朝のドラめもん
2024/12/20
お題「一大スペクタクル円安ショーとなった会見雑感とその背景について妄想してみましょう」
明日は我が身かもしれません
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-19/SOR232T0AFB400
ブラジルが記録的ドル売り介入、効果持続には疑問符−当局者に無力感
Martha Viotti Beck、Vinicius Andrade、Maria Eloisa Capurro、Leda Alvim
2024年12月20日 3:42 JST
→ブラジル中銀、80億ドルのドル売り入札−1日として過去最大規模
→債務懸念対応にルラ大統領は関心なし、資本流出止まらず
〇決定会合ですが何せ今回は総裁会見がエンターテイメントとしてはバチクソ面白かった件について(面白くない)
通常の決定会合レビューと順序を変えてお送りします。そらそうよという感じですが。
・円安ショーとしては大変に秀逸としか言いようのない総裁会見芸を遺憾なく発揮してくれました
昨日の為替市場ちゃんですが、MPMの結果が出た後って、円債の方は(前場は米国金利上昇を受けて下から始まったものの戻り基調で前場は当日の高値と言っても前日比はマイナスですが、そんな水準でしたけど)後場になっても「そらそうじゃろ」ということで横ばいから始まったのですが・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014672371000.html
日銀 追加利上げ見送り受け 円安進む
2024年12月19日 12時10分
『19日の東京外国為替市場、日銀が金融政策決定会合で追加の利上げを見送ったことを受けて、円を売ってドルを買う動きが進み、円相場はおよそ1か月ぶりに一時1ドル=155円台まで値下がりしています。』(上記URL先より)
ということで、決定会合の結果出た後円安に思いっきり振れまして、まあ正直円債の中の人的に言えば「日銀が余程発狂しない限り利上げはせんの明らかなのに明らかな結果が出て何でこんなに動いとるんじゃ為替市場はゴリラの集まりか何かか」などとせせら笑っていたわけですな。
なおこのせせら笑いが実はアカンタレであったことが15時以降に判明するのですが・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014672641000.html
円相場 一時1ドル=157円台に 日銀 植田総裁の発言受け
2024年12月19日 18時54分
wwwwwwwwwwww
『日銀は19日までの2日間、金融政策決定会合を開き、追加の利上げを見送ることを決めました。これを受けて東京外国為替市場では、日本とアメリカの金利差が縮まりにくいという観測から、19日正午前に、円相場は1ドル=155円台まで値下がりしました。』(上記URL先より、以下同様)
というのはさっきのですが、
『さらに午後に開かれた会見で、植田総裁が今後の追加の利上げのタイミングについて、「来年の春闘に向けたモメンタム(勢い)など、今後の賃金の動向について、もう少し情報が必要だ」などと発言したことから、日銀が来月の会合でも利上げを見送るのではないかという見方が出るなどして、円安が一段と進み、午後6時前には、円相場は一時、1ドル=157円台まで値下がりしました。1ドル=157円台となるのは、ことし7月23日以来およそ5か月ぶりです。』
とまあ大変にお洒落なことになってしまいまして、
『市場関係者は「今月は追加利上げを見送っても、来月は利上げするのではないかとみる投資家も多かった。ただ植田総裁の発言を受けて、来月の追加利上げも見送られるのではないかという見方が急速に強まり、一段と円売りドル買いの動きが進んだ」と話しています。』
いやもう今回の総裁会見、円安ショーというエンターテイメントだと思いますとそらもうめちゃめちゃ面白くて、最初の方の質疑で「それを言ったら折角市場が1月利上げでコンセンサスできているのを叩き潰す」という「米国次期政権の政策ガー」を言い出したからそらもう大変、この発言出て(ちなみに幹事社質問への回答です)早速155円台後半というか80銭レベルまで行き、その後も「で何で今回利上げしなかったんですか」「今後何を見ていきたいんですか」というような質問に対して重ね重ねの勢いでバンバンと言ってることを額面通りに受け取れば1月に利上げできる判断にならない、なぜなら今後見極めていくことが「米国新政権の政策とその影響」や「春闘の全体像」とか言ってるんですからそらそうよという話でして・・・・・・
まず「米国新政権の政策とその影響」って言い出したらそんなのほぼ無限(トランプの任期中ずっと)見極める理由の言い訳に使える話ですし、「春闘の全体像」って話をしだすと、これ利上げするにしたって春闘は年に1回しかないんだからじゃあお前ら政策調整を年に1回しかしないつもりかという話になってしまう訳でして、まあこんな説明言われたら(しかも繰り返し)円安に飛んでくださいといってるようなもんでありまして、アタクシの手元のノートのメモだと会見開始後20分ちょい(手元には1553と書いてあるが気が付くの遅れている可能性あるので)で156円に乗って、開始30分後(1601と書いてある)には156円20銭近辺、開始45分後くらい(1617と書いてある)には156円60銭水準、ということで、総裁が説明するたびに円安飛ぶ飛ぶ炎と燃えてということで、大変に闘魂がこもったドル円市場の推移となりました。
会見後に海外ニキが本格的にお目ざめになって会見の内容を確認したんでしょうか、その後上記ニュースにあるように夕方遅くには157円に乗りまして、今朝は米国要因でさらに円安加速しておりますわな。
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 157.41 JPY
変化 2.59
変化% +1.68%
2024年12月20日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
いやーこれは円安ショーとしては4月決定会合以来の見事なショーでしたが、前回の時は例の「為替は基調的な物価に影響ありません」一発でしたけれども、今回のエンタメとして秀逸だったのは、冒頭から植田総裁の発言が円安煽りモードになっている上に総裁が円安に飛ぶキーワードを何度も畳みかけるという息もつかさぬ円安芸を披露してくれたことでして、リアタイで日銀よつべチャンネル見ながら為替と債券先物の値段見てて笑い死にそうになりました(笑えないけど)。
ちなみに日銀よつべチャンネルですが、会見スタート時は同接2000ちょっとだったのですけど、会見が飛んでもない円安ショーの様相を呈してきまして、ふと16時過ぎに見たら同接5000近く(手元のメモでは1608同接4980とあります)に爆増しておりまして、如何に今回の円安ショーがショーとしては秀逸なものであったか、ということが見て取れると思います、アイヤー。
〇何で1月利上げのコンセンサスを叩き潰して円安を盛大に煽ったのかについて愚考してみる
ということでこういうのは3つくらい並べると頭がよさそうに見える、ってばあちゃんが言ってたので3つの可能性ということで申し上げるわけですがwww
可能性その1:円安上等高圧経済ヒャッハーのスタンスであって政策調整とかクソくらえモード
まあ何ですな、植田さんだって何度も説明していたし、ちゃんと想定問答集見ながら説明していましたので、そもそも論として今回の説明ってのは大本営謹製の想定問答に沿った説明で、植田さんがうっかり失言とかいうレベル(4月のはどっちかと言えば「言っちまった」感じのポロリ系の要素が強かったように見えますが、今回のは明らかに「こう説明します」という意図が十分に感じられる大スペクタクルハトハトチキンショーにしか見えませんでした)ではないのは明らかです。
でですね、折角市場が1月利上げのコンセンサスとなっていて、ただまあ12月やらないにして1月利上げに関してやれ米国新政権だの不確実性だの言い出してしまうと、1月やらないのではの疑念が出るよね、って少なくとも円債市場ちゃんでは思ってた訳ですよ。だって12月と1月の間に何か新しいネタがあるかっていうと春闘に関しての頭出しと支店長会議でのアネクドータルな情報ってくらいになりますから。
ということですから、今回って利上げ見送りになるにしても、あんまり米国新政権ガーとかいうのではなくて「状況は進展しているもののタイミングは今日ではない」みたいな感じで含みを持たせる(その点、今回って田村委員が利上げ提案という勇気溢れる行動に出たので、その利上げ提案をうまいこと使う手もあったのですが会見では綺麗にその逆をしていました)という感じで会見をしないと、1月利上げ見送るんじゃネーノという話になって、コンセンサスビューが動いてしまうので、そらまあ為替に影響滅茶苦茶するわな、というのはまあ普通は分かる話な訳ですよね。しかも米国が(ワイ的には別にこんなもんじゃろと思ったけど米国市場的には)ホーキッシュ利下げをしたのもあるんだし。
・・・・・・とまあそういうわけですので、わざわざ1月利上げを確信犯で叩き潰しに行くような情報発信をしているのは、円安上等なんなら高圧経済じゃヒャッハー、と突然アベノミクスの亡霊が日銀によみがえったとでも考えないと説明がつきませんわ、というのがその1ですな。
その2:円安にぶっ飛ばして1月利上げの機運を煽るという驚異のスーイサイドアタック
実は日銀ちゃん、本当は早期の緩和調整をしたいんだけど、今の状況だと政治方面とか政府方面とかがイマイチ利上げOKで盛り上がってくれないので、今回驚異の円安自爆特攻を図ることによって円安を煽り、その結果「日銀様おねげえです利上げしてくだせえ」と盛り上がらん連中に火を点けて1月利上げに持っていこう、という作戦。
・・・・あのーすいませんその自爆ってこっち散々巻き込まれるんで(最近になって生活価格の一段の上昇を実感している第二種兼業主夫としてはマジ切実)勘弁してくれませんかというかそういうヤケクソ特攻するのは如何なものかと思いますが、まあ確かに「物価高は怪しからん」とか言いながら「高圧経済」とか言っている度し難い馬鹿が国会方面にゴロゴロ転がっているので、この馬鹿どもにてめえらの言ってることの愚劣さを知らしめるというのも致しかたないのかもしれませんな、あっはっは。
その3:そもそもこの受け答えをすると利上げ観測の後退から円安にぶっ飛ぶという認識が無かった
とまあそういう訳で、その1その2は前提として「日銀はちゃんとわかってて今回市場のコンセンサスビューと思われる1月利上げ観測を叩き壊しに行っている」ということから話が入っていますが、その3というのはこれはもういわゆる一つの「ハンロンの剃刀」でございます(ご存じない方は調べて味噌)wwwwwwwwwww
なんせ大本営ちゃん、11月末の日経新聞総裁インタビューであんな両論併記発言を総裁にさせたら市場は「見たいものを見る」んだから12月利上げビューでヒャッハーやってる人たちがヒャッハーしてしまうので、(ウソか真かしらんけどその後のお気持ち駄々洩れ報道による推測では)12月利上げ観測を鎮静化させようとしてあのインタビューを組んだ、という時点で、まあ市場に対する発言などの出し方を分かっていないというか下手糞の極みである、という疑惑が思いっきり湧いて出てくるのですな。
ということはですよ、実は今回の会見も別に円安を煽るような意図は無かった、という大変に斜め上の事故事案、という可能性もあるわけですな恐ろしいことにwwwwwwwwww
まあこの3つのうちのどれか、という事になろうかとは思うのですが、アタクシ正直その3である可能性が一番高かろうと思っているのですけどqqqqq、さてどうなるんでしょうか・・・・・・・
〇来週の経団連での総裁講演がやたら重要になってまいりました!!!!!
まあそんなわけで、上記3つの可能性に関しまして、もし「その3」の「ああいう説明をしたら市場は円安にかっ飛ぶ」(しかもただでなくさえ12月末とかいう時期で市場に残っている投機筋って手負いのヒグマみたいなのしか居ないというヤバい時期なので市場が飛びだすと大変なことになりやすい時間帯ですわな)というのを分からんで無邪気に地雷原でブレイクダンスを踊りまくり、といった場合ですと、来週25日水曜に行われる年末恒例の経団連での講演で慌てて1月利上げあるで音頭を踊りだすことになりますわな。
でまあそうじゃなくて今回の会見と同じく「米国新政権の政策の動向ガー」とか言ってるようですと、来週はもう160円どころかこの前の安値の162円台も抜きに行くという大変に素敵な年末年始を送ることになっても不思議ではない、というどうしてこうなったという可能性が出てくる訳ですな。
という訳で、来週水曜日の経団連講演はワシの妄想のどれが(さっきも申し上げましたがワシは「日銀はこうなると思わないで想定問答作って今頃真っ青になっている」説w)正解だったのか、というのの一部の答え合わせができるかと存じますので、年内無風とか言ってる場合じゃなくなってしまいましてこれはもう来週の相場も目が離せない(というかそもそも今日の相場が目が離せないのですがw)ということになってまいりました、おそロシア・・・・・
まあしかしアレです、今の時点で1月利上げ観測が完全に死んだのかと言えば逆に「円安飛んで1月泣きながら(特攻スキームだったら泣いてるふりして腹の中ではニッコリしながら)利上げに追い込まれるから結局1月利上げじゃろ」という読み筋もかなり有力なので別に1月利上げ観測は死んではいないですし、なんなら円安飛んだら益々1月利上げが現実味を帯びてくるというのが面白パズルなんですけど、まあそれはそれとしまして来週の経団連講演でいきなりタカ転したらコミュ障ここに極まれりということで、それはそれで抱腹絶倒のコミュニケーション芸をお見せした1か月、ということになりますな、はーやだやだ。
〇という事で雑談ばっかりになってしまいましたので備忘めもだけ
・声明文は基本変わらずだが「政策金利の調整」文言わざわざ削らんでもええじゃろ
今回の声明文、先行きの金融政策のところでクソくだらない事を書いたから肝心の「見通し通りなら政策金利の調整」が抜けててナンジャソラと思ったら、そこは総裁会見の冒頭の説明(事実上のオープニングリマーク)のところで発言していたので安心しましたが、重要文言抜くんじゃねえよと思いました。
・田村委員の利上げ提案
感動した!!!
・多角的レビュー
声明文の方でも「効果と副作用の分析をしたのでそれを生かして」みたいなことを書いてあったのだが、あのとんでもない大規模緩和政策の副作用は「出口」の時に顕在化するものであって、現状って出口の入り口のあたりでああでもないこうでもない米国新政権ガーとか言ってる状態であって、その時点で副作用はこうでしたとかいうのは馬鹿にしとるのかとしか申し上げようがない。
・でもって今日は年内最後の3か月TDB入札なんですが・・・・・・
まあもともと短国の金利水準自体がクッソ低いので実はそこまで影響しないのかもしれませんがさてどうなるんでしょうかね
ということで今朝は勘弁してつかあさい
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