相場見通しアーカイブ=2003年下期分

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2003年下期分

2004/03/30「先物が売り込まれていますが」
2004/03/12「いい加減にしたらと思う引け値操作紛いの動き」
2004/03/11「オーバーシュートしすぎ」
2004/03/08「攻防の分岐点」
2004/03/04「またも帰ってきた中短期債の悲劇」
2004/03/03「10年国債入札を受けて」
2004/03/02「10年国債入札」
2004/02/26「相変わらずのイールドカーブ乱高下」
2004/02/25「WI取引無事開始/30年国債入札結果」
2004/02/24「債券相場点描」
2004/02/20「債券相場に対するそこはかとない不安」
2004/02/12「ボディーブロー」
2004/02/10「益々支離滅裂になる相場/5年国債入札」
2004/02/06「ますます変な先物」
2004/02/05「強いには強いのでしょうが・・・・」
2004/02/04「10年国債入札を受けて」
2004/01/29「不気味な先物」
2004/01/19「債券先物139円は通過点か?」
2004/01/16「強気相場の復活か、それとも・・・・・」
2004/01/09「10年国債入札レビュー/WI取引始まったら入札で儲かりませんな〜」
2004/01/08「10年国債入札」
2004/01/07「今年の相場のテーマを考える」
2003/12/30「年の瀬に思う」
2003/12/26「パッシブ運用全盛+全員順張りディーラー=??」
2003/12/25「2年国債入札」
2003/12/11「相場雑談」



「先物が売り込まれていますが」(2004/03/30)

金曜と月曜の2日で2円4銭先物が売られるとは恐れ入りました。期末まで値持ちして期初が利食い売りからスタートするかと思っていたのですが、大体皆さんが考えるようには相場は動かないものですな。

で、今回の下げの特徴はやたらと先物が売り込まれている所でしょうか。とにかく日中に相場が下がる時にやたらと先物ばかり下がり、その一方で買いの入りやすい10年などのカレント国債にしっかりとしたビットが残るという展開になっております。

まぁちょうど期末期初にかかる投資家さまが多いので現物債よりも先物に売りが出やすいということもあるのかな〜などと呆然と考えていたりする訳ですが、この派手派手な下落過程の中で気になるのは実は中期国債の5年〜7年ゾーンだったりする訳です。8月〜9月の絶賛大暴落のあとで10年カレント債が1.5%をマークしたのは総選挙前に先行きの不透明感が出てきた11月の頭であります。

例によって比較するのが単利なのがイイカゲン振り爆発のドラめもんではありますが、11月4日と昨日の各年限の単利引け値を比較するとこんな感じです。

------(11/4)--- (3/29)
20年 2.035%  2.020%
10年 1.500%  1.490%
5年  0.670%  0.670%
2年  0.160%  0.125%
先物  136.88  137.00

え〜こうやってみますと極めてざっくりとした言い方になりますが、実はこの下げで昨年11月初頭の位置に戻っていると言うお話になっております。で、もっと良く良く見ると2年債の位置が妙にしっかりとなっております。

2年債が妙にしっかりしている事に関して、何とでも講釈はできそうですが、一応「量的緩和の継続への期待はまだ継続している」という事になるのでしょう。それよりも資金ディーリング的な買いが(期末という事もあり)あまり入りにくくなっているために逆にロスカット的な売りが無いからなのかも知れませんが。

2年ゾーンが割高なのか後ろが割安なのかというのは解釈が難しいところなのですが、2年ゾーンが比較的安定している(その前に先行して売られすぎたというのもあるのですが)中で5年債が結構威勢良く売られているのが気になる所。

本日はNY株式が上昇しておりまして、朝のテレビ番組では日経平均12000円トライなどと景気の良い話をしておりまして、またまた売りの出そうな日なのですが、このあたりから尚も先物やら5年債やらを中心にして売り込む動きになるような動きになるのは、ちと無理筋気味のきらいがありますな。昨年8月みたいに残存1年半くらいの債券まで威勢良く売られ出せば話は別ですが。

と言って、ここから先に10年やら20年の金利上昇余地ってあるのかな〜という気もしますし、前提となる「量的緩和政策の継続観測」が崩壊しないと中々売り込みにくい所までやって来たような気もするわけであります。

まぁここから5年売っていくのは最早「時間軸の短期化」というお話になっていく話ですので、短期ゾーンの落ち着きから比較するとちょっとやり過ぎざましょうなというお話だと言うことです。2年〜3年ゾーンが大崩壊すれば話は別ですが。

問題は「5年債」がマーケットの暴れん坊将軍であらせられます大手銀行様の主要ポートになっていることでございまして、過去にも相場観というか適正価格への考慮も何もないようなレベルかつ凄いタイミングで売りをぶちかました前科のある方々なので、何をやってくるか判らんというのはちょっとだけ気になります。

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「いい加減にしたらと思う動きについて」(2004/03/12)

昨日の引け際は、それまで非常に重かったはずの超長期債がいきなり強くなりました。で、強くなったのだから買いでも入ったのではとは思うのですが、3時を20分も過ぎますと瞬間的に強い出会いやらビットたらがあった超長期国債の値が、他の気配とあまり関係なく急速に下落。

こういういかにも「引け値操作」と思われるような動きをみせつけられますと、「ああ、(今回の場合は超長期に)引け値ギャランティー取引が入っているんでしょうな〜」と思いながら呆れて業者間の気配画面を見ているわけであります。

あたしゃー現物株式のディーラーっつーのもやった事があるので法令諸規則は随分読みましたが、はっきり言ってこの債券市場の引け値操作紛いの取引は如何な物かと思うわけですよ。現物株式は「個人投資家が直接参加する市場」なので「個人投資家の保護」という大義名分で、売買に関しての規制が「ここまで本当に必要なのか」と思うほど喧しく、先物その他とのバランスが取れない状態になっていると思われるわけです。

例えば、現物株で証券自己が「見せ板」なんて頻繁に出していたら「作為的相場形成」で一発摘発ですが、指数先物は「プロの市場」なのでお咎めなし。債券市場に至っては「プロの市場」の「相対取引」だからこれもまた問題なしっていうのはちとバランスが悪いのではないかと思うわけです。両方の中間かつやや債券市場より位のところが妥当なのではないかと。


ま、インデックスとの比較しか重視されない為に、肝心のインデックスが引け値ギャランティー売買のマーケットインパクトで無用にぶれるという問題を無視するような運用評価体系になっていることが問題の根底にあると思います。引け値ギャランティー売買を入れて高値を買ったり安値を叩いたりせざるを得ない破目になっているパッシブ運用の受託者様の苦渋もまた思いやられるわけであります。

という話は前も書いたと思うのですが、昨日の動きにあまりにも呆れてしまいましたので。

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「オーバーシュートしすぎ」(2004/03/11)

昨日の債券市場は先物と中期ゾーンが主役だったようで、まぁあたくしも風邪を押して仕事に突撃した甲斐のある相場だという感じでしたが(^^)、とにかく「やり過ぎ」の一言に尽きます。

投資家さんの買いが入ったのは事実なのでしょうが、先物や他の年限がろくすっぽ動かない中でじりじりと気配を上げ、5年ゾーンが一時前日比4毛強の気配まで行ってしまいました。で、この時何と3年ゾーンあたりまでもが4強だの3.5強だのという壮絶な展開になりました。

しかし、冷静に考えてみれば5年ゾーンの昨日高値とは、前月発行の既発債ベースで0.5%を割り込むレベル(0.49%)でありまして、それはまさに先週末の引けやら月曜のもみ合いレベルが0.6%近辺であった事を考えますと「あなたそれはやり過ぎざんしょ」というレベル。

当たり前ですが、既発債の0.6%をターゲットにして買いをいれていた投資家様にしてみれば1週間もせずに0.1%金利低下しかも安定推移するはずの5年ゾーンという事ですから、そりゃー売りが出ますわな。一時は大規模火砕流状態だった3年〜5年ゾーンは大引けにかけて一気に鎮火致しました。

踏みあがるのは結構ですが、絶対水準という物を考えて踏みあがって貰いたいものです。


先日は20年ゾーンが散々売られて2%台まで瞬間叩かれたのですが、当然ながらすかさず2%をターゲットにする投資家様の買いが炸裂。例によって踏みあがるのは結構なのですが、2日も経たずにいきなり1.9%まで踏みあがってしまいまして、今度は逆に売りを誘うという展開。1.9%の20年債なんぞを買う投資家様は今の所いませんので(というかいないから相場下がったのよね)今度は全然上がらないどころか、一昨日のように先物は上昇しているのに前日比利回り上昇(すなわち相場下落)という嘘のような展開になりました。


どうも「絶対水準」という奴を無視して踏みあがったり投げが嵩んだりという動きが最近特に多いのですが、最近は力技相場状態になっている事が多く、いわゆる自己勘定による裁定売買のパワーが(色々な事情により)減衰状態なのも大きく、「細かい相場観よりもお家の事情優先」という売買が炸裂しますと、その動きに向かうパワーが弱くなっているのが一因ではないかと思います。

「お家の事情」というのは「機械的に売買を入れないといけないお方」とか、「役員会議室から出てくる売買指令」なんてのが挙げられると思いますが、この手の売買にまともに向かっても向かう人が少ないのでいかれてしまうというのが定説になってしまえば、ディーラーなどというのは現金なものですから「強い方につく」とばかりにお家の事情の皆様に提灯をつけてついていく人も増えてきて、益々勢力拡大という実に見事な展開になってしまいます。

で、まぁハーメルンの笛吹き男よろしく、提灯行列がオーバーシュートの結果、ふと気がつけば行列全員入水状態となってしまったりする訳であり実に困ったものであります。オーバーシュートのやり過ぎ相場に巻き込まれますと、あたくしのような年寄りは「はぁ??」と言いながらどう考えても阿鼻叫喚の猛炎に一緒に飛び込まされる訳であります。


とにかく壮絶な相場続きで、場中に血圧が上がりっぱなしのあたくしの風邪も中々治らないというものです、とほほのほ。

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「攻防の分岐点」(2004/03/08)

本日はひたすら相場雑談です。


先週末の債券相場、落ち着いてくれるのかと思えば結局5年債〜先物ゾーンに相変わらずの売りが出てしまって最後の最後に相場下落。引け前の下げの勢いを持続して引け後も相場が下落と、相場が下落したタイミングが週末の大引けというエアポケットみたいな時間帯だった為に、あっという間に5年債の節目と見られていた0.6%を超えてしまいました。

「中期債が重い」とか言われている時に中期債に売りを出すとは困った人もいますな〜などと言っている場合ではございませんで(^^)、中期債から相場が下落するというパターンは基本的に「時間軸の短縮化」という発想が根底にあるという事から考えますとこれがまた寒いものがある訳であります。

この「5年0.6%」というレベルはどうも「止まり所」になっているようでして、昨年も0.6%近辺で滞在している(引け値ベースでの記録しか手元にありませんが)ケースが多く、このレベルを下に抜けるといきなり0.6%後半から0.7%近辺まで相場下落をしてしまうケースが多く見られます(一々例はあげませんが)。戻る時も同じで、0.7%近辺から戻りだすといきなり0.6%まで戻ってしまう訳でして。

という訳で、「5年0.6%」というのが攻防の分岐点になっている訳ですが、どうもこのレベルは「時間軸に関する見方」の分岐点になっているようでありますな。昨年の8月末から9月にかけての5年金利の阿鼻叫喚的上昇はともかくと致しまして、それ以降に5年金利が0.6%を超えた時期に何があったかを手元の記録で見直してみると、瞬間的な上昇は兎も角として、0.75%までいきなり売られたのが11月上旬であります。

この時は、総選挙が11月9日に予定されていたのですが、民主党の合併効果で連立与党の苦戦観測が強くなって参りまして、全然可能性が無いと皆が思っていた「政権アウト」が「もしかすると有り得るかも知れない」程度には緊張させてくれる事態となりました。

政権がアウトになれば債券市場の前提条件が根本的に変わってくる訳ですので、債券相場が売られるのはまぁ当たり前のお話です。この時は選挙直後に5年債の入札が予定されていたので、事前のヘッジ売りも結構入りましたが、結局は選挙結果が案外穏当だった事や、入札日(11月11日)に平均株価が引け値ベースで10200円まで下落したり、機械受注が2ヶ月連続でマイナスの数字が出たりと言うことで派手派手に切り返す展開になりました。


さて、今回もまた奇しくも5年国債入札前に5年金利が0.6%を突き抜ける勢いとなっています(な〜んて言ってますが、一応下がってスタートって前提で話をしてますんで悪しからず^^)。で、まぁ0.6%を抜けるといきなり0.6%台後半まで案外無抵抗で売られてしまうパターンがございますので、入札前になんとも死臭漂う状態。

今回は前回11月の時より平均株価が1割ほど高く、ドル円は3円ほど円安。米国株式は思いっきり上昇と、外部要因的には債券にとっては宜しくないものが並んでおります。余計な福井総裁発言を一つのきっかけ(もう一つはドル円相場での円高)にして「時間軸強化への期待」が盛り上がってしまった債券相場ですが、下手に相場が上昇してしまった分だけ反動で下落するエネルギーもあります。今回の5年国債入札が無事に通過できないとまたぞろ「時間軸短期化への思惑」というお話になって来るのではないかと懸念される所であります。

まぁ元はといえば「信じるものは足をすくわれる」というお題で申し上げたように、債券相場に都合の良い材料だけを囃し立てて買いあがった人たち(あたくしも降参したので同罪^^)の自業自得と言うことでしょうな。とほほのほ。


それにしてもいつも槍玉に挙げてますが、福井日銀総裁は発言の際に「強気な話と弱気な話を両方話す」という「皆に等しくサービスフレーズ」という悪い癖がございますな。日銀総裁発言に一喜一憂せざるを得ない立場にあります金利市場にとってはやはりこのお方の発言は相場のモメンタムを無用に加速する効果というものがあることが多いと思うわけです。何せ、相場っつーのは勢いってぇのがありますので、このお方のように「売り方にも買い方にも都合の良い解釈ができる発言」を見ると、当然ながら勢いがあるほうへの援軍としての効果が高くなってしまう訳ですから・・・・・まぁ一生治らないでしょうけど。このお方の場合は。


と、これだけ散々書いて、今日相場が戻ってしまうと只の間抜けなコメントになるのが恐ろしい(^^)。さてどうなる事やら・・・・・

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「またも帰ってきた中短期際の悲劇」(2004/03/04)

「急落相場に中短期債」というのは今や定番メニューとなって参りました。当ドラめもんでも「中短期債の悲劇」というお題で昨年の7月2日、8月20日と書きました(おまけに申し上げれば、もっと悲惨だった9月3日には「合理的価格形成機能の崩壊」なんてお題で文章書きました)が、学習効果というものが無いらしく、「また中短期債か!」という相場下落であります。

学習効果があるのは相場下落を報道する方でして(^^)、さすがに今回の下落では「長期債の下落」という話よりも「中短期債の下落」の方が目立っております。と書いたら目の前でやっている某テレビ番組では「長期金利の上昇」としか言いませんな。


○過剰な期待の剥落で済めば良いですが

先週の木曜日に応札倍率を100倍超(手元のメモに控えて無い)と絶賛大人気の入札実績を誇った2年新発国債。落札時点では100円7銭という事で、利回り0.064%となってまして、翌金曜日には0.05%までマークしていたのですが、一昨日は0.075%、そして昨日は何と0.115%の引けですが、安値0.12%をマークとなりまして、わずか3営業日で「利回り2倍」と、どこぞのクレジットカード会社のキャンペーンのような素晴らしい事態になっております。ちなみに0.12%とは99円96銭です。おーおそろし。

昨年株価の上昇やら日銀の「景気回復をっほっほモード」入りやらをネタにして「投げスパイラル」が発生。2年国債が0.26%とかいう理解しがたいレベルまで叩き売られた事がございましたが、その後の相場治癒によって概ね2年国債の利回りが0.10〜0.15%で推移していた事を考えますと、実際にはやっと正常な状態に戻ったという事でしょう。

ただ、いつものパターンですが、「急落した」という印象を受けますとまたも「値段無視の叩き売り」をする人が出てきかねないのであります。米国金利が「利上げ警戒モード」という美しい状況になっていることもありますので、非常に懸念される所では有ります。

幾ら何でも前回の学習効果からして、「リスク管理の売り」とやらも一応外部環境から類推してまともでないレベルで売るような事まではしないで頂きたいものだと愚考しますし、画一的なVaR管理にも一応反省が行われているものだと期待したいのですが・・・・・・・



○余計な期待を煽れば末路は所詮こんなもの

今回の中短期債の妙な買われ方、2年債が何故か0.05%レベルまで変われ、5年債が0.4%に接近するという非常に威勢の良いものでありましたが、元はといえば「時間軸の更なる強化」への思惑というのがあるのでして、例によってこの過剰な期待感という油に火を注いだものの一つに挙げられるのが国会やら記者会見などでの福井総裁発言である事は否定できない所でしょう。

長期・短期金利が落ち着いて推移している状況にあったにも拘らず、何を思ったのか急に「長期、短期の金利を出来るだけ低い所で安定させる」といった余計な事を言い出したのが支援材料となって、円高(というかドル安)と平均株価の推移のうち、債券相場に都合の良い方ばかりに反応してしまう結果となったのが2月からの5年金利0.5%割れ相場という事でしょう。

ちなみに、2月2日のドラめもんでは「信じるものは足をすくわれる」というお題でこんな事を書いた訳ですな。

『頑固とも愚直とも思える前任の総裁と違いまして、現総裁はその発言にサービスフレーズを入れるのが得意であります。時あたかも米国では「時間軸外し」を連想されるようなFRBの声明があり、国内消費者物価の発表もあった日と言う事でございまして、福井総裁としては、国内金融市場で「時間軸短縮」の思惑が出るのを避けたと言う風に解釈した方がよいのではないかと思います。』

『政治からの下らない圧力を避ける為に、ある程度のサービスフレーズを入れるのも理解できなくはないですが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。』

『何時の間にやら時間軸のコミットメントが「CPI」から「均衡ある日本経済」というもはや訳の分からぬ物になっておりまして、中央銀行の政策とは思えない状況になっております。こういう風になんでもかんでもサービスフレーズを出すと言うのはその逆もありうる訳でして(というか現にそういう事態はありました)そのへんのリスクを考える必要があるでしょうな。』

という訳でして、この時は「そんなに買うのかよ!」と疑問を呈していたあたくしでありますが、その後も強弱両材料、というか悪材料の方がでかかった筈なのに、延々と相場が高原状態で安定推移というか全然下がらなくなってしまった相場には超目先で動かなければいけないディーラーとしては降参せざるを得なくなってしまった訳ですな。とほほのほ。

あたくしの事は兎も角、まぁまた余計な「サービスフレーズ」で過剰な期待を結果として煽ることになってしまった福井総裁様。どうもサービスフレーズを出すタイミングが悪いんですよね。やはり2月26日の記者会見でいみじくも総裁様がおん自ら仰せの如く、

『私の使う単語について、あまり厳密にその連続性をご理解頂かないほうが会話がしやすい気がする。』

という事で理解した方が宜しいのではないでしょうか。こんな事で中央銀行の政策運営の信認が本当に維持可能なのか甚だ疑問ですが。


○当面の注目点

昨年の下げ相場には日柄的なパターンがありまして、「月末の2年債入札で短期ゾーンに玉が供給される」→「月初の10年入札後に下げる」→「翌週の5年入札に対する極端な懸念が広がる」→「止め男登場」となっております。昨年の7月は10年ゾーンに投資家様渾身の買い、9月には総裁の記者会見となっておりまして、「5年債入札で相場死亡」に至らずに済みました。

今回の相場ですが、とりあえず5年金利の0.6%でどの位止まってくれるか(Liffeの先物レベルを見ていると止まらない悪寒がしますが)と、2年金利の0.15%でどの位止まってくれるかというのが一つの注目点。そして、今回「止め男」が週末までに登場してくれるのか(というあまりにも相場分析としては無茶苦茶な論議ですが)が焦点となるでしょう。

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「WI取引の活発化に水を差さなければ良いですが」(2004/03/03)

○サプライズな入札結果

昨日の10年国債入札は久し振りに見事なテールの流れっぷりでございました。前場の引け時点での業者間気配が1.345%−1.35%だったのに、平均落札価格が99円92銭(1.353%)で最低落札価格が99円50銭(1.401%)とは恐れ入りました。

先月後半は円高(というかドル安)の頭打ち傾向がはっきりして来たのにも拘らず、日経平均が10500円近辺でウロウロしているうちに、何故か平均株価がちょっと下がるとそちらにだけ反応し、債券だけ威勢良く買い上げられている不思議な展開でした。その反動として先週末から突如気がついたかのように債券市場が外部環境に反応したのはその反動だったのかもしれません。

そんなことも有りまして、昨日は債券にアゲインストな外部環境をいつもよりより多く懸念し、慎重姿勢の強い入札になってしまったと言う事だったというのが入札大流れの原因になったのでしょう。恐らく「入札の事前ヘッジで既にショートポジションになっている分」と言う意味での必要な応札分が100円あるいは99円95銭に入り、「まぁ在庫にしても良いし・・・・」的な札が不透明感からかなり抑えられたという事が原因かと。

1.4%、99円50銭という妙にきりの良い所が最低落札になったのは、「在庫にしましょうか」札の見事なまでの少なさを反映しているといったところでしょうか。


○原因は別にWI取引が機能していない訳ではなく・・・・

早速「WI取引が有効に機能していない」というお話が出てきそうですが、今回はまぁ不幸な事故みたいな物でして、入札前のセカンダリー(というのも妙な表現ですが)マーケットで「入札を待たずして買い」という動きが投資家サイドから出てこなかったのが原因その1であり、前回の2年国債入札での入札前の業者間取引があまりにも絵に描いたように業者目出度し目出度しな動きになってしまって、なまじセカンダリーの気配があるので業者が安心してしまったのが原因その2。却ってサプライズを産んでしまいました。

強いていえば、入札前にセカンダリーの板が存在する所から、とりあえず「ショートカバーの為に必要な応札分」をどこに入れるかという事を悩む必要がないというのも、今回のように外部環境が読みにくい入札での応札額が減った原因かもしれません。セカンダリーの板が見えるということは、「まぁとりあえずここに入れとけば良いでしょう」というのが以前より読みやすくなる(特に償還が延びてイールドカーブをどう引いたら良いか読みづらい今回のような入札の場合)という効果があり、ある程度価格がわかりやすければ敢えて勝負をする必要もない訳ですから、外部環境が悪いと「忘れた頃にやって来る入札大流れ」が起きる事もあるのでしょう。


○これでWI取引への参加が控えられなければ良いのですが

それよりも懸念されるのは、入札前取引への投資家の参加が今回の入札大流れによって阻害されるのではないかというお話。昨今説明責任がどうのこうのと喧しい世の中でございまして、「入札前売買で買ったら入札が大きく流れた。これなら入札で買った方が良いではないか」となるのは説明がつきにくい話です。

WI取引が業者間で細々と行われるだけではあまり物の役に立たず、取引の厚みを確保し、業者の事前ヘッジを容易にするには「買い方」である投資家の皆様の参加が望まれる所であります。そんな中で一発目の大きな入札でこの有様では、「やはり入札前取引で買う事もなかろう」という悲しい話になるのが懸念されます。

恐らく、入札前から買い意欲旺盛な状況であれば入札前取引で買いを入れる動きがあって然るべきかとは思いますが、暫くは今回の入札大流れがトラウマになってしまう可能性も高いかと思います。ま、3ヶ月もすれば皆さんすっかり忘れると思いますが(^^)。

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「10年国債入札」(2004/03/02)

先週末からいきなり威勢良く平均株価が商い高を伴って上昇。債券相場は昨日は先物中心に下落して、Liffeでもまた下落しております。

後付けでGDPだの鉱工業生産だのというお話が出ているのですが、それにしては株式上昇、債券下落のタイミングが妙に遅れています。おまけに量的緩和政策の長期化と株価上昇というパッケージならば長期債がもっと派手に売られても良さそうなものですが、超長期債を中心に突如堅調な展開。いやはや、非常に悩ましい相場です。

本日は10年国債の入札が行われますが、とりあえず1.3%クーポンでアンダーパー入札になりそう(昨日の終値時点で1.295%)ですので目先の消化に懸念はあまり無いとは思うのですが、株価の威勢の良い上昇に対して債券下落が反応しだしたのが先週末からという事もありますので、「本当に大丈夫なのか??」という気にはなる所であります。

恥ずかしながら個人的事情を申し上げれば、株価が反転しだしてからも債券が全然下落で反応しないので降参した途端に債券相場下落。いつもながら相場は難しい限りでございます。いやはや。

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「相変わらずのカーブ乱高下」(2004/02/26)

先物の値動きだけ見ていると相変わらず「動意薄の中じり高」と言う相場なのですが、イールドカーブが日中に動く動く。5年VS10年のイールド変化比較でもチャートにして先物のチャートと並べると(んな面倒なことはしませんが)かなり目眩がするような結果が出てくるのではないかと思います。

先日も申し上げましたが、業者が投資家の売買をまともに市場に出してしまうという傾向の現れです。まぁ昨年の相場大暴落の修復相場が始まった9月あたりからこの傾向は始まっていまして、9月の初旬の相場戻り局面でも相当無茶なイールドカーブ乱高下が起きていたのですが、そのときは一応「今日はスティープニングの日」とか「フラットニングの日」という感じで動く事が多かったという印象がございます。

最近のカーブ乱高下に関しては日中にカーブの形状が思いっきり変化する所が強烈な所であります。先物の位置が大して変わらないのに5年と10年の位置関係が前場と後場で逆転しているなどという光景はごくありがちな光景になってしまいました。

マーケットメーカー疲労困憊の図って感じですが、どちらかと言うと疲労困憊ではなく無抵抗主義状態という所なのかもしれませんが。。。。業者間スクリーンに投資家のオーダーフローが見え見えに出てきてしまう昨今の市場状況は如何な物かと思いますのう。

てな訳で、激しく読みにくい相場が続いているのですが、正直こういう相場で真面目にイールドカーブ動向なんかを考えてマーケットメークをしても碌な事にならないので、実を言うと先週くらいから真面目に考える事を放棄しつつあったりもします。困ったもんだ。

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「WI取引無事開始」(2004/02/25)

散々悪態をついていたWI取引ですが、法的な穴はさておきまして、取引の方は無事に始まったようで大変結構であります。

○開始のタイミングは一番良かったようで

今回の10年WI銘柄は既発債から償還が3ヶ月延び、おまけに30年国債入札というイールドカーブに思いっきり影響を与えるイベントがございましたので、イールドカーブに対する見方が微妙に反映されるような板気配になりました。導入のタイミングとしてはこれ以上ない絶好の時でありまして、散々法的な穴について悪態をついておりましたが、時期設定に関しては手放しで絶賛させていただきたいと存じます。

既発の10年256回、257回債の複利が同イールドで売買されている中で、10年WI銘柄は、既発債からの複利スプレッドが当初3BPちょっとから3.5BPちょっとという感じでやや売り込まれる形になりました。ちょうど30年国債の入札がボロボロな上に結果発表後に新発30年債に投げが出ていたこともあり、イールドカーブがスティープニング圧力がかかった事と平仄を合わせる形でしたので、まぁ目出度し目出度しって感じでした。


○まぼろしの好需給崩壊(か??)

1月発行の新発10年債がリオープンになりましたが、この時は「セカンダリーマーケット見え見え」という状態だったので、業者としても「好需給を演出する割高入札」→「セカンダリーマーケット好発進」→「発行体も業者もウマー」という毎度お馴染みの展開を進める事が出来ませんでした。

という事が有った時に「WI始まったら入札で儲かりませんな〜」なんて書いた覚えがございますが、その後の20年国債入札でもリオープンだったせいか入札はそこそこでしたがセカンダリーでの売買はどうも低調という動きになりまして、「景気のいい割高入札」って感じになりませんでした。

さて、今回のWI取引なんですが、何せ入札1週間前でございますので投資家様が買いに来る訳はなく、業者だけでやっている状態ですからどうしても業者間でのビットは割安(と思われる)な所にしか入らない傾向があるようでして、どうも今の所はやや割安な所での出合いが目立つようであります。

まぁある程度割安になれば買いも入るのでしょうが、これでは今までの「まず割高入札から入る」という新発債のパターンと思いっきり逆になっております。まぁ正常な姿に向かっているという所なんでしょうが、今までやっていた「割高入札で演出された好需給」が実は「底上げされた好需給」だったという事が露呈しつつあるのがWI取引導入のメリットというかデメリットというか。

10年国債入札が月初に行われる関係上、10年WI取引のスタート時点では、月末跨ぎの取引になってしまいます。クーポンが確定しない段階での売買取引なので会計処理の問題が若干あるのと、間違ってWI取引が「取消」になった場合(しつこいね。あたくしも・・・)の会計処理問題がややあるので、どうしても月末跨ぎのポジション保有というのは投資家さまにおかれましては消極対応って事になると思います。

投資家の参加がなければ必然的に業者主体になりまして、余程勝負する気なら別ですが、敢えて割高な所をセカンダリーマーケットで買いに入る必然性もないので、WI取引はやや割安になる。という事になるのでしょう。そのうちに「割安ならば入替ベースで買いましょう」みたいな投資家さまが出てくるとは思いますから、そんなに懸念する事ではないですけど。

そんな訳で、入札前のセカンダリーマーケットがスタートすれば、入札で極端な割高入札や割安入札がなくなって結構な状態になるかもしれませんが、「セカンダリー見え見え」状態ですので、「底上げされた好需給」部分が剥落した入札になるんでしょうね。


とか書いてますが、入札当日の前場にいきなり10年WI銘柄を先回りして買うような困った大手投資家様が出てくるかも知れず、実際の所は来月の入札日になってみないと判らないといったところでございます。


おまけ:30年国債入札

昨日は「所詮一部の人たちがやっている債券ですから」などと悪態をついていたのですが、前場から長期債(10年だか20年だか判りませんが)に買いが入るという余計な展開になってしまった為、入札に妙な期待感が出てしまった結果がボロボロ入札という事になってしまいました。

で、イールドダッチ方式の入札なんで、皆様とっても割安なコストでの落札になった筈なのですが、いきなり結果発表後新発債叩き売りの図。まぁ誰かが投げを誘う為に売り仕掛けしているのかも知れませんが、あまりにも情けない結果でありました。

何度も申し上げてますが、イールドカーブの一番後ろの債券が一番流動性が無いというのは如何な物かと思いますけどね。あたくし的には30年をもっと派手に増発するか、あるいは20年と統合するとか。何とかならないものかと思いますが、訳の判らない債券があった方が収益チャンスがあると考える人もいるので話がややこしい訳ですね。

セカンダリーマーケットの流動性と透明性向上こそが国債の売買円滑化に繋がり、最終的には国債の安定消化にも資すると思っておりますあたくしとしては、こんな訳のわからん債券は何とかして頂きたいと思う訳ですけど。。。

大体10年が1.2%で20年が1.8%なのに何で30年が2%(結局崩れて2.1%になりましたが)ですか??と思う訳であります。20年の上値が重いのは毎月5000億円攻撃が徐々にボディーブローのように効いてきていると言う事なんでしょうな

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「相場雑談」(2004/02/24)

今に始まった事ではないですが実に訳の判らぬ相場が続いております。昨日の相場を振り返りながら雑談的に。

○謎の長期国債買入オペ結果

昨日行われました長期国債買入オペ。買入予定額3000億円に対しまして応札が何と3725億円という少なさ。記録をちゃんと見ていないので何ともいえませんが、最近では極めて少ない部類に属する応札額でした。当然ですが落札結果もテールが流れて、前日比+0.018%まで買入決定と相成りました。

昨日の買入オペ応札時点での債券市場から考えますと、9年以降のゾーンや超長期ゾーンなど応札する玉が無かったとも思えない(何せ前場引けの時点では9年ゾーンで+0.025%の売り注文が平気な顔をして並んでおりました)のですが、この応札意欲の低さは何だったのでしょうか。

と言うことでまず最初に考えるのは「業者間にはオファーが並んでいたが実はそんなに売り玉が無かった」というお話なのですが、後場になってから(3000億円の買いが有ったのにも拘らず)長期債や超長期債が前場よりも安くなってしまったという事から類推すると、売り玉が枯れていたとも思えません。後場に長期債に売り(多分出ていたのは超長期かと思いますが)が出ていたのも影響しているとは思いますが。

そして昨日のオペについては平均落札利回りは+0.025%となっていました。平均利回り自体は割と普通の水準でしたので、逆算すると「最初から落札する積り」の札が2500億円くらいはあったと思います。そう考えますと昨日は「入ればラッキー札」が殆ど無かったというお話になる訳です。

業者のやる気がうせているのではないかと心配ではあります。


○業者間取引にまともに出てくる顧客の動き

今に始まった事ではないのですが、最近益々その傾向に拍車が掛かっております。昨日の債券相場におきましても、イールドカーブがよく動くのですが、最近「何でこのタイミングでこういう動きをするのでございましょうか??」と言いたくなる動きが目立ちますな。

特に恐るべしという印象を受けたのは昨日でありまして、上記のように「長期債が前場の引けで3000億円、しかもかなり高いところまで買われたはずなのに何故か後場に長期債ボロボロ」というのは驚きというか呆れ果てるというか。

原因としてあたくしが勝手に考えているのは「業者が相場観を持たずに臨んでいる」という事ではないかと思います。「投資家が売買する」→「業者がそのままマーケットでカバー」→「向かった業者結局が振り回される」→「振り回された業者が反省して向かわなくなる」というようなトホホな循環が起きておりまして、特に現物債の対顧マーケットメークをやっている業者がへろへろになっているようです。

そんな訳で、最近は下手をすると先物の動きよりもイールドカーブの日中の動きの方がでかい時があったりする状態。日中に突然カーブがスティープしたりフラットしたりと実に香しい状況でして、実に困ったものです。マーケットメーカー疲弊中ですな。


○ところで円安を舐めてはいかんと思うのですが

まだ考えが纏まっていないのでざっくりと書きます。先日「そこはかとない不安」などというお題で雑感を書いた状況とあまり変わっていないのですが・・・・・・・今の相場環境を俯瞰した場合の「前提条件」の一つに「アジアというか日本(と中国)の為替介入名目での米国債買い支え」というのがありますわな。これが米国の低金利株高という素晴らしい流動性相場を支えている面が多分にございまして、何だか謎なんですが日本の量的緩和政策が米国の財政ファイナンス経由で日本に恩恵がやってくるという不思議な「緩和効果」を生み出しております。

で、この円安というかドル高にきっちりと反応しているのが米国長期債市場だというのがまた楽しい物を感じるのですけど、まぁ兎に角米債市場のほうが余程素直に反応しているということでしょうか。今朝はドルの巻き戻し(が原因かどうか知らんが)で米債反発となっているようですな。

ドル高→米長期金利上昇→ますますドル高というような話には直ぐになるとは思えませんが、どうも円債市場はこの為替動向には(警戒はしているかもしれませんが)もうちょっとナーバスになったほうが良いのではって感じですわな。どちらかというと株価に反応して動いているようですから。

先週金曜日の「ドル高にもめげずに債券高値引け」には正直驚きました。



○30年国債入札

まぁ一部のマーケットメーカーと一部の投資家様が局地的に売買しているという債券のようでして、まぁ何とも申し上げにくい商品なのですが、とりあえず先週の入札以来上値の重い展開が続く20年新発債が復活する為にはこの30年債がある程度確りしてイールドカーブがフラットニングしていかないと厳しいでしょうな。

月末恒例のパッシブ長期化ってのに期待が掛かってはおりますが、最近の傾向としては、インデックスが比較的長くなる月の方が「長期化に期待したポジション」が作られやすくて却ってヘロヘロになるというありがちなパターンが継続しております。と言う訳で、とりあえずあまり注目しても仕方無い債券ではありますが、落札結果発表後の20年、30年の動きは一応見ておくと吉かと。

これが終わると2年債をやってから来週にはもう10年債。慌しいものでありまするな〜。来月の10年債は償還が3ヶ月長くなるので、そこそこニーズは見込めると思いますよ。

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「債券相場に対するそこはかとない不安」(2004/02/20)

主観まるだしの債券相場への印象って感じです。他にもネタが無いわけではないのですが、「何となく」今書いておきたくなったもので・・・・・・・


○実質はどうでもよいが名目も

先日発表されたGDP。案の定と申しますか、出た数字があまりにも実感から乖離しているせいか「GDPデフレーターの算出方法に疑問点がある」という話がコンセンサス化して参りました。ということで、まぁ実質成長率に関しては眉に唾をつけて読むというお話だと言う事については皆様同意しています。

ところがど〜も実質成長率が眉唾だという所で思考が止まっている債券市場関係者もおいでのようでして、債券市場は10年債を中心に買われると言う展開。昨日の相場でも一部の投資家様による押し目買いって奴が入っていたようです。前日に急反発した後にほんの1BP安くなっただけで押し目買いというのは何ざましょって感じではありますが・・・・・・

もと理系のあたくしと致しましては、昨今のGDPに関する議論が「実質GDP」→「デフレータ−」となって、「名目」に関するお話があまりないというのが実に???な訳でございます。経済現象としてまず直接計測しているのは「名目GDP」であるわけですから、最初に問題にすべきは「名目」ではないかと思いますがね〜。

先日の岩田副総裁の記者会見でもGDPに関する評価を質問されて「実質成長率」→「デフレータ−」という感じで話をしてますが名目に関しては何の言及もございませんでした。何だかな〜。

で、ここで名目GDPの推移なんかをグラフにすると格好良いのですが、そいつは省略。要するにあたくしが思うのは「名目GDPのプラス」っていうのをすっかり忘れて「実質の高成長は当てにならない」という所ばかりに注目している感のある債券市場ってこの調子で大丈夫なのでしょうか???って事です。


○日銀副総裁が堂々と語る「リフレ」

昨日ご紹介した岩田副総裁の講演とその後の記者会見要旨。詳しいご紹介は時間と文章量の都合上改めて行いますが、講演で「本年は80年代からの世界的ディスインフレが終息してリフレーションの時代に転換することが予想される」と「転換」の宣言。

量的緩和で世界(正しくは宗主国様)にばら撒く過剰流動性が色々と効果を発揮しているようで、米国の金融市場なんぞも随分過剰流動性相場って雰囲気を醸し出しているように思えますな。

基本的に「リフレーション」的な政策には伝統的に否定的な日銀で、外部出身の副総裁とは言え、現役の副総裁がリフレーションを語るというのはやはり気にしておいた方が良いかと思うのですが。実権はなさそうなお方ではありますが、理論的背景は強固ですから、政策論議って事になるとそれはそれ。

しかし何ですな。このお方記者会見でも(詳しくは後日ご紹介しますが)『デフレ克服については、国内だけではなくアメリカやヨーロッパの内外の経済学者がご提言されている。』とご託宣を下さっておられますが、日本の国内経済事情をどの位把握して提言しているのか良くわからん海外の経済学者のご提言を有りがたがるというのは非常に何と申しますか(自主規制)でございますな。洋行かぶれではない経済学者っていないのですかね〜。


○一次産品の値上がり

という話はあちこちでちょっとずつコメントされておりますし、現象面でも現れております。先日の岩田副総裁の講演でも「川上から川下への価格上昇」という表現でコメントされています。

おまけに国内では天候不順で米価は上がるわ、鳥はインフルエンザに罹るわ牛の脳味噌はいかれるわと言う事で食料品価格も上昇するわと言う事で、まぁ何と申しますか、少々不気味なものを感じる訳であります。

雇用者所得が相変わらず横ばいな上に将来の雇用不安は続くって状態な所で物価だけ上がられてもあたくしのような小市民は困ってしまいますけど・・・・・


○おまけに謎のドル反発

昨日にユーロが対ドルで新高値更新してからいきなりドルの巻き戻しモード。今の所は「ドルの戻し」という動きになっているのでとりあえずは綾戻しの段階なんでしょうけれども、このドル反発」が「円安」方向に向かう。即ち「日本が財政を発散させながらリフレ政策を取るので通貨安」というロジックになった場合は洒落にならんと思う訳です。

財政発散は絶賛継続中ですし、日銀副総裁まで「リフレーション」などと言い出している訳でして、そうなりますと通貨安から来る輸入インフレってのも懸念される所。前回の円安局面では中間マージンの減少という形で最終物価への転嫁が行われなかったと(非常にざっくりとした雑な話で恐縮ですが)思いますが、仮に次に円安局面がきた場合にそのままですむのかは疑問ですよね。

おまけに、上記のロジックでの通貨安って事になれば金融資産の海外流出も懸念されますしね。


○まとめにならないまとめ

と言う事で、目先の話やら長期的な話やらごちゃまぜであまり話に一貫性が無かったりしまして恐縮なのですが、ど〜もなんというかそこはかとなくこの相場に違和感があるわけですよ。あと現象面と言うことで気になるのは

・今更こんな所で能動的かつ結構な規模でポートフォリオの長期化をしている(やるならもっと前にやれよ・・・・・・)お方がいるような節が見られる。

・「10−12月期のGDPで景気は一旦ピークアウト」といって債券に妙に強気になっているお方がちらほら見受けられる

などなど、あまり詳しい書き方をするのは自主規制させていただきますが、何と言うか「え〜、何で今更カンカンの強気なの〜」っていう動きが垣間見られるわけなんですよ。これがまた。

と言うことで、どうも強気になれないあたくしでありました。


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「ボディーブロー」(2004/02/12)

○不思議な入札前後の動き

火曜日の5年国債入札。前場はやたらと5年ゾーンが重そうにしていまして、前場の引け段階では既発の5年33回債を初めとしてやたらめったらオファーがありました。新発債と同償還になる33回債で0.48%に500億以上の売り注文が置いてありました。

しかし、毎度お馴染みのパターンと化している動きなので、既にプライストークの始まった段階から「100円9銭(0.48%)は入るんですかね〜」という状態になっておりまして、結果はプライストークよりもやや強めの100円11銭(0.476%)の平均落札で最低落札は10銭(0.478%)と言うことでして、世の中もう1銭上に結構な応札があったと言うものになりました。オファーサイドの向こう側を買いに行ったのね。


さて、こういう入札になった場合というのは「入札絶好調で相場大爆発」と言うのが普通で、ごく稀に「入札で梯子を外されてヘッジ売り出まくり」になると言うのが今までの相場パターンでございました。前回の10年や20年入札でも一応入札を機にフラットニング(直ぐに戻り売りでスティープニングしちゃいましたが)していたのですが・・・・・・

今回の入札では落札結果発表後に新発債が(入札自体は堅調だったのにもかかわらず)ショートカバーらしき買いが入るでもなく、ヘッジ売りが目だって出るでもなく、債券先物は少々値動きをしていたものの、現物債の気配は見事な膠着状態になってしまいました。

まぁ店頭で新発債が売れていない(あるいは売れていても既発の中期債に売りがきているのかも知れませんが)のですから、先物にヘッジ売りが入っても良さそうなものなのですが、先日来皆様指摘しているように先物は売りにくい。ど〜せ0.5%まで下がれば売れるのだから、下がりだしてから考えれば良いっすね。ってな感じですので益々誰も先物ヘッジを行わないという状況に陥っております。不思議な相場です。


○背景は何でしょう

昨年11月に初めて「全部の入札揃い踏み」というのがありまして、その時は(ちょうど総選挙もありましたし)やたらと「需給悪化」を警戒して事前にヘッジ売りのような動きになって債券相場はやたらと弱含みになりました。

結果は全ての入札をそこそこ順調に消化し、入札後の需給も悪くはないというものになりまして、「何だ、大丈夫じゃん」と言う事になりましてその後は「入札のイベントリスク」というような言い方もされなくなって参りました。

しかし、冷静に考え直してみると、需給というのは入札ラッシュが恒常化してきてから次第に悪化していくものでして、11月以降の超長期国債増発がボディーブローのように効いて来ているということなのでしょう(相場水準事態は上昇していますから、世の中全体で売りが多い訳ではなく、業者の現物ポジションが重くなっているだけなのではありますが)
かね。

まぁどこかで相場を下げて調整するしかないとは思うのですが、変な所でパッシブ系の買いが入っちゃうので中途半端な動きになっちゃうんですよね。


○で、気になるのは先物

先物の建玉は相変わらず高水準。火曜日は後場寄り付きに2500億ほどのクロスがはいっていまして、建玉も3400億ほど落ちていましたがそれでも7兆円という建玉水準。おまけに先物の値幅が碌に無い相場なのに先物オプションのボラティリティは不思議と下がりにくく、おまけに138円50銭などの先物オプションの建て玉が妙に高水準。

先物の妙な底堅さには銀行ALM系のスワップヘッジの戻し(固定金利受け)も一役買っているというお話だそうですので、逆にいえば債券相場が下落すると、またALMの自爆テロじゃなかったヘッジが入る可能性も否定できず、先物オプションの妙な動向と重ね合わせるとどうも気になる所ではあります。

だいたい債券先物の建玉だって両建てにしておけばたいしたコストも掛からずに高水準の建玉水準を演出できるわけでして、このまま現物債のポジションが重い状態が続いた場合にはどこかで先物中心に相場が叩き落される展開があっても然るべきかな〜とは思って少々警戒しております。


しかし何ですな。「消化に問題はない」って言ったらまたも消化に時間のかかりそうな展開になっている5年国債。困ったものですな>自分

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「益々支離滅裂になる相場/5年国債入札」(2004/02/10)

○益々支離滅裂になる相場

相変わらず昨日も債券先物独歩高。先物の値動きだけ見ていますと債券相場はじり高の堅調相場なのですが、現物の動きを見ていると全然違う相場が見えてくるという傾向(以前にも指摘しましたが)に益々拍車が掛かっております。

10年入札の翌日の前場に「入札好調でフラットニング」をやってしまい、ポートフォリオの中で半年(高値つかみ玉に加えて6月以降の暴落でナンピン買いをしたロークーポン物ですね)塩漬けになっていた漬物債券が息を吹き返すきっかけになってしまったのが不幸の始まりといったところでしょう。

相場が上がれば売りが来まして、追いかけて買いが来なければヘッジ売りが嵩んで投資家様の買い水準に達するまで下がるものなのですが、変なタイミングでパッシブ系の買いが入ってみたり、株式市場で平均株価が妙に下がってみたりと言うことで先物がとにかく下がりにくい。入札の翌日と昨日の引け値を比較するとまぁ実に悲しいものを感じます。

             2/4      2/9       変化
債券先物3月限  139.45    139.78    +33銭
20年65回債    1.810%   1.850%   +0.04%
10年257回債   1.280%   1.275%  ▲0.005%
5年33回債     0.480%   0.480%    変わらず
2年217回債    0.065%   0.060%   ▲0.005%

先物(=7年)が買われて20年が売られて、その他は変わらずというそんな変な事が起きて良いのでしょうかと言いたくなるような状況でごさいます。

引けだけ見ていても斯くの如しなんですけれども、日中の動きたるやもっと支離滅裂でして、先物VS10年のイールドスプレッド(という言い方は普通しませんか、ベーシスとも言いますが)が日中の先物の値幅並みに上下するという状態になっておりまして、各年限ごとに勝手に動いているという感の強い債券市場になっております。

まぁ冷静に考えれば、20年が1.8%〜1.9%のレンジ内で推移しており、10年と5年は1.3%と0.5%というそれぞれの節目を突破したもののヤレヤレの戻り待ち売りだらけ。2年新発債は需給がタイトでしっかりだけども、他の銘柄は同じく売りが出ているので需給極悪と言った状況になっているのが現状であります。

今までのパターンであれば、少々下落をすれば投資家様のお買上レベルに到達するので、業者の在庫も何とか救われるのですが、延々と戻り売りが出ながら相場水準がじりじりと切り上がっているので、ちょっとの押しでは皆様お買上にならなさそうです。困ったものですね。


誰かがヤケクソで10年あたりを一気に買い上げてくれれば相場の風景が変わるかも知れませんが、まぁよく考えれば円高進行も一服してますし、平均株価が軟調と言っても別に1万円割る事もなさそう(ちょっとだけ個人的には不安に思ってますが)ですし、長期債をヤケクソで買うのは言い訳がつきにくいでしょうな。

と言うことで、先物VS長期債という意味では、相場の上昇時においては相変わらずロークーポン漬物が出てくるので長期債は重いでしょうが、上記のようにちんたら上げつづけた相場ですんで、ちょっと下がったからと言ってそう簡単に投資家様の買いが入るとも思えません(パッシブの平準買いは除く)です。総合しますと相場上昇時も下落時も、当面は先物VS長期債でのフラットニングは期待薄でしょうと言うのが結論。

#そういう結論を出すと外すのですけど(自爆)


○5年国債入札

そんな状況で5年国債の入札を迎えるのですが、これだけ散々ヤレヤレ売りがでている相場ですので、その資金の一時退避場所のニーズはある筈。今回の5年債は大変素晴らしい事にリオープンにならない可能性が高い(今日暴落すれば話は別ですが)ので、皆様のポートフォリオの中での「空き銘柄」になる訳でございます。おまけに中期債と言うことですから、絶好の資金退避債券として利用されるでしょう。

とまぁそんな事を考え、5年債のレンジが0.45%〜0.55%という状況で昨日のレベルがまぁ真ん中に近い(やや高いが)所にあるので、手も出し易いかと思います。まぁ消化に問題はないでしょうな。

と楽観的なことを言ってますが、昨日の日本相互証券の5年33回債引値がどう考えても完璧なオファーサイドになっている所が気になる所だったりもしております。入札前日なのにわざわざ強い方に引け値を設定すると言うのは、業者のポジションがそれだけしんどいことを意味しているとも言えますので。

資金退避債券、実は2年債がそれだと言う説もありますしね。

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「ますます変な先物」(2004/02/06)

連日の先物独歩高。先物がやたらと強い理由としては、現物債に戻り待ちのヤレヤレ売りが出ている事に加えて、上を買いに行く投資家さんの動きが乏しく、とは言っても下を叩いて売る投資家さんもいないので、売っても相場を取れない。というややこしい状況が背景にある所までは理解可能ではあります。しかし現物債がやたらと重いのに先物は連日じりじり上昇(ここ2日は加速しつつありますが)するというのは、株安が背景にあるにせよやややり過ぎの感もいたします。

そんな債券先物ですが、一昨日には久し振り(殆ど1ヶ月ぶりだと思います。実は一日だけ手元の記録が欠落してるもので、汗)に先物の建玉残高が減少しておりましたが、昨日はまたまた建玉残高が増加して、速報ベースで7兆2131億円となっております。イカサマ両建てもあるとは思いますが、それに致しましても「ようやるわ」という感じであります。

で、それはそれと致しましてもっと驚きなのが期先の6月限の建玉でございまして、こちらは昨日何と前日比545億円減少して、速報ベースでは3182億円となっております。

この時期、期先限月には通常の板気配は入っていませんで、限月間スプレッドを利用した取引が行われます。で、まぁ期先限月単独での普通のアウトライト取引が殆ど出来ないので、建玉は基本的にはロールオーバーの分と言うことになる筈です。そんな訳でして、こんな時期にいきなり期先限月の建玉が減少するという事は通常起きないのですが・・・・・・

今回に関しては(以前から皆さんが指摘されておりますが)限月感スプレッドの売買が早い時期から妙に活発に売買されておりますし、どうも期先を絡めているのかチーペストを絡めているのか良く判りませんが、色々と先物で策謀をめぐらせている人がいるようですな。

そんな事も気になりますので、中々債券先物のヘッジ売りがやりにくいという認識が広がっております。よって、本日のように外部環境的にちょっと売られそうで、おまけに週末ときているような時には思わぬポジション調整に注意が必要かもしれませんな。


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「強いには強いのでしょうが何だかわからん」(2004/02/05)

昨日の債券相場、「また外れか!」ってな感じで膠着ではなくさっくりと上昇してしまいました。われながら情けない・・・・・

まぁ債券市場は全体で言えば上昇。債券先物の値動きだけ見ておりますと「下値を切り上げながらじりじりと上昇」というように見えるのですが、イールドカーブという観点で見ますと連日激しく乱高下という感じであります。昨日もまた日中の動きが結構強烈でありました。

昨日は朝一番から10年、20年ゾーンが引っ張って相場上昇という絵に描いたようなブルフラット。ところが後場途中からいきなり長期ゾーンが失速してしまいまして、債券先物が139円35銭〜40銭で膠着している間に見る見る10年ゾーンが弱くなりました。相変わらず先物と連動しない現物(イールドカーブの形状が変わっているのだから当然ですが)の動きはマーケットメーカーとしてはしびれる相場の一言に尽きます。

そんな訳で、昨日の相場は「10年債が最初強かった(=買われた)けど終わってみれば弱い(=売られた)」という事ですんで、あまり雰囲気が宜しくはありません。20年ゾーンなどの超長期ゾーンが堅調で、相変わらず先物が強く、とりあえず相場全体は上昇しているので、強いには強いのでしょうが、何ともいえない所です。

入札のあった10年ゾーンだけについて言えば「投資家さんの買いが来たので調子に乗って(より儲けようとして)気配を強くしたら戻り待ちの売りを食らってとほほのほ」という感じだったのでしょう。過去の不良在庫である「戻り待ちのロークーポン債券在庫処分市」は1.3%割れ水準から急速に多くなってきた印象です。

さて、本日はどうなるのでしょうか?まぁ今日も強いのではないかと曲がりが入神の域に近づきつつあるあたくしは正直に思うのでありました。まぁ相場観外しても儲けりゃ良いのですが、ディーラーは。


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「10年国債入札を受けて」(2004/02/04)

昨日の10年国債入札、今まで散々10年ゾーンを弱くしてきた反動もございまして、前場から10年ゾーンに買いが入るという久々に見る展開になりました。突如株価指数先物に仕掛けのような売りが出て10500円を突っかけにいったのもサポートという感じでした。

ま、入札結果自体は前場引け時点でのオファーサイドを買いに行くような感じで、まぁ普通と言えば普通。落札状況もまぁ穏当な結果で、どこかが派手に行ったというような感じでもなく、ニーズがあるのかショートカバーなのかわかりませんが。

で、とりあえず10年債は強くなったのですが、その間に5年債には売りが嵩んでおり、両方の綱引きによって(?)先物は前日比1銭高。債券先物だけを見ていますと連日じり高なのですが、10年や5年の水準は上がったり下がったりという相場が続いております。


本日は、その入札と言うとりあえずでかいイベントが終わり、米債が上昇しておりまして、何となく強くなりそうな相場。今まで10年の1.3%割れを何回もやって、「今度こそ買いか」と思わせておいて「また戻り売りか!」という結果が続いておりましたが、今回はどうなるのでしょう。入札直後の相場で戻り売りモードにならなければ「行けるかもしれない」と言う感じになるのですが・・・・・・・・

上を買う人が現れないと、またまた10年1.3%台前半での超絶的膠着相場になってしまうでしょうな。5年については既に0.5%割れはかなーり厳しい状態ですし。

相場観を書くときっちり外す日々が続いているので、折角ですからご参考までに正直に書くとしますと(自爆)、「今回も結局は膠着」ではなかろうかと思うのですが。


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「不気味な先物」(2004/01/29)

最近ずーっとそうなのですが、とにかく債券先物がやたらと強い日々が続いております。特にこの数日は相場の位置が10年の1.3%割れだとか5年の0.5%だとかという水準にいる為なのか、現物債の売りがやたらめったらと出ておりまして、業者の在庫がかなり重くなっています。

パッシブ系のまぁ機械的に購入するお方の買いしかない相場の位置にいる状態で、ここぞとばかり現物債を気合を入れて外しに掛かっていると思われる大手投資家さま(誰だか良く判らん。中期はどこかの大手銀行さんだと思いますけど)の売りパワーで業者在庫過多状態。で、現物債在庫が重いとどうしても先物にヘッジ売りを入れないといけません。

先物に業者のヘッジ売りが嵩むと言う事は、在庫を外した時に先物買戻しの動きが起きるので、ちょっと下がるとすぐ買い戻しがはいる訳なんですけど・・・・・・・・それにしても先物強すぎです。

この限月の先物はここへ来て「買戻しがやたら入り妙に強い」という現象の他、「今月に入って建玉残高が妙に増えている(東証の速報値ベースで月初残高50925億円が、昨日現在65774億円と、延々とレンジ相場となっているのに何故か増えつづけている)」とか「限月間スプレッド取引が早くから板が揃っている(具体的なデータ取ってませんが)」とか色々と妙な現象が見受けられます。

こういう現象の裏にど〜ゆ〜事があるのかと言われると、これがまたあたくしは何だかよく判らんという情けない状態なののですけれども、とりあえず「先物3月限は何とも不気味ですな〜」という意味不明なコメントと相成るのでした。役立たずもいいとこでスイマセン。


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「債券先物139円は通過点か?」(2004/01/19)

金曜日に割と強気な相場コメントをしたら超久し振りに大当たり致しました。何でこんな外部環境で強気相場になるのか理解に苦しみますが、これはもしかしてもしかするとレンジ相場遂にブレイクかという感じもする訳でございます。

で、お題のお話になる訳ですが、某識者の方が「債券先物139円台での引けって殆どないですな〜」という指摘をしておりまして、言われてみれば・・・・・・ってな所です。

○昨年は通過点でした

あたくしの手元にあります手控帳によりますと(と言う所が情けないのですが)、昨年1年間で債券先物が139円台で引けたのは7月3日、7日、8日と8月18日の4営業日となっております。言われて帳面パラパラめくっていてある意味感心しちゃったのですけれども(^^)。で、この2回の債券先物139円台なのですが、どういう事になっていたかと申しますと、

7月3日→長期債中心に相場が急落した6月からの債券相場暴落第一弾の真っ最中。10年国債の入札がテール90銭という大不調入札で、前日比163円も下落した日。

7月7日〜8日→4日に某機関投資家によると言われる強力な買いで下落のピークをつけた相場が反発。あまりにも下落と上昇が派手だったので利食いが出て緩んだ日。翌日からは戻り相場になりました。

8月18日→中期債を中心に売りが出て相場が崩壊した債券相場暴落第2弾の真っ最中。日経225が引けベースで10000円を回復した日でもあります。前日比89銭下落した日なのですが、翌日は133銭下落とまさしく通過点でございました。

てな状況(あたくしの手控記録ベースですので、間違っていたらゴメンナサイ)でございまして、この位置ってぇのは実に居心地が悪いようですな。先物の価格だけを単純に比較するのは正確性において少々問題があるのですが、まぁ非常にざっくりとした話として考えますと、理由不明ながらこの139円台というのは相場の通過点だと言うことになるのでしょうな。


○株高+債券高??

何となく平均株価の動きと関係なく動くようになってきました債券市場。短期金融市場での資金ジャブジャブ状態と呼応した感じでの相場上昇という雰囲気が何となくする所でもあります。

中期債に売りが出て相場が崩壊した昨年の8月後半以降、2年新発債が0.1%を上回る状況が続いていたのですが(8月18日が最後の0.1%割れなんですけど、これがまた)、先日も指摘したように、最近は2年債が0.1%割れ状態を続けております。中短期債を中心に相場の堅調さが維持されていると言う事でして、もしかしてもしかすると債券相場崩壊第2弾の逆をゆっくりと始めたのかも知れませんな。

とは言いましても、外部環境的にはどこからどう考えても金利が趨勢として低下するとは思えない訳でして、仮に相場が目出度く(かどうかは知りませんが)戻ったとしても、その戻りは「債券相場暴落第1弾」の後の戻り程度ってことでしょうか。

良く良く考えてみれば昨年債券市場下落は景況感の改善、と言うよりは単に株式市場の戻りなんですけど、まぁ景気回復をテーマに長期債が売られて始まったものでして、その後の中期債売りでの下落は過剰なまでに金融政策変更の可能性を織り込んだ下げと言う意味では、余計な下げでもあるわけです。と、そんな屁理屈を捏ねれば、今回の債券相場の戻りも違和感がありながらも正当化出来たりする訳です。

勿論、その背景には円売り介入によります資金大余剰状態というのがあると思うのですけれどもね。


○ところで金融政策決定会合ですが

金融政策決定会合です。円売り介入のサポートの為に当座預金残高目標を屁理屈をつけて引き上げるという荒業が起きる可能性は無しとは言えませんが、常識的に考えれば何もないと見るものでしょう。物価に関する見方をどうするのかというのが難しいお話でして、先日も鉄鉱石の輸入価格引き上げのニュースがあったり、鳥インフルエンザが流行してみたりとCPIに色々と影響しそうな事があちこちで起きているのをどう捉えるのでしょうな。

一応、現在の表向きの政策の枠組みは「消費者物価指数が趨勢的に前年同月比プラスとなる」事を持ってデフレ終了と認識するようです(実態は円売り介入の為に当座預金残高目標を累増させているだけのようですが)ので、そのあたりの議論がどうなったかというお話に関しては要注意。

散々強気の話をしておいて何ですが、時間軸への信用が薄れるとまた悲惨な相場が待っている訳ですので、その点だけは要注意。まぁ日銀も馬鹿ではないのでそんな事はしないと思います。


って書いている所でふと思ったのですが、所謂「ディマンド・プル」型のインフレならば金融引締めの意味もあると思うのですが、「コスト・プッシュ」でデフレが解消されて金融緩和を終了(今の量的緩和を終了させると相当の引き締め効果があると思いますよ〜)したら只のスタグフレーションになってしまうんじゃないでしょうかね〜。よー判りませんが。(後日注記:ここのところは何を言ってるでしょな>自分・・・・・言いたかったのは「コストプッシュ」というよりは「モノ不足」ということかと)


と言う事で、本日の債券市場もまた注目と言ったところですな。


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お題「強気相場の復活か、それとも・・・・・」(2004/01/16)

連日同じ話というのもなんですので久々に目の前にある相場の与太話をば。

昨日は5年国債入札が実施されました。落札結果は事前のプライストークのコンセンサスらしき水準からきっちり1銭高い水準になりまして、市場観測では銀行系と言われる証券会社の落札が目立ちました。

平均株価が例によって11000円を前に力無く軟調モードになっていたり、米国10年債が4%割れと堅調だったりするのもあるのですが、入札という玉が放出される大イベントでも相場が下がらないとは恐るべしといった所であります。

○堅調な中短期ゾーン

最近2年ゾーンの国債がやたらと堅調になっております。2年物新発国債が0.1%割れとなり引き続き安定推移という状況は久々に(不覚にも手控えが無いので具体的時期書けませんが昨年の債券暴落第2弾以降久し振りって感じですから5ヶ月振り位ではないかと)見る相場でございます。

2年ゾーンといえば金融政策の変更でまともに影響を受けるゾーンですので、逆に申し上げれば2年近辺の金利水準を見ていると、市場が何となく考えている将来の金融政策を想像できると言う物であります。まぁ相場ですから理解不能なオーバーシュートをする事もあるんですけどね。

てな観点から2年金利が0.1%割れとなっている事を見ますと、市場は「時間軸の延長」を徐々に織り込みに来ているというお話になる訳です。物価に関るニュースを見ている限りにおいては、量的緩和政策の期間が延長されるようなイメージも掴めない所でして、まぁ相変わらず市場は先走りし過ぎじゃの〜と思ってはおりますが。

この2年ゾーン国債の堅調推移なんですけど、まさか平均株価が11000円を前に頭打ちになっているからとか、短期金融市場で資金不足月に大量に実施された円売り介入のせいで資金がジャブジャブになったから買っているなどという安直なる理由では無いと思いたい所ですな。

見極めには今しばらく様子を見る必要はあるかと思いますが、この調子で2年ゾーンの金利が安定推移するようですと、「時間軸の長期化」というテーマが浮上してくると思います。


○昨年のスーパー強気相場との違い

で、昨年も何気に時間軸の長期化などと言って強気相場をやっておりました。本来は時間軸の長期化っつーのは「イールドカーブを手前から順に潰していく」となる筈なのですが、ディーリング意欲(あるいは山っ気とも言いますが)旺盛の銀行勢(メガバンクだけではありません)の買い買いパワーが炸裂していきなり長期債やら超長期債やらが買われるというフラットニング相場になってしまいました。

今回はどうなるのかっつーのは実際に強気相場になって見ないとわからない(だいたい強気相場になるんかいなという気もしますし・・・・・)のですが、昨年と今年の違いは「新値を取りに向かっている相場」「戻り高値をつけに行っている相場」という点でございましょう。

今回は「昔に戻る相場」なわけでして、そ〜ゆ〜相場に非常にありがちなお話としまして「相場が戻ってラッキーラッキー♪」という過去の塩漬け腐れポジション復活に伴う売りってぇ奴が出て来るわけでござんす。まぁ昨日なんかもそうなのですが、節目に来ると長期債中心に売りがバカスカやってまいります(それでも相場が下がらないのが凄いんですけど)。

もう一点は当然ながら株価やら物価やらの動向であります。常識的に考えると、時間軸は若干伸びているのかもしれませんが、過去の強気相場時点で想定されていたような長さまで戻る事は有り得ないですから、そう考えますとやはり長期債やら超長期債やらに強力な買いが入るというのも無理がある想像でしょう。

おまけに申し上げれば、昨年の債券相場暴騰暴落祭りで「キャピタル狙い(とは投資家を名乗る手前死んでも公式には認めないでしょうけれども)の債券投資」をおこなっていた皆様(特に銀行業態。資金構造考えたら超長期国債なんて買えるのかよ・・・・・)が総員玉砕と相成りましたので(-_-メ)、今やテーマは「キャリー狙いの投資(の割には入替売買とか相変わらずですけどね)」となっている訳でしょう。


○ということで結論はブル(になるなら)スティープにならないかな〜と

キャピタルゲインを狙いたければ長期債なんぞを買うほうが効率が良いのですけど、そ〜ゆ〜投資はいけませんな〜という状況でありますので、今度強気相場になる(かどうかはまだ確定してません)とすれば、相場の流れは「ブルフラット」にはならずに「イールドカーブを手前から徐々に潰して行くブルスティープ」になるのではないかと勝手に考えております。

でも、相場って勢いつくとそんな小理屈が及ばなくなって、「なーに下がらないなら長期債買っとけや」みたいなノリになったりする可能性も否定できず。投資は自己責任でよろしくお願い致します(^^)。


皆様とっくにお気付きかも知れませんが、あたくしがこ〜ゆ〜感じで相場の見通しの話をすると、何かが憑依したのではないかと思うほどの外しっぷりが続いておる訳です。非常に恥ずかしく間抜けではありますが・・・・・・と言う事もご参考にされると吉かと、とほほのほ。

逆にいえばあたくしが当りだすというのはレンジ相場からトレンド相場に転換するって事なので(レンジ相場を苦手とするチャブツキが得意なディーラーっす)それもまたご参考に(^^)/~~


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お題「10年国債入札レビュー/その他」(2004/01/09)

他にネタが無いので本日もまんまの相場後講釈です。

昨日の10年国債入札。何故か入札前の前場から長期債に買いが入ってしまいまして、いきなり入札前に256回債が1.34%まで買われてしまうという、昔懐かしい「入札前から強くなる」という相場を彷彿とさせてくれる動きになりました。

しかし、所詮は上を追っかけて買う最終投資家は不在だったようで、入札の行われる直前である前場引けではほぼ前日比変わらずのレベルまで相場は押し戻され。入札の結果はほぼ事前予想通りでしたが、蓋を開けてみればこれまた買いがあまり入らずで256回債が景気よく買われるような展開はほんの一瞬だけ。

落札結果発表後相場が前場引けから高い位置にいた時間も殆ど無く、256回債が強くもならずと言うことでして、まぁぱっとしない入札でございました。新発債って言ったって、既に同じ銘柄が出ている訳ですから、まぁ追っかけて買う人はいませんでしたっつーことで。

入札後の動きで言えば、「相場が値持ちして最終投資家が痺れを切らして債券購入」VS「販売が低調で業者が痺れを切らして債券売却」の勝負でもあるのですが(^^)、今日値持ちするかしないかが勝負の分かれ目ですな。と言ってもとりあえず1.4%の100円で止まるので大して下げないとは思いますけどね。

で、これがまた問題なのは来週に5年国債の入札があることです。来週木曜日に入札があるのですけど、今週末3連休なので入札まであと4営業日。ちと強すぎだと思っていました5年ゾーンも弱いという状況でございますので、どうしても相場自体は上げ難い所ではありますな。

と言うような状況を見せ付けられてのあたくし的感想なのですが・・・・


○債券相場上昇パワー無いですな〜

昨年の前半のような相場状況では、入札が「種玉仕入れの絶好の場」というような状況になっておりまして(^^)、入札をきっかけに当該ゾーンに買いがわんさかやってくるという実に香しい動きが目立っておりました。

でもって今回の入札でも「夢よもう一度」的な買い(ではないと買った人は言うでしょうが、市場観測の手口から類推するとどう考えても・・・・・・)が入ったようですが、残念ながら(^^)見事に梯子外され状態になりました。

入札もあまりテールが流れなかったので、落札した業者のコストもそんなに余裕があるわけでもなし。やはりイケイケドンドンの債券相場というのは見果てぬ夢のようでございますな。


○WI取引始まったら入札で儲かりませんな〜

昨日も申し上げましたが、今回の入札はリオープン形式ですので入札前からそのものずばりが普通に売買されていた訳でございます。その結果ど〜ゆ〜事が起きたかと申しますと、「入札のレベルが誰がどう見ても見え見え状態」という状況が発生してしまいまして、その為(かどうかは知らんが)に入札のテールもわずか5銭(事前予想では平均落札価格はもう1〜2銭くらい下と言う感じでしたので予想よりはテールが長かったのですが)とガチガチの入札になってしまいました。

事前にそのものズバリの価格が見えているメリットが良く判る入札と相成りました。ここ数回の入札のように「入札が流れてそこで安値をつける」という動きにならないと言うことは、まもなく始まるWI取引によって「入札のイベントリスク化」(しかしこの言葉の使い方ってもの凄く変だと思うのですが、誰が言い出したんでしょう)が起きないということが非常に良く判りましたな。

しかしリスクが軽減されると言うことはリターンも軽減される訳でして、値段が見え見えの入札では「入札で上手に立ち回りひと儲け」ってな訳に行きませんので、ま〜益々つまらん相場になりそうですな。


とまぁそんなつまらん事を思いながら、あたくしもまた「まるで売れませんな〜」とブローカースクリーンを眺める昨日の相場でありました(^^)。



ところで、話は全然変わるのですが、報道によりますと先日設定した日銀の外債レポ枠が早速活用されるようですな。実に香しいお話でして、日銀の資金供給によって米国の財政赤字ファイナンスを行い、米国の株式相場上昇に繋がるという素晴らしいスキームが本格稼動と言う事でしょう。

おりしもナスダックが2100ポイント乗せと言うことで、朝から見ている某報道番組では、米国スタジオから奉祝モード一色という浮かれた雰囲気がよーく伝わってくる放送でして、ま〜結構でございますな〜という感じです。

かつて資産価格の上昇に目をつぶり「CPIは安定推移している」とか言い訳して金融緩和を長期間に渡って継続した挙句に、大蔵省と一緒になってバブル潰しに励んだ結果、悲惨な事が起きた筈なのですが、相変わらず反省が無いとしか申し上げようがございませんな。量的緩和を永久に続ける気なんでしょうかね〜??

と、思っておりまして、何と言うかあちこちまずそうな爆弾があるのを気にしながらもチキンレースは続くと言う事なのでしょうか。どうも景気回復を信じられないので見方にバイアスが掛かっているのかという気もしますが、いやはや何ともという所でございます。


しかし年初いきなり1週間っつーのは疲れますね。


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お題「10年国債入札」(2004/01/08)

相場の方は勝手に通常モードになってきていると言うのに、世の中的には相変わらず「新春賀詞交歓会(字あってますかね)」モードだったりする訳でして、ネタの無いこと夥しい訳です。

で、去年は何が起きたかな〜と思い、昔のドラめもんを眺めていたのですが、やはり年初って材料無し。でも材料の無い中で年初から(というか年末からその傾向は有ったのですが)超長期国債に大手銀行系の買いが入り、10年国債入札も絶好調モードというか過熱したのですな。今は昔のお話でありますな。。。

あんまり外部材料の無い中で10年国債入札が行われる訳なのでございますが、今回の新発国債は順当に考えれば12月発行の256回債リオープン。240回債以来のリオープンでして、実に1年5ヶ月ぶり(かいな。足し算すればよいだけの話ですが)の2ヶ月連続同クーポン。債券市場あまり動かんと言いつつも、意外に細々と動いていたっつーことでしょうな(^^)。

入札に関してのいろんな現在の状況を検討してみましょう。例によって無力業者のあたくしとしては、目を皿のようにして業者間スクリーンを見ながら人の懐具合を想像しております関係上、思いっきり推測に属する部分が多くなっている事を予めお断りしておきます。


○業者のポジション

もともと年末あたりから「やっぱ1.3クーポンは勘弁」という感じで相場全体が売られ出した辺りからリオープンを意識して業者は256回債を売りに回って来ていると思われる節がございます。

で、そんな感じで売りに回っていたら、年始に何と1.4%まで相場が叩かれてしまった訳でして、さすがにそこまで下がると買いも本格的に入る(正月あけという理由もありますが)という動きになりました。

おまけに昨日には日銀の国債買入が予定通り実施されて、投資家様の買いがあまり入らない上に、相場が上昇するとヤレヤレの売りが出てくる残存8年〜9年前後の長期国債の在庫処分も無事に出来たようでございます。

昨日は後場途中から元々投資家様の買いが入る10年ゾーンが何となく買い戻しモードになってきている雰囲気ですが、元々10年ゾーン、というか今回リオープンされる256回債をせっせとショートにしている業者がある程度入札に関して目処を付けて来たと言うことなのでしょうな。

よって業者のポジションは重くなく、その意味での懸念は小さい訳です。


○投資家様動向

年初に1.4%まで売られた256回債ですが、実はこの1.4%という水準をキープしていたのは発会日の大引けと、翌日の寄り付き後30分も有りませんでしたので、良く良く考えれば1.4%水準で相場が推移していたのはトータルで1時間も無い訳であります(^^)。

そんな状況で皆様が思ったように買えているとは思えない訳でして、一昨日以降の相場の戻りでもあまり売りが出てこない訳であります。却ってオプションがらみでのターバイやバイライトといったやや腰が引けた系の買い(^^)が散見されるような感じ。

今のところ上を追っかけて買ってくる人はパッシブというか機械的な買いというか、まぁお家の事情で自動的に買うようなお方だけなので、下がらないと新発国債が中々捌けない状況かとは思いますが、さほどの懸念はないかと思います。目先飛ぶように売れるとは全然思いませんが。

また、決算を意識した動きと言うものもそろそろ気にしないといけないのですが、短期化で来る場合もありますが新発への入替もニーズがあるわけでございまして、まぁ今のところはあまり気にする必要もないかと。


○外部環境

平均株価が11000円を超えて上昇トレンドに突入すると話は全然違いますが、その動きが直ぐに見られないのであればとりあえず10年金利の上限は平均株価11000円レベルで1.5%、と言いたいところですが、皆で1.5%を意識している時はそこまで下がらん訳でして、とりあえず1.4%が強く意識されるでしょう。

ドル円市場はあんまり材料にならないと思います。

金融政策に関しては、要人様がお正月モードで何の材料も無し。と申しますか、先日来申し上げました通りで、量的緩和政策が何故か米国の財政赤字ファイナンスにまでリンクするようになってきて、足抜けしようにもがんじがらめ状態になっている以上、目先金融政策は材料にならず。


と言うわけでして、株式市場が気になるのでそうそう昔のように威勢良く買うというわけにも行かないでしょう。


○その他特殊事情(^^)

リオープン発行というのは、応札する業者にとっては実にやりやすい商品でございます。なにせ同銘柄がとっくの昔に売買されている訳で、まさにWI取引状態。

ただ、難点は値段が見え見えなので、応札のリスクが少ない裏表って事ですが値付けがグレーな部分で上手い事立ち回って儲かるというチャンスが無い事でもあるのですがそれはまぁ兎も角。

応札のリスクが比較的少なく、環境もそんなに悪くは無い。と来ますと出てくるのは「国債市場懇談会メンバー狙いの応札」って奴でございます。リスクが比較的少ないのでノルマ達成には絶好のチャンスであります。

そういう応札が増えると割高入札になってしまうので、国債引受シンジケート団のメンバーに割当てられる分が割高になってしまうのよね。はた迷惑とはこのこと。


○総合すると

直ぐに売れるわけではないのですが、入札自体は堅調でしょう。ショートカバーで全部埋まる訳ではないのですが、まぁ今回は業者もそこそこショートメイクしていますので、売れ行きスローでも問題無いでしょ。

しかし何ですな、1.4%クーポンの10年債って無闇矢鱈と発行されているんですけど、やはり見慣れた位置って感じなんでしょうかねぇ・・・・


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「今年の相場のテーマを愚考しつつ」(2004/01/07)

昨日の債券市場もまぁ訳の判らん動きでしたが、要するに年末年始にお休みしていた人がここぞとばかり買いに来たので、いきなり年末のレベルまで相場が戻っちゃいましたという事でしょうか。

そんなに買うなら年末年始に幾らでも買うタイミングがあったぢゃあないですかと突っ込むのは野暮らしい訳でして(-_-メ)、最近(というか昨年の下落開始以来)の債券市場では、「お家の事情」的なタイミングでの売買が目立つようになっているという状況を新年早々(いまさら正月気分でもありませんが^^)見せてしまったと言うことでしょうな。どうにもやりにくい訳でございます。

年末年始の平均株価上昇を見事に無視したような相場の戻りを呆然として眺めながらつらつらと相場のテーマを愚考する訳でございまして、まぁ思考のたたき台に使ってください。


○メインテーマは景気回復

なのは衆目の一致するところな訳なんですけど、んじゃあこの回復がどういう経路で進むかっつーのが問題。経路として挙げられるものは概ね、@米国経済の順調な成長による外需増とA国内民間設備投資の回復による内需増という所のようでしょう。他には中国の経済成長による外需増っつーのもあるんでしょうか。

米国の方は後で申し上げますが、どうもあたくし的には「?」を百万個くらいつけたくなる所なのですがそれはさておきまして国内民間設備投資。


国内民間設備投資が回復しているようですが、昨今あちこちの工場などでしょうもない事故が多発している事に象徴されるように設備更新を思いっきり遅らせていたという面もありますので、こちらはそれなりに持続性のあるものかと勝手に考えております。

内需に関する最も重要な位置を占める個人消費に関しては相変わらず期待できないでしょう。もともと国内個人消費っつーのは住宅ローンに代表されるように「終身雇用制度」「最悪でも横ばい、基本は定期昇給」っていう素晴らしい雇用環境によって将来の需要を先食いしながら走っていた面がございます。

雇用環境が悪化し、それなりの規模の企業であっても給与所得が減少する可能性が当たり前に考えられるようになってしまった以上、過去の終身雇用時代のような「将来の需要先食い」的な消費は全体でみればシュリンクしてしまうと考える方が自然な訳でありますので、やはり少々雇用環境が好転したからと言っても個人消費の大幅な復活はちと考えにくいでしょうな。


というのがあたくしの極めてノーマルな考えなのですが、御覧の通り論議に穴が開きまくっているような気がするので、これを敷衍していきながら考えていくっつー感じですな。以下は段々極端なお話になります(^^)。


○日米融通手形経済の持続可能性

年末納会の日に「日米融通手形経済」などと好き勝手に命名しました日米の相互依存状況。ある方から「それは日米経済の巨大な『エンロン化』ですな」と的確なるご指摘を賜りましたが(^^)、本日も融通手形経済と申し上げておきます。

相変わらずドル安は止まらず、日本政府のドル買い介入も同様に止まらずという状況になっております。幾らでも介入できるように色々と打ち出の小槌も準備万端怠り無しと言ったところでもありますので、当分は介入が続く事になるでしょう。

で、この無節操と申しますか無限大の介入。良く良く見ておりますとひたすら別に押上げ介入をするでもなく、ひたすら坦々と買い下がりをしているって感じでありまして、円高阻止は円高阻止なんでしょうけどじゃあ円安にしようという意図があるかと思うとそんな雰囲気はあまり見られなかったりする訳です。

そんなことをつらつらと考えておりますと、実を言えばこの為替介入は「円高阻止」を意図しているのではなく、「米国の財政赤字ファイナンス」を意図しているのではないかと妙な勘ぐりをしてしまったりする訳でございます(^^)。フセイン征伐戦争以来米国の財政支出も増大してますし、それに伴ってドルは下落するわ、日本政府の為替介入は増えるわというところでもありますので、ついついそう考えたくもなりますな。

財政赤字ファイナンスが無事に回っているので米国の「双子の赤字」も話題にはなるが懸念材料にはなりきれず、戦争需要の好影響という側が出てきて米国の株式市場は益々堅調という見方も出来る訳でして、そう考え出しますと、日米経済はますます「融通手形経済」化が進展しているという見方もあながちトンデモ議論ではないと思うのですが。

当面は日米双方の経済でバランスシートの拡大(要するに財政の拡大)が起きて、見かけ上の景気は好調そのものってな状況が「今年は」継続するのではないかと思います。

融通手形の繰り回しが出来なくなった時が大変なので、どういう経路から繰り回しが出来なくなるのかということを考えると吉かと存じます。


○日本財政の持続可能性

というわけで、日本の財政は外為特会で「融通手形経済」の一翼を担いつつ、一般会計はあちこちにツケ回しをして何とか格好をつけているのですが、公的債務は相変わらず増大止まらずというわけですか。

んな財政の持続が可能であるとは到底思えないのですが、最早そのテーマは語るのがアンタッチャブルであるかの如く話題になりません。確かに財政持続可能性について疑問を持って債券を売ってみたところで、誰も追随しないので踏まされるだけなんですけど(^^)。

財政持続可能性の議論をしないから売られないのか、売られないから誰も議論しなくなったのか、どっちが先なのか良く判りませんが、こちらでもある意味「チキンレース」が行われているという気は思いっきりする訳でございます。

こっちの均衡が崩れるきっかけは「量的緩和解除」によってまともな金利が付き出すようになってからなのかな〜とも思ってしまう訳でして、これまた昨日申し上げたように日銀にその気がない(ような気がする)以上、暫くはチキンレースに参加するのも吉かというところでしょうな。


うーん、あまり纏まっていない・・・・・・

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「年の瀬に思う」(2003/12/30)

てな訳で皆様のお蔭をもちましてドラめもんを続ける事が出来ました。誠にありがとうございました。気がついた点などございましたらこれからもご意見ご感想頂けますと励みになりますので、こんな駄文ですがお付き合い頂きたい
と思います。

と、挨拶が先に来てしまいましたが、来年の相場がどうなるのやらとつらつら考えつつよしなし事を思うあたくし。

○管理相場化の進展

今年の債券市場は、前半は一方的なじり高→長期債の売りで大幅下落→中期債の売りでもう一発大幅下落という動きでありました。で、このアフォのような下落、何せ2年債が0.25%を超えて売られてみたり5年債が1%を超えて売られてみたりと見事に「量的緩和政策の時間軸」を無視した動きになってしまいました。

で、その動きに懲りたのか、結局日銀は量的緩和の強化策として「量的緩和政策の継続に関するコミット」を行う破目に陥ってしまいました。また、財務省は「国債管理政策」と称して、国債の消化のための施策を打ち出していますが、方向性としては大手業者による寡占状態に拍車がかかるような施策。

まぁ悪いとは言いませんし、大体この国債発行量が平気な顔をして消化されているのは、何だかんだといっても日銀の量的緩和政策と財務省による市場への働きかけによる効果がでかいわけですから、それはそれで評価しないといけません。かつて30兆円枠が突破するだの構造改革路線の継続が危ないだのと言って債券市場が売られた事を思うと隔世の感があります。

先日のドラめもんで雑談的に触れましたが、今や債券市場はパッシブと順張りプロップディーラー的な投資家のウェイトが高まってきておりますし、当局による債券市場管理の強化傾向は強まりこそすれ、弱くなる事はないじゃろうな〜と思いつつ、この調子では来年もまた大手業者による市場の寡占傾向に拍車が掛かるのでしょうな〜とあまり楽しくない気持ちで思う年の瀬でありました。

介入のやりすぎで市場として死んでしまったドル円為替のようにならないことを祈りたいものです。まぁいきなりそうはならないでしょうけどね〜。




○日米の「融通手形経済」

金貸しあるいは自営業をやった事のある方ならご存知の「融通手形」。ご存知でない方のために簡単に申し上げますと、企業同士で商取引の裏付のない手形をお互いに融通し、資金繰りに困った企業が入手した手形を割引に回して当座の資金繰りを凌ぐというもの。一読してお判りになると思いますが、倒産への一番の近道でもございまして、金貸したるもの融資先が融通手形や高利金融に手を出していないかどうかというのは一番気にする所であります。(金融庁や学識のある方々に言わせれば「銀行は貸した後はほったらかし」にしているらしいですけどね)


財務省の外為特別会計といえば、公表資料を見ても何がどうなっているのかよ〜わからん伏魔殿状態なのですが、先週金曜日に日銀が外為特会の資金繰り融通策として10兆円を限度に特会保有の米債を現先方式で円貨でお買い上げという素晴らしい施策が発表されました。

日銀の公表文では色々と但し書きのような表現をいれて、この施策が永続的な物にならないように歯止めを入れようとしていますが、ど〜せこの施策も来年3月末の期限が来たら目出度くロールオーバーされる事となるかと存じます。これで無制限介入への道が開けたと言うものです。

・米国財政赤字垂れ流し

・日本が外為特会という財政資金で買い支え

・米国財政赤字が安定的にファイナンスされるので米国経済失速せず

・米国経済依存の日本景気にもプラス

という図式になっているのでしょうけれども、このスキームの大きな問題点は、どこかで「米国財政赤字の縮小」とか「日本の財政赤字の縮小」という動きに繋がらないと、日米双方とも財政の拡大が見事に進行してしまう事でしょう。

日本が外為特会、しかも打ち出の小槌付きという状況で米国債を買い支える以上、米国としては財政赤字のファイナンスを心配する必要なしと言う「ありがたや節」状態。んな状態に置かれていると財政緊縮政策なんぞ取る意欲も失せるという物でしょうな。

とまぁこの状況たるや、まさしく「融通手形」状態なわけでございます。

一度始めると中々足抜けできず、足抜けどころかどんどん深みに嵌ってしまい、破綻するまでどんどん大掛かりになって行く所なんかは正に現在の拡大する外為特会と二重写しになる所でございます(-_-メ)。

で、この融通手形の行く先なのですが、最初のうちは融通手形の相手方となった資金繰りの悪くない方の企業の力で何とか回るのですが、そもそも資金繰りがいかれるような企業というのは赤字体質なわけでして、融通手形状態を解消できないまま上記のように規模が拡大するものでして、気が付けば双方とも融通手形依存体質になる訳です。

で、当然どこかで資金繰りに破綻を来たした瞬間に終了になってしまいます。その破綻が連鎖反応を起して全部逝ってしまうのが実際の融通手形なのですが、この日米融通手形、もとい介入ファイナンス装置はこのままやっていくとどうなってしまうんでしょうね〜。あまり想像したくない光景ですが・・・・・・・

既にドルユーロ相場で兆候が出ていると言う気も致しますが・・・・・



○そう考えると国内も同じか

良く良く考えれば最近の債券市場でもやっていることは大同小異であるわけです。一般会計では「2010年にプライマリーバランス達成」というお題目に沿って色々とせこいやり繰りをしているのですが、特別会計とか財投機関、地方財政なんかにやり繰りのケツを回しているのを意識的にか無意識の内にか頬かむりしているような債券市場。

国債新規発行30兆円枠を「あれは精神の問題で数字はどうでも良し」的な発言を堂々と行う内閣を捕まえて「構造改革が進展している」という評価もあった物ではないと思うのですが、結局「財政発散問題」という一番重要な問題には触れないままに、無事に国債を安定消化しつづける債券市場もまた同じである訳ですな。

債券市場の場合は「日銀の量的緩和による恒常的な資金余剰」と「財務省による管理政策の強化」によって、何時の間にか国債発行(というか財政赤字)が持続可能かどうかといった観点が抜けて来ている訳でして、まぁいつの日にか寒い事態が起きることになるのは間違いなしながら、その日がいつやってくるのか判らない訳ですな。これがまた困った話ですけど。



○てなわけでして・・・・・・・

来年の日本経済は見かけの数字は結構な状態になるかもしれませんが、所詮は花見酒経済でしょうな〜と思うわけでありますな。もし何かあるとすれば、その時のキーワードは「持続可能性(あえて「サステナビリティ」と言わずに日本語で^^)」かな〜と思っております。

ま、多分「持続可能性」への議論は頬かむりして一年が過ぎることになるとは思うのですが、構造改革らしきものも進まない中で先送りと財政へのツケ送りをいつまでも継続できるとは思えませんけどね。


今年もご愛読ありがとうございました。来年もまた宜しくお願い致します。良いお年をお迎えくださいませ(^^)/~~

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「パッシブ運用全盛+全員順張りディーラー=??」(2003/12/26)


昨日のドラめもんで「パッシブ運用いかがな物か」みたいなことを書きましたところ、ちと論議が起きまして、その結果あたくしの申したかった事を判りやすく纏めていただきました。どうもです。てな訳で本人未承諾で受け売りしちゃいます。

パッシブ運用だけでなく、アクティブ運用にもマーケットインパクトはあるのですが、その違いは「アクティブ運用はマーケットの歪み(というか割高割安というか)を修正する方向にインパクトを与えるケースが多いが、パッシブ運用はマーケットの方向性を加速させるインパクトを与えるケースが多い」という点でございます。

となりますと、資産運用においてパッシブ系が全盛になればなるほどマーケットが本来期待される機能が喪失してくるというわけでございますな。一方方向に行くととりあえずそれが加速してしまうという市場になりつつある債券市場。パッシブだらけになってしまう事は業者にとってはある意味お得な面があるのですが(相場と関係なく自動的に売買してくる人の動きを事前に予測して動けば良いので)、そうなってしまうと最早マーケットぢゃあございませんな。


何て事考えながら同業の方とお話していると、同じようなことを複数の方から聞いたのであります。「下がったら買いとか言ってる癖にいざ下がると誰も買わないんだよね〜。特に最近の中短期債。」「もう最終投資家って言えるのは生保さんくらいで、あとはパッシブか順張りディーラーしかいないって感じになってきましたな〜。」

確かに今年の相場をひとことで言えば「オーバーシュート」の連続でございまして、今にして思えば5年債の0.15%というのも凄いものがありましたが、それよりも驚愕したのはその5年債が1%を上回ってしまった事。当時ドラめもんで「何ですかこれは」と叫んでいた2年債の0.25%超えだとか(9月3日に「合理的価格形成機能の崩壊」というお題で書いてましたな。懐かしや)もう凄い相場展開になりました。

パッシブと順張りディーラーという相場の動きを加速させる方向に作用しやすい方々の勢力が拡大するとどうなるのかと申しますと・・・

・相場がオーバーシュートする

・裁定取引系のアクティブな運用者やディーラーがその動きに向かう

・ところが順張り系の勢力がでかいのでオーバーシュートに拍車がかかる

・向かった逆張り系の人たちが耐えられなくなって撤退

・さらに順張り系の勢力拡大


何のせいでこうなったんでしょうな〜って感じなのですが、色々思いまするに、@量的緩和の長期化による期待収益率の悪化で絶対リターンを期待する人が撤収しちゃった、A金融機関がメガ化した上に横並び意識が強くなっている(金融庁の画一的な監督姿勢も)、B変な方向での「説明責任」重視(説明責任が何時の間にか横並びにすりかわってしまうというお馴染みの弊害)、なんて事が原因として思い浮かぶのですが、皆様如何お感じでしょうか??


株式市場のように個人投資家や外国人投資家といった国内機関投資家と別の論理で参加してくれる人がいると、もうちょっとマシなのでしょうけれども、残念ながら債券市場はそういう状況にないようですので、この調子では当分こんな状況が続くのではないかと危惧する所であります。

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「2年国債入札」(2003/12/25)

誰も相手にしない2年国債入札が行われます。根本的には価格さえある程度(0.1%台後半まで)調整すれば何とかなってしまうかとおもいますが、同残存の10年債や5年債と比較すると単利ベースで見ると無茶苦茶割安に見えてしまいますな。というか需給要因だけで外の債券が割高になっているだけの話なのですが。

「時間軸」がもろに直撃するゾーンでもありますが、現在の2年債の価格形成を見ておりますと(というよりは、2年債自体もカレント物以外は需給要因でインチキイールドカーブが形成されているのですが)、一応来年の9月くらいまでは量的緩和の解除はありえないという感じの状況になっております。

んなわけでして、これからの2年債入札は徐々に「時間軸はどこまでなんざんしょ」という所への意識をしながらの入札になってくると思いますので、その味ではもうちょっと注目してあげてください。

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2003/12/11

お題「相場雑談」

日銀審議委員の講演と記者会見ばかり追っかけているのも何ですので、というのは言い訳でして、単に色々調べ物をしているのが全部中途半端で纏まりに欠けるので、本日は相場的雑談をば。


○大手銀行勢の再参戦?

一昨日の5年国債入札。事前段階では「何とかなるとは思うけど」「本当に買う人がいるのか良く判らん」という今一歩盛り上がりに欠ける状況でありました。

ところが、入札当日には前場からしっかり5年債に買いが入っておまけにスワップ市場(スワップに関してはあたくしマーケットメーカーやっているわけではありませんので、又聞きの話になってしまいますが)では中短期中心にレシーブの動きが活発となりまして、結局入札はとっても堅調な結果になりました。落札業者の顔ぶれを拝見していると、あたくし的には「大手銀行さん随分やりますの〜」という感じでありますし、何せ最低落札価格が事前の市場予想の上限よりちょっと上になっているという入札。

ここのところの5年債入札、先月は市場の事前予想とまるっきり同じような入札で、落ち着いた結果。10月は非常に強い入札ではありましたが、入札前のプライストークの段階で既に強い入札になるという話になっていた状態。という感じでした。

で、今回の入札ですが、結果発表後も5年債が堅調に推移し、昨日にももう一発買いが入ったようでありまして、なおも5年債堅調という素晴らしい相場展開でありました。


一昨日のスワップの固定金利受け取引といい、入札前後の動きといい、どうも大手銀行様の動きが見えるわけなのですが、この動き方は(根拠レスなあたくし的な印象で恐縮なのですが・・・・・)久し振りの積極的な動き方という印象を強く致します。

何せ上期の債券相場大崩壊の第2弾においては、大手銀行勢が「あの〜その価格まで売るんですか〜??」と百万回位突っ込みたくなるような中短期債への大量売りをしておりました(元々が買いすぎだったのですが)のは記憶に新しい所ですが、それ以降めっきり大手銀行様はおとなしくなってしまいまして、まぁ「敢えて高値のものを更に買う」というようなパワーディーリング的な動きは見られなくなっておりました。高いところで買いに来るのはパッシブ系の資金だけって感じでしたな。

ところが、今回の5年国債入札前後での相場、というか5年国債を巡る動きは「大手銀行の相場参戦再開!」という感じを受けさせるものでございます。だからどうなると言われるとまだ良く判らないという話もありますが。

あたくしが勝手に思うに、株価指数の動きなんぞが頭打ちっぽくなってきて、そろそろまた金利部門に収益プレッシャーがかかってきたのか、それとも相変わらずアフォのように供給される流動性の処理に困っているのか。人の懐具合は良く判りませんが、とりあえず大手銀行さまが頑張り出す可能性も出てきたのではないかというのがあたくしの印象でございます。


○年末相場はあるのかな?

今月の相場テーマになりそうな「入札」「国債発行計画」も無事に消化。あとは20年入札が残ってますけど、国債市場懇談会や国債投資家懇談会で散々「超長期国債のニーズが高い」と言っている手前、入札が不調って事はあり得ません、つーかそれだけ言っておいて入札不調では何の為の懇談会かというお話でありますので、20年国債入札で相場が崩れると言う事はありうべからざる事でございますな。事前に割高になりすぎれば話は別かもしれませんけど。

てな訳でして、まぁ今月の入札も無事に終わったも同然という訳でして、材料は無事消化。来年度予算案という話もあるのですが、あれだけ「新規発行額30兆円」で大騒ぎしていた債券相場も、最近は「国債管理政策への信認」という理由なのか「財政構造改革は進んでいる」と信じているのか共同幻想の上に乗っているのか知りませんが、とにもかくにも予算案での国債発行額如きでは反応しないらしいです。

ま〜そんな状況ですので、年末に掛けては平穏な相場になりそうなのですが、大手銀行勢の動きが活発化しだしているというあたくしの想像が正解だったりすると、年末に掛けて思わぬ高値もあるかもしれませんな。


○「死人が出ます」

何で今年の流行語大賞にならなかったのかと思ってるんですけど(なる訳ないか)、道路公団前総裁の藤井さんが言った(と石原国土交通大臣が言った、というのが正しい)「死人が出ます」。道路公団がらみで何故か債券市場に飛び火するかもしれなくなっているのですが・・・・・

情報ベンダーの報道しか見ておりませんので詳しくは書きませんが、どうも道路公団民営化に関して公明党の案というのが出てきたようでして、その中では「本四や首都高などを分離して民営化」「債権債務を全て継承して民営化」というお話があるようです。

債務超過の会社をそのまま民営化。おまけに不採算部門だけ独立させて民営化って実現性には乏しそうな話なのですが、何せ公明党の案ですので、今後の民営化論議に影響を与える事は必至かと思います。

で、その案、詳しく見てないから各公団の発行している債券がどうなるかという話については良く判らんのですが、国によるサポートを前提にした現在の各公団発行債券(政府保証つきは問題無いですが)については何らかの影響が出るものと推測されます。

というか既に特殊債(政府保証のないやつ)の対国債スプレッドは急速に拡大しているようでございますな。道路だけにまさに「死人が出ます」といったところでありまして、ホルダーの皆様におかれましては暫く試練の日々となりそうです。合掌。



と言うことで簡単な雑談3題って感じでした。

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