朝のドラめもん

2025/07/08

お題「関税とか超長期とかの雑談メモ/ECBのニューストラテジーに関するラガルドはんの説明より少々(その2)」

ほうほうそうですかそうですか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07BY80X00C25A7000000/
「トランプ・ゴールドカード」実現に壁 永住権販売、議会承認が必須か
トランプ政権
2025年7月8日 5:29

『【ワシントン=赤木俊介】トランプ米政権が500万ドル(約7億3000万円)の支払いで米国の永住資格が取得できると説明する「トランプ・ゴールドカード」の実現を疑問視する声が広がっている。移民制度を改正する権限は米議会にあり、議会の承認が必要になるとみられるためだ。トランプ米大統領は2月、既存の投資家向けビザ(査証)「EB‐5」を廃止し、ゴールドカードを導入すると表明した。米政府は6月にゴールドカードの申請者を募るホームページを開設し、7万人近くが事前登録をしたという。』(上記URL先より)

ここでナウル共和国、って思ったらまた市民権の販売やってるのか・・・・
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-20/SRWRETT1UM0W00
2120万円でパスポート販売、海面上昇に苦しむ島国が対策費工面へ
Chanyaporn Chanjaroen、Ishika Mookerjee、Bernadette Toh
2025年2月20日 11:39 JST

この国大昔にパスポート乱発販売してテロリストなどに使われたってことで大変なことになったんですよね・・・・・・


〇関税25%ですかそうですか・・・・・

ゴロツキキタコレ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-07/SZ1JYFT0G1KW00
トランプ氏が日韓に25%関税通知、交渉期限を延期−回避手段にも言及
Josh Wingrove、Catherine Lucey
2025年7月8日 4:52 JST

→セクター別関税は別と説明、報復ならその分25%関税に上乗せと警告
→市場開放や米国での生産拡大を通じて発動を回避する手段も明記

『トランプ氏の発表を受けて、米国株式市場は下落。S&P500種株価指数は約1%下落、
ナスダック100指数は0.8%下落した。シカゴ・オプション取引所のVIX指数は18.10前後で推移。テクノロジー株の予想変動率を示す指標は2週間ぶりの高水準となった。

円は対ドルで146円台に下落。一時は1.2%安の146円23銭付近と、日中としては6月23日以来の安値をつけた。』(上記URL先より)

つまらん妥協はせんでもろていただいて、とは個人の感想です的には思いますし、米国の物価が上がってトランプざまあという展開からのTACOちゃんじゃろとは思うのですけれどもさてどうなるのやらという感じですな。

ただまあどうなんでしょうかね、これ結局自動車とかは別に上乗せとか言い出すんでしょうからこれで終わりって感じでもないんでしょうから、「関税交渉の先行き不透明ガー」という話になる、と考えますと、日銀大本営の現在の屁理屈からしますと、関税問題の先行きが不透明でありますので政策は地蔵です(キリッ)って事になるわけで、もちろん7月利上げとかありえないのですけれども、7月展望レポートの段階で先行きの政策に関して9月10月に向けた前向き示唆ってのも出しにくくなったかなあ、とは思うのでありますがどうでしょうかね。

まあその前に参院選というネタもあるので7月会合でどのようなトーンになるのかを今から考えても時間の無駄っぽい気もしますけれども、


〇また超長期の金利が上がっている訳だが(財政懸念ネタで)という備忘メモ

月曜の債券市場ちゃん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/QU7IYDOBQZJR3HFPTWADHU43AQ-2025-07-07/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は横ばい、長期金利1.455% 財政懸念で超長期債は金利上昇
ロイター編集
2025年7月7日午後 3:30 GMT+9

『[東京 7日 ロイター] - <15:22> 国債先物は横ばい、長期金利1.455% 財政懸念で超長期債は金利上昇

国債先物中心限月9月限は、前営業日と横ばいの139円12銭で取引を終えた。手掛かり材料に乏しい中、全体的に動意薄だった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の1.455%。現物市場では財政拡張懸念から超長期ゾーンに金利上昇圧力がかかった。』(上記URL先より、以下同様)

まあ超長期は盛大に動意があったという話でもありますがorz

『現物市場では、新発債利回りはまちまち。2年債は同0.5ベーシスポイント(bp)低下の0.730%、5年債は同横ばいの0.970%。一方、20年債は同5.5bp上昇の2.425%と6月4日以来の高水準。30年債は同10.5bp上昇の2.970%と、5月30日以来の水準まで上昇した。40年債は出合いなし。』

挙句にイブニングで30年一段安やってた気はしますわな。

・・・・・ということでとりあえず参院選序盤情勢ということで連立与党で50議席確保が微妙な線とかいう話になっていたというのがネタになって売られている、というのはまあそうなんですけれども、よくよく考えて見ますと物価が2%水準で推移するっての考えたら別に30年金利3%ってクソ高い水準でも何でもなくねえか???って話は有るわけでして、そもそも論として物価の長期均衡水準が何ぼですかと考えた場合に、そこにタームプレミアム乗っけた水準に対して日銀の長期国債買入とかいうクソイベントが継続していて、しかもお気持ち物価を持ち出して政策金利水準を無駄に低い水準に置いているから国債を買おうって人が何時まで経っても増えてくれないってだけの話ではなかろうか、などと3%という水準を見ながら思う訳で(個人の暴言ですwwww)ジャパンの場合は債券自警団復活みたいなカッコいい話ではなかろう(だいたいからして自警団なら当局にクレクレ大合唱してるんじゃねえよって話な訳で自警団を名乗るのが烏滸がましいにも程があるwwwwwwww)という所ですが、まあ超長期の金利が上昇してくれれば馬鹿政治家へのシグナルくらいにはなるでしょうから、この調子で警鐘を鳴らして頂きたいものだと思います。

ただまあアレですよね、こんなタイミングからベアスティープニング(というか2年対比ではツイストだがw)していますと、肝心の参院選の結果が出る前にスティープニング疲れするんじゃないかという感じ(2週間はさすがに長いじゃろ)ですし、まあそれ以前に関税の話が狂犬から放たれましたので、今日はそっちの話になるんですかね、知らんけど。

でまあロイターさん記事のTRADEWEBの気配ですけれども、

    OFFER  BID   前日比 
2年  0.725  0.734     0   15:20
5年  0.966  0.973   -0.002  15:19
10年 1.448  1.455    0.02  15:20
20年 2.418  2.431   0.062  15:20
30年 2.963  2.977   0.113  15:20
40年 3.218  3.251   0.116  15:20

とのことで超長期ドイヒーという結果になっておりますが、なんかまあ折角発行減額の決定をしてもダメなもんはダメという結果なのは残念ですが、ニーズが無いのもあるにせよ金利水準が足りないからというお話なので、やはり国債買入の額が多すぎだし、いまとなっては長期国債の買入をしている意味って「昔威勢よく買っていたのを急にゼロにできないので徐々に調整」という意味しかない筈なのに、買入縮小ペースを上げるどころか下げる決定しているのは何とかならんのかと思う訳で、結局当局プットみたいな信仰が円債市場にあるもんだから健全な調整が進まないでちょっとプットが入って反発→冷静に考えたら水準がダメだろとなってやっぱり売られる、みたいな無駄なボラを生み出しているというのが個人の極論です。


〇また実質賃金が下がっている訳だが(じっと財布を見る)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-06/SYSQ9NT1UM0W00
5月の実質賃金は2.9%減、20カ月ぶりの減少率−基本給は堅調維持
氏兼敬子
2025年7月7日 8:30 JST 更新日時 2025年7月7日 10:05 JST

→実質賃金5カ月連続マイナス−名目1.0%増、賞与減で伸び鈍化
→基本給は2.1%増とモメンタム持続、高水準の春闘結果を反映

『物価変動を反映させた実質賃金は5月に20カ月ぶりの大幅な減少率となった。物価の上昇が続く中、名目賃金の伸びの鈍化が響いた。所得の改善を実感しにくい状況が続く中、参院選に向けて物価高への対応を求める声が一層強まりそうだ。』(上記URL先より、以下同様)

ということで物価上昇対策ってのが今回は参院選の争点にとうとうなってしまった訳ですけれども(前回の衆院選は政治と金とかそっちで物価はその次位って感じでしたからね)。

『厚生労働省が7日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、「持ち家の帰属家賃を除く」消費者物価指数で算出した実質賃金は前年同月比2.9%減と、2023年9月以来の低水準となった。市場予想は1.7%減だった。名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額は1.0%増と、市場予想(2.4%増)を大きく下回った。賞与など特別に支払われた給与が18.7%減少したことが影響した。』

ふむふむ。

『実質賃金のマイナスは5カ月連続。コメなど食料品をはじめとする物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況が続いている。20日投開票の参院選では、物価高対策として給付や減税が争点となる中で、石破茂首相は「何よりも賃上げ」と強調した。今回の結果は石破政権にとって逆風となる可能性がある。』

いやマジのマジでこの情勢で未だに「基調的物価は2%行ってないから金融緩和が必要」って言ってるの何なのという話で、まあさすがに「基調的物価を引き上げる」みたいな「物価を上げる」という表現を使うと日銀に十字砲火の矛先が一気に向く、という事くらいは分かっているようでその言い方だけはしていない(「経済を支える」としか言わない)のですけれども、選挙終わったらどういう方向になるにせよ財政拡張の話になるわけで、またまたインフレ押上げ要因がやって来て、「これから実際の物価は下がる」という日銀の大本営願望予想が外れる方向になるはずですが、政治的に大丈夫ですかねえとは思います。とは言え高圧経済とか未だに妄言吐いている人たちも政治方面にはいるので、もう日銀もシランガナとなって政策調整を知らんぷりする可能性もあり、これまた今後はどうなるんでしょうねって感じで、選挙の後どうなるかは(自分の生活防衛的にも)色々と考えないといけませんなと思うのであります。

まあ実質賃金がまたマイナス、では日銀は(内心どう思うかはさておき)それ自体には全然反応しないでしょうし、なんなら「企業の賃金設定行動を支えるためにも金融緩和政策の継続が必要」と言い出しそうなので、残念ながらこれで政策調整が早まるとは思えません、というかこれで早まるようなタマだったらとっくの昔に短期政策金利は1%台になっていますwwwwwwwww


〇先週ネタにしたECBの政策ストラテジー見直しに関するラガルドはんの講演ネタ続きを参ります

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2025/html/ecb.sp250630_1~ba0ef03e6f.en.html
SPEECH
Strategy assessment: lessons learned
Introductory speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the opening reception of the ECB Forum on Central Banking 2025 "Adapting to change: macroeconomic shifts and policy responses"Sintra, 30 June 2025

・ボラタイルな経済の中でよりロバストな経済のアセスメントをするのには何をする必要があるのかという話

前回引用したのは「インフレがボラタイルになっており、供給ショックでも一時的じゃない場合が増えているので対応しないとインフレ期待がアップサイドにアンカー外れるよ」って話だったのですが、その続きですな。

『Assessing the distribution of risks』って小見出しのところからになります。

『The next question that follows is: if the economic environment becomes more volatile, how can we make our economic assessment more robust?』

ということで小見出しにこの訳を書きましたw

『Large shocks can trigger feedback loops and non-linear effects that inherently give rise to a broader range of possible outcomes. In a world of higher uncertainty, it is all the more important to augment the baseline with alternative risk scenarios.』

大きなショックはフィードバックループや非線形的な変化をもたらす可能性があるので、オルタナティブリスクシナリオを議論することが重要、という話なんですが日銀の場合のオルタナシナリオって基本的に「金融政策から逆算したシナリオ」なんだよな〜(個人の偏見です)。

『This is why the second key conclusion of our assessment is the need for monetary policy to take into account risks and uncertainty, using a systematic but context-specific approach.』

『The ECB has used both scenario and sensitivity analysis for many years - deploying internal scenarios since the global financial crisis and publishing them for the first time during the pandemic.』

『But our experience in recent years has underscored the particular strength of scenario analysis in times of elevated uncertainty.』

昔から内々ではリスクシナリオを作って分析していましたが、不確実性が高まるにしたがってさらに重要になったですよ、ということで、

『A clear example is Russia’s invasion of Ukraine and the resulting energy price shock. In that case, scenarios provided insights that neither our baseline projections nor standard sensitivity analyses around the baseline could fully capture.』

実際にロシアのウクライナ侵攻とその結果としてのエネルギー価格ショックに関しては、ベースライン見通しや標準的な感応度での分析(ようはモデルとか使ったリニアな分析ってことですよね)は当てはまりませんでした、ということでして。

『For instance, in March 2022 ? just a few weeks after the invasion ? our baseline projected inflation at around 5% for that year, based on market-implied energy futures. The sensitivity analysis suggested a slightly higher figure of about 5.5%. In contrast, the Ukraine war scenario already pointed to inflation exceeding 7% ? close to the final annual figure of over 8%.』

2022年3月での(ウクライナ侵攻直前の)分析では(既にその前から上がりだしていた)エネルギー価格の上昇によってインフレの見通しが標準で5%、感応度加えても5.5%の物価見通しになりましたが、ウクライナ戦争発生するというシナリオでは7%という見通しになりましたし、実際には8%超えのインフレになりました。

『At the same time, there were moments when - in hindsight - publishing scenarios could have supported both our policymaking and our communication.』

『One example was the high uncertainty in 2021 about the speed of vaccine rollout and the nature of post-pandemic reopening, including the sectoral shifts in supply and demand across goods and services sectors, both in the euro area and globally.[4]』

『Scenario analysis could have helped in illustrating that the range of possible inflation outcomes was unusually wide - and reduced the risk of projecting false certainty to the public.』

『This is why our updated strategy commits to ensuring that our policy decisions account not only for the most likely path of inflation and the economy, but also for the surrounding risks and uncertainty - including through the appropriate use of scenario and sensitivity analyses.』

でもって後半ではポストパンデミックの時の話で、これは提示したリオープンシナリオの通りに動きましたって例の話をしていますが、(よく考えたら新ストラテジーの方をご紹介していないのですが汗)ECBの新ストラテジーにおいてメインシナリオだけではなくリスクや確実性について適切なシナリオ提示や不確実性の説明を行いますよ、ってお話をしております。

まあこれ自体は今の日銀の展望レポートの出し方とは違っていますし、出し方次第では展望レポートだって同じような出し方ができない訳でもないとは思うのですが、ただまあ日銀の場合はオルタナティブシナリオになった、とは死んでも言わないままに物価上振れを放置している感があるので、もっとその辺は何とかならんのかとは思います。別に植田日銀だけは無くて昔からそうでして、一つの見通しにやたら固執して屁理屈を散々捏ねた挙句に最後の最後にポッキリ折れて大転換、ってのが日銀の仕様なんですよね・・・・・

ということで時間が無くなってしまいましたすいませんすいません続きはボチボチやっていきます。










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