植田和男総裁(2025年度下期)
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2025年度下期の見出し
2025/10/07「大阪講演での会見は講演よりはマシだがやっぱり優柔不断のチキンさん」
2025/10/06「3日の植田総裁の大阪講演は案の定のハトハトチキンでした」
2025/10/07
〇大阪講演での総裁記者会見だが講演よりはましだがやっぱりハトハトチキンというか優柔不断というか
昨日は支店長会議もあったわけですが、10月利上げが(この後為替は飛ぶ飛ぶドームの風でとなって追い込まれる場合を除き)かなり消えましたとなってしまったので、次は12月短観直後になるはずの12月会合、すなわち12月短観見ますか、って話になると思うのでややウェイト低下、ということで明日に回します(時間の関係で)。
ということで大阪での会見ですが、講演テキストはハトハトというかチキンエキス満載でもう鶏ガラスープの素かよという世界ではありましたが・・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251006a.pdf
総裁記者会見
――2025年10月3日(金)午後2時から約30分
於 大阪市
・不確実性の度合いの変化と「点検はいつまでやるの」に関して
冒頭の(たぶん)幹事社質問はオープニングリマークみたいなもんなので割愛しまして(本当はこのオープニングリマークをもうちょっと工夫する余地は無いのか(他中銀みたいに)とは思うのですよ、今の方式だとイマイチ(金懇や地方講演だとご当地経済の話があるのでそっちは良いんですけど)だなと・・・)、その次の質疑から参ります。
『(問)二点お願いします。一点目が不確実性のことで、4 月には不確実性はきわめて高い、7
月の関税日米合意後も不確実性は引き続き高いと発言されていましたが、今日はそういった発言がなかったようにも思いましたが、今も不確実性は高い状況なのでしょうか、というのが一点目です。』
仰せの通り。
『二点目がですね、チェックポイントの一つの米国経済の動向ですが、その雇用情勢や遅れている関税の転嫁、金融政策の行方など、この
1 か月で見通せるとも思えないのですが、この引き続き注視や当面は点検というのは、どこまで時間をかけるのでしょうか。少なくとも数か月はかかる認識なのでしょうか。考え方も含めて教えてください。』
そりゃツッコみますよね。植田さんの回答ですが、
『(答)不確実性、特に通商政策周りの不確実性の推移のようなものですけれども、4
月の時点ですと、関税の水準で言うと、どこまで行ってしまうか分からないというような種類の不確実性まであったように思います。それが
7 月あるいは 8 月、9 月の動きの中で、日本周りであれば、例えば、概ね 15%ということで、おそらく当面は決着したということですので、そこは不確実性は低下したということだと思います。』
とは言ったものの、
『ただし、例えば 15%の関税率、他の国には、大体似たような水準あるいは少し違った水準で、関税率が大体決まっているわけですが、これがアメリカ経済、そして世界経済にどういう影響を及ぼしていくのか、その中で日本経済がどういう影響を受けるのか、この点に関する不確実性は依然としてかなり大きなものが残っているというふうに判断しています。』
どう見てもハトハトチキン音頭です本当にありがとうございました。
『そのうえで、こうした不確実性のもとでどれくらい情報を見極めることが、例えば、ご質問はおそらく次の政策判断に必要なのか、ということだと思うのですけれども、それは申し上げるまでもなく、全てのハードデータがどういうふうに出るかということを全て把握してからということですと、すごい先になるということは明らかですので、』
でまあそのハトハトチキン音頭をここで中和しているのですが、そう思うんだったら初手でその前段で引用したような説明をするんじゃなくて、「もちろん色々な不確実性はあると思いますが、先行きの経済への悪影響の程度については色々なデータで確認しながらフォワードルッキングに判断していく」というような感じでフォワードルッキングな判断をする、って言えばいいのにとおもうのですよね。一々この引用の前段部分のようにバックワードルッキングして石橋を叩いても渡らないみたいな言い方をするからハトハトチキンな訳ですが、まあそのハトハトチキンというか優柔不断なのは植田さんの仕様なんでしょうかねえ、コマッタモンダ。
『私どもの政策判断に必要な程度の見極めができるところまでということになるかと思います。その判断材料としては、ハードデータもありますし、ヒアリング情報もありますし、様々な人のマクロ経済に対する見方のヒアリングもあります、ということになるかと思います。』
だそうなのですが、結局途中に物凄いハトハトチキンの表現をしているのがまあ植田さんの本音ですかそうですか、ってな話になってしまうんですよね。モチのロンですがこの総裁発言も「全てのハードデータがどういうふうに出るかということを全て把握してからということですと、すごい先になるということは明らかですので」云々を採り上げればそんなに判断遅く成らんよね、とは言えるのですけれども、まあここを読むと全然こうやる気を感じさせてはくれませんなというお話。
・おちんぎんについての見極めは案の定「情報が足りません」ですしおすし
次の質問が賃金。
『(問)賃金動向についての質問です。賃金動向についても、このチェックポイントに挙げられているところですけれども、今日の講演内容をみますと、先行き、海外経済や通商政策等を巡る不透明感が高い状況が続くような場合には、物価上昇を賃金に反映させる動きは弱まる可能性があるというようなことを指摘されています。』
まあそもそも論として「賃金動向」を判断材料のファクターに加えた時点でそれは来年まで待てという話になるので、講演で賃金動向ダイジダイジネーを前面に出すと10月利上げする理由が無くなってしまうんですよね。
『今日の話し合いも踏まえまして、現時点で今後の賃金動向どうなっていくとご覧になっているか、あるいは、この差し当たり
10 月会合までにそうした判断が、来春闘含めですね、なかなか難しいのかなというふうにも思うんですけれども、どのような判断ができるのか、そういったことについて教えてください。』
質問する方も「なかなか難しいのかなというふうにも思うんですけれども」って言ってますけど案の定の回答です。
『(答)今年の賃金動向について、ここのところ、ここ数週間とか 1、2 か月で強いネガティブな情報が入ってきたということではありません。そのうえで来年の賃金動向についてどうかということになりますと、講演でも申し上げたように、例えばアメリカ経済が今後どういう経路を辿るか、それが日本経済、日本企業の収益にどういう影響を与えるかということにも大きく依存しますので、そこについての情報はまだ少し不足しているというふうにみております。』
ちなみにベンダーのニュースヘッドラインで見ただけですが、昨日の支店長会議に関連して大阪支店長の会見があったようで、大阪支店長も早速「情報は不足してますな」という話をしてたように見えました。
・政策ビハインドのリスクは・・・・・・うーむこの温度の低さ
次の質問は政策ビハインドのリスク。
『(問)今年の秋も食料品などの値上げの動きが広がっています。物価が上振れするリスクについて総裁はどのようにお考えでしょうか。それと併せて、ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクについて、以前はそれほど大きくないとおっしゃっていましたが、その考えに今も変わりはないのか、その辺りについてお願いします。』
そらそうよ。
『(答)食料品価格については、私どもの中心的な見通しとしましては、そもそもここまでの上昇が、一時的な供給要因によるものであるというふうにみていますので、既に少し下がり始めた動きが、今後も基本的には継続するというふうにみております。』
下がり始めた、って表現ですが、そんなに水準が下がっているのか問題というのが有るわけで、あんまり下がる下がるって連呼しない方が良いんじゃないですかとは思うのですけど。下がるのは上昇率であってべつに食料品価格がここから5%下がるとかそういう威勢の良い話が有るわけないんですから。
『ただし、インフレ率が下がっていくペースについては、ある程度不確実性があるということでございます。そのうえで、こうした食料品価格のインフレが減速していくペースが、まず基調的な見通しとしては減速していって、ちょっと表現があれですが、基調的なインフレには大きな影響を与えないという見通しでございます。』
と、この辺から「インフレ率が下がっていく」と軌道修正していて、
『ただし、リスクとして減速のペースが想定よりも緩やかになるときに、何らかのメカニズムを通じて基調的インフレ率を少し押し上げるという方向に働くケースも排除できないですし、逆に、いったんは長続きするということは前提になりますが、それが消費マインドに下押し圧力を加えて、需要サイドから消費が弱含み、それが基調を少し弱めてしまうというリスクもあるかもしれません。』
ここでやっと「減速」と言い換えているので、もしかしたらこれ(ライブ見てないから知らんけど)質疑応答の途中でこっそりメモでも入ったのかと思ってしまう位に最初の表現と違っているのが味わいがありますが、まあとにかく物価水準が別にここから下がるわけではないのだから「下がる」って表現を日銀は使わない方が良いと思うんですよね。
でまあそんな話はさておきまして、続きですが、
『その中で、ビハインド・ザ・カーブになる可能性は、ということですが、これは今申し上げたケースの中では、食料品価格のディスインフレのペースが遅くて、それが何らかの理由で基調、あるいはインフレ期待、中長期のインフレ期待を押し上げるという効果を持つというケースですけれども、今のところはその可能性は高いとはみていませんが、』
(ノ∀`)アチャー
『もしそういうふうになれば注意を要する現象ですので、引き続きよくデータを見ていきたい、あるいは分析をしていきたい、というふうに思っております。』
「もしそういうふうになれば」というこの温度の低さよ・・・・・・・
関連してちょっと先に9月会合の利上げ提案がらみの質問があって、
『(問)これまでのところ、9 月の決定会合で 2 人の審議委員が利上げを提案して、その後、野口委員(注)も利上げのタイミングについてかつてなく近づいているのではと発言されました。主な意見でも、物価の上振れリスクについての指摘が多かったんですが、今日の総裁の講演を拝読すると、やはり米経済のリスクおよび関税が日本経済にもたらすリスクと、全体的に経済の下振れリスクをより重点を置いて説明されているように感じました。』
なのでハトハトチキン音頭ということでしたわな。全く仰せの通り。
『ここから経済の下振れリスクと、物価が上振れるリスク、どちらが政策判断上、今大きいとご覧になってるのか、やはり経済を慎重に見極めてから利上げしないと、早過ぎる利上げのコストが大きいと、そちらをより重視されているのか、そのバランスについて教えてください。』
さてこの回答ですが、
『(答)バランスと申しますか、重要そうなリスクを様々にみたうえで、最終的には物価の見通しにそれらが影響するかどうか、そしてその見通しの周りのリスクがどういうものであるか、という判断につなげるということだと思います。経済のリスクについて、余計なことかもしれませんけれども、アメリカ経済をみますと、ここまでのデータを見る限り、労働市場以外は割と堅調に推移しているということかと思います。従って、いろんな機関の標準的な見通しをアメリカ経済が上振れて着地する、期間は難しいですけれども、というリスクもゼロではないかと思います。そういうことも含めて様々なリスクを点検していきたいと思います。』
物価のリスクの話をしないのがもうその時点でやる気ないですしおすし。
・これは笑ったんですけど
『(問)米国の経済状況についてお尋ねしますけれども、現在米国ではですね、一部の政府機関が閉鎖されておりまして、今日予定されております、9
月の雇用統計の発表も延期されるということが確実な状況になっています。こうした現在の米国の情勢がですね、日銀の利上げ時期の判断を遅らせてしまうというようなリスクについてはどのようにお考えでしょうか。』
に対する開口一番がもうハトハトチキン音頭全開でして、
『(答)特に米国経済のデータが公表される時期が遅れてしまうということについては、なかなか深刻な問題だなというふうに思っています。』
は??????別に未来永劫でない訳じゃないし、データ以外にも色々と調べられるでしょうし、そのためにNYの支店とワシントンの駐在員事務所があるんじゃないの?????と思うのですが、初手でいきなり「深刻」とか言っちゃう辺りがもうチキン全開なんだよな〜。
まあその後一応、
『私どもの対応としては、なるべく早く再開されるということを願うとともに、周辺のデータ、例えば雇用統計ですと、雇用統計そのものでなくても同種のデータがいくつかございますので、そこからある程度類推するという作業とか、あるいは今月後半にワシントンで[世銀・]IMF[年次]総会が開かれますが、そういう場所で、現地の政策担当者あるいは金融機関の方々とお会いして、生の情報を手に入れ、それも追加的な材料として判断していくというような作業を続けていきたいというふうに思っております。』
とはフォローしているのですが、だったら初手で「深刻な問題」とか言うなよという話で、出てこないという不便さはあるけれども、以下云々のように別の方法でも状況は把握できます、って説明すりゃいいだけの話な訳で、殊更に「深刻な問題」とか言ってしまうあたりが「利上げ先送りをする言い訳が有ればバンバンフレームアップして優柔不断モードになりましょう」という植田さんのハトハトチキンの心象風景を活写しているなあと思いました、まる。
2025/10/06
〇ということなので10月利上げが微妙になる所ですがここで植田総裁の大阪講演を確認しましょう
なお大阪講演ではご案内のように円安モードになっておったのでお分かりのようにハトハトチキンでしたが・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251003a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 大阪経済4団体共催懇談会における挨拶 ──
日本銀行総裁 植田 和男
・珍しく今回のテキストは半角英数が認識されます
というクソどうでもいい事を指摘しておきたいのですが、最近の金懇挨拶とか講演のPDF版って半角英数をテキスト認識してくれない、という謎の仕様になっていて、引用するときにしゃあなしで補記しているという困ったちゃんなのですが、今回のは何故か補記不要となっていまして(そもそも半角英数成分が少ないというのもあるけど)大変助かりました。
でまあそれはそれで良いのですが、この「半角英数テキスト認識」の有無ってどうせこれ講演テキストを作っているエディターの問題だと思うのですが、茲許の野口さんや田村さんの講演や金懇では半角英数認識しないバージョンだったのですが、総裁のこれは認識するバージョン(ちなみに総裁記者会見のPDFは認識「する」バージョンです)になっている、という辺りは何か考察(妄想)ができそうな気がします笑。
・まあハトハトチキンというかチキンというかですわな
いやまあ結果的にはうっかり10月利上げ決め打ち予告ホームランしなくてセーフだったね(ニッコリ)というお話ではあるのですが、しっかしまあ今回の講演もハトハトチキンともうしますか、要するに単なるチキンさんであるなあ植田さんったらということで、よく言えば慎重なんですけどまあ優柔不断という方がふさわしいんとチャイマスカとは思います次第で、全編普通にハトハトチキンでしたな、でだいたい話は終ってしまうのでありました。
まあアレです、木曜に出ていた「主な意見」を見るとそれなりに高田さん田村さんの利上げ提案に対して議論があり、「利上げの必要は認めるが今じゃない」というようなそれなりに賛同に近い意見も散見された、というような9月決定会合だったのにも関わらず、総裁会見での植田総裁の説明が単に「反対多数で否決されました、以上」だった、という辺りが植田さんの「お気持ち」なんだと思いました。
ということで本編につきまして少々。
・経済の現状の説明文の棒読み感にワロタ
『2.経済・物価情勢』の『(経済の現状と先行き)』ですけれども、まずは経済の現状部分の説明何ですけど・・・・・
『はじめに、経済の現状と先行きについてお話しします。わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復していると判断しています。』
という展望レポートおよび9月会合声明文の認識を踏襲するのはまあ良いんですけど、
『まず、企業部門について、図表1をご覧ください。一昨日公表しました、私どもの短観の結果をみますと、企業の業況感は、日米関税交渉の合意により、先行きの不透明感が後退したとの見方から、製造業の一部で改善し、全体としても良好な水準となっています。』
『図表2をご覧ください。企業収益は、関税政策による輸出採算悪化の影響などが製造業でみられていますが、全体としては既往ピーク並みの高水準が維持されています。右の表で今年度の収益計画をみますと、製造業では、前回調査の6月時点と同程度の
8.6%の減益が予想されています。もっとも、関税政策の影響が相対的に小さい非製造業では、前年並みの収益予想となっており、全体としてみれば、高めの水準が維持される見通しです。』
『図表3をご覧ください。左のグラフの輸出については、本年春先以降、自動車を中心に関税の引き上げに伴う駆け込み輸出とその反動の動きがみられますが、基調としては横ばい圏内の動きが続いています。右のグラフの設備投資は、緩やかな増加傾向が続いており、今年度の設備投資計画をみても、増勢が維持されています。企業の皆様へのヒアリングによれば、デジタル関連投資や人手不足に対応するための省力化・効率化投資など、中長期的な視点で必要な投資は、しっかりと行っていくとの声が多く聞かれています。』
以下続くのですが、もうこの棒読み感(ライブは聞いてないのでこれをどういう感じで説明しているのかは知らんですけど)満載の説明は何なのよというお話ではあります。
でまあその結論ですが、
『このように、米国の関税政策は、わが国の輸出関連企業の収益面にマイナスの影響を及ぼしていますが、これまでのところ、設備投資や雇用・賃金動向を含め、わが国経済全体に波及している様子は窺われません。』
なので何なのかとかそういう判断の説明は一切なしで、
『先行きを展望すると、個人消費は雇用者所得の改善に支えられて底堅く推移するものの、関税政策の影響を受けて海外経済が減速し、輸出や設備投資の下押しに作用することから、わが国経済の成長ペースはいったん鈍化すると考えています。もっとも、その後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率は高まっていくとみています。』
ということでそりゃまあ9月決定会合やったからその公式見解棒読みで何か文句あるかと言われると困りますけれども、結局のところ7月展望の説明と一緒で直近の数値の説明はしているものの、直近の数字が見通しに対してインラインなのか上振れなのか下振れなのかの評価も無し、というやる気のない説明になっておりまして、まあハトハトかどうかは兎も角としてチキンなのはわかりました。
・しかも物価が世の中的に問題になっているのにこっちは直近のアップデートすらないというやる気のなさ
『(物価の現状と先行き)』を見ますとこれがまたアレでして、
『続いて、物価情勢についてお話しします。』
『図表6をご覧ください。生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、足もとで+2%台後半となっています。こうした物価上昇の主因は、米を含む食料品の動きです。水色の棒グラフが物価全体の伸び率に占める食料品価格の寄与度を示していますが、これをみますと、消費者物価上昇の半分以上が食料品価格の上昇に起因しています。食料品価格、とりわけ米価格の上昇は、人々の消費量が突然増えたというよりも、供給サイドの一時的な要因によって生じている面が強いため、これが収まっていけば、消費者物価の押し上げ寄与は次第に低下していくとみています。このため、日本銀行では、7月の展望レポートにおける中心的な見通しとして、生鮮食品を除いた消費者物価の上昇率は、来年度にかけて2%を下回ってくると予想しています。』
7月展望レポート以降の推移についての評価はありませんなあ。
『そのうえで先行きを展望すれば、関税政策などの影響を受けつつも、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率、すなわち食料品などの一時的な変動要因を除いた物価上昇率と現実の物価上昇率はともに高まっていき、展望レポートの見通し期間の後半には、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準に達すると考えています。』
全く7月からアップデートされていない(というか4月展望からアップデートされていない)という話だし、それこそ9月決定会合で高田さん田村さんが「物価」にフォーカスして利上げ提案をしたというのにこの物価の扱いの短さ、という辺りに兎に角植田さんは「経済の下振れリスクガー」状態である、というのが見て取れると思います。
・9月会合の議論を踏まえれば「物価」が重要ポイントになるはずですがそうはならないのがハトハトチキンクオリティ
金曜は真っ先にそこに目が行きました(^^)。『(当面の点検ポイント)』って奴ですが。
『今申し上げた経済・物価の中心的な見通しを巡っては、様々な不確実性が存在します。以下では、当面、わが国の経済・物価情勢を点検するうえで重要と考えられる3つのポイントについて、お話しします。』
そしてその一発目は高田さんや田村さんが指摘する物価情勢ではなくて・・・・・・・
『第1に、海外経済の動向です。海外経済については、各国の通商政策等の影響を受けていったん減速するものの、その後は緩やかな成長経路に復していくと日本銀行はみています。しかし、こうした見通しは、主要国の経済や政策の動向、とりわけ米国経済の今後の展開によって大きく変わる可能性があります。』
はいはい米国経済ガー米国経済ガーということですが、もはやめんどくさいのでその中身はパスします。途中を割愛しまして、
『第2のポイントは、関税政策が、わが国企業の収益や賃金・価格設定行動にどのような影響を及ぼすか、という点です。15%という関税率が決まったことは、関税政策を巡る不確実性の低下に繋がります。そうした関税率を前提とした各企業の新たな経営戦略は、今後、明らかになってくると考えています。』
これを言い出すとまあ年末までは様子見をしますよ、って話になるのですがまあこの中身の方も一応拝読しますとですね、
『今回の短観の結果をみる限り、関税の影響が相対的に小さい非製造業については、全体として、高水準の収益が維持される可能性が高いと思われます。一方、輸出ウエイトの大きい自動車などでは、冒頭申し上げたように、今年度の収益計画は、相応の減益見通しとなっています。』
ゆうて自動車って短観の現状DIって前回から見たらどちゃくそ確りしているんですけどね。
『こうした業種を含め、これまでに蓄積された高水準の企業収益がある程度バッファーになると見込まれるため、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは、基本的に、今後も維持されると考えられます。』
と言ってますが、
『しかしながら、先行き、海外経済や各国の通商政策等を巡る不透明感が高い状況が続くような場合には、企業におけるコスト削減の動きが強まったり、物価上昇を賃金に反映させる動きが弱まる可能性があります。日本銀行としては、今後、こうしたリスクが顕現化してくることがないか、本支店を通じて、企業の皆様の声をきめ細かく確認していきたいと考えています。本日もこの後、皆様の見方をお伺いできれば幸いです。』
どう見てもハトハトチキンです本当にありがとうございました。
でもってやっと3番目に物価の話が来るのですが、この物価の話もですねえ・・・・・
『第3の点検ポイントは、食料品価格の動向です。』
物価の上振れリスクとか、コストプッシュの二次的波及とか、インフレ期待の変化とか、そういう話ではなくて「食料品価格動向」というミクロの話をしている時点で物価上振れリスクの話を小さなスケールに閉じ込めているのがもうねという感じです。
『現在の価格上昇は、基本的に一時的な要因による部分が大きいとみていますが、最近では、人件費や物流費を食料品の販売価格に転嫁する動きも相応に影響しているという指摘もあり、企業の賃金・価格設定行動次第では、価格上昇が想定以上に長引く可能性もあります。反対に、食料品価格上昇の長期化が、家計のコンフィデンス悪化に繋がれば、その分、個人消費が下押しされ、物価上昇率を押し下げる方向に作用する可能性にも、今後、注意していく必要があります。』
とまあそういう話で二次的波及効果の話っぽい表現が無いわけでもないのですが、ただまあ明示的にそういう上振れリスクを想起させるような書き方はしていない、という所がもうねという感じでして、再三再四申し上げているように、高田さんと田村さんは「物価」にフォーカスして利上げを提案していたというのに何ですかこの扱いはということでやっぱりハトハトチキン音頭でありました、というお話。
・金融政策に関してはハトハト音頭にも程が有るわけで
『3.日本銀行の金融政策運営』ってのがありますがこれまたやる気無し無しモードでして、
『続いて、日本銀行の金融政策運営についてお話しします。』
『米国の関税政策導入が公表された4月を境に、内外経済を取り巻く環境は大きく変わりました。』
のっけからこのハトハト音頭。
『関税政策は、米国自身の労働市場や物価情勢を含めて世界経済に不確実性をもたらし、15%というこれまでにない高い関税は、わが国経済の下押し要因として作用することになります。』
は〜〜あハトハト♪
『こうした点を踏まえると、まずは、緩和的な金融環境を維持し、経済活動をしっかりと支えていくことが大切です。』
そもそも緩和のし過ぎの金融環境が本当に経済に(中長期的な意味で)プラスなのかということを考えてほしいもんですが。
『このため、日本銀行は先月の金融政策決定会合において、0.5%の政策金利を据え置きました。』
ということで、利上げ提案があって、しかもそれに対して「利上げに対して理解を示す」議論も行われた筈なのですが、すっかりそういうのはスルーして説明しているのがハトハト音頭。
『先行きの金融政策運営については、図表8でお示ししている通り、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、これまでご説明したような経済・物価の中心的な見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』
7−9の実績がインラインだったのかどうかの説明一切スルーして言われましても空しく響くだけですなあ。
『経済・物価情勢が改善しているかどうかについては、当面は、先ほどお話ししたいくつかのポイント、すなわち、米国を始めとする世界経済の動向、関税政策がわが国企業の収益や賃金・価格設定行動に与える影響、食料品価格を含めた物価動向などを点検していくことになります。』
ということだそうですが、じゃあこれらのポイントの今の時点での走りは何のよというのも無いわけで、要するに利上げを先送りするために理屈捏ねているだけということですわ(溜息)。
『日本銀行としては、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度や、上振れ・下振れ双方向のリスクを丹念に点検し、予断を持たずに、適切に政策を判断していく方針です。』
最後にバランスシートの話があるのだが話にならんので割愛。
・・・・・・ということでまあ想定通りですがハトハトチキンでしたけど、自民党総裁が高市さんになったんでこりゃまたチキンの上塗りになりそうな悪寒しかしないのですが、まあゆうて高圧経済タコ踊りをしているうちに円は飛ぶ飛ぶ炎と燃えて、となって結局利上げに追い込まれることになると思いますし、そうなると利上げの時も今までのハトハト音頭じゃなくて威勢よくいかないと行けなくなると思うんですけどね(個人の感想です)。でもって高市さんが急にメローニとなってしまえばやっぱり利上げ待ったなし(物価上振れですから)となるし、ってなところじゃないのかねえとは勝手に思うのですが(モチのロンだがパスによって長期金利は大きく話が違ってくるので政策金利の話ですよ為念)。