トップページに戻る
月別インデックスに戻る
(各日付の最初にラベルを「130501」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます)
2013/05/31
お題「国債買入のマイナーチェンジ/短国レートなどが急低下キタコレ/FOMC議事要旨ネタ」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNMO6G6S972901.html
米国株:反発、GDPや失業保険申請受け緩和策継続との観測
更新日時: 2013/05/31 05:21 JST
今に始まった事ではないが経済指標が強くても弱くても好感する米国株式市場って・・・・・・・
○市場雑談メモ
・国債買入の6月以降についての内容が公表されたとな
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130530b.pdf
当面の長期国債買入れの運営について
ということで鑑賞。
『1.買入金額
毎月7兆円強程度を基本とする。ただし、政策効果の浸透を促すため、市場動向を踏まえて弾力的に運用する。』
・・・・・・・・ということなのですが、「2年で2倍を前倒しでその前に2倍到達もありえますよウッシッシ」という形にしないままで「弾力的に運用」というのは実は運営的に難しい話でして、金利上昇してるからさあ前倒しで買いますかとしちゃいますと、買入ペースが年度縛りになっているので、年度の後ろの買入が減ってしまうという計算が出来てしまうので、「後ろの買入が減るのは需給不安に繋がる」とかそういうオモシロ状態になるに1万ドラクマ。
前回のMPM後の会見で黒田さん全力で年度ペースの前倒しを否定してたのがちょっとどうなのと思った訳でして、別に前倒しで買うのに対してフィージブルなのであれば緩和効果を前倒しで出す話なのですから問題ないじゃないのと思うので、否定するという発想がイマイチよく判らないのですけど、これは「2年で2倍にするのですがもし市場状況が可能であれば前倒しで達成していきます」っていう話とセットにしないと却って現場がやりにくいと思いますけどどうでしょう。
まあそういう意味ではこれは基本的に抜かずの宝刀になるんだと思いますけれども、一応ホイホイ金利が上昇した時にはそれなりに止めが入るという姿勢を見せたってえ事じゃないですかね。あまり弾力的にやり過ぎると朝三暮四の法則(違)になりそうな気がしますが。
買入対象銘柄と買入方式(コンベンショナル方式)については同じ(当たり前)なのでまあ良いとしまして。
『3.国債種類・残存期間による区分別の買入金額
別紙のとおり
4.買入頻度
月8〜10回(営業日)程度(必要に応じて回数を増やすことがある)』
買入頻度については別紙(次のページ)を適当に組み合わせて頻度を上げるということのようですが、では別紙の方を従来と比較してみませう。
<当面の月間買入予定>の所を見るとこうなるようで
〜1年:1,100程度×2= 2,200程度
1年〜5年:5,000〜7,000程度×6=30,000〜42,000程度
5年〜10年:4,500〜6,000程度×6=27,000〜36,000程度
10年〜:2,000〜3,000程度×5=10,000〜15,000程度
(変国物国は割愛)
でまあ合計が7兆程度になるという数値にするそうですな。
5月の買入は予定時点でこうなってましたが。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130418d.pdf
〜1年:1,100×2= 2,200
1年〜5年:6,000〜7,000×5=30,000〜35,000
5年〜10年:6,000〜7,000×5=30,000〜36,000
10年〜:2,000〜3,000×5=10,000〜15,000 2,000〜3,000×4=8,000〜12,000(5/31追記:何をどうコピペミスしたのか判らんのですが間違えておりましたので訂正いたします。誠に申し訳ございませんので謝罪はしますが賠償はしません)
(変国物国は割愛)
5月は合計が7.5兆円なので単純比較すると数字が合わなくなってしまうのですけれども、とりあえず「中短期を落ち着かせる方が金利が落ち着きます」という要望にお応え(?)して中短期を厚めにして、もともと発行量対比で買入が大杉だろという中長期部分にしわを寄せた形になっており、バランス的に超長期をここから削るとデュレーション2倍の方が厳しくなるので(7.5兆円対比でみたら減っても変では無い)(5/31追記:そこはちゃんと計算して改めて訂正します)超長期の方は維持増加(5/31追記:間違えておりましたので訂正します)となっておりますな。
まあ実際問題どうなのでしょうかとは思うのですけれども、もうちょっと小分けにするのかなとか、中期と超長期にもうちょっと傾斜するとかやるのかとも思いましたが、まーそこまで過激に変更という感じではなくて、マイルドに変更してみましたよということですかよく判りませんが。
あとまあ今回お洒落なのは別紙の数値に悉く「程度」というのが付いていることでして、書いていてあまりにもうっとうしいので回数の方の「程度」を省略しちゃいましたけれども、本当はオファー回数、一回当たりオファー金額、合計のすべてに「程度」というのが付いていまして、調節課の方にあんじょうよくやっといてくれやという事ではございますなという話。
とは言いましても、まあ先ほども申し上げましたが「全体としての買入スケジュールを前倒しする」という選択肢を総裁が否定するという(正直これはチョンボだと思うのですけれども)発言をしやがっているので、そうなると現場的にもあまりバンバン前倒しってやり難いんじゃないのとは思うんですが、これがまた皆がやり難いよね〜と思った頃にちょっと月の買入を一杯だけおかわりとかするといい感じでサプライズになったりしますので(^^)、あまり決め打ちしないようにしておきますね。
・短国入札&GCレートェ・・・・・・・・・・
昨日の3MTB入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130530.htm
(3)募入最低価格 99円98銭0厘0毛 (募入最高利回り)(0.0802%)
(4)募入最低価格における案分比率 16.5280%
(5)募入平均価格 99円98銭1厘1毛 (募入平均利回り)(0.0758%)
先週の3MTB入札は0.0938%/0.0942%でごじゃりまして、まあ素敵に金利が低下しておじゃりますなあという所ですが、そらまあ足元短期市場ではゼニが唸りをあげておられますので致し方なし。
・・・・・・ではあるのですが、市場推計のいわゆる不明玉が2兆以上とかありまして、えーっともしもし何でまたこんな金利水準でバサッと買うのよ誰よそんなニーズあるのは???と思ってしまう訳なのですが、まあレポレートの方を見るとさもありなんという話になるのでございました。
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート
時系列データの方は「東京レポレート(一覧)」の方を見ると吉(リンク先はエクセルなので直リンしません)でして、水準を見るのはそこのT/N取引レートを見るのが吉なのですが、ご覧になれば判るように今週に入って絶賛低下傾向となって、水曜が0.075%で木曜が何と0.048%ということで何か今年の3月末を彷彿させるような(そこまでではないが)あばばばばー状態になっておりまして誠にアレ。
シグナルだの短国買入だのバカバカ実施した上に財政要因とかで日銀当座預金70兆円オーバーとなっているのもあるんですけれども、何でまたこの時期に急に短国やレポのゾーンに金がうじゃうじゃという状態になったのやらという所ではございまして、まあうじゃうじゃのお金が長いゾーンにお出掛け頂くまで続くんでしょうかねえこの傾向、よくわかりませんが。
・流動性低下病が株式市場の方に伝染したようで
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNL0FL0UQVI901.html
日本株は大幅反落、米政策や欧州懸念で全面安−午後崩れる
更新日時: 2013/05/30 15:46 JST
まあ何ですな、日経平均先物が一番値動きが理不尽なように見えますけど、昨日も引け際の最後の最後に突如日経平均株価(現物インデックスの方)が100円以上ワープするとか何やってるんでしょうかと思うのですが、こうなりますと値動きが激しくなるような取引所売買システムってどうなのでしょうかと(あたしゃ高速売買対応云々の話が出る度に一応悪態はついているのですけど)思いますけどねえ。何か日経平均の寄与度が高くて品薄の銘柄がビュンビュン値動きして先物がビュンビュン値動きするとか如何な物かと思うのですが・・・・・・・・・
まーいずれにせよ債券の流動性低下病が株式指数先物の方に伝染とかどういうことですかねと存じますが、しかしまあ日経平均ベースでは5月の上げを全部お返しとか何という相場という事ではございますな。
・まあ市場雑談でも無い上にどうでも良いが
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL300O4_Q3A530C1000000/
浜田内閣官房参与、株価急落「そんなにびっくりしていない」
2013/5/30 16:57
『荒い値動きが続く市場に対し感想を求められたが「しゃべるなと叱られたので、今がどうとは言えない」と言及を避けた。』(上記URLより)
ほほうwww
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE94T04L20130530?sp=true
長期金利上昇には日銀が適切に対応、市場動向を注視=経済再生相
2013年 05月 30日 17:38 JST
最後の所ですけどね。
『期待に働きかけてデフレマインドを変える──。アベノミクスのポイントについて甘利担当相はこう語り、「デフレマインドを一変させるためには、戦力の逐次投入ではなく、戦力の同時集中投入を行うことだ。成果があがるまで徹底的にやり続ける。(アベノミクスの)成功の秘訣は成功するまでやりつづけることだ」と決意を語った。』(上記URLより)
「成功の秘訣は成功するまでやりつづける」とな!!!
ちなみに更にどうでも良いのですが、このニュース記事最初に出た時(昨日の15時前)はこの最後の部分だけの内容でして、記事の題名が思いっきり上記の部分になっていたのですけれども、何故か題名が差し替えになっているのはいやまあどうでもいいです。
○折角読んだのに放置プレイになっていたFOMC議事要旨ネタ(ただし来週に続く)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130501.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130501.pdf
色々と市場雑談ネタやら日銀方面のエライ人の話などですっかり放置プレイですいません。しかも今日多分全部のネタ逝けないので持ち越しになります・・・・・・
・資産買入の効果という話で日本の事例が(^^)
資産買入のペース縮小云々の討議部分の直前の所になりますが。
『In discussing the effects of the Committee's asset purchases, several
participants pointed to the improvement in interest-sensitive sectors,
such as consumer durables and housing, over the recent period as evidence
that the purchases were having positive results for the economy.』
FOMCの資産買入効果についての議論が行われておりまして、「金利に敏感なセクター」を中心に経済に対してポジティブな効果があったという認識を示しています。
『The effects on a range of asset prices of the Bank of Japan's recent
announcement were cited as added evidence that large-scale asset purchases
were effective in easing financial conditions and thereby helping stimulate
economic activity.』
日本の最近のアナウンス(つまり4日の異次元緩和ローンチ)による効果も資産買入政策が金融環境を緩和させて経済活動を刺激する効果があるという事を示していますね、ということで異次元緩和政策の政策効果についてポジティブ評価キタコレ(^^)。
『In evaluating the prospects for benefits from asset purchases, however,
one participant viewed uncertainty about U.S. fiscal and regulatory policies
as interfering with the transmission of monetary policy and as preventing
asset purchases from having a meaningful effect on the real economy. 』
ということで、1名の委員は財政や規制の問題などが資産買入政策の効果を減殺しているのではないかという話をしております。
で先日(って先週ですけど)引用した資産買入政策の拡大ペースがどうしたこうしたの話になるのですけれども、今回はあまりこの辺のプロコンがどうのこうのという話が細々と書かれていないのが微妙にお洒落ちゃあお洒落。
・経済見通しに関してはややcautiousになっているように見えます
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の頭からですが、ここの書き方は毎回同じように「全体の現状認識」→「全体の先行き見通し」→「需要項目」→「雇用」→「物価」と来るのでまあ読みやすいですし、その中で順序が変わることによってウェイト付けも読めてくるので割と分かりやすいと思うのですがどうっすかねえ。
『In their discussion of the economic situation, meeting participants generally
indicated that they viewed the information received during the intermeeting
period as suggesting that the economy was expanding at a moderate pace
despite some softness in recent economic data. Conditions in the labor
market showed some continued improvement, although the unemployment rate
remained elevated. Spending by consumers continued to expand, supported
by better credit conditions, rising equity and housing prices, and lower
energy prices; and the housing sector improved further. However, growth
in business investment spending slowed somewhat, and fiscal policy appeared
to be exerting significant near-term restraint on the economy. Perhaps
reflecting more subdued growth abroad, especially in Europe and China,
net exports weakened in the first quarter.』
大体声明文で書かれていた話と同じですけれども、海外経済に関して「Perhaps
reflecting more subdued growth abroad, especially in Europe and China,
net exports weakened in the first quarter」とありましてまあそうですなという所です。で、見通しですけど。
『Participants generally saw the economic outlook as little changed since they met in March.』
3月から見通しには著変無しとの事ですな。
『However, economic data releases over the intermeeting period were mixed,
raising some concern that the recovery might be slowing after a solid start
earlier this year, thereby repeating the pattern observed in recent years.』
ここは笑っちゃいけないのかも知れないけれども読んでてカフェオレ吹いた所でして(^^)、ここもとの経済指標がまちまちになっていることから、今後の回復が年初の強い状況から減速するかもしれないという懸念があり、そうしますと毎年お約束のパターンになってしまうかもしれないという懸念がありますよねという事で、これFOMC的には相当のトラウマになっていると見ました(^^)。
『Various views on this prospect were offered, from those participants
who put more emphasis on the underlying momentum of the economy, noting
the strengthening in private domestic final demand, to those who stressed
the growing fiscal restraint or the other headwinds still facing the economy.』
見通しの全体感はともかくとして、個別の需給項目に関してはビューが結構割れているようですね。
『Participants continued to anticipate that, with appropriate monetary
policy, growth would proceed at a moderate pace over the medium run and
that the unemployment rate would decline gradually toward levels consistent
with the Committee's mandate.』
まあそうですな。以下リスク認識になりますが。
『A number of participants noted that the balance of risks to growth remained
to the downside, although a couple suggested that such risks had diminished
appreciably since last fall. 』
ダウンサイドリスクを指摘する向きと、それは昨年の秋以降(つまり欧州あばばばばーが回避されて以降)明確に小さくなったとの指摘をする向きがいるようで。
『A few participants warned that, in light of ongoing fiscal restraint
and a weak global outlook, economic data could remain soft for the next
few months, regardless of the underlying strength of the economy. 』
ということで、複数(A few)の委員は財政緊縮問題と「世界経済の弱めの見通し」によって、今後数か月は基調的な経済の強さにもかかわらず、経済データは弱めの状態が続く可能性がある、との指摘をしております。
という所でして、まあ見方は結構割れている感じではあるのですが、ただまあ経済の見立てに関してはまだ警戒モードがあって、特に先ほどありましたように「例年のパターンの再来」というのを相当気にしているというのがその背景にあるんじゃネーノとか思うのでして、まあそう考えますと逆に言えば「例年のパターンの再来」がなければQEペース縮小モードに傾く可能性もあるかなとも思いますし、まあここから先の米国経済指標動向は注目度上がるだろうなあという感じです。あと引用してる暇がないのでスイマセンが、労働市場に関する部分では割と強気なんですよね、今回の議事要旨を見ますと・・・・・・・
#おおもう5月終了かorzorz
2013/05/30
お題「市場雑談ネタは尽きまじとな/宮尾審議委員講演だがやはりパスはかなりのナローパス」
ヘッドラインだけではなくてちゃんと全文をさがしたほうが良さそうな気はするのですがローゼングレン総裁が言うのですかほうほう。
http://jp.reuters.com/article/idJPTJE94S02320130529
米QE3縮小、今後数カ月で理にかなう可能性=ボストン連銀総裁
2013年 05月 30日 04:18 JST
・・・・・・・と思ったらブルームバーグのヘッドラインだとイメージが違うぞなもし。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNKGK26TTDTB01.html
ボストン連銀総裁:大規模緩和は必要−失業率と低インフレで
更新日時: 2013/05/30 03:21 JST
とりあえずベンダーはヘッドラインでバイアスを掛けるのを自粛すべきであると思うのですがねえ。つーかそれが行き過ぎるとイエローペーペーと区別がつかなくなるぞなもし。
○市場メモ雑談
・相変わらずの盛大なプライスアクションで
何故か昼の時点のニュースが引っ掛かってくるのですがロイターから。
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0E93MG20130529
〔金利マーケットアイ〕国債先物が株高で軟調、中期の需給不安で売りも
2013年 05月 29日 13:23 JST
米債が10年2.1%台キタコレとなっておりまして円債も10年0.965%(6毛甘)とかでおっぱじまったものの、何か知らんがその後は押し目買いだか何だか判らんけど反発となりまして、ホイホイ相場が戻るわ輪番が堅調で後場の寄りは10銭高とかになるわという中々素敵な値動き。
ではあるのですが、中期ゾーンが相変わらず重そうにしているのが雰囲気を良くしない所でして、午後1時前くらいから中期は下がるわ先物は下がるわでふと見ると米国債が10年2.2%とかになっているわという事で、どっちが先なのかワカランチ会長ですけれども前日もそうだったのですが、午後になって米債と円債が下がるというワケワカメな流れで下がったと思ったら引け近くに今度は切り返すとかもうお子様には良く判らん相場です><;
まあ何ですな、そのワカランチ会長なのはどうでもよい(良くないが)のですが、とにかくプライスアクションが落ち着かないというのは困ったもんだという所でございますが、最近は日経平均先物もすっかり落ち着かない病になっているようで、一々値動きが飛んでいるのを見ますと兎に角日中ボラを何とかして頂きたいものである(と言ってゼロになられても困りますが世の中何事も程々というのが大事)とゆー所ではございますな。
・オペ雑談
昨日は色々なオペがございましたが・・・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130529.htm
国債買入(残存期間1年超5年以下) 7,000 2013年5月31日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年5月31日
国債買入(物価連動債) 200 2013年5月31日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年5月31日 2013年6月6日 0.600
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年5月31日 2013年8月22日 0.610
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月31日 2013年7月9日
国債補完供給(国債売現先)・即日(注3) 2,000 2013年5月29日 2013年5月30日
(注3) 国債補完供給(国債売現先)・即日の売却対象銘柄は、10年利付国債328回です。
この中でマニア的に興味があったのは物国の輪番と昨日の国債補完供給。
結果は以下の通り。(一部のみ引用)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130529.htm
国債買入(物価連動債) 1,092 201 -0.650 -0.699 41.0
国債補完供給(国債売現先)・即日(注4) 130 130 -0.400 -0.400
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日の売却銘柄は、10年利付国債328回です。
まず物国の買入なのですが、買入価格は平均で基準価格較差69銭9厘安で最高落札が65銭安となっておりますが(以下自主検閲により割愛^^)。
あとへーと思ったのは国債補完供給で10年328回ってあーたそれ10年カレントじゃないですかしかもトリプルイッシューなんですけどどうしましたのよという事ですが、まあ深い意味があるのか無いのかは判らんです。まあ補完供給が発動されるのはショートになっていてお願いが入るからではあるのですが、その背景として物凄い勢いでショートになっているからかというとそうでも無いしょうも無い理由でもお願いが入る事もありますので、こればっかりは当事者じゃないと良くワカランチ会長ながら面白かったのでメモだけしておくので誰か詳しい人教えてジェネラル。
・レポ金利が低いですな
当座預金残高72兆円攻撃ということで、ここもとのシグナルオペや短国買入の累積によってすっかり短期の方は物無芳一というのは昨日も申し上げましたが、TKRR見れば分かりますようにレポ金利が絶賛低位推移となっておられます。
ということで今日は短国と2年の入札があるのですが、中短期が重いのを反映してるのかどうか知らんが昨日は2年カレントのBB引値が1毛甘になっておられる(もうちょっと弱い気もするが)一方で短国の方は玉無芳一になっておりますので、短国は堅調になって2年はどうなるんでしょうかね良く判りませんけど。
というただの備忘メモでした。
・輪番オペの頻度がどうのこうの
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNJYXG6K50YH01.html
日銀幹部:「より頻繁、より少額」で意見一致−国債購入オペ
更新日時: 2013/05/29 20:01 JST
『5月29日(ブルームバーグ):日本銀行は29日午後、市場参加者との意見交換会を開き、国債買い入れオペに関して、「より頻繁に、より少額で」行うことで意見が一致した。日銀幹部が記者説明した。日銀も買い入れ頻度を現在の8営業日から「10営業日プラスアルファ」にする方針を示し、30日夕に6月以降の国債買い入れの日程を公表することを明らかにした。
』(上記URLより)
だからもうこの際全部日割りにしてだなあ(違)。
というのはともかくとして、まあ輪番オペの頻度がどうのこうのという話はテクニカル的には改善点であるのはその通りではあるのですが、それよりも問題なのは最初に「金利を下げる」とぶち上げておいて盛大に梯子を外した格好になっているシャッチョーさん(でどうもそのシャチョさんは梯子外したとか思って無さそうな所が誠にアレ)の姿勢の一貫性になっているような気がするんですがね、事ここに至っては・・・・・・・・・
○宮尾審議委員講演(質疑応答のテキストは無かったですすいませんすいません)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130528a1.pdf
質疑応答に関しては(そもそも有ったのか知らんがたぶん外国特派員協会だったらあるにはあるでしょう)テキストが特にありませんでした(そもそもこの場合は無いのが仕様でした)ので講演から少々。
・2%達成のステップとな
本文2ページより。
『以上の全体感を踏まえて、2%の目標を達成する具体的な道筋として、私自身は、次の6つのステップに整理して考えています(図表2)。』
ということで図表2というのも参考に(貼りつけスキルは無いので皆さんで見てちょ)して頂ければと思うのですが。
『まず、@海外経済の持ち直しは、わが国の輸出・生産の回復基調を後押しし、企業収益を高めます。』
何かもういきなり出オチの悪寒がしますがまあ海外経済が順調に持ち直すという事にしましょう。
『基調的なリスクオン(リスクに対して前向きな状態)の継続と米国長期金利の緩やかな上昇により、さらには日本銀行の強力な緩和策により、資産価格などを含む金融環境は緩和した状態が強まっていきます。』
米国金利が上昇するのに緩和した状態が強まるとはどういう事ぞと思うのですが、図表2の方を見ますと「米国長期金利の上昇→資産価格・為替レートなど金融環境面でプラス」ってな記述になっているのですが、普通に考えて米国長期金利が上昇したら日本円の長期金利にも影響があると思うのだがそれはネグって為替レートの話だけするとかどんだけ自分に都合の良い話をしているのかと小一時間問い詰めたい。
『Bそれらは企業の設備投資や構造変革など前向きな動きを後押しし、潜在成長率の緩やかな上昇をもたらします。』
潜在成長率がそんなに簡単に上昇するならだれも苦労しないと思うのだが。
『C持続的な景気回復期待のもと、家計の消費支出も堅調に推移し、需給ギャップの改善を伴いつつ物価は徐々に上昇します。』
景気回復期待というフワフワしたものだけではなくて、雇用や所得の持続的な拡大が期待できないと家計の消費支出の拡大はサステイナブルでは無いでしょうにと思いますけど、つーかその論点は先日ネタにした4月末の金融政策決定会合でも指摘されていたと思いますし、米国でもその議論してるんですけど随分とこらまた楽観的な見通しで。
『Dこの間、人々のインフレ予想も徐々に高まり、こうしたもとで、2014 年度には1%を上回る物価上昇率を実現します。』
ほうほうそれはそれは(棒)。
『Eその後も、@からDの好循環メカニズムが維持される下で景気回復は持続し、人々のインフレ予想と中長期的なトレンド・インフレ率(アンカー)は2%へ向けて徐々に高まっていきます。以上の結果、実際の物価上昇率も上昇を続け、2%の物価安定目標に近づいていくとみられます。』
この回転が維持されるとな(棒)。
・2%目標はフレキシブルターゲットという部分について
ちょっと話題になっているっぽいのでその部分引用。異次元緩和の説明部分から。
『今回の新たな枠組みには大きな特徴があります。第1 に、バランスシートの量と質の両面から、相当に踏み込んだということです。第2
に、戦力の逐次投入はせず、デフレ脱却に必要な施策をすべて講じました。そして、第3に、量的・質的金融緩和の継続について、2%の物価安定目標を安定的に持続するために必要な時点まで継続することとし、政策目標と関連づける形で強力な量的・質的緩和の継続を約束しています。』
という説明の次に当該部分があります。
『付言すれば、それは柔軟なインフレ目標政策の枠組みのもとで実施されるという点です。インフレ目標を掲げる他の多くの中央銀行がそうであるように、物価安定目標は、景気回復を伴ってバランス良く実現されるものであり、どんな犠牲を払っても2%のインフレ率だけを達成すれば良いといった硬直的な政策運営を行う枠組みではありません。また、「2%」と目標をピンポイントで示していますが、ここから少しのずれも許容しないということではなく、平均的かつ安定的に維持されるよう運営されるべきものです。』
「どんな犠牲を払っても2%のインフレ率だけを達成すれば良いといった硬直的な政策運営を行う枠組みではありません」というのはまあ仰ることは分かるのですが、やや言い方に問題があって、「2%のインフレ率を達成したとしてもそれが所謂コストプッシュ型のような景気回復にプラスにならないようなものではいけません」みたいな言い方をした方が良いと思う訳ですな。
まあここのテキストを読む限りでは別に目標達成に対して日和ったというような表現ではないとは思われるのですが、これがまた丁度間が悪い事に同じ日に浜田大大大先生様のブルームバーグインタビューでの「経済が良ければ物価目標に行かなくてもいいじゃないかにんげんだもの」とか何とかいうのが出てしまっているので、まあヘッドラインを見て受け止める方としてはその浜田先生の発言と宮尾さんの「2%目標は柔軟な運営で」をオーバーラップして受け止めてしまうのは止むを得ない面がありまして、その結果「宮尾審議委員が目標達成に対して日和った発言をしている」という解釈をしている人が出てるっぽいという事象に発展しているというのが実にチャーミングとしか申し上げようがありません。
でまあそれは兎も角として、ここでの2%なんですけれども、やはりアクチュアルの数値の話を念頭に置いているのか、フォーキャストの話を念頭に置いているのかという論点が残る所ではありまして、どうも宮尾さんの話を見ていると「アクチュアルの数値が平均的に2%で推移するように」というイメージを持っていそうには読めますけれども、この論点に関しては今後ややこしい事になりそうな悪寒。
・長期金利の経路という説明があるのだが
『量的・質的金融緩和は、長めの金利および資産価格へ働きかけること、ポートフォリオ調整やインフレ予想に働きかけることを重要な波及経路として考えています(図表3)。』
図表3の方には「イールドカーブ全体への低下圧力」と書いてありますがこちらでは「働きかけること」ということですかそうですか、あ、「圧力」だから他の要因で上昇する力が圧力よりも強かったら上昇することもあるんですかそうですか・・・・・・・・・・
ということでその先を鑑賞する。
『ここで今回の措置がもたらす長期金利への影響について、改めて整理しておきましょう。まず第1
に、長期国債買入れにより、市場で流通している国債を吸収することから、先行きの国債金利にはタームプレミアム部分に下落圧力がかかり続けます。第2
に、上記の道筋で示したように、今後、景気回復期待ならびにインフレ予想が高まってくることで、長期金利のベースとなる予想短期金利の部分(将来の短期金利の予想経路)が徐々に高まってきます。米国など海外経済の順調な回復と海外の長期金利上昇の影響を受けて、わが国の長期金利に上昇圧力がかかることも、同じく予想短期金利部分の上昇と解釈できます。』
ということで、足元のボラ上昇によるリスクプレミアムの拡大という意識が無いという債券市場から見たら盛大に梯子を外してるんじゃねえよこのヴォケという論点は華麗にスルーしているのは把握した。
#まあ「認めたら負け」と思ってるのかも知らんけど
『今後の長期金利の経路には、政策措置とその効果により、また外部環境の変化により、上下両方向の力が加わりながら推移していくものとみられます。そこでのポイントは、景気回復期待などから長期金利に上昇圧力がかかる局面でもなお、金融政策の面から金利に下押し圧力をかけ続けることで、景気回復をさらに強力にサポートしていくという点です。』
圧力を掛けると簡単におっしゃいますが、「景気回復期待ならびにインフレ予想が高まってくることで、長期金利のベースとなる予想短期金利の部分が徐々に高まってきます」って状況下で金利に低下圧力を掛け続けるのは、低下できないか圧力の反動でインフレがスパークするのかのどっちかになるんじゃないかと思うのですけどねえ。まあいいけどさ。
『景気回復期待やインフレ期待が着実に高まってくるもとで、量的・質的緩和を継続すれば景気刺激効果はさらに高まっていくため、その効果を十分念頭におく必要があります。』
ふ、ふくさようは???
・足元の状況に関して
『この間、長期金利は、米欧長期金利の上昇や本邦株価の上昇などを背景に上昇する局面もみられていますが、日本銀行としては、債券市場の動きを丹念に点検し、市場参加者と密接な意見交換を行いつつ、必要に応じて、買入れ頻度やペース、買入れ対象の調整をするなど、政策効果の浸透を促すため、弾力的なオペ運用を行っているところです。』
・・・・・・・・まあ何だ、弾力的なオペ運用がどうのこうのとか言ってるから流動性低下によるリスクプレミアム拡大要因を認識していない訳では無いんだろうなというのだけは把握した(^^)。
・好循環メカニズムは好循環メカニズムでしたけど・・・・・・
でまあ量的緩和政策の効果分析に関する部分についてはおじちゃん頭が悪いからどこをどう突っ込んで良いのかワカランチ会長なのだが、直観的に怪しげというか手前味噌っぽい気がするという風に思うのですがそこは割愛致しまして(大汗)最後の所に飛ぶ。
『(3)量的・質的金融緩和への意味合い』という所から。
『以上の暫定的な分析結果を踏まえ、わが国の量的緩和政策の経験は、今般実施した量的・質的金融緩和のパフォーマンスに対して、どのような意味合いを持つでしょうか。』
『量的緩和政策当時の経済情勢を振り返ると、後半期にかけて(2003 年以降)、次のような好循環が実現しました。すなわち、この時期、銀行の不良債権問題、金融システム不安に概ね目途がつく中、海外経済の力強い回復という追い風を受け、企業の「3
つの過剰(雇用、設備、債務)」の解消へ向けた調整、構造変革や新規の投資支出などの取組みが進みました。』
ふむ。
『その動きを、当時の量的緩和政策や為替政策が金融面から強力にサポートして、景気は息長く回復し、需給ギャップもプラスへと浮上しました。物価上昇率は徐々にマイナス幅を縮小し、中長期的なトレンド・インフレ率も明確に上昇しました。すなわち、海外経済の回復、強力な金融緩和、構造改革の進展と潜在成長率の高まり、持続的な景気回復、中長期的なインフレ見通しの上昇などの好循環メカニズムを2003
年-2006 年の時期に経験したのです(図表4〜図表6、実線囲み部分)。』
>好循環メカニズムを2003 年-2006 年の時期に経験したのです
>好循環メカニズムを2003 年-2006 年の時期に経験したのです
>好循環メカニズムを2003 年-2006 年の時期に経験したのです
・・・・・・・・・・・・それは結果から見たら単に海外の信用バブルに乗っていただけの話ではないかというツッコミに対してはどのようなお答えをするのかを是非ともお伺いしたい所なのですが。
『量的・質的金融緩和は、量的緩和政策と比べても、量・質の両面においてはるかに大規模かつドラスティックな緩和措置です。また、回復に向かう内外の経済情勢とその好循環メカニズムの展望について、当時と重なる部分も多いとみられます。したがって、現在の量的・質的緩和には、包括緩和期からの累積的な効果とともに、今後の経済・物価見通しで想定されている中心シナリオ――すなわち、2003−2006
年の時期にみられたのと同様の好循環メカニズムのもとで物価安定目標を達成していく道筋――を金融面から一層強力にサポートすると考えられます。』
>2003−2006 年の時期にみられたのと同様の好循環メカニズムのもとで物価安定目標を達成していく道筋
>2003−2006 年の時期にみられたのと同様の好循環メカニズムのもとで物価安定目標を達成していく道筋
>2003−2006 年の時期にみられたのと同様の好循環メカニズムのもとで物価安定目標を達成していく道筋
>2003−2006 年の時期にみられたのと同様の好循環メカニズムのもとで物価安定目標を達成していく道筋
>2003−2006 年の時期にみられたのと同様の好循環メカニズムのもとで物価安定目標を達成していく道筋
さすがの米国も今度は資産バブルヒャッハーというのはマズーだろというご認識をお持ちの中で結果から見たら資産バブルの嵩上げによって海外経済が堅調推移するという起点から始まった好循環メカニズムと同様の好循環メカニズムが起きるというのはかなりのナローパスじゃございませんかねえという印象を受けるこのくだりなのでありました。
#まあジャパンで資産バブルでも起こそうっつーのなら話は別ですかそうですか(迫真)
2013/05/29
お題「各種雑談を少々/黒田総裁日曜の講演がどうもワカランチ会長な件/宮尾審議委員講演(ただし予告編)」
ニュースのタイムスタンプは夕方ですが実際には後場寄り前にこのニュースが出た訳ですけれども・・・・・・・・
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130528/k10014901421000.html
シンシン妊娠の可能性 公開中止へ
5月28日 18時6分
後場の寄りからいきなり特別買い気配になって価格がぶっ飛んだのはお約束の展開ですが、昨年と同じことを性懲りもなくやるとか何というかもう何だかねえしか申し上げようがございませんですが、上野動物園はパンダ動向についてTDNetで公表すべきではないかと思います(大嘘)。
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052801002045.html
集客期待、東天紅と精養軒株急伸 パンダ妊娠兆しで
2013/05/28 18:06 【共同通信】
『28日の株式市場で、東京・上野公園の近くに本店がある中華レストラン運営の「東天紅」(東証1部上場)と、上野公園内に主力店舗があるフランス料理店の「精養軒」(ジャスダック上場)がともに大幅上昇した。上野動物園のジャイアントパンダ、シンシンに妊娠の兆しがあると正午すぎに報道されて以降、急速に買い注文が膨らんだ。』(上記URLより)
・・・・・・・・去年と同じことやっとるがなwwwww
○一応市場メモ書き
・米国10年が2.1%だと????
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0E93CH20130528
米金融・債券市場=大幅下落、利回りは約1年ぶり高水準
2013年 05月 29日 05:32 JST
メモリアルデー明けの米国様は金利上昇しているのですが、何かその記事読みますと2年の入札も滑ったようですな。どちらかと言うと金融不均衡の方を気にしていそうなFOMC内部的には債券下がっても株とかホイホイ上がるのだと痛し痒しのような気もせんでもないのだがさてどうなるのでしょうかよくわかりません。
・中期が弱めでしたな
昨日は超長期入札があった訳ですが、まあ入札はあまり強くは無いですが別にコケたという感じでも無くてこちらは特段問題があったとは思えません。
・・・・・・・のですが、何か知らんが昨日は中期が前場から弱くて、中期が弱いとどうも相場の雰囲気が悪くなるようでして、これまた何か知らんが14時半くらいから先物が親の仇のように叩かれて長期ゾーンも弱くてヘロヘロモードとなって、実はこの下げ局面で引値ではついていなかった10年0.90%台で引けるとかトホホではございましたが、何でまたこの期に及んで中期が売られるのやらと?????に思うのでありました。
・一方レポレートとかは低いんですけどね
TKRR(東京レポレート)を見ますと昨日よりも一昨日の方がレートが低かったりしますけれども、何はともあれ今週に入ってレポレート低めで、前週に打ち込んだシグナルオペやら短国買入やらによって資金が余るわ、財政要因で資金が余ってついに当座預金残高72兆円(今日も72兆円台の見込み)だわという事で、この辺は絶賛金余りという風情でしょうな。
ついでに言うと実際にちゃんと集計している訳でも無いので体感的な話になるのですが、CPの発行があまり多くないために需給的にCP金利が低い状況になっていて、さらに短国については為替絡みの海外様のニーズが急に出てきたりしますので、そんなこんなで短期のゾーンは確りと資金が唸りを上げている状態というのも中々味わい深い物を感じます。
・つーことで今日はどうするんでしょ
本日はまあ順当に考えるとたぶん輪番があると思われるのですが、米国債券市場があばばばばーとなっておりましてその他シグナルとかやるんですかねえ。まあシグナルとしての効果はあるかも知らんけど、実際問題としてこの前の1年オペの札の入り方から見るとオペやるより短国買入をやった方が物理的には効きそうではありますけれども、短国買入をされますとそもそも玉無し芳一になっている業者は応札に困るのでしょうかねえ、よー知らんけど。
そしてこれがまたお洒落なことに・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130522b.pdf
「市場参加者との意見交換会」の開催について
日程がまさかの本日でありまして、その本日に米国債券市場があばばばばーとなって帰ってきているという巡り合わせの絶妙さに落涙を禁じ得ません><;
○甘利さんとか浜田先生とかの発言ネタでも
・甘利さんは口が絶好調のようで
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0E90C320130528
UPDATE 1-日本市場もまもなく落ち着いてくる=株価乱高下で甘利経済再生相
2013年 05月 28日 11:08 JST
『乱高下が続く金融市場動向だが、甘利担当相は「一時的に乱気流に突入した機長のような心境だ。航行上、当機の安全に問題はありません。落ち着いて席にお着きください。当機はまもなく乱気流を抜ける予定です」と、平静を装った。』(上記URLより)
・・・・・・・・最後の「と、平静を装った」というのにロイターの悪意が思いっきり感じられましてクソワロタ訳ですが、甘利さんちょっと発言が上滑り気味じゃネーノというのがロイターのこの記事の書かれ方にも現れていますなあという風に思うのですけどね。
つーかこの前も申し上げましたが、安倍さんにしろ麻生さんにしろ市場の具体的な値動きについて一々コメントしなくなっている訳でして、折角そういう感じで要らんノイズを出さないようにしている中で内閣府は何やっとるんだとしか申し上げようが無いのですが、まさか内閣府の中の人たちが存在感を出そうとして無用なアピールをしようとしてねえか大丈夫かとか思いたくなりますぞ。
・浜田先生ェ・・・・・・・・・
この前も同じ趣旨の話をしていましたけれども、またこのヘッドラインが出て梯子外しキタコレというのが浜田先生インタビュー。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNHXYP6JIJWQ01.html
浜田参与:日銀は必要なら一段の緩和を−インタビューで語る
更新日時: 2013/05/28 18:07 JST
・・・・・・・・あれ?昼に出ていたヘッドラインの内容は????
ということで慌てて探すとトレーダーズ・ウェブ・エフエックスさんの所や
http://www.traderswebfx.jp/news/default.aspx?newscode=389383&dispmode=list#newshead
05/28 11:35 【発言】浜田内閣参与「為替のレベルは競争力ある状態からほど遠くない」
『浜田内閣参与
「最も重要なゴールは雇用と生産」
「インフレ率は補助的なゴール」
「現在の為替のレベルは競争力ある状態からほど遠くない」』(上記URL先から)
フィスコさんの所(のヤフーニュースファイナンス)
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20130528-01000002-fisf-bus_all.vip
【要人発言】浜田参与:2%物価目標は「補助的」目標、雇用と生産が大事
5月28日(火)11時51分配信 フィスコ
まあこの話自体は3月の時点でもこういう話をしていたので、その時と趣旨は同じと言うことで特段の驚きでは無いのですけれども・・・・・・
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL080NO_Y3A300C1000000/
浜田氏「インフレ目標未達でも雇用・景気が回復すればいい」
2013/3/8 14:23
・・・・・・・えーっとですな、マジレス致しますと、4月4日に絶賛ローンチされました異次元緩和政策によりまして、「2年で2%の目標を達成するのに適切と判断されるまで異次元緩和(ただしくは量的・質的金融緩和ね)を継続する」という形で緩和政策の継続に関するガイダンスを出している中で、「目標行かなくても雇用景気が良ければいいじゃないか経済だもの」という話をするというのはちょっとどうかと思われます。
と申しますのは、「2%物価目標達成するのに適切と判断されるまで」という形でやや微妙な表現ではあるにせよ、ガイダンス文言で時間軸的な効果を出そうとしているのですから、そこで物価目標に対して日和る姿勢を出すとなりますと、当たり前の話ですが時間軸が短期化するリスクが有る訳でして、すなわち金融緩和効果を減殺するリスクがあるという事です。
まー本当にCPI2%継続状況が国民的に今の時点で耐えられるのかとか、そーゆー問題もありますというのは分かるのですけれども、少なくともそのような話は実際のCPIが絶賛マイナス推移する状況下で言うべき話では無くて、実際にCPIが1%(もちろん消費税の直接寄与分を除く)水準辺りに上昇してから「はてこのままで本当に良かったでしたっけ」というような議論をするというのは有り得ないことも無い(大体からして昨日も申し上げましたように2%目標の定義も微妙に曖昧だし)のですけれども、アクチュアルのコアCPIがマイナス0.5%だの何だのというような目標未達にも程がある現時点で「目標行かなくても」という話をするのは、フォワードガイダンス政策による金融緩和効果という意味で有り得ない話ですし、大体からしてほんの2か月弱前に言ったことをいきなり反故にするとか信認問題になりますぞなもしという話ではあるので、まあ如何な物かなと思います。
とまあここまでマジレスしておきましたが、以下は淡々と過去の記事でも貼っておきましょう。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能
更新日時: 2012/12/05 09:08 JST
『浜田氏は日銀が2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張。さらに、16日の衆院選で自民党が勝利し、より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではないと述べた。』(上記URLより、強調は引用者によるよん)
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE8BQ04C20121227
インタビュー:日銀は無制限緩和を、物価目標2─3%が適切=浜田宏一教授
2012年 12月 28日 08:47 JST
○日曜の黒田総裁講演からはロジックが複雑骨折モードというのが伺える訳で
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130527a1.pdf
「量的・質的金融緩和と金融システム」
── 活力ある金融システムの実現に向けて──
日本金融学会2013年度春季大会における特別講演
ということで日曜の講演テキストが出ていたのですが昨日は決定会合議事要旨ネタで潰れてしまったので遅ればせながら本日投下。
・最初から既に話に色々と矛盾ががががが
冒頭部分ですけどね。
『日本銀行は、「物価の安定」と「金融システムの安定」を使命としています。「物価の安定」に関しては、去る4月3日、4日の政策委員会・金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」を導入しました。15
年に及ぶデフレからの脱却を何としても実現するという強い決意に基づくものです。』
というのは良いとしまして、
『「金融システムの安定」に関しては、現状、わが国の金融システムにおいて、安定性の面で大きな問題が生じているとはみていません。しかしながら、金融機関は、主力の貸出業務において、収益性が低下を続けるという課題に直面しています。こうした下で、貸出による金融仲介活動のバロメーターである金融機関の信用リスク量が減少し、債券投資に伴う金利リスク量が積み上がるという構図が、何年にもわたって続いています。』
はあそうですか。
『「量的・質的金融緩和」は、金融システムのこうした現状に大きな変化をもたらしていくと考えられます。この政策が重要な波及経路として想定している、イールドカーブやリスク・プレミアムへの働きかけ、ポートフォリオ・リバランスは、金融システムを通じて実現されていくものです。』
先ずこの時点で意味が分からんのですが、収益性の低下を問題にしているのに、イールドカーブ全体に影響を与える金融緩和政策を実施したら長短スプレッドが縮小して更に預貸利鞘が減るだろと思いますし、リスク量がどうのこうのという話をする一方でポートフォリオリバランスの話をしている訳ですが、ポートフォリオリバランス効果を出すというのであれば当然ながら金融機関にリスクをより多くとれという話をしている事の裏返しに他ならない訳ですけれども、その辺はどうなんでしょうかねえ。
『また、この政策の効果が浸透し、前向きの経済活動が広がってくれば、より活発な金融仲介活動が必要とされるようになるでしょう。デフレからの脱却過程は、金融システムが活力を取り戻していく過程でもあると考えています。』
別に活力が無いわけじゃないでしょ、貸出に関する需要が中々伸びないだけで。
『本日は、こうした点を念頭に置きながら、「量的・質的金融緩和」と金融システムとの関わり合いや、日本銀行のプルーデンス政策の考え方について、お話ししたいと思います。』
とまあ出オチ状態の講演なのですが・・・・・・・・
・イールドカーブの「低下を促す」ですかそうですか
途中をすっ飛ばしまして異次元緩和の効果に関する話。
『次に、「量的・質的金融緩和」が、どのようなメカニズムによって2%の物価安定目標を達成するのかをお話しします(図表3)。想定している波及経路は、主に三つあります。』
へえへえそうだっか。
『一つ目は、長期国債やETF、J−REITの買入れによって、「イールドカーブ全体の金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果」です。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。』
>イールドカーブ全体の金利の低下を促し
>イールドカーブ全体の金利の低下を促し
>イールドカーブ全体の金利の低下を促し
・・・・・・・・ほほー
『二つ目は、日本銀行が長期国債を大量に買い入れる結果として、これまで長期国債の運用を行っていた投資家や金融機関が、株式や外債等のリスク資産へ運用をシフトさせたり、貸出を増やしていく、「ポートフォリオ・リバランス効果」です。長期国債買入れの平均残存期間を思い切って延長したのは、この効果を意識したものです。』
そもそもポートフォリオリバランス効果とマクロプルーデンスって相性悪いですよねという話は後ほど出てくる。
『三つ目は、「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束し、これを裏打ちする大規模な資産買入れを継続することで「市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果」です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響するだけでなく、実質金利の低下を通じて民間需要を刺激することも期待できます。』
最初の所では名目金利の低下としか思えない(名目とは言っていないが「資金調達コスト」と言ってるのに実質の話はせんだろ常識的に考えて)話をしていますが、こちらでは実質金利ですかそうですかという話ですが、まあこの辺の話は引き続き継続しているのですが、まあ「金利の低下」という表現の中での言い方は普通に読むと名目金利にしか読めない書き方になっているのを引っ込めていない点は潔さを感じて誠に結構でありますな。
・例の「金利が上昇しても金融システムに問題は無い」部分
金融システムに関する点検の話の部分に飛びますけどね。
『とくに、「量的・質的金融緩和」の下、デフレから脱却し、物価安定の目標を達成していく過程においては、金利上昇に対する耐性を点検することが一つの重要な課題であると考えられます。』
んだすなあ。
『4月に公表した「金融システムレポート」では、金利が1〜3%ポイント程度上昇した場合について、金融システムへの影響を試算しています(図表6)。もちろん、こうした定量分析には多くの留保条件や限界があり、幅をもってみなければなりませんが、仮に金利がこれくらい上昇したとしても、経済・物価情勢の改善を伴うものであれば、貸出の増加や利鞘の改善、株価の上昇などにより金融機関の収益にプラスの影響が及ぶため、金融システムが不安定化する懸念は大きくないと考えています。』
ということで、まあご覧になれば判るように別に変な話をしている訳では無く、至極ご尤もな話をしているのですが、既にベンダーバイアスが掛かって報道されるようになる今日この頃ですので、きっちりと切り取られるヘッドラインになっているのが残念な所ではございます。
『一方、経済状況が改善しない中で財政懸念が強まることを背景に金利が上昇する場合は、貸出の増加や利鞘の改善といったプラスの効果が見込めないことから、金融機関には債券評価損という負の影響が強く出ることとなります。金融機関は、こうした場合でも負の影響を相応に吸収していく体力を備えてはいますが、金利上昇の程度や速さ次第という面はやはり残ります。財政の持続性に対する懸念を生じさせないためにも、政府における財政構造改革に向けた取り組みを着実に進展させていくことが重要です。』
本当はこの話を日銀の立場としては強調しないといけない訳で、そもそも銀行券ルールを一時停止して大規模国債購入をしているという状況なのですから、当然こちらを政府が遵守しないと日銀は盛大なはしご外しの刑になる訳ですからね。
・プルーデンスと異次元緩和
金融機関はどうあるべきか云々という部分もほほうという所ですがそこはスルーしまして最後の論点。
『次に、「量的・質的金融緩和」と日本銀行のプルーデンス政策の関係に触れておきたいと思います。』
『「量的・質的金融緩和」は、金融機関や投資家に対して、リスクテイクを促すとともに、イールドカーブやリスク・プレミアムへの働きかけを通じて、資産価格に影響を及ぼすことを企図しています。一方、プルーデンス政策は、金融機関にリスク管理の強化・充実を促すとともに、資産価格など様々な金融面での不均衡に対して目を光らせることを念頭に置いています。これらの点を捉えて、「『量的・質的金融緩和』とプルーデンス政策は対立するものではないか」あるいは「『量的・質的金融緩和』の下では、プルーデンス政策の考え方も変わってくるのではないか」と考える方がいらっしゃるかもしれません。』
「いらっしゃるかもしれませんとか」じゃなくて常識的に考えるとそうなると思うのだが・・・・・・・
『しかし、「量的・質的金融緩和」とプルーデンス政策は、対立するものではなく、整合的なものであると考えていますし、日本銀行のプルーデンス政策に関する考え方が変わるということもありません。これらの点に関する私どもの考え方は、次の二点に集約されます。』
ほほう。
『第一に、今回の政策が、金融機関等に積極的なリスクテイクを期待しているとしても、「リスク量を経営体力との関係において適切に管理することを求めていく」という基本姿勢は不変であるということです。行き過ぎたリスクテイクは、目先問題はなくても、いずれ金融機関経営や金融システムの不安定化につながり、長い目でみて経済の改善に貢献しません。逆に、適切な管理がなされていれば、収益を高めていくためにもリスクテイクの拡大はむしろ望ましいことでもあります。』
・・・・・・・・・・・・・いやちょっと言いたい事があるけどいいです。格差拡大って言葉を思い出しちゃいましたよ。
『この点、すでにご紹介したように、日本銀行は、考査やモニタリング、セミナーなどを通じて、リスク管理の側面だけでなく、金融仲介や事業再生能力を高めるための意見交換、助言にも力を入れてきています。』
そうでしたね(棒)。
『第二に、資産価格の過熱やマクロ的な金融面の不均衡についても、基本的な考え方は変わりません。』
ほっほー。
『金融面の不均衡は、その事実を認識すること自体に難しさを伴いますが、仮にそれが生じていると判断されるならば、何らかの対応を講じていくことが基本です。一方、資産価格の上昇が、政策効果や先行きの実体経済の改善を反映したものである限りにおいては、資産効果などを通じて実体経済に対してポジティブな影響を及ぼすものです。』
いやあのすいません最近はあのFRBですらこの問題に関して色々と議論が行われているのですけれども黒田さん随分と簡単に済ませますねえ。
『様々な指標や金融機関行動を見る限り、現時点では、資産市場や金融機関行動において、過度な期待の強気化を示す動きはみられていないと考えています。』
ふーん。まあどういうものを見ているのかというような話は金融システムレポートで一部ありますけれども、少なくとも金融システムレポートを出した時点では異次元緩和ローンチの影響って(一部記述がありましたけど)ほぼ反映されない状態だった訳で、そこからのアップデートの話とかもして欲しいですなあこの点に触れるんだったら、と思うのですけどね。
『経済・物価情勢と金融システムは相互に影響を及ぼしあっています。両者の安定は、両立すべきものであって、相反するものではないことを強調しておきたいと思います。』
両立すべきものであるのはその通りですが、先日のバーナンキ議長講演ですら、低金利環境でマクロ経済が安定している時に金融不安低下に繋がる(『To
be sure, a favorable overall environment reduces credit risk and strengthens
balance sheets, all else being equal, but it could also reduce the incentives
for market participants to take reasonable precautions, which may lead
in turn to a buildup of financial vulnerabilities.』)脆弱性を生むリスクを拡大する、という話をしている中でこの纏め方はあまりにもナイーブ過ぎませんか黒田総裁、という所ではございます。
・つーかどうも話がまとまっていないのだが
えーっとですな、途中の引用をしていないからちょっと分かりにくかったかもしれませんが、黒田総裁のこの講演なのですが、プルーデンスプロパーの話をしている所ではプルーデンスの話をまあ普通にしているのですが、その話が異次元緩和と結びつく部分になると急に説明の整合性が取れなくなってくるという不思議な講演テキストでございまして、まあ何と申しますかちょっと????な講演なのですよ。
でまあこういう辺りの?????な所が金利市場的に見た場合に「わけわからん」という部分になり、それがまた不確実性を高めて流動性を落としたり市場のプライスアクションを不安定化させるのではないかとまあ斯様に思うのでありました。
○きゃあ宮尾審議委員の講演ネタができない(ただの時間切れ)
量的質的緩和は英語表記だと「QQE」というオバケのQ太郎かよという名前なのですが、そのQQE実施後何故か2発目になっている宮尾さんの講演(講演と言っても金融経済懇談会ではなくて外国特派員協会での説明)。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130528a1.pdf
未踏の領域にさらに踏み込む中央銀行
── 日本外国特派員協会における講演 ──
ということで講演があったのですが、これをネタにしなければならぬというのに既に時間切れ(前半の雑談で時間を浪費したのか寝坊したのかは内緒)なので明日会見と共にネタにします(と言いつつ明日は明日で相場メモの方で時間を食わないように注意注意)けれども、この講演がまた正直言って説明の苦しさ炸裂と言う感じです。
で、最後にかつての量的緩和の定量分析みたいな話があるのですが、これが何か手前味噌の香りがプンプンとするのが大変にお洒落でして、大体からして国内要因だけで分析してこれ本当に因果関係として有意な話になるのかよとか思うのですけど・・・・・・・・・・
『<分析の概要>
基本モデルは、鉱工業生産(y)、マネタリーベース(MB)、名目実効為替レート(e)、日経平均株価(pk)の4
変数、および消費者物価インフレ率(π)を加えた5 変数から成るベクトル自己回帰(Vector
autoregression:VAR)モデルに基づきます。』
だそうなのですが、おじちゃん頭が悪いのでどうなのかワカランチ会長だからこういうの得意な人にツッコミキボンヌ。
#ということで講演内容に関しては会見と共に明日にでも
2013/05/28
お題「だいたい展望レポートネタである」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130527/k10014871641000.html
日経平均 下げ幅ことし2番目
5月27日 16時5分
木曜金曜のスーパージェットコースター相場の後なので「下げ幅2番目」と言われてもそこまで下がった感がしていない所がオソロシス。
○市場雑談メモメモ
・株式市場の下げ幅2番目ですかそうですか
まー何ですな、上記のように「今年2番目の下げ幅」だったようなのですが、昨日の場合は寄りで下がってその後は14,000円を切らずに推移してまして、金曜日の安値を割らなかったのであんまり落ちた気がしなかったのですが、良く良く見たら値幅は取っていましたなという感じですし(苦笑)、まー相変わらず先物の板はスカスカで現物株価指数の方も15秒の更新ごとにホイホイ値段が変わってまして、まー木金よりは値動き的にはマシでしたけれども板の方がスッカスカやがなという状況は何かどこぞの債券市場とかいう所で見た光景にも似て誠に遺憾の極みに存じますな。
などと思ってたら引け後の夜間セッションで先物が金曜の安値を割り込んで下がっていましたが、ドル円が何気に101円割れとかやってるのが影響してるんですか分かりませんが。
まあこれでインデックスは5月の上げを全部お返しする格好になったのでございますが、良く良く考えましたら5月の上げを株式市場が全部お返ししている中で債券市場は下げをお返ししていませんなあ(ちなみに4月末は0.6%割れだぞな)と思いますとアレではございますな。
・当座預金残高70兆円ですよ!!!!
27日の当座預金残高増減速報
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx130527.htm
当座預金残高 680,100
28日の当座預金残高増減見込み
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp130528.htm
当座預金増減 +43,800
・・・・・・・・・どう見てもこれは本日日銀当座預金残高が70兆円到達という事でありまして、何と異次元緩和ローンチから2か月も経たないうちに木久扇師匠がつい先日提唱されておられましたインフレ率を2%にするしかも来年半ばには達成という素晴らしい量的緩和拡大が達成されましたよ!やったねパパ!!
・・・・・・・・・・・・・えーっと、今年に入って日銀当座預金残高はいい感じで拡大傾向に有る訳ですが、その間の物価上昇率っていやまあどうでも良いですけれどもね。
ということで、木久扇師匠の高座はいつ実施されるのでしょうかこの当座預金残高と物価の関係について詳しくご説明を賜りたいと存じますので宜しくお願いいたします。
○ツッコミどころが満載過ぎてどこからツッコんで良いのか判らない議事要旨キタコレ
4月26日開催、ということですので展望レポートの回の議事要旨であります。
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/g130426.pdf
・この政策委員を選定したのは誰だあ!(ガラッ)←海原雄山風で
今回の議事要旨ですが、まあ読んでいて色々とツッコミ所が多くて鑑賞物としては笑えるのだが真面目に考えるとその笑いもひきつるというものですが、本文中も色々とツッコミどころがありますけれども今回の最大のオモシロ部分は最後にあります。
本文16ページ(ファイルの18枚目になります)にそのツッコミどころが!!
『白井委員からは、@分かりやすさの観点をより重視した2つの「柱」による点検結果の記述方法の改善とAリスク要因の記述の明確化、具体的には、@として、第1の柱については「1.わが国の経済・物価の中心的な見通し」の最後に、第2の柱については「2.上振れ要因・下振れ要因」の最後にそれぞれまとめる形で記述する、Aとして、経済情勢に関する上振れ要因・下振れ要因のうち消費税率引き上げの影響について、家計の実質所得減少のリスクをより明確に記述する、などを内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。』
・・・・・・・・・・・・・・???????????????????
えーっとですね、これ百万回、とは申しませんが10回くらい読み直したのですけれども、「書いてある日本語は言語として認識可能だが、言っている事の意味が全く認識できない」という大変に素敵な内容にしかあたくしには見えないのですが、これ真面目な話何をしたくて提案しているのか1ミリも理解できません。
大体からして第1の柱と第2の柱の点検に関する話って既にだいぶ前から実施されている話でありまして、別に今さら記述を変えたからと言って分かりやすくなるとは思えないですし、大体からして出来上がりの文言を想像したのですけれども何がどう分かりやすくなるのかワカランチ会長。
#そもそもポートフォリオリバランスを前面に打ち出した政策で第2の柱の点検というのが矛盾しているのではないかという論点を持ち出すならまだ政策論として判るのだが
『賛成:白井委員
反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、石田委員、佐藤委員、木内委員』
そらそうよという所ですが、そもそもこれあたくしが何度読んでも「?????」状態でポカーンという話なのに、実際にMPMでどういう説明をして議決したのかと思うと、他の審議委員の皆様「????????????」状態だったのではないかと愚考する所ではございまする。
つーかさ、この先生3月にも意味不明というか政策の体を成していないレベルの提案をして否決された結果ミスコミュニケーションの種を振り撒いているのですが、今回は今回でまたまた超越意味不明提案を持ち出しておられるという事でして、もうこれは海原雄山が厨房に乗り込んで行って「この政策委員をノミネートしたのは誰だあ」(ガラッ)となるレベルですが大丈夫ですかという風情でありまする。しかも3月もそうでしたが今回も「わかりやすさの観点」とか何かもうヨイショの香り以下自主規制(−−;
ちなみに、白井さんの謎提案に関してなのですが、『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の部分では他の2名(佐藤さんと木内さん)の展望レポートの記述に関する反対提案(木内さんの場合は声明文でのフォワードガイダンス文言に関する反対提案もある)に関する説明部分が記載されているのですが、白井さんの謎提案に関しては『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』の所には説明部分が記載されているもののそちらには記述が無いという事ですので、これはつまり白井委員の提案には政策インプリケーションが以下自主規制(^^)。
・海外経済の読み筋がFOMCと温度差がある件について
本文5ページの『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』から少々。
『海外経済について、委員は、昨年来の減速した状態から徐々に持ち直しに向かっているとの見方で一致した。先行きについて、委員は、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するもとで、米国や中国などを中心に、緩やかながらも次第に成長率を高めていくとの認識を共有した。』
えーっとですな、FOMC議事要旨ネタをまだやっていないので(すいません)アレなのですが、4/30-5/1に実施されたFOMC議事要旨の方では海外経済に関する減速傾向への懸念とか、米国経済の先行き見通しがやや回復ペースが遅くなるのではないかというような認識を大勢が示している格好になっておりまして(明日にでも投下しますすいません)、FOMCの見通しを読んだ後にこれを読むと「おいおい何か強気じゃないの」というツッコミをしたくなる訳で。
まあ当然全員がそうな訳では無いのですが・・・・・・
『そのうえで、ある委員は、海外経済が持ち直し傾向を辿るという見方を変えるものではないものの、前回会合以降、米国や中国で経済指標の市場予想比下振れが相次いでいると指摘した。』
FOMCのスタッフレビューでは「中国の顕著な下振れ」を指摘してましたな。
『別の一人の委員は、今月公表されたIMFの世界経済見通しが1月時点に比べて下方修正されたことについて、成長率の高まる時期が後ずれするリスクに注意が必要だと述べた。』
これもまあFOMCでの米国や中国、欧州経済の認識に近い。
『これに対し、一人の委員は、最近の経済指標の下振れを受けて海外経済の回復への懸念の声も聞かれるが、欧州でここ数年のような大きな混乱がみられないことや、米国で住宅市場の回復が本格化していることなどから、海外経済は次第に回復していくとの見方を示した。』
強気の方もおいでのようですなあ。
ちなみに中国経済に関してですけれども個別の所ではこういう話に。
『中国経済について、委員は、堅調な内需を背景に、安定化してきているとの認識を共有した。そのうえで、何人かの委員は、1〜3月期の実質GDPの伸び率が鈍化したことや、鉄鋼など素材産業の生産調整が続いていることなどを指摘し、本格的な回復には至っていないとの見方を示した。別の一人の委員は、政府による不動産価格抑制策や質素倹約奨励の影響から足もと改善の動きが幾分弱まっているが、緩やかな持ち直しの過程にあることに変わりはないと述べた。』
ふーん。
『先行きについて、委員は、成長テンポはかつてに比べ緩やかになる可能性が高いが、内需が堅調に推移するもとで輸出も次第に持ち直し、回復が鮮明になっていくとの見方を共有した。』
だそうです。
・実質金利が低下するから緩和効果が高まるんですってよ奥様!!
本文6ページからが色々と鑑賞物としてアレな部分ですよ。
『わが国の金融環境について、委員は、緩和した状態にあるとの認識で一致した。先行きについて、委員は、「量的・質的金融緩和」は長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、期待の転換を通じて予想物価上昇率を上昇させ、実質金利を低下させる効果が期待できるため、金融環境の緩和度合いは景気の改善につれて強まっていくとの考え方を共有した。』
実質金利キタコレですが、一方でこの先の方で金融市場情勢に関する話があって名目だろという人も居るには居るのが救いっちゃあ救いですけどね。
『「量的・質的金融緩和」導入後の市場動向について、委員は、特に債券市場では、直後にやや振れが大きくなる局面があったが、日本銀行による長期国債買入れの運営方針変更などもあり、足もと落ち着きを取り戻しているとの認識で一致した。』
まあ4月末の時点ではそうでした。
『複数の委員は、当初、市場は、@金利の押し下げにつながる大規模な国債の買入れと、A金利の押し上げにつながる「物価安定の目標」の早期実現への強い姿勢とが相反するものと受け止めて動揺した可能性があると指摘した。』
えーっと、たぶん4月末までの長い所の金利上昇は流動性低下要因の方が大きかったと思うのですけれどもねえ。
『このうちの一人の委員は、債券市場の不安定さは潜在的にはなお続いていると付け加えた。』
結果的には正解でしたね!
『別の一人の委員は、日本銀行が大規模な国債の買入れを行う中での金利上昇は、予想物価上昇率の高まりとその背後にある実体経済の好転を示唆している可能性があると述べた。』
・・・・・・・・・・・・・何という手前味噌俺様論点orzorzorz
『ある委員は、金融機関のポートフォリオ・リバランス行動は名目金利の動きに規定される側面が強いため、金利上昇によりリバランスが遅れることが懸念されると述べた。』
そらそうよ。
『足もとの資産価格の上昇について、一人の委員は、バブルを懸念する声も聞かれるが、企業収益等のファンダメンタルズを反映したものであり、過大評価とはいえないとの見方を示した。』
まあそうでしょ。4月末の時点でしたら。
『この間、何人かの委員は、「量的・質的金融緩和」が効果を十分発揮するためには、政策意図の丁寧な説明や適切な金融市場調節などにより、市場の安定を確保する必要があるとの認識を示した。』
政策意図(?)を黒田総裁様が丁寧に説明した結果5月の債券市場が更にあばばばばーになるわ、本当は今日ネタにしたかった黒田総裁の26日の講演があるのですが、まあ色々と建付け的にちょっとロジックに無理無理部分があるのが明確化したせいで更に市場が不安定になったんですけどね!!!!!
・先行き見通しで消費の堅調がどの程度サステイナブルかという点は中々
『以上のような海外の金融経済情勢とわが国の金融環境を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。』
つーことで。
『輸出について、委員は、足もと下げ止まっており、先行きは、海外経済の緩やかな回復や為替相場の円安方向の動きに支えられ、持ち直していくとの見方を共有した。公共投資について、委員は、各種経済対策や復興関連予算の増額などから、当面、高水準で増加を続けるとの認識で一致した。』
どさくさに紛れて為替円安に言及。
『個人消費について、何人かの委員は、株高等によるマインドの改善や資産効果で高額品の売上が増加するなど、底堅さを増しているとの見方を示した。』
はあそうですか。
『そのうえで、複数の委員は、現在の個人消費は雇用・所得環境に比べより堅調であり、その持続性には注意が必要であると付け加えた。』
またFOMC議事要旨ネタになりますが、米国の個人消費に関してFOMCでも同じような認識を示しているのがオモロカッタです。
『住宅投資について、ある委員は、マンション販売が増加基調にあるなど、活発化しているとの見方を示した。こうした議論を経て、委員は、景気は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられているとの認識で一致した。』
へえそうですか。
・物価の所がどう見ても手前味噌です本当にありがとうございました
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比について、委員は、小幅のマイナスとなっているとの認識で一致した。何人かの委員は、物価連動債から算出される予想インフレ率(BEI)や各種アンケート調査をみると、足もと、市場や家計の予想物価上昇率が上昇していると述べた。』
インチキ指標キタコレ。
『これに関し、ある委員は、こうした指標の動きは消費税率引き上げの蓋然性の高まりを織り込んでいる可能性もあり、直ちに予想物価上昇率が高まっているとは解釈できないと指摘した。』
指摘したの1名かよ・・・・・・・(まあ指摘しないけど賛同する人はいるでしょうけど)
『一方、別の一人の委員は、昨年11 月末以降BEIは上昇を続けており、「量的・質的金融緩和」の決定後はそのテンポが早まっていると指摘したうえで、これは消費税率引き上げ予想の高まりというよりも、金融政策のレジーム・チェンジに関する市場の見方を反映した動きであるとの見方を示した。』
日銀の買入と財務省の買入消却が累積的に効果を発揮している話はスルーかよと大変に心温まるものがございますなあ(棒)。つーかBEIの推移と言いましてもですなあという感じですけど。
・でもって展望レポートですがまずは期間を延ばす件
『展望レポートの見通し期間について、多くの委員は、金融政策の効果が実体経済や物価に波及していくにはある程度のタイムラグがあることや、現状、多くの中央銀行が3年程度の見通しを作成・公表していることを踏まえると、見通し期間の延長を検討すべきではないかと問題提起した。』
はあそうですか。
『何人かの委員は、2年程度の期間を念頭にできるだけ早期に「物価安定の目標」を実現するための措置として「量的・質的金融緩和」を導入したこのタイミングで、政策効果を十分点検できるだけの見通し期間を確保することには意義があると述べた。』
はあそうですか。
『複数の委員は、そうした意義を認めたうえで、期間を伸ばした場合には見通しの不確実性が高まるため、必ずしも透明性の向上につながらない面もあると指摘した。』
同意である。というか長期的なのを出すと結局予想と言うよりは目標数値になってくると思うのですが。
『以上の議論を経て、委員は、経済・物価の先行きに対する日本銀行の認識を分かりやすく示す観点から、2015
年度までの見通しを従来より半年前倒しで公表し、見通し期間を3年程度にすることが適当であるとの認識で一致した。』
・物価見通しの部分
『消費税率引き上げの直接的な影響を除いて物価情勢の先行きを展望すると、大方の委員は、消費者物価の前年比は、マクロ的な需給バランスの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇傾向を辿り、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとの見方を示した。』
まあこれはそういう結論になっていましたけど。
『一人の委員は、中心的な道筋に沿って実際の経済・物価が改善していくことにより人々がその道筋を見通せるようになる、というプロセスの重要性を指摘し、そうした好循環のもとで、人々の短期的なインフレ予想、中長期的なインフレ率のアンカー、現実のインフレ率が、互いに強め合いながら上昇していくことになると述べた。』
んなアホな。
『消費税率の引き上げ前後の時期の物価動向について、ある委員は、消費に追加的な下押し圧力がかかることを懸念して、小売業者が需給バランスの改善分の価格の引き上げを先送りすることも考えられると指摘した。』
ふむ。
『予想物価上昇率について、ある委員は、消費者物価の前年比がプラス幅を拡大していくにつれて企業や家計のデフレ期待が転換していくとの認識を示した。』
ほほう。
『複数の委員は、長きにわたるデフレのもとでわが国に定着したデフレ期待を払拭するためには、日本銀行が「物価安定の目標」の達成に向けて強い姿勢を示すことが重要であると述べた。このうちの一人の委員は、この間の各種市場において海外投資家を中心に政策効果を織り込んだ動きとなっていることを踏まえると、今後、実体経済が改善していくにつれて、国内の経済主体も予想物価上昇率を高めていく可能性が高いと付け加えた。』
「政策効果を織り込んだ動きを踏まえると」「実体経済が改善していくにつれ」ってこらまた願望の二乗みたいな話で誠に結構なお話ですなあ(棒)。
『これらに対し、複数の委員は、予想物価上昇率の変化が現実の物価上昇率の高まりにつながる点については、そのメカニズムも含めて不確実性が高いことなどから、見通し期間の後半にかけて2%程度に達するのは難しいと指摘した。』
佐藤さんと木内さんですねわかります。
『このうちの一人の委員は、不確実性の高い見通しを示して仮にその見通しが下振れた場合、日本銀行の物価見通しや金融政策に対する信認を毀損する惧れが大きいと付け加えた。』
ご指摘の通りだと思います。特に長期的な見通しが「予想」ではなく「目標」に近いものになってしまう性質がある今の状況において、その数値の達成可能性に疑問がもたれると金融政策そのものの信認問題に発展するという点は留意が必要ではないでしょうかねえ。
・委員会の検討の部分は反対提案部分に注目
リスク認識の所もあるのですが時間が怪しくなってきたのでパスして本文12ページからの『V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から。
『先行きの金融政策運営について、大方の委員は、2年程度の期間を念頭に置いて、2%の「物価安定の目標」の早期実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続すること、その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うとの認識を共有した。』
まあこれは良いとしまして。
『これに対し、ある委員は、「物価安定の目標」を2年程度で達成するのが難しい中で、「量的・質的金融緩和」が長期間継続される、あるいは極端な追加措置が実施されるという観測が市場で高まれば、金融面での不均衡累積など中長期的な経済の不安定化につながる懸念があるため、継続期間を2年程度に限定し、その時点で柔軟に見直すとの表現に変更することが適当であり、政策に対する市場の信認にもつながると述べた。』
これは後の提案を見れば判るように木内さんの意見ですけれども、この場合時間軸が2年で設定されて伸びようがなくなるのが難点なのと、その後継続しないといけない場合や逆に早期終了しないといけない時に説明がややこしくなるのが難点だと思う。
『また、別の一人の委員は、「物価安定の目標」について、あくまで柔軟な枠組みであり、ピンポイントで2%を実現することが究極の目標であるとの誤解を与えるべきでなく、賃金の動向などから先行き2%に達することがある程度見通せるという状況になれば達成したと評価できるとの認識を示した。』
これは後の提案を見ると佐藤さんの見解じゃないかと想像されるのですが・・・・・・・
『これに対し、一人の委員は、「目標」として掲げた以上、2%の物価上昇率といえる状況を2年程度で実現するよう、金融政策を運営していく必要があると述べた。』
ということで、この「2年で2%」に関してですが、以前は「中長期的な物価安定の理解」とか「目途」とかありまして、中長期的に見通せるかどうかという話だったようなのですが、2%目標になってからはこの部分が非常に曖昧になっておりまして、まあそこを今からギリギリ詰めるのはあまり生産的な話でもない(だって足元の物価まだマイナスですから)とは思いますが、いつまでもこの件を建設的曖昧さ状態にする訳にも行かないでしょとは思うのでありました。
・ということで佐藤さんと木内さんの反対提案
『これに対し、佐藤委員からは、@見通し期間後半にかけての物価見通しについて「2%程度に達する可能性が高い」から「2%を見通せるようになる」に変更する、A中心的な見通しについて「2%程度の物価上昇率が実現し」から「2%程度の物価上昇率を目指し」に変更する、B物価見通しのリスクについて「上下に概ねバランスしている」から「上下やや非対称である」に変更する、を内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。』
先程の物価目標に関する認識とこの提案の2番目が整合的なので佐藤さんの見解かなとは思った訳ですが、あとまあ物価見通しに関しては次の木内さんともども低めの見通し。
3番目の所ですが、今回引用スルーしちゃいましたけれども、「上下やや非対称」ってこらまた微妙な文言で、上か下か明言した方が良いのではとも思うのですが、おそらく「リスクは下」とすると威勢が良くないので悲観的なメッセージを発信する可能性があるよという事(もともと物価見通しが低いのに)なんですかねえ良くわかりませんがと思いましたです、はい。
『木内委員からは、@見通し期間後半にかけての物価見通しについて「「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみている」から「上昇幅を緩やかに拡大させていくことが見込まれる」に変更する、A先行きの金融政策運営について「2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」から「中長期的に2%の「物価安定の目標」の実現を目指す。そのうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付け、その後柔軟に見直すこととする」に変更する、などを内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。』
2%を見通せるとも出来ないとはこらまた木内さん物価の見方厳しいですなあという所ですな、2年間の集中期間云々はさっき引用したとおりですね。
#ということで本日は本当は黒田総裁講演ネタもあったのですが時間切れorzorzorz
2013/05/27
お題「相変わらずのランコルゲ流動性スカスカ相場なので相場および関連のクリップで備忘録勘弁」
このオッサンは何をゆうとるのだ???
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130526-00000037-mai-pol
<慰安婦めぐる発言>「容認は誤解」橋下氏、文書で見解
毎日新聞 5月26日(日)22時18分配信
ちなみに今日の駄文は本当はFOMCの議事要旨をどうのこうのというネタのはずだったのだが、結局市場メモクリップその他うだうだと書いているうちに時間と量がアレになったので正直ただの備忘録になっております事をお断りします。つーか色々と気が付いた所とかあったら是非ともご教授賜りたく存じますお願いしますお願いします。
○市場雑談というかメモになっているかどうか怪しいがメモをしておく
・おもわず株式市場の方を先にメモ(^^)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN9WMV07SXKX01.html
日本株は乱高下の末に反発、輸出一角や不動産、電力高い
新日時: 2013/05/24 15:42 JST
『5月24日(ブルームバーグ):東京株式相場は、乱高下の末に反発。きのうの米国株の底堅さや為替、国内金利動向の落ち着きから企業業績への期待が戻り、電機や精密機器など輸出関連株の一角、不動産や建設など金利敏感業種の一部が高い。電力株も上げた。』(上記URLより)
NY市場は100ドル以上下げた後に住宅関連指数が強い事もあって戻って、夜間取引で株価指数先物は上昇しておりましたので平均株価が200円以上上昇してスタートして一時は15000円台を回復した訳ですが、その後大幅下落して14000円割れもやった後に結局戻る、ということで前場523円高まで上昇して後場は502円安まで下落して下で引けるのかと思ったら今度は反発して結局128円高だった訳ですな。
もう何が何やらなのですけれども、後場指数先物が急落を始めたころ(12時45分過ぎ位から後だったかな)には債券市場では先物がホイホイ上昇してみたり、ドル円で円高ドル安が進んでみたりしていましてどうしましたのやらという所ではあるのですが、とりあえずアチャーと思うのは株価指数先物の板がスカスカな事。
金曜の場合は昨日の今日という事で板がスッカスカとなったというのもあるのかもなのですけれども、それにしても板がスカスカの中で指数先物の価格がビュンビュン飛ぶとゆーおそロシアな展開でありまして、株式市場に関しては指数が下がりましたなあとかいう話よりも指数先物の板がスカスカになっている中で値が飛ぶことが気になりますな。
つまり、これが一時的現象ならまあそういう事もありますなあという話なのですけれども、そうではなくて債券市場で見られた(というか今でもそうだが)流動性低下現象が株式市場にも波及するというのでありますとちょっとアレな訳ですが、さてどうなりますやら。
#平均株価の寄与度の高いどこぞの銘柄の動きとかがこれまた如何なものかという感じですが
・債券もまあ色々とございましたが
大事な事ですが(違)きゃりーがマーライオンのCMは2日まで放映ですからね!!
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN9VL06JIJUX01.html
債券先物は下落、値動きの荒さや株反発で−日銀国債買いオペが下支え
更新日時: 2013/05/24 15:46 JST
『5月24日(ブルームバーグ):債券市場で先物相場は下落。最近の値動きの荒さを背景に売りが先行した。日本銀行が2日連続で長期国債買い入れを実施すると持ち直したものの、国内株価が上昇に転じたことなどから買いは続かなかった。東京先物市場で中心限月の6月物は前日比53銭安の141円98銭で始まり、87銭安の141円64銭まで下落した。午後の取引開始後には日銀買い入れオペの結果を受けて水準を切り上げ、株価が一時急落に転じると1銭安まで戻す場面もあった。しかし、株価が再び上昇すると伸び悩んで、結局は21銭安の142円30銭で引けた。』
『現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の328回債利回りは同4.5ベーシスポイント(bp)高い0.88%で始まり、一時0.905%まで上昇した。その後は徐々に水準を切り下げ、午後に入ると0.825%まで低下。午後3時前から横ばいの0.835%で推移した。前日には一時1.00%と昨年4月5日以来の1%台に乗せたが、そこでは買いが入って0.8%台前半に大きく水準を切り下げた。』(上記URLより)
ということでまあ記事的にすればまあそうですなという事ですが、債券市場ちゃんの方はいきなり50銭以上下がって142円割れでスタートして始まった後に甘利さんの発言があった辺りから一段安になって10年0.90%台まで金利が上昇したわけですが、日銀が短国とか国債とかの買入をオファーしてやや持ち直しましてうだうだとやってまして、前場引けは前日比58銭安の141.93銭で終了。
輪番オペの結果が強くて後場の寄りは前場引けから40銭位上昇してスタートしたもののその後はそれほど踏み踏みにならないなあとか思ってたら株式市場の方がやや失速、とか思っているうちにモリモリと下落してきて、しかも平均株価の方が威勢よく下げるという木曜の株価上昇時点での逆みたいな売り方をしている間に債券先物はホイホイ上昇。
ところが、その後ご案内のように株価指数先物が下落してあばばばばーとなる中で何故か知らんけれども債券先物については誰か遺恨でもあるのかと言いたくなるくらいにやたら上値が重いというか売っている人がいて株価指数が豪快に下落して前日の安値を切った場面でも債券先物ちゃんは前日比1銭安の所までしか戻りませんでしたな。結局債券先物は前日比21銭安の142.30で終了とな。
・輪番オペとかキタコレ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130524.htm
国庫短期証券買入 15,000 2013年5月28日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,000 2013年5月28日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年5月28日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月28日 2013年6月28日
まあ午後の1か月固定オペは良いとしまして、10時10分のオペタイムでは短国買入と輪番の打ち込みということで、輪番に関しては前日に引き続き2日連続での打ち込みとなりましたし、短国買入も市況悪くないのに打ち込みと、まあやる気を結構出した打ち込みではございます。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130524.htm
国庫短期証券買入 39,215 15,006 -0.003 -0.002 98.1
国債買入(残存期間5年超10年以下) 8,375 6,001 0.000 0.042 5.8
国債買入(残存期間10年超) 5,520 3,001 0.028 0.041 21.8
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(5月28日スタート分) 2,350 2,350
落札結果ですけれども、5年超10年以下の方が平均4.2毛甘というのは大体前場引けの実勢なのですが、足切りの引け変わらずというのがどう見ても激強の結果でありまして、まあその結果を受けて後場寄りは先物値段飛んでスタートした訳ですが、平均の方が実勢という事はまあ普通に必殺の札もあって、ただそれだけでは札が足りずに冷やかし札がサックリ入りましたという結果ですな、うんうん。
基本的に輪番で入れるときに、もともとロング持ちの投資家が(自分または委託で)入れる時には素のロングを入れるのですから「入れたいレベル」で入れるのか、それとも「捌きたいロットがあるのでその分必殺で」入れるのかという判断の世界になると思いますが、業者が入れるとなりますと必殺で入れてヘッジ解除していればまあ良いのですけれども、そうじゃない場合って前日の木曜がそうでしたので思いっきり意識したと思いますが、株式市場の方が11時半まで営業しているので、オーバーランチのリスクがある(従来よりオーバーランチのリスクはあったのですけれども、株式市場が11時半まで営業するようになった上に前日のアレですので)ので札が引いてしまいましたとかそういう話ですかね。しかも金曜の場合は前日比安い所での輪番ですからロングを洒落で入れるという選択肢もない(ただの投げになる)でしょうし。
まあ必殺系の札が減った結果流れましたなというのは結構なお話ですし、この調子で強い輪番が続くのかも知れませんが、はてさて今後どうなるやらという所です。
あと、短国買入なのですけれども、こちらは前日の3MTB入札が結構堅調な結果で終了したので強いのかなと思ったら比較的実勢に近い所で決まっていまして、こちらはこちらで少々へーという感じなのですが、投資家札でも入りましたかね??業者の在庫水準は結構軽いんじゃないかと思うのですけれどもねえ。
○甘利さんェ・・・・・・・・・・
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94N00E20130524
経済再生は順調に進展、日銀も市場との対話実践=甘利再生相
2013年 05月 24日 10:44 JST
『再生相は株価の大きな下落幅について「想定外とか想定内とか言うことが、市場に無用の混乱を与えることになるのでコメントしない」と評価を避け、「市場関係者はいろいろな思いで(取引に)参加している。不安や疑心暗鬼、いろいろあると思う。その動きにいちいちコメントはしない」とも述べたが、同時に「アベノミクスは順調に進展している。日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している」と指摘。政府・日銀の取り組み姿勢を強調した。』(上記URLより)
>日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している
>日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している
>日銀は市場との対話をきちんとやっていくことを、総裁自ら実践している
・・・・・・・・・・・・・orz
でまあロイターの上記記事のタイムスタンプだと10時過ぎになっていますが、実際には9時35分前後に共同とかクイックとかが「日銀は市場との対話を実践している」とかいうヘッドラインを打っておりまして、そのヘッドラインが出た直後辺りから債券先物がズルズルと下落した訳でございまして、まあ実際問題として発言を全部通しで見るとちょっと印象が変わるのかもしれませんけれども、この発言を見ると債券市場的には「ああそうですかこの債券市場の動きでも対話をきちんとやっているという認識なんですかそうですか金利上昇容認なんですね」という風に受け止めて更にスネてしまいますがなという所でございます。
そういや金曜にネタにしようかと思ったもののその時間のプライスアクションをちゃんと見ていなかったので良く判らんなあと思って確認してから引用しようと思ったのですが、木曜にもこんな事案があったのよね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN8TKY6S972F01.html
ロンドン外為:円急伸、100円台−甘利再生相の発言後 (引用者注記:これは23日のニュースです)
更新日時: 2013/05/23 17:54 JST
『5月23日(ブルームバーグ):ロンドン時間23日午前の外国為替市場で円が急伸、1ドル=100円台となった。この日の日本株下落について甘利明経済再生担当相が「ろうばいせず」やっていくと述べた後に上げ幅を広げた。』(上記URLより、念のためもう一度追記するとこれは23日のニュースです)
でまあ金曜に確認してみたら確かに甘利さんの緊急会見での「ろうばいせず」云々のヘッドラインが出た所でオリャーと円買いドル売りになっておりましたようで誠に遺憾の極みでございますな。
つーかさ、例の「甘利越え」もそうなのですが、甘利さん微妙にサービス発言成分が多めになっておりまして、そういうのって上げ相場の時は良いのですけれども、波乱相場になって来ると発言が一々裏目に出るリスクが高まるので、安倍さんや麻生さんを見習ってあまりコメントをしない方が無難な気がするんですけれどもとは思います。つーか内閣府ってこの前も余計な黒田発言公表で債券市場の下げを助長するような事をしておりましたが、頼むから静観してくらはいと思うのでありました。
○黒田総裁講演:テキストはまあ一般的な話ですが
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130524a.pdf
「アジアの世紀」の実現に向けて
―国際交流会議「アジアの未来」における講演―
講演テキストに関しては足元の金融政策がどうのこうのという話はございませんで、長さもそんなにないのですがこの辺に関してはそうですなという所で。
『3.「アジアの世紀」の実現に向けて―「中所得の罠」に陥らないために―』という小見出しの所から引用。
『30年、40年先を見ても、アジア経済には、輝かしい未来が待っていると言えるでしょう。私がこの春まで総裁を務めていたアジア開発銀行は、2011年に「アジア2050─アジアの世紀は実現するか」と題する報告書を発表しました。同報告書は、「現在のような成長が続けば、2050年までにアジアが世界のGDPに占める構成比が現在のほぼ倍となる5割程度に達する」との見通しを示しました。』
『しかし、そうした成功は約束されているものではありません。そこまでの道のりは平たんではないでしょうし、これまでと同じ対応を繰り返せば良いというものでもありません。同報告書では、アジア諸国が政策課題をタイムリーに実行に移せないと、高成長国が「中所得の罠」に陥り、低・中成長国のどの国も経済が改善しないという悲観シナリオも提示し、警告を発しています。』
中所得の罠キタコレ。
『この「中所得の罠」とは、元々は、ラテンアメリカやアフリカなど天然資源の豊富な国が、資源を開発し、輸出することで中所得国に移行した後、先進国になれていないことを指すものでした。アジアでは、天然資源の開発だけに頼るのではなく、労働力という人的資源の豊富さを源泉に製造業が輸出で収入を増やし、低所得国から中所得国に辿り付いた経緯があります。しかし、問題は、農村の余剰労働力が減少し、賃金の上昇圧力が高まる「ルイスの転換点」を通過した後も、相応に高めの成長を安定的に実現できるかどうかです。』
さいですな。
『アジアで戦後に一人当たり年間国民所得が1万ドル以上の先進国になった経済地域は、日本以外では、「四匹の虎」(韓国、台湾、香港、シンガポール)しかありません。このことは、低所得国から中所得国になるのに比べて、中所得国から先進国になることが如何に難しいかを物語っています。』
うむ。
『私は、「中所得の罠」の問題の核心は、成長のフロンティアが存在するか、そのフロンティアを活用する内生的メカニズムが備わっているか、にあると考えています。成長のフロンティアがアジアに存在することについては、冒頭申し上げました。ですから、「罠」に陥らないようにするためには、そのフロンティアを活用するために、健全なマクロ経済政策運営は言うまでもなく、構造改革により、労働、資本、技術革新の生産要素を向上させ、潜在成長率を引上げていく、不断の努力が求められます。具体的な取組みの内容は、各国が置かれた状況によって異なるでしょうし、自助努力が基本となります。しかし、どの国にとっても、規制改革を進めて、イノベーションを促す環境を作り上げていくのと同時に、経済ガバナンスを強化し、社会の透明性・公平性を確保していくことが重要でしょう。加えて、教育水準の向上により、人的資本の更なる高度化を進めていくことも必要です。私自身は、アジアは、それを実現することが出来ると確信しています。』
まあそういう事で。
で、これは別の講演なのですかそれとも上記の講演なのですかね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNA95G6JTSEB01.html
日銀総裁:弾力的なオペ運用の方針重ねて表明−ボラティリティ回避で
更新日時: 2013/05/24 12:44 JST
『5月24日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は24日昼、都内で講演し、国債市場での長期金利の乱高下などを踏まえ、市場が「安定的に推移することが極めて望ましい」とした上で、日銀による市場オペの弾力的な運用を通じて「ボラティリティ(変動率)をできるだけ回避していきたい」との方針をあらためて示した。市場との対話も強化していくと述べた。』(上記URLより)
つーてもそもそもの異次元緩和政策が期待の転換を図るための物であり、期待が転換する過程で市場の安定が一度壊れるものでありますので、ボラを回避して行きたいというのはまあ判らんでも無いのですけれども、そもそも政策的にボラがいったん高まってしまうのでありますからして、ゆうとる事とやってる事が矛盾してませんですかとかそういう話になります罠という所で。
更に昨日はこんなのがあったのですね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MNE5VI6S972801.html
日銀総裁:金利3%上昇しても経済・物価改善伴えば銀行収益に好影響
更新日時: 2013/05/26 14:57 JST
『5月26日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は26日午後、都内で講演し、金利が1−3%程度上昇した場合でも、経済・物価情勢の改善を伴えば、金融システムが不安定化する懸念は大きくないとの見方を示した。』(上記URLより)
内容的にはまあ仰る通りという特に変でも無い話をしているのではありますが、タイミング的に債券市場の流動性が低下して金利が急上昇してアチャーとなる中で、その一因として「経済情勢が改善すると長期金利が上昇するのが自然」みたいな台無し発言を黒田総裁御自らが行ったのもある、という事がありーの、足元ではベンダーのヘッドラインバイアスが「黒田総裁は債券市場に冷淡」というストーリーに都合の良いものを集めてくるという傾向がありーの、とゆー状況でありますので、この発言もヘッドラインが場中に出たらまたまた債券市場がムキーとかなりそうな悪寒でございまして、言う事を悉く円高株安フィルターを掛けて報道された麿総裁の逆パターンではあるものの、債券市場との対話という意味では黒田総裁の対話は今後も前途多難と言うか前途遼遠というべきか、正直溝は相当深くなっていると思いますけどねえ。
ま、それが実体経済的に特段悪影響を与えなければ良いのですけれども、さすがに金利市場の動きが株式市場でも意識されるようになってくるとなりますと、もう少しその辺の溝を埋めにいく努力をした方が良いんじゃネーノとは思いますけどねえ。
○その他雑談系だが
・バイトマンワロタ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN9MSX6S972M01.html
ドイツ連銀総裁:日本の実験に幸運祈る-政策が窮地に陥る危険
更新日時: 2013/05/24 08:40 JST
『5月24日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会のメンバー、ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁は、日本銀行の金融政策スタンスに不安感を示した。バイトマン総裁は23日夜、「日本の実験に幸運を祈りたい。金融政策が非常に大変な窮地に追い込まれる危険があるとわれわれは考えている」と発言。「日銀は発行される国債の70%を購入している。私は事実を話しているだけで、コメントしているわけではない」と語った。同総裁は、ECBが一定の条件の下で約束しているユーロ圏の国債購入も一貫して批判している。』(上記URLより)
>私は事実を話しているだけで、コメントしているわけではない
ワロタとしか申し上げようがございませんな。
・敢えてコメントはしない
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE94N01B20130524
長期金利上昇、日銀の適切な対応を期待=安倍首相
2013年 05月 24日 11:31 JST
『また、市場との対話を行いながら国債管理政策を進めていく方針であり、政府が発行した国債の買い取りを日銀に強いることはなく、財政ファイナンスは行わないとの考えをあらためて示した。』(上記URLより)
#さて今日は展望レポートMPMの議事要旨が来ますよ!!
2013/05/24
お題「市場備忘録雑談メモメモ/黒田総裁会見は金利の質問が無駄におおいですな」
いやもう何と申しますか・・・・・・でしたなあ。
各市場でボラ上昇するわランコルゲするわ値幅は取るわということで、市場動向はまあご案内の通りですが、俺様備忘録につきテイクノートしておくぞなもしということでまずは市場メモ(とてもじゃないが全部フォローできませんけどね)。
○本当に備忘録になっているかどうか自信は無い市場雑談備忘録メモ
・10年1%に上昇したり戻ったりですが(債券ネタメモ)
逆さ絵先生の議会証言、というかその後のQ&Aを受けて貫録の米債2%乗せ(つーか2.04%近く)になったということで国内債券市場売りスタート・・・・・はまあ良いとして、いきなり寄りから1円安とか何ですねんそれはとなりまして、ちょっと戻ったものの結局サーキットブレーカー発動で、その後10年カレント1%出合いとかもう何だかねという展開になった訳ですな。一方で株式市場は米株下がっても日経平均激強なのですがトピの方はあまりアガランチ会長という最近までの日経平均だけやたらサガランチ会長(浮動株が僅少の癖に平均株価の寄与度がやたら高い株がございましてですな・・・・)という状況でもうナンジャソラという所でした。まあ1%付けたらさすがにまたも登場節目で押し目買い攻撃で反発してましたけど。
とか何とかゆうとるうちに10時10分に日銀渾身(かどうか知らんが)のオペ実施と相成りました。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130523.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年5月27日 2014年5月27日
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年5月27日
国債買入(残存期間1年超5年以下) 7,000 2013年5月27日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月27日 2013年6月27日
上の3つが10時10分打ち込みのオペなのですが、期間1年の固定金利オペのオファーを本来だったら13時に行うのが定例的な時間の所をわざわざ10時10分にオファーするというのが最初の渾身でして、次の渾身は国債買入でして・・・・・
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2013/offer013.htm
流動性供給(第142回)入札
1. 発行予定総額 額面金額で3,000億円程度
2. 発行日 平成25年5月27日
3. 発行対象国債
利付国庫債券(10年)第297回から第324回まで ただし、第298回、第305回及び第309回を除く
利付国庫債券(20年)第58回から第106回まで ただし、第59回から第61回まで、第64回、第70回、
第71回、第79回、第81回から第84回まで、第86回、 第92回及び第105回を除く
ご覧の通りでこの日は財務省による流動性供給入札(既発国債の追加発行)が行われる予定になっていまして(で予定通り行われましたが)、中長期国債入札日に中短期の国債買入をオファーする、というまあ以前から可能性についてはアナウンスされていましたけれども、モロにぶつけたのって最初だったような気がするんだが(5/25追記:15日に既に実施していましたすいません)、まあシグナルオペの方はちゃんと鉦や太鼓で宣伝していたようですな。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN2KB66TTDSA01.html
日銀国債買い入れ、応札倍率「1年以下」上昇し、「1−5年」は低下
更新日時: 2013/05/23 15:29 JST
こちらのニュースは1日終わってからの記事なので落札結果とかも反映されていますが、まあそれはそれとしまして、上記URL記事にありますように、今回の日銀によるシグナルオペに関しては・・・・・・
『一方、日銀は午前の金融調節で、固定金利方式の1年物共通担保資金供給(全店)2兆円も同時に通知した。5月27日にスタートし、期日は来年5月27日となる。1年物オペは長期金利が0.9%台に急騰した15日以来となる。同行金融市場局は今回のオペについて、長期金利の過度なボラティリティの拡大に対応するため、とのコメントを発表した。』(上記URL先より)
ということで、今回は「長期金利の過度なボラティリティの拡大に対応するため」という建付けになっておりまして、えーっと前回シグナルオペを思いっきりアナウンス付きで実施した時の理由はなんでしたっけと思って過去の自分の駄文など読みますとありました。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK067730320130515
UPDATE3: 日銀が資金供給2兆円追加、「シグナルオペ」に市場安ど
2013年 05月 15日 14:50 JST
『資金の大量供給に踏み切った理由について、日銀金融市場局では「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」としている。』(上記URL先より)
となってまして、前回は「金利の急激な上昇に対応」ということで金利の水準が上昇したという事について言及していましたが、今回のシグナルに関しては「長期金利の過度なボラティリティの拡大に対応」ということで、どさくさに紛れて「金利上昇に対処」という風に読める文言を避ける格好になっているというのがチャーミング。
まあよーするにですな、前日の決定会合後の会見でも見られましたように、金利の絶対的な水準感に対してああだこうだという事を決定的に言わなくなっている、というのが現在の日銀のエライ人たちのクオリティとなっておりますし、上昇云々という水準感を連想させる文言を使うとシグナルオペ実施が長期金利水準に対するコミットメントと取られ、そんな事言ったって長期金利水準の絶対的な制御何ぞ無理ですがな(そういえば長期金利もコントロールできるかの如くの触れ込みで長期国債購入の拡大と年限長期化を提唱した筈だったのに黒田総裁が会見ではその辺を思いっきりトーンダウンしてたりしますがそこは後ほど)という状況下で、下手にコミットしていると取られたくないというのもあるんでしょうが、今回「水準感」を思わせる文言を外したのが実にチャーミングな世界ではあります。
でもって輪番オペ結果は1〜5年が割と強い結果、というか応札する札があんまり無かったんじゃネーノ的な感じではありましたが、それはそれとして輪番確りですなあとか思ったら菅官房長官が「黒田総裁は市場との対話がうまくできている」みたいなまたおまいら債券市場をピキピキ言わせるのかよというのがあって、はてさてどうなったもんかなと思ったら債券市場の前場引け近辺から前場引け(11時半)までの間に株式市場が下がったのが効いたのか上昇したりしましたが、しばらくは先物ベースだとマイナスに逝ったり戻ったりみたいな感じで、途中までは株安債券安チックな感じになっておりましてほほうという感じ。
しかしながら後場中盤以降はご案内の通り株式市場があばばばばーの阿鼻叫喚(あれだけ現物指数の数値が飛ぶのをみたのは初めてかもしれん)となって、株安が前日比6%だのやりだして債券先物ちゃんは猛然と戻ってまさかの1円高でまたサーキットブレーカー来るか位の勢いまで行ってましたが、まあ先物の値動きが速いわ速いわという所で、先生!うちの先物ちゃんが過呼吸で悶絶してるんです!!状態の過呼吸悶絶相場と相成りましたのはご案内の通り。
ということで、10年債は1.0%までやっておきながら後場は0.80%近くまで低下するとか中々素敵な値幅を取っておりましたが、そらまあ日経平均の値幅が1500円近くやる相場ですからそういう事もありますわなという事なのですが、まあとにかく大きく動きましたという事で。
んでもってあっしの駄文だけでは何ですのでベンダーの後付講釈を。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN6RN56S972N01.html
債券は大幅上昇、株急落や日銀オペで買い−米QE縮小観測で朝方下落
更新日時: 2013/05/23 16:27 JST
『5月23日(ブルームバーグ):債券相場は大幅上昇。米量的緩和策(QE)の縮小観測を背景に売り先行したが、日本銀行が大量の資金供給オペで過度な金利上昇をけん制し、中国経済への懸念をきっかけに内外株価が急落したことを受けて買いが優勢となった。』(上記URLより)
中国経済の懸念ちゃうやろというのはさて置き、まあ株価指数がドタバタ動くようになっている中で債券先物もドタバタ動いてたりしてたので何か関連はあったかも知れんねとは思うのだが最早さっぱりワカランチ会長でしたな、うんうん。
・一応オペとか短国入札とか
日銀渾身のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130523.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(5月27日スタート分) 12,605 12,605
国債買入(残存期間1年以下) 7,205 1,101 0.002 0.006 2.8
国債買入(残存期間1年超5年以下) 15,745 7,001 0.019 0.028 94.3
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(5月27日スタート分) 1,820 1,820
えーっとですな、2兆円の1年固定は札割れですけれども、まあ12605億円ですから応札はそれなりにありましたよねという話ですが、輪番に関しては前場の引けの5年ゾーンの位置からしたら結構強い結果になっていました。これで後場猛然と戻るかというとまああまりそれは関係なかったような気がせんでも無い。つーか昼休みの菅官房長官発言で「日銀の市場との対話はうまく行っている」とかコメントしておいおいおいという感じではありましたが。
3か月TB入札結果
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130523.htm
(3)募入最低価格 99円97銭6厘5毛 (募入最高利回り) (0.0942%)
(4)募入最低価格における案分比率 68.8905%
(5)募入平均価格 99円97銭6厘6毛 (募入平均利回り) (0.0938%)
債券市場も株式市場もあばばばばーだったので華麗にスルーされているようですが、地味に3か月TB入札の金利が今回も低下となっております。まあこれに関しては先般来日銀の短国買入が多めに入っていることが影響与えて来たかなあとか思うのですけれどもどうでしょうかね。
・・・・・・・・でね、まあどうでも良いのですけれども、良く良く考えてみると日銀がシグナルオペで今回「ボラティリティの上昇に対応」とか言って午前にオペを打ち込んだ訳ですが、終わって見れば前場よりも更に激しいボラとなっていましたな債券市場とか考えますと、別にこのシグナルオペのせいでは無いのでただの言いがかりではあるのですが(^^)、何と言う皮肉という所ではございますなあっはっは。
・各市場でボラが上昇というのもねえ
公共放送も当然ながら大々的にお取り上げ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/t10014801051000.html
東京市場 大荒れの1日に 5月23日 20時52分
『23日の東京の金融市場は、大荒れの1日となりました。朝方はまず、債券市場が大きく動きました。取り引き開始直後の午前9時すぎに日本国債を売る動きが強まり、10年の長期国債の利回りは一時、1%ちょうどまで上昇し、およそ1年2か月ぶりの水準になりました。これは、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が国債などを買い入れる金融緩和を今後、縮小するのではないかという見方から、アメリカの長期金利が上昇したことに引きずられた形でした。』
『外国為替市場ではこうしたアメリカの金融政策への見方を背景に、ドルを買って円を売る動きが強まり円安が進みました。さらにこの円安を受けて東京株式市場では、朝方、輸出関連の銘柄を中心に買い注文が増えて日経平均株価は300円以上も値上がりしました。』(上記URLより、以下同様)
ということでここまでは良いのですが。
『しかし午前11時すぎ、債券市場で変化が起きます。』
残念!11時過ぎは債券市場は昼休みですぞな!!
『日銀が長期金利の行き過ぎた変動を抑えるため、金融機関に資金を貸し出す形で1兆円を超える資金を供給する措置をとったことで、長期金利は0.8%台まで低下。資金の流れが株式から債券へという方向に変わってきます。』
・・・・・・・・・・・・・・何という残念な説明。でまあ以下は全部中国経済指標のせいにしておりますので引用割愛なのですが、まあそれはそれとして前場確かに日経平均株価は16000円に接近とかもう何だかねという状況になりーの、その間にトピと日経の上昇率が1%位乖離しーのとなっておりましたし、それ以前の問題として先週末近くから日経が高値更新している間に新興市場がゲロ下げしてたりとか、連日上昇するのは日経平均の寄与度の高い品薄銘柄だったりとか、さすがにナンジャコリャという動きではありましたので、どこかで休憩してよという感じではあったのですが何も4ケタ下げんでも・・・・・・・・・・
(5/25追記:プライスアクション的に言いますと、前場引けに掛けて債券先物がやや戻って、日経平均先物が急に下がりだしたので全く外した話では無いのですが、「資金の流れ」としてのCashではなくて先物主体でしょう、というかそれしか考えられない)
まあ株式市場に関してはインデックスベースで見れば大体大型連休直後(日経とトピで違ってまして日経はそこまで調整してないと思う)の水準まで調整したという風情ですが、ではこの間何が起きていたかと言いますと各国の中銀が利下げを実施して「グローバル流動性相場がやって来たぜヒャッハーヒャッハー」とやっておった訳ですので、そーゆー意味ではとりあえず過剰流動性ヒャッハー相場に水をぶっかける形になったというような上澄み部分の振り落し(何で最初の変換で「付利お年」となるんだよorzorzorz)をやったような話かも知れませんが、やはりあの日経「大機小機」の大勝利宣言がどう見ても死亡フラグです本当にありがとうございましたという所ですがカトーさんねえねえどんな気持ちどんな気持ち(AA略)って所で。
でまあ別に相場の位置的にどうのこうのというよりも、やはり債券もそうですけれども株式市場ちゃんのほうもボラが上昇しているというのがちょっとねえというのは有りまして、まあそれの元をただせば異次元緩和によってボラは上がるわ海外の金融政策にスピルオーバーして海外含めて資産市場に流動性相場期待を巻き起こすわとか、そーゆー辺りについてはやはりまあ異次元緩和の異次元パワーというか亜空間殺法というか何かオソロシスなものを感じるのでありました。
○色々とコメントさせられて大変ですなあ
何せ昨日の場合は・・・・・・・
前場はこれ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014779011000.html
長期金利1年2か月ぶり1%まで上昇
5月23日 12時18分
後場はこれ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014791821000.html
日経平均株価 13年ぶり急落
5月23日 15時51分
ということでコメントさせられているのですが。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0E40K720130523
UPDATE 1-日銀が適切に対応していく=長期金利上昇で菅官房長官
2013年 05月 23日 11:45 JST
『日銀の市場との対話はうまくいっていると思うかとの質問に、官房長官は「うまくいっていると思う。全幅の信頼を置いている」と答えた。さらに「株が上がれば金利が一時的に上がるのは、ある意味で自然なことだ。そうしたことも踏まえ、日銀では金利動向が落ち着くような形で市場調節や市場取引全般に関して、これまで以上に密接な意見交換の場を作っている。安心して見ているし、適切に対応されるだろう」と語った。』(上記URLより)
・・・・・・・・・・orz
これ株式市場が債券の前場引け以降謎の急落を開始してたし、まあ債券自体も戻り基調になっていたこともあって、官房長官発言について特段注目されなかったので良いようなもんで、長期金利上昇が「自然」だの、日銀の市場との対話が「うまくいっている」だの、もしこの発言がそれこそ1%付けて株が絶賛上昇しているタイミングとかでリリースされたら更に債券の下げに拍車を掛けるようなキーワードが並んでおりまして、まあこれに関しては材料にならなくて良かったですねとしか申し上げようがない話でして、いやまあ金利上昇に関して何か安心感を与えるようなコメントをしましたというお気持ちは十分にくみ取れるのでありますが、具体的なコメントをする場合っていうのは余程注意してコメントしないと、却って「何をズレた話をしているんだこの人は」という風に受け止められて逆効果になり兼ねない(昨日偶々ならなかったのはラッキーの世界)のですよ。
特に債券市場(の中でも特に円債)に置きましては、個人投資家の参戦が無いからポピュラーじゃありませんので、大体からして日陰者とかマイナーという認識があって世の中に中々知られていないという風に思っている人が多いと思われる所でして、「ど〜せ皆に理解されないんだ〜」とウジウジとしておりますと不肖このアタクシのように普段からブツブツと微妙な悪態を付くのが仕様になる、という風になるものでありまして(お前は特殊だろこのヴォケとか言われそうですが^^)、そもそもが「ああこの人債券市場理解してないで喋ってるなあ」というのに対してくらーい反応を示すのが仕様となっている、と考えられる節が大いにございますので(^^)、債券市場に関するコメントの際にはあまりややこしいことを言わない方が吉だと思います。
しかしまあ当然ながら株式市場に対する反応の方が大きい訳で。
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE94M07420130523
訂正:日本経済は堅調に回復、うろたえる必要ない=株急落で甘利再生相
2013年 05月 23日 20:22 JST
『再生相は日経平均が急落した原因として、HSBCが日本時間午後に発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が7カ月ぶりの低水準となったことに言及。「このことを受けて、日経平均は連続で上がり続けていたので、利益確定売りのタイミングを探していた投資家が集中してしまったためだと思う」と分析した。』(上記URLより)
うむ、そういう細かい話を一々せんでも良いと思いますけどねえ、というか「うろたえる必要ない」とかわざわざ会見を実施して発言する方がヘイヘイピッチャービビってるよ!という印象を与えるので別にわざわざ会見を別途設定とかせんでも良いと思うのでして・・・・・
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE94M07920130523
株式市場についてはコメントしない=安倍首相
2013年 05月 23日 19:50 JST
『[東京 23日 ロイター] - 安倍首相は23日夜、国際交流会議「アジアの未来」であいさつし、株式市場についてはコメントしないと語った。』(上記URLより)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014798941000.html
麻生氏 コメントはしない
5月23日 19時10分
『株価の急落について、麻生副総理兼財務大臣は、23日夕方、財務省で記者団に対し「基本的に株価は上がったり下がったりするものだから、私の立場としてこれがいいとか悪いとかをコメントするつもりはない」と述べました。』(上記URLより)
ってな感じで、安倍ちゃんや麻生さんみたいな対応で問題ないと思うのですけど、まあ何にせよ相場の暴れで昼は金利、夕方は株式とコメント求められてお疲れ様でございました。
○総裁会見は予想以上に延々と長期金利の質問でした
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305c.pdf
質疑を見たのですが予想以上に延々と長期金利の質問ばかりでナンジャソラという所です。
・ということで長期金利の質問を全部引用するのはどう見ても重複なのでちょっとだけ
最初の質疑でも引用しますか。
『(問) 長期金利の動向について伺います。長期金利は、足許では、1%を窺うような水準に上がっています。4
月に金融緩和を決める頃よりもむしろ上がっているということで、この理由をどう分析しているのか、決定会合でどのような議論があったのか、この急ピッチの上昇を抑えるために何か対応を考えているのかどうか、その辺りについてお聞かせ下さい。』
『(答) ご案内のように、長期金利は、5 月の初めにかけて一旦低下した後、欧米の長期金利の上昇や本邦株価の上昇、為替の円安進行などを背景に上昇しています。長期金利は――常にそうですが――、先行きの経済あるいは物価情勢に関する見通しに、債券を保有することに伴う様々なリスクに応じた、いわゆるリスク・プレミアムが加わって形成されています。』
>債券を保有することに伴う様々なリスクに応じた、いわゆるリスク・プレミアム
・・・・・・・・・・何か判じ物のような説明ですが。
『日本銀行の巨額の国債買入れには、このリスク・プレミアムを圧縮する効果があり、その効果は、今後買入れが進むにつれて強まっていくと考えています。従って、こうした「量的・質的金融緩和」による強力な金利低下圧力のもとで、長期金利が跳ね上がることは予想していません。』
『いずれにせよ、日本銀行は、「量的・質的金融緩和」の導入以降、これまで以上に、市場参加者と様々な形で意見交換を行うとともに、国債の買入れ方法の見直し、資金供給オペの機動的な実施など、積極的な対応を採ってきています。今後とも、債券市場の動きを十分点検し、市場参加者と密接な意見交換を行いながら、必要に応じて、買入れ頻度や買入れペース、買入れ対象の調整をするなど、政策効果の浸透を促すため、弾力的なオペ運営を行っていく方針です。』
はあそうですか。
で、次の質問。
『(問) 2 点伺います。足許では、住宅ローン金利等に少し上昇の兆しがありますが、長期金利の上昇が、実体経済、金融市場にどのような影響をもたらすと分析なさっているか教えて下さい。もう1
点は、4 月の緩和決定から50 日弱経ちますが、当時おっしゃっていた3 つの波及経路がどのように機能していると分析なさっているか、教えて下さい。』
『(答) 先程申し上げた通り、国債の金利も含めて、債券その他の金利は、先行きの景気や物価の見通しによる要素とリスク・プレミアムの要素があります。このリスク・プレミアムの要素を、日本銀行が年間50
兆円のペースで保有残高が増加するよう国債の買入れを行うことで、今後も圧縮していくわけです。』
どうも言ってることの意味が良く判りませんな。買入しなかったらもっと金利が上昇しとるんじゃヴォケ債券市場のデコスケどもはうるせえということなのですかね。
『そうした中で、長期金利が跳ね上がることはないと思います。ご指摘のように、足許で少し長期金利が上がっており、それを反映して住宅ローン金利等にも影響が出ていることはその通りだと思います。ただ、これが、今の時点で、実体経済に大きな影響を及ぼすとはみていません。先程来申し上げている通り、国債買入れについては、政策効果の浸透を促すために、弾力的なオペ運営を行っていくことで対応していきたいと思っています。』
国債買入に関しては後でオモロイ質疑があったので後ほど。
『3 つの波及経路については、従来から申し上げている通り、第1に、国債を含めて、量的・質的に非常に大規模な資産の買入れを行うことによって、金利全体、あるいは特に民間の色々なリスク・プレミアムにも働き掛ける――リスク資産の買入れも通じてリスク・プレミアムにも働き掛け、金利に下押し圧力を掛けていく――という波及経路は、引き続きありますし、非常に有意義だと思っています。』
ほうそうですか(棒)。
『第2 に、長期国債の保有残高を年間50 兆円のペースで増やしていくことについて、従来のように短期ゾーンに限ることなく、短いものから長いものまで含めて、弾力的に、バランスをとって買い入れていくことで、ポートフォリオ・リバランスを促進する効果もあると思っています。これは、毎月毎月、相当な規模のオペを行っていきますので、いわば毎月毎月、その効果は出てくると思っています。』
どう見ても短い方を集中的に買った方がイールドカーブが落ち着くんですけどねえ。
『第3 に、期待に働き掛ける効果については、かなり明確に、例えば物価上昇期待というものもありますし、株を含めた資産価格への期待の反映で上昇がみられることからいっても、その効果は十分にあると思っています。』
>例えば物価上昇期待というものもありますし
>例えば物価上昇期待というものもありますし
>例えば物価上昇期待というものもありますし
>例えば物価上昇期待というものもありますし
>例えば物価上昇期待というものもありますし
・・・・・・・・・・ほほう
・物価上昇期待とは????
ということでこの物価上昇期待に関してですが、誠に遺憾なことに誰も会見でツッコんでおりませんでして、冒頭説明の所でこういう発言がありました。
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっています。予想物価上昇率については、家計や市場参加者に対する調査、マーケットの指標などにおいて、上昇を示唆する指標がみられています。』
でもってじゃあ金融経済月報で何か言及が詳しく有るのかと思ったのですが・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1305.pdf(今月の月報)
『この間、予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる(図表28)。』(5月金融経済月報本文14ページより)
ということで、本文の方で何か具体的な指標の話でもあるかと思ったら何もなく、では図表28には何があるかと言いますと、PDFファイルの47枚目になるのですけれども、これは展望レポートでも出している奴で・・・・・・・
『(資料) 内閣府「消費動向調査」、Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、JCER「ESPフォーキャスト」、QUICK「QUICK月次調査(債券)」、Bloomberg』(5月金融経済月報図表28のページより)
ということで、消費動向調査の予想物価上昇率、コンセンサスフォーキャスト、クイックの月次サーベイにブルームバーグとあるのは物価連動国債のBEIでして、さて直近どの数字がどのくらい伸びたのかという解説でも本文にあるかと思ったのですが、グラフが付いているだけという実に不親切な設計になっておりますが、これはつまりBEI拡大が一番でかいので自作自演とか突っ込まれるのを防ごうということですねわかります(−−;)
・長期金利に「働きかける」というのは「制御する」ではありませんキタコレ
会見に戻りまして。
『(問) そもそも、中央銀行は、短期金利をコントロールすることはできますが、長期金利に対しては、働き掛けることはできても、やはり一種の飴細工のように、長期金利を動かすことは難しいのではないかとも思わせるようなことが、4
月4 日の緩和以降に起こっているような気がします。総裁は、長期金利を完全に抑え込むことができるとお考えでしょうか。』
『(答) 先程来申し上げているように、あるいは経済学の理論が教える通り、確かに、長期金利というものは、物価上昇期待や景気に対する期待によって左右される面が大きいわけです。このため、長期金利は、短期金利──例えばオーバーナイト金利──のように、中央銀行が完全にコントロールできるものとは違うというのは、その通りだと思います。』
『他方、世界の他の中央銀行も、短期金利がほとんどゼロに近づいた中で、短期の金利だけでなく長期の金利に働き掛けている──私どもの言い方では「量的・質的金融緩和」を行っている──わけです。これは、やはり、こうしたことを通じて、イールドカーブ全体に働き掛けようということであり、一定の効果は期待できます。』
『おっしゃるように、中央銀行が長期金利を短期金利のように全てコントロールできるのかといえば、
世界の中央銀行の例や経済理論が教える通り、そういうものではありませんが、働き掛ける効果はあるし、現にそれを多くの中央銀行はやっているということだと思います。』
という事で典型的な模範解答キタコレではあるのですが、確かオッサン最初長期金利を下げて云々って言ってたわけで、そこんところいいから一回ゴメンナサイしておかないと何時まで経っても債券市場との市場との対話が成立せんぞと思うのですけどねえ。
・水準では無くてボラである、なのかな???
まあそうでしょうけどね。
『(問) 長期金利について伺います。総裁が先程おっしゃったように、景気回復や物価上昇期待を反映した金利の上昇が、日銀によるリスク・プレミアムの押し下げよりも大きく出てきた場合──両者の切り分けは難しいとは思いますが──、じわじわと上がってくる部分まではコントロールしきれないので、そうした金利上昇は許容せざるを得ないということでしょうか。』
『(答) どのような言い方をしたらよいか分かりませんが、先程申し上げたように、いわば景気や物価上昇期待による金利上昇と、オペによるリスク・プレミアムの圧縮効果は、おっしゃるように分離するのがなかなか難しいわけです。そういう意味でも、先程別の方がおっしゃったような「良い金利上昇」または「悪い金利上昇」と簡単に割り切ることは難しいと思います。』
『いずれにしても、日本銀行として、「量的・質的金融緩和」の中で考えている3
つの波及経路のうちの1 番目の経路(長めの金利や資産価格のプレミアムへの働き掛け)は、依然として重要ですので、その面では引き続き尽力していきます。また、先程申し上げた通り、国債の買入れが進むにつれて、その効果は強まっていくと考えています。何を「自然な金利上昇」と言うのかは、なかなか難しいですが、私どもとしては、今申し上げた方針で臨むわけですし、ボラティリティが過度に拡大するようなことは極力回避しなければならないと思っています。』
ということで、昨日のシグナルオペでのアナウンスにも反映されたということですな。
・実質金利云々の部分
『(問) 現在の名目金利の上昇について伺います。金利は、実質金利で考えた場合でも上がっているとみているのか、あるいは、期待インフレ率の変化で実質金利は下がっているとみているのか、総裁はどのように認識していらっしゃいますか。』
『(答) 先程も申し上げた通り、数量的に明確に分別することは難しいと思いますが、実質金利は、おそらく下がっていると思います。』
・・・・・・・・・・これだけの質疑だったのですが大々的にヘッドラインになっていたのですなあっはっはorz
・資産買入ペースの前倒しを否定するのは正直ワケワカラン
『(問) 先程、オペの弾力的運用に言及されたので確認のためにお聞きします。「ペースの調整」という言葉の意味は、日銀が4
月4 日に、2 年程度で長期国債の保有額を倍にすると約束された、この約束の前倒しも含めて言っておられるのでしょうか。』
『(答) おっしゃったようなことは意味していません。あくまで、本年も来年も、年間50
兆円のペースで長期国債の保有残高を増加させていくことに変わりありません。』
えーっと、そうしますと下手に前倒しで買入をすると年度の後半に買入が減るだろうという事になりますので、却って年度後半の需給に対する不安を招きますから、前倒しの買入がやりにくくなるんですけど・・・・・・・・・・・・・
『しかし、もともと4 月4 日の決定に含まれていることですが、その中でも十分な弾力性をもってオペを実施し得るわけであり、その弾力性を活用して適切に対応していきたいということです。既にご覧になっている通り、月々の国債保有残高の増加は、単純に「50
兆円÷12 か月」ということではなく、弾力性がありますし、買い入れる国債の残存期間も、「平均7
年程度」となっていますが、4 月4 日の公表文の脚注にあるように、「6 年〜8
年程度」という幅もあります。オペについては、既に実施している通り、毎回のオペ金額を小さくして頻度を高めることもできます。4
月4 日の決定の中にこうした弾力性があり、執行部は、認められたその弾力性を活用していくということです。』
・・・・・・・・ということですが、どうもこの辺の説明っぷりを見ておりますとオペの技術論についてもしかしてまだ理解度がかなーり低いままなのかと思われる節がある訳で、ちょっと何だかなあという印象を受けたのはあたくしだけですかそうですか。
まあそんな所でありまする。
2013/05/23
お題「バーナンキ議会証言&FOMC議事要旨/決定会合レビュー」
えーっと、誰だよこんな理論を吹き込んだのは・・・・・・・・
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130522/k10014773301000.html
猪瀬知事 日本の標準時間2時間早く
5月22日 21時30分
『さらに猪瀬知事は、シンガポールや香港に拠点を移した国際的な金融機関を東京に呼び戻し、東京をアジアの金融の中心地にすることを目的に、日本の標準時間を、今より2時間早めて、東京を世界の主要都市で「最も早く開く市場」にすべきだと提案しました。』(上記URLより)
するってぇと何だい、世界で最も早く開く市場のウェリントンには国際的な金融機関が集まって金融業でニュージーランド経済はウハウハにでもなっているってえことなんでしたっけそんな話聞いた事ないんだが。つーか標準時2時間早くしたら冬場の西日本とか無茶苦茶な時間の日の出になるんだが何で金融振興(しかも間違いなく意味なし)のために日本全体がコスト払って標準時動かす必要があるんだかもう五輪発言と言い勘弁して頂きたいわこの人。
という悪態を言っている場合では無くネタ満載なのでそちらを少々。
米国10年債2%ということで一応メモだけ米国ネタ(と言いつつ長い)
○逆さ絵先生議会証言
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20130522a.htm
Chairman Ben S. Bernanke The Economic Outlook
Before the Joint Economic Committee, U.S. Congress, Washington, D.C.
May 22, 2013
当然寝起きで斜め読みなのですが、『Monetary Policy』の所だけ全力で斜め読みしかも今後どうする系の部分だけという手抜き。まあ後で真面目に読む。
『At its most recent meeting, the Committee made clear that it is prepared
to increase or reduce the pace of its asset purchases to ensure that the
stance of monetary policy remains appropriate as the outlook for the labor
market or inflation changes. Accordingly, in considering whether a recalibration
of the pace of its purchases is warranted, the Committee will continue
to assess the degree of progress made toward its objectives in light of
incoming information.』
資産買入ペースの増減について声明文ベースの話しかしてないですねここでは。
『The Committee also reiterated, consistent with its forward guidance regarding
the federal funds rate, that it expects a highly accommodative stance of
monetary policy to remain appropriate for a considerable time after the
asset purchase program ends and the economic recovery strengthens.』
仮に資産買入ペースを減らしてもフォワードガイダンスの下では金融政策は緩和的に維持されますよと。
『In the current economic environment, monetary policy is providing significant
benefits. Low real interest rates have helped support spending on durable
goods, such as automobiles, and also contributed significantly to the recovery
in housing sales, construction, and prices. Higher prices of houses and
other assets, in turn, have increased household wealth and consumer confidence,
spurring consumer spending and contributing to gains in production and
employment.』
ここは緩和的な金融政策が経済に利益を与えているという話をしていて、実質金利の低さと、資産価格、特に住宅を名指ししていますが住宅価格の強さの効用を指摘。
『Importantly, accommodative monetary policy has also helped to offset
incipient deflationary pressures and kept inflation from falling even further
below the Committee's 2 percent longer-run objective.』
でまあこれもポイントだと思うのですが、緩和的な金融政策はデフレ的圧力を軽減しているというのを加えているのよね。
『That said, the Committee is aware that a long period of low interest
rates has costs and risks.』
さらに全力斜め読みしていてほほうと思ったのはここから先が金融政策のプロコン分析の話になるのですが、「大規模資産買入のコストとリスク」の話では無く、「長期間に渡る低金利のコストとリスク」という話をしていることでありまして、つまりここから先の説明って実は資産買入政策の今後をどうするという話を一切示唆しないという所でして、これは狸度が高いわ逆さ絵と思いっ切り感心しちゃいました。
『For example, even as low interest rates have helped create jobs and supported
the prices of homes and other assets, savers who rely on interest income
from savings accounts or government bonds are receiving very low returns.』
まあ正直これはどうでも良い論点じゃねえのとは思うのだが。
『Another cost, one that we take very seriously, is the possibility that
very low interest rates, if maintained too long, could undermine financial
stability.』
ファイナンシャルスタビリティーキタコレ。
『For example, investors or portfolio managers dissatisfied with low returns
may "reach for yield" by taking on more credit risk, duration
risk, or leverage. The Federal Reserve is working to address financial
stability concerns through increased monitoring, a more systemic approach
to supervising financial firms, and the ongoing implementation of reforms
to make the financial system more resilient. 』
まずは監督規制で対応という話はしてますにゃ。
『Recognizing the drawbacks of persistently low rates, the FOMC actively
seeks economic conditions consistent with sustainably higher interest rates.
Unfortunately, withdrawing policy accommodation at this juncture would
be highly unlikely to produce such conditions. A premature tightening of
monetary policy could lead interest rates to rise temporarily but would
also carry a substantial risk of slowing or ending the economic recovery
and causing inflation to fall further. Such outcomes tend to be associated
with extended periods of lower, not higher, interest rates, as well as
poor returns on other assets. Moreover, renewed economic weakness would
pose its own risks to financial stability. 』
ということでこの辺が「早すぎる緩和縮小は悪影響」という話なのだが、ここでの話がその影響ルートとして「金利上昇」を上げているのが微妙で資産買入の縮小を含めているのか含めていないのかどっちとも取れるように作ってあるのが狸。まあ普通に読むと資産買入をはやすぎる縮小したら金利が上昇するという話だと思うのですが、一方で前の方で資産買入の拡大ペースを縮小しても「金融政策は極めて緩和的」というのを強調するとか言っているのが狸度の高い所です。
『Because only a healthy economy can deliver sustainably high real rates
of return to savers and investors, the best way to achieve higher returns
in the medium term and beyond is for the Federal Reserve--consistent with
its congressional mandate--to provide policy accommodation as needed to
foster maximum employment and price stability. Of course, we will do so
with due regard for the efficacy and costs of our policy actions and in
a way that is responsive to the evolution of the economic outlook.』
と、ここで終了なんだがまあ最後の1パラは「だからちゃんと点検して政策を運営します」というような普通の纏め発言なのでどうでも良し。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE94L01D20130522
米FRB議長、緩和早期縮小への用意示さず
2013年 05月 23日 03:44 JST
『ただ、証言後の質疑応答で、議長は「状況改善の継続を確認し、持続可能と確信できれば、今後数回の会合で資産買い入れを縮小することは可能」と発言した。これを受け、株価は上げ幅を縮小し、債券市場は下げに転じた。質疑応答前は、バーナンキ議長が債券買い入れの早期縮小に向けた用意を示さなかったことなどから、相場は株高・債券高で推移していた。』(上記URLより)
ということのようですので、質疑応答では水ぶっかけ発言もして、とにかく引締めウギャーとも過剰流動性ヒャッハーともならないように色々と考えているなあというのは把握しました。
○FOMC議事要旨
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20130501.htm
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20130501.pdf
さすがにこれを真面目に読む時間はある訳が無いのですが、『Participants' Views
on Current Conditions and the Economic Outlook』のケツだけ引用しておく。詳しくは週末読む。
『Participants also touched on the conditions under which it might be appropriate
to change the pace of asset purchases.』
ということでこのパラグラフは上記小見出しの最終になるです。
『Most observed that the outlook for the labor market had shown progress
since the program was started in September, but many of these participants
indicated that continued progress, more confidence in the outlook, or diminished
downside risks would be required before slowing the pace of purchases would
become appropriate.』
Mostの人は改善はしてるけどまだまだ改善の状況の確認が必要で買入ペース縮小なんてまだまだという話をしておりますな。
『A number of participants expressed willingness to adjust the flow of
purchases downward as early as the June meeting if the economic information
received by that time showed evidence of sufficiently strong and sustained
growth; however, views differed about what evidence would be necessary
and the likelihood of that outcome.』
A number ofってのが一番頭数がファジーなので困るのですが6月のFOMCで検討もとな!
『One participant preferred to begin decreasing the rate of purchases immediately,
while another participant preferred to add more monetary accommodation
at the current meeting and mentioned that the Committee had several other
tools it could potentially use to do so.』
更に1名は今から減らせと言い、別の1名は緩和を拡大すべきとか何というカオス。
『Most participants emphasized that it was important for the Committee
to be prepared toadjust the pace of its purchases up or down as needed
to align the degree of policy accommodation with changes in the outlook
for the labor market and inflation as well as the extent of progress toward
the Committee's economic objectives.』
増やしたり減らしたりという文言に代わった背景はこの辺のようですな。
『Regarding the composition of purchases, one participant expressed the
view that, in light of the substantial improvement in the housing market
and to avoid further credit allocation across sectors of the economy, the
Committee should start to shift any asset purchases away from MBS and toward
Treasury securities.』
1名の意見ですけれども、住宅市場が顕著に改善しているので、これ以上のアロケーションが住宅に来ないために、ということで要するに住宅バブル警戒キタコレという事ですが、MBSの買入からUSTの買入にシフトすべきという話をしていますな。
詳しくは後日。
○決定会合レビューその1:市場雑談というかクレクレというかベンダーヘッドラインキタコレというか
えーっとですな、昨日はご案内の通り金融政策決定会合があったのですが、昨日の債券市場では寄りは下だったのですが前場引けに掛けて先物がホイホイ持ち直してプラス圏内。何で先物上がりますねんという風情でしたが皆さん???という感じで、ベンダーとかでは「金融政策決定会合で長期金利上昇に対応した何らかの施策が取られるとの期待もあるようで債券市場上昇」とか書かれていてナンジャソラと思っていた訳ですが・・・・・・・・
決定会合の結果は12時7分とかあっさり味時間に出ておりまして、当然ながら別に何も出なかった訳ですが、後場の寄りでいきなり先物が禿しく窓を開けて下で寄ったのにはさすがに爆笑の発作を禁じ得ませんでしたというかこういうのを大草原不可避状態というのかという所wwwwwwwwwwwwww
でまあまたまた崩れて10年0.90%とかになってナンジャソラとか思ってたらまた途中から猛然と切り返すとかわけでの判らん相場になって引け際には超長期が失速して終了とかもう何が何だかワカランチ会長ですが、中短期が終日確り目だったような希ガス。
イブニングでは黒田総裁の記者会見のヘッドラインで実質金利が下がっている云々とか、金利は跳ねあがらないでしょう云々とか多分その辺りだと思うのですが、そういうヘッドラインが出た所で先物が下がった(その後夕刻に下がったのは為替要因だと思うのだが)のも中々チャーミングで、まさに「クレクレは甘え」が債券市場に降りかかってくる(どうでも良いが今変換したら最初に「付利かかってくる」とか出たのですがorzorz)となという所で。
しかしまあ何ですな、昨日のベンダーヘッドラインを見たらMPM結果出た後には「長期金利に関して言及なし」とかわざわざ打たれちゃうし、会見のベンダーヘッドラインもまあわざわざ債券市場関係者が(#^ω^)ピキピキとなるようなのを選んでいるのが実にチャーミングでございまして、かつての麿時代にベンダーヘッドラインを見ながら暴れていた株式市場や為替市場の関係者諸氏から見ますと「思い知ったか債券市場」という所でしょうなあと考えますと実に味わいが深いというものでありまするorzorzorz
何かね、「実質金利は低下している」とか「長期金利上昇の影響大きくない」とか「巨額の国債買入はリスクプレミアム圧縮する効果がある」とか「長期金利働きかけに一定の効果ある」とかもうヘッドラインの打たれ方が一々債券市場の神経を逆なでするような代物になっているのが中々お洒落でして、どうも前後の文脈を見ますと一応色々と気は使っていて、この前みたいに長期金利上昇は自然とかそういうスットコドッコイの発言はしなかったようなのですが、そらまあベンダー的にはオモシロヘッドラインを打ちたくなるのが仕様(なお一部そうではないベンダーもあると思いますが)なので、そーゆー意味ではメディアの「異次元緩和VS債券市場」みたいなフレームアップ的報道バイアスによるヘッドラインリスクが債券市場的には今後も高い状態が続くんだろうなあ(債券が戻ったらそのヘッドラインリスク問題は終わりそうな気がするが)という所ではございます。
ということで、総裁会見ネタに関してはこれはちゃんと全文を読まないとベンダーバイアスに乗せられてしまう可能性があるので明日にしますぞなもしという所です。
○決定会合レビューその2:声明文を確認
今回の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130522a.pdf
経済に関する部分は先月の金融経済月報(4/5)の概要部分と比較するのが吉
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/gp1304.pdf
前々回(4/4)の声明文
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
現状維持なのはまあスルーしまして景気に関する部分ですがこれは上方修正です。
・経済現状認識
『わが国の景気は、持ち直しつつある。』(今回)
『わが国の景気は、下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。』(前回月報)
総括判断が引上げですな。
『輸出は、海外経済が昨年来の減速した状態から徐々に持ち直しに向かうもとで、下げ止まっている。設備投資は、非製造業が引き続き底堅く推移するなか、全体としても下げ止まりつつある。公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、底堅さを増している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きが明確になりつつある。』(今回)
『海外経済は、昨年来の減速した状態から徐々に持ち直しに向かっている。そうしたもとで、輸出は下げ止まっている。設備投資は、非製造業に底堅さがみられるものの、全体として弱めとなっている。一方、公共投資は増加を続けており、住宅投資も持ち直し傾向にある。個人消費は、消費者マインドが改善するもとで、底堅さを増しつつある。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。企業の業況感は、再び改善の動きがみられている。』(前回月報)
輸出は同じ、設備投資は「全体として弱め」から「下げ止まりつつある」に引き上げ、公共投資と住宅投資は同じ、個人消費は「底堅さを増しつつある」から「底堅さを増している」と引上げ、生産は「持ち直しに向かう動きもみられている」から「持ち直しに向かう動きが明確になりつつある」とこちらも引上げ、ということで生産と設備投資の引き上げが目立ちますな。
・金融環境、物価の所では予想物価上昇率がどうのこうのという謎文言が
『この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっている。予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる。』(今回)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(前回月報)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年の耐久消費財の動きの反動から、小幅のマイナスとなっている。』(前回月報)
まあこの比較はどうでも良いのですが、今回最初に読んでナンジャコラと思うのは・・・・・・
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
>予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・はてこれは何なんでしょうと申しますか、この辺が上昇してフィリップスカーブが上方シフトして云々と言う屁理屈じゃなかったロジック構成になっております関係上、この内容が具体的に何を指し示すのかというのが非常に重要でありまして、まあその辺多分金融経済月報の全文を見ると書いてあるかとは思うのですが、会見のニュースを見た感じではここの質問が無かったみたいなのが極めて遺憾(あったらゴメン)でして、これが何なのかは非常に気になります。
えーまさか物価連動国債のBEIガーとか言っているんだったらおまいら板の薄い中で物価連動国債の買入やってBEI拡大に散々寄与しておいてそれを捕まえて政策効果が見られる(キリッ)とか言い出すのはどう見ても自作自演の誹りを免れない話でありますが、まあまさかBEI一点張りという事は無いでしょうと信用しておりますので本日の金融経済月報における記述を穴のあくほど拝読させていただきたいと存じます(迫真)。
・先行き見通しの中で金融緩和の効果という文言があるのね
『先行きのわが国経済については、金融緩和や各種経済対策の効果から国内需要が底堅く推移し、海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。消費者物価の前年比は、当面、マイナス幅を縮小したあと、次第にプラスに転じていくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。』(前回月報)
さっきの予想物価上昇率と言い、実質金利ガーの総裁発言と言い、ここでの「金融緩和」文言と言い、何か自画自賛的な香りが漂ってくるような気がするのは読んでいるあたくしの心が濁っているからに違いありませんね(白目)。
・リスク要因は同じっぽいですが・・・・・・
『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開、米国経済や新興国・資源国経済の成長力など、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(今回)
『この間、世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(前回月報)
まあ同じっぽいですけど念の為3月会合の声明文の当該箇所を。
『リスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開や米国経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響など、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。』(3月決定会合声明文より)
回復力とか書いてあるのが成長力とかになってたり、日中関係の影響というのが抜けてたりしていまして微妙にリスク認識が楽観的になっているような気もするがまあそもそもの基調判断が上がっているのですけどね。
・最後の部分なんですけどね
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。』(今回)
(注)というのは木内さんの反対意見。
『このような金融政策運営は、実体経済や金融市場における前向きな動きを後押しするとともに、予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15
年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(今回)
となっている訳ですね、これは4/4の声明文と比較なのですけど。
『日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する(注1)。』(4月4日決定会合声明文、冒頭部分)
(注1)というのは木内さんの反対意見で今回も同じ。
『その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』(4月4日決定会合声明文、緩和継続期間に関する部分)
『今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。これらは、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。』(4月4日決定会合声明文、最後の部分)
・・・・・・・・ということで、まあこれは文章を長くしないという現体制の仕様によって文章が短くなったので削除された、という風に見るのが普通だとは思うのですが、4月4日の異次元緩和のローンチの際には「2年程度の期間」「できるだけ早期に」という実現期間が入っていたのに今回抜けているのは何なんですねんとか、同じく異次元緩和ローンチの際に説明していた金融政策効果の波及ルートの「長めの金利」部分を削除しているのは何ですねんとか、まあその辺も気になる人は気になりますな。
前者の2年程度の期間云々に関しては木内審議委員の反対提案で、
『木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された』(今回)
とありまして、中長期的に目指すという提案をしていますし、まあまさかいきなり2年間のタイムフレームが崩れるわけは無いので2年程度云々に関しては単に文章量の都合ということなのでしょうなあという所です。
で、後者の金融緩和政策の波及ルートの話を削除している方に関しては確かに文章量の都合だとは思うのですけれども、こちらは何せ前回「長めの金利を通じた波及ルート」というのを入れているのに肝心の長めの金利とやらは上昇しやがっておりますので、ここの部分を強調するのはツッコまれる元になるということでこっそりと削除している感も漂う訳で、ややアレな香りも致しますな(ニヤニヤ)。
・木内審議委員の反対提案がより明確化
『木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された』(今回、再掲)
『木内委員より、@「2年程度の期間を念頭に置いて」を削除、Aその次に「2年間程度を集中対応期間と位置づけて、『量的・質的金融緩和』を導入する」との一文を追加、B「『量的・質的金融緩和』の継続」の段落を削除するとの議案が提出され、反対多数で否決された』(前回)
前回は「2年程度の期間」について反対していましたが、今回は明確に「中長期的に目指す」という提案をしていまして、まあ前回のもそういう意図だったとは思いますが、今回は2%を2年とかそんな無茶振りするのはやめえやという意思が明確化されたなと思いましたです、はい。
#ということでまあそんな所で
2013/05/22
お題「どうも落ち着きませんな/コチャラコタ総裁は「安全資産の不足」という論点を持ち出すの巻」
昨日は某経済新聞本紙のコラム「大機小機」で筆名カトーさんが大勝利宣言をしていたのが話題になっていたようで、変な死亡フラグ立てるなしとか思った訳なのですが、それはそれとしまして大勝利宣言をするのは物価上昇と共に雇用者所得が上昇して、雇用が拡大する中で経済が前向きに拡大していって財政も好転していくとかそういう状況になってから大勝利宣言をすべきものであって、株が単に急角度で上昇したからウハウハとか何なんですかねそらまあ金融業者はこの相場でウハウハですからそれはアリガタヤですけれども、それを以て政策の勝利宣言って・・・・・・
などとは思いましたがまあどうでもいいです。
○市場雑談メモ
・値動きが派手派手でお子様には分かりません><;
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN35836JTSEF01.html
債券は下落、40年債入札結果低調で売り優勢−黒田総裁発言の余波も
更新日時: 2013/05/21 17:06 JST
『5月21日(ブルームバーグ):債券相場は下落。きょうの40年債入札結果が低調だったことを受けて、長期や超長期ゾーンを中心に売りが優勢となった。前日に日本銀行の黒田東彦総裁が景気回復に伴う金利上昇を容認する発言をしたことの影響も残ったとの見方もあった。
東京先物市場で中心限月の6月物は、前日比5銭安の142円07銭で開始後、プラスに転じて、15銭高の142円27銭まで上昇した。しかし、午後零時45分の40年入札結果発表後に水準を大きく切り下げ、2時すぎには53銭安まで急落。終了にかけて下げ幅を縮め、結局は23銭安の141円89銭で引けた。』(上記URLより)
何か最初前日比上昇だったんですけど結局マイナスになる中、何故か20年が堅調に推移してて40年国債入札がズッコケて瞬間30銭安だか何だかその辺まで下がったもののいったん持ち直し、と思ったら上値が重いので段々じり安シーザーになって2時位に先物が落札結果発表直後の安値切ったらゲロゲロになったものの、10年カレント0.90%が見えた所で何故か切り返して引けに掛けて先物が物凄い勢いでホイホイ戻りました、とかそんな感じですかよく分かりません><;
でまあ20年が何故か堅調で先物から10年が売りでも出ているのかやたら弱くて長期は先物対比弱くて、まあ相場戻る中で10年とか戻らず(というか下げの時から弱かった)で、引値見ると10年の所が一番甘いとか中々残念感の漂う展開ですので、長期ゾーンが全般売り物だったんでしょうかねえ良く判らんけれども。
まあ何か微妙に下がって戻ってという感じですが値動きが急に出てきてドタバタ動くとかな上に結構な動きをするので無力参加者であります所のミーなどは何がなにやらワカランチ会長というか動き出すともう何だかねという所で困ったもんでございましてまずとりあえず値動き落ち着けやという所でありまする。
・麻生さんの発言が債券下落に対してやや牽制的と
まあ市場が反応して居たという訳でも無いですけれども。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE94K00620130521
日銀は市場との丁寧な対話を、円相場にコメントせず=財務相
2013年 05月 21日 09:21 JST
『東京 21日 ロイター] 麻生太郎財務相は21日の閣議後会見で、21─22日開催に金融政策決定会合を開催している日銀に対し、市場との丁寧な対話をしてほしいと期待感を示した。長期金利が不安定に推移するなかで日銀決定会合に対する期待を尋ねられ、財務相は「黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた。引き続き丁寧に対応してもらいたい」と述べた。』(上記URLより)
ということで市場との丁寧な対話をとかいやあのおじちゃんが株高で円債からのシフトでウッシッシみたいな発言しているのに黒田さんに要求するとは何ですねんとヘッドラインを見た時に思いましたが・・・・・・・
>黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた
>黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた
>黒田(日銀)総裁はマーケットとの対話は丁寧にしてこられた
お、おう・・・・・・・・・・・
いやー何ですなあ、あれだけ一生懸命懇切丁寧に説明していたどこぞの麿前総裁涙目の展開という所ではあるのですが、麿先生の場合は発言する側からダイナシーな話をするのもありますし、更には発言をわざわざ金融引き締め的な部分をやたら強調したり、政府との対立みたいな部分をやたら強調するようなメディアはいるわ、自殺者もエルピーダメモリーの経営危機も皆さんの失業も日銀の金融政策のせいですよと宣伝する人たちはいるわという事で、散々っぱら足を引っ張られておりました次第で、まあさすがにこう言われると(ハッタリが足りないとかあたくしも悪態ついてましたけど・・・・)麿カワイソスと同情の念を禁じ得ませんな、うんうん。
でまあそれはそれとしまして、
『国内投資家の投資スタンスに関連し「株、国債、現預金など、いろいろな形で分散するのは当然だ」としたうえで、1500兆円の個人金融資産のうち約880兆円は現預金だと指摘。「これが株に回り、新しい投資にカネが回る余地が出てきたことに特に反対していない」と述べ、最近の国債から株への資金シフトに違和感はないとの認識を示した。』(上記URLより)
これロイターの記者のまとめ方がおかしいと思うのですが、前回麻生さんは「国債から株へのシフトが起きて〜」というような言い方をしていたのですが、今回は「新しい投資にカネが回る」という言い方にしていて、恐らくこの部分は債券市場の足元の下落を受けて、「債券からの資金流出を容認」と取られないように発言を工夫している感がありまして、市場との対話云々の部分と合わせて考えますと、財務省の事務方が麻生さんに対して債券市場下落を容認するかのような物の言い方を微妙に避けるようなブリーフィングをしたんだろうなあと勝手に想像するのですがどうでしょうかね。
○QEに関して色々と盛り上がっているようで
おまいら講演やりすぎ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN5WL66VDKHT01.html
NY連銀総裁:量的緩和の次の行動、拡大か縮小か確信持てず
更新日時: 2013/05/22 04:26 JST
『5月21日(ブルームバーグ):米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、連邦公開市場委員会(FOMC)が取るべき次の行動について、債券購入プログラムの拡大か縮小か自身はまだ判断していないと述べた。また過去最大規模の資産購入からの引き揚げについて、戦略を見直す必要があるとの認識を示した。』(上記URLより)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN5OML6VDKHT01.html
セントルイス連銀総裁:債券購入は「効果的」、続けるべきだ
更新日時: 2013/05/22 01:17 JST
『5月21日(ブルームバーグ):米セントルイス連銀のブラード総裁は、米金融当局は債券購入を続けるべきだとし、それは予想より緩慢な景気回復を支えるために政策当局者にとって最善の選択肢だからだと述べた。』(上記URLより)
まあ何だ、一々読んでいる時間がねえええのでヘッドラインだけ見て判断するしか無いのですが、ブラードの場合は思いっきりこの人物価重視派で、雇用に関してはそもそもお前らが考えているノーマルレベル(=リセッション前の平均的なレベル)ってバブルで下駄履いてるだろヴォケとかそういう認識の方ですので、足元の物価上昇率低下傾向に関して懸念しててまあアセットパーチェス続けろとかそういう話をするだろうなあと想像するに難くないのですが、ダドリーの「拡大」というのも同じような文脈かなあと思います。
でもって逆さ絵発言が控えているのですけれども、昨日のエバンス総裁のこれとかを見ておりますと(講演そのものが昨日シカゴ連銀のサイトを見ても見当たらなかったので惜しくも読めていないのが遺憾にも程がある)・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN3ZPM6VDKHS01.html
シカゴ連銀総裁:経済はかなり大きく改善−金融政策は適切
更新日時: 2013/05/21 07:18 JST
『5月20日(ブルームバーグ):米シカゴ連銀のエバンス総裁は、金融当局が過去最大規模の景気刺激策を維持する中で米経済は「かなり大きく」改善しているとの認識を示した。また、行き過ぎがないよう市場を監視するのに必要な手段を政策当局者は有しているとした。』(上記URLより)
ということで、金融不均衡に関する言及があったように、まあ仮にQE拡大ペースを抑制する方向で見直す、という話ですと、恐らくは「労働市場見通しの顕著な改善」は言い訳であって、実際に問題とするのは金融不均衡の方じゃネーノという風に読める次第でありまする。直近ではどちらかと言えば物価が抑え気味になっている訳ですし、別に雇用情勢が凄まじく改善している訳でも無く、まあその間に進んでいることと言えば新興国資源国などでの金融緩和政策であって、それを受けて金融緩和ヒャッハー流動性相場が現出している訳ですから、直近の動向から急にQE縮小がどうのこうのみたいな話が出るのって流動性相場ヒャッハーでバブルになられると結局ドットコムバブル崩壊後の回復と同じ事になっちゃいますよねという懸念を持っているからってえ話じゃネーノという所。
つー訳ですので、まあ逆さ絵議会証言ですけれども、従来の常識的な線で考えれば、直近で物価上昇率が低下傾向にあり、更にドル高で物価が下がりそうな状況の中でドル高が加速するようなQE早期縮小論が打ち込まれるとは到底思えないのですけれども、問題は直近の金融不均衡に対してどの程度の不快感、あるいは懸念を持っているかという事になるので、その辺の意識をどのくらい持っているのか次第です罠という話。まあ逆さ絵先生としては資産価格の流動性相場ヒャッハーに水はぶっ掛けたい所だが、かと言って景気がそこまで強いという確信がある訳でも無く、物価は懸念だからという所ですので、まあどっちとも取れそうな話をしてお茶を濁すしかないんじゃないかなあとは思いますがどうなる事やら。
○コチャラコタさんのビューを読んだのだがこれが中々の難解ホークス
コチャラコタのおいちゃんの発言。
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=5100
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/nrk05-17-13_chicago.pdf
『During the conference, Narayana Kocherlakota participated in a panel
that discussed the future of central bank policies. Below is the question
he was asked and his response.』
と言うことで質疑応答かと思ったら単においちゃんの演説でした。
・安全資産の不足とかいう話がががが
『In my view, the biggest challenge for central banks-especially here in
the United States-is changes in the nature of asset demand and asset supply
since 2007. Those changes are shaping current monetary policy-and are likely
to shape policy for some time to come.』
はて??
『Let me elaborate. The demand for safe financial assets has grown greatly
since 2007. This increased demand stems from many sources, but I’ll mention
what I see as the most obvious one. As of 2007, the United States had just
gone through nearly 25 years of macroeconomic tranquility. As a consequence,
relatively few people in the United States saw a severe macroeconomic shock
as possible. However, in the wake of the Great Recession and the Not-So-Great
Recovery, the story is different. Workers and businesses want to hold more
safe assets as a way to self-insure against this enhanced macroeconomic
risk. 』
安全資産への需要が高まったとかそんな話をしているのですよ。
『At the same time, the supply of the assets perceived to be safe has shrunk
over the past six years. Americans-and many others around the world-thought
in 2007 that it was highly unlikely that American residential land, and
assets backed by land, could ever fall in value by 30 percent. They no
longer think that. Similarly, investors around the world viewed all forms
of European sovereign debt as a safe investment. They no longer think that
either.』
色々なクラスの資産のリスク認識が高まって、例えば不動産関連担保商品とか欧州周縁国の国債とか、まあそういうものは今や安全認識できませんぞなというのはまあそうですな。
『The increase in asset demand, combined with the fall in asset supply,
implies that households and firms spend less at any level of the real interest
rate-that is, the interest rate net of anticipated inflation. It follows
that the Federal Open Market Committee (FOMC) can only meet its congressionally
mandated objectives for employment and prices by taking actions that lower
the real interest rate relative to its 2007 level. The FOMC has responded
to this challenge by providing a historically unprecedented amount of monetary
accommodation. But the outlook for prices and employment is that they will
remain too low over the next two to three years relative to the FOMC’s
objectives. Despite its actions, the FOMC has still not lowered the real
interest rate sufficiently in light of the changes in asset demand and
asset supply that I’ve described.』
ということで、安全資産と見られたものが安全資産ではなくなったことによって安全資産の供給が減る一方で金融危機やリセッションによって安全資産への需要が高まったことによって実質金利が下げられなくなったとか何とか仰せのようですが、何が何やら良く判らんぞなこのロジック。
・・・・・・・と思いましたら池尾先生が以前この論点を紹介していたのを思い出しまして、
http://agora-web.jp/archives/1518440.html
安全資産の不足 2013年02月11日15:12
池尾 和人@kazikeo
改めて読んだ上にリンク先とかも読んだのですが、何かどうもイマイチしっくりこないのはあたくしの脳味噌の出来の問題だとは思うのですが、まあ何にせよコチャラコタ総裁はこんな話を持ち出しておりまして、その結果どういうインプリケーションになるかと言いますと・・・・・・・
・この結論は凄い
『The passage of time will ameliorate these changes in the asset market,
but only gradually. Indeed, the low real yields on long-term TIPS bonds
suggest to me that these changes are likely to persist over a considerable
period of time-possibly the next five to 10 years. If this forecast proves
true, the FOMC will only meet its congressionally mandated objectives over
that long time frame by taking policy actions that ensure that the real
interest rate remains unusually low.』
資産市場のこのような状態は時間の経過と共に改善されますが極めて緩やかにしか改善しません。物価連動国債の利回りはこの改善がかなりの長期間、恐らくは向こう5年から10年かけて改善するという事になるでしょうって何というハト転換。
で、その見通しが正しければFOMCはマンデート達成させる為に実質金利を異例の低金利にするような政策を長期間のタイムフレームで実施しないといけなくなるでしょう。というお話でナンジャコラという結論でこのおじちゃんも何か言う事がころころ変わるわなあと感心するやら呆れるやら。
・一応金融不均衡の話もしていますけど結論は「懸念なし」
でまあこの後が金融不均衡に関する話。
『One challenge with this kind of policy environment-and this is closely
linked to the overarching theme of this panel-is that low real interest
rates are often associated with financial market phenomena that signify
instability.』
というパネルだったようで。
『There are many examples of such phenomena, but let me focus on a particularly
important one: increased asset price volatility.』
資産価格のボラティリティー拡大に注目したいとな。
『When the real interest rate is unusually low, investors don’t discount
the future by as much. Hence, an asset’s price becomes sensitive to information
about dividends or risk premiums in what might usually have seemed like
the distant future. These new sources of relevant information can lead
to increased volatility, in the form of unusually large upward or downward
movements in asset prices.』
リアルじゃなくてノミナルのような気もせんでもないですが、まあコチャラコタ総裁的には実質金利が異例の低さとなると割引現在価値が上がる(ディスカウントが下がる)ので資産価格が金利以外の要因にセンシティブになるとかそんな話をしているようで。
『These kinds of financial market phenomena could pose macroeconomic risks.』
でまあその結果拡大したボラがマクロ経済へのリスクを起こすというお話。
『These potentialities are best addressed, I believe, by using effective
supervision and regulation of the financial sector. It is possible, though,
that these tools may fail to mitigate the relevant macroeconomic risks.』
で基本的にはそのようなものは金融規制や監督で対応されるべきだが、それらでも対応できないマクロ経済へのリスクというのがあるかも知れませんと言う指摘。
『The FOMC could respond to any residual risk by tightening monetary policy.』
そういう時は残余のリスクに対して金融引き締めで対応するのも有り、というのはキタコレという話ではございまして、まあ確かに前段の部分は盛大にハトなのですが、このおっちゃん金融不均衡がマクロ経済のリスクになっていて、ついでにそのリスクへの対処が必要とか認識するとまたコロッとタカ派に転向する可能性もあるなあと微苦笑を禁じ得ません。
『However, it should only do so if the certain loss in terms of the associated
fall in employment and prices is outweighed by the possible benefit of
reducing the risk of an even larger fall in employment and prices caused
by a financial crisis.』
『Hence, the FOMC’s decision about how to react to signs of financial
instability-now and in the years to come-will necessarily depend on a delicate
probabilistic cost-benefit calculation.』
当然ながら金融引き締めすると雇用や物価に悪影響を与えるので、金融バブルが起きた後に大変な事になるのを防ぐという目的の重要性との比較考量が必要ですよというこらまあ当然の話。
『Here’s an example of the kind of calculation that I have in mind. Last
week, the Survey of Professional Forecasters reported that it saw less
than one chance in 200 of the unemployment rate being higher than 9.5 percent
in 2014, and an even smaller chance of the unemployment rate being that
high in 2015.』
ふむ。
『One possible cause of this kind of a large upward movement in the unemployment
rate is an untoward financial shock ultimately attributable to low real
interest rates. Thus, the gain to tightening monetary policy is that the
FOMC may-and I emphasize the word may-be able to reduce the already low
probabilities of adverse unemployment outcomes.』
ほうほう。
『To me, this kind of analysis suggests that, currently, the gains from
tightening related to improving financial stability are both speculative
and slight. In contrast, the losses from tightening-in terms of pushing
employment and prices even further below the Federal Reserve’s goals-are
both tangible and significant.』
つーことで、ここでの金融引き締めによる金融不均衡抑制による政策効果は少ない上に投機的な物であり、一方で引締めによる経済への悪影響は確実であり大きいというまあ当然ちゃあ当然の結論に。
『I conclude that financial stability considerations provide little support
for reducing accommodation at this time.』
ということで、足元で金融緩和を縮小する必要性はございませんぞなもし、という話で、どう見てもハト派です本当にありがとうございましたというのが結論でありますた。
2013/05/21
お題「市場雑談というか微妙に悪態/ウィリアムス総裁は「労働市場の見通しの顕著な改善」でのQE見直し論」
マシナリさんの最新エントリーですがその中で紹介されている関連記事なども含めまして中々興味深いので勝手に人のふんどしでござる。毎度すいませんです。
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-560.html
「リフレ派」的政策論 2013年05月19日 (日)
○昨日も債券市場が下げやがったので少々
・下げに結果的に追い打ちっぽくなった総裁発言とな
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN2GOO6JTSE801.html
債券は大幅下落、黒田総裁発言や株高受け−先物は一時1円近い下げに
更新日時: 2013/05/20 15:47 JST
『5月20日(ブルームバーグ):債券相場は大幅下落。前週末の米国債市場で長期金利が上昇したことや国内株高への警戒感に加えて、日本銀行の黒田東彦総裁の発言も売り材料となり、先物は一時1円近い下げ幅となった。東京先物市場で中心限月の6月物は、前週末比25銭安の142円44銭で始まり、142円50銭まで下げ幅を縮めた。その後は徐々に水準を切り下げる展開。午後の開始後に一段安となり、一時は95銭安まで急落。売買が一時停止となるサーキットブレーカー発動まであと5銭に迫った。結局は57銭安の142円12銭で引けた。』(上記URL先より)
まあ前週末の海外市場の展開からして債券下がります罠という所だったのですけれども、後場ヘコヘコ下げたのは結果的にはこのせいという事になっておりますが、実は最初「黒田総裁発言で下落」とかベンダーに出てたのですが「黒田総裁発言ってどこにあるのよ?」という感じだったりしてましてですな(汗)。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPT9N0CV00V20130520
経済・物価の先行き見通し改善で金利が徐々に上昇していくのは当然─黒田日銀総裁=内閣府幹部
2013年 05月 20日 11:59 JST
『[東京 20日 ロイター]内閣府幹部によると、日銀の黒田東彦総裁は20日の月例経済報告等に関する関係閣僚会議で、経済・物価の先行き見通しの改善で金利が徐々に上昇していくのは当然だとの認識を示した。』(上記URLより)
まーこれに関してはちょうど(狙った訳でも無いのですが)昨日再度ご紹介したG7後の黒田総裁会見での発言とあまりカワランチ会長だったりすると思うのですけれども、まあつまりきゃりーがマーライオン相場になってシグナルオペとか実施した後になっても特にこの前の発言との認識に変化はありませんですという話をしている、とまあそういう風に債券市場が取ってしまうのは致し方ない所ではあります。
ただまあこれ関係閣僚会議での発言という事になっていますので、そーゆー意味では債券市場と関係ない所での金利上昇のいいわけけとしてのロジックでもあるので、全くその辺の認識が変わっていなくて黒田総裁的には株高円安が正義なので債券市場何でしたっけそれとかいう認識で全て走っているかというと必ずしもそうでは無いのじゃないの発言した場所が場所だけに・・・・・・・などとちょっと気休めを言ってみるテスト。
・・・・・・・とは言えですよ、例えば逆さ絵のおじさんが長期金利の上昇に際して「景気が改善して長期金利が上昇していくのは当然」(キリッ)とか言い出したら米国債券市場がどのようなゲロまみれ相場になるかと想像致しますと、まあ発言として出たのはどうなのかねえと思う次第。さっきのブルームバーグニュースの記事によりますと、
『日銀の黒田総裁は20日、月例経済報告の関係閣僚会議で「経済・物価の先行き見通しの改善によって徐々に金利が上昇していくのは当然」との見方を示した。一方、「日銀の巨額の国債買い入れによる強力な金利低下圧力の下で長期金利が大きく跳ね上がるとは考えていない。いずれにしても市場関係者と密接なやり取りを続けていく」とも述べた。議終了後、内閣府関係者が記者説明した。』(前掲ブルームバーグニュース記事URL先より、脱字と思われる部分は原文ママ)
ということのようですが、まあ確かに「徐々に上昇」するのは自然なのですが、足元の金利動向のどこがどう「徐々に金利が上昇」なのかちょっと小一時間問い詰めたい次第でございまして、先々週末のG7関連での発言でもピキピキ逝っていた債券市場の中の人たちとしてはそろそろドッカーンとなってくるレベルですが市場との対話とか大丈夫ですかとか思うのですけれども株式市場と為替市場との対話ができていれば金利市場なんてあんなものはどうでも良いんですねああそうですかすいませんですねえという風情でして、ネットだと会員向け記事なので引用できないのですが、日経クイックさんの所のNQNニュースでは「はしご外し」とか思いっ切りお怒りなコメントが出てたりして誠にアレでございますな。
つーかこんな発言何で公表するのとゆー所でいやまあ内閣府ですから債券市場がどうのこうのとかご存知ないのでしょうけれども、言うのも不用意だが公表するのも不用意にも程があるわと「内閣府関係者」に八つ当たりしたくなる所ではありますな、とほほのほ。
・まあしかし何ですな
4月4日に異次元緩和をローンチした時の総裁会見を蒸し返してみる。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304a.pdf
会見要旨本文10ページ目より。
『2点目は、市場参加者との対話についてです。これは、従来から金融市場局を中心に色々な形でやっているわけですが、今回の「量的・質的緩和」が、これまでと次元の違う規模であり質であるため、スムーズにオペレーションを行うには、かなり幅広い関係者から、単にオペの状況だけでなく、もう少し広く金融資本市場の動向等も含めて対話をしていく必要があるだろうということです。そういう形で、市場関係者の協力を得る必要もあるし、また、市場に無理なプレッシャーを与えることなくスムーズに「量的・質的緩和」をする必要があるということで、かなり幅広い相手と、幅広いイシューについて、より高いレベルで対話することを考えています。』
「市場関係者の協力を得る必要もあるし」「市場に無理なプレッシャーを与えることなくスムーズに「量的・質的緩和」をする必要がある」との事でございましたが、その協力するのって債券市場なんですけれどもど〜見ても債券市場とのコミュニケーション的には梯子外しとしか思えませんが何かというような大変に素敵な発言を(先週の金利急上昇を受けても)なさるとは誠に結構なお話ではございますなあと存じますが、まー救いがあるとすれば今週の金融政策決定会合での黒田総裁発言で少々梯子外し的な発言が出ても昨日の相場で織り込んだかもしれませんので、ちょっとだけ普通の発言(「経済実態を逸脱した急激な金利上昇は問題だ」くらいのごくごく普通の話)をすれば好感するかもしれませんですねという所ですかねえ。良く判らんけどさ。
ちなみに、昨日は4月12日の講演を引用しましたが、12日と言えば緩和打ち込んだ後に金利が上昇しちゃった後だったりしまして、そういう意味では4日の会見と12日の講演での表現の違いというのも面白いのですよね。つまり金融緩和の波及効果の説明なんですけどね。
上記URLの4月4日会見要旨本文7ページ目より。
『これは、先程も申し上げたように、長めの金利をさらに下げていく、あるいは資産価格のプレミアムに働きかけていくことによって、より十分あるいは迅速に資金需要に対応できるようになり、その結果、これまでよりも、当然、資金需要が出てくるわけです。このような形で、かなり直接的にイールドカーブ全体を下げ、リスクプレミアムを縮小していく効果があります。』
「長めの金利をさらに下げていく」、「かなり直接的にイールドカーブ全体を下げ」ですなあ。
一方で10年金利が0.5%後半で推移してた(12日に0.60%を抜けましたが)4月12日の講演ではこうなっております。講演本文の7ページ目より。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130412a1.pdf
『第1に、長期国債やETF、J−REITの買入れは、長めの金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果を持ちます。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。』(上記URLの4月12日黒田総裁講演より)
既にこの時点で金利が上昇しているのでしらっと「長めの金利の低下を促し」となっておりますが、まあ元々決定会合での公表文書の方では
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
『イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。』
『今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。』(以上上記URLの4月4日金融政策決定会合声明文より)
ということで、イールドカーブ全体に対して金利低下を「促す」とは言ってますが下げるとは言ってませんよねとか、政策の波及効果に関しても「長めの金利を通じた波及ルート」とは言ってますが下げるとは言ってませんよねとか言い逃れができる日銀の作文力恐るべしとしか申し上げようがない所ではあるのですが、まあそうは言いましても4日の黒田総裁の大見得からしたら梯子外しやがったなコノヤローという所でありまして、まあどこまでそのロジックで進んで行くのかを冷え冷えとした目で眺めたいと存じます。
・ボスがボスですのでシグナルオペが無かったんですねわかります
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130520.htm
CP等買入 4,000 2013年5月23日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月22日 2013年6月24日
・・・・・・・ということで順当に(まあ期待もしてなかったでしょうが)シグナルオペのようなオファーもなく短国買入も無し(というか短国の需給をこれ以上締められても却って市場が不安定になるから勘弁だが)という事でございますが、確かにまあレベル的にシグナルオペやった先週水曜の水準からみたらまだまだ上なので実施しなかったんでしょうなあというか、そもそも変にシグナルオペ乱発すると逆方向に無用なメッセージを与えるのを懸念しているのかどうか知りませんが、まあ普通にシグナルオペ無しという風情。
つーてもまあせっせと市場局がオペレーションしている側からボスがダイナシーな発言をしてしまうという図になっている中でせっせとシグナルオペを打つのも空しいんですかそうですかという所で、調節担当部署様におかれましてはそもそも無茶振りをされている中でのオペレーションに同情の念を禁じ得ない所でございまする。
○ウィリアムス総裁講演:「労働市場の顕著な改善」なのでQE拡大ペースの縮小有りとのロジック
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.pdf
The Economic Outlook and Monetary Policy: Moving in the Right Direction
本文10ページありますが、細々やっているとオワランチ会長になるので簡単に。
・景気の先行きには確かに自信度が上昇した感じでポイントは住宅市場
このおじさん最初に結論を言うので講演が読みやすいのですよ。最初の方から。
『Since there are a lot of CFOs here, let me go straight to the bottom
line: The economy has been improving for nearly four years now. I expect
this improvement to continue and to gradually gain momentum. This outlook
reflects a mixture of healthy growth by households and businesses, and
the dampening effects of public-sector restraint. Overall, if we were in
a car, you might say we’re motoring along, but well under the speed limit.
The fact that we’re cruising at a moderate speed instead of still stuck
in the ditch is due in part to the Federal Reserve’s unprecedented efforts
to keep interest rates low. We may not be getting there as fast as we’d
like, but we’re definitely moving in the right direction.』
つーことで車に例えて、スピードは制限速度よりもかなり低い状態で走っているけれども既に溝に落っこちたような状態ではなくなり巡航速度で「間違いなく」正しい方向に走っているとのこと。
『There is indeed little doubt that the economy is on the mend. The clearest
evidence can be found in housing, by far the sector hit hardest during
the recession.』
>The clearest evidence can be found in housing
>The clearest evidence can be found in housing
>The clearest evidence can be found in housing
キタコレ!
『Mortgage rates have fallen to levels rarely, if ever, seen before. Typical
fixed-rate mortgages are around 3.5 percent, putting them in reach of millions
of households. Affordable mortgages fuel demand for homes, and that pushes
up sales and prices. Year-over-year, house prices are rising at around
a double-digit rate.』
でまあ以下住宅市場の改善の話が結構なスペースを使って話をしておりますが割愛。その後個人消費とか企業支出とかの話をしているのですけれども全部割愛しまして。
『Under these circumstances, I expect the unemployment rate to decline
gradually over the next few years. My forecast is that it will be just
below 7-1/2 percent at the end of this year, and a shade below 7 percent
at the end of 2014. I don’t see it falling below 6-1/2 percent until mid-2015.
This forecast of a gradual downward trend in the unemployment rate reflects
the combined effects of expected solid job gains and a return of discouraged
workers to the labor force.』
このGDP見通し数値は4月の講演での数値と変わりませんので、つまり定量的に改善したというよりは定性的に改善の確信度が高まった、という認識だと思います。
・で、結局資産買入縮小の理由が今一歩相変わらず判らない件について
でまあ今回は超手抜きなのでいきなり資産買入政策に関する話の部分という最後の部分にワープしますけれども。
『Similar to our forward guidance on the federal funds rate, the FOMC has
linked our asset purchases to the outlook for the economy. Specifically,
we’ve said we expect to continue buying longer-term Treasury and mortgage
securities until the outlook for the job market improves substantially,
provided inflation remains contained. In the statement issued by the FOMC
after our meeting two weeks ago, we said we would adjust our securities
purchases to ensure that monetary stimulus is at a level appropriate for
economic conditions. That has been a principle of our ongoing open-ended
securities purchase program since we started it in September. It means
we will alter the size, pace, and composition of our purchases as necessary
as the economy evolves.』
アセットパーチェスは経済のアウトルックに紐付け(その前にゼロ金利政策のスレッドショルドの話をしています、為念)ですよというのは昨年9月にオープンエンド方式を導入した時からの原則です(キリッ)との事ですが、ここって新方式になって分離されたような感じも思いっきりするんですけどね。まあそれは兎も角として、経済の進展と共に買入のペースや額は見直すと申しておりますよねというのが説明の最初。
『So, do economic conditions suggest we need to change the $85 billion
in monthly securities purchases we’re currently making? To answer that,
it’s useful to look at what conditions were when we launched the program
last September.』
昨年9月の状況から比較するのが良いのです、とはこらまたちょっと面白い視点。
『At that time, the economy was flashing warning signals. As Figure 1 shows,
the pace of improvement in the labor market had slowed, with payroll growth
declining. Moreover, the unemployment rate appeared to be stalled at about
8 percent, and we at the San Francisco Fed did not see the rate falling
below that level till the final quarter of 2013, as shown in Figure 2.』
図の方は上記URL先から見てちょという所ですが、そらまあ確かに昨年9月から比較したら「顕著な改善」はしとるがなという話なのだがそれで良いのかという気がせんでもない・・・・・
『Since then, the labor market has improved considerably. The pace of job
growth has picked up, averaging over 200,000 jobs per month over the past
six months. And the unemployment rate has come down.』
でまあ図2にあるように、「the labor market has improved considerably」なのはそらまあそうなのですがまさにキタコレな説明。さらにこの文の次には・・・・・・
『Figure 3 shows that, in the seven months since our latest securities
purchase program began, the unemployment rate has fallen faster than we
had expected.』
>the unemployment rate has fallen faster than we had expected
>the unemployment rate has fallen faster than we had expected
>the unemployment rate has fallen faster than we had expected
・・・・・・・・・お、おう。
『It’s clear that the labor market has improved since September. But have
we yet seen convincing evidence of substantial improvement in the outlook
for the labor market, our standard for discontinuing our securities purchases?』
では「substantial improvement in the outlook for the labor market」を確信させるエビデンスはどうなのかという話ですが・・・・・・
『In considering this question, I look not only at the unemployment rate,
but also a wide range of economic indicators that signal the direction
the labor market is likely to take.』
まあこれは普通。
『Economists at the San Francisco Fed have identified a very good set of
indicators for this purpose that tell us what labor market conditions are
likely to be six months in the future. They include well-known labor market
measures, such as private payroll employment growth and initial unemployment
insurance claims. But they also include measures that are not as well known,
such as growth in temporary help employment and survey data on the share
of households that find jobs hard to get.』
ほうほうそれでそれで?
『Consistent with the payroll and unemployment data I mentioned earlier,
most of these indicators look healthier than they did in September. What’s
more, nearly all of them are signaling that the labor market will continue
to improve over the next six months. This is good news.』
これはこれは。
『But it will take further gains to convince me that the “substantial
improvement” test for ending our asset purchases has been met. However,
assuming my economic forecast holds true and various labor market indicators
continue to register appreciable improvement in coming months, we could
reduce somewhat the pace of our securities purchases, perhaps as early
as this summer.』
ということで、ここが先週話題になっていた話ですが、ちなみに4月の講演(先週金曜にネタにした奴)ではこの部分が「But,
assuming my economic forecast holds true, I expect we will meet the test
for substantial improvement in the outlook for the labor market by this
summer.」(4月3日の講演より)ということで、時期は若干前倒しになっていまして、一方で長期見通しが変わっていないという事なのですから、定量的にどうのこうのというよりは定性的な判断になるのかねとか思うのですが、それにしてもふーんという感じです。
『Then, if all goes as hoped, we could end the purchase program sometime late this year.』
買入拡大終了に関するこの部分は前回4月3日と全く同じですな。
『Of course, my forecast could be wrong, and we will adjust our purchases
as appropriate depending on how the economy performs.』
まあそらそうです。
で、この次に(前回と同様に)「買入拡大を停止することは金融引き締めを意味するものではなく、我々の金融政策は買入拡大を停止したとしても引き続き超緩和的です」という説明をしておりますが、これまた前回と同様でして、その一方で前回講演で言及していた低金利政策での金融不均衡云々の件は触れていませんでして、基本的には「経済に対する見通しの改善」で攻めてきているなというところではございます。
2013/05/20
お題「オペ色々雑談/決定会合プレビューおよびロジック再確認雑談/FEDの人たち講演ネタ(予告編)」
なんか色々な意味でツッコミどころがある気がするがとりあえず突っ込まないでおく。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130519/k10014687001000.html
橋下氏 みずからの発言で石原氏に陳謝
5月19日 19時13分
○オペ雑談
昨日のオペですが。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130517.htm
国庫短期証券買入 20,000 2013年5月21日
国債買入(残存期間1年超5年以下) 7,000 2013年5月21日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,000 2013年5月21日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月21日 2013年6月21日
とまあ引用すると4本のオペなのですが、金曜のオペは色々と味わいというか何というかなオペでございまして・・・・・・・・
まずは10時10分のオファーですが、国債買入の中短期がオファーされたのはまあ良いとしまして、何故か今回はそのオファーが3年の所での分割が無くて、1年超5年以下と年限的に中短期全部攻撃になってしまったのが債券市場的に「えー」という内容。
つまりですな、この時の債券市場って前日の続きでまあ上昇していた訳なのですけれども、オファーの有った時点での相場の位置からすると前日に入札のあった5年とか、それよりもまあ重そうにしている4年とかそーゆー年限が入らないで2年近辺しか入らないじゃネーノという事になってナンジャソラ状態。と思ったら先物に叩きが入りまして前場引けに掛けて下落したので結局輪番はたぶん中期も入れられる位置になったのですけれども何とも微妙な事になりましたなという所です。
一応この買入って額は多目にオファーしているのでその点では気を使っているのですが、相場が上昇している中で1年〜5年のオペを実施しますとそら短い所しか入らんわという事になりまして、がっくりして先物の叩き料理が入りましたというのが中々遺憾ではございましたが、オペ結果自体がそんなに悪いというものでも無かったので後場は持ち直しとなりまして、まあ先物の叩き料理で中期が外せて良かったですね(という風になっているのかどうか知らんが結果だけ見るとそうなる)というお話。
んでもって10時10分のオペでもう一つ不思議だったのは短国買入2兆円のオファーでございまして、確かに入札後ではあるのですが、そもそも金曜に申し上げましたように前日の新発3MTBの入札が好調(0.10%の2つ上の刻みの所で足切り)となり、セカンダリーも確りという展開で推移していた訳で、何もここで短国の需給を日銀が締めに行かなくても良かろうとゆー話で、日銀がとりあえず短期ゾーンの金利だけは力技が可能なのでという事で短国の需給を締めに来るとなというのが少々アレ。
ただまあ13時のオペで前日に引き続きましてシグナルオペは実施されていませんでしたが、まー木曜にやらないのに金曜にやるのはおかしいというのと、輪番オペ結果が崩れなくて債券市場も切り返していたのでそもそもやる必然性が乏しかったので実施しないでしょうなあと思うのですが、良く良く考えてみますと短期ゾーンの力技攻撃として前日シグナルオペを打たなかった分の穴埋めに短国買入を実施したんかいなという気もせんでも無いですな、よーわからんけど。
ということでまあシグナルオペは(地合いからしたら当たり前だが)実施されなかった訳でございますが、このシグナルも中々使い方が難しいなあと思う訳で、債券安に振れた時に打つにしても変な打ち方をするとコミットメントっぽくなってしまって、それを維持できなくなると更にあばばばばーになってしまいますので益々調節担当部署涙目という所ではございましてボードからマルナゲータの刑を食らっている某金融市場局におかれましては同情の念を禁じ得ません。財務省みたいに普段から全年限である意味ポジションを抱えているのと違うので慣れてないわなあというのは何となくわかるので猶更。
○決定会合プレビュー雑談
今週火曜水曜は金融政策決定会合ですな。
何せ「やるべきことはすべて投入した、戦力の逐次投入はしない」(キリッ)って大口叩いて政策を打ちこんでおりますので、まーここで何か投入するとゆーのも何か残念感が漂うので普通に考えると従来の枠内で何とかしやがれという話になるとは思います。
つーかね、G7での黒田総裁発言とか最近の麻生財務相発言とか見ておりますと、「景況感が改善する中ではある程度金利が上昇してもシャーナイナイ」という風なニュアンスの発言をしやがっておりますし、ここで良く良く4月の金融政策決定会合後に行われた黒田総裁の根性論全開の講演を改めて読みますとですなあ・・・・・・・
・想定問答を想定すると・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130412a1.pdf
量的・質的金融緩和── 読売国際経済懇話会における講演 ──2013年4月12日
本文3ページより。
『質の面では、長期国債の買入れ額を増やすに当たり、買入れ対象を超長期の40年債を含めて全てのゾーンの国債に拡大したうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長しました。これまでのような短めの金利だけでなく、イールドカーブ全体の金利低下を促すことにより、経済・物価への働きかけを強めていくためです。』
という事で「今の金利上昇は景況感や期待の改善、すなわち経済物価への働きかけが強まった結果であり、もし大規模緩和による長期国債購入拡大が無かったら金利はもっと上昇していたので買入を行っているのが効果がある」(キリッ)という認識を持ち出すことによって金利上昇知らんがなという風に言い逃れができるというのが恐ろしい所です。
つまり、足元の金利上昇に関してまあ普通に市場の中の人たち的には「物理的に買入量が市場の通常キャパからして巨大シェアとなる強烈な金融緩和アナウンスによって市場の流動性が縮小したのでそのリスクプレミアムで金利上昇してるだろ」という風に思ったりしていると存じますが、そこを盛大に認定すると負けになる訳で、その辺は買入の具体的運用でカヴァーしろや金融市場局という事でマルナゲータ状態が続くんでしょうなあと思われる訳ですが・・・・・・・・
本文4ページより。
『しかし、こうした仕組みはやや複雑でわかりにくく、金融緩和に対する日本銀行の本気度が市場や国民になかなか伝わらないという問題がありました。このため、今回、「資産買入等の基金」を廃止したうえで、長期国債の買入れ方式を一本化しました。また、先行きの買入れ目標を年間約50
兆円という国債保有残高の増加分で示すこととしました。こうした工夫によって、私どもの金融緩和の意図が、よりストレートに市場に伝わるようになったと考えています。』
ということでして、金融緩和の意図が伝わったのでこういう風に株式市場が上昇したじゃありませんか(キリッ)と言われますと大体ぐうの音も出ないのでありまして、まあ意図は伝わったけれどもその意図を伝えた代償として債券市場の流動性リスクプレミアムが拡大しましたよねという風には債券市場の中の人たち的には共通認識だと思うのですが、何せ株価と為替の動きが動きなだけに、どうせ日銀がそのうち出してくる分析ペーパーを見ると「期待の改善による金利上昇ですよねこれって」という定量分析が出てくるというのがオソロシスな訳です。
ただまあですね、本文6ページなんですけど。
『第1に、長期国債やETF、J−REITの買入れは、長めの金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果を持ちます。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。』
金利上昇しているのに資金調達コストの低下とな!と突っ込んだ場合の答えは実は後にあるので、まあそう突っ込まれた場合の答えは用意していますし、しかもケシカラン事にここに書いてあるのは長めの金利の「低下を促し」であって低下は促すけれども市場の前提条件が変わったらそのベースが違ってくるもんねテペヘロと言われると債券市場的にはグギギギギとなるしかないのが残念な所。
『第2に、日本銀行が長期国債を大量に買入れる結果として、これまで長期国債の運用を行っていた投資家や金融機関が、株式や外債等のリスク資産へ運用をシフトさせたり、貸出を増やしていくことが期待されます。これは、教科書的にはポートフォリオ・リバランス効果と言われるものです。長期国債の買入れの平均残存期間を思い切って延長したのは、この効果を意識したものです。』
これまた債券市場の中の人的に申し上げますと何がポートフォリオリバランスじゃヴォケという所ではあるかと存じますし、大体からしてポートフォリオリバランス効果に関しては資産買入政策を実施すると必ずと言って良いほど最初のうち宣伝されるけれども、徐々にフェードアウトするという代物であって、これを大真面目に言われると甚だアレなのですけれども、恐ろしい事にこの点については「既に効果が出ています」(キリッ)という事になっているのですよね(後掲)。
『また、第3に、物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果が考えられます。先ほどお話ししたデフレ期待の払拭です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響を与えるだけでなく、実質金利の低下などを通じて民間需要を刺激することも期待できます。』
つーことで、株価上昇に見られるように「期待の転換」が進んでいるのであって、名目金利が若干上昇しているかもしれませんが期待の転換はインフレ期待の上昇に作用して、実質金利が低下すれば民間需要が刺激されることが期待できるのですよ文句あっかゴルァと言われますとこれまた債券市場的にはグギギギギとなる訳ですな(#^ω^)ピキピキ。
でまあここで参考になるのがG7終了後、つまり先々週のきゃりーぱみゅぱみゅマーライオン相場のスタート直後に行われた黒田総裁の会見でして、これも既にネタにしましたけれども。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305b.pdf
黒田総裁記者会見要旨 (5月11日)―― G7 終了後の麻生副総理・黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要旨
上記URL先の本文2ページより、というかこの前も引用したが改めて確認。
『先ほど申し上げた通り、「量的・質的金融緩和」が実体経済に与える影響については、3つのチャネルがあると考えています。そのうち、2番目の「ポートフォリオ・リバランス効果」については、確かに国債から他の資産へあるいは貸出へシフトすることが考えられるわけで、それは既に起こっていると思います。』
アイヤー。で途中を飛ばして。
『もちろん、長い目でみて、経済が成長し、特に物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していく中で、名目金利が若干上がっていく可能性はあると思いますが、それは、ある意味で自然なことです。』
あばばばばー。
『当面は、「量的・質的金融緩和」によって長期金利が跳ねることはないだろうと思っています。』
でまあこの会見ってナンジャソラとか思った訳ですが、想定問答がどう作られるかという理屈を想定問答作る方に回って考えてみると、まあ今回の決定会合でもこんな感じのロジック構成で会見が進んで行くのではないかという悪寒はするのがアレな所です。
・まあつまり「短い所の強力なアンカー」と「市場の流動性」が大事だったんですねということで
まあ何ですな、足元の金利市場を見ますと小見出しの通りという話で終了しちゃうのですけれども、金利をアンカーさせたいというのであれば、「これまでのような短めの金利だけでなく、イールドカーブ全体の金利低下を促すことにより」というような認識がそもそも間違いでしたぞなもしという事であります。
でまあ流動性、すなわち市場機能というのもご覧の通りという事でありますので、そうなりますと「金利を低位安定させる」という意味では麿方式、というと格好が悪いので白川ドクトリンという方が格好良いのですが、まあ麿方式の方が市場オリエンテッドで実態に即した戦法でしたなという所ではあるのですが、「金利が低位安定したって株価が上昇して円安に振れて期待が転換しないと意味が無いでしょ」と言われると相変わらずぐうの音も出ないのですけどね(−−)。
でまあ期待の転換は良いのですが、問題は株式市場がヒャッハーとやっている「期待の転換」がちゃんと実体経済に波及してくれないと単に株式市場を無駄に持ち上げて債券市場の流動性を潰して終了しましたよねという風にならないで欲しいものですがそれは兎も角として、金利を落ち着かせるという気があるのかどうか知りませんが仮にやるならどうするんでしょという雑談を少々。
まー市場の流動性に関しては正直言って今さらどうしようもない所があって、それこそあたくしが半分冗談半分本気で申し上げておりますが、全営業日に渡って均等買入をして市場の需給に対して出来るだけ影響出さないようにするとか、あとはまあ金利が上昇したらジャンジャン買うようにするとか、まーどちらもやや極端な話にはなりますが、いずれにせよ従来の方式だと色々と運用が難しいです罠とは思います。
でまあそれはそれとして「短めの金利のアンカー」ですけれども、何せ「2年で2%」と言っているだけに時間軸政策というのが難しいという所ですが、まー市場動向見れば明白なのですが、実は買入国債の平均年限7年と言うのが無理があって、本当は金利を抑えたければ従来のように3年までの金利を強烈にアンカーさせるという方が良いのですけれども、「分かりやすい方式」とか言って基金オペを無くした手前そう簡単に白川ドクトリン復活みたいな措置できませんよね(ニヤニヤ)。
あと、一部のコメントとかで「3年LTROみたいなのをすれば」というのがあって、まあ手としてない訳では無いのでしょうけれども、ECBみたいに変動金利方式にしたら何の意味も無いですし、一方で固定金利にした場合にどの程度のニーズがあるのかというのも少々謎な面があって(ALM的な発想だと3年の固定調達をすれば長期債持っているポートのリスク量が減る筈なので、その意味ではニーズがありますな、つーか1年固定金利オペに札が入るのって同じ理由ですよね。業者にはニーズが無いのですから・・・・・)、ちょっとどうなんでしょうとは思いますし、大体からして「2年で2%」をすると言いきっているだけに3年の固定金利オペというのは政策ロジック的に入れにくいと思いますけどどうっすかね。
ということで結論は無いので特に何か投入されるという事は無く、債券市場が無駄にボラを上げたり変なリスクプレミアムで金利が上昇するのはケシカランという見解が表明されてめでたしめでたしという所でしょうかね、よー知らんけど。
○FEDの中の人たちが色々と講演をしていたので確認してみた(予告編)
時間と量の関係上本日は予告編で勘弁。
・ウィリアムス総裁の講演
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.pdf
The Economic Outlook and Monetary Policy: Moving in the Right Direction
例の「夏には資産買入の拡大規模を縮小して年内に買入拡大を終了(買入の終了ではなくて拡大の終了で残高は維持されますので念のため)」という講演でして、4月にも似た話をしているということでお蔵から引っ張り出して(しかし4月の時に市場って今回ほど反応していなかった気がするのだが)ネタにしましたが、では今回の講演ではどこがどう違っているのかという点ですが・・・・・・・・・
まあ読んでみた感じですと、ロジックが前回から大きく変わっている訳でも無く、内容としては景気見通しと環境の改善について述べているのでそういう意味では見方は改善しているのですが、見通し数値が大きく変わった訳でも無くて、定性的な改善という感じですかねえという話。
あと、前回の講演では何で買入拡大ペースを減らせるのかという話がさっぱりワカランチ会長でしたが、今回は「労働市場の顕著な改善」というのを前面に出していて、まあそういう意味では声明文どおりの説明でもあるのですが、「見通し通りになれば労働市場が顕著な改善」するのに今年中とかそういう事みたいでして、その点では副作用だのバブル警戒だのという話を持ち出している訳では無いというのがへーという感じです。
・コチャラコタ総裁の講演
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=5100
http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/nrk05-17-13_chicago.pdf
61st Annual Management Conference of the University of Chicago Booth School of Business
何か物凄い斬新なロジックが登場しているのがオソロシスなのと、一方でマクロプルーデンスみたいな話を一応している(しているけれども現状そういう話をする段階では無いと全力で主張しています)のですけれども、何かハト派ロジックの新展開という感じで正直理屈が謎でした。
・ラスキン理事の講演
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/raskin20130516a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/raskin20130516a.pdf
Prospects for a Stronger Recovery
サラおばちゃんの講演ですけれども、こちらではマクロプルーデンスとか金融不均衡とかそういう話は物の見事に1ミリも無くて、金融緩和政策の必要性と今後とも継続しましょうねという話を堂々と展開していまして、これはこれでおーという感じでありまする。
なお、16日は他にローゼングレン総裁とフィッシャー総裁の講演もあったんですがさすがに5本も読めないので適当に3本選んでみますたので明日はこの辺でもネタ投入の所存。
2013/05/17
お題「市場関連メモ/ウィリアムスSF連銀総裁のQE縮小発言関連で少々」
気温の振れ大きすぎですが、債券市場と同様にボラは適当な所で収めて頂きたい物です。
○債券市場反発&シグナルオペはスルーなどの市場関連ただの備忘メモ
・とりあえず5年入札無事(かどうか知らんが)通過とな
昨日の債券市場ニュース。
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPTK067784320130516
〔金利マーケットアイ〕夜間取引の国債先物はしっかり、海外勢の買い戻し
2013年 05月 16日 17:38 JST
米債が無事に戻って堅調スタートとなって、朝から10年とか5年とか強かったということで前場から堅調。後場は株式市場というかインデックスが一段と弱含みになったのが効いたのかどうか知らんが、株価の軟調な上に5年国債入札も堅調な結果になって更に確り。つーか5年国債入札結果を見てから買いましょうという人がそれなりにいたのかどうか知らんけれども、如何にもという感じで落札結果発表後に一段と強くなったのですが、超長期って最後前日比甘になってやがるのね。
まあ相場戻りましたのでシグナルオペ効果で良かったですねと言いたい所ではありますけれども、ただまあどちらかというと市場の厚みとボラの低下を伴いながら堅調推移してくれないと何だかなあという感じではありまして、戻るにしろ急ピッチというのはどうもねえという所でして、いいから少し値動き落ち着けと思うのでありますた。
・相場が堅調だったのでシグナルオペ無しとな
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130516.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月20日 2013年6月20日
ということで、13時のオペタイムで昨日はシグナルオペの実施無しという事でしたが、まあその前に既に相場は5年10年(と先物)中心に堅調ワッショイでしたし5年国債入札も堅調でしたし、ついでにその後の相場も強かったので、安心してシグナルオペを実施しなかったようですが、日銀の思惑通りシグナルオペが無い事に関しては全然キニシナイという風情だったようですので誠に結構な話(やや棒読み感)。
まーシグナルオペに関しても諸刃の剣な所がありまして、これでまた金利が上昇した時にどういう風にするのかというのによって「意思を不必要に示す」という風になってしまう惧れもある訳でして、そらまあこれで債券市場がこのまま戻ってくれればその辺悩まなくても良いのですけれども、うっかり何かの拍子(一番足を引っ張りそうなのは米国債動向なのですが、とりあえず2%手前で綺麗に反転してくれたので一安心)で債券市場がまた下落するような場合にシグナル出さないとこの前のはナンダッタンダということになりますし、下手にシグナルだすと今度は勝手に市場がコミットメントと受け止めて却って話がややこしくなるリスクもありますので、まあ運営難しいですよね、というか昨日も黙って1年オペ打っても良かったような気もするんですけど。一日だけ打って終わりだと如何にもピンポイントっぽく見られちゃいますから・・・・・・・・
・3か月TB入札はまずまず
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130516.htm
(3)募入最低価格 99円97銭5厘5毛 (募入最高利回り) (0.0982%)
(4)募入最低価格における案分比率 30.7843%
(5)募入平均価格 99円97銭5厘7毛 (募入平均利回り) (0.0974%)
前日の1年TB入札が何故か足切り0.10%乗せになったのでどうなのよという見方も当初はあったのですが、前日の1年TBの状況を見て、こりゃ3Mが入札で0.10%に近い所まで行くかもしれないじゃあーりませんかという見方が蔓延したら「じゃあ買いますか」という話になったようで、何の事は無いリアルマネーの実需筋の買いを誘発して0.10%にはトドカンチ会長な落札結果であっさり収まりました(^^)。
まあ何ですな、このゾーンに関しては0.10%になると絶賛キャッシュ潰し(次にメモだけ置いているけど業態別当座預金残高を見たら超過準備の潰しニーズは素晴らしくあるでしょうというのが分かります)ニーズが発生しますので、通常の日銀当座預金制度の外側の人たちのニーズと、時々あったり無かったりするけどある時にはバシバシ来る海外系のニーズに加えてまあ買いイント高まるという事でしょうな。0.08%台とかになるとニーズ減るんでしょうけど。
・業態別当座預金残高
4月積み期間分が更新されました。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/cabs/jcabs.pdf
まあ何ですな、都銀の超過準備が増えてまして、主に銀行業態の超過準備が増加傾向というのは大体イメージ通りなのですが、最近は増加率的な観点からすると信託銀行の超過準備がどどーんと増えているのねというのは何故なのか知ってる人教えてジェネラル!
さて上記URL先による当座預金残高の平残レベルの合計(積み期間ベースなので4月と書いてあるのは4月16日から5月15日になります、為念)ですが・・・・・・・・
昨年12月:46兆4891億円
今年1月:41兆0957億円
今年2月:43兆5767億円
今年3月:53兆6800億円
今年4月:65兆6340億円
・・・・・・・・・木久扇師匠の緻密な理論によりますと当座預金残高70兆から80兆程度で早期の物価目標絶賛達成可能という話でございましたので、もうそろそろ物価が上昇しだしてくるんですよね(棒)。
○ウィリアムSF連銀総裁がまた追加資産買入縮小話をしたようですがその話先月もあったぞなという話
こりは不覚。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMWR7J6JIJV101.html
米SF連銀総裁:FRBは今夏にもQE縮小を開始の可能性
更新日時: 2013/05/17 05:21 JST
えーっとですね、実はウィリアムス総裁って4月3日の講演でも「資産買入は年後半には減らして良し」という話をしていたのですが、その時にはあまり反応した感じが無かった(つーか翌日に日銀のウッヒョー緩和があったので話題がそっちに飛んでしまったというか)のと、そもそも時期的に他のネタ(よーするに国内債券市場ネタ)が忙しかったので気が付いたらネタにするタイミングを逸してお蔵入りしておったんですよ(超大汗)。
さて、上記記事で話題になっているのはこちらのようですが、当たり前ですけれども寝起きで読む能力も気力も時間もありませんのでパスしますが、講演のお題の推移に味わいという物を感じるのですな。
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0516.pdf
The Economic Outlook and Monetary Policy: Moving in the Right Direction
4月3日のスピーチはこちら
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0403.html
http://www.frbsf.org/news/speeches/2013/john-williams-0403.pdf
The Economy and the Federal Reserve: Real Progress, but Too Soon to Relax
ということで、題名の変遷を見ると(中身は見てない^^)景気認識が強くなっているように見える所が味わいのある所ですが、では前回どういう話をしていたかと言いますと、まー前回分ネタなので今さらネタではありますが、まあ週末に読む時間があったら何とかして今回のスピーチを読んで内容の変化を確認したいと思いますので、今さらネタを急に引っ張り出すの巻(ただしかなりサラサラモードにします)。
ということで、以下は4月3日の講演「The Economy and the Federal Reserve:
Real Progress, but Too Soon to Relax」の方から引用している話だという事にご留意下さい。
・4月時点での経済見通しはほぼSEPの真ん中、物価見通しはやや弱め
最初の部分から少々。
『Today, I’ll talk about how I see the economy now and where I think it’s
headed. I’ll offer my forecast for the next few years and discuss what
the Federal Reserve is doing to boost the recovery. Of course, Fed speeches
are not like Hollywood movies. That’s because I’ll tell you how it ends
right here at the beginning.』
ワロタ。
『My message is that I’m hopeful that the economy has finally shifted
into higher gear. There are still obstacles to our progress, including
the effects of budget cuts coming out of Washington and the sluggish recovery
plaguing many of our trading partners abroad, especially in Europe. In
this environment, continued progress depends critically on support from
the Federal Reserve.』
4月の時点では景気の先行き自体は回復傾向としているものの、財政カットと海外経済、特に欧州へのリスクを懸念していて金融政策のサポートが必要であるという認識でしたな。
『Even before the recent recession began, the Fed started to put in place
measures to stimulate the economy. These measures pushed interest rates
down to exceptionally low levels and made buying a house, a car, or other
big-ticket items more affordable. The Fed’s forceful policies helped avoid
a repeat of the Great Depression. And now they’re an important reason
why the economy may be picking up a head of steam.』
まあこの辺は普通の話。
『We can’t forget that the downturn we went through was unusually deep
and the recovery has been disappointingly weak. It’s vital that we keep
those extraordinary Fed measures in place for some time to make sure unemployment
and inflation get back to healthy levels. And this is where I should say
that I am expressing my own views and not necessarily those of others in
the Federal Reserve System.』
回復力は弱いですよという話をしておりまして、まあ景気の見方ってそんなに強くないです。この後経済状況の説明をかなり詳しく展開しているのですが、数字だけピックアップしますとこうなります。PDFファイルベースの方だと本文5ページ目になります。
『When I throw everything into the mix, I expect the U.S. economy to grow
steadily this year and for growth to pick up in 2014. To be specific, I
see inflation-adjusted GDP expanding roughly 2-1/2 percent this year and
about 3-1/4 percent in 2014.』
前回SEPでのCentral TendencyがGDPの2013年が2.3-2.8、2014年が2.9-3.4なのに対してウィリアム総裁の見通しがそれぞれ2.5%程度、3.25%程度なので真ん中の数値ですな。
『Such growth should create enough jobs to gradually bring the unemployment
rate down over the next few years. I expect the unemployment rate to edge
down to a little below 7 percent by late 2014 and fall below 6-1/2 percent
in the middle of 2015.』
前回SEPでのCentral Tendencyが2014年末の失業率が6.7-7.0、2015年末が6.0-6.5なのに対して、ウィリアムス総裁の見通しは2014年後半に7%を若干切り、2015年半ばに6.5%(=スレッドショルドの位置)なのですからまあこれも見事に真ん中の数値。
『Even with the unemployment rate continuing to come down, it will likely
remain above “normal” levels for quite some time. My best estimate is
that the longer-run “normal” rate of unemployment is around 5-1/2 percent.
I don’t expect the actual unemployment rate to reach that level until
2016.』
これはどうでも良いですがノーマルレベルについての認識は5.5%程度で相当時間が掛かるという認識ね。
『Slack in the labor market will probably keep wages and other cost pressures
subdued for the next few years. In addition, prices of many commodities
and other imports have been coming down. As a result, I anticipate that
inflation will run at about a 1-1/2 percent rate this year and next, according
to the Fed’s preferred inflation index. That’s roughly the same as last
year and below the Fed’s 2 percent long-run inflation target. Looking
further out into the future, as the economy continues to improve and the
unemployment rate returns to its longer-run normal level, I expect inflation
to edge up to 2 percent.』
物価に関しては当面の見通しが1.5%で見ているのでこちらはやや弱めです。
・という見通しの割には何故か資産買入に関しては減らして良しという話になっている
ワープしまして本文8ページから。
『Both our securities purchases and forward guidance programs have evolved
as we’ve learned more and economic circumstances have changed. Our early
securities purchase programs were for fixed dollar amounts. By contrast,
we’ve linked the current program to economic developments. Specifically,
we’ve stated that we expect to continue buying Treasury and mortgage-backed
securities at a rate of $85 billion a month until the outlook for the job
market improves substantially in a context of price stability. We still
have a way to go before we pass this substantial-improvement test. I anticipate
that our securities purchases will be needed well into the second half
of this year.』
つーことで「年後半までは追加の資産買入は充分に必要ですよ」という認識を示しています。で、この先にフォワードガイダンスの話をしておりまして、こちらに関する部分もほほうという所ではあるのですがまあお蔵入りネタなのでパスしまして、資産買入に関する所から。本文10ページになります。
『Let me start with the first question. In the statement issued following
the March meeting, our policy committee, the Federal Open Market Committee,
or FOMC, stated that it would continue its securities purchases “until
the outlook for the labor market has improved substantially in a context
of price stability.” It also stated that “in determining the size, pace,
and composition of its asset purchases, the Committee will continue to
take appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases
as well as the extent of progress toward its economic objectives.”』
3月の声明文で今後の資産買入拡大プログラムに関してはこういう書き方をしていますよね、って事ですが。
『So, what does that mean? I see the benefits of our asset purchases continuing
to outweigh the costs by a large margin. I expect that continued asset
purchases will be appropriate well into the second half of this year.』
さっきも言ってましたね。
『In making this assessment, I don’t have a specific unemployment or job-gain
threshold in mind for cutting back or ending these purchases. Instead,
I’m looking for convincing evidence of sustained, ongoing improvement
in the labor market and economy.』
追加の資産買入を縮小または終了する判断に関しては特定の数値的なスレッドショルドを設けて考えるのではなく、労働市場と経済の持続的でサステイナブルな改善に関して確信的なエビデンスをもって判断したいということのようですな。つまり定性判断ですが、この定性判断のトーンが今回の講演で変わったかどうかを確認したいですな。
『The latest economic news has been encouraging. But it will take more
solid evidence to convince me that it’s time to trim our asset purchases.
An important rule in both forecasting and policymaking is not to overreact
to what may turn out to be just a blip in the data. But, assuming my economic
forecast holds true, I expect we will meet the test for substantial improvement
in the outlook for the labor market by this summer.』
ふむ。
『If that happens, we could start tapering our purchases then. If all goes
as hoped, we could end the purchase program sometime late this year.』
ということで、こうなるロジックがさっぱり見えてこないのが誠にアレなのですが、経済がウィリアムス総裁の期待通りに回復したら追加資産買入プログラムは夏以降に縮小を開始して今年の後半のどこかで終了することが可能になるでしょうというのが何故か結論になっておりまして、別に経済見通しが特段強いという訳でも無いのにナンジャソラというのがあったんですよね。うんうん。
・資産買入拡大規模の縮小や停止と金利政策による金融引き締めを分けるというロジック
まあこのロジック自体はFRBの中心的な説明になっている(だからこそスレッドショルドが2種類になっているのですが)のですが、中々市場がそうは受け止めないようなリアクションをするというのがアレ。
『It’s important to note that tapering our purchases and even ending the
purchase program doesn’t mean that we are removing all the monetary stimulus
that comes from our longer-term securities holdings. Instead, even as we
cut back our purchases, we’re still adding monetary accommodation and
exerting greater downward pressure on interest rates.』
まあそういうことで。
『Economic theory and real-world evidence indicate that it’s not the pace
at which we buy securities that matters for influencing financial conditions.
Rather, it’s the size and composition of the assets we hold on our balance
sheet. So, even when we stop adding to our portfolio, it doesn’t mean
we’re tightening policy.』
まあそれはよいのですが。
『Of course, eventually, it will be appropriate to tighten policy. The
FOMC’s forward guidance that I discussed earlier provides a clear framework
for when that process will start. When the time does come, I’m confident
that the Fed has the tools to engineer a successful transition to more
normal conditions.』
ということで、金融引き締めに関してはあくまでも金利政策のフォワードガイダンスの方ですよという風に分けているのですな。まあこのロジック自体は今(というか4月だが)に始まった話ではないのですけれども。
・結局資産買入を早めに止めて良しという話の背景がワカランチ会長
最後の所なんですけどね。
『In my few remaining minutes, I would like to address a question that
I often hear and read about in the media.』
ほう。
『Some commentators suggest that low interest rates are dangerous because
they encourage investors to take too much risk. For instance, low yields
on Treasury securities may lead to increased investment in riskier assets,
such as junk bonds or stocks. That could potentially threaten financial
stability.』
低金利による金融不安定化リスクに関する指摘についてですが。
『I want to emphasize that the Fed will not tolerate serious threats to
financial stability. We’re constantly engaged in thorough and rigorous
analysis of and discussions about potential risks to the financial system.』
それにつきましてはモニターをして対処しますよと。
『Based on this analysis, I simply don’t see this as a serious risk now.
There may be excesses in some isolated markets. For example, prices for
farmland in the Midwest have gone through the barn roof. But we don’t
face an economy-wide problem of land prices, or other bubbles, for that
matter. Overall, markets are still more in a risk-averse mode than a risk-loving
mode.』
一部の市場では若干の過剰なリスクテイクの傾向があるものの、経済全体に対してバブルのような傾向があるとは思わないし重大なリスクとも思いませんよと。
『To summarize, the economy is on the mend, helped in part by the very
stimulatory stance of monetary policy. In making monetary policy, one has
to weigh carefully the costs and benefits of actions, recognizing that
we always operate in an uncertain world. I’m convinced we have the right
policies in place to lead us toward both maximum employment and price stability.
Thank you.』
ということで、結局最後まで読んでも何で資産追加買入の縮小ないし停止を割と早めの所に設定できるのかが良くワカランチ会長のまま若干の????感を持って読了したのでありますが、もしかしたら今回の講演ではもう少しディテールが判るのかもしれません。まあ金融不均衡懸念なのかもしれないなあとは思うのですけれども・・・・・・・・・・
ということで、再度申し上げますが、こちらの講演ネタは昨日に行われたウィリアムス総裁講演ではなく、4月3日に行われた講演のネタになりますのでよろしくお願いいたします。
2013/05/16
お題「シグナルオペ実施とな/BOEキング総裁最後のインフレーションレポート」
今朝の米国株式市場コメントってモーサテもまあこんな感じでしたな。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMUWBF6K50YQ01.html
米国株:続伸、製造業活動弱く緩和継続観測−指数は最高値
更新日時: 2013/05/16 05:27 JST
・・・・・・・・・・・なんかね、雇用統計強くて「景気が良い」って買われて今度はNY連銀製造業指数が弱くて「緩和継続」って買われるとか楽しそうですなあ(白目)という所ですが。
#えーっと、モーサテによりますと某新聞の1面では今日はツッコミどころ満載の市場後講釈をしているようですので若い衆の勉強課題に如何でしょうか
○昨日に関しまして色々と雑記
・もはや何が何だか良くわかりません・・・・・・(・ω・;)
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPTK067665920130515
〔金利マーケットアイ〕夜間取引の国債先物は強含み、海外勢のショートカバー
2013年 05月 15日 17:03 JST
昨日の夕方の状況がヘッドラインになっているから何ですが、ここの時系列のヘッドラインを見るだけでお腹一杯になってしまいますぞ。まあ上記URL先の説明とあまり大差ないのですが俺様メモということで。
つーことで、何だか知らんけど昨日の債券先物はとんでもない下で寄ってその後「さすがに今日は輪番実施するんじゃネーノ」と言う期待があったのかどうか知らんけど徐々に戻り、その間(前日からそんな感じでしたが)超長期とかは割と堅調に推移するでござるの巻。
でもって10時10分の輪番タイムには1年以下と10年超という債券市場的に需給が悪くなさそうなゾーンの輪番が入るという謎展開でしたが、まあ逆に考えれば今日の5年入札の後に明日にでも中期の輪番入るんですからそれはそれで結構なお話ではないかとの評価もありましたな。
輪番の結果はまあ普通、というか10年超の輪番とか10年超のカーブが盛大にフラットしているのですから当然ながら10年ちょっと越えしか打ち込まれないと思うのですが、まあ普通の結果で後場もまあ堅調。というか何か知らんけど5年とか10年とか堅調になったり、シグナルオペキタコレとかあって何故か先物前日比プラスとかになって相場上昇。
なんでまたこんな所で相場戻りますねん変な所で戻すなよとか悪態をつきながら見物しておりましたら引け近くに何か先物大失速して結局前日比22銭安で終了しているのですけれども、結局上髭引いて下髭のほとんどない大きめの陽線を引くという先物のローソク足ってこれどういう類の線でしたっけとか思うのですが、昔は罫線の本とか買って勉強した筈だったのにすっかり忘却している自分が残念なのですが、そういや千代田書店も店頭販売止めて久しいですなあうんうん。
まー何ですな、昨日妙な所で戻った後にまた下がってしまった訳ですが、よーするにここもとの相場展開の中で中々総投げっぽくもならないし、板の方はスカスカなのでちょっと動きがあるとそっちの方にワサワサ動くという事でしょうし、買いで戻るのはまあ兎も角として先物ベースで当日安値から1円じゃ効かなく戻っちゃうとかいうような状態とゆーのは、まあ売りたい人だけじゃなくて買いたい人も相応に待ち構えているんでしょうねえとか、ごく当たり前の事ではあるのですが思ってしまいましたぞな。
・輪番オペとかシグナルオペとか
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130515.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,100 2013年5月17日
国債買入(残存期間10年超) 3,000 2013年5月17日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月17日 2013年6月19日
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 20,000 2013年5月17日 2014年5月16日
午前に実施された輪番が上の2発で、午後に実施されたシグナルオペを含む資金供給オペが下の2発になりますがまずは輪番オペ。
まー昨日の相場的には先程申し上げたように輪番オペ対象のゾーンってどっちもそれほど需給が悪い訳でも無いゾーンでして、大体からして引値表を見れば判りますように、需給が悪そうに見えるのって中期と先物とそのちょっと先(昨日の引値表見ると超長期の手前ゾーンも含まれそうですが)ですし、今日は5年入札があるのでまあそっちの方が需給がががががという所ではあるのですが、何せ今日5年の入札があるのですから、黙っていてもそこで新規に玉が供給される訳でして、実は輪番で吸い上げるなら入札の後に吸い上げて貰った方がアリガタヤという話。
つまりですね、入札前に中途半端に買入オペ打ち込まれて需給を改善させちゃったり、うっかり需給をひっ迫させちゃいますと入札の水準が強くなってしまいますので、強くなった所で入札をしてその後はお助け無しとなりますと相対的にコストが悪くなった所で市場の皆様のロングが拡大するのでその後の捌きに苦労するぞなもしという話で、それよりも入札を安い所でやってその後に日銀の買入で需給を改善してくれた方がまあやりやすいです罠と思いっきり参加者的ポジショントーク満載にも程がありますが(-_-)、まー今日入札やって明日中期の輪番があった方がウッシッシという所だったのでこれはこれで良かったのかも知れませんな。
ただまあ別に事前アナウンスしたからと言ってスケジュール通りに買入を実施しないといけないという訳でも無いですし、大体からして月割りで買わないといけないというものでも無いのですからして、金利が上昇しているという事はつまり日銀の買入に応じるニーズが拡大しているという事を意味するのですから、ニーズが拡大している時にドンドン前倒しで買って誰かが困る訳でも無いので、あまり杓子定規に月割りせんでもよかバイと思うのですけど、そこまでの思い切りを見せていないのが惜しい所です。
まあ今日は米債が2%手前でクルリと反転しましたので無問題ですが、米債が前日までの調子で金利上昇して2%台乗せとかになってると円債も連れ安になってもおかしくなかったので、そういう時のタマに「前倒し買入で朝三暮四スキーム」攻撃を残しているのかも知れませんけどね!!
でもって後半のシグナルオペですがまたまたロイターから。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK067730320130515
UPDATE3: 日銀が資金供給2兆円追加、「シグナルオペ」に市場安ど
2013年 05月 15日 14:50 JST
『[東京 15日 ロイター] 日銀は2営業日先となる17日付で総額2.8兆円を市場に資金供給すると発表した。共通担保方式で4月16日以来1カ月ぶりに供給額を2兆円追加し、急ピッチな国債利回りの上昇に対応する狙い。市場では、前日14日の経済閣僚らによる「金利上昇容認」の発言を受けて動揺が広がっていたが、これらをけん制する政策当局の姿勢が伝わり、安心感から長期金利の指標10年物利回りは低下に転じた。』(上記URLより)
>市場では、前日14日の経済閣僚らによる「金利上昇容認」の発言を受けて動揺が広がっていたが
ほほう(・ω・)
『1カ月物への応募は2080億円にとどまったが、1年物には2兆3174億円の応札があり、日銀は2兆0012億円を落札した。この結果、実際の資金供給額は2.2兆円余りとなった。資金の大量供給に踏み切った理由について、日銀金融市場局では「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」としている。』(上記URLより)
という事で、金融市場局様からわざわざそのような説明まで有りましたという事でして、つまり明白なシグナルオペ。でまあ金融市場局様におかれましては最近は国債買入砲の打ち込み方につきまして裁量権が拡大している訳ですから、このシグナルオペには「この調子で金利上昇継続したら国債買入の絨毯爆撃しちゃうよ〜♪」って意味も含まれますので、やっと好感しましたかとゆー話なのですが、どうせなら前日の短国買入の方で気が付いてよとは思うのですが、やはり短期市場の人たちとそれ以外の人たちでは短期関連の日銀のアクションや市場のアクションに関しまして当然ながら見ている細かさが違いますので、短期市場に判るようなオペであっても債券市場に必ずしも伝わる訳では無いので、こういう打ち方が「見せ方」として必要だったという話ですな、うんうん。
そういや日銀が2003年にシグナルオペをやった時も最初に「おー」とか言ったのは短期市場のうち営業局時代の積み上積み下調節による毎日の対話(のようなもの)時代の現場を知っている人たちで、某ベンダーで丁寧な解説があって急に気が付きましたとかいう懐かしい事案がありますように、まー日頃から細かいシグナルオペをやっていたような大昔と違いますので、シグナルって見せ方もあからさまに実施するとか鉦や太鼓で宣伝するとか、色々と工夫が必要となるんでしょうねえとか思ったのでありました。
まあそれはそれと致しまして上記ベンダー報道の金融市場局コメントなのですが、「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」(先ほどのロイター記事より)とのことで、まーこれ以上細々と言い出す訳にも行かないでしょうからこんな表現になるのでしょうけれども、「やや長めの金利」とは何ぞやとか「急激な上昇」の「急激」が問題なのか「上昇」が問題なのかという辺りとかは煙巻きモードになっている訳で、この辺に関しては今日以降のオペがどうなるかというので推測するしかありませんなあという所です。
本当は日銀のシグナルオペなんぞなくても市場が日銀の政策に対応して「市場がこういう動きをすることによって金融政策の効果が実体経済に波及して欲しいですなあ」という動きをしてくれれば良いのですが、シグナルオペをしたということは「意志を示した」ということになりますので、今日以降のオペ動向も注目される訳で、ちょっと相場が戻った程度でシグナルを止められると「ああ日銀は単にスピードに文句言っただけですね実は金利上昇容認なんですかそうですか」という解釈をされるリスクがあります(リスクがあります、というのは地合いによってはそういう解釈をしない可能性もあるので書いているこのアタクシも決め打ちが出来ないという事で、この手の市場センチメントというのは実にムツカシヤなのですよねえという話)ので、まあとりあえず1年オペの応札が満額以上に入っているうちは継続してた方が良さそうな気もしますが、あくまでも気のせいですので市場動向をせっせとヒアリングしておられる金融市場局の情勢分析次第ではございますな。
いずれにせよ、とりあえず水準そのものなのかスピードなのか、それともその合わせ技なのかはさっぱりワカランチ会長ではありますし、やや長めの金利とは何ぞやというのもありますけれども、まー1年の金利が馬鹿上がりしている訳では全くないという事ですし、「短期市場の」とは一言も言ってない(と思われる)のですから市場動向考えたら普通に中長期国債市場(か中期なのか知らんが)をイメージしているのでしょうから、「こっからホイホイ金利上昇するんだったら国債買入砲を当初予定以上に打っちゃいますよウヒョヒョヒョヒョ」とゆーのだけは判明した、とゆー解釈で宜しいかと思います。
○BOEのインフレレポートのキング総裁冒頭説明から少々
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/inflationreport/2013/ir1302.aspx
Inflation Report, May 2013
キング総裁の冒頭説明はこちら。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/inflationreport/irspnote150513.pdf
INFLATION REPORT PRESS CONFERENCE
Wednesday 15 May 2013
Opening Remarks by the Governor
・今回のマクラも大きく出てますな
冒頭説明のそのまた冒頭にマクラがあって、今回はこんなマクラになっています。
『Central banks are all about stability. But the past twenty years or so
has been a time of almost continuous revolution - more in the style of
that most famous of all central bank governors, Che Guevara, than in the
traditions of the Bank of England.』
確かに革命政府の国立銀行総裁でしたな。
『Collapse of the ERM, inflation targeting, central bank independence,
a banking crisis at home and crises galore abroad, new responsibilities
for the Bank; all reflect an extraordinary period of change.』
何か壮大なマクラですけれども(^^)この先が本文みたいなもん。
『And the change continues. Of most significance today is that there is
a welcome change in the economic outlook. Today’s projections are for
growth to be a little stronger and inflation a little weaker than we expected
three months ago. That is the first time I have been able to say that since
before the financial crisis.』
ということで、何だかキング総裁最後のインフレーションレポートになりますので景気良くなりましたなどと言ってはいけませんが、景気見通しの引き上げとインフレ見通しの改善とのことです。
『But this is no time to be complacent - we must press on to ensure a recovery
and bring down unemployment.』
ま、それはそうですな。でまあ以下経済状況と先行き見通しの話になるのですが、キング総裁最後のインフレーションレポート発表のプレコンですので、最後の方を少々引用。
・物価目標に対するバランスアプローチについて&説明責任について
先般のMPC議事要旨などでもありましたように、「物価目標については変わらないけれども従来以上にバランスアプローチを取って下さいね」というremitが政府から降りてきましたので、それを受けた説明がありますよという話をしています。
『In response to the requirement in our remit to promote understanding
of the short-run trade-off facing monetary policy there is an extended
discussion of this issue in Section 5 of the Report.』
インフレレポートの第5章に説明があるようですが当然の如くまだあたくしは読んでません(すいません)。
『There are a number of other changes to the Report, stemming from the
Stockton Review. Table 5.A lists the main indicators that we will use in
assessing whether the key judgements underlying our forecast are being
borne out by events. We are also publishing extra information, alongside
the Report, on our website. That includes the numbers underlying the forecast
distribution, and a pack of charts and tables which goes beyond those in
Section 5.』
『A box on page 49 covers recent and prospective changes to the Report
in more detail. I am sure the Inflation Report will continue to embrace
change, and remain a leading example of central bank transparency around
the world.』
説明の工夫のために色々と変更を行ったとの事でして、説明責任に関する話が以下続きます。
『Transparency means giving reasons for policy actions.』
確かに。
『Over the years, we have tried to act as a consistent monetary referee,
responding to the unpredictable behaviour of the players. When that behaviour
was itself extraordinary, we had to take extraordinary action to support
growth and employment. Bank Rate has been at a record low for over four
years; we have purchased assets worth 25% of GDP; our balance sheet has
expanded by a factor of five; and the Funding for Lending Scheme has been
launched and now extended. Looking ahead, markets expect Bank Rate to remain
below 1% for a further four years - although of course its actual path
will depend upon economic circumstances which no-one can predict.』
まあそうですな。
『Nevertheless, with inflation still high and spare capacity remaining,
monetary policy continues to perform a difficult balancing act.』
英国の場合は特にこのバランスアプローチの説明が大変な訳で。
『Attempting to return inflation to target too rapidly would result in
even slower growth and higher unemployment. That in turn would risk eroding
the medium-term supply capacity of the economy. But allowing inflation
to stay high for too long could cause households and businesses to begin
to doubt the MPC’s commitment to meeting the inflation target, putting
at risk medium-term price stability. Our job is to strike the appropriate
balance between these risks.』
ということでこれはまあ引き続きの問題なのですが、カーニー新総裁が荒業「名目GDPターゲッティング」を出してその辺を有耶無耶にしてしまうかもしれませんというのに1ハギスくらいですかね。
・キング総裁最後のご挨拶
で最後。
『Monetary policy alone, however, cannot solve all our problems.』
うむ。
『There are limits to what can be achieved by general monetary stimulus
- in any form. If we are to see a return to sustained growth, not only
the UK economy, but the world economy as a whole, must find a way to a
new equilibrium in which there is a rebalancing of world demand. Those
are not challenges that can be resolved by monetary policy alone, nor can
they be resolved by any one country alone, as we recognised in the G7 discussions
at the weekend.』
金融政策の限界という話から経済の問題が一国だけで解消できる訳でも無い場合もという話を。
『As a result, the challenges facing central banks are as great as they
have ever been. In many ways, the most durable lesson of the past twenty
years is the overriding importance of basing monetary policy on serious
economic analysis, rather than politics or market mystique.』
『Although there will always be room for differences of view, putting economic
analysis to the fore has raised the level of economic debate in this country
- in which you all have played a major part - and has, I hope, raised the
quality of policy itself.』
『But after 89 press conferences, including 82 under the banner of the
Inflation Report, I have had my say. Now it is over to the next generation
to have theirs.』
・・・・・・・・・・・・( ;∀;)
なお、こちらはオープニングリマークでして、会見の27ページからが記者からの謝辞で、キング総裁の応答(ご挨拶)が28ページ目の「Applause」って所から先になります。その前The
Observer紙のWilliam Keegan記者の謝辞は引用割愛しますがまあそちらも読んで味噌。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/inflationreport/conf150513.pdf
『Mervyn King: Well thank you very much Bill for those words and thank
all of you for coming so patiently over all these years. There are some
things about this job that I certainly won’t miss but one thing I will
miss are these regular Inflation Report Press Conferences. They are probably
the one event I've looked forward to and prepared hard for and believed
have been the most valuable. And I think can I thank you all also for raising
the level of economic debate and discussion in this country significantly
in comparison with when I started.』
『So thank you for doing that and I'm sure you will enormously enjoy working
with my successor who will be at least as lucid in the future, and I wish
you all the very best in explaining the travails and ups and downs of the
British economy to your readers and your viewers and listeners. Thank you
all.』
2013/05/15
お題「また相場が売られてしまったので相場に煽られネタが飛んで雑談大会になりますたorz」
債券市場のお告げがこんな所にあったとは不覚(違)
http://www.jiji.com/jc/c?g=ent2_ent2&k=g130259
きゃりーが「マーライオン」のモノマネ(2013/05/11)
#ちなみにこのシリーズは6月2日まで続くそうですな。
そういや米国金利上昇の後付理屈に「QE早期縮小観測」らしいのですが・・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMSZT36VDKI701.html
米国債:10年債利回りが上昇−量的緩和の縮小検討の観測で
更新日時: 2013/05/15 05:07 JST
プロッサーのオッサンってタカ派が一枚看板の言ってみればタカ派芸人(失礼)でしかもFOMCでの投票権今年は無いのですけれども、このオサーンの発言で反応したとか絶対ただの後付理屈だろと思いますけどねえ。
#しかしその一方でQE縮小思惑関係なく株がワッショイというのも味わいがありますな
○5年が0.40%だと???
・公共放送もネタにするとな
公共放送ニュースのネタになっていたのか。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130514/k10014563811000.html
長期金利さらに上昇 国債売る動き続く
5月14日 16時15分
『長期金利を巡っては、投資家が株式などに資金を振り向けるため、国債を売る動きを強めていましたが、14日の市場について関係者は、「国債が売られて価格が下落してきたことで、損失を一定の範囲内に抑えようという売り注文が銀行などから多く出され、長期金利の上昇につながったようだ」と話しています。』(上記URLより)
>投資家が株式などに資金を振り向けるため、国債を売る動きを強めていましたが
・・・・・・・・・・まあ話として分かりやすいからこういう報道になるのってシャーナイナイな面はあるのですが、直近で債券利回りが連日上昇している間に株式は何ぼ動いておりますねんという話でございますが、大体からしてそんなグレートローテーション(笑)みたいな動きって直接起きませんがなとゆー所ではございますが、でもまあこの公共放送ニュースの場合最後に「国債が売られて価格が下落してきたことで、損失を一定の範囲内に抑えようという売り注文が銀行などから多く出され、長期金利の上昇につながったようだ」ってコメントがあるだけ出来が良いですな、うんうん。
昨日の引けを備忘で。
2年328回:0.135%
5年110回:0.395%
10年328回:0.855%
20年144回:1.660%
30年38回:1.780%
40年5回:1.660%
何がオッペケペーって5年が昨日は0.40%とかやりやがった訳ですが、先物1円安の時に0.40%だったのに引けで先物戻っても0.395%の引けという所で、延々と0.1%台で推移していた5年金利がニバイニバーイどころか3倍に上昇しているとかえーっとですねという所ではございますが。
昨日は30年国債の入札があって、入札自体はごくごく普通の結果、というかこの地合いで前場の引けの板辺りの平均落札とか堅調じゃねえのとゆーところで、落札結果出た後は先物様値持ちしていたはずなのですが、その後から何故か急にスココーンと下がってしまい、昨日は結局サーキットブレーカー発動しなかったのですが先物3営業日連続で1円下落する場面が発生するとはきゃりーぱみゅぱみゅ効果恐るべし(違)。
・一応シグナルオペもあったんですけどにゃあ
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130514.htm
社債等買入 1,500 2013年5月20日
国庫短期証券買入 15,000 2013年5月16日
米ドル資金供給(固定金利方式) 2013年5月16日 2013年5月23日 0.620
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2013年5月16日 2013年6月18日
ということで昨日は10時10分のオペタイムに短国買入1.5兆円の打ち込みがあったのですけれども、先週金曜に2兆円の短国買入が実施されまして入札がその後まだ行われていないというタイミングですので、このオペ自体は別に打たなくてもよさそうなタイミング、と申しますか、短国に関して言えば1年辺りのTB(および利付も含めて)についてはやたらとニーズがあって明らかに3か月と比較してインバートしている状態で全く問題が無く、3か月TBは1年以内の中では一番需給が重そうではあるのですが、別にそれで相場がコケるとかいう話でも無いので、入札のレベルをあまり強くしない方が業者も投資家もハッピーだとゆー所でして、どうせ買入するなら入札前にやるよりも入札後にやってくれた方がやりやすいんですけどねえと思う次第。
つーことで、まあ昨日の短国買入自体は短期市場的には意外感があった筈で、これはシグナルオペみたいなもんだったと思う(というのは別にシグナルオペだと一々宣伝する訳では無いのでこっちが勝手に想像するだけなのだが)のですが、まあ短期ゾーンについては確り(とは言っても昨日とか2年の引けがちと甘くなっているので少々アレな気もしますが)でしてもっと後ろの方の話になっているからなのか、単にスルーされているからなのか知らんけど、結果的にはシグナル不発となっていて、今日明日の入札に向けてTBの気配だけ堅調にしただけとなっておりましたのは残念無念。
・まあ世の中そんなもんでしょうなあという所ですが
まあ債券相場の扱いなんぞそんなもんですからねえとは思うのですが。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130514/k10014556101000.html
長期金利の上昇は「当然の流れ」
5月14日 11時8分
『麻生副総理兼財務大臣は、このところの長期金利の上昇について、国債を売って株式に買い換える人が増えていることが主な理由だとしたうえで、「株価の上昇傾向が強ければ当然の流れだ」と述べ、投資の環境を考慮すれば自然な動きではないかという認識を示しました。』(上記URLより)
えーっとだからそういう動きじゃないんですけれどもという所ですが、株価が上昇して為替が円安傾向になりますと大体当局の皆様におかれましては調子に乗ってこういう話をするのが仕様でございまして、そういえば2003年の夏も竹中なにがしとかいう人(だけじゃなかったけど一番目立った罠)が金利が上昇するのは普通みたいな発言を債券市場がキモい時に行って相場があばばばばばーになったりしたことがありましたなあとか思うとまあ所詮債券市場なんてそんな扱いの日陰者ですからええどうもすいませんねえとブツブツと悪態をつくので債券の人間は暗いとか景気が悪いとか言われるんですねわかります(><;
『また、甘利経済再生担当大臣は、「金利が上昇すれば国債の利払いに跳ね返り、財政再建への影響が当然ある。政府・日銀が市場としっかり対話するなど、金利の変動が小さくなるよう引き続き努力したい」と述べ、金利が大きく変動するような状況は、国の財政再建の観点から好ましくないという認識を示しました。』(上記URLより)
まあ別にあまりややこしい事言わんでも良くて、甘利さんのこの程度の発言をしておけば良いのですけれども、大体こう株が上昇して政策当局の皆様が株高ヒャッハーとなると債券市場の事など知ったことか株が上がっているんだから細けぇこたあ良いんだよという発言をおっぱじめるのは何時まで経ってもカワランチ会長で誠に遺憾なのですが、来週の決定会合後の会見で黒田さんが要らんことを言わないようにお願いしますって昨日も書いたか(−−:)。
ちなみにこんなのもあったぞなもし。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK067636120130514
UPDATE1: 株価上昇で債券から株式に資金がシフトしている=長期金利上昇で菅官房長官
2013年 05月 14日 16:38 JST
『[東京 14日 ロイター] 菅義偉官房長官は14日午後の会見で、債券市場で長期金利件が上昇していることについて、株価上昇で債券から株式に資金がシフトしているとの認識を示した。また、市場の動きに逐一コメントすることは控えたいと語った。』(上記URLより)
まあね、これって麻生さんとか菅さんとかの問題ではなくて、スタッフの皆さんちゃんとブリーフィングしてよという所なのですけれども、実際問題として別にこの3日で急にアセットアロケーションが変わったとかいう話じゃないので、こういうヘッドラインを打たれるような話をされちゃうと元々ど〜せ債券市場なんてどうでも良いと思ってるでしょうから仕方ないですねえとか僻む債券市場の皆様が更に僻んでしまいますので(-_-メ、市場の中の人たちが見て脱力してしまう「市場の状況認識」を下手に言わないで、先ほどのような甘利さん発言みたいな感じで済ませておいた方が吉なんですけどねえ。
○さて来週はMPMですのう
来週は金融政策決定会合な訳ですが、昨日あたりから「決定会合で何か対策だせやゴルァ!」というような趣旨の紙とかコメントとかが散見されるようになっておりますが、昨日の下げを受けまして今日辺りは更にこの手の債券コメントが出るんでしょうなあということでまあ雑談なんですけど(^^)。
・デュレーション7年が拙かったのか長期金利下げをアピールしたのが拙かったのか
まあこうやって中期の金利があばばばばーとなってしまいますと後付の話にはなるのですが、中短期の国債をガシガシ購入して中期までの金利をガッチリ抑え込んでイールドカーブの手前を強烈にアンカーさせるという麿方式の方が金利全体の安定化には効いていたんですねえというのが判ったのでして、何か「長期金利を下げるためにはもっと長い国債を買え」とか「短期の国債買うよりも長期の国債を買うのが効果がある」とか言ってた話は何だったんでしょうなあというお話になるのですが、まあいまさらそう言ってもシャーナイナイ。
ただまあ論点として考えますと、買入国債のデュレーションを7年近辺にするという事にして中短期ゾーンの需給を悪化させてしまったのがアレだったのか、それともイールドカーブ全体を押し下げるというのをアピールしまくったのがアレだったのかというのは微妙な所でして、円安になって株式市場が上昇しているんだから目的は達成されてるんじゃヴォケと言われますとそれはそれで仰せの通りなので困ったもんですな(^^)。
今回の異次元緩和のロジックって本来は「長期国債大量購入でイールドカーブに影響を与える」→「金利が下がるのでポートフォリオリバランスで資産価格に好影響」→「インフレ期待が上昇」となってまあそうなったらフィッシャー効果で金利も上がるかもしれませんけれどもそれはそれ、という話だったはずなのですが、そのイールドカーブの影響の方をすっ飛ばして金利が上昇しちゃっているのが誠に遺憾というか何というかなのですけれども、そらまあ株価と為替に効いてるから良いんだよと言われてしまえばはあそうですかという事なのですが、お前さん「イールドカーブ全体に効果」って散々連呼していたのはナンダッタンダとゆー話になった場合にはやはり市場(ただし債券)とのコミュニケーションがボロボロになっていますよねという話。
まあこれ株高円安がキープされているから良いようなもんで、金利上昇で株価に影響とか為替に影響とかそういう話になった場合(そういやちょっと前に日米20年国債金利差がとかモーサテで言ってた為替の専門家さんがいましが何で足元で円高にならないんでちゅかねえ)いやもうねえという事になるんですけれどもその時はオラシラネ。
・まあ買入の前倒し実施をせっせと行うという辺りですかね
そもそも異次元緩和実施ということで「戦力の逐次投入はしない」「2%目標達成のためにやれることは全て投入しました」という話を4月の4日にしたばっかりでありますので、ここで債券市場お助け措置をあらたな政策枠組みとして投入するとか言いますと「えーっともしもし先月の話は何だったんですか」とか「つまり4月の政策は検討不足のまま投入したんですね失敗ですね」とかいう事になりましてそれこそ進退問題とは言いませんが、まあ先月切った大見得というか大風呂敷が早速綻びですかそうですかという大変に残念な話になりますので、普通に考えると「4月に決定した政策の枠内でどう工夫するか」ってのを(仮に何かお助けをするのであれば、ですけれども)行うというのが自然という事になります。
まあ本当に中期の金利をアンカーさせたいのであれば、時間軸の強化を実施するのが正解(2003年の債券ゲロゲロ相場を止めたのは時間軸のコミットメント明文化(明文化したのは相場が落ち着いた後で、その前に俊ちゃんによる強力なコメントが出た、というのが時系列的には正しいです、念のため)なのですよね)ではあるのですが、何せ今回の政策枠組みでは「物価目標達成2%を2年で達成」を一枚看板にしておりまして、今いきなり「いやーやっぱり2年は無茶だから5年くらいの長い目で見てねテペヘロ」とか「経済が良くなれば1%だっていいじゃないにんげんだもの」とか言い出す訳にも参らず(将来の時点になった場合はまた話は別だけど先月の今月でそれは有り得ない、という意味です念の為)、時間軸を強化しようが無いのが残念な所。
となりますと、まあ「2年で実施する」と言ってる国債等の買入についてペースを前倒しして実行するのもアリエールですよという話(と同時またはその前から実際にバシバシと購入しないといけませんが)くらいしかすることが無い訳でして、それもスケジュール事前公表とかしちゃうと買入が無制限フルアロットメントで実施とか言うのであれば別ですが(それは今の買入方式だったら有り得ん)、そうじゃない限り地合いが悪い時にはそこに皆で売りをぶつけに行くだけで、しかもその時に高く売れるのであるから他の時には流動性が落ちるだけ、という残念なパターンになりますので、まあ事前公表とかしない方が良いのじゃないのかねと思うのですが、ここは見解が分かれそうな所なので見解保留。
出来得れば中短期金利をアンカーさせる為に「買入国債の平均年限2倍」というのを引っ込めて頂ける方が良くて、少なくとも相場が落ち着くまではもうちょっと中短期を厚く買った方が良いようには思えるのですけれども、ニバイニバーイの看板の手前難しいですかねえ。問題が中期ゾーンに波及しているので、まあとりあえず中期ゾーンの火消しをどう実施するかという話にはなるのですが、つーかたぶん中期を火消しできれば直近では超長期とか下げ渋りだしているので落ち着くんじゃないのとは思いますけど。
他にはあまり思い浮かばないのですが、まあ今日辺りは何とかストの皆さんから色々なコメントが出てくるのではないかと期待しておりますが、よーするに中短期ゾーン、つーか中期ゾーンの金利上昇を止めて落ち着かせれば後は買入効果が効いてくる「筈」なので、その辺に的を絞った作戦を展開していただければと。
#あと「市場との対話」的にはとりあえず偉い人が債券市場が脱力するコメントを避けて頂ければ・・・・・・・
ということでただの雑感会になってしまいましたすいませんすいません何かネタがあった筈なのですが相場のプライスアクションですっかり頭からネタが飛んでしまいましたですよorzorzorz
2013/05/14
お題「昨日も債券下落とな/総裁発言を確認/逆さ絵講演ネタの続きで主に証券仲介機能に関する部分から」
あちゃー
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/05/post-9b15.html
橋下徹さん、東京に張り合って問題発言を連発
2013.05.14
○2日で先物2円下げとな!!
・金曜はまあ判るが月曜も先物1円下落とな
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMPI5V6TTDS201.html
債券は大幅下落、サーキットブレーカー発動−円安・株高や入札警戒で
更新日時: 2013/05/13 15:42 JST
・・・・・・・・まあ金曜はドル円が暫くずーっと逝きそうで逝かなかった100円を抜けてついでに101円とかあっさり逝ってしまいましたから1円下がるのもまあシャーナイナイなのかも知らんが昨日も1円下げとなという所で。
昨日は大体想定通りの国債買入が実施されまして、落札結果の方は前場引けの実勢から5糸から1毛以内の程度のちょっと弱めという感じだったのですが、別にまあそこまで馬鹿売られという筈では無いのですが後場寄りから上記URL先にありますように一段安とかもう何だかねえという展開で、13時37分とかに100銭安の売り気配(その前に1回付いたけれども戻った)となってサーキットブレーカーになるわ10年0.80%になるわとゆーことで。
まー地合いが地合いだからとしか申し上げようが無いのですけれども、日銀ちゃんの国債買入に向けて売りをぶつけてその時だけはロットが捌けるのですが、それ以外の時間に現物債の流動性が落ちてロットが捌けませんぞなという誠に遺憾な流れになっておりまして、まあ皮肉な話ですが日銀の買いがてきとうに入るからそこに皆さんが行列を作るので中々ポジション整理が進まないというのもあるんですかねえよく判らんけど。普通だったらもっと早くに投げる人が投げるので整理が進むと思うのですけどねえ。
ということで昨日の日本相互証券さんの引け。
2年328回:0.120%
5年110回:0.330%
10年328回:0.775%
20年144回:1.625%
30年38回:1.760%
40年5回:1.785%
さてさて黒田総裁がノミネート、という話が出たのが2月の最後の週末だったのですが、その直前になります2月22日の引けでも見てみましょう。
2年325回:0.040%
5年108回:0.130%
10年327回:0.725%
20年142回:1.720%
30年37回:1.915%
40年5回:2.065%
・・・・・・・・・・・・orz
まあ何ですな、2年の金利とかは付利金利が間違って下がったらどうしましょというヘッジ仮需部分があったので金利が上昇するのはシャーナイナイな部分があってここは仕方ないのですけれども、えーっと5年が0.3%台って良く考えたら今年の年始(なので2%物価目標の前である)とかで5年が0.2%に乗った時にこれはまた金利上昇しましたねとか言ってたのは何だったんでしょという水準でありますな。まあ超長期の金利に関してはフラットニングした分金利水準が2月22日水準から上昇しておりますのが辛うじて格好が付いておりますが、10年までの金利が黒田総裁ノミネート前から比較して金利上昇ですかそうですかという所で。
いやまあドル円が8円くらい円安に振れてて平均株価は3000円位上昇しているんで金融緩和の効果が出ているんです(キリッ)とか言われてしまうとはあそうですかとしか申し上げようが無いのですけれどもね。
#あ、そうそうモーサテの日経朝刊ご紹介コーナーで長期金利上昇ネタについて「水準的には問題ありません自然な姿です」とアナウンサー氏だけではなくご登場の何とかストさんが発言しているのを見て(#^ω^)ピキピキっとなった債券市場関係者の方はいらっしゃいますか〜〜っと
・(#^ω^)ピキピキピキ
黒田総裁のG7終了後の会見内容がアップされました。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305b.pdf
黒田総裁記者会見要旨 (5月11日)
―― G7 終了後の麻生副総理・黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要旨
『【問】円安が進んで日本では株高になって結果的に資金が債券から株に移るということが今起こっているような気がします。そうなると、日本では、長期金利の上昇が起こるだろうと思っているのですが、それは金融緩和の効果をある程度削ぐ可能性も出てくると思うのですが、こういう資金の流れが債券売りの加速につながって長期金利が上昇した場合、その悪影響というのが懸念されると思うのですが、今の時点でどうなのでしょうか。特に金曜日、債券売りが相当加速したようなので、そういう懸念が今強まっているのかどうかも含めてお願いします。』
グレートローテーションとかウソコケとか思いますが、まあそれはそれとしまして金曜日に債券が大幅に下落した事を踏まえての質問とわざわざ断っての質問。つーかこれ質問のマクラにわざわざグレートローテーションみたいな威勢の良いことを言ってるのって記者の引っ掛けだろ先生怒らないから正直に答えなさいという所ですが。
『【答】先ほど申し上げた通り、「量的・質的金融緩和」が実体経済に与える影響については、3つのチャネルがあると考えています。そのうち、2番目の「ポートフォリオ・リバランス効果」については、確かに国債から他の資産へあるいは貸出へシフトすることが考えられるわけで、それは既に起こっていると思います。』
あいやー。
『一方、日本銀行は、今後、年間50 兆円のペースで国債の保有残高を増やしていくわけで、それだけ国債を市場から買い取っていくということです。私どもは、短期的なボラティリティの高まりという形で価格が乱高下したことに対しては、オペのやり方を若干調整し、ボラティリティも低下してきており、長期金利が跳ねるようなことは予想していません。』
いやだから金曜日にボラが上昇して長期金利が10bpも上昇した事についての質問なんですけどねえ。大昔みたいに長期金利が3%とか有る時の0.1%と違って金利の絶対水準がここまで低くなっている中での10bpってインパクトでかいんですけれども黒田さんその辺の感覚が無いという事でしょうかと嫌味の一つも申し上げたくなる次第。
『もちろん、長い目でみて、経済が成長し、特に物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していく中で、名目金利が若干上がっていく可能性はあると思いますが、それは、ある意味で自然なことです。当面は、「量的・質的金融緩和」によって長期金利が跳ねることはないだろうと思っています。』
いやだから長い目で見てとかいう話はしちゃダメなんよこういう時に・・・・・・・・
つーことでございまして、長期金利がこの辺りの水準でうだうだする中で来週の金融政策決定会合を迎えた場合、この前の展望レポートにおける会見での記者様のツッコミ振りから勘案致しますと全力で長期金利上昇の1点に絞って集中砲撃をされるのが火を見るより明らかでありまして、その際にオッペケペーな回答をしてどうせ株が上がって為替が円安になっていたら債券市場なんてどうでも良いんですよねという債券市場を更にピキピキさせることの無いように某局におかれましては想定問答集の作り込みをよろしくお願い申し上げたい所ではございます。
○昨日のバーナンキ講演ネタが良く見たら割と話題になっているようなので続きを
相場の材料にはなっていなかったのですが、良く良く昨日世の中を見ているとやはりこの講演が色々と話題を呼んでいたみたいなのでもうちょっと補足を。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.htm(HTML)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.pdf(PDF)
・シャドウバンキングに関して
『The Federal Reserve's Financial Stability Monitoring Program』の4つのコンポーネントに関して昨日は資産価格についての話を引用して、グレートモデレーションの時に金融の脆弱性が拡大する(資産バブルが発生する、だけではなくて不均衡が拡大するという論点での指摘をしているのがお洒落なんですよね)というような部分や、海外の金融政策運営が自国に対する影響を与えることにも注意しないといけないというような部分など、逆さ絵おじさんの着ぐるみが開発されて白川方明とかいう人が中に入っているんですねわかりますというような部分をネタにした訳ですが(長い)、本日はシャドウバンキング云々の部分から少々。
えーとですね、この部分実は結構長いのでまあ駆け足で引用しますが。
『Shadow banking, a second area we closely monitor, was an important source
of instability during the crisis.』
つーことで前回の危機ではシャドウバンキングが不安定の元になりましたぞなと。
『Shadow banking comprises various markets and institutions that provide
financial intermediation outside the traditional, regulated banking system.
Shadow banking includes vehicles for credit intermediation, maturity transformation,
liquidity provision, and risk sharing.』
シャドウバンキングとはどういう人たちでどういう機能かという話ね。
『Such vehicles are typically funded on a largely short-term basis from
wholesale sources. In the run-up to the crisis, the shadow banking sector
involved a high degree of maturity transformation and leverage. Illiquid
loans to households and businesses were securitized, and the tranches of
the securitizations with the highest credit ratings were funded by very
short-term debt, such as asset-backed commercial paper and repurchase agreements
(repos). The short-term funding was in turn provided by institutions, such
as money market funds, whose investors expected payment in full on demand
and had little tolerance for risk to principal.』
でまあそういう金融仲介機能みたいな人たちは本質的に市場調達による短期調達に対して流動性が低い資産だったり期間の長期な資産だったりする運用(商品在庫というケースも含め)が見合った形になっていますので、一旦市場の流動性が枯渇するとあばばばばーになりますよと。
『As it turned out, the ultimate investors did not fully understand the
quality of the assets they were financing. Investors were lulled by triple-A
credit ratings and by expected support from sponsoring institutions--support
that was, in fact, discretionary and not always provided.』
しらっと厳しい言い方をしてますなおい(lullって幼児に子守唄を聞かせて寝付かせるとかいう意味ね)。
『When investors lost confidence in the quality of the assets or in the
institutions expected to provide support, they ran. Their flight created
serious funding pressures throughout the financial system, threatened the
solvency of many firms, and inflicted serious damage on the broader economy.
』
さいですな。
『Securities broker-dealers play a central role in many aspects of shadow
banking as facilitators of market-based intermediation.』
ふむ。
『To finance their own and their clients' securities holdings, broker-dealers
tend to rely on short-term collateralized funding, often in the form of
repo agreements with highly risk-averse lenders.』
まあそれが機能なのですから。
『The crisis revealed that this funding is potentially quite fragile if
lenders have limited capacity to analyze the collateral or counterparty
risks associated with short-term secured lending, but rather look at these
transactions as nearly risk free. As questions emerged about the nature
and value of collateral, worried lenders either greatly increased margin
requirements or, more commonly, pulled back entirely. Borrowers unable
to meet margin calls and finance their asset holdings were forced to sell,
driving down asset prices further and setting off a cycle of deleveraging
and further asset liquidation.』
で、これらの短期調達のキャパシティーが下がったり、長期運用の方になります資産サイドがおかしくなったりした時に大変な事になりますよねというのはご案内の通り。
・・・・・・・とまあここまでが前座の背景説明でしてじゃあ何のモニタリングするのかというのがこの次。
『To monitor intermediation by broker-dealers, the Federal Reserve in 2010
created a quarterly Senior Credit Officer Opinion Survey on Dealer Financing
Terms, which asks dealers about the credit they provide.』
証券仲介業者の状況をモニターする為にこういうサーベイを行っていますと。
『Modeled on the long-established Senior Loan Officer Opinion Survey on
Bank Lending Practices sent to commercial banks, the survey of senior credit
officers at dealers tracks conditions in markets such as those for securities
financing, prime brokerage, and derivatives trading.』
以前は銀行のモニターのサーベイをしていましたが、これを証券業にも拡大したという話ですね。
『The credit officer survey is designed to monitor potential vulnerabilities
stemming from the greater use of leverage by investors (particularly through
lending backed by less-liquid collateral) or increased volumes of maturity
transformation. Before the financial crisis, we had only very limited information
regarding such trends.』
ということで、何を見ているかというとレバレッジの大きさ、特に流動性の低い資産(の場合売りの連鎖になるとエライコッチャになりやすいので)を使ったレバレッジの状況や、期間ミスマッチの状況がどの程度拡大しているかという話で、これらについては今次金融危機を受けて調査するようになったということで。
『We have other potential sources of information about shadow banking.』
他のソースもあるでよと。
『The Treasury Department's Office of Financial Research and Federal Reserve
staff are collaborating to construct data sets on triparty and bilateral
repo transactions, which should facilitate the development of better monitoring
metrics for repo activity and improve transparency in these markets.』
トライパーティーやバイラテラルレポ取引の状況のモニターとな。
『We also talk regularly to market participants about developments, paying
particular attention to the creation of new financial vehicles that foster
greater maturity transformation outside the regulated sector, provide funding
for less-liquid assets, or transform risks from forms that are more easily
measured to forms that are more opaque.』
新しい金融ビークルが出来て、そのビークルが従来の規制でカバーできないような形で何らかの資産ミスマッチの拡大や、流動性の低い資産におけるリスク移転などが行われているかどうかという事も市場状況のヒアリングを進めることによってモニターしていっております。という事で、いわゆる規制だけでカバーできない部分についても注意深くモニタリングしますよというお話ではあります。
でまあこの辺も含めました詳しい話をして問題意識を示していたのの嚆矢が2月7日にスタイン理事が行っていた講演(→http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/stein20130207a.htm)で、良く考えたらスタイン理事講演ネタを2月の22日位から5回シリーズでお送りしたのに最後の部分の手前でジャパンの金融政策ネタが多忙になってしまって途中で終了していることを思い出しましたが、今更ネタにも程があるので土日にこっそり追補ネタとかにするかも知れませんが(大汗)、スタイン理事の講演でこの辺りの話もやたらめったら細かく説明しているので改めてご覧になるのオヌヌメですよ!
でこの項目まとめ。
『A fair summary is that, while the shadow banking sector is smaller today
than before the crisis and some of its least stable components have either
disappeared or been reformed, regulators and the private sector need to
address remaining vulnerabilities.』
金融危機前と比べてシャドウバンキング部門は縮小しており、不安定要素は改善されたものの、規制当局や民間セクターはこの部門に残る脆弱性について対処する必要がありますとな。
『For example, although money market funds were strengthened by reforms
undertaken by the Securities and Exchange Commission (SEC) in 2010, the
possibility of a run on these funds remains--for instance, if a fund should
"break the buck," or report a net asset value below 99.5 cents,
as the Reserve Primary Fund did in 2008. The risk is increased by the fact
that the Treasury no longer has the power to guarantee investors' holdings
in money funds, an authority that was critical for stopping the 2008 run.
In November 2012, the FSOC proposed for public comment some alternative
approaches for the reform of money funds. The SEC is currently considering
these and other possible steps.』
MMFの流動性や保有資産に関する新規制に関しては現在米国当局で検討中でパブコメ求めている訳ですが、この部分でこれだけのスペースを使っているとな。
『With respect to the triparty repo platform, progress has been made in
reducing the amount of intraday credit extended by the clearing banks in
the course of the daily settlement process, and, as additional enhancements
are made, the extension of such credit should be largely eliminated by
the end of 2014.』
トライパーティーレポに関する改革で、トライパーティーレポを行っているクリアリング銀行の日々の決済状況や日中クレジット状況などのリスクを改善しましょうという取り組みですな。
『However, important risks remain in the short-term wholesale funding markets.』
でまあ何故かここの部分が昨日引用したブルームバーグニュースのヘッドラインになっていたのですが。
『One of the key risks is how the system would respond to the failure of
a broker-dealer or other major borrower. The Dodd-Frank Act has provided
important additional tools to deal with this vulnerability, notably the
provisions that facilitate an orderly resolution of a broker-dealer or
a broker-dealer holding company whose imminent failure poses a systemic
risk.』
一つのキーとなるリスクは大きな証券仲介業者や他のファンディング主体が破綻した場合の処理についてで、ドッドフランク法で秩序だった破綻処理をするようなツールを作りましたが・・・・・・
『But, as highlighted in the FSOC's most recent annual report, more work
is needed to better prepare investors and other market participants to
deal with the potential consequences of a default by a large participant
in the repo market.』
FSOCの最近のアニュアルレポートで強調しましたように、レポ市場における大手参加者のデフォルトの際に起きる潜在的な結末について市場参加者はより一層の備えをすることが求められていますという話でこのコーナーを締めています。
つーことで、つまりまあレバレッジ取るなとか複雑な取引をバカスカやるなとかそういう話に持って逝かれ易かったりする話でして、まあ正直言って景気の悪い話であります事よという風に思うのですけれどもどうなんでしょうかねえ、という所でありました。
2013/05/13
お題「黒田総裁ェ・・・・・・・/あまり相場ネタにされなかったが逆さ絵講演」
ワロタ。
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013051201001402.html
英ヴァージン会長が一日乗務員 賭けに敗北、女装で給仕
2013/05/12 16:46 【共同通信】
○円安で10年0.70%とな!という備忘メモ(備忘メモにもなっていない説もあるが)
金曜日の債券市場ですが、まあ円安に振れておまけに101円台まで進みやがりまして、一段安になってサーキットブレーカーがまた登場の巻とかになっておりましたのはご覧の通り。まあ今回の下げでは押し目買いもありまして、サーキットブレーカーで止まった後上で寄ったりしてたのはまあこの前のゲロゲロ相場とは違う所という感じですかねえ、よー知らんけど。
まあ2年とかがゲロゲロにはなっておりませんのでそこまでの悲壮感はないのですし、押し目買いがワサワサということですが、10年と先物が親の敵のように売られて進行という状況のようです。先物は102銭安の143.70で終了してBBさんの引けベースでは10年が0.695%で10.5毛甘なのですが、場中は0.70%とかもう何もかも皆懐かしいレベルをマークしていて何ですねんそれという風情でありましたことよ。
債券先物の売買高が54523億円とか水曜木曜が2兆割れ(目標は1.4兆円台)とかやっていたのが嘘のような先物大活況で、まあそれだけ現物の売買もあったんでしょうかねえよー知らんが。
○しかしそんな中で黒田総裁の(債券市場的に)脱力発言ががががががが
でまあそんなオッペケペーな債券市場でありました金曜の引け後ではございましたが、夜になりまして黒田総裁が英国で発言したヘッドラインが出ていまして、TRADER'S
WEB FXさんの所でちょうど良いのが有りましたので引用。
http://www.traderswebfx.jp/news/default.aspx?newscode=386630&dispmode=list#newshead
05/10 20:07
【発言】黒田日銀総裁「債券市場のボラティリティは落ち着いてきている」
・・・・・・・・・まあ大体引用のような感じのヘッドラインがまさに出ていたのですけれども、円安に振れて債券先物が1円下がって10年の金利が0.1%上昇したその日の引け後の発言が「債券市場のボラティリティは落ち着いてきている」ですかそうですかorzorzorz
まーこーゆー発言を見せられますとどうせ黒田総裁は為替の人ですから為替が円安になって株が上昇すれば債券市場なんぞ知ったことかというご認識であらさられまして、国債管理政策とかやっていないだけの事はありますなあなどと嫌味の一つも申し上げたくなる所ではございます。
ブルームバーグニュースの報道だとこんな感じ(これはG7後に出ていた方のニュース)。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMKLJQ6JTSER01.html
麻生財務相:G7で円安批判なし−「緩和に理解深まった」と黒田総裁
更新日時: 2013/05/12 00:28 JST
円安批判なしとの事で盛り上がっていますが、次のネタのバーナンキ講演とか見ていると本当にそうなのかというのは実は少々アレな気もするのですがその話はさて置きまして、黒田総裁様の長期金利に対するコメントはこう報道されています。
『一方、総裁は国内長期金利の動向について「オペのやり方を若干調整しボラティリティは低下してきている」と指摘。「当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう」との見方を示した。』(上記URLより)
>当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう
>当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう
>当面は量的・質的金融緩和によって長期金利が上がるということはないだろう
・・・・・・・・・・・・・ほほう。量的質的金融緩和の実施前の4月3日から10年とか20年の金利って0.15%位平気で上昇している(もはや4日の引け水準と比較すると泣けるので比較しない)のですけれども、さすが国債管理政策にご興味の無い黒田総裁様だけの事はありまして長期金利の0.15%なんぞは誤差の範囲内ということですかそうですかいやまあ10年0.4%でも0.5%でも0.7%でも低金利で有ることは変わりないですもんねえ(白目)。
更にロイターのニュースがもうちと詳しい。
http://jp.reuters.com/article/jpG20/idJPTK067398320130510?sp=true
UPDATE1: 為替レートは基本的に市場で決まる、水準や動きにコメントしない=黒田日銀総裁
2013年 05月 10日 21:17 JST
5月10日の21:17JSTですのでまあ出たての時と同じような感じだと思いますが。
『円安で株高が進んでいる一方で長期金利が上昇していることに対し、日銀として金融調節上の工夫の必要があると思うか、との質問には「国債の金利については基本的に低い水準で推移している。量的・質的緩和の発表直後はややボラティリティが高まって上下に振れた。その後、市場関係者との対話やそうした対話で出た意見を踏まえ、オペの方法を調整した結果、市場はだんだん落ち着いてきている」と述べた。』(上記URLより)
・・・・・・・・ということでして、別に長期金利の上昇なんぞ知った事かヴォケというような発言をした訳では無さそうですけれども、まあ長期金利が0.1%上昇した日にこういう認識を示されますとちょっと何だかなあという所である点はカワランチ会長。
でまあどうでも良いのですけれども、この前の黒田総裁の定例記者会見見てても思ったのですけれども、今回のこの黒田発言の報道されっぷりとか見ておりますと、何か記者の皆さん既にハネムーンモードからすっかり脱却してツッコミモードになってきてるからこそ、黒田総裁の発言が債券相場の中の人が見たら(#^ω^)ピキピキってなりそうな書かれ方になっているのではないか、とまあ斯様に思った週末のひとときなのでございましたとさ。
○あまり材料になっていないみたいだが逆さ絵おじさんの講演から
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.htm(HTML)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20130510a.pdf(PDF)
Monitoring the Financial Systemというお題でして、足元でちょうど米国の金融規制のパブコメを締めた所であちこちから意見というか文句が出ておりまして、金融規制関連の講演で3日にタルーロ理事の講演ネタを読まないと(既に出遅れていますが・・・・・)とか思っていたらちょうどこういうお題なので先に逆さ絵先生の講演を読まないと・・・・・・・と思ったのですがこれが意外に収穫。
・逆さ絵おじさんが「アセットバブル警戒」とな!!
ちなみに端末利用状況がどうのこうのと話題の某ブルームバーグニュースではこういう報道になっていたようなのですけれどもね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MML8A46VDKHU01.html
FRB議長:ホールセール資金調達市場には重大リスクが存在
更新日時: 2013/05/11 04:20 JST
いやまあ確かにそういう話もあるのですが、何でこの講演をネタにしてこういうニュースヘッドラインになるのかがワケワカランチ会長という所なのですが、まー米国(だけではないが)株式市場がワールド金融緩和流動性相場ヒャッハー状態になっている中なのでそういう話の方をあまりクローズアップしたくないというのもお気持ちは分かるのですけれども・・・・・・・・
まあ今回の講演ですけれども、題名のように金融監督に関する話をしているのですけれども、その中で多くのパートをFRBの監督の方向性ということで、『The
Federal Reserve's Financial Stability Monitoring Program 』という小見出しがあってSIFI's、シャドウバンキング、資産市場動向、非金融機関の動向についてなど、従来の監督とは違った新しい視点での話をかなり細かく説明していましてそっちはそっちでかなり面白いです。
でまあそっちも面白いのですけれども冒頭も面白くて、資産バブルに関する話をああだこうだとしておりまして、逆さ絵先生何か変な物でも食ったのではないかとしか思えないような話をしているのですけれども、一方で市場ではFRBの金融政策によって株式市場はゴルディロックスで株高ヒャッハーとなっている、というのは先般の雇用統計を見れば明白な所が皮肉というか何というか。
まあ先日のFOMC声明文で資産買入の今後の動向についてかならずしも買入の縮小だけが選択肢なのではなくて拡大もあるぜよというのを見せた直後の雇用統計が強くて、いつもなら雇用統計が強いとQE早期縮小の思惑で株式市場もブレーキ掛かるのですが、すっかり株式市場がヒャッハー状態になって、経済指標が弱ければ緩和長期化や拡大思惑、強ければ景気強くて株式ヒャッハーとかなっているので、ちょっと冷やしたいという程度なのかも知れませんけど、どこの麿だよというような講演になっているのが中々味わいがあるというものです。
・ということで逆さ絵先生のマクロプルーデンス話部分
まず最初の所から。
『In my remarks today I will discuss the Federal Reserve's efforts in an
area that typically gets less attention than the writing and implementation
of new rules--namely, our ongoing monitoring of the financial system.』
金融システムのモニタリングに関する話とな。
『Of course, the Fed has always paid close attention to financial markets,
for both regulatory and monetary policy purposes. However, in recent years,
we have both greatly increased the resources we devote to monitoring and
taken a more systematic and intensive approach, led by our Office of Financial
Stability Policy and Research and drawing on substantial resources from
across the Federal Reserve System.』
ふむ。
『This monitoring informs the policy decisions of both the Federal Reserve
Board and the Federal Open Market Committee as well as our work with other
agencies. 』
ということで金融モニタリングの話が今回のテーマなのですけれども、最初の小見出しが『A
Focus on Vulnerabilities』となっておりましてですな・・・・・・・
『Ongoing monitoring of the financial system is vital to the macroprudential approach to regulation.』
マクロプルーデンシャルアプローチとか逆さ絵おじさんから中々出てこない(前もマクロプルーンデンスの話をしていた事は一応あります、為念)話が出てくるとな!
『Systemic risks can only be defused if they are first identified. That
said, it is reasonable to ask whether systemic risks can in fact be reliably
identified in advance; after all, neither the Federal Reserve nor economists
in general predicted the past crisis.』
システミックリスクと何ぞやという事を予め特定していないとリスクは完全には回避できませんと。
『To respond to this point, I will distinguish, as I have elsewhere, between
triggers and vulnerabilities.』
ということで、トリガーと脆弱性という点に注目という事ですが、この講演は『Ben
S. Bernanke (2010), “Causes of the Recent Financial and Economic Crisis,”
testimony before the Financial Crisis Inquiry Commission, Washington, September
2,』でして、あたくし不覚にもネタにしていなかったようでございます(まあ読んでなかったような希ガス、その月は前月末のジャクソンホールで一杯だったと思う)とのことですがそのような状況ですのでスルー(汗)。
『The triggers of any crisis are the particular events that touch off the
crisis--the proximate causes, if you will. For the 2007-09 crisis, a prominent
trigger was the losses suffered by holders of subprime mortgages.』
トリガーの話ね。危機の最初に起きることの話のようです。
『In contrast, the vulnerabilities associated with a crisis are preexisting
features of the financial system that amplify and propagate the initial
shocks. Examples of vulnerabilities include high levels of leverage, maturity
transformation, interconnectedness, and complexity, all of which have the
potential to magnify shocks to the financial system. Absent vulnerabilities,
triggers might produce sizable losses to certain firms, investors, or asset
classes but would generally not lead to full-blown financial crises; the
collapse of the relatively small market for subprime mortgages, for example,
would not have been nearly as consequential without preexisting fragilities
in securitization practices and short-term funding markets which greatly
increased its impact.』
脆弱性(というか何という訳をすれば良いのか・・・・)というのは最初のトリガーを拡大する作用のある金融システムにおける問題点で、例えば高いレベルのレバレッジとか、期間ミスマッチの拡大とか、金融システムにおける参加者の相互関連性や複雑性などを挙げていまして、これらの存在によって問題が拡大して金融システム問題になりますよねという話ですな、うんうん。
『Of course, monitoring can and does attempt to identify potential triggers--indications
of an asset bubble, for example--but shocks of one kind or another are
inevitable, so identifying and addressing vulnerabilities is key to ensuring
that the financial system overall is robust.』
ということで脆弱性を特定することが重要であるという話なのですが、どさくさに紛れてトリガーとして「アセットバブル」とかほっほーという感じですな。
『Moreover, attempts to address specific vulnerabilities can be supplemented
by broader measures--such as requiring banks to hold more capital and liquidity--that
make the system more resilient to a range of shocks.』
ということで、まあこの辺までは実際の資産価格がどうのこうのよりも、レバレッジの拡大などのようなものに警戒という話ですな。
・ゴルディロックスでヒャッハーとか言っている時により大きなリスクが撒かれるとな!!!
でまあその次なのですが。
『Two other related points motivate our increased monitoring.』
ほほう。
『The first is that the financial system is dynamic and evolving not only
because of innovation and the changing needs of the economy, but also because
financial activities tend to migrate from more-regulated to less-regulated
sectors.』
金融活動はより規制の無い方無い方へと逝きがちであるとは仰せの通りで。
『An innovative feature of the Dodd-Frank Act is that it includes mechanisms
to permit the regulatory system, at least in some circumstances, to adapt
to such changes. For example, the act gives the FSOC powers to designate
systemically important institutions, market utilities, and activities for
additional oversight. Such designation is essentially a determination that
an institution or activity creates or exacerbates a vulnerability of the
financial system, a determination that can only be made with comprehensive
monitoring and analysis.』
でまあドッドフランク法はその手の部分にできるだけ網を掛けて金融市場参加者に関して金融安定化を阻害するような動きをしないようにという話ですが、その次の部分がアレ。
『The second motivation for more intensive monitoring is the apparent tendency
for financial market participants to take greater risks when macro conditions
are relatively stable.』
キタコレ!!
『Indeed, it may be that prolonged economic stability is a double-edged sword.』
長期間の経済の安定が諸刃の剣である(キリッ)とかどこの麿だよという話が。
『To be sure, a favorable overall environment reduces credit risk and strengthens
balance sheets, all else being equal, but it could also reduce the incentives
for market participants to take reasonable precautions, which may lead
in turn to a buildup of financial vulnerabilities.』
どう見ても麿の生霊が憑依しています本当にありがとうございました。
『Probably our best defense against complacency during extended periods
of calm is careful monitoring for signs of emerging vulnerabilities and,
where appropriate, the development of macroprudential and other policy
tools that can be used to address them.』
こんな話を逆さ絵おじさんがするとかどういう事ですねんという風情の講演ではございまして、まあ逆さ絵先生としては景気の先行きやら物価情勢などを勘案すると慎重にならざるを得ない中で株式市場を中心にゴルディロックスで金融市場ヒャッハーとなっていることに関してこれは一定の牽制を示したものという風に思ったのですけれどもどうなんでしょうかねえ。
・資産市場に関するモニタリングの話が更に麿状態とな
で、この後が先ほどご紹介した後半部分(というかPDFファイルに出すと講演テキスト本文が15ページあって、ここまでの部分が4ページなので前半と言うよりは前座なのですけれども)になりまして、こちらでも「資産市場に関するモニタリング」のコーナーがある(他のコーナーは先程申し上げた通り)のでそちらも引用。『Asset
Markets』って斜字体(PDFだと本文12ページ)の小見出しの所です。
『Asset markets are a third area that we closely monitor. We follow developments
in markets for a wide range of assets, including public and private fixed-income
instruments, corporate equities, real estate, commodities, and structured
credit products, among others. Foreign as well as domestic markets receive
close attention, as do global linkages, such as the effects of the ongoing
European fiscal and banking problems on U.S. markets.』
まあここははあそうですかという話ですが、「Foreign as well as domestic markets
receive close attention, as do global linkages,」というのがやや味わいのある部分で、例として挙げているのが欧州金融問題なのでまあそうですねという話なのですが、これ後半の「such
as」以下が無いと日本に対する嫌味に見える気がするのは深読みのし過ぎですかそうですか(^^)。
『Not surprisingly, we try to identify unusual patterns in valuations,
such as historically high or low ratios of prices to earnings in equity
markets.』
株式市場のレシオ分析とな。
『We use a variety of models and methods; for example, we use empirical
models of default risk and risk premiums to analyze credit spreads in corporate
bond markets.』
クレジット市場のスプレッド分析とな。
『These assessments are complemented by other information, including measures
of volumes, liquidity, and market functioning, as well as intelligence
gleaned from market participants and outside analysts.』
それらの数値だけではなくて市場のボリュームとか市場機能とか色々な面からも確認すると。
『In light of the current low interest rate environment, we are watching
particularly closely for instances of "reaching for yield" and
other forms of excessive risk-taking, which may affect asset prices and
their relationships with fundamentals.』
!!!!!!!!!!!!!!!
『It is worth emphasizing that looking for historically unusual patterns
or relationships in asset prices can be useful even if you believe that
asset markets are generally efficient in setting prices.』
ほっほー。
『For the purpose of safeguarding financial stability, we are less concerned
about whether a given asset price is justified in some average sense than
in the possibility of a sharp move. Asset prices that are far from historically
normal levels would seem to be more susceptible to such destabilizing moves.』
いやもうほっほーとしか申し上げようがないのですがもしかして白川さんが逆さ絵先生の着ぐるみの中に入っているのではないかと思う位の話。
『From a financial stability perspective, however, the assessment of asset
valuations is only the first step of the analysis. Also to be considered
are factors such as the leverage and degree of maturity mismatch being
used by the holders of the asset, the liquidity of the asset, and the sensitivity
of the asset's value to changes in broad financial conditions.』
資産価格のアセスメントはモニタリングの最初のステップであって、次にはレバレッジや期間のミスマッチ、保有者の流動性確保状況(前の方でその話があります)や資産の流動性状況などや価格のセンシティビティーなどを更にモニタリングしますと。
『Differences in these factors help explain why the correction in equity
markets in 2000 and 2001 did not induce widespread systemic disruptions,
while the collapse in house prices and in the quality of mortgage credit
during the 2007-09 crisis had much more far-reaching effects: The losses
from the stock market declines in 2000 and 2001 were widely diffused, while
mortgage losses were concentrated--and, through various financial instruments,
amplified--in critical parts of the financial system, resulting ultimately
in panic, asset fire sales, and the collapse of credit markets. 』
対象資産の価格がファンダメンタルから大きくかい離したという意味では同じであっても、背景となるこれらの状況の違いが2000年初頭のITバブル崩壊と、直近の住宅バブル崩壊の与えたそれぞれの影響の広さなどの違いを生み出している、という所で締めているのですが、この辺の話はどこの白川方明さんですかという所でして、いつの間にか麿が憑依したのか逆さ絵おじさんの着ぐるみが開発されたのかと思ってしまう講演でありました。
#他の部分も割とオモロイですので興味のある方はオヌヌメ
2013/05/10
お題「ドル円100円とか短国入札状況とか/日銀からペーパーが2本」
そういやちょっと前の奴ですからご案内の方も多いとは存じますが、声に出して読んだ場合にキーボードなどに被害が及ばないようにご注意ください。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20130507-00024779/
声に出して読みたい猪瀬直樹Tweet集
2013年5月7日 11時16分
#やまもとさんこのネタ何故緑ブログじゃなくてこっちに載せる(^^)。
・・・・・・・などと言いつつテレビのチャンネルを回すとJPYUSDが100円とな!!!!
○ということで市場雑談メモ
・ドル円100円とな
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMJM7E6S973201.html
NY外為:円、対ドルで100円台に下落−09年4月以来の円安
更新日時: 2013/05/10 05:00 JST
『5月9日(ブルームバーグ):9日のニューヨーク外国為替市場では円が対ドルで下落。4年ぶりに1ドル=100円台に下げた。日本銀行のデフレ脱却に向けた対策が円安の背景にある。』(上記URLより)
なにゆえこのタイミングで急にドル円100円となという感じでして、どうもこの辺の記事とか見ても理由がワカランチ会長という感じですわな。デフレ脱却に向けた対策ガーとか今に始まった話では無いですし、それよりも今月に入ってECBから始まって欧州非ユーロ圏とか豪州とかインドとか韓国とかが利下げして日本以外の金融緩和合戦状態になってこれはどう見ても金融緩和スピルオーバーです本当にありがとうございましたという風情ですし、イニシャルクレーム強いとか言ったって米債が馬鹿売られしている訳でも無いですし、何なんでしょうねえ。
でまあこのタイミングで何で急に動くのよというと後は日柄的なものしか思い浮かばないのですけれどもはてさてどうなんでしょうかねえ、、、、、、、、、、、、、、
・6Mと3Mの短国入札はまあそこそこではあるが
昨日の3M
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130509.htm
(3)募入最低価格 99円97銭7厘5毛 (募入最高利回り)(0.0902%)
(4)募入最低価格における案分比率 55.1872%
(5)募入平均価格 99円97銭7厘7毛 (募入平均利回り)(0.0894%)
一昨日の6M
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20130508.htm
(3)募入最低価格 99円95銭5厘 (募入最高利回り)(0.0888%)
(4)募入最低価格における案分比率 20.5732%
(5)募入平均価格 99円95銭6厘 (募入平均利回り)(0.0868%)
ということで、6Mと3Mを単純比較するのも何ですが、一昨日の6Mよりも3Mの金利が上昇という結果になっておりまして、じゃあ何でですねんと考えますと先週木曜日(つまり先週末)に短国買入が1.5兆円行われたのですが、この時に応札が5.6兆円と割とあったのですけれども、その後短国買入が実施されない中で入札が2本(いやまあ償還もあるのですけれども)実施という事で需給が重くなってきているので入札レベルがやや金利上昇しましたねとかそういう話。
でもってどうせ今日は短国買入があると思いますのでその分だけ需給が改善するでしょうねという話になるのですけれども、何だかまあ日銀の買入一発で需給がころころ変わるとか誠に遺憾な市場ですなあという所で。
あとまあどうでも良いのですが、日銀の短国買入額が拡大して保有残高のシェアが拡大すると短国の発行時点で実質的に市場消化額的に瞬間的に増額ロール状態になるんですなあとか思ったりした次第。長期国債だとあまり気にならない(発行と償還が足ずれしているので)のですが、短国の場合は2か月物以外に関しては基本的に償還日に新発が発行されるというロール形式での発行になっているので、日銀が途中でホイホイ購入してしまうと、その購入分に対応する償還は短期金融市場の資金需給的に言うと財政払い超要因を減らすことになる(国債持ってるのが市中じゃなくて日銀だから)ので、そのぶんだけ発行の瞬間は実質的に市中の消化に負担を与えているという事になります罠。
もちろんその分は日銀がどうせ購入するので最終的に消化されるのですけれども、瞬間的には日銀の買入が却って入札時の瞬間的な需給を悪化させる可能性もあるとか考えたら皮肉なもんですなあとか思いましたが、まあそれが新発国債の引き受けを行わない事による市場でのチェックが入るという意味でもあったりするのかなあとかふと思ったのでメモ。
・ウゴカンチ会長というか何というか
何か最近の債券市場様って長期国債買入があるか無いかでまず動きがあって、長期国債買入が無いと何となくズルズルと弱い日は弱くそうじゃない日は凪。んでもって長期国債買入の有った時は結果が市場予想よりも強いか弱いかで動きがあって、どっちもないと助けて先生!相場ちゃんが息をしていないの!!(AA略)状態になるという誠に遺憾な相場が展開されているような気がするのですが気のせいでしょうか。
つーかですな、流動性が無いからオファービットが開いて、オファービットが開くから投資家が動くと売買コスト掛かるし、業者の方も流動性供給したがらないしで更に流動性がアレという展開になるのですが、普通こういう時はどこかでその連鎖が止まるものなのですけれども、何せ日銀様がダイソンの掃除機の如くバキューム買入を実施しますので、投資家にしても業者にしても世の中で一番良いビットを出してくれるのがバキューム掃除機様であらされますので売りたい時にはバキューム様の所に逝けばヨロシという状況ですと何時まで経っても市場の流動性が戻らんですわなあという所で。
んでもって買う方はと言いますとこれは入札でという事になりますと何のことないまあこの異次元緩和打ち込まれた時に言われていましたけれども、財務省から買って日銀に売るというのがお仕事化していくということですかねえどうなんでしょ、という愚痴でした。
○そういう名前はついていませんが金融調節レポート
http://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2013/data/ron130509a.pdf
2012年度の金融市場調節
毎年のこの調節レポートは何気に楽しみにしているのですが今年もやって参りましたので簡単に。
・今回はまあ調節に関しては方式が4月から変わったので考察部分が面白い
調節のレビューと資金需給要因の話とかもマニアとしては大変にオモシロスなのでございますが、まあそちらに関しては超マニア向けなのでスルー致しまして、それよりも今回はコラムというか考察部分の「BOX」というのがオモロイ(いつもオモロイのだが)。
で、今回のBOXは以下の通りです。
BOX1 GCレポ市場における需給バランスの変化とレート低下
BOX2 国債決済期間短縮化がGCレポ市場に与えた影響
BOX3 海外投資家による本邦国庫短期証券への投資動向
BOX4 資産買入れによる民間金融機関のバランスシート構成の変化
BOX5 銀行券発行高の増加と受払高の減少
BOX6 特例公債法案成立遅延が資金過不足に与えた影響
BOX7 入札下限金利撤廃と付利金利との裁定メカニズム
ということで興味のある所を読んで頂くと中々面白いと思う(ちなみにこのBOXは本文中に適宜挿入されているので掲載ページ自体は飛んでおりますです、はい)のですけれども、まあ一般的に興味がありそうな辺りから少々。
・資産買入による影響云々の所
『BOX4 資産買入れによる民間金融機関のバランスシート構成の変化』から。
『日本銀行による各種資産の買入れは、民間金融機関のバランスシートの構成を変化させ、民間金融機関の行動に影響を与えることを通じて、その効果を発揮する。』
はあそうですか。
『こうした一連のプロセスは、@資産買入れが直接的に民間金融機関のバランスシートにもたらす変化と、Aその結果として期待される金融機関の貸出や有価証券の運用スタンスの変化に分けて考えることができる。』
ほほう。
『まず、日本銀行による資産買入れが直接的に民間金融機関のバランスシートにもたらす変化をみると、バランスシートの規模は変わらないが、資産サイドの構成が変化する。すなわち、民間金融機関が保有する国債等が減少し、その分、日銀当座預金が増加することになる(図表19)。』
図表を磔にするスキルは無いので図表は本文見てくらはい。
『民間金融機関の資産運用の観点からは、日本銀行による資産買入により、日銀当座預金が増加する一方、運用資産である国債等が減少するほか、資産買入の進捗により国債等の利回りにも低下圧力がかかることとなる。このため、民間金融機関は、ポートフォリオ全体としての収益性を維持するためには、リスク性資産への投資や貸出等を積極化することが期待される(ポートフォリオリバランス効果)。』
期待するのは良いのですが、その一方でプルーデンス政策ガーとか言われますとポートフォリオリバランスもへったくれも無いのでして、正直言っていわゆる金融規制の方を緩くした方がこうかはばつぐんだ!と思うのは貸出枠規制だの3業種規制だのという時代に金貸しの手先で現場下働きをしていた時の体感的印象なんですけどまあその話は今日はスルーしまして。
・・・・・・・・でですね、ベンダーのヘッドラインとか見たらこの「民間金融機関がリスク性資産への投資などが積極化されることが期待」というところでヘッドライン打っていまして、まあそうなるだろうなあとは思うのですが、実際に読むべきなのはこの先の解説だと思うのですよ!!!!
『また、資産買入れを円滑に進捗させる観点からは、以下のような点に留意して金融市場調節を運営する必要がある。』
と書いてあるから後の文章を読まない人が続出するのかもしれませんが、本来重要なのは以下の部分であって、そういう意味では「このバランスシートの変化に関して一部で誤解があるようなのでここで解説します」とかぶち上げること推奨(^^)。
『第一に、金融システム全体としての日銀当座預金の残高は、民間金融機関同士の取引によっては変化しないということである。』
>金融システム全体としての日銀当座預金の残高は、民間金融機関同士の取引によっては変化しない
>金融システム全体としての日銀当座預金の残高は、民間金融機関同士の取引によっては変化しない
>金融システム全体としての日銀当座預金の残高は、民間金融機関同士の取引によっては変化しない
>金融システム全体としての日銀当座預金の残高は、民間金融機関同士の取引によっては変化しない
>金融システム全体としての日銀当座預金の残高は、民間金融機関同士の取引によっては変化しない
大事な事なので5回繰り返しましたよ!!!
『例えば、ある金融機関が自らの日銀当座預金を減少させようとして、他の金融機関から国債を買入れた場合には、国債を売却した金融機関の日銀当座預金がその分増加することになり、全体の残高は変化しない。このように、マクロ的な日銀当座預金残高は、あくまでも日銀の資金供給(資産買入れ等)によって決定されることになる。』
『すなわち、全体としてみた場合、日銀当座預金が株式投資や貸出等に振り替わるのではなく、資産買入れ(とそれに伴う日銀当座預金残高の増加)による効果が発揮されることで、株式投資や貸出が増加することとなる。』
>全体としてみた場合、日銀当座預金が株式投資や貸出等に振り替わるのではなく
>全体としてみた場合、日銀当座預金が株式投資や貸出等に振り替わるのではなく
>全体としてみた場合、日銀当座預金が株式投資や貸出等に振り替わるのではなく
>全体としてみた場合、日銀当座預金が株式投資や貸出等に振り替わるのではなく
>全体としてみた場合、日銀当座預金が株式投資や貸出等に振り替わるのではなく
ということで、「大量にある超過準備が貸出に回らないのはケシカラン」というような主張はナンセンスどころかミスリードにも程があるという話なのですが、ここの説明文書を百万回読んで理解すべき話なのですが、残念ながらそっちの方をちゃんと読まないでここの「株式投資」という所に思いっきり釣られたヘッドラインが打たれていたような気がするので甚だ遺憾にも程があるという事で引用してみましたぞな。
『第二に、日本銀行の資産買入れは、民間金融機関との間における任意の取引を通じて行われることから、どの程度円滑に資産買入れを行えるかは、民間金融機関の保有資産の売却ニーズや日銀当座預金の保有スタンスに依存する。例えば、2013年入り後、基金による買入対象ゾーンの需給が急速に逼迫し買入レートが急低下したことも、付利金利引き下げを含めた金融緩和期待が高まったことで、民間金融機関において、日銀当座預金の保有スタンスを消極化するとともに、保有資産の売却ニーズが大きく後退したことによるものと理解することができる。』
ということも重要で、民間金融機関に不必要に超過準備を保有させようという量的緩和政策を実施する場合には、その「不必要な超過準備」保有に対するインセンティブを与えないと営利団体であるところの民間金融機関は動かない訳ですから、ある程度を超えた量的緩和政策を実施する際には超過準備保有のインセンティブが必要になる訳で、付利金利が補助金だとか言ってるアホウは豆腐の角に頭をぶつけてくるべきであると存じます。
・・・・・・・というような論点がしらっと整理されているのでこのBOXは中々読みごたえがあります。
・短国市場について
調子に乗ってもう一つ『BOX3 海外投資家による本邦国庫短期証券への投資動向』を引用。
『国庫短期証券は、本邦で最も信用力が高く、流動性も高い短期金融資産という位置付けから、短期資金の運用資産のほか、資金繰り運営や日本銀行および民間決済機関への差し入れ担保等、幅広い用途で利用されている。』
あと有担保コール国債等担保取引の担保玉ってののニーズですな。
『国庫短期証券の業態別保有割合について、複数の統計やサーベイを用いて試算すると、足もと、都市銀行や証券会社、短資等の付利先が4割程度となる一方、信託銀行(年金等からの受託分)や海外投資家は半分程度と、非付利先による保有割合が相応に大きいことがわかる(図表8)。』
年金よりも投資信託だろと思いますが。
『特に、海外投資家による保有比率は、近年上昇が顕著となっている。海外投資家は、短期資金の運用資産として本邦の国庫短期証券の購入を積極化しているとみられるが、その背景として、以下のような点が考えられる。』
ということで海外の短国ニーズの話。
『まず、サブプライム・ローン問題やリーマン・ショック、欧州債務危機等のグローバルな金融危機を受けて、いわゆる「質への逃避」の動きが強まった局面において、相対的な「安全通貨」と見做された円に退避資金が流入した。こうした退避資金の運用手段として、国庫短期証券が利用された面がある。』
『また、ドル円・為替スワップ市場での円調達コストが本邦国庫短期証券の利回りと比較して低水準で推移していることも、海外投資家の国庫短期証券への投資を後押しした可能性がある。すなわち、海外投資家からみた本邦国庫短期証券の投資妙味の目安として、「ドル資金を無担保で調達し、その資金を為替スワップ市場で円資金に交換する」という一連の取引による円調達コスト(以下、円転コスト)を計算すると、円転コストは本邦国庫短期証券の利回りと比較して概ね低水準での推移となっている(図表9)。』
『こうした海外投資家を中心とする非付利先には、付利金利の水準である0.1%を下回るレートであっても国庫短期証券に対する一定の投資ニーズが存在している。』
さいですな。
『2013年入り後は、そうした非付利先からの需要に上乗せするかたちで、基金による買入ペースが加速されたほか、付利金利引き下げを含む金融緩和期待が強く意識されるもとで、付利先が0.1%を下回る水準でも国庫短期証券への投資を積極化する動きが拡がった。この結果、需給環境の逼迫感が一段と強まり、国庫短期証券の発行・流通レートは、0.1%を大きく下回る水準まで低下した。』
というのはご案内の通り。でまあ付利下げ自体はちょっと(これだけの大規模量的緩和を実施する以上は)難しくなってきてるとは思われるということで水準がやや調整されましたという事で。
ということでBOXを2つだけ引用しましたが、内容はかなり面白いので一読推奨。
○長期金利に関する分析レポートがまたも投入されました
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2013/wp13j06.htm/
ゼロ金利下におけるタームプレミアムの推計:日米英の長期金利の分析
本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2013/data/wp13j06.pdf
要旨紹介のHTMLの方から。
『本稿では、アフィン期間構造モデルと潜在金利モデルを、日米英の2013年3月までのデータを用いて推計した。推計結果はモデルによって大きく異なり、これは、ゼロ金利制約を考慮していないアフィンモデルにおいて、推計バイアスが生じているためと考えられる。10年物金利のタームプレミアムの推計結果をみると、モデル間の差異が約2%ポイントにまで拡大するケースもみられる。また、米英では、この差異がここ数年拡大している。アフィンモデルには、短期金利の長期的水準を過大推計する強い傾向がみられるが、このことがタームプレミアムを過小推計する方向に寄与しているものと考えられる。』
とのことですが、こちらのペーパーの著者さんはこの手の長期金利分析に関するレポートを定期的に出していまして、一応このペーパー自体は個人の見解で日本銀行の公式見解ではありませんという建付けにはなっていますけれども、日銀(や各国の中銀)が市場の金利形成に関してどのような分析をしているのかというようなテーマについてのペーパーを出していますのでこれまた一読を推奨したいのですが、惜しくもこのあたくしは高校の数V(歳がばれる表現ですかそうですか)レベルで数学の脳味噌が止まり後は退行してあばばばばーとなる一方でございますので、何が何やらという話なのが残念無念な所でありまする。
まあこういう分析に関しては、モデルがどういう前提を基にしていているのかという点についてのロジックを把握する(数学的処理の計算式を見るとハクション大魔王状態になるのでそうではなくて文章で書かれたロジックです、汗)のが重要で、その辺のイメージがつかめるとアウトプットとして出てきたデータがどういう物なのか、という事が判るんでしょうなあとか、まあそんな事を考えながら読んでみたもののやっぱり難しいのでアホのあたくしに判るように教えてジェネラル!!(いやまあまた読んでみますが・・・・・・)
2013/05/09
お題「展望レポートが「政策効果全部乗せでお願いします!」という件(ただし虫干しネタ)」
雨株も雇用統計が悪ければ緩和継続で買い、雇用統計が良ければ景気が良くて買いとか大概にお洒落ですが、ジャパンの新興株とかお洒落にも程がある展開が続いておりますのう。
でまあ債券市場はボラ低下というよりは単に現物債市場の流動性が低下して投資家が大玉動かせなくなっているだけのような気がするので、その辺の考察という名前の雑談はてきとうに纏まった所でするとして(おいおい)今日もまた虫干しネタでどうもすいませんすいません。
○虫干しネタで今さらですが定例会見とついでに先日の会見を
いまさらですが定例記者会見
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304d.pdf
・実は今回の会見時間の方が長かったという事実
前回の政策変更時の会見テキストがこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1304a.pdf
良く良く比較しますと、会見時間が前回は約60分で今回は約70分となっておりまして、時間が長くなっているのがチャーミングでありまして、会見テキストに関してもこの時間を反映してページ数が1ページ増えているのですよね。
まあそれだけ今回の展望レポートに関するツッコミと、新しい金融政策導入後に改めて色々と考えてみたらツッコミどころが出ていますなあという事だったんでしょうなあと思いますし、質問が何気に嫌味成分の入ったものが増えてきているのが中々チャーミングだと思いまする。
では最初の質疑から。
・予想は政策効果を全部込み込みですねわかります
『(問) まず、今回の展望レポートで2015年度の見通しを新たに示されましたが、予想する期間が長くなればなるほど不確実性が高まると思います。この点を踏まえて、あえて今回2015年度の見通しを公表された理由をご説明下さい。2点目ですが、2015年度の消費者物価上昇率の数字をみると、ゼロ%台の見通しの委員がいるなど、かなりバラつきがあります。加えて、2015年度の数字は、民間の予想などに比べても、少し強いという感じもしますが、この辺のご見解をお聞かせ下さい。』
まあ何気に質疑応答を見ると嫌味な質問が多かったりしますが。
『(答) 展望レポートの見通し期間を2015年度まで1年間延長した理由は、基本的に、金融政策の効果が実体経済、特に物価に波及していくには、ある程度のタイムラグがあるためです。』
つまり自分の政策効果を織り込みましたというのを予想に多く反映させたいんですねわかります。
『従って、各国の中央銀行は、経済・物価の先行き予測を行いながら金融政策を運営しています。海外の中央銀行の状況をみると、現状では、3年程度の見通しを作成・公表しているところが多いわけです。こうした海外の状況なども考慮しながら、特に、経済・物価の先行きに対する日本銀行の認識を分かりやすく示す観点から、2015年度までの見通しを、従来より半年前倒しで公表し、見通し期間を3年程度にしたわけです。』
たぶんその場で説明されるとふんふんと頷きながら聞いてしまうのですが、こうやって後日文章になったのを見ると意味が分からんというか、「見通しを長くすることによって自分たちの都合の良い均衡点を示しやすくしている」というだけのようにしか読めないのは読み方にフィルターが入っていますかそうですかすいませんねえ。
『次に、物価見通しのバラつきについてです。確かに、将来になるにつれて、ある程度不確実性が増すことは事実です。他方、そういったことも踏まえ、先程申し上げたような、2015年度までの3年間の見通しを示したわけです。私どもとしては、先に決定した「量的・質的金融緩和」が直接的にイールド・カーブやリスクプレミアムに働き掛けるチャネル、いわゆるポートフォリオ・リバランスを通じてリスク資産への投資が進む、あるいは貸出が増えるというチャネル、市場あるいは経済主体に対して「期待」の転換を図るチャネル、という3つのチャネルを想定しているわけです。』
『それらを通じて、実体経済が好転していくと、需給ギャップが縮小し、さらには期待物価上昇率も上がっていくということで、本日公表した見通し──2015年度には2%程度の物価上昇率に達するという見通し──を得たわけです。』
ということで、つまりは実施した政策が全部効果を発揮したらこうなるという「予想」になっているという話になりましたよ今回の展望レポートはという話だということですねわかります。
同じ質問がもう一度。
『(問) 2点教えて下さい。今回公表された14年度、15年度の物価見通しは、今、市場が持っている予測値からは若干の乖離があり、日銀の方が強気の予測を出しているように見受けられますが、これについてどう受け止めていらっしゃいますか。(後半は次に)』
『(答) 第1点については、先程申し上げたように、色々なチャネルを通じた効果波及も踏まえ、物価の先行きについて私どもの見通しを作ったわけですが、潜在成長率を上回る成長が続くことでGDPギャップが縮小していく、あるいはポジティブになっていく過程で、当然、物価上昇率が上がってきます。』
>効果波及も踏まえ、物価の先行きについて私どもの見通しを作ったわけですが
>効果波及も踏まえ、物価の先行きについて私どもの見通しを作ったわけですが
>効果波及も踏まえ、物価の先行きについて私どもの見通しを作ったわけですが
ふむ。
『もう1つは、期待物価上昇率が上昇すると、GDPギャップと物価上昇率の関係を示す、いわゆるフィリップス・カーブもシフトします。この需給ギャップが縮小していくことと、期待物価上昇率が上がっていくことの両面から、消費者物価上昇率が次第に上昇していき、2015年度には2%程度に達するという見通しを持ったわけです。(以下割愛)』
つまり政策の波及効果が全部効いて、期待物価上昇率も上昇すると、フィリップスカーブが上方にシフトするに違いないから2%達成する、とまあそういう「見通し」になっておられるというお話なのですが、まあその辺の波及効果をどの程度織り込んだ結果がこの数字になったのかは当然お見せできないでしょうなあというのは分かるのですけれども、その辺の効果が必ずしも全部効かないという場合にさてどうなるんでしょ。
・異次元緩和の効果説明キタコレ
さっきの質問の後半から。
『(問)(前半割愛)次に、4日の「量的・質的金融緩和」の導入から2週間少し経っています。その効果波及ルートが3つありますが、そういった効果がみられるとお考えになっているか、あるいは副作用も含めて、この1か月弱を総括して頂きたいと思います。』
『(答)(前半割愛)2点目の効果が波及する3つのチャネルについてです。金利あるいはプレミアムへの働き掛けという面では、先日の政策発表後、一時、長期国債市場でボラティリティが少し高まった傾向がありましたが、市場関係者との対話を通じて――例えば、1回の入札量を減らし入札の回数を増やすこと等――、次第にボラティリティも下がってきており、またプレミアムは明らかに安定しています。』
えーっと、単に市場の流動性が下がって投資家の売買が減っただけで今週入っても何だかなあという感じなんですけどね。中期が落ち着いたかと思うと長い所と一緒になって下がってみたり微妙ではあるんですが。つーか「プレミアムは明らかに安定」というプレミアムというのの意味がワカランチ会長なのですが。
『そういった市場への直接の働き掛けも効いていると思います。』
ほほう(棒)。まあそもそも国債バカスカ買うというオペレーションは債券市場に対して思いっ切り介入しますよという話ですので、流動性がヘロヘロになるとか市場機能が低下しますよというのは端から政策の効果であり副作用ではあるのですが。
『次に、最も明確であるのはポートフォリオ・リバランス効果です。これは、為替、株あるいは金融機関の貸出についても効果がみられると思います。』
ほう!!!!
まあ貸出まで効果が見られるとか勇み足でしょと思いますが、全力で為替と株を見ているというのは把握致しましたぞなもし。
『3つ目の「期待」については――以前も申し上げたと思いますが――、直接的には、物価上昇期待がどうなっているかですが、色々な指標をみても、物価上昇期待が高まる傾向がみられます。経済回復の期待という意味では、色々な指標をみると企業や消費者のマインドも向上しています。』
ほっほー。
『このように、3つのチャネルについて、予想された効果が出てきていると思います。そして一番重要なことは、これらを通じて、実体経済が、先程申し上げたように、本年央頃にかけて緩やかな回復過程に入り、今後、潜在成長率を上回る成長が13年度、14年度、15年度と続くことであると思います。』
為替と株価から前向きの循環メカニズムですかそうですか・・・・・・・・
・更に見通しに関する質問ですが
大体質疑の多くがこの件に費やされているのですけれども、質疑を一丁引用しておきますね。
『(問) 2点伺います。日本銀行は、2%の物価安定目標にコミットしていますが、従来の展望レポートは、各委員の「見通し」という形で集約されており、「予想」という色彩が非常に強かったのですが、今回の展望レポートは、そういったコミットメントのもとで、「見通し」というより「目標」に近いものになったのではないか、つまり、展望レポートの性格が変化したのではないかとの見方もあります。その点について、どのようにみておられるのでしょうか。』
後日冷静になってから読むとまた味わいが違うなあなどとネタを後回しにしたエクスキューズをする積りでは無いのですが(笑)、先ほどの質疑にあるように、そもそも先行きの予想が「政策効果を全力で織り込んだ内容」という説明になっている以上、この質問はもうその通り以外の何物でもないので、実は「先ほど政策効果を織り込んでとおっしゃいましたが、政策効果をどの程度定量的に織り込んだ結果この数字になったのでしょうか」と聞いた方が面白かったのかもしれません。と言ってもまあその場だと気が付かなそうに思えるし、出た直後とかでもスルーするかも。
『もう1点は、展望レポートの見通し期間を延長することによって――先程の質問にもあったように、不確実性は高まると思いますが――、仮に、見通しが外れることになった場合、やはり日本銀行の出す予測・見通しの信頼性またはその政策の信頼性に影響を与える恐れがあるのではないかと思います。そのリスクをどのように考えておられるのか、お聞かせ下さい。』
そもそも政策効果を全力で織り込んでいるのでそのリスクはありますがさて・・・・・・
『(答) 私は、「見通し」が「目標」になったとか、今回、展望レポートの性格が特に変わったとは思っていません。この展望レポート全体をご覧になって頂ければ分かるように、もともと、政府あるいは日本銀行といった政策主体の見通しというものは、自らが行う政策も踏まえて作られていますので、市場の見通しと必ずしも一致するわけではないと思います。』
意外に清々しく説明しますな(^^)。
『しかし、展望レポートにある通り、これは、「目標」を示しているのではなく、「見通し」を示していることに変わりはありません。そういった意味で、今回、この展望レポートの性格が変わったわけではなく、従来から、政府や中央銀行の見通しというものは、自己の政策も含めた見通しになっているということです。』
つまり従来から願望レポートだったけれども今回は強力な政策を実施したのでより強力な願望レポートになりましたという事ですねわかります。
・・・・・・・・・まあそうきっぱり言われますとはあそうですかという所ですが、そもそものベースラインがどういう状況なのかとかいう話は中ではしているのでしょうけれども、出てきた結果の方でさっぱりワカランチ会長であるという状況ですと、ベースラインをどう分析したからこういう政策を実施したという話がさっぱり見えてこないので、そもそも政策の反応関数が判らんですし、政策が適切なのか足りないのかやり過ぎなのかの目安も判らんがなという風には思うのでありますけどねえ。
『展望レポートの見通し期間を2015年度までの3年間としたのは、先程も申し上げた通り、金融政策の効果が波及するまでのタイムラグや、諸外国の中央銀行の例をみながら決定したわけで、これ自体は自然なことだと思います。見通し期間を延ばすと、不確実性が高まり、見通しの幅が拡がる傾向があることは事実ですが、必ずそうなるかというと、そうではないと思います。』
ほほう。
『例えば、国際機関などが行う経済見通しも、短期から長期まで色々ありますが、長期になると、色々な機関の見通しが拡がって分散するかというと、必ずしもそうではありません。むしろ、ある程度の長い期間になると、色々な機関の見通しが収斂する場合もあります。』
それって単にDSGEをベースにしていて「長期的には均衡点に収束する」というモデルが前提になっているからじゃないでしょうか。で、今回の政策というのはフィリップスカーブの上方シフトを前提にしているように、そもそもの均衡点の位置を変えようという政策なのですから、その政策が効くのか効かないのかによって話が全然変わってきますわな。
『従って、見通し期間を2年から3年にすると、必ず見通しの幅が拡がるわけでもないと思います。確かに、一般的には、将来になるほど不確実性が高まったり、カウントされる要素が多くなってくることは事実だと思いますが、そのことと、見通しの信頼性や幅が拡がることとは、必ずしも一致した話ではなく、場合によると思います。』
まあ場合によるちゃあその通りですが、今回均衡点を変えようという政策を実施する中で見通し期間を長くするというのはやはり質問者が突っ込むような意図がありますよねと言われますわなあと思うのでありますた。
・中々嫌味な質問は幾つかあるのですけれどもこんなのでも
『(問) 2点伺います。見通し期間を延ばした理由について、タイムラグの話や、外国の例をみてグローバルに合わせたという話をしておられますが、従来の2年という見通し期間では、コミットしている「2%」という数字が出せないので、それに近い数字を出すために2015年度の見通しも出したのではないか、という気がしなくもありません。例えば、政治サイド――政府の経済財政諮問会議でも2%の道筋を必ず示せと言われていますので――の意向も意識して、今回、見通し期間を延ばしたのかどうか、お伺いします。(後半割愛)』
ワロタ。
『(答) 最初の点は、先程申し上げた通り、諸外国の例やタイムラグなどを考慮しながら、このようにしたものです。日本銀行も、以前は、1年の見通しでしたが、やはり1年では短か過ぎるということで2年に延ばしたわけです。それを、今回は半年前倒しで3年としました。これは、タイムラグの問題や諸外国の中央銀行の例に倣って、しかも透明性を高めるという観点から実施したことであり、政府からの圧力といったものは全くありません。(後半割愛)』
ほほう(^^)。
・信じる者は救われる
そもそも「前向きの循環メカニズム」は起きるのかという問いもあったりする(^^)。
『(問) 先程の民間予測と日銀の展望レポートにおける見通しとのギャップの話ともオーバーラップしますが、足許の企業の設備投資マインドや家計の所得状況などを考えると――例えば、需要があっても海外で投資して海外生産するとか、所得を上げるにしても一時金で上げるなど――、展望レポートに書かれている「生産・所得・支出の好循環」にはかなり距離があるイメージがあります。今回、レポートを作成するに当たって、総裁、副総裁や審議委員の方々が、その「生産・所得・支出の好循環」を十分見込めると判断されたのは何故でしょうか。』
そらそうだ。
『(答) お考え頂きたいのは、「量的・質的金融緩和」を決めたのは4月4日だということです。まだ1か月も経たないうちに、今おっしゃった賃金や雇用、生産が目に見えて増えることは、普通はないわけです。』
ふむ。
『私どもは、あくまでも、2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するよう、現在の「量的・質的金融緩和」を続けていきます。そうした中で、2013年度から2015年度までを見渡すと、そういった好循環も当然期待できますし、おそらくどのような経済モデルで計算しても、物価だけ上がって賃金が上がらないということにはならないと思います。』
英国経済ェ・・・・・・・・・・・というか「当然期待できる」という答えだとそもそも質問者の質問に対する答えになっておりませんですな。
『おっしゃったように、確かに設備投資はまだ強い動きは出ていませんが、例えば、消費は底堅く推移しており、足許底堅さを増しつつあります。また、雇用や賃金についても、色々な前向きの動きもみられています。生産も、最新のデータをみると、明らかにプラスになってきています。こうした前向きの動きが色々とみられる中で、4月4日に「量的・質的金融緩和」という政策を採り、今後、2015年度までを展望した時に、こういった成長率や消費者物価上昇率が予想されるということです。その萌芽はもちろん見えているわけですが、本格的に景気回復が明らかになってくるのは、先程申し上げた通り、本年の年央以降ということかと思います。』
ということで、前向きの循環メカニズムが必ず働くので必ず効果が出ますという話ですので、皆様におかれましても信心が大事であるということですよ、いいですね!!
・実は量じゃなくて質じゃないのかという質問
これは面白い質問なので最後にネタを。
『(問) 量的緩和について、黒田総裁がどのぐらい信じていらっしゃるかを確認させて頂きたいと思います。この20年間、マネタリーベースは大体4〜5倍に増えていると思いますが、この間、消費者物価および名目GDPはほぼ横ばいだったと思います。これを単純にみると、マネタリーベースを増やしても成長率や物価にはあまり働き掛けられないことが読み取れると思うのですが、それでも「デフレは貨幣的現象」だとお考えなのか。岩田副総裁は、そのようにおっしゃっているわけですが、黒田総裁も同じようなお考えなのでしょうか。』
で、この次のツッコミが中々宜しい。
『あるいは、先程ご説明にあった3つのチャンネルはよくみると、「量的」というよりもむしろ「質的」な方面に働き掛けるルートとみえるのですが、実は、「量的・質的緩和」というのは、順番が逆で、「質的・量的緩和」だったのか、その辺についてお考えをお聞かせ下さい。』
で、お答え。
『(答) 日本銀行は過去に量的緩和を実施していましたし、私どもが「量的・質的金融緩和」を決定する前に「包括緩和」という考え方を採っていましたが、その際も、実は、量的な面と質的な面とが両方が入っていたわけです。また、米国では、QE1、2、3と実施しており、いずれも量的な面の拡大もありますが、どういった資産を購入するかという質的な面との両方を持っています。英語ではQuantitative
Easing(量的緩和)と言われますが、量的・質的の両面を持っています。今回、私どもが決定した「量的・質的金融緩和」は、単純にマネタリーベースを増やすだけではなく、その増やし方において、長期国債を期間の長いところまで含めて購入する、あるいはリスク資産を購入する、そういった質的な面と、量的にも大きな緩和をするという両面があります。』
『最近の欧米の金融政策も、量的緩和あるいは非伝統的金融緩和と言われますが、中身をみれば、やはり、量的な面と質的な面と両面あるということです。今回の私どもの政策もそうであり、それがいわば相乗的な効果をもって、実体経済により効果的に効いてくると考えています。』
まあこう説明するしかないのですが、では量的緩和の方の定量的効果についてはどうなんでしょうという質問に対しては答えていない(まあ答えられませんが)のがチャーミングでありまして、そもそも量的な部分の定量的な効果に対してちゃんと計測しているのであれば、中原伸之元審議委員がMPMの直後に指摘したように「これは量の出し過ぎ」という議論が出てくるはずなのですが木久扇先生ェ・・・・・・・
とまあそんな感じで簡単にと思ったけれどもやはり会見の量がそこそこありましたので長くなりました。
・まあどうでもよいがついでにADB総会関連の会見から
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1305a.pdf
ASEAN+3終了後の麻生副総理・黒田総裁 共同記者会見における総裁発言要旨
『【問】麻生大臣と黒田総裁にお伺いします。ASEAN+3の声明には、「世界的な金融緩和から地域に生じる意図せざる負の副作用にも引き続き警戒」という下りが入ったわけなのですが、今回の会合で、世界的な金融緩和の副作用、特にアジアの新興国に対する副作用について、どのような議論がなされたのか。それから、それに対する政策対応について、各国からどういう話があったのか、お伺いしたいと思います。』
『【答】今、ご指摘があったように、ASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁会議後のコミュニケの中でも、最近の経済・金融の状況について、かなり詳しく記されてあります。私からは、ちょうど1カ月前に、日本銀行の政策委員会が金融政策決定会合で決めた「量的・質的金融緩和」の内容、その目的、そして、今後、見通される経済、特に物価の動向等について詳しく説明しました。この金融緩和が、15年続いたデフレからの脱却を目指していることを強く主張し、この点については理解が得られたと思います。また、世界の先進国における大幅な金融緩和は、それぞれの国の経済に必要なことをしているわけです。そうした先進国の金融緩和が新興国市場等に思わぬ副作用を与えないか、十分注視していく必要があることについて、G20でも、今回のASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁会議でも、同様の話が出たということです。』
ということで特段新しい話は無いのですけれども、展望レポートでも輸入価格の上昇を物価上昇のメカニズムの中に加えていたりしてますし、先ほどの定例会見の方でも市場の反応として「為替」というのを思いっきり発言しているように、まあ円安ヒャッハーで資産価格の上昇による資産効果での景気刺激と輸入インフレがドライブしないとフィリップスカーブって中々上方シフトしない(というか資産価格が上昇してもフィリップスカーブが上方シフトするのかというと米国のこれまでの物価動向と資産市場の関係を見ているとそうは思えませんけど)と思われるので、本当はもっと円安ドライブを掛けたい所だと思うのですが、まあどう見てもそれを表立っていう事はご法度になっていますなあというのだけは把握しました。
#ということでまあ相場様も相場様なのでここ2日ほど虫干しネタ成敗モードでどうもすいません
2013/05/08
お題「珍しくECB会見ネタを延々と続けるでござるの巻」
豪州利下げで株式ワッショイとな!
○ECB定例理事会後の会見からの続き
つーことで昨日の続きです。まずは説明部分から。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2013/html/is130502.en.html
・「景気の下振れ懸念」を強調していますな
昨日の続きで利下げ(およびその他の決定)の背景に関する経済に関する説明から始まりますが。
『Let me now explain our assessment in greater detail, starting with the economic analysis.』
まずは経済情勢に関して。
『Real GDP contracted by 0.6% in the fourth quarter of 2012, following
a decline of 0.1% in the third quarter. Output has thus declined for five
consecutive quarters. Overall, labour market conditions remain weak. Recent
developments in short-term indicators, notably survey data, indicate that
weak economic sentiment has extended into spring of this year.』
GDPが弱くて労働市場が弱くて特にセンチメントが悪いとな。
『Looking ahead, euro area export growth should benefit from a recovery
in global demand and our monetary policy stance should contribute to support
domestic demand. Furthermore, the improvements in financial markets seen
since last summer should work their way through to the real economy. At
the same time, necessary balance sheet adjustments in the public and private
sectors will continue to weigh on economic activity. Overall, euro area
economic activity should stabilise and recover gradually in the second
half of the year.』
今後については海外需要の回復と緩和的な金融政策スタンスが域内の需要をサポートして、昨年の夏から続く金融市場の改善が実体経済に好影響を与えるでしょう。として、その一方で官民のバランスシート調整が経済に悪影響を与え、全体的には今年の後半からユーロ圏の経済活動は安定化して徐々に回復に向かうでしょうとな。
『The risks surrounding the economic outlook for the euro area continue
to be on the downside. They include the possibility of even weaker than
expected domestic and global demand and slow or insufficient implementation
of structural reforms in the euro area. These factors have the potential
to dampen confidence and thereby delay the recovery.』
リスクは下向きで、内外需要が予想より弱い事や、ユーロ圏の構造改革が進まない事という話で、まあ要するにそもそも景気サポート要因とされるファクター全部とかワロタという所で砂。
一方で物価に関しては「一時的要因による低下」という説明になっています。
『According to Eurostat’s flash estimate, euro area annual HICP inflation
was 1.2% in April 2013, down from 1.7% in March.』
HICP物価指数が大きく下落とな!
『This decline in the annual inflation rate reflects a significant fall
in energy prices, but is also due to a sizeable transitory effect coming
from the annual rate of change in services prices on account of the timing
of Easter.』
エネルギー価格とイースター要因による一時的な要因だそうです。
『Inflation rates could remain subject to some volatility throughout the
year. Looking further ahead, underlying price trends should persist and,
over the medium term, inflation expectations remain firmly anchored in
line with price stability.』
つーことで物価に関しては今年はいくらかの変動をするものの、先行きに関しては足元のトレンドが継続するもののインフレ期待はアンカーされていますということで・・・・・・
『Taking into account today’s decisions, risks to the outlook for price
developments are broadly balanced over the medium term, with upside risks
relating to stronger than expected increases in administered prices and
indirect taxes, as well as higher commodity prices, and downside risks
stemming from weaker economic activity.』
利下げの効果を考慮した物価の上下バランスに関しては概ねバランスという認識になっていまして、先行きのリスク認識としては経済の下振れリスクをメイン(経済が下振れすると物価も下振れするのですけれども)においている感じですかね。
・ローンの伸びが弱いとか、域内クレジット市場の分断化について言及
『Turning to the monetary analysis, recent data confirm that the underlying
pace of monetary expansion continues to be subdued. Annual growth in broad
money moderated in March, standing at 2.6%, after 3.1% in February. The
annual growth rate of the narrow monetary aggregate, M1, increased slightly
further to 7.1% in March, reflecting the continued preference for the most
liquid instruments in M3. Deposits with the domestic money-holding sector
continued to grow further in most stressed countries in March.』
とこの辺はマネーの話。伸びは抑制されているという話ですね。
『The annual growth rates of loans (adjusted for loan sales and securitisation)
to non-financial corporations and households have now remained broadly
unchanged since the turn of the year, standing in March at -1.3% and 0.4%
respectively.』
ローンの伸びが弱いということでして。
『To a large extent, weak loan dynamics reflect the current stage of the
business cycle, heightened credit risk and the ongoing adjustment of financial
and non-financial sector balance sheets. The recent Bank Lending Survey
(BLS) confirmed weak demand for loans in the euro area. While some signs
of stabilisation are emerging, the Survey on the access to finance of small
and medium-sized enterprises (SMEs) in the euro area indicates continued
tight credit conditions, particularly for SMEs in several euro area countries.
Moreover, the available information indicates high risk perception on the
part of banks.』
ローンの伸びが弱い要因として、ビジネスサイクル要因、クレジットリスクの高まり、企業のバランスシート調整というのを挙げていて、金融機関のサーベイ調査によればユーロ圏の借入需要は弱く、中小企業に対する厳しいクレジットコンディションが継続しており、一部の金融機関では引き続きリスク警戒意識が強い状況が続いているということで・・・・・
『In order to ensure adequate transmission of monetary policy to the financing
conditions in euro area countries, it is essential that the fragmentation
of euro area credit markets continues to decline further and that the resilience
of banks is strengthened where needed.』
質疑応答でもこちらの話が実は多かったりするのですが、ユーロ圏内での金融政策のトランスミッションメカニズムを有効にするためには、「ユーロ圏のクレジット市場のfragmentation」を更に縮小し、金融機関のバランスシートを更に健全化させる(=必要な資本増強を行う)ことが重要であるとキタコレである。
『Progress has been made since last summer in improving the funding situation
of banks, in strengthening the domestic deposit base in stressed countries
and in reducing reliance on the Eurosystem as reflected in repayments of
the three-year LTROs. Further decisive steps for establishing a banking
union will help to accomplish this objective.』
3年LTROの減少に見られるように昨年夏以来状況は改善しているが今後も改善が必要とな。
『In particular, the Governing Council emphasises that the future Single
Supervisory Mechanism and a Single Resolution Mechanism are crucial elements
for moving towards re-integrating the banking system and therefore require
swift implementation.』
つーことでECBとしては金融監督の一元化とか銀行同盟とかそっちの方をやれやゴルァって話がこの後にもあるのですけどね。
『To sum up, taking into account today’s decisions, the economic analysis
indicates that price developments should remain in line with price stability
over the medium term. A cross-check with the signals from the monetary
analysis confirms this picture.』
先程と同様ですが、利下げを考慮に入れると物価については中期的に物価安定の範囲内にありますという話になっていますな。
『With regard to fiscal policies, the spring 2013 deficit and debt data
notifications by euro area countries indicate that the average government
deficit declined from 4.2% of GDP in 2011 to 3.7% in 2012. Over the same
period, the average government debt rose from 87.3% to 90.6% of GDP. In
order to bring debt ratios back on a downward path, euro area countries
should not unravel their efforts to reduce government budget deficits and
continue, where needed, to take legislative action or otherwise promptly
implement structural reforms, in such a way as to mutually reinforce fiscal
sustainability and economic growth potential. Such structural reforms should
target improvements in competitiveness and adjustment capacities, as well
as aim to increase sustainable growth and employment.』
最後に財政政策に関してですが、財政赤字を減らせ構造改革しやがれゴルァという事ですねわかります。
で、質疑も色々と面白いのですが幾つか拾って(ちなみに今回はくだらない類の質疑応答は無かったですので本当は全文読むのを推奨)みます。
・追加利下げの可能性について&利下げだけではなく「フルアロットメントの延長」も大事との話
冒頭の質疑から。
『Question: You have cut the key interest rate to 0.5%. Can you come up
with some quantitative estimates for implications in the euro zone? Can
you envisage a lower interest rate than 0.5%?』
『Draghi: The Governing Council has taken this decision consistent with
the low price pressure over the medium term. As I said in the introductory
statement, HICP inflation has gone down considerably. Even if you look
at HICP inflation without food and energy prices, it has still gone down,
but less markedly. Inflation expectations are well anchored in the medium
term.』
ということでコアの物価に関してもやや下落しているという話をしておりまして、まあ基本的に景気下振れの方をメインにしていて物価に関して特段デフレリスクのような話を強調している訳では無いのですけれども、物価の低下傾向に関しても言及しているという所で。
『As I have said, monetary and credit development have been subdued. Weakness
in the fourth quarter of 2012 extended into the first part of this year.』
最初の説明でも言及されていたマネタリーとクレジットの状況についても言及。
『So, all in all, the Governing Council decided to go for a cut of 25 basis
points, accompanied, however, and I would ask you not to underestimate
the importance of the other measure, by maintaining the fixed rate full
allotment policy until at least mid next year.』
で、ここでドラギ総裁が聞かれもしないのにわざわざ強調しているのですが、利下げだけではなく固定金利オペのフルアロットメント継続を来年の半ばまで延長した事を重要視して下さいという話をしておりまして、実はこの後の質疑応答でもやたらと域内のクレジット市場のfragmentationの説明を力入れて行っていて、金融政策のトランスミッションメカニズムに関する問題意識が強いんじゃないのと思われるのですがどうでしょう。
『The combination of the two measures is especially important and we can
discuss this in the upcoming questions. At the same time, and this answers
the last part of your question, we will certainly look at all the incoming
data and carefully monitor developments. As I said last time, we stand
ready to act if needed.』
ということで今後の状況を注視して必要があれば更に行動しますという話で、まあこの辺を捕まえて必要ならば追加緩和というヘッドラインが出ている辺りは、ドラギ総裁は引き続き市場への期待への働きかけ、というと聞こえが良いですが悪く言えば毎度おなじみの口先市場操作攻撃が相変わらずですにゃあとか思うのでありました(^^)。
・預金ファシリティーのマイナスについて
ちょっと後の方の質問ですが。
『Question: When you said that there was a prevailing consensus for a cut
of only 25 basis points and you stand ready to act, is there room to cut
interest rates further, including the deposit rate which you did not touch
today?(後半は次に)』
キタコレ!
『Draghi: On the first part of your question, I think I did respond before,
saying that we will look at all the incoming data and will monitor them
closely and we will stand ready to act if needed. 』
ということでこちらでも「追加の利下げはあるべし」という風に読める言い方をしていますね!
『On the deposit facility rate, we said it in the past: we are technically
ready. There are several unintended consequences that may stem from this
measure. We will address and cope with these consequences if we decide
to act. We will look at this with an open mind and we stand ready to act
if needed.』
で、預金ファシリティーに関しての質疑はこの一発だけなのですが、「従来から言っていますようにテクニカルには準備ができていますが、預金ファシリティーのマイナス化に関してはいくつかの期待せざる結果がおきる可能性があるので、もしマイナスにする場合はこれらの結果に対して対処する用意が必要である」という話をしています。でもって「オープンマインドで考えて必要ならば実行する」としているのでまあ当然ながらヘッドラインでは「預金ファシリティー金利のマイナスも選択肢」という風になる罠と思うのですよね。
そもそも論として「ユーロ圏の域内分断化」が問題となっている上に、「フルアロットメントでの資金供給の継続も重要な決定である」とわざわざ断っている中で、超過準備保有に対するペナルティーを課す形になる預金ファシリティー金利のマイナス化というのは政策として矛盾する(預金ファシリティーを回避する方策を考えれば超過準備保有はできますがそれならそもそもファシリティー金利をマイナスにする意味が一ミリも無い)のでして、そーゆー点を考慮しますと、これはまあドラギ総裁の一流の「市場への期待働きかけ」という口先介入攻撃で、「預金ファシリティー金利マイナスもありうべし」というのを見せることによって、短期ゾーンの市場金利の低下を促して利下げの効果を更に高めようとしているんでしょと思うのですがどうっすかね。
ただまあこの手のドラギさんの口先マジックって使い方を良く良く注意しないと、調子に乗ってああだこうだとやっているうちに市場の方から催促されてのっぴきならない状況に追い込まれるでござるの巻という残念な展開になるリスクがありまして、ECBの場合はその手のやらかし金融政策をするというのが伝統芸でもあったりしますので、市場に催促されて預金ファシリティーをマイナスにして短期金融市場の緊張感を高めてやらかしちゃいましたテペヘロ♪というのをやらかさないで頂きたいものだと心から願うのでありました。
・ABS買入の可能性について
先程の質問の後半部分ではABS市場云々に関する質問でして・・・・・・
『(質問前半は先ほど)And I wanted to ask you on the consultations you
are starting on creating a market for asset-backed securities. What exactly
do you have in mind, and are you potentially solving one problem by creating
an entirely new problem, given that asset-backed securities were the root,
at least in the United States, of the financial crisis of 2008 and 2009?
So, are you potentially creating a headache down the road?』
QE1みたいな施策を考えているのですかねという質問ですな。
『(回答後半は先ほど)On the other part, it is actually broader than a
standard measure category and it relates to funding measures, broadly defined.
One is collateral, and the second set has to do with purchases of assets.』
担保政策または買入という両面での検討とな。
『Now, you have got to be careful here, because let me say once again what
the ECB cannot do. The ECB certainly cannot supplement governments for
their lack of structural reforms.』
ただしECBで出来ることとできない事があります(前の方の質疑でもその話があったんですよね)とのことで、ちゃんと構造改革をしていないような政府の補完機能は当然ながらできませんとな。
『Secondly, the ECB cannot clean banks’ balance sheets.』
ECBは銀行のバランスシートを綺麗にすることができませんぞなということで、何でもかんでもお助けオペをする訳では無いという話が早速キタコレ。
『And third, the ECB is not in the business of monetary financing, i.e. buying government bonds.』
EBCは政府の財政ファイナンスをするお仕事は致しません。
『When you consider all this, you look at what assets could be purchased
and then you look at what sort of financial infrastructure the Europeans
have.』
つーことでもしかしたらABS買入とかはEIBみたいな機関が実施するのかもしれませんね。
『And it is different from the United States. In the United States 80%
of credit intermediation goes via the capital markets. Capital markets
rate and price assets in a right or wrong way, but it’s fairly transparent.
In the European situation it is the other way round. 80% of financial intermediation
goes through the banking system.』
米国と違って欧州はクレジットの供給が銀行経由のものが多いと。
『So, you are left with buying what? SME loans, residential mortgages and
mortgages to non-residents and a few other types of loans. Now, this makes
the problem much more complicated, if one decides to take this way and
really all the options are still very open here. By the way, let me say
that our thinking is very much in a preliminary stage, given the complexity
of the issue, so we have not reached any conclusion either way. But if
you go this way, you want to find a way of packaging these loans in a way
that they can be priced. And that is where the reference to other institutions
more suited for this job of packaging and guaranteeing the loans comes
in: the reference to the European Investment Bank and the reference to
the European Commission itself.』
つーことで米国のように単純にABSを中央銀行が買うかという話はまた別のようで、要するに金融仲介機能の活発化、安定化をしたいという話は分かりました。
『Regarding the ABS, you are absolutely right, ABS have a very bad name,
but one should say that there were very different kinds of ABSs. One was
the so-called plain vanilla ABS box. You open the box, and you know exactly
what is inside. So, if you for example put some mortgages there, it would
be like a covered bond. A different thing was the squared ABS, etc., that
are infamously known to have been one of the causes of disruption in the
financial markets over the last few years. But we are far from reaching
any conclusion. We are looking at all possible options, we are aware of
the importance of this and we are also aware of what we can do and what
we cannot do.』
つーことで、仮にABSに対して何かするとした場合でも、どうもプレーンバニラ系のABSに対して何かしますという話のようで、いわゆるアレなABSは手を出さないようですね。
・ABS関連措置とかOMTの限界とか
質問2つ纏めまして。
『Question: You described how the OMT programme has brought calm to the
financial system during the last six or seven months and we have seen the
rates of sovereign bonds come down significantly. But we have not seen
the rates for small and medium-sized companies come down. Could you explain
why that has not happened and what this means for OMTs as an instrument
for addressing the fragmentation problem?』
というのがOMTの話でして、
『My second question is about the programme for asset-backed securities
(ABSs) you mentioned. Did I understand correctly that the ECB is thinking
about buying ABSs or is it all about collateral and lending?』
ABS関連の質問が2つ目なのですが、答えの方が微妙に融合している上にまあ良い説明だったりするので長いけど通して引用します。
まずABSの関連について。
『Draghi: On the second question, no, I don’t think you understood correctly.
We have a task force with the EIB and we view this institution as the best
suited to handle matters in this field. We do not have a precise position
on what we will do.』
これから検討するとな。
『Moreover, you have to consider that the ABS market is dead and has been dead for a long time.』
ABS市場がお死にになっていらっしゃると。
『And this is the case for a variety of reasons. One is the regulatory
situation regarding ABSs. Another is that very low interest rates do not
make ABSs a particularly convenient instrument for funding an institution.
So there are many obstacles to overcome before I will be able to give you
a precise description of what we have in mind.』
ABS市場が死んでいる理由としてABSに対する規制の状況だったり、低金利の為にABS以外でのファンディングの方が良かったりするとか、その他の問題があるようですな。
『The OMT programme removed the tail risk and has been a very powerful
instrument in this regard, but we should not forget that the funding crisis
that the banks experienced dating back to mid-2011 caused a credit contraction,
of which we are victims even today.』
で、ここでOMTの効果の話が出てくるのですが、OMT導入によってテイルリスクを除去したという効果を説明したうえで、一方でかつてのようなファンディングの危機が発生するとクレジット市場の調整が発生する訳で、これは現在でも問題となっていることですとの事で、今回の利下げ措置に加えて「域内クレジット市場の分断をどう解消するのか」というのが重要という認識のようですな。
『It has been a gradual, slow and long process of credit contractions.
The two longer-term refinancing operations avoided a worsening, or even
a collapse I think, of the situation and then the OMT programme removed
the tail risk for the euro area. But then you have to gradually unravel
the fragmentation that have taken place before the OMT programme and in
the end - as I said - started really by September 2011.』
OMTの他にもLTROなども効果があり、徐々に分断化は改善途上にはあるという認識のようです。
・域内分断化に関する説明:調達サイドは改善傾向も貸出サイドは依然として分断化との話
上記の説明の続きなのですが結構な大演説モードになっておりますので小見出しを変えてみました(^^)。とりあえずECBの問題意識を示していると思うので更に長いのですが引用しますぞな。
『However, to say that everything is bad would not be correct. Let me give
you a few facts on how we view the current state of fragmentation.』
ということで分断化の説明が始まる。
『As I said at another time, you have two sides to fragmentation. You have
the funding side and the lending side.』
ほう。
『Now, we definitely see progress on the funding side.』
ファンディングサイドの改善はdefinitelyとな!
『And this progress is documented by the fact that domestic deposits continue
to increase in all the banks of all the stressed countries, or almost all
I think. The second thing to consider is the dispersion in the growth rates
of deposits. If you look at how fast these deposits are growing and at
the dispersion of these growth rates across countries, you will see that
this continues to go down month after month. It is now at its lowest level
since May 2010 and this is quite important. Third, capital inflows are
continuing, which is also the other side of the coin of why the path of
the euro continues to be strong, in spite of the weakness of the economy
and in spite of the low prices ? this is really the other side or in other
words a return of confidence. Fourth, the claims on the Eurosystem by the
banks continue to go down and, since July 2012, they have gone down by
ユーロ400 billion. Incidentally, we have not seen any of the awful, terrible
risks that were predicted at the time. Finally, the TARGET2 balances -
as I have said before - are also down, they have stabilised.』
つーことで5つのファクターで説明していますが、域内のストレス状態の国であっても国内預金が増えていること、預金の拡大ペースも揃ってきていること、キャピタルインフローが域内の分断なく見られること、ECBへの借入希望が減っていること、ターゲット2のバランスが改善していることだそうですな。
『So are we saying that the fragmentation on the funding side is over and
that everything is normal?』
ではファンディングサイドの問題が終わったのか?
『No!』
いや違います!!だそうですな。わざわざ!が入っているのが雰囲気出ていますが(^^)。
『An interesting fact was pointed out to me this morning. A bank issued
a bond in Munich and in Milan, an uncollateralised senior bond, so not
a covered bond, and there was spread of roughly 150 or 200 basis points
between the two. This is the same bank issuing in two different sovereign
jurisdictions.』
今日シニア無担保債を発行したドイツとイタリアの銀行のスプレッドが150〜200もございましたぞなどのことで、まだまだファンディングサイドの分断も続いているとの認識ですな。
で、貸出の方ですけれども。
『On the lending side, progress is more muted, but here I would point out
something that could be a source of comfort.』
改善は遅れているということで、どういう点を見てますかという話ですな。
『First of all, we are observing a stabilisation in the dispersion of lending
rates. This has been increasing and increasing and now it seems to be stable,
or at least the values of the dispersion are no longer going up. The second
point is that the bank lending survey shows that there is a smaller increase
in tightening. In other words, banks in the stressed countries continue
to tighten, but at a slower pace. The third thing to consider is the information
provided by the survey of small and medium-sized enterprises (SMEs), which
is in a sense to me probably the most important source of information.』
域内における貸出金利や、貸出態度の分断化がどうなっているのか、という辺りや、中小企業向けの融資態度に関する点に注目しているようです。以下はその中小企業向け融資態度に関する見方を詳しく説明しています。
『According to this information, where you asked them “What is the share
of rejections of loan applications? This has gone down. Second, you asked
them “What sort of financial obstacles do you find in applying for a loan?”
There are three points to consider. First of all, as I mentioned, is the
rejections. Second is that SMEs may be given an amount which is lower than
the amount they asked for. Third, the banks may ask for an interest rate
that is so high, that the SME has to say “thanks, but no thanks”.』
貸出の拒絶状況とか、融資が申し込みに対してどのくらい出ているのかとか、金利設定状況とかを見ているようですな。まあ当然ですけど。
『We can see that the survey responses relating to these so-called financial
obstacles are improving significantly in some of the stressed countries.
And by the way, in Germany, there has been an improvement across the board.
For instance, with regard to the availability of loans for the euro area,
there has been a significantly smaller deterioration, and the same is happening
at the country level for Spain and Italy, and obviously for Germany and
so on. Looking at these survey data, I would not conclude that there is
no more fragmentation, but we are observing improvements. The problem,
of course, is that - as I said at the beginning - this credit contraction
has been ongoing for a long time and has been compounded by the short-term
contractive effects of fiscal policies. So unravelling this will not be
achieved in a day.』
つーことで分断状況に関してはやや改善しているものの、とてもではありませんが分断化が起きていないなどと言えるような状況では無いですし、クレジット市場の調整状態が続いていることも問題ですということで、今回の質疑で2か所大演説モードがあって(もう一つは「財政再建と成長」に関する話でこれはこれで重要なのですが時間と量の関係上引用割愛)、そのうちの1つがこの話なので、まあ基本的に問題にしているのは「金融政策のトランスミッションメカニズムの阻害要因となる域内分断化問題」だという事なのでしょうなあと思いましたです、はい。
2013/05/07
お題「決定会合議事要旨/ECB関連ということで少々(途中で時間切れorz)」
ところで連休中に虫干しネタ更新するとか言っていたのですが、新ネタの仕入れと過去ネタの山に埋もれて結局月曜の夜に一本大ネタを更新したにとどまったので誠に申し訳ございません。休み中向けの分量(ただし更新したのは昨日の夜なので多分誰も見てないと思いますが)をいきなり今日の中にダラダラと入れるのもなんですので、5月分ログの方に突っ込んでいますのでそちらをご覧くらはい。
ネタは「展望レポート全文を読む無謀企画の続き(最後まで)」です。
#うむ、大江さんが噛み噛みをやるとはやはり日本の連休明けの影響か(違)
○4月4日の決定会合議事要旨が出たのですが結局「2倍」の根拠がさっぱりワカランチ会長な件
4月決定会合議事要旨が出た訳ですが、景気判断云々よりも何でこういう政策を実行したのかという点と、2倍2倍の根拠が何ですねんという辺りとか、そもそも今後の政策展開を見る上では何を見て行けば良いのかとか、まあそういう辺りを注目したかったのですが・・・・・・・・
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2013/g130404.pdf
・まあどうでも良いのだが一応景気認識に関して引用だけしておく
『V.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』から先行き見通し部分をへこへこ引用。
『海外経済について、委員は、欧州経済は引き続き緩やかに後退しているが、米国や中国経済を中心に、全体としてみれば昨年来の減速した状態から徐々に持ち直しに向かっているとの見方で一致した。先行きについて、委員は、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するもとで、成長率が次第に高まっていくとの認識を共有した。』
『(日本の)景気の先行きについて、委員は、国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し、米国・中国などを中心に海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、緩やかな回復経路に復していくとの見方を共有した。』
ふむ。
『ある委員は、予想インフレ率の上昇など期待が大きく変化していること、イールドカーブがフラット化していること、これにより予想実質金利が低下していることから、今後これらが設備投資や消費など実体経済に影響を与え、景気持ち直しの動きがさらに強まっていくとの見方を示した。』
本当はフィッシャー効果とか何とかいうのがあるから予想インフレ率が上昇するんだったらイールドカーブはスティープしないといけないのでこれってサステイナブルな話じゃないんですけどねえ、とおもったらさすがにツッコミがはいっていますた。
『一方、何人かの委員は、現在のマインド改善は期待先行の面があり、今後、企業収益、雇用や賃金といった実体経済がバランス良く改善していくか、注視していきたいとの見解を示した。』
さいですな。
『複数の委員は、先行きの設備投資について、1月の機械受注が減少したほか、3月短観の2013年度設備投資計画が製造業を中心に慎重なものにとどまっていると指摘したうえで、今後の動きを注視していきたいとの考えを示した。』
ふむ。
『これに対し、ある委員は、3月短観では2013 年度の企業の想定為替レートは85円と実勢比円高になっており、これが実勢に合わせて修正されれば改善が見込めると述べた。』
為替キタコレ。
『また、複数の委員は、株価など資産価格の上昇が設備投資を増加させるルートにも注目すべきとの見解を示した。』
・・・・・・・・・・・資産価格が上昇する話は良いのですが、資産価格が上昇すると「設備投資が増加」というメカニズムは何ぼなんでも無理があるように思えるのですけれども、さすがに展望レポート全文の方では設備投資増加のルートで資産価格の効果の話をしておりませんでしたが、この話をした複数の委員様におかれましてはこのルートに関する考察について是非次に講演などをする際に詳しく説明して頂きたい物だと存じます。
・物価に関しては「フィリップスカーブのリフトアップが必要」という話になっていますがさて・・・・・・
物価に関しても展望レポート全文の方に色々とありましたが、こちらの議事要旨でもまあ似たような話になっているのは当然ちゃあ当然。こちらの部分は全部引用だわさ。
『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、前年の耐久消費財の動きの反動から、小幅のマイナスとなっており、当面、耐久消費財に加えてエネルギー関連での前年の動きの反動からマイナスを続けたあと、再びゼロ%近傍で推移するとの見方で一致した。』
『物価の先行きについて、委員は、GDPギャップの縮小や円安に伴うエネルギー価格の上昇もあって、徐々にプラスに転じていくとの見方で一致した。』
というのはまあ良いとしまして。
『多くの委員は、物価連動国債から算出される予想インフレ率や各種アンケート調査をみると、足もと、市場や家計の予想物価上昇率が上昇していると指摘した。』
展望レポート全文の前回比較をして分かりますように、BEIに関しては元々市場の流動性がろくすっぽ無くて、おまけに日銀と財務省の買入が実施されている訳ですから従来ここの数字を堂々と出すというのは避けていたのですが、もうこの数字を前面に出してくるとかどんだけマッチポンプというか自作自演なんだと思うのですが、これが「多くの委員」とは何ぞや。
『ただし、このうち一人の委員は、これらの指標から基調的な変化を識別するのは容易ではないため、その解釈には注意を要するとの見方を示した。』
でもってフィリップスカーブの話がこの次。
『何人かの委員は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するには、予想物価上昇率の高まりによってフィリップスカーブが上方シフトするとともに、その勾配がスティープ化することで、需要の変化に対する物価の反応度が高まることが重要であるとの見方を示した。』
で、どうやってそれを起こすのかという話ですが・・・・・・・
『そのうちの複数の委員は、フィリップスカーブのスティープ化には、家計や企業の成長やインフレ予想を高め、企業が需要や賃金に見合った価格設定を行えるようになることや、賃金上昇を中心とする所得環境の改善がみられることが重要であるとの認識を示した。別の一人の委員は、フィリップスカーブのフラット化は強固なデフレ予想が原因であり、インフレ予想に転換するにつれて、フラット化は修正されていくとの見方を示した。』
まあそれはそうなのですがではどうやってという話はここではありま千円でした。
・リスクに関して
『景気・物価の先行きを巡るリスクについて、委員は、欧州債務問題の今後の展開、米国の財政問題の帰趨や経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性など、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きいとの見解で一致した。何人かの委員は、わが国企業の製品競争力の低下や海外進出企業の現地調達の進展により、海外経済の好転や為替円安化に応じて輸出が増加する度合いが小さくなっている可能性を指摘した。ある委員は、中長期的な予想インフレ率の上昇ペースが遅れるリスクには、引き続き注意が必要であると指摘した。』
ということでリスクに関しては短い(これで全部)なのですが、ここを見ておりますとどう見てもリスク認識が下だと思うのですが何で展望レポートでは先行きリスクが上下バランスになったのかが意味判らんです。まあこの点でツッコミを入れた場合「このミニッツで示しているのと、展望レポートで示している見通しについては予想の時間軸が違いますから」という話で済ますと思いますけどね。
ということでまあ景気認識の所はこんな所で。
・金融政策導入に関しての基本的な話の議論内容が読めないのですが・・・・・・
メインイベントは『W.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』です。まずは基本的な部分がああだこうだと書いてあるのは良いのですが、恐ろしいのは結論は分かるけれどもその間の議論についてはワカランチ会長なので10年後にならないと読めない事です。
『基本的な考え方として、委員は、日本銀行は、1月の会合で決定した消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、できるだけ早期に実現するのが使命であるとの認識を改めて共有した。』
という所からはじまるのですが、どうもこちらの説明を見てもはあそうですかという所なのですがとりあえずヤケクソで引用します。
『多くの委員は、前回までの会合でも議論してきたように、「包括的な金融緩和政策」の下で、オペの札割れが頻発しているほか、さらに追求できる政策効果にも限界がみられることから、政策の枠組み全体を見直す必要があるとの見解を示した。』
オペの札割れって固定金利オペの話でしょ。正直些末な話だと思うのですが。
『このうちのある委員は、従来の政策では、国民から「物価安定の目標」の達成にはなお不十分とみられていると述べた。そのうえで、委員は、これまでも「包括的な金融緩和政策」の下で相当規模の金融緩和を実施してきたが、なおデフレ脱却に至っていないことから、「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成するためには、量と質の両面で、これまでとは次元の違う金融緩和を行う必要があるとの認識を共有した。』
「国民から不十分とみられている」からって随分とこりゃまたアレな理屈ですなと思うのですが・・・・・
『何人かの委員は、実体経済や金融市場に前向きな動きが表れ始めた現在は絶好の機会であり、これを活かす必要があると述べた。』
はあそうですか。
『多くの委員は、「物価安定の目標」の具体的な達成期間として、2年程度を念頭に置いて対応を進めることが考えられるとの認識を示した。』
その根拠について何でそうなったのかという議論部分がこちらの要旨で完全にスルーされているのは何故??
『これに対し、一人の委員は、2年程度という達成期間を示すのは、目標達成への不確実性などを踏まえるとリスクが高いと述べた。』
木内審議委員ですねわかります。
・見せ方だの突っ込み方だのの部分
『また、委員は、これまでの漸進的アプローチから転換し、戦力の逐次投入はしないという考え方で一致した。』
という結論も良く良く考えてみますと「非伝統的金融政策は効果やリスクに関する知見が少ないので、色々とアプローチについて工夫しないといけませんよね」という話をそれこそ最近では逆さ絵おじさんですら行っているというのに何ちゅう周回遅れの話をしているんだというのにこの政策打ち込まれた当初はあまり気にならなかったのですが最近は気になって気になって(^^)。
『これに関連し、何人かの委員は、2%の「物価安定の目標」の実現に必要な政策は全て決定したと市場に受け取られるように、インパクトのある規模の政策とすることが重要であるとの考えを示した。さらに、委員は、分かりやすい情報発信が重要であるとの認識で一致した。』
白川さんェ・・・・・・・・・
『これに関して、一人の委員は、従来の金融政策の枠組みが複雑で分かりにくかったことに加え、情報発信が必ずしも効果的でなかったことが、政策効果を削いでいた面があると指摘した。』
白川さんェ・・・・・・・・・
『この間、大規模な金融緩和の副作用について、ある委員は、過度な金利低下のもとで、@金融機関の貸出意欲がかえって減退すること、A金融機関が収益確保のために保有債券のデュレーションを延長し、その結果として、金融システムが金利上昇に対して脆弱になること、B生保・年金基金等の機関投資家の運用が圧迫されること、などの可能性に注意する必要があると指摘した。』
『また、別のある委員は、@財政ファイナンスの観測を高める可能性、A市場機能が大きく損なわれる可能性、B金融市場で大規模な資産購入の実現可能性に疑問が持たれ、政策効果が減じる可能性について、十分認識する必要があると述べた。』
まあ一番破壊的な問題になるのは財政ファイナンスで、次に問題になるのは結局の所金融市場でしか緩和効果が効かなくて資産市場に無駄なバブルが発生するだけに終わるという事でしょうな。まあ後者については金融市場の人間のポジショントーク的にはウハウハではあるのですが(^^)。
『以上の議論を踏まえ、委員は、具体的な金融緩和の内容について、@金融市場調節方針の操作目標、A操作目標と長期国債買入れの増額規模、Bその際の資産買入れ等の基金や「銀行券ルール」の扱い、Cリスク性資産の買入れ、D今回の金融緩和措置の継続期間、という論点などについて議論を行った。この間、委員の質問に対応して、執行部からは、オペレーション上の対応可能性とリスク量、マネタリーベースと長期国債保有残高との計数上の対応関係、政策効果についての定量的な分析などについて補足説明を行った。』
ということで・・・・・・
・マネタリーベースを操作目標にする理由も何か結論先にありきですなあ
『金融市場調節方針の操作目標について、委員は、量的な金融緩和を推進する観点から、現在の無担保コールレート(オーバーナイト物)に代え、何らかの量的な指標に変更することが適当との見解で一致した。』
はあそうですか。
『ある委員は、基金の規模拡大が事実上の金融緩和手段となる中、従来の金利目標が形骸化している面があると指摘したうえで、操作目標を金利から量的な指標に変更することで、新しい枠組みに変わったというメッセージを発信することができるとの考えを示した。』
言いたい事は分かるのですが、金利操作を行わないというのはそれはそれで重要な論点になることなのでメッセージの一言で片づけられる話ではないと思うのですが・・・・・・
『そのうえで、委員は、具体的な操作目標としては、「日本銀行のバランスシート規模」や「日銀当座預金残高」も考えられるが、日本銀行が直接供給する通貨の量を示す「マネタリーベース」が、日本銀行の政策姿勢を市場や国民に分かりやすく伝える観点などから、適当であるとの認識を共有した。』
ということで結論の話しかないのでありましたorzorz
・2倍2倍の根拠が結局ワカランチ会長な件について
『次に委員は、「物価安定の目標」を2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するために必要となるマネタリーベースと長期国債買入れの増額規模について議論した。』
キタコレ!
『委員は、そのためには、長期金利や資産価格に働きかけることを通じて需要を喚起するほか、市場や経済主体のデフレ期待を抜本的に転換させることが必要であり、従来の延長線上ではないような相当な規模とすべきとの認識で一致した。』
まず量をたくさん出すのが結論としてあるんですねわかります。でまあその量の話ですけど・・・・・・
『複数の委員は、少なくとも、包括緩和のもとで既に決まっている長期国債買入れ額やマネタリーベースの残高見通しを大きく上回る規模とする必要があるとの認識を示した。』
多ければ良いとな。
『別の一人の委員は、マーケットに対して最大限のインパクトを与える規模として、例えば長期国債の保有残高を年間50
兆円程度増やす必要があるとの見解を示した。』
何で50兆円なのか判らないのですがそうですかそうですか。
『また、別のある委員は、包括緩和における長期国債の買入れの効果や、非伝統的政策下での当座預金残高と物価の関係についての定量的な関係などを参考にすべきと述べた。』
『別のある委員は、既存の定量的な分析結果によると、資産買入れがインフレ期待を引き上げる効果には不確実性が大きいと指摘した。』
これはしらっと議論に水を差しているように見えますが(^^)。
『こうした議論を踏まえ、委員は、分析手法による差異も大きく、かなりの幅を持って判断すべきであるが、消費者物価に相応の影響を与えるためには数十兆円規模が必要になるとの認識を共有した。』
でその数値的根拠は???と思ったら最後にちょっとだけあるのですが。
『ある委員は、マネタリーベースと期待インフレ率の中長期的な関係やマッカラムルールからみたマネタリーベースの伸び率について見解を述べた。』
木久扇先生ですねわかりますという所ですが、MBと(なぜか)「期待」インフレ率の中長期的な関係とか言われましても、そもそもそれって全然安定的なじゃいだろと思いますがね。ちなみにマッカラムルール云々については日銀(というか金融研究所)のサイトを漁ると過去の色々な考察がペーパーに出ているので読もうと思って読んでいませんがお暇な方は是非。
『次に、委員は、オペレーション上の対応可能性も踏まえる必要があるとの認識に立って、長期国債の買入れ対象を全銘柄に拡げることを前提にすれば、月7兆円程度の買入れが可能であるとの見解で一致した。』
そ、そうなのか????
『以上のような、@市場や経済主体の期待への働きかけ、A定量的な効果についての分析、Bオペレーション上の対応可能性などを踏まえた判断として、委員は、マネタリーベースを年間約60〜70兆円に相当するペースで増加させること、また、長期国債の保有残高を年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れることが適当であるとの認識で一致した。』
『また、委員は、これらを実施した場合、マネタリーベースと長期国債の保有残高は、それぞれ2年間で2倍になるとの見通しを共有した。』
何か結局の所「何でこの数字が出たのか」というのがよく判らんままという残念な話ですが、この数字を出してくる根拠が判らないと「じゃあ物価が上昇しなかった時にどうするのか」とか「物価が予想通りの上昇を示した時にこの資産買入政策をどういう出口で行うのか」ということがさっぱり読めないという大変に素敵な事態になる訳でして、そっちの方が気になるんですけれどもねえという所です。
・期間2倍の根拠は何ぞや
『長期国債買入れの対象年限について、委員は、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の買入れ対象を40
年債を含む全ゾーンの国債とすることが適当との見解で一致した。』
『複数の委員は、幅広い年限の国債を買入れることによって、買入れを円滑に進めることも期待できるとの見方を示した。』
まあこの辺は良いとしまして。
『そのうえで、委員は、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長することが考えられるとの見解で一致した。』
結論はあるのだが根拠について議論した形跡が無いのは何故?????
『何人かの委員は、買入れの平均残存期間は、金融機関の応札状況によって振れが生じるため、6〜8年程度と幅をもってみることが必要であるとの考えを示した。別の何人かの委員は、超長期ゾーンの国債は年金や生保などがALM上の目的で購入しているため、買入れに当たっては配慮が必要であると指摘した。このうち複数の委員は、こうした配慮の結果、買入れの平均残存期間は7年より短く、6〜7年になることも許容するとの考えを示した。』
結論は分かったのだが何で長くしたのかの議論がさっぱり読めんという素敵な記載でしたorz
・付利金利についてはさらっと現状維持
『この間、委員は、大規模な国債買入れを円滑に行うためには、取引先金融機関の積極的な応札など市場参加者の協力が欠かせないとしたうえで、市場参加者との間で、金融市場調節や市場取引全般に関し、これまで以上に密接な意見交換の場を設ける必要があるとの認識を共有した。複数の委員は、差し当たり、市場の国債の流動性に支障が生じないよう、国債補完供給制度(SLF)の要件を緩和してはどうかとの考えを示した。また、大方の委員は、補完当座預金制度の付利金利については、現状を維持するのが適当であるとの認識を示した。』
何で適当なのかが判らん・・・・・・・
・ガイダンスについて
途中をすっ飛ばしましてガイダンス文言について。
『今回の金融緩和措置の継続期間について、大方の委員は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続することが適当であるとの認識を示した。』
一方で木内審議委員が反対意見。
『これに対し、一人の委員は、相応にリスクの高い前例のない規模の資産買入れを行うことになるので、2年間程度を集中対応期間と位置付けてその後の政策の柔軟性を確保したうえで、今回の金融緩和措置を導入するのが適当であるとの見解を示した。』
ここでやっと非伝統的政策なんですから柔軟対応が必要という話が出るのでした。
『一方、ある委員は、事前に2年間と期間を区切ると、金融市場での期待形成がスムーズに行われないと指摘した。また、別のある委員は、フォワード・ガイダンス政策の観点からは、具体的な期間を定めない方が効果が高いと述べた。』
だったらそもそも2年後の数値を出さない方がフォワードガイダンスとしては適切なようにも思えますがね。
『こうした議論を踏まえて、大方の委員は、日本銀行として、2年程度の期間を念頭に置いて2%の物価安定の目標を実現する決意であるが、金融緩和の継続期間としては、最初から2年と限定するのではなく、「物価安定の目標」との関係で定めることが適当であるとの認識で一致した。』
とのことです。
『この間、委員は、こうした金融緩和を行っていくに当たっては、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うことが適当との認識を共有した。ある委員は、リスクの点検については、これまで以上に入念にする必要があるとの認識を示した。』
まあ実際にはリスクの話とか柔軟性の話とかも結構あったんでしょうなあとは思うのですけれども、何かこの議事要旨だけ見ていると途中の議論が碌すっぽ見えないというのが誠に残念至極というか、今後の状況の変化(つまり目標が行きそうもない時)の対応についての予測可能性が皆無にも程があるという点でちょっと何だかなあという議事要旨ではありました。
#ということで引用大会恐縮至極
○ECBが利下げしたので会見・・・・・・と思ったらもう次のネタがががががががorzorzorz
ジャパンの皆様が大型連休に入った所でECBが貫録の利下げ実施。今回の理事会はスロバキアで開催とな。
http://www.ecb.int/press/pr/date/2013/html/pr130502.en.html
2 May 2013 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting, which was held in Bratislava, the Governing Council
of the ECB took the following monetary policy decisions:
・The interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem
will be decreased by 25 basis points to 0.50%, starting from the operation
to be settled on 8 May 2013.
・The interest rate on the marginal lending facility will be decreased
by 50 basis points to 1.00%, with effect from 8 May 2013.
・The interest rate on the deposit facility will remain unchanged at 0.00%.
The President of the ECB will comment on the considerations underlying
these decisions at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』
ということでMRO金利を0.25%下げて0.50%にして、貸出ファシリティー金利を0.50%下げて1.00%にしましたので、預金ファシリティーと貸出ファシリティーのコリドアが従来の1.50%から1.00%に狭くなりました。
んでもって会見。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2013/html/is130502.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Vitor Constancio, Vice-President of the ECB.
Bratislava, 2 May 2013
ということなのですが、週明けにこんな講演が打ち込まれていましてですね。
http://www.ecb.int/press/key/date/2013/html/sp130506.en.html
The euro, monetary policy and reforms
Speech by Mario Draghi, President of the ECB,
on receiving an honorary degree in political science, LUISS “Guido Carli” University,
Rom, 6 May 2013
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMDXBP6S972S01.html
ドラギ総裁:ECBは必要なら追加利下げを実施する用意ある
更新日時: 2013/05/07 01:43 JST
『ドラギ総裁は6日、ローマで講演し「今後数週間以内に発表されるユーロ圏のすべての経済統計を注視し、必要であれば再び行動する用意がある」と述べた上で、「緩和的な金融政策が続くだろう」と続けた。
さらに「定例政策委員会は初めて下限政策金利である中銀預金金利をゼロ未満に引き下げる可能性についてオープンに議論することを決定した」と発言。「複雑なことが多くある。注意深く考慮し、精査しなくてはならない要因がたくさんある。必要に応じて行動できるよう、政策委はこれらの要因の分析を決定した」と語った。』(上記ブルームバーグニュース記事URLより)
ということで週明けに講演が打ち込まれていましてえーという感じなのですが、とりあえず折角会見を読んだので一応そちらからちょっとだけ。
・先に私家版まとめ
今回の追加金融緩和なのですが、「物価の低下圧力」というよりは「景気の下振れ対応」という形での投入となっていますが、「今回の利下げによって経済見通しが改善されるのですよ」という話をしておりまして、その辺に関してはあまり悲観的なメッセージを出さないように注意しているという感じです。
でもって物価に関してですが、こちらは実は直近でドカンと下がっている(HICP指数が3月の+1.7%から4月に+1.2%になっている)のですが、ここに関してはエネルギー価格とイースターの関係による一時的な物で、インフレ期待は十分にアンカーされているという説明になっていますので、まあ基本的にはデフレリスク対応よりは経済見通しによる利下げというのがメインの説明だと思います。
あと質疑応答でやたらと強調されていた(冒頭でも説明されていますが)ユーロ圏の金融市場の「分断化」に関してでして、ファンディングに関する部分はそれなりに分断化の改善が進んでいるものの、貸出金に関しては改善が進んでいないという話をしております。
また、今回ABS市場に関する何らかのお助け措置についてECBおよび関連機関と導入に向けて色々と協議するというのも決定されていまして、こちらに関しては(先ほどの分断化もそうですが)「金融政策のトランスミッションメカニズム」についてどうすべきかという論点を強調しておりまして、そちらに関連する質疑が多かったなあと思いましたです。
でもってこれ見た時の印象ですと、確かに預金ファシリティー金利のマイナスについても検討課題という話にはなっているのですが、預金ファシリティーをマイナスにするということは超過準備保有に関して明確なペナルティーを課すことになるので、予備的資金需要に対するペナルティーを発生させることに繋がり、ユーロ圏金融市場の分断化を却って促進すると思われるので預金ファシリティーマイナスに関してはやるやる詐欺で終わるのかとも思ったのですが、どうもECBは(そもそも量的緩和政策をしていないだけに)この辺に関して結構無頓着に打ち込みをしてくる可能性も否定できませんなあとか思うのでした。
・ということで冒頭の説明部分を駆け足で
『Ladies and gentlemen, the Vice-President and I are very pleased to welcome
you to our press conference. I would like to thank Governor Makuch for
his kind hospitality and express our special gratitude to his staff for
the excellent organisation of today’s meeting of the Governing Council.
We will now report on the outcome of today’s meeting, during which we
took a number of decisions on key ECB interest rates, liquidity provision
and possible ways forward to enhance the provision of credit. The meeting
was also attended by the Commission Vice-President, Mr Rehn.』
ということで、利下げの他に流動性対策とかクレジット市場対策を行ったという話です。
『First, based on our regular economic and monetary analyses, we decided
to lower the interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem
by 25 basis points to 0.50% and the rate on the marginal lending facility
by 50 basis points to 1.00%. The rate on the deposit facility will remain
unchanged at 0.00%.』
というのは利下げの決定事項。
『These decisions are consistent with low underlying price pressure over the medium term.』
中期的な物価下落圧力に対応した、と最初には言っているのですが・・・・・・
『Inflation expectations for the euro area continue to be firmly anchored
in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to,
2% over the medium term. In keeping with this picture, monetary and loan
dynamics remain subdued. At the same time, weak economic sentiment has
extended into spring of this year. The cut in interest rates should contribute
to support prospects for a recovery later in the year. Against this overall
background, our monetary policy stance will remain accommodative for as
long as needed. In the period ahead, we will monitor very closely all incoming
information on economic and monetary developments and assess any impact
on the outlook for price stability.』
ということで、直接的な物価というよりは景気下振れリスク対応での利下げという説明になっていますな。
『Second, we are closely monitoring money market conditions and their potential
impact on our monetary policy stance and its transmission to the economy.』
金融市場の状況とこれによる金融政策のトランスミッションメカニズムに対するインパクトを注視しますとな。
『In this context, we decided today to continue conducting the main refinancing
operations (MROs) as fixed rate tender procedures with full allotment for
as long as necessary, and at least until the end of the 6th maintenance
period of 2014 on 8 July 2014.』
MROのフルアロットメント実施を来年の7月まで延長しますと。
『This procedure will also remain in use for the Eurosystem’s special-term
refinancing operations with a maturity of one maintenance period, which
will continue to be conducted for as long as needed, and at least until
the end of the second quarter of 2014. The fixed rate in these special-term
refinancing operations will be the same as the MRO rate prevailing at the
time.』
同様に固定金利スペシャルタームリファイナンスオペも来年7月まで実施と。
『Furthermore, we decided to conduct the three-month longer-term refinancing
operations (LTROs) to be allotted until the end of the second quarter of
2014 as fixed rate tender procedures with full allotment. The rates in
these three-month operations will be fixed at the average rate of the MROs
over the life of the respective LTRO.』
3か月物LTRO(ここにあるように固定金利ではなくて「期中のMRO金利と同じ」という変動可能金利)についても来年7月までフルアロットメントで実施と。
『Third, the Governing Council decided to start consultations with other
European institutions on initiatives to promote a functioning market for
asset-backed securities collateralised by loans to non-financial corporations.』
ということで非金融機関の貸出金を対象資産にしたABS証券の市場を機能させるための政策を導入するために他のユーロ圏政府機関と共に検討することを開始したというのが3本目の施策です。
『In the meantime, it is essential for governments to intensify the implementation
of structural reforms at national level, building on progress made in fiscal
consolidation and proceeding with bank recapitalisation where needed. Furthermore,
they should maintain the momentum towards a genuine Economic and Monetary
Union, including the swift implementation of the banking union.』
で、同時におまいら構造改革とか銀行同盟とかとっととやりやがれゴルァという話をしまして、ここから先が経済物価情勢および金融市場情勢の現状認識になるのですけれども、誠に遺憾ながら時間が無くなってしまいました(どうせ休み中に読んでいるんだったら昨日までに作れやというツッコミはしないように)ので以下続くという事で勘弁(質疑応答と共に明日ということで)。
2013/05/06
お題「展望レポート全文に突っ込んでみるという無謀企画の続き」
結局連休中に更新とか言いながら連休最終日になってヘコヘコ書きましてその日の夜の更新になっておりまして、連休中にお越し頂きました皆さん誠に相済みません。つーか連休明け月初で忙しいのに実質週明けに更新して読んでる暇ないんですよね(大汗)。
という言い訳は兎も角として、色々と残しているネタがアホのようにあるのでとりあえず連休最終日でアタクシの脳味噌リハビリも兼ねてヘコヘコと作ったものをお出し致します。
つーことで企画第一弾は展望レポート全文に突っ込む企画の続きです。
PDFで100ページとかあるファイルなのでURL先クリックする際にはPCのスペックにご注意。
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1304b.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210b.pdf(前回)
前回(5月1日)は本文17ページの途中までですが、さてこの先は「見通しの前提およびメカニズム」でして、ここが色々とツッコミどころというかえーというかナローパスにも程があるだろうという話が延々と展開されるのであります。
『以下、経済・物価の見通しの前提およびメカニズムについて補足する。』(本文17ページ、PDFファイルで19ページの下の方から)という所からはじまります。
○始まる前にあたくしの愚意見を
というのは結局延々引用していたら結構な量になってしまいまして、正直言ってこれ全部斜め読みするのでもめんどいかなという状態になってしまいました(そらまあ本文だけでも11ページ分あるのですから当たり前なのですが)ので、最初に愚考を申し上げますね。
1.経済見通しについては色々な所で楽観的な前提が組み合わさって作られていて、そらまあ全てが上手く回ったらこの通りになるかもしれないけれども、1つの楽観的な前提が他の楽観的な前提に繋がっている、というような形で次々と連関して構築されているので、何かがコケたらおしマイケルではないかと思う
2.前回と比較して都合の悪い話が微妙にネグられていたり、説明の中で特に財政効果に関する部分が妙に矛盾しているような気がする
3.リスクバランスの認識がどう見ても楽観
4.物価見通しが前提に思いっきりフィリップスカーブの上方シフトがあってどう見てもナローパス
という所でして、まあ何つーかそれはどう見てもナローパスです本当にカムサハムニダという所で、そら佐藤さんと木内さんが反対する罠と思うのが、ここの全文を読み進め、ついでに前回の全文と比較して読むと伝わってくるという感じです。
ちなみに展望レポート全文比較ですが、書きっぷりが前回と今回で違う部分があるので比較して読むのは読みなれていないと結構時間がかかりまして、かく言うこのあたくしも図表の量とかも見ながら赤ペンで書き書きしつつGW前半の方の日曜日に比較したらほんの2時間半ほど掛かりました(日本語なのに・・・・)ので暇人にしかお勧めしませんが、真の達人は英文も比較するらしいのでまだまだこのあたくしも精進が足りませんorz
○政府支出なのですが見通しは分かるのだが銀行券ルール一時撤廃との整合性は???
ということで本文17ページ『(政府支出)』の所から。
『公共投資は、震災復興関連を中心に増加を続けている(前掲図表7)。先行きも、見通し期間の前半については、緊急経済対策に基づく2012年度補正予算や公共投資に厚めの配分となっている2013年度当初予算、さらには復興関連予算増額の効果などから、建設業の人員不足など供給サイドのボトルネックの影響を受けつつも、増加を続けるとみられる。』
まあここは良いとして。
『見通し期間の後半にかけては、各種経済対策の押し上げ寄与が減衰する中で、公共投資は次第に減少に転じていくと考えられるものの、社会インフラの維持更新ニーズの高まりなどを背景に相応の水準は維持されると想定している。』
ふーん。
『この間、政府債務残高の対名目GDP比率については(図表25)、既に高い水準にあるが、先行きは、高齢化に伴う社会保障関連支出の増加などから、消費税率の引き上げを織り込んでも、引き続き上昇していくことが予想される。』
とまあさらっと流しているのですが、これ前回10月の見通しおよびこの間の金融政策における重要な変更を鑑みるとナンジャソラ感がするのですよね。
つまり、前回10月の展望レポートですとこの部分って本文31ページに相当するのですけれども。
『先行きについても、2012 年度中は、被災地での人員不足など供給サイドのボトルネックの影響を受けつつも、引き続き増加ないしは高水準を維持すると見込まれる。一方、2013
年度以降の公共投資については、復興関連の押し上げ寄与が徐々に減衰するにつれて、従来の減少トレンドに復していくと想定している。この間、政府債務残高の対GDP比率については(図表32)、既に高い水準にあるが、先行きは、高齢化に伴う社会保障関連支出の増加などから、消費税率の引き上げを織り込んでも、引き続き上昇していくことが見込まれる。』(前回10月展望レポート本文31〜32ページより)
・・・・・・つまりですね、前回の展望レポートよりも政府支出の見通しを強く読んでいる上に、政府債務残高の対GDP比率については引き続き悪化していく(これ低下の時はどうせ「改善」と書く癖に上昇の時は「悪化」って書かないでしょうなあとか思ってしまうこのあたくし)という見込みになっております。
えーっとですね、だったら何で銀行券ルールを凍結できるのかが良く判らんのですが。そもそも銀行券ルールを一時停止しているのは政府が中長期的な財政再建に対して強力なコミットをしたからなのであって、当然ながら見通しを出す際にそこを加味して見通しを出さないというのは意味がワカランチ会長でありまして、まあ強い経済見通しを出したいからそこの所は都合よい見通しを持ち出しましたというご都合主義じゃないですかねえ。といつものように重箱の隅を突いているのですが、これ銀行券ルールを一時停止している件との整合性という意味では何か凄く違和感があるんですけどねえ。
○海外経済はやたら見通しが強気、というか楽観的というか
本文18ページ『(海外経済)』の所から。
『先行きの海外経済については、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するとの前提のもとで、米国や中国などを中心に、次第に持ち直しから緩やかな回復に転じていくと考えられる。』
『成長率に即してみると、世界的な信用バブル崩壊の影響がなお残ることからリーマン・ショック以前の時期に比べると低めにとどまるものの、見通し期間後半にかけて、過去の長期平均を幾分上回っていくと予想される(前掲図表3(1))。』
はあそうですかという所ですが、地域別ではこういう展開になります。
『米国経済については、緊縮的な財政政策の影響を受けつつも、住宅市場の改善を背景に家計のバランスシート調整圧力が徐々に和らいでいく中で、緩和的な金融環境に支えられて、緩やかな回復が続くと予想される。』
ほう。
『欧州経済については、緊縮財政の影響から緩やかな景気後退がなお暫く続くものの、輸出の回復を起点として、ユーロ圏コア国を中心に次第に下げ止まりから持ち直しに転じていくと想定している。』
と予想した直後に景気だか物価だか分かりにくい(火曜日のネタにします)のですが、ECBが貫録の利下げを行った訳で大草原不可避状態wwwwwwwww
『この間、中国経済については、内需が引き続き堅調に推移し、輸出も持ち直していくにつれて、成長率は幾分高まったあと、安定的に推移すると考えている。』
>成長率は幾分高まったあと
・・・・・・・・・・そ、そうなの??
『NIEs・ASEAN経済についても、底堅い内需が下支えとなる中、米国・中国の回復が波及するかたちで、景気の回復テンポは次第に増していくと見込まれる。』
つまり米国と中国の回復が強くなることが前提ということですが、この次のリスク認識が全くもって楽観というか強気というかめでてーなというかになっていてですね。
ちなみに10月の展望レポートの該当部分では海外経済見通しに関しては、
『先行きの海外経済については、当面減速した状態を続けたあと、減速した状態から次第に脱していくことを中心的な見通しとしている。海外経済の成長率は、当面は過去の長期平均に比べやや低めにとどまるものの、見通し期間後半にかけて、過去の長期平均を幾分上回っていくと想定している(前掲図表3(1))』(前回10月展望レポート本文32ページより)
となっていまして、当面の成長率が何を下回るかというメルクマールが前回が「過去の長期平均」で今回が「リーマンショック以前の時期」となっていますが、これは今回の本文18ページの脚注14にIMFの見通しを引き合いに出してああだこうだと解説していますけど、だいたいここの数値が1%程度上にぶれています(過去33年間が+4.1%でリーマンショック前5年間が+5.2%)ので既にこの時点で上振れ。
○海外経済のリスク認識が何で上もあるの&どさくさに紛れて円高のリスクが
んでもってもっとお洒落なのはリスク認識でして、今回は・・・・・
『もっとも、先行きの海外経済については、上下両方向に不確実性が大きい。』
となっているのですが、これが前回はどうなっていたかというと、
『もっとも、先行きの海外経済については、様々なリスクが存在する。』(前回10月展望レポート本文32ページより)
となっていまして、下振れ警戒だったのが何とこの強い見通しなのに「上振れリスク」と大きく出ました何でしょうこれは凄いですね(棒)という事なので中身を拝読しない訳には参りません。
『米国については、バランスシート調整の進捗や住宅市場等における金融緩和効果の強まり、新型エネルギーの好影響などを背景に景気が上振れる可能性がある一方、財政問題などから下振れる可能性もある。』
えーっと、もともとその辺を加味して見通しにしてませんでしたっけ??????
『また、緊縮財政の影響が続く欧州や、持続可能な成長経路との対比で過剰設備を抱えているとみられる中国では、成長率の高まる時期が想定よりも遅れる可能性がある。この点、海外経済の下振れが、投資家のリスク回避姿勢の高まりによる為替円高を伴うかたちで生じた場合、わが国の輸出は大きな影響を受ける可能性があることには注意が必要である。』
>為替円高を伴うかたちで生じた場合
>為替円高を伴うかたちで生じた場合
>為替円高を伴うかたちで生じた場合
・・・・・・・・・・・・ほほうという感じですが、これ後の方での物価上振れの所で堂々と輸入物価上昇という誰得物価上昇を物価の上振れ要因に入れているように、まあつまり今回の見通しの基本的な部分に「為替市場が円安に振れて頂かないと困るんですけれども」というのが思いっきり見え隠れ(というか見る人が見ればあからさまとも言えますが^^)している一環がここにも現れているという事です。
しかしまあ何ですな、前回の展望レポートではリスク要因(上振れ下振れではなくあくまでリスク)の説明の最後に世界的な構造調整に関する説明を加えていたのですが、これに対する言及がすっかり抜けてしまっていまして、もう構造調整が済んだんですか凄いですねえ(棒読み)としか申し上げようが無いのが実に香ばしい所ですので、前回の展望レポートの当該部分を引用しましょう。
『以上のリスクは、世界経済が、景気循環的な不確実性だけでなく、より長い目でみた構造的な課題にも直面していることと関連するものである。すなわち、欧米経済については、2000
年代半ばにかけての信用バブルが、リーマン・ショックなどを契機に崩壊した後の調整がどのように進んでいくかが重要なポイントとなる。また、中国を始めとする幾つかの新興国については、かつてわが国も経験したように、高度成長からより持続可能な巡航速度の成長へいかに安定的に移行するかという点が課題となっている。』(前回10月展望レポート本文33ページより)
○輸出入の所は簡単にします
次が本文19ページ『(輸出入)』です。
『実質輸出は、足もと、世界的な設備投資の影響を受けやすい資本財・部品などには弱さが残っているが、日中関係の影響が徐々に減衰し海外経済も持ち直しに向かうもとで、下げ止まっている。』
さいですかという所ですが。
『輸出の先行きについては、製造業部門を含め海外経済の成長率が緩やかに高まっていくことなどを背景に、次第に持ち直しが明確となり、その後は見通し期間を通じて増加傾向を続けると考えられる。この間、為替レートをみると(前掲図表3(2))、リーマン・ショック前の水準まで円相場は減価しており、こうした為替相場の動きも、多少のラグを伴いつつ輸出の下支えとして作用していくとみられる。』
ということでここでも為替の話が出ているのがチャーミングです。ちなみにここの見通しとか現状認識の説明なんですけれども、財別の話とかが妙にあっさり味になっておりまして、まあこの部分だけの傾向では無いのですが、ここに関しては前回の説明がやたらと丁寧(またはくどい)だったのに対しまして気になった所です。
○対外収支と貯蓄投資バランスの所もちょっと???
次が本文21ページ『(対外収支と貯蓄投資バランス)』ですが、現状に関しては貿易の赤字が拡大していて経常が黒ですよという話をしているのでまあそこはスルーしまして先行き見通し。
『先行きについては、海外経済の成長率の高まりや為替相場の円安方向の動きなどを背景に、やや長い目でみれば、貿易収支の赤字幅は縮小基調をたどると考えられる。』
ちなみに短期的にはいわゆるJカーブ効果で赤字幅拡大という話になっております。
『加えて、円換算でみた所得収支の黒字幅も緩やかな拡大傾向を続けると予想されるため、経常収支の黒字幅は緩やかながら拡大していくと想定している。』
前回はこの通り。
『(貿易収支の)先行きについては、当面は、輸出が弱めの推移となるもとで、赤字が明確に縮小に向かうことは展望しにくい。その後は、消費税率引き上げを背景とした輸入の増加と反動減による振れを伴いつつも、基調的には、輸出が緩やかに増加していくにつれて、赤字幅は緩やかに縮小していくと考えられる。』(前回10月展望レポート本文36ページより)
『(経常収支の)先行きについては、当面は、海外経済減速などに伴う対外資産の利回り低下がラグをもって影響する可能性などを踏まえると、所得収支の黒字幅は幾分縮小すると考えられる。さらに、貿易収支の赤字が続くこともあって、経常収支の黒字幅が幾分縮小するとみられる。』(前回10月展望レポート本文36ページより)
ということで、何か対外収支バランスについて前回と比較すると色々な面で自分に都合の良い話になっているように思えるのですが気のせいですかねえ。つーか輸入の見通しが増加基調なのにその寄与よりも輸出が伸びる上に円安傾向で所得収支は改善という話なのですが、貿易収支の赤字幅が縮小する上に所得収支自体はトレンド的に改善基調だと思うのですが、それだと円安傾向がサステイナブルにならないと思うのだが・・・・・・・・
で、貯蓄投資バランスの方ですが。
『概念的に経常収支と表裏の関係にある国内の貯蓄投資バランスについて考えると、見通し期間においては、民間部門の貯蓄超過幅は緩やかに縮小する一方、一般政府の赤字幅は、消費税率引き上げに伴う税収の増加もあって、それを幾分上回るペースで縮小すると見込まれるため、全体としては、貯蓄超過幅は緩やかに拡大していくとみられる。』
えーっと、さっきの需要項目別の見通しの冒頭にあった政府支出に関しては前回の見通し対比で引き上げていたのですが、何でこちらでは「一般政府の赤字幅は税収の増加で民間貯蓄超過幅の縮小を上回るペースで改善」という見通しになるのか、さっきは公共投資の水準が相応に維持されて、社会保障関連支出の増加が続くという見通しになっているから政府支出部門が経済情勢の先行き見通しにおいて特段の抑制要因にならないという書きっぷりになっていたと思うのですが、これって前後で話が矛盾してないですかと思ってしまうのですが。背景の計数がどうなっているのやら(たぶん「景気が拡大するから税収が増収になるからモウマンタイ」という置きになっていると思う)。
前回はこうなっていますけどね。
『経常収支と表裏の関係にあり、概念的に一致する国内の貯蓄投資バランスについて考えると、見通し期間においては、一般政府は大幅な赤字が続く一方、民間部門では、企業部門を中心に大幅な貯蓄超過で推移すると見込まれるため、全体としては、貯蓄超過で推移すると見込まれる。』(前回10月展望レポート本文37ページより)
まあ何というかこの辺も????ではありまする。
○更にメインイベントは22ページ以降になるのですが
本文22ページの『(企業の収益環境・設備投資)』の所がこれまた何とも味わいがあるのですが。
まずは企業収益の所で企業収益のファクターの話を見ると面白い部分が。
『企業収益については、海外経済減速などの影響が製造業になお残っているが、総じてみれば内需関連業種を中心に底堅さを維持している(図表30)。先行きについては、電力料金の値上げなどが下押し要因となるものの、国内需要が底堅く推移するもとで、輸出の持ち直しや為替相場の動きにも支えられ、改善傾向をたどると予想される。』
ということでここでも輸出の持ち直し(=海外経済)と為替相場(=円安誘導)の話をしておりますが、これに該当する部分の説明が前回の展望レポートでは企業収益率の説明がもうちょっと丁寧になっていたのが随分あっさり味になった(さっきの輸出入もそうですけれども)のですが、企業収益率の改善の説明の中で中々味わいのある指摘がありましてですな、
『(企業収益率改善における需要面と供給面の要因について)やや長い目でみた供給面の要因として、人件費をはじめとした様々なコストの削減に加え、小売業やサービス業などにおいて、収益性の低い企業の退出を含め業界再編が進んだ結果、市場占有率の上昇によって企業のマージンが改善に向かったことも寄与している可能性が考えられる』(前回10月展望レポート本文37ページより)
ということで、人件費削減の話が思いっきり書いてありますが、当然ながら今回この点については盛大にネグっているのがお洒落な上に展望レポートの基本的見解部分にありましたように、今後は「今後は労働需給の引き締まりにより雇用者所得が上昇する」という話をしていまして、えーっとそれってこれまで企業収益の改善傾向の話をしていた件の逆ですよねという話で実にこう味わいが深いというものでありまする。
んでもって設備投資ですが。
『設備投資は、非製造業に底堅さがみられるものの、既往の輸出や鉱工業生産の落ち込みの影響から製造業で減少しており、全体として弱めとなっている。先行きについては、当面一部に弱さが残るものの、防災・エネルギー関連投資が下支えとなる中、企業収益の改善や金融緩和効果を背景に、緩やかな増加基調を続けると考えられる。』
金融緩和効果とな!!!
『こうした見通しの背後にあるメカニズムをやや詳しく述べると以下のとおりである。』
ということで・・・・・・・
○設備投資が増加基調になるメカニズムに関して
メカニズムの一発目が「金融緩和効果」となっています。前回の説明ではまず見通しの説明(さっきの部分に該当する話)が結構ああだこうだと話をしているのですが、その次が資本ストック循環の観点から見た説明になっていまして、今回の説明では異次元緩和のアピールというのもあるようでいきなり金融緩和効果の話をしています。
『第1に、「量的・質的金融緩和」の効果は、見通し期間中、設備投資を後押ししていくと考えられる。この点、投資採算の観点からみると、景気回復に伴い資本収益率が上昇していくと同時に、予想物価上昇率の高まりなどを反映して実質金利が低下していくため、金融緩和の投資刺激効果は強まっていくと予想される。また、資金のアベイラビリティという観点から企業の資金繰り判断をみると、債務残高圧縮の効果もあって、業況判断との対比でみて1980年代後半と同程度に良好な状態を維持しており、企業を取り巻く資金調達環境はきわめて緩和した状態が続いている。』
『次に、金融面の影響については、やや長い目でみれば、財務体質の改善に伴い企業のリスク選好が多少なりとも改善しているもとで、緩和的な金融環境が続くことが、先行きの設備投資の下支えに寄与していくと考えられる。投資採算の観点からみると、見通し期間の終盤にかけては、景気回復に伴い資本収益率が上昇していくと同時に、後述するように物価上昇率の高まりを反映して実質金利が緩やかに低下していくため、金融緩和の効果が次第に強まっていくことが予想される。ただし、製造業における海外現地生産の拡大や国際競争力の低下などの下押し要因を念頭におくと、過去に比べて、投資採算改善の効果は控えめとなると考えられる。』(前回10月展望レポート本文39ページより)
ということで、従来は「見通し期間の終盤にかけて」景気回復に伴い資本収益率が上昇して物価上昇によって実質金利が緩やかに低下していく、となっていたのが「見通し期間にかけて」景気回復の効果と「予想」物価上昇率の上昇による実質金利低下効果を設備投資増加のメカニズムに入れていまして、いやあの強気の見通しを背景にしている中で金融緩和効果についても強気の前提を元にして話が展開されていますなという所です。
つーことで、元々が「景気回復で資本収益率が上昇していくから設備投資が後押しされる」というトートロジーっぽい説明をしていた上に、今回はそのトートロジーを思いっきり前に倒した形で効果を見込んでいる、というのがオソロシスというか大本営発表というかナローパスというかという所でありまして、まあここに来るまでにもそんな感じなのですが、特に前回の展望レポートと比較して、かつ全体を通して読んでみますと、一つ一つの前提やメカニズムだけ単体で見るとそう気にならないかも知れませんが、最初に申し上げたように「楽観的見通しに楽観的見通しを積み重ねている」という感を強くする訳ですよね。
で、資本ストック循環の部分が第2番目。
『第2に、設備投資は、リーマン・ショックや震災後の落ち込みから漸く回復過程に入ったばかりで水準はなお低いため、企業収益が改善し、世界経済の先行きを巡る不確実性が徐々に払拭されていけば、老朽化設備の更新など潜在的なペントアップ需要は顕在化しやすいと考えられる。』
まあこの辺は前回もしてきしています。
『この点、「設備投資は、一定の成長期待のもとで、生産活動に必要とされる資本ストックを実現するよう行われる」との前提のもと、資本ストック循環の観点から設備投資の伸び率を評価すると、期待成長率が0%台半ばにとどまるとしても、高めの増加率が期待できる。』
『設備投資の水準を名目GDPやキャッシュフローなどとの対比でみても、長期的にみれば低めの水準にあり、増加余地は大きいように窺われる。さらに、設備投資の対資本ストック比率をみても、リーマン・ショック後は、潜在成長率と整合的と考えられる水準を下回って推移しており、見通し期間後半にかけて潜在成長率がごく緩やかに高まるもとで、実際の設備投資も潜在成長率に見合う水準にまで緩やかに増加していくと考えられる。』
この部分、やたら前提が多いんじゃネーノとは思うのですが、前回と比較すると明瞭です。
『まず、今回の設備投資の見通しを、中長期的な経済の成長力との関係に基づいて評価するため、資本ストック循環の観点からみると、当面は、企業の期待成長率が0%台半ば程度にとどまっていたとしても、しっかりとした伸びが期待できる。』(前回10月展望レポート本文39ページより)
『その後については、現存する資本ストックに対する設備投資の比率、すなわち資本ストックの伸び率が徐々に高まっていくため、循環的には設備投資の伸び率自体は減速方向となる。ただし、見通し期間終盤にかけての設備投資の減速は、限定的なものにとどまると考えている。これは、規制改革や事業再構築の進展もあって、成長力強化への取り組みが徐々に実を結び、企業の中長期の成長期待が緩やかながらも高まっていくと想定しているためである。』(前回10月展望レポート本文39ページより)
本当はこの後に「代表した幾つかの指標に則して整理すると」というのがあるのですが、ここまで引用していると長くなる(逆に言いますと今回の展望レポートではそこの詳細説明をスルーしている)ので引用しませんが、今回は前回に無かった「設備投資は、一定の成長期待のもとで、生産活動に必要とされる資本ストックを実現するよう行われる」という前提があって、その前提というのが元々成長期待が引きあがるという話になっていて、それを前提にすると設備投資の先行き見通しが改善しますね、という話であって、この辺も何というかトートロジーっぽい見通しになってネーノと思うのでありますが
どうなんでしょうかねえ。
ちなみに成長期待に関しては一応政府の第三の柱によるものとなっていまして、その部分は前回には無かった説明になります。
『第3に、政府の規制・制度改革や企業の事業再構築など競争力・成長力強化に向けた前向きな取り組みが徐々に進展していくにつれて、企業の中長期的な成長期待は緩やかに高まっていくと考えられる。こうした成長期待の高まりは、資本ストックの積み上がりに伴う設備投資の減速圧力を和らげる方向に作用すると考えられる。』
つーことで、結局の所「海外経済」「円安」「構造改革・規制改革」における楽観的な見通しを前提に楽観的な絵を組み立てているんですねえナローパスですが大丈夫なんでしょうか、という所になる次第。
○雇用・所得環境がこれまた
本文24ページからが『(雇用・所得環境)』です。現状の所はスルーしまして先行きから。
『先行きについては、経済活動の水準が高まっていくにつれて、労働投入量(雇用者数×総労働時間)も増加していくと考えられる。こうしたもとで、先行きも労働需給の改善傾向は続く可能性が高く、失業率は引き続き緩やかな低下傾向をたどっていくと見込まれる。』
ほう。
『以上のような労働需給のもとで、足もとで小幅のマイナスで推移している名目賃金にも、次第に上昇圧力がかかっていくと考えられる。見通し期間の前半については、経済活動の回復に伴い、主として所定外やパートの労働時間の増加が押し上げ要因となる一方、これまでの厳しい企業業績がラグを伴って賃金の抑制に作用するため、一人当たり賃金の改善テンポは緩やかなものにとどまると予想される。もっとも、見通し期間の後半にかけては、労働需給の引き締まりの影響に加え、予想物価上昇率の高まり(後述)もあって、ベースアップを含めた所定内給与も上昇し始めることから、一人当たり賃金の上昇傾向がはっきりしてくる可能性が高い。』
予想物価上昇率が高まると何で所定内給与が上昇するのかがワカランチ会長なのですが、結局ここでも全体の見通しが良くなるから良くなるというような話になっていて、何というか全般的に威勢の良い話になっているのは分かるのですが、肝心の元の部分が不明瞭なまま楽観的な観測をベースにしていて、その結果として全て前向きに働くみたいな話になっているなあという所です。前回の所は引用するとこれまた長くなってさすがに量ががががががという感じですので割愛しますが、前回の見通し内容と比較するとここはエラク強くなっています。
○家計支出について
本文25ページ『(家計の支出行動)』の所から。
『個人消費は、昨年以降、家計所得が伸びない中にあっても底堅く推移してきたが、このところ消費者マインドが改善するもとで底堅さを増しつつある。先行きについても、耐久財を中心に消費税率引き上げに伴う駆け込みと反動という振れを伴いつつも、全体として増加基調で推移していくと考えられる。』
ということですが、その背景として前回展望レポートでは(1)ペントアップ需要(2)エコカー減税などの政策効果(3)企業によるニーズの掘り起こし(4)円高メリット、という後半2つはナンジャソラ状態のものがあったのですが今回はと言いますと・・・・・
『第1に、高齢者の消費が、需要側(団塊世代の高い消費意欲)と供給側(企業による高齢者需要の掘り起こし)双方の要因から、持続的に消費全体を下支えしていくことが考えられる。』
供給側の方は前回もあったけど需要側の高い消費意欲ってホンマカイナ?
『第2に、最近の株価上昇は、消費者マインドの改善や資産効果を通じて、消費の押し上げに寄与すると考えられる。』
株価上昇キタコレ!ってでもこれって一過性ですよね。
『第3に、見通し期間後半にかけて、景気の回復に伴う雇用者報酬の改善傾向がはっきりしてくることも、勤労者世帯を中心に消費を後押ししていくと考えられる。ただし、名目可処分所得の伸びは税や社会保障の負担増加もあって緩やかなものにとどまるうえ、消費税率引き上げや電力値上げなどが実質所得を押し下げる方向に働くと予想される。』
景気の回復に加えて雇用者報酬の改善という2つの楽観的な置きの下で消費が伸びる話になっているのが何ともという所ですが、前回の円高メリットは無理矢理な感じではあったものの、一方で円安になって実質所得が押し下げる方向になる件をスルーしているのもどうかという所です。大体からして物価の上昇期待は期待実質所得を下げるでしょうし、ここまでの見通しでも円安効果を結構見込んでいるのに家計消費の方では円安デメリットをスルーとかどんだけ都合よく解釈してますねんという気はするのだが。
『こうしたもとで、見通し期間中、基調的にみれば、個人消費は家計所得に比べてやや強めに推移し、消費性向はごく緩やかに上昇していくとみられる。』
はあそうですか(棒)という感じですが、住宅投資の見通しについては割愛します。
○物価上昇のメカニズムについても色々とツッコミどころががががが
本文26ページの『(物価変動を取り巻く環境)』から参ります。
『先行きの物価情勢を展望するにあたり、物価上昇率を規定する主たる要因について点検する。』
『第1に、マクロ的な需給バランスの動きについて、やや長い目でみると、リーマン・ショックによる大幅な落ち込みから緩やかな改善傾向を続けてきたが、昨年後半の景気の弱さを反映して改善が足踏みした状態となっている。先行きのマクロ的な需給バランスは、消費税率引き上げによる振れを伴いつつも、潜在成長率を上回る成長が続くという景気展開を反映して、見通し期間中、緩やかな改善基調をたどると考えられる。そのもとで、見通し期間の半ば頃にはマクロ的な需要超過に転じ、見通し期間後半にかけて需要超過幅を拡大させていくと予想される。』
先行きの需給バランスが改善するという基本的な見通しそのものには変化は無いのですが、これでじゃあ2%に行くのかというとフィリップス曲線の形状から考えてそれだけでは逝かないのですよね。結局前提としてフィリップス曲線のシフトアップや傾きの変化が必要、というのがこの後の方で説明があります。
『第2に、中長期的な予想物価上昇率については、市場参加者やエコノミスト、家計を対象とした調査など、足もと上昇を示唆する指標がみられる。債券市場関係者に対するサーベイ調査をみると、昨年末以降、中長期の予想物価上昇率は高まりつつあるほか、固定利付国債と物価連動国債の利回り較差から求められるブレーク・イーブン・インフレ率をみても、足もとはっきりと上昇している。』
BEIの話は前回は行っていませんで、今回思いっきり入った項目なのですが、元々市場規模が小さい所に加えて新規発行が無くて財務省の買入消却と日銀の買いオペで需給が恒常的に改善する方向になっているという状況になっているのに「BEIが足元はっきりと上昇」とかどんなマッチポンプですねんと思う訳で、展望レポートでBEIを「指標」として出すなら少なくとも日銀は買入を停止すべきじゃないですかねえマッタクモウ。
『また、各種サーベイ調査から家計の見方をみても、短中期の予想物価上昇率はこのところ幾分上昇する兆しがみられる。』
ちなみにこの辺の図表に関しては前回対比で今回の方が量が多くなっている唯一の部分でして、ちなみに前回はクイックのサーベイとかESPフォーキャスト、コンセンサスフォーキャストなどと生活意識アンケートが出されていますが、今回はそこにBEIが入りましたなという所です。
『先行きについても、日本銀行が「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束し、これを裏打ちする大規模な資産の買入れを継続することで、中長期的な予想物価上昇率は上昇傾向をたどり、「物価安定の目標」である2%程度に向けて次第に収斂していくと考えられる。』
えーっと、その理由は何ででしょうかとか聞いてはならず、考えるな!信じるんだ!とブルース・リー張りの説明になっているような気がするのはあたくしの信心が不足しているからですかそうですか。
○物価見通しの白眉はこの「輸入物価要因」であろう
『第3に、輸入物価は、国際商品市況や為替相場の動きを反映して上昇している。先行きについては、海外経済の成長率が次第に高まっていくことを背景に、国際商品市況は緩やかな上昇傾向をたどると想定している。こうした動きを踏まえると、エネルギー関連や食料品などの輸入価格についても、見通し期間全体でみて、緩やかな上昇傾向をたどると考えられる。』
これがまあヒドスというか何というかの話で、輸入物価が上昇しますってのを物価上昇のメカニズムの中で大々的に話をしているのですが、輸入物価が上昇したら当然ながら交易条件が悪化する訳ですけれども、ここまでの経済見通しの中で交易条件の悪化を下振れ要因としてカウントしていた箇所は無くて、何つーか最初にも申し上げましたが、各種要因の中から自分たちの見通しに都合の良い面だけを引っ張り出してきて見通し作っていませんかとツッコミを受ける訳ですよねこれって。
まあ展望レポートの基本的見解でもこの辺の話が経済見通しと整合性としてどうなのかという話でしたけれども、結局の所全文を読んで確認できたのは「整合性が取れていませんが何か?」つー事だったというのがおそロシアな結論。
○フィリップス曲線のシフトや変化がそもそも前提にならないと2%にならん訳で
ここらで本文28ページになります。
『以上を踏まえ、消費税率引き上げの直接的な影響を除いて物価情勢を展望すると、国内企業物価は、当面、為替円安を主因に前年比プラス幅を拡大したあと、海外経済や製品需給が改善するもとで、緩やかな上昇を続けるとみられる。』
ちなみに国内企業物価の見通しが今回から無くなっていますね。
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇傾向をたどり、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみている。』
で、それに関してフィリップス曲線との関係がこの次に。
『こうした物価見通しをマクロ的な需給バランスとの関係(いわゆるフィリップス曲線)で整理すると(図表43)、消費者物価の前年比は需給バランスの改善に伴い過去の正の相関に沿って上昇していくとともに、予想物価上昇率の高まりからフィリップス曲線自体も徐々にシフトアップしていく姿を想定している。』
ということでそもそもがフィリップス曲線のシフトが前提になっている訳で。
『ただし、わが国経済では15年近くにわたってデフレ状態が続いてきただけに、@マクロ的な需給バランスに対する物価の感応度(フィリップス曲線の傾き)、A企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向(フィリップス曲線のシフトアップの程度)ともに不確実性は大きく、消費者物価が想定通り上昇していくか十分注意してみていく必要がある。』
ちなみに前回の展望レポートでは「1%に徐々に近づいて行く」という見通しでしたけれども。
『消費者物価とマクロ的な需給バランスの間には、やや長い目でみると緩やかな正の相関関係があると考えられる(図表53(1)(2))。実際、消費者物価の動きをマクロ的な需給バランスとの関係でみると、これまでのところ、マクロ的な需給バランスが緩やかな改善傾向をたどる中で、下落幅が徐々に縮小してきている姿が確認される(図表54(1))。』(前回10月展望レポート本文44ページから)
『マクロ的な需給バランスと消費者物価の関係については、大きな不確実性があり、幅をもって見る必要があるが、2014
年度には、消費税率引き上げの影響を除いたベースでみて、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくという今回の見通しは、過去30
年程度の平均的な関係に沿う形で物価上昇率が高まっていく姿をベースラインとしたものである(前掲図表53)。』(前回10月展望レポート本文44ページから)
ということで、そもそもフィリップスカーブがシフトしない前提になっていたのでまだしも話に無理が無いのですが、ついでにそもそもフィリップスカーブがその通りに効果を出すかという論点についても前回の展望レポートでは説明していまして、
『前回の景気拡大局面において、需給バランスの改善に比べて消費者物価上昇率が抑制された背景には、@中国からの安値輸入品の増加、A規制緩和などに伴う流通の効率化、Bそれらとも相俟って生じた企業の低価格戦略・家計の低価格志向の拡がり、といったマクロの需給バランスとは別の物価押し下げ要因(負の価格ショック)があったと考えられる。』(前回10月展望レポート本文45ページから)
という過去の例との比較をしていまして、足元の情勢についての点検を行い、その結果として、
『価格引き下げ圧力は、厳しい競争環境の中で常にある程度存在するものであり、しかも先行きの不確実性は高いが、足もとみられる変化を踏まえ、前回の景気拡大局面である2000
年代半ばにかけてみられたほどの負の価格ショックは、今回は発生しないと想定している。このため、見通し期間において、マクロ的な需給バランスと物価との関係は、前回の景気拡大局面と比べれば、はっきりとしたものになると考えている。』(前回10月展望レポート本文46ページから)
という話になっていて、そもそも論として需給ギャップが改善した際において、フィリップスカーブの長期トレンド通りに物価が上昇できるかという点についても検討していたというのに、今回はいきなりその辺りもすっ飛ばしてフィリップスカーブの上方シフトや形状変化を前提にしているという点で、思いっ切り気合と信仰の世界になっているというのが判ろうかと思います。
いやね、確かに麿日銀の場合は気合が足りないと悪態を申し上げましたけれども、気合が充実したと思ったら今度は気合だけで勝負とかど〜してそう両極端になってしまうのよという所ですよね。
○物価と名目賃金
最後にこの記述が。本文29ページより。
『この間、物価と名目賃金の関係を確認しておくと(図表44)、消費者物価と時間当たり賃金との間には、長い目でみれば概ね同時に変動するといった安定的な関係が確認される。上記の見通しでは、先行き、労働需給の引き締まりや人々の予想物価上昇率の上昇を反映して時間当たり賃金が緩やかに上昇していく中で、消費者物価も徐々に上昇率を高めていく姿を想定している。』
ふーん(棒)。
『なお、名目賃金と物価の関係は、労働生産性の動向によって異なり得る。すなわち、名目賃金の伸び率から物価上昇率を差し引いた実質賃金の上昇率は、長い目でみれば労働生産性の伸びによって規定されるが、労働生産性の基調的な上昇率は1990年代半ば以降、それ以前の時期に比べると構造的に低下している可能性が高い点には留意する必要がある。』
となると物価が上昇しても直ぐには名目賃金上昇しませんよねとは思うのですが。
ということで長々と恐縮至極でした。
2013/05/02
お題「FOMC声明文/米国流動性に対する日銀のコメントキタコレ/連休前なので珍しく読書室」
猪瀬さんェ・・・・・・・ということでやまもといちろうさんのエントリーを置いときますね。
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/05/post-74e9.html
○FOMCである
今回はSEPや会見などは予定されていませんでしたので声明文比較をサラサラと。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130501a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130320a.htm(前回)
今回は割と「全文一致」の所が多い(第2、第3、第5パラグラフ)のですが、しらっと洒落た変化があるので地味ながら味わいがありましたと思ったのですが単に寝起きで頭が寝惚けているだけなのかもしれませんのでちゃんと原文にあたりましょう(おいおい)。
・第1パラグラフ:景気に関しては上げたり
第1文は総括判断。
『Information received since the Federal Open Market Committee met in March
suggests that economic activity has been expanding at a moderate pace.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in January
suggests a return to moderate economic growth following a pause late last
year.』(前回)
前回が「昨年末の停滞状態からmoderate economic growthに戻った」だったのが今回は「moderate
paceでeconomic activity has been expanding」という表現になり、今回は「expand」という威勢の良い表現になっていますのでここは判断前進。
その次が項目別展開。
『Labor market conditions have shown some improvement in recent months,
on balance, but the unemployment rate remains elevated. Household spending
and business fixed investment advanced, and the housing sector has strengthened
further, but fiscal policy is restraining economic growth.』(今回)
『Labor market conditions have shown signs of improvement in recent months
but the unemployment rate remains elevated. Household spending and business
fixed investment advanced, and the housing sector has strengthened further,
but fiscal policy has become somewhat more restrictive.』(前回)
労働市場に関しては「signs of improvement」だったのが「some improvement」とこれはたぶん表現的には強くなっているのですが、その後に「on
balance」というのが入っているのが微妙に怪しげで、「よー知らんけどな」というようなもんですから前の所で表現強くしているのを中和しているのですけれども、これってもしかして週末の雇用統計とか意識しているのかと思ったのは読み過ぎですかそうですか。
でまあ失業が高水準という表現は同じ。家計と企業の固定資産投資が拡大しているとか住宅セクターがより強くなっているとかの表現も同じです。
んでもって今回判断を下げているのが財政の所でして、前回「fiscal policy is
restraining economic growth」としていたのが「fiscal policy has become somewhat
more restrictive」となって「財政が景気に対して悪影響を与えている」という判断をより明確にしておりまして、歳出カットの影響を示しているのか、財政を巡る議論が忍法先送りの術で中々明確に片付かないことの影響をしめしているのかはワカランチ会長ですけれども、つーかその双方なのでしょうけれども、財政を巡る問題が景気に悪影響なんじゃ政治のアホウどもはちゃんと動けやヴォケとは一言も言ってませんがまあそういう事ですねわかります。
んで次が物価に関して。
『Inflation has been running somewhat below the Committee's longer-run
objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations
in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(今回)
『Inflation has been running somewhat below the Committee's longer-run
objective, apart from temporary variations that largely reflect fluctuations
in energy prices. Longer-term inflation expectations have remained stable.』(前回)
ご覧の通り全文一致です。認識には変化がありません。
・第2パラグラフ:ここは全文一致です
全文一致なので両方の比較はしません。今回のだけ引用しておきますね。
なお、あたしゃ大変にアナログ人間でして、熟読する時には基本的には紙に出しますので、全文一致の確認におきましては「全文一致のような気がするときにはまず忍法透かし読みの術」という手法に加えて確認のために「並べて音読」というのを用いておりまして、差分ツール何それおいしいのという原始人ですから本人がそう認識しているだけでしたという場合はすいませんすいませんと先に断っておきますね(と逃げを打つ)。
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The Committee expects that, with
appropriate policy accommodation, economic growth will proceed at a moderate
pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the
Committee judges consistent with its dual mandate.』(今回)
適切な金融緩和政策によって経済は緩やかなペースで拡大し、失業率は徐々にマンデートに対して整合的な水準に改善していくでしょうということで。
『The Committee continues to see downside risks to the economic outlook.
The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely
will run at or below its 2 percent objective.』(今回)
見通しにはダウンサイドリスクというのも同じですな。物価の表現は現状認識にしても先行きにしてもカワランチ会長とな。
・第3パラグラフ:これも全文一致
全文一致なのでこちらも今回分だけ引用します。
『To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation,
over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee
decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities
at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities
at a pace of $45 billion per month.』(今回)
『The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal
payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities
in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury
securities at auction.』(今回)
ちなみに第3パラグラフは資産買入に関する表現ね。
『Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term
interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial
conditions more accommodative.』(今回)
ということで、資産買入政策の効果として、長期金利に低下圧力を掛ける、モーゲージ市場をサポートする、幅広く金融環境をより緩和的にすることを助ける、という表現にも変化はありません。
・第4パラグラフ:オモシロな一文が加わる
このパラグラフは見た瞬間に「あれ長くなっている」と気が付く訳です。ここも資産買入に関するパラグラフね。
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months. The Committee will continue its
purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ
its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor
market has improved substantially in a context of price stability.』(今回)
『The Committee will closely monitor incoming information on economic and
financial developments in coming months. The Committee will continue its
purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ
its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor
market has improved substantially in a context of price stability.』(前回)
委員会は今後の経済や金融情勢の進展を注意深く点検します、から始まるここの文章ですが、資産買入に関しては「物価の安定の下で労働市場が顕著に改善するまで資産買入を続けます」というのも同じですが・・・・・
『The Committee is prepared to increase or reduce the pace of its purchases
to maintain appropriate policy accommodation as the outlook for the labor
market or inflation changes.』(今回)
というのが入っているのがオモシロスでありまして、良く良く考えたら前から「必要があったら調整する」云々の文章は入っていたのですが(次の一文ですね)、わざわざ「労働市場や物価情勢を見て増やすこともありますし減らすこともあります」(キリッ)というのを入れているのは当然意味があるでしょという話。
まあ足元で米国の経済指標が少々アレになっている事を勘案しますと、これは状況が悪化した場合には追加の資産買入のおかわりをしますよ、という話をしているようにも見える次第。まあ元々「必要があったら調整」という表現がFOMCのマジックワードでして、以前は「必要があったら購入拡大」と読めるような全体構成になっていたのが、今年に入ってからは「必要があったら購入縮小」と読めるような全体構成になる、という形で言質を与えない形で硬軟両方に使える表現となっております。
でまあ今回はここまでが「必要があったら購入縮小」的な表現に見られやすい(1月の声明文で「両にらみ」っぽくなって3月の声明文というよりはその後のミニッツでより「縮小方向」みたいな感じになってきたという所でしょうか)形でしたので、ここで「拡大もあるでよ」という表現をしたのはメッセージとしては「両にらみに戻しましたのでよろしゅうに」という感じなんでしょうなあと素直に読むとそうなると思います。
でまあ更にお洒落なのは先ほどの1パラで財政以外の部分で表現を引き上げていまして、景気判断が下がっている訳でも無いという所でして、「買入のおかわりもあるでよ」と言うのを出すと景気の先行きに対して悲観的なメッセージを与えてしまうという点についても配慮して、両にらみ表現にするタイミングとしてはこの辺りが丁度良かったということなんでしょうな、うんうん。
ということでその後は全文一致になります。
『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases,
the Committee will continue to take appropriate account of the likely efficacy
and costs of such purchases as well as the extent of progress toward its
economic objectives.』(今回)
『In determining the size, pace, and composition of its asset purchases,
the Committee will continue to take appropriate account of the likely efficacy
and costs of such purchases as well as the extent of progress toward its
economic objectives.』(前回)
こちらの文章がある所にわざわざ先ほどの文章を加えているというのは屋上屋を架すような話でありまして、先程の文章で示されたことはこちらの文章で表現されている筈なのですがわざわざ入れたことに意味がある、とまあそういう事でしょう。
・第5パラグラフ:金利政策のガイダンス文言、スレッドショルドについては全文一致
これまた全文一致です。
『To support continued progress toward maximum employment and price stability,
the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy
will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase
program ends and the economic recovery strengthens.』(今回)
ガイダンス文言は同じです。
『In particular, the Committee decided to keep the target range for the
federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this
exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate
at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent,
inflation between one and two years ahead is projected to be no more than
a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal,
and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.』(今回)
スレッドショルドも当然ながら同じ。
『In determining how long to maintain a highly accommodative stance of
monetary policy, the Committee will also consider other information, including
additional measures of labor market conditions, indicators of inflation
pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.
』(今回)
ここもまあ当たり前だが前回と同じ。しかしここのパラグラフは長い。
『When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it
will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum
employment and inflation of 2 percent.』(今回)
つーことで金融緩和を終了する時にはバランスを取ってアプローチしていきます(つまり性急なアプローチはしませんよという事ね)という表現も同じです。
・第6パラグラフ:カンサスシティ―連銀ジョージ総裁安定のクオリティ
最後は票決。
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Elizabeth A. Duke; Charles
L. Evans; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Eric S. Rosengren; Jeremy
C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)
『Voting against the action was Esther L. George, who was concerned that
the continued high level of monetary accommodation increased the risks
of future economic and financial imbalances and, over time, could cause
an increase in long-term inflation expectations.』(今回)
票決も同じですがジョージおばちゃんの反対理由も前回と同じという安定のクオリティでありました。
○日銀から出ていたドキュメントから少々
・これはどんどん主張していただきたいです
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130501d.htm/
連邦準備制度理事会による外銀規制の市中協議文書へのコメントレター発出について
『日本銀行は、2013年4月30日、連邦準備制度理事会が公表した外銀規制の市中協議文書に関して、コメントレターを発出しました。内容については、以下をご覧ください。』
ということで。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130501d1.pdf(正式版)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel130501d2.pdf(抄訳)
でまあ手抜きで抄訳の方をメモメモ。
『我々は、本規則案(外銀等に適用される厳格なプルーデンス規制および早期矯正措置にかかる規則案)に対してコメントする機会を歓迎する。このレターは、本規則案についての我々の主な懸念を慎重に考慮するよう貴理事会に求めることを目的としている。我々は、本規則案が、(1)グローバルな金融システムの安定性向上を目的とする国際的な取組みと整合的でない点、および(2)その流動性規制を画一的に適用しようとしている点について懸念を有している。』
どういう事かと言いますと・・・・・・
『1.国際的な取組みとの整合性の尊重
我々は、本規則案が、米国金融安定の確保という貴理事会の問題意識に基づくものであると理解している。しかしながら、本規則案がグローバルな金融機関を対象とする以上、バーゼルVやG-SIFIsへの対応といった、現在も継続している国際協調の取組みの有効性を妨げるべきではない。
こうした見地から、我々は、外銀等の母国が国際合意に適合した規制、監督、モニタリングの体制を有している場合には、母国基準を満たした外銀等の米国拠点、特に米国支店・代理店網については、いかなる追加的な規制や手続も講じないよう求めたい。
また、我々は、早期矯正措置について、バーゼルVやこれに準じた母国基準と整合的な形で、資本水準等のトリガーが設定されるべきであると考える。さらに、矯正措置の発動前には、母国当局とホスト当局間の既存の連携枠組みを活用することが適当と思われる。』
勝手に俺様基準作ったら国際的な整合性取れないだろうし大体からして本国の方でちゃんと規制監督受けてるのに何でお前の所で追加的に1から100まで監督されないといかんのじゃお前ら他の国を馬鹿にしとんのかヴォケそもそもクレジットバブル起こしたのはどこの国か考えてから物を言えという事ですね分かります。
『2.より柔軟な流動性規制の枠組み
日本銀行は、わが国金融機関の財務状況やグローバルな流動性リスクについて、海外拠点も含めた形での考査やモニタリングを実施してきている。本枠組みは、国際金融危機に際しても十分に機能したものであるが、こうした経験に基づく我々の知見を踏まえると、流動性規制案には以下の懸念がある。』
でこの指摘がまさにご尤も。
『・外銀等の米国拠点、特にその米国支店・代理店網にまで、母国本部の流動性支援に依存しない流動性バッファーを保有させることは、グローバルベースでの効率的な流動性管理を阻害しかねない。これはまた、グローバルなリスク管理の分断や、グループ内での資金調達・運用構造の変化に伴う米国内・外拠点のリスク特性の複雑化を招きかねない。
・さらに、外銀等の米国拠点に対して米国内で継続的に流動性バッファーを保有させることは、外銀等の非米国拠点において国際決済通貨であるドル流動性の一時的な逼迫が生じた場合に対する対応能力を低下させることに繋がりかねない。これは、一時的かつ局所的な流動性の逼迫をより深刻にする可能性もある。』
米国だけで営業している金融機関と同様の流動性規制と一緒にするとか無理ゲーにも程がある話というのはこの流動性規制の話が出た時に結構のけぞった訳ですが、まあ当然ながらその指摘ですな。
『こうした流動性規制案の負の影響を踏まえれば、例えば、わが国のように、母国当局・中銀がグローバルベースのモニタリングを綿密に行っている国を母国とする外銀等の米国拠点は、規制の適用対象とすべきでない。我々は、外銀等の米国拠点、特にその米国支店・代理店網に対する流動性規制は、画一的な方法ではなく、柔軟に適用されるべきであると信じている。すなわち、流動性規制の適用にあたっては、まず母国当局・中銀による規制、監督、流動性モニタリングの実施状況、そして外銀等の個々の資金調達構造や米国金融システムに対するリスク特性を考慮すべきである。』
大体からしてお前らが羹に懲りて膾を吹きまくっているのに何でこっちが合わせなけりゃならんのだ従来からワシらはちゃんとやっとるんじゃということですね分かります。
『我々は、貴理事会が、上記を考慮し、我々の要請に沿った形で本規則案を修正することを求めたい。もし上記に関し質問があれば、遠慮なく連絡していただきたい。』
原文はこの通り。
『We would like to kindly request that the Board take into consideration
the above and amend the Proposed rule in accordance with our requests.
Should you have any questions concerning above, please do not hesitate
to contact us.』
何か日本語にした方が怖いんですけど(^^)。
・ほほう
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/rel130501a.htm/
平成24年度中の役員及び局室長級職員の主な再就職状況
ということで出ているのですが、麿総裁と山口副総裁は3月末現在ではまだ再就職どころではない、ってそらまあそうかとは思います(19日までやってましたからね)が、はてさてどちらに♪
○ということで週末(のどっかで)更新を多分しますよという告知
本日は昨日の続きの「展望レポート全文を読みながらネチネチとツッコミを入れてみる」企画の『以下、経済・物価の見通しの前提およびメカニズムについて補足する。』から先をネチネチと読むという企画を予定していたのですが、これをおっぱじめると時間が掛かるという誠に遺憾の極みであるという事実を鑑みまして、まあ連休中に(今回こそ)更新するのではないかと思いますが、まあお休み中にネットにつなぐ機会がありましたら見に行って更新して無かったらやる気あんのかヴォケとのご指摘でも(^-^)。
つーか以前読んでネタにしようとしたのに残っているのとか、それ以前に読んだものの整理をちゃんと出来ているのかとか、最近何か読んだは良いけどネタにし損なっているものとかある上に、今晩はECBがあるし、米国では地区連銀総裁などが物価についての言及をしていますし、ということで読み物が結構あるのが誠にアレでございますな。
・・・・・・などというのはここに書く必要は無いのですが、こうやって書いておかないと自分へのプレッシャーにならないので書くのでありました。
とまあそれだけですと屁の役にも立たないので連休向け読書室でも。
○連休前なので久々に読書室
暫く前に読んだのですけど連休前ですから書籍の紹介1冊だけ。
・「ロンバード街 金融市場の解説」(ウォルター・バジョット著 久保恵美子訳、日経BPクラシックス)
先日ネタにした中曽副総裁のLLRに関する講演でも言及された「バジョット・ルール」についての話があることでも有名ですが、帯に「金融危機時の中央銀行の役割を明らかにした19世紀の傑作」とありまして、「1873年初版。ロンドンの金融街の構造を詳細に分析した金融史の古典。我々が直面している現下の経済問題を解くための必読書」とある宣伝文句にあるように、書いてある話はそのバジョット・ルールに関連する話だけではなく、経済状況と金融システムとかの話とか現代に通じる示唆の多い話だと思われます。
まあ何だ、本当は原著を読むのが正しいのだと思うのですが、あたしゃ邦訳で勘弁して頂いておりますけれども(汗)、それはそれとして銀行業務に対する基礎知識皆無状態で読むとちょっと前半読むのがキツイかもしれないなあとは思いますのでその辺知らない場合はご留意くらはい。
ISBN-978-4-8222-4830-7 C0330 \2400
2013/05/01
お題「展望レポート全文を読もうという企画をしてみたがやはり竜頭蛇尾になりました(すいません)」
まあシャーナイナイなのですがここで金利上昇(屁みたいな上昇ですが)ですかそうですか。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130501/k10014294241000.html
大手銀行 住宅ローン金利引き上げへ
5月1日 4時20分
○国債買入の中短期ゾーンを分割とな
まあメモ程度の話ですが。
昨日のオファーのうち国債買入系のオペ(全部引用すると大杉なので)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of130430.htm
国庫短期証券買入 10,000 2013年5月2日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 2,000 2013年5月2日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2013年5月2日
国債買入(変動利付債) 1,400 2013年5月2日
ということで、今回は中短期の国債買入に関して「1年〜3年」と「3年〜5年」を分割して買入のオファーを実施と相成りました。まあこれやっておかないと上げ相場の時には1年から2年、下げ相場の時には4年から5年ばかりが入って「平均残存7年近辺」を達成するのにコントロールが難しくなるというのもあって分けた、ということなのでしょうけれども、何か今回はオペのオファーがFAXで来たあと日銀ネットで来たりとか色々と大変だったようで、オペの手直しをドタバタとやっていて、マルナゲータの刑を食らっている金融市場局の皆様大変ですなとゆー所であります。
でまあ結果(買入系のみ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba130430.htm
国庫短期証券買入 35,113 10,006 -0.003 -0.002 83.9
国債買入(残存期間1年超3年以下) 9,025 2,002 0.001 0.002 46.2
国債買入(残存期間3年超5年以下) 17,864 4,003 0.009 0.010 33.5
国債買入(変動利付債) 2,883 1,407 0.000 -0.094 78.0
前日比利回り較差で入札するのでこの数字だけ見ると出来上がりでどのゾーンでどの程度の利回りが入ったのかとかはワカランチ会長なのですが(そこまで細かい話は分からんですすいませんすいません)、とりあえず数字を見ると3年超5年以下の応札が多いなこれという印象ではございまして、どうも中期がさえませんなという所ですかそうですか。
というメモ書きでしたが、まあ市場は流動性が戻ったというより単に売買する人が減っているだけのような展開が相変わらずというのが誠に遺憾に存じますという話のようで砂。
○展望レポート全文に突っ込んでみるという無謀企画(ただし竜頭蛇尾^^)
PDFで100ページとかあるファイルなのでURL先クリックする際にはPCのスペックにご注意。
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1304b.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210b.pdf(前回)
展望レポートの全文というのは今回改めて前回と比較する形で熟読してみました(普段は前回との比較読みはしないで今回分だけ読んで「ふーん」という程度でした精進が足りませんすいませんすいません)が、まずファイルを開けると分かりますように、前回から分量が(基本的見解と同様に)大きく減っています。一応形式的に比較してみると・・・・・・・
基本的見解部分
本文:17ページ→6ページ
見通しの図表:2ページ→2ページ
背景説明を含めた全文
本文:28ページ→21ページ
補足説明の「BOX」:10ページ→削除
参考計表:65枚+さくらレポート関連1枚→44枚+さくらレポート関連1枚
ということで、結局説明部分も含めて全体的に良く言えばスリム化したのですが、悪態を申し上げれば説明が雑になったような印象でございましてまあ大体昨日申し上げたような感じではあるのですが、背景説明を含めた全文の方を幾つか鑑賞してみませう。
・レビュー部分で「金融情勢」を独立させました
【背景説明】というのが本文9ページ(ファイルの11枚目)から始まるのですが、最初が『1.2012年度後半の経済・物価情勢』というレビューになっていまして、まあここの分量とかも微妙に変化しているのですが、今回ほほうと思ったのはこの次の項番2の所に『2.金融情勢』というのが独立した格好になっている部分。
ちなみに前回はレビューがあってその次の項番は見通しになっているのですが、今回は項番2が入ってその次に見通しとなっていまして、まあ物価安定目標のコミットメントを強く打ち出していて、金融緩和によってインフレ期待や資産価格に働きかけてフィリップスカーブをシフトさせましょうという政策を実施しているので、それに沿って金融情勢についての記述が詳しくなるのはまあそういう事ですかねという所です。
折角独立したので読んでみましょうか。
『(量的・質的金融緩和)』というのが最初にありまして、これはつまり異次元緩和の説明になっております。本文11ページから。
『日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入した。具体的には、@マネタリーベース・コントロールの採用、A長期国債買入れの拡大と年限長期化、BETF、J−REITの買入れの拡大、を決定した。以上の措置からなる「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。』
というのはまあヨロシ。
『「量的・質的金融緩和」の波及経路としては、第1に、資産買入れにより、イールドカーブ全体の金利低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果がある。第2に、金融機関や機関投資家の投資行動が変化し、貸出やリスク性の資産にシフトすること(いわゆるポートフォリオ・リバランス)が考えられる。第3に、「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束し、これを裏打ちする大規模な資産の買入れを継続することで、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。』
ということで波及経路の説明があるのですが、そもそもイールドカーブ全体の金利低下って進んでいませんどころか金利上昇しちゃいましたねいうのもあるのですが、一番アレだと思うのは2番のポートフォリオリバランス部分で、既にとっくの昔から長短金利が低水準で推移している状況でそこから金利を下げたからと言ってポートフォリオリバランスって起きるのかねと思うのでして、そんなことよりも「金融機関の行動を変えるような制度面での対応」というのが必要で、そういう意味でBOEとかFLSを突っ込んで更に中小企業融資に対するお得感を出すようにスキーム変更をしている(けれどもイマイチ効果が出ていないようですけれども)のですから、「金利を下げる」という単純な話ではなくて、例えばバーゼルVの適用を緩和するとか、貸出の自己査定基準を緩和するとか、そーゆー方面の方がポートフォリオリバランス効果を一発で出せると思う(それが結果として良いかという話は別として)のですけれどもね。
でまあ最後の論点はいつもの「期待に働きかける」という奴でありまする。
つーことでですな、まあ後の方でも金融政策の効果の話とかあるのですが、基本的には金融政策の波及経路の説明がこんな感じになっておりますと、じゃあ追加緩和を実施しないと行けなくなった場合に何をするのか、というのがこれよく判らないんですよね。つまり波及経路のどの辺に働きかけようとしているのかによって追加の金融緩和政策をどういう形で出すのかというのが判るのですが、ここに出てくる波及効果って全般的に???な所があるので、そうなると次に何を実施するのかが見えにくい、という事でありまする。
・・・・・というかですな、展望レポートを受けて数多くの本職何とかストの皆様が「どうせ物価が碌に上昇しないので10月展望レポートで下方修正必至で追加緩和必至(一番ファンキーと思われるのは7月追加緩和という予想でしたが^^)」という見通しを出しているという実に香ばしい展開になっておりまして、おまいらどんだけ日銀の見通し信用してないんだ(棒)とゆー所ではあるのですが、物価指標を見ながらさて追加緩和という予想になった後、何をするのかがワカランチ会長という素敵な話にもなるのかなあという所で。
でまあこの後も点検の部分があるのですがめんどいので割愛。ちなみにレビュー部分については全体量が今回6ページ分あるのですが、前回が9ページありまして、ここの部分に関しても実は前回の方がだいぶああだこうだと書いてあったりするのですけれどもそこに関してネチネチ書いていると何時になったら終わるのか判らんのでパス。
・でまあ見通しで2013年度について
本文15ページからが『3.2013年度〜2015年度の経済・物価の見通し』ですがこの『(経済・物価見通し)』が何とも。
『わが国経済の先行きを展望すると、金融緩和や各種経済対策の効果から国内需要が底堅く推移し、海外経済の成長率が次第に高まっていくことなどを背景に、本年央頃には緩やかな回復経路に復していくと考えられる。その後は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、生産・所得・支出の好循環が維持されるもとで、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。』
というのは基本的見解にもあった通りですが。
『先行きの景気展開についてやや詳しく述べると、2013年度は、次第に持ち直しの動きが拡がり、年央頃には緩やかな回復経路に復していくと考えられる。まず、公共投資は、年度を通じて緩やかな増加基調で推移するとみられる。輸出は、海外経済の成長率の高まりに加え、為替相場の円安方向の動きにも支えられ、持ち直しが明確となり、年度中はやや高めの伸びが続くと予想される。以上の外生的な需要の増加は、経済活動の持ち直し、ひいては企業収益や雇用者所得の改善を通じて、国内民間需要の前向きな動きを後押ししていくと考えられる。』
ここは基本的見解の部分を少し詳しく書いてあるのですが、これよく見ると前提条件が色々とついていて、これがまた随分と楽観的ですなあとゆー所ですよね。
『すなわち、設備投資は、防災・エネルギー関連投資が下支えとなる中、企業収益の改善に伴い、これまで先送りされていた老朽化設備の更新等のペントアップ需要が顕在化してくることから、緩やかな増加基調をたどる可能性が高い。個人消費についても、株価の上昇や家計のマインドの改善、高齢者の高い消費意欲といった要因に加えて、雇用者所得の改善も徐々に後押しとして作用し始めることから、底堅さを増していくと見込まれる。』
高齢者の高い消費意欲とか雇用者所得の改善が後押しとかホンマカイナという所ですが。
『このように国内民間需要の前向きな循環が作用するもとで、年度下期には、個人消費を中心に、1回目の消費税率引き上げ前の駆け込み需要が相応の規模で発生すると予想されることから、年度全体の成長率はかなり高めになると考えられる。』
はあそうですか。
・消費税引き上げの反動に関する説明に実に味わいの深い部分があります
ここに脚注12というのがあって、本文16ページの下に説明がある。
『消費税率の引き上げは、主として税率の引き上げ前後の駆け込み需要の発生とその反動(異時点間の代替効果)を通じて、経済に影響を及ぼすと考えられる。』
ここ大事なので途中で切っていますよ!!
『すなわち、2013年度下期に、1回目の消費税率引き上げ前の駆け込み需要が発生したあと、2014年度上期にはその反動から成長率が大きく鈍化すると予想される。2015年度にも、上期に2回目の消費税率引き上げ前の駆け込み需要の発生と、下期にその反動が予想されるが、2回目については、@税率の引き上げ幅が小さいこと、A1回目の引き上げ前にある程度前倒しで駆け込み需要が発生している可能性なども踏まえると、駆け込みの規模はさほど大きくならないと考えられる。以上を踏まえ、消費税率引き上げが年度毎の成長率に及ぼす影響を定量的に試算すると、2013年度+0.3%ポイント程度、2014年度−0.7%ポイント程度、2015年度+0.2%ポイント程度となる。ただし、これらは、その時々の所得環境や物価動向にも左右されるなど不確実性が大きく、相当な幅をもってみる必要がある。消費税率引き上げが経済に与える影響について、詳しくは2012年10月の展望レポートのBOX3を参照。』
ということで前回の展望レポートのBOX3というのが前回レポートの本文51ページ目と52ページ目に書いてあるのですが、これは2ページ分もあるので引用したらエライコッチャになるのですけれども、一番香ばしいのはこの回のBOXの冒頭ではこう書いてあることです!!
『消費税率の引き上げは、経済に対して、可能性としては、@税率の引き上げ前後の駆け込み需要の発生とその反動(異時点間の代替効果)と、A税率上昇による物価上昇に伴う実質所得の減少、という2つの経路を通じて影響を及ぼすと考えられる。』(2012年10月展望レポート本文51ページより)
・・・・・・・・・・・・・今回の影響考察の脚注と比較して何か違いまちゅねえ(ニヤニヤ)。
・見通し2014年度以降に関して
ちなみに本文16ページね。
『2014年度から2015年度にかけては、消費税率引き上げによる振れの影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長が見込まれる。』
これ前回どうなっていたかと言いますと・・・・・・
『このため、わが国経済は、潜在成長率を幾分上回る成長経路をたどると考えられる。ただし、上期を中心に、前年度の消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動が出ることから、2014
年度の成長率は小幅のプラスにとどまる可能性が高い。』(2012年10月展望レポート本文30ページより)
ということで上がっていますな。
『すなわち、公共投資は次第に頭打ちから減少に転じていくとみられるものの、輸出は、海外経済が過去の長期平均を幾分上回るペースで成長する中(前掲図表3(1))、増加を続けると想定される。個人消費は、消費税率引き上げによる振れが生じるほか、各種の税負担が実質可処分所得の押し下げに働くものの、労働需給の引き締まりに伴う賃金上昇などに支えられ、緩やかな増加基調が維持されるとみられる。』
やはりここでも賃金上昇が入っていてその根拠はどこにあるんですかねえと思うのですが、あと不思議なのは公共投資が「次第に頭打ちから減少に転じていく」という話になっていまして、ここの時間軸ってどうなっているのかが気になります。すなわち、日銀は今回の異次元緩和実施にあたって政府の中長期的な財政再建への取り組みが共同声明によって担保されているという事を前提にして銀行券ルールの適用を撤廃している訳で、そうであれば経済見通しの所で公共投資について考えた場合にネット政府支出の効果は足元はともかく将来的には逓減していくという前提でおくもんじゃないのかと思うのですけれども、これどこで減少に転じていくという想定なのかしらと。
まあそれ以前に賃金の所はマジデスカという話なんだがさらに続く。
『設備投資は、資本ストックの積み上がりに伴い増加ペースは次第に鈍化していくものの、成長期待の高まりと金融緩和効果が正の相乗作用をもたらす中で、引き続き増加基調で推移する可能性が高い。』
成長期待の高まりと金融緩和効果が正の相乗作用とはこらまた大きく出ましたな。
・で数値の見通し
『以上の見通しを年度ベースの実質GDP成長率で示すと、2013年度は3%程度、2014年度および2015年度は1%台半ばと、「ゼロ%台半ば」とみられる潜在成長率を上回って推移すると想定される。』
前回はこの通り。
『以上の見通しを年度ベースの実質GDP成長率で示すと、2012 年度、2013 年度ともに1%台半ば、2014
年度は0%台半ばと想定される。』(2012年10月展望レポート本文30ページより)
でまあその続き。
『2014年度までの見通しを1月の中間評価と比較すると、成長率は、「量的・質的金融緩和」の導入、金融資本市場の状況の好転、公共投資の増額などにより、上振れて推移すると見込まれる。消費税率引き上げの直接的な影響を除いて物価情勢の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇傾向をたどり、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみている。今回の2014年度までの消費者物価の見通しを1月の中間評価と比較すると、マクロ的な需給バランスの改善、予想物価上昇率の上昇、為替相場の円安方向への動きなどから、上振れしている。』
でまあ前回(この部分が長いので引用スルーします)は1%だったのですが、これが2%になっている所が何でですねんという話ですが、上記部分にあるように色々と強気な前提を散りばめた結果としていきなり2%の数字が出て来てますねという所でして、そらまあジャパンの国民としてそうなると誠に結構だとは思うのですが、この様々な強気前提のどれかが崩れてもあばばばばーになってしまうのではないかと存じます次第で、どうなんでしょうかねと思うのであります。
○更にアレなのは実は本文19ページ以降と23ページ以降なのですが・・・・・・・・・
『以下、経済・物価の見通しの前提およびメカニズムについて補足する。』
ということで、見通しの前提部分とそのメカニズムについての説明が本文19ページ以降にありまして、特にその中で本文23ページ以降の説明部分が色々と味わいが深いのですけれども、例によって例の如く時間が無くなってしまいましたので本日の所はここで勘弁という前座で終了してメインイベント無し状態で誠に申し訳ございません。
#なお明日はFOMCネタがあるのでそっちが優先になる予定(大汗)
さすがに黒田総裁会見ネタもやってませんし、これは連休中に更新フラグ来ましたね(キリッ)