金融政策概観(2008年度下期分)
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2008年下期
2009/03/30「BOEの長期国債買入ロジックを議事要旨で見る」
2009/03/25「米国の不良債権買い入れプログラム詳報」
2009/03/24「米国の不良債権買い入れプログラム/輪番増額関連」
2009/03/23「FRBの長期国債買入続き」
2009/03/19「輪番増額/FRBの長期国債買入の理由が相変わらず信用市場の緩和である件」
2009/03/18「日銀劣後ローン購入ですか/産経新聞のムチャクチャな経済教室」
2009/03/17「日銀の資本注入??/SNBは量的緩和じゃなくて為替介入でしょ/CP市場阿片窟」
2009/03/11「武藤前副総裁と山口副総裁のインタビューをクリップメモ」
2009/03/06「短期金利全般にレート低下が波及」
2009/03/05「社債買入オペも札割れ/CPレートの官民逆転モード」
2009/03/04「CPレート低下/日銀の保有国債/日銀の受け入れ担保」
2009/03/03「CP買入が札割れした件など」
2009/02/20「決定会合結果、色んなものが延長&社債買入」
2009/02/19「FRBのインフレターゲット設定と報道されましたが・・・・・/CPと社債は違うのよ」
2009/02/18「やればできる子な最近の金融調節」
2009/02/17「CP関連あれこれ/先日のバーナンキ議会証言雑感」
2009/02/16「決定会合前に雑感を少々」
2009/02/13「オペレーションがちょっと市場フレンドリーに/政府紙幣と無利子国債」
2009/02/05「オペの話とTB入札の話」
2009/02/03「短期国債更に増発/CP買い入れの結果/FRB付利範囲拡大へ」
2009/01/30「FB重くオペ金利上昇/FOMC声明文続き、タカ派の長期国債買入推進論点」
2009/01/29「FOMC声明文より:長期国債買入はチラリズムで/FBが重い件について」
2009/01/23「決定会合結果:企業金融対策関連・輪番オペ関連」
2009/01/22「人のふんどしシリーズ:イエレン講演・英国ポンド崩壊中」
2009/01/21「オペ迷走/社債買い入れに関して再び雑談」
2009/01/20「決定会合に向けて/市場雑談」
2009/01/16「社債の買取と言うのはさすがに筋悪だと思いますが」
2009/01/15「バーナンキ議長講演メモ/市場メモ」
2009/01/14「GCレートが上昇/FOMC12月議事要旨を読んでみる(続き)」
2009/01/13「FOMC12月議事要旨を読んでみる」
2009/01/09「企業金融オペ実施/CPレート落ち着く/ターム物金利誘導ねえ」
2009/01/08「オペ雑談/輪番が期近債買切に/国会に本石町日記が/FOMC議事要旨より」
2009/01/07「即日吸収オペ実施とは・・・・」
2009/01/06「早速オペ雑談」
2009/01/05「今年もオペに注目・・・かなあ?」
2008/12/26「オペが末初のことしか考えて無さそうな件について」
2008/12/25「会見の話とオペの話、どっちも昨日の続きです」
2008/12/24「けち臭い総裁記者会見/けち臭い資金供給オペ」
2008/12/22「市場的には満額回答以上の決定会合結果」
2008/12/19「さあ決定会合です」
2008/12/18「よくよく見たらFOMC声明文は現状追認と検討指示」
2008/12/17「FOMC声明文/利下げ圧力が高まりそう」
2008/12/16「国債市場懇談会より」
2008/12/15「決定会合大予想」
2008/12/12「オペに注目/政策投資銀行CP購入/流動性供給入札延期」
2008/12/11「オペが何でこうどたばたになったかの雑感」
2008/12/10「オペが毎度の如くドタバタと」
2008/12/09「連日のオペ劇場/輪番がまた短期債入れ場に」
2008/12/04「決定会合後の総裁会見と翌日のオペレーションに悪態をついて見る」
2008/12/03「臨時会合の結果および市場雑談」
2008/12/02「臨時会合ですが/スポネ買現先4兆円/総裁のゼロ回答」
2008/12/01「ほほう臨時会合開催とな/市場レートは下がりませんなあ」
2008/11/28「結局もとの木阿弥になった市場」
2008/11/27「レポレートやTIBOR更に上昇/オペ懇談会での総裁のゼロ回答」
2008/11/26「レポレートなど上昇/その他」
2008/11/25「ゼロ回答の金融政策決定会合」
2008/11/21「さて決定会合/市場雑談/量的緩和政策の効果についての答弁」
2008/11/19「オペ雑感と決定会合雑感」
2008/11/18「17日のオペは予想通りツイスト大会/PD懇でも苦情殺到?」
2008/11/17「さて当預付利スタートです」
2008/11/14「17日スタートで突如ツイストオペ実施」
2008/11/12「益々オペ金利上昇/FFの誘導目標と実際の金利/埋蔵金話再度の続き」
2008/11/11「週明けになってオープン市場の地合い悪化」
2008/11/06「オープン金利高止まり」
2008/11/05「オペの供給が足りませんが」
2008/11/04「決定会合続き」
2008/11/01「決定会合0.2%下げで流動性対策無しと」
2008/10/31「決定会合ですので適当に予想を」
2008/10/30「利下げ記事で動いた相場その他雑感」
2008/10/29「日経朝刊に利下げリーク記事!」
2008/10/28「利下げの握りは出来ていないと/で、当預付利ですかそうですか」
2008/10/24「債券は利下げ期待っぽいのですがオープン金利は上昇」
2008/10/23「オープン市場の金利が上昇しているわけですが」
2008/10/22「FRBのCP買入プログラム/物国と変国入札停止/当座預金付利」
2008/10/16「益々落ち着いてきたようです(ただしTB/FBとコールですが)」
2008/10/15「欧米の対策を受けた市場メモ」
2008/10/14「金曜は市場が壊れたんじゃないかと言う勢いの相場でした/固定金利がポイント」
2008/10/10「大供給を!一心不乱の大供給を!!」
2008/10/09「協調利下げ関係/FB3か月入札が崩壊」
2008/10/08「物価連動国債入札中止!/FRBの準備預金付利とか」
2008/10/03「日銀保有国債に変なものが/インタゲに関する日銀レポート」
2008/10/02「FRBが準備預金に付利したらどうなるかという話(序)」
2008/10/01「国債投資家懇談会から、レポ取引とか物価連動国債とか」
2009/03/30
○この前利下げした時のBOE議事要旨からちょっとだけ
こんなのが出てたのでちと斜め読み。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2009/mpc0903.pdf
このときって議事要旨12ページにありますように、
『44 The Governor invited the Committee to vote on the proposition that
Bank Rate should be reduced by 50 basis points to 0.5%. The Committee voted
unanimously in favour of the proposition.』
つーことで利下げをして、金融資産買入プログラムの実施も決定したのですが。
『45 The Governor invited the Committee to vote on the proposition that:
The Bank of England should finance £75 billion of asset purchases by the
creation of central bank reserves. The Bank should seek to make these purchases
within the next three months. The scale and timing of purchases would be
reviewed at each MPC meeting.
Purchases of private sector assets under the Asset Purchase Facility should
now be financed using central bank reserves rather than Treasury Bills.
The Committee noted that, in so far as purchases of private sector assets
fell short of the £75 billion target, the Bank of England would buy gilts
to fulfil the overall quantity of purchases.
The Committee voted unanimously in favour of the proposition.』
この時の利下げ論議で「利下げの良い点悪い点」って論点があったのですな。本文7ページから8ページになるんですけど、クソ長いので途中で段落切ります。本当は全部が1段落で書いてあります。
『27 The Committee agreed that further monetary easing was required to
meet the inflation target, and first discussed whether there should be
any additional cuts in Bank Rate.』
ということで利下げに関する議論。
『Some arguments were identified for making no further rate reductions.
Although the current extremely low level of Bank Rate was providing a substantial
stimulus to the economy, the transmission of any further rate cuts through
to activity and inflation was likely to be significantly impaired.』
『In particular, the Committee remained concerned that a further reduction
could have some adverse impacts on the economy, given its effects on the
profits that banks and building societies were able to make through the
spread between their deposit and lending rates.』
「追加の利下げは経済に対して反対のインパクトを与える可能性がある」って指摘がほっほーという感じですが、銀行等の収益に悪影響を与えるという論点でして、長短金利差が無くなって来ると銀行などの金融機関もそうですが、債券運用も苦しくなりますな。
『Deposit rates could not be reduced much further, and if these institutions
were contractually obliged to pass on cuts in Bank Rate to some of their
borrowers, that would squeeze their profits further, and potentially reduce
lending capacity.』
で、次の論点もほほーであります。
『In addition, a sustained period of very low interest rates could impair
the functioning of money markets, creating difficulties in the future,
when interest rates needed to rise.』
低金利が継続すると短期金融市場が一家離散状態になって次の利上げの際に色々と問題が生じると仰せで。緩和状態を継続しつつも一家離散状態にならない程度の金利環境が必要という指摘みたいですな。
でもまあ利下げしたわけですが、そこの論点も中々。議事要旨8ページ目から。
『28 However, there were also arguments in favour of making a further reduction
in Bank Rate. First, a cut in interest rates would still have some effects
in boosting nominal spending and inflation, for example through the usual
exchange rate and asset price channels.』
為替市場や資産価格を経由する効果によって消費や物価の上昇に寄与と。
『Second, a lower level of Bank Rate should increase the effectiveness
of the further measures which were likely to be needed to ease the stance
of monetary policy. Those measures would lead to an increase in the supply
of money in the economy. A lower level of Bank Rate would raise the incentive
for investors to find alternative assets to hold, rather than keeping the
additional money in bank deposits.』
アナウンスメント効果みたいな話をしてますが、後半で思いっきりいわゆる「ポートフォリオリバランス効果」みたいな話をしてます。ただまあ金融機関のポートフォリオリバランスではなくて「銀行に預金しておくより有利だということで別の資産を持つようになる」って書いているから非金融セクター(ってか個人ですかね)の投資を喚起するという話。
日本だと「金利が下がると個人預金者が困る」という恐怖の理論がありますので、このようなことを堂々書くとメディア様総叩きになってしまうでしょうね!英国裏山鹿。
『Third, concerns about the impact of a low Bank Rate on lending capacity
were best met by policy initiatives to stabilise the financial system.』
金融システム安定化ですかにゃ。
・・・・ということで、この辺の論点を見てますと、各国の金融政策における論点が似て来てますなあという気がするのでありまする。という話をしたかったのでありまして(^^)。
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2009/03/25
○米国の施策に関して雑感
どこぞのテレビ番組の雑な説明を真に受けて(いやまあ多分違うだろと思ったので判断保留したのですが^^)昨日は感想を書きましたが、内容を読みつつ内容を解説したレポートを何本か読んで大体の所は把握しました(つもりです)。
共同声明文はこちら。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090323b.htm
昨日某テレビ番組見ててこんな事書きましたが・・・・
>「FDICが殆どやられを持つから買取価格が高くなるでしょう」というモーサテコメンテーターのコメントが恐らく大興奮状態の米国市場の本音的反応だと思うのですけれども、ちょっとそれは単純というか希望的観測のような気もせんでもない。
・・・・最初にやられるのはエクイティの出資者なので、買取価格がまあ普通だった場合には、エクイティの部分に負担が掛かる(ただしその部分は民間出資者とTARPが折半)話(買った物を転売または回収したらエクイティ以上にやられた時にFDICのローンが毀損する)ですし、そもそも総資産とエクイティのレバレッジ比率は常に7倍ではなくて「通常は7倍よりも小さくなる」という話ですので、昨日テレビで見てた米国コメンテーターさんの反応(=市場が最初にどう解釈してどう反応したのかを正直に伝えているんでしょうね)はちょっと希望的解釈成分が強く入ってたような気がする。
で、まあお恥ずかしい話ですが、このスキームがワークするのかしないのかという話は土地勘がございませんえんですので、各種レポートを色々並べて読んだり知ってそうな人に聞いたりする訳ですが、「買取価格が低下しすぎるリスク」と「特に極端に投資家に有利なスキームでも無い(まあ有利は有利みたいですけど)」という所がリスクみたいですな。
しかしこういう件で共同声明文が出るというのはイイハナシダナーという所でして、一方で損失負担に対する政府とのアコードも無い(いやまあ有るのかもしれませんが世の中には出てきませんわな)日本って何なのよという感じですな。いやまあ政権が持つか判らん状態でアコードのもって行き場が無いというのもある(今までの民主党クオリティだと何かいきなり過去の流れを全部ひっくり返しそうなのがおそロシアなので)のは判りますけど、米国ウラヤマシスですな。
ところで、本石町日記さんが早速この懸念を。
http://hongokucho.exblog.jp/10580731/
スキームを見ますと、エクイティ部分全損あるいはそれ以上の損失覚悟で高値落札(ローンの場合、証券の場合は運用会社が運営するので話は別になる)すれば、不良債権の飛ばしというよりは不良債権の政府への押し付けが可能みたいな感じですね。
例えば(計算するのが面倒なので)レバレッジが5倍のケースとして考えましょうか。
ある銀行の持ってる不良ローン債権プールのてめえの評価額が80で今売りに行くと20で、まあ正直に評価すると50だけど市況が改善したらもうちょっと戻るでしょというモノだと考えますと、本来は50からちょっと上近辺で買取価格が決まるので、銀行はマークダウンする代わりに損失30弱が出て確定って話になるのでしょう(それでも売りに行ったらもっと損が出るので良い話)。
そこでイカサマ競落スキームで80で落札させてしまえばエクイティ部分が16なので64以下で売る(または回収する)場合にはエクイティ全損になりますが、民間の出資はエクイティ部分の半分になりますので8でありまして、裏でごにょごにょやれば本来30弱のやられになる所がやられが8で済むという素敵なスキームになるという話ですかね。と思いました。残りのエクイティはTARPが出しますし、ローン(正確にはローン部分はファンドの債権でFDICが保証する)はFDICが持つのでウハウハと。
・・・・と成らないような仕組みがどこにあるのかというと、これはまあ具体的な運用スキームを作る際に判明するでしょうし、そこのあたりが余りにもノーズロだとやはり大変な事になるでしょうという話かなあと。
なお、スキームの説明はまあ各種レポートを読んでちょ(書くと長いしあたくしも内容理解するのに時間が掛かりましたですよ、アセアセ)。
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2009/03/24
○米国株が威勢よく上昇とな
えーっと正直内容が微妙に良く判らないので判断はパスなのですけれども、日本の2002年とか2003年の騒動の時にはりそな国有化して他もダメなら国有化というのをやらかしましたけれども、現実に国有化したり資本注入した所には財政資金が出ましたが、それはあくまで優先株などでの資本性の資金投入。しかも現実に出た財政資金って実際に突っ込んだ部分で、50兆円の財政資金って言っても実は「見せ金」の部分が多かったっすよね。
で、米国の場合ですけれども、バットバンクで不良債権を購入するのですが、金融安定化資金に加えて今度はFDICがノンリコローンを組みますって話ですから、現実にFDICから財政資金が湯水のように出て行くというお話で、ワークした時に金融機関の不良資産は助かりますけれども、政府に全部付け替えという話で財政が持つのか(だから対ユーロでドルが下がるのでしょ)と思うのですけど。
「FDICが殆どやられを持つから買取価格が高くなるでしょう」というモーサテコメンテーターのコメントが恐らく大興奮状態の米国市場の本音的反応だと思うのですけれども、ちょっとそれは単純というか希望的観測のような気もせんでもない。「実勢より高く買い取る」=「金融機関への掴み金」になる事くらいはさすがにプリオン入り牛肉の食いすぎ米国国民にもバレると思うのですが、AIG問題で既にエライコッチャになっているのに政治的に持つのかねと(大体妥当な価格と思われるところで買って金融機関が困らないのならば良いのですが・・・・)思うのですが。日本の場合何だかんだ言ってコイズミ様が実施したのでオッケーオッケーという感じでしらっと大政策転換が通りましたけど・・・・・
まあどちらにしても中身がうまいこと回るといいですね(棒読み)という所ですが、推移を見守りつつ、結局財政に付け回しスキームであれば、その場合どうなるのかは日本の例と対比しながら考えていくしかないですなという所で。
○輪番増額話の続きと言うか補足
今回の日銀による輪番増額、昨日は総裁記者会見の引用をしましたけれども、現象面としてまあ他にもポイントがあると思うので少々。
・今回の輪番増額は利下げなどを含まない単独措置
前回の輪番増額は12月19日の利下げという金融緩和措置と同時に実施(このときは他の質的緩和措置も実施してましたが)してまして、その前の輪番増額は速水総裁の時に遡りますが、この時は当座預金残高目標の引き上げという量的緩和措置拡大に伴っておりました。
然るに、今回の輪番増額はそういう点での明示的な目標数値の変更を伴う金融緩和措置を伴わないものでありまして、従来のロジックからちょっと違う輪番増額になっているという話ですわな。
ということでとりあえずあたくしの知能で考えられますのは(1)輪番を金融調節上の話に再び下げる、(2)明示的な形を伴わなず有耶無耶に量的緩和をする、というののどっちかあるいは合わせ技というようなことなんですかねえとか思う次第。まあ(2)なのかなあとも思いますが。
・いわゆる銀行券ルールとの関係とか輪番の位置づけとか
以前(2008年2月5日ですな)にも雑談を書いたと思います(下のURL
の2008年2月5日のところをご覧いただければと存じます)けれども。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisakugeneral07-02.html
そもそも論を言えば償還乗り換えルールが変わったところで輪番は「成長通貨の供給」というよりは「期間の長い資金供給オペ」に化けておりまして(償還乗換で永遠に長期国債が残る形ではなくなったので)、銀行券ルールとの関係というのもこれまた位置づけを考え直した方が良いのではというのは別にあたくしだけではなくて本職の方が指摘してたと思うのですよね。(償還乗り換えルールの件に関しては本石町日記さんの過去エントリーhttp://hongokucho.exblog.jp/6761421/もご参照ください)
そう考えますと、今般白川総裁がやたらめったら銀行券ルールに拘って「自分の在任中は見直さない」という勢いで発言したのは余計な発言にも程があると思うのですが、まあ言っちまったもんはしょうがないので、今後の輪番をどうするのかという話もまた難しくなったかもねえとは思います。
つまり、輪番は本来的には「期間の長い資金供給オペ」という昔のFRBのクーポンパスみたいな金融調節上のオペの一環という位置付けであるのが然るべき姿であって、そういう意味では必要に応じて増やしたり減らしたりできれば一番ややこしくないのですけれども、元々が輪番にやたら意味を持たせてしまっている上に、海外でも「長期国債買入プログラム」みたいなのをおっぱじめてしまったので、ここで位置付けを軽くするという訳には行かないのが困ったもんでございましょうなという所で。
まあホイホイ増やした後に必要が無くなったらホイホイ減らす(極端な場合は売切をする)のが出来れば簡単にホイホイ増額できるのでしょうが、これだけ位置付けがエラソーになってしまいますと、そういう訳にも行かない(もともとが輪番減額しにくい状態だったのに更に昨今の状況ではということですな)ので色々難しいでしょうなと。
財政マネタイズの思惑とかそういう話を全部無視して、というのも相当乱暴な話ですけど、単純に金融調節の技術上の問題だけで言えば、いわゆる銀行券ルールって、保有長期国債を市場でホイホイ普通に売却できれば別にまあそんなに墨守せんでも良い話なのですが、この行為が恐らく洋の東西を問わず難しい(やたらとマーケットインパクトがある。FEDだって短期国債のアウトライトはやってたけど(売りもこの前散々やりました)長期は従来あまり手を出してなかったと思う)ので、中央銀行の保有する長期資産(=長期国債ですな)は長期負債(=銀行券ですな)見合いで持っておけという話になると思いますので、やはりまあどこかでロジックの建て直しをした方が良いと思いますがね。
・しかし白川さん何でそう断言するのやら
昨日ご紹介したように、会見ではすっかり「もう輪番を増やしませんがな」という「やりたくないけどやりました」みたいな発言をする白川総裁なのですけれども、12月の輪番増額時の会見で白川総裁はこのように発言してましたわな。会見要旨の9ページ目にありますが。
『こうした少し長い先の姿を想定しながら、銀行券の範囲に収まる買入れ額はどの程度か、バランスシートの資産サイドの期間の構成という面でバランスがとれているか、などを勘案し、2,000
億円の増額を決定しました。当面、この2,000 億円を増額することは考えていません。』(12月19日の総裁記者会見より)
えーっと、1.2兆円から1.4兆円に増額した時に「少し長い先の姿を想定」して「当面は増額しません」と言ってたのですが、3か月で前言が無かったことになるとは実に素晴らしいフォワードルッキングですね(棒読み)というところでありまして、折角輪番増額と言う措置を実施しても総裁が「でもボクはやりたくないんだよ」と駄々をこねて政策効果(というかアナウンスメント効果)を減殺させるとかもうアホかと馬鹿かと。
ま、一応今回の会見でも最後の方では(昨日引用しましたが)こう言ってまして、「これ以上増やさないというのはあくまでも今日の時点での話」みたいな事も言ってますけど、どう見てもその前に散々「ボクやりたくないもん」発言が続いてますので、「増やしません」が全面に出ているのがコマッタモンです。
『私が本日申し上げていることは、本日議論に参加した政策委員会メンバーの意見を踏まえて発言しているということであります。』(3月18日の総裁記者会見より)
最後にやっとこう言ってますけど、その前に延々と増額しませんいわゆる銀行券ルールは変更しませんとか言ってる訳でして、まあそういう意味では12月に引き続き今回も全否定でござるの巻という事ですわな。
・・・・・でもまあ12月に「当面増やさない」と発言して舌の根も乾かぬ内に輪番増額しかも月4000億円ですから、実際に圧力が無かったとしても部外者的には「ああ白川さんは圧力が掛かると簡単に前言を翻すのね」という印象を与えて非常に宜しくない訳でして、昨日も引用しました質問を再度引用しますが、まあこういうことでしょと思います。
『(問) (前半割愛)2番目に、仮に白川総裁ご自身かあるいは4年後の他の総裁かわかりませんが、将来この上限ルールを見直すということになると、大きな信認の失墜につながることにはならないのでしょうか。(以下割愛)』
ということで、白川総裁は将来どうなるか判らないことであっても、急にスイッチが入ってしまった場合、妙に力強く断言する変な仕様は早急に改善されることを願いたいものです。「総裁発言の信認」問題を賭けるべき所は別にあるのではないかと存じますが・・・・・・
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2009/03/23
○FRBの長期国債買入ですけど・・・・(だいぶ人のふんどし)
木曜日はFOMCの公表文を読んで「何で信用市場対策の一環で長期国債を買うのじゃろ」と???状態だったのですが、その後人と話をしてたらもう一つ別の論点があることに気が付きました。
と申しますのは、従来のFRBの質的緩和政策ってえのは、基本的なスタンスとして「信用不安によって市場の機能が不全になっているところ(各種クレジット市場)にFEDが梃入れすることによって市場の機能を回復させる」(=事によって信用市場を緩和させる)という理屈で行われていた訳ですわな。ところが、今回の措置というのは長期国債市場への介入なのですけれども、ご案内の通り米国長期国債市場はdisfunctionalどころか思いっきり機能している市場なのでして、その点から言いますと「何でこのタイミングで実施するの」という感じは致します。
従来のロジックである「to help improve conditions in private credit markets」というのを継承したままで今回の措置実施という事であれば、本来は長期国債市場が何らかの市場機能阻害によって長期金利が無駄に上昇しているという背景が有ったらという話になると思うのですけれども、米国10年国債で3%程度に上昇していたとは言え、別にそんなに問題あるような状況でもないと思うので、まあ他にオトナの事情でもあったのかと考えたくなりますな(^^)。
前回長期国債買入を実施すべしとして採決で反対したリッチモンド連銀のラッカー総裁は長期国債買入を「マネタリーベースの拡大」という正攻法で主張したのですが、今回マネタリーベースの話が出ないまま長期国債買入実施(しかも期間を切ってドカンと購入という不思議な施策)というのはどうもしっくり来ませんわなという事で。
んでまあオトナの事情と言えば「財政マネタイゼーション」という発想なのか米ドルが下落しているのが素直な反応なんですかねえと本石町日記さんの所を見ながら思うのでありました。
http://hongokucho.exblog.jp/10563811/
あと、a-kunさんのところも論点整理に大変有効でありまする。
http://d.hatena.ne.jp/a-kun/
a-kunさんが指摘していますが、たぶんバーナンキのFRBは金融政策の本音と建前を使い分けているような気が色々と考えているうちにしてして来ました。ただしa-kunさんが言うように、その裏表を使い分ける動機があまり無いのがまたワケワカランですよね。制度上議会の承認を必要としな中央銀行が財政部門の領域に突っ込んで行くのが議会制民主主義国家としてどうよという深刻なツッコミが来るのを気にしてるのかなあという位しか今のところは思い浮かばないですけれども・・・・でもちと違うようにも思えますし・・・・・・
まあこれで「ドル安で長期金利上昇」とか「財政マネタイゼーションで長期金利上昇」って話になった時にどうするのかを見たい(あまり世界の為には良い話ではなさそうですが・・・)のですよね。「マネタリーベース拡大の為に長期国債購入する」というロジックなら別に長期金利が上昇してもシャーナイナイで済みますが、「信用市場の緩和の為に長期国債購入する」と言い出した以上、金利がうっかり上昇(とりあえず最初に突っ込んだのが10年3%乗せですと)した時にはまた突っ込みに行く必要があるという結構問題含みの政策ロジックではないかと・・・・・・
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2009/03/19
お題「輪番増額とかFRBの長期国債買入とか」
微妙に色々ネタがありますが・・・・
今朝一番泣いたのは公共放送ニュースで「FRB 異例の長期国債購入へ」と見出しを出し「中央銀行である米国FRBが長期国債の買入を行なうことは異例の政策です」と紹介している事でして、従来から長期国債買ってた日銀の立場は(苦笑)。
○輪番増額
今回の日銀決定内容。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090318.pdf
既に増額のニュースが出てた(のも如何なものかと思いますが)輪番がいきなり月4000億円増額されたのはちょっとビックリだったので債券先物は威勢よく反応しましたが、超長期とか妙に重くて長いところも微妙に引っ張られたのか終わってみればまた10年1.3%でございましたが、中短期の3年とかのオフザランの10年長国に買いもあったようですにゃ。各種レポート見てるとスティープ要因という解釈なのでふーんという感じです。
で、4000億円増額の理由をテキトーに考えてみたのですが、(1)事前に増額が報道されてしまったので2000億だとパッとしないから増やしてみました、(2)多めに出して打ち止め感が出ると良いなあ、(3)輪番のゾーンわけを細かく行ってしまったので2000億円の増額だと比例配分で割り振るのが難しいんですよ、などなど考えたのですけれども(^^)、まあ一応いつもよりも威勢よく増額したのは結構でしたなあ(棒読み)というところで。
ちなみに輪番増額による年限別割り振りの比率はほぼ変わらないようにバランスさせています。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0903a.pdf
で、今回の公表文ですけれども、まずは輪番増額の理屈。
『2.金融市場における年度末越えの資金調達は概ね目処がつきつつあるが、年度明け後も、後述するような厳しい金融経済情勢を背景に、市場の緊張が続く可能性が高い。このような状況下、日本銀行は、金融市場の安定を確保するため、引き続き、積極的な資金供給を行っていくことが重要であると判断した。こうした観点から、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくため、長期国債の買入れを以下の通り増額することとした。』
市場の緊張ですかそうですか、ふーん。まあ金融調節で長めの資金を出しますよという話ですが、これによって短期のオペレーションを徐々に減らされますと困ります(短国の増発が見えているので)、そっちはそっちで継続的に実施して欲しいものです(が、また23日の余剰日を前に資金供給を絞ったからGCレートがこの大事な時に上昇してるんですけど、何回同じことやってるんだか・・・・)。趣旨は金融市場の緊張緩和の為という何となく緩和チックな怪しげな話なのは前回と同じっすね。
○景気判断は基本変わらず
それから、経済情勢に関する説明とかですが、基本的な判断部分は前回の公表文と思いっきり同じです、一部違うところがあるのですが、まずは引用。
『3.わが国の経済情勢をみると、海外経済の悪化により輸出が大幅に減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。金融環境をみると、CP・社債市場の発行環境は改善しているものの、全体としては厳しい状態が続いている。これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高い。』
ということですが、今回は金融環境のところで「CP・社債市場の発行環境は改善しているものの」という文言が入ったのが変化したところですが、現状認識は2月に示した厳しい状況と同じです(じゃないと緩和しませんわな)。
で、物価の見通しとかリスク要因とかの話は前回と全く同じです。最後の所にちょっと面白い表現がありましたのでそいつを紹介。
『日本銀行は、金融政策面からわが国経済を支えるため、昨年秋以降これまでの間、政策金利の引き下げ、金融市場の安定確保、企業金融円滑化の支援という3つの柱を中心に、様々な措置を実施してきた。』
似たような文脈は前回もあったのですが、今回は堂々3つの柱という言い方をして、元々時限措置だった企業金融円滑化措置が堂々の柱に昇格したでござるの巻になっちゃいましたね。
・・・・ということはどっかで絶賛開店中の阿片窟相場は継続するんですかねえ。いやまあ政策目的だから仕方ないけど、官民逆転現象という状態が長期化しちゃいますと最終投資家が離散してしまいまして、それが暫く続くと投資家の方でもちゃんと売買(というかCPの場合買切ですが)することができる人が段々減って来るので阿片が切れた時に「振り向けば投資家不在」という素敵な事態になり兼ねませんがその辺り白川総裁如何お考えでしょうか(苦笑)。
○というわけで
今回は何か事前に微妙に話が出るという毎度のパターンはどないかならんのかと思う(事前に出ないほうがサプライズ効果が出るじゃろと思いますし)のもありますが、輪番増額に関して物凄い勢いでメディア(というかどこぞの経済新聞)が食いついてもう観光釣堀園の魚状態だったようですにゃ。
えーっと、財政マネタイゼーションで長期国債買入ってロジックにするとそれは普通に金利上昇要因になるのですが、何で質疑応答で話をそっちに持って行こうとするのかねと。
まあこの辺をご覧になると吉かと。
http://hongokucho.exblog.jp/10536209/
○FRBのリリースを寝起きで読んで見ましょう
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090318a.htm
BOEの長期国債買入に日銀の輪番予想以上に増額とありましたので、やるやる詐欺もやっと腰を上げたようで結構ですなあ。ということで今回は注目の長期国債買入増額に係る部分を、っても一文ですが。
『Moreover, to help improve conditions in private credit markets, the Committee
decided to purchase up to $300 billion of longer-term Treasury securities
over the next six months.』
長期国債買入の目的は「マネタリーベースの拡大」ではなくて、「クレジット市場の環境を改善(=緩和でしょうな)する」というロジックで展開されていますので、「ヘリコプター・ベンの面目躍如」とか講釈してた某モーサテの米国コメンテーター様は声明文をよく読めと思うのですが(苦笑)、まあ市場の解釈も微妙に勝手解釈をしているんでしょうかねえ。
でですな、この「クレジット市場の環境を緩和」という理由で長期国債を買うというのは要するに「長期金利の水準そのものを下げることによって環境を緩和する」という露骨な市場介入のロジックだと思うのですが、はてさてこれって継続的に効くのかねえというのはどうなんでしょ。確かにドカンと買いますという話だからその時は需給改善でレート低下するのですが、「財政マネタイゼーション」とか言われ出したら債券市場にとって良い話ではないですし、今回の措置だって継続されたら別ですけど、6か月間限定の買入ですからその期間切れたらどうすんのよという話とか。
普通に「マネタリーベースを拡大」というロジックで押さないで「長期金利に介入」というちょっと無理筋っぽいロジックで攻めてくるFRBの今後に注目という感じでございますな。
ちなみに、今回は長期国債買入だけではなくて、モーゲージ担保証券の買入を増加させていますので、そっち方面のサポート強化もしていますわな。
『To provide greater support to mortgage lending and housing markets, the
Committee decided today to increase the size of the Federal Reserve’s
balance sheet further by purchasing up to an additional $750 billion of
agency mortgage-backed securities, bringing its total purchases of these
securities to up to $1.25 trillion this year, and to increase its purchases
of agency debt this year by up to $100 billion to a total of up to $200
billion.』
しかししつこく繰り返しますが、「長期金利を下げる」というロジックで長期国債買入をするというのは、小国の債券市場なら兎も角として、世界的に通用するハードカレンシーかつ基軸通貨国の債券市場でやるというのはかなりのチャレンジャーな企画だと思うのですけどね。今後の展開をニヤニヤしながら眺めていきたいと思います。
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2009/03/18
朝6時の公共放送ニュース、最初から順に「野焼きで4人死亡」「春闘きょう一斉回答」「全日空ストライキ」「税制関連法案」と来たのはまあ良いんですけど、次が「スペースシャトルで朝の体操の音楽を流しました」ですよ。その次が気象情報でした(その次は関東地方では千葉県知事選挙政見放送^^)ので、結局日銀の劣後ローン購入の話は最初のヘッドラインニュースに出ずというとっても素敵な結果に。あっはっはははは。
○劣後ローン購入(というか貸出というか)ですかそうですか
#そういや大昔「レッツ碁」という月刊囲碁誌が日本棋院から出てましたな。どうでもいい上に一部の人しか判らん話で恐縮(笑)
日銀の公表文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/fsky0903a.pdf
例によって例の如くプルーデンス政策ということで通常の政策委員会で決定だったのですが、金融政策決定会合の合間に政策委員会ってナンノコッチャという感じです(大昔に金融機関の株式購入を行った時には決定会合終了後に通常の政策委員会を実施しました)。
まあ唐突に新聞に話が出て、昨日は公共放送ニュースなんぞにも出やがりまして、何だかな感はあったのですが、結局大手銀行に劣後ローン貸出ですかそうですかという感じ。何か政府のサポートもないまま特攻モードで大丈夫か日銀という話ですし、そもそも当座取引先の与信をとるのは特融レベルの話(そういや特融が大規模に飛んだことありましたねえ)になるので、結構チャレンジャーな話だと思います。
しかしそういうチャレンジャーな話なのにメディアの扱いの低さが泣けるとしか言いようが無いですな。いやまあ出し先が国際統一基準銀行限定という微妙な所もあるんでしょうが。
『日本銀行による金融機関向け劣後特約付貸付の供与について』
『1. わが国金融機関は、昨年秋以降における、CP・社債市場の機能低下等に伴なう企業金融の逼迫のもとでも、貸出の増加を通じて金融仲介機能を相応に維持してきた。しかしながら、国際金融資本市場における緊張の持続や内外経済環境の悪化を背景に、有価証券関係損失や信用コストが増加するなど、金融機関経営全般に悪影響が及んできている。』
『2. 今後、国内外の金融資本市場の緊張がさらに強まり、個々の金融機関が、先行きの株価の下落等に対する懸念から自己資本制約を強く意識する場合には、円滑な金融仲介機能の維持に支障が生じる可能性がある。また、国内景気悪化の影響とも相俟って、金融機関の経営体力が低下し、金融システムの安定性に影響が及ぶ可能性もある。』
というご認識のようですが、実務的に期末に間に合いそうもないタイミング&大手銀行が個人向け劣後債などで資本調達をやった直後というこのタイミングというのに微妙な間の悪さを感じるんですが、まあオトナの事情とかあるんでしょうな。で、3番飛ばして4番目。
『4. 日本銀行による今回の措置は、厳しい経済金融情勢の下でもわが国の金融機関が十分な自己資本基盤を維持し得る手段を整えることにより、円滑な金融仲介機能を確保するとともに、これを通じて金融システムの安定を図ることを目的とするものである。本枠組みの検討に当たっては、中央銀行による資本性資金の供与が極めて異例の措置であることに配意するとともに、本措置が金融機関自身による市場調達や金融機能強化法に基づく資本調達と相俟って、金融機関の自己資本基盤強化に資するものとなるよう留意していく。』
金融機能強化法を皆さんもっと使えということですかそうですか(苦笑)。
ということで後は端折って(別紙)を見ると、
『2.対象金融機関
本件貸付を希望する自己資本比率規制上の国際統一基準行(銀行)で、日本銀行が適当と認めた先』
とございますので大手銀行対象。まあミクロ的にはこれにより自己資本が強化されるので貸出等の余力が増すという話になりますから効果はあるんでしょうけれどもねえ(マクロ的に意味あるのかいというとどうも)という感じです。
○で、何だかなあなのですけどね
なんでそう思うかと申しますと、従来日銀がCP買入だの社債買入だのの話をする中で「政府との連携で」云々というまあぶっちゃけ政府保証とかつける米英スキームをもっと政府サイドに検討して欲しいという話をしてた訳ですよね。それなのにいきなり途中をすっとばして劣後ローン供給とか日銀特融レベルの話を日銀が単騎大突撃でござるという図になっている訳でして、何と言う踏み込みという感じではあります。まあ大手行にしか出さないという腰の引け方が「踏み込んでるのか踏み込んでないのかワケワカラン」感があって益々こう味わいの深いものがあるのですが。
これで前回増額した時に「当面はこの額」と言ってた輪番を増額したら従来の発言と話がまた違いますなあということですな。いやまあ輪番増額自体は調節のテクニカルな面では増やした方が良さそうなのですが、前回の白川総裁の発言を見ているだけにいきなり増額だと「はあそうですか(棒読み)」という所でしょうか。
#白川さん何でもかんでもマジメに対応しないで福井の俊ちゃんのインチキ応対話法を参考にすべきではないかと思うのですけどねえ
まあ政府サイドが政局のグタグタ状態によって如何ともし難いという状態にある(今更80人からご意見拝聴とか何やってるんだかという感じですわ)ので日銀単騎大突撃という話になるのかも知れませんが、何だかねという所でございます。
で、この辺の状況に関する感想は本石町日記さんが判りやすく総括していますのでこのエントリー(とリンク先)をお読み頂きたく存じますです、はい。
http://hongokucho.exblog.jp/10530053/
まさに「ポンポコリン」とは言い得て妙ですね(^^)。
○これはツッコミ所が多い「日曜経済講座」ですね
どうもツッコミ所が多いと思ったら産経新聞のあの人でした。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090315/fnc0903151021001-n1.htm
このURLって実は1から3まであるのですけど、何か物凄いツッコミ所満載で頭がクラクラします。産経新聞大丈夫か???
『現代の日本人は消費よりも貯蓄に励む。これでは国全体の内需が振るわない。1990年代のバブル崩壊不況時、政府は赤字国債を大量発行して貯蓄を吸い上げ、巨額の公共投資に踏み切ったが、無駄な道路工事ばかりが目についた。民間事業を興す波及効果は乏しい半面で、国の借金はにっちもさっちもいかないほど積み上がった。』
えーっと、どこをどう突っ込んで良いのか悩むくらいの話ですが、国債発行して貯蓄を吸い上げたのではなくて、国債の大量発行によって民間が資金余剰になったというのが因果関係としては正しいのではないかと。しかも公共投資が「無駄な道路工事」の一言で片付けるとか何か乱暴な・・・と思いますがまあ良いとしてその次がまた。
『不況脱出の答えはおカネの発行だった。日銀が「量的緩和」政策をとって円を大量発行すると、円安という神風が吹き、輸出主導で景気が回復した。』
・・・・・・(゜д゜)
えーっと為替市場への介入を行い、その時に量的緩和政策を取っていて当座預金残高目標の積み上げを同時に行っていたから介入分が不胎化されずにベースマネーが数字上増えたという因果関係なのですが。というか「円を大量発行」って別に輪転機回して日銀券撒いてる訳じゃないのですが・・・・・
で、その先にある2番目以降の説明も無茶というか豪快というかなのですが。
『米国の民間金融機関が創出したこの信用マネーは、住宅価格が全米各地で下がり始めた途端に、蜃気楼(しんきろう)のごとく一挙に消滅した。これが「100年に1度の危機」の実相である。モノや飲食などのサービスに支出する財源がなくなったのだから需要も消滅、米国の新車販売台数は前年比で40%以上も減った。』
『危機は信用の消滅により引き起こされたのだから、景気の回復のためには、とにかくマネーを大量に新規供給するしかない。米国はオバマ政権も米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長もそれを知っている。』
何かマネタリーベースの話とレバレッジの話がゴッチャになっているようですが大丈夫でしょうか。あとそれから現在の各国の対応では、信用危機問題は単純にマネタリーベースを増やせば解決するような単純な話ではなく、個別の金融市場に手を突っ込む信用緩和を行うというのが世界的な対応なんですけど。
『オバマ政権は赤字国債を発行して財源をつくり、金融機関や自動車メーカーを救済する一方で、FRBがドルを大量発行して市場に供給している。』
いやあのそういう単純な話じゃないのですけど・・・・というか、さっき日本のかつての財政政策に対して「財政赤字がつみあがっただけで効果が無かった」って話をしてるのに、オバマの赤字国債はよい赤字国債って何と言うダブスタな説明。
で、3番目(一々URLを書きませんが)を見るとまた何だかな状態。
『財務省など各省はこの機に乗じて天下り先の政府系金融機関による融資拡大に奔走し、「焼け太り」を狙う。』
何と言う「何でもかんでもコミンテルンの陰謀」的な発想。というか米国の政府が民間救済するのは良いのに日本が政府系金融機関の融資拡大をするのが何故問題なの????
『日銀は政府系の日本政策投資銀行の後を追いながら小出しに企業の短期債務証書「コマーシャルペーパー(CP)」を買い、銀行保有株の買い上げに踏み切ったが、肝心の市場の評価を得られない。』
CP買入および企業金融特別オペの政策効果が出過ぎて官民逆転までレート低下してますが何か????市場動向見てますかあ?????
『米国と足並みをそろえて、政府・日銀が一体となってふんだんにマネーを民間に供給する。この簡明な政策をなぜ決断し、実行できないのか。危機はマネーにより引き起こされたという認識に乏しいからだろう。』
政府系金融機関が融資を拡大するのはダメなのに政府は民間にマネーを供給しろとはどんな判じ物なのでしょうか???
・・・・と、テキトーに突っ込んでみましたが、何かもうこれがそこらの読者投稿とかならまだしも、「日曜経済講座」って名前で堂々講義をしておられる所が産経新聞大丈夫かというところでございますな。
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2009/03/17
○日銀の銀行への資本増強策
今朝の公共放送が「日銀が検討」って言ってるので検討してるのでしょ。
で、その施策なんですけど、日銀って基本的に当座預金取引先の債券とか担保に取らんという所なのにいきなり資本参加とはこれまた豪快な施策でございますねえとは思いますが、プルーデンス政策でやるんでしょうな。
ま、銀行としては方針がいきなり180度変わってしまう金融庁からやいのやいの言われて散々だったという思いがあるでしょうから、金融庁よりも日銀の資本の方がまだ心理的には受け入れ易いのかも知れませんが、どっちにしても資本入れられたら金融庁様が出てきて色々言われるのは必定ですから「入れずに済ませられるのなら入れない」という銀行のスタンスは変わらんのではないかと愚考。
やるなら強制注入するのが必要だと思いますが、それに加えまして、ついこの前まで貸出の自己査定が甘いだのなんだの言ってたと思ったら今度は貸し渋り監視とか方針が首尾一貫しない監督方針(そのため銀行はやりようが無くて困る訳で、言うとおりに全部やってたら振り回されるだけですもんね)を何とかすることがキモだと思いますけどね。
さて、ちょっと出遅れましたが、まずはスイス中銀の先般の金融政策決定に関してステートメントを読んでみましたという話をば。
http://www.snb.ch/en/mmr/reference/pre_20090312/source/pre_20090312.en.pdf
○為替介入と質的(信用)緩和の合わせ技とな
Swiss National Bank takes decisive action to forcefully relax monetary conditions
というお題の声明文の冒頭部分第1パラグラフから。
The economic situation has deteriorated sharply since last December, and
there is a risk of negative inflation over the next three years. Decisive
action is thus called for, to forcefully relax monetary conditions. Against
this background, the Swiss National Bank (SNB) is making another interest
rate cut and acting to prevent any further appreciation of the Swiss franc
against the euro. To this end, it will increase liquidity substantially
by engaging in additional repo operations, buying Swiss franc bonds issued
by private sector borrowers and purchasing foreign currency on the foreign
exchange markets.
ということで、景気の悪化と共に「risk of negative inflation」を防ぐという面を強調しております。で、その為に「another
interest rate cut」つまり追加利下げと、「acting to prevent any further
appreciation of the Swiss franc against the euro」という事で対ユーロにおけるスイスフラン高を防止するのが目的とな。
で、その為に「buying Swiss franc bonds issued by private sector borrowers」ということで「民間セクターが発行した」スイスフラン建債券を対象にする新たなレポオペを実施する(これが買い入れなのかレポオペなのかここでは微妙な書き方ですけれども、後段で購入する話があるので購入なんですかな)することと、「purchasing
foreign currency on the foreign exchange markets」ということで外国為替市場で為替介入をしますよという話。
第3パラグラフより。
With these exceptional measures, the SNB is helping to cushion the effects
of the economic and financial crisis, with the aim of limiting the risk
of deflation. The SNB has a mandate to ensure price stability, while taking
economic developments into account. This objective encompasses the prevention
of both deflation and inflation. In carrying out its mandate, the National
Bank will ? as it has in the past ? base its decisions on an inflation
forecast.
経済と金融危機を緩和して、デフレのリスクを軽減する目的での実施で、インフレとデフレを防止すると仰せのようですな。んでまあその後に目先の経済見通しの話があるのですが、2009年の前年比の物価上昇率に関して第5パラグラフで『Average
annual inflation will amount to ?0.5% in 2009. With the measures decided
today, the SNB is forecasting average annual inflation for the following
two years of virtually zero.』と見通しを出しています。
で、途中をすっ飛ばして第9パラグラフから。
Changes in monetary and financial conditions
The SNB lowered the Libor target range decisively by 225 basis points over
the course of the fourth quarter of last year. This monetary policy impetus
will continue to feed through progressively to the economy. Short-term
interest rates have dropped, and the interest rate curve has steepened.
However, capital market risk premia have risen substantially since the
collapse of Lehman Brothers, hampering the transmission of monetary policy
stimuli. This is prompting the SNB to purchase Swiss franc bonds issued
by private sector borrowers in order to bring about a relaxation of conditions
on the capital markets.
ということで、最後の文にありますように、民間債務の買入によって資本市場の環境を緩和させる(つまり信用リスクプレミアムの過大な拡大を抑制するということでしょうか)ことを企図していますと。
The value of the Swiss franc has increased substantially since the beginning
of the financial crisis in August 2007. This currency development has gained
momentum since the National Bank's last assessment in December. Under the
present circumstances, this represents an inappropriate tightening of monetary
conditions. In view of this development, the SNB has decided to purchase
foreign currency on the foreign exchange market, to prevent any further
appreciation of the Swiss franc against the euro.
ということで、為替市場におけるスイスフラン高が継続しており、「monetary
conditions」がタイトになっているという認識の下、為替市場への介入をしますよという話。
あまりあたくし詳しくないのですけど、EUの周辺で別通貨を使っている小国は対ユーロの為替市場動向がモロに経済に効いて来るようでして、そういう意味ではスイスもそうですけれども、北欧諸国とかでも金融政策当局は為替市場動向を重視しているという事ですので、こう正面切って為替介入をして来るのはまた別でしょうが、為替自体は日本で考えるより以上に重要なファクターみたいですね(というか日本も何だかんだ言って為替で金融政策振らされますが)。
While M1 and M2 are registering strong growth rates, that of M3 remains
moderate. In contrast, the monetary base almost doubled in one year. This
development reflected the SNB’s efforts to provide the interbank market
with sufficient liquidity ? as a response to the huge increase in the demand
for liquidity brought about by the prevailing climate of uncertainty. If
this demand had not been satisfied, the result would have been an undesirable
rise in interest rates.
んでまあ流動性需要が高いのでSNBは流動性供給を大量に行っており、望ましくない金利上昇を防いでおりますと。
・・・とまあそういうことで、報道では「量的緩和」みたいな話もありましたが、この文を読んでいますと、メインは為替介入と利下げ(3か月Liborの誘導レンジを0〜1%→0〜0.75%に変更)で社債などの買入がそれに付随するというところでしょうか。
経済見通しの所とかは引用すると長くなるので割愛です。
○CP市場が阿片窟状態です
昨日は2か月TBの入札がありました。
・・・・えー、ちょうど先週末の国債市場懇(PD懇ね)で4月以降3か月TBを増発しますああそれからそんだけだと足りないからまだ短国を増発しますという財務省の話がありましたことがどの位影響してるのか知りませんが、2か月イラネ状態になって前場の引けが0.280/0.285に対して落札水準は0.2864/0.2921と足きり水準が貫禄の0.29%乗せ。
まあ今日の3か月はちったあマシでしょうけれども、先週の頭には0.23%くらいまで低下してこれは・・・と思わせてくれましたが、結局またまた0.2%台後半という頭の重めな展開ではございますわなという感じで、GCが低いところで張り付いているからこれで済んでますけど、今後の増発大丈夫かよという気はするのでした。
さて、そんな市場環境ではありますが、新発CPの環境と言えば企業収益の悪化だの短期国債の増発によるリスクフリーレートのサガランチ会長状態などのような外界の環境とはまるで関係なく、もう色んなものが短国よりもレート低いという一大官民逆転現象ですが、これは官民逆転というよりは単にCPレートが勝手にトリップしているだけという感じ。しかもどうも日銀のオペ適格と思われるものばっかりレート低下ということで、もうオペ効きすぎで阿片窟状態になっておりますわな。外界と関係なくトリップ状態になっている所なんかもまさに阿片窟。
企業金融オペの新設をCP買入方針の公表によって12月会合以降CPレートは派手派手に低下したものの、1月後半の格下げラッシュの時にCPレートって一旦上昇しやがったのですが、このときは業績が急速に悪化して格付けに下方圧力が強そうな銘柄のレートが上昇したのですけれども、このときにも何か「格付けが下げられそうだ」という形式的な判断で動いてますなあ観(苦笑)はあったのですが、オペ適格かどうかで適格モノのレートがどんどん潰れていくとか何と言うオペ効果という感じではあります。
いやまあ政策目的が達成されていると言えばその通りなんですけどね。
・・・・ま、今から出口の話をしてもしょうがないというか気が早すぎですけれども、ここまでやらかしてしまいますと、出口の時に物凄い逆回転が起きる懸念がありまして(というか既に短国よりも低いCPとか投資家が離散傾向なのですけれども)、大丈夫かいなと気にするのは気が早すぎですかそうですか。
まさに大門先生大勝利という事ですな(違)。
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2009/03/11
○武藤前副総裁のブルームバーグ講演とかちょっとクリップ
ちょっとクリップ
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=ax9xQwt2OB_w
武藤総裁、伊藤隆敏&白川方明副総裁の組み合わせなら、政府などの詰めを行う武藤さん、学会や一般に向けて政策の説明をする伊藤さんに、海外中銀との連携をする白川さんっていう強力布陣だった(いや別に今の組み合わせが悪いとか言ってる訳では無いので念の為)と思うと民主党のアホウな反対は実に残念無念だったとしか言いようが無いのですがそれは兎も角上記URLより。
『武藤氏は政府など当局による株式の買い入れについて「株価を引き上げる効果が本当にあるのか、そう簡単ではない。あまりに特異な株式市場をつくってしまい、政府当局の意向によって日本の株が変わるというふうになったとき、投資場所としての評判を非常に落としてしまう。株は市場に任せるのが非常に重要だ」と述べた。』
と指摘しながらも、
『武藤氏は「ただし、米国が極端なことになったときのルールは平常時と同じルールで考えないという意味で、時価評価も場合によっては再考するかもしれないというレベルまで来た段階であれば、株の下支えのための株式買取機構の発動や、あるいは日銀が株を買うということは政策として十分価値がある」と語った。』
という事のようです。先般の山口副総裁のブルームバーグインタビューでは
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aHClL4ERJprE
『3月6日(ブルームバーグ):日銀の山口広秀副総裁はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、年度末に向け企業金融が一段と厳しくなる事態も否定できないため、日銀としてさらに踏み込んだ対応があり得るか検討した上で「必要があれば行動していく」と述べ、情勢次第で追加的な企業金融支援策を打ち出す用意があることを明らかにした。』
ってな話をしてまして、何かやるのかいなとも思わないことも無い程度には考えています(でも今からやって3月期末に間に合うわけでは無いので、変に慌てて詰めの甘いおバカな施策取られても良くないので、じっくり詰めて企業決算が出る5月以降の有効施策にした方が良いと思う)けれども、政府との連携をきっちりやって行かないで日銀だけ独走する格好になっても効果が減殺されるようにも思えますので、はてさてどうなるのやらという所でございますか。
一応クリップだけという事で。
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2009/03/06
○色々と金利低下が波及とな(短い所に限る)
昨日もまたまたCP金利低下。と言ってもまあさすがに短期国債よりも低くなっているのはこれ以上低下するのも余地があまり無いですけど、レートがそれなりについているものを潰しに行く格好が続いているの巻。ただし銘柄によっては全然潰れに行かないものもある所が泣けるのですがね(汗)。
まあCPレート低下の背景はCP買入に現先に企業特オペという3発攻撃が効いているという所でしょうが、これらの施策を打ち込んだ当初には無かった動きとしてはCP回りの資金の出が良くなったというところで、これはオペ効果がやっと効いて来たという所に、大手銀行の資本増強策が効いて資本制約が軽くなったとかいうのもあるのかしら(後者は勝手な妄想)とか思ってますです、はい。
また、最近の「安定的な」厚めの資金供給オペも効果出てる感じでして、GCレポ市場への資金の出し手の大手銀行さんがここもと恒常的に資金絶賛出し方向となっていましてGCレポレートがこれまた安定的に低下して0.10とか11とか12とか素敵なレートで推移しているようで、これまたレート低下というか低位安定要因で、オペの金利は低めだわ、末初の共通担保(何でまたこんな早い時期に全店共担??という感じですが)オペの金利は0.260%(平均、足きりは0.25%)とこれまたちゃっかり低めの水準だわと、まあこちらも1月後半から実施している「やればできる子な厚め資金供給」姿勢が安定的だという認識が漸く共有された効果が出ているというもんでしょう。
ま、そんなこんなで、各種(というか企業金融関連)資金供給策と、潤沢な資金供給がここへ来て効果を発揮という事でよろしいのではないかと思います。
・・・・一方で短期国債が何か置いてけぼりっぽい感じで、一昨日は3か月TBが0.27%近くと官民逆転レートという寂しい状況でありまして、昨日は昨日で6か月TBも入札時点では平均0.27%の足きり0.274%という感じでしたが、さすがにオペ金利の低下とか見て反応してきたのか短い所からレートが低下してきた感じでして、昨日は前日の新発3か月TBが0.25%に低下(1.5毛強い)となっておりまして、この動きが継続して短国利回りが低下するのかはよーわからんざますが・・・何せ発行多いですから。
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2009/03/05
中川昭一先生に続いて小沢一郎先生が身を捨ててドル円を二人で10円ほど持って行かれました。1銭も使わずにこのパワーはまさに壮烈な殉国の義挙(大嘘^^)。
○社債買入オペが札割れした件について
昨日は社債買入オペが実施されました。1500億円の買入予定に対しまして応札が449億円に留まりまして、平均落札利回り較差は0.760%でしたが、札割れだけに較差0.000%まで落札となりまして、0.000の札入れた人ウハウハの巻(なのかな??)という感じですか。
そもそも論として、買入対象になる&買入レートの下限以上の流通利回りとなっている銘柄で業者の在庫を全部総ざらえしても1500億円とかあるとは到底思えませんので、初回入札で事務面の対応どうするのかとか考えると投資家からの持込もそんなに無かっただろうなあとか勘案すると札割れするんでしょうねという予想でしたので、結果出たときには「ああやっぱり」という感じだったようですな。
今回の結果から逆算すると、「月に1回1500億円」というよりは「500億円を月3回」とか「750億円を月2回」とかにした方が良い(入れるほうにしても頻度が大目の方が多分やりやすいと思うのだが)ような気もしてきましたが、何せ初回で手探りの所もありますので、はてさてどうしたもんかという所でしょうか。
あと、投資家の札入れさせたければ(ただし投資家が札入れて玉外しても同じものを買いに行くとは到底思えんですが・・・・)オファーから受渡までの日数をもうちょっと長くする(T+5とかT+6とか)という日銀様の考える決済期間短縮に逆行する方法も手かも知れませんな。
ま、このオペ自体はCP買入と同様にセーフティーネットなモノでありますので、札割れをしたのが悪いとか言うのは話の筋がおかしく、本来これが使われなくても社債市場がちゃんとワークしているのが望ましいというのであります。「札割れするから社債買入の対象を拡大しろ」とかいうのは政策の意義を考えていない本末転倒議論というかただのクレクレ発言でありまして、もう何と申しますか浅ましい話で。
ええまあそりゃ自分の所にのみ国家様から利益便益が供与されるのはウハウハなお話ですけれども、そーゆーのを臆面も無く言って(個人的な場で個人的に発言をするなら兎も角、会社の名前で堂々リサーチレポートとか出てくると・・・・)全然浅ましいとか思わないという根性は残念ながらあたくし持ち合わせておりませんのが実に残念な所であります(苦笑)。
ま、実施面での工夫の余地はあるんじゃねえのという所ですが。
○CPレートが相変わらず官民逆転モード
昨日は3か月TB(従来のTBがまだ残っているのでTDBとか言うらしいのですが、口に出して言いにくいし、そもそもTDBって言えば帝国データバンクさんですし、まあTBで通します)の入札が実施されました。
・・・えーっと、結果は平均落札でほぼ0.27%(ちょっと割れていました。ちなみに引けは0.265%)ということで、先週の入札とほぼ同水準でしたが、その一方で昨日発行されたCPレートも低下傾向継続という感じで、ついこの前まで0.80%レベル(期越え3か月物)で推移していた大手その他金融系さんのレートが堂々0.5%台とか連日の低下なのですが、長期でAA格レベルの大手メーカーさんの発行する銘柄の3か月ものが0.25%そこそこのレベルとかになってまして、短期国債並びだったり短期国債よりレートが低かったりという有様もまた継続。
というか、何かここ数日の動きは「勢いづいた買い」という感じでありまして、そりゃまあ企業特オペでファンディングコストが違うというのはあります(昨日申し上げた通り)からそのファンディングの差異だけ見ればレートがそうなっても良いのかもしれませんが、ファンディングコストが同じ人(つまり普通に運用資産として買う人)からすれば、絶対水準の比較で信用コストや流動性リスクを勘案して比較する話になりますので、こりゃまあCPよりはTBの方が良いですわということになるんでしょうな、と思います。
何かね、企業の信用リスク状況が先の量的緩和時代じゃないのですからそこまでやらかすのもちょっとねえというか、その前に全然買って無かったのはナンナノヨ(資本制約が軽くなったとかいう要因があるんじゃないかってのは何となく判るけどねえ・・・・)という感じでもあります。まあ金利が低下してるのは低下してるのですから、この低下というのが短期金利全般に波及すると良いですね(棒読み)という感じではありますが・・・・・・・
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2009/03/04
○CPレートが低下してる件に関して
昨日もまたまたCPレート低下したみたいでございますな。で、そのレート低下なんですが、さすがに0.2%だのなんだのというようなモノは低下の限界みたいなところに接近してますが、それよりも従来やや高止まりしていて、まあ恐らく日銀のCP買入の限度まで買入が来ているような銘柄さんのところでの低下という感じ。あたくしがおサボリする前に0.8%とかの水準だったネームの所で月曜には0.6%台前半とかだったのですが、昨日は堂々0.6%割れというような感じになっているようで、まあいい感じで低下しています。
・・・・まあ高格付け銘柄群のレートが低下してそれが全体に波及しているっていうのは判るのですが、一方で先週来の金利低下では、それまで「やや長めになって次の決算開示を跨ぎそうな期間になるとレートが微妙に上昇する」というような実に微妙な(苦笑)レート形成がされつつあった絶賛業績悪化中の高格付け銘柄群のレート形成から、その信用プレミアムのタームストラクチャーが潰れている感も無きにしも有らずのような気が(もうちょっとマジメに見ないといけないのですが、おサボリ後のお仕事フォローで全部の相場チェックまで手が回らないという本末転倒にも程がある今日この頃なもんで、汗)するのれす。
CPに関しては買入に加えて企業金融特別オペで年末までは0.10%のファンディングの催行確約(って旅行じゃないって)されておりますので、そこに目をつけてしまえばまあ確かにタームストラクチャーなんぞ知らんがなという意見も有りっちゃあ有りなのですけれども、一方で現実問題として企業の信用リスクそれ自体は業績がこの有様で経済状況がこの有様なので悪化傾向である事は否めないと思うんですよね。その点を考えると信用コストのタームストラクチャーまで潰しに行くような動きが出てくるのは企業金融特別オペの効果とは言え、ちと効果出過ぎで白川総裁お得意の「市場機能」的に言えば「市場の価格発見機能を阻害」っていう方向に出ている可能性も無きにしも非ずという仮説をちょっと置いて市場動向を見ようかなと思いましたです、はい。
とは言いましても、現在の外部環境および市場状況で何の支えも無く市場の価格発見機能をフルに発揮されますと発見せんでもええモノを発見しまして録でも無いことになりますので(^^)、これはこれでそーゆーもんなのかもしれませんね。ま、結論は企業金融特別オペレーションおそロシアという所でしょうか(^^)。
なお、念の為申し上げますが、おサボリしてひょいと戻ってきてこの2日の動きを見て脊髄反応で申し上げている面がございますので、全然この辺りの認識勘違いしてるかもしれませんからその辺はお含み置き願いたく存じます。まあ市場の現象の背景事情を理解するための思考実験の一つの仮置き説のスタートとして考えて頂ければ幸いでございます。
○日銀保有国債に関して
毎度お馴染みのこれ
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0902.htm
例によってあたくしの手元でエクセルとか使ってちょこちょこ集計したベースなので違ってたらごみんなさいごみんなさいなのですが、一応結果に関して・・・・と申しましてもゾーニング効果で1年以内が4607億円増えてるとか変動利付が1001億円増えてるとか当たり前の結果が出ておりまして、それはまあどうでも良いのですけど、今回は残存1年以上2年以内の債券に関して見ますと・・・・・
あたくしの集計ベースですと1年〜2年のところで前月比の残高が5922億円増加となってまして、輪番ゾーニングしたのでちったあマシになったとは言え、やはり10年ゾーンあたりまでの部分では相対的に短い所が打ち込まれる傾向はカワランチ会長というのはシャーナイナイな所なのでしょう。
それでもまあ1年以内がバカスカ打ち込まれる状態と比較すれば随分マシになったという所で、今後日銀の保有国債が買っても買っても全然増えないというお洒落な状況が徐々に緩和されるものと思われます。
○日銀受入担保残高に関してメモ
今回はこれもちょっと見るのである。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/col/col0902.pdf
細かい項目が沢山あるのですが、政策目的という点で言えばやはり企業向けの証書貸付債権あたりを見るのが吉かと存じましてその数値を1月の数値と比較してみた。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/col/col0901.pdf
・・・・・ほほう。額面ベースでこの1か月で1兆5千億円(残存残高ベースでは1兆3千億円弱)増えているとな。企業金融支援特別オペレーションがワークしているちゅう事なのでしょうか。というかここだけで額面ベースで3兆3千億円集まるとは当初想像以上であって誠に結構なお話。最初の時点で見込み強気過ぎじゃないのとか悪態ついてどうもすいませんでした。
短期社債(電子CP)も増えてます(残高の額面で2月末で2兆1千億円)し、企業支援特別オペレーション改めておそロシア。
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2009/03/03
米国市場がようやく盛り上がって参りました!!
#未集金(勝手に変換された^^)元FRB理事がお友達さんを支援でもしたいのか吼えているようですが、「とりあえずお前が言うな」以外の感想はございま千円。
モーサテ(というか日本メディア)って何でこう米国の話ばかりなのよと思いますが、欧州の方がいい感じで引火してる筈なのだが・・・
○市場雑談から
昨日はCP買入ついに札割れでござるの巻。しかも昨日は応札が967億円ということで買入予定の3000億円に全然届かないですという華麗な結果となりましたので、1か月もので0.30%で1か月越えもので0.40%での買入と相成りました。いやはや素敵な状況。
そもそもあたくしがおサボリしている前回の買入時点でまあ見事な展開になっておりまして、先週木曜のCP買入で3925億円の応札だわ落札最低較差が0.001%までぶち流れるわという結果になっておりましたわな。現象面としてはCPレート低下の方が先なのでしょうが、まあ相乗効果で先週一気にCPのレートが楽しく低下して、特に高い格付けの銘柄は軒並み日銀の買入レート以下の水準に下がってしまい、電力会社さんあたりの発行するCPは短国利回りを下回るという華麗な展開になって「官民逆転」などといわれる始末。
まあそりゃ最悪でも日銀の買入に打ち込めば投げられる(ただし一杯になった銘柄は入れられませんが)というは安心はあるわ、企業特別オペで0.10%でファンディングがつくという保証はあるわという事で官民逆転しても別におかしくは無いのですが、それにしても一気に低下したもんで。厚めの資金供給とかも効いているんじゃないのかなあとか色々と思うのですが、まだおサボリ時期の動きがイマイチ良く判っていないのでその辺はオミット。
まーそんな次第でCP買入が札割れとなったのですが、これはこれで市場の金利に低下効果(どう見ても買入限度を超えたと思われる銘柄であってもレートの方は他に引っ張られて華麗に低下しています)はあるわ、下支え効果はあるわというのが出て、市場が回復した(というか回復しすぎのような気もしますが・・・・・^^)という結果でありますので、政策効果が出て大変に結構だったと思います。
そのうち入れていた銘柄の期日が来ればまた買入余地の出る銘柄も出てくるので、期末越えで継続になった分に関してはまた札も入って来るでしょうし、今度は初回の出来上がり1%などというようなレートよりは下がるんじゃねえのとも思えます(実は違ったらそれはそれで笑えますが)ので、その点でもまあ効果継続ちゅうところでしょう。
これで「札割れになったことでもあるのでもっと買入範囲を拡大しろ」とかいうのは話としては短絡的というか筋の悪い話で、予算達成じゃないのですから、こーゆーセーフティーネットは使われないのに政策効果が発揮される(今回だったらCP市場の活性化)のが一番良い話なのでありまして、「札割れで誠に結構」という話だと思います。
まあ話は脱線しますが、「日銀はBBB以下も買え」とか「何でもかんでも買え」とかやたらクレクレ発言というかポジショントークをする市場関係者も多いのですが、そーゆー人たちは当然ながら「利益誘導政治反対」とか「無駄な道路は作るな」みたいな事は恥ずかしくて言わないですよね♪
ところで、昨日は無担保コール翌日物の加重平均が0.10%割っていたのですけれども、よくよく見たらスポットベースで月末月初の所を抜けてから急にスポットベースの国債買現先を増額するという訳の判らんプレーをやっているんですね。最近のデジタルというか機械的にしか資金の出し入れをしてこない市場の大口参加者動向を鑑みれば、月末の末初をレートが上昇しても延々と出し渋った挙句に、スポ末越えたらレートが下がっても急に資金が出てくるのとか簡単に予想つくと思うので、そんなに下げたいのならもっと前に買現先増額してスポ末抜けたら元に戻すんじゃねえのと思うのですが・・・・なんかワケワカラン。
#最後のはわかる人にわかってもらえればの独り言です
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2009/02/20
お題「決定会合あれこれ」
ドル円相場は中川酒効果ですかねえ(たぶん違う^^)???
さてまあ決定会合の結果が出ましたので少々。
決定会合決定事項、声明文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090219.pdf
企業特別オペの延長と内容手直しに関して
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0902b.pdf
社債買い入れの概要
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0902c.pdf
社債買い入れの基本要綱の概要
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0902b.pdf
各種オペの期間延長に関する文書
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0902c.pdf
政府保証CPが発行される事への対応(今日入札が行われますね)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0902d.pdf
国債補完供給関連(変動利付と物価連動が輪番拡大によって本格的に日銀の手持ちになる(本格的じゃない持ちはあったけど^^)ことへの対応)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0902e.pdf
まあ細かい意味では最後のも「なるほど!」なのですけれども、まあ声明文と社債買入のあたりから少々と市場の反応への雑感。
○景気認識に変化なし(つまり厳しい判断のまま)
最初の声明文のある所から。
『わが国の経済情勢をみると、海外経済の減速により輸出が大幅に減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。金融環境をみると、厳しい状態が続いている。』
から始まる部分なのですが、このくだりは展望レポートの中間レビューに関する部分(2月は中間レビューが無いのでその分バッサリ無い)と日銀の施策に関する明部分以外、つまり景気の現状認識、先行き見通し、リスク要因の部分になりますけれども、ものの見事に同じ文章になっています。違っているのは金融環境の所ですが、前回と比較するとこうなります。
『金融環境をみると、厳しい状態が続いている。』(2月)
『金融環境をみると、厳しさが増している。』(1月)
ということでありまして、まあ環境は厳しいままということですが、前回から益々悪化しているとまでは行きませんと。そりゃまあCP買入の本格稼動があったので、その辺りは改善されてますし、最近妙に評判がよくなった「やればできる子」オペレーションによってターム物金利が落ち着いて推移していることも良い傾向。
ただまあそれは市場の中だけの話でして、全体的に見て改善しているかというとそりゃまあ改善してないんでしょうという所なのでしょう。
経済情勢に関する判断部分は前回と同じなので比較引用はさぼってとりあえず引用だけで勘弁(手抜き)。
『わが国の経済情勢をみると、海外経済の減速により輸出が大幅に減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。金融環境をみると、厳しい状態が続いている。これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高い。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足もと低下しており、春頃にかけては、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。』
『景気・物価の先行きについては、2010 年度までの中心的な見通しとしては、中長期的な成長期待やインフレ予想が大きく変化しないもとで、2009
年度後半以降、国際金融資本市場が落ち着きを取り戻し、海外経済が減速局面を脱するにつれ、わが国経済も持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿が想定される。こうした下で、見通し期間の後半には、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられるものの、このような見通しを巡る不確実性は高い。』
リスク要因部分は引用割愛します。
○各種オペの期限延長
発表文別紙にございます(ちなみに発表文別紙は決定会合結果リリースの一発目文書(=ワードか何かで打った文をスキャンしてPDFにしたモノ)では間に合いませんので改めて見るのが吉^^)が、
『3.各種時限措置の期限延長(公表資料4参照)
@ コマーシャル・ペーパー等買入れ(3 月31 日→9 月30 日)
A 民間企業債務の適格担保としての格付要件の緩和(4 月30 日→12 月31 日)
B 資産担保コマーシャル・ペーパーの適格担保要件の緩和(4 月30 日→12月31 日)
C 補完当座預金制度(4 月15 日→10 月15 日)
D 米ドル資金供給オペレーション(4 月30 日→10 月30 日)』
(機種依存文字は原文ママなので勘弁)
微妙に期限がずれておりますが、概ねオペは9月の中間決算越えを意識してますわなという所ですね。担保の緩和に関しては年内まで延長と。
○で、ターム物誘導の話が無いといえば無いのですが・・・・
昨日はこの発表があって暫くしてからユーロ円金先が売られたり、中短期の国債が売られたりしておりました。情報ベンダーの後付け講釈としては「ターム物誘導に関する決定が無かった」という話になっていますけれども、プライスアクションを見ていると「補完当座預金制度の実施期限延長」というのがベンダーのヘッドラインに出たところから反応したようにも思えます。まあどっちでも良いのですが、この反応に関して超短い所、即ちレポとかをやっている短期の人たち的には「ポカーン」という感じでありました。
と申しますのは、本石町日記さんのところでもありましたが、2月の最初の週あたりから、それまでやたら細々と微調整を繰り返してオペの足が短めのウェイトが高い感じだった日銀の資金供給オペが変化しておりまして、安定的にターム物の共通担保オペなどを打つようになり、当座預金残高もやや増えた状態で推移しておりまして、その結果としてGCレートなどが落ち着くようになり、タームのオペ金利も低下。需給悪化懸念とかで3か月TBで0.3%乗せとかになっていた短期国債の金利も0.25%をちょっと切る位の水準で安定推移するようになっているという環境になっているので、今更ターム物金利どうこうと言わなくても現状のオペを継続してくれれば結構という感じだったからというのがございます。
また、決定会合の公表文の中にもこう書いてあるので、まあ読み方によってはファジーですけれども、これも一応「ターム物の金利を落ち着かせます」って言ってるという解釈になるんでしょとも思う次第。
『@ 企業金融支援特別オペレーションを強化し、期間3か月のやや長めの資金を低利・安定的に供給する。』
これは企業金融オペに関する長めの金利供給って話ですけれども、この意図するところは名目上では企業金融に関するコストを下げて企業金融に係る実効的な金利を下げていきましょうということ(効果の程は知らんが)でしょうから、普通にこれを読むと当然ながらリスクフリーの部分のターム物金利に関しても上昇しないように注意していきますという話になるんでしょう、と思うのだが。
あと、どこぞの情報ベンダー見てたら「短国買入増額されず失望」とかいうコメントをしている本職のストラテジストとかいたりするのですが、そもそも常に申し上げておりますように、短国買入は単純にオペレーションの問題でありまして、増えたり減ったり割と変動してたものです。逆に言いますと、これを変に「増額する」とか「減額する」とか決めてしまうとオペがやりにくくなるので、「活用する」位の事は言っても「増額する」とか公表文ベースで明言することは普通有り得ません。
ということは短期の人(金先の人たちは別世界なのでここでは別、現物の資金取引とか国債とかCPとかやってる人ね)たちは先刻ご承知の助でありまして、「短国買入増額の発表がなく失望」とかいうコメントを見てまたまた「ポカーン」という所でしょう。普段トレードで忙しい人たちはそこまで細かく見てないと思いますからまあ仕方ないのでしょうが、本職ストラテジストからそーゆー類のコメントが出るのは勉強不足にも程があるので看板を(以下自粛^^)。
○超過準備付利10月15日まで延長
公表文にはこんなのもありました。
『C 補完当座預金制度(4 月15 日→10 月15 日)』
まあこれはどう見ても「ゼロ金利にはしたくないなあ」という所ですが、この金利そのものは別に途中の決定会合で0.05%にしたり0.01%にしたり0%にしたり出来ますので、ゼロ金利が100%無いかというと必ずしもそうではないという話。
ただまあ「誘導目標=付利金利」政策が決定された時に期待されていたオペレーションが最近行われておりまして、ターム物金利もいい感じで落ち着いておりますのでとりあえず無問題じゃねえのという所です。
会見では市場機能が云々という話がまた出ていたようですが、市場機能というか市場の「体温」という感覚的な話を持ち出しますと(判りにくい言い方ですまん)、無担保コール翌日物は12月の「誘導目標=付利金利」以来すっかり体温が低下してゼロ金利量的緩和時代のような温度になっているようですし、ここもとの長めのオペを厚めに安定供給という動きによってGC市場関連の体温もすっかり低下気味となって、オペの度に金利幾らよとかシャカリキになって悩むような地合いからすっかり変化しているようですな。GC市場とかはここ2週間くらいですね。
まあ市場機能をするならもっと広義の話をする方がよいのではと思います。
○社債買入実施ですかそうですか
まあそんなもんですかねえという所です。
概要の説明から
『社債買入れの概要
1.買入対象
担保適格社債のうち格付がA格相当以上のものであって、買入日の属する月の月末日において残存期間が1年以内であるもの。』(2以下割愛)
要綱の決定から
『4.買入対象
以下の要件を満たす社債(短期社債を除く。以下同じ。)のうち、買入対象とすることが適当でないと認められる特段の事情がないものとする。
(1)「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)に定める適格担保基準を満たすものであること。
(2)適格格付機関からA格相当以上の格付を取得していること(発行企業またはその元利金の全額につき連帯保証している企業もしくは当該保証企業が発行する社債(保証付社債を除く。)がA格相当以上の格付を取得している場合を含む。)。』(3以下割愛)
えーっと、CP買入の場合はこんな書き方になってました。
『以下の要件を満たすコマーシャル・ペーパー(資産担保コマーシャル・ペーパーを除く。以下同じ。)、短期社債、保証付短期外債、資産担保コマーシャル・ペーパーおよび資産担保短期債券(本要領において「コマーシャル・ペーパー等」と総称する。)のうち、買入対象とすることが適当でないと認められる特段の事情がないものとする。
(1)通則
イ、「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)に定める適格担保基準を満たすものであること(「資産担保コマーシャル・ペーパー等の適格性判定に関する特則」(平成20年10月14日付政委第93号別紙2.)に定める適格担保基準を満たすものを含む。)。』(ロ以下割愛)
ということで、こちらでも同じように書いているのですが、『買入対象とすることが適当でないと認められる特段の事情がないものとする。』という表記になっておりますので、基本的にはこちらに関しても個別に信用判定を行って買入の可否を判断するという話になるかと思います。証券会社はこの信用判定関連ってあまり慣れていない(一部CPを熱心にやっている証券会社を除く^^)と思います(期間がCPより長くなりますので、当然ながら信用判定の基準がCPと微妙に変化するでしょと思いますがそこまでやらないかもね)ので、買入要綱の説明会の後にはブーブー文句垂れレポートが出てくる事でしょう、と予言しておきます(笑)。
まあこれがあったからと言って社債の発行が増えるかというと全然そんな事は無く、単に証券会社の在庫繰りが楽になるだけの話だと思うので、何をわざわざ実施するのよとは思います(CP発行市場と社債発行市場では引受ディーラーまたは引受業者の位置づけが全然違うという話は既に何度かしておりますよね)けど、まあアナウンス効果も含めて別に効果無いとは思いません。ただCP買入みたいな顕著な効果は出ないでしょと思いますので、コスト(発生しないで済むかもしれないけど)と効果を天秤に掛けると割に合わない施策だなあとは思います。
レートはこんな感じだそうで。
『以下の区分で下限利回りを設けたうえで、当該利回りからの利回り較差(ゼロ以上)を入札(下限利回りは状況に応じて変更がありうる)
・残存期間6か月以内:無担保コールレートの誘導目標+40bps
・残存期間6か月超:無担保コールレートの誘導目標+60bps 』
まあそんなもんですかね。これだとAA以上のクラスで格付けが安定している(最近は安定してないのが多いので、安定的と見れるのは希少です)銘柄はハイランチ会長でございますな。
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2009/02/19
○インフレ目標設置と言いますが
まずはFRBのニュースに脊髄反応。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090218a.htm
『The Federal Reserve on Wednesday released, for the first time, longer-run
economic projections made by Federal Open Market Committee (FOMC) participants--the
Federal Reserve Board members and Federal Reserve Bank presidents--in connection
with their regular quarterly projections.』
で、従来3年間の見通しを出していたのですがという話が次に。
『Since November 2007, the Federal Reserve has been publishing a quarterly
Summary of Economic Projections (SEP), which has included projections typically
up to a three-year horizon. The latest SEP, in addition to projections
for 2009, 2010, and 2011, includes longer-run projections for output growth,
unemployment, and inflation.』
『The longer-run projections represent each participant's assessment of
the rate to which each variable would be expected to converge under appropriate
monetary policy and absent further shocks to the economy. "Appropriate
monetary policy" is defined as the future policy deemed most likely
to foster outcomes satisfying the Federal Reserve's dual mandate of maximum
employment and price stability.』
んでまあより長い数値はFOMCの考える望ましい水準でもありますという話ですな。ちょっと途中を割愛して数値のあたりの話を引用します。
『The longer-run projections of inflation may be interpreted as the rates
that each Federal Reserve Board member and Federal Reserve Bank president
sees as most consistent with achieving the dual objectives of maximum employment
and price stability.』
ちゅうことで、その数値はこの通りと。
『The central tendency of FOMC participants' longer-run projections, submitted
for the Committee's January 27-28 meeting, were:
2.5 to 2.7 percent growth in real gross domestic output
4.8 to 5.0 percent unemployment
1.7 to 2.0 percent inflation, as measured by the price index for personal consumption expenditures (PCE).
Most participants judged that a longer-run PCE inflation rate of 2 percent
would be consistent with the dual mandate; others indicated that 1-1/2
or 1-3/4 percent inflation would be appropriate.』
以下続く、というかMinuteを見ればどのようなロジックでこの数値を出しているのかという話がわかるのですが、何せ寝起きで脊髄反応してるのでそれはまた後日読むかもしれません。
で、これが「インフレターゲットの導入!」という話になっているそうなのですが、何かここに出ているのだけ見てると「いやあバーナンキのFRBって見せ方がお上手な運営するわな」というのが正直な感想。ケチつける訳じゃない(やや訳もある)ですけど、コアPCEが2%程度が望ましい水準っていうのは昔(あたくしの記憶がある限りではブラインダーが副議長とかの時代)から折にふれてFRBの幹部連中が公言している話だと思うのだが。長期国債の買入に関しても最初に「断固実行」っぽい言い方をしながら延々と「やる準備をする」「やる用意がある」って引っ張り続けるとか、何かあたくし的にはバーナンキ議長の中の人がちょっと変わって福井俊彦系のタヌキっぽくなっているような気がします(良い意味でね)。
と言うわけで今回に関しても、何を今更その数字を仰々しく出すのよとは思うんですけど、まあ世間様がそうやって反応してくれる(10年国債が売られているのが正しい反応なのかよー知らんけどな)のは、FRBの今までのトラックレコードが信頼されているというのと、バーナンキのFRBが現実路線で実行していることが市場の評価を受けているからこその賜物なんでしょうなと思うので、別にコレに必ずしもケチをつける訳ではございません。といいつつどうせ皆さんが絶賛すると思うので、ちょっとカウンターの雑感を入れてみるの話なのでした。
Minute見た後になると上記の感想はいきなり大変化するかもしれませんので何卒よろしくお願い申し上げます。寝起き脊髄反射系なのでその辺よろしゅうに(最初から言い訳)。
#モーサテではこっちの話をクローズアップしてましたけど、公共放送様はこのネタではなくて経済見通しを非常に厳しく見ている方を報道してまして、目先の金融政策がどう動くかという観点から言えばそっちの方が重要な気がしますです、はい。
・決定会合関連雑感
社債買入なんですけどね、市場の作りがCPと社債ってだいぶ違います(CPは現先取引以外でそんなに転々と流通するものではない)し、そもそも論として短期の資金繰りの世界と社債調達と言う長期資金の世界って世界がだいぶ違うので、CP買入と社債買入の間には相当な壁があると思っているのですけれども、何かCP買入やるまであんなに時間が掛かったのに社債買入の話がサクサク進むかなあというのは今でも疑問です。
両方の市場を見たことのあるあたくし的には「両市場の違いとか意味合いとかちゃんと理解してるのかなあ」とか思うのでありますがね。と悪態。
あと、すっかり忘れてましたが、超過準備付利って4月15日に切れるのですけれども、これを延長するのかどうかはちょっと影響あるかも。付利を継続すれば「利息付きのナンチャッテ量的緩和みたいなもの」政策になるんでしょうし、継続しないとなると「すわゼロ金利政策導入」って思惑になるんでしょうなあという所であります。
まあ他の措置延長するならこっちも延長なのでしょうけど、水野さん撤廃提案するかな?
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2009/02/18
○やればできる子な金融調節(何と言う上から目線^^)
先日も「最近のオペが好評な件」というようなお話をしたかと思いますが、カレンダーベースでも新しい積み期間に入った今週になっても資金供給のオペレーションがやや厚めに打たれておりまして誠に結構至極でございます。
昨日は共通担保オペのだいたい3か月もののレートが0.228/0.22と12日に実施された同じくだいたい3か月(ちょっとこっちの方が短いが)もので0.235/0.23だったのでこりゃ落ち着いたレートですねという感じ。短国の3か月ゾーンのレートはこの間に引け値ベースでは別に低下していない中ですがオペレートがちゃっかり低下しているというのは落ち着いているという意味では中々結構な展開ですね。
背景には兼ねてから申し上げておりますように、オペが比較的厚めに打たれているというのがありまして、前月の同時期と比較しますと、1月16日の当座預金残高が112800億円で2月16日の当座預金残高が1426000億円。所要準備預金は特に大きな変化は無く、超過準備が1月の17000億円に対して2月が12400億円。また1月19日の当座預金残高が107600億円に対して昨日(2月17日)の当座預金残高が139500億円。超過準備が1月の23200億円に対して2月が24700億円となっていますので、1月よりは厚めに資金供給されているなという所です。
で、このやや厚めな供給およびターム物への安定的な供給という動きがここもと比較的安定しておりまして、従来だと直ぐに何か別のものを調整しようとして資金の出しを止めてみたり妙な吸収をしてみたりとかやって、GCレートを跳ねさせてしまいましたの巻になっておりましたが、今月になってからはその手のやたら細かい微調整が無く、スタンスが一貫してきましたなという感じになっておりますので、GCレートが0.15前後(からちょっと下程度)で安定して推移し、GCレートのボラが下がって目線も安定してきた事から短国の利回りも安定推移となって参りましたという所です。
ということで、金融調節やればできる子じゃんというお話で、まあターム物誘導がどうのこうのというのは実は足元のレートを安定させればそれなりに誘導できるんじゃないですかという素敵なオチが待っているのでありました(^^)。
そもそもですね、展望レポートの中間レビューで物価見通しが再来年までコアCPIマイナスとかやらかしているのですから、常識的に考えて軽く向こう1年は政策金利が引き上げ方向になる訳はないと展望レポート中間レビューは申し上げているのですよね。ということですので、本当は現状っていうのは明示的じゃないけど政策金利引き上げませんよの時間軸が設定されているのに等しいですよね。
#まあ一々明示してくれないとワカランチ会長なのが市場クオリティではありますが
となりますと、「誘導目標金利=預金ファシリティ金利」となっており、「潤沢な資金供給を行うために誘導目標金利=預金ファシリティ金利とした」と言っていたのですから、それを実行することによって本来はターム物金利は落ち着いていて然るべきであったという話で、まあやればできる子調節は良いのですが、最初からこれをやって欲しかったですなあという感じではあります。
#こうなると超過準備付利も延長になるのですかね。水野さんはまた反対するのかな?
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2009/02/17
お題「決定会合前につらつら雑感」
支持率9.7%しか無いんですか。そんなに少数意見になると頑張って支持してみようかな、ほら、多数意見が負けるのが相場でございますから(笑)。
○社債買入に関して
金曜の夜に共同通信がこのようなニュースを。東京新聞から。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009021301000829.html
日銀が社債買い入れ対象で調整 格付け「A以上」限定の方向
2009年2月13日 19時08分
『日銀は13日、企業の資金繰り支援策として検討している社債購入について、対象とする社債の格付けを「シングルA相当以上」とする方向で調整に入った。日銀は金融機関からの担保として「トリプルB相当以上」の社債を受け入れているが、財務の健全性を維持するため、買い入れ対象はリスクが比較的低い社債に限定する。』(上記記事より)
ほほう。まあ案としてはそんなもんですかねえという感じですが、これが案として検討されるという話なんでしょう。まあ実施するなら実施したらあとは存じますが・・・・・・
CPの場合はCPディーラーでありますところの大手銀行さんが引受を行って保有をする場合が多い(具体的な数字は判りませんが)ですし、期間も短いので、CP買入スキームはきっちりと効いたのでありますが、一方で社債の場合は別にオペ参加者が持ち切っている物ではないですし、大体からして証券会社が持ってる1年以内の社債を買入したからと言って別に新たに発行が促される訳でも無いですから、まあ正直言ってアナウンスメント面は別にして実際に企業資金繰りへの効果があるのかというと疑問符がつきまくり。
大体ですな、社債買入に関しては最初に報道が出たときにあちこちのセルサイドクレジットアナリストが大歓喜レポートを出して「市場の世紀末救世主現る」みたいな論調になっている時点でこのスキームが企業へのサポートじゃなくて証券会社へのお助けスキームになる可能性が高いのが見え見え。そういえば先日日本綜合地所が会社更生法適用申請した時には「政府日銀の対策が急務」みたいなお題のレポートがどこぞから出てましたわな。いやまあさすがに中身では「政府日銀は倒産しそうな会社の社債を買え」とはなってませんでしたが、どこまでお上頼みなのかよと呆れてしまいましたな(-_-メ)。
なお悪態をつきますと、オペって別にてめえらに収益機会を与える為に実施しているわけではなく、金融調節を通じて金融市場から実体経済に対して政策効果を及ぼすものでありますが、その点をまるで斟酌せずにてめえが儲かる儲からないの観点でレポート出してる時点でオペ参加者としての立場をまるで理解していない訳でして、まあそういうレポートを書く時点で恥を知るべきであろうかと思うのですけどねえ。いやあ浅ましい(なお、結果としてオペで儲かる場合があるのは別に否定しないが、それはオペの目的とは違いますからね)。
ということで、折角社債買入するならば、買入した業者がその後ちゃんと社債のマーケットメークを積極的にやっているかとか、売却した分に対応する社債の引受や購入を進めてるかとか、きちんとモニターして「単なる業者お助けスキーム」ではなく「企業金融支援に効果のあるスキーム」として頂きたく存じます、ウヒャヒャヒャヒャ。
・・・・・いかん、また悪態になってしまった。
まあ悪態は兎も角として、1年以内で格付けA以上というような話になりますと、そんなに買うものあるのかなあと。いやまあ一つだけでもA格があればという話なら銘柄増えますが、CP買入でA-1以上としているの基準との整合性を当然勘案されると思いますので、単に片足A格あるからと言って何でもかんでも買ってはくれないでしょう。で、それらの銘柄の事前審査どうすんの(銀行は担保審査などで事務慣れているけど証券会社ってそんなに慣れてないでしょうと思う)とか、微妙な話が多いのですが、まあ大変ですなあという所です。
なお、ある意味超どうでも良い話なのですが毎度気にしているのは、上記記事にある「財務の健全性」ってフレーズ。
正直申し上げまして、この文言が出てくると「日銀は相変わらず自分の庭先ばかり綺麗にしようとして」という印象を与えるのでありまして、大体からして日銀だって政府の一部みたいなもんですから、究極的には日銀の財務だけ健全でも政府がボロボロなら意味無しでしょと思うのですよ。
ですから、この点っていうのは本当は「議会での議決を経ないで日銀が企業金融という財政政策的な事をするのは本来良くないこと」っていうようなロジックを出した方が宜しいのではないかと思うのですけれども、やっぱりそれは難しいですかねえ。まあそれは難しいにしても、「財務の健全性」っていう如何にも自分の庭だけ綺麗にしようという説明じゃあなくて「社債がデフォルトになった場合には最終的には国民負担になるので」っていう表現にした方が宜しいかと存じますがどうでしょうかねえ。
・・・・結局悪態大会になってしまった(汗)。
○ターム物誘導関連
えーっと、その件に関しては既に色々と申し上げましたので簡単に。
ターム物誘導ってたって、通常の金融調節ではリスクフリーの金利に対応する3か月TBくらいしか誘導しようが無いと思うので、変に何か目標を出すよりは、「ターム物の共通担保、現先オペや短国買入を積極的に活用して潤沢な資金供給を行う」というアナウンスをするくらいしか無いかと思うのであります。短国買入の額を増やすのをアナウンスするのは一つのアピール方法ですが、変に額を縛ると後から調節しにくくなって他のオペに皺寄せが来るのであまりお勧め出来ないスキーム。まあやるかもしれないけど。
ちなみに、短国買入よりも今やってるように共通担保とかのターム物をやや厚め程度で良いので安定的に供給していくのがターム物金利を落ち着かせるのには効くと思うので、何か変に「やりました」観を出そうとしてまた空振りになるのだけは避けていただきますと有りがたく存じます。
しかし「ターム物誘導」と白川総裁がお得意の「市場機能論」っていうのは思いっきりバッティングするお話でありまして(笑)、いい加減に「市場機能」って話を引っ込めていただけると大変にありがたく存じます。まあ屁理屈をつけるとすれば、「ターム物資金の取引が低調なので、日銀がターム物資金を積極的に供給する事によって市場機能の復活を図る」とか何とか言って「市場機能」の話を出すことですか(^^)。
FRBの理屈を引っ張れば、「市場が停止している所に中央銀行が買入などで市場の流動性を供与して機能改善と共にレートの低下を促す」っていう所になるのでしょうか、よーわからんが。
○企業金融オペやCP買入の期限延長
さっき引用した記事で、引用しなかった部分にそういう事も検討課題となっておりました。まあ市場的には「これは延長してくれない訳ないでしょ」と思っているでしょうけれども、まあ3月(次回の会合は3月後半です)まで引っ張って変に不安心理が出てしまうと折角の期末対策も台無しなので、どうせ延長するなら今回アナウンスの方が吉かと。
しかしまあ格付け機関が競争するかのように企業を格下げしているのは如何なものかという感じはするんですけどね。おまいらその前に米国・・・いやまあいいです。
・この前のバーナンキ議会証言
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20090210a.htm
物凄く斜め読みしかしてないのですが、お題がクレジットマーケット関連に対してFRBがどんな政策(オペ)やってますかという話でありまして、日本の国会でもこの位の話をみたいもんだとか思いますがそれは兎も角として。
クレジット市場に対する支援というある意味凄い論理展開(マネタリー対応の為ではなくて金利押し下げを持ち出す所が結構チャレンジャーと思う)で長期国債の買入の話を以前はしてたのですが、今回はそれらしき部分が(あたくしがちょっと見たところでは)見当たらないor特に強調されていないというのが「ふーん」と思いました。
#読み間違っていたらスイマセン
まあ財政マネタイゼーションと言われるのも困るので、どちらかというと財政のサステイナビリティがどうしたこうしたと言って長期金利が上昇したところで長期国債買入カードを切るべく温存しているのではないかという所でしょうか。
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2009/02/16
お題「決定会合前につらつら雑感」
支持率9.7%しか無いんですか。そんなに少数意見になると頑張って支持してみようかな、ほら、多数意見が負けるのが相場でございますから(笑)。
○社債買入に関して
金曜の夜に共同通信がこのようなニュースを。東京新聞から。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009021301000829.html
日銀が社債買い入れ対象で調整 格付け「A以上」限定の方向
2009年2月13日 19時08分
『日銀は13日、企業の資金繰り支援策として検討している社債購入について、対象とする社債の格付けを「シングルA相当以上」とする方向で調整に入った。日銀は金融機関からの担保として「トリプルB相当以上」の社債を受け入れているが、財務の健全性を維持するため、買い入れ対象はリスクが比較的低い社債に限定する。』(上記記事より)
ほほう。まあ案としてはそんなもんですかねえという感じですが、これが案として検討されるという話なんでしょう。まあ実施するなら実施したらあとは存じますが・・・・・・
CPの場合はCPディーラーでありますところの大手銀行さんが引受を行って保有をする場合が多い(具体的な数字は判りませんが)ですし、期間も短いので、CP買入スキームはきっちりと効いたのでありますが、一方で社債の場合は別にオペ参加者が持ち切っている物ではないですし、大体からして証券会社が持ってる1年以内の社債を買入したからと言って別に新たに発行が促される訳でも無いですから、まあ正直言ってアナウンスメント面は別にして実際に企業資金繰りへの効果があるのかというと疑問符がつきまくり。
大体ですな、社債買入に関しては最初に報道が出たときにあちこちのセルサイドクレジットアナリストが大歓喜レポートを出して「市場の世紀末救世主現る」みたいな論調になっている時点でこのスキームが企業へのサポートじゃなくて証券会社へのお助けスキームになる可能性が高いのが見え見え。そういえば先日日本綜合地所が会社更生法適用申請した時には「政府日銀の対策が急務」みたいなお題のレポートがどこぞから出てましたわな。いやまあさすがに中身では「政府日銀は倒産しそうな会社の社債を買え」とはなってませんでしたが、どこまでお上頼みなのかよと呆れてしまいましたな(-_-メ)。
なお悪態をつきますと、オペって別にてめえらに収益機会を与える為に実施しているわけではなく、金融調節を通じて金融市場から実体経済に対して政策効果を及ぼすものでありますが、その点をまるで斟酌せずにてめえが儲かる儲からないの観点でレポート出してる時点でオペ参加者としての立場をまるで理解していない訳でして、まあそういうレポートを書く時点で恥を知るべきであろうかと思うのですけどねえ。いやあ浅ましい(なお、結果としてオペで儲かる場合があるのは別に否定しないが、それはオペの目的とは違いますからね)。
ということで、折角社債買入するならば、買入した業者がその後ちゃんと社債のマーケットメークを積極的にやっているかとか、売却した分に対応する社債の引受や購入を進めてるかとか、きちんとモニターして「単なる業者お助けスキーム」ではなく「企業金融支援に効果のあるスキーム」として頂きたく存じます、ウヒャヒャヒャヒャ。
・・・・・いかん、また悪態になってしまった。
まあ悪態は兎も角として、1年以内で格付けA以上というような話になりますと、そんなに買うものあるのかなあと。いやまあ一つだけでもA格があればという話なら銘柄増えますが、CP買入でA-1以上としているの基準との整合性を当然勘案されると思いますので、単に片足A格あるからと言って何でもかんでも買ってはくれないでしょう。で、それらの銘柄の事前審査どうすんの(銀行は担保審査などで事務慣れているけど証券会社ってそんなに慣れてないでしょうと思う)とか、微妙な話が多いのですが、まあ大変ですなあという所です。
なお、ある意味超どうでも良い話なのですが毎度気にしているのは、上記記事にある「財務の健全性」ってフレーズ。
正直申し上げまして、この文言が出てくると「日銀は相変わらず自分の庭先ばかり綺麗にしようとして」という印象を与えるのでありまして、大体からして日銀だって政府の一部みたいなもんですから、究極的には日銀の財務だけ健全でも政府がボロボロなら意味無しでしょと思うのですよ。
ですから、この点っていうのは本当は「議会での議決を経ないで日銀が企業金融という財政政策的な事をするのは本来良くないこと」っていうようなロジックを出した方が宜しいのではないかと思うのですけれども、やっぱりそれは難しいですかねえ。まあそれは難しいにしても、「財務の健全性」っていう如何にも自分の庭だけ綺麗にしようという説明じゃあなくて「社債がデフォルトになった場合には最終的には国民負担になるので」っていう表現にした方が宜しいかと存じますがどうでしょうかねえ。
・・・・結局悪態大会になってしまった(汗)。
○ターム物誘導関連
えーっと、その件に関しては既に色々と申し上げましたので簡単に。
ターム物誘導ってたって、通常の金融調節ではリスクフリーの金利に対応する3か月TBくらいしか誘導しようが無いと思うので、変に何か目標を出すよりは、「ターム物の共通担保、現先オペや短国買入を積極的に活用して潤沢な資金供給を行う」というアナウンスをするくらいしか無いかと思うのであります。短国買入の額を増やすのをアナウンスするのは一つのアピール方法ですが、変に額を縛ると後から調節しにくくなって他のオペに皺寄せが来るのであまりお勧め出来ないスキーム。まあやるかもしれないけど。
ちなみに、短国買入よりも今やってるように共通担保とかのターム物をやや厚め程度で良いので安定的に供給していくのがターム物金利を落ち着かせるのには効くと思うので、何か変に「やりました」観を出そうとしてまた空振りになるのだけは避けていただきますと有りがたく存じます。
しかし「ターム物誘導」と白川総裁がお得意の「市場機能論」っていうのは思いっきりバッティングするお話でありまして(笑)、いい加減に「市場機能」って話を引っ込めていただけると大変にありがたく存じます。まあ屁理屈をつけるとすれば、「ターム物資金の取引が低調なので、日銀がターム物資金を積極的に供給する事によって市場機能の復活を図る」とか何とか言って「市場機能」の話を出すことですか(^^)。
FRBの理屈を引っ張れば、「市場が停止している所に中央銀行が買入などで市場の流動性を供与して機能改善と共にレートの低下を促す」っていう所になるのでしょうか、よーわからんが。
○企業金融オペやCP買入の期限延長
さっき引用した記事で、引用しなかった部分にそういう事も検討課題となっておりました。まあ市場的には「これは延長してくれない訳ないでしょ」と思っているでしょうけれども、まあ3月(次回の会合は3月後半です)まで引っ張って変に不安心理が出てしまうと折角の期末対策も台無しなので、どうせ延長するなら今回アナウンスの方が吉かと。
しかしまあ格付け機関が競争するかのように企業を格下げしているのは如何なものかという感じはするんですけどね。おまいらその前に米国・・・いやまあいいです。
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2009/02/13
○オペレーションが最近好評な件について
先月末から今月頭に掛けましてはTBの増発懸念とかでレートが上昇しましたという話をしておりましたが、ここの所大変に平和な展開での推移となっております。先週の入札では0.30%乗せとかだったのですが、今週に入ってレートは低下して火曜の3か月TBの入札は大体0.255%平均の落札となって、昨日の日本相互証券の引け利回りは0.24%(確か0.235%の出合いもあったと思うが)で貫禄の0.25%割れとなり、需給悪化懸念とか言ってレートが一気に上昇しだす直前の水準まで戻って来ました。
この間のレート上昇って需給悪化懸念というネタだったので、買い手のうちややアクティブに動こうという人の手がすっこんでいたのですけれども、先週の水野審議委員の講演にあった「短期国債市場への目配りも必要」という辺りやら、ターム物金利誘導に関する期待やらで「買い安心感」ってえ奴が出て買い方の背中を押してまあ本来この辺でしょというレートまで低下したというところでしょう。
また、ここもとの資金供給オペレーションが比較的安定的にタームの資金を供給しており、変な吸収とか出し渋りとかが無いのも好感されているというのが小見出しの件になります。この為、レギュラー受渡ベースで16日の新しい積み期間に入ってからもGCレートは落ち着いて推移していまして0.15%近辺での推移。当座預金残高が積み最終を控えても11兆近辺(先週は12兆)で安定推移しておりまして、資金需給的に不足地合いだと供給オペが打ちやすい上に変な吸収も無くという流れなのが安定推移の背景かと。まあこういうオペですと割と落ち着いて推移するようで、概ねオペも好評という所で誠に結構。
ちなみに、1月のこの時期は年末越え対策で準備預金が進捗し過ぎたことから積み最終に向けて当座預金残高を急速に圧縮(ちょっと謎の吸収オペがありましたが、概ね供給オペのロールを落とす事によって対応)しまして、レギュラー渡しが積み最終になる1月9日の所で当座預金残高が9兆円近辺(前日から9兆円近辺)まで圧縮されたことが影響してGCレートがいきなり跳ねて0.16%辺りから最後は0.26%レベルまで上昇しちゃったという展開になって1月後半はGC高い展開に。と言ってもまあ0.2台前半ですけれども、前半が0.1%台前半での推移だったので上がった感が強くなりました。
ま、今月は積み最終に向けても当座預金残高を圧縮して来るような雰囲気が今のところ無く、ターム物オペをある程度安定的かつそこそこ厚めに打ってきているという印象でありまして、市場的にも「これはやっとタームのオペを厚めに打ちだしたのかな」という感覚になってきたのではないかと思われます。とは言え、昨年10月以降毎度毎度「急に金を引いたので」攻撃とか「急に金を出さなくなったので」攻撃によりまして何度も梯子を外されてその度にGCレートが跳ねるという素敵な展開が続いてましたので、さて今回は大丈夫かっていうのはまだ微妙に気にしているものと(あたくしの周囲をヒアリングしたベースでは^^)思われます。タームを厚く打てば当座預金残高積み上がって来ますが、余剰地合いになった所で供給をいきなりストップしたり資金引いたりしたら元の木阿弥ですからねえ。
結局のところですな、身も蓋も無い言い方をしてしまいますと、あまり細かい所を気にして妙に微調整しようとすると、その微調整は調節担当的には微調整すべき自明の事柄であっても、市場(特にインターじゃなくてオープン市場)では「何かよく分からん調整をするオペですなあ」となりまして「???」となって梯子外されたような気になるのでありまして(汗)、まあ細けぇ事はいいんだよ!(やる大矢のAA略)というような調節をして頂きたく存じます次第。
ていうか、当座預金(正しくは超過準備)付利0.10%で誘導目標0.10%っていう政策の枠組みって「金利付きの量的緩和(それを量的緩和とは言うのは変ですがそれは兎も角^^)が可能」と普通に考えると市場は解釈するのでありまして、そーゆー枠組みになっているのですからあまり細かい微調整せんでもええじゃろという風に思いますし、逆に言えば付利金利=誘導目標になっているのにやたら丁寧に微調整するのは市場の期待を思いっきり外すの巻という所なのではないかと思うのですがどうでしょ。
まあ月後半からは徐々に期末モードが盛り上がって参りますので、細かい微調整するよりはざっくり目にやや厚め(極端にバカスカ出さなくても安定的に出ていれば市場は安心するのでそう馬鹿みたいにレートは跳ねない筈)に使いやすいターム物中心に資金供給をしてレポ市場やら現先市場のレートを安定的に推移させて(再三申し上げていますが、レートが乱高下するのが一番困る)頂くように運営していただきますと有りがたく存じます。
○浅学菲才なあたくしも政府紙幣だの無利子国債だのに雑感
・政府紙幣
えーっと、本当に市中流通させようとすると物理的に全然時間が足りない上に社会的に費用が馬鹿みたいに掛かるので、まあ普通に考えると大券を発行して日銀に売却するという方式になるんでしょう(日銀と政府の関係では硬貨と同じ扱い)。まあそれって日銀に無利子永久国債を引受させているのと同じ話ですから、それならば「日銀に国債引受をさせますか」と正面切って議論した方が良いと思うのですが(コインは量的にどうでも良いレベルですけれども、政府紙幣ジャンジャン発行となると話は別でしょ)。
と申しますのは、何かこの話をしている議員さんとかの中ではリアルに打出の小槌だと思い込んで議論している人がいるんじゃないのかと思われる節がある訳で、いやあのそのそういう発想だと物の本質をスルーしたまま導入って一番困ったちゃんな話になるんですけどねえと思うのでありまして。さすがに最近は高橋洋一先生も「日銀に国債引受させるのと同じような話」的な説明をしているようですが、当初はその辺微妙に打出の小槌チックな話が流布されていた感があって何だかなあと思っておりました。
ま、日銀に国債引受させるのも議論としてはアリエールな話ではございますけれども、議会制民主主義で普通選挙やってる国でそれやって歯止めはちゃんと効くのかというのはどうも懸念されますわな。何せ一旦緊急措置として始めた物を止めるのがやたらめったらヘタクソなのが過去から連綿と続くニッポンクオリティなのでねえ。
#まあ勿論日銀引受しないでも財政を絶賛大発散させれば結果は同じになるのでしょうけれども・・・・・・
ま、政府紙幣の議論って要するに「日銀に金融緩和もっとクレクレ」ってプレッシャーを形変えたもんだと思いますけどね(^^)
・無利子国債
これどういう商品性になるのかさっぱり判らんのですが、相続税免除するからどうぞって話になったら、死にそうになってから無利子国債駆け込み購入する人が続出して、他の金融資産からのシフトで意図せざるクラウディングアウトが発生するような気が思いっきりするんですけど。箪笥に寝ている金が出てくると思うのは甘いでしょ。
#ていうか箪笥に現金寝かせた方が捕捉されにくいでしょうに
しかもこれって将来の相続税収入の先食いでありますし、先食いにしてはメリットが「利払いがゼロで済む」程度のものでありまして、現在の金利環境で何が悲しゅうてそういうもんを発行しないといけないのかさっぱりメリットが見えてこないです。期限付きじゃなくて換金性が無かったらそもそも誰も買わないでしょうし。
#大体からして市中の資金が還流してきたらシニョリッジ減るじゃん
なお、当然ご存知でしょうが、本石町日記さんのこちらのエントリーにインスパイヤされておりますので一つ宜しくです。
http://hongokucho.exblog.jp/10331503/
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2009/02/05
○オペの話とTB入札の話
昨日は国庫短期証券の第1回ということで、3か月ものの入札が実施されましたが、まあ事前に言われていたように0.3%に乗っかった入札。足きりは0.31%乗せでしたが、まあこんなもんなら流れたうちに入らないということで、その後強くなるのかなあとか見てましたが、セカンダリーの買いはそれなりに入っていたようなのですが、延々と0.30%がオファーのようで、やはり増発したというインパクトはあったのねという感じですわな。増発入札はこれからも続くので、まあ気合入れて買う必要もないでしょとなると、中々レートを押し下げるような買い方はしにくいのかなあと。追加利下げ思惑でも無いとねえ。
ま、今週になって足元の資金が出てきてることからGCレートが絶賛低下(ただし積み最終まで)しているのもゲロゲロ入札にならないで済んだ要因かもしれませんけど、そっちの方ではまた謎のオペが。
昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of090204.htm
昨日のオペ結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba090204.htm
スポネの買現先を4兆円同額ロールしたら、0.10割れの応札という軽い嫌がらせのようなのが入って0.10%全取で札を切ったので落札額が3兆5千億円と結果的に予定額割れの巻。まあ0.09%以下で応札する方もいい根性してんなあと思いますが(そういうのはオペじゃなくて市場調達してください^^)、要するに「スポネは要らないから(準備預金積み最終越えの)2w位のタームを出せや」と言ってるんでしょと。大体からして応札が40683億円と言う時点で既に札割れ寸前ですけどね(^^)。
で、それはそれとしましてオペを毎日見ている短期市場関係の皆様が「????」となったと思われるのが午後1時にオファーされた本店オペでありまして、期間が5日〜12日というもの。
うーむ、足元GCレートは下がっていて、積み最終までは資金余っている筈なのですが、何ゆえこんな要らない期間の供給を打つのか良く判らんのですけれども、余剰日(年金定時払い)の13日に足が来るのならまだ判るのですが、まあそれにしても積み最終まで足元余り気味なのに資金供給ってえのも何だかなって感じがします。
ま、あたくしのような下々の者には判らん資金フローがあるのかも知れないですから勝手な講釈を垂れるのもアレですけれども、と言いつつエラソーに講釈垂れてみますね。えーっと、現状の市場状況としては、足元の資金が積み最終まで余り気味であって、かつ積み最終を抜けて新しい積み期間に入りますと例によって例の如く資金を持ってる大手銀行が横並びで資金を出さなくなってタイト感が出るというのがお約束のような展開になっているのでありますわな。そうしますと、タイト感の出てくる積み最終を抜けるタイミングまでの資金供給の方が「いる資金」でしょうな。
まあレポ市場どうでも良しというのであれば関係ないのでしょうが、レポ市場も視野に入れながらオペという話になりますと、インターバンクのコール翌日物のような市場と、先日付のターム取引も多いレポ市場の差も考慮に入れながらオペ運営をしていかないといけないのかなあとか外野は勝手に思うのですよね。
即ち、従来のインターバンク一点張りだったら大型余剰日や大型不足日に供給や吸収オペの足を打っておくと丁度良かったと思うのですが、国債関連の財政要因を除けば、レポ市場での資金調達をしている人ってその辺りの余剰不足って自分の所の資金繰りにあまり大きな影響は無いので、そこにオペの足をドカドカ持って来られると却ってその日がオペの足が増えて逆に資金のブレが大きくなる日になるので、その余剰や不足日、または月末や積み最終などを跨ぐオペの方がアリガタヤという事になると思われるのです。あたくしが何となく思っているだけなので間違ってたら指摘していただけると助かるのですけれども、まあそんな気はするのでして、インターもレポもって見ながらのオペをするのは難しいですねと思う今日この頃でありました。
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2009/02/03
○3か月TB発行が3か月連続で増発されそうな件について
昨日財務省から2月と3月のTB発行予定額が公表されていましたが、その中で短期関係者が目を丸くしたと思われるのは「3月の3か月ものTB発行額は1回辺り5.1兆円〜5.4兆円」という点。
今月入札分から発行額が5.1兆円になったばかりで、その5.1兆円の消化大丈夫かねとかいう話をしているうちに先週の3か月もの(14週でしたけど)FB入札が華麗に0.3%近くまで流れた(債券先物がビックリして15銭ほど下がったのはご愛嬌)のですけれども、期末月にまた増発でこれで3か月連続増発の香り。対応する償還FBは1回辺り大体4.5兆円の発行でしたので、毎週9000億円の増発になる次第でありまして、どう見ても消化不安です本当にありがとうございました。
この予定通りに増発になりますと、単純に言って3か月ものだけでも12月対比で短期国債(名称は色々あるけど)で月に4兆円位の市中資金吸い上げ要因になりまして、「クラウディングアウト」という用語が頭の中をヒラヒラと舞い踊る次第であります(昨年対比で1回の発行額が最終的に9000億円増えるとなると昨年対比ベースではその13倍がトータルで発行増になるのかしら)。その上「財源は埋蔵金」という素敵な施策が次々に出る中で消化大丈夫っすかねえという所で。
いやあ埋蔵金活用って理屈の上では良い話なんですが、実務に落とし込むと中々素敵な問題が生じます(そもそも外為特会の剰余金なんぞはまさしく「数字上は利益だけど円のキャッシュフロー上は1円も剰余していない」ものですもんねえ)ねえって感じで。何か「理念的には仰せの通りですけど、実務にそれを落とし込むとマズーなんですけど」っていう話が色んな所で最近やたら目に着きますなあ、(保安上の見地から自粛)法とかまさにそうですけどね。
と、一部余計な悪態が入りましたが、国庫(特別会計含む)の資金繰りに関しては良く判らんところが多いのですけど、何でこう短国増発が多いのでしょうかねえと不思議なあたくし(と勉強不足を堂々言うのも何だが^^)。
○そういえばCP買入
すいません昨日コメントしないといけませんでした(汗)。
昨日のCP買入ですが、大まかな手順としてはこんな感じらしいっす。
1.前日に入札予定銘柄の事前審査を出す
2.当日9時半に入札オファー
3.日銀ネットから応札レートと応札額を入力
4.10時半にとりあえずどのレートで幾ら落札になったかの連絡
5.各々のレートに対応する銘柄を連絡
6.高いレートから順に募入銘柄を入れていった時に、買入限度を超えた銘柄に関してはレートの低いものを弾いて、その分に関して銘柄の差替または落札辞退のどちらかを選択するように連絡
7.その銘柄に関して6と同じ事が起きた場合繰り返す
8.全部の落札札の明細が確定(=募入が確定)した所で落札結果発表
で、その結果が17時になって出たのはお疲れ様でしたとしか申し上げようがございませんです。5番目から先の手順が人力作業大会だと思われますので、これはもう大変ですよね。
で、落札結果のレートの方は平均較差0.716%で足きり較差が0.511%になっておりますので、普通に考えて期越え3か月以内ものを打ち込んだと考えますと、平均売却レートが1.116%で足きり売却レートが0.911%ですね。平均の1.116%ってのはイメージちょっと高い気がしますが、足きりの0.911%に関してはまあそんなもんかなと。0.8だと低くて1.0だと高いなあと勝手なイメージしてたので違和感はそんなにないです。
#較差0.510%だと按分に掛かると思って0.511%に入れたら同じことを考えている人が複数いて按分になったというのはご愛嬌
で、落札額なんですけど、買入予定額3000億円に対して落札額が2185億円となりました。つまり800億円ほど滑った部分があるのですけれども、この800億円は何なんでしょと考察しますと、まあ普通に考えますと「応札しようとした銘柄が入れに行ったら買入限度オーバーで、他にそんなレートでわざわざ叩き込む差替え銘柄が無かった」という事でしょう。あとは按分の関係で端数が入らないというのもあるかもしれませんが、按分に掛かった人がそんなにいる訳でもないでしょうから些少な額でしょう。
ということで、初回で埋まった銘柄が少なくとも1つ以上はあるという事ですかそうですかという感じでありますな。あ、ちなみに「買入限度額オーバー」じゃなくて「前日の時点で信用判定がオッケーだった銘柄で当日になって信用判定アウトになった」という可能性もあるかなあと(普通はそうそう一夜で大変化せんと思いますが、今回は4半期決算発表の集中時期に被ってますので)は思いますです、はい。
だからどうしたと言われると困りますが、まあそんな入札でしたという所で。今回は決定から初回買入までの期間が短く、CP買現先オペで飛ばしている銘柄も多かったと思いますので、戻ってきた分で入れようという動きも次回以降続くでしょうね。
○FRBの超過準備付利に関連してメモ
こんなん出てました。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090129a.htm
詳しくはそちらに説明文のPDFまたはHTML版がありまして、読みにくいHTML版はこちら。
http://edocket.access.gpo.gov/2009/E9-1996.htm
大手銀行に決済委託をしている準備預金対象な人たちにも超過準備付利用の口座を作れるようにして利息上げますよっていう話っぽい(読み間違いだったらすいません)ので、GSEみたいなところは関係ないみたいですけど、FFレートの誘導目標を超過準備付利レートより低く設定しているという謎展開になっている金融政策的にその措置どうなのよという気がせんでもない。
いやまあとりあえずはそんだけのメモですけど、タカ派バリバリの筈のリッチモンド連銀ラッカー総裁が「マネタリーベースを増やすために長期国債買入を」っていう提案をしたのがイヤミ提案っぽく見えてきましたです(笑)。
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2009/01/30
○FBが重いですねという話
昨日申し上げましたように、水曜は3か月FB入札が0.30%に接近しやがってちとあれれ状態だったんですが、昨日は短国買入オペが実施されて平均落札利回りが前日比3毛1糸甘なんぞになりやがっておりまして、それって水曜の新発とかその近辺入れに行くと0.31%で叩き込み(だからそのゾーンが入ったんじゃないと思うが)とかに相当するレートで、中々こう悲しいものを感じさせる次第でございます。
FBが重いせいなのか、月末のところの着地を見てからじゃないと資金の出が悪いのか、それともどこかで予備的需要が増えているのか良く判りませんけど、その関係からかGCレートもサガランチ会長でして、資金供給オペに対する応札は多いわレートはじり高だわという素敵な状態が継続。スポットは月末抜けているというのにスポネの買現先は0.231/0.22と前日から1つ上昇している(余談ですが、一昨日の末初買現先0.221/0.21でして、昨日の末初GCが0.27近辺とかワケワカランのですが・・・・27売るならオペ必殺入れとけよ・・・)わ、それより香ばしいのはスポットウィークの買現先が0.226/0.22で、月末抜けてるのにレート上昇とは何たることぞという感じ。午後の共通担保は末スタートだったので0.231/0.23とこれまた素敵に1bp上昇と何か金が無いですねえという感じ。
ま、当座預金残高自体はある(増えてる)ので、これってまあ実際に金が無いのではなく、市場に出てこない予備需要的な「死に金」が増えているという現象なのでしょうが、GCは0.20台半ば近辺で推移するわ、カレント3か月FBは引け全力オファー状態だわと、これで来週の3か月TB入札どうなのよという感じであります。まあ月末抜けてどうなるのかは知らんけど、今の雰囲気は(月曜か火曜辺りから変でしたが)宜しくなく、この調子では中々これは寒いものを感じますなあという所でありまする。
○FOMC関連
これはあたくしの備忘メモモードであります。昨日ご紹介したこれですが。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090128a.htm
長期国債買入のロジックのあたりのメモでして、昨日の再掲ですけれども。
『The Committee also is prepared to purchase longer-term Treasury securities
if evolving circumstances indicate that such transactions would be particularly
effective in improving conditions in private credit markets.』
この背景って12月のFOMC議事要旨(Minute)ではこのような論点になっていました。
『Specifically, participants discussed the merits of purchasing large quantities
of longer-term securities such as agency debt, agency mortgage-backed securities,
and Treasury securities.』
『The available evidence indicated that such purchases would reduce yields
on those instruments, and lower yields on those securities would tend to
reduce borrowing costs for a range of private borrowers, although participants
were uncertain as to the likely size of such effects. Participants also
generally believed that the special liquidity and lending facilities implemented
or announced recently would support the availability of credit to businesses
and households and thus help sustain economic activity.』
この時には「レート低下で民間信用のコスト低下」と「流動性供与で市場のアベイラビリティ確保」ってロジックを出していまして、じゃあ財務省証券を買うのはどっちなのですかという話になると、長期金利のベースレートを低下させることによって信用市場の環境を改善させるって話になるんでしょうか。
一方でリッチモンド地区連銀のラッカー総裁が反対票を投じてまして(すいません見落としてました)。
『Voting against was Jeffrey M. Lacker, who preferred to expand the monetary
base at this time by purchasing U.S. Treasury securities rather than through
targeted credit programs.』
米国財務省証券を買い入れることによってマネタリーベースの拡大を図るほうが適切ですと主張していまして、こちらの主張の方があたくし個人的にはしっくり来る長期国債買入理由ですわな。「金利押し下げの為に長期国債買入」ってのはちょっとさすがに無理筋ロジックじゃねえのか(市場がどっかで大反乱状態になるの
ではと思うのです)って感じがしますけどね。
関連記事がロイターに出てましたのでそちらもご参照。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36157120090129
同じ「米国財務省証券を買う」という結論であっても、話でも、BOEのキング総裁流にすれば(http://www.bankofengland.co.uk/publications/speeches/2009/speech372.pdfの8ページ目とか本石町日記さんのhttp://hongokucho.exblog.jp/10265859/をご参照下さいませ)、バーナンキ議長が言う長期国債買入は「unconventional unconventional measures」であり、ラッカー総裁の言う長期国債買入は「conventional unconventional measures」という事になるんでしょうな。
・・・・・もはや禅問答の世界ですが(^^)。
#今週投入された各種ネタは積み残しになっちゃいました(><;
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2009/01/29
○FOMC声明文より少々
昨晩のFOMCですが、あたくし当然ながら朝起きてから斜め読みでござるの巻なので本当の本当に簡単に。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090128a.htm
なお前回はこちら
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081216b.htm
・何となく時間軸みたいなものを明記(何のこっちゃ)です。
何となく時間軸が最初の所に出てきましたね。第1パラグラフの2番目の文ですね。
『The Federal Open Market Committee decided today to keep its target range
for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent. The Committee continues
to anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally
low levels of the federal funds rate for some time.』
前回はこの2文目が無くて、こうなってました。
『The Federal Open Market Committee decided today to establish a target
range for the federal funds rate of 0 to 1/4 percent.』
まあこのfor some timeちゅうのが時間軸になるんかいという話はあるのですけれども、景気先行き見通しやら現状認識が「悪化」の方向であれば一応時間軸にはなるという所でしょう。でも、こーゆー何となく時間軸だと、景気認識的に底打ち感が出てくるとあっさりと時間軸がぶっ飛んでしまうのは2003年の日本を見ればお分かりの通りでございます。結局あの時は改めて時間軸のコミットメントみたいなのを出してその場を収拾する破目になりましたわな。さて米国はどうなるのでしょ。
・デフレ懸念みたいなのに関して
第3パラグラフが今回の声明での物価の話。第2文に注目。
『In light of the declines in the prices of energy and other commodities
in recent months and the prospects for considerable economic slack, the
Committee expects that inflation pressures will remain subdued in coming
quarters. Moreover, the Committee sees some risk that inflation could persist
for a time below rates that best foster economic growth and price stability
in the longer term.』
ただまあこの議論は先般ご紹介した12月の議事要旨で同じ話がありましたので、市場的にはそんなにサプライズじゃなかったのではないかなとは思います(米債はそんなに詳しくないから知らんが)けど。ちなみに当該部分は前回こうなってました。
『Meanwhile, inflationary pressures have diminished appreciably. In light
of the declines in the prices of energy and other commodities and the weaker
prospects for economic activity, the Committee expects inflation to moderate
further in coming quarters.』
・長期国債買入はとりあえずチラリズムで(^^)
『The Committee also is prepared to purchase longer-term Treasury securities
if evolving circumstances indicate that such transactions would be particularly
effective in improving conditions in private credit markets. 』
長期国債の買入でprivate credit marketsの環境を緩和するっていうのも何というか凄い理屈ですけれども、まあ米国と日本ではその辺だいぶ違う(日本の場合は何気に長期よりも中短期に近い金利に連動するローンの方が多かろう、と思う)のかも知れませんけれども、「財政マネタイゼーション」とは言いませんでしたな。いやあのバーナンキ先生ですから当然ながら「インフレ期待を改善させるまで長期国債の買入をする用意があります」って話をするのかと思ったのですけどねえ(^^)。
んでもって、今回はprepared to purchaseということで具体的なスケジュールやらスキームは出てきませんでしたが、つまり「長期金利が上昇しだしたらこのカードを切りますよ」と伝家の宝刀をチラリズム状態にすることによって、長期金利上昇を牽制しましょうってことなのですかな。前回はこんな書き方です。
『The Committee is also evaluating the potential benefits of purchasing
longer-term Treasury securities.』
ま、チラリズムでどこまで引っ張れるのか楽しみであります(^^)。
○3か月FB入札が流れて債券先物がビックリした(???)件に関して
昨日は3か月FB(政府短期証券の最終回)入札がありました。
1月から3か月FBの発行額が従来の週4.5兆円から週4.8兆円に増えてちょっと荷もたれ感がある所に来て、来週からは週5.1兆円に増額ということで、兆円の数字が増えてしまうというのも何かこう重さを感じる次第で、入札前からせっせと調整して前場の引けでは既に0.275/0.28で入札を迎えました。
で、その結果が0.2887/0.2992と思いっきりロンバートに接近というレートになり、まあ流れたけどとりあえず30で止まったねという感じでしたが、その結果出た直後に債券先物がいきなりストンと下がったのはこの結果にビックリしたんでしょうか、よー知らんけど。その後暫くは平均オファーだったみたいですけど引けに掛けて持ち直しで0.28%の引けになってましたので、一応止まりどころで今回は止まりましたねという感じでしょうか。
このFB、今月の最初の入札では0.1789/0.1825だったので、3週間の間に華麗に上昇した格好なのですけど、まあそもそも今月最初の入札時点が年末年始の発行端境期+年末年始対応の資金供給が余った時期に当たっていたというのがあるので、まあそれは下げすぎだったのかもしれませんけど、一方でGCレートとかオペのレートとかも0.20%台で高止まりしているので、そっちも足を引っ張る格好。
GCに対して自然体なのか押し下げようとしてるのかが微妙に良く判らん調節というのもありまして(マーケットちゃんとしましては、時々やたら配慮したような細かいオペあり、かと思えば自然体の放置プレーオペありと、どうもどっちだか判らんというのが印象だと思います)、何だかちょっと右往左往みたいな面もありますけど、FB(来月から短期国庫債券なのでTBですか)が絶賛増発されているというのが徐々に効いているという感じなんでしょう。来月からは3か月TBの償還対比の増発額が6000億になるので、もうちょっと逼迫感が出てくるのかもしれませんね。まあ所詮は国債ですからレートを調整すれば解決する話で、アベイラビリティがどうのこうのとか信用スプレッドがどうのこうのというヤヤコシイ話ではないですけどね。
来週の入札時には積み期間も後半になるし、月末とか税揚げとか資金繰り読みにくいからGCの資金そんなに先日付でホイホイだせないよと言ってる人の状況が変わっているとは思いますが、増発されて5兆円の大台乗せになった3か月TBちゃんと捌けるのかは気にしておきたいと思います。
・・・・ところで、余談の類になるんですけどね、こっから円売り介入をするとかいう話になりますと益々TB(今はFB)が増発されるのですけれども、現状でこの有様なのにどうなのよという論点とか、昨今の埋蔵金ブームで「財源は埋蔵金」っての大流行なんですけど、TBの発行が着実に増えているということは、そりゃまあ会計上の利益(というか剰余金ですか)はあるのでしょうけれども、キャッシュフローとしてそこに金があるのは別問題という雰囲気が大変に香ばしく漂って参りますけれども、埋蔵金財源で真水を出されたらまたTB増発ですかそうですかという感じなんでしょうかねえ、いやはや。
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2009/01/23
お題「決定会合いろいろと」
色々とあったのでちゃんと全部網羅出来るかなという感じですけど(汗)、決定事項はたくさんですよと。
金利据え置き、展望レポート中間評価、
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090122.pdf
金融企業金融に係る金融商品の買入れについて
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0901d.pdf
CP買入基本要綱
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901a.pdf
輪番オペのゾーニング関連
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901b.pdf(要綱)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901c.pdf(概要)
投資法人債の適格担保化関連
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901e.pdf
これはテクニカルな話ですが割引短期国債と政府短期証券が国庫短期証券に統合される件に関連して
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901d.pdf
で、たくさんありますのでまずはCP買入と社債関連に関する所から。
○CP買入に関して
買入の概要は
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0901d.pdf
の3ページ目にありまして、基本要綱は
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901a.pdf
ですな。
・買入銘柄は適格担保銘柄
買入対象は『CPおよびABCP(担保適格かつa-1 格相当、既発行、残存期間3か月以内)』となっております。ここのポイントは何と言っても『担保適格』でございまして、a-1だから全部買うという訳では無い所に注意が必要。
ま、短期格付のa-1(R&I式の表記ですな)というのはかなーり広い範囲になりますので、形式要件でa-1全部おっけーにしちゃうとちょっとどうなのよというのもありましたので、結局担保適格銘柄が対象となりました。a-2でも担保適格っていうのもありますし、海外格付け機関の2格と国内の2格はだいぶ違うので、『a-1
格相当』として「相当」をつけましたということですかね。
こりゃまた信用判定死ぬほど忙しそうで大変だと思いますが、措置としては極めて妥当だったと思います。
・3か月もので0.4%を切るものは入りませんよ
『3.買入方式
コンベンショナル方式による入札
以下の区分で下限利回り(CP・ABCP 共通)を設けたうえで、当該利回りからの利回り較差(ゼロ以上)を入札(下限利回りは状況に応じて変更がありうる)
残存期間1か月以内:無担保コールレートの誘導目標+20bps
残存期間1か月超3か月以内:無担保コールレートの誘導目標+30bps』
最初ロイター英語版のヘッドライン見たとき指値かと一瞬焦ったのですが、上記のレートが入札下限利回りになるということですから、まあ期末越え3か月もののレートの方にプレミアムがついている(期末のリスクアセット保有プレミアムだから当たり前)のでそっちが入るとして、最近のCP発行市場の状況を勘案すると上位格付け銘柄のレート押し下げはしませんよという所でしょう。例えば最上位格の電力会社さんの3か月物CPレートとかは0.4%を思いっきり下回っていますので、そういう銘柄はとりあえず入りませんなあという所ですね。
で、入札はレート競争入札になりますので、とりあえずは発行レートが高い銘柄から順に入って行くという流れになりますので、これは「目詰まり対策」という意味では一番正しい方式。正直言って電力CPばかりバカスカ購入されても意味無いですもんね。
・買入総額3兆円とな
『4.買入額
買入総額の残高上限は3兆円(CP・ABCP 合計)
発行体別の買入残高の上限は1000 億円(CP・ABCP 共通)
―― ただし、買入残高が、昨年7 月から12 月の各月末の発行残高のうち最大の残高の25%を超えた発行体については、償還により買入残高が当該金額を下回るまで、買入れ対象から除外』
2兆円と報道されていましたが、3兆ってまあ多いかもです。これはまあ足りなきゃ増やすでしょうし、別に買わなきゃいけないものでもなく、そもそも論で言えば市場がちゃんと機能していればこーゆー政策を実施しなくても良いはずでありますと考えますと、買い切れなくても(ちゃんと政策効果が出ていれば)それはそれで良しという事でしょう。
発行体別の買入残高上限はまあこんなもんでしょう。レートの高い順に入って行きますけど、別に全部が全部入る訳では無いですから、「早い者勝ち」であったりするのですけどね(^^)。
で、時限措置になってますけど、9月末の所に向けては状況によってはまた実施という事になるんでしょう。そのままロールオーバーになるかもしれませんけど(^^)。
なお、要綱にきっちり書いてますが、REIT発行のCPは対象除外です。まあそりゃそうだという感じですけどね。
○投資法人債の適格担保化
後でご紹介しますが、『企業金融に係る金融商品の買入れについて』の基本的な考え方に『個別企業への恣意的な資金配分となることを回避すること』って思いっきり書いてある中でモロにREITがドカンと出てくるのも何だか妙な感じが致しますけれども、まあ買入と適格担保化じゃあ全然話のラベルが違いますので・・・・とは思いますが何だか国土交(以下保身の為自粛^^)いやまあいいです。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901e.pdf
に書いてますけど、要するにAA格の投資法人債が適格担保になるのですけれども、信用判定をこれも行いますし、そもそも適格担保にするというだけの話でありますから、実際の効果としてはどうなのかねという所で。
ま、在庫の投資法人債の在庫ファイナンスが出来るようになる証券会社にはアリガタヤな話になりますので、これはこれで良しと。どうせ担保ですから減価したり飛んだりしたら担保出してる先が担保差し替えしないといけないだけの話ですからね。
#とか言ってたらこの前はリーマンが飛んで変な国債が日銀の在庫に増えましたが
○輪番ゾーニングの影響を愚考
概要はこちら
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0901c.pdf
月別に引き直すと・・・・・
1年以下:4600億円
1年〜10年:8000億円
10年超:750億円
15年変国:500億円(2ヶ月に1回)
物価連動:150億円(2ヶ月に1回)
となりますが、発行量やら市中残存量を勘案し、ついでに従来1年以内ばかりアホのように入ってた状況を是正するという観点で言えばまあこんなもんでしょというか、市場中立的な内容になっています。超長期ゾーンがもっと買われるかと期待していた向きが業者中心に結構あったみたいですけど、そもそも超長期はニーズがあるから増発とか言ってた筈なんで、そっちを厚くするのもスジとして変でしょうな、と思う。
従来は殆ど同じゾーンばかりが叩き込まれる(当日カーブ上安い所が入りやすいのですから当たり前ですが)格好だったのが、ゾーニングによって1回につき2ゾーンで入札する格好になりますので、より相場に対しては中立になるようにという事を考えているのはまあ良く出来ていると思います。1回の入札における各ゾーンの額そのものは減る(分けるのだから当たり前ですが)ので、突拍子も無いレートまで入ってウハウハみたいな事は起きにくくなり、業者としては残念感があるかもですけどね。
で、問題は今まで期近債のゴミバコ状態だった輪番がこうなることによって、当然ながら期近債の需給が悪化する可能性があること。まあ悪化してレートで調整されれば売りに行く投資家もわざわざ叩きには行かないとは思うのですけれども、ちょっと注意が必要でしょうなと。そもそもFBだって増発傾向なのですし・・・・・・
○社債買入検討
次で書きますけど、残存1年以内の社債買入の検討指示って何か微妙。まあこれはやるこたあねえと思う(ので須田審議委員に賛成^^)のですけれども、何気にそれに付随して書いてある「考え方」でガチガチにコンサバなことを書いているんですよね。
#ど〜せ世間的にはそこはスルーなんでしょうが
残存1年以内の社債で、それなりに格付けの高いものという話になると、それはまあ既に投資家のニーズはあるのでして、んなもん買わんでも良かろうと思いますし、やはりこれは政策金融の世界であって、きちんと議会で審議して予算措置を取った形で実施するのが筋ではないかとも思いますので、本当にやるなら日本政策投資銀行に対して政策金融措置の一環として予算を取り、その買入の資金繰り支援を資金供給オペレーションの形で日銀が実施するのが筋じゃないでしょうかね。
ということで次に続く。
○実はこの考え方が重要ですよん
これですよこれ。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0901d.pdf
『日本銀行は、本日、CP買入れを含む企業金融面での追加措置について検討し、企業金融円滑化の観点から企業金融に係る金融商品の買入れを行うことについて、基本的な考え方を下記の通り整理した。そのうえで、こうした考え方に基づき、@CPおよびABCPの買入れを別紙の内容により今月中に開始することとしたほか、A残存期間1
年以内の社債の買入れについて、実務的な検討を行い速やかに成案を得るよう、議長から執行部に対し指示した。』
ということで、その考え方。
『1.企業金融に係る金融商品の買入れの性格』
『企業金融に係る金融商品の買入れは、これを金融機関に対する与信の裏付けとなる担保とする場合に比べ、民間部門の個別先の信用リスクを負担する度合いが高い。このため、こうした政策手段は、損失発生を通じて納税者の負担を生じさせる可能性が相対的に高く、また、個別企業に対するミクロ的な資源配分への関与が深まるという特徴をもつ。』
左様でございます。
『さらに、他の政策手段に比べて、損失発生により日本銀行の財務の健全性を損ない、ひいては通貨や金融政策への信認を損なうおそれが、相対的に高くなる。』
実際にはしょぼいみたいな額のデフォルトであっても変なインパクトを与える可能性もある訳で。国債買って金利上昇したから損したとかいうのはどうでも良い(どうせ償還されますから)話ですけど、それとはまた別の話ですからね。
『こうした点を踏まえると、企業金融に係る金融商品の買入れは、中央銀行の政策手段としては、異例の措置と位置付けたうえで、実施の可否や方法を検討する必要がある。』
世の中が平穏だったらやらんでも済む話。ということでして、FRBみたいなバランスシート絶賛大利用政策というのはまあぶっちゃけ中央銀行が財政政策やってるようなもんですから、そこをやるのはまた別次元の世界になるというのを認識しましょうねということでしょう。
『2.実施の必要性に関する判断』
『日本銀行が、企業金融円滑化の観点から、企業金融に係る金融商品の買入れを実施するのは、次のような場合に限られる。』
『@ 当該金融商品の市場金利が発行企業の特性如何にかかわらず全体として高騰する、あるいは、当該金融商品の市場取引が成立しにくい状態が継続するといった市場機能の著しい低下が生じており、これが企業金融全体の逼迫につながっていること。』
これはFRBもそういう趣旨の指摘をしながら政策実施をしていると思いますが、市場機能の大幅な低下により、個別の金融市場において問題が生じている所に流動性を供与して、市場機能を中央銀行が担うという話ですよね。
『A こうした状況を改善するため、下記の諸点に十分留意した上で、異例の措置として金融商品の買入れを実施することが、日本銀行の使命に照らして必要と認められること。』
で、その留意事項。
『3.実施に当たって留意すべき事項』
『(1)個別企業への恣意的な資金配分となることを回避すること
・ 日本銀行による買入れの実施が個別企業への恣意的な資金配分となることを回避しうるよう、例えば、@発行体からの直接買入れではなく日本銀行の取引先である金融機関等を通じた買入れとすることや、A入札方式による買入れとすることなど、適切な買入れ方式を採用する。』
日銀による個別企業特別優遇みたいなことはしませんよという理念ですな。
『(2)必要な期間に限り、適切な規模で実施すること
・ 必要な期間に限って実施する観点から、実施期限、あるいは終了の条件を設ける。
・ 日本銀行の買入れへの過度の依存による市場機能の一層の低下といった事態が生じないよう、適切な規模で実施する。
・ 市場機能の回復に応じて日本銀行への売却のインセンティブが低下していくような仕組みとするなど、適切な規模での実施や円滑な終了に資する買入れ方式を採用する。』
つまり、今回のCPがそうですけれども、あまりにも低利まで買入をすることにしちゃうと市場が全部オペ頼みになっちゃうという弊害を避けないといかんという話ですな。今回のフロアレート設定なんかは、市場が回復してきてレートが全体的に低下したらCP買入に応じる必要も無くなるという作りこみになっているので(実際にやってみるとどうなるか判らないけど)中々宜しいのではないかと存じます。FRBのリスク資産買入でも「保証料」みたいなのを徴収したりしてまして、これもまあ「本来の市場が回復したら市場で売却した方がお得ですよ」という状態にすることによって、オペ中毒状態にならないようにする仕掛けなんでしょうと思います。
『(3)日本銀行の財務の健全性を確保すること
・ 他の政策手段に比べ損失発生の可能性が高まることを踏まえ、買入れから生じる信用リスクを適切に管理する。こうした観点から、買入れ対象とする金融商品の信用度や残存期間に関し、一定の制限を設ける。また、買入れ総額に限度を設けるほか、特定企業の信用リスクを集中的に負担することを回避する手段を講じる。
・ こうした信用リスクの管理に加え、日本銀行の決算において、損失が生じた場合の処理や自己資本の確保を適切に行っていくことを通じて、財務の健全性を確保していく。日本銀行としては、こうした考え方について、政府の理解を求めていく。』
最初の方はCP買入にもこの内容が織り込まれていますね。で、後半の方がポイントでして、FRBのリスク資産買入でも政府のサポートがある訳でして、日本でやる場合は、あたくしの個人的意見としては、さっき書いたような政策金融スキームでやる方がよさそうだと思います。まあそうじゃないとしても買い取った社債に政府保証つけるとかね。まあその辺は政府と日銀が強力にタッグを組まないといかんでしょと思います。
#ということで肝心の展望レポート中間評価まで予想通り行きませんでした(汗)
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2009/01/22
○人のふんどしシリーズ(いつも恐縮です)
・イエレンさんの講演
a-kunさんのところでSF連銀イエレン総裁の講演が取り上げられていまして興味を持ったら本石町日記さんがエントリーを上げていましたのでそのふんどしで恐縮。
ジャネットさんのスピーチはこの辺にあるのですけど、本石町日記さんが紹介しているのは当該ページの下4分の1くらいの所にあります。
http://www.frbsf.org/news/speeches/2009/0115.html
で、あたくしも何か書こうかとか、読んで訳してみようとか思ったのですが、本石町日記さんの所と、a-kunさんの所を読んで感心して終了してしまいましたので(大汗)、本石町さんとa-kunさんのエントリーのリンクをおいておきますね。
http://d.hatena.ne.jp/a-kun/20090117
http://hongokucho.exblog.jp/10230080/
・ユーロとかポンドがヘロヘロな件に関して
今日のモーサテでドル円以外の通貨での円高を今更ながらにネタ化してましたけど、グローバルって話になるとドル円なんぞよりも他通貨比の円高の方が全然洒落になっていないと思われる次第で、高金利を売り物にして他通貨建てで発行された個人向け高格付け債券とか持ってる人涙目というようなしょぼい話から、海外現地法人の上がりが為替で絶賛大減価とか、まあ色々とございますわなと思うのですよ。
で、英国ポンドも大変素敵なことになっていまして、その英国の話とかユーロエリアのお話につきましては害債さんのエントリーになるほどと。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200901/article_8.html
ユーロエリアの問題点に関しての指摘が判りやすい例えでありまして、エントリーから引用させていただきたく。
>財政の問題はご存知のとおりユーロ圏でも各国マターです。単一通貨の枠組みを維持するために必要とされた財政規律をいじらないことにはどうしようもないところに来ているのですが、それをないがしろにしたとたん、ユーロは通貨としての信任を失うはずです。日本で地方議会が勝手に外国から借金しまくって地元の銀行を救うことを認めたらどういうことになるか?日本の場合は地方自治体は一応政府の監督下にあるのですが、ユーロの場合なにせそれぞれの国が「独立国」ですから、他の国は責任を負わない。(害債さんの上記エントリーより)
『日本で地方議会が勝手に外国から借金しまくって地元の銀行を救うことを認めたらどういうことになるか?』というのは大変判りやすく、かつ日本でそうなったらそりゃまあガクガクブルブルですなあと思うのでありまする。
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2009/01/21
○オペとかGCとかFBとか
えー、毎日オペレーションの話ばかりして恐縮なのでございますが、他にネタも無いのでまたオペレーションの話から(^^)。
昨日はスポネの買現先オペが5000億円増額になって3兆5千億円実施と相成りました。月曜にスポネの買現先を1兆円減額して3兆円にしたのですが、途端にGCレートが上昇しましたなあという話は昨日申し上げましたけど、それに対応したのかどうかよー知らんが減らしたと思ったら今度はまた増額とはオイソガシヤですな。
で、オペ結果は応札相変わらず5兆7千億円(月曜は6兆2千億円)といつもの多さですが、応札するほうの目線が上がったみたいで落札レートは0.188/0.18(前日は0.180/0.17)と1bp上昇しました。GCレートちゃんの方はと言いますと、こちらもまた前日から1つくらい上昇したというところで、またまた0.20%台にきっちり乗ってきた感じのようでこれは中々の市場機能ですなあ(棒読み)という所で。うーむ。
まあ細けぇ事はいいんだよ!(やる大矢のAA略)とは思うのですけれども、スポネで当座預金残高なのかGCレートなのか良く判りませんけど、ファインチューニングしようとした結果却ってGCレートが微妙に安定しない(某ベンダーで「ダッチロール」とか書いてましたが、記事書いた人の歳がバレるのではないかと思料)というのは、超短い所の国債のレートにリスクプレミアムが乗っかってくる(=ファンディングコストが安定しないから)ことに繋がりまして、徐々に国債のレート形成に影響を与える結果になりますかねと何度か申し上げている通り。
でですな、この前の利下げ以降その辺のレートが落ち着いていたのって、年末に向けて準備預金の積み進捗がとっても素敵に進捗していたのと、スケジュールの関係でFBの入札が年末年始の2週間実施されなかった(年内最終の入札が12月18日ですので利下げの前、年始の入札は7日)ことによって、FBの在庫負担が軽かった(最後の入札の翌日に利下げでしたから)ことも寄与してたようですな。んでもってここもとGCが微妙に不安定なのはオペの影響とか積み始まったばかりでT+3でGCを積極的に買う向きもすくないとかありますけど、年初から3か月FB入札が復活して徐々に在庫が重くなってきたのも効いてる(ついでに言うと今月から増発になっているし)のかなあと思われますです、はい。
ということで、まあ今日のFB3か月ものの入札は短い所の人は当然ですけれども、ちょっと注意して見ておいた方が宜しいかと。カレントの引けは0.215%とかなのですけど、さて徐々に重めになってきている3か月FB入札今回はどうなるのよという所で。先々週は0.2%割れでやたら強く、先週はちょっと流れてその後はまあ無事に推移という流れですが、今日はどうなんでしょ。まあそう下をバンバン叩かないといけない地合いでもないと思うからそう無茶な話にはならないと思いますし、2年とかがやたら堅調ですからうっかりすると3か月カレントだけピンポイントで甘いという需給要因丸出しモードになる(イールドが寝てるのは足元から1年くらいまでですので念のため)のかも知れませんけど、ちと注意かなあ。
○企業金融特別オペ2発目実施
昨日は23日スタート4月8日エンドで実施されましたが、応札が1兆2883億円となりまして、前回のオペが1兆2248億円だったので合計で2兆5000億円に到達ということで、白川総裁が導入当初に『民間企業債務を担保とする資金供給のオペレーションについては、数字を積み上げますと、3兆円程度の資金供給を見込めると思っています。』(12月2日の総裁記者会見)と言っていた数字は残りオペ回数を考えるとまあ達成したも同然と言う所でございますな。
いやはやお見それしました。「変な数字を出すと一人歩きするから止めときゃ良いのに」とか申し上げました(あたしゃ3兆も集まるのかという疑問があったので)が、これはこれはきっちり行きそうでありまして悪態ついてどうも失礼致しましたm(__)m
○CP現先オペ効果ですな
その企業金融特別オペは期越え物ですけれども、CP買現先オペの方は週に2本のペースで主に期内ものが淡々と実施されてます。足きりレートは0.10%か0.11%かという共通担保やら現先オペなどよりも低いレートとなっていまして、その辺の効果が出ているのか、期内物のCPで最上位格付けの電力会社さんのレートがFBフラットというか引け値ベース見てるとFBよりレート低いじゃねえかというようなレートにまで絶賛低下となっております。オペ効果恐るべし。
まあ10月以降のCP発行市場の問題は、GCなどのオープン金利の上昇とか、最終投資家の過度なクレジットリスク回避とか、株価下落による銀行のリスク許容度低下とか、まあその手の外部要因がかなり効いているとは思うのですが、そうは言いましてもこの動きを見てますと、「年末に向けた流動性対策」というのをもうちょっと早く打っていれば年末に向けてあそこまで大騒ぎになる事は回避できていたのではないかという気がするのです。その結果今になってアレ買えコレ買えとか言われていると思いますと、どうも何だかね〜感が。
○しつこく決定会合あれこれ
CP買入は2兆円になる見込みという報道がモーサテで。
この2兆円というのがオファーベースなのか買入残高ベースなのかは良く判りませんけれども(というか2兆円という数字にも腰だめチックな香りがしますけど^^)、まあ実は2兆買わなくても効果出ちゃうかもしれませんし、実は足りないとなるかもしれませんが、それに関しては柔軟に対応ってことになるんでしょ。とりあえずは時限措置ということですし・・・・(ま、9月末に向けて7月くらいに復活するとか、そんな細かい動きじゃなくてあっさり延長とかになる可能性は結構ありそうですが^^)
モーサテ様の報道するところを聞いた感じでは、今日はCP買入の詳細が決まるというのと、展望レポート中間評価で思いっきり下方修正するというのがお題になっていて、その他に関してはあくまでも検討事項ですわな。
超余談ですけどね、やたらクレジット系の人たちが盛り上がりまくっている「社債買入」でありますが、ついこの前どこぞのレポート見てたら「社債買入を投資戦略にどう生かすか」みたいな意味のお題(実際のお題は別だが大体同じ)のレポートが堂々出ていてかなりのけぞりそうになりましたよ。
いやあのですな、日銀のオペっていうのは別に投資家やら業者をお助けする為に実施するもんじゃなくて、金融政策の目的を達成するためのツールでありまして、CP買うだのという話は「企業金融の支援」に実施するもんですわな。そりゃまあ結果的にはそのオペを投資戦略やらトレーディングに活用される事はあるでしょうけれども、最初からそのお助け期待を表立って堂々と言うのはさすがに如何なものか(社債買入スキーム実行でキャピタルゲインの機会がどうのこうのとか書くのはちょっとその・・・)と思うのですけれどもねえ。
#まあ社債買入の話で大歓喜状態になる気持ちは判りますけどね。
あと、社債買えと言っている人(クレジット系のアナリスト・ストラテジスト様がもう絶賛大合唱ですけど)が良く指摘するのが「FRBやBOEは社債の買取スキームやっているから日本も遅れないでやるべき」という論点なのですけれども、米国や英国は金融システム不安に対して大規模な公的資金を突っ込んで、おまけに中央銀行もそこに一緒に突っ込んで中銀が財政政策チックな動きにまで至っているのでして、ほとんどそりゃ国有化ですか状態になっているものまで有りという状況ですが、日本は全然違いますがなという前提条件を物凄い勢いでスルーしているのは如何なものかと思われますけど。そんなら金融機関の大々的国有化が先でしょ(^^)。
#「市場の声を聞く」というのは「市場の言うがままに政策実行する」とは同義じゃないですからねえ・・・・
なお余談が逸れていきますけどね、中央銀行がモロに長い期間の社債を買いますって話だと、そりゃもう実質的な政策金融の世界になる訳で、信用判定とか出口政策どうするのか(社債の買入は株と違ってホイホイ反対売買できないから出口は償還まで無いのですが)という問題もさる所ながら、政策金融ってのは財政政策であって、その大枠を作るということを議会通さないで決めて良いのですかという論点もあるんじゃねえの(事後的には決算承認されますけど)という気がちょっとするのですけどね。
ま、よー知らんけどな。
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2009/01/20
お題「決定会合に向けて雑感/市場雑感」
ネタもあまりございませんので雑談モードで勘弁。
○さて決定会合ですが
今回の金融政策決定会合ですけど、先日毎日新聞が物凄い勢いで報道していた「社債買取」に関してはその後の報道が盛り上がらない所からしてまあ検討課題の一つではあるのでしょうが、いきなり次回会合でというのはちょっと話が早い気がします。よー知らんが。
繰り返しになります(先週金曜に書きやした)からアレですけれども、社債の買取というのはさすがにCPとはだいぶ話のレベルが違いますし、そもそも日銀が社債買ったからと言っても証券会社の不良在庫が叩き込まれた後で社債の買い余力が復活するのかというと、甚だ疑問がありますわなという所で。それにその後の記事見てましたけど、残存期間区切って格付け厳選しちゃったらまさにそのゾーンは今投資ニーズあるゾーンでありまして、セカンダリー市場見てましても高格付けで残存1年以内とかになると見事に証券会社の在庫が無い(=あると即売)状態であって、もしそういう条件で社債買取やったら全然買取実績上がりませんがという感じっすな。
白川執行部になってからの日銀金融政策の特徴として、良くも悪くも「見せかけパフォーマンス政策を避ける」というのがあるとここ1年弱の推移を見て思うのであります。大々的にABCP買取をぶち上げて最初はメザニンでも買いそうな勢いで「震災手形復活か!」とかなりあたくしは慌てたのに、いざ実施要綱見たらきっちりと信管抜いていましたみたいな福井の俊ちゃんスタイルとはだいぶ違いまして、まあこの手の政策を打つ時にも「実体問題としては意味が薄いけど、凄くやっているように見える」的なスタイルは排除していくというのが今のスタンスであると思われます。
ま、こういう危機の時には良い意味でのハッタリも必要だと思いますのでちょっとどうなのよという面はありますけど、政策でどういうの出てくるのよという事を考えると、意味なしパフォーマンス政策(政策の実体として意味がないのと心理的効果とかは別問題として考えてちょ)は出てこないという線から読めば宜しいと思われますので、その辺は理屈で攻めていけば良いのかなと。よー知らんが。
で、金融政策決定会合は他にもネタがあって、CP買取がどういうスキームになるのかとか、輪番のゾーニングは具体的にどうなるのかとか、展望レポートの中間評価はどうなるのかとか、その他追加の施策が何か出るのかという所かと思います。
最後に書いた「追加の施策」は多分今回はそこまで手が回らないような気がしますが、前々からあたくしが申し上げて外し続けている適格担保の範囲拡大(上場株式担保とか)がそろそろネタになってもいいかなと。
CP買取はスキーム出てから考えたいとは思いますが、普通に考えるとレートの押し下げをするのではなくて(というか既に下がってますが)、企業金融支援という文脈で言えば、市場の混乱(かなり沈静化してますが)によって資金の出し手が過剰にビビリ状態になっていることによって、業績的や短期資金繰りに本来問題の無い筈の企業がいきなり金詰まるという状態を避けるという話ですから、どちらかと言えば期末限定セーフティーネットという感じになるんでしょうかねという所ですかね。レートの押し下げ効果の方はCPオペ打ちまくり+企業金融支援オペ(0.1%無制限の資金供給)によって出ていますからね。
輪番のゾーニングはとりあえず1年未満ばかりアホウのように叩き込まれるのを避ける方向になるのでしょう。ゾーニングの割り振りによっては長い所のレート形成に心理的影響(実際問題としてそれが強烈に効くのかというと疑問な所はあり)がありそうな感じ。というか短い所のゴミ箱オペ状態になっていたのが是正ということは逆に言えば短い所がその分重くなりますわなあという感じですな。
で、展望レポートですけど、支店長会議での総裁挨拶要旨がこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/siten0901.htm
昨日さくらレポートの概要部分をご紹介(手抜き引用大会とも言う)しましたように、もう経済状況はダメダメにも程があるという話になっておりますし、前回展望レポート以降にも利下げしていることですし、まあ内容的には相当の下方修正になるんでしょう。
○市場雑談
というかまたもオペ雑談。
昨日はスポネの買現先を1兆円減額しましたところ落札レートがちと上昇。ここもとのスポネ買現先の足きりレートは木曜に0.23%で金曜が0.15%で昨日が0.17%と毎日ぶれておりますな。木曜金曜が4兆円で昨日が3兆円となっておりました。
で、GCレートちゃんの方ですが、先週は為替の円転マネーが出てきたりしてT+0とかT+1のGCの買いがあってレートは金曜にだいぶ下がったのですけれども、昨日はオペ減らしたのと、よー知らんが為替絡みの分が減ったのか、今度は手前の金が出にくくなってきたみたいでレートは上昇傾向と。
常々申し上げておりますように、レポだの現先だののレートは足元および先日付の需給の両方で振らされますので、正直言って今のように微調整しようとしてスポネの現先を4兆円とか打つのは労力が大変な割に報われないと思われますです。何だかかんだといいましてもレポ市場の機能自体は低下している訳でして、日銀オペの存在が重要となっている中で、スポネの資金供給額がデカイという事は、市場全体の調達運用が足元に思いっきり傾斜することに繋がりますわな。資金繰りが足元に思いっきりシフトした状態でオペ打つ方がファインチューニングしようとすると、参加者の方はオペが読みにくくなってその分リスクプレミアム乗っちゃうとか、目線がいつまで経っても安定しないとか、まあ色々と不具合が生じやすいのではないかと。
つまりですな。その日の資金供給全体におけるスポネ買現先のシェアをもうちょっと下げて、資金繰り的に使いやすい1週間とか2週間程度の資金供給オペにもうちょっと振った方が足元安定しやすくなりませんかねえというお話でありまして、今のスポネが増えたり減ったりする資金調節はわざわざ苦労しに行っているような気がするであります、はい。
で、資金繰り部分はそーゆー感じで1wから2wくらい主体で、期末越えは期末越えでそれは需要があるでしょうから淡々とオペを実行という感じで、オペであまり忙しくならなくても宜しいのではないかと思います。まあ中の人はあたくしのような凡下が考えるようなラベルの話ではない次元で考えているとは思いますけど、なにせ市場は凡下の集まりなもんでね(^^)。
#というわけで全部雑感でした(汗)
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2009/01/16
お題「社債の買入ねえ・・・・」
風邪が流行っているようですので皆様ご注意を。
○社債買取のニュースが出ましたが
昨日の毎日新聞朝刊にこんな記事が。
http://mainichi.jp/select/biz/archive/news/2009/01/15/20090115ddm001020012000c.html
上記記事では『長期資金を調達する社債は短期資金向けのCPより損失リスクが大きい。日銀は慎重に検討してきたが、資金繰りが逼迫(ひっぱく)する年度末を控え「さらに踏み込んだ企業金融の支援が必要」との判断に傾きつつある模様だ。』と何か自信満々な書きっぷりなのですが、その後他紙の続報が全然無い(あたくしが見た限りなので間違いだったらゴメンナサイ)のが摩訶不思議ではあるのですが。
前回の会合ではCP買入以外に何らかの施策がどうのこうのみたいな話にはなっておりましたが、CPと社債じゃあさすがに問題がだいぶ違うと金融政策をある程度マジメに見てると思うのですが、昨日はこのニュースを受けてセルサイドのクレジット系ストラテジスト(あるいはアナリスト)の大歓喜レポートが複数本出ていたのが実に微笑ましいところでありまして、まあそういう時点で社債買入って企業より先に一番助かる人がいますよねってのが判るのでございます(苦笑)。企業の資金繰り支援になるんですかねえ・・・・・という事で以下微妙に私見を。
○信用判定の観点が短期物と長期物では違うでしょ
さすがに毎日の記事でも書いてますし、まあ読者様におかれましてもその位先刻ご承知だと思いますが、期間数か月のものと5年とか10年とかするものでは話が全然違う訳でして、世の中何年も経過すれば状況というものはだいぶ変わる訳でして、例えば1990年には日本の金融機関どこもかしこもAAAだったのに97年98年には・・・とかいう話は昔話ですけど(笑)、発行時には別に普通の投資適格な公募社債だったのに見事デフォルトになっている社債とか散見される昨今、長期物を買いますとなると信用判定は短期物よりも相当慎重に行わないといかんでしょと思うのですよ。
短期間ですと短期資金繰りという話ですけど、長期になるとそれはもう長期資金の与信判断の世界になるのですから、やるならば従来よりその業務をやっていた日本政策投資銀行や商工組合中央金庫などの(どこぞの民営化マニアのせいで民営化しちゃいましたけど)ついこの前までの政府系金融機関が融資するなり社債買うなりすれば良いですしノウハウがあるのだから、そっちに予算をつけて行うというのが筋が通った話ですし、効率的ではないかと思います。
で、信用判定を厳しくするとなりますと、既にこの利下げ攻撃の中で高格付けの社債に関しては投資ニーズがある訳でして、そんな中で日銀が買ったら民間の投資機会を奪うただの民業圧迫(笑)になるだけなんで資金繰り支援にも何にもならんのですが。
○資金繰りの観点が短期物と(以下同文^^)
まあ全てが全て実際にそうではないですけど原理原則的な話をすれば、CPってのは期間が普通3週間くらいから3か月少々程度ということで、これはまあ短期的な資金繰りの為の調達という話になりますが、一方で社債って短くても2年とかですから、これはまあ普通は設備投資とかの長期的な投資などの資金調達という話ですわな。
ということですから、「企業の資金繰り支援」という文脈からすると、今般の一連の措置は市場の機能低下の影響でしょうもない資金繰り倒産が発生するような事態を避けるというのが眼目の筈でありまして、「決算期末に向けた企業資金繰り支援」という論点からすれば、CP発行できなくなる事態を避けるというのは重要な話になりますけれども、投資資金まで何で面倒見なきゃいかんのよという話になりませんかねという話になりますわな。やるなら政策金融の世界でしょ。
何ぼなんでも「何でもかんでも日銀が救え」みたいな話になるのはちょっと如何なものかと思いますけど。事業がちゃんと回っているのに市場混乱の影響で資金繰りが急に回らなくなってお父さんになってしまうというのは確かに問題ですけれども、そもそも事業の方がダメダメになっていて社債なんぞ発行できませんがなというような状態の所まで救う必要あるのかねというのが理念的な話になろうかと思います(異論はあるかとおもいますけどね)けどねえ。
それからですな、CPは短期物でターンオーバーがどんどん来るので、日銀やら政策投資銀行が購入するしたり、低利のファンディングをつけることによって市場の機能が復活しますわなという話になります(現実にそうなりつつありますし)けど、社債買入やっても多分それは証券会社などの不良在庫の処分に使われるだけの話で(企業から直接社債を引き受けるというのなら別ですが)それが来たから長期の社債がバンバン発行できるようになって「企業の」期末の資金繰り緩和になるかってえと、さすがに無理筋の香りが漂って参りますけどねえ。
そういえばBBBの社債買えとか言ってるレポートがあったりしたような気がせんでもないが、てめえらの怪推奨銘柄がボコボコになった(以下悪態につき激しく自主規制^^)。
○そもそも実施方法につめるべき点大杉
というのもあります。信用判定のところもそうですし(つい1年前の今頃は某アイスランドの某大手銀行の残存2年半(当時のベース)サムライ債がMoody’s長期格付けでAa3とかでしたなあ、笑)、そもそもどーゆー方式で買うのかがこれまた難しい。通常の輪番オペみたいに日本証券業協会の売買参考統計値をベースに使おうと思いましても、そもそも社債、特にマーケットで今買い手が少ない銘柄になりますとその数値が(自主規制)。
買った後それらの銘柄の信用状況のウォッチどうするのよとか(いやまあ飛ぶの辞さずって大覚悟してるのなら別に何も言いませんが)、さすがに数か月で出口がやってくるものと同じように考えるのは筋悪すぎにも程があると思いますけどねえ(それに信用判定でちょっと買えませんなあとなった銘柄が更にアレになってしまうリスクもあるかな)。
○適格担保の拡大の方が先だと思いますが
常々申し上げておりますが、社債よりは株式の方が流動性ある事ですし、どうせ銀行とかが長期的な政策投資で持ってる株式なんて金庫で寝ている(株券電子化したからこれは比喩ですので念のため^^)のでありまして、ヘアカット50%くらい取って共通担保の適格担保に受け入れれば金融機関の資金繰りの足しになると思うのですが。
「金融機関保有の株式を担保に資金供給」って言えばそれなりに世間様に対するアピールするような気がしますし、与信は金融機関相手ですからそんなに大問題になる事でもないですし、ヘアカットさえきっちり取っておけば、誰も困る話じゃないと思うのであたくし的には推奨スキームなんですけれども。
・・・・と、これだけ書きましたが、最近はあたくしのこの手の見通しが見事に逆に行くのが仕様でありますので(あほ)念のため付け加えさせて頂きます。
#相場雑談スルーしましたけど、何でレギュラーの翌日物GCを25でせっせと売る人がいるのか良く判らんという位ですかね。20日ってそんなに逼迫してましたっけ??
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2009/01/15
○バーナンキ議長の講演(ただし人のふんどし)
The Crisis and the Policy Responseっていうお題の講演をバーナンキ議長がしております。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090113a.htm
で、それを読んだらこうなりましたと申し上げたいところですが、先般ご披露したようなアホタレさんのあたくしですので、ここは華麗に人のふんどし。
毎度お馴染み本石町日記さん(いつもふんどし借りまくりですいません)
http://hongokucho.exblog.jp/10195387/
やっぱり「質的緩和」なんですね=バーナンキ議長講演より
この前延々引用した12月FOMC議事要旨の中でも、FRBのバランスシートを拡大する政策というのは従来的な緩和政策というよりは個別資産を狙い撃ちした刺激策をしているという政策枠組みですなあとか書いたと思うのですが、やはり講演でもそういう話をしている感じですね。昨日書いたと思うのですけれども、議事要旨の中で今後の追加的な政策に関して「further
monetary stimulus」と表記しててeasingになっていないのは意味合いがあるのかなあと再認識致しました。
#ということで週末の宿題ができまして誠に結構
○市場メモ
今日は積み最終日。
で、昨日ですけれども、前日に華麗にGCレートが上昇したことを受けましてスポネの買現先が1兆円増えて4兆円になったんですが、昨日のスポットって16日でありまして、まあそうやってレポレートを叩くならば普通に言えばT+3に需給が締まる日(今回だと締まるのが15日ですから9日ですわな)には需給締まる日越えで供給打たんとねえと思う訳でして、まあオペがあったり為替円転の金で少しT+0とかT+1で資金出たりしたこともありまして、GCは20台前半レベルの気配になったようですな。
まーそーゆーGCの地合いがありましたので3か月FB入札は前場引けの0.21/0.215から流れて平均0.2171%の足きり0.2247%となりまして、先週の平均0.18%割れの3か月FBの立場はどこへという感じでございます。ハーコリャコリャ。
需給が一方通行になりやすい面があるので仕方ないところではあるのですが、オペ次第でGCが振れやすくなりますが、オペがどういう指向をしてるのかが微妙にワケワカンネという事になるとGCが振れますので、FBのレートも影響するでしょうと思いますし、それ以前の問題として、毎週4兆8千億円の発行というのはさすがにってのもあると思います。増額されたばっかですので、暫くの間はロールの度に3000億円増発になるというのも効いて来るんでしょうかね。
あと、どーでも良い話ですが、トムスタートの共通担保オペ2本が1本は積み最終の年金定時払い、もう1本が期初直ぐの落ちってまた使いにくいもん打ってきますなと思ったのですけど。いやそれだけですけど。
#一方でCPレートは平和ですな。
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2009/01/14
○GCレートが華麗に上昇
実は先週木曜あたりからGCレートなどがかなり怪しい状態で、金曜には既に上昇しておったのですが、昨日はオペの金利が華麗に上昇してGCレートが華麗に上昇しておりましたですのでメモメモ。
えーっと、木曜時点で足元のGCをやたら売る(資金を取る)人がいて10台前半だったレートが10台後半に上昇した(背景には新発FB3か月があんまり売れてなかった事と、準備預金の進捗が進みすぎたので資金供給オペが絞られた事があるかと)のですが、金曜の時点で積み最終の着地がどうのこうのと言い出して15日の資金の出が悪くなりGCレートが20台に上昇し、トムやらスポットはオファー(資金の取りサイド)ばっかでござるの巻。
そんな状況で昨日はスポネの買現先を1兆円増額して3兆円(金曜も5000億円増額したのですが)にしたのですが、応札6兆7170億円と素敵な応札となり落札レートは0.223/0.21と金曜の0.132/0.13から8bpの華麗な上昇となりやがりました。当然ながらGCレートも上昇して20台後半となりまして、一部では30の出合いもあったとか。
えーっとですな、レポって基本的に先日付の取引で動くもんですから、特に積み最終みたいに資金繰りをきっちり固めたい日に向けてはあまり先日付でホイホイと資金をディーリング的に動かす人が減ると思うのですよ。そもそも資金の出し手のうち金利によって弾力的に出したり出さなかったりというのは銀行(もう一つの出し手の投信は余程のことが無い限り基本的に自動的に資金が出てくる人)だと思いますし、積み最終前に資金の余剰が無いとなると、需給バランスが崩れるとレートが跳ねやすくなるという事なのでしょう。
まあそれはそれで良いのですが、ここもとの振れ方が過激になっている(下がる時も急速に下がるし上がる時も急速に上がる)のが気になる所でありまして、市場の質的な意味での厚み(というと訳判らんですが、参加者の多様性とかそんなニュアンスかなあ)が無い上に、日銀のオペレーションが後追い的になっているので、供給にしろ吸収にしろ、最初足りなくて後から追加で打ち込みをするから最後にはやり過ぎになってしまい、レートの上昇および低下が過激になってるのではないかと思われます、はい。
即ち、T+0スタートの無担保コール翌日物は要するに当日の資金需給に影響されるから上がった所で叩いたり下がった所で引いたりして間に合うのですが、レポはT+1からT+3で動くものなので、手前の需給が先の動きに影響与えるとか、先の需給が手前にも影響与えるとか(たぶん前者の方が多いと思いますが)ありまして、レートが動き出してから手を打つと初動が遅れて最終的にやり過ぎになるというまさにビハインド・ザ・カーブになっちゃうのではないかと。
ということで、まあしつこく申し上げますと、あまり細かい調節を一生懸命やろうとしない方が吉で、ざっくり多めにタームで供給して需給を安定化させた方が良いのではないかと存じますがどうでしょうかねえ。
なお蛇足というか悪態の追加になりますが、ここに白川総裁の「市場機能」論があるからややこしい次第で、たぶんオペレーション的にはGCレポ金利を注目していると思うのですが、市場的に見ると資金の出し過ぎと引き過ぎを繰り返している為に「レポ金利の上昇を放置したいのか牽制したいのかがさっぱり読めない」という話になるのだと思います。端からレポ金利などが上昇するのは勝手にせいやという話ならそれはそれで市場のレート目線がそうなりますので、多分高い水準で安定するのですけれども、一方で総裁などもオープン金利などの上昇で金融緩和効果が減殺される事に関しては宜しくないという趣旨の発言をしていると思いますし、そういう認識なのでしょうから、まあ市場としては何をどうしたいのか訳判らんという感じになるのでありますな。
ということでまた悪態になってしまいましてどうもすいませんm(__)m
以下昨日の続きです。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20081216.htm
○利下げの話の前振り、デフレ懸念の指摘もあるのかな
第33パラグラフから参ります。
『In the discussion of monetary policy for the intermeeting period, Committee
members recognized that the large volume of excess reserves had already
resulted in federal funds rates significantly below the target federal
funds rate and the interest rate on excess reserves. They agreed that maintaining
a low level of short-term interest rates and relying on the use of balance
sheet policies and communications about monetary policy would be effective
and appropriate in light of the sharp deterioration of the economic outlook
and the appreciable easing of inflationary pressures.』
前回会合以降の市場の動きを見ると、超過準備がかなり大きいので既にFFレートが目標レートおよび預金ファシリティ金利を下回って推移しています。で、低い水準の短期金利およびFRBのバランスシートを拡大させる政策は景気の急速な悪化とインフレ圧力のかなりの減少という現状判断に照らして適切ですと。
『Maintaining that level of the federal funds rate implied a substantial
further reduction in the target federal funds rate.』
現在のFF金利の水準を維持することは、実質的により以上のFF金利ターゲットの引き下げを含意しますとか言ってるようですな。ターゲット下げへの前振りですか。
『Even with the additional use of nontraditional policies, the economic
outlook would remain weak for a time and the downside risks to economic
activity would be substantial. Moreover, inflation would continue to fall,
reflecting both the drop in commodity prices that had already occurred
and the buildup of economic slack; indeed some members saw significant
risks that inflation could decline and persist for a time at uncomfortably
low levels.』
追加の非伝統的政策を取っても、経済見通しは当面悪く、経済活動のダウンサイドリスクはあり、商品価格の下落やら経済活動の悪化などによって物価上昇率は今後も低下するでしょうって話なのですが、最後の部分では数人の委員が物価上昇率が不快な低い水準(uncomfortably
low levels)に低下する重大な(significant)リスクを見ているという指摘がありますので、デフレ懸念を意識してますって話になるんでしょう。
○FFレートターゲットを置かないという論点に関して
34パラグラフから。
『Members debated how best to communicate their decisions regarding monetary
policy actions. Since the large amount of excess reserves in the system
would limit the Federal Reserve's control over the federal funds rate,
several members thought that it might be preferable not to set a specific
target for the federal funds rate.』
超過準備が巨大になっていることによって、FRBのFFコントロール能力が限定的になっている事を踏まえて、数人の委員からはFFレートのターゲットを特定水準に置かない方が良いのではないかという指摘をしましたということで、以下この論点のお話が。
『Indeed, those members felt that lack of an explicit target could be helpful,
in that it would focus attention on the shift in the policy framework from
targeting the federal funds rate to the use of balance sheet policies and
communications about monetary policy as a way of providing further monetary
stimulus.』
明確な金利ターゲットを置かないで、FRBのバランスシートを使うという政策を政策の枠組みとしておくことによって、今後の追加緩和(緩和って書きましたが、easingじゃなくてstimulusって書いてるのは、バランスシートを使った政策が特定金融商品あるいは主体に対する個別撃破方式なのだからかなあと勝手に思ってますので、実は「刺激」って書いた方が良いのかも・・・)策に関するコミュニケーション策として有効ではないかと。
『A few members stressed that the absence of an explicit federal funds
rate target would give banks added flexibility in pricing loans and deposits
in the current environment of unusually low interest rates. However, other
members noted that not announcing a target might confuse market participants
and lead investors to believe that the Federal Reserve was unable to control
the federal funds rate when it could, in fact, still influence the effective
federal funds rate through adjustments of the interest rate on excess reserves
and the primary credit rate.』
その反論としては、明確な金利ターゲットを設けないと銀行に対して預金や貸出金の金利設定に自由度を与えるという一部の指摘(金利を引き上げて緩和効果を減殺するリスクって意味なのかな??)があって、他の人たちの(たぶん多くの)指摘としては、明確な金利ターゲットを設けないと、FEDが金利コントロールを出来なくなっていると市場などが理解して、結果市場が混乱するのではないかという点を指摘したということですな。実際問題として金利コントロールは貸出ファシリティと預金ファシリティの金利調節である程度は可能だと言ってますが・・・・まあ極端に上げればそうなるのでしょうかね。
『The members decided that it would be preferable for the Committee to
communicate explicitly that it wanted federal funds to trade at very low
rates; accordingly, the Committee decided to announce a target range for
the federal funds rate of 0 to 1/4 percent. Members also agreed that the
statement should indicate that weak economic conditions were likely to
warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for some time.
The members emphasized that their expectation about the path of the federal
funds rate was conditioned on their view of the likely path of economic
activity.』
ということでFOMCの結論部分になるのですが、レンジを設定したのは上記の議論を踏まえてという話になるのでしょう。また、時間軸っぽい表現が声明文に加わった話もここに載ってまして、FOMCの考える経済活動の先行き見通しが要はとても悪いので、当面はFF金利は低い水準にあるでしょう的なアナウンスをすべきでしょという話なのですね。ふむふむなるほど。
○今後の金融政策に関する言及をした件について
次のパラグラフから。
『Members also discussed how best to communicate the focus of the Federal
Reserve's policy going forward. Members agreed that the statement should
indicate that all available tools would be employed to promote the resumption
of sustainable economic growth and to preserve price stability. They also
agreed that the statement should note that it was the Committee's intention
to sustain the size of the Federal Reserve's balance sheet at a high level
through open market operations and other measures to support financial
markets and stimulate the economy.』
同じくステートメントの中で色々な政策手段を使って景気回復と物価の維持(デフレ回避)を目指すという文言を加えるという点で一致したという話でして、このときのステートメントでやたら決意表明みたいに色んなものを使いますよってのがあったのはこういう議論(というか議論すっ飛ばして結論でして、議論はもっと前の方での景気認識とかの話なのでしょうが)が背景なのねという所です。FRBのバランスシートを活用しますという点を強調すべしと。以下続く。
『In addition to the already-announced asset purchases and liquidity programs,
members concurred that the statement should indicate that the Committee
stands ready to expand purchases of agency debt and agency mortgage-backed
securities, and that it is evaluating the potential benefits of purchasing
longer-term Treasury securities.』
既にアナウンスした資産購入や流動性供与プログラムに加え、エージェンシー債やモーゲージ債の購入を拡大する用意があること、米国長期国債の買入を行うことが潜在的な効果があって評価すべきであるという文言もステートメントに加えるべきであるという話で、それもまあその通りになりましたね。
○ディレクティブまで中々読むこともないもんで丸々引用しますね(長くてスイマセン)
で、最終パラグラフですけれども、ディレクティブにどういう事を書くかという話をしておりますのでまあ引用だけ。FFレートを0%から0.25%(0
to 1/4 percentですな)にして、GSE債の購入とかMBS債の購入を増やす話、個別の購入タイミングと額はデスクが決めること、今後もFRBのバランスシート活用(拡大)がFRBの政策目的である「maximum
employment and price stability」を達成に影響を与えますという指示になるみたいですね。以下引用アホのように長くてすいません。このあと声明文もあるのですがさすがに割愛。今回は全員一致での決定であったという点も重要かと思います。
『In light of the use of additional tools for implementing monetary policy,
the Committee revised the form of the directive to the Open Market Desk
of the Federal Reserve Bank of New York. In addition to specifying that
it now seeks conditions in reserve markets consistent with federal funds
trading in a range of 0 to 1/4 percent, the Committee instructed the Desk
to purchase up to $100 billion in housing-related GSE debt and up to $500
billion in agency-guaranteed MBS by the end of the second quarter of 2009.
Members agreed that they should not specify the precise timing of these
purchases, but that they should leave discretion to the Desk to intervene
depending on market and broader economic conditions. The directive also
noted that the Manager of the System Open Market Account and the Secretary
of the FOMC would keep the Committee informed of developments regarding
the System's balance sheet that could affect the attainment of the Committee's
statutory objectives.』
『At the conclusion of the discussion, the Committee voted to authorize
and direct the Federal Reserve Bank of New York, until it was instructed
otherwise, to execute transactions in the System Account in accordance
with the following domestic policy directive:
"The Federal Open Market Committee seeks monetary and financial conditions
that will foster price stability and promote sustainable growth in output.
To further its long-run objectives, the Committee seeks conditions in
reserve markets consistent with federal funds trading in a range of 0 to
1/4 percent. The Committee directs the Desk to purchase GSE debt and agency-guaranteed
MBS during the intermeeting period with the aim of providing support to
the mortgage and housing markets. The timing and pace of these purchases
should depend on conditions in the markets for such securities and on a
broader assessment of conditions in primary mortgage markets and the housing
sector. By the end of the second quarter of next year, the Desk is expected
to purchase up to $100 billion in housing-related GSE debt and up to $500
billion in agency-guaranteed MBS. The System Open Market Account Manager
and the Secretary will keep the Committee informed of ongoing developments
regarding the System's balance sheet that could affect the attainment over
time of the Committee's objectives of maximum employment and price stability."
』
というわけで、読者の皆様の方がよっぽど英語得意だと思うのですが、赤恥覚悟で自分の備忘メモ大公開時代というヤケクソの一発を打ちこまさせて頂きました。正直アセアセです。
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2009/01/13
お題「FOMC議事要旨を(部分的に^^)読んでみました」
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20081216.htm
全部と言いたいところですが、経済の現状とか金融市場の現状の状況に関して議論している(と思われる)前半部分ではなくて後半3分の1くらいを読んだのですけど(汗)。
ということで30パラグラフ目あたりから参りますです。なお、あたくしの怪しい語学力をずうずうしく披露していますので(大汗)、エエカゲンな解釈でここは変だという点についてご指摘いただきますと幸いでございますです、はい。
○時間軸とか明示的なインフレ目標とか
『In a joint session of the Federal Open Market Committee and the Board
of Governors, meeting participants discussed extensively how in current
circumstances the Committee could best support the resumption of sustainable
economic growth and promote the maintenance of price stability over the
medium term.』
という所から始まるパラグラフです。A4の紙に普通に出すと14ページ中9ページ目の最後の方になると思います。
『Participants noted that very low levels of the federal funds rate had
the potential to help buoy aggregate demand and economic activity, but
they also had potential costs in terms of the functioning of certain financial
markets and some financial institutions. Most participants judged that
the benefits in terms of support for the overall economy of federal funds
rates close to, but slightly above, zero probably outweighed the adverse
effects.』
低金利の効用と弊害に関して議論したが、ゼロに近いFFレートが経済を支える効用の方が重要であると。
『With the federal funds rate already trading at very low levels as a result
of the large volume of excess reserves associated with the Federal Reserve's
liquidity operations, participants agreed that the Committee would need
to focus on other tools to impart additional monetary stimulus to the economy
in the near term.』
FFレートはFEDの流動性対策のオペレーションに関連して発生した巨大な超過準備の影響によって既にゼロ近傍に低下しており、近い将来の追加金融緩和(マネタリーの刺激って書いてますな)については金利以外の別の道具立てが必要になるのではないかという論点ですね。
『One broad class of such tools was the use of FOMC communication with
the public to provide more information regarding future policy intentions.
In particular, participants judged that communicating the Committee's expectation
that short-term interest rates were likely to stay exceptionally low for
some time could be useful because it could lead to pricing of longer-term
interest rates consistent with the path of monetary policy that policymakers
saw as most likely. Participants emphasized the importance of explicitly
conditioning communication regarding future policy on the evolution of
the economic outlook.』
先般のステートメントで時間軸もどきみたいなのが出ていた背景はこの辺の議論にあったんですな、と思いました。将来の短期金利に関して、当面の間極めて低い水準にある事を期待という話をすれば、より長めの金利に影響を与えることができる(ので、従来のツールと違う新しいツールになる)という話かと。
『Another possible form of communication that participants discussed was
a more explicit indication of their views on what longer-run rate of inflation
would best promote their goals of maximum employment and price stability.
The added clarity in that regard might help forestall the development of
expectations that inflation would decline below desired levels, and hence
keep real interest rates low and support aggregate demand.』
さっきあったlonger-termとlonger-runの違いってのが(英語力不足と普段の読み込み不足の為)イマイチ判らんのですが、タームが所謂短期の長いもので、ランがもうちょっと長めの話になるのでしょうか。で、そう勝手に解釈しますと、ここの最初の文は「FRBが目標とする雇用の最大化と物価の安定に対して、最も有効とFOMCが考えるより明確な指針(more
explicit indication)を与える方法があり得るコミュニケーションの道具であると委員が議論しました」ってえ事ですからより明示的なインフレターゲットの話になるのでしょうな。
それから、次の文では「より明示的なインフレターゲットの導入による透明性の付与によって望ましいレベルを下回るようなインフレ期待の発展を妨げ、実体の金利を低く維持し、需要を集めることを助ける」(直訳調でスンマセン)とありますので、まあデフレ期待(懸念)発生回避の為のインフレ目標設定という論点でありますな。ほっほー。
○バランスシートの使い方について
第31パラグラフから。
『Meeting participants also discussed how best to employ the Federal Reserve's
balance sheet to promote monetary policy goals. The Federal Reserve had
already adopted a series of programs that were providing liquidity support
to a range of institutions and markets, and participants generally agreed
that a continued focus on the quantity and the composition of Federal Reserve
assets would be necessary and desirable.』
という所から始まる部分です。
『Specifically, participants discussed the merits of purchasing large quantities
of longer-term securities such as agency debt, agency mortgage-backed securities,
and Treasury securities.』
ロンガータームの各種証券を買い入れることに関する効用に対する議論が行われましたと。
『The available evidence indicated that such purchases would reduce yields
on those instruments, and lower yields on those securities would tend to
reduce borrowing costs for a range of private borrowers, although participants
were uncertain as to the likely size of such effects. Participants also
generally believed that the special liquidity and lending facilities implemented
or announced recently would support the availability of credit to businesses
and households and thus help sustain economic activity.』
買い入れを行ったこれらの商品のレートが低下して、一般の借り入れコストの低下に繋がりましたと。で、効果の量(なのか?よーわからん)ははっきりしませんが、一般的に言えばこれら実行あるいは実行をアナウンスされた流動性供与プログラムの存在は、事業会社や家計に対する信用供与のアベイラビリティ確保に寄与しており、経済活動の維持に役立っているという話のようです。
『Many participants thought that the Federal Reserve should continue to
consider whether expanding some of the existing facilities and creating
new facilities could be helpful. Participants emphasized that the ultimate
objective of special lending facilities and asset purchases was to support
overall market functioning, financial intermediation, and economic growth.
Participants acknowledged that the effective federal funds rate probably
would need to remain very low for some time.』
最初の文は「これらの流動性供与プログラムに関して引き継ぐ気拡大することが有効なのかどうかについては考慮し続ける必要がある」と読みまして、その次の文では、これらの流動性供与プログラム(特別な貸出ファシリティと資産買取って書いてますが)の最終的な目的は、市場を機能させる事、金融仲介機能を維持し、経済を成長させることであると強調した」って書いてありますので、これは救済の為にやっているのではないってのを確認してるのかしらとちと思いました。で、実効FF金利は当面の間極めて低い金利にあることが多分必要でしょうと。
『However, they also recognized that, as economic activity recovered and
financial conditions normalized, the use of certain policy tools would
need to be scaled back, the size of the balance sheet and level of excess
reserves would need to be reduced, and the Committee's policy framework
would return to focus on the level of the federal funds rate.』
出口政策の話ですな。経済活動が回復して金融環境が正常化したら、現在バンバン実行および実行予定になっている流動性供与や買入の政策手段は縮小し、FRBのバランスシートは縮小し、超過準備も吸収し、政策の枠組みはFF金利誘導に戻るでしょうという認識を委員の皆様お持ちですよと。
○量の目標を置く話に関して
木曜にご紹介した部分と重複したり、本石町日記さんの話とモロ被りですが(汗)、次の第32パラグラフより。
『A number of participants observed that, under the approach of conducting
monetary policy by acquiring a variety of assets as needed to address financial
and macroeconomic strains, the quantity of excess reserves and the size
of the Federal Reserve's balance sheet would be determined by the Federal
Reserve's asset purchases and the usage of its lending facilities. It was
likely that, during the period of financial turmoil, the size of the Federal
Reserve's balance sheet would need to be maintained at a high level.』
マクロ経済の緊張に対応してFRBが各種資産を購入したり流動性供与をしたりする政策を取っている下では、超過準備の大きさやFRBのバランスシートの量は、これら政策をどの位実施するかによって決定されますよと。んでもって現状の金融危機の中ではこの量が高水準で維持されるでしょうと。
『Participants discussed the potential advantages and disadvantages of
setting quantitative targets for bank reserves or the monetary base.』
超過準備やマネタリーベースの量的目標を置くことの良し悪しについて議論してるのですね。
『Some were of the view that quantitative targets for an increasing reserve
base could be effective in preventing deflationary dynamics and useful
in communicating to the public the Committee's determination to take the
steps needed to avoid such an outcome.』
超過準備などを増加させる量的目標を設定することは、デフレスパイラル入りを避けるのに有効で、一般に向けてFOMCがデフレ入りを避けることを措置を取るという決意をしているというコミュニケーションに有効であるという指摘をする委員が複数いますとな。
『Several other participants, however, noted that increases in excess reserves
or the monetary base, by themselves, might not have a significant stimulative
effect on the economy or prices because the normal bank intermediation
mechanism appeared to be impaired, and banks may not be willing to lend
their excess reserves.』
他の委員(SeveralとSomeだとどっちが多いんでしたっけ、答わかったらここを追記します、汗)は増加する超過準備がそれ自体では意味のある刺激的な効果を発揮しないのではという指摘をしています。というのも、現状では通常の銀行の信用仲介メカニズムの機能が損なわれており、銀行が超過準備を貸し出しに回そうとしないからですと。
『Conversely, a decline in excess reserves or the monetary base would not
necessarily be contractionary if it occurred in the context of improving
financial market conditions.』
逆に、金融市場の環境改善によって超過準備やマネタリーベースの減少が起こるのであれば、それは必ずしも否定される物ではないと。
『A few of those who supported quantitative base or reserve targets did
so because they saw them as helping to coordinate the actions of the Board
of Governors, which is responsible for authorizing most special liquidity
and lending facilities, and the Committee, which is responsible for open
market operations. Most participants, however, were of the view that such
coordination would best be achieved by continued close cooperation and
consultation between the Committee and the Board. Going forward, consideration
will be given to whether various quantitative measures would be useful
in calibrating and communicating the stance of monetary policy.』
最初の文がやたら代名詞だらけで何が何を指すのかイマイチ良く判らなかったのですけれども(涙)、コミュニケーションツールとしての量的目標に関しては結局のところ継続審議になったという話なんですか、わかりません><;
#ここで時間と根性が切れましたので続きは明日(大汗)
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2009/01/09
○企業金融支援特別オペ1兆2千億円実施
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba090108.htm
この3番目にありますように、12248億円の実施となりました。まあこの市場的評価なんすけど、色々と聞いて回った結果を総合すると「まあ多目で良かったですね」という結論のようで。今週実施した共通担保オペの年度末越えが平均0.19から20くらいで足きりが0.18なので、共通担保オペで使っている証書貸付などがこっちに回ってきたという感じなのでしょうか。0.10%で取れるのでその分こっちに回りますよね。
で、このオペですけれども
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mos0812b.htm
の下の方にありますように、あと5回実施されるのですが、期間が一番長いのは今回ですので、まあ従来共通担保オペに突っ込んでいた分を回すなら今回か次回くらいになるんでしょうね。
さて、このオペ導入を決定した12月2日の決定会合後の記者会見で白川総裁は『民間企業債務を担保とする資金供給のオペレーションについては、数字を積み上げますと、3兆円程度の資金供給を見込めると思っています。』などと余計な数字を言ってまして(12月3日と4日の過去ログご参照下さい)、一人歩きしかねない数字を自分からホイホイ出すのは如何なものかと思った次第なのですが、今回1兆2千億円の札が入ったので2兆円台は確保できそう(なのですよね)で、まあ格好ついて良かったですねという所かと存じます。
○CPレートが落ち着いている件について
政策投資銀行のCP買入とか、今般の措置とか、まだ具体化していないですけれども日銀のCP買入とか、CP現先オペ打ち込みまくりの政策効果が出たような感じで、CP発行環境が随分改善されてきています。
一昨日昨日あたりからCP発行が年末年始モードから通常モードに戻ってきたと思うのですが、昨日あたりも期末越え3か月の発行が出てきて、まあレートはまちまちみたいですが、いつぞやのようにロクでもないレートでほんの小額しか発行できませんというようなアホウな事態は解消の方向で誠に結構。発行体さんのネームも一頃は「いつも同じ人たちの発行だけ」状態だったのですが、最近はレート上昇でCP発行を見送っていたと思われる発行体さんも復帰しつつある観がございまして、これまた誠に結構なお話です。
また、期内ものだと、最上位格の電力会社様でFBスレスレのレートとかに低下してるようで、CP現先オペ効果か足元の資金供給の効果なのか知りませんが、まあ結構なレート低下となっておりますな。まー足元のレート低下に政策当局のCP買入という動きで安心感が出たことリスクマネーが戻ってきましたってお話なんでしょ、よー知らんが。
ま、アレですよ。日銀のCP買入まだですけど、こーゆーのは「セーフティーネットがある」というのが安心を呼ぶのでありまして、結果見せ金になったとしても効果があればめでたしめでたし(かつての預金保険機構だか何だかの50兆円枠(でしたっけ?)みたいなもんで)というお話になるんではないかと(まあ今回は見せ金で済むほど楽勝な金融環境ではないとおもいますけどね)存じます。
・・・・・で、まあこういう流れを見せられますと、10月以降の日銀の政策推移ってどう見ても優先順位が逆でしたなあと思うのですよ。今更の後知恵みたいで恐縮ですけれども、レポ市場が変調になって、CP発行市場が変な動きになってきた所で企業金融対策をさっさと実施しておけば「利下げしてるのに金融環境が悪化する」という訳の判らんアホウな事態は発生せずに済んだとしか申し上げようが無く、実はここまで非難轟々に追い込まれまくらずに済んだんじゃないですかねえという気が思いっきりするのでありました。
○次の政策はターム物誘導ですかそうですか
昨日は白川総裁が国会答弁してたみたいですね。ブルームバーグニュースから。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=ai4rJlMxuQnE
日銀総裁:金利低くても行うべきことある−企業金融などに傾注(4)
『白川総裁は政策金利の下げ余地がほとんどなくなっていることを踏まえ、今後は金融政策の方向性としては、金融市場の安定確保と企業金融の円滑化が大事だ、と言明。特に企業金融の円滑化については「コールレートはあくまで金融機関の間の翌日物の金利であり、実際の企業はもっと長い期間で資金調達を行っている。そうした長い期間の資金調達について、金利をどう下げていくのかや、資金調達の量的な安心感をどう確保するのかが大事だ」と語った。』(上記記事より引用)
えーっと、最初からそう思っているのでしたら10月以降延々とCP発行環境やオープン市場の金利上昇を放置プレイしておられた動きはアリャ一体全体何だったんですがとか悪態をつきたくなりますがそこはスルー(してないって)。
よく判らんですけどね、こういう言い方をしてるというのは「翌日物の誘導目標はもう下げたくないけど、その代わりにターム物金利に働きかける政策をやって行きますよ」という話をしてるんだなあと予想されます。白川総裁の思惑(?)通りに事態が進行するかというと進行しそうもない(=まあゼロ金利になるんでしょうなあ)と思ったりするのですけどね(苦笑)。
しかしターム物金利に働きかけるオペレーションをするという話になったら白川総裁お得意の「市場機能論」って一体全体何なのよと小一時間問い詰めたくなるのでありまして、まさか白川総裁のいう「市場機能」っていうのは「無担保コール翌日物市場機能」ってお話なんですかとか悪態の一つもつきたくなる次第でございまする。
それは兎も角、先日の亀崎審議委員発言(そういやあの会見はフリーダム感があって中々面白かったですなあ)と言い、今回の総裁答弁と言い、何か次はターム物金利に働きかける政策が打ち出されるんでしょうかねえというところでございます、と一応予想するが外れても知りません。
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2009/01/08
お題「だいたい小ネタ(本当は大ネタもある)で恐縮です」
1月は月初の業務日程が押していただけませんなあ。
○オペ雑談
昨日はまた期末越えの供給とショートタームの吸収のツイスト実施ですが、即日吸収は無しと。えーっとまあ吸収をするという細かいオペってやらんでも良いのではとも思うのですけれども、一昨日とか無担保コールで7bp位の出合いがそこそこあったり、昨日とかも取り手の一部の希望レートが7bpとかになっていたこともありましたんで、吸収であまり下がり過ぎないようにという発想なのかなあという感じかなあとは思います、つらつら考えてみたんですけどね。
とりあえず一昨日の即日吸収で「えー」という感じだったので、昨日は期末越えの供給オペを今週2度目の打ち込みとして、「もちろん期末越え供給はちゃんと行いますよ」という姿勢を見せたというところだとは思います。そりゃまあ良い話なのですけれども、そんなら別に一昨日即日吸収やらんでもという感じもせんではない。きめ細かくやろうとして余計な仕事を増やしているような気がするんですよね。
まー細けぇ事は良いんだよ!(やる大矢のAA略)という感じでざっくりというのは今更難しいのかもしれませんけどまあその方向でやる方が吉なのではないかと存じます(しつこい)。
○輪番で購入したのは1兆2千億円ちょっとの筈ですが
毎度お馴染みの日銀保有長期国債残高。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0812.htm
えーっと、あたくしが手元で保存している数字をエクセルでヒョコヒョコ計算させますと、前月比の増分が6411億円になるように思えるのですが(間違ってたらごめんなさい)、つまりこれは月前半に12月償還銘柄の大打ち込みがあったという事でしょうか。減った銘柄が見当たらないところを見ると政府の買入消却があった気配も無いようですし。
いやはや何という短国買入並みの長期国債買入ですかという所でありますが、この面に関しては先日の金融政策決定会合で中長期国債買入のゾーニングを実施する方向性が出た(次回の会合で内容は決まるのでしょう)ので、ちったあ改善される事でございましょ。
○輪番といえば12月16日の参議院財政金融委員会
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/170/17012160060007a.html
先頭バッターの大久保委員(民主党)の質疑から。会議録の上4分の1からちょっと行った辺り。
『○大久保勉君 次に、もう少し細かい金融調整に関して質問したいんですが、私は、質問する前、若しくは定期的にあるブログを読んでいます。「本石町日記」というブログなんですが、いわゆるBOJウオッチャーの間では非常に評判のブログなんです。白川総裁は「本石町日記」というのは読まれたことはありますか。』
『○参考人(白川方明君) 余り私の立場で特定の人のブログとかについて読んだ読まないということを言うのは、マーケットに対する悪影響もあると思いますんで、差し控えさせていただきたいというふうに思います。』
『○大久保勉君 分かりました。読んでいると推測しますが、こっちの中に、最近のコメントとしましては、ここのところ日銀オペの誘導目標が下に外れぎみで、誘導目標の精度が落ちてきているという指摘がございます。このような日銀調整が難しくなっている理由というのはどうしてか。彼は、買い切りオペを増やした方がいいんじゃないかという指摘がございます。お願いします。』
・・・・・ワロタ。
で、山本理事の説明の後にこういうツッコミが(^^)。
『○大久保勉君 まあ分かったような分からなかったような。僕の質問は、誘導目標〇・三%を大幅に下がっているということは、じゃ低め誘導されているんですか。』
『○参考人(山本謙三君) 私どもの今の金融調節方針は、無担保コール・オーバーナイト物レートが〇・三%前後で推移するよう促すというものでございます。低め誘導ということではございません。』
『○大久保勉君 でも、目標の〇・三%を大幅に下回っているんじゃないですか。ですから、低め誘導していないんだったら、ちゃんと〇・三%に持っていかないと、持っていくようなオペレーションをすべきじゃないですか。いわゆる、このことに関しては、日銀のオペのやり方がへたくそなのか、こういう指摘もありました。若しくは、もう技術的な限界があるから別な方法でやらないといけないのか。一番か二番か、どっちですか。』
0.25%か0.30%かで票が割れたという禍根がこんな所にも出ていますな、合掌。ちなみに、この後大久保委員の提言は何故か長期国債買入増額の他にCP買入とか社債買いオペとか不動産証券化商品の買入オペが必要ではないかとか斜め上の話が展開される(調節上の技術的問題と政策面が明らかに混同されております)のが如何なものかと思われますが。
山口副総裁の説明もなんか苦笑を禁じ得ませんが。
『○参考人(山口廣秀君) お答えいたします。先ほどの御質問でありますが、日本銀行は〇・三%の誘導目標に対してそれを達成できていないんではないかという御質問がありましたので、まずそれについてちょっと若干補足させていただきます。十一月という月を振り返ってみますと、十一月の後半につきましては、実は誘導目標の中心であります〇・三%をやや上回っておりました。それが、その足下につきましては〇・三%をやや下回る水準で推移しているということでございます。私どもの誘導目標の実現というのは、ある期間を通してならして実現するということがターゲットでございます。したがって、ある時々を見てみると〇・三%を下回ることもありますし、ある時を見ると〇・三%を上回っていることもあると、こういうことが起き得る、そういう調節であるということについて御理解をいただきたいと思います。』
・・・・・・・いやはや何とも。
○FOMC議事要旨のほんのちょっとだけ(本当は大ネタ)
この前の利下げの時の奴ですので真面目に読まないといけないと思われます。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20081216.htm
が、あたしゃ正直まだろくすっぽ読んでおらず、情報ベンダーの記事とか人のレポートとかを見て何となく把握した振りをしているだけ(大汗)。まあこういうのはちゃんと読むべきだと思うので遅くとも週末には読まナイト。といいつつ情報ベンダーの記事からネタを。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009010700081
日銀型支持の意見も=量的金融緩和で−米FOMC議事録
ふーんと思って要旨にあたると、たぶん要旨の下4分の1位の所にそれらしき記述がありましたです。
『A number of participants observed that, under the approach of conducting
monetary policy by acquiring a variety of assets as needed to address financial
and macroeconomic strains, the quantity of excess reserves and the size
of the Federal Reserve's balance sheet would be determined by the Federal
Reserve's asset purchases and the usage of its lending facilities. It was
likely that, during the period of financial turmoil, the size of the Federal
Reserve's balance sheet would need to be maintained at a high level.』
って文から始まるパラグラフで、その次に
『Participants discussed the potential advantages and disadvantages of
setting quantitative targets for bank reserves or the monetary base.』
ってことで議論が。
『Some were of the view that quantitative targets for an increasing reserve
base could be effective in preventing deflationary dynamics and useful
in communicating to the public the Committee's determination to take the
steps needed to avoid such an outcome.』
『Several other participants, however, noted that increases in excess reserves
or the monetary base, by themselves, might not have a significant stimulative
effect on the economy or prices because the normal bank intermediation
mechanism appeared to be impaired, and banks may not be willing to lend
their excess reserves.』
『Conversely, a decline in excess reserves or the monetary base would not
necessarily be contractionary if it occurred in the context of improving
financial market conditions.』
以下続くのですけれども、最初に引用した部分あたりを読みますと、時事通信の記事の見出しにある「日本型」ってのとFOMCでの話って、結論としては超過準備のターゲットを置くのどうのという話なので日本型なのかもしれませんけど、アプローチのやり方がFEDのバランス拡大が最初にあるという理屈なので日本型というのと理屈の構成は違っているのではないかと思われますがどうなんでしょ。
まあ今般の決定に関する政策ロジックはロジックの転換を伴うものみたいですねという所までは何となく把握したが、議事要旨の中身をちゃんと読む必要がありそう(さっきも申し上げましたが)と思われます。
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2009/01/07
○即日吸収無い無いと書いたら即日吸収打たれたでござるの巻
小見出しが長いですかそうですか(^^)。
えーっと、昨日のオペレーションですけど、朝方の買現先はスポネの方が5000億円減額でスポット1wの方は期落ち分の同額ロールでございました。まあ足元資金余剰感強く、GCレポでもビット(資金の出しサイド)が結構いますので、まあスポネが減ってもシャーナイナイという感じでここまでは順当。CP買現先も親の敵のように実施されていますが、年末年始の発行減に当たってますから札割れもするわなとは思いますが、そもそも札が割れても割れなくてもレート的には同じようなもんですからこれまた順当。
で、世の中が驚倒した(オーバー)のは12時50分にオファーされたオペでありまして、売出手形即日6000億円期間翌日物という奴。何せあたくしなんぞ昨日こちらで「即日吸収は無い無い」と堂々と書き、その理由まで延々と書いたばっかりでしたのでもう何と言うかどこの北禿先生ボログあるいはメ○レーレポートかとあたくし涙目。
・・・・で、昨日あれだけ即日吸収しない意味について書いた手前、今度は即日吸収をする意味を考えたのですが、やはりどうも意味が判らんですな。色々な人とお話をしたのですが、まあ普通に解釈すると、(1)無担保コール翌日物が0.1%割れ水準で延々と出合うのが気に食わない、(2)当座預金残高をそんなに増やしたくないから引いた、のどっちか位しか思い浮かばないのですが、どちらにしても「超過準備付利を行うことによって潤沢な資金供給を行いやすくする」と言って超過準備付利を導入したことや、先般の利下げで誘導目標金利と付利金利水準を同じにしたことから市場が普通に解釈するであろう行動と整合性が全然取れていないお話。
もしかして(2)の亜種になりますが、当座預金残高を増やして付利が増えると日銀の収入が減って国庫納付金の予算達成に問題が起きるとか下らねえ事でも気にしてるのではないかという意地悪な読み筋まで出てくるのでありますが、何かこう世の中平常時じゃないのですから、あまり平常モードな理屈でオペレーションをするのはどうなのでしょうかという感じで、いや邪推だとは思いますけどね。
でね、それはそれとして即日吸収する意味が「市場機能」論からしてもよく判らん訳よ。つまり即日吸収実施というのは無担保コールまたはT+0のGCレポや現先と競合する(オペに入れられない人は別ですけれども)「運用商品」のご登場なのでありまして、そっちが出てくると市場が認識しちゃったらコール出さないでオペ行きます分が発生し、それだけ市場運用が減りますわな。市場を活性化させたいとかいうのであれば、日銀当座預金(超過準備)以外の運用先を与えないで市場運用を促す方向に持っていく方が宜しいのではないでしょうかと思うのですけど、考え方間違ってますかねえ。
折角「誘導目標=付利金利」によって即日吸収は行わないんですねという認識になってですな、4日のオペで即日吸収はやらないけれども翌日以降スタートのショートタームの吸収はやるのね(その吸収の意味も正直よく判らん部分がありますが)というイメージができつつある状態だったのに、ここで即日吸収とかやりやがりますとオペで何やりだすのかが、また訳判らんモードになる訳でして、もうちょっと勘弁していただきたく存じますのですが。
○何をしたいのかが市場にうまく伝わっていないと思いますが
てな訳で本日もまたオペ話、というか悪態書いているのでありますけれども、類は友を呼ぶ点を割り引いて考えましても「日銀の最近のオペレーションは何をやりたくてこういうオペをやっているのか訳判らん」という意見をよー聞く訳ですな。
一本一本のオペに関しての意味は何となく判る(スポネを増やしてGCの上昇を抑えるとか)のですが、やってるオペを全部足して、それに金融政策決定会合などでの声明文や会見での総裁発言なんかを引っ張り出してみると、右の手と左の手で別のことをやっているという感じでして、一体全体何をやりたいのかがさっぱり意味不明というのが(昨日もそんなこと書いたと思いますが)昨今のオペ事情。
たぶん調節担当部門様におかれましては、市場の人たちが見ているものとは違うものも見ないといけないので、そのあたりを調整しようとして市場から見て訳の判らんオペレーションになるんでしょうし、短期市場のいろいろな所を微調整しようとしているのでオペレーションが首尾一貫してないようにも見えるのでしょう、と一応擁護的な書き方をしてみますけれども(^^)、やっぱりよー判らんです。
「誘導目標=付利金利」なのですから、てきとーにタームで資金を出しておいて余ったら準備預金にブタ積み(付利があるからブタではないけど)させておけばそう細かいオペやらんでもええじゃんと市場の一般的な人々は思うんじゃねえのと存じます(企業金融関連はCPオペと新オペがあるのでそっちで対応)が、どうも細かく微調整しようとして却って市場がワケワカメになっているのではないかという悪寒がするのです。
もうちょっとざっくりとやった方が良いのではないですか???と思いますけれどもねえ。
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2009/01/06
○これは珍しくやる気を
昨日日銀のオペに関してちょろっとだけ話をしましたが、その時に「さて年度末越えのオペ」とか書いたのですが途中で書き直した次第(本当^^)だったら、何と昨日は年度末越えのオペをオファー。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of090105.htm
スポットスタート4月2日エンドの共通担保オペを8000億円オファーなのですが、いつもだと市場から散々催促されて(=当該金利が目に見えて上昇して)から打ち込みに行くのがオペレーションの仕様なのですが、新年になってご機嫌でも宜しくなったのか珍しくも市場が催促する前に年度末越えのオペ実施。ついでにトムスタート1月14日エンドで売手吸収してまして(これ売手じゃなくて短国の売現先の方が使いやすいんじゃないのかという気がするんですが)、まあ3か月と1週間でツイストオペ実施という感じで誠に結構な事でございます。ちなみに結果はこんな感じ。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba090105.htm
期越え3か月のFBが0.185%とか言ってるので、FBと比べるとレート的にはちと高いような気がするのですが、東京レポレートの3か月が0.214%ですのでこんなもん(レポレートの3か月とFBがいつの間にか乖離してるのね)ですかね。まあ初回だし8000億円ですから。
ということで、このオペを見ますと普通は「これは期末越えの資金供給を早めのうちから淡々と実施して逼迫感は出ないようにオペレーションをしてくるでしょう」という発想が成り立つのでありまして、まあ別に親の敵のようにバカスカオペを打たいでもヨロシなので、ある程度淡々と年度末越えの共通担保を打っていただければ、市場の方も安心するので取引もまあ回るんじゃないでしょうかと愚考するのであります。
ちょっとだけ嫌な予感がするのは、こうやって一発打ってハイおしまいという「とりあえず一回やったから良いでしょ」みたいなアリバイオペの懸念も正直言って拭えないというのがございましてですな、まあ今回折角市場予想よりも早く年度末越えオペ打ったのですから、その効果を生かすような運営を希望いたしたく存じます。
○即日吸収は無い無い
年末の足元大供給攻撃によりまして準備預金の積み進捗が華麗に進行致しまして、残り所要が普通に日割りした時の半分くらいまで減ってしまうという素敵な状況になっていますが、昨日情報ベンダー見てたら「今日は吸収オペレーションが無いことも好感され」みたいなコメントが。
えーっと、そもそも超過準備付利レートと誘導目標を同値にしたのは、吸収オペをしないでもコールレートを必要以上に低下しないという効果を考えてという話ですし、超過準備付利をするということはブタ積み容認という事でありますから、結論として即日吸収のオペは常識的には実施されないという話になる筈なんですが、ど〜してそ〜ゆ〜コメントになるのやら。
コメントをしている人が単に訳判ってないだけならまあ良い(良くないが^^)のですけれども、もしかして市場的には「今までの日銀の動きからして、準備預金の積み進捗が進みすぎてコールが0.1%切りそうになったら即日吸収して牽制してくるのではないか」と警戒していたのかなとも思えます。
もしそうなのであれば、オペレーションに関して市場が考えているものが「出すと言って出さない」「実は0.1%に張り付かせないオペをやってくる」というような認識が強いという話になりますわな。まー今までそんなオペをやっていて「決定会合の声明文やら総裁会見で潤沢な供給をするという話をしているのに、実際は(既に機能が大きく低下している)市場機能を生かすとか言って必要な所に資金回さない」という認識が強うございましたので、ある程度シャーナイナイな感じですが、あまり良い傾向ではございませんですな。
ということで、まあ従来はオペの打ち方が市場の期待する動きじゃない(年末越えの潤沢な資金供給をすると決定会合で声明しておきながら前年と同じペースでしか供給しなかったとかね)のが仕様でしたけれども、今年はもうちょっとその辺りが齟齬がないようになってくると良いですねと思いますです、はい。まーその別に市場の期待通りにオペ打たなくてもよいのですが、散々悪態ついているように、一体全体何をやりたいのかがコロコロ変わっているように見えるようなオペとか、担保範囲緩和したら緩和の適用日スタートまで急に年末越えオペ打つの止めて、適用日スタートになったらいきなり年末越えオペ復活みたいな「いかにも」オペを打つのは勘弁していただけると誠にありがたく存じます。
○とりあえずCPの状況とかFBとか注目してみようかと
昨日はCPの新規発行は(ダイレクトは知らんが)無しみたいでしたが、年末年始にCPオペ効果やら政策投資銀行購入効果やら、足元の資金余剰が強まったことやらで気配は下がった感じで誠に結構な話ですが、そもそもレートが下がる話よりも発行が円滑に進んで企業金融の逼迫感が軽減されるのが政策の目的だと理解しておりますので、二極化というより三極化(レートが死ぬほど低い発行体と高い発行体と全然発行出来ない発行体)していたCP発行市場が年末抜けてどうなるのか注目。ただまあ発行する方もこんな年初早々に大きな資金ニーズ抱えたまま越年してはいないと思いますので週後半か来週くらいからになるのかなあ、よー知らんが。
あと、年末年始に同様に足元資金余剰でGCも0.1%台前半に低下して、2年から手前の金利が軒並み絶賛低下中で、3か月FBも0.2%割れとなっておりますが、暫くやってなかった新規発行がとりあえず明日の入札からスタートになりますので、こっちの方もちと注目なんでしょう。雰囲気からして今週の入札とか楽勝だと思いますけど。
ま、FBに関しては発行が増えることはあっても減ることはないという魔法の債券状態になっていますので、今は良いのですが景気が立ち上がって来た時に結構しんどい話になると思いますけどね。このエグジットについても何か構想はあるんでしょうけれども考えておかないとねえって感じですかな。
#ということで雑談大会で恐縮でした。そういや株券DVPは円滑にスタートしたんですね。良かったよかった。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/set0901a.htm
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2009/01/05
○まず雑談
例によって年末年始に1年分の手控え帳を読み直してまとめてみたりしたのですけれども、相場動向は兎も角として、日銀のオペレーションに関しては今年になってもまあ変わらんのだろうなあと思います。改めて帳面読み直して痛感したのですが、「オペで何の金利をどう持って行きたいのか」というのがさっぱり判らん(出すと思えば出さず、出さないと思えば出す、というような感じで一貫していない)という感じでしたからねえ。
とりあえず今後もオペレーションに注目という感じではございますな。どうも「市場機能」ってのが変な呪縛になっているような気がするので、オペ担当というよりは「市場機能」を連呼する白川総裁の方が問題含みだと思うんですけどね。
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2008/12/26
○確かに年末の所は片付いてるんでしょうが・・・・
昨日は債券の受渡が年内最終で今日はスポットが年内最終ということでして、まあ年末越えはだいたい終了という感じでございますなあという所ではあります。
・・・・えーっとそれはよいのですけれども、昨日の資金供給オペはスポネの国債買現先3兆円とCP買現先のみでして、翌日以降スタートの共通担保オペの実施は何と無しという有様。確かにまあ年末越えの所でどうのこうのという事は無いのは多分そうなのでしょうけれども、末初のオーバーナイトがよけりゃ問題ないとかいう話ではなくて、利下げして金融緩和すると言ってるわけですから、その緩和的環境を作るという意味ではターム物の資金供給をもっと積極化するのが筋ってえもんじゃあないでしょうかと思うのですが。末越えオペを実施するといってもひたすら末初のオーバーナイトものだけ打ち込むとか、ショートファンディングを奨励するようなオペを打ってわざわざ市場に不安定要素を打ち込もうとしてるとしか思えませんですが。
ということで、昨日は午後のオペ無しというのが気分的には大変宜しくないという感じになりまして、末初のGCは0.32%とかまたもロンバート越え。まあ末初だから仕方ない面は無いことも無いのですけれども、ロンバートより高いってのもねえという所でございます。何せ利下げ前はちゃんとオペバカスカ打ってターム物とかも出していたのに、利下げしたら出ないとかオペでやってることが訳判らんとしか申し上げようがございません。
ま、連日申し上げていますが、当座預金付利0.1%で誘導目標0.1%なのですから普通に期待されるのは「とりあえず資金をどどーんと供給して0.1%にするでしょ」だと思うんですけど、その期待を見事に外すオペレーションにはどんな意図があるのやらというところですな。いやまあ意図あってやってるんなら別に結構でございますけれども、その意図とやらって決定会合で言ってる事と違いわせんかと悪態の一つも付きたくなりますが。
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2008/12/25
お題「オペ雑感/総裁会見続き」
○何のための付利据え置きなのよという話
昨日の駄文で「今日(=水曜日)のオペ注目」という話をしましたけれども、その中でうっかりスルーしてしまった話がございます。それは何かと申しますと「利下げ翌日の月曜にロンバート貸出が11500億円も出ちゃいました」というお話。
これってどういう話かと言いますと、月曜のT+0の資金需給のバランスが悪くなっており、資金供給オペも無かった上にGCレポ市場での資金の出しが絶対的に足りなかったという事を意味してるとしか思えませんのですな。しかも月曜は(昨日書きましたように)利下げ期待で準備預金の積みを遅らせ出した時にしらっと減額したスポネの国債買現先をそのまま同額ロールしたのと、訳判らん末初の共通担保しか実施(CP買現先はありますが)しなかったので不足感拡大と。
だから月曜の国債買現先でも3兆円のオファーに対して応札が6兆3千とかあった訳で、このオペ応札額とロンバート実行沢山という状況を受けて水曜はオペを工夫してくるかと思ったら、昨日のオペもまるで同じような内容。スポネの買現先3兆円と末初の共通担保をまた実施。
結果どうなったかといいますと、スポネの3兆円に対して応札は6兆6千億円になって、落札利回りは月曜の0.208/0.19から0.254/0.24へと急上昇するわ、ロンバートは減るどころか2600億円追加実行されてしまいまして、何か罰ゲームでもしてるのでしょうかというオペレーション。
えーっとですな、従来より年末越えなども含めて「資金を潤沢に供給する」という触れ込みの筈でありますし、当座預金付利を行うことによって潤沢な資金供給がより円滑に実施できるって触れ込みの筈でしたよね。しかも今般の利下げで付利金利と誘導目標金利を一緒にしたので、ジャンジャン資金供給をしてもディレクティブ違反になる事もなくなって、これで安心して資金供給を出来るから、当然ながら資金供給オペをとりあえずジャンジャン打って来るもんだと先般の会合結果を見て短期市場の人たちは常識的に考える筈なのですよ。
然るに、利下げ後の年末越えの供給オペは(CP現先を除いては)共通担保の末初物という次第でして、そりゃまあ末初でも「年末越え資金を出しました」という事なのでしょうけれども、ファンディングという観点からしますと、必要なのは安定的な少し長めの資金と、足元の短い資金をバランス良く取る事でありまして、末初ピンポイントとか出されましても参加者の資金繰りが安定化しないどころか、ファンディングの足が短くなるので不安定化要素が高まるのですな。その上現在市場の頼りになっている資金供給オペレーションの打ち方が不安定と来れば尚更のことです。
暫く前に打ってた2か月だの3か月だののオペはどこに行ったのかという感じ。そういう安定しないオペをやって市場の考えることを外してくれるから市場が益々梯子外された格好になって安定しないのよね。どこ見てオペ打ってるんでしょうかねえ。マッタクモウ。
まあそれが市場機能だというのでしたらそれはそれで結構なのですけれども、状況としては市場でまたまた金の回りが悪くなっている(悪くなってなかったらロンバートが1兆も出ない)ということでありまして、10月にオペ金利が0.75%を超えてみたり、11月の終わりにオペ金利やレポレートが0.50%を超えてみたりとなって、GC市場が一時的に壊滅状態になってしまった件に対する反省が全く感じられないというか、別にどうでも良いとか思ってるんですねえという所であります。
ということで、何のために付利金利と誘導目標金利を一緒にしたのか全く意味が判りませんというような利下げ後2日間のオペレーションなのでございました。
たぶんCPオペと新型オペの効果があるからCPレートとかは低下してるからそんなに外野から文句は出ないのでしょうけれども、このオペの打ち方は市場が期待というより普通に考えるオペレーションのほぼ真逆になっておりまして、もう何だかなあとしか申し上げようがございませんですなあ、というかこういう体系になってるのにオペネタ(正しくは悪態)がドラめもんのネタになるとは思いませんでした。普通にタームの供給を沢山打っておけば済むだけの話だと誰もが思うんじゃねえのかと。
○総裁会見の続
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812c.pdf
金利の出来上がりが何故0.1%だったのか、追加利下げの可能性、長期国債買入増額の理由と今後の増額可能性、CP以外の買入に対して、と盛りだくさんの質問があったのでそちらの答えをまず引用。
・0.1%にした理由
一般的な「総合的に勘案」と言う部分を割愛して引用するとこうなります。
『金利を0.1%まで引き下げた場合、さすがに市場機能の一部が低下するという現象が起こるかもしれません。しかし、プラスの金利を維持することにより、金融取引に伴う諸コストや手数料をカバーし得るかという点で、金融活動の基盤や取引のインセンティブはギリギリ残ると考えています。』
ま、そりゃそうなのですが、そもそも短期市場での市場機能ってえのが日銀の資金供給オペ頼りという状況はとっくの昔から始まっておりますので、ちゃんとオペレーションをやらないと市場が回らないという状態なんすけどねえ。
・追加利下げの可能性
『次に、一段の引下げの可能性についてですが、将来の金融政策について絶対ないとか絶対あるといったことは勿論言えません。』
と、ここで止めときゃいいのにその後に余計な話を。
『ただ、今回金利引下げを決定するに当たり、短期金融市場の機能を維持するということについて随分議論を行い、その結果当座預金付利の金利を0.1%にしたわけであります。0%に近い世界はあまり例がありませんから、比較は難しいと思いますが、FRBは当座預金金利を0.25%とし、しばらくこの水準を続けると判断したわけであります。市場機能の維持という観点から0.1%が良いのか0.25%が良いのかは、なかなか説明が難しいですが、様々な要素を考慮した上で今回の判断に至ったわけであります。』
機能維持もクソもとっくの昔に(以下同文)。だいたいからして経済が崩壊したら短期金融市場の機能もへったくれもないと思うのですが、そう短期市場短期市場言われてもありがた迷惑にも程があります。
・長期国債買入
『従来より2,000 億円刻みで引き上げてきましたから、2,000 億円刻みというのは一つの自然な刻み方だと思っています。』
まあこりゃその通り。
『また、銀行券と長期国債の残高の差がポイントになってくると思いますが、その前提として、国債の買入れオペはこのところ残存期間の短い買入れが非常に増えていることや、政府の国債買入れ消却に応じたことで保有する長期国債が減ってきているという事実があります。今回、期間の長い国債も買入れ対象とし、且つ期間別に買入れを行うことにより、これまでと同じ買入れ金額であっても期間が長い国債を買う分だけ日本銀行のバランスシートに長く残る国債は増えていくことが考えられます。』
これってもっと物は言いようでして、長期国債買入でより長い期間のものを買いやすくしてますってのをもっとクローズアップされるような話をすりゃ見せ方としてよいと思うのですけれどもねえとしか言いようが無いです。
『こうした少し長い先の姿を想定しながら、銀行券の範囲に収まる買入れ額はどの程度か、バランスシートの資産サイドの期間の構成という面でバランスがとれているか、などを勘案し、2,000
億円の増額を決定しました。』
さよですか。
『当面、この2,000 億円を増額することは考えていません。』
どう見ても余計です。本当にありがとうございました。
・・・・こうやって折角出してる政策に関する効果を減殺するような話をしていくのが白川総裁クオリティなのですが、もう豆腐の角に華麗に頭をぶつけるべきではないかと思いますですよ。とほほのほ。
・CP以外の買入
『最後に、CP以外についてどのような対応を考えているかについてですが、今回基本的な検討のポイントを執行部に指示し、それを踏まえて執行部がこれから検討する段階ですから、現時点ではそれ以上の答えはありません。』
どう見ても押し付けられましたと仰せです。本当にありがとうございました。
まあそんな感じでよく言えばハッタリの無い正直なお話、悪態つけばやる気のないお話が続くのですが、代表的なもんとして以下の質疑を引用しておきますね。
・やはりこういう非常時にはインチキハッタリパワーが必要なのではないかと
『(問) 「量的緩和政策」という言葉は、かつて日銀が行った政策を表すものとして定着していると思うのですが、今回日銀が行おうとしている政策、つまり、市場金利の下限を設定して資産購入などを活用して市場への資金供給を増やしていくという手法をどう呼んだらいいのか、総裁のお考えがあればお聞かせ願えますでしょうか。』
しかし実は市場金利の下限を設定したのにそれをつけさせないようなオペレーションを行っているという恐るべき事実が翌日以降に発生しているのはチャーミング。
『(答) その名前についてのご質問に答える前に、今回の措置についてご説明しますが、目標金利を0.1%に設定した上で色々な資産を買うことにより、バランスシートを拡張させていくことを必ずしも狙っているわけではありません。』
あらそうですか。
『もちろん、金融市場の安定は図っていきますし企業金融の支援も行います。CPの買入れについてもそうした目的に沿って実行していくものです。バランスシートの規模を拡張していくこと自体に何か目標を置いているわけではありません。結果的に拡張していくことがあるかもしれませんが、積極的に大幅に拡張することに政策上の理念があるわけではありません。』
そうじゃなくてもインチキハッタリパワーがあれば「結果的に拡張していくことになるかもしれない」というのをもっと前面に打ち出すものです。こういうトーンで会見をやるから折角色々と実施してるのに「踏み込み不足」と言われてしまうのよね、アホラシカ。
『それからネーミングについてですが、日本銀行は、そういうネーミングは非常に不得意な組織ですし、何かキャッチ―な言葉があるわけではありません。』
まあこれはご愛嬌。
と言う感じでして、何か会見要旨読んでると総裁が「実はやりたくないのにやりました」って言いたがってるようにしか思えませんわなという感じが伝わってくる訳でして、腹で何考えているかは兎も角として、その当時は景気良く当座預金残高目標を拡大していた福井総裁のプレゼンを見習うべきであるとしつこく思うのでありました。
#今日のオペはちゃんとしたプレゼントになりますように、まさかクリスマス中止ですか?
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2008/12/24
ではまず決定会合後の総裁記者会見から。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812c.pdf
○米国の決定に関連して
冒頭に中々よい質問が。
『(問) FRBが、先日のFOMCで利下げを行い、かつ大量の資金供給およびリスク資産の買入れを行うと決定しました。今回、日銀も大幅な利下げおよびCP買入れ・国債買入れの増額など、かなりリスクを取る姿勢を示されましたが、その意味では、米国同様、事実上のゼロ金利、事実上の量的緩和に日銀も踏み込んだと判断してよろしいのでしょうか。』
で、これに対する総裁の答え。
『(答) FRBの措置についてですが、これは他国の中央銀行の政策ですので、それ自体について私の立場から論評することは差し控えたいと思います。お尋ねの点については、最初に日本の経験に照らした印象から申し上げた方がよいと思います。』
といいつつその先にFRBの政策に対する解説が始まります(^^)。
『まず、誘導目標金利についてですが、今般のFRBの措置では、かつて日本銀行が採用したゼロ金利政策とは異なり、金融調節によって市場金利をできるだけ0%に近づけるという決定は行われていません。FRBの措置についての新聞記事では、「ゼロ金利政策導入」あるいは「事実上のゼロ金利導入」といった見出しが多くあったように思いますが、必ずしもそのような決定は行われていないと思います。』
左様でございます。で、現状追認の部分が多いのよって解説が続きます。
『既にフェデラル・ファンド金利は、準備預金の付利対象外の機関である、いわゆるGSE──ファニーメイとかフレディマックですが──、この影響により、0〜0.25%程度のかなり低い水準で推移しており、これに沿って誘導目標が設定されたといえます。市場金利については、極めて低い水準ながら、プラスの金利水準を維持しつつ誘導を図る方針にあることは、今回FRBが準備預金の付利金利を0.25%に設定したことに表われていると思います。私自身は、ゼロ金利政策との比較から言えば、今回FRBが準備預金の付利金利を0.25%に設定したことを非常に興味深く思いました。』
付利金利が0.25%を維持したままのFFレート誘導レンジ設定です
『金融機関からすれば、FRBというリスクのない金融機関に0.25%の金利で運用することができるわけですから、逆に言えば、マーケットでは0.25%以下で運用するインセンティブがないわけです。付利金利をもっと下げることもありえた中で、0.25%としたことについて非常に興味深く思いました。』
ということで、これはゼロ金利ではありませんという説明ですが、量の方に関しても解説しています。
『それから、FRBのバランスシートは、仲介機能が大幅に毀損した様々な金融商品の買入れを行う中で、約2兆ドルまで膨らんできています。今回は、こうした政策の継続が改めて示されたものですが、かつて日本銀行が行ったように、中央銀行当座預金量にターゲットを設けて流動性を拡大していき、そのことを通じてマクロ的な景気刺激効果を狙うという手法はとられていないと思います。以上が今回FRBがとった措置についてです。』
かつての量的緩和ではないと。
・・・・・でですね、まあそりゃそうでして白川総裁の言う事もご尤もなのですけれども、金融政策って時間軸効果にあるように「期待に働きかける」というファクターが効果を発揮するわけでして、そーゆー論点からしますと、実際は大して実害のなさそうな事をしながらも見せ方を工夫して民間の期待形成を大きく変える事ができたらそりゃ丸儲けな話でしょと思うのですが。特に今般の金融ゲロゲロ状態ってデレバレッジのスパイラルみたいな面が強くって、萎縮した民間の信用ルートの回復にはマインドの転換も必要(物理的には資本の増強と損失の確定だが)になると思うのですよね。
と言うわけで、この後もそうなのですが、どうせやることに変わりはないのですから、もっと見せ方を工夫すべきであると思うのですよ、白川さんは。何かこの先の質疑応答でもそうなのですけれども、もうちょっと威勢の良い話をすりゃ良いと思うのですけどね。
もちろん、一から十までハッタリ政策だった場合に化けの皮が剥がれてきたら今度は政策そのものが効かなくなってきますという問題はありますけれどもね・・・・・
一応その続きの発言。
『今回、日本銀行は、無担保コールレートの誘導目標を0.1%に、それから当座預金の付利金利を0.1%にしたわけです。これは、大きく捉えればゼロに非常に近い数字になりますが、かつての量的緩和政策のもとで行ったゼロ金利というのは、徹底的に量を出し、その結果金利が徹底的にゼロに近づくことを追求したものであり、その意味での量的緩和なりゼロ金利政策というものは、今回は採用していません。』
そらまそうなんですけど・・・・・
○ということで微妙に威勢のよくない説明は続く
その次の質疑も誘い水だったと思うのですが・・・・・
『(問) 先行きに対する懸念が高まる中で、市場へ大量に資金を供給するわけですが、新たに当座預金目標を設定しないまでも、事実上の量的緩和政策ということではないのでしょうか。』
『(答) 自分の好みによって色々な定義ができますが、先程申し上げたように、従来日本で言われていた量的緩和政策というのは、当座預金の量にターゲットを定めこれを大幅に拡張することによって、この流動性がマクロ的な景気の刺激効果を生んでいくことを期待する政策です。当時、海外の学者が提案したのは、そのような意味での量的緩和政策でした。』
さよですな。
『今回、米国は、そのような量的緩和政策を採用していませんし、日本銀行も今回採用していません。ただ、これまで何度も申し上げているとおり、金融市場の安定を維持するとともに、企業金融の円滑化を図るために、流動性を積極的に供給していくことはもちろん続けています。しかし、これは金融市場の安定や個々の企業金融の安定を図っていく結果として当座預金残高が増えていくというものですから、少し意味合いが異なっていると思います。』
いやね、確かにそうなんですけれども、もうちょっと物には言い様というものがあると思うのですよ。もっと威勢の良い話をぶち上げても良いんじゃないかなあって思うのはあたくしだけでしょうか。質問だって威勢のよい答えが出てくるのを期待して行ったような感じを受けるのですが、なんちゅうかKY総裁だなあと。
○また市場機能・・・・(−−)
だからその話は止めなさいと思うのですが、何で0.1%にしたのかという質問に対して。
『(答) まず、どのメンバーも経済・金融の情勢について非常に厳しいという判断で一致しており、これは先程も申し上げたとおりです。そうした状況の下で金利面から景気の刺激効果を狙っていくことについては、その出発点の金利水準が0.3%ですから、おのずと低下余地は限られているわけです。その中で私どもが意識したことは、短期金融市場の市場機能を維持しておきたい、日本銀行の政策的な手段によって短期金融市場の機能が更に低下していくことは避けたい、ということです。その両者のギリギリのバランスの中で、0.1%という水準が適切であると判断しました。』
えーっとですね、景気が悪化したままで結果として経済活動は低迷するわ低金利は継続するわって事になったほうが短期(だけじゃないけど)金融市場の人たち涙目になるのでありまして、別にそんな所に気を使って頂かなくても結構なのですが。それよりとっとと景気が回復して政策金利を上げられるような状態になった方が助かりますけどねえ。
というか、この「市場機能」って変な言葉のせいでオペが妙に自然体になったりする弊害も出ている(直接的に関係があるかどうかは知らんけど、そう見えて仕方ない)ように思えまして、もういい加減このワード使わないで下さいと。
○CP買入あれこれ
CP買取に関しては幾つかの論点がありましたが、その点に関しての質疑があったので、その答えの方から引用します。
・政策としては重いよという話
『主要国で個別の信用リスクを取った政策というのは、私が記憶している限りでは日本銀行によるABS(資産担保債券)・ABCP(資産担保コマーシャル・ペーパー)の買入れ、あるいは金融政策ではありませんが、銀行保有株式の買入れと、今般のFRBの措置に限られると思います。欧米の金融資本市場の状況は日本に比べてより厳しいと思いますが、欧州の中央銀行はそこにはまだ踏み切っていないという状況です。そういう意味で、これは日本銀行にとって非常に重い決定でありますが、中央銀行としての主体的な判断として行った方が良いと考えたものであります。』
そもそも10月末の会合で決定していれば年末越えでああ大騒ぎにならずに済んだのではないかと思いますけどねえ。いやまあいいです。
・損失が出た場合の措置
『次に、政府との関係についてですが、CPを買入れるということは個別企業の信用リスクを負担するわけですから、結果として損失が生じる可能性は有り得るわけです。その場合には、最終的に国庫納付金が減少することになります。従って、こうした措置から生じ得る損失については、最終的に日本銀行としての会計処理や決算上の取扱いの面で、政府との関係も含めた検討が必要であるということで申し上げたものです。』
政府保証を付ける話をしないのは「どうせ統合政府だからそういう事は意味無い」と思っているのかなあと勝手に想像しました。
・中銀の財務の健全性とか通貨の信認とか
正直、このフレーズをあえて入れるのは消極的な印象を与えるのでどうかと思う。だいたいからして最近は通貨の信認が他通貨比ありすぎて困る(というのも変な話だが)という状態なんですし。
『中央銀行の財務の健全性という言葉を使うと、時として中央銀行が庭先を綺麗にしておきたいのではないかという意味合いで語られることがありますが、決してそういうことではありません。』
と言ってもそう取られやすいので使い方には注意が必要ではないかと思います。で次。
『どの国においてもそうですが、一国の中でお金を無制限に発行できる権能を与えられているのは中央銀行だけであります。そういう権能が中央銀行に付託されているわけです。その見合いにどのような資産を買うか、あるいは取得するかということは、いわば国民から預かっているお金をどのように運用するかという側面があると思います。運用という言葉は必ずしも適切ではありませんが、中央銀行は国民からの信認を受けてそうしたことをやっているわけです。もし財務の健全性に疑念が生じた場合は通貨への信認が失われます。もしロスが発生し、例えば中央銀行が財務的に政府に依存せざるを得ないと人々が思うと、金融政策の運営それ自体に対する信認が揺らぐ可能性や信認が低下する可能性があります。』
わかりやすく説明しようとして却って訳判らなくなってますし、中央銀行が財務的に政府に依存とか統合政府という意味で言えば依存もへったくれもないと思いますけれども。多分言いたいのは次の部分だと思います。
・FRBのCP買入に関して
『FRBも今般色々な措置を講じていますが、ほとんどいずれも色々な信用補完措置が取られています。新聞報道等では「FRBがCPを買入れた」ということだけが報道されていますが、同時にFRBは十分な信用補完措置を取っているということは比較的知られていない事実だと思います。それは財務の健全性ということが決して抽象的なものではなくて、非常に重要な考えであるということです。』
ということで、上段の部分は要するにこれを言いたかったと思うのですけれども、まあその辺りですけれども、これもまた見せ方の問題に帰着するわけでして、威勢の良い施策をやっているように見せてるけれども実は色々と安全弁入れていますよというのは別に言わずもがなであるという事ではないでしょうか。
・・・・・そのほかもあるのですが、長いのでちょっと今日はこの辺で。
○市場メモですけど
えーっと月曜ですけれども、CPの発行レートはさすがに低下。最上位もの2〜3か月で0.30%あたりまで低下してるので、スプレッドも縮小の巻。というか新しい企業金融オペだのを勘案したら下手したらもっと縮小するのかねという感じです。まあレートがやたら高かった一部業種でもレートは低下してますわな。誠に結構。
一方、GCレートが0.2%より上に行きやがりまして、0.23だの25だのというようなのですけれども、何せスポネの国債買現先3兆円のオファーに対して6兆円の応札があるような状況なのに、月曜は何故かトムやスポットスタートの現先も共通担保も打たれずというケチ臭いオペ。わけのわからん末初オペが実施されましたが。
そもそもですな、GC(やコール)が先週思いっきり低下したのは、資金が大量に余っているからというよりは、積み進捗を遅らせようという動きがあって(利下げ後に積んだ方がオイシイから)資金の取り意欲が落ちた要因もある訳でして、利下げになったのですから遅らせていた積み進捗を戻す動きも出るとニーズって増えるでしょと思うのですけれども、何でまたオペを出し渋るのやら。まったく意味判らん。どうせ付利0.1%なのですから、ケチなこといわずにバンバン供給するべきではないでしょうか。
・・・まさか「年末対策だから末初オペを実施しました」とかいう理屈なんでしょうか。あのその末初のオーバーナイトなんぞ1週間以上前にオペ打たれてもそんな準備してないですって。わざわざ要らないオペ打つ理由がよく判らん。また変なアリバイオペとかだと、ちょっと勘弁して欲しいもんです。
ま、今日のオペは何気に注目しておきます。今日も年末越え出し渋りとかしてたら、10月以降の繰り返しになりかねませんけどねえ・・・・・・
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2008/12/22
お題「決定会合結果あれこれ」
19℃の南風で枯れ葉が落ちるというのは何ともシュールですが、まあ経済も気象も訳判らんということで。
ということで今回の決定事項はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081219.pdf
・景気判断とかリスク要因とか下げまくり
・コール誘導目標0.1%に引き下げ、付利金利0.1%とロンバート0.3%
・CP買取の実施を決定
・輪番増額(月2000億円増額)
・輪番の対象拡大(30年国債、物価連動国債、変動利付国債)とゾーニング決定
・政策投資銀行のCP買取への資金繰り支援決定
・CP以外の企業金融モノの買取検討
という所で、まあ市場的には満額回答以上の結果でした。なお、あたくしが自信満々に「やる」と予想していた適格担保の緩和は実施されませんでした。外してどうもすいませんm(__)m
○コールレート誘導目標と付利金利が一緒に(^^)
利下げに反対したのは野田委員(この前の利下げでは0.3%の執行部案に賛成してました)で、総裁会見のヘッドラインを読みますと利下げそのものに反対ということで、反対理由は良く判りませんけど、この前下げたばっかでございますがという事なのでしょう。
で、付利金利の0.1%に反対したのは水野さんですが、これはまあ勝手な想像をすると付利撤廃して通常の調節を実施する中でコールレートが0%まで下がっても良いじゃないのという意見なんジャマイカと思われます。
まー今回の決定ですけれども、これによってコールレートの下限が付利金利くらいになる(テクニカルには付利金利と関係ない出し手と取りサイドの都合でちょっとだけ下の可能性もあるけど限界的な話かと)ので、今度こそオペはジャンジャン打ち込めるというものです(というか既に打ち込んでますが^^)。それから売出手形で引く必要が無くなりましたので、まあ売手で鞘抜きの小商いしてた人残念無念という感じですか(^^)。
そんな訳で、とりあえずジャンジャン供給してもディレクティブ違反にはなりそうもないということで、見かけ上のマネーはジャンジャン増えるでしょうから、マネー増やせという人もニッコリですかね、単に信用乗数がアホほど低下するだけの話ではございますが。「金利つきの量的緩和」っていうのに何か意味あるのかよという話(つーかそれってインチキ量的緩和でしょ)は死ぬほどございますが、まあこれで円売り介入の不胎化しなくてもよいですし政府日銀どっちもニッコリということですか(本当か?)。FRBの付利はFFレートの下限になっていない(どころか預金と貸付のファシリティのバンドが誘導目標の外側になる時点でもうカオスなのですが)のですが、日本の場合はそんなに下にぶち抜けるという事もないでしょう(追加利下げ観測が出た場合は別)。
ちなみに、これって一番の涙目は短資会社でして、コールに0.10%で放出しても手数料持っていかれます(しかも多分1bp+消費税だと思うのだが)し、日銀ネット稼動料金も掛かりますし、管理の手間も掛かりますなあとか考えると、普通に当座預金に積み上げて居た方が良いという人が続出すると、無担保コール取引はまさしく当日の限界的な部分と無担保の限界的な人の参加する市場になるんでしょうなあという感じです。
なお、一番ホッとしているのは調節担当の中の人かもしれませんが、この制度建てつけだと調節は適当にドバドバ供給しておけば良いという話になりますので、長期化すると調節能力の低下が発生しそうな悪寒(笑)。まあ当座預金付利も一応時限措置ですからね。
ということで、このパターンだと基本的にコールの下限は0.1%と理解しておけばよく、年末越えで資金を出している状態ですからそうそうコールが上昇することもなかろうと思料されます。その中でGCレートがいくらになるかという話ですが、第一勘では0.15%がセンターで上か下かが微妙だけど多分上。FB3か月は0.20%がセンターかなあ。ロンバートが何気に0.25%じゃなくて0.3%なのがちょっとだけチャーミングなのですよね。
・・・・で、こういう結構な結果でも悪態をとりあえずつくのがあたくしクオリティなのれすが、えーっとこの「誘導目標=付利金利」っていうのは前回の利下げで付利設定と市場機能とやらに拘ってわざわざ0.30%にした時の無理矢理ロジックはどこの彼方に旅立ったのでございましょうかと白川総裁を小一時間問い詰めたいものです。下限金利設定で市場機能思いっきり封殺してるじゃん。
まあ付利先にありきで訳の判らん理屈を持ち出してオペレーションを混乱させてしまった「市場機能」というアホアホテクニカルタームがこれで引っ込んでくれたのは誠に結構なことでございます(^^)。
○CP買取の決定
利下げとCP両方やってくれるとは中々結構。上記URLの中だと別紙の『金融調節手段に係る追加措置について』という所になりますけれども。
『(2)CP買入れを含めた企業金融面での追加措置の導入・検討
今後、年度末に向けて企業金融が一段と厳しさを増すおそれがあることを踏まえ、時限的に、CPの買入れ(買切り方式)を実施することとする。それとともに、企業金融に係るその他の金融商品についても対応を検討することとし、それらの検討結果をできるだけ速やかに金融政策決定会合に報告するよう、議長から執行部に対し指示した。』
CP買入を実施(時限的措置ですけど)する上にプラスアルファの話もあるとはこれはまたという感じですが、CP買入に関してもまあ今回の他の措置も含めまして、社債でも買うんかいという気はしますが、社債は別に企業の資金繰り支援とは話が別問題でして、短期資金が回らなくて黒字倒産というのは政策的に何とかする必要があると思いますが、財務内容がアレのため社債発行できないという企業まで支援するこたあねえと思いますがね。
ま、今回の措置って(あとでも申し上げますが)割と地味目だけど有効な施策というのがちょこちょこ入っていまして、そーゆー玄人受けする内容が入っているという所からすると、今回のCP買入スキームは有効に機能しそうな期待はございます。有効に機能ってのは、単に超優良企業発行のCP金利を下げる結果に終わるのではなく、必要な所に回るようなスキームになるということね。
『これらの措置は、結果的に個別企業の信用リスクを負担することになるものであり、中央銀行としては異例の対応となる。この点を踏まえ、議長からは、中央銀行としてどの範囲でどの程度の期間行うことが必要かつ適当か、また、中央銀行の財務の健全性と通貨に対する信認を確保するために、政府との関係も含めどのような対応が必要か、といった点からの検討を求めた。』
買い取ったCPに政府保証付けるのかな。まあ統合政府と言う意味ではどうでも良いじゃんとは思いますが、CP買取って要するに企業への直接融資と本質的にはあまり変わらんという事ですから(FRBがやってるのはどちらかというと昔のABCP買取に近く、日銀のやってるほうがモロ出しスキームです)、そりゃ財政政策よという理屈も成り立つの巻ですから。
○輪番の拡大とかゾーニングとか増額とか
これは正直嬉しいサプライズでした。で、最初の部分も何気に読み飛ばしてはいけない表現が少々。
『1.長期国債の買入れに係る措置
短期の資金供給オペレーションの負担を軽減するため、長めの資金供給となる長期国債の買入れを増額することとし、併せて買入対象国債の追加を行う。』
ここの部分も読んでて「ほほー」と思ったのですけれども、長期国債買入(輪番)は従来「成長通貨の供給」という名目だったと思うのですが、今回の公表文には「短期の資金供給オペレーションの負担軽減」「長めの資金供給」という表現になっておりまして、長期国債買入も資金供給オペの一環ですよという書き方になりました。いやまあ実態面を踏まえるとそれはその通りなのですが、このロジック構成にすることによって輪番の増減(特に減)をする時の説明ロジックが楽になりますなあと(調節技術上の問題ですから)。
一方でFRBはクーポンパスという長期国債買入の短期オペレーションが存在するのにも関わらず勿体付けて「長期国債買入の実施を検討」とか言ってるのと比較しますと中々味わいの深いものを感じます(^^)。以下続きます。
『(1)長期国債買入れの増額
これまで年14.4 兆円(月1.2 兆円)ペースで行ってきた長期国債の買入れを、年16.8
兆円(月1.4 兆円)ペースに増額する(当月より実施)。』
当月より実施ってことは今月輪番増えるのですね。こりゃラッキー。その後は増額分が変国物国に化けるとは思いますが。
『(2)買入対象国債の追加、残存期間別買入れの実施
買入対象国債に、30 年債、変動利付国債および物価連動国債を追加する。また、買入国債の残存期間が極端に短期化あるいは長期化することを避けるため、残存期間別の買入れ方式(残存1年以下、1年超から10
年以下、10年超区分)を導入する。これらの措置については、実務的な検討を行い、できるだけ速やかに成案を得るよう、議長から執行部に対し指示した。』
追加銘柄に関しては業者も投資家も歓喜。特に変動利付と物価連動のお助けオペ実施はサンタさんありがとうと大歓喜という感じですが、この2つに関しては利回り競争入札が馴染まないので、変動と物価連動に関しては価格競争入札になって、各1000億だか500億円づつとかになるんですかね(1000億じゃ多いかな)。
ゾーニングに関しては地味ながらとても有効な施策でして、従来より指摘しておりますように、輪番オペが償還まで1年以内の中長期国債の成れの果てのゴミ箱状態になっていたので、残存期間別の入札を行うことによって、きちんと長期なり超長期なりの債券が打ち込みやすくなる(1年超からって所はちょっと微妙ですけれどもまあよかろう)という点で玄人受けする話ですわな。
○政策投資銀行をCP現先オペ対象に
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0812d.pdf
「株式会社日本政策投資銀行との金融市場調節に係る諸取引の取扱いに関する特則」の制定等について
公表文の一部を引用しようと思ったらそもそも一文でした(^^)。
『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、最近の企業金融情勢を踏まえ、適切な金融調節の実施を通じて、金融市場の安定確保を図るとともに、企業金融の円滑化に資する観点から、株式会社日本政策投資銀行が、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号)第2条第5号に定める危機対応業務またはこれに関連する業務として実施するコマーシャル・ペーパーの買取業務を支援するための時限措置として、「株式会社日本政策投資銀行との金融市場調節に係る諸取引の取扱いに関する特則」を別紙のとおり制定することを決定しましたので、お知らせします。』
頼むからどっかで文を切って欲しかったのですが(苦笑)、まあそれはそれとしまして、今回は政策投資銀行のCP買入の資金繰りをつけますよと(現先方式ですが購入CPは政府保証してますね)いうことでちゃんと明言したのは政府日銀の連携という見せ方として結構と。
○景気判断とかリスク要因とか下げまくり
例によって前回と比較。
・景気判断
『わが国の経済情勢をみると、海外経済の減速により輸出が減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。金融環境をみると、全体として厳しい方向に急速に変化している。これらを背景に、わが国の景気は悪化しており、当面、厳しさを増す可能性が高い。』(今回)
『わが国の景気は、既往のエネルギー・原材料価格高の影響や輸出の減少などから停滞色が強まっており、当面、こうした状態が続く可能性が高い。』(11月)
景気停滞から悪化更に悪化方向と思いっきり判断下げてますわな。これで利下げしなかったらウソという話になりますのでそらそうよという感じで。
・物価
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もと+2%程度となっているが、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、低下していくと予想される。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もと+2%台半ばとなっているが、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、低下していくと予想される。』(11月)
思いっきり同文ですね(^^)。
・先行き見通し
『経済・物価の先行きについては、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく、との見通しに関する不確実性は高く、世界経済の減速や国際金融資本市場の動揺を踏まえると、わが国経済の回復に向けた条件が整うには、相応の時間を要するとみられる。』(今回)
『先行きについては、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高いと判断される。ただし、こうした見通しに関する不確実性は高く、世界経済の減速や国際金融資本市場の動揺を踏まえると、回復への条件が整うには、相応の時間を要するとみられる。』(11月)
こっちは不確実性は高いとなりました。
・リスク要因
『リスク要因をみると、米欧の金融情勢や世界経済の動向次第では、わが国の景気が更に下振れるリスクがあることに注意する必要がある。また、金融機関の貸出姿勢や社債・CP市場の動向など金融環境が一層厳しさを増す場合には、金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性がある。』(今回)
ここまでは前回と同文なので前回分割愛。
『物価面では、景気の下振れリスクが顕在化した場合や国際商品市況が更に下落した場合には、物価上昇率が一段と低下する可能性もある。』(今回)
『物価面では、上振れリスクは以前と比べ小さくなっている一方、景気の下振れリスクが顕在化した場合や国際商品市況が更に下落した場合には、物価上昇率が一段と低下する可能性もある。』(11月)
ということで物価の上振れの話もすっかりなくなりまして、リスクは完全に下方向のみになりましたとさ、ちーん。
・・・・ということで、景気に関しても当然ながら下げましたねというお話でした。
○雑感
ということで、今回の措置は「地味ながらも有効性の高い」ものが入っていたりするのでございまして、「見た目派手だけど・・・」というなんちゃって施策とは違いますねというのが好感されるところでございます。
一方で残念なのは総裁会見(詳しくは会見要旨出てからフォローしますが)でして、折角こういう施策を出したのですから、こういうときこそどこぞの福井の俊ちゃんみたいにインチキハッタリパワーを発揮して「もう大変な画期的な施策ですよ凄いですよ日銀バンバンやりましたよ」ってアピールすりゃ良いと思うのですが(ど〜せやるという事実に変わりは無いのですから)、ヘッドラインを見るとどうもイマイチ感が。だから土曜に見た東京新聞とかでは「日銀”出し渋り”」とか書かれる訳で。
どうせやるんだから気持ちよく威勢の良い事言って景気付けりゃ良いのに、会見でミソつけるとか白川さんちょっとなんだかねえという感じであります。会見要旨関連は後日。
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2008/12/19
お題「さて決定会合ですが」
今日は雑談というかあたくしの脳味噌整理メモで申し訳ありません。
○今回は予想のオプション大杉(><;
えーっとまあそういうことで決定会合なのですが、今回につきましては方向性は判るのですが、その中身がどうなるのかさっぱり判らんという状態であります。で、ま〜現実的なお話をしますと、予想当てるよりも「市場が今どこまで織り込んでいるのか」を考察する方があたくし的には重要でございますので(と予想放棄の言い訳^^)、まあその辺を勘案してつらつら考えるのでありまする。
・金利水準
準備預金付利金利、ロンバート金利とセットで考えることになるのですが、世の中の予想はターゲット金利が「10bp」、「15bp」、「10−30bp」という所でしょうか。一応は穴でなお書き修正で低め誘導(最初はそう思ってました)というのも無くはなさそうですけれども、ちょっと情勢的に「金利下げました」っていうのをアピールするような施策を打ち込む必要がありそうですので厳しいかなあ。
んじゃ市場の織込み度合いってどうよという話ですが、無担保コール的には何らかの利下げを全力で織り込みに行った結果として積み進捗が遅れるのにコールレートは低いという楽しい状態(まあここはどうでもよいのですが^^)。TB/FBに関しては昨日の3MFB入札やら2年国債入札やらはそれほど大盛り上がりという訳にも参らずで昨日の引け時点と似たような感じとなりましたということで、まあさすがに現実に利下げが行われないとこれ以上は反応しにくいのかなという感じ。
GCはまあ0.31とかそんなもんで、さすがにこれも現実の利下げが無いと下がりようが無い水準ですから3MFBのレートが0.35%あたりに居るのはこんなもんとして、ではCPレートはどうよとなると、流動性対策次第の部分があるのでこれまたヤヤコシイ。
ま、昨日の時点で市場的には「何か利下げするでしょ」という感じになっていますので、ただのなお書き修正だと実質ゼロ回答になるんじゃねえのかなと、ナムナム。
で、その水準ですけれども、出来上がり10bpという予想が結構多くて、15bpという予想がそれに続き、10bp〜30bpというバンドの予想もございますというところ。
FBやらGCのレートとかどうなるのよと考えた場合、ターゲット水準も大事ですけれども、ロンバート幾らくらいになるのかも気になる所でございまして、基本的にはロンバートと誘導目標の差が小さくなると思われますので、どっちかというとロンバートに近い所にGCが振れやすくなるのかなあと何となく思います(もちろん調節次第の面はありますけれども)。例外があるとすれば準備預金付利10bpの誘導目標10bpのときですかねえ(それでコールが出合うのか知らんが^^)。
10〜30bpとかいうバンドになった場合が一番難易度が高いかなと思います。この時は思いっきり調節次第になってしまいますので、レート形成がある意味「市場機能(笑)」状態になるのですが、それは足元金利が安定しなくなる危険性があり、その場合タームの金利が全然安定しなくなって勘弁という事になる悪寒がします。
・流動性対策
たぶんこれはやるでしょうというのは「適格担保の緩和」ですけれども、それ以外がどうなるのよというお話。ちなみに適格担保の緩和でウケを取るのなら「上場株式の適格担保化」と「BB銘柄を場合によっては適格担保に含める事も」って辺りになるのかなと思います。
まー今回は「企業金融環境の緩和を支援」という名分がつくものを打ち込んでくるでしょうと思われますが、CP買入をするかというと予想としてはちと微妙。「検討指示」でお茶を濁す事になって、買ったCPに政府保証付けてくれとかいう交渉になるのではないかと予想。
でも市場としてはユーロ円金先が結構買われてしまい(レートは低下)まして、TIBORが想定利下げ幅よりも低下するというような所を織り込みに行ってますからCP買入がゼロ回答だとちょっと失望売りになるのかもしれませんね、よー知らんが。
輪番増額は実際問題としてはど〜でもよいのですが、利下げするのであれば輪番増額は無さそうな感じ。だいたいからして政府要人の発言とかも流動性対策が最初で次が利下げって感じなので、輪番は今回はネタから外れた感がします。まあ増額しても短期債が打ち込まれるだけなので現実問題としてはあまり影響無いのですが(^^)。
それから、ここの所CPレートが高格付けのものを中心にドカンと低下した(そうじゃないのは低下度合いイマイチ)のですが、これは日銀のCP買取を見越しているというよりは、昨日報道されてましたが日本政策投資銀行のCP買入具体化を見越した動きのような気もするのですが、一部の大手CPディーラーさんのポジション繰りのような気もするのでさっぱり判らん。
・ということで組み合わせとしては
市場の期待最大値からゼロ回答という並べ方するとこんな感じかと。
1.利下げ+担保緩和とCP買入
2.利下げ+担保緩和
3.なお書き修正+担保緩和とCP買入
4.金利いじらず担保緩和とCP買入
5.なお書き修正+担保緩和
6.金利いじらず担保緩和
で、この2と3のどっちがどっちなのかというと極めて微妙でありまして、CP買入の方がオープン市場的には思いっきり効く(内容次第の面はありますが)のですけれども、何か今回は利下げでお茶を濁すのではないかという悪寒が致します。それからまあ4番以下というのはさすがに無いとおもいますけど・・・・・・・
1が満額回答で、これだと結構好感すると思いますが、長いところでの期待は2番くらいと思われます。短期市場の期待は1と2の間くらいなのではなかろうかと。
・・・・と、つらつら書きましたが、外した場合謝罪はしますが賠償はしません(^^)。
・ところで準備預金付利どうするの??
しかしまあ何ですな、準備預金の付利なんですけど見事に残念な状態になっている所が実に味わい深い。制度を作った時には3月積み期間(=4月15日まで)の措置ということで「誘導目標金利−20bp」という金利を設定して「4月15日までは利下げしないもんね♪」って言外に主張でもしたかのような内容になっていましたが、1か月しか持たない状態になってきたのは誠に香ばしいことであります。
今回の決定会合では、FRBみたいに誘導目標金利をバンドにするという予想もあるのですが、バンドにした場合は早速準備預金付利の制度内容を手直しすることになりますし(^^)、まあそもそも利下げが10bp以上になると「誘導目標金利−20bp」がゼロになってしまうので、これまた準備預金付利が死亡の巻(^^)、死なないためには制度内容の手直しということで、もう涙がちょちょ切れてしまいますな。
昨日悪態つきましたけど、付利の為に利下げ幅を20bpとかいう変な数値にして「米国との政策金利逆転」になっちゃうわ、早速利下げに追い込まれて付利制度崩壊が見えてくるわという大変に素晴らしい「ふぉわーどるっきんぐ」になってしまいました本制度。ま、要するに利下げに付利をセットしたのは間違いでしたという事以外の何物でもありませんでしたねということです。
#と言うわけで、あたくしの整理できていない頭の整理メモで申し訳ございませんでした。
ところで、本石町日記さんのこのエントリーは笑ってしまいました(^^)。何と言うギャグ。
http://hongokucho.exblog.jp/10054271/
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2008/12/18
○よくよく見ると「現状追認」と「検討指示」ではありますが・・・・
昨日はとりあえず寝起きで慌ててFOMCステートメントを読んだので、ふ〜んと思いながらも読んでおりました(というか手抜き引用^^)をしましたが、その後読み直してつらつら考えてみると「今回のキモは今まで覆面政策転換だったのを明言した」という所に尽きるのではないかと思います。量的緩和ってナンジャソリャという感じでして、その辺りは本石町日記さんも解説してますのでご覧あれ。
http://hongokucho.exblog.jp/10049541/
ステートメントは昨日ダラダラ引用したので再掲はしませんけど、まあ文章順に並べると。
・FFレートを誘導レンジ型にして0.00%−0.25%
そもそもFFが低下してて現状追認。「FFゼロ金利」ってのはとっくの昔に達成してまして、「ゼロ金利政策」といわれますと「はあそうですか」という感じなのですが、よくよく見ると預金ファシリティと貸付ファシリティの金利バンドが0.25%−0.50%になっていますので、じゃあ預金ファシリティって何のために存在するのよという話ですが。
単にFFと無担保コールの実際のレートという意味で言えば日米金利差がどうのこうのとか言われましても「まあとうの昔に並んだり逆転したりしていますが」という話なんですが、政策金利としてアナウンスしている数字という所に意味があるという事ですね、実際はコントロール不能になっているFF金利の現状追認であっても、ちゃんと明言するというのが重要ということで見せ方が実にきちんとしていますなあ。
しかし話は逸れますが、こうなってみると0.25%にしておけばバンドの上限は「逆転」になっていなかった訳でして、わざわざ付利だの市場機能とやらに拘って0.3%にした日銀執行部(というか白川総裁)テラアホスという所でしょうな。ちーん。
・連銀のバランスシート拡大も辞さず
まあよくよく考えますと今の調子でオペレーションやっていけばバランス拡大するのは当たり前なので辞さずもへったくれもなし。ただまあこれもやはりこのようにコミットメントする事によって、現在のTAFを始めとする色々な資産購入オペレーションの継続にコミットするという所がキモなんでしょうな。
んでもって具体的に何をどうするという話は既に「検討します」という話の蒸し返しと現状のオペレーションを必要あれば拡大しますって話で、検討するというのはそのままですし、現状のオペレーション強化というのは景気認識からするとそうなるのでしょうということですわな。
まあ政府保証をつけたり、最終的には実は銀行にケツを持たせるような安全弁をつけながら連銀のバランスシートを拡大という路線(よくよく施策を読んでいると連銀が最終的にケツを持つという話にあんまりなっていないのですよね)が継続されますよというコミットメントをしたんでしょうな。
・長期国債の買入
ここの所この話がクローズアップされている訳ですが、もともとFRBには長期国債買入の公開市場操作というのは「クーポンパス」という名前で大昔から存在しておりまして、クーポンパスをジャンジャン打てば別に今からでも長期国債の大量買入ってできる筈なんですが、何でわざざもったいをつけるのか正直良く判らん(というか判るのですが^^)。
まあこれも見せ方って所でしょうな(^^)。
・アナウンスすることに意義があるのですな
ま、そーゆーことでして、今回の声明は今まで何となくゼロ金利になったり何となく連銀のバランスシートが拡大していたことを悪く言えば現状追認ですけれども、ちゃんと総括してアナウンスする事によって、市場というよりは世間様に対して政策のコミットメントを行ったというのが実は今回の声明文のキモなのではないかと思いました。
そういう意味では、やはり見せ方が非常に良く工夫された今回のFOMC声明でありまして、意地悪な見方をすればただの現状追認なのですけれども、こういう見せ方でアナウンスメント効果をどどーんと出すというのは大事な話でしょうな。一方で白川総裁は何ちゅうかこういう時は良い意味でのハッタリが効かない人みたいで、どうも全然ダメダメ感が漂うのであります。こういう非常時に必要とされるのは、福井総裁(小泉首相もそうですが^^)のインチキ力(りょく)でありまして、まあ武藤総裁だったらもうちょっと(対政府もそうですけれども)巧く立ち回っていたんじゃねえのと思うと残念感が否めません。
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2008/12/17
○FOMCステートメントを引用という手抜き攻撃
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081216b.htm
『The Federal Open Market Committee decided today to establish a target
range for the federal funds rate of 0 to 1/4 percent.』
ということでFFレートを誘導レンジ型にしましたと。実際問題としてはFFレートはTAFだの何だのを突っ込みまくった辺りからFFレートはコントロールできてなくてゼロ近傍に低下してたので、事実上の政策転換状態になっていたのを明言化という所で誠に結構。
『Since the Committee's last meeting, labor market conditions have deteriorated,
and the available data indicate that consumer spending, business investment,
and industrial production have declined. Financial markets remain quite
strained and credit conditions tight. Overall, the outlook for economic
activity has weakened further.』
これはまた厳しい経済認識ですな。
『Meanwhile, inflationary pressures have diminished appreciably. In light
of the declines in the prices of energy and other commodities and the weaker
prospects for economic activity, the Committee expects inflation to moderate
further in coming quarters.』
インフレリスクは消滅ですかそうですか、というかデフレ懸念を意識してるんですね。
『The Federal Reserve will employ all available tools to promote the resumption
of sustainable economic growth and to preserve price stability. In particular,
the Committee anticipates that weak economic conditions are likely to warrant
exceptionally low levels of the federal funds rate for some time.』
Committee anticipates以下の文章って時間軸っぽいのですが、for some timeっていうのが時間軸というのかというとこれは謎。あまりコミットした格好にはなっていないと思うのですが、次のパラグラフで連銀バランスシート使いますよとな。長いから適宜分割。
『The focus of the Committee's policy going forward will be to support
the functioning of financial markets and stimulate the economy through
open market operations and other measures that sustain the size of the
Federal Reserve's balance sheet at a high level.』
金融市場安定やら経済の刺激などの為に公開市場操作を通じて連銀のバランスシート拡大も辞さずと仰せです。
そりゃまあ米国様におかれましてはレバレッジ掛けまくり〜のでやってきた経済が物凄い勢いで巻戻ししているのですから、政府部門が巻戻し中のレバレッジを受けないと支えられませんねってお話になるんでしょう。
『As previously announced, over the next few quarters the Federal Reserve
will purchase large quantities of agency debt and mortgage-backed securities
to provide support to the mortgage and housing markets, and it stands ready
to expand its purchases of agency debt and mortgage-backed securities as
conditions warrant.』
これは今までやってた政策の強化をしますって話ですか。
『The Committee is also evaluating the potential benefits of purchasing
longer-term Treasury securities.』
長期国債引受のメリットについても検討とな。これ引受なのか市中買取なのか普段細かく言動見てるわけじゃないから良く判らんが。
『Early next year, the Federal Reserve will also implement the Term Asset-Backed
Securities Loan Facility to facilitate the extension of credit to households
and small businesses.』
中小企業や家計のサポートもしますとな。
『The Federal Reserve will continue to consider ways of using its balance
sheet to further support credit markets and economic activity.』
ということで、またまたFRBのバランスシートを使いますよって話をしております。
えーっと、総じて申し上げますと「バーナンキ先生吹っ切れましたな」という感じですけれども、これって金融なんちゃら法案やらビック3の法案などで散々やらかしてくれた議会のテイタラクを見ますと致し方なしという判断に至ったのではないかとも思われます。ただまあ国会報告ネタのところで申し上げます(というか人のふんどし)が、何だかんだと財政サポート入れながらのバランスシート拡大である事には留意が必要ではございますけど(中央銀行も政府も一緒くたでしょというのはございますけどね)。
政府と議会がイカレポンチ状態になっているのでFRBご登場という感じですが、まあこれはこれで諸刃の剣みたいな所はあるざんしょという気がしますですよ。
○利下げの話が多くなるんでしょうが
だいたいからして短期金融市場ってのはマニア的な世界であるのは否めなく、短期市場の話になると、他市場の皆様が思いっきり斜め上な解釈をかまして変な反応をされてしまい、マニア世界の人たちポカーンっていう動きが多い(特に為替市場の人)のですよね。
で、まあ米国の利下げを受けて利下げしろという話が多くなるのでしょう(昨日は公明党の太田代表が利下げしろと発言してましたね)と思いますが、常々申し上げておりますように、日本の現状における問題は「資金の巡りが目詰まりを起こしている」という所にある訳ですな。即ち、政策金利を0.5%から0.3%に引き下げを行ったにも関わらずCP発行レートだのTIBOR円レートなどが低下するどころか上昇しているのが問題なのでありまして、その辺を放置プレイしたままで利下げしても効果の波及が無担保コールやら短期国債のあたりで留まってしまうだけの話。
#今朝のモーサテのコメンテーターはその辺ちゃんと押さえたコメントでした
と言うわけで利下げは別にやってもやらなくても結構なのですが、それよりもオープン市場の年末越えだの年度末越えのレート(年末はとりあえず何とでもなりそうですけれども年度末越えですよ)が下がり、資金が必要な所に回るような政策を打っていただく方が重要なんですよね。逆に言うと「利下げでお茶を濁されても困る」というくらいなんですけど、為替市場が動いてやがるので利下げしろ攻撃が高まるのは困るんですよね、利下げでお茶を濁されておしまいにされそうだから・・・・(苦笑)。
というわけで半期報告。
○参議院での半期報告その他
でも人のふんどしだったりします(汗)。毎度お馴染み本石町日記先生から。
http://hongokucho.exblog.jp/10045676/
ここの論点は重要なのですが、惜しくもベンダーのヘッドラインやら報道内容には無かった点なので引用させていただきとう存じます。
『果敢な流動性対応でB/Sが急膨張するFRBが実はリスク遮断に関して政府のバックアップなどがあることや、CP買いきりでもトリプルAに限定していることなどの解説が良かった。これは総裁も言うようにもっと報じられるべき。ドルの信認を維持するためにも必要。わが国財務省も国難の時期なので日銀が突っ込むときのバックアップ体制が必要ではないか。日銀は梯子外されたくないのですよ。』
先般政策投資銀行のCP購入構想が報道された時に「買い取ったCPへの政府保証」というのがありましたが、まあ日銀がCP買う時にも政府保証つけられるのであればその方が良いですわなと存じます(が、何か法整備が必要っぽいので難しいですかね)。
まあそれはそれとして答弁のヘッドライン見ただけの印象としては、「全てのオプションを排除しません」というのは判りましたが、CP買取などの民間信用取りに行く話はあまり積極的じゃないなあという感じを受けましたがどうでございましょうかねえ。
まあ昨日の答弁を受けて債券市場などでは短い所が盛り上がりまして2年0.505%だの1年TB0.425%だのいい感じになってますし、CP買入がどうのこうのという報道もあったりした影響もあるのかCPレートがやや低下してたのは結構なお話ではございました。
・・・・・ということで、またまた市場が期待値を上げに行っておりまして、今朝のFOMC結果を受けまして益々期待値上昇の巻となりそうですので、さて日銀は何をやるのでしょうかというのはあまり決め打ちせずに結果見て考えるしかないかなと思います。
適格担保の範囲拡大はまあ間違いなく実施なのでしょうけれども、どの範囲まで行くのかなあと。BB格を保有している銘柄とか、上場株式とか(勿論強烈にヘアカットするのでしょうが)、地方公共団体向けの貸付債権とか。金利方面に行くのであればなお書き修正するのかこの際ヤケクソで利下げするのか。CP買取やら輪番増額などの方面が今の時点では重要だと思うのですが、そっちに方向性を出してくれるのか。
ま、どうなったらどうなるというのだけ良く考えておきますわという所で。
○その他少々メモ
時間が無いのであたくし向けの備忘メモ。
・政治からの発言多過ぎ
センスねえなあと思いますが、政治圧力というよりは内閣支持率低下で何でもかんでも「ワシが育てた」にしたい焦りが出ている発言に見えてきますね。言い方良くないからヘッドラインで結構無茶な発言っぽく書かれている(よくよく見るとそういう話ではないみたいなのですが)のはどうかと思います。
・タームのツイストオペ実施
やっとやったかと思いますが、どうせやるなら即日スタートで22日に落とす(余剰日に売手のエンドを持ってくるという発想は無いと思いますが)方が札を入れやすいと思うのですけれども。
・FB入札が2本ありますが
まあこの地合いだと大丈夫でしょう。明日の4月エンドはちょっとアレですけれども。
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2008/12/16
○PD懇談会雑感
先週末の国債市場特別参加者懇談会ですが。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c201212.htm
基本的なお題は来年度の増発に向けてどの年限を増やしますかという話ですけれども、毎度のテーマの物価連動国債と15年変動利付国債の部分は泣けますなあ。で、泣きながら読んでいたら超珍しく論議の途中に『当局からは以下のように回答した』って部分があるから「???」と思って質疑を読んでみました。
『(前半部分割愛)買入額(引用者追記:物価連動国債の買入消却です)については21年度も現在の金額を継続するとともに、入札回数を増やしていただきたい。また、価格が急落しているような状況では、事前に買入消却の日程をアナウンスするという緊急対策も考えられないか。』
・・・・・・・はて???
『(当局からは以下のように回答した)
・買入消却については、前日に発表される各銘柄ごとの売買参考統計値を基準価格として入札を実施しているため、事前に日程をアナウンスした場合には、入札の公正性が損なわれるおそれがあると考えている。』
これは当局の回答がどう見ても正しい。そりゃまあ要望するのはタダですけれども、あのその一応この場って国債市場特別参加者という立場で議論するのですから、てめえ勝手の超越ポジショントークは程々にした方が良いのではないかと思います(というか参加者としての資質に疑問符が・・・)けれども。
という悪態はさておいて、マーケット的にはこういう話なんでしょうかねえ。先週前半ボコボコになったと思ったら買入消却の前後から今度は急に息を吹き返しとか動きが一方通行にも程があります。
『物価連動債のマーケットの動きは、積極的に投資するというスタンスというよりは、ポジション調整、あるいは売らなければならないものを売るという状況ではないか。今の時点ではこれが来年改善するとは考えにくい。したがって、買入消却については、1〜3月は現行のまま対応し、21年度については、新規発行額の問題も考慮し、15年変動債と合わせてそれぞれ1,500億円程度としてはどうか。また、一つの考え方として、札割れ等も発生する可能性もあると思うが、前倒債を取り崩し、物価連動債の買入消却を2,000億円程度とし、状況を見ながら上期に多めに配分して様子を見る方法もあるのではないか。』
まあ海外投資家のデレバレッジの影響がモロに出た商品だと思いますので、ここが復活するには今の状況だと海外投資家のリスク許容度復活が求められるという話になるんでしょう。でも、このあたりの意見読んでるとなお泣けます。
『物価連動債については、70円、80円台という価格自体がかなり異常値であると思うが、そういう状況では買入消却入札で前日から4〜5円高い価格での落札は、ある意味やむなしという印象である。問題としては、物価連動債は海外投資家の保有比率が非常に高く、その海外投資家が大きな損失を被ったことで、日本の国債の対外的なイメージを落としてしまったことがあげられる。こうした状況を改善させるためにも、価格を早急に回復させる必要性があるのではないか。(以下割愛)』
・・・・・・これはまあ泣ける意見で。
国債市場全般に関する意見も「ほほー」と思うのでしたが、引用してるとキリが無いので割愛。市場が一方通行ですねというのと、流動性がどうにもこうにも(債券先物3月限の昨日の建玉4兆円そこそことか勘弁して欲しいですな)というのは皆さんが指摘してますね。
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2008/12/15
○金融政策関連で何を出してくるのか
今日は短観で木曜金曜が決定会合でその間にFOMCとECBの決定会合があるということで今週はオイソガシヤの展開となりますが、まあ金曜の市場で円高だの株安だのの壮絶なのをやってくれましたので、悪いであろう短観を受けて日銀も何もしないっちゅう訳にも行かないでしょう。ということでつらつら考えながら何となく整理してみるとこんな感じかな。
・ディレクティブのなお書き修正で低め誘導
ディレクティブに「なお、年末に向けた短期金融市場の緊張が高まる場合は上記目標値に関わらず潤沢な流動性供給を行うものとする」というような感じで誘導目標金利の0.3%に拘らないというお話ですな。
まあ実際問題からすると既に先週からこの状態になっておりまして、まあ誰も文句言わない(0.05%にやたら拘った執行部涙目プギャーと思っている人は沢山いそうですが^^)のでこれ現状追認ですけど、こう明言してくれれば堂々の実質低め誘導できますので一応ウケるにはウケるでしょうかね。ただの現状追認なので実質的な意味があまり無いですけれども、アホのような売手即日オペが無くなると、売手即日で運用している人の資金がレポとか現先に回ってきてレートが下がるかもと一応思うので効果があるのかもしれないです。
・この際利下げ
じゃあ利下げした方が早いのかというとこれまた微妙。
利下げするなら0.30%→0.10%だと思いますが、この時に当座預金付利をどうするのか。順当に考えると撤廃ですけれども(前回の決定のままだと「誘導目標−20bp」なので堂々の0%)、0.10%のままにしてヤケクソで日銀が超大量供給(してもコールが下がりにくい)するというFF方式でどうでしょう。
とは思いますが、そもそも論として現状の国内市場の問題点は金利がどうのこうのという前に市場機能がいかれてて、特にオープン市場の資金の周りが悪く(最近のスポネ大供給祭りでレポのT+3位までの裁定が効きつつありますが)CPレートなどが高止まりしたまんまだったり、何気に良く見ると金曜の無担保コール翌日物で最高0.83%とか、レートじゃないのよという世界がそこにあるのが問題なのですな。
ということで、他の施策なしで利下げ単独とかやっても国内市場の問題点は片付かないのですけれども、CP買取だの株式買取だのやりたくないっていうのならこっちをやる事になるんでしょうな。企業金融がキツくなっているという問題の解決には全然ならない(下手したら二極化が更に進行する)ので・・・・・
・CP買取
前々から申し上げておりますように、CPの買取なんぞ期間が超短いモノであって、そんなに問題視せにゃあならんものなのかよとは思いますが、どうせCP買取をするというのならば本来10月末の決定会合で決めておけば年末越えのレートもここまで高止まりすることも無かったと思いますけど今更その話をしても遅し。
直接出すのが嫌であればFRBみたいに箱作ってそこに突っ込む(日本には短資会社というこういう時に便利な箱も)とか、前々から申し上げておりますように問題はバランスシート制約ですので、引受金融機関のバランスシートから外れればCP買い余力が出るという話でございますので日銀じゃ無くても良いですが。その点で言えば政策投資銀行のスキームも宜しいのではないかと思いますが、2兆円で足りるのかという話は金曜もしました通りでして、日銀の買取スキームみたいなのがあるとそれはまあインパクトかなあ。
・・・・と思いますが、これは何かそもそも日銀の政策はって所で引っ掛かるようでございまして。先人は震災手形をやったんですから(その後の処理が悪かったのであまりイメージ良くないですが)そんなに嫌がる必要あるのかねとは思いますが。社債買えとか株買えって話ではないんですし。
・金融機関保有株式の買取
かつてのスキーム復活。ただ金融機関的に前回と状況が違うので、これってワークするのかいなという気が。
・輪番増額など
輪番増額してどうなるのと言うと、先日ご紹介した11月末の日銀保有国債残高の増加した銘柄を見ればお分かりのように、期近債のゴミ箱が拡大するだけだったりしそうで、これもまた実質的な意味は乏しかったりするのですけれども、やたら意味があるように見せているだけに増やす時よりも減らした時のインパクトがでかいから増やしにくい(何せあの福井総裁ですら輪番は増額していない)というのは判らんでもない。
それから、物価連動国債とか15年変動利付国債限定のお助け輪番の実施も是非お願いしたいところなのですけれども、これはまあ輪番の理屈からすると難しいので、仮にやるならプルーデンス政策の一環として金融機関の腐れポジション救済スキーム発動という形式になるんでしょうかね。
・その他
ただ言うだけなら「一層の潤沢な資金供給を行う」ってえ話ですが、既に2回言ってる話でして、今更感しか漂ってこないので単独でそれというのは勘弁して下さい。
あと地味に気になるのは1月以降のFB発行でして、経済対策だの何だのという話でFBが増えてきた時に今の市場で受けきれるのかという問題は常に気にしております。
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2008/12/12
お題「今日の調節に注目します/政策投資銀行CP購入」
毎度同じ話をしているような気がしてどうもすいません。
○今日の調節に注目したいです
何で今日かと申しますと、今日のスポットは16日となりまして、新しい積み期間に入るのですな。
ここもと足元ではスポネの国債買現先を再び4兆円に増やしてヤケクソのロールを行っているのが効いてとりあえず足元のGCレートが0.4を割るようになっておりますが、今度は無担保コール翌日物金利の方が下がるという素敵なことになっていますけどこの際シャーナイナイとなったのかしらん。
まあ積みの進捗が良くてコールが上がらないというのもあるのですが、ここへ来てようやくコールレートが下振れしてもいいからGCレートなどを落ち着かせようという感じのオペレーションになって来まして、まあもっと早くにやっておけばここまでのドタバタ感は無かったですよねと思います。
そんな訳で、足元のスポネ現先4兆円がロールされて足元のGCレートが上昇抑制というか低下してて、とりあえずT+3位までは効果波及という感じになってきましたので、まあこの合間に年末越えのオペもジャンジャン打ち込んで参加者の皆様のポジションを軽くして頂きたいものであります。ただまあタームに関しては相変わらずの状況のようで、昨日打ち込んだトムスタート2月2日エンドの全店オペ8000億円は額が微妙にしょぼいことも手伝ったのか、平均は0.513%だわ足切りは0.500%と貫禄のロンバートだわということで、タームの資金に関しましてはまだまだ足りない感爆発という所でしょう。
現状では足元のスポネ現先がコールの低下にも関わらずきっちりとロールされていますので、そっちの方はようやく「潤沢な資金供給をちゃんと継続的に実施する」のねという感じになってきたのかなあとか思うのですが、年末越えのターム物に関しては出足が遅れた事から暫くはこの調子が続くんでしょうなあと思います。
ということで、今日はスポットが16日になりますので、オペがどうなるのかをちょっと注目しております。積み期間が変わるので当然ながら最初は積み進捗ニーズがあると予想されますので、その辺り踏まえてスポネの国債買現先の4兆円は継続と考えるのが順当なのですけれども、足元のGCおよびコールレートの低下を見て4兆円を減らすなどとなったらマーケット涙目ですな。まあさすがにそれは有り得ないですけどね(笑)。
意地の悪いあたくしと致しましては、調節での注目は「積みが変わった所で供給がここぞとばかりに増えるのでは」って方を注目しているのでありまして(苦笑)、ここでスポネ国債買現先を増額とかやったら中々オモロイのですけれども、まあそれは兎も角としましても、足元スポネ4兆円攻撃で落ち着いているうちにタームのオペをバンバン打ち込んで年末越えを沈静化させていけば徐々にショートファンディング傾斜も軽くなってオペレーションやりやすくなると存じますがどうでしょ。
何かここもとの調節ってイベントにぶつけて急にやることが変わる(付利開始にぶつけてツイスト開始とか、担保緩和開始にぶつけて年末越え供給復活とか)のが仕様になっているので、今回は積み期間が年末越えというイベント発生につき、何かカードが出てくるのではないでしょうか。「ドロー!年末越えオペ1兆円3本立てカード!」とかいう感じで(^^)。ワクワクテカテカ。
ということで、今回はターム物の資金供給が足りない状態を引っ張っり過ぎた為にショートファンディングが溜まらざるを得ない状態になって、足元でスポネ4兆とか打たないと落ち着かなくなってしまったということで、年末越えを通常運転でのほほんと打ってた対応のツケが見事に回ったのですけれども、じゃあショートファンディング傾斜を減らそうとしても、今は残念ながらスポネ減らすと今までの努力が水の泡になるの巻ですので、暫くは絶賛大供給を継続するしかないと思います。実は問題は積み後半、即ち来月になってからでして、恐らく超絶資金余りまくりの積み進みまくり状態になった1月前半に調節どうやるのかが楽しみだったりしますけどね。
○政策投資銀行がCP購入ですかそうですか
日経新聞が記事にしているとモーサテが報道しているのですが、ネットの方にはちと前のこんなのしか無かったので記事のヘッドライン(を耳で聞いたベース)だけで反応してみます。まあこの動きの一環である事は間違いないでしょうけれども。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081211AT3S1102311122008.html
財務省、政策公庫の「危機業務」発動を認定 大企業にも低利融資
財務省は11日、企業の資金繰り支援を拡充するため、日本政策金融公庫による「危機対応円滑化業務」の発動を認定したと発表した。公庫は大企業や中堅企業に融資している日本政策投資銀行に、危機対応向け融資の原資を供給。政投銀を通じて、これまで中小企業が対象だった低利融資を大企業なども利用できるようにする。(以下引用割愛)
・・・・と思ったら公共放送がニュースになっていました。「機関投資家が世界的な景気低迷によって損失のリスクを恐れて買い取りを減らしている」というのは何かミスリード(それよりもCPの最大購入者である大手銀行ディーラーがバランスシート制約もあってポジションを圧縮しているのがでかいでしょと思うのだが)ですが、まあそれは兎も角として。
ニュースによれば「年末から年度末に向けて2兆円規模のCP買取」ということですので、これはまあどういうCP買うのかとかそのレートどうするのかという技術的な話はありますけれども大変結構な事ですな。どうせならそのCP購入のバックファイナンスを日銀がつける(CP担保に取って貸出を行う)と「政府と日銀が一体になって企業金融円滑化に取り組む」の図になって美しいと思うのですがどうでしょ(^^)。
まあ日銀が直接買うのがダメというのならば、「いわゆるCDオペ」のCP版なのかなとか思ったりもした(銘柄審査の問題があるから厳しいわな)のですが、政策投資銀行というのは「なるほど!」であります。こういう時にはバーゼルUだの何だのというような話と無縁な政策金融機関というのが実に有用な訳でして、「何でもかんでも民営化するとバラ色の未来」みたいな話で民営化推進してた構造改革マンセーな人たちに置かれましては今回の施策に関するご感想を頂きたいものだと思います、あっはっは。
もうちょっと早かったら良かったとは思いますけれども、まあ日銀がCP買うのかなという期待もあったのでその分出遅れになっちゃいましたねという所ですが、特に年度末に関してはバランスシート制約が気になるところでありましたので、昨今の銀行の資本増強とこの施策が相俟って、年末越えに対する不安感が軽減されることを祈念致します。
2兆円で足りるのかどうかは正直判らないですけど、こーゆー相場展開の時って言うのは、誰か腰を入れて買う人が出てきますと買うのかどうするのか様子見をしている人たちが追随で買ってきて落ち着き、その落ち着きを見て更に買いが復活してくるという流れになるもんでして、バランスシート制約がどうのこうのというややこしい話が少ない(無いわけでは無い^^)政策投資銀行が登場するというのは市場心理的には結構な話だと思います。急にレートが下がるかどうかは兎も角、アホほど上昇ってのは抑制されるんではないかと。
そのCPレートですけれども、昨日は上昇一服で横ばいみたいな感じになっていました。年末越えの発行ニーズがどの位残っているのか存じませんが、20日スタート近辺に向けてもうちょっと増える中で安心感に繋がると良いですねという所です。
○超余談ですが
流動性供給入札延期の件ですけど・・・・
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/kokusai0812a.pdf
>入札事務の委託を受けている日本銀行のシステム運用上の問題から
オペは通常運転で実施されてましたが、流動性供給入札だけシステムトラブルとはこれまた器用なお話で。
・・・・・と申しますか、別に紙と電話でも入札できると思うのですけれども、流動性供給位の規模だったら折角の機会だから危機管理の一環として電話で応札受けて入札書持込み(今の詳しい手続きは知らんが、システム障害時の対応策は昔からあるはず)ベースで入札やっても良かったのではないかなあとちょっとだけ思いました。
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2008/12/11
○人のふんどしでインスパイヤされてみる(例によってオペ関連)
毎度お馴染み本石町日記さんが考察を。
http://hongokucho.exblog.jp/10014183/
まあ大体同意なのですが、あたくしもあたくしなりに考えて以下うだうだと書いてみます。ご意見キボンヌ。
えーっと、今般の問題は利下げに当座預金(超過準備)付利をぶつけて、変な理屈を持ち出したことがファクターとしては最大だったかなと思います。当時の説明では「超過準備付利を行う事によってインターバンク取引レートにフロアが設定され、潤沢な資金供給を行っても金利がゼロまでは低下しない。従って短期金融市場の緊張が高まって大量供給するときにやりやすくなります」ってな感じでしたが、その理屈であれば、売出手形(と国債売現先)オペがある状態では(付利があってもなくても同じなので)インチキ説明にも程があります。
そんな訳で超過準備への付利というものが「大量供給するためのツール」という話になっちゃった次第なので、その理屈を通すために「目に見えた大量供給するのは超過準備付利以降」って変なプレッシャーが調節担当現場に掛かってしまい、長い期間のオペ実施が出遅れてしまったのではないかと勝手に想像するのでありまする。だって11月13日になって急にスポットスタートの国債買現先をアホのように打ち込んで来たんですから(このあたりに関しては先月の駄文をご参照ください^^)。
でね、もう一つ問題なのはこれは10月14日の会合から始まるのですけれども、「潤沢な流動性供給をする」と何度もアナウンスが出ているのに、実際問題としては思いっきり通常運転モードでの運営になっていて(CPオペを潤沢に実施と言いながら2週に1回とか)、年末越えのオペに関しても昨年とほぼ同じペースどころか途中までは昨年よりもペースが遅いという有様で、こちらもまた通常運転状態でして、その間にCP金利やレポ金利が上昇して株は下がるわ円高になるわ(利下げ前の話ですね)となっているのに全然普通に運転してたので、市場が「日銀は切迫感を認識していない」と見做した所から市場と日銀の歯車が噛み合わなくなったんでしょうな。
利下げ後も同様で、利下げと同時に「潤沢な流動性の供給」という話も出たのに年末越えのオペは全然ペースが上がらないわ、超過準備付利までツイストオペやらないわと、通常運転にも程がある運営が続くのですが、その間オープン市場の金利は高止まりとなっておりまして、GCは0.4台後半というかロンバート近くに張り付くわ、CPレートは徐々に上昇するわとなっていく中で、今度は白川さんの「市場機能論」がやたらとクローズアップされる格好になりました。当然ながらその合わせ技を市場が普通に解釈すると「要するに市場機能でCPレートとかGCレートとか上昇しても放置プレーなんでしょ」という話になってしまう訳ですな。益々歯車が噛み合わない状態に。
とどめは11月最終週でして、資金供給オペの金利が急上昇して、GCレポの金利が0.5%越えになって市場がシュリンクしちゃっているのにオペがそのまま同じペースで淡々と実行されてしまったことからオペの金利まで堂々の0.5%越えになっちゃった次第で、そうなってから慌てて税揚げ日に向けてオペ増やしても、それはもうもぐら叩き状態になってしまうのよねと。
大体からして短期金融市場の環境が悪化しているのは今に始まった事ではないどころか、リーマン飛んだ以降明らかなのでありまして、そーゆー状況にあって、かつ「潤沢な流動性供給をする」となっているのであれば、昨年と同じペースの年末越えオペ実施とか危機感の欠如にも程がある訳で、その辺をきちんと認識して早めから年末越え資金供給オペのペースを早めておけば、ショートファンディングのマグマが溜まってしまうという現在の惨状は避けられたのではないかとおもいます。本石町日記さんの上記エントリーの「飛車」さんのコメントにあります「Pilot
Induced Oscillation」が正に今の状況を言い当てているのではないかと存じます。
#うーむ、マニアな話を長々としてしまった
で、昨日はヤケクソとなったのか前日に派手にGC低下して大勝利だと思ったスポネ現先4兆円を減らすこともなく、スポネのウィーク物を半分だけ年末越え(ただし1月5日って年初第1営業日落としでして、これは何か嫌がらせですかという感じはしますが)オペにし、共通担保オペは何故か突如3月10日まで足を延ばすということで、足元のGCレート上昇もさせないし、年末越えもまあ出しますよという感じのオペに。
・・・・やらないよりはやる方がよいのですが、そもそもは市場の緊張をよそに年末越えの流動性供給をのほほんと通常運転していた為に大火災状態になったものでありますので、それを火消ししたから調節がよくやったなどと言うことは全然ございませんのでね。
コールが下がりっぱなしなのは積み期間の終了が近いことも要因としてあるでしょう。これ16日以降にどうなるのかは(正直どうでも良いのだが)ニヤニヤしながら注目という感じですな(^^)。
以上オペ話。
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2008/12/10
○昨日のオペ劇場
でございますが、スポネの買現先がスポット不足日でもないと思うのにいきなり5000億円増額して税揚げ日対応時と同じ4兆円に増額打ち込みの巻。前日にGCレートが全般的に上昇して0.42%近辺になったのに対応してスポネを増額したのかなあとか位しか突如オペ増額の理由が掴めませんですがなという感じです。もともと昨日はややGCの資金が出し優勢(GCの引き合い方法で言えばビット優勢)でしたが、午後辺りからレートが低下してGCのO/NからT/NやS/Nにも波及するの巻で、GCレートはレギュラーの所で0.35位まで低下したみたいですな。昨日のところからいきなり低下したのですが、まあこのGCレート低下を企図してオペ増額したのでしたらオペ大勝利。
・・・・なのですけれども、基本的にGCやら現先などの資金はコールみたいにT+0主体じゃなくてもうちょっと先(T+2とかT+3とか)のスタートで動く割合が多いので、足元のスポネでレポレートをコントロールしようとしても効果が出てくるのにタイムラグがありまして、結果として資金の出し過ぎと引き過ぎの繰り返しになってしまうと思われます。現状のオペだとショートファンディングが益々溜まる一方な訳でして、足元が安定しなくなりますので、出し過ぎと引き過ぎの間を行ったり来たり状態に陥りやすくなりますので、もうちょっと長いオペ(1月の2週目以降のエンド)を打って足元への傾斜を軽くしないとイカンでしょとは思います。兼ねてから申し上げておりますように、スポネとかウィーク物をせっせと打ち込んでおりますとショートファンディングが溜まってレートが安定しないんでレートの制御は大変になります、本当にカムサハムニダ。
昨日は珍しくちゃんと共通担保を(あたくしの計算間違ってなければ)期落ちに対して増額ロール(8000億→1兆円)して1月8日エンドで実施してましたが、その前に意味不明な年末越えオペ出し渋りの効果が遺憾なく発揮されまして平均落札レートが0.503%とこれまた貫禄のロンバート越えで足きりも0.50%(按分85.4%)という結果に。去年の同時期よりも多く出してるというのは一応そうなんですけれども、そもそも去年と今年では市場環境が大違いなのでありますから、去年よりも多いので潤沢な年末越え資金供給とか言われましても大変困るのでありますがね。
本石町日記さんの最新エントリーでも話題になっておりました(http://hongokucho.exblog.jp/10009316/です。言及いただきまして恐縮であります)が、どうも市場の片隅現場労務者的に考えますと、オペでやろうとしている事がイマイチ掴みかねると言った所ではないかと。いやまあ年末越えや期末越えは市場の自助努力で何とかして下さいっていうのなら今のオペレーションでも無問題なのですが、状況はそうじゃないでしょと思うのですよね。どうも市場の考えている(あるいは期待している)こととオペレーションの間に齟齬があるんですよねえ。で、今となっては最初のボタンの掛け違いが拡大してお笑い劇場状態になってしまっていると。
ま、いずれにせよ11月の超過準備付利開始と12月の適格担保緩和開始に露骨にぶつけてきたオペレーションってのは如何にも(悪態の為自粛)感が市場現場労務者的には感じられるのですけれどもねえと。
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2008/12/09
○昨日のオペ劇場
連日のオペレーションですけれども、まあこれに一々トサカを立てて湯気ポッポーとなるから悪態も出るのでありまして、日頃からご愛顧頂いております短期市場関係者に向けてのオペ劇場だと思えば良いのでありますな、うんうん。
昨日の出し物は3本立てでして、
1、朝一即日吸収1兆5千打ち込んだら堂々の札割れ
2、9日の適格担保緩和措置スタートにぶつけて満を持して年末越えオペの実施
3、おっかなびっくり午後に5千即日吸収したら今度は応札2倍
という感じでございました。1番目の出し物と2番目の出し物の間に「10日が不足日なのでまたスポネが増額でショートファンディングの勧め」というのもあったので4本立てかもしれませんが、出し物として秀逸だったのは上記の3本。まあ1番目は兎も角として、午後の共通担保オペタイムに実施された年末越えのオペがもう露骨に9日の適格担保緩和措置スタートにぶつけている(オペのスタート日が9日)のには何だかねえ感を禁じ得ませんでした。
毎度申し上げておりますように、別に担保が緩和されないと入れるものが無いわけでは無いですし、年末越えのターム物資金のニーズが当然のように有るのですから、何も9日スタートのオペまで年末越えを引っ張る必要はどこにもないですわな。その間に年末越えのCP金利とか絶賛上昇しているのでして、いやまあ別にそれならそれで結構なのですが、では臨時政策決定会合まで開催して「年末越えや年度末越えの流動性対策をします」とか言ってたのは何だったのですかというお話ですが、これまた一々湯気ポッポーとやっていると体が持ちませんので、市場の末端労務者としては「言ってる事とやってる事に齟齬がある」という前提に立って動かないとなりませんなという話になるだけです。
しかしまあコールは即日吸収しても上昇しにくくなって昨日も0.275%の加重平均なのですが、そりゃまあオペが毎度毎度イベントデー直前まで自然体で打ってイベントデーにぶつけて一気に動くから、イベント通過後にバランスが取りにくくなるんですよね。超テクニカルな話になるから多分???な話になると思いますが以下続けますと・・・・
インターバンクやオープンが流動性高くて直前対応でも全然大丈夫っていう市場状態なら大不足日とか大余剰日がスポット渡しになる位まで放置してても何とかなるでしょうが、それはまあ流動性リスク管理という面からみてどうよというのがあって、普通の神経をしてたらその前から徐々に資金ポジションの調整を行うもんだと思うのですよ。特に今のように市場の流動性が落ちてる時とか、インターバンクへのアクセスが従来よりも狭くなっている(証券とか外資系とか)状態になっているときなどは特にそうでしょう。従いまして、スポットが大税揚げになってから大供給というのは証文の出し遅れでありまして、もうちょっと前から徐々に税揚げ跨ぎの資金供給を行っていかないとイカンと思うのですよね。それを直前に大供給するもんだから引く間合いが難しくなって、足元インターバンクだけ余りまくると。
まあ連日オペ何本も打ち込んでご苦労な事だとは思いますが・・・・・(と一応最後にフォロー^^)
○気が付けばまた短期債コレクション
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
(2008年11月28日現在)
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0811.htm
先月のデータと比較してみました(あたくしの手控えエクセルファイルベースですので間違ってたらゴメンナサイ。一応合ってる積りです)ら、短いものばかりがバカスカ入るの巻になっておりました(−−)。
特に目立ったのは12月15日に償還が来る2年251回債が貫禄の4855億円打ち込みとなっていたことで、えーっと輪番オペ1.6回分くらいこの銘柄でございますかという事で、毎度お馴染みの実質短国買入状態(^^)。
ちなみに、来年9月までに償還の来る銘柄が11月でいくら増えたかと計算してみますと、10739億円と輪番4回で12000億円の筈なのですが殆どが1年未満の国債が打ち込まれるの巻です。最近は元利金取扱手数料の大幅引き下げによって10毛甘だの15毛甘だのという派手派手な落札結果にならないので目立たなかったのですが、やはり傾向は変わらないようで誠に残念無念ですな。
・・・・ということで、実は輪番を増額しても償還銘柄の吸収装置になるだけだったりするのですが、財政拡張路線のタイミングで輪番増額ってのは下手したら長期金利上昇(財政の維持可能性に関してマジでネタにしてくる懸念ですね、為念)のネタにしてきてもおかしくないのが間の悪い所でございますなあという感じです。
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2008/12/04
お題「あたくしは悪態路線継続(^^)」
財政再建路線の放棄と散々な言われようですが、小泉さんの時だって新規国債発行30兆円を平然と超えたじゃんと思うのですけど、ローゼンは小泉対比で日頃のインチキ力が不足している訳ですな。
ところで、「年末に向けて中小企業に融資出せ」とか大臣様が言うわけですが、その一方で金融庁様が貸出の査定をせっせとやっておられる訳で、増やさなければ怒られ、増やせば査定されとなりますと銀行の中の人も大変ですなあと。
という話はともかく、まずは臨時決定会合を受けての総裁会見から参ります。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0812b.pdf
○だから問題はバランスシート制約ですが・・・・
会見の冒頭に今回の施策の説明があるのですけれども。
『第2に、民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫として、民間企業債務の担保価格の範囲内で、無担保コールレートの誘導目標と同水準の金利により、供給金額に制限を設けず、年度末越えターム物資金を供給するオペレーションを導入することとしました。この措置は、企業債務を担保として相対的に有利な金利で長めの資金を供給することにより、資金調達面およびコスト面から金融機関の融資活動や社債・CP市場での取引を後押しする効果を狙ったものです。』
・・・・・えーっとですから問題はバランスシート制約であって、ファンディングのコストとかファンディングがつくかという問題はそれに対して副次的な問題なのでありますが。従って余談になりますが、この件に関しては別に利下げしても量的緩和しても問題の解決にはあまり効かない(全く効かないとは思いませんが)のでありまして、利下げすると下手したら短期的には逆効果くらいの話になるのですよね。
まあこういう風に説明するのは正直でよろしいですが、自らピントがずれてることをばらしてどうする(苦笑)。
○効果の数字わざわざ自分で言ったのね・・・・・
『(問) 今回の新たな2つの措置の導入について、資金調達環境が悪化している中でこれを緩和する狙いがあるという説明を受けましたが、具体的にはどの程度の効果が期待できると総裁はお考えになっていますか。』
『(答) まず、今回の措置について具体的にどのような効果があるのかというメカニズムを少し説明します。今回の2つの措置のうち、最初の適格担保範囲の拡大についてですが、第1に、適格担保の対象範囲が拡大するということです。数量的に申し上げると、格付要件の緩和により社債で4,500
億円程度、企業向け証書貸付債権で1.6 兆円程度の拡大が見込まれます。(以下割愛)』
・・・・・何だかね、わざわざ自分で言ってどうするって感じですが、その後こんな質問が飛んできまして、その時に答えた「3兆円」の方が一人歩きしていますのである意味不幸中の幸いだったのかも。
『(問) 今回の2つの措置の効果という点にまた戻ってしまうのですが、先程若干数字を交えたご回答を頂きましたが、結局今回の措置によって最終的に企業に回る資金はどの程度増えるのか、規模感が今一つよくわからない点があります。この点についてもう少し詳しく解説をして頂けないでしょうか。』
『(答) 明確に幾ら増えるか量的に数字を示すのはなかなか難しいと思います。仮に、日本銀行が民間企業に直接資金を貸し出すという立場であれば、その量を数字で示すことはできると思いますが・・・。しかし、日本銀行は金融機関に対して貸し出す立場ですので、それに関してはある程度数字のイメージは持ち得るわけであります。先程、第1番目の適格担保の範囲拡大について数字を申し上げました。2番目の民間企業債務を担保とする資金供給のオペレーションについては、数字を積み上げますと、3兆円程度の資金供給を見込めると思っています。(以下割愛)』
このオペの実施額が3兆円に行かなかったらCP現先オペを減額してでも3兆円達成させに行くに1000万ジンバブエドル(^^)。
○で、CP買入はやりたくないと
正直言って別に社債買えとは今のところは金融市場の中の人で普通(何を持って普通というのかという話はあるけど^^)の人は言ってないと思うのですけれども、この調子で何もやらないとか言って事態が悪化したら「CPだけじゃ足りないから社債も買い取れ」って話になってくる悪寒が物凄くするのですけれどもねえ。
もうあちこちの発言からそういう雰囲気が漂っておりますのでてきとーに抜粋。
・米国のCPや社債買入について
『例えば米国のCP買入れについて申し上げますと、確かに、ご指摘のとおり米国ではニューヨーク連銀がCP買い切りを行う特別目的事業体(SPV)に資金を供給するというファシリティーが導入されています。この制度の細かいところは必ずしも詳しくは報道されておりませんが、SPVは、ニューヨーク連銀が十分と考える信用補完がなされていることを条件に、CPを買うというものです。例えば、信用補完として100
ベーシスポイントの前払い手数料を取るとか、第三者保証を求めるなど、ニューヨーク連銀が十分と認める信用補完を受けることを条件にSPVはCPを買入れるわけです。モーゲージ証券や色々な金融資産の買入れについても細かい説明は省略しますが、中央銀行として様々なことを考え、最も適切な方策を模索していると思います。』
ま、米国のCP買取ってどっちかというと過去の日銀のABCP買入に近いので、金融機関向け与信の色彩が強い(内容の細かいところが相変わらず良く判らんので評価しにくいですが)んですけどね。
・さっき引用した新オペレーションの規模に関する説明から
『中央銀行の貢献というのは、金融機関を通じて行うものですから、どうしても間接的なものとなります。』
・日銀は追加で何かしますかという質問に関して
『先程のご質問に対する回答と重複しない範囲でお答えします。日本銀行としては、物価の安定と金融システムの安定という日本銀行法で規定された目的、および日本銀行に与えられた手段、日本銀行法の全体の精神というものを踏まえて、中央銀行として何が適切かという姿勢で──これまでもそうですが今後ともそうした姿勢で──臨んでいくということです。』
つまり踏み出さないということですね、わかります。
○でもって利下げも例によって否定的と
もうね、この「市場機能」っての発言するたびに特に短期市場現場労務者の憤激を買っている(まあ類は友を呼ぶ訳だから、あたくしが思ってるほど全員が憤激してるかどうかは知らんですけれども・・・)ので言わない方が良いと思うのですけれどもね。
『先行きの金融政策については、前回この場でも申し上げましたが、金融経済情勢が一段と悪化した場合に中央銀行としてどのような対応をとり得るかについて、常に幅広く検討を行っております。追加利下げに関して言えば、極めて低い金利水準のもとでは、短期金融市場の円滑な機能確保という観点から、様々な問題が生じる可能性があることには留意が必要であると申し上げてきました。その上で、これもいつも申し上げていることですが、先行き具体的にどのような政策対応を行っていくかについては、その時々の経済・物価情勢や金融市場動向を踏まえて、適切に判断していくという方針に変わりはありません。』
はいはい市場機能市場機能。「短期市場関係者の権益保護の為に日銀は利下げを渋っている」とか言われて短期市場関係者までグルにされるのは大迷惑なんですけどねえ。
とまあそんな感じで悪態成分が相変わらず高い引用でございました(^^)。
以下市場雑談。まずは昨日のオペレーションに関してですが、これがまた楽しいインプリケーションが幾つかございます。昨日オファーされたオペはこちらの通り。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of081203.htm
○素敵なやるやる詐欺
さっき紹介した総裁会見ではこんな発言もありました。
『日本銀行としては、年末・年度末に向け、今回新たに決定した措置も活用しつつ、適切な金融調節の実施を通じて金融市場の安定確保に努めていく方針です。』
決定会合のリリース文書でもこんなのがありました。
『3.日本銀行としては、年末および年度末に向けて、従来からの施策に加えて、今回新たに決定した措置も活用しながら、適切な金融調節の実施を通じて、金融市場の安定確保に努めていく方針である。』
で、改めてさっきのオファーを見ていただくと判るのですが、昨日のオペに年度末どころか年末越えの資金供給皆無。ついでに言えば、準備預金の積み期間が変わる16日以降に足が来る供給も共通担保本店の12月22日エンド1兆円だけでして、国債買現先で5兆円以上出しているのは全部ショートの資金となっております。
そりゃあーた足元は下がるけどタームは下がらんわなという所で、足元のGCが0.3台前半まで下がっても年末越えのGCが下がる(というか出合う)訳もなくという感じでして、下がらないのは要は年末越えの資金供給オペがろくすっぽ出て来ないので安心感が出ない(というか不信感が高まる)状態ってことでしょう。
市場的にはこの「潤沢な資金供給を実施」リリースのやるやる詐欺には大概慣れてきちゃった感じでして、もはや呆れ状態ではないかと存じますが。
○4回引いてコール加重平均0.25%とは笑った
でまあさっきのオファーにありますように、昨日は売出手形即日を4本実施して資金をせっせと引いたにも関わらずコールの加重平均は0.257%に低下。そりゃ足元スポネばっかり資金バカスカ出して、資金需給的に余り出しても打つんですからこうなりますわなという感じ。
さっき申し上げましたように、このあたりの影響でGCレートが今度は急低下しておりまして、正直こんなに足元GCレートが振れますとファンディングが安定しないのもありますが、SCで玉を放出する投資家的にもSC放出を躊躇するようになる(GCとのスプレッド握りなら別ですが、単純に出した場合に出したは良いが金イラネになったらどうするんのリスクが相対的に上昇する)のでこれもまた困ったもん。
まあね、今足元を下げているのが意図的にやっているというのなら判るのですよ。足元を下げておかないとタームのレートも当然下がりにくくなりますから、ここもとの供給で足元下げてからタームのオペをバンバン実行してレートを下げつつマーケットのショートファンディングを軽くするとか言うのであれば中々なもんですけれども、昨日のやるやる詐欺オペを見ていると単に足元のコールと積みの進捗に振り回されているだけのような悪寒が。
オペがオープン市場のボラ上昇させてどうするんだか・・・・・
○TIBORレートとかCPレートとか利下げ観測とか
んでまあ昨日はCPの発行はそこそこ大きいのとかも出てましたが、レートは結局のところ上昇基調という残念な結果。そりゃまあ新オペが年末をフォローしないってもんですから仕方ないですが、年始直ぐにエンドの来るようなCPはオペ関係なし確定ということもあって特にレートが上昇した感じで、一部では華麗に大上昇という向きもあったみたいですね。ちーん。
唯一の救いは年度末越えの発行がそこそこ出てきたことですが、残念ながら優良銘柄に限るという所。まあこの部分は新オペのアナウンス効果として評価できるとおもいます、別にレートは下がらなかったけど(^^)。
で、2日に利下げ直前の高値を抜いてしまったTIBOR3か月ものですが、昨日も嫌がらせのようにレート上昇。新オペが年末越えに間に合わないというあたりにリファレンス銀行様がご機嫌を悪くされた結果レートが上昇したということで
すね、わかります(^^)。
#このあたりだけ見ると(金先も下がってましたが)アナウンスメント効果は1週間どころか1日持たなかったですねとか言われても不思議ではありません
それから結構笑えたのは利下げ観測を本気で言う人が増えている感じがすることですかね(^^)。その理由が今般の張子の対策にあるわけでして、「CP買わない、株買わない、利下げしない、とか言ってこの程度の措置るなら、早いうちに逆に何かしないといけないように追い込まれるでしょ」というものでありまして(^^)、その時に何をするかを考えると、CP購入でこれだけ抵抗してるのに株を買うわけなく(まあ今金融機関から強制お買い上げされても金融機関もありがた迷惑)、そうなったら利下げでしょとなるのでありました。あっはっは。
#なお、最近読者様から「何か最近の論調が手厳しいですなあ」と良くご指摘を受けるのですが、あたくし身に全く覚えはございません(大嘘)。
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2008/12/03
お題「施策は出ましたが、さて・・・・」
色々と論点がございまして上手くまとまるかなあ・・・・・
○まずは結果こちらね
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812b.pdf
新しいオペレーション概要
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0812a.pdf
担保要件緩和概要
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081202.pdf
金利の変更はございませんでした
ということで、今回市場が反応したのはたぶん「新しいオペレーション」の方だと思います。何せ最初に情報ベンダーのフラッシュで「無制限で政策金利水準での供給」ってのが出たので、おお!無制限!!ってなもんで反応したんじゃねえのかとは思いますがさて・・・・・・・
では以下論点をあまり纏まらないけどグタグタに。
○まあ担保不足な向きとか、既存の部分には効果ありますが・・・・・
今回の措置のうち、担保基準の緩和部分に関してはまあ効果あるにはあるでしょうとは思いますが、ちょっと出すのが遅れた感は強いですね。まーそれはそれとして、昨今担保不足になっている向きもありましたので、担保基準が緩和されたのは結構な話。別に担保不足じゃなくても既存のCPや社債とかでファンディングがつくものが増えるのは結構な事です。
その点で効果は勿論あるのですけれども、結局のところあくまでも「担保要件の緩和」でありまして、バランスシートから外れる話ではないので、これが出たからホイホイとCPや社債の購入を増やせるかというと残念ながらそういうわけには行きませんでしょう。再三再四申し上げているように、問題は期末のBISというバランスシート制約でして、何ぼ日銀にオペ入れましても金融機関のバランス上は残る話ですからね。
大体からして3月末のファンディングが回るからという理由だけで新規にBBBの社債を買うという奴はこの状況下でいない訳でして、この施策で社債発行環境が改善とかせんわな。アナウンスメント効果は無いとは言わないけど、ここもとの動き見てると持って1週間ですかねえ(苦笑)。
○ベンダーのフラッシュはどう見ても大げさです本当に(ry
ということで、例えば日本語版ロイターのヘッドラインでは
14:34 02Dec08 RTRS-民間企業債務担保に無制限で政策金利と同水準の金利で資金供給する制度を新設=日銀臨時会合
となっておりますが、上記リリースのオペレーション概要を見ればお分かりのように(というか上記ヘッドラインも良く見れば判りますけれども)、無制限と言っても「民間企業債務担保」の範囲内でありまして、それならCP現先オペを札割れするまで打ちまくっても同じ(というかそのほうがレート低くなる)なのでして、米国のTAFみたいなのを想定して反応するのはちとどうなのよという感じ。
#ま、最初聞いたときのインパクトはあるんですけどね
で、本石町日記さんがこう指摘してますが、実はこのオペの概要を見て「そんならロンバートのレートを下げれば同じじゃないか」という指摘をする人が複数いたことを付け加えさせて頂きます(^^)。
http://hongokucho.exblog.jp/9971300/
>私なら、ロンバート0.3%に下げて3カ月べた貸しOKにするが…。
>企業債務に限定したベタ貸しできるなら、それでもいい。
そもそも論として、資金繰り制約なのであればCPオペをバンバン打ってそれでも足りなければロンバートをどんどん利用してもらえば金が出て来る筈なのですが必ずしもそうじゃないというのが現状の問題でして、わざわざややこしいオペを抜き出して作りましたねえと本石町日記さんの見解に同意です。日銀企画の目くらまし力恐るべし。
○12月から実施しないとはしょぼさ爆発
オペ導入その他の施策に関してのリリースを改めて読みますと・・・・
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812b.pdf
『(2)民間企業債務を活用した新たなオペレーションの実施
(途中割愛)。本措置については、12 月18・19 日に開催予定の金融政策決定会合において基本要領等を決定し、来年1
月中の実施に向けて実務的準備を進める。』
・・・・・えーっと、年末は間に合わないんですかそうですか。いやどうしても間に合わないというのなら仕方ないのですが、ドル資金供給オペレーションはリリースして実施まで神速の勢いで9月期末越えを間に合わせましたと思うのですけれども、えーっとえーっと、国際協調で海外中銀にいい顔するのは熱心だけども国内は市場機能とやらで頑張れですか、わかりません><;
○やっぱり数字が一人歩きしやがったか・・・・
昨日の会見をフラッシュ見てたらこんなのが。
16:06 02Dec08 RTRS-適格担保拡大、社債で4500億円・企業向け証書貸付債権で1.6兆円程度見込める=白川日銀総裁
16:28 02Dec08 RTRS-民間企業債務を活用した新オペ、3兆円程度の資金供給見込める=白川日銀総裁
あーあ、数字言っちゃったよ〜と思ってたら案の定昨日の夜と今日のニュースや新聞報道では「3兆円の企業金融対策」という話が一人歩きを始めております(--)。
世間様的には3兆円というのアピールするのかもしれませんけど、金融市場的に言えばこの数字しょぼいですねと言う感じでして、CP現先オペが一発4000億円から6000億円とか打っているので、何だオペ6回分くらいじゃないのそんなら最初からややこしいことせずに打てばって感覚になりますわな。
#だいたい3兆円ったって担保に取るだけなのですから
あのですな、こーゆー時はマーケットがポジティブサプライズで驚くような巨大な数字なら兎も角、しょぼい数字だったら言わない方が良い訳で、たぶんインチキ俊ちゃんが質問されたら具体的な話は適当にぼかしながら「今回の措置で企業向け貸出やCP発行が飛躍的に増えて、資金供給が飛躍的に増えることを期待します」というような威勢の良い話をすると思うのですが、ハッタリが効かないのは残念ですなあ。
というのもありますけど、案の定数字が一人歩きしだしているのが問題でして、これでオペ実施額が3兆円にならなかったらまた公約違反とか言われるし、そもそもその3兆円の積算根拠と効果はどうなのとか国会でしょうもないツッコミを食らって益々訳の判らん話になるに100万ジンバブエドルなのです。
○とりあえずアナウンス効果のあるうちに・・・・というのは無理でしょうな
CP買入や株式買入をやりたくないということで今般微妙なオペを作りましたという感じが色々な人と議論を重ねるうちに理解できたのでありますが(--)、とりあえず今般の施策を好感してレートが低下しているうちに次の施策を前倒しで打ち込んで、とにかく先手先手で進まないといけないと思うのですよね。
でもまあ10月以来悪態ついてますように、何か施策を打つとか言って期待させながらそれを裏切ってしまい、事態が悪化。その悪化した事態に後追いで次の施策っていうのを繰り返しておりますので、少なくとも日銀直下のマネーマーケットでは期待値が随分下がっていると思われます。債券市場とかはまだ期待してると思いますので、まあ別にあたくし1ミリも期待してない(もう期待するの止めました)のですけど、アナウンスメント効果の残っているうちに次の決定会合で何か施策を出して欲しいものですな。
#実は金先や債券市場の利回り低下は「こんな施策如きだったら早晩利下げに追い込まれますね」って読み筋で動いているのだったら笑えるけど笑えません
以下テクニカルな論点。
○証書1兆6000億円も集まるの??
証書を担保に入れる場合、債務者の承認が必要になるので判子貰いにいかないといけないのですが、その作業の手間隙を考えるとさてどうなんでしょと思いますけれども。ついでに下らない事を言えば、「低金利で日銀が融資」というのを報道で宣伝されまくっておりますので、判子貰いに行ったら利下げ(というかスプレッド減らせ)要求されそうですが(^^)。
社債とかCPとかのように、そもそも転売されることが前提になっている法律的な作りこみになっていないので、担保不足で困ってない人までがこれにジャンジャン行くとは思えずなのですけれども。
○オペ形式がイマイチ読めませんが
何となくリリース文書見てますと、形式上はドル資金供給オペみたいな感じになるみたいですが、どうせならロンバート型にしてくれた方が使い勝手良い(ただし銀行などの社内仕切りの問題が起きるという点はある)ですし、それならそもそもロンバートの金利を下げればというさっきのループに戻るの巻(^^)。
ま、週に1回とか打つんでしょうとは思いますので、それは一応安心してますけど。
○ま、これもよいリトマス試験紙でしょ
ということで、適当にイチャモンつけましたが、そりゃまあやらないよりはやった方が良いので効果があるといいですね(棒読み)という所ですが、この施策に関してどーゆーコメントするのかは良いリトマス試験紙でございます(ニヤニヤ)。
それから、確かにやらないよりはやった方が良いのですが、最近の日銀クオリティは「新しい施策の効果を見極める」とか言い出して次の施策を出し渋るという恐ろしいものでありまして、そうなりますと「あまり効果の無さそうな張り子の目くらまし施策」というのは「有効な施策の出遅れ」に繋がるマイナス要素でもあるという点がございますので注意が必要です。
#うーむ、全然纏まってないし昨日色々考えた事から抜けがありそうな気がする
○ついでに市場メモ
昨日はとうとう1日のオペ本数9本とか素敵な状態になっておりましたが、ちょっと意外感があったのはスポネの買現先をそのまま4兆円でロールしてきたこと。税揚げ抜けたら減らすかと思ったのですが減らさずで、税揚げで足元資金が余ってきたこともあってGCレポレートはいきなり低下。レギュラーの所で39-40から始まって最後は37辺りになったみたいですな。
いやまあGC下がるのは結構なのですが、下がる時も上がる時も極端というのはオペが後追いになっているという面もまたありますので微妙に何だかな感はございますが、また例によって例の如く「決定会合結果にレート低下をぶつけてきた」の巻だと笑えるのですけれども。
CPレートは昨日時点では決定会合結果を織り込んでいない(担保緩和は織り込んでいたでしょうが)こともあったのかレート的には相変わらず下がらない感じでしたけれども、さて今日はどうなるのかという所で。一応レート低下すると思いたいのですけれども、何か年末越えに今回の施策が関係なかったりするので、どうなんでしょうかねという所で。
まずは何か知らんが今年はやたら入札日程が前倒しになっているFB入札第一弾に注目でございまする。あとTIBORレートもね。
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2008/12/02
○さて臨時政策会合
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0812a.htm
『開催日時 平成20年12月2日(火)午後1時より』
『開催理由 11月20・21日開催の金融政策決定会合における議長から執行部への指示に基づき、民間企業債務の適格担保としての取扱いや民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫に関する執行部からの検討結果の報告を受け、必要な金融調節事項の検討を行うため。』
リリースには出てませんが、記者会見が3時半から予定と情報ベンダーが報道しておりましてですな、えーっと1時間ちょっとしか検討時間が無い気がするんですが、そうすると従来より総裁様が仰せのお話くらいしか出てこないという事ですね、わかります(-_-)。会合時間が短い(=延々と徹底討議する訳じゃないですよ)というのを初手からわざわざリリースしている時点でポジティブサプライズな話が出ませんよって言ってるようなもんですが、何か良い話(=CPの買取とか)が出ると良いですね(棒読み)。
○で、いつもの悪態および予想される対策実施後のあたくしの勝手な想像
さて、その企業金融対策ですけれども、某モーサテのゲスト解説があまりにも的外れにも程がある(マネーマーケットのど素人っぽいので仕方ないですが、最初からドシロートに喋らせるなと)んですけれども、状況が98年と違うという論点が見事に抜けているのは残念でございますな。
まあこちらの読者様におかれましては耳タコではございますが、現下の短期金融市場というかCP、社債、企業融資における問題はバランスシート制約でして、資金繰りという面で言えば大手銀行などの国内の然るべき金融機関は普通にコール取れると思います(ただしコール市場そのものが縮小しているのはありますけど)し、大手銀行は基本的に預金超過ですから、コールで資金取れないとか言ってた98年とは問題の所在が違いますわな。
バランスシート制約がある中で「適格担保の格付条件を緩和」という話をしますと、そりゃまあ緩和しないよりは緩和した方が良いのは確かですけれども、緩和されたから低格付けのCPとかをホイホイ引き受けられますかというとそりゃ違いますがなという話になるでしょと。あくまでも「担保提供」してファンディングという話でバランスから外れる話ではないので、バランスシート制約で持ちにくい物は持ちにくいままという事には変わらんでしょと思いますがねえ。
ま、オペ先にはこれでもオイシイ話ですが、それで本当に企業金融環境が緩和されるのかは微妙。やらないよりはマシだけど、やはり実施すべきなのはバランスから外れるCP(別に社債まで買えとは思わん)買切だと思うのですが、買切りは妙にハードル高そうですねえ。株式買う位なら精々3か月程度の短期債務買うなんて屁のようなもんだと思いますが・・・
#そういや余談になりますが、三井物産さんが米国のCP買取プログラムに申請っていうニュースは「これはよい嫌味ですね」と思ってしまいました(^^)。
といういつもの悪態は兎も角として、適格要件緩和した場合は金利水準はちったあ下がるかもしれませんけれども、バランスシート制約に関して変化は無いので、そうそう景気良くクレジットスプレッドが縮小という訳にはいかないでしょう。アナウンスメント効果でどこまで持つかという話になると思いますが、今の地合いだとアナウンスメント効果で年末は持つ(というか基本的にCP市場に出てくるような企業さんは年末の所までは概ねメドつけてると思うのですが)かもしれませんが、本格的にバランスシート制約がかかる年度末に向けては追加の対策が必要かと思いますけどね。
バランスシート制約を軽減するには日銀のCPなどの買取とかが嫌ですというのなら会計問題から手を打つというのもあるとは思いますので、まあ日銀だけじゃなくて政府サイドの対応が求められるかと存じますです、はい。
○スポネ買現4兆円ってあーた・・・・
昨日は毎度お馴染みの国債買現先2本立て攻撃がスポネ増額になってましてスポネ(3日スタート4日エンドね)また1兆増えて4兆円のオペ。10日エンドは1兆円でしたけれども、月曜に2兆を3兆に増やしたばかりで昨日は4兆円に増額とな。
さすがに足きりレートは0.15%まで下がったのですが、平均0.458%ということは応札限度額3000億円だと足りない人が必殺で入れてきているんですねえという感じで足りないところは足りないのねという所ですがそれは兎も角。
えーっとですね、資金繰りを安定化させるという点を重視した場合の行動というのは「調達の足を延ばす」というのが基本中の基本でございまして、この逆をやって市場の流動性が低下した時にお陀仏さんになるのは古くは昭和金融恐慌の台湾銀行やら最近ですとサブプライム関連SPVとか例はなんぼでもあると存じます。
然るに、スポネの買現先(=資金供給)をバカスカ増額するとか市場のショートファンディングを奨励するようなオペレーションを実行している日銀のオペって何か変な意図でもあるのかと疑ってしまいたくなるようなもんでして、見た目のオペ実行額を増やせばよいというもんじゃない程度の事は理解してオペを打ってると思うのですが、短い資金ばかり大量供給すると市場の不安定な状況は解決せんのよね。市場の中の人たちが感じている問題意識(危機感と言ってもよいですけど)に対してオペレーションが全然呼応してないのがオソロシス。
ちなみに、あたくしちゃんと計算してませんので報道ベースですけど、年末越えの共通担保オペが前年の同時期対比減ってるそうで、CPオペ分を足してちょうどツーペーくらいみたいですけれども、そのどこがどう「年末越え資金の積極供給」なのかと小一時間。
ということで、何かこっちもずれてるんですよね。まさか「当座預金付利開始に合わせてスタートしたツイストオペ」と一緒で、今日の決定会合が終わってから急に年末越えのオペをアホのように打ち込んでくるとかいうのは勘弁して欲しいもんです。当初からやろうと思えば出来る事ですし、潤沢な資金供給というのは10月14日の時点で表明されていた訳ですから、「金利下げたくないから先に発射台作りに金利上昇をわざと放置したんですね」と言われても仕方ないと思いますけどねえ。
○ところで総裁講演
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0812a.pdf
記者会見でまたまた追加利下げを否定したり、企業金融支援は間接的(=CP買入はしませんよ)と発言してたりしたみたいで、そっちの方が見たかったりするのですが一応。
まあ景気認識に関しては厳しい見方になっているのは良いと致しまして、今後の金融政策に関する部分から。
『金融政策の緩和効果を十分発揮させるには、金融市場が安定的かつ円滑に機能することが不可欠の大前提となります。このことは米国で政策金利が大幅に引き下げられているにもかかわらず、実際の調達金利が上昇していることからもご理解頂けると思います。』
全くその通りであります。
『こうした観点から、日本銀行は様々な対応を行っています。』
はて?
『第1は、流動性供給を通じた短期金融市場の安定確保です。』
どう見ても不安定です本当にありがとうございました。
『円資金の積極的な供給はもとより、ドル資金についても国際協調の枠組みの下で、担保の範囲内であれば金額の上限を定めずに供給を行なっています。』
>円資金の積極的な供給
>円資金の積極的な供給
>円資金の積極的な供給
『第2は、企業金融の円滑化に向けた対応です。先ほど申し上げたように、金融環境は、資金のアベイラビリティを中心に、このところ急速に緩和度合いが後退しており、現在の低金利の効果が実体経済に浸透しなくなるリスクが高まっています。日本銀行は、従来より、企業が発行するCPを対象とする現先オペ、すなわち、売り戻し条件付きの買入れを行なっていましたが、企業金融の円滑化に資する観点から、10
月以降、このCP現先オペの積極活用を図っており、11 月からは一層積極的に実施しています。』
「10 月以降、このCP現先オペの積極活用」ってその手が緩かったから効果が全然なくて11月に毎週実施にしたけど時既に遅し(今のところ効果は超優良銘柄に留まるの巻という残念な状態)だったと思いますが。
『さらに現在、年末、年度末に向けた企業金融円滑化のため、中央銀行としてどのような貢献ができるか、対応策の実務的な検討を行っています。検討を終え次第、できるだけ早いタイミングで導入を決定し、実行に移したいと考えています。』
で、CP買取でもやるのかという期待はあまりしてませんがね。ここまでは期待させて裏切るの繰り返しでしたからねえ。いやまあポジティブサプライズやってくれるなら大変結構ですけれども。
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2008/12/01
○結局担保基準の緩和程度ですかそうですか
朝のテレビニュースなどによりますと今週インターミーティングが実施されるようですが、具体的には担保基準の緩和でお茶を濁すようでございますな(-_-メ)。「98年以来企業金融対策実施」みたいな言われ方をしているのですが、担保基準の緩和であれば別に企業金融対策実施じゃなくて既存制度の運用の範囲内でございますので、それを「10年振りに対策実施」とか威張られましても何だかね〜って感じです。
まあ連日市場雑談と称して悪態ついてますからご案内の通りかと存じますが、状況は担保基準の緩和如きで劇的に好転するとは思えない(いやあたくしの勘違いなら良いのですけど)のでして、CP現先オペの強化とやらもそうですが、兎に角打ち出す一連の「流動性対策」とやらが小出しで来る上に全部ワンテンポ以上遅いので、出しても限定的な効果しか出ずに事態の悪化が継続するという図になっているかと。
まあ担保基準の緩和に関しても10月14日直後にでも出していれば(CP現先オペの実際の強化もそうですけど)と残念な所でございます。と端からどうせ効かないでしょという前提で話をするあたくし。再三再四申し上げておりますように、現状の企業金融環境の問題は資金繰りよりもバランスシート制約の方がでかくなってますからねえ。
ということで、相変わらずのケチ臭さに涙が出るのと、担保基準の緩和如きを「企業金融にまで踏み込んだ支援を行うのは10年ぶり」とか誇大宣伝(某局朝のテレビニュースによる)するしょぼさに呆然という所でしょう。その手のインチキ説明は貫禄のインチキオヤジ福井俊彦大先生がやるから何となくインチキが罷り通るのであって、残念ながら今の白川総裁にそれを求めるのは無理だと思いますけどね。
ちなみに、10年前の臨時ナンチャラ貸出制度(この前ご紹介した奴)を復活させても現状の環境では意味無いと思いますがどうなんでしょ。
○市場雑談
さすがに金曜はGCレポ0.52%とかいうような無茶な展開にはならなかったみたいですが、今度はFBの方が益々アレな状態になっているようでして、引け値バースで見ると3か月カレントゾーンの引けが軒並み0.495%とかやらかしております。12月償還物は堂々0.50%越えになってるし、多分真面目に売りに行くと年末越えでも0.5%台じゃないと売れないんでしょうなあという有様。
ということで、こっちまでロンバートに並ぶの巻ですが、何せ共通担保オペの落札利回りが1日スタートの12日エンドで足きりが貫禄のロンバートレート0.50%(しかも按分按分ちょっと)だわ、2日スタートの2月13日エンドが平均で0.504%だわという有様(しかもどっちも応札が堂々の3兆円越え)で、ロンバートって何でしたっけ状態に。なお、地味に短国買入なんかも良い感じの叩き込みレートとなっておりますわな。どう見てもオペの供給が不足しております本当にありがとうございましたという所でございましょう。
ちなみに、金曜はスポネの買現先を2兆円から3兆円に増額ロールしたのですけれども、平均落札は0.495%ですな。足きりが0.47%なのですから、必殺の札が多く入ってると思うのですが、必要な人の額が確保できていないってえ事は応札限度額も足りないんじゃないですかねえ。
さて、FBの売りとかに関して言えば、共通担保オペなどに放り込めば0.50%で借り入れ可能は可能なので、じゃあビットは0.55%とか言われて売るのかと言うとそれはお家の事情(日銀取引が直接に出来る人とそうじゃない人いますので)によるのでしょうが、これ以上レート上昇するとオペや最後はロンバートに行けば良しという事になりますので、レートが貸出ファシリティに張り付くと市場取引が益々回らなくなる(対日銀ばっかになる)という事ですわな。
つまり、どこぞのトゥーリトル・トゥーレートが得意技の中銀総裁様がお好きな「市場機能」という面で申し上げますと、市場取引ロンバート制度が上限制約になっておりまして(苦笑)、もしロンバートが無ければ市場金利はもっと上昇している筈ですけれども、逆に金利が上昇する事によって新しい運用者が出てくるので市場が回りますねというお話になるのかも知れませんな。と段々言ってることが無茶になってきました(^^)。
市場金融対策がどうのこうの言う前に、オペが小出しの後追い(レートが上昇してからロットを増やす)なのをどうにかせんとイカンと思いますけど。まず最初に年末越え(今の地合いだったら3月末越えもアリでしょ、と思ったら7時の某ニュースで期末越えのオペを打つ話をしてますな^^)の長いオペをドカンドカンとレートが下がるまで打ち込んで市場の目線を下げて安心させれば、逆に普段の供給をそんなにジャンジャン打たなくても安心感でレートはそうアホほど上昇しない筈なんですよね。しかしやってる事がその真逆になっているので、市場の目線が上がるわ疑心暗鬼で予備的需要が増大するわなのでちょっとやそっとの供給増加では追いつかないという流れに。
まあ毎日このネタで皆様食傷気味だとは存じます。性格が粘着なもんでどうもすいません。
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2008/11/28
○税揚げ前の月末とは言え・・・・
昨日もまたまたレートが上昇しておりまして、ここまで来ると投資家(大手銀行)による催促相場状態になって来てますなあという感じがヒシヒシと。備忘の為にクリップ。
オペの金利ですけれども、スポット(1日)スタートの国債買現先1週間物は0.486/0.48で前日の0.463/0.45からまたまた上昇(火曜は0.434/0.43ね)となってしまいました。税揚げ後もレート高止まりするんですねという認識もあるでしょうが、ここもとTBFBなどの短い所で売りが嵩んでいるようなので(12月償還の銘柄では引けが0.50%を越えたものが・・・・)、在庫ファイナンスも大変ですねという感じでしょうか。
で、その後にゲゲンピョだったのはトム(月末の28日)スタートの共通担保本店供給オペでして、月末スタートの12月15日エンドの共通担保オペの落札レートは平均落札レートが何とロンバート越えとなって(そりゃまあ12月償還のFBが0.52とか言い出してるんだから当たり前なのですが)しまい、レートは0.501/0.49で按分は11.5%でございました。ロンバートレートより上ってナンジャソリャという状況であります。
月末は3月決算企業の予定納税対応の資金ニーズがあるのですが、ここもとCPの発行が滞っていた所でしたので、こりゃまあ銀行借り入れ(大手企業だからコミットメントラインのご利用でしょうなあ)が絶賛大殺到して、ファンディングの圧力が高まったという所なのではないかと勝手に想像致しますが、それにしてもロンバート越えとは素敵にも程があります。
そんな感じですから、GCのレギュラースタートで0.52%だとか訳判らん動きになっちゃいましたが、ロンバートに行けば0.50%だというのにそこまで特攻するというのも何ともという感じ。TIBORフィクシングレートも絶賛上昇していまして、こいつは市場でマークするもんじゃなくてリファレンス銀行が鉛筆なめてつけるレートでありますので、こいつはまあ大手銀行さんついに政策催促、というか督促状態になって来たかと、おらワクワクしてきたぞって感じです。
ということで、オペレートの話をしながら書きましたけど、TIBOR3か月ものは日本円3か月で0.86833%と前日から1bpちょい上昇の巻となり、利下げ直前の31日(フィクシングは11時ですので^^)の高値0.88917%に益々接近の巻。毎日良い感じでリファレンスバンク様がレートを上昇させておられるようで、実に素敵な展開になっております。今日高値(というか最高レート)を抜いたらもう笑ってしまうしかありません。
CPはスポットが1日なのですが、納税やら年末資金対応などもあるのか昨日はやたら沢山発行が。久々のメーカーネームとかもありましたが、電力などの公益系最高位格付け銘柄群を除けば微妙にレート上昇。まあ大型発行が多かったので仕方ない面はありますけど、やはりレート上昇かってな感じです。二極化のもう片側さんはこの状況だと益々大変かと。ご同情申し上げます・・・
FBは先ほど申し上げたとおりの惨状ですが、来月は休みの関係もあって発行が前倒しで行われるわ、3か月物の発行額が4兆8千億円に増えるわという状態で大丈夫かいなという所ですな。もうちょっと長いところだと1年半とかのゾーンがメタメタみたいな感じですね。新発2年国債はまあ無難ではあったのですが、カーブ上で1年から1年半くらいまでが一番甘い(もっと甘いのは1か月以内ですけれども^^)とかどういう事やという感じです。あまり想像したくない「換金売り」という言葉が頭にチラチラと・・・・
○ということでこれが市場機能の結果でございます
とまあ素敵な市場の展開ではございますが、昨日ご紹介したオペ懇でのご発言によりますと、市場機能を生かすというのが白川総裁様のスタンスであられるそうでございますので、総裁様のお考えの通りに市場にお任せしたらこんな状態になっちゃいましたという事です(-_-メ)。
即ち、後ほどご紹介しますが、利下げ決定会合において反対意見を出した水野審議委員の指摘していた『C
P ・社債市場の機能低下等を踏まえると、利下げの効果が実体経済に波及するメカニズムがはっきりしない』というのが具現化している訳ですな。市場の目詰まりを放置して利下げをしても効果が出ないというのは、かつての金融システム不安の時にも経験がございましたが、今般の場合は金融システム不安のような状態になっていないのにこの有様というのがタチ悪いという感じですね。
ま、それは兎も角として、何か火曜のオペ懇以降益々市場が大反乱状態になってきております(ように見える)のは、昨日ご紹介した白川総裁のスピーチの「市場機能」連呼に対してオペ先の皆様がカチンと来たからとか妄想するのは妄想にも程がありますかそうですか(^^)。
とにかく、潤沢な流動性を供給とか言ってる割にはやってる事が後手後手に回っているのが問題を悪化させているのでして、例えばCP現先オペに関して言えば、10月14日に積極活用とか言い出したのに、その後の実施は月末までに2回しかないという状態で、それじゃあ積極活用じゃないでしょという認識になる訳ですわな。10月14日の会合後から普通に毎週オペ実行してたらもう少しCPディーラーも安心して引受が出来、今のように間接金融への大々的なシフトが起きて銀行金無し状態にならずに済んだのではないかと(まあ実際どうだったかは再現できませんから判りませんが)思うと、全く持って危機感の欠如にも程があるという所でございます。
と、連日の悪態恐縮至極。
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2008/11/27
○またまた短い市場雑談に悪態成分が入っております(^^)
昨日もまたまたGCレート上昇して0.50%近辺みたいですね。
税揚げ要因ちゅうのはあるのですけれども、単にそれだけではなくて、そもそも市場がその手の金利上昇ネタにナーバスになっている状況において、金利上昇しやすいネタの税揚げに対して供給オペがほぼ自然体だったのも「あらやっぱりそうですね」という感じでレート上昇要因になったようで。
まあ準備預金の積み進捗が進み気味なのであまりバカスカ供給できないというのもあるのでしょうが、それって要するに「通常モード運営」の状態ですわなという事でして、何かこう年末越えに関してちと神経質になっている状況においてはちとどうなのかなあとは思うのですが、ディレクティブどおりに運営するとなればこうなっちゃうのよね。残念。
という事で、資金足りません感が強い中でオペの金利はターム物がしっかり上昇しまして共通担保本店の27日スタート4日エンドという税揚げ越えは0.488/0.48と前日の1週間ものが0.453/0.45だった所から華麗に上昇してロンバート金利にまたまた接近。そりゃGCが0.50に上昇するわ3か月新発FBの入札がコケるわなという所でありまして、FB新発の落札利回りは足きりベースで0.49%に乗せてしまいまして(さすがに引けは0.475−48みたいですが)これまたロンバート接近でござるの巻となってしまいました。
どうも12月償還とか1月償還のFBも売りが出ているようで(単に入れ替えなのか換金なのか知りませんが、換金だったら嫌ですねえ)このあたりの引け値は軒並み0.48だの0.49だのとこれまたロンバート接近レートになっております。
ということで、まあ市場の中の人たちが何となく不安に思っていたように、1週間掛けて下がったレートは元に戻るの巻になりました。
・・・・・17日に当座預金(超過準備)付利を行うと潤沢な資金供給ができるようになるというお話はどこに行ったのでありましょうか、それと10月14日の公表文の中にはこんなのもありましたが、年末越えのオペレーションも別に普通の自然体でしか打ってないように見えますけれども、あれは何だったんでしょうかねえ・・・・
『3.年末越え資金の積極的な供給
年末越えのターム物オペを早期に開始することにより、年末越え資金を積極的に供給する。』(10月14日の公表文から)
結局の所ですね、最初から別にジャンジャン威勢よく供給する意思がなくて、単に(絶賛シュリンクしてる)無担保コールのレートと準備預金の積み進捗を見ながら自然体で運営してろという状態なのであれば、最初から「付利で潤沢な供給」とか「年末越え資金供給の積極化」とか余計な事は言わなければ良いのでして、変にそんな事を言うから市場が期待して「潤沢な供給はいつですか」となってしまい、結局失望ということになっちゃうのではないかと思います。今の状況って(無担保コール市場は知らんが)主にオープン市場が日銀の調節姿勢に対して懐疑的になってるのではないかという懸念がありまして、日銀の為に惜しむ者でございまする。
・・・・うーむ、今日も毒出し毒出し♪
○どう見てもゼロ回答です本当にありがとうございました(はオーバーですが)
25日に金融調節に関する懇談会っちゅうのがあって、そこで白川総裁が講演ちゅうか挨拶をしたそうな。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0811e.htm
・ゼロ金利政策はやりたくないということですね、わかります
(量的緩和政策解除と市場機能の回復)という素敵な小見出しに続く部分。
『量的緩和政策を採用していた時期に、その市場インフラは大きく縮小しました。長年にわたるゼロ金利からの脱却は、一旦縮小した市場インフラを再構築するプロセスでもありました。短期金融市場における取引は徐々に活発化し、資金の出し手から取り手へ市場を通じて効率的に資金が融通されるようになっていきました。当初はやや振れが大きかったコール市場やレポ市場の金利も、徐々に円滑に形成されるようになり、市場間の裁定取引なども次第に活発に行われるようになりました。ただし、そうした状態になるには、かなりの時間とコストがかかったことも事実です。』
もうちょっと手前にも説明があって、ゼロ金利長期化で市場のインフラがどういう具合に喪失したかって話をしてるのですが、まあいつもの話なので割愛しておきましたです。で、これは最近やたら白川総裁が「市場機能」と連呼する根底にあるのは「ゼロ金利政策はやりたくありません」というご意思があると理解すれば宜しいという事ですね、わかります。
ちなみにもうちょっと先に『3.金融市場における市場機能の重要性』というもっと素敵な小見出しのコーナーがありまして、そちらではこのようなお話を。
『短期金融市場あるいはより広く金融市場の機能は一旦損なわれると、これを回復するためには多大な時間とコストを要します。ゼロ金利から脱却する際にも、与信枠、資金繰りセクションの人員やノウハウなど、一旦大きく縮小された市場インフラを再構築するために、長い時間と市場参加者の皆様の多大な労力を要したことは、ご記憶に新しいところだと思います。このような市場インフラを維持していくためには、たとえ市場機能が低下している中にあっても、できるだけ市場を通じた取引を促進し、市場機能の復元力を温存していく努力が大切だと考えています。』
その結果レポ金利が貸出ファシリティに張り付き、CPや社債市場では二極化拡大状態になっておりますが、それは市場機能が働いているから良いということですね!
・量的緩和政策は金利ターゲットが困難になるとな
で、さっきの続きに戻ります。
『現在の金融市場の機能低下は世界的な現象ですが、米欧では、この問題がより顕著に現れています。(欧米の中銀の対応を説明した部分割愛)。このような(引用者追記:欧米中銀の)対応は、目の前の「火事」を消すために不可欠なことではありますが、いくつかの困難な問題に直面しています。例えば、大量の資金供給の結果、米欧のオーバーナイト物の金利には下押し圧力がかかり、誘導目標金利から下方に乖離しています。金利誘導力を回復するため、FRBでは10月から準備預金に対する付利を開始しました。さらに、市場機能をある程度犠牲にしてでも金利誘導力を高めるため、付利金利を誘導目標金利と同水準にまで引上げましたが、FF金利は依然誘導目標を大きく下回った状況が続いています。このように、米欧では、市場機能が大きく低下した下で、金融調節は技術的な困難に直面しています。』
えーっと悪態割愛(^^)。
・まだそれを仰せですか
その続きが(わが国の状況)というコーナーなのですが、まずは現状認識部分を特にコメント入れずに引用しておきますね。
『短期金融市場では、コール市場でカウンターパーティ・リスク意識の強まりを背景に取引が減少しているほか、レポ市場でもコール市場との裁定が働かず、レートが高止まりやすくなっています。債券市場では、市場流動性の低下からイールドカーブの歪みが目立っています。為替スワップ市場でも、長めのターム物取引を中心に流動性が著しく低下しています。さらに最近では、投資家のリスク回避姿勢の強まりからCPや社債の発行見送りの動きが広がるなど市場での資金調達環境が悪化しています。』
リスク回避ちゅうよりはリスクマネーの減少による部分が大きいと思うのですが。まあそれはそれとしてその次。
『こうした状況を踏まえ、日本銀行は、各種のオペ手段を動員して市場への資金供給を行っています。同時に、オーバーナイトの無担保コールレートを誘導目標金利水準の近傍に誘導するために資金吸収オペレーションを並行して行っています。』
同時に〜以下が無かったらぶち切れる所ですが(笑)。
『11月積み期からは、これを補強し、金融市場の逼迫する年末、年度末に向けて積極的に資金供給を行うために、時限措置として補完当座預金制度を導入したところです。』
・・・・その説明はいい加減止めた方が良いのではないでしょうか。現実問題として補完当座預金制度の金利まで無担保コール市場の金利が低下するような動きって全然無いですよね、この積み期間に入って。
・どう見てもオープン市場放置です本当に(ry
『中央銀行としてはこうした仕組みを活用してコールレートの目標水準への誘導を図ることは重要ですが、同時に、短期金融市場においてその時々の市場における需給の状況や取引当事者の信用度を反映した金利形成が自由に行われるという意味での市場機能を極力温存する努力も必要だと考えています。こうした観点から、短期金融市場で多様な取引主体が資金取引を行い、その結果として成立する加重平均金利が誘導目標近傍となるよう、金融調節を行っています。』
極力温存した結果がオープン市場の惨状ですけれどもそれは是だと。
『それと同時に、リーマン・ブラザーズの破綻以降も、日本銀行が必要以上に市場を代替することをできるだけ避け、市場で成立し得る取引はできるだけ市場で成立するようにするという基本的な考え方に立って、金融調節を運営しています。』
つまりCP買取やら株式購入などはやりたくありませんというのが基本的な考え方と。
『補完当座預金制度における付利金利と誘導目標金利のスプレッドを0.2%としたのは、コールレートが誘導目標から過度に乖離して低下することを抑制するとともに、この範囲で自由な金利形成が行われる余地を残したいと考えたことによるものです。』
だからその説明はいい加減(以下同文)。
・市場機能の重要性でこういう話をしてるのに・・・・
『3.金融市場における市場機能の重要性』の中から。
『第3は、金融政策の波及メカニズムの確保という点です。オーバーナイト金利を起点とする金融政策の効果は、様々なタームの取引や市場間の裁定といった市場取引を通じて、金融市場全体、さらには実体経済へと波及していきます。自由な金利形成が行われる市場からは、金融政策の運営上有益な情報も発信されます。したがって、市場機能が維持されていることは、金融政策が効果を発揮する上で重要な前提条件です。』
えーっと、現状ではその経路が変調を来たしているのですけれども・・・・・何か現状に対する危機感があるのかないのか良く判らんですなあ。コマッタモンデ。
・最後に何となくやる気らしきものはあるのですが
『4.中央銀行に求められるバランス』って所なんですけれどもね。
『以上のように、中央銀行は金融市場の機能が十分に発揮されることを重視し、そうした観点から、金融市場への直接的な介入は極力避けるとともに、取引に当っては中立性の維持に努めています。しかし、一方で、現実に金融市場の機能が低下している場合、あるいは経済状態が厳しくなる場合には、中立性を多少犠牲にしても中央銀行自身が市場にかなり強い形で介入するという複雑な二面性を有しています。』
現在の状況を鑑みますと、こっちを先に発言したほうが良いと思うのですけれども、順序として後になっている時点でまあそういう事なんでしょうねと思ってしまいます。まずは現状では原理原則が先にありますよと。まあ途中を割愛して最後の部分。
『いずれのケースでも、中央銀行が過度に民間の市場取引に関与すれば、市場のもつ本来の機能が阻害され、結果として市場機能をさらに低下させてしまうという悪循環に陥る惧れがあります。しかし、現実に市場機能が低下した場合には、市場がさらに不安定化し経済状態が悪化することを防ぐ必要があります。その意味で、中央銀行には経済や金融市場の動向を丹念に点検した上で、注意深いバランスが求められますが、その責任を適切に果たしていきたいと思っています。』
で、現状はのんびりと原則論を唱えている場合じゃないように思えますけれどもねえ・・・・
・・・・うーむ、今日も毒出し毒出し♪
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2008/11/26
○市場雑談ですが
昨日のレギュラーGCは月末月初になるのですが、レギュラーの翌日物GCは上昇しやがって0.48%とかの水準。国債買現先の27日スタート12月4日エンドの落札レートがしらっと1つ上昇したですなとか思ってたら午後の共通担保本店26日スタート12月5日エンドが1兆円のオファーに対して応札5兆とかになりやがりまして、落札レートは2つ上昇の巻と地合い悪化してるのでまあそんなもんちゃあそんなもんなのでしょうが。
まあ何ですな、足元もきっちり売手即日で引いているので全般的に金やっぱ足りないじゃないですかという所で、月初の税揚げ抜けるまでは地合いが回復しないのかねとか思うのですが、とりあえず昨日の現象面を見ますと、「折角1週間掛けて低下したGCレートが1日で戻りましたね」という感じでしょうか。もうちょっと正確に申し上げますと、金曜の時点でレギュラーのGCが0.42−43%あたりの水準に反転上昇となっていましたので、同ペースで供給してたらレートが上昇するんでしょうねという感じでしたから1日で戻ったというよりは金曜の助走によって月曜見事にジャンプという所でしょうか。さて今日はどういう調節をしてくるのやら(ニヤニヤ)。
それはそれとして、CPレートの見事な二極化とかどっかの情報ベンダーでもネタになってましたが、TIBORも中々香ばしい展開に。TIBORの日本円3か月ですけれども、利下げ直前の10月31日に全銀協発表のレートが0.88917%と最近では最高水準だったのですけれども、まあ当然ながら同日の利下げを受けて11月4日には0.79083%と10bp弱(利下げ幅が20bpなのに10bp弱という時点でアレなのですけれどもそれはさておいて)低下したのですが、ここもと徐々に上昇でござるの巻になってまして、昨日はとうとう0.84750%となってしまいました。何と利下げ20bpに対して低下幅4bpの巻と。いやはやコマッタモンデス。
○その他余談とか宿題とか
・金融経済月報
本当は読んでたのですが、時間と量の関係上明日にします。金融環境に関してようやく緩和度合いが弱まっているという認識が出たりして、内容的には下方修正ちっくになっていますね。それから「緩やかな成長経路に復する」が抜けたのもやっと抜きやがりましたなという感じです。
・民主党が何か出すとか
時事メインのニュースで見ただけですが、「日銀は金融機関に資本注入すべし」という微妙に訳の判らん施策が出るみたいですが、金融機関の資本を持つと思いっきり利益相反の問題が起きると思うのですが、いやまあ統合政府と言う面では同じですけれども、それなら金融安定化法案の修正に努力したほうが良いと思いますがどうなんでしょ。
てか、そうやって打つ手が後手に回って出し渋りしてるから段々筋の悪い話を要求されるんだと何度やれば判るのかと小一時間ですな。
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2008/11/25
お題「何というゼロ回答(決定会合結果)」
何か出るかと思ったのですが、これは何ということ。また期待空振りになってしまいましてどうもすいませんm(__)m
これが決定会合結果ですな。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081121.pdf
○まずはステートメント:経済見通しがイマイチ下がってません
利下げする前の10月8日公表のステートメントと比較するの巻で。
『わが国の景気は、既往のエネルギー・原材料価格高の影響や輸出の減少などから停滞色が強まっており、当面、こうした状態が続く可能性が高い。』(今回)
『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響や輸出の増勢鈍化が続いていることなどから停滞しており、当面、海外経済の減速が明確化するもとで、こうした状態が続く可能性が高い。』(10月8日)
「停滞しており」→「停滞色が強まっており」っていう変化をさせた意味がイマイチ判らん。たぶん「強まっている」だから表現的には今回の方が停滞観を強めていますという事なのでしょうが、普通に言い切っている前者の方がヘッジクローズ入りじゃない分だけ「停滞」がすんなり入ってくる感じもする。ま、何はともあれ、後退やら悪化という表現が入っていないのは・・・・
物価の話はまあ織り込み済みだと思いますのでスルーして先行きの話ですけれども、今回はしらっと先行きのこの分を割愛しているように見えます。
『先行きについては不確実性が大きいものの、やや長い目でみれば、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するにつれて、次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』(10月8日)
ええっと、この10月8日まであった部分が今回は見当たらないでござるの巻となっておりまして、ええもうこの部分に関する文章は今日公表の本文を読めですかそうですかという所です。辛うじてこれは残ってますが。
『先行きについては、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高いと判断される。』(今回)
ちなみに利下げ前の10月8日ではこの通り。
『このように、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定の下での持続的な成長経路に復していくとみられる。』(10月8日)
ヘッジクローズが入りましたね。「可能性が相対的に高いと判断される」というのはこれはこれは。会議資料で使いたくなりますね(^^)。
○ステートメントつづき:リスク要因
リスク要因に関しては文章の利下げ前と比較して量が減っております(^^)。ということはヘッジクローズが減っているという事を意味する訳で・・・・・
『リスク要因をみると、米欧の金融情勢や世界経済の動向次第では、わが国の景気が更に下振れるリスクがあることに注意する必要がある。』(今回)
『リスク要因をみると、米欧の金融機関の破綻などを背景に国際金融資本市場の緊張が強まっており、また、世界経済には下振れリスクがある。国内民間需要については、これまでの交易条件の悪化を反映した所得形成の弱まりから下振れるリスクがある。設備・雇用面での調整圧力を抱えていないとはいえ、景気の下振れリスクには注意が必要である。』(10月8日)
利下げ前は細々と書いてあった部分が割愛されているのは、本文での表現が下向きになったことを反映しているのではないかと思いますが、内容に関しては今日公表の本文をみたいです。
『また、金融機関の貸出姿勢や社債・CP市場の動向など金融環境が一層厳しさを増す場合には、金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性がある。』(今回)
今回新しく出た項目です。これに関しては既にだいぶエライコッチャになっているところですので、まあちゃんと入っているのはホッとしましたが。
物価に関しての上振れリスクを下げています。
『物価面では、上振れリスクは以前と比べ小さくなっている一方、景気の下振れリスクが顕在化した場合や国際商品市況が更に下落した場合には、物価上昇率が一段と低下する可能性もある。』(今回)
『物価面では、世界的に高い物価上昇率が続いている。わが国の物価については、エネルギー・原材料価格の動向に加え、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動の変化など、上振れリスクに注意が必要である。』(10月8日)
誠に結構。そして今回やっと削ったのは従来までのこの表現。
『この間、景気の下振れリスクが薄れる場合には、緩和的な金融環境の長期化が経済・物価の振幅をもたらすリスクが高まると考えられる。』(10月8日)
今回の表の部分からこれが削除されましたな。結構結構。
○で、肝心の流動性対策がゼロ回答とはどういうことや
ステートメントの4番目にその手の話が。
『また、上記の金融環境を踏まえ、企業金融の円滑化に資する観点から、当面、CP現先オペを一層活用していく。さらに、同様の観点から、民間企業債務の適格担保としての取扱いや民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫について速やかに検討を行い、その結果を決定会合に報告するよう、議長より執行部に対し、指示がなされた。』
・・・・・CP現先オペですけれども、一層活用もクソも既に毎週実施していて札割れ(直近は札割れしませんでしたが)する勢いでやってるせいで落札レートが毎度毎度やたら低いのですけれども、そのオペを「一層活用」とは何をどう一層活用するのか全く意味が判らん。少なくともちゃんとオペ結果とかフォローしている市場の人からすると「ナンジャソリャ」状態になると思うのですが、もしかしてこれはあの「ぶぶ漬けでも食べていかれますか」なのでしょうか。
で、「民間企業債務の適格担保としての取扱いや民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫について速やかに検討を行い」ってのもこれまたワケワカメなのでありまして、そもそも民間企業債務は適格担保になっているものが多々ある訳でございまして(そうじゃなかったらCPオペとか存在しません)、担保基準の緩和でもするのでしょうか位しか思い浮かびませんなあ。
まあそういうことで、一応検討する話は出ていますが、こちら(でも市場の中の人でも)で申し上げておりますが、年末まで日数無い状態で市場は二極化状態になっているという状況なのでして、今更のんびりした「指示」出してる場合じゃないと思うのですよね。正直日銀がこんなスタンスですと、年末と年度末この調子で大丈夫なのかという感じになるでしょうから、まあ資金の抱え込み傾向は益々強まるでしょうな。困ったもんであります。
てかね、会見(については今日の公表見てからですが)のヘッドラインでもどこぞの情報ベンダーでは「追加利下げは弊害大きい」みたいな題名を打ち込まれたりしていましたように、今回の公表内容って「白川総裁(または執行部)のゼロ回答」的な印象が強いものでありまして(金先が決定会合後に下落したのは無縁ではあるまい)、この状況でそんな状態でよいのかと小一時間ですな。
利下げはしない、なお書きはしない、CP買入などはやらない、株は買わないと、まあやらないのオンパレードですが、どうせ何かやらざるを得ない状況なのですし、状況が悪化して追い込まれて実施するとなるとより筋悪の政策をうたざるを得ないことになるんですから、それよりもほらあれ、フォワードルッキングで先手先手に対策打った方がよろしいんじゃないですかねえと思います。
○ちなみに10年前にはこんなのが
10年前にこんな施策があったと人から指摘をしてもらいました。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako01/k981113a.htm
これを見ますと、2番がほほーと思うのでありますけどね。
『2.企業金融支援のための臨時貸出制度の創設
年末・年度末にかけて、金融機関の企業向け貸出を資金繰り面から支援していく趣旨から、企業向け貸出が季節的に増加する10〜12月期における金融機関の貸出増加額の一定割合(50%)を対象に、リファイナンスのための日銀貸出制度を新たに設ける。その際、担保は国債のほか、日本銀行が適格と認める民間企業債務(手形<含むCP>、社債、証書貸付債権)とし、原則として、担保価額の50%以上は、民間企業債務を差し入れることを条件とする。』(上記URLの1998年11月13日公表文書より)
ここを見ますと判るように、本件は「リファイナンスの貸出制度」でして、企業金融を増やしたらその半分の資金繰りは面倒みますよ(ただし有担保)というお話ですね。
えーっと、この時期ですけれども、問題になっていたのは金融機関の資本不足よりも、資金繰りの問題の方が大きかったので、こーゆー施策になった(実際問題としてあまりワークしなかったのではという記憶が微かにありますが)と思うのですけれども、現在の場合は98年と違って全体的に見れば金があるのに世の中に資金が回ってこないというのが問題なのですね。
即ち、金融機関(銀行とか証券)のリスク許容度が低下してしまった為に金の回りが悪くなり、金の回りが悪いから金融機関も企業もいざという時の為に資金を抱え込もうとする為により一層金の回りが悪くなるという状態なのでして、まあそこを止めるにはリスク許容度回復(というか要するに持てるCPなどの枠が足りないという状態)が必要なので現先オペだけじゃ不足だと思いますけど・・・・・
#というか、状況違うのだから10年前みたいな施策だすのは勘弁
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2008/11/21
お題「さて決定会合/市場雑談/山口副総裁の国会答弁から」
ビッグ3の雇用は大事(まあレイオフはしてるでしょうけど)だよレガシーコストは減らさないよでもそれじゃあ救済できないよねって米国様大騒ぎですけれども、日本が大変な話になっている時に賃下げしろ人減らせ退職金給付を見直せダメ企業は潰せとか言ってたその口が何を言うとか思うのですが、日本コケても米国はコケないが、米国コケると日本も含めてそこらじゅうコケるというのもこれまた悲しい事実なのですね。
○さて決定会合
決定会合にぶつけるように素敵な株安円高進行でございますが、まあ目先のそれはそれとして、ダメダメGDPも出たことですし、金融経済月報に関しては下方修正は必至かと存じます。で、あたくし的に勝手に注目しているのは金融環境に関する認識がどうなるのよという話。
即ち、前回の決定会合およびその前における日銀の公式見解は、0.5%の政策金利水準の下でも金融環境は緩和的という認識で、利下げは緩和的な金融環境を更に緩和させるという文脈で実施していたのですよね。でまあその後も良くない経済指標が出てきて経済状況の悪化が確認されている中で金融環境の「緩和的」な度合いは相対的に低下している筈ですよね。この辺に関しては毎度毎度「緩和的な金融環境」ということになっているのですが、本当に緩和的なのだったら「緩和的な金融環境」をもう何年もやっているのに景気がこの有様とはどういうことよという気がせんでもない次第で。
と、書いてるうちに話が微妙に壮大になっちゃいましたが(汗)、まあ何はともあれですな、10月末に利下げをした中で各種要因が複合してという所なのでしょうが、長期金利は下がらない(ここ2日でやっと1.5%の呪縛から離れてきましたが)わ、CPレートはピカピカ優良銘柄(電力ガスなど)以外は下がらない上に却って上昇してる所はあるわ、昨日のブルームバーグニュースでも指摘されてましたが、TIBOR3か月もののレートは一旦低下したけど足元で上昇基調になっているわ(これはさすがに利下げ前よりも低いですけどね)となってまして、一方で景気も資産価格もこの有様ですから金融環境は悪化しているとしか思えないのですけれども、まだ本当に緩和的な金融環境なのでしょうか(そりゃまあ正式文書で中々それを引っ込めるのも(ホイホイ変更して褒められるよりも叩かれる傾向にありますし)少々ムツカシヤとというのはわからんでもないですが・・・・)という検討は当然ながら決定会合でも行われていると存じますけど、そのあたりの見解をお伺いしたいものだと思います。というか誰か会見で質問してちょ。
という金融環境な訳でして、実は前回の決定会合でも当座預金付利がどうのこうのという前に流動性強化策を打っていただきますと良かったのですけれども、まあ今回はその辺りでどのような話が出るのかも注目したいです。ただまあこれは施策一つ一つ検討していくのも手間掛かりそうな話(担保掛け目変えるとか昔やったABCP買取復活くらいなら大した事はないと思いますが)で、前回会合でその手の話が全然出てない(もしかしたら議事の席上では話が出ていたのかもしれませんが、総裁会見などではそんな雰囲気は見られませんでしたよね)ので、昨日今日(というか実質今日)の会合でどの位の物がでるのか注目したいです。勝手な妄想は一昨日書きましたのでまあそんな感じで。
○市場雑感
10年が1.5%に吸い寄せられるように云々と昨日書いたら超長期国債入札順調に株式市場絶賛下落で10年1.4%台前半に入るとかどんなヘタクソだよとか思うのですけれども(大汗)、何気にGCレポのロンバート張り付き状態とかいうアホウな状況が改善されたのも効いているのではないかと思うあたくし。ただまあ日銀オペによって支えられているという状況には変わりない上に、株価がなおも下落しそうで「リスク許容度」って奴が低下しやがりそうな悪寒もするので、これでまた今日株安で債券伸びないとかやられると気持ち悪いことこの上なしであります。
まあ毎度毎度申し上げてるCPも二極化というか三極化という感じで、レートの絶賛低下するピカピカ銘柄様に対して、レートが下がらない企業様に発行そのものが何かもうエライコッチャな企業様とかいう感じになっているのはちょっとねえという所です。その結果ローンが伸びて需要が上がるのでTIBOR上昇ってお話でして、昨日読んだブルームバーグの記事はまあ現象を端的に良く纏まっていると思うので一読推奨。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aMEYu9jxwpSg
まーこっちも局地的な話ですけれども、無担保コール取引の最高取引レートが今週になってしらっと上昇しております。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_m.htm
上記URLの日付のところをポチポチ押していただきますと判るのですが、今週になって取引最高レートが60台から70台に上昇。積み期間が変わって調達意欲が高まるとかいう面が無いわけでは無いとおもいますけれども、どっちかといえば環境の悪化とか、別に60台の無担ださなくても売出手形に入れたほうがいいじゃんとかいう動きなような気がするのでありまして、CPオペ(そういや昨日は札割れしませんでしたね)の実施で益々格差拡大社会のCP市場と似たような文脈なのかもしれませんね。
○量的緩和政策の効果に関する質疑(国会コーナー)
11月11日の参議院財政金融委員会から
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/170/17011110060002a.html
後半3分の1あたりでして、椎名一保委員に対する山口副総裁の答弁から。
『あと、九〇年代の経験をどのように世界に向けて発信していくかというお尋ねでありますが、先ほど財務大臣の方からもお話があったところでありますけれども、私どもも十年余りの間、非常に苦労に苦労を重ねてきたところあるわけでありますが、私どもの政策運営としては、やはり先ほども御指摘のありましたように、ゼロ金利政策を導入し、一時期は量的緩和政策を導入するというような形で対応してきたわけであります。そういう特に量的緩和政策というようなことについてはどういう意味を持ったかについて、実は明快な答えがまだ出ているということではありません。』
ほほう。
『ただ、私どもなりの理解ということで申し上げると、やはり量を大量に供給する中で極端にゼロ金利を追求していくという状況になったわけでありますが、そういう中ではやはり金融システム不安、それを背景とする金融市場での金融機関間のお金のやり取りが難しくなるという状況に対しては、これは有効打になったんではないかというように思っております。したがって、そういう意味で、量的緩和というのは、量を供給することで、金融システム不安を抱える世の中においてはそれなりの市場安定化効果を持ったんではないかというふうに私自身は認識しています。』
では日本は現在金融システム不安が無いので量的緩和はあまり関係ないということですね、判ります(-_-)。
『ただ、じゃ、量自身が直ちに景気を押し上げる効果を持ったのかどうか、これについてはいろいろと議論が分かれるところだろうと思っております。私どものこれまでの勉強の成果によると、実はそれについて明快な答えが出ているということではありません。そういうことであるんですが、量的緩和ということについてはもう一つ、私ども、時間軸を利かせるというような対応も取ったわけであります。これは、量的緩和という金融緩和政策を長く続けるということを世の中に明らかにすることによって長めの金利をより低いところで安定させると、そういった効果をねらったものであったわけでありますが、そのこと自体はやはり経済に対して何らかの浮揚力を持ったということはあるんではないかというふうに思っています。』
時間軸効果の話ですかそうですか。何かこれに関する報道を見たときには(市場は特に何の反応もしてませんでしたけど)量的緩和効果について副総裁が評価した答弁をしているみたいな感じでしたが、実際の答弁を読みますと評価しているのはあくまでも過去の話と時間軸の話ですなあ。
『いずれにしても、今申し上げたような形で量的緩和を実施したり、あるいはゼロ金利を追求するというようなことの中で、経済に対していろんな意味でのプラス効果というのはあったようには理解しております。』
ということで、何か「あったようには理解しております」ってどうも乗り気ではなさそう感が物凄く漂ってくるのはあたくしの気のせいですかそうですか(^^)。
と、ちょっとこのニュース出たときから気にはしてたのでクリップしてみました。
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2008/11/19
○オペなどの雑感
昨日も引き続きスポットスタートの国債買現先を2本立てでロールオーバ。スポネが2兆円の同額で1週間ものが1兆6000億円でこれまた増額。落札レートに関してはスポネが0.415/0.40と前日とほぼ同水準(足きりの按分が下がっているのは20日スタートだからでしょう)で1週間ものが0.436/0.43と足きりは変わらずで平均レートが低下してますので、まあレート的には落ち着いているんでしょう。
で、午後は午後でお約束の売手即日2本立てに共通担保オペがトムスタートの本店オペ1週間ものにスポットスタートの2月エンドという供給が行われまして、ドル供給オペ(1ヶ月もののロール)も含めますと昨日は都合オペ7本実施。スポットが17日になった所から1日のオペ本数を見ますと、13日木曜から7本、6本、5本、7本となっている訳ですが、その前ってどうでしたっけと11月頭から並べますと、11月4日から6本、6本、5本、3本、4本、2本、2本となっておりまして、まーこれは何だかんだと申しましても「17日の超過準備付利に合わせてオペを沢山打つようになってきましたね」という感じになっておりますわな。いやはや何ともという感じですが。
まあ元々ツイストやったらオペ本数増えるのは当然なのですけれども、やろうと思えばもっと早くから出来たツイストをここまで引っ張ったメリットが良く判らん所だというのは昨日ご紹介したPD懇における「レポ市場の金利高止まりと流動性低下が債券市場に悪影響を与えている」という指摘にあった通りかと存じます、といつもの悪態。
しかし何ですな、昨日あちこちのコメントとか見てたのですけれども、債券市場の解説の中で「17日からの付利で日銀が無担保コール金利の低下を容認するのではという期待が空振りに」というような話が多うございましたのは中々オモロイものを感じましたですよ。金融政策のロジックからすれば、ディレクティブの変更無しで低下容認というのは有り得ないのでして、そんな観測が出る自体がアホウなのですけれども、こと金融政策話になりますと、某海外著名レポートのような無茶苦茶な言説に乗って動いてしまうのが債券市場クオリティなのは従来から観測されておりましたが、主にそのネタに騙されて右往左往するのは日本事情に詳しくない毛唐の皆さんだと思ってたのですが、今回はどう見ても純ドメでこの思惑盛り上がりをやっていたのが理解に苦しむ所です。
政策決定会合でディレクティブの変更があるという思惑なら兎も角、月曜火曜のオペレーションで低下容認が無かったから失望とかアホちゃいますかと存じますけれども、相変わらず金融政策に関する認識ってのは日銀直下の隣あたりにあります国内債券市場ですらこんなもんなのねという所でしょう。
・・・・と申しますかですな、そもそも論として問題なのは、超過準備に対する付利への説明がペテンである所にある訳でして、そのペテンな部分に関しましては11月6日にご紹介した総裁講演への突っ込みの中で当座預金付利に関する説明部分で書いておりますのでそれをご参照ありたしでございます。
まあ要するに「大量供給を可能にするために付利を行った」という説明な訳ですが、もともと売出手形という万能吸収手段があることから、別に大量供給そのものはとっくの昔に可能だった次第でして、付利によって大量供給可能みたいなペテン説明をする上に、実際のオペレーションが17日スタートで露骨に新規実行とかするから、説明とオペレーションが相乗効果を生みましてそーゆー変な思惑が浮上したでござるの巻になってしまったとしか申し上げようがございません。
ということで、まあ金融政策の説明、即ち市場との対話にどう見ても失敗しています本当にカムサハムニダという所では無かったかと存じますが如何でしょうか。
付利するならもっと金利が高い水準で行うなら「積み最終などで金利が0まで低下するのを防ぐ」という意味はあると思いますが、0.30%の0.10%とかいうレベルで意味あるのかよという感じですわな。だから先日の決定会合前に「利下げするなら付利は金利正常化方向になってからでいいじゃん」とか申し上げたと思うのですが・・・・・・
「FRBはどうなの」とツッコミが来るかもしれませんが、あれは「コントロール不能状態になっている」というのが正しい表現で、本来は金融政策の枠組みが既に金利政策ではない状態になっている次第で、そこの説明をスルーしているFEDもインチキにも程がございます。
それから、オペとは関係ないですが、昨日はスポット20日でCP発行が高格付け物中心に大型発行が目立ち、そこそこレートが上昇したものが散見される次第。GCレポ取引のレートが若干落ち着いたとは言え、中々こっちまで回ってきませんわな、というかそもそもGC取引自体日銀オペじゃない資金の出し手(即ちリアルマネー)が乏しいままという状況は相変わらずでござるの巻なんですかねえという感じです。
今日の3か月FBは運用資産としてはリスクアセットじゃないですし、担保だ何だと使い勝手も良いですので、まー入札そのものはそんなに変な事にはならんでしょうと思いますが、CPの目線が昨日の結果で上がってしまうと月末に掛けてのCPレートがちと気になりますなという所です。
○決定会合雑感
明日から決定会合。まあ当初あたくしは先日の会合で展望レポートの見通しを下げてきて、GDPがお約束どおり悪かったこともありますので今週の会合で利下げまたは短観見て12月会合で利下げとかもあるでと思ってたのですが、本来10月末の会合で出て欲しかった流動性強化策が実はまだ出ていないという状況ですので、まあ今回はその手の話が何か出てくれるでしょうと期待してますがどうでしょうかねえ。
正直言ってペテン説明とかマッチポンプオペ(あ、言っちゃった)とかはどうでも良いので、地味でも実効性のある事をやって頂きたいと思うのでして、そーゆーのの地味な積み重ねが市場との対話とやらを改善させることに繋がるのではないかと思いますがねえ、とまた悪態恐縮。
じゃあどんなの出るかと言われますとこれまたよー判らんのですけれども、基本的には適格担保の拡大が銀行のファンディング支援でして、オープン市場への直接支援としてはCPオペの拡充、というか買切オペ導入が(実効性ある内容ならば)かなり効くと思うのですが、山口副総裁の就任会見ではCP買切に関して否定的(現状は現先オペで対応可能と発言してました、10月29日の駄文をご参照ください)だったのが気に掛かるところです。実施しても施策段階で信管外し攻撃が出そうで(ABCPとABSの買切がそうでしたからねえ)。
なお書き変更はどうなのと言われるのですが、まあやる気があるなら今回やるのでしょうが、なお書き変更って「年末越え」とか言って時限的なものにしようとしても、年末越えが過ぎれば年度末越えが出てくるという感じでその後が続くのでありまして(^^)、実質的な利下げという話に結局なってしまいますから、実質2週間前に利下げしたばっかで、おまけに超過準備付利開始してから実質1週間とかいう状況ですからちょっとねという感じです。恐らくなお書き変更してくると市場は追加利下げを織り込んで日銀を追い込みに行くことが想像されます。何せ前回の利下げは追い込み大勝利の図と(いやまあ日銀的にはそうじゃないと言うでしょうが、普通に見て追い込み大勝利でしょ)なってましたから、まあ次も追い込みに行くんでしょという感じです。
単に大量供給することだけ考えたら、12月の年末挟みの積み期間だけ超過準備0.3%(でも0.25%でもいいけど)付利して超ナローコリドーにする代わりに、一切合財日銀が面倒見ますよとやった方が「量」だけはでますな。レートが下がらないけど(苦笑)。
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2008/11/18
○17日のオペレーション関連
実施したオペは以下の通り。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of081117.htm
でもって結果は以下の通り。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba081117.htm
積み初日(正確には日曜が初日ですけど)でコールの取りも確りだったのでコールでうりゃうりゃと下をやって調節姿勢を確かめるというような形にならなかったみたいで少々つまらない展開でしたが、売出手形即日を連発で実行し、しかも1発目は午後の定例オペの前に打ち込んでいますので「意図的に低下放置はしませんですよ」というのは把握できました。
・・・・のですが、情報ベンダーなど見てたら「当座預金付利によって大量の資金供給云々」という講釈をする人がいたり、ヘッドラインがモロにそうなっていたりするのには何だかなあ感が致しますわな。しつこく悪態を申し上げておりますように、「こういう形式の資金供給は別に当座預金付利の有無とは関係なく、やろうと思えば出来たこと」でありまして、当座預金付利と絡めて説明するのは原因と結果を取り違えておりますわな。
実際問題としては、「従来はオープン市場金利の上昇を放置していたのですが、漸くそれに対応したオペレーションを実施するようになったので金利が低下した」となるのでして、そもそも論として昨日の時点でみてリーマン前の状態からしたらGCって10bp(昨日の時点でT+3のオーバーナイトGCレポは45bpくらいのようです)程度しか下がっとらんのでして(以下悪態自粛^^)。
まるで当座預金付利によって金利が低下したかのような解釈が残ってしまうのは、明らかに因果関係がおかしい次第でして、こういう変な誤解の積み重ねって結局のところ金融政策とか短期市場に関する誤解(無理解)を育てるだけであって、最終的には金融政策の効果とかにも良い話ではないと思うので、今回の当座預金付利と利下げがセットになった時のペテンの香りが大変にするような説明(および如何にもそれに沿ったオペレーション)というのは自分で自分の首を絞めると思うのですけどねえ>日銀
まあ今まで上昇放置してたのを抑制(って言っても精々GC0.4台前半くらいが御の字だと思いますが)するオペをしたのはしないよりはマシなんですけどね。
#なお、ちゃんと判っている人は当座預金付利が原因という講釈はしていないで、「日銀が先日付オペを積極化したから」という説明になってますので、そーゆー意味では良いリトマス試験紙(^^)
○PD懇でも苦情殺到でしたかそうですか(^^)
先週金曜のPD懇。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c201114.htm
物国と変国の減額とか、全体的な増発とかの話が基本なのですが、何だかんだと言っても全体的に市中消化が増えそうな状況なので結構あっちこっち増やさないといけないみたいですな。という話に関しましては本職の方々が色々書いてると思いますので華麗にスルー致しまして(おいおい)、直近の市場動向に関しての発言から。
最初の人。
『最近の問題点は、レポマーケットの金利が高止まり、流動性が落ちていることではないか。結果として、マーケットの中での物のやり取りが困難になっており、リスクプレミアムも生じている。国債を担保に金をやり取りするため、信用リスクが無いように思われるが、取引としてはリスクを感じざるを得ないというのが現場の印象のようで、そこが落ち着くような方策を執ることが当局として一番に考えるべき点ではないか。それができれば、過度なリスクプレミアムは次第に剥落していくと思う。国債の発行増はマーケットのネタとしては分かりやすいが、長期金利が高止まりしている一番の理由はレポマーケットにあると思う。』
3番目の人。
『現状の長期金利がなかなか下がらないという点に関しては、短期のファンディングコストが安定しないというのが理由の1つである。市場自体の流動性が低下していることで値動きが荒くなっており、ボラティリティの高さに対するリスクプレミアムが要求されている。来年までを見通して考えた場合、ここまでの状況から考えると、中央銀行がある程度、流動性供給や信用仲介機能を補完していく状況がしばらく続いていくと思う。(以下割愛)』
4番目の人。
『株価が下がっても国債金利がなかなか下がず、むしろ上がる局面もあることが今の一つの象徴であろう。外部環境に比べて、金利が高止まりしている。その背景には、国債の需給の問題があり、問題の根源としてはGCレポレートが無担保コール翌日物レートに比べて高すぎることが挙げられる。日本銀行もその点を認識して、来週から準備預金への付利が開始されると理解している。しかし、短期市場の構造が大きく変化した中では、そもそも金融政策のターゲットをGCレポレートにするという考え方もあろう。かつては、都銀中心にマネーポジションだったものが、今では全てローンポジションになっており、資金供給オペに応える8割位は証券会社ではないか。今回は一時的な要因で証券会社の資金調達が難しいため金利が上昇している面はあるが、その結果、国債イールドカーブの発射台が上がってしまっている。これにより金融緩和効果が限定されるのであれば、改善を図るべきだと考えている。』
・・・・ということで、このコーナー5人の発言が出ているのですが、5人中3人がレポ市場の金利高止まりに対して苦言を呈するの巻。金曜の時点ではご案内の通り木曜からの供給攻撃で市場が少しマシになりましたが、その前には一時「50出してもGCが売れませんが」みたいな状態になって市場は止まりブローカーはヒマという素敵な流れになってましたんで、そらまあ苦言は出ますわなという感じです。
あと、5番目の人はレポ市場には直接言及しませんでしたけれども、日銀の保有国債償還に関して短期国債での再乗換に関して言及してまして(別のコーナーでもこの方と同じか別の人か判りませんが指摘してます)、日銀の対応に関しても債券市場に対する目配りをもっとすべきであるという話になっておりました。
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2008/11/17
○さて超過準備付利ですが
金曜はまあお約束どおりに国債買現先のロール分がオーバーナイトで2兆円の1週間もので1兆円の実行。レートは若干マシになりましたが、午後の共通担保オペがロールをちょっと増額したのはまあ結構でございました。
ただまあ金曜も申し上げましたが、別にツイストそのものは前から出来る話の上、ちょっと上に書きましたように、先週前半にGCを0.50%でも売れないという市場死亡状態を放置していたという事がありますので、そっちの印象が強くて中々安心できませんなあという感じなんでしょう。調子に乗ってレートが下がるとオペ切られるんじゃないかという(いつでも切れるようにオーバーナイトで繋いでるんでしょという発想も起きる)思いもあり、まーあんまり安心できませんわなという感じでありまする。下がったとか言っても平均0.45とか(除くスポネ)ですし、オペも基本的に足が短いのでショートファンディングが溜まりやすいですから、ちょっと供給が減るとレートがいきなり跳ねるという構造は変化無いんですよね。
しかしまあ金曜は債券市場の方が勝手に盛り上がってたみたいで、2年とか堅調そのものになった次第。もう超過準備付利金利水準に向けて足元レートが下がるとか変な盛り上がりで何かんがえとんじゃと思うのですけれども、これ恐ろしい事に10月31日の利下げがどう見ても「周囲から追い込まれた」観が強いので、市場的には「また日銀を追い込んでやりましょ」って雰囲気になりたがるんでしょうかなと思うのでありました。
しかもわざわざ17日スタートにぶつけてツイストオペを実施した事によって債券市場に妙な思惑を呼びまくって大盛り上がりになっているというのもありまして、いやまあディレクティブ違反も辞さずというのであれば結構ですけれども、そんな意図も無いのにわざわざ17日にぶつけた結果、市場が意図してない「日銀の意図」を勝手に読んでしまい、勝手な反応するとかいうのはちょっと何だかねえ感が拭えませんわなという所です。
ということで、さて今日はまずコールどの辺からスタートするのかが楽しみなのですけれども、最初から0.2%とかで始まると面白いものが見られそうなので、そういう流れで是非お願い致したく。
金曜までエライ勢いで色々書いたのに何故今日はあっさり味かと申しますと、それは既に本石町日記さんのところで説明がきっちりと行われているからなのですな。必読。
http://hongokucho.exblog.jp/9870382/
あたくしの予想は2番です。本来は1番で然るべきなのですがね。
しかしまあ何ですな、インターバンクが落ち着いていると言う事で、オープンのレート上昇をまあ放置しておいて、いきなり17日の付利にツイストぶつけて市場が安定化とか言われましてもそれはマッチ・・・いやまあいいです。
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2008/11/14
お題「17日スタートのオペ」
先にオペの話を、と思ったらそっちの話が長くなって中村審議委員の講演まで手が回りませんでした。ごみんなさいごみんなさい。
○国債買現先スポネ2兆円ねえ
昨日はスポットが超過準備付利となる新しい積み期間になる17日でしたが、9時半からオペ3丁。17日にエンドの来るCP買現先のロールが6000億円とまた札割れしそうな額かつ微妙に半端なエンドで打たれたのですが、それはそれとして国債買現先が2発でして、1週間ものが1兆6000億円にオーバーナイトが2兆円の打ち込み。
オーバーナイトの2兆円というのが新規実行で「ほほ〜」という感じでしたが、1週間ものはそもそも落ち分の同額ロールなのでして、「過去最大の現先オペ」とかヘッドラインを打つ情報ベンダーは見事に日銀に釣られていますので、期落ちのロールと新規実行の区別を良く考えましょうね。
と申しますのはですな、昨日のオペ結果から考えて、どう見ても今日も国債買現先はオーバーナイト分の2兆円もロールしないといけませんから、1週間ものの期落ち分も含めると今日は3兆打ってやっとチャラとなります(多分3兆円だと足りないのでは)ので、3兆円の国債買現先実行がオファーされて「連日の大量供給」とかいうのはミスリードにも程があるという話ですな。
などと話が逸れましたが、この合計3兆6千億円に対して応札が合計で約4兆9000億円あって、スポネ(スポットスタートの翌日物)はテール流れて0.43%まで入ったものの、平均はスポネで0.477でウィークが0.474(ウィークの足きりは0.46%)と、まあ結局足りないところは足りないので、応札限度のかなりの部分まで必殺の札で行ってるのですなあという感じ。T+2の金がやっぱきつくなってました(今週に入ってGCがオファーだらけになってましたし)ねえという感じ。
午後も共通担保オペ実行されてましたが、じゃあGCレートが下がったかと言いますと、T+0とかの辺りは最後余った人が0.3台出したりしてたみたいですが、まあ結局46−47位みたいでして、長期ゾーンを中心にやってる債券市場の中の人たち的には妙な期待がある(後述)節があったりなかったりするらしいですが、短い所&特にオープン市場の皆様におかれましては、もう散々出す出す(自粛^^)の煮え湯を飲まされて居ますので、まあ今日以降来週一杯くらいまでオペ状況を見ないと安心して(?)GCレート下がるっちゅう訳にも行かんでしょうねえという感じじゃないっすかねえ。ということで次の小見出しに続く。
○こういうツイスト別に付利と関係なく出来るのですが・・・・・
んでまあ昨日は例によってほぼ15時に売手即日6000億円で足元の余剰分を引いておりました。実際問題として運用をしないといけない立場で当日余剰資金を抱えている人はそんな時間のオペまで待ってられませんので先程申し上げたようにT+0のGCが0.3台とかになるのですけれども、まあ来週もそんな感じで足元に余剰感が出た場合には即日オペで資金を引くという動きは普通に考えれば継続するものと思料されます。
・・・・えーっとですな、かねてから先の資金というかオープンの資金がタイトでGCレートやらCPレートなどが上昇してますよという話は別に場末のあたくしの駄文を持ち出すまでもなく、短期市場のそこら中で指摘されてまして、とにかく資金が動かんのでツイストオペ打って「オープン足りない、インター(の邦銀)余ってる」状況を緩和して下さいなという指摘はあったと思うのですが、10月になってから9月末対策で多めに出てた資金がさっさと引かれてオープン金利上昇してもシャーナイナイ!って感じのオペだったのですが、付利開始の17日にぶつけてツイストオペですかねという感はあたくし物凄い勢いであるのですけれどもね。
と申しますのは、売出手形(と売現先)という資金吸収手段がある日銀は当座預金付利問題と関係なく「まず先に供給オペをバシバシ打っておいて足元資金を引く」というのは可能で、これは付利金利の有無とは関係ないお話。今までもやろうと思えば出来た筈なのですが、当座預金付利という「新しい日銀の施策」にぶつける形で急にツイストオペらしきものを開始というのは(以下勢いで書いた部分読み直して激しく自主規制^^)。
ま、ツイストやらないよりはやる方が良いのですけどね。
○ということで短期の人はともかくとして長いところでは変な思惑が
ここもと言われているらしいのですけれども、「当座預金(超過準備)付利開始によって資金供給が強化(されてレートの低下云々)」ってのが特に債券方面で流布されていまして、短期ゾーンをやっている担当の現場労務者の席には「そうなんですか」という照会多数というのが各社の光景のようで誠に心が温まるものがございます(-_-メ)。
・・・・・・残念ながらそれは制度とかの面を考えれば有り得ません。まあ昨日みたいなツイストは当面打ち続けられると思いますが、売出手形で吸収してオーバーナイト金利をコントロールする事が可能な日銀のケースでレート低下放置を意図的にやる(積み最終とか期末年末みたいに完全に調節できない場合は仕方ないですので念のため)というのは、金利ターゲットで金融政策を実施しているという建付になっている現状では調節担当部署の越権行為になっちゃいますよね。政策委員会で決定された事項を調節担当部署の判断で勝手に逸脱しちゃうんですから。
従いまして、「当座預金付利で供給が強化されてコールレート低下」とかいうのは理屈として無いのですが、どうも変な期待をしている向きがある中でまさしく17日スタートでツイストオペ開始したもんだから期待がちょっと高まってしまった気がするんですけれども。なんちゅうかこれも10月末利下げに当座預金(超過準備)付利をつけて、おまけに市場機能がどうのこうのとか訳判らん話(金利のフロア設定、潤沢な資金供給、市場機能の重視、って3つのお題は同時に満たせないと思いますけど・・・・)をするもんだから、変に債券市場が期待しちゃいまして、もうこれはコミュニケーションギャップとしか申し上げようが無いというのはちと辛口すぎですかそうですか。
もしね、現状のディレクティブのままで資金供給ガンガン出してフロア金利をガンガンつけるのを容認っていうのだったら、そもそも論として最初から0.10%まで利下げしとけよという話だし、その方がサプライズでアナウンスメント効果あったでしょという話になる訳で、「なお書き」が入っていない状態で大量供給によりコールレート低下期待とかそれはどうなのかと。
ちなみに、ツイスト強化すればGCレートとかには低下の期待がありますが、そもそもこのGCレートがロンバート近辺で張り付きの巻だったのですから、低下もクソも元のレートが高杉晋作であって、まあそりゃ今よりは下がりますけれども、もうちょっと前にコールが50でGCが55あたり、3か月FBが0.60割ってた時から考えると何だかねって感じです。
○なお書き修正雑考
まあディレクティブの中に「年末に向けた資金需要を鑑み潤沢な資金供給を行う場合、目標水準を一時的に下回る事も有り得る」というような「なお書き」修正が行われるというのは年末対策で有り得る話。
ちなみに、12月の通常決定会合が19日でして、19日に決定されても翌日は22日でして、22日のスポットは25日ですしT+3は26日ですので、既に年末越えの資金繰りという観点からは遅いですがなという事になりますので、まあ通常会合でやるなら来週末の方がよろしかろうと思いますが、付利開始直後でオペレーション打ってどういう市場反応するのかが見えてこない内になお書き修正ってのもバタバタ感がしますわなという感じ。というかそれなら10月31日になお書き入れとけよという所で、年末向けの流動性強化策を臨時決定会合で行い、ついでになお書き修正ちゅうのも有るのかもですね。
そういやFRBの場合はこれが見事にFF金利誘導できてない状態になっているのですけれども、本来はこういうときは「金利目標には拘らずに流動性を大強化する」と宣言すべきだと思うんですけどね、余談ですけど。
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2008/11/12
○何か連日同じネタですが
昨日もまたまたオペ金利上昇。共通担保オペのレートが平均0.485%の足きり0.48%となりましてま〜そうですか今日も48ですかとか思ったのですが、良く見ればこのオペは2か月ロングで1月29日の足という期間の長いもの。似たような期間の全店オペは先週木曜に実施されたのですけれども、このオペは平均0.477%の足きり0.46%なんで、イメージ1つ半位上昇したでござるの巻。というかロンバートに益々接近しているのですけれども・・・・・
ということで、GCも殆どロンバートみたいですし、10月14日にわざわざ臨時会合開いて積極的な流動性供給をするとか言ってたのは何だったのでしょうかと小一時間な訳ですが、まあこの状況とっくに理解した上でのこのオペレーションなのですから、まあこれは所与として考えないといけませんなあという感じですわな。ショートファンディングは溜まるわオペ残減少でオープン市場では逼迫感強いわで、この調子が続くと年末越えのCPレートはどうもうまく無さそうという感じですかね、金融環境という観点からすると困ったもんです。
んな訳で本日は3か月FBの入札が。3か月だと一応先行きの利下げ期待も加味されるでしょうし、年末越えのドルオペ担保とかのニーズもあるでしょうからまだそれなりに何とかなるのかとは思いますが、既に昨日の引けが3か月既発債0.445%とか素敵な状態に。おまけに年内償還だと0.47だの0.48だのとかもっと素敵な状態になっておりますので、0.45%で止まってくれる感じがしませんが大丈夫でしょうか。いやまあ0.50%でとりあえず止まるのは鉄板も鉄板なのでまあ良いんですけど。
ところで、16日から例の超過準備付利が開始になるので、17日スタートのところからは「超過準備付利」→「資金供給オペの強化」→「レート低下してウマー」という観測もあるようですが、資金供給オペの強化をやるならとっくの昔にやっている筈でございますので、一応期待はするけどあまり当てにはしてませんって感じじゃねえのかなあと思うのですけれども。
これが付利金利が25bpとかでフロアにガンガンぶつかってもディレクティブで示されている誘導目標から大して乖離しませんよというのであれば急にジャンジャン供給オペが増えるのもアリだと思いますが、付利金利とディレクティブの間に20bpありますので、フロアガンガンという訳にはいかんでしょ。何せ先日の利下げ幅が20pで25bpか20bpかで議論してた位なのですから、5bpなら兎も角、20bpで「細けぇ事はいいんだよ!」と言うわけにはいかないという理屈になりますわな。
#いやこれでいきなりガンガン供給してコールが0.10%まで低下するのに吸収オペ実施しないとかだったら笑うしかないのですが
ま、17日スタートのところからいきなりツイストオペ強化とかしたらそれはそれで「今までやらないで超過準備付利から急に始めるとは何でちゅかねえ」としか申し上げようがございませんが。
○FEDの誘導目標が実際のFFレートと乖離しまくっている件
本石町日記さんの所から、というか市場の中の人だと東短リサーチの加藤さんのレポート読んでると思うのでそっちを参考にすればと思うのですけれども。
http://hongokucho.exblog.jp/9848959/
こちらのエントリーはあまりにもマニアックすぎてコメントがついてない(今朝の時点で)のですが、このエントリーは重要な論点を含んでいるお話かと存じまして。エントリーの最後の所に本石町さんが、『まあ、FEDとしては無理に誘導目標維持するよりも、流動性供給を優先するのに精一杯なのだろうと思われる。』と指摘していますが、現実問題として連銀当座預金に付利する前にもFFレートがガンガン下がって誘導目標どころの騒ぎじゃなかったのですが、付利水準をFF誘導目標に上げても結局同じ状況。
・・・・ってなりますと、じゃあFOMCで「FF誘導金利目標はなんぼ」とか決定しているのはありゃ何なんですかというお話でして、金利ターゲットを実質的に放棄しているのに金利ターゲットをしてる振りして、実際にやっているのは流動性大供給の緩和という状態。それならちゃんと「金利ターゲットは当面放棄」とか「流動性拡大で目標を設定」とかアナウンスした方が政策の整合性が取れると思うのですけれども、その辺を見事にスルーしてなし崩しで政策の枠組み変更ってのは中央銀行としてどうなんでしょ(目先はそれでもいいけど将来の金利誘導で困らんかという話ね)と存じますが。いやまあ米国様では火がボーボー燃えているからそれどころの騒ぎじゃないってのも判りますけれども・・・・・
などと思うのですが、それだけ火事場状態なんですねえという事で。
○超昔のネタで申し訳ありませんが
埋蔵金は国債償還どころかきっちり費消する話になってしまったのでこのネタ自体が昔々の話になっちゃいましたが(超大汗)、9月14日と17日に書いたお話の補足をば、って2か月も経過(しかも17日には「続きは明日」と申し上げておりまして・・・・)してしまいまして、リーマン破綻以降のドサクサですっかり流してしまい田中先生には大変失礼致しておりました。
いわゆる埋蔵金を国債償還に充てる場合に、市中国債の買入を行うのと日銀や政府部門が保有する国債を買入消却するのと、市中から買入する場合って、(前提条件として政府部門から買入を行った場合に発生した余力で国債発行が減るかこれらの部門の国債保有がその分増えるかのどちらかになるというのがありますが)ざっくり考えると同じ話なので、いわゆる高橋埋蔵金案で殊更に市中国債の買入に拘るのはどうですかねという風に申し上げた次第であります。
では全く意味が無いかというとそんなことは無く、埋蔵金吐き出しによって出てくるフローというのは基本的に短期国債とか日銀売現先のような短期資産でありまして、その短期資産に対して買入消却が行われる国債は中長期国債になる筈ですので(例えば先日ご紹介した日銀の保有銘柄増減を見ると、先月は5年50回債(2010年12月償還)と5年56回債(2011年3月償還)が減っているので恐らくこれが買入消却されたのでしょう)、相対的に低金利の短期資産と高金利の長期負債を落とすことになるので、その点では意味がある話だと思います。政府部門での資産負債構成の改善というお話になっちゃいますが。
それをより広げると、日銀や政府部門が保有する国債の買入消却よりは、市中からの買入を行って、かつそれをできるだけ長期のゾーンからの買入を行う方が効果はある(短い期間の国債を買入償却するのだったらそれこそただの両建て落としですから)という話になると思いますので、そう考えますと高橋先生の「政府部門よりは市中国債の買入」というのは同意でありますが、それを堂々「景気対策」と言われるとそれはちょっと言いすぎ(キャッチーさを重視して内容が大げさになるのが高橋先生の仕様みたいですけれども)なのでは無いかなというのを前面に出しすぎたかなあと思ってます。
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2008/11/11
○市場メモ
もう何か毎日同じ話になりますが、昨日は国債買現先オペの足きりレートが貫禄の上昇でついに0.48%に。毎回1wkをロールしてる感じなのですが、金曜には0.477/0.47だったのが昨日は0.480/0.48と48一本値でレートじり高。まあ要するに円資金の供給オペが不足している訳でして、ドル資金供給の国際的枠組みも大事なのですが、足元の庭もちゃんとお掃除していただきとう存じます。GCはロンバート近くに張り付いてますし、昨日はCP発行レートが上昇している所もあったり、年内償還物のFBも売り物気味だったり、ついでに2年カレントは堂々の0.60%接近とか、20bp利下げしておいてGCだの2年国債だのは15bpしか下がらんのかよという残念な状態。
てか何か(5年国債入札の影響で中短期が甘い可能性はあるのですが)月曜になって雰囲気が悪化している感があるのがちょっと何だかねという感じです。
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2008/11/06
○オペ金利高止まりとか
昨日の資金供給オペなんですけどね、共通担保本店供給が2本立てで実施されたのですが、5日ものが0.492/0.49で14日ものが0.494/0.49という結果で華麗にロンバートに接近、というかロンバートで札入れている人もいますねというお話でして、利下げの話が出る前の共通担保供給のショートタームって0.65%近辺のレベルだったので、早速利下げ効果が減殺されてるでござるの巻。
そんな訳で、利下げ当日は0.37%なんぞまで盛り上がっていた(それはたぶん盛り上がりすぎでしたが)FB3か月は昨日の新発0.435%の引けとなったり、短いFBとかも0.4%台に上昇してみたりと言う感じで、まあこれはこんなもんちゃあこんなもんですけれども、なんだかねという所で。
CPレートに関してはさすがに高格付け物から順にレートが低下しているようですけれども、イマイチ選好されにくいネームさんの所に回ってくるのはもうちょっとだけ時間が必要かもですね。さすがに足元対比での差が大きいと見て買いも戻ってきたようですので、それは一安心なんですけど・・・・・
という状態でして、インターバンクは下がり気味なのに対してオープンの金利がこのテイタラクというのもなんでしょうかねえとしか申し上げようがないですなあ。
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2008/11/05
○流動性強化策を打ってないのですけれども・・・・・(市場メモ)
総裁会見の冒頭ではこんな一節がございました。
『以上の情勢判断を踏まえ、政策金利を引き下げるとともに、金融調節面での対応力を強化することを通じて、緩和的な金融環境の確保を図ることが必要と判断しました。』
上のほうでも何回か出てましたけれども、市場機能の確保がど〜のこ〜のという話が出ている割にはじゃあ実際のレート形成ってどうよという論点が現場労務者的には出てくるのですな。
昨日はGCレポの金利が堂々0.48%近辺の展開となっていまして、そんなレートでもあった事からロンバート貸出も増加(0.50%で取れるんだから当然ですわな)となっております。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx081104.htm
「貸出」の欄を拝見しますと、9600億円ほど落ちる積りだったら新規実行の方が多くて、貸出が前日比10800億円増えましたとう貫禄の信用機構局大忙しの展開。ロンバート残高2兆円ですかそうですか。
まあ利下げ観測出る前にもGCレポ取引が0.65%を超えて0.6%台後半で推移していましたから、フルスライドで下がったらこんなもんちゃあこんなもんなのですが、コリドアが狭くなったのでロンバートに早速ぶち当たったでござるの巻となっております所に落涙を禁じ得ません。本来もうちょっとコールとの差が無い方が普通だと思うのですが、カウンターパーティーリスクへの意識が高まって水準が変わる中でもオペレーションは特に強化されるでも無くという状態ですからまあこんな感じになってしまう訳ですな。
いやまあこれが別に「オペは特に強化しませんけどね〜えっへっへ」というのであればそれはそれで良いのですが、欧米に合わせて臨時政策委員会実施して「流動性供給を強化する」と言ったのにこれっていうのは「やるやる詐欺」なんじゃないですかねえと思うんですが。CPレートだって昨日は公益系の最も格上とされる銘柄あたりは低下してましたけれども、同じa-1格でもややネーム的にはレートにハンデ付き易い銘柄群ですと、レートがろくすっぽ下がらないという悲しい展開でして、これ一体全体何の利下げだったのよと言いたくなる人もいるでしょうな。
まあ一応FBとかのレートで言えば20bpの利下げフルスライドで下がっている(というか金曜はそれ以上に威勢よく下がっていましたが^^)のですけれども、そもそもの発射台の時点で「これじゃ実質利上げになってるよ〜><」って状態になっているので、イマイチ感が拭えないのであります。その上、今般の措置によって(まあ当たり前ですが)資金の回りが体感的には悪化しているというイメージ(イメージだけの話ですので念のため)でして、流動性供給の強化を年末越えまでに何か打った方がよっぽど緩和効果あると思うのですけどね。
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2008/11/04
お題「決定会合あれこれ(続き)」
30bpになったのはあれですよほら、「世界のBOJ」。
○付利金利がちゃんとフロアになるのかという論点
ちなみに、この超過準備付利って次回の積み期間から開始になりますので、今日のフロアは0%になります。お間違えの無いようにお願いします。と言ってもたぶん普通のオペが行われるだけだと思いますよん。で、その超過準備付利に関して少々気になったのが1点。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0810g.pdf
こちらの4ページ目を読んでて「???」というのがございます。
『4.適用利率
(1)本行が金融市場調節方針において誘導目標として定める無担保コールレート(オーバーナイト物)の水準から本行が別に定める数値を差し引いた利率とする。
(2)5.に定める積み期間の期中に(1)による利率に変更が生じた場合には、当該期中の最も低い利率とする。』
で、次の項を読みますとこうなっています。
『5.利息の計算方法
対象先ごとに、準備預金制度に関する法律第7条第3項に規定する1月間(以下、この期間を「積み期間」という。)の毎日の終業時における当座預金または準備預り金の残高を合計し、その合計金額から、当該積み期間の起算日の属する月における当該対象先の法定準備預金額(準備預金制度に関する法律第2条第2項に定める法定準備預金額をいう。)に当該積み期間の日数を乗じて得た積数を控除し、その金額(零を下回る場合を除く。)に、4.に定める適用利率を乗じたうえ、365で除して算出するものとする。』
ということですので、積み期間中に政策金利が変更になった場合はその間の一番低い利回りが当該期間に渡って適用されるというお話と読めます。
するってえと、積み期間途中の決定会合で誘導目標金利の引き下げが行われた場合はそこまでの超過準備積み分の付利金利が空しく引き下げになる(ただし政策金利引き上げになっても上がりません)という仕組みになっている訳でありまして、そーゆー意味では途中で利下げ観測が物凄い勢いで盛り上がった場合にこのフロア0.1%というのが役立たずになる可能性もあろうかと。
たぶん途中で金利変更になった場合に付利金利を変更した場合に、利息計算が大変だから簡便な方法にしたのではないかと勝手に想像するのでございますが、次に利下げ(ゼロ金利なのか0.1%なのか知りませんが)という話になったら「スプレッド0.2%」を真に受けて考えれば普通にフロアゼロになっちゃいますから、「利下げがある」という話が出てきた瞬間にこの超過準備付利が役立たずになる悪寒が。
(以下翌日の追記)
○ちと昨日の訂正
超過準備への付利のレートに関してですが・・・・・
良く考えたら所要準備が幾らですかっていう数値は積み期間の計数確定まで判明しないのでして、半月後積み方式なのでそもそも論として積み期間前半の所要準備額ってのは暫定値なので、適用レートを途中で変更というのは技術的に問題があるのでした。ご指摘多謝であります。
(追記終了)
と思って今後の決定会合の日程を見たら、大体積み期間の頭の方に組んでいるので大丈夫かなとか思ったら、最後に4月7日ってのがございまして、どう見てもこれが爆弾です本当にカムサハムニダという所ですな。これはきっと4月7日会合で利下げ追い込まれフラグが立ったのか、それともその前に利下げ追い込まれフラグが立ったのかという所でしょう(^^)。
○展望レポート(基本的見解)から
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0810a.pdf
今回の展望レポート(基本的見解)は(経済情勢の見通し)に入る前にこのような文章が入っています。
『2008 年度から2010 年度にかけてのわが国の経済・物価を取り巻く環境を展望すると、国際的な金融情勢の展開やその実体経済への影響、国際商品市況の動向など、著しく不確実性が高まっている。こうした状況下では、先行きの経済・物価動向を見通すに当たって、中心的な見通しの蓋然性が、これまでに比べて高くないことを踏まえ、リスク要因を注意深く点検することが従来以上に重要である。以下、この点を十分に踏まえた上で、経済・物価情勢を検討することとする。』
ということで、中心的な見通しの蓋然性が高くないですというのを最初にわざわざ謳っていまして、これがまた次の所にあるのですが、よく見りゃ中心的な見通しって1年くらい後ずれしてるシナリオに読めるのですけれどもですが・・・・ということで(経済情勢の見通し)の見通し部分ですけど。
『先行き2008 年度後半から2010 年度を展望すると、2009 年度半ば頃までは、停滞色が強い状態が続くと見込まれる。すなわち、既往の交易条件悪化の影響などから、国内民間需要は弱めに推移する可能性が高い。輸出についても、海外経済の減速や為替円高を背景に、弱めの動きとなるとみられる。その後、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するにつれて、成長率が徐々に高まっていく姿が想定されるが、その時期は2009
年度半ば以降となる可能性が高い。2008 年度、2009 年度の成長率は、年度平均でみると、それぞれ0%程度、0%台半ばで推移した後、2010
年度の成長率は潜在成長率並みになると考えられる。』(今回の展望レポートによる見通し)
これが前回4月の展望レポートではこういう記述になっていました。
『先行き2008 年度から2009 年度を展望すると、概ね潜在成長率並みの緩やかな成長を続ける可能性が高い。すなわち、2008
年度前半は、住宅投資が次第に回復に向かうものの、米国を中心とした海外経済の減速やエネルギー・原材料価格高の影響などから、景気は減速を続けるとみられる。その後は、海外経済が次第に減速局面を脱し、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れてくるとみられるため、成長率は徐々に高まっていく可能性が高いと考えられる。その結果、2008
年度の成長率は前回見通し対比で下振れ、1%台半ば程度になるとみられる。また、2009
年度の成長率は1%台後半程度になると考えられる』(4月の展望レポートより)
・・・・・となりますと、これって回復見通しを後ズレにしていて、足元の見通しは当然ながら下がっているので、そりゃまあ見通しを下げてはいるのですけれども、「2010年度は潜在成長率並み」という回復シナリオになっているのが(日銀のことだからある程度来るとは思ってましたが)ふ〜んという感じです。即ち、回復シナリオそのものは相変わらず捨てていないという事ですので、金融政策のタイムラグという話からして、ここから更に利下げだ量的緩和だ(金利付きの量的緩和はなんちゃって緩和で、本当の量的緩和はゼロ金利とセットでしょ)という話になるのはこのシナリオの「先は回復」というのを引っ込めてくる必要があろうかなと思います。
で、もっと微妙なのは(金融政策運営)の「2つの柱」の部分でして・・・・
『まず、第1の柱、すなわち先行き2010 年度までの経済・物価情勢について、相対的に蓋然性が高いと判断される見通しについて点検する。上述した通り、わが国経済は、2009
年度半ば以降、潜在成長率に向かって成長率が徐々に高まっていく姿が想定されるが、当面は、停滞色が強い状態が続くと見込まれる。また、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、当面は、2%台半ばの水準から徐々に低下し、2009
年度に0%前後となった後、2010 年度には0%台前半になるとみられる。このように、わが国経済は、やや長い目で見れば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高いと判断される。』(今回の展望レポートですな)
ということで、持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高いということなのですが、ではそういう見通しなのに何で利下げしたんですかという疑問が少々ございますのですが。と思って4月の展望レポートの当該部分を拝見しますとこんな感じ。
『まず、第1の柱、すなわち先行き2009 年度までの経済・物価情勢について最も蓋然性が高いと判断される見通しについて、政策金利に関して市場金利に織り込まれている金利観を参考にしつつ点検する。上述した通り、わが国経済は、当面減速するが、見通し期間全体では、概ね潜在成長率並みで推移するとみられる。また、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、均してみれば1%程度で推移する可能性が高い。こうした動きは、「中長期的な物価安定の理解」に概ね沿ったものと評価できる。このように、わが国経済は、物価安定のもとでの持続的な成長を実現していく可能性が高いと判断される。』(これは4月の展望レポートです)
4月にあった『政策金利に関して市場金利に織り込まれている金利観を参考にしつつ点検』というのが外れたのは今回利下げしたからですねとか思うとその芸の細かさに感心しますが(苦笑)。「持続的な成長実現」じゃなくて「成長経路に復する」だから正常化がどうのこうのという話は「復する」となってからのご相談だというのは把握しました。
でも何か決定会合の声明文と微妙にニュアンスが違う気がするのはどうしてなのかなあと思ってみたり。
『3.現在、世界経済は、2000 年代央の数年にわたって蓄積された様々な不均衡の調整局面を迎えており、当分の間、厳しい経済情勢が続く可能性が高い。こうした世界経済の動向を背景に、日本経済の回復に向けた条件が整うには相応の時間を要するとみられる。日本銀行としては、今後とも、緩和的な金融環境の確保を通じて、物価安定の下での持続的成長経路への復帰に向け、最大限の貢献を行っていく方針である。』(決定会合声明文より)
これと展望レポートでの見通しやら第1の柱やらの文章を見ますと、何か微妙にニュアンスが違いますわなと思うのれす。声明文での話と展望レポートの話は対象としている時間の長さが違いますって答えが返ってくるのでしょうが、利下げした声明文に対して展望レポートのこの辺のニュアンスの相違がちと気になったのでありまする。
他に気が付いたらまた書きますかもしれません。
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2008/11/01
お題「どうみてもブサイクな利下げ関連(超過準備付利と利下げ幅に関連して)」
いやはや、何というずっこけ茶番利下げなんでしょ。まあ思いつくままにテキトーに指摘しておきますね。
#連休初日、こんな良い天気なのに何やってんだか(^^)
で、今回出てたリリースはこのあたりです。
・金融政策変更の声明文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081031.pdf
・補完当座預金制度の導入(超過準備付利)
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0810f.pdf
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0810g.pdf
(上が制度概要、下が導入に関する説明)
・展望レポート(基本的見解)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0810a.pdf
○大型(かどうか知らんが)経済対策とセットなのは良かったですが
アホウ新聞のリーク記事らしきものでスタートした今回の利下げ云々でございますが、国際協調の枠組みもさることながら、今回は前日に政府が真水5兆円という一応規模はそれなりの景気対策(でも消費税増税を言い出したらダメでしょ。「対策要らないから増税すんな」ってなるだけだと思いますが・・・・という点でローゼンに絶望した!)を打ち込んだ為に、「財政政策と金融政策が協力して景気対策」という格好になったので、それはまあそれで形としては美しくなったので結構でございました。あたくし的には「金融緩和するなら財政も出さないと」って申し上げていたクチなのでその点は中々(・・・でも増税発言は最悪)。
#てめえのところでは恒久的措置だった筈の定率減税を廃止して財政引き締めやっておいて「利上げするなら日銀法改正」とか発言だけは威勢の良いどこぞの誰かさんとはテイストが違いますな。
でもまあ日経新聞(あら)の記事が出ちまった事から、日銀は結局追い込まれて利下げしましたねって言うのは何ともいただけない話でありまして、日銀の金融政策を予測する為には何を持って判断すれば良いかって議論になる訳ですよね。物価の安定って期待に働きかける要素がそれなりに大きく寄与する筈なんですが、その期待を安定化させる為に政策委員会での議論とその公表があり、展望レポートなどの情報発信がありという話だと思うのですが、今般はその流れを全部無視という話になる訳でして、「期待の安定」という観点からすると今回の流れは大いに退行したものであり、日経新聞はしょせん中外商業新報であり、経済のクオリティーペーパーとしての意識は持ち合わせてませんですなと存じますがね。
従いまして、別にECBみたいに公式に中央銀行が事前アナウンスをしている訳でもなく、市場が勝手に織り込みに行った状況だというのに「市場がこれだけ織り込んだのだから利下げしないのは市場との対話と言う面でおかしい」とか言っている人が結構存在してたのですけれども、その理屈は明らかにおかしい訳で、市場が勝手に追い込んで恫喝したら中央銀行はその通りに動くと思われるほうがどうみても間違っておりますわな。市場の中の人ほどそういう発言してる人が多くて、相変わらずマーケットというのはポジショントーク野郎の集まりですなあと思った次第。え、お前も市場参加者だろって?いやまあそれはそうなんですけどね。
○要するに執行部は付利をしたかったと
賛成4で反対4、しかも賛成4のうち3票は執行部の票ですので、審議委員の5名中4名までもが反対するという今回の結果。
当初は据え置き4かと思ったのですが、会見によれば0.25%への引き下げというスッキリした提案が3票に、据え置きというこれはこれである種イヤミな票と思われますが(^^)、要するにこの4名は「付利するなら据え置き、0.25%に下げるなら付利なんぞややこしいことはするんじゃねえ」という筋論での反対なのではないかとあたくしは勝手に推測致しました。
(追記@11/01 12:15)日経新聞の報道によりますと、「現状維持を主張したのは水野審議委員」だそうです。水野審議委員は政策委員の中で一番景気に弱気で金融緩和に積極的と見られますので、従来からの政策ロジックの継続性で反対したのか、それともマジで「付利するなら据え置きやがれ」というイヤミなのかという所ではないかと推察。ちなみに審議委員5名の金融政策に関する現状の見解は、ハト派の順に水野さん>野田さん>亀崎さん>中村さん>>>須田さんくらいのイメージなんですけど、0.25%を主張した須田、中村、亀崎の3氏は「下げるなら中途半端なことしないでスッキリ下げろよ」って事だったのでしょう。(更に追記@11/01 17:05)日経本紙読んだら「水野審議委員と思われる人」が現状維持主張となっていて確証が取れませんので、上記追記部分取り消します。
山口副総裁は先週頭の就任会見でやたら「流動性」を強調してましたし、白川総裁は昨日の記者会見(アップされたらよく読みたいです、一応ベンダーの記事などでは読みましたが)では「今回の利下げを決断したのは直前になって判断」というような発言をしていましたので、まあこの状況から推測しますと、元々今回の会合では以前ぶち上げた「当座預金の付利」に関する話が先にあったのですが、まあオトナの事情(苦笑)によって利下げすることになりましたと。で、どうしても付利をぶつけたいもんだからこんな不格好な結果になってしまいましたと。
どう見ても付利なんぞ後の話でも良いと思うのですが、当座預金付利でインチキ量的緩和というのを先にぶち上げたのを引っ込めたく無いという小役人的発想が先に立った決定としか申し上げようがございませんで、実に残念と言うか絶望な0.30%なのでございます。
○肝心の流動性対策が全然出てませんが
それどころか、コリドー設定で(設定しなくても0.25%の政策金利に下がゼロでロンバートが0.50%だったら50のコリドーではありますが)流動性対策という観点からすると問題は悪化しているのであります。短期市場的に言えば何のための決定会合だったのか意味わからん。
・・・・と申しますのは、こんなナローコリドー(上下0.4%)を設定しますと、コリドーの無い時点と比較した場合、資金の取り手は直ぐにロンバートに駆け込みますし、資金の出し手はコリドー下限でも別にいいやってブタ積みが増えますし、要するに短期金融市場における資金の巡りが悪くなるだけなのですよね、ということでして、付利してコリドー作るよりも前にやるべき事があるでしょうという事です。
で、あたくし以前から延々と申し上げていたと思いますが、足元の金融市場の問題点っていうのは、「資金が円滑に回っていない」という所にありまして、その結果として例えばCPの発行金利がやたら高くなってしまったり、GCレートがやや高い状態が続き安定もしないので債券市場の参加者(業者)がポジションを持ちにくくなり、結果として債券市場の不安定化に繋がるとか起きているわけです。
特に切実な問題としては「相対的に流動性の低いモノのファンディング」という所でありまして、それこそ物価連動国債(いやまあ日銀適格ではあるのですが、普通にGCの担保にするのはかなり厳しい)に始まりまして、最近増えてるらしいCPの代わりに出て行くローン(これもまあ相手によっては担保になりますけど)とか、勿論その他色々とある訳ですが、こいつらの問題ってのは当初は仕組みモノとか在庫豊富な外資系の話だったと思うのですけれども、最近は国内勢でも影響でてる訳で(だから債券やらCPの市場が不安定化する)、金融環境の改善するなら流動性対策やる方が効くんですけどね。
という一般的悪態に続きまして決定内容に関して。
○執行部は来年の4月まで追加利下げしたくないのですかねえ(苦笑)
まずこのブサイクな0.3%という金利に超過準備付利がセットになっておりますけれども、内容としてはこうなっております。(決定会合の結果公表文書より)
『(3)補完当座預金制度の導入(全員一致)
金融市場の安定を確保する観点から、年末、年度末に向け、積極的な資金供給を一層円滑に行い得るよう、日本銀行当座預金のうち所要準備額を超える金額について利息を付す措置を臨時に導入し、11月積み期から来年3月積み期までの間、実施することとする。適用利率は、0.1%とする。』
ということで、来年の3月積み期が終了するのが4月15日でして、金融政策決定会合は4月6、7日と28日に実施されますので、来年度頭の展望レポートまでは利下げしたくないという意思ですかそうですかってなもんです。だって次に利下げしたらどう見たって適用利率0%ですよね。何のためにわざわざ実施するのでちゅかねえ(笑)。
#しかも今回の「臨時措置」というのも訳判らん
今回わざわざ0.3%金利に超過準備付利がセットになっているのは、「これ以上利下げはしたくないです」って事あるいは「次に利下げしてもゼロ金利じゃないですよ(まあ順当に考えれば0.10%に下がるんでしょ)」という意思表示という風に見えてしまう訳でありまして、引け後の会見で「反対のうち3票は0.25%への引き下げ」というので瞬間債券相場とか金先とか好感してましたが、その後ヘロヘロになったのは「執行部の方が下げる気無いのならダメじゃん」という理解を市場がしたからだと思われます。
経済情勢的に考えて、別に来年の1−3あたりに向けて追加利下げ必要な場面がやってきてもおかしくないという状況だと思うのですが、さてどうなることやらという感じではあります。
と、ここまで作ったところで続きは明日か明後日か休み明けに。
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2008/10/31
お題「さて決定会合ですが」
まあ正直言って日経が余計な記事書かなきゃ利下げもほうほうそうですかってなもんだったですけど、あの記事で利下げだとアホラシカとしか申し上げようがございませんので今日の利下げってどうなのよとは思いますけど(でもまあ年内利下げでしょ^^)ね。という屁理屈の多いあたくし。どうせなら政府の経済対策にぶつけてサプライズ利下げの方が良かったのに・・・・・
#読売が追随してますがモーサテはトーンダウンってどうよ
まあそれよりもツクモの民事再生申請の方が重要ニュースだったりするのですけどね。ナンテコッタイ。
○出てきそうな話を適当に想像してみます(利下げ以外で)
・当座預金付利やロンバード下げ
まあやるのでしょうけれども、問題は誘導目標との差。誘導目標から遠い(今のロンバートとの比較で考えれば誘導目標▲25bpが一番下でしょう)場合には「金利付き量的緩和」をやる際に誘導目標からの下への逸脱がでかくなり、実質的に利下げみたいな話になってしまいますので、金融政策のディレクティブとの関係がヤヤコシヤになってしまいます。
かと言って誘導目標に近くすると「金利付き量的緩和」はやりやすくなりますけれども、今度は資金放出サイドが市場に資金を益々出さなくなってしまいますので、オペレーションでじゃんじゃん資金を供給しないと資金の回りが悪くなる関係上、実体的な金融環境としては宜しくないという所でどっちが良いのか。
ただし25bp利下げした場合は当座預金付利とか言っても▲25bpだとゼロになってしまいますので(^^)、これどうするんでしょ。5bpとか訳判らんレートになるのでしょうかね。利下げするならやらないほうがスマートじゃないですか。次に戻すときにやりゃいいじゃん。
利下げしないでロンバートだけ下げるというのもあるでしょう。ただまあロンバート下げると寝転がりが増えるので、信用機構局涙目になると思いますが(^^)。利下げした場合はロンバートは単にフルスライドするだけでしょ。
・なお書きでプチ低め誘導ってどうよ
当座預金付利しておいて誘導目標を据え置いて「なお、金融市場の状況によっては上記目標水準に関わらず潤沢な資金供給を行う」というなお書き入れて低め誘導みたいな見せ方をするってのはどうなのですかねえとか思ったんですけど。
これだと当座預金の付利水準が低いほど市場が利下げ催促しやすくなりますので、まあそれもまたヤヤコシヤという話ではありますけれども、利下げ期待で金利水準が全体的に低下するのであればそれはそれで金融環境は緩和的になるのでありますから、引っ張れるものなら引っ張っても(とは言え年内には利下げでしょとは思いますが)オイチイとは思いますけどね。
・その他流動性拡充策
まあ先日来申し上げていますが、資金繰りだの短期金融市場の価格形成だのという面で言えば、GCとかCPの金利が下がらなかったり安定しなかったるする方が問題ありなのでして、ちなみに昨日に関しても2年やら5年やらFBやらは全力買いしている向きがあるみたいですけれども、その一方で前日0.5台半ばに低下したGCレートは何と資金の出しがいなくなって0.6%近傍に上昇、CP発行レートに関しても利下げ観測浮上ですかさず発行増えたのですけれども、レートの方は前日比あんまり下がらずの巻で、イマイチ感が拭えません。
ということで、利下げしてフルスライドで金利下がってくれれば良いのですけれども、ちゃんと下がってくれませんと資金繰りの面から言えば利下げ分の効果がここで減殺されてしまいますというお話になるのれす。じゃあ何やるのでしょうかねえという事ですけれども・・・・・・
担保政策でいじってくる物としては当然ながら適格担保の拡大なのですけれども、特別会計やら地方公共団体向けの証書貸付を適格に取るあたりから始まって、思いっきり広げるのであれば上場株式を掛け目厳しくして取るくらいまでございますにゃ。正直言ってこの株価水準で銀行保有株式の買入やるのって「強制損切りの勧め」的な罰ゲームにしか思えませんので、銀行保有株式の買入やる位なら上場株式をヘアカット思いっきり取って担保適格にしてあげた方が良さげな気がするんですがどうでしょ。
オペの拡充ですけれども、こりゃまあ正直言って現在の枠組みで本来もっと大供給できるところを出し惜しみしてるんだか何だか知りませんが、もっと出しようがある所ですので、新しく何かするというのであればCP現先オペの積極化を謳う(謳うだけじゃなくて実際に毎週打つとかしてくれないと意味がないですが)とか、全店オペの先日付をT+3やT+4でも通常ベースで実行できるようにするとかでしょうか。
その他として思いつくのは、どうせ余力があるのですから、輪番オペを年末流動性対策という名目で時限的に増額するとか、為替介入をしなきゃいけない破目になった場合のFB対策ですかね。今の枠組みでもFB日銀引受自体は出来るので制度をいじる必要は無いのですけれども、正直言って毎週4兆5千億円のFBって市場の消化能力的に結構厳しいものがあると思いますし、制度の建付け上FBの発行が減る事も今のところ無い上に、埋蔵金活用ってこれFBに影響してこないのかなあと思ってみたりするのれすが。
で、書きながら思ったのですが、時限的に(と言いつつ延長したりするのでしょうけれども)物価連動とか15年変国を輪番するってどうよとか思ったのですが、政策ロジック的に難しいですかねえ。株式買うよりはこっちの方が役に立ちそうなんですが。
・ちなみに金融政策マターじゃないですけれども
時価会計に合理的に算定された理論価格を使うとか、満期保有目的勘定の利用の弾力化というのは15年変国とか15年変国とか15年変国でエライ目にあっている国内機関投資家の皆様におかれましては大変に結構なお話でありまして、余計な損失処理しないで済むという点において実は物凄く効果のあるお話ですので、こちらは可及的速やかに進行することを希望いたしとう存じます(^^)。
○ちと話が斜め上に逸れますが
とまあつらつら考えておったのですが、現在のように金融市場が平常モードじゃ無い時の「政策金利」と「実際の市場での金利」との関係ってどういう意味があるのでしょうとか最近思うのであります。
例えば米国様なんかですと、(全部ちゃんとデータ取ってないので印象論で恐縮ですけれども)FF誘導金利を下げていく過程において連銀当座預金への付利を行ったのですけれども、この付利をやる前には供給をバシバシやったお蔭でFFレートとかガンガン下がってゼロ近傍になっちゃったりしてたのですけれども、連銀当座預金への付利をしたらFFは下限設定の巻ということで、FFレートだけ見ると大緩和の後引き締めになってたりしてまして。
でもまあその間にLIBORの金利とかは上昇して低下となっているので、こっち的には引き締めの後緩和という状態になってたりする訳でして、はてさてこれは何がどうなっていると考えるべきなのかという話。
たぶん実体的な金利がどの位置にあるのかという点で言えばLIBORとかプライムレートとかCP発行レートとかを見るべきな話だと思うのですけれども、じゃあそのレートって中央銀行がコントロールすべきものなのかと言う論議になるとこれがまたヤヤコシイ話になりますわな。恐らくは金融市場が正常に機能していればFFなり無担コールの誘導金利の操作が金融環境に影響をストレートに与えるけれども、金融市場が正常に機能していない場合は政策金利操作のみでは金融環境に予期した作用が起こらない可能性があるので、こういう異常事態の時には考慮するべきという話になるのでしょうが。
ただまあなおつらつら考えますと、何でもかんでも中央銀行が間に立ってやるというのは金融市場のプレーヤーがこういう状態になっているので仕方ないのですけれども、これをそのままやってますと出口政策が非常に難しくなってくる話になりますので、まあ出口考えてる余裕なんぞ今のところ無いでしょうけれども、景気の話とプルーデンスの話はまた別の話でもありますので、プルーデンス的に出口政策ってどうなるのよとか米国とか欧州の動きを見てて思うのであります。
と訳の判らない余談すいませんえん。
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2008/10/30
お題「利下げ騒動あれこれ」
○こういう品の無いリーク記事はケシカランので
えー、問題の日経新聞を読んだのですが、記事内容が思いっきり断定調になっていまして、こりゃまた随分と自信満々の記事だことという感じではございました。ネット版ではこんな感じでしたが、新聞の方がもうちょっと断定調でしたよね。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081029AT2C2802228102008.html
日銀、利下げ検討 円高・株安で景気下振れ懸念
日銀は円高・株安など世界の金融市場の動揺で景気下振れ懸念が強まっているのを受け、政策金利を引き下げる検討に入った。無担保コール翌日物金利の誘導目標を現在の年0.5%から0.25%引き下げる案が有力。31日に開く金融政策決定会合で協議、市場動向などを見極めながら最終決断する。日銀の利下げは量的緩和で金利をゼロに誘導した2001年3月以来になる。
(以下割愛)
まず先にあたくしの見解を暴論から先に申し上げますと、金融政策変更の度に事前のリーク記事みたいなのが出るとかどこの未開国家だと思う次第ですので、今週末の会合では利下げ無しで下品にも程がある日経新聞涙目ついでにリークした人間も含めて風雪のルルでタイーホくらいの展開を激しく希望いたします。
・・・・理由が無茶苦茶ですかそうですか(^^)。
2006年12月から1月に掛けての利上げ報道時における下品な動きに対して市場内外から批判出まくっていた筈なのですが、またこれかよということで、呆れるというか政策決定会合は何のためにやっているのかとか、またまた脱力感に襲われるのであります。普通の観測記事じゃなくてこういう記事を書く神経って全くわからん。まあ経済のクオリティーペーパーとか言ってますけど所詮は株屋新聞体質なんでしょうな。と書くと株屋さんに失礼にも程がありますので株屋さんにお詫びいたします。
しかも日経がNYダウ上昇まで利下げ報道のお蔭にするとか、日本株が絶賛下落している時にもやたら堅調だったNY株式が本質的に日本要因で動く訳ねえだろ(買い方の後付け理屈には使ったでしょうが)という中でまあよくもまあ自画自賛するわなって所でありました。
それからね、サプライズで利下げするんだったらそれは最後の最後まで秘匿しておくべきであって、事前にリークされちゃったら「知ったら仕舞い」という兜町古言にありますように、金融政策実際に打ち込んだ時には下手したら「材料出尽くし」になってしまう訳でして、折角のサプライズ効果も減殺されちゃうと思うのですよ。センス無さ過ぎにも程がありますわな。
と、悪態だけついてるとアレですのでもうちょっと真面目に参ります。
○足元の問題は金利よりも量と質なのですけれども
以下申し上げるのは、金利水準が物価対比でどうのという本来的な話ではない細かな論点ではございますのでその辺一応先に断っておきますということで一つ宜しゅうに。
えーっとですな、暫く前からCPのレートが妙に高いですね云々というお話をしておりましたが、足元の短期市場における問題点ってその辺りにあると思うのですよ。即ち、市場参加者というかディーラーやら最終投資家のリスク許容度低下やら予備的資金需要やらカウンターパーティーリスクへの意識やらというような条件が複合してGCレポレートやらCPレートが高止まりとなっておりますと。
レポレートが安定しないと債券ディーラーの在庫ファンディング部分が安定しない訳で、いつなんどきシュリンクするか判らんとなればポジションを取ることに慎重にならざるを得なくなり、結果として債券市場におけるオファー・ビットの拡大とか、相対的に流動性の低いとみなされる銘柄がボコボコになるとか、大口売買が捌きにくくなるので入札時に事前にそのゾーンがやたら調整するとか、まあ色々な問題に繋がる(原因は一から十までレポレートではないですので念のため)次第。
またCP発行レートの高止まりは企業金融の実質的なタイト化を意味する訳で、CPからローンにシフトした場合に銀行の資金繰りのタイト化に繋がります(必要な資金の総量は変わりませんけど、CPとローンを比較すれば流動性というか換金性の高さが全然違うので、その結果として資金繰りへの効果は違ってくる)次第ということで、これまた金融環境のタイト化というお話ではございます。
てな訳で、足元の市場での問題ってそのあたりの議論に加えまして、ガイジンさんの決算時期にもなります年末に向けてのファンディングがきちんと確保できるのかという所もある次第。一頃のようにレート払っても量が取れませんとかいう話になったら涙目とか言ってる場合じゃないの巻ですので、まあそーゆーあたりのアベイラビリティって奴が問題になっとるわけですな。
ということでありまして、もっと質(担保政策)と量(オペレーション)の面から金融環境の緩和を行う方が課題としては急がれる所でございまして、まあ利下げは利下げで重要な話ですが、その効果を発揮する為には大向こうウケしないかもしれませんけれども、地味かつ有効な質と量の緩和を行うことがこれまた重要だと思いますけどね(あと、短期市場の金利形成という面だけで言えば、変に達成感が出てしまうよりは「やるやる詐欺」攻撃で期待を引っ張った方が良い(ただし参加者は疲れ死ぬ^^)のですが、アナウンスメント効果とかの問題もありますからね^^)。
○しかし債券市場って織り込んで無かったの????
株式市場の反応は兎も角として、正直唖然としたのは債券市場の反応。
あたくし確かこちらでも「別に利下げが展望レポートと同時に来ても驚きはしません」とか申し上げていたような気がするのですが、市場の中の人的には特に短期に近い人ほど「展望レポートのロジックを大幅変更して利下げ」(=今週末)、「ど〜せ碌な結果のでないGDP1次速報を見て利下げ」(=11月利下げ)、「GDP2次速報と日銀短観の結果を見て年末越え対策も含めて利下げ」(=12月利下げ)、といった図は普通にアリエールな話と認識してたんじゃないかなあと思ってたのですが。
ただまあ足元のGCレートだのの問題があるので、そうホイホイとポジションをどど〜んと取る訳にもいかないですから無理もしないでしょという所で金利が形成されてたのかなあと特に超足元に関しては思ってたのですけれどもね。
と申しますのは、昨日の超短い所の相場展開をみててほほうと思ったからであります。まずFBですけれども、3か月FBの入札段階ではレート低下が10bp程度で、その後買いが入ったみたいで引けでは堂々0.48%とそれは12月利下げだと負け確定ですが大丈夫ですかというレートまで低下しておったのですが、入札段階ではそこまで突っ込むまでには慎重と。で、CPの方が何とも残念な展開でして、スポ末発行かつ全体発行額減り減り状態で例のニュースという条件にも関わらず、レート低下が(物によってまちまちでしたけれども)だいたい5bpからまあそれに毛が生えた程度という残念にも程がある結果に。つまり、ホイホイとポジション取りにくい物ほど利下げ観測の影響が低いという事態でして、まあ当たり前っちゃあ当たり前ですが、これがいずれ追いつくものなら良いのですけれども、今までの環境見てるとどうもそうじゃ無さそうな悪寒も。
・・・・と、話が逸れましたが(苦笑)、昨日の債券市場では例によって後場になって勢いついちゃいまして、2年カレント10毛強の0.600%、5年カレント11毛強の0.920%などと、まあ威勢の良い上昇っぷりに正直呆れてしまいました。そもそも論からして実体経済のデータがこれだけクソミソ状態なのに利下げ全然警戒しないとか有りえないと思うのですけどねえ・・・・・これもやっぱりファンディング部分とかの影響があったのかなあ。よーわからん。
#もっと書くこと有ったような気がしますが、時間が来たのと書いてるうちに論点を忘れてしまったので(あほ)こんなところで勘弁。
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2008/10/29
○日経が「利下げ検討」記事のようで
手元に日経新聞が無いのでイマイチよく判らんですが、というか朝刊で書いているならネット版にアップしてよと思うのですけれども、円高株安で利下げ検討という記事らしいですが、モーサテ最初は威勢よく「利下げ検討」って話をしてたのに、コメンテーターからダメ出しされたらいきなり為替市況の説明が「日銀の利下げ観測も少々影響しているようです」とトーンダウンしている所には笑ってしまいましたが(^^)。
まあ今日からブラックアウト期間に入るので、その直前にこういうネタを打ち込むと日銀としては否定も肯定もできませんし、記事の出るタイミング的にはブラックアウトの前日に取材してるから問題無いでしょという言い訳も出来るという事で、まあ狙って打ち込みましたねえという所ですにゃ。
・・・・・で、あたくしの勝手な読み筋は昨日申し上げた通りでして、中川財務大臣が金利に対する考え方を会合までにどうのこうのとか言ってる位では少なくとも利下げで握れてはいないでしょと思う次第でして、まあ当座預金付利(って単体で打ち込んでも何が何だか訳判らんですが)を含めたオペレーションの強化策が「流動性強化策」とか言って出てくるのが先ですかねえという所なんですが。
しかし前日には「流動性強化策で当座預金付利」って報道をしたのも日経テレコンなんですけれども、昨日の今日で今度は「利下げ検討」とか人騒がせなというのもありますが、観測記事じゃなくてリーク記事みたいなのが出てくる(中身見ずに言うのも何ですが、どうせ日経ですから観測じゃなくてリーク記事みたいな話でしょ)のは品が無い話で、まあ所詮は(以下見苦しいので自主規制^^)。
ま、市場の中の人の勝手な事情を申し上げますと、利下げするなら利下げするでも良いのですが、月末前に色々とポジション調整とかある中でこーゆー変なネタ出されますと、変にブレたり売買が止まったりするのでポジション調整がややこしくなるので、月末前にこういう変てこな憶測だかリークだかの記事打たれると迷惑なんですけどねえ。
なお、公共放送様におかれましては「日銀、景気下支え策を検討へ」というお題で「展望レポートで景気見通しを大幅に下方修正」して「具体的には金利引き下げの必要があるかどうかの検討や、資金供給手段の新たな強化について検討」という報道を朝6時半のニュースではやっておりました(脳内記憶ベースなので正確な表現では無いかもしれませんので念のため)。
えーしかし何ですな、別にまあ理屈から言えば毎回の決定会合で金融政策をどうするかという話は検討しているので、利下げ提案の有無は別にしてその時点で「利下げの必要性について検討」はしていると思うのですが(^^)・・・・・何となくこれはやるやる詐欺の悪寒が致します。日経新聞釣られたんジャマイカ?
なお、市場の状況次第では利下げがとっととやって来ても別に驚かないのですが、やるやる詐欺で期待を引っ張った方が一粒で数度オイシイ(既に今日オイシイのですから^^)というのが市場の仕様でもあったりするので、相場が期待で戻ってしまうと却って利下げが直ぐに行われない悪寒もしますけどねえ(苦笑)。
と、朝のニュースに脊髄反射。まあ今回は「ただの検討」だけのような気がするんですけどね。よーわからん。
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2008/10/28
○これも微妙にうーんでしたけど(中川酒)
これまた妄想ネタで恐縮至極であります。
昨日の昼に出たニュースフラッシュで反応した後、株価が爆下げして尚反応して利下げ織り込みっぽい展開になってきたのですが・・・・・
会見での発言なので当然ながら他のベンダーでも出てましたが、ロイター日本語版の12:33配信のフラッシュをば。
12:33 金曜の日銀政策決定会合までに(金利に関する)政府の考え方を決めたい=中川氏
これに反応したのか株安で反応したのかよー判らんのですが、この手の発言が出るということは少なくともこの時点で今週末の決定会合では利下げ方向の議論がメインに据えられる(もうちょっと品の無い言い方をすれば、「利下げでの握りは出来ていない」ですな^^)ことは無いんじゃねえのという事と、政府サイドで今週末はそうシャカリキに利下げを求めてないのねって想像(かなり妄想寄り)になる次第であります。
と、申しますのは昨年1月の利上げ騒動の時の事例を思い出す次第なのでありまして、このときって1月利上げ断念という線で纏まっていた所に対して当時の中川(秀直)幹事長が事情を知ってか知らずか「日銀が利上げ提案するなら議決延期請求をすべき」とか「日銀法改正」とか威勢のいい話をしていまして、それに対して政府サイドは物凄く物分りの良い発言に終始していたので、市場が思いっきり「これは利上げ容認」と騙されたという楽しい事件があった時期(2007年の1月前半から中旬くらい)ですな。
そもそも利下げで話の方向が纏まっているのであれば、所轄大臣がこんな事言うわけございませんですし、本気で利下げさせるために圧力でも何でも掛けるというのであれば、こんな正面切った話はせんでしょ(却って話がややこしくなる)と思うので、あたくしなんぞは今週末利下げでも別にふ〜ん位なんだった(ちなみにそれは市場平均予想より前倒し)のですけれども、この発言見て「こりゃ今週末は無いのかな」なんて逆に思ってしまったりして(苦笑)。
まあいずれにせよ、この手の発言は実効性に疑問符(言うなら会見などではなく決定会合の時に言えと思う)なんで、ちょっとセンスがどうなのよと思うのでありました。いやまあアリバイ発言したいってのなら判りますけれども、この期に及んでアリバイ発言とかやってる場合じゃないと思うのですけれどもねえ。
○当座預金付利ですかそうですか
で、昨日は日経テレコンが最初に報道してましたが、金融安定化策ということで、当座預金付利(超過準備に付利ですかな)とかCP買取という話が浮上しているそうですな。
えーっとですね、いやまあ当座預金付利するのであれば、そこのフロア金利に近づく位にバンバン資金供給(ついでに言えばT+0スタートの3日モノとかいうようなオープン市場に無意味な供給ではないもので)する位のことやって頂きませんと、却って資金の回りが悪くなってしまい、金利としての効果が下手したら実質利上げ効果みたいになってしまいますので、その辺勘弁していただきたい訳ですな。
で、毎日悪態ついてますように、わざわざ臨時会合やって流動性強化策とか打ち出しておいてCP買現先は一発やっただけで後は無しとか、期末越えの供給をやるとかいう割には一番必要なT+2やT+3スタートでのターム資金供給のオペは不足気味だわ(昨日なんて共通担保の先日付オペ無しですがな)と言う感じで、何か本当にちゃんと大供給する気があるんかいなというオペが続く昨今でありますので、CP買取とかも言うだけ言ってオペ一発だけやって後は知らんがなとかいうような、目くらましアリバイオペをやられても困るので、地味でもちゃんと実効性のある「流動性強化策」を実施して頂きたいものであります。
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2008/10/24
○利下げ期待っぽくなってるのですが・・・・
昨日の債券市場では株が見事に下がり円高になる中で2年カレントの利回りが0.7%割れまで出合いまして(高値0.695%)、これはもう利下げ期待が入ってきたような感じの展開になりました。ってまあそうなるのは当然ちゃあ当然なのですが。
ところが一方で超短い所の金利はまたまた上昇してまして、資金供給オペの金利は上昇してまして、トムスタートの月中物オペで水曜は8000億円のオペに対して0.650/0.65の落札結果だったのですけれども、昨日は12000億円とロットが増えたにも関わらずレートの方は0.666/0.65と平均レート貫禄の上昇。足きり0.65%の按分も78.8%から17.2%に低下しておりまして、レート上昇観の強い結果に。
GCレポのレートはレギュラースタートの翌日物でこれまた0.66%あたりでサガランチ会長ですし、CPの発行レートはこれまた下がらない、というか超微妙なニュアンスですが上昇っぽい気もせんでもない(横ばいは横ばいなんですけどね)という感じ。水曜に入札が行われた新発FB3か月ものは0.645%となってまして、既発に関しても短い所は微妙にレートが上昇っぽい銘柄もありという感じで、ちと重い感じで誠に遺憾でございます。
今週の頭にはFBレートとか落ち着いてきて結構ですねとか書いた覚えがあるのですけれども、何のことは無いこのテイタラクでありまして、どうもオープン市場のレートが上昇しているのをそんなに牽制するようなオペじゃないという印象を与えているあたりで、GCなどのレートがじり高になりやすくなるという結果に結びついてるんじゃネーノって所でしょうか。
3連休明けの所では「これでGCなども落ち着くでしょう」という見方から0.60%までストンとレポレートとか下がったのですが、その後レートが上昇したというのは、結局のところその期待が「オープンの金利が上がってもオペがそんなに打たれないのね」というような空振りの結果になった所があるのかななんて。
多分ですね、昨日申し上げた「オペのロットを増やす」って奴で「そんなに高いレートで応札しなくても落札できそうだ」って期待を形成させてレートを下げるというのが一つの作戦かなとか思うのですけれども、そもそも論としてインターバンクとオープンというか、T+3やT+2のあたりとT+1やT+0のあたり(これT+2と1の間で切れるのか1と0の間で切れるのかは良く判りませんが)で資金の需給が違っているというのがあると思いますので、そーゆー意味からしますとT+3とかT+2スタートのオペで資金を供給してT+0あたりでは売手で資金を引くという形で、日銀が資金の偏在を均すように能動的にかき混ぜるようにするのも吉かと。
「市場機能はどうした」とツッコミが飛びそうですが、市場機能というのはそもそも裁定が効く世界で機能するものでありまして、その裁定自体が市場参加者のリスク許容度低下あるいはレバレッジの縮小によって効かなくなっている訳でありますので、まあ中央銀行とかが出て行くのもシャーナイナイという所なのでしょうかね。
と、今日もごく一部のマニア向けの雑談で恐縮至極。
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2008/10/23
○誘導目標は確かに無担保コールですが・・・・
どうもGCレポのレートが下がらないし、現先レートも上がるしということで、CPの発行レートは下がらないという昨今なのですけれども、昨日のオペ見ててちょっと思ったこと。
昨日は国債買現先1兆円がスポットスタートの月末エンド、共通担保本店供給8000億円がトムスタートの28日エンドで打ち込まれたのですけれども、打ち込み額がしょぼかったこともあって貫禄のレート上昇。火曜日の共通担保全店オペで30日エンドが0.636/0.63だったのですが、昨日は0.650/0.65となりまして、まあどうせどっかの大手銀行さんがバサッと札を入れたんでしょうけれども、この期に及んでレート上昇とか如何なものかという感じ。
火曜日は共通担保オペ3発とか実施してたのですが、ちょっと供給を減らし目にするとすぐこの有様という所でして、この辺のレートが上昇するとGCレポの金利とか現先の金利とかにも跳ねてきて、特にCP現先の金利が上昇してくると今度はCPディーラーの在庫保有の余裕が下がってきますので、CPレートが上昇しやすくなっちゃいますわな。ま、CPレートの場合は10日の週に上昇したのがちょっと下がったものの、引き続き年末越え3か月もので大体1%近辺での推移とか高止まりしていますので、上昇というよりは下がらないという方が動きとしては適切なのですが、まあそんな感じ。
昨日入札が行われました3か月FBに関しても、落札レートそのものは前回比で低下してますけれども、セカンダリーでの動きは先週と比較して悪く、先週は落札後に0.62%レベルまで低下したのに対して昨日は0.64%の引けということで、平均落札レベル(0.6353%)からの伸びは無いという状態なのも、足元のGCレートなどが下がらないどころか上昇気味なのを反映しているように見えないことも無い。
ということで、白川総裁の良く使う「金融環境」という文脈を持ち出しますと、短期の超足元な所では、確かにコールの加重平均レートはこんなもんでも落ち着いているといえる(どうせ二極化してるのだからあまり意味がある議論とも思えないが)ので「誘導目標の達成」はいつものようにできているのですが、「金融環境」という点で言えば、GCとか現先とかの金利が下がらないでじり高って状態になってて、FBだのCPだののレートが妙に下がらないということで、金融環境が宜しくありませんなあという話になると思うのですけれども。
ターム物とかオープンの金利をもうちょっと落ち着かせる気があるのでしたら、1兆円3本とかいうような打ち方じゃなくて、2兆円2本とか1本のロットを大きくして(大きくしないと昨日の8000億円のように1社で半分打ち込みとかされてしまってすぐにレートが上昇する)応札レートが下がるような打ち方の方が良いのではと存じます。
ま、GCが妙に下がらないのは、例によって与信(GCは国債担保ですけど、相手が飛んだ場合に担保処分すると相場次第でいかれる場合ありなので与信は与信)ラインを絞っている状態になっていて資金を出す投資家があまり戻ってきてない事とか、そんな状態なのにロンバートが最後にあるからと堂々寝転んでいる人が相変わらずいるのでショートファンディングが残りっぱなし(それで最後にロンバートに行ってるのだから何やってるんだコイツハと思うけど)となっているとか、まあオペ以外の要因もあるのですけれども、その辺加味した上でもうちょっとオペの方をGCレポなどの金利推移を気にして打って頂くと、金融環境の改善に繋がるかと存じますがどうでしょう。
#と、殆どの人が「???」な話を延々としてどうもすいません
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2008/10/22
○FRBがMMF保有のCPを買うというお話
そもそも米国の短期金融市場までそんなにフォローしてるわけではないのでよーわからん面があるのですが、ヤケクソで超斜め読み。で、とりあえずMMF対象に買入をするみたいですが、そのうちMMF以外の投資家からも買入ますという話みたいですね。ということでFRBの施策ですが、当然ながら朝起きてから超斜め読みしているので解釈内容無担保無保証(汗)。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081021a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/monetary20081021a1.pdf
(上が声明文、下が実施要綱)
いちいち何とかファシリティとか名前をつける側から略称を設けるのがFRBクオリティで、今回の施策はMMIFFというそうですな。ちなみにECBではそのようなややこしい略称はつけない(と思う)のですけど(日銀もさよです)、一々変な略称をつけるというのは国民性とか連銀の性格分析とかの題材になりませんかね(^^)。
声明文から。
『Under the MMIFF, authorized by the Board under Section 13(3) of the Federal
Reserve Act, the Federal Reserve Bank of New York (FRBNY) will provide
senior secured funding to a series of special purpose vehicles to facilitate
an industry-supported private-sector initiative to finance the purchase
of eligible assets from eligible investors.』
『Eligible assets will include U.S. dollar-denominated certificates of
deposit and commercial paper issued by highly rated financial institutions
and having remaining maturities of 90 days or less. Eligible investors
will include U.S. money market mutual funds and over time may include other
U.S. money market investors.』
CPのほかに残存90日以内のCDも買いますというお話みたいですな。で、要綱の方を読んでみると(これまた超斜め読み)
『Facility
The MMIFF is intended to help restore liquidity to the money markets. The
MMIFF will be a credit facility provided by the Federal Reserve to a series
of special purpose vehicles established by the private sector (PSPVs) in
accordance with the terms described below. 』
『Each PSPV will purchase eligible money market instruments from eligible
investors using financing from the MMIFF and from the issuance of asset-backed
commercial paper (ABCP). The MMIFF is authorized under section 13(3) of
the Federal Reserve Act.』
ということでして、何かイマイチ良く判りませんが、どうも購入対象になるCPはABCPになるように見える次第でして、日本のCP市場(=事業会社などの直接金融としてのCP発行がメインとなっている市場)をイメージして「CP買入」と言うのとちょっと違う感じがします。どっちかというとABCP買入などの資産担保証券買入をイメージした方がよさげな。
で、実施要綱のその先には色々と説明があるのですが、詳しくないあたくしが読んで内容理解するには時間と知能が不足しているので、とりあえずパスなのれすが、次の「PSPV(が買入主体なのかなあ?)の買入資産」を引用するアル。
『Eligible Assets of a PSPV
A PSPV will purchase from eligible investors at amortized cost U.S. dollar-denominated
certificates of deposit, bank notes, and commercial paper with a remaining
maturity of 90 days or less.』
certificates of deposit と bank notes の区別があたくし良く判らんのでありますけれども(あほ)、残存90日以内のCDとかCPを買うと書いてあるように見えます。
『Each PSPV will only purchase debt instruments issued by ten financial
institutions designated in its operational documents. Each of these financial
institutions will have a short-term debt rating of at least A-1/P-1/F1
from two or more major nationally recognized statistical rating organizations
(NRSROs).』
さすがに何でもかんでも買うという話ではないみたいで。で、ここから益々あたくしが寝起きで理解するには時間の掛かる話になるので以下皆さんリンク先読んで解読宜しくお願いします(手抜き)。
・・・・・でね、ちょっとだけ疑問に思うのですけれども、この施策って要するに「MMFの資金繰り支援」だと思うのですけれども、それなら別に買入しなくてもMMF相手に担保取って貸付をしてファンディングをつければよいだけのような気がするんですけれども、わざわざ購入する理由はどの辺りにあるんじゃろうか。担保掛目の問題なのか資産規模が減りすぎると別の点で問題になるのか。うーむわからん。
まあ寝起きの引用で恐縮至極でありまする。
○物価連動と15年変動の入札取りやめですかそうですか
既に前日のネタなので古いにも程がありますが。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p201020.htm
本題はどう見ても『2.発行予定額の変更等』だと思いますが、何故か報道発表が『平成20年度の10年物価連動債及び15年変動利付債の買入消却予定額の増額等を行うこととしました』になっているのは『(1)10年物価連動債及び15年変動利付債の年内発行の取止め』というのを前面に出すと見てくれが宜しくないからですかそうですか(-_-メ)。
えーっとまあ既に報道されているので左様ですねというお話なのですが、これまた何とも残念な話ですけれども、暫く前の何でもキャッシュ化攻撃における国債方面での最大の被害者がこの2商品でありましたし、物価連動に関してはまあ既にご案内の通り状態でありますので、致し方ない所ですな。
で、余談なんですけどね、今朝のモーサテでビル・グロスさんのインタビューが放映されていたんですけど、字幕の訳によりますとグロス先生「日本の経済が相対的に強いので日本国債魅力的」って仰せのようです。えーっと経済が強かったら金利は上昇するのですけれども先生何かのギャグでしょうかと思うのですが、あたくしが勝手に思ったのはどうもガイジン様におかれましてはJGBとはJGBiの事なのかもしれないなあとか思ったのでありました。その後の解説(?)でも物価連動国債への投資をどうのこうのってコメントあったみたいですし。
・日銀当座預金付利に関して
既にご承知かと存じますが本石町日記さんのところで判りやすい説明が。
http://hongokucho.exblog.jp/9724880/
しかしこの説明に対してバーナンキの背理法で噛み付いてくる人がいるとは(苦笑)。
現状の金融調節の中にポッと「当座預金付利」を突っ込んでも緩和にはならないので、これによって金融緩和になりますよみたいな一部メディア等の説明はちょっとミスリードですよという話をしてるのであって、資金供給手段の話は別問題として論じるものなんですけれどもね。調節のテクニカルな話と金融政策の話がどうしてそうゴッチャになるのですかとか書くとまた「日銀病」患者認定されますかそうですか(^^)。
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2008/10/16
○落ち着いて参りました(市場メモ)
昨日は3か月FBの入札が行われました。前日引けの時点では「まあこの感じだと大丈夫っぽいけど4兆5千億ねえ」という一抹の不安が無きにしも非ずだったのですが、そんな心配は杞憂でして、足元の運用ニーズ絶賛大復活(ただし国債やレポなど)という状況が進みまして入札の前場引けで新発547回のWI取引が0.645%/0.65%となって、落札結果も0.6443%/0.6473%となりました。
久々にテールの短い入札結果というのも「安定した」という印象を与えるもんでして、まあ結果良好ということで落札結果発表後も堅調推移して引けは0.62%と相成りました。年内償還物も堅調に推移して、引け値ベースで言えば年内物が0.60%で年末越えが0.62%と言ったところでレートがそろいまして、先週末の涙目状態から晴れるのが早過ぎ感はございますが、落ち着いた状況になっています。
GCはレギュラーの所は20日要因ありまして若干上昇で、CP発行レートに関してはCPディーラーさんのリスク許容度がまだ復活してくれないのか依然高いのですけれども、こちらは高格付けで良いネームとみなされる銘柄に関してはレートが低下傾向となっているようです。恐らくFBのレート低下によって最終投資家(投信などのリアルマネー)のFBと比較した買いが電力などの高格付けCPに回って、それが全体に波及していくという経路でレートが低下するんでしょうというイメージ。その速度がどうなるのかは正直良く判らん。
と言う訳でですな、このあたりの動きを見てますと、昨日も申し上げましたが、先週の短期ゾーンビックリレート上昇の要因ってRTGSハイブリッド対応の予備的資金需要部分が実は寄与度大だったのかなという気が益々してくる次第で、何か狐につつまれたような感じではございますです、はい。たまたまそのタイミングに株暴落によってリスク管理上の警戒モード引き上げによる予備的資金需要増加とか、大和生命破綻で益々心理的に予備的資金需要増加とか、まあそういうのがあったんですかねえと。
○市場雑感続きでオペに関して
昨日は積み最終日でコールレートは朝から低い状況でしたんで、売出手形即日を3発打ち込んでましたが、平均落札レートベースで1発目から0.396%、0.430%、0.546%と順調に(?)上昇して最後のは札割れ寸前と相成りました。まあ積み最終の調節だからそんなもんなのですが、2発目のオペで1兆2000億円のオファーに対して応札が1兆6140億円だったのにも関わらず3発目のオペのオファーが6000億円と豪華なオファーされるのを見ますと、あのその豪華な打ち込みリレーは先週後半の供給オペの方で実施して欲しかったんですけどと思うのでありました。
それから公約(?)通りに昨日は年末越えの全店資金供給も実行されまして、こちらはオファー額1兆5000億円とロットもちゃんと打ってくれました(これが3000とか5000とかしょぼい額だとレートが上昇しやすくなって却って地合いが悪化するのですよね)ので、1月22日エンドで平均0.655%の足きり0.620%となりました。オファーされた時刻がいつもの時間で、新発FBの落札結果も出て上記のように良好な結果だった事から安心感のある中で実施されたオペでしたので、落札結果もFB利回り並みと順調な結果になりました(応札は4兆7655億円とまあこんなもんかも知れないけど多いでしたけどね)。こちらも短い所に関しての安心感を与えたのではないでしょうかと思うのですがどうでしょ。
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2008/10/15
○市場メモでございますが
・GCレート低下など
昨日は先ほども申し上げたようにGCレポ取引金利が軒並み0.60%まで低下。先週金曜まで出ていた換金売りチックな動きも止まりまして、それまでどこかに逝ってしまっていた短期市場の資金が急に出てきた感じです。まあ急に出てきたというよりはそれまでの予備的需要要因が剥落したということでしょうけれども。
で、何でそんなに予備的需要が剥落したかを愚考してみたのですが、まずそもそものお話として今回の積み最終を待たずして準備預金の積みが終了している先が多いと思いますので、その分の運用ニーズが高まっているという事。それから、14日のRTGSハイブリッド導入ということで、システム変更といえば予備的需要と脊髄反応が起きるのが市場の仕様でありますので、それが無事に機能していることから資金が出た事、また株式市場が一気に戻って銀行株なども戻った事から、てめえらのALM的なリスク許容度が改善して予備的需要が剥落した、などなどでございましょうかね。
まあそう考えますと、ちょうど間の悪いものが重なってGCレートがアホほど上昇してしまったという事でしょうか。欧州で銀行間取引が政府保証(時限的ですが)された事も心理的には効いているとは思いますが、だからと言って日本でそうなっている訳ではないですから、実際にはそこまで取引が戻っているという事でもないでしょうけれどもね。
一方でCPレートは昨日も高止まりというか上昇傾向でしたが、こちらは大体遅行して反応する傾向がありますので、まあこんなもんかも知れません。FBに関しては昨日は6毛強だの9毛強だのということで、GCレート低下と同じようにレートが絶賛低下したのですけれども、今日は3か月FBが4兆5千億円打ち込まれるの巻(新発の入札)でして、ちゃんと消化してくれるかどうか次第という所でしょう。ま、あの流れだとそんなに懸念するには及ばないと思うのですが、飴公が株安債券安とかいうふざけた相場で返してきたのがちと遺憾。
・これは凄いツイストオペですね(^^)
昨日のオペでちょっと微苦笑。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of081014.htm
昼過ぎのオペで共通担保供給本店即日の1日物と、手形売出即日の1日物が打ちこまれまして、まあ時限は微妙に違う(供給は即時で吸収は5時同時)のですけれども、見事に期間マッチングのツイストオペ実施。
結果はこちら。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba081014.htm
日銀相変わらず利食いになっていますが、そのスプレッドはだいぶ縮小してきたなあという感じです。これが利食いになるというのは、そこにリスクプレミアムがあるということに他ならず、市場におけるカウンターパーティーリスクがまだ意識されているのでこのようなスプレッドが生じているという事でしょう。暫く前は売手即日のレートがやたら低かったことを勘案しますと、まあ状況はよくなっているという事でしょう。
・市場と微妙に関係ないけど欧米の施策について
まあ三塚談話アゲインと言う施策は短期金融市場の復活に効果はあるでしょうねと思う次第で、欧州に引き続き米国でも取引が復活してくれれば、とりあえず金融機関の突然死は無いでしょうという認識になってくれるので、好影響になるんでしょうと思います。
で、まあ欧州が米国に追いついたと思ったら一気に抜き差って公的資金投入攻撃となったのはさすが欧州クオリティと感心するやら呆れるやら。でもまあ英国なんかですと、公的資金突っ込む所と突っ込まない所にメリハリがついているのはさすがですねって思います。一方米国では公的資金注入なのですけれども何か一律投入になっている所が日本の一律注入を思い起こさせる(規模は死ぬほど違いますが)のでどうも何だかな感が。だいたいカストディバンクのBONYとかステートストリートとかに資本注入する必要あるのかね。まあいいけど。
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2008/10/14
○金曜の動きはさすがに参りました
NY株安で始まったのですが、短いゾーンは朝から引き続き売りが出るの巻となりまして、また間の悪いことに大和生命の破綻が(正直言ってこの破綻は特殊事例と言ったほうが良いので別に金曜に破綻する事も無かったのですが)気分的に換金売りを呼び込む格好に。
特に短いゾーンの状況は大変なもんで、オープン市場の金はどこに行ったのよ(予備的需要が高まったのでしょうとは思いますけれども)という感じで、やたら資金が逼迫した状態になり、前場はとにかく換金売りを吸収するのが大変といった状況になっていたようです。
とにかくある程度以上の売りに対してビットすりゃあ成り行きで打ち込まれるという感じになっていまして、2年や5年などの中期ゾーンのレートは上昇するわ、CP発行レートは(大して発行も無かったのですが)更に上昇して、年末越えで上位格付けの比較的良いネームと言われている所でも1%を軽く越えてしまい、年内物でも同様に良いネームとされているところでも1%に接近してみたり1%乗せしてみたりと、CPディーラーって基本的に大手銀行さんなのですけどCP買う資金はどこに行ったのざんしょという動きに。
ということで特に前場はまさしく市場が壊れていますという感じになっていたのですが、そんな状況に対して資金供給オペを日銀が連発で打ち込みまして、金曜は即日全店オペが朝一のほかに珍しく11時前(確か10時50分とか)という時間に打ち込まれたあとに午後にも打ち込まれるという3連発状態。それが効いたのかどうかは知りませんが、一大換金売りスペクタクルも取引終盤になって一息ついたようで、だいぶ持ち直しとなりました。
何せ日本相互証券の出来値ベースで見て、2年は0.875%(8毛甘)まで売られるわ(引けは5毛甘の0.845%)、5年は1.150%(13毛甘!)まで売られるわ(引けは8毛甘の1.100%)と、「株安なのに債券暴落」という一番精神衛生上宜しくない展開をやらかしてくれましたので、さすがに久々にヒヤヒヤする相場ではございました。
取引終盤になって中短期の国債とか戻ってきた感じでして、上記の引けになったのですが、引け後に日経平均先物とかなお下がりやがったので非常に遺憾な気分で一日が終了したのでありました。
株安も少々の下げですと債券買いという話になるのですが、金曜のような展開になりますと「とりあえず利の残っている物を売る」とか「換金」という形から債券も一緒に売られる感じになります(というかそもそも株下げが換金みたいな売り方ですから)が、あまり見たくは無い光景ではございまして、あたくしも金曜は結構疲弊しましたです。
○で、資金供給なんですけど
換金売りみたいな売り方が出ている上に、リーマン破綻によってGCレポを含む取引を悉くこかした以降、GCレポ取引への資金供給が細ってしまってGCレポ取引金利がやたら高止まりしているというのはご案内の通りだと思います。で、そこに一般債などを含めて流動性確保の為の売りが出てくるという流れで証券ディーラーの在庫ファイナンスがより一層忙しくなるの巻となっていますねという所でして、金曜も「一心不乱の大供給を!!」とか書いた覚えがございますが、まあ市場金利の無駄な上昇というか市場崩壊っぽい上昇に一定の歯止めを打つには(1)換金売りを止めさせる、(2)業者の在庫ファイナンスをより一層円滑に回るようにする、という所かと。
で、金曜の全店即日オペ3連発(最後は全店じゃなくて本店オペでした)はどっちかと言うと(1)を意識しているのかなあとは思いますが、業者の場合は即日オペのタイミングまで在庫ファイナンスを引っ張るという訳には参りませんので、金曜も申し上げましたが、先日付のオペをもっと打ち込んでいただきとう存じます。
・・・・と思ったら、金曜に複数の読者様からご指摘頂きましたが、全店オペってT+2までしか打たないのですね(ご指摘ありがとうございました。お返事送れて遅れてスイマセン)。これは残念なので、とっととそんな枠は取っ払って頂きまして、T+3スタートでもうちょっと足の長いオペ(翌日ものとかコールには意味あるけどオープン市場にとっては無意味に近い)を実施して下さいませ。正直申し上げて、札割れになるまで打ち込んでやる大矢のマシンガン継投もビックリというくらい(やる大矢の継投だと炎上しますので困りますが)でお願いしますm(__)m
○無制限供給じゃなくて指値がポイントなんですけどねえ(各国の協調対応)
昨日の夕方に出た一連の措置ですけどね。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0810c.pdf(日銀)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081013a.htm(FRB)
http://www.ecb.int/press/pr/date/2008/html/pr081013.en.html(ECB)
夕方の一般ニュースでも報道されていまして、「金融機関が保有する担保の範囲内で無制限に供給」と某公共放送は「無制限」の意味を正しく報道してましたが、そもそもレートさえ払えば担保の範囲内で自国通貨の資金は調達できる(=貸付ファシリティがあるから)のでして、「無制限」はさほど大騒ぎするものではございませんし、スワップ協定をさっくり拡大した点から考えれば必要になったら枠は増えるでしょというのは普通の想像力があれば容易に思いつきますわな。
それよりポイントなのはここであります(めんどいので日銀の公表文より)。
『イングランド銀行、欧州中央銀行、スイス国民銀行は、固定レートで入札額全額を供給する米ドル資金供給オペレーション(7日物、28
日物、84 日物)を実施する予定である。各オペレーションが行われる前に、固定レートが提示され、そのレートで資金供給が行われる。』
えーっとですね、ポイントはここにある「固定レート」って奴でありまして、この意図する所はドルのインターバンク市場が機能不全になっている事もさることながら、レートの方が上昇しやすい状況が続いているという状況を何とかしましょうということですわな。と書くと何が何やらですけれども、要はドルのターム物金利を強制的に抑え付けてしまいましょというお話ですわな。
基本的に指値オペなんちゅうのは市場の価格発見機能を超思いっきり封殺するので、規制金利時代なら兎も角、昨今ではやらないとしたもんでしたけれども、もはやそんな事は言ってられない位に市場の暴走が進んで自己崩壊しちゃいましたという現状認識を反映した措置でして、これは相当思い切った施策となっています。ということで、本当のポイントは「指値」ですのでお間違えの無いように願います。
それから、これうっかりしてましたけど、ECBがコリドア縮小してたのですね。
http://www.ecb.int/press/pr/date/2008/html/pr081008_2.en.htm
ECBは預金と貸付の両方のファシリティがあって、誘導目標を挟むコリドアが設置されているのですが、このコリドアが水曜に縮小されていましたね。で、その縮小の効果がどうのこうのという前にドルの方ですけど指値オペ攻撃炸裂とは恐るべき市場の暴走でございます。
まあ今からイグジットがどうのこうのという話をする場合でもないのですが、この施策やったは良いですが、市場機能を見事に封殺して、中央銀行がドル資金取引のカウンターパーティーとして市場のど真ん中に鎮座ましますの図になってしまうというかなり強烈な施策になりますので、将来どうやってこの施策からイグジットするのかも興味深いところであります(^^)。
ところでね、一般ニュースが「無制限」をクローズアップした報道をするのは仕方ないのですけれども(無制限が無担保じゃないという点をちゃんと説明してるだけマシ)、自称経済ニュース番組でありますところのモーサテ様が指値の事に一言も触れず、ゲスト解説者も一言もその点に言及しないという能力の欠如振りには絶望を禁じ得ません。この番組、ネタとしては面白いのですけれども、常に批判的に見ておかないと肝心なポイントを掴めない事が多いっすね、いやはや何とも。あ、もしかしてあたくしが見ていない時間でこの話あったらゴメンナサイです。
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2008/10/10
○大供給を!一心不乱の大供給を!!
昨日は朝9時20分の定例即日タイムの供給が前日に引き続き共通担保全店即日オペとなりました。ロットが1兆円2発で14日エンドと15日エンドというイマイチなエンドでしたが、レートの方は相変わらず足きり0.74と0.75と毎度のレートに。
14日要因も意識されているのか、オペがその金利ちゅうことでレギュラースタートのGCとか資金の出は相変わらず悪い(レートは貫禄のロンバート越えみたいで)わ、まあ金融機関としてはこういう地合いになると予備的な資金ニーズが上がってきますので、中短期ゾーンの国債とか高格付けの一般債のような売りやすい所は売り物出易くなるみたいで、残存1年ゾーンの2年既発国債は0.7%に接近する(引けは0.7%乗せ)わというあのそのレートはインフレ懸念とか言ってた今年6月頭のレートなんですけどという状況に。
2か月FB入札も足元の極悪地合いを反映して入札は何と平均0.7710%の足きり0.7941%と、これだけ見ると政策金利でも上がるんですかという数値。さすがに引けは0.75%レベルまで戻ったみたいですけど、それでもコール誘導目標+25bpですわよおくさまおーっほっほっほ(涙)。CP発行レートも上昇してTIBORの上昇が追いついてませんので(苦笑)、発行体さんも益々ローンに向かっていることでしょう。いやはや何とも。
全店オペ即日攻撃が少しは効いたのか、T+0まで引っ張ればもうちょっと安く取れるのかもしれませんけど、こんな地合いでファンディングT+0まで引っ張るのは無担保コールでのアベイラビリティでも無いと勇者というよりただの(伏字)でしょということでありまして、共通担保全店オペのT+2の14日スタート2か月物のレート(エンドは12月15日)が平均0.771%の足きり0.76%だわ、1兆円のオファーに対して応札5.6兆円も入るわということで、2か月FB入札の結果にビックリした部分はあるにせよ、またも貫禄のロンバート越え。
・・・・と駆け足で結果のメモだけしたわけですが、共通担保全店オペをじゃんじゃん打つようになったのは前進なのですが、もっともっとオペが必要だと思われる次第でありまして、即日は即日で必要ですし、T+2とかT+3とかの全店オペも景気良く打ち込んで頂き(追記:全店オペはこれを書いた時点では制度上T+2までしか打てないのでした、ご指摘ありがとうございます)、エンドも色々とバリエーション増やしてジャンジャン打ち込まないとレートは下がらんと思います。
無担保コール翌日物で2極化というのも問題ですけど、今の中短期国債やCP金利形成上問題になっているのは、オープンの方の金利ですんで、即日は即日でこれもきっちりやるとして、先日付の資金供給をもっと充実させるべきだと思います。結果としてコールが下がるというような細けぇ事はいいんだよ!と思うんですけど。
・・・・・ということで、どうせならディレクティブの「なお書き修正」をして、「短期金融市場にストレスが掛かっている状況に置いては、従来上に潤沢な資金供給を行い、結果として一時的に目標金利を下回る事もあり得る」というような感じにすれば、もっとジャンジャン大供給できると思いますけどどうですかね。
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2008/10/09
○ということで協調利下げですかそうですか
日銀は利下げしてませんけどね。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0810b.pdf
記念に引用しておきますか。
・中央銀行共同声明
『最近の国際的な金融危機に対して、各国中央銀行は、緊密な連絡をとり、金融市場の緊張を緩和するための流動性供給策など、前例のない協調行動をとってきた。』
『いくつかの国では、エネルギーや原材料価格の顕著な下落などを背景に、インフレ圧力が緩和し始めている。インフレ期待は減衰しつつあり、物価安定に対する信頼は高い。最近の国際的な金融危機の高まりによって、経済成長に対する下方リスクが高まっており、このため、物価安定に対する上方リスクは低下している。』
『こうした状況下では、グローバルな金融環境をある程度緩和することが正当化される。このため、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度、スウェーデン中央銀行、スイス国民銀行は、本日、政策金利の引き下げを公表した。日本銀行は、これらの措置に対して強い支持を表明した。』
協調利下げですが利下げした国は国内のインフレリスクが低く、景気の悪化リスクが高いので利下げをしましたですかそうですか。
・日本銀行の声明
『日本銀行は、6カ国中央銀行による今回の政策決定を歓迎し、これらの措置が各国の経済と金融システムの安定確保に貢献することを期待している。』
『わが国においては、政策金利の水準は既にきわめて低く、緩和的な金融環境が維持されている。また、日本銀行は、連日の潤沢な円資金供給にとどまらず、ドル資金供給オペの導入を含め、流動性供給面の措置を果断に講じてきている。こうした対応もあって、わが国の金融市場は、欧米と比べ相対的に安定した状態にある。』
とは言え、ここもとオペレート上昇してみたりFB3か月入札が大崩れしてみたり、GCレートが何とロンバート越えしてみたりと宜しくない展開。
『国際的な金融面の動揺が続く中にあって、金融市場の安定を維持していくことは、中央銀行としての最も重大な責務である。日本銀行としては、今後とも、各国中央銀行と密接な連携をとりつつ、適切な金融調節を通じて、金融市場の安定確保に全力を挙げていく方針である。こうした観点から、日本銀行当座預金制度の運用を含め、金融調節面で更に改善を図る方策について速やかに検討し報告するよう、総裁より執行部に対し指示した。』
・・・・・えーっと、日銀当座預金に付利するのでしょうか。別にまあ付利したっていいですけど、日銀が発行する売出手形(なのでじゃんじゃん発行できまっせ)という資金吸収方向の調節手段があるのですから、日銀当座預金に付利せんでも別に問題ないんですけどね。
#というか短期金融市場の金利フロアが出来てしまいますので、量を出してもゼロ金利にならなくなって、緩和効果にならんのですが
まあ売出手形だとマネタリーベース(でしたっけ?)にならないけど、日銀当座預金だとマネタリーベースになるので、見かけとしてはベースマネーが増える話になりまして、如何にも緩和を強化したように見えて、マネーがどうのこうのと言う人に対する絶好の目くらましにはなりますのでそれはなんちゃって金融緩和ではありますが(というか市場機能がどうのこうのという論点からしたら後退の話ですかな^^)。
まあその手のもんですと、期近債がじゃんじゃん打ち込まれた結果として償還過大につき買入余力がアホほどある中長期国債の買入オペを増額するというのもございますが、これ増やすのは良いのですが、減らすときに騒動になるリスクもあるので諸刃の剣。
実際問題としてはCP買現先オペを増額するのが一番手っ取り早くて、まあそれなりに効きそうな感じなんですけれども、それだと通常オペレーションの運用範囲内なので、政策委員会をやってアナウンスするようなショーアップができませんから、世間様へのアナウンス効果が無いのが実に残念でございます(^^)。
どうするんでしょうかねえ。まあもうちょっと考えてみよっと。
○これはまた残念な空砲
FRBのリリース。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081008a.htm
共同声明部分は同じ話なので割愛。
『The Federal Open Market Committee has decided to lower its target for
the federal funds rate 50 basis points to 1-1/2 percent. The Committee
took this action in light of evidence pointing to a weakening of economic
activity and a reduction in inflationary pressures.』
経済活動の弱体化が明確になってインフレ圧力が減衰したので利下げと。
『Incoming economic data suggest that the pace of economic activity has
slowed markedly in recent months. Moreover, the intensification of financial
market turmoil is likely to exert additional restraint on spending, partly
by further reducing the ability of households and businesses to obtain
credit. Inflation has been high, but the Committee believes that the decline
in energy and other commodity prices and the weaker prospects for economic
activity have reduced the upside risks to inflation.』
経済指標もここ数ヶ月の経済活動が明白に低下してて、金融市場の混乱が今後の消費に悪影響を与えるという話で、インフレは沈静化するでしょうと。
『The Committee will monitor economic and financial developments carefully
and will act as needed to promote sustainable economic growth and price
stability.』
今回も全員賛成ですね。
・・・・・とまあそれは良いのですけれども、既に問題はインターバンクを中心にしたリクイディティとコンフィデンスになっておりますという認識が共有されていますので、やらないよりはマシだと思うのですけれども、市場が暴力モードというよりはどっちかと言えば閉店整理中モードになってきてますので、株式市場がろくすっぽ好感しないで下落したのはご愁傷様としか申し上げようがございません。
以上コピペシリーズで申し訳ありませんでした。
○それはそれとしてFB入札とか
昨日は3か月FB入札。まあ昨日一行コメントしましたように、ちょっとこの地合いでは消化しんどいかなあとか漠然と思っていたのですけれども、朝イチに行われた共通担保全店即日オペ期間12日間ってのが落札レート何と平均0.739%の足きり0.71%と0.7%台に上昇しやがりまして、地合いの悪化が益々明確に。
ということで新発WI取引は前場引け前に0.7%オファー0.75%ビットなんぞになりやがりまして、入札メドがロンバート金利とかいう状態になってしまうというおそロシアな状況に。えーっとあのその利下げ期待とかどこに逝ってしまったのでしょうかというお話ではあるのですが、明日の100より今日の10。ファンディングコストが上昇していることと、新発の発行日が14日ということで、RTGSのハイブリッド第一弾稼働日という事もあって念の為的な予備的資金需要が高まる事も意識されてしまいました。
で、結果は足切りがロンバート越えですが、どうも直前の極悪地合いからするとこれでもまあ止まってよかったねという感じみたいでして、先週水曜に行われた3か月FB入札の足きりが0.6296%だった所から一気に12bpちょっとの上昇という落涙を禁じえない展開になっております。
昼の共通担保本店即日オペのオーバーナイト物も平均0.744%の足きり0.74%とレート高いわ、10日スタートの12月9日エンドの全店オペにいたっては平均0.760%の足きり0.75%とロンバート越える上に1兆円のオファーに対して応札が8兆も打ちこまれるわと、FB入札結果にビックリしたようなレートが横行して何かロクでもない雰囲気に。
GCレートはレギュラーのところが先ほど申し上げた14日ということで、金の出が宜しくなく、0.7台後半とか貫禄のロンバート越えになってたみたいですし、CPのレートも年末越えを中心に上昇(年内物も上昇)しているようですし、もう何だかねって感じでございます。そもそもCPに関してはあまりのレート上昇っぷりに発行体が発行を手控えているのですが、レートの方はきっちり上昇してますな。まあこりゃ銀行のローンが増えるでしょう。
カレンダーベースで14日を越えればRTGS絡みの予備需要は一段落すると思うのですが、現状ではそれ以前の問題で、インターバンクの資金需要が高まっているものと思われまして、要因として適当に思いつくのは上記したローンの増加とか、引き続きのカウンターパーティーリスクへの意識から取引が縮小しているので、いざという時の危機管理という事で予備的資金需要が増加するとか、まあそんなところでしょうか。
恐らく資金供給オペをもっと増やした方が良いのですが、量だけではなくオペの種類も全店オペをもっと増やすとか期間を色々工夫するとか、ジャンジャンツイスト打つとか、バリエーションを豊富にした方が良さそうな気がします。
まあ本日の2か月FBは年内物ですのでちったあマシになる・・・かどうかは知らん。
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2008/10/08
○物国が仏国土
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/yotei/2010b.htm
昨日の夕方6時半過ぎに情報ベンダーのヘッドラインが最初に出たのですけれども、入札前日の引け後に公表ってあのそのWI取引とか1週間前からやってたりするんで(物が物だけに出合いがどの位あったか知りませんが)そういうのはもうちょっとお早めにご決定頂きますとありがたく存じましたが。
ていうかね、物国入札に向けて10年カレントをヘッジ売りしている業者とかいるんですから、せめて入札前日の寄り前に発表していただきますと業者無駄なヘッジ売りしないで済むんですけど。まあ今日はNYダウ下がって帰って来てますが米債売られているからヘッジ買戻しはお助け展開かもしれませんが(苦笑)。
・・・えー、ところで本件なんですが、情報ベンダーに出る時間とプライマリーディーラーへの連絡が来た時間ってどっちが先なのでしょうか、ニヤニヤ。
さて、まあ背景は債券市場の中の人にはご存知のように物国がBEI▲100だとかいうような(というか最早ありえない)とても素敵な水準になっている所にあるのですが、もう完全に単なる需給要因で動いているだけですねというのは先般ご紹介したPD懇やら投資家懇の議事要旨にある通り(超端的に要約すると、今の国内投資家のニーズより現在の発行残高が過大になっているから)なのですが、この状況を捕まえて市場の外の人が「マーケットは飛んでもないデフレを予想している」とか言われますと債券市場の中の人的には激しく脱力しちゃいますのでご注意ありたしと念の為申し添えます(^^)。
昔々その昔、国債引受シンジケート団と大蔵省が折り合わずに10年長期利付国債が休債になった事があったと聞いたことがあるのですが(その時は現場に居なかったから知らん)、事前予定を組むようになってから入札中止っていうのは初めて見たと思います(昔は事前予定なんぞ公表されてなかった、大体慣例および発行計画でいつごろ何があるというのは予想されてましたけど)。
○FRBの施策あれこれ
・準備預金付利
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081006a.htm
法定準備金はFF誘導目標−25bp、超過準備はFF誘導目標−75bpという事になったそうです。で、どこぞのガイジンさんが書いたレポートの和訳を読んだら、「これは超過準備保有の機会費用を75bp引き下げるもので、75bpの利下げ効果に相当する」とかアホウな言説を拝読して、これはきっとプリオン入りの牛肉を食いすぎた結果ではないかと思われるので念の為いちゃもん。
何度か申し上げてますが、確かにこの制度によって超過準備保有の機会費用が下がるのですが、それっていうのはブタ積みをしやすくなる制度ということであって、マネタリーベース(でしたっけ?)は増えますけど、その増えたものは空しく連銀の口座で眠っている訳でして、意味のあるマネー増加になってませんがなという事。したがって利下げ効果とか何じゃらほいとしか申し上げようが無いという事ですわな。
本当に市中にマネーを還流させたかったら、超過準備保有の機会費用を高くする方向に持っていけば宜しいので、極端に言えば超過準備にペナルティーつけた方が良いのですが、現在は短期金融市場にアホほどストレスが掛かっている状態ですので、超過準備保有動機が高まっていますねという話。まあ金融機関に対する援助の一環にはなりますが、これによってインターバンクのフロア金利がFF誘導目標−75bpになってしまった(それ以下でFF出すくらいなら連銀口座に放り込んでおけば良いから)ので、利下げでも何でもないんですけどね。
で、こっちも気になるのですが、不勉強のためイマイチ判りませんでした。
Exemption to Allow Limited Bank Purchases of Assets from Money Market Mutual Funds
The Board on Monday published a letter granting a request by a depository
institution for an exemption from the limits on transactions with affiliates
under section 23A of the Federal Reserve Act and the Board’s Regulation
W to allow the institution to purchase assets from affiliated money market
mutual funds under certain circumstances. The Board is open to considering
similar requests from depository institutions under similar circumstances.
・今朝出たのはCP買入の話
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081007c.htm
まだ斜め読みしただけなのでよく判らんですが、SIV発行のCPとか買うのですねというお話みたいですが、その背景について第2パラグラフで書いてました。
The commercial paper market has been under considerable strain in recent
weeks as money market mutual funds and other investors, themselves often
facing liquidity pressures, have become increasingly reluctant to purchase
commercial paper, especially at longer-dated maturities. As a result, the
volume of outstanding commercial paper has shrunk, interest rates on longer-term
commercial paper have increased significantly, and an increasingly high
percentage of outstanding paper must now be refinanced each day.
CP市場にもストレスが掛かっていてターム物がろくすっぽ出合ってませんですかそうですか。
A large share of outstanding commercial paper is issued or sponsored by
financial intermediaries, and their difficulties placing commercial paper
have made it more difficult for those intermediaries to play their vital
role in meeting the credit needs of businesses and households.
まあ米国市場ってSIVみたいな所のCPってシェア大きいらしいですから、金融問題がこういうところにも波及しますわなということなんでしょう。ナムナム。
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2008/10/03
○今回の注目材料はちと別でして(日銀保有国債残高)
月初(正確には月初2営業日目)お馴染みのこれ。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0809.htm
先月は途中で相場がグチャグチャになりまして、輪番オペが打ち込まれたタイミングで先物独歩安というような素敵な相場な時もあったので先物回りでありますところの10年275回とかがドカンと打ち込まれ、期近債のオンパレードじゃなくて良かったねという話はございますが・・・・・
先月の残高ってこうなのですが。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0808.htm
・・・・えーっと、物価連動国債と30年国債が何故か新規に残高に入っておりますけれども、これってどういう風の吹き回しなのでしょうかというのと、妙に色々な銘柄で1億だけ増加というのがあるのですけれども、これまたどういう風の吹き回し?
勝手な妄想をするとリーマンが入れた国債買現先オペのエンドがフェイルになったのでそのまま日銀逝きになったとか、共通担保オペの担保権が行使されたとかになるんですけど、本当はどうなのでしょうか。
まあどうでもいいちゃあどうでもいいのですが興味本位。
○インフレーションターゲティングの運用に関するレポート
というのが昨日出ていました。詳しいレポートとダイジェスト版があるのですけれども、レポートの方はページ数が膨大ですけれども、本文は23ページでして、その後に掲載されている補論(論じられている各国の状況推移を時系列に整理した部分が29ページ分)と参考資料の図表が大変に参考になりそうです、と申しているのは実はあたくしまだダイジェスト版とレポートの本文23ページ分だけしかちゃんと読んでませんで、先のページは読み飛ばしているもんで(汗)。
で、ダイジェスト版紹介ページはこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev08j11.htm
ダイジェスト版全文はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev08j11.pdf
(日銀レビューシリーズです)
レポート紹介ページはこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp08j15.htm
レポート全文はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp08j15.pdf
(日本銀行ワーキングペーパーシリーズです)
ダイジェスト版(日銀レビューシリーズ)の方は要約版なのですが要約にも程があるので、レポートの方をご覧になるのが吉かと存じますけれども、インフレーションターゲティング政策を古くから導入しているニュージーランド(1988年4月)、カナダ(1991年2月)、英国(1992年10月)、スウェーデン(1993年1月)の4中銀の事例に関して紹介したものとなっています。
でまあここにあるものをどこをどう引用するかとなると、そういう部分を一晩さっと読んだだけでポイント整理するのも難しいので(アセアセ)、上記レポート(日本銀行ワーキングペーパーシリーズの方)の最後のまとめのところを引用させていただきたく(本文22ページ目以降、PDFファイルだと23枚目になります)。以下引用文中の「IT」は「インフレーションターゲティング」の略称です。
『1 つめの結論は、4 ヶ国(ニュージーランド、カナダ、英国、スウェーデン)の中銀は、IT
導入当初、インフレ期待の安定を重視する観点から、足許の物価安定に向けて厳格な運営を試みたが、1990
年代後半頃から徐々に、足許のインフレ率が目標から乖離するような局面でも、先行きの経済・物価見通しを参考にしながら、中期的な物価と実体経済の安定をめざす運営に変貌していったということである。』
『さらに2000 年入り後、4 中銀は、導入当初1-2 年されていたタイム・ホライズンを長めにすることで資産価格変動にも配慮した政策運営をIT
の枠組みの中で試みるように変貌を遂げた。本稿はこの変貌を、足許の物価安定に向けて厳格な運営から、「フォワード・ルッキング」かつ「柔軟」な政策運営への変貌と要約する。』
『2 つめの結論は、この変貌の背景には、(1) 経済に発生したショックの大きさ、ショックの内容(一時的か持続的か、需要ショックか供給ショック等)だけでなく、(2)政治的背景(財政赤字の大きさ、法律上の中銀の独立性など)や、(3)
IT の枠組みに対する信認の強さがあったことである。IT の導入によって、インフレ期待が即座に安定化し、長期国債へのリスク・プレミアムが低下したわけではなく、IT
導入当初はむしろIT の枠組みに対する信認は高くなかった。このような中にあって、4
中銀は、足許の物価安定に向けて厳格な政策運営を試み、金融政策の透明性を向上させてきた。』
『その後、4 中銀を取り巻く政治的背景が好転し、4 中銀が自身の行動と説明を通して、インフレ目標を達成していくことによって、IT
の枠組みに対する信認が次第に強まっていった。この間にみられたインフレ期待の安定は、再びインフレ率が大きく上昇するリスクを小さくした。このような背景の下で、4
中銀の政策運営は、足許の物価安定に向けて厳格な運営から、中期的な物価と実体経済の安定をめざす運営に変貌を遂げた。』
『3 つめの結論は、4 中銀による金融政策の透明性が、大幅に向上・強化されてきたということである。4
中銀は、定期刊行物や総裁をはじめとする幹部のスピーチなどを通して、物価安定の意義や政策判断の根拠(経済・物価の見通し)などを丁寧に説明してきた。また、BOE
やRiksbank は、議事要旨・投票結果の公表、RBNZ やRiksbankは、先行きの金利経路の公表も行っている。(以下引用割愛します)。』
・・・・引用ばっかでスイマセン。とりあえず日銀レビューの方をさらっと読んでから本文レポートを読むのが宜しいかと。
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2008/10/02
○FRBが準備預金に付利
昨日書いた宿題のうち「FRBが準備預金に付利した場合の量的緩和には残念ながらポートフォリオリバランス効果が無くてただのブタ積みになる件について」っていうのですけどね。
これって要するに預金ファシリティが出来るという話で、資金吸収手段の創設であります。よってTAFみたいなのをバンバン打ってマネーは出てくるのですけれども、その沢山出たマネーは連銀のデポに化ける話なので、それをもって「量的緩和」というのかというと(見た目マネーが増えるから量的緩和といえば量的緩和ですが)、ゼロ金利じゃない状態で預金ファシリティ金利付きの量的緩和ってのも微妙な気がしますな。
#実態ベースを踏まえれば「質的緩和」と言ったほうがしっくり来ます
かつて日本の量的緩和&コールの金利がゼロという時代がありましたが、この時に一頃当座預金残高目標達成が大変って話がございまして、誰が言ったのかすっかり忘れましたが「日銀当座預金に付利すればマネーをもっと増やせる」という素晴らしい提言をしたエライ人がいた筈ですが・・・・・それってマネーは増えますが利上げになりますわな(苦笑)。ということで、準備預金付利するとそこが短期金融市場のフロア金利になってしまうので、米国市場でTB3か月1%切ってバシバシ買うのってどうなのよという気もせんでもないのです。
・・・というのは概論なのですが、もうちょっと整理しますね。時間の都合上本日はこの辺で勘弁。
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2008/10/01
○国債投資家懇談会とかPD懇話の続きとか
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b200929.htm(投資家懇)
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c200926.htm(PD懇)
PD懇に関しては昨日ご紹介しましたのでまずは投資家懇から。
・レポ取引に関して
こういう意見があるのは心強いです。
『決済については、当社にはあまり大きな影響はなかったが、今後も引き続き、決済やレポ市場の問題について業者と真剣に検討していかなければならないと考えている。』
で、他の意見としてはこんなのがありまして、まあそういうところなのですよねという感じであります。
『フェイル慣行等については、投資家の中にも特にSCでT+1やT+0のニーズがあり、我々として出来るだけ対応しているが、投資家全体でも更に努力する必要があると考えている。また、現在まで長い間議論されてきたが、フェイルは絶対認めないという投資家がいるのも事実であり、そういった投資家の意見を聞き、どういった理由で認めないかをもう一度解きほぐす必要があるのではないかと考えている。ただし、フェイル慣行が定着したからと言って容易にフェイルが起こるような状況は、投資家としては容認できない。』
フェイルに関してですが、運用サイドではそもそも制度の建て付けがフェイルを前提にしていない(制度の方がフェイル云々の遥か前にできているから)ケースもございますし、また、「物が来ない」フェイルなら兎も角、今回のように「取引が凍結になったので金が動かせない」フェイル(それをフェイルというのか謎な面がありますが)の時まで想定した建て付けになってないという場合もあり、結局は制度面の改善をしましょうよという話になるかと存じます。いつもの話ですが。
まあしかし絶対認めないというのもどうなのかと思いますが。時点決済に戻してループ取引認めればフェイルって物理的に物凄く減るとは思いますけど(苦笑)。
・教えて法律に詳しい人!
今回の議事要旨見ててちょっと気になった所。
『リーマン破綻に際しては、リーマンから購入した国債については、約定のキャンセルで済んだが(以下割愛)』
似たようなお話が幾つか出てたのですけれども、元々取引がISDAベースのデリバティブ取引だったら相手がイベントオブデフォルトになった時にどうするこうするという事が事細かに書いてありますので多分個別条項が優先するんでしょうが、国債(などの現物債)の売買取引って保全命令出ている法的処理中に遡及の取消って微妙な気がするんですが。
保全管財人が適切に判断した取引(というか取引キャンセル)ということでまあ投資家的には適切な処理(なので管財人判断なら投資家的にはセーフですよね?)ということだとは思うのですけれども、当然ながら取引時の価格とその後の市場価格は違う訳で、他の一般債権者が「この取引はキャンセルしなければ現在利益が出ており、債権者の配当に回せた筈であり、保全管財人の行為は善管注意義務違反(だか忠実ナントカ違反だか)ではないか」とかねじ込んで来た時に裁判的に耐えられるのでしょうかと思う(そんな暇人はいないと思うので有耶無耶になるに100カノッサですけど^^)のですが・・・・破綻法制に詳しい先生誰か教えて!
ということで、民事再生という手続きはどう見てもショートセールとかレポとかしながら取引をしている金融業に対しては馴染まないのでありまして、破綻法制の整備が強く望まれるものであります。
・物価連動国債の悲劇
BEIが物凄い事になっているのですが・・・・・
PD懇より。
『物価連動債の価格下落は、海外の商品安などの影響もあるが、最大の要因は需給のバランスが崩れていることであろう。従って、短期的には供給を減らすという対策はあり得るが、一方で、BEIの動きに応じて発行額に振れが生じることになれば、市場参加者としては対応が難しくなることから、今後十分議論していく必要がある。もっとも、BEIがマイナス30〜40bpという異常な水準まで低下した状況では、対策は必要である。具体的には本年度下期には固定利付債で4,000億の買入消却の予定があるが、全額を物価連動債に充当するのが良いと考えている。(以下割愛)』
まあ需給が悪いの一言に尽きるのですが(だってBEIマイナス40はねえだろ)、おまけに市場の流動性が全体的に落ちているのですからこまったもんです。
投資家懇談会の論点は(1)そもそも物価連動の負債が無い、(2)会計上の問題がある、という話になってますわな。
『基本的にはALMに基づいて運用しており、物価に連動する負債がないため、現状あまり興味の無い債券となっている。(以下割愛)』
『インフレに連動する負債を持っていないため、物価連動債を主力の投資対象にすることは考えていない。3月にBEIが一度マイナスになったときには、海外投資家の投げ売りによる一時的な現象と理解していたが、9月にも同様のことが起こったことにより、多少認識を変える必要がある。海外投資家の売却によりここまで異常に割安な状態になるということは、結局今の発行量やマーケットでの流通量が、国内の投資家のニーズに比べて多いということだと認識せざるを得ない。(以下割愛)』
という所と、
『(前半割愛)当社内で問題点となっているのは、日本の物価連動債は他国と違い元本保証されていないことで、その他有価証券のカテゴリーでの投資ができず、国際会計基準上P/Lに全部ヒットさせる必要があるのではないかということを当社本部から指摘されている。当社としては長期保有を念頭にしており、毎決算の都度P/Lにプライスの変動部分が反映されるような商品にはなかなか投資しづらい。まだ検討途中であり結果は出ていないが、J-GAAP上は「その他有価証券」に区分できるが、IFRS上「その他有価証券」に区分できないのではないかという議論になっている。一方で、長期的にみれば非常に割安的な水準であり、投資妙味はあるものの、会計上の制約と、流動性が乏しいことで、二の足を踏んだ状況となっている。』
というのが主要論点という所なのでしょう。物価連動国債という商品は根本的な筋は良いものでありますので、今後検討を進めて投資家層の拡大を望みたいものであります。
で、すっかり忘れてましたが、実はこの商品がグダグダになったのは例のCPIショックだったりするんですよね。まあ基準改定でのブレが市場(というかエコノミスト調査というか)で推測されていた数字から下振れるという時点でこれは一体全体何なのよとなったというのからこの商品の受難が始まっておりましたな。
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