金融政策概観(2011年度上期後半分(2011年07月〜09月))
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2011/09/30「東証取引時間延長ネタ続き/調査委員会のダダ漏れは続く/固定金利オペはもう増やせませんな」
2011/09/29「3か月T入札平均0.10%乗せ/資産査定委員会は更にダダ漏れ/東証が取引時間延長」
2011/09/28「3か月TB入札です/東電がまたまた資産査定関連で微妙に/3次補正と増税がやっと決まる」
2011/09/27「PD懇および国債投資家懇談会から」
2011/09/22「3か月TBが久々の増発/枝野さんが法令解釈かよ/FOMC追加緩和で株下げとな」
2011/09/21「昔の日銀ペーパーを読みながら時間軸に関して整理してみる」
2011/09/14「また枝野さんが今後は経済産業大臣になって妄言を」
2011/09/08「決定会合レビュー:景気認識は先行きに変化なし」
2011/09/07「決定会合プレビュー雑談」
2011/09/02「6か月固定オペ更に札がカツカツですが1年ものの成長基盤強化には札が集まる奇怪な現象^^」
2011/08/30「民主党代表選挙では野田さん/固定金利更にオペ札割れ直前キタコレ」
2011/08/29「バーナンキ議長のジャクソンホール講演に関するまとめ」
2011/08/26「固定オペに関する25日の記事訂正/ジャクソンホールプレビュー雑談」
2011/08/25「円高緊急パッケージとな/MDY日本国債格下げ/固定オペ札割れ寸前/スイスマイナス金利」
2011/08/12「時間軸雑考の続きと訂正/スイスヤケクソ/トリシェに為替介入の質問した馬鹿は誰だ」
2011/08/11「SNBリザーブ拡大のおかわり実施/FOMCの新たな時間軸もどきに関する雑考」
2011/08/09「NY株式急落/SNB更に涙目/相変わらずの非不胎化報道」
2011/08/08「米国ソブリン格下げ/決定会合&介入レビュー続き/スイスフラン涙目の展開」
2011/08/05「為替介入に決定会合前倒しで追加緩和実施のレビュー」
2011/08/04「SNBが為替対策で不意打ち利下げ実施/追加緩和に関するプレビュー」
2011/08/03「日経新聞朝刊に唐突に介入と追加緩和の記事が」
2011/07/29「東電関連法案衆議院通過ですが法案内容は微妙に玉虫色の部分がある訳ですな」
2011/07/12「イタリアにユーロソブリン問題飛び火で何となく思ったこと」
2011/07/07「ロイターのこの記事はレベルが酷すぎる/3MTB入札は0.095%割れ」
2011/07/06「6MTB入札まで0.10%割れとな/昨日の東京AIMネタの大幅な加筆訂正(汗)」
2011/07/05「東京AIM債券市場に関して雑感(訂正あり)」
2011/09/30
お題「何か今年も残り4分の1らしいのですが雑談は続くのであった(昨日の雑談の続編である)」
昨日市場関係者に爆笑の発作を起こさせたのはこのお前が言うな大賞でしょうな。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aJfA1VVlyaNg
ユーロ「事実上死んでいる」、銀行危機で崩壊も−ウニクレディト幹部
○東証立会時間変更ネタ雑談の続き
今日は一発目からネタ雑談ですいませんすいません。
http://www.tse.or.jp/news/03/b7gje60000020052-att/20110927_leaflet(TradingHours).pdf
東京証券取引所は、幅広い投資者層の取引機会を拡大する観点から、現物市場及び派生商品市場における取引時間を一部拡大します。
国債先物取引
9:00 - 11:00 ⇒ 8:45 - 11:02
12:30 - 15:00 ⇒ 12:30 - 15:02
15:30 - 18:00 ⇒ 15:30 - 23:30
というのは昨日申し上げましたが、よくよく考えたらこれってちゃんと各方面とちゃんとネゴっているのかねとゆー気が段々してまいりました。
つまりですな、国債先物取引の立会開始が8時45分なのですが、重要とみられる経済統計などの発表時間ってザラ場になるのを回避すべく債券先物や株式市場の寄り前となる8時50分発表にザラ場発表から切り替えたのがあると思うのですけれども(だいぶ前の短観とか、最近では機械受注統計が数年前から8時50分発表になってザラ場に無駄に値段が飛ばなくなった)、内閣府とか日銀とかとのネゴってちゃんとやってるのでしょうか。つーか8時50分に重要指標の公表を控えた時に寄りが8時45分とかだとその日の寄りの取引却って減るんじゃねえのと思う次第で本当に取引の活性化に繋がるのかよと疑問が。
あと、他の派生商品と比較してみたら、立会市場で債券だけ時間が早くなるという不思議ちゃんな流れでして、これやはり投信の設定解約の時限とか適用基準価額のタイミングとかに影響を与えそうですし債券だけブラインドの時間が違ってくるからややこしいことになりそうな気がする(って一部の人しか判らないネタですいません)のですが、これ関連団体との事前調整ちゃんとしてるんでしょうかねえとか思うのでありますが。
で、イブニングの23時半ってのはまあ海外を意識してるんでしょうけれども、その委託の執行するのが東京のブックになるということは東京で基準法上の深夜勤務恒常化になるんじゃが、まあ当然ながら(東京金先みたいに)イブニングは途中で端末の電源切って帰ってもカマワンチ会長という扱いにしてくれるんでしょうねえ(ニヤニヤ)。まあどうでも良いけど、ザラバの時間を長くしたからと言って取引が増えるかどうかって別問題だと思うんですけどね。それよりも無駄に変なシステム変更して端末とか取引そのものとかの使い勝手悪くしないように注意した方が(以下悪態)。
しかし延長の2分の意味がさっぱり分からんあたくしでございます。
○もうやだこの調査委員会(悪態は続くよどこまでも)
昨日は朝の公共放送ニュースに反応していたあたくしだがその後も反応するのである。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110928-OYT1T01422.htm
東電支援へ金利減免や返済猶予…第三者委最終案(2011年9月29日03時04分 読売新聞)
『国の資金支援の前提となる取引金融機関の協力については、「東電の資金繰り状況によっては、さらに一層の協力を求める可能性がある」と明記した。具体的な手法として、「一般論としては金利の減免や返済猶予などがある」ことも掲げた。』
『報告書の原案で、金融機関に対して、融資残高を10年間維持することを求めるとしていた点は、そのまま了承された。』(上記URLより)
・・・・・・・・いやまあね、こういう報道って断片を少しずつ出してくるから出来上がった報道内容見ると支離滅裂な話をしているように見えるという場合が多々あって(だからこそ報道する方はもっと頭使えよおまいら頭いいんだろとか思うのだが)、実際はどういう話をしているのか知らんですけど、これだけ見たら「もしかしたら借りた金をちゃんと返せないかもしれないけれども10年間は借り換えに協力して下さいね」というどこの調所笑左衛門だよという話にしか読めないのでありまして、この委員会の人たちは何考えてるんですかという所ですな。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110929/biz11092901170001-n1.htm
東京電力の公的管理促す 経営責任も明記 第三者委員会最終報告書案(2011.9.29 01:15)
『産経新聞が入手した報告書案は、4兆円規模とみられる損害賠償の支払いについて、東電が機構からの公的援助を前提にしている点を指摘。同社の純資産が約1兆円であることから実質的な債務超過に陥るとして、資本増強が避けられないと判断した。』(上記URLより)
>産経新聞が入手した報告書案は
>産経新聞が入手した報告書案は
>産経新聞が入手した報告書案は
・・・・・・・・あのーすいません、プレスにリリースされているものだったら別に良いと思うのですけれども、そうじゃないものを勝手に入手して勝手に報道するというのは上場企業に対する重要事実の取得云々とかという問題になるんじゃないでしょうかねえ、そらまあこれが重要事実なのかどうかという解釈問題はあるけど現実にこの手の報道が出るたびに株価がジャカジャカ動いているんだし。
ちなみに、金融商品取引業者が上場企業の未公表の重要事実を入手した場合って、当該情報を極めて厳格に管理して内部者取引のような法令違反事案が発生しないように留意しないと大変な話になるというレベルの問題なんですけど、この第三者委員会ってのは何なんですかコンプライアンスとかどうなってるんですかとゆー所であります。
でまあ一事が万事と申しますか、本来既存の法令から考えた場合に普通に採られるべき債務の扱いとかに関して、こーゆー訳の分からん事案がホイホイと出てくると、大体からしてまあ世間的に嫌われ者であります所の金融屋としては、訳の分からない国民感情だの政治判断だので元々の金融契約を後付でひっくり返されるんじゃネーノとかゆー話になってくる訳でして・・・・・・って結局枝野官房長官発言の時と同じ悪態ついてるじゃネーノと存じます次第で、どうしてこうなったと残念な思いでございます。
ですからさっきもありましたけど。
『東電は金融機関からすでに総額約4兆円を借り入れており、一部融資残高の10年間維持も打診している。公的管理で東電の信用力が高まれば、金融機関から債務の借り換えがしやすくなったり、追加融資が得やすくなったりする、との思惑が働いた格好だ。』(上記URLから)
いやあの後付で急に債権の優先劣後関係ひっくり返すような事を平気で言い出すような人たちが仕切る「公的管理」とかされても信用力高まりませんから。そらまあ東電の態度もどうかと思うというのは判るけど、その感情的な問題と契約を履行する話ってのは別次元の話でしょ。
まあ最終的には(既存の法律や契約を履行するという意味での)まともな結論に落ち着いてくれるとは思います(つーか落ち着かなかったら日本では契約とかの概念が通用しない国って扱いになるわ)し、その際には長い目で見た全体の損失が最小化されるような施策に落ち着くとは思うのですけど、そこまで行く紆余曲折が多過ぎで勘弁して頂きたいですわまったくもうという感じでございます。
○やはり固定オペの増額余地はないという雑談
昨日のオペレーション(のうち金利入札方式共通担保オペ)。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110929.htm
共通担保資金供給(本店)<金利入札方式> 10,000 2011年10月3日 2011年10月27日
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110929.htm
共通担保資金供給(本店)<金利入札方式>(10月3日スタート分) 30,672 10,005 0.100 0.100 32.6
ということで、昨日の金利入札方式のオペは1兆のオファーに対して貫録の3兆円オファーで金利入札方式の資金供給オペに対するニーズの多さを示す格好になりました。
一方で当座預金残高は昨日の速報ベース(まあほぼ速報=確報なのですが)で33兆3700億円と相変わらずの高水準を維持していますので、まあオペのニーズはニーズとしてGCレートは0.100%にほんのちょっと毛が生えたか生えないか程度で安定して推移しているのですが、まあつい暫く前にオペの札割れが連発してすわ固定金利オペ札割れかと言われた時とは大違いの展開で誠にお洒落なのですが、まーこれはある意味当然の展開でもあるので、以下誰得雑談。
現在の資金供給オペのうち、金利入札方式の共通担保オペ残高+固定金利方式の共通担保オペ(いわゆる基金オペ)残高によって、オペに対する札の入り方って違ってくる(あたりまえですが)訳なのですが、あたくしが自前で集計した(ので正確性は担保しかねます)残高の推移ですと、札がお洒落に割れまくっていた8月の前半って45兆円程度の残高があって、そのうち金利入札方式ものが14兆円程度あったのですけれども、昨日の残高を見ますと合計が38兆円で金利入札方式ものが6兆8千億円となっていますので、金利入札方式の残高が半減しとりますがなという所です。
でも当座預金残高自体は水準は33兆円とか似たような状態になっているのでございまして、これはつまり資金需給の関係で、資金余剰期間と資金不足期間があるので、出来上がりの当座預金残高自体に大きな変化が無くても資金供給オペの残高が動くという事ですな。
でですな、固定金利オペの残高が現在31兆2千億円あるのですが、こちらの残高というのは動かせません、というかあと3兆8000億円拡大する予定になっていますので、そうなりますと資金余剰地合いになった場合の調整の皺寄せが思いっきり金利入札オペに寄せられて来ますので、金利入札オペの残高が結構おおきくぶれることになるというか、下手すると殆ど入札方式残高無し状態になるような事態が起きる可能性もありますがなという事になるざますわな。
てな事を考えますと、そもそも35兆でも結構カツカツなので、固定金利オペをあと5兆円拡大するとか無理無理無理というのが結論(その上今の地合いで6か月とかいらねえ)となるなあとか思った次第でございますがどうですかねえという誰も気にしないネタの雑談なのでございました。
ちなみに、話の流れでスルーしちゃいましたが、上記オペ残高のほかに、成長基盤強化貸出と被災地支援貸出が出ていまして、この合計残高が昨日の時点であたくしの人力集計ベースで3兆5000億円ありますので、いわゆるオペ残という言い方ですと41兆5000億円程度という事になるかと思います。
#期末進行のため雑談で勘弁
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2011/09/29
お題「期末なので(というのは言い訳)世間話は続く」
最近米国市場の上げ下げの理由が常に欧州なので実にアレである。
○どう見てもフラグです本当にありがとうございました
昨日は3か月TBの入札があった訳ですが・・・・・・
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230928.htm
国庫短期証券(第226回)の入札結果
(3)募入最低価格 99円97銭2厘0毛
(募入最高利回り) (0.1012%)
(4)募入最低価格に 16.3051%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円97銭2厘3毛
(募入平均利回り ) (0.1001%)
・・・・・・・・・えーっと、確か昨日あたくし久々に短国入札ネタを持ち出して参りまして、「3か月短国がすっかり0.9%台定着しましたねえ」という話をしたような気がするんですが、そんな事を書いたら足切りどころか平均落札まで0.10%乗せになったのですが、この平均落札利回り0.10%台って何とまあ6月15日以来(つまり既存の3カ月TBって発行時に平均落札で買っていると全銘柄ともに持ち値が0.10%割れという大変にアレな状態なんですが)という大変に素敵な結果。
まあ何だ、あたくしを短国市場のムーシャ先生と呼んで頂いて全く問題がなさそうであるが(自爆)、市場推計によりますと落札がやたら偏ってまして、どこぞの大手さんが1社でドカンと落札して、あと不明玉がドカンとあって、それ合わせて3.5兆円以上というオサレな分布でどう見てもあたくしのフラグがまた盛大に立ちました本当にカムサハムニダという風情で実に素敵な秋のひととき。
入札が激強で落札が偏るというのはどっかの投資家が盛大に特攻した結果という事になるんすけど、今回の場合って別に入札が強い訳ではなく、というか何でそんなに弱いですねんという形でしたので、まあ大手一社さん以外がやる気なし子ちゃんだったとしか思えませんな、よー知らんけど。
まあ適当にこじつけると「ツイストオペの影響で米国の2年金利が上昇」というような珍説を唱えることもできるのですが(笑)、そんな理由は全く関係なく、単に期末であんまりリスク取りたくないのと、足元で資金供給オペが少なく(オペは少ないけど20日の国債償還要因があるので日銀当座預金残高の水準は高水準を維持しています)証券ディーラーの在庫ファンディングにおける市場調達必要額の水準が高まっているので在庫ファンディングの観点からもあまり0.09%台の短国在庫をホイホイ増やすのもアレだったとか、前回発行の3か月短国があまり捌けなかったので(世の中0.09%台の短国を恒常的に買うのは日銀当座預金制度の外側にいる生損保年金投信(多くは短期公社債投信だと思うが)と海外投資家であるので0.09%台を維持されると海外投資家の状況次第で販売がスローになる)マンドクセとなったのかというような理由かと存じます。あとまあ為替市場のベーシススワップが足元そこまでワークしてないってのがあったという所のようで。
ではここからドンドン金利が上がるかと申しますと、0.10%に毛が生えた金利水準になるとそこまで鳴りを潜めて日銀当座預金に金を放り込んでいた人たちが大型観光バスを連ねて(ウソ)大量にご到来されることが容易に想像できますので、そーしますと短国の業者のポジションが捌けて、見た目はやたら多い日銀当座預金残高がやっとマーケットに回りだして(つまり足元の日銀当座預金残高水準の高さは単に資金偏在状態を示しているだけで、実体としてはただの死に金状態である、ということだ)業者の在庫ファンディングにおける市場調達が軽くなってとゆー流れになると勝手に想像しておりますので、まー金利ドンドン上昇とかせんじゃろうの。よー知らんけど。
つまりですな、短国の方はこうやって期末要因だか何だかしらんけどまあ何となく上昇(ちなみに増発と年末越えの影響は全く無いと思われますのであしからず)してますけど、一方でCP市場の方はと言いますと相変わらずの日銀買入効果もある上に、発行が期末に向けて微妙に減っている事もあって、市場が玉無し子ちゃん状態になっていて、昨日も1か月程度のCPは最上位格付の投資家が好みそうな発行体さん発行の物で(CPは昨日がスポ末なので発行日はだいたい9月末が多かったと思うのだが)0.11%を普通に割っているのばっかという状態で、しかもここへ来て若干金利低下してるんじゃネーノという状態でございますので、よーするに短期物への運用資金はウジャウジャと存在している状態で、そんな中だったら短国0.10%に乗ったら売れるでしょ、と普通に思うわけですな、うんうん。
まあだいたいそんな感じでマニア雑談でありました。
○この人たちには情報管理という概念はないのでしょうか(東電関連悪態)
昨日は昨日で調査委員会様からはこんなニュースがありましたな。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110928-OYT1T00086.htm
東電7400人削減…第三者委報告書原案(2011年9月28日03時04分 読売新聞)
『2014年3月末までにグループの社員約5万3000人の約14%にあたる7400人を削減する。取引金融機関が融資した資金については東電の財務状況によっては、一部が返済できない可能性があると指摘している。』(上記URLより)
・・・・・・・まあ人員削減の方は兎も角として、融資の返済がどうのこうのという話ってクレジットイベントに関わる問題だから安易に言及されると非常に宜しくないのでございますけどこの委員会って金融市場とか株式市場とかに対してどういう理解をしているのか全くもって意味が分からんですな。
で、昨日「これってサイダー問題じゃねえの」と悪態をついたのが聞こえたのか(んなこたあ無い^^)どうか知りませんが、委員長様がこのようなご発言を。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949EE0EAE2939C8DE0EAE2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
東電調査委委員長、報告書「来週の早い時期に公表」
2011/9/28 16:36
『下河辺氏は会合後、記者団に対し、「まとまったが、言葉では言わないということになっている」と述べたうえで報告書について「来週の早い時期に提出して公表する」と語った。』(上記URLより)
しかしその舌の根も乾かぬうちに今朝の公共放送ニュースはこのような報道を。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110929/k10015918551000.html
“東電 年度内値上げ必要なし”9月29日 4時27分
『東京電力の経営や財務状況を調査する国の委員会は、来月、野田総理大臣に提出する報告書の中で、事実上、年度内の電気料金の値上げは必要ないと指摘する内容を盛り込む方向で調整していることが明らかになりました。』(上記URLより、以下同様)
ほほう。
『(途中割愛)関係者によりますと、報告書には、東京電力が今年度末までに支払う賠償金の総額をおよそ3兆6000億円と見積もったうえで、事故の収束が1年遅れるごとに8000億円余りが加算される想定だということです。一方、報告書をまとめる議論では東京電力の電気料金の値上げの必要性が焦点になり、議論の前提として、新潟県にある原子力発電所が、定期検査の終了後に再稼働するか、しないかなど、9つの場合を想定した試算、試みの計算を行いました。』
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
『その結果、東京電力にとって最も厳しい経営を強いられることになる原発の再稼働がない場合は、電気料金を値上げしなければ、来年度末、平成24年度末には債務超過に陥ると試算されました。しかし、関係者によりますと、今年度は、原発が再稼働するかどうかに関わらず電気料金は値上げしなくても東京電力は債務超過にはならず、経営が行き詰まることはないことを報告書で指摘する見通しだということです。』
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
>関係者によりますと
・・・・・・・・・おいこらこの「関係者」出てこいとしか申し上げようがございませんが、こんな情報管理体制で証券市場で上場が維持されている企業の査定委員会とかふざけるなてめえ関係者サイダーやり放題じゃねえか冗談じゃねえぞ全員牢屋送りだろ常識的に考えてとしか思えませんがねえ。
金融政策に関する話がホイホイと事前に報道されるのも激しく如何なものかと思うのですが、これは昨日も申し上げたように事が上場している個別企業の問題でありまして、あからさまにサイダー問題じゃないかと思うので、東京証券取引所および証券取引等監視委員会に置かれましては適切な処置を行われることを激しく希望して止まないものでございます。
○その他どうでもいい雑談(ここまでもどうでもいい雑談とか言わないでちょ^^)
・東電といえばみんなの党(ナンジャソラ)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=au_nTyJSIh9Q
みんなの党・渡辺代表:東電は「ゾンビ企業」になる前に破綻処理を
・・・・・・いやあ渡辺先生におかれましては自分の政党の現状を非常に正しく認識しておられると思ったら東電でしたかこれは失礼いたしました。
で、破綻処理をすると賠償原資が何故か大量に捻出できるそうですが、そらまあ法律的に同順位の債権の片方だけ削減するという無法措置取れば原資は出てくると思いますけど、法的破綻処理というのは法の下で実施しないと法的破綻処理になり得ませんので、どこからどう見ても無理筋とか計算以前の問題(元々の計算も変だと思うが)の話をしているのが立法府の人間としてのハイブロー振りを示しておられますなあと思うのでありました。
みんなの党ネタではwhat_a_dudeさん(毎度勝手にネタにしまして恐縮です)の最新エントリーのツッコミが面白かったので勝手にURLを置いときますね。
http://d.hatena.ne.jp/what_a_dude/20110927
2011-09-27
法律の書ける経済学者様がブレーンの某政党の人々の発言は流石に趣があるなー(棒)と言う感じのリスト
・東証の新システムで立会時間が変更になる件
一昨日の発表で恐縮でありますが。
http://www.tse.or.jp/news/03/110927_a.html
次期Tdex+システム及び第3次ToSTNeTシステムの本番稼働について
2011/09/27 更新
『当取引所は、先物取引及びオプション取引を取り扱う「次期Tdex+システム」並びに株式及びCB等のToSTNeT取引を取り扱う「第3次ToSTNeTシステム」を、平成23年11月21日から本番稼働させることを決定いたしましたのでお知らせいたします。』
ほほう。
『※ 平成23年11月19日の本番移行テスト後に最終稼働判定を行います。※ 本システム稼働に併せて、現物市場及び派生商品市場における昼休みの短縮並びに派生商品市場におけるイブニングセッションの延長等の取引時間の一部見直しについても、平成23年11月21日から実施いたします。詳細につきましては、以下の「取引時間の一部見直し」を参照下さい。』
冬季も節電しないといけないんじゃなかったでしたっけ???というツッコミは兎も角として、「取引時間の一部見直し」のPDFファイルを見たら微妙にアレな記述が。
http://www.tse.or.jp/news/03/b7gje60000020052-att/20110927_leaflet(TradingHours).pdf
東京証券取引所は、幅広い投資者層の取引機会を拡大する観点から、現物市場及び派生商品市場における取引時間を一部拡大します。
で、よく見ると債券先物取引の時間がこうなるのですか。
国債先物取引
9:00 - 11:00 ⇒ 8:45 - 11:02
12:30 - 15:00 ⇒ 12:30 - 15:02
15:30 - 18:00 ⇒ 15:30 - 23:30
イブニング23時半までやって誰得なんだよと思うのですが、先物2分間延長というのがまあ何かの意味があるのでしょうけれども何で2分とか延長したんだか。大体からして東証は商売したいから時間延長したいのは判るが、国債入札とかオペとかの都合もあるんだからあまり昼の時間の立会長くするんじゃねえと思うのですけどねえ。まあどうしても「時間を変更したかった」んでしょうけれども。
あと、これって投信の設定解約の基準時間とかにも影響与える可能性があるような無いようなという感じ(たぶん現物株式の立会時間に変化がないから変化がないという結論になるとは思いますけどよー判らん)ですが、まあ前々からやる気だけは示していたのでその辺の話はついているんでしょう、とは思います。
11月21日からは引けのお時間にはご注意を(^^)。
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2011/09/28
お題「期末進行で相場がアレで雑用はナニですので世間話の巻で恐縮至極」
げげげげげ、この強気シリーズが7番まで続くという事は最低でも向こう7週間くらいは経済や株価はダメダメなのかよ・・・・・
http://www.musha.co.jp/3228
#今目の前のテレビで「外銀の日銀当座預金(=ブタ(0.10%だからブタじゃないけど)積み)残高が増えているのは日本円への海外からの投資拡大を意味するから円高要因」という素晴らしい説明をしている人がいたのですが、金融緩和を拡大すると円高が進行しちゃうとは画期的(棒)。
○今日は増発した3か月TB入札ですよ
・・・・・・と一部のマニアしか興味のないネタですが(^^)、まあきょうび年末越えだからどうのこうのというような話は1ミリも無いので年末越えのハンデもつかないで前回並みの入札になってしまうのでしょうかねえという残念感はございますが、相変わらずGCちゃんは0.10%を上回る水準で推移してますし、オペがあまり多くないので固定金利オペは最近すっかり札が入るようになっていますし(というだけではなくて、一時期結構なリスクとして心配されていたIOERの引き下げの具体化が遠くなった感じがするので、金利先安へのリスク認識を下げたという要因もあるでしょう)という状況なのですが、短国は3か月0.09%台がすっかり定着しましたな、うんうん。
単純に言えば補完当座預金制度の中の人が(商品在庫としての必要性以外に)0.10%を割る金融商品を買う必要は無いはずで、補完当座預金の外側の人だけで毎週4.8兆円(今回の入札分から5.1兆円)の発行額は捌けない筈なのですが、まあ結局ロットが捌けて流動性があって使い勝手の良い上に国債と来てますからここにキャッシュ潰しのニーズがやってくるのは致し方ない所かとは思いますし、まあ待機資金みたいなのも相変わらずあるんだろうなあとか考えているのざんすけど、延々と強い短国というのがあって、一方で海外の金利があれだけ暴れても1%近辺で貫録の安定推移する長期国債市場というのを見ると、資金のフローってどうなってますねんと思うのですが(単に待機資金が止まったままのような気もしますが)どうなんでしょうかね。
ということで3カ月入札が流れたりするとオモロイのですが、どっからどう見ても前回並みの入札を淡々とこなすという感じが続きまして、なんちゅうかIOERの先行きがどうのこうのとかいうような話と全然リンクせずにただ単に量的緩和状態の反映が普通に続くという所でしょうな(つまり量的緩和しても別にその金は短期市場でグルグル回るだけといういつか見た光景を今回もやっているだけという残念な事なのでしょうけれども)。
もーちょっと長い話をすると、今回提出となる第3次補正でもまたまた埋蔵金とやらの取り崩しが行われたりすると、益々短国の発行が増えてくるでしょうなあとか思うのですけれども、現状のように事実上量的緩和モードになっているうちは別に1ミリも問題はないでしょうけれども、実際問題として世の中が正常化(しないんじゃネーノというツッコミは却下)したときには結構ヘビーな問題になるだろうなあとか思うのでありまする。
○何気に電力関連雑感
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aMCjlpvCqWXk
東電株が3カ月ぶり安値、公的管理下に置く意向との報道
『午前終値は6.2%安の243円で、東証1部下落率5位・原子力損害賠償支援機構の杉山武彦理事長が26日の会見で、廃炉費用などが巨額になった場合、東電に出資する意向を示した、と27日付の読売新聞朝刊が報じた・また、政府の調査委が賠償総額を4兆円台と試算していると、27日付の東京新聞朝刊が報道』(上記URLより)
ここの所連日のように政府の調査委員会に関する調査結果の事前リークみたいな記事が出て、それも月曜は「電力料金10%上げても資金不足」だの、昨日は上記URLにあるように「公的管理」だの「賠償総額がなんぼになる」だのという極めてクリティカルというか何というかな問題でもありまして、そらまあ記事が出る側から株価がアレになってしまいますので誠に遺憾の極みでございまする。
社債ちゃんに関してはまあよーしらんですけれども、逆に公的管理してくれるのであればまたぞろクレジットイベントになるのかならないのかでややこしいことになりそうですけれども、キャッシュボンドとしては一般担保条項がお助けになるような気もしますし、まあよーワカランチ会長。と申しますか、そもそも国内の普通の社債って投資家の所に多くが嵌っていて、この手のフワフワしたニュース報道状態でホイホイ売ったり買ったりできるような人はとっくの昔に売るなり買うなりしているでしょうから、半期末直前という事もあって特に動意のしようも無しとゆーことですか、よー知らんけどな(外モノとかCDSとかの話は敢えてスルー)。
まあ枝野さんが主管大臣になってしまったのでこういう感じになりますわなあと諦め感が漂う(しかしここまで酷いとは正直思わなかった、海江田さんカムバックプリーズ)のですけれども、とにかくひたすら東電悪いという事で、原子力政策って政府がやってた話じゃないんですかというようなツッコミをするタイミングを与えない見事なポピュリストプレイを継続的に打ち込むのを怠らない枝野大臣はある意味さすがだと思いますが、その度に株価が下がるので大概に勘弁していただきたいと存じます。
つーかイジメも度が過ぎると自棄を起こして刃物持って暴れたりすると思う次第でありまして、金貸しの手先をやってた時にも「債務者が開き直ってしまうとどうしようも無いので、ヤケクソになるかどうかは注意しますようね(はあと)」という心得があったような気がするのですが、どうも弁護士ってのはそういう手加減というのを知らんのかいなとか思うのですけどにゃあ、と話が逸れましたすいませんすいません。
で、更に話は逸れるのですけれども、政府の資産調査委員会の結論っていうのは東京電力の株価に重要な影響を与える事だと思うのですが、こういう話が事前にホイホイとリーク報道されている件ってどうなのよと思うのですけどねえ。ちなみにどうでも良いですが金融政策に関するもんだと所謂サイダー関連とは関係ないのでございますけど、今回の場合ってモロに特定の上場している銘柄に関連する話だと思う次第で、報道する方も報道する方だが、ホイホイと情報漏れをするというのはどういう管理をやっているんだかと思うのですけどねえ。
そういや中部電力株も浜岡原発の停止決議がどうのこうのというのがありまして、昨日テレビ見てたら牧之原市の市長が「100%安全じゃないと永久停止じゃ」と仰せになっているのを拝見して、それならお前さんの所の市には工場も置けませんし、農薬使う農業も出来ませんし、そもそも交通事故で年間にたくさんの人が死傷しているのですから車もつかえませんなあとか思いましたが、まあそこの記事を拝見していると背景に大人の事情もあるみたいですし、お気持ちが分からん訳でもありませんなあと思ったのですけど・・・・・・
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/surprise/20110927-OYT8T00387.htm
【浜岡】永久停止決議、牧之原市議会に市長も同調
その後に出た川勝知事の発言に盛大に噴いたんですよね。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20110927-OYT8T01316.htm
「永久停止で思考停止なら知的鎖国」
『「永久停止宣言で思考停止になったら知的な鎖国。そうならないように、科学的に評価し、県民の意見も踏まえて判断する」と述べた。』(上記URLより)
・・・・・えーっとあんさんこの前こんな事言ってましたよね。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/surprise/20110712-OYT8T00715.htm
【浜岡】静岡知事「120%大丈夫なら」
『運転再開の条件としては、「120%大丈夫となった時に、それを拒否する理由はない」と述べた。』
『120%安全の意味に関連し、川勝知事は「私が中部電力の立場から見て、安心して原発を動かせる論理が立てられなければ、反論ができないくらい十分な立論が運転再開についてなされなければ、運転再開はできない」と、学者出身らしく表現し、安全性について一切の疑問が生じない対策が必要だとした。』(上記URLより)
・・・・・・・まあ何ですな、読売新聞って報道のトーンが反原発じゃない方なので、ここの「学者出身らしく」というのは何かの嫌味で入れたのでしょうなあというのは判りますが、そもそもあんさんが120%大丈夫とかそもそも100%だって有り得ないのに120%とか訳わからん事言って「思考停止で知的鎖国」を煽っているという認識が無いとかオソロシスとしか申し上げようがございませんな。
#いかん、ただの悪態になってしまった
○3次補正と増税案やっと決定ですかそうですか
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110928/k10015891701000.html
政府・民主党案決定も不透明
9月28日 4時22分
『政府・民主党は、27日夜、震災復興を柱とした総額12兆円規模の今年度の第3次補正予算案や、復興増税についての具体案を正式に決め、自民・公明両党との政策協議を経て、国会に予算案などを提出したい考えです。これに対し、自民党は、国会提出前の協議には慎重な構えで、すみやかに協議が行われるかどうかは不透明な情勢です。』(上記URLより)
まあ国会で協議すりゃええやんとか思うのですが、国会やるとまた議事が進行しないとかそーゆー不毛な話があって事前のネゴをしたいという事なのでしょうが、それって国対政治って奴じゃないのというツッコミをしてはいけません。
債券市場的には何だ結局増税案普通に民主党内を通るのねという感じで、これだとあまり材料にしないのじゃないかと思うのですけど、よー知らんけど。個人的にはもうちょっと先送り感が満載になって債券市場にてきとーな押し目でも作っていただきますと有りがたく存じます(ただの不謹慎)という所でしたが、復興債の償還が最初のうち5年位でどうのこうのという話がいつの間にやら15年とかになっている(まあ15年でやるのなら5年債出して減額ロールするとかなんですか、良く判りません)辺りに微妙にアレなものを感じますけれども、とりあえず国債発行計画がこれによってどうなるのかを見ないと反応のしようもないと思われます。
つーか12兆円やるのはいいけど肝心の復興計画の策定が地方自治体にマルナゲータになってしまいますと予算は出たけど使途が決まっていないので単に何とか基金で国債購入する資金に化けるとかしょうもない事にならない事を願う次第でございまする。
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2011/09/27
お題「PD懇&投資家懇で雑談である」
本当は東電関連でまた株が下がったりしやがって誠に遺憾という話もする筈だったのですけれども、国債投資家懇ネタで見事に増量&時間切れになってしまったのと、そもそも頭の交通整理中につき今日は穏当に雑談で恐縮至極でありまする。
○PD懇&投資家懇であれこれと雑談
今さらですがPD懇&投資家懇である。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/c230916.htm(PD懇)
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/b230920.htm(投資家懇)
・流動性供給入札&買入消却@PD懇
まずは流動性供給入札に関するMOFの説明。
『資料1-1のとおり、残存5-15年を対象とする入札は、比較的安定した結果が続いており、残存15-29年を対象とする入札も、4-6月期実施分に比べて無難な結果に収まってきている。また、6月の本会合において、発行対象銘柄を見直す頻度について、入札の都度見直すことが望ましいとの意見が多くみられたところである。
このような状況を踏まえ、資料1-2のとおり、引き続き残存5-15年ゾーン及び同15-29年ゾーンを対象にそれぞれ毎月3,000億円ずつ発行するとともに、発行対象銘柄をアンケート方式で、入札の都度見直す案を提示している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、国債市場特別参加者及び国債投資家懇談会メンバーともに、大多数が本案を支持する結果となった。いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し総合的に判断していきたいと考えており、10-12月期の流動性供給入札の実施方式について意見を頂きたい。
なお、資料1-2下段に記載のとおり、アンケート方式の留意点として、引き続き要望の多かった銘柄から順に選定するとともに、要望先が同数となった場合には、日銀保有分を除いた市中残高の少ない銘柄を優先する方針である。』
ということで、まあ極めて妥当な話で(投資家懇でもそうですが)特段苦情も出なかったのは良い傾向でありますが、そういや以前投資家懇だったと思いますが「流動性供給入札で需給が変化すると困る」みたいな「私はショートスクイーズをしていますよ」と言ってるかの如き発言をしている人が見受けられた(だいぶ前なので忘れたが)ような気もしましたけれども、やはりまあ流動性供給入札で恒常的に流動性の低かったゾーンの需給を緩和するという機能のメリットが浸透したという事で。
でもって買入消却に関して。
『物価連動債については、資料2-1のとおり、BEIは下落基調を辿った後、足元ではやや値を戻しており、9月15日時点で実質利回りは0.938%、BEIは▲0.420%となっている。こうした中、買入消却入札は7-9月期に入ってからも安く決まっている。
15年変動債については、資料2-2のとおり、無難な入札結果が続いていることもあり、価格は横ばいで推移しており、9月15日時点で実勢αは0.688%となっている。
資料2-3では、最近4年程の買入消却額の推移を示している。昨年10月の特別会計仕分けの結果を反映し、今年度も国債整理基金の取崩し等を財源とした買入消却を実施してきているところであり、10-12月期についても、従前同様に買入総額は7,500億円を予定している。また、参考までに事前に意見を聞いた際には、国債市場特別参加者からは、市中残高の減少等を背景に物価連動債の買入額を減額すべきとの意見も相応にみられたものの、国債投資家懇談会メンバーも含め総じてみれば、従前と同程度の買入規模、すなわち物価連動債1,500億円・15年変動債6,000億円を維持すべきとの意見が多かったところではあるが、当局としては、本日の意見も勘案し総合的に判断していきたいと考えているので、改めて意見を頂きたい。
なお、買入消却入札のオファー時刻は現行午前10時40分となっているが、本会合及び国債投資家懇談会において特段異論がなければ、10月実施分より同時刻を午前10時10分に前倒す予定である。』
物価連動国債および15年変動国債に関してはマーケットちゃんの流動性が相変わらず(PD懇および投資家懇でも指摘がありますが)な上に、15年変動についてはそれまでの発行し過ぎの後遺症が相変わらずなのでまあこれはこれで継続ですがなという事なのですけれども、実は地味にヒットなのはここの最後にある「入札のオファー時刻の前倒し」でござる。意見の中にも『なお、オファー時刻の前倒しについては、内外の投資家に対する周知徹底の時間に余裕ができることから非常に有り難い対応である。』ってありましたように、10時40分から11時までの間にどうにかするというのはこれがまた中々面倒でありまして、世の中証券会社のディーラーみたいに即断即決で売買行動ができる訳でもなく、特に投資家サイドでおまけに自己勘定じゃない(他人勘定ね)と来た場合には、売買するのに一々ああでもないこうでもないという手続きが必要な場合もあったりするので、20分というのはタイトですわなあってな感じどすえ。
・・・・とか何とか申し上げてますが、本来買入消却ってプライマリーディーラーが参加するもので他人勘定の投資家の事情がどうのこうのとか関係ないという説もありますが(汗)、まあ現実的対応という事で、これは参加者で文句を言う人はおらんでしょ。10時10分とゆーのも他の入札やオペのオファーと時間をずらしているので、買入消却に注目する投資家としては他の入札やオペのオファー通知のベンダー情報に紛れて見落とす事も無く大変にアリガタヤでありますな、うんうん(受信通知を何度も分けて送るのは手間なのかもしれませんが^^)。
・物価連動国債(とあたくしの愚雑談)
PD懇の参加者からの意見から。
『物価連動債は各月300億円の900億円まで減額し、その分15年変動債を6,600億円に増額することを提案する。また、15年変動債で十分吸収できるので、固定利付債の買入れは不要と考える。』
ほほう。
『物価連動債の足元の市中残高は3.3兆円を若干下回るところまで減少しており、現状のペースで買入れを続けると今年度末には3兆円を下回る。買入消却の副作用として市場機能の低下が生じている中、実勢と引値が乖離するケースが多く、新規取引に対する妙味も薄れている。物価連動債市場をこのまま消滅させるのか、それとも発行再開に向け市場機能を維持していくのかという点を明確化する時期に来ているのではないか。当社は買入消却を減額し、少しでも市場機能の改善を図るべきと考えている。』
物価連動国債の市場機能低下は買入消却無かったらもっとエライコッチャになっているような気もするのですが、まあこのまま残高が減っていくと市場としてどうなのという事になろうかと思います。でまあ物価連動国債ですけれども、よーするに国内投資家にニーズのある形で発行を再開すれば良いというのは話は簡単ですが、じゃあどうするとニーズが出るのかというとこれがまたヤヤコシヤ。
そもそも国債買う機関投資家サイドで物価上昇をヘッジするニーズがあるのかというのがありまして、アセットクラスの一環としてそらまあ有れば有った方が良いのかも知れませんけど、その他諸々のアセットクラスがありますからどうしても買わないといけないというもんでもないという残念な状況が。ただまあコモディティーとか不動産とかって話になると市場規模とか流動性の問題がありますので、そらまあ物価連動国債の市場がある程度の規模になって流動性が高まればこれはこれでニーズが後付で出てくると思われますです。
従いまして、新型発行する時には、国内投資家がシステム対応できるように前広に周知するのもそうなのですが、できるだけ会計、計理上購入するのにネックにならない方法(元本のフロア設定とかも含めて)ような設計にして頂くことを望みます。正直言ってBEIトレードとかどうでも良いので、国内投資家(できれば銀行とかのプロパー勘定よりも年金とかの他人勘定)に嵌り易くする設計を、となりますと、その辺りの(ある意味で言えばしょうもない)制度的な制約条件についてのご配慮を賜りたく存じます次第でありまする。
ま、それから別の発想になりますけど、本来的には物価連動国債って物価上昇のヘッジツールが少ないリテール投資家にフィットするような気もするんですけれども、ヘドニック掛けた後のCPIってえのが生活者的な体感的な物価推移と本当にフィットするのかというとこれがまた疑問な。結局のところ為替とエネルギーと食品価格が効いているような気もする次第で・・・・・・
と、話が激しく逸れましたが、いずれにせよ物価連動国債は現在停止中の商品設計で発行するとニーズもそんなに増えなさそうですので、もうすこし国内機関投資家が購入しやすい形にして発行再開(本質的にニーズが無いわけはない)すると共に、既存のモノにつきましては買入消却を進めてリプレースするという風にすれば、今まで発行したのも「重要な知見が得られた」ってな事で浮かばれるのではないか(勝手に死んだ事にしないように>自分)と思うのでありました。
・流動性供給入札&買入消却@投資家懇
今回はPD懇の議事要旨が妙にあっさり味で投資家懇の方がオモシロス(分量にして倍違う)という内容でしたので、投資家懇に関しまして以下引用してみるだよ。
流動性供給入札に関して。
『流動性供給入札については、ALM上、特に残存15-29年ゾーンにニーズがあることから、現行の発行額を維持してほしい。また、40年債を対象とすることを希望する。』
40年債対象希望とはこれはまた力強いご意見(^^)。
『流動性供給入札については、当局の提案を支持する。ただし、現行方式の下での平均発行銘柄数が、残存5-15年ゾーンで16銘柄、残存15-29年ゾーンで21銘柄であることを考えると、真に需給が逼迫した特定の銘柄を発行するというスタンスを明確にするためにも、オファー銘柄数を現行の60銘柄からもう少し絞るべきではないか。』
まあそれもそうですが需給が逼迫してなくてもレギュラースケジュールで実施するという面もありますので銘柄数をあまり絞りすぎるのもバランスが難しいのでこれは試行錯誤という感じかと。
『また、流動性供給入札において、応募倍率の低下やテールの拡大が恒常化した場合には、通常の新発債入札への悪影響も懸念されることから、国債市場特別参加者に対して一定の応札義務を課すべきではないか。』
・・・・・・うーむ、こう来ますか。これは俄かにコメントしにくいのですが、一定の応札義務って言いましても元々PDだって万遍なく全ての年限に対して1%落札しないといけないというもんでもないですし、応募倍率の低下自体はニーズを測るのに意味もあると思いますし、毎回アンケート実施で銘柄を決めるという流れになればそこまで懸念する必要は無いような気もするんですけどよーわからんので判断保留。
買入消却入札に関して。
『買入消却入札については、現状維持でよい。物価連動債及び15年変動債は、買入消却入札のタイミングでしか流動性が出てこない状況であることから継続した方がよい。また、来年度以降直ちにということではないが、物価連動債については、市中残高が3兆円を下回ってくる中、新しい形の物価連動債ということも含め、発行再開に向けた議論も必要と考えている。』
物価連動に関しては先ほどのしょうもない雑談の通りでありまする。
・まあ今回は何と言っても投資家懇の市場見通しが(^^)
前回のPD懇、投資家懇は6月20日にダブル開催だったのですが、その時はPD懇の参加者の相場見通しがやたらめったら強気のオンパレードの一方で、投資家懇の参加者の相場見通しが揃いも揃って「買いたい弱気」だったのが中々ワロタのですが・・・・・・
で、PD懇の市場見通しはあんまりオモロクナイので投資家懇の市場見通しからでござる。
そちらに関しましては、投資家懇の真ん中あたりに『(2) 最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて』ってのがあってそこから始まるのですが、誠に恐縮ですが冒頭から吹いてしまいました。たぶん生保の人。
『金利が低位で推移している現在の状況には困っている。』
・・・・・・・・えーっと、盛大に茶を吹いたのは良いのですが、何かしらないけどあたくしもその後目から汗が出てきて視界がぼやけてきたんですけど何が起きたのでしょうかorzorz
『予定利率を睨みながら運用しており、運用資産全体の利回りが低下すると運用の自由度が無くなってしまうため、今は4月、5月の運用益を少しずつ使い、運用資産を絞りながら対応している。今後については、金利がまた上昇するということであれば今までどおりの運用を継続できるが、現状を見る限り、国内にも海外にも金利上昇の要因があまり見当たらない。当面は今の運用を継続する予定だが、今のような状況が続くようであれば、運用方針を見直す必要があると考えている。』
・・・・・・・うーむ。
『世界的にリスクオフの動きが加速しており、その中でも日本国債は、ドイツ国債、米国債と並んでリスクの回避先になっているという印象を強く受けている。また、日本の金利は相対的に低いため、ドイツや米国に見られるような金利の急低下は起きていないが、為替が円高となっており、運用は世界中に分散投資しているため、かなり厳しい状況となっている。』
・・・・・・・・涙。
『今後の運用について、世界中でリセッションの懸念が高まっている状況ではあるものの、日本の株式市場、為替市場は欧州に引きずられて少し行き過ぎている部分もあるのではないかと思っているので、基本的には、従来のスタンスを変えて、よりリスク回避に動くような投資行動は慎んでいる。一方、財政問題が懸念される場合における金利上昇にも警戒する必要があるため、投資行動としては動きづらい。金利上昇を多少は警戒しながら、リスク回避の動きにも注意しなければならないため、今のところ打つ手がないという状況である。』
>今のところ打つ手がないという状況である
>今のところ打つ手がないという状況である
>今のところ打つ手がないという状況である
『欧州の債務問題が長期化・深刻化しており、また米国をはじめとした景気の先行き不透明感もあって、今後も長期金利の低下が長引くものと考えている。当社の運用としては、期初から金利の予想レンジを外しており、運用が不足しているため、当面は偏った金利観を持たずに淡々と購入していくのが最善ではないかと考えている。復興債の問題等、不透明な要因があるものの、発行当局においては、市場の状況等をよく勘案して対応されるものと期待している。』
「期初から金利の予想レンジを外しており、運用が不足しているため、当面は偏った金利観を持たずに淡々と購入していくのが最善ではないかと考えている」って気持ち良く判りますよ、うんうん。
とまあ相場観の部分って今回は前回の買いたい弱気攻撃から、どうもすいません状態になってますなあというのは把握した。
・国債市場をめぐる構造要因の指摘
更に投資家懇の運用方針などの部分から。
『現状において、銀行の預貸率が以前は70%強程度だったのが、ここ2〜3年で60%程度にまで低下している。その結果、銀行における運用のスタンス・位置付けが、これまでの余資運用から、全体の資金収益や金利リスクをコントロールすることを目的とした運用へと変化してきており、それがデュレーションの長期化などとして現れている。』
ほうほう、でその続きですが。
『過去5年間低金利が続いており、市場のリスク量をVaR値で計ると、国債のVaR値が1.7倍くらい上がってきている状況である。金利が低下する局面やレンジ相場であれば、ほとんど影響はないが、ひとたび金利上昇に向けた何らかのストレスがマーケットにかかった場合、リスク量をある程度削減する動きが一斉に出てくる可能性も考えられる。潜在的に金利リスクのリクイデーションを常に抱えている状況だと思われる。』
で、財政当局においては財政の健全性維持の姿勢をという話の部分は割愛しますが、同じような指摘が色々とあるのが今回の投資家懇の興味深いところ。これは別の人ですが。
『マーケット関係者においてはどこも同じ状況だと思うが、最近の金利低下の状況の中では、かなり苦しい状況となってきている。グローバルな要因により、金利が潰されてしまっている状況の下、リスクオンするとしても、運用する先が見当たらず、国債を買わざるを得ない状況が続いている。国債を買うペースを緩めることや、マチュリティを変えるなどの工夫は考えられるが、金利水準に妙味がない状況が続くと、デュレーションを長期化するか、レバレッジをかけるなどして、収益を嵩上げする方法を考えざるを得なくなり、その分投資リスクを高めてしまうおそれがある。こういった状況の中では、何らかの圧力があると、金利上昇に直結してしまうことも考えられる。』
なるほど。更に別の方はこのような話を。
『当社としては、今後を考えると、会計基準を踏まえた資産と負債の経済価値の評価という大きな動きの中で、資産側のデュレーションを合わせていくというテーマで動いているので、金利水準によって多少購入額を抑えるかもしれないが、購入を控えることはなく、引き続き長期の国債を購入する必要があると考えている。』
また、こういう指摘も。
『金融機関によっては、預金は集まるものの融資が伸びないため、そのギャップが大きくなって証券投資に資金がまわっているのが現状であり、リスクを取らないスタンスから国債への投資が進んでいる。しかし、ここまで金利低下している局面においては、当初は国債への投資の残高を増やす、デュレーションを伸ばすという動きになろうが、融資が伸びず収益が低迷する中で市場運用に対する期待は大きいこともあり、今後は国債以外の選択肢も模索する動きになるのではないかと思っている。当面は、金利水準をよく見ながら、厳しい運用が続くと考えている。』
とまあそんな感じで、国債を始めとして債券投資に掛かる比重は益々高まりますなという流れが継続しそうな悪寒。ただまあ現状の市場に関しては欧米のヒャッハー相場に対して落ち着いている感もあるわけで・・・・・
『また、国内の金利水準については、グローバルな金利低下につられている側面があるとはいえ、10年債1%割れは過去4回程度経験があることから、マーケットも学習しており、喜んでその水準の国債を買っていく投資家はほとんどいないと思っている。金利低下に対して経験があるという意味で、欧州や米国に比べ、日本のイールドカーブは成熟している印象がある。今後においても、投資家は、自制の働くようなイールドカーブの中で、キャリーを取っていくことになると思っている。』
ということなんでしょうなあという所になるかと存じます。
#ということでほとんど国債投資家懇ネタなうえにほとんど引用で増量の企画でありました(汗)
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2011/09/22
○その前に国内関連雑談メモ
・しらっと3MTB増発
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct230921.htm
国庫短期証券(第226回)の発行予定額等
4. 発行予定額 額面金額で5.1兆円程度
・・・・・・・久々の3か月TB増発。まあだいぶ前に結構増えた後減っていたので、この玉不足の折買う方的にはアリガタヤなのですが、当然ながらこの背景には国庫資金繰りがありまして、まあ先般の介入とか、今後の埋蔵金活用とかの絡みがあるんでしょうなあと思いますが、国庫の資金繰りに関してはまあこれがまた外の人から見るとワケワカランチ会長なので想像するしかないですなあという感じです。
・法令解釈担当にアンチビジネスさんですかそうですか
これは火曜日のニュースでしたが。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011092000354
法令解釈担当は枝野氏
『野田佳彦首相は20日午前の閣議で、法令解釈事務の担当閣僚に枝野幸男経済産業相を指名した。首相は13日に平岡秀夫法相を法令解釈担当に指名したが、鉢呂吉雄前経産相の辞任に伴い、菅内閣で法令解釈を担当した枝野氏が再入閣したため、継続性を重視して変更した。』(上記URLより)
・・・・・・・ほほう東電関連で金融機関に法的根拠も無く債権の削減を要請するという素敵なアンチビジネスの方が法令解釈をするんですかそうですかorzorzorz
#他にネタがあった気もするがFOMC関連が思いの他文書が大杉勝男なので華麗に忘れた事にして以下FOMC関連
・と思ったが日本ネタではないがこんなのがあった
http://www.kc.frb.org/publicat/newsroom/2011pdf/press.release.09.15.11.pdf
ESTHER GEORGE NAMED PRESIDENT AND CHIEF EXECUTIVE OFFICER OF THE FEDERAL
RESERVE BANK OF KANSAS CITY
カンサスシティ連銀のホーニッグ総裁に代わりまして筆頭副総裁のエスター・ジョージ(って読むのか??)さんが総裁に就任だそうですが、まあホーニッグさんの退任は任期満了に伴う退任ですし、筆頭副総裁の昇格ですから既定路線と思われるのでメモだけ。
・・・・・・ということでFOMCですが株式市場のクレクレ相場恐るべしというメモを
・S&Pは下落ですかそうですか。
http://www.bloomberg.com/apps/quote?ticker=SPX:IND
Last Update: 4:19 PM ET, Sep 21
-2.939% VALUE: 1,166.760 USDS&P 500 Index (SPX:IND)
たまたま画面を見た時間はこうなっているだが、Interactive Chartって所の1Dというの(ようはイントラデイチャート)を見ると14時半(米国東部時間)から下落開始してその後戻ったものの15時15分くらいから華麗に下落しているように見えますが、株式市場は何を期待していたのでせうか・・・・・・
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2011/09/21
○暫く前にURLだけご紹介した昔の日銀ペーパーネタを少々
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2003/data/wp03j04.pdf
長期金利の変動をどう理解するか?
:マクロ経済モデルを利用した期待短期金利成分とリスクプレミアム成分への分解
2003年10月のペーパーなのですが、こちらで分析しているのは1995年以降の日本の長期金利と戦後の米国の長期金利の話で、主に分析しているのは時間軸効果に関する話なのですが、これはまあペーパーの出た時期が2003年10月につきシャーナイナイではございますが、実際問題としては日銀の時間軸というのは第1弾から第3弾まであって徐々に進化しているというのはマニア同士の会話では極めて普通なのですがマニア以外には何がなんの事やらという感じかと存じますので本論から外れますが一応書いてみるお。
・第一次時間軸:最初のゼロ金利政策の時
もともとゼロ金利政策が開始になったのは1999年2月なんですけどね。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_1999/k990212c.htm/
当面の金融政策運営について(1999年2月12日)
最初のうちは「当初0.15%前後を目指し、その後市場の状況を踏まえながら、徐々に一層の低下を促す」という言い方をしていて、「ゼロ金利政策」という言い方をしてて、声明文で「ゼロ金利政策」という言い方をしたのは実は1999年9月からというのが微妙にチャーミングではございますが、たぶん総裁会見か何か(まだ全部探せていないので探したら追記するだよ)でその前に出ていると思うのですが、金融政策に関する公表文書ベースでは1999年の9月に出ています。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_1999/k990921a.htm/
当面の金融政策運営に関する考え方(1999年9月21日)
ここの(10)のところに『(10) 日本銀行は、歴史的にも世界的にも類例のない思い切った金融緩和政策を講ずるとともに、この政策を「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまで」続けることを明らかにしています。』とあるのが要するに第一次時間軸ですな。
・第二次時間軸:量的緩和導入時
つまり2001年3月である。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2001/k010319a.htm/
金融市場調節方式の変更と一段の金融緩和措置について(2001年3月19日)
の(2)にありますように『(2) 実施期間の目処として消費者物価を採用』として、『新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、継続することとする。』となりましたわな。
・第三次時間軸:2003年9月にコミットメントの強化を実施
これである。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k031010.htm/
本日の金融政策決定会合における決定について(2003年10月10日)
そこの(3)に『(3)金融政策運営の透明性の強化』ってのがありまして、『金融政策運営の透明性を強化する観点から、量的緩和政策継続のコミットメントをより明確化するとともに、経済・物価情勢に関する日本銀行の判断について説明を充実する(「金融政策の透明性の強化について」参照)。』とあって、その別紙はこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k031010b.htm/
『量的緩和政策継続のコミットメントの明確化』って所に色々と書いてありますが、
『第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。この点は、「展望レポート」における記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である。こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。』
とまあここまで細かく手足を縛るのが「強化された時間軸政策」でありまして、「state-contingent」とか言ってるのは時間軸でも何でもないのですが、なにせバーナンキ様におかれましては世間にバーナンキプットと呼ばれる位の方ですので、そーゆー意味から時間軸が強くなる、というのもありますし、そもそも論からして日本の場合は第一次時間軸の際に速水総裁が前科一犯を(結果的には)やらかした事からそもそも時間軸を構成する中央銀行の政策スタンスに対する市場の認識が米国の場合と全然違うというのがあるので、その辺も勘案すると味わいが深いのかもしれませんがそれは兎も角。
ということで、話が思いっきりワープしましたが、元に戻しますとこのペーパーの続き(2003年10月以降の時間軸効果)に関して本当は分析したのってどこかにないのかなあ(探したらあるのかもしれませんが日銀の中の人で知ってる人いたら教えてジェネラルである)とか思いますが、まあそれまでの時間軸に関しての話と、米国のツイストオペレーションの事例を分析した結果は冒頭部分にサマリーがあるので手抜きでそこを引用するざます。以下さっきURL乗っけたWPから引用。
『本稿での分析の主要な結果をあらかじめ紹介すると、次の4 点である。』
『(1) 1995 年以降についてわが国の中長期金利の推移を捉える場合、概ね3つの時期(1995
年〜1997 年、1998 年〜2000 年、2001 年〜2003 年初)に分けて考えることができ、段階的に中長期金利の水準が低下してきている。これは、景気の後退とそれに対応した金融緩和効果などを反映して、期待短期金利成分とリスクプレミアム成分の両者が低下した結果として理解できる。』
『(2) わが国の長期金利(10 年物)の推移を期待短期金利成分とリスクプレミアム成分に分解して観察すると、期待短期金利成分については、概ね前述の3つの時期ごとに段階的に低下してきている。この過程では、金融政策の時間軸効果が同成分の引き下げに寄与した面もある。』
『一方、リスクプレミアム成分は、1998 年以降2001 年末まで趨勢的な変化はなく比較的安定していたが、2002
年入り以降徐々に低下を始め、2003 年第1 四半期までにはかなり低い水準に達した。なお、本年7
月初に長期金利が反騰する局面では、リスクプレミアムは比較的低水準にとどまったが、本年8
月下旬以降に再び長期金利が上昇した局面では、リスクプレミアムが多少拡大する動きが観察される。』(本年というのは2003年です)
ということで、そのリスクプレミアムが拡大したので第三次時間軸の導入に至った(実際問題としてはその前の9月に期間10か月(だか9か月か記憶があやふやだが異例に長い期間)の資金供給オペを連発した上に、福井総裁が会見で量的緩和継続について強調したためにリスクプレミアムは落ち着いたと思います)という事でしょうな。
『(3) わが国の中長期金利を分析した結果、ゼロ金利政策期や量的緩和期には、同政策の継続期間を将来のデフレ脱却と関連付けて判断するという日銀のアナウンスメントが長期金利の形成に対して有意な効果を及ぼしたことが確認された。』
なるほど。
『この時間軸効果は、主として将来の期待短期金利を引き下げることにより、長期金利を低下させる形で機能した。特に2002
年第3 四半期から2003年第1 四半期にかけては、市場参加者は日銀が将来の量的緩和解除の見極めをより慎重に行うと見るように変化してきた、あるいは時間軸のアナウンスメントの意味に対する市場の理解が進んだ可能性が検出された。なお、2003年8
月下旬からの長期金利上昇局面では、市場の予想する量的緩和解除時のCPI下限値が若干低下したが、それでも引き続き、ゼロを有意に上回っている。』
ふーん。
で、一方の米国なのですが・・・・・・
『(4) 米国における1940〜50 年代の国債価格支持政策期と1960 年代前半のツイスト・オペ期について、それぞれ長期金利の推移を分析した。その結果、前者の時期には、期待短期金利成分が上昇してもリスクプレミアム成分の低下がそれを相殺する形で、長期金利の上昇が抑制されたケースが見出された。これは、国債価格支持政策が市場で信認を得ていたことを示唆する。また、当時は、金融政策がシステマティックに運営されるという認識が浸透していなかったことも、リスクプレミアムに政策的な影響を及ぼしやすかった一因と考えられる。』
『なお、国債価格支持政策が放棄されてアコードが締結されたのは、リスクプレミアムがほぼゼロになった時期であった。一方、後者のツイスト・オペ期には、リスクプレミアムに目立った変化が現れておらず、政策効果は検出されなかった。』
『また、将来の短期金利の経路がシステマティックな金融政策運営によって決まるものと認識されると、リスク・プレミアムが小さくなり、その分、直接的な金利ペッグ、国債買入オペ、ないしアナウンスメント等によってリスクプレミアムを操作し得る余地が小さくなると考えられる。』
まあ何ですな、これって第二次時間軸から第三次時間軸の期間に幸いにも債券ディーラーやってて長期債やら中期債やら短期債(短国ではない)やらをいじっていたので体感的に同意なのですけれども、金融政策の期待経路って金融政策自体が「state-contingent」で運営されているとなると、結局のところ外部情勢、というか経済情勢依存になるので、金融政策の緩和効果が強く認識されて経済情勢が若干なりとも好転したら、その時点で金融政策の期待経路が一気に大きく変化してしまいますので、まあ要するにマーライオン相場になる(途中まで真面目に書いているのに最後にマーライオンとか書いちゃうのがドラめもんクオリティなのでケンチャナヨ)とゆー事でございまして、恐らく過去の米国市場と今の米国市場では市場環境が全然違いますので、やはり「長期金利操作」は難しい(別にツイストじゃなくても同じ)と思うのでして、FEDもいい加減に「長期金利操作」的な政策ロジックは放棄すべきだと思うのですけどねえ。
#などと書いていたら時間ががががががが
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2011/09/14
○まったく反省していない・・・・・・・
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110913-OYT1T00501.htm
東電債権者の負担「当然」…枝野経産相
『枝野経済産業相は13日の閣議後の記者会見で、東京電力による福島第一原子力発電所の損害賠償を政府が支援する枠組みについて、「税金の支援がない場合に生じたはずの負担を(金融機関などの)債権者に当然負ってもらう」と述べた。』
『東電は政府の支援を受け法的整理を回避しながら賠償を進めるが、東電の特別事業計画には、金融機関による債権の一部放棄や返済猶予などが含まれるべきだとの考えを示したものだ。』
『枝野氏は官房長官時代の今年5月にも金融機関による債権放棄が必要だとの考えを表明したが、東電の特別事業計画を認可する経産相としての発言は、今後の計画立案にも大きな影響を与える可能性がある。』(2011年9月13日12時56分
読売新聞)
ということで、おもわず全部引用してしまいまして読売新聞さんすいませんすいませんという所ですが、相変わらず何の反省も無い枝野大臣なのであったというのが判明して誠に遺憾の極み。
事後法で優先劣後の順番をひっくり返す話とかのアホラシさに関しては既にこのアホウが官房長官時代に行なった無法発言に関してああだこうだと悪態を申し上げた通りでございまして、まあ何と申しますか全く経済というか金融というかを理解しておらず、あれだけ散々市場を引っ掻き回した件に関してもどうもこの人的には悪いのは東電だと思っているんでしょうなあマッタクモウ。
優先劣後の件をさておきましても、まあそら国家権力は最終兵器みたいなもんでございますから東電の特別事業計画認可しないで賠償機構を作らないというようなワケワカラン大技を繰り出すと脅せば枝野大臣ご所望の展開になるかもしれませんけれども、当然ながらそんな事をやったら債権放棄させられた東京電力向けも当然の事ながら、一発事故が起きたら大変な事になる原子力発電所のオペレーター(原発は停止している時だって事故が起きるリスクあるわけですし・・・・・)、即ち沖縄電力以外の全ての電力会社に対する融資も引き上げないと危なくてやってられませんがな、という話に普通になっちゃいますし、そうなった場合に日本の産業および国民生活の基盤を担う電力会社の資金繰りとかはどうなるの、というような事に対する想像力に致命的な欠陥があるとしか思えない枝野経済産業大臣なのでありました。
まあ何と申しますか、この超目先の事にしか想像できず、先行きの損得に関する件を全く考えていないというこの枝野経済産業大臣ってえのは、「朝三暮四」の故事成語に登場する狙公の飼ってるエテ公にも劣る(エテ公はトータルの数字が一緒で朝三なのか朝四なのかで文句言ったわけですからねえ・・・・・)ようでございまして、猿にも劣るような目先の利益に飛びつく存在ということですから欲豚なんでしょうなきっと。
確かウォール街の相場格言とかいうのだったと思いますが、「ブル(=強気)は時々儲ける。ベア(=弱気)も時々儲ける。しかしホッグ(=欲張り)は決して儲けない。」ってのがあったと思いますが、目先の賠償金負担を減らすために無理筋の話を持ってきて、その結果将来に大きなコストを払わせる事になるというのに全く気がつかない(その上以前その発言をして大混乱を起こしたことへの反省も無く同じ発言を繰り返しているから救いようが無い・・・・・)この欲豚さんはどうにかならんのですかねえ・・・・・・
まあ、目先「金のあるところから無理矢理御用金を召し上げる」ということだけ考えて、叩くと世間的に受けそうな金融機関を無法措置で痛めつければ良いというようなアンチビジネス的な発想を持つ人間を経済産業大臣という重要な経済閣僚ポストに就けるとか野田首相のセンスがそもそも全く意味不明で、民主党っつーのはまともなのは居ないのかと頭がクラクラするんですけどね。
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2011/09/08
お題「決定会合レビュー」
えーっと、今回の決定会合に関しては結果そのものよりも何か別の部分で色々とマニア的にはオモシロスな展開でございまして(^^)。
○声明文比較は今回は7月と8月を持ち出して確認:まずは現状判断部分
8月は「先行きのリスク対応」で追加緩和を実施しましたので、その時の声明文は文体が微妙に違っていまして、そーゆー意味では7月のと比較もしないといけないのが今回のややこしいところ。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110907a.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110804a.pdf(前回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110712a.pdf(7月)
・現状判断部分が微妙に上がっていますな
『わが国の経済は、震災による供給面の制約がほぼ解消する中で、着実に持ち直してきている。』(今回)
『わが国経済は、東日本大震災による供給面の制約が和らぐ中で、着実に持ち直してきている。』(8月)
『わが国の経済は、震災による供給面の制約が和らぐ中で、持ち直している。』(7月)
ということで総括判断自体は「着実に持ち直し」なんですが供給制約の部分が「ほぼ解消」と判断を前進させています。
・需要項目別判断は7月と比較
需要項目別の話は8月は割愛されていましたので7月と比較。
『すなわち、生産や輸出は、増加を続けており、概ね震災前の水準に復している。こうしたもとで、国内民間需要についても、持ち直している。』(今回)
『すなわち、震災後に大きく落ち込んだ生産活動は、供給面の制約が和らぐ中で、このところ持ち直しの動きが明確になっている。このため、輸出は増加に転じている。国内民間需要についても、家計や企業のマインドが幾分改善するもとで、持ち直しつつある。』(7月)
「概ね震災前の水準に復している」キタコレという感じですが、7月と比べて表現がスッキリしているのは「経済のハードデータを見ると震災の影響からの復旧」という中心的な見通しに対して整合的に経済が進展してますよという事を示しているといった風情。
・金融環境、物価環境
『この間、金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われるものの、総じて緩和の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、基準改定に伴い下方修正され、概ねゼロ%となっている。』(今回)
『この間、金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われるものの、総じて緩和の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスで推移している。』(7月)
物価指数の基準改定を反映させているだけで基本的なところには変化は無いです。
○先行き見通しは7月と8月の表現をブレンド
表現はブレンドしていますが基本的な見方には変化がありません、という事ですな
・経済見通しは基本変化が無いのだがしかし海外需要って大丈夫なの??
『先行きのわが国経済は、堅調な海外需要を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた国内需要の顕現化などから、2011
年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(今回)
『先行きについても、生産活動が回復していくにつれ、輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくものとみられる。』(8月)
『先行きのわが国経済は、供給面の制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011
年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(7月)
「堅調な海外需要を背景とする輸出の増加」ってのが何かアレな感じがするのですが・・・・・
・物価見通しは(見通しそのものは同じなのでしょうが)しょんぼり感が強まる
『消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。』(今回)
『この間、物価面では、当月に予定されている基準改定に伴い、消費者物価の前年比が下方改定される可能性が高い。物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる。』(8月)
『消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる(注2)。
(注2)本年8月の基準改定に伴い、消費者物価指数の前年比は、下方改定される可能性が高い。』(7月)
ということで物価に関しては徐々に表現に寂寥感が漂うのでありました。要するに8月にあるように「何かもう物凄く時間が掛かるけれども方向は一応上に向いているんですよ一つよろしく」というのが見通し(つまり水準は残念なものの基調的に下向きになるという予想ではないとゆーこと)でございますな、うんうん。
○リスク要因はこれまた7月と8月のブレンド風味だが国内要因が減っているような
並べてみる。
『景気のリスク要因をみると、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。新興国・資源国では、物価安定と成長を両立することができるかどうか、なお不透明感が高い。こうした海外情勢を巡る不確実性や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国経済に与える影響については、丹念に点検していく必要がある。』(今回)
『海外経済をみると、米国においては、債務上限問題が決着をみた後も、市場では、財政健全化を巡る懸念は払拭されておらず、最近では景気の先行きに関する見方も慎重化している。欧州周縁国のソブリン・リスク問題は、全体としてみれば、依然として緊張した状態が続いている。新興国・資源国では、物価安定と成長を両立することができるかどうか、なお不透明感が高い。こうした海外情勢や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国の企業マインドひいては経済活動にマイナスの影響を与える可能性がある。』(8月)
『景気のリスク要因をみると、サプライチェーンに関する懸念は減じているが、震災の家計マインド等を通じる影響については、なお注意する必要がある。また、やや長い目でみた電力の供給制約については不確実性が幾分増している。海外経済については、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。新興国・資源国については、物価安定と成長の両立に関する不確実性が大きい。』(7月)
7月と比べてみるのが良いのですが、国内要因に関する部分がざっくりと無くなっているのが微妙に微妙な所。まあ7月から9月に向けた変化という意味では当然ながらその間に海外情勢があばばばばーになったというのがあるので、リスク認識的に海外のウェイトが高まったというのがあるのと、声明文のワーディング的に言えば8月にリスク対応で追加緩和をする際にリスクの話をああでもないこうでもないとした分とのバランスを取っている面があると思われますので、今回は声明文ベースでは海外要因の話ばかりになっているという所なのかなあとは考えてますけど、7月までと比較した場合に特に中長期的に見た場合の電力供給制約の話が抜けた点については少々違和感が。
まあ認識から抜けたという事ではなくて、今回は足元で海外経済問題の方がリスク要因としてクローズアップされているからこういう表現になった、という事だとは思うのですが月報を確認したい所です。
・物価のリスク認識は変わっていないとな
『物価面では、国際商品市況の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)
これは7月と全く同じ表現であります。ふーん(棒)。
○最後のアピール文書に味わいが・・・・・・・
書き物の構成上7月のを先に引用。最後の決意表明みたいな所です。
『日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するために、包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和の推進、金融市場の安定確保、成長基盤強化の支援という3つの措置を通じて、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく。今後とも、震災の影響を始め、先行きの経済・物価動向を注意深く点検したうえで、必要と判断される場合には、適切な措置を講じていく方針である。』(7月)
まあ毎度こんな感じ(8月は追加緩和を実施したので微妙に違う)なのですが、今回の決意表明みたいな部分がアピール文書になっているのに泣いた。
『日本銀行は、前回の金融政策決定会合において、先行きの景気について下振れリスクにより留意すべき情勢となっているとの判断に基づき、資産買入等の基金を10兆円程度増額し、現在は、金融資産の買入れ等を着実に進めている。』(今回)
前回追加緩和やったんですよおおおおおお!!!!とな。さらにアピりは続く(^^)。
『また、日本銀行は、「中長期的な物価安定の理解」に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく方針である。』(今回)
日銀は以前からFRBの時間軸みたいな事はやっているんですよ!!というアピールと共に、先ほどの物価に関する見通しで「当面はゼロ近傍」という事になっていますし、そもそも8月の時点で「物価安定の理解の実現には時間が掛かる」という説明をしていますので、セットで考えれば当然ながら「現在の緩和政策の解除には時間がかかりますなあ」という話になるので、そーゆー意味では「conditional
expectation」のFRBと遜色ない話をしているんですよおおおおおお!と言いたいのでしょうな。
#まあベースの物価水準が米国と日本じゃ違いますなあとか言われたらどう答えるのか見てみたい(大体想像が付くんですけどね^^)のですが
『日本銀行としては、こうした包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和の推進、さらには、金融市場の安定確保や成長基盤強化の支援を通じて、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するよう、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針である。』(今回)
ということで、こちらのパラグラフでの涙ぐましいアピりっぷりに関しては、ちょうどここにもあります「中長期的な物価安定の理解」の明確化の時の文書でのアピりっぷりを髣髴させる涙ぐましいものを感じるのであります。折角だからその時の文書へのURLを置いておきますのでフォントのでかさや「超低金利!」「0.1%!」というスーパーのチラシのような追加緩和の宣伝文書を改めてご覧になってくんなまし(^^)。
どちらも2009年12月1日の公表文書ですので念の為。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/un0912b.pdf
(参考)金融緩和の強化について
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/un0912c.pdf
「中長期的な物価安定の理解」の明確化
・・・・・・・えーっとですな、まあ何と申しますか今回のこの涙ぐましいアピール振りを見ておりましてあたくしが勝手に脳内に湧き起ってきた光景なんですけどね。
学校のクラスで成績優秀でスポーツ万能でイケメンなクラスの人気者が色々と皆から拍手喝采されるのを横目に見ている勉強はするんだけどブサメンでオタで人気が全然無い子が「ボ、ボ、ボクだってイケメン君と同じような事をしてるんだぞオオオオオオオ!!!!!」と必死にアピールするの図みたいなのを想像して何故かナイトメア的なフラッシュバックが発生したような気がして目から汗がorzorzorz
・・・・・まあそうやってアピっても「キモッ」の一言で片付けられてしまうような所がまた更に目から汗ががががががorz
まあ何ですな、バーナンキ君は兎も角として、トリシェ君なんぞどう見ても逆噴射利上げしてふざけんじゃねええええと思うのですけれども、そっちは何故かあまり言われずに国債買入の方を褒められているような気がするのは何なんでしょうねマッタクモウ。
ということで声明文比較の筈が途中から駄ボラになりまして誠に遺憾に存じますm(__)m
○しかしおまいらどういうヘッドライン打ってるんだよ
ニュースのヘッドラインはベンダーで見るのですが、最初に共同のヘッドラインを見て茶を盛大に噴いたのだがその後もこのヘッドラインだらけとか・・・・・・・
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011090701000486.html
日銀、追加金融緩和は見送り ゼロ金利政策は維持
・・・・・・えーっとですね、金融政策ってのはそう毎月のようにホイホイ変更するようなものではありませんで、普通は「現状維持」がデフォで何か現状維持ではまずいという時に変更が行われるのでありまして、この「追加緩和は見送り」というヘッドラインだとあたかも「追加緩和するのが正常で見送るのは正常ではない」みたいな書き方(つーかそう思っているんでしょ共同通信さん)なのはもうアホか馬鹿かと。
と思ってたら、その後ベンダー見てて同じく「追加緩和見送り」とか産経が出してまして、まあ産経クオリティだからなあとか思ってたら、他紙も共同の転電で報道しているのか「追加緩和見送り」というヘッドライン一色でした。かろうじて「現状維持」というヘッドラインを出していたのが毎日新聞だけ(あたくしが目視したベースなので漏れがあるかもしれません、あと見てるベンダーの都合でクイックと時事は判りませんでしたが、今朝のモーサテも「追加緩和見送り」とか抜かしてやがりましたな)という状態。
ちなみに市場の方はと申しますと、ドル円は瞬間20銭ちょっと位円高に振れましたけれども、その後特段の動きは無し(というか若干円安に戻っていました)ですし、株式市場は(単に当日のアジア株が強いからだけだと思いますが)普通に上昇ということで、別に市場は「ふーん」で終了だった訳でして、メディアというかポジション持たないで外野で無責任に煽っている人たちが騒いでるだけじゃんという結果となっていて誠に残念な展開でございました。
ちなみに、共同通信が昨日配信していた「追加緩和見送りの解説」というのが中々凄まじい電波浴が可能なのでありますが、どうもベンダー向けに出している記事のようなので勝手にネタに出来ず残念無念なところでございまする。何でも欧州の債務問題が金融不安に発展した場合には今回追加緩和を行わなかった日銀が悪いそうですよ。いやもう凄いのですけれども、産経の場合は所詮産経ですから電波ゆんゆんでもそんなに伝播力無いですけど、共同通信の場合は全国に転電されてしまいますのでもうちょっとまともになって頂くか、それとも都心に海から吹く風の邪魔をするとも言われる汐留の電通株上場益御殿と共に以下自主規制という感がするものでございます。
#いかん、悪態かいてたら時間があああああああ
なお、ベンダーのヘッドラインを見ていますと、どうも総裁会見で麿クオリティがまたまた炸裂した感があるようなのですが、詳しくは会見要旨を見て確認したいと思います。
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2011/09/07
○で、日銀決定会合ですが・・・・・・・
まあ何ですな、今回は別に政策の変更とかは無いでしょうけれども、声明文や総裁会見において経済認識あるいは先行きのリスク認識の変更が行われる可能性は普通にあるでしょと思います。恐らく先行きのメインシナリオ自体はいじってこないと思いますけど。
でまあ円高対策でどうのこうのとか言われるのに対してと、復興財源の国債引受に対してどうのこうの言われるのに対して、白川総裁がいつものクオリティで原理原則論を展開しだして広報担当と企画担当の顔が青くなるに1万ドラクマ。
あたくし的には米国がツイストオペと言われるような長期金利に働き掛ける(はっきり言ってそれは無理というか見た目ほど効果が出なくてただの目くらましにしか成らないと思いますけどね)のであれば、日銀はそれに対抗して基金買入の拡大で2年債とETFをドドーンと買いますよって話をして(まあそもそも他のものが物理的に買いにくくなっているのは昨日の社債買い入れの結果をみても明白なのですが)いくのがまあ一番コスト少なめで済みそうな気がするんですけど、こればっかりはよく判らんですな。
なんかさ、毎度毎度のように「追加緩和クレクレ」って話もよー聞くのですけれども、じゃああんさんらその追加緩和ってどういうのをやって、それによってどういう効果があって、その一方で副作用はこういうのがあって(副作用が無い政策なら効果も無い)、その効果と副作用を天秤に掛けたらこうだから実施すべきとかゆー話がついぞ無いで為替市場とか株式市場の何とかストの皆様がイメージだけで好き勝手言ってるのは何だかなあと思うんですけどとかただのお前が言うなですかそうですか。
まあFOMC後の為替市場とか株式市場の動き次第か、そうじゃなかったら第3次補正予算を含めた経済対策を出すタイミングの前後かどっちかで基金オペ拡大(といっても先般から申し上げているように固定金利オペの増額余地は無いし、CPと社債も既に市場規模的に買入の増額は無理があり、短国はレートが下がりきっているのでこれまた同様、REITはそもそも市場規模がアレですからとか考えると、さっき申し上げたように2年国債とETFになると思うのだが)という話になるんですかね、よー知らんけど。
とりあえず、先ほども申し上げたように、今回の総裁会見で白川総裁の「一般的に申し上げますと・・・・・・」攻撃が何発出るのかが個人的には興味のある所でございますが、まあ政治環境とか考えた場合にあの麿クオリティは余計な軋轢を産むだけですので、企画局及び政策委員会室におかれましては、麿の着ぐるみを早期に開発していただきまして、会見の時だけは中の人を別の人(福井の俊ちゃんとか^^)にした方が吉なのではないかと存じます(−−;
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2011/09/02
超どうでも良い話なのですが・・・・・・・
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110902/t10015314321000.html
東電の不動産 簿価で1兆円超
9月2日 2時51分
『福島第一原子力発電所の事故の賠償金をねん出するため、東京電力の財務状況などを調査している政府の委員会は、東京電力が保有する不動産が、取得した時点での価格、いわゆる「簿価」で総額およそ1兆1000億円に上ると算定したことが分かりました。』(上記URLより、以下引用割愛)
たぶんですね、このニュースの本来の「ニュースとしての意味合い」ってのは売却可能な不動産は東京電力が申告(簿価ベースで100億円程度)しているよりも多い筈だと経営・財務調査委員会が認定した、というのだと思うのですが、ニュースの題名が上記のようになっていまして何と言うか報道している方々には簿記3級持ちもいないのでしょうかと不思議。
簿価でこれだけある事が「判明しました」ってそれは貸借対照表に明細が載っている(少なくとも税務申告資料には詳細に物件明細がある筈なのですが・・・・)もので「調査する」とかいう以前の問題じゃないのかなあと朝から激しく頭の中に????が飛び交うのでありました。
と、どうでもよい前置きが長くなりましたが、まずは10年入札があったというのにそっちの話は華麗にスルーしてこっちの話を。
○6か月固定オペロール分惜しくも(こら)札割れならず
昨日のオペレーションでございますが。
オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110901.htm
共通担保資金供給(本店)<金利入札方式> 10,000 2011年9月5日 2011年9月26日
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2011年9月5日 2012年3月5日
結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110901.htm
共通担保資金供給(本店)<金利入札方式>(9月5日スタート分) 19,244 10,003 0.100 0.100 52.0
共通担保資金供給(資産買入等基金)(9月5日スタート分) 8,290 8,002 96.5
3週間物の金利入札オペには19244億円の応札が入り、一方で6か月物の固定金利オペには8290億円の応札ということで、まあ要するに「資金の取るニーズはあるけど6か月の固定金利はちょっと・・・・・・」という市場の皆様の状況が示されましたとゆーことでございます。
でまあ今回のオペはロール分ですので、期落ちに対応する分のニーズがあったと思うのですが、それでも応札がオファー予定額でもあり期落ち額でもある8000億円カツカツという状態になりましたので、今後新規で実行する予定の6か月固定オペの札がちゃんと入るのかねというのは実に懸念されるところでございまする。
でまあ何が困るかって言いまして固定金利オペに関しては「基金オペ」ということで「実行残高」を目標にしているので、札割れが頻発すると金融政策決定会合での目標未達になる恐れが出る、即ちディレクティブ未達になるというのが実に残念な話。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110804a.pdf
・・・・・・ただまあこちらの別紙にありますように、増額に関しては『2.2012 年末を目途に増額を完了する。』ということでしらっと逃げは打ってありまして、別にまあ足元でオペが札割れになっていてもオファーを続ければそのうち何とかなるからケンチャナヨという事で開き直れば目先で特段問題は無い、ともいえます罠。
つまりですね、現状で6か月の固定金利オペにニーズが無いのっていうのは、そもそも固定6か月が調達のバランス上ニーズが少ない(調達の期間マッチングの観点と、長期に渡ってオペの担保が必要になるという事からの担保繰りの圧迫という観点がございます)という構造的な話はある(のでそもそも6か月のオペ増やした分はやはりバランス上金利オペの足を短くする必要がありますね、という話は前も申し上げた通り)にはあるのですが、それに加えまして足元では、利上げになる可能性が皆無な上に米国の追加金融緩和の内容次第では日銀の補完当座預金付利金利の引き下げの可能性がこちらは皆無とは言えない、という状況がありますので、その結果リスクリターンを考えた場合にどう見ても6か月イラネとなりますという事になる、という一時的(で済むかどうかは知らんが)な要因もありますよね、とゆー事です。
従いまして、足元で6か月固定のオペが札割れしてもそれはそれ、まあど〜せ2012年末までに何とかすれば宜しいがなとゆ〜ケンチャナヨ精神で開き直ってしまえば無問題といえば無問題、と行けるかと申しますとこれが「ディレクティブ未達の懸念」とか言ってまた外野がやいのやいの言う(・・・・・・いまあなた「お前が言うな」って言いましたね!!!!!!!111)ので色々とややこしいでしょうなあと思うに、オペレーション担当部門でオペをどういうオファーするかというのを今やってる担当の皆様飛んだ貧乏くじにも程がありまして、同情の念を禁じ得ないものでございます(半分くらい棒読み)。
まあしかし何ですな、市場部門というのはこういう時に「この正直者!」という感じでして、金利の先行き見通しに伴い固定金利オペの応札が(長いものほど)ビビットに減るという反応を示す一方で、31日に実行された成長基盤オペに関してはご覧の通りで、第5回分が按分になるという素敵な応札を集めるでござるの巻。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110831b.pdf
成長基盤強化を支援するための資金供給(新規第5回等)の実施結果
『1.本則(成長基盤強化を支援するための資金供給)関係
(1)新規貸付
借入希望額(注1) 3,786 億円
貸付日における貸付予定総額(注2) 1,395 億円』
『(注2)貸付総額の上限(3 兆円)との関係で新規に貸付が可能な金額を上回る借入希望があったため、按分処理を実施した。』
まあこの分別に市場調達しても同じじゃん(成長基盤強化の貸出は適格担保を差入なので)と考えますと、何で6ヶ月の固定はイラネとなるのにこっちのオペは希望額超過となるんでしょうか(まあ総額とか頻度は全然違うので単純比較すりゃいいってもんじゃないですけど)とゆー疑問も起きるのですが、それはそれでございまして、こちらの資金供給に関しましては市場部門というよりはまた別の範疇の部門での管轄になっているものと愚考する訳でございまして、まあつまり(極めて激しく自主規制)という点で味わいの深い対照的な結果ともいえるのではないかと思います。(追記:自主規制が過ぎるとの指摘も受けましたので自主規制部分のヒントだけ書きましょう^^:ヒント=企画部門、お犬様)
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2011/08/30
○ということで民主党代表選挙雑談
まあ皆様ご案内の投票結果ですが俺様備忘録として。
1回目投票
海江田143
野田102
前原74
鹿野52
馬淵24
ということで、この結果を見て「野田さん随分と取ってるじゃん」ということで、先週の頭に前原さんが立候補して「野田さん危うし」という事もあって(まあ米債がその前の週末高値から木曜までの間に30毛甘くなったというのもありますが)その前の週末金曜の10年0.985%から先週末は1.040%にと金利が上昇しておりましたし、昨日も1.04とか1.045とかをやっていた債券市場ちゃんは先物買戻しモード^^;
債券先物は142円30銭近辺から20銭少々上昇して142円50銭〜60銭あたりに上昇しまして、まあ先物が強いですねという展開になりました。んでもって同時に株式市場の方では先物とか下落してTOPIXは一時マイナスに。
どんだけ株式市場に人気無いんだとか思ったのですが、しかし海江田さんになった場合って「3党合意見直し」とか思いっきり言ってた人なのですから、国会がまた空転して第3次補正予算どころの話じゃなくなってしまうと容易に想像できるのですから、海江田さんだったら株は上昇という訳でもないと思いますし、どちらかと言えば野田さんの方が国会は正常化しやすそうですから予算関連とかの話は通り易くなるので、野田さんだからって株を売る事もないだろうにとか思いながら見てましたです、はい。
2回目投票
野田215
海江田177
結果が出た時の債券市場の反応が実に香ばしいというか何だかという感じだったのですが、結果が出て債券先物は全然動かず(というか出た瞬間2銭位下がっていました)という事で、まあ一応ネタにしてみたものの、よくよく考えると海江田さんでも野田さんでもそう極端に違う事ができる訳も無い(野田さんだって民主党代表選挙の期間中に増税話を「いや別に直ぐに増税する訳じゃないですし」とトーンダウンしてましたし、逆に海江田さんになっても国会が空転する事を考えたらそうドラスティックに「マニフェスト遵守」ってなわけにはいかないでしょ)という事なのか、単に1回目投票の結果を見て決戦で逆転確実で全部織り込んでしまったのかは知りませんが、最終結果が出たのにウゴカンチ会長とか中々ワロタです。
・・・・・・というのが市場ちゃんの直接的な反応でございましたが、まあ自爆したり適当にやらかして後は放置プレーとかを得意技とする前原さんにならなくて個人的にはホッとしたと申しますか、「野田じゃあ反小沢で勝てないから本家の俺様が登場してやる」とばかりにドヤ顔で立候補した前原プギャーという所でございまして、実に良いもん見せて貰いましたという所であります。
まあ野田さんだと妙な無茶はしなさそうですけれども、同じことですが「おお!」というような変化も無さそう、という感じではございます。ただまあ領土問題とか安保問題に関してはかなりの強硬派ですから、対中外交ではどこかでひと悶着起きるんでしょうなあとゆー感じ(まあ中国の方がアレという議論は思いっきりあるのでその辺は却って支持率アップになるのかも知れませんけどね)ってところ位ですかね。
結果に関して申し上げれば、先日の菅下ろし不発に続いて連発で失敗となったお縄先生はどうせ党の金庫は握りそこなうでしょうから、お縄一派がこれからどうなるんですかねえ(棒読み)とか、前原さんが世論調査で圧倒的な人気(あたくしはあの自爆属性は精々偽メール問題で党を自爆させる位に留めて欲しいのであって、宰相になって日本を自爆させるのは勘弁とか思っていますから1ミリも支持できないんですけど)ですけど人望が無いんですねえとか、色々と楽しい内容で昨日はいいもん見せて貰いましたです(^^)。
いずれにせよ党人事と閣僚人事を見てまた市場が反応する(変な事にならなければ反応しないでしょうけど)という形になるのでしょうが、官房長官に変な人気取り政治家を連れてくるとかいうようなアフォーな事をしないようにしていただければと存じます次第。あと財務大臣誰になるんですかねえ、そうそう、菅直人なんてどうでしょう(大嘘)。
○3か月固定金利オペも按分80%とな
昨日のオペレーション。
オファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110829.htm
結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110829.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(8月31日スタート分) 9,960 8,003 80.4
・・・・・・まあ昨日は31日に3か月固定の期落ちがあるからロールが入るのは確定事項でござんして、さて幾らの札が入るのかと思っておりました。先日ネタにしましたように、前回実施した6か月の固定オペが按分93.4%と大変にお洒落な結果となりましたが、あれはまあ6か月ですから応札意欲さがるわなあというのもありまして、やはり本命は3か月の固定がどうなりますねんという所でしたが、今回も堂々の按分率上昇(=応札の低下)となりました。
3か月固定オペに関しては、(あたくしの手元メモベースでスイマセンが)8月19日にオファーしたのが按分32.9%だったのですが、23日には66.8%に上昇して昨日は80.4%という事になりまして徐々に固定オペの札割れという包括緩和の資産買入基金の設立とゆー枠組み的にマズーな展開が見えてまいりまして、まあこれはオペレーションが上手い下手の問題ではないのがオペ担当キングカワイソスと言ったところでございますが、これどうするんでしょうねえとゆー所でありまする。
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2011/08/29
お題「バーナンキ講演ネタですが今日は総括編なので引用とかが無いです」
某モーサテの為替コメント(電話)してる奴がスイスの超強引な為替対策を捕まえて「日本にも為替対策の金融政策が期待されます」とか言ってるのだが、じゃあ具体的に日銀が何をするのかとかお前ちょっと説明してみろやと小一時間。
と、モーサテLoveなあたくしですが本日はお約束のようにバーナンキ講演のお話である。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110826a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110826a.pdf
○まずは総括というかまとめというか何と言うか
今回の講演もそうなのですが、バーナンキ議長の講演というのは表現が平易で難しい(と言うか気取った)言い回しとかが無いので、かなり読みやすいというのが一つと、そうは言いながらも表面の文言だけではなくて行間を微妙に読まないといけない部分がある(と思われる)のがあるっちゅう所でしょうか。
などとあたくしドヤ顔で申し上げましたが(^^)、じゃあ今回はどうだったのかという話に関しては多分講演テキストを引きながらああでもないこうでもないとやるのですけれども、一日分の分量を超えてしまうと思いますので先に(講演テキストの引用しないで)あたくしが読んだポイントとか感想とかをうだうだと並べてみたいと思います(重要度順不同、つーか重要度の判断が難しい)。
・現在の景気減速は「一部は一時的な要因だがより持続的な要因」
先般のFOMC声明文でも出ていた「最近の経済回復ペースの減速における一時的な要因(日本の震災によるグローバルサプライチェーンの毀損や商品価格上昇による家計や企業の購買力低下)はその理由の一部である」という話に関して、「より持続的な要因があると見られる」という指摘をしています。また、この「持続的な要因が云々」が2回言及しているのは「大事なことなので2回言いました」的で中々味わいがあるというものです。
つまりですな、と次の小見出しに続くのだ。
・米国の潜在成長力の低下の可能性、というか懸念を(行間を読むと)指摘
でまあその回復の速度が遅いのは何ですかとゆー話をしているのですが、そこで延々と指摘されているのが「住宅バブル崩壊の影響の深さ」ですな。それに加えてこれは講演後半の「長期的な米国の政策課題」という部分に繋がるのですが、財政のサステイナビリティについての問題も指摘しています。
まあ何ですな、ニポーンの皆様からするとそのバランスシート問題って「何を今更」感のある部分で、壮大な資産バブルをやってそれが崩壊しましたというバランスシート調整をやっている中では、そもそもレバレッジ縮小の動きが続くから景気の回復サイクルが弱くなる、というのは散々見ていますので「バブルの崩壊の影響は我々の想定以上に大きかった(キリッ)」とかドヤ顔で言われましても何だかなあではござます。
あと、失業の問題にも触れているのですが、そこでは失業率が高いこともさることながら、長期失業者が多くて労働者のスキルが低下する、という話の方を強調していまして、労働者のスキル低下に伴う生産性の低下の話をしているのがこれまた注目という感じではないかと思います。
ちなみに、ここの小見出しで(行間を読むと)と書いているのは何でですねんという話なのですが、実際に講演テキストをサラサラと読んでいますと、「米国の成長力は高い」というような威勢の良い話をしておりますが、よくよく見ると「適切な政策を遂行することによって」米国は強い経済力を維持するみたいな言い方をしていまして、これはつまり直接の言及は控えていますが、「このままのんべんだらりんとして適切な政策を打たないと米国経済の基礎的な成長力が低下する」と仰せである、という事でもありまして、(勿論そんな事は言及してませんが)無策でいると日本的なデフレ均衡というか長期衰退モードというかに陥るっつー事も言いたいんでしょうなあとか行間を読んでいると思うのでありました。
・ということで上でも書きましたが米国経済の現状の問題はバランスシート調整と労働市場
ではインフレはどうなったかと言いますと、インフレに関する言及はPDF版の本文6ページの最後の所にあるのですが、この講演(本文13ページ)のうちわずか4行分しか無いという極めてあっさり味にも程がある状態でして、「商品や他の輸入価格が落ち着いてきて、長期的なインフレ期待が安定する中で、我々は今後数四半期の期間においてインフレがデュアルマンデートで目標とする2%あるいはそれ以下に落ち着いてくると見込んでいます」というほぼ一言で終了でござるの巻。
一方で足元の課題及び中長期的な課題の中でああでもないこうでもないという話をしているのは「バランスシート調整」と「労働市場のスキル低下などによる基礎的な成長力の低下」という部分でして、バランスシートという文言なんてもう何度となく出てくるのでお腹一杯ですがなという感じではございまする。
・政治に対する注文が出まくっているのがチャーミング
足元および長期的な課題ということで政治方面に対する注文が結構出ているのもこれまたチャーミングなのでありますが、まず最初に注文つけているのが「デットシーリング問題に関する政治の混乱によってマインドの悪化が起きている」という部分でありまして、まあそれはそうですなという感じですが、最後の方の長期的な課題の部分が結構強烈。
6月14日に『Fiscal Sustainability』というお題で議会証言をした時の話を繰り返して「以前も申し上げたように、顕著な財政政策の変化を行わなければ、連邦政府の財政ファイナンスは制御不能となり、経済と金融に深刻なダメージをもたらすリスクを招く」と思いっきり言ってますし、その後では「この夏に起きた(債務上限問題に関する)交渉は、金融市場に対して悪影響を与え、恐らくは米国経済にも悪影響を与えている。そして将来において同じような事が起きた場合、米国資産に対する投資への意欲に対して極めて大きな悪影響を与え、それによって米国企業の雇用創出力に直接的な悪影響を与えるでしょう」という茶会あたりが発狂しそうな話をしているのですな。
・で、金融政策に関しては
既に報道などでご案内の通りですが、今回は今後の金融政策に関しての具体的などうのこうのという話が無くて、そもそもが金融政策に関する直接的な部分が1ページ分弱(18行)しかなかったという状態でございました。
でですな、そこにある話が幾つかございますけれども・・・・・
(1)ガイダンス文言は「コミットメント」ではなくて「予想」である
(2)追加緩和に関する具体策は議事要旨をお楽しみに
(3)次回FOMC日程を2日間にする事によって期待を持たせる
という所でしょうか。(1)の部分って結局それって日銀の「中長期的な物価安定の理解」と包括緩和のセットと同じ話じゃネーノという感じがするのがこれまたチャーミングではありますがその辺の話はまた後日。
次回FOMC日程が2日になる、ということでまあ株式市場の失望を呼ばないというのは、この前決定会合を一日縮小した日銀と比較して中々味わいがありますが(^^)、まあこの件と「詳しい議論に関しては議事要旨をお楽しみに」をセットにして考えると、実は具体的な追加緩和をどうするかという話が全然コンセンサス取れていない状態(理事+NY連銀VS地区連銀の状態)になっているのかも知れず、その辺は火曜に出てくる議事要旨を待ちたいなあとか思うのです。
あと、これは今回の講演の特徴ですけれども、「短期的な話」と「長期的な話」を分けて色々と政策だの経済だのの話をしているのですよ。でね、その中でこれまたチャーミングな部分があったのは本文10ページの真ん中あたりにあるのですが、「一般的に短期的な効果を狙った金融政策や財政政策が、必ずしも長期的な経済の良好なパフォーマンスに繋がるとは限らない」というのがありまして、これはまあつまり「短期的なクレクレ相場に一々反応して金融緩和をするのが必ずしも長期的に正しい訳ではない、つまりお前らのクレクレ相場は甘え(キリッ)」という話をしているのではないかとこれまた行間を読んでいるのでありますが(^^)思うところでありまして、さすがに「バーナンキプット」だの何だの言われているのがアレなんですかねえという感じです。
・中央銀行の限界を示しつつ・・・・・
で、この講演での説明部分では先ほど申し上げましたように、「バランスシート調整、特に住宅問題」と「労働市場、特に長期的な失業などの生産性に関わる問題」を米国経済の課題として指摘しているのですが、「長期的な経済成長に関わる問題(つまり労働市場の構造的な問題)に関しての多くは中央銀行の範囲外」という事も言及していまして、まあそらそうだという感じですな。
つまり、まあ無理矢理追加緩和の内容に関するインプリケーションを引き出しますと、以下ややこじつけ気味になりますが、金融政策でのサポートという意味では住宅市場のサポートをしたいという事になろうかと思います。ただし、その住宅関連に関しては既にやることやってしまった後でして、今更MBS買ってもスプレッドが縮小するのよという感じではありまして、何をするのかは正直難しい。
量の拡大が出来れば話は早いのでしょう(インフレの話を微妙にスルーして「インフレにもデフレにもなりません」的な話をしているのはそのせいかなとも思います)けれども、それが難しいとなりますと、本来ならば資産価格支持政策という話になるのでしょうが、仕方が無いので長期金利を下げる方向の政策を打つ、という話になるのかと思います。
ちなみに、インフレ懸念していない上に(話の流れ上書き損ないましたが)輸出を米国経済回復のドライブという話をしていましたので、ドル安に関してはスルーという話になっていますので、今後の金融政策の結果ドル安になってもまあケンチャナヨとゆー感じかと思われます。あたくし的にはそれをやると英国コースになる懸念があるので結構危険な選択肢のようにも思えるんですけどね・・・・・・
・・・・・・・ということで、本日は米国ネタなのに文章引用が全然無いというふざけた内容になりまして誠に申し訳ありません。明日以降詳細につきまして見て参ります。
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2011/08/26
○昨日の訂正を少々(すいません)
昨日の駄文の中で相場雑談をああでもないこうでも無いと書きましたが、その中で固定金利オペに関する部分があったと思うのですけれども、6か月物の固定金利オペは一昨日にオファーされたものの1つ前は8月9日ではなくて8月11日にオファーされたロール分の8/25-2/25というのがありました。で、そちらですけどロール分で按分率が60.5%だったのですが、その前後での3か月固定金利オペは10日オファーの80.5%という素敵な按分もございまして、まあよーするに固定金利オペが大変に素敵な事になっているのには変わりは無いんですけど、事実関係の説明に漏れがありましたので謹んでお詫びして訂正させていただきとう存じますです、はい。
○ジャクソンホールプレビュー雑談
まあ市場的にはその通りなのですが見出しにちょっとウケた
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=adTE8tGypzjY
米国債:反発、7年債入札は順調−FRB議長会見控え緩和期待が後退
・・・・・・・金融緩和期待が後退したのに国債入札が順調で米国債は価格上昇とかまー債券市場の人には良く判る流れですが、一般ピープル的には「????」では無いかと思いますが(^^)。どうでもいいけどさ。
まー何ですな、どうもQE3に向けた強力な示唆は出ないというのがコンセンサスになってきたようですが、実際にどういう発言をすると市場がどう反応するかについて雨人の反応が良く判らん(こーゆー時にはCNBCでも毎日見ておく方が吉なのでしょうが、そんなもんあたくしは見れないもんで残念無念)ので決め打ちはしにくいですにゃ。
ですが、まあお祭り前なのであたらない予想をして盛大にフラグを立てておきますけれども(^^)、バーナンキ先生の前回のジャクソンホールでは資産買入(QE1ですが)に関する効果がどうのこうのという話を延々としていたのは記憶に新しいけれどもだいぶ忘却の彼方かと存じます。去年は何か5回に分けてこの講演のネタをああでもないこうでも無いと書いた(ここに駄文インデックスありますhttp://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisakuforeigntop.html)のですが、QE1関連政策の効果としてどのような話をしていたかと言いますと・・・・
・FF金利の下げとガイダンス文言(擬似時間軸)による金利引下げ
・資産買入による市場機能改善(これはQE1の信用緩和的な部分ですな)
・資産買入による長期金利低下(実際には下がってませんけどねえ・・・・・)
・資産買入によるポートフォリオリバランス効果(そうかなあ・・・・)
で、その資産買入の与える金融緩和の「度合い」に関しては「その期間中に買い入れを実施したフローの額ではなくて、買い入れを行った後の資産、即ちFEDのバランスシートの資産サイドの「ストック量」と「構成内容」というストックである」という説明になっています。
・・・・・・つーことはですな、今回もし「量」を増やしにくい、という話になった場合、追加でやることとしては「資産構成内容の変化」という事になる(ガイダンス文言の強化は実施したから)のですと考えるのが自然。ただしガイダンス文言が微妙に弱いんじゃネーノというのに関してはあたくし、というよりは本ちゃんの日銀政策ストーカーじゃなかったヲチャーのお歴々の方がご指摘してますけど、恐らくバーナンキ先生のことだからその辺は把握していると思いますんで、日銀的な明示的な経済指標などにリンクしたコミットメントの強化を可能性として示唆するなんてえのもあるかねえという所でしょうか。
まー比較的穏当な予想になって申し訳ないのですが(^^)、普通に考えるとどうもそんな感じになっちゃいます罠。
大穴としては実際問題として考えた場合に、米国の経済に効かせるルートは当面は(バランスシート調整途上なので)資産価格ルート、なかんずく株価ルートだと思いますので、株価に直接関与する荒業炸裂というのがあるとかなりオモロー(実はドル安になるとインフレ加速のリスクの方が大きいのではないかというのが、ディスインフレ懸念のあったQE2実施時と話が大いに違う点)なのでございますが、共和党のテキサス野郎からドラム缶で行くメキシコ湾海底ツアーへのご招待とか、茶会のアラスカオバハンからドラム缶で行くオイルシェール探査ツアーへのご招待とかが来そうな話でもありますので中々難しいかなという感じですかねえって所ですか。#鰻は合法(謎)
で、その時に日銀どうすんの???というのは「まあそれでドル安が絶賛進行したら何かしないといけませんね」という国際金融政策のトリレンマ・・・・いやまあいいです。
#あたくし的にはここはどどーんとETFを買うのを推奨なんですけどね
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2011/08/25
○円高対応緊急パッケージとな
http://www.mof.go.jp/international_policy/gaitame_kawase/press_release/230824.htm
円高対応緊急パッケージについて
つーことで2本立ての対策が出ていますが、何か長期的な話と足元的な話があるなあという感じです。まーよく見ると1番目の対策(円高対策ファシリティ)の問い合わせ先が国際局開発政策課で2番目の対策(ポジション報告)の問い合わせ先が国際局為替市場課ですので同じ国際局マターでも微妙に性質の違う話を今回一緒に出してきたっつー所でしょうか。
『1. 円高対応緊急ファシリティ(1,000億ドル)の創設
【目的】
・急激な円高の進行に対応し、民間円資金の外貨への転換(いわゆる円投)の促進による、為替相場の安定化
・長期的な国富の増大
【基本枠組】
・外為特会のドル資金を、国際協力銀行を経由して活用
・公的部門によるリスクマネーの供給や政策融資により、@日本企業による海外企業の買収や、A資源・エネルギーの確保などを促進し、これを民間部門の円投の呼び水とする』
ということで、そもそも論として外為特別会計のドル資金の有効活用という論点があって、それに対してどういう方策がありますかとゆー施策を今回円高対応緊急パッケージにぶつけてきたという感じが致しますが、外為特会のドル資金を単にJBIC経由で民間融資するだけですと別にそれで直接為替市場に影響する訳ではない(というか単に普通に邦銀の融資が肩代わりされたりしたら逆に円転要因になっちゃいますわな)ので、これは直接的な為替市場介入という話ではなくて、目的とか枠組みのところにありますように「JBICでこのような制度融資(のようなもの)を実施しますから皆さん円投して海外投資しましょう」というのがこちらの趣旨なんでしょうな。
と考えると『【期間】・1年間の時限措置』ってのも何か勿体無い気もするんですけれども。話としては割と遠大な物だと思うので常設化しても良さそうですが、まあ実際に作ってみてワークするかとかを見ながら上手く行くようなら常設化とゆーのもアリじゃないかなあとか思いますけどどうなんでしょうかね。
『2. 外国為替及び外国貿易法第55条の8に基づく外国為替の持高報告
【目的】
・為替相場の安定を図るための為替市場へのモニタリングの強化
【基本枠組】
・主要金融機関に対して、外国為替及び外国貿易法第55条の8に基づき、為替トレーダーが保有する外国為替の持高(自己ポジション)について報告を求める。
【期間】
・当面9月末までの期間、報告を求めることとする。』
おおおおお!持ち高報告ナツカシス・・・・・・ってまあ別に資本規制おっぱじめるとかいう積りでは無いと思いますし、大体からして市場モニタリング自体は財務省も日銀も普段から行っています(筈です)ので、こちらはまあ姿勢を見せる系のお話だとは思います。期間も9月末までの間と短い期間で切っていますので、これで急にどうこうというのは無いでしょうけれども、ただまあ通貨当局として「あんまり調子に乗ってると痛い目に会いますよウッシッシ」とゆーメッセージを出しましたちゅー事でしょうな、うんうん。
・・・・・ということで、まあそもそも昨日「11時半から会見」と出て「円高対応に関する話」という報道が出たときに何が出るのかよーわからんかった所に加えて内容がそんなに今日明日市場に手を突っ込んでぐしゃぐしゃという話でもなかったということで、ドル円の方は公表前後で20銭程度円高に振れた程度の反応でございましたな。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110824a.htm/
本日公表された政府の措置について
『2011年8月24日
日本銀行
日本銀行は、本日財務大臣より公表された措置が、為替市場の安定に寄与することを期待している。
日本銀行としては、為替市場の動きが先行きの経済・物価動向に与える影響について、引き続き注意深くみていく。』
ということで、「呼び水効果」に言及する財務省に対して「注意深く見る」のが日銀ということで・・・・・・・いやまあどうでもいいです(^^)。
○その他市場雑談
・貫禄の日本国債格下げ無反応(^^)
http://www.asahi.com/business/update/0824/TKY201108240104.html
ムーディーズ、日本国債を1段階格下げ 「Aa3」に
何か昨日の朝8時過ぎに出てましたが、「格下げになったけど見通しが「安定的」となったので好材料です!!!」とまで言われる有様で、財政状況(赤字の数値とかPBとか)は先進国の中でぶっちぎりに悪い筈なのにその国の格付けが下がっても反応しないどころか前日の米債下落を受けて下がって始まった債券市場はその後買いが入って(株安もあったのでしょうけど)前日比プラスになるとか貫禄の無反応振りにワロタ。
まあ何ですな、元々S&PとFitchがAA-のネガティブとかになっているのでAa3の安定的だとそれよりも良いというのもあるでしょうが、格下げを受けて「見通しが安定的になったので却って好材料」とかさすがにそれは(言いたい事は判るが)如何なものか(せめて悪材料出尽くし位にしとけと)というコメントまでベンダー見たら散見された(どっかにあったと思うのだがスルー^^)のは笑いました。
ということで、今後はR&I様がどういうアクションをしてくるのかがお楽しみ♪
・3か月TB入札
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230824.htm
国庫短期証券(第218回)の入札結果
(3)募入最低価格 99円97銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.0962%)
(5)募入平均価格 99円97銭6厘2毛
(募入平均利回り ) (0.0954%)
・・・・・・・先週の3MTB入札は0.0982%/0.1002%でしたのでこらまた利回り低下でございますかそうですかという所ですが、市場推計で不明玉が2兆4000億円とかありやがりまして(発行総額は4.8兆円)何か知らんけどニーズがあったのねという感じでございます。平均落札レベル水準とかでセカンダリーになっていたらしいので、ちょっと玉が足りませんって感じなんですかそうですか。
・6か月固定金利オペ札割れ寸前キタコレ
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of110824.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金) 8,000 2011年8月26日 2012年2月23日
オペ落札結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba110824.htm
共通担保資金供給(資産買入等基金)(8月26日スタート分) 8,570 8,003 93.4
・・・・・・ということで6か月の固定金利オペ(基金オペ)の応札が8570億円に急減少。
ちなみにこのオペは新規で入った奴ではなくて既存のオペのロール分になりますので、つまり対応する期落ち分はあったのですけれどもこれは素敵な結果。なお、前回(追記:これは前々回でした、詳しくは翌日に訂正入れました)の6か月基金オペは新規で入った(=先日の追加緩和に伴うおかわり分)分で、9日にオファーされて11日スタートだったのですが、こちらの応札が12725億円で按分は62.9%という結果だった訳ですが、今回はロールで入ったにも関わらず札割れ寸前になるとか実にセクシーとしか申し上げようが無い展開(^^)。
そらまあ間違ってFEDが超過準備付利引き下げ/撤廃とかやらかしようもんなら日銀の補完当座預金金利が下がる鴨とかいう懸念があって、下がった途端に下がった分だけまるやられになる資金調達を6か月とかやるかヴォケというのは判らんでも無いわけですが(^^)、これはまた中々素敵過ぎる展開でオペレーション担当部署も大変ですなあ(棒読み)という所でございまする(固定オペの実行残高は包括緩和の目標数値の一環ですからねえ)。
ま、米国は金利下げ方向の話をしても株式市場が許してくれなさそうで、やはりバランスシートを何らかの形でいじる方向での政策を求めているっぽいですから、そーゆー流れからすると超過準備付利金利をいじる選択肢の優先度は相当低いんジャネーノとは思いますけど、こればっかりは逆さ絵おじさんの頭の中みないと判らない話ですので、期中にGCレートが跳ねたりファンディングのアベイラビリティーがあばばばばーになるリスク対比で長い資金調達をどの位のバランスにすべきか、というような話になってくるかと思いますですよ、はい。
○そういえばスイス中銀メモ
マニアの皆様注目のスイス中銀ヲチを暫くサボっていたのでメモ。
http://www.snb.ch/en/mmr/reference/claims_res/source/claims_res.en.pdf
Money market debt register claims of the Swiss Confederation: Results
直近の数字はこの通り
Series :6.7928
Auction date:23.08.2011
Payment : 25.08.2011
Date ofredemption:23.02.2012
Total bids (CHF m):8'829.00
Unpriced bids :904.45
Allotment :599.80
Unit price :100.508
Yield:-1.000
えーっと、つまり8/25-2/23の大体6か月の短期債発行(ですよね)の落札金利が-1.000%とかいう大変素敵なレートになっておられます。ナンジャコリャという感じですが、どうもスポット市場でのスイスフラン売り介入だけではなく、フォワード市場でスイスフランを売ってディスカウント幅を拡大させる事によって金利平価を利用してターム物金利をマイナスにするという無理無理の力技をかましておられるようでございまして(実際にそうなのかの確認はできていなくてあくまでも聞いた話をあたくしの脳内で統合した話なので念の為)、それによってスイスフラン安を誘導しましょうという荒業にも程があるプレイをしているようですな。
しかしこれってスワップのライン使い切ったら(相手側は兎も角、中銀サイドで無限にカウンターパーティーリスクとるとかさすがに有り得ねえだろと思うのですけど・・・・・)それ以上打てないんじゃネーノとか思うのだが、まあどうなんでしょうかねえ。
ちなみに奮戦の結果はこのようになっておられますが、何せスイスの場合は最も重要なのが対ユーロというなんかあると直ぐゲロゲロマーライオンになる素敵な通貨が対象ですから大変です罠と思いますが、どうせならスイス中銀がイタリアとかスペインとかの国債買えばいいんじゃネーノと思うのですけどどうですかね(棒読み)
http://www.snb.ch/en/iabout/stat/statpub/zidea/id/current_interest_exchange_rates/3
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2011/08/12
○昨日の訂正であります(すいませんすいません)
時間軸がどうのこうのというお話をうだうだと先日来実施していますが、その中で2003年のゲロゲロマーライオン相場についてお話をして、日銀の「量的緩和政策の時間軸の明確化」の時期に関してドヤ顔で「2003年9月」と申し上げていましたが、実は2003年10月の決定会合でコミットメントの明確化をしていた事を読者様からご指摘を頂きまして間違いに気がついた次第(赤面)。
2003年10月10日
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k031010.htm/
そこにありますコミットメントの明確化について。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2003/k031010b.htm/
金融政策の透明性の強化について
2003年10月10日
日本銀行
『2.量的緩和政策継続のコミットメントの明確化
日本銀行は、金融政策面から日本経済の持続的な経済成長のための基盤を整備するため、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品。以下略)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、量的緩和政策を継続することを約束している。日本銀行としては、このコミットメントについては以下のように考えている。
・第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。
・第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。この点は、「展望レポート」における記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である。
・こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。』(上記URLより)
いやもう何か懐かしいですなあという感じですが、このコミットメント出る前に量的緩和政策の継続に関して総裁会見(定例会見じゃなくてどこかでの講演での会見だったと思う)の時に福井総裁が強調して火消ししたんでしたな(大汗)。
ちなみに、そもそも量的緩和政策を導入したときの2001年3月19日の決定会合での公表文書はこちらの通り。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2001/k010319a.htm/
『(2)実施期間の目処として消費者物価を採用
新しい金融市場調節方式(=量的緩和政策の事です、引用者追記)は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、継続することとする。』(上記URLより)
となっていまして、まあこういうのが本来的な意味で言う時間軸なのですが、2001年時点での時間軸に関しても2003年の時点で「来年以降のどこかでCPIがゼロ以上になったらその瞬間に量的緩和政策が解除されるのではないか」という思惑が盛り上がって中短期債がゲロゲロマーライオンになってその結果上記のような「3条件」を設定して時間軸コミットメントの強化を実施した、という事になったんですな。
まあこの辺りの事例を米国の今回の謎時間軸に対する市場の反応と重ね合わせて考えますと色々とアレなインプリケーションが得られるのではないかと存じますがにゃ(^^)。
○更に雑談を少々
・スイス様がかなりヤケクソな大作戦を示唆したようです
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnJT896776220110811
NY外為市場・午前中盤=スイスフランが大幅安、SNB副総裁のペッグ制示唆などで
2011年 08月 11日 23:30 JST
『[ニューヨーク 11日 ロイター] 11日午前中盤のニューヨーク外国為替市場でドルとユーロが対スイスフランで5%超上昇している。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のジョルダン副総裁が為替介入に踏み切ることなく金融政策のさらなる緩和が可能との考えを示したほか、スイスフラン高の抑制のため、スイスフランをユーロにペッグさせる可能性を示唆したことが背景。』(上記URLより)
・・・・・・・リザーブターゲット拡大するお!と言っても数時間しか効かないという状況になってしまいましたので、ついに「自由な為替の放棄も辞さず」というヤケクソ大作戦の発動を示唆という事ですが、最終兵器にも程があるスイス中銀様の明日はどっちでしょ?
・(;∀;)イイハナシダナー
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22667020110811
米議会が格付け会社を調査、S&Pの格下げ前に取引急増
2011年 08月 11日 15:19 JST
『民主党のウォーターズ下院議員は10日、S&Pによる格下げがもつ意味合いについて、下院金融委員会で公聴会を開催するよう求めた。証券取引委員会(SEC)に対しては、S&Pが米国債格下げに関する情報を公表前に一部の金融機関に提供したのか、書簡で調査を要請している。同議員は、銀行幹部が格下げ前の8月4日と5日にS&Pと会っていたとの報道について懸念を表明。5日の格下げ発表前に取引が膨らみ、大量の売りが出されたことに注目している。』(上記URLより)
格付け関連に関しては散々っぱら好き放題やられた本邦の無力市場参加者のあたくしと致しましては、絶賛泥レスショーを海の向こうで開催して皆様泥まみれになって頂く事を切に期待するものでございます。
○今更ですがトリシェにこの質問をしたのは誰だあ(ガラッ)←海原雄山流で
http://www.ecb.int/press/pressconf/2011/html/is110804.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
質疑応答の最後の方に唐突にこんな質問が。
『Question: I would like to ask about the intervention in the forex market
of Japan. Are you in support of that, and is it also the same recognition
as the consolidated intervention in March? Is it critical or not? Is it
some kind of critical movement or decision? How do you evaluate this decision?』
・・・・・・・orz
なんかさ、フランス人なのにブンデスバンカーみたいなトリシェ総裁にこんな質問の仕方したら答え明白じゃん。何で余計な質問するのよ。
『Trichet: I will only say that we have a very clear position in the Governing
Council of the ECB. We consider that such interventions have to be made
on the basis of a multilateral consensus and a multilateral decision. That
is our position. It’s a clear-cut position that we have always had. To
my knowledge what has been done is not part of a multilateral decision.』
大体からしてさ、野田財務大臣が介入実施した時点で(それも余計なことだと思うのだが)「単独介入です(キリッ)」って思いっきり言ってたのはこの質疑の数時間前から合点承知の助だと思うのでありまして、単独介入だと言うのがバレバレの状態で上記のような質問をするとか何の答えを期待していたのか質問者の頭の構造を疑う訳でございますよ。
まあ普通の発想ですと、この質問はトリシェの否定コメントを貰うための質問なんでしょうから、先般も悪態をつきましたように日本の国益を損ねるのがお好きな人なんでしょうから入国禁止リスト入りで良いでしょと思うのですが。
次の質問の冒頭ですが、
『Question: One question again about the EFSF.(以下割愛)』
「日本のことなんぞどうでも良いから欧州債務問題の質問を続けますよ」というようなニュアンスを感じたのはあたくしの気のせいですかそうですか。
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2011/08/11
○SNBが実に残念な事になっている件についての雑談
昨日はSNBがこんなリリースを。
http://www.snb.ch/en/mmr/reference/pre_20110810/source/pre_20110810.en.pdf
Swiss National Bank expands measures against strong Swiss franc
『The substantial rise in risk aversion on the international financial
markets has further intensified the overvaluation of the Swiss franc in
the last few days. In the light of these developments, the Swiss National
Bank (SNB) is taking additional measures against the strength of the Swiss
franc. It will again significantly increase the supply of liquidity to
the Swiss franc money market. The SNB aims to rapidly expand banks’ sight
deposits at the SNB from currently CHF 80 billion to CHF 120 billion.』
と言う訳でこの前利下げして当座預金っつーかリザーブの拡大を行ったのですけれども、火曜辺りには介入とか実施してたっぽい動きもあり、水曜日には更にリザーブ拡大のおかわりを実施するのでありました。
『To accelerate the increase in Swiss franc liquidity, the SNB will additionally
conduct foreign exchange swap transactions. The foreign exchange swap is
a monetary policy instrument which the SNB uses to create Swiss franc liquidity.
It was last employed in autumn 2008.』
ふむふむ。
『The massive overvaluation of the Swiss franc poses a threat to the development
of the economy in Switzerland and has further increased the downside risks
to price stability. The SNB is keeping a close watch on developments on
the foreign exchange market and on financial markets. If necessary, it
will take further measures against the strength of the Swiss franc.』
と、スイスフラン高対策やる気満々ですよという声明が出た昨日の東京夕方4時頃には対ユーロで0.975近くだったスイスフランは一気に0.955割れ水準に急落したのですが、その分って2時間ちょっとでお返ししまして、現在はこんな感じ(今日はブルームバーグではなくてスイス中銀から^^)。
http://www.snb.ch/en/iabout/stat/statpub/zidea/id/current_interest_exchange_rates/3
ブルームバーグ(インターネット版)のクロスレートでスイスユーロを見ると0.9700とかで、まあリザーブ拡大効果が半日持たないという残念すぎる結果になっていまして、(さっきモーサテのコメンテーターも言ってたけど)対円で見た場合でもスイスって絶賛最強通貨状態になってきていまして、SNB涙目と申しますか、マネーを出せば円高回避できるという話をしていたどこぞの誰かさんにねえねえどんな気持ちどんな気持ち(AA略)と聞いてみたいものでございますな。
○コミットメントの伴わない時間軸とはそもそも何ぞやという雑談
FOMC関連の昨日の続き。
『The Committee currently anticipates that economic conditions--including
low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over
the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the
federal funds rate at least through mid-2013.』(昨日のFOMC声明文の例の部分をしつこく再掲)
まあ相変わらず報道見てると「FRBは向こう2年間の実質ゼロ金利政策継続を表明した」という話が多いですし、米国市場さまを見ていますとゼロ金利2年間継続マンセー相場になっていました(今朝は欧州要因が入っているので最早何が何だかワカランチ会長だが)ですな。んでもって昨日はいろんな人がいろんなレポートだしていましたけれども、やはりこの表現に関して「強力な時間軸」派と「時間軸のようだが厳密に言うと違うのでは」派がいまして中々興味深いと思った次第。
でね、あたしゃ昨日も申し上げましたがこれには一応時間軸という言い方しましたけど、「時間軸(でも実はコミットメントが伴わない)」と括弧付きで申し上げた次第なので、当然ながら後者の見解を取るのでございまする。その理由は大体昨日書いたから重複になるので割愛しますが、要は「The
Committee currently anticipates」という所を素直に読んだらそうなりますよね、という話でしたが昨日の駄文(そういや昨日のFOMC声明文読みで途中でパラグラフ番号を1つ飛ばしてましたねすいません)を詳しくはご参照ありたしざます。
時間軸政策ってゆーのは本来「金融市場における政策金利予想将来パスを先の期間まで事実上固定化させる事によって、市場における金利形成のアンカー機能を果たす」とゆーのが政策のキモなのでございまして、その点からすると今回の声明文での表現は、FOMCの「俺様が現在の経済状況を総合判断した結果こういう予想になった」というものを示したものに過ぎないので、その「俺様の総合判断」が変化した場合にこの期間はあっさり変化する可能性がある(昨日も申し上げたように、アカウンタビリティの観点からしていきなり次回反故とかは無いでしょうけれども)ものでしかないと思うのですよ。
つまりですな、時間軸政策を実施する場合には、「総合判断」ではなくて、外的な何らかのデータ(まあ普通はCPIだと思いますが)に紐をつけて現在の金融政策を継続する、という事を明確にコミットする、という中央銀行としては極めて自由度の低い態度を取る、という事を示さないとそもそもの時間軸にならないという事なのでございます。そもそもCPI時間軸にしておけば「政策金利のパスを予想する為にはCPIを見ておけばよい」という話になるので、政策に関する他の発言とかは出る余地が無いという事になるのでありまして、それこそが「時間軸による政策金利パスの安定化」という話になると思うのですよね。
昨日との重複を承知で申し上げますと、日本の場合は量的緩和政策実施の時に時間軸を入れましたけれども、2003年の株価回復市場の時にまだCPIがマイナス圏内だというのに市場の考える時間軸が急に短期化した結果、足元ゼロ金利でCPIがマイナスだと言うのに2年国債金利が0.25%以上まで上昇するというワンダホーな事がありまして、最終的には9月に時間軸コミットメントの強化をせざるを得なくなったという事案もございましたので、米国のこの「今の俺様の総合判断」というのに関しては当時の日本の時間軸よりもどうとでもなるモノでありますので、このままで押していった場合に将来のゲロゲロマーライオン相場が目に浮かぶようでございます。
だいたいからして「総合判断」だとその判断するのはFRBの理事連中だけじゃなくて地区連銀総裁の皆様もいる訳でございまして、現状で既に反対票が3票ある上に、セントルイスのブラード総裁(は低金利長期化コミットメントは「日本型のデフレ均衡に陥る可能性がある」としている)とかカンサスシティのホーニッグ総裁(ご存じタカ派の大先生)とかも低金利政策の長期化に対して反対しそうな訳でございますので、そーゆー意味あいからすると今後は地区連銀総裁の皆様の講演とかが盛大に撹乱要因になりやすいと思うのですよね。
まあ今は経済情勢がアレで欧州が火事ボーボーのあばばばばー状態になっているので特にその辺が急に強気が来たのでみたいにはならんとは思いますけど、これ2年間の利上げが無いというコミットメントだと思っているとちょっと外的要因が落ち着いた時に中短期債が盛大なマーライオン相場になる恐れがあるに1万ドラクマという感じっす。
まあ何ですな、今回の「今の経済状況を総合的に勘案した場合俺様が予想するに2年間くらい現在の金融政策が継続されるでしょうなあっはっは」というのって、冷静に考えますと「中長期的な物価安定の理解」+「展望レポートによる物価見通し数値の公表」のあわせ技よりも更に脆弱な時間軸(それを時間軸というのが適切かどうかという論点もある)ではないかと思うのでありまして、今回の場合は声明文における経済認識および見通しの下方修正とセットになっているので、脆弱な表現ですが何となく市場を煙に巻く効果があったというお前はどこの福井の俊ちゃんだという事でしょ。というのが今回の「コミットメント無し時間軸もどき」(なので実は時間軸と言うのも少々無理がある)のポイントでは無かったかと思います。
ちなみに、昨日はまあお友達とああでもないこうでもないと本件に関して議論というかただの雑談を繰り広げておりましたが(^^)、一番ツボった指摘をしていたお友達のご指摘ですが、曰く、「これ2年間にしたのって単にFF先物で1年以上先まで政策金利変更無しを織り込んでいるからそれより長くしただけでしょ」、「大体からして2か月前とまるっきり反対の話をしている人たちが何で2年先の政策金利まで総合判断できるんだか」・・・・・・(^^)マッタクオッシャルトオリ
○これ追加緩和のようなものを出すとかいう話になるんでしょうかねえという雑談
まあ何ですな、2か月前と全然話が違うじゃねえのかというのもそうですけれども、更に今回あたくしビックリしたのは、昨日も申し上げましたが、前回の議会証言の時に「足元の失業率上昇は一時的な要因によるものです(キリッ)」と言っていた筈なのに、今回の景気認識で「最近の景気減速に関しては各種の一時的要因の寄与はその一部である(=景気減速は一時的要因だけではないです)」と言い出した事でございまして、前回の議会証言って7月13日だったんですけど3週間でそこまで変化するとかおまえ議会証言偽証だったんじゃねえか位言われそうな勢いの豹変ぶり。
同じこと日銀がやったらそもそも時間軸もどきの時点で「総合判断などと言う曖昧なのはケシカラン」といわれ、景気見通し変更で「3週間でコロッと変えるとはその前の判断が間違っていたという事なのでケシカラン」と言われて火達磨になっているであろうと想像するに、まあ人間(人間じゃないけど)それまでの実績の見せ方というのが大事なのですねえと思うと共に我が身に置き換えて以下悲しくなったので割愛。
と言う雑談は兎も角ですな、まあこれだけ豪快に景気判断下げましたし、たぶんFOMCの内部的には意思統一ができてなさそう(物価重視派とタカ派理事を抑えていないでしょ)という状況下でコミットメント抜きの時間軸もどきが出た状態というのは、先ほど申し上げた理由で今後のコミュニケーションが難しくなっていると思われるんですよ。
だから、という訳でも必ずしも無いですが、たぶんこの時間軸もどきの投入だけですと微妙に途中から話がややこしくなる(大体からして米国2年債なんて今は0.2%割れてますけどついこの前は0.7%台とか平気でありましたよね)と思われますので、どこかで何らかの緩和強化を出すような感じになるんじゃないですかってえことで毎年恒例のジャクソンホールでの落語が注目される次第となるのですな。
でまあそれは良いのですが、はて何をやるのやら???と考えるとこれまた難しくて・・・・・・
・超過準備付利金利の引き下げ
→そもそも実効FFレート高いわけじゃないですし、これ以上短期市場を潰してしまうと米国の場合MMFの資金が盛大に抜けてしまいまして、結果としてCP市場などが崩壊して企業とかが困る
・FEDの保有証券の長期化(短期売って長期買う)
→それやってそもそも本当に長期金利が下がるのかが怪しい(一時的な需給要因としては当然ながらイールドカーブにフラット化圧力が掛かるが、長期金利はそう簡単に振り回せないっすよ)し、カーブをフラット化させたから投資が増えるとかリスク資産に買いが来るのかというのは微妙
・国債買入拡大の復活
→QE2が効いたかどうか怪しい上に政治的に評判が悪く、CPI上昇率が明確に下向きになってきてデフレ懸念が出ないと厳しい
・モーゲージとかの買入復活
→恐らく現在の米国金融市場でいわゆる「市場機能の喪失」が起きている所はなさそうな感じなので突っ込む大義名分に乏しい
前者の2つが金利の話で後者の2つが量の話ですが、どうもイマイチ決め手に欠けるのですが、ジャクソンホールの講演や、今回FOMCで議論したと言われる内容を議事要旨で確認するしかないですな、正直何が投入されるのかのイメージが掴みにくいです。
#ということで金融経済月報やBOEの6月議事要旨やらトリシェ会見やらが全部積み残し状態になっているのは気のせいですorz
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2011/08/09
○NY株式が下落ですかそうですかという起き抜けメモ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aKTPaDpkJNL0
世界株安の様相、米国債は上昇−米格下げに伴う投資家懸念を反映
・・・・・・・米国格下げに伴う懸念があるんだったら何で米債の利回りが前日比15毛も低下(今見たら25毛強ですかそうですか)するんですかと。
つーか「世界的な株安がNYに押し寄せました」とか言ってるけど欧州でECBの国債買いがどうしたこうしたという話をしている時(昨日の東京の夕方)ってスペインとかイタリアは株も債券も爆騰(株より債券の爆騰ぶりがワロタのだが)しとったんだが(今見たら上昇していたスペインとかもマイナスですかそうですか)。ちなみにドイツとかの債券はその時点では下落しておられましたが。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=axMVysfdFx7A
欧州債:イタリアとスペイン債急伸、利回りがユーロ導入来で最も低下
↑これは日本語が微妙に紛らわしくて、「利回り低下幅」が最大という事でして、「利回り水準」の方は相変わらずのあばばばばーであるのはご案内の通りでございます。ご参考まで。
まあそもそもの問題は欧州のような気がしますけど何がどうなっているのやら。アジア株が妙に威勢良く下がったのと含めて考えると、いわゆるひとつの「リスクオフ」という後付講釈とモメンタム説明に便利だけど実態が無いのであまり使わない方が良い便利なマジックワードを米国投資家の動きとして使うしかねえのかなと思うのでありましたorz
というかモーサテのコメンテーターはん「格下げを受けてダウ下落」「米国債担保価値低下で借り入れ可能額減少」とかゆーとるがお前さん米国長期債が威勢良く金利低下している話との整合性が全く取れないだろ。
○米国よりも格付けが低い国なのに安全資産&SNB涙目
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920014&sid=aSQwzPrRBWgk
NY外為:円とフランが上昇−米格下げと欧州債務危機で逃避需要
ということで主要クロスレート
http://www.bloomberg.co.jp/markets/currencies/fxc.html
今(東京の朝6時ごろ)のレートでドル円が77.7125だそうですが、
スイスフランのレートが泣けるざます。
CHF-EUR:0.9342
・・・・・・えーっと、これって直近高値を更新してスイス高になっていると思うのでございますが、利下げして量的緩和もどきのようなこと(量的緩和というよりは当座預金ターゲット政策という方が表現として適正かと)を実施したのですけれどもこりゃまた残念なことですなあ(棒読み)という感じですが、以前介入した結果損師となってしまった件で結構ボコボコに不評となっているSNBさんでいらっしゃいますが、これはヤケを起こして介入をするのでしょうかとwktkの展開ではございます。
というのが朝起きての雑談であるが、本来のネタを投入しナイト。
○1日の資金需給の数字だけ見て非不胎化介入とかまだ言ってるのは困ったもんで
どれを晒し上げにしても良いのだが検索に引っかかったのが朝日新聞なので朝日をネタに。
http://www.asahi.com/business/update/0808/TKY201108080139.html
円資金、4.8兆円供給 日銀、円高防ぐ狙い
『日本銀行は8日、金融市場に事実上約4.8兆円にのぼる円資金を供給する。市場に出回る資金を大量に増やすことで市場の不安を和らげるとともに、金利の低下を促して円が売られやすい環境をつくり、円高ドル安を防ぐ狙いだ。』
『政府・日銀は4日、円を売ってドルを買う為替介入に踏み切り、規模は4兆円を超えた。この時に売った円資金が決済されて8日の市場に出回った。日銀は、資金量を一定に保つため、手持ちの債券を売るなどして円資金を吸収することもあるが、今回は市場に放置したままにする「非不胎化」を選んだ。』(両方とも上記URLより)
何か微妙に判ったような判らんような書き方をしていますが、そもそも資金供給しているのは「外国為替特別会計」という財政要因で日銀が供給している訳ではない(何となく2段目の書き方はそういう書き方になっているが)ですし、そもそも「市場の不安を和らげる」とか関係ないですから。
で、まあ最大の問題点は相変わらず「非不胎化」の話をしていることでして、もうこの話は去年9月の介入の時に悪態書いた通りで、その日一日の資金需給の結果を見て非不胎化だの何だのという話をするのは無意味でありまして、恒常的に超過準備がある状態を放置すると短期市場金利は預金ファシリティー金利まで勝手に低下するのですから、過去の枠組みですと介入で放出された資金分は通常の資金需給も含めて調節されますし、現在の枠組みですと誘導目標金利が0〜0.10%であって預金ファシリティー金利が0.10%なのですから別にその分の資金需給は放置して良しという話ですわな。
その後介入分を為券発行するとか(外為特別会計の円貨預け金とかもあるので、特に為券が増発されないかもしれないけど)の事後的な話で非不胎化どうのこうのというならまだ話は判る(が基本的には為券が増発された場合には当然ながら財政要因による資金吸収要因になりますから、その分っていうのは他の条件が中立だとした場合には資金供給として出ないとインターバンク市場的に言えば資金需給が狂ってしまいますので、事後的には介入資金分の財政揚げ分ってのは資金供給される筈なんですけど、数十兆円単位で介入でもしないとそれ以外の資金需給要因の方が大きいのでその中に紛れてしまいますんでよく判らんという結果になると思いますんであまり意味のある話では無いと思うんですけど)のですが、1日の資金需給で非不胎化だの何だのとか言うのって何なんだかと思います。
・・・・・・・でね、朝日をたまたま槍玉に挙げましたが、そもそもあたくしがベンダーで見てたまげたのは共同通信が大々的に「非不胎化」とかいうヘッドラインと記事を配信していることでして、まあ共同がそういう記事を打ったら他の全国紙や地方紙は追随するわなと思う次第でありまして、とりあえず共同通信勘弁してよという所でございます(さすがにあたくしの見た限り時事とブルームバーグは非不胎化の話はしていませんでした)。
ちなみに、ブルームバーグニュースは逆に「市場の動揺を避けるために即日資金供給の可能性を指摘する人も」みたいな記事を出していました(探すのめんどいのでURLはスルー)のですが、まだその方が話としては筋が通っていますが、そもそも今回のネタは欧州と米国が震源で、かつ別にどこかの金融機関が飛んだとかデフォルトしたというような話ではないですし、盛大に円高に振れている位ですから円資金に関して言えば市場にストレスは掛かっていないですので、どっからどう見ても即日資金供給のニーズ無し。
というか、昨日の場合は介入で出てきた円資金が余ってT+0やT+1でGCを買いたい(=資金運用したい)ニーズの方があるという素敵な状態でありましたので、変に即日資金供給して事情を知らない人たちが「円資金市場でもストレスが掛かっているとは大変だあ」みたいな変な誤解を招かないようにという観点からすると、即日資金供給というのもこれまた変な話(だいたいからして実施しても札が100億位しか入らんのとちゃうかと)ですので、まあオペはあんなもんでしょという事でございます。
ま、非不胎化云々に関しては日銀もその辺の誤解を利用しようとしているというか、変に余計な事言われないようにというのは考えていたようで、介入の翌日になります金曜にはわざわざT+1スタートの本店オペを2兆円オファーして(入ったのは1.2兆円)8日のオペレーション要因での資金需給をプラス方向に振らせておいて、8日にオペレーションで要因で回収していないような見た目に出来るようにしたというのは芸の細かい所でございます。まあその1日の資金需給を捕まえて非不胎化がどうのこうのとか言う人たちが居なくなればこういうしょうも無い努力もせんで良いのですけどねえ・・・・・・・
とか余談だけで時間がドンドン経過していく段取りのわるいあたくしorz
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2011/08/08
決定会合レビューの前に米国格下げ雑談でござる。しかし中国って何を偉そうにアメリカに文句垂れてんだか。
○その前に米国格下げネタ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=as3Wc8sT2ph8
米国を「AA+」に格下げ、赤字めぐる政策決定を批判−S&P(3)
『8月5日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日、米国の長期格付けを「AAA」から「AA+」に1段階引き下げたと発表した。米長期格付けの引き下げはこれが初めて。S&Pは米国の政治プロセスを批判するとともに、議会で合意された歳出削減策では過去最大の財政赤字の削減に不十分との認識を示した。』(上記URLより)
ということで、オバマ大統領の誕生日(8月4日)に結構なプレゼントという感じですが、まあこれはこれで財政赤字削減に関する協議が進むという点で何か政治的なアレなものを感じますけれども、別にだから何なのとか思ってしまうのは日本国債の格下げ食らってその後格上げを食らったものの、結局それがネタになったのって最初の格下げの頃だけで、その後はただのギャグ状態になったという先行事例を身を切ってやっているせいですかそうですか。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aZmKthwRrutA
外為:ドルは下落、S&Pによる米「AAA」格下げを嫌気−77円70銭
ほほう。まあ何か一応反応するようですが、ソルベンシーに問題が無い国で格付けがどうのこうのという話をしてもそれはあまり意味のある話ではなく、正直どうでも良いというのはニポーンで散々やっていると思うのですけれども、何で世界に波紋が広がるとか日本のメディアは大騒ぎするんだか。
どちらかと言うと「そんな事言ったら格付けが同じS&P社でAA−のネガティブになっている日本円が市場で何で買われるんですか」という論点で報道して貰いたいのですけどねえ、まあどうでもいいけど。
ということで本件は雑感だけ。以下介入と追加緩和関連ネタである。
○介入額が4兆5000億円くらいあったようですな
日銀による本日の資金需給予想
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp110808.htm
『財政等要因(受超=マイナス) 44,600』
ということで、本日の財政は払い超が4兆4600億円の見込みになっていますけれども、もともと8日は財政の出入りはネットで0〜▲2000億円程度の予想(短国発行と償還要因がありますが単純にロールされるのでチャラ)となっていましたので、つまり大体上記の額が為替介入による財政払い要因とゆー事になりますんでその額が為替介入額と思われますな、という話。
えーっと、何か木曜の時点では介入額が1兆とか2兆とかそんな感じの話があったような無かったような気がしますが、思いの他介入額が多かったですねその割には80円にワンタッチ(スリータッチ位してたかね)程度で戻ってしまいましたねという風情でありまする。
いやね、木曜の時点ではまあ頑張って持って行ったねえとか思っていたのですけれども、4兆5000億円も打ち込んでいたのかよと思いますと何かまた別の印象も受けるわけでして、米国格下げ要因はさておいても金曜の時点でドル円は78円台だったりしたと記憶しておりますが、まあ何と言うかその程度の効果しかなかったですね残念ですねという感が。
何を申し上げたいかと言いますと、よーするに今回の介入+緩和のセットなんでございますが、事前に変な報道をしないでそれこそサプライズで入れておけばもっと少ないコストで効果を出すことが出来たと思われる次第でありまして、誰が何考えて今回の作戦を作ったのか知りませんが、ヘタクソにも程があるとしか申し上げようがございません罠という所であります。つーか片棒担ぎの日経新聞はとっとと廃刊しやがれとか思いますけどね、為替介入のコストをわざわざ引き上げる報道の翌日には企業提携をおじゃんにする誤報ヘッドラインを打ち込むし、何か日本経済破壊新聞とかに名前変えた方が良いんじゃないの。
・・・・・と、話があらぬ方向に逸れましたが(^^)、4兆5000億円も打っていたというのを後付で知って恐らく「作戦が下手糞すぎ」という印象を受けたのはあたくしだけではありますまいて。
○そういえばスイスフラン動向ですが
http://www.bloomberg.co.jp/markets/currencies/fxc.html
先ほど(東京8日朝6時位)に更新したらこんな数値。
CHF-EUR(先日は書き方逆でしたすいません):0.9144
ちなみに昨日の夕方(18時半)に見た時はCHF-EUR:0.9204という感じでしたので若干スイス安になっていますが、SNBの利下げアナウンスが出る前が大体0.92近辺で利上げ後に0.91割れとかまで行ってたので、利下げによるスイス高抑制効果は1日にして終了という中々お洒落な結果に。
まあ対ユーロという点で言えばECBの政策決定およびその後の会見(これがまた何ともアレな会見で何をどうするとそんなにタカ派のコメントが出来るんだという感じなのですが今日はどう見ても時間が無いので後日)で色々とカーニボーになったという面がございますので、そーゆー点ではちょっと間が悪かったですねというのもございますが、利下げして(と言っても先日申し上げたように元々CHFの3MLiborは誘導中心水準の0.25%の半値位の数値で推移していたので下げ余地がそんなに大きい訳でもなかったりする)当座預金ターゲットもどきの政策を実施しても、まあ今回に関しては問題がユーロの方にあるので、中々簡単には効きませんなあというお話でございました。
・・・・・・とか思ってたらさっきブルームバーグの関連ニュース見て目がテンに。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=aMMMNqF.Y.90
介入で円高圧力の集中砲火を回避−追加策は金融緩和が中心との見方も
えーっと、まあコメントしている人に悪態つこうかと思って記事を真面目に読んだら、コメント自体は日本の介入実施前&SNBの利下げ後のコメントで、どうも記者の勝手な思いが記事に反映しているだけのように見えますが、上記のようにスイスの利下げが為替にたいして効いていないと(というか昨日の夕方の数字見たら利下げ前の水準に戻っているんですけど)いう大変に素敵な状態になっているのでありまして、今更日本が追加緩和してどうこうという話ではないと思うのですが、何をどうするとそういう理屈になるのかワケワカラン。
単に日銀が追加緩和すると記事になるしネタとして書きやすいからという事ではないかと禿しく邪推したくなるのでありますが、スイスが既に身を切って実例をしめしているのに何が何だかと思うのでして、メディアもちったあモノ考えて書けやとか思う朝のひとときでございました。
#そんなに円高が困るなら特例公債法案問題でもっと大騒ぎした上で不成立にすればいいじゃん
○日銀は資産買入を前倒しで実施した方が良いのではないかという件について
金曜にああでも無いこうでもないと書いた中で、資産買入等の基金に関して
>でもって、下のほうに『2.2012 年末を目途に増額を完了する。』とございますので、従来の「2012
年6月末を目途に増額を完了する。」(3月14日の決定会合声明文より)となっていたのに対して足が半年伸びましたねという所です(金曜の当駄文です)
という風にさらっと書きまして、足が伸びた事でまあ時間軸強化みたいなイメージを書いたのですけれども、よくよく改めて考えてみるとこの期間延長は別にしてもしなくても良い話でして(たぶん物理的に増額完了するかどうかが微妙というのがあるのでしょうけれども、特にETFとJ-REIT)、どうせ実施するならばもっと威勢良くリスク性資産の買入を実施すべきではないかと思うのであります。
つまりですな、これは金曜も申し上げましたが、どうせ買うなら国債買うよりはETFとか買った方がマネーが実体経済に回ってくれると思いますし、使う資金自体は少ないですしと思うのでございます。まあ国債買う方が数字上は嵩を稼ぐ事はできますけど、実際の効果という話になった場合、短期金融市場(と債券市場)でその金がグルグル回っているだけの話であって、実体経済に染み出して動くマネーにならないんじゃ無いですかと思うのよね。
いやまあETFを沢山買って良いのかよという論点はあるかもしれないけど、どうせ日本経済が終了したら日銀だって終了なんですし、あまりその辺を気にしてもシャーナイという感じじゃねえのかなあと。バブルになるんだったらその時に今度は売れば良いのですからとは思いますが、その「売る」のが抵抗大きいのが見えているから買入の拡大に二の足を踏んでいるというのは判りますけどね。
ただまあとりあえずはETFの買入拡大は決まった訳ですから、できるだけその買い入れを前倒しして株式市場に安心感というかそういうのを起こすようにした方が良いと思いますけどね。為替市場に兵力突っ込むよりはETF買ってる方がマシな気がする・・・・・
○社債やCPの一社辺り買入限度を拡大しろと真面目に言ってる人は金融政策の趣旨を勉強すべきである
総裁会見の中でもあったんですけどね。
『2つ目の質問についてですが、CPあるいは社債の買入れについて、1発行体当りの限度額を緩和すべきではないかというご意見が、マーケットの声としてあることは、もちろん承知しています。マーケットの中で、こういう買入れによって直接的にプラスの影響がおよぶ投資家からみると、買入れはできるだけ多い方が良いという声になることはもちろんありますが、ただ私どもとしては、金融政策の一環として行っているものなので、最終的に、金融政策の目的に照らして有効かどうかが、常に判断軸となるわけです。』(これは4日の総裁会見から)
>こういう買入れによって直接的にプラスの影響がおよぶ投資家からみると、買入れはできるだけ多い方が良いという声になることはもちろんありますが
いやまあそれはギャグで「この際どこぞの社債をもっとヤケクソで買ってくれると嬉しいなあ」というような話はありますけれども、日銀の金融政策は別に個別企業のお助けオペを実施する事ではございませんので、まあそんなに露骨に対象期間に入る企業の社債を全部お買い上げみたいなオペはよーしませんわなというのは良く判ります。
・・・・なんですけど、本職の何とかストの方で限度額緩和というのを本当に大真面目に論じている人もいるようで、何と言うかまあポジショントークするなとまでは言いませんけど、あまりにも恥ずかしいのでちょっと自制しろよと思うのはあたくしだけですかそうですか。
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2011/08/05
お題「NYで株がクソ下げしてますが昨日の介入&決定会合レビュー」
まあ何か急にMPMが1日になったのでもしかしたらとかゆー話もあったのですがECBもアチャーとなりまして益々「緩和のシンクロ」っぽい雰囲気が出てまいりましたなあ。
というのはありますが、まあその辺の話もしないとと思いつつもまだそこまで頭の整理ができていないので昨日のレビューから。
○介入実施と決定会合の前倒し実施のアナウンス
昨日はご案内のように朝の10時くらいに為替が飛び出しまして、その後介入実施の報が。その後頑張って介入して昨日の時点で80円まで持って行ってたから良いようなモンですが、介入しましたとかいう時点で野田財務大臣が「単独介入」とかわざわざ発言する辺りが相変わらずのバカスケ振りで市場の皆様の憤激を買っていた事だけはメモしておきましょう。
で、その直後に日銀からこんなアナウンスが。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/danwa/dan1108a.htm/
総裁談話および金融政策決定会合の日程について
2011年8月4日
日本銀行
『1. 総裁談話
日本銀行は、為替市場における財務省の行動が、為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している。
2. 金融政策決定会合の日程
政策委員会議長は、本日および明日開催することとなっている政策委員会・金融政策決定会合について、本日午前11時15分に開催し、本日中に終了する予定とした。』
・・・・・というアナウンスがありまして、まあちょうどお友達さんと話をしてたのですけど、介入の報道があった時に「これで明日に向けてバンバン介入するんでしょうなあ」とか話をしていたらこのリリースで「なるほどこれはアリ」とゆー話で意見が一致したものの(^^)、これだとロジ的に考えて決定会合は東証引けには間に合わないかなあとかいう話をしていました。
で、まあこのアナウンスで反応したのが債券市場でして、ちょうどこの総裁談話の出ている辺りで先ほど申し上げた野田財務大臣の「単独介入」発言が出て為替の方は止まっておりまして、「日銀のアナウンスで吹き上がったのはドルではなくて債券先物」という中々残念感溢れる展開になりましたわな。
この日は前日の米国債券市場様が相変わらず30年とかのフラットニングが目立つ展開だったせいか、朝から国内債券市場も超長期が素敵にブルフラットしていたのですけれども、決定会合前倒しの発表後は先物とか中短期の方が吹き上がる展開になり(当たり前ですが)徐々に超長期が出遅れだす展開。そしてこの日は6か月TBの入札が予定されていましたが、入札のほうは普通に実施となりました。
んでもってですね、まあ翌日の決定会合でやっても同じなのに何で今日やるねんという事で(まあECBがやらかす予定だったのでその先に日本がやった、という事だったのかもしれませんが、今にして思えば)、もしかしたら当初予想以上のネタが出たらあばばばばーですなあという事もありまして、中短期ゾーンは更に強くなるわ先物から10年は吹き上がるわで高値では10年0.995%堂々の出合いとかになっておられまして、さあ盛り上がって参りましたという風情。で、6か月TB入札ちゃんでございますが、そもそも何も無くても0.10%カツカツ程度の入札でしょうとか言ってた事もありまして、落札結果は貫禄の0.0972%/0.0992%となりました。
ただまあ事前にはもっと無茶な結果になったらどうしましょという懸念もあったようで、この結果の出来上がりは強いには強いですけれども、まあ間違って超過準備付利金利が下がった場合にエライコッチャになるリスクに対するオプションと思えば割と穏当な値で決着したとゆーのが結果のイメージではございました。
とか何とかいっているうちに徐々に債券市場は戻り売りのようなものが出てきたり、よくよく考えたら追加緩和に介入のセットだと中短期ゾーンは兎も角長期以降って本当に買ってよいのか(マジで効いたら円安株高になるでしょという意味)という観点もあったんでしょうなあという所で、特に長めの所がヘロヘロ感漂う風情(7年〜10年はまだ確りしてたものの超長期が朝の激強から一転して遅れ気味になるという感じ)になってきてました。東京市場昼の時間帯に介入第2弾らしきものがあったと思われまして、一発目で78円30銭近辺に持って行ってたドル円がお昼に79円近辺のレベルに持って行ったというのも影響していたと思われます。
○決定会合結果:今回は時間軸の強化と中短期金利の低位安定を促す内容ですな
決定会合はまさかの場中終了で14時に結果発表となりましたが、3時間弱でどういう議論してたのよというのは10年後の議事録を是非拝読したいものだと存じますが(^^)、何だやればできるじゃんというMPMの結果はこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110804a.pdf
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、資産買入等の基金を40
兆円程度から50 兆円程度に10 兆円程度増額し(注1)、金融緩和を強化することを決定した(全員一致(注2))。』
ということで、その内訳ですが、3ページ目の「別紙」にあるとおりです。
(買入系)
・国債:2兆円→4兆円
・短期国債:3兆円→4.5兆円
・CP:2兆円→2.1兆円
・社債:2兆円→2.9兆円
・ETF:0.9兆円→1.4兆円
・REIT:1000億円→1100億円
(固定金利オペ)
・6か月物の固定金利オペを5兆円追加実施
でもって、下のほうに『2.2012 年末を目途に増額を完了する。』とございますので、従来の「2012
年6月末を目途に増額を完了する。」(3月14日の決定会合声明文より)となっていたのに対して足が半年伸びましたねという所です。
まあご覧になれば判りますが、今回の増額は主に残存1年以上2年以内の部分に関わる買入の増額にウェイトが掛かっていまして、短期国債はまあ兎も角として、どう見ても民業圧迫です本当にありがとうございましたと(まあ真面目にヒアリングと市場状況調査をすればCP市場が以前の企業特別オペ実施時代並のあばばばばー状態になっているのは直ぐに判りますわな)いうCP買入の増額が1000億円に留まったのはまあ短期市場をこれ以上殺すのには抑制的ですおというのが伝わったです(^^)。
まーあたくし的には昨日も申し上げていましたが、どちらかというと社債の増額分とETFの増額分が逆の方が良かったような気もしますが、もしかしたら今回はETFの増額を温存している(更に株安になった場合に繰り出す)のかねとか思ったりしつつという感じです。
また、声明文の景気に関する部分ですけど、今回目に付いたのはこの文言ですわな。
『この間、物価面では、当月に予定されている基準改定に伴い、消費者物価の前年比が下方改定される可能性が高い。物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる。』
>物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる
>物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる
>物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる
・・・・・・先ほどの買入期間の延長と共に、この文言が出まして、更に今回は1年から2年ゾーンの買入を拡大という結果になっているというこれらのセットを並べられますと、まあ誰がどう見ても今回の決定会合は「時間軸の強化」を促すという決定内容になっていると解釈が可能かと思われます。
まーつまり今回の決定会合では為替市場に対して影響を与えるルートとして、中短期金利の低位安定(会見で2年債がどうのこうのみたいな話を総裁がしていたようで、何かまあ怪しげな日米2年金利がどうしたこうしたのネタを繰り出していたのには苦笑を禁じ得ませんでしたが詳しくは会見要旨を見てから判断するだよ)による円相場の円低下を促すというのを選択しました、というのが(正面切っては為替対策とは言わないでしょうが)政策決定会合結果のインプリケーションという所でしょうかね。
○一応声明文の景気に関する部分を簡単に
まあ比較するにも書きっぷりが大きく変わっているので、それらしい部分をずらーっと並べて比較してみるだよ。
・メインシナリオの部分
『3.わが国経済は、東日本大震災による供給面の制約が和らぐ中で、着実に持ち直してきている。先行きについても、生産活動が回復していくにつれ、輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、緩やかな回復経路に復していくものとみられる。』(今回)
『2.わが国の経済は、震災による供給面の制約が和らぐ中で、持ち直している。すなわち、震災後に大きく落ち込んだ生産活動は、供給面の制約が和らぐ中で、このところ持ち直しの動きが明確になっている。このため、輸出は増加に転じている。国内民間需要についても、家計や企業のマインドが幾分改善するもとで、持ち直しつつある。この間、金融環境をみると、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われるものの、総じて緩和の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスで推移している』(前回)
『3.先行きのわが国経済は、供給面の制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011
年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる(注2)。以上を踏まえると、日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくと考えられる。』(前回)
今回はメインシナリオに関しては実は特に下げておらず、現状認識に関しても「着実に持ち直している」とわざわざ「着実に」と威勢の良い文言を入れているとゆー所であります。まあ確かに日本国内に関しては経済関連の指標は比較的悪くないものが並んでおりますし、確かにまあこんな感じでしょうという所です。
しかしながら、さっき物価安定の理解の実現がどうのこうのという部分を引用しましたように、今回の景気に関するメインシナリオの先行き見通しの中に従来あった「物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく」という文言が抜けたのがポイント(まあさっきの部分とセットなので話は同じですが)となっていますわな。
・リスク認識の部分
つまりですな、前回の展望レポート中間レビューの時に読者の方からご指摘頂きましたように「メインシナリオはどう見ても回復と書くしかないのだが、先にテールリスク地雷がうじゃうじゃ」という大変に素敵な状態なのが現状の日本経済を取り巻く環境ですよね、という話だと思います(すっかりこの「テールリスク地雷」ってのが気に入ってしまって毎度使わせていただきまして誠にありがたく存じます>某読者様^^)が、そのテールリスク地雷のうち円高地雷がやや火を吹きましたってえ所なんでしょうかね。
『4.しかしながら、こうした見通しを巡る不確実性は高く、このところ、景気の下振れリスクにより留意すべき情勢となっている。海外経済をみると、米国においては、債務上限問題が決着をみた後も、市場では、財政健全化を巡る懸念は払拭されておらず、最近では景気の先行きに関する見方も慎重化している。欧州周縁国のソブリン・リスク問題は、全体としてみれば、依然として緊張した状態が続いている。新興国・資源国では、物価安定と成長を両立することができるかどうか、なお不透明感が高い。こうした海外情勢や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国の企業マインドひいては経済活動にマイナスの影響を与える可能性がある。この間、物価面では、当月に予定されている基準改定に伴い、消費者物価の前年比が下方改定される可能性が高い。物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる。』(今回)
『5.景気のリスク要因をみると、サプライチェーンに関する懸念は減じているが、震災の家計マインド等を通じる影響については、なお注意する必要がある。また、やや長い目でみた電力の供給制約については不確実性が幾分増している。海外経済については、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。新興国・資源国については、物価安定と成長の両立に関する不確実性が大きい。物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(前回)
ということで、ずらーっと並べるとアレでございますが、まあリスク認識のうち拡大となったのは米欧の景気先行き懸念と金融市場の混乱リスクで、現象面としては金融市場と為替市場って事になってますけど要するに為替市場。それに物価に関してCPIの改定による下振れの大きさ、という所になるんでしょうな。
・従って今回は下振れリスク対応ですな
『5.日本銀行は、上記の景気・物価情勢を検討したうえで、金融緩和を一段と強化し、これを通じて、震災からの立ち直り局面から物価安定のもとでの持続的成長経路への移行を、より確かなものとすることが必要と判断した。』(今回)
ただまあ何ですな、ここでは「物価安定のもとでの持続的成長経路への移行を、より確かなものとする」という物言いをしていますので、最初の部分では文言を削っては居ますが、一応「物価安定のもとでの成長(または回復)」の旗は下ろしていないっちゃあいないのかなあとも思いますけど、この辺りは次回の会合でまたいつものパターンの文言に戻った時にどうなるかwktkしながら見たいと思いまする。
○その後まあ80円に頑張って乗せましたねということで
さてまあこんな結果が出まして、もっと上乗せがあるかと戦々恐々としていた人たちとしてはまあ順当な結果でしたなという感じになりましたところで、為替市場の方は15時過ぎにもせっせと介入して79円50銭の所をぶち抜いて17時30分ごろには80円ちょうどにドル上昇。
いやあ公共放送の夜7時のニュースに「80円」の絵を出すことが出来て(出したかどうかは公共放送ニュース見て無いから知らんが)良かったですねえ(棒)という感じでございましたが、何か朝になってみると米国株安とかもあったから仕方ないなあとは思いましたが79円台。
・・・・・とか何とか思っていたら、今朝の公共放送ニュースによるとトリシェ総裁の会見で日本の為替介入に関するコメントを求めたバカチンがいたのかよorz
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110805ddm008020060000c.html
為替介入:政府・日銀、円売り単独 欧州中銀総裁が批判
『【ロンドン共同】欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は4日の記者会見で、日本政府が同日実施した円売り・ドル買い介入について「介入は多国間の決定に基づいてなされなければならない」と述べ、単独介入に批判的な見方を示した。』
・・・・・おいこら質問したのどこの馬鹿だよ。質問した記者は日本の安寧を損なう行動を取る可能性のある人間と認定せざるを得ませんので、ここは法務省様におかれましては是非この馬鹿を入国拒否リストに加えることをお勧め致したく存じます(−−;
まあECBといえばなんか今回は流動性供給を拡大したようですが、この会見の説明文を見てると・・・・・
http://www.ecb.int/press/pressconf/2011/html/is110804.en.html
何か相変わらずこんなこと言ってるのね。事実上の第1パラグラフ(最初は挨拶なので)となる全体感の説明部分の最後の所はこうなっていますな。もう諦めて旗下ろせよと思うのだが。
『Thus, our monetary policy stance remains accommodative. We will continue
to monitor very closely all developments with respect to upside risks to
price stability. 』
まあそこまで手が回らないので今日はこの辺であまり纏まらない状態で勘弁。
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2011/08/04
お題「スイス中銀が為替対策で利下げ実施とな、という雑談」
ネタはあるもののツッコミ不足の場合は雑談という名になりますorz
○スイス中銀の相変わらず清々しい金融政策決定
スイス中銀のウェブサイト
http://www.snb.ch/
03.08.2011 Press release
Swiss National Bank takes measures against strong Swiss franc
ということで、リリースはこちら。
http://www.snb.ch/en/mmr/reference/pre_20110803/source/pre_20110803.en.pdf
『Swiss National Bank takes measures against strong Swiss franc』
まあこの中央銀行は以前もスイスフラン高(基本的には対ユーロだった筈)を阻止するために為替介入を思いっきりやったものの、結局介入したのが損師になってしまってあばばばばーなのですが、まあそういう細けぇこたあキニシナイ。
『The Swiss National Bank (SNB) considers the Swiss franc to be massively
overvalued at present. This current strength of the Swiss franc is threatening
the development of the economy and increasing the downside risks to price
stability in Switzerland. The SNB will not tolerate a continual tightening
of monetary conditions and is therefore taking measures against the strong
Swiss franc.』
もうここまで来ると清々しいまでの為替一点張り金融政策。サイトのトップに書いてある『The
Swiss National Bank condacts Switzerland's monetary policy as an independent
central bank.』という文言が(金融政策のトリレンマ的に)ニヤニヤという感じもしますが細けぇこたあいいんだよってなもんで。いやまあ一応「オーバーバリューとなっているスイスフランは経済に引き締め効果を与える」とありますけれどもね。
『Effective immediately, the SNB is aiming for a three-month Libor as close
to zero as possible, narrowing the target range for the three-month Libor
from 0.00-0.75% to 0.00-0.25%.』
こちらの中銀は政策金利に関して「3か月Liborをこのくらいになるように持って行く」という割と不思議なポリシーでやっているのですが、今回はバンドを下げたのと、その中心値を「ゼロに近づける」という利下げをしましたという話ですわな。
ちなみに、前回6月のリリースを引用しておくと(冒頭部分だけ)こんな感じだす。
『The Swiss National Bank (SNB) is maintaining its expansionary monetary
policy. The target range for the three-month Libor remains at 0.0-0.75%,
and the SNB intends to keep the Libor within the lower part of the target
range at around 0.25%.』(これは6月のリリースです、お間違えの無い様に)
ただまあスイスフランの3か月Liborって元々この中心目標よりも低い0.175%とかで推移(ちなみに6月24日以来0.17500%で来ている)していまして、バンドが下がったことに意味があるのか良く判らんですけど(まあどう見ても中心値下げた方が意味ありだが、元々0.25の半分位の金利になっているのですな^^)、そこは「0.75%を0.25%に下げました!!!!!」とすると気分的にインパクトがあるちゅう話でしょ。
『At the same time, it will very significantly increase the supply of liquidity
to the Swiss franc money market over the next few days. It intends to expand
banks’ sight deposits at the SNB from currently around CHF 30 billion
to CHF 80 billion.』
『Consequently, with immediate effect, the SNB will no longer renew repos
and SNB Bills that fall due and will repurchase outstanding SNB Bills,
until the desired level of sight deposits has been reached.』
ということで、まあどちらかというとイメージは俊ちゃん時代の当座預金残高拡大みたいな事を実施しながら政策金利の更なる低下を促すというものでしょ。
『Since the SNB’s last quarterly monetary policy assessment, the global
economic outlook has worsened. At the same time the appreciation of the
Swiss franc has accelerated sharply during the last few weeks. Consequently,
the outlook for the Swiss economy has deteriorated substantially.』
まあ為替一点張りリリースしてますけど、ちゃんと「経済見通しが一段と悪化している」という話をしていますので念の為(^^)。
『The SNB is keeping a close watch on developments on the foreign exchange
market and will take further measures against the strength of the Swiss
franc if necessary.』
必要があれば追加策実施とゆうとりますが、何かやれと言われましてもあーた為替介入くらいしか無いと思うのですけど。
・・・・・ちなみに、この結果ですけれども。
http://www.snb.ch/en/iabout/stat/statpub/zidea/id/current_interest_exchange_rates/2
3-month LIBOR CHF
0.14 03.08.2011
SNB target range: 0.00 - 0.25
ということですので、前日から0.035%低下してます、ってまあ普通これは下がる罠。
http://www.bloomberg.co.jp/markets/currencies/fxc.html
主要クロスレート
EUR-CHF(CHF-EURが正しい表現でした)が0.9071とかですが、昨日のリリースが出る前が大体0.92近辺でしたのでまあ一応メインの対ユーロでもスイス高抑制とゆー感じです。
まあスイス中銀のこの「為替対応一点張り」という政策に関しては中銀としてどうなのよという議論はありますけれども、周囲がグルリとユーロ圏に取り囲まれている国という状況もあるので、この辺に関しては単純に他の先進国と比較するのもどうなのかという所もあるのでしょうな、よー知らんけど。
○為替介入効果やろうちゅうのに事前にアナウンスする馬鹿もいるようですが・・・・
NY外為市場のレビューをロイターより。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPnJT896741320110803
NY外為市場=スイスフランが過去最高値から下落、ドル/円は横ばい
2011年 08月 4日 05:57 JST
『[ニューヨーク 3日 ロイター] 3日のニューヨーク外国為替市場では、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が予想外に政策金利の目標レンジを切り下げたことを受け、スイスフランが過去最高値から下落した。』
>予想外に
>予想外に
>予想外に
・・・・・・ということで、本気で通貨高阻止の介入したいのであれば、事前に介入実施するとか金融緩和するとか事前に鉦や太鼓を打ち鳴らすのは頭の構造に何か重大な欠陥があるのか、それともマーケットのことを一ミリもご理解されていないのか、はたまた「ボクたちはちゃんと対策しているんだもんね」という経済界辺りに向けた保身の為の言い訳あるいはアリバイ工作をしたいだけで政策が効くか効かないかよりも保身の方が重要だというのかまあさっぱり理解致しかねますが、何故かアジア太平洋方面のニポーンとかいう国では自国通貨高の阻止をする為の措置に関してわざわざその効果を減殺させる為の方策を絶賛大実施しているという風に聞いておりますがどこの国の話でしょうかねえorz
まあ別に介入とか追加緩和とかしなくて良いとかいう話じゃなくて、タイミングとして中途半端にも程がある所で実施する(しないかも知れないけど)とかはっきり言ってバカジャネーノってのが市場の中の人たちのイメージじゃないかと勝手に思っているのですが、そんなに外していないですよねあたくしのイメージ。
つまりですな、今回なんて別に2日の日経の記事が出るまでは何かあるとか思っている人はほぼ居なかった筈で、そういう点で言えばまあ黙っていきなり今回実施したらもしかしたらサプライズになったかもしれませんから、黙っていきなり不意打ちというのはあったのかも知れませんが、これだけ事前に告知したら最早市場は少々のことでは反応しなくなる、という意味でわざわざ政策のコストを引き上げてしまう事前告知でございまして、何つーか作戦の組み方おかしいわ。
例えばメディア使うなら、今週黙っていきなり介入と金融緩和をセットで実施して、その後に財務官とかが「何ぼでも介入して押し上げしまっせウェーハッハッハ」とか出てくるとかやったほうが使う玉が少なくて済んだ筈でして、何ともやり方が下手糞としか申し上げようがありません。
更に申し上げれば、これは昨日申し上げた事と重複になるけど、週末に雇用統計があって来週火曜にFOMCがあるんですから、その前に実施しても逆さ絵おじさんが追加緩和示唆一発かましたらそれであばばばばーになる訳でございますので、タイミングとしてもお間抜け感がひしひしと漂うのでございますよね(スイスの場合は対ドル相場よりも対ユーロ相場が重要なのと、そもそも政策決定のサイクルが2か月とか3か月とかの長めなのでやっとくなら今回という形だったんでしょうな)。まあ逆にスイスがやってくれたから何となく今週やっても格好がついて良かったですね(棒読み)というのはありますけど、どうせ実施するなら9月か10月だろうになんちゅう無駄玉打つんだとゆー感じです。
つまりね、予想屋(でもなんでもないがあたしゃ)としては「まあ何かやるでしょたぶん国債買入拡大を中心にした基金買入の拡大、5兆か10兆。10兆なら固定金利供給の5兆円上乗せあるかもね、迷惑だけど」というのが大体の本線(というか普通に予想するとそうなるので、別にウリのウリジナル成分はない)だと思うのですが、本来的に言えば今回は事前に告知しちまったのを敢えて外す事によって、瞬間的にドル売り円買いあたっくチャーンスでカーニボーとかになるかもしれないけど、ドルのウリ党の皆さんの兵站を拡大させるだけさせておいてから絶賛大反撃をした方が為替動かす事だけ考えるなら効くんじゃネーノと思うのですけど、というのがあたくしのMPM前のイメージでございまする。
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2011/08/03
お題「なんか昨日は妙な報道があってカーニボーになったので雑談雑感」
昨日お友達に指摘されましたが、日経新聞1面記事に関する件は素で何も知らず(つまりモーサテは最初の3分しか見なかった)通勤電車でそこら辺の人が読んでる日経見て「はぁ?」と思った訳ですな。つーことで完全に1日出遅れで関連雑談をば。
元ネタは皆様ご案内の日経新聞の昨日朝刊でございますわな。
ちょっとこの記事URL長すぎなので(検索の仕方が悪いのかもしれませんが)URLは敢えて(以下割愛)にします。どうも日経の電子版は記事URLが長くてかなわん。(リンクはちゃんと入れてます)
http://www.nikkei.com/access/article/g=(以下割愛)
円急騰、緊急対応へ 政府が介入を準備
日銀は追加緩和検討 米も介入容認姿勢
最高値目前76円29銭 2011/8/2付 情報元 日本経済新聞 朝刊
○今の政府の「スケジュール感の無さ」を象徴する話ではございます
という事でまあ為替介入に金融緩和するならするで別にどうでも良いのですけれども、今回は正直別にノーケアーっつーか、そもそもドル円が80円の所で延々とうだうだやってたのが2円ちょっと動いた(今日はもうちょっと動いたようですが)という辺りで「急騰」とか言われてもなあとゆー感じで、まあ何と申しますか、少なくとも金利市場関連の人たち的には「まあ今回は特に何も無く・・・・」という感じだったと思うのですよね。
従って昨日は記事見て「はぁ?」という感じだったのですが、背景としては(これはだいぶあたくしの主観が入ってますけど)株価が何だかんだ言って値持ちしているのと、そもそも80円近辺にすっかり目が慣れてしまったので、「ドル円がまたドル下がりましたなあ〜」とは思っても日経の記事のような「ドル急落!」というイメージじゃなかった(別に昨日時点で急に5円とか10円とか円高になった訳じゃないでしょ)ので、そんなに切迫感のある印象を受けないとゆーのが正直な所で、金利市場ちゃん的には少なくとも現物いじってる人たち的には何とも違和感のある記事(何とかストの皆様におかれましては「夏祭りカーニボー到来!!!」とゆーことでここぞとばかりにレポートがうじゃうじゃ出てきたのにはウケましたけど)ではございました。
まあ何ですな、別に追加緩和に介入セットで為替対策やるならやるでも良いと思いますけど、今回ってMPMが木曜金曜で実施されて、その日の夜には米国市場で雇用統計という大ネタが待っていて、更には来週火曜日にFOMCがある訳でして、今週にその手のカードを切っても雇用統計要因とFOMC要因であっさり帳消しになってしまうリスクがあります罠。しかも今回の円高って日本の要因というよりは米国とか欧州とかの財政がどうしたこうしたを最初のネタにして動いている訳ですし、更に言えば米国は実体経済の悪化がどうのこうのという話になっているのですから、それこそFOMCの結果次第では更に米国追加緩和カーニボーになる可能性だってある訳ですよね。
と考えますと、こんなタイミングでカード切るとかタイミングが間抜けにも程がある訳でございまして、そもそも為替介入だってそうホイホイと無限に打てるものでもないでしょうし、金融緩和余地だって中々厳しいものがあるという状態になっており、カードは有効な時に切らないといかん筈なのですが、どう見ても兵力逐次投入です本当にありがとうございましたというのが今回のタイミングとしか申し上げようが無く、もうちょっと政府はスケジュール感というのものを考えるべきではないかと切に思うのであります。
これで今週末に対策実施したものの、週末の雇用統計と来週のFOMCで円売り介入分帳消しとかになりますと、乏しい予備兵力を何も考えずにバンザイ突撃させて敵機関銃の十字砲火の餌にする頭の悪い軍指揮官みたいなプレイになりますわなあとか思います。
大体ですな、タイミングと言えば今回もまた日経新聞ってブラックアウトの初日にリークだか書かせだか何だか知らんですけど為替対策向け記事を打ち込んだのですが、確か前回もそうだったのですが、中長期国債の入札日の朝にこういう記事打ち込んで誰得なんだよとゆー事でもありまして、まあ別に債券市場なんて日経新聞様にしてみればどうでも宜しいかと存じますが、毎回この調子ですとまあ債券市場の中の人的には日経ふざけんなという声が増えておりますわな(−−;)出すなら入札終わった今日出せと(苦笑)。
○つーかこういうの事前に出たら効果が落ちるだろうよ
産経にしては良い記事があったのでMSN産経から。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110802/fnc11080218370018-n2.htm
為替介入効果は一時的か 政府・日銀、慎重に時期探る
2011.8.2 18:35 (2/2ページ)
『政府・日銀は「水面下」(政府筋)で介入の準備を進めており、打ち出すタイミングを慎重に見極める考えだ。』(上記URLより)
えーっとですな、こんな大々的に記事になった時点で水面下もへったくれも無いと思うのですけれども、そういう意味ではこの記事いい感じで皮肉が利いてるなあとゆー感じ(狙ってるでしょ産経さん^^)でございます。
あのですね、この手のネタって事前告知したら市場が先に織り込みに行っちゃう話だし、(記事の1ページ目の方にもありますけど)介入とか一発芸の世界だし緩和ゆうても持ち玉僅少の状態となっております状況下ですから、為替市場に影響与えて動かそうというのであれば、不意打ちの奇襲攻撃をした方がどう見ても効果が高いというのに、わざわざ事前に鉦や太鼓を鳴らして告知するとか頭が悪いにも程がありますわな。
まあ何らかの書かせみたいなのがあって(毎度ブラックアウト期間入りした途端に確定報の如き記事が出るんですからねえ、あ、そういえば今日は公共放送も「介入と追加緩和検討」って言ってましたな)事前告知が出るのでしょうけれども、為替介入に関しては(利上げのような話と違って)事前に地均しするというのは有り得ないと思うのでございまして、毎回毎回為替対策絡みで事前報道とか日経新聞はわざわざ政策の効果を下げるような事をやって何が楽しいんだかと思うのですが、政策効果が高くなることよりもてめえの媒体の売上の方が大事という事ですかそうですかっつー感じではございます。
まー日経新聞さんにおかれましてもこのような記事が出るときには色々とオトナの事情があるのでしょうけれども、為替市場への働き掛けをどうするという観点からしますと、事前告知とか無駄にも程があるという事も関係要路の皆様におかれましてはご認識頂きたく存じます。
・・・・・いやね、これだけ事前報道して盛り上げておいて今週は何もしないで雇用統計とFOMCで円高にならなければそれで良し、円高ヒャッハーになった場合は円買いが溜まった辺りとなるでしょう来週の金曜辺りにいきなり臨時会合と為替介入で奇襲攻撃してドル売り方炙り出した上に殲滅大作戦とかするなら面白いですけれども、今の政府にそんな発想が1ミリもあるわけが無く、どうせドル円が80円切ったので急に慌てて目の前のハエを追っ払おうとしてスケジュール感も何も無く目先対応をしようとしてるって事としか思えないのが残念にも程がある所でございますわな。
○で、具体的にどうすんでしょ
つーか日銀に追加緩和やらせておいて介入無しとかだったら財務大臣は肥溜めに頭から突っ込んで即身仏となるべきだと思いますが、去年の場合は日銀が追加緩和アナウンスしてから随分と経過してから為替介入とかしてまして、何ともトンチキにも程がある展開でしたけれども、今回は更にカードの在庫が僅少となっているわけですから、効果を出すためには介入と緩和はセットで実施しないと意味無い(というか多分どちらか単独だと全然効かないと思う)と思います。
まあ金曜に緩和アナウンスして直後に介入打ち込むとか、どうせなら今日でも明日でも良いですがMPMの前から介入を打ち込み続ける(去年みたいに1日やって単発で終了とか無駄玉にも程がある)とか、まあ目立った事やらないと(それが良いか悪いかという話はさておき)為替市場に効かないでしょ事前にこれだけ告知したんだし、とは思いますけどどうでしょ。
さて、じゃあ日銀の追加緩和って何しますねんという話ですが、まあ普通に考えると今回のようなケースだと「一時的な円高進行」に対応となるのですから、「基金の拡大」という話になると思います。まあ基金も一時的対応という奴ですからね。
その中で固定金利オペをもう10兆増やすのはやろうと思えば出来ない事は無いと思いますが、固定オペの拡大をこれ以上すると通常の金利入札方式、つまりショートタームの資金供給オペの実施余地が乏しくなります(固定オペは期間が長い)ので、微妙に調節がやりにくくなるし、うっかりしたら固定オペ札割れの悪寒も。
社債やCPの買い入れ拡大に関しては、既にこれらの買い入れによって(特にCPなんかは)クレジットスプレッドが潰れまくって民業圧迫状態になっておりまして、ポーズとして実施するなら実施してもよろしおすですけど、更に市場機能とやらが壊れますけどよろしゅおすかという感じですわな。
・・・・と考えますと、普通に基金での国債買入拡大に短国買入拡大というのが本命になるんでしょうなと思いますけど、あたくし的に好き勝手申し上げますと、どうせ為替介入したって買うのは米債で、その米債購入の(結果としては)バックファイナンス状態になる国債などの買入拡大する位だったら、ETFでもどどーんと買えばとか思うんですけどね、最早金融政策じゃないような気もしますが(苦笑)。
だってさ、米国債買ったってその金って事実上固定みたいなモンで、使うのは(結果としては)米国財務省様になるとか考えたら、ETFをどどーんと買って株価は上昇するわETF買った金は国内株式市場で回るわとなりましていい感じで皆さんウハウハでしょ、ほらマネー供給するならちゃんと「動く」所に供給しないといけないでしょってなもんですし。などと怪しげな理屈を考えて見たのですが、これは最早金融政策では無いとも言えますし、大体からして政府部門にETFが残るとかどんな素敵な事態だよという所でもありますが、何かもう考えているうちに段々ヤケクソになってきました(笑)。
まあ普通に考えて今回は固定オペの拡大よりは「買入の拡大」の方が為替市場的にウケが良いでしょうから、基金買入の拡大で対処するんじゃないの、とは思います。数字の上げ底を狙って5兆円くらい固定オペ増やすとかやるのかね???
○などとうだうだ書いているうちに時間が無くなったがその他余談
・しかしまあ製造業さんもアレですなあ
今日の公共放送ニュースでは「円高で企業業績の悪化が懸念」とか「産業界からの声が」みたいな報道してて、企業経営者などの発言が報道されていたんですけど、おまえら円高対策で為替介入しろとか言うならその口で「電力料金が上昇すると製造拠点を海外に移転しないと」とか言うんじゃねえ(円安になったら燃料費上昇するだろ)と思いましたけど、いやちょっと思っただけの余談ですけどね。
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2011/07/29
・東電関連法案衆議院通過ですな
毎日新聞ニュースから
http://mainichi.jp/select/today/news/20110729k0000m010046000c.html
衆院本会議:原子力損害賠償支援機構法案など可決
2011年7月28日 19時58分 更新:7月28日 20時7分
でまあそれはそれでやっと形になってきましたね良かったですね何とか太郎みたいな後先考えない馬鹿過激原理主義者が排除できて良かったですねという感じなのですが、この法案に関してはまあ運用段階でまた色々と外野が騒ぐ可能性はあるんだろうなあというのは、原発問題に関連して見事に真逆の主張をしている産経新聞と東京新聞の本件に関する社説を見ると想像がつくというものでありまする(−−;
東京新聞27日社説
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011072702000046.html
【社説】東電賠償案 株主責任はどうする
『新設する賠償機構に国が交付国債を発行して東電が必要に応じて現金化し、後で長期返済する仕組みだったが、修正案は加えて「機構に国が資金を交付できる」と改めた。つまり税金である。これで東電は今後、どんなに資金難に陥ったとしても、交付国債の現金化だけでなく税金の直接投入で生き延びることが可能になった。絶対安心の生命維持装置を確保したも同然だ。自民党内には「今回の措置は一時的なもので、将来は東電を破綻処理できる二段階方式」と評価する声もある。法律の施行状況を後で検討する付則が盛り込まれたためだが、こちらも形だけにすぎない。』(上記URLより)
しらっと河野某議員の解釈が大甘ですよダメですなあとか言っているのがチャーミングではございますが、法案に対してこんな感じで批判的解釈ですわな。
一方産経新聞29日社説ですが
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110729/plc11072903080002-n1.htm
【主張】原子力賠償法案 「国の責任」はっきり示せ
『法案の解釈があいまいになり、かえって被害者の救済に支障が出ることも懸念される。修正案に東電が債務超過に陥る事態を想定した文言はないが、付則で「法律の施行後早期に、国や東電、株主などで負担のあり方を検討し、必要な措置を講じる」としており、東電を法的整理する可能性を残したとも受け取れる。参院での審議ではこうした不透明な部分を含め、理解しやすい中身にする努力を重ねるべきだ。』(上記URLより)
ということで、思いっきり真逆の解釈から批判的な解釈をしているのでありますが、まあ法案通すためにはこうでもしないととゆー所ではあるのでしょうけれども、新聞各社の中で電力関連の最近のトピックスに関して物の見事に両極端の主張をしている東京新聞と産経新聞がどちらも自分達の主張に基づいて本法案に対して批判的な主張を繰り広げているという中々お洒落な光景でございましたのでクリップしておきます(^^)。
ちなみに雑談なのだが、さっきの東京新聞の社説なんですけどね。
『こんな法案になったのは、既得権益を守りたい霞が関と東電、関係金融機関が菅直人政権の足元を見透かしていたためだ。市場経済の根幹を踏みにじるような妥協でお茶を濁した自民党と公明党の責任も重い。』(上記東京新聞社説より)
いやあのそうは仰せですが、元々国策で実施していた原子力行政ですし、そもそも電力事業自体が所謂レッセフェールの反対みたいな建付けを前提にしていまして、その電力事業に対して融資したり社債購入したりという人たちは、その建付けを前提にしていたのですから、いきなり「市場経済」とか言われても困りますし、電気事業法における一般担保の規定を捕まえて既得権益といわんばかりの主張をされましても頭おかしいんちゃいますかという感じでございますがねえというツッコミだけはしておくわwwww
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2011/07/12
イタリアに引火で米債が今日も10毛強とはこらオソロシスですな。
○ということで何となく色々な雑感
・まあ市場アタックされる隙は少ないに越した事は無いという話
いやね、それまでまあ別にそこまでの言われようでは無かった(財政赤字の話は昔から言われていましたが)イタリアが急に明日にでも飛びそうなプライシングで売り込まれるとか、市場ちゃんとゆーのはまあそういう理不尽な動きを隙あらば行う訳なんすよね。
で、市場の中の方におかれましてはそんなの当たり前というか何度も見ている話なので今更耳タコですけれども、まあ要するにその手のアタックされる隙を急に市場は突いて来るというのが市場のクオリティなのでありますよ。そーゆー観点からしても日本財政なんてネットの対GDPとかだけ見たら既に真っ赤にも程がある訳で、ツッコミ所は既にあるのですから、別に市場が消化できると申しているのに不用意に財政マネタイズの具体化とかわざわざ市場がツッコム隙を与える話をこの時期に行う必要は無いと思うのですけれども、復興で財政出すから日銀引受とか安易に言い出すのが相変わらず居るのってどうなのよと思いますけどね。
まあ政治屋連中が言うのはそらまあここぞとばかりに財政出して打出の小槌でウハウハ狙いだから言うの判る(判るが同意はしない)のですけれども、その財政マネタイズはコントロール可能だから大丈夫みたいな事を高橋是清さんを例に出して言い出す学者な人たちって何ですねんという感じでして、コントロールが徐々に厳しくなってきて最後は高橋是清さんが殺害されてその後はあばばばばーになってしまったんじゃネーノと思うのですけど何なんすかと思うのでありました、といつもの話で恐縮ですが。
#なお念の為申し上げますが、じゃあ復興財源に基幹税の引き上げとか言うのはこれまた意味判らん話で、復興関連は一時的支出なのにその財源を恒久財源で賄うとか日銀引受と方向は違うけど同じ意味での火事場ナンチャラな議論じゃネーノと思いますけど
・どうも計算が出来ない人が居るようで
正直どうでも良いのだが例の人のブログを見たら東電に関してこんな足し算をしているようで。
http://www.taro.org/2011/07/post-1041.php(直リン自主規制中^^)
東電救済で国民負担10兆円をおしつけるな
2011年07月01日 14:39
『政府案だと、東電の株主は保護されてしまう。他方、破綻処理をすれば株主資本は100%減資され、再生した東京電力が売却されれば、その分は国民負担から差し引かれる。事故前日の東電の時価総額は3兆4599億円なので、ここで政府案と比べ、3兆円以上の国民負担減になる。』(上記URLより)
・・・・・・・えーっとすいません、確か先生は東電の地域独占はケシカランので更に電力自由化しろとか、東電の内部留保はドンドン出せとか仰せだと思うのですけれども、先生の主張されているような電力政策のあり方が実行された暁には新生東京電力の企業価値はどこからどう考えても「事故前日の数値」になるとは到底思えないのですけれども、何がどうなると再上場時に「地域独占して高い電力料金をふんだくって内部留保を溜め込んだケシカラン状態」になるのか愚昧なるあたくしには1ミリも理解致しかねますが。
まあこの先生の場合、計算が出来ないのも困るのですが、こういうのはもっと困りますがな。
http://www.taro.org/2011/07/post-1045.php(直リン自主規制中^^)
「東電は後から破綻処理させます」
2011年07月07日 13:26
『当初は、財務省プランでスタートするが、折を見て、東電を破綻処理させますという経産省プランを持って、経産官僚が議員会館を回り始めた。』(上記URLより)
・・・・・・・いやね、先生が政治家として東電をとっとと破綻処理しろとか言うのはああそうですねって感じですけれども、こういうソースがあるんだか無いんだか判らない問題に関して、上場企業の破綻処理がどうのこうのというようなネタを書くのっていわゆる一つの風雪のルル(仮称)って奴じゃないのとか思うのでございますけれどもねえ。神奈川15区は責任とって頂きたいもんだと存じます次第ではありますな。つーかまあ政治の胸先三寸でどうなるか判らんという状態の企業をそのまま上場維持させてる東証も東証だと思いますが。
ま、この前のブログ記事は市場が反応しましたが、今回華麗にスルーになっているのは前回の話では「自民党の影の内閣が一般担保の建付けを破壊しようとしました」という趣旨の話をしてたのに対して、今回の話は如何にもアレな書きっぷりだったからというのが要因でしょうなあと苦笑を禁じ得ない物でございます、つーか前回の「一般担保の建付け破壊問題」に関してもアレってこの先生の脳内お花畑勝手解釈によるフカシだったんじゃネーノという疑問が思いっきりあるんすが(本当だったら影の内閣が完全無視されている事になるんですからそれはそれでおかしい話)。
#途中からしょうもない悪態になってしまいましたorz
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2011/07/07
○これはまた感動的に破壊的クオリティ記事
昨日はこんな記事があると教わって朝から腰が砕けますた。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22046920110705?sp=true
現先運用に浸み出す企業マネー、国債暴落のマグマ膨張か
2011年 07月 5日 18:41 JST
・・・・・・・えーっとですな、まあ要するに「国債暴落」というキャッチーな結論となる記事を書きたかったので、何か材料は無いかと探していたらそれらしい(とロイターの中の人たちが思う)素材が出てきたので記事を作りました、という事だろうなあと想像するのでありますが、記事の内容があまりにも素敵過ぎでございまして、貫禄の署名入り記事でこの内容ってゆーのがロイターさん良い度胸してますなあと思うのでございますが、それがデスクを通ってしまうというのが更に香ばしいとしか申し上げようがございません。
まあ何ですな、この記事どう見ても変という部分のほうが多いというかなり素敵なクオリティを発揮しておられまして、市場関連記事としては壊滅的な内容ございますけれども、どこがどう変なのかという点について国内円金利部門に配属されて3か月、と言いたい所ですがそこは勘弁して半年以上経過した若い衆にテストをする素材として大変に使える記事かと存じます。つーか半年以上経過しているのにこの記事のツッコミ所探しで間違い続出とか漏れだらけだった反省の為にお遍路送りですなお遍路送り(^^)。
という事で、まあツッコミの方は敢えて本日は行いませんが、折角ですので1箇所だけ突っ込みを入れてあげると、現先取引の説明をしている第6パラグラフの最初の所を引用して進ぜよう(^^)、曰く。
『現先取引では、債券などを一定期間後に一定価格で買い戻す(売り戻す)契約を結び、その間の債券価格の変動リスク軽減が可能だ。』(上記URLより)
・・・・・・ほほう、債券現先で売現をするとその間に金利が上昇しても当該銘柄の価格が値下がりしないとはこれまた画期的ですな。いやまあ償還あるいは償還数日前まで売現をするならそらそうかも知れませんけど、普通に長期債で売現やった(まあそもそも長期債を売現するんかいなという話までしだすと長くなるのでそこは敢えてスルー)時にそんな画期的な事が出来るとは金利部門フロント生活10ウン年のあたくしとしては初耳にも程があるのですが、もしかしたら不勉強なジジイのあたくしが知らぬ間に最先端の金融工学を駆使してそのような事が可能になったのでしょうかねえwwwwwww
というような感じで、あちこち素敵なツッコミ所があって正直あたくしもその箇所の勘定していない(1人で読んでいると途中で頭がクラクラして来るので人と読み合わせしないと勘定できませんって^^)のですが、何かもう数々のツッコミ所がありますので、これは中々の練習問題である。
・・・・・つーかですな、この記事の最大の被害者(?)は国債暴落という結論を導き出す為の素材として財政再建関連のコメントを求められた結果、この素敵な記事にコメンテーターとして名前が思いっきり出てしまった西岡さんと坂口さんのような気がします。ご両者のコメントは単に財政問題に関する普通のコメントなのですが、前後に書かれている記事のクオリティが本物のアレな風格を漂わせるアレなクオリティを誇っておられますので、何かカワイソスな気がしてまいりますです、合掌。
○3MTBもまた0.09%台でしたな
まあシャーナイナイの結果なんですが。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230706.htm
3. 発行日 平成23年7月11日
4. 償還期限 平成23年10月11日
ということで毎度の3か月物発行予定額4兆8000億円ですな。
(3)募入最低価格 99円97銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.0952%)
(4)募入最低価格に 15.6692%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円97銭7厘0毛
(募入平均利回り ) (0.0912%)
ということで、平均0.0912%の足切り0.0952%というこれまた素敵な結果。
まあ昨日の場合は入札前の前場段階で0.09%どころか0.0875%とかゆーよーな素晴らしい取引がブローカーで展開されていましたので、そらまあ強い入札でございましょうなあという所ではございましたが、来週以降財政揚げ超が続いて自然体で現在のウルトラ超過準備が減ってくる(といっても準備預金の進捗的に言えば今回の積み最終が来週金曜ですけれから積みが進捗しまくっている状況は来週もそうなんですけど)とゆー事にはなると思うのですが、おまいらそんなに潰す金あるんかいなとゆー所でございます。まあ今そこに余っている金がうじゃうじゃあるのは当座預金残高見りゃ判りますけど。
でですな、昨日の市場推計ベースの落札分布見ますと、ここもと目だった「どこか1社がアホほど落札してついでに不明札多し」というのではなかったのがふーんという感じでしたが、まあ結局セカンダリーは平均オファーの足切りビットとかだったと聞いておりますので、先月末近辺からの流れで0.10%割れの短国というのが継続していて、その余波はまだ継続ちゅう所なんでしょうけど、現先とかレポのレートが足元でそこまで激下がりしている訳でもなく、うっかりすると現先の方が3MTBよりもレートが良かったりする日もあるっつー状況になっているように思えるのですが、そーゆー状況がサステイナブルなのよとゆー疑問は無いわけではないが、ここであたくしが大々的に「いや足元の短国市場の状況は一時的(キリッ)」とか言い出すとフラグになる恐れがありますので予想は自主規制である(−−;
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2011/07/06
お題「6か月TBまで0.10%割れとかorz/昨日の東京AIMの債券市場関連(昨日の訂正あり)」
大先生の誤神託が出たと思ったら早速ポルトガル大幅格下げとは恐るべし、というか「日本株はもうダメです」宣言を高らかに行って永遠に引退して下さいお願いしますお願いします。→http://www.musha.co.jp/3045
○6か月TBまで0.10%割れですと??
昨日は10年国債の入札もあった気がしますが、ネタ的にはどう見ても短国です本当にカムサハムニダ(^^)。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230705.htm
3.発行日 平成23年7月8日
4.償還期限 平成24年1月13日
ということで6か月ものですよ半期末と年末通過しますよ。
(3)募入最低価格 99円94銭7厘
(募入最高利回り) (0.1024%)
(4)募入最低価格に 3.8472%
おける案分比率
(5)募入平均価格 99円94銭9厘
(募入平均利回り ) (0.0985%)
ちょwwwww
という事で、昨日の6か月TB入札もまた平均落札が貫禄の0.10割れだわ、足切りの0.1024%は3.8%しか入っていないわという大変に素敵な結果。テールまで2厘あるという事はもうちょっと上に必殺の札が入った結果という話になりますが、まあここもと上で切れてしまう事が多いので、必殺を上に入れざるを得ないとゆーのはありますけれども、何と申しますかあのこれ6か月物なんですけどと思いつつ市場推計の大口落札業者を確認しに逝ったら一社が15200億と突出して多くて(第2位が4300億)不明が9200億ですかそうですか発行総額35000億円でしたよねえという事で、まあ何となくまた今回も例のアレ(敢えて細かく書かない^^)でございますかそうですかという動きでございまする。
えーっとですな、先週終わりから債券市場は米国の急に景気回復が来たので状態を受けているのかどうか知りませんが妙に押し込んでいるのでございます(今日は戻ると思いますけど、とフラグを立ててみる^^)けれども、こーゆー時は普通「長期債にここぞとばかり押し目買いが入って待機資金になっていた短国が外れる」とゆーもんだと思っておったのですが、どちらかと申しますと長いところが重くなりながらそっちを外した金が短国に入っているんじゃネーノってな風情を醸し出しているのが何とも残念無念な展開。
まあそれに加えまして、今回の積み期間につきましては、6月20日の国債大量償還で当座預金残高が34兆円台に積み上がりまして、その後も当座預金残高は積みあがった状態が継続していまして、昨日も32兆円とかになっています。そんなこんなで超過準備も積みあがっているのですけれども、従来って銀行の資金繰り部門の建て付けって超過準備を極力積まないのが前提になっていたのですが、補完当座預金制度の創設と足元の超過準備アホほど積み上げ攻撃によって従来の前提条件が変わってしまっているのが足元の状況だと思われますけれども、まあそういうのって急に前提を変えられましても直ぐに対応できるかとゆーとこれまた別問題というのがありますので、恐らく銀行さんの中でも「あまりにも大きな超過準備を積むのはイクナイ」という建て付けが生きている所もそれなりにあると思うのですよね。でもってそうなりますと、超過準備が積みあがりすぎた場合に仕方が無いので短国が10bpをちょっと位切る程度なら買うのやむなし的な人がいてもおかしくないのかなあとか勝手に想像しているのである。
なお、今のはあたくしの勝手な想像の世界でありまして、あくまでも仮説の世界でございますので正確性に関しては無担保無保証ノンリコースという扱いで宜しくお願いいたしたく候。まあそれに超過準備が恒常的にどどーんと出るというようになってきた場合、わざわざ超過準備付利金利よりも低い利回りの国債を買わなくても良いように内部的に建て付けが変わってくると思いますので、日銀当座預金直接取引先が恒常的に超過準備付利金利を下回る利回りの短期国債を買ってくるという話にはならないとは思うのですけどね。
あとそもそもの話なんですけど、来週になると財政の揚げ超の日が多くなって来て、よほど無理無理供給をしてこない限り当座預金残高は来週になるとそこそこ落ちて来るので、まあいつまでもあると思うな当座預金30兆円という所だとは思いますし、何気に固定金利オペ(基金共通担保資金供給)も応札2倍程度のところからは応札が減ってこないですし、共通担保オペを打つと一頃は応札1000億以下とかいうような涙の出るような状態でしたが、足元ではそこまでの状況でも無いですから、ファンディングのニーズ自体はそれなりにあると思うのですけどね。
と、マニア的誰得雑談でどうもすいませんすいません。
○東京AIM関連ネタの続き、というか訂正とか補足とか
昨日は東京AIMの特定投資家向け債券市場に関するネタを書いたのですが、早速ご指摘を頂きましたので謹んでお詫びして訂正しながら関連ネタの続きを致したく存じます。ご指摘頂きました読者様には感謝感謝でございます。
昨日もURL付けましたが東京AIMのリリースおよび資料はこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/files/pressreleases/110517_pressrelease_jpn.pdf
でですな、こちらの資料を見るとPDFファイルの39ページ以降にQ&Aのコーナーが延々とございまして、そこの『売買制度(業務規程等)』(PDFファイルの53ページ)という所にこのような記載がございましたでありまする。
『Q47 上場債券の売買は取引所外で行ってもよいのですか。
A47 従来の債券と同様、取引所外において売買を行っていただいて結構です。』(強調部分は引用者による)
・・・・・・という事でございますので、昨日書いた時には市場集中義務があるかと勘違いしてああでもないこうでもないと書きましたが、全面的にあたくしの確認不足でございましたので、関係者および読者の皆様に陳謝すると共にここに謹んで訂正させていただく所存でございます(が賠償は致しません^^)。
と、訂正をした上で更にQ&Aを見ると謎の記述が同じページの最後の方に(^^)。
『Q51 取引所取引は、課税玉と非課税玉のどちらを前提としていますか。
A51 債券利子に係る税制上、債券の利子に関して課税対象となる債券(課税玉)と課税対象とならない債券(非課税玉)がありますが、取引所における売買は課税玉を前提としています。これは取引所が非課税玉を前提としようとしても、取引所での取引においては受け渡しの対象となる債券の過去の保有者の履歴を特定することができないため、取引所外での売買を通じて課税対象となる者(個人及び資本金1
億円未満の法人)が保有した履歴を持つ課税玉が受渡債券に入る可能性があるからです。課税玉の混入が排除できない以上、課税玉を前提とした売買とせざるを得ません。したがって、経過利子から税額相当分を差し引いた金額を売買代金に加算した金額を受け渡すことになります。』(強調部分は引用者によります)
えーっと、特定投資家向けの債券市場なのに何故課税玉前提に???ということで、市場集中義務どころか、よくよく見るとそもそもこの建付は「取引所での取引を前提にしていない」というかなり謎のプログラムになってますな。
#つーか、その後に続く理由の所読んでいて思ったのですが、債券先物の最終決済をする時って取引所経由になるのですが、利払い銘柄以外を受け渡そうとすると自動的に課税玉扱いになるのかと一瞬悩んだが、そもそも国債の場合は今の振決だと課税玉にならないという話になるんでしたっけとか書いているうちに頭から湯気が出てきたので後で調べる(汗)
じゃあこのプログラムで東京AIMはどうやって儲けるのと思いますと、どうもプログラムに登録する際に口銭払わないといけないとか、そっちの方で商売をするようで、この市場って開示の仕組みの改善を取引所が行うけれどもセカンダリーは知らんがなという取引所としては良くも悪くも画期的な施策。つーかまあ個人的に申し上げますとセカンダリーの方を放置プレイで発行だけ取引所がやりまっせというのは何だか取引所虫が良すぎというか美味しい所だけ取っていくんかいという気がするのでありますが。
でね、その点で申し上げますと、Q&Aの次のページ(PDFファイルの54ページ)以降に『法令、その他』というのがあるのですけれども・・・・・・
『Q55 上場債券の勧誘を行うに当たって、金融商品取引法に基づき締結が求められる譲渡制限契約について教えてください。
A55 TOKYO PRO-BOND Market に上場しようとする債券について特定投資家向け取得勧誘を行う場合には、発行体と投資家との間及び証券会社と投資家との間でそれぞれ譲渡制限契約を締結することが求められます。
また、TOKYO PRO-BOND Market に上場した債券について市場外でOTC 取引を行う場合には、特定投資家向け売付け勧誘等に該当し、勧誘を行う者と投資家との間で譲渡制限契約の締結が必要となります。
参考条文:
特定投資家向け取得勧誘について、金融商品取引法2 条3 項2 号ロ(2)、令1 条の5
の2 第2 項3 号、定義府令12 条1 号ロ、11 条の2 第1 項
特定投資家向け売付け勧誘等について、金融商品取引法2 条4 項2 号ロ(2)、令1
条の8 の2 第3 号、定義府令13 条の6 第1 号ロ、13 条の5 第1 項』
『Q56 上場債券に関する告知義務について教えてください。
A56 TOKYO PRO-BOND Market に上場しようとする債券について特定投資家向け取得勧誘を行う場合には、勧誘を行う者から勧誘を受ける者に対して告知が必要となります。当該告知については、書面の交付は必ずしも要求されていません。また、TOKYO
PRO-BOND Market に上場した債券について市場外でOTC 取引を行う場合にも、勧誘を行う者から勧誘を受ける者に対して告知が必要となります。
参考条文:
金融商品取引法23 条の13 第3 項1 号、開示府令14 条の14 の2 第3 号』
ということで、法令の定めに従いまして譲渡制限契約と告知義務があるんですけど、これって漏れると金融商品取引法に堂々の抵触になるのですが、何か現実問題としてこの譲渡制限契約と告知義務の遵守に関して事務的に漏れなく回るんかいなという疑問がございまして、うっかりミスで金商法違反の業者ホイホイ状態になりそうな悪寒がするのでございますがどうっすかねえ。
それと、取引所に上場する商品なのに実質的に取引所では取引が無いとなりますと、時価の問題どうすんのという話もこれまたある(複数社による価格提供があればというハードルの高い前提つきですが、場合によっては売買参考統計値が出るとゆーケースもあるみたいですけれども、他のベンダーとかは価格を出しそうもないですし・・・・)とゆー感じで、とりあえず東京AIMが鳴り物入りで作ってみたものの、セカンダリーの整備がかなりのやっつけ感が漂う内容となっておりまして、今日び財務省様だってセカンダリー市場における円滑な売買取引が遂行される事に対して非常に細やかに気を使っているというのに、とりあえず発行だけ整備してセカンダリーはあと皆さんで何とかしてね(はぁと)的なこの滑り出しはどういうクオリティなのかと甚だ微妙なものを感じるのでございました。
ということで、内容の訂正はございましたが、結局disり気味であることには変わりが無かったりするのがドラめもんクオリティーでございます。
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2011/07/05
○そういやこんなのがありましたな
だいぶ前のネタですがうっかりスルーしてたので今更備忘メモメモ。
http://www.tse.or.jp/news/30/110517_a.html
2011/05/17 更新
当社子会社TOKYO AIM、プロ向け債券市場「TOKYO PRO-BOND Market」の制度を発表
〜 規程・規則につき金融庁から認可を取得 〜
んでもってTOKYO AIMのプレスリリースのページはこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/page/news/press_release
内容はこちら
http://www.tokyo-aim.com/japanese/files/pressreleases/110517_pressrelease_jpn.pdf
(PDFで56ページもありますので注意)
で、表題ページの所にこんな話が。
『「TOKYO PRO-BOND Market」は、2008年の金融商品取引法の改正により導入された「プロ向け市場制度」を活用して設立、運営されます。新市場の主な特徴は以下の通りです。
・ 既存の債券市場の大部分を占めるプロ投資家を対象とし、発行体と投資家双方の利便性を向上させる柔軟な制度を導入
・ 発行時の開示書類を大幅に簡素化し、発行体の起債手続きを効率化
・ 英文のみによる発行開示および継続開示が可能となり、海外の発行体の発行コストを大幅に削減
・ ユーロMTN と同様のプログラム上場を可能とし、市場環境に応じた機動的かつ柔軟な起債を実現』
という事で、まあ要するに現在のガチガチの開示規則をプロ向け限定にすることによって緩和して、ユーロMTNプログラムと同様に機動的な発行をできるようにしますよという話であります。
でね、まあ趣旨は判るのですが、本件の最大の疑問って「で、何でその債券の売買を取引所集中しないと行けないのですかあああああああああ?????」という事でございまして、これって単に規制緩和してくれりゃ良いだけの話じゃネーノと思うのでありますわ。大体からして債券の場合、店頭売買で業者が在庫持ちながら(またはショートセールしてレポしながら)マーケットメイクしてオファービットを投資家が払う(払いたがらない投資家も散見されますが健全な市場がサステイナブルである為には投資家はask-bidのスプレッドはきちんと払うべきであると思いますが)のが普通の流れでありまして、そこに取引所が入って場口銭の形でask-bidスプレッドを取って行かれますと流通業者的にこの債券を扱うメリットって何ですねんという話になり、そうなると当該債券の流動性が出なくて投資家にもメリットが低く、結局発行体も使わないんじゃネーノという悪寒も。
いやまあユーロMTNプログラム分を取り込みましょうという話になるだけの話になるのかも知れませんけど、CPの発行も電子CP化によって便利になっていますし、こちらがどの位の市場になって行くのかは生温かく見守りたいと思うのですけれども、先ほど申し上げたようにこれって別に取引所に集中させてどうのこうのという話じゃなくて単に規制緩和してくれれば良いだけの話のような・・・・・
ま、確かに取引所が一枚噛んだ事によってこれらのスキームが出来たというのはあるとは思いますけど、何か微妙なテイストを醸し出しているような気がしますです、はい。
(追記:上記部分の認識に相当事実誤認がありまして、翌日に訂正エントリーを作成しました)
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