朝のドラめもん

2025/10/17

お題「植田総裁と清水理事のハトハトチキンコメント/田村委員の明快な説明あるいは抜刀を鑑賞しましょう(その1)」

お、おぅ・・・・・
https://www.47news.jp/13301163.html
【速報】高市氏、参政代表に首相指名で協力要請
2025年10月16日 14時32分共同通信

もはやノーコメントorz

〇合わせ技で結局ハトハトチキンコメントキタコレ(植田総裁と清水理事)

さきほどこんなのがでてたようなのでとりあえずメモ

植田総裁
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/D5VCRBJDLJIMLBM4VH4QHR4WN4-2025-10-16/
経済・物価見通しの確度上がれば、それに応じ政策調整=日銀総裁
和田崇彦
2025年10月17日午前 5:09 GMT+9

ってお題を見ると(BBGでもこのお題)ほうほうって感じなのですが・・・・・・・

『[16日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は16日、訪問中の米ワシントンで行った記者会見で、経済・物価見通しの確度が上がっていけば、その度合いに応じて政策調整していく方針に変わりはないと話した。』(上記URL先より、以下同様)

と言っているのでそっちがニュースのお題になっていますけど・・・・・

『その上で、世界経済は「底堅さを見せている」ものの、その底堅さは関税の影響がまだ出ていないことによるもので、関税影響を「見通しに織り込んだり、下方リスクとして織り込まざるを得ないというのが様々な機関や人々の評価だ」と話した。』

「底堅さは関税の影響がまだ出ていないことによるもの」
「関税影響を「見通しに織り込んだり、下方リスクとして織り込まざるを得ない」

・・・・・どう見てもチキンの言い訳です本当にありがとうございました。

さらに随行していると思しき清水理事がですね・・・・・・

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/JTEON433NJP3RPONTLJY4BYLVY-2025-10-16/
日銀、政策正常化は極めて慎重に プラス金利への反応不確実=清水理事
木原麗花
2025年10月17日午前 3:18

『[ワシントン 16日 ロイター] - 日銀の清水誠一理事は16日、プラス金利という新たな環境に日本経済がどう反応するか不透明なことを踏まえると、金融政策の正常化は極めて慎重に進める必要があるとの考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

あのーすいません、事実上のゼロ金利解除したの昨年の7月で50bpまで利上げしたの今年の1月なのに何がどう「プラス金利という新たな環境に日本経済がどう反応するか不透明」なんでしょうか・・・・・・・

『清水氏は国際金融協会(IIF)主催のセミナーで、多くの先進国では長期インフレ期待が中央銀行の目標に定着しているが、日本では事情が異なり、インフレ期待と基調的な物価上昇率はいまだ低水準にあると指摘。日本ではインフレ期待がなお2%を下回っているため、インフレ期待を押し上げ、経済活動の下支えを続ける必要があると述べた。』

そもそもこの「期待インフレが2%を下回っているためにインフレ期待を押し上げないといけない」というのが本当にそうなのか、ということは決め打ちできない筈で、日銀の見通しとかいう希望的観測ではなくて、アクチュアルに今起きている物価のダイナミズムを見て謙虚に判断すべきだし、なんなら田村委員の今回の金懇でその辺の指摘もありますがな。

『その上で、世界各国の中銀が通商政策などに起因する不確実性に直面していることが、経済や物価見通しに影響を及ぼす可能性があると指摘。日本では長期にわたり低インフレと低金利が続き、プラス金利環境に慣れていないという特有の不確実性に日銀は直面していると述べた。』

どう見てもチキンです本当にありがとうございました。

『金利上昇に対し経済がどのように反応するか正確に分からないため、政策の影響を見極めるにあたり日銀は極めて慎重になる必要があると言及。経済の先行きに十分な確信が持てれば、政策の正常化を進めることができると語った。』

正確に分からない、のは当たり前でしてそんなこと言ってたら一生利上げできなくて最後には取り返しのつかないビハインドになるとしか思えませんが、まあ何ぼ何でも日銀の理事になられるようなお方なのでアタクシの如き凡下の言うような理屈をご理解の上で、あえて上記のような説明をぶっこんでいるのですから、まあこりゃどこからどうみても「利上げするのコワイヨー」というのを綺麗な言葉と理屈で示したもの、ということになろうかと存じます。

ってな訳でですね、これはつまり植田さんと清水さんの合作で「利上げを自分からやると手を挙げる気はありません」って宣言しているのですが、もうこうなったら政策委員6人中5人が利上げ賛成して執行部をひっくり返しにいかないと(なおそうなったときには対面というのが有るので執行部は利上げと言い出すので表面上はよくわからんままジャガーチェンジになる)中々大変なんじゃネーノ(さもなければ円安阻止の要請が飛んでくるパティーン)ってガックシと来てしまいました。


・・・・とは言いましてもですね、これは植田日銀になってからの物凄く悪い傾向なんですけど、思い起こせば昨年の12月から1月に掛けてのムーブがそうでしたが、12月にも利上げするんじゃないか、の流れを12月会合と年末までの情報発信で思いっきり強いトーンで「利上げは慎重に慎重に」のハトハト音頭を踊った結果、この理屈だと1月どころかうっかりしたら3月利上げも厳しい可能性があるんじゃないか、となってしまって円安に振れるわ金利は低下するわ、とやっておりましたが、何がどういう話になったのかは今でも謎ですけれども、年始になったら突然の盛大なジャガーチェンジが発生して、いきなり1月利上げに向けて強引な地均しをして1月利上げに持って行った、という恐ろしいプレイがあったじゃないですか。

ということですので、こうやって利上げ観測を押し返しに行っているのって、実は彼らにとっては10月利上げ観測を押し返しに行っているだけだったりする、というムーブの可能性も否定できないのがこの人たちのコミュニケーションの恐ろしさでありまして、10月利上げなんてあと2週間でドル円が10円飛んだらワンチャン実施かもしれないので組閣後の第一発目が確かにリスクなんでワンチャンのワンくらいリスクは見ないといけないのかもしれないけれども、まあさすがに10月やってその後もホイホイというのはちょっと厳しい(アタクシのべき論は田村さん高田さんと同じだけどその話は次のコーナーで)と思うので、何も市場の利上げ観測を今必死こいて押し返しに行く必要って全くないのですが、どうもこう昨年12月に見られましたように、一々この人たち説明が過剰に強いんで、今回もその一環である可能性も否定できないな、というのだけ読み筋の片隅に置いておきます。


〇抜刀斎の抜刀は実に正論過ぎて涙がちょちょ切れます(まあだからと言って10月利上げ通るとも思えんけど・・・・orz)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251016a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
沖縄県金融経済懇談会における挨拶要旨

日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2025年10月16日


・現状評価でも明確に根拠を示して「米国政策の影響ガー」へ抜刀の巻

『2.経済・物価情勢』の『(1)わが国経済の現状と見通し』から参ります。

『はじめに、わが国の経済情勢についてお話します。わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、総じてみれば、緩やかに成長していると判断しています。』

という総括判断は大本営と同じです。というかまあ田村さんと高田さんは「物価」を重視して政策金利の調整を提案しているのですから、経済の判断が全般として大本営と同じであることは利上げ提案と矛盾はしませんわな。

でもって米国ガーについてが以下の話でして、

『そのような中で、米国の関税政策とそれがわが国経済に及ぼす影響に大きな不確実性があり、図表1に示した通り、4月、7月時点で日本銀行の経済見通しも修正を余儀なくされてきました。』

ってことでこの辺は次の話のマクラみたいなもんですが、

『実質GDP成長率の見通しを政策委員の中央値で申し上げれば、1月時点では2025年度1.1%、2026年度1.0%と比較的しっかりとした成長を見込んでいましたが、4月に米国の関税政策が発表されたことを受けて、4月見通しでは2025年度0.5%、2026年度0.7%へと大きく引き下げました。もっとも、この時点では、米国の関税政策等がどうなっていくのか、それに対して企業がどのように対応するのか、二重の意味で流動的であり、今後の推移次第で、上方向・下方向両面で、大きな修正があり得るものでした。』

以下が本編。

『その後、6月調査の短観やその他のヒアリングデータから判断すれば、私にとっては驚くほど、企業の前向きな姿勢が維持されていたところ、更に日米の関税交渉が、特に自動車関税について、穏当な内容で合意に至りました。』

「私にとっては驚くほど、企業の前向きな姿勢が維持されていた」ですよ!

『これにより、米国の関税政策に関する不確実性がはっきりと低下し、日本企業が動きやすくなったことは、間違いないと考えていましたが、今月発表された9月調査の短観の業況判断DIは、図表2に示した通り、企業の前向きな姿勢が引き続き維持されていることを裏付けるものでした。』

「これ(日米関税交渉の妥結)により、米国の関税政策に関する不確実性がはっきりと低下し、日本企業が動きやすくなったことは、間違いない」と来てさらに直近の短観で「企業の前向きな姿勢が引き続き維持されている」って何回ポジティブなことをおっしゃってますのよ、というお話でして、これはまあ田村さん思いっきり強調したいからこういう感じで畳みかけているのでしょうけれども、これは剣豪の殺陣シーンって感じですな(^^)。

さらに先行き見通しに関しても、

『もちろん、業種によって影響の大小がある上、日本全体として見ても、米国の関税政策を受けた海外経済の減速等の影響から無傷ではいられないと思いますが、海外経済が緩やかな成長に戻っていくのに伴い、わが国経済も成長率を高めていくと考えています。』

と、ここは穏当なのですが、隙あらば抜刀する田村さんなので、

『また、今後出てくるデータや情報を注意深く見ていく必要はありますが、私としては、海外経済の減速も当初考えていたほどではない可能性が十分にあると考えています。』

とこちらでも抜刀をするのでした、イイハナシダナー。


・物価の現状と先行きの説明ですが・・・・・・・

でもって次が『(2)わが国物価の現状と見通し』ですな。

『次に、わが国の物価については、図表3の通り、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2%台後半となっています。』

この辺はマクラです。以下さっきと同じで展望レポートでの見通しの推移を説明しています。

『そのような中で、物価見通しについても、米国の関税政策のもたらす不確実性を背景に、修正を余儀なくされました。図表4に示した通り、消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、1月時点では2025年度2.4%、2026年度2.0%と、2%の『物価安定の目標』以上の上昇率が続くとみていましたが、4月には2026年度の見通しを1.7%に引き下げました。これは、米国の関税政策による企業収益の伸び悩みから、2026年度の賃上げが一定程度下押しされるリスク等を見込んだものでした。なお、7月に2025年度見通しを2.7%と大きく引き上げたのは、食料品価格を中心に足もとまでの実績が大きく上振れたことに対応したものです。』

まあこの部分、特に田村さん抜刀はしていないのですが、4月に極端に下げ過ぎたんじゃないの、という話だし、4月にあれだけ下げたのって結局のところ米国の不確実性を過大に見積もったのも勿論あるのですが、それよりも日銀大本営が考えている物価ダイナミズム(つまりはいわゆる物価の基調って奴です)を読み間違えている、すなわち日銀の物価分析や予測のモデルとなる前提がゼロインフレノルムからの修正が無いあるいは足りないことに起因していて、それはすなわち日銀大本営の出す物価先行き見通しを常に過小評価させる方向に作用しているんじゃないの、ってお話だと思うんですよね、アタクシ無学だからよくわからんけど。

まあそれはそうとしまして先に行きますが、この先が大事な「見通し」のお話でして、

『今後の消費者物価の基調的な上昇率は、「成長ペース鈍化などの影響を受けて、当面、伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、2027年度までの展望レポートの見通し期間後半には『物価安定の目標』と概ね整合的な水準で推移する」というのが日本銀行としてのベースシナリオです。』

これは大本営の伝言部分ですが、

『一方で、私としては、「物価安定の目標」の実現時期が前倒しとなる可能性も十分にあると考えています。物価がベースシナリオから上振れる可能性もあると考える理由は、以下の通りです。』

キタコレ(゚∀゚)


・理由その1:企業の価格・賃金設定行動や設備投資行動

『第一に、企業の前向きな経営姿勢が維持されていることです。』

さっき短観で確認していましたな。

『私は、米国の関税政策等のあおりを受けて、企業の経営姿勢が、デフレ期のような、賃金・物価が上がりにくい状態に戻ってしまわないかという点を心配していましたが、』

ということでまずは価格設定行動。

『まず、価格設定行動については、従来よりも積極化した姿が維持されています。短観で「販売価格は上昇する」と回答した企業の割合を、「仕入価格は上昇する」と回答した企業の割合で割った値――価格引上げに関する企業の積極性を示す大まかな指標――を図表5に示していますが、この指標は、2022年以降、企業にデフレマインドが浸透していく前の1990年代初頭の水準にまで戻り、足もとでも高めの水準が維持されています。』

ほうほう。

『また、図表6に企業の1年後の物価全般の見通しと自社製品の販売価格の見通しの推移を示していますが、共に、2%を超える高い水準が続いています。』

企業のインフレ期待にも言及した後に、この部分も明快な説明が来るのですよね。

『私が注目しているのは、2022年までは、物価全般の上昇ほどには自社製品を値上げしないというスタンスだったものが、2022年以降は、物価全般以上に自社製品を値上げするというスタンスに変わっており、これは企業の価格設定行動の積極化を示すものと捉えています。』

むしろ最近は調子に乗って値上げしてねえか位の勢いを感じますわな・・・・・・


次が設備投資行動です。

『企業の設備投資については、4月の米国の関税政策発表直後は企業の様子見姿勢も一部見られましたが、図表7の通り、9月調査の短観では、前年度に引き続き高い水準の増加が計画されており、多くの企業が、人手不足対応やデジタル関連の投資、GX(グリーン・トランスフォーメーション)関連の投資などを継続するなど、前向きな設備投資スタンスを維持しているものとみられます。』

今月頭の短観みたら10月利上げ待ったなしみたいな結果でしたもんね、最近のごたごたですっかり忘れてしまいますが笑。


でもって賃金設定行動。

『更に、賃金設定行動についても同様に、積極姿勢が維持されていると判断されます。先日開催された支店長会議で聞かれた各地域の報告や、日本銀行の本支店が行った企業ヒアリングの内容をみても、図表8に示されるように企業の人手不足感が強い下で、継続的に賃上げを行っていくとの声が多数聞かれています。』



・理由その2:食料品価格上昇はワンオフではないんじゃネーノって話

『第二に、図表9に示した通り、食料品の価格上昇が2022年以降、持続的に続いていることです。』

はい。

『生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇が続き、それが食料加工品や外食の価格上昇に繋がっています。生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇自体は供給要因として一時的なものかもしれませんが、@肥料や光熱費、運送費などの各種コストの上昇、A生産から流通の各段階の人件費上昇、B人手不足等による供給力の低下、C気候変動に伴う天候不順などが影響していることを考えると、値上がり品目が交替しつつも、全体として高めの価格上昇が続く可能性があります。』

価格上昇の背景にただのワンオフではない恒常的な投入コストの上昇があるでしょ、って指摘ですな。

『また、生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇が一時的であったとしても、食料加工品や外食の価格への波及は一度に起こるわけではなく、段階的に行われることから、一定の持続性を持つことが多いと考えられます。』

持続性への指摘ですわな。

『更に、図表10に示した通り、主要食品メーカーによる食料品値上げ理由の推移をみると、人件費を値上げ理由として挙げる割合が高まり、構造的な物価押し上げ要因となってきていることを示しています。』

賃金と物価の循環キタコレ。

『このように考えると、食料品価格は今後も持続的に上昇する可能性が十分にあります。』

現にまだあがっていますし少なくとも水準が下がるとかそういう夢のようなことは考えにくいですもんねえ。

『食料品の価格上昇は家計の予想インフレ率に大きな影響を与え、更なる物価押し上げ要因となり得ます。』

抜刀の手は緩めません^^;


『したがって、単なる一時的要因と捉えるべきではなく、十分に目配りしていく必要があると考えています。』

ですよねーーーーー。


・理由その3:サービス価格の内容についてですが、サービス価格の説明の中でしれっとCPI指数の下方バイアスにも言及

『第三に、サービス価格のうち、人件費の影響が及びやすい品目をみると、2%を上回る高い伸びを続けていることです。』

ということで・・・・・・

『図表11に示した通り、サービス全体の表面的な価格動向は、前年比で2%をやや下回る推移となっていますが、これは、構造的に一般物価の動きから大幅なラグを有するとみられる家賃1、2や公共サービス3が含まれるためです。』

この中で脚注2に注目なのですが、

『2 わが国の消費者物価指数の家賃の上昇率が低い背景として、家賃の引上げにかかる制度的なハードルが高いこと、継続家賃を含めた調査であるため居住者入れ替え時に行われた新規家賃の上昇の影響は一部に限られることなどが指摘されています。また、賃貸住宅の経年による品質劣化の調整を行っていないことも下方バイアスを生じさせています。こうした影響は、民営家賃の価格だけでなく、ウエイトの大きい持家の帰属家賃の価格にも反映されることにも留意しておく必要があります。なお、サービス物価に占める民営家賃と持家の帰属家賃のウエイトは 36%となっています。』

という解説があります。

『これらを除いたサービス価格、私はこれを「市場ベースのサービス価格」と呼んでいますが、その動向をみると、2%を超える伸びを続けており、賃金と物価が相互に参照しながら上昇していくメカニズムが働いていることを示すものと捉えることができます。』

はい。

『更に、最近では、家賃や公共サービスも、徐々にその伸び率を高めてきており、特に公共サービスについては、政府が、本年6月に、医療・介護・障害福祉等の公定価格の引き上げ方針を掲げるなど、今後、その伸び率を一段と高めていく可能性があります。』

国鉄じゃなかったJR東も運賃改定するんでしたっけ来年。


・理由その4:インフレ期待に関して大本営の推計に対して抜刀しております

『第四に、図表12に示した予想物価上昇率の動きです。』

はい。

『私は、先行きの物価動向を考えるうえでは、実際の経済活動の主体である企業や家計の予想物価上昇率を重視すべきだと考えています。』

さいですな。

『短観における企業の物価全般の見通しをみると、引き続き緩やかな上昇を続けており、5年後の予想は2%を超える姿が続いています。また、家計については、日本銀行が実施した「生活意識に関するアンケート調査」の結果を見ると、バイアスがあるため水準自体は割り引いてみる必要があるものの、5年後の予想物価上昇率の中央値および平均値のいずれも、2%を大きく上回る状況が続いています4。』

この脚注4も重要でして、

『4 家計の予想物価上昇率にかかるバイアスを調整するため、「少し上がる」、「かなり上がる」などの選択肢で先行きの物価感を回答するアンケート(質的質問)で得られた結果から予想物価上昇率を統計的に推計すると、足もとは1%台半ばの水準と、2022 年以前の水準からわずかな上昇に留まっています。量的質問の中央値、平均値とも、2022 年以前の水準から大幅に切り上がっていることと比べれば、私としては、質的質問から導いた推計値は過小評価されているのではないかと感じています。』

『例えば、過去、「かなり上がる」と回答していたような人々の予想が更に上振れたとしても、同じ選択肢を選ばざるを得ない(「かなり上がる」より上の選択肢がない)、といった制約からくる下方バイアスなどがあると考えられます。』

日銀の出している「合成予想物価上昇率」のコンポーネントの家計部分なんですが、これアンケートの数字を使って合成しているのではなくて、上記のように「定性的な回答」を集計して実際の物価上昇率に後付けでフィットするような感じで加工しているので、計測期間が前に戻れば戻るほどゼロインフレ時代のファクターが強くなってくる、すなわちインフレ期待がノンリニアにジャンプすることをまるで捉えられない、という問題点がありますし、まあ大本営のことですからその辺分かってわざと使ってるだろという疑惑は否めません、というのを的確に指摘しておられます、すんばらしい。


『予想物価上昇率が2%程度で安定している欧米と異なり、低い水準から上昇してきたわが国において、これが更に上振れしていってしまわないか、注意が必要だと考えていましたが、10月に発表された企業・家計の予想物価上昇率は更に高まっている状況です。』

という大変に明快な説明ですわな。

『以上のような点から、私としては、先行きの国内の物価情勢について、7月の展望レポートで示した見通しと比べ、上振れて推移するリスクが大きいと予想しています。』

ということで以下『3.金融政策運営』の話になるのですが、アタクシの時間の関係で今朝はここで勘弁して頂きまして続きは後日ということでお願いします。


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