朝のドラめもん
2025/09/16
お題「短国6M激強に対して3Mはまあ普通の結果/利下げしろのトランプがブラード選ぶとも思えんが・・・・/金研国際コンファランスから」
非常事態はお前の頭だよ
https://jp.reuters.com/world/us/AF7JOZM6JVISVGQRCAEZSTZRBM-2025-09-15/
トランプ氏、首都ワシントンに国家非常事態宣言と表明 連邦化も
By ロイター編集
2025年9月15日午後 3:55 GMT+9
『[15日 ロイター] - トランプ米大統領は15日、首都ワシントンの警察が移民・税関捜査局(ICE)に協力しないとバウザー市長が発言したことを受け、国家非常事態を宣言し、連邦化すると表明した。問題となっているのは米国に不法滞在・入国している個人に関する情報提供だ。トランプ氏の警告は、2000人以上の兵士が市内を巡回するなど、連邦政府の越権行為と批判されている動きをさらに強めるものとなる。』(上記URL先より)
何でそれが国家非常事態宣言になるんだよ・・・・・・
〇短国3Mは結局0.43%平均の0.45%台足切りで引けは0.445%か・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250912.htm
国庫短期証券(第1331回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1331回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1331回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年9月16日
4.償還期限 令和7年12月15日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆3,231億円
(2)募入決定額 3兆3,213億4,000万円
(3)募入最低価格 99円88銭9厘0毛
(募入最高利回り) (0.4506%)
(4)募入最低価格における案分比率 40.5664%
(5)募入平均価格 99円89銭2厘8毛
(募入平均利回り) (0.4352%)
先週火曜に行われた6M短国の入札が0.5135%/0.5195%になったあと、引値は0.48%とかいうやたらめったら堅調な展開になっていたのですが、こっちの3Mの方が0.4352%/0.4506%と0.4台後半にはなりませんでしたが0.4台半ばまで流れておりまして、6Mがまるで来年の3月位まで利上げが無さそうな値付けになっているのに何ですかこれという感じです。いやまあ確かに来年3月まで利上げ無いんだったらその値付けが正当化されるのですが・・・・・
でまあ一方でこうやっている間に円債ちゃんって連日ツイストフラットとかしていて、何が何やらという感じではあるのですが、この3Mの売買参考統計値を拝見しますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(9/12引値)
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.444
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.444
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.444
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.445←新発3M
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.445←今週木曜(金曜はMPM2日目なので)入札の3MWI
(9/11引値)
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.430
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.430
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.430
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.430
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.430
ということで、引値は平均の0.435%のほうではなくて足切りの0.450%の方に寄った水準になっていまして、火曜日の6M短国は何だったのか(まあ担保ニーズとかそういうのでちょうど良かった(12月末と3月末を両方跨ぐというメリットがあるのは確かにそうです)とかいうお家の事情ニーズだったんだろうなあという所ではありますが)というお話になるのですけれども、まあ利上げしてこの方しばらくの間は3M短国が0.40%割れがずっと続いていたことを踏まえますと(利上げ観測で下駄はいているのにこれかよという話もあるけどそこに目をつぶれば)0.4%台半ば程度まで来ただけマシ、という話ですが、そうは言いましてもタームプレミアムもへったくれもあったもんじゃないというこの利回りは何とかならんのかねとは思います。発行が増えるしかないんですけどね。
〇インフレ重視派をトラ公が選ぶとも思えんのだが・・・・・
ところで変態仮面のこんなニュースが来てたんだが
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/4GVBCIH3VJNZNHU6QWMN2ZUVO4-2025-09-15/
前セントルイス連銀総裁、FRB議長就任に「強い関心」 財務長官と先週協議
By ロイター編集
2025年9月16日午前 5:20 GMT+9
『[15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の次期議長候補の一人に名前が挙がっているジェームズ・ブラード前セントルイス地区連銀総裁は15日、ベセント財務長官と先週、協議したと明らかにし、適切な条件が整えば次期議長に就任することに「強い関心」があると語った。
ブラード氏はロイターのインタビューに対し、10日にベセント氏とFRB議長のポストなどについて協議したと述べた。また、FRBは独立性を確保すると同時に、米ドルを防衛し、低インフレを維持しなければならないと語った。』(上記URL先より)
ブラードってガチガチの物価重視派で、ついでに言えば物価に関しては「そもそも物価安定の目的を考えればコア指数を目標であるかのように重視するのも良くない」というのをかなり昔(これはエネルギー価格が上がっていたときだったかな)に書いていたりしましたな。
ちなみについこの前までセントルイス連銀のサイトには「ブラード総裁のお部屋」が残っていてブラ―ドのいろんなペーパーへのリンクがバシバシとあったのですが、先般サイトをアップデートしてFRASERの方にだいたいアーカイブされてしまったのですが。2011年にこんなの書いててネタにした覚えがあります。
https://fraser.stlouisfed.org/files/docs/publications/frbslreview/rev_stls_2011_v93_no4.pdf
Measuring Inflation: The Core Is Rotten
FEDERAL RESERVE BANK OF ST. LOUIS REVIEW
とまあそういう人なんで、物価が低いうちはハト派に見えて物価が上がりだしてからはタカ派に見えたというお方なんですけど、要するにゴリゴリの物価重視派だというお方なので利下げしろとか言われましても物価が上振れている状況下で中立以下に金利下げる訳は無いし、中立にだって下げるかどうか怪しいですな。なお、変態仮面ブラード総裁はSEPのドットプロットにおいて「ロンガーランの政策金利水準を示すのは無意味」としてロンガーランのプロットに投票しなかったというおじさん(なのでブラードがいた頃のドットプロットはロンガーランが1票少ない)でした。
アタクシ的にはブラード追っかけ(推しとは言っていない)してたのでオモロイなとは思いますけどさて・・・・・
〇中銀ウィークなのですがECB話ではなくて金研国際コンファランスネタのまたも続きで勘弁
しつこくてすいません。
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/25-J-07.pdf
「金融政策の新たな課題」
2025年国際コンファランスの模様
Discussion Paper No. 2025-J-7
英語版
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/25-E-10.pdf
New Challenges for Monetary Policy
Summary of the 2025 BOJ-IMES Conference
Wataru Hagio, Daisuke Ikeda, and Yojiro Ito
Discussion Paper No. 2025-E-10
・小洒落たお題設定ですが中身の理屈が日銀屁理屈っぽいのがなんだかなあという印象はある
『6. 論文報告セッション』の『(3) The Causal Effects of Inflation Uncertainty
on Households' Beliefs and Actions(インフレの不確実性が家計の予想と行動に及ぼす因果効果の推計)』はかっ飛ばしましてその次。
『(4) Mind the Gap When Exiting Low-for-long(長期にわたる低金利からの出口と金融政策への示唆)』
これはまた題名がお洒落ですね。
『池田は、長期にわたる低金利政策が経済主体の認識や実体経済に与える影響について、理論と実証の両面で論じた8。まず、低金利を長期間維持する政策は、インフレ率が低いレジームにおいて経済を下支えすると述べた。しかし、低金利が長期にわたると、経済主体が、中央銀行が意図するよりも長く低金利が続くと認識してしまい、金融政策に対する経済主体の認識と実際の金融政策との間にギャップ(認識ギャップ)が生じる可能性があると主張した。』
池田さんは日銀の人です。(Paper Presenter: Daisuke Ikeda, Bank of Japan)
『さらに、認識ギャップがある中で金利が引上げられると、経済主体はそれを予期しない金融引締めと受けとめることになると述べた。政策は即座に変更しうるが、経済主体の認識もすぐに変わるとは限らないことから、その際に経済のボラティリティが高まる可能性があると強調した。』
・・・・うーん、なんかこの理屈って使いようによっては「認識ギャップがある中での利上げは慎重に行わないと意図せざる引き締め効果があるので、利上げを慎重に行うのは正しい」という屁理屈に思いっきり使えそうな話ですね。でまあ途中の分析経過の話をかっ飛ばして結論に行きますと、
『続いて、3 つの主要結果を紹介した。』
『第 1 に、長期にわたる低金利政策は、低金利下において緩和的な効果を生む一方、出口の際に引締め的な効果を生む可能性があると述べた。』
だからと言って今の日銀のような正常化ビビリンチョをして実質的な緩和拡大を行うのが正しいとはならんはずだが。
『具体的には、低金利が長引くにつれ、経済主体は、金融政策ルールに含まれる名目中立金利
i*が低いと認識し、低金利の長期化を予想するようになると説明した。』
からの、
『こうした予想は景気を刺激する効果を持つが、出口の際にはこの認識ギャップが修正され、金融引締めと受けとられることで景気を下押しすると述べた。』
だから利上げを遅くするって言わんばかりのこの結論が何んともかんとも。
『第 2 に、FG に対する信認が低いと、こうした景気の振幅が大きくなると述べた。』
FGとはフォワードガイダンスなのですが、FGパズルあるいは時間的不整合のことを考えたら信認が高すぎる方が弊害なんじゃないのかね、と思うのだが高度な分析の結果そういうことになっているらしいです、正直意味わからんけど所詮こちとら無学なのでああそうですかと言っておく。
『第 3 に、日本における i*に関する認識をデータから推計し、モデルと整合的な性質を持つと論じた。』
ホンマカイナ。
『具体的には、推計された i*に関する認識は、金融政策ショックに対して正の反応を示し、そうした現象は学習のないモデルでは起こりえないと述べた。したがって、認識ギャップを通じた波及経路は、実際の政策にも関連しうると述べた。』
ということですが、これすなわち「認識ギャップがあるから低金利政策からの出口はゆっくりやらないと強い引き締め効果をもたらす」っていう話をしている訳で、日銀の屁理屈オンパレードにしか読めなかったのですが何なんですかね。
・シカゴ連銀の方が(ジャクソンホールの前に)アベレージターゲットなどは机上の空論という話をしてますね
でもって指定討論者のお話。
『討論者のスペンサー・クレイン(シカゴ連邦準備銀行)は、一般的に、完全情報と合理的期待の下では、平均インフレ目標等の埋め合わせを伴う金融政策はうまく機能すると指摘した。しかし、現実世界はそうした環境とかけ離れており、経済主体は新たな政策について学習する必要があると強調した。』
しらっと(ジャクソンホールでの政策枠組み見直し公表の前から)既に言われていたことではありますが、メイクアップストラテジー的な埋め合わせ戦略は理屈の上でワークしそうに見えても現実世界では机上の空論、と仰せですな、まあジャクソンホールを待つまでもなくコンセンサス状態ではありましたが。
『さらに、このモデルから得られる重要なメッセージは、市場や人々が政策を理解し、それが信頼に足るものだとみなせば、政策の有効性が高まる点だと述べた。』
理解不能の小理屈を手を変え品を変え繰り出してその場限りの説明をしているどっかの中央銀行大本営見てるかイェーイ!
『そのうえで、ELB 下では、政策金利が下限に張り付き動かないため、経済主体による学習が難しいと述べ、2
点コメントした。第 1 に、中央銀行の政策ルールに、経済主体が認識する i*とは異なりうる時間を通じて変化する
i*を追加した場合の結果について尋ねた。第 2 に、FG の信認度合いはモデルでは固定されているが、内生的に変化する可能性があり、したがって
FG の有効性に影響を及ぼしうると指摘した。』
ふむふむ。
『池田は、コメントに同意しつつ、中央銀行の政策ルールには、i*が含まれているが、それは定数として固定されていると返答した。また、FG
の信認度合いは内生化できるが、それに上限があり、信認が不完全である限り、本モデルの主要結果は変わらないだろうと述べた。』
以下が質疑応答なのですが、元論文を読まないと論点がよくわからんのだが、読んでて引っかかったのがこのところでして、
『白塚は、長期の予想物価上昇率をモデルでどう扱ったか質問した。池田は、長期の予想物価上昇率は目標水準の
2%でアンカーされていると答えた。』
ん???日本の場合アンカーされてないんじゃなかったでしたっけ・・・・・・・
でもって元論文探してたら時間が無くなってしまった上に元論文見つからなかったので(探し方が悪いんだと思います、汗)今朝はこの辺で時間も無いので勘弁して頂きたく存じます。
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