金融庁・銀行経営関連
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2008年度
2009/03/11「ついこの前まで信用リスクだのサブプライム債権保有確認だの言ってたのに・・・・」
2008/12/16「金融機能強化法ねえ」
2008/11/20「この事案はさすがに挙げるべきではないかと」
2008/07/23「色々と大騒ぎした挙句に火消しに走るお笑い金融担当大臣」
2008/07/18「エージェンシー債券保有状況のヒアリングと言う愚行」
2008/07/15「保身的調査(by本石町日記さん)キタコレ」
2008/07/11「国会答弁を見ると金融士やる気満々なのね」
2008/07/04「専門家は転職するなという金融庁様の処分ロジック」
2008/06/06「日本の金融がしょぼいのは金融士がいないからみたいです」
2008/05/20「金融士構想続き」
2008/05/07「金融士構想、早速ボコボコに叩かれています」
2008/05/02「驚愕の金融士構想」
2008/04/17「バーゼルUはややこしくなりますなあ」
2008/04/04「机上の空論敗れたり」
2009/03/11
○集中検査ですかそうですか
<金融庁>貸し渋り集中検査 大手行・地銀対象に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090310-00000128-mai-bus_all
上記URLより。
『金融庁は10日、貸し渋り・貸しはがし防止のため、金融機関の融資態度を調べる集中検査を4月から実施すると発表した。メガバンクを含む大手行や借り手からの苦情の多い地銀などが対象。具体的には、企業の期末越えの資金繰りや住宅ローンなどの個人向け融資に適切に応じているかを厳しく調べ、貸し渋りなどにつながる融資・審査体制の不備が認められれば、業務改善命令など行政処分に踏み切る方針だ。』
(;∀;)イイハナシダナー・・・・・と言いたいところではありますが、何だかなあ感も強いのでありましてですね、ついちょっと前には信用リスク管理をちゃんとやってるかとか自己査定が甘くないかとかご指導しておられたのではないかという件がこれまた常々引用してますがbewaadさんの昨年8月末のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080830/p1)にございますけれども、今度は一転して貸し渋り集中検査で、どうせこの文脈だと「何でこの案件を謝絶したのか」とかが突っ込みネタになるんでしょうな。
えーっとですな、貸出にしてもシンジケートローンにしてもそうなのですけれども、デイトレーダーの株式売買じゃないんですからそうホイホイとポジションをドテンドテンひっくり返す訳には行かないのですよ。そんなスタンスで融資されても融資される企業さんだって全然安定できない調達になるから却って困るというか迷惑でしょう。それから社債投資にしたってある程度の規模の銀行だったらポートを動かした時のマーケットインパクトって結構あるのでこれまたそんなに派手に動けませんがなと思うのですが、そうホイホイと検査スタンス変えられても困るとしか申し上げようが無いのですけれども。
#大体からして各行に対して同じように集中ご指導したら動きが増幅されて大変なことになると思うのですが。もうちょっと自主性を重んじた方が・・・・
ま、方針がドテンドテンするのは上、即ち政治レベルの方の問題であり、別に金融庁の一存でドテンドテンしているわけは無いのですけれども、何かこうbewaadさんのエントリーで引用されている金融庁大森企画課長のコラムからはエライ人のご意向が現場に落とし込まれるプロセスで更に増幅されている感じが伝わりますし、コメント欄見てると金融庁だけの話ではなさそうですけれども、まあこの「貸し渋りケシカラン検査」のスタンスが景気回復した瞬間にドテンとならないことを祈るだけであります。
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2008/12/16
・金融機能強化法が施行されるそうで
「公的資金を導入して中小企業への貸出強化をしましょう」キャンペーンが絶賛実施されるとのことでございますが、つい暫く前までこういうのがあっただけに実際に健全行が手を挙げて中小企業への貸出をジャンジャンっていうのは前途遼遠なんじゃないですかねえ、と人のふんどし。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080830/p1
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2008/11/20
○これはさすがに適合性の原則・・・・
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081119-OYT1T00366.htm?from=navr
駒大、デリバティブ取引で154億円損失
まあ皆様ご案内の通りのニュースですけれども、報道の書き出しがどこでも『世界的な金融不安の影響により』(上記URLより)となっています。本件に関しては朝日新聞の報道の方をみますと、直接の原因は確かに金融危機に端を発した相場変動ですけれども、どうみても運用のやり方がおかしいというか度し難い愚かな行為の結果という感じが伝わって参ります。朝日新聞の記事から。
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200811180350.html
駒大、資産運用損失154億円 キャンパス担保で穴埋め
『大学の説明によると、問題のデリバティブ取引は、主に金利などを交換する「金利スワップ」と「通貨スワップ」の2種で、昨年度、外資系金融機関2社と契約したという。契約額は、日本円で約100億円だった。』
・・・・・・(゜д゜)
えーっと元本以上飛ばしているのですが、何をどうするとそのような器用なプレイができるのかって要するにレバレッジを派手に掛けていたんでしょうけれども。
『少子化で学費などの収入減が見込まれるため、「実のある資産運用をするべきだ」と始めたという。経理担当者が窓口となり、大学理事会も了承した。
』
「アメリカではハーバード大学がどうのこうの」などと経済メディアを中心に鐘や太鼓で宣伝した結果、どシロートが乗せられてご登場の図という見事な鴨生成装置にも程がありまして、落涙を禁じえないのですけれども、まあ本件の論点は「適合性の原則」ちゅう話でしょうな。ということであたくしなりの雑感を。
まずですね、資産運用でリスクものに突っ込むというのはど〜ゆ〜事かと申しますと、個人にしても法人にしてもそこは同じなのですが、てめえの人生あるいは事業に関連するリスクを軽減させる為に行うというのが基本でしょと思う次第。即ち、個人だとしたら稼いだ金を現預金にしておくだけでなく、株買ってみたり家買ってみたりというのは物価や資産の長期的な上昇に対するヘッジでもあったりする訳ですし、輸出企業が為替予約するのは販売代金を円建てで確定させる事によって為替差損食らうリスクをヘッジするというお話でしょ。
となりますと、この大学の場合何がリスクかというのは上記記事にもあるように、「少子化で学費などの収入減が見込まれる」という話ですから、基本的にそれをヘッジするためにどういう運用をすべきかっていうのが議論のスタートになる筈。そうなると金利スワップや通貨スワップしかもレバレッジ付きなどというのはどう見ても本業のヘッジにならないですからやる意味はただの博打(しかもレバレッジ効いてるってあーた・・・・)しかございませんので、「実のある資産運用」とかもうアホかと馬鹿かと。
じゃあどうすれば良かったかといわれますと難しいのですが、「少子高齢化」のヘッジをするのですから、「経済が少子高齢化した場合に益の出るポジション」を組むという話になるのですから(そうじゃない時は本業がウハウハなので投資でちょっと食らってもウハウハの本業がカバーするでしょ^^)普通に長期国債でも超長期国債でも良いですけど、その手の成熟経済対応物件を単純に運用しておけば良いんでねえのと思うのですけれども。
なお、「それだと利益が少なくて意味が無い」というのはそもそも論として本業が儲かっていない(学校法人だから儲かるとかいう表現はあまり穏当じゃないですが、苦笑)という問題が発生しているのですから、運用で頭を悩ます前に本業のスクラップアンドビルトを行うのが先決であろうかと思いまする。
でもまあこの手の商品って持ってこられるスキームって基本的にそーゆー事情を斟酌して持ってくるなんちゅう例が中々無い次第でして、「2年VS20年の金利スワップ何倍版」(イールドカーブがスティープすると儲かるが逆に行くと死亡)とか単に目先の出来栄えが良い商品を売って回るアホウに買うアホウがいて何だかなあとか思った(超昔にそんなこと書いたこともあった気がしますが)などという事例は枚挙にいとまなしという所でございまする。
で、今般の事例ですけれども、こりゃどっからどう見ても売る側は相手がやってる運用が根本的に勘違いしている上に、過大なリスク背負わせて背水の陣の鉄砲バクチ打たせてるの気が付くでしょ普通に顧客の財産状況とか把握してたらと思う次第でして、こりゃ売った側は顧客に対する商品販売上の「適合性の原則」を遵守していると主張するの無理があるんじゃないですかねえと思う次第。てか監督官庁様におかれましては、こういう事案をよく精査して悪質営業員および悪質販売業者がその過程で見つかれば厳罰でじゃんじゃんしょっ引くべきであろうかと思いますけれどもどうでしょうかねえ。これさすがに野放しはどうかと思いますよ。
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2008/07/23
○これは見事な火消しですね(棒読み)
15日の渡辺大臣様の会見
http://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2008b/20080715.html
『日本の金融機関もGSE(政府支援機関)債を大量に持っております。また、GSE債はアジア勢、なかんずく日中の官民で持っている部分がかなりあるわけです。したがって、この問題は対岸の火事というわけにはまいりません。我々としても、警戒水準を高くしてこの問題は注視をしてまいりたいと考えております。』(赤字強調は引用者による^^)
『ディスクロージャー(開示)が非常に求められることであろうかと思います。我々もきちんと警戒水準を高くしてウォッチをしてまいります。』(赤字強調は引用者による^^)
『私のところの(金融市場)戦略チームで調べましたところ、これはアメリカの財務省の方の資料でしょうか、GSE債といっても別にファニーメイ、ジニーメイ(連邦政府抵当金庫)だけではありませんが、GSE債のアジアの保有額が大体8,000億ドル位でしょうか、(具体的数値部分引用割愛)したがって、日中で非常に多くのGSE債を抱えているという現実があるわけでありますから、これはもう他人事ではないということであります。』(赤字強調は引用者による^^)
とまあそんな質疑応答(の答え部分の一部を引用してますが)があったのですが、昨日の会見では(まだ金融庁のサイトにはアップされていないのでロイターのニュースから)・・・・・・
昨日の記者会見記事(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/foreignExchNews/idJPnTK013799520080722
『渡辺喜美金融担当相は22日、閣議後の会見で、米国の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N:
株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N:
株価, 企業情報, レポート)など政府系住宅金融機関(GSE)の発行する債券を日本の金融機関が大量に保有していることに関連し、「GSE債を売るのはある意味で、自分で自分の首を絞める行動になる」との見方を示した。』
いやあこれは随分と迅速な火消しですなあ(棒読み)。
『GSE債は米国当局が支援策を打ち出したことから「債券そのものはきちんと保護されるというのが、この(市場の)世界の一般的な評価なので、その点は安心をしていいだろう」とした。ただ「金融当局として、民間金融機関に(GSE債を)売れとか売るなというつもりはない」と語った。』
15日は「対岸の火事」などとまるで対岸である所の米国様が火事であるかの様なコメントをしていた人がいたようですが(−−)。
『金融庁は、日本の金融機関のGSE債の保有状況を調査しているが、渡辺金融担当相は「エージェンシー債とモーゲージ債の保有の全体像がより明確になることが必要だ」との観点で調査していると強調し「こうした債券を保有することがまずいということではない」と指摘した。』
保有の全体像が明確になることが必要でも、売却するなとはこれまた蒟蒻問答もビックリの禅問答でございますな。
ちなみに、全然違いますが、債券先物が止まってるのおおごとなのに大臣様『デリバティブの売買システムに障害が発生したと聞いている。現物取引、立会外取引は可能なので、一番大きなところの障害は生じていない』ってどう見ても東証の舌先三寸釈明に担がれてますよ〜っと。
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2008/07/18
・エージェンシー債って普通持ってるだろうよ
今朝のニュースでも話題になってますが、もう外貨関係の部門ではヒアリングだの取材だのがうるせえの何のという状態のようで、関係部門の方々には深くご同情申し上げます。同じ話を何であちら様やそちら様やこちら様にしなきゃいかんのよと。
実態問題としてどうなのかという話は例によって厭債害債さんのエントリーとか、本石町日記さんのエントリーを参照されたいのでありますが。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200807/article_9.html(害債さんところ)
http://hongokucho.exblog.jp/9081324/(本石町日記さんところ)
で、保身的ヒアリング(本石町日記さんの用語を借りますね^^)がうるさくなると「じゃあもう持たねえよ」とかいうインセンティブが働きかねませんので(インデックス運用ならそんなことはないですけど)それこそ笑い話的展開を読みながら笑いが微妙に引きつるあたくしがいるのでありました(-_-メ)。
でもまあ報道的には絶好の燃料投下ネタみたいなので、誰とは言わないけど「エージェンシー債を持っている状況が怖い話だ」みたいな煽りをかます外野さんが出てくるのよね。FED適格担保なんですけどねえ・・・・どこぞの野球監督さんのコメント(?)じゃないけど、(自粛)じゃなかろかルンバ♪とか歌いたい気分ですな。
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2008/07/15
○脊髄反射的「調査」は勘弁して欲しいのですが
あたくしの耳ベースの話なので勘違いでしたら誠に申し訳ありません。と最初に謝っておいてから少々悪態をば(^^)。
今日の日経新聞に載っているようなのですが(まだネット版には反映されておらず、モーサテのお話ベース)、今回の騒動を受けて金融庁様におかれましては「おまえらのFNMAとかFHLMCの債券保有状況をとっとと報告しやがれ」という「緊急調査」をするそうですね。
・・・・・えーっとあのですね、債券に関しましては米国当局様が少なくとも短期的にはどうにかするという姿勢を出したのですし、それ以前の問題と致しまして3月末の決算財務諸表をご提出したばっかだと思いますが。
現場労務者的に申し上げさせていただきますと、その手の「緊急ご報告」資料作成で手を取られることによって肝心の情勢推移ウォッチに掛けられる労力が落ちる(よほどの巨大組織でもない限り結局そういうものは現場に何らかの作業が降って来る)んでありまして、管理する人たちのお立場的に「俺はちゃんと管理してるんだぜ凄いだろ」ってアピールしたいのは判りますが、あんたらの自己満足的「管理」によって肝心の現場の労力を削ぐのは本末転倒にも程が有るというものでございまして、勘弁していただきたいものだと思います。
大体からしてBIS関連とかで金融機関は6月末のリスク資産とかも報告するんですから、このタイミングでそんな脊髄反射のような「緊急調査」というのはちと何とかならんのかと思いますがねえ。何のための四半期決算なんだよという気がするんですよね。長官様も今回の施策について評価してるんですし・・・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/reuters/20080714/165333/
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2008/07/11
○やっぱりやる気満々なのかなあ・・・・・とほほのほ
東京金融街構想というのが出た辺りから「こいつら大丈夫か」と思わせる構想を打ち出す人が横行する金融関連の政治からのご提言の連発ではございまして、SWFとか勘弁してくれと思うのですが、より勘弁して欲しい金融士の話。
4月の末に打ち込まれて業界の大爆笑を買った「金融士」構想でございますが、業界の大爆笑を買ったことを意識してか渡辺大臣は5月9日の会見(5月20日の駄文でネタにしました)ではややトーンダウンしてこんな話をしてました。
『答) 資格を作ることを決め打ちしているわけでは全くございません。金融専門人材を養成するにはどうしたらいいだろうか、という問題提起をしているところです。懇談会においては、民間資格も含めて議論をしていただいたわけです。このような金融専門人材、なかんずくコンプライアンス関係に詳しい人たちがいろいろな分野に散らばって配置されていれば、コンプライアンス感覚の共有が相当できるようになると思います。発行会社にも証券会社にも自主規制機関にも、また監督当局にもそのような人材が散らばっていることによって、いわば生態系の秩序が維持されるようになると思います。そうすると行政のコストは肥大化せずに済むようになるわけです。』
この生態系の秩序って何じゃらほいとしか言いようが無いのですけれども、どうせ誰かの入れ知恵あわわわわ。
で、他の事調べてて国会会議録みてたんですが、5月29日の参議院財政金融委員会(直リンのアドレスが良く判らなかったのでリンク割愛します、すいません)で金融士ネタの質疑応答をしておったのですな。なお、発言番号25〜28部分になりますのでご覧になるかたはそのあたりを見てね。
『○大久保勉君(前半割愛)続きまして、いわゆる金融庁の職員の資質の向上ということがベター・レギュレーションでうたわれております。これに関連して質問をしたいと思いますが、金融庁や証券監視等委員会の検査官の質の向上は私は非常に重要だと思います。金商法ができて、実際にそれをいわゆるつかさどっていく現場といいますのは、検査官の質だと思っております。そこで、十分な金融知識を持った金融庁の職員、さらには銀行員、証券マン、さらには企業財務関係者の育成が日本の金融界の課題だと思っております。そこで、金融庁は、現在、金融士の資格制度を早急に創設すべきだということを考えていると聞いております。この金融士というのはどのような要件で選ばれるのか、また金融士はどういう仕事をするのか、この点に関して金融庁に質問をしたいと思います。』
釣り質問じゃないのでしたら大変に頭痛がするのですけれども・・・・と思いながらどこかでこんな話聞いたことあるなと思ったら、本石町日記さんのところでネタになってた「大機小機」の論調じゃんと思うあたくしなのでした。「さらには企業財務関係者の育成」ってあたりを見て思っただけなんですけどね(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/8719781/
『○国務大臣(渡辺喜美君) 日本に残念ながら金融専門人材が至る所に配置されているという状況にはまだなっていないと考えております。こういった金融専門人材が、共通のセンス、コンプライアンス感覚を持って、監督当局にも発行会社にも証券会社にも自主規制機関にも散らばって配置されていますと、世の中の生態系の秩序というものは非常に良好に保たれていくのではないでしょうか。そうした観点から、金融専門人材に関する研究会を設けまして、仮称でございますが、金融士といった資格の創設を含む基本的なコンセプト案をまとめたところでございます。(ということで以下例の金融士構想の話と同じなので大体割愛)仮称、金融士といった資格は、金融専門知識の習得の目標あるいは一定の能力水準のシグナルとして機能することが考えられます。公的セクターと民間セクター双方に幅広く人材が育成、確保されることで我が国金融の競争力の強化に資するものと考えております。』
とまあさっき引用した会見にもある「世の中の生態系の秩序」が出て参りました。どうも渡辺先生に置かれましてはこの表現がお気に入りなのでしょうが、正直何を言いたいのかが全く判らない表現でございまして、頼むから日本語はわかりやすくお願いしたく存じますと思うのであります。しかし「一定の能力水準のシグナル」って言われましても証券アナリストだってシグナリングの役に(自主規制)。
で、この提案はマジなのかギャグなのか判らないのですが。
『○大久保勉君 一つ、これは提案なんですが、金融大臣に質問したいんですが、金融士の資格を持った検査官にはいわゆる専門職として適切な俸給表を適用するとか、また、国税職員が退職後税理士の資格を持って活躍できるように、金融士の資格を持ったらそれなりに社会で活躍できるような仕事をつくったらどうかと思います。このことで検査官の質が向上し、また金融界の質も向上していくと思います。こういった提案ですが、どうお考えでありますか。』
本気で言ってるならこの先生証券会社に勤めてた時のことすっかり忘却してるようで、記憶方面に何らかの不具合があるのではないかと大変に心配でございます。
『○国務大臣(渡辺喜美君) そういう御議論は大いにあり得ると思いますので、今後検討してまいりたいと考えます。』
どう見てもやる気満々です。本当にありがとうございました。
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2008/07/04
○人のふんどしコーナー:専門家は転職するなということですね!
いつものように厭債害債さんのところから。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200807/article_2.html
『処分理由のひとつにあげられている「採用後間もない職員に対する情報の中枢部門への配属」という点が問題となるのであれば、専門家の中途採用などありえない、ということになる。本当にそれでいいのか?たとえばクレジットの専門家を中途採用しても即座に審査部門やM&Aに配属してはいけないということか?では誰がそういう案件を担当するのか?』
えええええ!そりゃ困りますなあとか思ってエントリーの中にある処分内容のリンクを見たんですが。
http://www.fsa.go.jp/news/20/syouken/20080703-4.html
えーっと・・・・
@社内の情報管理態勢に全く問題がなかったとは言えないこと
・職員の職業倫理に関する研修の実効性等の問題
・コードネームの使用の不徹底、ホワイトボードの記載方法の不統一
・採用後間もない職員に対する情報の中枢部門への配属
(機種依存文字を使用してますが原文ママなので勘弁してね)
ということですので、害債さんご指摘のように、そんな部門に外部採用の人をいきなり登用したら駄目だって事ですね!トレーディングのフロント業務とか運用のファンドマネージャーとか持っての他ですよね!
というか部長だの執行役員だのって情報の中枢部門になると思うのですが、そういう所にも採用後間もなく配属しちゃいけないということですね!
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2008/06/06
○人のふんどしコーナー
といえば本石町日記様なのでございますが(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/8719781/
そういや金融士(笑)のパブコメって今日締め切りですので、関連エントリーをコピーして本石町日記様是非お送り頂きたく存じます。(http://www.fsa.go.jp/news/19/sonota/20080430-1.html)何せ「氏名又は名称、住所、所属及び理由を付記の上」ということでございまして、所属っていう文言を見て固まってしまったチキンなあたくしとしては以下自主規制(苦笑)。
そのエントリーの中でリンクがあります磯崎さんの関連エントリーで触れられている「プリンシバルベースの規制」に対する指摘とか、コメント欄に登場する金融機関の中の人らしき指摘は泣かせて下さいますです、はい。
あ、それから本石町さんのエントリーですが、ゴシック体で強調された部分を読んで爆笑の発作が起きたことを念の為付け加えます(笑)。
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2008/05/20
○金融士構想続き
5月9日渡辺担当大臣様の記者会見から。
http://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2008a/20080509.html
『問) 先週、金融庁、金融専門人材に関する研究会が出しました(金融専門人材についての)基本コンセプトについてなのですが、大臣は過去、著書の中でご自身も「金融サービス士」という資格制度について言及されているのですけれども、これから広く意見を募るということでまだ形がどうなっていくのかというのは見えないのですが、民間の方では趣旨をめぐって不安に思っている方もいらっしゃるようです。改めて資格制度についてお考えをお聞きしたいと思うのですが。』
いやあの趣旨をめぐって不安なんじゃなくて民間総出でブーイングなのですがまあ質問するだけエライか(笑)。
『答) 資格を作ることを決め打ちしているわけでは全くございません。金融専門人材を養成するにはどうしたらいいだろうか、という問題提起をしているところです。懇談会においては、民間資格も含めて議論をしていただいたわけです。このような金融専門人材、なかんずくコンプライアンス関係に詳しい人たちがいろいろな分野に散らばって配置されていれば、コンプライアンス感覚の共有が相当できるようになると思います。発行会社にも証券会社にも自主規制機関にも、また監督当局にもそのような人材が散らばっていることによって、いわば生態系の秩序が維持されるようになると思います。そうすると行政のコストは肥大化せずに済むようになるわけです。』
コンプライアンスの話が強調されているようですので、要するに今の金融業界の中にいる連中は法令遵守の意識が極めて低くお話にならないというわけですね、わかります。
『我々は金融自由化の流れの中で、護送船団方式を止め、つまり事前の統制方式を止めたわけです。事前の統制というのはある意味では行政のコストが非常に小さくてすむわけです。箸の上げ下ろしまで統制していくわけですから、そんなに大きなコストは必要ないのです。しかし、事後チェック方式に大転換するということは、民間にはどうぞご自由にやってください、一方ルール違反は徹底して取締りを強化します、という一般的な流れなのです。そうすると、逆に行政のコストが非常に高くなってしまうということがあり得るわけです。』
一般論としてはそりゃその通りですが、事前の統制方式を止めたとかあの金商法関連の(以下物凄い勢いで自主規制)。
『したがって、我々は行政のコストを肥大化させずにルールとプリンシプルに基づいて民間がより自由な経済活動ができるようにするにはどうしたらよいか、ということを考えた結果、やはり金融の専門人材が圧倒的に不足しているのではないか、と考えてこのような提案をしたところでございます。是非、いろいろなご意見をお待ちしております。』
ただのコンプライアンスオフィサー養成の為にわざわざ新しい制度を導入するのですか、意味判りません。というか別に資格をなんぼ作ったってそれとこれとは別問題ですし、既に証券外務員やら内部管理責任者やら証券アナリストやらで行動規範がどうのこうのとかやっておりますけれども。既存の内容を充実させれば(既に十分充実してると思いますが)宜しいのではないでしょうか。
あと、話は違いますが、昨日夕方に『「ベター・レギュレーションの進捗状況について」の公表について』というのが出てたのかな。
http://www.fsa.go.jp/policy/br-pillar4/20080519.html
肝心のレポート中身(上記URL先にリンクがあります)は読んでませんが、本文を読んでいて中身を読むのがある意味楽しみになってきた部分が。
『本レポートをまとめるにあたっては、金融庁の監督対象者に対しアンケート調査を実施致しました。』
いろんな意味でご苦労様でございます。
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2008/05/07
○金融士構想・・・・・
金曜に人のふんどしシリーズでご紹介した本石町日記さんのエントリーですが、さらに新しいエントリーが出まして、そちらにもコメントが集まっております(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/8517972/(最新のエントリー)
http://hongokucho.exblog.jp/8511113/(元のエントリー)
コメント欄の盛り上がりっぷりも中々面白いのでそれもご参照という感じですけれども、やはりまあ大臣様の肝いり構想のようでして、金融庁の中の人たちがオリジナルで発案したものではないようなのでとりあえずホッとしました。これが金融庁の中の人たちが大真面目に考えて構想してたら絶望モノだったんで(^^)。
しかしまあコメント欄の受け売りになっちゃいますけど、「高い付加価値を生み出す」金融士の資質って何なんでしょうねとあたくしも思うのでありますよ。まあ金融工学(笑)とやらを駆使して付加価値(笑)とやらを生み出すと言えばもう昨今話題の「貧乏人向け特攻ローンを証券化するとなぜかAAA」って奴でございましょうとか言い出すあたくしは偏見にも程がありますですかそうですか。
エントリー及びコメントでもう色々と書かれていますので、その通りでございますなあという感じですが、どうも金融担当大臣というのはここ2代に渡って「リスクゼロで儲かる仕組みを作るようなSWF構想」とか「金融士構想」とかどこの出入り商人に吹き込まれているんだかっていう人が連続して就任しておりまして誠に遺憾でございます。どっちも安部晋三総理大臣様が任命したお方でしたわ(当代は安部内閣からの留任ですが)なと思うと今更ながらに安部内閣さっさとコケて良かったですねえとしか思えませんが(苦笑)。
「出入り商人の言うことをホイホイ聞いて身上潰す2代目(3代目?)馬鹿旦那」の図がまたも出たかということで。はあ。
ところで、この「金融士」構想ですが、この話を聞いた時に「金融」「資格」と出た所で思い出したのが、我らがキムタケ先生がおっぱじめた「ファイナンシャルプランナー認定」でございます(^^)。
http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2004/06/post_8.html
この認定試験ですが、何となく機能しているみたいですな、ふーん。
http://www.acifa.jp/index.html
まあ名刺にこれ刷っているのは残念ながら見たこと無いのはあたくしが独立した立場じゃない金融関係サラリーマンだからですかそうですか。
しかし知識量はともかく、独立性がどうのこうのなんて認定されるもんじゃあねえだろうと思うのでありますし、そもそも税制などはコロコロ変わるものなので、知識の量で勝負するんじゃなくて基本的な部分および、「どこをどう調べれば正確な知識があるか」(最終的には所轄の税務署に確認なんですけどね)という調べ方と、その知識をどう使うかなんだと思うのですが。
AFP試験のケーススタディーの設問を見てて「その課題設定(住宅ローンを抱えているのにアホほど生命保険に入っていて単月のキャッシュフローが赤字な給与所得者だったかな)はそもそも有り得ない話で、これやって意味あるのかよ」というのを見たって話を大昔した覚えがありますなあなんてのを思い出しましたよ。すげえ昔の話ですが。
まあそれは兎も角として、どうもこのメンバー見てますとキムタケ先生とかどこぞの経済評論家とか、山本さんやら渡辺さんにウケが良さそうな人が並んでいますがさすがにそれは邪推にも程がありますですかそうですか(汗)。
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2008/05/02
という話の前に金融庁が凄い釣り師振りを発揮している件につきまして。
○いやもうこの構想誰が言い出したんですか
本石町日記さんの最新エントリーに驚倒。
http://hongokucho.exblog.jp/8511113/
コメント欄とあわせてご覧になりますと宜しいかと存じますけれども、1か月遅れのエイプリルフールにしか思えないハイブローな金融庁の釣り師ぶりに驚倒せざるを得ません。いやまあやっぱりあの大臣じゃあしょうがねえなあと思うのであります。ってこんなの普通に考えて大臣の肝入り構想でしょって思うのですが、もしこの構想、金融庁様においでになられる優秀なるキャリア官僚様が真面目に考えて作っているのだったら絶望モノなんですけど。
と、日本の証券アナリスト(しかも取ったの10年以上前)しか持っていない(証券外務員とか保険の窓版とかありますけど)でもちゃーんと法令諸規則に遺漏無く実務を回して顧客様のお役に立っている(と思っているのは本人だけかもしれないが)あたくしは思うのでありました。
金融庁様がご意見募集中のようですので是非ご意見を(^^)。
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2008/04/17
○ますますややこしくなってまいりました
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/data/bis0804b.pdf
バーゼルU関連でございますが、銀行システムの強靭性強化のための対策公表ということで、色々と出ている(えーっと、これもまた日本語訳版ですいません)のでありますが、斜め読みした限りでは色々と施策がでるようで誠にご苦労様です。
しかしつらつら読んでますと・・・・・
『したがってバーゼル委は、IOSCO(証券監督者国際機構)と協力の上、既に提案した「追加的デフォルト・リスク」のガイドラインの対象を拡大し、トレーディング勘定における他の潜在的なイベント・リスクをも含めることとする。このイベント・リスクに対する自己資本賦課が導入されるまで(2010
年を予定)の間、トレーディング勘定に保有される複雑な証券化商品に対しては暫定的なルールが適用される。』
イベント・リスクって定量化できないからイベント・リスクなんじゃないでしょうかと思うあたくしは金融工学無知なトレード現場叩き上げですかそうですか。プレーンな商品で構成したポジションだってマーケットの急変で何が起こるのよってのは時に想像の斜め上を逝く(今年の3月なんぞまさにねえ)のでありますけれども、複雑で流動性の低いクレジット関連商品(引用部分にはありませんが、今回のお題としてはその辺りなのです)のイベント・リスクってどうやって計量化するんでしょ。
そこまでやるなら元本管理してグロスポジションの枠を作る方がよっぽどマシだと思うんですけどね。管理という意味ではそっちの方が手間(=コスト)も掛からんし。どうせこういうもんを計量化しても計量化方式の穴を突いた最新の金融工学を駆使した商品(笑)が出てくるに1万ジンバブエドル。
それから、リスク管理実務の管理だの流動性管理だの、まあ定量化するのがご苦労なこったとしか言いようが無いお題が並んでおりまして、またこれで関連部門の中ではデスマーチが続くのでしょうなと中の人には同情を禁じ得ません。
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2008/04/04
○机上の空論敗れたり
また人のふんどしですが。
http://hongokucho.exblog.jp/8303184/
昨日の日経新聞で記事になってましたけど、金融庁がスコアリングモデルの推奨を取り下げたようで誠に結構。で、このスコアリングモデルなんですけど、話が出た時に既に市井のあちこち(というか金融関連のネットで書き書きしてる金融現場の人たちですが)から「いやそのりくつはおかしい」という指摘が出てたのですが、何せ当時は日本の銀行は遅れていてケシカランとかシバキアゲが必要とか、米国様の先進的な手法を学ぶべきだとか、もう米国帰りのMBA持ちコンサル様およびそのイタコにでもなったかのような人たちの声がでかかったもんで。
例えばね、ただの自慢かもしんないけど、あたくしだって金貸しの手先をやってた事があるんで、スコアリングモデルの推進とかの後、中小企業対策でリレバンとか言ってたのがアホラシスと思ってこんな事をかいてましたんよ。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/fsa04.html
(ここの2004年12月29日のあたり)
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/fsa03.html
(この時期は全面的にそのあたりの話になってます)
もっとまえにも書いてたのですが、それはまだサイトにアップしてないのでスイマセン。
で、上で書いた頃の文章にはないですけど、スコアリングモデル推進の話が出たときに「そもそも日本の中小企業は税制等の関係から企業に内部留保するよりも代表者の個人に収益を還流した方が有利になるので、企業の内部留保はすっからかんだけど代表者はちゃんと資産持ってるというのは普通に存在するのですよね。そんな企業でスコアリングがどうのこうのと言われましても・・・」ってな話をしておったんですよね。まあ既存の銀行ならそうは言っても無茶な融資には銀行員的な常識が機能してブレーキが掛かったんでしょうけれども、新銀行ではそれもままならなかったという事でしょうか。
都銀が鳴り物入りで始めた無担保ビジネスローンとか、アウトバウンド営業とかも最近めっきり話を聞かない(というかビジネスローンなんかは撤退してる所も多かったと思います)ですなあということで。
で、本事案とは話が違いますが、先般こんなニュースも。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080319AT2C1801O18032008.html
(どうせ来月の今頃はリンク切れなので)上記記事より。
『新銀行東京、無担保・無保証融資を廃止』
『経営再建中の新銀行東京(東京・千代田、津島隆一代表執行役)は4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。2005年の開業当初から、中小企業の資金繰り対策として看板に掲げてきたが、不良債権の急増で継続が困難と判断した。今後は担保や保証が付いた融資を中心にする計画。(以下割愛)』
連帯保証人制度を廃止しろとか(ま、昔よくやってた「包括根保証」ってのはどうかと思いましたが)、担保や保証人に依存しない融資をするのが素晴らしいとか言ってた連中オラオラ出て来いやって感じでございます。そりゃまあ担保価格から逆算して金貸すんじゃアホウですけど、担保や保証人(聞いた話ですけど、最近は限定根保証か特定債務保証が推奨なんですよね)というのは、預金者様からお預かりしている大切な貸出原資を保全する為の補完として重要でございますよって思う次第であります。
まあ机上の空論が撃破されるのは結構なお話ですが、問題はこの撃破までに費やしたコストでございまして・・・・・・(-_-メ)
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