野口旭 審議委員
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野口さんの略歴(日銀Webより)
昭和57年3月 東京大学経済学部卒業
昭和63年3月 東京大学大学院経済学研究科第2種博士課程単位取得退学
昭和63年4月 専修大学経済学部講師
平成3年4月 専修大学経済学部助教授
平成9年4月 専修大学経済学部教授
平成15年4月 イェール大学国際地域研究センター客員研究員
令和3年4月1日 日本銀行政策委員会審議委員
詳しくは(もへったくれもなく日銀HPをそのまま貼っているので同じです)こちら→https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_noguchi.htm
2025/05/26「野口審議委員金懇会見も大本営腹話術で「政策動く気なし」を強調」
2024/10/16「コミュニケーションの説明がやばいんですが利上げに関する考えは「半年ごとの利上げ」なんだよな〜」
2024/10/09「長崎金懇の輪番の説明が無茶苦茶すぎます(その2)
2024/10/04「長崎金懇挨拶での輪番の説明が驚愕のトンデモ理屈(その1)」
2024/04/23「佐賀金懇だがリフレ派が「賃金上昇を伴う物価上昇」というのは浜田先生の言ってた話と全然違いますがw」
2025/05/26
〇野口審議委員会見も大本営の腹話術人形でして・・・・・・・
ということで木曜の引け後に野口審議委員の会見で反応した、という感じなのかホンマに、って感じではありましたが、野口儀審議委員の会見を確認してみましょう。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250523a.pdf
2025年5月23日
日本銀行
野口審議委員記者会見
――2025年5月22日(木)午後2時30分から約30分
於 宮崎市
質疑応答はだいたい国債買入の話と今後の利上げに関する話に終始していたんですけど、この質疑応答見てて思ったのは「何でお前ら国債買入ペースを減らす方向の質問」しかしてないのって話で、この前の市場参加者会合の資料見たら「減額ペース減らせ」一色でも何でもないし、何なら加速すべきというのもあるし、ワイもそう思っているけど、そもそも論として減額が甘いからいつまで経っても市場の流動性がちゃんと回復しないでストレス耐性が弱いんじゃ、という主張も普通に市場参加者会合の資料にあるのですが、まるで市場が買入減額ペースをスローダウンさせろ一択かのような質問しかしないの何なんお前らマジで要らんわ、と思いました。
といきなり悪態をついておいて質疑応答ですが、まずは国債買入の減額に関しての一連の質疑を順に参ろうかと。
・長期国債買入ペースの減速に関しての一連の質疑だが野口さんの回答がまんま大本営でその点にビックリ
『(問)私から国債買入れでいくつかお伺いします。午前の講演で来年 4 月以降の国債買入れの方針につきまして、より長期的な視点から検討する必要があると発言されました。このより長期的な視点の意味するところについて、もう少しちょっと具体的に説明をお願いしたいということと、』
それはそうですね、そもそも長期的な部分は分からんと思うのですが。
『来年 4 月以降の国債買入れにつきまして現行計画のですね、毎四半期 4,000
億円ずつ減額していくと、そういうペースになっているのですけども、それを維持するべきなのか、または加速すべきか減速すべきか、来年度の国債買入れに関する野口委員の現時点のお考えをお聞かせください。』
これは変わらずって回答するのがほぼ見え見え(実際そうでしたが)
『もう一点、関連で足元超長期金利が急ピッチで上昇しておりまして、市場には日銀による超長期ゾーンの国債買入れの増額や買入れ区分の統合などを求める声が出ております。野口委員は超長期金利の安定に向けて、オペや減額計画などで配慮する必要性についてどのようにお考えか、大まかに二点よろしくお願いします。』
>市場には日銀による超長期ゾーンの国債買入れの増額や
いやあのそういう事言ってるトンチキはもちろん市場だからいるんだけど、お前この前の市場参加者会合の資料読んでるのかよって話で、そりゃまあ超長期買ってつかまっているから目先日銀にお助け下さいとかいうのはいるだろうけど、市場にはそんな声がでております、じゃねえよお前の認識どうなったるんだとしか申し上げようがない。
でまあ回答ですがこれがまた見事な大本営でして、
『(答)まず国債買入れ減額計画についてでありますけれども、これは私午前中のお話の中でも説明させて頂きました通り、基本的には予見可能性、もちろん柔軟性を伴った予見可能性ということでありますけれども、それが一番非常に重要であると。』
で、以下の回答が完全に大本営でしてマネタリーベース直線一気理論とか高圧経済とかとは全然違うお話が展開されています、すなわち、
『つまり、それは長期国債、昔のようにYCCのように長期国債の金利というものを日銀がある意味一つの政策目標にしていた状況とは全く違っておりまして、現在はあくまでも短期金利の操作によって金融政策を遂行している。』
ほう。
『そういう意味で言えば、国債買入れの金額から長期金利というような経路を通じた、その経路というものは、少なくとも政策としては考えていないということであります。』
そもそもYCCじゃなくてお前らの言ってたのマネタリーベース直線一気理論じゃなかったのかよという話で、完全に大本営の教育が行き届いて大本営のまんまの説明をしている訳ですな。
・・・・・となりますと、6月末で中村審議委員がご退任になられる訳でして、リフレとか言って自我を持ってハトハト金融緩和高圧経済を言いそうな野口さんが大本営にすっかり洗脳されてしまったという現状であれば、まあ大本営好き放題の図、ということになりますな。ゆうてトップが足元すっかりハトハトチキン音頭を爆音で踊り散らかしているので、だからと言って急に利上げが早まるというもんでもないですが、なんせ植田とかいうハトハトチキン先生、急に何かのスイッチが入ると突然威勢の良いことを言い出すジャガーチェンジムーブをぶちかますので、まあ別に利上げが全然ないですわ〜と言ってる場合でもないとは思いますけど。
でもって続き。
『ただ、これまで日銀がYCCを行っていく過程の中で、国債買入れ額というのは相当の規模になっておりますので、これをある種縮小していくということは当然のことであると考えております。』
まあ冷静に考えると何で縮小するのが当然なのか、って話があるのですが、ここをゴリゴリと突き詰めてしまいますと「中央銀行による財政マネタイズ」という管理通貨制度における最大の禁じ手の話になってしまうので、この点については既にバランスシートのランオフをしている中銀も含めて歯切れが悪くなるんですよね。
『それは市場にとってもある程度のボリュームをもって、その売買が行われる状態というものが重要だと考えておりますので、そこに向けて基本的にはマーケットをできるだけ荒らさないようにということは、つまり日銀が政策的な意図を持って何かその国債買入れの増減を行うということはないということが一番基本であるというふうに考えております。』
輪番の上げ下げに政策的を持たない、だそうですので、これは後半の「介入して下せえおねげえします」とかいう日銀依存ジャンキーで市場参加者の矜持を欠片も持たない輩への回答にもなっています。
でもって「長期的な視点」云々に関して回答の続き。
『ただ、より長期的に考えていきますと、最終的に日銀がどういうところで着地をするのかというのは、要するに中央銀行のバランスシートが最終的にどの規模に落ち着いていくのが最適かという問題になってくるわけであります。』
さいですな。でもってこの次の回答がズコーなのですが、
『これは実はまだどこの中央銀行も同じだと思いますけれども、量的緩和というものを行った中で、国債の買入れが膨れ上がったものを正常化してどこまで縮小していくのかというところですね、ここはまだ明確にはなっていないという状況の中で、手探りでそれを探っていくということになるわけでございます。』
だったら何で今回の見直しにおいて「長期的な視点」での話をするって事になっているのかが意味不明で、そんなの来年になって再度状況を見て、日銀のバランスシート規模と短期金融市場(長期金利ではない)との兼ね合いを見ながら規模の縮小をどの程度実施するのか、を考えるって話をすればいいのに、何で長期的な視点の話が今回出たのかが謎で、植田総裁の趣味で言ってたのか大本営が言わせたのか知らんけど、全く意味ねえじゃんと思いました。
まあそれは兎も角としまして次。
『その中で日本銀行としては、当面の計画というものは決めておいた、それを今後は実行していくと、少なくとも来年[3月]の時点まではそれをやっていくというようなことにおそらくなっていくわけであります。』
だったら別に長期的な検討は今後に回せばいいだけの話なんですがなぜか・・・・・・
『その後のことを考えますと、その最終的な姿に向けて、どういうふうにスムーズにそこに持っていくのかということを考えて行く必要もあるという、そういう意味で長期的な観点ということをお話したわけであります。』
そもそも姿が決まっていないのにスムーズに持っていくも蜂の頭もないんだが。
『ただし、具体的にそれがどういう金額になるのかというような具体的な数字ということに関しては、ようやく市場関係者からのヒアリングというのも終わってですね、それをわれわれとしても踏まえた上で、なるべくマーケットに予見可能性というものを乱さないようなかたちでこれまでの計画を大きく変えることはおそらくはないと思いますけれども、それで最終的なところにうまく着地していくような、そういうような新たな計画というものが必要になるというふうに考えております。』
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最終の着地がどうなるか今時点で皆目見当がついていないのに何で「最終的なところにうまく着地していくような、そういうような新たな計画というものが必要になるというふうに考えております。」という話になるのかが良くわからんのだが、大本営の屁理屈を教わったのは良いけど、大本営の屁理屈って屁理屈として練りに練っているだけに、ちゃんと構成を理解して捏ねないと上記のようにお前は何を言ってるんだということになりますので使用上の注意を良くお読みになってお使いくださいw
『これが最初のご質問に対するお答えであります。それから、4,000[億円]というような金額を維持すべきかどうかというようなことに関しては、これは今後の検討次第、検討を経た上で決めるということになると思います。』
だそうな。
・マーケットに対してリアクティブに何か介入するわけじゃないよ
でもって今の質疑応答の応答の方はまだ続くのですが、さっきの「介入クレクレ」へのご回答編。
『超長期の金利水準がこれまでの水準を考えると非常に金利が引き上がっていくペースが速いというようなことが最近生じているわけでありますけども、これと今度のこの
6 月に行われるような新たな計画というものが、私自身は少なくとも直接リンクするというふうには考えておりません。』
はい来た〜〜!!
ということでリフレリフレ言ってた人とは思えない発言ですが、まあ大本営もさすがにこの程度で一々日銀が市場に手を突っ込むほうがアカンじゃろ、という認識は持っているようでして、誠に結構なお話ではあります。だいたいからしてこの程度で一々介入やりだしたらそれこそキリがなくてYCCに戻るようなもんだし、なんかの拍子に財政ファイナンスって言われだし兼ねないし、そういわれた場合のリスクは今の財政運営を巡る政治状況から言ったら過去にないくらいに地雷踏むリスクがあるわけですからね。
『これはある意味で、長期金利はマーケットに委ねるというようなことを決めたわけでありますから、その中にはマーケットというのは様々な情報を消化していく中で、金利というものが形成されていくということだと思います。』
極めて大本営なのですが、これをリフレ野口さんが言う、というのが感慨深い。
『最近の長期金利の動きというのも、おそらく背後にいろいろな要因があって、その中には米国の政策の不安定性あるいは米国の長期的な財政状況というもの、こういうものは特に超長期金利、長い方の金利にいけばいくほどですね、長くなればなるほどそういう世界的な連動性というのがどうしても高まってきますので、そういうものの影響というのも日本の超長期金利も受けざるを得ないという中で起きている現象であると。』
日本の財政、と言わないのが日銀大本営の腰の弱い所でして、んなもん総裁副総裁に言わせると多少アレですけれども、ヒラの政策委員が言う分にはOKじゃろとは思いますけど。
まあ日本の場合はそれもあるけれども、「本来もっと前に上がっていて然るべきだった長期金利が日銀の買入によって不必要に抑えられていて、その本来起こるべき金利上昇が日銀の買入関与が相対的に低い超長期金利にまとめて出た」って話じゃないですかねえという所ですな、知らんけど。
『それ自身ですね、急激ではありますけれども、それが非常に何か異常な動きであるかどうかというのは、私は一概にそういうふうに決め付けることはできない。そこにはやはりマーケットなりの判断がその背後にあるわけでありますから、それをむやみに介入をして何か操作するというようなことは私は適切ではないというふうに考えています。』
おおおおおおおおおお!!!!!!!
ということでリフレ野口がこれを言う、ってのは中々インパクトがある(と言ってもまあ金懇挨拶のテキストみた時点でこういう回答になるんじゃろうなというのは想定できるんですが)ということではあったかと思います。
・長期金利市場に対するコメントが真人間にも程があってビックリした件
でまあ他にも輪番に関する質疑あったのですが基本的にさっきの説明と同じことを言わせるだけの愚問だったので割愛しますが、最後の奴だけ引用しますね。
『(問)度々繰り返しとなって、恐縮なんですけれども、足元の長期金利、超長期金利の国内の上昇について、今上昇ペースが広がってますけれども、これは国債買入れ減額の見直しにあたって金額の増減を判断する、機動的に対応するような例外的な状況ではないっていうご認識でよろしいでしょうか。』
この回答がリフレ野口とは思えない回答で面白かった。
『(答)私の個人的な今の見方では、これまで日本の金利というのは動かない世界にあった、長期金利もマイナスの時期もあったぐらいなわけでありますから、そういう意味で言えばイメージとしてですね、これだけ上がりますと非常に急激だというようなイメージがあるわけでありますけれども、もともと金利というのはいろいろな将来の予想や思惑というものを反映してかなりボラタイルに動くというのが金利というものであります。』
うひょーーーーーーーーーー
『そういうふうに考えますと、それが一概に、何か異常なものと決め付けるというのも難しいわけであります。』
何という真人間発言w
『もちろん状況によっては、中央銀行として金融市場を安定化させるために積極的に何かをやらざるを得ない状況というのは、当然あると思いますけれども、現状では少なくともそういうような状況にはないというふうに私は考えております。』
そらそうよという所ですな。
・トラ公関税政策に関連して
『(問)午前の講演の方でも少し触れられていたようなんですけれども、今後の不確実性という意味で、アメリカのトランプ政権による関税措置についての影響について、懸念というか危惧するというふうな話も出てたんですけども、警戒感というか、先行きの不透明感が漂う今の状況について、改めてご見解を伺いたいのと、それが今後の日本銀行の追加の利上げ措置に与える影響について、今、現時点でのお考えを教えてください。』
でもってこちらの回答ですが、
『(答)これは、正直申しまして、4 月 2 日以前の状況と、それ以降の状況というのは、世界的なマクロ経済状況が大きく変わってしまったということは認めざるを得ないというふうに考えております。』
「前提」は変わったと思うが「状況」はこれから変わると思うんですよね、まあいいけどさ。
『その 4 月 2 日の結果として金融市場というのが大きく変動をしたわけであります。しかし、その後の状況をみていきますと、さすがに最初のトランプ関税ショックの状況がいろいろな情報が新たに付け加わることによって、少しずつ解消されてきているというのも事実であります。』
このあたり、ちょいちょいと大本営ってハトハト一辺倒じゃない説明を挟むんですよね。
『しかし、そうは言ってもこれからどうなるかというのは、まだはっきりとしていないということです。』
そらそうよ。
『日本にとってみれば、一番大きいのが自動車関税だというふうに思いますけれども、それがどういうふうに落ち着くのか、それからやはり中国と米国との関税の協定というのも、日本においても非常に中国経済と日本経済との結びつきはそれなりに大きいわけでありますから、中国あるいはアメリカ、米中関係というものが大きく毀損されるということになると、その影響を日本も受けるということでありますけれども、これも一時の非常にほとんど貿易が途絶するような状況が予想されるような状況からは、かなり解消されてきているということを考えますと、少しずつ霧が晴れてきているというような状況だというふうに考えております。』
この「一時の非常にほとんど貿易が途絶するような状況が予想されるような状況からは、かなり解消されてきている」って説明は重要で、つまりは「コロナショックのようなことにはならない」というお話なんですけど、どうせなら説明で「コロナショックのような世界貿易が止まる勢いのショックまでは至らないかもしれませんね」位言えば良いと思うのですが、そこは何か説明しないんですよね、何でじゃろ。
『その中で金融市場の方も少しずつ落ち着きを取り戻していると。』
へい。
『ただし、そうは言っても、また何か新しい状況が出てきて、それがかなりネガティブなものだったりすると、またそこに反応するということは起きておりますので、まだ完全にその
4 月 2 日以前に戻ったとは全く言えないと。暫くはこの不確実な状況は続くだろうということだと思います。』
そらそうじゃろね。
『そのうえで、日銀の金融政策についてでありますが、これはやはり 4 月 2 日当時の状況は、これはいったんとにかく状況を、関税がどういうところに落ち着いていくのかを見極めるしかないというような時期が一定程度続いたわけでありますが、少しずつその帰趨というのが明らかになっていく中で、とはいってもかなりの下押し効果というのは、最善の、例えば各国別の追加関税っていうのがかなりなくなったというようなかたちでも、アメリカの
10%の基本的な関税は残るわけですから、その分に関してはかなり下押しが生じるということを考えますと、ある程度の見通しのずれというのはやむを得ないというふうに思っております。』
まあその通りなんですが、今回展望レポートでそれを織り込ませて見通しを下げた、ということでして、じゃあその織り込ませってどのくらいなのか、というのがまあ何となくフワッとは書かれているのですが、実はどの辺まで織り込んでいるのかが公表文書だとよくわからんという作りになっているのが今回の展望レポートの不親切設計部分で、今後の展開における関税政策動向の推移が、4月展望レポートでの想定対比で上振れしているのか下振れしているのか、というのが分からない状態だと、展望レポートで示された経済物価パスおよび政策パス(政策パスは明示的には示していませんけれども察するパスね)から上振れるのか下振れるのかが分からん、という状態に今はあるので、6月会合と言いたいけど少なくとも次回の展望ではもうちょっと明確な前提を見せて欲しいです。
『けれども、これが場合によっては思っていたよりも元の軌道に戻っていく時期が早くなる可能性もあるかもしれないというのが今の状況だと思います。ただ、そうは言っても、やはりまだ不確実性は非常に大きいので、見通しというのがはっきりしないとなかなかわれわれとしては次のステップというのを踏むというのはリスクが非常に大きな状況であり、あえてリスクを取るという選択肢はあり得ません。』
だそうなのですが、そもそも正常化が遅れるのがリスクになりうる、という発想が野口さん、というよりは大本営なんでしょうけれども、その辺りには無い(主な意見や議事要旨を見ていると多分抜刀斎辺りを筆頭に正常化を遅らせるリスクについて指摘する向きもあるので、政策委員会全員がそうなのでは無いとみられますが)なあというのは分かるかと思います。
『そういうふうに考えますと、私は午前中にほふく前進的なアプローチというふうにお話しましたけれども、そういうような考え方で暫くは弾丸が飛び交うような状況でむやみに動かないで、状況をまず注視していくというのが現状では基本になるというふうに考えております。』
まあとりあえず大本営は動きたがらないというのは把握したので今朝はこの辺で勘弁。
2024/10/16
〇そろそろ安達審議委員の金懇があるので野口審議委員の長崎金懇ネタの残りを成敗
輪番に関する面白理屈を読んで仰天してしまいその後の話をよんでいませんでしたが。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241003a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
長崎県金融経済懇談会における挨拶要旨
HTML版から引用します。
・マネタリーベース直線一気理論とは何だったのか(再掲)
金懇の『3.金融政策』の長期国債買入に関する部分の方が長くて、理屈がハイパー謎理屈だったのでそこを重点的にネタにしましたが、まあ長期国債買入の話をせっせとするのはマネタリーベース直線一気理論とは相性が良いのでそれはそれ。
しかし笑ってしまいますのはこの長期国債買入に関しての部分を再掲しますと、『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』の後半で、
『上述のように、「潤沢な準備預金」を前提とした現在の政策レジームでは、仮に日本銀行のバランスシートが現状のままであったとしても、政策運営には何ら制約や障害は生じません。したがって、バランスシートの縮小は十分な時間をかけて慎重に進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましいといえます。』
ってなっていましたが、マネタリーベース直線一気理論はどこに逝ったんだというお話をしましたけれども、まあその続きの部分になります。
・コミュニケーションの問題に関する説明ですがこれは大本営のレクを野口さんが解釈しているのかしら
『日本銀行はまた、7月の政策決定会合で、政策金利を0.15%程度引き上げ、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.25%程度で推移するよう促す」ことを決定しました。なお、後述の理由から、私自身はこの決定に反対しました。』
でまあその後の市場変動に関してですが、
『この決定の後に、市場では円高と株安が進行し、その直後に明らかになった米国の雇用状況悪化によって、その動きはさらに加速しました(図表11)。結果としてみると、この7月の政策金利引き上げは、1987年10月に起きたブラックマンデーの再来を思わせる急激な株価下落の要因のひとつとなりました。』
日銀公式が認めているのか野口さんが言っているのかが判然としませんが、まあこんなこと言ってもセーフという辺りが、日銀大本営が8月頭の株安にビビっているというのがよくわかる結果になっているのですが、そもそも論として過大な円安による株高なんだから円安是正すればこうなるの当たり前で、こんなんで一々ビビっていたら正常化進まないし、正常化進まなければ過大な異次元緩和政策の副作用はどんどん蓄積するだけなんですけど、どうもチキン植田総裁は5年間問題を先送りして誤魔化そうとしているのではないか疑惑が漂ってまいりますな。
いやまあ黒田にしたって最後の1年間はどう見たって物価目標達成大勝利宣言と共に出口着手ができるはずだったのですが、あの黒田をしてもいざ出口をやろうとするとビビって後任に丸投げして逃げ切り大作戦を敢行して逃げ切るわ勲章もらうわ私の履歴書を書くわとやっていた訳ですから、黒田よりも腹が据わってなさそうな(個人の偏見です)植田和男大先生が出口とかできるわけがない、と思えば大本営も隙あらば先送りってことになるんでしょうかねえ。いや大本営は今後も続くんだから総裁の逃げ切りに一蓮托生せんでもええじゃろとおもいますけどねえ。
などとこれだけの記述で妄想にすぎるといわれそうですが先に行きまして、
『この市場攪乱の原因については既にさまざまな議論がありますが、私自身は、問題の根底には「経済の現状に関する日銀自身の見方」と「その日銀の見方についての市場の認識」との間の齟齬があったのではないかと考えています。』
何となく大本営のレクっぽい説明が始まります。
『この7月の政策決定は、私を含む少数の異論はあったものの、日本銀行のこの時点のおよそのコンセンサスが、「経済・物価はこれまで日本銀行が示してきた見通しどおり展開しており、輸入物価が上昇するなかでの物価の上方リスクも考慮すると若干の緩和縮小が適切」というものであったことを意味しています。』
さいですな。
『ちなみに私自身は、「賃金上昇の浸透による経済状況の改善をデータに基づいてより慎重に見極める必要がある」という観点から、この利上げには反対しました。それは私が、物価の基調はまだ2%に届かず、インフレ期待も2%にアンカーされていない以上、日本経済は依然として下方リスクにより脆弱であると考えていたためです。』
アタクシは賛同いたしかねますがこれはまあこれは一つの主張ですので。
『私は他方で、状況は着実に進展しているため、今後のデータ次第では遠からず政策金利の調整が必要になる可能性はあるとも考えていました。』
で、それはさておきこの「齟齬」の話ですけれども、
『その後の市場の混乱は、この日本銀行のコンセンサスが市場には必ずしも十分に浸透してはいなかったことを示唆しています。』
そら大本営がハトハトチキン情報発信ばっかりしてるんだもん。
『市場はおそらく、「日銀は景況をかなり弱めに見ている」と考え、したがって利上げのペースもきわめて慎重なものになると考えていたはずです。』
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お前は何を言ってるんだという話でして、「日銀はビビりなので政策金利を上げられない」と見ていただけのお話だし、ハトハトチキンな説明ばっかりしていたのも日銀というか植田総裁が主でして、3月以降のハトハト情報発信がやりすぎだったということに尽きますわな。
『日本銀行の7月会合での決定とそこでの見通しの提示が市場に材料視されたのは、それがこの「日銀の見方についての市場の認識」とは大きく食い違っていたためと理解されます。』
挙句に7月会合では急に変なもんでも食ったかのように(当初は遂に植田さんが覚醒して真人間に戻ったのかとアタクシも勘違いしそうになりましたがw)強気なことを言い出した「日銀の情報発信の振れ幅の大きさ」によるものでして、市場の認識がどうのこうのとか言ってるのに関しては、そもそも学者先生の野口さんが市場のことなんぞよくわかっている訳もないので(思いっきり個人の偏見です)、大本営のレクを野口さんが消化したらこういう説明になったのと推察されますが、まあ野口さんをしてこういう説明をさせている時点で日銀大本営が自分らの「情報発信の振れ幅の大きさ」について理解していないのか、理解していても引くに引けなくなって意地でも反省の弁を述べないのか、どちらだかわかりませんけれども、まあ反省していないな、というのがわかるかと思います。
『この経験からは、主に二つの課題が浮かび上がってきます。』
反省していない大本営がどういう課題を言っているのか、というのは引かれ者の小唄なので聞いてみましょう。
『その第一は、政策運営に際しては、市場の側が「政策の背後にある日銀の考え方」をどう捉えているのか十分に把握しておくことが必要という点です。』
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
自分たちのブレブレ情報発信(植田時代の悪癖)や次から次へと新しいその場でしか通用しない屁理屈を繰り出して説明のゴールポストを動かしまくる(こっちは黒田末期から今まで)というのを全部棚に上げて「我々高級頭脳が説明してあげているのを理解しない市場の愚民どもが悪い」頂きましたwwwwwwww
まあナメトンノカという話ですが次行きます。
『第二は、経済状況の進展などによって日本銀行のコンセンサスに変化が生じ、市場が把握するそれとの間に大きな齟齬が生じる可能性がある場合には、そのギャップを埋めるべく、日本銀行の側から可能な限り丁寧なコミュニケーションを行う必要があるという点です。』
お前らの説明って全然前と脈絡のない屁理屈繰り出してくるだけじゃん何が丁寧な説明じゃ、というお話ではありますが、まあこんなこと言ってるんですからある日突然過去の説明と整合性がない(あるいは大昔言ってたのにすっかり言わなくなってお蔵入りしてたはずの屁理屈が突如復活して)話をおっぱじめる、というのは全然変わらんぞな、というのが読み取れると思います。
『今後の政策変更が市場の無用な混乱に結びつかないようにするためには、そのようなコミュニケーション上の努力が必要不可欠と考えます。』
無用の混乱の原因は9割9分までお前らのクソコミュニケーションだがな、という所で、この辺りの部分ですが、先般の田村審議委員による真摯な反省とはまるで違っていますけれども、まあこれは普通に考えて大本営が野口さんに対してレクをするとこういう説明になっている、ということを示している訳でして、お前ら外では立派なこと言っても所詮はこれかよ、という中々悲しいことが判明するという意味では中々有意義な金懇挨拶ではなかったかと思います、アイヤー。
なお、この部分は妄想成分で構想されている個人の意見部分がありますこと念のため申し添えます。
・ということで会見ですが利上げに関する考え方はハトハトなのかというと・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241004a.pdf
野口審議委員記者会見
――2024年10月3日(木)午後2時30分から約30分
於 長崎市
まあこちらはおまけなんですけど、ちょっと目に付いたのは「利上げには本質的に反対している訳ではない」って所ですね。
『(問)一点目は、ご講演の中でもおっしゃっていた、今の粘り強く緩和的な環境を維持するべきだ、ということなんですが、実質金利が今、非常に低い中、短期金利を数回引き上げても、緩和的な環境を維持できていると言えなくはないんですけれども、野口委員の考えでは、利上げそのものがやはり今は拙速であるということ、そういう理解でよろしいでしょうか、というのが一点目です。(後半割愛)』
この回答がやけに長いのですが、
『(答)まず最初の問題でありますけれども、私も基本的には、現在の金融環境というのは、まだまだ十分緩和的であるというふうに考えますけれども、緩和的だからもう少し調整していけばいいという考え方ももちろん理解はできます。ですから、もう少し調整の余地はあるというのも可能性としては否定できないというふうに考えますが、』
とまあ以下滅茶苦茶くどいのですが、要は利上げに本質的には反対していないという話になっていまして、
『ただ、なかなか難しいのは、そうしますと、要するに緩和的かどうかというのはあくまでも中立金利とですね、つまり、長期的に適正な金利とはどこなのか、ということの対比で考えなければいけないわけであります。けれども、その中立金利、あるいは、それを実質化して言えば自然利子率というもの、これはですね、あくまでも仮想的な概念でありますので、実際にこれを確認するということはできないわけですね。』
『いろいろなシミュレーションを日銀でも行っておりますけれども、結局のところは、それである程度の範囲でこのぐらいだろうということしか言えないというのが現状であります。そういう意味では、実際に中立金利というのは、事前に決め打ちすることはできないと。ということであれば、一段階利上げしたら様子をみて、その影響というのを確認しながら、これなら大丈夫だという段階でまたやっていくというような、非常にほふく前進的と言うんでしょうかね、そういうやり方で利上げをせざるを得ないというのが現実ですので、そういうことになるんではないかというふうに思います。(後半割愛)』
この説明ですと利上げして半年くらい様子見て大丈夫だったら利上げする(金融政策の波及のラグを考えて)というのに整合するんですよね。
もちろん半年間オントラックである、というコンディショナルな話ではあるのですが、この野口さんの説明を敷衍しますと、7月利上げして様子見てオントラックなの確認出来たら1月(半年後)の展望レポートのタイミングの点検作業の結果利上げする、というの全然おかしくない理屈になっていまして、つまりは野口さんであっても別に追加利上げダメゼッタイとかいう話ではない、というのは気をつけておく必要があるんじゃないのかね(こっちは大本営レクじゃなくてどう見ても野口さんの独自見解でしょうから)と思うのでした、というのが野口さんの金懇ネタ最終成敗なのでした。
2024/10/09
〇野口審議委員金懇ネタ遅くなりました(なお今日でも終わらん模様)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241003a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
長崎県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
金懇挨拶の中の長期国債買入に関する謎にもほどがある説明のところで中断しておりましたので再開します。
・アホみたいな買入を継続しておいて何が「長期金利の形成は市場に委ねる」じゃ
『3.金融政策』の『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』ですな。その前の部分で驚愕の『つまり、この政策手段の観点からは、大規模金融緩和からの出口は既に終了しているといえるのです。』という説明があった直後からになります。
『日本銀行は7月の政策決定会合で、市場参加者との意見交換も踏まえ、2026年3月までの長期国債買入れ減額計画を決定しました(図表10)。その基本理念は、「予見可能性と柔軟性の両立」にあります。』
そもそも基本理念が頭おかしくて、基本理念は「長期国債の大量買入れを止める」だろうがアホなのかとしか言いようが無いんですよね。次。
『この予見可能性は、「月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4千億円程度ずつ減額する」という計画そのものに具現化されています。』
この後が酷くて、
『これは、長期金利の形成が市場に委ねられた以上、今後は政策的な意図による国債買入れの増減は生じないことを意味します。』
そもそもが長期金利をゼロ近傍(最後の時点では許容上限が1%くらいだしストリクトな上限ではない、になっていましたが)にするために実施していた長期国債の買入の規模を碌すっぽ減らさないのに「長期金利の形成が市場に委ねられた」ってのが理屈としてちゃんちゃらおかしいわけでして、往年のロシア帝国の農奴解放みたいなお題目だけで実態が伴わない(むしろ状況が悪化する)ことしてるんじゃねえよというお話。まあ減額すると大変だ―とかのたまう政策依存ジャンキーが市場にそれなりにいるのも問題なんですけどね。
『他方で、市場急変時には買入れ額を機動的に変更するといった部分では、その計画には一定の柔軟性も担保されています。それは、市場の回復が重要とはいっても、それがむしろ市場の攪乱を助長あるいは放置する結果になっては無意味だからです。』
固定相場から変動相場に移行する際にはリプライシングが起こるのが当たり前なのですが、そらまあ馬鹿みたいに急落されたら困るとかいうのは気分としてはわかるのですが、結局日銀のやってることは馬鹿みたいな急落を危惧しているといいつつガリガリの市場抑圧を継続しているのでして、もうねって感じなのですが、この先もなんか酷くて・・・・・
・バランスシートの減額に時間がかかるから大規模国債買入は長期化するという無茶苦茶な説明いただきました
『今回の計画のもう一つの注意点は、その暫定性にあります。』
とりあえず買入の減額がそこまで積極的ではないけどこれは暫定的、とでもいうのかと思えばさにあらずで以下驚愕の説明が展開されます。
『それは、わが国における中央銀行バランスシートの最適な規模を現時点で確定することが困難なためです。』
で??
『その規模がどの程度であれ、わが国の場合には、2026年3月までにそこに到達する可能性はほぼありません。』
そら今まで買った長期国債の満期到来時期を考えたらそうなるわな(また集計しないと)、という話なのですが、この次にすさまじく謎な理屈が繰り出されてきます。
『そのため、今回の計画は必然的に、それ以降の延長を視野に入れた暫定的なのものとなります。』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・( ゚д゚;)
いやちょっと待てなんだよその理屈。
そもそも論として適正なバランスシートの規模に縮小するのに今の時点で時間がかなりかかるという認識だったら、バランスシート縮小をドチャクソ遅らせる大量の長期国債買入は早急に是正されるべきなのに、何で2年後にもさらに延長する気満々の説明になるんだよという話で、野口さんオリジナルなのか大本営謹製屁理屈なのか、大本営の説明を聞いて野口さんが生兵法振り回しているのか分からんですけど、説明が根本的に意味不明でして、いやそういう人たちに長期国債買入の決定とかさせているのかと思うと頭痛いわけです。
でまあそういう話なので、
『上述のように、「潤沢な準備預金」を前提とした現在の政策レジームでは、仮に日本銀行のバランスシートが現状のままであったとしても、政策運営には何ら制約や障害は生じません。』
しとるわヴォケというのは散々悪態をついております通りですが、同じように長期国債を大量に買い入れているのに、方やYCCでござるだったのが急に市場の金利形成が自由に進むとか言ってるのもう無茶苦茶なんですが、
『したがって、バランスシートの縮小は十分な時間をかけて慎重に進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましいといえます。』
という意味くじわからん説明で長期国債買入の話が締められているのですが、いやまじめな話こんな理屈を繰り広げる人と政策決定するのってワイならその場で物投げて暴れだしそうですわ(だからお前は出世しないという声が大向こうからかかって来そうですが聞かなかったことにするwww)いやマジでなんなのこの理屈・・・・・
ということで本当は今日でシリーズ終わる予定が全然終わらず延長戦に突入でござる(話の展開上時間がどう見ても足りなくなりそうなので今朝はこの部分だけとか簡単で恐縮ですが勘弁してつかあさい)
2024/10/04
〇野口審議委員の金懇がありましたので他のネタはまたも後回しになる先入先出法
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241003a.htm
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241003a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
長崎県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2024年10月3日
HTML版が出ているので引用はHTML版から行います。
・国債買入の説明がなんか驚愕の説明をしているんですが・・・・・・・・
まあ最初の経済物価情勢の話はどうでもよいので、『3.金融政策』のパートを鑑賞するのですが・・・・・・・
『(1)大規模金融緩和政策の転換とその意義』ってのがあって最初の能書きはまあどうでもよいうのでこれまた飛ばしますが、長期国債買入に関する説明が色々とイミフ。
『大規模金融緩和の転換には、もう一つ副次的な効果があります。それは、その政策によって大きな制約を受けていた金融市場の自由度を、市場の混乱を招かない形で回復させることです。』
まずね、「市場の混乱を招かない形で」っていうのは大本営も言ってるからこれどうせ大本営の受け売りなんでしょうけれども、そもそもこの発想が一見もっともに見えるけどやっぱりおかしいんですよね。と申しますのは、
『日本銀行はこれまで、量的・質的金融緩和、マイナス金利、長短金利操作といった政策によって、国債市場への関与を強めてきました。それは、本来の政策金利である短期市場金利がほぼその下限に達する中で、金融環境に影響を及ぼす経路を主として長期金利に求めてきたためです。』
これはその通りですが、
『その結果、日本銀行はそのバランスシートの資産側に多額の国債を抱え持つことになりました。』
となっている状態な訳で、つまりは現在の状態がオカシイのであっておかしい状態にあることこそが「市場の混乱」でもあるわけですよ。だって市場が機能していないという意味では混乱よりもたちが悪い状態なんですから。
でもってまあこれも大本営の受け売りなんでしょうけれども、
『3月の政策転換以降、長期金利およびイールドカーブの形成は、もっぱら市場に委ねられています。したがって日本銀行としては、その市場の国債取引が多くの参加者によって十分な厚みをもって行われていくように、国債買入れを徐々にではあれ減らしていく必要があります。』
まあこの発想もおかしくて、国債市場が日銀の大量国債買入で常態ではないことになっており、リスクに見合ったリターンが期待できないという状況では「多くの参加者」が参入するわけもないですし、そういう状態ではあれば国債市場の厚みとか流動性が低いんですから、流動性が低い上にリスクリワードもおかしい市場に参加者は増えない訳で、つまりは市場機能を戻したいのであれば国債買入の削減(本来なら売りオペしろと言いたいがまあそこまでは言わない)を急がないと行けないのであって、それをチンタラやっていたら、いつまでたっても市場の流動性が戻らず、参加者も増えない訳です。
でまあ減額を大きくすると金利が急騰するのが怪しからんので、という発想を当局ってすぐするのですけれども、そもそもそれは今までの日銀の買入がYCCが不要になったという経済物価情勢の下では不適切に過大だったというだけの話で、その過大を修正する間に金利が上がると困るから日銀は買入の減額をゆっくりすべき、というのはただの財政マネタイゼーション、というのは弊駄文では300回くらい申し上げている悪態。
・・・・・とまあここまででもツッコミどころが満載な長期国債買入のお話なのですが、さらに凄いのがこの次の理屈です。これ大本営なのか野口さんオリジナルなのかちょっとわかり兼ねますが。
『重要なことは、こうして行われる国債買入れの減額は、あくまでも市場の厚みの回復が目的であり、バランスシート縮小それ自体のためでも、金融緩和調整のためでもない、という点です。』
????????????
これ野口さんが国債買入減額強烈推進論者なら話は分かるのですが、この後の章で出てくる「国債買入減額はゆっくりと」の説明とマッコウクジラで対立する話になるのわかっているんでしょうかしら。
つまりですね、そもそも論として今行っている日銀の大規模な長期国債買入っていうのは、野口さんも直前の部分で『本来の政策金利である短期市場金利がほぼその下限に達する中で、金融環境に影響を及ぼす経路を主として長期金利に求めてきたためです』って言っていて、それに則って長期国債の大量買入れをしていたものが継続されている訳ですよね。
であるならば、今行っている長期国債の大量買入れも「長期金利に影響を及ぼす」ために実施していることは変わりない(形式的なガワを変えたってやっている中身が同じなら経済効果は同じでしょ)のでありまして、それはすなわち「市場の厚みの回復」という目的に対して盛大に反しているわけですわな。
そりゃまあ日銀保有国債の売却、という話になるとまた違ってきますけれども、市場の厚みを回復させたいのであれば、長期金利に影響を及ぼすために行っていた長期国債の買入について、新規の買入は即座に停止するくらい、まあそうじゃないにしても「長期金利の押し下げ効果を出さない程度」までは買入を即座に減らすのが筋って話になるわけでして、今やってる「2年間かけてもまだまだ長期金利押し下げ効果がバンバン出てしまうような買入を継続する」という計画自体がこの野口さんの標榜する目的と背馳している訳で、お前は何を言ってるんだとしか申し上げようがない。
まあ何ですな、野口さんオリジナルなのかもしれないけれども、オリジナルだったら今アタクシの書いたくらいのツッコミを普通考えると思うので、これは大本営のいつもの詭弁を生煮えのまま受け売りしているんじゃなかろうか疑惑も否定できません(個人の感想です)。
でまあその次の詭弁もひどくて。
『まず、短期市場金利がもっぱら金融調節運営を通じて誘導・維持されていた世界金融危機以前の「希少な準備預金」の時代とは異なり、現在は短期金利が中央銀行当座預金への付利を通じてコントロールされており、政策運営は基本的にバランスシートからは独立しています。』
政策金利と関係ないんだったらバランスシートをバンバン減らしても問題ないじゃないですかヤダー
『また、仮に国債買入れ減額の多寡によってある程度の金融引き締めや緩和効果が生じたとしても、その影響は最終的には短期市場金利の調整によって吸収されます。つまり、この政策手段の観点からは、大規模金融緩和からの出口は既に終了しているといえるのです。』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(゚д゚)
お前は何を言ってるんだにもほどがあるのですが、国債買入の減額によってある程度の引き締めが生じても短期市場の調整で調整されるんだったら、益々長期国債買入を継続している意味はないのだから、長期金利に直接関与するためとして実施している極めて大量の長期国債買入は可及的速やかに是正しないとダメだろ、という話にしか帰着しないと思うのですが、あんさん自分で言ってることの意味わかっておられるの???と申し上げたいし、某抜刀斎様におかれましてはちょっとこの金懇テキストをもって野口委員の執務室に「この説明でなぜ長期国債買入を大規模に維持し続ける意味があるのか」と抜刀していただくことをぜひお願いしたいところであります。
まあ何となくですけどね、これ長期国債買入減額を政策マターから切り離したい、という大本営の思惑が物凄い勢いで衣の下から鎧どころか全身装甲アーマー状態で感じてしまうのですが、金利の上げ下げマターと別口で、という話をするにしたって、この説明じゃあ「じゃあ何で超大量の長期国債買入を維持し続けるんですか」という問いに対する回答になっていない訳でして、屁理屈捏ねるにしてももうちょっとマシな屁理屈をこねて頂きたい訳ですので、長期国債買入をなぜ今でも馬鹿みたいに行っているのか、なぜその必要があるのか、本来は不要な買入規模なのではないか、ということをきちんと示していただきたい訳ですよね。なにが2年で半減じゃという話で、半減したってアホみたいな買入規模なんじゃヴォケってお話な訳です。
・・・・・などとつい朝から血圧をあげてたら時間が無くなってしまいましたが、いうまでもないことですが野口さんのこの先の部分で『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』とあるのですが、そこでもしょうもない小理屈を捏ねていまして、
・経過措置として調整するのはまあ一理あるけど本来不要なものをなぜ2年たっても継続するのか
『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』ってところですが、
『日本銀行は7月の政策決定会合で、市場参加者との意見交換も踏まえ、2026年3月までの長期国債買入れ減額計画を決定しました(図表10)。その基本理念は、「予見可能性と柔軟性の両立」にあります。この予見可能性は、「月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4千億円程度ずつ減額する」という計画そのものに具現化されています。これは、長期金利の形成が市場に委ねられた以上、今後は政策的な意図による国債買入れの増減は生じないことを意味します。他方で、市場急変時には買入れ額を機動的に変更するといった部分では、その計画には一定の柔軟性も担保されています。』
ここはどうでもよい公式見解ですが、
『それは、市場の回復が重要とはいっても、それがむしろ市場の攪乱を助長あるいは放置する結果になっては無意味だからです。』
そもそも「異常な状態」である日銀の国債大量買入れを是正するにあたりまして、ソ連邦の計画経済のように市場は動いてくれませんので、正常な状態に戻る過程のリプライシングというのは不可避な訳ですが、この「市場の攪乱」というのを当局が言い出す時ってだいたいソ連邦計画経済ムーブの発想になっておりまして(個人の見解です^^)市場に価格形成をさせてリプライシングの過程で一時的な動きはある、というのに耐えられないので、そもそもこういう発想を表に出す時点で市場に対してソ連邦計画経済マインドで対峙しようという気が満々なんですよね(個人の偏見です)。
『今回の計画のもう一つの注意点は、その暫定性にあります。それは、わが国における中央銀行バランスシートの最適な規模を現時点で確定することが困難なためです。その規模がどの程度であれ、わが国の場合には、2026年3月までにそこに到達する可能性はほぼありません。そのため、今回の計画は必然的に、それ以降の延長を視野に入れた暫定的なのものとなります。上述のように、「潤沢な準備預金」を前提とした現在の政策レジームでは、仮に日本銀行のバランスシートが現状のままであったとしても、政策運営には何ら制約や障害は生じません。したがって、バランスシートの縮小は十分な時間をかけて慎重に進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましいといえます。』
なんかもっともらしい事いってるんですが、おっちゃんさっき「国債買入れの減額は、あくまでも市場の厚みの回復が目的であり、バランスシート縮小それ自体のためでも、金融緩和調整のためでもない、」とか、「国債買入れ減額の多寡によってある程度の金融引き締めや緩和効果が生じたとしても、その影響は最終的には短期市場金利の調整によって吸収されます。」っていうことで、切り離しまくった説明してたのに、何で急にバランスシート規模の問題になるのかという話だし、バランスシート規模がイッシューになるんだったら、「この政策手段の観点からは、大規模金融緩和からの出口は既に終了しているといえるのです」って全然終了してないだろお前は何を言ってるんだ、というお話ではあります。
まあ何ですな、何ぼ何でもこれ説明がインチキすぎるので、野口さんというよりは大本営(ここで回線が切れる)。
・・・・・てな訳で金利の部分の話は今日出てくる会見録と共に後日お送りします。
2024/04/23
〇そうは言いましても野口審議委員の佐賀金懇ネタで
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240418a.htm
挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
佐賀県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2024年4月18日
・まあしかし置物一派がこれを言い出すのはさすがにヘソが茶を沸かす
目先の金融政策のところだけネタにするのも何ですのでその先を少々、ということで次の小見出しになりますが、この小見出しだけで笑えるわけでして曰く、
『4.賃金上昇を伴う「物価安定の目標」実現への展望』
『(1)「物価安定の目標」実現の必要条件としての賃金上昇』
・・・・・・・・・いやー必要条件ですってよ。ここで皆様にはかつての浜田宏一大先生の主張を確認して頂きたい、と思うのですが、ダイヤモンドオンラインがアーカイブ化してしまってこのページは有料会員じゃないと読めなくなってしまったんですけど(URL見れば分かるように6ページ目になるのですけれども1ページ目でしたら読めます)。
https://diamond.jp/articles/amp/30804?page=6
2013.1.20
浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換
インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」
この6ページの小見出しに『名目賃金は上がらないほうがよい その理由はあまり理解されていない』とあった(こんな貴重な証拠物件なんだから公開しろよと思うけどダイヤモンドオンラインがアーカイブにしてて会員じゃないと読めないという極めて遺憾な状態ですしつこく言いますが)んですけれども、すっかりこういう話をしていたのはなかったことになって「賃金上昇が物価目標実現の「必要条件」」とまで言い出すようになっているのがもうお前ら何言ってるのという話で、もともとお前らは(そういや「リフレ派バナー」って見なくなったなあ)物価目標を達成すれば世の中が好転して賃金だって上がるようになる、って主張だっただろいい加減にしろとしか言いようがないので、ちょっと次の金懇の時に誰か聞いてくれませんですかねえと思うのですけど。
でまあこの内容とか次の小見出し『(2)賃金と物価の上昇を阻んできたゼロノルム』の内容とか別になんか読むべき話をしている訳ではないので正直どうでもよいのでパスしますが、その次の小見出しに参りますと、
『(3)「賃金と物価の好循環」確認のための二つの注目点』というのがありますので何に注目しているのやらと思って読みますと、
『現時点の日本経済で最も重要なのは、いうまでもなく、物価・賃金のゼロノルムを払拭し、「賃金と物価の好循環」を可能な限り早く実現することです。そのためには、少なくとも以下の二点の確認が必要です。第一は、サービス価格が着実に上昇し続ける状態が復活することです。第二は、製造業でもとりわけ中小企業において、賃上げの販売価格への転嫁がスムーズに進展していくことです。』
マネタリーベースとかそういうのは見なくて良いんですねわかります。でまあ以下説明があるのですけれども、だいたい内田副総裁とかの金懇での説明と大差ない説明になっていまして、リフレ派とかいう異端の経済学やってるんだから何かもっと面白い事言え(某ジンバブエ先生みたいな方向で面白い事を言われてもそれはそれで困る説はありますが)と思うんですが、上記のようにまあつまらん話しかございませんで、言ってること基本同じなのに何で3月反対したんだよという話ですわな。
・そもそも「金融緩和を継続しないと物価安定が達成しない」というのが理屈として矛盾しているんですけどね
という疑問にお答えしているのが上記の次の小見出しになりまして、
『(4)今後も重要な緩和的金融政策の継続』
ときましたが、
『日本ではこれまで、デフレ期以降に定着した「物価も賃金も上がらない」というゼロノルムが企業や家計に根強く残っていたこともあって、大規模金融緩和を通じた労働需給の大幅な改善にもかかわらず名目賃金は十分に上昇せず、そのため物価上昇率が2%近傍で安定することもありませんでした。しかしながら、昨年の春季労使交渉を契機として、足もとではかつてない賃上げの波が生じ始めています。それは、半ば岩盤化していた物価と賃金のゼロノルムがようやく崩れ去りつつあることを示唆しています。』
これが置物理論の大勝利だ、と言ったらその面の皮の厚さに敬意を表するところですが惜しくも野口先生そこまで図々しくなくて(置物とか若田部とかジンバブエなら堂々と置物理論大勝利というと思うけど)、
『このゼロノルム払拭の契機となったのは明らかに、「第一の力」すなわちコロナ禍後の世界的インフレという外的ショックでした。』
っていうのはちょっとだけ謙虚で好感しようと思ったのですが・・・・・・・・
『しかし、それが「第二の力」すなわち広範な賃上げの波として引き継がれてきた背後には、これまでの粘り強い大規模金融緩和を通じた労働需給の改善という「下地」があったということを忘れてはなりません。』
>大規模金融緩和を通じた労働需給の改善
>大規模金融緩和を通じた労働需給の改善
>大規模金融緩和を通じた労働需給の改善
・・・・・・・・??????????????????????????????
やはりこう来たかという所ですが、ということは何ですか人口動態の変化による労働需給の構造変化も大規模金融緩和の効果なんでしたら大規模金融緩和止めると少子高齢化が解決に向かうって事ですかとか無茶苦茶な言いがかりをこっちも付けたくなるわという所ですなキャハハ。
『それは、各種調査において、賃上げの理由として多くの企業が第一に掲げるのが「人材の確保」であるという点からも明らかです。』
それは「労働需給のタイト化が賃金上昇圧欲になった」ことの背景説明にはなっていますが、大規模金融緩和が労働需給改善の主因であったことの説明にはつながらないので「明らか」ではないですが何か???
でですね、最後が特にひどくて、
『その意味では、日本銀行が今後も緩和的な金融政策を継続することを通じて労働需給の適切なバランスを保ち続けることこそが、2%の「物価安定の目標」の達成のための必須の要件であると考えます。』
と言ってるんだが、そもそも論として「物価安定の達成」というのは「景気が通常のサイクルで1サイクル回っている感に物価が目標値(2%)付近で平均的に推移し、その間経済主体の行動は物価目標(2%)近辺での物価変動を前提にした行動を行っている(=インフレ期待がアンカーされている」)」という状況なのですから、「金融緩和が継続していないと物価安定目標が達成できない」というのがそもそも定義として間違っているお話でして、金融緩和による人為的支えが無くても物価が安定推移しているのが物価目標の達成なんですから、「達成の必須の条件」というのはおかしい。
ということでして、これなんか大本営でもうっかりこういう言い方に近い事言うケースがあるんですが、物価目標達成という状態になっている時には本来は金融緩和は必要が無くて、ただまあ経済サイクルのなかで足元では緩和状態が必要、というのであればそれはまあ金融緩和政策を実施することはあっても、それは目標達成云々とは別次元の問題、ということになる訳です。
もちろんピンポイントで「今まさに達成されました」というのがリアタイで分かる訳がないので、前からの流れから見て緩和政策が目標達成したと思われる時点でも継続している、というのが現実にあるとは思いますけど、それは目標をオーバーシュートするリスクを抱えている状態な訳で、そう安易に「目標達成までバシバシ緩和しておく」みたいな情報発信をするのはアカンヤロというかそもそもバイデフェニションでおかしかろう、と思うのですがどうしてこうなるんですかねえ、学者先生だというのに(まあリフレ派という時点で学者いや何でもありません)
でまあ結局会見はクソどうでもいいのでパスします。