朝のドラめもん

2026/03/11

お題「中央公聴会に国民民主が呼んだ人がオバゼキとな/シュナーベルのNYでの講演が中々良いので鑑賞の続き」

あれから15年も経ったのか・・・・・

〇国民民主っていつの間に高圧経済推しじゃなくなっているの???

こんなのがあったんですけどね
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA102X00Q6A310C2000000/
首相の経済政策 小幡績氏「気合だけ」、高橋洋一氏「外為でウハウハ」
政治
2026年3月10日 17:00

『衆院予算委員会は10日、2026年度予算案の採決の前提となる中央公聴会を開いた。高市早苗政権の経済政策を巡り、有識者から賛否の声があがった。』(上記URL先より、以下同様)

というのがあったようなのですが、

『嘉悦大の高橋洋一教授(日本維新の会推薦)は「通貨安は悪くない。国内総生産(GDP)が上がるから税収も増える」と説明した。』

オエー(アスキーアート略)

『「日本は外為特会(外国為替資金特別会計)も持っているのでウハウハだ。ホクホクとは言わないが、ウハウハと年中言っている」と話した。高市首相は衆院選の応援演説で外為特会の運用の状況を「ホクホク状態だ」と表現していた。』

維新とヨーイチの悪魔合体キタコレという所で頭がクラクラしますが、とりあえず「円安でウハウハ」だそうで、ヨーイチ大先生「ホクホクとは言わないがウハウハ」って「ホクホク」よりも威勢がいいじゃないですかさすがです大先生って話だし、この調子だと総理の経済ブレーン(笑)方面からは高圧経済円安音頭しか出てこないわな、というのは把握しました。

でもって今回のネタの本命いは記事中の最初に出てくる国民民主推薦の有識者発言でして、

『国民民主党が推薦した慶大の小幡績教授は政権の「責任ある積極財政」への評価を問われ「気合を示したものだけなので、評価していいかわからない」と述べた。』

『円安やインフレが進行すると国債の価格が下がり、買い手がいなくなる可能性があると主張した。「通貨安は国益に最も反する。これは世界共通だと思う」と語った。』

オバゼキってのもリフレ派の逆方向で言ってることがアレのお方という評価をワイはしておりますので(あくまでも個人的感想ですので念のため申し添えます)、まあワイに言わせますと一種の「無〇(一文字伏字)な味方」ということで警戒対象物件ではありますわな。今回だって日経が要約しているとは言いましても「国債の価格が下がり、買い手がいなくなる」ってお前は何を言ってるんだという話で、価格と言うのは経済合理性のある水準に下がれば買いが入る訳で、価格が下がるから買い手がいなくなるとか意味不明にも程がある説明でオバゼキはオバゼキだわって話なんですが、「責任ある積極財政」が「気合を示したものだけ」という解説は良く説明できてるなと思いました。

というオバゼキ評価はさておきまして(というか国権の最高機関に出てくる「有識者」がオバゼキにヨーイチって何だよそれというのは大いにあるのだが)、この部分の最大の注目点は「あの高圧経済万歳の玉木大先生の国民民主がオバゼキを呼んできた」って事であります。どっからどうみてもオバゼキの主張と高圧経済って相反する話な訳でして、いつの間に国民民主は宗旨替えをしたのか、単に良くわかっていなくてとりあえず経済政策批判やってるのを探したらオバゼキが釣れたのかは分からないのですが、減税高圧経済推しじゃなかったのかよというのがビックリしたのでメモっておこうかと思います。


〇シュナーベルのNYでの講演は現状の「世界標準の金融政策(に近そうなもの)」を良く説明していますのでオヌヌメです

てな訳で昨日の続きですが。

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2026/html/ecb.sp260306_1~a4943607d7.en.html
Navigating inflation and employment in an era of supply shocks and AI
Speech by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at the 2026 US Monetary Policy Forum
New York, 6 March 2026

・デュアルマンデートもシングルマンデートも実はそんなに変わらんよというお話をしておりまして・・・・・

これ細かく読んでいくとかなり面白いのですが、細かく読んでいるとかなり大部になってしまうので、最初の部分の1970年代の話とかを一旦すっ飛ばしまして、『Single and dual mandates often lead to similar policies』の小見出し部分から先を鑑賞してみましょうです。

でもってこの部分も途中から参りますが、

『The dual mandate only truly “bites” when stabilising inflation requires accepting weaker employment outcomes. But even if such a trade-off arises, both mandates often lead to similar policies.』

デュアルマンデートが問題になるのはインフレ抑制のために雇用を犠牲(経済を下押し)させないといけない場合になりますが、でも実はその時も物価だけのシングルマンデートと似たような政策になります、ってな話をしていまして、

『The pandemic provides a recent illustration.』

パンデミック対応が然りということで、

『When inflation surged, central banks around the world - whether operating under a single mandate or pursuing explicit employment objectives - responded with comparable vigour, even if doing so meant tolerating higher unemployment (Slide 3).』

インフレが上振れたあとは多少の経済の下押しを厭わずに欧米中銀は引き締めを実施しました。


・その心は「インフレ期待の高騰と物価高の二次的波及を抑えるためにはやることは同じ」だそうで

『The reason is straightforward: once the combination of excess savings, rising energy prices and disrupted global supply chains began to feed into inflation expectations and second-round effects, restoring price stability to limit the broader economic fallout became the overriding task.』

何故かと言いますと、過剰貯蓄、エネルギー価格の上昇、グローバルなサプライチェーンの毀損のなかでインフレ期待と二次的波及が発生した時に、経済への広いよろしくない結果を限定的にさせるためには、物価安定を維持ことが重要なタスクになるからです。

『As a result, the scope for divergence was limited. Monetary policy had to ensure that supply-side shocks did not translate into persistently higher inflation.』

その結果供給ショックが持続的な高インフレになることを限定的にすることが出来ました、という話をしておりまして、結論部分を昨日はネタにしましたが、そこでも言っていましたように、もはや「供給要因だから金融政策の対応が不要である」というのはカビの生えた概念であって、物価上昇要因が需要要因供給要因のいずれであるかにも関わらず、注目すべきは「インフレ期待のデアンカリング」と「物価高の二次的波及の有無」ということになっているかと思われますので、どこぞの日銀は「好循環」とか言ってる(最近あんまり言わなくなったけど)けどこれ一種の二次的波及でして、ただまあ日本の場合はそもそもインフレ期待を「引き上げた後安定」させないといけないし、初手の段階での問題は「二次的波及が起きないこと」だったのでまあ好循環が必要云々は言いたいことは分かるのですが、ただこれも行き過ぎて循環の行きすぎになると欧米と同じ話になりゃしませんかという懸念があるでしょうし、最近になって植田総裁が急に覚醒しているのも背景にそのようなリスクを認識しているから、って事なんじゃないかと思いましたがどうでしょうかねえ。

と話がすっかりそれましたがその続きに参ります。


・とは言いましても物価安定のための政策運営はフォワードルッキングに実施するという中和部分があります

『The same logic also works in reverse.』

逆もまた然りということですが何の話かと言いますと、

『In the euro area, once the disinflation process was firmly under way and medium-term inflation expectations remained anchored, the ECB began to remove policy restriction, even though domestic inflation was still elevated.』

インフレ期待が上振れしていないという状況の中で、物価上昇の鈍化の傾向が進んできた段階で、アクチュアルのインフレがまだマンデート対比高水準にある中でもECBは金融引き締めの縮小を開始しました、という話をしておりまして、

『This decision reflected a forward-looking assessment: maintaining an overly restrictive stance for too long would have risked imposing unnecessary economic costs in terms of weaker growth and higher unemployment.』

フォワードルッキングに考えた場合、アクチュアルの物価を過度に重視して過剰に景気を抑制して雇用を過度に犠牲にすることは、経済全体に無用のコストをかけることになる、という話もしておりますので、まあ一応FEDが今後の物価上昇鎮静化をフォワードルッキングに見通した場合に引き締め度合いの縮小を行う、って事に対しては別に悪い事だという話をしているわけではないのですな、というのを一応引用しておかないと引用が偏りますので引用してみました。

でもって、パンデミックの経験が、という話ですが

『The experience during the pandemic thus illustrates an important point: a central bank with a single mandate is not indifferent to employment outcomes. It recognises that price stability must be secured in a manner that minimises avoidable volatility in output and labour markets.』

フォワードルッキングに政策をやっていけば結局のところシングルマンデートであろうとも雇用に関心を持たないということはない、って話をしていまして、雇用ってすなわち経済なんだからそりゃまあそうなるでyそうという話ではあるのですが、ここでも味わいがあるのが、後段の「It recognises that price stability must be secured in a manner that minimises avoidable volatility in output and labour markets.」でして、つまりこれって「高圧経済」アプローチは好ましいものではない、ってのを言外に示している話でもありますなと思いました。

でもってこれはECBが普段言っていることと同じ話になるんですけどね、という宣伝(?)に繋がりますが、

『This is closely mirrored in the ECB’s mandate: price stability is the primary objective, while support for employment is conditional on it - that is, “without prejudice to the objective of price stability”.[3]』

物価対策が一番重要ですが物価安定に反しない限りは雇用支援をしていく、という話をしております。でもって米国の話になるのですが、


・「インフレが持続的に上振れている場合には金融政策による雇用支援の余地は狭くなる」

『For a central bank with a dual mandate, monetary policy is better understood as a balancing exercise rather than a lexicographic ordering.[4] Still, inflation imposes a constraint: employment can be supported only insofar as inflation remains consistent with price stability; once inflation deviates sustainably, the scope for employment support narrows sharply.』

デュアルマンデートは「バランシングエクササイズ」なので「雇用と物価の両者のバランスをとる」という考えで整理するのがよろしいんじゃないかという話をしておりますが、それに続きまして「Still, inflation imposes a constraint: employment can be supported only insofar as inflation remains consistent with price stability; once inflation deviates sustainably, the scope for employment support narrows sharply.」ってありまして、やっぱり「インフレ上振れの時は物価安定の方が優先されます」ってお話をしておりましてですね・・・・


・結局はどこの中銀も「物価安定を一義的に考える」はずですよと

『In practice, many central banks therefore operate in remarkably similar ways, regardless of the formal structure of their mandates. The broad consensus, built over decades, is that without price stability, maximum employment cannot be sustained.』

ということで、実際問題としては「物価安定無くして雇用安定はできない」というコンセンサスの下、物価安定を一義的に考えてフォワードルッキングに行動したら結局どこの中銀も、法的なマンデートの違いがあったとしても、似たような政策運営になるんですな、という説明をしておりまして、

『The real distinction between mandates may therefore lie less in day-to-day policy decisions and more in communication, accountability and the political economy of central banking.』

なのでマンデートの違いがもたらすものは、政策決定行動ではなくて、コミュニケーションにおける説明方法の違いに帰着するでしょう、というお話になっております。


・パンデミックのご教訓として・・・・・・・・

次の小見出しの『Pandemic revealed limits of supporting employment』は短いのですけど、

『This brings me to the second question: if the institutional framework of inflation targeting and central bank independence emerged because attempts to foster employment proved destabilising, then why would one think that asking central banks to pay more attention to employment today would lead to better outcomes?』

『The pandemic offers three lessons suggesting this confidence may be misplaced.』

雇用支援の行動をしたことによって物価が不安定化(上振れ)したとするのであれば、雇用にもっと注意を払うべきという考え方は良い結果につながるのでしょうか、ってことでパンデミックのご教訓という話になりまして次の小見出しに進むのでして、


・供給ショックが頻発する界隈では金融政策運営が一段とチャレンジングになるというお話に繋がります

『More frequent supply shocks make monetary policy more challenging』という小見出しになるのですが、

『The first is that monetary policy becomes more of an art than a science when supply shocks become more prevalent.[5]』

いきなりオモロイ説明になるのですが、「第一に」で出てくるのが「供給ショックがより頻発する時には、金融政策はサイエンスというよりもアートになる」という説明でして、テイラールール的なアプローチによるシステマティックな金融政策アプローチをしている場合じゃないよって話を初手でぶっこんでいるのがチャーミング。

でもってその背景説明も中々良い内容でしてですね、

『In the years before the pandemic, policymakers increasingly came to believe that the Phillips curve was flat, as inflation proved remarkably unresponsive to tightening labour markets (Slide 4).[6]』

これ本当はスライド見ながら読んだ方が良いと思うののですがそこはまあECBのサイトの方で当たって頂くとしまして、パンデミック前の数年間から話を起こしております。

でもって何の話をしているかというと、パンデミック前ってフィリップスカーブがフラット、すなわち労働市場の引き締まりに対しても物価がそんなに上がらん、という状況であるという状態だったため・・・・・

『This experience helped explain why major central banks, including the ECB, entered the pandemic with policy settings that were historically accommodative, designed to tighten labour markets, strengthen wage growth and ultimately lift inflation back to target on a sustained basis.』

でまあそういう状況なので、「物価が安定しているなら雇用促進のサポートの為に金融政策は緩和的にしておけば皆さんウハウハよ」ということでECBを含む主要国の中央銀行が金融政策を緩和的な状態で維持するという行動に繋がったんですけれども、

『This growing conviction, however, fostered a misconception: namely that inflation could not re-emerge rapidly under certain conditions.』

そういう自信ニキで金融緩和状況を継続しておりましたが実は諸葛孔明の罠だったというお話で、ある状態になった場合にインフレが盛大に上昇する、ということを見落としておりました、って話でその状態が供給制約ってことになる訳ですな。

『In reality, the slope of the Phillips curve only tells us how inflation responds to changes in slack, holding other shocks constant. But a very flat curve does not imply immunity from inflation.

That is what we saw during the pandemic.』

フィリップスカーブは他のショック要因が無ければ状況が変わらんということを示しているだけで、ショックがあった時にフィリップスカーブがそのままである保証はなんもない、というのを私らはパンデミックの中で見たわけです、というお話をしております。

『While strong demand played a role, the inflation episode was not simply a movement along a stable Phillips curve. Instead, we saw a steepening of the curve and large upward shifts, driven by supply bottlenecks, energy shocks and changes in price-setting behaviour and inflation expectations.[7]』

今次局面において、インフレの上昇は需要の強さによる面はあるのですが、単にそれだけではなくて、フィリップスカーブで説明できる以上の動きが起きて物価が上振れた訳でして、その中で私たちがみたのは供給制約やエネルギー価格ショックや、価格設定行動の変化やインフレ期待の上昇によるフィリップスカーブのスティープ化と上方シフトです、との説明をしておりまして、


・事前に予定されていた講演だと思うのですがイラン戦争をさっそく組み入れた説明をしているのがさすがです

『Looking ahead, the global economy is likely to be exposed more frequently to such supply-side disturbances - from energy price spikes and trade fragmentation to climate-related shocks. The recent escalation of the conflict in Iran, which has heavily affected energy markets and shipping routes, serves as a stark reminder of this vulnerability.』

今後の世界経済においてもエネルギー価格の上昇とか供給サイドの不安定化とか気候要因による関連ショックが起きやすいでしょう、という話をしておりまして、早速今回の講演でイラン戦争を例に挙げているのがさすがのプレイです。

『As a result, managing inflation - regardless of whether central banks have single or dual mandates - is not about fine-tuning unemployment along a stable Phillips curve; it is about credibly committing to the inflation target.』

結果として中銀がインフレをマネージするためには安定したフィリップスカーブの下でのファインチューニングではなくて、「インフレ―ションターゲットへのクレディブリーなコミット」が必要になりましたよと。


・インフレをマネージするフレームワークとして「オーバーシュート容認」は過去の話ですよと

『In today’s more volatile world, policy cannot rely on established empirical relationships. It must operate under uncertainty about the type, size, persistence and transmission of shocks. Judgement then becomes as important as models, and credibility becomes the central policy asset.』

でまあさっきの「アート」の話が回収されるのですが、「Judgement then becomes as important as models, and credibility becomes the central policy asset.」ということで、従来の経済から観測された経験的な法則が必ずしも信用できない状態になっているので、色々なショックの状況を見ながら判断していくというのがモデルを回して見て行くことと同様に重要になりますよ(モデルより重要とは言ってないので念のため申し添えます)という話をしておるわけですな。

となりますとこれまた話が脱線しますが、日銀の言う例えば中立金利って話も、あれ単に昔のデータから引っ張って来ているのがそもそもディスインフレ期を引っ張っているから初手の時点で過小評価だというツッコミが有るのですが、シュナーベルの指摘を踏まえればやっぱり過去のモデルから計算するだけじゃダメじゃん(つまり中立金利の下限が1%とか言ってる場合じゃないって事ね笑)と思いました。

まあそれは兎も角として、

『In response to these insights, major central banks have adjusted their policy frameworks.

The Federal Reserve has moved away from its flexible average inflation targeting approach, which had emphasised making up for past shortfalls by allowing inflation to run above target for some time. In the same vein, the ECB in its latest strategy statement no longer highlights a willingness to allow inflation to overshoot.[8]』

これらの考えを受けて主要中銀のフレームワークも修正が加えられたという話をしておりまして、もちろんここに日銀は入ってこないのですが笑、FEDがアベレージインフレーションターゲッティングの考えてメイクアップストラテジーとか言ってたのを引っ込めましたし、ECBもインフレ率が目標を上回って推移すすることを容認するというのを最早ハイライトしなくなりましたよ、という話をしている訳でして、まあどこぞの中央銀行がドヤ顔で「メイクアップストラテジーはワシが育てた」とか言ってたのが黒歴史になってしまいましたので、滅多なことでドヤ顔をするもんじゃないなというのが分かると思います笑。

という事で次が『Running the economy hot can fuel second-round effects』という高圧経済論者涙目の話になるのですが、時間の都合上今朝はここまでで勘弁してつかあさい。




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