海外金融政策概観(2011年上期前半)
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FRBやBOEを中心に趣味成分が高いですが、海外中銀のペーパーや講演などをフォローするのだ。
2011/06/30「6月BOE議事要旨より(その1):景気認識の引き下げ、特に海外景気に対する警戒が顕著」
2011/06/24「6月BOE議事要旨よりメモ:ポーゼン委員の資産買入の必要性に条件次第で賛同の向きが」
2011/06/23「FOMC声明文より、景気認識引き下げているものの物価認識を結構引き上げてます」
2011/06/21「FOMCプレビュー」
2011/06/14「バーナンキ議長講演より(その2)物価に対する説明では対外配慮を強く滲ませる」
2011/06/13「バーナンキ議長講演より(その1)米景気に対して構造的な問題を指摘する」
2011/06/10「ECBはまたまた来月利上げ攻撃ですかそうですか」
2011/06/08「セントルイス連銀ブラード総裁とクリーブランド連銀ピナルト総裁のインフレターゲット論と今後の政策」
2011/06/06「4月FOMC議事要旨から(その7)今後は資産価格上昇の2次的効果に注目でしょう」
2011/06/02「4月FOMC議事要旨から(その6)景気に関する見解続き」
2011/05/31「4月FOMC議事要旨から(その5)景気に関する見解」
2011/05/30「4月FOMC議事要旨から(その4)資産売却等の出口政策に関する技術的問題」
2011/05/25「4月FOMC議事要旨から(その3)出口政策議論の続き」
2011/05/20「4月FOMC議事要旨から(その2)冒頭の出口政策議論」
2011/05/19「5月BOE議事要旨から/4月FOMC議事要旨から(その1)」
2011/05/18「英国インフレ再加速(メモ)」
2011/05/13「セントルイス連銀ブラード総裁:コアインフレよりもヘッドラインのインフレが重要でその制御が中銀の責務」
2011/05/06「BOEは利上げせず/ECBは次回利上げ期待の梯子を外す/米国はイニシャルクレームで日本の影響」
2011/04/28「FOMC声明文、先の政策インプリケーションは無いがややタカ的な中立といった所か」
2011/04/27「FOMC(と構成の都合で日銀政策会合)プレビュー」
2011/04/26「4月BOE議事要旨から(続き)」
2011/04/25「4月BOE議事要旨から」
2011/04/21「4月BOE議事要旨(予告編)」
2011/04/20「リッチモンド連銀ラッカー総裁の景気見通しは何ぼなんでも甘いのではないかと」
2011/04/18「3月FOMCから(その2)意見はバラバラですなあ」
2011/04/15「3月FOMCから(その1)」
2011/04/13「英国インフレ率低下とな/セントルイス連銀ブラード総裁のQE2終了講演」
2011/04/08「ECB利上げで預金ファシリティーも利上げとな/BOEは現状維持」
2011/04/05「フィラデルフィア連銀プロッサー総裁の出口政策論」
2011/06/30
○BOEの6月会合議事録ネタである
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1106.pdf
ご案内の通り英国経済はどう見てもスタグフレーションです本当にカムサハムニダという風情を醸し出しているのでありますが、現状評価とか先行き見通しが微妙に微妙なのでその辺りを鑑賞しようかと存じます。
・世界経済への評価が「これは一時的要因ではないかもしれない」とな
『The international economy』の第8パラグラフ以降になりますが。
『8 Indicators for the second quarter had continued to point to a broadly
based slowing in the pace of global activity. The JP Morgan global manufacturing
PMI, excluding Japan, had fallen again in May, as had the comparable services
index, albeit by rather less. Taken together, these surveys indicated that
global growth in the second quarter would be weaker than the Committee
had assumed at the time of its May Inflation Report.』
ということで、2Qに向けた経済指標は日本以外のグローバルな経済活動の低下を示し、5月のインフレーションレポート作成時点での見通しよりも下振れているとのお告げでありまして、一方でその翌週に(いやまあ確かにBOEの見立てのように日本は経済活動の回復を示していたとは言え)現状判断上方修正の日銀とはこらまた随分と雰囲気違いますのおと。
『9 On one view, it was possible that the apparent slowdown in activity
could be explained simply by the disruption to global supply chains caused
by the earthquake and tsunami in Japan, together with the dampening impact
of elevated oil prices.』
で、その世界経済減速の要因に関して、日本の震災の影響と石油価格の上昇で説明できるというビューもありますなと。
『The weakness of automotive manufacturing output in the United States
and the slowdown in consumer spending growth there could be consistent
with that.』
つまり現象として、米国での自動車関連の生産の落ち込みや、(石油価格上昇に伴って発生したと見られる)消費支出の減速というのがありまして、上記のビューを裏付けるのではないでしょうかっつー所っすな。
『On that view, unless oil prices rose further, activity might be expected
to recover over the coming quarters as supply chains were re-established.
Over the past month, the dollar price of Brent crude oil had fallen by
almost 3%, notwithstanding an increase on the first day of the Committee’s
meeting following OPEC’s lack of agreement on production quotas.』
というビューに則ると、サプライチェーン問題が解決に向かうと、原油価格のこれ以上の上昇が無ければ生産活動は回復に向かうという話になるし、足元では原油価格の騰勢が弱まっていますよねってな事でこの辺までは明るい話。
『10 It was also possible, however, that the softening of global growth
would be more sustained. Supply-chain disruption could not explain the
apparent weakening in services activity in many countries or, for instance,
relatively disappointing US employment and investment indicators. It was
possible that private sector deleveraging and fiscal consolidation in many
countries would prove more of a drag on growth than anticipated, though
it remained too early to draw firm conclusions.』
一方で、この世界的な減速傾向は一時的ではないのではというビューがありますなという話をしていますわな。即ち、例えば米国の雇用や投資関連の経済指標の弱さなんかは、サプライチェーンの落ち込みによるものであるとは説明できませんですわよ奥様とゆーようなお話でありまして、まだこの辺りの結論を出すには早過ぎるという事のようではございますが、この辺米国経済を例にとって話をしているだけに、米国の6月FOMCとも微妙に温度差があるっぽい感じを受けて中々興味深いところではございまする。
FOMC後のバーナンキ議長の会見に関してはTranscriptがFRBのサイトに出ているのですがまだネタにしておりませんが(汗)、まあ声明文だけ見てもよーわからんのでありますが、Minuteおよび議長会見のお話辺りとこの辺のトーンを比較してみたいなあと思ったりするわけでございまする。
・英国経済の現状についての判断も保留モード、というかかなり判断に苦慮している模様
『Money, credit, demand and output』の第12パラグラフから。
『12 It was not yet clear from the available data whether the recent weakness
in growth would prove to be a temporary soft patch or something more lasting.』
なるほど。んでその考察に関して色々とございますので鑑賞。
『Despite a possible boost from the recovery from snow disruption at the
end of 2010, real consumer spending had been estimated to have fallen by
0.6% in the first quarter. Although the unexpectedly rapid growth in the
consumer expenditure deflator suggested that real consumption might eventually
be revised upwards, the weakness of real household consumption had been
consistent with the sharp reduction in indicators of consumer confidence
in the early months of the year. Those indicators had recovered in May,
although they remained at a level consistent with further falls in consumption.』
『House prices had remained broadly flat. Housing transactions had remained
below the level normally implied by natural market turnover, although there
had been some signs that the supply of houses for sale was beginning to
edge up.』
と、この辺までが家計部門の実質消費支出の落ち込みとか住宅価格(=家計のバランスシート問題)の話ですな。
『Business investment was estimated to have fallen by around 7% in the
first quarter. Some, but not all, of that weakness was likely to reflect
the unwinding of the erratically strong spending on aircraft in the second
half of 2010 induced by tax changes at the start of 2011.』
企業の投資に関しては落ち込んでいるものの、これはそもそもが前年の特殊要因による部分やVATなどの変更に基づく部分がありますとゆーことで、どうもこの後にも色々と説明が続くのですが、問題としては家計の「実質消費」の部分っぽいです。ちょっと飛ばして第15パラグラフ。
『15 As in recent quarters, nominal spending indicators had been more robust.
Nominal consumer spending was estimated to have grown by over 2% in the
first quarter and by 5% over the previous year.』
名目ベースの消費者支出は強いですかそうですか。
『This might simply reflect households’ unwillingness or inability to
alter some of their real spending patterns in the face of higher prices.
But it might also provide a positive signal about households’ future spending.』
名目が強いのは単に物価が上昇しているけどもそう人間生活パターンを変える訳ではないですからねえという事なのかもしれませんが、もしかしたら家計の将来の支出に対してポジティブなシグナルかもとな。
『The Committee noted that the strength of nominal spending in the economy
had been possible despite the continued weakness of money and credit growth.
Notwithstanding some erratic monthly movements, broad money growth had
remained very subdued. And the stock of M4 lending had not grown at all
since the beginning of 2010, while lending to private non-financial companies
had continued to fall. Given the available data, it was not yet clear whether
the reported increase in nominal spending in the first quarter had been
associated with a reduction in saving or increased income.』
しかもマネーが伸びているわけでもクレジットが伸びている訳でもない中で、足元1Qの名目消費の強さについては、貯蓄取り崩しなのか家計の収入が伸びている事なのか(実際問題として賃金改定に関しては2%割れ水準で推移しており、そんなに強いわけでもない)はよー判りませんなとか何とか言う話をしています。
何か、物価が上昇しながら景気が減速しているという状態だと、出てくる経済指標とかがかなり複雑なものになってきて、政策判断としてどっちを注視すべきなのかというのが非常にむつかしいんでしょうかねえというのは何となく把握しましたが、こうなって来るとインフレーションターゲットというよりはどう見ても裁量的政策です本当にありがとうございましたという感じでございますわな。
Minute後半以降に関してはまた明日にでも(^^)。
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2011/06/24
○BOE議事要旨ですけど
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1106.pdf
詳しくは週末に精読しますけど、今回は景気に関する見方が更に厳しくなった結果、何とポーゼン先生の賛同者現る(票決上は賛同してません、為念)の巻となったのがほうほうそうですかという感じではございますけど、さて物価の上昇が本当にテンポラリーで止まるんかいなという気はするので、英国大変ですなあと棒読みをするのでありますが。
ということで皆様ご案内かとは存じますが第25パラグラフ。
『25 Most members judged that it was appropriate to maintain the current
stance of monetary policy at this meeting. The current weakness of demand
growth was likely to persist for longer than previously thought. Moreover,
the fiscal challenges in the euro-area periphery highlighted the potential
for further adverse shocks to demand.』
つーことで、金融政策の現状維持が適切と多くの委員が判断していますが、その中で足元の需要減退が従来考えていたよりも弱く、更にユーロ圏周縁国の財政問題が需要に対する新たな追加的なショックとなる可能性が高まっているという認識になっています。
『For some of these members, it was possible that further asset purchases
might become warranted if the downside risks to medium-term inflation materialised.』
その結果として、中期的なインフレのダウンサイドリスクが顕在化した場合には追加の資産買入が正当化される可能性がある、というのが「数名のメンバー」から示されたという事でありまして、これは(今度ご紹介しますが)従来より言われている物価下落のリスク、即ち「需要の拡大が弱い結果、経済の余剰生産力が物価を押し下げて、物価上昇率がターゲット(=2%)を下回るリスク」の顕在化を本格的に懸念する動きが出てきた、という事でありまして、一方で(センタンス委員は退任したので3名から2名になりましたけど)利上げ主張の人は利上げ主張の人で物価上昇の継続によるインフレ加速の懸念を強めていまして、BOEのMPC内部の意見対立が更に広がっている印象を受けるのであります。
『For others, there remained a substantial upside risk to medium-term inflation
stemming from the possibility that inflation expectations might rise significantly,
compounded by the potential for further upward shocks to global prices.
Although there was no sign that this risk was materialising as yet, that
did not preclude it from doing so in the future.』
ということでございまして、利上げ主張じゃなくても足元の物価上昇が更にインフレの加速への可能性を高めているという意見もあるようですな。
しかしまあ何ですな、インフレーションターゲットを設定している中で、物価は上がるわ景気は下がるわというどう見てもスタグフレーションです本当にありがとうございましたという状態の中、政策の方向性って難しいですわなと思うのでして、まあマニア的にはBOEの今後については注目していきたいと思うのですが、正直ただの趣味の世界という気が思いっきりします(^^)。
リーマンショック後とかにはBOEは資産買入を実施して「私達の量的緩和はFRBやかつての日銀のような緩和とは違う純粋な量的緩和です(キリッ)」とやっていたのですが、足元では何と申しますか実に残念な展開になっていますし、大体からしてインフレーションターゲットを大幅に超えた状態が延々と続くとか中々お洒落な状態になっているのでございますが、さてどうするBOEという感じですな。
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2011/06/23
○FOMC声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110622a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110427a.htm(前回)
・景気を下げながら物価の引き上げですなあ
とりあえず寝起きで読んだ印象はそんな感じであります。では第1パラグラフ。
『Information received since the Federal Open Market Committee met in April
indicates that the economic recovery is continuing at a moderate pace,
though somewhat more slowly than the Committee had expected. Also, recent
labor market indicators have been weaker than anticipated. 』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in March
indicates that the economic recovery is proceeding at a moderate pace and
overall conditions in the labor market are improving gradually. 』(前回)
ええもういい感じで下方修正ですわな。「予想よりも回復ペースが弱い」とゆー所ですがその理由はこうだそうで。
『The slower pace of the recovery reflects in part factors that are likely
to be temporary, including the damping effect of higher food and energy
prices on consumer purchasing power and spending as well as supply chain
disruptions associated with the tragic events in Japan. 』(今回)
食品とエネルギー価格の上昇はまあ良いとして、「日本の震災によるサプライチェーンの損壊の影響」と来ましたかそうですかという所ですが、まあ要するにここの最初にあるように「一時的なものです(キリッ)」という事を言いたいのでしょうかねえ。
『Household spending and business investment in equipment and software
continue to expand. However, investment in nonresidential structures is
still weak, and the housing sector continues to be depressed. 』(今回)
ここは前回と同じなので今回分だけ引用しておきます。で、この次の物価の所がしらっと上方修正。
『Inflation has picked up in recent months, mainly reflecting higher prices
for some commodities and imported goods, as well as the recent supply chain
disruptions. However, longer-term inflation expectations have remained
stable.』(今回)
『Commodity prices have risen significantly since last summer, and concerns
about global supplies of crude oil have contributed to a further increase
in oil prices since the Committee met in March. Inflation has picked up
in recent months, but longer-term inflation expectations have remained
stable and measures of underlying inflation are still subdued.』(前回)
ということで、インフレに関する文言であたくしが真っ先に注目したのは「measures
of underlying inflation are still subdued」というのが抜けている事でありまして、この先のパラグラフとかも読んでみたのでありますが、この「基調的なインフレが抑制されている」というのが抜けたのってまあそういうデータという事ではあるのでしょうけれども、これはこれで政策判断の重要ファクターの一つでありますし、景気認識下げたといっても足元の減速は一時的という認識を示している一方で基調的インフレの抑制の文言を外しているというのは中々芸が細かいなと思うのでございまして、一見dovishなのですけれども、よく見るとhawk成分も入っているというバランスの取り方が中々じゃないのとあたしゃ勝手に思いますけどどうっすかねえ。
ということで、議事要旨を読むときには景気認識もそうですけれども、物価認識に関する部分も注意して読みたいなあと思うのでありました。
・第2パラグラフ
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. 』(今回)
まあこれは決まり文句状態で前回と同じ。で、そのデュアルマンデートの見通しなどに関する文言ですが、
『The unemployment rate remains elevated; however, the Committee expects
the pace of recovery to pick up over coming quarters and the unemployment
rate to resume its gradual decline toward levels that the Committee judges
to be consistent with its dual mandate. 』(今回)
『The unemployment rate remains elevated, and measures of underlying inflation
continue to be somewhat low, relative to levels that the Committee judges
to be consistent, over the longer run, with its dual mandate.』(前回)
『Inflation has moved up recently, but the Committee anticipates that inflation
will subside to levels at or below those consistent with the Committee's
dual mandate as the effects of past energy and other commodity price increases
dissipate. However, the Committee will continue to pay close attention
to the evolution of inflation and inflation expectations. 』(今回)
『Increases in the prices of energy and other commodities have pushed up
inflation in recent months. The Committee expects these effects to be transitory,
but it will pay close attention to the evolution of inflation and inflation
expectations. The Committee continues to anticipate a gradual return to
higher levels of resource utilization in a context of price stability.
』(前回)
ということで、今回は微妙に論点が違っていますなという感じですが、とりあえずデュアルマンデート達成に向けた状況の改善は緩やかに進行するでしょうという結論は前回も今回も同じになっています罠。でもってここのパラグラフでも基調的インフレが抑制されている的なコメントはございませんでして、ほほーと思いつつ読んだでござる。
・第3パラグラフ以降
若干章立てが今回変わっています。まずは政策決定部分。
『To promote the ongoing economic recovery and to help ensure that inflation,
over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided
today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent.』(今回)
『To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that
inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee
decided today to continue expanding its holdings of securities as announced
in November.』(前回)
ということで、まあ資産買入終了ですので当然ちゃあ当然ですけれども、最初に出てきたのが金利の方でございまして、金融政策の基本フレームは金利政策に回帰という話ですわな。それから「stronger
pace」が「ongoing economic recovery」に格下げになってますな(^^)。
んでもってガイダンス文言。
『The Committee continues to anticipate that economic conditions--including
low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over
the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the
federal funds rate for an extended period. 』(今回)
『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate
at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions,
including low rates of resource utilization, subdued inflation trends,
and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally
low levels for the federal funds rate for an extended period.』(前回の第4パラグラフ)
つーことでガイダンス文言に変更はなしです。で、QE2終了のお知らせ文言。
『The Committee will complete its purchases of $600 billion of longer-term
Treasury securities by the end of this month and will maintain its existing
policy of reinvesting principal payments from its securities holdings.
』(今回)
ということでQE2は終了しましたがバランスシートのサイズは維持という穏健な結果になりましたな。いやまあ市場の皆様予想してたからサプライズは無いですけど。
『The Committee will regularly review the size and composition of its securities
holdings and is prepared to adjust those holdings as appropriate. The Committee
will monitor the economic outlook and financial developments and will act
as needed to best foster maximum employment and price stability.』(今回)
というのはまあお約束の文言であります。
・全員一致ですな
まあ全員一致も予想通りという事ですが。
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans;
Richard W. Fisher; Narayana Kocherlakota; Charles I. Plosser; Sarah Bloom
Raskin; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen. 』(今回)
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2011/06/21
・そういや今週はFOMCですが
今回はQE2終了してバランスシートは維持(償還再投資は継続)という話になるのでしょうけれども、今後の政策のフレームワークとしてインフレーションターゲットの導入を主張する地区連銀総裁が何人かいるという状況をバーナンキ議長がどういう風にまとめていくのかというのが注目材料かなと思ってます。
まあ直ぐに声明文や会見でその手の話が出てくるかというともうちょっと先の話になるのかもしれませんが、議事要旨では今後の金融政策のフレームワークに関しての話が出てくるんジャマイカと今からwktkしております。いやまあ会見で出たらオモシロスなのですが。
ただし、先般ご紹介したバーナンキ議長の講演(そういやその後「財政の安定性」というお題で講演していたのですがまだ斜め読みしかしていませんorz)にもございましたように、インフレやら商品価格の話をしながらもそれよりも米国経済に関して構造的な要因(バランスシート調整問題、財政問題、長期失業による生産性低下問題など)を強調していまして、あくまでもデュアルマンデートを前面に出している印象を受けました。
でまあデュアルマンデートを強調しているのも別に失業重視でビハインド・ザ・カーブを辞さずとかいうのとも違う感じでありまして(というのはあたくしが今までバーナンキ講演をつらつら見た印象論なので正確性については保証致しかねます)、どちらかというとバーナンキさんはインフレ重視とか失業率重視とかいうような感じでデュアルマンデートのどちらかに傾斜しないで、あくまでも経済状況を見ながらの金融政策運営、という事はまあ言ってしまえばある意味裁量的運営みたいな所もありそうですけれども、まあ「Data
Dependent」ってえ奴で運営していきますよ的な感じじゃないかなあって思うのですよね。
つーことで、そーゆー意味ではそんなに明示的なインフレーションターゲッティングのような話に傾斜した発言とかは期待しにくい気がするのですが、まあそれが政策運営上都合が良いという話になったらあっさり導入するかも知れず、中々その辺りは決め打ちしにくいなあと思うのでありました。
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2011/06/14
○バーナンキ議長講演の商品価格の説明が味わいがあるのだ
昨日の続き、というか飛ばした部分でありまふ。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.pdf
『Commodity Prices』という所がこれまた説明がやたらめったら丁寧でありまして、更に(昨日も一部で見られましたが)一般ピープルだか海外だかよー知らんけど、要するに「FOMCのやっている事は正しいんです」という話を経済学的にどうのこうのと言うよりは政治的に対外説明をしてますなあという風情があると思うのですよ。
つまりですな、グリーンスパン時代と違ってバーナンキ議長は政治的に言えば以前より難しい立場にいる(そらまあ失業が高止まりしているのだから仕方ないっちゃあないですし、バーナンキが副議長時代のケツ拭きもやっている面がありますからまあシャーナイナイとも思いますが)事から対外説明を相当に丁寧に行う事が重要になっており、更に足元ではQE2に対する批判も意識せざるを得ないという部分があるのかなあとか思ったのは考え過ぎでございましょうかね。
あとですな、昨日は本件ネタでお友達とお話しててそういう結論になったのですけど(と入れ知恵成分がある事を先にバラすあたくし^^)、今回の講演でもそうなのですが、毎度毎度のバーナンキ議長の発言を見ていると先行きの金融政策に関して実際にやると決めるまではひたすらポジションを取らないようにしている感があって、市場が出口政策モードになっている時は必ずしもそうではない的発言をしてますし、足元のように地区連銀総裁からインフレ目標云々の話が出ている時には「物価に軸足を置くのではなくあくまでもデュアルマンデートが大事なんですよ」という話をする(今回ね)というようなバランスの取り方が特徴的なんじゃネーノという感じがします。
というあたくしのどうでも良い感想は兎も角として当該部分から。
・商品価格の上昇は主に新興国を中心とした経済発展によるものとな
最初の方で現状で原油だの鉱物だの農産品の価格上昇の話をしたあとこんな話から入ります。
『When the price of any product moves sharply, the economist's first instinct
is to look for changes in the supply of or demand for that product. And
indeed, the recent increase in commodity prices appears largely to be the
result of the same factors that drove commodity prices higher throughout
much of the past decade: strong gains in global demand that have not been
met with commensurate increases in supply. 』
で、そのあと延々と(PDFファイルで1ページ分を丸々使って!)世界経済が新興国を中心に成長を続けた結果、原油やら商品やら農産品に対する需要が高まるという話があって、そのあとこれまた長々と(こっちは1ページ弱^^)生産能力の拡大はあまり進んでいませんでしたという説明があるのですが、そこの中でわざわざこんな話をしているのが物凄くチャーミングというか政治的な配慮がきちんとしているというか。
需要が拡大しているという話の最後の方にこんな一節が。
『Importantly, in noting these facts, I intend no criticism of emerging
markets; growth in those economies has conferred substantial economic benefits
both within those countries and globally, and in any case, the consumption
of raw materials relative to population in emerging-market countries remains
substantially lower than in the United States and other advanced economies.』
この部分は微笑を禁じ得なかったのですが、「新興国のせいで物価が上がってケシカランというのではありませんよ新興国経済は世界経済成長の重要なエンジンですよ!!!」とか気を使うこと使うことという感じで、まあ講演の対象を幅広いものと意識しているんだなあと思う訳でございまして、まあどこぞの麿ももう少し配慮した方がエエンチャウノと思う時がありますけど、これは人それぞれの部分がありますから難しいのかなあ・・・・・
ちなみに、需要が増えている話の最後はこうです。上記の続きです。
『Nevertheless, it is undeniable that the tremendous growth in emerging
market economies has considerably increased global demand for commodities
in recent years.』
で、一方で供給に関しては伸びておらず、足元ではリビア問題などの影響で原油生産に関しては低下してますがなという話とか、農産品に関しては悪天候の影響がありますという話をしてまして、更には「全ての商品価格が上昇している訳ではない」ということで、米国経済の落ち込みを受けて需要の縮小した木材や、生産技術の革新が起きた天然ガスなどの価格が下がりましたという話をしてましていやまあ丁寧丁寧。
で、結論ですが。
『In all, these cases reinforce the view that the fundamentals of global
supply and demand have been playing a central role in recent swings in
commodity prices. That said, there is usually significant uncertainty about
current and prospective supply and demand. Accordingly, commodity prices,
like the prices of financial assets, can be volatile as market participants
react to incoming news. Recently, commodity prices seem to have been particularly
responsive to news bearing on the prospects for global economic growth
as well as geopolitical developments. 』
となっております。
・では先行きは???
んでその次。
『As the rapid growth of emerging market economies seems likely to continue,
should we therefore expect continued rapid increases in the prices of globally-traded
commodities? While it is certainly possible that we will see further increases,
there are good reasons to believe that commodity prices will not continue
to rise at the rapid rates we have seen recently. 』
足元のような急激な上昇は持続しないとな。
『In the short run, unexpected shortfalls in the supplies of key commodities
result in sharp price increases, as usage patterns and available supplies
are difficult to change quickly. Over longer periods, however, high levels
of commodity prices curtail demand as households and firms adjust their
spending and production patterns. 』
ということで、長期的には商品価格の上昇が家計や企業の消費パターンの変化を招いて需要を減退させるというのがまず最初の理由とな。
『Indeed, as I noted earlier, we have already seen significant reductions
in commodity use in the advanced economies. Likewise, over time, high prices
should elicit meaningful increases in supply, both as temporary factors,
such as adverse weather, abate and as investments in productive capacity
come to fruition. 』
現に先進国では商品の消費が既に顕著に減っていますし、更に長期的に商品価格が高止まりすれば生産も拡大するでしょうと。
『Finally, because expectations of higher prices lead financial market
participants to bid up the spot prices of commodities, predictable future
developments bearing on the demands for and supplies of commodities tend
already to be reflected in current prices.』
高止まりする商品価格が上記の長期的見通しを強めるならば市場もその見通しを価格に織り込んで行くので急激な価格上昇は長続きしにくいでしょうと。
『For these reasons, although unexpected developments could certainly lead
to continued volatility in global commodity prices, it is reasonable to
expect the effects of commodity prices on overall inflation to be relatively
moderate in the medium term.』
というのが結論でありまして、まあこの辺りの話ってタカ派ちっくな地区連銀総裁も同じような話をしていますが、これだけ丁寧に説明しているのは中々ございませんので、まあこの辺りも読んでおくのが吉かと思います。変な比喩とか無いから(ジョンブル連中の講演は比喩とかふんだんに使うから読むのホネなのよね)割とスラスラ読めますですよ。
・FEDが物価上昇を促進しているとの批判に対して
この先がその手の話になりまして、これが2ページ分くらい続きます(^^)。
『While supply and demand fundamentals surely account for most of the recent
movements in commodity prices, some observers have attributed a significant
portion of the run-up in prices to Federal Reserve policies, over and above
the effects of those policies on U.S. economic growth. 』
ほうほう。で、最初に来るのが「ドル安を招いて物価高を招来している」という批判に対する説明でありまする。
『For example, some have argued that accommodative U.S. monetary policy
has driven down the foreign exchange value of the dollar, thereby boosting
the dollar price of commodities. 』
で、どういう説明かと申しますと。
『For example, some have argued that accommodative U.S. monetary policy
has driven down the foreign exchange value of the dollar, thereby boosting
the dollar price of commodities. Indeed, since February 2009, the trade-weighted
dollar has fallen by about 15 percent. However, since February 2009, oil
prices have risen 160 percent and nonfuel commodity prices are up by about
80 percent, implying that the dollar's decline can explain, at most, only
a small part of the rise in oil and other commodity prices; indeed, commodity
prices have risen dramatically when measured in terms of any of the world's
major currencies, not just the dollar. 』
ドルの実効為替レートの低下よりも商品価格の上昇の方が遥かに大きいとか、そもそも商品価格はドルだけではなく他の主要通貨対比でも上昇しているとかいう話をしているのですが何となく言い訳キタコレという印象も(^^)。
『But even this calculation overstates the role of monetary policy, as
many factors other than monetary policy affect the value of the dollar.
For example, the decline in the dollar since February 2009 that I just
noted followed a comparable increase in the dollar, which largely reflected
flight-to-safety flows triggered by the financial crisis in the latter
half of 2008; the dollar's decline since then in substantial part reflects
the reversal of those flows as the crisis eased. Slow growth in the United
States and a persistent trade deficit are additional, more fundamental
sources of recent declines in the dollar's value; in particular, as the
United States is a major oil importer, any geopolitical or other shock
that increases the global price of oil will worsen our trade balance and
economic outlook, which tends to depress the dollar. In this case, the
direction of causality runs from commodity prices to the dollar rather
than the other way around. The best way for the Federal Reserve to support
the fundamental value of the dollar in the medium term is to pursue our
dual mandate of maximum employment and price stability, and we will certainly
do that. 』
長々と引用しましたが、ドル安の要因はFEDの金融政策だけではなく、例えば金融危機によるFTQの動きの巻き戻しであったり、米国の貿易赤字の拡大によりものであったりと、色々な要因がありますがなという話までして良い訳に余念が無いのでありまする。
で、次のお題は「低金利が商品価格の上昇を招いた」という批判に対してです。
『Another argument that has been made is that low interest rates have pushed
up commodity prices by reducing the cost of holding inventories, thus boosting
commodity demand, or by encouraging speculators to push commodity futures
prices above their fundamental levels. 』
「低金利は在庫保有の資金コストを引き下げるので商品の需要を引き上げる」「低金利は投機家に対してファンダメンタルズのレベルを超えた商品価格上昇への誘因となる」ちゅう話でございますかな。
『In either case, if such forces were driving commodity prices materially
and persistently higher, we should see corresponding increases in commodity
inventories, as higher prices curtailed consumption and boosted production
relative to their fundamental levels. In fact, inventories of most commodities
have not shown sizable increases over the past year as prices rose; indeed,
increases in prices have often been associated with lower rather than higher
levels of inventories, likely reflecting strong demand or weak supply that
tends to put pressure on available stocks.』
商品在庫は顕著に拡大している訳ではないなど、そのような仮説を強く支える証拠はあまり無いですがなという話ですかな。
で、もう一つの批判は「先進国の低金利が新興国のキャピタルインフローを通じて新興国経済の過熱を招いて商品価格上昇を招いている」というものですな。
『Finally, some have suggested that very low interest rates in the United
States and other advanced economies have created risks of economic overheating
in emerging market economies and have thus indirectly put upward pressures
on commodity prices.』
『In fact, most of the recent rapid economic growth in emerging market
economies appears to reflect a bounceback from the previous recession and
continuing increases in productive capacity, as their technologies and
capital stocks catch up with those in advanced economies, rather than being
primarily the result of monetary conditions in those countries.』
『More fundamentally, however, whatever the source of the recent growth
in the emerging markets, the authorities in those economies clearly have
a range of fiscal, monetary, exchange rate, and other tools that can be
used to address any overheating that may occur. As in all countries, the
primary objective of monetary policy in the United States should be to
promote economic growth and price stability at home, which in turn supports
a stable global economic and financial environment.』
つーことで、何か結局新興国は新興国で金融引き締めやってますよという話でお茶を濁しているような悪寒もしますが、まあこんな感じで延々と商品価格に関する話をしているのが実にチャーミングでありました。
まー金融政策に関するインプリケーションは昨日引用した部分に尽きると思いますが。
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2011/06/13
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20110607a.pdf
○長いのですがそんなにややこしい話は無い
PDF版だと本文15ページになるのですけれども、話は長いのですが説明がやたら丁寧になっているものの、特にこう難しい表現をしている訳では無いので割とサラサラと読めてアリガタヤなのがバーナンキ議長のスピーチの仕様でもあります。
まずは冒頭部分ですが。
『I would like to thank the organizers for inviting me to participate once
again in the International Monetary Conference. I will begin with a brief
update on the outlook for the U.S. economy, then discuss recent developments
in global commodity markets that are significantly affecting both the U.S.
and world economies, and conclude with some thoughts on the prospects for
monetary policy.』
で、章立てによりますと
・The Outlook for Growth
・The Outlook for Inflation
・Commodity Prices
・Monetary Policy
という流れになっていまして、まあ一つ一つ中々丁寧に説明していまして、表現も平明ですので割と苦にならずに読めると思いますので一読推奨。で、丁寧とは言え本文15ページもあってこれをまともに全部紹介していると死ねますのでその辺に関してはてきとーに端折りつつ参ります。
○景気に関してはまあ慎重
『The Outlook for Growth』の一発目の文がこれですからねえ。
『U.S. economic growth so far this year looks to have been somewhat slower
than expected.』
という事で、足元では日本の影響などもあって生産の伸びが減速し、モメンタムも低下しているが、日本の影響やガソリン価格の上昇などの影響があっても先行きに関しては緩やかなペースでの経済拡大を見ていますという話が続く。
『Aggregate output increased at only 1.8 percent at an annual rate in the
first quarter, and supply chain disruptions associated with the earthquake
and tsunami in Japan are hampering economic activity this quarter. A number
of indicators also suggest some loss of momentum in the labor market in
recent weeks. We are, of course, monitoring these developments. That said,
with the effects of the Japanese disaster on manufacturing output likely
to dissipate in coming months, and with some moderation in gasoline prices
in prospect, growth seems likely to pick up somewhat in the second half
of the year.』
んでもって全体的にはという話ですが。
『Overall, the economic recovery appears to be continuing at a moderate
pace, albeit at a rate that is both uneven across sectors and frustratingly
slow from the perspective of millions of unemployed and underemployed workers.』
ということで、景気回復のペースはセクターによって一様ではなく、多くの人にとってはイライラするほど遅いとかまず冒頭でぶちかましていまして、その後は各項目に関する話になります。
で、その各項目ですが、(1)家計、(2)労働市場、(3)企業部門、(4)住宅・商業不動産について、(5)政府部門、という話になっていますが、まあそんなに突拍子も無い話をしている訳ではないのですが、労働市場に関する話と家計のバランスシート悪化に関する話は先の話の前振りっぽいのでその辺だけ引用ざます。
労働市場に関しては冒頭からこんな指摘を。
『Developments in the labor market will be of particular importance in
setting the course for household spending. As you know, the jobs situation
remains far from normal.』
とまあこれまたぶちかましているのですが、更にこれも前からFOMCメンバーが多く指摘していますが、長期失業者に関する懸念を指摘しています。
『Particularly concerning is the very high level of long-term unemployment--nearly
half of the unemployed have been jobless for more than six months. People
without work for long periods can find it increasingly difficult to obtain
a job comparable to their previous one, as their skills tend to deteriorate
over time and as employers are often reluctant to hire the long-term unemployed.』
まあいつも指摘されていることですが、この点に関しては大きな問題でしょうという認識でございますわな。
『I expect hiring to pick up from last month’s pace as growth strengthens
in the second half of the year, but, again, the recent data highlight the
need to continue monitoring the jobs situation carefully.』
ということです。
で、不動産部門では最後の所にこれまた良い指摘を。
『The housing sector typically plays an important role in economic recoveries;
the depressed state of housing in the United States is a big reason that
the current recovery is less vigorous than we would like.』
つーことで、この辺りの話を見ますとバーナンキ議長は米国経済の構造的な部分に問題が生じつつあるというような認識を示しているなあという印象を受けまして、それがまた景気に関してハト派的な印象を与えますよね、という感じだと思います。
○インフレに関して
インフレに関してですが、まあ当然ちゃあ当然ですけど、幅広いインフレの拡大の兆候はありません(キリッ)という話になっています。
『Although the recent increase in inflation is a concern, the appropriate
diagnosis and policy response depend on whether the rise in inflation is
likely to persist. So far at least, there is not much evidence that inflation
is becoming broad-based or ingrained in our economy; indeed, increases
in the price of a single product--gasoline--account for the bulk of the
recent increase in consumer price inflation.』
ということで、商品価格の上昇単体だけでの物価の持続的な上昇は難しいというこの前ブラードさんも指摘していたお話が続きまして、足元のコモディティー価格上昇による物価上昇は一時的であるという話をしていますがその辺は引用割愛するざます。
でもって、それ以外に先行きのインフレを抑制する要因を2つ指摘していますが、これまたFOMC議事要旨や他の地区連銀総裁などからも出ている論点ではございます。
『First, the still-substantial slack in U.S. labor and product markets
should continue to have a moderating effect on inflationary pressures.
Notably, because of the weak demand for labor, wage increases have not
kept pace with productivity gains. Thus the level of unit labor costs in
the business sector is lower than it was before the recession. Given the
large share of labor costs in the production costs of most firms (typically,
a share far larger than that of raw materials costs), subdued unit labor
costs should remain a restraining influence on inflation. To be clear,
I am not arguing that healthy increases in real wages are inconsistent
with low inflation; the two are perfectly consistent so long as productivity
growth is reasonably strong.』
つーことで、労働市場の大きなスラックが残っている中では、雇用者所得が上昇しにくく、単位労働コストも上昇しにくいので物価は抑制されますという話をしているのですが、最後に「だからといって雇用者所得が上がらないのが良いという話をしている訳では無いですので念の為」と一々断っているのがチャーミングでもあるのですが、FRBに対する政治的な批判を意識してその辺りに関しての断りを入れているのかなあと思うとバーナンキ議長も大変ですなあと感じたのですが深読みのしすぎですかねえ。
『The second additional factor restraining inflation is the stability of
longer-term inflation expectations. Despite the recent pickup in overall
inflation, measures of households’ longer-term inflation expectations
from the Michigan survey, the 10-year inflation projections of professional
economists, the 5-year-forward measure of inflation compensation derived
from yields on inflation-protected securities, and other measures of longer-term
inflation expectations have all remained reasonably stable. As long as
longer-term inflation expectations are stable, increases in global commodity
prices are unlikely to be built into domestic wage- and price-setting processes,
and they should therefore have only transitory effects on the rate of inflation.』
まあこれまたいつも言われている事ですが、インフレ期待が安定しているのが重要なファクターだという話をしていますわな。従ってインフレ期待の安定化が重要という結論になるのであります、まあ当たり前ですが。
『That said, the stability of inflation expectations is ensured only as
long as the commitment of the central bank to low and stable inflation
remains credible. Thus, the Federal Reserve will continue to closely monitor
the evolution of inflation and inflation expectations and will take whatever
actions are necessary to keep inflation well controlled.』
○商品価格の部分は後日に飛ばして(おい)結論の金融政策部分
商品価格に関する部分が実は今回の講演で妙に長くなっていまして、その中の説明が色々と言い訳コーナーになっていて中々味わいが深いのですけれども、これがまたちょっと量があるので時間の都合上明日回しで勘弁という事でスルー、というのと、結論の金融政策部分に関してはここまで引用したコーナーでの論点で結論に対しての理屈は通っていますので、そーゆー点も踏まえまして結論部分にワープします。
『Monetary Policy』から。
『As I have discussed today, the economic recovery in the United States
appears to be proceeding at a moderate pace and--notwithstanding unevenness
in the rate of progress and some recent signs of reduced momentum--the
labor market has been gradually improving. At the same time, the jobs situation
remains far from normal, with unemployment remaining elevated. Inflation
has risen lately but should moderate, assuming that commodity prices stabilize
and that, as I expect, longer-term inflation expectations remain stable.』
ということで、現状の景気と先行きに関してですが、インフレの幅広い拡大は見られず、一方で労働市場が平常ペースから遥かに遠い状態であるという話をしていまして、(引用割愛しますが)そういう環境の下、FOMCは現在の政策運営をおこなっていますという話をしています。で、先行きに関してですが。
『Although it is moving in the right direction, the economy is still producing
at levels well below its potential; consequently, accommodative monetary
policies are still needed. Until we see a sustained period of stronger
job creation, we cannot consider the recovery to be truly established.』
ということで、経済は回復しているものの潜在的な成長よりは低く、持続的な雇用創出が見られなければ景気回復が真に進んでいく事は考えにくいという話をしておりまして、従って依然として緩和的な金融政策が必要であるという話でありますけれども、この辺りに関してはよりインフレに軸足を置いて失業に関してはあまり数値的な目標などを置いたり直接コントロールしようとしたりしない方が良いという話をする複数の地区連銀総裁とはトーンが違うという印象でございます。
つまり、QE2終了後の金融政策運営に関しては、このデュアルマンデートのどちらにより注目すべきかという部分が論点になる可能性も出てきてますなあという感じでございます。いやまあ物価が(現在多くのFOMCメンバーが予想しているように)商品価格の上昇が一時的で済めば特にこの部分が問題になることも無いとはおもうのですけれども、英国パターンになる場合が問題になるざんしょと思いますがどうっすかねえ。
『At the same time, the longer-run health of the economy requires that
the Federal Reserve be vigilant in preserving its hard-won credibility
for maintaining price stability. As I have explained, most FOMC participants
currently see the recent increase in inflation as transitory and expect
inflation to remain subdued in the medium term.』
まあバーナンキ議長もこの次に「インフレ期待が不安定化した場合には適切な行動を取る」と話をしているのですが、どちらかというと今回の講演のトーンが構造的な問題への指摘とか労働市場の弱さに関する指摘が目立ったので、実際のインフレ期待については多分コリャマズイとなる間では中々正確に計測しにくい所でもありますので、そーゆー意味では今後は商品価格の高止まりが続き、価格転嫁の動きが拡大してきた時にさてどうするんでしょという話になるかと思いますです。
『Should that forecast prove wrong, however, and particularly if signs
were to emerge that inflation was becoming more broadly based or that longer-term
inflation expectations were becoming less well anchored, the Committee
would respond as necessary. Under all circumstances, our policy actions
will be guided by the objectives of supporting the recovery in output and
employment while helping ensure that inflation, over time, is at levels
consistent with the Federal Reserve’s mandate.』
ということで引用大会で恐縮至極でありましたm(__)m
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2011/06/10
○とか書いてたらECBネタを忘れた
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110609.en.html
9 June 2011 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting the Governing Council of the ECB decided that the
interest rate on the main refinancing operations and the interest rates
on the marginal lending facility and the deposit facility will remain unchanged
at 1.25%, 2.00% and 0.50% respectively.』
はあそうですか。
http://www.ecb.int/press/pressconf/2011/html/is110609.en.html
Introductory statement to the press conference
『Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council
decided to keep the key ECB interest rates unchanged. The information that
has become available since our meeting on 5 May 2011 confirms continued
upward pressure on overall inflation, mainly owing to energy and commodity
prices. The underlying pace of monetary expansion is gradually recovering.
Monetary liquidity remains ample, with the potential to accommodate price
pressures in the euro area. Furthermore, the most recent data confirm the
positive underlying momentum of economic activity in the euro area, while
uncertainty remains elevated. Overall, our monetary policy stance remains
accommodative, lending support to economic activity. On balance, risks
to the outlook for price stability are on the upside. Accordingly, strong
vigilance is warranted.』
「upward pressure on overall inflation」だの「risks to the outlook for
price stability are on the upside」だの威勢の良い言葉が続いて「strong vigilance
is warranted」とゆー事で利上げ予告ですかそうですか。いやあ威勢の良いことですなあ(棒読み)
と、メモだけしておきますね(^^)。
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2011/06/08
○明示的インフレ目標に関する地区連銀総裁2名の講演から
常にフロントランナーで主張するいつものお方
→http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1027
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Commodity Prices, Inflation Measures,
and Inflation Targeting
MAY 24
こちら実は4月7日講演なのでちとネタが古いけど。
→http://www.clevelandfed.org/For_the_Public/News_and_Media/Speeches/2011/Pianalto_20110407.cfm
Current Issues in U.S. Monetary Policy
Global Interdependence Center Conference: Capital Markets in the Post-Crisis Environment Part IV
Rome, Italy
April 7, 2011
ということで、毎度お馴染みのセントルイス連銀のブラード総裁と今回はクリーブランド連銀のピナルト総裁の講演から少々。
・ブラード総裁の「ヘッドラインインフレ重視」論が更にパワフルに
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1027(再掲)
ブラード総裁は先日来「明示的なインフレ目標の導入」にすっかり熱心になっていまして、更に「コアインフレの概念は必ずしも正しくない」という主張をするというのもセットになっているのですが、その主張は引き続きパワフル、というかスピーチが新しくなると更にパワフルになる訳でして、常に議論のフロントランナーを目指しているというお方のようでして、何かそういう人が日銀の審議委員にもいたような気がしますが(^^)。
でもってさっきのURLのブラードさんの方ですけれども、冒頭に大体のまとめがございましてですな。
『Bullard said ignoring energy prices in measures of inflation may understate
the true inflation rate if rising energy prices represent a relative price
shift for energy. In addition, he discussed headline and core inflation
and stressed that the key policy goal with respect to prices is headline
inflation rather than core.』
まあこの前も同じ話をしていしたが、エネルギー価格が上昇する結果として相対価格の上昇が起きるケースを考えた場合には、コアインフレが安定しているから無問題とか言っているのは如何なものかという話をしているざんすな。
『He also said that the Federal Open Market Committee (FOMC) “should de-emphasize
core inflation in order to reconnect with households and businesses that
experience important price changes every day.”』
ほう。
『Bullard briefly discussed the merits of commodity standards and inflation
targeting, concluding that “inflation targeting is a better choice in
the current environment.”』
これまた毎度の話でして、本文およびプレゼンテーション資料を見ますとより細かく説明されているんですけど、基本的には(このあとに出てくるピナルト総裁も同じ趣旨の話をしていますが)「エネルギー価格の上昇がある程度継続して足元のヘッドラインインフレが上昇したときに、一般ピープルのインフレ期待を引き上げる事を防ぐ為(一旦上昇したインフレ期待を下げるのはコストが掛かるから)に、明示的なインフレ目標を呈示する(ことによってインフレ期待をアンカーさせる)」という話をしているのですな。
『With respect to monetary policy, “a pause allows more time to assess
the strength of the economy,” he said.』
ただし、具体的な金融政策運営に関しては(これまた直近のピナルト総裁の講演でも同じ趣旨の話をしていますが^^)「足元の金融政策は現状を維持すべき」という話が結論になっています。
では何で現状維持かという話なんですけど、それはブラードさんの講演趣旨を書いた上記の最初の方のURLの『Commodity
Prices』にあるのですけれども。
『While there have been substantial increases in commodity prices in recent
months, Bullard noted that energy prices cannot continue to increase indefinitely.
“Still, some sectoral prices do continuously move in one direction for
a long time,” he added, citing two examples: prices for medical care,
which have increased, and prices for computer technology, which have decreased.』
つーことで最初にありますように、エネルギー価格のここからの単独での持続的上昇に対しては不可能であると指摘していまして。
『Bullard said that as the giant economies of Asia converge toward Western
levels of real income per capita, “it is at least a reasonable hypothesis
that global demand for energy will outstrip increased supply over the coming
decades.” He added, “If that scenario unfolds, then ignoring energy prices
in a price index may systematically understate inflation for many years.”』
ただし、アジアなどの新興国の経済成長によって当該諸国の生活水準が上昇する事によって需要が拡大している、というケースを考えた場合には「コアインフレだけをみているとインフレを過小評価する」という指摘もしていまして、まあそのあたりのバランスを取ると「デュアルマンデートよりも物価を重視すべき」という話になるというのがブラードさんの結論っすな。
なお、先ほども引用しましたが、ブラード総裁は今後の金融政策に関しては、
『Bullard also discussed monetary policy after the Fed’s current quantitative
easing program ends. “Past behavior of the FOMC indicates that the Committee
sometimes puts policy on hold,” he said. He noted that hold in the current
environment would mean:
・the policy rate remains near zero;
・the “extended period” language remains intact; and
・the balance sheet remains at the level as of the time of the decision to go on hold.
A pause “gives the Committee more time to assess economic conditions,” Bullard said.』
ということで、現在の「実質ゼロ金利」「extended periodの文言」を継続し、更にバランスシートは当面現状水準を維持すべきという話をしています。
・クリーブランド連銀ピナルト総裁のインフレ目標およびインフレに関するコメント
ということでピナルト総裁。
http://www.clevelandfed.org/For_the_Public/News_and_Media/Speeches/2011/Pianalto_20110407.cfm(再掲)
ちとネタが古くて4月7日なのですが(大汗)。
景気認識に関しては割愛しますが、基本的には「回復はしているけれども緩やか」という話をしていまして、『The
Outlook for Growth and Inflation』の頭の所でこんな話をしています。
『For almost two years since we emerged from the deep recession, the U.S.
economy has been recovering, but at a gradual and bumpy pace.』
んでもってその回復は輸出に牽引されてはいるものの、雇用の回復が遅れているので・・・・
『Despite these sources of strength, not all Americans are sharing equally
in the recovery. Unemployment continues to be a significant problem. At
this point, the U.S. economy has added back only 1.5 million of the 9 million
lost jobs. Also, the continuing problems in the housing sector pose a significant
drag on economic growth.』
てな話をしていまして、今回は引用しませんけど直近で6月1日にピナルト総裁が講演しているのですけれども、金融政策に関しては現在の緩和的な政策を継続して現状維持をすべきという認識を示していますが、まあこの時点での講演内容での見通しからの変化があるという感じではなく、違和感は無いかなという所です。
で、インフレに関してですけれども。
『Nevertheless, if energy and commodity prices continue to increase sharply,
people could start to worry about the consequences for inflation. The natural
question in these times is whether the recent surge in oil prices will
be enough of a driving force to cause a lasting increase in the rate of
inflation in the United States. At this point, I don’t think it will,
and let me explain why.』
ということで、足元のエネルギー価格の上昇が持続した場合にはインフレ拡大の懸念が一般にも高まる懸念がありますが、そこまでの上昇は見込んでいませんと。
『First, large increases in food or energy prices tend to be temporary.
History shows that they are often followed by sharp declines. For example,
in 2006, oil prices in the United States rose significantly over the first
eight months of the year but then dropped in the remainder of the year.』
急激な上昇をするとその反動ありまっせと。
『Second, to cause a lasting rise in inflation, the increases in food or
energy prices have to be large enough and persist long enough that they
spill over and cause sustained increases in a wide array of other consumer
prices. At this point, there is no evidence of a broad spillover, but as
a central banker, I keep a close eye on this.』
ということで、現状では食品やエネルギー価格の上昇の溢れ出し効果(つーか波及効果と言った方が良いのか^^)は観測されていないというのももう一つの理由ですが、これはFEDでも皆さん注目していると思いますけれども、食品やエネルギー価格の上昇の2次的効果の拡大を注視する、というのがFEDのこれからの一番重要ポイントになるように思えます。
で、そのあとクリーブランド連銀が計測している『median CPI』の話があってこれもオモロスなのですがそこは割愛しまして、その次の部分。
『Another important factor in my outlook for inflation is the public’s
expectation that the Federal Reserve will keep inflation contained. While
it may sound like a self-fulfilling prophecy to say that we will have low
inflation because we collectively expect low inflation, the relationship
between actual and expected inflation has been borne out over history.
One reason is that expectations of inflation play a crucial role in the
price-setting decisions of firms. When firms expect lower inflation, they
raise prices more slowly. Despite the recent surge in food and energy prices,
measures of longer-run inflation expectations remain below 2 percent. These
measures come from bond yields and surveys of economic forecasters.』
七面倒臭いので段落全部引用しちゃいましたが、まあ要するに「インフレ期待が現状ではアンカーされており、Fedがインフレをコントロールするという点に関する期待も維持されているのでインフレの高進は抑えられるでしょう」という話をしている訳ですが、それが次の前振りみたいになっています。
『Implications for Monetary Policy』の所からですが、最初はまあ金融政策の話を比較的普通の話をしていますが、途中からインフレ目標導入の話になります。
『The current stability in inflation expectations was not achieved just
by good fortune. The public’s expectation that inflation will remain low
and stable over the long run comes from their expectation that the Federal
Reserve’s monetary policy will deliver low and stable inflation over the
long run.』
ほう。
『As a Federal Reserve policymaker, I believe that it is my responsibility
to do everything I can to underscore confidence in our commitment to maintain
price stability. But I understand that price stability can mean different
things to different people. Today, the concept is vague and the FOMC has
not established a formal inflation objective.』
ということでインフレ目標導入論キタコレ。
『With the potential for inflation expectations to be more volatile in
the face of energy and commodity price shocks, I think it could be an opportune
time for the FOMC to be more specific and publicly announce an explicit
numerical inflation objective.』
商品価格のプライスショックによってインフレ期待に変化が起き易くなるリスクも勘案して、明示的なインフレ目標を設定すべきという話ですわな。
『Adopting an explicit numerical objective would have to be the decision
of the whole FOMC. My own preference is 2 percent over the medium term,
an inflation objective that is quite similar to the targets of many central
banks around the world. As much as the concept of “zero inflation” appeals
to me, 2 percent is a much more practical numerical objective than zero.
An objective set much below 2 percent increases the likelihood that the
FOMC would need to push short-term interest rates down to zero for an extended
time to head off a deflation or to fulfill its mandate for maximum employment.
As we are seeing today, keeping interest rates near zero complicates the
monetary policy process.』
インフレ目標の数値は2%が適切で、その理由としては「ゼロ」だと何かの拍子でデフレ入りするリスクもあるという糊代および、政策金利をある程度のプラスに置く事による金融政策上の糊代の観点のようですな。
『Although I remain committed to fulfilling both aspects of our dual mandate
for price stability and maximum employment, I think it would be unwise
for the Federal Reserve to establish a corresponding numerical objective
for unemployment. The long-run sustainable rate of unemployment can move
around for a variety of reasons, such as the demographic makeup of the
population and changes in how labor markets function. Since the Federal
Reserve cannot know what the sustainable level of unemployment is, or how
it will evolve over time, it should not set a numerical objective for unemployment.』
ということで、ではデュアルマンデートの失業率はどないよという話ですが、そちらに関しては数値目標を設けるのは意味が無いという話をしています。まあそらそうだなという理由になっていますが(^^)。
で、最後に金融政策に関してですが。
『Establishing an explicit inflation objective need not imply any material
change in the current conduct of monetary policy.』
明示的なインフレ目標を設けることは金融政策に大きな変化を生じさせるものではない、とインフレ目標設定をタカ派的なイメージで取られないようにしているのかなあとか思いましたが(^^)。
『The U.S. economic expansion is still quite uneven, and it has considerable
ground to make up. History suggests that the effects of recent commodity
price pressures on consumer price inflation are likely to be transitory.
From my perspective, economic conditions, including low levels of resource
utilization, subdued inflation trends, and stable long-term inflation expectations,
warrant the continuation of our current monetary policy stance. Indeed,
my outlook for economic growth and inflation assumes that we complete our
asset purchase program as originally scheduled, and keep our federal funds
rate target at exceptionally low levels for an extended period. As always,
if my outlook for economic growth or inflation changes, I stand ready to
adjust my view about what constitutes appropriate monetary policy.』
とまあそういうことで、基本的には「現状の政策を維持する」という話になっているようでございます。
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2011/06/06
○引っ張ってスマンカッタ(4月FOMC議事要旨)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf
・FOMCメンバーのインフレ見通しについて
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の第9パラグラフから。
『Participants discussed the recent rise in inflation, which had been driven
largely by significant increases in energy and, to a somewhat lesser extent,
other commodity prices. These commodity price increases, in turn, reflected
robust global demand and geopolitical developments that had reduced supply.』
足元のインフレが商品価格上昇の影響で上昇していますがその件に関して、と説明入りなのがチャーミング。
『One participant suggested that excess liquidity might be leading to speculation
in commodity markets, possibly putting upward pressure on prices.』
過剰流動性の商品価格上昇に対する影響を指摘したのは1名と。
『Many participants reported that an increasing number of business contacts
expressed concerns about rising cost pressures and were intending, or already
attempting, to pass on at least a portion of these higher costs to their
customers in order to protect profit margins. This development was also
reflected in the rising indexes of prices paid and received in several
regional manufacturing surveys. 』
価格転嫁への動きが徐々に起きる懸念がある、というか一部で起きているとな。
『Some participants noted that higher commodity prices were negatively
affecting both business and consumer sentiment. 』
数名は物価上昇のセンチメントに与える悪影響を指摘。
『Core inflation and other indicators of underlying inflation over the
medium term had increased modestly in recent months, but their levels remained
subdued.』
ということで、結論はやっぱりコアインフレや中期的な基調的なインフレは依然として抑制されていますという話でありました。で、インフレの話は更に続くのでありました。第10パラグラフから。
『Participants generally anticipated that the higher level of overall inflation
would be transitory. This outlook was based partly on a projected leveling-off
of commodity prices and the belief that longer-run inflation expectations
would remain stable.』
まあそうですなという感じですが、商品価格上昇による足元の物価上昇は一時的なものである、というのがFOMCメンバーの一般的な見通しとなっていますので、そーゆー意味からも(4月27日時点であっても)そんな簡単にホイホイと出口政策ってえ感じじゃないなあという風に思うのでありますけどどうでしょうかね。
『Some participants noted that pressures on labor costs continued to be
muted; if such circumstances continued, a large, persistent rise in inflation
would be unusual.』
労働コストの上昇圧力は引き続き弱められており、その状態が続く中でインフレが持続的に拡大するのは不自然である(つまり持続的な拡大はしない)と数名が指摘。
『Measures of near-term inflation expectations had risen along with the
recent rise in overall inflation. While some indicators of longer-term
expectations had increased, others were little changed or down, on net,
since March.』
しかも足元の短期的なインフレ期待は上昇しているけれども、3月以降の長期的なインフレ期待に関する指標は一部で上昇しているものの、そのほかは変化少なく、一部は下がっているということで、全体的には変化なしまたは低下と言う認識のようで。
『Many participants had become more concerned about the upside risks to
the inflation outlook, including the possibilities that oil prices might
continue to rise, that there might be greater pass-through of higher commodity
costs into broader price measures, and that elevated overall inflation
caused by higher energy and other commodity prices could lead to a rise
in longer-term inflation expectations.』
とは言いましても、インフレ見通しに関しては多くのメンバーがアップサイドのリスクをより懸念しているという話がございますな。そらまあ当たり前ですけれども、そのルートは商品価格上昇の継続による価格転嫁ルートと、長期的なインフレ期待の上昇ルートということですな。
『Participants agreed that monitoring inflation trends and inflation expectations
closely was important in determining whether action would be needed to
prevent a more lasting pickup in the rate of general price inflation, which
would be costly to reverse.』
一旦一般物価インフレが拡大すると戻すのにコストが掛かるので動きを注意深く観察して必要なときには行動というフレーズが。
あたくしが勝手に思うのですが、このあたりハト一辺倒でも無いのはデュアルマンデートで物価を軽く見ていると見られた場合にインフレ期待が上昇するリスクがある、というのを意識しているんじゃないのかなあとか思っているのですけどどうっすかねえ。つーかまあ同じこと次のところに書いてあるのでございますけどね。
『Maintaining well-anchored inflation expectations would depend on the
credibility of the Committee's commitment to deliver on the price stability
part of its mandate.』
で、明示的なインフレ目標を設定してインフレ期待をアンカーさせるという数名のFOMCメンバーの主張になるのである。
『A few participants suggested that clearer communication about the Committee's
inflation outlook, such as explaining the measures it uses to gauge medium-term
trends in general price inflation and announcing an explicit numerical
inflation objective, would be helpful in this regard.』
・インフレリスクは上昇するものの経済はダウンサイドリスク拡大
第11パラグラフから。
『While rising energy prices posed an upside risk to the inflation forecast,
they also posed a downside risk to economic growth.』
キタコレ。
『Although most participants continued to see the risks to their outlooks
for economic growth as being broadly balanced, a number now judged those
risks to be tilted to the downside.』
経済のリスクは概ねバランスしているものの、ダウンサイドにやや寄ってきているとな。
『These downside risks included a larger-than-expected drag on household
and business spending from higher energy prices, continued fiscal strains
in Europe, larger-than-anticipated effects from supply disruptions in the
aftermath of the disaster in Japan, continuing fiscal adjustments at all
levels of government in the United States, financial disruptions that would
be associated with a failure to increase the federal debt limit, and the
possibility that the economic weakness in the first quarter was signaling
less underlying momentum going forward.』
ということでダウンサイドリスクに関しては(1)エネルギー価格上昇に伴う家計や企業の支出への悪影響が予想より大きい事、(2)欧州財政問題、(3)日本の震災によるサプライチェーンの障害が予想より大きい事、(4)米国の財政抑制、(5)米国の国債発行上限額を巡る混乱、(6)1Qの景気落ち込みは実は一時的ではなくてダウンサイドトレンド入りのサインなのではないかという懸念、などとの事。
『However, participants also noted that the rapid decline in the unemployment
rate over the past several months suggested the possibility of stronger-than-anticipated
economic growth over coming quarters. 』
一方で失業率の低下は今後の先行きが予想よりも強いという話ですが、この週末に出た5月失業率はダメダメ感がありましたので残念無念という感じでありますな。
・先行きの金融政策(足元の話ではない)について
足元の金融政策に関してはそのあとでの話になるのですが、経済見通しを踏まえた先行きの話に関しては第12パラグラフになります。
『In their discussion of monetary policy, some participants expressed the
view that in the context of increased inflation risks and roughly balanced
risks to economic growth, the Committee would need to be prepared to begin
taking steps toward less-accommodative policy.』
数名から出口政策の準備しましょうキタコレ。
『A few of these participants thought that economic conditions might warrant
action to raise the federal funds rate target or to sell assets in the
SOMA portfolio later this year, but noted that even with such steps, monetary
policy would remain accommodative for some time to come.』
そのうちの幾人かは年後半にはFFレートの引き上げまたは資産売却が正当化される経済状況になると考えているキタコレ。更にそうしても金融政策は緩和的とこれまたキタコレですな。
とは言え、逆に慎重派もいまして、最後にその人たちの指摘が。
『However, some participants indicated that underlying inflation remained
subdued; that longer-term inflation expectations were likely to remain
anchored, partly because modest changes in labor costs would constrain
inflation trends; and that given the downside risks to economic growth,
an early exit could unnecessarily damp the ongoing economic recovery.』
ただ、他のメンバーは基調的なインフレは抑制されていて長期的なインフレ期待はアンカーされており、労働コストが緩やかにしか上昇しない事からインフレのトレンドは抑制されていて、かつ経済のダウンサイドリスクがある事から、早い出口政策の実施は経済の回復を阻害するリスクがありますよと指摘しています。
ということで、まあ出口政策に関しては手段もさることながら、やるのやらないのという話に関しても先行きどうすべきかの点で意見はバラバラのようでございます。
ということで、その次の『Committee Policy Action』に関しては今回はそんなにこれという話は無く、最後まで「資産買入の効果は不透明」という人がいたり、出口政策の検討もという人がいたりとかありますが、まあ長く引っ張りすぎたのでこのネタ終了と言うことで(汗)。
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2011/06/02
○FOMC4月議事要旨ネタを更に引っ張る
一昨日の続きである。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf
・企業などの先行き見通しに関する委員の見解が微妙に違うのだ
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の第6パラグラフから。
『Several participants indicated that, in contrast to the somewhat weaker
recent economic data, their business contacts were more positive about
the economy's prospects, which supported the participants' view that the
recent weakness was likely to prove temporary. They acknowledged, however,
that sentiment can change quickly; indeed, one participant noted that his
contacts had recently turned more pessimistic, and several participants
indicated that their business contacts expressed concern about the effects
of higher commodity prices on their own costs and on the purchasing power
of households. 』
つーことで、企業のセンチメントに関しては足元の経済指標が若干弱くてもまだ先行きポジティブと指摘する人がおり、その一方でいやもうちょっと悲観的になっていると指摘する人がいて、また商品価格上昇が企業や家計の購買力の低下に繋がる事について警戒する企業もあり、という風にセンチメントに関する見方は結構分かれているという感じですわな。
・労働市場、賃金の伸びは全体としては抑制が続く
労働市場に関しては第7パラグラフ。
『Participants judged that overall conditions in labor markets had continued
to improve, albeit gradually. The unemployment rate had decreased further
and payroll employment had risen again in March.』
まあさいですな。
『Some participants reported that more of their business contacts have
plans to increase their payrolls later this year. A few participants noted
that firms may be poised to accelerate their pace of hiring because they
have exhausted potential productivity gains, but others indicated that
some firms may be putting hiring plans on hold until they are more certain
of the future trend in materials and other input costs.』
ということで、雇用の先行きに関してはこれまたまだら模様で。
『Signs of rising wage pressures were reportedly limited to a few skilled
job categories for which workers are in short supply, while, in general,
increases in wages have been subdued.』
賃金の上昇に関してもスキルの低い労働者については厳しい状態という事のようで、これは長期失業率が高止まりしている事なども相まって考えると、やはりまあ先行きの賃金上昇は抑制されるという話になるんでしょうなあ。
『Participants discussed whether the significant drop in the unemployment
rate might be overstating the degree of improvement in labor markets because
many of the unemployed have dropped out of the labor force or have accepted
jobs that are less desirable than their former jobs.』
失業率の足元の低下に関してはレーバーフォースの減少も効いてますねと。
・金融環境については今回もこの指摘が(^^)
で、金融環境に関する話の第8パラグラフですが、金融環境全般に関してはスタッフの見立てと同じく改善傾向という話ですが、最後にこんな指摘が(^^)。
『A few participants expressed concern that the easing of credit conditions
was creating incentives for increased leverage and risk-taking in some
areas, such as leveraged syndicated loans and loans to finance land acquisition,
and that this trend, if it became widespread and excessive, could pose
a risk to financial stability. 』
ということで、クレジット環境の緩和が続くと金融の不均衡が発生するリスクについて「A
few」なメンバーが指摘しておりますな、うんうん。
と、ここまで書いたら時間がなくなったので(すいません)続きはまた後日。
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2011/05/31
で、4月FOMC議事要旨ネタの続き。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf
○連銀スタッフによる金融市場の現状とか経済の見通しとか
『Staff Review of the Financial Situation』のところは華麗にスルーしますが、まあ全般的に金融環境は改善傾向ですね、という話をしています。
でもってその後が『Staff Economic Outlook』ですが、基本的には「目先の見通しを下げている」という感じでしょうなこれ。
『With the recent data on spending somewhat weaker, on balance, than the
staff had expected at the time of the March FOMC meeting, the staff revised
down its projection for the rate of increase in real gross domestic product
(GDP) over the first half of 2011. The effects from the disaster in Japan
were also anticipated to temporarily hold down real GDP growth in the near
term.』
今年の前半の実質GDP成長率の予想を引き下げましたとな。
『Over the medium term, the staff's outlook for the pace of economic growth
was broadly similar to its previous forecast: As in the March projection,
the staff expected real GDP to increase at a moderate rate through 2012,
with the ongoing recovery in activity receiving continued support from
accommodative monetary policy, increasing credit availability, and further
improvements in household and business confidence. The average pace of
GDP growth was expected to be sufficient to gradually reduce the unemployment
rate over the projection period, though the jobless rate was anticipated
to remain elevated at the end of 2012. 』
ということで、先行きの見通しに関してはそんなに変わらず、景気拡大によって失業率も徐々に改善するという見通しになっています。んでもって物価に関してですけれども、こっちは目先の見通しを引き上げています。
『Recent increases in consumer food and energy prices, together with the
small uptick in core consumer price inflation, led the staff to raise its
near-term projection for consumer price inflation.』
ただし、先行きに関しての見方は大きく変化していません。
『However, inflation was expected to recede over the medium term, as food
and energy prices were anticipated to decelerate. As in previous forecasts,
the staff expected core consumer price inflation to remain subdued over
the projection period, reflecting stable longer-term inflation expectations
and persistent slack in labor and product markets.』
ということで、引き続き「長期的なインフレ期待の安定」「労働市場や生産市場における持続的なスラック」を反映して、予想期間においてコア物価指数は抑制された状態となるという前回FOMCでの予想を継続する、という話になっておりまして、今回は「足元で景気見通しを下げて物価見通しを上げたものの、中長期的な見通しに変化なし」というのが結論になっています。
ま、それが当るのか、それともBOE状態になってどんどんお洒落な状態になるのかは神の味噌汁。
○FOMCメンバーの見方
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』ですな。
この部分の第2パラグラフから。
『In discussing intermeeting developments and their implications for the
economic outlook, participants agreed that the information received since
their previous meeting was broadly consistent with continuation of a moderate
economic recovery, despite an unexpected slowing in the pace of economic
growth in the first quarter.』
1Qのスローダウンはあるけど経済は見通しのインラインという事で。
『While construction activity remained anemic, measures of consumer spending
and business investment continued to expand and labor market conditions
continued to improve gradually.』
ほほう。
『Participants viewed the weakness in first-quarter economic growth as
likely to be largely transitory, influenced by unusually severe weather,
increases in energy and other commodity prices, and lower-than-expected
defense spending. 『As a result, they saw economic growth picking up later
this year. 』
1Qのスローダウンは各種一時的要因(悪天候、エネルギー等の価格上昇、防衛支出が期待より低かった件)によるものということで年後半には成長はまた高まるという見通しですな。
で、第3パラグラフはもうちょっと先の見込みについて。
『Participants' forecasts for economic growth for 2012 and 2013 were largely
unchanged from their January projections and continued to indicate expectations
that the recovery will strengthen somewhat over time.』
ということで中長期的な見方は変化無しと。
『Nonetheless, the pickup in the pace of the economic expansion was expected
to be limited, reflecting the effects of high energy prices, modest changes
in housing wealth, subdued real income gains, and fiscal contraction at
the federal, state, and local levels.』
景気回復ペースを抑制するものとしては、高水準のエネルギー価格、家計のバランスシート改善が緩やかにしか進まないこと、実質所得の伸びが抑制されていること、連邦政府や地方政府の財政健全化に向けた動きですとな。
『Participants continued to project the unemployment rate to decline gradually
over the forecast period but to remain elevated compared with their assessments
of its longer-run level.』
失業率の改善は続くが長い期間に渡って高水準が続くと予想。
『Participants revised up their projections for total inflation in 2011,
reflecting recent increases in energy and other commodity prices, but they
generally anticipated that the recent increase in inflation would be transitory
as commodity prices stabilize and inflation expectations remain anchored.
However, they all agreed on the importance of closely monitoring developments
regarding inflation and inflation expectations. 』
インフレに関しては今年の予想を引き上げていますが、足元の要因は一時的であり、中長期的な予想に変化は無いとしていますが、今後もインフレ状況とインフレ期待の動向に「closely
monitoring」が必要との話をしていて一応警戒ちっくになっていまふ。
第4パラグラフ。
『Participants' judgment that the recovery was continuing at a moderate
pace reflected both the incoming economic indicators and information received
from business contacts. Growth in consumer spending remained moderate despite
the effects of higher gasoline and food prices, which appeared to have
largely offset the increase in disposable income from the payroll tax cut.
Participants noted that these higher prices had weighed on consumer sentiment
about near-term economic conditions but that underlying fundamentals for
continued moderate growth in spending remained in place. These underlying
factors included continued improvement in household balance sheets, easing
credit conditions, and strengthening labor markets. 』
つーことで、消費支出の話をしてますが、減税効果による可処分所得上昇をガソリンおよび食品価格の上昇が相殺してますとゆーことですが、物価上昇による消費者センチメントへの悪影響はあるけれども、基調的な経済のファンダメンタルは消費者センチメントを引き上げる方向にありますよね、という話ですな。
と、ここで時間が無くなったので今日はここで勘弁orz
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2011/05/30
まあ何だ、次のFOMCまであと3週間あるのでとりあえずもさもさと。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf
○25日にうだうだ書いた部分の補足:資産売却ペースを所与とするか
補足と申しますとアレですが、まあ要するに読者の皆様にご教示賜ったのでその成果を還元するのですが(汗)。
連銀スタッフによる説明の中での重要な論点に関してですが。
『A second key issue was the extent to which the Committee might choose
to vary the pace of any asset sales it undertakes in response to economic
and financial conditions. If it chose to make the pace of sales quite responsive
to conditions, the FOMC would be able to actively use two policy instruments--asset
sales and the federal funds rate target--to pursue its economic objectives,
which could increase the scope and flexibility for adjusting financial
conditions.』
『In contrast, sales at a pace that varied less with changes in economic
and financial conditions and was preannounced and largely predetermined
would leave the federal funds rate target as the Committee's primary active
policy instrument, which could result in policy that is more straightforward
for the Committee to calibrate and to communicate.』
25日に引用してよく判らんとかエエカゲンな事を書いたのですが(汗)、この部分に関しては「資産売却を行う場合にどういう方法を取るか」という論点について、2つの方式を比較して話をしているという事のようですな。
つまり、前半部分に書いてあるのは経済金融情勢の変化に対応し売却ペースを弾力的に変更するようなやり方で、金融政策のツールとして金利の誘導と売却ペースの変更という二つのツールを使える形になり、状況への対応がより柔軟に行えるメリットがある。また後半部分に書いてあるのは売却ペースを事前にアナウンスして一定のペースで実施し、金融政策のツールとしてはFFレートの誘導のみとなるので、前者の方法と比較して政策の目線を示しやすく、コミュニケーションがやりやすくなるメリットがあるという事ですな。
んでもって、これまた25日に引用した部分でワケワカンネと書いたところですけれども、この部分もまた再掲。
『Participants expressed a range of views on some aspects of a normalization
strategy. Most participants indicated that once asset sales became appropriate,
such sales should be put on a largely predetermined and preannounced path;
however, many of those participants noted that the pace of sales could
nonetheless be adjusted in response to material changes in the economic
outlook. Several other participants preferred instead that the pace of
sales be a key policy tool and be varied actively in response to changes
in the outlook. 』
出口政策における資産売却とFF金利誘導のツール選択に関しては、多くのFOMCメンバーは資産売却ペースを事前にアナウンスして(さっきでいう後者方式)ペースを決めて行う(当然ながらその間に景気見通しの顕著な変化があった場合にはペースの変更もあるが)という方法を支持し、一部のFOMCメンバーは前者方式でFFレートと資産売却のペースの両方をツールにすべきである、という話をしています。
つまり、出口政策においてFFレート引き上げや資産売却を行う、という事になった場合ですが、基本的に現状のFOMCにおける大勢見解は「資産売却のペースを予めアナウンスして行っていく」という事になるようですな、うんうん。
んでまあその続き(遅くなってすいません)です。
○FFレートの効果的な誘導について
とは言いましてもFFレートの誘導が重要なのでありまして、そちらがそもそもワークしないとだめですよねという話になる訳で、その辺についての論点が先日引用した部分の続きになります。『Developments
in Financial Markets and the Federal Reserve's Balance Sheet』の第7パラグラフ以降。
『Most participants saw changes in the target for the federal funds rate
as the preferred active tool for tightening monetary policy when appropriate.』
ということで、まあ正常化という事ですから金利誘導という「伝統的政策」に戻る訳ですからFFレートの誘導がメインになるんでしょうが。
『A number of participants noted that it would be advisable to begin using
the temporary reserves-draining tools in advance of an increase in the
Committee's federal funds rate target, in part because doing so would put
the Federal Reserve in a better position to assess the effectiveness of
the draining tools and judge the size of draining operations that might
be required to support changes in the interest on excess reserves (IOER)
rate in implementing a desired increase in short-term rates.』
とりあえず資産売却ではなくて、バランスシートの一部を不胎化するツール(要するにリバースレポとターム預金ファシリティですが、そういやGSEのリバースレポ参加というのは実効FFレートのコントロールには良いお話ではございますな)を使って、どの位の吸収が必要かを確認するのが重要と。
『A number of participants also noted that they would be prepared to sell
securities sooner if the temporary reserves-draining operations and the
end of the reinvestment of principal payments were not sufficient to support
a fairly tight link between increases in the IOER rate and increases in
short-term market interest rates.』
で、もしこのツールでFFレートのコントロールが難しいのであれば、早期の資産売却の準備をすべきという事ですので、FFレートの引き上げ時に実効FF金利のコントロールが難しい場合には早期の資産売却もありうべしという話になりますわな。
○コリドアシステムの導入とかインフレターゲットとか
次のパラグラフから。
『In the discussion of normalization, some participants also noted their
preferences about the longer-run framework for monetary policy implementation.』
『Most of these participants indicated that they preferred that monetary
policy eventually operate through a corridor-type system in which the federal
funds rate trades in the middle of a range, with the IOER rate as the floor
and the discount rate as the ceiling of the range, as opposed to a floor-type
system in which a relatively high level of reserve balances keeps the federal
funds rate near the IOER rate.』
要するに実効FF金利のコントロールを有効にする為にコリドアシステムを導入するのはどうでしょうという話、つーかどうも今後はコリドア方式になるっぽいようでございますな、うんうん。
『A couple of participants noted that any normalization strategy would
likely involve an elevated balance sheet with the federal funds rate target
near the IOER rate--as in floor-type systems--for some time, and therefore
the Committee would accumulate experience during the process of normalizing
policy that would allow it to make a more informed choice regarding the
longer-term framework at a later date.』
2名の主張する「a more informed choice regarding the longer-term framework」ってナンジャラホイという話ですが、あたくしが勝手に想像するのは「明示的な物価ターゲットの導入」というインフレーションターゲットの件でしょうなあとか思うのですけどどうでしょ。
○連銀スタッフの経済認識
『Staff Review of the Economic Situation』のところですが、まあこれを引用するとキリが無いのでスルーしますけど、基本的にはそんなに弱くは無いです。
・労働市場:堅調推移も長期失業者などの問題は多い
・鉱工業生産:力強いペース、自動車には日本の震災の影響
・個人消費:やや減速、センチメントは3月に大きく低下
・住宅市場:弱い
・企業設備投資:力強いペース
・在庫投資:拡大
・政府支出:低下
・貿易収支:貿易赤字がやや縮小
とまあそんな感じで話が続きまして、消費者物価に関してはこんな話です。
『Overall U.S. consumer price inflation moved up further in February and
March, as increases in the prices of energy and food commodities continued
to be passed through to the retail level.』
川上の物価上昇の価格転嫁の動きとな。
『More recently, survey data through the middle of April pointed to additional
increases in retail gasoline prices, while increases in the prices of food
commodities appeared to have moderated somewhat.』
ということですが、コア価格は安定しているというお話が続く。
『Excluding food and energy, core consumer price inflation remained relatively
subdued. Although core consumer price inflation over the first three months
of the year stepped up somewhat, the 12-month change in the core consumer
price index through March was essentially the same as it was a year earlier.』
若干上昇したものの抑制された状態が続いていると。
『Near-term inflation expectations from the Thomson Reuters/University
of Michigan Surveys of Consumers remained elevated in early April. But
longer-term inflation expectations moved down in early April--reversing
their uptick in March--and stayed within the range that has prevailed over
the past several years.』
ということで、足元のインフレ期待は上昇しているが、長期的なインフレ期待は安定していて一部では下がっているものも、とな。
で、そのインフレに影響を与える労働者賃金ですけれども、こちらは相変わらずの「労働市場の大きな余剰」によって抑制されていますというお話。
『Available measures of labor compensation suggested that wage increases
continued to be restrained by the presence of a large margin of slack in
the labor market. Average hourly earnings for all employees were flat in
March, and their average rate of increase over the preceding 12 months
remained low.』
で、最後の最後に世界経済の話になるのがメリケンクオリティ(ちなみにご存知の通り日銀の金融政策決定会合やら金融経済月報などでは海外経済情勢が先に来る^^)なのですが、まあそんなに変わった話をしている訳ではないがその部分を引用。
『The pace of recovery abroad appeared to have strengthened earlier this
year, but the disaster in Japan raised uncertainties about foreign activity
in the near term.』
ほう。
『In the euro area, production expanded at a solid pace, though indicators
of consumer spending weakened. While measures of economic activity in Germany
posted strong gains, economic conditions in Greece and Portugal deteriorated
further.』
ユーロエリアはドイツが牽引して堅調とな。
『The damage caused by the earthquake and tsunami in Japan appeared to
be sharply curtailing Japanese economic activity and posed concerns about
disruptions to supply chains and production in other economies.』
日本は震災の影響。
『Emerging market economies (EMEs) continued to expand rapidly.』
新興国は引き続き急速な拡大を続けていると。
『Rising prices of oil and other commodities boosted inflation in foreign
economies. However, core inflation remained subdued in most of the advanced
foreign economies, and inflation in the EMEs seemed to have declined as
food price inflation slowed.』
最後にインフレの話が出ているのがチャーミング。
ということで、時間と量の関係で本日はこの辺で、なんぼFOMC議事要旨で引っ張りますねんというツッコミはしないように(^^)。
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2011/05/25
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf
と申しましても冒頭の「金融政策の正常化」の所だけですが(汗)
『Developments in Financial Markets and the Federal Reserve's Balance Sheet』の第3パラグラフ以降になります。
○連銀スタッフによる論点整理
まず連銀スタッフの説明がありましたとな。
『The staff next gave a presentation on strategies for normalizing the
stance and conduct of monetary policy over time as the economy strengthens.』
『Normalizing the stance of policy would entail the withdrawal of the current
extraordinary degree of accommodation at the appropriate time, while normalizing
the conduct of policy would involve draining the large volume of reserve
balances in the banking system and shrinking the overall size of the balance
sheet, as well as returning the SOMA to its historical composition of essentially
only Treasury securities.』
つーことで、金融政策の正常化には現状のFEDのバランスシートを縮小すると共に、資産内容を米国債(の短期債)のみにするという作業を伴う訳ですな。
『The presentation noted a few key issues that the Committee would need
to address in deciding on its approach to normalization.』
ほほう。
『The first key issue was the extent to which the Committee would want
to tighten policy, at the appropriate time, by increasing short-term interest
rates, by decreasing its holdings of longer-term securities, or both. Because
the two policies would restrain economic activity by tightening financial
conditions, they could be combined in various ways to achieve similar outcomes.』
経済の状況によって利上げと長期債保有削減の使い方を調整していく必要があるでしょうとはそらそうですなということで。
『For example, in principle, the Committee could accomplish essentially
the same degree of monetary tightening by selling assets sooner and faster
but raising the target for the federal funds rate later and more slowly,
or by selling assets later and more slowly but increasing the federal funds
rate target sooner and faster. The SOMA portfolio could be reduced by selling
securities outright, by ceasing the reinvestment of principal payments
on its securities holdings, or both.』
FF金利の引き上げの前にB/S縮小に入るのかFF引き上げの後にやるのかとか、長期債保有削減についても素直に売却するのか、償還再投資を止める形で落としていくのかというのはやり方ありますなあ。
『A second key issue was the extent to which the Committee might choose
to vary the pace of any asset sales it undertakes in response to economic
and financial conditions. If it chose to make the pace of sales quite responsive
to conditions, the FOMC would be able to actively use two policy instruments--asset
sales and the federal funds rate target--to pursue its economic objectives,
which could increase the scope and flexibility for adjusting financial
conditions. In contrast, sales at a pace that varied less with changes
in economic and financial conditions and was preannounced and largely predetermined
would leave the federal funds rate target as the Committee's primary active
policy instrument, which could result in policy that is more straightforward
for the Committee to calibrate and to communicate.』
何かこの辺の話も何言ってるのかイマイチあたくし頭が悪くてわからんのですが、要するに資産縮小において資産構成の変更をどういう風に行うのか、と言う論点があるという話っすかね。あと、ペースなどの調整をするときには事前に地ならしをしておく必要があるという指摘をしているような希ガス。
『Finally, the staff presentation noted that the Committee would need to
decide if and when to use the tools that it has developed to temporarily
reduce reserve balances--reverse repurchase agreements and term deposits--in
order to tighten the correspondence between any changes in the interest
rate the Federal Reserve pays on excess reserves and the changes in the
federal funds rate.』
リバースレポとかタームデポジットファシリティーのような一時的にバランスシートの一部を不胎化する政策についても、どの程度不胎化すると実効FFレートがどうなるのかという辺りを確認しておくという指摘のようですな。と思ったが読み間違いだったらゴメンナサイ。
○FOMCメンバーの議論部分
・正常化政策の原則について
ここは先日引用しましたが再掲。
『Meeting participants agreed on several principles that would guide the
Committee's strategy for normalizing monetary policy.』
『First, with regard to the normalization of the stance of monetary policy,
the pace and sequencing of the policy steps would be driven by the Committee's
monetary policy objectives for maximum employment and price stability.
Participants noted that the Committee's decision to discuss the appropriate
strategy for normalizing the stance of policy at the current meeting did
not mean that the move toward such normalization would necessarily begin
soon.』
正常化のペースは経済情勢に依存し、また今回このように議論している事は正常化を早期に実施するというシグナルではない、という事を強調すべきである、という事なのですが、何かFOMC議事要旨出た日だけは「正常化検討キタコレ」と反応してましたな、まあその後の動きを見ると上記の強調が上手く伝わっていると思いますが(^^)。
『Second, to normalize the conduct of monetary policy, it was agreed that
the size of the SOMA's securities portfolio would be reduced over the intermediate
term to a level consistent with the implementation of monetary policy through
the management of the federal funds rate rather than through variation
in the size or composition of the Federal Reserve's balance sheet.』
『Third, over the intermediate term, the exit strategy would involve returning
the SOMA to holding essentially only Treasury securities in order to minimize
the extent to which the Federal Reserve portfolio might affect the allocation
of credit across sectors of the economy. Such a shift was seen as requiring
sales of agency securities at some point.』
この辺はさっきの連銀スタッフの指摘と同じ意味の話ですな。
『And fourth, asset sales would be implemented within a framework that
had been communicated to the public in advance, and at a pace that potentially
could be adjusted in response to changes in economic or financial conditions.』
まあこれも当たり前と。
・正常化のステップについて
で、その次のパラグラフ(第5パラグラフ)が正常化のステップに関する話。
『In addition, nearly all participants indicated that the first step toward
normalization should be ceasing to reinvest payments of principal on agency
securities and, simultaneously or soon after, ceasing to reinvest principal
payments on Treasury securities. Most participants viewed halting reinvestments
as a way to begin to gradually reduce the size of the balance sheet.』
まあ常識的な結論ですが、正常化の第1ステップはエージェンシー債と長期国債の償還再投資を停止する事と。で、それがまあ緩やかなバランスシート縮小開始の方法ですねとこれはほぼ同意が取れているようで。
『It was noted, however, that ending reinvestments would constitute a modest
step toward policy tightening, implying that that decision should be made
in the context of the economic outlook and the Committee's policy objectives.
In addition, changes in the statement language regarding forward policy
guidance would need to accompany the normalization process. 』
また、ステートメントにおけるガイダンス文言(for an extended period)の変更も正常化プロセスの中に含まれるという事で、この辺りも変更になりまっせという事で。
・金利の正常化が先か、バランスシートの正常化が先か
『Participants expressed a range of views on some aspects of a normalization strategy.』
ということで。
『Most participants indicated that once asset sales became appropriate,
such sales should be put on a largely predetermined and preannounced path;
however, many of those participants noted that the pace of sales could
nonetheless be adjusted in response to material changes in the economic
outlook.』
資産売却が必要な状況になった場合にも事前に幅広くアナウンスする必要があり、この売却についても経済状況の変化に応じて調整する必要があるでしょうというのは殆どのメンバーが同意しているようで。
『Several other participants preferred instead that the pace of sales be
a key policy tool and be varied actively in response to changes in the
outlook.』
すまんここの意味が判らんのだが、ペースの変化は機動的に行う方が良いので、あま
事前告知に拘らなくても良いという話を数名の他のメンバーがしていると読んだのだがそれで合ってるニカ?
『A majority of participants preferred that sales of agency securities
come after the first increase in the FOMC's target for short-term interest
rates, and many of those participants also expressed a preference that
the sales proceed relatively gradually, returning the SOMA's composition
to all Treasury securities over perhaps five years.』
多数意見によりますと、エージェンシー債の売却はFFレートの引き上げ後に行うべきであり、売却のペースも徐々に行うことによって、トレジャリーオンリーのB/Sにするまで多分5年間位掛けるのが宜しい、との事であります。
『Participants noted that, for any given degree of policy tightening, more-gradual
sales that commenced later in the normalization process would allow for
an earlier increase of the federal funds rate target from its effective
lower bound than would be the case if asset sales commenced earlier and
at a more rapid pace.』
より強い引き締めが必要であってもそれFFレートの引き上げで対応し、性急な資産売却には慎重であるべきと読みましたが理解それで大丈夫かな(汗)。
『As a result, the Committee would later have the option of easing policy
with an interest rate cut if economic conditions then warranted. An earlier
increase in the federal funds rate was also mentioned as helpful to limit
the potential for the very low level of that rate to encourage financial
imbalances.』
金利の引き上げを先にやっておいた方が仮にその後の景気悪化が起きた時に金利の引き下げ余地が出来るという糊代論やら、早めのFFレート上げで低金利政策によって起きる金融のインバランス(要は資産バブル)の拡大を防ぐ事も出来るとか中々チャーミングな指摘も。
『A few participants expressed a preference that sales begin before any
increase in the federal funds rate target, and a few other participants
indicated that sales and increases in the federal funds rate target should
commence at the same time.』
「a few」と「その他のa few」なメンバーは資産売却をFFレートの引き上げ以前または同時に行う事を推奨しています。
『The participants who favored earlier sales also generally indicated a
preference for relatively rapid sales, with some suggesting that agency
securities in the SOMA be reduced to zero over as little as one or two
years.』
この人たち的にはFEDのB/S正常化に1年から2年程度を見ているようですな。
『Such an approach was viewed as allowing for a faster return to a normal
policy environment, potentially reducing any upside risks to inflation
stemming from outsized reserve balances, and more quickly eliminating any
effects of SOMA holdings of agency securities on the allocation of credit.』
バランスシートの縮小を早めにすることによって、巨大な超過準備の存在によるインフレ(一般のインフレ期待が高まるというパスによるインフレかと思われますが)のアップサイドリスクを抑制し、FEDの保有するリスク性資産の縮小によって民間のリスクアロケーションの正常化(いわゆるストックビューによるポートフォリオリバランス効果ですな)が期待できる、という論点ですな。
#続きがあるのですが時間と量の関係で明日に続く
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2011/05/20
○悪態ばっかになってしまったのでお口直しにFOMC議事要旨
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
話題になってたのは最初の所でした。
冒頭の『Developments in Financial Markets and the Federal Reserve's Balance
Sheet』の途中から。
『Meeting participants agreed on several principles that would guide the
Committee's strategy for normalizing monetary policy.』
正常化の議論に関する部分キタコレ。
『First, with regard to the normalization of the stance of monetary policy,
the pace and sequencing of the policy steps would be driven by the Committee's
monetary policy objectives for maximum employment and price stability.』
というのはまあ当たり前ですな。
『Participants noted that the Committee's decision to discuss the appropriate
strategy for normalizing the stance of policy at the current meeting did
not mean that the move toward such normalization would necessarily begin
soon.』
んでもって別に議論するからと言っても直ぐに正常化するわけではないですがな、というこの文章あったけど昨日の米債は正常化議論キタコレ相場になっていたような気もせんでもないのはチャーミング。
『Second, to normalize the conduct of monetary policy, it was agreed that
the size of the SOMA's securities portfolio would be reduced over the intermediate
term to a level consistent with the implementation of monetary policy through
the management of the federal funds rate rather than through variation
in the size or composition of the Federal Reserve's balance sheet.』
バランスシート縮小の時にその構成に関しても留意する、というのは読み方によっては微妙にアレな話でございまして、つまりMBS売りながらT−Bill買いますとか、T−NoteやT−Bondと売りながらT−Bill買いますとかいうようなバリエーションも排除して無いという話になりますわな。と思ったらその話が次に。
『Third, over the intermediate term, the exit strategy would involve returning
the SOMA to holding essentially only Treasury securities in order to minimize
the extent to which the Federal Reserve portfolio might affect the allocation
of credit across sectors of the economy. Such a shift was seen as requiring
sales of agency securities at some point.』
まあそれって本当に出来るのかねという気はするが、もしスムーズに実行できるのであれば、日銀の長期国債買入に関してももうちょっと柔軟に増やしたり減らしたりする事ができるという話になるのかもしれないので今後の展開にはワクワクテカテカであります。
『And fourth, asset sales would be implemented within a framework that
had been communicated to the public in advance, and at a pace that potentially
could be adjusted in response to changes in economic or financial conditions.』
まあこれは当たり前の話。
ということで、この先も続くのですが、時間がなくなったので以下来週に続く。
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2011/05/19
○論点が色々と拡大してきているBOEの5月議事要旨
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1105.pdf
とりあえず斜め読みをしただけなので詳しくはまた精読してからでございますが、読んでみただけでもかなーり色々と論点があって英国なかなか大変ですなあという感じではございまする。
・足元の需要や生産統計が弱い件について
『Money, credit, demand and output』の第13パラグラフから。
『A key question was how long the current weakness in demand and output
was likely to persist.』
ということですが・・・・
『Some indicators were consistent with the economy having entered a period
of sustained weakness. The GDP data for the first quarter had been weaker
than the Committee had expected at the time of the February Inflation Report.
And a greater proportion of demand growth during 2010 had come from stockbuilding
than previous vintages of the data had suggested. Lending to companies
and individuals had remained weak, notwithstanding some signs of a slight
easing in credit conditions. And, against the backdrop of a broadly flat
level of household spending over the previous year, the GfK measure of
consumer confidence had fallen further, to its lowest level since March
2009.』
『Any additional increases in energy prices would further reduce real personal
disposable incomes. Moreover, the Bank’s Agents had reported anecdotal
evidence of pressures on consumers: an increasing concentration of retail
sales around pay days; shoppers making smaller, more frequent purchases;
and a shift away from spending on discretionary items.』
とまあ色々な指標によって足元の需要や生産の弱さが示されていて、この先に関してもこれらが継続する可能性を示唆するようなネタが転がっているというお話がござんして、まあこの辺だけ見てると残念感がございます。
・一方で労働市場サーベイやビジネスサーベイなどは強いとな
第14パラグラフから。
『Other indicators had pointed to stronger growth. The Labour Force Survey
showed that employment had picked up and this was supported by business
surveys of employment and recruitment intentions. And, although the CIPS/Markit
business activity surveys of manufacturing and services had fallen in April,
they remained in line with the pace of growth seen during the middle of
2010.』
『It was possible that real household spending growth had been temporarily
held back at the turn of the year given the rise in the standard rate of
VAT, and retail sales volumes had risen slightly in March. Surveys of investment
intentions suggested that a period of above-average spending growth on
capital goods might be in prospect. And surveys of export orders in manufacturing
remained solid and in services continued to pick up, consistent with the
improvement in the trade balance seen in the official data for January
and February.』
ということで、外需やら足元での一時的な家計の可処分所得増加などが引っ張っているのかビジネスサーベーイが強くて雇用も引き上げられているということのようでございますな。
・インフレーションレポートの部分を華麗にスルーしていきなり政策決定の部分
で、インフレに関する議論のところも面白かったのですが、そっちはスルーしまして『The
immediate policy decision』のところに行くのでありますが、この冒頭の所でいきなり論点が出ているのであった。第29パラグラフから。
『The Committee set monetary policy in order to meet the inflation target
in the medium term. As had been the case for the previous few months, the
Committee was confronted with two key questions in reaching a view on the
outlook for inflation: how prolonged the current weakness in demand would
be; and how persistent the impact on inflation of increases in VAT, energy
and import prices would be, either directly or via second-round effects.』
ちなみに上記引用部分の第一文にあります「MPCはインフレを中期的にターゲットの範囲内に収めるように金融政策を実施しています(キリッ)」というフレーズは直近の物価上昇期におきましては前回(4月)のMPC議事要旨から挿入されたのですが、今回は「金融政策決定に関する部分」の冒頭にこの(キリッ)が入ったという事でございまして、まあ何と申しますか色々と悩める所なんでしょうなあと思うのでありました。
で、今回はついに「second-round effects」の論点まで前面で議論されるようになってきましたなあという感じでありまするが、まあ結論から申し上げますとその手の2次的効果はまだ観測されていませんというのが結論になっていまふ。
第30パラグラフから。
『On the first of these questions, there was a risk that demand would not
grow sufficiently strongly to eliminate the current margin of spare capacity,
leading to inflation falling below the target in the medium term.』
毎度の話で、需要が足元における経済の余剰(margin of spare capacity)を打ち消すほどの伸びを示さないことによってインフレが中期的にターゲット以下まで下がるリスクでありますが。
『The probability of that risk crystallising was hard to evaluate, in part
because there were mixed signals from indicators of business and consumer
confidence, the interpretation of which was further complicated by the
impact of the snow in December and erratic movements in construction output.
The level of household spending had been stagnant over the previous year.
And, against the backdrop of the continuing fiscal consolidation and the
likely intensification of the squeeze on real disposable incomes from the
current high level of energy prices, consumption growth was likely to remain
weak for some time. 』
『But, set against that, activity balances from business surveys were consistent
with continuing modest underlying growth in the bulk of the economy in
the near term and firms were indicating that they intended to recruit and
invest at around long-run average rates.』
家計に関してはマインドは弱いですし、先行きも家計には悪材料がありますが、企業のマインドが強くて雇用が存外悪くないのがまあサポートになっているようで。
で、その分析は実は第31、32パラグラフに続くのですが、引用すると長くなるのでその辺はまた後日でありんす。つーかBOEの話とか完全に趣味の世界でどうもすいませんという感じですが、分析部分もなるほどという感じでした。
でもって2番目のリスクに関してですが、第33パラグラフから。
『On the second question, there was a risk that the period of elevated
inflation could persist for longer than the Committee expected.』
まあこれまたいつもの話でインフレの数値が高い状態が継続した場合にインフレ期待が上昇して実際の賃金設定や企業の価格行動などに影響して、高インフレが定着してしまうリスクに関してですな。
『Although they had been broadly flat over the month, oil prices had risen
substantially since the February Inflation Report and the near-term outlook
for inflation was higher. Continued robust growth in emerging economies,
or an intensification of political instability in key oil-producing regions,
might put further upward pressure on the prices of energy and other commodities.』
原油と商品価格に関しては高止まりを予想しています。
『The sustained period of above-target inflation might cause expectations
of inflation to drift upwards. To the extent that people placed weight
on past outturns in forming their expectations, it might then take time
for inflation expectations to decline again, even as inflation itself fell
back.』
で、一旦インフレ期待が上昇しちゃうとそれを戻すのが大変ですよねと。
『Moreover, the further squeeze in households’ purchasing power might
result in some upward pressure on nominal wages to the extent that workers
sought to maintain real living standards.』
なるほど。物価が上昇してる国だとそうなるのね。日本だとそうならないですけど。
『Thus far, however, there had been few material signs of the period of
high inflation having fed into elevated medium-term inflation expectations
or higher wage demands.』
ということで、この部分の具体的な話は実は前の方でああでもないこうでもないと議論されているのですけれども、まあ現状では英国全体での平均の通常賃金上昇率が直近3か月で2.2%となっているようで、そこまでの流れにはなっていませんし、まあサーベイベースはやや怪しいものの、市場のインフレ期待などはまだ安定しているという話になっています。
まあこの辺りが今回のインフレ4.5%再加速を受けてどうなりますやらという感じでしょう。
・票決は前回と同様
第38パラグラフから。
『Regarding Bank Rate, six members of the Committee (the Governor, Charles
Bean, Paul Tucker, Paul Fisher, David Miles and Adam Posen) voted in favour
of the proposition.
Three members of the Committee voted against the proposition.
Andrew Sentance preferred to increase Bank Rate by 50 basis points.
Spencer Dale and Martin Weale preferred to increase Bank Rate by 25 basis points.』
『Regarding the stock of asset purchases, eight members of the Committee
(the Governor, Charles Bean, Paul Tucker, Spencer Dale, Paul Fisher, David
Miles, Andrew Sentance and Martin Weale) voted in favour of the proposition.
Adam Posen voted against the proposition, preferring to increase the size
of the asset purchase programme by £50 billion to a total of £250 billion.』
ということで前回と同様に5対3対1(3が利上げで1が国債買入拡大)でした。
・ロイヤルウェディングの経済効果(おまけ)
第15パラグラフから。
『In particular, the royal wedding and supply chain disruptions following
the earthquake in Japan were likely to dampen GDP growth in the second
quarter and boost it in the third.』
そういや当初は「ロイヤルウェディングの経済効果」みたいな話があったと思ったのですけれども、直近では「ロイヤルウェディングで連休になってマイナスではないか」という話もでてましたが、思いっきり「経済効果マイナス」とか中々不敬なMPCですね(棒読み)。
その理由は第23パラグラフにありますが、やはり休日が増えた効果でした。
『But temporary factors, such as the effects of the additional bank holiday
associated with the royal wedding and supply chain disruption from the
Japanese earthquake and tsunami, were likely to add some volatility to
quarterly GDP over the coming quarters.』
中々奥が深いですな。
○FOMC議事要旨(メモ)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/fomcminutes20110427.pdf
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110427.htm
さすがにこれを朝起きてから斜め読みするのは無理なので後日ですが、慌てて読みたければ後半の『Participants'
Views on Current Conditions and the Economic Outlook』以降、またはその最終パラグラフから読むのが吉。
んでもってそこ最終パラですが。
『In their discussion of monetary policy, some participants expressed the
view that in the context of increased inflation risks and roughly balanced
risks to economic growth, the Committee would need to be prepared to begin
taking steps toward less-accommodative policy. A few of these participants
thought that economic conditions might warrant action to raise the federal
funds rate target or to sell assets in the SOMA portfolio later this year,
but noted that even with such steps, monetary policy would remain accommodative
for some time to come. However, some participants indicated that underlying
inflation remained subdued; that longer-term inflation expectations were
likely to remain anchored, partly because modest changes in labor costs
would constrain inflation trends; and that given the downside risks to
economic growth, an early exit could unnecessarily damp the ongoing economic
recovery. 』
文章を途中できりにくかったので1パラ全部引用しましたが、何か「some」ばっかり並んでいて要するに今後の金融政策に関して何かこう色々と議論が割れているんじゃネーノというのは把握した。
『Committee Policy Action』から。
まあ色々な点の議論が有るのだが引用しだすとキリが無いのでインフレ期待の所あたりから引用開始。
『Recent movements in measures of longer-term inflation expectations were
discussed. While some measures of longer-term inflation expectations had
risen, others were little changed or down, on net, since March, and members
agreed that longer-term inflation expectations had remained stable. 』
となりますと金融政策は現状維持となりますわな。
『Given this economic outlook, the Committee agreed to continue to expand
its holdings of longer-term Treasury securities as announced in November
in order to promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure
that inflation, over time, is at levels consistent with the Committee's
mandate. Specifically, the Committee maintained its existing policy of
reinvesting principal payments from its securities holdings and affirmed
that it will complete purchases of $600 billion of longer-term Treasury
securities by the end of the current quarter.』
そして、「資産買入の効果が不明ですなあ」という人は今回も「A few」おいでです。
『A few members remained uncertain about the benefits of the asset purchase
program but, with the program nearly completed, judged that making changes
to the program at this time was not appropriate. 』
まあ上記のようにその人たちも「まあ別に現状維持でエエンチャウノ」という事で。
『The Committee continued to anticipate that economic conditions, including
low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable
inflation expectations, were likely to warrant exceptionally low levels
for the federal funds rate for an extended period. That said, a few members
viewed the increase in inflation risks as suggesting that economic conditions
might well evolve in a way that would warrant the Committee taking steps
toward less-accommodative policy sooner than currently anticipated. 』
ということで、今後の政策に関してはやはり正常化路線を早めるべきという意見があるようで、まあ次回FOMCまでにまとまるのでしょうかねえという感じです。
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2011/05/18
○そういえば英国のインフレがまた拡大してますが
毎日悪態ばかりで市場の話とかスルーでございますのでたまにはちゃんと。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=adgrn51GoRF8
4月の英インフレ率4.5%に上昇−中銀総裁に物価抑制の説明義務(1)
3月に一旦4.0%に下がったので、2010年4QのGDP落ち込みと合わせてキタコレとか思っていたら4月にあっさりインフレ再加速とな。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2011/046.htm
News Release
Letter from the Governor to the Chancellor (10.30am)
ということで、上記URL先に「はいはいインフレターゲット超えですよサーセンサーセン」書簡があるのですが斜め読みしただけなので後で真面目に読みます(汗)。
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2011/05/13
○んでもってブラード総裁の講演の直近じゃない方から少々
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=984
APRIL 18
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Economic Outlook and Recent Monetary Policy Developments
上記URLが講演の概要でして、講演でのプレゼンテーション資料(パワーポイントみたいな奴)は上記URL先の中にありますが、まあ概要の方を読んでいただければ大体ヨロシカバイという感じだと思います。一応PDFのURLを置いときます(長い)。
http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard_KY_Day_with_the_Commissioner_18_April_2011_Final.pdf
つーことで、ブラードさんのこの回の講演なのですが、今回の新しいネタは「ヘッドラインのインフレをコントロールするのが中央銀行の金融政策のキモ」という部分でございまして、まあ要するに物価目標へのフォーカスを強めましょうという話なんでしょうなあという所でおじゃる。
プレゼンの方に『Controlling headline inflation as the key policy goal.』と思いっきり書いてあるのがチャーミングですが、それに該当する部分は、上記URLの講演概要の方になりますが、『Recent
Developments in U.S. Monetary Policy』という小見出しの部分の後半となります。
『In light of higher inflation and inflation expectations recently, Bullard
discussed headline and core inflation measures (which refer to overall
price index measures and measures without the food and energy components).
』
足元の経済に関する話の引用をスルーしている(前回の講演とその辺には大きな変化が無いのでスルーしました)のでアレですが、足元でヘッドラインのインフレとインフレ期待が上昇している件に関して、「ヘッドラインのインフレとコアインフレに関して」というお題で話をしましたよと。
『He said core inflation is often smoother than headline inflation, but
“the ‘core’ concept has little theoretical backing” and is “very arbitrary.”』
コアインフレはヘッドラインインフレに対してよりスムーズに動くけど、そもそも「コア」というコンセプトには理論的な背景が乏しいし、「極めて恣意的である」と仰せでありまして、コアインフレだコアコアインフレだという話をしている人たちが聞いたら発狂しそうな(大げさ)お言葉キタコレ。
『“Headline inflation is the ultimate objective of monetary policy with
respect to prices,” Bullard said, noting that these are the prices households
actually pay.』
家計が実際に支払う「物価」はヘッドラインのインフレ率に対応するのであるからして、ヘッドラインインフレの制御が金融政策の最終的な目標である。と仰せのようであります。これは中々。
『“Core inflation is not an objective in itself,” he added. “The only
reason to look at core is as an indicator for headline.”』
コアインフレに着目するのはコアインフレがヘッドラインのインフレの指標として機能しているからである。ということで、コアインフレがどうのとかコアコアインフレがどうのなので云々という話をしている人の見解をお伺いしたいものでございます(棒)。
『However, Bullard said that core inflation was consistently below headline
inflation from 2003-2006. Thus, “core was not a good indicator of headline
during this period.” He noted that core inflation averaged about 2 percent
while headline inflation averaged about 2.9 percent for the Consumer Price
Index (CPI) and about 2.6 percent for the Personal Consumption Expenditures
(PCE) price index. This difference between headline and core is “substantial
over a period of four years,” he said. He attributed the difference during
those years to rising energy prices and the expanding economy. 』
しかしながら、2003年〜2006年ではコアインフレがCPIで見た場合でもPCEで見た場合でもヘッドラインインフレを恒常的に下回っていて、その差が「この4年間渡ってかなりあった」という事を指摘していて、結論として「この期間はコアインフレがヘッドラインのインフレの指標としてあまり機能していなかった」と仰せでして、つまりまあ「あまりコアインフレばかり注目するな」という話をしています。
ということで、QE2実施の前には資産買入が大事ですという話をしていた方の見事なまでの豹変あるいはジャガーチェンジなのでありますが、ブラードさんはこの「物価」に対する注目が高い、というか恐らくはデュアルマンデートよりも物価重視スタンスを取るべきという主張なのだと思うのですけど、物価動向に対しての感応度が高いお人なので、結論としてこのようになるんでしょうなあと思います。
で、これは前回の講演でもありましたので紹介したのと同じ話になるのですけれども、『Commodity
Standards and Inflation Targeting』という小見出しの部分で今後の金融政策のフレームワークについて説明していまして、その中でインフレーションターゲットの導入をすべし、という話をしていますが、前回ブラードさんの講演紹介した時にその辺りはネタにしたので引用は割愛致します。今回の講演で前回対比での新しいネタは上記の部分でした(^^)。
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2011/05/06
○BOEとかECBとか
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ayrXW8B3qdlk
イングランド銀:政策金利を過去最低に維持−景気回復支援を重視(1)
5月のインフレーションレポートのタイミングで利上げという話もありましたが、先般引用した4月のMPC議事要旨では「先行きの景気に関して足元の指標を確認する必要があるので現状では待つことにメリットあり」という意見が多数派となっていましたけれども、4月議事要旨の金融政策決定に関する部分とか物凄い勢いで意見割れまくりでしたし、まあこの調子ですと8月のインフレーションレポートまで様子見大会になるのかも知れませんな。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aO32FFfsM70Q
ECB総裁、「強い警戒」発言せず−追加利上げ6月は見送り示唆 (2)
まあ何ですな、利上げした途端にギリシャが火を噴くとか思いっきり様式美の世界となっているECBクオリティな訳ですが、最早芸風と化しているようにしか見えないのは気のせいですかそうですか。
あと一応イニシャルクレーム。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aibqrh9cpPjw
米失業保険申請:47万件に急増、震災に伴う工場閉鎖も影響(1)
ほほう、日本の震災の影響とな。
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2011/04/28
お題「FOMC声明文を読んでみるだよ」
逆さ絵おじさんの会見とSEP(景気見通し)の方が材料になったという話ですが、http://www.federalreserve.gov/の画面の右側にある会見ビデオを朝起きてからのうのうと見ている時間は無い(3時起きしないのかという突っ込みは却下)ので声明文だけ読んでみるだよ(今日はテレビの音を切ってネットの会見音だけ流しながら書く^^)
ちなみに逆さ絵おじさんの英語ですが、最初のところで「私の会見での発言はmy
own responsibility」と仰せのようでしたが、あたくし脳味噌が足りないのでよく判らないのですが、「話はFOMCの見解だが発言内容に関しては私の責任で行うので」という話になるんですよね。今回からの会見って基本的に「FOMCの政策を説明する場所」なのですからコンセンサス取れていない話されても困るんですけどにゃ。
で、逆さ絵おじさんの英語が案外ヒアリングできるので純ドメのあたくしでも英語が出来るのかと一瞬喜んだのですが、最初の分は殆ど声明文に沿った説明(10分前後から政策部分の説明になっているけどその部分がちょっと声明文より細かくなっておりまふ、ちなみに質疑応答は11分30秒過ぎから)と同じ話をしているからヒアリングが出来る気になっているだけなのでありましたウェーハッハッハorz
#逆さ絵話を聞いていると手が進まないので今日の量が少ないのは勘弁ね^^;
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110427a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110315a.htm(前回)
○声明文だけ見るとあたくしが思ったより引き締め的なのですが
恐らく声明文と会見でバランス取ったのだと思います(説明の10分近辺から今後の政策に関する話で比較的慎重な物言いをしているように聞こえた、まあ詳しくはQ&Aの文字起こしがFRBから出てくると思いますのでそれ読みながら)のですが、声明文に関しては先で引用するように、足元のインフレについて「ここ数か月のインフレが引き上げられている」と指摘してみたり、資産買入政策に関して「FEDの資産構成の見直しを行う」という文言を入れて、MBSの売却でもやらかすのではないかと思わせるところがあったりして、中々アレな気がするんですけどどうなんでございましょうかねえ、と思ったら債券売られてるのかやっぱり。
ということで前回との比較をするだよ。
○現状認識部分では景気とインフレ、基調的インフレの文言が微妙に変化
第1パラグラフから。
『Information received since the Federal Open Market Committee met in March
indicates that the economic recovery is proceeding at a moderate pace and
overall conditions in the labor market are improving gradually.』(今回)
『Information received since the Federal Open Market Committee met in January
suggests that the economic recovery is on a firmer footing, and overall
conditions in the labor market appear to be improving gradually.』(前回)
景気全体の話については「on a firmer footing」(より堅い足取り?)となっていたのが「proceeding
at a moderate pace」(緩やかなペースで進展している)となっているので上方修正下方修正になるんですかね。(追記:お前これは下方修正だろと大量に突っ込みを受けましたどうもすいませんすいません、つーかGDP見通し下がってますよね)
『Household spending and business investment in equipment and software
continue to expand. However, investment in nonresidential structures is
still weak, and the housing sector continues to be depressed. 』(今回)
家計とか住宅投資とかの話は前回と同じなので前回分引用割愛。
『Commodity prices have risen significantly since last summer, and concerns
about global supplies of crude oil have contributed to a further increase
in oil prices since the Committee met in March. 』(今回)
『Commodity prices have risen significantly since the summer, and concerns
about global supplies of crude oil have contributed to a sharp run-up in
oil prices in recent weeks. 』(前回)
商品価格に関する部分は基本変わらないけど、世界的な原油供給への懸念が原油価格の「更なる上昇」に寄与している、と3月会合以来の上昇について言及してますな。
『Inflation has picked up in recent months, but longer-term inflation expectations
have remained stable and measures of underlying inflation are still subdued.』(今回)
『Nonetheless, longer-term inflation expectations have remained stable,
and measures of underlying inflation have been subdued.』(前回)
あたしゃ何気にここの所気になったのですが、まず「インフレがここ数か月引きあがっている」という文言が入った事でして、次に基調的なインフレに関する部分の記述なのですけれども、「抑制されている」という「be
subdued」という基本部分は同じなのですが、前回まではこの部分が現在完了形で表現されていたのが、今回現在形で表現され、その中に「still」というのが入っているのが気になったんですけど。いやあのあたくし純ドメ人間なもんで、正直この変化のニュアンスとか本石町日記様あたりに解説して欲しいと思うのでありますが(とお願いをする^^)、何せモノが基調的インフレという部分ですので気になるわけですよね、うんうん。
○第2パラグラフはまあそんなに変化が無い
正直ここはあまり変わっていない。
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. The unemployment rate remains elevated,
and measures of underlying inflation continue to be somewhat low, relative
to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run,
with its dual mandate. 』(今回)
『Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster
maximum employment and price stability. Currently, the unemployment rate
remains elevated, and measures of underlying inflation continue to be somewhat
low, relative to levels that the Committee judges to be consistent, over
the longer run, with its dual mandate. 』(前回)
前回あった「currently」が抜けているだけですかな。
『Increases in the prices of energy and other commodities have pushed up
inflation in recent months. The Committee expects these effects to be transitory,
but it will pay close attention to the evolution of inflation and inflation
expectations. The Committee continues to anticipate a gradual return to
higher levels of resource utilization in a context of price stability.
』(今回)
『The recent increases in the prices of energy and other commodities are
currently putting upward pressure on inflation. The Committee expects these
effects to be transitory, but it will pay close attention to the evolution
of inflation and inflation expectations. The Committee continues to anticipate
a gradual return to higher levels of resource utilization in a context
of price stability. 』(前回)
1番目の文章が足元の商品等の価格の与えるインフレ圧力に関して今回「have
pushed up inflation in recent months」と最近の物価上昇に言及していますけれども、「影響は一時的だがインフレ期待の動向に注意」「物価の安定によって徐々に資源の活用状況は高いレベルになっていくと予想」という部分には変化がありませんですな。あと何か会見冒頭の説明部分で「second-round
effect」がどうしたといってたように聞こえましたが、多分従来の流れからして「足元で商品や原油価格上昇の2次的効果は見られないが今後も注視する」程度の話をしたんでしょと思うだよ。
○第3パラグラフでは「資産構成の見直し」に言及したのが結構斬新だと思ったのだが
んでまあ金融政策に関する第3パラグラフですが。
『To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that
inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee
decided today to continue expanding its holdings of securities as announced
in November. 』(今回)
まあ当たり前だがここの文言は前回と同じ。
『In particular, the Committee is maintaining its existing policy of reinvesting
principal payments from its securities holdings and will complete purchases
of $600 billion of longer-term Treasury securities by the end of the current
quarter. 』(今回)
『In particular, the Committee is maintaining its existing policy of reinvesting
principal payments from its securities holdings and intends to purchase
$600 billion of longer-term Treasury securities by the end of the second
quarter of 2011. 』(前回)
ということで、今回「complete」という文言が入りまして、とりあえず購入プログラムは一旦終了(と言っても別にその後やらないと言っている訳ではないが)ですとゆー話ですが、今回はこの次の部分があたくしてきには斬新だと思っただよ。
『The Committee will regularly review the size and composition of its securities
holdings in light of incoming information and is prepared to adjust those
holdings as needed to best foster maximum employment and price stability.
』(今回)
『The Committee will regularly review the pace of its securities purchases
and the overall size of the asset-purchase program in light of incoming
information and will adjust the program as needed to best foster maximum
employment and price stability.』(前回)
6月で買入プログラムの一旦終了が見えているので「買入ペースを見直す」という部分が抜けるのはまあテクニカルに当たり前ですからそっちは良いのですが、小見出しでも書いたように、今回見直すものの対象に「composition
of its securities holdings」とFEDの資産構成のレビューを行い、必要があればその調整を行う、という文言が入りましたので、これはつまり先行きの金融政策においてMBSやら長期国債やらの売却がありまっせと思いっきり予告と言うか瀬踏みをしているように見える訳でして、いやまあいずれそうなるのかなあとも思ったわけですが、いきなり売りを想像させる話を打ち込んでくるとはちと早い気がしましたけどどうっすかね。
○第4パラグラフの「for an extended period」とか第5パラグラフの宣言文みたいなのは変化無し
変化無しなので引用だけ。第4パラグラフ。
『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate
at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions,
including low rates of resource utilization, subdued inflation trends,
and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally
low levels for the federal funds rate for an extended period. 』(今回)
第5パラグラフ。
『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial
developments and will employ its policy tools as necessary to support the
economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels
consistent with its mandate.』(今回)
○今回も全員一致ね
第6パラグラフ。
『Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman;
William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans;
Richard W. Fisher; Narayana Kocherlakota; Charles I. Plosser; Sarah Bloom
Raskin; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.』(今回)
ですので、反対意見が出て説明がある部分とかが無いのは今回も変わらずでありまふ。
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2011/04/27
○決定会合とかFOMCとかプレビュー
ま、あたくしがプレビューしてもただのフラグにしかならないのでよー書かんのでありますが、まあ今回の展望レポートに関して明白だと思われるのは手前(今年度)の実質GDP見通しが下がるでしょという所ですが、その先の見通しどうするんでしょうね。
いやね、常識的に考えると昨日ネタにした西村副総裁講演後の会見とかにありますように、サプライチェーンの回復って4月7日の総裁会見で「6月か7月には回復のメド」みたいな話がありましたけれども、何かこう状況が把握されるにつれて特に自動車などでは時間が掛かるでしょという認識が示されてきたと思いますので、そー考えると供給制約の解決まで時間は掛かるし、その間に景気下押しリスクもあるし、そもそも生産の回復が遅れたら雇用とか所得とかにも影響あるでしょと思いますから、「手前の見通しを下げた分の逆ゲタもありますし復興需要が来ますしその先はウハウハですよ先生」という見通しを出すというのも如何なものかという感じはするんですけど、「長期的な見通しは変わりません(キリッ)」とかゆー風になるとウハウハ見通しを出してくる悪寒もする(つーか昨日の公共放送はそうでした、時事は先の話については報道して無かったかな、どっちもソース見つからないのでサーセン)のでござんして、さてどうなりますやら。
元々物価に関しては供給ショックと燃料価格問題があって見通しが引き上げになるというのは自明になっていますので、その中で長期的に強い見通しを出すとなりますと、まあそれは威勢が良いのは良いですけれども、状況から言ってその結果の「強い見通し」というのがヘッドラインとしてホイホイと一人歩きして、「日銀はこの大災害の後なのにやたらめったら強気な経済見通しを出していて何考えているんだか」という印象を与えるという結果になりそうでありまして、ただでなくさえ叩かれやすい日銀がまたまた叩かれて結果政治的に変に追い込まれるという下らない展開が起こるに10万ドラクマ(^^)。
だいたいからしてこの状況下で先行き無闇やたらと強い見通しを出すのに何のメリットがあるのかというと多分メリットは無いですし、下振れリスクに関する認識についてよほど丁寧に説明しないと「日銀何考えてるんだ」で終わってしまうでしょう。変に強過ぎる印象を与える見通しをだしておいて、震災前よりも明らかに高くなっている下振れリスクはが顕在化したときに見通しを下方修正すると日銀の信認問題にもなってくると思うのですけどねえ。
と、これだけ嫌味書いて見ましたが、さて今回の日銀文学はどうでるのでございましょうかねえ(ニヤニヤ)。
で、FOMCでございますが、何かよー知らんけど米国市場では妙に何を期待しているのかさっぱりワカランチ会長ですが期待もあるようでございますけど、今回って正直言って何も出ないでしょと思う次第。
何でですねんと申しますと、そらまあ先般もご紹介した前回のFOMC議事要旨および地区連銀総裁のタカ派発言祭りVS執行部寄り高官の火消し祭りというマッチポンプ祭りを拝見致しまするに、どっからどう見てもFOMC内部の見解がバラバラ、そもそも景気見通しの時点でも結構な差があるし、物価動向に関するウェイト付けが人によって違っているという素敵にも程がある状態でございまして、そんな中で逆さ絵おじさんが会見で何か断定的な話をするのは無理でしょと思います。
#ただし、逆さ絵おじさんの場合、どこぞの俊ちゃんのように金融政策に関する会見慣れしているとは思えませんので、売り言葉に買い言葉で余計な事を言い出すというクオリティーを発揮するリスクはありますが
QE3はさすがにハードル高そうですし、一方でバランスシート縮小なり利上げなりという話もこれまた方法論で皆さんの意見がバラバラ。実行タイミングに関する見解がバラバラな上に、何をどういう順序でやるのかという具体的な方法に関しても見解がバラバラ。ただ執行部寄りの皆様におかれましては「我々は有効なツールをもっています(キリッ)」といってるだけというこれまた素敵な状態になっておりますから、この調子ですと今回のFOMCでは何も決定せず、単に「従来決めていた資産買入を6月までやりますよ」という話をして、次回FOMCが6月になりますのでザ・出たとこ勝負になるという事になるんでしょ、と勝手に思ってますけどどうっすかね。
会見でも「経済データなどを見て次回のFOMCで今後どうするのか判断したい」という話をして終了というツマランチ会長になる悪寒がしますけどね。
と、柄にも無くMPMとFOMCのプレビュー雑談なのですが、盛大に外したら笑ってやってください(^^)。
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2011/04/26
○昨日の続きでBOE4月議事要旨
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1104.pdf
『The immediate policy decision』の所も意見が割れる割れる。
まず基本的には相変わらず「足元のインフレはエネルギー商品価格の上昇とポンド安、VAT引き上げの影響で上昇していますが、より長い期間の先行きを見た場合にはこれらの一時的な要因が弱まると顕著な経済における余剰が存在する事からインフレはターゲット圏内に戻ります」という最早何かの呪文のようになっているのが第26パラグラフであります。
『Inflation had risen to well above the 2% target as a consequence of higher
energy and other commodity prices, increased VAT and the impact of the
past depreciation of sterling. It was likely to remain well above the 2%
target for much of 2011. Nevertheless, the Committee’s central view remained
that a substantial margin of spare capacity in the economy was likely to
persist for some time and would bear down on inflation in the medium term,
as the impact of the factors temporarily boosting inflation waned.』
でまあそれは良いのですが、リスクバランスに関して今回も「ダウンサイド」が先に来ているのですが、前回は「経済活動が弱い状態が続いてその結果経済の余剰がインフレを押し下げるリスク」と割とざっくりした話をしていたのですけれども、今回の内容としては民間最終需要が伸びないリスク、という結構具体的な先行き懸念を示しているのがチャーミングなので第28パラグラフ。
『On the downside, the key risk was that private final demand would not
pick up sufficiently strongly to offset the impact on aggregate demand
of the fiscal consolidation, and that the resulting margin of spare capacity
would cause inflation to fall materially below the target in the medium
term.』
ということで、現在行われている財政再建策の実行にあたって民間最終需要が伸びないと経済の余剰がインフレを顕著に押し下げるリスクがありますがなってところでございましょうか。
『Data on output during the month had been mixed and did not provide clear
guidance about the extent to which activity had recovered since the slowdown
in growth at the end of 2010. Indicators of output in the manufacturing
and services sectors pointed to reasonably healthy growth. But weak output
in the construction and energy sectors was likely to depress GDP growth
in the first quarter of 2011, and assessing the outlook for economic activity
as a whole was likely to be complicated by the volatility in these sectors.』
その背景としてやはり昨年終わりに掛けてのGDPの落ち込みからの回復がきちんと進むかどうかという所にあるようでして、そういう意味からしますと本年入りしてからの経済指標の推移を今後も確認する必要があるでしょという結論になるのでしょうかねえと勝手に思うのでありまする。ちなみに次のパラグラフでは家計支出と消費は弱いけれども外需に関しては強いですよという話がありますがスルー。
ではアップサイドはどうなのよというのが第30パラグラフ。
『On the upside, the key risk was that the period of elevated inflation
could persist for longer than the Committee expected if there were further
pass-through from the past depreciation of sterling; if externally generated
inflation pressures continued to raise CPI inflation; or if expectations
of higher future inflation became entrenched, leading households and businesses
to set higher wages and prices.』
というのもこれまたいつもの話ですが。
『The price of oil had risen further during the month, but this was likely
to have been influenced by temporary supply disruptions. CPI inflation
had fallen sharply in March, but until more detail became available it
was hard to know how to interpret this. In the light of recent developments
in the prices of energy, imported commodities and other goods, the near-term
path of CPI inflation was likely to be higher than in the February Inflation
Report.』
『And there remained a significant risk that inflation would exceed 5%
in the near term. Survey-based measures of inflation expectations from
household surveys had been mixed, while those derived from financial markets
had been little changed. It was encouraging that the data on pay settlements
suggested that wage growth had remained muted. There was a risk, however,
that the rate of wage growth consistent with hitting the inflation target
in the medium term could be lower than the Committee had previously assumed
if labour productivity growth remained weak.』
ということで、企業の価格転嫁の動きと賃金動向にかなりナーバスになっているという感じでして、実はこちらの記述も前回比分量が増えて内容が細かくなっておりまして(めんどいので一々比較引用しまへん)つまりは「上下共にリスクが拡大している」と言う大変に華麗な展開になっておられるという事のようで誠に遺憾の極みであります。
つーか「賃金の伸びが依然として弱めである事は勇気付けられる」とかMPCの議事要旨に乗っているのが素敵なジョンブルクオリティですなあとか思ってしまうのでございますが。いやまあインフレ加速警戒しているからそういう話になるのは当たり前なのですけれども、そうは言ってもそれはそれで「BOEはこのインフレと増税の中で給与が伸びないのを肯定するとはケシカラン」とかイエローペーパー様辺りが言いそうな話ではございますなあとか思ってみただけであります(^^)。
ということで、上下のリスクは両方とも大きいという結論が31パラグラフ。
『The risks to medium-term inflation in both directions were substantial.
It was possible that medium-term inflation would deviate from the target
in one direction or the other, perhaps materially. Overall, however, the
balance between the upside and downside risks to the outlook for inflation
in the medium term had not changed sufficiently over the month for Committee
members to change their views of the appropriate stance of monetary policy.』
でもって今回も例によって例の如く(1)利上げをすべきと言うのが3人いて、そのうち2名(デール委員とウィール委員)が25bp引き上げ、1名(センタンス委員)が50bp引き上げ、(2)国債買入拡大しろというのが1名(ポーゼン委員)、という意見分裂ショーが展開されるのですが、今回の各員の意見について前回とちと違うのは利上げせえという方が「継続する雇用情勢の改善は経済の余剰がMPCの想定よりも小さいのではないかということを示唆する可能性がある」と昨日引用した雇用に関する部分で示されたロジックを新たに持ち出したところでしょうな(ポーゼンさんの主張は基本的に同じ)。32パラグラフの途中から引用。
『Developments over the month had, on balance, not been sufficient to alter
that view. There remained a material chance that the prolonged period of
above-target inflation could cause companies and households to expect inflation
to come back to target only slowly and this could become embedded in wage
and price-setting. Waiting for this risk to crystallise before beginning
to tighten monetary policy could be costly. Moreover, the continuing growth
in employment suggested that the degree of spare capacity could be less
than the Committee had assumed and that the degree of downward pressure
on prices could be commensurately lower.』
でまあ他の委員は「まだ上下ともにリスクのある状態で、そのリスクが具体化している訳でもないですし、今のところニュースや経済指標もまちまちですし、輸出に関してもユーロエリアが微妙な状態なので暫く様子見をする余裕があるでしょ」という事で現状維持を主張して、結果はご案内の通りに現状維持でありました、という事になりましたですにゃ。
つーことで延々と引用しましたが、既にインフレーションターゲットがターゲットになってなくて裁量的政策に移行せざるを得ない(いやまあ一応「中長期的にはターゲットに戻りますからこれはこれで良いのです」という事でインフレーションターゲットの枠組みの範囲内であるという理屈は付けていますが、どう見ても裁量的です本当にありがとうございましたという状態ですわな)という状況の中、先行きはワケワカランわインフレは止まる気配が無いわという状態ですので、まあ利上げ主張する方の「価格転嫁や給与引き上げによるインフレスパイラル発生」というのも判らんでも無いですし、でもまあこの時点で利上げってのもねえとも思いますし、さてどうするんでしょと引き続きマニア的興味で眺めて参りたいと存じます。
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2011/04/25
という話は兎も角本日は4月BOE議事要旨よりなのだが、今回の議事要旨は何気に論点がうじゃうじゃある事に気がつきまして、ちとネタ引っ張るかもしれませんでしゅ。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1104.pdf
○堅調な需要と生産VS弱めの家計
景気に関する部分ですが、『The international economy』の所では日本の震災の影響が不透明という話をしていましたが、それ以外の部分は強い話が多くて、『Money,
credit, demand and output』の冒頭でも生産が強くて製造業やサービス業の活動が強いという話をしています。その辺り全部引用すると長くなりすぎるのでスルー(どうせ後でもその辺の話が出ますので)しますが、まあ途中までは「あらら、景気強い話が続くじゃないの??」と思いながら読んでおったのですが・・・・・
第16パラグラフから。
『The prospects for consumption would have an important bearing on the
outlook for activity. Consumer spending was estimated to have fallen during
the second half of 2010 and to have been broadly flat over the year as
a whole, consistent with stagnant real household income growth over that
period. The near-term prospects for consumption had weakened further over
the month. Survey-based measures pointed to weak consumption of services
in the first quarter. The volume of retail sales had been broadly flat
for some months. And surveys of consumer confidence had remained far below
their historic average levels.』
つーことで、消費の見通しが今後の景気見通しに重要という事ですが、消費に関する部分が弱い訳ですわな。第17パラグラフ。
『A key question was whether this softening in measures of household spending
indicated that the medium-term outlook for consumption was weaker than
the Committee had previously expected. The continuing squeeze on households’
real incomes, as a result of subdued post-tax pay growth and the elevated
rate of near-term inflation, was likely to dampen consumption materially
over the next year or so if some consumers had not yet fully adjusted their
spending.』
家計の消費支出の中期見通しがMPCの予想するより弱くなるかどうかがキーである、ということで、その消費を抑制する要因として実質所得が上昇しないことを挙げていまして、んじゃ何で実質所得が上昇しないかというと、給与の伸びが抑制されている事、足元での物価上昇を要因としていまして、更に今後家計の消費行動が調整されるようなら顕著に消費が弱まる可能性もと。
『It was also possible that some people might seek to increase their rate
of saving if, for example, they perceived future income prospects to be
more uncertain.』
また、家計が将来の収入に対する不確実性から貯蓄性向を高めた場合には更に消費が抑制されますとな。
『Alternatively, the weakness in consumption growth might be temporary,
due to factors such as the rise in the standard rate of VAT. Output growth
was typically uneven during the early stages of economic recoveries, so
some unevenness in consumption growth would not be surprising.』
ただまあ一方で、現在の要因は一時的であり、回復期に一様な回復傾向を示さないのは良くあることです、という見解も最後にあるのですが、どうもこの辺りのトーンを見ておりますと弱めかなあという印象を受けます。
○名目GDPは上昇しているがそれは物価と間接税上昇要因とな
見通しとはあまり関係ないけど第19パラグラフに苦笑。
『Nominal GDP had increased by 4.2% in 2010 and nominal domestic demand
had risen by 5.6%. Nominal consumption had grown by 5%, close to its historic
average rate. This might provide a positive signal about households’ and
businesses’ willingness to spend.』
ほほう。
『But higher nominal spending might simply have been a mechanical consequence
of tax changes and other factors that had raised prices.』
それは残念(棒読み)。
『Broad money and credit growth had remained weak, with M4 excluding the
holdings of interbank intermediaries increasing by 0.5% on a three-month
annualised basis in February and M4 lending rising by 2% on a similar basis.
Subdued money and credit growth could nevertheless remain consistent with
more robust nominal spending growth if companies continued to become less
reliant on bank credit to fund investment.』
この辺はマネーの話ですが、マネー伸びてませんけど企業が銀行借入や投資による資金を当てにしていない動きによるという部分もあるかもという話ですな。
○インフレ警戒は続く
『Supply, costs and prices』の第22パラグラフから。ちなみに3月CPIが4.0%に低下するというのはMPC時点で速報の予想ベースで議事に乗っているのはここを見れば判ると思います。
『Despite the fall in CPI inflation in March, recent developments in the
prices of energy, imported commodities and other goods indicated that the
most likely near-term path of inflation would be higher than the Committee
had thought at the time of the February Inflation Report.』
3月CPIは下がっているが近い期間の先行きに関しては2月のインフレレポートよりも高いと。
『Recent developments in wholesale gas and other energy prices pointed
towards further likely increases in utility prices later this year. These
factors represented disturbances to the price level whose direct impact
on inflation should abate over time. But it would be a source of concern
if import prices were to continue rising rapidly.』
エネルギー価格上昇が波及しだしているようで。
『Moreover, it was possible that there were further effects from the past
depreciation of sterling still to come. Near-term developments in inflation
were also a source of concern to the extent that businesses were finding
it easier than might have been expected to pass on cost increases.』
ポンド下落の影響もあるし、足元の物価上昇が企業の価格転嫁に繋がるリスクも意識しているとは中々であります。
で、先日引用しましたが、今後のインフレのリスクとしては「賃金の上昇が大きくなる」という指摘でありまして、第24パラグラフは先日引用しましたので、インフレ期待に関する第23パラグラフを引用しておきます。
『A key risk remained that expectations of above-target inflation would
become entrenched, adding to wage and price pressures. The evidence from
surveys about households’ medium and longer-term inflation expectations
had been mixed. Implied measures of inflation expectations derived from
financial market prices had shown no consistent pattern on the month. Options-based
measures of uncertainty about the level of inflation in the United Kingdom,
United States and euro area five to ten years ahead had remained elevated
relative to the period before the financial crisis, but had not risen much
further. It was possible that this reflected a view among market participants
that the shocks affecting inflation would be larger or more persistent
than before.』
ということで、インフレ期待については、家計のサーベイベースではまちまちとなっており、金融市場からのインフレ期待に関してはまだ上昇は見られないという話ですな。
○生産の余剰が実は少ないのではないかという話が今回も
第25パラグラフから。
『The evidence from published employment data and surveys of employment
intentions had remained consistent with gentle growth in employment and
the total number of hours worked. The LFS employment measure had increased
by 32,000 in the three months to January by comparison with the previous
non-overlapping three-month period and average hours worked had increased
by around 1%. It was possible that the growth in employment over recent
months indicated that underlying demand in the economy had been stronger
than suggested by the official data. To the extent that it indicated that
firms were less able to meet demand from existing resources, it might also
be a sign that the degree of spare capacity in the economy was less than
the Committee had assumed.』
ということで、最近時々この指摘が出ている訳ですが、雇用が予想よりも強くなっているというのはいわゆる「経済の余剰」(degree
of spare capacity in the economy)がMPCが予想するよりも大きくないのではないか、という指摘が今回も出ていまして、この論点は従来より(今回もそうですが)「足元のインフレは上昇しているけれども、それは一時的な要因によるものであり、先行きで見た場合には経済の余剰によってインフレは押し下げられてターゲットに落ち着く」という理屈によって金融政策の現状維持をおこなっているロジックに対するカウンターとなりますので、まあ今回もキタコレという感じです。
で、この後の『The immediate policy decision』は時間切れのため明日にでも(汗)。
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2011/04/21
○BOE議事要旨は後で読む
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2011/mpc1104.pdf
詳しくは後で真面目に読みますが、第24パラグラフにある「インフレ期待の先行きを決める重要な経路」についての部分を引用しておきます。
『24 One important channel through which an increase in inflation expectations
could lead to a sustained increase in inflation was through a pickup in
wage growth. Pay settlements and total earnings had risen over the past
year, but remained below pre-recession averages. The data on private sector
wage settlements agreed so far in 2011 remained limited, but the additional
evidence over the month had suggested that the underlying level of settlements
remained muted. The contribution to pay growth of bonuses and regular pay
drift had also remained subdued; annual whole-economy regular pay growth
had been 2.2% in the three months to January. But there was a risk that
pay growth could rise further in response to elevated inflation. And the
sustainable rate of wage growth consistent with meeting the inflation target
depended upon the growth rate of labour productivity, which had also remained
weak in the latest data.』
手抜きで1パラ全部引用しちゃいましたが、要するに「賃金動向に注意」ということでありまして、現状では賃金の上昇は見られるものの、長期的に見た平均的水準の上昇に留まっており、足元の物価上昇を受けた賃金の上昇によるインフレスパイラル的な動きにはなっていませんよという話のように見えます。すなわち、MPCの最近の注目はこの辺りが一番ということ(物価に関してですが)かなあといった所になるんでしょうね。
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2011/04/20
お題「リッチモンド連銀ラッカー総裁の景気見通し」
とにかくFED高官の発言がむやみやたらと大杉でありまして、とてもじゃないですけれどもフォローしきれなくて正直困りまふ。何せ情報ベンダーでの話を真に受けていると実は微妙に違うとか普通にあるので本当は読まないといかんのよね。
でまあ最近はどっちかに寄っていないとあたくしが思っているタイプのコチャラコタとかブラードとか読んだのですが、ややタカ派寄りと思われるラッカーさんの講演から。
http://www.richmondfed.org/press_room/speeches/president_jeff_lacker/2011/lacker_speech_20110414.cfm
http://www.richmondfed.org/press_room/speeches/president_jeff_lacker/2011/pdf/lacker_speech_20110414.pdf
○いきなり手抜きだが最後のまとめを読む
『In conclusion, let me say that we’ve come through an extraordinary period
in our nation’s history. Despite all the challenges, there are good reasons
for an affirmative view of the future, as long as policymakers follow coherent,
sustainable long-term policy plans. I look forward to working with my colleagues
in the Federal Reserve to meet the unique monetary policy challenges we
face this year.』
ということで、結論を読みますと明白なのですが、ラッカーさんの景気見通しとしては「我々は米国が直面した特別な時代を通り抜けたと申し上げましょう」として、「今年は直面する金融政策の課題に対処しないといけませんなあ」(どっちもあたくしの俺様意訳)というお話ですので、まあ地区連銀総裁はあちらこちらでタカ派ちっくな人が多いですなあという話になるんでしょうけれども、今年のFOMC劇場は執行部(というのが適切かどうか知らんが)VS地区連銀総裁っぽい感じですなあというところですか。
で、景気に関する話ですが、景気の基調が強いですよという話をしているのですけれども、項目別の話から始まってまあ興味深い指摘もありますのでその辺を。
○景気は回復していますが回復途上というのがフェアでしょうと
最近の回復に関してですが、延々と回復の堅調さについての話をしている部分を全部割愛して(手抜き)最後の方ではこんな話を。
『Many observers were disappointed with that modest growth, which was barely
above the long-run trend rate that results from population growth and productivity
growth. But at least real GDP has improved, since its level is now above
its previous peak in the fourth quarter of 2007.』
回復の速度が遅いという話に関してはこの先に論点整理をしています。
『Other important indicators of growth have not recovered. The number of
employees on nonfarm payrolls has risen by 1.4 million persons in the last
15 months, but that increase is dwarfed by the 8.7 million jobs that were
lost in the previous two years. It’s fair to say that we have a ways to
go before we will fully recover from what many are calling the Great Recession.』
ということで、その前の部分では景気回復が堅調でファンダメンタルズも強いというような威勢の良い話をしているのですが、最後の方に来るとややおとなしくなってくるのがややチャーミングでありまする。
○過去の恐慌からの脱却局面と比較して回復速度が遅い件について
『A natural question is whether growth could be stronger. After all, we
can remember other times when the recovery from a recession was much more
rapid than this current recovery. Consider the recoveries from the other
two deep recessions in the postwar period, the recessions of 1981-82 and
1974-75. In the first six quarters after those recessions ended, real GDP
growth averaged a 6.3 percent annual rate. Accompanying that output growth,
job growth averaged 4.5 million persons in those two recoveries.』
ということで、足元までの経過で見ますと、1981-1982や1974-1975の回復局面と比較してその速度が遅く、それはGDP成長率と雇用の拡大速度に現れていますわなあという事でして、それを過去と今回の比較をしている訳ですな。
『Two factors account for much of the sluggishness of this first stage
of the recovery. The most obvious is the collapse of housing construction.
We built too many houses in the boom years from 1995 to 2005, and many
of those houses are now vacant and are pretty good substitutes for new
construction. As a consequence, residential investment fell by 57 percent
from the end of the housing boom to the end of the recession, and has fallen
further in this recovery. In contrast, residential investment increased
an average of 40 percent in the first year of recovery following the two
recessions I mentioned earlier.』
ということでまず明確に違うのが住宅建設ですなという話で、要するにバブルで住宅作りすぎたがなという話をしておりますが細かい数字は読んでちょ(おいおい)。
『While housing is the most obvious factor dampening this recovery, residential
investment accounts for only 2.4 percent of GDP at this point. A much larger
factor is consumer spending, which accounts for over 70 percent of GDP.
In the first five quarters of this recovery, consumer expenditures increased
at an annual rate just below 2 percent. This is in contrast to the two
other recessions, where household spending grew by an average of 6-1/2
percent in the first year of expansion.』(フォントの関係で分数表記改変しました)
つーことで、数字で目立つのは住宅ですが、要因として大きいのは消費の伸びが弱いことだそうですが、米国の上記の数字を見ていますと、過去の落ち込みからの回復の強さの方が正直ビックリですよという感じです(^^)。
○つまり消費支出の力強い伸びが必要と
『Thus a key to the outlook is consumer behavior. At over two-thirds of
GDP, it is impossible to imagine a robust recovery without a substantial
advance in consumer spending. And it is easy to understand why consumers
were cautious at the beginning of the recovery. A large number of households
experienced unemployment during the recession, and many more were uncertain
about their job security. Wage growth fell during the recession. Housing
prices declined, in many cases unexpectedly, significantly reducing the
value of housing equity on the consumer balance sheet. Stock prices declined
sharply during the recession. It should not be too surprising that consumers
responded to this adversity by deferring nonessential spending and rebuilding
their balance sheets. That behavior is reflected in statistics such as
personal saving, which was slightly below 2 percent of income in mid-2007
but was slightly above 6 percent of income at the end of the recession.』
長いのですが微妙に切る所が無くて1パラグラフまる引用しちゃいましたが、その消費支出の伸びに必要なのは(1)雇用問題(2)住宅などの家計バランスシートの両面の改善である、という話をしています。
でね、そういう文言見ますと外野的には「じゃあ回復って遅いんじゃないの」という風に思ったりもするのですが、ラッカー総裁はその基調的な部分が顕著な改善を示していると仰せなのは正直申し上げてあたくし的には少々「???」な部分もありますがまあ引用。
『Some important fundamentals underlying household spending plans have
improved significantly since the recession’s end.』
外野的にはそうとは思えませんけどねえ・・・・・まあその先が具体的な経済指標。
『New claims for unemployment insurance have trended down since last summer.
The unemployment rate has fallen by 1.3 percentage points from its peak,
and as a result, those who are employed have reason to be more confident
in their job security. Employment has picked up, with growth in the last
two months averaging slightly better than 200,000 jobs per month. The employment
components of the Institute for Supply Management’s monthly surveys of
manufacturing and nonmanufacturing activity are at extremely high levels,
signaling broad gains in labor market conditions.』
と、雇用環境の改善の話をこれでもかと並べまして。
『The stock market has more than doubled from its recession low point,
and the net worth of households has increased by $8 trillion since early
2009. As these fundamentals have improved, so has consumer spending. Retail
sales rose 5.2 percent in the first year of recovery, and in the next nine
months improved at a 9.9 percent annualized growth rate.』
ということで、株価の上昇もあって個人消費が強くなっていますと。
○個人消費の改善は強固な上に輸出も伸びるとな
ということで個人消費の改善が強固だという話をしていますわな。
『I would stress that this higher pace of consumer spending is solidly
grounded in improving fundamentals. Thus I expect robust growth to persist,
as consumers see continuing improvements in job markets, incomes and wealth.
Moreover, households have deferred nonessential spending for several years
and a stock of pent-up demand has built up; as they gain confidence, it
is likely they will draw down that stock and boost spending as a result.』
んでもってその次には「輸出も伸びますよ」という話をしてまして、世界経済、特に中国やインドの成長が強いという話がベースにあるのでホンマカイナという感じですけど。
『Thus I see consumer spending as an important part of the recovery, but
there are other areas of strength as well. Exports of goods and services
have risen 18 percent since the end of the recession, adding 2 percent
to real GDP growth. Yes, exports fell in February, as reported yesterday
by the U.S. Bureau of Economic Analysis, but they remain well ahead of
the fourth quarter’s pace. Moreover, the key fundamental factor for export
demand is growth abroad, and here the prospects are excellent.』
『Although growth in the highly industrialized economies has been similar
to domestic growth, many less developed economies are growing very rapidly.
Especially notable are the two most populous countries; China’s GDP grew
9.7 percent last year and India’s GDP grew 8.3 percent. Again, this growth
is solidly based, as these countries are deploying a large labor base more
effectively. Japan’s growth miracle following World War II lasted for
several decades, and the current crop of rapidly growing economies can
look forward to several decades on the fast track.』
なんつーかね、新興国経済の成長に関してやたら強気のように見えるのですけれども・・・・・・
『As they grow, they will buy more of our products. Consumers who join
their middle class will buy goods we make that were formerly luxuries,
from pharmaceuticals to motion pictures. Demand for our agricultural products
will rise. Most importantly, newly industrializing economies will want
to acquire more capital goods in order to allow workers to move into more
productive activities. For all of these reasons, export demand is likely
to contribute strongly to U.S. growth for the foreseeable future as we
produce goods and services that the world wants to buy, especially the
most rapidly growing parts of the world.』
ということで、新興国の成長が続き米国の輸出拡大に大いに寄与するという話なのですが、そう話が上手く行くもんかいなとは思いますが、まあそういう見通しになっております。
○リスク要因の話を飛ばしまして(おいおい)インフレの部分
リスク要因に関しては(1)住宅市場の低迷(2)エネルギー価格(ただしあまり懸念していない)(3)財政問題、を並べていますが、基本的に強いですよという話をしていまして、その後にインフレの話が少々。
『One reason that the consensus of forecasters is so positive about the
national economy is that they believe that the inflation environment will
remain benign. Over the 12 months ending in February, the price index for
personal consumption expenditure has risen 1.6 percent. In the absence
of further energy price increases most forecasters do not foresee a significant
acceleration in prices this year.』
物価が安定的に推移しているのも先行き見通しが強気の背景にありますとな。
『We should not take that outcome for granted, however. Commodity price
increases have squeezed profit margins for many firms, and we are increasingly
hearing that some are looking for an opportunity to raise prices. If firms
see robust demand growth, they will be increasingly willing to pass input
price increases through to their customers. Such increases can be common
in this stage of the business cycle.』
ただまあ企業の価格転嫁の動きが始まっているようで、その流れが続く可能性という話をしていまして、これはまあFOMCの議事要旨でもそんな話がありましたけれども、インフレに関しては若干警戒という感じなのでしょうか。まあ景気見通しがあれだけ強ければ物価見通しは警戒的になりますわなという感じですが。
○まあそんな感じですので
この講演ページ数少ないのと、あまり突っ込んだ話をしていないのでサラサラと読めますが、どうも突っ込んだ話が無いせいなのかも知れませんが、見通しが全般的に甘いのではないかという気がせんでもないですけど、まあラッカー総裁もタカちっくな地区連銀軍団構成員という予想された結論になるのでございましたが、この講演だけだと見通しそのものに???が付く感じは致しますな。
#と、完全に世間離れしたネタでどうもすいません
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2011/04/18
金曜の続きでFOMC議事要旨から。
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110315.htm(html版)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20110315.pdf(PDF版)
○金融環境の緩和に対して一部から微妙なコメントが
金融環境に関しては、個人向けの学生ローンや消費者ローンにおける環境が改善していたり、自動車ローンの条件がヒストリカルの平均水準まで戻っていることなどが明るい話として指摘されていますが、一方で不動産向けのローンの環境は依然としてタイト、という話が展開されていますが、その最後のところにほほうという指摘が。
『A few participants expressed concern that the easing of credit conditions
in some sectors was becoming or might become excessive as investors took
on more risk in order to obtain higher yields. 』
いわゆる「利回り追求」への懸念表明ということで早速資産バブル警戒キタコレという風情でありまする。
○ヘッドラインのインフレに関して
ヘッドラインのインフレは商品価格の上昇の影響についてこれから注視する必要があるという感じでしょうかね。
『Participants observed that headline inflation was being boosted by higher
prices for energy and other commodities, and that prices of other imported
goods also had risen by a substantial, though smaller, amount. A number
of business contacts indicated that they were passing on at least a portion
of these higher costs to their customers or that they planned to try to
do so later this year; however, contacts were uncertain about the extent
to which they could raise prices, given current market conditions and the
cautious attitudes toward spending still held by households and businesses.』
つーことで価格転嫁への動きが無いわけではないが、今の状況だと消費者が付いてくるかが微妙と考えているようですな。
『Other participants noted that commodity and energy costs accounted for
a relatively small share of production costs for most firms and that labor
costs accounted for the bulk of such costs; moreover, they observed that
unit labor costs generally had declined in recent years as productivity
growth outpaced wage gains. Several participants noted that even large
commodity price increases have had only limited effects on underlying inflation
in recent decades. 』
そのほか単位労働コストが抑えられていることや、ここ数十年の実績において商品価格が大幅に上昇した時でも基調的なインフレに対する影響は限定的であったというような話が続いていますので、基調的なインフレに関しては以下のようになりますわな。
○コアインフレに関して「資源の活用状況」だけで抑えられるといえるか
『In contrast to headline inflation, core inflation and other measures
of underlying inflation remained subdued, though they appeared to have
bottomed out.』
抑制されているが底打ちとな。
『A number of participants noted that, with significant slack in resource
utilization and with longer-term inflation expectations stable, underlying
inflation likely would remain subdued for some time.』
これはいつもの「資源活用のスラックが基調的インフレを抑える」話ですな。
『However, the importance of resource slack as a factor influencing inflation was debated.』
ほほう。
『Some participants pointed to research indicating that measures of slack
were useful in predicting inflation. Others argued that, historically,
such measures were only modestly helpful in explaining large movements
in inflation; one noted the 2003-04 episode in which core inflation rose
rapidly over a few quarters even though there appeared to be substantial
resource slack. 』
ということで、リソースのスラックで基調的インフレが抑制という話をいつまでも続けていられるのかという論点もあるようですな。
『Participants expected that the boost to headline inflation from recent
increases in energy and other commodity prices would be transitory and
that underlying inflation trends would be little affected as long as commodity
prices did not continue to rise rapidly and longer-term inflation expectations
remained stable.』
ということで、足元のヘッドラインの物価上昇は長期的なインフレ期待に今のところ影響を与えていませんという話ではありますが。
『However, a significant increase in longer-term inflation expectations
could contribute to excessive wage and price inflation, which would be
costly to eradicate. Accordingly, participants considered it important
to pay close attention to the evolution not only of headline and core inflation
but also of inflation expectations.』
ということで、インフレ期待の動向に注意深くならないといけませんって話で、ユニットレーバーコストやらリソースの活用状況などの経済のスラックだけを見るわけにも行きません罠という事でしょうな。
『In this regard, participants observed that measures of longer-term inflation
compensation derived from financial instruments had remained stable of
late, suggesting that longer-term inflation expectations had not changed
appreciably, although measures of one-year inflation compensation had risen
notably. Survey-based measures of inflation expectations also indicated
that longer-term expected inflation had risen much less than near-term
inflation expectations.』
ただまあ現状では顕著なインフレ期待の上昇は観測されていませんと。
『A few participants noted that the adoption by the Committee of an explicit
numerical inflation objective could help keep longer-term inflation expectations
well anchored.』
これは先日引用したプロッサーさんの講演にもありましたが、ここにあるのは「One」ではなくて「A
few」となっているので、プロッサーさん以外にも「明示的なインフレ目標の設定」によってインフレ期待の上昇を抑えるという主張をしている人がいるようですな。ドタ勘だとミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が賛同していると見ましたがどうでしょうかね。
○上下リスクについて
『Participants generally judged the risks to their forecasts of growth
in economic activity to be roughly balanced. 』
上下リスクはバランスとしていますが。
『They continued to see some downside risks from the banking and fiscal
strains in the European periphery, the continuing fiscal adjustments by
U.S. state and local governments, and the ongoing weakness in the housing
market. Several also noted the possibility of larger-than-anticipated near-term
cuts in federal government spending. Moreover, the economic implications
of the tragedy in Japan--for example, with respect to global supply chains--were
not yet clear. 』
先にダウンサイドが出てますが、(1)ユーロのソブリン問題(2)米国の住宅市場(3)米国の財政再建による政府支出の縮小(4)日本の震災による世界的なサプライチェーンへの影響、ということのようで。
『On the upside, the improvement in labor market conditions in recent months
raised the possibility that household spending--and subsequently business
investment--might expand more rapidly than anticipated; if so, the recovery
could be stronger than currently projected. Participants judged that the
potential for more-widespread disruptions in oil production, and thus for
a larger jump in energy prices, posed both downside risks to growth and
upside risks to inflation. Several of them indicated, in light of recent
developments, that the risks to their forecasts of inflation had shifted
somewhat to the upside. Finally, a few participants noted that if the large
size of the Federal Reserve's balance sheet were to lead the public to
doubt the Committee's ability to withdraw monetary accommodation when appropriate,
the result could be upward pressure on inflation expectations and so on
actual inflation. 』
長々とありますが、基本的にはインフレリスクに関する部分がアップサイドとして大きくて、労働市場の改善に伴う賃金拡大からのインフレとか、エネルギー価格上昇に伴うインフレ期待へのシフトとかがありますが、最後のところで「a
few」ではありますけれども、FEDのバランスシートの大きさによってインフレ期待が高まるという話が出てきたのがこれまたほほうという感じです。
『To mitigate such risks, participants agreed that the Committee would
continue its planning for the eventual exit from the current, exceptionally
accommodative stance of monetary policy. In light of uncertainty about
the economic outlook, it was seen as prudent to consider possible exit
strategies for a range of potential economic outcomes. A few participants
indicated that economic conditions might warrant a move toward less-accommodative
monetary policy this year; a few others noted that exceptional policy accommodation
could be appropriate beyond 2011.』
ということで、現在の政策をどうするのか、という話に関してはどこからどう見ても「議論が空中戦モードになっているだけで何も進んでいない」としか読み取れないこの部分なのでありました。
ということで、まあとりあえずそこだけ読んでおけば大丈夫という『Participants'
Views on Current Conditions and the Economic Outlook』を2回に分けて読んで見ましたが、まあ最後の所にありますように、どうも委員の間での意見がバラバラにも程がある状態で、これで6月のQE2期限に向けて話が進むのか非常に不安があるというところだと思います。
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2011/04/15
○などと書いていたら時間が無くなりそうなのでFOMC議事要旨ネタは継続審議(汗)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20110315.htm(HTM版)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20110315.pdf(PDF版)
FOMC議事要旨というのは委員の議論の部分を見るのが本命ではありますが、実は前半部分の連銀スタッフのビューと言う部分もかなりオモシロスな場合もあるので、そこをスルーして後半だけ読むのは手抜きバージョンではございます。
ということで、本日は手抜きで『Participants' Views on Current Conditions
and the Economic Outlook』(PDFだと6ページ)から参ります。あ、そこの貴方、証文出し遅れの上に手抜きとはケシカランとか突っ込まないようにorz
○景気の現状、商品価格の上昇について、先行きの不透明要因について
景気の現状がより強くなっているというのは声明文どおりなので軽く流しますが、冒頭部分に示された景気の全体的な見方はこんな感じ。
『In discussing intermeeting developments and their implications for the
economic outlook, participants agreed that the information received since
their previous meeting was broadly consistent with their expectations and
suggested that the economic recovery was on a firmer footing. 』
というのは声明文の言い回しにもありましたが、まあそういう事でして、その後天候要因がどうしたとか、項目別の話とかありますが割愛しまして、商品価格上昇と物価に関する部分。
『Participants noted that recent increases in the prices of oil and other
commodities were putting upward pressure on headline inflation, but that
measures of underlying inflation remained subdued.』
ということで、足元の商品価格上昇はヘッドラインのインフレを押し上げるものの、基調的なインフレは依然として抑制されているとの事です。
『They anticipated that the effects on inflation of the recent run-up in
commodity prices would prove transitory, in part because they saw longer-term
inflation expectations remaining stable. Moreover, a number of participants
expected that slack in resource utilization would continue to restrain
increases in labor costs and prices. 』
長期的なインフレ期待が安定していることから足元の商品価格上昇の基調的インフレに与える効果は一時的であり、更に資源利用のスラックが労働コストや価格の上昇を抑制するように働くでしょうと。
『Nonetheless, participants observed that rapidly rising commodity prices
posed upside risks to the stability of longer-term inflation expectations,
and thus to the outlook for inflation, even as they posed downside risks
to the outlook for growth in consumer spending and business investment.』
とは言いましても、商品価格上昇によって長期的なインフレ期待が上方シフトするようになれば、消費支出や企業投資の見通しに関するダウンサイドリスクを拡大するとしてもインフレの見通しを変えないといけませんなという事のようでしゅ。
『In addition, participants noted that unfolding events in the Middle East
and North Africa, along with the recent earthquake, tsunami, and subsequent
developments in Japan, had further increased uncertainty about the economic
outlook.』
ということで、リスクはMENA地域と日本の今後とゆーことですにゃ。
○金融環境改善と個人消費の先行き
『 Some easing of credit conditions for households, particularly for auto
loans, also appeared to be supporting growth in consumer spending. On the
other hand, declining house prices remained a drag on household wealth
and thus on consumer spending. In addition, sizable recent increases in
oil and gasoline prices had reduced real incomes and weighed on consumer
confidence. 』
自動車ローンなどの与信態度改善が個人消費に好影響だが、一方で住宅価格が低迷していることによる家計のバランスシートの痛みや、足元の原油やガソリン価格の上昇が家計の実質所得を引き下げ、消費者信頼感に悪影響を与える、と結構きびしめですな。
○企業部門の見通しは好調
『A further increase in business activity also indicated that the economic
recovery remained on track. Industrial production posted solid gains, supported
in part by continuing growth in U.S. exports. Business contacts in a number
of regions reported they were more confident about the recovery; a growing
number of contacts indicated they were planning for an expansion in hiring
and production to meet an anticipated rise in sales. Manufacturing firms
were particularly upbeat. Some contacts reported they were increasing capital
budgets to undertake investment that had been postponed during the recession
and early stages of the recovery; in some cases, firms were planning to
expand capacity.』
ということで中々景気の良い話が続きます。
『Consistent with the anecdotal evidence, indicators of current and planned
business investment in equipment and software continued to rise and surveys
showed a further improvement in business sentiment. In addition, although
residential construction remained weak, investment in energy extraction
was growing and spending on commercial construction projects appeared to
be bottoming out. 』
建設部門に関しても底打ちの傾向が見られるとか中々結構な話です。
○労働市場は改善基調にのってきましたとな
『Meeting participants judged that overall conditions in labor markets
had continued to improve gradually. The unemployment rate had decreased
significantly in recent months; other labor market indicators, including
measures of job growth and hours worked, showed more-modest improvements.』
と明るめのイメージ。
『Several participants noted that the drop in unemployment was attributable
more to people withdrawing from the labor force and to fewer layoffs than
to increased hiring. Even so, participants agreed that gains in employment
seemed to be on a gradually rising trajectory, although the recent data
had been somewhat erratic and distorted by worse-than-usual weather in
many parts of the country. In addition, surveys of employers showed that
an increasing number of firms were planning to hire.』
失業率の低下要因としてlabor forceの低下要因というよりは雇用の絶対数の回復という指摘がありますなあ。
『 Participants noted regional differences in the speed of improvement
in labor markets; scattered reports indicated that firms in some regions
were having difficulty hiring some types of highly skilled workers. Participants
generally judged that there was still substantial slack in the labor market,
though estimates of the degree of slack were admittedly imprecise and depended
in part on judgments about a number of factors, including the extent to
which labor force participation would increase as the recovery progresses
and employment expands.』
とは言いましても、地域差があったり、依然として労働市場のスラックは存在するということで、結局は警戒姿勢はカワランチ会長ということですかな。
と、ここで時間切れなのですが、実は本編はこの先だったりするのでどうもすいませんすいませんとしか・・・・・・(汗)
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2011/04/13
○英国インフレ率が4.4→4.0とな・・・・といいつつほぼ雑談^^;
http://www.bankofengland.co.uk/
の右下の方に燦然と『Current Inflation 4.0%』という文言が昨晩入りました。
その前は4.4%でしたので、これで英国は5月のインフレレポートと同時に利上げしなくてもよさそうな感じにもなっているような無いような。とは言え元々のインフレターゲットからは堂々の上方乖離は継続しているので、利上げしないならしないでこれまた今後の流れがインフレ率縮小に向かってくれれば良いのですけれども、そうじゃなくてうだうだと4%近辺にいる時には、利上げをどこで打ち込むのかも難しいですわな。
中央銀行的に政策がビハインド・ザ・カーブとなるのも中々勇気の要る事(外野は好き勝手いいますけどやはり当局の決断する側からすればビハインドというのは中々大変ですよね)ですし、まあ英国に関しては別に日本の金融政策にどうのこうのというのは無くても中々勉強素材として中銀見物人としての興味は尽きません罠。
・・・・むむむ、BOEのサイトの下のほうに何か心を動かすバナーがあるので踏んで見るとこんな素敵な企画が絶賛実施中なのですね。
http://www.bankofengland.co.uk/education/museum/exhibitions/easter.htm
Put all your eggs in one basket
(11-15 & 18-21 April)
10:00am - 4:30pm
During the Easter break (11-15 & 18-21 April) the Museum presents Put
all your eggs in one basket, a special event to entertain the whole family.
There will be a treasure trail to find eggs hidden in the Museum, with
a chocolate egg for every child who takes part. Children can also indulge
their imagination by creating and decorating their own Easter basket to
take home.
A family fun day out is guaranteed with all the other museum attractions
including banknote jigsaws, a roller ball game, interactive displays and
the opportunity for some safe cracking. You can also take control of a
virtual hot air balloon and chart it on a stable course to simulate the
role of the Bank in keeping inflation steady. Visitors can even try to
lift a genuine gold bar with a current value of over £340,000 -although,
weighing 13kg, it will take many people by surprise!
ちなみに、最後の文にある「try to lift a genuine gold bar with a current
value of over £340,000」って奴ですが、指をフックのようにして延べ棒に引っ掛けると持ち上がるようなのですが、そんなのが出来るのは博物館の係員だけだと思います(^^)。
ロンドン観光のコースにお勧めです(そうか???)。ちなみに下記URLはあたくしの訪問記録(そこでは延べ棒の重さを15キロと書いていますが、どうも13キロが正解のようですな、サーセン)である。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/justfunsight-BOEmuseum.html
○ブラードさんの「用がなくなったので国債買入終了ね」講演(^^)
先月末にプラハで行われた講演でありますが。
概要
http://stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=953
MARCH 29
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Recent Developments in U.S. Monetary Policy
講演のスライドショー
http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard_Prague_Mar_29_2011_Final.pdf
スライドショーの方でも良さそうな気がしますが、ペタペタコピペするのに不適当なので上のほうのURLの概要の方から引用するざますわよ。
ちなみに、2月24日にはこんな講演してまして、3月11日の駄文でネタにしていますので、重複部分は基本的にスルーの方向ですが、まとめ部分は重複になるかもしれません(汗)
http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=915
FEBRUARY 24
St. Louis Fed’s Bullard Discusses Quantitative Easing, Global Inflation, and Commodity Standards
ではプラハでの講演要旨から。
『During his discussion, Bullard explained how the Fed’s second round
of quantitative easing was “a classic easing of monetary policy” and
“an effective tool, even while the policy rate is near zero.”』
QE2については、政策金利のゼロ制約下の中での「伝統的な金融政策」で「有効なツール」という話をしていますっつー事ですが、こちらに関しては2月の講演で同じ論点の話をしてて、まあ先日ネタにしたので割愛します。
『He also discussed the situation in early 2011, stating that “U.S. growth
prospects remain reasonably good for 2011.” He added that recent global
and domestic events “present considerable uncertainty, but can be resolved
in benign ways.”』
米国経済に関しては先行きの不確実性はあるがより強い回復を予想するとな。
『Finally, Bullard talked about the path to normalization. “Discussion
of the normalization of U.S. policy will likely return as the key issue
in 2011,” he concluded.』
ということで、「今年は政策の正常化への議論が重要な論点として戻ってくるでしょう」つーまとめになっているのでありました。
んでまあ最初の論点は前回のネタと同じなのでスルーしまして、今年の米国経済に関する部分はこんな感じである。
『Bullard stated that, relative to last summer, U.S. growth prospects improved
by early 2011. “Private sector forecasters and the FOMC all marked up
their forecasts,” he said. “Anecdotal reports were more bullish,” showing
“profitable businesses with considerable cash and an improving outlook.”
He added, “An improving economy 18 months post-recession is generally
a strong positive.”』
どう見てもカンカンの強気です本当にありがとうございました。
『Noting the improved economic outlook since QE2 was implemented, “the
natural debate is how and when the exit should begin,” Bullard said. “However,
additional uncertainty has clouded this picture.”』
ということで、その不確実性は以下の通りだそうな。
『1.turmoil in the Middle East and North Africa and the associated uncertainty
premium in oil prices;
2.the natural disaster and the damaged nuclear reactors in Japan;
3.the U.S. fiscal situation and the possibility of a government shutdown; and
4.continued uncertainty regarding resolution of the European sovereign debt crisis. 』
まあ大体順当な所ですが、これらの不確実性が拡大した場合には出口政策が遅れる場合もあるが、基本的にはこれらの不確実性は全体に大きな影響を与えずに解決するでしょうと仰せですな。
『Bullard pointed out that all four situations have the potential to escalate.
If escalation occurs, he added, how and when to begin normalizing monetary
policy would become less clear. “Still, the most likely prospect is that
all four are resolved without becoming global macroeconomic shocks,” he
said. 』
で、その次の『Normalization of U.S. Monetary Policy』というそのまんまにも程がある小見出しの部分から。
『Bullard said that U.S. monetary policy cannot remain ultra-accommodative
indefinitely. “The process of normalizing policy, even once it begins,
will still leave unprecedented policy accommodation on the table,” he
stated. “The FOMC may not be willing or able to wait until all global
uncertainties are resolved to begin normalizing policy.”』
QE2実施しろ論の先鞭をつけただけに出口に関しても先鞭をつけるということですかそうですかという感じでありますにゃ。
『Bullard noted that normal monetary policy has two parts: “QE accommodation
is removed by returning the balance sheet to an ordinary size over time,”
and “the policy rate begins to approach levels associated with moderate
expansion.”』
ということで、出口政策としては「バランスシートの縮小」と「モデレートな利上げサイクル」というあわせ技という事ですが、スライドショーの方を見てもその辺りに関しては具体的な手順書は無い(つーかこのまとめとスライドショーの内容があまり差が無い)ので正直よー判らんです。
『Bullard said that normalization will take time and added that it is the
most difficult part of the business cycle for a central bank.』
金融政策の正常化には時間がかかり、中央銀行にとって最も難しい仕事であるというのは確かに仰るとおりですな。
『“Exit strategy was widely discussed in 2010, and that debate will likely
revive during 2011,” Bullard said.』
ということで、どう見ても正常化路線まっしぐらです本当にありがとうございました状態なのですが、ブラードさんの場合そもそも今年はFOMCでの投票権が無いので、その分好き勝手言えるという面がありますので何なのですけど、QE2に関してかなり早い時期から「時間軸政策よりも資産買入」と主張した人だけに、まあそれなりにインパクトあるんじゃないかね、と思うところでございます。
#なお、今日のうちにネタにしないと更に講演が入るのでネタが発酵するというのはここだけの話であります
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2011/04/08
○ECB利上げとな
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110407.en.html
7 April 2011 - Monetary policy decisions
『At today’s meeting the Governing Council of the ECB took the following
monetary policy decisions:
1.The interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem
will be increased by 25 basis points to 1.25%, starting from the operation
to be settled on 13 April 2011.
2.The interest rate on the marginal lending facility will be increased
by 25 basis points to 2.00%, with effect from 13 April 2011.
3.The interest rate on the deposit facility will be increased by 25 basis
points to 0.50%, with effect from 13 April 2011.』
利上げはまあ予告(?)どおりなので良いとして、ちと意外だったのは預金ファシリティと貸出ファシリティをそのままスライドで上げてコリドアの幅を上下75bpのままにした事。今回は預金ファシリティを25のまま据え置きにして回廊の幅を以前の100bpにすると同時に、市場下限金利を画する金利の据え置きによって利上げするけど慎重さも残してみましょ的な配慮もあるかなと思ったのですが、貫禄の預金ファシリティ引き上げで普通に利上げヒャッハー状態なのね。
会見のテキストは読みたいが慣れてないのと時間が無いので勘弁。
○BOEは予想通り据え置き
http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2011/037.htm
News Release
Bank of England maintains Bank Rate at 0.5% and the size of the Asset Purchase
Programme at £200 billion
こちらは据え置き。物価は上がるわ景気はパッとしないわという大変に素敵な状態になっているジョンブル達の明日はどっちだという所であります。
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2011/04/05
お題「プロッサー総裁の出口政策論」
短観再集計でたけどあんまりネタにならないので今日はフィラデルフィア連銀プロッサー総裁のその名も「Exit」という講演から。
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2011/03-25-11_shadow-open-market-committee.pdf
本文9ページなのでそんなに読むのはしんどくないと思う。
○当然ながら前提条件として景気見通しは強い
『Economic Outlook』の所は今回の本旨ではないので簡単に。
景気に関しては当然ですが強い見方になっていまして、先行きのリスクとしてまず最初にあげられる米国不動産問題は「そんなに大きな阻害要因にはならない」としています。また、グローバルなリスクとして日本の震災とMENA地域の問題に起因する原油価格上昇の話をしていますが、これも短期間における問題に留まるとの見通しを示しています。一応その部分引用。
『The tragic events in Japan and the potential for sharply higher oil prices
given the turmoil in the Middle East and North Africa pose some risk to
our recovery. Yet, I believe this risk is small and short term, assuming
Japan is able to stabilize its nuclear reactors and political unrest in
the Middle East does not dramatically disrupt Saudi Arabia, the region’s
largest oil producer.』
で、その見通しが正しければExit政策が必要であり、どのタイミングでアンワインドするべきかというのと、どのようなツールを使って出口政策を実施すべきかというのが重要ですが、今回の講演ではその「出口政策で使うツールとその方法」となっています。
○出口政策後の金融政策の軸は何か?
『The Monetary Policy Operating Framework After Exit』の所から。
まず最初にプロッサーさんは出口政策におけるコミュニケーションと透明性の重要性を説明しています。一気に引用するだす。
『In designing an effective exit strategy, we must start by deciding what
the operating framework should look like at the end of the process. We
must then articulate a systematic approach that will get us to that framework
in a reasonable time frame. The approach must be easily communicated and
thus transparent to the public and the markets, so that they understand
not just where we are headed but how we plan to get there.』
出来るだけシステマティックかつ判りやすく、というのが需要だとの事ですな。
『Of course, monetary policy actions should be dependent on economic conditions,
that is, state contingent, and the exit strategy should be as well. While
there is very little economic theory to guide systematic policymaking using
nontraditional tools, we nonetheless should not act with complete discretion.
I have frequently advocated a systematic approach to policy and our exit
strategy should be no different. Such a systematic approach reduces uncertainty
by offering a degree of commitment by policymakers to the exit strategy.』
んでもって出口後の金融政策のフレームワークは4つの要素で構成されますということでその4つですが・・・・・・
(1)FFレート誘導による従来型の金利誘導政策
で、その実行に当っては預金ファシリティと貸出ファシリティで金利のコリドアを作って誘導を容易にする、という話ですが、以前のFEDは預金ファシリティが無かったのですけれども、現在は準備預金付利(略してIOR)が預金ファシリティとなっているので、これを常設ファシリティにするっちゅう事ですな。
『First, monetary policy should operate using the federal funds rate as
its policy instrument. Because the Fed can now pay interest on reserves,
monetary policy could use the interest rate on reserves (IOR) as its instrument,
establishing a floor for rates and allow reserves to be supplied in an
elastic manner. However, targeting the federal funds rate is more familiar
to both the markets and policymakers than is an administered rate paid
on reserves.』
『To make the funds rate the primary policy instrument, the target federal
funds rate would be set above the rate paid on reserves and below the discount
or primary credit rate that banks pay when they borrow from the Fed. This
operating framework is sometimes referred to as a corridor or channel system
and is used by a number of other central banks around the world.』
有名どころではECBが以前からmarginal ledding facilityとdeposit facilityを使った金利コリドア方式を採用していましたが、その他各国でも採用されていますなという事で。
『I have argued elsewhere that our goal should be to operate with a corridor
system instead of a floor system, in part because it constrains the size
of the balance sheet while the floor system does not.』
こりゃどういうことかといいますと、例えば現在の日本では預金ファシリティ(超過準備付利)は誘導目標金利の外側にあるコリドアとしての運用ではなく、市場金利の下限を画するために実施している、あるいはバランスシート拡大に際して市場金利が極端に低下する事を防ぐためのものとなっていますが、これを通常のコリドア運用となるような水準に預金ファシリティを置いた場合、バランスシートはそんなに拡大できない(調子に乗って拡大すると誘導すべきFFレートがコリドアの下限に張り付いたり下限を抜けたりするから)ですよね、という指摘なのですな。
(2)リザーブの縮小
『The second element of the environment follows from the first. To ensure
that the funds rate constitutes a viable policy instrument and thus is
above the interest rate on reserves, the volume of reserves in the banking
system must shrink to the point where the demand for reserves is consistent
with the targeted funds rate.』
目標とするFF金利に相応しいレベルまでリザーブを縮小するとな。
『This will require a significant reduction in the size of the Fed’s balance
sheet, with reserve balances falling by $1.4 trillion to $1.5 trillion
to about $50 billion.』
これはまた結構な縮小になるかと思いますが・・・・・
(3)FEDのポートフォリオの質的変更
この論点は意外に言われない論点ではございますな。
『The third characteristic of my preferred operating environment has to
do with the composition of the Fed’s assets and in particular the System
Open Market Account, or SOMA, portfolio.』
ポートフォリオ構成を変えて(当然ながら売却を伴う)ポートをMBSから米国政府短期証券にするというお話ですが、さてMBS売れるのかね、という気がせんでもない。
『I believe this portfolio should consist predominantly of U.S. Treasury
securities concentrated in short-term issues, similar to its composition
prior to the crisis. At that time, about 90 percent of the SOMA assets
were Treasuries, of which about 35 percent were Treasury bills.』
つーことで、MBSだの長期資産だのから政府短期証券主体のポートに変更するのが望ましい姿というこってすな。
『Currently, only about 60 percent of the portfolio is in Treasuries, while
around 40 percent is housing-related assets, such as mortgage-backed securities
(MBS). Moreover, Treasury bills are less than 2 percent of the Treasury
securities in the portfolio. Thus, the exit plan must contemplate a significant
restructuring of the balance sheet in terms of its composition and average
maturity.』
中々の荒療治(武者陵司ではない)になりそうですな。
(4)明示的なインフレーションターゲットの導入
つまり最初にあった「透明性」に関わる部分だと思いますが、デュアルマンデートで微妙に曖昧にするのではなくて、より物価重視的な形にする事によって透明性を高めたコミュニケーションとするという話なんでしょうな。
『Fourth, my preferred operating environment would make explicit the Fed’s
commitment to a numerical inflation objective, a proposal I have made many
times. Numerical inflation objectives are fairly common among major central
banks around the world and many academics and students of central banking
regard adopting such an objective as best practice.』
『I believe it is time for the Federal Reserve to adopt this best practice
and clearly announce a numerical inflation objective in support of our
dual mandate. This would be particularly valuable as we exit our accommodative
stance.』
で、何で有益かという中に、FEDの現在のバランスシートが大きいため、明示的なインフレーションターゲットを導入することによって、バランスシートの大きさから来るインフレ懸念を抑制する効果があるという指摘をしていますわな。
『Since our large balance sheet poses significant risks for inflation down
the road, an explicit commitment to a low and stable inflation rate would
help reassure the public that we will exit in a way that is consistent
with that goal. This would also help keep expectations of inflation well
anchored.』
○では実際にどういう手段で出口政策を実施するのか
『A Proposed Exit Plan』という所から。
(1)FF誘導目標の引き上げとバランスシートの縮小に同時に着手
『My proposed strategy involves raising rates and shrinking the balance
sheet concurrently and tying the pace of asset sales to the pace and size
of interest rate increases.』
具体的にはFFレートの引き上げとMBSの償還分の国債への再投資の停止だそうで。
『The first element of the plan to exit and normalize policy would be to
move away from the zero bound and stop the reinvesting program and allow
securities to run off as they mature. Thus, we would raise the interest
paid on reserves from 25 basis points to 50 basis points and seek to achieve
a funds rate of 50 basis points rather than the current range of 0 to 25
basis points.』
まずはIORを0.50%に引き上げてFF金利を現在の0-25bpの目標から0.50%近辺になるようにしつつ、MBSの償還分国債再投資を止めますと。
『We would also announce that between each FOMC meeting, in addition to
allowing assets to run off as they mature or are prepaid, we would sell
an additional specified amount of assets. These “continuous sales,” plus
the natural run-off, imply that the balance sheet, and thus reserves, would
gradually shrink between each FOMC meeting on an ongoing basis.』
で、更に次回のFOMCに向けてバランスシートをここまで縮小するというアナウンスをして、保有長期債券の満期償還や中途償還(MBSの場合)での縮小では足りない場合は更に売却も行うという事のようで。
(2)実はここの英語がイマイチ判らんかったのですが・・・・・(汗)
何となく上記の続きで、先行きの目標となる金利水準に向けて次回の会合で追加利上げを実施するかの検討を行うかどうかをアナウンスする(というのは市場に金利上昇パスを織り込ませに行くという意味なのかなあ??)というような事を想像したのですが、英語の得意な人の解説キボンヌ。
『The second element of the plan would be to announce that at each subsequent
meeting the FOMC will, as usual, evaluate incoming data to determine if
the interest rate on reserves and the funds rate should rise or not.』
『Monetary policy should be conditional on the state of the economy and
the outlook. If the funds rate and interest on excess reserves do not change,
the balance sheet would continue to shrink slowly due to run-off and the
continuous sales. On the other hand, if the FOMC decides to raise rates
by 25 basis points, it would automatically trigger additional asset sales
of a specified amount during the intermeeting period.』
『This approach makes the pace of asset sales conditional on the state
of the economy, just as the Fed’s interest rate decisions are. If it were
necessary to raise the interest rate target more, say, by 50 basis points,
because the economy was improving faster and inflation expectations were
rising, then the pace of conditional sales would also be doubled during
the intermeeting period.』
どうもこの部分はバランスシート縮小および金利誘導を出来るだけシステマティックに実施して金融政策の透明性を高めるみたいな話に通じるような気がするだわさ。
(3)MBS売却
『The third element of the exit plan must address the composition of the
Fed’s portfolio. If we are to return to an all-Treasuries portfolio, then
asset sales, particularly in the early part of the program, must be concentrated
in MBS.』
ってしらっと書いてますけど本当に売れるのでしょうか・・・・・
○具体的なプランが2つほど
調子に乗って引用していたら講演の大部分を引用する勢いになってきたので反省して、『Examples
of the Exit Strategy』の所は訳だけにしておきます。
まず概念的にはこういう順番です。
(1)FFがIORよりも高くなる水準(1.4〜1.5兆ドル)までバランスシートを縮小する(2)長期資産および償還再投資を止めることによって月に200億ドル、(=FOMCの間(6週間)に300億ドル)程度のバランスシート縮小する(3)FOMCの間に200億ドルの売却を実施して、結果として(自動的に縮小する分とあわせて)インターミーティングで500億ドルのバランスシート縮小を実施する
何かそもそも(1)の時点で1兆ドルとか減らさないといけないような気が死ぬほどするのですけれども(さっきFEDのサイトで見たら3月30日のバランスシートが2.62兆ドルとかあるんですけど・・・・)まあその辺はキニシナイという事で、つまりFFレートを50bpに引き上げ(IORも50bpに引き上げる)ながらバランスシートが1.5兆ドルになるまでバランスを縮小して初めてその後の追加利上げが可能になるっちゅうことですかいなという感じですな。
で、そのプランとして2種類あって、講演テキストの最後に図表があるのですが、12か月(=FOMCミーティング8回分)と18か月(=12回分)での方法というのがあって、どっちも25bpずつの利上げなのですが、バランスシート縮小のペースが前者の方が速く、結果としては12か月コースだとバランスシート500億ドルでFFが2.50%、18か月コースだとバランスシート460億ドルでFFが3.50%という結果になっています。
○論点について
『Discussion』の所からですがこれまた引用は割愛して拙訳で勘弁。
まず最初に「そもそもそんなペースでバランスシートの縮小が出来るのか」という点について(あたくしもそう思うが)ですが、「バランスシート拡大のペースと同じように縮小しているだけですよ」という事でスルーしているのはちと???感は致します。
あといわゆる「ストックビュー」に基づくツッコミとして、FEDがバランスを縮小するとその分民間部門の保有資産が拡大するから、その分ポートフォリオリバランスの反対が起きるのではないかという論点についてですが、プロッサー総裁は「資産売却は市場が正常化していれば大きな問題は無い」という話をしています。
それから、バランスシートの縮小の前に利上げをした方が良いという点については、「幾つかの欠点がある」と指摘。で、その欠点ですが、基本的には「バランスシートが大きいと政策金利の誘導が上手く行かない」というのと「FEDのポートにMBSが残り続ける」という問題点を指摘し、そうなると「バランスシート次第で政策金利が決定されることになって本来の経済状況による政策金利決定ができません」という話をしております。
更にバランスシート縮小を先にして利上げは後、という点については「よりアピールする政策」としながらも、「リスキーなやり方」と指摘。すなわち金利が低すぎる状態が長く続くのが弊害で、かなり積極的な売却をしないといけませんという説明をしています。
ということでプロッサーさん提唱のやり方が良い、というのですけれども、まあそれはどうなのかなとあたくし的には思うんすけど、何はともあれ出口政策のたたき台(ただしタカ派成分が高い)としてこういうのがあるというお話でございました。
#引用大会で増量になって恐縮至極です
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