朝のドラめもん
2026/03/24
お題「またトラ公ドテンだがホンマカイナ/審議委員人事参院可決と/春闘お強い/今回は安定の総裁記者会見」
日経社説攻めてますねえ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK235DI0T20C26A3000000/
[社説]物価安定に不安残す日銀人事
社説
2026年3月23日 19:00
『衆院では野党の中道改革連合が円安に拍車がかかるリスクがあるとして反対した。注目される人事だけに、承認前に候補者から景気・物価情勢や必要な政策対応を聞く機会がなかったのは残念だ。
衆参両院が同意人事で候補者の所信を聴取する対象は日銀正副総裁や人事院人事官など計6ポストだ。日銀審議委員は適用外だが、過去に開催例もあり、臨機応変に実施してもよいのではないか。』(上記URL先より)
ということで目出度く後任人事も確定しましたがその点に関する愚感想の前にまたも中東ニュースが昨晩進展しているのでそのメモから。
〇なんかやたらと株安債券安だったので備忘メモ&またまたお得意の朝令暮改というかそもそもホンマカイナと
昨日の債券市場ちゃん(ロイターさんの謎エンコードもう元に戻らないんですなとションボリというか余計な手間かけさせやがって感は否めない)
https://jp.reuters.com/markets/japan/R4KFAUT74RKXFI475DJ2FMWETM-2026-03-23/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落、長期金利一時2.32%に上昇 2カ月ぶり高水準
ロイター編集
2026年3月23日午後 3:35 GMT+9
昨日は朝っぱらの先物はじまる前から10年5甘だのやっておったわけですが、
『[東京 23日 ロイター] - <15:15> 国債先物は大幅続落、長期金利一時2.32%に上昇 2カ月ぶり高水準
国債先物中心限月6月限は、前営業日比42銭安の130円79銭と大幅続落して取引を終えた。インフレ懸念や海外金利上昇が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同4.5ベーシスポイント(bp)上昇の2.305%。序盤には2カ月ぶり高水準となる2.320%まで上昇する場面もあった。
きょうの円債先物は朝から売?り優勢の軟調な展開が続いた。原油高によるインフレ懸念に加えて、欧米中銀の金融政策スタンスがタカ派に転じつつあることが重し?となり、日本の三連休中に海外金利が大幅上昇した流れが波及した。』(上記URL先より、以下同様)
ってな訳で、
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比3.0bp上昇の1.295%、5年債は同5.0bp上昇の1.720%、20年債は同4.5bp上昇の3.165%、30年債は同4.0bp上昇の3.560%、40年債は同3.0bp上昇の3.775%。』
となって、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 1.293 1.299 0.029 14:54
5年 1.715 1.725 0.048 15:05
10年 2.303 2.309 0.047 15:02
20年 3.158 3.166 0.048 15:09
30年 3.552 3.565 0.045 15:14
40年 3.763 3.779 0.039 15:16』
ということなので先物とか中期とか長期とか超長期の途中までとかが一番叩かれていましたが、地味に2年も連日の金利上昇で1.300%水準まで上昇しておりまして、衆院選の結果が出た直後の株高ワッショイの時に2年カレントの引けが1.305%だったりしたので、結構なところまで金利上昇が回復(ってのも日本語が変だが)したなあと思いました。
なおその48時間の期限が近付く中いきなりこれであるwwwww
https://jp.reuters.com/markets/japan/CWH5D74GHBKYJBEX4M6INMAH6U-2026-03-23/
〔マーケットアイ〕外為:ドル158円前半に急落、トランプ米大統領がイラン発電所などへの攻撃延期を表明
ロイター編集
2026年3月23日午後 8:37 GMT+9
『[東京 23日 ロイター] - <20:25> ドル158円前半に急落、トランプ米大統領がイラン発電所などへの攻撃延期を表明
ドルは一時158円前半に急落した。トランプ米大統領が、イランと建設的な対話を行ったとし、発電所やエネルギーインフラへの攻撃延期を軍に指示すると表明したことが伝わる中、動意づいて一時158.25円に下落した。発言が伝わる直前にドルは、159円半ばで推移していた。』(上記URL先より)
ってマジでこいつらアホなのかという話なのですが、
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-23/TCCN3IKJH6V400
トランプ氏が攻撃延期、戦争終結へ協議中と主張−イランは否定
・ウィトコフ、クシュナー氏が協議主導、すでに「主要な合意点」
・ホルムズ海峡は米国とイランで共同管理できる−トランプ氏
John Bowker
2026年3月23日 at 20:14 JST
更新日時:2026年3月24日 at 3:13 JST
『トランプ氏は23日、ウィトコフ特使と娘婿のジャレッド・クシュナー氏がイランの「最高位の人物」と前日に協議し、すでに「重要な合意点」があると記者団に説明。双方とも「合意を望んでいる」とし、23日に再び電話で協議を行うと続けた。』(上記URL先より、以下同様)
とのことで、
『トランプ氏によると、イラン側の協議相手は最高指導者のモジタバ師ではない。アクシオスがイスラエル当局者の情報として報じたところによると、ウィトコフ氏とクシュナー氏はイラン議会のガリバフ議長と協議している。』
って話なのだが、何せこの戦争は初手の時点で交渉中の相手をピンポイント爆撃しているくらいなので、まともに米国サイドと(電話であっても)交渉したらその場所で爆殺されてしまうリスクがあると思うから当て馬役の人間しか出てこないんじゃないですか、としか考えられない訳で、そんな状況下でまともな交渉できるのかよと思ったら、
『だが、ガリバフ氏はX(旧ツイッター)で、米国側と交渉したことはないと明言。イラン国営テレビは、過去数日に仲介国を通じて米国から交渉の打診を受け取ったが、イランはまだ返答していないと報じた。』
ってことなので毎度の支離滅裂朝令暮改攻撃のようにも思えますけどねえ、という感じではありますな(個人の感想です)。
まあしかも
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-23/TCCR7BKGCTIA00
クシュナー氏の投資会社、運用資産62億ドルに−利益相反懸念の声も
・中東政府系ファンドから資金−地政学リスクによる変化に投資
・政権から中東和平交渉役任される−当面追加資本受け入れない方針
Sridhar Natarajan
2026年3月24日 at 3:23 JST
な訳でして以下ノーコメントという所ではありますなwwww
〇まあゆうてこの二人なんぞ無力化されますって(日銀審議委員人事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA221BH0S6A320C2000000/
日銀審議委員に浅田統一郎・佐藤綾野氏、国会が承認 参院で可決
金融政策
2026年3月23日 13:27
(2026年3月23日 13:49更新)
『参院は23日の本会議で、国会の同意が必要な11機関22人の人事案を与党などの賛成多数で可決した。日銀の審議委員には中央大名誉教授の浅田統一郎氏と青山学院大教授の佐藤綾野氏を充てる。衆院は19日の本会議で同意済みで、国会として承認した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『立憲民主党や公明党、共産党などが反対した。立民の水岡俊一代表は23日の記者会見で「インフレが進む現下の局面における人事として妥当性を欠いているのではないか」と述べた。衆院では立民と公明党が結党した中道改革連合が日銀審議委員の人事に反対している。』
ってなことでしたが、以前本件は確か国民民主の玉木代表が「所信聴取したらどうか」という話をしていたと思うのですが、結局聴取もしないで賛成とは相変わらずの言うだけ番長だわと思いましたし、みらいとか参政とかも素通しかよお前らと残念ではありますが、先ほどの日経社説では、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK235DI0T20C26A3000000/
[社説]物価安定に不安残す日銀人事
社説
2026年3月23日 19:00
『国会が日銀の審議委員に2人の経済学者を充てる政府案に同意した。市場には2人を金融緩和に積極的な「リフレ派」とみて、高市早苗首相が日銀の利上げ路線に不満を持つ表れとの見方がある。そうだとすれば、政権の物価安定に対する姿勢に不安を感じざるをえない。長引く物価高と歴史的な円安に中東情勢の緊迫による原油高がのしかかる。金融政策の適時適切な正常化は経済全体の物価安定を確保する要であり、政権は日銀の独立性を尊重すべきだ。』(上記URL先より)
となっておりますけれども、まあゆうて浅田先生の方はイマイチ分からん(というか興味ない)のですが、佐藤先生の方は「責任ある積極財政を推進する議員連盟」とかいう所で3年前にお話をしているアーカーイブがあるのですが、
https://sekkyokuzaisei.jp/video/page/4/
勉強会動画・資料一覧
こちらの第17回勉強会で講師をやっておられましてよつべのリンクもあるのですが、この先生の勉強会って何が凄いかと言えば、コメントの3週間前とかいうのは政策委員ノミネート後のコメントですけど、もっと初期(数年前のコメントとなっているもの)に書かれているコメントって(他の回のコメントもちょっとだけ見て回って確認しましたが)、基本的にこの議連の活動に以前から興味のある人のコメントなので賛否両方あるにしても、ある程度好意的なコメントが多かったりする(例えば本田悦朗さんの回とか)のですけれども、佐藤先生のこの回の初期コメントって見るも無惨なコメントが並んでいるので、まあ興味のある方は見に行ってつかあさい(その結果貴殿のよつべの履歴が学習されてしまってリフレばっかりお勧めされるようになっても当方は責を負いかねますので悪しからずwww)という物件になっておりますが、中身見なくてもコメント欄見るだけでマジで受けるんですよ(本当)
ということでですな、まあこの程度の知見しかない(見識というのは見識という言葉に失礼)んだったら日銀の中の人たちに太刀打ちできるわけが無いのでして、まあこの2名が入ったとて政策に影響を与えるような貢献が出来るとは誠に遺憾ながら思えませんなあ、と言ったのがアタクシの個人的な感想でありましてあくまでも個人の偏見ではありますが、あっと言う間に日銀スタッフに折伏されて執行部賛成マシーンになるに1万バーナンキといったところかと存じます(個人の偏見です)。
浅田先生は就任記者会見が来週ですので待ったなしですが、佐藤先生は6月末までお時間がありますので、就任記者会見に耐えられる程度の準備をして頂ければ刮目して待つということになりますが、例のよつべの感じだとレスバもあんまり強くなさそうに見えてしまうので、就任記者会見でレスバ大好き記者さんがレスバしていただきたいもんだと思いますwwwwwwwwwww
てな訳で多分毒にも薬にもならないのが入ってくる、って感じじゃないですかねえ・・・・・
〇賃金上昇傾向は定着というかただの生活給の世界とも言えますが(春闘第1回回答)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2026/yokyu_kaito/
要求集計・回答集計結果
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2026/yokyu_kaito/kaito/press_no1.pdf
第1回回答集計(2026年3月23日集計、3月23日公表)
プレスリリース・総括表
何がどういう仕組みになっているのかが良くわからんですが、この内容がテキストで取れないので連合の公表文書を引用できないという珍現象がアタクシの環境では生じているのですが、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026032300750&g=eco
連合初回集計、賃上げ率5.26% 前年割れも高水準を維持―26年春闘
時事通信 経済部2026年03月23日18時53分配信
『連合は23日、2026年春闘で傘下の労働組合が経営側から受け取った回答の第1回集計結果を発表した。基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた賃上げ率の加重平均は5.26%だった。前年同時点の5.46%を下回ったものの、5%を超える高水準を維持した。』(上記URL先より)
ということで大変に威勢の良い数字が出ている訳ですが、そもそも論として2020年基準の全国CPI総合が今年1月で112.9なんですから生活給の観点からそのくらいは出せよなという発想が速攻で湧き上がってくるのは昭和脳バリバリの金利市場お達者クラブ会員じゃないとピンとこない(いやまあゆうてこっちも第二次石油ショックの時だって自分で稼いではいないのでアレですが)んですかねえとか何とか思いながらベアがどうしたこうしたというニュースを見ておる次第ですな。
でまあ賃金上昇傾向は定着、というかこれしまいにはスパイラル起きるリスクだって出てくるんじゃないのか、と思ってしまうのが昭和脳というか、ここもとのインフレで記憶のどこかにあった意識が戻って来て期待インフレがすっかり引きあがっている人の杞憂かもしれませんけど、まあどっからどう見たってこれ「待つことのリスクは大きくない」どころの騒ぎじゃないわと思ってしまいますので、つまりは日銀の正常化路線に対してフォローの風がビュンビュン吹いてまっせという評価だとおもうのですが・・・・・・
〇植田総裁記者会見:今回は会見の前半の数問の質疑応答が結構場素晴らしい出来栄えでした
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2026/kk260323a.pdf
総裁記者会見
――2026年3月19日(木)午後3時30分から約65分
・最初の幹事社の質問が要点を捉えていて回答もちゃんとしていてしょっぱなから聞き心地の良い会見でしたわ
ということで初手の幹事社質問。
『(問)一つ目は、緊迫するイラン情勢が日本経済・物価に与える影響について伺います。アメリカなどとイランの攻撃の応酬が続き、こうした状況で、交易条件の悪化によって経済を下押しする恐れがある一方で、原油の高騰が続けば物価が押し上げられ、上振れする可能性があります。金融政策を考えるうえでは、いわばトレードオフの関係にもなるわけですけれども、経済の下支え、物価上昇、どちらに重きを置いて判断していくのでしょうか。また、中東情勢の不確実性が金融政策の判断にどう影響を与えるか、ご見解を教えてください。』
というのと、
『二つ目です。今回、金融政策を維持されましたが、次の利上げに向けた考え方を伺います。前回
1 月の会見では、チェックポイントを絞るのではなく、物価・賃金の上昇がどういうペースで続くか様々な指標から判断していくと述べられました。現在の状況を考えますと、当時とは状況が異なり、イラン情勢で不確実性が高まり、リスク要因ともなる中で、今後どういった点に注目して判断していくのか、次の利上げに向けた考え方を詳しく教えてください。』
ということなのですが、回答の方が今回はちゃんと正攻法で説明しておりましてですね・・・・・
・中東情勢の不確実性に対して「物価安定目標達成の観点から」という説明をしておりまして・・・・
『(答)まず一点目ですけれども、今日の決定会合では、もちろん中東情勢の帰趨に注意が必要であるものの、わが国経済は緩やかな成長が続き、基調的な物価上昇率も見通し期間後半には物価安定の目標を実現するというこれまでの中心的な見通しを維持することとしました。』
はい。
『ただ、ご指摘の通り、原油価格の高騰が続けば、交易条件の悪化を通じて景気を下押しする可能性が高まります。また一方で、原油価格の上昇は、短期的にはエネルギー価格を押し上げるほか、企業や家計の予想物価上昇率の上昇を通じて、基調的な物価上昇率を押し上げる可能性もあります。仮にそうした状況になった場合に、インフレの抑制と景気の下支えどちらに重点を置いて金融政策を運営するかというご質問でしたが、これは一概にお答えすることは難しいと考えています。』
ほう。
『一般論として申し上げれば、物価上昇や景気悪化の影響の大きさなどを踏まえたうえで、最終的には
2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、最も適切な対応を選択していくことになると考えています。』
でもってここがポイントの高い所でして、変に「リスクマネジメントアプローチ」とかそういう言い方をするのではなくて、「物価安定目標の実現という観点から」という説明にしておりまして、いやまあ勿論物価安定目標達成の観点からって話の中にはイラン戦争の状況によって景気下押しからの基調物価押し下げというような考慮も含まれるのではありますが、従来の「リスクマネジメントアプローチ」みたいな「リスクを強調して政策修正を後回しにするときに使った説明」の線ではない、というのが中々結構な王道説明かと思いました。
この説明、冷静に考えればそんなにタカタカしている訳でもないのではありますが、ただ「物価安定目標達成の観点」をよりしっかり打ち出すことによって、物価安定への配慮を示す、すなわち利上げ推進っぽい言い方になっている訳で、この説明部分は中々結構だったと思います。
まとめは、
『いずれにせよ、私どもは中東情勢の影響を含め、その時点で利用可能な各種のデータや情報から経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度をアップデートしながら、適切に政策を判断していきたいと考えています。(ここまで前半部分の回答)』
となっていますが、この判断タイミングに関しては別の質疑で出てくるので後程。では幹事社質問の2問目部分の回答に進みますが・・・・・
・イラン戦争なかりせば・・・・・・
『次に二点目のご質問ですが、今後の利上げの是非やタイミングについては、これまでと同様、経済・物価情勢や基調的な物価上昇率に関する見通しの確度やリスクを確認しながら、毎回の決定会合において適切に判断していきます。そのうえで、当面は、ご指摘の通り、中東情勢が、わが国経済にどのような影響を及ぼすかが重要なポイントになります。』
そらそうですわな、となりますがこの次がまたポイントが高い。
『その前提として、ここ数か月のデータ、つまり、中東情勢勃発・変化の前のデータは、企業、家計ともに、所得、支出の両面で堅調さを示すものであったと考えています。更に、政府による様々な経済対策も経済成長にプラスに寄与すると考えられます。』
おおおおおおおお!!!!
でもってここからの、
『こうした中、原油価格の上昇に伴う交易条件の悪化などが景気をどの程度下押しする可能性があるかを今後点検していきます。』
となっている訳でして、従来のハトハトチキン路線だと「海外経済の不確実性ガー」で思考停止状態になってハトハトチキン音頭を踊っていたのに、「イラン戦争なかりせば利上げ路線でしたがな」というのを殊更に説明することによって、「利上げ路線は消えていない」というのと、「前回のショックとは対応が同じになるかどうかは状況次第だよーん」というのを組み合わせておいでである、という事が言えるかと思います。つまり従来だと今のような状態ではハトハトチキンだったのにその点が全然違うじゃろというお話ですわな。
でもって基調物価に関しては、
『基調的な物価上昇率については、先行き上下双方向に変動し得ると思っています。すなわち、景気に下押し圧力がかかり、需給ギャップが悪化すれば、基調的な物価上昇率を下押しする要因となります。一方で、原油価格の上昇や為替円安が人々の中長期的な予想物価上昇率の上昇につながれば、基調的な物価上昇率の押し上げに作用すると考えられます。』
ということなのですが・・・・・・
・前回の供給ショックとは違う可能性について言及しているのがさらにポイントマシマシである
『こうした動きが、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去に比べ、例えばロシアによるウクライナ侵攻後の輸入物価上昇時に比べ強まっている可能性があるということにも留意が必要と考えています。』
キタキタキター!!!!
『なお、こうした基調的な物価上昇率の今後の展開を見通すうえでも、当面は春闘における賃上げの状況や企業による値上げの動きなどを点検し、賃金と物価が持続的に上昇するメカニズムが作動しているかどうか確認していきたいと思っています。また、その際にはいつものことですが、様々なデータに加えて、随時蓄積されます本支店によるヒアリング情報も丁寧に分析していきたいと思っています。』
ということですので、まあ普通に遠くない先で利上げが実施されるし、そこで打ち止めにもならん、というのが説明されていると思いました。
・過去の石油ショックとのアノマリーについての説明でも「物価安定重視」を明確に示していますね
次の質問者になります。
『(問)私から二点ございます。』
後半の質問はしょうもなかったので割愛しますが。
『まず一つがですね、原油高への政策対応について改めて伺います。』
ほい。
『過去にもですね、有事の原油急騰という局面があって、例えば第二次オイルショックなどではですね、日銀が早めの金融引き締めをしたということで、比較的軽微な影響にとどめたということが言われているかと思います。』
『一方で 2022 年のロシア・ウクライナの戦争ではですね、日銀は金融緩和を維持しましたけれども、欧米の中央銀行などは最初ちょっと慎重な対応に出て、その後いわゆるビハインド・ザ・カーブ、急速な利上げを迫られたというところが記憶に新しいことかと思います。』
からの、
『当然今回ですね、今後の展開次第で日銀の対応変わるとは思いますが、こういった過去の教訓などからですね、今後どのような姿勢で臨まれるのが正しいかとお考えなっているかということを教えてください。(後半割愛)』
でもって回答ですけど、
『(答)一点目ですけれども、過去のサプライショック的な局面での金融政策の対応と比べて、今回どういうふうにやっていくのかというご質問だと思いますけれども、私もここ
1 週間くらい、ご指摘頂いた日本の、例えば 1970 年代の対応、それから直近では
2021 年から 22 年にかけて、そしてその後の欧米、日本を含めてですが、中央銀行の対応をもう一度復習したりしておりました。』
でまあこれを復習するとどっからどう見ても先般のシュナーベルのNY講演にあるように「中央銀行は物価安定を重視して政策運営をすべし」「物価安定なかりせば中長期的な経済安定は達成できない」というご教訓に立ち至る訳でして、この辺りにもメッセージ性を感じたくなりますし、まあメッセージじゃないにしても「イラン戦争の影響を考える際に経済下押しを重視しすぎて利上げが先送りになるとは必ずしも言えませんよ」ってことを言っている訳ですな、知らんけど。
『こういうことも参考にしながら、しかし基本線としては先ほど二番目の幹事社さんの問いでお答えしましたように、最終的には、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現という観点から最も適切な対応を選択していきたいと考えております。(後半割愛)』
まさに「中央銀行は物価安定を重視して政策運営をすべし」な訳です。
・原油高はルックスルーできるのかという話についても従来とはトーンが異なりますな
その次の人の質疑ですけど、
『(問)二問お伺いします。原油高の影響についてお伺いします。これまで日銀としては、供給ショックとか一時的な要因に対して金融政策では対応しにくいという姿勢だったと思います。』
さいですな。
『今回については、要は基調的な物価を押し上げそうだと判断すれば、利上げを検討する材料になるという理解でよいのでしょうか。』
良い質問の仕方である。
『ただ、基調まで影響するかどうかの判断には一定の時間かかると思うんですけども、それまでは様子をみるというお考えなのでしょうか。(後半割愛、というか次のコーナーで)』
うんうん。
『(答)まず前段ですけれども、基本的には一時的なサプライショックはルックスルーするというのが一つの原則なんだと思いますけれども、おっしゃいましたように、一時的かどうか、なかなか判断が難しい中で、基調的物価にどういう影響があるかということをいつまでみれば分かるということを前もって言うことは、非常に難しいわけですので、毎回の決定会合において、そこまでに得られた情報をもとに最大限判断していきたいと思っています。』
ということで、一時的だからとか供給ショックだからとかいうだけで済ませていないのは従来の説明とはだいぶ異なる(従来は一時的だとみている、か供給ショックだからルックスルー、で利上げ先送りを正当化する説明でしたよね)し、何ならこれ「一時的なサプライショックは」ルックスルーと言っているので、サプライショックの中でも一時的じゃないものはルックスルーするわけではない、っていうのをしらっと表明していて、なんかまあ過去との整合性どうしたとは思いますけど、どさくさに紛れて説明がかなり王道になってきたように見えます。
でもってここまでで前半部分の話を終わらせてもよさそうなもんですが、さらにポイントが高いのはこの直後に、
『ただ、そのうえでもう一つ忘れてはいけないのは、この中東情勢の話を横に置いておいたとしますと、私どもの持っている見通しは、基調的物価が少しずつ上昇して見通し期間後半には
2%に達するという見通しであったわけで、それが前提にあります。』
おおおおおおおおお!!!
ってさっきも言ってましたが、今回も「イラン戦争なかりせば」というのを思いっきりぶっこんでいる訳でして、これはつまりは「物価安定目標達成に向かっていく中で緩和政策の修正(要は利上げ)を継続しますよ」というのをわざわざ言明している訳でして、「利上げ路線が頓挫していません」という今回の決定会合のメッセージ(昨日書きましたように)を会見でも確りと示しているということでもあります、よすよす。
『そこから上振れるのか、下振れるのかということを含めて、判断していくということでございます(後半割愛)』
ってことでして、なんかあるとすぐにハトハトチキンとなっていた今までの植田日銀とはずいぶん違うじゃんとは皆様も思ったのではないかと存じます。
・為替についての説明部分でも「以前と比べて物価への影響が大きい」点をわざわざ付け加えています
さっきの質問の後半部分です。
『(問)(前半割愛もう一問が、原油高と一緒にですね、円安圧力が強まっているというふうに思います。今回の中東情勢の緊迫化が為替相場に与える影響についてどのようにお考えかという点をお願いします。原油高だけじゃなくてですね、今回の円安が物価あるいは基調物価に与えるインパクトも利上げの判断に影響してくるのか、この点もお伺いできればと思います。』
こちらの回答はと言いますと、
『(答)(前半割愛)それから、中東情勢は為替にどういう影響を及ぼすかということについて、具体的にコメントするのは差し控えさせて頂きますけれども、当然、いつも申し上げておりますように、為替の変動が物価あるいは基調物価に与える影響については注意してみていきたいというふうに思っています。』
で終わりにしても良いのですが、わざわざ付け加えまして、
『その際、これもいつも申し上げているかと思いますが、昔に比べまして、最近は為替レート変動の国内価格への転嫁、あるいはその先、基調物価への影響、こういうところが強くなっている可能性があるという点には注意しながらみていきたい、分析していきたいというふうに考えております。』
という締め方をしているのがどう見ても円安進行による物価の(不必要な)上振れ警戒モードを示しているわけでして中々結構な説明スタンスになっておりますな、うんうん。
・経済の下方と物価への上方のリスクの見方に関する質問で例の「物価警戒の方が多かったよ」回答を頂きました
その次の質疑です。というか今回の会見って最初の幹事社しつもんから始まって前半の一連の質疑の出来が良いのでまあ前半だけネタにすればヨロシという感じなんですな。
『(問)二点お願いします。一点目は、まだちょっと経済の下押しと物価への上押しのバランスを判断するのは難しいということではありますけれども、これまでのご発言を聞いておりますと、やはり既に物価が基調でも
2%に近づいている中でこういう供給ショックが起きたということであれば、やはり物価の上振れリスクを当面より意識しなければいけないのか、その点についてもう少し敷衍して頂ければと思います。(後半割愛)』
という質問に対して、植田総裁の説明ですけど、
『(答)今回の中東情勢の諸物価への影響において、まず上方リスク、下方リスク、どちらをというご質問だったと思いますけれども、今日の決定会合でそういう点はかなり議論になりまして、結局メンバーによって上方リスクを重視したいというふうにおっしゃる人と、下方リスクをという方に分かれたという感じでございます。ただ、微妙に前者の方が人数としては多かったという印象も持ったところでございます。(後半割愛)』
ってな説明をしていまして、一般論で返せる質問でもありましたが、聞かれもしないのにわざわざ「委員会では上方リスク警戒の方が微かにだけど優勢」って回答していまして、ここまでの「物価安定重視姿勢」と相まってこれまた利上げの旗を降ろさないどころか何なら思いっきり振り回してるじゃんという感じではありますな。次の質問で「植田総裁はどう思いますか」と言われて回答を避けたので、委員会の意見分布の説明をイタコに使っているというのもあるかも知れませんが・・・・
・4月会合で改めて点検&リスクマネジメントアプローチで上下両方向の話をするとな
てな訳で次の質疑応答。ここまでの質疑が良くできてるなと思いました。
『(問)二点お伺いします。一点目は、直前の質問の関連なんですけれども、基調物価の上方それから下方のリスクについて直前で質問がありましたが、ボードメンバーの中では意見が割れたということですけれども、植田総裁ご自身としては、どちらがより大きいとお考えなのか伺いたいと思います。また、どちらかというと前者の方が多かったとご説明頂きましたが、ということは物価の上振れリスクに対してより利上げで対応する重要性というのは高まっているといった認識はあるのか、教えてください。(後半割愛)』
そりゃ聞きますわな。でもって回答。
『(答)物価の、あるいは基調物価の、今後の上振れ、下振れリスクを私はどっちに重点を置いてみているかというご質問だったと思いますが、それは何とも現状、差し障りのある言い方かもしれませんが、3
月入ってから起こった事態で、日に日に情勢が変わるというところでもありますので、もう少し情勢をみたうえで、どちらが重要かということを判断していきたいと考えております。』
そりゃ回答を回避しますわなwww
『それから途中にあったご質問が、例えば基調物価の上方リスクが高いと判断されれば政策変更になるのかというご質問だったように伺いましたけれども、それはもう少し情報が蓄積されていった場合に、当然私どもは見通しをもう一回再点検する、4
月の会合は展望レポートがありますし、そういうことを致しますが、その場合にまず中心見通しがどうなるかということが最大のポイントになりますし、それを前提にしたうえでそこからのズレとしてリスクをどういうふうにみるのかということをまとめるということになります。中心見通しが維持されるのか変わるのか、あるいは維持されるにしても確度が上がるのか下がるのかということが最大のポイントですが、当然リスクについても上方リスク、下方リスクをみて、それが無視し得ない大事なリスクであると判断した場合には、ある種リスクマネジメント的なアプローチからリスクの方に重点を置いて政策を考えるという可能性もゼロではないというふうに思っています。(後半割愛)』
でまあ植田さん云々はさておくとこういう回答になっていまして、思いっきり具体的な説明を丁寧に行っていまして、4月利上げの可能性は大有りです、って言ってるようなもんじゃんと思いましたがどうでしょうかねえ。
・基調物価への影響は短期間で判断できないわけではないですよという説明。
ちょっと先の質疑に飛びます。
『(問)先ほどですね、会合では、基調物価の上振れリスクを指摘する委員が多かったということなんですけども、ちょっと直接的で恐縮なんですが、OISで
4 月会合でですね、日銀が追加利上げを行うんではないかという確率が 60%と比較的高い状況にありまして、そもそも原油高を受けた基調的な物価上昇率の方向性を見極めるというのは、そうした
1、2 か月とかいうタームで可能なのかどうかということをちょっと総裁に伺いたいというのが一点です。(後半割愛)』
OIS云々は何でそれをいれたのかリアタイで聞いてても意味不明だったが文字で見ても意味不明ですがまあ「影響見極めに必要な時間」の質問でして、
『(答)基調物価の判断が短期間で可能になるのかというのが前半のご質問だったと思いますけれども、もちろん何か起こったときにその影響を、特に基調物価に対する影響を短期間で判断するのは割と難しい作業であるわけですが、基調物価そのものは過去からの様々なデータの積分みたいな感じで判断しているわけで、そこに新たなショックが追加的に起こって、これまで持っていた見方がどれくらい動くかというところを判断するわけですので、厳密な判断は難しいと思いますけれども、どちら方向にいきそうかとか、変動するとしてもどれくらいの程度かとか、そういうことについて短期間でも分かる可能性はあるというふうに考えています。(後半割愛)』
という回答でして、これも聞いてておおおおおおと思いましたが、従来なら影響見極めを慎重に行うだのなんだのというようなハトハトチキン説明をするのが植田日銀の仕様でしたが、今回の説明は全然トーンが(もちろん良い方向に)違うじゃん!!というお話でして、まあこんな感じで全般において今回は4月利上げやる気満々と言うか、すくなくとも「イラン戦争なかりせば4月利上げだったんですよ〜」ってのを思いっきり示している説明になっている訳でして、しかもイラン戦争の影響に関しても上記のように必ずしも下方リスク一辺倒ではないし見極めに死ぬほど時間がかかるわけではない、ということですので4月利上げの可能性をそんなに下げて考えなくてもエエンデネエノとは思いました、という所かと思いまする。個人の感想ですけど。
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