海外金融政策概観(2013年度上期前半)
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FRBやBOEを中心に趣味成分が高いですが、海外中銀のペーパーや講演などをフォローするのだ。
2013/06/28「ダドリー総裁講演がハト派的な発言と見なされ反応して居たが必ずしもそういうだけの話では無い」
2013/06/27「GDP改定値が大幅下方修正で米国株高債券だかねえ/相次ぐ連銀幹部高官発言」
2013/06/26「中国では流動性でひと騒ぎ/バーナンキ会見から(その3)金利と量を別にして説明」
2013/06/25「米国10年債2.66%キタコレ/各地区連銀総裁から次々と発言とな」
2013/06/24「各連銀総裁などが色々と発言/記者会見から(その1)」
2013/06/21「FOMCレビュー雑談」
2013/06/20「FOMC声明文・SEP・総裁会見冒頭説明から」
2013/06/19「FOMCプレビュー雑談/ドラギ総裁講演から」
2013/06/11「ドラギ総裁記者会見から」
2013/06/10「ドラギ総裁記者会見より(予告編)」
2013/06/07「ECBは据え置きで追加措置について踏み込まない、というかやるにしても企業向け措置とかじゃネーノ」
2013/06/05「ローゼングレン総裁講演(その2)買入ペース減額に至るロジックがイマイチつかみにくいのでした」
2013/06/04「ハト派のボストン連銀ローゼングレン総裁も「数か月以内に買入ペース減額の必要性」を言及/アトランタ連銀ロックハート総裁もTaperingに言及(メモ)」
2013/06/03「FOMC議事要旨から(その2)物価に弱気、労働市場には比較的楽観」
2013/05/31「FOMC議事要旨から(その1)」
2013/05/27「バイトマン総裁が日銀をDisってるとな」
2013/05/23「バーナンキ議会証言とFOMC議事要旨からちょっとだけ」
2013/05/22「ダドリーやブラードも発言とな/コチャラコタ総裁は「安全資産の不足」ビューに言及」
2013/05/21「SF連銀ウィリアムス総裁5月講演もロジックは労働市場改善見通しでQE縮小へ」
2013/05/17「SF連銀ウィリアムス総裁のQE早期縮小講演が話題なので先月の講演ねたをお蔵から出す」
2013/05/16「キング総裁最後のインフレーションレポート会見から少々」
2013/05/14「バーナンキ講演続き:注力してモニタリングする4点のポイント」
2013/05/13「バーナンキ議長がマクロプルーデンスの重要性を強調した講演ですよ!!」
2013/05/08「ECBドラギ総裁会見ネタ続き」
2013/05/07「ECBは利下げ実施&ABS市場へのテコ入れを検討へ」
2013/05/02「4月30日&5月1日FOMC声明文は景気判断を上げながら資産買入に関して両にらみ文言を追加」
2013/04/26「BOEキング総裁講演より」
2013/04/25「FLS延長&中小企業貸出の振興措置拡大」
2013/04/23「4月BOE議事要旨より:資産買入政策の論点など面白いです」
2013/04/17「3月FOMC議事要旨より(その2)景気見通しはさほど強くない中で資産買入は別という事のようです」
2013/04/16「3月FOMC議事要旨より(その1)資産買入拡大ペースを緩める話が多いのですが」
2013/04/04「3月FOMC後会見より(その4)財政引き締めの影響を懸念」
2013/04/01「3月FOMC後会見より(その3)主に資産買入に関する部分から」
2013/06/28
○ダドリー先生の火消しキター!ではあるが過剰反応も禁物ではあったりするような希ガス
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MP262H6S973401.html
NY連銀総裁:経済成長が予想下回れば量的緩和を延長も
更新日時: 2013/06/28 01:05 JST
『6月27日(ブルームバーグ):ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、経済の成長ペースが金融当局の予想を下回った場合は資産購入プログラムを延長する可能性があると述べた。』(上記URLより)
キタコレ!と思う訳ですがこういう時はちゃんとテキストに当たらないと「ベンダーのストーリー作成バイアスによるヘッドライン詐欺」に引っかかる可能性がありますので特に注意が必要です。
つーことで。
http://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2013/dud130627.html
Are Recent College Graduates Finding Good Jobs?
June 27, 2013 Printer version
William C. Dudley, President and Chief Executive Officer
Remarks at the Regional Economic Press Briefing, New York City
でまあ寝起きで全部読むのは無理ゲーなのでそれらしいところをまずピンポイントで読む(というか引用)のであった。とりあえず『National
Economic Conditions』の後半である。
『At its meeting last week, the FOMC decided to continue its accommodative
policy stance. It reaffirmed its expectation that the current low range
for the federal funds rate target will be appropriate at least as long
as the unemployment rate remains above 6.5 percent, so long as inflation
and inflation expectations remain well-behaved. It is important to remember
that these conditions are thresholds, not triggers.』
まず最初に「金利政策」を説明する辺りに「火消しモード」感がありあり。そういや毎度あたくしthresholdsをスレッドショルドと申し上げていますがちゃんと英語を読むとdはないのでスレッショルドと言う方がどう見ても正しいですな(大汗)。
『The FOMC also maintained its purchases of $40 billion per month in agency
MBS and $45 billion per month in Treasury securities, with a stated goal
of promoting a substantial improvement in the labor market outlook in a
context of price stability.』
で、その次に資産買入拡大を労働市場のsubstantial improvementを見通せるまで継続するという決定をしました(キリッ)とステートメントの説明をしておりますな。まあ問題はそこではなく逆さ絵の説明ではあるのですが・・・・・・・・
『In its statement, the FOMC said that it may vary the pace of purchases
as economic conditions evolve.』
さよですな。
『As Chairman Bernanke stated in his press conference following the FOMC
meeting, if the economic data over the next year turn out to be broadly
consistent with the outlooks that the FOMC sees as most likely, which are
roughly similar to the outlook I have already laid out, the FOMC anticipates
that it would be appropriate to begin to moderate the pace of purchases
later this year.』
ということでここで逆さ絵先生の今後のペースに関するお話が出ているのですが、そこに関しては別に文句垂れている訳でも無く、私が既に示したような経済見通しはFOMCが考える経済見通しと似ておりますが、その通りでしたら逆さ絵先生が申し上げたような感じでQE3のペースを縮小しますぞなもし、という説明は普通にしているのがチャーミング、つーかNY連銀だから当たり前だが。
『Under such a scenario, subsequent reductions might occur in measured
steps through the first half of next year, and an end to purchases around
mid-2014. Under this scenario, at the time that asset purchases came to
an end, the unemployment rate likely would be near 7 percent and the economy’s
momentum strengthening, supporting further robust job gains in the future.』
ということでここも逆さ絵先生の説明をそのまま踏襲しております。
『Here, a few points deserve emphasis.』
で、幾つかのポイントとして強調したい事があります(キリッ)ということで説明キタコレ!
『 First, the FOMC’s policy depends on the progress we make towards our
objectives. This means that the policy-including the pace of asset purchases-depends
on the outlook rather than the calendar.』
あくまでも経済の状況次第であってdata dependentだよというのを強調しています。
『The scenario I outlined above is only that-one possible outcome. Economic
circumstances could diverge significantly from the FOMC’s expectations.
If labor market conditions and the economy’s growth momentum were to be
less favorable than in the FOMC’s outlook-and this is what has happened
in recent years-I would expect that the asset purchases would continue
at a higher pace for longer.』
「and this is what has happened in recent years」って所で盛大にペパーミント茶を吹いてしまいましたが(^^)、今考えているシナリオ通りでは無い場合はそらこの前逆さ絵が言ってた通りの展開にはならん罠。という説明をしております。
まあ火消しは火消しではあるのですが、良く良く考えてみると(前半の見通しをもうちょっと真面目に読んだ方が良いのですけど今回は手抜きでさっきの「ワシの見通しはFOMCの中心見通しとほぼ同じ」というのを真に受けておく)「経済がダドリー先生的に現在想定している見通し通りに進行すればこの前逆さ絵先生が説明したシナリオに沿って資産買入ペースを縮小するのは適切」という話が本線にある訳で、別にFOMCの本線シナリオをdisっている訳では無いのでその辺は過大評価(つまりダドリーがハト派シナリオを提供したぜ金融相場継続ヒャッハーと直接的に反応するという事ね)しない方が良いと思いますがどうでしょうかねえ。
『Second, even if this scenario were to occur and the pace of purchases
were reduced, it would still be the case that as long as the FOMC continues
its asset purchases it is adding monetary policy accommodation, not tightening
monetary policy.』
これまたいつもの理屈でして、資産買入のペースが落ちたとしても買入が拡大している間は緩和は拡大しているのであって、資産買入ペースを落とすから金融政策を引き締める訳では無いですよ、というお話ですな、うんうん。
『As the FOMC adds to its stock of securities, this should continue to
put downward pressure on longer-term interest rates, making monetary policy
more accommodative.』
でまあ資産買入を拡大すると金利に下方圧力ガーという話ですが、これに関しては先般ネタにしましたように逆さ絵先生の会見(のネタが途中でしたなすいません週末に整理しておきます)でも盛大に「おめー金利上昇してんじゃねえかこのハゲ」などとツッコミを食らっていた訳で、この話を今後どのようにフェードアウトするのかというのが難しい所ですが、先般の逆さ絵先生の会見での説明は良い金利上昇キタコレでしたな、あっはっは。
『Third, the Federal Reserve is likely to keep most of these assets on
its balance sheet for a long time. As Chairman Bernanke noted in his press
conference last week, a strong majority of FOMC participants no longer
favor selling agency MBS securities during the monetary policy normalization
process.』
すいませんこの部分をまだ会見ネタとしてやっていないのですが(大汗)、MBSに関しては正常化プロセスの間でも売却はしないですという説明をしたり、バランスシート全体に関しても性急な縮小をしない、という説明をしていますので、この部分を強調しているのですな。
『This implies a bigger balance sheet for longer, which provides additional
accommodation today and continuing support for mortgage markets going forward.』
したがって(買入のストックビューという観点と、現在行っている買入の拡大というフロービューも踏まえての説明になる訳ですが)MBS市場に対しては緩和的な状況が継続しますよ、というのを説明しております。
ただまあ何ですな、出口政策というか正常化プロセスにおきまして「ペースをゆっくりと行う」ことが出来るようになるというためにはその裏側として「経済を無駄に吹かし過ぎないようにしないといけない」というのもある訳ですよ。つまり金融緩和によって経済をやたらめったら吹かしてしまいますと、当然ながらそれを抑制するためには正常化プロセスを早くしないと行けなくなる訳ですから、そこの部分と整合性を取るためにはやはり現状の「放っておくとドンドン緩和規模が拡大する」というオープンエンドの資産買入拡大政策というのはあまり上手く無いという話になるのでして、経済コケれば勿論別でこのまま買入ペース継続なんでしょうけれども、そうじゃなかった場合の買入拡大規模縮小(バランスシートの縮小ではありません)って普通にやってくるでしょという事になるような気がするのですがどうでしょうかね。
もちろんそのバーターとして金利の引き上げ時期とか引上げペースが遅くなるということで、要は出口政策に向けたアプローチを「極めて漸進的に行う」という代わりに「漸進的にするためには逆に緩和拡大を引っ張り過ぎない事が大事」という話になるという事ですな。まあ合ってるのかどうかは知らんけどそうなるように見えるんだが。
『Fourth, even under this scenario, a rise in short-term rates is very
likely to be a long way off. Not only will it likely take considerable
time to reach the FOMC’s 6.5 percent unemployment rate threshold, but
also the FOMC could wait considerably longer before raising short-term
rates.』
金利引き上げの時期やそのペースはずっと先ですよ、という説明をしているので、まあ先程申し上げたような想像というか妄想が働くのでありますけどねあたしゃ。
『The fact that inflation is coming in well below the FOMC’s 2 percent
objective is relevant here. Most FOMC participants currently do not expect
short-term rates to begin to rise until 2015.』
ということで利上げはまだまだ先でっせという説明ですな。物価が暫く2%より低めで推移するという説明も入れているのがチャーミング。
『Some commentators have interpreted the recent shift in the market-implied
path of short-term interest rates as indicating that market participants
now expect the first increases in the federal funds rate target to come
much earlier than previously thought.』
で、この部分の最後は市場動向、というか市場の解釈に関するコメントキタコレなのでありまする。
『Setting aside whether this is the correct interpretation of recent price
moves, let me emphasize that such an expectation would be quite out of
sync with both FOMC statements and the expectations of most FOMC participants.』
「such an expectation would be quite out of sync with both FOMC statements
and the expectations of most FOMC participants.」とか中々お洒落な事を仰せですが、つまりお前らFF金利の早期引き上げまで先走って動いてるんじゃねーよという解説を最後にわざわざしているのが大変にチャーミング、ではあるのですけれども、まあこの辺の「量と金利は別」というロジックで迫るのも中々市場的には難しい部分があって、このあたりってまさに日本の量的緩和政策の地均しモード時代のコミュニケーションを彷彿させるものがありますが、この前も申し上げたように当時の日本と比べた場合の違いを考慮に入れると暫くはああだこうだと振れるんでしょうなあと思うのですけどどうっすかねえ。
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2013/06/27
○GDP弱くて株高とな(米国)&引き続き火消し・・・・・・なのか???&米国中期金利の動きに関する雑考
ワロタ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MP0OIG6S972J01.html
米国株:続伸、GDP下方修正で緩和継続の観測
更新日時: 2013/06/27 05:25 JST
まあGDP以外の要因もあると思うのですけれども、GDP下方修正→金融緩和継続→ヒャッハーって形で株が上昇しちゃいますとこの前の会見で金利上昇の要因について「景気に対する強気な見方によるものもありそれは悪い話では無い」みたいなことを言っていた逆さ絵おじちゃんねえねえどんな気持ちどんな気持ち(AA略)という所ですな。
しかしまあ何ですな。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MP0M356VDKHW01.html
リッチモンド連銀総裁:数年間は失望する成長が続く見通し
更新日時: 2013/06/27 04:46 JST
『6月26日(ブルームバーグ):リッチモンド連銀のラッカー総裁は「この先数年間」は米国の成長が「低調」に推移するとの見通しを述べ、朝方発表された第1四半期(1−3月)の国内総生産(GDP)が下方修正されたことは想定内だと続けた。』(上記URLより)
リッチモンド連銀のラッカー総裁と言えば昨年1年間「ラッカー怒りの反対」でFOMCを賑わせた訳ですが、そのラッカー先生も景気の見通しに弱い話をするというのがへーという所でありまして、何か逆さ絵先生が威勢よくQE3規模縮小の日程をぶち上げたのに何がどうなってこういう展開になるのかが益々謎になるFOMCなのでありました。
こーゆー時は実は議事要旨を見るとまたまた「あれ?」というような展開が待っている可能性が高いというのが有り勝ちな話でございまして、これはちょっと今回のFOMC議事要旨は相当真剣に読んでインプリケーションを引き出す必要があると思います。
で、その議事要旨の無い状態で(ネタにするのがまだ途中ですいませんが)バーナンキ議長の記者会見と声明文、SEPだけでインプリケーションを取ろうとすると多分こうなると思うのですよ。
つまり、FOMCの声明文での表現変化がそれほど強烈では無い(ただしポイントの部分を変えているという意味では必ずしも大した事では無い、とは言えません)上に、SEPでの見通しって結局の所目に見えて改善しているのが失業率の部分、そしてSEPでの将来のFF誘導金利見通しを見るとタカ派の人たちが金利水準をバサッと下げてきている、というセットに加え、昨日までの引用部分でも分かりますように「Taperingと利上げは別の問題ですよ」という事は強調している、というセットを素直に考えるとどういう事になるかと言うと、「オープンエンド買入についてはあっさり終了方向」で「バランスシート縮小はかなり慎重」となるでしょうなというのが伝わる上に、さらにポイントになるのは「正常化プロセスにおける利上げ速度については過去のペースよりもかなり遅くなる」という事になるんでしょうねという所で、一方で米国債券市場ではその辺りについて従来の出口政策におけるFFレートホイホイ上昇攻撃を想定したような感じになっているんじゃネーノと思われる節がありまして、たぶん米国債券市場的にはその辺がFRBとのメッセージの齟齬になっているように思えます。
とは言いましても、まあ最初に正常化ガーみたいなのを意識した場合って日本の量的緩和政策解除に向けた流れでも同じようなことが起こって、最初のいわゆるVaRショックの時って最終局面では5年が1%台まで上昇するというゲロゲロマーライオン相場を中期ゾーンでやっていた訳でして、日本のように元々のベースで物価上昇率が低くてそんなに金利正常化って言ったって中立金利だって低いでしょという国でもそういう事になるんですから、SEPで中立金利が3%を楽勝で上回る水準というのを示されている国では当初のアクションがそうなります罠とゆー所ではないかと思います。
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2013/06/26
○で、チャイナ様ですがががが
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOY2ZV6S972T01.html
中国人民銀:短期市場の安定保持を表明、流動性逼迫は解消へ
更新日時: 2013/06/26 03:51 JST
『6月26日(ブルームバーグ):中国人民銀行(中央銀行)は25日、複数の政策手段を駆使して短期金融市場の安定を守ると表明するとともに、流動性の逼迫(ひっぱく)は和らぐとの見通しを示した。中国経済の流動性逼迫が解消されることが示唆された。』
『人民銀は短期市場の金利を安定させるため、複数の金融機関に流動性を供給したとの声明を、25日にウェブサイトに掲載。短期流動性オペや常設の融資ファシリティーなどの政策手段を使って市場の安定を確実にすると表明した。中銀はまた、商業銀行に対して流動性管理を改善するよう求めた。翌日物レポ金利が先週、過去最高に跳ね上がって以降で初めて、中銀は逼迫緩和に向けた行動を公に確認した。25日は先に、人民銀上海支店の幹部、凌涛氏が流動性危機は制御可能だと言明していた。与信拡大ペースが経済成長率を上回る中で、李克強首相は投機的な融資を中国の銀行システムから一掃しようとしている。』(以上上記URLより)
つーことでまあ金融緩和バブルヒャッハーとなっているのをどうやって潰そうかという中で蛇口捻ってみたら蛇口どころか首まで締まってエライコッチャという所なのでしょうけれども、締めるには締める方向なんですかね、良く判りませんけど。
まーこの辺のコントロールってよほど上手くやってガス抜きしながら締めて行かないと途中であばばばばーになってしまいますのでリスクはリスクですなあと思うのでありました。
○逆さ絵会見ネタの続きである(がその前に雑談)
逆さ絵会見ネタの続きではあるのですが、その間に雑談少々。
・市場の反応に対する連銀幹部の発言に関する雑考
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOYSIS6S972Q01.html
米国債:下落、経済指標改善で当局の債券購入縮小の観測高まる
更新日時: 2013/06/26 05:05 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOYU0M6S972Z01.html
米国株:反発、予想を上回る耐久財受注や住宅販売統計を好感
更新日時: 2013/06/26 05:33 JST
月曜に引用した会見ネタの中で「良い金利上昇」発言アチャーというのがございましたが、FOMC、というか逆さ絵のおじちゃんが足元で何を根拠にしてQE3の縮小をしようとしているのか、という所が今一歩この会見テキストを読んでもワカランチ会長である、つーのは先日来申し上げた訳でして、さてこのような足元の動きをどう評価するのかというのが気になる訳です。
つまりですな、本当の本当に景気に対して超強気モードになっているのであれば足元の動きは「経済状況の好転を反映した金利上昇なので無問題」という話になるのですが、そうじゃなくて他の理由、つまり後任に向けた糊代論とか、そもそもオープンエンド緩和がやりすぎだったと思ってるとか、金融市場の不均衡(要するにバブル)対応だとか思っているのであれば、足元の長期金利上昇が景気に対して抑制的に働く点とのトレードオフを考えないと行けませんよねとなり、そうなりますと地均ししたけどまた火消ししないと行けませんねという話になります罠という話。
そういう中で月曜にダドリー(まだ熟読していませんが、というか多分土日にまとめて読むけど、要するに緩和縮小については露骨には言わないけど???という見解っぽい)やコチャラコタどころかタカ派分類のダラス連銀フィッシャー総裁まで足元の市場の反応について火消し発言をしていた訳でして、一連の火消し発言がドタバタ出てくる(まあダドリーは元々予定されていた講演でしょうけれども、コチャラコタとフィッシャーはわざわざ出してきたという動きですよね)辺りを見ると、まあスケジュール感を会見でぶち上げるという豪快プレイを炸裂させた逆さ絵おじちゃんですけれども、やはり地均しして地割れみたいな阿呆なことにならないようにしないといけませんねという認識はあるんでしょうなあと思われる所です。
・出口も難しいがオープンエンドの場合規模縮小も難しいのでしょうな
でまあ前から申し上げておりますように、一つの推測として「オープンエンド緩和拡大」という政策はやはり非伝統的政策の政策技術論的に運営が難しい、ということが判明したから今回の地均し開始という話も背景にある、というか実はこれが最大のファクターじゃねえのかという気が段々してきた今日この頃。
つまりですね、そもそも非伝統的政策は実行するのもまあ色々と大変でうsが、それはそれとしましてやはり何と言いましても出口政策の方がより難しい訳でして、まあ通常の「期間と量を定めてどどーんとバランスシート拡大」という政策の場合、とりあえずケツがあってそこで見直しという形で勝手に中断してくれるのですが、オープンエンド政策の場合何もしないと緩和が無駄に拡大し、それを「中断」するだけでも直近のようにエネルギーとフリクションが発生するという事でありまして、まあ逆さ絵先生が身を切ってその辺を示してくれた、というのが足元のインプリケーションではないかとまあ斯様思っているのですよ最近は。
もちろん本来はオープンエンド政策なので毎回の政策会合の度に増やしたり減らしたりして「アジャスト」するという事ができるというのがオープンエンド政策導入時点の触れ込みではあり、確かに毎回点検を続けているのですが、そうは言いましてもそれこそFOMCの度に買入額を増やしたり減らしたり、というのはやはり政策技術論的に無理がありまして、それこそ毎回のようにアジャストした日には金融政策の不確実性が拡大という事になって市場に対する変なボラティリティを高めるという話になるのでしょうと思われます。
とまあつらつら考えますと、非伝統的政策として緩和度合がオープンエンドで拡大する、というような政策運営というのは「政策のExit」というのを考えた場合にやらないほうがベターな政策なのじゃないのとか思うのですけれどもどうでしょうかね。
ということで会見から続きを少々です。FINAL版になっています。
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130619.pdf
・長期金利上昇に対する質問&「政策は経済状況次第です」と強調
この質問は確かにとしか言いようがない。
『ROBIN HARDING. Robin Harding from the Financial Times. Mr. Chairman,
you’ve always argued that it’s the stock of assets that the Federal Reserve
holds which affects long-term interest rates. How do you reconcile that
with a very sharp rise in real interest rates that we’ve seen in recent
weeks? And do you think the market is correctly interpreting what you think
is most likely to be the future path of the Federal Reserve’s stock of
assets? Thank you.』
ストック効果と言っているのに金利急騰とは?と言われるとそらまあ確かに。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, we were a little puzzled by that. 』
少々驚いているとな!
『It was bigger than can be explained I think by changes in the ultimate
stock of asset purchases within reasonable ranges. So I think we have to
conclude that there are other factors at work as well, including, again,
some optimism about the economy, maybe some uncertainty arising.』
月曜に引用した部分にもありましたが「景気への楽観拡大」「FEDの金融政策に対する先行き見通しに一部不確実性があると市場が考えている」というのが長期金利上昇の理由とな。
『So, I’m agreeing with you that it seems larger than can be explained
by a changing view of monetary policy. It’s difficult to judge whether
the markets are in sync or not.』
ふむ。
『Generally speaking though, I think that what I’ve seen from analysts
and market participants is not wildly different from what, you know, the
Committee is thinking and trying to-as I try today to communicate.』
ほうほうそれでそれで?
『I think the most important thing that I just want to convey, again, is
that it’s important not to say “this date, that date, this time,” it’s
important to understand that our policies are economic dependent and, in
particular, if financial conditions move in a way that make this economic
scenario unlikely, for example, then that would be a reason for us to adjust
our policy.』
ということで、ここでは強力に「our policies are economic dependent」という話をしているのですが、まあそうは言ってもだったら別に日付を言わなくても良いだろと思うのでして、この辺は福井の俊ちゃんモードになっているなあという気もする所でありまする。まあそういうの考えないで素で別に言っても問題無いだろと思ってスケジュール感を出したという可能性は無いではないが、さすがにそんなアホウな事は無いと思いますので。
・スレッドショルドとトリガーに関する質問
一つ飛ばしてこんなのを。
『CRAIG TORRES. Greetings, Mr. Chairman. Craig Torres from Bloomberg. I’d
like to push for a little deeper explanation on thresholds and triggers.』
『CHAIRMAN BERNANKE. Sure.』
それでどうなる?
『CRAIG TORRES. The forecast and the mysterious dots kind of don’t map
into the unemployment forecast. We see more-gradual rate rise going out
into time. People moving to the right, at least one person, on when they
expect the rate to increase, and yet, unemployment’s going to fall to
6.5 percent in 2014. I also note that labor force participation isn’t
in that great shape, and you, in fact, have been a big believer that a
lot of the exit from the workforce is related to weak demand, not structural
factors.』
何かSEPの見通し強くね?ということですねわかります。
『So here is my question. Can you explain a little bit more-you know-maybe
is the threshold too high? And I’ll point out that the Vice Chair and
two other people who used to work here have done significant research on,
maybe you need to let the employment rate fall much lower to pull these
people back into the labor force. So I’m wondering if you can expand on
that.』
つーことで逆さ絵おじさんの答え。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, it’s a great question and-but the-what you
pointed out, the difference between the little dots and the forecast actually
illustrates the point, which is, remember, the 6-1/2 percent is a threshold,
not a trigger.』
ということで6.5%の失業率はトリガーでは無いというのをここからまた強調します。
『In other words, when we get to that point, we will then at that point
begin to, you know, look at whether an increase in rates is appropriate,
and among the things we would take into account, first of all, is inflation,
and inflation obviously is very low and expected to stay low. Secondly,
we would be taking into account, does that unemployment rate fairly represent
in some sense the state of the labor market? And, as you pointed out,
we have underemployment, part-time work, people leaving the labor force,
reduced participation, long-term unemployment, a number of factors which
suggest that maybe the 6.5 percent is a little bit-not exactly representative
of the state of the labor market at that point.』
失業率だけを見るのではなく、労働市場の総合的な判断をする、といういつもの話をまあ丁寧に説明しています罠。
『So, first of all, since it is a threshold and not a trigger, we’re entirely
free to take all that into account before we begin the process of raising
rates, and that’s what the diagram suggests. People are saying that unemployment
will be at 6.5 in late 2014 or early 2015, but they’re saying that increases
in rates may not follow but several quarters after that. In terms of adjusting
the threshold, I think that’s something that might happen. If it did happen,
it would be to lower it, I’m sure, not to raise it.』
ということで、まあここらの質疑応答を見ますと「金利引き上げ」に関してはQE3の規模縮小とは別途にして話を分けよう、という説明を一生懸命行っているという感じなのですが、その一方で足元では米国金利は2年が今朝は0.4%に上昇してみたり5年とかへろへろになってみたりと、中々その辺の分離してちょという話は伝わらないわなと思いますが、まあこれは正直言って日本の出口政策地均しの時もそうでしたけれども、「量と金利は別物」という理屈は中々市場には通じないものだと思いますよ。
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2013/06/25
○米債が一時2.66%とかに上昇とな&当局者の発言がうじゃうじゃ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOVUS96KLVR801.html
米国債:下げ埋める、2年ぶり高利回りで買い集まる
更新日時: 2013/06/25 05:09 JST
『6月24日(ブルームバーグ):米国債相場は下げを埋める展開。利回りが2011年以来の高水準となったことで買いが集まった。またダラス連銀のフィッシャー総裁が、投資家は金融当局による資産購入縮小の計画に過度に反応すべきではないとの見解を示したことも材料視された。』(上記URLより)
ということで、地均し開始したら中国などの影響もあっていきなり地割れモードとなってしまいましてナンノコッチャという感じですが、タカ派のフィッシャー先生が何を仰せと思ってニュースヘッドラインを読んでもワケワカラン。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOWVG76S972N01.html
米ダラス連銀総裁:景気回復に伴う緩和縮小を支持
更新日時: 2013/06/25 04:15 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOWSSH6S972L01.html
米ダラス連銀総裁:議長の緩和縮小発言、市場の反応行き過ぎ
更新日時: 2013/06/25 03:26 JST
どっちですねんという感じですが、つまりまあ地均しは地均しなのですが、おまいら今やっているのは地均しなんだからそんなに慌てるんじゃないという話をしてるんでしょうなあとゆー所で、こうなってきますと益々俊ちゃん時代の地均しでどういう反応してましたかねという話の研究(というかただの思い出し)が必要という事ですかね。俊ちゃん時代との違いとかも考えながらですかな。まあこれから追々纏めてみたい所です。
でまあそれはそれとしまして、何か色々な人が色々と発言していてフォローが全然追いつかないという状況ですのでURLを貼っておきますね。ちなみにダラス連銀のページに行ったのですがそれらしきものは見つけられなかった(あたくしが見つけられなかっただけの話であったらすいません)のですが他の人も・・・・・・・・
○ということでコチャラコタ総裁のコメント超斜め読み
コチャラコタ総裁
http://www.minneapolisfed.org/publications_papers/pub_display.cfm?id=5128
Statement: Recent FOMC Communications as a Part of Appropriate Monetary Policy
Narayana Kocherlakota - President
Published June 24, 2013
『In this note, I emphasize that recent Federal Open Market Committee communications
are consistent with an appropriately accommodative monetary policy strategy.
However, I argue that the Committee’s communications have provided insufficient
detail about how its policy strategy will play out when the recovery is
more advanced. I describe how the Committee can reduce residual policy
uncertainty, and so better achieve its goals, by providing this missing
clarity in future communications.』
『The views expressed are my own and not necessarily those of any other FOMC participant.
I begin by describing some key aspects of what I see as the appropriate
response of asset purchases and the fed funds rate target to the evolution
of economic conditions. (By medium-term, I mean one to two years ahead.)』
つーことで、FEDのコミュニケーションは緩和的な金融政策ストラテジーに対して適切だが、一方で今回の逆さ絵のヤローが言い出した件に関しては出口政策に対して不十分なディテールを与えているという問題があるぞなとかそんな主張のようで。
『In both cases, I am describing thresholds, not triggers. Thus, depending
on economic conditions and assessments of policy effectiveness, it may
be appropriate for the Committee to buy additional assets even after the
unemployment rate falls below 7 percent. And, depending on economic conditions,
it may be appropriate for the Committee to keep the fed funds rate extraordinarily
low even after the unemployment rate falls below 5.5 percent.』
スレッドショルドはトリガーでは無く、総合的に判断すれば資産買入は失業率が7%割っても継続するし、異例の低金利政策は失業率が5.5%以下になっても継続するのが適切ですよとか仰せなのですが、まあ前からそんな話をしておりますなこの先生は。
『The threshold unemployment rate for the fed funds rate indicates that
highly accommodative monetary policy remains appropriate until the unemployment
rate falls below 5.5 percent (given that the inflation outlook and inflation
expectations satisfy the conditions described above). Why then is the threshold
unemployment rate for asset purchases as high as 7 percent? Asset purchases
are a relatively novel monetary policy tool, and the benefits and the costs
of additional purchases are correspondingly uncertain. Given those uncertainties,
I view it as appropriate to allow for the possibility that the Committee
may choose to stop using this tool before the economy has fully normalized.
As I emphasized above, the 7 percent marker is only a threshold. It may
well be that the Committee’s overall economic outlook and degree of confidence
in an asset purchase tool would lead it to buy additional assets when the
unemployment rate is below 7 percent.』
そんな主張のコチャラコタ総裁からすると7%というのはちょっとねえという話をしているのですが、ちょっと斜め読みしただけだと謎なのがこの次のパラグラフ。
『I view the above policy strategy as appropriately accommodative. At the
same time, I see no contradiction between this appropriately accommodative
policy strategy and the forward guidance announced in last week’s FOMC
statement and Chairman Bernanke’s recent press conference remarks.』
ほえ?
『The FOMC statement expresses the Committee’s intention to keep the fed
funds rate extraordinarily low at least until the unemployment rate falls
below 6.5 percent, as long as the medium-term inflation outlook is below
2.5 percent and inflation expectations remain well anchored. The above
policy strategy also calls for the fed funds rate to remain extraordinarily
low in these circumstances.』
まあ確かに「買入ペースの縮小は引き締めにあらず」というロジックで話をしているし、買入ペースの縮小と金利の話は別という話もしているのですが、しかしながら地均しモードという状況の下ではどうなんでしょという気もするのでコチャラコタ総裁のこの辺の「物わかりの良いトーン」というのは少々どころかだいぶ前半部分と話が噛み合っていないような希ガス。
『In his press conference remarks, Chairman Bernanke made reference to
the Committee’s expectation that it will keep buying assets through mid-2014,
when the unemployment rate is anticipated to be in the vicinity of 7 percent.
This expectation is also consistent with the above policy strategy, which
specifies that asset purchases should continue at least until the unemployment
rate has fallen below 7 percent.』
逆さ絵が言っているのはFOMCの経済「見通し」と整合的な資産買入政策に対してリファレンスを示しているものでありますという感じでして、先ほどと同様に前半部分のハトハトモードと何か整合性がががが。
『To sum up: I have described how recent FOMC communications are consistent
with an appropriately accommodative monetary policy strategy. However,
these communications do leave the public with large amounts of residual
uncertainty about the Committee’s likely course of policy choices when
the recovery is more advanced. The Committee could better achieve its policy
goals if it were to reduce this uncertainty through communicating more
information about its likely reactions to additional economic eventualities.
I look forward to working with my colleagues to augment our communications
in this fashion, and thereby ensuring a faster return to full employment
in the context of price stability. 』
最後に纏めがあるのですが、(実はその前に1つパラグラフがあるのだが華麗にスルーしている)どうも(その前のパラグラフで実は説明しているっぽいのだが斜め読みだとイマイチ判らんのでスルーね)出口政策に関するコミュニケーションについてはちょっと今のだとミスコミュニケーションになりはしませんかね、というような話をしているようで。
○ブラード総裁怒りの反対理由表明
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1829
JUNE 21
President Bullard’s Comments on Recent FOMC Actions
こういうのを出すのはラッカー怒りの反対先生の専売特許だと思っていました(違)。
『ST. LOUIS - Federal Reserve Bank of St. Louis President James Bullard
dissented with the Federal Open Market Committee decision announced on
June 19, 2013. In his view, the Committee should have more strongly signaled
its willingness to defend its inflation target of 2 percent in light of
recent low inflation readings.』
というのは声明文にもありました。
『Inflation in the U.S. has surprised on the downside during 2013. Measured
as the percent change from one year earlier, the personal consumption expenditures
(PCE) headline inflation rate is running below 1 percent, and the PCE core
inflation rate is close to 1 percent.』
物価上昇率が下がってきていますよと。
『President Bullard believes that to maintain credibility, the Committee
must defend its inflation target when inflation is below target as well
as when it is above target.』
したがってインフレをターゲットに近づけていくという強い表明が必要である。とまあ極めてシンプルなご意見。
『President Bullard also felt that the Committee’s decision to authorize
the Chairman to lay out a more elaborate plan for reducing the pace of
asset purchases was inappropriately timed.』
逆さ絵のプレコンでの出口政策トークについては「Committee’s decision」だったのね。でまあそれに対しては当然ながら不適切なタイミングと。
『The Committee was, through the Summary of Economic Projections process,
marking down its assessment of both real GDP growth and inflation for 2013,
and yet simultaneously announcing that less accommodative policy may be
in store.』
そうですな、SEPで強くなってたのって失業率見通しだけなんですよね〜。
『President Bullard felt that a more prudent approach would be to wait
for more tangible signs that the economy was strengthening and that inflation
was on a path to return toward target before making such an announcement.』
したがってもっと強い経済指標を確認してからの方が適切、とこれまた直球ストレートな反対。
『In addition, President Bullard felt that the Committee’s decision to
authorize the Chairman to make an announcement of an approximate timeline
for reducing the pace of asset purchases to zero was a step away from state-contingent
monetary policy.』
ブラードさんが以前から強調しているstate-contingentな金融政策に対して逆さ絵の漫談は道を外しているとキタコレ。
『President Bullard feels strongly that state-contingent monetary policy
is best central bank practice, with clear support both from academic theory
and from central bank experience over the last several decades. Policy
actions should be undertaken to meet policy objectives, not calendar objectives.』
『While President Bullard found much to disagree with in this decision,
he does feel that the Committee can conduct an appropriate and effective
monetary policy going forward, and he looks forward to working with his
colleagues to achieve this outcome.』
ということで、まあ仰っていることは一々筋が通っていまして全くもってそうですなという所なのですけれども、恐らく先般来あたくしが申し上げている想像(妄想)が正しくて「まずはオープンエンドの買入を何とか片を付けておかないとマズーだろ」というのが先にあると今のような感じになってしまいますわな、という所でしょうかね。
○ダドリー総裁の講演・・・・・・・はさすがに読めない
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOWG2P6VDKHX01.html
ニューヨーク連銀総裁:金融当局の緩和不十分、責務果たせず
更新日時: 2013/06/25 01:36 JST
http://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2013/dud130624.html
Why Financial Stability is a Necessary Prerequisite for an Effective Monetary Policy
June 23, 2013
Posted June 24, 2013
何か下の方で日本の金融政策の話もしているようですが、別に今の金融政策出口戦略の話に関連するような話を直接的にしているようではなさそうな気もするが良くワカランチ会長。
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2013/06/24
○週初なので(関係ない)米国ネタ雑談である
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MORF636K50Y701.html
米国株:反発、前日の大幅安の反動で−なお強気相場との声も
更新日時: 2013/06/22 06:41 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOR9TS6S972L01.html
米国債:10年債利回り、2年ぶり高水準−緩和策縮小の観測
更新日時: 2013/06/22 07:20 JST
ということで、FOMC結果を受けた流れを継続しております金曜の米国市場は米債が10年が2.5%になるわ中期とかも弱いわという流れが続き、株の方は(SPはマイナスでしたが)何となく下げ止まったよう(まあその前に下がったからというのもありますけど)動きという事で、はあはあそうですかという結果に。
まー1日2日の反応でああだこうだ言うのもアレですけれども、この市場のリアクションに関して逆さ絵の先生がどう見ているのかというのが正直気になるというかワカランチ会長。
と申しますのは、このあと会見ネタを(一部)投下する訳ですが、逆さ絵の先生におかれましては本当の本当に景気(というか失業率の低下と物価のサガランチ会長)に強気の結果としてのTaperingトークをかましているのか、それとも(あたしゃーこっちが本命だと思っているのですけれども)来年の任期で自分が終了の巻となっていることから、後任に対して金融緩和政策の糊代を作っておきたいとか、グリーンスパンの二の舞と言われるのはさすがに拙かろうという風に思っているとか、まあそれを総合してなのですが、根源的にあるのは「オープンエンド型の金融緩和拡大政策というのは政策技術論として難しいものがある」という事なんでしょうなあと思うのですけれどもアタクシがそう思っているだけかもしれませんので念のため。
つまりですな、そもそも金融緩和政策ってスタートするよりも難しいのは出口の方でして、そういう意味からしますと、オープンエンド型の金融緩和政策というのは放置しておくと緩和が延々と拡大するという代物ですので、出口以前の問題で「拡大を止める」というのが難しいという状況になってしまい、まーやはりやるんじゃ無かったという反省モードになっているんじゃネーノという事なんじゃないかなあと思うのですけどね。
つーことで、緩和政策による金融の不均衡とかそっちの方面を気にしているとしますと、金利がホイホイ上昇して株式が下げ止まるよりはその逆の方が反応としてはアリガタヤのような気もするんですけどまあ逆さ絵の先生が何考えているのかはワカランのでそういう想像をしていますというだけのお話ではあるのですが(汗)。
一方でブラード先生。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOR2OC0D9L3501.html
セントルイス連銀総裁:QE拡大が必要になる可能性も
更新日時: 2013/06/22 01:59 JST
『6月21日(ブルームバーグ):米セントルイス連銀のブラード総裁は米インフレ率がさらに低下するようならば、金融当局は現行で月額850億ドル(約8兆3000億円)の債券購入のペースを加速させる必要があるかもしれないとの考えを示した。同総裁は21日にワシントンで電話インタビューに応じ、連邦公開市場委員会(FOMC)は「インフレ率の低下が続けば決断を迫られるだろう」とし、「その場合、FOMCは一段と金融を緩和する方法を決めなければならない」と語った。』(上記URLより、以下同様)
ということでブラード総裁は先般のFOMCで反対票を投入しましたけれども、この人は従来よりインフレ重視派なのでこうやって筋を通してくる訳で、上記URLを見るとまあブラードさんの面目躍如という所ではありまする。
『バーナンキ議長はインフレ率低下を一時的としているが、ブラード総裁は当局が今週発表した最新の景気予測は2015年かそれ以降まではインフレ率が目標に達しないことを示唆していると指摘。景気予測からは「インフレ低下が一時的であるようには見えない」と反論した。米国債利回りの上昇は成長加速の兆候ばかりではなく、予想よりも早い当局の債券購入縮小の観測も織り込んでいるとして、インフレ調整後の金利上昇は成長を減速させかねない事実上の引き締めだと指摘。「そのリスクがあると考える」と述べた。』
とまあそういう背景があるから反対票、という非常にクリアカットなロジック展開。
『さらに金融当局では制御できない要素に大きく左右される失業率に、米当局は注目し過ぎているとの考えも示し、「中期的に可能なことに焦点を戻すべきだ。それはインフレ率を目標に近づけることであり、労働市場の動向に今ほど重点を置くべきではない」と語った。』
これまた昔からブラードさんが話をしているネタなのですが、ブラード総裁的にはバランスアプローチやフレキシブルターゲットに関しては当然支持しているのですけれども、その一方でデュアルマンデートで労働市場に重点を置くよりはより「フレキシブルインフレーションターゲット」に近いアプローチの方が適切という話をしていまして、ちょっと前までは逆に「失業率が高止まりするのに物価が下がらないのは実は自然失業率が高い状態になっていることを示す訳で、失業率を過度に注目して緩和政策を継続すると物価上昇のリスクがあるのでは」という話をしていた位の人なので、「ハト派」というのともちと微妙に違うかなあとは思います。
まあ「金融不均衡注目派」の方も引き続きのカワランチ会長なのですけれどもね(プロッサーとかジョージとかスタインとかが代表格)。
○ということで逆さ絵先生の会見ネタ(の一部)から
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130619.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference June 19, 2013
ということで、現在はPRELIMINARY版なのですが、たぶん今週半ば過ぎ位にFINAL版になると思います。まあ初稿とファイナルの違いってあまりない(聞き取れなかっただの雑音だのみたいな部分が削除されます)ので基本的には初稿版で問題ありませんぞなもし。
・念の為スケジュールを再掲
冒頭説明部分の衝撃発言部分を再掲しておきますね。木曜にネタにしたけど。
『If the incoming data are broadly consistent with this forecast, the Committee
currently anticipates that it would be appropriate to moderate the monthly
pace of purchases later this year; and if the subsequent data remain broadly
aligned with our current expectations for the economy, we would continue
to reduce the pace of purchases in measured steps through the first half
of next year, ending purchases around midyear. In this scenario, when asset
purchases ultimately come to an end, the unemployment rate would likely
be in the vicinity of 7 percent, with solid economic growth supporting
further job gains, a substantial improvement from the 8.1 percent unemployment
rate that prevailed when the Committee announced this program.』
ということで、まあこれに関するツッコミが冒頭から盛大に展開されている訳でしてですな・・・・・・・・
・失業率7%はQE拡大停止のスレッドショルドだったりガイダンスだったりするのでしょうかという質問
冒頭の質問はCNBCのSTEVE LIESMAN記者である。
『STEVE LIESMAN. Steve Liesman from the CNBC. I hate to use my question
to ask you to clarify something, but when you said gradually reduce purchases,
beginning later this year and ending it next year when the unemployment
rate is 7 percent, what is that? Is that a decision by the FOMC? Is that
an intention that--』
7%という数値が出たことに対してそらまあ盛大に反応する罠という所ですが、質問の途中で逆さ絵先生颯爽と(かどうか知らんが)登場。
『CHAIRMAN BERNANKE. That is--We had a good discussion of that issue today
and we haven't had--obviously there's no change, there's no change in policy
involved here, there's simply a clarification, helping people to think
about where policy will evolve. So, it was thought that it might be best
for me to explain that to this group and answer questions. Future policy
statements may include elements of this but it's not a policy change. I'm
just trying to explain how are--how we're making a substantial improvement
in the outlook for the labor market. How we're making that concrete and
how we're thinking about the potential future of the program given alternative
policy and economic developments.』
つーことで、説明としては従来から量的緩和出口政策に関しての要件である「substantial
improvement in the outlook for the labor market」をより判りやすく説明するものでありますとかいう所なのですが、フォワードガイダンスにも見えるしフォワードガイダンスじゃなさそうにも見えるという説明ですな。何となくフォワードガイダンスっぽく説明しているけど。
・今回の政策見通しのような話はコンセンサスとな
で、STEVE LIESMAN記者の質問が更に続く。
『STEVE LIESMAN. So there is no consensus on that. That's not a vote of
the FOMC, that's not a plan that's written down some place or?』
『CHAIRMAN BERNANKE. It represents the consensus of the FOMC, yes.』
ほっほー!!!
・つまり失業率が7%に低下するというのがスレッドショルドなのか?
『STEVE LIESMAN. If we could just--the question I was going to ask was
could you give us some information on substantial improvement is that the
unemployment rate coming down by itself to 7 percent or there are other
factors involved and is it substantial compared to the fall? Is that when--』
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, there're many factors that we look at when tying
to judge the state the labor market. As you know, we looked at participation,
payrolls, a variety of other data but the 7 percent unemployment rate is
indicative of the kind of progress we'd like to make in order to be able
to say that we reach the substantial progress.』
失業率7%に関してはいわゆるスレッドショルドとは違うけれども、この説明を見ると数値としての意味合いは結構あるようで、労働市場の見通しが改善をする中で失業率が7%に低下する頃にはQEの拡大は止まっていますよ、というような話をしていますが、まー利上げのスレッドショルドが6.5%に置かれている中で先にガス抜き数値を置いているという感じですかねえ。
・見通しが強すぎないですかという質問キタコレ
続きまして観測記事の宝庫として著名で「FedWire」とも揶揄されますWSJのJON HILSENRATH記者の質問がががが。
『JON HILSENRATH. Jon Hilsenrath from the Wall Street Journal. Mr Chairman,
there's an undercurrent of optimism in your forecast and your statement
and the policy statement today, for instance, the unemployment rate forecast
comes down to 6.5 percent to 6.8 percent next year. It's the case that
the Fed has overestimated the economy's growth rate very often in the past
during this recovery, so--and we've gone through a period in the first
half of the year with pretty subdued growth. So I would like to hear you
explain where this optimism comes from and how confident you are that these
expectations are going to be met.』
どこからその楽観が来たのか小一時間問い詰めたい(超意訳)となwwwwwww
で、その説明がまるまる1ページ分あるのですがね。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, the fundamentals look a little better to us.
In particular, the housing sector, which has been a drag on growth since
the crisis is now, obviously, a support to growth. It's not only creating
construction jobs, but as house prices rise, increased household wealth
supports consumption spending, consumer sentiment. State and local governments
who have been a major drag are now coming to a position where they no longer
have to lay off large numbers of workers. Generally speaking, financial
conditions are improving. 』
つーことで、住宅市場の改善による諸々の効果に加え、州や地方政府の財政問題によるマイナスも改善されていますし金融環境も改善しているということで、ファンダメンタルズは若干改善しているという話キタコレですな。
『The main drag or the main headwind to growth this year is, as you know,
is the federal fiscal policy, which the CBO estimates is something on the
order of 1.5 percentage points of growth.』
でまあ政府の財政カットについてがメインの向かい風ですよCBOによれば1.5%の成長阻害要因になるとの事ですよ、という話なんですけど・・・・・・
『And our judgment is that, you know, given that very heavy headwind, the
fact that the economy is still moving ahead at least to moderate pace,
is indicative that the underlying factors are improving. And so we'll see
how that evolves. Obviously, we haven't seen the full effect yet of the
fiscal policy changes, but we want to see how that evolves as we get through
that fiscal impact. But we're hopeful, as you can see from the individual
projections--and again, these are individual projections, not an official
forecast of the committee--we'll be obviously very interested to see if
the economy does pick up a bit and continue to reduce unemployment, as
we anticipate.』
というような問題はありますが、それにもめげずに経済は改善を続けるという見通しに皆さんなっておりますぞなという強気のお話。
『I think one thing that's very important for me to say is that if you
draw the conclusion that I've just said that our policies--that our purchases
will end in the middle of next year, you've drawn the wrong conclusion
because our purchases are tied to what happens in the economy.』
ほほう。ただまあ最後に「でも経済の状況を見ながら調整するのでさっき言った話は固定した予定表ではないですよテペヘロ」と仰せですな、うんうん。
『And if the Federal Reserve makes the same error and we overestimate what's
happening, then our policies will adjust to that. We are not--we have no
deterministic or fixed plan. Rather, our policies are going to depend on
this scenario coming true. If it doesn't come true, we'll adjust our policies
to that.』
つーことで、今後の政策に関してはあくまでもデータディペンデントという話をしているのですが、まあそうは言ってもあんなトークをしている訳ですからねえ・・・・・・・・・
・長期金利上昇について
今回の会見は中々オモロイのでただの逐語引用になっているのですが(大体最初の方の質疑応答が面白いのですよね)長期金利上昇についての質問がありましてですな。
『ALISTER BULL. Alister Bull from Reuters. Thank you, Mr. Chairman. Financial
conditions have tightened in the last few weeks and bond yields have gone
up and they've gone up again today. why do you think that is? And, could
you talk a little bit about whether that rise in bond yields and interest--longer
term interest rates could affect your economic outlook and particularly
given the mortgage rates and now pack up about 4 percent if that could
affect the recovery underway in a housing market?』
ロイターのALISTER BULL記者が足元の長期金利上昇で金融環境がタイト化していると思うがどう考えるかというこれまた直球な質問を打ち込んでくるのですが、これに対して逆さ絵先生が結構豪快に打ち返しているのが実に味わい深いです、ということで引用。
『CHAIRMAN BERNANKE. That's good question.』
good questionとな!
『Yes, rates have come up some. That's in part due to more optimism I think
about the economy and in part due to perceptions of the Federal Reserve.』
経済に対するより楽観的な見方と、FRBの政策に対する見方を示して金利が上昇しているのでしょうなあと。
『The forecast--the projections that our participants submitted for this
meeting of course were done last few days so they were done with full knowledge
of what had happened to financial conditions. Rates have tightened some
but, you know, other factors had been more positive, increasing house prices
for example.』
金利は上昇しているけれども他のファクターはよりポジティブですキタコレ!!!
『I think as far as the housing market is concerned, we're going to want
to watch that but one important difference now is that people are more
optimistic about housing. They expect house prices to continue to rise
and we see that for example in a survey question in Michigan survey. And
that, you know, compensates to some extent for a slightly higher mortgage
rate. And in fact, in terms of monthly payments on an average house, the
change in mortgage rates we've seen so far is not all that dramatic.』
金利上昇の住宅市場に関する影響は確かにあるけれども、そこまで大きな悪影響では無いとな。
『So, yes, our forecast--our projections do factor that in and if interest
rates go up for the right reasons, that is both optimism about the economy
and an accurate assessment of monetary policy, that's a good thing. That's
not a bad thing.』
良い金利上昇キタコレ!!
・・・・・・・・・ということで、しらっと何をゆうとりますねん逆さ絵先生という所なので、今日は時間と量の都合上ここで終了という毎度のパターンではありますが(大汗)、確かに微妙に話が色々とねじれている感じが今回はしておりまして、まあ要するに今回は「地均し第一弾」というのがまず先にあって、そこから理屈を合わせに行っているので微妙に話に無理な部分があるんじゃないのかね、という所でしたが続きは明日にでも。
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2013/06/21
それはそれとしておはぎゃあございます。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOPJSC0J1HAM01.html
6月20日の米国マーケットサマリー:株大幅安、ドル上昇、債券下落
更新日時: 2013/06/21 05:43 JST
○FOMCレビュー雑談というか雑考メモ
まあ何ですな、昨日はFOMC関連の文書読むだけで終わってしまったのでちょっとだけ備忘メモを置いときます、つーか週末にプレコンの文書とか真面目に読みながら考えるベースとして今つらつら考えている雑考なんすけどね。
まずですな、そもそも何で今回緩和ペース縮小という話になったのかというのは正直プレコンを見ながら解釈するしかないのですが、「経済が予想通りに言った場合の時期的な話」は明示的に出ているものの、その背景に関する講釈記事があまり見られない所からしてプレコン読んでもイマイチワカランチ会長なのじゃネーカという希ガス。
その点ではブラード総裁の反対の方が筋は通っている訳で、物価がややディスインフレ傾向になっている中で何故Taperingなのというのはどうも難しい話で、そこが難しいとなると経済の状況がどうなった場合にFRBがどう反応するのか、という点が正直読みにくい。一方で時期に関しては無駄に詳しく説明しているので、「何もなければ」Taperingなのは判るのですけれども、そもそもその「何もなければ」というのの定義づけがどうも解釈に困る面があって、物価なのか失業率なのか雇用者なのかその他の状況なのか、というのがどうにもこうにも判らんぞなもしですよねとゆー所なのが気になる点。
つまり、「そもそもの背景」と「今後の反応係数」の双方が今回の声明文だけ見ると正直ちょっとどころではなく曖昧になっている訳でして、まあその辺を積極的に曖昧にするという戦略も有りは有りなのでそれならそれでも良いのですけれども、まあプレコンの内容の他には所謂執行部系と見られる人たちや、ハト派系と見られる人たちの講演などを今後見ていくしかないのかなと思います。
でまあ従来からの話から類推すると、一つ想像できるのは「オープンエンド緩和というのはやり過ぎだった」という認識が共有されているんじゃネーカという事でありまして、まあ確かにあの打ち込んだ時期は米国から見たらテールリスク地雷(欧州とかフィスカルクリフとか)状態だったから市場に金融緩和ヒャッハーマインドを起こさせる為に実施したという話だとは思うのですけれども、期限と額を切らないで放置しておくとドンドン緩和が拡大するというオープンエンド方式はその手のテールリスク地雷が除去されたと思われる中では逆に緩和の大安売り過ぎになる、という事に気が付いたんでしょうなあ。
などと思っているのですが、まあこの辺全てアタクシの妄想の話ではありますので、そういう辺りを念頭に置いてプレコン読んでおきたいなあと思うのでした、という雑談でしたすいませんすいません。
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2013/06/20
お題「FOMCである」
ということで毎度の寝起きスキームなので抜けがあったらゴミンナサイ。
○まずは声明文
労働市場の判断を引き上げ、下振れリスク判断を引き下げ、金融政策に関する文言は同じ、そしてブラード総裁キタコレというのが声明文の1行纏めですかな(^^)。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130619a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130501a.htm(前回)
・第1パラグラフ:労働市場の改善と物価上昇率の低下に言及も・・・・・・・・
『Information received since the Federal Open Market Committee met in May
suggests that economic activity has been expanding at a moderate pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in March
suggests that economic activity has been expanding at a moderate pace.』(前回)
ということで現状の総括判断に変化は無し。
『Labor market conditions have shown further improvement in recent months,
on balance, but the unemployment rate remains elevated. Household spending
and business fixed investment advanced, and the housing sector has strengthened
further, but fiscal policy is restraining economic growth.』(今回)
『Labor market conditions have shown some improvement in recent months,
on balance, but the unemployment rate remains elevated. Household spending
and business fixed investment advanced, and the housing sector has strengthened
further, but fiscal policy is restraining economic growth.』(前回)
労働市場の環境に関して前回は「some improvement」だったのが盛大に「further
improvement」と引き上げやがっておりまする。後はカワランチ会長。
『Partly reflecting transitory influences, inflation has been running below
the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations
have remained stable.』(今回)
『Inflation has been running somewhat below the Committee's longer-run
objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations
in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)
物価上昇率の低下に関して、前回も「一時的要因により」というのを入れていますが、今回は物価上昇率の低下に関して「somewhat」というのが抜けていて現象として物価上昇率が落ちてきているという認識を示しておりますが、あくまでも「一時的要因により」という認識を継続しておりまして、これが最後にブラード総裁キタコレな話の伏線になります。
・第2パラグラフ:リスク認識を改善キタコレ
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that, with
appropriate policy accommodation, economic growth will proceed at a moderate
pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the
Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that, with
appropriate policy accommodation, economic growth will proceed at a moderate
pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the
Committee judges consistent with its dual mandate.』(前回)
適切な金融緩和で経済はモデレートなペースで改善してどうのこうのという部分は前回と同じ。
『The Committee sees the downside risks to the outlook for the economy
and the labor market as having diminished since the fall.』(今回)
『The Committee continues to see downside risks to the economic outlook.』(前回)
キタコレ!!!という所でござりますが、ダウンサイドリスクはas having diminished
since the fallですってよ奥様!!で、この「since the fall」というのはまさしくQE3ローンチという事でもありますので、つまりはQE3実施に際して考慮の一つとして存在したファクターが「as
having diminished」という話です罠こりゃ。
『The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely
will run at or below its 2 percent objective. 』(今回)
『The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely
will run at or below its 2 percent objective.』(前回)
1パラにあったように物価の現状について下方修正しましたけれども物価見通しは同じですな。まあ下がったら追加緩和という話になるんですがそれにご不満のブラード総裁が最終パラグラフで暴れるのでありますた(^^)。
・第3パラグラフ:資産買入の決定に関する説明は全文一致である
まあここは当然ですが。
『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation,
over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee
decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities
at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities
at a pace of $45 billion per month. The Committee is maintaining its existing
policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt
and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities
and of rolling over maturing Treasury securities at auction. Taken together,
these actions should maintain downward pressure on longer-term interest
rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions
more accommodative.』(今回)
『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation,
over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee
decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities
at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities
at a pace of $45 billion per month. The Committee is maintaining its existing
policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt
and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities
and of rolling over maturing Treasury securities at auction. Taken together,
these actions should maintain downward pressure on longer-term interest
rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions
more accommodative.』(前回)
一応紙に印刷したのを透かし読みした上に1回朗読したので全文一致だと思うのですけれども念の為両方ベタ引用しておきます。
・第4パラグラフ:資産買入の説明も全文一致なのでした
こちらも全文一致で来ましたな。
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months. The Committee will continue its
purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ
its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor
market has improved substantially in a context of price stability.』(今回)
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months. The Committee will continue its
purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ
its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor
market has improved substantially in a context of price stability.』(前回)
全文一致なのですがさすがに何なので分けて引用してみますよ。まあここも透かし読みしましたけど^^;
『The Committee is prepared to increase or reduce the pace of its purchases
to maintain appropriate policy accommodation as the outlook for the labor
market or inflation changes. In determining the size, pace, and composition
of its asset purchases, the Committee will continue to take appropriate
account of the likely efficacy and costs of such purchases as well as the
extent of progress toward its economic objectives.』(今回)
『The Committee is prepared to increase or reduce the pace of its purchases
to maintain appropriate policy accommodation as the outlook for the labor
market or inflation changes. In determining the size, pace, and composition
of its asset purchases, the Committee will continue to take appropriate
account of the likely efficacy and costs of such purchases as well as the
extent of progress toward its economic objectives.』(前回)
状況によって増やしたり減らしたりとかいう部分も含めて全文一致ですな。
・第5パラグラフ:資産購入関連の文言が全文一致であれば金利ガイダンス部分の文言は当然全文一致
だが寝起きで本当に全文一致なのかの確信度が低い(透かし読みと音読で確認するのがアナログ人間ドラめもんクオリティである←非効率にも程がある人)ので両方引用する。
『To support continued progress toward maximum employment and price stability,
the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy
will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase
program ends and the economic recovery strengthens.』(今回)
『To support continued progress toward maximum employment and price stability,
the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy
will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase
program ends and the economic recovery strengthens.』(前回)
highly accommodative stance of monetary policyがどうのこうのという話ですな。
『In particular, the Committee decided to keep the target range for the
federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this
exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate
at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent,
inflation between one and two years ahead is projected to be no more than
a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal,
and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.』(今回)
『In particular, the Committee decided to keep the target range for the
federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this
exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate
at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent,
inflation between one and two years ahead is projected to be no more than
a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal,
and longer-term inflation expectations continue to be well anchored. 』(前回)
ここが金利政策ガイダンス文言部分。
『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of
monetary policy, the Committee will also consider other information, including
additional measures of labor market conditions, indicators of inflation
pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.
When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent.』(今回)
『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of
monetary policy, the Committee will also consider other information, including
additional measures of labor market conditions, indicators of inflation
pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.
When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent.』(前回)
政策の出口の際にはバランスアプローチという話も当然同じ。
・第6パラグラフ:ブラード総裁の反対キタコレ!!!
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans;
Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Eric S. Rosengren; Jeremy C. Stein;
Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Elizabeth A. Duke; Charles
L. Evans; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Eric S. Rosengren; Jeremy
C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(前回)
ということで反対が2名である。
『Voting against the action was James Bullard, who believed that the Committee
should signal more strongly its willingness to defend its inflation goal
in light of recent low inflation readings,』(今回)
これが新しく入ったのですが、セントルイス連銀のブラード総裁が「最近のインフレ率低下に鑑みインフレ目標達成を順守するより強いシグナルをだすべき」という理由で反対していましてまあキタコレという所ですが、ブラード総裁の場合はタカ派ハト派というよりは物価目標超重視派とでも言いますか、労働市場動向云々の話よりも物価目標の達成により軸足を置いた方が良いという人でそういう意味ではインタゲ派という事なのかも知れませんが、まあそんな感じで物価重視のスタンスを示しているという方。この辺りでこういう話が出るのはまあそんなに不思議でも無いのですけれどもやはりキタコレという感じです。
『and Esther L. George, who was concerned that the continued high level
of monetary accommodation increased the risks of future economic and financial
imbalances and, over time, could cause an increase in long-term inflation
expectations.』(今回)
『Voting against the action was Esther L. George, who was concerned that
the continued high level of monetary accommodation increased the risks
of future economic and financial imbalances and, over time, could cause
an increase in long-term inflation expectations.』(前回)
カンサスシティ連銀のジョージ総裁の見解は毎度同じでありました。
○SEPである
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20130619.pdf(今回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20130320.pdf(前回)
こちらで目立つのは失業率の見通しが上方修正になっていることと、政策金利見通しの3分裂モードが変化していることですかな。
でまあ実は上記のPDFだと引用するのが面倒という人のためにこんなのもありますので引用はこちらから行っています(またはてきとうに手打ちしております)。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20130619.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20130320.htm(前回)
つーことで1ページ目の見通しの中央部分でありますが。
2013 2014 2015 ロンガーラン
Change in real GDP 2.3 to 2.6 3.0 to 3.5 2.9 to 3.6 2.3 to 2.5
March projection 2.3 to 2.8 2.9 to 3.4 2.9 to 3.7 2.3 to 2.5
Unemployment rate 7.2 to 7.3 6.5 to 6.8 5.8 to 6.2 5.2 to 6.0
March projection 7.3 to 7.5 6.7 to 7.0 6.0 to 6.5 5.2 to 6.0
PCE inflation 0.8 to 1.2 1.4 to 2.0 1.6 to 2.0 2.0
March projection 1.3 to 1.7 1.5 to 2.0 1.7 to 2.0 2.0
Core PCE inflation 1.2 to 1.3 1.5 to 1.8 1.7 to 2.0
March projection 1.5 to 1.6 1.7 to 2.0 1.8 to 2.1
まあ何ですな、GDP見通しは入り繰りがありますがトータルすると大体同じ位、物価見通しは手前がやや大きく下がっていますが期間を長くするとあまり変わらずという中で失業率は0.2%きっちり改善方向にシフトしていますな。
でまあ一見して目立つのが2ページ目の下のグラフになります「各暦年末の政策金利水準の想定値」の集計なのですが、その前に「適切な金融政策引締めのタイミング」の方ですがこちらは殆どカワランチ会長。
Appropriate timing of policy firming
2013 1(前回1)
2014 3(前回4)
2015 14(前回13)
2016 1(前回1)
でまあ政策金利水準ですけど、2014年の所まではそんなに大差ないのですが、2015年の所がオモシロス。
0.25% 1(前回1)
0.50% 2(前回7)
0.75% 3(前回1)
1.00% 4(前回2)
1.25% 2(前回4)
1.50% 3(前回0)
それ以上4(前回4)
つーころで、前回は0.50%組と1-1.50%組とそれ以上組の3つに分裂していたのですけれども、今回は1%を中心にした分布になっておりまして、分布自体は広がっていますけれども、前回のように0.5%と1.25%を中心にした分裂モード(と上の人たち)という感じではなくなって、1%中心にばらけているという感じなので、金利政策のパス自体は2極化状態でも無くなってきたという所ですな。
でまあ面倒なので「それ以上」で括ってしまいましたが、突拍子もなく上の方に数字を置いていた一部の人たちが降りてきた(一番高い人が何と4.5%でその次が3.75%だったのですが、この2名は3.00%まで降りてきて最高水準が3.00%と大きく下がりました)というのもへーという感じでして、まあこれは物価が足元で下がってきているから中立金利水準への利上げまではタカ派と言えども時間が掛かるでしょという見方を反映している訳で、そういう意味では全体的にやや収斂気味になってきたとも言えそうですな。
ちなみに面倒だから引用しないけどロンガーランのFF金利見通しに関しては前回と今回は同じ数値になっていますので、中長期的な中立金利水準に関する数値が変わっておりません。
○逆さ絵先生の会見である
http://www.federalreserve.gov/files/FOMCpresconf20130619.pdf
この時間(東京20日の朝)に見るとまだ最初の逆さ絵先生の説明部分だけである。
ウルトラ斜め読み状態なので詳しくは週末に質疑応答含めて真面目に読む。
・出口政策のストラテジーを再確認、MBSの売却は基本行わない方向(償還で縮小)で
最初は今回の決定内容とSEPの内容についての説明があるのですが、その次にこういう話になるのでした。本文2ページ目の前半位から。
『Before turning to today’s policy decision let me say a few words about
the Federal Reserve’s strategy for normalizing policy in the long run.』
『In the minutes of its June 2011 meeting, the Committee set forth principles
that it intended to follow when the time came to normalize policy and the
size and the structure of the Federal Reserve’s balance sheet.』
前回のFOMC議事要旨の最後の部分で「出口政策のプリンシパルを確認云々」とかいうのがあった(もしかしたら面倒になってネタにしなかったかも)のですが、その話が来ましたな。
『As part of prudent planning, we have been reviewing these principles
in recent meetings. We expect those discussions to continue and intend
to provide further information at an appropriate time.』
ほう。
『For today, I will note that, in the view of most participants, the broad
principles set out in June 2011 remain applicable. One difference is worth
mentioning: While participants continue to think that, in the long run,
the Federal Reserve’s portfolio should consist predominantly of Treasury
securities, a strong majority now expects that the Committee will not sell
agency mortgage-backed securities (MBS) during the process of normalizing
monetary policy, although in the longer run limited sales could be used
to reduce or eliminate residual MBS holdings. I emphasize that, given the
outlook and the Committee’s policy guidance, these matters are unlikely
to be relevant to actual policy for quite a while.』
出口政策においてMBS叩き売り攻撃は望ましくないでしょうなあという話になったと。
・金利政策のフォワードガイダンスの堅持をやたら強調
でまあ途中飛ばして。
『First, today the Committee reaffirmed its expectation that the current
exceptionally low range for the funds rate will be appropriate at least
as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, so long as
inflation and inflation expectations remain well-behaved (in the senses
described in the FOMC’s statement). As I have noted frequently, the phrase
“at least as long” in the Committee’s interest rate guidance is important;
the economic conditions we have set out as preceding any future rate increase
are thresholds, not triggers.』
でまあスレッドショルドはスレッドショルドであってトリガーでは無いという話もしておりまして、金利政策は当面維持という話をしていまして、実はこの先も延々とSEPの見通しとかも引き合いに出しながら説明しているのですがそっちはどうでも良いので華麗にスルー(というか後日やるわ)。
・そして資産買入の方は・・・・・・・・
本文4ページ(ちなみに全部で6ページだ)の中段から。
『The second policy tool being employed by the Committee is asset purchases-specifically,
the Committee has been purchasing $40 billion per month in agency mortgage-backed
securities and $45 billion per month in Treasury securities.』
『When our program of asset purchases was initiated last September, the
Committee stated the goal of promoting a substantial improvement in the
outlook for the labor market in a context of price stability, and noted
it would also be taking appropriate account of the efficacy and costs of
the program. Today the Committee made no changes to the purchase program.』
とまあここは今回の決定事項。
『Although the Committee left the pace of purchases unchanged at today’s
meeting, it has stated that it may vary the pace of purchases as economic
conditions evolve. Any such change would reflect the incoming data and
their implications for the outlook, as well as the cumulative progress
made toward the Committee’s objectives since the program began in September.』
それでそれで?
『Going forward, the economic outcomes that the Committee sees as most
likely involve continuing gains in labor markets, supported by moderate
growth that picks up over the next several quarters as the near-term restraint
from fiscal policy and other headwinds diminishes. We also see inflation
moving back toward our 2 percent objective over time.』
近いタームのフィスカルポリシーの制約リスクも減っているというのは声明文だと微妙に読み取りにくかった訳ですけれども、ここはほほうという所ですが。
『If the incoming data are broadly consistent with this forecast, the Committee
currently anticipates that it would be appropriate to moderate the monthly
pace of purchases later this year; and if the subsequent data remain broadly
aligned with our current expectations for the economy, we would continue
to reduce the pace of purchases in measured steps through the first half
of next year, ending purchases around midyear.』
キターーーーーーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
『In this scenario, when asset purchases ultimately come to an end, the
unemployment rate would likely be in the vicinity of 7 percent, with solid
economic growth supporting further job gains-a substantial improvement
from the 8.1 percent unemployment rate that prevailed when the Committee
announced this program.』
おー、正直ここまではっきりと言うとは思わなんだ。でまあこのように威勢がカナーリ良い話をした後にヘッジクローズが入ります。
『I would like to emphasize once more the point that our policy is in no
way predetermined and will depend on the incoming data and the evolution
of the outlook, as well as on the cumulative progress toward our objectives.』
べ、べつにコミットメントなんてしていないからね!!ということですねわかります。
『If conditions improve faster than expected, the pace of asset purchases
could be reduced somewhat more quickly. If the outlook becomes less favorable,
on the other hand, or if financial conditions are judged to be inconsistent
with further progress in the labor markets, reductions in the pace of purchases
could be delayed; indeed, should it be needed, the Committee would be prepared
to employ all of its tools, including an increase in the pace of purchases
for a time, to promote a return to maximum employment in a context of price
stability.』
状況によっては今言った動きが早くなったり遅くなったりしますぞなと。
・資産買入ペースの縮小はバランスシートの縮小に非ずという話
でもってその次には資産買入ペース縮小は金融引き締めにあらずという話を延々と続けて締めています。
『It’s also worth noting here that, even if a modest reduction in the
pace of asset purchases occurs, we would not be shrinking the Federal Reserve’s
portfolio of securities but only slowing the pace at which we are adding
to the portfolio, while continuing to reinvest principal payments and proceeds
from maturing holdings as well.』
さよですな。
『These large and growing holdings will continue to put downward pressure
on longer-term interest rates. To use the analogy of driving an automobile,
any slowing in the pace of purchases will be akin to letting up a bit on
the gas pedal as the car picks up speed, not to beginning to apply the
brakes.』
・フォワードガイダンスはフォワードガイダンスで資産買入どうのこうのの話とは別ですよという話
当然ながらこれが続く。
『I will close by drawing again the important distinction between the Committee’s
decisions about adjusting the pace of asset purchases and its forward guidance
regarding the target for the federal funds rate.』
んだすなあ。
『As I mentioned, the current level of the federal funds rate target is
likely to remain appropriate for a considerable period after asset purchases
are concluded. To return to the driving analogy, if the incoming data support
the view that the economy is able to sustain a reasonable cruising speed,
we will ease the pressure on the accelerator by gradually reducing the
pace of purchases. However, any need to consider applying the brakes by
raising short-term rates is still far in the future. In any case, no matter
how conditions may evolve, the Federal Reserve remains committed to fostering
substantial improvement in the outlook for the labor market in a context
of price stability.』
『Thank you. I would be glad to take your questions.』
質疑応答は間もなくアップされるでしょう。まあ週末に読む所存。
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2013/06/19
○FOMC待ちなのでFOMCプレビュー雑談
えーっとですね、まあ色々とその前に書いたような気もするけれども頭の整理に雑談。
景気見通しが必ずしも凄く強いという訳では無いのにTaperingの話が出てくるという一連の流れに加え、ウィリアムスとかローゼングレンみたいなハト派系まで資産買入ペースの見直し必須という話をしているという状況で、却って物価重視派のブラードの方が逆の話をしているような感じ、とまあそういう状況と把握しているんすけどね。
勿論いろいろな見立てがある所なので、別にあたくしの見立てが正しいかというとそら知らんぞなという話ではあるのですが、あたしゃ思うにやはりこの一連の緩和ペース縮小議論の背景にあるのは「クレジットバブル再燃への懸念」とか「金融緩和に過度に依存した資産市場への懸念」というファクターがデカイと思うのですよね。
そーなりますと、意外に逆さ絵おじさんの期待コントロールも難しいのでして、「ガス抜きはしないといけない」けれども「ここで資産市場をクラッシュさせる訳にはいかない」ということで、今回のFOMCや会見の結果相場がクラッシュしたら当然負けなのですけれども、一方で「金融緩和継続でゴルディロックヒャッハーだぜ!」とばかりに資産市場が上昇ワッショイになってしまっても恐らく負けなのでありまして、正直どうするんだろと思うのですよね。まあ「適度なガス抜き」ってひじょーに難しいです罠という所で。
つーことで、まあ基本的には声明文ベースではそんなに極端な変化が出るとはあまり思っていなくて、「買入ペースの見直しについては常に検討して適切な対応を行う」というような表現が継続されて、会見の場では「買入ペースが減っても緩和政策は継続されているのですよあっはっは」という話をしながらも「つーことでまあ買入ペースは落としますよ」というのもある程度(時期は明示しないでしょうけれども)打ち出して来るか、次回検討しますよ〜とか言い出すか、まあ何らかの明示的な示唆は与えて、よーするに「金融緩和に過度に依存した資産市場様におかれましてはいつまでも金融緩和ヒャッハー相場をやってるんじゃねえこのクソボケ共は実体経済に則した価格形成しやがれ」というメッセージ(は露骨には送れませんが)を示したい、という事になるじゃネーノとは思うのですけれどもどうっすかねえ。
つまり、いつまでもあると思うな金融相場という話なんですが、そう考えますと東洋の国で金融緩和ヒャッハーで資産価格ヒャッハー狙いというのを打ち込んでその後あちこちの国が金融緩和の実施に追い込まれたと思ったら今度はマネーの動きが変調になって利上げしないといかんぞなという国が出たりとか、そういう所にもボラティリティーを提供しているのではないか疑惑のある事案が発生しているのを目の当たりにしているのもQE3の無制限的拡大というのはやはりマズーなのではないかという認識を強めたのかなあとか思うのは捻り過ぎですかねえ。
とまあ纏まってませんがそんな感じで、リスク性資産の金融緩和ヒャッハー相場の持続性という文脈からもFOMCの出方に注目したいなあとは思うのですよね、うんうん。
○ドラギキタコレ・・・・・・・なのかな???
昨日の夕方にこの件が出てたんですけどね。
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE95H05Q20130618
ECB、必要となれば行動する用意がある=ドラギ総裁
2013年 06月 19日 00:20 JST
『[エルサレム 18日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロ圏経済を支援するために必要ならばECBは「行動する用意がある」と述べた。最近の市場安定化の兆候については、金利が再び効果的な手段になっていることを意味しているとの認識を示した。』(上記URLより)
ということなのですが、ECBのサイトを見たら当該講演があったぞなもし。
http://www.ecb.int/press/key/date/2013/html/sp130618.en.html
Opening remarks at the session “Rethinking the Limitations of Monetary Policy”
Speech by Mario Draghi, President of the ECB,
at the farewell conference honouring Governor Stanley Fischer,
The Israel Museum,
Jerusalem 18 June 2013
超越斜め読みしかしていないがちょっとだけ引用してみる。
最初の方から。
『In terms of the current situation, the euro area economy is still in
a phase of adjustment. Real GDP fell by 0.6% in the fourth quarter of 2012
and by 0.2% in the first quarter of 2013. Output has thus declined for
six consecutive quarters, labour market conditions remain weak and public
and private sector balance sheet adjustments continue to weigh on economic
activity. Unacceptably high levels of unemployment, particularly youth
unemployment, are the prime concern of economic policy-makers.』
『Recent survey data suggest some improvement, but from low levels. Export
growth should benefit from a recovery in global demand. Domestic demand
should be supported by accommodative monetary policy; by the recent real
income gains from lower oil prices and lower inflation; and by the confidence
and wealth effects stemming from the improvements in financial markets
since last summer.』
景気認識はひところよりは改善したとは言えまあ弱いですよというお話っすね。
『The ECB’s Governing Council has stressed that that monetary policy will
remain accommodative for as long as necessary. In the period ahead, we
will monitor very closely all incoming information on economic and monetary
developments and stand ready to act if necessary.』
これは先般の会見の冒頭説明でも同じ事言ってました。
『In the meantime, it is important to note that economic and financial
fragmentation in the euro area has declined significantly since last summer.
This has had beneficial effects for the real economies of all euro area
countries.』
ユーロエリアの分断化については昨年夏よりは大きく改善しているというのもこの前の会見での説明と整合的。で、この後そのフラグメンテーションの改善状況の説明があるがスルー。
『Let me turn now to the limitations of monetary policy. Here I see two possible dimensions.』
この講演のお題が「金融政策の限界」なんですよね、最初にありましたように。
『The first is positive and refers to the effectiveness of central bank
actions at the margin - for example, when interest rates are close to zero.
The second is normative and refers to the constraints imposed on us by
our mandate and to the fears that boundaries between central bank policies
and other policies might become blurred.』
ええい単語が難しいじゃねえか、ゼロ金利制約に関する話と金融政策が他の領域(つまり財政)に踏む込む点の論点とな。
『I will not dwell on the first dimension because I do not think that we
are materially challenged in our ability to deliver our objective of price
stability by the low level of interest rates.』
低金利制約があっても色々な手段で金融政策が出来ます(キリッ)とのことのようで。
『Looking back, despite extraordinarily testing economic circumstances,
inflation in the euro area has remained on the whole consistent with the
ECB’s objective of below but close to 2%. Looking forward, Eurosystem
staff project annual HICP inflation at 1.4% in 2013 and 1.3% in 2014, but
medium-term inflation expectations remain anchored in line with our definition
of price stability.』
物価は過去もこの先も安定しているとな。
『One reason why inflation expectations have remained broadly stable is
that we - and other major central banks around the world - have prevented
the materialisation of deflation risk by adopting both standard and non-standard
measures as and when necessary.』
インフレ期待が安定している理由の一つとしては、我々および世界の主要な中央銀行は、伝統的および非伝統的政策の実施によってデフレリスクの顕在化を防いでいるからである(キリッ)とかこらまた麿涙目のお言葉。
『In the euro area, one such non-standard measure was the introduction
of the outright monetary transactions (OMT) programme last year, the stabilising
effects of which are widely recognised.』
ユーロエリアでは非伝統的政策はOMTですよと。
『There are numerous other measures - standard interest rate policy and
non-standard measures - that we can deploy and that we will deploy if circumstances
warrant.』
でまあここがヘッドラインになっているのですが、この文脈で言うと「必要な時に何でもやる」というのは報道サイドのバイアスがちょっと強いんじゃねえかという気もするんだが・・・・・・・・・・
ただまあ文脈の流れからすると、物価低下圧力が掛かってきた時には利下げまたは何らかの非伝統的手段で対応、というような話のような気がするんだが。
『At the same time, I have also made clear that some of those measures
may have unintended consequences. This does not mean that they should not
be used, but it does mean that we need to be aware of those consequences
and manage them appropriately. We will look with an open mind at these
measures that are especially effective in our institutional setup and that
fall within our mandate. 』
しかもこの次には非伝統的政策には期待しない副作用もありますという話をしておりまして、ただまあ副作用があるから実施しないというのではあって、それらの副作用に対処できればヨロシという事でもあるので、その辺に関しては常に予断を持たずに、マンデート達成のために何が必要かを考えますとかそういう話をしておりまして、別にここで強いトーンでびりーぶみーと言った訳では無いような気がするんだが、前回の会見があまりにも歯切れが悪かったからその反動でちょっとポジティブに取り過ぎたんじゃネーカと思ったんだか何せあたくしも超斜め読みなので自信は無い。
『This leads me to the second dimension of discussion of the limitations
of monetary policy, namely the risk of a blurring of the boundaries of
central bank policy.』
ということで、ここから暫くは金融政策と財政政策の区別についてという第2の論点になるみたい。
『To approach this question, it is useful to refer to the framework put
forward by another prominent scholar in central bank matters. Marvin Goodfriend
classifies central bank actions into three categories.』
Marvin Goodfriendさんの指摘する論点に沿って整理してます。
『The first category is what he calls “monetary policy” proper - changes
in the size of the monetary base via purchases and sales of government
securities.』
『Second comes “credit policy” - changes in the composition of the central
bank’s assets between government securities and claims on the private
sector of various kinds.』
『Third is “interest on reserves policy” - changes in the opportunity
cost for banks to hold reserves or excess reserves.』
こういう整理が適切なのかどうかはアタクシ的には少々謎だが。
『Goodfriend argues that all three categories have fiscal implications.
And he states that credit policy and interest on reserve policy involve
the use of public funds in a way that may imply an allocative role - and
which may therefore blur the respective roles of the monetary and fiscal
authorities.』
『In this context, it is worth recalling that the monetary constitution
of the ECB is firmly grounded in the principles of ‘ordoliberalism’,
particularly two of its central tenets:
First, a clear separation of power and objectives between authorities;
And second, adherence to the principles of an open market economy with
free competition, favouring an efficient allocation of resources.』
ということで、ちょっと引用が長くなってしまいましたが、以下続くのですが段々足元および今後の金融政策に関する話ではなくなってくる(以下ECBの政策をこれらの論点で説明している部分、だと斜め読みの結果解読したが間違ってたらゴミンナサイ)ので引用割愛、つーかこのセカンドポイントの引用長かったですかね。個人的にはこの手の話が好きなもんでつい引用しちゃいましたが、たぶん前半読んで置けば良いと思います。
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2013/06/11
○ECBドラギ総裁講演ネタである
http://www.ecb.int/press/pressconf/2013/html/is130606.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 6 June 2013
・全員一致なのかとか利下げの議論とか預金ファシリティの話とかに関する質疑応答から
先日(先週金曜)に引用しましたが、全員一致ですかという質問に関して「色々と議論がありました」とか答えにならない答えをしていたドラギ先生ですが、当たり前のように追加でツッコミが。
『Question: Maybe I can ask again the first question about whether or not
today’s decision was unanimous. I did not hear a yes or no. Were there
perhaps some members who called for a rate cut?(後半の質問割愛)』
お答えは以下の通り。
『Draghi: Well, on the first question, there was a consensus by the Governing
Council in the assessment that changes were not enough to warrant immediate
action. So, it was more a discussion based on the analysis than on the
decision. (後半割愛)』
金利据え置きは全員一致では無くて反対意見もありましたよという話を何でしたがらないのかが不思議ちゃんなのですけれども、割と従来からECBではその辺をスルーにしたがる傾向があるのですけれども何でここまでスルーしたがるのやら。
んでまあ後の方でまたまた質問が。
『Question: Last month you told us that a number of Governing Council members
had actually pushed for a more aggressive easing, and I wonder whether
the number of Council members who called for a rate cut today were fewer
than those who had hoped for a more aggressive easing in the previous month?
That’s my first question.
My second question is: You have repeatedly said that the ECB is technically
ready for negative interest rates. Are you equally technically ready to
move both the main refinancing rate and the deposit rate to zero, and do
you see any non-technical obstacles to having both rates at the same level?』
ということで再度「利下げ主張した委員は居ないのか」という質問が飛んでましてこの会見で3度目の質問になっております。後半の質問は預金ファシリティのマイナス化がテクニカルに準備はできているという説明を何回か受けているが、MROの金利と預金ファシリティをどちらもゼロにするというのはテクニカルに準備できてますかそれともテクニカル以外に問題ありますかとかそんな話。
『Draghi: As to the first question, frankly the discussion was not on whether
to cut rates or not. The discussion was on whether we had had enough of
a change since last time to warrant action now, and the prevailing consensus,
the vastly prevailing consensus if you will - and I can go on and on adding
adjectives to this - was that basically the changes that have taken place
are not sufficiently one-directional as to warrant action now.』
なんじゃこの蒟蒻問答。
『Having said that, as I said before, we stand ready to act and will continue
monitoring all incoming data closely.』
Having said thatっていうから要約するのかと思ったら結局玉虫色答弁である。
『On the second point, I told you we are technically ready, we have looked
at that, but we won’t pre-commit. I’m not going to tell you what we will
do next month or in two months’ time, or in six months exactly, but I
will say that all the groundwork for venturing into negative territory
for the interest rate on the deposit facility has been done. Whether this
will be combined with other measures or not, I am not in a position to
tell you now.』
これまたテクニカルに準備はできているがいつやるかとかそもそもやるかとそんな話は事前にしませんですよという言い方ですが、何ともこの辺の答弁が歯切れが悪いという感じでして、まあ背景としてはコンセンサスがどう見ても全然とれていないんでしょうなあというのは想像するに難くない。
・コミュニケーションポリシーの話:「用意が出来ている(キリッ)」というのはボラの元ではというツッコミに対して
これは早い所での質問だが。
『Question: You mentioned that these various instruments are on the shelf.
Isn’t this adding to the volatility in the financial markets? ?The ECB
kind of dangling these things out there for people to look at and then
seeing what various officials say? Also, it seems like other central banks
(for example, the Federal Reserve System when it talks about tapering or
not tapering) are now a source of volatility in the financial markets.
What role is the ECB playing in this and what can be done to limit it?(後半割愛)』
うむこの質問はオモロイのだが答えが更にワロタ。
『Draghi: In response to the first question, frankly the ECB has not done
anything to increase volatility in the markets.』
ワロタというか何というか、まあ今はそうかも知らんがおまいら意味不明利上げやったりして散々やらかしとるやんと思いましたがねえ。
『If you think that the ECB has done anything that is comparable to what
is happening in the other central banks, we would not agree with this perception.
I think that all in all we are currently taking a much more conservative
stance, although our monetary policy remains accommodative and, as I said,
it will stay accommodative for as long as needed.』
ニヤニヤ。
『But, certainly, we have observed an increase in global volatility, coming
from major monetary policy decisions or announcements of decisions that
may be taken in the coming months.』
ワロタ。
『However, I do not think that the ECB has in any way been a source of
this; I cannot really find any data to support this.(後半割愛)』
お前は他の中銀を盛大にdisっている場合かと思いましたが、まあこの文脈自体はその通りですかね。
・コミュニケーションポリシーの話:フォワードガイダンス入れないの??という質問に対して
さっきの質疑の直後になるのですが、先ほど引用したように「我々は緩和的な金融政策をしている」という話を何度かしているのは分かったが・・・・・・・という質問が飛んでいるのである。
『Question: You have reiterated twice now that monetary policy would remain
accommodative for as long as necessary. I was wondering whether issuing
a more formal forward guidance would be a way to ease monetary policy further?(後半割愛)』
だったらフォワードガイダンスを明文化した方が良いのではないかというのはさいですなという質問。
『Draghi: With regard to the first question, we have already given some
forward guidance in terms of liquidity availability - last time or the
time before, I said that the fixed-rate full allotment would be maintained
for the whole of next year until July 2014 at least, and as long as it
is needed.』
LTROで固定金利フルアロットメント方式を実施するのが来年の7月までということでこれがフォワードガイダンスだよとの事ですが、それは違うだろと思いますがねえ。
『In other words, if it is needed beyond that date, it would be prolonged.
We have not addressed yet other types of formal guidance as other central
banks have done, and we are reflecting on it.』
で、必要なら延長するのだとも言っているのでこれがフォワードガイダンスって話だがいやあのそれフォワードガイダンスと違うぞなもし。結局の所総合判断でっていうのは変わってないでしょ。
『As I mentioned before, we have a range of different instruments. This
one would be more on the standard side, while others would be more on the
non-standard side.(後半割愛)』
ということで何か最後は禅問答モードですが、結局の所「経済物価情勢に紐付けをしたフォワードガイダンス」の導入はする気なしという事ですな。
まあ確かに物価の方がマンデートからぶれている訳でも無い中でフォワードガイダンスを導入するというのも難しいでしょうから入れないのは入れないので良いのですが、LTROの継続期間がフォワードガイダンスというのはちょっと説明がインチキ過ぎやせんかという気はします。
・OMTの効果に関する説明部分が何か微妙にアレ
質疑応答の中でドイツのカールスルーエ憲法裁判所におけるOMTの判断についての質疑応答が結構あったのですが、まあそこに関しては割愛(途中から「アスムッセンが答えるのが適切なので私はあまり答えられません」とか言い出している)なのですが、その一連の質疑の中でOMTの効果に関してこんな話をしております。
『Draghi: When we all look back at what OMT has produced, frankly when
you look at the data, it’s really very hard not to state that OMT has
been probably the most successful monetary policy measure undertaken in
recent time.』
これまでの政策の中で一番効果があったそうですよ。買入はしてないけど。
『Before OMT we had some expectations of deflationary risks, and that’s
over. I think I see that as the greatest achievement of this monetary policy
measure.』
・・・・・・・デフレリスクを払拭したとな???
『You have stock prices, which went up everywhere - from, say, 30% in Germany
to 39% in Spain - which means that the cost of capital has gone down, creating
a much more favourable environment for investments.』
株が上昇したと。
『You see TARGET2 balances - I just received the data an hour ago. TARGET2
balances, today, are at the level they were in early December 2011, before
the first three-year LRTO was undertaken. TARGET2 balances, for Germany
have declined by ユーロ160 billion since then. There are people who are
convinced that TARGET2 balances are a big risk for countries. The data
should prove to these people that now the risks are lower after OMT.』
で、ターゲット2バランスと。
『Ten-year sovereign bond yields declined spectacularly in several countries
but went up in Germany. And that’s very important for the saver, for the
German saver, for insurance companies and pension funds.』
何かこの金利が下がった方を効果に言うのは分かるけど、「ドイツの金利が上がってドイツの預金者や保険会社や年金基金にとって良かった」というのはさすがに効果の説明として無理筋にも程があると思う。まあドイツの憲法裁判所向けのアピールなんでしょうけれどもさすがに如何なものかという感じです。
『I can continue with this: volatility indices. OMT has brought stability,
not only to the markets in Europe but also to the markets worldwide. The
same thing if you look at US stock prices. Of course, in other jurisdictions
other things have happened at the same time. So, I am saying that, looking
back, one can only be quite satisfied with the results obtained by this
operation.』
まあボラ下がったとかそういうのは分かるけど、何かアピールのし過ぎじゃねえかと思います。
・物価に関して微妙な説明ががががが
最後の方に物価に関する質疑があってこの答が何とも微妙。
『Question: I have two questions. The first one is: do you see any risk
of deflation in some countries in the euro area?(後半割愛)』
『Draghi: Well, not really.
First, on deflation: the price path that has been foreseen by the staff
projections is lower than the price path foreseen in previous staff projections,
both for this and next year. This is mostly due to a decrease in the price
of oil. If you discount oil and food, you see that the difference between
the two price paths, of the previous and of today’s projections, is much
smaller.』
主に石油価格の低下の影響で物価見通しが下がったというのはその通り。でその次からがほほうという感じ。
『Second: is there deflation? We must first ask ourselves what deflation
is. Deflation is a protracted fall in prices across different commodities,
sectors and countries. In other words, it is a generalised protracted fall
in prices, with self-fulfilling expectations. Therefore, it has explosive
downward dynamics.』
デフレーションとは?という話をしておりますが、全体の物価が下がって期待が自己実現的に下がって下落のダイナミズムが働くのをデフレーションというのですと言い出しまして・・・・・・・・・
『We do not see anything like that in any country.』
ほう。
『Also, when we look at which prices are falling, we see that the fall
in prices is actually limited to certain categories of goods and - when
discounting oil and food, as I said before - these decreases are due to
less regulation, for example, or to the introduction of technologies which
increase productivity.』
ほうほう。
『Of course, the falling price of oil is very important because now we
really have to understand whether it is a structural fall in price, i.e.
whether it is going to stay because of the shale gas in the United States
and elsewhere (as apparently it is not only in the United States), or whether
it is something transitory. Also, monetary policy has to look beyond volatility
which, as I think I said in the introductory statement, is going to continue
to be present in price developments - so do not be surprised if you see
bumps in the price paths in the months ahead, because there is going to
be volatility there.』
『But you have to look through volatility and you need to ask yourself
how inflation expectations are behaving. There you see that inflation expectations
remain firmly anchored, and this is the case whether looking at the inflation
expectations derived from the financial markets or those from the surveys.
The Survey of Professional Forecasters (SPF) shows that inflation expectations
have been anchored at 1.9% for 15 years, since the creation of the ECB.
So, all in all, we do not see deflation. Furthermore, we would certainly
consider any deflation very seriously because it is a threat to our ability
to pursue our objective of maintaining price stability. If we were to see
deflation, we would have to sit down and think carefully, but we do not
see it.』
何か大演説モードになっておりますが、要は今の物価推移に関しては全体的な物価下落やインフレ期待の低下を伴うようなデフレ―ションとは違いますという話(纏めすぎですかそうですか)でして・・・・・・・
『In addition, some of these changes I hinted at are actually changes in
relative prices, so they are positive. They show that there is real adjustment
taking place, which can be seen in the export levels, which have gone up
in some of the stressed countries.(後半割愛)』
ふーんという所ですな。
・財政再建に関してはシバキアゲ系ですなあ
『Question: You talked about dramatism a few minutes ago and I am afraid
I will be a little bit dramatic now because I am from a country that has
an unemployment rate of 27%, which is a number of a great depression, a
fiscal policy that is contractionary and a monetary policy in Spain and
also in other countries that is also contractionary because credit is not
available to small and medium-sized companies. Are you telling the Spanish,
Portuguese, Irish or even Italian people that the ECB can’t do anything
else with inflation actually lower than 2%?』
ふむ。
『Draghi: Well, I am not sure I get the point, but I think I get it. First,
the fact that inflation is low is not, by itself, bad; with low inflation,
you can buy more stuff.』
どさくさに紛れて低インフレはそれだけでは悪くないと仰せで。
『Second, we don’t see deflation and that is what we have to fear. We don’t see that yet.』
何というかそれってトートロジーみたいなのですが・・・・・・という物価の話が???なのですがその後が財政再建に関するお話でありまする。
『Third, fiscal consolidation is and remains unavoidable. It should be
clear I think to everybody that you cannot have growth with endless debt
creation. Sooner or later, you are going to be punished and the whole thing
stops and that’s exactly what happened after the financial crisis in many
countries.』
これは財政再建の話ですな。質問者はスペインの人で元々の質問は財政政策も金融政策も周縁国にとってはシバキアゲなんですがという話です。
『Fourth, are there ways to make fiscal consolidation growth-friendly?
The answer is yes. Fiscal consolidation in most countries has taken the
shape of increasing taxes and there are many reasons for that. Often this
was done in an emergency situation or unfortunately because the easiest
thing to do is to raise taxes. Now that is not growth-friendly and it is
not growth-friendly because it happens in parts of the world where taxes
are already very, very high.』
ということでまあ以下財政再建と成長の話なのですが、それに関する質疑応答や説明部分は割愛しています(質疑の
方はそんなに焦点あたって無かったが)けれども、まあシバキアゲ系の話をしているんですよね。
『So what would be a better way? A better way would be the difficult way,
namely to reduce unproductive government expenditure and reduce taxes together.
But once you have done that - and in a sense I hinted at this before -
you also have to ask yourself why these countries were not competitive.
Why did they have to rely for growth in the good times, or “fairyland”
times, on the protected sectors that were shielded from international competition?
And then you ask yourself what should these countries change to become
more competitive? And then what adjustments are needed in order to achieve
this objective? The encouraging thing is that we see that most countries,
if not all of them, are in this process, which of course is very painful,
and I don’t think I miss one opportunity to make sure that you all know
how aware of this we all are in the ECB.』
ちうことで、まあ財政支出の中で非生産的な部分をカットしながら財政再建していきなはれと言うのは簡単なのですが実際は色々と大変そうな話をしておりますが、まあ財政シバキアゲ系の話ですなあという所で。
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2013/06/10
○おお時間ががががが(予告編)
ECBドラギ先生の会見なんですけどね。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2013/html/is130606.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 6 June 2013
こちらのネタをやる積りが雑談の方で時間を食ってしまい(だったら事前に準備しておけというツッコミを頂戴しそうですがそこはそこということで、汗)こっちに進まないのですが、まあ確かに今回の会見Q&Aを見ますと「歯切れが悪い」という印象を受けます罠。
特に追加金融緩和の話に関しては3回(うち1回は金曜に引用)も「この決定は全会一致でしたか?利下げの議論はあったのですか??」という質問が飛んでいるのに、全部「色々な議論を行いましたがコンセンサスとして今回は現状維持です」というような答えになっていない答えで返しておりまして、こりゃ明らかにコンセンサスが全然とれていないという事だろうなあと思わせてくれました。
しかも(これは金曜に引用しました所にも一部ありましたが)企業金融関連に関する質疑でも「根本的な対策」の方ばかりを強調するという形になっていまして、まあこれは結構なカオスになっているんだろうなあと思いました。
あとワロタのが幾つかありましたが「他の中央銀行と違って我々は市場にボラティリティーを供給していません」という趣旨の発言をしている(2か所ある)のがワロタですよ。
ということでその辺を踏まえまして明日にでも。
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2013/06/07
○ECBである
http://www.ecb.int/press/pr/date/2013/html/pr130606.en.html
6 June 2013 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the
interest rate on the main refinancing operations and the interest rates
on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged
at 0.50%, 1.00% and 0.00% respectively.』
金利は据え置きでありまして、ドラギ総裁の質疑応答は・・・・・・と見ますと、最近のECBはQ&Aをアップするのがやたら速くなりまして既に東京時間の朝っぱらにはアップされているのが素早過ぎぞなもし。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2013/html/is130606.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB,
Frankfurt am Main, 6 June 2013
つーてもまあさすがにIntroductory statementの所しか読んでる時間と語学力がないのですがorz
『Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep
the key ECB interest rates unchanged. Incoming information has confirmed
our assessment which led to the cut in interest rates in early May. The
underlying price pressure in the euro area is expected to remain subdued
over the medium term. In keeping with this picture, monetary and, in particular,
credit dynamics remain subdued. Medium-term inflation expectations for
the euro area continue to be firmly anchored in line with our aim of maintaining
inflation rates below, but close to, 2%.』
前回利下げを行った際の経済見通しをコンファームする経済データが出ておりますとのことで、「クレジットダイナミクスが依然として抑制されている」というのがどどーんと書かれている辺りは(Q&A読めば答えが書いてあるような気がしますが)いわゆる域内のクレジットディマンドに対する金融機関の(欧州は銀行セクターによるクレジット供給が多いから)フラグメンテーションをどうにかしましょうという方向で次の施策を打って来るんじゃないですかと思うのですがどうでしょうかね。
でまあ物価に関しては長期的にはインフレ期待アンカーで物価上昇圧力は抑制されていますという話っすね。
『At the same time, recent economic sentiment survey data have shown some
improvement from low levels. The accommodative stance of our monetary policy,
together with the significant improvements in financial markets since mid-2012,
should contribute to support prospects for an economic recovery later in
the year.』
最近のセンチメントに関するサーベイデータが改善を示しており、金融緩和に加えて2012年中盤(=OMT導入決定)以降の金融市場の顕著な改善は今年の遅い時期の回帰回復をサポートするでしょう、ということで経済に関して若干明るいお話を。
『Against this overall background, our monetary policy stance will remain
accommodative for as long as necessary. In the period ahead, we will monitor
very closely all incoming information on economic and monetary developments
and assess any impact on the outlook for price stability.』
ただまあその明るい話はあれども必要なだけ長く緩和的なスタンスを継続するという話を即座にしておりまして、そーゆー意味では(これまたQ&A見ないとアレなのですが)少なくともステートメントの方では明るい話をしてるけどまだまだ緩和ネタ用意してそうな感じではあるのですけど気のせいですかねえ。
ちなみにこのmonitor very closelyって今年の2月から言い出して、利下げをした5月にも言って今回も言ってまして、トリシェ時代はこれが金融政策のアジャストの可能性がありますよフラグだったのですがさてどうなんでしょうかね。
『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis.』
前回はここで利下げの背景の説明とかあったので当然としまして、それ以前に関しても大体何かの説明がああだこうだとあったのですが、今回は「では背景の詳細を説明します」というのがいきなり始まるの巻となっておりまして、ちょっとここの部分はへーという感じでした。
『Real GDP contracted by 0.2% in the first quarter of 2013, following a
decline of 0.6% in the fourth quarter of 2012. Output has thus declined
for six consecutive quarters, with labour market conditions remaining weak.
Recent developments in economic sentiment survey data have shown some improvement
from low levels.』
結局マシなのはセンチメントのサーベイデータだけのような気がしますが・・・・・・・・
『Looking ahead to later in the year and to 2014, euro area export growth
should benefit from a recovery in global demand, while domestic demand
should be supported by the accommodative stance of our monetary policy
and by the recent real income gains due to lower oil prices and generally
lower inflation.』
はいはいグローバルディマンドグローバルディマンド、って主要国の中銀みなさん世界経済の回復でウチもメリットがという話をしているのが実にこう味わいが深いのですけれどもまあいいです。
『Furthermore, the significant improvements in financial markets seen since
last summer should work their way through to the real economy, as should
the progress made in fiscal consolidation.』
『At the same time, the remaining necessary balance sheet adjustments in
the public and private sectors will continue to weigh on economic activity.』
この辺は毎度の話。
『Overall, euro area economic activity should stabilise and recover in
the course of the year, albeit at a subdued pace. 』
ということで経済の回復は抑制されたペースではありますがそのうち安定して回復軌道にという話でして、まあそんなに経済に強い話をしている訳でも無かろうとは思います。んでもってこの後もああだこうだと有るのですがスルーして最初の質疑だけ。
『Question: On several occasions, you have mentioned the need to provide
more credit to small and medium-sized enterprises (SMEs), and at the last
press conference in Bratislava you also mentioned the possibility of doing
something to restart the securitisation market, as well as the market for
asset-backed securities (ABSs). Could you give us a progress report on
the work being done on that front? Have you scaled down your ambitions
there? I think the Vice-President has mentioned in a speech that maybe
expectations were a bit excessive in that regard.』
『In terms of interest rates, did you discuss the possibility of cutting
them? Was your decision unanimous?』
ということで最初の質問が前回も話が出ていたABS証券に対するお助けオペレーションに対する議論って進展してるの?という話で、次の質問は全員一致なのか利下げの議論は無かったのかという質問でごじゃります。
『Draghi: At today’s meeting, we had an ample discussion on the various
non-standard measures that could be utilised to repair the monetary policy
transmission channels. In this context, we discussed ABSs, we discussed
LTROs, we discussed enhancing the framework for additional credit claims,
and we discussed our collateral policies.』
ABSお助け政策だけでは無くてその他の手段とか何かできませんかという議論が行われているようで、まずABSお助け以外の話を説明しているのがほほうという感じで、以下LTROと預金ファシリティー金利の話をしております。
『Most of these measures, which we will continue to discuss, address funding
problems first and foremost. Let’s consider this. Second, some measures,
for example the LTROs, are easier to implement and have clearer consequences.』
ファンディングの問題に対処するという方法もありますぜということで、LTROもその文脈から効果がございますという説明がありまして・・・・・・・
『However, other measures, such as a negative rate on the deposit facility,
which we also discussed and are now technically ready for, may, as I have
said on numerous occasions, have several unintended consequences.』
預金ファシリティーのマイナス化に関しても議論は行っていて技術的には準備が整っていると何度も申し上げましたが、これはいくつかの期待に反する結果を招くこともありますよという話をしていまして、まあトーンとしては下がったような気もするが良く判らん。
『Nevertheless, neither on this front nor on any of the others, do we see
any reason to act at this present point in time. Really, these measures
are all on the shelf.』
でまあこの手の手段は準備していますがこれらの手段は今回の会合で投入するまでもありませんという話になりましたと。
『The issue of ABSs is more complicated than the others, however. You have
to take into account, and I think I have said this in the past, that the
ABS market has been dead for many years. And it has been dead for several
reasons. Some relate to the problems caused by ABSs both during and prior
to the crisis, while others are associated with the liquidity and capital
requirements for ABSs. Once you have analysed this, it is clear that we
are talking about specific ABSs for SME loans. Even before the crisis,
ABSs for SME loans were very little, probably the smallest component of
the ABS market, if I am not mistaken. This was because it is difficult
to put SME loans in an ABS and correctly rate and price it so that it can
be traded like other forms of ABS that contain much more standardised products.』
イマイチ話の切れ目が無いので長々と引用しちゃいましたが、ABSお助け措置に関しては幾つかややこしい問題があるという事を説明していますな。つまり市場がそもそも死んでおりますぞなとか、それ以前の問題としてABS市場って元から小さい市場でここのお助けをしたからと言って中小企業などのクレジット環境が改善するのかねとかそういう問題が有りますと。
『Having said that, there is a task force working on this together with
the European Investment Bank, and if they produce something, it will be
collateralised, it will be guaranteed by other institutions. We will then
certainly look into the possibility of accepting it as collateral. But,
in any case, this is not something for the short term anyway. It will take
a long time. In order to ensure the functioning of an ABS market, we first
need to change the liquidity and capital regulatory framework for these
types of ABSs, which is a long-term project. 』
ということで、お助けオペ云々よりもABSに対する流動性を高めるとか、保有に対する資本規制の枠組みとかを考えるというやや時間の長いプロジェクトをやることによってABS市場の流動性を高める必要もありますよね、でそれについてはEIBなどとも共同して検討してますよというような話をしているようですな、うんうん。
で、2番目の質問について。
『In answer to your second question, at our last meeting I said that the
Governing Council would look at all incoming data, would monitor closely
all the developments, and would stand ready to act.』
と、ここまでは大見栄モードですが・・・・・・・
『Today, we had a full, very rich discussion on the data that have come
in since last time, as well as on the changes that have taken place, and
some changes are for the better.』
経済の一部の変化は良い方向ですと?
『Some survey data have turned out better than expected, for example, the
flash estimate for the inflation rate in May is 1.4%, higher than in the
previous month, while other data, such as those concerning credit developments,
are not as good.』
しかも物価についても「turned out better than expected」とか仰せでして、一方でクレジット市場の方については宜しくないという話をしていて、どうもクレジット市場向けの何かやるという話が今後のメインになりそうな気がするという補強に^^;
『However, by and large, the Governing Council agreed that there was no
change in direction that would justify taking action at this point in time.』
ふむふむ。
『Having said that, I can only repeat what I said last time, in that we
will monitor all incoming data very closely and stand ready to act.』
ということで、決定が全員一致ですかとか利下げの議論がありましたかという質問についてはお答えしませんでしたというのがオチでございまして、まあベンダーとかでも書かれていますが、あまり歯切れの良い感じではないっすねというか、やはり方向性は「域内のクレジット環境をどう改善するのか」というような気がします。
ということで詳しくは週末に読む(と思う)。
○BOEは据え置き
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2013/006.aspx
Bank of England maintains Bank Rate at 0.5% and the size of the Asset Purchase Programme at £375 billion
という事でこちらは政策変更なしですな。まあメモだけ。
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2013/06/05
○ローゼングレン総裁講演ネタ続き
http://www.bostonfed.org/news/speeches/rosengren/2013/052913/index.htm
The Economic Outlook and Monetary Policy
by Eric S. Rosengren, President & Chief Executive Officer
The Economic Club of Minnesota
Minneapolis, Minnesota
May 29, 2013
PDFバージョンのテキスト
http://www.bostonfed.org/news/speeches/rosengren/2013/052913/052913text.pdf
図表とコメント(図表の説明が結構あるので読みながら参考にするのが吉)
http://www.bostonfed.org/news/speeches/rosengren/2013/052913/052913figuresandcomments.pdf
・労働市場には割と楽観的だが物価に関しては若干警戒している感があります
って5月FOMC議事要旨もそんなトーンでしたけれども、まあそういう意味ではタカ派の講演を読むよりはハト派系の講演を読むほうがオモロイ。
『Progress in the Economic Outlook』から少々(実際はこのパートがやや長い)。
『Figure 1 shows how the Blue-Chip forecast for the unemployment rate at
the end of 2013, and the Survey of Professional Forecasters projection
for the same, have evolved since last September. As the actual, current
unemployment rate has slowly receded, there has been a gradual improvement
in the forecast for the unemployment rate at the end of this year. Both
forecasts are now projecting the unemployment rate will be lower at the
end of the year than they had projected last September, although they are
still not quite as optimistic as my own forecast.』
図の方は上記URL先から見てちょという所ですが、労働市場の見通しは徐々に改善となっていて、昨日も引用したとおりですが民間フォーキャスターの見通しは昨年9月(QE3ローンチ前)からあまり改善していないが、ローゼングレン総裁の見通しは改善してますがなもしという事で。
『Turning to inflation measures, Figure 2 shows the evolution since last
September of the Blue Chip forecast for the Consumer Price Index (CPI)
at the end of 2013, and the Survey of Professional Forecasters projection
for the Personal Consumption Expenditures (PCE) inflation rate at the end
of 2013. Both show declining forecasts of inflation for 2013, as incoming
data consistently come in below forecasts - raising the possibility that
inflation will fall further below the Federal Reserve’s 2 percent target.』
raising the possibility that inflation will fall furtherキタコレということでして、物価に関しては2%目標からやや低下する可能性が高まっていると指摘しています。
・LSAPと資産価格の話なのですが・・・・・・・・・
でその次。
『Figure 3 shows the growth in the Federal Reserve’s balance sheet. We
have been purchasing $85 billion in securities per month. Were we to decide
to lower the purchase amount somewhat, our assets would continue to rise
but at a more modest rate. Thus we would be increasing monetary accommodation,
but at a slower pace.』
でまあここでもいきなりバランスシート拡大の話をしながら「買入拡大ペースを低くしても、これからもバランスシートは拡大するので金融緩和は拡大していくんですよ、拡大のペースがおそくなるだけですよ」という風に言っているのがチャーミング。
『Of course, many asset prices are calibrated to the anticipation of our cumulative purchases.』
LSAPで資産価格上昇キタコレ。
『Thus the effect of our purchases ultimately depends on whether they result
in a larger or smaller balance sheet for the central bank, which in turn
depends on when the purchase program ends, given the pace of purchases.』
バランスシートがより大きくなるのか小さくなるのかという部分で資産買入の効果が出るとな。
『If asset purchases at a lower rate were to continue for longer than they
would otherwise, the Fed’s balance sheet could actually grow larger than
it would with more sizable purchases over a shorter period. So, in short,
altering the flow of purchases may or may not result in a smaller central
bank balance sheet, depending on how long the reduced inflow of assets
continued. 』
つーことで、資産買入ペースの縮小というのはバランスシートの拡大継続を意味するのですから資産価格への効果はまだ出ますよという話をここでもしていまして、どうも買入ペースの見直しは普通の議論になっているのではなかろうかという気がします。
・物価については水準が低いですよねという話再び
少し飛びますが。
『Figure 6 shows total PCE inflation over a longer time period, the past
three decades. The solid horizontal line reflects the most recent observation
of total PCE inflation. While there are three periods when total PCE inflation
has been lower over the past 30 years, the current PCE inflation rate is
much lower than it has been over most of that period.』
ということで、足元のPCEインフレ率は長期時系列から見た水準からすると相当低いと。
『Figure 7 shows the core PCE inflation over the past three decades, again
with the most recent observation reflected in a dark horizontal line. This
shows even more starkly just how low the inflation rate is currently. The
current core PCE inflation rate is close to the low point for the past
30 years.』
過去3回ほど低かった時期との比較をすると、やはりヒストリカルローの位置ですよとな。
・失業率水準については高いですねという話
でもってその次。
『Switching from inflation to unemployment, Figure 8 shows the unemployment
rate over the past three decades with a dark horizontal line at 7.5 percent
unemployment, the current unemployment rate. While the unemployment rate
has fallen significantly from its peak during this business cycle, it is
still quite high. At an unemployment rate of 7.5 percent, the rate is above
the peak level in the last prior recession (2001) and near the peak level
associated with the 1990 recession.』
まあ水準が高いという事ですな。
『The charts highlight that while we have seen some improvement in labor
markets, the unemployment rate remains well above what can be considered
full employment, and the inflation rate remains well below target.』
まあ当然ですがキタコレという所で。
『In fact, core inflation remains at the very low end of recent experience,
and the unemployment rate is close to the cyclical peaks of the past two
recessions. And as I mentioned before, potential unintended costs of the
accommodative policy are not currently evident.』
更にコアインフレの低下傾向にも言及。
『Taken together, these facts provide the rationale for my own view that,
while we have seen some improvement in labor market conditions, significant
accommodation remains appropriate at this time.』
ということで、多少の労働市場の改善があっても超緩和政策は適切である!というのが結論になってますな。
・労働市場の改善について
『Disaggregated Labor Market Data』の纏め部分から。
『Taken together, Figures 9 and 10 indicate that improvements in labor
markets have been relatively widespread, and that regions that were particularly
impacted by real estate problems are among the states that have recovered
the most since last September. Overall, this indicates that the economic
recovery is beginning to positively impact most regions
of the country.』
ということで、改善の傾向に関しては全米で改善傾向(地域差が極端では無いという意味)になっていますよねという話で、まあ図の方はオモロイので見てちょと思いますが、割とこちらは改善という話。
・ということで雑感
ということでざくざくっと引用しましたが、ローゼングレン総裁の景気見通しは民間フォーキャスターよりやや楽観的とは言え、結局の所「労働市場が少々改善しても超緩和政策が適切」と言ってる訳で、その一方で緩和ペースの縮小に関しては抵抗があまりなさそうというお話。
・・・・・・・と考えますと、FOMC内部的には昨年9月や12月にQE3やQE3.5を打ち込んだものの、その後の経済状況の改善、というよりは恐らくはテールリスクの大幅な後退に起因するような気がするのですが、そのような状況変化を踏まえた場合に、足元の資産買入ペースが何ぼなんでも大き過ぎなのではないか、というアセスメントに至っているのではないかなあとか思うのですけれどもどうでしょうかねえ。
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2013/06/04
○ボストン連銀ローゼングレン総裁講演である(ちなみにハト分類ですよねこの人)
先週水曜の講演ですが、何せベンダーヘッドラインが違うというので興味を持った訳だが。
(ご参考:木曜の朝にも紹介してます)
http://jp.reuters.com/article/idJPTJE94S02320130529
米QE3縮小、今後数カ月で理にかなう可能性=ボストン連銀総裁
2013年 05月 30日 04:18 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNKGK26TTDTB01.html
ボストン連銀総裁:大規模緩和は必要−失業率と低インフレで
更新日時: 2013/05/30 03:21 JST
で、ローゼングレン総裁講演はこちら。
http://www.bostonfed.org/news/speeches/rosengren/2013/052913/index.htm
The Economic Outlook and Monetary Policy
by Eric S. Rosengren, President & Chief Executive Officer
The Economic Club of Minnesota
Minneapolis, Minnesota
May 29, 2013
PDFバージョンのテキスト
http://www.bostonfed.org/news/speeches/rosengren/2013/052913/052913text.pdf
図表とコメント(図表の説明が結構あるので読みながら参考にするのが吉)
http://www.bostonfed.org/news/speeches/rosengren/2013/052913/052913figuresandcomments.pdf
・金融緩和政策の利益はコストを遥かに上回る
まず冒頭(と言ってもちょっと後の方)の部分からですが、QE3ローンチ後の経済についてはこんな話をしています。
『What are the implications of these incremental changes in the economy
for the Federal Reserve’s asset-purchase program? The program was designed
to continue until there was a substantial improvement in the outlook for
the labor market, as long as the benefits of the purchases outweighed the
costs.』
ということで・・・・・
『My personal view is that the benefits of this accommodative monetary
policy program still significantly outweigh the costs.』
ということで、緩和的な金融緩和政策はコストを以前として「significantly」に上回るという認識を示していますな。
『While some improvement in labor markets has been achieved, it does not
yet constitute progress sufficient to merit halting the asset purchase
program.』
ということで、少々の労働市場の改善が進んだからと言って資産買入プログラムの「中止」が充分なメリットがあるとは言えません、とまあこの辺はハト派のローゼングレンクオリティ。
・資産価格には注意が必要だが現状はバブルの傾向はみられない
でその続き。
『As for the costs, the Fed is and should be very attuned to unintended
consequences - and is intently monitoring an array of asset prices, including
stock prices, housing prices, and other widely held assets. At this point
it seems that fundamentals are prevailing, and potential costs are well
contained.』
株価、住宅価格、その他幅広い資産価格のモニターを行っているが、現在の所では主にファンダメンタルズに沿った価格形成が行われており、潜在的なコストは十分に抑制されているとか何とか仰せです。
しかし・・・・・・・・・
・でも資産買入プログラムのペース縮小は検討すべきとな
更に続き。
『I also believe that the Federal Reserve should make adjustments to the
program based on economic outcomes - that if the economy and the outlook
improve, the rate of purchases could be gradually reduced, rather than
suddenly stopped once we have achieved substantial improvement in labor
markets.』
キタコレ!!なのですが、経済が改善して見通しが改善した場合には、資産買入拡大ペースを徐々に減らしていく方が、労働市場が改善した所で急に買入拡大を止めるよりも適切である、という話をしていてこの辺があらまあという所でしょうか。
『By the way, a reduction is one possibility, but of course adjustments
could be down or up - because if the incoming economic data do not reflect
improvements consistent with both elements of our dual mandate, I believe
the Fed should be willing to increase asset purchases.』
逆に経済見通しが悪化するなら買入ペースの拡大も有り、という話をしていまして、まあこれはこれで妥当なお話ではあるのですが、この後に引用しますようにローゼングレン総裁の経済見通しって割と強気に出ていまして、そこから勘案すると普通に資産買入ペース縮小と言う話になってしまうというのがオソロシスという所ではあるのですよ。
でまあ経済の見立て(Progress in the Economic Outlook)と労働市場の認識(Disaggregated
Labor Market Data) 部分がここの先から続くのですけれども、途中を盛大に飛ばして最後の纏め部分をやります(途中に関しては明日やるかも知れないしやらないかも知れない)。以下『Concluding
Observations』から。
・ということで途中を飛ばして纏めの部分である
『In summary and conclusion, since last September there has been continued
slow improvement in labor markets. Most regions of the country now have
better labor market conditions than they did last September. Despite the
slowly improving labor market outlook, the unemployment rate remains at
levels close to the peaks of the past two recessions, indicating that the
economy remains far from the full employment level.』
経済と労働市場の改善は継続しているが労働市場の水準はイマイチとな。
『In terms of monetary policy, it would in my view be premature to stop
the Fed’s large-scale asset purchase program at this time. I believe the
Fed should continue the purchase program until we see more sustained improvement
in labor markets and have greater confidence that the economic recovery
is sufficiently self-sustaining to yield continued progress in reducing
the still very high unemployment rate. 』
ということで金融政策部分になりますが、先ほどと同じような言い方をしておりまして(って纏めだから当たり前だが)、LSAPについて「premature
to stop」であると認識していて、労働市場の「more sustained improvement」と経済の自律的回復が失業を引き下げるのに十分な強さであることに対するより確信を得るまでは継続すべきであるという話をしてますな。
『However, I would also say that it may be undesirable to abruptly stop
purchases, so it may make sense to consider a modest reduction in the pace
of asset purchases if we see a few months more of gradual improvement in
labor markets and improvement in the overall growth rate in the economy
- consistent, by the way, with my forecast, which is somewhat more optimistic
than that of many private forecasters.』
「a few months」キタコレ!!!という所ですが、急に買入拡大を止めるのではなく、経済の改善に応じて徐々に買入拡大ペースを落とすことが望ましく、ローゼングレン総裁の経済見通しによれば、今後数か月(a
few months)の状況を見て買入ペース削減を検討するのがメイクセンスするというハト派とは思えん見立て。
ただし、ここでローゼングレン総裁は「私の経済見通しは多くの民間フォーキャスターの見通しよりもやや楽観的である」という風に断っておりますのでそこは要注意。
『I would reiterate that with an open-ended asset purchase program, changing
the flow of purchases does not necessarily yield, in the end, a smaller
central bank balance sheet.』
これはメインの説明の中でも強調されていたのですが、「買入拡大を減らすというのは別にFEDのバランスシートが減る訳では無く、緩和の拡大は続いているぞなもし」という事ですな、うんうん。
『That would depend on having a fixed point for cessation of purchases,
combined with a lower flow of purchases. So, even if we were to adjust
the rate of monthly purchases, the ultimate size of the Fed’s balance
sheet would depend on the point of cessation. If economic growth proves
sufficient and the purchase program was not extended over a longer time
period, the size of the balance sheet could be smaller than otherwise.』
まあここはふーんと思ったのですが、LSAP「中止」となるとバランスシートは維持しないということを意味するようですな、FED的には。
『The bottom line is that we really need to see the economy grow, as I
hope and expect, more quickly than at the 2.1 percent growth rate it has
averaged over the recovery. Faster growth is essential to attaining inflation
and employment outcomes consistent with the Federal Reserve’s dual mandate
from Congress - and more broadly for the economic wellbeing of the many
Americans who have struggled through a long and slow recovery.』
ということで。
○こういうのはちゃんと中身を見ないとベンダーバイアスに引っかかる可能性がありますが
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNTS8N6TTDU001.html
米アトランタ連銀総裁:今夏に資産購入縮小を検討か
更新日時: 2013/06/04 01:59 JST
『6月3日(ブルームバーグ):アトランタ連銀のロックハート総裁は、今月以降に米連邦公開市場委員会(FOMC)が月間資産購入(850億ドル)のペース減速を検討する可能性があると述べた。ロックハート総裁は3日、米経済専門ケーブル局フォックス・ビジネス・ネットワーク(FBN)のインタビューで、「ペース減速を検討できる時期が迫りつつあると考えている」と述べ、「それは6月の会合を意味しているわけではない。ただ、素晴らしいとは言えないが前進している景気の勢いというものに応じて、資産購入の縮小を真剣に考えることができる時期に差し掛かってはいる」と述べた。同総裁は今年、FOMCの議決権を保有していない。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は訪問先ストックホルムで米金融当局の債券購入プログラムは向こう3カ月の間に縮小が始まる可能性があり、年末までに終了することもあり得ると発言した。』(上記URLより)
ここまでトークが盛り上がるとは・・・・・という感じでして、俊ちゃん時代の地均しの推移を改めてチェックしないととか思っているうちにあれよあれよとゆー推移ですが、FRBもかつての俊ちゃん時代の地均しを参考にしているのですかねえとか思いつつ昨今のテーパリングトークを見るのでありました。
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2013/06/03
○FOMC議事要旨ネタ
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130501.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130501.pdf
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』から面白そうなネタを少々。
・家計および企業支出に関して
金曜に引用した所の続きから。
『Consumer spending was reported to be strong in a number of areas of the
country and, more broadly, appeared to be supported by rising equity and
house prices, improved household balance sheets, and easier credit conditions.』
株価や住宅価格の上昇、家計のバランスシート改善、クレジットコンディションの改善を受けて個人消費が強いですねと。
『However, concerns were expressed that this rate of growth in consumer
expenditures might not be sustainable without the support of a notable
pickup in business investment and hiring.』
「今の消費の強さは、企業の投資拡大や雇用のピックアップによるサポートが無いと持続的ではないと思われる」って論点ですが、この前ネタにした4月2回目決定会合議事要旨に似たような論点がありましたが、ジャパンの場合はその懸念が一部の委員から出たという記載になっているのが米国と比較してアレという所です。
『Other factors that might affect spending also were mentioned. For example,
the losses in income and wealth experienced during the crisis might lead
households to be more cautious in their spending and to save at a higher
rate; wealth gains in recent years appeared concentrated among higher-net-worth
individuals, who may have a lower propensity to spend out of additional
wealth; and retailers reported weakness in spending by lower-income households,
who had been more affected by the increase in payroll taxes.』
その他にも懸念ががががということで幾つかのファクターを出していますが、その中で真ん中あたりにある「家計資産の上昇はネット資産がより高い人たちに集中しており、これらの人たちは消費性向低いですよね」というのが何とも味わいのある話ではありますな、うんうん。
・労働市場には割と強めなコメントが
途中を飛ばして労働市場へ。
『Participants generally saw signs of improvement in labor market conditions
despite the weaker-than-expected March payroll employment figure.』
ほうほう。
『Employment growth in earlier months had been solid, and more-recent improvements
included the further decline in the unemployment rate in March and the
gradual progress being made in some other labor market indicators.』
ということで改善は継続という認識。以下論点で労働参加に関する話が続く。
『However, several participants cautioned that the drop in the unemployment
rate in the latest month was also accompanied by another reduction in the
labor force participation rate; the decline in labor force participation
over recent quarters could indicate that the reduction in overall labor
market slack had been substantially smaller than suggested by the change
in the unemployment rate over that period.』
労働参加率の低下は全体的な労働市場のスラックが失業率の変化によって示唆されているそれよりも小さい事を指名している可能性があるとな。
『One participant commented that assessing the shortfall of employment
from its maximum level required taking account of not only the gap between
the unemployment rate and its corresponding natural rate, but also the
gap between the labor force participation rate and its longer-term trend--a
trend which was admittedly subject to considerable uncertainty.』
失業率の自然失業率との乖離だけでは無くて、労働市場参加率の長期トレンドとの乖離も注目すべきではないかという指摘も。
『A few participants mentioned that job growth may have been restrained
to an extent by businesses postponing hiring because of uncertainties over
the implementation of health-care legislation or because they were unable
to find certain types of skilled workers.』
ヘルスケア制度の導入における不確実性とか、熟練労働者の確保が難しいことなどが企業の雇用拡大の抑制要因になっているのではないかという指摘もございました。
ただまあ話としては雇用に関してはここまでとなっていまして、全体感とした場合に内容が割と明るめのトーンですよねというのがほほうゆー所です。
・物価に関して、物価伸びが更に下がるなら追加緩和必要というのがいますよ
『Both headline and core PCE inflation in the first quarter came in below
the Committee's longer-run goal of 2 percent, but these recent lower readings
appeared to be due, in part, to temporary factors; other measures of inflation
as well as inflation expectations had remained more stable. Accordingly,
participants generally continued to expect that inflation would move closer
to the 2 percent objective over the medium run.』
目先の物価下げは一時的要因によるもので、インフレ期待も安定しているので中期的にはより2%に近づくでしょう、というのが最初なのですが・・・・・・・・
『Nonetheless, a number of participants expressed concern that inflation
was below the Committee's target and stressed that future price developments
bore careful watching.』
future price developments bore careful watching キタコレ!
『Most of the recent reports from business contacts revealed little upward
pressure on prices or wages.』
しかも企業の価格設定や賃金設定には上昇圧力は殆ど無いというレポートも。
『A couple of participants expressed the view that an additional monetary
policy response might be warranted should inflation fall further.』
2名の委員が誰だろと思うのですが、物価上昇率が更に下がったら追加緩和必要キタコレ。
『It was also pointed out that, even absent further disinflation, continued
low inflation might pose a threat to the economic recovery by, for example,
raising debt burdens.』
更なるディスインフレにならなくても低いインフレが続くと例えば債務の実質負担が高まるなど、経済成長に阻害要因になりますとかこれまたキタコレであります。
『One participant focused instead on the upside risks to inflation over
the longer term resulting from highly accommodative monetary policy. 』
ジョージ総裁ですねわかります。
ということで、物価のコーナーに関してはだいぶ懸念の話が多かったりするのよこれがまた。
・金融環境について、やはり懸念なのかなあ
『Financial conditions appeared to have eased further over the intermeeting
period: Longer-term interest rates declined significantly, banks loosened
their C&I lending terms and standards on balance, and competition to
make commercial and auto loans was strong. Businesses were reportedly still
borrowing to refinance, but they had begun to take out more new loans as
well.』
ということで金融環境は改善が続く。
『While the Committee's accommodative policy continued to provide support
to financial conditions, events abroad also influenced U.S. markets over
the intermeeting period.』
他の要因も米国の金融環境を改善させていますとな。
『In particular, the Bank of Japan announced a new monetary policy program
that was considerably more expansionary than markets had expected.』
ほほう。
『Financial conditions in Europe improved somewhat over the period, but
some participants still saw the situation in Europe as posing downside
risks to U.S. growth.』
そらそうよ。
『At this meeting, a few participants expressed concern that conditions
in certain U.S. financial markets were becoming too buoyant, pointing to
the elevated issuance of bonds by lower-credit-quality firms or of bonds
with fewer restrictions on collateral and payment terms (so-called covenant-lite
bonds).』
『One participant cautioned that the emergence of financial imbalances
could prove difficult for regulators to identify and address, and that
it would be appropriate to adjust monetary policy to help guard against
risks to financial stability.』
ということで数名(a few)の委員が米国金融市場、特にクレジット市場やローン市場などにおけるクレジットの緩和が行き過ぎているという指摘をしております。で、そのうち一人は金融のインバランスの拡大については金融安定化の損なうリスクに対して金融政策で対処すべきという話もしておりまして、まあこっちは引き続き懸念を示す動きが見られますなという所です。
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2013/05/31
○折角読んだのに放置プレイになっていたFOMC議事要旨ネタ(ただし来週に続く)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130501.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130501.pdf
色々と市場雑談ネタやら日銀方面のエライ人の話などですっかり放置プレイですいません。しかも今日多分全部のネタ逝けないので持ち越しになります・・・・・・
・資産買入の効果という話で日本の事例が(^^)
資産買入のペース縮小云々の討議部分の直前の所になりますが。
『In discussing the effects of the Committee's asset purchases, several
participants pointed to the improvement in interest-sensitive sectors,
such as consumer durables and housing, over the recent period as evidence
that the purchases were having positive results for the economy.』
FOMCの資産買入効果についての議論が行われておりまして、「金利に敏感なセクター」を中心に経済に対してポジティブな効果があったという認識を示しています。
『The effects on a range of asset prices of the Bank of Japan's recent
announcement were cited as added evidence that large-scale asset purchases
were effective in easing financial conditions and thereby helping stimulate
economic activity.』
日本の最近のアナウンス(つまり4日の異次元緩和ローンチ)による効果も資産買入政策が金融環境を緩和させて経済活動を刺激する効果があるという事を示していますね、ということで異次元緩和政策の政策効果についてポジティブ評価キタコレ(^^)。
『In evaluating the prospects for benefits from asset purchases, however,
one participant viewed uncertainty about U.S. fiscal and regulatory policies
as interfering with the transmission of monetary policy and as preventing
asset purchases from having a meaningful effect on the real economy. 』
ということで、1名の委員は財政や規制の問題などが資産買入政策の効果を減殺しているのではないかという話をしております。
で先日(って先週ですけど)引用した資産買入政策の拡大ペースがどうしたこうしたの話になるのですけれども、今回はあまりこの辺のプロコンがどうのこうのという話が細々と書かれていないのが微妙にお洒落ちゃあお洒落。
・経済見通しに関してはややcautiousになっているように見えます
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の頭からですが、ここの書き方は毎回同じように「全体の現状認識」→「全体の先行き見通し」→「需要項目」→「雇用」→「物価」と来るのでまあ読みやすいですし、その中で順序が変わることによってウェイト付けも読めてくるので割と分かりやすいと思うのですがどうっすかねえ。
『In their discussion of the economic situation, meeting participants generally
indicated that they viewed the information received during the intermeeting
period as suggesting that the economy was expanding at a moderate pace
despite some softness in recent economic data. Conditions in the labor
market showed some continued improvement, although the unemployment rate
remained elevated. Spending by consumers continued to expand, supported
by better credit conditions, rising equity and housing prices, and lower
energy prices; and the housing sector improved further. However, growth
in business investment spending slowed somewhat, and fiscal policy appeared
to be exerting significant near-term restraint on the economy. Perhaps
reflecting more subdued growth abroad, especially in Europe and China,
net exports weakened in the first quarter.』
大体声明文で書かれていた話と同じですけれども、海外経済に関して「Perhaps
reflecting more subdued growth abroad, especially in Europe and China,
net exports weakened in the first quarter」とありましてまあそうですなという所です。で、見通しですけど。
『Participants generally saw the economic outlook as little changed since they met in March.』
3月から見通しには著変無しとの事ですな。
『However, economic data releases over the intermeeting period were mixed,
raising some concern that the recovery might be slowing after a solid start
earlier this year, thereby repeating the pattern observed in recent years.』
ここは笑っちゃいけないのかも知れないけれども読んでてカフェオレ吹いた所でして(^^)、ここもとの経済指標がまちまちになっていることから、今後の回復が年初の強い状況から減速するかもしれないという懸念があり、そうしますと毎年お約束のパターンになってしまうかもしれないという懸念がありますよねという事で、これFOMC的には相当のトラウマになっていると見ました(^^)。
『Various views on this prospect were offered, from those participants
who put more emphasis on the underlying momentum of the economy, noting
the strengthening in private domestic final demand, to those who stressed
the growing fiscal restraint or the other headwinds still facing the economy.』
見通しの全体感はともかくとして、個別の需給項目に関してはビューが結構割れているようですね。
『Participants continued to anticipate that, with appropriate monetary
policy, growth would proceed at a moderate pace over the medium run and
that the unemployment rate would decline gradually toward levels consistent
with the Committee's mandate.』
まあそうですな。以下リスク認識になりますが。
『A number of participants noted that the balance of risks to growth remained
to the downside, although a couple suggested that such risks had diminished
appreciably since last fall. 』
ダウンサイドリスクを指摘する向きと、それは昨年の秋以降(つまり欧州あばばばばーが回避されて以降)明確に小さくなったとの指摘をする向きがいるようで。
『A few participants warned that, in light of ongoing fiscal restraint
and a weak global outlook, economic data could remain soft for the next
few months, regardless of the underlying strength of the economy. 』
ということで、複数(A few)の委員は財政緊縮問題と「世界経済の弱めの見通し」によって、今後数か月は基調的な経済の強さにもかかわらず、経済データは弱めの状態が続く可能性がある、との指摘をしております。
という所でして、まあ見方は結構割れている感じではあるのですが、ただまあ経済の見立てに関してはまだ警戒モードがあって、特に先ほどありましたように「例年のパターンの再来」というのを相当気にしているというのがその背景にあるんじゃネーノとか思うのでして、まあそう考えますと逆に言えば「例年のパターンの再来」がなければQEペース縮小モードに傾く可能性もあるかなとも思いますし、まあここから先の米国経済指標動向は注目度上がるだろうなあという感じです。あと引用してる暇がないのでスイマセンが、労働市場に関する部分では割と強気なんですよね、今回の議事要旨を見ますと・・・・・・・
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2013/05/27
・バイトマンワロタ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN9MSX6S972M01.html
ドイツ連銀総裁:日本の実験に幸運祈る-政策が窮地に陥る危険
更新日時: 2013/05/24 08:40 JST
『5月24日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会のメンバー、ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁は、日本銀行の金融政策スタンスに不安感を示した。バイトマン総裁は23日夜、「日本の実験に幸運を祈りたい。金融政策が非常に大変な窮地に追い込まれる危険があるとわれわれは考えている」と発言。「日銀は発行される国債の70%を購入している。私は事実を話しているだけで、コメントしているわけではない」と語った。同総裁は、ECBが一定の条件の下で約束しているユーロ圏の国債購入も一貫して批判している。』(上記URLより)
>私は事実を話しているだけで、コメントしているわけではない
ワロタとしか申し上げようがございませんな。
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2013/05/23
米国10年債2%ということで一応メモだけ米国ネタ(と言いつつ長い)
○逆さ絵先生議会証言
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20130522a.htm
Chairman Ben S. Bernanke The Economic Outlook
Before the Joint Economic Committee, U.S. Congress, Washington, D.C.
May 22, 2013
当然寝起きで斜め読みなのですが、『Monetary Policy』の所だけ全力で斜め読みしかも今後どうする系の部分だけという手抜き。まあ後で真面目に読む。
『At its most recent meeting, the Committee made clear that it is prepared
to increase or reduce the pace of its asset purchases to ensure that the
stance of monetary policy remains appropriate as the outlook for the labor
market or inflation changes. Accordingly, in considering whether a recalibration
of the pace of its purchases is warranted, the Committee will continue
to assess the degree of progress made toward its objectives in light of
incoming information.』
資産買入ペースの増減について声明文ベースの話しかしてないですねここでは。
『The Committee also reiterated, consistent with its forward guidance regarding
the federal funds rate, that it expects a highly accommodative stance of
monetary policy to remain appropriate for a considerable time after the
asset purchase program ends and the economic recovery strengthens.』
仮に資産買入ペースを減らしてもフォワードガイダンスの下では金融政策は緩和的に維持されますよと。
『In the current economic environment, monetary policy is providing significant
benefits. Low real interest rates have helped support spending on durable
goods, such as automobiles, and also contributed significantly to the recovery
in housing sales, construction, and prices. Higher prices of houses and
other assets, in turn, have increased household wealth and consumer confidence,
spurring consumer spending and contributing to gains in production and
employment.』
ここは緩和的な金融政策が経済に利益を与えているという話をしていて、実質金利の低さと、資産価格、特に住宅を名指ししていますが住宅価格の強さの効用を指摘。
『Importantly, accommodative monetary policy has also helped to offset
incipient deflationary pressures and kept inflation from falling even further
below the Committee's 2 percent longer-run objective.』
でまあこれもポイントだと思うのですが、緩和的な金融政策はデフレ的圧力を軽減しているというのを加えているのよね。
『That said, the Committee is aware that a long period of low interest
rates has costs and risks.』
さらに全力斜め読みしていてほほうと思ったのはここから先が金融政策のプロコン分析の話になるのですが、「大規模資産買入のコストとリスク」の話では無く、「長期間に渡る低金利のコストとリスク」という話をしていることでありまして、つまりここから先の説明って実は資産買入政策の今後をどうするという話を一切示唆しないという所でして、これは狸度が高いわ逆さ絵と思いっ切り感心しちゃいました。
『For example, even as low interest rates have helped create jobs and supported
the prices of homes and other assets, savers who rely on interest income
from savings accounts or government bonds are receiving very low returns.』
まあ正直これはどうでも良い論点じゃねえのとは思うのだが。
『Another cost, one that we take very seriously, is the possibility that
very low interest rates, if maintained too long, could undermine financial
stability.』
ファイナンシャルスタビリティーキタコレ。
『For example, investors or portfolio managers dissatisfied with low returns
may "reach for yield" by taking on more credit risk, duration
risk, or leverage. The Federal Reserve is working to address financial
stability concerns through increased monitoring, a more systemic approach
to supervising financial firms, and the ongoing implementation of reforms
to make the financial system more resilient. 』
まずは監督規制で対応という話はしてますにゃ。
『Recognizing the drawbacks of persistently low rates, the FOMC actively
seeks economic conditions consistent with sustainably higher interest rates.
Unfortunately, withdrawing policy accommodation at this juncture would
be highly unlikely to produce such conditions. A premature tightening of
monetary policy could lead interest rates to rise temporarily but would
also carry a substantial risk of slowing or ending the economic recovery
and causing inflation to fall further. Such outcomes tend to be associated
with extended periods of lower, not higher, interest rates, as well as
poor returns on other assets. Moreover, renewed economic weakness would
pose its own risks to financial stability. 』
ということでこの辺が「早すぎる緩和縮小は悪影響」という話なのだが、ここでの話がその影響ルートとして「金利上昇」を上げているのが微妙で資産買入の縮小を含めているのか含めていないのかどっちとも取れるように作ってあるのが狸。まあ普通に読むと資産買入をはやすぎる縮小したら金利が上昇するという話だと思うのですが、一方で前の方で資産買入の拡大ペースを縮小しても「金融政策は極めて緩和的」というのを強調するとか言っているのが狸度の高い所です。
『Because only a healthy economy can deliver sustainably high real rates
of return to savers and investors, the best way to achieve higher returns
in the medium term and beyond is for the Federal Reserve--consistent with
its congressional mandate--to provide policy accommodation as needed to
foster maximum employment and price stability. Of course, we will do so
with due regard for the efficacy and costs of our policy actions and in
a way that is responsive to the evolution of the economic outlook.』
と、ここで終了なんだがまあ最後の1パラは「だからちゃんと点検して政策を運営します」というような普通の纏め発言なのでどうでも良し。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE94L01D20130522
米FRB議長、緩和早期縮小への用意示さず
2013年 05月 23日 03:44 JST
『ただ、証言後の質疑応答で、議長は「状況改善の継続を確認し、持続可能と確信できれば、今後数回の会合で資産買い入れを縮小することは可能」と発言した。これを受け、株価は上げ幅を縮小し、債券市場は下げに転じた。質疑応答前は、バーナンキ議長が債券買い入れの早期縮小に向けた用意を示さなかったことなどから、相場は株高・債券高で推移していた。』(上記URLより)
ということのようですので、質疑応答では水ぶっかけ発言もして、とにかく引締めウギャーとも過剰流動性ヒャッハーともならないように色々と考えているなあというのは把握しました。
○FOMC議事要旨
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130501.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130501.pdf
さすがにこれを真面目に読む時間はある訳が無いのですが、『Participants' Views
on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツだけ引用しておく。詳しくは週末読む。
『Participants also touched on the conditions under which it might be appropriate
to change the pace of asset purchases.』
ということでこのパラグラフは上記小見出しの最終になるです。
『Most observed that the outlook for the labor market had shown progress
since the program was started in September, but many of these participants
indicated that continued progress, more confidence in the outlook, or diminished
downside risks would be required before slowing the pace of purchases would
become appropriate.』
Mostの人は改善はしてるけどまだまだ改善の状況の確認が必要で買入ペース縮小なんてまだまだという話をしておりますな。
『A number of participants expressed willingness to adjust the flow of
purchases downward as early as the June meeting if the economic information
received by that time showed evidence of sufficiently strong and sustained
growth; however, views differed about what evidence would be necessary
and the likelihood of that outcome.』
A number ofってのが一番頭数がファジーなので困るのですが6月のFOMCで検討もとな!
『One participant preferred to begin decreasing the rate of purchases immediately,
while another participant preferred to add more monetary accommodation
at the current meeting and mentioned that the Committee had several other
tools it could potentially use to do so.』
更に1名は今から減らせと言い、別の1名は緩和を拡大すべきとか何というカオス。
『Most participants emphasized that it was important for the Committee
to be prepared toadjust the pace of its purchases up or down as needed
to align the degree of policy accommodation with changes in the outlook
for the labor market and inflation as well as the extent of progress toward
the Committee's economic objectives.』
増やしたり減らしたりという文言に代わった背景はこの辺のようですな。
『Regarding the composition of purchases, one participant expressed the
view that, in light of the substantial improvement in the housing market
and to avoid further credit allocation across sectors of the economy, the
Committee should start to shift any asset purchases away from MBS and toward
Treasury securities.』
1名の意見ですけれども、住宅市場が顕著に改善しているので、これ以上のアロケーションが住宅に来ないために、ということで要するに住宅バブル警戒キタコレという事ですが、MBSの買入からUSTの買入にシフトすべきという話をしていますな。
詳しくは後日。
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2013/05/22
○QEに関して色々と盛り上がっているようで
おまいら講演やりすぎ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN5WL66VDKHT01.html
NY連銀総裁:量的緩和の次の行動、拡大か縮小か確信持てず
更新日時: 2013/05/22 04:26 JST
『5月21日(ブルームバーグ):米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、連邦公開市場委員会(FOMC)が取るべき次の行動について、債券購入プログラムの拡大か縮小か自身はまだ判断していないと述べた。また過去最大規模の資産購入からの引き揚げについて、戦略を見直す必要があるとの認識を示した。』(上記URLより)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN5OML6VDKHT01.html
セントルイス連銀総裁:債券購入は「効果的」、続けるべきだ
更新日時: 2013/05/22 01:17 JST
『5月21日(ブルームバーグ):米セントルイス連銀のブラード総裁は、米金融当局は債券購入を続けるべきだとし、それは予想より緩慢な景気回復を支えるために政策当局者にとって最善の選択肢だからだと述べた。』(上記URLより)
まあ何だ、一々読んでいる時間がねえええのでヘッドラインだけ見て判断するしか無いのですが、ブラードの場合は思いっきりこの人物価重視派で、雇用に関してはそもそもお前らが考えているノーマルレベル(=リセッション前の平均的なレベル)ってバブルで下駄履いてるだろヴォケとかそういう認識の方ですので、足元の物価上昇率低下傾向に関して懸念しててまあアセットパーチェス続けろとかそういう話をするだろうなあと想像するに難くないのですが、ダドリーの「拡大」というのも同じような文脈かなあと思います。
でもって逆さ絵発言が控えているのですけれども、昨日のエバンス総裁のこれとかを見ておりますと(講演そのものが昨日シカゴ連銀のサイトを見ても見当たらなかったので惜しくも読めていないのが遺憾にも程がある)・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN3ZPM6VDKHS01.html
シカゴ連銀総裁:経済はかなり大きく改善−金融政策は適切
更新日時: 2013/05/21 07:18 JST
『5月20日(ブルームバーグ):米シカゴ連銀のエバンス総裁は、金融当局が過去最大規模の景気刺激策を維持する中で米経済は「かなり大きく」改善しているとの認識を示した。また、行き過ぎがないよう市場を監視するのに必要な手段を政策当局者は有しているとした。』(上記URLより)
ということで、金融不均衡に関する言及があったように、まあ仮にQE拡大ペースを抑制する方向で見直す、という話ですと、恐らくは「労働市場見通しの顕著な改善」は言い訳であって、実際に問題とするのは金融不均衡の方じゃネーノという風に読める次第でありまする。直近ではどちらかと言えば物価が抑え気味になっている訳ですし、別に雇用情勢が凄まじく改善している訳でも無く、まあその間に進んでいることと言えば新興国資源国などでの金融緩和政策であって、それを受けて金融緩和ヒャッハー流動性相場が現出している訳ですから、直近の動向から急にQE縮小がどうのこうのみたいな話が出るのって流動性相場ヒャッハーでバブルになられると結局ドットコムバブル崩壊後の回復と同じ事になっちゃいますよねという懸念を持っているからってえ話じゃネーノという所。
つー訳ですので、まあ逆さ絵議会証言ですけれども、従来の常識的な線で考えれば、直近で物価上昇率が低下傾向にあり、更にドル高で物価が下がりそうな状況の中でドル高が加速するようなQE早期縮小論が打ち込まれるとは到底思えないのですけれども、問題は直近の金融不均衡に対してどの程度の不快感、あるいは懸念を持っているかという事になるので、その辺の意識をどのくらい持っているのか次第です罠という話。まあ逆さ絵先生としては資産価格の流動性相場ヒャッハーに水はぶっ掛けたい所だが、かと言って景気がそこまで強いという確信がある訳でも無く、物価は懸念だからという所ですので、まあどっちとも取れそうな話をしてお茶を濁すしかないんじゃないかなあとは思いますがどうなる事やら。
○コチャラコタさんのビューを読んだのだがこれが中々の難解ホークス
コチャラコタのおいちゃんの発言。
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=5100
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/nrk05-17-13_chicago.pdf
『During the conference, Narayana Kocherlakota participated in a panel
that discussed the future of central bank policies. Below is the question
he was asked and his response.』
と言うことで質疑応答かと思ったら単においちゃんの演説でした。
・安全資産の不足とかいう話がががが
『In my view, the biggest challenge for central banks-especially here in
the United States-is changes in the nature of asset demand and asset supply
since 2007. Those changes are shaping current monetary policy-and are likely
to shape policy for some time to come.』
はて??
『Let me elaborate. The demand for safe financial assets has grown greatly
since 2007. This increased demand stems from many sources, but I’ll mention
what I see as the most obvious one. As of 2007, the United States had just
gone through nearly 25 years of macroeconomic tranquility. As a consequence,
relatively few people in the United States saw a severe macroeconomic shock
as possible. However, in the wake of the Great Recession and the Not-So-Great
Recovery, the story is different. Workers and businesses want to hold more
safe assets as a way to self-insure against this enhanced macroeconomic
risk. 』
安全資産への需要が高まったとかそんな話をしているのですよ。
『At the same time, the supply of the assets perceived to be safe has shrunk
over the past six years. Americans-and many others around the world-thought
in 2007 that it was highly unlikely that American residential land, and
assets backed by land, could ever fall in value by 30 percent. They no
longer think that. Similarly, investors around the world viewed all forms
of European sovereign debt as a safe investment. They no longer think that
either.』
色々なクラスの資産のリスク認識が高まって、例えば不動産関連担保商品とか欧州周縁国の国債とか、まあそういうものは今や安全認識できませんぞなというのはまあそうですな。
『The increase in asset demand, combined with the fall in asset supply,
implies that households and firms spend less at any level of the real interest
rate-that is, the interest rate net of anticipated inflation. It follows
that the Federal Open Market Committee (FOMC) can only meet its congressionally
mandated objectives for employment and prices by taking actions that lower
the real interest rate relative to its 2007 level. The FOMC has responded
to this challenge by providing a historically unprecedented amount of monetary
accommodation. But the outlook for prices and employment is that they will
remain too low over the next two to three years relative to the FOMC’s
objectives. Despite its actions, the FOMC has still not lowered the real
interest rate sufficiently in light of the changes in asset demand and
asset supply that I’ve described.』
ということで、安全資産と見られたものが安全資産ではなくなったことによって安全資産の供給が減る一方で金融危機やリセッションによって安全資産への需要が高まったことによって実質金利が下げられなくなったとか何とか仰せのようですが、何が何やら良く判らんぞなこのロジック。
・・・・・・・と思いましたら池尾先生が以前この論点を紹介していたのを思い出しまして、
http://agora-web.jp/archives/1518440.html
安全資産の不足 2013年02月11日15:12
池尾 和人@kazikeo
改めて読んだ上にリンク先とかも読んだのですが、何かどうもイマイチしっくりこないのはあたくしの脳味噌の出来の問題だとは思うのですが、まあ何にせよコチャラコタ総裁はこんな話を持ち出しておりまして、その結果どういうインプリケーションになるかと言いますと・・・・・・・
・この結論は凄い
『The passage of time will ameliorate these changes in the asset market,
but only gradually. Indeed, the low real yields on long-term TIPS bonds
suggest to me that these changes are likely to persist over a considerable
period of time-possibly the next five to 10 years. If this forecast proves
true, the FOMC will only meet its congressionally mandated objectives over
that long time frame by taking policy actions that ensure that the real
interest rate remains unusually low.』
資産市場のこのような状態は時間の経過と共に改善されますが極めて緩やかにしか改善しません。物価連動国債の利回りはこの改善がかなりの長期間、恐らくは向こう5年から10年かけて改善するという事になるでしょうって何というハト転換。
で、その見通しが正しければFOMCはマンデート達成させる為に実質金利を異例の低金利にするような政策を長期間のタイムフレームで実施しないといけなくなるでしょう。というお話でナンジャコラという結論でこのおじちゃんも何か言う事がころころ変わるわなあと感心するやら呆れるやら。
・一応金融不均衡の話もしていますけど結論は「懸念なし」
でまあこの後が金融不均衡に関する話。
『One challenge with this kind of policy environment-and this is closely
linked to the overarching theme of this panel-is that low real interest
rates are often associated with financial market phenomena that signify
instability.』
というパネルだったようで。
『There are many examples of such phenomena, but let me focus on a particularly
important one: increased asset price volatility.』
資産価格のボラティリティー拡大に注目したいとな。
『When the real interest rate is unusually low, investors don’t discount
the future by as much. Hence, an asset’s price becomes sensitive to information
about dividends or risk premiums in what might usually have seemed like
the distant future. These new sources of relevant information can lead
to increased volatility, in the form of unusually large upward or downward
movements in asset prices.』
リアルじゃなくてノミナルのような気もせんでもないですが、まあコチャラコタ総裁的には実質金利が異例の低さとなると割引現在価値が上がる(ディスカウントが下がる)ので資産価格が金利以外の要因にセンシティブになるとかそんな話をしているようで。
『These kinds of financial market phenomena could pose macroeconomic risks.』
でまあその結果拡大したボラがマクロ経済へのリスクを起こすというお話。
『These potentialities are best addressed, I believe, by using effective
supervision and regulation of the financial sector. It is possible, though,
that these tools may fail to mitigate the relevant macroeconomic risks.』
で基本的にはそのようなものは金融規制や監督で対応されるべきだが、それらでも対応できないマクロ経済へのリスクというのがあるかも知れませんと言う指摘。
『The FOMC could respond to any residual risk by tightening monetary policy.』
そういう時は残余のリスクに対して金融引き締めで対応するのも有り、というのはキタコレという話ではございまして、まあ確かに前段の部分は盛大にハトなのですが、このおっちゃん金融不均衡がマクロ経済のリスクになっていて、ついでにそのリスクへの対処が必要とか認識するとまたコロッとタカ派に転向する可能性もあるなあと微苦笑を禁じ得ません。
『However, it should only do so if the certain loss in terms of the associated
fall in employment and prices is outweighed by the possible benefit of
reducing the risk of an even larger fall in employment and prices caused
by a financial crisis.』
『Hence, the FOMC’s decision about how to react to signs of financial
instability-now and in the years to come-will necessarily depend on a delicate
probabilistic cost-benefit calculation.』
当然ながら金融引き締めすると雇用や物価に悪影響を与えるので、金融バブルが起きた後に大変な事になるのを防ぐという目的の重要性との比較考量が必要ですよというこらまあ当然の話。
『Here’s an example of the kind of calculation that I have in mind. Last
week, the Survey of Professional Forecasters reported that it saw less
than one chance in 200 of the unemployment rate being higher than 9.5 percent
in 2014, and an even smaller chance of the unemployment rate being that
high in 2015.』
ふむ。
『One possible cause of this kind of a large upward movement in the unemployment
rate is an untoward financial shock ultimately attributable to low real
interest rates. Thus, the gain to tightening monetary policy is that the
FOMC may-and I emphasize the word may-be able to reduce the already low
probabilities of adverse unemployment outcomes.』
ほうほう。
『To me, this kind of analysis suggests that, currently, the gains from
tightening related to improving financial stability are both speculative
and slight. In contrast, the losses from tightening-in terms of pushing
employment and prices even further below the Federal Reserve’s goals-are
both tangible and significant.』
つーことで、ここでの金融引き締めによる金融不均衡抑制による政策効果は少ない上に投機的な物であり、一方で引締めによる経済への悪影響は確実であり大きいというまあ当然ちゃあ当然の結論に。
『I conclude that financial stability considerations provide little support
for reducing accommodation at this time.』
ということで、足元で金融緩和を縮小する必要性はございませんぞなもし、という話で、どう見てもハト派です本当にありがとうございましたというのが結論でありますた。
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2013/05/21
○ウィリアムス総裁講演:「労働市場の顕著な改善」なのでQE拡大ペースの縮小有りとのロジック
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.pdf
The Economic Outlook and Monetary Policy: Moving in the Right Direction
本文10ページありますが、細々やっているとオワランチ会長になるので簡単に。
・景気の先行きには確かに自信度が上昇した感じでポイントは住宅市場
このおじさん最初に結論を言うので講演が読みやすいのですよ。最初の方から。
『Since there are a lot of CFOs here, let me go straight to the bottom
line: The economy has been improving for nearly four years now. I expect
this improvement to continue and to gradually gain momentum. This outlook
reflects a mixture of healthy growth by households and businesses, and
the dampening effects of public-sector restraint. Overall, if we were in
a car, you might say we’re motoring along, but well under the speed limit.
The fact that we’re cruising at a moderate speed instead of still stuck
in the ditch is due in part to the Federal Reserve’s unprecedented efforts
to keep interest rates low. We may not be getting there as fast as we’d
like, but we’re definitely moving in the right direction.』
つーことで車に例えて、スピードは制限速度よりもかなり低い状態で走っているけれども既に溝に落っこちたような状態ではなくなり巡航速度で「間違いなく」正しい方向に走っているとのこと。
『There is indeed little doubt that the economy is on the mend. The clearest
evidence can be found in housing, by far the sector hit hardest during
the recession.』
>The clearest evidence can be found in housing
>The clearest evidence can be found in housing
>The clearest evidence can be found in housing
キタコレ!
『Mortgage rates have fallen to levels rarely, if ever, seen before. Typical
fixed-rate mortgages are around 3.5 percent, putting them in reach of millions
of households. Affordable mortgages fuel demand for homes, and that pushes
up sales and prices. Year-over-year, house prices are rising at around
a double-digit rate.』
でまあ以下住宅市場の改善の話が結構なスペースを使って話をしておりますが割愛。その後個人消費とか企業支出とかの話をしているのですけれども全部割愛しまして。
『Under these circumstances, I expect the unemployment rate to decline
gradually over the next few years. My forecast is that it will be just
below 7-1/2 percent at the end of this year, and a shade below 7 percent
at the end of 2014. I don’t see it falling below 6-1/2 percent until mid-2015.
This forecast of a gradual downward trend in the unemployment rate reflects
the combined effects of expected solid job gains and a return of discouraged
workers to the labor force.』
このGDP見通し数値は4月の講演での数値と変わりませんので、つまり定量的に改善したというよりは定性的に改善の確信度が高まった、という認識だと思います。
・で、結局資産買入縮小の理由が今一歩相変わらず判らない件について
でまあ今回は超手抜きなのでいきなり資産買入政策に関する話の部分という最後の部分にワープしますけれども。
『Similar to our forward guidance on the federal funds rate, the FOMC has
linked our asset purchases to the outlook for the economy. Specifically,
we’ve said we expect to continue buying longer-term Treasury and mortgage
securities until the outlook for the job market improves substantially,
provided inflation remains contained. In the statement issued by the FOMC
after our meeting two weeks ago, we said we would adjust our securities
purchases to ensure that monetary stimulus is at a level appropriate for
economic conditions. That has been a principle of our ongoing open-ended
securities purchase program since we started it in September. It means
we will alter the size, pace, and composition of our purchases as necessary
as the economy evolves.』
アセットパーチェスは経済のアウトルックに紐付け(その前にゼロ金利政策のスレッドショルドの話をしています、為念)ですよというのは昨年9月にオープンエンド方式を導入した時からの原則です(キリッ)との事ですが、ここって新方式になって分離されたような感じも思いっきりするんですけどね。まあそれは兎も角として、経済の進展と共に買入のペースや額は見直すと申しておりますよねというのが説明の最初。
『So, do economic conditions suggest we need to change the $85 billion
in monthly securities purchases we’re currently making? To answer that,
it’s useful to look at what conditions were when we launched the program
last September.』
昨年9月の状況から比較するのが良いのです、とはこらまたちょっと面白い視点。
『At that time, the economy was flashing warning signals. As Figure 1 shows,
the pace of improvement in the labor market had slowed, with payroll growth
declining. Moreover, the unemployment rate appeared to be stalled at about
8 percent, and we at the San Francisco Fed did not see the rate falling
below that level till the final quarter of 2013, as shown in Figure 2.』
図の方は上記URL先から見てちょという所ですが、そらまあ確かに昨年9月から比較したら「顕著な改善」はしとるがなという話なのだがそれで良いのかという気がせんでもない・・・・・
『Since then, the labor market has improved considerably. The pace of job
growth has picked up, averaging over 200,000 jobs per month over the past
six months. And the unemployment rate has come down.』
でまあ図2にあるように、「the labor market has improved considerably」なのはそらまあそうなのですがまさにキタコレな説明。さらにこの文の次には・・・・・・
『Figure 3 shows that, in the seven months since our latest securities
purchase program began, the unemployment rate has fallen faster than we
had expected.』
>the unemployment rate has fallen faster than we had expected
>the unemployment rate has fallen faster than we had expected
>the unemployment rate has fallen faster than we had expected
・・・・・・・・・お、おう。
『It’s clear that the labor market has improved since September. But have
we yet seen convincing evidence of substantial improvement in the outlook
for the labor market, our standard for discontinuing our securities purchases?』
では「substantial improvement in the outlook for the labor market」を確信させるエビデンスはどうなのかという話ですが・・・・・・
『In considering this question, I look not only at the unemployment rate,
but also a wide range of economic indicators that signal the direction
the labor market is likely to take.』
まあこれは普通。
『Economists at the San Francisco Fed have identified a very good set of
indicators for this purpose that tell us what labor market conditions are
likely to be six months in the future. They include well-known labor market
measures, such as private payroll employment growth and initial unemployment
insurance claims. But they also include measures that are not as well known,
such as growth in temporary help employment and survey data on the share
of households that find jobs hard to get.』
ほうほうそれでそれで?
『Consistent with the payroll and unemployment data I mentioned earlier,
most of these indicators look healthier than they did in September. What’s
more, nearly all of them are signaling that the labor market will continue
to improve over the next six months. This is good news.』
これはこれは。
『But it will take further gains to convince me that the “substantial
improvement” test for ending our asset purchases has been met. However,
assuming my economic forecast holds true and various labor market indicators
continue to register appreciable improvement in coming months, we could
reduce somewhat the pace of our securities purchases, perhaps as early
as this summer.』
ということで、ここが先週話題になっていた話ですが、ちなみに4月の講演(先週金曜にネタにした奴)ではこの部分が「But,
assuming my economic forecast holds true, I expect we will meet the test
for substantial improvement in the outlook for the labor market by this
summer.」(4月3日の講演より)ということで、時期は若干前倒しになっていまして、一方で長期見通しが変わっていないという事なのですから、定量的にどうのこうのというよりは定性的な判断になるのかねとか思うのですが、それにしてもふーんという感じです。
『Then, if all goes as hoped, we could end the purchase program sometime late this year.』
買入拡大終了に関するこの部分は前回4月3日と全く同じですな。
『Of course, my forecast could be wrong, and we will adjust our purchases
as appropriate depending on how the economy performs.』
まあそらそうです。
で、この次に(前回と同様に)「買入拡大を停止することは金融引き締めを意味するものではなく、我々の金融政策は買入拡大を停止したとしても引き続き超緩和的です」という説明をしておりますが、これまた前回と同様でして、その一方で前回講演で言及していた低金利政策での金融不均衡云々の件は触れていませんでして、基本的には「経済に対する見通しの改善」で攻めてきているなというところではございます。
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2013/05/17
○ウィリアムSF連銀総裁がまた追加資産買入縮小話をしたようですがその話先月もあったぞなという話
こりは不覚。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMWR7J6JIJV101.html
米SF連銀総裁:FRBは今夏にもQE縮小を開始の可能性
更新日時: 2013/05/17 05:21 JST
えーっとですね、実はウィリアムス総裁って4月3日の講演でも「資産買入は年後半には減らして良し」という話をしていたのですが、その時にはあまり反応した感じが無かった(つーか翌日に日銀のウッヒョー緩和があったので話題がそっちに飛んでしまったというか)のと、そもそも時期的に他のネタ(よーするに国内債券市場ネタ)が忙しかったので気が付いたらネタにするタイミングを逸してお蔵入りしておったんですよ(超大汗)。
さて、上記記事で話題になっているのはこちらのようですが、当たり前ですけれども寝起きで読む能力も気力も時間もありませんのでパスしますが、講演のお題の推移に味わいという物を感じるのですな。
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.pdf
The Economic Outlook and Monetary Policy: Moving in the Right Direction
4月3日のスピーチはこちら
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0403.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0403.pdf
The Economy and the Federal Reserve: Real Progress, but Too Soon to Relax
ということで、題名の変遷を見ると(中身は見てない^^)景気認識が強くなっているように見える所が味わいのある所ですが、では前回どういう話をしていたかと言いますと、まー前回分ネタなので今さらネタではありますが、まあ週末に読む時間があったら何とかして今回のスピーチを読んで内容の変化を確認したいと思いますので、今さらネタを急に引っ張り出すの巻(ただしかなりサラサラモードにします)。
ということで、以下は4月3日の講演「The Economy and the Federal Reserve:
Real Progress, but Too Soon to Relax」の方から引用している話だという事にご留意下さい。
・4月時点での経済見通しはほぼSEPの真ん中、物価見通しはやや弱め
最初の部分から少々。
『Today, I’ll talk about how I see the economy now and where I think it’s
headed. I’ll offer my forecast for the next few years and discuss what
the Federal Reserve is doing to boost the recovery. Of course, Fed speeches
are not like Hollywood movies. That’s because I’ll tell you how it ends
right here at the beginning.』
ワロタ。
『My message is that I’m hopeful that the economy has finally shifted
into higher gear. There are still obstacles to our progress, including
the effects of budget cuts coming out of Washington and the sluggish recovery
plaguing many of our trading partners abroad, especially in Europe. In
this environment, continued progress depends critically on support from
the Federal Reserve.』
4月の時点では景気の先行き自体は回復傾向としているものの、財政カットと海外経済、特に欧州へのリスクを懸念していて金融政策のサポートが必要であるという認識でしたな。
『Even before the recent recession began, the Fed started to put in place
measures to stimulate the economy. These measures pushed interest rates
down to exceptionally low levels and made buying a house, a car, or other
big-ticket items more affordable. The Fed’s forceful policies helped avoid
a repeat of the Great Depression. And now they’re an important reason
why the economy may be picking up a head of steam.』
まあこの辺は普通の話。
『We can’t forget that the downturn we went through was unusually deep
and the recovery has been disappointingly weak. It’s vital that we keep
those extraordinary Fed measures in place for some time to make sure unemployment
and inflation get back to healthy levels. And this is where I should say
that I am expressing my own views and not necessarily those of others in
the Federal Reserve System.』
回復力は弱いですよという話をしておりまして、まあ景気の見方ってそんなに強くないです。この後経済状況の説明をかなり詳しく展開しているのですが、数字だけピックアップしますとこうなります。PDFファイルベースの方だと本文5ページ目になります。
『When I throw everything into the mix, I expect the U.S. economy to grow
steadily this year and for growth to pick up in 2014. To be specific, I
see inflation-adjusted GDP expanding roughly 2-1/2 percent this year and
about 3-1/4 percent in 2014.』
前回SEPでのCentral TendencyがGDPの2013年が2.3-2.8、2014年が2.9-3.4なのに対してウィリアム総裁の見通しがそれぞれ2.5%程度、3.25%程度なので真ん中の数値ですな。
『Such growth should create enough jobs to gradually bring the unemployment
rate down over the next few years. I expect the unemployment rate to edge
down to a little below 7 percent by late 2014 and fall below 6-1/2 percent
in the middle of 2015.』
前回SEPでのCentral Tendencyが2014年末の失業率が6.7-7.0、2015年末が6.0-6.5なのに対して、ウィリアムス総裁の見通しは2014年後半に7%を若干切り、2015年半ばに6.5%(=スレッドショルドの位置)なのですからまあこれも見事に真ん中の数値。
『Even with the unemployment rate continuing to come down, it will likely
remain above “normal” levels for quite some time. My best estimate is
that the longer-run “normal” rate of unemployment is around 5-1/2 percent.
I don’t expect the actual unemployment rate to reach that level until
2016.』
これはどうでも良いですがノーマルレベルについての認識は5.5%程度で相当時間が掛かるという認識ね。
『Slack in the labor market will probably keep wages and other cost pressures
subdued for the next few years. In addition, prices of many commodities
and other imports have been coming down. As a result, I anticipate that
inflation will run at about a 1-1/2 percent rate this year and next, according
to the Fed’s preferred inflation index. That’s roughly the same as last
year and below the Fed’s 2 percent long-run inflation target. Looking
further out into the future, as the economy continues to improve and the
unemployment rate returns to its longer-run normal level, I expect inflation
to edge up to 2 percent.』
物価に関しては当面の見通しが1.5%で見ているのでこちらはやや弱めです。
・という見通しの割には何故か資産買入に関しては減らして良しという話になっている
ワープしまして本文8ページから。
『Both our securities purchases and forward guidance programs have evolved
as we’ve learned more and economic circumstances have changed. Our early
securities purchase programs were for fixed dollar amounts. By contrast,
we’ve linked the current program to economic developments. Specifically,
we’ve stated that we expect to continue buying Treasury and mortgage-backed
securities at a rate of $85 billion a month until the outlook for the job
market improves substantially in a context of price stability. We still
have a way to go before we pass this substantial-improvement test. I anticipate
that our securities purchases will be needed well into the second half
of this year.』
つーことで「年後半までは追加の資産買入は充分に必要ですよ」という認識を示しています。で、この先にフォワードガイダンスの話をしておりまして、こちらに関する部分もほほうという所ではあるのですがまあお蔵入りネタなのでパスしまして、資産買入に関する所から。本文10ページになります。
『Let me start with the first question. In the statement issued following
the March meeting, our policy committee, the Federal Open Market Committee,
or FOMC, stated that it would continue its securities purchases “until
the outlook for the labor market has improved substantially in a context
of price stability.” It also stated that “in determining the size, pace,
and composition of its asset purchases, the Committee will continue to
take appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases
as well as the extent of progress toward its economic objectives.”』
3月の声明文で今後の資産買入拡大プログラムに関してはこういう書き方をしていますよね、って事ですが。
『So, what does that mean? I see the benefits of our asset purchases continuing
to outweigh the costs by a large margin. I expect that continued asset
purchases will be appropriate well into the second half of this year.』
さっきも言ってましたね。
『In making this assessment, I don’t have a specific unemployment or job-gain
threshold in mind for cutting back or ending these purchases. Instead,
I’m looking for convincing evidence of sustained, ongoing improvement
in the labor market and economy.』
追加の資産買入を縮小または終了する判断に関しては特定の数値的なスレッドショルドを設けて考えるのではなく、労働市場と経済の持続的でサステイナブルな改善に関して確信的なエビデンスをもって判断したいということのようですな。つまり定性判断ですが、この定性判断のトーンが今回の講演で変わったかどうかを確認したいですな。
『The latest economic news has been encouraging. But it will take more
solid evidence to convince me that it’s time to trim our asset purchases.
An important rule in both forecasting and policymaking is not to overreact
to what may turn out to be just a blip in the data. But, assuming my economic
forecast holds true, I expect we will meet the test for substantial improvement
in the outlook for the labor market by this summer.』
ふむ。
『If that happens, we could start tapering our purchases then. If all goes
as hoped, we could end the purchase program sometime late this year.』
ということで、こうなるロジックがさっぱり見えてこないのが誠にアレなのですが、経済がウィリアムス総裁の期待通りに回復したら追加資産買入プログラムは夏以降に縮小を開始して今年の後半のどこかで終了することが可能になるでしょうというのが何故か結論になっておりまして、別に経済見通しが特段強いという訳でも無いのにナンジャソラというのがあったんですよね。うんうん。
・資産買入拡大規模の縮小や停止と金利政策による金融引き締めを分けるというロジック
まあこのロジック自体はFRBの中心的な説明になっている(だからこそスレッドショルドが2種類になっているのですが)のですが、中々市場がそうは受け止めないようなリアクションをするというのがアレ。
『It’s important to note that tapering our purchases and even ending the
purchase program doesn’t mean that we are removing all the monetary stimulus
that comes from our longer-term securities holdings. Instead, even as we
cut back our purchases, we’re still adding monetary accommodation and
exerting greater downward pressure on interest rates.』
まあそういうことで。
『Economic theory and real-world evidence indicate that it’s not the pace
at which we buy securities that matters for influencing financial conditions.
Rather, it’s the size and composition of the assets we hold on our balance
sheet. So, even when we stop adding to our portfolio, it doesn’t mean
we’re tightening policy.』
まあそれはよいのですが。
『Of course, eventually, it will be appropriate to tighten policy. The
FOMC’s forward guidance that I discussed earlier provides a clear framework
for when that process will start. When the time does come, I’m confident
that the Fed has the tools to engineer a successful transition to more
normal conditions.』
ということで、金融引き締めに関してはあくまでも金利政策のフォワードガイダンスの方ですよという風に分けているのですな。まあこのロジック自体は今(というか4月だが)に始まった話ではないのですけれども。
・結局資産買入を早めに止めて良しという話の背景がワカランチ会長
最後の所なんですけどね。
『In my few remaining minutes, I would like to address a question that
I often hear and read about in the media.』
ほう。
『Some commentators suggest that low interest rates are dangerous because
they encourage investors to take too much risk. For instance, low yields
on Treasury securities may lead to increased investment in riskier assets,
such as junk bonds or stocks. That could potentially threaten financial
stability.』
低金利による金融不安定化リスクに関する指摘についてですが。
『I want to emphasize that the Fed will not tolerate serious threats to
financial stability. We’re constantly engaged in thorough and rigorous
analysis of and discussions about potential risks to the financial system.』
それにつきましてはモニターをして対処しますよと。
『Based on this analysis, I simply don’t see this as a serious risk now.
There may be excesses in some isolated markets. For example, prices for
farmland in the Midwest have gone through the barn roof. But we don’t
face an economy-wide problem of land prices, or other bubbles, for that
matter. Overall, markets are still more in a risk-averse mode than a risk-loving
mode.』
一部の市場では若干の過剰なリスクテイクの傾向があるものの、経済全体に対してバブルのような傾向があるとは思わないし重大なリスクとも思いませんよと。
『To summarize, the economy is on the mend, helped in part by the very
stimulatory stance of monetary policy. In making monetary policy, one has
to weigh carefully the costs and benefits of actions, recognizing that
we always operate in an uncertain world. I’m convinced we have the right
policies in place to lead us toward both maximum employment and price stability.
Thank you.』
ということで、結局最後まで読んでも何で資産追加買入の縮小ないし停止を割と早めの所に設定できるのかが良くワカランチ会長のまま若干の????感を持って読了したのでありますが、もしかしたら今回の講演ではもう少しディテールが判るのかもしれません。まあ金融不均衡懸念なのかもしれないなあとは思うのですけれども・・・・・・・・・・
ということで、再度申し上げますが、こちらの講演ネタは昨日に行われたウィリアムス総裁講演ではなく、4月3日に行われた講演のネタになりますのでよろしくお願いいたします。
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2013/05/16
○BOEのインフレレポートのキング総裁冒頭説明から少々
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/inflationreport/2013/ir1302.aspx
Inflation Report, May 2013
キング総裁の冒頭説明はこちら。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/inflationreport/irspnote150513.pdf
INFLATION REPORT PRESS CONFERENCE
Wednesday 15 May 2013
Opening Remarks by the Governor
・今回のマクラも大きく出てますな
冒頭説明のそのまた冒頭にマクラがあって、今回はこんなマクラになっています。
『Central banks are all about stability. But the past twenty years or so
has been a time of almost continuous revolution - more in the style of
that most famous of all central bank governors, Che Guevara, than in the
traditions of the Bank of England.』
確かに革命政府の国立銀行総裁でしたな。
『Collapse of the ERM, inflation targeting, central bank independence,
a banking crisis at home and crises galore abroad, new responsibilities
for the Bank; all reflect an extraordinary period of change.』
何か壮大なマクラですけれども(^^)この先が本文みたいなもん。
『And the change continues. Of most significance today is that there is
a welcome change in the economic outlook. Today’s projections are for
growth to be a little stronger and inflation a little weaker than we expected
three months ago. That is the first time I have been able to say that since
before the financial crisis.』
ということで、何だかキング総裁最後のインフレーションレポートになりますので景気良くなりましたなどと言ってはいけませんが、景気見通しの引き上げとインフレ見通しの改善とのことです。
『But this is no time to be complacent - we must press on to ensure a recovery
and bring down unemployment.』
ま、それはそうですな。でまあ以下経済状況と先行き見通しの話になるのですが、キング総裁最後のインフレーションレポート発表のプレコンですので、最後の方を少々引用。
・物価目標に対するバランスアプローチについて&説明責任について
先般のMPC議事要旨などでもありましたように、「物価目標については変わらないけれども従来以上にバランスアプローチを取って下さいね」というremitが政府から降りてきましたので、それを受けた説明がありますよという話をしています。
『In response to the requirement in our remit to promote understanding
of the short-run trade-off facing monetary policy there is an extended
discussion of this issue in Section 5 of the Report.』
インフレレポートの第5章に説明があるようですが当然の如くまだあたくしは読んでません(すいません)。
『There are a number of other changes to the Report, stemming from the
Stockton Review. Table 5.A lists the main indicators that we will use in
assessing whether the key judgements underlying our forecast are being
borne out by events. We are also publishing extra information, alongside
the Report, on our website. That includes the numbers underlying the forecast
distribution, and a pack of charts and tables which goes beyond those in
Section 5.』
『A box on page 49 covers recent and prospective changes to the Report
in more detail. I am sure the Inflation Report will continue to embrace
change, and remain a leading example of central bank transparency around
the world.』
説明の工夫のために色々と変更を行ったとの事でして、説明責任に関する話が以下続きます。
『Transparency means giving reasons for policy actions.』
確かに。
『Over the years, we have tried to act as a consistent monetary referee,
responding to the unpredictable behaviour of the players. When that behaviour
was itself extraordinary, we had to take extraordinary action to support
growth and employment. Bank Rate has been at a record low for over four
years; we have purchased assets worth 25% of GDP; our balance sheet has
expanded by a factor of five; and the Funding for Lending Scheme has been
launched and now extended. Looking ahead, markets expect Bank Rate to remain
below 1% for a further four years - although of course its actual path
will depend upon economic circumstances which no-one can predict.』
まあそうですな。
『Nevertheless, with inflation still high and spare capacity remaining,
monetary policy continues to perform a difficult balancing act.』
英国の場合は特にこのバランスアプローチの説明が大変な訳で。
『Attempting to return inflation to target too rapidly would result in
even slower growth and higher unemployment. That in turn would risk eroding
the medium-term supply capacity of the economy. But allowing inflation
to stay high for too long could cause households and businesses to begin
to doubt the MPC’s commitment to meeting the inflation target, putting
at risk medium-term price stability. Our job is to strike the appropriate
balance between these risks.』
ということでこれはまあ引き続きの問題なのですが、カーニー新総裁が荒業「名目GDPターゲッティング」を出してその辺を有耶無耶にしてしまうかもしれませんというのに1ハギスくらいですかね。
・キング総裁最後のご挨拶
で最後。
『Monetary policy alone, however, cannot solve all our problems.』
うむ。
『There are limits to what can be achieved by general monetary stimulus
- in any form. If we are to see a return to sustained growth, not only
the UK economy, but the world economy as a whole, must find a way to a
new equilibrium in which there is a rebalancing of world demand. Those
are not challenges that can be resolved by monetary policy alone, nor can
they be resolved by any one country alone, as we recognised in the G7 discussions
at the weekend.』
金融政策の限界という話から経済の問題が一国だけで解消できる訳でも無い場合もという話を。
『As a result, the challenges facing central banks are as great as they
have ever been. In many ways, the most durable lesson of the past twenty
years is the overriding importance of basing monetary policy on serious
economic analysis, rather than politics or market mystique.』
『Although there will always be room for differences of view, putting economic
analysis to the fore has raised the level of economic debate in this country
- in which you all have played a major part - and has, I hope, raised the
quality of policy itself.』
『But after 89 press conferences, including 82 under the banner of the
Inflation Report, I have had my say. Now it is over to the next generation
to have theirs.』
・・・・・・・・・・・・( ;∀;)
なお、こちらはオープニングリマークでして、会見の27ページからが記者からの謝辞で、キング総裁の応答(ご挨拶)が28ページ目の「Applause」って所から先になります。その前The
Observer紙のWilliam Keegan記者の謝辞は引用割愛しますがまあそちらも読んで味噌。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/inflationreport/conf150513.pdf
『Mervyn King: Well thank you very much Bill for those words and thank
all of you for coming so patiently over all these years. There are some
things about this job that I certainly won’t miss but one thing I will
miss are these regular Inflation Report Press Conferences. They are probably
the one event I've looked forward to and prepared hard for and believed
have been the most valuable. And I think can I thank you all also for raising
the level of economic debate and discussion in this country significantly
in comparison with when I started.』
『So thank you for doing that and I'm sure you will enormously enjoy working
with my successor who will be at least as lucid in the future, and I wish
you all the very best in explaining the travails and ups and downs of the
British economy to your readers and your viewers and listeners. Thank you
all.』
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2013/05/14
○昨日のバーナンキ講演ネタが良く見たら割と話題になっているようなので続きを
相場の材料にはなっていなかったのですが、良く良く昨日世の中を見ているとやはりこの講演が色々と話題を呼んでいたみたいなのでもうちょっと補足を。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.htm(HTML)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.pdf(PDF)
・シャドウバンキングに関して
『The Federal Reserve's Financial Stability Monitoring Program』の4つのコンポーネントに関して昨日は資産価格についての話を引用して、グレートモデレーションの時に金融の脆弱性が拡大する(資産バブルが発生する、だけではなくて不均衡が拡大するという論点での指摘をしているのがお洒落なんですよね)というような部分や、海外の金融政策運営が自国に対する影響を与えることにも注意しないといけないというような部分など、逆さ絵おじさんの着ぐるみが開発されて白川方明とかいう人が中に入っているんですねわかりますというような部分をネタにした訳ですが(長い)、本日はシャドウバンキング云々の部分から少々。
えーとですね、この部分実は結構長いのでまあ駆け足で引用しますが。
『Shadow banking, a second area we closely monitor, was an important source
of instability during the crisis.』
つーことで前回の危機ではシャドウバンキングが不安定の元になりましたぞなと。
『Shadow banking comprises various markets and institutions that provide
financial intermediation outside the traditional, regulated banking system.
Shadow banking includes vehicles for credit intermediation, maturity transformation,
liquidity provision, and risk sharing.』
シャドウバンキングとはどういう人たちでどういう機能かという話ね。
『Such vehicles are typically funded on a largely short-term basis from
wholesale sources. In the run-up to the crisis, the shadow banking sector
involved a high degree of maturity transformation and leverage. Illiquid
loans to households and businesses were securitized, and the tranches of
the securitizations with the highest credit ratings were funded by very
short-term debt, such as asset-backed commercial paper and repurchase agreements
(repos). The short-term funding was in turn provided by institutions, such
as money market funds, whose investors expected payment in full on demand
and had little tolerance for risk to principal.』
でまあそういう金融仲介機能みたいな人たちは本質的に市場調達による短期調達に対して流動性が低い資産だったり期間の長期な資産だったりする運用(商品在庫というケースも含め)が見合った形になっていますので、一旦市場の流動性が枯渇するとあばばばばーになりますよと。
『As it turned out, the ultimate investors did not fully understand the
quality of the assets they were financing. Investors were lulled by triple-A
credit ratings and by expected support from sponsoring institutions--support
that was, in fact, discretionary and not always provided.』
しらっと厳しい言い方をしてますなおい(lullって幼児に子守唄を聞かせて寝付かせるとかいう意味ね)。
『When investors lost confidence in the quality of the assets or in the
institutions expected to provide support, they ran. Their flight created
serious funding pressures throughout the financial system, threatened the
solvency of many firms, and inflicted serious damage on the broader economy.
』
さいですな。
『Securities broker-dealers play a central role in many aspects of shadow
banking as facilitators of market-based intermediation.』
ふむ。
『To finance their own and their clients' securities holdings, broker-dealers
tend to rely on short-term collateralized funding, often in the form of
repo agreements with highly risk-averse lenders.』
まあそれが機能なのですから。
『The crisis revealed that this funding is potentially quite fragile if
lenders have limited capacity to analyze the collateral or counterparty
risks associated with short-term secured lending, but rather look at these
transactions as nearly risk free. As questions emerged about the nature
and value of collateral, worried lenders either greatly increased margin
requirements or, more commonly, pulled back entirely. Borrowers unable
to meet margin calls and finance their asset holdings were forced to sell,
driving down asset prices further and setting off a cycle of deleveraging
and further asset liquidation.』
で、これらの短期調達のキャパシティーが下がったり、長期運用の方になります資産サイドがおかしくなったりした時に大変な事になりますよねというのはご案内の通り。
・・・・・・・とまあここまでが前座の背景説明でしてじゃあ何のモニタリングするのかというのがこの次。
『To monitor intermediation by broker-dealers, the Federal Reserve in 2010
created a quarterly Senior Credit Officer Opinion Survey on Dealer Financing
Terms, which asks dealers about the credit they provide.』
証券仲介業者の状況をモニターする為にこういうサーベイを行っていますと。
『Modeled on the long-established Senior Loan Officer Opinion Survey on
Bank Lending Practices sent to commercial banks, the survey of senior credit
officers at dealers tracks conditions in markets such as those for securities
financing, prime brokerage, and derivatives trading.』
以前は銀行のモニターのサーベイをしていましたが、これを証券業にも拡大したという話ですね。
『The credit officer survey is designed to monitor potential vulnerabilities
stemming from the greater use of leverage by investors (particularly through
lending backed by less-liquid collateral) or increased volumes of maturity
transformation. Before the financial crisis, we had only very limited information
regarding such trends.』
ということで、何を見ているかというとレバレッジの大きさ、特に流動性の低い資産(の場合売りの連鎖になるとエライコッチャになりやすいので)を使ったレバレッジの状況や、期間ミスマッチの状況がどの程度拡大しているかという話で、これらについては今次金融危機を受けて調査するようになったということで。
『We have other potential sources of information about shadow banking.』
他のソースもあるでよと。
『The Treasury Department's Office of Financial Research and Federal Reserve
staff are collaborating to construct data sets on triparty and bilateral
repo transactions, which should facilitate the development of better monitoring
metrics for repo activity and improve transparency in these markets.』
トライパーティーやバイラテラルレポ取引の状況のモニターとな。
『We also talk regularly to market participants about developments, paying
particular attention to the creation of new financial vehicles that foster
greater maturity transformation outside the regulated sector, provide funding
for less-liquid assets, or transform risks from forms that are more easily
measured to forms that are more opaque.』
新しい金融ビークルが出来て、そのビークルが従来の規制でカバーできないような形で何らかの資産ミスマッチの拡大や、流動性の低い資産におけるリスク移転などが行われているかどうかという事も市場状況のヒアリングを進めることによってモニターしていっております。という事で、いわゆる規制だけでカバーできない部分についても注意深くモニタリングしますよというお話ではあります。
でまあこの辺も含めました詳しい話をして問題意識を示していたのの嚆矢が2月7日にスタイン理事が行っていた講演(→http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/stein20130207a.htm)で、良く考えたらスタイン理事講演ネタを2月の22日位から5回シリーズでお送りしたのに最後の部分の手前でジャパンの金融政策ネタが多忙になってしまって途中で終了していることを思い出しましたが、今更ネタにも程があるので土日にこっそり追補ネタとかにするかも知れませんが(大汗)、スタイン理事の講演でこの辺りの話もやたらめったら細かく説明しているので改めてご覧になるのオヌヌメですよ!
でこの項目まとめ。
『A fair summary is that, while the shadow banking sector is smaller today
than before the crisis and some of its least stable components have either
disappeared or been reformed, regulators and the private sector need to
address remaining vulnerabilities.』
金融危機前と比べてシャドウバンキング部門は縮小しており、不安定要素は改善されたものの、規制当局や民間セクターはこの部門に残る脆弱性について対処する必要がありますとな。
『For example, although money market funds were strengthened by reforms
undertaken by the Securities and Exchange Commission (SEC) in 2010, the
possibility of a run on these funds remains--for instance, if a fund should
"break the buck," or report a net asset value below 99.5 cents,
as the Reserve Primary Fund did in 2008. The risk is increased by the fact
that the Treasury no longer has the power to guarantee investors' holdings
in money funds, an authority that was critical for stopping the 2008 run.
In November 2012, the FSOC proposed for public comment some alternative
approaches for the reform of money funds. The SEC is currently considering
these and other possible steps.』
MMFの流動性や保有資産に関する新規制に関しては現在米国当局で検討中でパブコメ求めている訳ですが、この部分でこれだけのスペースを使っているとな。
『With respect to the triparty repo platform, progress has been made in
reducing the amount of intraday credit extended by the clearing banks in
the course of the daily settlement process, and, as additional enhancements
are made, the extension of such credit should be largely eliminated by
the end of 2014.』
トライパーティーレポに関する改革で、トライパーティーレポを行っているクリアリング銀行の日々の決済状況や日中クレジット状況などのリスクを改善しましょうという取り組みですな。
『However, important risks remain in the short-term wholesale funding markets.』
でまあ何故かここの部分が昨日引用したブルームバーグニュースのヘッドラインになっていたのですが。
『One of the key risks is how the system would respond to the failure of
a broker-dealer or other major borrower. The Dodd-Frank Act has provided
important additional tools to deal with this vulnerability, notably the
provisions that facilitate an orderly resolution of a broker-dealer or
a broker-dealer holding company whose imminent failure poses a systemic
risk.』
一つのキーとなるリスクは大きな証券仲介業者や他のファンディング主体が破綻した場合の処理についてで、ドッドフランク法で秩序だった破綻処理をするようなツールを作りましたが・・・・・・
『But, as highlighted in the FSOC's most recent annual report, more work
is needed to better prepare investors and other market participants to
deal with the potential consequences of a default by a large participant
in the repo market.』
FSOCの最近のアニュアルレポートで強調しましたように、レポ市場における大手参加者のデフォルトの際に起きる潜在的な結末について市場参加者はより一層の備えをすることが求められていますという話でこのコーナーを締めています。
つーことで、つまりまあレバレッジ取るなとか複雑な取引をバカスカやるなとかそういう話に持って逝かれ易かったりする話でして、まあ正直言って景気の悪い話であります事よという風に思うのですけれどもどうなんでしょうかねえ、という所でありました。
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2013/05/13
○あまり材料になっていないみたいだが逆さ絵おじさんの講演から
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.htm(HTML)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.pdf(PDF)
Monitoring the Financial Systemというお題でして、足元でちょうど米国の金融規制のパブコメを締めた所であちこちから意見というか文句が出ておりまして、金融規制関連の講演で3日にタルーロ理事の講演ネタを読まないと(既に出遅れていますが・・・・・)とか思っていたらちょうどこういうお題なので先に逆さ絵先生の講演を読まないと・・・・・・・と思ったのですがこれが意外に収穫。
・逆さ絵おじさんが「アセットバブル警戒」とな!!
ちなみに端末利用状況がどうのこうのと話題の某ブルームバーグニュースではこういう報道になっていたようなのですけれどもね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MML8A46VDKHU01.html
FRB議長:ホールセール資金調達市場には重大リスクが存在
更新日時: 2013/05/11 04:20 JST
いやまあ確かにそういう話もあるのですが、何でこの講演をネタにしてこういうニュースヘッドラインになるのかがワケワカランチ会長という所なのですが、まー米国(だけではないが)株式市場がワールド金融緩和流動性相場ヒャッハー状態になっている中なのでそういう話の方をあまりクローズアップしたくないというのもお気持ちは分かるのですけれども・・・・・・・・
まあ今回の講演ですけれども、題名のように金融監督に関する話をしているのですけれども、その中で多くのパートをFRBの監督の方向性ということで、『The
Federal Reserve's Financial Stability Monitoring Program 』という小見出しがあってSIFI's、シャドウバンキング、資産市場動向、非金融機関の動向についてなど、従来の監督とは違った新しい視点での話をかなり細かく説明していましてそっちはそっちでかなり面白いです。
でまあそっちも面白いのですけれども冒頭も面白くて、資産バブルに関する話をああだこうだとしておりまして、逆さ絵先生何か変な物でも食ったのではないかとしか思えないような話をしているのですけれども、一方で市場ではFRBの金融政策によって株式市場はゴルディロックスで株高ヒャッハーとなっている、というのは先般の雇用統計を見れば明白な所が皮肉というか何というか。
まあ先日のFOMC声明文で資産買入の今後の動向についてかならずしも買入の縮小だけが選択肢なのではなくて拡大もあるぜよというのを見せた直後の雇用統計が強くて、いつもなら雇用統計が強いとQE早期縮小の思惑で株式市場もブレーキ掛かるのですが、すっかり株式市場がヒャッハー状態になって、経済指標が弱ければ緩和長期化や拡大思惑、強ければ景気強くて株式ヒャッハーとかなっているので、ちょっと冷やしたいという程度なのかも知れませんけど、どこの麿だよというような講演になっているのが中々味わいがあるというものです。
・ということで逆さ絵先生のマクロプルーデンス話部分
まず最初の所から。
『In my remarks today I will discuss the Federal Reserve's efforts in an
area that typically gets less attention than the writing and implementation
of new rules--namely, our ongoing monitoring of the financial system.』
金融システムのモニタリングに関する話とな。
『Of course, the Fed has always paid close attention to financial markets,
for both regulatory and monetary policy purposes. However, in recent years,
we have both greatly increased the resources we devote to monitoring and
taken a more systematic and intensive approach, led by our Office of Financial
Stability Policy and Research and drawing on substantial resources from
across the Federal Reserve System.』
ふむ。
『This monitoring informs the policy decisions of both the Federal Reserve
Board and the Federal Open Market Committee as well as our work with other
agencies. 』
ということで金融モニタリングの話が今回のテーマなのですけれども、最初の小見出しが『A
Focus on Vulnerabilities』となっておりましてですな・・・・・・・
『Ongoing monitoring of the financial system is vital to the macroprudential approach to regulation.』
マクロプルーデンシャルアプローチとか逆さ絵おじさんから中々出てこない(前もマクロプルーンデンスの話をしていた事は一応あります、為念)話が出てくるとな!
『Systemic risks can only be defused if they are first identified. That
said, it is reasonable to ask whether systemic risks can in fact be reliably
identified in advance; after all, neither the Federal Reserve nor economists
in general predicted the past crisis.』
システミックリスクと何ぞやという事を予め特定していないとリスクは完全には回避できませんと。
『To respond to this point, I will distinguish, as I have elsewhere, between
triggers and vulnerabilities.』
ということで、トリガーと脆弱性という点に注目という事ですが、この講演は『Ben
S. Bernanke (2010), “Causes of the Recent Financial and Economic Crisis,”
testimony before the Financial Crisis Inquiry Commission, Washington, September
2,』でして、あたくし不覚にもネタにしていなかったようでございます(まあ読んでなかったような希ガス、その月は前月末のジャクソンホールで一杯だったと思う)とのことですがそのような状況ですのでスルー(汗)。
『The triggers of any crisis are the particular events that touch off the
crisis--the proximate causes, if you will. For the 2007-09 crisis, a prominent
trigger was the losses suffered by holders of subprime mortgages.』
トリガーの話ね。危機の最初に起きることの話のようです。
『In contrast, the vulnerabilities associated with a crisis are preexisting
features of the financial system that amplify and propagate the initial
shocks. Examples of vulnerabilities include high levels of leverage, maturity
transformation, interconnectedness, and complexity, all of which have the
potential to magnify shocks to the financial system. Absent vulnerabilities,
triggers might produce sizable losses to certain firms, investors, or asset
classes but would generally not lead to full-blown financial crises; the
collapse of the relatively small market for subprime mortgages, for example,
would not have been nearly as consequential without preexisting fragilities
in securitization practices and short-term funding markets which greatly
increased its impact.』
脆弱性(というか何という訳をすれば良いのか・・・・)というのは最初のトリガーを拡大する作用のある金融システムにおける問題点で、例えば高いレベルのレバレッジとか、期間ミスマッチの拡大とか、金融システムにおける参加者の相互関連性や複雑性などを挙げていまして、これらの存在によって問題が拡大して金融システム問題になりますよねという話ですな、うんうん。
『Of course, monitoring can and does attempt to identify potential triggers--indications
of an asset bubble, for example--but shocks of one kind or another are
inevitable, so identifying and addressing vulnerabilities is key to ensuring
that the financial system overall is robust.』
ということで脆弱性を特定することが重要であるという話なのですが、どさくさに紛れてトリガーとして「アセットバブル」とかほっほーという感じですな。
『Moreover, attempts to address specific vulnerabilities can be supplemented
by broader measures--such as requiring banks to hold more capital and liquidity--that
make the system more resilient to a range of shocks.』
ということで、まあこの辺までは実際の資産価格がどうのこうのよりも、レバレッジの拡大などのようなものに警戒という話ですな。
・ゴルディロックスでヒャッハーとか言っている時により大きなリスクが撒かれるとな!!!
でまあその次なのですが。
『Two other related points motivate our increased monitoring.』
ほほう。
『The first is that the financial system is dynamic and evolving not only
because of innovation and the changing needs of the economy, but also because
financial activities tend to migrate from more-regulated to less-regulated
sectors.』
金融活動はより規制の無い方無い方へと逝きがちであるとは仰せの通りで。
『An innovative feature of the Dodd-Frank Act is that it includes mechanisms
to permit the regulatory system, at least in some circumstances, to adapt
to such changes. For example, the act gives the FSOC powers to designate
systemically important institutions, market utilities, and activities for
additional oversight. Such designation is essentially a determination that
an institution or activity creates or exacerbates a vulnerability of the
financial system, a determination that can only be made with comprehensive
monitoring and analysis.』
でまあドッドフランク法はその手の部分にできるだけ網を掛けて金融市場参加者に関して金融安定化を阻害するような動きをしないようにという話ですが、その次の部分がアレ。
『The second motivation for more intensive monitoring is the apparent tendency
for financial market participants to take greater risks when macro conditions
are relatively stable.』
キタコレ!!
『Indeed, it may be that prolonged economic stability is a double-edged sword.』
長期間の経済の安定が諸刃の剣である(キリッ)とかどこの麿だよという話が。
『To be sure, a favorable overall environment reduces credit risk and strengthens
balance sheets, all else being equal, but it could also reduce the incentives
for market participants to take reasonable precautions, which may lead
in turn to a buildup of financial vulnerabilities.』
どう見ても麿の生霊が憑依しています本当にありがとうございました。
『Probably our best defense against complacency during extended periods
of calm is careful monitoring for signs of emerging vulnerabilities and,
where appropriate, the development of macroprudential and other policy
tools that can be used to address them.』
こんな話を逆さ絵おじさんがするとかどういう事ですねんという風情の講演ではございまして、まあ逆さ絵先生としては景気の先行きやら物価情勢などを勘案すると慎重にならざるを得ない中で株式市場を中心にゴルディロックスで金融市場ヒャッハーとなっていることに関してこれは一定の牽制を示したものという風に思ったのですけれどもどうなんでしょうかねえ。
・資産市場に関するモニタリングの話が更に麿状態とな
で、この後が先ほどご紹介した後半部分(というかPDFファイルに出すと講演テキスト本文が15ページあって、ここまでの部分が4ページなので前半と言うよりは前座なのですけれども)になりまして、こちらでも「資産市場に関するモニタリング」のコーナーがある(他のコーナーは先程申し上げた通り)のでそちらも引用。『Asset
Markets』って斜字体(PDFだと本文12ページ)の小見出しの所です。
『Asset markets are a third area that we closely monitor. We follow developments
in markets for a wide range of assets, including public and private fixed-income
instruments, corporate equities, real estate, commodities, and structured
credit products, among others. Foreign as well as domestic markets receive
close attention, as do global linkages, such as the effects of the ongoing
European fiscal and banking problems on U.S. markets.』
まあここははあそうですかという話ですが、「Foreign as well as domestic markets
receive close attention, as do global linkages,」というのがやや味わいのある部分で、例として挙げているのが欧州金融問題なのでまあそうですねという話なのですが、これ後半の「such
as」以下が無いと日本に対する嫌味に見える気がするのは深読みのし過ぎですかそうですか(^^)。
『Not surprisingly, we try to identify unusual patterns in valuations,
such as historically high or low ratios of prices to earnings in equity
markets.』
株式市場のレシオ分析とな。
『We use a variety of models and methods; for example, we use empirical
models of default risk and risk premiums to analyze credit spreads in corporate
bond markets.』
クレジット市場のスプレッド分析とな。
『These assessments are complemented by other information, including measures
of volumes, liquidity, and market functioning, as well as intelligence
gleaned from market participants and outside analysts.』
それらの数値だけではなくて市場のボリュームとか市場機能とか色々な面からも確認すると。
『In light of the current low interest rate environment, we are watching
particularly closely for instances of "reaching for yield" and
other forms of excessive risk-taking, which may affect asset prices and
their relationships with fundamentals.』
!!!!!!!!!!!!!!!
『It is worth emphasizing that looking for historically unusual patterns
or relationships in asset prices can be useful even if you believe that
asset markets are generally efficient in setting prices.』
ほっほー。
『For the purpose of safeguarding financial stability, we are less concerned
about whether a given asset price is justified in some average sense than
in the possibility of a sharp move. Asset prices that are far from historically
normal levels would seem to be more susceptible to such destabilizing moves.』
いやもうほっほーとしか申し上げようがないのですがもしかして白川さんが逆さ絵先生の着ぐるみの中に入っているのではないかと思う位の話。
『From a financial stability perspective, however, the assessment of asset
valuations is only the first step of the analysis. Also to be considered
are factors such as the leverage and degree of maturity mismatch being
used by the holders of the asset, the liquidity of the asset, and the sensitivity
of the asset's value to changes in broad financial conditions.』
資産価格のアセスメントはモニタリングの最初のステップであって、次にはレバレッジや期間のミスマッチ、保有者の流動性確保状況(前の方でその話があります)や資産の流動性状況などや価格のセンシティビティーなどを更にモニタリングしますと。
『Differences in these factors help explain why the correction in equity
markets in 2000 and 2001 did not induce widespread systemic disruptions,
while the collapse in house prices and in the quality of mortgage credit
during the 2007-09 crisis had much more far-reaching effects: The losses
from the stock market declines in 2000 and 2001 were widely diffused, while
mortgage losses were concentrated--and, through various financial instruments,
amplified--in critical parts of the financial system, resulting ultimately
in panic, asset fire sales, and the collapse of credit markets. 』
対象資産の価格がファンダメンタルから大きくかい離したという意味では同じであっても、背景となるこれらの状況の違いが2000年初頭のITバブル崩壊と、直近の住宅バブル崩壊の与えたそれぞれの影響の広さなどの違いを生み出している、という所で締めているのですが、この辺の話はどこの白川方明さんですかという所でして、いつの間にか麿が憑依したのか逆さ絵おじさんの着ぐるみが開発されたのかと思ってしまう講演でありました。
#他の部分も割とオモロイですので興味のある方はオヌヌメ
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2013/05/08
○ECB定例理事会後の会見からの続き
つーことで昨日の続きです。まずは説明部分から。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2013/html/is130502.en.html
・「景気の下振れ懸念」を強調していますな
昨日の続きで利下げ(およびその他の決定)の背景に関する経済に関する説明から始まりますが。
『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis.』
まずは経済情勢に関して。
『Real GDP contracted by 0.6% in the fourth quarter of 2012, following
a decline of 0.1% in the third quarter. Output has thus declined for five
consecutive quarters. Overall, labour market conditions remain weak. Recent
developments in short-term indicators, notably survey data, indicate that
weak economic sentiment has extended into spring of this year.』
GDPが弱くて労働市場が弱くて特にセンチメントが悪いとな。
『Looking ahead, euro area export growth should benefit from a recovery
in global demand and our monetary policy stance should contribute to support
domestic demand. Furthermore, the improvements in financial markets seen
since last summer should work their way through to the real economy. At
the same time, necessary balance sheet adjustments in the public and private
sectors will continue to weigh on economic activity. Overall, euro area
economic activity should stabilise and recover gradually in the second
half of the year.』
今後については海外需要の回復と緩和的な金融政策スタンスが域内の需要をサポートして、昨年の夏から続く金融市場の改善が実体経済に好影響を与えるでしょう。として、その一方で官民のバランスシート調整が経済に悪影響を与え、全体的には今年の後半からユーロ圏の経済活動は安定化して徐々に回復に向かうでしょうとな。
『The risks surrounding the economic outlook for the euro area continue
to be on the downside. They include the possibility of even weaker than
expected domestic and global demand and slow or insufficient implementation
of structural reforms in the euro area. These factors have the potential
to dampen confidence and thereby delay the recovery.』
リスクは下向きで、内外需要が予想より弱い事や、ユーロ圏の構造改革が進まない事という話で、まあ要するにそもそも景気サポート要因とされるファクター全部とかワロタという所で砂。
一方で物価に関しては「一時的要因による低下」という説明になっています。
『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual HICP inflation
was 1.2% in April 2013, down from 1.7% in March.』
HICP物価指数が大きく下落とな!
『This decline in the annual inflation rate reflects a significant fall
in energy prices, but is also due to a sizeable transitory effect coming
from the annual rate of change in services prices on account of the timing
of Easter.』
エネルギー価格とイースター要因による一時的な要因だそうです。
『Inflation rates could remain subject to some volatility throughout the
year. Looking further ahead, underlying price trends should persist and,
over the medium term, inflation expectations remain firmly anchored in
line with price stability.』
つーことで物価に関しては今年はいくらかの変動をするものの、先行きに関しては足元のトレンドが継続するもののインフレ期待はアンカーされていますということで・・・・・・
『Taking into account today’s decisions, risks to the outlook for price
developments are broadly balanced over the medium term, with upside risks
relating to stronger than expected increases in administered prices and
indirect taxes, as well as higher commodity prices, and downside risks
stemming from weaker economic activity.』
利下げの効果を考慮した物価の上下バランスに関しては概ねバランスという認識になっていまして、先行きのリスク認識としては経済の下振れリスクをメイン(経済が下振れすると物価も下振れするのですけれども)においている感じですかね。
・ローンの伸びが弱いとか、域内クレジット市場の分断化について言及
『Turning to the monetary analysis, recent data confirm that the underlying
pace of monetary expansion continues to be subdued. Annual growth in broad
money moderated in March, standing at 2.6%, after 3.1% in February. The
annual growth rate of the narrow monetary aggregate, M1, increased slightly
further to 7.1% in March, reflecting the continued preference for the most
liquid instruments in M3. Deposits with the domestic money-holding sector
continued to grow further in most stressed countries in March.』
とこの辺はマネーの話。伸びは抑制されているという話ですね。
『The annual growth rates of loans (adjusted for loan sales and securitisation)
to non-financial corporations and households have now remained broadly
unchanged since the turn of the year, standing in March at -1.3% and 0.4%
respectively.』
ローンの伸びが弱いということでして。
『To a large extent, weak loan dynamics reflect the current stage of the
business cycle, heightened credit risk and the ongoing adjustment of financial
and non-financial sector balance sheets. The recent Bank Lending Survey
(BLS) confirmed weak demand for loans in the euro area. While some signs
of stabilisation are emerging, the Survey on the access to finance of small
and medium-sized enterprises (SMEs) in the euro area indicates continued
tight credit conditions, particularly for SMEs in several euro area countries.
Moreover, the available information indicates high risk perception on the
part of banks.』
ローンの伸びが弱い要因として、ビジネスサイクル要因、クレジットリスクの高まり、企業のバランスシート調整というのを挙げていて、金融機関のサーベイ調査によればユーロ圏の借入需要は弱く、中小企業に対する厳しいクレジットコンディションが継続しており、一部の金融機関では引き続きリスク警戒意識が強い状況が続いているということで・・・・・
『In order to ensure adequate transmission of monetary policy to the financing
conditions in euro area countries, it is essential that the fragmentation
of euro area credit markets continues to decline further and that the resilience
of banks is strengthened where needed.』
質疑応答でもこちらの話が実は多かったりするのですが、ユーロ圏内での金融政策のトランスミッションメカニズムを有効にするためには、「ユーロ圏のクレジット市場のfragmentation」を更に縮小し、金融機関のバランスシートを更に健全化させる(=必要な資本増強を行う)ことが重要であるとキタコレである。
『Progress has been made since last summer in improving the funding situation
of banks, in strengthening the domestic deposit base in stressed countries
and in reducing reliance on the Eurosystem as reflected in repayments of
the three-year LTROs. Further decisive steps for establishing a banking
union will help to accomplish this objective.』
3年LTROの減少に見られるように昨年夏以来状況は改善しているが今後も改善が必要とな。
『In particular, the Governing Council emphasises that the future Single
Supervisory Mechanism and a Single Resolution Mechanism are crucial elements
for moving towards re-integrating the banking system and therefore require
swift implementation.』
つーことでECBとしては金融監督の一元化とか銀行同盟とかそっちの方をやれやゴルァって話がこの後にもあるのですけどね。
『To sum up, taking into account today’s decisions, the economic analysis
indicates that price developments should remain in line with price stability
over the medium term. A cross-check with the signals from the monetary
analysis confirms this picture.』
先程と同様ですが、利下げを考慮に入れると物価については中期的に物価安定の範囲内にありますという話になっていますな。
『With regard to fiscal policies, the spring 2013 deficit and debt data
notifications by euro area countries indicate that the average government
deficit declined from 4.2% of GDP in 2011 to 3.7% in 2012. Over the same
period, the average government debt rose from 87.3% to 90.6% of GDP. In
order to bring debt ratios back on a downward path, euro area countries
should not unravel their efforts to reduce government budget deficits and
continue, where needed, to take legislative action or otherwise promptly
implement structural reforms, in such a way as to mutually reinforce fiscal
sustainability and economic growth potential. Such structural reforms should
target improvements in competitiveness and adjustment capacities, as well
as aim to increase sustainable growth and employment.』
最後に財政政策に関してですが、財政赤字を減らせ構造改革しやがれゴルァという事ですねわかります。
で、質疑も色々と面白いのですが幾つか拾って(ちなみに今回はくだらない類の質疑応答は無かったですので本当は全文読むのを推奨)みます。
・追加利下げの可能性について&利下げだけではなく「フルアロットメントの延長」も大事との話
冒頭の質疑から。
『Question: You have cut the key interest rate to 0.5%. Can you come up
with some quantitative estimates for implications in the euro zone? Can
you envisage a lower interest rate than 0.5%?』
『Draghi: The Governing Council has taken this decision consistent with
the low price pressure over the medium term. As I said in the introductory
statement, HICP inflation has gone down considerably. Even if you look
at HICP inflation without food and energy prices, it has still gone down,
but less markedly. Inflation expectations are well anchored in the medium
term.』
ということでコアの物価に関してもやや下落しているという話をしておりまして、まあ基本的に景気下振れの方をメインにしていて物価に関して特段デフレリスクのような話を強調している訳では無いのですけれども、物価の低下傾向に関しても言及しているという所で。
『As I have said, monetary and credit development have been subdued. Weakness
in the fourth quarter of 2012 extended into the first part of this year.』
最初の説明でも言及されていたマネタリーとクレジットの状況についても言及。
『So, all in all, the Governing Council decided to go for a cut of 25 basis
points, accompanied, however, and I would ask you not to underestimate
the importance of the other measure, by maintaining the fixed rate full
allotment policy until at least mid next year.』
で、ここでドラギ総裁が聞かれもしないのにわざわざ強調しているのですが、利下げだけではなく固定金利オペのフルアロットメント継続を来年の半ばまで延長した事を重要視して下さいという話をしておりまして、実はこの後の質疑応答でもやたらと域内のクレジット市場のfragmentationの説明を力入れて行っていて、金融政策のトランスミッションメカニズムに関する問題意識が強いんじゃないのと思われるのですがどうでしょう。
『The combination of the two measures is especially important and we can
discuss this in the upcoming questions. At the same time, and this answers
the last part of your question, we will certainly look at all the incoming
data and carefully monitor developments. As I said last time, we stand
ready to act if needed.』
ということで今後の状況を注視して必要があれば更に行動しますという話で、まあこの辺を捕まえて必要ならば追加緩和というヘッドラインが出ている辺りは、ドラギ総裁は引き続き市場への期待への働きかけ、というと聞こえが良いですが悪く言えば毎度おなじみの口先市場操作攻撃が相変わらずですにゃあとか思うのでありました(^^)。
・預金ファシリティーのマイナスについて
ちょっと後の方の質問ですが。
『Question: When you said that there was a prevailing consensus for a cut
of only 25 basis points and you stand ready to act, is there room to cut
interest rates further, including the deposit rate which you did not touch
today?(後半は次に)』
キタコレ!
『Draghi: On the first part of your question, I think I did respond before,
saying that we will look at all the incoming data and will monitor them
closely and we will stand ready to act if needed. 』
ということでこちらでも「追加の利下げはあるべし」という風に読める言い方をしていますね!
『On the deposit facility rate, we said it in the past: we are technically
ready. There are several unintended consequences that may stem from this
measure. We will address and cope with these consequences if we decide
to act. We will look at this with an open mind and we stand ready to act
if needed.』
で、預金ファシリティーに関しての質疑はこの一発だけなのですが、「従来から言っていますようにテクニカルには準備ができていますが、預金ファシリティーのマイナス化に関してはいくつかの期待せざる結果がおきる可能性があるので、もしマイナスにする場合はこれらの結果に対して対処する用意が必要である」という話をしています。でもって「オープンマインドで考えて必要ならば実行する」としているのでまあ当然ながらヘッドラインでは「預金ファシリティー金利のマイナスも選択肢」という風になる罠と思うのですよね。
そもそも論として「ユーロ圏の域内分断化」が問題となっている上に、「フルアロットメントでの資金供給の継続も重要な決定である」とわざわざ断っている中で、超過準備保有に対するペナルティーを課す形になる預金ファシリティー金利のマイナス化というのは政策として矛盾する(預金ファシリティーを回避する方策を考えれば超過準備保有はできますがそれならそもそもファシリティー金利をマイナスにする意味が一ミリも無い)のでして、そーゆー点を考慮しますと、これはまあドラギ総裁の一流の「市場への期待働きかけ」という口先介入攻撃で、「預金ファシリティー金利マイナスもありうべし」というのを見せることによって、短期ゾーンの市場金利の低下を促して利下げの効果を更に高めようとしているんでしょと思うのですがどうっすかね。
ただまあこの手のドラギさんの口先マジックって使い方を良く良く注意しないと、調子に乗ってああだこうだとやっているうちに市場の方から催促されてのっぴきならない状況に追い込まれるでござるの巻という残念な展開になるリスクがありまして、ECBの場合はその手のやらかし金融政策をするというのが伝統芸でもあったりしますので、市場に催促されて預金ファシリティーをマイナスにして短期金融市場の緊張感を高めてやらかしちゃいましたテペヘロ♪というのをやらかさないで頂きたいものだと心から願うのでありました。
・ABS買入の可能性について
先程の質問の後半部分ではABS市場云々に関する質問でして・・・・・・
『(質問前半は先ほど)And I wanted to ask you on the consultations you
are starting on creating a market for asset-backed securities. What exactly
do you have in mind, and are you potentially solving one problem by creating
an entirely new problem, given that asset-backed securities were the root,
at least in the United States, of the financial crisis of 2008 and 2009?
So, are you potentially creating a headache down the road?』
QE1みたいな施策を考えているのですかねという質問ですな。
『(回答後半は先ほど)On the other part, it is actually broader than a
standard measure category and it relates to funding measures, broadly defined.
One is collateral, and the second set has to do with purchases of assets.』
担保政策または買入という両面での検討とな。
『Now, you have got to be careful here, because let me say once again what
the ECB cannot do. The ECB certainly cannot supplement governments for
their lack of structural reforms.』
ただしECBで出来ることとできない事があります(前の方の質疑でもその話があったんですよね)とのことで、ちゃんと構造改革をしていないような政府の補完機能は当然ながらできませんとな。
『Secondly, the ECB cannot clean banks’ balance sheets.』
ECBは銀行のバランスシートを綺麗にすることができませんぞなということで、何でもかんでもお助けオペをする訳では無いという話が早速キタコレ。
『And third, the ECB is not in the business of monetary financing, i.e. buying government bonds.』
EBCは政府の財政ファイナンスをするお仕事は致しません。
『When you consider all this, you look at what assets could be purchased
and then you look at what sort of financial infrastructure the Europeans
have.』
つーことでもしかしたらABS買入とかはEIBみたいな機関が実施するのかもしれませんね。
『And it is different from the United States. In the United States 80%
of credit intermediation goes via the capital markets. Capital markets
rate and price assets in a right or wrong way, but it’s fairly transparent.
In the European situation it is the other way round. 80% of financial intermediation
goes through the banking system.』
米国と違って欧州はクレジットの供給が銀行経由のものが多いと。
『So, you are left with buying what? SME loans, residential mortgages and
mortgages to non-residents and a few other types of loans. Now, this makes
the problem much more complicated, if one decides to take this way and
really all the options are still very open here. By the way, let me say
that our thinking is very much in a preliminary stage, given the complexity
of the issue, so we have not reached any conclusion either way. But if
you go this way, you want to find a way of packaging these loans in a way
that they can be priced. And that is where the reference to other institutions
more suited for this job of packaging and guaranteeing the loans comes
in: the reference to the European Investment Bank and the reference to
the European Commission itself.』
つーことで米国のように単純にABSを中央銀行が買うかという話はまた別のようで、要するに金融仲介機能の活発化、安定化をしたいという話は分かりました。
『Regarding the ABS, you are absolutely right, ABS have a very bad name,
but one should say that there were very different kinds of ABSs. One was
the so-called plain vanilla ABS box. You open the box, and you know exactly
what is inside. So, if you for example put some mortgages there, it would
be like a covered bond. A different thing was the squared ABS, etc., that
are infamously known to have been one of the causes of disruption in the
financial markets over the last few years. But we are far from reaching
any conclusion. We are looking at all possible options, we are aware of
the importance of this and we are also aware of what we can do and what
we cannot do.』
つーことで、仮にABSに対して何かするとした場合でも、どうもプレーンバニラ系のABSに対して何かしますという話のようで、いわゆるアレなABSは手を出さないようですね。
・ABS関連措置とかOMTの限界とか
質問2つ纏めまして。
『Question: You described how the OMT programme has brought calm to the
financial system during the last six or seven months and we have seen the
rates of sovereign bonds come down significantly. But we have not seen
the rates for small and medium-sized companies come down. Could you explain
why that has not happened and what this means for OMTs as an instrument
for addressing the fragmentation problem?』
というのがOMTの話でして、
『My second question is about the programme for asset-backed securities
(ABSs) you mentioned. Did I understand correctly that the ECB is thinking
about buying ABSs or is it all about collateral and lending?』
ABS関連の質問が2つ目なのですが、答えの方が微妙に融合している上にまあ良い説明だったりするので長いけど通して引用します。
まずABSの関連について。
『Draghi: On the second question, no, I don’t think you understood correctly.
We have a task force with the EIB and we view this institution as the best
suited to handle matters in this field. We do not have a precise position
on what we will do.』
これから検討するとな。
『Moreover, you have to consider that the ABS market is dead and has been dead for a long time.』
ABS市場がお死にになっていらっしゃると。
『And this is the case for a variety of reasons. One is the regulatory
situation regarding ABSs. Another is that very low interest rates do not
make ABSs a particularly convenient instrument for funding an institution.
So there are many obstacles to overcome before I will be able to give you
a precise description of what we have in mind.』
ABS市場が死んでいる理由としてABSに対する規制の状況だったり、低金利の為にABS以外でのファンディングの方が良かったりするとか、その他の問題があるようですな。
『The OMT programme removed the tail risk and has been a very powerful
instrument in this regard, but we should not forget that the funding crisis
that the banks experienced dating back to mid-2011 caused a credit contraction,
of which we are victims even today.』
で、ここでOMTの効果の話が出てくるのですが、OMT導入によってテイルリスクを除去したという効果を説明したうえで、一方でかつてのようなファンディングの危機が発生するとクレジット市場の調整が発生する訳で、これは現在でも問題となっていることですとの事で、今回の利下げ措置に加えて「域内クレジット市場の分断をどう解消するのか」というのが重要という認識のようですな。
『It has been a gradual, slow and long process of credit contractions.
The two longer-term refinancing operations avoided a worsening, or even
a collapse I think, of the situation and then the OMT programme removed
the tail risk for the euro area. But then you have to gradually unravel
the fragmentation that have taken place before the OMT programme and in
the end - as I said - started really by September 2011.』
OMTの他にもLTROなども効果があり、徐々に分断化は改善途上にはあるという認識のようです。
・域内分断化に関する説明:調達サイドは改善傾向も貸出サイドは依然として分断化との話
上記の説明の続きなのですが結構な大演説モードになっておりますので小見出しを変えてみました(^^)。とりあえずECBの問題意識を示していると思うので更に長いのですが引用しますぞな。
『However, to say that everything is bad would not be correct. Let me give
you a few facts on how we view the current state of fragmentation.』
ということで分断化の説明が始まる。
『As I said at another time, you have two sides to fragmentation. You have
the funding side and the lending side.』
ほう。
『Now, we definitely see progress on the funding side.』
ファンディングサイドの改善はdefinitelyとな!
『And this progress is documented by the fact that domestic deposits continue
to increase in all the banks of all the stressed countries, or almost all
I think. The second thing to consider is the dispersion in the growth rates
of deposits. If you look at how fast these deposits are growing and at
the dispersion of these growth rates across countries, you will see that
this continues to go down month after month. It is now at its lowest level
since May 2010 and this is quite important. Third, capital inflows are
continuing, which is also the other side of the coin of why the path of
the euro continues to be strong, in spite of the weakness of the economy
and in spite of the low prices ? this is really the other side or in other
words a return of confidence. Fourth, the claims on the Eurosystem by the
banks continue to go down and, since July 2012, they have gone down by
ユーロ400 billion. Incidentally, we have not seen any of the awful, terrible
risks that were predicted at the time. Finally, the TARGET2 balances -
as I have said before - are also down, they have stabilised.』
つーことで5つのファクターで説明していますが、域内のストレス状態の国であっても国内預金が増えていること、預金の拡大ペースも揃ってきていること、キャピタルインフローが域内の分断なく見られること、ECBへの借入希望が減っていること、ターゲット2のバランスが改善していることだそうですな。
『So are we saying that the fragmentation on the funding side is over and
that everything is normal?』
ではファンディングサイドの問題が終わったのか?
『No!』
いや違います!!だそうですな。わざわざ!が入っているのが雰囲気出ていますが(^^)。
『An interesting fact was pointed out to me this morning. A bank issued
a bond in Munich and in Milan, an uncollateralised senior bond, so not
a covered bond, and there was spread of roughly 150 or 200 basis points
between the two. This is the same bank issuing in two different sovereign
jurisdictions.』
今日シニア無担保債を発行したドイツとイタリアの銀行のスプレッドが150〜200もございましたぞなどのことで、まだまだファンディングサイドの分断も続いているとの認識ですな。
で、貸出の方ですけれども。
『On the lending side, progress is more muted, but here I would point out
something that could be a source of comfort.』
改善は遅れているということで、どういう点を見てますかという話ですな。
『First of all, we are observing a stabilisation in the dispersion of lending
rates. This has been increasing and increasing and now it seems to be stable,
or at least the values of the dispersion are no longer going up. The second
point is that the bank lending survey shows that there is a smaller increase
in tightening. In other words, banks in the stressed countries continue
to tighten, but at a slower pace. The third thing to consider is the information
provided by the survey of small and medium-sized enterprises (SMEs), which
is in a sense to me probably the most important source of information.』
域内における貸出金利や、貸出態度の分断化がどうなっているのか、という辺りや、中小企業向けの融資態度に関する点に注目しているようです。以下はその中小企業向け融資態度に関する見方を詳しく説明しています。
『According to this information, where you asked them “What is the share
of rejections of loan applications? This has gone down. Second, you asked
them “What sort of financial obstacles do you find in applying for a loan?”
There are three points to consider. First of all, as I mentioned, is the
rejections. Second is that SMEs may be given an amount which is lower than
the amount they asked for. Third, the banks may ask for an interest rate
that is so high, that the SME has to say “thanks, but no thanks”.』
貸出の拒絶状況とか、融資が申し込みに対してどのくらい出ているのかとか、金利設定状況とかを見ているようですな。まあ当然ですけど。
『We can see that the survey responses relating to these so-called financial
obstacles are improving significantly in some of the stressed countries.
And by the way, in Germany, there has been an improvement across the board.
For instance, with regard to the availability of loans for the euro area,
there has been a significantly smaller deterioration, and the same is happening
at the country level for Spain and Italy, and obviously for Germany and
so on. Looking at these survey data, I would not conclude that there is
no more fragmentation, but we are observing improvements. The problem,
of course, is that - as I said at the beginning - this credit contraction
has been ongoing for a long time and has been compounded by the short-term
contractive effects of fiscal policies. So unravelling this will not be
achieved in a day.』
つーことで分断状況に関してはやや改善しているものの、とてもではありませんが分断化が起きていないなどと言えるような状況では無いですし、クレジット市場の調整状態が続いていることも問題ですということで、今回の質疑で2か所大演説モードがあって(もう一つは「財政再建と成長」に関する話でこれはこれで重要なのですが時間と量の関係上引用割愛)、そのうちの1つがこの話なので、まあ基本的に問題にしているのは「金融政策のトランスミッションメカニズムの阻害要因となる域内分断化問題」だという事なのでしょうなあと思いましたです、はい。
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2013/05/07
○ECBが利下げしたので会見・・・・・・と思ったらもう次のネタがががががががorzorzorz
ジャパンの皆様が大型連休に入った所でECBが貫録の利下げ実施。今回の理事会はスロバキアで開催とな。
http://www.ecb.int/press/pr/date/2013/html/pr130502.en.html
2 May 2013 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting, which was held in Bratislava, the Governing Council
of the ECB took the following monetary policy decisions:
・The interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem
will be decreased by 25 basis points to 0.50%, starting from the operation
to be settled on 8 May 2013.
・The interest rate on the marginal lending facility will be decreased
by 50 basis points to 1.00%, with effect from 8 May 2013.
・The interest rate on the deposit facility will remain unchanged at 0.00%.
The President of the ECB will comment on the considerations underlying
these decisions at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』
ということでMRO金利を0.25%下げて0.50%にして、貸出ファシリティー金利を0.50%下げて1.00%にしましたので、預金ファシリティーと貸出ファシリティーのコリドアが従来の1.50%から1.00%に狭くなりました。
んでもって会見。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2013/html/is130502.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB.
Bratislava, 2 May 2013
ということなのですが、週明けにこんな講演が打ち込まれていましてですね。
http://www.ecb.int/press/key/date/2013/html/sp130506.en.html
The euro, monetary policy and reforms
Speech by Mario Draghi, President of the ECB,
on receiving an honorary degree in political science, LUISS “Guido Carli” University,
Rom, 6 May 2013
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMDXBP6S972S01.html
ドラギ総裁:ECBは必要なら追加利下げを実施する用意ある
更新日時: 2013/05/07 01:43 JST
『ドラギ総裁は6日、ローマで講演し「今後数週間以内に発表されるユーロ圏のすべての経済統計を注視し、必要であれば再び行動する用意がある」と述べた上で、「緩和的な金融政策が続くだろう」と続けた。
さらに「定例政策委員会は初めて下限政策金利である中銀預金金利をゼロ未満に引き下げる可能性についてオープンに議論することを決定した」と発言。「複雑なことが多くある。注意深く考慮し、精査しなくてはならない要因がたくさんある。必要に応じて行動できるよう、政策委はこれらの要因の分析を決定した」と語った。』(上記ブルームバーグニュース記事URLより)
ということで週明けに講演が打ち込まれていましてえーという感じなのですが、とりあえず折角会見を読んだので一応そちらからちょっとだけ。
・先に私家版まとめ
今回の追加金融緩和なのですが、「物価の低下圧力」というよりは「景気の下振れ対応」という形での投入となっていますが、「今回の利下げによって経済見通しが改善されるのですよ」という話をしておりまして、その辺に関してはあまり悲観的なメッセージを出さないように注意しているという感じです。
でもって物価に関してですが、こちらは実は直近でドカンと下がっている(HICP指数が3月の+1.7%から4月に+1.2%になっている)のですが、ここに関してはエネルギー価格とイースターの関係による一時的な物で、インフレ期待は十分にアンカーされているという説明になっていますので、まあ基本的にはデフレリスク対応よりは経済見通しによる利下げというのがメインの説明だと思います。
あと質疑応答でやたらと強調されていた(冒頭でも説明されていますが)ユーロ圏の金融市場の「分断化」に関してでして、ファンディングに関する部分はそれなりに分断化の改善が進んでいるものの、貸出金に関しては改善が進んでいないという話をしております。
また、今回ABS市場に関する何らかのお助け措置についてECBおよび関連機関と導入に向けて色々と協議するというのも決定されていまして、こちらに関しては(先ほどの分断化もそうですが)「金融政策のトランスミッションメカニズム」についてどうすべきかという論点を強調しておりまして、そちらに関連する質疑が多かったなあと思いましたです。
でもってこれ見た時の印象ですと、確かに預金ファシリティー金利のマイナスについても検討課題という話にはなっているのですが、預金ファシリティーをマイナスにするということは超過準備保有に関して明確なペナルティーを課すことになるので、予備的資金需要に対するペナルティーを発生させることに繋がり、ユーロ圏金融市場の分断化を却って促進すると思われるので預金ファシリティーマイナスに関してはやるやる詐欺で終わるのかとも思ったのですが、どうもECBは(そもそも量的緩和政策をしていないだけに)この辺に関して結構無頓着に打ち込みをしてくる可能性も否定できませんなあとか思うのでした。
・ということで冒頭の説明部分を駆け足で
『Ladies and gentlemen, the Vice-President and I are very pleased to welcome
you to our press conference. I would like to thank Governor Makuch for
his kind hospitality and express our special gratitude to his staff for
the excellent organisation of today’s meeting of the Governing Council.
We will now report on the outcome of today’s meeting, during which we
took a number of decisions on key ECB interest rates, liquidity provision
and possible ways forward to enhance the provision of credit. The meeting
was also attended by the Commission Vice-President, Mr Rehn.』
ということで、利下げの他に流動性対策とかクレジット市場対策を行ったという話です。
『First, based on our regular economic and monetary analyses, we decided
to lower the interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem
by 25 basis points to 0.50% and the rate on the marginal lending facility
by 50 basis points to 1.00%. The rate on the deposit facility will remain
unchanged at 0.00%.』
というのは利下げの決定事項。
『These decisions are consistent with low underlying price pressure over the medium term.』
中期的な物価下落圧力に対応した、と最初には言っているのですが・・・・・・
『Inflation expectations for the euro area continue to be firmly anchored
in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to,
2% over the medium term. In keeping with this picture, monetary and loan
dynamics remain subdued. At the same time, weak economic sentiment has
extended into spring of this year. The cut in interest rates should contribute
to support prospects for a recovery later in the year. Against this overall
background, our monetary policy stance will remain accommodative for as
long as needed. In the period ahead, we will monitor very closely all incoming
information on economic and monetary developments and assess any impact
on the outlook for price stability.』
ということで、直接的な物価というよりは景気下振れリスク対応での利下げという説明になっていますな。
『Second, we are closely monitoring money market conditions and their potential
impact on our monetary policy stance and its transmission to the economy.』
金融市場の状況とこれによる金融政策のトランスミッションメカニズムに対するインパクトを注視しますとな。
『In this context, we decided today to continue conducting the main refinancing
operations (MROs) as fixed rate tender procedures with full allotment for
as long as necessary, and at least until the end of the 6th maintenance
period of 2014 on 8 July 2014.』
MROのフルアロットメント実施を来年の7月まで延長しますと。
『This procedure will also remain in use for the Eurosystem’s special-term
refinancing operations with a maturity of one maintenance period, which
will continue to be conducted for as long as needed, and at least until
the end of the second quarter of 2014. The fixed rate in these special-term
refinancing operations will be the same as the MRO rate prevailing at the
time.』
同様に固定金利スペシャルタームリファイナンスオペも来年7月まで実施と。
『Furthermore, we decided to conduct the three-month longer-term refinancing
operations (LTROs) to be allotted until the end of the second quarter of
2014 as fixed rate tender procedures with full allotment. The rates in
these three-month operations will be fixed at the average rate of the MROs
over the life of the respective LTRO.』
3か月物LTRO(ここにあるように固定金利ではなくて「期中のMRO金利と同じ」という変動可能金利)についても来年7月までフルアロットメントで実施と。
『Third, the Governing Council decided to start consultations with other
European institutions on initiatives to promote a functioning market for
asset-backed securities collateralised by loans to non-financial corporations.』
ということで非金融機関の貸出金を対象資産にしたABS証券の市場を機能させるための政策を導入するために他のユーロ圏政府機関と共に検討することを開始したというのが3本目の施策です。
『In the meantime, it is essential for governments to intensify the implementation
of structural reforms at national level, building on progress made in fiscal
consolidation and proceeding with bank recapitalisation where needed. Furthermore,
they should maintain the momentum towards a genuine Economic and Monetary
Union, including the swift implementation of the banking union.』
で、同時におまいら構造改革とか銀行同盟とかとっととやりやがれゴルァという話をしまして、ここから先が経済物価情勢および金融市場情勢の現状認識になるのですけれども、誠に遺憾ながら時間が無くなってしまいました(どうせ休み中に読んでいるんだったら昨日までに作れやというツッコミはしないように)ので以下続くという事で勘弁(質疑応答と共に明日ということで)。
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2013/05/02
○FOMCである
今回はSEPや会見などは予定されていませんでしたので声明文比較をサラサラと。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130501a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130320a.htm(前回)
今回は割と「全文一致」の所が多い(第2、第3、第5パラグラフ)のですが、しらっと洒落た変化があるので地味ながら味わいがありましたと思ったのですが単に寝起きで頭が寝惚けているだけなのかもしれませんのでちゃんと原文にあたりましょう(おいおい)。
・第1パラグラフ:景気に関しては上げたり
第1文は総括判断。
『Information received since the Federal Open Market Committee met in March
suggests that economic activity has been expanding at a moderate pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in January
suggests a return to moderate economic growth following a pause late last
year.』(前回)
前回が「昨年末の停滞状態からmoderate economic growthに戻った」だったのが今回は「moderate
paceでeconomic activity has been expanding」という表現になり、今回は「expand」という威勢の良い表現になっていますのでここは判断前進。
その次が項目別展開。
『Labor market conditions have shown some improvement in recent months,
on balance, but the unemployment rate remains elevated. Household spending
and business fixed investment advanced, and the housing sector has strengthened
further, but fiscal policy is restraining economic growth.』(今回)
『Labor market conditions have shown signs of improvement in recent months
but the unemployment rate remains elevated. Household spending and business
fixed investment advanced, and the housing sector has strengthened further,
but fiscal policy has become somewhat more restrictive.』(前回)
労働市場に関しては「signs of improvement」だったのが「some improvement」とこれはたぶん表現的には強くなっているのですが、その後に「on
balance」というのが入っているのが微妙に怪しげで、「よー知らんけどな」というようなもんですから前の所で表現強くしているのを中和しているのですけれども、これってもしかして週末の雇用統計とか意識しているのかと思ったのは読み過ぎですかそうですか。
でまあ失業が高水準という表現は同じ。家計と企業の固定資産投資が拡大しているとか住宅セクターがより強くなっているとかの表現も同じです。
んでもって今回判断を下げているのが財政の所でして、前回「fiscal policy is
restraining economic growth」としていたのが「fiscal policy has become somewhat
more restrictive」となって「財政が景気に対して悪影響を与えている」という判断をより明確にしておりまして、歳出カットの影響を示しているのか、財政を巡る議論が忍法先送りの術で中々明確に片付かないことの影響をしめしているのかはワカランチ会長ですけれども、つーかその双方なのでしょうけれども、財政を巡る問題が景気に悪影響なんじゃ政治のアホウどもはちゃんと動けやヴォケとは一言も言ってませんがまあそういう事ですねわかります。
んで次が物価に関して。
『Inflation has been running somewhat below the Committee's longer-run
objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations
in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)
『Inflation has been running somewhat below the Committee's longer-run
objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations
in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)
ご覧の通り全文一致です。認識には変化がありません。
・第2パラグラフ:ここは全文一致です
全文一致なので両方の比較はしません。今回のだけ引用しておきますね。
なお、あたしゃ大変にアナログ人間でして、熟読する時には基本的には紙に出しますので、全文一致の確認におきましては「全文一致のような気がするときにはまず忍法透かし読みの術」という手法に加えて確認のために「並べて音読」というのを用いておりまして、差分ツール何それおいしいのという原始人ですから本人がそう認識しているだけでしたという場合はすいませんすいませんと先に断っておきますね(と逃げを打つ)。
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that, with
appropriate policy accommodation, economic growth will proceed at a moderate
pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the
Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)
適切な金融緩和政策によって経済は緩やかなペースで拡大し、失業率は徐々にマンデートに対して整合的な水準に改善していくでしょうということで。
『The Committee continues to see downside risks to the economic outlook.
The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely
will run at or below its 2 percent objective.』(今回)
見通しにはダウンサイドリスクというのも同じですな。物価の表現は現状認識にしても先行きにしてもカワランチ会長とな。
・第3パラグラフ:これも全文一致
全文一致なのでこちらも今回分だけ引用します。
『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation,
over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee
decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities
at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities
at a pace of $45 billion per month.』(今回)
『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal
payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities
in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury
securities at auction.』(今回)
ちなみに第3パラグラフは資産買入に関する表現ね。
『Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term
interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial
conditions more accommodative.』(今回)
ということで、資産買入政策の効果として、長期金利に低下圧力を掛ける、モーゲージ市場をサポートする、幅広く金融環境をより緩和的にすることを助ける、という表現にも変化はありません。
・第4パラグラフ:オモシロな一文が加わる
このパラグラフは見た瞬間に「あれ長くなっている」と気が付く訳です。ここも資産買入に関するパラグラフね。
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months. The Committee will continue its
purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ
its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor
market has improved substantially in a context of price stability.』(今回)
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months. The Committee will continue its
purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ
its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor
market has improved substantially in a context of price stability.』(前回)
委員会は今後の経済や金融情勢の進展を注意深く点検します、から始まるここの文章ですが、資産買入に関しては「物価の安定の下で労働市場が顕著に改善するまで資産買入を続けます」というのも同じですが・・・・・
『The Committee is prepared to increase or reduce the pace of its purchases
to maintain appropriate policy accommodation as the outlook for the labor
market or inflation changes.』(今回)
というのが入っているのがオモシロスでありまして、良く良く考えたら前から「必要があったら調整する」云々の文章は入っていたのですが(次の一文ですね)、わざわざ「労働市場や物価情勢を見て増やすこともありますし減らすこともあります」(キリッ)というのを入れているのは当然意味があるでしょという話。
まあ足元で米国の経済指標が少々アレになっている事を勘案しますと、これは状況が悪化した場合には追加の資産買入のおかわりをしますよ、という話をしているようにも見える次第。まあ元々「必要があったら調整」という表現がFOMCのマジックワードでして、以前は「必要があったら購入拡大」と読めるような全体構成になっていたのが、今年に入ってからは「必要があったら購入縮小」と読めるような全体構成になる、という形で言質を与えない形で硬軟両方に使える表現となっております。
でまあ今回はここまでが「必要があったら購入縮小」的な表現に見られやすい(1月の声明文で「両にらみ」っぽくなって3月の声明文というよりはその後のミニッツでより「縮小方向」みたいな感じになってきたという所でしょうか)形でしたので、ここで「拡大もあるでよ」という表現をしたのはメッセージとしては「両にらみに戻しましたのでよろしゅうに」という感じなんでしょうなあと素直に読むとそうなると思います。
でまあ更にお洒落なのは先ほどの1パラで財政以外の部分で表現を引き上げていまして、景気判断が下がっている訳でも無いという所でして、「買入のおかわりもあるでよ」と言うのを出すと景気の先行きに対して悲観的なメッセージを与えてしまうという点についても配慮して、両にらみ表現にするタイミングとしてはこの辺りが丁度良かったということなんでしょうな、うんうん。
ということでその後は全文一致になります。
『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases,
the Committee will continue to take appropriate account of the likely efficacy
and costs of such purchases as well as the extent of progress toward its
economic objectives.』(今回)
『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases,
the Committee will continue to take appropriate account of the likely efficacy
and costs of such purchases as well as the extent of progress toward its
economic objectives.』(前回)
こちらの文章がある所にわざわざ先ほどの文章を加えているというのは屋上屋を架すような話でありまして、先程の文章で示されたことはこちらの文章で表現されている筈なのですがわざわざ入れたことに意味がある、とまあそういう事でしょう。
・第5パラグラフ:金利政策のガイダンス文言、スレッドショルドについては全文一致
これまた全文一致です。
『To support continued progress toward maximum employment and price stability,
the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy
will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase
program ends and the economic recovery strengthens.』(今回)
ガイダンス文言は同じです。
『In particular, the Committee decided to keep the target range for the
federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this
exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate
at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent,
inflation between one and two years ahead is projected to be no more than
a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal,
and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.』(今回)
スレッドショルドも当然ながら同じ。
『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of
monetary policy, the Committee will also consider other information, including
additional measures of labor market conditions, indicators of inflation
pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.
』(今回)
ここもまあ当たり前だが前回と同じ。しかしここのパラグラフは長い。
『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent.』(今回)
つーことで金融緩和を終了する時にはバランスを取ってアプローチしていきます(つまり性急なアプローチはしませんよという事ね)という表現も同じです。
・第6パラグラフ:カンサスシティ―連銀ジョージ総裁安定のクオリティ
最後は票決。
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Elizabeth A. Duke; Charles
L. Evans; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Eric S. Rosengren; Jeremy
C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)
『Voting against the action was Esther L. George, who was concerned that
the continued high level of monetary accommodation increased the risks
of future economic and financial imbalances and, over time, could cause
an increase in long-term inflation expectations.』(今回)
票決も同じですがジョージおばちゃんの反対理由も前回と同じという安定のクオリティでありました。
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2013/04/26
○BOEキング総裁講演である
ちょっと前にこんなのがありまして。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/speech649.pdf
Monetary policy: many targets, many instruments. Where do we stand?
Remarks given by Mervyn King, Governor of the Bank of England
At the IMF Conference on ‘Rethinking Macro Policy II: First Steps and Early Lessons’,
Washington DC 16 April 2013
本文は4ページ少々なのでまあそんなに長くない。
・冒頭から
『The past five years have been an extraordinary period for central banks.
The breadth and scale of our operations have expanded in ways that were
previously unimaginable as we responded to a crisis in the banking sector
and the wider economy. In monetary policy, we have moved into uncharted
territory. But has our notion of what central banks should do, and how,
changed? Now is a good time to reflect on where we stand.』
『I want to focus my remarks on two areas. First, I want to draw out what
have we learned about the objectives of monetary policy. Second, I want
to reflect on the implications of the proliferation of instruments that
have been used to meet those objectives.』
つーことで金融政策の目的と、金融政策目標達成のためのツール色々と増えている件についてのインプリケーションというのがお題です。
・目的について
『For over thirty years the objective of central banks was clear. It was
to set monetary policy to achieve longrun price stability. But the events
of the past five years have raised questions about how central banks manage
the trade-offs between price stability, output stability and financial
stability in order to meet our overall macroeconomic objectives.』
ということで、物価安定目標を最重視することによって生産の安定(要は経済の安定ですな)や金融の安定などへの考慮ができるという従来の金融政策の考え方から、この5年間の経験はその考えに対して新たに疑問を投げかけているというそれ白川さん在任中に言ってやれよキング先生と思う所がいきなり冒頭からご登場。
『Throughout the era of inflation targeting, the importance of the trade-off
between output and inflation stabilisation in the short term has been well
understood. Monetary policy was seen as aiming at a target for inflation
in the long run, which was to be achieved by bringing inflation back to
target over a suitable time horizon so as to avoid excessive volatility
of real variables such as output and employment. Optimal monetary policy
was seen as a choice of how best to navigate the short-run trade-off while
ensuring that the long-run objective was met.』
まあ勿論従来からその辺の考慮が必要という考えはありましたとは仰っていますな。
『Failure to deliver price stability is costly, as UK experience amply
demonstrates. Chart 1 shows the variance of inflation and of the output
gap in the UK, using quarterly data for two periods. Contrast the performance
in the 35 years up to 1992 with the first 15 years of inflation targeting.』
インフレターゲットの過去のパフォーマンスという点では当然ながらその成果を強調。
『Better policy can take some credit for this improvement, as the anchoring
of inflation expectations led to a huge reduction in inflation volatility.
It was tempting to think that we had moved onto the ‘Taylor frontier’
- which maps feasible combinations of the smallest variances of the output
gap and inflation. The Great Stability appeared to be a permanent break
from earlier periods - periods when monetary policy exhibited more unpredictable
behaviour and left theeconomy to the north-east of the Taylor frontier
(Chart 2). And in one important sense it was - the dark days of double-digit
inflation were consigned to the past.』
テイラーフロンティア―の話もしておりますが、インフレ目標政策でインフレ期待がアンカーされてその結果経済のボラティリティーも低下しましたというのが図表の方にあるので読んでちょ。
『But the Great Stability was not representative of a new normal.』
キタコレ。
『The variance of the output gap - though not inflation - has been much
higher over the past five years as the financial crisis generated a deep
recession (Chart 3). So what have we learned?』
ということで2008年以降はまた新たなステージになっているという事ですが。
『The banking and broader economic crisis has demonstrated that macroeconomic
policy can face an additional trade-off between ensuring the soundness
of the financial system in the medium term, and keeping output in line
with potential output and inflation on target in the near term.』
ということで、金融危機の発生が新たな金融政策のトレードオフに対する概念を生みましたとの事で、金融政策において金融システムの安定という課題も新たに生まれましたとか白川さん在任中の時に以下同文。
『Such a trade-off arises because financial vulnerabilities can build even
while output is growing steadily and inflation is low and stable.』
生産の成長が安定的でインフレが低位で安定している時であっても、金融システムに対する脅威は積み上がる事から、金融政策におけるトレードオフとして金融システムの安定を考慮する必要があるとかそれ日本でとっくの昔に言われてたじゃんとか思うのですがこういうのは白川さん以下同文。
『Let me give three examples of the sort of underlying mechanisms at play.』
ふむ。
『First, persistent misperceptions of future spending power may generate
a mix of demand that proves to be unsustainable. I believe this was an
important factor underlying the crisis. Although output in deficit countries
- like the UK - appeared to be growing at a sustainable rate, that gave
a misleading impression of the sustainability of the Great Stability. In
fact the level of domestic demand was too high and the level of net exports
correspondingly too weak.』
偉大なる安定の期間に需要への期待が高まり過ぎて持続不可能な需要に対する投資などが発生したことが危機の大きな背景にありますとな。
『Second, as Hyman Minsky described, periods of stability encourage exuberance
in credit markets, leading eventually to instability. And third, low short-term
policy rates may encourage investors to take on more risk than they would
otherwise accept as they ‘search for yield’.』
あとは安定の期間にクレジットバブルが起きたというのと、利回り追求の動きの行き過ぎという事ですな。
『It is arguable that monetary policy paid insufficient heed to the potential
impact of such financial vulnerabilities.』
でまあ金融システムの安定という意味での配慮が従来は不十分だったという事は論議に値すると。
『Financial shocks are costly because their effects can be too rapid for
policy easily to offset, and because they hit potential supply so creating
a trade-off between output and inflation.』
さいですな。
『In other words, the Taylor frontier is less favourable (further from
the origin), when account is taken of financial shocks, than we might have
believed. Taking the entire period of inflation targeting - including the
recent past - might give a more accurate indication of where this ‘Minsky-Taylor’
frontier lies than using data for the Great Stability period alone (Chart
4).』
でまあ修正テイラールールでの考察が必要ですなという話です。
『What implications does this have for monetary policy? Possibly none -
if we can rely now on macroprudential tools to ensure financial sector
resilience. But set those tools to one side for a moment. Monetary policy
could be used to reach a point more like P in Chart 5, with less variation
in the output gap and more variation in inflation than we have actually
experienced over the past 20 years. Put another way, higher interest rates
in the run up to the financial crisis might have reduced the impact of
the subsequent bust, at the cost of below-target inflation and below-trend
output before the crisis hit.』
ただまあここでキング総裁が指摘しているように、そうは言いましてもいわゆるBISビュー的に金融政策の金利操作をマクロプルーンデンスに当てはめますとその場合は経済の停滞や物価の低迷を招くぞなもしという話をしておりまして、まあこの辺は白川さんとはだいぶ毛色が違いますな。
でマクロプルーデンスでその辺を軽減できますかねという話に。
『In practice new macroprudential tools and better micro-prudential supervision
will improve the possibilities available to monetary policymakers. Having
additional instruments in effect brings about a favourable shift in the
Minsky-Taylor frontier (or surface) which defines the possibilities open
to policymakers.』
まあこの辺の距離感が各国中銀の色々な人の間でも色々な見解があって中々集約しませんよね。
『Nevertheless, consistent with the new remit given to the Monetary Policy
Committee by the UK Government last month, the experience of recent years
suggests that there may be circumstances in which it is justified to aim
off the inflation target for a while in order to moderate the risk of financial
crises.』
で、目的の話に関しては今回の新たなマンデートの話で締めています。
・金融政策のツールに関して
中央銀行の金融政策のツールという話をしていて、各国の中銀バランスシートの拡大状況とかの図とかもあるのですがその辺は飛ばしまして。
『Two limits are relevant in current circumstances.』
ちなみにこれは英国の例ね。
『First, no matter how much liquidity is thrown at the banking system,
lending and the economy will not recover if the banking system is inadequately
capitalised and suffering from excessive leverage. That is why the Bank
of England’s Financial Policy Committee has placed weight on the need
for the weaker UK banks to raise capital. It is not surprising that the
more strongly capitalised banks in the UK are expanding lending and the
poorly capitalised banks are contracting lending.』
英国の場合は流動性を突っ込んでも貸出や経済に効果が出てこないという問題があって、その問題を解消するためにFLSを突っ込んだり金融機関の資本増強促進をしていますと。
『Second, there are limits on the ability of domestic monetary policy to
expand real demand in the face of the need for changes in the real equilibrium
of the economy.』
経済が新たな均衡に向かう時には金融政策が国内の実質の需要に対して影響を与える事に対して
限界があるとな。
『I do not believe that the present problems in the United Kingdom stem
only from a large negative shock to aggregate demand. In common with many
other countries, our problems also reflect the underlying need to rebalance
our economy, requiring a reallocation of resources both within and between
nations. 』
ということで経済のリバランスが必要との認識。
『It is not simply a question of boosting aggregate demand, but of helping
to bring about a shift to a new equilibrium. That in turn implies the need
for both large changes in relative prices, especially between tradable
and non-tradable goods and services, and a shift in the relative levels
of domestic demand at home and overseas. There are, therefore, limits on
what any one country’s domestic monetary policies can achieve without
the support of others.』
ということで世界的な経済リバランスの中で相対物価にも影響があるでしょうという事で、これらの要因が金融政策の効果に対しての限界となる要因ですよとかそんな話。
『Despite these limits, circumstances have demanded that central banks
take extraordinary measures. Such measures can risk moving into territory
more normally associated with fiscal policy and, in doing so, put at risk
their hard-won independence. There are, it seems to me, three threats to
central bank independence.』
とは言いましてもこれらの政策は当然ながら必要になるのですが、これらのextraordinary
measuresは金融政策が財政政策の領域に入るので、中銀の独立性に関する問題が生じますとかどこの麿だよという話が始まります。
『First, there is the risk of appearing to promise too much or allowing
too much to be expected of us.』
麿が憑依してませんか???
『With constraints on other policy instruments, central banks are seen
as “the only game in town”. But failure to make clear the limits to monetary
policy risks disillusionment with central banks and the inevitable political
pressure on them that would follow.』
これは白川さん在任中に言ってあげてよ・・・・・・・
『Second, at the zero lower bound there is no clear distinction between
monetary and fiscal policy. But it is still important to ensure that central
banks do not take on to their balance sheets risks to the taxpayer that
are properly matters that should be decided by elected politicians.』
準財政政策を実施するということは本来選挙で選出された人たちが決めるべき筋の話というのは仰せの通りですな。
『To ensure price stability in the long run it is vital to maintain the
operational independence of a central bank. Any decisions that put taxpayers’
money at risk must be made by finance ministries, and central banks must
protect their balance sheets by imposing appropriate haircuts on collateral,
and avoiding the purchase of risky private-sector assets.』
まあさいですな。
『Third, and important even when we move away from the zero lower bound,
the expansion of central bank responsibilities to include macroprudential
policy and, in the case of the Bank of England, responsibility for regulating
the banking system, has made independence much harder to define.』
まあ確かにそうですとしか。
『The deployment of responsibilities outside monetary policy cannot be
divorced from the government in the same way as is possible for monetary
policy. For example, in the area of financial stability and banking supervision,
there will be times when public funds may be put at risk when rescuing
or resolving a failing institution - and that decision is properly one
for the finance ministry.』
『It is far from straightforward for a central bank governor to be completely
independent in terms of monetary policy, somewhat independent in terms
of financial stability, and not at all independent in terms of operations
that risk taxpayers’ money.』
というお話でありました。短い分引用が却って多くなってしまいましたorz
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2013/04/25
○FLSが延長ということでちょっと引用と雑感
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/news/2013/061.aspx
News Release - Bank of England and HM Treasury announce extension to the Funding for Lending Scheme
ということでFLSが順当に延長。
『The Bank of England and HM Treasury are today announcing an extension
to the Funding for Lending Scheme (FLS). This extension builds on the success
of the FLS so far, and has three main objectives: to give banks and building
societies confidence that funding for lending to the UK real economy will
be available on reasonable terms until January 2015; to increase the incentive
for banks to lend to small and medium-sized enterprises (SMEs) both this
year and next; and to include lending involving certain non-bank providers
of credit, which play an important role in providing finance to the real
economy.』
ということでまあスキームもそれなりにワークしておりますがこれからも引き続き非金融部門への信用供与を促進するという趣旨の下で延長をしますという話ですが、先般ネタにしたBOEの4月議事要旨にありますように、現下で「緩和的な金融政策のトランスミッションメカニズムが金融機関のアベイラビリティ低下などの要因で一部ワークしていない部分がある」というような認識を示しており、この手のスキームは重要ですよねという話をしていましたので、まあ順当にFLSの延長という話になりましたぞなもし。
『Since its introduction in August last year, the FLS has contributed to
a sharp reduction in funding costs for banks and building societies. That
has led to a reduction in borrowing costs and an increase in credit availability
for UK businesses and households. This is feeding through to more lending
than there would have been in the absence of the scheme. But the improvement
in credit conditions since summer 2012 has been less marked for small and
medium sized enterprises (SMEs) than for larger businesses and households.』
でまあ効果に関しては今しがた申し上げたような件でして、今回問題として見ているのは中小企業に対する改善がまだ大企業の改善ほど進んでいないという所で。
『Three specific changes to the FLS are being announced today.』
ほう。
『First, the scheme will be extended for one year, meaning that drawings
will be permitted until the end of January 2015.』
延長とな。
『Second, as part of the extension, the incentives to boost net lending
will be heavily skewed towards SMEs. New allowances for drawings in the
extension period will be calculated on the basis of banks’ lending behaviour.
For every £1 of net lending to SMEs in 2014, banks will be able to draw
£5 from the scheme in the extension period.』
『And to encourage banks to lend to SMEs sooner rather than later, every
£1 of net lending to SMEs during the remainder of 2013 will be worth £10
of initial borrowing allowance in 2014. Net lending to other sectors during
the remainder of 2013 will count towards the initial borrowing allowance
for 2014 pound for pound. The sectoral split of lending will be published
for each participating group alongside related FLS usage during 2014.』
中小企業向け貸し出しの拡大にはよりご褒美が付きますという制度について、よりインセンティブを高めるという変更のようで砂。
『Third, the FLS will be expanded to count lending by banking groups involving
financial leasing corporations and factoring corporations, which can be
important sources of finance to some SMEs, and certain mortgage and housing
credit corporations.』
中小企業向けの信用供与において重要な役割を果たすということでFLS対象の金融機関の子会社になるリース会社やファクタリング会社の与信が拡大した場合にもFLSでの貸出拡大にカウントするというお話のようで。
で、あとまあ他の部分に関しては大体同じということですが、今回の件について財務大臣のコメントは以下の通りだそうで。
『The Chancellor of the Exchequer said: “This is a big boost for the small
and medium sized businesses that are at the heart of the British economy.
The Funding for Lending Scheme has already reduced the costs of household
mortgages and loans for businesses. This innovative extension will now
do even more for small and medium sized businesses so that they can play
their full part in creating new jobs.”』
ということで、順当な路線ではあるのですが、こうやって中小企業のクレジットアベイラビリティーを拡大しましょうとかいうような政策までもが(政府と共同作業ではありますが)金融政策になって来るという流れを見ますと、昨日ネタにした中曽副総裁のLLRに関する講演もそうですけれども、金融政策のありかたみたいなものの変容という時期に立っているんでしょうなあとか思うのであります一方で日本って以下割愛。
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2013/04/23
○4月BOE議事要旨から:資産買入政策を巡る論点が色々と興味深い点について
先週出てましたけど。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/Documents/mpc/pdf/2013/mpc1304.pdf
・クレジットコンディションは改善していて効果があるものの・・・・・・
景気の見立てに関してはまあそんなに変わった話はなくて、世界経済の成長に関してはやや改善のエビデンスが揃ってきたという話をしつつ、ただしその成長は米国とアジアでして、欧州はまあダメですねえという話になっています。あとオモロイのはコモディティ価格の下落、特にコーンの価格が急落してオイルの価格もドルベースで4%下がったとかその辺の指摘が入っている(まあ物価にモロに跳ねるから注目するのは当然ちゃあ当然ですが)のがほほうと思いましたぞなもし。
でまあ経済の部分の後半パートの『Money, credit, demand and output』の途中からがまずほほうと思うのですが、一応その前の部分について申し上げますと、英国経済については4Qの成長率に関しては新たなニュースは無く、2013年1Qの経済活動に関する指標については鉱工業生産が弱めでサービス関連は強めと出ていてミックスした状態ですという話になっています。
で、その次の第15パラグラフから。
『There had been further evidence of an improvement in the supply of credit
following the fall in lenders’ own wholesale and retail funding costs
since the middle of 2012.』
つーことでクレジットのサプライに関しては改善の更なるエビデンスが出てきましたとのことで、貸出業者のファンディングコストが低下してきているという話でして・・・・・・
『Some, but not all, of this reduction in funding costs had been passed
through to loan rates. Mortgage rates had fallen sharply over this period,
although the pace of decline had eased in March. Effective new business
rates on loans to companies had fallen by about 25 basis points since June.』
でまあそのファンディングコストの低下が全てでは無いが借入人にパススルーされてきている話で、6月以降25bpほど新規実効貸出金利が低下しているというのがほほうという所で。
『Some lenders had also used cashback deals or reductions in fees to pass
through the benefits of reduced funding costs to their smaller corporate
customers.』
こんなのあるんですね。
『The Bank’s inaugural Bank Liabilities Survey had suggested that lenders
expected to reduce further their transfer prices - the cost charged to
business units to fund the flow of new loans - in the following three months.
And the Bank’s Credit Conditions Survey had indicated that lenders were
expecting to reduce spreads further on secured loans to households and
loans to businesses.』
ということで、今後も貸出金利の低下が期待ということで、まあこの辺前回MPCでもテーマになっていたと思いますが、クレジットコンディションの改善によって緩和的な金融政策がより効果を出します的な話ですな。
で次は企業サーベイを見てもクレジットコンディションが改善しているという話で。
『Surveys of businesses taken in the first quarter had also suggested that
there had been some easing in credit conditions, although significant differences
continued to be reported in access to finance between large companies,
especially those with access to the capital markets, and small companies.』
ただまあ資本市場へのダイレクトアクセスが可能かどうかでその差はありますよねとはそうでしょうなあと思います。
『There was evidence that investment by companies with access to capital
markets, accounting for roughly half of UK business investment, had risen
strongly.』
これは政策効果キタコレという所ですが、とりあえず資本市場へのアクセスが容易な企業の投資活動が拡大しているとな。
『Given the aggregate behaviour of UK business investment, this would imply
that investment by those without access to capital markets might have fallen
on average.』
とまあここまではクレジットコンディション改善で結構な話なのですが、この次のパラグラフは英国の課題と申しますか、それどこかの極東の国の話みたいでアレという話です。
・クレジットコンディションの改善が貸出増に結びつかない件
『Despite significant improvements in the price and availability of credit,
there had been little sign so far of any significant pickup in net lending
to businesses.』
レートの低下やアベイラビリティーの拡大が企業への貸出にあまり結びついていないとな。
『That may have reflected the usual transmission lags, but it could also
point to a more fundamental change in the structure of credit markets.』
ラグがあるというのもあるが、それよりもクレジット市場の構造変化の可能性も指摘できると。
『Some contacts of the Bank’s Agents had reported a continuing lack of
trust between banks and small businesses, and fears that applications for
new lending facilities might result in the terms of existing facilities
being reappraised.』
どこかで聞いたような話で既視感が漂いますが、銀行が貸出絞ったもんだから中小企業からしてみると足元で金融環境が改善しても何かの拍子にまた梯子外しをされるかもしれないという懸念があって少々の金融環境改善ではウゴカンチ会長とかどこの日本だよという所で。
『Nevertheless, lenders surveyed in the Bank’s Credit Conditions Survey
had reported expectations of a pickup in the demand for bank credit in
the next three months. And a special survey by the Bank’s Agents had found
that businesses that reported that credit conditions had loosened over
the past year were expecting to increase their demand for credit over the
next twelve months.』
ふむ。
『In contrast, businesses reporting tighter credit conditions were expecting
to reduce their demand. More generally, business surveys had pointed to
a slight pickup in investment intentions, consistent with a possible building
in the demand for finance.』
ということでどうもレンダーと企業の間では認識のズレがあるようですな。
・住宅市場にはそこそこクレジット環境改善の効果が
第18パラグラフは引用だけ。
『There were some signs that the improvement in the supply of credit had
been passing through to the housing market. Housing transactions had risen
by over 5% in February, consistent with the growth of loan approvals seen
at the end of 2012. The three-month annualised growth rate in net secured
lending to individuals had picked up to 0.7% in February. But loan approvals
for house purchase had fallen in January and February, possibly affected
by the cold weather.』
寒波が来ると住宅の売れ行きが下がるとかどんだけ凄い寒さだったんでしょうか。
『Additional measures to support housing market activity had been announced
in the Budget, although details of the mortgage guarantee component of
the Help to Buy scheme had not yet been finalised. Compared with the previous
three months, house prices had risen by about 1% in the three months to
March on the average of the main lenders’ indices.』
でまあ詳しくは知らん(というか調べてない)のですが、英国でもHelp to Buy
schemeなどというような政策を打ちこんでいるのね。
・生産性と物価に関しての話でこれまたオモロイ論点キタコレ
その次の『Supply, costs and prices』ですが、相変わらず物価が微妙に高止まりしていて、先行きに関しても3%前後での推移が続く一方で、賃金の伸びに関しては1%台前半で推移していまして、中々生きにくい世の中でナムナムという感じですが、その一方で英国の場合雇用の頭数という点ではやたら堅調ですよね、という話がこのコーナーの前半なのですが、傾向としてはこの状況が延々と続いているという感じです。でまあその考察部分になる第23と24パラグラフが面白い。
『Productivity had continued to fall in the fourth quarter of 2012, with
employment increasing as output fell, adding further to the longstanding
productivity puzzle.』
longstanding productivity puzzleと言ってますが、確かにBOEの議事要旨読んでいましてもうこの話何度見たんだという位に続いているお話なのですよ。
『Information on the output and employment of individual businesses from
the 2011 Annual Business Survey and the 2012 English Business Survey had
suggested that there might have been unusually high labour retention by
businesses whose output had fallen: 20% of all employment in the sample
had been in businesses whose output was falling but whose employment was
nevertheless broadly flat, double the share immediately prior to the crisis.』
生産が下がっているのに雇用(の頭数)は堅調推移というのが続いているのですが・・・・・・・
『In previous recessions, which were often associated with tight monetary
policy, such businesses might have failed completely. The relatively low
rate of company failure in this episode might therefore be one of a number
of factors explaining why aggregate productivity had been lower relative
to its pre-crisis trend than in previous recessions.』
何か怪しげな話になっておりますがこの次のパラグラフが更にこの怪しげな話を増幅。
『There were likely to be two broad explanations of why business failures
had been lower in recent years than would have been expected on the basis
of their previous relationship with output growth.』
ふむ。
『First, low nominal interest rates had alleviated the financial pressure
on indebted businesses, thereby helping them to survive, in contrast to
previous recessions which had been associated with tight monetary policy.』
うへーという話ですが、金融緩和政策によってゾンビ企業が延命するのでその結果経済の生産性に悪影響とかいやあのまあそれってポリティカリーインコレクトな話をと思うのですが、BOEはこの手のポリティカリーにアレな話をしらっとしてしまうのが素敵なのです。
『Second, forbearance by lenders had provided some indebted businesses
with the opportunity to continue trading when they might otherwise have
failed.』
レンダーが貸出先を延命させるという論点ですな。
『It was also possible that the changes resulting from the Enterprise Act
2002 made it easier for businesses in difficulty to carry on trading in
current circumstances. Forbearance might have occurred because lenders
had been unwilling to write off, or make provisions for, bad loans when
their own capital position was weak.』
法律的な要因の他にレンダーの資本力が弱いと貸出先を延命させる傾向になる可能性がありますねと。
『But, were forbearance to cease, it was not obvious that the resources
currently used by struggling businesses would necessarily be re-employed
in healthy businesses.』
いやまあそれはそうなのですが中央銀行が堂々とこの話をするのが英国クオリティとしか。
『It was possible that less forbearance would lead simply to more company
failures, higher unemployment and lower output.』
でまあさすがにここまでシバキっぽい話をしていますが、そうは言ってもシバいて企業をじゃんじゃんお父さんにしていたら失業や生産が悪化する可能性もありますよねという話を入れて話を中和しております。
『Policies to strengthen the UK banking system, such as those recommended
by the FPC, together with policies to encourage lending, such as the Funding
for Lending Scheme, were intended to bring about a normalisation of credit
conditions that would allow capital to flow to where it could be used most
efficiently.』
でまあその辺の論点も踏まえると金融機関の資本増強は大事ですよね、という話で締めているのでして、何か全力で既視感のある話にほほうと思うのでありました。
・マンデートに微妙な付記が加えられたとな
で、この後の『The immediate policy decision』の論点もオモロイ。
第25パラグラフ。
『The Committee’s new remit, as set out by the Chancellor of the Exchequer
at the time of his latest Budget, reaffirmed that monetary policy should
be set to meet the 2% inflation target but in a way that avoided undesirable
volatility in output.』
ということで新たなマンデートとして付託されたのは「2%のインフレ目標」自体は同じなのですけれども、そこに「生産の望ましくないボラティリティを与えることを避けるようにして目標を達成させる」というのが加わっております。
まあつまりこれは2%を上振れ状態になっているインフレに対してここで引締めとかやらんでヨロシという話ではある訳で、その辺の解釈がこのようにされています。
『The new remit also confirmed that the Committee should continue to look
through temporary, even if protracted, periods of above-target inflation
where it judged that cost and price pressures were consistent with inflation
returning to the target in the medium term.』
この辺はこうしておかないとインフレ目標とは何なんだということになってしまうので、シャーナイナイな所ではあるのですが、これインフレ期待が高止まりになってしまって宜しくない傾向になるリスクもある訳で(ユーロがうんこの為にポンドがあまり下がらないから良いようなものの、これポンド安とかになったらインフレが更にスパークしてエライコッチャになるんじゃネーノという気がするんですがどうでしょうかねえ)、大体からして英国の場合公共料金ドリブンでも物価上昇圧力あるので、まあ色々な点で複雑骨折状態になっているような気がしてならないです。
・一応経済状況と物価に関しては引用だけ
でまあ景気見通しと物価見通しの所は備忘の為引用だけしておくが、本文での見通しと同じ話をしておりますので、まあそこを読めば大体それ以前の話が分かります。
第26パラグラフが景気
『The outlook for activity and inflation remained broadly in line with
that set out in the February Inflation Report. After only weak growth in
2012, business surveys suggested that the pace of expansion in the UK economy
was likely to remain muted during the first half of 2013. Employment had
continued to rise in spite of the weakness of output growth. Retail sales
growth had been strong in February and suggested that the pickup in consumers’
expenditure over 2012 might have been sustained. But there had been only
tentative signs of a generalised pickup in business investment other than
by utilities and in the North Sea oil industry.』
『The impact of the euro-area debt crisis, together with the fiscal consolidation
and tight credit conditions at home, were likely to continue to weigh on
demand. The reaction of financial markets to the events in Cyprus had been
relatively muted, although the risk that bank depositors might also face
losses or capital controls in a future crisis might have increased the
fragility of the euro area and the associated downside risks. 』
『The stimulus from the Funding for Lending Scheme (FLS) and the asset
purchase programme were likely to support a gradual recovery, although
there had been some signs on the month that the pace of improvement in
credit conditions had eased and net lending had so far remained subdued.』
第27パラグラフが物価
『Inflation had risen to 2.8% in February, in line with market expectations.
It was still expected to pick up to around 3% in the middle of the year.
But changes to duties announced in the Budget and lower sterling oil prices
had offset upside news from the previous month and meant that the overall
outlook for inflation was similar to that published in the February Inflation
Report.』
『While pay growth had been subdued, the impact of this on unit labour
costs had been offset by weak productivity growth. And administered and
regulated prices were likely to make unusually large and sustained contributions
to inflation over the next two years or so.』
・で、どういう政策をするのよという話
ということでその次ですけど。
『In line with its remit and to avoid undesirable volatility in output,
the Committee had previously judged that it was appropriate to look through
the impact of these prices on inflation provided that indicators of cost
and price pressures were consistent with inflation returning to the target
in the medium term.』
よりフレキシブルターゲットになったんですな。
『The Committee continued to expect CPI inflation to fall back to around
the target in the medium term as a gradual revival in productivity growth
dampened increases in domestic costs, and as external price pressures faded.』
もはやホンマカイナという話ですが。
『The pace at which inflation was expected to return to the target was
determined by monetary policy; this needed to balance supporting the recovery
with bringing inflation back to the target promptly. The short-run trade-off
between output growth and inflation meant that the Committee could return
inflation to the target more quickly than currently expected only by taking
policy actions that would provide less support to output.』
金融政策で物価をより速くにターゲット内にしようとすると生産に悪影響を与えますよねというバランスアプローチ状態でどこが物価ターゲットなのよという話もせんでもないですが、まあ政策自体はこういう風に運営するしかない(ただし物価が跳ねたらどうするんでしょうね)です罠。
『In responding to this trade-off, the Committee was setting policy in
broadly the same way that it had done since its formation.』
ということで、追加金融緩和の検討部分を最後に。
・追加緩和については意見が割れています
『Against that backdrop, the Committee examined the cases for either increasing
the degree of monetary stimulus through further asset purchases, or else
maintaining it at the current level.』
ということで第31と32パラグラフになります。
『There continued to be a case for a further extension of the Committee’s
asset purchase programme to support other policies that were being deployed:
wage growth had weakened further, consistent with there being a significant
degree of slack in the economy; the prospects for growth remained subdued,
especially given the continued weakness in the euro area; despite their
recent rise, market-implied medium-term inflation expectations remained
broadly consistent with meeting the target; and the Committee should look
through temporary, even if protracted, periods of above-target inflation.』
『Moreover, it was possible that higher demand would itself push up productivity
and, if that were the case, higher output need not be associated with a
material increase in inflationary pressure. Further asset purchases, by
lowering longer-term interest rates and supporting a range of asset prices,
could facilitate a smoother path towards the economy’s new equilibrium,
help prevent a more persistent reduction in spending, and thereby avoid
potentially lasting damage to productive capacity.』
一方で現状維持の人。
『There were also arguments in favour of maintaining the current size of
the asset purchase programme. Monetary policy was already highly stimulatory
and the benefit of past actions would continue to be felt: the first rise
in Bank Rate was not fully priced into market rates until well into 2016.』
『Inflation was above the 2% target, was likely to rise further later this
year, and was expected to remain elevated for an extended period. Medium-term
inflation expectations had drifted upwards in recent months, and a further
easing might exacerbate this movement and prompt renewed weakness in sterling,
with implications for wages and prices.』
『In addition, the extent to which supply capacity would respond to greater
demand would depend on how quickly capital and labour could be redeployed
from declining to growing businesses. This issue was better addressed by
policies to improve the working of credit markets.』
ということで、主要論点としてはインフレがどうなのかいう見通しが主になっていますが、ここについては見解が割れていますなという所です。実際には6対3(Charles
Bean, Paul Tucker, Ben Broadbent, Spencer Dale, Ian McCafferty and Martin
Weale)対(the Governor, Paul Fisher and David Miles)で現状維持で、3の方は資産買入を£400Bilに拡大(£25Bil拡大ね)となっています。
つーことで趣味のコーナー恐縮至極でした。
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2013/04/17
○ということでFOMC議事要旨ネタ
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130320.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130320.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
March 19-20, 2013
昨日は私家版まとめで殆ど終わってしまいましたが、その続きから参ります。
・結論部分を先に引用しますけれども声明文見た時に思った印象通りであった件
つーことで結論の『Committee Policy Action』部分の第3パラグラフの引用からはじまりますけれども、昨日は今後の資産買入に関して存外多くの人が買入拡大ペースの縮小(買入残高を圧縮するという話では無いので念のため)について指摘している人が多いなあという話(これはニュース出た時に思いっきり書かれていましたけれども)を引用しましたが、実はこの部分あと一文残っておりまして・・・・・・・・
『In light of this discussion, the Committee included language in the statement
to be released following the meeting in part to make explicit that the
size, pace, and composition of its asset purchases were conditional not
only on the likely efficacy and costs of those purchases, but also on the
extent of progress toward the Committee's economic objectives.』
というのがございます。で、この部分は声明文の第4パラグラフに相当する部分になるのですけれども、確かに第4パラグラフの中にこの表現が加わっているのですよね。
でまあ我田引水モードで恐縮ですが、FOMC後の3月21日にステートメントを読んでいて書きました駄文では第4パラグラフの表現が「昨年までは追加緩和のおかわりを強く示唆するような表現だったのに対して、最近その傾向が見られるが今回の表現は今後の金融政策に関して明らかに両にらみになりましたね」というような事を申し上げた訳なのですが、昨日引用した資産買入拡大ペースに関する委員の見解と合わせますと、まあ当時受けた印象であっていたという事が確認できて一人勝手に自己満足にふけるのでありました(浅ましくドヤ顔)。
なお、『Committee Policy Action』の第1パラグラフと第2パラグラフはそれまでの景気物価雇用に関する認識についてのお話が主で、まあ前段と同じ話ですし、大体からして概ねその趣旨はステートメントの中に含まれているので引用は割愛しますです、はい。
・後ろから読むの法則で資産買入のプロコン分析という新コーナーについて
実は今回のFOMC議事要旨は(たぶん重要な論点があると思ったので)最初から順繰りに読んでみまして、まあ確かに今回に関しては後ろから読んでしまうと話の前提が微妙に読めないままで進んでしまうのでミスリードになってしまう可能性がある点はご注意ありたいと思う(ので昨日最初にまとめをうだうだと書いたのだ)のですが、まあ備忘メモのネタにするという点ではやはりポイントの多いその前のパートを読むということで、『Review
of Efficacy and Costs of Asset Purchases』からで、これがそこそこ長いのです。
『The staff provided presentations covering the efficacy of the Federal
Reserve's asset purchases, the effects of the purchases on security market
functioning, the ways in which asset purchases might amplify or reduce
risks to financial stability, and the fiscal implications of purchases.』
まずは連銀スタッフによる分析のプレゼンがあったようですが、資産購入の有効性、資産買入の市場機能に与える影響、ファイナンシャルスタビリティに対してのリスクを増やすのか減らすのかという影響や、FRBの財務に与えるインプリケーションという説明をしているようですの。
『In their discussion of this topic, meeting participants generally judged
the macroeconomic benefits of the current purchase program to outweigh
the likely costs and risks, but they agreed that an ongoing assessment
of the benefits and costs was necessary.』
でまあ現在の買入に関してはコストやリスクよりも効用が高いという点で概ね合意したものの、今後の進展に際して常に点検が必要ですよというのはまあこら当然の帰結。
『Pointing to academic and Federal Reserve staff research, most participants
saw asset purchases as having a meaningful effect in easing financial conditions
and so supporting economic growth.』
で、資産買入は金融環境を大いに改善する効果があって、経済成長をサポートする効果がありますという点でも殆ど(most)が合意というのもまあ当然っすな。
で、ここからが百家争鳴モードになっております(^^)。
『Some expressed the view that these effects had likely been stronger during
the Federal Reserve's initial large-scale asset purchases because that
program also helped support market functioning during the financial crisis.』
『Other participants, however, saw little evidence that the efficacy of
asset purchases had declined over time, and a couple of these suggested
that the effectiveness of purchases might even have increased more recently,
as the easing of credit constraints allowed more borrowers to take advantage
of lower interest rates.』
金融危機の初期よりも今の方が市場機能やクレジットコンディションが改善しているので緩和政策の効果はより高まっている、という理屈は確かに言えるでしょうなあと思います。
『One participant emphasized the role of recent asset purchases in keeping
inflation from declining further below the Committee's longer-run goal.』
最近の買入はインフレが低下するリスクを防いでいるという指摘も。
『A few participants felt that MBS purchases provided more support to the
economy than purchases of longer-term Treasury securities because they
stimulated the housing sector directly; however, a few preferred to focus
any purchases in the Treasury market to avoid allocating credit to a specific
sector of the economy.』
ここはMBS買入の直接的なMBS市場への効果への指摘と特定市場に手を突っ込むのはイクナイという指摘。
『It was noted that, in addition to the standard channels through which
monetary policy affects the economy, asset purchases could help signal
the Committee's commitment to accommodative monetary policy, thereby making
the forward guidance about the federal funds rate more effective.』
伝統的な政策が経済に与える影響に加えてという論点では、資産買入はFOMCが緩和的な金融政策を行うというコミットメントに対するシグナルを与えているのですが、そのシグナリングという文脈で考えた場合には資産買入よりもフォワードガイダンスが有効、という事がノートされましたとな。
『However, a few participants were not convinced of the benefits of asset
purchases, stating that the effects on financial markets appeared to be
short lived or that they saw little evidence of a significant macroeconomic
effect.』
ここら辺からはプロコンのコンの方の話になりますがいきなりキタコレな。
『One participant suggested that the signaling effect of asset purchases
may have been reduced by the adoption of threshold-based forward guidance.』
シグナル効果はスレッドショルドの設定で弱くなっている、というのはまあ確かにそうかも知れません。
『In general, reflecting the limited experience with large-scale asset
purchases, participants recognized that estimates of the economic effects
were necessarily imprecise and covered a wide range.』
でまあこのパラグラフの結論は「そもそもこの政策は経験の蓄積が限られているのですから、常に幅広い視野で点検していくのが適切ですよね」という当然の締めになっているのですが、こうやって毎回点検していく、というのが明確に示されたというのも従来のバンバン拡大バンバン拡大というのとはちょっと毛色が違っていますよねという所で。
んでもって次のパラグラフ。
『Participants generally agreed that asset purchases also have potential costs and risks.』
そらそうよ。
『In particular, participants pointed to possible risks to the stability
of the financial system, the functioning of particular financial markets,
the smooth withdrawal of monetary accommodation when it eventually becomes
appropriate, and the Federal Reserve's net income.』
でまあ特にリスクとしては「金融システム安定へのリスク」「特定の金融市場の市場機能」「出口政策の困難さの拡大」「FRBの財務問題」というのがあるということで。
『Their views on the practical importance of these risks varied, as did
their prescriptions for mitigating them. Asset purchases were seen by some
as having a potential to contribute to imbalances in financial markets
and asset prices, which could undermine financial stability over time.』
ほうほう。
『Moreover, to the extent that asset purchases push down longer-term interest
rates, they potentially expose financial markets to a rapid rise in those
rates in the future, which could impose significant losses on some investors
and intermediaries.』
つーことで最初はファイナンシャルスタビリティーの話。
『Several participants suggested that enhanced supervision could serve
to limit, at least to some extent, the increased risk-taking associated
with a lengthy period of low long-term interest rates, and that effective
policy communication or balance sheet management by the Committee could
reduce the probability of excessively rapid increases in longer-term rates.
It was also noted that the accommodative stance of policy could be supporting
financial stability by returning the economy to a stable footing sooner
than would otherwise be the case and perhaps by allowing borrowers to secure
longer-term financing and thereby reduce funding risks; by contrast, curtailing
asset purchases could slow the recovery and so extend the period of very
low interest rates.』
ただ、一方で監督などによってその辺のリスクは軽減できるとか、そもそも資産買入をしなかったら経済が安定しないのだから金融安定も糞もないでしょというのはそらそうですなという所で(^^)。
『Nevertheless, a number of participants remained concerned about the potential
for financial stability risks to build.』
とは言え多く(a number of)の委員はやはりファイナンシャルスタビリティへのリスク拡大を懸念だそうです。
『One consequence of asset purchases has been the increase in the Federal
Reserve's net income and its remittances to the Treasury, but those values
were projected to decline, perhaps even to zero for a time, as the Committee
eventually withdraws policy accommodation.』
2番目に来るのがFEDの財務問題というのがへーという感じです。そんなに気にするもんなのかいなと思うけど。
『Some participants were concerned that a substantial decline in remittances
might lead to an adverse public reaction or potentially undermine Federal
Reserve credibility or effectiveness. The possibility of such outcomes
was seen as necessitating clear communications about the outlook for Federal
Reserve net income.』
なるほどというかそんなもんなのかいなとは思うけど。
『Several participants stated that such risks should not inhibit the Committee
from pursuing its mandated objectives for inflation and employment.』
あたしゃ「それはたいした問題じゃないと思うのだが」というこちらの見解に同意するものであります。
『In any case, it was indicated that the fiscal benefits of a stronger
economy would be much greater than any short-term fluctuations in remittances,
and moreover, a couple of participants noted that cumulative remittances
to the Treasury would likely be higher than would have been the case without
any asset purchases.』
まあそうですねという所ですが、この部分が2番目に出てくるというのが正直へーという感じでした。
『Some participants also were concerned that additional asset purchases
could complicate the eventual firming of policy--for example, by impairing
the Committee's control over the federal funds rate.』
市場現場労務者的にはやはりこの「出口政策大丈夫か」という論点が気になります。
『A few participants raised the possibility of an undesirable rise in inflation.
However, others expressed confidence in the Committee's exit tools and
its resolve to keep inflation near its longer-run goal.』
まあこればっかりは中々事前にワカランチ会長だが買入が進めば進むほどややこしい話になるのは確実。
『Another exit-related concern was a possible adverse effect on market
functioning from MBS sales during the normalization of the Federal Reserve's
balance sheet.』
出口でMBS叩き売ったらそら色々と影響ありそうです罠。
『Although the Committee's asset purchases have had little apparent effect
on securities market functioning to date, some participants felt that future
asset sales could prove more challenging. In this regard, several participants
noted that a decision by the Committee to hold its MBS to maturity instead
of selling them would essentially eliminate this risk. A decision not to
sell MBS, or to sell MBS only very slowly, would also mitigate some of
the financial stability risks that could be associated with such sales
as well as damp the decline in remittances to the Treasury at that time.
Such a decision was also seen by some as a potential source of additional
near-term policy accommodation. Overall, most meeting participants thought
the risks and costs of additional asset purchases remained manageable,
but also that continued close attention to these issues was warranted.』
ということでああでもないこうでもないという話をしていますが、出口でMBSを売らない方がまあスムーズにいくのでしょうが、実際問題としてこれはその時の状況次第ですしねえ。
『A few participants noted that curtailing the purchase program was the
most direct way to mitigate the costs and risks.』
そらそうだが問題はそれをやってMBS市場がどうなるかでしょうな。
んでもってこのコーナー最後のパラグラフは今後の買入ペースについてで、昨日引用した部分と少々内容が被りますのでもう引用だけで勘弁。
『In light of their discussion of the benefits and costs of asset purchases,
participants discussed their views on the appropriate course for the current
asset purchase program.』
で皆さんのビューは以下の通り。
『A few participants noted that they already viewed the costs as likely
outweighing the benefits and so would like to bring the program to a close
relatively soon.』
既にコストが上回っているのでとっとと拡大終了しろやゴルアというのが数名(A few)。
『A few others saw the risks as increasing fairly quickly with the size
of the Federal Reserve's balance sheet and judged that the pace of purchases
would likely need to be reduced before long.』
バランス拡大でリスクが高まっているのでそんなにおそくなく拡大減らせというのが数名(A few others)。
『Many participants, including some of those who were focused on the increasing
risks, expressed the view that continued solid improvement in the outlook
for the labor market could prompt the Committee to slow the pace of purchases
beginning at some point over the next several meetings, while a few participants
suggested that economic conditions would likely justify continuing the
program at its current pace at least until late in the year.』
さっきの人も含めて多くの(Many)人が労働市場の改善ペースを今後数回のFOMCで点検しながらそのいずれかの時点で買入ペースを縮小するのが吉と言い、一方で数名(a
few)は少なくとも今年の後半まで買入ペースの維持が必要と。
『A range of views was expressed regarding the economic and labor market
conditions that would call for an adjustment in the pace of purchases.
Many participants emphasized that any decision to reduce the pace of purchases
should reflect both an improvement in their overall outlook for labor market
conditions, as implied by a wide range of available indicators, and their
confidence in the sustainability of that improvement.』
『A couple of these participants noted that if progress toward the Committee's
economic goals were not maintained, the pace of purchases might appropriately
be increased. A number of participants suggested that the Committee could
change the mix of its policy tools if necessary to increase or maintain
overall accommodation, including potentially adjusting its forward guidance
or its balance sheet policies. 』
ということでこのコーナー終了でありました。
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2013/04/16
○3月FOMC議事要旨より:資産買入の拡大ペースを緩める話が多い背景に・・・・・・・・・
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130320.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130320.pdf
Minutes of the Federal Open Market Committee
March 19-20, 2013
・引用大会をしている時間がなさそうなので私家版まとめを先に書いておく
今回の議事要旨が出た時に資産買入のペース縮小に関する指摘が意外に多いですねみたいな報道があったので、その報道だけとりあえずネタにしまして「その背景は何ですねんというのをミニッツ読んでみないとね」とか何とか申し上げたと思うのですよ。
つーことでまあ議事要旨読んでみたのですが、ステートメントで示されたように足元の景気動向に関しては昨年末近辺の一時的な足踏みから脱却しましたねという話をしておりまして、全般的にはそんなに弱い話をしている訳では無いのですが、じゃあ物凄く景気認識を引き上げているのかとゆーとそういう訳では無い。
しかも先行き見通しに関しては財政制約の問題に関して結構強調しているのに加えまして、これはミニッツと一緒に出ているSEPの方でより詳しく書いてありまして、まあミニッツ本文でも指摘されているのですが、物価の見通しに関しては一部の人が下方修正しているという状況で、足元の認識改善に対して先行きの部分についてはそれほどの強さを感じないのですよ。
その割には金融政策論議のパートの所では現在の資産買入拡大ペースについて年後半から減らして年末には拡大を停止するのが適切みたいな人がそこそこいるというのが示されている訳でして、その間のロジックがここのミニッツでの議論(ちなみに今回から資産買入のプロコン点検というコーナーが新たに入っていてそこが非常に面白いので明日にでも)を読んでもワカランチ会長である、というのが不思議な所です。
つまりですね、『Review of Efficacy and Costs of Asset Purchases』という小見出しの所を見ますとまあ見事なまでにああでもないこうでも無いという話が展開されていて(読んでて違和感というかそれは無いわみたいな話は無い)、副作用についての話も勿論あるのですが、いわゆるファイナンシャルスタビリティーとか金融市場の不均衡みたいな話に関してはまあ一部にあるっちゃあ有るけれども注意してみる程度の話ですよねみたいな結論になっている割に皆さんの結論が思ったよりこれからのQE拡大に積極的では無いように見えるという話でして、その間のロジックがどうも見えにくいのよね。
でまあちょっと前に出てて一瞬話題になっていたハト派の筈のSF連銀ウィリアムス総裁の4月3日の講演というのもついでに読んでみたのですけれども(これまたそのうちネタにできたらします)、ウィリアムス総裁の講演によると景気見通しはそんなに強くは無くて、見通し数値で見るとまあ大体SEPの真ん中近辺の数字になっているのですが、ウィリアムス総裁のQEに関する説明は「景気が見通し通りに推移した場合、今年の後半から資産買入拡大ペースを減らし、年末には買入拡大を停止するのが適切」という話になっていまして、これまた講演での説明を見ても「何でそうなのか」という辺りの説明を意図的にだと思うのですがスルーしているように見えるのですよね。
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0403.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0403.pdf
The Economy and the Federal Reserve: Real Progress, but Too Soon to Relax
もちろんミニッツの中で「景気状況が悪化した場合はQEの拡大ペースを引き上げるべき」という議論もあるのですけれども、どうも一方で上記のような議論もある訳でして、そこら辺をつらつらと考えるに、経済の回復がそこそこ順調であるのならば、QEの拡大をバンバン行うというよりは、閾値付きフォワードガイダンスによる時間軸政策の効果を重視した政策を行うというのが方向性になっているんじゃネーノという所で、まあ昨年12月からそういう傾向はあるのですが、QEについてはここまでのQEの政策効果は認めながらも、今後の拡大に関してはプロコンを考えた場合にどうなのかというような議論が更に深まっているのではないかと思われる所であります。
その内容が「効果が限界的に逓減している」なのか「副作用が拡大している」のかがミニッツの説明だと今一歩見えない(たぶんこの点に関しては見解が大きく分かれているのであまり詳しくミニッツに書けないとかそういう話ではないかと思うのですが)ですし、そもそも副作用ったって考えられる副作用の何を問題にしているのかとかもよく判らんのですが、まあ今後の金融緩和政策の軸をバランスシート拡大から時間軸にシフトしているんだなあというのが見えてくる内容ではありました。
・・・・・・・・などと私家版感想だけ申し上げて引用しないのは誠に申し訳ないのですが、引用大会は明日にでもということですいませんすいません。
・ちなみに資産買入に関する意見の割れ方を引用しておく
『Committee Policy Action』の第3パラグラフから。
『Members stressed that any changes to the purchase program should be conditional
on continuing assessments both of labor market and inflation developments
and of the efficacy and costs of asset purchases.』
状況に応じて見直すというのはその通りですな。
『In light of the current review of benefits and costs, one member judged
that the pace of purchases should ideally be slowed immediately.』
どう見てもジョージ総裁です本当にありがとうございました。
『A few members felt that the risks and costs of purchases, along with
the improved outlook since last fall, would likely make a reduction in
the pace of purchases appropriate around midyear, with purchases ending
later this year.』
A fewは経済見通しの改善と買入拡大のリスクやコストを勘案すると年央から買入ペースを縮小して年後半には買入拡大を停止するのが適切と。
『Several others thought that if the outlook for labor market conditions
improved as anticipated, it would probably be appropriate to slow purchases
later in the year and to stop them by year-end.』
Several othersは労働市場の改善が予想通りに進んで行くのであれば年後半に買入拡大ペースを縮小して年末には買入拡大を停止するのが適切と。
『Two members indicated that purchases might well continue at the current
pace at least through the end of the year.』
んでもって2名は買入ペースは少なくとも今年一杯まで継続する必要があると主張。
『It was also noted that were the outlook to deteriorate, the pace of purchases could be increased. 』
でまあここも当然ですけれども、経済見通しが悪化したら買入ペースは拡大されるのが適切という事も加えていまして、この一文をきっちり加えるのは変に金融市場が暴れられても困りますのでという配慮を感じるところではございます。
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2013/04/04
○バーナンキ議長のFOMC後会見の補足:財政引き締めに関するリスクを重視
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130320.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference
March 20, 2013
資産買入関連の質疑が大体メインでして、あとのお題で「Too big to fail」問題とキプロスの話がありますよというのを申し上げたのですが、まあこの2点の質疑は目先の金融政策的にはあまり関係が無いのですが、そのほかに財政に関する質疑があったのでそちらを補足で引用しておきまする。
『MARCY GORDON. Thank you. Marcy Gordon with the Associated Press. Mr.
Chairman, the statement mentions that fiscal policy has become more restrictive.
How much of a drag on growth do you see from the Social Security tax increase
and the across-the-board spending cuts that went into effect on March 1?』
声明文に財政政策がより抑制的になる件が新たに言及されたという所への質問はまあ来るでしょうな。
『And is it possible that the Fed might see a need to provide more support
to the economy if that-because of that drag, the drag on fiscal?』
それに対応して追加緩和のようなものの実施の可能性は?と来ました。
議長のお答え。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, our analysis is fairly comparable to analysis
that the Congressional Budget Office has presented to the Congress. And
they estimate that putting together all the fiscal measures, including
the fiscal cliff deal, the sequester, and other cuts, that federal fiscal
restraint in 2013 is cutting something like 1-1/2 percentage points off
of growth, which, of course, is very significant. So, that is an issue
for us.』
ということで1.5%のGDP押し下げ効果があるキタコレ。
『We-you know, we take as given what the fiscal authorities are doing.
The economy is weaker. Job creation is slower than it would be otherwise.
And so, that is one of the reasons that our policy has been as aggressive
as it is.』
ほっほー。
『That being said, as I’ve said many times, monetary policy cannot offset
a fiscal restraint of that magnitude, and so the final outcome will be
worse-or, in terms of jobs-than would have been the case with less fiscal
restraint.』
つーことで、財政引き締めに関する経済の悪影響に関してバーナンキ議長が相当ナーバスになっているという事を表明しておりまして、そらまあハト派チックな話をします罠とまあそういう話。
『I want to emphasize that I do believe that long-term fiscal stability
is extremely important. And I urge Congress and the Administration, as
I always do, when I go to testify to do whatever is necessary to put us
on a sustainable fiscal path going forward. But, in doing so, I think it’s
a good idea to pay attention to the impact in the near term on what is
still not a completely satisfactory recovery.』
この辺はいつも言ってる「長期的な財政の健全性は大事だけど短期的に財政締めて経済があばばばばーにならないようにしないといけませんよね」という話ですな。
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2013/04/01
○今日こそ引用大会でバーナンキ議長のFOMC後の会見から
http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20130320.pdf
Transcript of Chairman Bernanke’s Press Conference
March 20, 2013
・資産買入の縮小または停止に関する質問が多い訳ですが
先般申し上げましたように、今回のバーナンキ会見の質疑ではQEの縮小または停止に関する質問がやたら多く、まあ米国ではそういう所にメディアの関心が行っている以上、下手にQE縮小などをにおわせるような発言を(一部のタカ派が言うのは仕様なので無問題として)するのはマズーというのがあるんでしょうなあと思われる所ではございます。
冒頭の質疑から。
『YLAN MUI. Hi. Ylan Mui, Washington Post. My question is around QE. Obviously,
we’ve seen some of your colleagues give more-specific criteria, give some
color around what they’re looking for before they would consider exiting
from QE. Can you give us any additional color on what you’re looking for
specifically in terms of substantial improvement in the labor market? And
does the fact that there aren’t thresholds associated with QE say anything
about the level of disagreement among the Committee members over what that
exit should look like?』
聞きたい事は「substantial improvement in the labor market」をもっと具体的に示せないのかという事のようで、金利ガイダンスのような閾値はできないの?と聞いているようですの。
でその答え。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, to take your second question first, the lack
of thresholds comes from the complexity of the problem.』
閾値の設定ができないのは労働市場の顕著な改善というものの複雑さによるもんですよと。
『On the one hand, we have benefits, which are associated with improvements
in the economy, but there are also costs associated with unconventional
policy, such as potential effects on financial stability, which are hard
to quantify and which people have different views about. So, to this point,
we’ve not been able to give quantitative thresholds for the asset purchases
in the same way that we have for the federal funds rate target.』
屁理屈のような気もしますが理屈は通っていまして、伝統的な政策である金利政策と異なり、資産買入政策という非伝統的な政策は効果の他にコストもあり、それらは計測するのが難しく色々なビューがあるので、伝統的政策である金利操作においては閾値の利用をしているのだが、資産買入に関してはそのような手段はとらないのです、という理屈付けで、そもそもフォワードガイダンス政策が非伝統的政策じゃネーノという風に思われますのでこの説明は結構インチキ成分が入っていると思いますが、まあ見た目理屈の整合性は取れていますな、うんうん。
『We’re going to continue to try to provide information as we go forward.
In particular, as I mentioned today, as we make progress towards our objective,
we may adjust the flow rate of purchases month to month to appropriately
calibrate the amount of accommodation we’re providing given the outlook
for the labor market.』
従って毎回の会合で資産買入政策の効果や副作用の点検を行い、労働市場の見通しに則って適切な資産買入のペースを検討しておりますとな。
『In terms of further color, again, given the complexity of the issue,
we’ve not given quantitative analysis or quantitative thresholds. I would
say that we’ll be looking for sustained improvement in a range of key
labor market indicators, including, obviously, payrolls, unemployment rate,
but also others like the hiring rate, claims for unemployment insurance,
quit rates, wage rates, and so on. We’ll be looking for sustained improvement
across a range of indicators, and in a way that’s taking place throughout
the economy.』
色々な状況を見て行きますよということですが、具体的にはpayrolls, unemployment
rate,をメインにして、その他にhiring rate, claims for unemployment insurance,
quit rates, wage rates,と指標を並べておりますな。
『And since we’re looking at the outlook-we’re looking at the prospects
rather than the current state of the labor market- we’ll also be looking
at things like growth to try to understand whether there’s sufficient
momentum in the economy to provide demand for labor going forward.So that
will allow us to look through, perhaps, some temporary fluctuations associated
with short-term shocks or problems.』
つまり顕著な改善がどうのこうのという時に見るのは実際の数字よりも先行きの見通しが重要という事で、まあQEが急に縮小とかそういう話では無いですよね、という所です。
次の質問も資産買入のペースに関連して。
『ROBIN HARDING. Robin Harding from the Financial Times. Mr. Chairman,
to follow up on that last point, what-you referred to the possibility of
varying purchases, the rates of purchases per month. What’s the difference
in the conditions that would induce you to do that, as opposed to the substantial
improvements in the labor market that would induce you to stop the program
altogether? Thank you.』
買入のペースを変更する事と「substantial improvements in the labor market」との違いは??とか何とかいう質問のようですが。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, the problem with having just a single criterion
is that it’s all or nothing. We maintain full speed ahead until we hit
a certain target, and then, you know, we stop. That would be, I think,
very difficult for the markets to understand, to anticipate.』
一定のターゲットまでフルスロットルでの買入を維持して急にストップする、というような政策を我々が取ると、それは市場にとって分かりにくく、かつ事前に予測しにくい政策になるでしょうとか、どこぞの安倍ちゃんとかいう方に耳の穴かっぽじって聞いて頂きたい所ですがそれは兎も角として。
『We think it makes more sense to have our policy variable, which is the
rate of flow of purchases, respond in a more continuous or sensitive way
to changes in the outlook. So, as we make progress towards our ultimate
objective of substantial improvement, we may adjust the rate of flow of
purchases accordingly.』
見通しの変化にに応じ、最終的な目標である労働市場のsubstantial improvementに向かって買入のフローを徐々に変化させていくというのは有り得ます、という話をしているのですが・・・・・・・
『Now, we won’t do that every meeting; we won’t do that frequently.』
ただまあそのペースなどは毎回の会合でホイホイ変化させるものではなく、買入ペースはそんなに頻繁に変更しませんとの事でして、まあそらそうだろうなあという所ではあるのですが、そもそもが見通し数値で判断していかなければいけない上に雇用なんて思いっきり遅行指標ですので、目標に向けて微修正して行くなどというのも難しくて結局買入の期間が長くなりそうな悪寒がします。
『But when we see that the condition or the situation has changed in a
meaningful way, then we may well adjust the pace of purchases in order
to keep the level of accommodation consistent with the outlook, and, secondly,
to help provide the markets with some sense of progress-how much progress
is being made so that it can make better judgments.』
とは言ってますけどね。でまあ同じ人が更に質問。
『ROBIN HARDING. Could you define “progress towards” at all, how you deal with that?』
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, you know, as I just described what I mean by
“substantial improvement,” it’s a broad-based improvement in a range
of indicators as well as improvement in output and labor demand. So, as
we move-we see partial improvements, see modest improvement, as we see
a period in which the labor market is doing better, and we have reason
to think it might be stronger, then we might reduce accommodation at that
point. But it works in both directions. If, subsequently, the labor market
were to weaken, the outlook were to get worse, we could, of course, bring
back accommodation back to the previous level.』
つーことで、改善ペースに応じて買入ペースを下げることはあるものの、仮にその後改善ペースが落ちればまた買入ペースを上げることもある、という事でそれは至極ご尤もですが、まあ結果としてそう簡単に上げ下げしないでしょうね、というのは想像のつくところでありまする。
更に買入の質問についてはもう一発あるのです。次の人がまたまたこの件で質問という事で、冒頭から3人連続でQEのペース変更に関する質問というのが中々の展開ではありまする。
『STEVE LIESMAN. Steve Liesman from CNBC. Mr. Chairman, I have to keep
coming back to this issue of adjusting the flow rate. Are we near that
time right now? And how can the markets calibrate the number to changes
in economic improvement?』
買入ペースの見直しはもうすぐなのでしょうかとかこらまた豪直球な質問で。
『For example, let’s say, theoretically, we did 236,000 jobs in a month,
and the unemployment rate fell by 0.2 percent. Would that be sufficient
to begin to adjust the purchases downward? Thank you.』
でまあ逆さ絵おじさんの答え。
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, that’s going to be obviously a decision that
the Committee has to make, and we will-at each meeting, we’ll look at
progress that’s been made since the last meeting, try to assess the outlook,
try to determine whether there’s been a sufficient change to warrant a
change in our policy stance. Internally, we’ll use models and other indicators
of the state of the labor market to try to make a good estimate of how
much we need to change the rate of flow. But, again, the point of this
is to let the market see our behavior, to let them see how we respond to
changes in the outlook. And that way there will be a better ability, I
hope, for the markets to anticipate either a return to higher levels of
purchases or the ultimate phasing-out of the program.』
いやいや、まさに毎月の点検を行っていることですぞなもしとか言いながら煙に巻いているという感じですが、同じ人が更にこういう質問をしたらですなあ。
『STEVE LIESMAN. Are we near that level now?』
『CHAIRMAN BERNANKE. That’s an issue for-obviously, there has been improvement,
let me say that. We’ve seen improvement in the last four or five months.
The last five months, for example, we’ve seen over 200,000 jobs a month
in the private sector. Unemployment rate has come down four-tenths since
September. Unemployment claims, insurance claims are at the lowest level
they’ve been since the crisis, so we are seeing improvement.』
と、このように最近5カ月の改善傾向という事を言っておりますが・・・・・・・
『I think one thing we would need is to make sure that this is not a temporary improvement.』
我々に必要なのは一時的では無い継続的な改善であります(キリッ)ということですから、つまり5カ月ほどの改善でウシャウシャと喜んでいる場合では無く、5カ月程度ならテンポラリーかもしれませんとという事ですな。中々慎重である。
『So, we’ve seen periods before where we had as many as 300,000 jobs for
a couple of months, and then things weakened again. So, I think an important
criterion would be not just the improvement that we’ve seen, but is it
going to be sustained for a number of months?』
2か月間30万人の雇用拡大があったと思ったらその後減るとか言う状態でまだまだサステイナブルな改善とは言えませんぞな旦那さんという事で、冒頭からここまでの質疑応答を見るとまあ思いっきり慎重ですよね、というところではございます。
・更に買入とガイダンス政策に関連して&買入政策のコストに関して
もうちょっと先の方で資産買入政策のコミュニケーションポリシーという観点からの質疑がありまして。
『BINYAMIN APPELBAUM. Binya Appelbaum, the New York Times. I want to go
back to asset purchases. You’ve spoken a lot about the power of forward
guidance, the power of clear communication. I understand that it’s a complicated
issue, but why would you leave on the table the additional power of saying
to markets, “We’re going to keep doing this for a while”? And, separately,
there’s been a lot of conversation about the risks associated with quantitative
easing. I wonder if you could tell us, when is the last time you spoke
with someone who is unemployed?』
そうは言いましてもフォワードガイダンスが有効なツールである以上、資産買入にもそれを使うのが吉なのではないでしょうかというのと、買入政策のコストに関する見解についての話もあるようですが、ところで議長は失業者との対話っているしましたっけとかこらまたお洒落な質問。
『CHAIRMAN BERNANKE. Pretty recently. I have a relative that is unemployed.
But I come from a small town in South Carolina that has taken a big hit
from the recession. Last time I was there, the unemployment rate was about
15 percent. I think it’s better now. The home that I was raised in had
just been foreclosed upon when I was visiting there.』
確か故郷の近所で講演してましたな。
『I have great concern about the unemployed both for their own sake, but
also because the loss of skills, the loss of labor force attachment is
bad for our whole economy.』
ふむふむ。
『It reduces tax revenues. It reduces productivity. So I think it’s very,
very important that we act to address unemployment, and I think the Federal
Reserve-I think most people would agree-the Federal Reserve has been fairly
active in that regard.』
ということで、失業に関してはgreat concernであり、労働市場問題に対して政策を打つのがFRBの重要な政策であります(キリッ)という話をしていてここもハト派チックに迫っております。
『In terms of costs, there are a number of different costs, and I mentioned
some of them in my remarks. I think one that has recently been discussed-Governor
Stein brought it up in a speech-is the issue of financial stability.』
で、ここからコストの話になりますが、スタイン理事が指摘したコスト、ファイナンシャルスタビリティーの問題は最近FOMCの内部でも議論されているとな。
『Clearly, financial instability, if it were allowed to be sufficiently
serious, would be a threat to employment, a threat to jobs, and a threat
to production.』
で勿論ファイナンシャルスタビリティーは重要であり、それが損なわれると経済に悪い影響を与えるでしょうという指摘はしておりますが・・・・・・
『So, obviously, given the experience of the past few years, we want to
be sure that we’re not unnecessarily encouraging excessive risk-taking
or other problems in the financial markets. We do address that through
a number of means, including monitoring the financial system, regulation,
supervision, communication, and the like.』
ただ現状ではexcessive risk-takingのような問題は特に起きていないとの認識のようですし、それらの問題に関しては色々な方法での対処が可能であり、それは金融システムのモニタリングや規制、監督や市場参加者とのコミュニケーションで行う、とまあ基本的にスタイン理事の認識(って講演ネタ全部やっていないのですが汗)よりはだいぶ楽観的ですな。
『But this is a potential concern that a number of my colleagues are worried
about, and it’s one of the things we talked about in our discussion of
the costs and risks of balance sheet policies.』
最後にそうは言ってもこれらの議論があるという事に敬意を表しているのか、しかしこれは潜在的な懸念であり、常にバランスシートポリシーの実施に当たってコストやリスクの点検を行っているものですよと仰せで。
で、同じ人が更に再度資産買入政策のフォワードガイダンスについて答えが無かったので再質問。
『BINYAMIN APPELBAUM. Then why would you leave forward guidance on the table?』
『CHAIRMAN BERNANKE. I don’t know what you mean by “on the table.”』
『BINYAMIN APPELBAUM. Why not use it as a tool to increase the power of asset purchases?』
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, again, I don’t-we’ve not been able to come
to an agreement about what guidance we should give. And part of the concern
is-is that as we go forward, we-you know, we’ll have to factor in the
efficacy, which is another issue. I mean, there’s a wide range of views
about how effective asset purchases are in terms of moving the economy.
So, as we move forward in time, we’ll be learning about how effective
the policy is, and what costs and risks there may be associated with it.
And, as we do that, perhaps we will be able to give more-explicit guidance.』
ということで、現状では(前の方でも言ってましたが)色々とプロコン分析が難しいので中々フォワードガイダンスのようなものは作れないと言っていますが、もしその分析ができればより明示的なガイダンスを提示できるかもと仰せなのがほほうという感じです。
『And I agree with you 100 percent that that would be more effective if
we could give numerical guidance.』
ほっほー。
『But, you know, I think the Federal Reserve has come a long way. You know,
in 1994, we didn’t even tell people when we changed the federal funds
rate. Now, we’re telling you when-you know, what the state of the economy
is going to be when we raise the federal funds rate. So, we are making
progress in terms of forward guidance.』
なるほど。フォワードガイダンス政策は現在進歩中とな。
・バブル礼賛ではありませんよ、とは一応言ってみているものの(^^)
先週引用した部分もそうなのですが、過大な金融緩和政策が新たな金融不均衡を生むというような議論に対してはさすがに一定の配慮をしております。つーかBISの人間かよというような講演を一発目に行って話題をさらったスタイン理事が何せ新任理事ということですからして、まあその辺りに関してあまり無視するのも世間様的にどうよという辺りは逆さ絵先生の事ですから空気を読んでいるでしょうなあという下りを少々。
まずはモーゲージ市場に関する質疑から。
『JEFF KEARNS. Thank you, Mr. Chairman. Jeff Kearns from Bloomberg. Looking
at the level for credit scores for new home loans rising into the 700s-is
that something you would consider to be a successful transmission of monetary
policy, and the-especially given how well the Fed says that banks are capitalized?』
『CHAIRMAN BERNANKE. Well, the tightening of credit in mortgage markets-I
mean, our sense is that it’s gone too far. I mean, some tightening was
obviously needed. There were people who bought houses prior to the crisis
who really couldn’t sustain a mortgage. So, terms and conditions have
been tightened up, and we’re now seeing much higher credit quality requirements
on potential borrowers.』
つーことで、モーゲージ市場の引き締まり状態は遠くに去ったキタコレという所ですが、一方で危機以前の水準よりもモーゲージの条件はタイトになっておりサステイナブルでは無い買い手に対するモーゲージの供給という意味では変化していますということでして・・・・・・
『We are concerned that a variety of factors, such as concerns about putbacks
the banks may have, uncertainties about regulation-which we’re working
on to get done as quickly as possible-may have tightened the mortgage credit
box more than would be desirable in a long-run healthy economy.』
しかしサステイナブルでは無い借り手に対するモーゲージの供給がタイトになるというのは長期的に言えば健全な経済成長に対して望ましい、ということでして、この辺りでは住宅バブル再来ヒャッハーというようなスタンスでは勿論ございません(まあございますという中銀も無いけど^^)という風に、まあ市場ちゃんだけではなくて世間様の空気も読んでいるという所で逆さ絵先生恐るべしという所で。
『That does have some effect on monetary policy. One of the most powerful
tools we have is bringing down mortgage rates and stimulating homebuying,
construction, and related industries. So that is an issue that we take
into account.』
てな説明をした後に金融緩和効果の話をしておりますが、金融緩和政策によってモーゲージ金利を下げ、新築住宅建築や関連産業を刺激しております。
『I would say one thing, which is that as the housing industry has strengthened
and home prices have gone up, that has actually brought some people into
the credit box in the sense that the number of people, for example, who
are underwater on their mortgages is declining as house prices go up. So,
as people have bigger down payments, bigger equity in their homes, they
become more creditworthy. So, to some extent, not-I don’t want to overstate
it-but to some extent, monetary policy-by strengthening the housing market,
helping support house prices-is bringing more people into the mortgage
market.』
んでもって住宅産業が強くなって住宅価格が上昇すると、例えば住宅価格が下落して借金対比で愛の水中花状態になっておられるような家計のバランスシートが改善してクレジット状況が改善すると、家計の借り入れ余力などが改善するので人々をモーゲージ市場に戻すことができるというようにまあ当然ですが資産買入政策の効果を強調しておりますの。
んでもって株価上昇についての質問が。
『PETER BARNES. Peter Barnes of Fox Business, sir. The stock market has
been hitting all-time highs. It’s recovered all of its losses from the
financial crisis. I just want to know if I-from you, if I still have time
to get in. But seriously, how do you feel about that? Is it good? Is it
bad? Mission accomplished? And are you worried about bubbles? We’re still
at 7.7 percent unemployment. I mean, is the-what do you think?』
ワロタとしか申し上げようがない(というか初稿版ではBut seriouslyの前に[Laughter]というのが入っておる)のですがこれに対する逆さ絵先生のお答え。
『CHAIRMAN BERNANKE. That’s right. We’re not targeting asset prices.
We’re not measuring success in terms of the stock market. We’re measuring
success in terms of our mandate, which is employment and price stability,
and that’s what we’re trying to achieve.』
ということで、我々は資産価格のターゲット政策を行っている訳では無いし、株価が上昇したからと言って政策が成功したと判断するのではなく、あくまでも我々のマンデートである雇用と物価の目標達成に対して政策の成功を判断するのです。とまあ当然ちゃあ当然ですが、こうやってちゃんと断る辺りもスタインさんのようなタイプの方が理事に送り込まれるような政治情勢に配慮をちゃんとしているんでしょうなあとか思うのは深読みのし過ぎですかそうですか(^^)。
『We do monitor the entire financial system, not just the parts that we
supervise or regulate. It includes the stock market and other asset markets.
We use a variety of metrics. And I don’t want to, now, be pulled into
going through every individual financial market and assessing it. But,
in the stock market, you know, we don’t see at this point anything that’s
out of line with
historical patterns.』
現在は特に過去の歴史的なパターンから大きく逸脱している訳では無い、ということで特段のバブルでは無いという認識をしめしています。
『In particular, you should remember, of course, that while the Dow may
be hitting a high, it’s in nominal terms, it’s not in real terms. And
if you adjust for inflation and for the growth of the economy, you know,
we’re still some distance from the high.』
で質問にあったダウ最高値更新について、名目ベースでは最高値更新ですがインフレ調整後ベースで言えば高値更新でありませんという説明をしているのだがそれは何かインチキ成分が入っていると思う。
『I don’t think it’s all that surprising that the stock market would
rise, given that there has been increased optimism about the economy and
the share of income going to profits has been very high. Profit increases
have been substantial, and the relationship between stock prices and earnings
is not particularly unusual at this point.』
で今の株価上昇は不思議では無く、経済の先行きや企業業績への期待に支えられているという説明なのですが、この辺は何か更にインチキ成分で実際問題としては株価上昇ウッシッシという風になっておられるんでしょうなあというのは伝わって参りますな。
ということで、この辺のバブルだの何だのの質問に関しては一応気を使った説明をしているものの、そうは言いましても資産価格が上昇してウッシッシという話はしておりますので、まーこの辺りは本音と建前を使い分けておりますなっちゅう所で。
でまあ他のネタについてはまた後日引用ということで今日は引用大会でありました。
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