朝のドラめもん
中の人敬白:平素より拙駄文をご愛読いただきまして誠にありがとうございます。中の人が夏休みとかいうものを取りますもので、11/17の週は更新をお休みさせていただきます。25日火曜日より平常運転に復する所存であります。
あと、先ほどこんな記事がありましたが、内田副総裁のご回復を願うと共に、いやあんまり無理なさらないで頂きたいと願う所であります。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-14/T5PHHJKJH6V700
内田日銀副総裁が白血病治療で入院、リモート公務ー12月会合は出席予定
南部真帆、伊藤純夫
2025年11月14日 16:52 JST 更新日時 2025年11月14日 18:08 JST
2025/11/14
お題「米国レポ市場がどうのこうのの単なるメモ/展望レポートの「賃金と物価」の考察がドンドン充実している件について/事務連絡(来週お休みします)
ほれほれ予算規模拡大予算規模拡大
https://news.yahoo.co.jp/articles/5af150e01a1585c52f9016d71bcdf1a7f0618f05
自民 去年の規模を上回る補正求める声強まる
11/13(木) 15:57配信
『麻生太郎副総裁は派閥の会合で「単にいくら予算をつけるといったことだけでなく、お金を使わなくても大きな効果を生む政策、たとえば、規制改革などについてもしっかり議論を行ってほしい」とけん制しました。』(上記URL先より)
と懸念するならお前が林さんを支持してりゃよかったんじゃないですかねえwwwwww
〇この程度で逼迫とか言われましてもとは思うのですが・・・・・・・(FFメモ)
こんなんありましたけど
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-13/T5O8B5T96OSI00
FRBに対応強化を求める声、短期資金調達市場で金利が高止まり
Alex Harris
2025年11月14日 3:00 JST
→TB増発や政府支出の遅れが資金逼迫に拍車、QTも一因
→NY連銀当局者、資産購入は「遠くないうちに」
って話で、この点に関してはウィリアムズとかもそろそろ償還再投資が本格化する(12月からはFEDの保有国債の縮小は行わなくなるので)という話をしているので、FEDのバランスシートの縮小は今月までではあるのですが。
『ここ数週間、米国債を担保とする翌日物レポ金利や、通常は政策金利決定のタイミング以外では動かない主要政策金利など複数の主要短期金利が高止まりしており、直近2カ月でレンジ内ながら4回も上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
>レンジ内ながら
>レンジ内ながら
>レンジ内ながら
・・・・・いやレンジ内なら文句言うなよお前らどれだけ甘えてるんだよと思う訳で、こちとらリーマンショックの時に短期市場の中でオープン金利(現先とかレポ)がロンバートに張り付いてしまって実質利上げになって連日当時の弊駄文で悪態ついてたんだぞと言いたくなりますが笑。
でもってその次に「FRBの利下げにもかかわらず短期金利に圧力」とあってレポ金利とかトライパーティーGC金利とかが上昇していて、一方で実効FF金利は横ばい、という埋め込みグラフがでておりますな。
『その一つ、担保付翌日物調達金利(SOFA)の1営業日の変動幅は、利上げ局面を除けば、コロナ禍の最盛期だった2020年3月以降で最大を記録した。』
『逼迫の背景には、米財務短期証券(TB)の増発があり、これが短期市場から資金を吸い上げ、銀行システムに残る資金を減らしている。』
ということでジャパンの短国市場からしたら夢のような事態になっておられるようですな。
・・・・・まあアレです。リザーブが馬鹿みたいにあった期間が長すぎたので資金繰り管理をガチガチに実施することができなくなったというのはあるでしょうし、別にアタクシ米国の短期金融市場詳しくないから勝手にあてずっぽうで言いますけど、人材云々もあるでしょうが、それよりも長期にわたって短期のファンディング市場は金が余っているし中銀のファシリティがあるから、というようなのが前提になっていた時間が長すぎて、市場慣行とか市場の中の人たちの体制とか、そういうのの構造が既にスケアスリザーブに耐えられない状態になってしまっているので、スケアスリザーブに対する耐性が無くなっている(まあそんなの暫くこの調子でやっていればいずれそれに沿った体制を皆さんが組むとは思うけど)とか、そういうのがあるんじゃないかなとは思いました。
まあこのリザーブ潤沢システム、時々付利問題が振られることがありまして、まだそこまで大問題になっていないようですが、チラチラとその手のヘッドラインが散見されることもありますので、まあアンプルリザーブシステム自体が本当に必要なのか、金融機関への過剰な優遇措置ではないのか、って話は出てくる(なんせFED(日銀もそうですけど)ってかつては中銀当座預金への付利はしていなかったんですから)可能性もあるので、はてさてどういう折り合いをつけていくことになるのか、というのは見通せる将来においてリザーブが逼迫とか言うような夢のような話が起こる可能性が皆無の日銀ちゃんとしましても参考になる罠、という感じだと思います。
〇展望レポート全文のBOXをしつこくネタにしますが「賃金と物価の相互作用」に関する部分には別の論点がありますわ
今回の展望レポート
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2510b.pdf
でまあこの前と昨日BOXをネタにしましたが、BOX1が「米国政策の影響がこれからグローバル輸出を下押しする可能性があるであるで」というお話になっていまして、んでもってBOX3では「食料品価格が上昇すると個人消費が下押しするでするで」ということで、特にBOX3については前回までは言及されていた「食料品価格の高止まりの期待インフレへの影響」の部分が大幅にトーンダウンというか殆どフェードアウトしていて、消費下押し圧力の話をだしていたわけですな。
・・・・・ということで、どうも大本営情報部は経済の先行きに対して割と弱気(慎重)なんでネーノというのが見て取れるのですが、「賃金と物価の相互作用」の方はちょっとまた別の面もあるようでして・・・・
今回
(BOX4)賃金上昇が物価に及ぼす影響
ってのがあるのですが、この「賃金と物価」をネタにしたBOXって半年に1回のペースで出てきてて、
4月展望全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504b.pdf
(BOX4)最近の賃上げと価格転嫁を巡る動向
昨年10月展望全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410b.pdf
(BOX3)最近のわが国における賃金と物価の関係について
ってのがそれぞれありまして、どちらも展望背景説明の一番最後、要するにPDFの最終ページから前に辿れば見つかるので分かりやすいと思うのです。
でもってこれを逐次比較とかはさすがにしませんけれども、この分量がドンドン充実している、というのが中々味わいがあるんですよ。すなわち、
昨年10月→1ページ半、図表3枚
今年4月→文章2ページ半、図表4枚
今回10月→文章3ページ、図表7枚
ということでですね、まあ展望(だけじゃなくて定期的に出てくるものはだいたいそういう仕様なのですが)の背景説明の部分っていうのは、ある程度形式が出来上がっているので、図表とかもある程度は前回とおなじものを更新する、という形で(定点観測の継続性という意味では当然ですけど)できていて、そこまで大きな変化って無いんですよね。
然るに、この「賃金と物価の相互作用」に関してはどんどん内容が充実(というか何というか)している訳でございまして、この点に関しては「基調的物価が高まっていることがより確認できています」というお話になっている、というのがこれまた味わいの深いものとなっているとアタクシは思いましたがアタクシがそもそも変態なのは自覚しているので、単なる変態によるあたおか妄想かもしれませんのでそこは割り引いて解釈してもろていただいて、という所ではありまする(汗)。
でまあ一々引用するのも、とは書きましたが折角なので結論と思われる部分を比較しますと、昨年10月の展望BOXでは・・・・・・
『CPIのヒストリカル分解をみると(図表 B3-3@)、コロナ以降のインフレ率の高まりは、主として、エネルギー価格や食料品などの輸入物価上昇の価格転嫁の影響で説明できる一方、足もとにかけては、そうした外生的な要因や需給環境などでは説明しきれない部分(図表B3-3@における残差)が押し上げ方向に寄与している。』
『この残差を子細にみると(図表 B3-3A)、正の賃金ショックがCPIを押し上げていることから、企業の積極的な賃金設定行動が物価を押し上げていることが示唆される。』
『今後も、過去の低インフレ期における平均的な関係性以上に賃金ショックが物価の上押しに作用していくと考えられる。』(以上昨年10月の展望レポート背景説明BOX3より)
となっていて、まあ何かまだフワッとした形での説明にとどまっていたわけですな。これが4月になると、
『以下では、こうした企業の賃上げ姿勢の積極化と、最近の価格設定行動がどのような関係にあるかを、企業レベルのデータを用いた実証分析によって確認しておく。具体的には、POSデータから、個別企業が販売する商品の平均価格を作成したうえで、これを法人季報の企業別の個票データとマッチングしたデータセットを構築した33。』
ちと長いのですがご勘弁(これどこで切ればいいかが中々難しくて結局パラグラフまとめて引用せざるを得なかったんで、汗)。
『これを用いて販売価格引き上げ時の企業行動をみると、近年は値上げした際の販売数量の落ち込み幅が、コロナ禍前よりも小さくなっている(図表
B4-4@)34。これは、ここ数年、自社が値上げした場合の顧客の価格弾性値(自社製品の相対価格が1%上昇した際、販売数量が何%減少するかを表す値)が低下している可能性を示唆している。』
『また、今次の物価上昇局面では、販売価格を引き上げた企業の価格マークアップは拡大する傾向にあり35、こうした企業では販売数量1単位当たりの利潤(ユニット・プロフィット)も増加している可能性が示唆される(図表
B4-4A)。』
ってな話で販売価格マークアップをベースにした話になっていまして、そのマークアップを行った結果として、
『また、販売価格を引き上げた企業の一人当たり人件費をみると、足もとでは、販売価格を引き上げた企業ほど、賃上げ率も高い様子が窺われる(図表
B4-4B)。』
つまり手数料引き下げ圧力の高い金融業いやなんでもないです、という自虐ネタはさておきまして、
『今次局面では、価格マークアップの引き上げに成功した企業は、ややラグを伴って賃金支払も増加させる傾向が、中小企業も含めて広がっている可能性が示唆される。』(以上今年4月の展望レポート背景説明BOX4より)
という構成になっていて、「価格引き上げの動きができている企業は賃金を引き上げれています」と
いうお話をしている、という流れになっている訳ですな、うんうん。
でまあ今回なんですけど、まず結論項と思われる最後のパラグラフの部分を引用しますと、
『人件費増加の価格転嫁動向について、2022 年以降の産業別産出デフレーターを分配面から要因分解すると、人件費の上昇は、幅広い産業で産出価格の押し上げ要因となっていることが確認できる(図表
B4-6)。』
『また、2010 年代後半と比べても、近年は、付加価値当たりの人件費を表すULC上昇の産出価格へのパススルー率が有意に上昇していることが実証的に確認され、賃金上昇が販売価格に転嫁されやすくなっていることが窺われる(図表
B4-7)。』
ド直球ですね。
『ただし、業種別に産出デフレーターの上昇要因を子細にみると、製造業(食料品や機械業種)では、人件費上昇の押し上げ寄与が総じて大きめとなる一方で、非製造業では、人件費上昇の押し上げ寄与はさほど大きくない。この背景としては、人手不足が深刻な非製造業による活発な省力化投資が、労働生産性の向上、ひいてはULCの下押し圧力につながっている可能性を指摘できる27。』
まあでもそれってULCは下がるかも知れないけど、(文章内にあるように)労働生産性の向上とか、省力化投資そのものが設備投資全体に与える効果、という話だから別に悪い話をしている訳ではないというお話ではありますな。
でもってこの話って「賃金の引き上げが投入コストの押し上げに寄与している」という話を思いっきりしている訳でして、従来「今の物価上昇はコストプッシュであってコストプッシュに金融政策で直接対応するのはよろしくないんじゃないでしょうか」という説明をずっとしていたわけですが、ここに来て明確に「賃金引上げによる投入価格の上昇圧力」というのを示してきている訳ですな。
・・・・・となりますと、この1年間の「賃金と物価」の三部作って(いやまあ別に三部作シリーズのつもりで作ったわけではないので勝手に変態のアタクシが三部作扱いしている訳ですが)いうのは、
昨年10月「最近の価格上昇を要因分解すると誤差項の部分で賃金要因あるんじゃネーノ」
↓
今年4月「価格引き上げに成功する企業は賃金を上げれますねえ」
↓
今年10月「賃金引上げによって投入価格の上昇が明確にみられる」
というお話になっているので、これは結構な勢いで「賃金と価格の相互作用」の強まりを確認していますよって話になっているので、この点に関して言えば大本営情報部はいわゆる基調的物価(まあ「物価の基調」と言うべきだと思うけど)に対しては強い話をしている、ということになろうかと思うのでして、景気の方は何か弱気というか慎重なんですけど、物価の基調に関しては威勢が良い話をしている、ということですので、その点からすると景気に対する妙な弱気モードを脱却すればこれまた利上げを妨げるものではないし、何なら物価の基調が強くなっているのが確認されつつあるのですから、2%物価安定目標達成は近い、という説明をおっぱじめるのも可能、ということになるというのが中々の諸葛孔明の罠となってませんかねえ、とは思った訳です。
ってなんか昨日言ってたのは何だとか言われそうですが、景気に謎の弱気なのはそうなんで、はてさてこれどっちに転ぶんだよと言うお話ではある(って言っても米国ってむしろ上振れの話の方が最近は多くねえかという気もするし日銀の謎の弱気も謎だが)次第です。
〇植田総裁の昨日の国会答弁はお前は何を言ってるんだと思いましたが上記BOXネタからしますと・・・・・
これはロイターさんの見出しが如何なものかと思ったのだが
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/36HVLZWHVNPWNKCUEEOC55WN3Y-2025-11-13/
長期金利急騰、例外的なら「機動的に国債買い入れ増額」=植田日銀総裁
山口貴也
2025年11月13日午前 10:55 GMT+9
長期国債云々よりもヘッドライン見ててドヒャーと思ったのはこっちですわこっち。
『<要因識別「困難」>
参院予算委では、現状の物価高の要因がデマンドプル型かコストプッシュ型か見解を問われ、「明確に識別することは、なかなか難しい」と答える場面もあった。』(上記URL先より、以下同様)
ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwwww
今まで「コストプッシュだから金融政策で直接対応するのは如何なものか」って言ってたのは何だったのかとこの答弁部分のヘッドラインを見て椅子から転げ落ちそうになったのですがwwww
『植田総裁は「コメを含む最近の食料品価格上昇については一時的なコストプッシュ要因が相応に影響していると考えている」とした。一方で「景気が緩やかに回復し、労働需給がひっ迫するもとで、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きも続いており、食料品のみならずその他の財やサービス価格も緩やかに上昇している」と指摘。一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率は「2%に向けて緩やかに上昇していると判断している」と述べた。』
って説明の中に、上記ネタにした展望レポートBOXの話がどのくらい含意されているのかはよくわからんのですけれども、まあこの答弁を見て「そうだBOX4をネタにしないといかんじゃないか!」と思ってネタにしたという説は多々あるのでした、あっはっは(超滝汗)。
〇ところで事務連絡(中の人夏休みのお知らせ)
ところで事務連絡ですが、中の人が来週夏休み(秋だけど)をとりますよって、来週は更新をおとぼけさせて頂きます、誠に申し訳ございませんがちゃんと整理していない過去ログでもご覧になって頂ければというか再来週にまたお越しいただければと存じますです。(整理できてなくて本当に申し訳ないというか、若田部語録でも整理しておけば良かったとは思っていますのでその辺は追々)
よろしくお願いいたします(土下座)
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