トップページに戻る
リーマンブラザーズ破綻に伴う怒涛の。。。全然落ちつかねえよ!
面倒なのでそのまま貼り付けるだよ。
2008/10/09
○ということで協調利下げですかそうですか
日銀は利下げしてませんけどね。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0810b.pdf
記念に引用しておきますか。
・中央銀行共同声明
『最近の国際的な金融危機に対して、各国中央銀行は、緊密な連絡をとり、金融市場の緊張を緩和するための流動性供給策など、前例のない協調行動をとってきた。』
『いくつかの国では、エネルギーや原材料価格の顕著な下落などを背景に、インフレ圧力が緩和し始めている。インフレ期待は減衰しつつあり、物価安定に対する信頼は高い。最近の国際的な金融危機の高まりによって、経済成長に対する下方リスクが高まっており、このため、物価安定に対する上方リスクは低下している。』
『こうした状況下では、グローバルな金融環境をある程度緩和することが正当化される。このため、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度、スウェーデン中央銀行、スイス国民銀行は、本日、政策金利の引き下げを公表した。日本銀行は、これらの措置に対して強い支持を表明した。』
協調利下げですが利下げした国は国内のインフレリスクが低く、景気の悪化リスクが高いので利下げをしましたですかそうですか。
・日本銀行の声明
『日本銀行は、6カ国中央銀行による今回の政策決定を歓迎し、これらの措置が各国の経済と金融システムの安定確保に貢献することを期待している。』
『わが国においては、政策金利の水準は既にきわめて低く、緩和的な金融環境が維持されている。また、日本銀行は、連日の潤沢な円資金供給にとどまらず、ドル資金供給オペの導入を含め、流動性供給面の措置を果断に講じてきている。こうした対応もあって、わが国の金融市場は、欧米と比べ相対的に安定した状態にある。』
とは言え、ここもとオペレート上昇してみたりFB3か月入札が大崩れしてみたり、GCレートが何とロンバート越えしてみたりと宜しくない展開。
『国際的な金融面の動揺が続く中にあって、金融市場の安定を維持していくことは、中央銀行としての最も重大な責務である。日本銀行としては、今後とも、各国中央銀行と密接な連携をとりつつ、適切な金融調節を通じて、金融市場の安定確保に全力を挙げていく方針である。こうした観点から、日本銀行当座預金制度の運用を含め、金融調節面で更に改善を図る方策について速やかに検討し報告するよう、総裁より執行部に対し指示した。』
・・・・・えーっと、日銀当座預金に付利するのでしょうか。別にまあ付利したっていいですけど、日銀が発行する売出手形(なのでじゃんじゃん発行できまっせ)という資金吸収方向の調節手段があるのですから、日銀当座預金に付利せんでも別に問題ないんですけどね。
#というか短期金融市場の金利フロアが出来てしまいますので、量を出してもゼロ金利にならなくなって、緩和効果にならんのですが
まあ売出手形だとマネタリーベース(でしたっけ?)にならないけど、日銀当座預金だとマネタリーベースになるので、見かけとしてはベースマネーが増える話になりまして、如何にも緩和を強化したように見えて、マネーがどうのこうのと言う人に対する絶好の目くらましにはなりますのでそれはなんちゃって金融緩和ではありますが(というか市場機能がどうのこうのという論点からしたら後退の話ですかな^^)。
まあその手のもんですと、期近債がじゃんじゃん打ち込まれた結果として償還過大につき買入余力がアホほどある中長期国債の買入オペを増額するというのもございますが、これ増やすのは良いのですが、減らすときに騒動になるリスクもあるので諸刃の剣。
実際問題としてはCP買現先オペを増額するのが一番手っ取り早くて、まあそれなりに効きそうな感じなんですけれども、それだと通常オペレーションの運用範囲内なので、政策委員会をやってアナウンスするようなショーアップができませんから、世間様へのアナウンス効果が無いのが実に残念でございます(^^)。
どうするんでしょうかねえ。まあもうちょっと考えてみよっと。
○これはまた残念な空砲
FRBのリリース。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081008a.htm
共同声明部分は同じ話なので割愛。
『The Federal Open Market Committee has decided to lower its target for
the federal funds rate 50 basis points to 1-1/2 percent. The Committee
took this action in light of evidence pointing to a weakening of economic
activity and a reduction in inflationary pressures.』
経済活動の弱体化が明確になってインフレ圧力が減衰したので利下げと。
『Incoming economic data suggest that the pace of economic activity has
slowed markedly in recent months. Moreover, the intensification of financial
market turmoil is likely to exert additional restraint on spending, partly
by further reducing the ability of households and businesses to obtain
credit. Inflation has been high, but the Committee believes that the decline
in energy and other commodity prices and the weaker prospects for economic
activity have reduced the upside risks to inflation.』
経済指標もここ数ヶ月の経済活動が明白に低下してて、金融市場の混乱が今後の消費に悪影響を与えるという話で、インフレは沈静化するでしょうと。
『The Committee will monitor economic and financial developments carefully
and will act as needed to promote sustainable economic growth and price
stability.』
今回も全員賛成ですね。
・・・・・とまあそれは良いのですけれども、既に問題はインターバンクを中心にしたリクイディティとコンフィデンスになっておりますという認識が共有されていますので、やらないよりはマシだと思うのですけれども、市場が暴力モードというよりはどっちかと言えば閉店整理中モードになってきてますので、株式市場がろくすっぽ好感しないで下落したのはご愁傷様としか申し上げようがございません。
以上コピペシリーズで申し訳ありませんでした。
○それはそれとしてFB入札とか
昨日は3か月FB入札。まあ昨日一行コメントしましたように、ちょっとこの地合いでは消化しんどいかなあとか漠然と思っていたのですけれども、朝イチに行われた共通担保全店即日オペ期間12日間ってのが落札レート何と平均0.739%の足きり0.71%と0.7%台に上昇しやがりまして、地合いの悪化が益々明確に。
ということで新発WI取引は前場引け前に0.7%オファー0.75%ビットなんぞになりやがりまして、入札メドがロンバート金利とかいう状態になってしまうというおそロシアな状況に。えーっとあのその利下げ期待とかどこに逝ってしまったのでしょうかというお話ではあるのですが、明日の100より今日の10。ファンディングコストが上昇していることと、新発の発行日が14日ということで、RTGSのハイブリッド第一弾稼働日という事もあって念の為的な予備的資金需要が高まる事も意識されてしまいました。
で、結果は足切りがロンバート越えですが、どうも直前の極悪地合いからするとこれでもまあ止まってよかったねという感じみたいでして、先週水曜に行われた3か月FB入札の足きりが0.6296%だった所から一気に12bpちょっとの上昇という落涙を禁じえない展開になっております。
昼の共通担保本店即日オペのオーバーナイト物も平均0.744%の足きり0.74%とレート高いわ、10日スタートの12月9日エンドの全店オペにいたっては平均0.760%の足きり0.75%とロンバート越える上に1兆円のオファーに対して応札が8兆も打ちこまれるわと、FB入札結果にビックリしたようなレートが横行して何かロクでもない雰囲気に。
GCレートはレギュラーのところが先ほど申し上げた14日ということで、金の出が宜しくなく、0.7台後半とか貫禄のロンバート越えになってたみたいですし、CPのレートも年末越えを中心に上昇(年内物も上昇)しているようですし、もう何だかねって感じでございます。そもそもCPに関してはあまりのレート上昇っぷりに発行体が発行を手控えているのですが、レートの方はきっちり上昇してますな。まあこりゃ銀行のローンが増えるでしょう。
カレンダーベースで14日を越えればRTGS絡みの予備需要は一段落すると思うのですが、現状ではそれ以前の問題で、インターバンクの資金需要が高まっているものと思われまして、要因として適当に思いつくのは上記したローンの増加とか、引き続きのカウンターパーティーリスクへの意識から取引が縮小しているので、いざという時の危機管理という事で予備的資金需要が増加するとか、まあそんなところでしょうか。
恐らく資金供給オペをもっと増やした方が良いのですが、量だけではなくオペの種類も全店オペをもっと増やすとか期間を色々工夫するとか、ジャンジャンツイスト打つとか、バリエーションを豊富にした方が良さそうな気がします。
まあ本日の2か月FBは年内物ですのでちったあマシになる・・・かどうかは知らん。
2008/10/07
○例によって市場雑感
・売出手形オペ金利大下げ
資金の偏在を如実に示す結果という感じでしょうか。昨日実施された売出手形即日オペ3000億円の落札金利は平均レート0.349%の足きり0.47%で無担保コール翌日物の加重平均金利の0.484%を切る貫禄の低金利。平均0.3%台前半ってそりゃ何よという感じなんですけれども、まー要するに金は余ってるが無担保コール市場に出す金は無えよという事なのでしょう。一方で共通担保即日オペは11日物なのであまり参考になりませんけど、こっちは平均0.655%の足きり0.62%とまあちと下がったけど相変わらずのレートです。何とオペで日銀鞘抜けているというオソロシスな状態。
まあそれだけカウンターパーティーリスクが意識されて市場にストレスが掛かっているので、結果としてそのリスクを取る格好になってしまっている日銀のオペレーションが鞘抜き状態になっちょるという事でありますな。ちなみに金曜もそんな感じで、金曜は共通担保即日オペが月曜エンドの翌日物でして、こちらが平均0.644%の足きり0.60%で、同日の売出手形即日オペが平均0.469%の足きり0.50%なんで、この日なんてモロに日銀鞘抜きの巻(もっと正確に言えば、スタート時刻が違うので時点による資金需要が違っているからレートに差が出るという要因はあるのですが、まあ積み最終でも無いのにこの展開というのは時点要因よりも上記の要因が大きいと思われます)となってました。キングオソロシス。
・GCとかCPとかFBとか
GCレートは高止まりみたいで、レギュラーの所は相変わらず0.7台に乗ってるみたいですね。T+0とかになるとさすがに足元の資金供給が効いて下がり傾向みたいですけれども、こういう状況でファンディングがきつめな人が寝転んでショートファンディングとかするのは流動性リスクがでかいにも程があるので、こっちの金利が中々下がらんようで困ったもんです。というか相手が見えないの困るからブローカースルーを避けるとか、リーマン日本法人の破綻処理のやり方が不手際にも程があるという影響が出てるんじゃなかろうか。
てなわけで業者のファンディングコスト上昇の影響もあって、昨日のFB6か月は入札ヘロヘロ。周囲の既発債券が0.56%だの0.57%だのとかいうレート(まあそれもインチキ臭いが)の前日引けに対して落札結果は平均0.6518%の足きり0.6902%とヘロヘロ。その結果出たときに2年新発の業者間出来値が0.68%とかになってたと思いますので、最低落札価格対比だと瞬間6か月と2年がインバートするという素敵な展開に。さすがに引けは0.65%−0.66%だったようですけれども(BB引けは0.655%)。まあこれは来年4月償還ってことで、年末と期末を抜けるのでイラネと言ったところでしょう。でも年末越えない12月償還銘柄あたりもちょっとレート上昇した出合いとかあったみたいで、さすがにファンディングコストの高止まりが悪影響という感じでしょう。
#ファンディングコストの高止まりで悪影響といえば物価連動国債というのがありますけれどもその話はまたいずれ
CPディーラーってのは基本的に国内銀行さんで、ファンディング自体は楽勝どころか金イラネ状態になっている筈なんですけれども、まあその辺の金利上昇とか、そもそも株価下落とかでクレジット物全般的に雰囲気悪いとか、最終投資家のクレジット物への投資意欲低下気味という状況などもあって、通常金利が激下がりする10月入りして、当初は割とあっさり金利が下がったのですけれども、ここへ来てちょっとじり高の巻。まあLIBORとかも下がらんですしねえ。
2008/10/01
○やはり欧州か・・・・
日銀および各国中銀のドル資金供給オペ実施というアナウンスメントが最初に行われた時は欧州市場のオープン時間位でした(月曜のは東京23時ですが)が、まあ米国もさることながら欧州のドルファンディングが超越的ストレスが掛かっているという状態になっとる訳ですな。ということで欧州市場中心にドルのファンディングが大変という話は月曜夜の白川総裁会見にもございましたように『米ドル資金市場の流動性はほぼ枯渇したという状況』となっていますと。
で、実際に数字に出てくるとアレな訳でして、LIBORフィクシングがロンドンの11時に出たのですけど、USDの翌日物取引金利が6.875%ですわよ奥様(ちなみにJPYのS/Nの翌日物金利は1.03125%ですわよ)って所で、いやあもう短期市場機能不全にも程がありますが、ECBのドル資金供給オペ結果にも腰を抜かすの巻。
http://www.ecb.int/mopo/implement/omo/html/TAF08028_all.en.html
Tender Operation-Allotment
USD Overnight
Tender Date: 30/09/2008
Start Date: 30/09/2008
Maturity Date: 01/10/2008
ほほう当日スタート翌日物と。
Auction Type: VARIABLE_RATE
Allotment Method: SINGLE_RATE Intended Volume: 30000 mn
Currency: USD
Max Bid Limit: 3000 mn
300億ドルですかそうですか、で、結果は・・・・
Marg. Rate: 11.00 %
% of All. at Marg. Rate: 75.6522
Tot Amount Allotted: 30000 mn
Tot Bid Amount: 77339 mn
・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー
イールドダッチの入札で、とりあえず10%越えの札を叩き込んで必要な量は押さえておこうという人が続出したら必殺の札だけで300億ドルが埋まってしまったんですね、わかります。
さすがにこれはまずいということで、500億ドルのオペを追加して見事に札割れになりました。『Marg.
Rate: 0.50 %』でめでたしめでたし。とは言っても307.42億ドルも追加が打ち込まれたのですけどね。
http://www.ecb.int/mopo/implement/omo/html/TAF08029_all.en.html
(結果引用割愛)
まあ短期金融市場に強いストレスが掛かっているので、銀行間などの取引が全然成立せずの巻になっており、もはや対中銀でしか取引できませんですがな状態って事でしょう。合掌。
本当はこーなりますと翌日物を毎日ドカドカ打つよりは、タームでドカンと資金を出して売手など(ユーロエリアでは預金ファシリティがあるのでそれが日本でいう売手になりますわな)で引く方が金融機関の資金繰りの安定化効果は高いのですけれども、その辺の運営はどうなっているのかいなとは思うんですけど。
とりあえず余りと言えば余りの展開なのでクリップということで。
2008/09/30
○ドル流動性拡大策の拡大
金融安定化法案否決もそうですが、実を言えばその前に欧州で色々と大騒ぎになっていた訳でして、東京の夕方には既にLIBOR1か月やらEURIOR1か月やらが上昇したり、アイスランド第3位の銀行が公的管理(政府が株を75%取得)されてみたり(日曜にはフォルティスの部分国有化とかもありましたが)と、インターバンクのドル資金取引枯渇状態は欧州の方が深刻っぽい感じがしますわなということで。どこぞの銀行の資金繰りがどうのこうのとかいうネタはどうせ向こうじゃ頻発してるんでしょうねえ。
んな訳でこんな施策が昨晩も出ていたようで。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0809c.pdf
「米ドル資金供給オペレーション基本要領」の一部改正等について
何と昨日の夜も決定会合やってたのですか。それはまたお疲れ様でございます。
『1.「米ドル資金供給オペレーション基本要領」(平成20年9月18日決定)の有効期限を平成21年4月30日まで延長すること。』
期間3か月延長ですかそうですか。
『2.「米ドル資金供給オペレーションにおける貸付対象先選定基本要領」(平成20年9月18日決定)の有効期限を平成21年4月30日まで延長するとともに、別紙のとおり一部改正すること。』
別紙を読みましたが、これは1に付随するテクニカルな文言変更ですね。
『3.「ニューヨーク連邦準備銀行との間の為替スワップ取極要綱」(平成20年9月18日決定)中、4.に定める為替スワップ取極の有効期限を平成21年4月30日とするとともに、5.に定める引出限度額を1,200億ドルに増額し、これに沿ってニューヨーク連邦準備銀行との間のスワップ取極の内容を一部変更すること。』
600億ドルから1200億ドルになりました。3か月のタームオペを100億ドルから200億ドルに増額するのでしょうかね。
こちらが追加対策の声明文。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0809d.pdf
○臨時PD懇
基本的なお題は『流通市場の課題について』であります。
http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c200926.htm
・足元の問題はフェイル慣行じゃなくて破綻法制と運用に関する規制では
最初に財務省から現状認識に関して説明があるのですが、この部分に関してはややこう切迫感が伝わらないのですけれども。
『資料2-1は、そうした国債の流通市場を巡る課題のうち私共が認識しているものを例示したものである。(割愛)二つ目には、「レポ市場の機能向上」を挙げているが、フェイル慣行の定着が以前から論点になっていると認識している。』
まあ確かに以前からの問題はフェイル慣行の定着なんですけれども、現下の問題はリーマンが絡む取引に関して保全命令が出たところで全部凍結状態になり、レポのエンドであろうとも破たん前の売買取引の決済であろうとも堂々フェイルというか凍結したまま状態な上に、民事再生という企業存続を前提にした法的処理につき、一括清算が出来るのか微妙な状態になってしまい日数が経過してしまった所だと思うのですが。
ま、その辺りに関しては参加者の意見を見ましょう。
『今回のリーマンの破綻を受け、現場では大混乱が生じた。現実にはフェイルは多発したが、投資家のほとんどがフェイルを中々認めてくれないという状況であり、日々トレードを行う中で、特にレポディーラーにはストレスのかかる状況が現在も続いている。また、一部銘柄でレポレートが▲10%などとなっているが、それでも、今目の前にあるレートで取らないと顧客との関係が切れてしまう。そういった恐怖感の中でショートカバーをしなければならないという状況が続いている。』
ただまあリーマンがカウンターパーティーの取引に関してはもう堂々フェイルになっているので、一切合財許さんとかいう投資家は非国民として火の中に投げ込まれるべきだとは思います。これは仰せの通りであります。
ただまあカウンターパーティーリスクが意識されるようになって来ますと、フェイルしたままの間にデフォルトされたら投資家の方が今度は涙目になるという与信状態(取引再構築コスト分が与信ですわな)でもあります。通常のようにカウンターパーティーが常に生きているからDVP決済でデリバリーリスク無いですしフェイルはそのうち解消されてその間の利息も貰えてウハハのハとか言ってられるのですが、金融市場にストレスが掛かっていてカウンターパーティーリスクを強く意識されるようになれば、フェイルをとっとと解消してくれないと安心できませんというのもありますから難しいですわな。
ちなみに、ちゃんと調べてませんけど、フェイルを月末まで引っ張られるとバーゼルU上ではカウンターパーティーへの与信行為に計上されてしまいますので、それもまた投資家的には困る話だったりします。
というような金融市場へのストレスと、制度の問題とありますわな。
で、レポ市場の機能向上に関しては最後の指摘あたりが中々良い感じ。
『レポの問題については、業者サイドだけでは解決できない部分が多々ある。原則リオープンの考え方は基本的には賛成だが、どちらかと言うとレポマーケットの流動性、物のファンディングをいかに改善させるかという点の方が重要である。』
物のファンディングというのは全く仰るとおりでございます。決済制度改革の中でも「物のファンディング」に関する部分は金の部分よりも後回しっぽくなる傾向があるようで(物には発行量の限度があるというのもございますけれども)甚だ遺憾でございます。
『過去、セトルまで期間がかかっていたが、現状、取引や新発債の発行は主にT+3まで取引の短縮化されており、更にT+1まで短縮することや、レポマーケットもT+3、T+2からT+1やT+0で対応できるよう投資家に協力を求め、改善できる部分があるのではないかと考えている。』
それはリターン対比で事務コストが馬鹿みたいに掛かるので中々簡単に進まないと思います。決済期間短縮も確かに重要なのですが、それよりもレポ市場に参加できる投資家の幅を広げる(要するに他人勘定がレポ市場にもっと沢山入ってくれば世の中だいぶ変わる筈)ようにと思うのですが、これがまたリターン対比で事務コスト(以下同文、涙)。
『また、決済機関であるJGBCCへの参加にはコストがかかり、必ずしもすぐに強制的に全員が参加する訳にはいかないが、大半の投資家が参加していないことも今回の問題を間接的に助長した部分もあると思われ、現物債マーケットの流動性を維持又は向上するためには、投資家の協力を仰ぐ必要があるのではないか。』
もう一つ、時代に超逆行しますが逆転の発想としては、「単価調整売買の復活」というのはどうでしょと思うのですけれども。業者は時価でマーク・トゥー・マーケットしてますけど、投資家サイドでは相変わらず簿価通算がどうのこうのとか、売買損益がどうのこうのとか、まあそういう制度になっておりますので、ポートを動かしたくても計理上の理由で動かせないとかいう事はあるわけで、単調復活すると銘柄間の需給の超越的な歪みも少々緩和されるものと思料。
でもまあ仕切値幅制限を外した途端にとんでもない単価調整売買が横行した結果、単価調整売買やるんじゃねえコノヤローという経緯がございますので、残念ながらそのような時代に逆行した提言は通らないでしょうな、笑。
・先物に関して
先物が現物と思いっきり乖離した動きになっている件に関しては、まあ市場のヘッジ機能の低下に繋がる(レポ市場の混乱もそうですが)ので発行体としてはあまり宜しい話ではございませんわな。
『先物の歪みは、チーペストのスクイーズが要因ということではなく、数年前と比較し建玉の分布が海外勢のトレンド追随型に偏ったことが原因である。それらの参加者はチーペストの現物債の受渡しを伴わず必ずロングロールを継続してきているが、今年3月の暴落以前はこのフローに対しアービトラージャーやマーケットメーカーによってショートに向かうフローが入り、マーケットのバランスが保たれていた。』
『現状のマーケットで起きている構造的な問題は、先物のヘッジ機能が低下し、発行市場や流通市場におけるヘッジツールとして機能していないことである。しかもリーマンの破綻以降、外資系証券の市場参加者に対するレポの与信ラインの制約が非常に激しくなっている。そういう意味でも先物に加えて既発債がヘッジツールとしての機能を求められており、これからの入札やセカンダリーの業務にあたっては、ヘッジツールの流動性の低下はかなりの問題になると考えている。』
『短期的な施策という意味では、チーペストのスクイーズというより建玉の偏在によって起こっている先物の割高をある程度修正する、或いは実質的に先物の売りポジションを間接的に増やすことによって、安心してショートできる先物を取り戻すことが必要ではないか。長期的には先物の商品性そのものの見直しが必要かもしれない。また、偶然先物が極端に売られる局面で、前々回の日本銀行の買切りオペが行われたが、その際12月限りの受渡適格銘柄が対象となり、ある程度応札されたと思われるが、この行為がスクイーズを助長した面もあり、そういう特殊事情も考慮して欲しい。』
まあそんな所かと思います。現物のカーブをガン無視して先物をロングロールする人のウエイトが上がったのが歪み発生のそもそもの要因ですから。別の意見から。
『イールドカーブの先物ゾーンの歪みに関しては、チーペストの流動性の枯渇によって7年ゾーンの流動性が低下していることが原因と考えている。流動性供給入札等でこのゾーンに厚く配分することは少しは助けになると思うが、根本的な解決になるかというと疑問である。先物市場には現受け現渡しを全く前提とせずに売買を行っている参加者がいるが、その参加者をある意味排除しない限りは根本的な問題の解決にはならないと思う。』
チーペストを供給すれば何とかなるかというと、やはりカーブガン無視の人がチーペストの流通量を遥かに上回る建玉を持っているだけに少々のことでは意味ないですし、供給したチーペストが先物受渡適格から外れたらどうするのという話もありますわな。
・ポジショントークもほどほどに
とまあそんなこんなで議論が行われる中、これは・・・・・
『流動性供給入札の実施の趣旨は、イールドカーブの構造的な歪みを是正することが目的ではないかと思う。今のカレントゾーンのイールドカーブが果たして歪んでいるかというと、そのような認識はない。今のイールドカーブを前提に我々は投資する立場にあり、この利回りを承知して保有している訳で、たまたま短期間レポ市場が締まったために、流動性供給や特別流動性供給によって急に需給関係が変わって、デジタルに均衡点であるイールドが変わってしまうのは、国債を資産として保有する投資家からすると非常に問題があると認識している。』
何か良く判らんですが、カレントゾーンでもレポがエライコッチャになっている銘柄とかあって、9年〜10年近辺って思いっきり寝てる気がするんですけどまあそれは兎も角として、投資家って基本的に割安なもの買って割高なものを売るんですから、イールドカーブの歪みが解消される方向に需給関係が変わるのは歓迎すべきなんじゃないですかねえと思うのですが、ここもと投資家涙目の展開になる場合って割高割安が解消されないどころか益々凶暴化する動きだと思うのですけれども。それとも何でございますかね(以下自主規制)。
2008/09/29
○決済はだいぶ回ってきたみたいですが・・・・
木曜に引き続きまして金曜におきましてはあちこちのフェイルがやや回るようになったようでございます。ただどうも聞いている限りにおいてはリーマンがカウンターパーティーになっている取引はそのままフェイル状態でそっちを解消する動きは更々ないみたいでして、そもそもショートセールなどのような各種金融取引を想定していない民事再生手続きを金融市場での取引を行っている金融機関に適用する事自体が間違いであったとしか言いようが無いですわな。
と思うのですが、どうも重大問題の筈なのに華麗にスルーされている所が今後のことを考えますと非常に問題だと思いますが、肝心の当局様にその認識があるのやら。
と申しますのは、今朝テレビニュース見てたら「東証が海外の証券会社(国内の外資系じゃなく)が取引に参入する事を認める(というか推進するんでしょ)方向で具体化」とか言っている訳ですが、今般のように海外の会社がコケた場合の破綻法制がそもそもクロスボーダーで違っている問題とか、そもそも決済がDVPで出来るのかとか、参加者が飛んだ場合の決済処理がちゃんと回るのかとか、その辺真面目に考えてたらこのタイミングで具体化とかするかよと思うのですけど、過去の実績から勘案するとその辺ちゃんとやってなさそうなのが東証クオリティ。
現場の努力によってとりあえず表面上は決済が回った感じになっていますけれども、リーマン相手の取引は全然回っていない訳ですし、その間現場に無茶苦茶皺寄せが行って大変でしたし、まあ決済リスク意識ということでいきなりGCレポ市場の資金の出しが減ってしまったとか(その部分の資金がFBとか高格付けCPに回ったような節が見られる)、問題も生じている訳ですから、金融機関の破綻法制に関してはマジで検討すべきものであると思われます。
2008/09/25
○フェイルの影響はやっぱ広がるのね
22日の大量決済で大量フェイルになったのはご案内のとおりですが、もう新規の取引増えないのだから問題拡大しないかとか思ったあたくしですが、どうもコトはそう単純な話ではないようです。いやまあ予想自体も願望入ってたかもしれませんけれども、ということでどうもすいません。
結局ですな、リーマンのところにある玉が全部フリーズ状態になっているので、その流通玉に関連する取引がフェイルになって、そのフェイルによって他の取引も影響受けて・・・・という形になってしまいますし、大体からして世の中決済が円滑に回っていることを前提にして次の取引、その次の取引と取引が連鎖する訳ですし、その上リーマンは国債流通市場で積極的に業者間、対投資家ともに取引してたのですがら連鎖もでかくなりますわなという所です。
SC取引とか一部銘柄ではエライコッチャになってるみたいですし、その上期末接近と来ていますので、通常であってもレポ市場での品貸しに消極的な人が多い中でフェイル大会では益々レポ市場での品貸しが消極的になりの負の連鎖ですわな。GCだってカウンターパーティーリスクがどうのこうのとか、一括清算するときって実は「前日の引け」で清算するから債券処分する時に市場リスクがありますしとか(その話ってあのすいません現金担保レポ始まる時に論点になってた筈なんですが・・・・)、まあ市場の拡大を重視する中で微妙にスルーしていた破綻法制との整合性問題とか(その話って現金担保レポ始まる時に以下同文)、まあいろんなもんが出てきますわな。
えーっと、正直言ってあたくしもどこでどういう事が起きているのかほんの一部しか判りませんが、参加者の皆様におかれましても全体で何がどうなっているのかって全貌は把握しずらい(というか無理です)状態なのでして、まあ本件に関しましては日銀あたりが音頭取って(というか日銀しか音頭取れないでしょ)この間まずはどのような事が起きたのかをレビューして、本来どう処理すべきであったのかという点を論点整理すべきものかと存じます。
○オペ金利が益々上昇とかその他
・オペ金利上昇
えー、昨日の資金供給オペですが、共通担保即日オペ(翌日物)が平均0.759%(足きりは0.73%)でロンバート越えでございましたが、もっと上昇したのはタームものでありまして、共通担保全店オペの26日スタート10月16日エンドが足切り0.75%ですかそうですかと思ったら平均が何と0.823%となりました。
・・・・何か相当上の札入れてるみたいですけれども、あのそのロンバートって0.75%なんですけど。。。。ということで、タームの資金取り圧力がもうエライコッチャになっているというのは把握した。外銀などへのラインカットの影響に加えて、どう見てもリーマンのフェイルの影響が拡大しているのではないかと思われる次第です。
改めて監督官庁と保全管財人は(以下自主規制)。
2008/09/24
○結局大規模フェイルですかそうですか
注目されていた22日の国債決済ですが、結局リーマン絡みの取引はフェイルになったらしく(全貌がどうなっているのかというと良く判らない)、その結果としてあちこちで受渡が止まり、フェイルの連鎖でレポの部門とか信託(レポ信託)やブローカーの関係部門は殺人的に忙しかったようで、誠にお疲れ様でございました。というかまだまだほぐれていない取引とかあると存じます。モノ繰りが止まる面もそうですが、受渡が止まると資金も止まってしまいますのでそっちの手当てとかも大変だった(だからこそ22日受渡からのGC取引レートとかオペの金利とか上昇しまくっているのですが)と思います。
で、国債発行に関しても払込が行われなかったらしいと報道されていましたが、国庫の資金繰りなんぞはどうとでもなるのですけれども、リーマンが落札して転売したりレポで貸付していたような取引分の流通玉がいきなり消滅となったのですから、まあレポもその分タイトになる(というかそういう認識が広がるので余計にタイト感が強まる)というものでしょう。
どうもGCレポ市場でも資金の出が悪くなっているとか報道されておりますが、(そりゃまあGCのエンドがフェイルになったら資金の出し手も困りますわな。戻りを資金繰りに当ててたらなお困りますし・・・)そんなこんなで短期金融市場では資金供給オペの金利が上昇しておりまして、新発CPレートとかにも影響が出ている次第ですが、日本の場合は国内金融機関で別に信用不安問題が生じている訳ではなく(これが欧州と違う所ですな)、短期市場金利の上昇は国債流通市場でそこそこ大きなプレゼンスを持つリーマン絡みの取引決済が止まっている影響の方が大きいと思うのです。現に無担保コール取引で邦銀が調達するレートとか絶賛低下しておりますしね。
ということで、今般の民事再生法適用による処理というのは、国債流通市場への影響から短期金融市場への影響というのを何も考えてないでしょとしか思えん進行でありまして(これが本当にデフォルトならば一括清算なのだが、事業継続前提なので止まりっぱなし)、監督官庁と保全管財人は何を考えとるんじゃとしか申し上げようがございませんのですが。
ま、連日悪態ついてますけど、民事再生手続の適用以外にやる方法があったのではないかとか、きちんとレビューして頂きたいと思います。まあそりゃ全く混乱しない訳には行かなかったでしょう(外銀とかのコールのラインが絞られるとかといった動きは別にフェイル関係なく起きてたでしょう)が、漫然と国債の決済をフェイルしまくったのを看過している状況というのは酷いですわな。
○オペレートがロンバート越えとか
そんな次第で邦銀取りのコールレートは大低下しているのですが、
月曜の資金供給オペではこんな結果が。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba080922.htm
オファー内容は
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of080922.htm
なんですけれども、共通担保オペの25日スタート10月10日エンド9000億円が平均0.774%で足きりレートが0.76%(しかも按分薄め)となりまして、ロンバートレートを越える有様に。
ロンバートを毎日ロールするのも大変だし事務負担考えたらオペでターム取ったほうが良いというのは判りますが、それにしても足きりベースで堂々ロンバートを越え、この結果ですから0.78%の札が思いっきりある訳で、それだけ資金取り圧力が高いという事を反映しているかと思われます。
CP新発レートも上昇していまして、月曜は銘柄によっては一段と上昇した(銘柄ごとにもうマチマチにも程がある状態だったようです)ようでして、インターバンクにおける予備的資金需要の強さによってCPへの資金の出が悪くなって事業法人さんにも悪影響という事になっているようです。困ったもんです。
2008/09/22
○さて22日です
今日は3/9月利払いの決済集中とリーマンが落札した5年、10年新発国債(3か月FBはリーマンは入札から除外されているので無問題)の発行日でございます。
えーっと、まあ決済どう回るのでしょうかとしか言いようが無いのですけれども、リーマン絡みの取引もいつまで経ってもフェイルとかいう訳にも行かないと思うのですけれども、民事再生の枠組みだと会社が死んでないだけに、取引がいきなり強制終了する訳でもなく、はてさてどうなるのかというのは実質的に初のケースだけに色々と大変だと思います。
特に、リーマンの場合はクロスボーダーの取引がやたらめったらある訳でありまして、欧米主要国の間での取引もある中で、各国でのリーマンに対する破綻処理に対する法的処理の進め方が違う訳でして、その点から各国の国内法だけで閉じていないというのが処理の難しさに拍車を掛けているのではないかと思われます。
まー初回も初回だから仕方ないのですが、今後のことを考えますと、特に短期金融市場の決済に関わる主要各国の破綻法制に関しては、今般の混乱(というかフリーズ)を研究の題材として、これらの破綻法制の整備というのも重要な論点(一段落してからの話ですが)かと思います。破綻に関しても完全に死んでいるのかそうじゃないかとか、まあそもそも各国の破綻法制に関するロジックの問題にまで入ってくる話なので、具体的に法制を揃えるように整備するというのは大変かもしれませんが。
○その他少々
・補完供給緩和期限延長
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mos0809c.pdf
16日に補完供給の発動要件を緩和しましたが、期限が延長されました。この速攻の要件緩和はヒットでしたよね。とにかく今回は日銀の止血処理の迅速さは現場の皆様大変ですねと思いますが、ヒットだと思います。
・積み終了ですかそうですか
木曜のベースで積み終了先の準備預金残高が7400億円、金曜のベースで積み終了先の準備預金残高が16400億円と相成りました。積み期間が始まって1週間しか経ってないのですが、もう資金供給攻撃ですからこうなりますわな。落ち着いたら吸収大変ですね、と思いますが10月になっても市場が落ち着かなかったら空前のブタ積みのまま走ることになるのかもしれませんね。10月14日の次世代RTGS稼動があるので、その前の金曜には予備的資金需要がありそうですし。
2008/09/19
お題「だから決済リスクがですなあ・・・・」
色々とございまして金融経済月報のフォローとかのネタはちょっとパスということで恐縮至極。
○22日の決済とかリーマン分の国債発行どうなるのでしょ
昨日もうだうだと書きましたが、リーマンが取引当事者になっている売買、レポなどの取引が保全命令でフリーズしている状況によってフリーズされた債券決済が滞りの巻なのは色々と影響があるようで誠に遺憾極まりない状況であります。
民事再生の手続き上では(とかエラソーに書きますが実は読者様からの入れ知恵ベースです、汗)、なんちゃら管財人が裁判所から選定されて、その管財人が適切に判断して止まっている取引の中で動かしてよいもの(たぶん資産流出に繋がらないような取引ですよね)を回すという形になるのですが、さてどの辺りまでその手続きが進んでいるのやら。
リーマンは国債のプライマリーディーラー(国債市場特別参加者)でございまして、国債発行市場でも流通市場でもプレゼンスは高い部類に入る業者でして、そこの取引をいきなりフリーズさせる事によってどういう事が起きるのかという問題に対して裁判所の動きとか遅すぎにも程があります。とか言われましても裁判所はポカーンだとは思いますが、要するに普通の一般事業法人の取引と金融市場での取引はスピード感が全然違うのであって、何をのんびりやっているのだと申し上げたいですわな。
でまあ22日は10年と5年の国債発行日でリーマンの落札額もそこそこ多いのですが・・・・・
正式な管財人の下で22日の決済が回って、16日以降のフェイル分も回るというのが最も美しい姿なのですが、リーマンがショートしている銘柄のSCレポはエンド来た後ロールしてくれる人はいないので、まあその分は買い戻したり、保有分については転売とかしてポジションを徐々に圧縮という話にはなるんでしょう。というかそうしてくれないと国債流通市場におけるフェイルだらけ状況がリーマンのポジション分だけ片付かないのですが。
で、新発国債なんですけれども、払い込み間に合わないという話になるのであれば、先程(と昨日)申し上げたようにリーマンと直接取引をした業者および投資家との取引をどうするのか。ポジションぶれることを避けるというのであれば約定を遡及で取消にするという話になりまして、なんだかんだ言って日本の債券相場は上に行って来いにも程がある相場でして、昨日の引け時点で5年新発は平均落札価格よりも値下がり(というのも何と言う話という感じですが^^)で、10年新発は入札の平均落札1.485%に対して昨日の引けが1.485%とイーブンになっていますので、表面的にはカウンターパーティーは損しませんでラッキーでしたねという状態(今日は海外市場の動きからして売られるでしょうし)ではございます。
でもね、これってたまたま今回そうなので経済的な問題が発生しないですけれども、債券相場が上昇しっぱなしだったら約定取消しなんぞやったらカウンターパーティー全員涙目にも程がある訳ですし、大体からして約定遡及訂正されたらカウンターパーティーはポジション再構築の為に当該債券を買いにいかないと行けないので、発行が減った分だけレポが変なことになるのは明らか(というか既に10年新発のところってレポの逼迫の影響でカーブが変になりつつあるんですけど)で、流通市場に影響を与える話なんですけど。ついでに言うと約定遡及訂正されると他人勘定で運用しているファンドだと途中のキャッシュフローが発生してたら受益者間の公平を維持するために色々処理しないといかんのですけどねえ。
もっとそもそも論で言いますと、リーマン以外のプライマリーディーラーなら兎も角、そうじゃない投資家って新発国債を買おうと思ったら制度上プライマリーディーラーから買うしかない(というかプライマリーディーラー制度ってそういうものなので)のですが、新発国債入札から発行までの間にプライマリーディーラーがこけるといきなりパーになるって何の為のプライマリーディーラーなのよと悪態の一つも付きたくなりますな。
いきなり破産だったら仕方ないけど、民事再生で会社が生きているのに与信取引でもない(まあぎりぎり厳密に詰めれば約定から受渡までの間には取引再構築コスト分の与信があるのですが)通常の売買取引が飛んでしまうというのはちょっと勘弁って感じでして、これって国債売買(だけじゃなくて証券売買全般に言えますが)に関するカウンターパーティーリスクに対して過度に敏感になるような方向付けをする惧れがあるという話になると思うのですよね。そんな観点から考えますと、22日の国債払込は間に合わせていただきたいものだと思うのですが・・・・・
○オペ金利とか上昇
リーマンの取引がフェイルになって何が困るといいますと、その取引相手方の玉繰りと資金繰りがいきなり変わってしまうこと。自己勘定の人ならまあ色々な手段はあるのですが、ブローカーとか他人勘定の場合はそうホイホイと取引再構築が出来るわけではないので、エライコッチャになるんですよね。
昨日も申し上げましたが、リーマンに債券売却して受渡がこれからって場合、フェイルされた分の代金を購入に当てている(ブローカーなんかまさにこのパターンですわな)とか受益者への支払い充当に使っていたりとかしていた場合、その分の資金繰りをつけないといけなくなりますので、GCレポ市場で資金取りに行くのか他の銘柄売却するのかコールや銀行借り入れで資金調達するのかという事をしないと行けませんがな。
まーそんなこともあるので、GC取引レートとかもうロンバードレートは見事にオファーみたいでして(昨日はぼかしましたが、一昨日もまあ0.7台半ばから後半で一昨日は一部で0.80%ついたらしいです)、これまたリーマンの決済いきなりフリーズしたのが影響するの巻。どこの誰が民事再生処理の方向性つけたのか存じませんが、民再させるなら決済止める時間をもっと短くしやがれコノヤローとしか申し上げようがございませんわな。
オペの金利も確り高く、昨日の朝実施された国債買現先(スポットスタートの10月3日エンド)は1兆6000億円という30兆円時代のオファーを彷彿とさせるオファー額だったにも関わらず平均0.751%と0.76%の札を入れた人いるのですかそうですかというレートに。昨日引けに掛けてダダ売られしていたFBに関しては買いも入ったのかちょっと引け値ベースでは持ち直していますが、資金のレートがそんな状況ですからちょっとしたロットで売りに行ったらビットは普通に0.75%になるんちゃいますか(^^)。
昨日の取引終盤は2年債がダダ売られして、2年新発が0.80%に上昇して(引けは0.795%)いましたが、このあたりもまたキャッシュ化の動きなんだかそれとも(金先も終盤ダダ売られしてたので)スワップレートの上昇(そりゃまあLIBORも上昇してますし)の動きだったのか良く判りませんが、短期金融市場の取引がシュリンクした時にありがちな中短期債とターム物金利ダダ上がりの図という奴をやっている格好になっています。
いやあの日本国内の金融機関で信用問題起きてるんじゃないのにこの有様というのはちょっと如何なものかと思うのですが。三洋破綻で短期金融市場が止まったことが北拓、山一の資金ショートを連鎖的に生んだ流れとか全然教訓になってないの???ねえ、たった10年でみんな忘れちゃうの???
○その他備忘録
・日銀のドル供給オペ
内容はこの辺。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0809c.pdf
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0809a.pdf
これはまた恐れ入りましたが、背景に関しては例によって本石町日記さんのところに解説がございます。
http://hongokucho.exblog.jp/9523974/
邦銀の円投部分まで為替フォワード市場があぼーんしたことから調達圧力上がりまくりとなったと。一応昨日の夜見てたらインターバンクの翌日物LIBORが1%ちょっと下がって4%切ってたようですね。とりあえずの止血にはなるんですけど、まあ今朝出てたRTC設立とかやらないと話は片付かないので、それまでの時間を持たせるための効果。とりあえずドルの翌日物6%だの7%だのとかパニック的になっていた部分は剥落してくれるのは良かったですねと思う。TEDスプレッド目先縮小要因。
・米国財務省が財務省証券追加発行
というのが昨日出てましたが、これって要するに売出手形オペがないからその代わりにやってるんですよね。しかし昨日の3か月TBゼロ金利には驚き。資金供給をやりまくったためにモノが無くなってしまったの図ですな。
・CPレート上昇
いやもうこうなると仕方ないですけど。まあ最終的にTIBORより高くなったら発行体さんは銀行借り入れにシフトする分とか出てくるのでしょうが、中間期末な上に、リーマンとの取引がフェイルのまま中間期末に突入するとバーゼルUの規制上、約定後未決済取引の分がカウンターパーティーリスクに計上されるというリスクアセットがぶれる要因があってやりにくい中ですからどうなるんでしょうかねえ。
まあドル供給協調策などによってターム物金利が落ち着いてくればそんなに上昇もしないと思いますし、まあ上昇すれば発行が減るのでそんなに無茶なことにはならないでしょうが。
2008/09/18
お題「日本の場合信用リスクなんだか決済リスクなんだか」
色々と急展開で本業が超多忙になっておりまして、田中先生からツッコミ頂いたお話の続きを整理できておりませんです。誠に申し訳ございませんです。
えーっと、何だか色々ありますけれども、整理整頓しないでグダグダ状態で書き並べて参りますです、はい。
○米国では短期国債急騰しているのに日本と来たら・・・・
まあ米国の場合は利下げ期待もあるのかもしれませんが、今朝も政府短期証券は金利急低下の巻。一方で日本では火曜日も実はしらっとFBとかレート上昇してたのですが、昨日に関しては朝から断続的にFBは売り物がちでして、大引け間際にはそこそこの売りでも出たのかどうか知りませんが、火曜日に入札が実施されて平均0.5953%の足きり0.6105%だった3か月FB541回は0.63%とかの出合いとかやってたよう(もうちょっと甘いのもあったかもです)で、引けは0.625%と前日比3毛甘。
短い所のTB/FBが軒並み売られるの巻になっていまして、日本相互証券の引けベースで見ると9月29日償還のFB525回が前日比6毛甘の0.650%だの、10月2日償還のFB534回が前日比5毛甘のこれまた0.650%とか見事なレート上昇。
この背景としては、足元のGCレートが急上昇してますという部分があるようで、昨日のレギュラーが22日受渡ですが、22日−24日の翌日物レートがたぶん0.7%近辺に上昇しているものと見られ(今日発表の東京レポレートのS/Nを見てちょ)まして、そりゃまあ足元そんなレートだったら特に短い物は持っているよりもこの辺のFB売っても同じですわなという論議になりますよね。
・・・・でも利下げ期待にかんする部分は措くとして、米国では財務省証券買われる(TB3か月殆どゼロ金利とはすげえ)フライト・トゥー・クオリティなのに日本と来たら何でこうなりますのやらという事ですが、これは決済リスク問題も絡んでいるのではないかと思うのでありますよ。
○リーマン日本法人をいきなり法的整理した弊害について
97年以降の日本における金融危機ですが、その時の教訓としてあったのは三洋証券の破産処理によって決済リスクを高めてしまうと、短期金融市場における取引がいきなりシュリンクして機能不全になって大変なお話になるというのがあった筈ですわな。そのためにその後の山一、長銀、日債銀のケースでは自主廃業や公的管理という形で、実質的に破綻処理であっても法的には会社としてゴーイングコンサーン状態にして取引の決済は回しながら粛々とポジションの整理を行い、市場の決済がいきなり止まるという事にはならなかったんですよね。
然るに、今般の処理においては、リーマンが国債市場でそれなりに大きなプレゼンスを持っているにも関わらず、保全命令によって取引決済がいきなり止まる(これまた正直どっからどこまで止まっているのか良く判らないのですけれども)攻撃になってしまいましたので、リーマンと直接売買だのレポだのの取引をしている人たちとしてはフェイル食らいまくりでもう大変。
しかもタチの悪いのは、民事再生なんで取引自体がデフォルトになっている訳ではなく、フェイル状態のまんまになってしまうところでして、(昨日も申し上げましたが)証券決済としてモノが止まってしまうのは色々と弊害が生じまくっているのでありますわなという所です。
保全命令が出た以降はリーマンの新規取引は無いですけれども、それ以前に行った取引に関しては現物債券の売買だと国債だったら概ね22日決済までの取引は普通に行われていましたし、レポに関してもクーポン物のGCやSCとかだと22日にエンドが積みあがっているでしょうし、更にGCのターム取引とかもあるでしょうし、これらの決済がフェイルという形になると困るんですよね。
JGBCC分の決済は制度上JGBCCが決済に関する債務引受を行う筈ですので、差金決済とかやるのかなとか思う(詳しい人教えて)のですが、相対でリーマンと取引した人に関しては約定後受渡未済の取引に関してはフェイル状態になってしまうのでしょうから、このモノの処理どうするのというのは大問題の巻でして、相手の証券業者も困りますが、これってより一層困るのは投資家とかブローカーとか信託銀行(有価証券運用信託)とかだと思うのでありますよ。
表面上はレポなら現金担保取引だし、一般売買ならDVPなので別に与信上重大な問題が生じるわけではない(問題は問題なのですが)のですけれども、モノの受渡が行われず、しかも宙ぶらりんという状態になりますと、その処理ができんので大変困るのですね。
より具体的に申し上げましょう。例えばリーマンか22日発行の新発10年国債を買っていた投資家としては、この調子だと22日に取引がフェイルになっちゃいそうですが、まあ仮にフェイルになりましたとすると、金を渡さなくて良いので別に金だけ取られてモノ取りっぱぐれというようなアホウな事態にはならないですけれども、いつまでもフェイルということになると折角購入した新発10年国債はいつまでも転売できないという悲惨な状態に。これが証券会社だったらその分は別のところからレポで借りてきて転売すりゃあいい話でそのコストはフェイル賃徴収(出来るかという問題があるがそこは措く)で何とかという話になりますが、投資家の場合そもそもレポで債券借りるという事が事務上も制度上も手当て出来ていないケースが多く、この間何も出来ませんという話。その間に相場は動く訳でして、仮に民事再生の保全命令でているけど最終的にやっぱり破産処理とか言われて取引が後から遡及でデフォルトとかされると、今度は遡及でポートフォリオが変わってしまうのでなお勘弁してくれという話に。
逆にリーマンに国債売却してた場合もかなりの涙目展開。例えばの話どこかの投資家が一般受益者に対する支払いの為に債券を売ってたとしますと、この取引をフェイルにされますと当然ながら資金繰りに穴が開くの巻。これまた同じ理屈ですが、証券会社や銀行の自己勘定などであれば、受渡をしなかった国債を資金供給オペの担保やらGCレポの玉に使えばその分のファンディングは回りますので資金繰りそのものは回るのですけれども(コストは掛かるが)、投資家の場合そもそも論としてそういう取引が事務上も制度上も手当て出来ていないケースも多いです。しかも取引は不履行になっているわけではない(決済遅延状態)ので、対象債券を売り飛ばすと二重売却になっちゃいますし、保全命令が出ているので約定を遡及取消とかしたら後から管財人に否認されてもっと涙目の展開になるリスクがございますわな。
GCレートとか上昇してるのってリーマン絡みの取引で資金繰りとか玉繰りとかややこしいことになってしまっている為に資金を出す側が超慎重になっているのと、取り手の資金確保の問題と両方が相俟っている面があるように思えます。リーマン以外で信用問題が起きている訳でもない日本で足元の金利が上昇しているのは、海外でのファンディング懸念が波及(欧米でのドルなどの無担保取引ではだいぶレート上昇をしているようですし)している面は勿論あるのですけれども、決済リスクを意識してリスク回避の為に資金を抱え込む予備的な資金需要が増加しているという面が強そうに思えます。
当然ですが、火曜日よりも水曜日の方がフェイル取引が積みあがる分大変だったようでありまして、もうレポ担のお友達とか申し訳なくて電話もできません(というか電話しても「今忙しい」と5秒で終了するのですが、汗)がなという状態だったようでございます。皆様お疲れ様でございます。
とまあそんあ具合でありますので、保全の為に一旦取引を止めるのは致し方ないので業務停止命令が出たのは至当としても、国債流通市場の決済を止めるとどうなるのかとか考えた結果として民事再生申請→保全命令の流れになったのでしょうかと小一時間問い詰めたいです。22日には3/9月利払い債の決済が積みあがっているのですが、このまま漫然とスルーされても困るのよね・・・・・
というか、米国ではリーマン分の取引って止まってるの?止まってないの??約定はフェイルなの?デフォルトなの??
○国債発行が一部不成立となりました
昨日の金融ファクシミリ新聞の報道によりますと(とか言ってたら今日の公共放送ニュースでも報道されていましたけれども)、火曜日に払い込みが行われた2年国債と3か月FBの発行に関連してリーマンが落札した分の払い込みに穴が開いているようです。
まあ国債発行が1000億や2000億減ったくらいでは国庫の資金繰りに関しては蚊に食われた程度の影響なので全く無問題なのですけれども、リーマンが落札して転売している新発国債に関してはリーマンが意図せざるショートを振った形になってしまった訳でして、ポジションが動いちゃったですねという事になりますね。22日には5年と10年で2500億円ちょっとの落札があったのですが、リーマンの債券ポジションいきなりその分意図せざるショート発生の巻で、取引復活させる場合に意図せざる再構築コストが掛かりますわなという感じです。ナムナム。
国債引受シンジケート団形式で発行される10年利付国債(と5年割引国債)の応募者登録なんぞとっくの昔に無くなっています(そもそもそういう話をする時点で年齢がバレてしまいますが)が、これもし応募者登録で新発買っている人とかいたらリーマンの取引分どういう処理になっていたんでしょうね。まあどうでもいい話ですが。
○時間が無いのでその他備忘メモメモ
・金融政策決定会合
すいません、明日のネタか土曜に追加発行するかします。リスク認識がなお警戒になりましたね。
・AIGの救済策
相手が機関投資家主体なリーマンは法的整理するけど、一般ピープルに影響が大きい保険会社は救済します・・・・こうですか、わかりません><
何か折角救済策出ているのに、情報ベンダー見てたらFEDの偉い人のコメントとかで国有化ではないとか言い出すのは腰が入っているんだか入っていないのだか良く判らん。最初はリーマン破綻=三洋証券破綻で、AIG救済=りそな救済かと思ったので、これはもう年末にはまた資産バブル発生ですよとかアホウな与太話をしていましたは、この感じですと残念ながら長銀の特別公的管理くらいのステージですかそうですか。
ここまでやるならもうちょっと根性入れて救済スキームを公表していただきたいものです。
・CPレート
一部で昨日は上昇という感じでしたが、FBレートの上昇が昨日の引け際に来たので今日はさすがに上昇するんでしょう。ということで事業法人さんにも影響が来るんですよ。この一連の動きが無かったらそんなに上昇する感じでもなかったんですけれどもねえ。
#多忙でなんかグダグダで申し訳ないです。
2008/09/17
お題「損失額の話よりも決済システムの話が気になります」
決済とか受渡の関係者の皆様、昨日は大変お疲れ様でした。本日もバタバタするのでしょうか・・・・・
○裁判上の法的破綻は三洋証券以来でして
今回は民事再生申請で保全命令が出ました。まあどさくさに紛れて資産が海外流出されると困るから取りあえず売買全部止めとけという論理はわからんではないのですが、そのせいで決済関連はあちこち止まってしまい、結局毎度おなじみの市場関係者の自助努力でかなりの部分が回ったみたいですが、決済に関しては時間が随分かかって日銀ネットは延長になったみたいで、関係者の皆様お疲れ様でございました。
えーっとですね、ここでいう決済っていうのはインターバンクの資金取引というよりは債券(および証券)の決済に関するところでございまして、約定したけど受渡未済となっている(一応関係者じゃない人向けに申し上げますが、約定日から受渡日までは数日間のタイムラグがあります)取引の決済とかどうなるのよという話は何がどうなっているのやらという感じでございます。
リーマンが業者間などで取引してJGBCC(国債決済清算機関)経由で決済をしている分だとネッティングで決済額が減っていると思うのですけれども、投資家との相対取引の分とかどうなるのよという感じです。ご案内の通り昨日の相場では5年とか10年とか7毛強とかやらかしているので、リーマンから国債買ってまだ受渡が終わっていない場合、取引がフェイルになるのか、受渡不能になるのかのどっちなのかもワケワカラン状態のようですが、フェイルと受渡不能じゃあ話が違ってきますので、どっちになるのか決めてくれって感じでございますわな(ちなみに受渡不能だと約定後買ったものが価格上昇しているので、不能になったら上昇した分損害になりますわなという話です)。
既発の流通玉に関するフェイルだとまだしもなのですが、より懸念されるのは新発国債の部分。リーマンは22日に発行される5年国債と10年国債を合計で2500億円以上(2800とかでしたっけ)落札していまして、そのうちどの位を転売しているのかは存じませんけれども、この分って22日にリーマンが資金を財務省に払い込まないとその分発行されない事になってしまうのですけれど、その分の資金が確保できているのかどうか判らんですよね。新発の払い込みを行わないで新発の販売をフェイルしましたって話になった場合、受渡どうなるのよという話になるんですけれどもどうなるのでしょうか・・・・
22日受渡は3/9月利払いの国債の受渡が集中する日でございまして、未決済取引の部分もどうなるのかという話もあるんですが、実は22日と言いますと先物9月限の現物決済分の受渡日でもあったりする次第でありまして、リーマンの自己ポジションおよびリーマンが受けている委託の先物ポジションの中で現受け現渡し決済があったとしたら(正直言って無い事を祈るが)その決済どうなるのよというのも気になるのですよ。
受渡未済分だけ決済すりゃいいかというと、ポジション的にはショートになっているものってSCレポでの品借りを更にロールしないとその先に続かないのでして、新規取引が出来ない状態になっているので、未済分を決済してめでたしめでたしという訳にも行かない気がします。
ということでね、証券決済は資金と違ってモノの決済なので、いきなり全部止める攻撃をして必要なところに供給すればよいという手段は使えないのよねというお話になるんですけれども、民事再生申請で保全命令出すという流れって(資産保全の為にやったのでしょうけれども)決済システムという面ではちょっとお前それは無いでしょという感じになっておりますわなということで。
○まあいろんな手段を打たれましたが
資金供給額の話が案の定ニュースになっているのですが、資金なんぼだしても決済が回らないことには話にならんのでして、例えばFRBで言えば昨日まる引用したTAFやTSLFの拡大策とかの方がキモなのであります。
そんな中で昨日午前中に出された日銀のリリースは中々結構でした。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mos0809a.pdf
国債売現先(国債補完供給)の実施条件の緩和について
リーマンに絡む取引がフェイルになることを勘案し、T+0でのSCレポが回りやすくするために国債補完供給の実施条件を緩和。早速昨日は国債補完供給が実施されていましたので、これはとりあえず目先の火消し措置ではありますが動き素早しということで宜しかったのではないでしょうか。
今回他にもツッコム話はあるようなのですが、まだちゃんと頭の中で整理できてない(忙しいので目の前の蝿を片付けるのでヒーヒーなのですよ)もんで、続きは明日以降。
2008/09/16
お題「リーマンがチャプター11」
いやはや何とも。まあ今朝は考えられる問題点を整理しておきましょう。と完全に俺様メモになっていますが。
○公的資金入れないのですかそうですか
ポールソン先生は端から公的資金入れる気無かったなどというKY発言をしておられますが、日本の不良債権処理からの教訓はどこへ行ったのやら。そもそも論として日本の金融恐慌第1弾って三洋証券破綻の時にインターバンクやレポを全部いきなりこかして一気に短期金融市場がシュリンクしちゃって資金繰りが回らなくなったのが連鎖を呼んだんですけどねえ。
ということで、マネーマーケットの周囲にもおりますところのあたくしと致しましては最大の興味というか懸念事項はリーマン絡みのインターバンクやらレポとか国債等の売買取引の決済がどうなるのかというのでありまして、それによって流動性問題が連鎖を起こさないのかというのが重要なのですが、経済専門番組様肝心の話をしてくれませんなあ。株価とか為替とかの値動きは確かに激震ではございますが、こんなのお約束通りであって専門番組としてのコメントを聞きたいんですがねえ(と思ったらコメンテーターさんCDS市場の話をしているのはちょっとマシですけど)。
それからですな、公的資金入れないとか抜かしてますけれども、公的資金入れないでリーマン絡みの取引が全部ちゃんと決済されるのですかというのは物凄く気になる次第。取引をちゃんと決済しないと金融市場での取引が思いっきりシュリンクして資金繰り問題の連鎖になって三洋→北拓→山一パターンになるんですけどねえ。
・・・・・と思ったらFRBのリリースが。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080914a.htm
えーっと、PDCFやTSLFを拡大しますというお話のようですが。
The collateral eligible to be pledged at the Primary Dealer Credit Facility
(PDCF) has been broadened to closely match the types of collateral that
can be pledged in the tri-party repo systems of the two major clearing
banks. Previously, PDCF collateral had been limited to investment-grade
debt securities.
The collateral for the Term Securities Lending Facility (TSLF) also has
been expanded; eligible collateral for Schedule 2 auctions will now include
all investment-grade debt securities. Previously, only Treasury securities,
agency securities, and AAA-rated mortgage-backed and asset-backed securities
could be pledged.
PDCFやTSLFの対象証券が拡大するという形でFRBの流動性供給策は拡大実施となりますというお話なんですけどね。
These changes represent a significant broadening in the collateral accepted
under both programs and should enhance the effectiveness of these facilities
in supporting the liquidity of primary dealers and financial markets more
generally.
Also, Schedule 2 TSLF auctions will be conducted each week; previously,
Schedule 2 auctions had been conducted every two weeks. In addition, the
amounts offered under Schedule 2 auctions will be increased to a total
of $150 billion, from a total of $125 billion. Amounts offered in Schedule
1 auctions will remain at a total of $50 billion. Thus, the total amount
offered in the TSLF program will rise to $200 billion from $175 billion.
TSLFの枠を拡大しますですかそうですか。
The Board also adopted an interim final rule that provides a temporary
exception to the limitations in section 23A of the Federal Reserve Act.
It allows all insured depository institutions to provide liquidity to their
affiliates for assets typically funded in the tri-party repo market. This
exception expires on January 30, 2009, unless extended by the Board, and
is subject to various conditions to promote safety and soundness.
対象も拡大しているように読めますけど。とひたすらマル引用で申し訳ないですが一応ご参考までに。
・・・・でもね、結局のところリーマンが取引当事者になっている取引の決済を円滑に進めてあげませんと、それこそ危ないとか言われるところとの取引を行う人が全くいなくなってしまい、結果としてそういうところが市場取引(というのは無担保取引じゃなくて普通の債券売買とかでも)で流動性確保することが大変に困難になりますので、PDCFやTSLFの枠の増加で追いつかない可能性もあるんですけどねえ。と、97年以来の市場を体感しております年寄りさんは思うのでございますが。
ポールソンやバーナンキはその辺の状況ちゃんと理解してリーマンをこかしたと信じたいのですが、はてさて・・・・・・
○ということで市場の反応ですけれども
まー当然ながら債券市場では国債が物凄い勢いで急騰してて、質への逃避ってお話になっているのですよね。
でもね、97年当時のことを思い出しますと、やはり日本でも先程申し上げましたように国債に質への逃避は起きたんですよ。起きたんですけれども、インターバンクが機能不全になって、流動性問題が生じてしまったので国債といえども換金売りの対象になっちゃったというおそロシアな事態になっちゃいまして、換金売り対象になった中期国債(当時は中期国債は非上場で長期国債は上場で、輪番オペの対象は上場国債の一部だったので換金性に差があった上に、中期国債の一部は特定の金融機関がアホほど持っていた)がいきなりゲロゲロになってしまうとか、イールドカーブが2年辺りが持ち上がって長期が下がってというツイストフラットになってみたりとか、まあ中々な展開だったんですよね。
つまりですね、何を申し上げたいかと言いますと、とりあえず米国市場で債券に買いが入るのはまあそうなんですけれども、換金売りモードとかになると必ずしもそうではなくなるので動向を良く見ておかないといかんかなと思うのよ。勿論ですが、国債と非国債のスプレッドは拡大するんでしょ。
そーいや朝の経済専門番組(と称する地上波のテレビ番組)のコメンテーターがCDS取引の損失連鎖みたいな話をしておりましたが、そっちよりもインターバンクの流動性問題を話題にしていただきたかったと思う次第。まあCDS取引自体にあたくし不勉強にも程があるのでよー知らんのですけれども、常識的に言ってCDSってクレジットイベントが発生すると元本交換が発生するものなのですから、カウンターパーティーの与信管理って金利スワップみたいな元本交換の無いものとは別のロジックで管理してるでしょと思う次第。
ただまあCDSを組み込んだレバレッジを効かせた証券化商品とかになってしまうとまあちゃんと管理してなさそうな悪寒もするのでして、それこそ先日の日銀レビューにございましたハイブリッドなCDPOとか中々おそロシアな事態になると思うのですけれども、ポールソンやバーナンキは(以下同文)。
日本に関してはとりあえずリーマンが絡んだレポとか(さすがに無担保コールは無いと思うのですが)通常の債券売買とかは無事に決済して下さいね(はあと)という次第でございますが、日本法人が民事再生を申請して保全命令が出たらその決済法律的にどうなるのよというのは超超気になるので教えてエロイ人。
まあそんな訳で完全に俺様メモなのでありました。