朝のドラめもん

2025/05/15

お題「雑メモ少々(グールズビー発言とジャパンの超長期)と展望レポートBOXの威勢の良い話です」

ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-14/SW99U9T1UM0W00
米企業、利回り上昇を好機とみて米国債に殺到−資金運用の長期化図る
Liz Capo McCormick
2025年5月15日 2:03 JST


〇マクラにしようと思ったら意外に長くなってしまったのでちょっとしたメモ(シカゴ連銀グールズビー総裁)

これはw
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-14/SW93SRDWLU6900
FRBは安定した舵取りを、株価や政策の変動下でも−シカゴ連銀総裁
アンスティー・クリストファー
2025年5月14日 22:57 JST

→「株式市場や政策発言の日常的な振れに反応するべきではない」
→経済データは景気が順調なことを示唆−NPRとのインタビュー

『グールズビー氏は14日朝に放送された米公共ラジオNPRのインタビューで、「米金融当局の役割は、株式市場や政策発言の日常的な振れに反応するのではなく、安定した手綱を握り続けることだという点を忘れてはならない」と発言。「少なくとも順調に行っていることを示唆するデータが続いている」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほう。

『経済データを「われわれは依然として息を潜めて見守っている状態だ」とグールズビー氏。4月のような状況では「ある種の麻痺状態に陥ることもあるが、それが数値に表れるまでには時間がかかる」と説明した。』

そらそうよ。

『「多くのノイズがある」が、「これを乗り越えることができれば、表面下には底堅いハードデータに裏付けられた経済がまだ存在していると感じている」と語った。』

まあそこはこれからのデータを見て結論が変わるかもしれませんね。

『その上で、「これほど短期的な変動が大きい中で、企業や中央銀行が長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない」と指摘。「非常に難しい環境だ」と続けた。』

>長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない
>長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない
>長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない

ベースラインシナリオを下げた中央銀行いやなんでもありませんwww

・・・・・とまあそれだけの一発ギャグでした。まあFEDの場合は結論を出す=利下げ=トラ公大歓喜もインフレ再加速リスク高まる=FEDの存在意義が問われる、という流れなのでそもそも明確に経済がアカンですバイとなれば別だが変にフォワードルッキングに「結論を出す」わけにいかない、という事情があるのでどこぞの中央銀行とは立場が違う、ってのはあるんですけどね!!!!!!


〇超長期ゾーンェ・・・・・・・・(俺様用市場備忘メモ)

いやもう何なんですかこのイールドカーブ

一昨日
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/C7SZNSKJ7BNONIICDF3RVXDY3M-2025-05-13/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物続落、米中合意でリスクオン 長期金利1カ月超ぶり高水準
ロイター編集
2025年5月13日午後 3:28 GMT+9

めんどくさいから途中を全部かっ飛ばしますが

『TRADEWEB
     OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.706  0.714   0.054 15:10
5年   0.971  0.979   0.065 15:10
10年  1.441  1.448   0.056 15:08
20年  2.341  2.351   -0.037 15:09
30年  2.874  2.884   -0.069 15:09
40年  3.345  3.349   -0.086 15:09』

からの昨日は、
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/EUBBFD5BPFIHFAYIW4SOI43Z74-2025-05-14/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物6日ぶり反発、一進一退 長期金利小幅高の1.45%
ロイター編集
2025年5月14日午後 3:29 GMT+9

これまた途中を割愛しましてロイターさん謹製の引け時点の気配だけ出しますと

『TRADEWEB
     OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.699  0.706   -0.008 15:09
5年   0.962  0.968   -0.01  15:02
10年  1.444   1.45   0.003  15:08
20年  2.354  2.364   0.014  15:17
30年  2.901   2.91   0.035  15:16
40年  3.354  3.365   0.022  15:17』

ということで連日ツイストな上に2日でこのジャイアントスイングぶりでして、もうおまいら何やってますねんという世界ではあるのですが、ここまで動かれると何も出来ませんがなの世界になっているような気がしますけれども、じゃあ日銀が買えばよいのかというと多分というかほぼ間違いなく逆効果ですし、これってもちろん超長期ゾーンの金利が中長期的な均衡物価水準(つまりは2%物価上昇)に成長率やらタームプレミアム(やら財政プレミアム)やらを乗せて考えられる水準から見たらお前何なんだよというイールドだから実需持ち切り勢が出てきにくくて、さっぱり落ち着きませんってお話なんですかねえ、とは思ってしまうので、そこに日銀の買入を入れる(既に入ってはいますけど)と状況は超短期的には改善するけれども中期的にみたら明らかに悪化するじゃろというお話。

てかまあ超長期のうち20年ってマイナス金利だ何だと言ってる期間に預金金融機関みたいに本来負債の足がそんなに長くない人たちがマイナス金利とかいう焼け野原政策によって戦争避難民と化してやって来て、その結果金利押し下げ効果が出てしまったとか、そういうのもあったと思いますし(個人の見解です)、超長期のスイングばっかり目立ちますが、そもそも論として日銀の長期国債買入が全体的に過大なのと、バランスシートの大きすぎに起因する超過準備のとんでもない莫大さによって、イールドカーブの起点の金利だって無駄におしさげられている感が強い(2年とか)訳で、まあ要するに日銀の買入による金利押し下げ効果が無駄に効いているから市場が機能したいのに機能できていない感がある、とかいうのはまあ「それってあなたの感想ですよね」と言われるとぐうの音もでませんけどまあそういうことじゃろ、とは思う訳でして、つまりは輪番減額ペースを落とせとかいうのは愚の骨頂だと思いますという話だが、昨日ネタにしましたように、主な意見を見ますと買入に関しては「市場に対して短期的なリアクティブな反応をするのはイクナイ」という見解になっているようなので、その辺は日銀の判断に希望は繋いでおこうかと存じます次第。

というだけのメモでした。超長期大暴れに関しては皆様の方がお詳しかろうという所でなんか偉そうですいませんでした(ジャンピング土下座)。


〇それはそうと展望レポート全文の方のBOX鑑賞の続き(その2):やっぱり「構造的に賃金と物価が上がりやすい」ネタです

展望レポート背景説明を含む全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504b.pdf

45ページ(PDFだと47枚目)にある『(BOX4)最近の賃上げと価格転嫁を巡る動向 』を拝見しましょうの巻です。

『本BOXでは、最近の正社員の賃金上昇について様々な指標で確認したあと、賃金設定と価格設定の関係性を企業レベルのデータから考察する。』

ほうほう。

・ベースアップ動向に「構造的な変化」の可能性があるそうでイイハナシダナー

『2025 年度のベースアップ率について、連合の集計値をみると、4 月 17 日公表の第4回集計時点で+3.79%と、前年の同時期(+3.57%)を幾分上回っている(2024 年度の最終集計:+3.56%)。』

さいですな。

『マクロでみたベースアップ率を被説明変数、物価上昇率・労働生産性・中長期インフレ予想を説明変数とする簡単な関数を 1992 年度から 2022 年度までのデータを用いて推計し、』

さらっと書いてあるんだがこの「中長期インフレ予想」ってなんの数字を使っているのかがこのボックスの図表にある説明(脚注など)をみても分からんというが諸葛孔明の罠のような気がしますがとりあえず気が付かなかったことにして読み進めますと、

『2023年度以降のベースアップ率の同関数の予測値を求めると、ここ3年間のベースアップ率の実績値は、関数予測値をはっきりと上回っている(図表 B4-1@)。』

ほうほうほう。

『このことは、近年のベースアップ率の決定メカニズムが、デフレ期から構造的に変化している可能性を示唆している。』

キタコレ!!!

『構造変化を示すひとつの可能性としては、BOX3で指摘したとおり、正社員を中心に人手不足感が強まり、転職市場も拡大するもとで、これまで労働需給の影響を比較的受けにくかった正社員の所定内給与にも、上昇圧力がかかるようになってきたことを指摘できる(図表 B4-1A)。』

てな訳でアタクシが一昨日最初にこれって言ったのがBOX3だったりしたのの伏線を回収しておりますが、前回の展望レポートではもっと目立つ格好で構造的におちんぎんが上がるようになってきましたですお、という話をしておったのですが、今回はこのBOX4とさっきのBOX3がここに該当しますわな、というお話。

まあ正社員の所定内給与の上昇圧力と言っても、「正社員(年寄りは除く)」とかそういう世界だったりしたりしなかったりとか書いていると悲しくなるので先に行きましょうwwwww


・でまあ全般の賃金カーブも底上げに向かうそうな

『正社員で強まっている賃金上昇圧力は、新卒市場においてもっとも顕著に表れている。』

裏山鹿〜

『実際、各種企業情報に基づくと、2025 年度の初任給は、昨年度に続いて水準を大きく切り上げているとみられる。初任給の企業別分布をみると、2021 年度頃は 21 万円あたりの最頻値に集中する比較的裾野の狭い分布となっていたが、ここ数年は、上昇方向に裾野の拡大を伴いつつ、分布がはっきりと右方シフトしている(図表 B4-2)。』

ほうほうほうほう。

『初任給の引き上げは、年功賃金カーブ上で新卒に近い若年層の賃上げにも波及すると考えられる。』

ねえねえジジイのおちんぎんはジジイのおちんぎんは(見苦しいにも程がある人)

『こうした動きを起点に、年功賃金カーブが一段と上方改定されていけば、平均的な賃金水準も切り上がっていく可能性がある。』

まあカーブはツイストフラット(書いてて情けなくなってきたwwwwww)


・中小企業への賃上げの広がりに関して

てなギャグはさておきまして、

『正社員の賃上げの動きは、労働組合のある大企業から、ややラグを伴うかたちで、中小企業にも波及している。』

この話は決定会合議事要旨とか主な意見とか(まあタイミング違うだけで同じもんだが)でも言及されていますな。

『2024 年度の賃上げ実績を振り返ると、@労働組合がある企業の賃上げ率は、組合のない企業よりも高かったほか、A労働組合のある企業の中で比較しても、規模が大きいほど賃上げ率が高くなる傾向がみられる(図表 B4-3)。』

マジかそんなに労働組合って力あるんかい、って感じですが、単にそれは「労働組合が組成できるほどの規模の企業ほど賃上げの余力がある」、というAの話なだけで@はただの相関なだけではないかという気がせんでもないのですがまあいいです。

『2025 年度のベースアップ率(連合第4回集計)をみると、中小企業(300 人未満)におけるベースアップ率の上昇率は、大企業より大きくなっており、正社員の賃上げの動きは中小企業にも着実に広がっている姿が窺われる。』

しかしまあ何ですな、そういう賃上げの広がりを定着するのを見たい、ってのはまあ言いたいことは分かるのですが、その間延々と物価の上振れが続いて実質所得が伸びませんって状態が続いてしまうと、そもそも何のために2%物価安定目標をやっているんですか、という話になりゃあせんですかねえとも思う訳で、まあそれこそ「2%への招待状」からこの方(というか黒田緩和直前のハマコーのダイヤモンドオンラインインタビューがまさにそうですが)ちらちらと出ていますように、2%物価上昇の世界ってより優勝劣敗がワークしやすくなる(からこそマクロ的に見た資源の適正配分が進みやすくなり、その結果マクロ的に生産性の向上だったり経済の成長が促進されやすいんだが)訳で、その辺をオブラートに包むだけならまだしも、置物一派を始めとして「物価2%目標達成したら世の中皆が幸せに」みたいな虚構を振り撒いてしまって、その共同幻想が全然解消しない状態だからこそ、いざ物価が上がってみたら「物価高対策で財政を」とか頭おかしい事をおっぱじめている訳ですが、虚構を振り撒いた連中は財政出せ財政出せ減税しろ減税しろなのですからあいつら本当に碌でもないですわな。

・・・・すいません思わず話が逸れてしまいました

でまあそうやって中小にもおちんぎん引き上げの動きが、という話の続きが価格転嫁の話になっていましてですね、


・価格設定行動に関してですが「価格を上げてもたいして問題にならん」の定着が進んでいますという話



『以下では、こうした企業の賃上げ姿勢の積極化と、最近の価格設定行動がどのような関係にあるかを、企業レベルのデータを用いた実証分析によって確認しておく。』

ほー。

『具体的には、POSデータから、個別企業が販売する商品の平均価格を作成したうえで、これを法人季報の企業別の個票データとマッチングしたデータセットを構築した33。』

でまあ『図表B4-4:販売価格引き上げの影響』になるんですけど、これでどの程度のカバーができているのかとかいうのは気になりますけどまあ先に行きましょう。

『これを用いて販売価格引き上げ時の企業行動をみると、近年は値上げした際の販売数量の落ち込み幅が、コロナ禍前よりも小さくなっている(図表 B4-4@)34。』

脚注にありますが、『34 通常の個別需要曲線を念頭に、マクロのインフレ環境等を時間固定効果でコントロールしながら、自社製品の相対価格の変化がどれほど販売数量を変動させたかを推計した。』とのお告げで、『図表B4-4:販売価格引き上げの影響』の『@販売数量』に相当します。

『これは、ここ数年、自社が値上げした場合の顧客の価格弾性値(自社製品の相対価格が1%上昇した際、販売数量が何%減少するかを表す値)が低下している可能性を示唆している。』

値上げしてもそんなにダメージは食らわん、と来てからの、

『また、今次の物価上昇局面では、販売価格を引き上げた企業の価格マークアップは拡大する傾向にあり35、こうした企業では販売数量1単位当たりの利潤(ユニット・プロフィット)も増加している可能性が示唆される(図表 B4-4A)。』

ダメージ食らわんどころか収益が増えて(゚д゚)ウマーである、という可能性もありまっせ、というイイハナシダナー(消費者的にはタマランチ会長という説は大有りだが)。

『また、販売価格を引き上げた企業の一人当たり人件費をみると、足もとでは、販売価格を引き上げた企業ほど、賃上げ率も高い様子が窺われる(図表 B4-4B)。』

あら素敵。ということで、

『今次局面では、価格マークアップの引き上げに成功した企業は、ややラグを伴って賃金支払も増加させる傾向が、中小企業も含めて広がっている可能性が示唆される。』

つまり・・・・・・

賃金と物価の好循環(ただしマークアップ引き上げができる企業とその従業員のみ)という話ではあるのですが、この()の部分に一昨日ネタにしたBOX3で示されるような労働力の移動が起きることによって、マークアップできない企業はマークアップできるように頑張っていただくなり、それが無理なら粛々とご退場いただくなり、ってのがまあ「賃金と物価の好循環」ですわな、という話ならそりゃまあそうですよね、という話ではありますけれども、まあ問題なのはこの「賃金と物価の好循環」ってのがあまねく皆さんに行き渡るかのような幻想を与えているんじゃないの、ってところなんだろうなあ、とか思ったり思わなかったり、ってところかと思います。

まあゆうてこういう形で賃金と物価の好循環(ただしマークアップ引き上げができる企業のみ)が確認されてきたら、それこそそれは物価安定目標達成じゃろ、と考えますと見通し期間の後半とかいうここから1年半も待つ必要あるんかいな、とは思ってしまうこちらのBOX3とBOX4なのでありました、というのがこのシリーズのアタクシの私家版結論ということにしておきます。




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