朝のドラめもん

2026/03/12

お題「目先のイラン戦争に振り回されますがまあシュナーベル講演でも鑑賞して一服一服(その3)」

ほうほう
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-11/TBQZPHT9NJLT00
イランが停戦の条件提示、再攻撃しないとの保証を米国に要求

・非公式接触は欧州および中東の国々が仲介している−当局者
・将来の侵略を防ぐための国際的な保証が必要−イラン大統領

Ben Bartenstein、Donato Paolo Mancini、Samy Adghirni
2026年3月12日 at 4:00 JST
更新日時:2026年3月12日 at 4:57 JST

『イランは特に、現在の戦争が終結した後にイスラエルが再び攻撃する可能性を懸念しているという。当局者らは機密性の高い情報であるため匿名で語った。米国がそのような保証をイランに与える意思があるかどうか、またイスラエルにも同様の保証をさせることができるかどうかは明らかになっていない。』(上記URL先より)

トラ公はまだ期待ができますがネタ公がそれを飲む可能性はゼロなんしょうねたぶん(絶望)

しかしまあ何ですな、
https://www.cnn.co.jp/usa/35244897.html
【分析】トランプ氏、イランで何が起こっているかさえ知らなかった?
2026.03.11 Wed posted at 18:12 JST

反トランプのCNNだからバイアスが盛大に掛かっている「分析」だとは思いますがさもありなんと思ってしまうのがwww


〇こういう時は日々の値動きに振らされるだけなので悠然とシュナーベルのNY講演鑑賞の続きでもwww

まあ中銀ウィーク前なのでというのもありますが・・・・・

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2026/html/ecb.sp260306_1~a4943607d7.en.html
Navigating inflation and employment in an era of supply shocks and AI
Speech by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at the 2026 US Monetary Policy Forum
New York, 6 March 2026

・供給制約下で高圧経済アプローチをするのは愚の骨頂というのが世界標準のポリシーミックスなんですよね〜

でもって次の小見出しが『Running the economy hot can fuel second-round effects』な訳ですが、ここで思い出すのは、置物一派って麿日銀の金融政策運営を極めて口汚く罵っていたのですが、その罵倒の中でよく言ってたのが「世界標準の金融政策をやっていない」だった訳ですな。

然るに、今回のシュナーベルさんの説明ってのは、パンデミックとその後の供給制約下(この供給制約にはサプライチェーンの毀損や外的要因(要は戦争)などによる価格ショックに加え、労働供給のタイト化も含まれますわな)におけるインフレの好ましくない大加速とその対応で大変だった、というご教訓を踏まえた主要国中銀のコンセンサスをわざわざNYに出張って説明しているわけでした、その説明の以下の部分にあるのは高圧経済アプローチというのが供給制約下において好ましくないアプローチであるって話になっている訳ですよ。つまりは「今の状況下で高圧経済アプローチをとるのは好ましくない結果を招く」というのが「世界標準の金融経済政策」になる訳ですな。

だというのに、世界標準の金融政策ガーとか言ってたリフレ連中がやれ高圧経済だやれMMTだ(これは浅田先生)とか異端にも程があることを堂々と抜かしているのはナンナンデスカネエ、と悪態をついて鑑賞に参りたいと思います。

『The second lesson is closely related: putting too much emphasis on employment can make it more difficult to control inflation.』

雇用(要するに景気)に過度に注目してしまうとインフレーションのコントロールをより困難にする、頂きました。

『A key lesson from the pandemic is that when labour markets are tight, supply shocks transmit more forcefully into prices and wages.』

労働市場がタイトな時には供給ショックが価格や賃金に伝播する力がそうでない時よりも強まる、というのが「A key lesson from the pandemic」ということでして、これ日本に当てはめた場合、確かに日本の場合はパンデミック以前には構造要因的には既に供給不足の問題が生じていた可能性はあるのですが、その一方で労働市場がタイトで人員確保が困難だの給与をバンバン上げないとだのという話が必ずしもポピュラーではなかった訳ですが、さすがに現在に至るとその状況は欧米並みとまでは言えないかもですが、タイトな労働市場ってことになってきているようにお見受けされる訳ですな。

と考えますと、今回の賃金年次改定のムーブを受けてその辺りの認識に変化が生じますと、日銀ちゃんも従来のデフレ脳的な金融政策アプローチではない考えになるっていうのは不思議ではないというか寧ろ理屈に合う話になるかと存じますのですが、これは債券市場界隈の何とかスト方面なんかがそうなのですけれども、「足元のイラン戦争の影響で利上げが後に遅れる」の見解一色に見える訳でして、皆様におかれましてはシュナーベル講演をよく読んでいただきまして、「供給制約下の最適金融政策」が従来のデフレ均衡時の話とはちがうんじゃないの、という発想の転換をお願いしたいもんだ、とまあ斯様に思うところであります。

・・・・とまあてめえのポエムばっかり書いておりますが、そろそろ真面目にシュナーベルの説明を読まないといけませんので続きに参ります。

『Second-round effects play an important role in understanding this mechanism.』

二次的波及効果がこのインフレーションメカニズムを理解するのに重要な役割を果たします、ときまして、

『When unemployment is low and vacancies are high, workers have more bargaining power to recover real wages after an inflation shock. At the same time, firms are more likely to pass higher input costs into output prices to protect their margins when demand is strong enough to tolerate price increases.』

まあこの二次的波及の話は一般的な説明ですが、価格ショックが実質賃金確保のための労働者の行動に繋がってそこからコストに波及して価格に波及する、という「賃金と物価の好循環」じゃないですかヤダーwww

『These processes can take place even when longer-term inflation expectations remain anchored.』

でですね、またポエムで恐縮ですが、ここも結構ワイはポイントだと思うのですけれども、中々そういう説明をしてくれる何とかストがいないのでちょっと読んでる人いたら誰か賛同してくれないかな(起源主張はしないからww)と思うのですけど、ここでシュナーベルは「(価格ショックを起点にした)賃金と物価のスパイラルは供給制約下においてはインフレ期待が安定してアンカーされた状態でも発生しうる」って言ってまして、まあ確かにそうだった(実際にはインフレ期待が上方シフトしていた可能性はもちろんあるけど観測不能なのでそこは措く)のですわな。

でもってですね、ジャパンの場合ってそもそもが長期期待インフレがゼロインフレ均衡(変態仮面ブラードが提唱した複数均衡論に乗っかって言えば、の話ですが)にアンカーされていた状態にあったものを、一旦その長期期待インフレを2%に引き上げてマイルドインフレ均衡に持って行こうとしているわけでして、当然ながらその間って言うのは長期インフレ期待を一旦不安定化させて好ましいインフレ期待の方に着地させようというプロセスなんですから、このインフレ期待がゼロインフレ均衡から離陸したばっかりのような時は大きな問題にならないかもしれませんが、2%均衡に向けて着陸させようとしたときに、「供給制約下の価格ショック」が起きて、しかもその間に金融経済政策が依然として追い風吹かしまくる政策やってたら着陸できなくてさらに上に上がっていくリスク、ってのはインフレ期待が不安定化している日本の方が寧ろヤバいんじゃないか、という話になると思うのですよ。

となりますと、今次局面で高圧経済アプローチ的発想を総理の経済ブレーン(笑)がするのはあいつら所詮は(笑)なのでまあしゃあないのですが、日銀もそれに乗ってしまうというのはよろしくない、ということになろうかと思うのですが、「そもそも今ってインフレ期待を不安定化させている状態だから」って話を意外に何とかストの皆さんがしてくれていないなあと思います。まあ確かにこの理屈(屁理屈という話もありますが)ってレポートに書くとただのポエムになってしまうのでレポートにならん、というのはあるとは思うのですが、ただまあ直近植田総裁が急に中の人が変わったのかという位の勢いで中の人のハトハトチキンを追い払って(`・ω・´)シャキーンと覚醒して来た背景には世界的標準のこの話を当てはめるにおいてインフレ期待に関する見方の変化もあるのかも知れないなとは思ったりもしました。

・・・・・すいません今朝はワイのポエムばっかりで。

『This is essentially what we observed during the pandemic inflation surge.』

でまあ本編に戻るとパンデミックの時のご教訓話になりまして、

『In 2021 and 2022, the wage drift - reflecting firm-level adjustments, bonuses and labour market pressures beyond negotiated agreements - was a dominant driver of growth in compensation per employee in the euro area (Slide 5, left-hand side).』

『In a tight labour market, employers typically offer newly hired or incumbent employees higher wages than those set out in prevailing collective agreements.[9]』

『At the same time, firms were quick to pass on rising input costs to consumers. Many firms began to adjust prices far more frequently than they had done previously, reflecting demand conditions that were sufficiently robust to accommodate this pass-through (Slide 5, right-hand side).[10]』

『In that sense, running the economy hot may make second-round effects more likely - and once these take hold, monetary policy would need to tighten more aggressively to prevent a wage-price spiral, eroding earlier employment benefits.』

価格ショックが賃金引き上げに繋がってそれがコストプッシュによる二次的効果を起こして賃金と物価のスパイラルを生みました、ってことで、「running the economy hot may make second-round effects more likely」で「once these take hold, monetary policy would need to tighten more aggressively to prevent a wage-price spiral,」というお話をしておりますわな。


・そもそも供給制約下における拡張的な政策の効果はそうでないときに比較して効果が小さいとな

『Supply-side constraints make expansionary policy less effective』って小見出しに参ります。

『The third lesson is that expansionary policies become less effective in stimulating employment once the economy is close to its potential.』

経済が均衡水準に近い状態の時にエクスパンショナリーな政策を実施するのは雇用の刺激に対してより少ない効果しか出しません、というお話をしております。まあジャパンの場合は均衡よりもマイナスです(=需給ギャップはマイナスです)で攻めてくるのでこの説明を持ち出しても刺さらないのが残念無念wwww

『In the years following the sovereign debt crisis, the euro area economy operated below capacity. Unemployment was high, labour force participation was depressed and large parts of the workforce were either underemployed or discouraged.』

『In this environment, an accommodative monetary policy stance delivered tangible gains. Existing slack was gradually reabsorbed, participation increased and unemployment fell (Slide 6, left-hand side). Monetary policy helped bring idle resources back into productive use.』

ギリシャショック(the sovereign debt crisis)の時代まで話を戻していますが、この時はユーロ圏の経済が需要不足状態(当時は「slack」ってのが良く言われていまして、FEDやECBがスラックを説明に使う中で、BOEは「スペアーキャパシティーオブエコノミー」って一々独自用語を使うのがチャーミングでした、どうでもいいですけどwww)状態にあったので、需要創出策が効果を発揮しましたよ、という所から話を起こしておりまして、

『But once slack was absorbed, policy began to run into diminishing marginal returns.[11] Matching frictions became more and more important, slowing the pace at which unemployment could fall and driving up the vacancy-to-unemployment ratio (Slide 6, right-hand side).』

『In such an environment, additional demand stimulus cannot sustainably increase employment. In fact, a large part of the improvement in euro area labour markets observed in recent years reflected supply-side responses rather than demand stimulus.[12]』

スラックが解消された後は刺激策の効果がマージナルになって来まして、「a large part of the improvement in euro area labour markets observed in recent years reflected supply-side responses rather than demand stimulus」ってことで、最近数年の雇用の改善は需要創出策によるものというよりは供給サイドの事情によるもの、との指摘が行われているのがチャーミングです。

『In particular, rising participation and a significant influx of foreign workers helped expand the labour force and alleviate shortages. Foreign-born workers accounted for around half of labour force growth in recent years, helping firms meet demand and significantly contributing to GDP growth (Slide 7).』

『In that sense, over the past 15 years, the euro area economy has transitioned from a primarily demand-constrained regime to one in which supply constraints have become more prevalent.』

『And in a supply-constrained environment, expansionary demand policies become a less effective tool for increasing employment or growth.[13]』

ユーロ圏での労働供給制約に対応した動きは「労働参加率上昇」と「外国人労働者の流入」だったというお話をしておりますな。でもってまたしつこく「And in a supply-constrained environment, expansionary demand policies become a less effective tool for increasing employment or growth.」で締めています。

以下、『Implications for monetary policy today』、『Inflation could re-emerge with tight labour markets and strong domestic demand』ってのがあって、その後『Higher productivity driven by AI may ease monetary policy stance endogenously』と続いて初手でネタにしましたイイハナシダナーの『Conclusion』になりますが今朝はこの辺で勘弁していただきとう存じます。

まあアレです、経済が大幅にビローポテンシャルで経済には大きなスラックが存在する、っていうんだったら高圧経済アプローチが有効な局面とは言えそうには思うのですが、ジャパンってどっからどう見たってそんな経済じゃないでしょ、と思うんですけどねえ・・・・・・・・・

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