朝のドラめもん

2025/07/18

お題「気候変動オペとか交付税特会とか短国とかのメモ/決定会合議事録鑑賞会:2015年6月会合から」

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-17/SZJ34BGPWCJS00
S&P、日本製鉄を「BBB」に格下げ−見通しは「ネガティブ」
沢和世
2025年7月17日 14:41 JST

このヘッドラインをみて「日本国債」と一瞬空目して「S&P攻めるじゃん」と思ったのが昨日のアタクシのハイライト。

まあ1秒もしないで我に返りましたがwwwwww


〇うーん気候変動オペ・・・・・

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/mpr250717a.pdf
気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの実施結果

『1.概要
貸付実施の通知日時   2025年7月17日(午前9時30分)
貸付日            2025年7月18日
返済期日           2026年7月21日

2.貸付予定総額(注1)
貸付予定総額          101,594億円
(参考)貸付残高(注2)     171,298億円

(注2)2025年7月18日時点の貸付残高の見込み。』

ということでいやまあ気候変動対応向けの融資を促すってのがダメとは言わないんですけれども、このオペは基本的に「1年固定金利」なので金融緩和縮小局面や引き締め局面においてはそれに反する金融緩和的な施策になる訳で、これまた日銀バランスシート拡大要因になっている訳ですし、現に今回の実施で日銀のバランスシート10兆円拡大する訳ですから本来バランスシートを適正な規模まで縮小していかないと、今後の「普通の経済」における金融政策運営に支障を来すことになるちゅうのにホイホイと日銀のオペ残が10兆円も増えてしまうのは如何なものかと。

てかね、この気候変動オペって、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo105.htm
気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション基本要領

『附則

この基本要領は、本日から実施し、金融調節上の支障がない限り2031年3月31日まで継続し、同日をもって廃止する。ただし、同日以前の日を貸付日とする貸付けの取扱いについては、なお従前の例による。』

ってことで、まあ最初にこれ突っ込まれたのは2021年9月なんですけど、とにかく黒田緩和って途中のQQE2以降が全部そうなんですけど、ETFの買入拡大みたいに緩和脳のノリで後先考えずに馬鹿みたいな拡大路線を取っていた訳で、この気候変動オペもなんかもうノリで2031年とかとんでもない先の話を決めていましたし、それを言い出すと2年共担とか5年共担とかもそうで(2年共担は期日来ましたが)、とにかくお前ら後先考えずにその場のノリでバナナのたたき売りみたいなことするんじゃねえと思う訳ですよマッタクモウ。

まあ一方で貸増が今後残高無くなるとは言え、多少の規模ならまだしもあっという間に20兆円近くとかになってしまっているこのお買い得オペっていうのは、やっぱり資源配分への介入であって、そういうのは政府のやることであって中央銀行がやることじゃないんだよな、と思いますが、成長基盤強化とかやりだしたのは麿なのでこの点に関しては麿も反省というか猛省すべきだと思います、

ま、とりあえずはこれが担保繰りにどう影響しますのん、とかそういう話が現世利益ではあるのですが、将来的に見た場合に日銀のバランスシート(というか当座預金残高というか超過準備の水準)を短期金融市場のアンプルリザーブレジーム(にどうせなるんだと思います)を作る際に余計な変数として作用してしまう点についても問題になるかとは思います、その時がいつなのかはさておきますけど。


〇そういや交付税特会借入とか新発1年短国とか

最近利上げ観測が先の方に行ってしまって目先どうという話でもなくなってしまったのでうっかりスルーしていましたがw

今月は特会借入祭り(6月は交付税6mとエネ特12m各1本だけ)なんですよね。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250708.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果(令和7年7月8日入札)

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250715.html
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果(令和7年7月15日入札)
※なぜかこのページだけhtmlになってる

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250717.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果(令和7年7月17日入札)

他にエネ特12mもあるのですが交付税6の方で。

7/8分:7/11〜1/16 平均0.538%最高0.549%
7/15分:7/24〜1/23 平均0.536%最高0.547%
7/17分:7/31〜1/30 平均0.541%最高0.548%

とまあそういう結果な訳ですが、これ高い方の足切りで見たとしても・・・・・・

7/8分:10/31〜で0.620%、12/22〜で0.870%
7/15分:10/31〜で0.602%、12/22〜で0.769%
7/17分:10/31〜で0.597%、12/22〜で0.725%

だし、何なら平均で計算した場合

7/8分:10/31〜で0.593%、12/22〜で0.787%
7/15分:10/31〜で0.578%、12/22〜で0.706%
7/17分:10/31〜で0.582%、12/22〜で0.692%

ってなっていまして、もともとが高めに出てくる交付税特会の金利でこのテイタラクということでございますので、10月利上げなんぞはまるで織り込まないで、まあ辛うじて12月ならワンチャン有るかもしれませんかねえって感じになっている、というのがだいたい読み取れるかなとは思う訳です。


ただまあ昨日の新発1年は
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250717.htm
国庫短期証券(第1319回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1319回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号      国庫短期証券(第1319回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項

3.発行日      令和7年7月22日
4.償還期限    令和8年7月21日
5.価格競争入札について
(1)応募額         6兆8,899億7,000万円
(2)募入決定額      2兆5,239億5,000万円
(3)募入最低価格      99円37銭5厘
(募入最高利回り)      (0.6306%)
(4)募入最低価格における案分比率      88.1336%
(5)募入平均価格      99円38銭9厘
(募入平均利回り)      (0.6164%)』

ということですが、前日の売参ベースのWI(が本当にあてになるのかはさておきますけれども参考にならんという訳でもないでしょうから)が0.59%水準でして、そこから見たら流れたジャンという結果になっていまして、売参見ますとこちらの昨日の引けが0.625%になっておられました。

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(7/17引値)
国庫短期証券1319 2026/07/21 平均値単利 0.625

(7/16引値)
国庫短期証券1319 2026/07/21 平均値単利 0.590

平均0.615%相当なので入札後買い進んで云々、という流れにはなっておりませんで、いやまあそもそもこの金利水準ってどうなのよという話(ちなみにあんまり意味は無いと思いますが前半後半を12月決定会合で切って手前を50bpにすると後ろは71.6bpなのですが短国そのものが手前40とかいう金利なのでまあアレだし2回利上げとかそういうのは全く無視されているでござるの巻)な訳でございますけれども、まあさすがに0.5%台ではニーズ集まらなかったですかそうですかという事で。

ちなみに3mの辺りも微妙ちゃあ微妙で、

(7/17引値)
国庫短期証券1314 2025/09/22 平均値単利 0.410
国庫短期証券1315 2025/09/29 平均値単利 0.410
国庫短期証券1316 2025/10/06 平均値単利 0.400
国庫短期証券1318 2025/10/14 平均値単利 0.375
国庫短期証券1320 2025/10/20 平均値単利 0.410←今日入札の新発WI

9末越え一発目だった1316回は入札後にカバーだと思うのですが強くなって翌週水曜に0.35とかいうトンチキ引値になったのですが、結局その後はカバー一巡とか次のカレントが出るだのということで0.40%水準の引値に収まっているのですが、先週入札のあった1318がちゃっかり0.375%まで引値が進んでいまして(こっちの銘柄は入札直後にショートカバー祭り、みたいなのは発生していない筈です)、はてさて今日の入札(もそうですけどその後のセカンダリー)はどこに逝く、ってお話でございます。担保繰りなのか長期債からの避難なのかよくわからんけど、そういうニーズがどこまで短国方面に入ってくるのかというのを占えるかなあとは思いますがどうでしょうかね。



〇金融政策議事録鑑賞会シリーズ:木内VSジンバブエ

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2015/gjrk150619a.pdf
政策委員会・金融政策決定会合議事録
開催日時:2015年6月18日(14:00〜16:22)
             6月19日( 9:00〜11:59)

・木内さんはこのころ「MBや長期国債買入の拡大ペースを緩めるべき」という提案をしていましたが・・・・・・

83ページの議案説明、例によって合いの手はあんまり入れませんけれども10年後に読んでみると色々と味わいがあると思うのですよね。

『木内委員

次回会合までの金融市場調節および資産買入方針、並びに今後の金融政策運営方針については、前回までの自身の提案が引き続き妥当と考えており、同様のものを後に提出したいと思う。』

『既に繰り返し申し上げてきた点だが、金融政策は、効果のみを追求するのではなく、効果と副作用のバランスを最適にすることを目指すことが非常に重要である。昨年前半までを中心にした実質金利の低下に基づく累積的な政策効果は相応に大きく、足もとの雇用・所得環境、国内民間需要などへもプラスの波及効果を十分にもたらしていると考えている。資産買入れの残高を減少させない限り、このように既に経済活動に十分に定着した累積効果は損なわれにくいと考えている。』

『しかし、一方で限界的な効果と副作用に注目すると、資産買入れを着実に進める中でも、追加的な効果は明確に逓減する一方、追加的な副作用は逓減しておらず、両者のバランスは既に悪化していると、私は考えている。』

>追加的な効果は明確に逓減する一方、追加的な副作用は逓減しておらず
>追加的な効果は明確に逓減する一方、追加的な副作用は逓減しておらず
>追加的な効果は明確に逓減する一方、追加的な副作用は逓減しておらず

『政策効果の主な源泉は実質金利の低下にあると考えているが、その余地が限られてきたことが、追加的な効果の逓減に繋がっている。10 年国債利回りは、昨年までの低下基調は年初で一巡し、前回会合以降も上昇傾向にある。こうした名目金利の動きは、欧米など海外での金利の動きに強く影響されているとはいえ、例えば、近年の日本国債のタームプレミアムの著しい低下が既に限界に近いといった、国内要因に根差した側面もあると思う。』

『また、中長期の予想物価上昇率は、各種指標でみて足もとで大きな変化はなく、2%の物価安定と整合的な水準には依然大きな隔たりがあるもとで、比較的安定した状態を続けている。』

・・・・・・・・・・(^^)

『中長期の予想物価上昇率は、原油価格下落による物価上昇率の顕著な低下を受けても目立って下振れする兆しはない一方、今後前年の原油価格下落の反動で消費者物価上昇率が高まっても、それと連動して顕著に高まっていくことも期待しにくいと考えている。』

『原油価格の小幅反転の影響もあり、ユーロ圏ではデフレ懸念が後退しているが、成長が加速感を欠き、また商品市況が総じて低迷を続ける中、ディスインフレ観測はグローバルに依然根強い状況である。こうした環境のもとでは、国内の中長期予想物価上昇率を継続的に高めていくことは難しいとみている。』

ということで、

『こうした点を踏まえ、資産買入額を減額することで、追加的な効果と副作用のバランスを改善させ、先行きのリスク顕現化の可能性を低下させることが、安定した経済・物価情勢を持続させる鍵であると考えている。また、そうした緩やかでも息の長い景気回復の実現を支えることを通じて、実質所得拡大に貢献する生産性向上や潜在成長率上昇に向けた政府や企業の取組みを支援することができると考えている。そして、こうした取組みを金融面から粘り強くサポートしていくことこそが、2%の物価安定達成の近道になるというのが、私自身の提案の底流にある考え方である点は、従来から申し上げてきたとおりである。』

実際問題YCC導入って(最後の方で悲惨なバランスシート急拡大に繋がりましたが)YCCの美名の元にマネタリーベース拡大政策ですと限界が起きるので、MBの紐付けを外して長期戦にする、という政策だったのですから結果的には木内さん先取りしてた訳です。

『金融緩和の効果としては、円安、株高を通じた間接的な経路も考慮する必要があると思うが、昨年来の動きをみると、それらが実体経済に与えた影響は明確ではない。また、やや長い目でみると、為替・株式市場のボラティリティの上昇が経済活動を阻害する可能性があることに加え、為替については、円安傾向が消費者の当面の価格上昇観測を通じて防衛的な消費行動を招く可能性に、従来以上に留意する必要があると考えている。』

『量的・質的金融緩和の導入当初は、政策の影響を受けて実質金利が低下を続ける一方、所得制約要因となる先行きの実質所得見通しには大きな変化が生じなかったため、将来の消費を前借りする金融緩和効果が一時的に生じたと考えている。』

『しかし、現局面では、緩和効果を発揮する実質金利の低下が一巡していること、賃金上昇率が物価上昇率に簡単には追いつかないとの見方が広まっているように見受けられることから、円安の影響などを受けてガソリン価格、電気料金、各種日用品の当面の値上げ観測が広がれば、当面の実質所得見通しが悪化し、消費活動がより抑制的になる可能性がある。』

『今後、値上げ観測が個人消費に悪影響を与えていることが確認された場合には、2%の物価安定目標の達成を短期間で目指すのが果して妥当なのか、それが「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」という金融政策の最終目標に適っているのかといった点が、改めて深く問われることになるのではないかと考えている。』

!!!!!!

『最後に、会合制度の見直しについては、執行部案に賛成である。具体的には後でコメントさせて頂く。以上である。』

とまあこういう説明をしているのですが・・・・・・・


・このジジイ人の説明を全然聞かないで勝手に藁人形論法とレッテル貼りで反論してるの酷くないかという話

ジンバブエ原田ってのは人の話を全然聞かないで藁人形論法で木内さんに突っかかっているんですよね。まあ読んで味噌ということで本文90ページ。

『原田委員

木内委員に質問したい。効果と副作用のバランスをみるべきであるということは、一般論としては全く正しいが、具体的に3点考える必要があると思う。』


『1点目は、木内委員は、残高を低下させない限り金融緩和の効果があるとおっしゃったが、残高を増やさないということは、日本銀行の物価安定へのコミットメントを弱めることであるため、当然、将来のデフレ脱却を不確実にする。しかも、そのような政策を行うことによって、直接的には急激な円高や株価の急落を招く可能性がある。このことについてどのようにお考えか、お聞きしたい。』

残高増やさないという提案をしていないんだが(MB45兆円、長期国債45兆円という提案です)いる訳でもないのに何言ってるんだこいつ???

『2点目は副作用についてである。副作用ということを何度もおっしゃっており、私はこれまで何度もお聞きしているが、副作用についての合理的な根拠は示されていない。これまで、国債市場の機能低下、財政の信認の問題についての潜在的リスクがあるという説明であったが、潜在的リスクとは何か、この潜在的リスクはどのような指標でみることができるのかについて、ご説明頂いていない。前回会合では、「感性で判断していく」というお言葉を頂いたが、感性とは何かについてもご説明を頂いていない。』

10年経過してみればどれだけアホウなことをこのジンバブエが言ってたのかが良くわかりますね。そもそも指標で見れたらそれは副作用が顕在化している訳で、その前の時点で配慮すべき話だわさ。

『3点目は、木内委員の経済に対する見方は、この場の議論の主流の見方に比べて弱いと思うが、経済の見方が弱い中で金融政策を引締め方向に転換することの根拠は何か。以上3点、質問したい。』

別に引き締めろとはさっきの部分を見ても一言も言ってないんですが。

ということで木内さんが回答していますが、まあそちらは見てくださいって思いますし、この藁人形質問に対する
木内さんの回答に対して無茶苦茶な回答を出しておられますのでまあ見てくんなまし。


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