス・モデルの確立だと思います。ちなみに、スイスは過去10 年の間日本以上に自国通貨の為替レートが上昇した国ですが、輸出金額の伸びは日本をはるかに上回っています(図表16)。』

・・・・・・・・・えーっと、それは正論かも知れませんが、何も円高でヒーヒー言ってる人たちを前にそんな事を言わんでも良かろうと思うのでありまして、正論も時と場合を考えて言って欲しい物ですな。


んでもって会見からですが、質問の方がオモロイ。

冒頭の質問がこれ。

『(問) 本年は、地元の財界から「劇薬もやむを得ないのではないか」とか、「メッセージの出し方が弱いのではないか」といった、例年以上に強い発言があったかと思います。どのような印象を持たれましたでしょうか。』

正直言って答えの方はどうでも良い(いつもの「適切な運営を心がける」発言でサービスフレーズ一切なし)ので引用しません。

こんな質問も。

『(問) 総裁が出席される懇談会の場にも何度か同席させて頂きましたが、本年は例年になく、出席された方の切実な声が大きかったと思います。特に六重苦の中でも、円高ということに関しては、それへの対応について、前例や従来の色々な対応にとどまらないものを望む声が聞かれました。これに対しては、日銀の役割を踏まえた総裁のお答えがあったわけですが、こうした切実な声に対する総裁ご自身の思いを今一度お聞かせ頂けますでしょうか。』

ということで、先ほどの引用部分にありましたように、「円高で購買力が高まる」とか「スイスは自国通貨高でも輸出を伸ばしています」とかいう話をこういう席でするという麿のセンスっていやまあ学者様としては誠実なのかもしれないけれども、少なくともゼロ金利制約下における金融政策運営というのが「期待に働きかける政策」という要素が強い中で、人々の神経を逆なでするような(本当に逆なでしているのかどうかは参加者じゃないから知らないけど)講演をして何の得があるのかという事についてもう少し物事というものを考えて頂きたい物だと思う次第。

んでまあこの答えですが。

『円高への対応については、3 つの次元に分けて考えた方が良いと思います。』

『1 点目は、円相場水準それ自体にどう対応するのかということです。これは、為替介入政策のあり方ですが、懇談会の席上で申し上げた通り、日本政府が適切に対応されていると考えています。』

『2 点目は、円高の影響を受けた経済に対して、どう対応するのかという話です。日本銀行としては、昨年来、円高が景気・物価に与える影響も勘案した上で、金融緩和の強化を行ってきたということです。』

『3 点目は、現実に円高が発生しているもとで、これをどのように利用していくのかということです。わが国の急速な少子高齢化あるいは人口減少のもとで、市場が拡大していくという意味では、海外市場のウエイトがどうしても大きくなってくるわけです。そうであれば、海外に生産拠点を作っていくことは、企業経営からすると合理的な判断として出てくると思います。その際、円高を使ってM&Aを行っていく、M&Aを行っていく上で円高は1 つのチャンスでもあります。現実に、日本の企業は円高を使ってM&Aに取り組んでいると思います。そういう意味で、円高の対応については、今申し上げた3 つの点を分けて考えていく必要があると思います。』

・・・・・・・・どう見ても「ボクはちゃんとやってるもんね」という答えとしか受け止めてくれないぞなという感じですし、大体からして円高を使ってM&Aとか中小企業金融ガーとかいう話も懇談でしている(と質疑にございましたが)中でそんな話すんなよと思うのですけどにゃあ。

ちなみに、中国経済に関してですけれども、西村副総裁が中国の不動産バブル警戒の講演をした直後だったのでその意見を求められましたのですが・・・・・・・・

『(答) 第1 問の中国経済に関するご質問ですが、西村副総裁の講演自体については、日本銀行という組織としての見解ではありません。会議の性格上、リサーチのコンファレンスですから、西村副総裁がご自身の考え方を講演という形で表現されたことであると思います。』

という風にあっさり片付けた後に中国経済の話をしていて、その説明の途中から中国経済の不確実な面がどうのこうのという話をしているのですが、これももうちょっと物の言い様があるようにも思えたのですが、まあこういう風に片付けるというのは、そこまでの文脈から勘案するにこの時点で何だかんだ言っても白川総裁的には強気の旗を降ろしていない、とまあそういう事になるんでしょうな。


○無駄に前振りが長くなったが決定会合プレビュー雑談

とまあそういう訳で3週間前の麿講演ネタを今さら引っ張り出した(あの時点では他のネタが多かった上に麿講演が毎度の麿クオリティであまりにも新味が無かったのでついスルーした訳ですが)のですけれども、直近他の政策委員の皆様が下振れ警戒的なお話をする中で貫録の麿クオリティを堂々展開しているというのがこの時点での状況。

まあこの後月末に掛けてダメダメな経済指標が並ぶわECBはOMT導入するわFEDは追加緩和を実施するわとまあそういう動きになっていますし、政府の景気判断も下がっていますしというような状況を麿がどう捉えるか次第という所ではあるのではと思いますけどどうですかね。

つまりですね、海外の金融緩和もありますし、そもそも足元で経済指標がダメっぽい状況になって来ていて、物価も相変わらずの状態の上に肝心の輸出が伸びそうもない所に来て追い打ちを掛けるように日中関係の悪化とか(まあそれが長期化するかは微妙ではありますが)、景気の現状判断を下げるのは勿論ですが、先行きの認識を下げたり、リスク認識を引き上げたりするのにはまあ良いタイミングでもありますし、前回のMPMから6週間ほど経過しているという事で時間も経過しているというのもありますから、今回のMPMって追加緩和打つ方がまあセンスが良さそうに思えるのですよね。

ただまあ肝心の麿が上記の状態ですし、あちこちの講演などでもすっかり麿モードになっていて何かここで追加緩和サービスしましょうとかいうような動きになりそうもないというのが見え見えとまあそんな状態なので期待薄という所ですので期待できませんけど、べき論からしたら今回はやって置くのが何かと良いと思いますけどね。

まあ政治圧力ガーとか言い出すとまたぞろ麿先生辺りは御機嫌を悪くしそうですが、民主、自民の代表選挙を見ていると経済政策の部分で金融緩和ガーという話は多い訳ですから、どうせ与野党の体制が整った日にはまたぞろ「追加金融緩和ガー」の大合唱になるのは見え見えでございまして、逆に政治圧力が直接来ていない上に経済物価情勢的に追加を打っても別に幾らでも説明ができそうなタイミングのこの時期だからこそしらっと追加緩和を実施しておくのが政治との関係上も良いと思うのですけれどもどうなんでしょうかねえ白川総裁。

とまあべき論としてはそう思いますが、まあ中々そうはならずでして、さすがに今回景気の現状判断は引き下げになるでしょうが、先行き見通しは中々下がるとも思えず(展望レポートで下がるんでしょ)精々リスク認識が引き上げになるという所ではないかと思います。

ただまあそれだけでは余りと言えば余りでして、経済指標とか出ているのを見れば先行き判断がここで引き下げになって追加緩和実施となってもおかしくは無いというのを勘案すると、追加緩和提案が佐藤審議委員か宮尾審議委員辺りから出ても不思議ではなく、木内審議委員も含めて追加緩和賛成3票くらい入るとまあ追加緩和への布石という事で一応日銀の姿勢へのエクスキューズにはなるんじゃないのとは思いますので、ここはひとつ佐藤さんや宮尾さんや木内さんに期待をしておりますので何卒何か理由を付けて追加緩和提案をして頂きたく存じます(^^)。

たぶん2票だとあまりインパクトなく、3票あると良いなあとか思うのですけど。というか本来は下振れ警戒の話をしている西村、山口両副総裁も賛成するとそれで既に5票で過半数(^^)。まあ森本さんとか石田さんとかも景気の厳しさは認識しているんじゃネーノとは思うのですが、やはりまあ日銀の場合は何だかんだと言っても総裁のリーダーシップの要素強いように見えますから麿包囲網が出来るか、それとも麿が麿モードから脱却するかというのがポイントなんでしょうなあorzorz


仮に何かするとして、あたくし的には他の中銀やっていない施策のアピールという事と、円高や海外減速に対応という意味では株価の下支えの方がインパクトあるでしょと思う所でありますので、ETFを景気よく1兆円位買う(さすがに年内だとアレなので来年前半までに)とかだとかなりのお洒落感があるのですが、どこをどう見てもそれはやるとは思えませんので、順当に予想するなら基金短国買入10兆円増額か、基金長国買入5兆円増額+応札下限金利撤廃(しないと増額するのは技術的にキツイ)かで、できればそれを年内に実施とした方が美しい(前述のセットなら年内実施で行けると思いますが)のですが、まああまり期待はせずに(というかそれやって債券市場に何の影響があるのか正直ワカランチ会長・・・・・・)待ちたいと思います。

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2012/09/03

○特例公債法案の遅れで早速色々と

ご案内の通り29日に野田首相の問責決議案が参議院で可決して今国会は事実上終了となった事から、衆議院では通過した特例公債法案は店晒しになったのですが、早速金曜の閣議終了後に安住財務大臣が会見を。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M9LJB007SXKX01.html
財務相:全経費で予算執行抑制、交付税延期も−財源法案不成立なら

『8月31日(ブルームバーグ):安住淳財務相は31日午前の閣議後会見で、赤字国債発行の裏付けとなる特例公債法案が今国会で不成立の場合に備えた、9月以降の予算執行の抑制策を公表した。基本的に全経費を対象とし、同月初旬に予定される4兆円規模の地方交付税の交付も延期となる可能性がある。政府は9月8日の会期末までの国会状況をみて最終判断する。同法案の不成立で執行が抑制されると、初めてのケースとなる。』(上記URLより、以下同様)

ということで、会見でまあ色々と話があったのですが、インターバンク的にあちゃーとなったのはこちらの部分でございました。

『地方交付税については地方自治体の円滑な財政運営に十分配慮して検討するとしながらも、「現時点で、法案が成立していないため、通例の9月初旬の交付は現実的には延期をすることになる」と言明。庁費や旅費などの政府部内の行政経費は毎月予算額の50%以下に抑制するほか、3カ月ごとに支払われる独立行政法人・国立大学法人向け支出も50%以上を留保する方針だ。』

独法の経費とかはまあ関係者におかれましてはエライコッチャでございますが、短期金融市場的には何なのですが、それはそれとして地方交付税の所が問題でございまして、「通例の9月初旬の交付は現実的には延期をすることになる」ってあーたそれ翌週火曜日の9月4日予定のブツでございまして、その額が大体1.4兆円位想定されていましたので、T+2でいきなり資金繰りが1.4兆円下振れしますぞなもしという大変にお洒落な事態。

ちなみに、短国に関しては、

『今年度予算で20兆円枠が確保されている財務省証券を発行して補てんする可能性については「一時的な資金繰りの手段で歳出の財源ではない」と否定した。』

とのことで増発はしないという話のようですが、とりあえずそれよりも目先の資金繰りでございますがなという事で、T+2の所で資金ニーズが急に来たのでここぞとばかりに日銀はこんなオペを実施。


先週金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120831.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 4,000 2012年9月4日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 4,000 2012年9月4日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年9月4日 2012年10月15日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 16,000 2012年9月4日 2013年1月15日


オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120831.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 2,508 2,508 0.000 0.000
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 4,465 4,000 0.001 0.002
共通担保資金供給(資産買入等基金)(10月15日エンド分) 21,990 8,011 36.4
共通担保資金供給(資産買入等基金)(1月15日エンド分) 10,725 10,725

午前中の基金国債買入に関しては今回合計8000億円のオファーとなりまして、今月オファーした過去3回の7000億円(いずれも5000+2000)から増額してきたのですけれども、前回2〜3年の方が札がそこそこ入っていた事を勘案したのか、今回は2〜3年の札を2000億から4000億円にした所、1〜2年は盛大に札割れして2〜3年の方は4000億分きっちり入ったという事で、まあ今月のMPMは第3週(18〜19日)ですのであと2回基金国債買入が入る可能性がありますが、札割れ対策の為の応札下限金利撤廃を9月MPMで実施するのかどうかはこの応札状況を見ていると極めて微妙ではございますな。

まあどうせどこかで厳しくなると思いますので、変にギリギリになってバタバタするよりは次回MPMでちゃっちゃと応札下限金利撤廃すれば良いと思うのですけどねえ。

という話は比較的どうでも良い(良くは無いが)のですが、金曜のオモシロオペは何と言いましても基金共通担保オペの2本立て実施でございます。

もともと4日には3か月オペの期落ちが8175億円ありまして、3か月オペをロールするでしょうなあというのはあったのですが、このオペのロールが何と1か月物でのオファー。まあ前から1か月物とかの方が担保繰りに柔軟性が持てるから世間的にはそっちの方がニーズがあるという事ですがなというのは以前から申し上げておりました(つーかあたくしが申すまでも無くヒアリングでそういう声が多く聞こえていると存じますけど^^)が、まあやっとマーケットフレンドリーというか「市場のニーズに柔軟に対応」という固定金利オペの枠組み見直しの当初に話をしていた通りの事が出来ましたですかそうですかという所でこれはまあマーケットフレンドリー。

でですな、もう一本の方が何ともアレなオペでございまして(^^)、急に資金不足が来たのでというプレイになった市場に対して、その不測の不足日(駄洒落では無い^^)に向けて新規で資金供給をオファーするというのは不測の事態に対する迅速な対応ではあるのですけれども、そこに向けて打ち込んでくるオペが「新規で4か月物の固定金利オペ」という所が何とも味わいのある所です。

もうね、こういう所で「ほーれほれ、資金だよ資金♪」と言いつつ新規で出してくるのが短いオペじゃなくて年末越えのクソ長い資金という所が、市場の足元を見たっつーか何つーかという所で、そらまあ資金繰りのブレに対して放置プレイされたらもっと困りますからこれはこれで「臨機応変の対応」である事は間違いないのですし、財政要因の下振れ予定額の1兆4千億円を上回る1兆6千億円でのオファー(単に8000億円の整数倍で打ってきただけのような気もしますが細けぇこたぁ気にすんなYO!)というのは量的にも十分な額のオファーという事で、そーゆー意味ではこれまたマーケットに配慮しているようではあるのですが、この場面で積み上げておきたい固定金利オペの残高を稼ごうという所が、現金持って在庫買いたたくバッタ屋のオッサンみたいな風情を醸し出しておりまして誠に味わいの深い(深くないですかそうですか)ものを感じる所ではございます。

#まあ上記のように一方で1Mのオペも打っている辺りが飴と鞭とでも申しますか

で、そのオペの結果は上記引用の通りで、1か月物固定金利オペには何と2.2兆円近い渾身の応札が入りまして、やはり短いタームのオペの方がニーズがある(ちなみに短期市場以外の人向けに話をしますと、別に常に短い方がニーズがある訳ではありませんで、偶々現在の市場環境としては同じ固定金利の資金供給だったら長いものよりも短いものの方がニーズがあるというだけの話ですので、あまり一般化して考えないように)というのが明確になったのと、4Mものと言えどもやはりT+2で急に財政下振れが来たのでに対しては札が入りますなあというのが判明した、とまあそんな所でしょう。

てなわけで、特例公債法案絡みで急にまた来やがったなという感じではありますが、何となく今回のあずみんの会見はわざわざ騒ぎを大きくして「野党のボケアホカスが協力しねえから色々と悪影響が出るんじゃヴォケ」と政治的にアピろうとしている風情も感じる次第ではありますが、しかしまあ政府支出の一部が止まるだけでは無く、地方交付税交付金の支払いが止まりますと地方行政機関の業務執行にも影響が出て来るとかいう話になるでしょうし、支払いが暫く止まるとなると、まー普通にその間ってあちこちで資金繰りを保守的にしましょうとかいう話になるので、政府および地方公共団体からの財政関連支出が景気に対して影響を与える(もちろん悪い方に)という図も考えられる訳でして、何だかなあという感じがする金曜のひとときなのでございました。

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2012/08/30

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120829-00000083-mai-pol
<首相問責可決>焦点、9月の党首選へ
毎日新聞 8月29日(水)21時43分配信

ふむ、特例公債法案は当分成立しないということですかそうですか。

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2012/08/24

○オペ関連雑談

ネタにしてなかった水曜日のオペの話からまず。

オファー(22日水曜日)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120822.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 5,000 2012年8月24日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 2,000 2012年8月24日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年8月24日 2012年11月22日

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120822.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 5,028 5,006 0.000 0.000 99.6
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 5,056 2,010 0.000 0.000 39.8
共通担保資金供給(資産買入等基金)(8月24日スタート分) 15,385 8,001 52.0

ということで、水曜は基金国債買入が実施されましたが、めでたく両方とも札が割れずに予定量の7000億円の購入が出来ましたという結果に。まあ直近ではこの前夜にドイツ2年国債の入札があって終わってみたらレートがプラスになっていた(と思ったら昨日の夕方見たら2年国債って0%挟みで上行ったり下行ったりしとりましたな)ということで、ECBの預金ファシリティレートゼロ攻撃以降にマイナスが延々と続いたドイツ国債の金利とかがノーマルな水準になってくれると、海外絡みの買い意欲が落ちるので札はやや入りやすくなるかなというような市場環境の話もありますし、さらには時期的に決算の益出しでの売り(というか入替)ニーズもありますので、変に場で売るよりは日銀の買入に突っ込んだ方が市場インパクト無く売却できるぞなというようなニーズもあるでしょうな。

とまあそんな需給環境なので札は確かに入ったには入ったのですけれども、0.10%だとビットサイドという状態は別に変っている訳でも無く、市場環境次第ではまた札割れのリスクもありますぞなもしという状態は変わらないのでございますから、買入ペースを少し早めにして年末のちょっと前に目標行くようにしておくとか、札が入りやすくなる工夫(要するに応札下限金利の撤廃)とかはしておいた方が吉のような気がするんですけどね〜。

何かね、日銀の毎度おなじみの間の悪さというか様式美の世界から類推致しますと、今回札がめでたく入ったのですっかり安心してたら年末近くなって市場環境が変わって札割れ連発→でも次の決定会合まで応札下限金利の撤廃ができないお!となるとかいうようなお洒落な展開になりそうですので、その辺をご考慮の上買入を進めて頂ければと存じます(大体からしてその後も買入しないといけないし)。


・とか言ってるうちに固定金利オペの応札が減るでござるの巻

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120823.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年8月27日 2012年11月28日

結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120823.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(8月27日スタート分) 8,690 8,005 92.1

ということで3か月物の固定金利オペが2日連続でオファーになったのですが、応札が足元急減少でござるの巻。

資金需給的には年金の定時払いが15日に入りまして財政要因で3兆円弱払い超になって、当座預金残高が38兆円位まで拡大(木曜に財政が3兆円揚げ超で今日の当座預金残高は36.8兆円とかになると思います)したりして、GC市場的に資金が余り気味で資金運用ニーズの方が強いという状態になっていますので、固定金利オペの応札が減って来た感じではございます。

ただまあ何ですな、固定金利オペ自体が残高減っていないというのもありまして、あたくしの手計算ベースですろ固定金利オペのオペ残ってまだ31.3兆円位ございまして、7月の決定化合以降殆ど残高が減っていない(7月16日とかだと30.6兆円だったので却って増えてたりする)のでございまして、こちらは25兆円に減らすというのが逆に進捗していないという謎展開。

何で減ってないのという話ですが、時々新規で3か月のオペが入っていたのに加えて、20日にオファーされた6か月オペは前回札割れした(初めて札割れになった2月16日オファーのオペで残高が7010億円だった)オペの折り返しを普通に打ってきたというような格好(まあ今回はより札割れしたので折り返しで残高減りましたが)ですので、今後札割れオペが普通に8000億円でオファーされて、まあ6か月は札割れするんでしょうけれども、何か思ったよりも固定オペの残高を落としてこないのも面白いですな。

まあ目標以上に残高積む分には誰も怒りはしない話ですから固定金利オペの残高が減らなくてもよかばいという考え方もありますのでそれはそれで良いのかもしれませんが、一応資金需給を元にして短期市場の需給を考えて、価格形成どうなるのとか考える側と致しましては、別に全部が全部100%予見可能である必要も無いのですけれども、何か減らすと言ってる固定金利オペは減らないし、国債買入の方はペース的に間に合うのかよ(確かに札割れしなければ無問題なペースなのですが)という感じで淡々と進んでいるのも何か微妙にずっこけ感はするんだよなあとか思うのであります。

いやね、それこそ年末になって急に調整して固定オペのロールが来なくなるとか言う風になっちゃうとこれまた攪乱要因(その分を通常の金利入札オペでリプレースという話になるのですが)になるので、着地前に急に調整が入らないように願いたい所ではございますが、まあ確かに水物相手なのでオペ打つ方も大変だなあと同情を禁じ得ない部分はございます、と言いながらああだこうだといちゃもん付けているのですけどね(^^)。


○米国の「追加緩和観測」の定義がよく判らない件について(雑談)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M985QN6S972A01.html
米国債:10年債は5営業日続伸、米追加緩和観測が強まる

『8月23日(ブルームバーグ):23日の米国債は上昇。10年債は5日続伸。朝方発表された失業保険申請件数が増加し、米金融当局による追加緩和観測が強まった。』(上記URLより)

とのことでございますが、記事のコメントを拝読いたしますと・・・・・

『キャンター・フィッツジェラルドの金利責任者、ブライアン・エドモンズ氏(ニューヨーク在勤)は、「議事録は信じられないほどハト派的だった」と述べ、「議事録でトーンが決まった。市場は量的緩和第3弾の実施は決定しているかのように受け止めている」と続けた。』(上記URLより)

とか何とか仰せなのでございますが、あの議事要旨見ると「追加金融緩和」はまあ近々実施するでしょうなあとは思うのですけれども、「新たな大規模資産購入プログラム」については色々とケチがついている(効果がホンマにあるんかいなとかデメリットがあるじゃろとか)訳でして、あの文面見てどこがどうQE3がダンディール扱いになるのか判らんですけど、どうもベンダーのコメントとか見ていると「追加金融緩和期待」がQE3の期待なのか、それ以外の目くらまし追加緩和期待を意味しているのかがワカランチ会長ではございまする。

まあ何ですな、とりあえず出尽くし感を出さないようにする、ってえのと、下手に長期金利を上げないようにする、ってえのは逆さ絵のおじさんが意識していると思われますので、そこらのコントロールは何とか努力するとは思うのですけれども、どうも昨日のFOMC議事要旨でQE3期待が盛り上がってしまったという事になりますと、期待のコントロールが段々難しくなってきているのかなあとか思うのであります。

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2012/08/21

○オペ雑談と昨日の訂正

昨日の当駄文で「金曜のオペが〜」とか申し上げたのですが、当該のリンク先を見ればすぐわかりますように、URL添付してたのは木曜のオペオファーでして、じゃあ金曜はどうだったのかと言いますとそもそもオペのオファーが無かったというのが正解でした。謹んでお詫びして訂正致します(過去ログの方に訂正表記しますた)。

さてまあ昨日ですが、昨日もしらっと基金国債買入オファーの実施はスルーされておりまして、はてこんなペースで大丈夫なのかいなとは思うのですけれども、まあ確かに直近では大体10日ごとに買入のオファーがあった事を勘案すると今日(か明日)辺りに買入のオファーがあるのですかねという話ですわな。

つーことでまあ今日明日辺りに入ると思われる基金国債買入の応札状況とゆーのは気になる所でして、まあこの札の入り方次第ではオファーのペースを再検討とかそういう事にもなろうかとは思いますが、そもそも買入対象ゾーンの金利が0.10%ビットが続くのは当面はカワランチ会長となる訳ですから、実は下限撤廃してもしなくても市場的に大変化があるのかというとそれもなあという気もせんでも無い(まあ買入総額がこれ以上拡大すれば別ですが、今の額だとせいぜい3年の金利が0.095%になる位じゃネーノと思うので大差ないちゃあ大差ない)ので、市場的にあまりインプリケーションが無い(既にかなりの所まで織り込んだ状態なので)んじゃネーノ疑惑もありまして(^^)、あとはちゃんと残高積めますかとかそっちのまあマニア的興味に移るのでした。

とは言いましても、基金の残高については必達ということが先週出た7月会合議事要旨でも示されている(一方で麿会見では麿節の為その必達のニュアンスがあまり伝わらない辺りがどうかと思いますが)ので、残高は必達と相成りますが、必達させるためにとか言って国債買入と短国買入を一緒くたにして誤魔化すという技を使うのは難しいでしょうなと。つまり「長いものを買っていた話が短いものに化ける」というのはそもそも長めのターム物金利を下げるという理屈に整合的では無い上に、この前は固定金利オペの代替物として短期国債の買入を拡大させたというのをやったばかりですので、今度はそれを国債買入の代替にするというのはさすがに理屈の整合性がががががという所でしょうな。

つーことで、まあ今週オペやって札が普通に入って買入のペース的に大丈夫だとなりますと無問題ではあるのですが、札がまたまた割れるとなりますと、残高必達の為にどういう工夫をするのかという話をネタにする何とかストの方がまた出てくると思われる次第でして、まあ短期国債買入の利用という荒業も有り得ますが、上記の理由にてちと理屈に無理があるので、やはり応札下限金利の撤廃か、買入対象年限の長期化が必要になるという話になるのですが、応札下限金利の撤廃について8月会合後の麿会見で「現在は必要が無い(キリッ)」とか妙に突っ張って発言していたのが少々アレでございまして、下限撤廃したくないというのは把握しましたけど、下限撤廃とか比較的どうでも良い所で突っ張る結果「やっぱり買入年限を延長して5年まで買う」とかいう方向になる方がよっぽど日銀的にマズーな話になると思う(買入終了後の反動がより大きくなるのと、出口政策の運営がより難しくなるのと、財政ファイナンスがどうのこうのの話に繋がりやすくなるから)ので、まあ買入オペ以降の変な思惑には注意という所ですな。

7月会合の議事要旨を額面通りに捉えると基金買入残高目標は必達になるので、そのためにオペのテクニカルな手直し(=応札金利下限撤廃)をするのは別に抵抗はなさそうなのですけれども、麿会見が微妙にアレだったのがアレ。


○電力債の一般担保がどうのこうの

日曜の日経新聞でこんなネタがあって、既に本職の皆さんがコメントしておられるので、特段あたくしがどうのこうのという話でも無いのですがちょっと雑談。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18007_Y2A810C1MM8000/
政府、電力債の担保廃止検討 原発賠償の円滑化狙い
起債条件、新電力と公平に (1/2ページ) 2012/8/19 2:05 情報元 日本経済新聞 電子版

『政府は電力会社が発行する債券(電力債)に認めている特殊な担保を廃止する方針だ。担保があると、債券の保有者が優先的に資金を回収でき、原子力発電所事故が起きた場合などに被害者への賠償の妨げになると判断した。担保を持たない新電力(特定規模電気事業者)との競争条件を公平にする狙いもある。発送電分離など経営改革を進める場合には例外も検討する。』(上記URLより)

以下の部分は上記URL先にもありますように、有料会員のみ閲覧可能という事ですので引用割愛(というか引用不能)でございますが、このニュースに関してはもう「いやそのりくつはおかしい」というような話で、これ日曜の日経1面トップ記事だったみたいなのですが、こんな奇天烈な理屈がそのまま経済クオリティーペーパーに掲載されるのが誠に残念ですなという所です。

まあどの辺の理屈が「いやそのりくつはおかしい」かと申しますと、無料閲覧可能な上記掲載部分だけで普通に2か所。

>担保があると、債券の保有者が優先的に資金を回収でき、原子力発電所事故が起きた場合などに被害者への賠償の妨げになると判断した。

・・・・・・・・・・・いやあのすいません、事業破綻する事を前提にした理由を元に「担保付の発行はしません(キリッ)」とか言いながら無担保社債で資金を調達しましょうとかお前はどこの取り込み詐欺集団かよと小一時間問い詰めたい訳でして、そういう潰れる気満々の話をしながら「無担保で貸せ」とかいう理屈を持ち出す発想がそもそもビジネスセンスの欠片も見当たらないと存じます次第でございます。どうも無料記事の最後の部分にある「電力システム改革専門委員会」とかいう所について直近の配布資料みたらメンバーが学者(しかも電力関係あるのかいなというのが)ばっかりじゃねえかという事に気が付きました、いやはや何とも。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denryoku_system_kaikaku/pdf/008_02_00.pdf


更にこれもワロタ。

>担保を持たない新電力(特定規模電気事業者)との競争条件を公平にする狙いもある。

意味判らん。東京電力に関して言えば公的資金突っ込んでいるのであって、そういう会社が保有資産を活用してコストを下げるのって物凄く重要な話であって、ちまちましたリストラした分を調達金利の上昇で全部すっ飛ばす位の勢いのレベルになるんですけれども、調達コストを上げるような話をして収益力を下げてどうすんねんという話なんですけどねえ。

大体からして担保持ってないから競争条件がどうのこうのという話をするのであれば、新電力に対して政策金融対応すればよい話で、電力会社の調達コストを引き上げる事によって競争条件を公平にするとかどんなシバキアゲの理屈あるいは引き下げデモクラシーなんだよという話で、そのアンチビジネス的な発想力に落涙を禁じ得ない所でございます。

いやね、一般担保を廃止してその分で他の資金調達手段(銀行借り入れとか)をとかいう話とか、資産のより一層の活用をするとかいう話ならまあ理屈としては判らんでも無いのですけれども、どこの世界に潰れる事や他社の為に貧乏になる事を前提にした理屈でこういう話が出てくるのかとゆー事で、まあ正直って頭おかしいんじゃネーノというアンチビジネスなのでございますが、こういうのが平然と出てくるのもそうですし、それをそのまま垂れ流した上に1面トップ記事にしてしまう日経新聞のセンスもどうなっているんだという所でございますな。という悪態でございました。

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2012/08/17

○5年カレントの引けが0.240%とな

ということで珍しく柄にもなく連日の債券市場メモ(このサイトの題名は何だったっけというツッコミは全力で却下)であるが。

えーっと、昨日の債券市場様におかれましても金利が上昇した訳ですが、10年ゾーンとか中々重そうにしておりまして朝っぱらから0.85%になってそこで止まったかと思ったらその後もう一発売られておまけに引け際にもう一発売られて引けでは4.5毛甘/5.0毛甘の0.860/0.865とか素敵な事になっておりました(BBの引けは0.860%)けれども、それはそれとして誠にアレなのが5年近辺でござりまして、5年ゾーンは今日もヘロヘロというかゲロゲロというかで105回債は3.0毛甘/3.5毛甘の0.235/0.240というこれまた売り込みましたなあという水準(BBの引けは0.240%)。

時間軸とか日銀買入とか考えたらああだこうだというのは昨日も申し上げましたので割愛致しますが、まー相場観として考えた場合にそこまで売るのかよという気はするのですけれども、世の中にはお家の事情というのがあって、お家の事情というのは基本的に成行売買と相成りますので、相場観ガーとか言って立ち向かっても成行さんのパワーがでかければこうなりますがなという所なんですよね、いやまあ本気で5年の金利水準の適正値はもっと高い所にあるとか思っているのだったらどうもすいませんという感じですけど。

まあ何ですな、新発105回債に関しては来週5年入札がありますので、とりあえず中期の売りは105回でヘッジして逝くっちゅう話でヘロヘロ振りが際立つんでしょうけれども、まあ少々びっくらこいたことですよ。地味に金先もここもとヘロヘロしていて、気が付けば金先3限月が99.70割っているのもチャーミングですが何で売られてるのかワカランチ会長なので後講釈保留(^^)。

しかし何もお盆中にやらんでもとか思いますが、よくよく考えますと中間決算まで1か月半でございますし、入替売買するならその反対やるのに絶好の5年新発入札が来週火曜日という訳ですからなるほどなあとか言うのは後からなら何ぼでも言える訳でして(超大汗)、そーゆーのを今さらドヤ顔で語るとかどう見ても時既にお寿司です本当にありがとうございましたなので恥ずかしくてあまり後講釈する気が起きませんぞなもし。

あとまあ相場観的な話ですと、消費税増税法案の景気条項ガーとか、選挙が前倒しになって自民公明が勝つと大公共事業マニフェストガーとか、その手のネタも一応ありますし、米債が10年1.8%とかに売られてみたり、株価が妙に堅調だったりなどというのもありますので、そーゆー意味ではお家の事情だけと決め打ちするのもどうかとは思いますけれども、中期の売られっぷりを見てそういう後講釈をしてみましたという所で、本当の所は売ってる当人たちしか判らないお話でございますのでその辺はよろしくお願いいたします。

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2012/08/16

・5年が久々の0.20%台乗せとか

昨日の債券市場ちゃんは金利上昇の巻だったのですが、まあ長い所は兎も角としてほほうと思ったのは中期が取引途中からヘロヘロ化して5年カレントが2毛甘の0.210%とか出合ってみたり(日本相互証券の引けは0.205%でした)という所でしょうか。

3年までの所は時間軸に加えて日銀買入効果がありまして0.10%で張り付いている(つーか0.10よりちょっと低い水準ですな)ので、その後ろの金利も0.10%に近い所で推移となっておりまして、5年が0.20%乗せると手前対比でみた時に結構安く見えるような気がするんですが、昨日は0.20%乗せてもヘロヘロモードと。

まーどこのどなたがご売却されたのかは存じませんが、入札準備にしてはちょっと豪快な売り方ですので、単なる入札準備というよりは別の話だと思いますし、0.20%乗せても叩かれるという動きってへーという感じで、まあお家の事情的な売り方もあるのかねえとか思いつつ眺めるの巻となるのでした。

しかし昨日は2年カレントが0.10%出合いとかベンダーに出て「ほえ?」と思ったのですが、単に業者間で0.10%にあるビットを洒落で少額叩いた人がいただけのようですけど、まあ地合いを悪くしたいから叩いたのか、単にギャグで叩いたのか存じませんが(^^)、中短期がヘロヘロになると雰囲気が悪くなりますのおと思った昨日のひとときでしたので俺様備忘録として残して置きますね。

#まあ2年とか3年とかが本当にヘロヘロになったら基金買入が積みあがって日銀的にはウマーなのでしょうけれども・・・・・・

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2012/08/15

○小ネタ少々

・営業毎旬報告

直近のが出ました
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac120810.htm/
営業毎旬報告(平成24年8月10日現在)

でまあこちらの中でニュースネタになっていたのは保有長期国債残高が発行銀行券残高を上回りましたという話で、発行銀行券残高が80兆7876億円なのは一目瞭然なのですけれども、長期国債の残高については下の方を見ないとワカランチ会長でして、別表1と別表2にある長期国債を足すとが80兆9697億円になりまして、長期国債保有額が銀行券をオーバーですという所で。

つーてもそもそも短期国債も含めれば上回っているというの今に始まった話では無いですし、基金国債買入はまあ一応3年以内の物ですし、どこぞの米国みたいにやたら長期化している訳でも無いんですが、ただまあそうは言いましても「公共事業を200兆円やりますが財源は赤字国債です」というような人たちが政権取ってそのままそれをおっぱじめるとかいうような話になりだすとどうなんでしょうかねえという気は。

まあ何ですな、資金バランスから言ってそう簡単に国債消化構造が崩れるという話にはならんでしょうけれども、だからと言って調子に乗って赤字国債全力で増発して公共事業バンバンやりますとか、社会保障の支出は増えるがままに放置プレイでこれまた穴は赤字国債とかやっておりますと、まあどこかでしっぺ返しが来ると思うのですけどねえ。で、そのしっぺ返しがどこで来るのかが定量的に判れば誰も苦労はしない話でございまして、それがどこなのか判らないから困るんですけれども、国債バンバン発行して日銀引き受けとかゆうとる人たちは定量的に判らないというのでは根拠にならんとか言い出すので頭が痛くなる話なのですけどね。

ま、銀行券ルール自体は一種の歯止めとして判りやすい数値として使っている話ではあるのですが、一応の根拠としては資金供給の長短バランスという話で、金融市場調節を無理なく行う為には長短バランスを確保しておいた方が金融政策の運営上やりやすいちゅう話ではございますので今のように絶賛量的緩和状態の時よりも問題になるのは平常時ではございますな、うんうん。


・基金国庫短期証券買入が増額とな

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120814.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 8,000 2012年8月16日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年8月16日 2012年8月23日 0.640
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年8月16日 2012年11月19日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120814.htm

国庫短期証券買入(資産買入等基金) 40,327 8,009 0.099 0.099 28.4
米ドル資金供給(固定金利方式)(8月16日スタート分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(8月16日スタート分) 34,671 8,008 23.1

ということで、基金国庫短期証券買入が前回の6000億円オファーから今回は貫録の2000億円増額の8000億円の買入実施でしたが、応札は4兆ありまして落札レートは0.099%とすっかり0.099%オファー0.100%ビットが定着でござるの巻という感じになって参りました。まあ0.10%を割って買う人(含む日銀)の量に対して発行量の方が思い切り多いですねという訳で、まあ超過準備付利が受けられる人が0.10%割れの短国をそんなにホイホイ買うようになっている訳では無い(担保繰りとかの限界的な部分を除く)という事なんでしょ。

というのはともかくとして、何でまた今回短国買入のオファーを増やしましたねんという所ですが、今回の応札に示されましたように応札意欲もあるので増やしたからと言っても市場金利を無駄に下げないというのが大体公式見解みたいな所になるのでしょうけれども(^^)、まー足元で基金国債買入の方が暫くの間札割れ状況が続く事になろうかと思いますので、せめて短国の方でも買入ペースを上げておきましょうというのがあるのかなと(^^)。

つまりですな、先般のMPM声明文で『今後とも、資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて間断なく金融緩和を進めていく。』という一文が新たに加わりましたけれども、つまりは資産買入等基金の残高の積み上げが進捗する事によって金融緩和効果が高まる、という理屈(ホンマカイナというツッコミはここでは華麗にスルー^^)が強調された訳でございますからして、基金国債買入が札割れ連発で進捗が遅れる分はとりあえず基金短国買入の残高を積み上げて全体の基金残高の積み上げを進捗させましょうという話なのではないか、とまあ勝手に愚考する次第。

ただまあ何ですな、短国買入って概ね3か月新発近辺が一番多く入ると思いますので、8月のこの時期に短国せっせと買入しても11月には償還祭りになるのでまた買入オファーしないといけないんですけどね。

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2012/08/09

○その他相場関連雑談

・3党合意の合意キター

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120808-OYT1T01187.htm
法案成立の暁、近いうちに信を問う…3党首合意

『野田首相(民主党代表)と自民党の谷垣総裁、公明党の山口代表は8日夜、国会内で会談し、社会保障・税一体改革関連法案の早期成立と、法案が成立した暁には、近いうちに国民に信を問うことで合意した。』(上記URLより)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120809-00000014-mai-pol
<消費増税>10日成立、3党首合意 秋解散の見方強まる
毎日新聞 8月9日(木)2時31分配信

『野田佳彦首相は8日夜、自民党の谷垣禎一総裁と国会内で40分間会談し、消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連法案について「(民主、自民、公明の)3党合意を踏まえて早期に成立を期す。成立した暁には近いうちに国民に信を問う」ことで合意した。自民党は法案成立の条件として衆院解散・総選挙の確約を求めていたが、谷垣氏は早期解散の確約と解釈して受け入れた。首相が政治生命を懸ける消費増税法案は10日に参院で可決、成立する見通しとなった。』(上記URLより)

野田さんと谷垣さんに公明党の山口さんも加わっていますからさすがにこれは秋までに解散総選挙でしょという事で、一体改革関連法案も通過という事で、不意打ち闇討ちモードの債券市場ビックリの0.80%乗せ(昨日の場中だと確か10年ベースで一番甘い所が0.805/0.810辺りでしたが、延々と話が進まないので結構な時間滞在してた感じ、引け近くに誰か買ったのかホイホイ戻って0.80割ってましたが)とかやっておりましたが、とりあえず昨日落着しないと今日が長崎原爆忌で金曜の後はお盆休み(&終戦の日)ですからスケジュール的にどうよとか懸念されてましたので、まずはほっと一息という感じでしょうか。

でまあ消費税関連法案もそうなのですが、特例公債法案の方もひとつよろしくお願いして頂きませんと、日本版フィスカルクリフというよりは日本版フィスカル孔明の罠(ネーミングセンスが無くてすいませんすいません)に勝手に引っかかるでござるの巻というアホウ現象になりますので・・・・・・・

かんべえ先生の見解を頂きたいなどとネットの片隅で申し上げた声が聞こえたかどうかは存じませんが、かんべえ先生のスケジュール感が示されているのでご参考までに。
http://tameike.net/comments.htm#new
(本日見ると8/8の部分になりますが、後日の場合は8/8の所をご覧ください)

『○10月下旬に臨時国会召集、特例公債法案を処理して解散、11月後半に選挙ですかねえ。タイミングがあまり早いと、エネルギー環境会議の「国民的議論」がリセットされちゃうという問題もあります。そういうこと、考えていないように見えちゃうのが民主党政権の危なっかしいところなんで、ご用心をなさいまし。』(上記URLの8月8日コメントです)


・2年カレントとかの市場雑談である

で、先ほどちょっと申し上げましたように、昨日は2年カレントが0.095%で業者間で出合っておりましたようで、その後もオファーが置いてあったりしたのがへーという感じでした。確か先週金曜のドラギのドリフターズコント状態で債券市場アヒャヒャヒャヒャの時には0.085%とか勢い余ってやってたような記憶がある訳で、どうしましたねんという所ではございます。

勝手にこじつけると、足元で欧州コア国の2年国債利回りのマイナスが若干緩んでいるというのもあったので、その影響もあるかなとか妄想したりもしますが、まあ単純に0.10%割れで大玉打ち込んでもビットが立つならいったん叩いてやれというのもあったのかもしれず、その辺は妄想の世界でございまする。

ただまあ何ですな、先ほどの話と同じ事になりますが、2年カレントの金利がやや上昇して需給が若干緩和されたような雰囲気という事になりますと、今回は基金国債買入の応札下限金利の撤廃を見送る攻撃になるかもしれないなあとは存じますけれども、いずれにせよこの辺のゾーンが0.10%台に乗るというような流れには中々なりにくい状況の下で買入残高はまだ積み上げないといけませんので、やはりどこかのタイミングで下限金利撤廃コースだとは思うのですけどね。

ちなみに3か月TBですけれども。

昨日の結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240808.htm
(3)募入最低価格 99円97銭5厘0毛 (募入最高利回り)(0.1002%)
(4)募入最低価格における案分比率 3.3520%
(5)募入平均価格 99円97銭5厘2毛 (募入平均利回り)(0.0994%)

先週の結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240802.htm
(3)募入最低価格 99円97銭5厘0毛 (募入最高利回り)(0.1002%)
(4)募入最低価格における案分比率 1.9115%
(5)募入平均価格 99円97銭5厘3毛 (募入平均利回り)(0.0990%)

ということで、按分比率の上昇と平均落札価格の低下という事で、まあ基金短国買入の下限撤廃で一瞬ウヒョーとなった部分はやや剥落して平常運転になっていますなという所でして、長い所に関しても下限撤廃引っ張って変に期待をさせた価格形成を続けさせるよりは、下限撤廃して普通に思惑を排した状態で需給のみで価格形成させた方が良いのではないかとゆー気も致しますです、はい。

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2012/08/08

○まあ色々と雑談である

・東証がまたシステム障害とな

http://jp.reuters.com/article/kyodoMainNews/idJP2012080701001967
東証で一時システム障害
2012年 08月 7日 14:08 JST

『東京証券取引所は7日、売買システムで障害が発生したため、東証株価指数(TOPIX)先物などすべてのデリバティブ(金融派生商品)の取引を午前9時22分から一時停止した。その後、システムは復旧し、取引も停止から約1時間半後の10時55分に再開した。現物株の取引に支障はなかった。』(上記URLより)

ということで40年国債入札の日にデリバティブシステム障害とか何やってるんだとゆー所でございますが、そのせいだけでは無いでしょうけれども、なんとな〜く買いにくい感じになって前場押しましたな、と思ったら入札は結構強くてほほうと思ったんですけど、その後政局ネタだか何だか知りませんが、先物とか超長期とか弱かったですな。

まあね、前場引け近くに何とか間に合わせたのはダメージコントロール的には良かったですねという所なのですが、東証からの障害に関する発表が板止まってから5分以上掛かってるのって何とかならんもんなのかという希ガス。いやまあメディア向け連絡とかはロジ的に時間が掛かるのは判らんでも無いが、昔(年寄りの言う昔なので悠久の昔ですけれども)だと債券先物の取引業者には東証との間に専用線電話が引いてあって、才取(だか市場部だか何だか忘れましたが)から電話掛かってくるとかゆーのがあったような気が記憶があるんだが最近はそういうの無いのかね。

確か今年これで2度目の「場中急に板が止まる」攻撃だったよーな気がしますけれども、高速回転売買対応とかの前に取引インフラとしてシステム障害の頻度を減らして頂きたい次第でございますけれどもね。


・武者先生ェ・・・・・・・・・・

http://www.musha.co.jp/4111
2012年8月2日
ストラテジーブレティン (76号) 量的緩和で為替主権を主張せよ

『このままでは日本の産業は他国に漁夫の利を奪われる。ここは通貨主権を主張すべき場面である。為替介入は為替操作国の仲間入りとなり非難を浴びる。徹底的な日銀の金融緩和、バランスシートの膨張によるベースマネーの増大が望まれる。』

まあそういう主張は主張として存在するのは判ります。

『世界の中央銀行は金利操作から量的金融緩和へと政策の軸を移してきた。日銀がそのトレンドの先頭を走るべきである。』

えーっと、ゼロ金利制約下での金融政策という意味では量的金融緩和をしていますが、最近の中央銀行のトレンドは「単純な量の拡大」ではなくて、「より長めの金利への働きかけ」とか「コミュニケーションポリシー」とか「銀行貸出チャネルへの直接的な働きかけ」という風になっているのでございますけれども、いつの時代の話をしておられるのでしょうか。

『巨額のETF、REITの買い入れによりベースマネーを増加させればよい。』

ベースマネーが有意に増加するようなETF、REITの購入って幾ら買えば良いのでしょうか、というかフィージビリティー何も考えないで政策提言とかおめでてーにも程があるわ。

『量的緩和によるリフレ政策は需要不足に悩む世界各国にとっても歓迎すべき政策である。円高デフレ終焉とともに資産価格の上昇が内需に大きな購買力を与える。日本経済の風景は激変するだろう。』

通貨膨張だけでリフレーションやっても有効需要増えないと思うのですが(財政併用するなら判るけど)、つーかベースマネーの拡大の話をしているのか資産価格ルートの話をしているのかどっちなんだよという感じですな。補論みたいなのが後にあって何となく説明はしていますけれども、資産価格ルートに効かせるだけの話ならベースマネー云々って後付で充分な話だと思いますけどねえ。

・・・・・・などと珍しくツッコんでみましたが、あまりツッコんでいると曲げ髪様のフォースが憑依する懸念がありますので、ツッコミはこの辺で勘弁(^-^)。


・物凄くどうでもいい悪態(一発ネタ)

今月頭に出ておりますが。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1207.pdf
マネタリーベース(2012年7月)

今年の3月に前年比マイナスだったと言って鬼の首を取ったように「日銀は引き締めをしている」とか言ってた連中ちょっと出て来なさい。まあ特にちょっと出てこいやゴルァと思うのは本職の何とかストみたいな方でありまして・・・・・・・・・


・政局キタコレ

あちゃー
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120807-00000125-mai-pol
<自民>8日午前までに解散確約を…拒否なら不信任・問責案
毎日新聞 8月7日(火)22時3分配信

『自民党は7日夜、谷垣禎一総裁ら幹部が党本部で協議し、自民党が衆院解散・総選挙の確約を求めているのに対し野田佳彦首相から8日午前までに回答がない場合、同日中に内閣不信任決議案と首相問責決議案を提出する方針を固めた。自民党は首相側から党首会談を申し入れてくれば応じる構えで、事態打開を図る期限を8日午前とする最後通告を突きつけた形だ。これに対し民主党は7日夜、自民、公明両党に8日午前の国対委員長会談を申し入れた。自民党幹部は「そこから幹事長会談、最終的に党首会談までいけるかが勝負だ」と語り、8日の攻防が最大のヤマ場になるとみる。党勢の低迷する民主党内は解散回避を求める声が支配的で、党幹部は「最終的に党首会談はやるしかないだろうが、解散の確約はできない」と強調する。』(上記URLより)

ということで急速に政局が盛り上がって参りましたという感じですが、大体からして3党合意しているのに延々と店晒しにしておまけに党内で増税反対とか抜かす馬鹿鳩のようなのがいる民主党もアレですし、とりあえず自民党も消費税法案通してから(本当は特例公債も通してよと思うが)不信任でも何でもせえと思うのですが、何が何やらという感じで素人のあたくしは良くワカランチ会長ですのでかんべえ先生の解説を・・・・と思ったら溜池通信は五輪モードでした(^^)。

まーそれは兎も角として、消費税関連法案が間違ってコケてしまいますと、そもそもそれは通るだろうという前提でシナリオを組んでおりました債券市場におかれましては急に闇討ちを食らうようなもん(まあ参議院の審議を妙に引っ張るなあとか思っていたのではありますが)でございまして、そらまあ昨日の後場みたいに下がる(つーても先物が前日比37銭下がったとかそういう話ですが)罠という所でございまして、お縄ショックとは違いますが、これはこれで誠にアチャーな展開ではございます事よという所で。

上記記事にもありますように、明日は長崎原爆忌ですので国会は基本お休みとなるそうなので、今日と金曜、つまり今週中は何処から何が飛び出すのかという感じで債券市場ちゃんも久々に昼寝モードから寝起きモードでしょうな。おそらく債券市場的には消費税関連法案が通るかどうかが一番の注目でしょうが。


○決定会合プレビュー

今日明日がMPMな訳ですが、おそらく債券市場的に「あるか、ないか」とされているのは基金国債買入オペの応札下限金利の撤廃の有無だと思いまして・・・・・・・

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120807.htm
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年8月9日 2012年8月16日 0.640
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年8月9日 2013年2月21日

・・・・・・・・・・うーむ、ここで基金国債買入を入れて盛大に札割れというのを前回に引き続いて2週連続で華麗に見せてくれると、「市場金利の低下によりご覧のように基金国債買入の札割れ未達が連発してますお」→「仕方がないので基金国債買入の応札下限金利を撤廃しますお」という絵が描きやすかった(まあ今日もチャンスはありますが^^)なあとか思ったのですけれども、1回の盛大札割れだけだと下限金利撤廃に踏み切るかは微妙。

でまあ微妙という評価が市場ちゃんのコンセンサスだと思うので(ただし債券市場的には撤廃!撤廃!とっとと撤廃!!というモードにはなっており、3年ゾーン以内の引値が既にそれを反映した状態になっている)、どっちとも言い難いのですけれども、この調子で1か月間延々と札割れが続くとそらまあ9月のMPMでは下限撤廃しないとマズーでしょとなります。でまあ債券市場としては既にこの下限撤廃を織り込んだ価格形成になっているので、市場は自己実現的に札割れ大会を継続する筈なのですが、その背景として海外(というか欧州コア国)の2年とかの金利が相変わらずマイナス(昨日ちょっと見たらドイツ2年国債がマイナス0.06%とかだったような)が継続していて、ベーシススワップだか何だかがワークして日本の2年とかの国債を0.10%割れで買って無問題という状況がある(ただしそもそもスワップでワークと言ってもカウンターパーティーリスクがあるから無限にはワークしない)ので、需給が超良好(短国の方が発行が多い分需給が悪くて金利が高いという珍現象状態)となっている、というのがありますがな。


つーことですので、日銀ちゃんとしては今月は欧州金利動向の様子見をして(スペイン等の国債、しかもショーターエンドを本格的にECBが買って、絶賛ダイバージェンス中の各国金利がコンバージョンする方向になればドイツ2年金利とかプラスに戻っても不思議ではないですよね、ただしECBは利下げの可能性もオオアリクイですけど^^)下限撤廃を粘るという選択肢もあるでしょうなあとは思いますが、どうせ下限撤廃してもそこまで市場金利が急低下する訳でもないでしょう(急低下してビットサイドが0.085%なり0.090%なりになったらさすがに手持ち国債を千億ロットで外して日銀当座預金に突っ込んで来る投資家が出てくるでしょ)と思いますし、大体からして市場環境が変われば超過準備付利金利の方が効いてくるでしょうから、まあ変に粘らないで撤廃したらと思いますけどね。

何でかと申しますと、12月末までの残高目標というのがある中で、9月MPMまで下限撤廃を引っ張ると、(今後も札割れ未達が続く事を前提にすると)後の方で買入頻度を引き上げないと行けなくなって、却って日銀の買入による市場関与度が高まってしまうというあまり望ましくない事になりますし、札割れが続くという話になると逆に「買入銘柄の年限をもっと長くした方が良い」とか言い出す向きが出てきて日銀的にどうなんですかねえという風になりゃせんかと思いますので、ここは素直にYOU市場金利の低下を容認しちゃいなよ!と存じますがどうでしょうかね。


で、あと注目は今回からフルメンバーですねという話なのですが、声明文での経済物価状況の認識がどうなりますかねというのが少々注目しているかなという所です。

特に今回の声明文の中ではあたくし的には為替市場に関する言及に何か変化があるかをちょっとだけ注目していまして(そんなに大きな変化は無いと思いますけど・・・)、

最近の政策委員の講演で(先週の森本審議委員講演&会見ネタをまだスルー状態ですいません明日ネタにします)山口副総裁、森本審議委員ともに為替に関する言及が従来よりもちょっと目立つかなあ(山口副総裁、森本審議委員共に会見の席上で「金融経済懇談会の席上で為替円高に対する影響についての指摘があった」というような趣旨の話を入れてますし)という感じですし、佐藤、木内両審議委員は就任会見の席上で為替ルートによる金融緩和政策の効果を指摘していましたので、まーその辺りに関する声明文の書きぶりに何か変化でも出ると美しいのですけどとか思うのでございました。

いずれにせよ、今回は展望レポートとかございませんので、大ネタが出るのは10月の展望レポートと言う事で、そんなに極端に変わった物が出るとは想定しておりませんけどね。

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2012/08/02

○基金国債買入でウヒョー

#加藤一二三九段ではありません(^^)

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120801.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 5,000 2012年8月3日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 2,000 2012年8月3日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年8月3日 2013年2月19日

でもってそのオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120801.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 3,594 3,594 0.000 0.000
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 964 964 0.000 0.000
共通担保資金供給(資産買入等基金)(8月3日スタート分) 3,083 3,083

・・・・・・・ということで基金国債買入でございますが、月曜に入札があってアチャーな強さだった2年新発、というのは昨日申し上げた通りですが、その2年ゾーンでありますところ(念の為付け加えますと、31日に入札が行われた2年新発債は発行日が8月15日ですので足元では基金国債買入対象外となります)の1年以上2年以下どころか、2年超3年以下の所も札割れと相成りまして、これはまた残念な結果。

でまあ落札結果出るのは昼休みタイムなのですが、この結果を受けまして2年新発債は前場の0.095/0.100の気配から0.090/0.095の気配に貫録の出世となりまして、そらまあこの結果出されると「基金国債買入の買入下限金利の0.10%も撤廃がすっかり視野に入ってきましたなあ的な話になりやがりまして、その結果なのか、それとも業者の総意で買入下限金利撤廃しなはれ状態なのかはよー知りませんが(^^)、2年ゾーンとかの国債の日本相互証券引け利回りも0.095%に低下するの巻で債券市場様におかれましても前場は超長期の方が強くて中期は上値重そうにしていた筈が、引値分布見ると中短期ゾーンの方が相対的に強くなっているという所でした。

ちなみに日本相互証券さんの引け利回りを拝読いたしますと、5年債で言えば75回債から94回債、償還で言うと2013年9月償還から2015年12月償還まで(つまり1年以上の基金国債買入に突っ込める償還年限にあたる銘柄&その3か月先まで)が軒並み前日比利回り低下して何と何と0.095%の引値となりました(10年債だと253回〜273回で、償還は2013/09〜2015/09)。

いやまあこれで益々買入下限金利撤廃の思惑が高まり、そうなると札もハイランチ会長になり、自己実現バンドワゴン状態で益々札が入らないとかお洒落な展開になってくるのですけれども、さて日本銀行様におかれましてはどうするのやらという所ですが、まあ買入年限を5年とかまでにするよりは市場金利低下容認の方がスマート(というよりまだマシというのが正しいか)な希ガス。買入もそうなると新発の供給がある2年の方がメインになると思いますし。

応札下限利回りに関しては特段MPMで決めるような話でも無いのですが、この前基金国庫短期証券買入の下限利回り撤廃をMPM決定事項として公表したので、まあMPMマターになるんでしょうかね。

いずれにせよ、既に昨日の日本相互証券引値でも示されましたように、基金国債買入の買入下限利回りが撤廃されようなもんなら需給関係から言って3年の金利がGCレートや3か月TBに対してインバートするというお洒落な展開になる可能性も(つーか既に昨日の時点で引値はGCに対してインバートしていますが)ありますがなという所で、何とも香ばしい展開になって参りました!!!という所でございましょうか。

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2012/08/01

○2年国債入札ェ・・・・・・・

昨日の2年国債入札オファー
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/offer028.htm

落札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul028.htm

6. 価格競争入札について

(1)応募額 29兆2,935億円
(2)募入決定額 2兆4,749億円
(3)募入最低価格 100円00銭5厘 (募入最高利回り)(0.097%)
(4)募入最低価格における案分比率 28.1375%  
(5)募入平均価格 100円00銭6厘 (募入平均利回り) (0.096%)

・・・・・・・・・・・orz

いやあのですな、まあ昨日確かに0.10割れたらアレですなあとは申し上げましたが、何ぼなんでも2兆7000億円分がまるまる10割れだわ、まあ間違って上(100.005)で切れても按分多いでしょとか思っていたのですけれども、上記のような結果になるとはそらあーた何ぼなんでも調子に乗り過ぎじゃネーノとか思うのですけどはてさてどうなんでしょうね。

つまりですね、0.10%割れでの日銀様の購入が見えている短国だって買い進まれている訳でも無いのに、3か月どころか2年ですよ2年、何で2年の方を0.10%割れ突っ込んで行きますねんという話でありますな。どこぞの銀行さんでも買ってますのかねとかだとこれはまたウヒョーという感じなのですが、まあ例によって例の如くご購入遊ばされた業者様と不明玉様(不明は金融ファクシミリ新聞によりますと6232億円でまあ通常運転)に聞かないとワカランチ会長ではございますが、しかし3か月TBが突き進まない中で2年を買ってくるというのもイメージが湧かないですの。

考えられるのは当然ながら超過準備付利の外側の人たちという事なのですが、投資信託で2年国債をしこたま買わないと行けないような建付けの商品って(公募物では)見たことないですし、年金はそもそもこのゾーンでわざわざ新発国債買うニーズあるとも思えず、生損保も同様とゆーことで、残りは海外投資家様という所。確かにドイツとかの2年国債金利がマイナスだから連想でそーゆー話になるのも判らんでは無いですけど、そもそも2兆7000億円も海外だけでニーズがあるとは思えないですし、海外が買いに来るなら先に短国がもっと祭りになるじゃろと思うので、結局の所「実需の買い」という視点から考えた場合何が何だかよく判らん強さではございました。

#可能性があるとすれば「割引国債はダメだが利付国債は買う」とかいうような仕切りになっているポートがお家の事情で3か月TBよりも2年国債を優先するって動きかなあと思うのですけれども、今時そういうのってどうなんでしょうねえ

ただまあ何ですな、こうやって2年新発の金利が思いっきり0.10%を割りました(結局0.095/0.100の気配で日本相互証券の引けは0.095になっていたと思いますけど)となりますと、早速日経新聞様(日経新聞はかねてから申し上げておりますように拙宅では購読しておりませんので見ないで言うのですが)やら、どこぞの何とかストの皆様におかれましては「基金国債買入の購入が進まない事が懸念→基金国債買入の買入下限利回り撤廃の思惑」という煽りネタを投入するチャンス来々軒とばかりにネタを今朝から投入しているに1万ドラクマという所でございまして、0.20%を割って以来すっかりウゴカンチ会長になっております5年金利なんぞも益々ウゴカンチ会長というかアガランチ会長になるのは必至という所でしょうかねえ。いやはや何とも。

あともう一つ考えているのは、MPMの後最初に行われた3か月TB入札であります所の7月19日オファーのTB296回の再来という動きでして、あの時も不明玉が2.5兆円も出まして「これは買い手が目線を変えたのかあああ」と正直慌てたのですけれども、結局その後のTB入札も穏当な水準で推移し、あの入札は何だったねんという結果になったっつーのがございます。でまあ今回は基金買入下限金利撤廃ネタとかで盛り上げたり、まあ現実に下限金利撤廃になったら0.095%位で日銀に放り込めるし、撤廃にならなくてもどうせ100円には無限のビットが入っているでしょうから逝かれも屁のようなもんとか諸々考えて宝くじ感覚で突っ込んでいるのかも知れないなあと。

しかもこの債券の場合、発行日が8月15日ですので、暫くの間は在庫ファイナンスで逆ザヤのGC調達の心配をすることが無いので、キャリーでマイナスで首が締まるという事もないのがお洒落でして、その間にMPM一回ありますし、ここで「0.10%は入らないんじゃとっとと買入下限撤廃しやがれゴルァ!」とアピって置きますとMPMでさてどうしましょという話が進みやすくなるがなというのもあるので、まあ煽り上等と考えますとそれはそれで可能性あるかなとも思ったり思わなかったり(^^)(^^)(^^)。


ちなみに話はそれますが、「買入対象銘柄の年限長期化」と「買入下限金利の撤廃」というのはある意味トレードオフの関係にございまして、つまりは「基金買入の残高目標を達成するため」という観点で見た場合、別に両方やる必要は1ミリも無い訳でございまして、「超過準備付利金利(0.10%)割れの国債買入をやらない代わりにより長めの国債も買う」VS「対象年限の市場金利が超過準備付利金利割れとなっていることを容認する代わりに対象年限の国債の購入余地を高める」という2者択一の世界でございますので、両方が実施みたいな話をしているコメンテーターがいましたら(いないと思うが)基本的に素人認定するのが吉。

んでもってどっちをやるかと考えた場合、まあ短期国債ゾーンで既に実施したのを見ますととりあえず後者の下限金利撤廃の方がまあ先に来る(ただしその前にオペの札の入り方を見ていき、札割れ連発でどうしようも無いという風になるかどうかを見極めるのが先ですが)のでしょうなあとは思います(非伝統的政策はスムーズな出口設計というのも重要という視点を日銀は持っている筈なので、より長い物を買うくらいなら市場金利の低下容認を選択するでしょと思う)ので、その辺は今後の基金国債買入オペの入り具合を見て行きたいとおもいますです、はい。

#まあいずれの選択肢を取るにせよ、債券市場のインプリケーションという意味では中短期金利が今の水準で益々ウゴカンチ会長になるという話(5年とかはここからもうちょっと下がるのかね)っつー所でしょうかね。何か0.20%を割るとウゴカンチ会長化しますなあ・・・・・・

なお、短期国債と違うのは日銀の買入規模がこのゾーンの流動玉の供給具合に比べて多い事でして、毎週3か月TBが5.7兆円発行されている(その上1年と2か月と6か月が3本あわせて月に8.5兆円発行ですぞなもし)という市場での9.5兆円の買入というのと、元々発行された中長期国債の残骸も色々とあります(ここで市中残高を全銘柄集計したら格好良いのですけれども、そんなマメさはあたくしには存在しないのでここの細かい話はスルーで勘弁)けれども、新発で出てくるのって2年国債の月2.7兆円という市場で24兆円(来年6月末には29兆円)の買入残高達成というのはインパクト的にどうなんでしょうねという感じはします。

#厳密に論議を展開しようとすると、国債買入の方がいったん買うと暫く残高に残るのに対し、短国の買いは現状の環境で考えると殆ど3か月で入ってくるのでターンオーバーが多いとか、色々と置きをしながら市場インパクトをシミュレーションしないといけませんので、まあヒマなお方は計算したらどうっすかね^^



○こんなん出てました

あたくし不覚にも昨日の金融ファクシミリ新聞で知ったのですが(汗)

http://www.jsda.or.jp/katsudou/kaigi/chousa/shasai_kon/index.html
新着情報 
社債市場の活性化に関する懇談会 報告書「社債市場の活性化に向けた取組み」を掲載しました。(平成24年7月30日)

『本協会では、平成21年7月1日、我が国社債市場の活性化を図るため、「社債市場の活性化に関する懇談会」(座長:福井俊彦 キヤノングローバル戦略研究所理事長。以下「懇談会」といいます。)を設置し、我が国社債市場が抱える課題を整理するとともに、一層効率的で、透明性と流動性の高い社債市場の実現のための取組みについて検討してきております。平成22年6月22日には、懇談会において、報告書「社債市場の活性化に向けて」が取りまとめられております。』

ふむふむ。

『懇談会では、同報告書で指摘された社債市場の活性化の実現に向けた4つの重点的な取組みについて、それぞれ部会を設置し検討を進め、平成24年7月30日、各部会の検討結果・取組みにつきまして、報告書「社債市場の活性化に向けた取組み」が取りまとめられております。このページでは、懇談会や部会で取りまとめた報告書及び懇談会等における検討状況などを公開しております。』

ということで報告はこちら(PDFで69ページ組です)。

http://www.jsda.or.jp/katsudou/kaigi/chousa/shasai_kon/files/120730_bukaihoukoku.pdf
社債市場の活性化に向けた取組み(「社債市場の活性化に関する懇談会 部会」報告)

巻頭言より。

『社債市場の活性化に関する懇談会(以下「懇談会」という。)では、平成22 年6月22 日、我が国社債市場の現状、課題を整理し、社債市場の活性化に向けた具体的な取組みを提示した報告書「社債市場の活性化に向けて」を取りまとめた。この具体的な取組みを検討するため、次の4つの取組みごとに部会を設置し、平成22 年6月から同24 年6月まで、合計58 回にわたり会議を重ね検討が行われた。本報告書は、その検討結果を取りまとめたものである。』

ということで、この4つの部会は以下の通り。

(1) 第1部会(証券会社の引受審査の見直し等)
(2) 第2部会(コベナンツの付与及び情報開示等)
(3) 第3部会(社債管理のあり方等)
(4) 第4部会(社債の価格情報インフラの整備等)

・・・・・・・ということで、こちらの中身をざっくり斜め読みをしたのですが、第4部会の辺りはやたらと具体的な話があって、日証協が社債取引価格事例を公表(証券保管振替決済機構に対してが出している決済指図の内容を証券会社が報告する)とか、公社債売買参考統計値の公表時間を遅らせてより価格提供の精度を上げるとか、その手の話がてんこ盛りで市場の中の人的には目先一番影響がありそうでございますので、精読してパブコメするのが吉ではないかと思ったりするのですけど(^^)、それは兎も角。

第2部会とか第3部会の所ってのが市場の建付けという意味では重い部分になると思う訳で、社債市場におけるより信用力の低い(投資適格格付未満の発行体がイメージされると思います)発行体が社債市場に参加する為にどうしたら良いかというような観点での議論が進んだんでしょうなあと思いつつも、一方で銀行様におかれましてはそーゆー所って社債市場的に投資適格未満であっても融資先としたら大優良お取引様であったりするので、市場の活性化が自分の首を絞める面もありますし、まあもっと壮大な話をすれば「直接金融なのか間接金融なのか」という所になってくるので、まーこの辺って関係者の見ていく方向性が一定じゃないから大変だろうなあと思います。つーかだからこそ具体的な細かい話という前の段階の報告になっているんでしょうけれども。

具体的にど〜のこ〜のの部分は時間と量とあたくしの読み込み不足の関係で(おいおい)割愛しますが、これはまあ後日ネタにするかもしれませんししないかもしれません(またこれだ)。


○決定会合議事録キタコレ

これぞ議事録。

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2002/gjrk.htm/
金融政策決定会合議事録等(2002年1月〜6月開催分)
2012年7月31日
日本銀行

本日、以下の資料を公表しました。
金融政策決定会合議事録等(2002年1月〜6月開催分)
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2002/index.htm/

でまあ一番オモロスなのは当然ながら2月28日の長国買入拡大(この時はそのほかに年度末に向けた一層潤沢な資金供給というようなお題目とか、ロンバートのお助け金利適用期間拡大(1週間から全営業日に拡大、ただし年度末跨ぎの積み期間まで)とか適格担保拡大の検討とかも出ていて一応「流動性対策」っぽい雰囲気を出していた)の時の議事録なのですが、これをネタにするには壮絶なタイプ打ちをしないといけないので、これまた暇があった時にやるかもしれないしやらないかもしれないという事で。

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2012/07/31

○色々忙しくてスルーしていたのでオペ短期雑談をまとめて

・だから長い固定オペはあきらメロンと

オペに関してはこちらのページから見るのが吉です。今回の雑談はここ1週間少々のオペレビュー雑談をするので一々URLを付けませんっす。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_o.htm

先週来オペが色々と工夫を凝らして、というと綺麗な言い方になりますが、まあ何か日々七転八倒しているようで調節担当部署におかれましては誠にご愁傷様に存じますという次第でござります(−−)

先日ネタにしましたように20日金曜には固定金利オペの柔軟化決定前に大変に不評の高かった「3か月のオペを6か月でロール」というのをやらかした訳ですが、当座預金残高自体は高水準なるも超過準備があまり動かないという事もあって1兆円の札が入った訳ですよ。

でまあ24日火曜は6か月のオペのロールを6か月で実施したら応札が9075億円(元の折り返しは8000億入っていた)で、まあこの辺りはGCレートがサガランチ会長というか0.105%よりも高かったような感じで推移してたのでまあそうかなという所でした。更に25日には3か月のオペを新規で入れたのですが、3か月オペは最近(今月のMPM前は6か月オペばかり打っていて、3か月オペオファーってのは17日以降という感じになっていました)は応札が4倍超あって按分比率が20%少々という推移でしたが、6か月オペとは大違いで37465億円の応札と短いオペなら要るけど長いのは要らんがなというのが鮮明に。

・・・・・・・・という状態だったのですが、新規オペ入れても札がどどーんと入るという事で、物は試しにやってみたのかも知れませんが、26日には再び3か月オペを6か月でロールするというニーズの無いプレイを実施したら物の見事に応札4475億円(前日の3か月オペの10分の1程度の応札とな)となってニーズの無さというか市場の態度がきっちりし過ぎじゃと苦笑を禁じ得ない次第でありました。

でもって昨日は3か月のオペのロールで今度は2か月物(2か月ロングですけれども)を打つというオモシロプレイが登場(^^)。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120730.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年8月1日 2012年10月26日

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120730.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(8月1日スタート分) 38,015 8,010 21.1

まあ当然のようにニーズ有りまくりで今回も按分20%近辺という結果でございまして、まあ確かに年末に向けて買入が拡大すると段々固定金利オペのニーズが落ちる可能性があるから残高入れておきたいという気持ちも判るのでございますが、まあ買入拡大しても超過準備を普通に積んで行く形になって(というかもっと正確な言い方をすると超過準備を積んで行く形にならないと買入拡大が段々困難になってくるのですけど)、市場のファンディングニーズから目の子というか勘で考えますと(^^)、25兆円の固定金利オペはそのまま平常運転でニーズがあると思いますので、そんなに慌てて長いの打たなくても良いような気がするんですが、つーか折角「機動的に対応」という事になっているのですから今後は徐々に短いオペを入れて頂きたく存じますけどどうでしょうかねえ。

#短いオペにすると残高確保のためにターンオーバーが増えるので毎日資金供給を沢山やっているように見えるという副次的効果(????)がありますな(^^)


・買入系雑談

基金短国買入ですけれども、MPMで買入応札下限金利の撤廃が行われてさてどうなりましたかと申しますと、17日は3000億円のオファーに対して30194億円の応札で0.098/0.098となったのですが、27日は応札を堂々6000億円に倍増したのですが、一方で(この次に書きますが)短国入札がMPM翌週の謎不明玉祭りから徐々に普通の入札に戻って来た(超過準備付利の投資家の短国買いレベルの目線が変わらなかったのが原因ですけれども)という事で、やや在庫の持ちも増えたのか、27日は堂々の47872億円の応札で落札レートも0.099/0.099と前回対比でレート上昇。

まあ先々週19日の3か月TB入札で不明玉と言われるのが2.5兆円もあったので、超過準備付利の投資家が買いの目線を変えてきた(0.10%割れも普通に買うようになった)のかと思ってあたしゃかなーりびっくらこいた(想定外)というか焦ったのでありますが、翌週の2か月TBと3か月TBに関しては足切りは超極薄按分ですけれども0.10%レベルに届くわ、所謂不明玉も通常レベル(2か月は不明やや少なめの2000億程度で3か月は大体通常運転レベルの11000億程度)でして、19日の3か月短国入札は何だったんだという感じ(まあ担保玉か何かで偶々ニーズがあったんでしょと思いますがタイミング的に人騒がせにも程があるので、買えなくなったら困る系の意識もあったのかもね)でありますが、0.10%は超岩盤の強力ビットサイド状態というのはカワランチ会長の中、今のところは短国買入をホイホイ入れても普通にジャンジャン買入が可能という所なんでしょうな、うんうん。

ただまあ今ホイホイ短国買入入れても買えるのって殆ど3か月新発近辺になると思いますので、3か月ごとに買入ロールしないといけないので中々オイソガシヤと申しますか、まあ徐々に買入のインパクトが市場に効いてくるでしょうなあとゆーところですがそれがどのくらいになるのかは正直ワカランチ会長。


CP買入に関してはMPM後の7月13日(なおこの時はまだ応札下限金利撤廃は適用されていませんでした、というのに落札結果見た時にあたくし最初気が付かなかったという末代までの不覚事案があったのは内緒です)は出来上がりの買入金利が0.111/0.110だったのですが、これまた足元でGCレートが微妙に高めに推移しているせいか25日の買入レートは0.112/0.111と一つ上昇しておりまして、こちらは下限撤廃の影響今のところなしという感じです。まあ買入の玉さえあればさすがに10は割らんでしょという感じ。


あと、基金国債買入とか輪番とかですけれども、20日の輪番1年以内の落札が出来上がりで多分0.100%と思われる結果(基準利回りとの較差入札なので出来上がりの数字は基準利回りを見ないと正確にはワカランチ会長なのですけれども、たぶん較差0.000/0.000の落札という事は出来あがり0.100%でしょ)となったのは何ぞなもしとか、24日は基金国債買入の1-2年の所とりあえず6000億円もオファーして何とか応札入ってましたけど、さて今日は2年国債の入札がある訳ですが、こちらの金利が0.10%割れとかに沈んでしまうと今後札入るのかねという大変に香ばしいアレを感じるものでして、まあ2年国債の入札結果次第では今後はやはり2-3年を買うしかありませんなあ→2-3年の需給が更に逼迫してカツカツになる→中期金利がアガランチ会長になる→さてどうすんでしょ的な流れになり兼ねませんので、まあニヤニヤしながら眺めたいと存じます。

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2012/07/25

○市場メモ系雑談

・欧州とか米金利とかを俺様メモである

何が何やらという感じですが
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7O1SC6S973H01.html
スペインのカタルーニャ、中央政府基金に支援要請へ−パイス

El Paisが報道してるんでしたらまあそうっすかと思ったら当該記事は
こちらと思われます(ただしスペイン語)。
http://ccaa.elpais.com/ccaa/2012/07/24/catalunya/1343131267_938560.html

ということで、米国10年債は貫録の1.4%割れですかそうですか。
http://www.bloomberg.co.jp/markets/index_americas.html

米国10年国債 1.387 -0.039 103.312
米国30年国債 2.454 -0.045 111.500

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7OKKQ6VDKI001.html
米国債:利回りが連日過去最低を更新、欧州危機で不安増幅

・・・・・・・・・・・でまあ追加緩和がどうのこのという報道がWSJに出たとかいう話をモーサテがしていましたが、しかしまあ金融市場に混乱が生じていない中で追加という話ですと相当の下振れリスクという話にならないと難しいような気もしますし、はてどうなんでしょと思うのでございますけどね。


・オペ関連雑談

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120724.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 6,000 2012年7月26日
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 1,000 2012年7月26日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年7月26日 2012年8月2日 0.630
米ドル資金供給(固定金利方式) 2012年7月26日 2012年10月18日 0.640
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年7月26日 2013年2月12日

オペ結果(順序は上のに揃える形で直しています)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120724.htm

国債買入(資産買入等基金)(残存期間1年以上2年以下) 6,001 6,000 0.000 0.000 100.0
国債買入(資産買入等基金)(残存期間2年超3年以下) 1,576 1,002 0.000 0.000 63.6
米ドル資金供給(固定金利方式)(8月2日エンド分) 0 0
米ドル資金供給(固定金利方式)(10月18日エンド分) 0 0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(7月26日スタート分) 9,075 8,008 88.2

・・・・・・・・何かまた6か月オペを打っておられますが、まー足元でGCレートが高い(高いって言っても0.105〜0.110の間ですけど)状況にありますように、若干足元のGCが重いので6か月オペを入れても札が入るのでしょうけれども、どちらかと言いますと安定的に3か月オペを入れるとかの方がオペのニーズという意味では扱いやすいと思うのですけれどもにゃあ。何となく買入進んで年末に向けて当座預金残高が増えて札が入りにくくなる前に打ってしまえというようなお気持ちが伝わって来るのですが(^^)、いやまあお気持ちは判るのですけれども折角市場のニーズに合わせてオペしますという話になった事ですし、もうちょっと短いオペの方が国債の在庫ファンディング的にはアリガタヤという気はする(まあ銀行の場合どうなのという議論はありますが)んですけどね。毎日1兆円のオペを25本打つ(よって期間は25営業日物)とかもう機械的にやるというのも^^

#この前資金余剰日(6月20日)スタートのオペも実施したわけですし

あと、基金国債買入の方ですが、これまたECBのどう見ても何も考えていないはた迷惑利下げによってドイツだのデンマークだのオランダだのの2年金利がマイナスだのゼロだのという素敵な水準になり(スイスはペッグの影響で以前よりマイナスでしたが)まして、デンマークとか-0.40%近くだったと思いますので、ファシリティーのマイナス金利よりも安全資産プレミアムが20bp近く乗っているという素敵な状態になっているとかになりやがりまして、その影響かどうかは知らんですけれども、日本の2年国債も0.10%ではとてもとても買わせてくれません状態になっとる次第。

つーことで、まあ昨日のオペでは6000/1000という割り振りで無茶しやがってという感じではあったのですが、とりあえずカツカツで札が入って良かったですね(棒読み)という風情ではあるものの、まあ2年金利とか中々アガランチ会長になっている中でこちらの方の基金オペ買入いつまで続くのでしょうかねえという感じではありまする。まあ札の入りがしんどいようなら2年〜3年の買入を厚くするという事になるのでしょうが、そうなりますと(まあ既に十分沈んでいますが)益々0.10%岩盤状態の年限が伸びて行くのでしょうという誠にアヒャヒャヒャヒャな事になりますなあ。

まあ残高達成の為にという話になると、この辺の市場金利がアガランチ会長どころか低下となりますと、将来的に買入下限金利を撤廃するとかやっぱり買入の年限を延長するとか、その手の素敵な思惑は出易くなり、それがまた自己実現的に相場に反映されるとか考えますと中短期金利は中々アレな事態が続くという事ですかそうですかorzorzorz


○審議委員2名着任である

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/rel120724a.htm/
審議委員の発令について

任期は5年でございます。

佐藤審議委員
http://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_sato.htm/

木内審議委員
http://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_kiuchi.htm/

ということで就任記者会見があったのですが、会見の方は今日日銀のページにアップされるのでそちらを見てからとは思いますがとりあえずニュースから。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7NMEN6K50XZ01.html
日銀審議委員の木内氏:政策効果を総括し、新たな緩和策検討も (1)

『木内氏は日銀が掲げる物価上昇率1%目標の達成について「不確実性も依然として大きい」とした上で、「必要あれば追加の緩和策は検討すべきだ」と強調。2010年10月に策定した包括緩和策の効果を検討し、目標達成の可能性が低いと判断されれば、「新たな形の金融緩和を柔軟に考えることが必要になる」と語った。』(上記URLより)

『一方で、佐藤氏は「期待インフレ率を引き上げることで実質金利を引き下げる必要がある」とし、具体的には「資産買い入れを多様化していくことだ。外債買い入れも一案だ。財務省とのすみ分けの問題もあるが、為替操作ではなく資金供給を増やすためと位置付ければよい。クリアすべき関門は多いが勉強したい」と述べた。』(上記URLより)

という事でまあ色々と新しい施策をご提案されるべくという事のようですが、まあお手並み拝見という所でありまする。会見の要旨を見ないとこの辺の「新しい施策」について実際にどの程度の事を考えているのかが良く判らん所(メディア報道だとどうしてもキャッチーな発言をクローズアップするので前後の文脈読まないとミスリードされる可能性がががが)であります。

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2012/07/24

○各種雑考とか雑談とかである

・2か月TB入札

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240723.htm
国庫短期証券(第297回)の入札結果

(1)応募額 46兆53億1,000万円
(2)募入決定額 2兆3,276億5,000万円
(3)募入最低価格 99円98銭3厘0毛 (募入最高利回り)(0.1000%)
(4)募入最低価格における案分比率 0.7166%
(5)募入平均価格 99円98銭3厘5毛 (募入平均利回り)(0.0971%)

ということで、落札結果は毎度のように0.10%割れ・・・・と思ったら物凄い薄い按分ですけれども足切りが0.10%に乗るとかほほうな結果。まあ平均が上の刻みなんで足切りで入った札は本当の本当にカスみたいなロットなんでしょうけれども。

・・・・・でまあそれはそれとしてへーと思ったのは不明玉ちゃんでして、2.5兆円の入札(価格競争分は2.3兆円ね)に対して所謂不明玉が2000億円ちょいしかございませんでして、先週の3カ月入札でげげげのげと思った不明玉2.5兆円攻撃から一転して超普通の入札になりましたです。

まあ何ですな、2か月と3か月ですと「モノ」としての使い勝手が違う(3か月の方がモノとしては使い勝手が良いという面があったりする)ので、物としてのニーズがはてさてどうなんでしょとか考えた場合には結局の所今週の入札を見ないと何とも言えなかったりするのですが、まードンドン金利が下がってオッペケペーという事でも無いのかなあとは思う入札結果でありました。


・マイナス金利雑考

まだ頭が纏まっていないのでとりあえず思考のメモだけしておく。

・・・・・・えーっとですな、このネタもうちょっと考えて頭で纏めてから書こうと思っているのですが、今日の某モーサテで「ECBの預金ファシリティー金利をマイナスにして銀行間金利がマイナス」とか何とかいう解説をしている方がいたので脊髄反射でちょっとだけメモ。

そもそもECBの預金ファシリティーってのは日米のようなリザーブ付利と話が別で、これは超過準備部分を準備預金制度参加銀行が自主的にファシリティーに預けるという仕組みになっておりまして、一方でECBは超過準備に付利をしていない中で超過準備の保有限度は特段設けられていない(筈です、色々と探したのだがなかなか見つからないのですが関係者に聞いて回った所たぶんそうだと思われます)ので、預金ファシリティー金利をマイナスにしても意味が全くないだけの話ですわな。

そらまあ超過準備にチャージをするとか、(デンマーク方式で)超過準備に限度額を設けてそれを超えると自動的にペナルティー金利というのであれば話は分かりますが、そうなった場合って銀行間市場金利がマイナスになるよりも、単純に超過準備が減らせるだ減らされるという行動になりますので、つまり「量的な意味では引き締めになる」という事でございまして、そらあーた金融不安のある中でインターバンクの資金量を締めるとか頭が相当いかれていないと実施できない政策だと思うのですけどねえ。

ただまあECBは今回の利下げでどう見ても何も考えてないだろうという預金ファシリティーゼロ攻撃によって却って市場の安全資産選好を強めて安全国の国債金利のマイナスを深くしたという無茶(短期市場関係者的な視点だと、どう見ても今回の利下げは逆効果で何の為に実施したのか意味判んねえという風に思えるのですが)振りをしているのがアレでございますけれども。

まあそもそも銀行間市場でのマイナス金利発生とかいうのは基本的に調達がマイナスでは無い以上シングルカレンシーの状態では有り得ない(為替スワップが絡むと有る)のでして、リアルマイナス金利資金供給でも無い限りは銀行間には行かずにモノとしてのニーズのある国債の方に逝くでしょとかいう話をしようかと思っているのですが、まだ頭の中で全然纏まらない中でついモーサテにツッコミを入れる為に脊髄反射で書いてしまったので続きは後日(^^)、というか本石町日記先生の方が詳しそうな希ガス(大汗)。

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2012/07/23

・またユーロですかそうですか

ほほう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7G5546KLVSD01.html
NY外為(20日):ユーロが対円で2000年以来の安値に下落

『7月20日(ブルームバーグ):20日のニューヨーク外国為替市場ではユーロが対円で2000年11月以来の安値に下落。対ドルでは2年ぶり安値をつけた。欧州政策当局者による域内金融危機への解決努力が十分ではないとの懸念が背景だ。』(上記URLより)

という事でECBの先般の利下げは金融政策対応として方向が斜め上だった(利下げするよりは信用緩和だったんじゃネーノという意味)という感じではございますが、展望レポートを出すとその途端に欧州があばばばばーになるとか4月の展望レポートに続いて7月の中間評価でも同じプレイが炸裂とか、もうお祓いを受けた方が良いのではないかというレベルのような気がします(−−)。

まあ円高になるとまた色々と喧しくなるのですが、展望レポートをドヤ顔で出した途端というタイミングが如何にもマズーでしょうなあ。


・調子に乗って6か月オペの実施なのですが&謎の輪番結果

金曜日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120720.htm

国債買入(残存期間1年以下) 3,100 2012年7月24日
国債買入(残存期間1年超10年以下) 2,500 2012年7月24日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2012年7月24日 2013年2月7日

オペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120720.htm

国債買入(残存期間1年以下) 8,527 3,101 0.000 0.000 98.9
国債買入(残存期間1年超10年以下) 7,324 2,504 0.006 0.007 78.3
共通担保資金供給(資産買入等基金)(7月24日スタート分) 10,430 8,005 76.7

という事で金曜のオペは色々と謎だった訳ですが、まずどうなのかと思うのは6か月オペのオファーでして、木曜は普通に3か月固定オペのロールを3か月で実施したのですが、まあ札が集まるもんだから調子に乗ってオファーしたんだろうなあというのは判るのですが、金曜はまたまた「3か月固定オペのロールを6か月オペで実施」というパターン。

いやね、足元でGCが重めだからこれはこれで札は集まるかもねとか思って見ておりましたら応札1兆入ったのですけれども、足元の需給的に入りそうだからという事でそうホイホイと3か月オペのロールを6か月で打つというような事をされますと、固定金利オペを使った在庫ファンディングする債券業者としては担保繰りの計画が立て難くなって運用的に困るんでそういうの勘弁して欲しいんですけどねえ。固定金利オペの総額25兆円ですと(買入の拡大によってブレはあると思いますが)目の子で恐らく市場の資金需要的に言って残高目標は行くでしょと思われる水準でして、そう慌てて年末越えのオペを入れなくてもと思うのですよね。

つーか「市場のニーズに対応しやすくする」という事でオペの期間を6か月以内というのにした筈でして、3か月オペなら3か月オペで普通に25兆円を8000で割った分だけ回してくれれば良いと思う(まあ3か月よりも1か月とかにした方がニーズが高いと思うけど)次第でありますし、6か月オペを残したいのであれば6か月のロールを6か月でやれば宜しいがなと存じます次第。

つまりですな、現状の国内における業者の在庫ファイナンスとか銀行の金繰りという市場(市場というか対日銀取引だが^^)における参加者のリスクは、「資金がショートする」リスクよりも「担保繰りがショートする」リスクの方がテラヤバスであって、担保繰りがショートすると飛んでも無い低い金利の短国を買うのかGCを買うのかという事になります(担保さえあれば日銀からも取れますし、GC市場でほんのちょっとレート上げれば資金のアベイラビリティーは潤沢に確保できている)という事でそもそも6か月オペのニーズが消滅している(1年とかの金利が6か月よりも立っていれば運用サイドのニーズがあるけれどもその金利は基金国債買入拡大の影響で超フラット状態)という事なのですからして、まあ無茶振りオペへの対応で苦労している調節担当セクション的に年末越えのオペを打っても札が入りそうなら打ちたいというお気持ちはひじょーーーによく判るのですけれども、やはりその市場のニーズに機動的に対応という話と整合的ですかねというのは思うのでありました。


#うむ、3行コメントの積りが妙な長さに

あとまあ輪番も謎なのですが、1年以内の輪番の足切りが利回り較差0.000%になっておりまして、それって出来上がり0.100%じゃネーノという気がするのですが、今普通に短い所の国債買いに逝っても0.09%台で何とか(モノによっては物無しの為もっと悲惨な事になるような希ガス)という感じだと思うのですが、どうしてこうなったのかが正直ミーには謎ざますが何なんでしょこれ??

#単なる何かの勘違いだったらどうもすいません


・LIBORがどうのこうの

モーサテでロイターが報道しておりましたがどうのこうのとゆうとったニュース。
http://www.reuters.com/article/2012/07/22/us-banking-libor-criminal-idUSBRE86L0CC20120722
Exclusive: Prosecutors, regulators close to making Libor arrests

いやあのそもそも無担保銀行間取引の3か月とか6か月とかの市場取引実態が無い状況下において呈示金利が正しいも正しくないもねえだろとか言うのは何度も申し上げている通りですが、どうも「銀行叩き」とか「(米国の場合は)自国の短期市場指標金利がロンドンで決められているのはケシカラン」というような経済的では無い動機が話をややこしくしているようで、甚だ遺憾な展開だとは存じます次第。

BOEのページ(何かレイアウトが変な気がするのですがワシのPCのせいかな)
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2012/070.aspx
News Release - Further information and correspondence in relation to the BBA Libor Review in 2008

下のKey Resourcesって所に

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/other/treasurycommittee/financialstability/emailchain.pdf
Further information and correspondence in relation to the BBA Libor Review in 2008
(メールのコピーをPDFにしているのでアホのように重いので注意)

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/other/treasurycommittee/financialstability/timeline.pdf
Timeline of Bank/Federal Reserve/BBA communications about BBA Libor Review in 2008

とかございますが、まあこの辺の関連情報一通り読むほどの暇が中々無いのですが(汗)その前の米国当局と英国当局の話はこちらの方にあるみたいです。

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2012/068.aspx
Bank of New York and British Bankers’ Association in relation to Libor

http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/news/2012/nr068.pdf
Correspondence between the Bank of England, the Federal Reserve Bank of New York and the British Bankers' Association

まあ経緯とか真面目に読まないと何とも言えませんな、うんうん。

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2012/07/20

○3か月TB入札ががががが

昨日の3か月TB入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul240719.htm

5. 価格競争入札について
(1)応募額 92兆1,827億円
(2)募入決定額 5兆2,959億9,000万円
(3)募入最低価格 99円97銭5厘5毛 (募入最高利回り)(0.0982%)
(4)募入最低価格における案分比率 30.0322%
(5)募入平均価格 99円97銭5厘5毛 (募入平均利回り )(0.0982%)

ということで今回もまた順当に足切り0.10%割れの所で切れましたが、先日の基金国庫短期証券買入の足切りレートが0.098%でして、今回の入札は刻みの関係で0.09629%→0.09829%→0.10030%の応札レートになりますので、まあこれはこれで妥当な結果。

・・・・・・ではあるのですが、市場的にあれれという話になったのは落札分布でございまして、市場推計(つーか金融ファクシミリ新聞さんの集計ですが)の落札分布によりますと所謂不明札が2.5兆円も入ってやがったのが???なお話。

まあ不明なので実際の所は落札したご本人と発行体しかよく判らないので妄想するしか無いのですが、これがまあ大手銀行さんあたりが0.10%割れの短国を本格的に購入しだしましたとかだとそれはそれで結構アレな話でして、短国金利の目線が本格的に変わるとなるとそらまあ全体的にもいずれ影響してくる可能性があるという話でこれは割と大きな話。ただまあ銀行業態で0.10%割れの短国を本当に本格的な購入する必要があるのかとなると、そらまあ当事者様のご判断ですから良く判りませんけど、経済合理性的にどうよと思うのでありまして、そういう取引を何のニーズがあってやるのよとか不思議な所ではございますので、今回が単なる一発芸なのかもしれませんので来週以降の動向に注目ということで。

超過準備保有自体は恐らく引当とか積む必要無い筈ですし、流動性という意味では最高の流動性を誇る訳ですし、超過準備付利金利よりも安い金利の物を買うのってどういうニーズなのかが限界的な部分以外では理解に苦しむっつーか自分が株主だったらふざけんなとか言いたくなるレベルの話ではあるのですが(−−)、まあそもそも不明札のバックが銀行さんじゃないかも知れないので、ここまでの妄想が全部ただの勇み足の可能性もあり、まー来週以降の入札動向に注意でありまする。

あ、ちなみに証券会社も付利の恩恵はあるのですが、証券会社が落札するのは商品有価証券在庫として必要だから落札するので、そちらの落札についてはまあ普通でしょと思うのでありまする。しかしGCレートの方は0.10%から中々下がってくれない(昨日の3か月オペの応札も多かったですし)という状況でありますので、ネガティブキャリー状態というのも大変ですなあとか思うのでございます。以前短国レートが0.10%割れで延々と沈んでいた時がありましたが、あの時は米国の商業銀行とかがお家の事情(FDICの預金保険料率の絡みで兎に角何か国債買いたい状態)で買いまくりだった時で、その時はGCも0.10割れ水準で推移していたのでまあそんなもんかなあという感じでしたが、今回はまあ日銀の買いはありますけれども不明2.5兆円はちょっと違和感がございました事です。

#ま、こんなに妄想してますが落札した人のみは事情を把握しているんですよね^^


○総裁定例記者会見でアレな質問をしている人がいる件について

まあ電波浴の類ではある。

7月定例会見より
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1207a.pdf

『(問) 昨日で、震災から1年4か月が経ちました。前回の記者会見で、マネタリーベースの伸び率に関しては、昨年は震災があったから上がり、今年は下げているという説明がありました。まず、震災復興に関して、今後、日銀が中央銀行としてできることは、何があるのでしょうか。次に、マネタリーベースの平均残高が、昨年12月に115.5兆円、今年6月に119.9兆円と、4.5兆円しか上がっていないので、それ程金融緩和を強力にしているとはみられないのですが、どう解釈したら良いのでしょうか。』

ということですが、ここにありますように「前回の記者会見で」ってのがありますが、前回はどのような質問をしていたのかというと、これがまた6月会見に質問があるのでございますよ。まあネタにするほどのものでも無いと思ったら性懲りもなく第2波がやってきたという所である。

てなわけで多分同じ人によるものと思われる質問を6月会見より引用。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2012/kk1206a.pdf

『(問) 日本銀行は強力な金融緩和を行っているとのことですが、例えば、3.11以降のマネタリーベースのグラフをみると、3〜2%くらい前年に比べて下がっています。これはどう解釈すればよいのでしょうか。』

・・・・・・まあ何ですな、確かに本職の何とかストでもこの手のレポート書いてドヤ顔してるのがいて、誠に如何な物かと思う次第で、しかもこの手の何とかストレポートを拝読しますと、「海外の為替市場関係者が注目しているから」とか言い出していたりするんですが、おまいらの仕事はそういう為替市場関係者に向けて「マネタリーベースの動きで危機対応などの流動性対策で増えたり減ったりする部分を捕まえて緩和拡大とか縮小とかいうのは間違いにも程があるわヴォケ」とレポートを出す事であって、間違いを前提にポジション作っている馬鹿の為に金融政策動かせとかいうのじゃねえわそんなアホウ何とかストはさっさとマリアナ海溝ドラム缶クルーズツアーにでも逝って来やがれと思う次第ではございますけれども、そういうお方に影響されて質問するのは質問をするなとは申しませんけど、ちゃんと説明受けてるのに2か月連続で同じ質問してんじゃねえよとか思うのであります。

ちなみに6月会見の時のお答えは見るまでもないでしょうが引用。

『(答) ご質問の数値は、前年比の数字だと思いますが、今おっしゃったように、前年3月は、東日本大震災の後、非常に市場が不安定になる惧れがあった時に、日本銀行が大量に資金を供給した時期です。その前年同期との比較でみて、マネタリーベースの伸び率が下がったということですが、マネタリーベースの水準自体は非常に高い状態にあります。また、月々のマネタリーベースは、様々な要因で変動します。私どもは、内部的にマネタリーベースの予測をしていますが、その中の当座預金は、この先また増えていく局面に入ってくるという予測になっています。そういう意味で、マネタリーベースの水準は、趨勢として高まっていくと考えています。』


さらにどうでも良いのですが、さっきの最初の質問に対する答えがまた懇切丁寧で麿も(というか日銀も)こんなの丁寧に対応しなきゃいいのにとか思いますけどね。

『(答) まず、日本銀行が震災復興に対してどういう形で貢献できるかということです。昨年4月、震災復興支援のための資金供給オペレーション(被災地金融機関を支援するための資金供給オペ)を始めました。これは、現在も行っています。現在、被災地の金融機関に、様々な資金が流入し、資金繰りは非常に好転していますが、日本銀行として資金面で金融機関の不安を取り除く趣旨から、このオペレーションを行っています。それから、日本銀行からの資金調達をし易いようにとの狙いで、被災地金融機関に関して担保要件も緩和しています。』

まあここまでの話は良いとして。

『マネタリーベースは、銀行券と、日本銀行に預けられている当座預金ですが、両方とも、季節性が高いものです。例えば、銀行券については、年間で12月が一番多く発行される月です。先程おっしゃったのは、12月と6月の水準比較ですが、マネタリーベースの伸びをみる上では、一般的には、季節性を均す意味で「前年対比」が使われます。あるいは「名目GDP対比」でみると思います。マネタリーベースの伸びは、この3月、4月は前年の震災時の資金供給の裏で、一旦、低下しましたが、先般発表した6月のマネタリーベースの前年比は、+6%弱(+5.9%)であったと思います。名目GDPとの比較でみたマネタリーベースは――いつもこの席で申し上げていますが――、先進国の中央銀行の中では最も高い水準です。』

いやーしかしこうやって前月の質問と一緒に並べると面白いのですが、前月の質問の時には「震災対応で拡大した前年同月比対比」で少ないとかいちゃもんをつけ、今月の質問の時には「年末要因で拡大した半年前対比」で伸びが少ないとかいちゃもんを付けるとか、仮に同じ人が質問していたらという前提ですけれども、人間として恥ずかしくないのかね批判の根拠をコロコロ変えてとか思うのですけれども、まあその手の話って電波浴シリーズでお馴染みのどこぞのウォッチマン先生とかがお得意とする手法でもあったりするのですよね〜。いやはや。

『それから何よりも、金融緩和の度合いは、最終的にどういう金利で資金調達ができるのかということで測られるわけです。この面でみると、短期の金利にしても、あるいは長期の貸出金利にしても、日本は非常に低く、例えば、米国の住宅ローン、モーゲージ・ローンの借入金利と、日本の同じような借入金利を比べても、日本の方がインフレ率の格差を調整してもなお低いという形で、現に、非常に緩和的な状況を実現していると思います。その上で、日本銀行としては、今般の措置を含め、金融緩和をさらに着実に進めていく方針です。』

まあ最後の話はいやそれだけじゃなくてマネーの量も大事だろとかいう論点もあると思います(動かないマネーに意味あるのかねとかその辺の話ももちろんあるが)のではあそうですかとだけ申し上げておきますね。


さて、折角電波浴ネタを出したので、これまた古いのですが前回の総裁定例会見でもっと電波成分の高い質問をしているのが実は存在していたのですよ。ということで、政策決定会合関連ネタの時にはスルーしておりましたが電波浴ネタで晒しあげ。

『(問) 少し古い話になりますが、98年から日本の自殺者数というのは3万人を超えております。その98年から、例えば、日銀の金融引締めが始まっていたり、消費税が3%から・・・』

『(答) 「98年から金融引締め」とは・・・』

『(問) 引締めというか、前年比でも比率が下がりつつある。下がり続けているのですが、例えば日銀の金融引締めが、日本の自殺者数に何か影響があると関連付けられる可能性はあるのでしょうか。』

・・・・・・・・・・・強力な電波を感知致しました!!!!!!!!!!

えーっとですな、1998年と申しますと三洋、北拓、山一の破綻で大騒ぎとなった1997年の翌年でございますが、この間の日銀の金融政策はと申しますと・・・・・・

http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_1998/index.htm/
9月に政策金利の引き下げを行ったのですがそれ以外は政策据え置きですな。

その間の市場金利がどこにあるかと探したら微妙な所で見つけましたけど・・・・・・
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_filp/proceedings/material/zaitoa171207/zaitoa171207b.pdf
こちらのファイルの9ページ目に『(参考) 我が国の長期金利の推移(1976年〜2005年)』というのがあると思いますが、長期金利は概ね低下傾向だったとしか読めませんなあ。

特に98年9月の政策金利引き下げ以降の98年は、いわゆるクレジットスプレッドも全体的には縮小方向だったという記憶があるのですが、これはデータとかが手元にある訳では無いので自信は無い。

(この部分、当初引用していたネタがあったが、よく見たら97年の話をしているもの(まあ97年は金融危機だったからある意味引締めっぽくなったのは判らんでも無い)だったので当該部分全部削除しました)


なお、先ほどの怪電波質問に対する白川総裁のお答えは以下の通りです。

『(答) 私自身は、自殺ということについて、十分な社会学的な分析をしているわけではありません。私も、今ご指摘の点を含めて、色々な論評は読んでいます。もちろん、広い意味で経済の状況が関係しているとは思いますが、お尋ねの金融政策との関係では、金融政策として経済の安定をしっかり維持していくことが、国民生活全体の安定につながっていくと認識しています。分析の話については、コメントを差し控えますが、そのように思っています。』

・・・・・・・この「色々な論評は読んでいます」というのが麿の場合本当に読んでいてしかもその質および量が半端ないと思われるのがお洒落なのですが(^^)。



なお、話は100メートルほど飛びますが、電波浴と言えば昨日(だったか一昨日だったか忘れたが)はどこぞの証券会社の何とかストの方が「LIBOR騒動で無担保コール金利の信頼性が低下してどうのこうの」とかいう意味不明の怪電波レポートを出しておられまして、欧米の銀行間取引が金融危機前まで無担保主体だったとかアレな(実際はレポ主体で無担保取引は資金繰りの限界的な部分だけ。無担保で大きいのはCP発行とかによるオープン市場であってLIBOR的なイメージの銀行間取引では無い)話をしていたりして、電波浴晒しあげネタとしてはかなりの逸品だったのですが、まあネットとかで公開されているものでも無いので惜しくもネタにするのは断念させていただきましたとさ。興味のある方は探して間違いさがしの勉強でもすると短期市場の勉強になるんじゃないかと(^^)。

#ということで何か今日はしょうもない雑談シリーズになって積み残しネタの消化をしないまま1週間過ぎたのでマジで積み残したネタは週末に雨が降ったら放出する気がだいぶ出て参りました!

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2012/07/19

○輪番オペ1年以下の応札金利がどうのこうの

こんなんありました。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7BZ9Q0YHQ0X01.html
日銀、輪番オペ1年以下の下限金利撤廃−マイナス金利容認も(1)

『7月18日(ブルームバーグ):日本銀行は長期国債買い入れ(輪番オペ)の残存期間1年以下を対象に0.1%の下限金利を撤廃し、マイナス金利での買い入れも容認する。同オペでの応札額が予定額に届かない「札割れ」を回避する対応策。広報担当の中村毅史氏によると、17日に証券会社など取引業者に通知した。具体的には正の金利を入力することになっていたものを、短期国債や1年以下について、「正、負、ゼロのいずれかの値」を入力することに変更。日銀がマイナス金利でも購入することは初めて。同オペではこれまで日銀が買い入れる際に利回りが0.1%を下回る場合は対象外としていた。中村氏は「下限金利がなくなるので、札割れは起きにくくなるだろう」との見方を示した。』(上記URLより)

でまあこういうのが出ますと早速「基金長期国債の買入に関しても買入下限金利撤廃の可能性高まる」という連想が出るのですけれども(というかそんなコメント見ましたが)、これはやはり「買入残高の確保をする為に1年以下の所でバンバンやりまっせ〜」という話でありまして、理屈としては基金短国買入の下限金利撤廃と同じです罠。

ただまあ何ですな、こういうの出すと当然ながら変な思惑を呼ぶのでどうなのよという気もするんですけど、恐らくは日銀的には足元で別にレートが馬鹿下がりしている訳でもなく、マイナス落札何ぞ夢のまた夢という状態の今だから変に思惑を呼ばないと判断したんだろうなあとは思いますし、まあ大体それで問題ないとは思うのですが、やはり足元ではちょっとその手のコメントも出るわなあとか思いました(が先ほども申し上げましたように、この施策を見て「これで基金長期国債買入下限金利の撤廃が見えてきた」とか言うのは発想のひねりが足りませんのでもう少し頭を捻りましょうという所で(^^)。

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2012/07/18

○LIBORがどうのこうの

でまあ議会証言の質疑応答でLIBORの話が出ていたようですが、その件に関しては公共放送ニュースもネタにしておりましたぞなもし。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120718/k10013659461000.html
LIBOR問題 FRB議長“構造的欠陥”
7月18日 5時28分

『LIBOR(ライボー)と呼ばれる短期金利の国際的な指標が銀行の不正な報告でゆがめられていた問題で、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のバーナンキ議長は、「構造的な欠陥がある」と述べ、改善が必要だという認識を示しました。バーナンキ議長は、17日、アメリカ議会上院で証言し、住宅ローンの金利などにも反映されるLIBORが銀行の不正な報告でゆがめられていた問題について、「重要な指標の信頼性が銀行によって損なわれた。報告の仕組みに構造的な欠陥がある」と述べ、抜本的な改善が必要という認識を示しました。』(上記URLより)

そらまあ雨人的に言えばドルの短期指標金利がジョンブル野郎の所で決まっている時点でどう見ても構造的欠陥だろうとか直ぐに意地悪な事を考えてしまうのがあたくしの仕様でございますが(^^)、まあこの関連につきましては既に色々と向こうでああだこうだとやっているようですのでもうちょっと勉強してみます。まあ中々フォローする時間も無かったりするのですが(大汗)。

ところで日本でもアレな働き者な方がここぞとばかりにこんな事を。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7AMSR6KLVRF01.html
民主:TIBORの現状把握で全銀協から19日にヒアリング−大久保氏

『7月17日(ブルームバーグ):民主党がTIBOR(東京銀行間取引金利)の実態について全国銀行協会の担当者を19日の財務金融部門会議に呼んで聴取する。同党の大久保勉政調副会長が17日、ブルームバーグ・ニュースの取材に明らかにした。』(上記URLより、以下同様)

また民主党財金かorz

『国際金利の指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作が発覚したことを受け、日本のTIBORの現状について把握するのが目的。大久保氏は「TIBORに関してまず理解しようという話だ。具体的に何か問題があるからヒアリングをするのではなくて、TIBORマーケットにおける公正性を確認するためだ」と指摘した。』

・・・・・・・・・・「まず理解しよう」だったら一々メディアに宣伝してヒアリングせんでも良かろうにと思う訳でございまして、何ぼ暇なのか存じませんが、要は金融通ですって世間にアピールしたいからわざわざこういう事をメディアに宣伝して行うって事でしょと思う次第。

いやね、民主党財金と言えば先日もこんなのをやってて、そんなことは監督機関に任せて置く事で政治家は復興支援とか税と社会保障の一体改革とかエネルギー問題とか、そういう課題に力を注いで欲しいんですけどと心の底から思った次第で、まあ「金融関連でメディアの話題になりそうな事に首を突っ込んでアピールしましょう」というアピール的な香りがプンプンするのが甚だ遺憾極まりない(別にそんなのメディアを呼んで宣伝せんでもよろしかろという意味でもあります)のでありますがね。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M6O3AD6JIJV001.html
インサイダー問題で全日空など16銘柄の新たな調査求める

『7月5日(ブルームバーグ):民主党は企業の公募増資に絡んだインサイダー情報漏えい問題で、これまでに摘発された4銘柄に加え、全日本空輸をはじめ16銘柄の取引を新たに調査するべきだとの考えを示した。同党の大久保勉政調副会長がブルームバーグ・ニュースの取材に答えた。』(上記URLより)

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2012/07/13

お題「中々不思議な決定会合でございました」

決定会合の時はヘッドラインだけで反応してはいけませんなorz

○ヘッドラインでバタバタ

声明文はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120712.pdf

・・・・・・・・・でまあニュースヘッドラインですけれども、あたくしが見ておりましたブルームバーグニュースだと最初に「45兆円」という基金のうち買入系の残高拡大のヘッドラインが出て「おお緩和!」と思ったらその後に「固定金利オペ5兆円減額」というのが出て「ありゃ?」となり、その後「短期国債買入の下限金利撤廃」を見て「げげげ!」となった次第でありまする。

市場ちゃんの反応は最初「45兆円」で追加緩和キタコレと思って債券先物も上昇したのですけれども、株高&円安に反応したのを見て債券先物下落したものの、「短国買入の下限金利撤廃」でまた先物が上昇したものの冷静に考えるとそれだけで反応するもんかとかいう感じ(かどうか知らんが)で下がってみたものの、「よく見たら基金残高が変わらないじゃないか」という事でぬか喜びした分の反動で株は下がるわ円安は反転するわとなったのを見て債券市場再びワッショイモードと相成りました。

ということで、まあ不肖このあたくしも展望レポートの中間評価で今回は見通しが特段の変更が無いのであるからして、当然ながら何も無いとか油断してたらややこしい内容の物が出てきて最初ヘッドラインの方を見ながら「???」となっていたのですが、これは声明文を子細に読まないと何が何やらワカランチ会長であると思って読んだ次第ですけれども(大汗)、まあヘッドラインで反応すると間違えますなという代物でありまして、どうも決定会合関連はヘッドラインだけで反応しない方が良いようですの(−−)。


○追加緩和ではないが必ずしも据え置きではないというような不思議な内容

声明文再掲
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2012/k120712.pdf

「追加緩和ではない」というのは何処を見ると判るかと申しますと、声明文の題名を見ると判るのでございます。

『当面の金融政策運営について』(今回)

基本的に最近の追加金融の際には、たとえば4月27日会合声明文にありますように、『金融緩和の強化について』と出ますので、上記の表題という事はつまり追加緩和ではないのですが、後で申し上げますように「展望レポートの見通しが基本的に変わらず、リスク認識も特に変わっていない」という事に成っていますので、その部分と整合性が取ると追加金融緩和は行いませんよ、とまあこうなります。

コミュニケーションポリシーという意味では日銀の経済物価見通しが甘いんじゃねえのかという極めて重要な話はさておきますと、これはこれで日銀から示される経済物価見通しに整合的な金融政策行動という事で、まあ為替市場とか株式市場の方々からするとナンジャソラという所でしょうが、従来からの日銀行動パターンからすると読みやすくなりましたな(重ねて申しますがその決定が妥当かどうかという話はさておきますので念の為)という事で。


でまあ声明文の景気認識の所をスルーして先に今回のオペ関連決定事項を引用しますと以下の通り。

『8.なお、このところ、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション等において応札額が未達となるケースがみられている。日本銀行は、資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて前述の金融緩和を間断なく進めていく観点から、本日の会合で以下の措置を決定した。

(1)固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを5兆円程度減額し、短期国債買入れを5兆円程度増額する。

(2)短期国債の買入れをより確実に行うため、当該買入れにおける入札下限金利(現在、年0.1%)を撤廃する。CPの買入れについても同様とする。

(3)固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションについて、金融機関の資金需要に柔軟に対応するため、「期間3か月」と「期間6か月」の区分をなくし、「期間6か月以下」とする。』

ここにありますように、固定金利オペから短国買入への振替ですので、まあ資金供給的には期間が若干長くなっているという意味では緩和を強化していない訳でも無い、というのがありますし、「資産買入等の基金の着実な積み上げを通じて前述の金融緩和を間断なく進めていく観点」という事ですので、つまり「基金の積み上げをより円滑に行う」という施策でもありまして、その意味からしますとやはりこれは全くの現状維持かというとそうでは無くて「緩和効果を実質的に高める」という話でありますので、「追加緩和じゃないけど現状維持でも無い」という中々不思議な決定となります。

何せこうやって書いているあたくしも「これどう読むと良いのやら」と10分くらいは悩んで、人様とああだこうだ意見交換した結果、まあこういう事でしょうと言う風に解釈が落とせたという所でございますので、こらまあ為替市場や株式市場が「何が何だか判らない」と反応するのもさすがに今回はシャーナイナイと思うのでございました。



○短国市場の反応が一番的確でしたな(短国買入下限金利撤廃関連)

でまあ短国(CPは短国と整合性を取るためのおまけみたいなもん)買入の下限金利撤廃なのですが、これ最初見た時にはあたくしも「げげげ、短国金利が下がるのかよ」とか思ったのですが、よくよく考えますと超過準備付利の0.10%は変わっていませんので、ゆうてみれば短国保有している銀行さんが手持ちの短国を0.10%割れで日銀に打ち込んで0.10%でブタ積みするか、0.10%で買える短期国債があったら買い戻す(とりあえずブタ積みしておいて市場動向見ながら0.10%になるとすかさず短期国債買うとかね)という事にはなるものの、日銀への売却を見込んで0.10%割れの短国をバンバン買い進むかというとそうは普通に考えてならん罠という話。

とまあ冷静に考えたのか、短国市場では最初0.10%割れというリリースを見た時に、それまでの気配であります所の0.095%オファー/0.100%ビットという気配からオファーが全部引いてしまったのですが、その後普通に0.095%オファーが残り、何事も無かったかのような展開に。

もうちょっと判りやすく申しますと、0.10%を割った短国を買う人っていうのは基本的には(1)準備預金制度の外側に居るひと(海外投資家とか投資信託とか)、(2)お家の事情で買わないといけないひと(決算対策などで国債残高を積み上げる必要がある場合とか、担保繰りがショートして買わないといけない場合とか)、の2種類でして、今般の決定で日銀がこれに加わった、という意味ではそらまあ短期国債の需給的に言えば需給が締まるので金利が上昇しにくくなったというのはほぼ間違いないと思われるのですが、今回新規参入して来ました日本銀行ちゃんは総額9.5兆円(5ページ目の別紙にある通りね)の買い主体とゆー事でして、まあ短国市場の現在の発行量からしますと、短国の流通市場のレートを0.09%だ0.08%だという所まで下げるほどのインパクトは無いですな、という話。


んでまあこれが出たので「付利引下げへの思惑」という見解も聞かれるのですが、これに関しては総裁が会見でも全力で否定していたように、実際にはこの施策は「付利金利の引き下げを遠くする」ものであります。何でですねんと申しますと、今回の措置は短国買入の残高を積みやすくする為の措置であり、付利を維持しながら買入のレートの方は下げて買入を進めたいという事でありますからして、付利下げちゃう(特にゼロにしちゃった場合)と折角進むようになった買入がまた進まなくなる恐れがあるという話でございますので、この買入下限金利撤廃の解釈で付利下げへの第一歩とか言うのは残念ながら外れですのでご注意ありたし。


あとですね、短期国債の買入がこれで積みやすくなったので、基金の買入拡大が実はやりやすくなったというのもありまして、まあ短国市場の規模から考えるとただのヤマ勘で言えばもう10兆くらい積んでも何とかなるような気がするのですがどうでしょうかね(あまり買い過ぎると当然ながら短期市場での短国不足モードになるのでレートが沈みだしてアヒャヒャヒャヒャとなるので調子に乗って基金拡大を短国でホイホイやられても市場的には勘弁)。まあ市場金利がここまで来た状態で短国買入拡大してどういう効果がありますねんというツッコミはさておきましてですけれどもね(^^)。


ただまあ債券市場的には中短期の金利どころか10年まで買われやがっていて、5年以下の所に関しては「今回オペの札割れ対策で0.10%の下限撤廃したんだからいずれ買入が厳しくなってきたら基金国債買入に関しても0.10%撤廃来るかも」とか「いずれは買入の年限が拡大されるかも」というような思惑が出やすくなるのはまあシャーナイナイと思いますし、付利下げに関してもこらまあ思惑は相変わらず出てくるのもシャーナイナイと思いますのですが、ちと威勢よく反応し過ぎのような気もせんでもない(が米国がアレだとまだ強いでしょうな)。



○固定金利オペの扱いがどうなるのかも注目

さっきの再掲。

『(3)固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションについて、金融機関の資金需要に柔軟に対応するため、「期間3か月」と「期間6か月」の区分をなくし、「期間6か月以下」とする。』

という事でございまして、足元では殆ど意地になっているのかというような雰囲気で固定金利オペを3か月物のロールを6か月で打ち続けてオペ残が30兆ちょいまで減ってくるというお洒落な事態になっておりましたが、「金融機関の資金需要に柔軟に対応するため」という事になりましたので、まあさすがに市場が皆さん揃ってイラネと言ってる6か月物オペはフェードアウトするんでしょう。

でまあ市場の需要という意味では1週間物とか3週間物とか、まあその程度のオペでも打って頂きますと幸甚に存じますという事で、固定金利オペが「期間6か月以下」という形になったのでありますから、この際昔のフツーのオペに戻して頂いて、単にそのレートが入札方式ではなく指値方式(今の市場金利水準だったら入札でも指値でも同じようなもんですから)となるだけとなってくれると随分とオペの窮屈さも解消されると思います。

ただまあそこまでやってしまうと余りにも極端な変化ですので、いきなりそこまで行くかはこらまあオペの打ち方を見て行かないとワカラン話ではございますなという所です。

いずれにせよ、固定金利オペが総額で25兆円まで残高が落ちますと、単純に資金供給を固定金利オペだけで実施すると恐らく金が足りなくなるのではないかという気が。最近は買入系の残高が基金オペの影響で拡大しているので単純比較できないのですけれども、ここ3年くらいのスパン(3年というのは単にあたくしが手元で集計している数字がその期間しかないのでというしょうも無い理由)において短期オペの残高って一番少ない時で27兆円位(2010年の7月頭頃)でして、金の回りが悪くなっていることと買入拡大をしている事を勘案するとどうなのかは微妙ですけれども、まあ多分固定金利オペだけだと市場の資金需要を充足できないタイミングがあるだろうなあと思うのです。

つーことで、まあいずれタイミング次第では通常の金利入札オペの実施とかも入るのかなあとか思いますと、まあこの固定金利オペに関しては(より長い所の買入が拡大された結果として)役割はかなり終了モードとなってきたのではないかとゆー感じでして、正直今回固定金利オペに関しては「6か月以下」という変更をするだけでも良かったような気がしますが、まあ基金の総額増やさないという形にしたかったのと、固定金利オペの比重を下げたかったという事なんでしょうなあと思うのでありました。


○などと書いていたら時間がががががが

いつもの仕様ですかそうですか、ええまあ3連休らしいので連休中に気が向いたら続きをアップしますです、と言い訳をしておきますが(^^)、その他ポイント。

・展望レポートの中間見通しは変わっていない

まあ中間評価に関しては後日申し上げますが、細かく変化はあるものの、声明文の中にありますように、

『5.4月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率は、概ね見通しに沿って推移すると予想される。物価について、2012年度の国内企業物価は、見通しに比べてやや下振れるものの、2013年度は、概ね見通しに沿って推移すると予想される。消費者物価(除く生鮮食品)は、概ね見通しに沿って推移すると見込まれる。』

ということで、2013年度に関する見通しには変化が無い(から今回追加緩和していない)のがポイントですわな。で月報見れば判明しそうですし、会見でも総裁がコメントしていましたけれども、物価の「遠からず1%に達する」の旗も下ろしてはいませんですな。


・経済認識もまあ横ばい

声明文の経済認識もまあ横ばいです。詳しくは後日。


・まあおちつけ(小ネタ)

声明文は今見ますとちゃんとしたのが出ているのですが、最初は公表文書の文書そのものをスキャンしたものをPDFにした状態で日銀のサイトにアップされるのですが、最後の別紙(=資産買入等基金の内訳表)のスキャンが豪快に斜めになっておりまして、まあ落ち着けと思った市場参加者は恐らく数百人では効かなく居たと思われます。忙しいのは判りますがあまりにもネタとして面白すぎるのでご注意されるのが吉かと(^^)。


ということで基金の内訳変更関連の後講釈だけで終了しまして甚だ申し訳ございませんでしたm(__)m

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2012/07/11

○電波浴というよりは悪態シリーズでございますが

いやまあ色々と悪態ネタがございますが思いっきり順不同で片付けましょう^^;

・これは斬新すぎる・・・・・・

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120710/stt12071016190009-n1.htm
公明党 10年で100兆円投入「防災・減災ニューディール」
2012.7.10 16:19

暫く前に自民党が10年で200兆突っ込んで防災対策です財源は日銀に赤字国債引受させますという無茶振り(国土のインフラ整備に金を掛けるなとかいう話では無くて財源論議が無茶振りという意味です、為念)をしてたのに悪態をついた訳でございますが、公明党さんの10年で100兆円投入に関してどのような財源の話が出るのかと思ったらこれがまたあまりにも斬新orz

『財源は建設国債や地方債・復興債でまかない、償還財源として防災・減災対策に使途を限定した「ニューディール債」(仮称)の新設を検討。』(上記URLより)

#公明党さんのサイトを見に行って探してみたのですが、5月21日に県代表懇談会の席上でこの防災・減災で日本再建という話を山口代表がしているというのは見つかったのですが、具体的な内容とかは(アタクシが見た時点では)同党のサイトには無かったのでまあ産経新聞の報道が正しいとしましょう

・・・・・・・・・えーっとですな、財源が要するに公債で借金ですよねというのはまあ把握したのですが、その償還財源が「ニューディール債」(仮称)と仰せですが、借金返済の財源が借金というのはそらあーたカードローンの返済に別のカードローンで借りた金を充てるのとどこがどう違うのかと小一時間。つーかそもそも「防災・減災対策に使途を限定した」債券を建設国債等の償還という既存債券の借換に使ったら目的外流用じゃないですか日本語として文章が破綻してますがなと存じますがこれはどうした事でしょう。

いやね、これが「ニューディール税」(仮称)ならまあ話は分かるので、何ぼなんでもこれは産経新聞の記者が税というべき所を債券と勘違いでもされて記事をお書きになったのではないかと妄想したい所ではあるのですが、もし大真面目に「この借金の償還財源は別に借金をしてくるからちゃんと財源の宛てがあるんです(キリッ)」とか言ってるんでしたらあのその公明党様までどうしちゃったんですかという話でございますし、産経が間違っているのであれば「借金の償還財源が別の借金」という話として破綻している事をチェックできてないという話です(これ記事載せるときに「借金の償還財源が別の借金ってちょっと待て」とならなかったのでしょうか・・・・・)のでこれまたアレですなあと。

まあいずれにせよ、詐欺フェストでも何でも選挙に勝てば良しみたいな無茶振りが横行するとか大仰に言えば代表制民主政治の危機のような気がするんですけどねえ(だからあたくし何度も申し上げてますが、小泉首相の郵政解散に関して当時から延々と批判的でございましたがまあ珍獣扱いされてましたな、たぶん今でもそうでしょ)。



・共同通信の報道っぷりに脱力

これは東京新聞の記事ですが元ネタは共同通信でして、ベンダーに配信されていた共同の記事もこんな感じでした。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012071001001987.html
日銀に追加緩和、為替介入も デフレ脱却へ閣僚会議報告
2012年7月10日 19時06分

『政府は10日、デフレ脱却に向けた経済活性化策を検討する関係閣僚会議を開き、2012、13の両年度に規制改革や予算、税制などの政策を総動員するとした報告書をまとめた。日銀にデフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待するとし、追加緩和を要請した。補正予算の編成や円高を阻止する為替介入も示唆した。欧州債務危機に伴う海外経済の下振れなどが景気のリスク要因だとして、経済動向を踏まえ「柔軟かつ機動的な政策対応を図ることが重要」と指摘。為替介入を念頭に「緊張感を持って市場の動向を注視し、必要なときは断固たる措置を取る」と強調した。(共同)』(以上上記URL記事より)

・・・・・・で、実際の所どういうのが出ているのでしょうと思って内閣府のページを見に行ったら早速報告がリリースされていました。

http://www5.cao.go.jp/keizai1/deflation/index.html
デフレ脱却に向けて(デフレ脱却等経済状況検討会議)

で、このページの中に「第一次報告(平成24年7月10日)(PDF形式:295KB)」ってのがございまして、第一次報告へのリンクがございます。

http://www5.cao.go.jp/keizai1/deflation/2012/0710_1st_report.pdf
デフレ脱却等経済状況検討会議第一次報告

13ページのファイルですが、うち本文は9ページあります。でまあ細かい話をするとクソ長くなりますからアレですが、最初の『第1節 デフレ脱却と経済活性化に向けた政策の基本方向と重視すべき政策分野』という所にはこんな話が。

『政府と日本銀行は、デフレ脱却が極めて重要な課題であるとの認識で一致している。デフレからの脱却を早期に実現するためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠である。』

『政府としては、特に今後2年間(平成24年度、25年度)を念頭に、経済の局面変化等を踏まえつつ、2.に掲げるようなデフレ脱却と経済活性化のために重視すべき分野に、規制・制度改革、予算・財政投融資、税制など最適な政策手段を動員し、平成25年度予算編成プロセス等において具体化する。特に、規制・制度改革は、市場における競争を促し、我が国の経済構造を変革し、経済活性化につながる必要不可欠な取組であることから、より一層強力に推進する。「モノ」、「人」、「お金」をダイナミックに動かすための政策を強力に推進することにより、生産、分配、支出にわたる経済の好循環、所得の増加を伴う成長を実現し、早期のデフレ脱却につなげていく。民間部門においても、デフレに結びつきやすい構造を見直し、付加価値を高めていく取組が期待される。』

『日本銀行は、当面、消費者物価上昇率1%を目指して、強力に金融緩和を推進することとしている。政府は、日本銀行に対して、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待する。』

ということで、この先は政府の取り組みとして、上記部分にある「モノ」「人」「お金」を動かすにはどうしたらいいかという話が続いている訳ですよ。でまあ9ページ程度なのでサラサラと読める話なのですが、この話ってどう見てもいわゆる「成長戦略が重要」というような話でありまして、最初に引用した東京新聞ですが事実上共同通信の見出しであります所の「デフレ脱却の為に追加金融緩和と為替介入」というのがメインとは到底見えない話(為替の話は本文中にありますけれども、まあ内容読めば判ると思いますが、話の中ではメインは為替操作とかではないのは明白だと思いますよ)。

正直、記事の題名を見た時には政府が何もしないで日銀に対してクレクレ言ってるのかと思ったのですが、内閣府のサイトに行って内容を見たら、どちらかと言えば日銀の言ってる成長基盤強化と同じような話をしておりますし、大体からして政府が日銀に対して言ってるのは「デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待する」であって追加緩和の要求なんぞして無いですがなという所ではございますな。

ちなみにこのニュースですが、情報ベンダーに共同が流した最初の速報テロップでは「追加緩和」とは書いてなくて、元々の内閣府の報告にあるのと同じく「金融緩和の継続を求めた」という風になっておりまして、その後文章入りの記事になった時に「追加緩和を要求」と出てきたので「これはちょっと変じゃないか」と思って内閣府の報告書が上がるのを待って確認したらこういう事でしたという次第。


・・・・・・・・・えーっとですな、まあ共同通信さんは以前から市場が追加緩和を織り込みに行っていない時にも「追加緩和見送り」というようなテロップを打つという事であたくしが悪態を何回か書きましたように、どうも会社の意見だかデスクの意見だか知りませんが、追加緩和クレクレの方向で記事を出す傾向にあるというのは存じておりましたが、てめえがそうあって欲しいという願望を元に針小棒大記事どころか実際には存在しない「追加緩和を要請」とか書きだすとか報道機関として何を考えておられるのか甚だ疑問に思う次第でございます。


つーかさ、このニュースって今日のテレビ報道を見るとどこでも「成長戦略」の話をしておりまして、「日銀に追加緩和を要請」というような話は普通しておりませんでして、如何に共同通信様が偏向されておられるかという所だと思うのですけれども、通信社様が偏向とかマジで勘弁して欲しいのですけれどもここの金融経済ニュース部門の中はどういう事になっているのでしょうかねえと不思議に思うのでありました。


・素敵な藁人形論法

藁人形論法というのがあるそうで。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3
ストローマン

『ストローマン(英語:straw man)は、議論において対抗する者の意見を正しく引用しなかったり、歪められた内容に基づいて反論するという誤った論法、あるいはその歪められた架空の意見そのものを指す。藁人形論法ともいう。語源は仕立て上げられた架空の存在を藁人形に見立てたことからである。』(上記URLより)

で、またゲンダイか!という感じでリンク貼ってアクセス向上に寄与するのも忌々しいですけれども、現代ビジネスWebちゃんから電波浴のネタ拾いをしに逝ったら藁人形論法をサルベージと。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32907
デフレ脱却こそ景気回復の大前提。量的緩和による金利上昇リスクばかりを強調する日銀に異議あり
2012年07月02日(月) 馬淵澄夫レポート

記事内容は一応電波浴とは言え読んだ次第でございますが、そもそもこの先生の場合題名を見た時点でどう見ても藁人形論法です本当にありがとうございましたという話で、記事を引用するまでもございませんが、日銀は別に「量的緩和による金利上昇リスクを強調する」とかしておりませんし、そもそも現在行っている包括緩和は金利を下げようとして実施しているとか日銀の公式文書ちょっと日銀のページに逝ってみれば判るじゃねえのかと思いますし、大体からして国会で日銀が説明しているのは「財政の維持可能性に対する懸念が生じてしまって長期金利が非連続的に上昇する場合のリスク」でございますがなこのオッサンは人の話を聞く能力が欠如してるんじゃねえのかという感じですな。

ということで、馬淵センセイは上記URLの中でデフレ脱却して景気が良くなって金利上昇しても銀行経営困らないでしょと延々と説明して日銀を論破したつもりになっておられるようですが、デフレ脱却して景気が良くなって長期金利が自然に上昇する事に対して日銀は別に懸念なんぞしておりませんし、むしろそうなって欲しいという話でございまして、藁人形相手の論立て誠にお疲れ様でございます(棒読み)という所でしょうか。


しかしまあ何ですな、こちらの現代ビジネスWebちゃんのページですが、「ニュースの深層 」とか「企業・経済」とかテーマの並んでいる辺りにカーソルを持って行きますと、豪華絢爛な執筆陣のメンバーが並んでいるのでございますが、これがまた見事なまでにアレな方を取り揃えてございまして、記事を読む前から電波が感知できそうな素敵なのをよくもまあここまで集めたもんだと感心してしまうのです。



・なんかもうちょっと下調べしてから書いた方が良いのではと思うのですが・・・・・・

とか書くと自分にブーメランの悪寒もしますが(^^)、毎度おなじみ洋一先生より。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120708/plt1207080715000-n1.htm
国債利回りが預金金利より高いのは変!
2012.07.08

『個人向け国債の場合には、中途換金で額面割れや額面以上が出ないようにしている。いってみれば、個人向け国債の購入者に中途換金での価格変動リスクを負わせないが、その対価として金利が0・03%低くなるという考えだ。他方、中途換金の相手方(最終的には国)は価格変動リスクを負う代わりに、その対価として0・03%低い金利を享受できる。』(上記URLより、以下同様)

『このような個人向け国債の商品設計自体の問題もあるが、金融機関の預金金利にも問題がある。最近は、ネット銀行などで国債金利を上回る預金金利を持つ定期預金が出てきたが、依然として大手銀行などでは預金金利が低い。例えば、大手都市銀行の3年物定期預金金利は0・04%だ。』

『ただし、よく考えてみれば、信用力で国より劣る銀行預金の金利が国債金利より低いのはおかしい話だ。』

などとご説明。まあ一部正しいのですが一部間違っているなあという感じでして、確かに個人向け国債については中途換金をした場合にも元本割れにならないよう工夫はされております。

財務省HPより
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/qa/more/answer_qd.html#qa-29
Q29.個人向け国債は、満期まで中途換金できないのですか

『全ての個人向け国債(「変動10年」、「固定5年」、「固定3年」及び「復興応援国債」)は第2期利子支払日(発行から1年経過)以降、原則としていつでも、口座を開設している取扱機関で、一部又は全部を中途換金することができます。また、原則中途換金ができない期間中であっても、中途換金の特例として例外的に中途換金が可能な場合もあります。』

ということで洋一先生仰せの3年物ですと、実は発行から1年間は中途換金が出来ない(相続や大きな自然災害の場合は出来る)のでして、その時点で銀行の定期預金と商品性が異なるのでした、残念!

ついでに申し上げると、
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/qa/more/answer_qd.html#qa-35
Q35.中途換金するときの換金金額はどのように計算されるのですか。

という所にありますように、中途換金の際は直近1年分の利息に関してペナルティが掛かりますので、その事も勘案してレートを比較しないと意味が無いのですな(まあ銀行の定期預金でもペナルティーは掛かりますのでそれはある意味おあいこですが)、残念!!

まあ銀行の定期預金はいざとなったら預金担保で借入出来る(総合口座の定期とかにしておけば借越できますよね)とか、商品性違いますがなというのも他にございますが、それは兎も角として、銀行定期預金に対して個人向け国債の商品性が優れているというのであれば、それは国が国債の個人向け消化に対して積極的なので銀行預金よりも魅力度を高めておかないといけない、という政策意図に基づいたものであって、別に銀行がボッタクリとかいう話じゃないでしょとか思うのですけれどもねえ。比喩として適切かどうか分からんけど、町の電器屋さんの店頭に逝って「お前の店で付けている値段は大型量販店の値段より高いのでボッタクリだ」と言ってるような雰囲気を醸し出すのであります。


まあそこだけで終わらないのが高橋先生の記事を読む際の読みどころでして、他にもツッコミどころが多彩というのが素敵な所です。引き続き先ほどのURL先の高橋先生の記事より。

『中途換金するかしないかは購入者に依存するわけで、中途換金する場合、価格変動リスクを負ってもいい人や中途換金しようと思わない人には0・1%、中途換金する場合、価格変動リスクを負いたくない人には0・07%という個人向け国債を二本立てにする商品設計も可能だ。そのほうが購入者を一律に扱う現行の方法よりまともだろう。』

またまた財務省HPより
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/
個人向け国債 トップページ

こちらにございますように、実は個人向け国債は2本立てになっておりまして、「個人向け国債」と「新窓販国債」というのがございます。詳しくはまあ上記URL先をじっくりとお読みいただければと思いますが、「新窓販国債」の商品性はこちらをご覧いただくのが吉。
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/shinmadohan/outline/

という事で既に2本立てなんですよねえ(個人向け国債の方で出ている固定3年は新窓販国債では扱いが無いという事で、そこだけ見れば2本立てじゃないとも言えるけどさ)という事で、何ぼ原稿を沢山書かなければならぬと言いましても、下調べを明らかにしてないだろうというのは如何なものかと存じますけどにゃあ。

ついでにですな、

『例えば、大手都市銀行の3年物定期預金金利は0・04%だ。となると銀行としては、個人向け国債を販売するインセンティブは出てこない。3年物の国債であれば、0・1%の運用ができるので、0・06%の利ざやになるからだ。リスクの少ない国債に投資して利益が出るのだから銀行としておいしい。』(再び最初の高橋先生の記事URLより)

・・・・・・・・えーっと先生、元財務官僚様なんですから預金保険料って制度ご存知ですよね。
http://www.dic.go.jp/shikumi/hoken/suii.html

現在の定期性預金の預金保険料率が0.082%ですので0.04%で調達した3年定期預金の預金保険料込みのコストは0.122%となりまして、残念ながら単体で赤字(実際はこれに各種事務コストが載りますぞなもし)でございますがなという所ですなあっはっは。

ということで悪態シリーズが長くなってしまいましたな。もうちょっとあると言えばあるのですけれどもまあこの程度にしておきましょう。

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2012/07/10

○金先とか2年債とかオペ雑談とか

またまたロイターから。
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPTK084585620120709
東京マーケット・サマリー・最終(9日)
2012年 07月 9日 18:03 JST

『ユーロ円3カ月金利先物市場は堅調。日銀が11─12日の金融政策決定会合で何らかの追加緩和を打ち出すとの観測から短期筋や実需筋から買いが先行した。中心限月の2013年3月限は一時前週末清算値比3.5ティック高の99.740と2011年3月以来の高値を付けた』(上記URLより)

昨日は「債券市場は追加無しがコンセンサスになってきてるんじゃネーノ」と申しましたらお友達さんから盛大にツッコミを頂戴いたしましたが(汗)、ユーロ円金先は金曜と月曜で大体0.06〜0.07%程度の金利低下と最近ではまれにみる大上げ。

金曜から金利低下という事で、まあどう見てもECBの利下げが点火材料になっているのでございますが、預金ファシリティーゼロの影響で欧州でもドイツ国債の2年がマイナスとかやっていますが、オランダの2年も0.05%とかに低下してたと思いますし、預金ファシリティー金利がゼロになって安全国の国債買いますか攻撃が入って、それが為替オープンで来るのか為替ヘッジ付になるのか知らんですけど、仮にヘッジ付でも調整ベースで金利がプラスなら買うかとか無茶振りされますとこらまたアレな展開という事です罠。

2年カレントに関しても朝方は0.095/0.100とかだったと思うのですが、後場になって0.095%が業者間で盛大に(というのはちょっとオーバーですが)出合って、超過準備付利金利割れかよ2年で〜とか思ってみてたら5年とかもまあ金曜同様に0.20%割れ(引けは5糸強の0.190%)ですし、全くECBは何を考えてるんだという所ではございます。

だからと言って日本が当座預金付利下げるかちゅうたらまあ先ほどの事案のように、金利を必要以上に下げ過ぎると弊害の方が大きいという事なので普通に考えると下げないとは思いますけど、そらまあ2年の金利が0.10%割れ定着(所詮限界的な部分の買いではあると思いますので長続きはしないと思いますが、ただまあ預金ファシリティゼロの影響という事ですから従来の動きより若干継続する恐れは無いとは言えないかなあと)とかしますと、やはりその手の思惑は仕掛けやすくなるだろうなあと思われます。


で、オペ雑談ですが。

ここ3日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120705.htm(5日)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120706.htm(6日)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of120709.htm(9日)

でまあその結果ですけれども、3Mと6Mの固定金利オペの結果を並べてみましょう。

5日は3か月オペのロールを6か月で実施
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120705.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(7月9日スタート分) 3,220 3,220

6日は3か月オペを新規で実施
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120706.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(7月10日スタート分) 26,650 8,009 30.1

9日は3か月オペのロールを6か月で実施
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba120709.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(7月11日スタート分) 1,790 1,790

・・・・・・・・・いやね、3か月のロールで打ってきてる6か月オペの応札がドンドン減る一方で、3か月を新規で入れると応札が3倍超とか、オペを打つ方も応札する方も意地になっているように見えて(まあ入れる方は意地でも何でもなく単に経済合理的に行動しているだけでしょうが^^)実に香ばしい展開でごいますな。などと野次馬モードですいませんすいません。

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2012/07/05

・エンゲル係数が高まってきているので食料品価格を目標から外せという珍理論

えーっとですな、まあ先日ちょっと調べものするのに過去のブルームバーグ記事をせっせとサルベージしていたのですが、6月14日の朝8:17配信のヘッドラインに『インフレ目標の見直し必要、エンゲル係数上昇』というのがあってほほうと思ったのよ。

でまあそこの趣旨が記事にこんな感じであったんですけどね。

『エンゲル係数が2000年代後半から上昇、新興国台頭による食料品価格上昇と所得減少、家計の節約しのぐ食料品価格上昇が背景』(6月14日8時17分配信ブルームバーグ記事より)

でまあタイプするのが面倒なので端折りますと、要は食料、エネルギー価格が家計に与える影響が高まっており、今後も食料エネ価格は新興国要因で上昇すると思われるが、それは「悪い物価上昇」だからこれで物価が1%になったからといって喜んでもいかんでしょ。とまあそこまでの趣旨は誠に結構。

そして結論が極めて意味不明。

『輸入食料品価格の上昇で消費者物価の前年比1%プラスでも。「良い物価上昇」の好循環は描けず。米国のように「食料・エネルギー除く総合(コアコアCPI)のインフレ率を目標にするべき』(6月14日8時17分配信ブルームバーグ記事より)

・・・・・・・・・・ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwwww

えーっとですな、まあお前はまずセントルイス連銀のブラード総裁の講演でも読めという感じですが、そんなもんを読まなくても「家計の中で食料品価格のウェイトが高まっている」って趣旨だったら当然ながら国民厚生という観点から言ったら物価を見るときに食料品を含めた総合物価にも注目すべきって話になるのが論理的に導かれる結論としか思えないのですが、お前は最後のコアコアにしろという結論とその前の論理の整合性を考えているのかと小一時間問い詰めたい訳ですな。

でまあ記事だけでいちゃもんつけるのも何なんで実は当該レポートも探し出して読んでみたのですが、やはり結論は『米国のように「食料・エネルギー除く総合(コアコアCPI)のインフレ率を目標にするべき』という話でありました。

でまあその論理の整合性が変というのもありますが、それ以前の問題としてFOMCの公表文書にあるSEPを見れば判りますように、FOMCがロンガーランの望ましい水準として示している2%という数値はコアではなく総合のPCEインフレーションでございます(めんどいので一々URLつけないよ)ので、そもそも「米国のように」とか言っている時点で事実誤認にも程がある所が実に素敵でして、これで何とかストが務まるとは随分と結構なお話ですなあとは思いますが武士の情けでどこの誰かは申しませんので興味のある方は探してくんなまし(^^)。

(追記:これ書いた時には敢えて名指ししませんでしたが、実はこのレポートはhttp://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/naga/pdf/n_1206a.pdfということで、第一生命経済研究所の永濱主席エコノミストのレポートネタでした。明らかに結論先にありきで書いていますなあというのが良く判る内容でございます)

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2012/07/04

○LIBORがどうしたこうした

暫く前から延々とこの話が出ていましたがだいぶややこしい話になっておられるようで。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120703-00000091-reut-bus_all
英バークレイズCEOが辞任、LIBOR問題で批判受け
ロイター 7月3日(火)16時2分配信

へえへえそうだっかという感じですが、まあ元々はLIBORってイメージとしてトレーダブルレートに近いものがあったように思えるのですが、そらまあ金融市場の構造変化が起きてそもそも銀行間の無担保取引市場自体がシュリンクしてしまったらトレーダブルもへったくれも無い訳でして、とは言いましても色々な物の指標金利になってしまった手前簡単に無くす訳にも行かないということで使われるから色々と無理な話が生じるというもの。

いやね、英国の事はよー知らんけど、日本だって金融危機以前は短期金融市場は無担保取引だらけでして、それは構造的に大手銀行がオーバーローンで資金不足になっていて資金調達需要が恒常的に発生していたことや、国債発行額がそもそも少なくて担保付取引のアベイラビリティーが小さい(長期国債もそうですし、短期国債に至っては90年代後半は3か月物と6か月物が月に1本ずつ各1兆円ちょっとの発行とかだった)というようなのがあって、当時だとLIBORとかまあそれに代わるものとしてTIBORとかの他行の提示レートがケシカランとか行って大手都銀間で打ち合いとかやっていて、まあトレーダブルっぽい感じだった訳ですよな。

それが金融危機とかになって無担保取引がシュリンクしちゃったりすると、そもそも3か月物の無担保取引ってやって良いのですか位の話になってしまいますし、そんなこんなしているうちに国債大量発行モードとかになると担保付取引の方が優勢になりますがなという事で、まあたとえば日本の短期金融市場で3か月物の指標金利と言えばそらまあ昔々(90年代中盤から後半)は大手都銀の発行する譲渡性預金(CD)金利でしたが、今はだれがどう見ても新発3か月物国庫短期証券の利回りでしょという風に、まあ世の中変わる次第。

英国の事はイマイチワカランチ会長ではありますが、サブプライム問題以降はそらまあ銀行間の3か月とかの無担保取引とか普通にシュリンクする罠と思う訳でございまして、そうなると当初の建付けが市場のリファレンス金利というイメージで、何となくトレーダブルっぽい(実際はこれリファレンスであってトレーダブルでは無い)金利という風になっていた物が、それとは別の性格になる(貸出基準金利とか)になるのはシャーナイナイと思うのでして、その辺の構造変化も踏まえた上であり方を検討するなら検討するという風な話にしないと、単なる不正ケシカラン的な血祭り大会で終了して何の生産性も無く、無駄にしょうもない規制強化になってしまうだけという残念な展開になり兼ねませんので今後の展開は生温く注視という所で。

まあこの手の話で一番のダメ規制は「レートだすならトレーダブルレート出せ」というような話になる事で、出したレートでのマーケットメイク強制とかアホウな事を言い出す輩が必ず出てくるのですが、そんなことやったらリファレンス出す業者が死にますがなという所です。大体からして金利市場って先物は別として一般的に個別要因の強い取引でございまして、同じ商品だから同じレートかというと取引のサイズや、取引の緊急性などでもレートが変わるというような大変に微妙な物でございますのでして、そーゆーのを取引所取引のノリで透明性みたいな事を言い出すと碌でも無い結果を招くだけになりますが、どうも市場の売買実務をやっていないで、頭で考える系の人とか直ぐにその手の話をしだす傾向にあるように思えますのでひじょーに懸念される所です。まあ極端な話ですが公社債売買参考統計値の各社報告値を全部トレーダブルにしろとか言われたら業者全員間違いなく報告辞退しますがなとかそういう話ね。

つーことで、規制ウィングの人たちが変に暴れだして角を矯めて牛を殺すの図にならないように願いたい物でございます。


○朝日新聞から追加見送りの観測記事が

http://www.asahi.com/business/update/0703/TKY201207020674.html
日銀、追加緩和見送る公算大 国内景気の底堅さなど背景

『日本銀行が11〜12日に開く金融政策決定会合で、追加の金融緩和を見送る公算が大きくなった。欧州の金融不安がいくぶん和らぎ、6月短観でも国内景気の底堅さが確認された。景気が急に悪くなる心配が後退しつつあるため、日銀はいまの金融緩和策を維持し、効果を見極める構えだ。今週末公表の米国の6月の雇用統計や、欧州の金融市場の動向などを決定会合ぎりぎりまでみて、最終判断する。』(上記URLより)

大体断定調とか如何にもサイダー風味な書き方をするメディアが多くてうんざりする中で、どこかの経済クオリティーペーパー様の観測記事の書きっぷりと比較したしますと抑制気味の書き方で大変に宜しいんじゃないかと思う書きっぷりで、朝日新聞やるじゃんとか思ったのですけれども。

まあ「追加緩和見送る公算大」という話をしながら「今の金融緩和策を維持」という言い方をしたり、まあ何ちゅうか書き方が無駄にクレクレ的扇情的な感じじゃないのでございますが、それはそれとして緩和見送り観測記事としては大手メディアの中では最初に出てきたという気もする(つーかまあそれ以前の問題としてそもそも日経新聞を購読しないで早10年という大変にアレなあたくしでございましてちゃんとメディアの報道振りをチェックしているかと言われると困りますが)のですな。

今週のECB次第の面はありそうですが、昨日も申し上げましたように、まあ経済物価見通しは下がるでしょうからその文脈での利下げはあるかもしれませんが、ECBとて利下げの弾がそう多く残っている訳では無いですし、大体からして足元の問題ってそもそもソルベンシーの話でありますので、それはEUだのESMだのがどうにかしていくという事をやっている中でして、じゃあ利下げしたら効くのかという話になった時に微妙は微妙な気がする。とは言いましても市場はどうも利下げを織り込んでいて、0.75%になるのか0.50%になるのかみたいな話になっているっぽいので、まあそんな中で手ぶらも不味いだろ理論(??)からしますと何かの流動性供給策とか信用緩和策みたいなのって話かもしれませんが、これまた信用緩和という意味では先日担保の緩和やったばっかりで、EUサミット前にお土産は出していると考えるとどうなんでしょうかねという所で。


○オペ雑談

まあ基金オペは相変わらずの展開が続いておりますが、月曜も固定金利3か月物を6か月物でロールするというしょうもない攻撃が続き、当然の如く札割れになるという素敵な展開が続いております。

つーことでまあちょっと物は試しにオペ残高計算してみたのですが(と言っても単にあたくしが手元でエクセル集計している物なので正確性は担保致しかねます。本人は正しいと思って出しておりますが)昨日のオペの結果を受けた時点(=5日時点)での残高は3か月物が18.8兆円、6か月物が13.3兆円でして、そのうち6か月物年末越えが21576億円という数値になっておりますです。

まあオペ残高維持の為にというのも判るのですが、こうホイホイと3か月オペを6か月オペでロールされますと担保繰りの方が色々と面倒になるのでオペ入れる方としてはちょっと勘弁という所はあると思うのですよね。いやまあ投資家サイドで担保繰りがそんなにガチガチに厳しく管理しなくて良いという人も居ると思いますが、特に債券ディーラーサイドは国債持っているのって基本的に商品有価証券であって在庫は常に変動しうるものですので、在庫ファイナンスも重要ですが、商品在庫の回転サイクルから考えた場合に物凄い長期間になる資金供給オペがこれだけ多くなる、というか資金供給オペの足が全て物凄い長期間という状態になっていると、なんぼサブスティテューションありと言われましても、全体の在庫水準の絡みを考えながらの担保繰り管理の方も重要になってくるという話ですがなという話でございます。

んなことは調節部隊の皆様がどうせヒアリング先から文句言われているでしょうから先刻ご承知な所に追い打ちを掛けるようで誠に恐縮ですが、基金オペの残高達成の為に資金供給オペを工夫した結果として本来の円滑な市場への資金供給という観点が少々アレになるとか何という皮肉とゆー所でございまして、まあ結論としてはより長い資金供給となる基金国債買入とかの拡大をしている以上、本来は固定金利オペの枠組みに関しても再考が必要でしょうなといういつもの結論になるのでした。


○もうちょっとどうでも良い雑談

・急に思い出したのですが

先日ネタにしたドクター窃ttじゃなかったドクターZさんの電波浴フォローアップ。

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2012/resul021.htm
2年利付国債(第318回)の入札結果

6. 価格競争入札について
(1)応募額 20兆4,709億円
(2)募入決定額 2兆4,912億円
(3)募入最低価格 100円00銭0厘
(募入最高利回り) (0.100%)
(4)募入最低価格における案分比率 28.7253%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘
(募入平均利回り) (0.100%)

先月ドクターZ様はこのように仰せでした。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32787
2012年06月17日(日)ドクターZは知っている
事務ミスでわかった日銀のウソ

『今回の再入札では募入最低価格と募入平均価格がぴたり厘の桁まで100円00銭0厘で一致、つまり、民間金融機関はみんな同じ札を入れたのだ。たしかに今安全資産を求めて国債の人気はすごい。わずか0.1%でも2年国債は飛ぶように売れている。しかし、数十社の民間金融機関が談合でもしない限り同じ価格で入札するはずがない。』(上記URLより)

前回電波浴の時にうっかりしましたが、そもそも前回の入札では応募額が24兆2,699億円で募入決定額が2兆4,780億円で、募入最低価格における案分比率は52.4544%なので、そもそも「みんな同じ札を入れた」というのが間違い(みんなが100円丁度に札を入れてたら按分率は10%位になりますよね)だったのですが(爆笑)、まあ『数十社の民間金融機関が談合でもしない限り同じ価格で入札するはずがない』と全力で断言した翌月の2年国債入札でも同じ結果になった件について週刊現代で是非ご説明していただきたいものであると存じます次第。


・インサイダー規制強化はまあ流れとして当然でしょうなあと思いますが・・・・・・

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120703-00000141-jij-pol
インサイダー規制強化へ=4日から金融審―金融庁
時事通信 7月3日(火)19時57分配信

『金融庁は3日、上場企業の大型公募増資をめぐる増資インサイダー問題を受け、課徴金制度の拡充など規制を強化する方針を固めた。野村証券など主幹事証券会社による未公開情報の漏えいが相次いだことから、情報提供側も罰則対象に加えることが柱となる。』(上記URLより)

ということで昨日は大手証券にヒアリングが入ったとか言うようなニュースもありまして、まあ市場が市場として機能する為にはインチキが横行しないようにというのは当然の話ではあると存じますが・・・・・・・・

昨日の公共放送ニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120703/k10013291461000.html
全日空 大型増資へ7月3日 12時4分

『関係者によりますと、「全日空」はこうした動きに対抗するため、大型の増資に踏み切る方針を固めました。増資の規模は今後の株価の動向によって変わりますが、1千数百億円から2000億円規模を目指すということです。「全日空」は、調達した資金で最新鋭の旅客機の導入を進めるなど経営基盤を強化することにしており、こうした方針を近く発表する予定です。』

>関係者によりますと
>こうした方針を近く発表する予定です

・・・・・・・・・・・・・・・・えーっとすいません。これって「未公開の法人関係情報」そのものではないかと思うのですけれども何なんでしょうかねえ。インサイダー取引ケシカラン云々報道する報道機関がその口で未公開の法人関係情報をホイホイ報道するとか、怪しげな提携記事書いて会社サイドから全力で否定されるとか、事前に報道されたらダメと言われている日銀審議委員人事を報道して話をぶち壊すとかそういうのって何なんでちゅかねえと小一時間問い詰めたい所ではございまする。

#2012年3月期から増配(2円が4円)したと思ったらいきなり大希薄化増資というのも中々アレですな

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