東京電力賠償支払スキームに関する民主党政権の無法発言に対して怒って書いた駄文だよ(2011年5月15日設置)

「金融機関などが協力しないと公的資金を入れないよ、でも株式の上場は維持するよ」という意味不明なスキームが出た前日の駄文と、枝野官房長官と海江田経済産業大臣の妄言が出たので色々と書いたので記念に残して置くだよ。

まあここに書いてある悪態がそのうち本当にもっとすごいことになって、私達の国が無茶苦茶になりませんように・・・・・

その後についてはこちらに。

更に続きがあります。民主党以外からゾクゾクとキチガイ発言がでるのよこれが。

2011/05/14(特別更新)

お題「現政権は日本の金融の仕組みそのものを破壊したいのでしょうか」

という訳で昨日は13日の金曜日らしく斜め上の要人発言が相次いだので、トサカに来たあたくしは久しぶりに土曜の朝(つーか昼だが)に湯気ポッポーパワーで書き物をするのだ。

○東電の賠償金支払スキームの案のようなものが出ていましたので一応メモ

経済産業省のページから
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/index.html
原子力発電所事故に関する賠償などについて

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/songaibaisho_110513_01.pdf
東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて

「関係閣僚会合決定」で閣議決定とかじゃないようですな。

で、そちらにも政府の出した例の6条件がありますが。

『第一に、賠償総額に事前の上限を設けることなく、迅速かつ適切な賠償を確実に実施すること、第二に、東京電力福島原子力発電所の状態の安定化に全力を尽くすとともに、従事する者の安全・生活環境を改善し、経済面にも十分配慮すること、第三に、電力の安定供給、設備等の安全性を確保するために必要な経費を確保すること、第四に、上記を除き、最大限の経営合理化と経費削減を行うこと、第五に、厳正な資産評価、徹底した経費の見直し等を行うため、政府が設ける第三者委員会の経営財務の実態の調査に応じること、第六に、全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと、について東京電力に確認を求めたところ、これらを実施することが確認された。』

>第六に、全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うこと

んでまあ昨日は「金融機関への恫喝キター」などと書いていた訳ですが、さすがの金融市場連中も想像できないような発言が昨日の昼休み直前の枝野官房長官会見で行われ、それが報道されたのを見た金融市場はあまりの斜め上ぶりにビックリするのでありました。


○枝野官房長官の無法発言キタコレ

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=afFpAbxcloyw
枝野氏:政府の東電支援、債権放棄など金融機関の協力前提−会見(4)

いやまあ前日から「金融機関の協力が無いと政府は支援しません」みたいな無茶苦茶な話をしてて、責任と判断を金融機関に押し付けた挙句に法的根拠の無い「協力」を「要請」されるとか言う意味不明にも程がある発言を枝野さんはしてました(から金融機関への恫喝キターとか書いたのですが)けれども、その「協力」の内容が金利減免とかリスケ程度ならともかく(15日追記:金利減免とかリスケでも「協力を要請」するのは如何なものかという感じですが)「債権放棄」って何だよそれ。

すいませんあの上場維持を今後も維持する会社の債権放棄とかってその行為の経済的な合理性が極めて高いとか、何らかの法的根拠があるとかなら兎も角、単なる「協力のご依頼」如きで実施したら株主や預金者に対する背任行為で牢屋行きになっても不思議じゃないレベルの話なのですけど、弁護士ご出身と聞きましたが枝野先生民法とかご存知ないのでございましょうか????

『枝野氏は金融機関が3月11日の東日本大震災前に東電に対して行っていた融資の債権放棄が一切なされなくても公的資金の活用に国民の理解が得られるかとの質問に対し、「現時点では『民民』の関係なので発言に注意したいと思うが、国民の理解得られるかといったら、それは到底、得られることはないだろうと思っている」と語った。』(上記URLより)

これだけ露骨に会見とかやって圧力掛けて、更に「政府支援の条件は金融機関などの協力」という公表文書まで出しておいて「民民の関係」とか聞いて呆れる発言でございますが、ここまで国家権力者が露骨に法的手続きを経ない恫喝的圧力を掛けるとかどこのマグナカルタ以前の中世国家だよとしか申し上げようがありません。

国有化して下位権利者の株式について消滅させて、その後公的資金を入れるからその為に応分の負担をして下さいつきましては債権の一部(か全部か知らんが)をカットしますとか言うのであれば話の筋は通りますが、どこの世界に「株式の上場を維持したまま進めたいから株式よりも上位権利者であるローン債権保有者の権利を消滅させたい」とか国家権力が先頭切って言い出す国があるんだよという事でもありまして、これは国家が法的に定められている物権の関係を政治的な都合あるいは権力者の一存で勝手に事後的に変更できるという事に繋がる重大な問題であり、日本ソブリンが投資不適格扱いになるレベル(厭債害債さんが既に渾身のエントリーを2本(http://ensaigaisai.at.webry.info/201105/article_2.htmlhttp://ensaigaisai.at.webry.info/201105/article_3.htmlです)上げておられます^^)でもあるという厭債害債さんのご指摘に深く同意せざるを得ません。

大体からして「国民の理解」がどうのこうのとか言ってるけど、金融機関に対して預金者や株主に対する背任的な無法行為を取らせて国民の理解を得るとか意味が全く判らないというか、政府サイドの義務放棄にも程がある話でありまして、法的な手続きを踏んだ結果これが現在の最善の策であるというのを説明して国民の理解を得るのはお前らの仕事だろとしか申し上げようが無い訳でして、枝野発言のこの部分は金融面から見た場合には国家の信用を危殆に陥れる可能性を大きく孕んだ発言であると同時に、民主主義国家における代議員としての役割放棄発言でもある訳ですな。



ついでに言えば「貸し手責任」という概念に対する枝野さんの話も無茶苦茶でして。

『枝野氏は閣議後の会見で、震災前の東電への融資に関して「原発事故のリスクというものも広い意味では、当然のことながら考慮に入れて融資がなされるというのがマーケットの基本だ」と指摘。その上で、「この事故によって生じた財務内容を前提にした中で金融機関についても当然、協力をいただけるものと思っている」と述べた。』(上記URLより)

いやね、原発事故のリスク云々はそうかも知れないけど、だからと言って金融機関の融資が一方的に大損になるという債権の優先劣後の関係を完全に無視した「協力」をする必然性は全く無いのではないでしょうか。それとも何ですか枝野サン的には原発事故の責任は融資した金融機関にあるから債権放棄しろとでも仰るのでございましょうか???そういう話だったらそのうち銀行って住宅ローンで金貸した相手の日々の素行調査までしないと何の責任を負わされるか判ったもんじゃないから大変なことになりますねえwwwww

つーかさ、貸し手責任の言葉で法的に応じる根拠の無い債権放棄を応諾するように国家権力が圧力掛けるような国で金融業が成り立つのかよという根源的な問題になってくると思うのですけどねえ。

そういやさっきの経済産業省のページにあったPDFの方の3ページにある『(具体的な支援の枠組み)』の3番に『原子力事業者を債務超過にさせない。』と書いてあるのですけれども、金融機関に債権放棄を先にさせておいてドヤ顔で「原子力事業者を債務超過にさせない(キリッ)」とか言われてもギャグで書いているのなら兎も角、真面目に考えているとしたら文章の作成者の頭の中に詰まっているのはゲロかうんこなのではないかと思ってしまいますなあ。


まあ枝野官房長官様におかれましては、弁護士であらされた事もあるとお聞きいたしましたが、遵法精神の欠片もなさそうな大変に素晴らしい認識をお持ちのようであり、国家権力の中におられますと極めて遺憾でありますので、可及的速やかに1号機あたりに特攻して頂きたく心から願う次第でございます。なお、1号機と申しましても特定の設備を指しているわけではございませんで、偶々一般名詞として「1号機」という単語がふと頭に浮かんだだけであり、それ以上の意味は全く存在しないという事を念の為付け加えさせていただきますw



○更に海江田経済産業大臣が張り合って妄言とな

参議院のホームページとか、ユーチューブ辺りに音声付の画像があるようなのですけれども、何故かネットではこの発言のニュースが拾えなかったので、日経QUICKニュースから。

<NQN>◇経産相、東電賠償への協力「株主も社債保有者も当然入る」

確か昨日の16時50分前後(メモしたのですが時間書き忘れたわ)のニュースになりますが、記事によりますと『「全てのステークホルダーに協力を求める」との表現について「当然のことながら株主も社債保有者も入る」』(上記日経QUICKニュース記事より)との事だそうです。

えーっとですな、「協力」って何ですか「協力」って???株主が保有株式を任意で寄贈でもしろというのでしょうか?????一般担保付の先取特権がある公募社債保有者に対して任意で元利金の受け取りを放棄しろとでも言うのでしょうか????

まあ株式の話は置いといて債券市場の片隅におります者として社債の話をしますと、この手の公募社債を保有しているのはお昼のワイドショーで貯蓄アドバイザーが出てきてドヤ顔で「中期国債ファンドとスーパーMMC、どっちがお得でしょう」とか説明しているようなコーナーを見ながらてめえのヘソクリを使って購入しているような方だけではなくて、というよりそういう人は少数派でありまして、一般的には銀行や保険会社などの運用や、年金基金や投資信託の運用の一環として保有している人たちでありまして、これらの人たちに取ってみたら、例えば銀行であれば所謂プロパー勘定ではあってもその運用資金の原資は一般預金者などの資金でありますし、年金基金や投資信託のような他人勘定であれば、運用者は受益者に対して運用における忠実義務を負っている訳でありまして、一般の個人が義援金ホイホイ出すようなノリで「協力」とか出来ませんがな。

まあそれ以前の問題として、上位一般担保付債権者に「協力」しろとか言い出すという時点でこの国は投資した資金が権力者の都合で以下同文という所でありまして、うっかり債券投資も出来ないカントリーリスクの塊ですなあという話になると思うのでありますよ、マッタクモウ。

まあきっと海江田経済産業大臣さまにおかれましては、枝野官房長官の発言によって銀行株が下落(http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2011051300683)したり東電のCDSが急拡大(http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a5hs1IzC_n58)したのを見て対抗意識を燃やして更なる妄言をしようと試みたのではないかと存じますが、最初のブルームバーグニュースにあるんですけど、昼間はこのような発言をしていた筈で、どうも海江田サンにおかれましては、重度の健忘症にでもなられておられるのではないかと大変に心配でございますw

『一方、海江田万里経済産業相は同日の閣議後会見で、東電の社債と株式上場の扱いについて言及した。社債については「同じ債権の中でも優先権があるので法律に基づいた優先権が維持されるということになろうかと思う」と指摘。上場に関しては「上場企業として東電が引き続きしっかりとした電力の供給を行ってもらいたいというのが私どもの要請なので、そういうことになろうかと思う」と述べ、維持されるとの認識を示した。』(一番上にあるブルームバーグニュース記事と同じ記事より)

まあ何ですな、お茶の間貯蓄アドバイザーレベルの方であればその程度の認識でも仕方ないのかもしれない(まあ正直それでは貯蓄アドバイザーとしても失格でしょうが)ですけれども、経済産業大臣としてこれはどうなのかという感じが非常に強く感じますですなあ。なお、先ほどから申し上げておりますお茶の間貯蓄アドバイザー云々というのは特定の個人を想定しての話ではなく、あくまでも一般的にありそうな光景として想像しただけである事を念の為申し添えたいと存じますwww



○さらにこのスキームの案らしきものについての雑感

大体ですな、東京電力が電力供給のオペレーターとして事業を回すためには、資金繰りを回さないといけない訳でして、通常のオペレーションに関しては電力料金が見合いで入ってくる話しですからそらまあ回りますけれども、社債や借入金の元利払い、賠償金の支払い、福島第1原発の事故処理費用や今後の火力・タービン発電施設の整備など、その他に必要な資金は色々とある筈でございますが、そのリファイナンスどう回すのかの観点はどうなっているのよと心配でございます。

まあこのスキームだと東電は借金返済マシーン状態になる訳ですから、基本的には社債発行での資金調達は無理でしょ(そらまあBBB格ギリギリ並のスプレッドでもつければ調達できるかもしれないが、そんな社債が年間数千億から兆円単位で発行するとか無理だし、そんな事したら東電のオペレーションコストが上がって電力料金に跳ねるがな)という話ですからそもそも市場調達は厳しい話になるでしょう。

では銀行融資で、という話になるかとは思うのですが、その前に国有化なり法的破綻なりしてその更正企業としての事業体への融資ならまだ判りますが、一旦「協力」によって(仮に一部であっても)債権放棄をしたという時点で債務者としては破綻懸念先とかそういう類の債務者区分になる訳で、そんな所にそう簡単に追い貸しできませんなあという事になると思いますがどうなんでしょうかねえ。

まあそれに対して「政府保証をつける」という話になって、それなら金融機関も融資しますがな、という事になるのかも知れませんけど、今回の調子で「協力」を求める政府がいる中で原子炉の廃棄費用が想定異常に嵩んだとか、原子炉の停止に向けた期間が長引いて賠償額が拡大したとか言って東電の損失が拡大した場合に、同じノリで「協力要請」とかしてきて政府保証を反故にするのではないかとまで最悪のケースだったら容易に想定できてしまう訳でして、政府保証をつけるのであればかなり明示的というか法的というか、何か担保するものをつけてくれないと「政府保証だから安心」とも言い切れませんがな、という話になっても不思議ではないというのが枝野官房長官発言および今回の賠償支払スキームにおける6条件お恐ろしい所でございますわな。


・・・・・それにさ、これって問題は他の電力にも掛かる話で、何か大きな事故があった場合に株式よりも優先する筈の無担保ローン債権に対して「事故のリスクも考えて融資をしたというのが常識」とかドヤ顔で政府要人が発言しながら「債権放棄の協力」への恫喝が飛んでくる、という事になりますと、他の電力会社への融資に関しても継続してて良いのですかというような話になりかねない訳ですし、まあ少なくとも資金調達コストが上昇して各電力会社の費用負担が大きくなり、結果的に電力料金の上昇として国民生活における費用の上昇ならびに日本企業のコスト上昇に繋がり、家計消費への悪影響や日本企業の国際競争力の低下あるいは企業の国外移転を促すという事にもつながる話であって、このスキームは一見四方八方丸く収まるような書かれ方をしていますが、肝心の資金繰り(リファイナンス)に対する配慮がいささか欠けているのではないかという所が懸念される所でございます。


○まあいずれにせよ「法的根拠の無い恫喝」が幅を利かせる国家に成り果てたのかと

先般の浜岡原発ですっかり「法的根拠の無い恫喝」に味を占められたようで(まあよくよく確認するとそれ以前からも色々と無法措置が横行しているようで、詳しくはBOAメリルの上田アナリストが13日付けで出しているレポートが秀逸ですのでBOAメリルまでどうぞ^^)、今回は金融という大変にデリケートな部分のある問題に対してあちこちに法的根拠の無い恫喝的な「協力」を求める始末。

こんな国で果たして金融の仕事やってて良いのかとか真剣に悩んでしまう13日の金曜日なのでございましたが、折角ですから最後は有名なマルティン・ニーメラー牧師の「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」でもWikipediaから引用させて頂いて悪態の締めとしたいと存じます。

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。

ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。

ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。

ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した ―しかし、それは遅すぎた。

― 『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』


(Wikipedia日本語版より引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%88%9D%E5%85%B1%E7%94%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E8%80%85%E3%82%92%E6%94%BB%E6%92%83%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%8D




2011/05/13

お題「またまた東電雑感/ブラードさんの「ヘッドラインインフレが重要」講演」

んでまあ今日決定するようですが、さて・・・・・

○何か金融機関に浜岡原発作戦方式を発動しようとしてねえかこれ???

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a6SOnIeqd1aM
枝野氏:東電賠償枠組み、今夕にも決定−電力値上げによらず(2)

ちょwwwおまwwwww「電力値上げによらず」ってそもそも原発止めるとかしたらそれだけでも燃料費上昇するのに電力料金上げないでどうやって賠償金の支払いがオンされた収益払いますねんとヘッドライン見て腰を抜かしたのですが・・・・・

『枝野氏は電力料金の値上げもスキームに含まれるかどうかについて、「賠償額全体が残念ながら見通しすら十分に立てられない状況なので確定的なことは言えないが、基本的に電力料金の値上げによらずに賠償の資金を出す、そのためのスキームを作ったつもりだ」と強調した。』(上記URLより)

つまり燃料費の上昇とかによる値上げは別問題ですよという話のようですけれども、こんな言い方したらどう見ても当分「燃料費上昇および火力比率の引き上げによるコスト上昇に伴う電力料金の引き上げ」も出来ない状態に陥るんじゃネーノ(「電力料金引き上げせず」が当然の如くヘッドラインとして広がりますからねえ)と思うのですが、何かこの内閣あちこちのご機嫌取ろうとしてるように見えるわけで、普天間基地移転問題とかいやーな記憶がいやまあいいですけど。

んでもって現実問題として損害が出ているのですからどこかが負担しないといけない筈なのですが、どうもその辺りに関しての話がザルな気がしますなあとか思ったら同じ記事を見ますとこんな素敵な発言があったとの報道。

『同氏は関係金融機関ついては「スキームは自動的に政府が支援を続けるというものではない。金融機関等の協力の在り方について着実に進まなければ、それはそれで支援をどうするかということは途中の段階でもいろいろ判断する」と述べ、賠償資金確保への十分な協力が必要との認識を示した。』(上記URLより)

>金融機関等の協力の在り方について着実に進まなければ、それはそれで支援をどうするかということは途中の段階でもいろいろ判断する

金融機関への恫喝キターーーーーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー!

いやあ浜岡原発停止スキームで発動した「自主的判断」を今度は金融機関に適用ですかそうですかという所でございますが、結局個別に押し付ける先は銀行でございますかああ日本の銀行って大変ですなあとか思うのですけれども、「金融機関の自主的判断でどうにかしないと政府支援しないよ」ということですので、金融機関が「えー何で個別攻撃でウチに負担来るのですかねえ」などと文句を言おうものなら金融機関が「賠償金支払いの妨害をする悪者」になるという素敵なスキームとなる訳ですが、まあ昨日も申し上げましたが、それで既存貸出は金利減免なりリスケなりする事ができてもリファイナンスどうするんでしょうかねえ。いやまあ金利減免だのリスケしたローンとか今後のリファイナンスに政府保証でも付けて回るようにするとは思いますけど。

んでまあ結局今日決まるようですが、夕方はこのニュースでずっこけましたわ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=auvdFKZN8x54
政府:東電原発事故賠償スキーム、13日に再度議論する−菅首相

まあ決まる方向のようなので結構な話ですけどね(棒読み)。

だいたいからして原子力政策は国策で昔からやってた話だし、原子力発電所の安全基準とか監督とか国が思いっきり関与していたのに何か国(というか民主党政権)は兎に角東京電力がケシカランので向こう十数年に渡って賠償の支払いでケツの毛まで抜きますがなという話ばかりで、政府の責任問題はどこに逝っておられるのやらとも思いますが、そーゆー辺りの責任転嫁能力だけは超一流なのが民主党政権クオリティですから困ったもんだと思うのですが、今回は賠償支払いスキーム(これを東電救済とか言ってるメディアもどうかと思いますけどねえ、延々と賠償支払するし公的資金は最終的に全部返済する話だと思いますが・・・・)の決定は宜しいのですけれども、肝心な所で「金融機関への協力のお願い」とか出ちゃう所が民主党クオリティだと感心することしきりなのでございました。

ということでまあ他に悪態だの見通しだの書こうかなとも思ったが段々めんどくさくなってきたのでまあ後はスキーム案決定してその後の国会審議の状況を遺憾の念を持ちつつ注意深く見守りたいwと存じます次第だすにゃ。

・・・・しかしまあ早速こんなニュースが出てポカーンでありますにゃ。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110512mog00m040004000c.html
尾瀬:東電保有地の売却、群馬県が懸念 知事「絶対阻止」
◇東電は否定 法規制で困難も

・・・・・?????


実はこの件、前振りがありまして、10日に書いた駄文をこちらに。


2011/05/10

○おまけだがまあ相変わらず電力関連の雑談とか何とか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110509-00000047-maip-bus_all
浜岡原発 原子炉停止…電力不足ドミノの恐れは?

ということで中部電力浜岡原発が停止になった(防潮堤できたら再開みたいですけど数年掛かるんですよね)ようですが、まあ技術的な問題はあたしゃーよー知らんので止める必要があったのかどうかは知らんのですけど(暫く前に静岡県東部震源のでかい地震ありましたな)、そもそもこの話が菅首相の先週金曜の緊急記者会見だか何だかで急に飛び出して、しかもそれが「首相からのお願いベース」というのがどうも何だかねという感じでありまする。

いやあのちゃんとプロセス踏んで色々と検討して法的にちゃんとしたルートで実施してるのでしたら別にどうという話でも無いのですけれども、突如何でこのタイミングでこんな話が出たのやらという所でございまして、これって例の東電の補償問題にも通じるのですけれども、「日本の政治プロセスに掛かると従来の法的な枠組みと全然違う話が飛び出しますね」という認識になるのが金融屋としての理解になると思われます次第でございまして、そうなりますと「日本は法的枠組みが後付でひっくり返されてしまうリーガルリスクが高く投資には不適切ですなあ」という話になると思うのですよね。

まあそんなこんなで(前も書きましたが)従来は「安定的なユーテリティー銘柄」であった筈の電力各社に対する認識が「地震国における巨大偶発リスクを抱える銘柄」という風になりつつある流れ(現実問題として運用難の最中だというのに電力銘柄の社債スプレッドは渦中の東京電力が当然ながら壮大に拡大しましたが、他の電力会社に関しても華麗に拡大していますし買い手も減ります罠という事であります)が一連の原発問題への対応で更に加速するんじゃネーノと思うのであります。

そうなりますと、装置産業であります電力会社のコストとして思いっきり効いて来る資金コスト(借入金利とかですな)が拡大して電力料金に跳ねますなあという話はこれまた先日書いたので今更繰り返しません。

ただまあこの調子で原発止める話が続く(定期点検で止めたら再開しにくいとかね)と供給制約の解消に時間が掛かりますというか、それ以前の問題として電力供給問題が更に全国的に拡大ですなあ(関電とか九電とか原発比率高いんでしたっけ)という話になるんでしょうなあという悪寒はする次第にてごじゃります。今のところ止める「ご依頼」は浜岡だけみたいで拡大しないようなのでまだ悪寒は杞憂の世界ですけれども・・・・・・

ということで後は人のふんどしで。

abz2010さんの所
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110509/1304943563
東電が免責されないとどうなるか、

別の視点ですが非国民通信さんの所
http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/859e8433d2e1d22ec23f2d171cd34c10
菅にとっては簡単な決断なんだろうけれど

『こうなるともう、製造業は外国に出て行くしかない、とりわけ電力不安の影響を受けやすいハイテク産業ほど日本からの脱出を考えざるを得ない状況になることでしょう。必然的に雇用機会も減り、社会的に弱い人ほどしわ寄せを受けるものです。総合的に見てバランスのとれた判断を下すべきなのか、それとも国民が過敏になっているものを脇に追いやることを優先し、その弊害は無視するのが正しいのか、その辺は考えて欲しいところです。』(上記エントリーより)

・・・・・・・確かにさいですな。








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