朝のドラめもん

2026/02/12

お題「25日に審議委員人事案とな/供給制約の物価変動への影響に関するスタッフペーパーから」

連日慌ただしいですのう
https://jp.reuters.com/markets/japan/DV4UPAZCV5IEJBHSJNSZESA62M-2026-02-10/
米12月小売売上高、予想外の伸び悩み 個人消費に減速の兆し
Lucia Mutikani
2026年2月10日午後 11:28 GMT+9

https://jp.reuters.com/markets/japan/T47FBQXFMNINDGJMUXFI4GEZUI-2026-02-11/
1月米雇用、13万人増と1年超ぶり大幅増 失業率4.3%に改善
Lucia Mutikani
2026年2月11日午後 10:53 GMT+9


それはそうとしましてこれはクソワロタ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1134V0R10C26A2000000/
中国、高市早苗首相への祝意は「恥」 台湾の頼氏を非難
日中対立
2026年2月11日 21:39

こんな横暴ムーブを言えば言うほど大陸中国政府に対する日本の感情を悪化させるのは三歳の童子でもわかりそうな話なのですが、これは大陸中国政府による一種のツンデレということなのかと思ってしまいました(違)wwwwwwwww


〇再来週の人事案提示が楽しみになってまいりました!!!!!

https://jp.reuters.com/economy/LVN645GQ4NNBJN73LVIARMDZUE-2026-02-10/
野口日銀委員の後任含む同意人事案、25日にも提示=関係筋
竹本能文, 山口貴也
2026年2月10日午後 5:48 GMT+9

『[東京 10日 ロイター] - 政府は3月31日に任期を迎える日銀の野口旭審議委員の後任を含む複数の政府系機関の国会同意人事案を25日にも提示する。複数の政府・与党関係者が10日までに明らかにした。6月末に任期を迎える日銀の中川順子審議委員の後任も提示される可能性がある。』(上記URL先より)

まあ誰がノミネートされるのかは存じませんが、どうせなら洋一とゆかいな仲間たちの皆さんが堂々のノミネートして頂きまして、面白発言を全力でぶっこんで頂く方が(別にベストとは思わないが)よろしいんじゃないかと思う訳で、ここで変に普通の人を選んだ挙句に総裁副総裁人事で飛んでも無いのを出してくる方が我が国にとっては最もヤバイ訳ですな。拙駄文では「どうせ爆発するなら早めに爆発して頂ければボヤ騒ぎ程度で済むのだから頑張って延命しようとするのは却ってよくない」という発想で物事を考えるようになっておりますのであしからずご了承ください。

色々と下馬評はあるみたいだし、特にアレ系の方面では本格派のアレな経済学者(しかし本格派のアレなのに経済学者が務まるとかいうジャパンの経済学って学問の名に値しないとしか思えませんw)も下馬評に挙がっているようですが、「日銀が国債を買えば債務が消滅する」とかいうジンバブエ理論を堂々と朝日新聞のインタビューで説明していたせいでジンバブエ何とかとかいう二つ名でもお馴染みの某おじさんが審議委員になったりもしたことがある訳で、さてどんなのが出てくるのやらですが、弊駄文では「ホンモノのアレ」がノミネートされて本格派の危険球連発思想が注目されて頂ければと祈念しておりますwwww


〇供給制約と物価変動という調査統計局謹製のスタッフペーパーも出ていたんですよね

もはや先月末の話でしたが、企画局謹製で「アンダーライングのトレンドインフレが2%行ってるんじゃネーノ」というのが出ていた訳ですが、同時期にこの2本立て企画が出ておりました。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2026/wp26j02.htm
供給制約と物価変動

https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2026/ron260204a.htm
東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局
第11回共催コンファレンス:「供給制約経済への移行:その含意と課題」の模様
2026年2月4日
日本銀行調査統計局

上の方にあるペーパーは、この共催コンファレンスの第3セッションのお題として出ていたものですが、とりあえずペーパーの方を見ますとですなあ・・・・・

(再掲)
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2026/wp26j02.htm
供給制約と物価変動
2026年2月4日
安達孔*1
岡元雅人*2
倉知善行*3
須合智広*4
豊田融世*5

でもってこの著者の皆様の所属を拝見しますと、全員そろって調査統計局のお方、ということでして、つまりは企画局謹製の政策的下心成分が少なめになりますよ(無いとは言ってない)という物件となりますが・・・・・

こちらにある『要旨』というのがエグゼクティブサマリーになりますが、

『本稿では、供給制約が物価変動に及ぼす影響やそのメカニズムを実証・理論の両面から分析する。また、供給制約と物価変動の関係を巡る近年の変化や供給制約が物価変動に及ぼす影響の緩和策についても考察する。』

ほうほうほう。

『分析では、近年の供給制約の強まりが次の経路を介して、わが国の物価変動に影響を及ぼしたことが示された。』

ということですが、

『第1に、労働や原材料の供給制約の強まりが、要素価格の上昇などを介して、インフレ率に持続的な影響を及ぼした。』

『第2に、労働の供給制約の強まりは、需要変動に対するインフレ率の感応度を高めるという非線形性を介して、近年のインフレ率の押し上げに作用した。この間、持続的な供給制約が、緩和的な金融環境のもとで、インフレ予想の上昇にも寄与したことが示唆された。』

「緩和的な金融環境のもとで」と入れる辺りが企画局スタッフ謹製ペーパー臭を感じさせるのですが、最近の日銀のスタッフペーパーはどうもアタクシ思いまするに、「多角的レビューの呪縛」にかなり毒されているわと思う次第でして(個人の偏見です)、あの多角的レビューって金融緩和政策まだ出口も始まっていない段階でおっぱじめた「歴史編纂」であって、しかもこれをやっている時点で(今でもそうですが)植田総裁以下の日銀の偉い人の皆様が黒田緩和を全面的に無批判で受け入れた上で出口政策の着手を実施(したので出口が明らかにビハインドして弊害が発生しているとしか思えんのだが)した、というのがありますので、思いっきり過去の政策が当を得ていたから物価が上がりました云々のトーンになっていまして、でまあそれは調査統計局も含めて日銀全体でそれを是としているので、その呪縛に綺麗に乗ってこのような一言が入るんですなあ、とまあそういう風に思いました。

以前も拙駄文で書きましたが、過去のレビューっての(PDCAみたいな話ではなく)を歴史編纂として行うならばある程度時間が経過してから行うべし、というのは中国の歴代王朝が前王朝の歴史を編纂する際に、王朝交代後相当の期間が経過してから実施している(例外は明の太祖の時代に編纂された元の歴史(元史)ですがその後改訂版が作られることになった訳ですし)訳で、まあ何ちゅうかあの「拙速な」多角的レビューはこれから変な呪縛になってしまって、日銀の政策分析に対して悪影響を与えないか、というのが心配になりました。

ってたかだか1つの文言でこれだけ心配するアタクシの方が変態といってしまえばぐうの音も出ませんがwwwwww

まあそれは兎も角として、

『また、分析からは、近年、供給制約の強まりによる物価上昇圧力が、頻繁かつ大きくなってきている可能性が示唆された。先行き、労働の供給制約が深刻化していけば、物価上昇圧力が非線形的に強まることも考えられる。AIの活用をはじめとする企業の取り組みや政府の各種施策により、技術進歩を実現していくことや、労働力の産業間・企業間移動を円滑化していくことは、わが国の供給制約を緩和するうえで重要であると考えられる。』

>先行き、労働の供給制約が深刻化していけば、物価上昇圧力が非線形的に強まることも考えられる

ほうほうそうですかってなもんで、これすなわち「物価上振れリスク」って奴だし、非線形的に強まるのはさらにその中でもタチの悪い物価上昇リスク、ということになるので先般の企画局スタッフ謹製の「基調物価は2%かも」との合わせ技で考えればこれもまたしらっと重い結論を入れてますなあという感じですな。


でもって本編ですが、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2026/data/wp26j02.pdf
供給制約と物価変動

『1.はじめに』ってところから参りますと、

『2020 年代の前半は、商品市況や食料品価格の上昇を契機にグローバルな物価上昇が生じた。この背後では、様々な分野において供給制約が生じたことが、インフレ率の上昇に大きく影響したとの認識が共有されている 1。』

さいですな。

『加えて、供給制約下で、財政・金融面からの需要刺激策による物価押し上げ効果が非線形的に拡大したとの指摘もみられている。』

どさくさに紛れてしらっと重要な論点をぶっこんでおりまして、これ即ち今まさに行われようとしている「高圧経済アプローチ」は物価上昇を非線形的に押し上げる可能性がありまっせ、というのを「〜という指摘も見られている」というイタコアプローチで砲撃しているのが中々お洒落です。

『こうした経験を踏まえ、中央銀行や国際機関においては、先行き、供給面に起因した物価上昇圧力が形を変えながら頻繁に生じることや持続性を持つことへの警戒感が強い 2。』

んな訳でさっきは呪縛だの何だの申し上げましたが、このペーパー細かい所ではチョイチョイと物価上昇アルデーって話をしているのがチャーミングです。

『これらは、経済・物価を取り巻く環境の変化や、物価の形成メカニズムについて一段の分析の必要性を示唆している。』

ということで、

『わが国を取り巻く環境に目を向けると、少子高齢化が進むなか、追加的な労働供給余地が縮小しているほか、長く複雑なサプライチェーンや輸入エネルギーへの高い依存度といった国際経済の分断への脆弱性も抱えている。こうした環境が続くもとで、先行き、様々な要素市場において供給制約に直面していく可能性がある。このことを踏まえると、物価変動の背景を的確に把握し、先行きを正確に見通すために、供給制約が物価のダイナミクスに及ぼす影響やそのメカニズムについて分析を深めることの重要性は高まっているといえる。』

となりまして、

『以上の問題意識を踏まえ、本稿では、供給制約がわが国の物価変動に及ぼす影響について、実証・理論の両面から分析を行う。本稿の分析の位置付けや貢献は以下の 3 点である。』

この3点ですが、

『第 1 に、本稿の分析は、供給制約の強まりが近年のインフレ率やインフレ予想に及ぼした影響を示した研究と関連している。本稿では、わが国のデータを用いて、Ascari et al. (2024)や Diaz et al. (2024)といった米欧を中心とした先行研究と同様に、構造 VAR モデルによる分析を行った 3。特に、供給制約下にある生産要素や制約の持続性による影響の違いを分析対象とした点は、本稿の特徴である。』

インフレ予想に及ぼした影響とな。

『第 2 に、本稿は物価変動の非線形性を巡る研究と関連している。労働の供給制約を勘案した本稿の DSGE モデルは、米欧を対象とした Boehm and PandalaiNayar (2022)や Comin et al. (2023)などの先行研究の中に位置づけられる。労働の供給制約がフィリップス曲線をスティープ化させ得ることを示した本稿の結果は、わが国におけるインフレ率の非線形性を巡る議論(Sasaki et al. (2024)、Yagi et al. (2025))に示唆を与えるものである。』

QQEでフィリップスカーブのスティープ化を、という話も当初は有ったのですが結局はこういうことになりましたな。

『第 3 に、わが国の過去の供給制約の経験を包括的に振り返ったうえで、供給制約への対応策について分析を加えた点も本稿の貢献といえる。』

てな話なのですが、盛大に話が飛びまして、供給制約の対応という面での話が第5節にあるんですが、

『5.供給制約への対応策』

『前節までの分析から示唆された供給制約を巡る先行きのリスクやその影響を軽減し得る対応策について考察するため、本節では、供給制約への対応策に関する最近の議論を整理したうえで、わが国が過去に経験した様々な供給制約を概観し、それらの制約を受けたわが国企業の対応について分析する。そのうえで、こうした対応策の有効性について、前節の DSGE モデルを用いて議論する。』

ってのがありますが、以下小見出しが『5.1.供給制約への対応策に関する最近の議論』、『5.2.わが国の供給制約の経験と対応』ってあって、『(1960 年代:第1のルイスの転換点)』、『(1970〜80 年代:オイルショック)』、『(2010 年代:東日本大震災・タイ洪水)』、『(供給制約を受けた経済の技術進歩)』、『5.3.対応策の有効性に関する DSGE モデルの含意』、『(ロボット・AI を活用した労働節約的な技術進歩)』、『(リスキリング等を通じた労働移動の円滑化)』ということでマクロ政策の話はしていないので、そういう点では思いっきり毒気が無い物件に仕上がっております。


でもって最後に結論が有って、『6.まとめ』の途中までは最初の「要旨」にあったのと同じなのですが、

『また、分析からは、近年、供給制約の強まりによる物価上昇圧力が、頻繁かつ大きくなってきている可能性が示唆された。先行き、労働の供給制約が深刻化していけば、物価上昇圧力が非線形的に強まることも考えられる。』

というのまでは同じですが、

『こうした点に対して、モデルによるシミュレーションが示唆するように、AI の利活用など、企業の取り組みや政府の各種施策により、技術進歩を実現していくことや、労働力の産業間・企業間移動を円滑化していくことは、わが国の供給制約を緩和するうえで重要であると考えられる。』

という点は先ほど小見出し並べた第5節の通りでして、マクロ政策への含意もある筈なのですがそこはスルーってのもちょっと残念なところではあります。その続きがありまして、

『ただし、本稿の分析結果を巡っては、サンプル期間の多くが物価上昇を伴わない期間であるという留意点もある。』

ってのがきっちり入っているのは企画局謹製スタッフペーパーとは違っているのでイイヨイイヨーと思いましたw

『また、モデルの面でも、構造 VAR モデルにNarrative な符号制約を導入して供給制約の識別を精緻化することが考えられるほか、DSGE モデルにおいて、労働市場におけるサーチ・マッチング・メカニズムや買い手独占を組み込むことで、供給制約下の労働者の賃金決定を精緻化していくことも課題として考えられる。』

『今後も、データの蓄積を待ちながら、モデルの改良を続け、供給面の要因と物価のダイナミクスの関係について分析を深めていく必要があるといえる。』

ということで終わりまして、分析を深めるのは結構なのだがマクロ政策への示唆をしめしてほしかったかなという所ではありますけど、「供給制約型社会に移行してくると物価が上振れしやすいし、何なら非線形的な変化が起こる可能性だってありますよ」という説明は今の日銀の金融政策運営的に言えば「中立金利に向けて徐々に金融緩和を縮小すべき」という話に通じる話ではありますな、と思いました。

今朝はこの辺で勘弁











トップページに戻る