中川順子 審議委員

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中川さんの略歴(日銀Webより)

昭和63年3月 神戸大学文学部卒業
昭和63年4月 野村證券(株)入社
平成16年3月 野村證券(株)退社
平成20年4月 野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー(株)代表取締役社長
平成23年4月 野村ホールディングス(株)執行役 財務統括責任者
平成31年4月 野村アセットマネジメント(株)CEO兼代表取締役社長 野村ホールディングス(株)執行役 アセット・マネジメント部門長
令和3年4月 野村アセットマネジメント(株)取締役会長
令和3年6月30日 日本銀行政策委員会審議委員

(前職:野村アセットマネジメント 代表取締役社長)

詳しくはこちら→https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_nakagawa.htm

2024/09/17「中川委員金懇会見は講演での反応にビビったか「市場が不安定」を連呼するの巻」
2024/09/12「中川委員の金懇は大本営棒読みなんですがハトハト内田講演を中和したい大本営の意思が表れている」

2024/09/17

〇中川審議委員金懇会見:「市場が非常に不安定」ってあんさん証券会社で以下略

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240912a.pdf
中川審議委員記者会見
――2024年9月11日(水)午後2時から約30分
於 秋田市

まあ基本的にこちらの先生は何を言うでもなく、大本営の用意した想定問答を読んでるだけの話ですが、想定問答に何が書いてあるのかというのを見るために確認というステータスであるwww

・中立金利云々に関しては早速理屈の立て方が面倒になっていますわな

中立金利だの実質金利だのというのは弊駄文で何度も申し上げておりますが、どうせ「見えない」ものであって、これは説明の際の屁理屈だと思って聞くべき話なのですが、数字を置くと金融政策が見える、みたいな魔法の効果があるので、ついうっかり何とかストの皆さんですらこの中立金利を真面目に計算したくなってしまうのですが、そんなの計算するだけ時間と労力の無駄だから計算してレポート出している何とかストを見たらネタ切れで暇なのか恐ろしくナイーブなのかのどっちかだと思っておくのをお勧めしたいと思います(個人の偏見です)。

でまあ今回もまた質問されていたわけですが、

『(問)二点伺いたいと思います。まず今朝の講演で実質金利は大幅なマイナスっていうふうにおっしゃったんですけれども、中川さんが今お考えの中立金利の水準は今数値としてどれぐらいでしょうか。(後半割愛)』

そんなもん中川さんがお考えとは思えませんのでじゃあ想定問答はどうなのかと言いますと、

『(答)まず繰り返しになるようなお答えで本当に恐縮なんですが、中立金利というものは推計値でありまして、またそのレンジというのはきわめて幅が広い状態です。』

そもそも「きわめて幅が広い」のに「(実質金利が)大幅なマイナス」と決め打ちができるという説明に題があって、中立金利が極めて幅が広いのに実質金利が大幅なマイナスということであれば、もしかしたら大幅なマイナスどころの騒ぎではない極めて大幅なマイナスである、という可能性だってありますので、そもそも論として今の金融政策スタンスが超ウルトラハイパー緩和状態にあって、物価の安定に対して却ってマイナスになっているのではないか、そんなにハイパー緩和をしているなら政策の調整を急がないといけないのではないか、というツッコミが成立するわけですよ。

その割には政策の調整は急がないって大本営は言っている訳ですから、そうなのであれば、そもそもの「実質金利が大幅なマイナス」と植田総裁をして言わしめた大本営の屁理屈がちゃんちゃらおかしいということになります。

これは結局のところ、3月のマイナス金利の解除の際に、金利全体の急上昇をして欲しくないもんだから声明文に「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」と入れてみたり、4月の展望レポートでも同文言を入れて円安ぶっ飛びを誘発してしまってしまい、7月に利上げに追い込まれたんですが、円安阻止のために今度は「政策金利の調整を行う」を前面に出すために「実質金利論」を前面に出してきた、というように屁理屈をちゃんと整理して伝えないのと、一々強い言葉を使ってしまう(植田総裁に「実質金利は大幅なマイナス」とか「複数回の利上げ」を言わせるとか、内田副総裁に一転してベタ降り発言をさせるとか)のが悪いのでありまして、というのは30回くらい申し上げていますが大事なことなのでしつこく指摘しておきます。

なのでこの説明はそもそも理屈に無理があるんですが、以下鑑賞しておきましょう。

『ですので、今ピンポイントでこのくらいと、「くらい」をつけてもお示しするのはすごく難しいというふうに理解しています。』

じゃあ何で7月会合の会見の時に植田さんに「大幅なマイナス」って言わせたんだよそれが尾を引いて説明が訳わからんことになっているんだよ、と大本営を小一時間問い詰めたいですわな。

『もちろん金融政策の運営において、中立金利というのはきわめて大事なものということは承知をしています。』

「運営において」中立金利は極めて大事??

『ですので、日本銀行としては、4 月の展望レポートはみて頂けたかと思うんですけども、実質ベースの中立金利という、いわゆる自然利子率というかたちで、スタッフによるいくつかの推計値はお示ししています。』

(ノ∀`)アチャー

『直近の値というのが▲1%から+0.5[%]、足元でそれを少し超えるところもモデル次第ではあったかと思いますが、この個々の推計値は非常にそれぞれ幅があるものです。8 月末には多角的レビューの一環で、自然利子率の計測というワーキングペーパーも公表した次第で、こうしたものも新しいデータが追加されると過去の値が大きく変わるというような課題の指摘も一方でなされています。』

あーあーあー。

『こういったものと、また加えて申し上げると、推計値のパラメータとしてはちょっと違うのではないかという指摘を受けるかもしれませんが、実際の政策運営に当たりましては、やはり短期金利を引き上げた経験が長らくありませんので、こうした短期金利の変化に対して、経済・物価がどのように反応をするかも今後点検していくことも重要で、その中で水準を探ることになるというのではないか、というふうに思っています。(後半割愛)』

これ途中が全部余計というかマイナスの説明になっていて、最後のこの引用部分だけ説明すればいい話なのに、この中川さんの言い方、というか大本営の想定問答だと、まるで「中立金利」というのがリアルタイムで明確にあって、その数字を見極めるべく努力しますみたいな説明が「もちろん金融政策の運営において」以降の中でしているのですが、いやだからそうじゃないでしょというかそんなの計算しようとしたって事後的にしか分からん(しかも事後でも推計値)話だし、自然利子率とか中立金利って推計モデルのパラメーターちょっといじれば何とでもなる数字なので、あくまでも「概念としては有効」であるけれども「運営にとって極めて大事」というのは言ってることがちゃんちゃらおかしくて、生兵法は怪我の元にも程がある説明になっています。

まあ中川さんがそもそも論として金融政策運営の理論と実践についてお詳しくないんでしょうなあと思いますが、普通は審議委員の方々って金融政策の専門家じゃ無くてもしばらくすればこういう辺りは理解するもん(以下の記述は内務省検閲によって削除されました)。


・金融市場が「非常に不安定な状況がいまだ続いている」ってあんさんなにゆうてますのん

はいきました金融市場が不安定云々質問なのですが回答のアレさに全米が泣いた。

『(問)今日の講演の中でお話があったように、政策変更後の市場の動向を振り返りつつ、金融市場の変化が経済・物価の見通しに及ぼす影響を丁寧に比較してみていくとおっしゃったと思いますが、7 月の追加利上げをしてからですけれども、今の状態というのを、更なる利上げをすることによって市場のボラティリティを高めてしまうというリスクっていうのは、どのようにみていらっしゃるのか。(後半割愛)』

こんなの「そもそも今は7月の利上げの波及効果を確認していく段階なので、今の状態と利上げ云々という質問をされましても回答の仕様がありませんが(嘲笑)」って回答する位にファンキーな方を審議委員にしていただきたいところですが、そういうファンキーな人は基本的に出世できませんのでノミネートされることはありませんwwwwwwwwwwww

ということで想定問答もとい回答を見てみますと、

『(答)7 月の決定会合と言って頂きました。ただ、7 月の末でしたので、実質今はまだ 1 か月という経過になります。その間に出てきた統計数値自体は、あまりマイナスというよりはプラスというか、オントラックを示すデータでした、ということは申し上げられると思いますが、』

ちょwww想定問答を読むページが違いますよwwwww

『市場環境を丁寧にみていくということに関しては、今も、今日もおそらくそういうふうに表現しようと思えばできるかもしれませんけれども、金融市場自体の変動というのは 8 月の頭は急激なものでしたけども、』

あ、ページが直りましたねw

『それ以降も非常に不安定な状況がいまだ続いているというふうに思います。』

は?????

8月の頭は急激な変動をしてそれ以降も「非常に不安定な状況がいまだ続いている」ってどんだけビビりなんだよ、というかあーたヘトヘト證券に長年いたんだったら8月頭はさておいて、その後の市場まで「非常に不安定」って言ってたら一生何もできないわ、と思いますし、そもそも論として市場を不安定にしているのお前らの過剰な金融緩和とその大風呂敷を畳む上で説明が二転三転して不安定なコミュニケーションしてるからだろ、と思うのですが、いずれにしましても証券会社出身の方が直近程度の値動きで「非常に」不安定というのはさすがに見識どうなっているんですかと苦言を呈したい。せいぜい言うなら「8月の頭に極めて大きな変動があったので、その影響が残っている面があるかもしれません」くらいだろと思う訳ですが、先週水曜日の時点で「非常に不安定」と言わしめる想定問答を書いている時点で大本営どんだけビビりなんだよと思いました。

以下続くので一応引用しますが、

『今日も確か、株価も為替も少し動いたというような評価が、確かネット上でも皆さんの報道も含めて上がっていたようにも思いますし、また内外の金融市場の動向が、結果的にその経済・物価の見通し、それから実現する確度に当然影響を及ぼし得るということを思っていますので、その影響をしっかりと見極めたいというふうに思います。』

これ金懇講演で相場が動いた、って言われていた(別に債券市場は丸無視というか寧ろ別に何も新しいこと言わないのねと金利低下方向でしたけど)のを本人が気にしてこのようなビビりんちょを言っている可能性はあるのですが、この程度でビビるなら審議委員辞めた方が精神衛生によろしいんじゃないですかねえと思ってしまいました(個人の超偏見です)。

でもって最後に、

『ですので、利上げといいますか、前回変更した金融政策の修正の影響度合いが、今引き続き、金融市場動向とともに見極めている最中ということです。(後半割愛)』

って言ってるんですが、途中の説明全部不要でこれだけ言ってこの線で敷衍して説明すりゃいいのに何ですかこの「市場は非常に不安定」とかいうビビりんちょは、というお話でございました。

あとの質疑はクソどうでもよくて読む意味を感じませんので割愛します。





2024/09/12

〇中川委員の金懇は特になんも言っていないのだが内田講演を中和したい大本営の意思は把握した

しかしまあ何ですな。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-11/SJMMH7T0AFB400
【日本市況】円8カ月半ぶり高値、日米金利差の縮小観測−株式は続落
船曳三郎、佐野日出之、山中英典
2024年9月11日 14:14 JST 更新日時 2024年9月11日 16:01 JST

なぜかこういう後講釈ばっかり出ていたんですけど、昨日の市場って米国長期金利の低下と米国株式市場の下落(どっちも時間外取引)がドライブしてて、それが円高ドル安にもなっていたんだし、中川さんの金懇は前場一瞬反応したけど後場は強いて言えば米国大統領選挙討論会だし、あれだって要は「トランプトレードでリスクオンの巻き戻し」じゃろという話ですよね。

だって「中川審議委員講演で日米金利差の縮小観測」って言うなら債券は売られないとおかしいのに、昨日の円債市場って限月交代した12月限の横綱がどすこいどすこいと電車道相撲を示して(しかも後場に入って一段と)1日にして限月交代のカレンダースプレッド分戻す勢いで上昇しているのですから、中川審議委員講演で日米金利差云々とか言ってるのはちゃんちゃらおかしい後講釈でこたつ記事でも書いてるのかと思ってしまいました。

なお、ちゃんと後場米国金融市場が引っ張って大きく動きましたって記事にしていたのはワシの見つけた限りでは金融ファクシミリ新聞さんだけだったりしまして、ベンダーさんも頑張ってほしいもんだとおもいました、まる。

なお、これたまたまBBGさんをネタにしましたが、他のニュースでも上記のような感じで報道されていて、いやーそれは違うじゃろと思いました。


てな話はさておきまして金懇挨拶。

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240911a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
秋田県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 中川 順子
2024年9月11日

・経済物価のリスクのところから拝見しましょう

まあ基本的にこの中川さん、特になんか主義主張あるわけでもなさそうですし、基本は大本営が道具箱に用意しているホーンスピーカーかウォーキートーキーってな風情を強く醸し出しておられるというカカシ先生なので、別に議論をリードするようなお話が見れるわけでもないのですが、九官鳥は九官鳥としての意味もありまして、なんか大本営が変わったこと言い出しているか、ということに関する観測にはもってこいなのであります。

でまあ最初に申し上げましたように、別に新しい情報があったわけでもない(から債券市場は中川講演で別にたいして反応してなかったし何なら債券先物上がっていたので為替市場とは別反応をしていた)ので、経済物価情勢の話とかそのあたりは全部かっ飛ばして無問題ですが、先行きのリスク要因のところだけは読んでみましょう。

『3.経済・物価の先行き見通しとリスク』の後半になりまして、講演テキストの6ページ(PDFだと7枚目)のケツのところからになります。

『(2)経済・物価見通しにおけるリスク

これまでお話しした通り、わが国の経済は、高水準の企業収益に支えられ、賃金と物価の好循環が展望できる状況にあると考えています。もちろん、こうした経済・物価の先行きの見通しについては、様々な不確実性が存在します。以下では、私が特に注目する経済・物価見通しにおけるリスクについて3点お話しさせていただきます。』

なるほど大本営はどういう点を指摘したいのでしょうかね。

『リスクの1点目は、物価の上振れリスクです。』

は??

『先ほど、海外のこれまでの大幅なインフレと円安による輸入物価上昇の影響は徐々に減衰していくとの見通しをご説明しました。もっとも、先ほど申し上げたいくつかの要因などにより、今後、輸入物価が再び上昇に転じる場合には、価格転嫁が積極化する可能性があります。また、労働需給のひっ迫の影響で賃金が上振れる可能性もあり、賃金や物価が「物価安定の目標」を超えて上昇するリスクには注意が必要です。』

ちょwwwwおまwwwwwwそう思ってるなら何で内田さんあんな全面降伏ベタ降り講演したんだよあんなこと言ったら物価上振れリスクを高めるじゃんwwwwwww

『一方で、2点目は、海外経済の下振れリスクです。』

こっちは普通に言いそうな話だ。

『高水準であった米欧の物価上昇率は、このところ着実に低下してきていますが、既往の利上げの影響が、時間をかけて実体経済や金融面にどのように及ぶかには不確実性があります。また、先月初には、米国経済の減速の可能性を示唆するデータをきっかけとして、急激な景気後退――ハードランディング――を意識した市場の動きがありましたが、こうした海外経済の減速懸念を背景にした金融市場の過度な動きや調整が続き、それが海外経済をさらに下押し、わが国経済に波及するリスクにも注意が必要です。』

この部分、どさくさに紛れて8月頭の市場混乱は米国のせいであってうちらのせいではない、という話を混ぜ込んでいるのがいかにも大本営らしいチャーミングさを示しているのはほほえましいですなw

『3点目は、消費者マインドの改善の遅れが、所得から支出への前向きな循環を阻害するリスクです。』

おwwwwwwいwwwwwwwww

だったら何で内田さんあんな全面降伏以下同文。

『これまで、食料品、日用品など身近な品目の価格上昇率が相対的に高かったことや、実質所得の伸びがマイナスとなったことなどから、家計部門では生活防衛的な動きがみられています。足もとで実質賃金の前年比がプラスに転じるなど、所得環境が改善していることや、企業努力、政府による様々な施策の効果もあり、個人消費には底堅さがみられますが、これまで実質所得のマイナスが長期化したことが今後の消費者マインドの改善の重しとなる可能性もあり、丁寧に確認していく必要があると考えています。』

いやお前ら黒田末期から物価上振れを「一時的」って言いながら放置してた結果こうなってるんだろ何を言ってるんだというお話な訳ですが、まあこの3点を総計しますと、何気に「物価上振れ良くないですよね〜」って話になっていて、そうなりますと日銀の政策調整全然足りてませんですよ、って説明になっております。

これすなわちどういうことかといえば、うっちーのポツダム宣言受諾株式市場軍への全面降伏文書をしらっと上書きしようとしているの巻となっているという話なのですけれども、時すでにお寿司感は拭えませんな。


・8月頭の市場ムーブメントはうちのせいじゃないもんアピールが他の箇所でもwww

次の小見出しが『4.日本銀行の金融政策運営』ですが、これまた大本営腹話術人形として腹話術を披露しているだけの話なので基本どうでも良いのですけれども、最後の部分にこんな記述がありましてクソ笑いました。

『7月の決定会合後、8月初旬に公表された米国の雇用統計において失業率の上昇などがみられたことをきっかけとして、米国の景気減速懸念から、世界的に急速なドル安と株価の下落が生じました。』

wwwwwwwwwwwwwww

ということで、まあ大本営としては「オラのせいじゃないですゾ」という話で、確かにまあ全部日銀のせいみたいになって国会招致とか吹きあがっていた大馬鹿の所業には呆れるしかなかったですけれども、そもそも論として160円までの円安を招いたのって日銀がマイナス金利解除からこの方どっち付かずの説明を繰り返した結果、中銀文学に詳しくない他市場の方々を中心に日銀のゼロ金利政策はずっと続くから円キャリー取引はフリーランチで丸儲け、みたいな投機ポジション積みあがったのがかなり効いていたと思われるわけで、その投機筋を焼き尽くしに行ったらあんなムーブになったのですから、利上げがどうのこうのの前にその前のコミュニケーションにだいぶ問題があったのでやっぱり日銀のせいであるという面は残念ながらあるんですよね。たとえそれが望ましい方向でのポジション解消によるものだったにしても。

まあでも大本営はとにかくほとぼりが冷めたあたりから上記の宣伝を行うことによって、日銀ショックだの植田ショックだのと言われていたことを上書きしていこう、という浅ましいムーブをしている、ということが示されていると思いましたのでメモっておきました。


・まあ今回の金懇挨拶の一番のポイントはこのパラグラフです

でもって上記部分は何で出てきたかというと、今から引用するこの次のパラグラフのマクラ(にかこつけて植田ショックとかそういうのを上書きしようというムーブをしていますけど)でして、

『先ほど申し上げた通り、わが国企業の収益は歴史的な高水準にあるなど、この間、わが国経済のファンダメンタルズに大きな変化は無いと考えていますが、』

というのはさておきましてこの次ですポイントは。

『先行き、金融緩和の度合いの更なる調整を検討するに当たっては、7月の政策変更後の市場の動向を振り返りつつ、金融市場の変化が経済・物価の見通しに及ぼす影響――例えば、市場機能や企業の資金調達行動の変化が見通しの実現する確度やスピードに与える影響――について、これまでと同様に、丁寧に評価を行い、判断をしていく必要があると考えています。』

なにがこれまでと同様じゃ、というような無粋なツッコミはさておきましてwwwww

「例えば、市場機能や企業の資金調達行動の変化が見通しの実現する確度やスピードに与える影響」

というのがチェックポイントだと言ってますね。でまあ『4.日本銀行の金融政策運営』の前半部分って引用しませんでしたが、こちらは実施したことの説明が延々とあった上に、「見通し通りに推移していけば先行き緩和度合いの調整を行う」という本来の説明をしております。

そして上記の記述になるのですが、ここでチェックポイントで示されたのは「市場の安定性、不安定性」なのではなくて、あくまでも「企業行動や経済への影響」という話をしている訳ですね。

そして引用かっ飛ばした前半部分でも「市場の安定性、不安定性」の話は行っていなくて、上記で引用を行った「7月の決定会合後」から始まるパラグラフのところで市場に対する言及があり、上記の最後の部分のチェックポイントへと話が繋がるのであります。

ということはですね、まあ中川さんの金懇挨拶テキストがどう見ても大本営腹話術人形でしょというのを勘案すれば明確になりますが、大本営としては内田さんの「金融市場が不安定なら政策を修正するわけなし」というベタ降り発言に関しては、その場しのぎで言ったにしても後々延々と「では今の市場は安定的ですか不安定ですか」って聞かれ倒して政策運営が株式市場(や金融市場)に従属するとかいう中央銀行の風上にも風下にも置けないようなアホアホ政策プリンシパルになってしまうのを回避しようとして、ウッチーの全面降伏発言を上書きしようとしている、ということを示している、とアタクシは見て取りましたが如何でございましょうか???

いやまああのベタ降り発言はやっちまったって感じなので上書きした方が良いとは思うのですが、結局はウッチーが自分で「あれはちょっと強く言い過ぎましたテヘペロ」って上書きしないとだめで、テキストは今日出てきますけど金懇後の会見で中川さんも今の金融市場が安定的か不安定か、って質問されてて、中川さんもそれに回答しちゃったりしている訳ですな。残念無念。

まあ何ですな、ワイ思うに市場が安定している不安定だ云々の質問にはもう一々回答しないでいかないと何時までたってもこの話を蒸し返されて。その結果として「日銀の政策は金融市場従属」っていう認識を金融市場に与えるしそれを強化していくプロセスに入ってしまっているんじゃないかと懸念しているんですが、まあ何度もやってると市場従属色を濃くするだけなので、漫然と回答してるのではなく回答をもっと練った方が良いと思います。

ということで、大本営としては金融市場従属みたいに取られる(というかああいったらそうなるわな)内田講演を上書きしようとして手を変え品を変え説明しようとしている、というのが今回の中川さんの講演テキストから読み取れるお話なんだとアタクシは思いました、異論は認める(^^)。