金融政策概観(2011年度上期前半分(2011年04月〜06月))
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2011/06/30「またも3MTB入札0.10%割れですが今回は串刺し入札になりましたな」
2011/06/23「3MTB入札が0.10%割れ!!!」
2011/06/22「PD懇と投資家懇、相場見通しが業者は全員強気、投資家は全員買いたい弱気とな/東電関連雑談」
2011/06/21「またまた東電格下げで関連雑談」
2011/06/15「決定会合では変な貸出制度が/東電法案閣議決定ですかそうですか」
2011/06/10「決定会合プレビュー/GCレートは安定し短国も安定/電力関連雑談/ECBはKYとな」
2011/06/09「河野太郎の事後法スキームあえなく崩壊/自民党もなんか変だぞ/産経電波浴」
2011/06/08「そもそも東証の社長が上場する個別企業に関する具体的なコメントをすべきではないという話」
2011/06/07「東証社長と河野太郎議員のブログで電力株と電力債が大変なことに」
2011/06/03「内閣不信任案は壮大な茶番でした」
2011/06/02「R&Iが東京電力格下げ/昨日の訂正など」
2011/06/01「日本国債ネガティブウォッチとな」
2011/05/31「S&Pが東京電力を格下げ/でも政治はスタック状態とな」
2011/05/27「野田審議委員の後任候補にSMBCから石田浩二元専務取締役」
2011/05/26「枝野官房長官国会答弁で見苦しい言い逃れを行うの巻」
2011/05/23「西村副総裁は今回会合では基金買入拡大提案せずとな」
2011/05/20「枝野発言で東電およびその他電力の社債、CDSスプレッドは急拡大」
2011/05/19「法案提出できそうも無いのでと発送電分離ネタに飛びつくのは危険だと思いますが」
2011/05/18「さらに話がねじれている東電問題」
2011/05/17「銀行反発し、官房長官は開き直り、何故か法案提出は先送りとな」
2011/05/16「引き続き東電関連の悪態は続く」
2011/05/14「特別更新:2閣僚の無法発言に対する抗議エントリー」
2011/05/13「金融機関の自主的協力がスキーム発動の条件って随分な恫喝ですなあ」
2011/05/12「東電賠償スキームに謎の「ステークホルダーの協力」の項が/一連のネタは馬鹿発見器でもある」
2011/05/11「東京電力賠償支払いスキーム案ですか」
2011/05/10「中部電力浜岡原発停止に見る現政権の手続き無視の無法体質」
2011/05/06「引き続き先の見えない東電関連の雑談である」
2011/05/02「決定会合レビュー:西村副総裁の緩和提案とか適格担保の金融機関自己申告容認とか」
2011/04/27「決定会合とFOMCプレビュー」
2011/04/26「東電関連に関して雑感少々」
2011/04/22「長期国債買入拡大に関する雑感」
2011/04/21「無担保コールが下がりっぱなしで戻りません/どうしてそう増税が正義的になるのかねえ」
2011/04/19「復興国債が別建て発行???/またリークかよ!!/S&Pが米国債ネガティブも米債買われる」
2011/04/14「東電がらみの話は相変わらずカオス」
2011/04/12「どうしてそう東電に支払わせる話をするのかねこの内閣は」
2011/04/06「また社債オペの銘柄漏洩/東京新聞の杜撰な国債引受論/民主党プレミアムがついている市場」
2011/04/01「日経新聞の震災国債引受報道関連の悪態大会/Moody'sの格下げテロ攻撃悪態大会」
2011/06/30
○3か月TB入札(^^)
昨日の3か月TB入札結果。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230629.htm
(3)募入最低価格 99円97銭5厘5毛
(募入最高利回り) (0.0982%)
(5)募入平均価格 99円97銭7厘5毛
(募入平均利回り) (0.0902%)
ちょwwwwwなんですかこのテールの長さはという感じでございますが、前場の段階ではやたら強い所でWIをやっていたので、空振りを避けようとゆーことでうっかりすると0.07%台とかから応札したんでしょうなあとは思うのですが、まー案の定預金ファシリティー金利割れのニーズは限定的でございまして、4兆8000億円の入札分を全部捌くだけの札が無かったので、足切りだけは0.0982%と0.10%直前寸止めレートになりましたとゆーことでしょうな。
つーかですな、いやまあ先週の入札で壮絶ショートカバーさせられた人もいたようですので入札空振りはマズーという事で上に必殺の札を入れるのは判るんざますが、このレベルって業者の調達コストや預金ファシリティーとの勘案で言えば実質的にはマイナス金利の世界(ただし預金ファシリティーの外側にいる投資家にとってはゼロより高い場合はプラス金利ではあるのが話をややこしくするのだが^^)でして、そのマイナス金利の範囲内で札を流してどうすんねんといいますか、必殺の次の札は0.10%でエエンチャウノとか思うのは気楽な傍観者だからですかそうですか(^^)。
まあ何はともあれ、0.10%割れのニーズが限定的とゆーのが判明した所で華麗に足切りオファーとかなったようで、これはまた何とも香ばしい入札となりましてちったあ短国市場正常化に向かってくれるかねとは思うのざますけれども、まだ海外タイムとかでは順調に販売が進んでいるっぽいので、やはり先々週の木曜辺りから短国ちゃんが変調というよりは夏の短国祭り状態になっていた流れの余波がまだ少々ちゅう所でしょうかねえ、よー知らんが。
とりあえず明日はカレンダーベースで4半期末を目出度く通過しますので、そこでここもと強かった短国のうちどの辺りまでが期末特殊要因でござるの巻であって、どの辺りまでが預金ファシリティーの外側の人たちのマジ買いなのかがある程度見えるかなあとwktkしているのですが、そうは言ってもビットサイドが0.10%乗せになっちゃったら期末特殊要因で買った人も別に直ぐには売ってこないかもしれませんし(中長期債の購入との入替で飛び出てくるかも知れませんけどね)にゃあとゆーことですが、以上の相場雑談にはあたくしの妄想成分も多分に含有されておりますことを念の為ご了解されたく存じますです、よー知らんがの。
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2011/06/23
○短国入札ェ・・・・・・
昨日のTB3か月の入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230622.htm
(3)募入最低価格 99円97銭7厘0毛
(募入最高利回り) (0.0922%)
(5)募入平均価格 99円97銭7厘1毛
(募入平均利回り )(0.0918%)
・・・・・(;゚д゚)
いやまあ前場の段階で新発WI取引が0.090/0.095とかいうお茶目な気配になっていましたので0.10%割れは覚悟していましたけど、何もそこまで強くせんでもエエジャロと思うのでありますが・・・・・とか言ってたらセカンダリーの業者間市場で0.045%だの何だのとかケシカラン出合いがあったようで更に(;゚д゚)な状態。どうも一部の投資家だか何だかがドカンと購入だか落札だかしたようで、4兆8000億円の発行予定額に対して市場推定のいわゆる不明玉が3兆円を超えるという有様になり、入札空振りとなった業者がショートカバーを入れたり、その煽りで他の短国も強くなって0.10%を大きく下回るレートで出合ってみたりと散々な状態だったようでございますな。ナムナム。
えーっとですな、先日あたくし申し上げましたように、0.10%割れの短国を購入するのに経済的な意味があるのって、日銀当座預金制度の外側にいる人に限りますんで、そーなりますとガイジンに生損保に投信・年金となるのですが、足元でドル円スワップがワークすると申しましてもこれらの買いだけで4兆8000億のニーズが爆裂するとかあまり想定し難いものがございますし、それならもうちょっと不明玉少ないと思う(業者にそれなりに札が分散されると思うのだが)のですけど、何なんでしょうねこれ。
まあ6月末という四半期末を控えて国債残高(短国ですけど)調整しようと思った時に1兆以上のオーダーで玉を確保するタイミングって短国入札しかない(しかも受渡ベースで言えば昨日の入札がラストチャンス)ので買ったお方でもいるのかなあとか妄想するのでございますが、どちらにしても日銀当座預金に置いておけば超過準備部分に0.10%の付利があるのに0.10%割れの短国を買うとか純粋な金勘定としては全く引き合わない話でございまして、仮に昨日大量購入している投資家(業者は在庫持ったりショートカバーしたりしなきゃいけないから買うけど別に投資で買っているわけではないので話は別)が日銀当座預金使える人だとしたら全く持って意味不明っつーかおめーそれ株主に対して申し訳ないと思わないのかと存じます罠。いやまあ債券残高がどうのこうのとかあるのでしょうけれども、周囲の皆さん大迷惑なんですけどねえマッタクモウ。
まーしかし何ですな、昨日ネタにした国債投資家懇談会での凍死家の皆様の買いたい弱気オンパレードを見た後にこの落札結果およびその後のカーニボーを見せられますと、お前らどんだけ待機資金抱えとんじゃとゆー所でございますわなあっはっはっはっはorz
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2011/06/22
○PD懇雑談
毎度思うのだがアップが物凄く速くて事務方大変っすなあと思う。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/c230620.htm
今回は流動性供給入札と買入消却の話で、流動性供給入札のオファー方法の変更が今回の大ネタ。財務省の説明から。
『いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断していきたいと考えているところであり、7-9月期の流動性供給入札の実施方式について、意見を頂きたい。なお、資料2下段に記載のとおり、アンケート方式の留意点として、@要望の多かった銘柄から順に選定するとともに、要望先が同数となった場合には、日銀保有分を除いた5月末現在の市中残高の少ない銘柄を優先する、A発行対象銘柄は7-9月期を通じて固定する方針である。もっとも、発行対象銘柄の見直しの頻度については、10-12月期以降、その時点における市場参加者の意見や当方の内部的な事務処理上のフィージビリティ等も踏まえ改めて検討することとしたい。』(機種依存文字は原文ママで勘弁)
という事ですが、まあ参加者の回答は誰がどう見ても同様でございまして、アンケート方式賛成というのがズラズラ並んでおりまする。適当に一部の意見を引用しておくだわさ。
『流動性供給入札については、アンケート方式を支持する。流動性供給入札の本来の趣旨に鑑みれば、市場で需給がタイトになっている銘柄に対し流動性を補完供給することは、最も理想的な形だと思う。残存15-29年ゾーンの銘柄選定については、四半期に一度64銘柄の中から60銘柄を選択するとの説明を受けたが、今後様々な活用方法があるだろう。例えば、1社当たりの回答数を30銘柄まで絞ることで、各ゾーンにおいて人気の高い銘柄やニーズの高い銘柄の判別が可能となり、流動性供給入札自体の必要性についても検証できるのではないか。』
さいざんすな。
『流動性供給入札については、可能な限り幅広い選択肢を確保できることから、アンケート方式が望ましい。現段階で特段需給が逼迫している年限やレポレートがタイトな銘柄は見受けられないものの、こういった状況を未然に回避する意味でもアンケート方式は効果的と考える。』
以前はレポの需給が逼迫している銘柄をわざわざ買ってレポ料を稼ぎましょうとかアホな事する投資家も一部にいるとか仄聞したりする訳でございましたが、まあ国債の円滑な消化という面で言えば、オフザランの国債の需給で変な人為的な歪みが出てセカンダリー市場の流動性が落ちるという事態が起きますと、当然ながら国債流通業者に無駄な負担を掛ける事になり、結果として国債の円滑な需給に悪影響を与える可能性がありますわな、とあたくしなんぞは考える訳でございまして、そーゆー点からもアンケート方式よろしゅおすなあと存じます。
『流動性供給入札については、現行どおりでも構わないが、アンケート方式を否定している訳ではない。現行の方法はルールに従っているため予見性が高く、市場のポジション繰りを比較的コンスタントに変えられるのが利点であるため、仮にアンケート方式を採用するのであれば、7-9月期の結果を踏まえてという前提ではあるが、アンケートの頻度を上げて頂きたい。』
何か微妙に頭とケツで論旨が一致していないので何を仰りたいのかが伝わりませんが、この方だけではなく多くの方が指摘しているように、アンケート方式にするのであれば頻度を上げていただければという感じですわな。現物債の需給に関しては万年タイトな銘柄みたいなのもありますけど、一部の大口の玉が飛んだ関係で急に変化するとかございますので、まあこまめに確認した方が吉なんでしょうな。うんうん。
そういや昔々その昔、輪番オペが本当に輪番オペで、月に1回とかしか実施してなかった頃って対象銘柄の選定ってBBでの売買額とか見ながら流動性のある銘柄はナンデスカと調べて回っていたんでしたっけねえ。まあ大昔の話ですけど。
買入消却に関連しての意見から。
『買入消却入札については、現状維持でよい。国際会計基準の問題により、15年変動債の需給に先行き不透明感があることから、現状の買入額を維持することが望ましいのではないか。』
ほほう。
『また、現状、買入消却入札のオファー時刻は10時40分となっているが、オファーから締切までの間の対応が混雑しており、投資家からも余裕を持って入札を考えたいという声が聞かれていることもあって、ある程度の時間的余裕が欲しい。できれば入札日前日までに入札の実施を公表して欲しいが、最低限オファー時刻の前倒しを検討して欲しい。』
これは事務的に何とかなるのでしたら短国入札のオファー並のタイミングで実施して頂きますと委託入札(のような事)したり、入札タイミングに合わせて売却したりというような動きへの対応が業者も投資家もやりやすいと思われますので是非お願いしたいです。
・・・・・というような感じで、今回のPD懇議事要旨って実は全然ツッコミ所の無い「いやあ全く仰るとおりですなあ」のオンパレードなので、ネタにするのかどうかって感じではありますけれども(笑)、流動性供給と買入消却は地味目に見えながら業者の重要イベントだったりするのでメモメモということで。
んでもって、今回のPD懇の『(2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて』が中々興味深かったので、とりあえず最初の意見を引用するだわさ。
『足元、10年債利回りは1.1%台で膠着しているが、米債の利回り低下など外部環境に様々な変化がある割には反応が鈍いという感じがする。震災の影響により企業が手元流動性を高めたことで、金融機関の余剰資金が積み上がった結果、積極的に債券の購入に向かう動きも見られているが、まだ残高は積みきれていないという印象。
先週16日の後場以降、幾分金利低下方向で動意が出てきているが、6月中は金利が低下しても1.05%程度と見ている。1.1%前後という利回り水準が平均的には今後も続いていくと思うが、7月以降、特に下期に関しては、マーケットの見方とは違ってもう一段低い水準をつける可能性があり、1.0%を割り込んで0.9%程度まで利回りが低下しても不思議ではないと考えている。
下期に関しては、震災復興需要による景気の急回復や第3次補正予算による国債の大幅増発で金利が上昇するという見方があるが、それは既に誰もがわかっていることであり、それが織り込まれたところでプライスアクションがなされているはずである。したがって、現在織り込まれている以上の景気回復や、国債の増発による財政悪化懸念が起こらない限り、上期より利回りが上昇するということにはなりにくく、今後の国債発行に対しての不透明感が払拭されて安心感が出てくれば、逆に利回りが低下していくのではないかと考えている。
国債増発による金利上昇はよくある話であるが、2009年度を例にすると、年度中に26兆円以上の国債増発があり、カレンダーベースでも24兆円以上あったが、リーマン・ショックによる景気悪化の影響もあって、2009年度に加え2010年度の上期まで含めると金利は低下している。したがって、景気の見通しや期待成長率が長期金利の決定要因としては最も大きいと考えられる。原発事故に伴う長期的な電力供給不安が復興需要に伴う設備投資を抑制し、我が国の潜在成長率や期待成長率を押し下げてしまうという懸念が日増しに強くなっていることに加え、長期的な設備投資の抑制に伴う資金余剰も金利低下要因になってくると見ている。
以上のことから、現段階では断定できないものの、4月11日につけた1.335%が今年度の最高利回りになる可能性が高く、結果として6年連続で4〜6月期に年度最高利回りをつけることになるのではないか。』
長くて恐縮でありますが、まあとりあえず最初の人の意見がこんな感じ(何となく発言者が誰か想像が出来るのですが・・・・・^^)でありましたが、以下皆様の意見がズラズラと並んでいまして、そこを見ておりますとですな、着眼点とかポイントとかは勿論人によって違うのですけれども、結論として「先行きの債券市場はとりあえず堅調推移でしょ」というのが物の見事に全員同じで、その着眼点も大体同じという素敵な状態だと思ったんですがどうでござんしょ(^^)。
いや正直あたくしも同じような感覚でおりました(つーか今直ぐに財政破綻ネタで金利急上昇ですよウェーハッハッハとか中々チャレンジャー過ぎでしょうなあとも思いますし)けれども、何かこの意見コーナーで目先の債券市場に関するコメントがここまで揃っているのってあんまり見た記憶が無い(記憶ベースなのでアレですけど、大体1人か2人位は相場のコンセンサスの逆の意見が議事要旨に出てた筈なんですが・・・・・)ので、これは何のフラグかと解釈に悩んでおりました次第でしゅ(^^)。
#もしかしたら最近の傾向なのかもしれないですけどね>意見が妙に揃う件
○と思ったら投資家懇の議事要旨も出てましたなorz
こっちはさっき斜め読みしただけなので簡単に勘弁
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/b230620.htm
・買入消却と流動性供給入札に関して
意見コーナーがあまりにもあっさり味でワロタという感じですが、まあ投資家的には買入消却の方は気にしているようですが、流動性供給入札に関してはどっちでも良いがなという感じが伝わって参りました。
『流動性供給入札については、あえて発行対象銘柄の選定方法を変更しなければならないという意識を有しておらず、現行どおりで特段問題ないと思われるものの、アンケート方式に強い反対意見がある訳ではない。強いて言えば、いわゆる予見可能性という観点からは、発行対象銘柄が変わり得るという点で逆に市場の不安定性が高まることがないか、きっちりとモニタリングして頂きたい。』
たぶんそんな予見可能性は関係ないと思いますので無問題という所でございますが、まあ流動性供給入札によってオフザランの銘柄の需給が急に変わる恐れがあるのはケシカランとか昔はそんな意見が投資家懇談会から出ていたりして大変にお洒落というか香ばしいものを感じましたが、割と皆様物分りが良いようで(^^)。
・相場見通しに関して
こちらに関しては業者主体のPD懇とは違って意見が多様(そらまあ投資主体によって懐具合も投資スタンスも違うのだから当たり前だが)になっているので中々。
『当面の相場は、米国の長期金利や株価を睨みながらのレンジ相場と考えている。期初に設定した長期金利の想定レンジは1.2〜1.6%であり、現状の1.1%台は下限を下回っており、運用には着手していない。売却益をとりたいとの考えもあるが、売却益の追求ではなく、期間収益や利息収入の維持拡大を図るのが従来からの運用の基本方針である。』
ほほう、で同じ人の意見の続き。
『また、第3次補正予算に関し、復興基本法案には復興債の償還財源を担保することが謳われているが、これがきちんと担保できるかどうかという点は、マーケットでの大きな波乱材料になる可能性があると考えている。』
どう見ても買いたい弱気です本当にありがとうございました(^^)。
まあそんな感じで投資家懇談会の方は買いたい弱気が並んでいて実に心温まるものがあるのでございました。はてさてどっちのフラグが大勝利になるのでしょうか(ニヤニヤ)
○ということで麿講演はまたも先送りですがその他雑談
PD懇のネタで時間が無くなった(慌てて投資家懇談会議事要旨斜め読みしたせいですがorz)ので昨日予告していた麿講演ネタはパスでその他雑談。
・東電の広報はもう少し物の言い方を考えるべきではないかと
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aCI9vFXEEGg4
東電:引き続き金融機関に低コストで支援を要請していることは事実
『6月21日(ブルームバーグ):東京電力広報担当の吉田薫氏は21日の記者会見で、「現状を踏まえて引き続き金融機関に低コストで支援をお願いしていることは事実」と述べた。』(上記URLより)
いやまあどういう文脈で言ってるのか知らんけどさ、そもそも(後で一応撤回のような発言はありましたが)内閣官房長官から「融資の放棄も」みたいな話を言われて、賠償金と事故処理の負担が大変で政府に支援お願いしているという状態の会社に対してですよ、預金者の皆様からお預かりしている大事な資金を融資しますかってえレベルの問題になっているのに「低コスト」とか何寝言言ってるのよこのバカチンはとゆー感情的な反発が融資サイドの方から起きても何らおかしくないんでありまして、その「低コスト」とか言うのいい加減言うなよと思うのですけれども、未だに御用金調達感覚で物を考えているのでしたらとりあえず本社ビル出て日比谷公園の派遣村(もう無いですかそうですか^^)にでも事務所移しやがれという思うのですけどにゃあ。
つーかさ、金貸しって「融資の5原則」(てきとーに検索してください)ってえの小僧の時に教わって叩き込まれる(少なくともあたくしが金貸しの手先をやっていた時には新人は叩き込まれたんだが)んですけど、そこには「安全性の原則」とか「収益性の原則」というのがありまして(以下悪態になりそうなので割愛^^)。
少なくとも、報道フィルターが基本的に悪意持っている状態だと思われますので、もうちょっと慎重な物言いをして頂きたい訳で、一時が万事と申しますか、本社の方でこーゆースタンスが報道されたり見えたりしちゃうから纏まるものも纏まらないという面についてもっと考えるべきでは無いかと思うんすけどねえ。
・これはまた見苦しい言い訳
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aKoBX5nXtBF8
東証社長「東電の処理について発言していない」、午前延長は11月(1)
『6月21日(ブルームバーグ):東京証券取引所の斉藤惇社長は21日の定例記者会見で、同社長が東京電力の法的整理が望ましいと発言したと今月上旬に一部報道で伝えられたことに関し、「東電の処理について発言したわけではない」と述べた。』
とりあえず今すぐ三途の川で行水しろという感じですが、これから原発停止して電力需要がどうのこうのとか言ってるのにまだ午前延長とか言ってるのかよという感じでありまして困ったもんよ。ピーク電力削減に協力の意味で言えば後場の取引無しにして前場12時までで終了してそれじゃ足りないなら4時過ぎから締め後取引でもすりゃエエジャンとか思うのですけどにゃあ。
・外貨建て復興国債????????
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ahbGAf75FABg
野田財務相:外為特会活用した復興ドル債の引き受けに慎重姿勢
『6月21日(ブルームバーグ):野田佳彦財務相は21日午前の参院財政金融委員会で、外国為替資金特別会計を活用した「復興ドル債」の引き受けについて「財政規律上問題がある」として慎重な姿勢を示した。みんなの党の中西健治氏への答弁。復興ドル債は、外為特会が保有する満期を迎えた米国債を、東日本大震災の復興費用調達のため、ドル建ての日本国債や財投機関債に振り替えて発行する仕組み。』
野田さんの意見ではなくてこのみんなの党の中西健治とやらの意見に?????
『中西氏は、1年で約15兆円もの満期を迎える米国債を再投資せずに日本政府や財投機関が復興ドル債の形で発行して外為特会が購入し、為替スワップを通じて円資金に換えることで復興に活用できると提唱。』
いやだからそれやった後の見合いの為券の償還どうするのよという話で、ただの外準使い込みと本質的に全く変わらないと思う(外為特会に購入する金が無いのでその分外為特会が為券発行しないといけないはずですが・・・・)のですが、この前ご紹介した根津なんちゃらとかいう人の脳味噌が乾燥後のヘチマで構成されているのではないかと疑いを持たざるを得ないご提言と同じじゃねえのかと思うのでありますし、為替中立にしたいから為替スワップ取引とかいってるようですが、そんなロットでドル円フォワードのフロー打ち込んだらボラれて更にスワップのコストが無駄に掛かると思います(まあ儲かるのは業者だけなんですけど)。
中西センセイにおかれましては残念なことに最近の暑さで思考機能に一部不具合が生じておられる可能性があるのではないかと存じますので、医師のご診察を受けられたほうが宜しいのではないかと存じます次第。
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2011/06/21
○東電格下げですかそうですか
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aC0Y7d3zn09E
ムーディーズ:東電を4段階引き下げ「B1」に−支援案不透明(1)
『6月20日(ブルームバーグ):米格付け会社のムーディーズ・ジャパンは20日、東京電力の長期発行体格付けを「Baa3」から投機的水準である「B1」へと4段階引き下げたと発表した。引き続き、格下げ方向での見直しを継続する。
同日会見したムーディーズの岡本賢治ヴァイス・プレジデントは、東電の支援に向けた原子力損害賠償支援機構法の国会での成立見通しについて現在の政治状況から判断すると「不透明でリスクが高まっている」と説明。また「福島第一原発の状況が安定化していないこともコスト増の懸念を招いている」と付け加えた。』(上記URLより)
で、シニア担保付債権はBa2と相成りましたが、国会会期末で会期延長がどうのこうのというタイミングで下げてくるとか中々お洒落でありますが、それはそれとして原発の事故処理問題も順調には程遠い状況ですし、まあ事故処理でも金が湯水の如く出るんでしょうからねえ。情け容赦ねえなあとは思いますが、リリース(はMoody'sのサイトに行くとありますが会員登録しないと読めません)読みますとまあ仰っている事はそらそうですかなあという所。
まあBBB格から落ちるでござるの巻という話は既にS&Pが打ち込んでいるので2社目という事になりますが、まー1社も2社も似たようなもんだったりしまして、直ちにアレな事では無いかと存じますけどまた来やがりましたかしかもどういうタイミングなんですかねという感じではござんすな。
と思ったら国会はこうなるんすか。
今朝の公共放送ニュースから
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110621/t10013654631000.html
退陣時期・条件巡り駆け引き続く 6月21日 4時25分
『政府・民主党は、今の国会の会期について、10月半ばまで4か月程度延長する方向で、21日、野党側とも調整したうえで国会で議決したいとしています。一方、野党側が菅総理大臣の早期退陣を求め、政権幹部からも退陣の条件の明確化を求める声が出るなか、菅総理大臣は、公債特例法案などに加え、自然エネルギーによる電力を買い取るための法案についても成立に強い意欲を示しており、退陣の条件や時期を巡る駆け引きが続いています。』(上記URLより)
昨日の朝日新聞ニュースから
http://www.asahi.com/politics/update/0620/TKY201106200474.html
首相、辞任条件に再生エネルギー法成立も 計3条件に 2011年6月20日21時32分
『民主党の岡田克也幹事長は20日、与野党幹事長・書記局長会談で、22日までの通常国会の会期を10月中旬まで約4カ月延長することを提案した。第2次補正予算と特例公債法、さらには本格復興の第3次補正予算の成立を図るためだと説明した。これに関連し、菅直人首相は辞任時期について、2次補正、特例公債法、再生可能なエネルギー普及のための全量固定価格買い取り制度(FIT)の関連法成立を条件とする意向を示していたことがわかった。』(上記URLより)
・・・・・・・あのーもしもし???東電の賠償支払スキームの法案の前に何でまたどこぞの禿の金儲けのネタになりそうな法案が優先課題になるんですかこのすっから菅さんはどういう頭の構造になっているのかというか何も考えてなくて脱原発でウケを取れそうな事をするって発想しかねえだろふざけんなという所でございますなあ。
つーかさ、只でなくさえ原発の運転止めろって話が盛り上がりまくっていて火力とかの発電を増やさないといけなくて、電力作るための燃料価格が上昇して電力料金が上昇しやすいですよって状況なのに、そこに更に太陽光だの風力だのの電気買取義務化とか電力会社の負担を増やす法案を優先しましょうという発想が優先順位のつけ方として誠に素敵としか申し上げようがございませんなあと思うのですが、結局この人にとっては賠償支払がどうのこうのというような話とか、電力の供給制約で日本経済がどうのこうのというよりも自然エネルギー推進で名を残そうという発想しか無いんでしょうなあというのだけはよく把握した、今すぐ(激しく自主規制)。
しかしまあ何ですな。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=amtuJopXHCYQ
枝野氏:東電債務超過なら賠償遅れ、間接出資で一部国有化も(1)
『6月20日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は20日午後、参院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力が債務超過に陥れば東電福島第一原子力発電所事故の被災者への賠償が遅れるとの認識を示した。原子力損害賠償支援機構法案で規定された東電支援スキームは国が機構を通じて東電に出資するという意味で一部、一時国有化するということだとも説明した。松田公太氏(みんな)への答弁。』(上記URLより)
何かまあ微妙な答弁が続く人だなあという感じですが、企業って債務超過になったから即座に飛ぶのではなくて、資金繰りが回らなくなったら飛ぶのですからして「東電の資金繰りの支援は政府がしますが、将来的に東電に賠償金は払わせます」という説明をした方がすっきりすると思うのですけど、ど〜もこの人金融のことになると無茶苦茶疎いというか余計な発言のし過ぎにも程があるのでして、これが次期総理候補で人気がどうのこうのとか言われますとJGBのソブリン格付け大丈夫かとか思ってしまいますがな、マッタクモウ。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aHYs8SnnNTQI
経財相:東電の資金繰りは政府が支援、電力制約につながらず(2)
まあこう言ったほうがスッキリすると思いますので与謝野さんにレク受けた方が吉ではないかと存じますが。
更に雑談ですが、昨日はこんな謎意見が出ていたようで。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110620/dst11062019350035-n1.htm
【放射能漏れ】原発事故損賠、日弁連が意見書「送配電網の国有化を」2011.6.20
19:34
『東京電力福島第1原子力発電所事故で、日弁連(宇都宮健児会長)は20日、東電の被災者に対する損害賠償の枠組みについての意見書を政府に提出した。国が債務引き受けの対価として管内の送配電網を譲り受けて一時国有化し、将来的には一部を民間に売却し資金を回収することなどを柱とした内容。「賠償は現有資産の売却が大原則で、安易に電力料金に転嫁してはならない」としている。』(上記URLより)
・・・・・・・・????
あのー、まず送配電網を国有化する金はどこからでるんでしょうか?んでもって国有化した後誰が運営するんでしょうか??国有化しても送配電網からキャッシュを生むには結局のところ電力料金に乗せないと無理じゃないでしょうか???大体からしてその送配電網の査定が厳しかったら賠償原資が出ませんし、査定が甘かったらその分回収するために電力料金に転嫁するか国民負担でロスを出すかのどっちかになるんじゃないですかねえ?????これだから法曹はなどと言っては良くないですが、どうも何だかなあ感ありありの話で。
何かね、東電法的に潰すのはそらまあ気分良いかもしれませんけど、「破産免責」とゆーのもあるように法的に潰しちゃうとその時点で終了になって将来的にこれから発生するであろう損害の問題とか諸々の負担とかって問題は全部免責状態になる訳でして、将来的に奴隷船の漕ぎ手としてこき使うスキームの方がトータルで見ればしんどい話だと思うんすけどねえ、金融屋的発想からすると。
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2011/06/15
まずは決定会合結果から。
○何じゃこの新制度は???
ということで声明文である。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110614a.pdf
『5.昨年夏以来実施している成長基盤強化を支援するための資金供給は、金融機関の自主的な取り組みを進めるうえでの「呼び水」としての役割を果たしてきている。金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点から、資本性資金の供給や従来型の担保・保証に依存しない融資に着目し、今後、これを支援していくことが適当と考えられる。こうした判断に基づき、今回の会合では、出資や動産・債権担保融資(いわゆる「ABL」)などを対象として、新たな貸付枠を設定することを決定した(別添参照)。日本銀行としては、今回の措置によって、金融機関が、金融面の手法を一段と広げ、わが国経済の成長基盤の強化に向けて、さらに活発に取り組むことを期待している。』
実際の制度に関してはこちら。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110614b.pdf
えーっとですな、色々とツッコミ所の多い制度だと思うのですけれども、何と言ってもツッコミ所は上記の中にある、
『金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点から、資本性資金の供給や従来型の担保・保証に依存しない融資に着目し』
という部分ですわな。まずその後半の従来型の担保云々の部分は措きまして、前半の「資本性資金の供給」というのが全く持って意味が判らないのである。
・銀行が資本性資金の供給を行うとか意味わかんないんですけど
つまりですな、そらまあ日本の金融でいわゆるアーリーステージのリスクキャピタルの出し手が少ないというのはあって、それが直接の原因かというと個人的には疑問がありますけれどベンチャー育成がどうのこうのとか言われるつーのは把握しておりますが、何でそのリスクキャピタルを金融機関、つまり銀行に出させるという発想になるのか全く意味が判りません。
そもそもですな、商業銀行の資金というのは原資が預金なのでありまして、それはつまり一般の皆様の生活資金であったり小口の資金であったりするものでございまして、そーゆー資金を運用するにあたってリスクキャピタルのような流動性も元本の保全にも問題があるような所にホイホイ突っ込んで良いのでしょうかと思うのですよ。その手のリスクキャピタルの出し手はVCなりファンドなり私募投信なり余裕資金をアホほど抱えている金持ちさんとかのように「リスク許容度の高い資金」であるというのが本来的な姿ではないかと思うのでありまして、預金を原資とする商業銀行のようにホイホイ元本が毀損するような事があっては困る資金に対して「資本性資金の供給を促す」とか言われても何考えているのか理解致しかねますがどうでしょうかねえ。
いやね、それとも日銀様におかれましては商業銀行がそのような元本保全を気にしない資金供給をホイホイ行っても良いと仰せで、預金者保護とかバーゼルVとかゆーよーな件とはまた別の発想転換でもされたとでも仰せになったとか、突っ込んだリスクキャピタルの信用リスクを日銀が受けて下さるとでも仰せなのでございましたらばそれはそれで凄い変化なのですが、どっからどうみてもそんな事まで考えているとは思えない訳でございまして、商業銀行に資本性資金の供給を行う取り組みの拡大を促すというのは一見「新しい金融手法」的な美しい話なのですが、そもそも理念的に如何なものかという感想を持たざるを得ませんわなとゆーこってすな。
・動産担保融資の促進とか言われなくても儲かるならやりますがな
でね、後半の動産担保融資云々なんですけどね、大体からして現状で銀行は貸出先が無くて困っている(どう見ても不良債権に発展しそうな先なら沢山あるのでしょうが、銀行の原資は預金でありますので不良債権確実の融資はよーしませんわなあ)のでございまして、別にあんさんらに言われなくても与信先の在庫資金の見合いで融資とかしてますがなとゆー所であります。ちゃんとした債務者だったら無担保でも出しますし、というか動産担保を真面目に取るとなったら例えば商品在庫を担保とかゆーことになったらその管理だって七面倒臭いですし、第三者対抗要件の具備とかの話になると更に面倒臭くてコストが掛かる話なんで、債務者がちゃんとしてたら動産担保取るよりも無担保で融資した方が楽ですし、そんなこんなの関係でまあ不動産担保を根抵当に取っておいた方が実務上楽ですがな、という話だと理解しております(あたくし金貸しの手先の現業業務から離れて久しいので間違っていたらご指摘プリーズ)けどねえ。
つまりですな、信用リスクおよびコストに対するリターンが見込めますというのであれば、別にあんさんらに低利融資していただかなくても(つーか別に0.1%自体市場で取れるし今回の融資制度は共通担保オペ方式なので当該融資にファンディング付く訳じゃないのですが)銀行はドンドンその手の貸出を推進する訳でございまして、どこぞの麿が「融資するからこれらの貸出を推進するように」とかドヤ顔で仰せになりましてもピンボケ感ありありでございますがなという所です。
それよりもその手の動産担保を取得して第三者対抗要件まで具備するという事になった場合、現行の法制度において必要となるコストを軽減するような制度改革に努力すれば、さっき言った「信用リスクおよびコスト」のコストの方が下がるのですから別に融資制度なんぞ作らんでもそれらの貸出が伸びると思いますけどどうなんでしょうかねえ。
あと、保証人云々の話は以前(だいぶ前)にもひとしきりネタにして書いた事がありましたが(リテール金融の高度化みたいな話があったときに色々と書いたりしました、もう5年以上前の話ですが)、そもそも税制などの状況から最適化した行動を取った場合、零細企業になればなるほど企業には内部留保って溜まらないようになっていて、企業単体では財務諸表がうんこにも程があっても経営者の資産まで含めると優良取引先などというのは普通に存在していたとゆーのがあたくしが金貸しの手先をやっていた時の理解ですが世の中そんなに変わっていないと思うんすけどねえ。
この点に関して企業に内部留保するよりもオーナー経営者等の報酬などの形で流出させちゃった方が税制上有利に働くような形をどうにかした場合に話がまた違ってくるんじゃないですかと思うのですけどね。ということでやはり制度改革が必要という話になると存じますがどうでしょうかにゃ。
そういや、「無担保で保証人も取りません(キリッ)」とか言って「ミドルリスクの融資市場の開拓」とか言ってたどこぞの新規設立の銀行さんが結局その市場開拓できずに栄光のペイオフ第1号という先入先出法にも程がある(違)華麗な実績を挙げておられたと存じますけどねえとか書いていたらその代表者様がもと日銀であった事を思い出しましたざますわよ奥様オーッホホホホ。
・大体からして信用リスクは移転しないわけですし
ということで2年で0.10%の金利で出すから取り組みしやがれとか仰せのようでございますが、別に足元で資金取れない訳でもない上に、こーゆー制度を公的に打ち込まれますとその手前これをネタにした貸出等って貸付金利が低くならざるを得ないので、折角金融機関が信用リスク取っているのにそれに対するリターンが減るという面もこれがまたあるような気がするんですが。
大体ですな、決定会合結果の公表文書の3ページ目にもありますが、
『3.資金供給方式 共通担保を担保とする貸し付け』
ということで、本件によって実施した貸付が担保になるわけでもない(たまたまその貸出債権自体が審査の結果担保適格だったらなるけど)ですし、融資なり出資なりが飛んだ場合は金融機関が被る訳ですからして、そうなるとバーゼル何とかだの不良債権比率がどうのだの分類貸出がどうのだのとゆーいつもの残念な話になりますわな。
それらの推進をするってえのでしたら、例えば本件制度に則って融資なり出資して元本毀損した場合でも金融機関にバッテンをつけないとか、無税償却を認めるとか、そーゆーメリットでもつけていただきませんと、単に低利融資が付くから金利を安くしろ攻撃が飛んできて銀行のリターンが減るだけの話という誠に残念な流れになりそうな悪寒。で、その辺のメリットつけるのは金融庁様なり国税様のお話でございまして、つまりまあこの手の話ってのは日銀が単独で金だけ出せば済むという問題ではないと思うのですよね、いやまあ勿論今後そういう件について日銀様におかれましては金融庁様や国税様と協議していただけるとか、制度改革や規制緩和に向けて動いていただけるという事なんでしょうけれども(ニヤニヤ)。
・正直こんな細かい話よりも大所高所の話をしていただきたい訳で
えーっとですな、いやまあ成長基盤強化という事ですから麿様あたりにおかれましてはこれも大所高所の話という事なのかもしれませんけれども、延々と悪態を申し上げたようにそもそも資本性資金を商業銀行が供給するというのは本来の商業銀行の機能として如何なものかという気がしますし、動産担保融資云々に関しては色々と申し上げたように資金供給がどうのこうのではなくて制度上の問題をどうしましょうかという話ではないかと思うのでありますよ。
つまりですな、こういう制度を導入するから金融機関はこれこれの取り組みをしやがれコノヤローとかゆーよーな箸の上げ下げについての「ご指導」をするような細かい話をするよりも、日銀様におかれましてはより大所高所に立った話をして頂きたいと存じます次第。まあ成長基盤オペ位までなら兎も角、さすがに今回の話はあまりにも細かい話過ぎで、いやまあ大所高所で考えたら政策は現状維持しか無いからちゅう事なのかもしれませんけど、ちょっと今回の施策は違和感ありまくりじゃないかなあ、と思いましてつい勢いで悪態大会になってしまいました。
いやね、まあそのリテール金融の高度化みたいな話を推進したいとかいうような事とか、色々な資金供給チャネルの拡充が必要じゃないかというような問題意識とかまで否定している訳じゃないですし、それはそれで問題意識としては有りの話だと思いますけれども、その結果として出てきたのが今回のオペというのはどうにもこうにも何だかなあ感がぬぐえませんわなあという事でありまする。
#とMPMが出たというのに誰得悪態祭りになってしまった
○さて東電賠償スキーム法案と
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/index.html
『平成23年6月14日閣議において原子力損害賠償支援機構法案が閣議決定されましたので公表します。』
ということで法案が閣議決定されたようですが、早速枝野センセイが謎の発言を連発。
午前中はこのようなお話。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=awaM4wOSSiUs
枝野氏:電力料金に転嫁することなく賠償進めてほしい−東電
『6月14日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は14日午前の閣議後会見で、同日閣議決定された原子力損害賠償支援機構法案をめぐり、東京電力は電力料金に転嫁することなく賠償を進めてほしいと述べた。』(上記URLより)
・・・・・・えーっと、枝野先生におかれましては金は天から降ってくるとでも思っておられるのでしょうか????いずれにせよ何らかの形で誰かの所に負担が回ってくる話で、東京電力の単年度における通常の収益力及び事業用以外の余剰資産の範囲内で原発事故処理と賠償の費用が賄えないのが自明な以上、どこかにそのケツは回ってくるのですけれども、電力料金引き上げをしなかったら東電の賠償支払い完了まで何百年掛かるんでしょうかねえ。
更に午後はこのようなお話。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a9bMesdP.8kQ
枝野官房長官:東電と金融機関の協議見守る、債権放棄問題−会見(1)
『6月14日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は14日午後の会見で、福島第一原子力発電所事故を受けて閣議決定した原子力損害賠償支援機構法案に基づく資金援助を東京電力に行うにあたっては、債権放棄などの協力状況について同社と金融機関などステークホルダーとの協議を見守った上で判断する考えを示した。』
『同法案は「東電が金融機関等から得られる協力の状況については政府に報告してもらうスキームになっているし、東電に支援を行うにあたってはさまざまなことを考慮して最終的には主務大臣の認定を得るとなっている」と指摘。その上で、「今後の東電と関係ステークホルダーとの協議を見守りたい」と強調した。』(上記URLより)
・・・・・・えーっと、法案通ってもスキーム発動しないつもりみたいな発言とか全く意味ワカンネ。もうふざけんなとしか申し上げようが無いんですけどねえ。
ま、単に意地になって妄言を吐いているだけだと存じますが、枝野官房長官様におかれましては可及的速やかにお遍路に旅立って頂きたいものであるとの感を禁じざるを得ません次第であります。
で、みんなの党が相変わらず「東電救済だから反対」とか言っててイミワカンネ(東電を今法的にコカしたら後の賠償は国庫負担になるから東電却って楽になるんですけどねえという意味)とか思いますが、ブルームバーグニュースのURLが見当たらなかったので華麗にスルー。
これはただの余談ですがちょっと前に結構呆れたのがありましてね・・・・・
東京大学の岩本先生(経済学)のブログ(先週木曜なので法案出る話が出てこないときの話です、為念)
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/35690629.html
福島原発事故損害賠償支払いスキーム設計における法学者の役割
『原発事故の損害賠償が巨額になることで東電が債務超過となって,債務再編がこの順番に処理されると,社債保有者が保護され、被害者の求償権がカットされることになる。 多くの人が,このことには釈然としない思いを抱いている。原子力損害賠償法(原賠法)は原子力事業者(今回の事故では東電)に無限責任を課すという異例の措置をとっているのだが,このような形で賠償支払い能力に制約がかかっていることを何とかしたい,というのが様々なスキームの提案が腐心しているところである。』(上記URLより)
いやあの釈然としないも何もそういう決まりで資金調達とかしてるんですから。
『一方で,今回の事故処理について事後的にルールを決めることによって,社債保有者と事故被害者の優先劣後関係を逆転させてしまうことに対する批判がある。資本市場の予見可能性を著しく損なうというのは事実である。』
と思ったら一応理解されておられるという事ですかそうですか、と思ったらその次に凄まじい理屈が展開されるのである。
『したがって,社債保有者の債権がカットされ,それが損害賠償の支払い原資となるスキームが成立するとすれば,それは事後的な対応ではなく,原賠法の成文の不備を補って,立法の趣旨に沿うものであるという理論構成が必要である。制度設計を考えることは経済学者の仕事に含まれるが,現在の成文法から立法趣旨の解釈を導くことには経済学者の出番はなく,法学者の仕事となるだろう。』
・・・・・・・・あのですな、事後法作って頂いた方がまだ責任の所在というのがはっきりする(それによる日本からの資本逃避とかの責任は事後法を制定した立法府の責任ですからねえ)のですが、「法律の解釈論で優先順位をひっくり返すべき」とか更に無茶苦茶な話で、そんなのが横行したら日本の法律の文言すら信頼に値しないという話になって、先生がドヤ顔(かどうか知らんが)で仰せの「資本市場の予見可能性」とやらは事後法制定以上に低下すると思いますけれども、それが「法学者の仕事」とか意味わかんないですぅ。
とまあ思ったので晒し上げしてみただけのおまけコーナーでありました。
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2011/06/10
○決定会合プレビュー雑談
これは火曜日のニュースなんですけどね。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-21575420110607
焦点:次回日銀会合は成長基盤支援で追加策議論
2011年 06月 7日 22:07 JST
ふーんという印象しかなかったりするのでありますが
『日銀内では、金融機関の成長分野への融資を促す「呼び水」効果という一定の役割は果たしたとの評価では共通している。ただ、金融機関の低利融資競争をあおっている、との副作用も一部で指摘されており、単純な融資枠の拡大には慎重だ。その中で、行内では不動産担保に依存した金融機関の融資姿勢の柔軟化を支援するため、在庫商品や売掛金などの動産を担保とした融資を促進するような新たな仕掛けを組み合わせる案が浮上している。』(上記URLより)
・・・・・・えーっと、お気持ちは判らんでも無いですが、後半にある「動産担保の融資促進」みたいな話って大きなお世話の世界のような気がするんですが。この手のアーリーステージ物に対して日銀が急いで適格担保化したりするような手を突っ込む動きをしちゃうと、今度は日銀のつっかえ棒が無いと成り立たない制度みたいな形になる恐れがあると思いますがね。
まーそれ以前の問題として個人的には動産担保については一般債権者とのコンフリクトが起きるので、動産担保取るなら取るで開示とかの規則をきちんと整えた方が良いような気がするんすけどまあいいです。
ま、それは兎も角として、どうも白川総裁の思い入れ的には「成長基盤支援」というのが強いように思えるというのは以前も申し上げたと存じますが、こんな報道も出てくるようですので、まーそーゆー方向性を考えているとゆー事なんでしょうかね。
でですな、成長基盤オペって仕組みおよび理念上そうなんですが、特定の貸出に紐付けして実施するというモノですけれども、本来的に言えば(これは元々の成長基盤強化オペの趣旨とも同じだと思うのですが)金融機関が貸出などを実施する際に自主的に取り組めば良い話であって、日銀がその特定貸出に紐つけてどうのこうのというのをやるよりは、普通にどどーんと低利の1年ものみたいな資金供給をして金融機関の取り組み頑張ってねとやる方が筋じゃないのと思う次第でありまして、やはり特定分野の貸出がどうのこうのとか、それこそ上記の記事にあるような動産担保融資の促進みたいなのっていうのに対して日銀が手を突っ込んで行くのは中央銀行としての矩という意味でどうなんですかねえという気がせんでもない。
ということで、あたくし的にはあまり成長基盤の拡充云々とかいう(話としては美しいのかもしれませんが)方向に走るよりは、やはり普通に資金供給を行うという方向で、基金オペの拡大とかの方向が中央銀行としての筋なんじゃネーノとゆー気がするんですけどね。
という事で結論は何も無いのですが(おい)、他に特に事前報道に盛り上がりもございません事ですし、今回の決定会合でわざわざ何かをぶちかます必要も無さそうな感じはしますが、上記記事にあるように麿のご趣味感漂う成長基盤強化オペの拡充云々についてのお話が出るのかも知れませんけど、正直言って市場に何のインプリケーションも無さそうな悪寒。
○まあ短国とかは素敵に安定していまして
ここもとの3か月TBの落札結果
199回債:6月8日入札、平均0.1027%、足切り0.1043%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230608.htm
197回債:6月1日入札、平均0.1039%、足切り0.1043%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230601.htm
196回債:5月25日入札、平均0.1039%、足切り0.1043%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230525.htm
どう見ても低位超安定です本当にありがとうございました。
今週の6か月TBの落札結果
198回債:6月7日入札、平均0.1083%、足切り0.1103%
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul230607.htm
どう見てもイールドカーブがありません本当にありがとうございました。
・・・・・・とまあそんな感じですっかり短国市場が安定していてすっかり足元では安定していないどこぞの社債関連の雑談ばかりが多くなっている今日この頃のあたくしでございますが(−−;短国市場超安定の背景としては米国の短国がどうのこうのとかもあるみたいですけれども、何はともあれ一番効いているのは日銀の資金供給姿勢がレポ金利を0.100〜0.105%水準で磔の刑にしようという動きになっている事かなあと思うので忘れないうちにメモメモ。
つまりですな、今回の積み期間って入りの所での当座預金残高が29兆円弱の水準でスタートしたのですが、その後当座預金残高が27兆円レベルまで落ちてきた所でGCレートが若干上昇の香り(といっても0.100が0.105になるとかいうレベル)を漂わせたのですけれども、25日に久々の共通担保本店オペをオファーし、その後も27日、30日・・・・とホイホイと本店オペのオファーを行いまして、在庫ファイナンスをGCとオペで行っている証券ディーラーに向けてGCのレートを切り上げなくてもよろしおすえという姿勢を見せたのがいい感じで効いてGCレートは0.100%水準できっちり安定モード(足元では積み最終近くなっているので積み終了モードに伴いGCレートが下がりやすくなっていますので東京レポレートも0.10%割れになっています)となって誠に結構な安定振りでございます。
つーことで、GC安定化→短国金利安定化という感じで大変に平和な短国ちゃん市場でありますが、地味に日銀のオペがきっちりとしていて安定感があるとこういう風になる訳でございまして、市場機能論だの何だのとか言って変にGCを振らせるのを容認するようなオペをやらなきゃこーゆー話になる次第でございまして、いやまあその件は公表文書的にはマズーなのかも知れませんが、かつて「お前そら声明文と話が違うじゃねえか」と文句が出まくった調節と、足元の比較と言うのを金融市場局さんの調節部門的にはきっちりとレビューして頂きたく存じます次第でござりまする。
○東電関連ニュースのクリップなど
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110610/t10013435111000.html
東電支援法案 来週国会提出へ
6月10日 4時32分
・・・・・・だからこの法案「東電支援」じゃなくて「賠償支払枠組み」法案なんだってという話でありまして、東電支援とかいう話が出るからあちこちから感情論が噴出して収拾付かなくなるんだから馬鹿メディア共はもう少し物事を考えて報道しやがれなどと思いますが、まあ何はともあれ法案来週出るんですかそうですか。
何かもうちょっと与野党対立が収まった所で出したほうが審議で余計なヘッドラインが出てこない分安心感があるような気もするんですが、まー足元では昨日の市場なんぞでも取引中盤ではこんな事象があったから政府サイドも急がないとマズイと思ったのかもしれませんね。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aSX61Qb6yG3s
午後の日本株再び下げ基調、東電株150円割れなど電力の下げきつい
更新日時: 2011/06/09 12:56 JST (これはザラ場の状況ですので念の為)
東電の株価は一時エライ勢いで下落してアチャーという感じでしたが、引けに掛けては戻ってきまして人心地つきましたなあちゅー所でございますが、まあ先週末のアンディー発言以来もう一発の下落モードとなって、市場が暴れだした事によって危機バネが働いてくれるのであれば不幸中の幸いと言えないこともないのかなあなどと。
結局ですな、例の2兆円融資パワーで当面資金繰り回るからという意識から「じゃあ本件はまだ余裕がある」などと考えるのが間違いの元でありまして、市場ちゃんというモノはそんなに余裕ぶっかましてくれない人たちの集団だったりするので、このように催促しまくるという所でしょうな。こーゆー危機対応にはスピード感が必要でありますけれども、まあこれ法案審議でまたぞろ河野某のような「無能な働き者」が暴れだしてヘッドラインリスクにならないようにして欲しいものでございます。
電力さんといえば関電さんの起債が延期とな。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ahzgH1ujlLh0
関西電:6月の起債見送り、金利帯で折り合わず−根深い原発リスク(1)
『6月9日(ブルームバーグ):東日本大震災後初となる電力債発行を検討していた関西電力は、6月中の起債を見送ることを決めた。時期も未定としている。野村証券が9日、電子メールで情報を開示した。東京電力の原発事故による市場環境の激変を受け、高い利回りを求める投資家との間で折り合いがつかなかったようだ。』(上記URLより)
そらまあ法的整理がどうのこうのというような取引所のお調子者社長がいて、更には野党第一党の「影の内閣」の馬鹿閣僚が電力債の一般担保の前提を平気で覆すような話を堂々とするというような事例が生じたら他の電力会社さんの電力債発行に影響が出ますわなという事でありまして、まあ早速このように他の電力会社さんにも悪影響が波及しておりまして、その結果として東電以外の電力会社さんまで資金調達コストが上昇するという事は即ち電力のコストが上昇する事になる訳で、日本全体が得をしないという大変にワンダホーな展開になりつつある、という事ですなこりゃ。
つまり斉藤某と河野某は可及的速やかに腹を(以下自主規制)という事に他ならない訳であって、不用意かつ軽率な言動によって国民の厚生を阻害するバカチンは速やかに首を(以下自主規制)であるという思いを禁じ得ないものでございます。
○とか書いてたらECBネタを忘れた
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110609.en.html
9 June 2011 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the
interest rate on the main refinancing operations and the interest rates
on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged
at 1.25%, 2.00% and 0.50% respectively.』
はあそうですか。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2011/html/is110609.en.html
Introductory statement to the press conference
『Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council
decided to keep the key ECB interest rates unchanged. The information that
has become available since our meeting on 5 May 2011 confirms continued
upward pressure on overall inflation, mainly owing to energy and commodity
prices. The underlying pace of monetary expansion is gradually recovering.
Monetary liquidity remains ample, with the potential to accommodate price
pressures in the euro area. Furthermore, the most recent data confirm the
positive underlying momentum of economic activity in the euro area, while
uncertainty remains elevated. Overall, our monetary policy stance remains
accommodative, lending support to economic activity. On balance, risks
to the outlook for price stability are on the upside. Accordingly, strong
vigilance is warranted.』
「upward pressure on overall inflation」だの「risks to the outlook for
price stability are on the upside」だの威勢の良い言葉が続いて「strong vigilance
is warranted」とゆー事で利上げ予告ですかそうですか。いやあ威勢の良いことですなあ(棒読み)
と、メモだけしておきますね(^^)。
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2011/06/09
お題「世に悪態の種は尽きまじということで悪態雑談であるorz」
今日は雑談の巻で勘弁でおじゃる。
○優先順位は引っくり返らないようで何より、つーか当たり前じゃヴォケ
直リン自粛ですが例の人のブログ。
http://www.taro.org/2011/06/post-1023.php
一部修正 平成23年原子力事故による被害に係わる緊急措置に関する法律案
2011年06月07日 14:34
えーっと、一昨日悪態をつきましたが、よくよく調べてみたら河野センセイの「優先順位をひっくり返す」ネタは思った以上に金融市場で話題というか恐怖の対象になっていまして、勿論「そんなアホな話あるかよ(法の支配という観点的にありえないでしょという話で)」という反響なのですが、自民党も大丈夫かよという認識が金融市場(といってもネタが社債の優先順位云々ですから金利方面限定でしょうが)方面に拡大中なのは自民党さんも把握すべきでは無いかと存じます。
ということで、一部修正とやらが入ったのですが、そちらにはこのような記述が。
『6月4日付のブログに載せた、自民党の農水部会と経産部会が議員立法で提案しようとしている「平成23年原子力事故による被害に係わる緊急措置に関する法律案」の条文を衆議院法制局と確認したところ、一般担保よりもこの法案による国の求償権を優先する規定は盛り込まれなかった。
シャドウキャビネットの議論では、国がこの法案に基づいて行った仮払いによる東電に対する求償権は、電力債よりも優先的に弁済されることになるとのことだったが、そうするためには特例の条項が必要となる。その条文が現段階では法案に盛り込まれていないので、このままのかたちで提出されれば、国の求償権より電力債の方が優先される。』(上記URL先より)
河野太郎ざまあと言った所ではございますが、その車道キャビネットとやらの議論が何で部会の方に反映されないのか意味が判りませんなあと申しますか、ああつまり河野先生は言うだけ番長さんなんですねえと申しますか、その件が盛り込まれないことに関して何で政治家として自分の主張が通るべく努力しないでひとごとのように「規定は盛り込まれなかった」とか書くだけなのですかねえと甚だ不思議に思うのでありました。
つーかそれ以前の問題として、ここにある「シャドウキャビネットの議論」とやらの方がオソロシスでございまして、河野太郎センセイ以外のシャドウキャビネットのメンバーがこの事後法により物権の優先劣後をひっくり返すとゆー無茶苦茶な事後法炸裂スキームを了承してるんですかと思いますと自民党も相当頭のネジが外れているんじゃネーノという懸念が高まるものでございまする。いやまあどうせ「議論」って言ったって河野センセイが一人でその話してただけだと思う(もしシャドウキャビネットが全員でそれを了承しているのだったら部会でそれが引っくり返った事になるんですがそれってどうよという感じですわな)のですけれども、何だかなあという感を深くする昨日のひとときでございました。
そもそもですな、一昨日も悪態を申し上げましたが、事前に法的に定められている物権の優先劣後順位を国家権力が事後的にひっくり返すという行為を普通だと思うような感覚を持った人間を国政の場に置いて良いのか、という議論になる訳でありまして、近代法治国家における立法府の人間としての適格性を問われるべき(つーか議員に不適格)問題でありますわな。これは氏の主義主張の問題以前であって、このような手合いに国家権力握らせたら法治もへったくれも無い無茶苦茶な事が起きてそれこそ皆様の生活もいつ国家によって収奪されるかも判りませんというようなキチガイ国家になるのではという懸念(当然ながらそんなキチガイ国家に投資やら融資やらする人は居なくなりますよねえ)まで起こるのはあたくしが心配性だからでしょうかねえ・・・・・・・
○住宅ローンの免除を義務化・・・・・・ですと??????
昨日の公共放送ニュース。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110608/k10013379991000.html
二重ローン問題 支援策の原案
6月8日 4時54分
『東日本大震災に伴う、いわゆる「二重ローン」問題で、政府と民主党は被災者の負担軽減を図るため、金融機関から中小企業に対する債権を買い取るファンドを新たに設けることを柱にした支援策の原案をまとめました。』(上記URLより)
ということで話が出ているのですが、最後の一文に呆然。
『この問題について、自民党は、住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており、今後、与野党の調整も行われる見通しです。』(上記URLより)
>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており
>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており
>自民党は住宅ローンの免除を金融機関に義務づけることなどを求めており
・・・・・(;゚д゚)
住宅ローンの免除の「義務化」ってナンデスカソレ????????
えーっと、つまり「津波で流されるような住宅に融資を行った銀行は貸し手責任があるのでローンは債権放棄すべきである」とまあ自民党様はそのように仰せだという事で理解すれば宜しいのでしょうか。で、その放棄した分の穴は金融機関が被れという大変にワンダホーな認識でおられるという風に理解すれば宜しいでしょうか???
今朝(というか昨晩遅く)のニュースで続報がありましたが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110608/t10013408961000.html
二重ローン対策 民主が原案了承
6月8日 23時48分
『二重ローン対策を巡っては、自民党なども住宅ローンの免除を金融機関に義務づけるなど独自の案をまとめており、民主党では、来週から野党とも協議を始め、合意できる部分があれば、改めて政府側に提言していくことにしています。』(上記URLより)
いやね、報道ベースの一言だけで、自民党の案そのものを見ている訳じゃないからまさかに自民党が枝野発言もびっくりの「国家による債権放棄の強制」法案を作ろうなどとは思いません(というか思いたくない)でして、これは公共放送が自民案をちゃんと理解しないでローンの免除に関わる部分を端折って紹介しただけだと思うのでありますが、民間企業である銀行の債権放棄をそう簡単に扱われても困る訳でございまして、「被災者がカワイソウ」の感情論先行でそこの部分だけ部分最適の行動とかされても困りますがな。
大体からして「義務化」とか言うのって国家による私権の強制的な収奪に他ならないのでありまして、義務化して債権放棄した分の穴を政府が全部埋めてくれるとでも言うのなら兎も角、そうじゃないのに「義務化」と言い出したら自民党の方が枝野官房長官のはるか上を逝くという話でありますが大丈夫なんでしょうか自民党。
まさか「銀行は金があってケシカランので負担させればよい」とか素敵な事でも考えているのでしょうかとも懸念される次第でありまして、その「何かとりあえず金が有りそうだから取って来る」みたいな暗黒中世国家もビックリの発想が出て来るのは立法に携わる者としての適格性(以下同じ悪態なので割愛^^)。
それにさ、住宅ローンの免除分は国が埋めますみたいな話をした場合であっても、それってローンの残債によって不公平がでまくる話ですし、そもそも家を自己資金で買っていた人や住宅ローンを完済した人には何の救済も無いという意味不明な展開になると思うのでして、それなら津波などで被災して自宅が流されちゃったという人に対して、当時の固定資産台帳(とかが流れているのかもしれませんが・・・・・)などを参考にしながら住宅流れた分の相当額あるいはその一部を国が救済措置として支給するみたいにするほうが話の筋じゃネーノという気がするんだが。
もしね、本当に強制放棄という話になるんだったら、今後銀行が住宅ローンを出す時には火災保険に加えて地震保険などを鬼のようにガチガチに取って貰ってその保険証券にも担保設定しないとおっかなくて融資できませんがなという話になるのでございまして(当然ながらローンの審査も厳しくしないといけませんわなあ)、つまり目先の被災者救済の為に将来の住宅ローン借入者のコストが増大するという甚だトンチキな結果を招くのではなかろうかと存じますけどあたくしのイメージ間違っておりますでしょうかねえ。
つーかさ、そんなに貸し手責任言われるんだったら自由民主党様辺りに貸している銀行さんもそのうち何言われるか判らないからさっさと回収される事をお勧めしたく存じます次第ですなあウェーハッハッハ。
○こっちの方がクローズアップされるんだからさあ
この話最初に出たときにも悪態ついたけどさあ。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aiwCB1NqxDaY
自民:Xデーで金融機関に経営不安も、日銀は潤沢な資金供給を(2)
『6月8日(ブルームバーグ):自民党は8日、将来の償還への不安から国債価格が急落(金利は急上昇)し市場の動揺が収まらない状況が起こった場合、一部の金融機関の財務状況が大きく変化して経営不安を引き起こす可能性があると警告した報告書を公表した。このような事態に対処するため日本銀行は前例にとらわれないで思い切った潤沢な資金供給を行う必要があると強調している。』(上記URLより)
んでもって上記記事(およびブルームバーグニュース見てて流れてたヘッドライン)を参照しますと、どうも今回の提言の目的は
『報告書は、その作成目的として「民主党政権の財政政策に対して警鐘を鳴らすこと」を挙げ、政府・民主党に対し、税と社会保障改革に関する議論を軌道に乗せていくなど財政健全化に向けた取り組みを着実に進めることや民主党のマニフェスト(政権公約)の抜本的な見直しを行うよう求めた。』(上記URLより)
という事のようなのですが、金融市場フィルターが掛かるとブルームバーグの見出しにあるように、
『報告書では日銀の取るべき対応について「前例にとらわれず思い切った潤沢な資金供給を金融市場に対し機動的に行う」と指摘。具体的な対応として国債の買い切りオペレーションの大幅増のほか、「リスク資産等の購入も思い切って行わなければならない」ことを挙げている。』(上記URLより)
というどうせマネー増やせばどうのこうのって方々が主張している話の部分だわなあと思われる話がクローズアップされるわけよ。
でもさ、そこの記事で第一生命経済研究所の熊野さんも指摘していますけど、そもそも「国債大暴落」という話になる時っていうのは「ソブリンのソルベンシー問題」とか「通貨の大暴落」とか「財政の猛烈な発散懸念」とか、まあその手の症状が起きているのであって、そんな時に日銀が資金供給しても焼け石に水にもならないし、財政発散懸念で大暴落してる時にうっかり日銀が国債買入拡大したら財政マネタイズの更なる拡大の懸念から大暴落に拍車を掛けるだけで、焼け石に水どころか焼け石にガソリン投下になると思うのですけど大丈夫か自民党。
・・・・・とまあそういう感想を金融市場の中の人的には考えてしまうのでありまして、たぶんこれはあたくしだけではなく普通に金融市場でやっている人の感覚として共有できると思うのでありますけれども、何かこう自民党も激しくネジが外れていますなあという懸念がするものでありまして、こうなって参りますと日本の資本主義の最後の砦はやはり大門実紀史先生(ただし日本共産党)しかおられないのではないかと実に悲しい思いをする昨日のひと時なのでございました。
○悪態ついでに産経電波浴
毎度お馴染みの産経電波浴のお時間です(^^)。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110605/plc11060508250007-n2.htm
【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 大復興の鍵握る「新結合」
2011.6.5 08:21 (2/3ページ)
ほうほうそうですかという事なのですが、田村先生何時の間にか「電力の自由化で大復興」という主張をされている(3ページ目ご参照)ようですが、上記URLの2ページ目の小見出しを見て椅子から落ちそうになったあたくし。曰く、
『◆効率の悪い財政支出』
・・・・・・・えーっと、ついこの前は「外貨準備を担保に復興国債数十兆円発行しろ」とか何とか仰ってませんでしたっけ田村先生。
(ご参考)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110327/fnc11032708140000-n3.htm
何かさ、こういうのが「編集委員」で「日曜経済講座」とかやってて大丈夫なのかねというか書いてて恥ずかしくならないのかねとか思うのです(あたくし如きのチンピラゴロツキだってこうやって世間の片隅で誰も得しない駄文書いてる中で変なこと書いたり矛盾した話したりすると物凄く恥ずかしい思いをして訂正したりするんですけどねえ)けどまあ何とも。
・・・・・と思ったらこんなのも。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110603/fnc11060321240015-n1.htm
【復興を問う】国債の日銀引き受けも選択肢 早稲田大学政治経済学術院教授 若田部昌澄氏
2011.6.3 21:22 (1/2ページ)
えーっとですな、まあ日銀引受に関する主張に関してはまあそういう主張もされるのも宜しいんじゃないか(あたくしは現状でやるメリットよりもやった結果起きるデメリットのほうが破滅的に大きいと思われるのでやる必要なしと思いますけど)と存じますが、これはないでしょこれは。
『−−日銀は国債の直接引き受けが「通貨の信認」低下を招いて悪いインフレにつながると否定している
「(戦前に)高橋是清が日銀に国債を引き受けさせたが、是清の存命中はハイパーインフレになっていない。日銀は毎年、民間が購入せずに残った国債を事実上引き受けている。物価上昇が通貨の信認を脅かすなら、世界中の通貨は信認を失っている」』(上記URLより)
何か3つの文とも突っ込みどころがありますけれども、とりあえず2番目の
>日銀は毎年、民間が購入せずに残った国債を事実上引き受けている
というのは何を指して仰っているのかさっぱり判りません。主張をされるのであれば、その根拠に事実と乖離していると思われるような話を為されないほうが宜しいかと存じますけどねえ。
ちなみに、1番目の文に関しては「是清の死後が問題顕在化した件を問題にしているのに何でそこで話を終わりにするのよ」ですし、3番目の文の「物価上昇が通貨の信認を脅かす」とかそれ話が逆で「通貨の信認が喪失したら破滅的で誰も得しない物価上昇が起きるという話をしているのに何で話をすりかえるんですか」という話でございまして、こういう理屈にもならない理屈を言われましても建設的な話になりませんがなという所なんですけどねえとは思います。
#ということで今日も誰得な与太話大会で誠に申し訳ございません
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2011/06/08
昨日の悪態の補足をさらっと。
○やはり東証の社長がそもそもコメントをすべきではないという論点について
昨日東証の社長のインタビューに関してああだこうだと申し上げましたけれども、お仲間の人たちとその後も話をしていましたら「そもそも東証という取引所運営機関の人間が個別企業に関するコメントをすること自体が不適切にも程がある」という論点を皆さんから頂戴しました。
確かにその通りでありまして、今回のような「法的整理」という問題となりますとそれは上場廃止などにも繋がる問題(というか斉藤社長はその手の処理策に関しても言及しているようですし)であって、個別企業の上場廃止云々に関わる問題っていわゆる「重要事実」並に扱いが重要なモノであり、かつ取引所そのものの中の人がそのような問題に関して見通しなどを発言するっていうのはコンプライアンス上どうなのよという論点がそもそも論としてありましたなあという所でございます。
つーかさ、今回は社長コメントだったけど、東証の審査部門とか売買管理部門の担当者が外部に向けて個別企業の問題についてホイホイと勝手に発言したらマズイんじゃないかと思うわけなのですが、東証はそーゆー件に関して内部的にちゃんと規制してるんでしょ、何で社長が率先してあんな話するかなあという所で、まあこの社長ただの目立ちたがり屋の軽率なお調子者だったのですかねえとガッカリ感が否めない次第でございまする。
というかさ、取引所の立場ある人が上場している個別企業の問題について規定に則った以外の対応やコメントをするというのは、月曜の株式市場で実例を示したように株価に重大な影響を与える場合がある訳でございまして、全くもって不適切極まりない行動(=発言の内容云々以前に個別企業の経営見通しに関して取引所の社長という立場の人間が発言するという行為)によって株価を下げた斉藤社長の行為は罪万死に値するというかとっとと社長辞めろやヴォケという感じでしょうかねえ。
ご参考までに野村證券の証券用語集のリンクを張りますが、意味が何かあるわけではございませんので念の為申し添えます(^^)。
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/i/innsaida.html
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2011/06/07
お題「今日も悪態シリーズになってしまいますたorz」
東電関連はどうしてこう悪態ネタばかりが出てくるのでしょうか・・・・ということで、やはり6月6日は6月6日でしたという悪態雑談で今日は勘弁。
○東証社長のインタビュー記事で大変なことに
http://www.asahi.com/business/update/0604/TKY201106030609.html
東証社長、東電の法的整理を主張 「日航と同様に」
2011年6月4日10時26分
良く見ますとネットの記事は土曜の午前中に出ていたようで(一応日曜にはそんなのあるなあとは思ったがここまで大事になるとは思わなかったし、そもそも火消し出るだろと思ってたですorz)、新聞だと朝日新聞の日曜の朝刊の経済面に出ていたとか何とかだと思いましたが、新聞に関してはそのものズバリを確認していないので良く判らん。
んでもって記事より。
『東京証券取引所グループの斉藤惇社長は、原発事故で経営危機にある東京電力について、法的整理による再建が望ましいという見解を明らかにした。朝日新聞のウェブマガジン「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」のインタビューに答えた。』
『1990年代の金融システム危機を参考にした処理案も提示。特別法をつくり、東電の資産内容を厳しく調査。債務超過ならば一時国有化し、銀行には債権放棄を求める。その場合、東電は上場廃止になるが、数年後に発電会社として再上場する案を示した。送電設備の売却や原発の国有化の可能性も指摘した。』(上記URLより)
ということで、オリジナルのインタビュー記事内容は上記のWebマガジン(有料です)を見ないと判らないのですが、途中まではこちらで読む事ができるようでございます。
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011053100009.html
「東電は法的処理が望ましい」「政治のリーダーシップが必要」
東電賠償問題で斉藤惇東証社長が提言
2011年06月03日(約10400字)
『東京電力の福島第一原子力発電所放射能漏れ事故の損害賠償を支援する政府の枠組みをめぐり、東京証券取引所グループの斉藤惇社長が「できることなら東電は日本航空(JAL)と同様の法的処理が望ましい」「政治のリーダーシップがあれば可能だ」「その結果、東電が上場廃止になっても受容せざるを得ない」などと語った。政府が東電に融資している金融機関に「債権放棄」を求めたことに斉藤社長が「異義」を唱えた真意を尋ねるインタビューの中での発言。破綻した原発中心の電力ビジネスの在り方についても聞いた。』
・・・・・・で、その結果ですが市場はこういう反応を。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aEQvzj82iVqU
東電株がストップ安で安値、東証社長の法的整理望ましい発言報道(3)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aTKJpPBBreB4
東電CDS、東証社長発言で社債保証コストが1000bp台に拡大
そらまあそういう事になりますわなという感じですが、どうもインタビュー記事が途中までになっているので斉藤社長の説明が良く判らん(質問と答えの流れが微妙に何だかなあという感じなので)のですが、どうも読んでいると何だこの人不見識じゃんという感じも漂ってくる気がするのでありますが、まあこういうのは最初から最後まで見ないと判らんですし、そもそも書いているのが朝日新聞なので本件に関しては朝日新聞フィルターが入っている可能性があって即断は避けておこうかと思います。
とは言え一言。上記インタビューの中で斉藤アンディーさんが「銀行の貸し手責任がある」とか言ってますけど、貸し手責任というのは「返済の可能性が低いのが明らかなのに貸出あるいは追い貸しをしているケース」を言うのであって、国策としてのインフラ企業であり、かつ当時の日本航空と違って累積赤字の山でも何でもない企業である電力供給会社に対しての融資を捕まえて「貸し手責任」と言うとは頭おかしいんじゃねえのとしか申し上げようが無いのですけど。真っ赤っ赤なのに表面化恐れて延命していた住専融資とかと話を一緒くたにするとか意味わかんねえ。
インタビューでアンディーさん「銀行は債権者で一部株主だからガバナンス働かせろ」というような事も言っているようですが、屁みたいな持分で東電様みたいな取引先に何か言える訳ねえだろという感じですし、潰れそうな企業に貸してるんじゃないんですから銀行がそんなに取引先企業に対してガバナンスとやらを効かせる事なんて出来ないんですけど。大体からして原発は国策で推進していて、それに関しては経済産業省やら原子力ナントカ保安院やら何やらと色々な政府関与のある世界で、取引先銀行如きが口だせるかってえの。
#大体からして「ガバナンスを効かせる」とか言って銀行が取引先の事業展開に口を出して融資引き上げたら「貸し渋り」とか「貸し剥がし」とか朝日新聞あたりが先頭切って銀行叩きするでしょうが・・・・・
○発言そのものがそもそも不適切な上に事後処理も糞な東証は腹を切って(自粛)
話がちと脱線しましたが、まーそれは兎も角として、5月13日の枝野官房長官会見において枝野さんの「債権放棄恫喝発言」を引き出した質問をしたのが朝日新聞の記者さんでして、翌日の社説でも枝野発言を絶賛しておられたのもこれまた朝日新聞でありますので、こちらのインタビューに掛かれば「東京電力は法的整理が望ましい」という発言部分がクローズアップされるのは火を見るより明らかでありまして、記事になった時にどういうインパクトを与えるかというのって普通に斉藤社長および東証サイドで想像がつくはず。
でね、そういうヘッドラインが出るというのは、まあ例えとしてどうかと思うけど、八百屋が店頭で売ってる商品を捕まえて「この商品は本来廃棄すべきだがそのまま陳列しています」というようなもん(多分もっと質が悪いが)であって、そもそも証券取引所という立場の人間、しかもトップの位置にある人間が、自分の所で上場しているだの企業に対して「法的整理すべき」とか発言するとか全く持って意味が判らない訳でして、そういう問題に対しては取引所はルールに則って中立に対処しないと取引所としての機能が果たせないと思いますがねえ。
まあ記事を読むと別に今すぐ法的整理しろといっている訳ではないのですけれども、少なくともそのように取られる発言をするのがトンチキにも程がありますし、しかも相手が朝日新聞であって、従来の論調からしたら「東電解体」的な発言にビビットに反応するの見え見えなのでありまして、何ドヤ顔でインタビュー受けてるんだという感じですし、大体からしてインタビュー記事見たらやれ原発の国有化だの電力事業の送電分離とか、お前は取引所の社長という立場でそこに上場している企業の有り方とかに何か言う資格あるのかヴォケというような感じでありますが、まあ「取引所のトップ」という立場からしたら脇が甘いですなあと思いますがどうでしょうかねえ。
でね、まあその発言についてはそんな感じでありますが、更にトンチキなのは小見出しにあるように東証の対応が糞にも程があること。
まあ朝日新聞サイドでも一応武士の情けというか、気を使ったんでしょうなあと思うのは、このネタを新聞記事ベースにしたのはネットに出たのが4日の土曜で紙の記事になったのが5日の日曜(らしい、土曜かもしれないけど兎に角記事になったのは月曜朝刊よりも前)でして(そもそものWebマガジンはマイナーなので話題にならんかったでしょ^^)、東証サイドでは当該記事に関しての何らかの火消しを月曜の立会い時間開始前に行う事が十分に可能であった筈。
然るに、東証の対応はこんな感じ。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=av1ShxIlwYWE
東証:現時点で東電が上場廃止基準に抵触すべき事実ない−報道受け
『6月6日(ブルームバーグ):東京証券取引所は6日、東京電力の上場廃止などに関する一部報道について、「現時点で東電が上場廃止基準に抵触すべき事実はないと認識している」とのコメントを発表した。』(上記URLより)
これは昼休み時間帯に出たコメントで、ああこれだけなのね肝心の斉藤社長の「法的整理」発言へのフォローは無いのねと思っていたら、ようやく引け後も引け後、夕方の6時になってやっとこんなのが。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=adN1D5p78bv0
東証:一般的に債権放棄が求められる場合について答えた−東電報道
『6月6日(ブルームバーグ):東京証券取引所の斉藤惇社長が東京電力について法的整理による再建が望ましいという見解を明らかにしたとの一部報道を受け、東証は6日、「一般的に債権放棄などが求められる場合には会社更生法やそれに代わる特別法などの法律に基づき明確なルールのもとで対応が行われるべきであるという考えをお答えしたもの」とするコメントを発表した。』(上記URLより)
・・・・・あのさ、一日取引終わってから3時間もしてからノコノコと今更何をコメント出してるのアホじゃないの東証ってとしか申し上げようが無いのでありまして、その間に株価はクソ下がりするわCDSは絶賛拡大するわで散々動いておりまして、まさにアフターフェスティバルにも程があるとはこの事であろうかと。折角朝日新聞が武士の情けで(かどうか知らんが)火消しをする時間を与えてくれているというのに東証および斉藤社長の牛の涎のようなダラダラとした対応によりまして時既にお寿司になってしまっているという事で、これはまあ朝日新聞のセンセーショナルな見出しの出し方もどうかと思いますけど、それよりも東証の対応があまりにも糞過ぎて泣けてくるというものであります。
つーかそもそもアンディーの発言が糞なのであればアンディーは腹を切って(自粛)なだけではなく、唯一ネ申又吉イエスの手によって地獄の火の中に投げ込まれるべきであるものであろうかと存じますが。どうもあのインタビュー記事見てると「一般的に債権放棄などが求められる場合」という話にはあまり見えない気がせんでもない(ただし朝日新聞フィルター入り)ですしねえ。
と言うわけで、読者様のお役に全く立たず、更に誰も得しない悪態をつい延々と書いてしまいまして誠に申し訳ございません申し訳ございませんm(__)m
○折角ですので他にも東電関連ネタ
・枝野官房長官会見より
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a1xtDz4vrjLI
枝野長官:東電の法的整理は大変な問題生じる、避けねばならぬ(1)
『6月6日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は6日午後の会見で、東京証券取引所グループの斉藤惇社長が、東京電力は法的整理による再建が望ましいとの見解を示した、と一部報道で伝えられたことについて、法的整理されると「大変な問題を生じる」ため政府としては回避したいとの考えを示した。』
ほう。
『枝野氏は東電への対応について「賠償債権がしっかりと確保される、事故処理に関係している多くの事業者、特に中小企業等が有する債権がしっかりと確保されなければ原発の収束に影響を与えることになる」と指摘。その上で、東電の法的整理について「この2つの債権には優先権がないので大変な問題が生じるということを政府としては一貫して危惧をして、このことは避けなければいけないと考えている」と訴えた』(以上上記URLより)
ああやっと気がついたのね・・・・・・っておせーよお前それでも法曹出身かよという感じですが、そもそも関連の枠組み作るときにちゃんとした人からちゃんとしたレクを受けていれば最初の時点で理解している筈であって、政権に入りこんで訳の判らん入れ知恵をしている魑魅魍魎(どこぞの禿みたいなのが著名ですが有象無象は沢山いるようで)の話ばっかり聞いてるからそういうことになるのよね。
同じ会見記事でロイターから。
http://jp.reuters.com/article/politicsNews/idJPJAPAN-21546420110606
東電の法的整理は避ける、債権放棄発言していない=官房長官
>債権放棄発言していない
>債権放棄発言していない
>債権放棄発言していない
・・・・・・・・・・「トラストミー」発言で著名な鳩ポッポ先生が「人間はウソをついてはいけない」と先日仰せでございましたがさて・・・・・・・
・しかし枝野官房長官の恫喝よりも凄いのが自民党にもいたりする
と書けば判るようにお馴染みのポピュリズム全開の河野太郎先生ネタ。
昨日の朝こんなニュースが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110606/t10013330771000.html
自民 原発賠償金仮払いへ法案
6月6日 4時14分
ほほうと思ってみていたのですが、当該法案に関して河野太郎先生がブログでご宣伝。(直リン自主規制中)
http://www.taro.org/2011/06/post-1021.php
平成23年原子力事故による被害に係わる緊急措置に関する法律案
2011年06月04日 21:03
『東電の発行する電力債は、一般担保付き社債として、他の債務よりも優先して弁済されることになっている。つまり、東電が法的整理をされた時に、電力債は、賠償金や金融機関からの借り入れよりも優先的に弁済され、残った資産で賠償金と金融機関からの借り入れが同じように弁済されることになる。』
お分かりのようで。
『電力債の弁済が行われ、資産が残らなければ、賠償は国民負担になる。しかし、国がこの仕組みで仮払いをして東電に対する求償権を持つことにより、賠償が電力債よりも優先的に弁済されることになる。』(以上上記URLより)
・・・・・・・えーっとですな、あたくし破産法を専門に勉強していた訳ではないから良く判らないのですけれども、国として先取特権としての優先順位があるのは「国税債権」でありまして、賠償金の立替払いをしたものの求償権って国税債権扱いにならないような気がするんですけどどうなんでしょ。
という技術的な問題も去ることながら、河野先生のこの発想と言うのは危険極まりないわけでありまして、即ちこの発想のそもそもの問題として、「物権の優先劣後関係を国家権力が事後法によってひっくり返そう」という意図があるのは明白でありまして、それってそもそもの近代法治国家としての根幹を揺るがす発想に他ならないと思いますけど如何でしょうか。
つまりですな、枝野官房長官の債権放棄恫喝発言(本人は「言っていない」との事ですが、笑)は無法発言なのですが、河野議員のこの発想は近代法治国家の根幹を揺るがす発想であり、最早無法を通り越して暗黒中世国家への逆戻りを容認する発想としか申し上げようがございません訳で、こんなの横行したら日本で安心して商取引できませんがなという話になりますがなと思う訳で、こんな手合いを「影の内閣
行政刷新・公務員制度改革担当大臣」にしている自民党も何考えてるんだという感じですな。
ま、自民党はそんなアホな意図でこの法案作った訳では無いとおもいますけどね。
・ああ時間が無くなったけど全然別件
どうでもいいが今週号のエコノミスト(本家ではなく毎日新聞系で出してる奴)の宣伝ツイートで面白いのを見かけたので一応悪態。というかこのページ見た瞬間に大爆笑したわwwwwwwwwww
http://mainichi.jp/life/money/kabu/eco/
爆笑の第一特集。
http://mainichi.jp/life/money/kabu/eco/summary/news/20110603org00m020076000c.html
第1特集:米国債を売れ!
◇復興財源に外貨準備を活用せよ
◇根津利三郎(ねづ・りさぶろう=富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー)
・・・・・・・・いやもう爆笑過ぎて腹痛い(外準って別に余剰金積んでるんじゃないから為券償還したら何も残らないどころかいまだと赤じゃねえのとかいうツッコミはもうしない^^)のですが、あたくし不覚にもこの方存じ上げませんけれども、経済研究所の人という肩書き入りで堂々とこんな事書いて恥ずかしいくないのかねと思う次第でありまして、富士通総研って確か日銀総裁になる前の福井の俊ちゃんが社長をやってたと思うのですが、こらまた随分なお方を飼っておられるなあと感心致します。
まあこちらの著者様におかれましては反省してお遍路にでも出かけて頂くと宜しいかと存じますが、まあお遍路に行っても全然反省も進歩もしない人が日本国の首相をやっておりますようですので、どうせですから御社目の前の竹芝埠頭から手漕ぎのボートか足漕ぎスワンボートで伊豆七島縦覧の旅にでもお出掛けになられると宜しいかと存じます。
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2011/06/03
○昨日は鳩ポッポ三文芝居で腰が砕けましたですなあ皆様
昨日はwktkのお縄劇場だと思ったら鳩ポッポの三文お笑い芝居だったとは全く意味不明ですが、退陣時期に関して数時間前の話をひっくり返すという息をするように嘘を吐く人が内閣総理大臣という事でございますので、この政権のコミットメントなどは全く役に立たないということは非常によく判りましたよorz
#松木>>>>>>>>>>>>>>>>>>>原口というのも把握したwwww
しかしまあウソツキが現首相でそのウソに簡単に引っ掛かる大馬鹿(いや引っ掛かった振りしてガス抜きしているんだったらそれはそれで中々のタマなんだがどうみても只の大馬鹿です本当にありがとうございました)が前首相とは日本国民として実に情け無いっすなあ。
#しかし退陣表明が1日持たずに引っくり返るとか斜め上過ぎるわ
しかし公共放送は「来年1月退陣」、テレひがしは「長期続投に意欲」、赤坂テレビは「年明けまで続投?」というお題でしたが「具体的な言質を取られないような言い方に終始」と、解釈にも苦労する展開となっておりまして今後の展開を考えると落涙を禁じ得ないのですけれども、この調子だと政権延命の為に原発を(以下想像したく無いので自主規制)。
とにかく2次補正と東電賠償支払支援スキームをちゃんとした形で作って(特例公債法案もそうですけどアレは復興関連法案を真面目に作ったらさすがに野党も通すでしょ)とっとと実施しやがれコノヤローとしか申し上げようが無いのでございまして、確かに政局やってる場合ではないと言えばそうですけれども、今の「延命の為にしか動かない政権」状態だと2次補正も東電賠償支援も進まないのですけどねえとあたくしは思うのでありました。
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2011/06/02
○昨日の間違いを訂正でござるの巻(すいませんすいません)
昨日のあたくしMoody'sの日本国債(ソブリン)に関する格付けアクションについて駄文を書かせて頂きましたが、そちらで今般のアクションについて「ネガティブアウトルック」と書きましたが、これは「ネガティブウオッチ」が正しゅうございまして、思いっきり勢いで間違えを書いてしまいましたすいませんすいませんすいません。
「見通しの方向性の表明」というのと「格付けの見直し検討」というのは何となく似ていますが似て非なる物でございまして、これをゴッチャにするのは大変残念な間違え方でございますので、注意しましょうなのでございます>自分
朝日新聞(asahi.com)の記事がきれいに説明できてるじゃん。
http://www.asahi.com/business/update/0531/TKY201105310304.html
ムーディーズ、日本国債格下げ方向で見直し
2011年5月31日13時50分
『ムーディーズは2月、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更した。その際は、菅政権が「税と社会保障の一体改革」が実現できなければ格付けを見直すと説明していた。
今回は、さらに踏み込んで格下げ方向の見直しを表明したかたちになる。今後、3カ月後をめどに実際に格下げするかどうか最終判断するという。改革に実効性が乏しいなどと判断した場合、「Aaレンジの格付けを維持できる可能性が低下するだろう」とし、2段階以上の格下げの可能性も示唆している。』(上記URLより)
先週末に格付けアクションをしたFitchの場合はこういうリリース。
http://www.fitchratings.co.jp/web/
こちらのページの真ん中当りにある『最新リリース』に『2011-5-27 日本の格付アウトルックを「弱含み」に変更』とございます、リリース内容を見るには会員登録が必要でございますので中身に関してはスルーしますが、こっちは「アウトルックネガティブ」になるんすかな。うんうん。
という事で、このあたりの用語を間違えると大変に恥ずかしい思いをしますので、皆様におかれましてもご注意ありたく、自らの恥を大々的に宣伝するのでありまして、謹んで昨日の訂正を致しまして謝罪はしますが賠償は致しかねます。
と、ひとしきり恥を晒した所でまずは雑談。
○だいたい雑談コーナー
・R&Iは1ノッチ下げですかそうですか(9501)
格付投資情報センターさん昨日は東電格下げアクション。
http://www.r-i.co.jp/jpn/
とりあえずR&IはA格維持ですにゃ。
リリースはこちら
http://www.r-i.co.jp/jpn/body/cfp/news_release_A/2011/06/news_release_2011-A-264_01.pdf
いやまあこちらのリリースにもございますし、S&Pの格付けアクションもそうなのですけど、今回は「賠償支払支援スキームの具体化が進んでいない」という点をレーティングアクションの大きな理由の一つにしている訳でございまして、いやまあそう言われますとそらそうですなとしか申し上げようが無いでござる。
まあ悪態(格付け会社向けではなくて政権向けね)は火曜日にも書いたので今更なのでございますが、何か微妙にフワフワな「案」だけ出して(しかもただの関係閣僚会議合意であって閣議決定ですらない)その具体化に向けての所で「ステークホルダーの協力」に関して関係閣僚の発言が食い違う(上に無法発言をする内閣官房長官がいるわ)という状態で話が宙に浮く位だったら、スキーム案まだ検討中って感じの方が良かったんじゃねえのとか(実際にはそれはそれで問題になるんでしょうけど)愚痴りたくもなりますにゃ。
何はともあれこのままダラダラとされても誰も得をしない展開になります訳でして、現政権におかれましてはもうちょっと物事の優先順位というものを考えていただきたく存じます次第でございます、あ、それから法治国家としてのあり方もお忘れなきように。
毎日新聞でもこんな記事があったんですな。うんうん。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110531ddm008020131000c.html
東京電力:「投資不適格」 社債市場回復に水 契機は債権放棄要求発言
毎日新聞 2011年5月31日 東京朝刊
・どうでも良いがこれは高度なギャグ
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381949EE2E3E293EB8DE2E3E2E4E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
菅首相、原発対応「思いつきの危険性知っている」
2011/6/1 15:28
・・・・・・・・ギャグが高度すぎて何が何だかさっぱり判りませんorz
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2011/06/01
さあ内閣不信任案提出ですよ(・∀・)ニヤニヤ
まあしかしこの内閣は「積算根拠無い独断専行」をリーダーシップだとおもっているんでしょうね、ちょっと知能というか人間としての良識を疑っちゃうんですけどにゃあ。これはワロタというか情けない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110531-00000146-mai-pol
<菅首相>太陽光パネル発言で陳謝 「聞いてない」閣内不満
毎日新聞 5月31日(火)22時25分配信
ということでお縄先生劇場が開演されるのか見物人だけ集めて不発になるのかワクワクテカテカなのでありまふ。
○日本国債のネガティブアウトルックが揃ってまいりました
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aNKH.wPWFPXY
ムーディーズ:日本国債格付け「Aa2」を引き下げ方向で見直し(3)
『5月31日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは31日、日本政府の自国通貨建てと外貨建ての債務格付「Aa2」を引き下げ方向で見直しの対象にしたと発表した。東日本大震災に伴う経済・財政コストの増大に加え、政府による財政赤字削減の見通しが不透明なことなどを理由に挙げている』(上記URLより)
社会保障と税制の一体改革の原案の内容が判明しました♪というニュースが出た日にいきなりネガティブアウトルックネガティブウォッチ(スイマセン間違えてました)攻撃とはムーディーズさんお洒落ですなあ(棒読み)という感じですが、何だか知らんが昨日は珍しくドル円が若干円安に振れるわ債券市場では超長期がヘロヘロになるわと、多分別の要因で動いたと思うのですが(^^)、珍しく反応したかのような動き(正確に言うと債券市場で超長期とか先物がダメダメになったのは10時過ぎからなんで順序が逆なんですけどね^^)と相成りました。
まあ別にだからどうしたのと言う感じ(そもそも先週末はフィッチレーティングが日本のAA−をネガティブアウトルックにしてますし)ではございますが、
『政府の取り組みについて「人口動態上の圧力の高まりや、危機後の不安定かつ不確実なグローバル経済環境において発生しうる新たなショックに対して、長期的財政再建戦略がぜい弱」との見方を示した。』(上記URLより)
というのにワロタとしか申し上げようがございませんですな。まあ目先的にだからどうなのよという感じではございますが、今回ちょっとだけ違うのは貿易収支が赤くなっている事っすかねえ。だから直ちに経常収支に影響を与えるものではござーませんけど、気分的な問題として(どうせ市場ちゃんの目先の動きは気分次第ですから^^)貿易赤字をホイホイ見せられると何でございましょうかなあというのは無い訳でもない、気分だけの話だが。
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2011/05/31
○S&Pが東電格下げとか
こちらはニュース。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=axAZifqKovqM
東京電力の会社格付けを5段階引き下げ、ジャンク級に−S&P (1)
『5月30日(ブルームバーグ):格付け会社スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は30日、東京電力の格付けをジャンク級(投機的格付け)に引き下げた。銀行借り入れについて何らかの債務再編がなされる可能性が高まっているとの見解を示した。
発表によると、長期会社格付けば「B+(シングルBプラス)」に5段階引き下げた。長期優先債券格付けは2段階引き下げ「BB+(ダブルBプラス)」とした。いずれも従来は「BBB(トリプルB)」。短期会社格付けも「B」に2段階引き下げた。すべての格付けは方向性不確定の「クレジット・ウォッチ」を継続する。』(上記URLより)
んでもってS&Pのリリース(登録しないでも見れる奴)。
http://www2.standardandpoors.com/portal/site/sp/jp/jp/page.article/1,0,0,0,1204866766588.html
東京電力の債券格付けを「BB+」に、CP格付けを「B」に引き下げ
会社格付けは「B+/B」に引き下げ、すべて方向性不確定の「クレジット・ウォッチ」を継続
ということで、長期優先債務と長期会社格付けが思いっきりスプリットになったのですけれども、どっちも格下げ攻撃となったんすよね。銀行融資が債務再編に掛かった場合には他の債権者的にはオイチイ話のような気もするのですけれども、まあ(Q&Aみたいなのがリリースされてるようなのでそれを見れば書いていると思うけど)新規でのファイナンスと言う観点からしたら銀行融資を債務再編しようかという企業が一般担保付とは言え社債発行したらそれってどうなのよとか言われるとまあそーゆー事なんですかねえ、よー知らんが。
で、上記S&Pのリリースにもありますけど、今回の決定理由の中に『1)政府による損害賠償支援の内容や正式決定の時期などが依然として不透明である』というのがございまして、まあ要するに「政府は早く東電の賠償支払いスキームの具体化と法案整備をしやがれコノヤロー」だというのだけは把握しました。
この前政府案出た時に格下げしたばっかりで、何か随分とタイミング早くねえかという感じではございます(まあ銀行決算発表後なのだけは気を使ったのかもしれませんが^^)けれども、まあ政府案のようなものが関係閣僚会議で公表された後絶賛たなざらし状態になっているので格付け会社がイラっとさんになりましたという事だと存じますが、そもそもどこぞの馬鹿官房長官が馬鹿な前提条件を恫喝的に言い出したのが本件具体化に向けての話をややこしくした原因でありまして、馬鹿官房長官におかれましてはミニ水力発電の研究の為に三途の川を視察に逝かれる事を心からお勧めして止まないものであります。
何かまあ短期的にはこの前の2兆円融資が効いて資金繰りダイジョーブ的な余裕ぶっかましモードになっているから政府案の具体化が全然進まないという事があるのかもしれませんが、まあたなざらしが長くなりすぎると色々と騒ぐ動きも出てきますがなっちゅう事ですので、実効性があって、変に債務再編とかしない賠償支払いスキーム(長期に渡って東電がタコ部屋送りになるようなスキームが今の政府案と理解してますが)の具体化を望む訳でございまする。
○でもまあ政治の方は政局モードで
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110531k0000m010084000c.html
民主党:不信任案めぐり攻防 小沢氏は党内の風探る
お縄先生お得意の壊し屋稼業キタコレ(・∀・)
・・・・・・まあ何か足元で電力供給能力の低下とかが懸念される中で「発送電の分離」とか「自然エネルギー」とかそれはそれで長期的な課題としては取り組む話ではあると思うのですけど、隣家で火事ボーボーとなっているのに「そもそも防火とは何ぞや」みたいな話をしているかのようなテイストを醸し出している馬鹿内閣におかれましては早々にご退場頂きたいものではありますが、そうは言ってもこの内閣コケたあと更に碌な事言い出さない河野某とか渡辺某とかが出てきて電力自由化とか東電解体(一般担保債権者が数兆円分あるのにそう簡単に解体とか言われましても債権者が許さんのだが)とか更に法的前提をまる無視して無茶振りをしてくるリスクもあるのですけどにゃあorz
そんな中で社会保障と税の一体改革(明後日出るんすか)の話も出てきたようで。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110531/t10013216751000.html
一体改革 原案の全容明らかに
5月31日 5時14分
『2015年度には、社会保障の充実化で4兆円かかり、抑制策の実施で、1兆3000億円程度を減額しても、社会保障の追加の費用として2兆7000億円程度が必要になると試算しています。これに加え、基礎年金の国庫負担の割合を2分の1に維持するための財源や、高齢化に伴う社会保障費の自然増などの費用の確保が必要だとして、2015年度までに消費税率を段階的に10%まで引き上げるとしており、法制上の措置を今年度中に講じるとしています。』(上記URLより)
あたしゃよく判らんのだが、何で出す方を先に決めて足りないから増税という話になるのやらという所なのですし、大体経済復興しないといけないのに今から消費税率上げとかナンデスカソラという感じなのですけれども、まあこれはあたくしよー判らんのでとりあえずスルーします。確か海外格付け会社がこの改革案の内容次第では日本ソブリンの格付けを見直す気満々だったような記憶がある(記憶違いだったらゴメンナサイ)ので、まあ原案が正式に出てからwktkしたいと思いますけど、明後日は内閣不信任案が出てそうな気も(^^)。
#年金支給開始70歳とかおめえ70まで働かせるのかよ勘弁じゃろ・・・・・
とまあそんな感じでどうも政治がスタックしてて困ったもんです。
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2011/05/27
○野田審議委員の後任候補にSMBCからSMBC元専務取締役の石田さん
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a6eIFmH5b.yU
政府:三井住友ファイナンス&リース石田社長提示−日銀委員(2)
『5月26日(ブルームバーグ):政府は26日午後、議院運営委員会両院合同代表者会議で、6月中旬に任期切れとなる日本銀行の野田忠男審議委員の後任として、三井住友ファイナンス&リース社長の石田浩二氏(63)を起用する国会同意人事を提示した。衆院議院運営委員会で配布された資料で明らかになった。国会で同意を得られれば、同社社長を辞職する6月下旬に任命の予定。任期は5年。』(上記URLより)
ということで今回は住友銀行昭和45年入行の石田さんがノミネートされましたです。でまあどのようなお方かというのは住友銀行の中の人に聞いてみないとワカランチ会長ですのでとりあえず誰か教えて下さいとゆー所ですが、昭和45年入行ですと昭和最後とか平成の頭に入行した人が新人の頃に既に支店長クラスとかのような気が。
でまあ野田審議委員の場合は企画とか営業とかのお方で特に市場系の方では無かったようですけれども、金融政策に関しては「筋を通す」方という感じで、また米国の不良債権問題が景気に与える悪影響に関しては早いうちから懸念を表明していたなど特徴のある見解を示してくれましたので、石田さんにも期待という事で。
ちなみに、かなりどうでもいいですが今回「へ〜」と思ったのはSMBCの住友の方から審議委員候補が出た事でして(^^)、上記ブルームバーグ記事にありますように、新法になってからは武富さん(興銀)→中原さん(東銀)→野田さん(第一勧銀)と旧特殊銀行の流れで来て(野田さんは第一入行なので特銀(は勧銀)ではないが)まして、商銀系から来るのか(まあSMBCから出すとなると商銀系しかないけど)というのと、もうちょっと遡って過去の総裁を見ると民間銀行からの総裁就任って三菱の宇佐美総裁で、戦前に遡ると第一(渋沢敬三)と三井(池田成彬)と微妙だが安田(結城豊太郎)と関東系財閥から着てまして、関西系初ですなあとかいうかなりどうでも良い事に「ほほー」と思うのはアホですかそうですか。
歴代総裁はこちら(^^)→http://www.boj.or.jp/about/outline/history/pre_gov/index.htm/
#なお、戦後のスリーピングボード時代の政策委員についてはさすがに知らんので、その間に関西系から政策委員が出ていた可能性はありますけど・・・・
不良債権処理問題に関する経験値の高い人が来るというのは野田審議委員を見てまして悪くは無かったかなあとは思いますが、個人的にはオペレーションとかの細かい話が得意な人が入ってくれると、執行部ペースになりがちなオペ技術の問題とかの議論が深まって実際にフィットしやすくなると思う訳でございます。まあ金利が何せこの有様ですと、オペレーションの細かい所が結構重要になっております次第ですので、そーゆー意味では武富さんみたいなマニアが候補になると良いのですけど(^^)。
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2011/05/26
ということで今日も悪態が来るのだが。
○てめえふざけるなああああああああああああ!!!!!
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ax1hBHBJim_Y
枝野氏:「私は求めていない」、東電向け銀行債権放棄−国会答弁(1)
『5月25日(ブルームバーグ):東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償スキームをめぐり銀行が東電向け債権を放棄する必要性があるかどうかの問題について、枝野幸男官房長官は25日の国会答弁で、記者会見での質問に対し見解を示しただけで、自ら債権放棄を求めたものではないと強調した。』(上記URLより)
・・・・・・・・・(゚Д゚#)ゴルァァアアアァァァ!!
えーっと、どうもこの官房長官様は無法者の上に自分の発言の意味が判っておられないようで、まあきっとお気楽野党の評論家気分で権力を振り回しておられるということなんでしょうかねえ。
『また、同氏は25日の答弁で、原発事故の収束に向けた関連企業の業務継続、原発事故賠償、東電管内の電力供給安定の3点を確保するため「会社更生等の法的手続きは残念ながら取れないと考えている」と述べた。』(上記URLより)
>残念ながら
>残念ながら
>残念ながら
・・・・・・・・??????????
何でこう意味不明に強硬なのかと考えますと、そもそも原子力政策を推進していた政府がありまして、原子力保安院とか作って管理監督を責任取って実施していた筈なのですが、その論点を一連の無法発言でスルーさせようという事なんですかね、とでも考えないとイミワカンネ。
大体ですな、物権に関する法の前提を平気でひっくり返して融資の放棄だのを要請するような発言を内閣官房長官が平然と行うっつー時点で、「この国は後付で法的枠組みがひっくり返される国」(事後法でいきなり逮捕されたりいきなり財産没収されるようなアホな事の起きない国)という認識になる訳でございまして、従来はアジアの中でその手のリスクの無い国として日本は扱われていた筈でありましたが、枝野官房長官の債権放棄要請発言ってそれを突き崩すという意味で激しく国益を損ねるリスクのある発言なんですよね。
然るに、「そんな話をした訳ではない」と「勝手に解釈するお前らが悪い」と言わんばかりの発言とはこれまた酷い開き直りでして、発言を撤回して謝罪しないとそもそも話が始まらないと思うのですけど、何と申しますかこの官房長官様におかれましては可及的速やかに天寿を全うして頂きたいものでございますとしか申し上げようがございませんな。
ということで、金融市場に(゚Д゚#)ゴルァの反響を巻き起こした官房長官のご発言に関してメモメモ悪態なのでございました。
ちなみに、政策投資銀行も債権放棄に関してはこのように仰せのようで(^^)。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a2m.Rw8eR_f0
政投銀の荒木副社長:債権放棄に慎重「まず政府と東電間で協議を」
『5月25日(ブルームバーグ):日本政策投資銀行の荒木幹夫副社長は25日の決算会見で、東京電力の原発事故補償の枠組みは金融機関の債権放棄が前提になるとの枝野幸男官房長官に発言について、「まずは東電と政府で考え方を整理し、金融機関を含む関係者とそれを共有させてもらわないと、われわれ自身も判断できない」と慎重姿勢を示した。
同副社長は一般論として「債権放棄は金融支援としては不快だ。当然事業者もその後の調達に支障が生じる。最後の手段ということだと思う。その辺を含め考え方をきちっと理解したい」と言及。ただ「電力は国、産業、生活にとって重要なインフラで具体的要請なり枠組みが見えてきた段階ではお手伝いできることは力を尽くしたい」と述べた。』(上記URLより)
・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
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2011/05/23
○ところで西村副総裁はどうしたんですか????
前回貫禄の「基金拡大」提案を行って全力で否決された西村副総裁ですが・・・・・・
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致(注1))。』
『(注1)賛成:白川委員、山口委員、西村委員、野田委員、中村委員、亀崎委員、宮尾委員、森本委員、白井委員。
反対:なし』
・・・・・・・あらら、今回は西村さん基金拡大の提案して無いの????
ということで、こらまた不可解な話なのですが、素直に捉えると「前回提案時よりも景気の先行き見通し(またはリスク認識)が上方修正された」という話になるのですが、はてそんなに凄く経済見通し良くなったでしたっけ???という感じはしますがな。
いやまあ確かに浜岡の話は措いとくと、サプライチェーンの回復が割と順調なのと、電力供給に関しても夏場のピークが何とか回りそうな雰囲気も漂ってきている(どう見ても浜岡で状況は全国的な問題になったような気がするのだが・・・・)というのはありましたけれども、提案引っ込める程か????って感は致します。
まあ本人じゃないと判らない話ですが、今回の行動は正直意味不明(前回もまあイミフではありましたが、まあ前回の方が言いたいことはわかったので)でございまして、はてさてこれは何とした事ぞという所でございまする。今回引っ込める位なら前回出さない方が良かった訳で、今は東電絡みで政治様からスルー気味の日銀ですが、また矛先が回って来た時に「日銀は前回の緩和拡大提案が出なくなるとか、経済に関する認識が極めて甘く危機感が無くてケシカラン」と言われる格好の燃料投下になっていると思うのでございますけどどうなんでしょうかねえ。
#ま、こうなったのに何故か6月会合でしらっと全員一致で基金拡大とかやっても不思議じゃないのが日銀クオリティではあるのですけどね(^^)
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2011/05/20
いやね、悪態ばっか書いてもシャーナイナイなのですけどついついネタが出るとそんな餌に俺様がクマーになってしまうあたくしorz
○益々意地になっておられる人がおいでのようで
市場に乾いた笑いと頭痛を巻き起こしたのは昨日もこの人でありました。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ah_7Q16_e3G8
枝野氏:東電は「普通の民間とは違う」−債権放棄発言への批判に(1)
はあはあそうですか、で、何と仰せなのでしょう。以下の『』内は上記URLの記事からね。
『5月19日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は19日午前の記者会見で、東京電力について「公的な目的のために国として一定の支援を行う限りにおいては普通の民間企業とは違う」と述べ、福島第一原子力発電所事故賠償への政府支援は震災前債権の放棄など金融機関による協力が前提になるとした自らの発言への理解を求めた。』
いやまあ普通の民間企業とは違うかもしれませんけど、あんさん先週金曜日には「民民の関係」とか何とか仰っておられませんでしたっけ????いやですから政府がちゃんと関与するというのであれば、法的枠組みに則って賠償の支払いと電力の安定供給(と原発事故の収束)が継続できるようなやり方を取って頂ければヨロシイ訳でして、震災前債権の放棄を「自主的に行う」のを「協力要請」するという”法に則らない行動”をしろというから銀行どころか経済界が反発するのですけどねえ。
『枝野氏は金融機関や東電の株主に対し、「当事者である東電が貸し手に限らず株主も含めてさまざまなステークホルダーの皆さんに、政府からの支援がない場合の財務状況を前提にして、さまざまなご協力をお願いしていく。そのことについて国民の理解が得られなければ国としてのスキームが前に進むことはない」と述べ、あらためて賠償への協力を求めた。』
あーもしもし???アナタ今「普通の民間企業とは違う」って仰ったのに、何で「協力」する時の前提が「政府からの支援が無い場合」になるんでしょうか???大体法的枠組み考えたらこうなりますというスキーム作って、その説明をするのがあんさんらの仕事であって、「国民感情」とやらに阿って法律無視の横車通すのが政府の仕事ってどこのファッショだよという感じっすけどねえ。
つーことで、最初の話にある「民間企業とは違う」発言とこの段落の部分って論理矛盾してるようにしか見えないのですが、いやこんな弁護士に弁護頼んだら瞬時に敗訴確定ですなああっはっはとしか申し上げようがございませんねえ。
まあ何ですな、枝野センセイにおかれましては「政府様が関与するのだからお前ら言うこと聞きやがれ」ってゆー話をしているように見えますが、そもそも民間企業の活動に対して法に則らない行為を恫喝交じりに強要しようとしているのに対して反発が起きているのに、この人その点全く把握してないでしょっつー所で残念ですなあ。
『一方、東電債権を放棄すれば金融機関自身が株主代表訴訟を提起される可能性があるとの指摘が出ているとの質問に対しては、「金融機関がどういうロジックを持っているか直接コメントする立場にはない」と述べるにとどめた。』
・・・・・・・いやあのそれは金融機関のロジック云々じゃなくて普通に商法だの会社法だのを普通に解釈するとそうなりますがなという世界であって、別に金融機関が勝手に問題点をでっち上げている訳でも何でも無いのですけれども、もしかして枝野大先生におかれましては「俺様がルールブック」という古代暴君伝説もビックリの法律運用を当然であるとでも思っているのでしょうかねえ。
とまあそういう事で、何せ官房長官がネックという素敵な状態になっている上に、益々無茶振りの発言をエスカレートするという状態ですので、まあこの人の発言を何とかして「無かった事」にするという方向、そして例の6項目目の「協力」に関しては「期限がこれからやってくる貸出金のリファイナンスへの協力」というような方向で解釈して、枝野発言に関しては菅さんが撤回なり訂正する(本来なら今回の無法発言は「政府高官が法の支配の原則を逸脱した」という意味からすると罷免して議員辞職勧告モノだと思いますけど、まあさすがにそれは難しいでしょうからね)ことによって、まずは賠償支払スキームが実際にワークして、東電のリファイナンスを回すようにしないと賠償支払い以前に原発事故収束も電力の安定供給も回らないと思うのですけどねえマッタクモウ。
昨日のMoody'sの発表のニュース。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=akMWl3pgOeCo
ムーディーズ:東電、銀行が金利減免なら、デフォルトへ格下げ検討(2)
3月末に格下げした時は、先行きの方向性とか全然見えていない段階でいきなり格下げしたので格下げテロ呼ばわりした覚えがございますが(^^)、まあ今回の動きに関しても何だかなあとは思いますけど、そらまあ言うわなと3月末のような怒りよりも乾いた笑いのような感情が起こるわけで、というか怒りの方はどこぞの無法官房長官に向かいますがね。
○2次補正→賠償スキーム→エネルギー政策見直しとな
ふむふむ。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=auwg.LBU1UwY
電力株下落率1位、首相発言で電力行政警戒−地域独占や発送電分離
いやね、これ株が下がるのも厳しいですけど、発送電分離とか軽々しく言われましてもじゃあ既存の貸出や社債はどうなるのという話になった時にこの政府何も考えないで後から変な「協力」でも求めてきやがるんじゃないかとかまで心配したくもなる(常識的にはそういうアホな事は有りえないのだが、枝野発言によってこの政府はそういう契約履行などに関する常識が通用しないリスクがあるというステージになっているからねえ)訳ですし、まあそれ以前の問題として直近で債権放棄を求められる状態の中で、他の電力で似たような事態が起きたらどうすんのというような話になったらそらまあ電力会社への融資のレートは少なくとも上げてくれないと困りますがな(従来の御用金調達レートでは厳しいですなあ)という話になりゃーしまへんかねというのが気になるざますわよ奥様。
つまりですな、ただでなくさえ原発見直しの方向が続いて発電コストが上がり、その上電力供給能力に対する不安もありますねという中で、電力会社の資金調達に悪影響を与えるような事を国が推進してどないすんねんと思うのでありまして、昨日も申し上げましたように、今まさに緊急の課題は電力の安定供給(東電はそれに原発関連が加わりますが)の確保なのに、自由化論議とかこのタイミングで行ってどうするんじゃいとあたしゃ思うのですけどねえ。
まあ何ですな、2次補正の話をしてたら財源論で大騒ぎになったから収拾が付かなくなって先送り、賠償スキームの話をしたら債権放棄云々で大騒ぎになったから収拾が付かなくなってこれまた先送り、となりまして、何か支持率アップと政権延命のネタは無いかという事で今度はエネルギー政策どうのこうのとなって発送電分離というのに飛びついてみたという事だとは思うのですが、やることが一々証券市場や金融市場の迷惑でございまして、内閣の皆様におかれましては可及的速やかに西方浄土へのご訪問をお勧めしたく存じます。
#ちなみにどうでも良いが、発送電分離してあちこちで小規模発電とかいう話って見た目は美しいですけど、現在の技術水準でそれやると「土法高炉」状態にならんかねと懸念しとるんじゃが素人なのでよー知らん
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2011/05/19
○ちょっとだけ悪態的雑談
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110518-00000038-maip-pol
福島第1原発 菅首相、発・送電の分離検討
毎日新聞 5月18日(水)21時3分配信
・・・・・・いやあのですね、発送電分離の話とか(表題には無いけど)エネルギー政策の見直しとかの話をする前に今やるべきことは福島第一原発事故の安定化と、経済復興の為にも重要な電力供給の安定化であって、しかもそれは待ったなしの話だと思うのですけどねえ。
その為にも東電の賠償支払いスキームを実効性のあるもの(無法発言によって債権放棄を強要するとか論外にも程があるのですわ)として、東電の今後のリファイナンスを確実なものにすると共に、他の電力会社に対しても無駄に変な負担を掛けたり先行きのリスクを高めたりすることによって資金調達に負荷を掛けるような事をしない事が最重要であって、クリーンエネルギーとか発送電分離とかいうのはその辺りが落ち着いてから追々やれば良い話ではないかと思うのですけれども、誰に変な話吹き込まれたのか知りませんが、喫緊の課題を先送りにするのは熱心なようで非常に困ったもんだとしか申し上げようがございませんわな。
などと血圧を上げていると健康に宜しくないのでまあちょっと毒出ししてみただけね。
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2011/05/18
お題「結局また東電関連雑談になってしまったorz」
まあ大概にと言いつつも実に何ともなネタなので東電関連クリップは続く。
○結局のところ「枠組み」の「6項目目」が明らかにクソな訳ですな
昨日の閣議後の会見を報じたブルームバーグから。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=auI22n.A.9oE
野田財務相:東電と金融機関が対応協議を−債権放棄問題(1)
『5月17日(ブルームバーグ):野田佳彦財務相は17日午前の閣議後会見で、東京電力の賠償スキームに絡んで枝野幸男官房長官が金融機関の債権放棄が前提との認識を示したことを受け、「具体的に政府で協議したことはない」としながらも、「全てのステークホルダーの協力を得ていくのが基本的な姿勢。その中で国民負担の最小化を図るという原則がある。それに基づいた対応を東電と金融機関が民民の関係で協議いただくことが基本姿勢だ」との認識を示した。』(上記URLより)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=airlH_5CmTtw
自見金融相:債権放棄「民間当事者同士で話し合うべき」−東電賠償
『5月17日(ブルームバーグ):自見庄三郎金融担当相は17日午前の閣議後会見で、東京電力原発電所事故の賠償の枠組みに関連して、「東電支援は国民の理解を得ることが重要。民間当事者間同士で話し合うべき事柄だ」と述べた。』(上記URLより)
・・・・・まあ野田財務大臣も言うように、「政府が公式な機関決定として民間金融機関に債権の放棄などを強要している訳ではない」(したらどこの暗黒中世国家だという話ですけど)という事なのでしょうが、まあ既に枝野官房長官が金融機関の債権放棄などを事実上の政府による支援条件とする発言をした後に、自見さんのように『東電支援は国民の理解を得ることが重要。』という発言をしちゃいますと、「財務省も金融庁も金融機関による債権放棄などを要求している」と取られちゃうリスクが高い訳でございまして、益々ヘッドラインリスクを高めるというものでございまする。つーかこれって「東電支援」じゃなくて「賠償支払い支援」でしょ自見さん・・・・・
まあ要するに例の6項目の最後の項目が明らかに余計、というかそれを「条件」にした時点で「政府による金融機関への法的根拠無き強要」になっているというのが問題にも程があるのである訳ですよね。
まあ毎日書いてるから耳タコですいませんが、お金のやりとりにおける契約関係に関して、後から国家権力が法律の枠組みを壊すような形で「世間的に反発されにくい取りやすい所から取立てますか」というようなスキームを炸裂させちゃいますと、そらあーた金融なんてやってられまへんがなという事ですし、大体からして世間受けの悪い「金持ち」とかが「この国に金を置いておくと何かあった時に大事なお金を法律の枠組みを超えて国家に収奪されちゃうリスクがある」と認識するんじゃないですかという話なのですが、まあ金融だの金持ちだのというのは(あたくしは金融屋だが金には縁が・・・orz)世間的に嫌われますので、迫害の対象になる事に関してはナーバスなんじゃネーノと思いますけどねえ。
ま、電力事業の主務大臣様であらされる経済産業大臣がこれだから困るのだが。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aFCRivCI0gB4
海江田氏:金融機関もいろんな協力してくれると思う−東電賠償(1)
『5月17日(ブルームバーグ):(冒頭部分割愛)海江田氏は金融機関の協力の在り方について「基本的には民と民の関係であり、私どもがああしろ、こうしろということを今の段階で直接口を挟むということではなしに、金融機関の方もいろんな協力をしてくれるだろうと思っている」と述べた。』(上記URLより)
えーっと、思いっきり圧力掛けてますが海江田さん永易さんの会見内容を見てないんですかねえ。更に話がこじれるだけじゃねえのこれじゃあ話が百年経っても進まねえよ・・・・・しかも主務大臣が「事業分割」の話をしているのだが、この会社って公募社債での資金調達が多いのだから、そんなに簡単に事業分割を口にされますと困るんですけどねえ(社債の元利金返済のきちんとした承継スキームがあるなら別だが)。
というのが、共同通信ニュースになるとこうなります。
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011051701000296.html
東電と金融機関で協議を 債権放棄めぐり野田財務相
まあシャーナイわなという感じですが、こんな感じでヘッドラインリスクがホイホイ出てくるというのは全く持って何なんですかという所ではございまする。
まあこの辺とか見てると微妙に無法路線の修正をしようとしているのかなあという気もするのでその辺に期待したいですが
http://www.asahi.com/politics/update/0517/TKY201105170560.html
原発被災者「国策の被害者」と明記 政権の取り組み方針
おせえよという感じではありますが、まあちったあ前進ですかねえ。
○官房長官は益々意地になっておられるようですなあ
公共放送ニュースより
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110516/t10015922781000.html
官房長官 支援法案は合理化策後に 5月16日 19時43分
『東京電力の清水社長は、16日の衆議院予算委員会で、福島第一原発の事故を受けた賠償金の支払いを支援する枠組みに必要な法案について、今国会での成立を要請しました。これについて、枝野官房長官は記者会見で、「支援の大前提として、東京電力による資産の売却や、安全に関わらない経費の徹底的な節減、それに関係者の協力が得られることが求められる」と述べ、東京電力に対し、早急に経営の合理化策を示すよう求めました。そのうえで、枝野長官は「『早く法案の成立を』と言う前に、情報公開と内部努力を進めることが、前に早く進む何よりの要因だ。東京電力が事業主体として責任を果たしているという国民的な理解が得られなければ前に進まない」と述べ、法案の提出時期は、東京電力が経営の合理化策を示したあとになるという認識を示しました。』(上記URLより)
ということで、どうも「債権放棄」に関して直接言及するのは避けているようにも見えますが、相変わらず『関係者の協力』とか言ってるし、『支援の前提として資産の売却』などの『合理化が先』という話になっているようで、益々意固地になっておられるように見えるのですがどうなんすかねえ。
つーかさ、合理化策は良いんですけど、役員報酬削減だったら別にホイホイと決められますけど、退職者年金の削減とか給与削減って交渉相手がいることですし、資産売却だって今日売ると言って明日ホイホイ売れるものでもない上に、尾瀬の土地みたいに横槍入ったりもするでしょうし、まあそれ以前の問題として一般担保付の社債という長期負債が山ほどある会社において「重要な資産の処分」をホイホイ行うのは一般担保の社債権者との権利関係の問題もある訳で、そらまあ鉛筆舐め舐めのお絵かき策だったら簡単に出せるかもしれないけど、まともに実効性のある話をしろといわれた場合に今日の明日とかに合理化策を出すのも大変でしょ。その間に時間は経過していくんですけどねえ・・・・
ま、こんな調子でそこらじゅうから批判されて更に意地になっていると見た。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210518001.html
【原発】枝野長官の債権放棄に経済界から批判(05/18 05:50)
「あの」テレビ朝日でもこの調子ですからにゃあ。
○しらっと書いてあったが何だかなという話
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aH0h7UrjcFwI
東電賠償スキーム、銀行債権放棄、政府見解でなし−支援に不透明感(1)
最後の部分が盛大な釣り針で・・・・・・
『東電広報担当の松本直之氏は、金融機関に債権放棄を「要請するかは現在コメントできない」とし、「これまで通り低コストの資金供給などの支援を願いたい」と述べた。「政府に支援してもらいながら被害者への公正かつ迅速な補償に向け準備を進めている」という。』(上記URLより)
>これまで通り低コストの資金供給などの支援を願いたい
>これまで通り低コストの資金供給などの支援を願いたい
>これまで通り低コストの資金供給などの支援を願いたい
・・・・・・・・・・いやあのどういう文脈で仰ったのか良く判らないですからあんまり悪態はつきたくないのですが、社長が資金が回らなくて政府に支援要請とか言ってる会社で、しかも政府から金融機関に公然圧力モードになっていて今後の融資どうすんのというような話になっている状態なのに『低コスト』の融資寄越せとか金融機関の首脳がこれ見たらカチンと来るんじゃネーノと思うのですが。
まあまさか素でそういう話をしたとも思えず、文脈の中で切り取られただけだとは思う(というか思いたい)のですが、こういう風に報道されるリスクのあるような物の言い方を避けないと「東電の態度は何なんだ」という感情的反発を呼んでまとまるものもまとまらなくなってくる訳でございまして、だから不良債権処理時代の銀行からちったあ勉強した方が良いんじゃないのとか思うのでありまする。
報道機関ってこういう時にできるだけオモシロヘッドラインを作ろうとするのでありまして、まあ例えば清水社長の企業年金削減に関する話とかだって法的な筋論としては別に間違った話をしている訳では無さそうなのですが、兎に角こういう時にはヘッドラインとして「東電ケシカラン」という結論になるような報道のされ方をするものですからもうちょっと何とかした方が良いと思いますけどって先日も書いたけど多分時既にお寿司ではあるのですけどね。
○更に脱線雑談:こんな国で財政マネタイズ道具与えちゃいかんでしょ
最近ちょっと下火になった、というか単に2次補正が先送りになったので、予算が先送りになれば財源論も先送りになるというだけの事だと思われる「日銀が財政マネタイズ(=財源としての国債引受)をしろ論」なのでございますがね。
まあ小見出しの通りでございましてですな、財政マネタイズに反対するクチと致しましては、主な論点として「一旦財政マネタイズを認めると足元は兎も角、将来に渡って安易に財政マネタイズを乱発する結果、財政インフレという誰も得しない展開になりませんか」というのがあって、そーゆーのに対して「財政規律を法律で縛れば」「日銀がインフレターゲットをすれば」という話が出てくるのでありますわな。
でもね、今般の東電賠償スキーム策定において内閣官房長官という政府高官が堂々の無法発言をするような国において、「国債の市中消化」という原則を崩したら打ち出の小槌を物凄い勢いで振りまくってそんな財政規律法律だのスルーしちゃうんじゃ無いのという懸念が思いっきりあると存じますし、そうなったらインフレターゲットも糞も無いと思うのですけど、その辺に関してはどうお考えなのでしょうかと思うのですよ。
「いやそんな事したら選挙で落とされるから政治家がやらない」というのかも知れませんが、一旦財政インフレ的な動きになったら次の選挙で血祭りになったとしてもその時には国民生活は破壊されている訳ですから、んなもん歯止めになるかいなという風に思うのでありまして、やはり国債の市中消化という原則をそう簡単に崩す必要は無いと思うのですけどねえ。
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2011/05/17
お題「まあ東電ネタは大概にしたいのだが雑談メモメモ」
市場の話はすっかりスルーでどうもすいませんすいません。
○政権の無茶振りにさすがの銀行もお怒りのようです
ブルームバーグニュースから
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aOZHcYQHF1G0
大手銀5G決算:与信費用減で6割増益1兆7631億円−今期予想は慎重
『5月16日(ブルームバーグ):(途中割愛ね)三菱UFJの永易克典社長は、政府部内で銀行の債権放棄が前提との見解がある東電賠償の枠組みについて「債権放棄とは実効性のある再建計画を企業と一緒に作っていく過程で応じるのが金融のルールだ。非常な違和感がある」と強調。再生の可能性がなければ株主代表訴訟になるなどと指摘した。東電からまだ話はきていないという。』(上記URLより)
>債権放棄とは実効性のある再建計画を企業と一緒に作っていく過程で応じるのが金融のルールだ
>債権放棄とは実効性のある再建計画を企業と一緒に作っていく過程で応じるのが金融のルールだ
>債権放棄とは実効性のある再建計画を企業と一緒に作っていく過程で応じるのが金融のルールだ
読売新聞から
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110516-OYT1T00953.htm
三菱UFJ社長、債権放棄は「かなり難しい」
『三菱UFJフィナンシャル・グループの永易克典社長は16日の決算記者会見で、枝野官房長官が東京電力への融資について債権放棄を求めていることに、「唐突で、違和感のある発言だった。民間と民間の関係に政府が直接的に関与するのはいかがなものか」と不快感を示した。』(上記URLより)
>民間と民間の関係に政府が直接的に関与するのはいかがなものか
>民間と民間の関係に政府が直接的に関与するのはいかがなものか
>民間と民間の関係に政府が直接的に関与するのはいかがなものか
『また、永易社長は「金融協力には金利減免やリスケ(返済期日の延期)などがあり、債権放棄はその極にある」と指摘した。永易氏は「東電が抜本的な再建計画を作る中で、どういう金融協力ができるかを考える」と述べたが、その前提として「(東電の)大リストラが前提になる」と強調した。(2011年5月16日21時02分
読売新聞)』(上記URLより)
>金融協力には金利減免やリスケ(返済期日の延期)などがあり、債権放棄はその極にある
>金融協力には金利減免やリスケ(返済期日の延期)などがあり、債権放棄はその極にある
>金融協力には金利減免やリスケ(返済期日の延期)などがあり、債権放棄はその極にある
どう見ても騙し討ちを食らった銀行がお怒りのようです・・・・・って当たり前としか申し上げようがございませんが、こーゆー風になるの当たり前にも程がありまして、まあ何と申しますか本当はただのおまいらの説明放棄であり利害関係者の調整努力を1ミリもしないで全く使い物にならない「案」とやらとドヤ顔で作って勝手な「国民感情」を持ち出して圧力掛けるだけしか能の無い政権の仕打ちにいつまでも甘い顔してたら銀行にどんだけ無理無体が飛んでくるか判りませんがなという所でございましょう。
しかしブルームバーグの方にありましたが、「東電からまだ話はきていない」っていうのが実際問題としてどのような段階(打診段階なのか本当に何も来ていないのか)なのかは判らんですけど、交渉以前の問題である、というのであればそもそも政府は何を考えてあんな無茶振りの前提条件付きの構想を出したのか全く理解に苦しみますが、どうせ支持率アップの為に何か出そうとか、決算発表までに何か出そうとか、そういうのが先に有って、本当に重要な「実際にワークする施策を作るために利害関係者間の調整を粘り強く行う」という地味な事はやらないでパフォーマンスだけ政治やってるからこういう話になるんでしょとゆー所ですわなあっはっはorz
しかしまあ東電も何か相変わらず危機感あるのか無いのか判らん(少なくとも「話がきてない」と言われるレベルの動きしかしてないと言うことでしょ)ですし、まあ元々が借入にしろ社債発行にしろ(激しく自主規制)であらされた流れをまだ引きずっているんでしょうかねえ。
まあしかし本件に関しては(少なくとも表面的には)結構こじれてしまったなあと言う感じでありますし、少なくともあの一連の無法発言ですっかり信頼関係が壊れてしまった感があります次第で、そもそもこの手の交渉するのに信頼関係もへったくれも無いという状況から開始するとなるとまあ話が中々進まんわなという所であります。唯一の救いは菅さんが収拾に乗り出すコースかなあ(恫喝的発言に対して菅さんが撤回するという感じ、まあよーやらんでしょうが)とは思いますけどねえ。
○しかし相変わらずの調子なのがこのお方
またまたブルームバーグニュースから。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aF571yB_qf5g
枝野氏:東電の資産売却、経費削減が大前提、政府の賠償支援−会見
『5月16日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は16日午後の会見で、東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐる賠償問題について、政府の支援は同社が資産売却、経費削減を徹底的にするのが大前提だと述べた。また、ステークホルダーにどう協力してもらうか明確にする必要があるとも指摘した。』(上記URLより)
>ステークホルダーにどう協力してもらうか明確にする必要がある
>ステークホルダーにどう協力してもらうか明確にする必要がある
>ステークホルダーにどう協力してもらうか明確にする必要がある
おいこらまだ言ってるのかお前自分の発言の意味判ってるのかてめえ一般担保の債権者で自主的な「協力」とかする奴いると思ってるのかという所でありまして、枝野様におかれましては金融関連の法的な問題に関してはどうもあまりお得意ではなく、却って話をこじらせる方向に作用される事でもございますので、それよりも脱原発のクリーンエネルギー開発研究方面に貢献して頂きたいと存じます次第でございまして、例えばブルジュ・ハリーファの最上階からイカロスの翼の稼動実験の実演を行っていただくなどというような貢献を是非ともお願いしたい所でございます。
より詳しいニュースはこっちでしたな(汗)。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=al7SN1PfjYK4
枝野氏:発送電分離など東電事業形態見直しも選択肢−記者会見(1)
『5月16日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は16日午前の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた今後の同社の在り方に関し、発電・送電部門の分離を含めた事業形態見直しも選択肢としてあり得るとの認識を示した。
』(上記URLより)
・・・・・まあそれやってエンロンリターンズとかニューヨーク大停電リターンズとかになられても困る訳で、今回の震災で固定回線も携帯回線も役立たず振りを発揮したどこぞの禿のようなのが電力事業に参入されても何だかなという感じなのでございますけれども、まあそれはとりあえず措くとしませう。
でね、それはまあ措くとしましても、発送電分離とかいう話になると社債的に申し上げますとそれは「重要な資産の売却」という事になると存じます次第でございまして、そういう場合は同社の負債をどういう形で継承するのかという点についてキチンとした形で詰めないと社債の失期事由に引っ掛かった社債権者が売却差し止め請求とかを飛ばすことになる(つーか社債管理会社が社債権者の権利保全に動かないと今度は社管がエライコトになる)とかいうような素敵な話になってしまうのでございますが、ど〜せそんな事この人たち何も考えて無いでしょ。
つーかさ、これ昨日も書いたけど、将来的に事業形態見直しされるというような話が見えていて、かつ一連の閣僚発言で「この政権に掛かると何を言い出すか判らない」という状態になっているのに誰がそんな企業に追加融資するのよという話になって、問題が益々ややこしくなるのでありまして、事業形態の見直しがどうのこうのというのであれば、検討の際には必ず同社の債務をその時点でどういう形にするのかという所を明示しないとダメだろという所でありまする。これが自民党政権時代だったらその辺あまりきっちり書いてなくても当然の如くその辺りを勘案した動きをするという安心感がございました(まあ金融行政に関して言えば竹中プラン時代に随分やってくれましたのでやはり微妙にアレな所があると思いますけどね)けれども、現政権は全くその辺の安心感が無いですからねえ。
○そして法案提出先送りだとおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
共同通信(47NEWS)から
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011051601000929.html
東電の賠償支援法案も先送り 政府民主、臨時国会へ
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
原発事故の避難者や農業漁業などの被害者に対して迅速な措置を取り、かつ賠償の支払いを東京電力に確実に履行させる為に急いで今回の仕組みを作ろうとしたんじゃないんでしょうか???????????????
『菅直人首相は今国会を6月22日の会期末で閉じたい意向で、40日を切った残り会期中に処理する法案を絞り込みたい思惑もある。本格復興のための2011年度第2次補正予算に加え、賠償支援法案の処理も先送りとなれば、野党が反発するのは必至だ。』(上記URLより)
えーっと、2次補正先送りに加えて賠償支払いスキームも先送りとか要するに震災復興も原発事故被害者支援も先送りして政権延命をしたいということでしょうか?
『これに関し枝野幸男官房長官は16日の記者会見で、東電の清水正孝社長が賠償支援法案の今国会成立を求めたことに対し「まず東電が経費節減の努力を示し、責任を果たしているとの理解が得られなければ前に進めない」と不快感を表明。岡田氏も会見で「政府の準備状況がはっきりしない」として、早期提出の状況にないとの認識を示した。』(上記URLより)
東京電力の経営陣の対応の仕方が如何にもマズいのはそうなのですが、本当の問題は元々出たプランの前提条件にある「ステークホルダーの協力」という法的根拠無く一部の利害関係者に損失を押し付けるような部分やら、もっとそもそも論を言えば現在のプランがあまりにもフワフワで最終案の体を為していないというのもありまして、まあ結局のところ本案を作成するにあたって政府が何か調整の努力をする訳でもなく、「金融機関の協力」問題に関しては内閣官房長官御自らが「民民の問題」と言いつつ「協力が無いと国民の理解が得られない」などと恫喝的な言辞を弄するだけという現政権の何もしない攻撃が問題なのですけど、こらまた明らかに東電(と金融機関)に話が進まない責任をおっかぶせる気が満々とか意味判りませんなあ。
・・・・まあそんなこんなで昨日も血圧の上昇する一日であったことよ、という所でございますな、いやはや全く精神衛生によろしくありませんですなあorz
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2011/05/16
お題「引き続き東電関連の雑感が続くあたくし(−−;」
基本的に営業日にもさもさ更新するのがあたくしの仕様ですが、土曜日は珍しくトサカパワーで書いたのでこの下の方に載っけております(^^)。
○これはこれは
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110515-00000037-jij-pol
東電存続、前提とせず=「発送電部門分離も」―玄葉戦略相
時事通信 5月15日(日)14時38分配信
『賠償支払いの枠組みに関し、玄葉氏は政府案の前提となった東電のリストラ策について「不十分だ」と述べ、さらなる合理化の必要性を強調。枝野幸男官房長官が金融機関の債権放棄の必要性に言及したことについては「言い過ぎた感じがする。東電が自主的に協力を求めていくことが一番適切だ」と苦言を呈した。』(上記URLより)
いやまあ東電のやりかたがトンマなのは金融危機以降の金融機関へのあの風当たりっぷりをお前ら見てなかったのかという感じですが、金融機関の場合はいくつかあってホイホイと血祭りに上げる事ができたので途中で金融機関も気がついてだいぶ平身低頭モードになったのですが、まあ繰延税金資産問題で梯子を外す攻撃に出た後は色々とアレでございましたわな。
でね、玄葉さん的には枝野海江田発言の火消しをした積りなのでしょうけれども、既に「ステークホルダー、特に金融機関の協力を求める」というのが「条件」となっているペーパー出しておいて「東電が自主的に協力を求めていくことが一番適切」とか茶番以外の何物でもない訳で、まあ残念ですなあ玄葉さんという感じです。
つーか「東電存続前提とせず」とか言ったら東電への融資や社債のリファイナンスをどうするんだよという感じでありまして、更に話がヤヤコシイ事になるじゃろとしか思えんのですけどねえ。
○権力が暴走する件に関して
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110515-00000023-maip-pol
毎日世論調査 浜岡原発停止「評価する」66%
毎日新聞 5月15日(日)21時15分配信
まあどうせそんなもんになるんだろうなあと思うのですが、毎日とか朝日とか基本的に左翼系のメディアが一連の流れをやたら褒めていますからそらまあ毎日新聞が世論調査してもそうなるんでしょ。
でまあ浜岡原発が止まった時に申し上げた事の蒸し返しになっちゃいますけど、国家権力(だけじゃなくて権力一般というのものも含まれると思いますが)というのはまあ強制力であってある意味暴力装置のようなもんでありまして、その強制力を恣意的に濫用されたらその権力の下にいる構成員にとっては暗黒社会の到来に他ならないっすよね。で、その権力の濫用を防ぐのが法の支配という概念だという風にあたくしは理解している(ちなみにあたくし法律専攻じゃないから間違ってたら教えてちょ)訳でございます。
明治時代の最初の新聞は「藩閥政府の専制を指弾する」のが存在意義だったと思うのですけれども、今では権力の暴走を賞賛するとか新聞としてどうなのかと思いますが、まあ良く考えたら先の大戦の時だって新聞が先頭切って戦争を煽っていたのですからそんなもんなのでしょう。ゴミですなゴミ。
まあこちとら金融などという古今東西世間受けしない業務を生業としておりますと、こんな調子で権力が法の支配をいとも簡単に乗り越えた「国民感情」を基にした施策を打って来ますと、今度はこの権力は何を言い出すんでしょと心配になる訳でございまして、しまいには「財政赤字削減に協力する為に自主的協力を」とか言い出して以下自主規制という事でもあったらどうしようとかいうようなブラックスワンが気になってくる週末なのでありました。いやこれ富裕層が逃げ出し(本人は兎も角お金ね)てもおかしくない世界なんですけどねえ。
○まあしかしある意味今回の枝野さんの一件は良いリトマス試験紙になる訳で
と思って各社の社説を(新聞買い揃えるのはめんどいので手抜きでネットで)見たのですが、この件に関する社説であたくしが見つけたのは朝日と日経でございまして、他の新聞社はナニシトンネンと思いましたが、読売が割と批判的な解説をしていてホッと一息。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110514-OYT1T00240.htm
東電融資に政府が異例介入…金融界、一斉反発
記事の後半を引用するだよ。(段落分けのみ改変しています)
『枝野長官が言及したのは、震災後に大手行が行った約2兆円の緊急融資を除いた約2兆円についてだ。東電が優良企業だったこともあり、大半は担保を取っていない無担保融資だ。このため、東電が債権放棄などの金融支援を要請した場合、取引金融機関は貸し倒れに備えた引当金を大幅に積み増し、最大数千億円の損失計上を迫られる。新たな融資をすればするほど損失を計上する必要があり、取引行は「新規融資には応じられなくなる」(幹部)と反発している。
金融機関に負担を求めるのは当然という感情論だけでは、枠組みの前提となる金融機関の協力が得られなくなる可能性が高い。
東電の信用力も低下するのは確実で、13日の東京株式市場で東電株は大幅続落した。企業が破綻するリスクを取引する金融派生商品(クレジット・デフォルト・スワップ)のうち、東電のスプレッド(保証料率)も急拡大した。「破綻確率が高まった」と受け止めた投資家が増えたためだ。
社債などの発行は一段と困難になる可能性が高く、東電が市場からも資金調達ができなくなり、東電を破綻させずに損害賠償を進めていく政府の枠組みが機能しなくなる危うさをはらんでいる。
銀行が債権放棄に応じるためには、東電が実質的な債務超過に陥っていることが前提となる。しかし、現時点では被災者への損害賠償や、福島第一原発の廃炉に必要な費用も見積もれない段階で、債務超過の認定ができるのか、疑問視する声が多い。(是枝智、越前谷知子)(2011年5月14日10時04分
読売新聞)』(上記URLより)
という事で、この解説記事は論点がほぼ過不足無く織り込まれておりまして、何でこれをベースに社説書かないのよと思うのですけれども、特に「リファイナンスを回さないとワークしない」という論点と「現時点で銀行が債権放棄をするのは法的に無理がある」という論点をきっちり押さえていて、まあこの程度書いていただかないと新聞として困るっちゃあ困りますが、宜しい感じですな。
日経新聞14日社説。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0EAE7E0E3EAE4E2E3E6E2E7E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
原発賠償への一歩を踏み出す東電と国
2011/5/14付
『枝野幸男官房長官は13日の記者会見で、東電支援の枠組みに関連して、銀行に債権放棄を求めていると取れる発言をした。債権放棄は通常、借り手の深刻な経営難が前提だ。補償総額が不明ななか、国が東電を助ける枠組みが決まった直後の発言は極めて軽率で、真意を測りかねる。』(上記URLより)
という辺りはまあ一応指摘してて良いのですが・・・・・
『しかし、銀行などの債権者や株主、そして何よりも国の責任の取り方について、まだ合意ができたとはいえない。国が金融機関以外の企業を破綻前に救済することには、賛否両論がある。』(上記URLより)
この「責任」という部分ですが、債権者や株主の「責任」と国の「責任」というのは責任の次元が違う筈だと思うのですが、何でそれを一緒くたにして「責任」として表現するのか日経新聞の社説子の意図が理解できません。即ち、債権者や株主の責任負担というのは当該企業の経営状況が悪化することによって結果的に負担することになる経済的な責任ですが、国の責任は原子力政策における許認可、監督者としての責任であって、つまりは「原発事故の責任」であるという意味で話の次元が全然違う訳ですが、日経新聞社説におけるこの表現はその辺りを混同するようにミスリードするそれこそ軽率な表現であろうかと存じます。
あと、2文目の「救済」というのもこれまたどうかと思うわけで、現行の法的な枠組みなどから考えて将来の長い期間に渡って東京電力に事故賠償金を支払わせる事を担保するためのスキーム(ただ前提に「金融機関の協力」がある時点で現行の法的な枠組みを飛び出しているのでダメダメなのですがそれは措く)として作っているつもりの物であって、「東電救済」とかメディアが言うから話が更にややこしくなって、「じゃあ金融機関にお願いしよう」とかいう無茶苦茶な流れになったんでしょとか思いますけどねえ。
ということで、日経社説は読売のさっきの記事に遠く及びませんな。
朝日新聞14日社説。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110514.html#Edit2
原発事故賠償―株主や貸手も責任を
『これでは、とうてい納得できない。東京電力福島第一原発の事故を受けて、菅政権が13日に決めた賠償策のことだ。電力10社の出資で「機構」をつくり、東電の資金繰りを支援する。政府も公的資金を投じるが、最終的には東電と他の電力各社が弁済するため「国民負担は生じない」という。
だが、賠償金の支払いや電力の安定供給を名目に、生かさず殺さずで東電を存続させる今回の案は、責任の所在をあいまいにしたまま、電力業界を守り続ける枠組みになりかねない。
まず、株主や金融機関に負担を求めないのはなぜなのか。
確かに、株価下落や無配転落で株主は一定の損を被る。金融機関についても、政府は債権放棄がなければ公的支援はしないとの揺さぶりをかけ、協力を引き出す構えだ。
だが、実質的に経営破綻(はたん)の企業を公的に救済する以上、必要な減資や債権放棄は枠組みの中できちんと位置づけるべきだ。』(上記URLから)
>金融機関についても、政府は債権放棄がなければ公的支援はしないとの揺さぶりをかけ、協力を引き出す構えだ。
>金融機関についても、政府は債権放棄がなければ公的支援はしないとの揺さぶりをかけ、協力を引き出す構えだ。
>金融機関についても、政府は債権放棄がなければ公的支援はしないとの揺さぶりをかけ、協力を引き出す構えだ。
・・・・・・・無法措置をこれだけ賞賛する新聞社も珍しいですが、このような無法を主張するような新聞社に対する融資を行うのは金融機関としての社会的責任という意味からして如何なものかと思われますので、融資のロールオーバーとか応じない方が宜しいのではないでしょうかねえマッタクモウ。
ということで、朝日新聞は唯一ネ申によって地獄の火の中に投げ込まれるべきものであるというのが良く理解できました。
まあ以下おまけですけど。
ロイター
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20110513-00000852-reu-bus_all
東電賠償スキーム、事実上株主・社債権者などを免責
5月13日(金)12時38分配信 ロイター
『[東京 13日 ロイター] 政府が13日発表した福島第1原子力発電所事故による東京電力の損害賠償支援スキームは、株主や社債権者などの各ステークホルダーを事実上、免責するものとなった。巨額の損害賠償が発生し、債務超過に陥れば優先・劣後関係の中で損失を負担していくのが金融市場の原則だが、”too
big to fail”(大きすぎて潰せない)との主張の前に、最初にき損されるべき株主も守られるスキームだ。「リスク・リターンの原則もないがしろ。究極のモラルハザード案」(外資系証券幹部)との指摘も出ている。』(上記URLより)
ということで、書いてあることは会社法上の優先劣後の関係について述べているのですが、題名の所で株主と社債権者を同列にしている時点でマイナス100万点としか申し上げようがありません。記者会見などでニュースの見出しがミスリードというのはロイターの得意技なのでサプライズは無いですがこの記事見出しの時点で論外。
あと、記事の後半の方もなんか変な事書いてある気がするけど、読む気が起きないのでツッコミはしない。いやあロイターさんって市場関係者向けベンダーの販売を頑張っている筈なんですけど随分楽しい記事書きますねえ。
更におまけ
abz2010さんのブログから
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110515/1305449669
あまりに「アウトロー」な民主党政府の原発事故賠償スキームについて
特に最後の部分が冷静で、あたくしのような湯気ポッポーの悪態しか書けないあたくしとしては頭が下がりますので勝手に引用。
『枝野官房長官や仙石官房副長官は弁護士出身であり、法律については当然詳しいと考えられるが、弁護士としての法律への接し方と政府としての法律への接し方は本来違うはずである。
弁護士としてはとにかく依頼者の利益を守るべく法律を最大限都合よく解釈して(時には明らかな拡大解釈と見えるようなものまで駆使して)勝訴を目指すのが本来の職務なのかもしれないが、法律の専門家がそのような法律への接し方をしても法律に対する信頼感が(大きくは)毀損しないのは、最終的に裁判官が法律に則って判断するからである。
ところが、同じような法律への接し方を政府が行い、かつその解釈を政府と民意の圧力で押し付けるようなことが起こったなら、法律への信頼感は急速に毀損するだろう。
そうなれば、「いざとなれば法律も信用できない」という前提で国民は行動しなければならなくなり、個々に準備・対応すべきリスクは格段に大きくなる。 又、「原子力損害賠償法」で原子力発電を国策として推進したような対策も従来のようには効果を発揮しなくなるだろう。市場原理主義を信奉する人間にとってはそれこそが本来の姿ということかもしれないが、少なくとも国としての手持ちのカードを一つ捨てるということであり、そうでなくても手持ちのカードの少ない日本にとって良い事は殆ど無いはずである。』(上記エントリーの最後の部分)
全く同感です。
一方でこんな人もいるようですが、金融の専門家でメシ食ってる人の発言とは思えん。
http://twitter.com/#!/yamagen_jp/status/69324778250571776
引用するのも忌々しいので引用はしませんがまあ読んでちょ。
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2011/05/14
お題「現政権は日本の金融の仕組みそのものを破壊したいのでしょうか」
という訳で昨日は13日の金曜日らしく斜め上の要人発言が相次いだので、トサカに来たあたくしは久しぶりに土曜の朝(つーか昼だが)に湯気ポッポーパワーで書き物をするのだ。
○東電の賠償金支払スキームの案のようなものが出ていましたので一応メモ
経済産業省のページから
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/index.html
原子力発電所事故に関する賠償などについて
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/songaibaisho_110513_01.pdf
東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて
「関係閣僚会合決定」で閣議決定とかじゃないようですな。
で、そちらにも政府の出した例の6条件がありますが。
『第一に、賠償総額に事前の上限を設けることなく、迅速かつ適切な賠償を確実に実施すること、第二に、東京電力福島原子力発電所の状態の安定化に全力を尽くすとともに、従事する者の安全・生活環境を改善し、経済面にも十分配慮すること、第三に、電力の安定供給、設備等の安全性を確保するために必要な経費を確保すること、第四に、上記を除き、最大限の経営合理化と経費削減を行うこと、第五に、厳正な資産評価、徹底した経費の見直し等を行うため、政府が設ける第三者委員会の経営財務の実態の調査に応じること、第六に、全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと、について東京電力に確認を求めたところ、これらを実施することが確認された。』
>第六に、全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと
んでまあ昨日は「金融機関への恫喝キター」などと書いていた訳ですが、さすがの金融市場連中も想像できないような発言が昨日の昼休み直前の枝野官房長官会見で行われ、それが報道されたのを見た金融市場はあまりの斜め上ぶりにビックリするのでありました。
○枝野官房長官の無法発言キタコレ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=afFpAbxcloyw
枝野氏:政府の東電支援、債権放棄など金融機関の協力前提−会見(4)
いやまあ前日から「金融機関の協力が無いと政府は支援しません」みたいな無茶苦茶な話をしてて、責任と判断を金融機関に押し付けた挙句に法的根拠の無い「協力」を「要請」されるとか言う意味不明にも程がある発言を枝野さんはしてました(から金融機関への恫喝キターとか書いたのですが)けれども、その「協力」の内容が金利減免とかリスケ程度ならともかく(15日追記:金利減免とかリスケでも「協力を要請」するのは如何なものかという感じですが)「債権放棄」って何だよそれ。
すいませんあの上場維持を今後も維持する会社の債権放棄とかってその行為の経済的な合理性が極めて高いとか、何らかの法的根拠があるとかなら兎も角、単なる「協力のご依頼」如きで実施したら株主や預金者に対する背任行為で牢屋行きになっても不思議じゃないレベルの話なのですけど、弁護士ご出身と聞きましたが枝野先生民法とかご存知ないのでございましょうか????
『枝野氏は金融機関が3月11日の東日本大震災前に東電に対して行っていた融資の債権放棄が一切なされなくても公的資金の活用に国民の理解が得られるかとの質問に対し、「現時点では『民民』の関係なので発言に注意したいと思うが、国民の理解得られるかといったら、それは到底、得られることはないだろうと思っている」と語った。』(上記URLより)
これだけ露骨に会見とかやって圧力掛けて、更に「政府支援の条件は金融機関などの協力」という公表文書まで出しておいて「民民の関係」とか聞いて呆れる発言でございますが、ここまで国家権力者が露骨に法的手続きを経ない恫喝的圧力を掛けるとかどこのマグナカルタ以前の中世国家だよとしか申し上げようがありません。
国有化して下位権利者の株式について消滅させて、その後公的資金を入れるからその為に応分の負担をして下さいつきましては債権の一部(か全部か知らんが)をカットしますとか言うのであれば話の筋は通りますが、どこの世界に「株式の上場を維持したまま進めたいから株式よりも上位権利者であるローン債権保有者の権利を消滅させたい」とか国家権力が先頭切って言い出す国があるんだよという事でもありまして、これは国家が法的に定められている物権の関係を政治的な都合あるいは権力者の一存で勝手に事後的に変更できるという事に繋がる重大な問題であり、日本ソブリンが投資不適格扱いになるレベル(厭債害債さんが既に渾身のエントリーを2本(http://ensaigaisai.at.webry.info/201105/article_2.htmlとhttp://ensaigaisai.at.webry.info/201105/article_3.htmlです)上げておられます^^)でもあるという厭債害債さんのご指摘に深く同意せざるを得ません。
大体からして「国民の理解」がどうのこうのとか言ってるけど、金融機関に対して預金者や株主に対する背任的な無法行為を取らせて国民の理解を得るとか意味が全く判らないというか、政府サイドの義務放棄にも程がある話でありまして、法的な手続きを踏んだ結果これが現在の最善の策であるというのを説明して国民の理解を得るのはお前らの仕事だろとしか申し上げようが無い訳でして、枝野発言のこの部分は金融面から見た場合には国家の信用を危殆に陥れる可能性を大きく孕んだ発言であると同時に、民主主義国家における代議員としての役割放棄発言でもある訳ですな。
ついでに言えば「貸し手責任」という概念に対する枝野さんの話も無茶苦茶でして。
『枝野氏は閣議後の会見で、震災前の東電への融資に関して「原発事故のリスクというものも広い意味では、当然のことながら考慮に入れて融資がなされるというのがマーケットの基本だ」と指摘。その上で、「この事故によって生じた財務内容を前提にした中で金融機関についても当然、協力をいただけるものと思っている」と述べた。』(上記URLより)
いやね、原発事故のリスク云々はそうかも知れないけど、だからと言って金融機関の融資が一方的に大損になるという債権の優先劣後の関係を完全に無視した「協力」をする必然性は全く無いのではないでしょうか。それとも何ですか枝野サン的には原発事故の責任は融資した金融機関にあるから債権放棄しろとでも仰るのでございましょうか???そういう話だったらそのうち銀行って住宅ローンで金貸した相手の日々の素行調査までしないと何の責任を負わされるか判ったもんじゃないから大変なことになりますねえwwwww
つーかさ、貸し手責任の言葉で法的に応じる根拠の無い債権放棄を応諾するように国家権力が圧力掛けるような国で金融業が成り立つのかよという根源的な問題になってくると思うのですけどねえ。
そういやさっきの経済産業省のページにあったPDFの方の3ページにある『(具体的な支援の枠組み)』の3番に『原子力事業者を債務超過にさせない。』と書いてあるのですけれども、金融機関に債権放棄を先にさせておいてドヤ顔で「原子力事業者を債務超過にさせない(キリッ)」とか言われてもギャグで書いているのなら兎も角、真面目に考えているとしたら文章の作成者の頭の中に詰まっているのはゲロかうんこなのではないかと思ってしまいますなあ。
まあ枝野官房長官様におかれましては、弁護士であらされた事もあるとお聞きいたしましたが、遵法精神の欠片もなさそうな大変に素晴らしい認識をお持ちのようであり、国家権力の中におられますと極めて遺憾でありますので、可及的速やかに1号機あたりに特攻して頂きたく心から願う次第でございます。なお、1号機と申しましても特定の設備を指しているわけではございませんで、偶々一般名詞として「1号機」という単語がふと頭に浮かんだだけであり、それ以上の意味は全く存在しないという事を念の為付け加えさせていただきますw
○更に海江田経済産業大臣が張り合って妄言とな
参議院のホームページとか、ユーチューブ辺りに音声付の画像があるようなのですけれども、何故かネットではこの発言のニュースが拾えなかったので、日経QUICKニュースから。
<NQN>◇経産相、東電賠償への協力「株主も社債保有者も当然入る」
確か昨日の16時50分前後(メモしたのですが時間書き忘れたわ)のニュースになりますが、記事によりますと『「全てのステークホルダーに協力を求める」との表現について「当然のことながら株主も社債保有者も入る」』(上記日経QUICKニュース記事より)との事だそうです。
えーっとですな、「協力」って何ですか「協力」って???株主が保有株式を任意で寄贈でもしろというのでしょうか?????一般担保付の先取特権がある公募社債保有者に対して任意で元利金の受け取りを放棄しろとでも言うのでしょうか????
まあ株式の話は置いといて債券市場の片隅におります者として社債の話をしますと、この手の公募社債を保有しているのはお昼のワイドショーで貯蓄アドバイザーが出てきてドヤ顔で「中期国債ファンドとスーパーMMC、どっちがお得でしょう」とか説明しているようなコーナーを見ながらてめえのヘソクリを使って購入しているような方だけではなくて、というよりそういう人は少数派でありまして、一般的には銀行や保険会社などの運用や、年金基金や投資信託の運用の一環として保有している人たちでありまして、これらの人たちに取ってみたら、例えば銀行であれば所謂プロパー勘定ではあってもその運用資金の原資は一般預金者などの資金でありますし、年金基金や投資信託のような他人勘定であれば、運用者は受益者に対して運用における忠実義務を負っている訳でありまして、一般の個人が義援金ホイホイ出すようなノリで「協力」とか出来ませんがな。
まあそれ以前の問題として、上位一般担保付債権者に「協力」しろとか言い出すという時点でこの国は投資した資金が権力者の都合で以下同文という所でありまして、うっかり債券投資も出来ないカントリーリスクの塊ですなあという話になると思うのでありますよ、マッタクモウ。
まあきっと海江田経済産業大臣さまにおかれましては、枝野官房長官の発言によって銀行株が下落(http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2011051300683)したり東電のCDSが急拡大(http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a5hs1IzC_n58)したのを見て対抗意識を燃やして更なる妄言をしようと試みたのではないかと存じますが、最初のブルームバーグニュースにあるんですけど、昼間はこのような発言をしていた筈で、どうも海江田サンにおかれましては、重度の健忘症にでもなられておられるのではないかと大変に心配でございますw
『一方、海江田万里経済産業相は同日の閣議後会見で、東電の社債と株式上場の扱いについて言及した。社債については「同じ債権の中でも優先権があるので法律に基づいた優先権が維持されるということになろうかと思う」と指摘。上場に関しては「上場企業として東電が引き続きしっかりとした電力の供給を行ってもらいたいというのが私どもの要請なので、そういうことになろうかと思う」と述べ、維持されるとの認識を示した。』(一番上にあるブルームバーグニュース記事と同じ記事より)
まあ何ですな、お茶の間貯蓄アドバイザーレベルの方であればその程度の認識でも仕方ないのかもしれない(まあ正直それでは貯蓄アドバイザーとしても失格でしょうが)ですけれども、経済産業大臣としてこれはどうなのかという感じが非常に強く感じますですなあ。なお、先ほどから申し上げておりますお茶の間貯蓄アドバイザー云々というのは特定の個人を想定しての話ではなく、あくまでも一般的にありそうな光景として想像しただけである事を念の為申し添えたいと存じますwww
○さらにこのスキームの案らしきものについての雑感
大体ですな、東京電力が電力供給のオペレーターとして事業を回すためには、資金繰りを回さないといけない訳でして、通常のオペレーションに関しては電力料金が見合いで入ってくる話しですからそらまあ回りますけれども、社債や借入金の元利払い、賠償金の支払い、福島第1原発の事故処理費用や今後の火力・タービン発電施設の整備など、その他に必要な資金は色々とある筈でございますが、そのリファイナンスどう回すのかの観点はどうなっているのよと心配でございます。
まあこのスキームだと東電は借金返済マシーン状態になる訳ですから、基本的には社債発行での資金調達は無理でしょ(そらまあBBB格ギリギリ並のスプレッドでもつければ調達できるかもしれないが、そんな社債が年間数千億から兆円単位で発行するとか無理だし、そんな事したら東電のオペレーションコストが上がって電力料金に跳ねるがな)という話ですからそもそも市場調達は厳しい話になるでしょう。
では銀行融資で、という話になるかとは思うのですが、その前に国有化なり法的破綻なりしてその更正企業としての事業体への融資ならまだ判りますが、一旦「協力」によって(仮に一部であっても)債権放棄をしたという時点で債務者としては破綻懸念先とかそういう類の債務者区分になる訳で、そんな所にそう簡単に追い貸しできませんなあという事になると思いますがどうなんでしょうかねえ。
まあそれに対して「政府保証をつける」という話になって、それなら金融機関も融資しますがな、という事になるのかも知れませんけど、今回の調子で「協力」を求める政府がいる中で原子炉の廃棄費用が想定異常に嵩んだとか、原子炉の停止に向けた期間が長引いて賠償額が拡大したとか言って東電の損失が拡大した場合に、同じノリで「協力要請」とかしてきて政府保証を反故にするのではないかとまで最悪のケースだったら容易に想定できてしまう訳でして、政府保証をつけるのであればかなり明示的というか法的というか、何か担保するものをつけてくれないと「政府保証だから安心」とも言い切れませんがな、という話になっても不思議ではないというのが枝野官房長官発言および今回の賠償支払スキームにおける6条件お恐ろしい所でございますわな。
・・・・・それにさ、これって問題は他の電力にも掛かる話で、何か大きな事故があった場合に株式よりも優先する筈の無担保ローン債権に対して「事故のリスクも考えて融資をしたというのが常識」とかドヤ顔で政府要人が発言しながら「債権放棄の協力」への恫喝が飛んでくる、という事になりますと、他の電力会社への融資に関しても継続してて良いのですかというような話になりかねない訳ですし、まあ少なくとも資金調達コストが上昇して各電力会社の費用負担が大きくなり、結果的に電力料金の上昇として国民生活における費用の上昇ならびに日本企業のコスト上昇に繋がり、家計消費への悪影響や日本企業の国際競争力の低下あるいは企業の国外移転を促すという事にもつながる話であって、このスキームは一見四方八方丸く収まるような書かれ方をしていますが、肝心の資金繰り(リファイナンス)に対する配慮がいささか欠けているのではないかという所が懸念される所でございます。
○まあいずれにせよ「法的根拠の無い恫喝」が幅を利かせる国家に成り果てたのかと
先般の浜岡原発ですっかり「法的根拠の無い恫喝」に味を占められたようで(まあよくよく確認するとそれ以前からも色々と無法措置が横行しているようで、詳しくはBOAメリルの上田アナリストが13日付けで出しているレポートが秀逸ですのでBOAメリルまでどうぞ^^)、今回は金融という大変にデリケートな部分のある問題に対してあちこちに法的根拠の無い恫喝的な「協力」を求める始末。
こんな国で果たして金融の仕事やってて良いのかとか真剣に悩んでしまう13日の金曜日なのでございましたが、折角ですから最後は有名なマルティン・ニーメラー牧師の「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」でもWikipediaから引用させて頂いて悪態の締めとしたいと存じます。
ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した ―しかし、それは遅すぎた。
― 『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』
(Wikipedia日本語版より引用)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%88%9D%E5%85%B1%E7%94%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E8%80%85%E3%82%92%E6%94%BB%E6%92%83%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%8D
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2011/05/13
○何か金融機関に浜岡原発作戦方式を発動しようとしてねえかこれ???
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a6SOnIeqd1aM
枝野氏:東電賠償枠組み、今夕にも決定−電力値上げによらず(2)
ちょwwwおまwwwww「電力値上げによらず」ってそもそも原発止めるとかしたらそれだけでも燃料費上昇するのに電力料金上げないでどうやって賠償金の支払いがオンされた収益払いますねんとヘッドライン見て腰を抜かしたのですが・・・・・
『枝野氏は電力料金の値上げもスキームに含まれるかどうかについて、「賠償額全体が残念ながら見通しすら十分に立てられない状況なので確定的なことは言えないが、基本的に電力料金の値上げによらずに賠償の資金を出す、そのためのスキームを作ったつもりだ」と強調した。』(上記URLより)
つまり燃料費の上昇とかによる値上げは別問題ですよという話のようですけれども、こんな言い方したらどう見ても当分「燃料費上昇および火力比率の引き上げによるコスト上昇に伴う電力料金の引き上げ」も出来ない状態に陥るんじゃネーノ(「電力料金引き上げせず」が当然の如くヘッドラインとして広がりますからねえ)と思うのですが、何かこの内閣あちこちのご機嫌取ろうとしてるように見えるわけで、普天間基地移転問題とかいやーな記憶がいやまあいいですけど。
んでもって現実問題として損害が出ているのですからどこかが負担しないといけない筈なのですが、どうもその辺りに関しての話がザルな気がしますなあとか思ったら同じ記事を見ますとこんな素敵な発言があったとの報道。
『同氏は関係金融機関ついては「スキームは自動的に政府が支援を続けるというものではない。金融機関等の協力の在り方について着実に進まなければ、それはそれで支援をどうするかということは途中の段階でもいろいろ判断する」と述べ、賠償資金確保への十分な協力が必要との認識を示した。』(上記URLより)
>金融機関等の協力の在り方について着実に進まなければ、それはそれで支援をどうするかということは途中の段階でもいろいろ判断する
金融機関への恫喝キターーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー!
いやあ浜岡原発停止スキームで発動した「自主的判断」を今度は金融機関に適用ですかそうですかという所でございますが、結局個別に押し付ける先は銀行でございますかああ日本の銀行って大変ですなあとか思うのですけれども、「金融機関の自主的判断でどうにかしないと政府支援しないよ」ということですので、金融機関が「えー何で個別攻撃でウチに負担来るのですかねえ」などと文句を言おうものなら金融機関が「賠償金支払いの妨害をする悪者」になるという素敵なスキームとなる訳ですが、まあ昨日も申し上げましたが、それで既存貸出は金利減免なりリスケなりする事ができてもリファイナンスどうするんでしょうかねえ。いやまあ金利減免だのリスケしたローンとか今後のリファイナンスに政府保証でも付けて回るようにするとは思いますけど。
んでまあ結局今日決まるようですが、夕方はこのニュースでずっこけましたわ。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=auvdFKZN8x54
政府:東電原発事故賠償スキーム、13日に再度議論する−菅首相
まあ決まる方向のようなので結構な話ですけどね(棒読み)。
だいたいからして原子力政策は国策で昔からやってた話だし、原子力発電所の安全基準とか監督とか国が思いっきり関与していたのに何か国(というか民主党政権)は兎に角東京電力がケシカランので向こう十数年に渡って賠償の支払いでケツの毛まで抜きますがなという話ばかりで、政府の責任問題はどこに逝っておられるのやらとも思いますが、そーゆー辺りの責任転嫁能力だけは超一流なのが民主党政権クオリティですから困ったもんだと思うのですが、今回は賠償支払いスキーム(これを東電救済とか言ってるメディアもどうかと思いますけどねえ、延々と賠償支払するし公的資金は最終的に全部返済する話だと思いますが・・・・)の決定は宜しいのですけれども、肝心な所で「金融機関への協力のお願い」とか出ちゃう所が民主党クオリティだと感心することしきりなのでございました。
ということでまあ他に悪態だの見通しだの書こうかなとも思ったが段々めんどくさくなってきたのでまあ後はスキーム案決定してその後の国会審議の状況を遺憾の念を持ちつつ注意深く見守りたいwと存じます次第だすにゃ。
・・・・しかしまあ早速こんなニュースが出てポカーンでありますにゃ。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110512mog00m040004000c.html
尾瀬:東電保有地の売却、群馬県が懸念 知事「絶対阻止」
◇東電は否定 法規制で困難も
・・・・・?????
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2011/05/12
○今日もまた東電雑談(だがあまり深くは突っ込みません)
まあこの案件は極めて政治的なテイストを醸し出している事もありまして、昨日は(あたくしの見落としでしたらスイマセンが)東電賠償支払いスキームに関する解説レポートとか無かったですなあとも思いますが、まー微妙にふにゃふにゃしながら書きますわ(^^)。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110511-OYT1T00618.htm
東電、賠償策支援条件6項目を受け入れ
『東京電力は11日、東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償策で、政府が支援の前提として示した6項目の「確認事項」を受け入れると海江田経済産業相に回答した。これにより、6月をメドに創設する「原発賠償機構(仮称)」を柱とする賠償策の枠組みが、一両日中にも決まる見通しとなった。』(上記URLより)
ということで、6項目の確認事項って何でしたっけと思いながら見てたのですが、よくよく見ますと何か微妙に意味わかんない項目がありまして、昨日はこちらの駄文で「落とし所はこの辺なのですかねえ」とか申しておりましたが、よくよく見ると何だかなあ感が漂って参りますけどねえ。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21015920110510?sp=true
東京電力の賠償額に上限設けず、6項目の措置提示=海江田経産相
『1)賠償総額に事前の上限を設けることなく、じん速かつ適切な賠償を確実に実施すること。
2)東京電力福島原子力発電所の状態の安定化に全力を尽くすとともに、従事する者の安全・生活環境を改善し、経済面にも十分配慮すること。
3)電力の安定供給、設備などの安全性を確保するために必要な経費を確保すること。
4)上記を除いて、最大限の経営合理化と経費削減を行うこと。
5)厳正な資産評価、徹底した経費の見直しなどを行うため、政府が設ける第三者委員会の経営財務の実態の調査に応じること。
6)全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと。』(上記URLより)
・・・・・でまあよく見るとこの6番目が何ですねんという項目でありまして、これを翻訳すると「銀行は融資の金利減免やリスケをしやがれ」という話にしか読めないのですが、3月末にメガバンク・信託銀行や信金中金などが総額2兆円弱の緊急融資を無担保で頑張って実行した訳ですが、その銀行に対しての仕打ちがこれですかねというのはさすがにちょっと何か銀行カワイソスとしか申し上げようが無いのですし、大体からしてそんなの銀行として株主にどうやって申し開きするんですかいなという所ではないかと思いますが、どうするんでしょうかねえこの部分・・・・・・
つーかさ、「全てのステークホルダーに協力を求め」って言ってるけど公募社債に「協力を求め」とかいうの法的なスジ論として有り得ないわけで、そういうの国内政治的には話が通っても金融市場としての国際的な常識から見たら有り得ないと思う(法的にコカすなら協力もへったくれも無くて社債権者がロスるのもあり得るが法的にコカす時点で賠償が確定債務になっていないとそもそもコカす意味が無く、1項目目にあるように賠償が将来に渡ってまだ全額が確定しないという状態だったらそもそも法的にコカす意味が無いです罠)のですけどどうなんでしょ。
まあ物理的な話からしても、公募した債券のホルダーに対して「協力を求め」というのは不可能だし同意取れないでしょうから、実際問題としてはこの項目で公募社債に関しては想定していないものと思われますし、何ぼ民主党政権が非常識でもそこまでの斜め上の話が出るとは想定してませんが(^^)。
しかし緊急融資協力した挙句に「協力を求め」られる銀行さんですけど、まあそれを拒否しても銀行が政治的に叩かれて味方してくれる人が殆どいないというどこの浜岡原発だよという話になるんでしょうから最終的には何らかの「ご協力」はする事になるんでしょうけれども、そういう仕打ちをした場合に既存の融資分のご協力はともかくとしてその先どうするのかとかちゃんと考えたスキームを出して頂きたく存じます次第ではございます。
でもまあ世間的にはこうなるんだよなあと思うのが今朝の朝日新聞の記事。
http://www.asahi.com/business/update/0511/TKY201105110556.html
原発事故、賠償枠組み決定へ 東電特損1兆円計上
『政権は、5月下旬にも機構設立のための法案の閣議決定を目指す。ただ、この枠組みは東電の存続が前提で、金融機関や社債権者の負担がなく、最終的に電気料金の値上げにつながるため、国会審議が難航する可能性もある。』(上記URLより)
いやあの金融機関には「協力を求め」て「その状況を報告する」とあるんですから相当の負担が掛かると思いますけし、社債権者は先取特権がありますので社債権者の元利金受取に関する負担を掛けたらその時点でそれよりも劣後する債権者である賠償金債務は飛ぶんですけど何言ってるんですかこの新聞は????(つーかスプレッド拡大してるから今市場で売りに行ったら負担掛かるんすけど)
まあ昨日の社説の時点でナンジャソラという感じなんですがね。
http://www.asahi.com/paper/editorial20110511.html#Edit1
原発事故賠償―東電温存にこだわるな
いやもう突っ込む気力がおきませんが、この調子で批判が飛ぶ中で浜岡原発の件ですっかり民意受けを狙って強権発動する味をしめた首相様が政府案に関してどういう反応するのやらと気になる所ではございますな。
そういや原発問題で積極的に扇動されておられる議員様のブログではこんな感じ。
http://www.taro.org/2011/05/post-1002.php(直リン自主規制)
政府与党案をぶっつぶせ
『政府与党は、国民負担を増やして東電を救済しようとしている。』(上記URLより)
法的な枠組みから言いましてこういう風にしないと賠償金の支払いに支障を来たす訳であって、このスキーム自体は東電救済じゃなくて賠償金の支払いを最終的に担保する為のものの筈なんですが、どうも「東電救済」みたいな話ばっかりわあわあと出ている訳で、これがまた話をややこしくしているのですが、こういう話をするのが自民党の影の行政改革担当相という所に激しい絶望感を受けるのはあたくしだけでございましょうかね。
『次の問題は、東電の資産が保全されていないことだ。被災者への賠償金も東電が銀行から借りたお金も同じような債務だ。もし、今、東電が銀行からの借金をせっせと返していたら、被災者への賠償金の支払い能力は減っていく。銀行は無傷でお金を返してもらったのに、賠償金は支払えないから国民が負担しますということになっていいはずがない。』(上記URLより)
いやあの借入金は元利払いの期限が来たら返済するのが筋なんですけど・・・・・・
『だからまず、東電が勝手に債務を選択的に返済しないように、政府は東電の資産を保全させなければならない。そうなると、東電の取引先は、東電に対して現金での支払いを要求するようになる。そうなると、東電は一時的にキャッシュが不足しかねない。だから政府が東電の支払いを保証してやる必要がある。そうすれば、東電の資金繰りは回っていくので、当面、問題はない。JALと違って、東電は地域独占だからお客は逃げていかれない。毎月数千億円の収入がある。ゆっくりと電力業界の改革を考えながら、賠償金を確定させればよい。』(上記URLより)
・・・・・・・全く意味が判らんのですが、政府が支払い保証するんだったら政府案よりもよっぽど債権者寄りの対策(ここまで出た政府案に関する報道のどこをどう見ても今後の東電のリファイナンスに関する政府保証があるとは読めない)になるのですけれども、その辺この人判ってるのかなあ。
しかしもっと判らんのはこれ以降の説明。
『東電の資産を保全し、キャッシュフローを保証したら、再生機構なりが管財人として乗り込んで、まずコストカットをやる。広告宣伝費に何百億円を使っているぐらいだから、いくらでもコストカットはできるだろう。相当利益を増やせるはずだ。そうしているうちに、賠償金額が確定するだろう。もちろん東電の資産では払いきれない。債務を支払えないということは、その企業は破綻するということになる。』(上記URLより)
・・・・・・・えーっと貴方さっき「政府が東電の支払いを保証してやる必要がある」と言ってた筈ですけれども、結局コカすとかイミワカンネ。つーかそうなるのが見えてる会社に対してどこの誰がリファイナンスに応じるのか全く意味が判らないのですけれども、賠償額の確定をする前にリファイナンス回らなくなったらどうする積りなんですかねえ。
などなど、突っ込んでいくとツッコミ所が大杉で泣きたくなる話ですが、こういうのが自民党の影の行政改革大臣とかやってて大丈夫か自民党という感じが致しますなあ。
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2011/05/11
○引き続き電力関連雑談
昨日のニュースから。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110510-OYT1T00695.htm
東電社長、政府に支援要請…追加燃料費1兆円
『東京電力の清水正孝社長は10日午前、首相官邸を訪れ、福島第一原子力発電所事故の被害者への損害賠償策について、政府に支援を要請した。(途中割愛)要請書では、今年度、火力発電への依存度が高まって燃料費が追加で1兆円近くかかるうえ、社債や借入金の償還・返済でも約7500億円が必要となることなどを説明。「資金面で早晩立ちゆかなくなり、補償に影響を与える恐れがあるばかりでなく、電気の安定供給に支障を来す恐れがある」として、政府に対し、支援の枠組みを早急に策定してもらうよう求めた。(2011年5月10日14時31分
読売新聞)』(上記URLより)
ということで東京電力が支援要請ですが、まあお芝居のお約束みたいなもんだとは思いますが『資金面で早晩立ちゆかなくなり』とか出ましてマッタクモウという感じではございますが、結論はこういう感じのようで。
今朝のニュースから。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00996.htm?from=top
東電賠償額に上限設けず…希望退職・年金削減も
『東京電力福島第一原子力発電所の事故の賠償策を巡り、政府は10日、東電による賠償を支援する前提となる6項目の「確認事項」をまとめた。 東電の賠償総額に上限を設けないとしたほか、政府が設置する第三者委員会が東電の財務実態を調査し、東電を事実上、公的管理することなどを盛り込んだ。東電は11日に確認事項受け入れを表明する方針で、「原発賠償機構(仮称)」の新設を柱とする賠償策の枠組みが一両日中に決定する。(以下割愛)(2011年5月11日03時05分
読売新聞)』(上記URLより)
スキームは多分最初の方に出た奴と同じような感じだと思うので、「東電の社債をコカすけれども賠償は払う」みたいな事後法で債権の優先劣後順位がひっくり返されるような(金融屋としての常識を激しく覆して世界中に日本のリーガルリスクを宣伝するような困った)事態が生じることは避けられるのかなあとゆー事で、その点はまあ一安心なのですが(とは言っても最終的に決定するまで安心できないのが民主党政権クオリティなのですけど、さすがに金融問題が絡むから馬鹿な方向に暴走しないとは思いますけどね)、結局東京電力は生かされるのは生かされるけれども延々と低収益会社になるようなスキームに落ち着きそうですわな。それに他の電力会社にも負担が来そうな話ですしまあ何だかなあとは思いますけど、この辺が落とし所になるのかねという感じではございまする。よー知らんけどな。
まあ詳しくは本職の方が色々レポート出すからそれでも見ることにしますが、このスキーム作って東電に延々と返済させながらその内「電力自由化」とか言い出したら東電にあまりにも酷な話だとは思います。けどあの東電ちゅうのも態度が悪いにも程がある訳で、公的資金導入になるまでの銀行の叩かれっぷりとリストラ大会再編大会を10年くらい見てて何も勉強しなかったのかという訳でして、リストラ策が上(役員)に甘すぎだろお前らというのは金融屋としては思うのでありますが・・・・・ま、余計なことっちゃあ余計な事ではありますが、事態は極めて政治的な話になっているので、東電におかれましては不良債権処理問題における各行の対外的対応(というか態度)を少しは研究した方が宜しいかと思いますが時既にお寿司ですかそうですか。
ところで、電力関連と言えば昨日吹いたのはこのニュース。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00531.htm
国家戦略相「事前に相談がなかった。遺憾だ」
『玄葉国家戦略相(民主党政策調査会長)は10日の閣議後記者会見で、菅首相による浜岡原子力発電所の全面停止要請について、「私や(民主党)政調会に事前に相談がなかった。遺憾だ」と不快感を示した。
その上で、「時としてそういう首相のリーダーシップがあってもよい。決断は適切だった」と決定には理解を示した。(2011年5月10日11時43分
読売新聞)』(上記URLより)
・・・・・・短いニュースなのにどこからどう突っ込んで良いのか困るとは中々お洒落な話ですが(^^)、原子力行政に関わる国家戦略のような案件であっても国家戦略担当大臣に相談も無いとは恐れ入った国家戦略でございますし、脱官僚・政治主導というのは確か政権与党が政策立案段階からより強く関与するという話だと聞かされておりましたが、実は官邸の一部の人間が勝手にコソコソと主導する事だったのですねえとか感心するやらと、この短いニュースの中にツッコミどころ大杉で泣きたくなりますな。
更に何だかなあと思うのは後半部分で、「手続きは遺憾だが決定は正しい」とか言うこの人の頭を疑いたくなる訳ですよね。「結果が良ければ途中の手続きはどうでもよい」とか民主主義国家の運営として有り得ない理屈であって、何らかの行政執行をする際に手続きを踏まえる過程が民主主義における法治国家としての意義ではないかと思いますがね。
結果が良ければプロセスがどうでも良いとか、この人民主主義国家における政策決定および国家運営を何かのゲームと勘違いしてねえかと思いますし、まあその理屈って造反有理とか愛国無罪みたいなもんじゃんとゆー事で、それこそこーゆー決定過程に対して築地新聞さま辺りが「ぐんぐつの音が聞こえる」とか批判しないのかと思うのですが、ネットで社説をさらっと見たらそんな感じが1ミリもしていないのがブンヤクオリティなのであります。
と、何時の間にかブンヤ批判になっていますが、それ以前の問題として結果が良いかどうかだって本件判らんのがチャーミングなんですけどねえ・・・・・
#ま、その前に適切だと思うなら遺憾とか言うなよそれは引かれ者の小唄っつーんだというのもありますが・・・・
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2011/05/10
○おまけだがまあ相変わらず電力関連の雑談とか何とか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110509-00000047-maip-bus_all
浜岡原発 原子炉停止…電力不足ドミノの恐れは?
ということで中部電力浜岡原発が停止になった(防潮堤できたら再開みたいですけど数年掛かるんですよね)ようですが、まあ技術的な問題はあたしゃーよー知らんので止める必要があったのかどうかは知らんのですけど(暫く前に静岡県東部震源のでかい地震ありましたな)、そもそもこの話が菅首相の先週金曜の緊急記者会見だか何だかで急に飛び出して、しかもそれが「首相からのお願いベース」というのがどうも何だかねという感じでありまする。
いやあのちゃんとプロセス踏んで色々と検討して法的にちゃんとしたルートで実施してるのでしたら別にどうという話でも無いのですけれども、突如何でこのタイミングでこんな話が出たのやらという所でございまして、これって例の東電の補償問題にも通じるのですけれども、「日本の政治プロセスに掛かると従来の法的な枠組みと全然違う話が飛び出しますね」という認識になるのが金融屋としての理解になると思われます次第でございまして、そうなりますと「日本は法的枠組みが後付でひっくり返されてしまうリーガルリスクが高く投資には不適切ですなあ」という話になると思うのですよね。
まあそんなこんなで(前も書きましたが)従来は「安定的なユーテリティー銘柄」であった筈の電力各社に対する認識が「地震国における巨大偶発リスクを抱える銘柄」という風になりつつある流れ(現実問題として運用難の最中だというのに電力銘柄の社債スプレッドは渦中の東京電力が当然ながら壮大に拡大しましたが、他の電力会社に関しても華麗に拡大していますし買い手も減ります罠という事であります)が一連の原発問題への対応で更に加速するんじゃネーノと思うのであります。
そうなりますと、装置産業であります電力会社のコストとして思いっきり効いて来る資金コスト(借入金利とかですな)が拡大して電力料金に跳ねますなあという話はこれまた先日書いたので今更繰り返しません。
ただまあこの調子で原発止める話が続く(定期点検で止めたら再開しにくいとかね)と供給制約の解消に時間が掛かりますというか、それ以前の問題として電力供給問題が更に全国的に拡大ですなあ(関電とか九電とか原発比率高いんでしたっけ)という話になるんでしょうなあという悪寒はする次第にてごじゃります。今のところ止める「ご依頼」は浜岡だけみたいで拡大しないようなのでまだ悪寒は杞憂の世界ですけれども・・・・・・
ということで後は人のふんどしで。
abz2010さんの所
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110509/1304943563
東電が免責されないとどうなるか、
別の視点ですが非国民通信さんの所
http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/859e8433d2e1d22ec23f2d171cd34c10
菅にとっては簡単な決断なんだろうけれど
『こうなるともう、製造業は外国に出て行くしかない、とりわけ電力不安の影響を受けやすいハイテク産業ほど日本からの脱出を考えざるを得ない状況になることでしょう。必然的に雇用機会も減り、社会的に弱い人ほどしわ寄せを受けるものです。総合的に見てバランスのとれた判断を下すべきなのか、それとも国民が過敏になっているものを脇に追いやることを優先し、その弊害は無視するのが正しいのか、その辺は考えて欲しいところです。』(上記エントリーより)
・・・・・・・確かにさいですな。
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2011/05/06
○東電関連雑談
先週のニュースなので最近どうなっているのか知らん(何せ休み中は微妙にネットとか新聞とかスルーしている事が多いしテレビは元々見ないしということで浦島太郎状態になるのがあたくしの仕様)ですけど、海江田さんのこの発言はナンジャソラという感じであります。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110429-OYT1T00774.htm
原発賠償負担、電力各社リストラで…海江田氏
『東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償策を巡って、海江田経済産業相は読売新聞のインタビューで、東電だけでなく、原発を保有する他の電力会社にも資産売却などのリストラを求める考えを表明した。』(上記URLより)
えーっと、だから他の電力会社に波及するという話になるとそもそも電力会社の株とか債券とかが従来考えられていた「安定したユーティリティ銘柄」じゃなくて「地震国において巨大偶発リスクを抱える銘柄」になってしまいますので、電力会社の資金調達コストに跳ねて、それは電力料金という形で国民負担になりますし、更に言えば産業などにおけるコストの増大から国際競争力への影響とかそういう話になるんですけど。
大体からして原発推進ってそもそも電力コストの引き下げとエネルギー調達の分散という国策に則って実施しているとあたしゃ理解している訳で、電力会社的に言えば別に火力発電バンバン作っても結局総額原価方式(とか言うんでしたっけ?)で電力料金に跳ねればヨロシという話だと思うのですけどねえ。
というように思っていたらこれまた先週のネタですが、著名な人らしい人のブログでこんなのがあったので晒してみる。
http://www.tachibana-akira.com/2011/04/2481
東京電力は日本政府を訴えるべき
題名が???ですけれども、最初のところを見て激しく腰が砕けました。
『3.それでも賠償資金が足りない場合は、株式会社のルールに則って、株主が損失を負担する。すなわち会社更生法か民事再生法を申請して、株主責任を明確にする。
4.そのうえで、債権者に損失の負担を求める。東京電力の負債は約5兆円の社債と約2兆円の銀行融資だが、後者は原発事故発生後の緊急融資で、当時の状況を考えればなんらかの保証は必要だろう。だが5兆円の社債についてはこうした事情を斟酌する余地はなく、損害賠償額によっては全額デフォルトすべきだ。』
『一般企業が債務不履行に陥れば事業の継続は難しくなるが、東京電力は地域独占で安定した利益を約束されているのだから、社債をデフォルトしても本業にはなんの影響もない。社債の利払いや償還に必要な資金を損害賠償にあてればいいのだから、原発事故による資金問題は本来であれば存在しない。』(上記URLより)
いやあ何かこのお方って「海外投資の勧め」みたいな著書とかをはじめとする投資関連の著書が多数あってで有名らしい(あたくしは一冊も読んだことは無い、名前は聞いたことあるけど)のですが、投資をお勧めするにしては随分と法令とかの理解が無いようで、それでよくもまあ(リーガルリスクに注意すべきな)投資のお勧めとかが出来るもんだと大変に素晴らしいものを感じる訳であります。
まずですな、そもそもの時点で電力会社の社債は一般担保ですので先取特権があって損害賠償債権よりも優先してしまいますので、所謂法的整理をしちゃいますと損害賠償債権が社債権者よりも劣後しちゃいますから社債がデフォルトあるいはヘアカットとなるときには損害賠償債権は全額取りっぱぐれになります罠。
でまあその後に損害賠償を政府が改めて払う、というのは技術的には可能であるとは思いますが、そもそもがその損害賠償負担で法的整理という話になっているのに、損害賠償を事後的に政府が負担すると言うことは、社債権者との関係で言えば債権の優先劣後関係が事後法によって逆転するということになりますし、ローンを出している銀行との関係で言えば同順位債権者の法の下の平等関係が事後法によって逆転することになるのでこれまたおかしいです罠。
しかももっとどうかと思うはこのセンセイ、『東京電力の負債は約5兆円の社債と約2兆円の銀行融資だが』と仰せなのですが、東京電力の決算短信は同社のHPで見ることが出来ましてですね、
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/kessan/index-j.html
第3四半期の決算短信
http://www.tepco.co.jp/ir/tool/kessan/pdf/1103q3tanshin-j.pdf
そこの11ページ(PDFファイルだと14ページ目)に昨年12月末基準の貸借対照表の負債の部が思いっきり書いてあるのですが、ご覧の通り以前から同社は銀行借入がありますので、借入金は先般の2兆円(文脈見れば判るように2兆円の銀行融資は3月末から4月頭に掛けて実施した大手銀行の融資を意味しているようですからね)だけでは無いのですけど、もしかしてこちらのセンセイは投資を行う際に開示資料も見ないで投資をされているのでしょうかねえ(ニヤニヤ)。
しかもイミフなのは銀行融資に関して『後者は原発事故発生後の緊急融資で、当時の状況を考えればなんらかの保証は必要だろう。』と仰せなのですが、常識的に言って事故発生後の融資をしている方がリスクの発生を把握した後に実施しているのですから、リスクを承知で融資したという話になると思うのですけど、何でその融資を後付で『なんらかの保証は必要だろう』という話になるのかさっぱり意味が判り兼ねますけれども、何かネットでの反響見てると「正論」とか言う人がうじゃうじゃいるのがオソロシス。
ま、政治家まで利権陰謀論に走っているようですから困ったもんですなあとも思いますけれども、ご参考までに「dongfang99の日記」さんの最新エントリー。
http://d.hatena.ne.jp/dongfang99/20110429
2011-04-29 全く信用できない
エントリーの趣旨に同意でありまする。
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2011/05/02
お題「決定会合レビュー」
大型連休だがネタがてんこ盛りで追い付かない追い付かない(汗)。
○西村副総裁の緩和提案とな
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/k110428a.pdf
決定内容は兎も角、脚注がアレ。
『(注1)本日の金融政策決定会合では、西村委員より、資産買入等の基金を5兆円程度増額し、45兆円程度とする議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:西村委員、反対:白川委員、山口委員、野田委員、中村委員、亀崎委員、宮尾委員、森本委員、白井委員)。』
・・・・・・・・ほほう。
先日横浜で行った講演および会見でサプライチェーンの回復に関して白川総裁が先月7日の会見で行った発言に対して微妙に気を使いながらダメ出しをしていたのを先般ネタにしてみましたが、まさか今回の緩和提案に繋がる話だったとは思っておりませんでして、ネタにしておいて良かったと思うのでありました(^^)。
票決の際に反対票を入れる、というのであれば岩田一政さんが副総裁の時にもそのようなケースはありましたが、副総裁御自らが独自提案をして思いっきり否決されるというケースは初めて見たと思います。
まあ色々と勝手に深読みする事は可能ではございますが、須田審議委員が退任したことから鉄砲玉(?)役をやる人がいなくなったので突如乃公出ずんば状態になって暴れん坊将軍スイッチが入ったのか、それとも追加緩和実施に向けた先駆けの動きでもしているのか、更には7日の会見での白川総裁の発言の翌週に実施された全国支店長会議後に行われた支店長の会見で、名古屋支店長の前田純一さん(当時)が自動車製造に関するサプライチェーンの回復時期について白川総裁の発言よりも厳しい見方(まあ要するに微妙にダメ出しですが)を示していたように、支店やら個別企業ヒアリングで上がって来るミクロ情報からすると経済状況はかなり厳しいんではないかという行内の見方があって、まあそのあたりの空気を読んで「ここは提案しないと!」と急に頑張ったのか、はたまた今回は誰も追加緩和ネタを予想していなかったし、圧力も無かったということで、今回こそは追い込まれる前に自ら突っ込んでやるとゆー事で西村さんが急にスイッチ入った/西村さんを鉄砲玉にした、などなど(長いね)色々と妄想は膨らむのであります。
まあ執行部の1名がわざわざ違う提案をして否決されるってゆーのは、今までの日銀からすると結構変わった状態というか異様な状態でありまして、いやまあ別にそれがイカンという事ではなく、色々な意見が出てきて結構だと思いますが、執行部が割れている観をわざわざ出すと言うのが中々斬新でありました。これが全体の意思の中で出ているのか、単に西村副総裁に急にスイッチが入って突っ込んだ(あるいは須田さんの生霊が急に乗り移った^^)のかによってもイメージ違いますけど、まああんまり決め打ちはしなくて良いかなと思います。
で、提案内容が良く判りませんが、まあ普通に考えると国債とTBなどの買入拡大の提案をしたんでしょ(ETFとかもあるかもしれませんが)とゆー風に思いますです。あたくしも何度か申し上げたような気がしますが、2次補正以降の国債増発が確実視される中で、日銀も何か経済下支えに協力という話になった場合に、輪番オペ増やすとこれがまた後から減らすの大変です(FRBの出口政策においてMBSやら長期債の売却が市場に混乱を与えずに進行した場合、日本でも輪番で買ったものを買いすぎたから売却攻撃が可能という話になり、ホイホイと輪番を増やしたり減らしたりできますなあという話もこの前書いたですけど、まあ現状では輪番の買入額を減らすと言っただけで大騒ぎになりそうですので輪番は結構硬直的になってしまいますわな)ので、そーゆー意味では基金オペの長期国債買入であれば、残存も2年ですし、包括緩和政策を解除するときには大手を振って買入停止できますし、まあ日銀的ロジックからしても拡大しやすいとゆーことでござんす。
つーことで、まあ(勿論景気次第ではありますが)5月か6月位に基金買入の拡大(今回は国債中心になるでしょ)というのが具体化するかもしれませんわなあという感じです。
○展望レポートはヘッジクローズ満載
29日に展望レポートの全文(基本的見解を含む)が公表されていますが。
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1104a.pdf(基本的見解)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1104b.pdf(全文)
めんどいので基本的見解をネタに少々。
今回の展望レポートですが、出来上がりの数字は「実質GDP見通しは11年度を下げているけれども12年度は11年度の逆ゲタも乗っけているので水準的に1月時点の想定からそんなに下げていない」けれども「物価の見通しは11年度を上げて12年度も上げている」という事でございまして、「出来上がりの数字だけは妙に強め」という結果になっています。
つーことで結果の数字だけ見るとKYちっくに見えるのがどうなのよと思うのでありますけれども、展望レポートの構成は物凄い勢いで下振れ警戒全開態勢になっておりますので、金融市場的には展望レポートの本文を見た瞬間に(冒頭からいきなり下振れの話になりますので)「ああ警戒的なのね」という話にはなるかと思いますが、報道ベースですと出来上がりの最後の数字の所だけが走る可能性があるのでちとどうなんすかねえというのは先日もプレビューで書いた通りであります。
ま、今回に関しては「日銀が強気の見通し」みたいな報道のされ方ではなかったような気がします(けど違ってたらゴメンナサイ)ので、ちゃんとレクの時に丁寧に説明したのか、西村副総裁の追加緩和提案がインパクト与えた(と考えると西村さんの提案は展望レポートの最終の見通し数字が強いのでバランス取ったとも言えるが、そんなので一々追加緩和提案はしないでしょうから)のかも知れませんが、まあそーゆー点からしますと今回の展望レポートはちゃんと下振れ警戒が伝わったのかなあとは思ってますがどうですかね。
・冒頭からヘッジクローズ祭り
ということで冒頭の『1.はじめに』のヘッジクローズ祭りを引用。
『わが国経済は、本年入り後、景気の改善テンポが鈍化した状態から脱しつつあったが、3月11
日に発生した東日本大震災により、状況は大きく変化した。震災により、当面、わが国経済に対して大きな下押し圧力がかかり続けることは避けられない。今回の展望レポート(「経済・物価情勢の展望(2011
年4月)」)で示す2012 年度までの日本経済の見通しを点検するに当たっては、以下のような視点を持っておくことが重要である。』
下押し圧力キタコレ。
『第1に、震災による経済への下押し圧力は、基本的には資本設備の毀損等による供給面のショックとして現われており、海外経済の高成長など、震災前まで日本経済の回復を支えていた基本的な条件に大きな変化はない。この点、金融ショックによって世界的に需要が急減したリーマン・ショック時とは異なる。』
ということで、ここでは供給ショックの話をしているのですが、供給ショックから生産が落ちてそれが雇用や所得に悪影響を与えて需要に影響するというようなネガティブフィードバックに対する指摘は基本的見解の部分を探したけど本文見通し中では特に言及は無かったという感じなのが少々あたくし的には楽観的じゃないのかねと思うところですけれども、下振れ要因の所でその辺の記述はあるからまあ良いっちゃあ良いのですけどね(後で引用する)。
『第2に、震災の影響は、時間の経過とともに変化していくことに留意する必要がある。短期的には供給面の制約に伴う影響が大きく出るが、その後は、供給面の制約が和らいでいくうえ、毀損した資本ストックを復元していく動きが顕現化してくる。さらにより長期的には、震災が、わが国経済の趨勢的な成長力にどのような影響を与えていくかという点も重要である。』
とうまく行くと良いのですけどね。まあ成長力云々は仰る通りですが。
『第3に、これらの震災の影響の現われ方については、その時期や規模を含め様々な点で不確実性が大きい。このため、先行きの経済・物価動向を見通すに当たっては、中心的な見通しだけではなく、従来以上にリスク要因を注意深く点検していくことが重要である。』
どう見ても下方修正の予防線です本当にありがとうございました。
『以下では、上記の留意点を念頭に置いたうえで、まず、わが国経済の基調的な動きを左右する海外経済や国際金融資本市場の動向を記述し、その後、わが国の金融環境を評価する。そのうえで、相対的に蓋然性が高いと判断される見通し(「中心的な見通し」)を記述した後、中心的な見通しに対する上振れ要因・下振れ要因を検討する。最後に、金融政策運営の基本的な考え方を整理する。』
ということで、以下話が続くのですが、海外経済などの基本的な部分に大きな変更は無い(従って外需が日本経済に寄与しますという話)ですけど、さすがに国内経済に関しては震災の影響に関するヘッジクローズがてんこ盛りという風情でありまして、まあ今回の展望レポートは思いっきり下振れ警戒モードです罠という所です。
・当然ながら下振れ意識
とりあえず『5.上振れ要因・下振れ要因』のところをネタにしますとですな。
『(1)経済情勢』コーナーは今回はこうなっています。
『第1に、今回の震災がわが国経済に与える影響については、不確実性が大きい。』
『第2に、中心的な見通しでは、企業や家計の中長期的な成長期待は維持されることを
想定しているが、震災を契機とした企業や家計の成長期待の変化にも注意を要する。』
『第3に、海外経済の動向である。』
『第4に、国際商品市況が一段と上昇した場合の影響についても注意が必要である。』
ということで、前回(昨年10月)は第1と第2が世界経済で、第3がマインド、第4が中長期的な成長期待という構成でしたので、今回の方が思いっきりリスクは下に寄っています(中心的な見通しがあたくし的にはやや強く見えますからそらまあ下に寄らないとおかしいですけど)わなということで。
んでもって今回「ふ〜ん」と思ったのはまあ幾つかあるのですが。
第1の部分から。
『一方、マインドを通じた影響については、原子力発電所の事故の帰趨が及ぼす影響に加え、企業収益や雇用者所得見通しの不確実性等について留意する必要がある。』
つーことで、さっきあたくしが申し上げたネガティブフィードバックの指摘が一応この辺りにあることはあるのですが、そんなに全面的に出ているという感じでも無いです。
第3の部分から。
『この点、わが国を含め、多くの先進国では、公的債務残高が大きく増加している。こうしたもとで、財政再建に向けた取り組みが急務となっており、仮にこうした取り組みが市場によって不十分と評価された場合には、長期金利の上昇やコンフィデンスの低下などを通じて、実体経済にマイナスの影響が及ぶ可能性が高い。』
ほうほうそうですか(棒)。日本の話はどうなのかねと思いますが。
第4の部分から。
『また、世界的な金融緩和継続などを背景とする金融面の動きが、国際商品市況の動きを加速させている面もある。』
どさくさに紛れてしらっとこんな文言が・・・・・
で、物価に関してですが、こちらに関しては前回とそんなに違いませんが、ここでもネガティブフィードバックの話があって、これまた物価も下押しリスクを見ています。
『この間、電力不足などにより、経済全体の供給能力が長期間にわたって制約されることになれば、物価に対しては、マクロ的な需給バランスの引き締まりが、上振れ要因として作用する可能性も高い。ただし、供給制約による景気悪化が長期化し、企業収益や雇用者所得に持続的な下押し圧力がかかり続ければ、需給バランスの悪化につながり、物価に対して下振れ要因となる可能性もあることに注意が必要である。』
ということで、まあこの辺りにもそんな指摘がありまして、見通しは上に振れましたけれども、そんなに中身を見ると強い話でもなさそう、という感じでしょうか。
#かなり駆け足でネタにしたので補足を後でやるかもしれません
○この適格担保要件緩和は斬新ですな
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110428b.pdf
被災地企業等債務にかかる担保適格要件緩和の概要
緩和内容の(1)が斬新です。
『3.緩和内容
(1)被災地に事業所等を有する企業
@被災地金融機関の直近の自己査定で正常先に区分されている企業の手形および証書貸付債権については、信用力に問題ないものとして取り扱う
A外部格付を有する企業の社債および証書貸付債権は、格付要件を緩和する(A格相当以上→BBB格相当以上)』(機種依存文字は原文ママ)
・・・・・ということで、今回何と「直近の自己査定で正常先なのはOK」という事で、銀行の自己査定結果をそのまま認めるというのが極めて斬新だと思ったのですけれどもあたくしの勘違いだったらゴメンナサイ。
従来の担保適格要件ですけれどもね。
http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo18.htm/
適格担保取扱基本要領
http://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo19.htm/
企業の信用判定基本要領
にありますように(長くなるので引用割愛)、基本的に適格判断に関しては日銀が行う事になっておりまして、金融機関の申し出をそのままOKというのはしていなかったと認識しておりますので、これは中々という感じだと思うのですがどうでしょうか。
ただ、まあ当然ちゃあ当然ですが、今回新しく導入された「自己査定丸呑み担保」の担保掛目が従来基準とは違いますのでそこでヘッジはしているという感じですな。
詳しい掛け目はこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/rel110428c.pdf
の7ページ以降に『被災地企業等債務にかかる担保の適格性判定等に関する特則』というのがあります。具体的には、
『4.担保価格
2.(2)に掲げる担保の担保価格は、当該担保が「適格担保取扱基本要領」別表2に掲げる基準を満たす場合を除き、(1)から(3)までに規定するとおりとする。』
『手形 手形金額の81%
証書貸付債権
イ.正常先証書貸付債権
(イ)残存期間1年以内のもの 残存元本額の81%
(ロ)残存期間1年超3年以内のもの 残存元本額の65%
(ハ)残存期間3年超5年以内のもの 残存元本額の50%
(ニ)残存期間5年超7年以内のもの 残存元本額の40%
(ホ)残存期間7年超10年以内のもの 残存元本額の25%
(満期が応当月内に到来するものを含む。)
ロ.イ.以外のもの
(イ)残存期間1年以内のもの 残存元本額の93%
(ロ)残存期間1年超3年以内のもの 残存元本額の82%
(ハ)残存期間3年超5年以内のもの 残存元本額の70%
(ニ)残存期間5年超7年以内のもの 残存元本額の60%
(ホ)残存期間7年超10年以内のもの 残存元本額の50%
(満期が応当月内に到来するものを含む。)』
イが自己査定丸呑み、ロがBBB格ですな。
ちなみに、従来の場合ですが、さっきの『適格担保取扱基本要領』によるとこうなります。
『15. 企業が振出す手形 手形金額の96%
18. 企業に対する証書貸付債権
(1) 残存期間1年以内のもの 残存元本額の96%
(2) 残存期間1年超3年以内のもの 残存元本額の91%
(3) 残存期間3年超5年以内のもの 残存元本額の85%
(4) 残存期間5年超7年以内のもの 残存元本額の75%
(5) 残存期間7年超10年以内のもの 残存元本額の70%
(満期が応当月内に到来するものを含む。)』
ということで、まあだいぶ違いますし、特に自己査定丸呑み分については更に違いますなあという感じではありますが、まあ「自己査定丸呑み」というのは日銀的には結構踏み込んだ緩和だという風に思いますが、マニアしかウケないネタでもあったりするのですorz
#本当は東電ネタとか総裁会見とか(祝日にアップとは^^)も書きたかったのですけれども、MPMネタだけでお腹一杯なのでこれで勘弁ナリ
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2011/04/27
○決定会合とかFOMCとかプレビュー
ま、あたくしがプレビューしてもただのフラグにしかならないのでよー書かんのでありますが、まあ今回の展望レポートに関して明白だと思われるのは手前(今年度)の実質GDP見通しが下がるでしょという所ですが、その先の見通しどうするんでしょうね。
いやね、常識的に考えると昨日ネタにした西村副総裁講演後の会見とかにありますように、サプライチェーンの回復って4月7日の総裁会見で「6月か7月には回復のメド」みたいな話がありましたけれども、何かこう状況が把握されるにつれて特に自動車などでは時間が掛かるでしょという認識が示されてきたと思いますので、そー考えると供給制約の解決まで時間は掛かるし、その間に景気下押しリスクもあるし、そもそも生産の回復が遅れたら雇用とか所得とかにも影響あるでしょと思いますから、「手前の見通しを下げた分の逆ゲタもありますし復興需要が来ますしその先はウハウハですよ先生」という見通しを出すというのも如何なものかという感じはするんですけど、「長期的な見通しは変わりません(キリッ)」とかゆー風になるとウハウハ見通しを出してくる悪寒もする(つーか昨日の公共放送はそうでした、時事は先の話については報道して無かったかな、どっちもソース見つからないのでサーセン)のでござんして、さてどうなりますやら。
元々物価に関しては供給ショックと燃料価格問題があって見通しが引き上げになるというのは自明になっていますので、その中で長期的に強い見通しを出すとなりますと、まあそれは威勢が良いのは良いですけれども、状況から言ってその結果の「強い見通し」というのがヘッドラインとしてホイホイと一人歩きして、「日銀はこの大災害の後なのにやたらめったら強気な経済見通しを出していて何考えているんだか」という印象を与えるという結果になりそうでありまして、ただでなくさえ叩かれやすい日銀がまたまた叩かれて結果政治的に変に追い込まれるという下らない展開が起こるに10万ドラクマ(^^)。
だいたいからしてこの状況下で先行き無闇やたらと強い見通しを出すのに何のメリットがあるのかというと多分メリットは無いですし、下振れリスクに関する認識についてよほど丁寧に説明しないと「日銀何考えてるんだ」で終わってしまうでしょう。変に強過ぎる印象を与える見通しをだしておいて、震災前よりも明らかに高くなっている下振れリスクはが顕在化したときに見通しを下方修正すると日銀の信認問題にもなってくると思うのですけどねえ。
と、これだけ嫌味書いて見ましたが、さて今回の日銀文学はどうでるのでございましょうかねえ(ニヤニヤ)。
で、FOMCでございますが、何かよー知らんけど米国市場では妙に何を期待しているのかさっぱりワカランチ会長ですが期待もあるようでございますけど、今回って正直言って何も出ないでしょと思う次第。
何でですねんと申しますと、そらまあ先般もご紹介した前回のFOMC議事要旨および地区連銀総裁のタカ派発言祭りVS執行部寄り高官の火消し祭りというマッチポンプ祭りを拝見致しまするに、どっからどう見てもFOMC内部の見解がバラバラ、そもそも景気見通しの時点でも結構な差があるし、物価動向に関するウェイト付けが人によって違っているという素敵にも程がある状態でございまして、そんな中で逆さ絵おじさんが会見で何か断定的な話をするのは無理でしょと思います。
#ただし、逆さ絵おじさんの場合、どこぞの俊ちゃんのように金融政策に関する会見慣れしているとは思えませんので、売り言葉に買い言葉で余計な事を言い出すというクオリティーを発揮するリスクはありますが
QE3はさすがにハードル高そうですし、一方でバランスシート縮小なり利上げなりという話もこれまた方法論で皆さんの意見がバラバラ。実行タイミングに関する見解がバラバラな上に、何をどういう順序でやるのかという具体的な方法に関しても見解がバラバラ。ただ執行部寄りの皆様におかれましては「我々は有効なツールをもっています(キリッ)」といってるだけというこれまた素敵な状態になっておりますから、この調子ですと今回のFOMCでは何も決定せず、単に「従来決めていた資産買入を6月までやりますよ」という話をして、次回FOMCが6月になりますのでザ・出たとこ勝負になるという事になるんでしょ、と勝手に思ってますけどどうっすかね。
会見でも「経済データなどを見て次回のFOMCで今後どうするのか判断したい」という話をして終了というツマランチ会長になる悪寒がしますけどね。
と、柄にも無くMPMとFOMCのプレビュー雑談なのですが、盛大に外したら笑ってやってください(^^)。
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2011/04/26
・bewaadさんの所から
毎度の如く人のふんどしですが。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110425/p1
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110425/p2
東京電力の事故に関する賠償スキームに関してはまあもう少々時間がかかるのでしょうけれども、そもそも賠償に関して政府サイドで何ちゃら委員会みたいなのを作ってガイドラインを決めるとか言っている時点で政府のコミットが入っている訳でございまして、政府でガイドラインを決めた結果として賠償が巨額になるので東電は法的にこかしますけど賠償はその後政府が払いますとか言い出したらそれは債権の優先劣後を思いっきりひっくり返した話(電力会社の社債は電力事業何とか法に則って一般担保が付与されているので優先順位が高い)でありまして、そんな事やりだしたら海外の投資家辺りからみたら「日本は債権の優先劣後構造を事後法でひっくり返す国なので安心して債券投資できませんわなあ」と見なされると思いますし、更に言えば他の電力会社も含めて債券市場での低利での資金調達が難しくなって(原発という偶発リスクの塊を持っているのは沖縄電力以外全社同じ話ですからねえ)結果として電力コストに跳ね返ると思いますけどどうなんでしょうかねえ。
ということで2番目の方のエントリーに関してはbewaadさんご指摘の通りだと思うのですけれども、はてさてこのロジックがちゃんと通じるのかどうかは正直言って菅内閣の実行力に依存するように思えますのが誠にアレでございまするなあと存じますです。
まあ軽々しく原賠法の免責に関する「個人的見解」を発言した馬鹿官房長官(以下悪態の為激しく自主規制)。
#まあ何らかの公的関与となりますとかつての銀行のように目に見える大リストラしないといかんでしょうけどね>とうでん
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2011/04/22
○長期国債買入関連に関して少々雑感的な話で
先般引用したbewaadさんのお話をベースに。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20110413/p1
後半に今後の政策という話をしていまして、結論として『現在主張すべきは、長期国債買切りオペ増額。』という話がありますが、まあ2次補正で国債の市中消化が拡大するという話になりますと、資金需給的に言えば長めの資金供給を打ち込む余地が出てくるけど、日銀のバランスの長短という点では銀行券が増発にならないとあまり変わらないですよね、という状態に(非常にざっくりした話で恐縮ですが)なりますかにゃと存じます。
となりますと、まー麻生さんの時にやった「財政出す話が固まる前の長期国債買入拡大」という攻撃を仮にやるのなら基金国債買入の拡大というのはまあ財政マネタイズみたいなイメージも大きくないし(基金オペは経済が正常に回復基調に乗ってきて超越緩和政策の必要が無くなったら終了する政策なので)、買入する利付国債も残存2年以内なのでハードル低いかなとか思うのでありますよ。
#bewaadさんからしたら2年以内じゃ短期オペと大差が無いので効果は足りず、買うのは長期ゾーンであるべき、とゆー話になろうかと存じますが・・・・・
でですね、まあ直ぐに始まりそうも無いのが残念なのですが、FEDが出口政策模索という話になったときにMBS売却とか長期国債売却とかして従来のように保有する財務省証券は基本的にBillを中心にするみたいな事をやって下さいますと、これはこれで日銀的にも「使える」テストケースになるのではないかと思うのですよ。
つまり、長期債を中銀が本格的にアウトライトセールするケースっていうのが今のような市場(統制市場みたいな状態では無いという意味ね)環境ではテストされていないと思われますが、もしFEDが長期資産の売却をスムーズにこなしてそんなに市場が混乱しない、ということになれば(まあ無理だと思いますけどね)、実は日銀も長期国債買入(基金買入では無いほう)に関して毎度毎度大騒ぎしなくても、単純に「期間の長いオペ」扱いでホイホイと買ったり売ったり出来るのではないか、というお話になるのかも知れないなあとか思っているのです。
そういう意味では、非伝統的政策に関しては散々っぱら日銀が先駆者となって身を張って実施例を積み上げてきた訳ですが(^^)、非伝統的政策(というか信用緩和じゃないバランスシート政策の本格的量的緩和政策)の出口政策という意味ではFEDがこれから身を張って色々と実施してくれるのかなあとワクワクテカテカしながら期待する訳でありますことよ。
なお、ECBはあまり非伝統的政策でも新しいのやらないであっさり出口モードになっているのであまり面白くありませんが、BOEに関しては「我々はFEDやBOJみたいなのと違う本当の意味での量的緩和政策を実施しました(キリッ)」と言って実施した緩和政策の中で物価はターゲットを逸脱して上がるわ経済は伸びないわという大変に素敵な状態になっておりますので、そーゆー点ではこれまた趣味の中銀マニア的には興味深いのですがちと別の論点になるかなとは思います(^^)。
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2011/04/21
○無担保コールレートが下がったままモドランチ会長な件について
無担保コールの直近金利推移はこちら。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_m.htm
んでまあ15日までは3月の絶賛大量供給による準備預金積み進捗のし過ぎによってコールレートが下がりましたなあという感じかとも思いましたが、積み期間変わってもコールレートはモドランチ会長となりまして、今週に入って0.06%台で推移しておりまふ。
当座預金残高は18日に38.5兆、19日に37.4兆、昨日が35.9兆と推移していまして、前回積み期間の40兆円ペースからは減っていますけど相変わらずの高水準でして、今日は予定ベースでは34.2兆円とまあ徐々に減ってはいますが多いには多いという状態で、無担保コールで取りに行く必要無しの助状態になっているちゅうことでしょうな。んでもって補完当座預金制度(超過準備付利)の外側にいる主体の成行資金放出(付利される人は日銀当座預金に放り込んでおけばよいので10bp未満の金は出さない)によって冷やかしビットの6bp(補完当座預金使える人なら無担保コール6bpで取って日銀当座預金に放り込んでおけばヨロシアルなので冷やかしビットなら入る)にぶち当たって居ると言う状況なんでございましょうな。
さすがにGCレポは積み期間変わって震災直後にバンバン出したオペの期落ちが来たので担保玉足りませんがな状態の7bpだのというような状況から10bp程度になっているようですけれども、コールは下がったきりとなっているのが微妙にチャーミングでありまして、まさに量的緩和状態という風情を醸し出していますが、よくよく考えたら10bp未満でコールを放出する人の資金総額とか考えますと(基本的には生損保、年金、投信の運用余資と短期公社債投信のコール運用部分だけなので)コール市場そのものがいい感じで閑古鳥大合唱状態になっているっちゅう状態になっているだけなんでしょうかねという気もしますが、これは市場残高がどうなっているのかの推移を真面目に確認しないといけませんけどね。
つまりですな、まあGC市場の方が多い上に、有担保コールでの運用をする人もそこそこいまして(以前の量的緩和時代はそもそも有担保コールが担保不足状態になっていましたが、現在は短国の市中流通量が圧倒的に違うので有担保コール市場もこれはこれでワークしているので、カウンターパーティーリスクとか考えた場合に有担保コールの方が良いやという人も多いと思われるのでありましゅ)、無担保コールそのものが限界的な市場になりつつある中、足元の実質量的緩和状態の影響で更に無担保コール市場が限界的になっちょるという感じではないかと。勝手に想像しますと、今の無担保コール市場って確かにレートは6bpで資金が取れているんですけれども、真面目に資金を取りにいこうとした時にその6bpで資金バンバン取れるかというとそれはどうなのよという気もする市場の厚みになっている(実際にそんな動きが現状では起きようが無いから判らないけどさ)ような印象があるのでございますけどどうなんでしょうかね、と思う今日この頃でありました。
と、限界的な市場の限界的な雑談で正直この話を延々として誰得の世界なのですが、何となく思っていることを書いてみたでござるの巻なのでありました(おいおい)。
○何でこう「増税が正義」状態になるのか意味判らん
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a.NcAzlASDxg
与謝野氏:復興債は税裏付け必要、消費税も選択肢−インタビュー(1)
いやあのですね、復興に関わる国債発行したのを未来永劫放置プレイでよいかと言うと、そもそも財政真っ赤っ赤状態ですから財政再建への取り組みは取り組みでする方向というのは判るんですけれども、国債発行するのに最初から増税ぶち上げるとかイミフなんですけど。
つーかよ、過度の自粛で経済活動を必要以上に萎縮させるってこの前あんさん仰ってませんでしたっけ(ソースが産経なのがアレだが)??
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110408-00000580-san-bus_all
東日本大震災 与謝野経財相「自粛は不景気運動」
復興復旧ってその前に災害で失われたものがある訳で、その復興の為に税金召し上げて突っ込みますって言い出すのと過度の自粛とがどうもあたくしにはオーバーラップして見えちゃうのですが、増税となると急にスイッチが入るとか訳の判らんジジイでありまして、東京1区はロクデナシ大臣を2名も輩出している事の責任を取るべき(まあこの人は落選してますが比例復活する票を与えたのがケシカランという事で)である、というのはまあギャグですが(−−;)この記事だと書いてませんけど「3年程度の時限的に消費税を8%に」とか言う案もどこかで見たような気がしましたので頭痛いですな。
だってさ、こんなの「復興財源の為時限的に消費税増税」とか言ってそれが本当に時限措置で済むかどうか非常に怪しいというか正直信用ならないというのが日本政治クオリティなのでありまして、これまで「時限的措置」とか言った物が全然時限的にならなかったというのが散々ある中でこういうのを持ち出すのは、震災復興を錦の御旗にしているだけで、実際の目的は消費税増税なんでしょと申し上げたくなる動きでございますわな。
やるならまずは歳出の見直し(高校無償化とか子ども手当てとか)して足りない分は国債増発して、経済が立ち直った所でまあ増税するというのが普通じゃないかと思うのですけれども、復興に関する話って何故か先に財源の話ばかりが盛り上がって、最初は産経辺りが「日銀の国債引受」という(市場で別に消化可能なのに何も中銀の財政マネタイズなどという象徴的な事をせにゃならんのよという意味で)極端にも程がある話が出たと思ったら、今度はその反動というか揺り返しというか、「消費税増税」話とかこれまた極端な話が出てくるとか、全くもって意味が判らん動きが続いて頭がクラクラしますな全く。
つーかさ、まあ東電関連の話もそうですけど、現政権におかれましては全然練れていない話が次から次へとメディア経由でアドバルーンとして出てきて、それがまた最終的に誰が責任とって決断しているのかの意思決定機構もよく判らんという状態になっているからだと思うのですけれども、発言に統制は取れていないわ、前後関係が無茶苦茶だわ、金融関係者的な視点で見て無茶だなという話がホイホイ出る位ですから、恐らく原発関連や復興関連なんかでもその道の専門家が見たら何じゃこれ状態の話がホイホイ出てくるのでしょうし、更にはこの無秩序カオス状態を利用して復興を錦の御旗にして自分達の通常からの主張をそれに乗っけてしまおうという動き(上記のような)もあるしと、民主党政権におかれましては一刻も早く下野して運営能力の高そうな人(なので「東電は国有化すべし」とかドヤ顔で言っていた元金融大臣の所ではない)に運営を行わせるべきかと存じますがねえマッタクモウ。
・・・・トサカに来ながら書いたら一文が長くなりすぎですかそうですか(−−;
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2011/04/19
○復興国債はいいけど別建て発行はするんじゃねえぞと思いますが(-_-メ)
http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPJAPAN-20659320110418
再送:復興国債の発行必要、財源は増税で確保すべき=民主幹事長
『[東京 17日 ロイター] 民主党の岡田克也幹事長は17日、NHKの番組に出演し、東日本大震災の復興に充てる2011年度第2次補正予算について、通常の国債と区分した復興国債の発行が必要とし、償還財源は将来の増税によって確保すべきとの見解を表明した。』(強調部分は引用者によります)
えーっと、まあ別に建国でも赤国でもなく別枠にするというならそれは別に良いのですけれども、発行形態まで別建てにされると債券市場的には心の底から迷惑千万なんですけどねえ。
・・・・・と書いただけで債券市場の中の人的には「そうですなあ」で話が終了して下さると思いますが、蛇足を承知で説明すると、例えば「復興国債第1回債」みたいな形で市中発行するという事になりますと、その銘柄だけ流動性が極端に低くなってしまいますし、レポは面倒だしスクイーズする馬鹿とか出てくると更に話がややこしくなるので、結果的に通常の中長期国債よりも流動性が低い=円滑な消化の妨げとなる&無駄に流動性プレミアムが付くので発行コストが結果的に高くなる恐れがある、というアホウにも程がある事態が発生する訳で、おまえら馬鹿政治家どもの馬鹿パフォーマンスの結果国債発行が円滑に進まなくなるとか馬鹿の二乗にも程がある状況になりますがなということです。
まあ名目(=発行時の根拠法)が特別な復興国債であるというのはどうでも良いのですが、実際に発行するときには通常の中長期国債の発行に混ぜて同じようにやってくれないと、流通市場をやっている方としましては個別管理は面倒臭いし、流動性は無駄に低いしプライシングするのも手間が余計にかかるし(大体からしてまた新しい銘柄コード体系を作らないといけなくなってシステム負荷(それ自体は大した事はないけど手間は手間)が発生するわという債券市場のお荷物が発生しますので勘弁して頂きたいものであります。
店頭で「復興1回50億出しは〜?」とかなるんですかねえ、アホラシカ。
○何でこういう話がでるのかねえ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a0H3yKSSk6_4
日銀がコアCPI見通しを上方修正へ、物価安定「1%」をより明確に
『4月19日(ブルームバーグ):日本銀行は28日公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年度比上昇率の見通しを0%台半ばに上方修正する見通しだ。一方で、政策委員の大勢が1%程度を中心とみていた物価安定の理解から「大勢」という表現を削除し、1%をより明確に打ち出す方針だ。複数の関係者への取材で明らかになった。』
結局この記事最初から最後まで(しかも英語バージョンも)読んで見たのですが、リーク記事なのか観測記事なのかさっぱり判らんかったですが、英文バージョンに関しては(この前の社債買入のTEPCOネタでもそうでしたが)如何にも「日銀の人間が言っています」的なヘッドラインになっていました。でまあ観測記事なら観測記事でも良いのですが、それならばそれらしく書いて頂かないと「日銀は決定会合での議事内容を事前にリークするとはケシカラン」と常日頃から批判を受けている訳で有りますので、まあ有体に言えば日銀に対する業務妨害みたいなもんでございますわな。
大体からしてこの程度の内容を一々事前にリークするメリットは日銀に1ミリも無く(経済データと公式に出ている各委員の発言を足し合わせればこの程度の予想は不思議ではない世界ですから地均しとかする必要も無いでしょうし)、事前リークするという行動に対して世間が考える批判というデメリットの方が圧倒的に高いので、まあ別に内容そのものが日銀の決定会合の関係者各位から漏出しているとは思ってませんが、まあ本当に検討する内容に関しての事実が漏出しているのでしたらば当該関係者様におかれましては鴨居から縄を下げて首を支点に懸垂運動でもやって頂きますと誠に有り難く存じます次第です罠。
つーことで、決定会合の度に一々リーク記事みたいなのが出る(観測記事ならまあなんぼ出ても普通なのだが)のは大概にせえという感じですし、報道する方も報道する方で、ただの観測あるいは予想記事なのか、本当のリークなのかというのが特にニポーンの報道ではさっぱり判らん書き方をするもんだから、(今回程度の内容では関係ないですけど)金融市場的にはノイズ祭りになってしまう、というのは先般来続いているTEPCO関連の話でも典型的なのでありまして、報道機関におかれましてはもうちょっとお前ら何とかならんのかという所であります。
○ほほうS&Pが米国債にネガティブとな
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011041800867
米格付け見通し「ネガティブ」に=財政問題への対処不透明−S&P
まあ正直どうでも良い、と思ったら最初トリプル安になったのですが、その後レーティングアクションを受けた本家本元であります所の米国債だけ買われて戻るというどこの日本国債ですかという大変にお洒落な展開になったようでございますな。まあ米国債券市場の日本化ネタはよく言われていましたが、レーティングアクションで同じことになるとかテラワロスなのであります。
しかしまあ米国だってオバマ大統領が財政健全化どうのこうのとかいう演説をしたばっかりなのにS&Pがレーティングアクションとか、まあ首吊りの足を引っ張るような事をするというか、わざわざ地雷を踏んでぽぽぽぽぽーんになるような事を平気でするというか、全くもって困ったもんというか何というかでありまして、やはり中国4000年の叡智が生み出した(嘘)俺様格付会社の「大公国際資信評価」のスタンスを見習うべきであると思います罠。
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2011/04/14
○この内閣はどこがどう責任とって指揮しているのやら
東電関連で昨日は読売が記事を。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110412-OYT1T01201.htm
他の電力会社にも負担させる福島原発の賠償原案
今日も同じような感じでフォロー記事。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110414-OYT1T00174.htm?from=main3
政府と東電、賠償金支払いに基金創設検討
ただ、その間に枝野官房長官がまたまた例によって例の如く否定してたりしましたけれども・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aIekAsBkMSXM
枝野氏:政府として検討対象になってない−他の電力会社の負担案
えーっとですな、昨日1日だけでも「誰がこう言った」「いやそれは違う」というのが何本あったかという感じでありまして、この調子で連日東電の(他の事でもそうですが)ネタでフワフワした話が出てその度に金融市場が振り回されるとか国益に悖る事夥しいと思います、まあ連日言ってるけどさ。
東電は株式としても発行総額大きい(つーか暫く前に増資しましたし)ですし、債券発行残高も大きいですし、銀行借入だって大きい訳で、そういう大きな影響のある会社の問題について腹の据わっていない話がああでもないこうでもないと出るのは非常に困るのですが、どうなっているんでしょうかねこの内閣。
以下延々と悪態を書こうと思ったが書いているうちに空しくなったのでまた怒りゲージを溜めてから参ります(^^)。
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2011/04/12
○この期に及んで何をいう海江田さん
日経新聞ネット版から
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381949EE3E3E290878DE3E3E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
海江田氏、補償「東電は責任から逃れることなく向き合って」
2011/4/11 18:38
『東京電力に対しては「第一義的な責任は東電にあり、賠償の責任から逃れることなくしっかり正面から向き合ってほしい。1都8県への電力供給という責任を果たす中で、収益から賠償できるような体制を取らなければならない」と求めた』(上記URLより)
・・・・・・・あのー、この期に及んで何を仰っているのでしょうか海江田さんは?????「収益から賠償できるような体制」ってお前ら賠償名目でなんぼ払うのかという話がドンドン拡大しそうな勢いの話ばっかりしている中でどうやって収益から賠償するですねんという感じですし、そもそも電力会社ってそんなにバカスカ儲かる商売じゃない(事故らなければ損はしない)のですから(バカスカ儲かるように料金設定したら大変な事になりますがな)収益から賠償とか現実問題として何年掛かる話なのかとか認識した上で話をしているのかよと思います。
が、悲しいことに電力関連の権限って最終的にこの人の所にあるという事でございまして、何を今更責任の押し付け合いみたいな話をしているのやこのアホウはとしか思えません次第で、この人を当選させた東京1区は責任とって計画停電しろと思いますが、東京1区を計画停電すると丸の内や霞ヶ関が停電ですかあっはっは。
日経新聞ネット版はURLがなげえええええよ。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381949EE3E3E2EB9C8DE3E3E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
経団連会長、原発事故「甘かったのは国の安全基準」
2011/4/11 16:19
『損害賠償などによって東電の経営不安説が流れていることに関しては「(事故原因は)天災であり、国が支援するのは当然のこと」と語った。国有化論については「全然ありえない。一部の政治家が口にしたせいでどれだけ東電の株価が下落したか」と非難した。〔日経QUICKニュース〕』(上記URLより)
(以前ネタにしましたが)ドヤ顔で国有化を主張しているみんなの党の党首もそうですが、他にも国有化とかいう話あったかなと思ってちょっとグーグル先生に問い合わせたらそういや枝野さんまで言ってますな(「多くの可能性を検討」という言い方ですが)。
同じく産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110411/biz11041119000023-n1.htm
経団連会長、「原発賠償は国の責任」 東電国有化論は一蹴
2011.4.11 19:01
『東電の経営体制については、原子力の安定供給体制を維持するため「法律に基づき国は東電を民間事業者として全面支援すべきだ」と語り、政府内の一部で浮上している東京電力の国有化論を一蹴(いっしゅう)した。また、福島第1原発の損傷についても「原発は国によって安全基準が定められ、設計、建設されている」と指摘、国の安全基準が甘かったとの認識を示した。
一方、「政治家が国有化という言葉を使っただけで、どれだけ東電の株価が下落したか」と非難。海外にも広がっている放射能の風評被害についても、「もっと正しい情報を発信するとともに、場合によってはWTO(世界貿易機関)に提訴すべきだ」と語った。』(上記URLより)
まあ事故経過の話や放射線の影響についての話も重大な話ととりあえずそんなに慌てなくて良いレベルの話がごちゃごちゃになって出てくるからさっぱり判らないという状態だし、国内でそうならそらまあ海外はもっと大げさになりますわなあ(韓国で放射線量がどうのこうのとか偏西風の影響考えたら福島原発の影響の訳ねえだろってか韓国で騒ぐレベルの放射線量だったら日本人全員死んでるがな)とゆー感じで、全く困ったもんであります。
それから東電の経営がどうのこうのの話については、そもそも枝野さんが原子力賠償法に関連して「国は払わない」とか言い出したのが間違いの始まりであって、この前は菅さんがまた何も考えないで「民間事業者として頑張って欲しい」みたいな発言するし、何がどうなるのかさっぱり判らないままで話だけフワフワと流れ、その間に賠償額が増えそうな話ばかりが続くと言う風になりますと、金融市場の方もいつまでもイライラした状態が続く訳でして、とりあえずどういう風に今後持っていくのかという点についてはフワフワな話じゃなくてキチンとした形を示して貰いませんと先送り大会で済ませられる問題じゃないと思いますけどどうなんでしょうかねえ。
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2011/04/06
まあ各種世間話で勘弁してつかーせ。
○2度目の情報漏洩なのですが・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aZwUJHw_MnLo
福島原発問題で揺れる東京電力、社債は日銀の購入対象に (1)
『入札に参加する金融機関が日銀へ提出した売却希望の社債銘柄について、同行は5日、買い入れ可否の個別銘柄を回答。関係者によると、東電債は、買い入れ可能の銘柄に入っていたという。』(上記URLより)
ちなみに見つからなかったので手打ちしますと、18時07分のブルームバーグ英文ニュースでは『BOJ
Said to Rule Tepco Bonds as Eligible for Auction Tomorrow』とまるで日銀が発表したかのようなヘッドラインを打つという念の入れようであります。
・・・・・えーっとですな、この前も社債買入に関して特定の銘柄が対象外になったというのがニュースになっていたのですけれども、こういうのがニュースとして出ると言うのはそもそも日銀のオペの趣旨に反する話でありまして、1度ならずも2度もこういう形で情報がニュースベンダーに漏洩されるというのはさすがに大いに問題があると思われますし、ちゃんと漏洩ルートを調査して該当するオペ参加者に対してオペ参加資格を停止すべきレベルの問題であろうかと存じますが。
つまりですね、日銀のオペというのはあくまでもマクロ的にリスクプレミアムを縮小させるという意図で実施するものであって、このように個別銘柄の名前が思いっきり報道というような形で出てきて、「日銀の買い入れ対象か否か」というような事が投資判断や与信判断に影響を与える、となりますと、日銀が個別企業に対する資源配分に影響を与えるということになってしまう訳でして、それは企業金融関連の買入オペレーションを実施した時の2009年1月22日における公表文に思いっきりありますよね。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2009/un0901d.pdf
企業金融に係る金融商品の買入れについて
『3.実施に当たって留意すべき事項
(1)個別企業への恣意的な資金配分となることを回避すること』
その為にオペで買入を行うかどうかという事に関しては買入対象銘柄をオペ先に対して示すような形ではなく、あくまでも個別お問い合わせが来た場合にお答えする、という形式を取っているはずでありまして、まあ今回は前回の事案と違って「買う」方なのでまだマシっちゃあマシですけれども、「買う」という方だって言うなれば「日銀お墨付きリスト」みたいな扱いになってしまうとそれはそれで問題がありそうな話でしょ。つまりこういう個別銘柄がどうしたこうしたというのが報道機関でホイホイ報道されるというのは、日銀のオペの趣旨を理解していない上にオペの政策目的を阻害するものでもある、ということになると思われますので、情報漏洩したオペ参加先に対して参加資格の停止などを考えるべきレベルの問題ではないかと思われますがどうでしょうかねえ。
つーか記事にしたブルームバーグの記者も日銀のオペの趣旨理解してない訳で、これで金融関連記事書くとかアホか馬鹿かという所でありまして、日銀の公表文書を百万回読み直してから出直した方が良いのではないでしょうかねえ。
○東京新聞に絶望
昨日の東京新聞の社説を見て呆然。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011040502000053.html
【社説】震災復興策を考える 青写真と手法を早く 2011年4月5日
『◆日銀は国債引き受けを
国債の日銀引き受けを禁じ手とする意見がある。財政法は国会議決があれば引き受けを禁じていない。実際、日銀は財務省と合意のうえで償還期限が到来した保有国債について毎年、借換債を引き受けてきた。それでインフレになったわけではない。二〇一一年度も一一・八兆円を引き受ける。』
えーっとですね、財政法がどうのこうのだから禁じ手なのではなくて、歴史的に中銀の財政マネタイズを一旦実施すると歯止めが効かなくなって財政インフレが起きて国民厚生的に誰も得をしないことが起きるからなんですけど、というのは兎も角として、どう見てもアホとしか思えないのは後半部分であります。
つまりですね、確かに日銀って引受の実施してますけど、それは買入等によって日銀が保有している国債の償還期限が来た時に行う償還乗り換えであって、その買入する国債は「割引短期国債」ということで「1年で償還になる」ものであって、復興財源として発行する中長期国債とは全然話が違うものなんですけれども、その辺の背景を全部無視してあたかも日銀が中長期国債の引受を行っているように説明するのは、知らないのであれば不勉強にも程がありますし、知っているのであれば悪質なインチキ説明にも程がある、ということですわな。
ちょっと日銀のHP探せば直ぐに出てきますが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2010/mpo1012a.htm/
平成23年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受けおよび平成23年度における国債買入消却への対応に関する件
『1.平成23年度中に償還期限の到来する本行保有国債(以下「償還期限到来国債」という。)の借換えのための引受け(以下「借換引受け」という。)にかかる取扱いについて、
「対政府取引に関する基本要領」(平成11年3月26日決定)2.の規定に基づき、次のとおり定めること。
(1) 償還期限到来国債のうち、利付国債額面総額11兆8,000億円については、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。
(2) 償還期限到来国債のうち、「平成22年度中に償還期限の到来する本行保有国債の借換えのための引受けに関する件」(平成21年12月24日決定)1.に基づき借換引受けを行った割引短期国債については、償還期限到来国債である利付国債の額面総額が(1)に定める金額を下回ることになると認められる場合に限り、当該差額につき、割引短期国債をもって、借換引受けを行うこと。
(3) (2)の借換引受けの要否については、総裁が決定すること。』
ということで、基本的には償還来た中長期国債を1年物割引短国で引き受けて、その償還が来た場合に1度だけ再乗換の可能性が限度付きであります、というだけの話で、「償還乗換」で引き受けた国債はあっという間に償還になってしまうのであって、復興目的で出す中長期国債の引受論議とは全然違うレベルの話であります。
しかも東京新聞のさっきの社説の続きでは、その「市中を通さない新発中長期国債の引受」と「一旦市中消化という形で市場メカニズムを通してからの買入」の差が無いような話をしていまして、いや今までは経済記事に関してはどっかの経済クオリティーペーパーなんかよりも比較的まともなことを書く新聞だと評価しておったのですが、日銀引受に関する部分での壊滅的なクオリティ(そこまでの話はそう無茶ではないのだが)に正直絶望したので購読やめるかねと思う今日この頃でありました。
『日銀が財政出動に伴う円高を避けるためにも、引き受けか市中国債の買い入れ増額を決断する。いまは、それほどの非常時である。』
・・・・・つーか財政出動したら財政悪化懸念ネタで円安アタックの材料を与える可能性はあっても円高になるという話は意味がさっぱり判りません。
○10年入札は順調でしたが・・・・・・
昨日の10年国債入札は朝から10年1.30%でスタートして10年には何か買いも入っていたものの、前場は株安円安で債券安な上にイールドカーブはベアスティープとか非常に気分の悪い相場付き。
でも10年国債入札は前場引け1.305/1.310の気配に対して1.303/1.305と結構堅調な結果となりまして、その後も強くて一時1.260/1.265くらいまで強くなるという中々結構な展開。
まあ期初一発目の長期国債入札で、これがコケルと更に気分的に萎える所でありましたが、まあそもそもの需給面で言えば期初の残高構築が必要な人たちがそれなりにいる(震災の影響で先月は動けなかったですから残高構築が遅れ気味)というのもあって、更に水準が1.30%まで来たのですから普通なら堅調な入札になるというその普通の展開になって誠に慶賀すべき事であります。
ただまあ昨日も昨日で超長期がどーもぱっとしませんでして、これってまあ単に国債増発の需給悪化懸念というよりは、やはりこれは民主党政権に対するリスクプレミアムへの意識が高まってきている、としか思えないのですけどどうでしょうかねえ。東京電力に関する問題もそうですし、日銀引受の話がこうホイホイと出て来るとか、どうもこの民主党政権は「常識的な落とし所」というのが良く判っていない節がありますし、更に言えば金融市場とか判って無いわな、というのは驚愕の菅首相の「デフレ宣言」を見た時から良く判っていた積りですが、この非常時になってそれが明白にリスクプレミアムとなって出てきているという所ではないでしょうか。
昨日もこんなのありましたけどね。
http://www.mbs.jp/news/jnn_4692590_zen.shtml
鹿野農水相、汚染水放出「大変遺憾だ」
『鹿野大臣は、「水産関係を預かっている農水省に対して、事前の通告はあってしかるべき」との認識を示し、海江田経済産業大臣に対して東電の姿勢をただすよう求めたことを明かしました。』(上記URLより)
・・・・・・東電に文句言うんじゃなくてお前の閣内の連絡不行き届きを反省するのが筋だとしか思えないのですけれども、てめえらの不手際を人のせいにするとかいうような当事者能力の無い人たちがトップにいるというのが今の国内金融市場の最大のリスクプレミアムである、としか思えんわけで、最近どうもトリプル安みたいな日がちょくちょくありますが、見ていて非常に精神衛生上宜しくないこと夥しいです。
ということで今日は世間話大会で恐縮至極でありました。
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2011/04/01
お題「本日は予定を変更して各種悪態シリーズでお送りいたします」
昨日の訂正ですが、東電への融資で「メガ4行」と書きましたが、まあ引用元のURLを見ればお分かりのように「メガ3行」(みずほではCBのみの参加でBKは参加せず)の間違いでした。深くお詫びして訂正しておきましたです。
さて、本当は昨日の続きで溜まっているFED観察大会でプロッサークオリティの見学会をする予定でしたが、期末だというのにトサカに来るニュースが昨日は続出致しましたので、頭から湯気を出しつつ悪態でござるの巻とさせていただきたく存じますので、予定しておりましたお話は後日。
ちなみに今日は4月馬鹿ですがその手のネタは全くございませんので念の為申し添えます。
○日経新聞の震災国債引受報道
昨日は後場途中から上値重いですねとか思っていたら引けに掛けて先物は下がるわ10年カレントは妙に重いわとなって妙な相場展開に。復興対策に関するニュースが出ていたのは出ていたのですけれども、良く良く見たらしらっと「国債を日銀引受」とかある次第で、前回産経が書いた時には市場は完全スルー状態でしたが、日経が書いたというのとその記事にあるのが何と「政府が」という事ですので、じわじわと効いて来たというのもあるでしょうし、ガイジンさんあたりが食いつきそうな所でもあったので、まあ単に月末のオペレーション絡みの下げかもしれませんけれども、引けの雰囲気の悪いこと夥しい訳で。
日経のWeb版の記事はURLがクソ長くて困りますが、当該記事はこちら。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E1E3E2E3E58DE1E3E2E1E0E2E3E39F9FE2E2E2E2
(記事の後半は有料会員のみでありますので記事全部は知らん)
『復興財源を確保するため、復旧復興特別税の創設や震災国債の発行、日銀引き受けの検討を打ち出した。』(上記URLより)
・・・・・と言う訳で市場で消化できますがなと言ってるのにも関わらず日銀による直接財政マネタイズを検討というのが出まして、後場終盤に相場が弱含みになって引け際ストンと先物とかが下がったのは日経記事だからという事で先般の産経新聞の話と比べたら何となく事実っぽい話と捉える向きが多くなるわなという点からも不思議ではありません。
いやこれが期末の月末(まあ期末なら月末ですが^^)で皆さんポジション固めた後のニュースだからあんまり反応してませんでしたが、もし10年入札の日だとかだったらそれこそ10年入札が札割れになってもおかしくないレベルの話でございますわな、何せ「政府が財政マネタイズを決定」みたいな記事ですからねえ。
・・・・と思ったら引け後のニュースヘッドライン(あたくしはブルームバーグニュースで見たのですが)に枝野官房長官が会見か何かで「震災国債の日銀引受を政府で検討していると言うことは無い」と否定していたというのがあったのでイブニングセッションで債券先物の売りは一旦止まった風情でありました。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a0rIFthzL.xM
枝野氏:政府の決定や検討開始を否定−震災復興で日銀の国債引き受け
えーっとですな、さっきのURL先の記事冒頭には思いっきり『政府が東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している基本法案の素案が31日、明らかになった。』という風に「政府」方面からの情報という触れ込みで記事が書いてあったのでありますが、政府の中枢そのものであります所の枝野官房長官が思いっきり否定している中で政府の検討している素案で日銀引受の話がでるとか意味が判らないんですけど。
いつもだと月末明けって10年長期国債の入札があったりするのですが、今月は今日の入札は3か月短国で、10年の入札は来週火曜日なのが不幸中の幸いでありまして、もし今日10年国債入札で枝野さんの明確な否定発言が無かったら入札が札割れしてもおかしくないような話ですし、そうなったら「リスクプレミアムの拡大」という経済ファンダメンタルズと別の世界での長期金利上昇が発生して復興どころの話じゃなくなるのでございますけれども、この記事書いた日経新聞の記者と、日経の取材源の「政府筋」だか「政府関係筋」だか何だかしらんがその取材源ちょっと出て来いやという感じであります。言論の自由か知らんが、中銀による財政マネタイズなんて一番デリケートな話題を話がフワフワの状態の中で決定事項のように報道する(枝野官房長官の発言が正しいと仮定してのことですが)とか、日本の運命を筆のおもちゃにして遊んでるんじゃねえこの国賊どもがという所でありまして、お前らただの飛ばしだか願望記事書いてやがるんだったら今すぐ揃ってこの場で腹(以下激しく自粛)としか申し上げようが無い次第であります。
つーかよ、こんなデリケートな問題で飛ばし記事書く(枝野官房長官の発言が正しいと仮定してのことですが)とか言論人としての資質を疑うレベルの話であって、まさに何とかに刃物といった風情であり、まあ腹を(自粛)で済むだけではなく、地獄の火の中(以下自主規制)であると存じます。
○要するに選挙目当てに財源が欲しいんですかそうですか
で、別に市場の片隅で生息する無力チンピラ参加者のあたくしだけでなく、ちゃんとした市場参加者の皆様に置かれましても、別に単発の復興支援で国債の増発があってその増発が野放図に拡大するのでなければ普通に市場が消化できるし、そもそも現在国債をしこたま市場消化しているのであって、それが10兆やそこら増えたからと言って破滅的な金利上昇を招く訳でも何でもないという話は折に触れて発信されておられるかと存じますが、それにも関わらずわざわざこのタイミングで国債の日銀引受をしろ、という話が出てくるとなりますと、こちらとしてはその人たちの意思を小見出しのように感じてしまいますがなと思うんですけどどうでしょうか。
時あたかも統一地方選挙の前半戦スタートとなっている中で、復興関連名目でとにかく色々と財政支出したい、となっているので国債発行の規律がどうのこうのとか文句を一々言う小姑みたいな「市場」とやらを通さないで、日銀という打ち出の小槌が欲しいから国債引受って話をするんですね、と金融市場の人だったら一般的にそう思うと存じます次第でありまして、こういう話が与太話レベルじゃなくて実現性のありそうな話で出てくるという時点で民主党政権の財政問題に関する認識の浅薄さが現れている訳ですよね。「財金分離」とか言って武藤副総裁の総裁就任を拒否した民主党がいざ自分たちが政権取ってみると財政を打ち出の小槌にして選挙民の歓心を買いたいとかもうここまで来ると民主党全員(自主規制)とか思うのでありまして、ふざけるんじゃねえこの(自粛)とか存じますがどうでしょうかねえ。
○そしてここを先途と自己アピールする馬鹿がカオスに拍車を掛けると
でまあメディアっつーのは一面で「目立ってナンボ」的な部分もありまして、特にまあニポーンの場合は広告収入で食うというビジネスモデルが幅を利かせておりますので、とにかくこの危機モードで目立つニュースをしたり目立つ意見を吹聴したりという事によって自己アピールしようという輩がのさばって、混乱に拍車を掛けるような言説が罷り通るようになるという流れがあちこちで散見される訳であって、そういや日経って昨日は朝刊1面トップの日産自動車さん関連記事が思いっきり日産自動車さんから否定されていましたと存じますが、何か目立とうとして報道機関としての基本的な部分がどこかに飛んでいるんじゃねえかと。
更にどうように目立ってナンボみたいな意識をお持ちの方が多い民主党あたりの政治家の皆様(野党時代からのあのパフォーマンス癖は全く治りませんわなあ)がドヤ顔でしゃしゃり出てきてこれまた余計な事をしやがってみたり、兎に角目立ちたい&歓心を買いたい一心で後先の事を考えているとは到底思えないパフォーマンスを図る訳で、混乱を利用した火事場泥棒みたいなのが多すぎで全くトサカに来ること夥しい訳でございます。自分がアピールする為には混乱を煽る事を厭わずとか端的に言ってしまえばそんな馬鹿こそ(以下超自粛)。
で、まあそういう目立ちたがりの総本山が政権与党というのが更にトサカに来るわけでありまして。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=atJbOfGb.LEQ
民主:日銀は金融緩和の適切・機動的な実施を−復興策で部門会案(2)
ブルームバーグでこの記事のヘッドライン見たときに椅子から落ちそうになったのですが、日銀は追加緩和の実施に金融市場の動揺を防ぐための渾身の資金供給実施など、おまえらがしょうもないスタンドプレーに終始する間に色々とやっている訳で、お前が言うなという言葉がここまでしっくり来るニュースも無い、と昨日の午前中にこのニュース出て昨日はそもそも朝からトサカに来る状態だった訳ですが、その後にさっきの日経飛ばしニュースですから悪態ゲージも上がるというものでございます。
○それにこんなニュース出たら日銀が国債買入増やしにくくなるじゃねえか
それからね、まあ枝野官房長官が言うように今回のこの日経新聞の記事が具体性の低いやわらかい状態の話を思いっきり確定のように飛ばした日経記者の飛ばしだったとしてもですよ、こういうニュースが一旦出てしまうと、日銀が国債の買入を拡大しようとか、資金供給オペを拡大して短期金融市場で資金じゃぶじゃぶにしましょう等というような事をやると、一々それが「財政マネタイズ」と関連付けて思惑を呼びやすくなるのですから、そういう文脈からしても今回のこの記事書いた奴ちょっと出て来いやゴルァと思うわけですよ。
いやね、実は今月の(2回実施される)決定会合あたりで国債増発が来る前に事前に基金国債買入の拡大を決定するかもしれないなあとかちょっとだけ予想していた(本当)のですよあたくし。以前も麻生政権の時に経済対策の補正予算の話が出る直前に日銀は輪番オペの拡大を行った実績があるので、そういう前例からも「財政マネタイズと関連付けられないようなタイミング」での国債買入拡大(国債増発したら短期金融市場の資金バランス的にはある程度長めの期間の国債を買ったほうが金融調節がやりやすくなる)というのは大いに可能性があったのですが、今回の日経の与太記事(枝野官房長官の発言が以下同文)によって日銀の基金国債買入(なり輪番なり)拡大や、先般決定した基金買入の前倒し実行辺りまでもが「財政マネタイズ」として連想されやすくなるリスクが高まっている訳ですから、このお馬鹿記事(枝野官房長官以下同文)によって望ましい政策(とあたくしは思っていますが)の遂行を妨げるという、これを国賊と言わずして何を国賊と言おうかという記事でもある、というのが今回の記事であろうかと存じます。
○まあ要するに現政権の統治能力の問題じゃねえのかと
大体からしてよ、「政府が決定」みたいな書き方で滅茶苦茶デリケートな財政マネタイズの記事が思いっきり出たと思ったら官房長官がすかさず否定。しかもその元記事書いているのがそこらのチンピライエローペーパーじゃなくて日本を代表する経済クオリティペーパーとか言う時点でこの政権の情報発信能力とか情報管理能力とかどうなっているんだと小一時間問い詰めたい次第でありまして、タガが外れているというよりはもうゆるふんのフンドシが落ちてモロ出し状態になっているんじゃないのかという位の情けない状態だと思わざるを得ないのが悲しいところであります。まあ頭のタガはとっくの昔に外れて脳味噌がダダ流れになっているのかも知れませんが。
まあ大体昨日も悪態成分が入りながら書いたけど、東電の話だってこの非常時に感情論を交えながら賠償が無限に増えそうな勢いの話が出てみたり、国有化云々とか思いっきりデリケートな問題で何か煮詰まっていない話で金融市場に燃料とうかを連発したりとやっている訳でして、政権全体として統治能力が問われる状態になっており、それはつまり各種のリスクプレミアムが拡大する、という形で国民厚生的に誰も得しない展開が更に拡大しているのではないかと思う次第であります。
大体からしてこの政権、トップからして発言がなってない訳でして。
http://www.asahi.com/politics/update/0331/TKY201103310499.html
菅首相、原発新増設の見直し検討 東電存廃も議論へ
おいおいおいおいおい、東電「存廃」って「廃」なんて選択肢があるのかよ冗談にも(以下罵倒文言が続くため自主規制)という所でありますが、何せ『東京電力福島第一原発の事故にめどがついた段階で、同社の存廃を含む国内電力会社のあり方を議論する姿勢も示した。』(上記URLより)という他の電力会社まで話がでるのかよと読めてしまう恐ろしく不用意な発言をしておられるようでございますので、さすがに枝野官房長官が火消し会見をしていましたな。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aR1gpPS4Ksm4
枝野氏:東電には電力供給の責任、政府も支援、在り方議論は尚早
まあ菅さんも別に東京電力を法的にこかすような意味で喋ったのでは無いと思いますが、そもそも論として下手な解釈をされるような物の言い方をする事が既に危機管理がなっていないにも程がある訳で、特に金融市場なんて欲豚の集まり(あたくしもワンオブ欲豚)の世界は、欲豚なだけに欲にまみれた上に臆病者と来ていますから、ちょっとした不用意な発言でもその一部を捕らえて右往左往するものであり、市場にストレスが掛かっている時にはその右往左往が市場の自己破壊に繋がる場合だってある訳で、まあ端的に言えば能が無いならそこで黙って座ってろという風情でありまする。
で、枝野さんもちょっと何だかなあというのが昨日の東京新聞朝刊であったのですけどね。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011033102000034.html
東電会長 1〜4号機 廃炉明言
2011年3月31日 朝刊
『一方、枝野幸男官房長官は同日の記者会見で「客観的状況は明らかだ。社会的な見方はかなりはっきりしている」と述べ、1〜4号機だけでなく、隣接する5、6号機も廃炉になるとの認識を表明。勝俣会長と異なる見解を示した。』(上記URLから)
周囲の汚染状況から5、6号機の運転は難しいとでしょうし、そもそも設備が老朽化してたらリスクあるわなと素人考えではあたくしも思うところでありますが、その廃炉にすべきか否かって話は「社会的な見方」じゃなくて「技術的な見方」で決定されるものであって、社会的な一時の感情論でどうこうするものではないと思うのであります。どうも枝野さんも発言そのものにはあまり安心感が無い人だなあと思う(そもそも東電の賠償がどうのこうのの話を盛り上げたのは枝野さんな訳ですし)のでございまして、「政治主導」「政権交代」で熱狂した(あたくしはご案内の通り口を極めて悪態ついてましたが)結果がこれですかと思いますと実にこう暗澹たるものを感じざるを得ない今日この頃でございます。
・・・・つーかさ、もうそろそろ市場は怒って10年国債入札とか札割れにでもした方が良いんじゃないかとか思うようになって来る位あたしゃトサカに来てもう頭から湯気シュシュポポ状態になっているんですけどねえ。
○と、トサカに来ているあたくしに追い討ちを掛ける嫌がらせタイミング格下げ発生
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a109n5xN5240
ムーディーズ:東京電力をBaa1に格下げ、格下げ方向での見直し継続
まあ一応格付けアクションに関わるリリースは読ませて頂きましたのでそれはそれと致しまして、何がトサカに来るってこのリリースが昨日の夜7時半過ぎに実施されている事であります。
つまりね、期末営業日の通常のトレード終わった後に3ノッチの格下げを敢えてリリースするとか、どう見ても嫌がらせというかテロ状態のタイミングでして、ただの週末程度ならまだしも、日本の多くの金融機関や企業の決算締めのタイミングをわざわざ狙うとかどうもこの会社は日本は焼畑農業の焼畑とでも思っているのではなかろうかという所でございます。しかも1兆9000億円の融資が出て(確定ニュースは見ていないけどMoody's社のリリース見てると今回融資が出た事を前提にしているような分析になっているっぽい)財務ポジションが改善したタイミングで売ってくるとかどういう嫌がらせなのよと。
どうせ一昨日とかにリリースしたら発行体の方から依頼格付取下げ攻撃が来るから期末の逃げられないタイミングを狙って3ノッチ格下げ攻撃とかどう見ても格下げテロです本当にありがとうございましたという所ですが、まーここは欧州ソブリンとかBPとかの格下げの時にも嫌がらせのようなタイミングでリリース打って来るというのが最近の仕様なので、これが最近のMoody'sクオリティなのですが、この会社も何か「目立ってナンボ」みたいな行動原理で動いてるんじゃねえのと問い詰めたくなる次第であります。
ただまあリリースの内容を見るとその中で政府のサポート体制がどうなっているのかさっぱり判らないのがリスクというような趣旨と思われる背景説明がありまして、まー要するに事業リスクというよりは政治リスクを織り込んだ格下げなんでしょうなあとは思いますが、そんなの別に3月31日じゃなくても判ってる話でありまして、わざわざ期末の夜7時過ぎ(以下同じ悪態が続くので割愛)。
そういう意味では統一地方選挙やってていつも以上に政治方面のポピュリズム的スタンドプレーが出易い今日この頃でありますので、政治リスクが更に顕在化しやすい時間帯にあるのが非常に懸念材料、と言ってしまえばそうですなという所でありますが、火事場泥棒の跳梁跋扈は止まらないのでありまして極めて遺憾でございます。
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