朝のドラめもん
2025/12/20
お題「そこそこ強気な利上げをしたのですが今までのツケが色々と回ってまいりましたなあ(・∀・)ニヤニヤ」
まあ何といっても南無大師遍照金剛としか言いようが無いわけですが
https://jp.reuters.com/markets/japan/ZJAHJUUVB5MSTBPGMF6K5AQYSE-2025-12-19/
NY外為市場=円急落、日銀が追加利上げ明確に示さず 介入警戒続く
ロイター編集
2025年12月20日午前 7:10 GMT+9
『[ニューヨーク/ロンドン 19日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、円がドルなどの主要通貨に対し大きく下落した。日銀が利上げを決定したものの、今後の追加利上げに関する方針を明確に示さなかったことを受けた。終盤の取引でドル/円は1.23%高の157.535円。一時157.67円まで上昇し、4週間ぶりの高値を更新した。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういう訳であらー利上げしたのに円安進んじゃったの〜かなちいね〜〜ってなもんでもはや大草原不可避の情勢なのですが、いままでのポンコツコミュニケーションのツケが一気に回ってきたという風情になっていまして草も生えないwwwwwwwwwwwwwwwww
ということでレビュー参ります(昨日大口叩いたのだが寝坊したので土曜の午前だがどう見ても昼でサーセン)
〇声明文本紙:実は威勢の良い話を色々としているのですが・・・・・・・・・
今回声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k251219a.pdf
10月展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2510a.pdf
・決定事項自体は順当だが全員一致はナンノコッチャである
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.75%程度で推移するよう促す1。』
そりゃいいんですけど、全員一致って前回0.50賛成して0.75に反対した7名はどの面下げて賛成に転じてるんだよ、とは思いました。
『2.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変更を決定した2(全員一致)。
(1)補完当座預金制度の適用利率
補完当座預金制度の適用利率(日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除く>への付利金利)については、0.75%とする3。
(2)基準貸付利率4
補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を1.0%とする。』
まあこれはこうなるものですな。
・経済物価情勢の認識:詳しくは別紙になるのですが今回の付加事項はまあ従来の予告ホームラン通り
『3.わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している(別紙)。』
詳細は後で。
『賃金を巡る環境を整理すると、労働需給は引き締まった状況が続いているほか、企業収益は、関税政策の影響を加味しても、全体として高い水準を維持することが見込まれる。こうしたもとで、春季労使交渉に向けた労使の対応方針や日本銀行の本支店を通じたヒアリング情報等を踏まえると、来年は、今年に続き、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高く、企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低いと考えられる。』
先日ネタにしましたように、直近で茶番劇のように、というか茶番なんですが、「2026年度賃上げスタンスの動向(12月初時点)」(https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerc251215.pdf)という日銀今まで一度もこんなのを出したことが無かった猿芝居を恥ずかしげもなく出してきて、弊駄文では「どうせ出すなら決定会合で利上げ決定した時に「ヒアリング情報はこの通りです」って出すなら分かるが決定会合の前に出すのは利上げしますよっていう決定のための忖度茶坊主にも程があるわ」というような感じで悪態をつきましたが、12月にこれを出せるならなぜ昨年12月の決定会合では「判断できないから」と言って1月に利上げを先送りしたのかまったく意味が分かりませんな、と思ったら案の定会見で聞かれていたのは草も生えないwww
『この間、米国経済や各国の通商政策の影響を巡る不確実性は引き続き残っているものの、低下している。』
だそうなんだが、10月決定会合すなわち10月末の時点と比較して米国経済の影響についてなんか新しいデータがありましたっけ、という話をしたら米国は政府閉鎖でデータがあんまり出てないし、この間FEDは利下げしてるんだしって話で、何で10月に判断できなくて今回判断できるんでちゅかねえというお話。まあ一応12月短観が強かった、という言い訳はできるのでまだこっちの方はマシだがwww
『物価面をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、緩やかな上昇が続いている。』
という書き方になっていて10月見通しオントラックっぽく書いているのですが、後述しますけれども物価に対する判断とか見通しとか今回結構強くなっているんですよね、わずか1か月半の間にqqq
まあそんな屁理屈を並べたあと、
『このように、最近のデータやヒアリング情報からは、賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高いと考えられ、先行き、「展望レポート」の見通し期間後半には、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するという、中心的な見通しが実現する確度は高まっている。』
ということなのですが、この理屈もよくよく考えたら微妙なんですよね。
つまりですな、そもそも論として「オントラックなら見通し期間の後半には達成」って言ってるのですから、オントラックで推移したら時間の経過とに見通し期間後半の達成確度は高まるはずであって、何も米国経済ガーとか賃金ガーを一々必死こいて確認しなくたって、時間の経過によって自動的に見通しに近づいている訳で、それを殊更にこのように丁寧に確認しないと確度の高まりとは言えない、ということですと、じゃあ次回は何を確認するんですかって話になる訳でして、その確認作業って時間がかかりますよねみたいになったら、そらまあさっきのロイターさんの言う「日銀が追加利上げ明確に示さず」って特に海外筋の為替投資家さんみたいに、普段から日銀屁理屈文学を読みなれているわけでもない人々には取られたってそりゃ文句は言えんじゃろ、という話になるわけですな。
でもってその辺は総裁記者会見における「中立金利との距離」の話とかで思いっきり今までのツケが今回やってきましたよね、というお話でもあるのですが、その辺りはまた追々。
・中立金利との距離の説明がかなりのグダグダになっていましたよねーーーーーーーーー
でもって声明文項番3の続きですが、
『こうした経済・物価情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。政策金利の変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。』
と言っているのですが、この「実質金利は大幅なマイナスが続き」なんですけど、この前植田総裁は中立金利の話をして説明していましたが、昨年推計値出していた名目中立金利って+1.0%〜+2.5%の範囲内で幅のある概念、って話でして、でもって今回は声明文や別紙や会見でお分かりの通り、その水準については誤魔化し戦術に出ているのですな。
でもですね、政策金利が+0.75%のときに、実質金利すなわち名目中立金利と名目政策金利の差分が「大幅なマイナス」って言ってるのおかしくないですかって話で、名目中立金利の推計値の下限が+1.0だったら政策金利+0.75%ってのはどこからどう見たって距離が0.25%しか無くて、距離が0.5%の時ならまあ「大幅なマイナス」と言うのは多少無理矢理観あるにしても分からんでもないけど、0.25%水準ともなったら大幅なマイナスとは言わんじゃろ、ってなことを思う訳ですよ。
となりますと、そもそも論として日銀は今時点での中立金利をいくらで見ているんですか、となった時に話がややこしくなるのですが、これは先般植田総裁がうっかり「中立金利の推計を精緻化していく」とか政策運営のコミュニケーションの観点からしたら拙劣にも程があることを言い出したのが悪いわけで、「今の状況が緩和的なのか引き締め的なのか」という論点で説明の勝負をすれば声明文のこの部分と、会見での説明の間に変な齟齬が発生しなかった訳でして、これもまた過去のその場しのぎの説明のツケが回ってきている感が有るわけです。
・先行き政策ガイダンスに「通商政策影響の不確実性ガー」「丁寧に確認」が抜ける
項番4が政策ガイダンス文言ですが、これは基本的に政策変更行うとガイダンス文言が自動的についてくるという感じですのでそれ自体は平常運転ではあるのですが、10月展望と比較した場合の差分を見ますと・・・・・
『今後の金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、「展望レポート」で示している経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(12月声明文)
『金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(10月展望)
ということでこの文言は同じ(だとすると前述のように利上げしてるのに実質金利は「きわめて低い」のままとは何ぞやという話になるが)。
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(12月声明文)
『そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、各国の通商政策等の影響を巡る不確実性がなお高い状況が続いていることを踏まえ、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要と考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(10月展望)
ということで、10月展望ではあった「こうした見通しが実現していくかについては、各国の通商政策等の影響を巡る不確実性がなお高い状況が続いていることを踏まえ、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要と考えている。」というのが丸々抜けている訳ですな。
でもってここの部分ですが、1月展望のガイダンス文言では
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今年1月展望レポート)
だったのがトランプ関税を受けて4月にヘッジクローズが入った、という流れになっていますので、つまりはこの部分は「4月以降の「一回パス」モードからの脱却」ということになりますので、結構威勢の良い事を言ってるんですよね。
とまあそういう訳で、声明文本編のポイントとしては「利上げしているのに実質金利に対する評価が全然変わっていない」というのと、「4月展望レポート以降継続していた「一休みモード」を解除した」ということになっていまして、実はこれ自体はそれなりに威勢の良い話をしているんです。でもって別紙に行きますが・・・・・・
〇声明文別紙:先行き経済物価見通しの文言変化に注目したいところです
今回「別紙」の形で経済物価情勢の中間評価が示されました、なんでやという気はしますが、まあこれを本編に織り込んでしまうと本編がクソ長くなりすぎるから、ということでそれ以上の意味は無いとは思いますけれども・・・・・・・
・現状判断は10月展望と同じ認識(ごく一部変化があるだけ)
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(12月声明文)
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(10月展望)
総括判断は同じです。
『海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。』(12月声明文)
『海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。』(10月展望)
海外経済の判断も同じ、
『輸出や鉱工業生産は、米国の関税引き上げの影響を受けつつも、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。』(12月声明文)
『輸出や鉱工業生産は、一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みとその反動の動きがみられるが、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。』(10月展望)
この部分が前回と違うのですけど、ここは駆け込み要因とかの話が抜けていますが、結論は同じですね。
『企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持しており、業況感も良好な水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(12月声明文)
『企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持しており、業況感も良好な水準を維持している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(10月展望)
企業部門の評価も文言一致。
『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少している。この間、公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。』(12月声明文)
『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少している。この間、公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。』(10月展望)
この辺も文言一致。
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(12月声明文)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(10月展望)
金融環境に関してもいつも通りです。
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは3%程度となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(12月声明文)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは3%程度となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(10月展望)
物価に関する認識も同じ(アクチュアルのYoYのインフレもあんまり変わらなかったのでそこの含めて同じ)。
・・・・・とまあそういうことで基本的に変化なしであるというのを確認しまして先行きに行きますが、
・先行き見通しでは経済見通し物価の見通しともに引き上げである
『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が幾分減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは緩やかなものにとどまると考えられる。』(12月声明文)
『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは伸び悩むと考えられる。』(10月展望)
経済見通しの方では比較するとわかりますように、海外経済の見通しを若干引き上げた上で、日本経済全体の見通しも成長ペースは「伸び悩み」から「緩やかな成長」に引き上げとなっていまして、展望レポート中間レビューの段階ですが見通しは引き上げになっていて、何ならオントラック上振れじゃねえかという話になっております。
『その後については、海外経済が成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。』(12月声明文)
『その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、わが国経済も成長率を高めていくと見込まれる。』(10月展望)
その後の部分でも海外経済が「緩やかな成長経路に復する」から「成長経路に復する」ということでここの見通しもあがっていますわなという景気の宜しいお話を展開していまして、さらに威勢が良いのは物価の部分でして、
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府の物価高対策の効果もあり、来年度前半にかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。』(12月声明文)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、来年度前半にかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。』(10月展望)
アクチュアルの物価見通しに関しては政府の物価高対策という要素は入ったものの見通しは同じですが、
『その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる(注)。』(12月声明文)
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペースの影響などを受けて伸び悩むことが見込まれる。もっとも、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(10月展望)
ということで、今回「基調的な物価上昇率が一旦伸び悩む」という文言が外れておりまして、基調的な物価に関しては特に留まることもなく順調に上昇していく、ということでここもまた威勢の良い見通しになっていまして、さきほどの声明文本編も合わせまして実は結構な威勢の良い内容になっているんですよね。
・リスク要因は(声明文本編と同様に)不確実性ガーがばっさり削除
『リスク要因としては、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向などがあり、それらのわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(12月声明文)
『リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はなお高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(10月展望)
リスク要因の部分は10月展望では鏡の部分(他は基本的見解本編からコピペっています)になりますが、こちら声明文本編とどうように「海外経済の不確実性ガー」文言が取っ払われておりまして、これもまた威勢の良い流れになっています。
・高田さんと田村さんは物価がもっと強かろうという認識を示す
でもって声明文脚注。
『(注)高田委員は、物価の見通しについて、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村委員は、基調的な物価上昇率の見通しについて、見通し期間の半ば以降、「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとして、反対した。』(12月声明文)
ということですが、この理屈だと高田っちって次回会合でも利上げ提案しないと理屈が合わないと思うのですが、
次回会合でどう出て来るかは楽しみですな。
・・・・・とまあここだけ見るとそこそこ威勢の良い内容になっているのですが、コミュニケーションがアレでして・・・・・・
〇クソしょうもないフリップ芸は「高市政権への忖度丸出し」で利上げ姿勢に疑問を持たせるでござるの巻ですわなとなる
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k251219b.pdf
2025年12月金融政策決定会合での決定内容
なんか3本の鉛筆っぽいのもありますが、まあこのフリップ芸の最大のアカン奴なのはここですよね。
一番下の囲み部分wwww
『●実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持 → (引用者追記;以下の部分だけ赤色文字)経済活動をしっかりとサポート
● 見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整』
・・・・・あのさあ、どう見たってこれ「見通しが実現していくとすれば、」以下の方を「赤色文字」で強調すべきだろという話なのですが、「経済活動をしっかりとサポート」っていうのを赤色強調してしまうのって、それどこからどう見たって「緩和を続けますよアピール」となるから、そりゃ為替市場が見たら「ああ日銀は今後の追加利上げに積極的じゃないのね」と読み取ってしまう訳ですよ。
でもってですね、日銀が何でわざわざ利上げの方じゃなくて「経済をしっかりサポート」を強調するかと言いますと、そんなのはどこからどう考えても高圧経済音頭の踊り過ぎで脳が幾分か不自由になられた政権及びその取り巻きの皆様に対するアピールな訳でして、つまりは政権向けアピールって奴ですわな。
でまあどうせ日銀の事だから声明文と声明文別紙には威勢の良い事書いたからエエジャロって思っていたのかとは愚考しますけれども、この「緩和スタンスアピール」もそうでしたが、その後の記者会見における中立金利水準問答などの質疑応答においても、政権にビビリンチョしたのか忖度したのか知らんですけど、追加利上げに関して判断に時間を掛けてきそうな話をしていましたな、ちゅうことでご案内のように円安飛ぶ飛ぶ炎と燃えて、となってしまいましたwwwww
〇会見に関しては月曜に詳細でてからにしますが「従来のその場しのぎの説明のツケが一気に回ってきた」感のある面白会見でしたな
でまあ会見を受けて円安加速したのはご案内の通りで、先ほどのロイターさんのNY為替市況の記事を再度見ますと、
https://jp.reuters.com/markets/japan/ZJAHJUUVB5MSTBPGMF6K5AQYSE-2025-12-19/
NY外為市場=円急落、日銀が追加利上げ明確に示さず 介入警戒続く
ロイター編集
2025年12月20日午前 7:10 GMT+9
『[ニューヨーク/ロンドン 19日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、円がドルなどの主要通貨に対し大きく下落した。日銀が利上げを決定したものの、今後の追加利上げに関する方針を明確に示さなかったことを受けた。終盤の取引でドル/円は1.23%高の157.535円。一時157.67円まで上昇し、4週間ぶりの高値を更新した。』(上記URL先より、以下同様)
ちなみにユーロとかポンちゃんとかに対してもドイヒーで
『ユーロ/円は184.71円と、過去最高値を更新。スイスフラン/円も197.23円と過去最高値を更新した。英ポンド/円は一時1.36%高の210.96円と、2008年以来の高値を付けた。』
だったのですがそれは兎も角として記事を拝読しますと、
『日銀は18─19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%に引き上げると全員一致で決定。利上げは1月以来で、政策金利は1995年9月以来、30年ぶりの高水準となった。植田和男総裁は金融政策決定会合後の会見で、経済に対して引き締め的でも緩和的でもない中立金利について、推計値の下限までには「少し距離がある」とする一方で、実際の中立金利がどこに位置するのかは利上げによる経済の反応を点検しながら「手探りで見ていかなければいけない」と言及。今後の利上げの具体的な時期やペースについて明言を避けたことが円の下落につながった。』
『バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「日銀は予想通りに利上げを決定し、経済が想定通りに推移すれば利上げを継続する姿勢を示したが、円はあらゆる通貨に対して弱含んでいる」とし、「日銀のスタンスが十分にタカ派ではなかったと市場で受け止められている可能性がある」と述べた。』
会見の前の時点でもドル円でみてて円安に振れていた(と言っても東京時間では精々156円に乗ったり乗らなかったりではありましたが)のですが、金利は上がってるのに株は上がるわ円安だわで、材料出尽くしというのもあったとは思うのですが、そもそもその「材料出尽くし」になってしまっているのがアカンタレで、さらにアタクシとしてはあのフリップ芸の赤字強調箇所が政権への大忖度モードを思いっきりアピールしている辺りも問題だったかと思ってます。
でもって、ロイターさんの同記事にもありますように、中立金利に関する説明が今回声明文などで特に無かったのに加えまして、会見でもひたすら中立金利水準に関する問答は逃げ回りとなってしまっていて、12月頭の名古屋講演で突如「次回利上げの時にもう少し詳しくお見せしたい」みたいに切ってた大見得を無かったことにしてしまっていたら、そりゃまあ利上げへの積極性があんまりないなあと(特に中銀文学に慣れていない皆様にとっては)思われても仕方なかったりする訳です。
つまりですな、足元急に「ザ・中立金利」の話をおっぱじめてしまった植田総裁のコミュニケーションは大失敗のコンコンチキだったという訳で、反省して丸坊主にして墨染めの衣を纏って次回の決定会合出てこいやというお話ではある(あくまでも個人の偏見です)訳ですな。初手から「利上げの方向で状況見ながらやっていきたいが経済が2%物価目標に整合的な状態に変化していく過程なので利上げをどの程度やれば良いかなどはあくまでもやってみないとわかりません」ってのを初手からもっときちんと言っていれば良かったのに、変に「ザ・中立金利」とかいう大風呂敷広げるもんだから利上げ水準のガイダンスが出るものと期待させてしまった結果がこの反応になって出ている訳です、ナムナムナム。
それから、今回の会見では過去の「その場しのぎの説明」を蒸し返して質問するという素敵な質問が幾つもありまして、「第一の力、第二の力」とか質問飛んだ時にはリアル爆笑してしまいましたけれども、兎に角黒田末期にとっとと政策の撤収を徐々にやっておけば良かったのに、屁理屈を捏ねまくってクソ粘りした挙句に、植田総裁が「ボクチン怒られたくないモン」とばかりに全方位に忖度を行った結果、黒田緩和は全て正しいとする前提にたって政策運営をおっぱじめるわ、多角的レビューもその線で纏めるから盛大な猿芝居になるわで、そんなこんなで本来とっととやっておくべきだった超緩和政策の修正を先送りして、そのためにその場その場で屁理屈を捏ねまくっていたツケが、本当に物価目標達成が近づいたり、為替市場などが変調を来したり、という状況の中で一気に問題が出てきた、という風にはアタクシはおもうのでありました。
てなわけで記者会見はそういう点で面白かった(有益だったとは言ってない)し、まあ円安にぶっ飛んだのはこれまでの日銀の屁理屈大楼閣というか政策反応関数昭和温泉旅館とか、そういうののツケが回って一気に炎上しているから、ということですし、それは黒田だけじゃなくて植田さんになってからのコミュニケーションも大概だったし、中立金利云々は完全に植田総裁のチョンボだし、ということなので別に同情の余地は無いのでこちとら手を打って笑いながら対岸の炎上を眺めるの巻、って風情ではあります、と突き放した論評をさせて頂きたく存じます。
という所で一旦午前中も終わりそうなのでこの辺で勘弁して頂きたいと思います(この部分書いてる時点で1140ですわwwww)。
#ああちなみに円安にぶっ飛ぶと次の利上げって早まるのでさらにおもしろくなってまいりました!!!ではある
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