金融政策概観(2008年度上期分)

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2008年上期

2008/09/30「ドル流動性対策拡大/臨時PD懇」
2008/09/29「決済は回ってきたようですが」
2008/09/24「結局大規模フェイル/オペレートがロンバード越え」
2008/09/22「さあ22日です」
2008/09/19「引き続き決済混乱で短期市場レート上昇」
2008/09/18「引き続き決済が混乱している件」
2008/09/17「案の定決済システム混乱/埋蔵金関連」
2008/09/16「リーマンがチャプター11」
2008/09/12「埋蔵金レボルーションズ」
2008/09/11「前日の余波で先物9月限最終日も動くわ動くわ」
2008/09/10「3の倍数の月に壊れる債券市場」
2008/09/09「GSE救済策に関して雑談」
2008/08/19「さて決定会合ですが・・・・利下げ提案期待があるのかなあ」
2008/08/12「15年変国に関する財務省国債企画課長の発言は疑問符が出ますな」
2008/08/11「15年変国、本当に2年で振替えるとは・・・・」
2008/08/08「15年変動利付国債に関して、国債投資懇談会から」
2008/08/06「FOMCステートメント」
2008/08/05「15年変動利付き国債減額の件/先月の輪番はまた期近債」
2008/07/16「決定会合あれこれ」
2008/07/15「米国日曜夕方にGSEへの緊急対策キタコレ」
2008/07/14「米国はどこへ行く/CPレートが下がらず/決定会合ですが」
2008/07/11「米国の金融システム問題に既視観ありあり」
2008/07/10「BISの証券化商品格付けレポート(のサマリー)」
2008/07/09「オペレーション話2題」
2008/07/07「SWF構想に関する厭債害債さんの秀逸な論点整理」
2008/07/04「SWFアホ構想はまだ進む/年金運用の昨年度赤字の報道比較」
2008/07/03「ちょっとマシになったけど輪番は2年以内多し/SCレポが乱高下する件」
2008/07/01「日本国債今更格上げ/どうるすのバーナンキ」
2008/06/26「FOMCステートメント」
2008/06/19「4月、5月議事要旨から、この時点で下振れリスクを気にしています」
2008/06/16「日銀タカ派にならなかったでしょ」
2008/06/13「短期ゾーン妙に重し/さて決定会合」
2008/06/12「2年国債1%に接近」
2008/06/11「バーナンキ発言で尚金利上昇」
2008/06/09「海外レポートで同時利上げの思惑?」
2008/05/26「市場の流動性低下で金利が上昇しているのでは」
2008/05/23「輪番オペに関する考察」
2008/05/19「輪番オペで債券相場自爆」
2008/05/16「高橋先生割と穏当な話してるじゃん」
2008/05/12「埋蔵金続きの続き」
2008/05/09「埋蔵金リローデッド2」
2008/05/08「久々に大ネタで埋蔵金リローデッド」
2008/04/30「展望レポート予想/CPI雑感今更ですが」
2008/04/23「金先が順イールドに/暫定税率が金融政策に影響するという珍説」
2008/04/22「金先逆イールド解消/貸出動向/BOEの流動性対策」
2008/04/01「期末日に資金供給オペ乱れ打ち」


2008/09/30

○ドル流動性拡大策の拡大

金融安定化法案否決もそうですが、実を言えばその前に欧州で色々と大騒ぎになっていた訳でして、東京の夕方には既にLIBOR1か月やらEURIOR1か月やらが上昇したり、アイスランド第3位の銀行が公的管理(政府が株を75%取得)されてみたり(日曜にはフォルティスの部分国有化とかもありましたが)と、インターバンクのドル資金取引枯渇状態は欧州の方が深刻っぽい感じがしますわなということで。どこぞの銀行の資金繰りがどうのこうのとかいうネタはどうせ向こうじゃ頻発してるんでしょうねえ。

んな訳でこんな施策が昨晩も出ていたようで。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0809c.pdf
「米ドル資金供給オペレーション基本要領」の一部改正等について

何と昨日の夜も決定会合やってたのですか。それはまたお疲れ様でございます。

『1.「米ドル資金供給オペレーション基本要領」(平成20年9月18日決定)の有効期限を平成21年4月30日まで延長すること。』

期間3か月延長ですかそうですか。

『2.「米ドル資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」(平成20年9月18日決定)の有効期限を平成21年4月30日まで延長するとともに、別紙のとおり一部改正すること。』

別紙を読みましたが、これは1に付随するテクニカルな文言変更ですね。

『3.「ニューヨーク連邦準備銀行との間の為替スワップ取極要綱」(平成20年9月18日決定)中、4.に定める為替スワップ取極の有効期限を平成21年4月30日とするとともに、5.に定める引出限度額を1,200億ドルに増額し、これに沿ってニューヨーク連邦準備銀行との間のスワップ取極の内容を一部変更すること。』

600億ドルから1200億ドルになりました。3か月のタームオペを100億ドルから200億ドルに増額するのでしょうかね。

こちらが追加対策の声明文。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0809d.pdf


○臨時PD懇

基本的なお題は『流通市場の課題について』であります。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c200926.htm

・足元の問題はフェイル慣行じゃなくて破綻法制と運用に関する規制では

最初に財務省から現状認識に関して説明があるのですが、この部分に関してはややこう切迫感が伝わらないのですけれども。

『資料2-1は、そうした国債の流通市場を巡る課題のうち私共が認識しているものを例示したものである。(割愛)二つ目には、「レポ市場の機能向上」を挙げているが、フェイル慣行の定着が以前から論点になっていると認識している。』

まあ確かに以前からの問題はフェイル慣行の定着なんですけれども、現下の問題はリーマンが絡む取引に関して保全命令が出たところで全部凍結状態になり、レポのエンドであろうとも破たん前の売買取引の決済であろうとも堂々フェイルというか凍結したまま状態な上に、民事再生という企業存続を前提にした法的処理につき、一括清算が出来るのか微妙な状態になってしまい日数が経過してしまった所だと思うのですが。

ま、その辺りに関しては参加者の意見を見ましょう。

『今回のリーマンの破綻を受け、現場では大混乱が生じた。現実にはフェイルは多発したが、投資家のほとんどがフェイルを中々認めてくれないという状況であり、日々トレードを行う中で、特にレポディーラーにはストレスのかかる状況が現在も続いている。また、一部銘柄でレポレートが▲10%などとなっているが、それでも、今目の前にあるレートで取らないと顧客との関係が切れてしまう。そういった恐怖感の中でショートカバーをしなければならないという状況が続いている。』

ただまあリーマンがカウンターパーティーの取引に関してはもう堂々フェイルになっているので、一切合財許さんとかいう投資家は非国民として火の中に投げ込まれるべきだとは思います。これは仰せの通りであります。

ただまあカウンターパーティーリスクが意識されるようになって来ますと、フェイルしたままの間にデフォルトされたら投資家の方が今度は涙目になるという与信状態(取引再構築コスト分が与信ですわな)でもあります。通常のようにカウンターパーティーが常に生きているからDVP決済でデリバリーリスク無いですしフェイルはそのうち解消されてその間の利息も貰えてウハハのハとか言ってられるのですが、金融市場にストレスが掛かっていてカウンターパーティーリスクを強く意識されるようになれば、フェイルをとっとと解消してくれないと安心できませんというのもありますから難しいですわな。

ちなみに、ちゃんと調べてませんけど、フェイルを月末まで引っ張られるとバーゼルU上ではカウンターパーティーへの与信行為に計上されてしまいますので、それもまた投資家的には困る話だったりします。

というような金融市場へのストレスと、制度の問題とありますわな。

で、レポ市場の機能向上に関しては最後の指摘あたりが中々良い感じ。

『レポの問題については、業者サイドだけでは解決できない部分が多々ある。原則リオープンの考え方は基本的には賛成だが、どちらかと言うとレポマーケットの流動性、物のファンディングをいかに改善させるかという点の方が重要である。』

物のファンディングというのは全く仰るとおりでございます。決済制度改革の中でも「物のファンディング」に関する部分は金の部分よりも後回しっぽくなる傾向があるようで(物には発行量の限度があるというのもございますけれども)甚だ遺憾でございます。

『過去、セトルまで期間がかかっていたが、現状、取引や新発債の発行は主にT+3まで取引の短縮化されており、更にT+1まで短縮することや、レポマーケットもT+3、T+2からT+1やT+0で対応できるよう投資家に協力を求め、改善できる部分があるのではないかと考えている。』

それはリターン対比で事務コストが馬鹿みたいに掛かるので中々簡単に進まないと思います。決済期間短縮も確かに重要なのですが、それよりもレポ市場に参加できる投資家の幅を広げる(要するに他人勘定がレポ市場にもっと沢山入ってくれば世の中だいぶ変わる筈)ようにと思うのですが、これがまたリターン対比で事務コスト(以下同文、涙)。

『また、決済機関であるJGBCCへの参加にはコストがかかり、必ずしもすぐに強制的に全員が参加する訳にはいかないが、大半の投資家が参加していないことも今回の問題を間接的に助長した部分もあると思われ、現物債マーケットの流動性を維持又は向上するためには、投資家の協力を仰ぐ必要があるのではないか。』

もう一つ、時代に超逆行しますが逆転の発想としては、「単価調整売買の復活」というのはどうでしょと思うのですけれども。業者は時価でマーク・トゥー・マーケットしてますけど、投資家サイドでは相変わらず簿価通算がどうのこうのとか、売買損益がどうのこうのとか、まあそういう制度になっておりますので、ポートを動かしたくても計理上の理由で動かせないとかいう事はあるわけで、単調復活すると銘柄間の需給の超越的な歪みも少々緩和されるものと思料。

でもまあ仕切値幅制限を外した途端にとんでもない単価調整売買が横行した結果、単価調整売買やるんじゃねえコノヤローという経緯がございますので、残念ながらそのような時代に逆行した提言は通らないでしょうな、笑。


・先物に関して

先物が現物と思いっきり乖離した動きになっている件に関しては、まあ市場のヘッジ機能の低下に繋がる(レポ市場の混乱もそうですが)ので発行体としてはあまり宜しい話ではございませんわな。

『先物の歪みは、チーペストのスクイーズが要因ということではなく、数年前と比較し建玉の分布が海外勢のトレンド追随型に偏ったことが原因である。それらの参加者はチーペストの現物債の受渡しを伴わず必ずロングロールを継続してきているが、今年3月の暴落以前はこのフローに対しアービトラージャーやマーケットメーカーによってショートに向かうフローが入り、マーケットのバランスが保たれていた。』

『現状のマーケットで起きている構造的な問題は、先物のヘッジ機能が低下し、発行市場や流通市場におけるヘッジツールとして機能していないことである。しかもリーマンの破綻以降、外資系証券の市場参加者に対するレポの与信ラインの制約が非常に激しくなっている。そういう意味でも先物に加えて既発債がヘッジツールとしての機能を求められており、これからの入札やセカンダリーの業務にあたっては、ヘッジツールの流動性の低下はかなりの問題になると考えている。』

『短期的な施策という意味では、チーペストのスクイーズというより建玉の偏在によって起こっている先物の割高をある程度修正する、或いは実質的に先物の売りポジションを間接的に増やすことによって、安心してショートできる先物を取り戻すことが必要ではないか。長期的には先物の商品性そのものの見直しが必要かもしれない。また、偶然先物が極端に売られる局面で、前々回の日本銀行の買切りオペが行われたが、その際12月限りの受渡適格銘柄が対象となり、ある程度応札されたと思われるが、この行為がスクイーズを助長した面もあり、そういう特殊事情も考慮して欲しい。』

まあそんな所かと思います。現物のカーブをガン無視して先物をロングロールする人のウエイトが上がったのが歪み発生のそもそもの要因ですから。別の意見から。

『イールドカーブの先物ゾーンの歪みに関しては、チーペストの流動性の枯渇によって7年ゾーンの流動性が低下していることが原因と考えている。流動性供給入札等でこのゾーンに厚く配分することは少しは助けになると思うが、根本的な解決になるかというと疑問である。先物市場には現受け現渡しを全く前提とせずに売買を行っている参加者がいるが、その参加者をある意味排除しない限りは根本的な問題の解決にはならないと思う。』

チーペストを供給すれば何とかなるかというと、やはりカーブガン無視の人がチーペストの流通量を遥かに上回る建玉を持っているだけに少々のことでは意味ないですし、供給したチーペストが先物受渡適格から外れたらどうするのという話もありますわな。


・ポジショントークもほどほどに

とまあそんなこんなで議論が行われる中、これは・・・・・

『流動性供給入札の実施の趣旨は、イールドカーブの構造的な歪みを是正することが目的ではないかと思う。今のカレントゾーンのイールドカーブが果たして歪んでいるかというと、そのような認識はない。今のイールドカーブを前提に我々は投資する立場にあり、この利回りを承知して保有している訳で、たまたま短期間レポ市場が締まったために、流動性供給や特別流動性供給によって急に需給関係が変わって、デジタルに均衡点であるイールドが変わってしまうのは、国債を資産として保有する投資家からすると非常に問題があると認識している。』

何か良く判らんですが、カレントゾーンでもレポがエライコッチャになっている銘柄とかあって、9年〜10年近辺って思いっきり寝てる気がするんですけどまあそれは兎も角として、投資家って基本的に割安なもの買って割高なものを売るんですから、イールドカーブの歪みが解消される方向に需給関係が変わるのは歓迎すべきなんじゃないですかねえと思うのですが、ここもと投資家涙目の展開になる場合って割高割安が解消されないどころか益々凶暴化する動きだと思うのですけれども。それとも何でございますかね(以下自主規制)。

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2008/09/29

○決済はだいぶ回ってきたみたいですが・・・・

木曜に引き続きまして金曜におきましてはあちこちのフェイルがやや回るようになったようでございます。ただどうも聞いている限りにおいてはリーマンがカウンターパーティーになっている取引はそのままフェイル状態でそっちを解消する動きは更々ないみたいでして、そもそもショートセールなどのような各種金融取引を想定していない民事再生手続きを金融市場での取引を行っている金融機関に適用する事自体が間違いであったとしか言いようが無いですわな。

と思うのですが、どうも重大問題の筈なのに華麗にスルーされている所が今後のことを考えますと非常に問題だと思いますが、肝心の当局様にその認識があるのやら。

と申しますのは、今朝テレビニュース見てたら「東証が海外の証券会社(国内の外資系じゃなく)が取引に参入する事を認める(というか推進するんでしょ)方向で具体化」とか言っている訳ですが、今般のように海外の会社がコケた場合の破綻法制がそもそもクロスボーダーで違っている問題とか、そもそも決済がDVPで出来るのかとか、参加者が飛んだ場合の決済処理がちゃんと回るのかとか、その辺真面目に考えてたらこのタイミングで具体化とかするかよと思うのですけど、過去の実績から勘案するとその辺ちゃんとやってなさそうなのが東証クオリティ。

現場の努力によってとりあえず表面上は決済が回った感じになっていますけれども、リーマン相手の取引は全然回っていない訳ですし、その間現場に無茶苦茶皺寄せが行って大変でしたし、まあ決済リスク意識ということでいきなりGCレポ市場の資金の出しが減ってしまったとか(その部分の資金がFBとか高格付けCPに回ったような節が見られる)、問題も生じている訳ですから、金融機関の破綻法制に関してはマジで検討すべきものであると思われます。

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2008/09/24

○結局大規模フェイルですかそうですか

注目されていた22日の国債決済ですが、結局リーマン絡みの取引はフェイルになったらしく(全貌がどうなっているのかというと良く判らない)、その結果としてあちこちで受渡が止まり、フェイルの連鎖でレポの部門とか信託(レポ信託)やブローカーの関係部門は殺人的に忙しかったようで、誠にお疲れ様でございました。というかまだまだほぐれていない取引とかあると存じます。モノ繰りが止まる面もそうですが、受渡が止まると資金も止まってしまいますのでそっちの手当てとかも大変だった(だからこそ22日受渡からのGC取引レートとかオペの金利とか上昇しまくっているのですが)と思います。

で、国債発行に関しても払込が行われなかったらしいと報道されていましたが、国庫の資金繰りなんぞはどうとでもなるのですけれども、リーマンが落札して転売したりレポで貸付していたような取引分の流通玉がいきなり消滅となったのですから、まあレポもその分タイトになる(というかそういう認識が広がるので余計にタイト感が強まる)というものでしょう。

どうもGCレポ市場でも資金の出が悪くなっているとか報道されておりますが、(そりゃまあGCのエンドがフェイルになったら資金の出し手も困りますわな。戻りを資金繰りに当ててたらなお困りますし・・・)そんなこんなで短期金融市場では資金供給オペの金利が上昇しておりまして、新発CPレートとかにも影響が出ている次第ですが、日本の場合は国内金融機関で別に信用不安問題が生じている訳ではなく(これが欧州と違う所ですな)、短期市場金利の上昇は国債流通市場でそこそこ大きなプレゼンスを持つリーマン絡みの取引決済が止まっている影響の方が大きいと思うのです。現に無担保コール取引で邦銀が調達するレートとか絶賛低下しておりますしね。

ということで、今般の民事再生法適用による処理というのは、国債流通市場への影響から短期金融市場への影響というのを何も考えてないでしょとしか思えん進行でありまして(これが本当にデフォルトならば一括清算なのだが、事業継続前提なので止まりっぱなし)、監督官庁と保全管財人は何を考えとるんじゃとしか申し上げようがございませんのですが。

ま、連日悪態ついてますけど、民事再生手続の適用以外にやる方法があったのではないかとか、きちんとレビューして頂きたいと思います。まあそりゃ全く混乱しない訳には行かなかったでしょう(外銀とかのコールのラインが絞られるとかといった動きは別にフェイル関係なく起きてたでしょう)が、漫然と国債の決済をフェイルしまくったのを看過している状況というのは酷いですわな。


○オペレートがロンバート越えとか

そんな次第で邦銀取りのコールレートは大低下しているのですが、
月曜の資金供給オペではこんな結果が。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba080922.htm

オファー内容は
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of080922.htm
なんですけれども、共通担保オペの25日スタート10月10日エンド9000億円が平均0.774%で足きりレートが0.76%(しかも按分薄め)となりまして、ロンバートレートを越える有様に。

ロンバートを毎日ロールするのも大変だし事務負担考えたらオペでターム取ったほうが良いというのは判りますが、それにしても足きりベースで堂々ロンバートを越え、この結果ですから0.78%の札が思いっきりある訳で、それだけ資金取り圧力が高いという事を反映しているかと思われます。


CP新発レートも上昇していまして、月曜は銘柄によっては一段と上昇した(銘柄ごとにもうマチマチにも程がある状態だったようです)ようでして、インターバンクにおける予備的資金需要の強さによってCPへの資金の出が悪くなって事業法人さんにも悪影響という事になっているようです。困ったもんです。


○ドル資金供給オペレーション

ドル資金オペレーションの対象先公募結果
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mos0809d.pdf

オペの実施スケジュール
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0809b.pdf

日程を見ますと、一発目の1か月ものが今日(結果発表は明日)で、3か月ものは年末越えになる10月のスタートになるようですね。10月7日オファーの8日結果発表と。

メンバーに関してはほほーとしか言いようがないですけど、FBはその他金利が上昇する中でちゃっかり堅調推移しているのはこのオペに対する担保として役に立ちそうだからってのもあるのじゃないかなと勝手に妄想しております。

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2008/09/22

○さて22日です

今日は3/9月利払いの決済集中とリーマンが落札した5年、10年新発国債(3か月FBはリーマンは入札から除外されているので無問題)の発行日でございます。

えーっと、まあ決済どう回るのでしょうかとしか言いようが無いのですけれども、リーマン絡みの取引もいつまで経ってもフェイルとかいう訳にも行かないと思うのですけれども、民事再生の枠組みだと会社が死んでないだけに、取引がいきなり強制終了する訳でもなく、はてさてどうなるのかというのは実質的に初のケースだけに色々と大変だと思います。

特に、リーマンの場合はクロスボーダーの取引がやたらめったらある訳でありまして、欧米主要国の間での取引もある中で、各国でのリーマンに対する破綻処理に対する法的処理の進め方が違う訳でして、その点から各国の国内法だけで閉じていないというのが処理の難しさに拍車を掛けているのではないかと思われます。

まー初回も初回だから仕方ないのですが、今後のことを考えますと、特に短期金融市場の決済に関わる主要各国の破綻法制に関しては、今般の混乱(というかフリーズ)を研究の題材として、これらの破綻法制の整備というのも重要な論点(一段落してからの話ですが)かと思います。破綻に関しても完全に死んでいるのかそうじゃないかとか、まあそもそも各国の破綻法制に関するロジックの問題にまで入ってくる話なので、具体的に法制を揃えるように整備するというのは大変かもしれませんが。


○その他少々

・補完供給緩和期限延長

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mos0809c.pdf

16日に補完供給の発動要件を緩和しましたが、期限が延長されました。この速攻の要件緩和はヒットでしたよね。とにかく今回は日銀の止血処理の迅速さは現場の皆様大変ですねと思いますが、ヒットだと思います。


・積み終了ですかそうですか

木曜のベースで積み終了先の準備預金残高が7400億円、金曜のベースで積み終了先の準備預金残高が16400億円と相成りました。積み期間が始まって1週間しか経ってないのですが、もう資金供給攻撃ですからこうなりますわな。落ち着いたら吸収大変ですね、と思いますが10月になっても市場が落ち着かなかったら空前のブタ積みのまま走ることになるのかもしれませんね。10月14日の次世代RTGS稼動があるので、その前の金曜には予備的資金需要がありそうですし。

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2008/09/19

お題「だから決済リスクがですなあ・・・・」

色々とございまして金融経済月報のフォローとかのネタはちょっとパスということで恐縮至極。

○22日の決済とかリーマン分の国債発行どうなるのでしょ

昨日もうだうだと書きましたが、リーマンが取引当事者になっている売買、レポなどの取引が保全命令でフリーズしている状況によってフリーズされた債券決済が滞りの巻なのは色々と影響があるようで誠に遺憾極まりない状況であります。

民事再生の手続き上では(とかエラソーに書きますが実は読者様からの入れ知恵ベースです、汗)、なんちゃら管財人が裁判所から選定されて、その管財人が適切に判断して止まっている取引の中で動かしてよいもの(たぶん資産流出に繋がらないような取引ですよね)を回すという形になるのですが、さてどの辺りまでその手続きが進んでいるのやら。

リーマンは国債のプライマリーディーラー(国債市場特別参加者)でございまして、国債発行市場でも流通市場でもプレゼンスは高い部類に入る業者でして、そこの取引をいきなりフリーズさせる事によってどういう事が起きるのかという問題に対して裁判所の動きとか遅すぎにも程があります。とか言われましても裁判所はポカーンだとは思いますが、要するに普通の一般事業法人の取引と金融市場での取引はスピード感が全然違うのであって、何をのんびりやっているのだと申し上げたいですわな。


でまあ22日は10年と5年の国債発行日でリーマンの落札額もそこそこ多いのですが・・・・・

正式な管財人の下で22日の決済が回って、16日以降のフェイル分も回るというのが最も美しい姿なのですが、リーマンがショートしている銘柄のSCレポはエンド来た後ロールしてくれる人はいないので、まあその分は買い戻したり、保有分については転売とかしてポジションを徐々に圧縮という話にはなるんでしょう。というかそうしてくれないと国債流通市場におけるフェイルだらけ状況がリーマンのポジション分だけ片付かないのですが。

で、新発国債なんですけれども、払い込み間に合わないという話になるのであれば、先程(と昨日)申し上げたようにリーマンと直接取引をした業者および投資家との取引をどうするのか。ポジションぶれることを避けるというのであれば約定を遡及で取消にするという話になりまして、なんだかんだ言って日本の債券相場は上に行って来いにも程がある相場でして、昨日の引け時点で5年新発は平均落札価格よりも値下がり(というのも何と言う話という感じですが^^)で、10年新発は入札の平均落札1.485%に対して昨日の引けが1.485%とイーブンになっていますので、表面的にはカウンターパーティーは損しませんでラッキーでしたねという状態(今日は海外市場の動きからして売られるでしょうし)ではございます。

でもね、これってたまたま今回そうなので経済的な問題が発生しないですけれども、債券相場が上昇しっぱなしだったら約定取消しなんぞやったらカウンターパーティー全員涙目にも程がある訳ですし、大体からして約定遡及訂正されたらカウンターパーティーはポジション再構築の為に当該債券を買いにいかないと行けないので、発行が減った分だけレポが変なことになるのは明らか(というか既に10年新発のところってレポの逼迫の影響でカーブが変になりつつあるんですけど)で、流通市場に影響を与える話なんですけど。ついでに言うと約定遡及訂正されると他人勘定で運用しているファンドだと途中のキャッシュフローが発生してたら受益者間の公平を維持するために色々処理しないといかんのですけどねえ。

もっとそもそも論で言いますと、リーマン以外のプライマリーディーラーなら兎も角、そうじゃない投資家って新発国債を買おうと思ったら制度上プライマリーディーラーから買うしかない(というかプライマリーディーラー制度ってそういうものなので)のですが、新発国債入札から発行までの間にプライマリーディーラーがこけるといきなりパーになるって何の為のプライマリーディーラーなのよと悪態の一つも付きたくなりますな。

いきなり破産だったら仕方ないけど、民事再生で会社が生きているのに与信取引でもない(まあぎりぎり厳密に詰めれば約定から受渡までの間には取引再構築コスト分の与信があるのですが)通常の売買取引が飛んでしまうというのはちょっと勘弁って感じでして、これって国債売買(だけじゃなくて証券売買全般に言えますが)に関するカウンターパーティーリスクに対して過度に敏感になるような方向付けをする惧れがあるという話になると思うのですよね。そんな観点から考えますと、22日の国債払込は間に合わせていただきたいものだと思うのですが・・・・・


○オペ金利とか上昇

リーマンの取引がフェイルになって何が困るといいますと、その取引相手方の玉繰りと資金繰りがいきなり変わってしまうこと。自己勘定の人ならまあ色々な手段はあるのですが、ブローカーとか他人勘定の場合はそうホイホイと取引再構築が出来るわけではないので、エライコッチャになるんですよね。

昨日も申し上げましたが、リーマンに債券売却して受渡がこれからって場合、フェイルされた分の代金を購入に当てている(ブローカーなんかまさにこのパターンですわな)とか受益者への支払い充当に使っていたりとかしていた場合、その分の資金繰りをつけないといけなくなりますので、GCレポ市場で資金取りに行くのか他の銘柄売却するのかコールや銀行借り入れで資金調達するのかという事をしないと行けませんがな。

まーそんなこともあるので、GC取引レートとかもうロンバードレートは見事にオファーみたいでして(昨日はぼかしましたが、一昨日もまあ0.7台半ばから後半で一昨日は一部で0.80%ついたらしいです)、これまたリーマンの決済いきなりフリーズしたのが影響するの巻。どこの誰が民事再生処理の方向性つけたのか存じませんが、民再させるなら決済止める時間をもっと短くしやがれコノヤローとしか申し上げようがございませんわな。

オペの金利も確り高く、昨日の朝実施された国債買現先(スポットスタートの10月3日エンド)は1兆6000億円という30兆円時代のオファーを彷彿とさせるオファー額だったにも関わらず平均0.751%と0.76%の札を入れた人いるのですかそうですかというレートに。昨日引けに掛けてダダ売られしていたFBに関しては買いも入ったのかちょっと引け値ベースでは持ち直していますが、資金のレートがそんな状況ですからちょっとしたロットで売りに行ったらビットは普通に0.75%になるんちゃいますか(^^)。

昨日の取引終盤は2年債がダダ売られして、2年新発が0.80%に上昇して(引けは0.795%)いましたが、このあたりもまたキャッシュ化の動きなんだかそれとも(金先も終盤ダダ売られしてたので)スワップレートの上昇(そりゃまあLIBORも上昇してますし)の動きだったのか良く判りませんが、短期金融市場の取引がシュリンクした時にありがちな中短期債とターム物金利ダダ上がりの図という奴をやっている格好になっています。


いやあの日本国内の金融機関で信用問題起きてるんじゃないのにこの有様というのはちょっと如何なものかと思うのですが。三洋破綻で短期金融市場が止まったことが北拓、山一の資金ショートを連鎖的に生んだ流れとか全然教訓になってないの???ねえ、たった10年でみんな忘れちゃうの???


○その他備忘録

・日銀のドル供給オペ

内容はこの辺。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0809c.pdf
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0809a.pdf

これはまた恐れ入りましたが、背景に関しては例によって本石町日記さんのところに解説がございます。

http://hongokucho.exblog.jp/9523974/

邦銀の円投部分まで為替フォワード市場があぼーんしたことから調達圧力上がりまくりとなったと。一応昨日の夜見てたらインターバンクの翌日物LIBORが1%ちょっと下がって4%切ってたようですね。とりあえずの止血にはなるんですけど、まあ今朝出てたRTC設立とかやらないと話は片付かないので、それまでの時間を持たせるための効果。とりあえずドルの翌日物6%だの7%だのとかパニック的になっていた部分は剥落してくれるのは良かったですねと思う。TEDスプレッド目先縮小要因。


・米国財務省が財務省証券追加発行

というのが昨日出てましたが、これって要するに売出手形オペがないからその代わりにやってるんですよね。しかし昨日の3か月TBゼロ金利には驚き。資金供給をやりまくったためにモノが無くなってしまったの図ですな。


・CPレート上昇

いやもうこうなると仕方ないですけど。まあ最終的にTIBORより高くなったら発行体さんは銀行借り入れにシフトする分とか出てくるのでしょうが、中間期末な上に、リーマンとの取引がフェイルのまま中間期末に突入するとバーゼルUの規制上、約定後未決済取引の分がカウンターパーティーリスクに計上されるというリスクアセットがぶれる要因があってやりにくい中ですからどうなるんでしょうかねえ。

まあドル供給協調策などによってターム物金利が落ち着いてくればそんなに上昇もしないと思いますし、まあ上昇すれば発行が減るのでそんなに無茶なことにはならないでしょうが。

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2008/09/18

お題「日本の場合信用リスクなんだか決済リスクなんだか」

色々と急展開で本業が超多忙になっておりまして、田中先生からツッコミ頂いたお話の続きを整理できておりませんです。誠に申し訳ございませんです。

えーっと、何だか色々ありますけれども、整理整頓しないでグダグダ状態で書き並べて参りますです、はい。

○米国では短期国債急騰しているのに日本と来たら・・・・

まあ米国の場合は利下げ期待もあるのかもしれませんが、今朝も政府短期証券は金利急低下の巻。一方で日本では火曜日も実はしらっとFBとかレート上昇してたのですが、昨日に関しては朝から断続的にFBは売り物がちでして、大引け間際にはそこそこの売りでも出たのかどうか知りませんが、火曜日に入札が実施されて平均0.5953%の足きり0.6105%だった3か月FB541回は0.63%とかの出合いとかやってたよう(もうちょっと甘いのもあったかもです)で、引けは0.625%と前日比3毛甘。

短い所のTB/FBが軒並み売られるの巻になっていまして、日本相互証券の引けベースで見ると9月29日償還のFB525回が前日比6毛甘の0.650%だの、10月2日償還のFB534回が前日比5毛甘のこれまた0.650%とか見事なレート上昇。

この背景としては、足元のGCレートが急上昇してますという部分があるようで、昨日のレギュラーが22日受渡ですが、22日−24日の翌日物レートがたぶん0.7%近辺に上昇しているものと見られ(今日発表の東京レポレートのS/Nを見てちょ)まして、そりゃまあ足元そんなレートだったら特に短い物は持っているよりもこの辺のFB売っても同じですわなという論議になりますよね。

・・・・でも利下げ期待にかんする部分は措くとして、米国では財務省証券買われる(TB3か月殆どゼロ金利とはすげえ)フライト・トゥー・クオリティなのに日本と来たら何でこうなりますのやらという事ですが、これは決済リスク問題も絡んでいるのではないかと思うのでありますよ。


○リーマン日本法人をいきなり法的整理した弊害について

97年以降の日本における金融危機ですが、その時の教訓としてあったのは三洋証券の破産処理によって決済リスクを高めてしまうと、短期金融市場における取引がいきなりシュリンクして機能不全になって大変なお話になるというのがあった筈ですわな。そのためにその後の山一、長銀、日債銀のケースでは自主廃業や公的管理という形で、実質的に破綻処理であっても法的には会社としてゴーイングコンサーン状態にして取引の決済は回しながら粛々とポジションの整理を行い、市場の決済がいきなり止まるという事にはならなかったんですよね。

然るに、今般の処理においては、リーマンが国債市場でそれなりに大きなプレゼンスを持っているにも関わらず、保全命令によって取引決済がいきなり止まる(これまた正直どっからどこまで止まっているのか良く判らないのですけれども)攻撃になってしまいましたので、リーマンと直接売買だのレポだのの取引をしている人たちとしてはフェイル食らいまくりでもう大変。

しかもタチの悪いのは、民事再生なんで取引自体がデフォルトになっている訳ではなく、フェイル状態のまんまになってしまうところでして、(昨日も申し上げましたが)証券決済としてモノが止まってしまうのは色々と弊害が生じまくっているのでありますわなという所です。

保全命令が出た以降はリーマンの新規取引は無いですけれども、それ以前に行った取引に関しては現物債券の売買だと国債だったら概ね22日決済までの取引は普通に行われていましたし、レポに関してもクーポン物のGCやSCとかだと22日にエンドが積みあがっているでしょうし、更にGCのターム取引とかもあるでしょうし、これらの決済がフェイルという形になると困るんですよね。

JGBCC分の決済は制度上JGBCCが決済に関する債務引受を行う筈ですので、差金決済とかやるのかなとか思う(詳しい人教えて)のですが、相対でリーマンと取引した人に関しては約定後受渡未済の取引に関してはフェイル状態になってしまうのでしょうから、このモノの処理どうするのというのは大問題の巻でして、相手の証券業者も困りますが、これってより一層困るのは投資家とかブローカーとか信託銀行(有価証券運用信託)とかだと思うのでありますよ。

表面上はレポなら現金担保取引だし、一般売買ならDVPなので別に与信上重大な問題が生じるわけではない(問題は問題なのですが)のですけれども、モノの受渡が行われず、しかも宙ぶらりんという状態になりますと、その処理ができんので大変困るのですね。

より具体的に申し上げましょう。例えばリーマンか22日発行の新発10年国債を買っていた投資家としては、この調子だと22日に取引がフェイルになっちゃいそうですが、まあ仮にフェイルになりましたとすると、金を渡さなくて良いので別に金だけ取られてモノ取りっぱぐれというようなアホウな事態にはならないですけれども、いつまでもフェイルということになると折角購入した新発10年国債はいつまでも転売できないという悲惨な状態に。これが証券会社だったらその分は別のところからレポで借りてきて転売すりゃあいい話でそのコストはフェイル賃徴収(出来るかという問題があるがそこは措く)で何とかという話になりますが、投資家の場合そもそもレポで債券借りるという事が事務上も制度上も手当て出来ていないケースが多く、この間何も出来ませんという話。その間に相場は動く訳でして、仮に民事再生の保全命令でているけど最終的にやっぱり破産処理とか言われて取引が後から遡及でデフォルトとかされると、今度は遡及でポートフォリオが変わってしまうのでなお勘弁してくれという話に。

逆にリーマンに国債売却してた場合もかなりの涙目展開。例えばの話どこかの投資家が一般受益者に対する支払いの為に債券を売ってたとしますと、この取引をフェイルにされますと当然ながら資金繰りに穴が開くの巻。これまた同じ理屈ですが、証券会社や銀行の自己勘定などであれば、受渡をしなかった国債を資金供給オペの担保やらGCレポの玉に使えばその分のファンディングは回りますので資金繰りそのものは回るのですけれども(コストは掛かるが)、投資家の場合そもそも論としてそういう取引が事務上も制度上も手当て出来ていないケースも多いです。しかも取引は不履行になっているわけではない(決済遅延状態)ので、対象債券を売り飛ばすと二重売却になっちゃいますし、保全命令が出ているので約定を遡及取消とかしたら後から管財人に否認されてもっと涙目の展開になるリスクがございますわな。

GCレートとか上昇してるのってリーマン絡みの取引で資金繰りとか玉繰りとかややこしいことになってしまっている為に資金を出す側が超慎重になっているのと、取り手の資金確保の問題と両方が相俟っている面があるように思えます。リーマン以外で信用問題が起きている訳でもない日本で足元の金利が上昇しているのは、海外でのファンディング懸念が波及(欧米でのドルなどの無担保取引ではだいぶレート上昇をしているようですし)している面は勿論あるのですけれども、決済リスクを意識してリスク回避の為に資金を抱え込む予備的な資金需要が増加しているという面が強そうに思えます。

当然ですが、火曜日よりも水曜日の方がフェイル取引が積みあがる分大変だったようでありまして、もうレポ担のお友達とか申し訳なくて電話もできません(というか電話しても「今忙しい」と5秒で終了するのですが、汗)がなという状態だったようでございます。皆様お疲れ様でございます。


とまあそんあ具合でありますので、保全の為に一旦取引を止めるのは致し方ないので業務停止命令が出たのは至当としても、国債流通市場の決済を止めるとどうなるのかとか考えた結果として民事再生申請→保全命令の流れになったのでしょうかと小一時間問い詰めたいです。22日には3/9月利払い債の決済が積みあがっているのですが、このまま漫然とスルーされても困るのよね・・・・・

というか、米国ではリーマン分の取引って止まってるの?止まってないの??約定はフェイルなの?デフォルトなの??



○国債発行が一部不成立となりました

昨日の金融ファクシミリ新聞の報道によりますと(とか言ってたら今日の公共放送ニュースでも報道されていましたけれども)、火曜日に払い込みが行われた2年国債と3か月FBの発行に関連してリーマンが落札した分の払い込みに穴が開いているようです。

まあ国債発行が1000億や2000億減ったくらいでは国庫の資金繰りに関しては蚊に食われた程度の影響なので全く無問題なのですけれども、リーマンが落札して転売している新発国債に関してはリーマンが意図せざるショートを振った形になってしまった訳でして、ポジションが動いちゃったですねという事になりますね。22日には5年と10年で2500億円ちょっとの落札があったのですが、リーマンの債券ポジションいきなりその分意図せざるショート発生の巻で、取引復活させる場合に意図せざる再構築コストが掛かりますわなという感じです。ナムナム。

国債引受シンジケート団形式で発行される10年利付国債(と5年割引国債)の応募者登録なんぞとっくの昔に無くなっています(そもそもそういう話をする時点で年齢がバレてしまいますが)が、これもし応募者登録で新発買っている人とかいたらリーマンの取引分どういう処理になっていたんでしょうね。まあどうでもいい話ですが。


○時間が無いのでその他備忘メモメモ

・金融政策決定会合

すいません、明日のネタか土曜に追加発行するかします。リスク認識がなお警戒になりましたね。

・AIGの救済策

相手が機関投資家主体なリーマンは法的整理するけど、一般ピープルに影響が大きい保険会社は救済します・・・・こうですか、わかりません><

何か折角救済策出ているのに、情報ベンダー見てたらFEDの偉い人のコメントとかで国有化ではないとか言い出すのは腰が入っているんだか入っていないのだか良く判らん。最初はリーマン破綻=三洋証券破綻で、AIG救済=りそな救済かと思ったので、これはもう年末にはまた資産バブル発生ですよとかアホウな与太話をしていましたは、この感じですと残念ながら長銀の特別公的管理くらいのステージですかそうですか。

ここまでやるならもうちょっと根性入れて救済スキームを公表していただきたいものです。


・CPレート

一部で昨日は上昇という感じでしたが、FBレートの上昇が昨日の引け際に来たので今日はさすがに上昇するんでしょう。ということで事業法人さんにも影響が来るんですよ。この一連の動きが無かったらそんなに上昇する感じでもなかったんですけれどもねえ。


#多忙でなんかグダグダで申し訳ないです。

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2008/09/17

お題「損失額の話よりも決済システムの話が気になります」

決済とか受渡の関係者の皆様、昨日は大変お疲れ様でした。本日もバタバタするのでしょうか・・・・・

○裁判上の法的破綻は三洋証券以来でして

今回は民事再生申請で保全命令が出ました。まあどさくさに紛れて資産が海外流出されると困るから取りあえず売買全部止めとけという論理はわからんではないのですが、そのせいで決済関連はあちこち止まってしまい、結局毎度おなじみの市場関係者の自助努力でかなりの部分が回ったみたいですが、決済に関しては時間が随分かかって日銀ネットは延長になったみたいで、関係者の皆様お疲れ様でございました。


えーっとですね、ここでいう決済っていうのはインターバンクの資金取引というよりは債券(および証券)の決済に関するところでございまして、約定したけど受渡未済となっている(一応関係者じゃない人向けに申し上げますが、約定日から受渡日までは数日間のタイムラグがあります)取引の決済とかどうなるのよという話は何がどうなっているのやらという感じでございます。

リーマンが業者間などで取引してJGBCC(国債決済清算機関)経由で決済をしている分だとネッティングで決済額が減っていると思うのですけれども、投資家との相対取引の分とかどうなるのよという感じです。ご案内の通り昨日の相場では5年とか10年とか7毛強とかやらかしているので、リーマンから国債買ってまだ受渡が終わっていない場合、取引がフェイルになるのか、受渡不能になるのかのどっちなのかもワケワカラン状態のようですが、フェイルと受渡不能じゃあ話が違ってきますので、どっちになるのか決めてくれって感じでございますわな(ちなみに受渡不能だと約定後買ったものが価格上昇しているので、不能になったら上昇した分損害になりますわなという話です)。

既発の流通玉に関するフェイルだとまだしもなのですが、より懸念されるのは新発国債の部分。リーマンは22日に発行される5年国債と10年国債を合計で2500億円以上(2800とかでしたっけ)落札していまして、そのうちどの位を転売しているのかは存じませんけれども、この分って22日にリーマンが資金を財務省に払い込まないとその分発行されない事になってしまうのですけれど、その分の資金が確保できているのかどうか判らんですよね。新発の払い込みを行わないで新発の販売をフェイルしましたって話になった場合、受渡どうなるのよという話になるんですけれどもどうなるのでしょうか・・・・


22日受渡は3/9月利払いの国債の受渡が集中する日でございまして、未決済取引の部分もどうなるのかという話もあるんですが、実は22日と言いますと先物9月限の現物決済分の受渡日でもあったりする次第でありまして、リーマンの自己ポジションおよびリーマンが受けている委託の先物ポジションの中で現受け現渡し決済があったとしたら(正直言って無い事を祈るが)その決済どうなるのよというのも気になるのですよ。

受渡未済分だけ決済すりゃいいかというと、ポジション的にはショートになっているものってSCレポでの品借りを更にロールしないとその先に続かないのでして、新規取引が出来ない状態になっているので、未済分を決済してめでたしめでたしという訳にも行かない気がします。

ということでね、証券決済は資金と違ってモノの決済なので、いきなり全部止める攻撃をして必要なところに供給すればよいという手段は使えないのよねというお話になるんですけれども、民事再生申請で保全命令出すという流れって(資産保全の為にやったのでしょうけれども)決済システムという面ではちょっとお前それは無いでしょという感じになっておりますわなということで。



○まあいろんな手段を打たれましたが

資金供給額の話が案の定ニュースになっているのですが、資金なんぼだしても決済が回らないことには話にならんのでして、例えばFRBで言えば昨日まる引用したTAFやTSLFの拡大策とかの方がキモなのであります。

そんな中で昨日午前中に出された日銀のリリースは中々結構でした。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mos0809a.pdf
国債売現先(国債補完供給)の実施条件の緩和について

リーマンに絡む取引がフェイルになることを勘案し、T+0でのSCレポが回りやすくするために国債補完供給の実施条件を緩和。早速昨日は国債補完供給が実施されていましたので、これはとりあえず目先の火消し措置ではありますが動き素早しということで宜しかったのではないでしょうか。

今回他にもツッコム話はあるようなのですが、まだちゃんと頭の中で整理できてない(忙しいので目の前の蝿を片付けるのでヒーヒーなのですよ)もんで、続きは明日以降。



○話は変わりまして埋蔵金話の続き(えーっとこちらも続きは明日)

先週金曜日にウニになった頭で書いた埋蔵金関連のお話、田中秀臣先生からツッコミを頂くという栄誉に浴しまして、誠に感謝感激であります。あたくしのわけわからん文章をご覧頂きましてありがとうございます(というか申し訳ありません)。
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080913#p1

あたくしの文章の書き方がだいぶ宜しくない(というのは書いてて本人も自覚しておりましたダメダメ文章だったのですが、的確にツッコミ頂いて恐縮でありまする)ので、ストックとフローの話の所はもっと整理して書いてみたいと思う(のですが本業多忙&今朝寝坊で文章がまだ纏まってませんです)のですけれども、田中先生から頂いている指摘部分に関してはご指摘通りかと存じます。

金利の種類が違うというのはご指摘の通りだと思います。で、あたくしが思う所と致しましては、高橋先生の説明というか見出しのつけ方が一般ピープル的には「名目長期金利を下げて景気対策」という風に読めてしまい、じゃあ(実質金利は上がらないけど)名目の金利が上昇するリフレーション政策はマイナスの景気対策??というような誤解(というか逆ねじですけど)を招きかねないなあと思ったのがあたくしの懸念なのでありました。一般ピープル向けには名目と実質の話をきちんと切り分けて話をしないと混乱しませんでしょうか。

で、フローとストックの問題に関しては明日にでも続きを書きますが、田中先生の『高橋埋蔵金案の理論的な核心と僕が理解しているのは、スティグリッツのいう意味での長期国債と短期国債の構成比の変更を伴うものと理解しています。それだけですが?』という話とあたくしの理解は同様でございます。続きは明日で申し訳ございません。

最後の『もし日銀の国債買入余力が増えるのならばそれはぜひその『余力」を使って長期国債のいっそうの買い切りオペをしてほしいものです』ですけれども、それは思いっきり同意です(^^)。

ということで、ブログじゃないのでトラバとか出来ませんで誠に申し訳ありません(しかもはてなユーザーじゃないからコメントも出来ないのですが、汗)ですが、田中先生がチェックして頂いている事を期待いたしまして。

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2008/09/16

お題「リーマンがチャプター11」

いやはや何とも。まあ今朝は考えられる問題点を整理しておきましょう。と完全に俺様メモになっていますが。

○公的資金入れないのですかそうですか

ポールソン先生は端から公的資金入れる気無かったなどというKY発言をしておられますが、日本の不良債権処理からの教訓はどこへ行ったのやら。そもそも論として日本の金融恐慌第1弾って三洋証券破綻の時にインターバンクやレポを全部いきなりこかして一気に短期金融市場がシュリンクしちゃって資金繰りが回らなくなったのが連鎖を呼んだんですけどねえ。

ということで、マネーマーケットの周囲にもおりますところのあたくしと致しましては最大の興味というか懸念事項はリーマン絡みのインターバンクやらレポとか国債等の売買取引の決済がどうなるのかというのでありまして、それによって流動性問題が連鎖を起こさないのかというのが重要なのですが、経済専門番組様肝心の話をしてくれませんなあ。株価とか為替とかの値動きは確かに激震ではございますが、こんなのお約束通りであって専門番組としてのコメントを聞きたいんですがねえ(と思ったらコメンテーターさんCDS市場の話をしているのはちょっとマシですけど)。


それからですな、公的資金入れないとか抜かしてますけれども、公的資金入れないでリーマン絡みの取引が全部ちゃんと決済されるのですかというのは物凄く気になる次第。取引をちゃんと決済しないと金融市場での取引が思いっきりシュリンクして資金繰り問題の連鎖になって三洋→北拓→山一パターンになるんですけどねえ。

・・・・・と思ったらFRBのリリースが。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080914a.htm

えーっと、PDCFやTSLFを拡大しますというお話のようですが。

The collateral eligible to be pledged at the Primary Dealer Credit Facility (PDCF) has been broadened to closely match the types of collateral that can be pledged in the tri-party repo systems of the two major clearing banks. Previously, PDCF collateral had been limited to investment-grade debt securities.

The collateral for the Term Securities Lending Facility (TSLF) also has been expanded; eligible collateral for Schedule 2 auctions will now include all investment-grade debt securities. Previously, only Treasury securities, agency securities, and AAA-rated mortgage-backed and asset-backed securities could be pledged.

PDCFやTSLFの対象証券が拡大するという形でFRBの流動性供給策は拡大実施となりますというお話なんですけどね。

These changes represent a significant broadening in the collateral accepted under both programs and should enhance the effectiveness of these facilities in supporting the liquidity of primary dealers and financial markets more generally.

Also, Schedule 2 TSLF auctions will be conducted each week; previously, Schedule 2 auctions had been conducted every two weeks. In addition, the amounts offered under Schedule 2 auctions will be increased to a total of $150 billion, from a total of $125 billion. Amounts offered in Schedule 1 auctions will remain at a total of $50 billion. Thus, the total amount offered in the TSLF program will rise to $200 billion from $175 billion.

TSLFの枠を拡大しますですかそうですか。

The Board also adopted an interim final rule that provides a temporary exception to the limitations in section 23A of the Federal Reserve Act. It allows all insured depository institutions to provide liquidity to their affiliates for assets typically funded in the tri-party repo market. This exception expires on January 30, 2009, unless extended by the Board, and is subject to various conditions to promote safety and soundness.

対象も拡大しているように読めますけど。とひたすらマル引用で申し訳ないですが一応ご参考までに。


・・・・でもね、結局のところリーマンが取引当事者になっている取引の決済を円滑に進めてあげませんと、それこそ危ないとか言われるところとの取引を行う人が全くいなくなってしまい、結果としてそういうところが市場取引(というのは無担保取引じゃなくて普通の債券売買とかでも)で流動性確保することが大変に困難になりますので、PDCFやTSLFの枠の増加で追いつかない可能性もあるんですけどねえ。と、97年以来の市場を体感しております年寄りさんは思うのでございますが。


ポールソンやバーナンキはその辺の状況ちゃんと理解してリーマンをこかしたと信じたいのですが、はてさて・・・・・・



○ということで市場の反応ですけれども

まー当然ながら債券市場では国債が物凄い勢いで急騰してて、質への逃避ってお話になっているのですよね。

でもね、97年当時のことを思い出しますと、やはり日本でも先程申し上げましたように国債に質への逃避は起きたんですよ。起きたんですけれども、インターバンクが機能不全になって、流動性問題が生じてしまったので国債といえども換金売りの対象になっちゃったというおそロシアな事態になっちゃいまして、換金売り対象になった中期国債(当時は中期国債は非上場で長期国債は上場で、輪番オペの対象は上場国債の一部だったので換金性に差があった上に、中期国債の一部は特定の金融機関がアホほど持っていた)がいきなりゲロゲロになってしまうとか、イールドカーブが2年辺りが持ち上がって長期が下がってというツイストフラットになってみたりとか、まあ中々な展開だったんですよね。

つまりですね、何を申し上げたいかと言いますと、とりあえず米国市場で債券に買いが入るのはまあそうなんですけれども、換金売りモードとかになると必ずしもそうではなくなるので動向を良く見ておかないといかんかなと思うのよ。勿論ですが、国債と非国債のスプレッドは拡大するんでしょ。


そーいや朝の経済専門番組(と称する地上波のテレビ番組)のコメンテーターがCDS取引の損失連鎖みたいな話をしておりましたが、そっちよりもインターバンクの流動性問題を話題にしていただきたかったと思う次第。まあCDS取引自体にあたくし不勉強にも程があるのでよー知らんのですけれども、常識的に言ってCDSってクレジットイベントが発生すると元本交換が発生するものなのですから、カウンターパーティーの与信管理って金利スワップみたいな元本交換の無いものとは別のロジックで管理してるでしょと思う次第。

ただまあCDSを組み込んだレバレッジを効かせた証券化商品とかになってしまうとまあちゃんと管理してなさそうな悪寒もするのでして、それこそ先日の日銀レビューにございましたハイブリッドなCDPOとか中々おそロシアな事態になると思うのですけれども、ポールソンやバーナンキは(以下同文)。


日本に関してはとりあえずリーマンが絡んだレポとか(さすがに無担保コールは無いと思うのですが)通常の債券売買とかは無事に決済して下さいね(はあと)という次第でございますが、日本法人が民事再生を申請して保全命令が出たらその決済法律的にどうなるのよというのは超超気になるので教えてエロイ人。

まあそんな訳で完全に俺様メモなのでありました。

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2008/09/12

○埋蔵金レボリューションズ

このネタは毎度ながら良く判らん。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20080910-00000003-voice-pol
埋蔵金6兆円で好景気に(3)/高橋洋一(東洋大学教授)

埋蔵金6兆円を市中国債の買入消却に回すと金融緩和効果がありますよというお話なのですが、どうもバランスシートの話とキャッシュフローの話がごちゃごちゃになっていて良く判らんというのは以前申し上げたのとあんまり変わりません。こちらのURLの最後の辺りを見ると6兆円のキャッシュフローがあるかの如き話になっているのですが実際どうなのでしょうか。

以前の埋蔵金云々であたくしが書いた駄文は
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/zatsudan07-02.html#za071207
のあたり(12月7日分)とか
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisakugeneral08-01.html#seisakugeneral
の5月8日から5月12日のあたりとかになりますので、まあそのあたりもご参考にという感じなのですが。

この話、単に「財政融資特別会計を圧縮すればその分一般会計の国債発行も圧縮できますよ」というグロス両建て解消の話でしかないと思うのですが、高橋先生の話って具体的にキャッシュフローがどうなるのかの話が無い(あえてスルーしているんじゃないのかという気もするのですが)のでどうにもこうにも良く判らん。

微妙にわけわからん所があるのですが・・・・

(1)6兆円相当のキャッシュはどこにあるのでしょう。もし政府預金にあるとしたら、本来それは政府資金繰りで絶賛発行増加中のFB(来年2月から国庫短期証券としてTBとFBは一本化されます)の発行減額に回すもののような気がするんですが。会計上の益とキャッシュフローの話が意識的なのか無意識なのか判りませんが、微妙にゴッチャになっているので、そのあたりが良く判りません。

政府(または日銀)での両建てを落としますという話だとキャッシュの問題ってあんまり生じないのですが、6兆円の国債を市中買入消却するとしてその分のキャッシュをFB発行して捻出とかしたら単に長期債と短期債の振替を行っているだけの話(その分の利払い負担という効果はありますけれども)になるのですけれども。高橋先生の説明では何となくキャッシュがありそうな書きっぷりを最後の方でしているのですが、その辺が良く判らんです。


(2)もうちょっとそもそも論なのですけれども、市中の国債買入を行って長期金利が下がるので金融緩和効果で景気対策という話に関して。

もともと高橋先生はリフレーション政策を提唱してると理解しております。で、そのリフレ政策って今の日本で実施すると基本的には期待インフレ率の上昇(というかそもそも2%程度のインフレにって話ですよね)によって長期金利上昇要因になる(少なくとも2%のインフレに持っていくのであれば長期金利が1.5%に留まる訳はございませんえん)話でありまして、長期金利低下で云々というのは従来提言している政策のロジックと全く違う話を持ち出しているご都合主義の香りがプンプン漂ってくるのですけれども。


(3)政府部門での両建て解消は意味が無くて市中から買うと意味があるというロジックですが、結局最終的には同じじゃないのかなという気が物凄くするのですが。例えば日銀保有の国債を買入消却したらその分日銀の国債買入余力が増える話になるんじゃないのかなあ。いやまあ何かあたくしも書いてて頭がウニになってきた。


高橋先生のお話って仰っていることは一つ一つご尤もなのですが、全体を通して読むと何か「???」感が漂ってしまうのは読んでいるあたくしの頭が悪いせいなのだとは思うのですけれども、具体論に落として考えた時に微妙にわけわからんのですよね。うーむ。

ということで不勉強なのにこのネタをまた出してしまった。まあ政府部門にある変な両建てとかは解消してグロスの債務を小さくした方が良いと思いますけれども。

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2008/09/11

お題「相場がアレでしたので相場雑談で勘弁」

朝起きて携帯電話のiチャンネルを見たら「リーマンブラザーズ株価約45%下落」というヘッドラインがあるのだが、それは火曜日NY市場のニュースであります。中身見たら昨日の21時配信とかでして、その時間はリーマンの決算発表後で株価が戻りだしてるのですが。配信しているどこぞの報道機関は華麗に切腹すべきかと存じます。


○半分お返しですかそうですか

昨日の債券市場、というか債券先物の動きでございますが、カレンダースプレッドは▲57銭といきなり前日の最終売買価格から40銭上昇してスタートして高値▲50銭でしたが、その後また下やって安値が▲72銭になって最終売買価格は▲70銭。でも先物の最終売買価格を見ると9月限が136円88銭で12月限が137円41銭なのでこれで見るスプレッドは▲54銭と何という怪しさ爆発の乖離。現物の引けから考えると▲60銭くらいになりそうな気がする(ちゃんと計算してないけどたぶん)んですが、もう最後の3日で大荒れしまくった今回の限月交代の最後を飾るにはふさわしい動きで。

10年273回債と276回債の引けを(めんどいので)単利比較をすると、火曜日は単利で9毛ひっくり返したのですが(結果15毛逆イールド)でしたが、昨日は5毛お返しの巻(なのですが依然10毛逆イールド)と相成りました。まあ相変わらず274回〜281回くらいまでのゾーンのイールドカーブが無茶な状態になっておりますが、何せ先物の需給がおかしくなって、なおかつ参加者にそれを成敗する勢いも無し(昨日申し上げましたように)という状況は困ったもんでありますな。

ちなみに昨日はカレンダー出来高5401枚しかないのも何か素敵でございまして、昨日の速報ベースで33432枚も当限建玉残ってたのですが(確報確認してませんすいませんすいません)、これもまた微妙にファンタスティックな先物当限の売買最終日なのでした。

#本当の終了は現受現渡が終わった時点ね


○で、今後相場の動きを見るには何を参考にすべきか

ま、昨日の相場はそんなこんなで12月限の超割高修正をする動きになったのですが、結構最初のうちはカオスな展開であちこちのゾーンが強かったり弱かったりしたので、本当の相場の位置ってどこなのよという感じでしたが、まあ昼過ぎくらいになったら5年と10年のカレントが若干のスティープをしつつ前日比1毛程度甘いという展開になりました。

超長期とか相変わらずみたいで、上がっても下がっても全然動かんの巻になってたようですが、これはまあ以前からの仕様ですのであまり驚かず(でもまあ動かないねって感じはしますが)ということで、相場の動きとして何見るのかといわれたら5年と10年のカレント見るのが適当っぽい気がします。ただ10年カレントゾーンって9年半あたりと比較してカレントプレミアムがついていまして、そんなプレミアムがついてないのが5年カレントですから、今の状態という限定的状況下では5年のカレントのプライスアクションでも見てれば大体相場の動きが判るんじゃなかろうかと思うのであります。

先物チーペストが手前対比逆イールドというアホアホ状態が解消されてくれませんと、先物が相場変動のバロメーターにもならないという悲しい状態になってしまう次第でありまして、位置が良く判らんとなると投資家の売買の手も出にくくなってしまいますし、昨日も申し上げましたが先物での現物売買のヘッジ機能がワークしないとなればマーケットメーカーの要求する流動性リスクプレミアム(要するにAsk-Bidのスプレッド)も拡大しますし、全く持って誰も得しない展開なのは困ったもんであります。


○短い所の雑談

債券先物の素敵な値動きに翻弄されてすっかり短い所の話をしておりませんでしたので少々。と申しましてもこれまた微妙に訳の判らん展開になっているのでありますが。

昨日は3か月FBの入札が行われたのですが、先週まで0.57%台だったのにいきなり58をスルーして0.59台の落札。前場引けの時点で59オファーだったみたいですので、まあ59台なのはそんなもんかいなという感じですが、テールがやたら短く、セカンダリーではあっさり買いが入って引けは0.58%でビットサイド。

ま、前日および当日前場の板からして0.59台で入札やりそうな感じでしたので、たくさん買いたい人が珍しく入札前まで我慢して札入れのところでがっつり行ったという所だったのでしょうか、ここの所入札前は確りするのに落札出ると平均のオファーがやたら重くてあっさちヘロヘロになるという展開が連続していたのですけれども、今回は珍しく買い方お上手。

そのどさくさに紛れて6か月だの1年だのもレートが低下してたのが謎なのですけれども、まあ待機資金というかキャッシュつぶしというか、そっちのニーズは相応に存在するでしょうから、FBのレートが上昇した所で動きがあったのかもしれませんですね。16日渡しだから積み期間変わるし。


ところが、資金供給オペの金利は足元で上昇してるんですなこれが。昨日のオペでは9月25日エンドの方が0.568/0.56と上昇してまして(月曜日は19日エンドで0.540/0.54)、こちらを見ると足元上昇の感じ。ただGCはクーポンGCの関係もあるので微妙なのですけれども、レギュラーの所では積み最終日要因があった火曜日の0.58〜0.59だったのに対して昨日は0.53近辺と普通のレートに、うーむ。

3か月のオペ金利はそんなに上昇してませんでしたが、足元の方が上昇したことからFBの9月償還の気配が若干上昇。その一方でCPでは10月償還ものがやや嫌がられているようでそっちのレートが上昇傾向と、参加者の違いが微妙に反映された動きになっております。

でもまあ総じて言えば徐々に期末っぽくなってきた感じじゃないでしょうか。


#というわけで、市場メモをダラダラ書いて終了で申し訳ないです。以下おまけ


○ちょっとだけ雑談

・景気対策で利上げ????

与謝野先生恐ろしい斜め上な話を・・・・・

これはですな、きっと与謝野センセイが身を張ってトンデモホイホイになろうということなんですよ。与謝野センセイに投票した議員はトンデモ金融政策論者であるという事が判明する良い検定試験なんですよ。

・・・・ああまったくもう頭が痛い。


・GSEにCDSイベント

おじちゃんあんまり(というか全然)詳しくないのですけれども、GSE救済策に関しては債券に対するCDSイベント扱いらしいのですが、利払い償還に関しては政府の暗黙のサポート体制が確認されるような声明が出たんですからこれって何か債券持ってる人的に必ずしもアンフェーバーな話じゃない(むしろフェーバーな気がする)のですが、プロテクション買ってる人ってこれによってわざわざ債券渡しちゃうんですか???何かさっぱり判らないのですけど、渡すか渡さないかってプロテクションの買い手のオプションじゃないんですか?

・・・・そんなのも知らんで質問するなですよねそうですよね(超大汗)。

#今後の展開に超注目なのであります、その前にちゃんと勉強しないといかんが

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2008/09/10

お題「世界のJGB」

どうも今年になってからは3の倍数の月になると超越アホ相場が展開される仕様になっているようでございまする。

という訳であまりの相場なので相場メモメモ。

○先物中心限月の割高ロール????

昨日の債券市場はもう先物のカレンダースプレッドが話題というか笑いというか唖然というかもうエライコッチャになったのはご案内の通りでございます。

カレンダースプレッドの値動きですけれども、前場は0銭まで戻る(前日はマイナス)場面もあったのですが、その後ジャンジャン下落して▲50銭近く(確か▲47銭)まで下落。その後5年入札後の後場になるとカレンダーもう一発下がって▲60銭近辺で暫く揉んでいたのですが、引けに掛けてなおもう一発下落して安値▲107銭で最終出合いは▲97銭。

どの位無茶なレートかと申しますと、昨日の引け値で9月限と12月限のチーペスト相当の273、276回が単利でそれぞれ1.175%に1.025%なので、なんと単利15毛逆イールドの巻となってしまいました。

先物独歩高とか言ってたのが先週の金曜でして、まあこの時点で270回と273回の関係が単利で7.5毛逆イールドとかでしたので、先物中心限月の割高さ(12月限はこの時点でも9月限と並んで高かったとは思うのですが)が凶悪になってロールされたという形になったという所でしょうか。


ま、9月限チーペストゾーンが手前対比で逆イールドになっている部分に関しては先物終了と共に中期債カテゴリーに入って手前に鞘寄せされるという現象はまあそうですねという所でして、270回と273回の引けが単利ベースでそれぞれ1.195%に1.175%となってまして、修正はだいぶ進みましたな。チーペストのスクイーズみたいなのが起きて当限先物だけ独歩高という現象は過去にも起きたことがありますが、その時は当限チーペストが先物終了後に修正されてチョンという結果になるんですけど、今回の場合は12月限チーペストゾーンに(というか12月限に)割高を移行というわけのわからん展開。

まー月曜の時点で既に5年VS274〜6回ゾーンってインバートしてたのですが、昨日の引けベースで新発5年75回VS274〜6回ゾーンは5毛くらいインバートの巻と相変わらず無茶しやがって状態になっております。

まあ簡単にまとめてしまえば、先物ロングにしている人のロングロールに対して、割高な当限を買い向かう人が居なかったのでこんな事態になったという所なのでしょうが、ロールされて先限がそのまま(というかより一層)割高になるとかどんなプレイだよという実に不可思議千万な相場なのでございまする・・・・・・

しかしまあ昨日は異例ずくめでして、カレンダースプレッドが一日で高安107銭とかそんなの見た覚えないですし、売買高にしても当限27261枚で先限17738枚に対してカレンダースプレッドが38280枚ってカレンダーの方が出来高多いのかよという結果にも呆れるという感じでした。



○かなり妄想の世界になりますが背景について愚考してみる

まず先に申し上げますと、この先物のわけわからん展開は誰に聞いても「結局のところ何がどうなっているのか判らん」という所でして、いやまあ色々とお友達と世間話しながら勝手に妄想を逞しくした産物なのであまり真に受けないで下さいませなのでございまする。


前回3月にも先物アホアホ相場が展開されたのですが、あの時の背景としては先物売り建てになっていた人の強制閉店などがトリガーになって先物の需給が一時的に悪化という図だったと思うのですな。その後4月になって海外のインフレ懸念とかがネタになった時には先物の割高はかなり解消されましたし、ピーク時でも先物「だけ」が飛ぶという絵になってましたし。

で今回ですが、そもそも論として先物をロングロールしてなお一層割高な先物を買うという経済的な意味がさっぱり判らん。チーペストをスクイーズしてる訳でもなさそう(276回のSCレポは大変になったみたいですけれども、そりゃまあここまで割高にされたら入れ替えベースで売りたくなる投資家多いでしょうからレポしてる場合じゃないわなというのは判りますのでレポ締まるのはやむない面大有り)ですし(てかチーペストスクイーズとかするなら当限で完結する話ですわな)。

そんなこんなでつらつら考えたのですが、これは結局「債券先物を根っ子でロングにしているファンドみたいな人が何も考えずにロングロールしているんじゃねえのか」という妄想成分が高い説にたどり着きました(笑)。金融不安だの世界的景気後退だのをネタにして債券のロングポジションを作っているファンドみたいな人にとっては、レバレッジが効くしカウンターパーティーリスクとか殆ど考えなくていい先物でのポジション構築が効率的ですから、こいつらにとってみたら債券先物のお値段は「5桁の数字」であって、別にイールドカーブ上先物独歩高とかそんな細けえ事はどうでも良いって論理になっているのではないかという勝手な想像を。

つまり、この人たちにとっては現物は(金も資本も食うので)ポジショニングできないけど先物ならおっけーなので、現物対比先物が割高であろうともポジションを先物対比割安なほかの現物に乗り換えるなどという事はできないしやる気もないとなり、おかげで割高な先物は割高なままで、買ってるファンドも別に得はしないし、先物が壊れてしまって機能しなくなるので、実際に現物の売買してる人たちも得はしないという誰も得しない展開。

何かね、この先物のアホアホな動きを見てますと、原油市場で大暴騰して急激調整(今朝は101ドルとかでしたっけ)しているのも、単にファンドか何かが先物をロングにして突っ込んで、それが去ったら修正されたとかいう図なのではないかとか思っちゃったりしてなのです(笑)。


従来ですと、こーゆーアホ展開になってもアービトラージャーとか投資家が割高を成敗して割安を助けるオペレーションをしてくるので、一定の所で歯止めというのが掛かっていたのですが、サブプライム問題から始まった業者の体力低下、債券先物のシステム変更による参加者の減少、他にあるとすればマーケットメーカーの体力低下で流動性が落ちた(債券先物が壊れた影響もありますが)とか、あと言うなら運用部門のパッシブ傾向とか、リスクテイカーが激減してしまっているので、もう歪みが歪みのまま進行しちゃうという状態になっているのでしょう。


○先物がおかしくなってさてどうなる

これまた妄想成分が高いのですけれども。

そんなわけで12月限がおかしなことになってしまいましたが、こうなりますと現物売買のヘッジに先物を使うのはちょっとしたポジションでもおそロシアという事になりますので、ヘッジはどうしますかとなるとこりゃもう10年と5年のカレント現物でヘッジする方がよっぽどマシという展開になりそう。

で、ヘッジャーが去って流動性が一旦落ちますと、アウトライターも避けるというような展開になってくれば、益々債券先物が独自のアホアホマーケットになってしまうという悪寒が。まあ東証ざまあと言ってしまえば済めば良いのですけれども、先物受渡適格最割安銘柄を通じて現物のカーブ形成(既にカーブでもなんでもない形状ですが)に影響を与えるので困るのであります。

まあ先物のシステム変更だけが悪い訳ではなくて複合要因ですけれども、ヘッジャー的に言えば先物の流動性と市場の厚みを薄くしたシステム改悪(先物をブンブン振り回す投機筋の一部には評判が良いらしいですが)は要因として結構大きかったと思う次第でして、東証は物凄い勢いで反省すべきであり、アンディー齋藤様におかれましては可及的速やかに丸坊主にでもなるべきであると存じますがどうでしょうかね。

どっちにしろ、今の状態だと先物12月限は本来の機能をしなさそうですので、そーゆー意味ではカレントから離れた銘柄とかで大口やら逆に超小口の売買とかは要求されるAsk-Bidのスプレッドが拡大する懸念がございますということで、結局業者も投資家も得しない展開でございますな。


○世界のJGB

という訳で昨日の相場の話と途中からは物凄い勢いであたくしの妄想全開の与太話になって恐縮至極。しかしまあ今年に入ってからは3月は閉店ラッシュで先物大爆発、6月は何か急に相場アホ売られ(おまけを言えば6月末にCPレートが大暴騰しましたな)して、9月はこの有様ということで、3の倍数月になると相場が壊れるのがJGBの仕様になっているようでございますわな。

いやまあ何と申しますかもう勘弁して欲しいのですが・・・・・

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2008/09/09

○で、GSE救済策ですが

最終的に国有化するとかどうとかという点に関しては結局次の政権に先送りみたいですけれども、まあ方向性としてどうせタックスペイヤー負担になるしか無さそうですわなと思うんですがどうでしょ。

・・・それが嫌(WSJが言うような清算攻撃)なら米国ドル様におかれましては国際的に卓越した機軸通貨としての地位を放棄してハードカレンシーの一つになる気はありますかって話になると思うんですけどね〜。そうなった時には米国様の金融論に関してもまた変わるんじゃないですかとか思うのですけれども。何か「そのりくつは絶対的な基軸通貨国だから成り立つのではないでしょうか」というのがアホの感覚的な発想として思うような理屈も見るもんでして。いやまあ独り言ですけれども。

というややこしい話は兎も角、とりあえず株高だけど債券も上昇というやや不思議な展開で帰ってきた米国市場なのでございます。基本的には従来の流れの延長上でまあこうなるしか無かったですなあという事で、抜本的な話が出てないのは次期政権にやってちょという話だからであって、まあこれで流れはきっちり出来たんじゃないでしょうか。確かに住宅市場がこれで落ち着くかと言われますとそれはまた時間の掛かりそうな話かもしれませんが。

今回は暗黙の政府保証が発生している曖昧な状況に関して政府が放置して事実上黙認というか容認していたことに関する責任を認めた点が一番のキモなのですが、微妙にアレなのはじゃあ政府保証するのかというとそれに関しては「付与しないけど債務履行を全力支援」というこれまた結局曖昧な状況になっているところが誠にアレでございますわな。で、結局は次の政権がケツ拭きからスタートになるんでしょという話になるしかないと思うんですけどね。


だいぶずれてるのかもしれませんが、今回の措置に関してはあたくし的な感覚としてはりそな救済の時とちょっと被る感じでございます。ちょっと被るという「ちょっと」の意味は、今回の救済策において「暗黙の政府保証」が「暗黙の政府保証状態に関して政府は責任があるので、支援しますけど政府保証はしません」に進展した点ですな。これがもういきなり政府保証になるとりそな救済状態みたいなもんですけど。

当時のことを思い出すと、その救済策ってあーた今までのシバキアゲ清算路線の大転換でしょということで、このまま通るのかよと非常に疑問に思ったのですが、結局無事に通るの巻となり、それによって底打ちをしたのはご案内の通り。

資産価格なんちゅうもんは、実際の景気と違って底打ち感が出てくれば期待によって上昇するという流れになりますし、そうなれば今度は資産価格効果が実体経済に好影響を与えるという順序が逆な荒業も発生する訳ですから、確かにまあこの措置自体で実体経済がいきなり全部上向きになるとかいうのは無理にも程があるのですけれども、底打ちにまた近くなったという感じではないかと。

しかし米国株式市場でGSEの株が絶賛暴落したのは、公的管理と言ってるけど最終的に国有化して普通株はあぼんぬでしょという発想なのでしょうか、良く判らん。イメージとしては特別公的管理よりもりそな救済スキームっぽいです。ただし、基本的にGSEの業務内容を転換または縮小させる方向で進みそうなのが米国の措置の賢明な所じゃないのとは思うのですが。

・・・・などと判ったような判らんような話をしてますが、厭債害債さんのエントリーが大変勉強になりますと最後は人のふんどし。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200809/article_5.html

しかしまあ何ですな、今般のGSE救済問題が金融不安解消への流れを支援して、米国市場でやはりインフレ警戒ですよというような話になって米国金融政策の方向性は利上げって話になって参りますと、15年変動利付国債減額分の半分を2年国債増発に振った事が神展開への道とかに本当になってくれるので、その時には大爆笑しながらPD懇の展開を眺めさせていただきたいものでありまする、などと性格が悪い発言をするのがあたくしクオリティ。

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2008/08/19

○金融政策決定会合ですが

昨日からの金融政策決定会合は本日まで。前回から公表の順序が変わったので、決定会合後の声明文で展望レポートの点検結果という形のものが出るのですけれども、まあ順当に考えて今回は景気の現状認識を下げてくるのでしょう。問題は先行きのリスク評価をどの位いじってくるのかという感じなのかなあとも思うのですけれども、こいつをもう一丁下げるのか、また下げるとしたらどの位という所かと思います。ある程度の下げは予想されてるんでしょうけどね。

#念の為
前回はこんな感じで結果が公表されました
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k080715.pdf
前回発表された公表方法の変更について
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k080715b.pdf

現状維持は全員一致なんでしょうけれども、利下げ提案でも出たらまあビックリして相場は反応するんでしょう(利上げ提案が出る可能性は0%なので気にする必要なし)が、それはまあ提案するひと的に先行きの見通しを相当下げてくる時になるんでしょうね。

ちなみに3月の金融政策決定会合(福井総裁最後の決定会合)の時点で利下げの可能性に関して言及があったんですよね。まあこのときは基本シナリオが利上げありき状態だったので、新体制に向けてその「金利水準の調整」路線を修正するためにこのお題が出たのではないかと思料される部分はございますが。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisaku08-01.html#seisaku080415

まあ後日の議事要旨も興味深い所です。


ところでですな、話が少々飛ぶんですけど、政府も日銀も景気判断を下げてきましたとなると買いで反応したくなりますし、まあ金融政策の方向性としては引き締め方向は無いってえ事になるのは仰るとおりなのでありますが、政府の場合になりますと、従来「そうは言いましても景気は回復途上で先行きは回復です」と言ってたのを引っ込めるということは、「景気が悪化傾向なので経済対策を打ちましょう」と言えるようになる訳ですよね(景気が回復傾向なのに経済対策を打つのは自己矛盾ですから)。

まあ足元の経済指標もボロボロですし、経済状況に関して別に良い話が出てくる気配も無い昨今ではございますが、これから色々な対策が出るので底打ちですよとか意識すると別にマクロの数字が悪い状態でも相場が走ることだってあると思うんですけどねえ。と妄想が入ってますけど言ってみるテストなのでありました。ほら、財務省様から15年変動国債減額→1年TBと2年中期国債増額のフラグも立ってますし(^^)。

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2008/08/12

○その理由は判らないこともないですがやはりどうかと思います

こんなインタビューがあったのね。
http://money.jp.msn.com/newsarticle.aspx?ac=JAPAN-331565&cc=03&nt=00

『[東京 8日 ロイター] 財務省理財局の貝塚正彰国債企画課長は8日、ロイターとのインタビューに応じて、15年変動利付国債の発行減額について、発行残高をこれ以上増やさないという強いメッセージを出したことが重要との認識を示した。』

ということで、15年変国を減額して2年とTBを増やした件についてこのように説明しています。(以下上記URL記事より引用)

──1年物TBと2年債を増額する一方、超長期債の増額を見送ったが。 

「国債市場特別参加者会合や国債投資家懇談会で、1年物TBと2年債と合わせて、超長期債の増発議論があったことは承知している。しかし、単年度のことだけを考えているわけではない。今年3月のベアー・スターンズショックの時に、ポジションのアンワインドで大きく売られたのは超長期債だ。超長期債市場を育成していく考えはあるが、レベル感と需要の関係、投資家の投資戦略などをもう少し知りたい。年限が長いだけに短絡的に決められない。超長期債の増発議論をもう少し深める必要があると判断した」 

・・・・・まあ言いたいことは判らんでも無いですが、突っ込みどころの多い発言なので失礼を承知で敢えてグチグチ突っ込みますか。


・『国債市場特別参加者会合や国債投資家懇談会で、1年物TBと2年債と合わせて、超長期債の増発議論があったことは承知している。しかし、単年度のことだけを考えているわけではない。』

えーっと、単年度のことだけを考えているのではなくて2年増発したということでしょうか。あのその中短期って先行きの金融政策に関する思惑で一番振らされるゾーンであり、イールドカーブの手前でありまして、そのイールドカーブの手前の需給を今安定しているからと言って増発というのは何のこっちゃ感が拭えませんがな。

そもそもPD懇の意見なんぞ毎度毎度その時の市場環境で言ってることコロコロ変わる(ぶれない真っ当な参加者も一部いるようです、為念)というのはここ数年の動き見てりゃ普通気が付きませんかなとか言うと話が台無しにも程がありますかそうですか。



・『今年3月のベアー・スターンズショックの時に、ポジションのアンワインドで大きく売られたのは超長期債だ。』

ということで超長期債の金利がドカンと上昇するのは宜しくないというのは判ります。いわゆる運用部ショックといわれるものに対するトラウマが今でもあるんでしょうかねえというのは10年以上選手だとその気持ちよく判ります。

でもね、ポジションのアンワインドってそもそもは海外投資家主体で、そのうち国内のアービトラージャーなども巻き込まれたんですけど、海外IRして国債販売しようってやっておりまして、国内投資家よりも一般的に足が速い海外投資家(所詮はマザーマーケットじゃないですから)に国債を売ろうとしてるんですから、まあそういう事はある程度(まあこの前の動きは尋常じゃなかったですけどね^^)織り込んでくれませんと困りますなあ。

と申しますかね、「単年度のことだけを考えているわけではない」って言ってますけどその話って正に単年度の話のような気がしますが。

逆に現在の市場環境を勘案して取りあえず増発しやすい年限を増発しましたが、来年度は来年度で改めて検討するっていうのならまだ判るんですけれども(それでもタイムラグが半年あるので、その間の市場環境の変化によっては神展開になってしまいますが^^)。


・『超長期債市場を育成していく考えはあるが、レベル感と需要の関係、投資家の投資戦略などをもう少し知りたい。年限が長いだけに短絡的に決められない。超長期債の増発議論をもう少し深める必要があると判断した』

よく判らんのですが、投資家懇談会では超長期ゾーン増発余地ありって話になってませんでしたっけ。というか中短期はホイホイ増発できるけど超長期はそう簡単に増発できないっていうのは、短期金利がど安定している時ならその通りなんですけれども、先程も申し上げましたように、金融政策が動きますって状態になった時には必ずしもその通りではないと思うのですが(去年の前半におけるPD懇の年限別需給論議あたりを見ると吉ではないかと存じますが)。

ということで、あたくし的には微妙に何だかな感の漂う今般の措置でございました。

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2008/08/11

○本当に2年振替で来やがりました

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p200808.htm

先般のPD懇(国債市場特別参加者会合)と投資家懇で議題になっておりました15年変動利付国債の減額ですが、先週末に財務省から正式にアナウンスされました。別紙のPDFに表とかございますが、要するに今年の15年変国の入札を2回スキップ(6000億2回)して、その分を2年中国と1年TBを1000億円6回増額ということで、今年の10月から2年と1年の増発を行うそうな。

まー確かにPD懇では超長期増発の意見言ったのが1社を除いて殆どいなかったという話を仄聞するのですけれども、投資家懇では議事要旨見るとどう見ても超長期増発という話が多かったですし、中長期的視点で考えますと、30年国債の市場を育成とか、40年国債の発行とか始まった所ですから、当然ながら超長期ゾーンの増発(20年か30年かはともかく)をして足りない分はTB増発とか(法律上の位置づけでそれは難しそうですが)FBで繰り回せば良いじゃん(来年度の発行計画で再検討)とかすりゃいいじゃんとか思うのですが。というか第2非価格入札とかで前倒し発行が出来てる分あるんじゃねえのとも思うんですけど。

ということで、まあ2年増発とはこりゃまた超目先的視点になっておりまして、ポジショントーク満開(超長期増発を提唱した一部のメンバーを除く)のPD懇大勝利状態となった今回の措置ですが、ついこのまえ15年変動利付国債を増発しろ増発しろとPD懇が言ってホイホイ増発した反省が生かされているのでしょうかという感じでありまする。

2年って確かに今は安定してますし、需給もタイトですけれども、利上げがどうのこうのというような観測が強まってくれば、このゾーン一番ヘロヘロになるのでありまして、そもそも論として今後過去増発した中長期国債の償還が短くなってくる中で2年を増発ってのはどうなのかねえと思います。2年のところを需給不安定にしちゃいますと、イールドカーブの起点に近いところが不安定になりますよって事にもなりまして、債券市場的にはよろしくないと思うのですが。カーブのケツが振り回されるのも困りますけど、手前がぶれるのはちょっとねえという感じです。


とまあそういう辺りが真面目(?)なあたくしの愚意見なのですけれども、やはり市場の片隅できゃあきゃあ言いながらポジションを抱えるあたくしとして気になるのはこの措置が相場に対してどうなのかという所でございます。で、目先(今週とか今月とか)の相場的には足元の経済指標は悪いものだらけでトリシェも白旗という事で、利上げとはナンジャソリャ状態なので2年債が明日増発されても別に無問題なのでありますが・・・・・

だいたい世の中(というか相場)というのは上手く出来てるもんで、こーゆー事をやる際の判断が超足元の状況に引っ張られると碌な事がないというのが定説のようなもの(超足元の需給が良好だからと言ってホイホイ増発して相場が大崩壊した15年変動利付国債が良い例ですがな)であります。

・・・・そう考えますと、下期のどこかで利上げ観測復活という神展開が発生してPD懇で「2年債を減額して欲しい」の大合唱になり、投資家懇では(口には出さないでしょうが)「ほら言わんこっちゃない」となるようなビューテホー展開が現出すると実に香ばしいというか爆笑の発作が止まらなくなりますので、是非そのような神展開をお願いしたいものであります(不謹慎)。

相場って先を読むのですから、米国が新政権になって不良債権問題抜本処理とか、日本でも大型経済対策とか、別に全く無理筋の展開ではないと思うのですが、まあナローパスはナローパス(^^)。

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2008/08/08

○15年変動利付国債の災難

先般の市場懇(特別参加者会合)に続いて火曜日に投資家懇談会が実施されておりまして、議事要旨はこちら。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b200805.htm

今回のお題は15年変動利付国債をどうしましょというお話なのは市場懇と同じなのですけれども、投資家懇談会はメンバーが少なめなので意見もちょっと詳しくなります(最近は市場懇も全員が全員発言するわけでも無いみたいで一つ一つの発言内容が詳しくなっていますけどね)。

まあ現状の問題は需給が極端に悪いことと、流動性がまるっきりないことでして、需給が悪化しすぎてレラティブバリューで買い向かうこともできないような状態になれば流動性は無くなりますんで、この2つの問題はコインの裏表みたいな話ですわな。

『15年変動債については、現在の不振は需給の問題と考えており、需給を改善するためには発行額をネットでゼロ又はマイナスとすることはやむを得ないのではないか。』

『15年変動債は、流動性が非常に低下していることから、ほとんど投資対象にはならない状況だというのがマーケットの一般的な考え方ではないか。リスク許容度の高い投資家であれば長期的な投資対象として保有できるが、今の金融業界の状況では少々難しいのではないか。したがって、粛々と需給を改善するために、ネット発行額をマイナス又はゼロにすることを検討すべきではないか。』

『15年変動債は、流動性が非常に低下していることから、ほとんど投資対象にはならない状況だというのがマーケットの一般的な考え方ではないか。』

というような状態。でも方向性として(先日もご紹介しましたが)商品そのものを無しにするという話ではないので、そうなりますと新規発行そのものはある程度継続的に行うべきものだと思われます。というか新発が極端に減ったら流動性が益々無くなります罠。

『15年変動債の理論値との乖離は、需給の問題が大きく、ネット発行額をゼロとするのがよいのではないか。方法としては、新規発行額の額と買入消却の増額があるが、例えば新規発行額を6,000億円減額し、買入消却を6,000億円増額するというように、半々で対応することが考えられる。新規発行額の減額のみで対応すると、流動性の問題等も出てくるかもしれない。』

まあそういうことですわな。


○商品を残す前提にするのかどうかですよね

とは言いましても、需給が悪くて激安の殿堂状態になっているということは、投資家としてはウマーな商品でもあるわけで、こんな意見も。

『15年変動債の市場性は確保してほしいというのが基本スタンスである。低αで投資魅力のある新規発行となっており、現在の発行量を変えずにそのまま継続してもよいのではないか。ただし、市場環境を見る限り非常に厳しい環境にあるということは事実であり、ネット発行額の減額は止むを得ない。』

『一般論からすれば、ネット発行額を減額する方向でよい。かなりの評価損が出ている状況ではあろうが、例えば48回債がα=20となっている等、魅力がある商品ではある。』

でも状況として実勢価格が延々と理論価格を下回ってましてもうお話になりませんなというのが現状ではございます。それでも商品としては残って欲しいというのは既に保有しているからというのもあるでしょうけれども、投資家懇の方が商品性の確保に関してトーンが強い感じを受けました。例えばこんな意見。

『投資家サイドとしては、15年変動債のポートフォリオの中における位置付けというのは、物価連動債とともに、やはり将来の金利上昇に対するリスクヘッジとして、一つの大きな商品セクターであり、この市場が将来的に縮小してしまうことに対しては大変危機感を持っている。あくまでも15年変動債の市場の成長と流動性の確保という点が担保できるような形で、検討を進めていただきたい。その意味では、発行額は別にして、カレント物が出て、市場に新しい価格、流動性が供給されることは、意味がある。したがって、減額方向で検討するのであれば、今後の市場の振興策や発行も含めて、アナウンスメントをしていただきたい。』

『新規発行については、現状では下期で2回だが、その回数を減らしていくこともやむを得ないのではないか。しかし、年間で1兆円程度の市場流通規模は維持すべきである。この商品は、長い目で見れば金利の状況等では見直されることもあるので、長い目で見てこの商品を育てていただきたい。』


○減額分の振り替えはやっぱ超長期ゾーンですよねえ

投資家懇でも新発減額分の振り替えについて意見が述べられてましたが、さすがに投資家懇の方が冷静でして、市場懇で超少数派のようだった超長期ゾーンへの振り替えが多い感じでした。緊急避難でTBというならともかく2年増やせのオンパレードにはさすがにポジショントークにも程があるということで、もしかしたら市場懇の議事要旨見て投資家懇メンバーが危機感持ったのかもしれませんね(^^)。

『15年変動債の新規発行額減額の振替先としては、当社の負債サイドのデュレーションが毎年短期化していくことで長期化入替のニーズがあることや、また、超長期ゾーンは比較的安定的であり、20年債・30年債に増額ニーズがあるので、超長期債の発行で対応していただきたい。』

『新規発行額を減額した後の振替先については、20年債や30年債といった超長期ゾーンに増額余地が十分あるのではないか。特に今年度に入って、マーケット全体の流動性が低下している中で、20年債や30年債の入札は比較的順調である。生保等ではALMの観点からも潜在的な需要があり、20年債や30年債の絶対金利を注視していることから、金利の水準次第で需要が変動し得るが、他の年限に比べれば発行の増額余地があるのではないか。あえて言えば、30年債の方が発行額・発行回数ともに20年債に比べかなり少なく、流動性の面で劣っており、30年債の増発を検討してはどうか。』

まあ超長期増やしてねっていうのもポジショントークっちゃあそれまでですけれどもね(^^)。2年を増やせばという意見もございました。

『新規発行額減額の振替先については、20年債等の需要はあると考えている。全部20年債や30年債で賄えるのであればよいが、ボリュームとの兼ね合いがあるため、比較的需要がしっかりしているTBや2年債も合わせて対応してはどうか。』


○しらっと書かれている意見に茶を噴いたあたくし(^^)

という議論を読んでいたのですが、途中であたくし盛大に茶を噴いてしまった部分があるんですよ。いやはやなんと申しますか・・・・・

『15年変動債は、金融庁の検査項目の中で仕組み債の一環ということになっており、非常に厳しく見られている。この春に価格が大きく下落したときに購入しが、一旦ある程度リバウンドをした後、4月以降に再び崩れるという流れの中で、買い増しをした場合の理由について報告を求められることを考えると、なかなか買い増しがしづらい。』

『15年変動債が発行された当時や割安と言われている時期に購入した場合の合理的な説明を求められることから、ここまで乖離が拡大しそれが続くと、投資に対する一つの制約といかないまでも、気になる可能性がある。』

・・・・ま た 金 融 庁 で す か そ う で す か


○しかしまあ何ですけどね

まー何だかんだとありますが、15年変動利付国債に関しては目先のニーズ(その目先のニーズを当局様の「ご指導」が後押ししたとか、バーゼルUの市場実態を反映しないアウトライアー規制の標準的金利ショックのキメだったりしますが)で増やせ増やせ言う市場の意見というか要望をホイホイと受け入れ過ぎて(単なるプレーン物じゃなくてイールドカーブとかに影響与える/受ける仕組みのある商品だというのに)バカスカ発行を増やしたというツケがここへ来て回ってきているという認識は持って頂いてると存じますが、その辺に関してはよくよく肝に銘じて頂きたいものであります。

この前も申し上げましたが、市場の動向ガン無視もさすがにどうかと思いますけれども、基本的に月次だの四半期だので収益がどうしたこうしたとゴリゴリやられている市場参加者は、好むと好まざるに関わらず視点がどうしても短期的な方向になりやすくなる傾向にある訳でして、その意見を一から十まで全部受け入れていると長期的な発行計画もあったもんじゃないという状態になっちゃいますんで、今回の15年変動利付国債増発し過ぎて兵どもが夢のあと状態になったのを今後に生かして頂きたいと思いますです。はい。

ということで15年変動利付国債関連はこんな感じで。

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2008/08/06

○FOMCステートメント

今回の声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080805a.htm

前回の声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080625a.htm

今回と前回を比べると、先行きのリスクの話が上下共に強調というどこかで見たような展開になっておりまする。第2パラグラフを比較。

(今回)『Inflation has been high, spurred by the earlier increases in the prices of energy and some other commodities, and some indicators of inflation expectations have been elevated. The Committee expects inflation to moderate later this year and next year, but the inflation outlook remains highly uncertain.』

(前回)『The Committee expects inflation to moderate later this year and next year. However, in light of the continued increases in the prices of energy and some other commodities and the elevated state of some indicators of inflation expectations, uncertainty about the inflation outlook remains high.』

インフレ期待に関する指標が上昇している点について言及ですね。で、第3パラグラフ。

(今回)『Although downside risks to growth remain, the upside risks to inflation are also of significant concern to the Committee. The Committee will continue to monitor economic and financial developments and will act as needed to promote sustainable economic growth and price stability.』

(前回)『The substantial easing of monetary policy to date, combined with ongoing measures to foster market liquidity, should help to promote moderate growth over time. Although downside risks to growth remain, they appear to have diminished somewhat, and the upside risks to inflation and inflation expectations have increased. The Committee will continue to monitor economic and financial developments and will act as needed to promote sustainable economic growth and price stability.』

えーっと、前回は緩和的な金融政策がmoderate growth over timeに寄与するというような書き方があったのですが、今回はしらっとその部分がヌルーされておりますし、先行きの下振れリスクに関して徐々に何とかなるでしょうみたいな物言いも外れていますので下振れリスクを上げていますが、第2パラグラフの書き方およびこちらの書きっぷりはどう見てもインフレ警戒を上げておりますと。

・・・・・両方の警戒を上げた結果とりあえずどっちも動きませんよということですな(^^)。

で、今回もまたFisherさんが利上げ主張してますが、これはもう前回以前からもそういう芸風になっていますのでまあそんな所かと。NY株式が威勢よく上昇したのがFOMCの結果を受けてという講釈をテレビ番組様がやってましたが、そうなのかねえ。普通に考えてこうなると思うというか、利上げ警戒というのはワケワカラン(まあ日本と違ってベースの物価上昇率が全然違いますが)。

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2008/08/05

○テラカワイソス

国債市場特別参加者会合議事要旨
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c200801.htm

冒頭のお題は15年変動利付国債ですが・・・・・

『15年変動債については、2000年度より公募発行を開始し、その後2005年度まで発行額の引き上げを行ってきたが、発行残高の増加やイールドカーブのフラット化に伴う需給の変化に対応し、一昨年から発行額の調整を行ってきた。しかし、本年春以降、サブプライム問題の影響等を受け、需給の悪化が進む中で、発行当局として更なる需給の改善策が必要と考えている。』

『先般主要な市場参加者からヒアリングをしたところでは、これ以上15年変動債の残高を増やさないよう、今年度のネット発行額を、ゼロ又はマイナスにするよう見直すべきとの意見が数多く聞かれたところである。当局としても、市中発行の計画については、時々の市場状況に応じて必要な場合には柔軟に変更するべきものと考えており、こうした意見や本日の議論を受けて、早急に対応を検討したいと考えている。』

>今年度のネット発行額を、ゼロ又はマイナスにするよう見直すべきとの意見が数多く

・・・・テラカワイソスというか何と言うか。つい3年半前までの増やせ増やせ攻撃は何だったのでしょうとしか申し上げようが無いですけれども・・・・

まあ国債発行ってのは1年2年の話じゃなくて長期的な物になりますので、確かに市場の意見をガン無視というのもどうかと思いますが、必ずしもここの参加者全員がそうだという気は全く無いですし、長期的な視点での意見を言ってる参加者様が確実に居るのも議事要旨読んでいると判るのですけれども、おめーどーみても目先の話してるだろって意見もあるので、そのあたりの取捨選択は難しく、結局は財務省サイドも色々と見ていかないといけませんですねなどというのは先刻ご承知ですねすいません。

で、今回下期から減額という話になった場合の振り替えなのですが、何故か2年ゾーンの要望が多いのがテラ不思議でありまして、利上げ観測がどうのこうのとか言ってた昨年は2年の増発余地無しとかお前ら言ってやがりませんでしたっけとか思うんですが。いやまあ総発行額の中の割り振りの問題ではあるのですが、そうホイホイ発行額を増やしたり減らしたりしますと、新発の消化は良いとして、既発債になったときに変なデコボコがでませんですかいなとか思うんですけどね。ま、足もとではTBとか増発して来年改めて考えるというのが現実的なのでしょうけれども。

なお、15年変動国債の発行に関しては・・・・

『なお、15年変動債については、将来の金利状況の変化に対するヘッジ手段にもなるなど、商品の多様化の観点では重要な商品であると認識しており、今後の発行を打ち切るといったことは全く考えていないことを予め申し上げたい。』

ということで、とりあえず無くなるという事態は免れるようでございます。発行無くなったら益々流動性が無くなる(既に無いといえばそれまでですが)悪寒。

原則リオープンの話も面白かったのですが、まーこれに関しては話がひたすら平行線になるんでしょうなと思われます。正直言ってカレントが重視されやすくなってしまう現行の会計制度をどうにかしないと原則リオープン皆さん大賛成という方向には成りにくそうですよねとい所です。引用はまあ割愛。



○また期近債か!

日銀が保有する国債の銘柄別残高(7月末)
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0807.htm

えーっと、あたくしの手控えで計算させてるので念のためご確認頂いたほうが吉なのですが、一応多分大丈夫だと思うんですけど(ヘッジクローズ大杉^^)、先月もまあ豪快に期近債が打ち込まれたようでございまする。前月対比で一番増えてるのが10年205回(4791億円)で、それに続くのが5年30〜32回の各銘柄で、3銘柄あわせて5679億円なのですが、この4銘柄は9月償還の銘柄でございます。ということで3か月以内の債券が1兆円以上輪番に打ち込まれているという次第。

えーっと、輪番このままで良いんですかマジで・・・・・まあ元利払い手数料要因が剥落するまで様子を見るというのはあるとは思いますけど、それでもこの調子が続くような場合ってどうなのよという感じは致しますが。

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2008/07/16

お題「決定会合あれこれ」

結果自体はまあ予想通りでございまして、相場的には米国様次第なんですけどね。しかし地方の銀行コカして中小金融機関の取り付け騒ぎに破綻懸念絶賛大拡大ってのはこれまた既視感が。

○公表方法が色々変更に

決定会合の結果
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k080715.pdf

公表方法の変更に関して
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k080715b.pdf

ということで、まあ要するに四半期ごとに公表してた展望レポートのレビューを毎回公表しますので、金融経済月報の基本的見解ってのは公表が無くなり(そりゃまあそうなるでしょう)本文公表のみになるので月報は実質的に1日遅れになりますって話が市場でポジション張る人的には一番大きなところですが、まあ分析する人的には展望レポートの見通し期間延長と、見通し数値とリスクバランスチャートの四半期ごとリバイス(従来は半年毎)も面白いところであります。

で、初回だから仕方ない部分もありますが少々苦言なんですけど、今回は決定会合の結果公表時刻から日銀のサイトでのアップ時刻まで10分近くラグがあったんですよね。まあ今回に限らずここの所決定会合の結果公表時刻からサイトにアップされる時間のラグが少々長いのは気にしてたんですけれども、結果自体がまあどうでも良かったのでスルーしておったんですが・・・・・

今回以降は決定会合の公表文書に実質的には従来の金融経済月報基本的見解と同じ位置づけになるものが入る訳でありまして、場中に公表されることでもありますので正確な公表文書を読みたいのですな。然るに公表文書がサイトにアップされるのに10分とか掛かっちゃいますと、それこそどこかの情報ベンダーがフカシヘッドラインを打ち込んだ時にそれが飛ばしヘッドラインなのかちゃんとしたヘッドラインなのか確認できませんので困るんですよね。

いやまあ最終的には文書出すからちゃんと理解されるだろうとかいう理屈も判らんのではないのですが、最近で言えば(暫く前ですが)西村審議委員(当時)の会見だかなんだかの発言が思いっきり誤解されて市場が大動きとか、時と場合によってはトンデモないことになりますのでして、場中に公表される文書であることも鑑みまして、公表文書は極力早く(同時が理想ですが1、2分程度のラグが希望)日銀ホームページへのアップをお願いします。いやマジで。


○大勢見通しが潜在成長率を下回ると

で、こちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k080715.pdf

今年度実質GDP見通しが+1.5%から+1.2%に下がっていますが、日銀が従来言ってたのは潜在成長率が概ね1%台半ば辺りとかいう話だった筈ですので、今年度は「潜在成長率を下回る成長」になるというお話。09年度が+1.7%から+1.5%に下がっていまして、来年度になってようやく潜在成長率並みの成長に復帰しますよという見通しになっているのですな。こりゃまあ利上げどころの騒ぎ(をしている人はいませんが)じゃ有りませんね。

で、金融経済月報基本的見解に代わる部分ではこうなってますと。

・景気の先行き判断

『先行きは、当面減速が続くものの、その後次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』

でも来年度でやっと潜在成長率並みということは、「緩やかな成長経路」というよりは「景気の腰折れや悪化までの見通しには至らない」程度のお話じゃないですかという気が致しますがどうなんすかね。


○月報に相当する部分を拝読

比較するのは前月の金融経済月報基本的見解。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0806.htm

・現状判断

『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高を背景に、設備投資や個人消費の伸びが鈍化するなど、さらに減速している。』(7月)
『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、減速している。』(6月)

個別展開部分がなくなっていますので、今回は個別展開の中で判断を下げた部分が逆に判りやすくなってるという解釈で良いのでしょうか。まあ結局月報全文を読まないといかん気がしますが、ここを見ますと判断を下げたのは設備投資を個人消費ですね。


・先行き判断

『先行きは、当面減速が続くものの、その後次第に緩やかな成長経路に復していくと予想される。』(7月)
『景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される。』(6月)

目先が潜在成長率以下で来年度にようやく潜在成長率に届く位という見通しなので先行き判断も下がっていますわなという所です。「次第に」ってのが入ってるのと、「緩やかな成長経路をたどる」から「緩やかな成長経路に復していく」というのはどっちも判断下げておりますわなという所です。「この先で復す」ということは今は成長経路にはありませんというのを(1.2%見通しなんだから当然ですけれども)認めてるんでしょ。


・物価に関して

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品や食料品の価格上昇などから、足許+1%台半ばとなっている。先行きは、当面上昇率がやや高まった後、徐々に低下していくと予想される。』(7月)

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品や食料品の価格上昇などを背景に、+1%程度となっている。(途中割愛)消費者物価の前年比は、経済全体の需給が概ねバランスした状態で推移するもとで、石油製品や食料品の価格上昇などから、プラスを続けていくと予想される。』(6月)

要するに見通しは上げたんでしょうが、経済が成長経路をたどらない中での物価上昇なので先行きに関しては需要の減退によって物価上昇は収まるでしょうという見通しになっているようです、と理解して良いんですよね。


・この文章は何?

で、この部分の最後にはこんな一文が。

『このように、わが国経済は、物価安定の下で持続的な成長を続ける可能性が相対的に高い。』(7月)

相対的ってなんじゃらほいと思うのですが、(欧米と比較した相対感だと思いますが)これは4月の展望レポートの基本的見解と比較するのでしょうかねえ。よーわからん。

『先行き2007年度から2008年度を展望すると、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続けると予想される。成長率の水準は、2007年度、2008年度とも、潜在成長率を幾分上回る2%程度で推移する可能性が高い。』(4月展望レポート)

ちなみに、

『4月の「展望レポート」で示した見通しに比べると、2008 年度を中心に、成長率は幾分下振れる一方、物価は、国内企業物価・消費者物価(除く生鮮食品)とも上振れると予想される。』(7月)

というのは次のパラグラフに入ってましたんで・・・・


○リスク要因の点検

これはまあ予想通りですね。

『リスク要因をみると、国際金融資本市場は不安定な状態が続いている。また、米国経済など世界経済には下振れリスクがある。国内民間需要については、国際商品市況の高騰に伴う所得形成の弱まりから下振れるリスクがある。このように、景気の面では下振れリスクに注意する必要がある。』

海外、国内とも下ぶれリスク。交易条件の悪化と金融市場の混乱があいかわらず続いていることが要因と。

『物価面では、世界的にインフレ圧力が一段と高まっている。わが国の物価については、エネルギー・原材料価格の動向に加え、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動の変化など、上振れリスクに注意が必要である。』

総裁会見のヘッドラインを見ますと、国内におけるインフレ期待(懸念)の拡大を見るのは個人所得というか賃金動向の推移に注意する必要があるというような話になってました(ような気がする)のですが、そうなりますと交易条件の悪化やら企業収益の悪化やらという要因の有る中で賃金がどうにも上がりにくいという話が根底にあるので、さっきの物価見通しのように今の上昇は持続的な上昇に繋がるのはちょっとねえって話になるんでしょうね。

『この間、景気の下振れリスクが薄れる場合には、緩和的な金融環境の長期化が経済・物価の振幅をもたらすリスクが高まると考えられる。』

・・・・・いやまあそれは目先厳しいでしょ。


とまあそんな感じでございます。ところで本石町日記さんの最新エントリーに巨大な釣り針がある(『手がけた金融政策を勝ち負け論(引き締めが勝ち、緩和が負け)で見ると』って所)のですが・・・・釣られないようにしよ。

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2008/07/15

○日曜の夕方攻撃リターンズ

昨日の朝方に財務長官声明とFRBの声明が出やがったのですが、日曜の夕方攻撃と言えばベアスターンズ救済の時状態ですかそうですかという事で。月曜にFNMAのFHLMCの短期債入札があったのですから、まあその前に強力火消しをしないといけませんなあという所だった訳ですが。

財務省のページ
http://www.ustreas.gov/
財務長官の声明
http://www.ustreas.gov/press/releases/hp1079.htm


FEDの声明
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/other/20080713a.htm

んでまあ財務長官声明なんですけどね、

『First, as a liquidity backstop, the plan includes a temporary increase in the line of credit the GSEs have with Treasury. Treasury would determine the terms and conditions for accessing the line of credit and the amount to be drawn.』

『Second, to ensure the GSEs have access to sufficient capital to continue to serve their mission, the plan includes temporary authority for Treasury to purchase equity in either of the two GSEs if needed.』

ということで2番目で財務省がFNMAとかFHLMCの株式を購入して資本不足を解消させるという可能性について言及しているのは、まあ国有化へのステップというか何と言うか。まあここの部分を字面どおりに読みますと、たぶん日本で言えば「特別公的管理」スキームじゃなくて資本ドカドカ注入スキーム(なので破たん扱いではない)って感じがイメージされる話ですが、資本不足の度合いにもよっては既存株式大希薄化して実質国有化みたいなスキームになる可能性もあるんでしょうか。債券投資的にはそのへん正直どうでも良くてちゃんと元利金帰ってくれば良いのですけれども、株式投資的にはどの位の資本不足かという読み筋が重要になりますな。

『Use of either the line of credit or the equity investment would carry terms and conditions necessary to protect the taxpayer.』

政治的にこう言わざるを得ないのは判りますが、最後の所で納税者保護とか言ってるところが腰がいい感じで引けてやがるなあという気がしたのですが、実際問題としては公的管理も辞さずまで腹が据わっているのかどうかですよね。逐一この流れみてるわけでもないので何とも言えませんけれども。日本の場合は最後はその辺(納税者負担)を微妙にスルーして進めちゃいましたけどね(^^)。

『Third, to protect the financial system from systemic risk going forward, the plan strengthens the GSE regulatory reform legislation currently moving through Congress by giving the Federal Reserve a consultative role in the new GSE regulator's process for setting capital requirements and other prudential standards.』

GSEの規制強化をしますってのはまあそりゃそうでしょ。

『I look forward to working closely with the Congressional leaders to enact this legislation as soon as possible, as one complete package.』

まあ最後の部分は時候の挨拶みたいなもんで、とっとと成立するように頑張りましょって
話ですが、まあそりゃとっとと成立するでしょ夏休み前に。




FEDの声明も一応引用(引用だけ)。

『The Board of Governors of the Federal Reserve System announced Sunday that it has granted the Federal Reserve Bank of New York the authority to lend to Fannie Mae and Freddie Mac should such lending prove necessary. Any lending would be at the primary credit rate and collateralized by U.S. government and federal agency securities.』

『This authorization is intended to supplement the Treasury's existing lending authority and to help ensure the ability of Fannie Mae and Freddie Mac to promote the availability of home mortgage credit during a period of stress in financial markets.』

FNMAとかFHLMCの発行する債券は適格になるんでしょうかとふと思ったのですが、まあそういう話はあまり詳しくないあたくしが突っ込んでも誤解するだけなのでこのあたりの担保政策に関しては真面目に勉強したいと思うのであります。

しかしまあ担保政策が重要な世界になって参りましたが、これこそ日銀が得意とする世界(まあ成熟経済の国ではあんまりそういうノウハウが活用されない方が良いような気もするが)でありますね。うーむ。



○ほほうペイオフ

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-32731620080714
焦点:米インディマックが業務停止、さらなる米銀破たんの公算=アナリスト

『FDICのベアー総裁は13日、「すべての金融機関預金者は、自身の付保預金が安全であることを理解するべきだ。あなた方が預金している金融機関がFDICの管理下に置かれる可能性は極めて小さい。仮にそうなったとしても、自身の付保預金へのアクセスが事実上中断されることはない」と語った。さらに「いずれの預金者も付保預金のわずかたりとも失ったことはない。この国の圧倒的多数の金融機関は安全かつ健全だ」と強調した。』

まあこっちも話題になってましたが、要するに付保されていない部分に関してはカット必至ということですね、わかります。ペイオフですかそうですか。

・・・・まあこっちのネタで米国で中小金融機関株式が売られたというのは違和感が全然ございません。これもまあどこかで見た光景(日本はペイオフしませんでしたけど)ですな。


○脊髄反射的「調査」は勘弁して欲しいのですが

あたくしの耳ベースの話なので勘違いでしたら誠に申し訳ありません。と最初に謝っておいてから少々悪態をば(^^)。

今日の日経新聞に載っているようなのですが(まだネット版には反映されておらず、モーサテのお話ベース)、今回の騒動を受けて金融庁様におかれましては「おまえらのFNMAとかFHLMCの債券保有状況をとっとと報告しやがれ」という「緊急調査」をするそうですね。

・・・・・えーっとあのですね、債券に関しましては米国当局様が少なくとも短期的にはどうにかするという姿勢を出したのですし、それ以前の問題と致しまして3月末の決算財務諸表をご提出したばっかだと思いますが。

現場労務者的に申し上げさせていただきますと、その手の「緊急ご報告」資料作成で手を取られることによって肝心の情勢推移ウォッチに掛けられる労力が落ちる(よほどの巨大組織でもない限り結局そういうものは現場に何らかの作業が降って来る)んでありまして、管理する人たちのお立場的に「俺はちゃんと管理してるんだぜ凄いだろ」ってアピールしたいのは判りますが、あんたらの自己満足的「管理」によって肝心の現場の労力を削ぐのは本末転倒にも程が有るというものでございまして、勘弁していただきたいものだと思います。

大体からしてBIS関連とかで金融機関は6月末のリスク資産とかも報告するんですから、このタイミングでそんな脊髄反射のような「緊急調査」というのはちと何とかならんのかと思いますがねえ。何のための四半期決算なんだよという気がするんですよね。長官様も今回の施策について評価してるんですし・・・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/reuters/20080714/165333/

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2008/07/14

○これはまたありがちなネタが

金曜の市場ですけれども、後場になって急に債券先物は下がるわ株価指数先物は上がるわの巻で、何のこっちゃと思えば「ニューヨークタイムズ紙でファニーメイとフレディーマックが国有化される方向」っていうようなお話で、まあ記事の方もNYTの電子版に掲載されてました。

で、10年で5甘とかまで叩かれたのですけれども、冷静に考えると別に米国政府様が何か言った訳ではない話ですし、記事の中でも「これは結局納税者負担ですが」みたいな部分もあり、やや柔らかい話じゃんということからその後は戻って10年2甘程度までさっくりと回復の巻(引けも2甘)。

ま、米債はきちんと反応してたようで(というか金曜の相場って要するに米債が最初に反応したのではないかと思われますが)東京の18時半ごろのデータを見ますと米国10年が前日引け比で5毛甘、2年が8甘となってましたんで、これはまあそんなところかなあという感じです。

で、週末にかけて両社の救済策に関する報道が色々と出ているようですが、財務長官が国有化否定したり、一方で税金投入不可避の報道が出てみたりと、もう思いっきり日本の騒動の再来みたいになってまして誠に香ばしいものを感じる今日この頃でございます。日本は世界から散々っぱらから馬鹿にされてましたけど、まあおまいらも変わらないですなあという所ですわな。


当初はサブプライム商品買った所がエライコッチャみたいな話になってましたが、住宅金融証券化商品の保証をしているところがエライコッチャという話になりますと、かつてのメイン寄せみたいな感じになって問題が集約されて来るので、そこを何とかすればよいみたいな話になってそれはそれで問題解決には便利なのかも知れませんねえとかのんびりした事を思うのですけど、ど〜なんでしょうかね。

まあいずれにせよ政策的に何かの手当てをして機能自体は残さないとどうにもならんでしょうからどうにかするんでしょうとは思いますけど、展開が日本と似たところもあり、違う所もありということでほうほうなるほどという感じですな。証券化商品がメイン寄せ現象みたいになってきたのは面白いですねえとか思うんですけど、勘違いしてるかな>あたくし

ちょっと所ではなく気になっているのは、何か一連の動きの中でバーナンキ議長の発言の注目度が上がっているような気がすることでして、まあベアスターンズの時に実質特融みたいなの打ち込んだから仕方無いのかも知れませんが、住宅金融2社問題でも何かアクションさせられるとかなり出すとそれはどうなのよという感も。一応財政が動くのが本来の筋(いやまあ達観しちゃえば最終的にどっちでも同じなんですけれども・・・・)なんで、金融政策当局にプルーデンス大活躍を求める流れはちょっとどうなのかなって気がしますです、はい。


○CPのレートが中々下がらない件について

金曜はスポットが15日でCPの発行がそこそこ。で、その発行レートですが、レギュラー16日スタートのGCレートとかはお約束のように低下してるというのにこっちのレートは横ばいから若干の上昇気配。

中々下がらないのはだいたい需給問題であることは(というかCPの場合基本的に需給が殆どですが)間違いないのですけれども、ここもとちょっと発行が増えてる感じでありまして、資金調達の多様化を図っている動きなのか、それとも資金の効率化によって両建てが圧縮された分だけCPなどでの超短期的な資金に対するニーズが高まったのかという所なのかと思いますが、まあ一頃需給がやたらと良くて何でもかんでもFBにレート接近してたことを思うと正常化してますねって感じではないかと思います。

CPの発行が増えているのが企業の前向き資金需要が旺盛になっているせいとは到底思えない状況でございますので、まあ単に超短期資金の出入りをCPによって補うという動きが出て来たんですかねとか思うのですけれども、手元流動性が何気に圧迫されているんだったら、それは少々やーな感じではございますわな。どうなんでしょ。


○さて決定会合ですが

展望レポートの中間評価で物価を上げて景気を下げるのはもうどう考えても決定的だと思われますが、あたくし的には金融経済月報の判断どうするのかなあというのも気になります。まあどうせ『わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、減速している。』『景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される。』(6月の金融経済月報より)となるのでしょうけれども、今月は何か先行き見通しでもう一つくらいヘッジクローズ入らないかなあとワクワクテカテカして待っております(^^)。

また、リスク要因に関しては亀崎審議委員の先般の講演および記者会見にありましたように、徐々に物価の上向きと景気の下向きのリスクが拡大しているという認識のようですので、この部分をどう表現するのかも注目しております次第。まあ昨今の宣伝活動によりまして(^^)、物価の見通しを上げたので日銀は利上げに積極的とか思われる事も市場的には無くなりました(何でも日銀が悪いという事にしたい一連の方々に置かれましては相変わらず物価見通しの上げは日銀利上げの地均しに見えるのかも知れませんけど)ので、安心して(?)物価見通しを上方修正することになるんでしょうな。

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2008/07/11

○まあどこかで見た光景ですな(米国の金融問題)

ここもとの米国金融不安ネタですけど、ここのところの展開って「どっかから信用不安の見方が出る」→「当事者や当局から火消し発言が出る」の連続になっておりまして、もう何だか日本の時と同じ話。ちったあマシなのは資本増強の話が海外から実弾で打ち込まれるという所なのかもしれませんが、制度をいじって(というかいじらないで)資本は潤沢で増資の必要ありませんって火消しは筋の悪い火消しだと思われますなあ。

日本だって繰延税金資産みたいに制度いじって何か変な資本増強したりしてましたが、実弾を伴わない資本増強は所詮数字だけの話(持ち合い型の資本増強というオソロシスなものもありましたが)でございましょうと思うのですけど、米国必死だなという感じです。まあ日本の時に散々っぱら酷い目にあって、ガイジン様やり放題代にこちとら日々実に嫌な思いをしてたのでどうにもこうにも米国プギャーという気持ちが沸き起こるのが人徳の至らざる所であります。

まあ制度を厳格化したりしなかったりすると資本が足りたり足りなかったりというような議論は意味ねえ筈ですが、それにまた一喜一憂というのは実に微笑ましいものであります。パターンが日本と同じにも程があります(^^)。

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2008/07/10

○肝心な論点が抜けてるような

昨日ご紹介したBISのレポート(の要約の日本語訳)ネタですが。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/bis0807a.htm
の3番目。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/data/bis0807a3.pdf
「証券化格付:何が問題だったのか、そしてどのような対処が可能か?」

序論にこんな話が。

『これらの動きは、投資家のリスク管理が格付に過度に依存していることや、その他のリスク管理上の問題も浮かび上がらせた。最近の市場の混乱から得られる教訓の一つは、投資家がリスク管理やストレス・テストの体制を見直し、証券化商品と伝統的な企業債券のリスク特性上の重要な違いをより適切に反映させる必要がある、ということである。さらに、投資やリスク管理のプロセス、また規制において、格付が重要な役割を果たしている中にあって、今回の混乱は、格付機関による複雑な金融商品のリスク評価の有効性にも疑問を呈した形となった。』

>投資家のリスク管理が格付に過度に依存していること

なんつーかね、それはそうなんですけれども、バーゼルUで格付け別リスクウェイトがどうのこうのとかいう制度を作ったおまいらがどの口でそれを言うかという気は物凄くするのですが。

そもそも論をすると、この手の規制当局の規制ってのはどうやっても完璧なものは出来ないってのはあるのですけれども、仮置きする前提があまりにも脳内お花畑になっていると、制度の隙間をついた「とてもお得な商品」が発生してプライシングがおかしくなる事を助長するのでありますわな。日本で言えば「アウトトライヤー規制に全然引っ掛からない魔法の商品」として15年変動利付国債が持て囃された時代が有った訳ですが、無駄にニーズを集めすぎて(集まったのには他の要因も有りましたが)後で悲惨なことになったのは記憶に新しい所。

この事案の場合、アウトライヤー規制における標準的な金利ショックを「全ゾーンのイールドが100bp上昇した場合」という現実問題として有り得ない設定をしていたことによって15年変動利付国債がバーゼルUのアウトライヤー規制上ではノーリスク商品になってしまったというお話ですけれども、証券化商品に関連するもんだって格付けによるリスク管理という話をガシガシやっちゃったから「高格付けでも高利回り」という商品(CPODの話を最初に聞いた時にはなんじゃそりゃと思いましたよあたくしも>害債さま)が横行するインセンティブが生じた訳で。

#話は違うが「中小企業向け貸付のリスクウェイトが分散効いているので低くなる」というバーゼルUの理屈もワケワカラン

まとめではこうなってるんですけどね。

『これらのインプットを踏まえ、このレポートは4つの教訓を提示している。すなわち、@信用格付情報は投資家のデュー・デリジェンスの代替ではなく、それをサポートすべきものであること、A格付機関は証券化格付の前提となる情報の提供を充実させるべきこと、B証券化格付の主要なリスク要因についてはより多くの情報が必要なこと、C格付機関はシステム全体に関わるリスクを考慮すべきこと、である。これらの教訓を踏まえ、問題への対応と証券化商品の格付に対する投資家の信頼向上に向けて、いくつかの具体的な提言を行っている。』

規制当局の行動につきましてもご考察を頂けると幸いです(って実は中でそういう話があるのかもしれませんで、ちゃんと考察してるのでしたら悪態ついてゴメンナサイですが)。

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2008/07/09

お題「オペレーションに関連するお話を少々」

米国市場は毎日大変ですなあ(棒読み)。

○BISのレポートですがどう見ても本邦経験済みです

こんなのがありましてですな。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/bis0807a.htm
BISグローバル金融システム委員会(CGFS)報告書の公表について

報告書の要旨を日銀が仮訳してたんで取りあえず斜め読みしとった訳ですが、2本目の「Central bank operations in response to the market turmoil(市場の混乱に対する中央銀行のオペレーション)」って奴でも(PDF3ページ)。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/data/bis0807a2.pdf

『米国のサブプライム・モーゲージ市場の危機によって引き起こされた2007 年のクレジット市場の混乱は、金融機関のバランスシートに圧力を与え、資金の調達制約やカウンターパーティリスクを強く認識させる事態を引き起こした。これはかなりの期間にわたり短期金融市場に不確実性をもたらしたほか、主な通貨のタームもののスプレッドを拡大させることとなった。』

最初の部分を日本の金融混乱に置き換えても全く同じ話でございまして(^^)、この期に及んで何を研究しとるんじゃと今更感も致しますが、まあやらないよりは良いことです。で、どういう問題が生じるかという部分はスルーして結論部分を。

『報告書は今次経験から引き出される結論と並び、以下の7 つの提言を纏めた。』

ということで提言があるのですが、色々と雑感が湧き上がって参りましたのでその辺をダラダラと(汗)。

『1. 金融市場におけるストレスが強まる際には、中央銀行準備に対する需要が不規則に変動する、または、中央銀行による異例の資金供給が行われる結果、政策ターゲット金利の制御が難しくなる。金融調節の枠組みはこうした事態に対応できなければならない。』

日本の場合は最後にはゼロ金利政策だの量的緩和政策だのを打ち込んでしまいましたので金利ターゲットの制御そのものは関係なかったんですが、どちらかというと問題は次の2.に相当する部分になるのかとは思います。

『2. インターバンク市場の機能が低下する際には、中央銀行準備がそれを必要とする市場参加者に十分行き渡らず、市場の緊張が一段と高まることがある。こうした状況の下で準備を市場のすみずみまで行き渡らせるためには、オペの対象先を広くし、多様な資産をオペの担保として活用できなければならない。』

日本の場合は「いわゆるCDオペ」の実施などもございましたが、要は担保政策をどうするのかという部分が非常に重要ですよねというお話。オペの期間ってのも重要だと思いますけど。ま、何と言いましても共通担保オペ最強ということでございます。

『3. 金融市場の大きな混乱が生じ、流動性が枯渇した場合には、金融政策の効果的な伝播と金融システムの安定性が阻害される可能性。そうした状況の下で中央銀行は、単なる準備需要の増減、または、準備の偏在への対応を超えた金融仲介に乗り出す用意が必要。』

1.+2.みたいな話ですか。

『4. グローバルな流動性融通機能が低下する可能性を踏まえ、中央銀行は対応を準備しておく必要。国際的に活動する金融機関の外貨調達が困難になる場合には、中央銀行間のスワップ取極を利用して母国中央銀行が外貨を調達することで、当該金融機関に外貨を供給することができる。海外にある資産を担保として中央銀行が自国通貨を貸し出すことも選択肢。』

ということですが、所謂ジャパンプレミアムがどうしたという時には他の主要国の中央銀行様は協力してくれてましたっけとか思うと、ちょっと釈然としないところはあるんですけどね。日本だけ海外からふんだくられっぱなしじゃねえのかと。

ま、それは兎も角、外貨資金繰りがキモになるのは仰せの通りで、まあ海外が儲からない(儲けられない?)とかいうのもありましたが、海外から絶賛大撤退の巻になったのはファンディング大変でそれどころではないというのもあったでしょう。資金繰りは大事だよと。

『5. 金融市場のストレスが高まった状況の下では、中央銀行の行動に対する誤解は重大な結果をもたらす可能性。これを踏まえ、中央銀行にとっては一段と丁寧な市場・プレスとの対話が必要。』

日本の場合は(確かにまあ過去の実績が悪影響を与えている面が多分にありますが)日銀と言えば何でもかんでも金融引き締めをしたがるという前提の元で理解が行われて報道されるとか、日銀への批判論調が組み立てられるというのが困ったもんでございます。市場関係者の筈なのに「日銀のオペレーションがヘタクソだから中国株が暴落した」と無茶な論理を言い出す人とかもいる位ですから(って覚えてますか?)オソロシス。

『6. 金融市場のストレスが高まる際には、中央銀行の貸出ファシリティの利用に伴う悪評により、そうしたファシリティの有効性が低下する可能性。中央銀行は、悪評を緩和するため、関係者による制度の理解を高めるよう努力すると同時に、ファシリティのデザイン上工夫の余地がないか検討すべき。』

これね、日本でも金融機関の中にお危ない所があるだの何だのと言われている時には期末のロンバート利用を避けて高いファンディングをしてたと思われる動きがあった筈(だいぶ記憶が怪しいですが、あたくしの過去のログをたどると見つかると思います^^)です。ロンバート使うと日銀からの借り入れ扱いになっちゃってバランスシートに出てくるのを避けるために市場調達するの巻って話でございますな。

ということで、まあ期末みたいなバランスシートどうのこうのというタイミングでも貸出ファシリティが円滑に機能するかどうかってのも重要な論点になろうかと思います。現在の日本だと期末にロンバート使うこと自体は屁でもなさそうですが、それは金融機関経営に対する問題が市場のネタになっていない(のでインターバンクでの信用収縮は観察されない)という面も寄与してる可能性もありまして。工夫という面では貸出ファシリティと通常のオペレーションを勘定科目上同じになるようにする(とバランスに出てきてもどっちなのか判らないですから^^)というのはどうなんでしょ、と書いてて良く考えたら各国の貸出ファシリティって勘定科目上の処理どうなるのでしょという話を調べていないことに気が付くトンマなあたくし。

えーっと、今は共通担保オペレーションもロンバートも勘定科目上は一緒の扱いになるんでしたっけ(さっきの話の時は手形オペとかの時代だったのでロンバートを受けるとモロに勘定科目上判ってしまうのでありました)。どっちも日本銀行による貸付ですよね。
共通担保オペの基本要綱(http://www.boj.or.jp/type/law/ope/yoryo33.htm
ロンバートの基本要綱(http://www.boj.or.jp/type/law/ope/yoryo20.htm

『7. 中央銀行が市場の機能不全に対して行動を取ると期待されれば、市場参加者の慎重に流動性を管理しようとするインセンティブを弱めるといったモラルハザードを生む可能性がある。中央銀行は流動性を供給するに当たってはコスト・ベネフィットを推し量るべきである。』

これはまー仰せの通りでして、米国様の場合でも「グリーンスパンなら、グリーンスパンならきっと何とかしてくれる!(AA略)」状態になってた節がある時代もありましたなあ(遠い目)というのもありましたし。


○先日の訂正をば(これもオペがらみ)

オペがらみの話と言えば、先日国債の流動性供給入札に関してうだうだと書き物を致しました部分にどう見ても事実誤認部分がありましたので謹んで訂正させていただきとう存じます。過去ログも忘れないように訂正しないといけませんね(でも過去ログは平日いじってるヒマが無いので休日にでも)。

http://www.boj.or.jp/type/law/ope/yoryo30.htm
補完供給を目的として行う国債の買戻条件付売却基本要領

『1.趣旨
この基本要領は、金融調節の一層の円滑化を図るとともに、国債および資金決済の円滑確保にも資するとの観点から、本行が保有する国債を市場参加者に対して一時的かつ補完的に供給することを目的として行う国債の買戻条件付売却を実施するために必要な基本的事項を定める。』

『5.売却の決定
売却は、売却対象となる国債の流動性が著しく低下していることが懸念される場合において、その影響が市場全体に波及する惧れがあるなど、本行が金融市場の情勢等を勘案して適当と認めるときに実施する。』

ということで、まあ趣旨的にはスクイーズによって、あるいは自然災害等において国債決済が円滑に進まない場合に補完供給行うという趣旨でありますので、イールドカーブ云々とか書いたのは筆の滑りです。どうもすいませんm(__)m

「売却対象となる国債の流動性が著しく低下していることが懸念される場合において、その影響が市場全体に波及する惧れがある」っていうのは、この制度導入の頃って先物のチーペストの玉締めに関する思惑で先物やらチーペストの需給がおかしくなったりする事案が起きてた頃でもありますので、先物のチーペスト絡みの需給も意識してるんでしょうかなっていう感は致しますが。

ちなみにチーペストのスクイーズ騒動って近い過去だと#161、#163事件と#192事件が著名、って全然近くないですかそうですか(^^)。


それよりもっとアホウな事実誤認はこちらにありました(超大汗)。

http://www.boj.or.jp/type/exp/ope/opetori11.htm
国債売現先(国債補完供給)の取引概要

『(2)実施要件
○  金融市場の情勢等を勘案して入札の実施を決定します。
○  当面の間、具体的には、以下の2つの場合に実施する予定です。
(a) 原則として、1銘柄につき3先以上から入札の実施の希望を受けた場合
(b) 災害や大規模なシステム障害の発生時等、金融市場の情勢等を踏まえ、日本銀行が必要と認める場合』

えーっと、先日は2社とか書いてしまいましたが、3社の間違いでした。自分でやったことないもんだから(言い訳)いつの間にか記憶がおかしくなって理解しておりました。平にご容赦をm(__)m

ということで、記憶に頼ってだけではなく、ちゃんと根拠となる元文書にあたるという動きはいつでも大事ですねという事でして、通常のお仕事にも通じるお話(業務に関連する法令諸規則をきちんと確認するとか)であると思うので自戒を込めて。

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2008/07/07

○これは必見

またも人のふんどしなんですけど、SWFの件に関して厭債害債さんが論点の一つ一つを丁寧に撃破したエントリーをアップされています。全くおっしゃるとおりでございますし、コメント欄の中の人が指摘するように、最近の日経の論調がどうみてもSWF推進になっている(金曜にご紹介したように、朝日と読売はまだ懐疑的な部分があるようですけれども毎日は容認寄りですわな)のがどうもオソロシスですよね。

こんな馬鹿構想普通に考えて自民党がまともだったら途中でストップがかかるはずだと思うのですが、この構想推進してるのが何せ前金融担当大臣って所が頭痛のする所であります(この人現職にあったときにも「東京金融街構想」というどっかの不動産会社や外資金融に吹き込まれたとしか思えない馬鹿構想をぶち上げて市場の失笑を買っていましたが・・・)。現職大臣の「金融士構想」もそうですけど、金融担当大臣ってイロモノポストじゃないんですけど勘弁して下さい。

ということで、例の構想のどこがどうおかしいのかという厭債害債さんのエントリーは良く読むべしなのでありまする。ま、金融関係者じゃない人に読んでいただきたいと思うのでありますけどね。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200807/article_3.html

全部同意なのですが、特にこのくだりは全く仰るとおりです。

『10兆円というのは半端な金額じゃないですよ。ここまでやろうとしているのだったら「だめだったら解散」はないでしょう。5年後はどうせ議員じゃないとか考えてませんか?無責任ですよ。』

『だめだったら今提案しているPTの人間が私財をなげうって弁償するんでしょう?少なくとも議員年金は返上でしょう?なんだか金持ちの坊ちゃんが外資系の運用会社の口車に乗せられて調子に乗っているだけと感じるのはワタクシだけ?』

あたくしは「商家のボンクラ跡取りが出入りの悪徳商人に騙されて身上潰す」という図を想像しました(^^)。で、別に身上潰すのがてめえの身上なら勝手に潰してろなのですが、潰す身上が人様(というか国民)の虎の子であるという所がもうフザケルナでありますが、運用で穴が開いたら推進されている議員様の私財全部と議員様の生命保険あたりで補填していただくという気合でもあるのでしたら是非推進していただきとう存じます。というかそのくらい大事なもんだと思うのに「10兆円くらいなら大した額でもない」と言わんばかりの話の進み方はあまりにも浅薄かつ無責任ですわな。

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2008/07/04

お題「SWFネタからその関連ネタでも」

北禿先生がボログで雇用統計の予想以上の悪化懸念とか言ったもんだから雇用統計が下振れせずに済みました。次は落ち短でも投げが良策でもお願いします。

で、雇用統計とかECB理事会とかネタにしようと思ったら思いっきり普通の結果にも程がある内容だったもんで書く程のことなし。とりあえずトリシェ日和ったですなあっはっはというところですか。

○わざわざ別組織にする必要があるのですか

http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPJAPAN-32563020080703
日本版SWFの設立を提言、公的年金を10兆円規模で=自民検討チーム

『提言によると、公的年金を運用する日本版SWFは100%政府出資で設立。ポートフォリオは、国内債券67%で、残る33%を無制限。これはGPIFとほぼ同じ運用比率。目標利回りはGPIFと同等の3.2%近辺とした。投資期間5年間で、実績が出なければ解散する。』

ということのようですが、それなら別にGPIFの中で別部隊を作ってそこの部分だけ法手当てでもして運用の縛りを緩くするようにしたって同じ事じゃねえのかと思うのですが、わざわざ手間隙掛けて別の組織体を作る理由がさっぱりわからん。というか別部隊作らんでもどっかに委託すりゃ良いだけじゃねえの。

『自民党の検討チームは、人材の専門性などでGPIFの運用に問題があると指摘。大部分がパッシブ運用しかできない制約があるほか、世界の主要な年金基金はプロに運用を任せているとして、日本の公的年金についてもより高い運用実績を確保するため、プロに運用させる日本SWFの設立を提言した。』

そもそもこの部分の認識が無茶苦茶(詳しくは厭債害債さんのところに暫く前にございましたので^^)であって、またどうせ年金運用の委託をゲットしてウマーとか狙ってるどこぞのバカチン共の入れ知恵にそのまま乗ってるだけでしょと思いますが、そーゆー話がノンストップで進行しちゃう(誰か止めないのかよ)ところが困ったもんだというか政治の劣化というか。小選挙区比例代表ってのもう止めたらと思いますよ。

しかしロイターの記事見ててこりゃ何じゃと思ったのはこの部分。

『公的年金の利回り向上策をめぐっては、経済財政諮問会議のグローバル化改革専門調査会(会長:伊藤隆敏・東大大学院教授、経済財政諮問会議民間議員)が5月23日に報告書を発表した。GPIFに専門家を採用して、運用の効率化と収益の最大化を図るべきとする報告をまとめている。』

『諸外国の公的年金基金の過去5年間の平均収益率をみると、ノルウェー(積立金額36.2兆円)が6.9%、スウェーデン(同14.6兆円)が7.5%、カナダ(同12.9兆円)が10.4%。これに対して、約150兆円の積立金を運用する日本は3.5%にとどまっている。』

この5年間の金利水準も株価水準も全てスルーしたこの書きっぷりは思いっきり無意味だというのは金融関係者なら普通に判る話でありますが、何とこの記述は専門家向けの情報ベンダーで配信されている記事にも同じように書かれてましたんですよ。どう見ても無茶苦茶なお話を記事で堂々記載するという神経は如何なものかとしか申し上げようが無いのでして、こんなの業務中に(ちなみに情報ベンダーで配信されたのは昼頃)見せられたら強烈に脱力するんで勘弁して下さい。というかそういう記事を流すから契約(以下悪態が禿しくなるので自主規制^^)。あ、何とか調査会の報告書に書いてあったのをそのまま報道したという言い訳は言い訳になりませんよロイターさん。


○年金運用が赤字ですねえというニュースの報道っぷり

今朝の一般紙では昨年度の年金運用は食らっちゃいましたねというお話が各紙にあったようです。で、新聞じゃなくてネット版で見るのが誠に恐縮ですが、各紙の比較をしてみましょう(ただし一部の全国紙のみです)。

・YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080703-OYT1T00915.htm?from=top
年金運用が5兆円の赤字、サブプライム直撃で…07年度

『積立金の運用主体は「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」。厚生労働相から委託を受け、厚生年金と国民年金を合わせた積立金約150兆円のうち、現在約90兆円を市場で運用している。運用方法は、約6割が国内債券、約3割が国内・外国株式だ。』

『07年度は、第1四半期(4〜6月)こそ2兆3752億円の黒字だったが、サブプライムローン問題が表面化して以降、第2、第3四半期でそれぞれ1兆6328億円、1兆5348億円の赤字となり、第4四半期でさらに赤字幅が拡大した。

『運用益の一部は年金給付に回るが、06年度末の累積黒字から今回の赤字を引いても7兆円程度の黒字があるため、GPIF関係者は「今のところ、年金財政全体に大きな影響は与えない」としている。GPIFはこの実績を4日に公表する。』

『積立金の運用をめぐってはこれまで、年金給付に回す額を増やそうと、より高い利回りと運用益確保を目指す声が相次いでいた。株式での運用割合の引き上げや、GPIFの組織体制見直しによる運用能力の強化などが代表的な意見だ。』

『しかし今回、株式市場の低迷を受けた巨額の赤字が明らかになったことで、リスクの高い株式の比重を増やすことへの慎重論と、組織強化を求める積極論の双方が強まることが予想される。』

ということで(最初のほうの引用割愛してますが)、まあ過去の累積収益の話もしてますし、どういう運用してるかという話をしてるのでこんなもんかなという感じです。で、SWFどうのこうのに関する話については上記の通りでありまして、『しかし今回、株式市場の低迷を受けた巨額の赤字が明らかになったことで、リスクの高い株式の比重を増やすことへの慎重論と、組織強化を求める積極論の双方が強まることが予想される。』というのはそうですねえという所です。


・asahi.com(朝日新聞)
http://www.asahi.com/business/update/0703/TKY200807030497.html

SWF関連のところはこんな記述に。

『公的年金の運用を巡っては、経済財政諮問会議の民間議員や自民党のプロジェクトチームが、民間の投資専門家を登用してより高い収益を目指すことを提案している。だが、運用成績の悪化を受け「より安全度の高い運用を」という慎重論も出てきそうだ。 』

ふむふむなるほど。で、運用状況に関する説明は中々結構。

『積立金は01年度から本格的な市場運用が始まり、07年度は積立金約150兆円のうち91.3兆円を運用した。リスクを下げるために分散投資しており、内訳は国内債券56.9兆円、国内株式13.8兆円、外国債券9.7兆円、外国株式10.9兆円。株式市場でも市場平均並みの収益を目指す堅実な運用を基本とする。』

『07年度の市場の動きを示す基準指標(ベンチマーク)は、日本の株式市場は約3割のマイナスで、外国株式も円高の影響もあってマイナス17%だった。国内債券は3.4%のプラスだったが、同法人は「02年度のITバブル崩壊時に匹敵する国内・外国株式の大幅なマイナスを補いきれなかった」としている。マイナス6.4%の運用利回りは、02年度のマイナス8.46%に次ぐ低さだ。』

ちゃんとベンチマークの騰落について説明している(何となくGPIFの説明をそのまま口伝しているような香りもしますが^^)のは報道としてのバランスが取れていると思います。

『同法人によれば、運用資産に占める株式の比率が公的年金よりも高い民間の企業年金の07年度運用実績はマイナス9.7%、大手生保各社の団体年金も13〜16%のマイナスとなっている。一方で、積立金運用の累積収益は7.4兆円とプラスを維持。年金財政に大きな影響を与える運用利回りと賃金上昇率の差(実質運用利回り)も、01年度以降の平均では2.66%と目標の1.1%を上回っており、同法人は「当面の年金財政への影響は限定的」としている。だが、運用環境の悪化が長期間続けば、将来の年金の給付水準低下につながる可能性もある。』

何か益々GPIFの説明の口伝っぽいですけど(笑)、まあ徒に不安を煽るような記事になっていないのは結構じゃないでしょうか。


・毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/today/news/20080704k0000m010148000c.html

この説明は酷い。

『年金積立金の運用は厚生労働省の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が手がけているが、自民党内には政府系ファンドを創設し、年金資金10兆円を高利回りで運用させる提言もある。GPIFの赤字運用が続けばそうした構想が具体化する可能性もある。』

読売、朝日の説明と思いっきり真逆なのですが、そもそもこの記事書いてる記者さん「高利回りで運用させる提言」っていう「高利回り」の意味が判ってないでしょと思うんですが。

で、どのような市場環境のもとで運用の結果どのように赤字になったのかという説明はろくすっぽなくて、辛うじてましなのは最後に『これまでの単年度の市場運用損は、02年度の2兆6000億円が最大。ただ、06年度末時点の累積収支は約13兆円のプラスとなっており、07年度末の累積収支は7兆円台の黒字を維持している。』となっている部分くらいですかねえと言う感じ。

・NIKKEI NET(日経新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/

・・・・どうもネット記事の更新が遅いようで、朝6時の時点では載ってませんでした。


ということで、日経はおいとくとして(本当はSWF推進の片棒を担いでいる香りが非常に漂う日経の記事も見たいのですが)他の3紙を見ますと、記事内容的には朝日>読売>>>>>毎日と言ったあたくし的な評価になりますけどどうでしょうか。

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2008/07/03

お題「チョー相場雑感です」

原油高オソロシス・・・・・・

○先月の輪番

6月末現在の日銀保有銘柄別残高が公表されました。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0806.htm
5月末はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0805.htm

でまあざっくり計算した訳ですが(あたくしが適当にエクセルと電卓で計算したものなので本人はちゃんと計算している積もりですけど内容無保証でお願いします)、6月に増加した銘柄(減少した銘柄があるけど、これは買入消却に応じた分でしょう)の増分を全部たすと1兆500億円ちょっととかになりますので、残りの1400億円程度は輪番で買入した途端に償還になったのですね。

とは言いましても、買った銘柄殆ど全部期近債というワンダホーな状態からはマシになって良かったですね(棒読み)というところでございましょうか。でもまあ短いものばかり入るのは相変わらずでありまして、残存2年超(2009年6月償還以降)銘柄が入っているのが5年57回以降と10年230回以降でして、まともな(?)長期ゾーンで言えば10年263回(2014年9月償還)以降の1817億円で、さっきの230回と5年債を合わせて2375億円と相成ります。輪番1回分(にもならんが)という感じですな。

・・・・・まあ結局2年ゾーン以下が入っていますねという状況でございますのであんまり状況が改善されてるとも思えないのでありますが、利回り競争入札やってるとどうも仕方ない部分でございますし、もう一つはあたくしのイメージになっちゃいますが、2年以下というのは2年中期国債というものがございますので、後ろのゾーンに比べて国債の残存量が多いので外したい人も多くなるという所でありまして、「長期に安定した資金供給を行う」という輪番オペの趣旨と現状が必ずしも合致してませんなあと思うのは相変わらずなのですな。

せめて1年以内に関しては短国買入に包含して(短国買入で買った分は償還乗換を行わなくても良いと思われ)、その分機動的にオペ実施するようにした方が吉なのではないかと存じますです。


○SCレポが微妙に変ですなあという話とか

以下尚も超相場雑談。

いやまあ知り合いさんと電話とかでうだうだ話しながら「どうもこう色々と相場が変ですねえ」というネタに花が咲くのでありますが、話をすればするほど現在の相場が複雑骨折みたいな状態になっていて、まあアッチャコッチャ変なのですが、さてどこに原因があるのかよと思うとこれまた複雑な話ですねえというネタなのです。

ということを色々とお喋りしながら考えたものをメモにしているのが以下の部分でありますので、正直とりとめがないのは勘弁。

SCレポが各年限カレント中心に突如急低下(=需給が締まる)したり戻ったりという現象が頻発するそうで。いやまあ以前は無かったかと言えば無いわけでは無いのですが、2年269回(前月の新発2年)なんかは先日アホほどSCレポが逼迫してマイナス10%だか何だかお付けになられる事態もあったようですわな。大フェイルになった日もあるそうでレポ担当者の皆様に置かれましてはご愁傷様ですとしか申し上げようがございませんが。

10年カレントでも暫く前にとんでも無いマイナスレートが発生してましたけど、10年だとまあBPVもありますし相場自体も動きますから、対顧でマーケットメークしてて食らったとしても取り返すチャンスあると思うのですが、2年でそんなの食らったらどう見ても再起不能です本当にカムサハムニダという所で誠に痛惜の念に耐えません。

というかスクイーズとかしてマーケットの流動性を落とすと結局てめえの首を絞めるんだからくだらねえ玉締めとかするんじゃねえよバカチンがと思う次第で、唯一神マタヨシによって地獄の火の中に投げ込まれるべきものであると存じますがまあそれは兎も角。

そんな感じで急にSCレポが締まったり緩んだりとかとなり(特にカレントには補完供給も流動性供給入札も無いし)、うっかりレポレートがマイナスに突入するといきなりアホほどレートが低下するわフェイルリスクは高まるわとなりますと、業者としては自衛策の一環としてやばそうな銘柄は当日フェイル食らった時の対策でSC放出を自主規制することになるので益々「急にレポが逼迫したので」になり易いとなるんでしょうね。

で、GCはGCでこれまた「急に資金繰りが変わったので」ってな感じでいきなりレートがドカンと動いたりしやがる(6月末も結局レギュラーとかスポットで72だの73だのやらかしてたみたいですし)訳でして、そうなりますと現物の対顧マーケットメーカーが両建てポジション持っているときのポジション保有で思わぬコスト(GCSCスプレッドですが)がかかるリスクがあり、よーポジション持ちませんなあという話に繋がり易い話に。

ちょっと前までのJGB現物の対顧売買なんぞはいろんな銘柄でロングショートをたくさん持ってて、飛んでくる売買を自分のポジション具合を見ながら、例えばポジションの利食いになるような売買が顧客から飛んできたら良いレートを出して売買を決める(業者間で利食いするよりも顧客売買で利食いした方がこっちも顧客もハッピーでしょ)とかやりながら走っていたと思うのですが、両建て持ってるとコスト掛かるってんじゃあそうも行かんですな。

勿論オファービットが開いているのはそれ以外の要因もたくさんあってどこをどうほぐすと問題が解決するかって話になるとよく判らんのでありますけど、こういうところにも市場がシュリンクしている原因(このあたり鶏が先なのか卵が先なのか微妙なのですけど)があるのかなあとか思うのでありました。

SCレポレートがちょっとした動き一発で乱高下しなくなる為には、投資家がもっとホイホイSCレポを出せばよい話なのですが、事務上の問題だの制度上の問題などあって実質的に出せない人は相変わらず多いですし、そもそもSCレポレートをヲチしてタイミングよく玉を放出するなどというような気の利いた動きをする人はまあ皆無に近いでしょうし(それにバイサイドがレポ取引をするというとだいたいGCの資金運用ですわな)、レポレートがマイナスだからと言われてもオーバーナイトで10億出すの事務マンドクセとか言って出さない(小さい10億でも積み上げれば大きい収益になるというような発想にはならんのよね。入った10億円の処理に困るというのもあるけど)とか、まあ実務上の障害は多いのですよ。

それから、まあそれ以前の問題として事実上フェイル罷りならんという仕切りになっていたり、制度設計がフェイルだのSCレポ(現金担保の貸し債)を想定してない古い時代のまま変わってない所があるとか、まあそんなフェイルだのSCレポだのに関する制度上の問題は相変わらずなんでして、まあ困ったもんですなあという所で。あ、あたくしは無力参加者なので「困ったもんですなあじゃなくてお前が動けよ」というツッコミは無しの方向でよろしくお願い申し上げますm(__)m

と、ここまで書いたら時間が無くなったので、他にもこの手で別のお題があったのですがまた後日。読んでて何の話だか良く判らんがなというお方が多いと存じますが、とりあえず書いた備忘録ということでご勘弁頂きたくm(__)m

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2008/07/01

○何でこのタイミングで格上げ??

昨日市場参加者の間に「?」が百個くらい飛び交ったのはMoody’s様の日本国債格上げ。
http://www.moodys.co.jp/pages/HomePage.aspx

プレスリリース読もうと思ったら会員登録(無料ではありますが)が必要とか抜かしやがるので読んでおりませんが、財政再建という面で言えば税収は落ち込みそうだわ、ポピュリズム政治の進展に伴い歳出拡大圧力は高まるわという状況にしか見えないのですが、何がどういう理由でこのタイミングで格上げになるのでしょうかねえ。格付け会社様のロジックが1ミリも理解できませんです。

まあとりあえずA1とかいうふざけた格付けからAa3になったようですが、まーこのニュース聞いた時にあたくし最初思ったのは、「証券化商品関連で格付け会社に批判が高まり、規制論議も高まっているので日本政府のご機嫌をとっておこうと言うオトナの判断が働いたんですねえ」なのですが、性格に問題がありますかねえあたくし(^^)。



○ところでドル安とインフレ阻止は

6月4日にバーナンキ先生がドル高発言をして一連の発言からドル高になったり利上げ懸念が出たりのはご案内の通りでございますが(例えば次のリンクなんぞを)、(http://www.gci-klug.jp/fxreport/2008/06/04/002950.php)昨日はロンドン時間にドル円で105円を瞬間割り込みやがりまして、いやあのバーナンキ先生の為替コメント前の水準に接近しましたなあとか思った次第であります。今朝はNYで106円前半まで戻っているので、ドル円的には面目保ってますけど、ユーロドルは1.5750近辺みたいですし、原油価格はご案内の通りの有様(6月頭は120ドル台)となっておられます。

いやまあ何なんですけどね、財務長官がドル高ドル高言うのは夏になると蝉がミンミン言うようなもんでどうでも良いのでありますが、中央銀行総裁様が為替に対して言及するというのは(どこぞに速水優という人がいましたがアレは例外)ちょっとイレギュラーなお話でありまして、「そこまで言うならドル高維持とインフレ抑制の為に景気の悪化も辞さずで利上げしてくるんじゃねえか」くらいのリスクを見に行くのは当然なのでありまして、まあFF先物で年内2回利上げとかを織り込みに行く勢いになった次第な訳ですな。

ところがその薬が効きすぎたという事でリークっぽい書かせ記事が出たり火消し発言が出たりという動きになってしまいまして、今日に至るという流れ。いやまあドル高発言が効き過ぎたってのが正直な所なのかもしれませんけれども、結局火消しして為替水準が元に戻っているのであれば発言なんぞしなかった方が良かったという感もするのでありまして。

バーナンキ先生就任直後もちょっとやらかしてましたけど、こーゆーのやると発言が軽くなっちゃうんですよね。特に今回は為替にわざわざ言及したのにいつの間にかそれがフェイドアウトってのはどうなのよと思うんですけど・・・・・

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2008/06/26

○柄にもなくFOMCなんぞを

正直申し上げてあたしゃFOMC関連文書まで年がら年中読んじゃあおりませんので、毎度の前回と今回の文章を並べる攻撃しておきますので一つご確認くださいって感じなんですけど(恐るべき手抜き)まあ勘弁ということで。

今回の声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080625a.htm

前回の声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080430a.htm

第1パラグラフ

Recent information indicates that overall economic activity continues to expand, partly reflecting some firming in household spending. However, labor markets have softened further and financial markets remain under considerable stress. Tight credit conditions, the ongoing housing contraction, and the rise in energy prices are likely to weigh on economic growth over the next few quarters.

前回はどうなってるかと申しますと、

Recent information indicates that economic activity remains weak. Household and business spending has been subdued and labor markets have softened further. Financial markets remain under considerable stress, and tight credit conditions and the deepening housing contraction are likely to weigh on economic growth over the next few quarters.

消費関連の経済指標ちと強くなりましたというのと、エネルギー価格の上昇の話が第1パラグラフに入りましたですかそうですか。

第2パラグラフ

The Committee expects inflation to moderate later this year and next year. However, in light of the continued increases in the prices of energy and some other commodities and the elevated state of some indicators of inflation expectations, uncertainty about the inflation outlook remains high.

前回分

Although readings on core inflation have improved somewhat, energy and other commodity prices have increased, and some indicators of inflation expectations have risen in recent months. The Committee expects inflation to moderate in coming quarters, reflecting a projected leveling-out of energy and other commodity prices and an easing of pressures on resource utilization. Still, uncertainty about the inflation outlook remains high. It will be necessary to continue to monitor inflation developments carefully.

前回はインフレ圧力について「今後エネルギー価格の上昇がピークアウトして、商品価格も落ち着いてくるからインフレ圧力が緩和されるのではないでしょうか」という話をしてたのが、今回の文章量が妙に減ってるのは何でじゃろうのう。

てか、前回は「次の四半期ではインフレ圧力は緩和でしょう」だったのが、今回しらっと「今年から来年にかけてインフレ圧力は緩和でしょう」になって、おまけにエネルギー価格や商品価格の見通しの話をこれまたしらっと引っ込めてるのね。

第3パラグラフ

The substantial easing of monetary policy to date, combined with ongoing measures to foster market liquidity, should help to promote moderate growth over time. Although downside risks to growth remain, they appear to have diminished somewhat, and the upside risks to inflation and inflation expectations have increased. The Committee will continue to monitor economic and financial developments and will act as needed to promote sustainable economic growth and price stability.

前回分

The substantial easing of monetary policy to date, combined with ongoing measures to foster market liquidity, should help to promote moderate growth over time and to mitigate risks to economic activity. The Committee will continue to monitor economic and financial developments and will act as needed to promote sustainable economic growth and price stability.

経済のダウンサイドリスクが若干軽減されたという話と、インフレおよび期待インフレ率の上昇に対する言及が加わっているんですね。

で、その後はメンバーの投票行動とかのお話ですな。

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Frederic S. Mishkin; Sandra Pianalto; Charles I. Plosser; Gary H. Stern; and Kevin M. Warsh. Voting against was Richard W. Fisher, who preferred an increase in the target for the federal funds rate at this meeting.

フィッシャーさんが利上げを主張と。前回はフィッシャーさんとプロッサーさんが利下げに反対(据え置きを主張)したんですな。


○いやまあ大変ですな

で、市場が一時ビビリまくっていた程の利上げペースは無さそうだし、あまりインフレ懸念に傾斜した内容でもありませんでしたって評価でドルが下がってみたりしてたみたいですけれども、あんまり金利が下がればなおドルが下がって商品価格が上がると言う仕様になり、インフレ期待がなお高進の懸念とか実にコントロールが難しくて大変ですなという感じが致します。

当面はFF先物とか2年TBillの値動きとか見ながら、適当に口先介入でインフレ懸念砲を打ったり火消し弾を打ち込んだりしながら、市場金利の上昇と低下が行き過ぎないようにしていくというような器用な事をするしかないと思うんですが、それもあまりやってると信認問題(こいつらただの狼ジジイじゃんとなるとマズー)になるのでどうなんでしょうね。

しかしインフレ見通しに関しては見事に外してますな。まあこの原油相場の動きを当てろというのが無理なので、同情の念には耐えませんが。あ、突拍子もない数字を出した人が預言者扱いされるのは洋の東西を問わず変わりませんけれども、突拍子もない数字を口で言うのは別に簡単なので、その手の預言者様におかれましては全財産掛けてそれにお前は張れる根性あるのかと小一時間問い詰めたいものです(話が脱線しましたwww)。

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2008/06/19

お題「決定会合議事要旨」

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g080520.pdf(5月19、20日)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g080430.pdf(4月30日)

○全体的に議事内容は慎重な見方が多く

えーっと面倒なんで最初にざっくりとまとめちゃいますとですな、どちらの議事要旨でもそうなのですが、議事内容は当然ながら公表文書(金融経済月報とか展望レポートとか)に沿ったものになりますけれども、政策委員の討議内容という部分を読んでおりますと、景気に対する下振れリスクを意識した内容が目立ちます。

ということで、日銀タカ派転向説はこの議事要旨を見てもちょっと有り得ませんわなという所になるのかと思います。以下かいつまんでご紹介。

○展望レポート第2の柱

展望レポートの第2の柱部分にはこのような記述がございました。

『長期的には、低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するなど、緩和的な金融環境の長期化が経済・物価の振幅をもたらすリスクは、引き続き存在し、特に上記のような下振れリスクが薄れる場合には、その重要性は増すと考えられる。』(展望レポートより)

で、これ読んだ当時は「おお、一応信管は埋め込んでるじゃん」と思いそんな事を書いたような気がするのですが、4月30日の決定会合議事要旨を見るとこんな記述が(本文7ページ)

『緩和的な金融環境がもたらす影響について、多くの委員は、短期的には経済の減速により、緩和的な金融環境が金融・経済活動の振幅拡大につながるリスクは小さくなっていると述べた。しかし、海外経済の動向などの下振れリスクが薄れ、いわば霧が晴れてくれば、緩和的な金融環境がもたらすリスクが顕現化する可能性があると述べた。』(4月30日会合議事要旨より)

えーっと、「現在はリスク小さい」「霧が晴れたらリスクが顕現化する可能性がある」っていうこっちの表現の方が展望レポートの「リスクは引き続き存在」「下振れリスクが薄れた時に重要性は増す」という表現よりも弱い印象を与えますがどないでしょ。


○物価安定の理解

同じく4月30日会合の11ページ、12ページ目に物価安定の理解の点検部分がありまして、いくつかの論点の記述が。

・物価の糊代論

『物価下落と景気悪化の悪循環に備えた「のりしろ」に関しては、一人の委員は、経済や金融システムの状況に則して、実証的に評価すべきとの見解を示した。この点、多くの委員は、わが国においては、名目賃金の下方硬直性は小さいこと、金融システムの頑健性が高まっていることなどから、悪循環のリスクは小さいとの意見を述べた。』

つまりのりしろは小さくても無問題ということですか。ほほうなるほど。


・ゼロ金利制約論

『ある委員は、金融政策運営上のゼロ金利制約についても、日本の経験では、いわゆる時間軸効果や為替レートの変化などを通じて、その制約は緩和されたと付け加えた。』

ゼロ金利の後は時間軸効果に非不胎化介入・・・なのかな??まあ要はゼロ金利制約は実はそんなに大変じゃないから物価の糊代をそんなに取らなくても良いですよという話なんでしょうか。


・各委員の出した数値

『複数の委員は1%を中心値として上下1%の範囲内との意見を述べた。』

『また、何人かの委員は、1%程度を中心値として上下0.5%の範囲内との認識を示した。』

『ある委員は、0.5〜 1 % との意見を表明した。』

『一人の委員は、1 % よりもゼロ%に近いプラスを中心に考えていると述べた。』

えーっと、出来上がりの数字はゼロから2なのですが、ゼロから1までは全員のレンジなるも、1.5以上になると最初の「複数の委員」だけになるのね。


・で、その批判に対して

『この間、ある委員は、「中長期的な物価安定の理解」に対するいくつかの批判について言及した。』

『まず、レンジにゼロ%が含まれることに対する批判について、この委員は、ゼロ%は最も低いレンジを示した委員の下限であり、大勢として「中心値は1%程度となっている」ことについて理解を求めていくことが適当であると述べた。』

『また、レンジが全体として海外に比べて低いという批判について、この委員は、海外においても、インフレーション・ターゲットや物価安定の定義は、当該国における物価のトラック・レコードを反映している面があり、実際にインフレ率が長期にわたって低位で推移していた日本において人々が物価が安定していると感じるレンジが低くなることは自然ではないかとの見解を示した。』

レジーム転換が必要と主張する人たちが批判しそうですなそりゃ。



と、4月分の引用が長くなりまして5月はどうしたと言われそうですが、5月はそんなに月報での判断が動いてなかったので、トピック的には景気判断的にはやっぱり下向き意識してたんですねというところかと。物価に関する話が多かったりするのでその辺でも。


○物価環境に関して(5月議事要旨より)

本文6ページより。

『グローバルな物価環境について、委員は、原油など国際商品市況は高水準にあり、世界的にインフレリスクが高まっているとの見方で一致した。』

で、その要因分析ですが。

『多くの委員は、現在の一次産品の価格上昇の背景には、新興国の成長に伴う需要の増加があるが、それ以外にも、供給の制約、地政学的リスクの高まり、緩和的な金融環境、flight to simplicity の動きなど様々な要因が関連していると述べた。複数の委員は、一次産品価格の上昇に伴う所得流出は、新興国などへの日本の輸出増加と同時に生じており、単なる供給ショックとして捉えることは適当ではないと述べた。』

本文8ページより。

『委員は、エネルギー・原材料価格の上昇に起因する物価上昇について、その背景と政策対応について討議を行った。ある委員は、現在生じている一次産品価格の上昇は、需要ショックと供給ショックの2 つの面で日本経済に影響を及ぼしており、これらのショックが持続的に続いていることに特徴があると述べた。』

『この委員は、一次的な供給ショックについては、インフレ予想の変化を通じて二次的な影響が生じないのであれば、必ずしも金融政策で対応する必要はないというのが教科書的な回答であるが、現在は、持続的で複合的なショックが生じているため、政策対応は難しくなっていると述べた。』

どっかで見た表現(^^)。

『何人かの委員は、現在生じている一次産品価格の上昇の背景には、新興国の高成長というファンダメンタルズがあり、日本経済にとっては、輸出増加という需要ショックと輸入品価格の上昇という供給ショックの両方をもたらしていると述べた。これらの委員は、こうした需要ショックと供給ショックが、マクロ的な需給バランス全体にどのような影響を与えていくのかについて丹念にみていく必要があると述べた。』

『また、ある委員は、一次産品価格の上昇は、相対価格の変化をもたらし、資源配分の調整を促すが、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動次第では、一般物価水準の大きな変動につながるリスクもあるので、これらの動向に注意しながら、金融政策運営を行う必要があると述べた。』

という話になっていますが(今回引用しませんが)景気に関してはもう思いっきり5月の時点で下振れリスク警戒モード全開って感じの議事内容になってますので、だから政策対応どうするとなると「警戒しつつ様子見」継続となる感じですわな。


○物価指標の何を見るか

本文9ページより。

『また、こうした物価情勢において、どのような物価指標をみていくことが適当かについても議論が行われた。』

これは重要な論点。

『ある委員は、持続的なエネルギー・原材料価格の上昇が生じている現状では、それらを除いた米国式のコア消費者物価指数は、物価の実勢を表していない可能性がある点には十分留意する必要があると述べた。』

『別の委員は、重要なことは、ヘッドライン消費者物価の中長期的なトレンドを把握する上で、どのような指標が有効であるかという観点であると指摘した。』

まあそれはそうだと思われますですが。

『また、別の委員は、そうした中長期的な消費者物価のトレンドをみる上では、生鮮食品を除く消費者物価指数や刈り込み平均指数が有益であると述べた。』

おお!刈り込み平均指数。ちなみにこれって物凄く地味に延々と(コアが小幅マイナスになっても)小さいプラス数値が継続してたんでは無かったかな。

『また、ある委員は、現在のように川上から川下に価格転嫁が進んでいく状況では、企業物価指数も引き続き重要な指標であると述べた。』

『これらの議論を経て、委員は、様々な物価指標を丹念に点検しつつ、消費者物価のトレンドを把握することを通じて、中長期的にみて物価安定のもとでの持続的成長を目指すことが適当であるとの見方で一致した。』

最後は禅問答っぽくなってますが、まあ色々と見ていきましょうということでしょう。従来の物価上昇と違った形ですからねえ。

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2008/06/16

お題「日銀ここではタカ派にならなかったでしょ」

ということで何とかレポート敗れたりという所なのですが、正直言って量的緩和解除あたりから百発百中で外しているレポートを未だに購読する輩がいるというのが意味判りませんな(まあ百発百中だから逆の意味で使えるかもしれないけど)。

ではまず金融経済月報から。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0806.htm(今回)
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0805.htm(前回)

○景気に関する判断をあちこちで下げています

まずは現状判断部分。最初の基調判断は同じですが、中身が結構な下方修正に見えるのですけどどうでしょう。

・輸出

『輸出は、足もと幾分鈍化しつつも増加を続けている。』(6月)
『輸出は増加を続けている。』(5月)

今般の景気における牽引車の輸出に関して「足もと幾分鈍化」としたのですね。

・物価上昇に関する悪影響に関して

企業収益の部分でこういう書き方があるのも注目される所です。

『企業収益は、交易条件の悪化等を背景にこのところ減少している。』(6月)
『企業収益は高水準ながら伸び悩んでおり』(5月)

交易条件の悪化キター。ってのと企業収益もついに減少に。


続きまして先行き部分ですが、こちらも基調判断に変化はないものの、個別部分では下がっているところが。

・企業収益

『企業収益は、当面減少を続けるが、エネルギー・原材料価格の上昇が緩やかになるにつれて、増益基調に復すると予想される。』(6月)
『企業収益が幾分弱まりつつも総じて高水準を維持し』(5月)

ということで、企業収益の先行きには「当面減少を続ける」となってて、理由にはエネルギー・原材料価格という話ですから、上記の現状判断と平仄を揃えた見通しになっていますな。


・住宅投資

『住宅投資は、回復の動きが徐々に一巡していくと予想される。』(6月)
『住宅投資は、回復傾向をたどるがそのテンポは緩やかと予想される。』(5月)

あらま、もう一巡なの。

ということで、あちこち下がっているのですけれども、民間資金需要に関する部分だけ上方修正されています。

・民間資金需要、民間銀行貸出

『民間の資金需要は緩やかに増加している。』(6月)
『民間の資金需要は横ばい圏内で推移している。』(5月)

『民間銀行貸出は増加しており』(6月)
『民間銀行貸出は緩やかに増加しており』(5月)

ということで、この資金需要増加が前向きの資金需要であることを祈ります。



○総裁会見も変なヘッドライン打たれず(詳しくは明日)

とまあそんな訳で金融経済月報があちこち下方修正していた事もありまして、債券先物のイブニングセッション(15時半から)は東証の引けから値を上げてスタートしたのですが、白川総裁記者会見のヘッドラインが打たれだしたところから上げ幅拡大。特に買戻しを誘ったのは・・・・

『16:25 RTRS-日米欧で景気と物価の状況は異なる=白川日銀総裁』
『16:26 RTRS-各国で同じような政策運営が協調しているということにはならない=白川日銀総裁』
(これはロイター日本語版ですが他社も同じ)

って奴ですかね。非常に当たり前の話なんですが、これが前任だと何か余計なことを言い出してタカ派ヘッドラインが打たれてとなるんでしょうが、今回は特に発言に気を使って変なヘッドラインを打たれないように注意しましたね。

その効果か、翌日にあたくしが見た一般紙でも「景気下振れのリスクを強調し、利上げ懸念は遠のく」というようなトーンになっていましたな(その新聞だけかもしれないけど)。めでたしめでたし。

ブルームバーグニュースの総裁会見報道のお題も『日銀総裁会見の発言要旨:各国で情勢異なり金融政策も異なる』となってまして、今回は特に慎重な発言をしたんだなって思いました。

というかですな、福井さんのように何を言いたいのか会見要旨を見てもわけわからんという人と違いまして、白川総裁の場合は総裁会見要旨を読めば何をどう話したいのか明快(ただし説明が丁寧で長いので読むのに時間は掛かるけどそれは頑張って読みましょう。福井さんみたいに読んでて手が止まる場面はないですから^^)ですので、アホウな飛ばし記事とかアホウな質問とかすると後から検証可能でございますわな。これ実は大変に良い傾向だと思うのでして・・・・・

時事メインが金曜の19時04分から05分にかけて14本の記事で総裁会見の詳報を配信していまして(こんな丁寧なのやってましたっけ?)、そこの10番目と11番目に掛かっている質疑応答にいたく感心しましたあたくしがちと引用させていただきとう存じます。(問とか答という部分は現電文の表現を改変しています)

『(問)海外中銀が資源高に対応して、積極的な金融政策を行っている。日銀がこうした流れに乗り遅れると、資金流出や円安などの影響が出てくると思うが、海外中銀の金融政策が日銀の金融政策に影響を与えるか、イエスかノーで簡潔に答えて欲しい。』

なんちゅう質問だと思うのですが、この質問への答えが実に素晴らしい。

『(答)イエスかノーかで簡単に答えられる質問ではない。』

と出鼻をくじいたあとなおも説明(^^)。

『金融政策が動くことをもって積極的というのではなく、状況に則して最適な政策を行うのが本来の意味での積極的な政策だと思う。私どもは現在の政策スタンスが現状では最適だと判断している。ただ、このことが将来にわたって最適であることにはならないので、状況の変化はもちろん丹念に点検していく。』

『海外中銀の金融政策それ自体が影響を与えるというよりも、海外の経済・物価情勢が変化すれば金融政策も変化するし、当然海外の経済・物価情勢が変化する以上、日銀の政策運営の議論も変わってくる。どういう政策になるかは点検の結果によるとしか言いようがない。積極的でないのではなく、積極的に判断している。』

(以上時事メイン13日19時05分配信記事より)

こうきっちりと撃破していただきますと(ご本人的には撃破している訳では無いと存じますが)総裁会見にテレビアナウンサーが出てきて「阪神タイガースが快進撃してますが」というようなアホウにも程がある質問をするような輩とか、筋違い質問をする輩とかが徐々に駆逐されていただいて報道のレベルも上がっていくのではないかとちょっとだけ期待したいです。

というか、質問者がどこに所属しているのかってのは会見要旨(日銀だけじゃなくて各省庁とかでも)で開示されて然るべきだと思うのですけれども。それによって質問者にも緊張を与えないと馬鹿質問と馬鹿報道が止まらんのではないかって気がしますですよ、はい。

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2008/06/13

ええもうこれだけ相場振らされますとヘロヘロですよ。

○短めのところが妙に重そうなのですが

昨日は海外市場で2年債とかがやたら強くなって帰って来たのですが(今朝はその逆ですけど)、こっちの債券市場では1年とか2年とかどうもダメダメ感漂う展開でございまして、まあ朝方2年とかはそこそこ(アメリカ様が2年強いのに敬意を表して??)でしたが1年ゾーンとか先物が40銭上がっても50銭上がっても全然強くならないという素敵な展開(さすがに前日比安いのを叩く程のことはないですけど)。

・・・・えーっと、売ってたネタが「インフレ懸念で金融引き締め懸念」で、その巻き戻しやるなら短めのゾーン戻らんのかよとツッコミを入れたくなる展開なのですが、この辺のゾーンというのは実弾の打ち込みあるいは持って行かれに弱いゾーンというか、プロップトレーダーみたいな裁定掛けてくる人のパワーに対してポートフォリオの事情で動いてくるパワーがだいぶ強い(最近は長いところもプロップさんがヘロヘロみたいですが)ので、需給関係が一旦崩れて相場の位置が変わってしまうと、再度需給関係に変化がないと戻らんという感じになるようですなあ。

てなわけで、本来海外に追随するならこのゾーン戻るだろと思ってたんですが、どうも実弾の需給関係がよろしくないようで1年とかやたら重そうにしていたのが気になりました。

・・・・でも1年ゾーンで0.77%とかなんですよね。それって普通に無担保コールの足し算と比較した場合、1年間で2回利上げでチャラとかいう世界になります(とは言え普通の神経をしていると25bp逆鞘を3か月も引っ張るというのは精神衛生上よろしくないので、まあ気分的には1回ちょっととかの利上げイメージですかね)けれども、あのその利上げってそんなに威勢よくするのかよという感じではございます。

2年のほぼ1%(さすがに1%は大台なので心理的抵抗もあってそこまではマークしないようですが)というのも中々素敵な水準ですが、1年の0.75%越えというのをこう簡単にやらかすとは思わなかったでありますよというのが正直な印象でございまする。利上げ懸念してるのかねえ????


○既に皆様ご存知だとは思いますが念の為

日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0805.htm
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0804.htm

月初に出てた話を今更で甚だ恐縮ですが(^^)、えーっと2年245回と5年27〜29回と10年203回204回の増加額を全部足すと11500億円位になりますと。

どう見ても短国買入状態です本当にありがとうございました。

・・・・と申しますかですな、いやまあそんなに償還銘柄が重かったのねという所でありますが、何もそう親の敵みたいに売らなくても良いのにとか思うけどまあ色々とお家の事情があるんでしょ。5月に買入した銘柄が殆ど全部6月20日(2年債は15日)に償還になってしまうというのは正直テラアホスとしか申し上げようがございませんが、これをまた8月にやらかすのでしょうか・・・・・

値付けに元利金支払い手数料見合いの部分が外れる10月以降(輪番的には9月中旬以降ですか)にどうなるのかねというのは注目してますというか、その後も似たようなシチュエーションが続くのならば輪番の趣旨に鑑みて実施方法に工夫が必要なんでしょうな。


○今日は月報と会見ですが

正直言って金曜の引け後に金融経済月報読んで会見のニュースフラッシュ見るというのはもう疲れるので勘弁していただきたいのでございますが、まあお日柄がそう設定されているので致し方無しの巻でございますな。

で、その月報に関してですが、ここのところあまり宜しくない経済指標が出ていますが、景気の現状認識と先行き見通しに関してヘッジクローズが増えるかどうか注目したいです(見通し下げてきたらそれはそれでほほーなのですが、下げると言うよりはリスク警戒の文が増えるイメージ。

会見ですけれども、どうせ「欧米がインフレリスク懸念で利上げを模索しているようですが日銀はどうですか」という質問が飛んでくるのでしょう。(本石町日記の中の人を除く^^)メディア的にはタカ派ヘッドラインの打ち込みがオイシイでしょうから、発言の一部を切り取ってタカ派ヘッドラインを打ち込むベンダーや記事書く新聞とか出るリスクありでしょう。ということで、丁寧な説明も大事ですけれども、「欧米と日本では現在取るべき金融政策(というか金利操作)は別である」というのをきちんとメッセージとして打ち出した方がよさそうな希ガス。

などと勝手に申し上げてますが、あたくしの予想は外しても無担保無保証でございますので一つその辺はご勘弁を(^^)。

「市場との対話」の前にメディアとの対話もしないといけませんから大変でございますのおと思いますけど(そういや国会も)、白川さんの懇切丁寧&ちゃんと筋を通したロジカルな説明によって、もう思い込み入りまくりのヘッドライン飛ばしまくりのメディアが徐々に駆逐されることを心の底から願うものであります。

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2008/06/12

○2年1%接近ですかそうですか

昨日もまたまた相場弱くて中短期やら金先やらもいい感じでヘロヘロとなっておったようですな。ふと見れば2年国債が0.995%とかになってやがりまして、えーっとあのその水準は早期利上げとか年度内2回利上げとか言ってた時(去年ですよん)の水準なんですけどおまいら本当にそれで良いのかよと。まあ相場がそう言ってるんだから良いんですが(こら)。

んでまあ毎度おなじみのユーロ円金先は09年03月限で1.3%とかの水準まで売られる場面もありまして、いやまあ相場だから別にそういうのもアリなのですけれども、ちょっとまあおまえら落ち着けという感じであります。

昨日の夜から欧米当局から火消し発言が出ているのでちと今日は緩和されると思うのですが、どうもこう「インフレ懸念で日米欧3極協調利上げ」ってのがストーリーとして書きやすいので、それをネタに金先なんか売り勝負してるんじゃないのという感じもしますな。踏まれて大損すればいいのにあわわわわ。

ま、んな状態ですのでOISの1年とか見ると向こう1年で2回近く利上げしそうな勢いですし、何がどうなってるんだかって所ですけど、こういう勢いに変に逆らっても時価評価させられる身としては途中のやられに耐えられなかったりするんで向かえませんのうという所ですわな。


○だから日銀は(今のところ)利上げしないって

昨日のロイターだかなんだかの市況ニュースみてたら外銀さんの中の人のコメントとして「金曜の白川総裁の定例会見で海外と歩調をあわせてタカ派発言が出るかどうか注目」とかいうのがあってぶっ飛んだのですが、いいからお前その席空けて俺に座らせろという感じでございますわな。

まあ昨日もうだうだ申し上げたので繰り返しはしませんけど、そもそも足元の経済指標が悪化方向で、インフレ懸念って何ですかという状況かつ、そもそも物価上昇が前向きの好循環から来てる訳でもないって時に利上げできんでしょ。それに仮に正常化路線とやらを出すにしても、景気に下振れリスクある中で正常化路線って有り得んでしょ。

それにですな、今般のインフレどうのこうのって食糧とエネルギーですけれども、ドル安が効いているというのもあるのですから、ドル安阻止ってのも必要でしょと思うのですから、別に3極協調利上げしなくても良い筈なんですけれども、何で3極協調利上げという話になるのか全く理解致しかねるのですけれども。仮にドル安阻止で米国が利上げするならドル安阻止の政策協調するには他の主要国利下げした方がドル高誘導できるでしょ(さすがにそんな事は起きないでしょうけれども)。


○こうなると欧米金融当局の発言の方が・・・・

昨日の欧州タイムではECBのシュタルク(と読むのか?)さんが「連続利上げ否定」発言をして欧州債券が買われて引け後の先物も上昇しておりましたです。もともと連続利上げをする何て話をトリシェもしとらん筈なのですが、トリシェといえば引き締めという刷り込みが効いている(?)のかどうか知りませんが、利上げ示唆するといきなりもう連続利上げですよ大変ですよとなってしまうのが欧州債券クオリティのようで、火付けしたと思ったら火消しという誠にビューテホーな状態になってますね。

で、米国では今度は早期利上げ懸念に火消しの発言がでておりましたが、そのせいかどうかは知りませんがドル上昇が止まって原油価格がまた上昇してやがって何やってんだかという感じ。米国が今やるのは基本的にドル安阻止なんですから利上げに関しては「やるやる詐欺」で引っ張るのが一番でございますがなと思うですけどねえ。

とまあそんな感じで欧米当局の対応っぷりが中々こう楽しい状況になっておりますので、先物中心に振り回す人たちなんかが海外動向とリンクして動きたがる傾向にある中では日本の金融市場もこのあたりのギクシャクぶりに振り回されるんでしょうかねえという感じです。

ま、当局発言がギクシャクしているというよりは、当局のメッセージがちゃんと市場に伝わってねえだろという所なんで市場も市場なんですけどにゃ。


○オペの打ち方が微妙に意味判らん件について

激しくマニアックなお話ですけど。

昨日の国債買現先オペはまたまた月内落としになっていまして、13日スタートの24日エンド。落札レートはまた低下しやがって何と足きりが52bp(平均は53.3でしたが)まで低下の巻。

これって要するに6月の月中物の金は余ってますよという話なのですけれども、実は東京レポレートの推移を見ますと、T+3スタートの3Wが月末越えになってから2Wと3Wのスプレッドが徐々に(物凄くミクロな話ですが)開いておりまして、このあたり丹念に見てれば現先オペで月中物を打つと超足元の金が益々余ってレートが低下するだけの効果になるんでして、肝心の月末越えに関しては足元余ると逆にニーズが高まるだけなんですな。

・・・と書いてるあたくしもそのロジックを上手く説明できないんですけれども、たぶん今現先オペ打つんだったら6月末越えを打ったほうが資金供給というか市場の平準化としての意味はあると思うのですが。この前の期末みたいに末越えのニーズが高い時に何故かもういらねえ期内落としのオペうちまくりーの寝転がり続出というのと同じ道を歩みそうな悪寒がするので、先回りして書いて見るの巻でした。

ってさすがにこのネタは債券市場の中の人でも10人中9人はポカーンですよね。そこらへんにいるレポディーラーにでも意味を聞いてくださいませ(^^)。


#まだ木曜なのですが、やたら相場で疲れるので今日は雑感で勘弁

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2008/06/11

○何という金先の動き

昨日は米国でのドル高攻撃に加えてバーナンキのインフレ警戒丸出し(と取られる)発言が追い討ちを掛けた格好で債券先物もバカスカ売られましたが、金先の動きが実に豪快。Mar09は99.880(=1.2%)を抜けたと思ったらもう板の無い中で下叩きの巻になってしまい、安値98.705(=1.295%)ですよ先生。

それって「来年の3月SQ時点でのユーロ円TIBOR3か月が1.295%」という事なんでございますが、どう見ても利上げを2回実施しないとそのレートにはなりません本当にカムサハムニダと言った所の数字なんすけど。まーとりあえずその下を叩く間ろくすっぽ出来高無かったんで、もうとりあえずリスク量落としに来るとか、ロング減らすとかの動きの中で売れるものを売りに行ったからそんな事になったって感じだとは思いますけど、毎日まあよく動く事です。

2年国債も13毛5糸甘の0.98%まで叩かれておりましたんで、中短期ゾーンのポジションを成り行きで落としに行った(あるいは成り行きでショートメイクしに行った)というような動きがあったのかいなという感じでございます。でも日本の政策金利動向をちょっと予想すれば今年中に動きようがないという経済指標が出ている(というか悪化方向なんですから今年どころか今年度動けんのではと思うのですが)のですから、そこまであなた叩かんでもと思うんすけどね。


○金融政策のステージが違うでしょと思うのですが

ECBはご案内の通り物凄い勢いで利上げ体制ですが、こちらの物価上昇は堂々賃金上昇も伴うという日本からするとある意味ウラヤマシスな状態。景気はまあちょっとどうなのよと思うのですけれども、まー普通に利上げしてマインド冷さないといかんですなって感じなんでしょ。でもトリシェ先生連続利上げをしてバシバシ引き締めるって話はしてないんですけれども。

FRBは利上げもやりそうなお話になってますけれども、これってどっちかと言うと原油などの価格止めないとって感じをうけるのでありまして、ドル安阻止ってお話になりますから、そうしますと最終兵器通貨防衛利上げにでもなら無い限り利上げのやるやる詐欺(失礼)攻撃になるんじゃネーノという感じですか。インフレ警戒発言してる側から失業率上昇も懸念してたりするんで、まだまだ「インフレ阻止のためには景気の一時的後退も辞さず」って感じにはなってませんわな。ただまあ次に利上げってのはほぼそんな感じになるんでしょ。

・・・・などと考えますと、日本の金融政策ってのは別に欧米にお付き合いする必要は全然無い状況でありまして、そもそも内閣府によりますとデフレ脱却もしてないことになっているというような情勢ですし、別に円が弱い訳でもないですし、景気に関しては出てくる指標がどうにもダメダメ感が漂う状態で利上げなんぞせんというか出来ないというか、する理屈が存在しませんけどねえという所ですよね。

別に日本は賃金インフレにもなってない(個人的にはなって頂きたいのですが)ですし、通貨防衛の為に景気の一時的悪化も辞さずなどという動きもいらんのですから、「ECBに追随して日銀が利上げ」とか言い出すどこぞの海外レポートの筆者の頭の中身を激しく疑うものでありますわな。



○ところでドル買い介入ってどうするの(与太話)

ポールソンさんが通貨介入を辞さずとかいう話をしてるのでありますが、ところで米国が自国通貨買い介入ってどうやって行うのかなあと思ったんですけど・・・・・

まあ普通に考えた委託介入をするとか日本にちょっとお願いするとか(笑)という感じになるんでしょうけれども、仮に委託介入した場合でもその後委託した国に積まれたドルってどう処理するんでしょ。最終的には米国債を買入消却するとかいう話になるんでしょうかねえと思うと、結局引き締めをどっかでやらないといかんって事なんでしょうか。

・・・・などと馬鹿話をしていて思いついたのは、バーナンキ議長が思い切って「どうだ明るくなつたろう」と大正時代の成金スキームしたらどうよいうのがあったのですが、冷静に考えたらそれは単にFRBのバランスシートの資産サイドに灰が増えるだけでございました、残念無念。

やっぱりヤケクソで通貨防衛利上げするというやるやる詐欺しかないんでしょうか。うーむ難しい。

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2008/06/09

○またインチキ海外レポートか!

金曜の債券市場というか金先市場では「ECB7月利上げにあわせて日銀も利上げに」という観測を出したどこぞの海外インチキレポートが話題になっていたらしく、金先が妙に豪快に叩かれておりましたようですが・・・・・あの話題になるレポートって実は実物大昔はもしかして見たことあるかもしれませんが、金融政策に関する観測記事が毎度毎度外れるというただの風雪のルルレポートになってからと言うもの正直全然実物見た事ないのでまあ殆ど都市伝説の世界ですな。

この海外レポートなんですが、どういう取材をするとそういうトンチキな記事になるのかさっぱり判らん観測記事を書くのでございますが、超大昔にはインサイドレポートっぽいお話もあったので過去のトラックレコードというのは大事ですし、一度名声作っておくと虚名になっても相当期間通用するんですねっていうのは別にこの海外レポートだけじゃなくても「麒麟も老いれば駑馬となる」状態になってるあんな人やそんな人などがあわわわわ。

・・・・話は逸れましたが(^^)、日銀としては「経済の下振れリスクが高い」って話をしている中で追随利上げなんぞせんじゃろうと思う訳ですし、白川日銀はちゃんと政策ロジックを踏んでくると見られまして、前任のような最終的に理屈なんぞは後付けで結論の為には何でもありというのとは違うと思いますよ。したがってその辺のロジック構成を変えてくる為には「下振れリスクがかなり晴れてきた」という認識が必要になると思います。よってそのインチキレポートを真に受けるのは只のアホウでありましょうよ。

と思ってたらNY市場があの有様で、インチキレポート真に受けた皆様におかれましてはプギャーとしか申し上げようがございません。


○金先は反応しましたが現物は・・・・・

寄りから債券先物は下がるわ(でも終わってみたら陽線でしたよね→追記:これは間違いで5銭陰線でした)金先は叩かれまくるわという動きで、市場の方も先物は勿論ですが中期が例によって叩かれっぽい動きだったのですけれども、短い所に目を転じてみると1年以内の現物債は見事にウゴカンチ会長の巻。2年新発は4.5毛甘の0.875%の引けとなっていましたが、一方で残存1年ゾーンですと5月償還の256回で0.700%の引けという事で、これが5糸甘だったりするんですな。TBFBなんかですと、12月償還の6か月FBの引けは0.590%で何と5糸強と。

・・・・えーっと、ECBの利上げに日銀が追随するという話はどこへ逝ってるんでしょうかという動きでございますが、要は先物ぶん回している人は兎も角として、短期の資金運用の人からするとそんな雲をつかむ様な話まで一々真に受けてやってられませんですなあというところなんでしょ。高格付けの一般債とかも金曜は在庫捌けていたみたいですし、このあたりのリアルマネーの皆様におかれましては既に海外インチキレポートのインチキ振りは先刻ご承知の巻という所でございますな。

ま、短期のリアルマネーってタームが超短い(3か月FBでラダーのポート組んでたら平均残存期間は1.5ヶ月ですからねえ)ので、具体的なお日取りまでがある程度見えないような漠然とした話に一々乗ってられませんです。長期債投資する人とポートの回転時間が全然違いますから。

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2008/05/26

○またまた先物大下げの巻

金曜の債券市場ですけれども、米国のトリプル安という要因はあったにせよ寄りからいきなり1円安スタートって何がどうなっているのやら。寄り前から実弾でも出たんでしょうかと(あの材料で下がるにせよ50銭安くらいでしょと思ったんですが)いう感じでしたが、まあ何はともあれ大下げとなりました。基本的に下げていくところでは先物一人旅みたいな場面も多かったのですが、後から現物が追いついてくるので、現物に対するロスカットの動きもあったんでしょうな。よー知らんが。

で、先物的に見ますとザラ場中の安値は134円割れということで14日のザラ場安値を切ってしまいまして(辛うじて引けは14日の安値の上でしたが)チャートさんとしてはよろしくないですなあという感じでございますな。


んでまあこの先物下げ下げなんですけど、インフレ懸念とか色々言われているのですけれども、原因のうち半分くらいは先物のシステム変更(画面更新速度を早くした)によるものではないかと思うんですよね。先物をぶん回す人たちの要請がうるさく、ついでに日経新聞あたりでも特集書かせ記事なんぞが出ていた(先物注文が反映されるのが遅いので海外ファンドが売買しにくいだの何だのという話)ということで、先物の更新速度を早くしたんですよね。で、先物の値動きは早くなったのでCTAみたいな先物アウトライトでぶん回す人たちには好評なんでしょうが・・・・・

先物の値動きが早くなり過ぎる

値動きが早すぎるので指値注文をおきにくくなる

板がスカスカになりより一層値動きが早くなる

という悪循環でどんどん値動きが過激になるのですが、この結果として現物債券の売買にどういう悪影響が来るのかと申しますと・・・・

先物の値動きが早くなる上に大口執行がやりにくくなる

現物売買のヘッジに使う人たちのヘッジコストが余計にかかる

現物売買のオファービットが拡大

大口執行のコストが益々拡大する

という結果どこに最大の影響が出てくるのかと申しますと、それは国債入札でございます。即ち、国債の入札というのは要するに財務省が行う新規国債の「大口売り」なのでありまして、以前のように債券先物の板が揃っており大口執行のコストもそれほどでかくなかった時と違いまして、現在は例えば数百枚の売買するだけで何ぼ先物が飛ぶか判らんという状況になっている訳ですから、入札という名の財務省の国債大口売却のコストも余計に必要になるという次第。また、オファービットが拡大するということは投資家としては売買執行コストが上昇するので、まあ買いの手がその分引きますわなという事でして、相場全体としての買いパワーが落ちるので相場が下がる要因にもなっていると思われます。

従いまして、5年だの10年だののように先物との連動性がそこそこ高くて発行量が2兆円近くと大きい債券の入札が特に4月以降じゃんじゃん流れるのが普通になっているという訳でございますわな。いやまあ業者の体力低下とかの要因もありますけど、先物のシステム変更に関しては非常に問題でかいと思うのでありますよ。

で、聞いた話では東証様におかれましては今回のシステム変更はグローバルスタンダードにあわせる一環であるので何が問題あるのかというお告げのようでございまして、ああやってることが10年前の大失敗システム変更と全く変わってないなあという所であります。確かに売買のTick数とかアホのように増えてますし、取引高もまあちょっと動くとそこそこ増えてますので、東証だけを見ればシステム変更で売買活発化して良かったですねとでも言いたいのでしょうけれども、現物の国債を動かしている人たちからすれば、流動性が落ちて売買執行コストが上がるわ、新発国債入札のリスクが上がるから入札が流れて国債発行コストが上昇するわと、どう考えても先物は栄えて(いるのかどうか怪しいですが)現物滅ぶの図となっておりますな。全く困ったもんです。

#本件に関してはまた稿を改めて書こうと思いますが、経済実態と長期金利が全然整合性が取れない動きの中にテクニカルな物が混じっているように見えるのは何ともなのであります

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2008/05/23

お題「ああ輪番」

全部書き終えたところで最初に追記しますと、本当はやる予定だった白川総裁会見要旨のちゃんとした部分の引用は輪番話で時間がいっぱいになっちゃったので今日はパスでございます。誠にあいすいませんm(__)m

○輪番結果は予想通りだったんですが

昨日は想定されたとおり輪番(国債買入)オペが実施されました。で、米国のトリプル安に反応したのか何だか知りませんが、昨日は前場から先物から10年が弱くて前場からドカドカ下がったのですが、償還銘柄の輪番打ち込みパワーの勝ちでして、輪番の結果は平均15毛8糸甘で足きりが15毛3糸甘の全取ということですので、どう見ても6月償還銘柄の打ち込みです本当にありがとうございましたという所で。

後場になって5年29回だったかで21毛甘(単利で0.58%)がブローカースクリーンで出合っていたというのが尚のことチャーミングでしたが。

で、まあ先週金曜の結果とか、前日の業者間気配(償還銘柄で堂々の10毛甘オファービット無し)から大体こういう結果になるのは予想できてるはずなんですが、何故か輪番の結果出た後先物とか長期ゾーンとか尚叩かれて先物は100銭安とかに下げやがったのは何なんでしょという所でございます。

いやまあ後付でこのテーマを売り材料にしますと・・・・

・従来は相場が下がっている時に輪番では長期、超長期ゾーンが入っていた

・ここのところ期近債がやたらだぶつくようになっている

・輪番オペで相場の上下に関わらず常に期近債が打ち込まれる

・相場下がった時の長期、超長期ゾーンのバッファが無いじゃん

・アヒャヒャヒャヒャ

こうですか、わかりません(><;



○期近債が輪番にドカドカ打ち込まれる状況は如何なものかと

えーっとですな、ご案内の通り輪番オペは成長通貨供給オペということになっております(償還乗換ルールの変更によって・・・という話は以前したがここで蒸し返すと話がややこしくなるので割愛)ので、輪番オペが建前として意図している中長期国債の買入ではなく、超短い銘柄の投げ場所になってしまっているのは輪番の趣旨と違う使われ方で遺憾でございましょう。

#それを言い出したらさっき上で書いた「輪番が長期超長期ゾーンのバッファ」というのも輪番の趣旨とは関係ない世界ですが(^^)

で、まあ期近債の問題というのは今に始まった話ではなく、以前から投資家が償還まで持たないで途中で売却するという事象はあったんですよ。ただまあ最近その売却が妙に多くなってきて買い手の余力をオーバーしてきたってことでしょう。

償還銘柄というのは振替決済停止期間入りしちゃいますと担保として使えなくなりますので、停止期間入りした時点でただの金食い虫になる訳ですな。で、従来ゼロ金利だ量的緩和だと言ってた時は保有コストがどうのこうのってのはあまり関係無かったんでしょうが、まあ無担保ファンディングのことを考えたらあまり持ちたくないでしょというのが1点目。

ご案内の通り、5年、10年、20年の利付国債は毎月発行するのですが、償還が4半期毎になっていまして、漫然と全銘柄を償還まで持ち続けると4半期毎に償還の山がやってくるので再投資の事を考えると良くないですから、償還が来る前に売却して長いものに入れ替える再投資を適当に分散して行うことによって再投資リスクを軽減するでしょというのが2点目。

他にも要因あると思いますが、そもそも期近債が市場に出てくる理由はその2点かなあと。ただし2点目の方は何も償還間際になって売らなくても良いわけで、普通に長期ゾーンをポートフォリオにしてたらもっと前からある程度分散しながら短いところを外してきますけどね。

で、従来は元利金取扱手数料が結構な額入るので、それを狙った買いがあったりしたのですが、こちらは10月以降大幅減額になるので、まあ今後はファンディングと関係ない公社債投信みたいなマネーのみがこの辺の受け皿になるんでしょう。計理(タイポではない)処理の問題があるので割引債対比で利付債は実は嫌われるんですけどね。


と、背景はそういう事なんですが、まあそんな訳ですのでこの調子ですと特に償還銘柄の残存が1か月を切るあたりからは輪番オペに入るのが全部償還銘柄というような素敵な事態が続くのは必定。それで良いというのなら良いのですけれども、輪番の建前と違う状況が継続して良いのかよというのはあるでしょう。

#副次的には(政策意図と全然関係ないですが^^)長期、超長期ゾーンのバッファが無くなるというのは債券相場的な輪番減額みたいな心理効果(なぜ心理効果かというと、そもそも期近債問題が無くても輪番で長期ゾーンが入るケースがそんなに多くなかったというのがあるので、実際の効果は別に「月に1.2兆円」じゃないのです)になっちゃいませんかねというのもありますね


○で、どうしましょ

てな訳でお節介なあたくしはこんなんどうでしょというのを知人友人と与太話をしたりしながらあたくしの無い頭を捻って考えるのであります。

・入札方式の変更

現在は日銀の指定する単利利回り(実際には売買参考統計値の平均単利)からの利回り較差競争入札になっている輪番の入札方法を価格較差競争入札にする

→相場が上昇するか、カーブがツイストフラットでもしない限り超長期ゾーンばかりが打ち込まれる。期近債の件を除けば利回り較差競争入札なら当日のイールドカーブ上一番安くなっている所が打ち込まれるので現状の方が債券市場への関与がマイルド。


・期近債を募入対象外にする

成長通貨供給オペの趣旨に鑑み残存のどこかで切って期近債を募入対象外にする

→ただでなくさえゲロゲロの期近債が益々ゲロゲロになるのと、償還銘柄のファンディング問題で4半期末月の20日近辺になると足元金利やGC・現先レートがやたら跳ねる


・短期国債買入の活用

輪番の募入対象から残存1年以内の銘柄を外し、短期国債買入オペを拡大して残存1年以内の中長期国債を募入対象にする

→オペの意味付けでのロジックをどうするのか(短期の資金調節で形の上では中長期国債の買入ということになる)という問題や、買入した中長期国債を償還乗り換えするのかしないのかという問題が生じそうですが、ロジック問題と応札のシステム対応を除けば一番スマートな気がします


オペのサイドから思いつく(というか一部に知人からの入れ知恵が含まれておりますが^^)のはそんなところですが。

・償還銘柄を担保として使えるようにする

例えば銀行で言えばバンキング部門の売りは従来どおりになるにしても、トレジャリー部門での買い余力が発生するんじゃないかと勝手に愚考するのですがどうでしょう。

→昨日も書きましたが、振決担保口で償還処理とかって双方ともに事務が回らなさそうな悪寒なので一朝一夕にはできなさそう


・元利金取扱手数料が下がるまで様子見

そもそも10毛甘だの15毛甘だの(来週は20毛甘ですか)とかいうような打ち込みになるのは、売買参考統計値などが元利金取扱手数料の収入部分を加味したモノになっているのも原因でありますので、その手数料が下がる10月償還銘柄以降になって尚も壮絶な打ち込みが来るのかどうかを見るというのも一法。

→ただし、9月までこの調子で輪番に期近債が打ち込まれるのは本当に容認できることなのかとか、償還銘柄持ち切りコストの回避で叩き込む成り行きパワーが継続した場合は結局状況が変わらなかったりしますわなという話も

などなど、色々とございますわな。輪番増額というのもありますが、またぞろ外野で物議をかもし出しそうなので無理でしょうな。



ということで、輪番と短期の話というもはやマニアにも程があるお話が延々と続いて白川総裁記者会見の続きが全然できなくて甚だ申し訳ありませんでした。

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2008/05/19

お題「また債券だけ自爆とな」

○輪番オペ結果以外に材料らしきものは無く

金曜の債券市場はそれまで散々やらかしたこともあり、今日くらいは大人しくまったりという展開だったのですけれども、昼の輪番オペ結果発表後に先物いきなり大下げの巻。で、その輪番オペなんですが、平均落札が10.9毛甘で足切りが10.1毛甘(全取)ということで、前場の引けの普通の銘柄はまあ入らないような結果になりました。しかし金曜の朝に輪番ネタを書いたのは何かの虫の知らせだったのかいな>あたくし

で、別にそれ自体は6月償還銘柄あたりがドカンと入ればそういう結果になってもおかしくない筈なのでありますが、何がどうなったのか判りませんが後場の寄り付きから先物をアホウのように叩く動きになりました。で、例によって例の如く他の市場では別に動意が無かったので債券市場だけの反応という動きでございました。

で、先物を叩くこと叩くことということで、安値134円37銭とあたしゃ水曜の安値28銭を抜くんじゃないかと呆れながら見ておりましたが、当然ながら先物独歩安モードだったのですが、よく見りゃ10年も安値1.71%とか水曜の安値を5糸だけ割っちゃいましたな。5年の安値が1.30%で2年の安値が0.845%(ちなみに全部日本相互証券の出合いベースかつあたくしの脳内メモリーベースでありますので内容無保証)ですから、まあ木曜の先物だけ戻った分のバランスをまた調整したとも言えそうですな。

ということで、水曜に続いて債券市場が先物中心に自爆の巻と相成ったのでありまして、自爆も1度だけじゃなくて短い間に2度も続きますと、こりゃまあ自爆とは実に香ばしいなどとちゃらけている場合でもありませんで、地合いが悪いのか、単に一部の振り回し組に誰も向かわないという悲しい相場状況なのか、まあ困ったもんでありますな。

まーあてずっぽうですけど、あたくしが勝手に思うのは(1)債券先物の売買システム(というか値付けの細かい部分ですが)の改悪により指値注文のリスクが高くなり市場の流動性がガタ落ちになっていること、(2)参加者の体力が落ちていること、(3)それに加えてリスク管理のリスク算定上マーケットのボラが上昇するとポジションが取りにくくなること、などなどが適当に思い浮かぶのですが、最初の先物に関してはかなりウェイト高いと思います。98年(でしたっけ)の先物値付け方式の変更で先物の流動性が落ちて大変な相場になりましたが、あのときの反省とか全然生きてないのかねと東証を小一時間問い詰めたいのですが。


○輪番の話金曜もしましたが

で、釈迦に説法だが輪番がゲロ甘になることの説明。

えーと、輪番オペの応札方式は基本的には前日の引け(日銀が引けリストを出すことになっているような気がしますが、基本的に売買参考統計値の平均単利の筈)からの利回り競争入札になりますので、当日前場引け時点でイールドーカーブ上一番売られている所が応札しやすくなるということになっております。

ところが、超短い債券を成り行きで叩き込みに行く人がいますと話は別。今年の9月償還までは利付国債の償還金支払いに対する手数料が9銭(ただし1銘柄500万円上限、利金の話もありますが面倒なので割愛)お支払いされるというのがありまして、その部分をある程度反映した数値がこいつらの引け値に反映されており、売買参考統計値がちとお高くなるようで。

例えば6月償還の銘柄の売買参考統計値ですが、16日付のもので2年245回が0.428%、5年27〜29回がそれぞれ0.398〜0.401%、10年203、204回がそれぞれ0.480%と0.483%(本人は単利のつもりで引用してますが、もしかして売買参考統計値のCSVファイルの読み方間違えていたらゴメンナサイ。まあ大差ないと思いますが)となっていまして、銘柄によっては10毛甘で叩いても短期金利に負けない場合もありますわな。

で、元利払い手数料が引き下げられる10月償還以降になると話が変わるのかという事ですが、こちらは良く判らんとしか申し上げようが無いです。その気になって成り行きで叩き込みに行くとなりますと、残存1か月で10毛叩きに行っても値段に直せば1銭にもならないので、お家の事情(例えば一例を挙げれば、償還銘柄は最後の振替決済停止期間に入ると担保などとして使えなくなると記憶しておりますが、それが間違ってなければ償還銘柄を持つことは結構なコストになる訳でして)系の成り行き叩き込みが打ち込まれるとどうにもこうにもとなりますので、こればかりは正直よく判らん。ただまあ3,6,9,12の償還銘柄の残存が短くなった所では償還銘柄叩き込み攻撃は変わらずに起きそうな気は致します。

こればっかりは制度上どうしようもないですので、まあ輪番オペの趣旨は一応成長通貨の供給って話になっていることですから、短期物を募入対象外にする(その代わり新発は入れさせてあげてよと思いますけど)とかでもしないと状況は変わらんでしょうなという所で。

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2008/05/16

○これはこれは

これまたちと古いネタなのですが(汗)、埋蔵金どうのこうので高橋洋一先生が産経新聞のインタビューを受けていたようで。記事は5月10日に出てたようですね。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080509/plc0805091500008-n1.htm

短いインタビューですが、拝読いたしますと『全部使えるというわけではない。そういう意味では埋蔵金候補だ』とか、『笑ってしまう。(外為特会は国の借金である政府短期証券で調達しており)借金して財テクするのを、どうして国民がよいと言うと思うのか不思議だ。』とか、昨年末以来の埋蔵金騒動でいつの間にか話が暴走モード(SWF議連が出来てどこぞの目立ちたがりの議員が報道番組で御託を垂れるとか)が入って騒ぎがあらぬ方向に大きくなってしまっている部分への火消しモードに入っているようにも見えますな。

まあ「財政融資資金特別会計の金利リスクをほぼゼロにできる」みたいな部分均衡みたいなお話も必要な面はありますけど、「それをやったら特会のリスクが落ちる側から別の所に影響がありますがな」というような面もよくご検討頂いて冷静なお話になっていただきたいものと存じます。

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2008/05/12

○埋蔵金雑感続きの続き

・埋蔵金を財政再建に使えるかどうか

金曜に「これって使えるのかねえ」という話をしたのですが、これまた話がややこしいのですが、ストックの部分とフローの部分に切り分けると話が変わってくるように思えます。つまり、既にストックになっている部分に関しては国債に化けているので一般会計の国債発行と財政融資資金の国債購入がバランスしているというお話になりますので、基本的には両建て落としという話になるかと。ただしフローの部分に関しては、そもそも論としてフローで益として認識している部分の一部が準備金になっている話でして、準備金になっていない分に関しては一般会計繰り入れになっているので、まあその準備金繰り入れを抑えれば一般会計が楽になるというのは仰るとおりですわな。でもそれってそんなに凄い額が出るもんなのかなあ。

で、ここでスルーしていた話として、両建てを落とすのに本当に意味がないのかというと、これはまあ削減する債務と、財政融資資金会計での保有する債権が期間までマッチしているかどうかという所で少々意味は異なってくるものと思われます。例えば準備金繰り入れに伴い長期国債の発行を減らした一方で財政融資資金で短期国債を落とすという形になれば意味が必ずしも無いわけではないですな。まあそれは財政に使える使えないの話とは違いますが。


・外為特会に関して

金曜は財政融資資金会計の話ばかりしておりましたが、外為特会の続きを少々。

外為特会の準備金云々ってお話ですけれども、話をざっくりと割り切ってしまえば、要は価格変動準備の為に幾らバッファーが必要なのかというお話。で、世間的に有名になって「外為特会に埋蔵金が山のようにある」って話になっていたのは昨年の12月とかでございましたというのはご案内の通りでありますが、その時点から為替市場が1割くらいドル安円高に向かってしまい、現実問題としてバッファーが無くなっているという状況になっているので、こちらに関しては高橋先生涙目という所でございましょう。

もちろん、外為特会が介入する側から積み上がっており、その規模が適正なのかという議論は成り立つかと思いますが、じゃあその積み上がった分を減らせるのかという話になると、ドル売り円買いをしないといけない話になるので、それを実行するのが適当なのかという問題が生じるかと思います。

で、もう一つ高橋先生がしていた「適切なマクロ経済政策」云々の話は長期的な為替が理屈の上で安定する方向にあるからと言って短期的な為替変動は回避できないんじゃないですかという議論(金曜に申し上げましたが)になりますわな。まあ外為特会に関しては予想外のドル安進行によって、議論の前提である埋蔵金が消失(苦笑)しておりますので、高橋先生の議論がわけわからんようになっているのかなあと。どうもマクロ経済政策云々は後付けで日銀と財務省を批判するために持ち出したような感じがするんですが気のせいですかね。


#しかしまあ財政の話は難しいです。ややこしいけどまた勉強したいと思いますが。

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2008/05/09

お題「昨日の続き(埋蔵金リローデッド2)」

○埋蔵金の話続き

昨日は埋蔵金話についてうだうだと書かせて頂きましたが、6日の日経新聞「経済教室」で吉野先生が高橋先生の論議に対して反論をしていたようでございます。「ようでございます」という位ですから日経新聞購読してないあたくし不勉強にも存じませんでした。ご指摘頂きまして(しかも多くの人から・・・・汗)誠に恐縮でございます。で、その点だけでなくて色々とご指摘など頂きまして色々と考えの続きが出てきましたので、その辺を少々。

・金利リスクや信用リスクの問題

あたくし昨日は財政融資資金の金利リスクや信用リスクに関して書いたのですが、そもそも論として財政投融資資金においては「財投債が発行できる年限の問題を除いて」金利リスクは取りませんし、財政融資資金法第一条で「確実かつ有利な運用」を義務付けられている(ので融資先が地公体とか財投機関になる)ので基本的に信用リスクを取りに行ってる訳では無いのですね。ご教示ありがとうございました。

で、高橋先生が提言する「金利リスクをゼロにする」という話はその財投債が発行できる年限の問題がどうできるのかというお話になるということで、昨日も申し上げたお話の繰り返しになるますが、それは市場の中の人が使う表現からすると「マーケットインパクト」の問題があると思います。


・民間と国が同じように動けるのかという問題

昨日も引用しました4月18日の参議院財政金融委員会会議録
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/169/16904180060007a.html

こちらで高橋先生は「財投債の発行年限をコントロールすれば金利リスクはゼロになる筈」といういつもの話をしえとりまして、まあこのあたりが財政投融資資金の埋蔵金がどうのこうのというお話の基本になるわけですな。再掲しますが。

『しかし、これは金融をやっている人だったら直ちに分かるんですけど、この金利リスクというのは外から与えられるものではなくて、自らどのようにするかというふうに管理するものです。』

『いずれにしても、その財投債により金利リスクはほとんどゼロにでき得るにもかかわらず、一定の金利リスクを取って、そのために一定の積立金が必要とのロジックというのは果たして国民がどの程度納得できるんでしょうか。』

どうも高橋先生におかれましては、そこら辺の民間債券発行体と国の債券発行の行動に関してマーケットインパクトが全く同じであるかのようなご説明をしている訳であります(引用しないけど「経済教室」での論点も同じような感じ)。でも、昨日申し上げたように、財投債部分で財政融資資金特別会計の調達運用のミスマッチを全部無くそうとすると、一般会計部分の国債発行年限を短期化してバランスさせるとか、もし一般会計部分がそのままだとすると、財投債の発行年限長期化によって長期(というか超長期)の発行がドカンと増えて全体の調達コストが上昇するでしょってお話を敢えてスルーしているのではないかと思われます罠(まさかその辺判ってない訳ないでしょう)。

これが例えば一般民間企業であれば、債券発行年限を長期化したり短期化したりしてもマーケットインパクトがあるわけでは無い(CPのレートなんぞ見てますと確かに1社だけならインパクトないかもしれないけど実は大手発行体が数社同じ動きをすると需給関係が変わるなんて事例はあるのですよね)ということになると思うのですが、国は発行体としてのシェアがとてつもなくでかく、民間と同じように行動できるのかよという問題が生じると思うんですよね(そういう意味では最近のマネーマーケットでは参加者の合併による巨大化によって似たようなマーケットインパクト問題が生じているともいえるかなあ)。

その辺を敢えてスルーしてしまうのは如何なものかと思われるのでございますです。


・埋蔵金は別にヘソクリじゃないんですけど

という部分に関しては高橋先生も「バランスシートに出ているのだから露天掘り」という表現をさっきの国会説明でもしていましたけれども、どうもこの「埋蔵金」という語感から、「隠れた収益金」みたいなミスリードが生じるとこんな話になりそうでおそロシア。

『○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。(途中割愛)今、土居参考人のお話の中で、埋蔵金はストックなんだからストックに戻す、戻すんだったらストックに戻すべきだというお話ありましたけれども、例えば財政融資特会の今あるストック、積立金は、これは今はストックですけれども、元々フローもありまして、フローの積み上げであるわけですね。ですから、例えば毎年のフロー、二兆、三兆、四兆ありますから、そのフローの分を一般会計に入れるとか、そういった使い方を私はできるんじゃないかなというふうに思っております。(以下割愛)』

『○富岡由紀夫君 ちょっと後で聞きます。 露天掘りのことについてお伺いしたいんですが、今、先ほどお話出ました、私は、二十兆円二十年度末で出てくる、そのうち九・八兆円は国債の圧縮に使うので残った十兆円を今まで暫定税率の税収不足に充当できるんじゃないかという議論をしていたんですが、その九・八兆円自体をそういった税収不足の分に充当できるという今日はお話あったものですから、それは非常に私はすばらしい発想だなというふうに思っております。全部、国債整理基金に九・八兆円を戻すんじゃなくて、三兆円ぐらいは、二・六兆円相当分ぐらいは一般会計に入れるということができるというお話なんですけれども、これは手続上どういったことが行えばできるのか、お伺いまずしたいというふうに思っております。(以下割愛)』

えーっとですな、バランスに準備金があるということはその分というのは別に隠し金でも何でもなくて、その見合いとして基本的には国債(かその同等物)がある訳でして、準備金繰り入れしたぶんというのはその分国債が買入消却されるという話じゃないかと思うのでございますが。

即ち、グロスでの債務残高削減にはなりますけれども、ネットでは変わらない(現実問題として、直近の財政融資資金の準備金繰り戻しにおいて債券市場へのインパクトは無かった訳でして、これはネット中立という事を意味すると思うのですよね)のではないかと思うのですよ。

然るに、こちらのミンス党の先生様のご発言にありますように、「準備金を繰り入れて暫定税率の税収不足の分に充てる」とか言うことになりますと、それはどう見てもただの財政発散です本当にカムサハムニダとなるのではないでしょうか。キングオソロシス。


さすがに高橋先生はこのように説明しています。

『○参考人(高橋洋一君) 政策論ですからいろんなやり方があるのかもしれませんけれども、多分一番簡単なのは、ただ単に国債を三兆円出せば全く経済効果は全く同じですね。ですから、国債を三兆円更に出して、それを一般会計に入れて、それで九・八兆円償還すればいい。ですから、まあやり方は多分たくさんあります。しょせんお金の話なんで、お金に色は付いていないと言っちゃいけませんけれども、補正を組むもいいし、いろいろとやり方はある。もうテクニカルにたくさんあって、頭に浮かびませんけれども、多分一番簡単なのはただ単に三兆円国債を出せばそれで終わると思います。』

まあ参考人として呼ばれてミンス様の顔をぶっ潰す物言いは出来ませんから表現がオブラートに包まれるのは仕方ないですが、要するにこの説明ですと「ネットで国債を3兆円増発しないと税収不足の充当には使えませんが何か?」と説明しておられますわな。ところがミンス党の大先生様は何をどう理解しておられるのやら。

『○富岡由紀夫君 本当にすっきりいたしました。ありがとうございます。そういうことでやろうと思えば幾らでもできるというふうに理解いたしました。(以下割愛)』

どう見ても理解していません本当に(ry


てな訳で、高橋先生のお話っていうのは元々は国の債務残高問題においてグロスの残高の議論ばかりが注目され、結果として財政政策が(高橋先生的には)過度に引き締め傾向になるので、もっとネットの問題を考えないといけないのではないかという問題意識からスタートしているのではと勝手に理解しているのですが(間違えてたらスイマセン)、「埋蔵金」という言葉(は高橋先生が言い出したんじゃないですけど)のイメージが勝手に歩き出して、財政発散の話になっている所が何ともおそロシアな所じゃないかとあたしゃ思うんですけどね。

#また続きがあるかもしれませんがとりあえずこんな所で

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2008/05/08

お題「赤恥かくのを承知でややこしいネタを出してみるの巻:埋蔵金リローデッド」

いやまあ実はこのネタは前から考えているものなのですけど、何度考えても上手くまとまらないので、まとまらないままここでうだうだ書いてご意見の叩き台に致したく存じます次第。

○埋蔵金を捻出できますというお話ですが

だいぶ前の話になりますが4月11日の日経新聞25面の「経済教室」で高橋洋一先生が埋蔵金捻出に関するお話をしてまして、関連したお話を18日の参議院財政金融委員会でも参考人として行っています。

で、経済教室の方は縮刷版でも当たっていただくとして(手抜き)、参議院財政金融委員会に関してはこちらのURL(内容は長いです)にございますのでこちらから適宜引用しつつ。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0105/169/16904180060007a.html

でですな、高橋先生の説明なんですが、一つ一つの部分的なお話はまさに仰るとおりとしか申し上げようが無いのですけれども、話全体を通してみますと腑に落ちないというか違和感があるというか、どうもこう良く判らんのですよ。で、その良く判らん感が単にあたくしの知能の至らざるのが原因なのだと思うのでございますが、うまく腑に落ちるお話を誰か教えてジェネラルなのでございまする。いやまあ無知蒙昧なあたくしが大先生の言うこと判らんとか申し上げる時点で僭越にも程がございますので、そういう僭越な言説は読みたくないという方は(今日は本件しかネタが無いですので)以下の文章は無視していただきたく存じまする(^^)。


○政府が金利や為替リスクを取りにいく必要が無いのはその通りですが

埋蔵金がもっと捻出できますよって話のベースは、埋蔵金即ち特別会計における準備金の根拠となっている長短金利ミスマッチ部分(これは主に財政投融資部分)と為替リスク部分(これは主に外国為替特別会計部分)に関してそれらのリスクを落とせるのではないかという所にございます(とあたくしは理解しています)。上記4月11日日経新聞朝刊25面「経済教室」から引用すると。

『これら(引用者注:財政投融資資金と外為という2つの特別会計)の資産負債総額のうち、積立金は、政令と予算書でそれぞれ金利リスクへの対応、為替リスクへの対応のために、おのおの総資産の5%、外貨資産の30%まで積み立てられるとされる。(金額部分割愛)これらが取り崩せるか否かは、5%と30%という数値がリスク管理上適切かどうかの問題だ。』(4月11日日経新聞「経済教室」より)

ということですので、あたくしの理解であってるとは思いますが。


でもって、2001年度の財投改革に伴い、財政投融資資金に関しては預託制度から財投債発行に変更して調達の期間を自由に調整できるようになったので、調達部分のミスマッチを解消することが出来る筈なので、金利リスク(長期というか超長期運用の短期というか中長期調達ですわな)は抑えられ、結果として積立金は減らせますってお話になっております。で、本来政府が財政投融資資金の運用調達部分で長短金利のミスマッチを取る必要があるのかというのが問題意識としてあるということです。

で、このあたり経済教室にも同じ話がございますが、上記の国会でのお話でも同じ説明がありますので、そっちから引用します。

『本日は時間の制約がありますので、各特会ではなくて財政融資特別会計の金利変動準備金についてのみ述べたいと思います。この準備金というのは金利リスクのためと説明されております。ただ、二〇〇一年の財投改革から財投債というのが発行されるようになりましたんで、言わば資産と負債のミスマッチというのは限りなくゼロに近くできるものになっているはずです。ただ、財政当局の方は金利リスクの存在を認めながら、金利リスクがあたかも外部変数、外から与えられたかのように、与件のように説明をしまして、五%の積立金を正当化しているというのが現状だと思います。』

『しかし、これは金融をやっている人だったら直ちに分かるんですけど、この金利リスクというのは外から与えられるものではなくて、自らどのようにするかというふうに管理するものです。民間金融機関であれば収益を稼ぐのは当然ですから、このリスクを取らなければ収益を取れないという意味で金利リスクを取るということはある程度は容認できるかもしれませんけれど、国では必ずしも収益を稼ぐ必要がないわけですね。そうなりますと、果たして国の政府活動としてリスクを取ることが適切なのかどうか、もし損失が出た場合には最終的には国民負担になるわけなので、国民の納得も得にくいものだと私は思います。そもそもその金融活動自体を政府活動としてどこまで行うのかというのも疑問があるかと思います。』

『いずれにしても、その財投債により金利リスクはほとんどゼロにでき得るにもかかわらず、一定の金利リスクを取って、そのために一定の積立金が必要とのロジックというのは果たして国民がどの程度納得できるんでしょうか。国民は政府にあえて金利リスクをと思わないかもしれません。その結果、積立金が取り崩せて財政再建に貢献できるんであれば、なおさらそう思うかもしれないと思っております。』(4月18日参議院財政金融委員会より)


さて、このお話なんですけど、まあ確かにご指摘の話は一々ご尤もなのでありますが、財投債部分で期間のミスマッチをなくす様なオペレーションをするということは恐らく超長期の財投債が結構な勢いで発行される事になる筈なのでありますが、30年国債と40年国債の流動性が相変わらずのマーケット状況で物理的に可能なのかという疑問がまずその1でございます。いやまあ最終的にはどっかで値段は付くでしょうからそれはそれで何とかなるのでしょうが、マーケットインパクトがでかくなった挙句に(調達金利が上昇して)財政投融資自体が赤字になったら意味ねえと思いますし、財投債部分で長期調達をドカンと増やしてイールドカーブを立たせてしまいますと(債券運用してる人は助かりますが^^)、一般会計での調達コストに跳ねてくる話ですんで、財政投融資の部分を綺麗にお掃除するそばから別の部分に変な影響が来ませんかねえとか思うのですが。


あと、政府が金利リスク取るなというのはそれはそれで一面ご尤もなのでありますけれども、金利リスクとらないで財政投融資を行うということは、その財政投融資では基本的に信用リスクを取っているものになると思うのでございますが、そちらに関する準備金はイラネということ(だと穴が開いたら一般会計から補填になりますよね)になるのでしょうか。何か今一歩良く判らんのですが。

いやまあ財政投融資自体がわけわからんのでこれを縮小廃止するという話ならばそれはそれで非常によく理解できるのですが、そのために埋蔵金を吐き出すとか財投債の足をより長期化するというのは何か手段と目的がひっくり返っているいるような気もするんですけど。どうにもこうにもよくわからんでございます。


○で、外為のほうですが・・・・

外国為替特別会計に関してですが、これまた上記参議院財政金融委員会における高橋先生の参考人説明から引用します。

『外為の場合は、多少ちょっと議論が複雑になるのはそのとおりだと思います。ただ、その外為がなぜあるのかって考えますと、これは為替の急激な変動がなくなるためですね。ですから、元々どうして為替がそのように変わるのかって考えますと、ちょっといろんなアイデアが出てくると思うんですが、一番為替が大きく変わる、長期的に大きく変わる要因というのは、実は、為替というのは元々通貨の交換比率ですから、それぞれの通貨の維持、価値とかそういうのに依存する。ということは、要するにそれぞれの国の金融政策に結構依存する話なんですね。』

『それで、海外なんかは実は余り外為資金を持っていないというのは、ほとんど似たような金融政策をする、結果的にすると、余り動かないというのがあります。それで、日本だけ見ますと、実はその物価の上昇率が結構為替に影響がある、長期的にはあるんですけれども、日本の物価の上昇率だけ十年間は余りにもなくてほかの方があるんですね。こういうのをずっと放置しておきますと、実は潜在的には円高になり得るんです。』

『ですから、どちらかというと、余り為替が動かないようなマクロ経済政策というのを取る方が実は簡単だと思います。ですから、そういうのを取った上でこれだけ必要なのかどうかというのを議論しながらやっていくというのが多分王道だと思いまして、私の印象ではきちんとしたマクロ経済政策があれば、余り円高とか、余り円安というのはなくて、そういう状況の下で考えれば、埋蔵金というか、それを資産、負債を整理していって圧縮していった段階で出る可能性はあるのではないかなというふうに考えております。』(4月18日参議院財政金融委員会より)

うーむ、お話一つ一つはその通りなのですが、全部を読むと何というかこの違和感がありまくるのですけど。国会相手の説明だから端折っている部分があるからなのかもしれないですけれども、短期的な為替変動の話と長期的な為替変動の話の切り分けが何か微妙にあいまい(長期的に為替が変動しないようにすれば短期的な変動もなくなりますっていうロジックのあたり)なのと、為替介入によって発生している日本の外貨準備とドルペッグをしている国の外貨準備の話をこれまた微妙に分けていないように見える(海外は米国と似たような金融政策をするのであまり外為資金を持っていないというあたり)あたりがあたくしの違和感のベースかと思うのでありますけれども、うまく説明できないのであります。

まあそれはそれとしまして、『ですから、どちらかというと、余り為替が動かないようなマクロ経済政策というのを取る方が実は簡単だと思います。』というのはちょっとそれは話がワープしているように思えるのですが。まあ結論はリフレ政策をしろって事に持って行きたいようなのですけれども、為替が動かないようなマクロ経済政策を取るとなると、何とかのトリレンマとかを持ち出しますと、金融政策とかが米国の政策動向に依存しちゃうような気が。えーっと日本はドルペッグ政策をしろということですか、わかりません><

さっきの日経新聞4月11日「経済教室」での説明だとこうなっています。

『具体的には日米のインフレ率を米国と同じくらいにしておけば、極端な為替変動圧力から逃れることができ、極端な内外金利差も回避することができる。また、こうしたマクロ経済環境は、現在のデフレ気味の経済環境から脱出することでもあり、経済にとっても望ましい。』(4月11日日経新聞「経済教室」より)

あたくし無知の為よくわからんのですが、潜在成長率というか経済の基礎的条件が違う国同士でインフレ率を同じくらいにしようとしても適正な政策金利水準って違うような気がするんですけど気のせいでしょうかというのが一点。それに為替市場での価格変動におきまして2国間のインフレ率の差って普通ネタにならんと思うのですけれども、長期的な変動が無くなれば短期的にも変動しないというロジックなのでしたっけ。うーむ。。。。

それから、実は外為特会でも確か金利ミスマッチ部分があったと思うのですけれども、このミスマッチの話はどうなるのか(たぶんそこまで話をすると論点が発散しすぎるのであえてスルーしているのだと思いますが)とか、外為特会の圧縮をすべしというご指摘は全く仰るとおりだと思うのですけれども、果たしてそれは極端な為替変動圧力を回避した場合に圧縮可能な代物なのかとか、まあ色々と正直よく判らない部分がございます。

と、延々とあたくしの無知蒙昧振りをさらけ出してしまいましたが、無知なあたくしの駄文に延々とお付き合いいただきましてありがとうございました。部分部分の話は判るのですが全体を通すと何かこうストンと落ちてこないのですよねえ・・・

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2008/04/30

○展望レポート大予想(もへったくれもないが)

大予想もへったくれもございませんでして、経済見通しを下げて金融政策の先行き方向性を出さないというのはもう皆様もご案内の通りではなかろうかと。で、今のところあたくしがポイントとして考えておりますのは、(1)いわゆる前向きの循環メカニズムに関してどういう書き方をしてくるのか(循環メカニズムが生きているのか、生きているのなら機能するためのポイントはどこか)、(2)現状の金利水準をどう評価するのか(まあ緩和的としてくる思うのですけれども)、(3)大体予想は出来ますが、物価に関してどう評価してくるのか、などと言う所ですかな。

あとは何と申しましてもBISもが勘違いした「第1の柱」「第2の柱」のややこしい論理でございますが、あちらも少々お手直しして頂きますとありがたく存じます。てかあの柱って基本的な先行き方向性が確りしているのを前提にしているロジック展開(だから「前向きの循環メカニズムが機能している」という前提の元だと利上げをするという結論になってしまう)なんで、政策様子見モードになったときには使いにくいような気がしますけど、如何でございましょうか。



○なおも雑談

先週出てたCPIですが、エネルギー価格もさることながら食料品がジャカジャカ上昇してまして、下落してるのはいつもの家電とかでございますかそうですかという数字のようですな。本職の人たちのレポート読んだ耳(目)学問ですけど。これで小麦価格が4月から上昇とかございますので先行きもトホホでございますが、どう見ても実質購買力の低下です本当にありがとうございましたという所でありますが、このCPIが全然賃金に跳ねないのが日本クオリティ。

正直、ミンス様におかれましては暫定税率どうのこうのの話をするよりも、春闘を真面目にやっていただきたく存じます(もう終わったけど)のでありますけれども。

#そういや日銀副総裁と審議委員1名はどうなっているんでしょうか

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2008/04/23

○金先が順イールドな件について

昨日もまた金先売られるの巻でありましたが、夕方18時頃にデータを取ってみますと08年06月限から順に0.85%、0.86%、0.875%、0.89%と期先ほど弱く(金利上昇)なっておりましたわな。月曜は逆イールド解消の巻でしたけど、昨日はもうちょっと順イールドのカーブ(カーブというか直線というか)っぽくなっておりますな。ということで、昨日と同じ話になりますが利下げネタで宝くじ感覚というような動きの人たちが一旦降りたってことですな。

じゃあまあここからイールドが再び先行きの利上げを織り込む展開になるのかってえとこれはまた話は別じゃないかと思うのでして、それをやるには少なくとも株式市場様が景気底打ちを織り込みまくって15000円とか抜けてくれないとって勝手にあたくし思ってますんで、先は残念ながら長いですわなあという気はするんでございます。ここもと5年とか10年とか売られて5年は1%、10年は1.5%に接近(今日は米国で長いところ確りしてるし株は続落してるから反発するんでしょうが)しているというのに、2年の方は「次回利上げすると逆鞘」というレート水準のままでありまして、昨日の引けは0.680%と目の子計算すれば1年後に0.25%利上げになって無担保コール調達でチャラとなりますな。

去年5年が1%近辺にいる時には2年が0.7%前半とかでありましたので、まあ微妙に2年の売られっぷりが足りない気がするのですが、その部分ってのは「向こう1年くらい金融政策動けないでしょ」というところになっているんでしょうね。


○いやそのりくつはおかしい(と思う)

某ベンダーで拾ってきたのですが、どこぞの証券会社の何とかストのお方が「日銀の金融政策さえ左右しかねない暫定税率の行方」というお題のレポートをお出しになっていたようで。

お題見れば内容想像付くと思いますが、租特法の再可決が政治的に難しくなった場合にガソリン関係の暫定税率部分の値下げ効果でコアCPIが0.4〜0.5%程度下がりまして、「暫定税率の行方は日銀の金融政策さえ左右しかねない」ってお話でございました。

・・・・・えーっと、それって一昨年の秋にどこぞの禿が率いる携帯キャリアが新料金プランを発表したときに、これが全部CPI算定に跳ねるとコアCPIが0.5%とか下がる(=携帯電話の場合通話料のウェイトが機種本体より高かったので、差し引きツーペーの料金プランでもCPIは下がるという孔明の罠)という話になって、「日銀の金融政策に大きな影響が」とか言ってたのと同じことだと思うんですけど。

というか、暫定税率が元に戻らないでそのまま減税になったら景気に対しては刺激的になるので別に悪い話じゃないと思う(いやまあガソリン税下げるくらいなら所得税下げた方が良いと思うんだが)ので、「暫定税率が元に戻らないとコアCPIが上がらないので日銀が一層利上げしにくくなる」という理屈はおかしいと思うんだが。

それにこの問題って直接には(回りまわって影響するとは思うけど)コアコアCPIには関係なかろうと思うのでありますが(^^)。

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2008/04/22

お題「金先雑談とかその他」

○金先の逆イールドが解消されました

昨日の債券市場は寄り後暫くしてから先物が急に前日比変わらずくらいまで戻すというダマシがあって何のこっちゃでございましたが結局下げ。それよりもあたくし的にほほうと思ったのはユーロ円金先でございまして、午後になって下げ足を早めまして、ついに逆イールド解消の巻となりました。債券引けタイムの15時ちょっと過ぎ(15時3分)の数字で申し上げますと、08年6月限から09年3月限まで順に(レート換算で)0.84%、0.85%、0.855%、0.86%となりました。ちなみに前日比の下落(レート換算で上昇)幅は順に+0.010%、+0.025%、+0.035%、+0.060%ということで、金先の逆イールド状態が解消されましたってことで一つよろしく。

金先の逆イールド解消ということで「市場の織り込む金融政策の期待」って奴が利下げ方向への確率から中立になりましたというお話になる次第でして、まあ相変わらず(規模だけはでかいが)参加者が局地的なOIS市場でも当然ですけど次の決定会合までの利下げ確率ってのが0になって、利上げ確率が1%になったり、向こう1年間での予想される政策金利が0.06%上昇になったり(データはブルームバーグ)と中々チャーミングな動きに。


まあこれって「利下げ期待の後退」と言ってしまえばそれまでなんですけど、ぶっちゃけちゃいますと市場の利下げ期待というのが最大に盛り上がったのは1月の株式急落時点(1月23日の2年0.495%とかね)での催促相場状態でして、あの時点では金融機関の資本不足問題(どこぞへの出資が取りやめになるというウワサが出たりしてましやよね)やら、インド株急落やら、もう大丈夫でございますかって先の見えないモード(そんな中で日銀利下げしろ私らは何もできないと連呼した経済閣僚たちはちとエエカゲンにせえという感じでしたが)でございましたわなという所で。

その後まあ色々とネタは出ましたが、ベアスターンズの事実上の救済措置が出た3月には12000円割れとかやらかしてましたけど、2年カレントは0.55%を引けで割ること無し(再度0.52%位まで下がったのはバーナンキが中小金融機関の破綻云々とか抜かした2月末から3月頭でしたわな)の巻ってことで、利下げ期待に関しては別にまあ盛り上がってはいませんでしたわなということで。

ただまあ利上げに関しては目先どう考えてもあり得ないという状況でございますので(サブプライム問題が劇的に解消するなら別ですが)、利上げ100%無しと思えば間違って利下げがあったら利下げ分丸儲けという発想で本気で利下げがあると考えている参加者はいないけど、シャレでポジション作る人はいますわなという感じで、「市場が織り込む利下げ期待」が形成されていたと思うんですよね。特に金融政策ネタといえばガイジンさんが国内にいる人たちの発想の斜め上を行く頓珍漢な動き(金融政策ネタで話題になるなんちゃらレポートなどというガセネタの宝庫がございますな)をして下さいますので、その動きに対する期待もあるわけで(笑)。

まーそのポジションを一旦降りてみましたってのがここもとの動きだと思うのですが、米国の利下げが次にやったら一旦打ち止めになるんじゃないかとか、ユーロエリアはインフレ懸念で利下げに動きにくいから米国も合わせて協調利下げはちと考えにくいとか、サブプラ問題に関しても(何となく怪しげではありますが)先行き訳の判らん爆弾が炸裂するという感じでもなくなってきましたし(いやまあ欧州は微妙ですけどね)、そんなこんなで国際的にガンガン利下げという感じでも無くなったというのがポジション降りる判断になったんでしょうねえって感じです。

つまり、日本の利下げ期待じゃなくて米国の大幅利下げ期待が後退したということですかな。んなアホなという感じでございますが。


○この手のデータは悪いんですよね

昨日は財務省で全国の財務局が出す地域経済判断を総合した総括判断を超久しぶり(6年3か月ぶり)に下げるというニュースもありましたが(というか日銀だってこの間の判断を微妙に上げたり下げたりしてるのに6年間「緩やかな回復」というのもある意味凄いですな)、日銀からは貸出動向アンケートが。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/loos/loos0804.pdf

資金需要判断で企業部門がドテンマイナス(資金需要減少)となってしまいまして、2ページ目の項目別展開も製造業、非製造業や企業規模の差がなく資金需要減少の巻となっておりますわな。業種まで見ると少しよくなっている部分とかもありますけど。

で、住宅ローンとか消費者ローンとかも前回調査よりややマシですが資金需要判断はマイナスですし、まあ全体的に盛り上がりませんなあという感じでございます。特に住宅ローンの需要減少に関しての理由として「住宅投資の減少」というのがあるのはまあそうでしょうなという感じですな。

しかしまあこの手の数字が出る一方で市場の方は利下げ期待が後退してるし株は何となく下がらなくなってますしというのが何ともお洒落でありまする。


○BOEも対策を

http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2008/029.htm
左様でございますかそうですかという所ですが。

『The Bank of England is today launching a scheme to allow banks to swap temporarily their high quality mortgage-backed and other securities for UK Treasury Bills.』

なんですけど、目的は証券化商品のファンディングが付かなくなっているのでファンディング支援と。

『With markets for many securities currently closed, banks have on their balance sheets an ‘overhang’ of these assets, which they cannot sell or pledge as security to raise funds. Their financial position has been stretched by this overhang so banks have been reluctant to make new loans, even to each other.』

『Under the Scheme, banks can, for a period, swap illiquid assets of sufficiently high quality for Treasury Bills. Responsibility for losses on their loans, however, stays with the banks. By tackling decisively the overhang of assets in this way, the Scheme aims to improve the liquidity position of the banking system and increase confidence in financial markets.』

Responsibility for losses on their loans, however, stays with the banks.っていうのですから、まあ端的に言っちゃえば証券化商品担保の現先オペやってるようなもんですな。で、米国の時もそうでしたが、資金を出すんじゃなくてトレジャリーを出すというのは資金出すとなると色々と法的な制約があるからなんでしょうか、よー判らんのですけど。日本ならそのままABSの買い現先オペになりますわな。

『The scheme has three key features:

・The asset swaps will be for long terms. Each swap will be for a period of 1 year and may be renewed for a total of up to 3 years.

・The risk of losses on their loans remains with the banks.

・The swaps are available only for assets existing at the end of 2007 and cannot be used to finance new lending.』

3年まで延長可能ってすげええええええええ。といいましてもまあ要するに資金繰り支援ですわな。バランスシートから切り離される訳ではないですから3年経っても元本毀損してれば結局その銀行が被るのですけど(銀行が飛んでしまえばBOEが被る破目になる)。

まあ金融機関保有株式を堂々買取りした日銀ほどでは無いですけど、3年まで延長可能って中々素敵な先送りあわわわわ。

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2008/04/01

お題「ひたすらオペ雑談です」

須田審議委員の講演ネタが後回しですいません。期末の話は今書いておかないとすぐ忘れちゃいますんで。

○結局ロンバート1000億円ぽっち

昨日も朝っぱらからGCのオーバーナイト(末初取引)は延々と74bpのオファー(資金の取り)が続くの巻。いやまあ75だとロンバートだから74希望というのはワカランでもないですが・・・・で、9時20分の即日本店オペが1兆5000億円で応札限度5000億円の結果が0,741/0.74の77.8%按分。応札が3兆8739億円でしたので2兆ほど募入にならなかった札がありますと(下の冷やかし札がどのくらいあったのか知りませんがそれは割り引く必要あり。為念)。

まあそれは良いのですが、オペ終わっても相変わらずGC末初が74のビット並ぶの巻で、12時50分に追加の即日本店オペ1兆5000億円実施。この結果が73.3/73の73按分100%だったのですが、意味が判らん事にそのオペが終わってもGCに74のオファーがあったのは何だったんでしょうか。

いやあのGC74でビットするくらいならオペで74入れりゃ最初のオペでも入れた札の7割入ってたし、次のオペでは必殺だったんですけど、どうも何考えて(多分何も考えてないのではという疑問が)いるのか訳判らん動きをする人がいますなあという感じでありました。それでも日銀がオペで何とかしちゃうってえのは別に今の国内インターバンクって非常時でも何でもないし、そもそも物をちゃんと考える人だったら期末ギリギリまで(その意図はないんでしょうけれども)寝転がらないでしょと思うのですが・・・・

どうにも量的緩和時代が長かったせいか、金利がある時代に生きてた人からすると良く判らんですなあという感じで。


まあそれは兎も角として、至れり尽くせりの日銀オペ様のせいで、昨日のロンバート実行は1000億円(速報ベース)ぽっちと相成りました。積み上は2回のオペで5兆円近くになっていた筈。いやあ大変優しいオペですねえ(棒読み)。


○昨年との比較

昨年の3月末はどうだったかと申しますと、30日当日は2兆7800億円のロンバート実施。即日本店オペは1兆円朝のオペで1本実施でオペ実施後の積み上が2兆7000億円(この時は積み終了先がいて30日に積み終了先の残高が積み上がったので正直ワケワカラン所があるのですが)とか。コールは終日しっかりで末初の加重平均は71.5だったんですが、あたくしの手元メモを読み限りレポレートが波乱になった感じはないですね。

ついでに申し上げますと、今回の資金供給って3月最終週(というか先週)になって急にシャカリキになって期末越えの供給をした感じですが、昨年はその前の週初(19日)に「バーゼルU導入絡みで無担保コールの取り意欲が強くなる」って話で末初レートがいきなり上昇して1.5%が出合ったりしたんですよね(もっとどうでもいい話ですが、この時は10年カレントが1.575%だったので「長短逆転記事」が出なかったのでしょうか、笑)。で、それを受けて19日の週から淡々と期末越えのオペを打ってたんですけれども、今年のオペより全然頻度少ないです。

一方で今年のオペって(期末越え金利が上昇しだした)17日の週に行ったものって本数は多いのですが期末越えない足の短いのが多くて、またロールでバカバカオペを打たないといけないという流れに。昨年の3月19日の週に打ったオペは供給8本で即日1本に短国買入1本。残りの6本中期内に落ちるのが1本。一方今年の3月17日の週に打ったオペは供給14本で即日4本に短国買入1本に輪番1本。残りの8本中期内に落ちるのが3本。即日オペは翌日物ですので、そこまで勘案すると昨年の2本に対して今年は7本ですな、足の短いものが。ということで何か多忙っぷりが目に付きます。


○いやまあロンバート出るのが困るっつーのも判らんでもないですが

で、先ほども申し上げたように、昨年は末にきっちりロンバートが2兆7800億円出たのですが、今年は1000億円ぽっちしか出ないの巻。それだけオぺを至れり尽くせりということでありまして、これじゃ何のためにロンバートがあるのか良くわからんお話ですなあという感じであります。

いやまあ昨日も悪態つきましたように、どうせロンバート実行が増えると「貸出ファシリティにニーズ殺到」とかいう話になって「日銀のオペレーションがヘボだからインターバンクが混乱した」とか言いがかりをつけられるって話なんでしょと思うのですが、たぶんそれって(これまた昨日と同じですが)短期市場にいる皆様誰しもが思うことでありまして、それを見越して寝転がり(意図してるのと意図してないのと両方とも)が横行しちゃいましたってのが期末の動きだったんでしょ。

いやあ何も考えなくても日銀が至れり尽くせりのオペをやってくれるなんて楽でいいですねえ、というかそうしないと回らないほど短期というか資金のところって人材が払底してるんですかねえ。。。。そんな筈はないと思うんですが。


○またも人のふんどしコーナー

という期末の動きに関して既に本石町日記さんがエントリーを上げているのですが、そこにまたもコバンザメのように便乗しますすいませんすいません。

http://hongokucho.exblog.jp/8279844/

コメント欄の見事な過疎っぷりに全あたくしが泣きました。というのはともかくとして(^^)、本石町日記さんの「そんなにオペ打つならロンバート下げちゃえば」というのは別の言い方ですけど、期末に向けたオペの打ちまくりがマーケットをオペ依存症モードにしてませんかっていう指摘に繋がりますよね。あたしゃ本邦で別に信用収縮がどうのこうのという話ではないので、逆にオペ依存症防止の為にロンバート上げちゃえばって(少々暴論でありますので念の為)話をする訳ですが、まあ根っ子にある現状認識は似てますねって所で(^^)。

そうそう、過去の当座預金増減明細日足と、オペレーションの実績は下のURL先でございますのでご参照ありたし。こういう資料が充実しているのが日銀サイトの良い所であります。階層構造が複雑で探すものを見つけるのに相当の慣れが必要なのと、サイトリニューアル前のURLがリンク切れになっているのが誠に残念ですが。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menuold.htm(過去の当座預金増減要因明細)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menuold_o.htm(過去のオペ結果)

(オペ結果に関しては何時に打ったかまでは残念ながら判らないのですが、オペオファー分はオファー順に並んでいるので、イレギュラーな時間に打ったものは順序とスタートの決済時間を見ればある程度は予想つきます。結局は記憶とメモがないとダメですけど)

ということで、本日も一部の人しか何の事やらワカラン話を延々と繰り広げるという読者を減らすような行動をしておりますことを謝罪しますが賠償は致しません。

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