金融政策概観(2009年度下期前半分(10月〜12月))

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2009年下期前半

2009/12/30「FRBがタームデポジットファシリティ導入へ」
2009/12/29「どうも足元GCの安定化は難しいようで(本当は難しく無いのだが)」
2009/12/28「末初GCレートに関して」
2009/12/25「GCレートが上昇」
2009/12/24「オペレーションが微妙でGCレートが下がらないです」
2009/12/21「決定会合で物価安定の理解の明確化とな」
2009/12/18「市場雑談/その他気になるクリップ」
2009/12/17「FOMC声明文は非伝統的政策の終結を示唆/バーナンキ議長のFAQその2」
2009/12/16「オペレーションのスタンスが判らんという報道もちらほら」
2009/12/15「どうもオペレーションの意図が上手く伝わらないですな」
2009/12/14「バーナンキ議長のFAQ」
2009/12/11「新オペ実施!」
2009/12/10「TB3か月入札が前週より弱くなりましたな」
2009/12/09「投資家懇談会はまあPD懇程の危機感は無さそうね」
2009/12/08「PD懇参加者にに危機意識/バーナンキ講演が米債の買い材料になったみたいですけどさて・・・・」
2009/12/03「決定会合翌日の相場あれこれ」
2009/12/02「何と10年国債入札日の前場引けに臨時政策決定会合アナウンス」
2009/11/30「FOMC議事要旨より、調子に乗ってドル安を仕掛けるネタとは思えませんが」
2009/11/26「日銀の追加緩和方策に関する雑考とか/超過緩和付利に関し書いた話の訂正」
2009/11/25「結局何もしない政府/で、日銀が追加緩和するとしたら何をやるか」
2009/11/24「決定会合あれこれと政府の対策も無しのデフレ宣言」
2009/11/19「輪番拡大予想が増えてきましたね」
2009/11/18「日銀に無策のケツ持ち攻撃が来たようで」
2009/11/16「BOEは量的緩和政策はクレジットの需要側への政策と説明」
2009/11/11「予算に関しては決意表明よりも実際の予算を出してほしいのですが」
2009/11/06「BOEのMPCから」
2009/11/05「FOMCステートメントから」
2009/11/04「案の定オペは自然体のままでした(^^)」
2009/11/02「決定会合レビュー」
2009/10/30「銀行の資本制約と特別オペの関係を今更ながらに愚考」
2009/10/29「決定会合に向けて観測記事やら政府要人発言のクリップ/投資家懇談会では30年増発の話も」
2009/10/28「引き続き決定会合に向けた雑談」
2009/10/27「PD懇では中期増発の話ですが/今回の決定会合は読みにくい」
2009/10/26「BOE議事要旨より、量的緩和政策の効果に関する議論」
2009/10/23「西村副総裁会見より、景気はバンピーロートなのに臨時措置解除とな」
2009/10/22「西村副総裁講演も時限措置解除を示唆してますけど・・・・」
2009/10/20「9月会合議事要旨では企業金融環境改善の議論/総裁発言がすっかりやる気満々に」
2009/10/19「決済フォーラムから/FOMC議事要旨」
2009/10/16「技術論を言い出す時には碌な事が無いような気がしますが・・・・(総裁会見より)」
2009/10/15「買入解除は先送りになりましたが・・・・/特オペを通常オペで代替できるか(その1)」
2009/10/14「さて決定会合」
2009/10/13「出口政策なんですけど、結局は買入が気に入らないって事なんですかねえ」
2009/10/09「出口政策に関して改めて雑考」
2009/10/07「早速政府サイドから牽制が」
2009/10/06「CP社債買入の解除検討について悪態を」
2009/10/05「モラトリアム法案トーンダウン?/G4になるのは日本の地位低下なんでは」
2009/10/02「早速期初の買い/日銀の政治センスが・・・/モラトリアム雑談」
2009/10/01「証券決済期間短縮ねえ/CP社債買入停止っすか?/内閣府も市場ヒアリングとな」

2009/12/30

○FEDのタームデポジットファシリティ導入へ・・・ということで雑考なのだが

リリースはこれ
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20091228a.htm

『The Federal Reserve Board on Monday proposed amendments to Regulation D (Reserve Requirements of Depository Institutions) that would enable the establishment of a term deposit facility.』

今回はレギュレーションDとかいうのが改正されてタームデポジットファシリティ(要するに定期預金方式による資金吸収オペですな)が出来るようになりましたと。

『Under the proposal, the Federal Reserve Banks would offer interest-bearing term deposits to eligible institutions through an auction mechanism. Term deposits would be one of several tools that the Federal Reserve could employ to drain reserves to support the effective implementation of monetary policy. 』

資金吸収手段の一環として導入しますとな。

『This proposal is one component of a process of prudent planning on the part of the Federal Reserve and has no implications for monetary policy decisions in the near term.』

つーことで、これは前から計画している話の一環であって、別にこれを入れたからと言って直ぐに金融引き締めをする訳じゃないんだからね!という事ですが、米国財務省におかれましては期末(飴公の期末です)前に堂々国債入札を連発すると言う貫禄のKY振りを発揮したせいか、一昨日の2年入札がダメダメで今日も何か2年のレートが上昇して1.1%に接近しているので、後付けで「FRBの新しい資金吸収手段検討も材料に」とか言う人達も出ていそうな悪寒。

『Public comments will be accepted on the proposal for 30 days after publication in the Federal Register, which is expected shortly. The Federal Register notice is attached.』

パブコメ絶賛募集中ということで、その添付されているPDFはこちら。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/monetary20091228a1.pdf

テクニカルタームというか最早事務用語が満載なので書いてある単語の意味は分かるのですが、細かい事務的な話は良く判らんが、金融調節と言う観点から見た場合に気になったのはこちらの3ページ部分にある基本的な内容の紹介部分に関して。

『Introduction and Basic Structure.

The Federal Reserve has addressed the financial market turmoil of the past two years in part by greatly expanding its balance sheet and by supplying an unprecedented volume of reserves to the banking system. Term deposits could be part of the Federal Reserve’s tool kit to drain reserves, if necessary, and thus support the implementation of monetary policy.』

という最初の所はさっきのリリースにあった全体観の話と同じなのですが、次のパラグラフを見た時にちょっと引っ掛かったのよね。

『Term deposits would be distinct from balances held by eligible institutions in their master accounts. Term deposits could not be withdrawn prior to maturity, would not satisfy required reserve balances or contractual clearing balances, and would not be available to clear payments or cover daylight or overnight overdrafts. Term deposits would, however, be eligible to collateralize discount window advances.』

タームデポジットファシリティが期限前払い出し不可なのは当たり前として、法定準備預金に算定されないとか、日中やオーバーナイトのオーバードラフト(一時的なFEDによる当座貸越型の流動性供与)の担保にならないというのも分かるのですけれども、連銀貸出(ディスカウントウィンドウ)の担保には適格というのはちょっと調節的にどうよと思うのであります。

この先にどういうオークション形式を取るのか事務的にどうするのかという話とかがありまして、一応その辺も読んだには読んだのですが、まあちゃんと読めてるかどうかの自信は無いので間違っていたらゴメンナサイというのを最初にご理解頂いて以下のあたくしの違和感を読んで頂きたいのですけど・・・

もしこの資金吸収レートが連銀貸出よりも高くなってしまいますと、担保適格であるということであれば吸収した資金が連銀貸出で再び出てしまうというトンチキな事態になる(ディスカウントウィンドウは制度的に言えば適格担保持ってきたら連銀としては受けざるを得ない筈)ので、このファシリティの金利はディスカウントウィンドウの金利よりも低くならないとワークしないという話になりますわな。

となりますと、それこそ一生懸命資金吸収しようとするとどこかで「札割れ」問題が生じるんじゃねえのってえ気がする次第で、これって本当に資金吸収ツールとしてワークするのかと言えば、通常ベースでの吸収に関してはまあ無問題だと思いますが、積み上がったバランスシートの縮小を目指すという意味での渾身の吸収という道具としては尻抜けになりそうな予感もせんでもないですなという事で。

あと、まあどうでも良い話かもしれませんけれども、預金ファシリティでの吸収となりますと、連銀のバランスシート的には預金が振り替わるだけの話になるので、統計上のマネーの数字は減らないですなとか、連銀のバランスシートも実際には減りませんなあとかいうのも有りまして、さてその場合に(今でも「連銀のバランスシート拡大でインフレがどうのこうの」という論者がうじゃうじゃいる状況なのに)「バランスシートが縮小していない」という認識になって連銀が意図している効果が発揮できない可能性もあるんじゃねえのという気はせんでもない(多分それは杞憂になるはずだが)。

まあ別に吸収手段はこれだけじゃないので、色々と組み合わせますよってえ話になると思うのですが、どうも最終的には最終兵器長期財務省証券売却攻撃になりそうな予感が思いっきり漂ってきた今日この頃でありまする。


なお、日銀が資金吸収を行う手段としては売出手形と国債売現先と短期国債売却がございますが、最も一般的に使われる(最近はなんちゃって量的緩和を実施中ということのせいか吸収オペはやってませんけど)日銀売出手形は担保不適格扱いになっております。念の為。

(追記@2010年1月3日)
その1:このネタ東短リサーチの加藤さんが思いっきり29日にレポートで解説していました。本職のレポートとモロ被りであたくしの知能程度がバレてしまって恥ずかしい(大汗)。
その2:ちなみに売出手形は担保不適格なのですが、譲渡は可能ですのでファンディングが全くできない訳ではありません。

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2009/12/29

○またまた市場雑談

市場雑談と言いつつGCレートの話ばかりでどうもすいません。

えーっと、昨日はスポ末でしたけれども、スポネの国債買現先が4兆円オファーとなりました。前日(先週金曜日)に0.15%とやや高い所からスタートした末初のGCですが、まあ金曜の時点で高い所から始まったお蔭で資金を出す人も出た結果15から14へと低下しとったのですけれども、オペ結果は10まで流れまして、まあ暫くは出し手も粘っていたようですが、結局13時にも末越えのオペが実施されましたし、最終的には末初GCは0.105%レベルまで低下したみたいでめでたしめでたし。

と言いたいところなのですが、昨日は末初のレートは下がったのですが、トモネ(29日〜30日)やレギュラー翌日物(4日〜5日)のレートは下げ渋りでござるの巻という感じで、何かまあ末初の所だけピンポイントで資金供給(今の時点で月末の当座預金残高予想が20兆円乗せで、今日トムスタートで供給したら更に増える)をしても、そこの部分だけはレートが下がりますが、却って末初のショートファンディングが溜まるのでGCレートが安定しないと思うんですがどうなんでしょうかね。

まあ足元が下げ切らないからなのか、投資家の買いがちょっと弱めになっているのか(その複合技かなとも思いますが)短国3か月物が0.125%オファーと先週の入札の最低落札価格よりも安い状態が継続しているという地味に残念な状態になっています。いやまあ11月時点(新オペ導入前)での3か月TBの利回りって大体0.15%前後で推移していた(その前はもうちょっと低かったのですが、GCレートが下がらなくなってから0.15%レベルに上昇してます)ので、そこから見たら下がったちゃあ下がったのでありますが、先に下がった(12割れまでやったのはちょっとフライングの自業自得の面はありますが)後でじりじりと上昇というのは絵として美しさに欠けますなという感じではございます。

だからどうしたと言われると困りますが。

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2009/12/28

○末初GCレートとか

金曜はレギュラーが月末渡でしたが、ここもと月末越えの資金供給が少なめで推移してショートファンディングが溜まっている影響と、火曜の新発3か月TB入札が業者の持ちになって在庫が重い関係で、朝から足元GCが高めで推移というか資金出しサイドが動かないでござるの巻状態。スポネの国債買現先は2兆5千億円に増額されましたけれども、ショートファンディングが溜まっているせいで足切り0.12の平均0.127に上昇(前日は0.110/0.11)しちゃいまして、まあしょーがねーなという感じです。

短国買入も弱かったですし、ショートタームのオペも実施されましたが、末初のGCは結局0.15%〜0.14%という感じだったようで、まあ通常ベースから言えばそんなに上がりませんでしたという事なのかもしれませんが、何せ「やや長めの金利のさらなる低下を促す」という状態になっているので、そうホイホイと足元のレートが上昇されても困る訳です。金利水準が低いので、ちょっと前のようにコールが0.25%だ0.50%だという時と比べて足元が1bp上がった下がったというのは物凄い大きな話だというのは最近の3か月TB入札水準がそれこそ0.5bp以内の世界でああでもないこうでもないとやっている事からもお判りになる通り(つまり1bpどころか0.5bp上がった下がったで大問題)と存じます。

つーことで、末初のGCがさっくり0.15%レベルとかに上昇しやがった(今日はもうちょっと下がると思いますが)訳でして、ターム物金利を押さえ付ける話はどうなってるんだかという悪態の一つもつきたくなるのですが、ディレクティブにやや無理があるのが大きな原因なので、調節どうのこうのよりも調節方針をもうちょっとはっきりさせないと市場が戸惑う場面がまた出てくるんじゃないですかねとは思います。

とは言いましても、じゃあGCレート(東京レポレートのS/N取引レート)を誘導するって言うのも変な話(あれは別にトレーダブルではないリファレンスレートであって、無担保コール翌日物のように実際の取引レートまんまじゃないから誘導目標に置くのに微妙に違和感がある(SNBみたいにLIBORレートを置く所もあるのでやってやれない話ではないけれども、従来の流れからするとちょっと仕組みが違いますなという感じが)ので・・・)ですし、まあこんな感じでファジーなまま進んで行くのでは無かろうかという感じは致しますです、はい。

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2009/12/25

○市場雑談

GCレートが上昇しているのだが。

何かね、GCでファンディングする人(つまり債券ディーラーつまり証券会社ね)の年末越えファンディングのニーズに対して期末越えのオペがロットも少ないですし、安定的にも打たれない(新型オペは安定的に打たれていますが、あれは1回に百億円台前半しか取れないので大手ディーラーで兆円規模のファンディングニーズがある中では焼け石に水状態)というのが効いて来たか、昨日もGCレートは上昇。

いやまあ上昇って言ったって別に0.15とかに上がっている訳では無いのですが、金利水準がここまで低下して、ついでに短期のイールドカーブが思いっきり潰れている中(ターム物を下げると言ってるんだから潰れるのだが)では1bpの上昇も結構甚大な問題でありまして、GCレートが10と11の間でベッタリというのと12や13近くまで上昇する事もあるというのは物凄く大きな違いだという話になるんですな。つまり、絶賛大発行される3か月TBのレートが0.12位で安定するのか、0.14位まで楽勝で上昇しちゃうのかというようなレベルのお話で、長期金利のスケールからすると細かい話にも程があるかもしれませんけど、結構重要な点じゃネーノという所です。

ま、この点に関しては昨日も申し上げましたが、「ターム物金利の低下」という事を考えた場合にはGCレートを見ていく必要があるのですが、そのGC取引は先日付で実施されるものなので、足元のコールの調整(ディレクティブそのものはコール誘導!)をしながら先日付で行われる取引の調整をするというのはちょっと無理がある(GCとコールがタイムラグを伴って反応するから)と思うのであります。

まあディレクティブをもうちょっと工夫した方が調節やりやすくなるんじゃネーノと思うのですけれどもどうでしょ、ってまあ中の人は色々検討しているとは思いますが今日もまた書くのでありました。

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2009/12/24

○市場雑談というかオペなどの雑談

ご存じのように絶賛年末進行モードの短期市場ちゃんですけれども、オペが何とも微妙なのがGC市場的に微妙なテイストを醸し出しているようですな。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of091221.htm(月曜のオペ)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of091222.htm(火曜のオペ)

オペのスタート日とエンド日に注目して頂きたいのですが、いつもの国債買現先は兎も角として、共通担保の方なんですけど、月曜は28日にエンドの来るオペを打って30日〜1月4日という末初の翌日物オペを実施という不思議ちゃんなオペの打ち方。

ギリギリまで来るとまた話は別ですが、今時分だと丁度年末越えのターム物でファンディングをしたくなる所(最後の最後まで引っ張れば何とかなるのは分かっていても、流動性リスクやオペレーショナルリスクまで相応に勘案すれば、ファンディングの全部を超ショートファンディング一本勝負というのはイクナイ)でありまして、そういう中でわざわざ「年末ちょっと手前までの資金供給」と「末初だけの資金供給」をするというのは何と言うか「ショートファンディングの勧め」にしか見えない訳でして、オペレーションとして不思議ちゃんな感じがするのであります。

ターム物金利を安定させるという観点からすると、無担保コール翌日物だけではなく、GCレートを安定化させる必要がある(3か月の実質的な市場指標金利のTB3か月もの(TIBORは鉛筆なめなめレート)はGCレートが不安定だと安定化しない)と思われる次第でして、そのGCレートを落ち着かせるという観点からすると、GCとかオペとかでのファンディングをショートファンディングに傾かせない方が良い(特定のモノ日とかで需給がちょっと偏在しただけでGCレートが不安定化するリスクが高まるから)と存じます次第なんですが・・・・

で、火曜日もこれまた2本のオペのうち1本は29日エンドと言う事で、これまた年末越えのターム資金は取らんでヨロシという事なのかと(1月5日エンドの方はまあ良いとしても)不思議ちゃんモードが継続しているのでありまする。

まー何度か申し上げておりますが、ある程度の安定したロットでターム物の供給を継続的に打っておいて、足元のショートファンディングを軽くするように持って行けば足元のGCレートも自然に低位安定するので、スポネの買現先を出したりひっこめたりというようなややこしいオペレーション(とりあえず21日抜けた所でちょっと減らしている感じはしますな。まあ良く言えばきめ細かいのですけれども・・・)をしなくてもレートが低位安定すると存じますが、どうも今のオペレーションを見ていると「コールレート0.1%」「GCの跳ね上がり防止」「ターム金利の引き下げ」のどこにポイントがあるのかが微妙で、この3つを同時に追うのはテクニカル的には中々ムツカシイ面があろうかと思います。まあ3つともやると言っている話なのでこれはどこを重視するのかをちゃんと政策委員会である程度の方向性を決める(その結果を公表するかどうかは兎も角として)べきではないかと・・・


というまたマニアネタですいません。

そういや火曜の年内最後の短期国債入札ですが、結果はまあこんなもんちゃあこんなもんですけれども、市場推計の落札結果によりますとほぼ見事に業者に嵌ってしまい(毎度お馴染みの不明玉が3000億ちょっとしか無いというのは3か月TBでは驚異的な少なさ)この年末(外資系さんにおかれましては期末というおまけもある)の中で在庫たくさんとは実に味わい深い結果になったと存じます(-_-メ)。何で投資家が買わなかったんでしょ。よー判らん。

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2009/12/21

お題「ネタがまた出るとはこれまたビックリ」

ということで決定会合ですが。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k091218.pdf(結果)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0912c.pdf(物価安定の理解明確化)

○まずは市場メモ

当然ながら結果の方じゃなくて『「中長期的な物価安定の理解」の明確化』に市場は反応するでござるの巻。イメージとして浮かぶのは2003年に実施された「量的緩和コミットメントの強化」みたいな所にもなる(と書いてて気がついたのですが、あれからもう6年経っているのか・・・古参兵的にはつい最近だったような気がする)し、まあ当然ながらベンダーに出る「ゼロ以下のマイナスの物価を許容しない」というのがキャッチーなのでありまして、そりゃまあ債券市場は上昇しますわな。

ただ、相場上昇した所で相応に戻り売りみたいなのも出たようですし、良く良く見ると今回は何かコミットメントを入れたとか物価安定の理解の内容を変化させたというものでも無いんじゃネーノという見方も段々広がってきたのか、踏み上げみたいに上昇した分は剥落するでござるの巻。

引け後の会見では毎度お馴染みのように白川総裁が「基本的な見方は変わらない」とかついいつもの正確かつ丁寧な説明をするもんだから瞬間先物は10銭位下げていたりしましたが、まあ別に内容で売るというのも変な話なので、売りも続かずという所で結局先物140円台でござるの巻っていう感じだったのかなと思いまする。勝手な妄想で書いたので実際の所はよー知らんが。


ではまあ今日は例の「理解明確化」に関してあれこれ雑感をば。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0912c.pdf


○物価安定の理解明確化リリースに俊ちゃん路線の香り

前回の臨時会合では切込隊長から『最近、日銀がヤマダ電機の特売みたいな物言いを増やしている件について』と評されましたが(^^)、今回のリリースのポンチ絵も中々こう良い感じのテイストを漂わせているのであります。前回の特売チラシでは「新しい資金供給手段」(=実は手段としては従来通りだし、指値オペも既に企業金融オペで実施済み)、「超低金利」というのがキャッチーな売り文句でございましたが(^^)、今回の宣伝文句はやはり「ゼロ%以下のマイナスの値は許容していない」でありましょう(^^)。

まあ確かに報道されている総裁記者会見でもありますように、「日銀はマイナスインフレを容認している」というトンチキな話が人口に膾炙しているとゆーのも事実でございまして、まーそういう意味からも「そうじゃねえよ」という説明はどっかでしておかないといけませんなあという事もあったんで今回作ってみましたよ、という点では意味はある話なのですけれども・・・・・

ただね、この説明自体はそもそもこの「理解」導入の時点で話している事の繰り返しに過ぎないのでありまして、今回何らかの金融緩和に関する政策発動を行っている訳ではないのでありまして、つまりそれは「これは大事ですから繰り返して言います」と同じ話に過ぎないというのがまず原理的な話であります。まあ上で書いたようなマイナスインフレ許容的な解釈が結構あるのと、「ゼロ以下許容しない」がキャッチーだった事から市場や世間様が反応して良かったですねという感じです。

つまり、まあ別に詐欺でも何でも無いですけれども、良く言えば「見せ方を工夫した」んですけど、悪く言えば「大した話でも無い事を強調する福井俊彦的ペテン路線」が前回の臨時会合以来の仕様になりつつあるのですかねえという感がして、中々味わい深いものを感じるのでありました(^^)。


○でも俊ちゃんになるのはムツカシイ

詳しくは今日の会見要旨出てからなので明日のネタになりますが・・・・

総裁会見での白川さんは、「広い意味での時間軸的政策」(的ってのがミソですけどね^^)とか「物価安定の理解が浸透すれば金利形成が変わって来る」とか良い感じで良い話もしているのですが、先ほども市場メモ部分で書いたように「従来の見方を変えた訳ではない」というような発言をしちゃうのがチャーミングな所でして、量的緩和政策をやっている時には大狸と化して緩和の狸芝居(芝居の出来が良かったので猿芝居とは言わない^^)を打ち続けていた福井の俊ちゃん(ただし、解除モードのスイッチが入ってからのジャガーチェンジ振りも凄かったですが)になりきれない所が白川総裁クオリティ。

ま、詳しくは明日のネタですけれども、「物価安定の理解が浸透すれば云々」というのは「わたくしどもの申し上げていることを皆様がちゃんと理解していただけれれば金利はきちんと低位安定するんですよ」と言っているのでありまして、元々この話って金利の世界の人達向けというよりは、金融政策の枠組みとかの内容をちゃんと理解していないで好き勝手なる俺様解釈をして勝手に動いてくれる他市場とか、やるやる詐欺で口だけは達者な政治方面へのアピールなのでしょうと思ってましたけど、何気に金利市場ももっと反応しやがれってえ事かもしれませんな。

#超脱線するんですけど、先日どこぞの為替レポート(の最初に書いてあった要約だけですが)見てたら「日銀は新オペ導入後にコールレートを恒常的に0.1%を割り込むような調節を行っておらず、姿勢の明確化が求められる」とかいう説明があったんですけれども、それはお前ディレクティブ違反だっつーのという感じでして、ちゃんとした銀行が出しているのにそれかよという所に落涙を禁じ得ない所です。別に何を言うのかってのはそりゃまあ自由ですけれども、基本的なこと位押さえてくれよと思うのであります。

会見関連は明日に続き、さっきの明確化に話を戻しましょ。


○物価安定の理解は中長期的な理解でありまして・・・

まずですな、これって「『中長期的』な物価安定の理解」であるんですな。即ち、今回明確化したと堂々リリースされたのは「日本銀行は中長期的にマイナスインフレは容認していない」って事ですが、そんなの当たり前の話でして、中長期的に持続的な物価下落を容認する中央銀行はいませんわなということっすよね。

しかもこれって中長期的な話でありまして、足元で「〜による特殊要因の反動による物価の一時的な下落」の結果としてのマイナス値を許容するかしないかというのとは別ですがな、という事にもありますわな。日銀的な理屈からするとたぶん。

しかもこの明確化なんですけれども、よくよく見ますと最後の部分に『リスク点検の重要性』というチャーミングな箇所がございます。曰く、

『上記の「理解」を念頭に、金融面での不均衡の蓄積も含めた様々なリスク要因も点検』

どう見ても低金利政策長期化懸念です本当にありがとうございました・・・って読んじゃいますけれども、そもそもこの「中長期的な物価安定の理解」というのは明確化のリリース文書にもありますように、2006年の量的緩和解除の時に最初に出たのでして・・・・・
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/mpo0603a.htm

まあこの時ってあたくしウダウダと書き物をした覚えがありますので、2006年3月10日と13日に書いた駄文とか、当時の総裁会見とかをご参照ありたし。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0603a.htm
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisaku05-02.html#seisaku060313
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisaku05-02.html#seisaku060310

ま、今回はさすがに低金利政策長期化リスクを想像させる箇所を下の方に追いやっているのは配慮を感じますが、その部分もちゃんと残しているのは、(元々今回「理解」に関して何の変更も無いのですから当たり前ですが)これまたチャーミングな所でございます(^^)。

それから「中心1%」っていうのに多分いい感じで騙されると思うのですけれども(2006年の駄文でも書いてますけど)、中長期的な物価安定の理解が1%であるという事は即ち、「1%水準のインフレならば金融政策は中立的で良い」という話でもある訳でして、金融政策が効いてくるのにタイムラグがあるからフォワードルッキングがどうしたこうしたという話を持ち出しますと、CPIが0.5%程度でも堂々「超緩和政策の解除であって引き締めでもなく、依然として緩和的」とか言いながら政策金利を引き上げることは大いに可能であります(つーか前はそうやって利上げした)し、上限2%ってえ事は「2%を超えるインフレなら金融政策は引き締め的に」って随分タカ派だなおいおいって言う話でもあるんですけどね。

ま、足元物価が絶賛マイナス推移だからどうでもいい話ですけど、その辺りを忘れると物価が戻ってきた時に勘違いする元になるので注意しましょう(^^)。



○で、時間軸かという話ですが・・・・

まず原理原則的な話をすると、これは「中長期的な理解」であって足元にコミットしていないという点では時間軸ではございません。

ただし、展望レポートで既に示されているように、2011年度まで物価の見通しがマイナス推移していると言う事は、即ちどこをどう考えても日銀様におかれましては、2011年度の半ば(本当はもうちょっと先の話だとと思いますが、政策のタイムラグを考えたフォワードルッキングとやらを考えて上り最速^^で考える)までは緩和的な金融環境を継続していかないと話にならんと(今のところは)考えているという事になりますので、そもそも論からして時間軸効果のようなものは前からあるにはあるという事になります。

まあこの明確化がどうのこうのというよりは、実際問題として行っている指値オペの方が徐々に効いてきて、ターム物金利が押さえ付けられていくというルートの方が時間軸効果の結果としての中長期金利低位安定には効いてくると思いますが、より長い所になりますと、財政がどうのこうのとか米国などの長期金利動向とかに振らされるという事になるんでしょうかね、よー知らんが。


○追加緩和はあるのかどうかの私見

まー今回は「外向けアピール」ということでありまして、本石町日記さんの所で『気まぐれな政権とある程度付き合う金融施策運営は…』というエントリーがあるような感じだと思います。
http://hongokucho.exblog.jp/12521075/

ただし、展望レポートにありますように、2011年度までのマイナスインフレが展望されるという話で、2年先までマイナスと言っているのを中長期的ではないとはさすがに言えないでしょ、という事を勘案しますと、緩和的な金融政策をより強化しないといけないんじゃないのというのが理屈としてはある訳でして(まあ展望レポートを出した後の12月1日に緩和の強化をしましたよ!とは言い訳として出来るとは思いますけどね^^)、今後に関してはやはり理屈をキリキリと詰めますと何か緩和強化をせにゃならんという事になるかと思います。

で、例によって緩和強化は金利ルートの話になるというのが従来路線で行った場合の方向性になるのですが、0.1をゼロにするよりはターム物の引き下げ方向で、新型オペのオファー額を拡大するとか、期間を3か月から6か月にするとか(最終型は1年ですか)、まあ基本的には金利ルート。輪番拡大は、前回のロジックが流動性対策だったことからして、金融市場が何か変調になってきたとかいうような場合には発動されそうですが、そうじゃない場合はバランスシート拡大に伴う技術的な対応という理屈じゃないと中々出てこなさそうな気はします。よー知らんがの。


#結局書いているうちにグダグダになってしまってどうもすいません

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2009/12/18

○市場雑談

・2年国債入札プギャー

昨日の2年新発国債入札。ここもと何だかよー知らんのですが中短期結構な堅調ですなあという感じでしたが、前場の引けが0.175/0.180で入札を迎えまして、落札結果はこの有様。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2009/resul061.htm

平均0.178%で足切りが0.189%と堂々の流れっぷりでございまして、第U非価格入札もこんな感じ。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2009/resul061a.htm

503億円しか入ってませんので、まあ伸びも無しという所なのでしょう(その割に日本相互証券の引けが妙に強かった(あっしの勘違いじゃなければ)のが訳判らんのですけど)けれども、まあ冷静に考えてみますと、ベースレートが0.10%なのですから、2年債が0.16%とかいう所まで強くするということは、絶賛量的緩和ゼロ金利時代の2年債に換算したら0.06%とゆー事になる訳でして、利下げ期待でもなければこの水準を買うのはちょっとねえって感じがしますわな。

まーキャッシュ潰し(というかキャッシュ代替というか)でとりあえず国債買っておきますかという感じですと、本当は短国を買うのでしょうけれども、何せ3か月で0.12%にちょっと毛が生えたようなレートで、足元0.10%で計算したら(ファンディングが必要な業者だと足元0.10%にならないっすけどね)2bpしか無いというレートですから、そらまあ2年くらいまでは買いますがなというのはありますけれども、やはりベースレートから5bpだの6bpだのという話になると何ぼ何でもバッファーが無さ過ぎという話になると思うのですが。とは言え、別にベースレートが上がるという話は目先1年くらいまで楽勝で無さそうな感じですし、ベースレートが0.1%を切るという期待が無い話ではないので、まー何かの拍子に強くなる事もありでしょうけど。

話は脱線しますけど、5年って只今0.5%を割っているのですけれども、ベースレート0.1%と言う事を考えると、量的緩和の時の0.4%割れという中々素敵な水準にいるんだなあと思うのであります。まあ利下げがどうのこうの(以下同文)。


・新オペの打ち方が微妙な件について

水曜日に新オペ2発目が打たれたのですけれども、今回はスタートが(前回と同様に)スポットスタートの12月18日でして、足が3月16日の火曜日。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of091216.htm

火曜日なので残念ながら短国の償還にぶつかっていないのですが、今度も足は火曜日になってます。ただし、スタートが1回目のオペと違って金曜日になっておりまして、「ふーん」という感じです。

21日は4半期恒例の国債償還に伴い、余剰日になるということでスタートを避けたのかと思ったのですが、昨日は昨日で21日スタートのスポネ買現先を絶賛増額するわ3月足の共通担保全店を打って来るわという事で、普通に供給を拡大(した結果21日の当座預金残高は結構な積み上がりをしますが、4半期の国債償還日は資金が偏在しやすいので積み上げておかないと足元金利が変に上昇するリスクがあるので、これはこれで通常のオペレーション)しておりましたので、わざわざ指値オペのスタートを前回と別の曜日にする意味が良くワカランチ会長でございます。

いやまあ資金需給とか諸々の需給を見たかったとか、水曜のGC推移などを見て昨日になって21日の残高をもっと積み上げないといかんがねという話になったからという事なのかも知れませんけれども、何かとーっても微妙な所まで計算してオペを打っているんだろうなあというのは判るのですが、その細かさによって却って足元を抑えたいのか無理には抑えないのかというような所が受け手の短期金融市場的に解釈しにくいという状態になっているのではなかろうかと思料される所でございます。

ま、とりあえず昨日はスポネ買現先は増額する(増額した割に足切りが0.10まで下がらなかったのがあたくし的にはビックリでしたけど)わ、微妙な共通担保オペを打つわ(この時期業者の在庫ファンディング的な観点からすると、3か月というような長いのよりは年末越えてちょっとした所(1月12日の週)に足が来る年末越えのオペを打った方がオイシイ)ということで、当座預金残高を積み上げてレートも下がるでしょオペレーションになっておりますので、まあ年末に向けて当座預金残高積み上げモードになっているにはなっていると思いますけど。

#積み上がりが進捗した年明けの調節スタンスがまた注目されそうですが


・市場雑談と違うけど追加緩和観測雑談

何か一昨日はこんな微妙な記事がロイターに。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12963520091216
日銀が追加ショックの影響見極め、下振れ認識の段階で新たな対応辞さず

下振れ認識したら新たな対応をするのは当たり前の話で、対応辞さずとかいうのは「犬が西向きゃ尾は東」と言ってるのと話のラベルは同じようなもんなのですので、こういう見た目だけはキャッチーだけど意味が無いヘッドラインで記事を書くんじゃねえと思うのでありますけどそれは兎も角。

次の一手が何ですかという話に関して、どうも債券系(短期村じゃなくて、と言う意味ね)の人からは「輪番拡大」という話がよく聞かれたりするのですけれども、流れから言ったら「新オペの拡大」が普通じゃネーノと思うのでございますが、何でそう債券の人は輪番が好きなのでしょうかねえという感じでございまする。

つまりですな、輪番増やしたから長期金利が下がるかと言えば、そりゃまあ債券市場が期待する以上の拡大をすればその時は反応すると思いますけれども、それが持続できるかという点に関しては既に(何度も申し上げていますが)バーナンキ大先生が今年の3月〜5月に身を切って壮大なネタを披露して下さった次第なのでありまして、やったからどうなのよという感じは思いっきりするのであります(マネタリーベースがうんたらかんたらという論点での話だったらまた別なのですがそこは敢えてスルー)。

それよりも新オペの額を増やして当座預金残高を積み上げてなんちゃって量的緩和拡大とか、新オペの期間を3か月から6か月に伸ばしてターム物金利を益々落ち着かせてしまうとかの方が、イールドカーブの起点のレートが下がるという点からして中長期金利に働きかけるというネタとしては(日銀的に、ですけれども^^)話としてしやすいという事になるのではないかと思うのですけれどもどうでしょうかね。

#つーか米国が出口だのという話になると円高が一服するのでそんなに追加緩和圧力が掛からなくなってくると思う。結局米国次第だったりするのですが



○なおも雑談系のクリップ

今日はどうも雑談ダラダラ系で申し訳ありませんが。

・ちとショートノーティスですな

金融庁様が昨日こんなリリースを
http://www.fsa.go.jp/news/21/syouken/20091217-3.html
金融・資本市場に係る制度整備についての骨子(案)の公表及び同骨子(案)に係る御意見の募集について

ちょっと中身を斜め読みしたのですが、清算機関への取引集中義務化とかネタとして滅茶苦茶重いものが入っているように見えます。国債取引のJGBCCへの集中というのは多分信託(受託)の制度とのフリクション(別に商売上どうのこうのという話では無くて法的な問題として)が起きる話じゃねえのという気が物凄くするのですけれども・・・・・

『2.御意見の提出期限
平成21年12月28日(月)正午 必着
(郵送の場合も平成21年12月28日必着)』

・・・・・ちょっと時間が無さ過ぎ。まあ中身は結構重い話なのですが、フロントの人は決済関連に興味が無い人が多いのが誠に遺憾と思う次第ながらも、興味を持たれた方が吉かと存じます。


・何じゃこりゃ

http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20091217-00000953-reu-bus_all
デリバティブ規制法案、通常国会に提出ありえる=亀井金融担当相

まー亀井さんのことですから最終的には穏当な落ち着きどころになるのでしょうけれども・・・・

『亀井担当相は「善良な投資家がバブルに踊って不測の事態に陥らないよう、デリバティブ商品、先物などを含め、世界的にルールというか、間違った過熱をしないように(規制を強化する)との空気になっている」と説明。』

それならばまずは排出権取引というデリバティブを可及的速やかに廃止されるというのは如何でしょうか。あ、それよりもくりっ(以下悪態につき自主規制^^)。


・バーゼルキタコレ

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/bis0912a.htm
バーゼル銀行監督委員会による銀行セクターの強靭性を強化するための市中協議文書の公表について

・・・・後で読む(汗)

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2009/12/17

○FOMC声明文

寝起きで読んでるので雑にも程があるのは勘弁。詳しくはまた読んでみたりしたく存じますが。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20091216a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20091104a.htm(前回)

今回はパラグラフ数まで違うということで、比較斜め読みが少々しんどいのですが(汗)、まあちょっとだけ比較。

・雇用の悪化が和らいでいるとな

第1パラグラフ(景気認識)の最初の部分から

『Information received since the Federal Open Market Committee met in November suggests that economic activity has continued to pick up and that the deterioration in the labor market is abating. 』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in September suggests that economic activity has continued to pick up. 』(前回)

見りゃわかるように回復傾向が継続というのに加え、労働市場の悪化が和らいでいるというお話が。雇用の最大化というのはFRBの目的の一つ(もう一つは物価の安定)でありますので、雇用に関する文言でこういうのが出ているのはまあ政策インプリケーション皆無とは言えないでしょうな。そもそもあの雇用統計の数字って本当にアレで良いのかとかいうツッコミをしたくなりますけどねえ。


・各需要項目に関して

『The housing sector has shown some signs of improvement over recent months. Household spending appears to be expanding at a moderate rate, though it remains constrained by a weak labor market, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. Businesses are still cutting back on fixed investment, though at a slower pace, and remain reluctant to add to payrolls; they continue to make progress in bringing inventory stocks into better alignment with sales. 』(今回)

『Activity in the housing sector has increased over recent months. Household spending appears to be expanding but remains constrained by ongoing job losses, sluggish income growth, lower housing wealth, and tight credit. Businesses are still cutting back on fixed investment and staffing, though at a slower pace; they continue to make progress in bringing inventory stocks into better alignment with sales.』(前回)

企業の方は同じ文章になっていますが、住宅セクターと個人消費支出に関する文言は改善されていますな。ただまあこちらでは労働市場に関しては「a weak labor market, modest income growth」という認識を示していますので、あくまでも「悪化が和らいだ」という程度の認識である、という事で、そう簡単にホイホイと利上げモードになるかというと、それには雇用関連の持ち直し傾向の定着が明確になってこないと厳しいんじゃないかという所なんでしょうかね。よー知らんが。


・金融環境に関して

『 Financial market conditions have become more supportive of economic growth.』(今回)

『Conditions in financial markets were roughly unchanged, on balance, over the intermeeting period. 』(前回)

何気に改善してねえか。


・第1パラグラフのまとめ部分

『Although economic activity is likely to remain weak for a time, the Committee anticipates that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will contribute to a strengthening of economic growth and a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability.』(今回)

『Although economic activity is likely to remain weak for a time, the Committee anticipates that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will support a strengthening of economic growth and a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability.』(前回)

今回「contribute to a strengthening」となってる部分が前回は「support a strengthening」となっているのは前進しているように見えますが。


・インフレに関しては前回と同じ

第2パラグラフは毎度毎度同じ文言を続けているので引用だけ。

『With substantial resource slack likely to continue to dampen cost pressures and with longer-term inflation expectations stable, the Committee expects that inflation will remain subdued for some time. 』(今回)


・例の文言は同じですが

んで第3パラグラフ。

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.』(今回)

・・・・でありまして、FOMC前になると飛ばし記事を書くのが得意な某赤い新聞だったと思うのですが、そちらが「FOMCで緩和継続に関する文言が変更になる」と相変わらずの飛ばし報道してたようですが、まあプギャーという感じですな。でも、今回って前回までその前にあったこの一文が削除されています。

『In these circumstances, the Federal Reserve will continue to employ a wide range of tools to promote economic recovery and to preserve price stability.』(前回)

この文言削除というのは、「ここまで実行してきた各種非伝統的政策は今後使わないですよ」ってえ話と読もうと思えば読めるのであります。まー確かに今回は各種流動性供給プログラムを止める話をしてますから、その辺は整合性を取っただけなのかも知れませんけど。


・でまあ色んな流動性供給プログラムを止めると

『To provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve is in the process of purchasing $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and about $175 billion of agency debt. In order to promote a smooth transition in markets, the Committee is gradually slowing the pace of these purchases, and it anticipates that these transactions will be executed by the end of the first quarter of 2010. 』(今回)

以下その手の話が続くのでありますが、

『The Committee will continue to evaluate the timing and overall amounts of its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets. 』(今回)

という文言を入れつつ(これは前回と同じ)、第4パラグラフでは具体的にどの措置がどうなるという話をしてます。その冒頭だけ引用。

『In light of ongoing improvements in the functioning of financial markets, the Committee and the Board of Governors anticipate that most of the Federal Reserve’s special liquidity facilities will expire on February 1, 2010, consistent with the Federal Reserve’s announcement of June 25, 2009. 』(今回)

以下その内容説明をしていますが、最後にしっかりこの一文を入れているのはFOMCの仕様ではありますが、まあ何かあった時のヘッジは万全。

『The Federal Reserve is prepared to modify these plans if necessary to support financial stability and economic growth.』(今回)

という所で寝起き斜め読みをしましたが、肝心な所を読み飛ばしていた場合は謝罪は致しますが賠償はしません。というかポイントあったら教えて下さいお願いしますお願いします。



○ところでバーナンキ先生のFAQ続き

この前の続きです
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20091207a.htm
Frequently Asked Questions

1.Where is the economy headed?
2.What has the Federal Reserve been doing to support the economy and the financial system?
3.Will the Federal Reserve's actions lead to higher inflation down the road?
4.How can we avoid a similar crisis in the future?

FAQの2番部分を引用しましたけど、今日は3番の所を。

『The scope and scale of our actions, however, while necessary and helpful in my view, have left some uneasy. In all, our asset purchases and lending have caused the Federal Reserve's balance sheet to more than double, from less than $900 billion before the crisis began to about $2.2 trillion today. Unprecedented balance sheet expansion and near-zero overnight interest rates raise our third frequently asked question: Will the Federal Reserve's actions to combat the crisis lead to higher inflation down the road?』

ということで、FAQの2番の説明をしている時は非伝統的政策に関して「市場仲介機能の回復」目的のポイントの話のみ(=量的拡大のマネタリー効果に関する説明が皆無^^)だったのですが、ここでは「ゼロ金利政策とバランスシートの異例な拡大によるインフレリスクや如何?」という話題になっておりますな。

『The answer is no; the Federal Reserve is committed to keeping inflation low and will be able to do so.』

そらまあYesだったら大変な話になりますから(^^)。で、何でインフレ抑制できるかという話が続く。

『In the near term, elevated unemployment and stable inflation expectations should keep inflation subdued, and indeed, inflation could move lower from here. However, as the recovery strengthens, the time will come when it is appropriate to begin withdrawing the unprecedented monetary stimulus that is helping to support economic activity.』

『For that reason, we have been giving careful thought to our exit strategy. We are confident that we have all the tools necessary to withdraw monetary stimulus in a timely and effective way.』


ということで、こちらでは「異例の金融緩和」という文言があるのですが、これがバランスシートの量の話なのか金利の話なのかは曖昧なのですが、この先を読んでみた感じですと、どうもゼロ金利政策とバランスシートの両方の話をしているようです

『Indeed, our balance sheet is already beginning to adjust, because improving financial conditions are leading to substantially reduced use of our lending facilities. The balance sheet will also shrink over time as the mortgage-backed securities and other assets we hold mature or are prepaid. However, even if our balance sheet stays large for a while, we will be able to raise our target short-term interest rate--which is the rate at which banks lend to each other overnight--and thus tighten financial conditions appropriately.』

ということで、各種流動性供給プログラムに関しては市場の回復に伴い規模が減っており、その結果バランスシートの縮小が始まっているという話と、バランスシートが大きい中でも利上げは可能と言う話をしていますわな。

『Operationally, an important tool for adjusting the stance of monetary policy will be the authority, granted to us by the Congress last year, to pay banks interest on balances they hold at the Federal Reserve. When the time comes to raise short-term interest rates and thereby tighten policy, we can do so by raising the rate that we offer banks on their balances with us. Banks will be unwilling to make overnight loans to each other at a rate lower than the rate that they can earn risk-free from the Fed, and so the interest rate we pay on banks' balances will tend to set a floor below our target overnight loan rate and other short-term interest rates.』

ということで、まあ当座預金だか超過準備だかの付利制度を使えば、バランスシートがまだ大きいうちでも利上げは可能ですという話を技術的な面も含めて説明しています。

いやまあそれはそうなのですが、利上げを継続していく中でそれまでに購入した資産をそのまま持っていた場合には、保有資産の逆ザヤ状態とかが発生するかもしれませんわなという点は華麗にスルーしてますな。いやまあそれはそれで良いんですけどね♪

『Additional upward pressure on short-term interest rates can be achieved by measures to reduce the supply of funds that banks have available to lend to each other. We have a number of tools to accomplish this. For example, through the use of a short-term funding method known as reverse repurchase agreements, we can act directly to reduce the quantity of reserves held by the banking system. By paying a slightly higher rate of interest, we could induce banks to lock up their balances in longer-term accounts with us, making those balances unavailable for lending in the overnight market. And, if necessary, we always have the option of reducing the size of our balance sheet by selling some of our securities holdings on the open market.』

リバースレポを使って吸収するという話はまあ良いとして、資産売却に関してはさすがに大技に過ぎるという認識になっているようで、最後の一文にあるように、And, if necessary, we always have the option of reducing the size of our balance sheet by selling some of our securities holdings on the open market.という言い方で政策手段としては最終兵器扱いになっているっぽいのでちょっと安心。

で、この部分の最後のパラグラフが何気に良いネタ。

『As always, the most difficult challenge for the Federal Open Market Committee will not be devising the technical means of unwinding monetary stimulus.』

テクニカルには困難ではない(キリッ)というのがホンマカイナという気もするのですが、まあそれはそれとしまして。

『Rather, it will be the challenge that faces central banks in every economic recovery, which is correctly judging the best time to tighten policy.』

適切な引き締めのタイミングが難しいと。

『Because monetary policy affects the economy with a lag, we will need to base our decision on our best forecast of how the economy will develop.』

引き締めのタイミングはフォワードルッキングで、と仰っているように読めますが(^^)。

『As I said a few moments ago, we currently expect inflation to remain subdued for some time. It is also reassuring that longer-term inflation expectations appear stable. Nevertheless, we will keep a close eye on inflation risks and will do whatever is necessary to meet our mandate to foster both price stability and maximum employment.』

まあこの部分の質問が「インフレ抑制」というお題だったからというのもあるのかも知れませんけど、この辺りの説明って「へー」と思うのでありました。

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2009/12/16

○市場雑談

段々ベンダー報道に悪態成分が高まって参りました。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=ay7wt2sttgUw

いやまあ当座預金残高見込み数値(オペのスタートとエンドは額面ベース、資金需給日足予想は東京短資公表ベースであたくしめが手元集計して他の人の結果とも確認はしましたけど、あくまでも俺様見込みなのでその点お含みおきを)を出しますと、オペ後の数字で今日も明日も当座預金残高は14兆円台に乗る筈なので、当座預金残高的に言えばそんなに引いているオペレーションじゃないのですけれども、やはり調節スタンスが分かりにくいという話は出てくるわなと。

つまりですな、先週木曜と金曜の足元余っているのに追い打ちを掛けるような資金供給姿勢というのがある意味余計なのでありまして、そこで妙に厚めチックな供給を実施したのに、積み初日スタートになる月曜の国債買現先を減額ロールするのが結局意図はどこなのよという話になる原因だと思うのですよね。

ちょうど先週金曜の無担保コール翌日物加重平均が0.091%になった後の月曜というのもありまして、あれだけ足元出せば積み最終近い週末のコールが下がるのは仕様だと思うのですけれども、まあ月曜に国債買現先を減額ロールしたのが「コール加重平均が0.1%割れになったので引いたのか?」という思惑を生む事になって、益々「スタンスが読めませんなあ」となるんだと思います。

確かにまあディレクティブが曖昧(ディレクティブそのものはコール0.10%ですけれども、ターム物金利の引き下げというのがある)でして、足元コールの0.10%割れをあまりしないようにする(本当は平均で0.10%近辺だったら無問題の筈だから、別に1日や2日0.10割れていても良いと思うのですけど・・・)のか、ターム物を下げようとしているのかが良く判らん、というか、先週の木曜金曜のオペを見ていると後者に見えるし、今週の月曜のオペを見ていると前者に見えるという結果になる訳でして、まあ読めませんなというのが上記URLの悪態成分の入った記事になるのではないかと思います。

#あ、ちなみに申し上げておきますが、上記URL先の記事とあたくしは一切関係ありませんので念の為(^^)

ということで、GCレートを振らさせないで安定させたかったら、オペを予見可能性の高い形である程度のロットを資金需給にかかわらず同額ロールして行くのが一番効くと思うのですという話はさっき書きました通りでございます。まあご検討賜ると有難く存じますけどね。

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2009/12/15

○GC漫談

昨日のオペではスポネの国債買現先を2兆5000億円から1兆8000億円に減額。まあ減額したのが効いたのかどうかが微妙なのですけれども(減額しても厚い筈なんだが)、どうもGCの資金出しサイドが頭数少ない(市場の価格形成という観点からすると、自動的に資金を出してくる人はあまり影響ない)上にこの人達が結構なロットで出したりひっこめたりする(兆円の世界で)のですが、この人達が何か知らんが足元じゃぶじゃぶで足元は出すのに、先の方(T+3とか)を出したがらなくて、レギュラーの所とかのGCレートがまたまた上昇。一方でT+1とかは先週の時点で14日と15日は金がじゃぶじゃぶなの判っている筈なのに昨日になって資金がまた出てくるでござるの巻。

まあ一応の後付け理由としては「日銀の次の積み期間の調節スタンスを読みたい」という話で、従来そんな調節スタンスがどうしたこうしたというような話は出る余地は無かったのですが、例の「広義の量的緩和」という奴が実施されてからというもの、ディレクティブそのものは変化ないですけれども、「ターム物金利を引き下げる」とか曖昧な発言が総裁様から出ている事もありまして、じゃあそのターム物金利とは何ぞやとか、引き下げるとはどの辺まで引き下げるかとか、まあその辺が微妙に訳判らんという事なのですよね。

つまり、3か月固定超低金利(^^)の資金供給オペを実施していると言う事は3か月のTB金利までバッチリ0.10%という超低金利(^^)に下げるのか、それとも(元々3か月のTB金利は0.15%近辺だったから)現在の3か月TB金利の0.12〜0.13%という水準で満足してるのかってえ所が読めないという事でしょう。もしもう一発TBの金利を下げようとするのであれば、GCでのファンディングが常に0.105〜0.11あたり、オペでの資金は0.10だと按分掛かる事もあるけど0.11だったら必要分入るっていう状況が定着しないとさすがに(業者のファンディングコストを勘案すると)3か月TB金利を0.12%以下で定着させるのは無理でしょうと思いますけど、さてその辺のスタンスは如何に。

先週の木曜実施の新オペおよび木曜と金曜のオペだけ見てると「渾身の緩め調節で金利を押し下げますよ」っぽい雰囲気もあるのですが、それ以外の所では「まあ緩めは緩めですけれども、徐々にやっていきましょ」という感じのオペで、緩め調節しながらも無理には押し下げないという感じでして、正直どっちのスタンスなのかよー判らんという感じですな。

ま、現状では「札を開けてみないと幾ら打ちこまれるのか判らん」という特オペが生きているので調節が難しいという面と、そもそもGC市場に関しては大口の資金出し手さんの動きも何ちゅうか不可思議(あまり細々書くのもちとアレですので割愛しますが、まあ需給曲線という言葉が通用しないと申しますか)なので、GCマーケットの妙な特殊性というのもありまして、まあ調節も細かくやろうとすると難しいですわなとは思うのでありました。

#何が何だか判らない話で恐縮至極

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2009/12/14

○バーナンキ議長講演から

この前斜め読みした奴ですが。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20091207a.htm
Frequently Asked Questions

んでもってその質問は以下の4つ。

1.Where is the economy headed?
2.What has the Federal Reserve been doing to support the economy and the financial system?
3.Will the Federal Reserve's actions lead to higher inflation down the road?
4.How can we avoid a similar crisis in the future?


経済状況に関しては確かにまあ厳しい見方をしているのですが、基調そのものは回復という話をしてて、問題は銀行の貸出態度がタイトである事が続いていることと、雇用市場が依然として回復するのに時間が少々掛かりそうな状態で消費やら投資が活発化するような自律的回復はには時間を要するというような話をしています。正直言ってあの講演が出た日に米国債やら為替市場があんなに派手にする程の悲観論でも無いと思いますけどそっちの引用はスルーしまして、2番目の質問に関して。

『The Federal Reserve has been, and still is, doing a great deal to foster financial stability and to spur recovery in jobs and economic activity. Notably, we began the process of easing monetary policy in September 2007, shortly after the crisis began. By mid-December 2008, our target rate was effectively as low as it could go--within a range of 0 to 1/4 percent, compared with 5-1/4 percent before the crisis--and we have maintained that very low rate for the past year.』

とは政策金利引き下げのお話。

『Our efforts to support the economy have gone well beyond conventional monetary policy, however. I have already alluded to the Federal Reserve's close cooperation with the Treasury, the Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC), and other domestic and foreign authorities in a concerted and ultimately successful effort to stabilize the global banking system, which verged on collapse following the extraordinary events of September and October 2008.』

で、非伝統的政策を色々と実施しましたという話をしておりまして、以下はんじゃ何でそのような非伝統的政策を行うかという話をしていますが、まずは一般的な説明として、金融仲介機能の回復を行うという話をしています。最初の打ちは一般的な話とMMFとかCP市場とか中銀とのドルスワップの話。

『We subsequently took strong measures, independently or in conjunction with other agencies, to help normalize key financial institutions and credit markets disrupted by the crisis. Among these were the money market mutual fund industry, in which large numbers of American households, businesses, and municipalities make short-term investments; and the commercial paper market, which many firms tap to finance their day-to-day operations. We also established and subsequently expanded special arrangements with other central banks to provide dollars to global funding markets, as we found that disruptions in dollar-based markets abroad were spilling over to our own markets. 』

で、その後の施策についても具体的にどのような市場に突っ込んだか話をしているのですけれども、まあこちらでも市場機能というか信用仲介機能の回復が主眼という話をしています。

『More recently, we have played an important part in helping to re-start the markets for asset-backed securities that finance auto loans, credit card loans, small business loans, student loans, loans to finance commercial real estate, and other types of credit. By working to revive these markets, which allow banks to tap the broader securities markets to finance their lending, we have helped banks make room on their balance sheets for new credit to households and businesses.』

で、その次にモーゲージ債と財務省証券の買入の話をしていますが、どうもここの文章を読んでおりますと、その目的は「金利の引き下げ」にあるようですな。

『In addition, we have supported the overall functioning of private credit markets and helped to lower interest rates on bonds, mortgages, and other loans by purchasing unprecedented volumes of mortgage-related securities and Treasury debt.』

モーゲージ債に関してはFEDがマーケットメーカー状態になってしまう事によってスプレッドの圧縮には成功したようですけれども、ベースレートの方の米国長期債金利に関しては下がるどころか上昇するという素敵な結果になったのは皆様ご存じの通りでございますけどね(^^)。

『In all of these efforts, our objective has not been to support specific financial institutions or markets for their own sake. Rather, recognizing that a healthy economy requires well-functioning financial markets, we have moved always with the single aim of promoting economic recovery and economic opportunity. In that respect, our means and goals have been fully consistent with the traditional functions of a central bank and with the mandate given to the Federal Reserve by the Congress to promote price stability and maximum employment.』

ということで、非伝統的政策というのは、特定の市場やら特定の参加者の救済の為に実施しているのではなく、市場機能回復を図ることによって利下げという伝統的政策の効果を発揮させるために行うものであって、これは本来のFRBの使命に合致するものである、というお話ですな。

で、この先は銀行監督に関する話(SCAPとか)になりますので引用割愛しますけれども、ここまでの説明の中で判るのは、非伝統的政策に関して「市場機能の回復」という点を政策の効果として置いている事でありまして(モーゲージ債と財務省証券の買入は金利の引き下げという話なのでちょっと別の筋になりますが)、FRBのバランスシート拡大の量的な面についてはあくまでも市場機能回復(や金利引き下げ)を行った結果として生じた、とは言ってませんけど、話の筋からすればそういう事になるちゅう事ですわな。

なお、3番目の質問で「FEDのバランスシート拡大が過大なインフレを起こすのではないか」という質問に対しての答えを行っていますので、まあバランスシート拡大がどうのこうのという話もしてはいますけれども、今日引用した部分での説明を見ますと、まあ元からバーナンキ議長をはじめとしてFEDのエライ人は「FEDのバランスシート政策はかつての日銀の量的緩和のような負債サイドに注目した政策(=当座預金残高の数値目標型)ではありません」と説明していましたけれども、今般の非伝統的政策に関してはマネーサプライがどうのこうのという話は表に出てこない形での説明を継続してますなという所で。

#このネタまだ続くかもしれません

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2009/12/11

お題「新オペ登場で雑談を引っ張ってみる」

という無理矢理企画にチャレンジの巻(^^)。

○正確には共通担保資金供給固定金利方式ね

火曜日にこんなのがこっそり日銀のサイトに出てまして(いやまあ要綱とかはオペ参加先には周知されてるのでこっそりでも何でもないですけど)、新オペそろそろクルーという感じでしたが、昨日オペ実施でござるの巻。

共通担保オペの取引概要
http://www.boj.or.jp/type/exp/ope/opetori12.htm

昨日のオペオファー(最後にご注目)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of091210.htm

で、その結果(最後にご注目)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba091210.htm

本店方式での実施となりまして、予定通り8000億円のオファーが行われました。期間はスポットスタートの12月14日でエンドは来年の3月9日。落札結果は応札65680億円で按分比率が12.2%となりました。1社当たりの応札限度額が2000億円だったので、満額応札した人の落札は244億円となりました。


○おお!6兆円も応札が!という訳でもありませんので念の為(^^)

でもってメディア的には応札が「8倍以上もありました!」という話になるのは明明白白でございますが、それをもって「8倍もにニーズがあるのだからもっと増やせ」とか言い出す人が出てきそうなので先に釘を差しておきますと(^^)、この入札方式だと「どうせ他にも応札する人がいるだろうから満額入れとくか」という人がわらわら出てきてもおかしく無いのと、その満額そのものが2000億円ということで額的にそんなに多い訳でもないので何か間違って入っても別に無問題という所もあったと思いますので(^^)、応札そのものはうじゃうじゃ入る可能性はある訳ですな。

このオペはサービスレートになりますので金額無制限でオペを打ったら当然ながら出来上がりの落札額は普通に考えて8000億円を超えると思うので、ニーズそのものは当然ながらあるのですけれども、「応札額が多い」=「ニーズが死ぬほどある」というのは必ずしも正しく無い(按分狙いで札が多くなる可能性がある)のですな。その逆で「ニーズが無ければ応札も減る」というのは正しいのですけどね。

かつて量的緩和30兆円時代の短期国債入札では入札参加各社がこぞって応札で機械的に入力できる上限額を按分狙いで応札するというようなお洒落な事案がございました。まああれは極端ですけど、そういうケースもあるので「8倍も応札があったからもっとオペを増やすべき」とか言うのはオペの技術的な話を理解していない事を自ら告白するようなもんなのでご注意ありたしと言う事で(^^)。

#いやまあこのオペそのものは当然ながらニーズはある筈なのでそういう意味で増額したら喜ぶ人は多いと思いますけれども、その根拠に昨日の応札額を持ち出すのはピンボケという趣旨ですから念の為


○つーか按分もうちょっと少ないのかとオモタ

んでもってその応札6兆5000億円ですけれども、実際の短期村的な印象としては「おおこれは思ったより入ってラッキー」という感じなのでは無かろうかと思料。

つまりですな、全店オペ方式での実施ですので、現在ですと161先が対象になるのでありまして、普通に考えて債券ディーラー業務をやっている業者と短資会社はこのオペに入れる気満々でしょうし、まあ大どころの銀行さんもまたオペに入れる気満々でしょと思ってましたのが、サービスレート何だから他にももう少し札が入るのかなあって感じだったんじゃないでしょうか。

2000億円を30社ちょっとで入れたら6兆円ちょいという計算になりますので、証券と短資と銀行さんの大きい所が堂々参加したものの、オペ先の皆さんがこぞって参加という図でも無かったんですねという所であります。まー元々資金が余剰になっていて超過準備を積んでいるような人がわざわざ手間暇掛けてオペで資金を取りにいかんわなという事もありますし、2000億とか応札して実はどどーんと入ってしまったとかなると担保繰りが大変な事になるという人もいるでしょうから、そうそう皆さん揃って満額応札というようなトンチキな事にはならなかったという常識的な結果に落ち着いたのでありました。


○スタート日は月曜だけどエンド日が火曜とな

今回のオペですが、オペのスタート日は来週月曜なのですけれども、エンド日は3月9日なので火曜日に相成ります。このオペはロールされるのが前提ですから今度ロールされる時には3月5日金曜日にオファーされるのですなというのは判ったのですが、このスタートとエンドって単純に資金需給を見たとか言う事なのでしょうか。

というのはですな、今回のオペが月曜スタートだったので、もし今後実施されるオペも毎週月曜スタートでという事になりますと、新発TB3か月物を発行日からオペに突っ込めるという業者歓喜の展開になるので、「おお!これは凄い!」と一瞬ヌカ喜びしたのですが(^^)、良く良く見たらエンドが9日(国庫短期証券71回の償還日は8日であります)なので、このロールの時には新発TBの発行日にオペのスタートが当たりませんなあという感じで(ま、共通担保ですからキニシナイという説もありますけど)、そこまでの露骨プレーは避けたという事でしょうか、ニヤニヤ。

これ毎回月曜スタート月曜エンドとかにしてくれると「3か月国庫短期証券の発行償還にぶつけて新型オペの足をそろえる」ということになって下さいますので、日銀から猛虎魂じゃなかった財務省魂を感じるという所だったんですが残念無念(何が?)。


○短期村の外の反応が知りたい

・・・・と思ったのですが、債券町での反応は「ああ実施されましたかそうですか」ちゅう感じだったのでツマランチ会長なのですけれども、何せ今回の措置の前後では「為替市場の動向」というのが総裁の口から出ていた位ですので、まあ為替市場様がどういう反応してるのかが知りたいのですけど・・・・どうなんでしょうかね???

#ああ実施されましたかそうですか、で終了してそうな気がするが(汗)


○まあそれはそれとして

ということで雑談のネタはあっという間に尽きてしまいまして、甚だ遺憾でございますが(とほほ)、要するにこのオペが従来の共通担保やら特オペからの単なる乗り替わりに過ぎないと結局の所(昨日うだうだ申し上げたように)足元のGCレートなどはそう簡単にベタベタにはならず、従って3か月TBやら2年とかの金利もベタベタになりませんわなという事になるのでありまして、本来的な注目点はこの新オペ分が従来の供給にオンされるのかどうかちゅう話ですわな。

という観点からここもとの調節を見ておりますと、まあ数字上の当座預金残高やら準備預金残高がそんなにドカドカ増えている訳でもないのですけれども、最近のパターンだと積み最終に向けて積みの進捗を調整するような感じでやや引き気味に運営してきてたのですが、一昨日や昨日のオペを見てますと「ここでの供給は行うか行わないかどうでしょうね」ってえ所でほぼ供給を行っていまして、積み最終に向けての進捗調整を行うような感じが見られないので、まあそういう点では変なレートの跳ね上がりをさせないような配慮はあるんじゃネーノという感じです。

ただまあ資金供給を押し売りの如く打ちこんで来る訳でもないですから、そーゆー点で言えば超足元レートを強引に抑え込んで来るようなオペでも無いという所でして、昨日も申し上げたように間合いが微妙な状況がまだ続いているという感じなんでしょ。

まあ次の積み期間は年末年始(ただし今年の年末年始は休みが4日しかないのでそんなに長く無い)がありますので、まあどういうオペレーションをしてくるのか、年末だから普通に多めに出してくると思うのですが、その出し方が上記のように「上昇抑制気味モード」なのか「押さえ付けモード」なのかはオペを見ていくしかないですわな。「ターム物金利の低下を促す」というのはまあ確かに押さえ付けるとは言ってませんけど、ああ言われると押さえ付けオペを想像したくなるので、先週の短国入札はフィーバーしちゃったという所でしょう。資金需給的にあの時期は威勢よくオペを打ってもトン調節というプレーが可能であった事も日銀的には美味しかったという感じでしょうか。その為にわざわざ臨時会合の日を調整してたら凄いですけれども、まあさすがにそこまでは無いかな?


#ということでひたすら局地的な雑談でどうもすいません

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2009/12/10

○3か月TB入札などについて

昨日は超適当に「0.12%に毛が生えたくらい」と申し上げましたが、入札の結果は0.1246%/0.1272%ということで、正直あたくしのドタ勘はもうちょっと強めかと思ってたのですが「ふーん」という感じでした。で、先週のちょっと頑張っちゃった入札は0.1169%/0.1192%だったので、今回はレートが上昇しちゃいましたでござるという話になりますわな。

いやまあ緩和策が出る前の入札が0.1538%/0.1546%となっていますので、そこから見たら堂々の3bpレート低下なのでちゃんと追加緩和による効果が金利に出ているのですけれども、今回の追加緩和政策をぶち込んだ時に白川総裁が「ターム物金利の引き下げ」を謳ったという事もございまして、あたくし的に気になるのは、「日銀ちゃんはどこまでここのレートを押し下げて来る積もりで考えてるのかな」という所でございます。

つまり、先週0.11台まで下がったのはご愛嬌ではありますけれども、それはそれとして昨日はそこから見たらレートが上昇しましたという現状も現状としてございます訳で、市場機能とか知らんがな状態で強引に0.10%ベタベタになるようなオペレーションを行って市場の価格形成機能をとりあえず3か月の所までは虐殺しちゃうのか、そうは言ってもそこの機能のようなものは(既にだいぶ虫の息状態ではありますが)とりあえず死なない程度に残しつつも市場を誘導していくのか、どっちのスタンスなのかによってレートがベタベタになってくるタイミングが微妙にずれるので、短期市場的にはそのタイミングの差がポジションを作るのに大事(10年金利とかのスケールから考えたら誤差の世界ですが、汗)でして、まあ今の所はその間合いを測りかねているという所でしょう。


しかしまあ何ですな、昨日の入札は0.1246/0.1272だったんですけど、その0.1272の所って按分0.5353%っていうことで入っていないに等しいのですけれども、落札結果出た瞬間にセカンダリーで平均オファーになるのはちょっとまあアレでございますな。いやまあ流れた入札とか平均が強すぎた入札というのなら判るんですが、ごく普通の落札結果と思われるのに平均オファーとかになっちゃいますとこれまた投資家が段々プライマリーで行かなくなってきて、入札前の札の集まりが悪くなるので益々セカンダリーが重めになるという悪循環になって、自分の首を絞める流れなんじゃネーノと思うのですが余計なお節介ですかそうですか。


○GCは安定とな

ここもとのオペでは当座預金残高をいつもの積み最終だと最終日に向けて引き気味にしてくるのに対して、今回の積み期に関しては最終に向けて特に引いてくる感じも無く推移しておりまして、先週末あたりに何か7日渡しの所で妙な挙動をしやがったGCレートは日銀の供給がどういう勢いで増えてくるのかに関しては手探り状態ではありつつも、ま、レート形成そのものは取りあえず0.11%近辺(105-11か11-115かという感じですかね)で再び落ち着いてきたようでこれまた結構な話。

ただまあ繰り返しになりますが、今回の追加緩和策って「指値オペ実施」というのが本当のキモで「10兆円」というのはそのオペのオファー額の話なんで、当座預金残高がどのくらい増えるのかという話はこれまた微妙であります。まあ元々今回の措置は白川総裁が会見で言ったように「ターム物金利を低めに誘導する」という物だと考えた場合、その低め誘導を「どのターム物まで」「どの位のレートで」誘導するのか、またその方法は強引にベタベタになるようにするのかという所は今回は(目標を当座預金残高にしていないのだから当たり前ですが)公式にアナウンスされる訳でも無いので、その辺りに関するスタンスがどうなのかはオペレーションの打ち方で判断して行くしかないという事になりますわな。

まあGCを0.10まで下げちゃうとGCで資金を出している主要プレーヤーである所の大手銀行さんが「じゃあ0.1%のブタ積み」という動きに出る(ゼロ金利量的緩和時代だとブタ積みは本当にブタ積みだったので、いわゆる「キャッシュ潰し」に対するインセンティブは当時と今とでは違って出てくる筈です)ので、GCでファンディングが必要な人がいるうちはそうならないでしょうし、日銀のオペで全員のファンディングが賄えてGC市場で金取らなくても良いとなるかと言うと、まあそういう事は起きるのでしょうけれども、そうは言っても全部が全部オペ頼みでファンディングというのは問題含みでもあるので、市場でのファンディングのニーズが死滅する事は無いでしょう、と思いたい(あれ?)です。


○まあいずれにせよ

とりあえずターム物金利を下げるという点では3MTBのレートを2bpから3bp下げる事には下げたのですけれども、まー何だかんだと言いましても3か月TBは1回当たりの発行量も莫大ですし、短期ゾーンのターム物金利と言う意味では一番の指標的存在(流動性も高いし)になる訳でして、イールドカーブ全体に与える影響も何気にあるのではないかと思う(過大評価かなあ?)のでありまして、日銀様におかれましては白川総裁が堂々強調した「ターム物金利を低めに推移するよう促す」という「低め」がどんなイメージなのかを拝見したいものです。

まあ本当にベタベタになるようにしていくと、3か月TBの金利もそれこそ0.10%に毛が生えた程度のレートになって、その後ろもそこに影響されてもうちょっと低下という話になるのですが(2年とかはまあその辺結構織り込んでますけど、3か月位までが本当に0.10ベタベタになったらもうちょっと下がるでしょう)、その辺がどの位までやらかすのかは今後の流れに注目という感じですかね。

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2009/12/09

○国債投資家懇談会から・・・というよりただのあたくしの雑談

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b211207.htm

増発の話はまあPD懇と同じなのですが、来年度に国債発行を減額する場合にどこを減らすのかという話がPD懇の時とだいぶ違うのが目立ちました。PD懇でもまあ20年とかを減らしたらというような意見など色々とあったのですが、議事要旨の全体的なトーンは基本的には短期ゾーンを減らして借換債の増加負担を何とか軽くすべきという感じになっていたので結構対照的だなあと思ったんですがどうなんでしょ。

まあ一々引用しませんけど、割と減額に関する意見が多かったのが10年債って所で、後は5年とか物国変国とかいう話が多く、まあ投資家需要とかここもとの増発によるバランス変化という点からするとそうですかねという感じではございます。

然るに、PD懇の方では「借換債発行負担の増加を軽減」という観点の意見が妙に多かった(いつもの調子だと「日銀の追加緩和もあるので短期ゾーンは消化余地ある」という話のオンパレードでも良さそうなもんですが)のって、業者から見た場合に、国債入札が段々と市場で一発で捌けない状態になって来ており、将来的にそうホイホイと増発されていくと入札そのものがリスクになって来る勢いになっているというような所をさすがに看過できない状態になっているという認識が広がっているのではなかろうか、と想像するのでありまする。

いやまあそれってあたくしが勝手に妄想しておる(受け売り成分もありますけ^^)話でして、実際問題としてどうなのかはあたくしのようなチンピラゴロツキではなくて大業者様のご意見をお伺いするべき話なんですけど(じゃあ書くなというツッコミは却下^^)、何だかんだと言いましても最近の中長期国債の入札って入札前に結構調整してみたりとか、入札が結構流れてみたり(昨日もまあ予想通り(?)流れたという感じですか)という場合が多く、入札でニーズ爆発ショートカバー大会というのも月に1回位あったりしますけれども、入札そのものがちょっと重いかなあと。基本的に金利が上昇する局面でもないですし、日銀の金融緩和に関してはどう見ても時間軸です本当にありがとうございましたという感じな中でこのテイタラクというのに、プライマリーディーラとして最前線にいる人達の方がより一層にアレな物を感じている為に、いつもと逆っぽい議事要旨(=PD懇の方がポジショントーク成分が高いのが仕様なのですが今回は逆の印象)になったのかな。

というのは全てあたくしの脳内妄想によるものですので内容が本当か脳内虚構なのかは保証の限りではございません(言い訳^^)。


○んでもって投資家懇の続きで相場見通しに関する部分から

まあ基本的には金利はレンジで下手したら低下リスクというのがコンセンサスですが、こちらでも(PD懇の議事要旨では相場見通しに関する話が掲載されていませんが)財政に関する要望が。

『(前半割愛)むしろ長い目で見た場合、今後、景気の足取りがややしっかりしてくる中で、金融政策の出口戦略が探られる、あるいはインフレ圧力が具体的に出てくるといった中では、財政プレミアムといったものもマーケットのセンチメントに影響を与えると思う。そういった意味ではマーケットというのは、やはり期待に対してオープンなシステムであるので、そういったものに対する配慮は非常に重要ではないかと考えている。』

『先月我々もちょっと冷っとした場面があったが、発行量が非常に多くなっているので、おそらくすぐに顕在化することはないと思われるが、日本の貯蓄が段々減っていくと、当然そのリスクプレミアムを織り込んでいく局面が可能性としてあるのではないか。したがって、市場との対話を是非続けていっていただきたいということが一つと、もう一つは、政府として、やはり財政再建プランをきちんと作って理解を得ていくことが大事であると考えている。』

ということで、他にもありましたけれども、さすがにここもとの国債増発攻撃に関しては、それがどう見ても単年度の一時的増発では済まない勢いになっている事も鑑みて、ズブズブ状態でのバラマキ的な財政拡大に関しては勘弁してくれ(とは角が立つのでよー言いませんが)という声が増えとるという感じですな。

参加者的な懐勘定という点で言えば正直言って別に長期金利が上昇したってそれはそれで困らないのですけれども、そうは言ってもこういう場所で話をする場合って一応日本国が困る事になったらマズーでしょという論点での話はするもんだと思いますので、まあ財政規律がどうのこうのって話をしているのですよね。よく「金利が上昇すると(保有債券が値下がりするから)債券の投資家は困る」という講釈を聞くのですけれども、実際問題としては金利が低下している時の方がしんどい(金利の世界では「再投資リスク」という概念がございましてですな・・・)のでありまして、いきなり一夜で2%とか金利が上昇すれば別ですけど、のんびりと金利が上昇する分には特に困らない筈なんですよね(困るのは発行当局)。シロートの方向け余談ですけど。

まあそんな雑感ですが、要するにお前は何が言いたいのかと申しますと、最前線のマーケットメーカーさんが国債発行額の重さにリスクを感じて来てるんじゃなかろーかということでありました(^^)。

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2009/12/08

お題「ポジショントークっぽくないPD懇/その他」

まずはPD懇から。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c211204.htm

どうでも良いのですが、今回の議事要旨は個別意見の紹介の頭に「・」みたいなのがついてないので読みにくい上に、普通にIEで表示したのをA4の紙に印刷しようとすると右余白が足りなくて肝心の所が読めないので改善キボンヌ(右余白が足りないのはいつもの事なのですが、通常は1文字程度しか切れないのに今回のは3文字程度切れるので文章として読めない)なのであります。


○ポジショントークを爆裂させている場合でも無いという事ですな

今回のPD懇はこの時期ですので国債発行計画絡みのお話・・・なのですけれども、今回の特色としては皆さんの意見が物の見事に揃っていることと、いつもだと割と目先が良ければいいやっぽい意見具申が散見されるのが仕様となっている(議事要旨を見てるとその中でも一貫してべき論でぶれてない人もいるものと思われますが)のですけれども、さすがにここもとの国債絶賛発行に関してプライマリーディラーとしてもあまり能天気な話をしている訳にもいかないという雰囲気になっているのではないかという感じの意見が。

2次補正に関する増発と、来年度の国債発行計画に関する意見の概要ということでまず最初の人の意見を引用します。

『2次補正に伴う増発に関しては、需給を加味すると、利付債で対応可能であると思われるのは30年債であり、来年3月に6,000億円を1回追加できるのではないか。後は、T-Billで対応するのが望ましい。』

『来年度については不確定要素が多いが、基本的には、各年限とも、本年11月からの増額後の発行額を来年度も維持した上で、30年債を年8回まで増やせばよいのではないかと考えている。それでも足りない場合は、増額できるのは5年債で1回あたり1,000億円程度、その次に2年債で対応可能ではないか。逆に減額できる場合は、国債管理政策上、短い年限から削っていくことが望ましいため、T-Bill の1年物や6ヶ月物を減額する。(物連と変国に関する部分割愛)』

と言う意見なのですが、これがまた見事な事に今回は参加各社の意見が大筋ではほぼ揃っている(発行余地の部分で長期にウェイトが掛かっている人もいるのでその点では一様ではありません、念の為)次第でして、「来年度もし減額ができるのであれば短期国債を削るべき」という意見が大勢というのには「ほほー」と思うのでした。

つまりですな、量的緩和みたいなもんをこれから日銀が開始するという状況でありますので、普通に考えて短期国債の消化余力はアホのように高まる筈だというのはPD懇に出席されている各社様は先刻ご承知なのでありまして、今までのノリですと「日銀の追加緩和によって中短期ゾーンの国債の消化余力は更に高まる」とかいう話が出ても全然不思議じゃないのですが、そういう目先の話よりも短期ゾーンを削る話が主体になっている(あと発行額がバランス的に多い20年の減額も)のが多いというのはどーゆー事かと言いますと、当然のごとく・・・

『一方、減額が可能な場合は、将来的な借換の負担などからT-Billや2年債を優先するのがよいと思う。』(これは最初の人とは別の人ね)

という事で、さすがに借換債がジャンジャン増えてくるのは如何なものかというPD懇参加者の意識が高まっているという話では無かろうかと思ったのでありました。あまり暢気な話をしている場合でも無いって所ですかね。

あと、ちょっと上で引用した人の意見(本当は長いのだが)の中でこんな部分がありまして、まーこの点にはとっても同意です。

『国債管理政策はここまで非常にうまく機能していることを強く自信をもって訴えていくべきだと強調したい。これまで「サプライズなき増発」を実行してきており、特に、4月の補正や11月からの増発で、T-Bill6ヶ月物や前倒債の活用を温存し、今回の2次補正でうまく活用できることは非常に有効であると思う。来年度についても同様の方向性でやっていければ、ある程度の発行量になっても市場にショックを与えず、金利のボラティリティの低下や発行コストの低下に繋がっていくのではないかと考えている。』

しんどい中上手く繰り回していますなあと思うのですけれども、肝心の発行が何かこうダラダラというかズブズブという感じで増え続けるという状況なのが大変に頭が痛い所でしょう。国債管理政策という戦術面は恐ろしいほど優秀なのですけれども、財政政策そのものという大戦略がどう見ても場当たりモードです本当にありがとうございましたという所が実に残念ですわな。いやまあ出すなら出すでも良いのですけど、出した後に成長戦略があって将来的には出した分がきっちり戻るから無問題というような図が無いままにズブズブと財政が出るというのはちょっと何だかねという感じですもんね。



○流動性供給入札と買入消却

流動性供給入札と買入消却に関する話には何気に良い話が転がっていました。

『流動性供給入札は、現状維持で良いと思う。ただ、位置付けの議論においては、流動性供給入札だけを取り上げるより、そもそも国債市場の流動性が低い理由を考える必要があり、レポ市場の機能向上という点で、全投資家に強制することは難しいとしても、大口投資家が纏まって保有した銘柄などがレポ市場に供給されるような働き掛けも必要ではないか。同様の観点では、発行時の銘柄統合の取り扱いのほか、3年債や7年債のような新年限を導入するより現状の方が良いという考え方もあるなど、大きな枠組みの中で議論する必要があるのではないか。』

ということで、「大口投資家が纏まって保有した銘柄などがレポ市場に供給されるような働き掛けも必要ではないか」という点に関しては禿げあがる程同意なのでございます。と言いましても現状ではまず他人勘定でのSCレポ(資金運用目的でのGCは普通に行われていますが)がほぼワークしていない状況だったりするので、その人達の玉をSC市場に出せるような仕組みづくりを行う(のはこの金利状況だと初期投資のコストに合わないという所で話が無限ループするんですけどね)とか、まあ色々とレポ市場の厚みと広がりが求められる所でありますわなと存じます。

ところで、買入消却と言えば物価連動と変動国債ですが、市場実態としてはその通りなので市場の中の人的に読んでいると軽く読み流してしまいますが、冷静に考えるとこれは落涙を禁じ得ない意見(^^)。

『買入消却については、物価連動債、15年変動債ともにあまり大きく数字を動かすべきではない。物価連動債については、市中残高に比べて当局の買入額が大きくなっているが、市場において実需の買いは無いため、買入消却が減額されると市場が不安定になるおそれがある。また、15年変動債についても、あまり極端に減らさない方がよいと思う。物価連動債の買入消却が減額された場合に、15年変動債の減額のペースも速まると思った投資家が、売り急ぐことも十分考えられるので、慎重に対応してほしい。どちらかというと、15年変動債は減額しないほうがよいと考えている。』

>物価連動債については(略)市場において実需の買いは無いため
>物価連動債については(略)市場において実需の買いは無いため
>物価連動債については(略)市場において実需の買いは無いため

その通りなのですけどね(><;


ところで、昨日見た時には最近の国債市場に関する議論があった筈なのですが、今朝見たらその部分が無くなっている気がするのですが、何かあたくしの勘違いでございましょうか???


○バーナンキ講演ですが

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20091207a.htm
今回の講演のお題が『Frequently Asked Questions』というのはチャーミング(^^)。

えーっと、まあ当然ながら全部読める訳ではないのですが、某モーサテが「バーナンキは雇用環境は脆弱と発言」と連呼するのでそのくだりを引用。『Where Is the Economy Headed?』ってえ所のケツの方が該当する部分だと思われます。

『On the other hand, the economy confronts some formidable headwinds that seem likely to keep the pace of expansion moderate. Despite the general improvement in financial conditions, credit remains tight for many borrowers, particularly bank-dependent borrowers such as households and small businesses.』

『And the job market, though no longer contracting at the pace we saw in 2008 and earlier this year, remains weak.』

『Household spending is unlikely to grow rapidly when people remain worried about job security and have limited access to credit.』

ということで、fragileなら判るが、remain weakで脆弱ってニュアンスになるの???って気はする。まあFRB的にはこんな段階で変に早期利上げ観測が出てくるのは困るという状況だというのは判るが、そんなに強いニュアンスかいなと。まあsome formidable headwindsってのに反応したんだと思いますが。

つーかですな、on the other handってえ位ですから、その前にメインシナリオの話があって、そっちでは景気は回復ですよという話をしているのですけど。その前のパラグラフから。

『A number of factors support the view that the recovery will continue next year. Importantly, financial conditions continue to improve: Corporations are having relatively little difficulty raising funds in the bond and stock markets, stock prices and other asset values have recovered significantly from their lows, and a variety of indicators suggest that fears of systemic collapse have receded substantially. Monetary and fiscal policies are supportive. And I have already mentioned what appear to be improving conditions in housing, consumer expenditure, business investment, and global economic activity.』

つまり、シナリオとしては回復だけれども、回復のペースを阻害するsome formidable headwindsって話をしてるとは思うので、そんなに極端な反応をするもんでも無いとは思いますけどどうなんでしょ。

ただ、物凄い勢いで斜め読みした感じでは、インフレ期待は中長期的に抑制されてるとかいう話もあり、景気見通しに関する部分に関しては利上げの雰囲気を1ミリも出さないようにしているのは把握しました。

他の部分も面白そうなので暇があったら読んでみます。

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2009/12/03

お題「引き続き今回の臨時会合関連で主に市場雑感で恐縮」

色々とすっ飛ばしたネタは後日小出しにして参ります。頭の中では何となく整理してるのですが、いざ書くとなるとまだそこまで・・・・なんですけど、書くと頭の整理に結構役立つんですよね(^^)。

○短期ゾーンのレートが早速低下しやがったでござるの巻

今般のオペの効果に関してあたくし昨日は「まあ少々時間を掛けて短い所のレートがベタベタ下がって来る」と申し上げたのですが、昨日はあっさりとレートが色々と低下致しまして、まあ初日は順調な滑り出しとなりました。

昨日実施された資金供給オペは軒並み0.10%足切りまで低下(ここのところのターム物資金供給オペは概ね足切り0.13%)致しまして、GCレートも0.11%近辺(多分最後は0.105-0.11)に低下(ここもとは0.15近辺で推移)しましたという流れになりました。で、昨日入札が実施された3か月TBは前場引け時点で0.12%が業者間で買われまして、こりゃ12割れですなと言ってたら案の定平均と足切りが0.1169%/0.1192%となりまして、0.12%を割り込む結果(ここもとは0.15%ちょっと乗せ位での推移)と、きっちりとレートが低下しました。

んでもってTIBORはリファレンスバンクが空気を読んで呈示レートを下げたようで(^^)こちらもご案内の通りレートが2つくらい下がりまして、朝方は前日引け後の流れでユーロ円金先では4甘だの叩いていたのですが、その辺りの動きを見てあっさり味で昨日の引けまで戻っているのがチャーミング。

ちなみに、前日の引け時点では5bpレートが低下するんじゃねえのかという勢いで債券市場方面の短めの所が盛り上がっておりましたので、2年ゾーンの引けとかは1毛甘になっているのですが、水準的には0.175%(2年287回のBB引値)と、月曜日には1年ゾーンの金利水準だった所までさっくり低下しているので、これまた水準感としてはいい感じだと思うのですけどね。

・・・・ということで、時間を掛けて低下するでしょとか申し上げましたが、2年くらいまでの金利がさっくり低下というお洒落な結果になりましてどうもすいませ、って謝罪はしますが賠償は受け付けませんので悪しからず(^^)。


○怪我の功名と資金需給タイミングの合わせ技でしたが

昨日の資金供給オペオファー一覧

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of091202.htm

即日で共通担保1兆円打ちこみということで、早速メディアが飛びつくでござるの巻。これは一例。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091202-00000513-san-bus_all

『決定翌日から1兆円規模の供給を行うことで、政府と一体となり、デフレ克服に当たる姿勢を鮮明にした。』(上記URLより)

えーっとですな、昨日は朝の時点でノーオペですと当座預金残高が前日比1兆円ほど減る見込みだったので、実際問題としてはこの即日供給って普通の供給っちゃあ普通の供給だったんですな。まあ札の集まり具合から勘案すると1兆円出さなくても大丈夫だったかも知れませんけどね。

では何で昨日はそういう資金需給になったかと申しますと、一昨日の13時に実施された2日スタートの資金供給オペがこのような素敵な結果になっていたからです(下の2本が該当する)。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba091201.htm

そこに『応札レート(貸付利率)0.09%以下は不採用としました。』ってありますように、金融緩和政策が出ると思われる決定会合を前にして、まあ別に金もいらねえから間違って利下げでもあったりするとコトなので10bpよりも下で応札しようという人達が続出して、昨日は2日スタートの共通担保オペが合計で1兆円ほど未達になった訳ですな。

ということで、昨日の即日1兆円はその穴埋めでありまして、それが何より証拠には昨日の当座預金残高特に増えておりませんえんなのれす。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx091202.htm

んでもって、その後9時半にはスポネの買現先がいきなり2兆5000億円なんぞに増額されてこれまた「おお!」というような数字なのですが、うち1兆円は即日オペのロール分ですし、まあ(詳しく計算してませんが)4日の資金需給的にはこれだけ打っても自然体オペだったりするようですので、惜しくも数字の豪華さほどの豪華オペでは無かったでござるの巻。

オペに関しての精密さは天下無双モードの金融市場局調節担当課でありますので、資金需給的に一発でどどーんとオペが打てるようなタイミングを利用し、ついでに1日のオペ未達も存分に利用して、見た目インパクトのあるオペ打ちこみに昨日は成功しましたねってえ所ですな。

・・・・と、持ち上げてるんだか落としてるんだか判らん話をしていますけれども(^^)、昨日は当日ベースの当座預金残高が前日比増えない資金需給であったにも関わらず、オペレーションの見た目が参加者の心理に影響を与えてくれたのか、GC市場あたりでは「急に資金が出たので」状態になりまして(つまりここもと出し渋っていたのか本当に出さないでいたのか知らんが、GCで微妙に資金の出が渋めだったのが一転して)GCレートが低下(まあ昨日の時点で決定会合結果公表後には12くらいになっていましたが)して0.105-0.11辺りに低下したでござるの巻になりましたし、TIBORも何か知らんが2つも下がりましたし、誠に結構なアナウンスメント効果(口の悪い言い方をすればプラシーボ効果)となりましたですな、はい。


○ということでハッタリも重要ということですかな

まあ綺麗に言えば「市場の期待を安定化させる」ということになるのですけれども、自然体オペであっても見せ方さえ上手ければ、最初の効果が出る訳でして、その後はバンドワゴン効果というか自己実現というか、まあそういう流れが発生して勝手に市場が誘導されるという事もアリエールというのを実演したのが昨日の相場。

つまり、どこぞの福井の俊ちゃんのように輪番を1円も増やさないで短期オペだけで堂々の当座預金残高目標30兆円を実施しても、意味があるような顔をしていると意味があったのか無かったのか良く判らんけど、結果としては効果があったかのような事も起こる訳でして、この辺りの匙加減っていうのは本当に難しいというか永遠の課題になるんでしょうね。

結局のところ、金融市場にしたって実体経済にしたって、「マインド」「期待」という訳のわからんものを相手にしなきゃいけませんし、鰯の頭も信心だったり、本当は重要な変化なのにその時は誰も気がつかないとか、まーいろんなケースがあるので難しいですなあと改めて思った一昨日昨日の市場雑感なのでした。



○まあターム物金利押し下げならGCを低位安定させましょうね

でまた話を戻すと、GCも下がってTBも下がってということで、ターム物金利はさっくりと低下してくれたのですけれども、小見出しの通りでありまして、短国とかのレートってGCが不安定だったり高止まりしてたりすると毎週5.7兆円の豪快な発行がある3か月TB(そのほかに2、6、12か月のTBがありますし)の流通市場における証券ディーラーの在庫保有コストが上昇しちゃいまして、結果として一番流動性のある短期ゾーンのターム物金利であるところの3か月TB金利がサガランチ会長になるのはご案内の通り。

つーことでですな、今後のオペはGCを低位安定させるのが重要ですねという事になるので、3か月の新型オペ単体だと足元のGCが安定するのか微妙な所ですが、今の市場環境だとショートファンディングに傾いている部分にしっかりスポネ現先オペで供給を行いつつ、タームのオペの金利が足切り0.10%で安定するようにしておくと、徐々にショートファンディングも軽くなってきて益々レートが安定するという図になりそうですな。

まあ後はオペの規模をあまり減らさない形で当座預金残高が徐々に増えるようにする(あんまり派手に増やさなくても良い話だと思う)ような感じで行って、普通のオペでも0.10%というのが定着してくるとそんなに無理無理な供給をしなくてもターム物金利は自然体で落ち着くような気がしますけど、気のせいかもしれませんので念の為(^^)。


ところで、話はまたまたワープするのですが、「日米の短期金利差がどうのこうの」と言って円LIBOOR3か月金利と米ドルLIBOR3か月金利の比較をして「金利差が逆転してるから円高ドル安」という話って最近妙に良く言われるのですが、そもそもLIBOR金利自体が資金取引という観点からするとバーチャルにも程がある金利で、別にそのレートで調達運用できるかというとそんなこたあ無いという話ですので、ドルキャリーがどうのこうのというのも変な話ですわな。まあこれもまた鰯の頭も信心から状態なのでしょうけれども・・・・



○総裁会見とか須田さんの講演とか(詳しくは明日)

という市場雑感を書いているうちに時間が無くなったのと、昨日は市況をおっかけつつあちこちの書き物を読んだりしてるだけで精一杯(というか全部読めてない)でしたので、まあURLだけ置いておきますね。

白川総裁会見
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0912b.pdf

須田審議委員講演
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko0912a.pdf

白川総裁の会見では本石町日記さんが指摘していたように、量的緩和とかターム物金利の引き下げだのという話が出ておりましたし、今回もまた説明が大変に丁寧。で、従来の「説明は丁寧だけど身も蓋もない言い方」よりは踏みこんだ言い方になっていますねという感じ。

あと、為替市場に関する話というのは従来はひたすら避けて通っていましたけど、今回は円高傾向に関する懸念成分も入っていまして、まあ主要国と言われる国で中央銀行が為替でどうのこうのするのはよーやらんというのがこれまでのお作法っぽかった(だからSNBの為替介入攻撃は評判悪かった)のですが、最近は為替に関する中銀のエライ人の言及も増えているのですから、コメントするのもヨロシという感じですかね。


あと、須田さんの講演は超斜め読みしかしてませんけど、従来よりも結構ハト寄りになったような気がせんでもない、気のせいかもしれないので精読したらこの部分変わるかもしれません、悪しからず。

#水野審議委員5年間お疲れさまでした♪

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2009/12/02

お題「臨時決定会合あれこれ」

今朝の公共放送ニュースで早速「日銀に一段の対応求める声も」と出ていてニヤニヤ。

#ところでドル安で商品価格上昇して株式市場ヒャッハーとかやってる米国はインフレ懸念でやっぱり早期引き締め復活のリスク無視なのか??


○決定内容どうのこうのの前にもうアホかと馬鹿かと

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0912a.htm
金融政策決定会合の臨時招集について

これがリリースされたのが午前11時1分くらいでして、そのリリースのタイミングが絶望的に悪いのがもうアホかと馬鹿かという次第。10年国債入札の前場引けに緩和決定が予想される決定会合の臨時召集のリリースというのは酷過ぎですわな。

まあそれだけで債券市場の中の人はご理解頂けると存じますが、中の人じゃない方にも判るようにご説明いたしますと・・・・・

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2009/offer056.htm

こちらにありますように、昨日は10年国債の入札が2.2兆円実施されまして、この入札の締め切り時間が正午なのですな。で、国債入札というのは、投資家が直接入札に参加する分もありますが、基本的には証券会社などが顧客需要やら何やらを勘案して「今回の入札はいくら落札するか」って感じで正午直前に札を入れて、落札(ただし入札だから読みを外して空振りになったり入り過ぎたりする事もあります)して、ある程度在庫を抱えつつ顧客(機関投資家)の売買(というか買いたい)ニーズに対応するという図式なんですな。

んでもって、当然ながら落札するということは(普通の場合)在庫を持つという事になるのですが、在庫を持つということはその商品在庫価格の変動リスクを抱える事になるので、落札直後に販売できる分は兎も角として、在庫抱えて走る分はある程度ヘッジを入れておかないといかん訳ですな。

で、入札が正午に実施ということは、前場の引け時点では証券会社としてはある程度(別に落札予定全額である必要は更々無いので念の為)は入札に対応するヘッジをしておかないと困る(短期国債みたいにヘッジ要らずのモノもありますが)ので、つまり前場の引け時点でマーケットは一方的にショートポジションに傾いているのですな。入札によってそのショートがカバーされてロングになるのですけど。

・・・ということでお判りかと存じますが、前場の債券先物取引が終了した11時になってノコノコこのようなリリースを行うと、ショートに傾いている所に買い材料を投入した事になるのですから、国債入札を高い値段の所で買い戻して、ドテンロングになってしまうという悲惨以外の何物でもない状況に追い込まれる(実際そうなった)のでありまして、プライマリーディーラー虐殺大会になってしまった訳ですな。

しかもショートが溜まっている中で買い材料をぶつけられ、そこでマーケットの気配が無い(売買やって無い時間ですから)中でカバーをしないといけないという状態ですから、通常の取引時間でこの材料をぶつけられた時よりも値が飛びやすくなりますし、入札が高くなってしまうので購入予定の投資家も涙目という状態になってしまい、まあ市場参加者の評判の悪い事悪い事。

普通に考えてこのリリースは寄り前、遅くとも10時位までには行って長期国債入札までに価格に織り込ませるべきでありまして、10年国債入札という国内債券市場での大イベントがある日の前場引け後にリリースとか市場に喧嘩を売ってるとしか思えないタイミングであります。

いやまあショート溜まった所で臨時会合のアナウンスして長期国債入札の金利を下げて金利低下を演出するという所まで狙って実施したのであれば、ある意味大したもんですので、その辺何考えてたのかは存じませんが、日銀のリリースによって虐殺状態になってしまった業者としては・・・・

「市場との対話」とか言ってるけどそんなものよりも「政治との対話」の方が重要なんでしょ、という認識になってしまった次第でございまして、まあ政策委員会の皆さまに置かれましては、当面「市場との対話」という文言を口にしない方が無難であると思われますのでご忠告させて頂きます。


つーことで、特に金利系の何とかストの皆様も当然ながらトレーダーが虐殺(特に虐殺度合いが厳しいのは大量落札をする大手業者になりますわな)されているのを横で見ながらお仕事をしておりますので、昨日の決定に関する各社さんの解説レポートをちょっとだけ拝読しましたが、まあ罵倒成分が結構入ったレポートが多く、大変な相場だったなあと思わせてくれましたです、はい。


・・・・しまった、政策じゃない話で延々と書いてしまった(汗)。



○輪番増やすより今回のターム物誘導の方が金利には効くと思います

んでまあ決定会合実施の報道から色々な人の「今日は何が実施される」の予想が飛び交って、当日の午後の市場は最後の方には5bp位金利が下がるのを織り込むような勢いになっておりましたし、債券系の人は輪番拡大の予想とか、果ては外債購入とかの観測をする人もいたようでございましたが、結果はターム物誘導。

声明文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k091201.pdf

わけわからん参考図表
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0912b.pdf

共通担保オペの指値方式という形になりましたという話
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0912a.pdf

で、この指値オペですけれども、会見によれば毎週8000億円のロットで0.1%の指値で実施となりますが、当然の如くオペ参加者は全員サービスレートの資金が欲しいとなりますから、オペ参加者の多くでその8000億円を分けるという事になりますわな。つまり結果としてはオペ参加者で均等に割り振られるので本店オペだったとしても1回1社辺り160億円の供給となるんですな。

8月27日現在の本店オペ先リスト(50社)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mos0908d.pdf

8月27日現在の全店オペ先リスト(159社)この後増えてます
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mos0908e.pdf

つーことで、まあこのオペそのものでは市場インパクトのある大手参加者が一回のオペで必要となるロットが全然確保できない事が予想されるのですけれども、あとは運用がどうなるかという話でありますな。

つまり、このオペで供給されるトータル10兆円(になるのだからたぶん連休とか無視すると13週間物で実施されるんでしょ)の供給が従来の共通担保オペのリプレースで実施されるのであれば、大手参加者的には「ロットが全然確保できないオペが残高ベースで10兆円増えてその分通常のオペが減りやがった」という話になるので、特にオイシイ話でも無いどころか却って困る位の話になりかねませんが、この10兆円が通常ベースの供給に乗っかって(3か月後には)当座預金残高が20兆円台前半になるというのであれば、まあ足元の資金が潤沢になるから足元のGCレポなどのレートも下がり易くなって、結果としてターム物のオペレートとかも下がると言う事になるでしょう。

その場合、まあドタ勘ですけどGCレートが0.11%あたりに張り付き、3か月TBが0.12位になって、1年ゾーンが0.14位になるというような感じになるんですかね。んでもってこのオペ自体は当分続くようでありますので、現在の政策金利が続くと言う前提であれば、そのあたりのレートがベタベタになって来ると2年とか3年辺りまでのレートも徐々に下がるのではないか・・・と言いたいのですが、昨日の債券市場では、大引けの時点では5bpくらいレートが下がるんじゃないか位の勢いで中短期ゾーンの価格形成をしていましたので(^^)、昨日の引けはあれはあれで2年くらいまで今回の政策効果を全部織り込んでしまったようなレートになっておりましたのはご愛嬌。


まあどうせ輪番を拡大してなんちゃって量的緩和をしても金利が下がるかと言えば何ちゃって量的緩和の部分で足元のGCがちと下がるかもしれないですねえという程度の話で、瞬間的な反応はともかくとして各種の金利が本当に下がるのかという事を考えますと、輪番拡大よりはターム物誘導の方が効くと思います。ただまあ一般ウケしないですし、ターム物誘導そのものも効いてくるのに少々時間が掛かる(1か月位かな?)のではないかと考えられます。

と、これだけ書きましたが、指値で実施した分、通常の競争入札分を減らしたりするとろくすっぽ意味がございませんので、その辺は運用次第だと大事な事なので繰り返して申し上げておきます。



○とりあえず10兆円に食いつきがあって良かったですね(棒読み)

昨日のネットでのニュース見てたら10兆円の文字がそこかしこにございまして、「10兆円の供給」ってわざわざ言って良かったですねという感じでしたが、何せ昨日の臨時会合に関してはタイミングが極悪であった事が証券会社の総スカンを食らっておりましたので、今朝になったら早速公共放送がこの有様。

http://www3.nhk.or.jp/news/t10014137781000.html
日銀に一段の対応求める声も

(;∀;)イイハナシダナー

まあ今回の公表文は本石町日記さんもこのように解説していますが(^^)、
http://hongokucho.exblog.jp/12425002/
『今日のステートメント、量的&緩和感を必死で醸し出そうとする言葉がちりばめられ、日銀文学的に読んでいて凄い疲れるのだが…。』

あたくしもさっき付けたURLの2つ目に軽くツッコミ(^^)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0912b.pdf

そこの『●新しい資金供給手段の概要』って所にこのような記載が。

『金利:超低金利・固定(0.1%)』

>超低金利
>超低金利
>超低金利

・・・・飲んでた紅茶を噴いたので謝罪と賠(ry

0.1%固定と書けば良い話だと思いますが何と言う涙ぐましいアピール・・・


んでまあ本石町日記さんの所で解説がありますので、それをご参考にという感じですが(手抜き)、一応まあ今回はさすがに量を出しそうな雰囲気だけは醸し出しているので、去年のいつぞやのような「出す出す詐欺」にならないようにして頂きとう存じます。まあ当座預金残高が増えるのを容認すると、結果として非不胎化介入のようなものが起きる事も(って財務省が介入しないと話が始まりませんが)あるかも知れませんですね。

というのは、一応総裁会見で「ターム物金利を下げる」「広義の量的緩和」(って白塚さんのレポートでの定義ですな)って話をしている事を真に受けて書いておるものでありまして、これが全部出す出す詐欺だと話は全然違ってくるので、結局のところ運用次第となるかと存じます。

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2009/11/30

さてドル安(ドバイがどうのこうのでユーロがその後下がっているようでございますけどね)進行で原因にFOMC議事要旨と言われてたりするので、シロートですけど微妙にその辺のネタでも。

そのまあ問題のFOMC議事要旨はこちら。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20091104.htm

○秩序だったドル安云々の所ですけど

事実上のドル安容認だとか言われている部分は第32パラグラフにございまして、その部分を引用致しましょう。

『Stronger foreign economic activity, especially in Asia, as well as the partial reversal this year of the dollar's appreciation during the latter part of 2008, was providing support to U.S. exports. Participants noted that the recent fall in the foreign exchange value of the dollar had been orderly and appeared to reflect an unwinding of safe-haven demand in light of the recovery in financial market conditions this year, but that any tendency for dollar depreciation to intensify or to put significant upward pressure on inflation would bear close watching.』

ということで、最近のorderlyおよびドル資産逃避の巻き戻しに伴うドル安は金融市場の改善のサポートになっているという話はしているのですけれども、but以下にありますように、さらなるドル安は顕著なインフレ上昇圧力に繋がると仰せです(最後の一文割愛)。

んでもって次のパラグラフでもドル安によるインフレ拡大のリスクについて話をしている委員がいるという部分がございます。

『However, some participants noted that the recent rise in the prices of oil and other commodities, as well as increases in import prices stemming from the decline in the foreign exchange value of the dollar, could boost inflation pressures.』

ということで、このFOMC議事要旨のここら辺をネタにしてドル安ヒャッハーと言ってドル売りをするのはちとさすがに調子に乗り過ぎではないかという感は致します。ドル安のやり過ぎでインフレ爆裂となるのはどう見ても米国的には洒落にならんでしょうし。やり過ぎるとカウンターが飛んでくるんでしょうな。


○つーかこれってBOEの方がよっぽど露骨な発言をしてるのですが

先日ご紹介しましたけど、BOEは最近「ポンド安が景気回復をサポート」という指摘を堂々と行っているのですが、別にそれ自体はポンド売りのネタにされなかった次第でありまして、ドル安に関して言及したとは言え、ドル安が進行し過ぎるとインフレ圧力という指摘をして一応ヘッジを入れているのにヒャッハー扱いになるのは微妙に変は変。

ちなみにBOE云々はこちらの第2パラグラフの最後の辺りです、念の為。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/inflationreport/irspnote111109.pdf

ただまあ米国の場合はそれまでが「緩和政策を割と早く終了させるのではないか」というような思惑もあった(そもそもその観測が変なのだが)ので、そのイメージがここもとの連銀幹部発言などで見事に消えるという動きになったからこそのドル安ヒャッハーというのはございますので、そこら辺を勘案しないといかんのですが、まあFOMCでドル安容認だからどうのこうのというのはちと調子に乗り過ぎだと思う。

というか、金利の引き上げ順序って米国→欧州→英国→日本というのがコンセンサスになっているので、金利差でドル売り円買いだというのはそりゃちょっと微妙でして、実質金利差がどうのこうのというような話まで持って来ると話としてはそうですなというのが厭債害債さんの所にありますので(といきなり人のふんどし)ご確認ありたし。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200911/article_10.html

で、確かトリシェもユーロ水準の経済に与える影響に関する発言をしていたと思うのですが、英国にしろ米国にしろ欧州にしろそれなりに為替に対して(さすがに具体的水準の話はしませんけど、今回ご紹介してるみたいな為替の経済に与える影響の話をしてますわな)発言をしているのですが、一方で日銀は為替介入権限が無いからということでその手の発言は控えてます(というか金融政策を為替に割り当てたくないから発言しないんじゃないかと思われますが、実際は為替ぶれた時に金融政策動く事多かったりするんですけどね)し、政府は先週末にやっと何か言ってましたが、それまでは何かのんびりとした発言ばっかで、どうも為替に関してやられっ放しという感じで甚だ遺憾とは思うのであります。

まあそんな感じで日本があまり為替の話をしない辺りとか、そもそも市場がドル安をやりたがっている所だったので、ドル安円高にする丁度良いネタにされたという感じでしょ。先週ドル円がぶっ飛んだ時間って東京の昼休みとか朝8時半過ぎとか如何にも仕掛けをしてます的なタイミングでしたしね。


○金融政策の出口云々

ところで話は変わりまして、第4パラグラフでは出口政策がどうのこうのという話をしているのですが、そこでは相変わらず豪快な論議が。

『As part of the Committee's strategy for eventual exit from the period of extraordinary policy accommodation, several participants thought that asset sales could be a useful tool to reduce the size of the Federal Reserve's balance sheet and lower the level of reserve balances, either prior to or concurrently with increasing the policy rate.』

利上げと同時またはそれに先行して資産売却を行うべし言う人が複数いるとはおそロシア。

『In their view, such sales would help reinforce the effectiveness of paying interest on excess reserves as an instrument for firming policy at the appropriate time and would help quicken the restoration of a balance sheet composition in which Treasury securities were the predominant asset.』

さすがに売るのは財務省証券のようですが、それにしても利上げ前にトレジャリー売却とかちょっと無茶だと思うのですけど・・・・と思ったらさすがに反対意見も。

『Other participants had reservations about asset sales--especially in advance of a decision to raise policy interest rates--and noted that such sales might elicit sharp increases in longer-term interest rates that could undermine attainment of the Committee's goals. Furthermore, they believed that other reserve management tools such as reverse RPs and term deposits would likely be sufficient to implement an appropriate exit strategy and that assets could be allowed to run off over time, reflecting prepayments and the maturation of issues.』

つーことで、財務省証券を売却したら長期金利が爆騰してエライコッチャになるという話をしていまして、他の手段(RPsはリバースレポだと思うのですが、term depositsって何でしたっけ?MMF向けの資金吸収の話かしら?)で代替できるからそれはやらん方が良いという話ですな。

ただまあ財務省証券売却攻撃を未だに言う人がいるのはちと如何なものかという感じですけれども、さっき引用して第33パラグラフの中でこんな話をしている人もいるんですな。インフレリスクが長期的な視点では上の方にあるという話をしている意見から引用します。

『But others felt that risks were tilted to the upside over a longer horizon, because of the possibility that inflation expectations could rise as a result of the public's concerns about extraordinary monetary policy stimulus and large federal budget deficits.』

異例な金融緩和政策と財政の大幅な拡大で一般のインフレ期待が上昇する可能性が長期的に見るとあるとな。

『Moreover, these participants noted that banks might seek to reduce appreciably their excess reserves as the economy improves by purchasing securities or by easing credit standards and expanding their lending substantially. Such a development, if not offset by Federal Reserve actions, could give additional impetus to spending and, potentially, to actual and expected inflation. 』

というような話をしている人がいるので、そんな話になるという事なのでしょうな。


○米国の金融環境も二局化とな

第27パラグラフで金融環境の話をしています。政策的インプリケーションがどうのこうのというよりは、日本と同じですなあと思ったので引用するの巻。

金融環境は改善しているのですけれども、銀行貸出は特に商業向けローンが不良債権化し続けている事もあって貸出態度が厳しくなっているという話の後に二極化の話が。

『Participants noted that the dichotomy between significant easing of conditions in capital markets and continuing tight conditions in the banking sector implied that financing conditions differed for large and small firms.』

『Large firms with access to debt and equity markets for financing had relatively little difficulty in obtaining credit and in many cases also had high levels of retained earnings with which to fund their operations and investment. In contrast, smaller firms, which tend to be more dependent on commercial banks for financing, reportedly faced substantial constraints in their access to credit. Limited credit availability, along with weak aggregate demand, was viewed as likely to restrain hiring at small businesses, which are normally a source of employment growth in recoveries.』

ということで、銀行貸出態度の厳しさが続く中だと、金融市場に直接アクセスできない企業業績の回復が遅れるでしょうという認識を示しています。ただまあ示すだけでじゃあ何をするという話は特に無い(というか手の打ちようがないというか)のですけれども、そこは敢えて突っ込まないのが良いのかもしれませんね。


○時間が無くなったのでその他FOMCネタメモ

あと読んでて思った事を箇条書きに(明日ネタが無かったら続くかもしれないけど)。

・景気回復をしても雇用環境は良くならないという見通しを示す
・で、雇用環境が悪い件に関しては見通し的に良くないという点と、消費の回復が遅れるという点について懸念と結構しつこく言及
・商業不動産の下振れリスク問題に関しては銀行経営にも繋がるので絶賛警戒
・その話も繰り返して言及されている。住宅価格の底打ち傾向に対して商業用不動産の先行き見通しは厳しい

で、厭債害債さんのエントリーでありました向こう2年間緩和でしょという部分を引用します。第34パラグラフから。

『Still, most members projected that over the next couple of years, the unemployment rate would remain quite elevated and the level of inflation would remain below rates consistent over the longer run with the Federal Reserve's objectives.』

この部分は前回までの議事要旨には無かったものでして、まあ経済見通しだから上振れしたらさっくり反故になるものですけれども、こうやってやや市場の期待をオーバーライドするような時間軸のようなものを見せるような形でわざわざ出してくるのは「ほっほー」という感じではございます。

ということで経済見通しに関する所は全然ご紹介できなくて正直スマンカッタ。

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2009/11/26

○超過準備付利じゃなくて「だいたい所要準備以外付利」でした(大汗)

まずは昨日の訂正。

昨日あたくし超過準備付利に関して「準備預金非対象は関係ないですから」というような嘘八百を書いてしましましたのでここに謹んで訂正するとともに謝罪いたしますが賠償はしません。

補完当座預金制度の概要をご覧くださいませ。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0810f.pdf

・日本銀行が受入れる当座預金および準備預り金(注)のうち、いわゆる「超過準備」(準備預金制度に基づく所要準備を超える金額)に利息を付す。(注)準備預金制度の適用対象となる先のうち、日本銀行と当座預金取引のない先から受入れる預り金。

・ 対象先は、@準備預金制度対象先、または、A準備預金制度対象先以外の日本銀行当座預金取引先の中で預貯金取扱金融機関、証券会社、証券金融会社もしくは短資会社である先。

(上記URLから、機種依存文字は原文ママで勘弁)

えーっとですな、つまり証券会社や短資会社などは準備預金非対象ですけれども付利されますという話ですな。良く考えたら証券や短資がコールやGCを10bp以下で叩き投げている動きって見たこと無いのですから冷静に考えたら当たり前なのですけれども、超過準備付利という言葉に自分で騙されてしまいました。アホでどうもすいませんm(__)m

で、その付利の外側にいる人って誰なのよという話ですが、預貯金取扱じゃない金融機関で証券と短資と証券金融以外って誰なのよと考えると、資産管理専業の信託銀行(日本マスタートラスト信託銀行など)とかって話ですわな。(追記:ここの部分微妙に不正確でして、資産管理系の信託銀行もほんのちょっとですけれども所要準備がございます。まあここで言いたかったのは信託勘定は付利の外側にいるという話だったので余計でした。また詳しくは勉強したいと思いますが、最早別のレベルの勉強になりますので成果物は特にお出ししないような気がします^^)

#なお、あたくし不勉強にしていわゆる信託勘定の資金って信託さんの中でどういう処理されているのかを正確に理解していない(決済する時に日銀ネットDVPを使っている筈なのだから信託勘定用の口座って勘定分離されていそうな気がするのですがどうなんでしょ、教えてエライ人!)のでありまして、信託勘定の資金は付利対象外なんだろうなあとは思うのですが、その辺がどういう動きになっているのかは何となくしか判っておりませんので詳しくは勉強させていただきたく存じます。

つまりですな、「超過準備付利」はまあその通りなのですが、実態からすると「所要準備以外に付利」という方が何となく判り易いのかなあという感じでございます(つーか補完当座制度が出た時にそういう理解してたのに書き物してる時に勢いで間違えた次第です)けれども、コール市場の出し手という観点からしますと、この補完当座預金制度の外側にいるのは日銀当座預金取引対象外の生損保、投信&年金(他人勘定)と言った所になるのでしょう(あとゆうちょ銀行以外の政府系金融機関も入りそうだがどうなんでしょ)。

と、考えますと、なんちゃって量的緩和でコールが誘導下限を下回るという懸念はたぶん杞憂(米国におけるGSEみたいなのは存在しないと思われるので)ということで、まーなんちゃって量的緩和そのものはやろうと思えば出来るような気もするし出来ないような気もします。

#あんまりやると札割れしそう。0.1%で札を切らなければ札割れしないけど

と、呟きました通りでして、このなんちゃって量的緩和の問題は、その金利付きイカサマ量的緩和を拡大するとどこかで札割れ問題が生じそうな気がします。まあTBを鬼のように大量発行しているので、それを短国買入で吸い上げれば相当部分まではインチキ緩和ができそうですけれども、札割れ問題が生じたら資金供給オペの札を0.1%以下まで認める破目になりそうでありまして、それをやると堂々の金融機関への利子補給ですな(^^)。

ということで、昨日の訂正でありました。


○昨日の続きをもう少し

昨日思いついたネタをパッと書いた(ら間違えを書いたのですが)のですが、もうちょっと考えてみる。

昨日書きました追加緩和ネタは輪番拡大とやや明示的なコミットメント設定となんちゃって量的緩和でしたが、輪番はとりあえずスルーして明示的なコミットメント設定となんちゃって量的緩和についてもうちょっと雑考。

時間軸という意味で言えば既に金融市場的には展望レポートで示された物価見通しからどう見ても低金利長期化です本当にありがとうございました状態になっているので何を今更コミットメントの追加という感じでもあります。つまりですな、時間軸効果は低金利継続期待でイールドカーブ全体が安定するという話なのですけれども、市場の期待以上に低金利政策を実施するという事を明示するようなコミットメントを設定した場合(そうじゃなきゃコミットメントの意味が無い)に何が起こるかと考えますと、当然ながらコミットメントの存在によって将来において「景気をふかす」という効果が期待されますので、期待インフレ率が上昇して「設定された時間軸よりも先にある長期金利」は上昇しても何らおかしくないというおそロシアな話になりますがな。

となりますと、現在主要国の中央銀行が行っている時間軸みたいな政策っていうのは、まあそこまでやっている訳では無くて、市場の景気物価見通しに対して特に大きく変わる事の無い見通しを出して、それによって時間軸を何となく作らせているというような流れなんじゃねえのって思うのでありまする。


で、なんちゃって量的緩和ですけれども、これは昨日も今日も書いたように、金利付き量的緩和実施しても金が金融市場の中でグルグル回っているだけだとあまり意味無い話ですし、金融不安などの流動性制約が軽くなっていても景気がうんこだったら別に銀行はホイホイ貸出を増やさないでしょうし、そもそもそんな時は企業などの資金需要が無い(不良債権確実のような資金需要はあるでしょうけど)ですからやりようが無し。

ただまあ(昨日も書きましたが)鰯の頭も信心からと申しますので、鰯の頭であっても皆が篤く信仰すればそれはご神体になってもおかしくは無いという論点からすると、なんちゃって量的緩和で経済全体のマインドあるいは期待を変化させるという効果があるかもしれませんし、技術的に見てまあ単なるなんちゃって政策でも頭から否定して良いのかというとこれまた難しい問題ではなかろうかと思うのであります。

勿論、「民営化したらし全てが薔薇色」というようなインチキ説明で押し通した結果「民営化したら薔薇色になるどころか不便になったじぇねえか」となって変なバックラッシュが起きてしまうようなケース(これは特定の事案を念頭に置いた訳ではございませんので念の為申し添えます^^)もありまして、鰯の頭が所詮鰯の頭だったとなるとその後がエライコッチャになるという面もありますのでこれまた難しい話でございますわな。

まあこの辺りを綺麗に言えば「金融政策における期待形成とは何ぞや」という話になるのかと思うのですけれども、中々奥の深い問題を含んでいるような気がします。そのうちまた関連雑談を垂れ流すでしょう。

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2009/11/25

○雑談少々

・やはり宣言しただけで何もしないとな

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12600620091124
デフレ対応には金融政策の役割が大事=藤井財務相

『[東京 24日 ロイター] 藤井裕久財務相は24日の閣議後の会見で、政府が11月月例経済報告においてデフレ宣言を行ったことに関連し、物価は金融の問題であり、金融の役割が大事と述べ、日銀の金融政策対応に期待感を示した。同時に現在の需要不足への政策対応として財政は主たる役割ではないと語った。』

昨日の前場株が下がったのはこのやる気なし発言のせいではないかという話もある位でございまして(本当かどうかは知らん)、デフレ宣言をしましたが政府は別に何もしませんとか言う国の株式に投資しようという人はそりゃいませんわなと思うのですけど・・・・・

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12609220091124
焦点:デフレ宣言しても政府の具体策見えず

『[東京 24日 ロイター]  政府が20日にデフレを宣言し、金融市場ではその対応策に注目が集まっているが、鳩山由紀夫政権の閣僚からは具体策が出ないばかりか、日銀に対応を丸投げするかのような発言も飛び出し、様々な思惑が交錯している。』

まあこの記事にある通りでしょ、と思います。


・では何かやりますかという話ですが

じゃあ日銀が何やりますかという話に関しては、あまり予断を持って決め打ちしても仕方ないのですけれども、幾つかの選択肢について考えてみますと・・・・

(1)輪番拡大

→まあ話としては一般的に一番判り易いのですけれども、輪番拡大しても長期金利が下がるかと言うとこれまた微妙。というか米国で「長期国債の大規模買入を実施したら長期金利が上昇したでござるの巻」という壮大なネタを実施したばかりでありますので、長期金利押し下げ効果のようなモノは期待しにくい所かと(なのに何か今日モーサテに出てたコメンテーターは「日銀が長期国債買入を増やして金利を下げて、日米の金利を逆転させてどうのこうの」とか訳の判らん事を言ってましたな)。

やるなら長短のバランスを微妙にいじりながら拡大というのはあるかも知れませんけど。どうせ国債が大量増発されるので資金需給上国債の買入は増やす必要が出てくるでしょうけど、目先は短期国債(国庫短期証券)で増発して来るでしょうから、単に短期の資金供給が増えるだけでしょうな。


(2)なんちゃって量的緩和

→さっき引用した会見要旨にありますように、流動性出しても金融システムから外に金が出ないと意味が無いのですが、そうは言っても外野がうるさいですし、鰯の頭も信心からという言葉もありますので(^^)、なんちゃって量的緩和を実施という手はあるんじゃないかと思います。

ただし、現在の付利のように「超過準備」だけ付利していますと準備預金制度の外側にいる人達がコールでぶん投げを行って誘導目標を維持できない可能性がありますので、誘導目標を維持しつつなんちゃって量的緩和を実施する場合は超過準備じゃなくて当座預金(あるいは準備預金以外の当座預金)に付利すると吉ではないかと思いますが、半分ポジショントークも入っていますので念の為付け加えておきます。(この部分思いっきり勘違いしていましたので、翌日訂正しております。どうもすいません)

まあそんな事したら国庫納付金の問題も起きそうですし、大体からして流動性制約が特にある訳でも無い中で金利付き量的緩和(のようなもの)を実施する意味がどこにあるのか良く判らん。

で、現執行部は福井の俊ちゃん時代のように「意味があるかどうかは兎も角まあやっちまえ」と30兆円積み上げるタイプでは無いので、そーゆー類のやったふり政策というのはよーやらんだろうなあとは思います。


(3)それなりの時間軸

→展望レポートで既に示しているようなもんなので何を今更という所なのですけれども、やや明示的な時間軸という話はあるのかもしれません。ただ、コミットメント入れた結果出口で妙に苦労したというのがあるので、出来るだけその手の明示的コミットメントは入れたくないんだろうなあとは想像できる所でございます。


・・・・と3つ思いついたものを並べてみましたが、結局のところ全部直ぐに実行しそうもないものばかりが並んでしましましたな。どうもすいません。

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2009/11/24

お題「決定会合あれこれ」

政府と日銀の関係に関して土曜の朝刊比較をしようと思って朝毎読に日経産経東京と朝刊6紙揃えて見ましたが、読むには読んだのですが文字起こし面倒になって途中で挫折しました(汗)

という根性無しな話は兎も角として今回の決定会合は金融市場的には比較的順当な結果なのですが、メディアネタ的には政府と日銀が対立的でどうのこうのという話になりましたわな。

○まずは声明文

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k091120.pdf

『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促す。』

ということで、前回の声明文であった微妙な文言は後ろに回りました。

『5.金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく方針である。日本銀行としては、わが国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰していくことを粘り強く支援していく考えである。』

まあ変に頭に付け続けるとそこの文言をいじったらどうしたこうしたという意味合いが出来てしまうので、それを避けるために後ろに持って行き、ついでに「当面の間」の文言も外していますわな。

ちなみにこれを英語版で見るとこうなります(^^)。

http://www.boj.or.jp/en/type/release/adhoc09/k091120.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/en/type/release/adhoc09/k091030.pdf(前回)

『5. In the conduct of monetary policy, the Bank will aim to maintain the extremely accommodative financial environment. The Bank will provide steady support for Japan's economy to return to a sustainable growth path with price stability.』(今回)

『1. Monetary policy The Bank will maintain the extremely accommodative financial environment for some time by holding interest rates at their current low levels and providing ample funds sufficient to meet demand in financial markets.』(前回)

for some timeが抜けているのと、providing ample funds云々というのが抜けておりますので、まあガイジンさん的には何かインプリケーションを感じちゃうのかもしれませんな。実際には声明文原文は日本語優先になる筈ですけど時々英文を読むとこれはこれで面白いので今回は引用です。


んでもって、まあ結果が出た時に債券先物とかそれまでの威勢良い上昇から失速したのですが、下がって逆に「えー、そんなに何か期待してたのかよー」という感じでして、実際問題として今回の会合で何か緩和策が出るという期待を真面目にしてた人は皆無の筈ですので、単に週末前にロングの手仕舞いが起きただけだとは思いますが、ちょっと意外感があるという感じでした。



○足元は上方修正ですが展望レポート通りなのではないかと

今度の比較対象は10月14日の公表文になります。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k091120.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k091014.pdf(前回)

・総合判断

『わが国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直している。』(今回)

『わが国の景気は持ち直しつつある。』(前回)

持ち直しつつから持ち直しと表現を変えていますが、色々とヘッジクローズが入っているという所が差引という感じっすな。そもそも展望レポートのメインシナリオ通りですと徐々に回復するのですから、足元強い経済指標が多かったという事を勘案するとここで表現が前進しても実際問題としてはおかしくは無かったですわな。ただまあ政府が意味不明のデフレ宣言をした(悪態は後ほど)中で表現上方修正という空気の読まなさ振りに痺れますが。

で、ここのヘッジクローズにある「各種対策の効果」というのは事実その通りですが、その各種対策に水差し野郎となっているのが現政権の施策だったりするので、巧まざる悪態になっていると読むのは意地が悪いですかそうですか。


・個別展開:公共投資、輸出、生産、設備投資

『すなわち、公共投資が振れを伴いつつも増加を続けているほか、内外の在庫調整の進捗や海外経済の改善、とりわけ新興国の回復などを背景に、輸出や生産も増加を続けている。設備投資は、厳しい収益状況などを背景に減少を続けてきたが、最近では下げ止まりつつある。』(今回)

『すなわち、公共投資が増加を続けているほか、内外の在庫調整の進捗や海外経済の持ち直し、とりわけ新興国の回復などを背景に、輸出や生産も増加を続けている。そうしたもとで、企業の景況感は、製造業大企業を中心に、改善の動きがみられる。設備投資は、厳しい収益状況などを背景に減少を続けているが、減少ペースは緩やかになってきている。』(前回)

公共投資を下げて海外経済を上げています。設備投資は下げ止まりつつあるなので若干ですけど上方修正ですかな。


・個人消費

『個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続いているものの、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直している。』(今回)

『一方、個人消費は、各種対策の効果などから一部に持ち直しの動きが続いているものの、厳しい雇用・所得環境が続く中で、全体としては弱めの動きとなっている。』(前回)

個人消費を持ち直しに上方修正していますが、それは各種対策の効果でGDP(ただし実質)が強かったという実績による話で、そこら辺の対策効果が切れるとはてどうなるのやら。


・物価、金融

『この間、金融環境をみると、厳しさを残しつつも、改善の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が緩和した状態が続く中、前年における石油製品価格高騰の反動などから、下落している。』(今回)

前回分はめんどいので引用しません。と言いますのは、前回と違うのは最後の下落の部分が「下落幅が拡大」だったのが変わっただけでありますので、まあここはスルーで良かろうという感じです。


○先行き見通しは上げてるんだか下げてるんだか訳判らん

『先行きの中心的な見通しとしては、2010 年度半ば頃までは、わが国経済の持ち直しのペースは緩やかなものに止まる可能性が高い。その後は、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及してくるとみられるため、わが国の成長率も徐々に高まってくるとみられる。』(今回)

『2010 年度までの中心的な見通しとしては、中長期的な成長期待が大きく変化しない中、海外経済や国際金融資本市場の回復に加え、金融システム面での対策や財政・金融政策の効果もあって、わが国経済は持ち直していくと考えられる。』(前回)

持ち直しのペースが緩やかという話になっていますな。まあこれも展望レポート通りではありますが、今回はそれを受けまして先行きの持ち直し角度を下げたという感じになるのでしょうな。


『物価面では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、石油製品価格などの影響が薄れていくため、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。』(今回)

『物価面では、消費者物価の前年比は、当面、現状程度で推移したあと、中長期的なインフレ予想が安定的に推移するとの想定のもと、石油製品価格などの影響が薄れていくため、下落幅を縮小していくと考えられる。こうした動きが持続すれば、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられる。もっとも、海外経済や国際金融資本市場の動向など、見通しを巡る不確実性は大きい。』(前回)

ということで物価はまあ良いとして、ここの所の表現も微妙に変わっているのと、不確実性の話が無くなっている所が相俟って、結局上げてるのだか下げているのだかよー判らんという感じですにゃ。

ま、方向性としての回復の角度は下がったけれども、下振れのリスクは下がったという感じではないかと思います。


○リスク要因は上方修正ですが展望レポートの流れです

『リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済情勢など上振れ要因がある一方で、米欧のバランスシート調整の帰趨や企業の中長期的な成長期待の動向など、一頃に比べれば低下したとはいえ、依然として下振れリスクがある。』(今回)

『リスク要因をみると、景気については、新興国の回復といった上振れ要因はあるが、国際的な金融経済情勢、企業の中長期的な成長期待の動向など、景気の下振れリスクが高い状況が続いている。』(前回)

これなんですけど、ついうっかりしてて展望レポートの細かい話をするのを忘れておりましたが、実は展望レポートで「あらら」と思ったのはリスク要因に関する話でして、特に物価なんぞは上振れ要因のオンパレードになっていたのですよ。で、そのあたりを継続したような感じで、今回はリスク要因が下振れ一辺倒からだいぶ修正されてますなという所です。ただし、修正されたのは展望レポートからですので念の為。

『物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』(今回)

『物価面では、景気の下振れリスクの顕在化、中長期的なインフレ予想の下振れなど、物価上昇率が想定以上に低下する可能性がある。』(前回)

物価上振れに関して共同がヘッドライン打ってましたが、ここの上振れ部分は展望レポートに示されていましたので慌ててヘッドラインを打つ話でも無く。


ということで、技術的な意味で言えばまあ仰る通りな声明文(月報は今日)でございますが、政府との連携という点で言えば間が悪いという所に実に香ばしいものを感じる決定会合でございました。


○んでもって会見とか一般紙の報道

会見では当然ながら政府との認識の差がどうのこうのという質問が多かったようですけれども、そちらでは白川総裁は「粘り強く低金利を維持」というような発言が多かったので、時事共同ブルームバーグともヘッドラインは「粘り強く低金利を維持」という感じだったのですが、やはり朝刊になったらこんな記事になっておりました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2009112102000052.html
日銀、金融緩和に慎重

声明文では「きわめて緩和的な金融環境を維持していく方針」と言っているのですが、案の定この書かれっぷりに涙が出る訳ですが、ハッタリが効く福井の俊ちゃん系じゃないとまーこう書かれるわなという感じです。

ただまあ今回(一々引用しませんが)各紙社説では銀と共に政府に関しても何かやれという話が多かったのはまだマシかなという感じです。日銀に関する注文はやはり輪番拡大が具体的に出てましたわな。

http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112001000694.html
金融政策だけでは限界 物価上昇で、日銀総裁

まあそりゃそうなんですが、もうちょっとモノの言いようがあるとは思うのでございまして、結局報道される時には木で鼻をくくったようなヘッドラインが報道されてしまう(共同のこれは記事中で説明してる部分があるからまだマシで、一般紙はこの発言を更に端折るから)のでして、まあ折角緩和的環境維持の話をしても一般世間様的にはどうもポイント下げちゃいますよね。

とは言え、どう説明するのかが難しい訳で、「物価を上昇させる「だけ」ではなく、それは国民の厚生という意味でプラスになる物価上昇とは何ぞや」という話になるというのが白川総裁の言いたい事だと思われるのですけど、じゃあどうやって説明するのかはよー判らん。

#単に物価上昇させるだけならどこぞの将軍様にお願いすれば宜しいがなと

とは言いましても、まあ少なくとも金融市場的には日銀が低金利を継続し、金利政策での出口に到達するのは主要国でもどう見ても最後でしょという認識は共有されている状態だと思いますので、対マーケットという点で言えばまあどうでもヨロシという事なんでしょうかね。まああまり波風立てない方が良いとは思いますけど。

詳しくは会見要旨を見てから。


○宣言するだけで対策無しとな

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aPALU.NUYbHc
政府:「緩やかなデフレ」認定、3年5カ月ぶり−月例報告(Update2)

『また、菅経財相は月例会議後の会見で、「景気全体は持ち直しにあるが、デフレの状況は一時的というより、今後も気を付けないとしばらく続く」との認識を表明。その上で、デフレ状況を脱却するために「日銀との政策的な協調、金融面からのフォローを期待する」と述べ、金融政策による景気下支えを求めた。』

『また、物価下落と景気悪化が循環的に起こるデフレスパイラルの可能性については「そう大きくはないと思っている」との見方を示した。』

って日銀は2011年度までCPIマイナス予想既に出しているのですが何をいまさらという感じですし、わざわざ宣言したら普通は対策が出るはずなのですけれども、対策は何も無しですかそうですか。しかもデフレスパイラルの可能性は大きく無いのであれば日銀と言ってる事同じなんですけど・・・・

『日銀に求める具体的な政策については「一言で言うと、まだ出口戦略をとるのは少し早いというか、もう少し今の形を続けていただいた方が良いのではないかというメッセージとして受け止めてもらっている」と指摘。』

出口戦略なんぞ元々全然考えていないですし、展望レポートであの見通しが出たということは相当の期間現在の金利政策が引き上げになる可能性は無いと普通は読み取れますし、日銀もそういう話をとっくの昔からしているのに、何を言っておられるのでしょうか。お遍路にでも行って少し勉強でもされた方が宜しいのではないでしょうか。

・・・というか、何か聞きかじった事を物凄い勢いで自慢するような痛さを感じるのでありますが、そういや自民党でもSWF設置だの東京金融街構想だの後ろに(笑)を付けないと論評のしようが無い痛い人達がいましたので、どうも金融関連というのにはそのような魔力(??)があるのでしょうかねえ。

と思ったら鳩山首相が力強い発言を(嘘)。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aOl7VnkXMnhk
鳩山首相:需給ギャップを埋めてデフレからの脱却目指す

『11月20日(ブルームバーグ):鳩山由紀夫首相は20日夕、政府が11月の月例経済報告で日本経済が「緩やかなデフレ状況にある」と認定したことについて問われ、需給ギャップを埋めてデフレから脱却する政策を取ることが必要との考えを示した。首相官邸で記者団に語った。』

補正予算を40兆円くらい打ってくれるんですね、わかります。

・・・だとオモロイのですが、さっきの方のURLによりますとこういう話のようで。

『鳩山由紀夫首相は同日夕、月例経済報告でのデフレ認定について、現在の緩やかなデフレは需給ギャップから来ているとの認識を示した上で、デフレからの脱却にはコンクリートを使う「昔風の経済政策」ではなく、エコカーやエコポイント、太陽パネルを装着するための住宅リフォームなどの「賢い経済対策が求められている」
と述べた。 』

それで需給ギャップが埋まるとお思いで???

以上悪態でございました(^^)

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2009/11/19

以下本件と関係ない雑談雑感。

○妙に輪番増額予想が増えていますが

MPC直前になると出てくるブルームバーグの日銀サーベイ。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aiK6yVhoYmT0
政府のデフレ宣言で高まる日銀への圧力−国債買い入れ増額の可能性も

微妙な面子も混在しているサーベイ(まー立場上ムリですけど本石町日記さんをサーベイに入れておけと^^)なのですがまあそれは兎も角として、何か輪番増額の話が増えているのは「ふーん」という感じ。いやまああっしも昨日「追加緩和と言われて最初に思いつくのが輪番ですけどねえ」と申し上げた次第ですので、まあ最初に考えたらそうなったってえ所なのでしょう。

ただまあ長期国債買入増額という案件に関しては、既に米国様におかれまして巨大な長期財務省証券の買入を実行したら長期金利が1%上昇したでござるの巻というファンタスティックな政策効果を実演してしまったという事案もこれありということでございまして(^^)、流れ的には明示的なコミットメントの無い仄めかし時間軸というか何というかというのが政策としてはあるのかねえという風に思える次第で、まー出るとしたらそっち方面じゃないでしょうか。
まー輪番増額に関してはタマ的にはど〜せまた後日出てくるであろう国債発行絶賛大増発ネタと絡めて債券市場が不安定になる所で切る方が(それじゃ財政マネタイズじゃんというツッコミはさておきまして^^)よかろうとは直感的に思うのですがどうっすかね。

これが福井の俊ちゃんが総裁だとすると話は全然別で、政治力100インチキ力100を誇る俊ちゃんであれば、なんちゃって緩和政策を果断(?)に実行!ということになると思いますけどね・・・・

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2009/11/18

お題「ニュースやら相場の雑感ばかりで恐縮至極」

ここもとの経済指標をみるとローゼンの対策が当を得ていたというのが良く判りますが、その話を全くと言って良いほどテレビは報道しませんね

○さあ日銀にケツ持ち攻撃がやって参りました!

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12500120091117
月例に「デフレ懸念」盛り込みへ、金融政策への期待感も

デフレ宣言って何じゃそりゃと思ってたら実はデフレ懸念織り込みという話だったようですが、昨日最初にニュースのヘッドラインとして出ていたのは記事中にある菅さんのこの辺のコメント部分。

『その上でデフレへの対応で、菅副総理は「デフレ的傾向がこれ以上強まらないよう日銀とも意思疎通をきちんととっていきたい」と述べると同時に、日銀の金融政策に関して「金融緩和の現状を変えることはまだしないとのニュアンスを受け止めている」と緩和政策継続を表明している日銀の姿勢に理解を示した。』(上記URLより)

という辺り(「日銀とも意思疎通をきちんととっていきたい」ってな所ですな)が最初にヘッドラインに出てまして、まあそれ自体で相場がどうのこうのという事では無いですけど、上記記事全体を読めばお判りのように、ニュースから受けるトーンは「そら来た日銀のせい攻撃」という感じで、早速政治圧力が来ましたねえというのがニュースを見た市場的な反応じゃねーのという感じですがどうでしょう。

#実際は峰崎さんなどが提唱している定期会合の話と変化は無いと思いますが

つまり、こういうことですわな。記事にありますけど。

『政府内では「半歩か一歩かは別にして、デフレ懸念の判断を進めなければならないとの認識に至った」(関係者)とされ、「デフレ懸念」の文言盛り込みによって日銀に政策対応を促す狙いも見え隠れする。』(上記URLより)

・・・・だから言わんこっちゃ無いという感じでして、何も利用実績僅少だから別に残しておいても実害の無いCP社債買入(社債はまだ買入あります)の解除とか、特オペの「期限延長をして解除も明言」というような(単に延長だけすりゃいいのに)事をぶち上げて政府サイドに「付け入るスキを与える」必要も無かったのにとは思います。>にちぎん

ただし、亀井さんみたいな攻撃じゃないので、菅さんのケースだと臨時措置の解除云々と関係なく「日銀にケツ持ち攻撃」が来た可能性はオオアリクイでございますので(^^)、別に関係ないじゃんという異論は認める(^^)。

まーそれはそれとして、毎度おなじみの「はいはい日銀のせい日銀のせい」という困った時のケツ持ち攻撃がもうおっぱじまりやがりましたかという感じでありまして、あたくし的な感想としては「おーおー政府の梯子外し攻撃が来たよ」という感じで受け止めるのであります。で、自民党政権と違って民主党政権の場合は人民裁判上等という大変に素敵な人達の集まりでございますので、どんな圧力を掛けてくるのか楽しく見守って行きたいと存じます。

しかし緩和って何するんじゃという感じですけど、利下げはなかろうと思うので、そういう中でシロートに判り易い(けどあまり問題が起きそうにない^^)緩和政策って何でしょうかねという所でして、まあ輪番増やしつつ長短の比率をいじってあまり長期の買入が増えすぎないようにするのがインチキ的な緩和した振り攻撃になるかなと思いますが(おいおい)、あんまりイメージが湧きませんなあ。昨年の今頃とは違いまして、今回緩和でどうのこうのという事をするんでしたら「見かけが派手だけど張り子の虎」系のまあ端的に言えば30兆円攻撃みたいな施策の方が無難(昨年は逆で、見かけはいいから市場の資金の回りを何とかしてくれ状態でしたからねえ)なんでしょうな。緩和が足りないという方には怒られそうですが(^^)。

#つまり、輪番の短期部分を短国買入に振りかえるみたいな見た目が地味なモノは切るカードじゃないでしょという事ね

なお、亀井発言に続いての菅さんの発言のため、「政府の日銀への圧力キタコレ」ということになったでござるの巻というのを認識したのかどうか知りませんが、後から菅さんちょっと火消しっぽい発言をしてますね。

http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-12504320091117
デフレ懸念発言、日銀との認識の差を否定=菅国家戦略相

・・・・ところで、その記事の2ページ目にエコポイントの継続がどうのこうのという話がありますが、無駄だのバラマキだの言って批判していたのはどこのどなたでしたでちゅかねえ。


○決意表明はいいから(ry

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aj4lDbjfWVu0
藤井財務相:何とか国債の増発を抑える−来年度予算編成

はいはい決意表明決意表明。

前も書いた気がしますけど、国債発行が増えるという話をネタにしても、相場なんちゅうのはまあエエカゲンなものでありまして、買い材料にする時は「国債発行を増やすのは経済状況が悪いからである」とか言って買い材料にしますし、売り材料にする時は「財政の維持可能性がどうのこうの」「需給悪化がどうのこうの」というような事を言い出すのが市場の仕様であります。ついでに言えば先週債券市場が買われている所でどこぞの経済クオリティーペーパー(笑)が「事業仕訳(に示された財政規律堅持姿勢)を好感して国債が買われる」という後講釈を連日垂れ流しておりまして、市場参加者の腰を大いに砕いてくれたかと存じます(−−)。

結局のところ、国債の増発を抑えるったって物理的に金が無いものは無いのでありまして、見た目の国債増発を抑えても特別会計とかに皺寄せをして、どうせ見た目操作をするだけの話でしょとゆーのは基本的には市場ちゃんは織り込みのでありまして、変にインチキをしようとする方が市場的には「何じゃそりゃ」状態になるんじゃネーノと思うのですけどねえ。

大体からして財務大臣がそういう表明している傍から別の話がボロボロと出て来るという時点でどうかと思うのだが。


○これは酷い

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091117-OYT1T00930.htm
日銀総裁人事に民主・西岡氏、反省の弁

『西岡氏は、「純粋に武藤さんがいい、悪いという前に、政治状況があった」と述べ、当時の自公政権と対決するのが主眼であったと説明した。そのうえで「(財政運営と金融行政を分ける)『財金分離』を理由に武藤さんがはねられたのは、今でもおかしいと思っている」と語った。』(上記URLより)

・・・・・何かね、おまいら全員揃って桜島か阿蘇山の噴火口に飛び込んで頂けると誠に有難く存じますと思うのですけど。


なんつーか、政治権力を獲得する為にはペテンでもインチキでも良いから兎に角受けを取れば良いっていうのは困ったもんだというか情けないというか、正直言って小選挙区制度って日本には向かないんじゃネーノとまで思う(中選挙区でいいじゃん)のですが、冷静に考えてみれば、そもそもこの手のペテン的手法でアピールするというのは小泉劇場から始まっている訳であります(郵政民営化で何でもかんでも良くなりますの説明は酷かったですわなあ)ので、民主党は単にそれを正しく継承しているだけなんですけどね。

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2009/11/16

○またBOEネタで:量的緩和政策はクレジットの需要サイド政策とな

先般インフレーションレポートが出ておりまして、関連URLはこちら。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/inflationreport/irlatest.htm

んでインフレーションレポートの本文を読まないでキング総裁の会見とQ&Aを読んで判った気になるのはあまり宜しくないのですが(汗)、あたくしの処理能力の設定上こーゆー手抜きバージョンで。

最初に総裁が説明をしている部分(3ページなので中々結構)
http://www.bankofengland.co.uk/publications/inflationreport/irspnote111109.pdf

質疑応答(質問者の名前が全部出ています。こっちは超長いので実は全部読んでない)
http://www.bankofengland.co.uk/publications/inflationreport/conf091111.pdf

で、総裁の説明部分からまずは。

最初の部分は景気に関する話をしていまして、引用は割愛しまして、あたくしのイカサマ英語力によって勝手に超意訳しますと・・・・

・生産は回復の動きを示す指標もあるが、戻りは鈍くまだ下がる可能性も
・英国経済はバランスシート調整の途上である
・銀行セクターは異常なレベルのハイレバレッジを縮小する途上である
・将来の不確実性に対して企業や家計は貯蓄を積み上げて消費も抑制される
・英国ポンドの下落はバランスシート調整プロセスを助ける(つまり輸出頼み)

・・・ってしらっとポンド安の効果の話をしていまして、介入は実際にしていないけど為替ルートの効果を持ち出しているのがチャーミング。

で、次の第3パラグラフが量的緩和政策の説明です。

『The role of the MPC is to set monetary policy to keep overall money spending on a path consistent with meeting the 2% target in the medium term. After the introduction of inflation targeting in the UK, annual growth of money spending was always close to 5%. But over the past year it has fallen by almost 5%, meaning that it is around 10% below its previous trend.』

ということで最近はマネーの増加が増えるどころか減っていると仰せのようです。

『That is a measure of the monetary squeeze on the economy, and it has opened up a margin of spare capacity that will continue to bear down on inflation looking ahead.』

マネーの縮小と生産設備の過剰状態がインフレ抑制をしておられるとな。

『In response, the MPC cut Bank Rate almost to zero and initiated an unprecedented programme of asset purchases, which was further extended last week.』

まーどうでも良いですけど、BOE様におかれましては0.5%まで下げた所でalmost to zeroと仰せでございますが、日本では1995年9月以来ずっと0.5%以下の政策金利なのが泣けます。で、ここからが説明。

『Those purchases are aimed at injecting additional money directly into the economy. Investors will look to use some of this money to diversify into assets that have a higher return. And that in turn will boost the prices of those assets, reducing yields and the cost to companies of raising funds in financial markets.』

マネーを経済にぶち込む事による効果の経路に関しては、いわゆるポートフォリオリバランス効果によって資産価格の上昇や金利の低下が起こり、企業の資金調達環境が緩和されるという判ったような判らないような説明を。

『Ultimately, that will help stimulate spending, smooth the necessary rebalancing of the economy, and keep inflation close to the target.』

んでそれによって消費を刺激してインフレをターゲット(2%)に制御するとな。


で、需要サイドどうのこうのという話は質疑応答の部分にそんな話がございます。質疑応答のURLの7ページ目(ファイルのページも同じ)からなのですが、Daily Mail紙のSam Fleming記者の質問に対する説明にこんなんがございます。ちなみに質問は、たぶん(英語力がアレですいません)「銀行の貸出が今後も伸びない(減る)とレポートでは言及していますが、それは量的緩和政策がワークしていない事を意味しているのではないか。プライベートセクターの資産買入に踏みこんだ方が効果があるのではないか」みたいな質問だと思います。

で、その答えは「量的緩和はクレジットに関する需要サイド政策である」という話でありまして・・・・

『No, I think there's a misunderstanding here between money on the one hand and credit on the other. They're not the same. Quantitative easing is designed to try and stimulate the demand side of the economy; I'll come back in a minute to private sector purchases. But the bulk of quantitative easing is designed to inject money directly into the economy.』

ほほー

『The people who receive money in exchange for the assets that we buy will then diversify their portfolios, and that will lead to a range of impacts on other asset prices of a wide range of financial assets that will stimulate both spending and lower the cost of company finance.』

『So that's the broad mechanism, and that's to do with the demand side. The weakness of the banking sector is on the supply side - supply side of credit. And there are structural problems in the banking sector there because they are trying to deleverage their balance sheets, and that means there's a very strong incentive not to extend lending unless it appears highly profitable. And as I said, banks are finding it expensive to raise money themselves at this stage.』

銀行は現在バランスシート調整の途上であることから、量的緩和そのものが直接に銀行の貸出が増えたりする訳ではないという事を仰せのようです。

『That means that any monetary stimulus of whatever kind, whether conventional or unconventional, is likely to be facing a head wind in the form of the weakness in the banking sector. That doesn't mean to say that quantitative easing isn't working. It is. But it means that we've perhaps have had to do more than we would have done had the banking sector been working effectively, in order to try to stimulate demand in the economy.』

従って銀行の貸出が伸びない事即ち量的緩和がワークしていない事だという訳ではないという何というかもう判ったような判らんようなカオスな説明でございますな。じゃあ供給サイドって何よ?という話がその次に。

『As far as private sector purchases are concerned, this was done with a different objective. We weren't trying to inject a certain amount of money into the economy; we were trying to take a limited number of steps in order to improve the functioning of certain private sector credit markets.』

特定の民間資産購入プログラムを実施するのが資金の供給サイド政策とな。

『And to that extent, that part of the operation was aimed at the supply side. We've picked out the markets that we think it's possible for a central bank to intervene in in a generic way, without making judgements about which companies or sectors of the economy merit support.』

つーことで、特定資産の購入を行う事は、特定市場の機能回復の為に実施ということで、これは資金の供給サイド政策であるという話を仰せのようでございまする。まあ理屈として言いたい事は判るのですけれども、だから何なのよという感じもして、何となく言葉遊びチックな感じはするんですけど。

で、この答えまだ延々と続く(実は延々と3ページ位続く)のですが、後は割愛しまして、余談的に特定資産買入に関するデメリットの話の部分を引用。

『Now of course it would be possible for someone to say - well, buy lots of other private assets, in which case I think I would simply say - well, which assets and on what terms? And I think that, if it comes to buying private sector assets which discriminate among companies and among sectors of the economy - there may well be very good reasons for doing that.』

『There is no good reason for the Central Bank to do that; that is a decision which ought to be taken by elected politicians because it's putting taxpayers' money at risk, and that is not something which the central Bank should aim to do.』

これは日銀が資産買入に関して示した考え方をもうちょっと詳しく説明した感じですな(^^)。


ところで先ほどの説明に戻りますが、英国のインフレ見通しに関する話がその後に続きますが、引用しているとキリが無いのであたくしのインチキ訳を申しますと・・・・

・インフレは最近ボラタイル
・原油価格の上下や、VATの一時的な減税の影響などによるもの
・金融政策ではその手の短期的変動に関しては影響を与えにくい(ので知らんがなと言いたいのでしょう)
・中期的には経済の余剰(多分生産だけではないバランスシート調整も含め)があってインフレは抑制されている

ってな感じだと思います。で、その後はファンチャートの説明になりまして最後にまとめがございますが、そちらでも先ほどのあたくしが何となく訳したように、回復やらバランスシート調整やらはまだまだ途上だという話をしてまして、まあ基本的には当面も現在の政策を続けると言っているように見えます。

最後の最後の所を引用しますが、まあ確かにこれ見たら当面資産買入も続くと読めますな。

『We have, however, only just started along the road to recovery and the adjustment to balance sheets still has much further to run. Monetary policy cannot ? and should not seek to ? prevent that adjustment. But by acting to keep inflation on track to meet the 2% target, monetary policy can facilitate a smoother path of adjustment towards the rebalancing of the UK economy. And it was for that reason that the Committee extended last week its programme of asset purchases.』

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2009/11/11

○そろそろ決意表明がスルーされている感がせんでもない

一般の各紙でも話題になっています国内長期金利上昇。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20091110-OYT1T00913.htm
長期金利上昇、一時1.485%…5か月ぶり高水準

『藤井財務相は10日の閣議後の記者会見で、長期金利が上昇していることについて、「危惧している。国債市場の信認を失うということは、日本の国益を損なうことになる」との懸念を示した。藤井財務相は、国債増発懸念が金利上昇の背景にあるとの指摘に対して、「そう思う。それに対する是正は何としてもしないといけない」と強調。2010年度予算編成で国債発行抑制のために歳出削減を徹底する考えを示した。』(上記URL記事より)

まあ昨日は40年国債入札はそこそこ順調だったみたいですし(その割には強かったのは中短期だったりするけど)戻っている訳ですが、別にまあ藤井さんやこーゆー話をしたから安心感がっていう流れになってくれるかというと微妙な気がする。

勿論市場コンセンサスとあたくしの脳内コンセンサスが違う可能性も高い(というかあたしゃひねくれているので脳内の考えが市場の考えとどの位乖離しているかいつも悩む)ので話半分で聞いて頂きたく存じますけど、予算編成の規模が拡大して最終的に国債に皺寄せが来るでしょという話に関しては、既に債券市場的には「決意表明はどうでもいいから予算編成そのものを出せ」というような感じになっているのではないかと愚考。

つまりですな(前も同じ話しましたけど)、国債発行がどーしたこーしたという論点に関する債券市場的な流れとしては、選挙がまだ始まる前だけどどう見ても任期満了までの衆院選では政権交代でしょうという状況だった頃は「民主党政権になったらバラマキになりそう」だったのが、いざ選挙が近づいてくると急に「財政規律が大事」という話が山のように民主党幹部から出てきて「ああ良かったね」という話になった訳ですな。

で、いざ政権取ってみたら当初は財政規律の話をしてたのに、そのうち概算要求は拡大するわ無駄の削減とやらも麻生政権時代の補正執行停止以外の話が具体的に出てこないわ、その一方で税収は予想通り落ち込むというのにあちこちの閣僚などからは致し方なし的な発言が出てくるわと素敵なカオス状態になっている訳でありまして、そーゆー意味で言えば「一旦期待させておいて裏切りました」というのが現在のステージになっている訳ですよね。

んでもって、そーゆー状況になりますと当然ながら何か言っても「それは大変立派な決意表明ですねえ(棒読み)」という反応をする人がドンドン増えて来る次第でありまして、しまいには「そりゃまあ来年度は繰り回しやら数字の操作で44兆円に出来ても結局再来年はダメでしょ」というような話になって来るんじゃネーノと思うのでありまして、まー変に出来もしない事を「努力する」だの「宣言する」だの言うとその場は凌げるけど、結局出来ないのだったら「信用を無くす」と言う事によって後で払わされるツケが倍返し3倍返しになって返って来るのでありまして、下手なその場凌ぎは却って自分の首を絞める事になると思うのですけどねえ。

ということで、藤井財務大臣におかれましては、下手な気休め発言はすればするほど発言の信用を落とす事に繋がりかねない事をご認識頂きまして、予算案そのものでお答えをするという事でお願いいたしたく存じます。

#書いてて自分のドブ板営業時代を思い出して目から汗が・・・・

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2009/11/06

○議事要旨の前にBOE

http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2009/081.htm

Bank of England Maintains Bank Rate at 0.5% and Increases Size of Asset Purchase Programme by £25 Billion to £200 Billion

しかし良く考えたら量的緩和拡大というのも変な表現で、買入額を累計して計算していくから拡大でござるというのは上げ底の香りがせんでも無い。まあ今まで買ってないから残高ベースは増える一方でございますから残高ベースも増えてますと言えばそれまでなのですけれども、この辺りって出口の時に理屈をどう折り合いをつけるのでしょうかねえとも。残高がどうのこうのという話をしだすと、じゃあリバースレポは引き締めなのかとか、もっと極端な話をしだすと預金常設ファシリティは実は引き締め手段なのかとか調節の話と金融政策の話がややこしく錯綜して、また「日銀理論に洗脳された」とかいうネタになるので敢えて深入りせず。

『The world economy has shown signs of recovery, with a number of emerging market economies experiencing a strong rebound in growth, although global activity as a whole remains significantly depressed. Asset prices have risen internationally since the spring, reflecting both the gradual improvement in the economic climate and accommodative monetary policies. And banks’ funding conditions have improved, though financial conditions remain fragile.』

金融環境が脆弱とかいう辺りの認識は英国だけじゃなくて米国も実はそうでしょと思うのですけれども、どうも飴公の皆様におかれましては能天気なマインドセットが仕様となっておられるようですな。まあどうでもいいけど。

んでもって物価に関してはインフレレポートも出てくるのですが、中期的に見たら現在の0.5%という政策金利は適切だという話が声明文にあるように見えました。

ECBはトリシェのスピーチ読む時間が無いので華麗にスルー(汗)。

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20009/11/05

○寝起きでFOMCステートメント

FOMCステートメント。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20091104a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090923a.htm(前回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in September suggests that economic activity has continued to pick up.』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in August suggests that economic activity has picked up following its severe downturn. 』(前回)

ということで、景気認識は「改善が継続しています」ということですな。以下前回と比較してると長くなりすぎるので今回の1パラ目を引用。なお寝起きでドメドメ人間のあたくしが読んでいますので解釈無保証(いつものことですが)。

『Conditions in financial markets were roughly unchanged, on balance, over the intermeeting period. 』

金融環境は変化なくバランスとしてまして、前回は「更に改善」となっていたので、一旦認識を落ち着かせたという事ですかねえ。

『Activity in the housing sector has increased over recent months. Household spending appears to be expanding but remains constrained by ongoing job losses, sluggish income growth, lower housing wealth, and tight credit. Businesses are still cutting back on fixed investment and staffing, though at a slower pace; they continue to make progress in bringing inventory stocks into better alignment with sales.』

消費支出に関する表現がstabilizingからexpandingに上方修正され、企業部門の雇用削減および設備投資に関してthough at a slower paceという文言が入っていまして、このあたりは上方修正ですね。

『Although economic activity is likely to remain weak for a time, the Committee anticipates that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will support a strengthening of economic growth and a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability. 』

ここは前回と全く同じ文言です。では第2パラグラフ。

『With substantial resource slack likely to continue to dampen cost pressures and with longer-term inflation expectations stable, the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.』

これまた同じでして、インフレ圧力に関しては当面の間抑制されるという文言は前回と全く同じです。んじゃ第3パラグラフ。

『In these circumstances, the Federal Reserve will continue to employ a wide range of tools to promote economic recovery and to preserve price stability.』

ここも変わらずですな。

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. 』(今回)

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.』(前回)

見りゃわかりますが、今回該当する文言が長くなっている訳でして、continues to anticipate anticipate that economic conditionsの内容説明が入っている訳ですな。んでそれがlow rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectationsとなっておりますとな。

ここの政策インプリケーションに関しては本職の方が解釈して下さるかと思いますが、別にこの文言入れる必要無いでしょという当たり前の話(インフレやらインフレ期待が抑制されないとなったり、資源の稼働(企業セクターの投資やら雇用やらですかね)が良くなったりしたらそりゃあーた利上げでしょ)ではありますが、まあその当たり前の文言をわざわざ入れるというのは当然ながら意味がある筈でして、その点に関しては暫く後に出てくる議事要旨を見たい所であります。

まあインフレに関する文言に何らかの変化が出てきたらもうエライコッチャという話になるんでしょう。失業率はどうせ遅行指標ですから、スタンス変化はインフレに関する見方に出てくるのではないかと思いますけど、正直FEDヲチは本職ではない(というかそもそも日銀ヲチも本職じゃなくて趣味ですが^^)のでよーわからん。

『To provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve will purchase a total of $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and about $175 billion of agency debt. 』

エージェンシー債の買入額がしらっと$25bil減っているのですが。

『The amount of agency debt purchases, while somewhat less than the previously announced maximum of $200 billion, is consistent with the recent path of purchases and reflects the limited availability of agency debt.』

その言い訳ですな。買入やっても応札が少ないんでしたっけ?

『In order to promote a smooth transition in markets, the Committee will gradually slow the pace of its purchases of both agency debt and agency mortgage-backed securities and anticipates that these transactions will be executed by the end of the first quarter of 2010.』

前回と語順が微妙に変わってますが基本的に同じ話。で、前回は財務省証券買入終了の話をしてますがそれは目出度く(?)終了しましたのでその部分無くなっております。

『The Committee will continue to evaluate the timing and overall amounts of its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets. The Federal Reserve is monitoring the size and composition of its balance sheet and will make adjustments to its credit and liquidity programs as warranted.』

この文言はつくづく魔法の文言でして、まあ増やすにも減らすにも使えるので市場が勝手にご解釈してくださいっていう感じで素晴らしい文学作品(^^)。前回と同じ表現です。

あとは採決の部分なので割愛します。

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2009/11/04

○ところで月曜のオペレーションは・・・・・

11月2日のオペレーション
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of091102.htm

スポネの国債買現先が2000億円増えただけで共通担保の期間も特に長くはございませんで、どう見てもスタンスに変化はありません本当に(ry

てな訳で、ディレクティブの頭にあった文言は何だったんでしょうかねという気がするのですが、まあ過去の実績から勘案するとどうせこうなるでしょうねというイメージでしたのであまり驚きませんです。

特オペ解除が近くなってくる所で特オペのオファー頻度が減ってその分共通担保に一部化けるのではないかと思いますので、逆に言えば例によって例のごとく、そこまでの「溜め」を作るために目先の供給は最近暫くのスタンスが継続されるのではないかと思料されまする。

まー特オペ後の共通担保も1回位は3か月の全店オペとかを実施するのでしょうけれども、そうそう何度もロールするかも微妙かな、と思います。

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2009/11/02

決定会合結果
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k091030.pdf

展望レポート
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0910a.pdf


○特オペ廃止と時間軸のようなものがセットみたいになっちゃいましたが

『1.当面の金融政策運営

当面、現在の低金利水準を維持するとともに、金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給を通じて、きわめて緩和的な金融環境を維持していく。

次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針については、以下のとおりとする。

無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.1%前後で推移するよう促す。』

まず最初にここを見て「???」と思ったので過去の決定会合結果の声明文をクリッククリックしたのですが、政策金利の前にこんな文章はございませんでして、今回はわざわざこの文章を入れましたというのが時間軸っぽい表現。

日銀用語の「当面」というのは少々長いスパン(次回やその次の会合という訳ではない)になる筈ですので、まあそーゆー意味では時間軸を何となく示したという事になるんですが、良く良く考えてみれば皆様ご案内の展望レポートで2011年度の消費者物価指数見通しが前年比マイナス継続という見通しが出ているのですから、展望レポートそのものが時間軸であって、市場の中の人的に言えばわざわざこのような文章を出す必要は無い筈なんですよね。

で、出す必要があったのかよー判らん文章をわざわざ今回付けたのは当然ながら付ける事に意味を持たせたという事でしょうけれども、素直に解釈をしますと「今回の企業金融特別措置の解除は利上げにつながる出口政策ではありません」というのを一般ピープルにも判り易くする為にこの文章をわざわざ付けましたと言う事になりますわな。

で、もうちょっと嫌らしい解釈をすれば、当然ながら「これって要するに企業金融特別措置解除とのバーターですよね」という意地の悪い解釈になる次第でございまして、(以前より再三再四申し上げているように)そんなに事を大きくしないでも解除できたんじゃないかと思われる企業金融特別措置の解除のバーターで使うカードとしては勿体なかったのではないかと思われます、って本石町日記さんと同じ話ですが。


ただし、この時間軸みたいな文言ですけれども、特に何かコミットメントをしているのかと言えば別にまあそういう訳でも無いですし、そもそも展望レポートがあの状況でしたら景気が超越的に上振れしないと出口がどうしたこうしたという話になる訳ありませんので、特にこれで強烈に日銀の手足が縛られるという話にはならないと思いますが、良く良く考えたらこの文言が次回以降も継続してディレクティブの頭に付くと考えると、そこの文言をいじるとその度に政策インプリケーション発生となりますので、却って先々にノイズ発生の余地を作ってしまったような気もせんでもないのが気になります。次回しらっと外しちゃったらまあ話は別ですが。

あと注目なのは今日以降のオペでありまして、ディレクティブにわざわざ『金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給』と入れているのですから、それ相応のオペが実施されるのかどうかもこっそりと注目しておきたいです。と申し上げておりますが、実はここの文言も何となく微妙な所でありまして、そもそも「金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給」っていうのは超過準備付利導入時の目的でもありまして、その超過準備付利制度が継続されるのですから、これまた一々付ける必要があるのかというと市場の中の人達の論理としては「何を今更」という話でございまして、これまた一般ピープルへのアピールなんでしょう。

大体からして昨年の今頃も「潤沢な供給」だの「CP現先オペの積極活用」だの言いながら大して潤沢供給も積極活用もしてなかった(当時の悪態をご参照ください)という前科があるので、今日以降のオペが果たしてどうなのかはニヤニヤしながら推移を待つという感じでしょうか。まー思いっきり極端に言えば、「金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給」って数字上だけで言えば今だって超過準備が常にあるような状態になっているのですから金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給ちゃあその通りとも言える次第でありまして(^^)、正直この文言に対してオペがどう出るのかはちょっと気にしたい所でもあります。

つまり、まあディレクティブの前半部分の新たに出た文言っていうのは、金利市場の中の人的に言えば、本来別に言うまでも無く自明の事なのですけれども、それをわざわざ言いだしたのは一般ピープルというか他市場とかマスコミとか政府方面とかの「微妙に知っているので却って変に誤解しそうな人達」向けへのアピールなのかなあって感じで、下手に「日本の出口政策」とか言い出して他市場が暴れたりするのを押さえたいというのが狙いなんじゃないかなあという感じです。

まあそうだから金利市場の中の人的には「自明の事をわざわざ書くのはどーしてじゃろ」という文言(しかもコミットメント無し)が入る事になったんでしょうねというのがあたくし的な一応の結論にしておきますが、先ほども申し上げましたように、今後はここの文言をいじるとノイズ(あるいは政策意図丸出しモード^^)になっちゃいますねという点は今後気になる所でございます。



○何も半年後の解除を今決めなくてもよかろうに・・・・

『2.各種時限措置の取り扱い(注2)

日本銀行では、昨年秋以降、金融市場の極端な収縮に対応するため、CP・社債の買入れなど中央銀行として異例の対応を含め、各種の時限措置を導入した。最近のわが国の金融環境をみると、厳しさを残しつつも、CP・社債市場をはじめ改善の動きが拡がっている。今後とも、金融市場の安定を確保し、それを通じて企業金融の円滑化を支援していく上では、金融市場の状況変化に即応した、最も効果的な金融調節手法を採用することが必要である。日本銀行は、こうした考え方に基づき、各種時限措置の取り扱いを以下のとおりとすることとした。』

ということで、CP社債買入が12月末で廃止はまあそうなりますかちゅう感じでしたけれども、特別オペの「延長するけど解除」は少々驚き桃の木。
『(1)企業金融支援特別オペ

企業金融支援特別オペについては、年度末に向け、金融市場の安定確保に万全を期すため、その実施期限を来年3月末まで延長した上で完了する。4月以降は、より広範な担保を利用できる共通担保オペ等の金融調節手段を活用して潤沢な資金供給を行う態勢に移行する。』

まあそう来るだろうと思いつつも如何な物かと思ったのは、特オペの解除を技術論で対応した事でありまして、本来この解除に関しても(CP・社債買入解除と同様に)「導入時の本来の意義・目的を達成したので解除」というロジックを持ち出して、それに対して現状が本当に解除に値する状況なのかという議論をして欲しかったと思う次第。本オペに関しては「指値・無制限」という所に特徴があるので、その部分に対する考察をもうちょっと掘り下げて欲しかったなあというのが、まあ政策ロジック的な印象。

で、もう一丁のより実際問題的なツッコミ所は、「何も半年後の事を今決めなくても良いでしょうに」という話。今回の特オペ解除が技術論で進んでおりまして、しかも上記の文言中にも(FOMCの声明文みたいに)「様子が変わったらやっぱり完了しない」というような部分が無いとなりますと、向こう半年間で景気2番底懸念とかなったらどーするのやらという懸念はある訳です。(まあしらっと延長するにしても最初に言う事無いと思うのですが)

そもそもですな、3か月延長を決めたとしても自動継続する訳では無くて、そのまま期限が来たら自動消滅になるのですから、何も好き好んで解除を今からコミットして変に手足を縛る必要は無いと思う次第でして、わざわざ変な相場張っちゃいましたねとしか申し上げようがございません。まーそんな相場張るリスク取ってでも解除したかったというのが伝わって来る特オペに関する決定なのでありました。

で、水野委員はこれに反対ですけれども、社債買入解除にも反対しているのですから、反対理由は「終了条件をつけての延長ではなく、単純に3か月延長すべき」という事なのはまあ明白でしょうな。



○CP・社債の買入解除は正攻法

『(2)CP・社債買入れ

CP・社債買入れについては、CP・社債の発行環境が大幅に好転し、CP・社債市場の機能回復という所期の目的を達成したことを踏まえ、予定通り、本年12 月末をもって措置を完了する。』

CP買入に関しては4打席連続応札無しという素敵な状態になっておりますのでまあそうでしょうなという感じですが、水野委員が反対する社債に関して言えば微妙な気がせんでもないですが、まーそこは他の政策委員の皆様がそのように判断したという事ですから。

まあこれは正攻法なので、その判断が正しいかどうかは別にして直球勝負。



○適格要件の緩和は1年延長とな

『(3)担保要件の緩和措置

民間企業債務およびABCP の担保要件の緩和措置については、引き続き、企業金融の円滑化を支援する上で重要な役割を果たしていることを踏まえ、その実施期限を、来年12 月末まで延長する。』

まあ利上げするような環境になるまでこのまま放置プレイになるのでしょう。一々議論するのがめんどいから1年延長したと見た(^^)。



○超過準備付利制度の常設ファシリティ化はどうするんでしょ

『(4)補完当座預金制度

補完当座預金制度は、金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給を行いつつ、円滑な金融市場調節を実施する観点から、その実施期限を、当分の間延長する。』

本来的に言えば、預金ファシリティって別に潤沢な資金供給がどうのこうのという話ではなく、実際は短期市場金利の下限を設定して調節をやりやすくする為の措置なのですが、補完当座預金制度という事で導入の目的が「潤沢な資金供給を行う」という一般的な預金ファシリティとちと違う物を付与されてしまっているので何か微妙は微妙なんですよね。でも、将来的な事を考えれば、この制度を普通の預金ファシリティとして常設化して、ロンバート(常設貸出ファシリティ)と超過準備付利(常設預金ファシリティ)で政策金利との回廊を作った方が金融調節的には美しい(し運営しやすい)と思いますので、その辺を見越して「当分の間延長」となったんでしょうなあと思います。常設化する場合の理屈をどう捻り出すのかが見ものですが。



○展望レポートですが

『(経済情勢の見通し)』の先行き見通しに関して。

『先行き2009 年度後半から2011 年度を展望すると、わが国経済は、他の先進国と同様、世界経済の動向に引き続き大きく左右される展開を辿る可能性が高い。現在、わが国の景気は持ち直しつつあり、2009 年度後半は、海外経済の改善と経済対策の効果を背景に、景気は持ち直していくとみられる。2010 年度もこの傾向は維持されるものの、世界経済の回復のペースが緩やかなものに止まるとみられること、国内においても需要刺激策の効果が減衰する中で、雇用・賃金面の調整圧力が残存することなどから、年度半ば頃までは、わが国経済の持ち直しのペースも緩やかなものとなる可能性が高い。』

『その後は、米欧におけるバランスシート調整が相応に進捗するとともに、わが国においても、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及してくるとみられる。このため、2011 年度には、わが国の成長率は、潜在成長率を明確に上回るペースまで高まる見通しである。』

ということで、だいぶ願望レポートっぽい感じがしますが、まあこんな感じでございますなと思いつつ、ふと脚注をみると素敵な文言が。

『最近時点のわが国の潜在成長率を利用可能なデータで推計すると、大幅な景気悪化により、資本ストックの伸び率が低下していることなどを反映し、従来推定されていた水準よりも低下しているとみられる。見通し期間中の潜在成長率については、一定の手法で推定すると、2009 年4月の展望レポート時点の「1%前後」から低下し、「0%台半ば」と計算される。もっとも、経済が大きく変動している現状では、こうした推計について、相当幅をもってみる必要がある。』

潜在成長率を下げて来ましたか。道理で2010年度の消費者物価見通しが▲0.4%と意外に低くなかった訳ですわという感じでありまして(^^)、何か潜在成長率を下げて先行きの見通しを少しでも良さそうにしましょうって気がするのはきっとそれはあたくしの性格が悪いからそう見えているだけですよね!!


で、項目別展開の所は当然ながら先行きの回復もイマイチ感漂う内容になっていますけれども、その辺を華麗にスルーして金融環境の部分を。

『わが国の金融環境をみると、CP・社債の発行環境が大幅に好転しているほか、金融機関の貸出態度の厳しさが後退し始めるなど、改善の動きが拡がっている。先行きについても、米欧に比べわが国金融システムの頑健性が維持される中、金融機関の貸出態度など、企業の資金調達を巡る情勢は引き続き改善していくものとみられる。』

ということで、まあ買入解除という話になるのですが、普通に来年度も低金利継続ですなあという本音が出ている部分を引用。

『2010 年度以降は、企業の資金調達環境の改善に加え、企業収益の回復を背景に低金利の持つ景気刺激効果が強まり、こうした金融環境全般の改善が、民間需要の自律的な回復を後押しすると期待される。』

どう見ても時間軸です本当にありがとうございました。


○2つの柱による点検

リスク要因の所もあるのですが、引用してると長くなりすぎるので華麗にスルーして2つの柱の所に。

『まず、第1の柱、すなわち先行き2011 年度までの経済・物価情勢について、相対的に蓋然性が高いと判断される見通しについて点検する。上述した通り、わが国経済は持ち直しを続けていくと考えられる。また、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、2009 年度後半以降、下落幅が徐々に縮小していくと見込まれる。こうした動きが持続すれば、日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的成長経路に復していく展望が拓けると考えられる。』

さて4月はどう書いてあったでしょうか。

『まず、第1の柱、すなわち先行き2010 年度までの経済・物価情勢について、相対的に蓋然性が高いと判断される見通しについて点検する。上述した通り、わが国経済は、当面、悪化が続くが、次第に下げ止まりに向かい、2009 年度後半以降、成長率が緩やかに持ち直す姿が想定される。また、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、2009 年度半ばまでにやや大きく下落した後、2009 年度後半以降は、下落幅が徐々に縮小していくと見込まれる。こうした動きが持続すれば、日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けると考えられる。』(本年4月の展望レポート)

基本的なストーリーは4月の延長になっていて、悪化が止まって持ち直しという話にはなっているのですが、微妙にチャーミングなのは、4月の展望レポートでは『成長率が緩やかに持ち直す』という話をしていたのですが、今回はそこから「成長率」という文言が外れている事ですな。まあ潜在成長率を下げてそこはチャラにしているのですけど(ニヤニヤ)。


『次に、第2の柱、すなわち、より長期的な視点も踏まえつつ、金融政策運営の観点から重視すべきリスクを点検する。景気については、新興国・資源国の経済情勢など、上振れ要因がある一方で、米欧のバランスシート調整の帰趨や企業の中長期的な成長期待の動向など、一頃に比べれば低下したとはいえ、依然として下振れリスクがある。物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある。一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。』

で、前回4月はどうでしたかと言いますと。

『次に、第2の柱、すなわち、より長期的な視点も踏まえつつ、金融政策運営の観点から重視すべきリスクを点検する。景気については、国際的な金融経済情勢、中長期的な成長期待の動向、わが国の金融環境など、景気の下振れリスクが高い状況が続いていることに注意する必要がある。物価面では、景気の下振れリスクの顕現化、中長期的なインフレ予想の下振れなど、物価上昇率が想定以上に低下する可能性がある。一方、中長期的には、世界経済が回復する過程において、現在の極めて景気刺激的な政策が維持された場合、一次産品価格が予想以上に上振れることなどにより、わが国の物価上昇率が想定以上に上昇する可能性もある。』(本年4月の展望レポート)

下振れリスク強調姿勢だったのが、やや強調度合いが下がったという感じですわな。で、その後の部分でもそうなのですが、4月の展望レポートにあった「当面は、景気・物価の下振れリスクを意識する必要がある。」という文言がちゃっかり削除されておりますので、メインシナリオの見通しそのものは「上昇角度は全然さっぱり」というのが1年延びたという感じではありますけれども、下振れリスクに関する言及が軽くなっている所を総合的に勘案すると、さてどうなんでしょうという気もします。まあ基本的に展望レポートの内容そのものは当初言われていたようにぱっとしませんなというのはその通りではございますけれども。

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2009/10/30

○日銀レビューから

先日出ていた奴ですが。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev09j14.pdf
米欧諸国における銀行貸出の低迷の背景
―― 日本のバブル崩壊期との比較 ――

日本のバブル崩壊以降の銀行貸出推移と比較して米欧諸国や欧州新興国まで含めてバブル崩壊(ITバブル崩壊と最近の信用バブル崩壊)後の銀行貸出動向を考察するという話で、ややこしい計算式とかございませんので、数学と言えばハクション大魔王並みの頭を誇るあたくし(というフリが判る人は年寄り)にも優しいレビューなのれす。

で、まあ引用始めると全部引用しそうな勢いですが、まあ米国の銀行貸出の部分を引用してみましょ。

4ページ目の『(米欧の 2000 年代前半における金融緩和局面)』って所から。

『図表 6 で、米国の金融緩和局面をみると、2001年から2002年前半にかけて、金利と貸出の伸びの双方が低下したが(--■--)、2002 年後半以降は、金利の低下を伴いながら貸出の伸びが拡大に転じた(--△--)。』

なお、()で書いてあるのは顔文字ではなくて、図表にあるグラフのどれがどれに対応しているかを示しているモノでありますが、図表をスルーして引用すると顔文字みたいですな、特に後の部分(^^)。

『これは、当初、IT バブル崩壊による景気悪化に伴い、借入需要曲線の左方シフトが支配的であったが(前掲図表3B)、その後、銀行の融資スタンスが、調達金利の低下を受けて次第に積極化し、貸出供給曲線が右方シフトしたことを示唆している(前掲図表3@)。つまり、銀行貸出チャネルを経由した金融緩和効果がラグを伴って拡がっていったと考えられる。銀行の貸出態度に関するサーベイ調査からも、この時期に、貸出基準が徐々に緩和の方向に向かっていったことが確認できる。』

機種依存文字は原文ママで勘弁。で、実際問題として確かに当時のイメージはそんな感じでしたねって所ですにゃ。

『また、英国では、2000 年代前半の緩和局面において、貸出の伸びがほぼ一定のもとで、貸出金利が低下していった(--●--)。これは、景気の低迷による借入需要曲線の左方シフトと、金融緩和による貸出供給曲線の右方シフトが同時に生じた影響とみられる(前掲図表3C)。』

『このように、米英における 2000 年代前半の金融緩和局面では、1990 年代前半までの日本の緩和局面と同様に、銀行による貸出供給の増加が景気回復を後押しする効果が確認される。』

で、今回の信用バブル崩壊ではどうですかという話がその次にございまして、『(米欧の今次金融緩和局面)』っつー所に続きますわな。

『一方、2008 年以降の局面では、金融市場が混乱する中で、銀行貸出チャネルを経由した金融緩和効果は弱いものとなった。2008 年中は、貸出金利がほぼ一定のもとで、貸出の伸びが低下しており(−□−)、借入需要曲線と貸出供給曲線の双方が大幅に左方シフトしたと解釈できる(前掲図表3D)。』

『これは、1990 年代後半の本邦貸出市場でも観察された現象であり、金融と実体経済の間の負の相乗作用が顕在化していた可能性を強く示唆している。実際、サーベイ調査でみた銀行の貸出態度や企業の資金繰りは、2008 年中、前回の金融緩和局面時の水準を超えて、厳しさを増していった。また、この局面では、政策金利の低下にもかかわらず、銀行の短期金融市場での調達金利が、市場機能の低下を背景に高止まりする期間が続き、金融緩和効果の浸透を阻害する一因となった(図表7)。』

んでまあその後ですけど。

『その後、2009 年に入ると、金利と貸出の伸びの双方が低下するようになり(−■−)、貸出供給曲線に沿って借入需要曲線の左方シフトが続いたと解釈できる(前掲図表3B)。より厳密には、借入需要曲線も貸出供給曲線も左方シフトが続いたが、後者のシフトが小幅化していった可能性が高い。』

図表なしで引用してるとちょっとアレですので、まあご興味のある方は日銀レビューのホンモノを読んでくださいね。次に具体的な話をしていますのでどういう話なのかは判ると思いますが(^^)。

『すなわち、過剰債務を抱えた家計やストック調整圧力に直面した企業は借入削減を進め、一方の銀行は、サーベイ調査が示す通り、依然厳格な貸出スタンスを維持しつつも、公的資本注入など金融システム安定化策を背景に、貸出供給の絞込みペースを以前に比べ落としていった。』

『また、金融市場における流動性危機が沈静化し、銀行の市場調達金利が低下していったことも、貸出供給曲線の左方シフトを以前に比べ小幅化させたものとみられる(前掲図表7)。』

ということなのですが、まあこれは日本の90年代後半と比較した場合はご案内の通りでありまして。

『このように、米欧では、貸出供給の削減による悪影響が和らいできたが、前回局面と異なり、金融緩和による銀行の貸出供給を通じた景気回復の後押し効果はみられなくなっている。この背景としては、深刻なバランスシート問題を指摘できよう。』

『米欧の銀行は、バランスシートを身の丈にあった規模にするよう調整を進めると同時に、民間主体が過剰債務を抱えるもとで、新規貸出からは収益機会を見出しにくくなっているとみられる。これは、日本の1990年代後半以降の貸出市場と同様な状況と言える。』

ということで、まとめの部分では、当然ながらこういう指摘がございます。

『今後、米欧先進国では、景気回復に向けた動きが続いていくと考えられるが、バランスシート調整圧力が続くもとで、不良債権比率の動向など銀行の財務内容に関する不確実性は払拭されていない(図表10)。このため、何らかの追加的なショックが加われば、銀行の貸出スタンスが再び厳格化の程度を増し、貸出供給曲線が左方シフトすることで、金融と実体経済の間の負の相乗作用が再燃するリスクも存在する。』

まあ日本の経験からすると欧米(特に米国)って妙にこの点楽観していますわなあと思うのであります。

という訳で先日の日銀レビューをちょっとだけ引用してみましたが、まあ読みやすいので、というか一般向けに近い感じですので、金融機関の中の人じゃない方にお勧めかも知れませんね。



○そこから何故か特オペに話が飛ぶのだがオチは予定調和です

今日の決定会合でうっかりすると打ち切りが決定されてしまう、と言っても実際は12月までの実施は確定しているので打ち切りは本当の即打ち切りではないのが何ともアレですが、まあその特オペに関して。

いやね、上記の日銀レビュー読んでて思い出した(わけでも無いのですが^^)のですけど、特オペがモンスターオペと呼ばれる強力効果を発揮しておりますという話ですが、冷静に考えますとこの特オペ、第1回目のオファーは今年の1月8日に実施されたのでありまして、じゃあその頃の金利はどうでしたかと考えますと、確かにまあ利下げもありましたしレートは低下傾向ではあったのですけれども、CPレートの推移を改めて見直しますと実は当初はそんなに強力下げ効果が出てた訳ではないのですな。

つまり、1月になった所で3か月の期越えCPとか出てた訳ですが、当初レートが低下してたのは期内物で格付けの高い企業さんネームのもので、期末越えは途中で下げ足が止まる感じになったんですよね。んでもって1月の終わりあたりから2月の頭にかけては格下げ大会が始まった事から、業績的にちと格下げを食らいそうな業種さんとかのネームの金利がちょっと上昇したりしてたんでございますよ。

じゃあレートが急低下したのはいつかと言いますと2月の下旬というか最終週のあたりでありまして、そこから3月はもうレート低下の勢いが凶悪化しやがりましたなあという流れになった訳であります。

じゃまあその間って何がどうなってましたかと言いますと、当時は海外も国内も株価が極めて遺憾な水準で推移していまして、金融機関の資本不足がどうしたこうしたという話や、保有株式の損失で自己資本がどうしたこうしたというような話が盛り上がっていた訳でして、国内金融機関の自己資本増強策がワークしだして、その「資本制約」が引っかかっていたのがCPレートが存外下がらなかった時期だったりすると(極めてざっくりとした言い方で、より精密分析をするとやや怪しい所もあるかも知れませんが)いう感じだと思いまする。

んでもって、その辺りの資本制約が軽くなったとかいう時期とCPの金利が下がってきた時期が割と近いように思われるのですよ。勿論資金需要が落ちて来て従来CPなんぞに回している場合じゃなかった資金が浮いて出てきたとかいう事もあると思いますから、どっちの影響なのかってえのは本当はちゃんと分析する話ですし、まあ自分の懐具合なら兎も角、人の懐事情は良く判らんので即断するのも乱暴ですけど、当時の状況を見てると何となくそんな感じもするのであります(他にも理由がありそうなのですがここでは割愛)。

とまあつらつらと書いてみましたけど、つまり話を綺麗に落とす方向でネタを振りますと、特オペのモンスター効果と言いましても、そこに金融機関のバランスシート制約がある場合にはその効果は減殺されてしまうという落ちになるのでして、さっき引用した日銀レビューは壮大な前振りになっておりますという予定調和にも程がある話の流れ。まあ強引な話の振り方してますけど(^^)。

実際問題として、特オペでもっとジャンジャンレート下がるのかと思ったら、当初は「そうは言ってもオペ担保として保有するという事はリスクアセットを保有する事になるから自己資本を食う訳で、そうジャンジャンCP買ってオペ入れて攻撃は出来ませんがな」というような感じだった事を考えますと、上記の何か予定調和の如く進めている話も一部には合っている所もあるんじゃないかなーって思いますがどうでしょうかね。

ということで、貸出ルートでどうのこうのという話になった場合、重要なのは貸出仲介機能を持つ部分の資本問題がどうなのよという点になるんですねという事になりますわなというある意味当たり前なのですが、資本問題って世の中が平和あるいは小康状態になっている時はすっかりスルーされやすいお話なので、改めて考えないといかんですなあという所で。

・・・・とここまで書いた所で、そういやこの前出てた金融システムレポートを忙しさにかまけて半分くらいしか読んでいない事を思い出したので、週末改めて読んでみないといかんじゃないのと思うあたくしなのでありました。

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2009/10/29

○観測記事クリップ

昨日は最初に朝日新聞が割と「全部解除」っぽいニュースを。

http://www.asahi.com/special/08017/TKY200910270496.html
緊急資金供給策、日銀が年内打ち切りへ

『しかし、日銀は、民間金融機関同士が市場で資金をやりとりする際の金利も低下し、緊急策がなくても通常の資金供給策で代替できるようになったと判断。金融政策を決める審議委員や執行部の間で、年内いっぱいで打ち切っても問題ないとの意見が大勢になっている。白川方明総裁は14日の記者会見で、今の措置を続けることが「市場にゆがみをもたらしている」と指摘していた。』(上記URLより)

ということでこちらでは特オペまで解除という観測ですが、夕方共同通信が打った観測記事では割と特オペ解除っぽいものの、やや微妙な書き方に。

http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102801000551.html
日銀、支援策を年内打ち切りへ 資金調達環境が改善と判断

『CPなどを担保に金融機関に資金を貸し出す企業金融特別支援オペについても、市場に支障を来さない形で通常の資金供給策に振り替える方策を検討中だ。』

だそうで、まあ観測記事を纏めてもしょーもない話ではございますが、「CP、社債の買入は解除」で、「特別オペはどうなるのか微妙だけど解除するのですかねえ」という感じなのでしょうかねえという所ですか。何が何やらという感じですし、おまけに今日は米国株式市場が続急落とか何というギャグのような展開とか思うのですけど。

しかし共同の記事で「これはまた」と思った部分を引用。

『しかし、社債やCPの購入は利用実績が少なく、異例の措置を長期化させれば市場機能をゆがめかねないと懸念。日銀内では10月30日の会合で打ち切りを決めるべきだとの意見が強まっている。』(上記共同ニュースより)

・・・・利用実績が少ないなら市場機能は歪まない筈なのですが(^^)。

ちなみに、今朝の公共放送ニュースは共同の記事に沿った感じで、「買入は解除」「特オペは他のオペで代替する方法を検討」という線での報道になっておりました事を付け加えます。



○政府の発言クリップ

ま、それはともかくとして、昨日は政府の人達の発言が色々出ていたのでそっちもクリップ。

どっちも昼ごろ出ていたのですが、ロイターでは津村内閣府政務官のインタビューが。

http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-12156320091028
インタビュー:景気回復重視し果断に対応=津村内閣府政務官

こちらがまた微妙なのですが・・・・・

『企業金融支援措置の扱いについては100%日銀の専管事項であり、一切コメントするつもりはない。ただ、政府として、企業金融支援措置が非常に異例な措置であることは十分理解している』

『政府の中小企業金融円滑化法案と日銀の企業金融支援措置は全く違うフェーズの政策手段であり、同列に議論するのは適当でない』

ということで、特オペ解除まで含めて理解を示しているようにも読めるのですけれども、景気認識の部分ではいい感じで日銀に釘をさしているようにも読めます次第。

『補正予算の見直し議論とは別に、日本経済の景気回復基調は極めて緩やかであることは間違いなく、特に雇用不安は深刻なものがある。景気回復を重視する立場から、新政権として必要に応じて果断な措置をとる姿勢を持っており、年末・年始にかけての景気情勢次第では2次補正の議論が出てくる可能性はある。(景気の)二番底をつくってはならない』

『中小企業金融を含めて、景気の先行きは予断を許さない非常にデリケートな時期にあることは、政府も日銀も共通の認識を持っている。』(以上上記ロイター記事より)

何か「やるならやっても結構ですが、景気が二番底になったら日銀は責任を持って倍返しで緩和をやってくださいね」と言っているように読めてしまうのは気のせいですかそうですか。


同じく昼に出てた野田財務副大臣のインタビュー記事でこちらはブルームバーグ。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aO8qENOj5M4M
野田財務副大臣:今年度国債発行50兆円台に−国債管理政策に重点

50兆円が改めて出たせいでは無いと思いますが、後場になって債券市場がずっこけの巻になっていたのは誠に遺憾でございましたな。

『野田副大臣は政府代表として30日の日銀金融政策決定会合に出席する。同日の会合では、日銀が年末に期限を迎えるコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取り、企業金融支援特別オペの3つの企業金融支援策の打ち切りを決定するとの見方も浮上している。これに対し、野田副大臣は「日銀がこれらの措置の効果を検証している。その判断を注意深く見守る」との見解を示した。』

『また、CPや社債の買い入れオペで札割れが起こっていることに対して「応札が3カ月なかったという状況があることは事実。それを踏まえて日銀がどういう判断をするかだ」と述べるとともに、「どういう決定をするにしろ、国民とマーケットに説明することは大事だ」と述べ、日銀に説明責任を果たすよう求めた。』(以上上記ブルームバーグ記事より)

これはまた理解を示しているのか牽制しているのか実に微妙な感じですけれども、どちらかというと「やった後景気悪化したら当然倍返しですよね」って言ってるような気がする次第で。


ついでに夕方の会見記事から2つ。

http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-12163920091028
日銀には金融面からの景気下支えを期待=古川内閣府副大臣

『古川元久内閣府副大臣は28日夕の会見で、一般論と前置きした上で、「日銀には、金融政策面から景気を下支えし、企業金融に目詰まりないよう適切な対応をして欲しいとの思いはある」と述べた。』

どう見ても牽制です本当に(ry

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aDMasdk0M9B4
平野官房長官:長期金利問題は政府も十分にチェックする(Update1)

『平野氏は、鳩山内閣の財政再建に対する取り組み姿勢が長期金利上昇の一因になっているとの見方について「過去のトレンドを見ると、そういうことの判断で長期金利が上がったという理由ではないと認識している」と指摘。その上で、「金利の問題は政府としても十分にチェックしていかなければならないという考え方は変わっていない」と語った。』

これ自体は「政権の財政規律に関する姿勢に市場が疑問」って言われている話を否定してるってえ文脈ではあると思うのですが、これ即ち特オペ解除をした後に長期金利が上昇した時に(本来あまり関係ない話なのですが)他にケツの持って行きようが無かった場合に「日銀の判断が結果的に不適切だった」とかねじ込んで来るリスクがあると思うのですが。財政再建姿勢の話を振られて「そもそも自民党のせい」と言い出す位のハイクオリティーな政権なだけに・・・・・


ということで、昨日は政府側から色々と発言が出てきた訳ですが、どうも出ている発言を総合すると、企業金融支援関係の措置を全部解除しちまった場合、その後景気が何らかの要因で下振れした場合には日銀に対する追加緩和圧力が相当な物になり、倍返しの刑を食らうような悪寒が思いっきりする次第なのであります。

下振れリスクを依然として警戒し、先行きの回復にも相応の時間が掛かるという展望レポートを出す中で、企業金融支援関係の各施策を解除しなければいけない程の弊害がこの措置によって起きているのかという点をもうちょっと熟慮して頂きたいものでありますが、どうもトルコのG7以来総裁の中の人が急に変わった(のか元に戻ったのか知りませんが)かのような頑張り(正直頑張る所を間違っていると思うが)振りなので何ともはやという感じでございまする。

○投資家懇談会とか市場雑感とか

・投資家懇談会

こっちは最後まで読めますな(^^)。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b211027.htm

投資家懇談会の方では増発に関しては超長期ゾーン、特に流動性がイマイチというか普段の品薄感が強く、たまに売りが出るといきなりゲロゲロになるという30年ゾーンの増発を希望する向きが多い感じが致します。まあそりゃそうだわなという所ですが。

んでまあそれに関する意見が多いので一々引用しませんけど、微妙な意見があったのでちょっと引用。

『・インデックス運用を中心としている当社としては、特定の年限に強い選好があるわけではないが、一部アクティブ運用を手掛ける関係で話題に上るのは、我が国や米国をはじめ各国で財政負担が高まる中で金融政策が出口に向かった場合、財政リスクプレミアムに対するセンシティビティが高まることである。我が国の場合、政権交代に伴う不透明要因も市場では意識されているので、今回の対応の中では長期や超長期ゾーンへの増額は極力避けて、出来る限り5年債以下を対象に振り替えた方が、イールドカーブに影響を与えないのではないか。』

将来財政リスクプレミアムに対する意識が高まる事を懸念するなら、そのプレミアムが拡大する前にとっとと超長期を増発しておいた方が発行コストの削減に寄与するような気がするんですが。まあいいですけどね。

あと、後半の市場環境に関する発言でも見事に「財政規律堅持の姿勢をお願いします」のオンパレードになっているのが誠に素敵な展開でございました(めんどいので一々引用しません)。

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2009/10/28

お題「何せ材料待ちですので待ち時間の雑談は続く」

しかし今回はどうなるのか判らんし、政策が動いても動かなくてもその後の動きがこれまた決め打ちしにくいし・・・・

○相変わらず決定会合に向けてうだうだと雑談

昨日の夜はこういう観測記事が。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009102700913
企業支援措置、縮小で最終調整=物価、3年連続下落の公算−日銀

展望レポートに関しては2011年度のCPI見通しがマイナスというのは市場コンセンサスで、多分マイナスゼロ%台後半辺りに予想があるんじゃネーノと思うのでありまして、そうだったら時間軸の時間が伸びるという話になる筈なのですが、ご案内のように2年は9月には0.20%近辺まで特攻しましたが0.28%だのという水準(昨日の引けは0.275%)にまで上昇したでござるの巻。

まー時間軸が効く話は勿論あるのですけれども、企業特オペ問題の方が何となく重荷になっているという話で、実際に特オペが解除されちゃったら3か月TBが上昇するでしょという(あたくしも申し上げてますけど)話になると、ついこの前まで0.15%がバリバリのビットサイドだった3か月の位置が変化するから後ろもそりゃまあその分上昇しますがなという理屈でレート上昇(ちなみに今は3か月TBは0.15%オファーって感じですな)しましたというのが簡単な後付け講釈。

でもね、もうちょっと突っ込んで考えると、ここもとの動きも微妙にワケワカメな面がございます次第でして、まず何が変かと申しますと、今売買されてる(今日も入札ね)3か月TBってのは当たり前ですが償還が2月の頭とかになっているのでありまして、その時分にはまだ企業金融特別オペそのものは生きている(3月エンドのオペまでは実施がアナウンスされている訳で)のですから、本来的に言えばこの足にそんなに影響するのかよという話がある訳ですな。

まーここもと足元コールやGCが微妙にきつめ推移(GCは昨日の末初の所は13割れていたので低下傾向ですが)してるという要因もあるのかもしれませんけど、それよりは何か「まあ特オペがどうのこうのちゅう話もありますから買いは手控えますか」というような感じで手控えモードになっているんでしょうかねえという感じはします。平準買い以外の人の買いがイマイチみたいですし。

そらまあ6か月だの1年だのが重くなるのは判るのですが、何故か3か月まで重くなるというのは実にアレなお話でして、まー別に誰かが気合入れて売ってるというような話では全くございませんと思われますが、黙っていても毎週5兆7000億円の入札が実施されるという素敵なゾーン(いやまあその分償還もしてますが)でありますので、ちょっと参加者のマインドセットが変わると直ぐに重くなるという事なんでしょうね。将来大丈夫なんでしょうかね。


ところで上記記事から。

『日銀は30日の金融政策決定会合で、企業金融支援のための時限措置を縮小する方向で最終調整する。昨秋のリーマンショックで傷ついた金融市場環境が正常化しつつあるためで、コマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取りは延長せず、12月末での終了を検討する。金融機関に低利で資金供給する「企業金融支援特別オペ(公開市場操作)」の打ち切りも視野に入れる。』(上記時事通信記事から)

・・・・うーむ、この「打ち切りも視野に入れる」という表現が実にこうファジーでして、打ち切るのか打ちきらないのかさっぱり判らないというのが実に素敵な書き方。この時点でこういう書き方になるということは特別オペがどうなるのかはワカランチ会長ということでよろしゅうございますでしょうか>時事通信さま

本件なんですけど、まあ特オペに関しては市場は半身の構え(そもそも解除が今決定されてもオペそのものは年末まで実施するので足元に影響があるのか無いのかも良く判らん。常識的に考えると無い筈なのですが、上記のような心理的な物もありますから)なんでしょうが、まあどっちに転んでもそれなりに反応するんでしょうな。

で、結局議論が煮詰まらずに11月会合まで検討継続という話になるという線もあるでしょう。この場合はまあひたすらモヤモヤとした状態が続くでござるの巻になるのでしょうけれども、最近話題になっているFOMCでの声明文文言変更ネタが11月4日に控えているので、そっちがまた2年あたりから先の金利に影響したりしなかったりするのでしょう(そんなに急いで声明文の文言いじって来るのか疑問はあるのですが)かねえ。

一番訳判らんのは「買入解除だけ決定して特オペ延長するかしないかは継続審議」というような結果が出た時なんですが、一応「包括的に考える」ということですから結果は小出しにはならないとは思うのですけど・・・



ところでちょっと前の記事なんすけどね。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=alZw44amNilE
日銀の企業金融支援特別オペ長期化「モラルハザード生む」−経済学者

ほほーと思って記事読んだのですが、この経済学者様の解釈の部分を読んでおりますと何を仰せになりたいのか頭のよろしくないあたくしと致しましてはさっぱり理解できず、誠に遺憾の限りでございます。

『一方、福田教授は日銀の企業金融支援策について、次のような整理を行った。日銀のオペレーション(公開市場操作)は市場価格で売買するのが原則だが、それでも日銀に売りたいというニーズがある。例えば、今回の金融危機のように、市場が壊れて買い手が付かない場合、日銀が市場から買い入れる。』

?????

『福田教授は「CPや社債の買い入れは、今年年初は日銀のオファー(提示)に対し2倍近く応札が出るなど、金融市場の安定に寄与したが、最近ではほとんど応札もなく、市場も安定しているので、その役割は終えた」と指摘する。』

えーっと、例えばペイオフ制度だの預金保険制度というのは利用は最近ございませんけれども・・・・いやまあどうでも良いです。

『これに対して、「企業金融支援特別オペは特殊な性格がある」と福田教授はいう。「必ずしも市場価格で日銀が購入するものではなく、むしろ、ある意味での補助金付きで日銀が金融機関から購入するというものだ。金融機関にとっては、常に売れるものなら売りたいという性質のものでもある」。』

購入????

『CPは過去3回の応札がゼロ、社債も直近の応札は15分の1にとどまったが、特別オペの残高は高水準を維持している。福田教授は「出口戦略を考える場合、CPや社債はある意味で分かりやすく、売り手がなくなってきたら必要ないと判断できる。しかし、特別オペには本来必要ない場合でも常に需要が残るので、あまり長く続けると、ある種のモラルハザードのコストが大きくなる」と指摘する。』

本来必要ないのに需要が残るとは意味が良く判らないのですが????

『一方、東大大学院の柳川範之准教授は同じ討論会で、異なる視点から日銀の企業金融支援策を分析した。まず、「日銀が金融危機後にやってきた緊急対策には、大きく分けて2つの目的があった」と指摘。1つは資金繰り不安、あるいは流動性のひっ迫への対応。もう1つは緊急景気対策という意味合いであり、「この両方が混在する形で行われた。特別オペもその典型」という。 』

緊急景気対策????

いや別に煽りでも嫌味でもなく、この記事で説明されている説明が何が何やら真面目に判らんのですが、もしかしたらリアルでこの説明を聞きに行ったらもうちょっとここの行間を埋める話があって判るのかもしれない(あたくし現場労務者でございますので場中にこういうイベントに出席するほどの暇はございません)のですが、何となく何を言っているのか判らん事も無い部分も勿論あるのでございますが、微妙に説明が変な気がします。

などと無知蒙昧のあたくしが大先生様にいちゃもん付けるとは無茶にも程が
ありますかそうですか(滝汗)。


○その他まあ少々余談

・新日銀ネットの構築について

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/set0910b.htm
説明文はこちら
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/data/set0910b.pdf

さすがに日銀ネットがどうのこうのという話になるとあたくしもよー判らん(あたくしフロントとバックで使った事あるの国債系だけですし)のでまーアレなのですが、決済期間の短縮化だの約定処理のSTP化だのという話になってきますと、ある程度の知見はもっておくべきものであると思いますので、色々と勉強したいと存じます。


・法則キタコレ

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091026AS1K2600326102009.html
昨日の日経様の社説で長期金利上昇ネタ

・・・・早速法則発動で、昨日は取引時間中先物が下がっても延々と10年1.40%が壁(引け後に下がってたみたいですが)でござるの巻であったようですし、おまけに今朝は米国債が反発して戻ってくるとは法則恐るべし。


・んでもって2年と3か月TBのダブル入札

短期ゾーン担当の皆さまお疲れ様ですという感じですが、微妙に注目の短いゾーンですので、入札結果もさることながらセカンダリーで盛り上がるのか盛り下がるのかがポイントじゃないかと思います。まあそんなに変ちくりんな話にはならないと思いますが。

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2009/10/27

○いやまあ中短期の吸収余地があるのは判りますが

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c211023.htm

どうでも良い話だが、何故かあたくしの環境でみると最後の方の表示が切れてしまう(2番の途中から、F5攻撃しても変化なし)のですが、ソースをみるとちゃんと最後まで拾っている(つまり表示されてないだけ)ので、IE7(OSはVISTA)との相性なのか、単にあたくしのブラウザーが良くないのか良く判らないのですが不思議ちゃんです(IE6だと普通に読める)。

それはそれとして、今回は個人向け国債とか物価連動国債とか変動利付国債とかの振替発行の2.6兆円をどうしますかという話をしているのですが、まあその2.6兆円の話よりも実際には今後増発がどうしたこうしたと言われている中で、どの辺りの年限を増発するのかという事を展望して吸収余地がどの年限にどのくらいありますのという事なんでしょ。と思いますが。

んでもって、「増発余地は中短期」が多かったのは予想通りで、代表的と思われるのはこの辺ね。

『個人向け国債等の振り替えに関しては、日銀の金融政策のサポートがある短期ゾーンで振り替えればよい。具体的な上乗せ額は1年T-Billと2年債をそれぞれ月2,000億円増額し5回、5年債を月1,000億円増額し3回と考えている。』

まあ現下の環境はそうなんですけど、ついこの前量的緩和解除とか金利引き上げとかやってた時には中短期がもう買えません状態というような話をPD懇でやっていた事を鑑みると、万年デフレで一生金利が上がらないというのなら別ですが、1年や2年ぽっちで借換が来た時にマズーになってたらどうするんのという気はするんですが。

と申しますか、3か月TBだって週5.7兆とかお洒落な発行をされていますが、あれだって政策金利が動くよってえ話になってきたら入札の度にダダ流れになっても何らおかしく無い訳で、随分前にもご紹介した平成16年に行われた財務省実施の「日本経済の将来ビジョンを語る懇談会(第十回)」における池尾先生が指摘した、

『換言すると、日銀が量的緩和政策を続けざるを得ない経済情勢が続くことが、財政の安定が維持できる条件になってしまっているともいえる。そうした経済情勢とはデフレの持続にほかならず、デフレの脱却による日銀の政策スタンスの変更が財政危機の顕在化につながりかねない状況と言える。』(これは平成16年6月1日の「日本経済の将来ビジョンを語る懇談会(第十回)」議事要旨による池尾先生の発言http://www.mof.go.jp/singikai/vision/gijiyosi/a160601.htmからです)

ってえ点を改めて指摘しているっちゅう感じがしてどうも何だかねという感じもするのでありまして。


今回はまあ中短期の吸収余地の話が多かったですが、何気に超長期だの流動性供給入札だの、もうちょっと長い年限で発行した方がいいんじゃネーノという話もあって、まーさすがにここでの中短期シフト(ったって別に全体から見た時に凄いシフトな訳ではないですが)もどうよというイメージなのは激しく同意です。

しかしさっきの意見もそうですが、日銀の金融政策のサポートがどうのこうのという指摘は別の人もしっかり行っていまして、まー国債増発と絡めて企業金融特別オペがどうのこうのと言われましても日銀的には困るでしょうけれども、現実問題として「ターム物金利を低位安定させる効果がある」というような議論が決定会合で行われているという状況もありますので、そーなってきますと逆にそんな話しなきゃ良かったですねえ(棒読み)という感も致しますです、はい。

『(引用者追記:意見の前半では中短期と流動性供給入札増加という話をしています)一方、流動性供給入札の増額ではなく、短期ゾーンにもう少し集中的に増額するという考え方もあり、1年T-Billと2年債を月2,000億円ずつ増額した上で、来年の2、3月には、6ヶ月T-Billを3〜4兆円発行する方法も考えられる。しかし、日本銀行の金融政策について、今後も企業金融支援特別オペを継続するかどうかへの懸念から、足元では短期マーケットもやや不安定な状態にあり、万一、短期、中期のところの需給が崩れると、イールドカーブ全体が上方にシフトするというリスクもあるため、バランスよく配分した方がよいのではないか。』

これは激しく同意しつつ、日銀ちゃん特オペどうすんのという感じっすな(ニヤニヤ)。


で、後半の『(2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて』ではもう「現政権におかれましては財政規律堅持の姿勢をお願いしたい」の連発でありまして(まあ当たり前ですが)、そうは言っても現政権がアレな状態である事からしますと、目先は財務省の今や芸術の域とも言える国債管理政策に益々負担が掛かりますなあという感がするのであります。(冒頭に述べた理由により引用はしません)


○で、今週の決定会合は難しいですな

週末は決定会合。今回は展望レポートの回なので1日会合なのですが、俄かに浮上しやがった企業金融支援臨時措置解除問題のせいでネタが倍になってしまうでござるの巻でして、そもそも1日会合で間に合うのかという説もありますがまあそれは兎も角。

あたくし的べき論で申し上げれば、企業金融支援の臨時措置に関しては別に今慌てて解除する話では無いですし、そもそもこんなに大騒ぎして解除騒動をするほどのものでも無し(もっとこっそりフェードアウトする方法があったと思う)とは思います。それから特オペに関しては「中小企業金融への染み出し効果」というような話までしちまった以上は、期末越えのサポートまでは最低でも実施した方が無駄な軋轢生まないと思うのですが、まあ以下の話はそれはそれという事で市場的雑談を。

CP、社債の買入解除に関してはまあCPに関して言えば(社債に関しては本当にどっちでも良いかというと怪しさ爆発なのですが)別にどうでも良いでしょという感じで、そっちはあまり気になっていないというのがコンセンサスっぽいのですが、問題は特別オペがどうなるか。で、今回難しいわと思うのは、そもそもマーケットがどこからどこまで織り込んでいるのかさっぱり判らない所であります(涙)。何せ色んな人にアホのように聞いて回って(何度も同じ質問をして回っているオトモダチの皆さんどうもすいません)いるのですが、これがまた皆さん「予想はあるがコンセンサスの位置は判らん」という話になってしまうのよ。

まー今回に関しては、そもそも特オペが12月まで実施確定で、3月エンドのオペまでの実施日程が公表されているので、オペ終了となってもいきなりオペが無くなる訳ではないので、織り込むにしてもどこをどう織り込んで良いのかというのもありますので、なおのこと(参加者個々人の見通しはあっても)市場コンセンサスがどこにあるのか判らんという感じでしょうか(^^)。

市場コンセンサスがどうでも良いっちゃあ良いのですが、何せポジションをどうしますかという話になりますと、政策の予想を当ててもポジションがフェーバーにならないと意味が1ミリも無い訳でありまして、そーなりますとやはり「市場コンセンサスはどこで今の相場はどこまで織り込んでいるのですか」というのが気になるのであります。

・・・・・やはりさっぱり判らんです。正直言って「特オペ解除」+「時間軸をやたら強化してオペ打ちまくり」のコンボを実施したら下手したら金利下がるんじゃないか(特オペそのものは3月エンド物まで生きているのだから)という気がしないでも無いですが、日銀クオリティを考えると特オペ解除をした分でそんなに威勢よく共通担保オペ打つのかいな(代替するのであれば、特オペの規模を大きく超える共通担保を打つ必要があると思う)という疑問もありまして、結局「出てこないと判らん」状態なのが実に困ったちゃん。


と、ここまで書いて、結局結論が無い事に気がついて正直スマンカッタのであるが、まあ要するに今回の決定会合は色々な意味で決め打ちできませんわという所であります。展望レポートがどう見ても下方修正含みって報道が続いてますが、展望が下方修正なのに臨時措置解除ってのも政策の整合性(以下同じ悪態)。

ま、日銀の臨時措置関連と、政府の予算関連はどうも不透明としか言い様が無いので、その不透明感が債券買い手控えの良い言い訳になってますなという現状認識をしてますので、どういう形で透明になってくるのか注目ですな、と最後までフニャフニャした話をするあたくしでありました。

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2009/10/26

○BOEの議事要旨(10月)から少々

http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2009/mpc0910.pdf

英国債市場は議事要旨を受けて「資産買入プログラムの拡大が無かった」という話で債券が売られたという相場講釈を聞いたのですけれども、あたくしとしては量的緩和政策の効果について話をしている部分が気になったのです。

まずは第11パラグラフから。

『Adjusted M4 growth was weak compared with its average of the past decade. Although the counterfactual was hard to identify, the strength of broad money growth relative to nominal GDP was consistent with there having been a boost to M4 growth from the asset purchase programme.』

ということで、資産買入プログラムによってM4がより拡大したという話をしています。

『The sectoral M4 data provided some evidence on the extent to which money, which had been created by the programme, had begun to flow through from institutional investors to the non-financial sector.』

んでまあ金融政策に関する議論の頭の23パラグラフでもその効果が具体的にどこに出たとかいう話を。

『The Committee reviewed the impact of the asset purchase programme on financial markets.』

ということで。

『The spread between gilt yields and OIS rates had fallen substantially since March. Over that period, there had been significant reductions in sterling Libor rates and sharp rises in a number of sterling asset prices, including those of equities and corporate bonds, and liquidity conditions in many financial markets were considerably improved compared with six months earlier.』

という現象があった訳でしたが。

『It was probable that the asset purchase programme had contributed to these developments, although it was unlikely to have been the only factor.』

前の方でも微妙な言い方してますが、一応資産購入プログラムの効果に関しては「きっちりと確定的な因果関係ってのは微妙だけど、マネー経由で効果がありました」という話をしているんですな。ただしその量との関連については言及を避けるという感じっすかね。

『Earlier cuts in Bank Rate, official sector intervention to stabilise the banking system, improvements in the global economy and the recovery in confidence since the panic of autumn 2008 had also probably played a part.』

そらそうですな。

『The rate of adjusted M4 growth relative to nominal GDP was consistent too with money growth having been boosted by the asset purchase programme, although monetary data were volatile and not straightforward to interpret.』

定量的な話は微妙みたいですが、定性的には効いているちゅうことでしょう。

『Overall, the evidence suggested that the effect on asset prices had been of the type that the Committee had anticipated when it launched the programme and had been substantial.』

とまとめています。

ちなみに今回の会合では景気に関しては状況改善という話をしてて、物価に関してはややボラタイルながらも中期的なインフレはまだ安定しているという話。企業金融やら銀行のバランスシート調整などの金融面やバランスシート調整に関しては依然として厳しいですってえ感じだと読みました。

んでまあ英国債を下げた最後のパラグラフ。

『There were differences of view among members of the Committee on the balance of risks to the medium-term outlook for inflation, and how it had shifted in recent months.』

中期的なリスクバランスへの意見が分かれますか。

『All Committee members, however, agreed that recent developments were not sufficiently compelling to justify revising the target level of asset purchases that had been agreed at the August meeting or to change the level of Bank Rate at this meeting.』

『The forecast round ahead of the November Inflation Report would provide an opportunity to assess more fully how the medium-term outlook for activity and inflation had evolved since August.』

だそうなんですが、7月のMPCではこんな話になってましたわな。

『There had not been enough clear evidence to suggest that the £125 billion target should be changed at this meeting. In the short term therefore, asset purchases would continue over the month ahead as they were still short of the target level of £125 billion.』

『The Committee would keep the scale of the programme under review, and the preparation of the August Inflation Report offered an opportunity to reassess the stock of asset purchases in the light of a fully updated assessment of the outlook for inflation and growth at its next meeting.』(以上7月の議事要旨から)

まあ7月の時も「判断は次ですよ」と言っておいて一旦市場を失望させておいて8月にちゃっかり買入拡大したという実績もあるので、別に来月になったらあっさり買入継続とか下手したら拡大とかしてもおかしくはないと思うのですが、前回と違って今回のまとめは「8月からの改善度合いを点検する」ってニュアンスになっているので、その辺りはBOEを年がら年中見てる訳ではないのでニュアンスとしてどーなのかは専門家の人に聞かないと判らんです。

ということで後半はどっちかというとおまけでして、前半の資産買入プログラムの効果に関する議論を「ほほー」と思いながら読むのでありました。

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2009/10/23

○西村副総裁会見から

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0910c.pdf

昨日ご紹介した西村副総裁講演と基本的な流れは同じでして、「展望レポートでの先行き見通しは下振れ警戒しつつ、企業金融臨時措置は解除しましょう」ってえのが基本になってますわな。

でですね、それって政策の整合性ってどうなのというのは連日申し上げているので繰り返しませんけど、どうも上記の一連の流れっていうのは、「企業金融関連の臨時措置は解除(または手直し)する」「そうなった場合のマーケットインパクトを軽減しないといけませんね」「じゃあ展望レポートで時間軸を強化しましょう」っていうような感じがヒシヒシと伝わって来る次第。いやまあマーケット的にはその理屈も判らんでも無いのですが、やはり政策としての一貫性という意味ではアクセルとブレーキを両方踏むような話だと思うのですよね。

下振れリスクがあるんなら別に今ここで解除せんでも良いのにと思うのですけど、まあ同じ話ばっかしてもアレですので、以下会見引用ちゅうことで(^^)。


・セーフティーネットの弊害ですかそうですか

『(問) 臨時措置の効果とその必要性に関してお伺いします。9月1日に公表された西村副総裁のブエノスアイレスにおける講演の中で、セーフティーネットについて、改善していることだけをもって臨時措置をやめることについては慎重なコメントをされていました。(途中割愛)このところ間接金融、直接金融ともに改善しているとみられる中で、セーフティーネットからみた各種措置の必要性について現状ではどうお考えなのでしょうか。』

答えがやたら長いので途中から。

『(答)(前半割愛)したがって、ブエノスアイレスの講演でも申し上げましたように、そのスキームというのは確かに効果を持っており、そして、その結果、確かに使われなくなってきました。使われなくなってきたというのは効果があったからです。セーフティーネットが使われないからと言って効果がないと断定するのは適切ではないということになります。』

という話ですが、この先から話の筋がこの前としらっと変化するのだ。

『それと同時に、私もブエノスアイレス講演の中の「4つの基本的な考え方」という箇所で説明しましたが、この異例の措置は、やはり色々な意味でミクロの資源配分への介入になります。かつ、リスク資産の買取り等では中央銀行自らをリスクに晒すことになります。そして市場に対してある種の歪み──これはある程度は意図したというか、予想された歪みですが──をもたらすことになります。』

ふむふむ。

『そしてセーフティーネットがずっと存在すると言うことは、これは明らかに、モラルハザードの問題が生じます。こういった点も含めて全体を勘案して現在はどういう状況にあるかということを見なければいけないのです。』

あらま。

『したがって、先ほど申し上げましたように、1つの市場だけを見ることではいけない、全体を見なくてはいけない、ということです。まさに今はその全体を見る状況だろうと思います。そういう中で、今後この時限措置、主なものは3つの時限措置ですが、その1つ1つを個別に見るのではなく全体として包括的に判断していくというのが一番望ましいだろうと思っています。市場機能の改善の度合い、それから市場参加者の過度の不安心理が十分に解消したか、これからもう一度頭をもたげる可能性があるのかということを考えながら、適切に取りまとめて判断するということが望ましいと考えています。』

どう見てもセットでやる気満々です本当にありがとうございました。


・特別オペをピンポイントで聞く人まで出てきます(^^)

特オペについてピンポイントで質問してきた人まで登場しまして、そちらに対する答がまた微妙にアレでして。

『(答) 企業金融支援特別オペの基本を確認しますと、これは、固定金利で、担保の範囲内で金額無制限に資金供給をするということです。これを通じて、金融機関の資金調達を支援して、金融市場の安定を確保するという点で非常に大きな効果を発揮したと思っています。それと同時に、担保を企業債務に限定しているということで、これは間接的効果ですが、企業金融への支援の効果も相当あったと考えられます。』

何かこの話だと企業金融支援よりも金利固定とか資金の潤沢供給がメインであるかのような話で、企業金融支援のトーンを下げている所が微妙に???なのですが、この施策を導入した時はどういう理屈でしたっけと思って過去の公表文書を見ますとこれがまた何というか微妙なのです。

昨年12月2日の公表文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812b.pdf

『民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫として、「共通担保として差入れられている民間企業債務の担保価額の範囲内で、金額に制限を設けずに、無担保コールレートの誘導目標と同水準の金利で、年度末越え資金を供給するオペレーション」(別紙2)を導入する。』

昨年12月19日の公表文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081219.pdf

『2.企業金融の円滑化に向けた措置
(1)企業金融支援特別オペレーションの決定(全員一致(注1))
12 月2日の金融政策決定会合で導入することとした「民間企業債務を活用した新たなオペレーション」について、「企業金融支援特別オペレーション基本要領」等を決定した。同オペレーションは、来年1月8日より実施する(別添)。』

・・・・なるほど。具体的な施策の名前は「企業金融オペ」でCP買入(この時は買入の方は詳細まではまだでした)とセットで実施したのですが、そもそもその前に導入を決定した時はあくまでも「資金供給手段の新しい工夫」だったですわ。で、今になって12月2日の理屈が蘇ってくるというのが日銀恐るべしという所でありまして、色々な筋を使った理屈を埋め込んでいるんですなあと変な所で感心してしまいましたです(−−)。

ということで、どさくさに紛れて徐々に「企業金融支援」よりも「資金供給の新たな工夫による臨時措置」という話に持っていくという驚倒すべき日銀的な「別の理屈がしらっと登場」により続く説明も何となくそんな流れになるのです。

『この特別オペの取扱いを検討していく際に重要な点は、過度の不安感が十分に解消したのか、再び頭をもたげることがないのかという点と、金融市場の分断、それによる価格形成の歪みの有無、価格の情報としての機能が十分に回復しているかどうかの2点です。』

どう見ても市場価格しか注目してません本当に(ry

『そうした2点から考えると、企業金融支援というのは、最初の時点では過度の不安解消ということに対して確かに非常に強かったと思いますし、それは、現在のところはかなり解消したという状況――これは一部を除いてということですが――であると思います。それから、企業金融の状況の改善という点ではかなりの大きな改善があったと思います。』

ちょっと前までは「CP市場などでの短国CP逆転などはあるけど、局地的な動きだけフォーカスして解除議論をするのはイクナイ」って話をしていたというのにこの見事な攻撃はさすがです。

『ただし、これが今後も十分に維持できるかという重要な点を考えていかなくてはいけません。それを考えるためのポイントとしては、先ほど申し上げましたとおり、単純に一つの企業金融の市場をみるのではなくて、企業金融全般をみていく、そして間接金融への染み出しについてもみていかなくてはなりません。』

その前の話で散々金融市場の改善を強調しているのですが・・・いやまあいいです。

『そういう意味で考えていくならば、やはり、しっかりと現在の状況を把握し、将来どういう状況になっていくかということについての予想を立てながら判断していくということになります。また、これは他の手段等とのセットとして考えてきたわけですから、当然、包括的に取りまとめて次回の決定会合以降に判断をすると考えて頂いて結構です。』

つまり次回会合は展望レポートに加えて臨時措置がどうのこうのという議論を1日で行いますという事のようですが、大引けに間に合わないんじゃネーノという感じでございますな。いやまあきっちり議論して頂きたいので別に間に合わなくても良いですけど(^^)。


・でもって景気認識は「バンピーロード」とな

昨日は講演の引用で景気認識の方を散々引用しましたので、まあそっちの引用はちょっとにしますが、キャッチーな言葉があったのでその辺を引用します。国内の景気二番底懸念に対する質問がありまして、それに対する西村さんのお答え。

『「二番底」という言葉が適当か、適当でないかという論点もありますが、日本だけではなく、世界全体を見渡してみましても、各国の政策担当者、特に中央銀行には、今後自らが進む道は平坦な道ではない、つまり「でこぼこ道(バンピーロード)」であるということに関して、ほぼ共通な理解があると言っていいと思います。』

これはまたキャッチーなお言葉(^^)。

『そういう意味で、ご指摘になったように、今の政策効果がどういうかたちで持続していくのか、あるいは剥げ落ちていくのか、それから他の政策効果が効いてくる、例えばアメリカの場合であれば公共事業が効いてくる、日本の場合であれば消費者に対する新しい対応が効いてくる、そういったものが複雑に絡み合うわけです。そういう点から考えれば、私どもが見通している回復そのものも、かなり「でこぼこな回復」という形になると思います。』

そういえば白川総裁は「偽りの夜明け」と仰っていましたなあ(遠い目)。

『ただ、少なくとも各国政府は、景気回復が確実となるまで現在の緩和・拡張的な政策を続けていくというコミットメントをしているのですから、そういう意味で大きな「二番底」は考え難いとみた方がいいだろうと思います。しかし、回復の道が決して平坦ではなくて、かつ時間がかかり、そしてなかなか厳しいものになるということについては、世界がそうなるとすれば、やはり世界との相関がだんだん高くなってきている日本においても同じようなことになる可能性は高いのだろうと思います。』

ということでこちらでも何となく時間軸を強調するでござるの巻。

『重要な点は、「バンピーロードであるから放っておいていい」という話ではなくて、「此処其処に対して適切なマクロ財政・金融政策を世界で考えていく」ということが一番肝要な点だと思っています。』

だからバンピーロードをこれから走るのに何でサスペンション(なのかバンパーなのか判りませんが^^)を外そうという話が出てくるかと小一時間問い詰めたいのですが・・・・・


○まあそりゃ金利上がると金利市場的には結構な話なんですけど・・・・

とまあここもとしつこくこのネタに絡んでいる粘着質のあたくしでございますが、いやまあ市場の上がりでメシの種を頂いておりますあたくしと致しましては、そりゃまあ金利が上がった方がオイチイ(特別オペを外したらそれなりに金利は上昇すると思います。上昇しなかったら全俺が泣くが^^)ですけど、そう話は簡単じゃないっしょって事なんですな。

#市場の人的には今更の話ですが、「金利が上昇」→「債券価格下落」→「保有債券が損失」だから債券の投資家は金利上昇で困るって解説をよく見るんですが、そりゃまあ短期的にはロングの分が時価的にやられるという話なので困るには困りますが、それよりも金利上昇によって(債券は償還や利払いによって自動的に再投資の金が入って来るのが株と違う所)より長い目で見ればポートの利回りが上昇して、その分参加者全体の実入りが増えるのでして、金利急上昇とかいう事でなければ基本的に金利上がっても困らんのです。と一般の人向けに一言

つまりですな、このバンピーロード中かつ政府が中小企業金融支援とか言ってるという状況の元で、(実際問題として本当に中小企業金融支援にどの程度の効果があるかは兎も角として)企業金融支援と銘打った臨時措置の解除を行うとなりますと、今後景気が失速した場合に今度は(市場でメシの種を頂いてる人的には)恐怖のゼロ金利政策とかいう話になってしまう訳でして(−−)、目先オイチイ話でもその後倍返しを食らったら1ミリも意味が無いのですわな。

と思いますので、まあ判断は慎重にして頂きたいと切にお願いしたい次第なのでありますけど、執行部の爆走はノンストップのように見えるのでして、あのーこの先はバンピーロードなんですけど徐行運転しないんっすか??って感じっす。


などとつらつら書いておりまして今更気がつきましたが、政策の整合性という意味ではFRBも大概にワケワカメなのでありまして(^^)、やはり見せ方というか狸成分というか、まあそーゆー物も大事な話ですなあなどと思ってしまうあたくしなのでありました(苦笑)。


○これはこれは

昨日の東京新聞サイトでは債券市場に関してこんな話題が。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009102201000676.html
長期金利が上昇傾向 国債増発懸念、政権不信も
2009年10月22日 18時15分

『長期金利が上昇傾向となっている。22日の国債市場で指標の新発10年債価格が下落し利回りは一時、1・365%に上昇、約2カ月ぶりの高水準となった。鳩山政権がマニフェスト(政権公約)実現の財源として、赤字国債を増発するとの懸念が根強いためだ。郵政民営化の見直しを契機に、鳩山政権の財政運営にまで不信感が広がったことも影響した。』

・・・・・ニヤニヤ。

この政権って結構色んな所の反応を気にするのが仕様みたいで、まー良く発言が二転三転七転八倒するという仕様(バグではありません^^)ですから、長期金利上昇がこーゆーコンテクストで語られだしますと、今度は急に市場の反応を気にして国債発行額に関してまた別の話をおっぱじめるに100ルピア。

#で、今日はPD懇談会ですな

まー政権不信っつーか、元々民主党政権になるのは選挙前から市場は織り込んでましたけど、最初のうちは「民主党になったら公約がバラマキちっくだから財政懸念とか出るでしょ」というイメージだったのが、選挙が近付くに連れて民主党の偉い人たちが「財政健全化への姿勢を堅持する」っていう話をしだしたので、「じゃあそんなに懸念する事もないでしょ」となったのがこれまでの流れで、最近は「何だやっぱり・・・・」という事になっているちゅー所かなあと思うのと、まあ確かに言ってることがコロコロ変わるので、その分リスクプレミアムが乗りますよってえ話も勿論あるので、その分が加わってるって話なんじゃネーノっていう所でしょうか。よー知らんが。

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2009/10/22

○西村副総裁講演ですが

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko0910b.pdf

基本的に「景気に対する下振れリスクが依然として残る」というのと「企業金融特別措置は一気にやるかどうかはともかく解除の方向」という話でありまして、何気に西村副総裁の講演は長い(つーか最近の講演は皆さん長いのが仕様)ので、早足で引用するのだ。

・景気に関して

国内景気の先行き見通しについて。

『景気の先行きは、当面は世界経済の動向に大きく依存する展開となりますが、先ほど申し上げました通り、これについては緩やかながらも持ち直していくと考えています。』

『もっとも、景気見通しを巡る不確実性は、依然高いとみています。最大のリスク要因は、やはり世界経済の動向です。これには、先に申し上げた通り、上下両方向のリスクが存在します。また、国内固有のリスク要因としては、国内外で従来と比べ成長率が低下する下で、企業の中長期的な成長期待が下振れるリスクが存在します。』

『このように景気の先行きを巡っては、上下双方に様々なリスク要因が存在しますが、リスク要因全体でみますと、現時点ではなお下振れリスクの方が高い状況が続いているのではないかと判断しています。いずれにしましても、こうした様々なリスク要因に十分注意しながら、引き続き、経済情勢を丹念に点検していく所存です。』

昨日(やっと)引用致しました先週水曜の白川総裁定例記者会見でも指摘している質問者がいましたが、先日の総裁もそうですが、西村副総裁の今回の講演でも、景気に関するコメントとしては「改善方向だけど下振れリスク警戒」の「下振れリスク」の方をやや強調気味になっている感じはします。で、物価の見通しに関してはまあ先行き厳しいでしょという話になる訳で、物価に関する部分を引用。


・物価に関して

消費者物価の先行き見通しに関して。

『消費者物価前年比の先行きについて展望しますと、石油製品価格高騰の反動の影響が薄れていくとともに、景気の持ち直しにより経済の需給バランスが改善していく中で、下落幅は縮小していくと考えられます。もっとも、昨年秋以降の急激な景気の落ち込みを反映して、需給バランスは大きく緩んだと考えられ、その改善テンポは緩慢とみられるため、前年比でみた物価下落が相応の期間続く可能性が高い状況にあります。』

『このような消費者物価の下落傾向は、実は日本だけでなく米国をはじめ主要先進国で広範にみられる現象です。これらの国の多くでは、経済を襲った負の需要ショックが余りに大きかったため、今後景気は持ち直していくものの、物価が望ましいと考えられる上昇率に復するまで、かなり時間を要する姿が予想されています。』

ということで、こちらに関してはダメダメ感の強いお話ですが、これがまたチャーミングな事に、デフレとデフレスパイラルを分けて理解をするという最近良く出てくる説明がその後に続くのでした。


・デフレとデフレスパイラルって話ですかねえ

んでまあデフレという話が出てますが・・・・という所から例の説明になってくるのでありまする。

『重要なのは、こうした特定の「デフレ」の定義に基づいた議論ではなく、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長に復する展望が拓けるか否かという点です。その観点から、物価下落が起点となって景気悪化をもたらすことのないようにすることが大事であると考えています。そのためには、以下の2点が重要であると思われます。』

これはまあ白川総裁なども言及してますし、確かにまあ物価低迷下での景気拡大局面という場面も過去にあったっすなあというのもありますので、まーこーゆー説明が出てくるってえ話になると思うのですけど、やはり微妙な気がするというか、日銀はそんなに物価上昇お嫌いなの?というツッコミを食らいそうな説明だと思うのれす。現実問題としてじゃあどこまで中央銀行単独で出来るのかという話になってくるとこれまた難しい問題になりそうなので、頭の悪いあたくしは勉強しないとお話は出来ないのですけど(涙)。

『第1には、金融システムの安定が維持されていることです。』
『第2には、中長期的な物価上昇率の予想が、足下の物価上昇率の推移に引き摺られて下落することなく、安定していることです。』

という話は既に白川総裁などもしていますので内容割愛。

『こうした観点から、最近のわが国の物価動向を巡る状況を評価しますと、まず、わが国の金融システムについては、これまでのところ欧米諸国と比べて不良債権など自国に由来するストレスは小さいとみられます。また、中長期的な物価上昇率の予想についても、サーベイ調査や市場のデータから推測する限り、これまでのところ大きな変調を来たしているとは考えられません。』

というのがメインシナリオですけど。

『もっとも、世界経済がバランスシート調整の途上にある下では、これに起因する金融システム面でのリスクはなかなか払拭しきれるものではありません。また、物価の下落が相応の期間続くことが見込まれる状況では、中長期的な物価上昇率の予想が、物価上昇率の実績に引き摺られて大きく下振れる脆弱性リスクを抱えていることとなります。これらの下振れリスクに十分に留意して、今後とも物価動向を注視していく所存です。』

ということで、下ぶれるに「大きく」までおまけがつくという次第ですので、物価警戒モードにはなっているというのがアピールされていますわな。



・という訳で緩和的政策の継続という話に

金融政策の出口政策に関する話をしていますが、そちらでは緩和的な金融政策の継続の話が出ています。

『この点、先月のG20 財務大臣・中央銀行総裁会議では、次の通り確認されました。すなわち、出口戦略については、「国や政策手段によって時期や順序は異なるが」、「景気回復が確実になるまで、必要な金融支援や拡張的な財政・金融政策の実施を継続する」というものです。こうした考え方は、先日のG7でも改めて共有されました。』

『実際、欧米において様々な調整が進捗するには、なおかなりの時間を要すると考えられ、その間は、拡張的なマクロ経済政策により経済の下支えを続けていく必要があります。わが国経済も、ようやく持ち直しの緒についたばかりであり、金融政策運営面では、持続的成長経路への復帰を支援するため、緩和的な金融環境を粘り強く確保することが重要であると考えています。』


・・・・とまあそういう感じでして、実は景気の所とか物価の所とかでの話になると「低金利継続」へのアピールはきっちりしているのですけれども、まあ当然ながらニュース的にオイシイのは金融政策の変更に関わる部分でして、企業金融オペの解除に掛かる部分の報道が多いのは当然。


・どう見ても次回会合解除やる気満々です本当にありがとうございました

企業金融環境に関する話の部分とかがこれまた長いのですが、引用してるとキリが無いし、まあ白川総裁の会見やら金融経済月報でも示されているのでその辺の引用を全部割愛しちゃいまして(手抜き)、結論の所だけ。

『一方、昨年秋のリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけとする「市場参加者の過度の不安心理」や「市場機能の急激な低下」などの急性症状に対応して導入した緊急手段の取り扱いは、只今申し述べたようなマクロ経済政策の出口とは異なる問題であり、過度の不安心理の解消度合い、市場機能の回復度合いなどに応じて見直していくことが適当であると考えられています。実際、米国では、Fed による長期国債の買入れやTAF(Term Auction Facility)と呼ばれる期間の長い資金供給オペなどいくつかの措置について、既に停止あるいは縮小の方針が打ち出されています。』

『私どもの各種の時限措置の取り扱いについても、それぞれの効果や必要性をできるだけ包括的に点検した上で、次回金融政策決定会合以降の適切なタイミングでとりまとめて判断してまいりたいと考えています。』

もうね、こーゆー時だけサクサクと他国の話を持ってくるのが(緩和の時は協調緩和とか言わないのに)日銀クオリティだと思うのですけど、まーこのトーンは普通に次回会合での解除やる気満々という話になるのですが、本当に全ての審議委員がその線でまとまっているのかも怪しいですし、大体からして展望レポートで厳しい話を出すなかでの整合性はどうよというのもありますし、どっからどこまで解除するのかしないのかとか、さっぱり判らん部分も多いのですが、とりあえず執行部様に置かれましてはやる気満々というのだけは把握しました(というかニュースもその方向で報道されてましたけど)。


○つまり臨時措置解除に時間軸の確認をセットにしたいのでしょうけれども・・・・

以下あたくしのまとまって無い妄想モード。

西村さんの講演をざざーっと読みますと、トーンとしては景気認識や物価認識、特に物価に関する警戒モードになっている中で企業金融措置の解除見直しに積極的という話になっておりまして、これをセットとして考えると、臨時措置を解除しながら時間軸については堅持し、時間軸が揺らがないように注意する。という話で持っていこうとしているのは把握しました。

ただね、そう世の中上手くいくかというと、これまた昨日も申し上げたと思いますが、今回の解除騒動がどう見ても総裁主導で唐突に出てきたものでして、そーゆー点では市場的には「やっぱり白川さんも隙あらば正常化路線」という認識を与えてしまったように思える訳でして、ちょっとでも経済指標(たぶん物価とかそうじゃなかったら株価)が改善してくると時間軸があっさり揺らぐという感じになるんじゃないのかという気がします。

だからと言ってまた前のようなコミットメントをするのかと考えると、まあドタ勘的には白川さんはそういうのやらなさそうな感じですし、目先は展望レポートの物価見通しとセットで(というのも政策の整合性上如何なものかって思いますがそこは一応オミットして)時間軸を確認しつつ臨時措置の解除という市場的には訳判りますが、常識的に考えると微妙なバーターみたいは話で乗り切るんでしょうけど、その先ではまた色々と波乱になりそうな悪寒もするのであります。

というこのネタはもっと掘っていかないといけない話なので、今日はメモだけ。

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2009/10/20

○9月会合議事要旨、企業金融環境の改善に関して

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g090917.pdf

当然ながら今の注目は企業金融支援策の帰趨になりますので、金融環境に関する議論の部分がニュースネタにもなるという事で、そっちのヘッドラインが踊りまして、益々企業金融支援策の今月末決定会合での見直し(というか買入の解除とか)への雰囲気が高まるでござるの巻という感じでしょうか。

ということでそっちの辺りから。

『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の後半が『2.金融面の動向』でございますが。

『わが国の金融環境について、委員は、厳しさを残しつつも、改善の動きが拡がっているとの認識を共有した。』

まあ確かに(後で出てきますが)社債市場とかでもスプレッドが全般縮小というような感じで9月の辺りまでは進んでましたけど、直近で言えば必ずしも何でもかんでもスプレッド縮小という感じかというと、ど〜も弱い所は弱くなるって感じも見受けられる気がする(特にどこぞの消費者金融さんがADRとか言い出したのは影響してると思うのだが)のですけど。まあ業績的やネーム的に買いやすいものは相変わらずスプレッド堅調なんで、市場による信用力による選別機能がワークしてるという話だと言ってしまえばそれまでかも知れませんけど・・・・・ナンカドウモネ

んでその内訳。

『CPの発行環境について、多くの委員は、A−2格の発行スプレッドがリーマン破綻前と遜色ない水準まで低下しているほか、発行残高も昨年末以降大きく増加していることを踏まえると、下位格付先の発行環境も改善していると述べた。ある委員は、CP市場では、高格付けCPの発行レートが短国レートを下回る官民逆転現象など、引き続き、政策効果に行き過ぎの面がみられていると付け加えた。』

まあそれはそうですにゃ。

『社債の発行環境について、多くの委員は、下位格付先は依然として厳しい状態にあるものの、全体としては信用スプレッドの低下や発行銘柄の拡大など、改善傾向が続いているとの見方を示した。』

これも9月時点ではまさにこんな感じでしょう。

『その上で、委員は、社債市場の二極化、特にBBB格の発行環境の厳しさをどう評価するかについて検討を行った。』

んでまあこの後の話は中々。

『ある委員は、最近、社債流通市場では、スプレッドの厚い銘柄に対する投資家の物色が進んできており、BBB格のスプレッドも、一部銘柄を除いて縮小してきていると述べた。』

『また、何人かの委員は、リーマン破綻前に比べてBBB格の発行が減少しているのは事実であるが、一方で、わが国の社債市場については、元々リスク許容度の高い投資家層が薄いほか、コスト面で銀行借入れとの差が大きく、企業の発行ニーズもさほど大きくないとの指摘を行った。』

『ある委員は、昨年秋以降の金融市場の混乱を経験したことで、企業、金融機関とも、間接金融の重要性を意識するようになってきているため、今後、社債市場が改善するとしても、その姿が、かつてと全く同じになるとは限らないと付け加えた。』

『こうした議論を経て、多くの委員は、社債市場の状況を踏まえると、下位格付銘柄の発行が限定的であることをもって、金融環境に厳しさが残っていると評価することは必ずしも妥当ではないとの認識を示した。』

んーっとですね、いやまあこの辺りって実に難しい話なんですが、入口としてはリーマン破綻以来の金融市場の混乱によってアホウのように味噌も糞もスプレッド拡大でござるの巻になったのですが、それが年末年始の利下げだのCP買入だの社債買入だのによって一巡してスプレッドが戻った後も実は2月位って「企業の先行き業績懸念、格下げ懸念」とゆーネタで業種によってはスプレッド再拡大(特にCPで顕著でしたけど)したりという現象もあったという事を勘案すると、市場環境の改善っちゅうのは運用難という状況によってスプレッドが潰れに行ってるだけなんジャマイカとゆー気もせんでもないっす。よー知らんが。

まあその運用難になる金融環境ってえのが金融政策全般の効果っちゃあ効果でもありまして、それはまあ臨時措置よりも低金利政策の効果&資金需要低迷によるものであると言われてしまうとまーその理屈も話としては通るのですが、超根拠レスで単なる杞憂かもしれないですけど、どうも何だか現状で臨時措置をホイホイ解除に回ってしまうのは、CPまだしも、社債とか微妙にいやーな予感はするんですけどね。

んでもって企業の資金繰りがどうしたこうしたという話が続く。

『企業の資金繰りについて、委員は、中小企業を中心に、なお厳しいとする先が多いものの、改善の動きが続いているとの見方を共有した。』

でも10月頭に出た短観の数字(まあアンケートなんで「いやー苦しいっすよ」って答えるバイアスは掛かりそうですけど)からすると残念ながらそーゆーイメージでも無かったですな。

『何人かの委員は、最近の資金繰りの改善は、運転資金需要や設備資金需要の減少による部分が大きいことから、企業の資金繰りについて楽観はできないと述べた。』

全く同意っす。まー売上急減などに伴う企業のストック調整が一巡しているのであれば、平常運転であれば資金需要が盛り上がるっちゅう話にもならんのではとは存じます。前向き資金需要の時は景気が良くなっているので無問題ですけど、問題はここから景気腰折れして赤字資金需要がって話になった時にはおそロシアという所ですか。

『この点に関連し、ある委員は、確かに先行きの景気や売上が見通せないことを心配する声もあるが、今年の春頃までの、日々の資金繰りも覚束ない状況に比べれば、資金繰りを巡る心配の性質は変わってきたように感じていると述べた。』

で、延々と引用して恐縮ですがなお続きます。まあ何か大事な話をしているようですので・・・・・

『その後、委員は、景気の下振れリスクを点検・整理する上で、わが国の金融環境をどう位置付けることが適当か検討を行った。』

『何人かの委員は、景気の先行きを巡る不確実性が大きい中で、将来の資金繰りに対する企業の不安感は十分払拭されていないほか、景気の下振れに伴う金融機関における信用コストの増加や株価下落リスクの顕現化等により、金融と実体経済との負の相乗作用が生じるリスクは解消されていないと述べた上で、わが国の金融環境を、当面、リスク要因として認識しておくことが適当との意見を述べた。』

『これに対し、何人かの委員は、景気のリスク要因については、それ自体が起点となって景気を上振れまたは下振れさせるものとして整理することが適当であると指摘した。』

後半部分がさらっと流れてますが、これは結構委員の間での温度差があったという理解で宜しいのではないかと思います。という事から致しますと、今般絶賛急浮上している企業金融支援の臨時措置に関する扱いに関しても総裁はどう見てもやる気満々ですが、政策委員会の間では温度差があるんでしょうなあというお話で。

『その上で、多くの委員は、現に国内の資金調達環境は着実に改善し、わが国の金融システムも総じて安定を維持していることを踏まえると、今後、わが国の金融市場や金融環境の動向それ自体が起点となって、景気を下振れさせるリスクは減少してきたとの見方を示した。』

たぶんね、景気が下振れした時に加速装置になると思うんですけど・・・・

『こうした議論を経て、委員は、@ 最近の金融環境の評価を踏まえると、わが国の金融環境を景気の下振れ要因として強調する必要性は低下した、もっとも、A 海外経済や国際金融市場の不安定化が、結果としてわが国の金融環境を悪化させ、これが景気を下振れさせるリスクはある、B 経済の先行きを巡る不確実性は大きいため、企業が先行きの資金繰りについて依然不安感を持っている、との認識を共有し、その上で、こうした認識について丁寧に情報発信していくことが適当であるとの見解で一致した。』

機種依存文字は原文ママで勘弁。んでまあこういう話だったら昨今の解除大騒ぎにはならんような気がするんですけど、何故か丁寧な情報発信が技術論による臨時措置解除祭りになっているのが白川総裁クオリティだったりするのです。


○同じく決定会合議事要旨から、物価の見通しは・・・・

金融環境の前の部分で消費者物価の話をしているんですけどね。

『複数の委員は、足もとの下落幅は想定より幾分大きいとの見方を示した。』

ほれほれ。

『この点に関連し、何人かの委員が、需給バランスの悪化を示唆する動きとして、食料品とエネルギーを除いた消費者物価の前年比下落幅が徐々に拡大していることなどを指摘した。』

『消費者物価( 除く生鮮食品) の先行きについて、委員は、当面、下落幅が幾分拡大するものの、石油製品価格などの影響が薄れていくため、本年度後半以降は、下落幅を縮小していくとの認識を共有した。』

『なお、ある委員は、わが国と同様、他の主要国においても、需給バランスの大幅な悪化に直面しており、今後、需給バランスが改善し、望ましい物価上昇率の水準に復するまでには、かなり時間がかかるとの見方が共有されていると述べた。このほか、何人かの委員は、需給バランス以外にも、家計の中長期的なインフレ予想や企業の価格設定行動、為替相場や一次産品価格、雇用者賃金の動向などについても、先行きの物価動向に影響を与え得る要因として注視していく必要があると指摘した。』

どう見ても下振れ認識です本当にありがとうございました。

・・・・つーことですね、まあ企業金融臨時措置を技術的論点だかで解除したり見直ししたりしても結構なんすけどね(だいぶ投げやり)、消費者物価の先行きに不安があるっちゅう見通しを出す中で敢えて実施する必要があるほどの弊害が出ているのかって話になりゃあせんですかという気はするんですよね。まあその異例措置自体が中央銀行としてケシカランので弊害ですと言われてしまえばそれまでですけど。


○その他少々雑談ネタ(だいたい日銀ネタ)

・総裁発言動向

議事要旨引用でむやみやたらと増量されたのでそのほかのネタはまた後日(どんどん溜まっていねえかというツッコミはしないように)ですが、まずはここもとの総裁発言。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/siten0910.htm
支店長会議での総裁挨拶

『わが国の金融環境をみると、厳しさを残しつつも、改善の動きが拡がっている。CP・社債市場では、低格付社債を除き、良好な発行環境となっている。企業の資金繰りや金融機関の貸出態度については、中小企業を中心に、なお厳しいとする先が多いものの、改善の動きが続いている。』

ええまあ金融経済月報通りですけどね。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0910a.htm
全国信用組合大会における挨拶

『この間、企業金融の動向をみると、大企業の資金調達手段であるCP・社債の発行環境は、低格付社債を除き、良好なものとなっています。一方、中小企業については、資金繰りの改善度合いが大企業に比べて小さいものにとどまるなど、なお厳しい状況が続いていると認識しています。』

ということで、まあ大企業向けの部分に関して技術的な対応をするだけですよってえロジック(というか技術的説明)で行きますという感じでしょうか。


・さくらレポート

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/chiiki0910.htm(概要)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/chiiki_rep/data/chiiki0910.pdf(詳細)
詳細はPDFで71ページありますのでご注意を。

・・・・何という全地域改善。2回連続で全地域改善ちゅうのも何ですけど、矢印の右側にある中身をみるとまだまだ大した事は無いという感じ。

でも、現状では臨時措置の解除がどうしたこうしたという話をしている中でもありますので、矢印上向きっていう方が思いっきりクローズアップされるという感じで、債券市場的には何となく買いを待って様子見地蔵になる良い言い訳になってしまうんでしょうなあという感じなのがアレな所です。


・国債発行がどうしたこうした

話はワープしますが、国債発行が増えるだの何だのって話に関しては、既に税収だめでしょというような話って市場の人達的にはフツーに共通認識として持っていた話なんですが、こーゆーのも市場心理というのはオソロシスという所でして、債券買う時には「国債発行が増える背景は景気実態が悪いからで、別に財政刺激による発行増加じゃないのだから、最終的には国債買いにならざるを得ない!」と言い出すのですが、債券買わない時には「国債市場の需給悪化懸念」と言い出す次第でありまして(^^)、結局のところ後付けで市場の動きを正当化するだけのネタだったりするような気もしますが、ちょうど日銀の臨時措置解除だの米国株が上昇だのという話があるので、買い控えのネタにされるんでしょうなー、などと相場を呆然と見てて思うのでした。

いやまあそんだけのことですが。

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2009/10/19

○決済フォーラムがあったので雑談

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/set0910a.htm
議事内容はこちら
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/data/set0910a2.pdf

えーっと、まあこちらの話は「ほうほうそうですか」という話なんですけど、どうも相変わらず決済期間短縮に話を持っていこうとするのが何だかなって気もしますが、今日はちょっと別の雑談を。

リーマンが飛んだ時ってまあレポ取引が止まったとか一般売買取引が止まったとかいうのも(リーマンは国債ディーラーとしてのプレゼンスがでかかったから)大きな影響あったのは間違い無いですが、現場的に「ええええ!」と思ったのは取引所関連の委託取引までフリーズしやがったことだったりします。

どうも業務停止処分+民事再生法というコンボが初めての例だったからというのは判るのですが、リーマン経由で取引所取引を行っていたものがフェイルするとか、制度信用取引の反対売買が出来なくなったとか、先物委託取引の反対売買が出来なくなったとか、中々素敵な事象が発生したんでございますな。未決済建玉の移管の手続きが始まるのにも数日掛かってたりと、まあ事例が初回で突然の出来事だったとは言え、取引所は危機管理プランをちゃんと組んでたのかよという感は激しくしたのでありました。

つまりですね、通常のOTCの一般売買とか、レポ取引とかっていうのであれば、当然ながら相手方に対する与信行為だったり、取引再構築コストが掛かるという事は認識している(まあ今回はその認識が今一歩だった人もいたかも知れないけど)のですが、取引所取引の委託で1日2日であっても反対売買が出来なくてしまうっていうのは「一体全体何のために取引所取引をしているのか」という取引所の根幹に関わる問題につながる話だと思うのですよ。

たまたまリーマンの事例では、同社が一般の個人相手の営業をしていないから良かったようなもんで、同じ事例を国内で幅広い顧客相手に営業している証券会社が行った時にフリーズしちゃったらどうすんのとか、これまたラッキーだったことに、リーマンの事例では債券先物やら株価指数先物の当限最終決済やメジャーSQが済んでいたから先物絡みの混乱も大した話にはなりませんでしたけど、これがSQ直前に発生して建玉の整理が間に合わなくなって、予期せぬ最終決済に掛かってしまった場合、特に現物決済になだれ込んでしまう債券先物ってどうなってしまったのとか、まー取引所取引に関しては結果ラッキー的な部分があったと思うのですよ(山一の時は自主廃業だったから別に取引所取引が動かせなかった訳ではない)。

という話って、別に決済システムがどうのこうのっていう話とは全然違うかもしれません、というか決済システムのデザインの話じゃなくて、破綻法制の問題になると思うのですけれども、これだけ取引が巨大化かつ錯綜して回っている中で、破綻時の取引をどう処理するのかという部分をもっと明確化していかないと、市場参加者が法的破綻を来たした時にまた同じように「取引が止まってしまった」「じゃあ取引先を絞ろう」「売買も絞ろう」って事になってしまうんじゃないかなあと思うのでありました。

ま、それだからこそ金融市場に直接アクセスしている大きな参加者をいきなり法的破綻をさせるというのは良くないちゅう話なんでしょうけどね。


○FOMC議事要旨

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20090923.htm

と言いましても、めんどいので最後の金融政策に関する部分(第34パラグラフ)だけ斜め読み。

『In their discussion of monetary policy for the period ahead, Committee members agreed that no significant changes to its policy target rate or large-scale asset purchase programs were warranted at this meeting.』

というのはまあ毎度なのですが。

『 Although the economic outlook had improved further in recent weeks and the risks to the forecast had become more balanced, the level of economic activity was likely to be quite weak and resource utilization low. With substantial resource slack likely to persist and longer-term inflation expectations stable, the Committee anticipated that inflation would remain subdued for some time. Under these circumstances, the Committee judged that the costs of growth turning out to be weaker than anticipated could be relatively high. Accordingly, the Committee agreed that it was appropriate to maintain its target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and to reiterate its view that economic conditions were likely to warrant an exceptionally low level of the federal funds rate for an extended period.』

ここの部分が前回から比較してちょっと長くなってまして、改善の話をしつつもインフレ懸念が低く、当面の間の低金利継続という話を丁寧に説明した感じだと思いますので、まあ景気底打ちがどうのこうのという話で予定外に市場金利が上昇されても困りますがなってえ話になるんでしょうな。

『 With respect to the large-scale asset purchase programs, some members thought that an increase in the maximum amount of the Committee's purchases of agency MBS could help to reduce economic slack more quickly than in the baseline outlook. Another member believed that the recent improvement in the economic outlook could warrant a reduction in the Committee's maximum purchases. 』

ということで、資産買入の拡大を行うべきという意見と、最近の金融市場の改善傾向は買入を減らす根拠と言えるという意見があって、まあその辺りの意見が分かれてしましたというのは報道されてましたな。まあ結論は全会一致で買入関連の変化なしでしたが。

『However, all members were able to support an indication by the Committee of its intention at this time to purchase the full $1.25 trillion of agency MBS that it had previously established as the maximum for this program. With respect to agency debt, the Committee agreed to reiterate its intention to purchase up to $200 billion of these securities. To promote a smooth transition in markets as these programs are concluded, members decided to gradually slow the pace of both its agency MBS and agency debt purchases and to extend their completion through the end of the first quarter of 2010. 』

ということでしたが、最後の部分が微妙。

『 The Committee agreed that it would continue to evaluate the timing and overall amounts of its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets. 』

というのはいつも最後の締め文句なのですが、その締め文句の次にこんなのが挿入されたりしてるんですなこれがまた。

『Members discussed the importance of maintaining flexibility to expand the asset purchase programs should the economic outlook deteriorate or to scale back the programs should economic and financial conditions improve more than anticipated.』

その前と同じ話のようなのですが、わざわざこういう話が入っているのがちと何でなんじゃろと思うのでありました。まあ出来るだけ変な思惑を呼びたくないということなのか、それこそ「技術的対応」にしたいのかという感じですが・・・・・


#1パラグラフ丸引用という手抜きでどうもすいません

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2009/10/16

お題「技術論ですかそうですか(-_-)メ」

1年入札が落札後ぱっとしなかったり、5年入札がコケたのは国債増発の話というよりは特オペ見直し本格化への思惑のような気が思いっきりするのは気のせいですかそうですか。

時に今日は総裁記者会見の一部で一発芸という勘弁してちょ。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0910b.pdf

○最初の総裁の説明の時点でまあ何と申しますか

冒頭の説明(幹事社の質問に対する応答という形ですが)の部分から。

『こうした決定の背景となる経済・物価情勢についてご説明致します。まず、わが国の景気について、先月は「持ち直しに転じつつある」と評価しましたが、今月は「持ち直しつつある」と判断を一歩進めました。』

まずね、ここ見た時点で「今までと違うわ」となるのでありまして、ほんの4か月前の決定会合後の会見ではこう言ってたんですな。

『なお、ご質問の中で、大幅な見直し、あるいは上方修正という言葉を使われていましたが、先月の会見でも申し上げました通り、日本銀行では、4月末に公表した展望レポートにおいて、既に、「わが国経済は、悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まりに向かう」との見通しを示しています。繰り返しになりますが、本日の判断は、こうした見通しに沿った動きが続いていることを確認したものであり、従来の見通しを修正したのではないことを、改めて付け加えておきます。』(6月16日の決定会合後の総裁記者会見における冒頭説明部分より)

・・・・どう見ても態度の変化です本当にありがとうございました。

で、金融環境に関しては・・・・

『この間、わが国の金融環境は、厳しさを残しつつも、改善の動きが拡がっています。企業金融面をみると、CP・社債市場では、低格付社債を除き、良好な発行環境となっています。また、企業の資金繰りについては、中小企業を中心に、なお厳しいとする先が多いものの、全体としては改善の動きが続いています。』

短観でも見られましたように、改善の動きってのは「広がっている」のではなくて「局地的な部分だけ著しい改善をしている」というイメージなんでございますけど。広がるというより局地的な所だけ深くなってるというような感じっすかね。

で、ここの理屈も謎なんですが・・・・

『CP・社債市場につきましては、先般のG7でも説明しました通り、低格付社債を除き、良好な発行環境となっておりまして、政策に支えられている点は後退している、という判断には変わりありません。』

政策が支えているのじゃなかったら別に外さなくても弊害無いじゃんとか思うのですが、まあ後の方で「市場に歪みがどうのこうの」って言ってますから、これは「政策効果よりも副作用の方が大きい」と言いたいのでしょうけれども。

『ただ、日本銀行が講じている時限措置には、このCP・社債買入れだけでなく、企業金融支援特別オペや補完当座預金制度、適格担保の要件緩和措置など、様々なものがあります。これら各種の時限措置の取り扱いについては、それぞれの効果や必要性を出来るだけ包括的に点検した上で、次回以降の適切なタイミングで取りまとめて判断することが適当という結論になりました。』

「出来るだけ包括的に点検」「取りまとめて判断」というのは、一般ピープル言語に翻訳すると「できるだけまとめて解除したいです」というお話になるんですよね、と思いますけどどうでしょ?で、「次回以降の適切なタイミング」というのは「次回の決定会合で」という話でございまして、展望レポートでそんなに明るい未来が出せるとは到底思えないのに何がどういう理屈で解除という話になるのか政策の整合性はどうなってるんでしょうかねえと小一時間問い詰めたいのですが・・・・


○そこで技術論ですよ

ということで、まあそう上手いこと話が進むか判らん(大体からしてあと2週間で意見まとめて手直しなんかの案とか作る時間ねえだろと思いますけどね、展望レポートだって重要なのに・・・・)としか申し上げようが無いのですけれども、冒頭の白川総裁による説明(や今日ご紹介間に合うかどうか判らんっすけど特別オペに関する総裁の説明とかを)見ますと、物凄い勢いで企業特別オペまで手直ししそうな勢い。

展望レポートで物価見通しとか景気見通しとかが明るくなる気が全然しない(結局低空飛行のまんまでしょ)最中で臨時措置解除とは言え、そもそも臨時措置というのが緩和措置でもある訳ですから、それを外すのは緩和を減らすという話ですが、はてさてどう説明するんだかという時に出てくるのが「技術論」なのでありました(-_-)メ。


『(問) 時限措置の関係で、先ほど「包括的に考えたい」とおっしゃいましたが、これをもう少し詳しく解説して下さい。』

で、この説明色々と長いのですけれども、駄文の話を展開する関係で総裁の説明の後半部分を先に引用しますね。

『特別オペという異例の臨時措置の取扱いを検討していくにあたっては、今後とも金融機関の資金調達の安心感を維持し、金融市場の安定を確保するためにどのような手段が最も有効かということが判断の基準になります。多少技術的になりますが、固定金利、それから金額無制限という特別オペの特殊な機能が依然として必要とされるのか、あるいは特別オペの担保を含む広い範囲の担保を利用し、市場に与える歪みの小さいかたちで資金供給を行う共通担保オペ等を積極的に活用した方が有効かつ望ましい局面になっているのか、といったことが判断基準になると考えられます。』

『これは、基本的には金融調節をどのようなかたちで行うことが適切かという、優れて技術的な問題です。そうした技術的な問題と先々の金融政策をどのように考えるかは全く別の問題ですが、そうしたことも含めて包括的に点検するということです。』

で、その先でも技術論炸裂。もうちょっと先(5ページ目です)でもこんな説明を。

『また、先ほど「誤解のないように」と申し上げたのは、金融市場あるいは広く国民の皆様に、日本銀行の考えていることが伝わっていくようしっかり説明をしていくということです。日頃より金融政策をウォッチしている方々は、技術的なことも含めてご理解されているかと思いますが、なかなか一般の方には理解されにくい内容です。景気をしっかり支えていくことと、金融調節の技術的な修正との違いを正確に理解して頂かないと、市場に対して影響が出てくる、そういうことを避けたいという意味です。』

でもって技術的という話はもうちょっと先でもまた強調してまして、10ページ目でも技術論をアピールアピール。

『今回、時限措置の取扱いについて多少丁寧に説明したのは、技術的な側面が強いにもかかわらず、技術的な話ではなく受け止められる可能性があると考えたからです。ただし、次回以降の決定会合でどのような決定を下すかについて、今回の決定会合で決めたとか、判断を固めたということではありません。あくまでもこれまでのマーケットの状況をみた上で解説し、技術的な説明を行ったということです。』


○そして技術論と言えば・・・・

受け売り成分が入っております事を先にお断りさせて頂きとう存じますが、技術的対応といえばこんなものがあったりするのですが、さてこれはいつどこでの話でしょうか??

第1問(^^)

『(問)(前半割愛)さらに市場の一部には、今回の措置が技術的なものではなく、金融引締めの第一歩であるという解釈もあるが、この点について総裁の見解を伺いたい。』

『(答)(冒頭割愛)私どもの今回の措置は、基本はあくまでも「30〜35兆円程度」という従来のターゲットを維持しており、極力、オペレーション上の工夫を通じてこれを達成していくという根幹はいささかも変わっていない。(途中割愛)金融引締め方向への大きな転換ではないかという意見についてであるが、私どもは、量的緩和の骨格はそのまま維持し、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまで堅持すると繰り返し約束している。今回のような措置をとることとしても、その点についてはいささかの揺るぎもない。従って、方向転換という解釈は当てはまらないのではないかと思う。』


第2問(^^)

『ポイントとしては3つあり、1つは、ゼロ金利政策の解除をするけれども、経済の改善に応じて金融緩和の程度を微調整するという措置であって、引締めというよりも、──金利は0.25%になるけれども──今まで「超超緩和策」で危機対策であったものを0.25%まで上げて、微調整、緩和を若干弱めると、──弱めるという言い方はおかしいのかもしれないが──そういう「超超緩和」を「超緩和」にするという措置である。それが一つ。』


第3問(^^)

『ゼロ金利を解除するといっても、これは引き締めを始めるということではなく、昨年の2月に、あのような異常な事態の中で決めた非常対策というものを元へ戻す微調整──ファイン・チューニングと英米などでは良く使うが──であって、金利を上げて引き締めたり、インフレの対策にしたりということではない。危機対策として採った措置を微調整して、普通の元へ戻していく過程というふうに考えて頂きたい。だから解除しても、今の情勢なら潤沢な資金供給を続けていくということが前提になっているから、その辺はそんなに大きくやったというようなことにはならないはずである。そういうことであるので、今後なるべく早い時期を見て、今の微調整をやっていく、その事が決して政府の政策と反するものではないと思っている。』


・・・・・・・・(-_-)メ

えーっと、まあ正解は申し上げるまでもございませんけど(^^)。

第1問の答え:2005年5月20日に当座預金残高目標30兆円割れのなお書き修正を決定した時の福井総裁(当時)記者会見から
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0505b.htm

第2問の答え:2000年8月11日に無担保コール翌日物誘導目標を0.25%に引き上げの決定(いわゆるゼロ金利解除っすな)をした時の速水総裁(当時)記者会見から
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0008a.htm

第3問の答え:2000年7月17日にゼロ金利解除をしないで(そごう問題のせいで)ゼロ金利政策を継続決定した件に関する1速水総裁(当時)記者会見から(ちなみに会見の実施は7月19日です)
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken/kk0007a.htm

30兆円の時は結局その後も隙あらば量的緩和解除やる気満々モードになって、あんな感じになりましたし、それよりもゼロ金利解除がファインチューニングって何というか今にして思えば豪快にも程がある技術論でありまして、まあ技術論と言い出す時はだいたい技術論じゃ済まないって感じがするんでございます。

唯一の救い(???)は「技術論」の豪快さに関して前々回よりも前回の方が豪快成分が減っている事でして、その流れを継承して今回の豪快成分が減る・・・・ようにもあまり見えない所がアレなのですが。

ということで、特別オペがどうしたこうしたとかいう話などに関しては後日続きということでご勘弁頂きたく候。

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2009/10/15

○で、CP社債買入の解除は検討のみ

となったようでして、まあ誠に結構というか日銀暴走しないで良かったですねという所でありますが・・・・・

総裁会見を報じるブルームバーグのヘッドラインは堂々の内容でして
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aA5awI6l.U14
白川日銀総裁:企業金融特別オペの終了または見直しを示唆(Update3)

えーっと、CP社債買入解除どころか企業特別オペの終了ですかあ???とビックリしつつ記事を拝読(会見要旨は今日出るので、詳しい話はまた明日でございますが)。

『10月14日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は14日午後の定例記者会見で、12月末を期限とする企業金融支援策のための時限措置のうち、企業金融支援特別オペについて「特定資産の市場取引に歪み」をもたらしていることに加え、通常の資金供給手段である「共通担保資金供給オペとの差は小さい」と述べ、次回30日の金融政策決定会合で終了、または見直しを行う可能性を示唆した。』

マジっすか??という感じでして、まあポジショントーク的には涙が出るほど有難い(あたくしは堅気なので?阿片窟には立ち寄れませんからねえ)のでありますが、CP社債買入解除からそっちに話が行くのってどうなのでしょうかねと。

前から申し上げているように、市場的な話をすれば特オペ見直しはどっちかと言えばレートの問題で、買入解除はバックストップが外れるので、まあ梯子が外れる世界ですから、本来的には特オペ見直しが先に来てよってえ感じでしたが、一連の流れの中でそれこそモーサテに出演した大塚金融担当副大臣が「企業特別オペは中小企業金融支援に役立っている」という発言をしていた事に象徴されるように、「企業特オペ=中小企業金融支援」ってえ位置づけになったの感がある訳で(実態は兎も角としてね)、そこに手をつけるという話は政府サイドの思惑とはだいぶ差があるのではないでしょうかという悪寒がするんですけど大丈夫っすかねえ。

『コマーシャルペーパー(CP)と社債買い入れについては「政策に支えられている面は後退しているとの判断に変わりはない」と言明。この日の会合で打ち切りを決めなかった点については「その部分だけを発表すると、全体として日銀が考えていることが正確に伝わらない恐れがある。経済、金融環境と金融政策、さまざまな時限措置について包括的に点検し、できるだけ誤解のない形で発表したい」と語った。』

つまり打ち切りを決めない=弱気というのがケシカランと言いたい訳ですね。

『その上で、企業金融支援策の取り扱いは「それぞれの効果や必要性をできるだけ包括的に点検した上で、次回以降の適切なタイミングで取りまとめて判断することが適当という結論になった」と語った。』

取りまとめて判断って全部セットで解除なり見直しするとはまた威勢の良い話ですが、一連の流れで「使われていない買入の解除は容認するけど中小企業支援策をやってる政府との政策との整合性に問題がある企業金融支援特別オペに手をつけるのは容認せず」っていう一種のバーターみたいな流れになったんじゃねえのという風に理解してたのですが、白川総裁的には企業特別オペまで含めて政府の理解得られてると思っているのか思っている振りをしているのか判らんですが、何か政府の政策との整合性という点で微妙に寒い物を感じるのですけど・・・・大丈夫かなあ。


○特オペが共通担保などのオペで代替できるかという話(考えの叩き台)

叩き台をいきなりそのまま垂れ流すなというツッコミは勘弁頂くとして(^^)。

んーっとですな、まあCP市場が阿片窟というのはきっかけそのものは特別オペなんですが、多分現状では需給関係によって金利が下がっている部分もあるので、特オペ外した所でも電力さんとかのような超優良銘柄に関してはうっかりしたら短国程度のレートまでしか上昇しないのではないかという感じではないかと思われますし、銘柄間のスプレッドが開くでしょうけれども、そう無茶な状況にならないとは思います。何せ発行は減るわ運用資金は増えるわという状態ですから。

でですな、共通担保で代替ってえ話はお話の上では沢山打てば代替可能って話になると思いますが、何せ共通担保オペってのは資金需給の繁閑によって増えたり減ったりするもので、例えば四半期の20日の国債大量償還になると共通担保オペの期落ちが大量に設定され、その先の共通担保オペの残高が減るという仕様になっております。

つまりですな、特オペ代替って話になるのなら、それこそ毎週月曜(でも何曜でもいいですけど)に3か月ものの共通担保を常に打ち続け、それは財政余剰日で落とすとかいう事をしないでひたすら打ち続けみたいな事でもやって頂かないと本当の意味での代替にならないと思うんすけど、通常のオペ運営の中に紛れさせられますと、安定した供給ということにならない(財政余剰タイミングでオペが絞られてしまうので)ので、代替するならそれなりに特徴的な事をしないとマズーなんではなかろうかと。

・・・・というのがとりあえずの所ですが、もうちょっとこの辺の技術的な話に関しては考察の余地が沢山ありそうなので更に考えたらまた書く予定。

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2009/10/14

お題「ということで決定会合」

本当は金融システムレポートとか、期越えオペの分析レポートとか興味のあるネタが積み残しになっているのですけど、どっちも結構腰を据えて読まないといけないモノでして、これがまた読んでる暇がねえと来たもんでorz

○結局今回は「検討しました」になるのですかね

これは昨日の夕方に出てた東京新聞ですけど、記事の元は共同通信。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009101301000560.html
日銀「異例の措置」解除を議論 CPや社債購入

『日銀の金融政策決定会合が13日、2日間の日程で始まった。大企業の資金繰りが安定してきたことから、「異例の措置」として実施してきたコマーシャルペーパー(CP)や社債を購入する支援策を、期限の12月末で解除する是非を議論。政策金利は据え置き、超低金利で経済を下支えする姿勢は継続する。』

ということで、報道のトーンが「異例の措置解除へ」からややトーンダウンした感じです。まー政府サイドが容認姿勢ってえ事なのですからいずれ解除というのが(少なくとも執行部の)方向性という事なのでしょうけれども、何ちゅうか以前も引き合いに出した西村副総裁のアルゼンチンでの講演での「セーフティーネットを過小評価する勿れ」というお話はどこへ行ったのやらという気は思いっきり致しますが。

まー年末向けの金融環境がどうなるか今の時点では不確定要素が大きく、もうちょっと様子見しといた方が無難(どうせ今止めると言っても後で止めると言っても止まるのは12月末なのですから)だと思うので、今日は肩透かしにしておいて、もうちょっと政策のロジックに関する整理&一般向けご説明をした方が良いんじゃないでしょうかね。



「使われないセーフティーネット」なんですから別に放置しておけば良いじゃんという話は前から申し上げている通りですが、こーゆー所で妙に原理原則に拘るというのが白川日銀(というか一連の騒ぎに火がついたのがトルコでの総裁会見から始まっているのですから、発端は白川総裁なんでしょうね)クオリティというのが判ったというのは今回の騒動の収穫(??)という感じでしょうか。

つまりですな、あたくし的(僭越ながら申し上げれば「市場的」でしょうか)な感覚からしますと、CP市場の価格形成に大きな影響というか歪みを与えている元凶である企業特別オペの手直し(要するにCPを0.1%指値貸出の担保に無尽蔵に入れられないようにするという事ですが^^)を先にやってちょーだいと思う一方でCP社債の買入なんぞどーでもよいという話になるんですが、とにかく「中央銀行の金融政策として国債以外の資産「買入」はケシカラン」という原理原則の方が白川総裁にとっては重要という事なのでして、そー考えますと総裁の言う「市場機能論」って一体全体何なんでしょと言う事になるんですが、やはり「市場との対話」とか言っても感覚が根本で違う所があるんですなあと思うのでありました。

#そーゆー所バーナンキ議長の千両役者(またの名をインチキパワー)振りが対照的というのは先日も申し上げた通り

学者のバーナンキ議長が柔軟対応をして、中銀マン純粋培養の白川総裁が実務者出身なのに妙に原理原則に拘るというのが皮肉なのですが、まー中央銀行のDNAがどうのこうのとか言われそうな話ですわな。



○今後の政策方向性について勝手な妄想をしてみる

で、その原理原則にうるさいという姿勢の場合、今後何か緩和政策をというような話になった場合に何を嫌がるのかという事を考えてみたり、今後の出口政策の順序はどうなのよと考えてみるのですが。

まず、CPやら社債の買入という措置は相当嫌いだというのは今回の一連の流れで良く判りました。この流れを振り返ってみると、要するに白川総裁の意向が働いたとしか思えない展開(総裁がやる気満々だったからトルコG7後の会見以降話が盛り上がったんでしょうから)ですので、白川総裁的にはこの復活というのはハードルの高い話なんでしょうな。

そーなりますと輪番拡大か利下げかという話になるのですが、何かまあこれもどっちにしてもハードル高い話で、おそらくゼロ金利は金利じゃないとか言い出すんでしょうし、輪番拡大は日銀のバランスシートの長短バランスがどうのこうのとか言い出しそうですのでこれまたヤヤコシヤ。

となりますと、何をやるのよと考えるのも難しいのですが、バーナンキ議長の例がありますので、「期限を切って長期国債買入拡大」というような訳わからん事でもやるとかになるんですかね。まー実際にそれに効果があるのかというと怪しさ爆発でして、福井さんみたいに効果があるのか無いのか判らんという政策を平然と強化するような芝居っけの無い白川総裁にそういう選択肢があるのかは良く判らんです。

#結局書いてみたものの「訳わからん」という結論なのが残念

で、今後の出口政策の順序という話ですが、まー順番からしたらCPの買入解除が先で社債に関してはCPと同時なんでしょうけれども、正直言って(レート形成とかも勘案すると)CP止めても恐らく1ミリも影響無いですが、社債を止めた場合にはもしかしたら影響があるんじゃネーノって気が若干するのでありまして、どっちかと言えば社債は年度末まで残した方が良いんじゃないのと。

で、市場的には(金利がついてくれた方がオイシイので)特別オペを何とかしてくれと思うのですが、一連の流れの結果として買入解除と特別オペの継続がバーターになってしまった感が強いので、こちらは年度末までの延長は楽勝で決定になるんでしょうという感じですな。

恐らく原理原則の方が大事なので、指値オペでレートを抑えつけてCP市場が阿片窟というのは別に白川さんにとっては二の次という話になると思われる次第でして、こっちの手直しは(念願?の買入解除のバーターにもなったことですし)うっかりしたら結構先になるのではないかという悪感がするのでした(涙)。

まーさすがに展望レポートでCPI絶賛マイナス継続という話が続くでしょうから、これまたデフレ継続の中で利上げというのも「原理原則」的にはあり得ない話だから、そう簡単に利上げどうのこうのという話にはならない・・・・と思いたいのですが。


ところで話はやや脱線しますが、さっきの東京新聞(というか共同)の記事のリードに続く部分ではこんな説明が。

『日銀の資金繰り支援策をめぐっては、政府は大企業向けの解除を容認する姿勢を示す一方、中小企業支援は継続を求めている。』

企業金融特別オペのどこがどう中小企業支援なのか今百歩訳わからんのですけれども、ロジック的に「大企業向けの解除を容認」ってえのがまー現政権っぽいなあという印象でして、まーそれこそどこぞの金融担当大臣の経団連に対する意味不明の苦言とかにも見られますように、現政権の方向性が大企業叩きになりそうな悪感もするのでありました。


#ということで積読ネタの成敗をしたいのですが、もうちょっとお時間を・・・・

#しかし「期初の売りが出たら買い」とか投資家の皆さん言ってましたが、結局逆に「期初の売りが出なくて踏み上げ」→「踏み終了したら今度は段々失速」という皮肉な展開になっちゃいましたねえ

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2009/10/13

○あたくし的出口政策論の続き

火曜日および水曜日に全力で悪態を書きまして、金曜日には改めて「まあ一応ロジックは判るんですけど」という線でお話を申し上げましたところ、「話のトーンが変わったようですが何かございましたか」というご質問も頂きましたので(汗)、今日から決定会合が始まりますのでそのネタで更に雑談。

んでまあ寝言だの聞いてないだの言われたCP社債買入解除ですけれども、金曜は政府内から容認意見という感じになって参りまして、まあ日中からこんなニュースが出てましたわな。

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%c6%fc%b6%e4&k=200910/2009100900427
大企業向けは解除容認=日銀の資金繰り支援−菅経財相

『菅直人経済財政相は9日の閣議後会見で、日銀の金融政策に関連し「大企業の資金繰りはかなり安定してきているという認識を持っている」と述べ、コマーシャルペーパー(CP)・社債の買い取りを12月末の期限で打ち切ることを容認する考えを示した。』

んでまあ政府は容認というまとめ記事はこんな感じですか。
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%c6%fc%b6%e4&k=200910/2009100900959
政府内に容認意見=日銀の企業支援縮小−特別オペ廃止には異論

そちらにもありますように、菅さんの後、藤井さんからも容認発言が出てきまして、ふ〜んって感じではありますが、まあそーゆー雰囲気を市場の方では感じまして、さすがにここもとは2年とかがやや重そうにしていますわな。まあ9月に0.20近くまで下がったのが勢い良すぎというのはあると思いますけど(^^)、市場的にいえば「別に誰も使っていないのだから、そんなに急ぐ必要があるのか???」という発想になってしまうCPと社債の買入解除に関して頑張っている日銀というのを見ると、「出口政策に前のめり」という印象を与えてしまいやすくなる訳でして、結果として従来超ど盤石(盤石過ぎという説もあるが)だった暗黙の時間軸状態がどうなるのよという心理的な影響は出て来るんじゃなかろうかと。

つまりですな、金曜に急に日銀の理屈(と思われるもの)を述べ立てて見ましたように、日銀様としては「買入をしている」という行為そのものがバランスシートに抱える中央銀行としてナッテナイ政策であるという発想になるので「緊急避難措置はさっさと解除」という話になるのに対しまして、市場の発想としては「別に誰も使ってないものだったらどうでも良いでしょ」というあくまでも現実の話しか見ないのでありまして、そこの温度差があるので、逆に「日銀はやっぱり(利上げも含む全体としての)出口政策に前のめりなんですね」(=別に急ぐ必要もないものの解除すら急ぐので)というイメージになってしまい易くなるのではという懸念はややございます。


まあ何と申しますか、こっそりフェードアウトしようと思えば出来たものの解除をわざわざ政治的軋轢を起こしながら解除するってえのは「必要も無い所で頑張っている」というか「政治に要らない所で借りを作った」っていう感じでして、そういう政治力コマンドはもっと使うべき所がある筈なのではないかと思いますけどね。勿体ない。

で、金曜までの報道では結構な勢いで盛り上がってましたが、土曜以降あまりその話の続きを聞かないので、今週解除をいきなり決定するのかどうかびみょーな気がしますが、まあ延長するなら早めに決めるのもウマーなのですけれども、解除をわざわざ早めに決めなくても良いと思いますけどね。もし10月の頭なんぞに12月以降の解除を決定した後に、何らかの経済情勢の急速な悪化が発生してやっぱり年末の企業金融環境が悪化して解除したものを再度復活とかになりますと、さすがにトンマにも程があると思いますので、解除するなら別にまあ11月会合で十分じゃないのとは思いますけどねえ。

しかし10月の展望レポートで物価見通しが更に先まで上昇見込み薄という数字が出てくると思われる中で、特別措置の解除とは言え、出口政策方面への政策を実施っちゅうのも何だか政策としての整合性はどうなのよって気がしますです、はい。


で、結局おめーの意見はどうなのよと言われますと、まあ解除するなら解除でも良いですけど、政治リスク取ってまで慌てる話かいなという所でして、理屈上は兎も角として、叩かれやすい日銀としては組織防衛の観点からしても、別にそこまでのリスクを取ってまで急いで解除するもんじゃないでしょうという所です。年度末の金融環境対応で3か月延長した所でフェードアウトの方が一般向けの説明としては文句が出にくい選択肢だと思いますけどねえ。という所です。

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2009/10/09

○人のふんどしに便乗して出口政策論

本石町日記さん
http://hongokucho.exblog.jp/12085066/

a-kunさん
http://d.hatena.ne.jp/a-kun/20091008

って思いっきり同じような意見の方へのリンクを張っている時点で大変恐縮至極なのですが(汗)、来週の週明けに金融政策決定会合実施という事で、G7前から突如盛り上がったCP・社債買入解除に関する議論が行われるという話になるんじゃないのって感じですけれども、その辺りに関して。


・2種類の「解除」

本件解除に関しては、先日は悪態を交えながら「政治的な軋轢を発生させるリスクに対して、措置解除によって得られるリターンが少ないのではないか」というような趣旨の積もりでうだうだと書いたのですけれども、まー金融政策に関してそーゆー政治的なファクターを持ち出すのはどうよという議論もあろうかとは思います。

現在の主要国の金融政策は「低金利政策の維持によるイールドカーブ全体への働きかけによる金利ルートでの緩和」と「金融市場の混乱に伴う市場仲介機能低下に伴う金利ルートでの緩和効果減殺を防ぐための個別市場への介入措置」の2本立てになっている(BOEも「量的緩和」と言ってますが、先日ご紹介したMPC議事要旨を見ているとマネーの量に関する定量的な効果よりも、いわゆる時間軸効果よるイールドカーブ経路での効果を見ているように感じられます)ものとざっくり整理できると思いますけど、その整理から言えば、a-kunさんも指摘していますように、「金融市場の混乱が片付き、市場仲介機能も戻ってきたので、そっちの政策は解除」という理屈は政策ロジックとしてはまー仰る通りではございまする。

ただ、「景気に関連なく市場機能回復に向けた措置を解除ですよ」っていうロジックがどういうリアクションを起こすのかという話になりますと、これはもう市場心理とかアナウンスメント効果というような世界の話になってきますので、これはまあ他のファクターも考えないといけませんですよねと思うっていうのがあたくしが何となく考えていること。


・日銀とFRBと

さっきのa-kunさんとこの一つ前のエントリー(あたくしの駄文にご賛同頂きまして恐縮至極です)http://d.hatena.ne.jp/a-kun/20091006で、『この辺り、別に景気回復が十分な訳でもなく、失業率は23年ぶりの高値圏にあり、デフレ懸念を口にする地区連銀総裁もいるなかで国債購入を停止するFRBが特に批判されそうにないのとは好対照である(笑)』ってのを拝読致しましてつらつらと考えたのですけれども、米国の場合は実施した財務省証券の購入とかMBSなどの購入とかによって、FEDのバランスシートがどどーんと拡大して「ほら普通じゃない政策実施してるでしょ」というのを世の中に判り易い形で見せつけた事によって、「これは普通じゃない政策なんだから混乱終了したら終了ね」というのが通り易いのではないかなー何て考えてしまうのであります。

一方で日銀の方は、元々長期国債の買入を実施しているのと、日本では過去のいわゆる「運用部ショック」と言われるもののトラウマがありますので、どどーんとテンポラリーに増やして「どうだ」と言うのも難しい(実施するのは良いけど出口の時に長期金利が急騰したら意味が無い)ですな。今般の施策においては輪番のゾーニングという措置を実施してやたらと短い所ばかり入るようになってしまった輪番オペの機能強化を実施したのですが、正直言ってその効果って債券市場の中の人くらいしか判らんでしょうなと。

また、日本の各種臨時措置に関しては、当初の「考え方」でも示されたように、措置実施において出口をやり易いように設計している分、関連市場以外の人には判りにくい部分がありますから(本当は企業金融支援特別オペの効果が大きいのですが、話題に出てくるのはCP社債の買入ばっかりだったりするように)、逆に出口がどうのこうのとなった時に「何で?」という話になりやすくなるのかなという気がしてきました。


などとつらつらと考えておりますと、バーナンキ議長って政策の整合性とかロジックとかへの拘りよりも見せ方を上手にコントロール(財務省証券買入に関してなんか結局何の為に実施して何の効果があったのかという話を最初から最後までファジーなままで通してしまいましたよね)するという点で、学者さんではあるのですが、その辺は福井前総裁チックな所があるなあと改めて思うのでありました。その辺の微妙な機微をスルーして真っ正直に理屈どおりに突っ込んで行く白川総裁とは対照的ですね。


・企業金融支援というお題目に関して

でもって、来週の会合でその辺の決定が行われるかと言いますと、そりゃまあさすがに早いというか、中小企業支援の為に返済猶予法案を提出するという話をしている真っ最中で「企業金融支援措置の一部解除」と言い出すのは何ぼ何でも無茶だと思いますので、とりあえず11月会合(うっかりしたら12月会合)まで様子を見ながら延長の是非や手直しについて引き続き論議するという話になるんでしょう。

正直言って日銀が企業金融支援って言いましても、日銀の個別取引先っていうのは金融システムのど真ん中にしか無く、ミクロへの個別介入をどうするという話になると日銀の手に負えない部分(そりゃまあ日銀が個別企業に貸出を行うとかやれば別ですけれども、それは政策金融というか金融行政の世界になるので中央銀行の範疇とは言い難い)になる訳ですし、直接金融市場への介入は日銀だけでは無く、主要国の中央銀行も行っていますけれども、その直接金融へのアクセスが出来るのは大企業の中の大企業っていう部分に限定されてくる話。つまり中小企業金融がどうのこうのという部分は中央銀行の手に余る部分があると思うのですよ。

今般の政策導入に際して、日銀は中小企業金融への染み出し効果みたいな話もしてたと思うのですが、まー確かにあの時期は大企業であっても市場の混乱で資金調達ニーズが高まって大変な騒ぎになっていました訳です。つまり「大企業の金融状況も全体的に逼迫していたら中小企業の金融状況は逼迫します」けれども、「大企業の金融状況が緩和されたからと言って、中小企業の金融状況が必ずしも緩和される訳ではない」という部分の話になるのかなと思います。

という整理はまあ成り立つのですけれども、当初「企業金融支援」を銘打ってしまったのですから、いきなり路線変更というのはやはり無理があるので、その辺りに関する説明を丁寧に行う事も必要になるでしょうな、と思います。


・やはりバランスシートを気にするんでしょうね

ということでつらつらと更に考えてますが、いわゆる市場機能論がどうのこうのという話をするのであれば、CP金利を無茶下げしているのはご案内の通り企業金融支援特別オペ(モーサテで大塚金融担当副大臣が「中小企業向けで残高ウン兆円(言ってた数字忘れた)」とコメントしてましたけど、中身ってCPだらけではないかと・・・・まあそこは日銀に対してオトナの対応をしているのかと思いましたが)でありますので、順序としては市場介入効果がでかい特別オペを手直しまたは停止というのが先な気がしますけど、使われていない買入の解除を先にやろうとするのは、これまた日銀のDNAなのかなと。

つまりですね、特別オペはあくまでも「金融機関に対する担保付与信行為」ですので、従来のオペの延長線上という事も言えます(まあ指値無制限という時点で従来のオペとは思いっきり違いますが)し、あくまでも「担保」なので最終的なケツ持ちは金融機関ですけど、買入という事になりますと(たとえその残存期間が1年以内であっても)、日銀としてバランスシートに本当に抱える事になり、ケツ持ちが日銀という事になりますので、それは金融政策としてどうなのよという原則論が先に来たという事なんでしょ。

まあその辺りの感覚は「市場が阿片窟になって困ったな」という市場の中の人的な物とは違いますなって思います。まあ日銀の言いたいことも話としては理解できますけどね。

#ということで雑談恐縮至極

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2009/10/07

お題「盛り上がって参りました!!(ただしどう見ても無駄)」

まさかこんなに早い時期に金融政策ネタで悪態(そういや30兆割れの時にも地均し段階から散々悪態ついてましたなあ、ナツカシス)をつくことが出来ようとは思ってもいませんでした(−−)。


○ほら言わんこっちゃない・・・・

昨日は10年国債入札が順調ですなという話があったりしますが、そーゆーネタは華麗にスルーしまして、藤井さんと亀井さんの閣議後の会見報道が実に(;∀;)イイハナシダナーとしか申し上げようが無い流れで腹筋の良い訓練になりました。


藤井財務相様発言
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aOtQaiJGG98A
財務相:日銀が経済状況に逆らうことはしないと確信−CP・社債購入

『10月6日(ブルームバーグ):藤井裕久財務相は6日午前の閣議後会見で、12月末に期限が来る日本銀行によるコマーシャルペーパー(CP)と社債の買い取りなどの企業金融支援策について「経済の見通しがどうなるか慎重にみた上で、日銀が金融の運営をするだろう。経済状況に逆らうことはなさらないと確信している」と述べた。また、「日銀の金融政策は国の経済政策と調和するものと考えている。日銀はそういう姿勢を取ってくれるだろう」との認識を示した。』

(;∀;)イイハナシダナー

『財務相は日銀が今月の金融政策決定会合でCPと社債の購入の見直しを検討するとの報道については「今月見直しするとは聞いていない。企業の資金繰りをみるということだ」と述べた。』

(;∀;)イイハナシダナー

・・・・もうね、何ちゅうか「ほら言わんこっちゃない」という言葉がここまでピッタリ嵌る展開も無いですなという感じで、これで(本来は実務的に特にどうという事は無い筈の)社債とCPの買入解除を強行した場合にはその後に発生する災厄は日銀のせいという流れが出来てしまいましたなあ。


亀井金融担当相様発言
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=a1F6UFn9WKuU
亀井金融相:「日銀は時々寝言を言う」−CP・社債購入見直し

『10月6日(ブルームバーグ):亀井静香金融・郵政担当相は6日の閣議後の会見で、日本銀行がコマーシャルペーパー(CP)と社債の買い入れの見直しに入る可能性が高まっているとの観測報道などに関連して、「景気回復過程に入っているとは思わない。日銀は時々寝言みたいなことを言う」などと述べ、日本の実体経済は出口戦略を論じる段階にないとの認識を示した。』

景気回復過程に入っているとは思わないというのは内閣府の景気判断と整合性どうなんでちゅかねえというツッコミはあるのですがそれはさておきまして、「寝言」とはこれまたキャッチーな(^^)。

『亀井金融相はまた、「日銀も経済の実体、実勢をじっくり見ていただきたい。日銀だって人がたくさんいるだろう。取材した人がたまたま寝言を言ったからといって日銀全体が寝言だと思うことはない」とも語った。』

一応「これは取材を受けた人が寝言を言っただけで日銀全体の判断が出ている訳ではないから日銀そのものを寝言呼ばわりしてるんじゃないですよ」という感じで微妙に逃げ道を用意してあげている所に亀井さんも配慮してるじゃんという事は把握した。

産経とか(昨日はヤフーのトップにもヘッドライン出てて、記事内容は産経だった)は後半の「日銀全体が」云々部分がばっさり削除されていまして、益々日銀イタタという感じでありますが、まーこの「寝言」っつーのは言いえて妙ですなあと思うのでありました。



藤井さんの発言をもうちょっと詳しく報道してるのがあって、この辺見ると中々強めの牽制球っぽく見えますわな。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=a4_OYbnt2pXs
日銀のCP・社債購入停止に政府から慎重論−今月にも検討との観測で

『また、藤井裕久財務相は同日の会見で、「今月うんぬんということは聞いたことがない。日銀が適切な企業の資金繰りを見る段階だ」と言明。財務相は「最終的には年末の経済情勢を見なければ分からない」とし、「経済の見通しがどうなるかを慎重に考えた上で、日銀が金融の運営をなさると思う。白川(方明)日銀総裁がそういう経済状況に逆らうことはなさらないと確信している」と述べた。』

>最終的には年末の経済情勢を見なければ分からない
>最終的には年末の経済情勢を見なければ分からない
>最終的には年末の経済情勢を見なければ分からない

・・・・いやはや来ましたなあ。年末の情勢見ないとという話になりますと、(前回延長措置からの流れでいけば)遅くとも11月の決定会合で延長の有無に関して決定するという話になりますので、どっからどう見ても次回3か月延長という話になりますわなあという話になりますわな。

『さらに、「日銀法では日銀の独立性を尊重すべきとあるが、同時に国の経済政策と調和するようにとも書いてある」とし、「日銀は必ずそういう調和した政策をとると思う」とし、日銀に慎重な判断を求めた。』

いやまあ来ちゃいましたねという感じではありますが、ところで民主党様におかれましては、この前の利上げの時に「与党による政治介入が云々」と批判してましたと思いますが、あれも「批判の為の批判」だったんでちゅかねえという悪態を一応付け加えさせて頂きたく存じます。

#まー今回は日銀の「間の悪さ」以外の何物でもないんですけどね


つーことで、新政権の船出と共に円高株安となって、特にきっかけを作ったと文句の矢面に立たされていた面白大臣ズの面々から致しますと、まさに飛んで火に入る夏の虫という感じで、ノコノコと日銀が矢の飛んでる中に棒立ちでご登場という流れになって参りましたので、これはもういい感じで全身に矢が突き刺さるでござるの巻という流れになって参りました。

・・・・だから言わんこっちゃないとしか申し上げようが無いですが、ここはまあ大怪我にならないうちにかすり傷のうちに撤退するしかないっしょ。

まあG7後の会見での発言はあたくし昨日「どう見ても地均しです」とか書きました(多分トーンもそんな感じだったんでしょ)けど、まあそこに関しては「あれは一般論ですよ一般論、何おっしゃってるんですか皆様」とか何とか言って有耶無耶にするしかないと思いますけどね。


○そもそも正面から強行突破するような案件では無い訳で

さらに悪態なのですが、現在ろくすっぽ利用が無い社債とCPの買入(ただし外した場合に本当に影響が無いのかというと、特に社債に関してはちょっとヤバイ気がするんですけどね、あたくしの外れやすいドタ勘としては)を解除だの何だのという話っているのは、小見出しの通りでありまして、「そもそも正面から強行突破しないといけない案件ではない」のであります。

つまり、元々あんまり利用が無いものですから、継続実施することによって喫緊の問題が生じるという訳ではなく、どちらかと言えば利用も少ないのでとりあえず1回当たりのオファー額を減らして見ましょうとか言いながらこっそりフェードアウトする事が十分に可能(かつてのABCPオペみたいなもんですな)な措置なのでありまして、何も堂々正面突破せんでも裏口からコソコソと出口に向かう事も出来る施策だと思うんですよ(ここでは特別オペに関する話は除く、そっちはちと微妙)。

かつての量的緩和解除みたいに、どっからどう見ても裏口が無くて、正面突破しないと行けない案件だったら仕方ないのですけれども、裏口からこっそり夜逃げすりゃあ良いものを債権者勢揃いの正面玄関から堂々脱出しようとするようなもんで(たとえが悪いですかそうですか^^)、そりゃわざわざ自分から叩かれに行くようなもんですわなと。


もはや「麿」という名称を奉りたくなる政治的なセンスの悪いタイミングでの動きに加え、別に突っ込まれに行く必要が無い案件でわざわざ自分から突っ込まれに行くという無防備マンっぷりはさすがしか申し上げようが無いですなあと。



○しかしこのトーン変更にはワロタ

そもそもこのネタが急に盛り上がったのは、「ブルームバーグニュース独占記事」と銘打って(かどうか知らんが、ブルームバーグプロフェッショナルの方では営業から「当社独占記事です」ってリンク付きご案内が来たので独占記事なんでございましょ)30日に出た記事ですわな。1日の駄文でご紹介しましたが念のためリンクを張っときますね。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=akiSHesItvDk
日銀がCPと社債買い入れ停止を検討、特別オペは見直しか

でまあこの話はどうでも良いのですが、ワロタとしか申し上げようが無いのは、藤井さんがどう考えてるのよという事に関する報道トーンでありまして・・・・

4日の記事から
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=arLkYG3zSOUU
白川日銀総裁がCP、社債の買い入れ停止を強く示唆−財務相も容認か

『企業金融支援策の終了ないし見直しは、民間金融市場に中央銀行が介入する「異例の措置」からの出口政策にほかならないため、財務相の発言は一見、日銀の動きに釘を刺したかのようにみえる。しかし、発言の真意を聞かれた財務相は次のように述べて、日銀が企業金融支援策の終了ないし見直しに踏み切っても黙認する姿勢を示した。』(上記URLの一部だけ引用ね)


6日の記事はさっき引用した通りですが、
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=a4_OYbnt2pXs
日銀のCP・社債購入停止に政府から慎重論−今月にも検討との観測で

『財務相は3日にトルコのイスタンブールで開かれた7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、世界経済の現状は「出口政策を具体的に実施する段階ではない」と発言。日本経済の先行きについては「非常に不安定だ。雇用や所得環境がより悪くなる可能性を十分持っている」と説明したという。』

・・・・・テラトーンダウンwwww

いやまあこの流れってバカスとしか言いようが無いですけど、藤井財務大臣が大狸で白川さん見事に嵌められたという流れなのか、もともと臨時措置は臨時措置なので外したいという願望があったんじゃねえのとしか一連の流れを見ると思われる白川総裁が、世界的な出口政策モードに乗っかろうとして国内事情をすっかり忘却してKY全開になったのか、単にメディアが勝手に大騒ぎしたのかという所はよー判らんですな。

まー、結果としては外から見ますと見事に手のひら返しというか梯子外しになってしまいましたなあという所ですが、そもそも政治的状況から言って今どうしてもやらないといけないという訳でも無いものを、こんな微妙な時期に打ち出そうとした動きが悪いちゅうことでしょうなあ。

ちなみに、財務省発表のG7後の会見での藤井さんの発言はこちらに。
http://www.mof.go.jp/kaiken/my20091003.htm

『(導入部分割愛)(日本経済の状況が)非常にまだデリケートな部分だと言わざるを得ません。したがって、私といたしましては、財務省といたしましては、私は経済なくして財政はないんだということをずっと国内でも言ってまいりました。そういう意味から、今までとられていた金融の、金融機関に対する支援、あるいは金融財政政策での継続ということをやってまいります。ですから、一部にあるような出口の議論というのをまだする段階ではありませんということを申しました。(以下割愛)』

『出口政策というのは何かというのは、いろんな意見がありますから、私は日銀、白川さんが言われたことが本当に出口政策なのかどうかはわかりません。色々な意見があるのでしょう。私達としては基本的に色々な問題について、もはや経済が立ち直ったのだというような判断に基づく政策転換は有り得ないという意味で出口政策という言葉を使いました。』

・・・・うーむ、どこがどう容認姿勢なのかよーわからんが、実際に会見場での雰囲気とかと省庁のウェブサイトの発表とではトーンが違いますからね。


○余裕を持った対応とな

という微妙なタイミングの中でロイターが水野審議委員のインタビューを実施したようで、記事はこちら。

http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-11821120091006
インタビュー:出口戦略、余裕もった対応が適切=水野日銀審議委員

何か微妙にどっちとも取れるような表現がひたすら続くというインタビューになっておりますが、まあ足元の一連の買入解除云々の話に関する部分に対するコメントとしてはこの辺りがポイントになるんでしょ。

『コマーシャルペーパー(CP)・社債の買入れなど「異例の措置からの出口戦略について、余裕をもって対応することが適切だ」との認識を示した。』

『また水野委員は、企業金融支援についての各種時限措置はテクニカルなものなので、その「出口」についての議論は、関係する短期金融市場、債券市場だけでなく、その他の市場参加者にも十分理解してもらうことが重要だ、と強調。そうすることで「日銀は出口戦略に前のめりになっているとの誤解が生じることを回避できると思う」と述べた。』

いやーまあそうおっしゃいますが、既に一連の流れで「出口戦略に前のめり」という印象が形成されつつあると思われますので、来週の決定会合後の総裁会見は相当気を使わないと、日銀フルボッコの蟻地獄に自分から特攻していく事になるんじゃないっすかねえという悪感がします。

しかしこの「余裕を持った対応」ってフレーズは福井の俊ちゃんからも良く聞いたような記憶が物凄くあるのですが、ちゃんと余裕を持って頂きたいものであります。


上記URL2ページ目の方には景気見通しとか物価見通しとかの話がありますけれども、まあ景気の見通しが厳しめなのは水野審議委員の仕様なので、その辺りに関してはいつも通りちゅう感じですな。

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2009/10/06

お題「CP社債の買入解除検討に関して雑考というか悪態というか」

昨日既に日銀のサイトにG7後の白川総裁会見が出ていたのは把握してたのですが、まさか地均しをしているとは思わずに(この土日はPCとの格闘に忙しくてサイトチェックをしてる余裕がなかったというのもありますが)スルーしたら、昨日の朝刊各紙で企業金融措置の解除に関する検討がどうのこうのと出てきて新聞読みながら「はー??」となっておりました次第なのれす。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2009100502000063.html
出口戦略へ地ならし 日銀総裁支援解除姿勢強調

んで、良く良く総裁会見を見たらこの有様ですよ。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0910a.pdf

『席上、私からは、わが国の金融情勢に関して、CP・社債の発行環境が大きく改善しており、日本銀行のCP買入れも大幅な札割れが続き、政策に支えられている面は後退していることを説明しました。また、企業の資金繰りも着実に改善していることから、金融面から実体経済を下押しするリスクが大きく減少していることも説明しました。』


・・・・・・どう見ても地均しです本当にカムサハムニダ。

#ところで、さっきから目の前のテレビで「金利が上がるような環境になって出口政策だの利上げだのという話になれば株が上昇」と言わんばかりの説明をしている人がいるのですが、「株が上昇するような環境になったら出口や利上げが見えてくる」というべきであって、どう見ても因果関係が逆ではないかと思うのですが・・・・


○先日も書きましたが政治センス無さ過ぎのタイミングに落涙

えーっとですな、金曜にも同じこと書きましたが、あえてまた同じ話をしますと、時あたかも亀井金融大臣様や直嶋経済産業大臣様などが貸し渋り、貸し剥がし対応の返済猶予法案がどうのこうの(本当は返済猶予したら逆効果なのですがその論点はスルー)という話をしている最中に「企業金融円滑化の支援のための措置」(こちらhttp://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku_cfc/index.htm#0103にもありますように、日銀が自らそう言っている訳でして)を一部外そうとか言い出すとか何というKYまたはルンバ。

んでまあこれまた金曜日に申し上げましたが、コアCPI堂々の▲2%台となっている今日この頃で、ただでなくさえ日銀の緩和が足りないと言われる中で何も好き好んで緩和措置の一部停止とか言い出す必要があるのかと日本橋本石町に乗り込んで小一時間問い詰めたい次第なのであります。


それからね、鳩山政権の船出にあたって、面白大臣約2名が不用意な面白発言をするもんだから円高アタックと金融株アタックを食らって株価は下がるわ円高に振れるわといいう楽しい状況になっておりまして、さすがの大新聞様も「新政権発足後の1か月で日本株のパフォーマンスが主要国株価の中で一番駄目駄目」とか言うような状況なんですから、政権の中の人達、特に面白大臣様ズ様におかれましては「こりゃマズー」と思っているのではないかと思料されるのれす。そうじゃなかったら発言が急にトーンダウンしたりせんでしょ。

てな状況になっている現在のタイミングで「企業金融円滑化支援措置の一部解除」とか言い出したら、当然ながら円高とか株安とかを招いた責任者は日本銀行という事にされて(政治家なんぞ責任転嫁するの得意ですからねえ、かつて選挙に負けた与党幹事長が「日銀のせい」とか言い出したのには幾らなんでも失笑を禁じ得なかったけど)、それこそ極端に言えば白川総裁クビにしろとかいう話に発展するようなシナリオだって想定できるんですが、そこまでの覚悟を持って解除云々という話をしているのか日本橋本石町に乗り込んで小一時間(以下同文)。

ふつーに考えて、こりゃマズーと思っている中で責任転嫁の絶好の材料が見つかったら、自分らが後押しして据えた総裁だってクビじゃクビじゃという話になるでしょうし、放置して株安円高傾向で景気が悪化という話になって政権の支持を失いかねませんって話になった時に絶好の生贄の羊さんがいたら磔刑まっしぐらだと思うんですがねえ。


現政権、というか面白大臣ズが今のところ何も文句言わないのは、あたくしには「これで株が下がっても日銀のせいに出来るでウッシッシ」と思っているからなのじゃないかというひじょーにいやーな悪感がするのでありますけど、気のせいだと良いんですが・・・・



○市場の影響ってどうなのよ、特に他市場

さて、そのCP買入だの社債買入なのですが、確かにまあここもと買入実績は少ないのでありまして、これを止めた場合にどうなるかっていうと、数字的な面で言えばあんまり影響が無さそうに見えるのですが、それはまあマネーマーケットおよび1年以内の債券なんぞを実際に扱っている人達の理屈でありまして、他市場にどういう影響があるのかという点に関しては正直言って微妙な所があります。

つまりですな、ここもと(というかとっくの昔から)企業業績がアレで格下げがどうのこうのという事で、企業のクレジット環境はファンメタからしたら別に好転してる訳ではなく、単に需給(金が余ってるのと資金需要が落ちているのと日銀が特オペを実施していること)関係なのでありまして、需給って奴はマインドが変化するといきなり変化する面もあったりすると思うのれす。つーことで、マネーマーケット的に問題があまり無さそうに見えても、それは特殊世界での話なのでして、特殊世界の事情というのはそんなに周知されている物では無いという事を勘案しますと、社債市場に対しても影響が無いとは断言できませんわなと。

で、金利の世界という意味でも、ニホンジンの債券投資家だけならまあ話は通るかもしれませんが、金融政策に関して斜め上の解釈をして斜め上の行動をしてくるガイジンさんとかもこれ有りでして、そーゆー連中がまた馬鹿動きをすると国内勢もそれに引っ張られたりするかも知れないとか、いやまあ全部杞憂なら問題ないのですが、ここで参加者のマインドセットをわざわざ変えるメリットが全然見いだせないのですな。

しかも、特に為替市場という話になりますと、もう金融調節のテクニカルな部分を捕まえて緩和だ引き締めだ金融調節が稚拙だ(そんなアホウレポートが以前ありましたな、懐かしい)とか、斜め上どころかアホダラ経典でも読んでいるのかというような解釈をして(というかポジションの都合上そういう解釈を流布するという方が正しいんですが)動く人達がいるみたいなので、それこそ「臨時措置解除」→「金利上昇懸念」→「円高」とかアタックしかねませんけど大丈夫っすかねえ。オラ知らね。

つーことで、その辺をちゃんと考えて全ての状況悪化の責任をおっかぶされる(しかも自民党政権と違って政治介入する気満々にしかあたくしには見えてしまう民主党政権下なのですが)覚悟をしてこのような話をしているのかと日本橋本石町に(以下同文^^)。



○わざわざこのタイミングで解除しなきゃいけないメリットは無いのですが

そもそもですな、CPおよび社債の買入の利用がここもと少ないという事は、確かに解除しても問題ないという事ですが、同じ理屈で解除しなくても何ら問題無いのですよね。

つまり、現状でCPや社債の買入が市場の価格形成なり資源配分なりに悪影響を与えているという訳ではなく(レートを無茶下げしてるのは特別オペ)、従って現状の措置を延長する事に対する弊害が無いのでありまして、「弊害が無いのであれば無駄に波風を立てるよりも、フェードアウトを目指す方が問題無い」という発想にはならんのかと小一時間。

確かにまあ純粋にマネーマーケット周りの事情を見れば、「解除しても問題が無いから異例措置は解除」という理屈になるのは判りますが、一方であたくしがさっきから散々悪態を申し上げているように、環境が必ずしも好転している訳でもない(というのは短観の企業金融環境関連DIが碌に好転からも明らか)という中&政治的に要らん摩擦を生みそうだという最中に敢えて突っ込む意味は無いと思います。

それだけのリスクを取ってまで今解除しないと行けないような措置じゃないものをわざわざ解除に行くとか、政策としてのリスクリターンが全然間尺に合わないのでありまして、そういう観点で物を考えているのかと日本橋(以下同文)。



○大体からして恩の売り方がヘタクソなのですが

てな話を月初期初の忙中に市場の中の人や周囲の人(ただしあたくしのお友達フィルターが掛かっているので似たような話をする人達という点は割り引いてちょ)とうだうだとしておりまして、まあ上で申し上げましたような話になったのですが、それに加えて皆さんが指摘するのは「白川日銀は恩の売り方がヘタクソ」という観点。

いやまあ色々と説明している資料を読みますと(というか読まなくても市場の中でマジメに政策動向見てればわかりますけどね)今次金融危機対応に関しては(当初の出遅れはちょっとアレでしたが)特に12月の利下げと企業金融円滑化措置の実施以降は日銀も結構やっていると思う(まあB/S拡大が足りないとかいう人もいますからあくまでも一つの意見としてとらえて下さいね)のですよ。企業金融特別オペなんぞ効き過ぎでCP市場が阿片窟になってしまい、すっかり堅気の投資家が離散する有様なんですし。

しかしながら折角やってるのに(11月までの出し惜しみ感はともかくとして)、こんなどうでも良いタイミングで解除の地均しとかすると、「日銀は良くやってる」とはとても言い難くなる訳でして、それどころかうっかりしたら株が下がったり為替が円高に振れた場合の責任をおっかぶされるという話になったら、何のための異例措置だったのよという残念な話になる訳ですわな。

一方(こーゆー時に前任と比較するのも何ですが)前任の極めて政治的インチキパワーに秀逸な物をお持ちだった某福井の俊ちゃんだったら、今般の一連の措置に関して物凄い勢いでアピールして物凄い勢いで政権に恩を売りまくっているに違いないと思われる次第。俊ちゃん時代は小泉首相というもっと凄いインチキ力(りょく)の高い人がいたので、インチキ力もそんなに目立たなかったのですが、こうなってみると前任の空気読む力(インチキばかり言ってたら申し訳ないので言い換えた^^)には敬服せざるを得ないという話。

ま、白川総裁にそれを求めるのは難しいですし、今更そうなってくれとは思いませんけれども、何もあーた痩せ馬ロシナンテに跨って風車に絶賛特攻しなくても良いのでありまして、そりゃまあ小説の中だったら絶賛特攻した結果マドリッドのスペイン広場に銅像が立ちますが、現実の世界で絶賛特攻しても残念ながら銅像は立たないのではないかと思われますので、ここは一つ慎重になって頂きたいものであります。


#いやね、そりゃこの手の措置解除してくれた方がこっちとしては収益機会が復活するからオイシイ話なんですが、そーゆー目先の細けぇこたあ良いんだよ!(AA略)という所なのでありまして・・・・・

以上、ひたすらあたくしの独り言にお付き合い頂き恐縮至極でありましたm(__)m

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2009/10/05

○その他雑談ですが

・モラトリアム法案関連

何がどうなっているのかよー知らんのですが、段々大臣様のトーンが下がっているようで誠に結構。ただまあトーン下がるのは良いのですが、落とし所が「運用で解決しましょう」というのになりますと、今度は誰も返済猶予を頼めなくなる(潰れる気満々なら頼むでしょうが、ゴーイングコンサーンを目指すんだったらよー頼まんでしょ)ような気がするんですけど大丈夫かね。

金融検査マニュアルの基準が緩和という線もあるでしょうけれども、その場合今度はまた政権変わるなり政権の方針が変わって検査マニュアルが厳しくなるとかなったら目も当てられませんというか、当然ながら貸す方としては一番厳しい時に与信基準を置かざるを得ないですから、あんまり意味無いちゅうか、もうちょっと銀行の自由裁量を認めて欲しいもんだと思います(が、そもそも不良債権が絶賛増加する中で自由裁量でやらせてたら全然不良債権処理が進まなかったという過去の悪事例があるのが問題なのですがorz)。


・G4とかIMFでの新興国の発言拡大とか

新聞で斜め読みしただけなんですが、G7が今度G4というどっかの痔の薬のような名前になって(ってネタ古すぎですかそうですか^^)、日本と米国とEUと中国で実施する形になる構想があるという話があったようで。

えーっと、そうなりますとこれはどう見てもアジア代表の地位が日本から中国に交代しますというインプリケーションにしか見えないのでありまして、甚だ遺憾の極みとしか思えないのですが、EUと一緒くた扱いになる英国と共に、島国コンビとしてはちょっと何だかなという感じがするんですが・・・・

また、IMFがどうのこうのというニュースもあって、こちらも何だか残念感漂うニュースに見えますがどうなんでしょうかね。

ということで、とりあえず本日はこんな所で。

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2009/10/02

○市場雑談

本当は昨日書かないといかんかったのですが、債券市場はともかくとして、短期方面では早速絶賛期初の買いが到来したでござるの巻となっておりまして、想定はしてましたが、そうあっという間にレート下がるなよと(汗)。

何で昨日だと申しますと、短期国債市場では期初の買い攻撃が何と30日に御到来となりまして、前日に0.155%のレベルで入札をやった(のであたくしが0.15割れでしょとか書いてまた外すというお馴染みのアホウ振りを発揮したのですが)年末越えの3か月物TBは0.145%まで金利が低下しまして、年内物は0.135%となり、こちらはこれまで0.14%が壁だったのにあっさりと壁突破と相成りました。そして昨日も年内物のTBの引けが強くなっておりまして、まー買いで強いのか気配釣り上げているのかは微妙ですけれども、CPレートが低かったりするのを見ると(相変わらずの何でもかんでも官民逆転)、まー運用資金なのか待機資金なのか知りませんが、短期市場ちゃんにお金がうなってますなあという感じであります。

期初の買いなのにナンデ30日に来るのかと申しますと、まあ期末の金繰りなどの着地が見えて来て、約定ベースで期末を跨いでも無問題という人から順に「俺も俺も」とご登場してくるということでしょ。1日にならないと動けない人も居ますので昨日は昨日で強かったですねとなったんでしょう。

まー短期は短期だけに債券みたいにじっくりと動向見ながらタイミングを待つというのも中々難しく、って例えばの話3か月TBでラダーのポート組んでいたらポートのデュレーションって45日位にしか無いのですから、様子見するにも限度というものがある訳でして、金が余っている状況というのはモロに短期には出てきますわなという所でしょう。ああ金余り。


○財務省と日銀の政治センスの違いですかねえ

一昨日でましたブルームバーグの記事に続いて、共同通信なども「日銀はCP買入や社債買入の停止を検討」という記事を昨日出して居るわけですが・・・・・・

えーっとですな、現在実施している一連の臨時措置っていうのは「企業金融支援策」というお題で行っていると存じますが、今まさに金融担当大臣が返済猶予制度だの何だのというものを打ち出して大騒ぎになっている今日この頃のタイミングでわざわざ政治に喧嘩を売るんですかという感じ。おまけに言えば時あたかもCPIが弱くて日銀を叩きやすい環境にあるのですから、わざわざ自分たちでフルボッコにされに行くようなネタを提供するとか、あまりにもアレなセンスで落涙を禁じ得ません。

つーかね、バックストップで今使われていないものだったら別に停止してもしなくても問題無いのですから、タイミングをもっと選ぶというか、「ああそう言えばそんな措置がありましたね」位のタイミングでフェードアウトすればヨロシとあたくしは思うのですけどねえ。

一方、これまた一昨日のネタですけれども、財務省はこんな事を。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/yotei/2110a.htm

『10月9日(金)に予定していた国庫短期証券(2ヶ月程度)の入札は、行わないことにしました』

ということで、補正予算の執行停止に伴い、国庫資金繰りに余裕が出来るので2か月ものの国庫短期証券発行を中止するって話なのでしょうけれども、「補正予算執行停止で財源を作って」っていうような話をしている現内閣に対するいい感じの「お土産」っぽい香りも漂ってくる事案でありまして(^^)、いやまあ別にこれそのものに政治的な意図がある訳ではなくて単にテクニカルな話であると思いますが、そういうテクニカルな物であっても良い見せ方ですよね。

ということで、財務省の政治センスと日銀の政治センスの隔絶振りには、まあ今に始まった話では無いですが、日銀にとって誠に遺憾な状態が続いてますなあという感想を受けたのであります。


○モラトリアム雑談

いつの間にやら「返済猶予して飛んだら国が金融機関に損失補償」という更に斜め上の話が展開されている今日この頃ですが、もう何だかカオス過ぎて何がなにやら。

えーっとですね、返済猶予した挙げ句に返済不能になったら国が損失補償してくれるのでしたら、当然ながら融資先がお父さんになってくれれば貸出金がめでたく全額回収できてウハウハになるのですから、普通に考えるとそんな制度にしたら時限措置終了直前に融資止めて与信先を破綻させるインセンティブが金融機関に生じちゃうと思う次第でして、貸し渋り対策どころか倒産促進の施策になってしまうのではないでしょうかとおじちゃんは思うのですけれども、何か勘違いしてますでしゅかねえ?????ま、その前に反社会的勢力が借り得でウハウハとか言ってそうですが。

一応「とりあえずビーンボール投げてから落とし所を探る」という事を考えて色々な話をしているのだと信じたい所なのですが、そーゆー腹芸的な物事の進め方っていうのは身内の狭い範囲内で仕事を回す分にはそれでも良いと思いますが、世界に開かれている金融市場という中で斜め上の話を連発されますと、当然ながら日本の金融に対する信認問題とかにまで発展しかねない話ですから、どこぞの大臣様におかれましてはもうちょっと国際的な場を見ていただきたく存じますが、国際会議でも言い出しそうな悪寒が・・・・

何かどこぞの鶴航空(仮称)に関してはどこぞの国土交通大臣が国が全面支援とか言い出してますし、どこがどう財政規律堅持なのか1ミリも理解できない話が続々出てくるのが実に頭の痛いところであります。

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2009/10/01

○証券決済期間短縮の方向性は良いのですが・・・・

昨日の続き。

いやまあ新聞記事読んだら2015年とか随分先の話で、何で中間期末の次期に唐突にこのニュースが出るのか普通の発想だとサッパリ判らんという話ですが、一つ超下らない事を妄想したのはアレですよアレ、今年度上期の業務施策として証券決済期間短縮に関する着手を行うとかあったんで期末の駆け込み施策ということで、って書くとナンジャソリャと思う人とニヤリと思う人がいるかと存じますが(苦笑)。

まー証券決済までの期間短縮というのは方向性としてはあるべき姿だというのは全くの正論なのですが、世の中正論だけで通れば全く苦労しない訳でして、実際問題として上場株式の取引以外で全然STP化が進んでいない上に、債券取引なんて特に投資家サイド的にはもう思いっ切りSTPに馴染まないような取引という状態になっている(STP化しようとして却って不便になったとか、現場がぶち切れ状態になったとかいうような残念な話は良く聞くのでありまして)のですがそこをどうしますのよという話とか、T+1決済になりますと債券ディーラーの玉繰りあんど資金繰りがより一層タイトになりますが、実際問題として管理が半自動状態でマンパワーで何とかしている部分が多い中でどうなんですかとか、よーするに既存インフラとのフリクションをもうちょっと考えて頂きたいという話ですな。

ま、今回の唐突振りからすると、どっちかといえば「先にビーンボール投げておいて」って話なのかも知れませんが、例えば東証の債券先物最終決済がT+1になったときに回るんですかねえとか、山のように問題あるでしょと思う次第でして、推進するのは結構なのですが、その辺りも調整して頂きたいもんであります。

あと人と話をしてて指摘されたんですけど、日本で国債決済T+1をやると海外投資家は事実上T+0決済になってしまいますわなという(まあガイジンさんはT+2とかになるんでしょうかね)オチもあるのですな。また証券決済が短縮となりますと、投資信託とかの設定解約のタイミングも短縮という話になるでしょうから、これまたリアルタイムのポジション管理などという思想に基づいていない投資家(や受託銀行)サイドとしてはかなりのマンパワーとシステムへの投資が必要になるのですが、雀の涙しか金利が無い時にそーゆー施策をされましても投資する金が無い訳でして、やるなら政策金利1%になってから実施して下さいお願いしますお願いします。

なお、金利が低い時(量的緩和ね)にもCPの電子化が出来たじゃないかという突っ込みはあろうかと存じますが、あれは印紙税の問題があって電子化するメリットが発行体にあったのと、関係者がほぼ大手銀行だけの世界という事でまあシャーナイですなでやってくれる人であったという点がある訳でして、アレだって金利水準がとても低い時に実施したから手数料体系とかがおかしくなっちゃってシステム投資に全然見合わない水準にせざるを得ない状態になってしまったとかやっぱ問題含みは問題含みだったと思うんですけどね。

今回の証券決済短縮はべき論としてはあるべき話なのですが、それを実行するとなると人手も金も掛かる話で、そんなら別に取引先の与信管理を厳格にすれば良いじゃんという既存のインフラを使った代替案が存在しちゃうだけに、ある程度気合で進めないといけない部分はありますけど、それだけで済むもんじゃないと思いますです、はい。

ところでですね、当然ながら日本銀行様におかれましては、証券決済期間短縮を推進するという事になりますと、フェイル慣行の定着化を率先して推進して頂くことになるのかと存じますが、従来オペ系でフェイルをすると閻魔帳ポイントカードのポイントがついて(って比喩でして、実際はそんなポイントカードはありませんので念の為^^)、ポイントが溜まりますとオペ先選定の際に不利に働くやに伺っておりますが、フェイル慣行を定着させるという観点から致しますと、当然ながら率先してノーチャージ、ノーペナルティーでフェイルおっけーにして頂けるんですよね?と最後に悪態ついてこの話は進行したらまた続く(がまだまだ先の話でしょ)。

ま、証券決済期間短縮そのものはやるべき話だと思いますけどね。


○微妙な記事が

昨日のブルームバーグ独占記事だそうで。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=akiSHesItvDk
日銀がCPと社債買い入れ停止を検討、特別オペは見直しか

一瞬「おお!」と思ったのですが、良く見たら微妙に柔らかい話ですわな。リード部分を引用しますとこうなるのですが。

『9月30日(ブルームバーグ):日本銀行は12月末に期限が来る3つの企業金融支援策のうち、コマーシャルペーパー(CP)と社債の買い入れを年明け以降停止し、企業金融支援特別オペについても見直しを行う可能性が高まっている。10月1日発表の日銀企業短期経済観測調査(短観)をみて、早ければ10月に開く2回の金融政策決定会合のいずれかで判断する。複数の関係者への取材で明らかになった。』

複数の関係者って誰よという感じですが、そもそも論としてバックストップとなっている買入に関しては利用が無いから廃止とかいうのは話としておかしいのでありまして、いやまあ停止するけど必要になったらまた実施するというのなら別に停止でも良いのでしょうけれども、モノの順序としてバックストップを外すのは後でしょと思う次第。何か記事のコメントの中でも「買入が全然利用されていないので止めても意外感なし」みたいなのがあるようですが、金利押し下げをしているのは買入じゃなくて特別オペなのですから、市場環境の改善に対応して臨時措置の内容を見直すというのであれば、どう考えても特別オペの内容手直しが順序として先ではないかと小一時間。

そりゃまあ延長の是非に関して11月の決定会合位までには検討結果を出して結果をアナウンスするわけですから「停止を検討」といのはこれから検討するという意味でウソじゃないですけど、可能性高まってるって微妙な???感が。大体からしてこの前西村副総裁がアルゼンチン中銀コンファランスの講演で『Don’t Underestimate Safety Nets』って話をしてたじゃんと思う次第でして、正直言って買入は利上げするまで残しておいて良いんじゃないですか位のイメージなんですが。

まーよー知らんけどね。


○船頭多くして船山に登る位なら良いのですが

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=axFEMGTw4Xjw
内閣府副大臣:景気下振れリスクも−民間との意見交換会設置

いやまあ景気認識とかはさよですなという感じですけど、民間との意見交換会云々が何と言うか気持ちは判りますし市場を気にして頂くのは市場の片隅でメシを食わせて頂いているドブ鼠のあたくしと致しましては誠にありがたい話ではあるのですが・・・・・

『古川副大臣は、市場との対話を促進するため、民間エコノミストらを招いて意見交換会の場とする「マーケット・アイ・ミィーティング」を設置することを明らかにした。副大臣はその狙いについて「できる限りマーケットとみなさんとの対話を重視してまいりたい。そしてマーケットの声に真摯(しんし)に耳を傾け、マクロ経済政策を実施していきたい」と説明した。』

・・・・えーっとですね、市場なんちゅうものは所詮目先の材料に一喜一憂しながら悲観と楽観のオーバーシュートを繰り返しているものでありまして、マクロ経済政策というようなもうちょっとタイムスパンの長い政策に関してそう一々市場との対話とか気にしなくても良いと思いますし、市場の対話とかを気にしすぎて「自分の尾を追う犬(byブラインダー元FRB副議長)」になっちゃいますと却って市場からの狙い撃ちの良い標的になるだけだと思いますんで、国債管理政策みたいなテクニカル面が大きくて市場動向を見る必要があるものと一緒くたに考えない方が良いと思うんですけどね。

何か決定会合の政府代表に菅副総理が堂々やって来るという話があったり、金融大臣様は色々とお話したり(しかし猶予した結果損失でたら銀行に財政で補填するくらいなら最初から政策金融公庫(元国民金融公庫という意味ね)やら商工組合中央金庫で政策融資すりゃいいじゃないのよと思うのですが)と大変に楽しい状態になっておりまして、よく言えば百家争鳴ですが、どう見ても船頭だらけです本当にありがとうございましたという感じですな。あっはっは。

#と、期初は雑談大会でした




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