朝のドラめもん

2025/12/12

お題「今日は3M短国/FEDの短国買入を「QE復活」というのはちょっと論点がずれていると思いますが・・・・」

ほほう
https://www.agrinews.co.jp/news/index/350781
2025年12月12日
全農、お米券対応に奔走 臨時発行問い合わせ相次ぐ
| ニュース| ニッポンの米| 主要記事

とのことで、

『「お米券」は全農と全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)が発行している。全農が発行する同券の名称は「おこめギフト券」。同券の流通量の約2割が全農、約8割が全米販によるものという。』(上記URL先より、以下同様)

なるほど。でもって実際におっぱじまった場合ですが・・・・・

『「お米券」を活用する自治体の総数が不明なため、どのくらいの枚数を臨時発行する必要があるかといった全体像が見通せない。だが、希望する自治体が一定数ある場合は既存の体制では間に合わない。全農は臨時券発行に向けたシステム改修や関係団体との調整を進めている。』

oh・・・・・・・


〇相変わらず3M短国は利上げの織り込みがアレですがさて本日はどうっすかねえ

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20251205.htm
国庫短期証券(第1350回)の発行予定額等

『1. 入札予定日  令和7年12月12日
2. 発行予定日   令和7年12月15日
3. 償還予定日   令和8年3月23日
4. 発行予定額   額面金額で4兆3,000億円程度
5. その他   上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。』

ということですが、短国の発行スケジュールを見ながら年の瀬を思うという変態のアタクシとしては3Mの入札が今日と来週木曜(金曜はMPM2日なので前倒し)で年内終了(その間に来週1年短国がある)ということですので、おお年の瀬じゃのうとか思ってしまいますがそれは兎も角として、

売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(12/11引値)
国庫短期証券1343 2026/02/16 平均値単利 0.540
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.560
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.589
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.620
国庫短期証券1348 2026/03/16 平均値単利 0.620
国庫短期証券1350 2026/03/23 平均値単利 0.650←新発WI

こちら売参ベースのWIレートは昨日の引けで修正されて(甘い方に)0.65%に金利上昇してはいるのですけれども、ゆうてこれ12/15〜3/23を例によって12/22で分かち計算して手前を0.50%にした場合って後ろの金利0.662%(さすがに手前が1週間になってくると後ろの金利への影響が無くなるわ)とかいう金利水準でして、それって今の政策金利ベースで考えれば0.412%とかいう水準になる訳で、短国の需給がかなりタイトだった時期でも(利上げ云々関係なかったちょっと以前のい時代の話になりますが)何のかんの言って0.40%割れってのは相当需給がタイト気味の時のレートという感じになっていまして(ちなみに昨年は10月11月に短国の需給がクソ逼迫してレートがクソ低かったが今年はそういうことにならず仕舞いでここまで来ている)この水準だと利上げ後の想定3Mレートとやや乖離があるんじゃネーノ(あくまでもアタクシの主観的感想ですのであしからずご了承ください)という気はするのですが、はてさてこの3Mがどうなるんでしょうかねえという所ではあります。

ただですね、今引用した引値の短い方を見ますと、2/16償還で0.540%とか新発の織り込み度合いがどうのこうのと言っているのが空しくなるレベルでお強い引値になっている(引値がそのレートだからと言ってそのレートでビットが立つとは限らんのが短国クオリティですが為念)訳でして、まあさすがに利上げが何ぼのもんじゃいという変態はいないでしょうけれども、クソ短くなると気配がお強い状況ではありますので(ちなみに1月償還だと昨日の引けはまさかの0.50%になっていますわな、何ぼ何でも来週利上げしたら再来週からは調整すると思いますが・・・・)入札流れるのかどうかというのもイマイチどころか今10位はワカランチ会長ではございまする。はい。


〇FOMCレビューの続き

・短国買入がQE再開という話題になっているようなのですがそれは何か違うと思うんだけど・・・・・・

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251210a1.htm
December 10, 2025
Implementation Note issued December 10, 2025

ディレクティブの4ポツ目

『Increase the System Open Market Account holdings of securities through purchases of Treasury bills and, if needed, other Treasury securities with remaining maturities of 3 years or less to maintain an ample level of reserves.』

ってのを見てQE復活みたいな言い方をしている向きも見られたんですが、それはちと違うんじゃねえのかという気がするわけですよ。

つまりですね、あくまでもこの短国(必要ならば3年以内の中期国債)購入って「to maintain an ample level of reserves」を目的として買っている訳で、これがampleじゃなくてabunduntだったらSOMAの超過準備を能動的に大幅に増やすって話なんですが、ampleリサーブレベルってのはまさに現時点でのレベルである、という認識をFEDが示しているのですから、あくまでもこの場合の短国買入はリザーブ需要に対してリアクティブに反応するものであって、リザーブをプロアクティブに増加させていくというような能動的な意味合いはないんじゃねえのか、って会見ちゃんと全部読んでいる訳でもないのに勝手に思っている訳ですよ。

と書いた所で気が付きましたが(滝汗)

初手からこれあったっけという感じなのですが、上記のインプリメンテーションノートの右の方に『Related Information』ってのがありますので、これでまあだいたいわかるでしょ、と思いながら読む訳ですよ(って書き方でお察しのように、この部分は先ほど泥縄で確認した部分ですサーセン)

Statement Regarding Reserve Management Purchases Operations

って埋め込みリンクがあって、それを踏みに行きますとこんなのになります。

https://www.newyorkfed.org//markets/opolicy/operating_policy_251210a
Operating Policy
Statement Regarding Reserve Management Purchases Operations
December 10, 2025

こちらを見ますとですね、

『On December 10, 2025, the Federal Open Market Committee (FOMC) directed the Open Market Trading Desk (the Desk) at the Federal Reserve Bank of New York to increase System Open Market Account (SOMA) securities holdings to maintain an ample level of reserves through purchases in the secondary market of Treasury bills (or, if needed, of Treasury securities with remaining maturities of 3 years or less). 』

というのが冒頭にありまして、インプリメンテーションノートに記載されているディレクティブのさっきの文言と同じ事が書いてありますので、まさにこのオペレーションについてのステートメントになるんですけど、上記部分に続きましてこの第1パラグラフでは、

『These reserve management purchases (RMPs) will be sized to accommodate projected trend growth in the demand for Federal Reserve liabilities as well as seasonal fluctuations, such as those driven by tax payment dates.』

ということですので、つまりは成長通貨に伴ってインターバンク市場における必要なリザーブの水準は引きあがって行くでしょう、という事を前提として(それはその通り)、必要なリサーブ水準がトレンドとして増加することによって、SOMAでの当座預金残高総額を維持した場合にだんだん「スケアスリザーブ(いわゆるトン調節)に近くなってくるのをこの短国買入で補う、って言ってるわけですよ。

まあそういうことですので、完全なるリアクティブではなくて、ある程度プロジェクションベースでの買入になるにはなるのですが、別にこのオペレーションによってSOMA内のリザーブ総額を必要以上に拡大しましょうという話をしている訳ではないので、やっぱり「QE再開」みたいなことを言うのは(100%間違いとは言わないけど)かなりミスリードな解説になると思いますが如何でしょうか。

でもってこのNY連銀のリリースの続きを見ますと、

『Monthly amounts of RMPs will be announced on or around the ninth business day of each month alongside a tentative schedule of purchase operations for the subsequent approximately thirty days. The Desk plans to release the first schedule on December 11, 2025, with a total amount of RMPs of approximately $40 billion in Treasury bills; purchases will start on December 12, 2025. 』

毎月このくらい買いまっせというアナウンスするようですが、とりあえず今月はだいたい400億ドルの短国を購入しますよということで、これが本当に「アンプルリザーブ維持」の規模なのか(=過剰な規模になっているかどうか)についての話はそこまでこちらも米国短期市場を見ている訳ではないので分からん。

ただですね、これって「短国と中銀当座預金の交換」取引がメインになりますので、それっていわゆるQEとはやっぱり違うんじゃないのってお話でして、もちろんこれがUSトレジャリーの方が短国を過剰発行していて、そのために短期金利が上がるのを短国買入で何とかしましょうという財政お助けスキームだったりしますと、それは事実上の財政マネタイズになる話にはなったりしますので、制度の運営がどうなっているのかという点の考察が必要かな、と思います。

『The Desk anticipates that the pace of RMPs will remain elevated for a few months to offset expected large increases in non-reserve liabilities in April.』

その後向こう数か月にわたってFEDのノンリザーブ負債(って言うとナンノコッチャと思いますが具体的には発行銀行券残高見合いとかそういう奴です)の予想される大きな拡大に対応してこの短国買入を拡大する可能性がありますよああそれから所要リザーブの拡大は来年の4月くらいまでな、という説明を行っております。

『After that, the pace of total purchases will likely be significantly reduced in line with expected seasonal patterns in Federal Reserve liabilities.』

でもってその後は季節要因によるFEDの負債状況の変化を想定した場合に短国買入は大きく減らすことになるでしょう、と言ってまして、

『Purchase amounts will be adjusted as appropriate based on the outlook for reserve supply and market conditions.』

ってことですが、要するにこれは季節要因によって増減するFEDの当座預金残高需要の増減に対して、短国買入で対応しましょう、という話をしている訳でして、実際の運営で逸脱する可能性はモチのロンでアリエールではありますが、この説明の建付けを見ますと、あくまでも短期の市場オペレーションとしての短国買入であって、誤差を押して言えば日銀が資金需給に対応して共通担保オペを実施している方のイメージに近いじゃろという風にしか読めませんな。

でまあFEDが短国買入で対応するのは、季節要因による資金需給の増減に現先方式の資金供給を行うのが事務的にできないのかメンドクサイのか制度がそもそもないのかというのは不勉強にして存じ上げませんが(すいませんすいません)短国買入でやっておけば短国は早期に期落ちが来るので、実質的には購入した短国のテナーが期日になる資金供給オペを実施しているのと同じになりますので買うのが短国だってお話になるんですな、うんうん。

あとは事務連絡でして、

『The Desk was also directed in October to reinvest all principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency securities into Treasury bills via secondary market purchases. The monthly schedule of planned purchases will include RMPs as well as these purchases.』

買い切りMBSのテナーが来た時の元本部分の再投資に関してもこのオペレーションに含めるそうな。

『The Desk plans to distribute the monthly secondary market purchases across two Treasury bill sectors. Purchase amounts in each sector will be determined by sector weights. These sector weights will be based on the 12-month average of the par amount of Treasury bills outstanding in each sector relative to the total amount outstanding across the two sectors as initially measured at the end of September 2025.』

『Additional information on RMPs and reinvestment operations can be found in the following locations:』

買入に関してのQAがあるのですが、短国買入に関しては全部まとめて一緒くたではなくて、テナーによって2つのブラケットを設けて、このブラケットで幾ら買う、みたいな買い方をするようですが、その辺の細かい話は割愛しますというかこっち見てちょんまげ。

https://www.newyorkfed.org/markets/reserve-management-reinvestment-purchases-faq
FAQs: Reserve Management Purchases and Reinvestment Purchases
December 10, 2025

The following frequently asked questions (FAQs) provide further information about the Federal Reserve's secondary market transactions in Treasury securities.

ちなみに最初の方に表がありますが、

BILLS
SECTOR         1-4 months   4-12 months
SECTOR WEIGHT      75%       25%

ってなっているので、1-4Mテナーの短国が買入全体の75%、4-12Mテナーの短国が買入全体の25%ということで、大体は短い短国を買いますよというお話をしておりますね。


・むしろ重要なのはレポファシリティの常設フルアロットメント化でありまして

URL再掲
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251210a1.htm
December 10, 2025
Implementation Note issued December 10, 2025

アタクシに言わせますと(なのでアタクシの主観ですので為念)ディレクティブ2ポツ目の

『Conduct standing overnight repurchase agreement operations at a rate of 3.75 percent.』

の方でが重要でしょ、ってことでして、翌日物レポオペをフルアロットメントにした方が短期金利の跳ね上がり抑制に効く話で、こっちの方を重要視されるべきだと思うのですが、あまりにもQE再開とかいう文字列が世の中に踊っていたのでそれはちとチャウんじゃなかろうかと思って書いてみましたが、そっちの説明もインプリメンテーションノートの埋め込みリンク先にありまして、


https://www.newyorkfed.org/markets/opolicy/operating_policy_251210
Operating Policy
Statement Regarding Standing Overnight Repo Operations
December 10, 2025

『In accordance with the FOMC implementation note issued December 10, 2025, the Open Market Trading Desk (the Desk) at the Federal Reserve Bank of New York will make the following adjustments to standing overnight repurchase agreement (repo) operations effective December 11, 2025.』

はい。

『Going forward, standing overnight repo operations will no longer have an aggregate operational limit and will be conducted in a full allotment format using the FedTrade Plus trading platform. 』

フルアロットメントだし指値オペになりましたよ、という話ですが、テクニカルには

『Eligible counterparties may submit one proposition per security type during each of the twice daily operation times, with a maximum per-proposition amount of $40 billion. 』

この辺の事務的な話はワイ当然ながらこのオペレーションを触ったことが無いので不勉強で恐縮ですが、事務面の制約なのか何だかわかりませんが、1ポーションで400億ドルまでしか入れられないというような制限はあるみたいですね。よくわからんが(すいませんすいませんすいません)。

『Propositions will be awarded at the standing overnight repo operation rate immediately following the operation close time. All other operational parameters are unchanged.

Additional information can be found at the Repo and Reverse Repo Agreements page or in Frequently Asked Questions.』

ってなことでFAQがあるのだがこの辺はそもそも自分で触ってないものなので読んだとてワカランチ会長の悪寒が(大汗)

https://www.newyorkfed.org/markets/repo-agreement-ops-faq
FAQs: Standing Repo Facility
December 10, 2025

The following frequently asked questions (FAQs) provide further information about the Federal Reserve's Standing Repo Facility (SRF) operations.

・・・・てなところで今朝は勘弁してつかあさい(会見ネタは週明けでおゆるしくだせえお代官様)




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