小枝淳子 審議委員

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小枝さんの略歴(日銀Webより)

昭和51年2月13日神奈川県生まれ

平成11年3月 東京大学経済学部卒業
平成17年6月 カリフォルニア大学ロサンゼルス校Ph.D.(経済学博士)取得
平成17年10月 国際通貨基金
平成21年4月 東京大学大学院経済学研究科特任講師
平成26年9月 早稲田大学政治経済学術院准教授
平成31年4月 財務総合政策研究所総務研究部総括主任研究官
令和3年4月 早稲田大学政治経済学術院准教授
令和4年4月 早稲田大学政治経済学術院教授
令和7年3月26日 日本銀行政策委員会審議委員

任期: 令和7(2025)年3月26日〜から令和12(2030)年3月25日


2025/07/09「BBG相手に初インタビューだが物価上方修正や国債買入の話はイケテナイですが政策のビハインド警戒だけはイケテマス」


2025/07/09

〇小枝審議委員の初インタビューが行われていたようですので拝見しておりますが・・・・・・

これはタイムスタンプ的に夜中に出たのでまあ朝のニュース扱いになるんですかしら。しらんけど。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-08/SZ2147T0AFB400
小枝日銀委員、食料価格が想定よりも上振れ−基調物価への影響を注視
伊藤純夫、藤岡徹
2025年7月9日 0:00 JST

→金融政策は変化逃さず判断、米関税政策で経済・物価に下方リスクも
→7月会合で新たな見通しを議論、3%台続く物価は上方修正が視野に

>3%台続く物価は上方修正が視野に
>3%台続く物価は上方修正が視野に
>3%台続く物価は上方修正が視野に

・・・・・・クソワロタ

小枝さんは安達さんの後任だから4月に就任したばっかりで4月の展望レポートを迎えた、という訳で若干同情の余地はあるのですが、しかし1月展望の時からみたら4月展望って物価見通しを思いっきり下げてきてベースラインシナリオを下方修正した、という結果だったのですが、その舌の根も乾かぬうちに7月展望で物価見通しをまた上方修正ってお前ら揃いも揃って(なお田村抜刀斎は免責確定でもしかしたら高田っちも免責かもしれませんね、小枝さん4月どっち派だったのか分からんけど)渡辺努かと小一時間問い詰めたくなる展開が見られそうで、これは7月展望レポートで何を抜かしやがるのかが今から楽しみとしか言いようがありませんねwwwwwwwwwww

いやまあ関税の影響があるだろうからニアータームの経済見通しを下方修正、というのは話は分かるのですけれども、あの時点で既に「関税の影響で世界経済が下押しするから物価も下押し」「マインド面に悪影響があるから物価も下押し」と決め打ちして物価にクッソ弱気な見通しを出す必要があったのかというのはさすがに反省すべきだしちょっと植田さん頭丸めて出てこいってところですな。

ということで記事を拝見しますと、

『日本銀行の小枝淳子審議委員は、足元の消費者物価についてコメを中心とした食料品価格が想定よりも強いとし、日銀が政策判断で重視する基調的な物価上昇率に影響しないか注視していく考えを示した。7日に3月の就任後、初のインタビューに応じた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで7日のインタビューなのでかなりの出来立てホヤホヤ。

・食料品価格が4月展望の想定よりも強いから云々という言い訳は下手糞にも程があるのでもっとマシな屁理屈考えてください

『小枝氏は、日銀の2%目標を上回る3%台で推移する消費者物価について、5月に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)の想定よりも「コメと食料品関連が強く出ている」と分析。主食であるコメ価格の動向が「わが国のインフレ実感や家計の予想インフレ率、ひいては基調的なインフレ率に与える二次的な影響の可能性を注視している」と語った。』

とのことですが、コメ価格とか食料品価格の動向って関税と全然関係ない話だし、しかも水稲なんて収穫時期は年間の限定的な時期なんだから、次の収穫時期までの供給が(外米をアホみたいに輸入しない限り)変化はおきない(4月展望のあと政府備蓄米の放出イベントはありましたけど)もので、「コメを中心とした食料品価格が想定よりも強い」ってさすがに馬鹿なんじゃネーノとしか言いようが無いので、言い訳にするにしたって酷いんじゃないですかと思います。

せめて「米国関税政策による経済の下押しが想定よりも小さくて、懸念していた物価下押しに繋がらなかったので物価が上振れているようです」位の屁理屈にしておけって話だと思うんですけどねえ・・・・・・・

『その上で、金融政策運営は「その時点で得られるデータや情報、経済・物価情勢や市場の動向を丁寧にみて、変化の兆しを見逃さず、状況判断していきたい」と説明。トランプ米政権の関税政策に伴う不確実性が大きい中で、追加利上げに関して「具体的な時期に言及することは適切ではない」との認識を示した。』

でまあこの部分見て思ったのですが、この「変化の兆しを見逃さず、状況判断していきたい」ってのがまさに先日ネタにした渡辺努ムーブ、すなわち5月の頭には「トランプ関税がもたらすデフ逆戻りのリスクを踏まえて利下げしろ」と言ってたのに直近では「物価上方修正は必至で関税次第で年末に利上げも」となってしまうという面白ムーブになっているんじゃないのって思いました、まる。


・一応ご参考ですがインタビューは昨日の25%砲の前ですわな

記事にもありますように、

『インタビューは、トランプ大統領が7日に日本からの輸入品に対して25%の関税を課すと表明する前に行われた。関税の発効日は8月1日で、当初の期限だった今月9日から3週間ほどの猶予期間が与えられた。』

日本時間の7日のインタビューなのでシャーナイナイのですが、

『小枝氏は、米関税政策を巡る不確実性は引き続き高く、先行きの経済減速リスクは相応にあるとしつつ、「グローバル経済が深刻に悪化する可能性は低い」とみる。国内物価面では、海外経済の減速に伴う下方リスクを注視する一方、関税政策による供給制約の強まりを受けたコストプッシュ圧力にも注意が必要とした。』

だそうですが、25%砲が出たのでこの辺がどうなるんでしょうかね・・・・・・・


・しらっと書いてあるけどビハインド警戒しているのはポイント高いかもです

でもって記事の続きですが、

『政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブに陥らないためにも、基調的物価がどの水準にあるかを議論していく必要があると主張。』

という「ビハインド警戒」というのはなかなか良い事言ってるじゃん、と思うのですが・・・・・・・・・


・お気持ち物価がお気持ち物価過ぎてこれはなかなか楽しい

別に小枝さんが悪いとかそういう話ではないのですが、この次はワロタ

『基調を示すハードデータの一つで、重視している日銀公表の加重中央値が「まだ2%になっていない」とした上で、物価関連指標だけではなく、企業の価格転嫁や賃上げの実態なども踏まえて判断していく考えを示した。』

>基調を示すハードデータの一つで、重視している日銀公表の加重中央値が「まだ2%になっていない」とした上で
>基調を示すハードデータの一つで、重視している日銀公表の加重中央値が「まだ2%になっていない」とした上で
>基調を示すハードデータの一つで、重視している日銀公表の加重中央値が「まだ2%になっていない」とした上で

・・・・・・・えーっとすいません、最近さすがにこの基調的物価とやらが「お気持ち物価」じゃネーノというツッコミを意識してきたのかどうか知りませんけど、お気持ち物価に関して「こういうデータがどうのこうの」という説明を政策委員の皆様からも聞くようになったのですが、皆さんが例示するデータが一人一人言ってることが違っている訳でして、却って「基調的物価はただのお気持ち物価」というのが白日の下に晒されてきているように見えるのですがwwwwwwwwwwwwwwww

などと悪態をついている訳ですが、まあこの調子だと7月の展望レポートの背景説明(いわゆる全文)の時に基調的物価に関して何かの説明を出さない訳にもいかなくなってきたかなと楽しみにしております(というかどうせ政策が地蔵なのでその辺しか楽しみが無い)ので正座して待機したいと思います。

でもって国債買入の方はなぜか一問一答記事の方が詳しいので一問一答記事に行きますと(なおどうでも良いけど上記記事中に「一問一答はこちら」ってあるのだがリンクが無かったですよBBGさん)・・・・・


・日銀バランスシートに関する考察がお前大丈夫か状態な件について

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-08/SZ0JART0G1KW00
国債減額は着地点近づく、適正残高の議論必要−小枝日銀委員一問一答
伊藤純夫、藤岡徹
2025年7月9日 0:00 JST

『日本銀行の小枝淳子審議委員は、7日のブルームバーグとのインタビューで、米関税政策の影響を踏まえた経済・物価見通しや金融政策運営、国債買い入れとバランスシートのあり方などについて語った。詳細は以下の通り。』(ここから直上URL先のインタビュー記事より、以下同様)

ということで、まあ前半はさっきの記事にあるので割愛しますが、長期国債買入に関しての説明はどうなのかと思います。

『−適正な国債買い入れとバランスシート

「国債買い入れは、予見可能な形で、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、減額していくことが適切との考え方に変わりはない。その上で、国債の減額ペースとは別に、適切なバランスシートの大きさと整合的な国債買い入れの着地点があるとみている。』

というのはまあ原則論なので良いんですけど。

『来年に入る頃には月額の国債買い入れ額は3兆円を切る予定であり、着地点に近づいていく。』

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いやあのすいません、日銀保有の国債残高勘違いしていませんか大丈夫ですかとしか言いようが無い認識で、なるほど学者先生の認識ってこんなもんなのかと思いますと、植田和男先生もそんな認識だからあんな長期国債買入計画になるのか、と思いました。

『イメージとしては、自動操縦されたヘリコプターが次第に高度を下げていき、最後は環境を確認しながら緩やかに着地していく感覚だ」』

全然着地するような水準じゃないんですけど・・・・・・・

『「拡大したバランスシートや国債保有残高をどこまで縮小させるか議論していくことは重要だ。本行のバランスシートの規模は、国内総生産(GDP)比でみても欧米を大きく上回っており、かなりの期間にわたって縮小が続くことが予想される。今後の買い入れ減額のあり方にも影響する問題であり、資産・負債両面からみた将来の望ましいバランスシートの規模について、先行する海外での議論も見ながらしっかり検討していきたい」』

適正水準考えたら本当は売れと言いたい位だが、少なくとも新規の買入は原則ゼロで償還が多すぎの時だけペース調整で買入をする、というFED方式にしろよと思いますし、そのFEDは日銀と比較したらそこまで巨大な国債ポートフォリオを持っていなかったのにそうやってバランスシート縮小しているんだから、「本行のバランスシートの規模は、国内総生産(GDP)比でみても欧米を大きく上回っており、」って言ってるのに月額3兆円の買入が「着地点に近づいていく」は言ってることが矛盾にも程があるし、どういう現状認識しているのか疑いたくなるレベルの説明なんですが大丈夫ですかね。

いやあのですね、

『−市場が不安定化した場合の対応

「長期金利は金融市場で形成されることが基本であり、経済・物価情勢に対する市場の見方や海外金利の変化などを反映してある程度変動する。ただ、通常の市場の動きと異なる形で急激に上昇するなど例外的な状況が起きた場合は、市場における安定的な金利形成を促す観点から、必要に応じて機動的に国債買い入れの増額や他のオペなどを実施することが適切だと考えている」』

とまあ普通の回答をしておりますけれども、だったら益々何で「月額3兆円が着地点に近い」のかが訳わからん。

「金利があまり上がらないように買入ペースを落とすには慎重に」みたいな説明するならば(その理屈の是非はさておいて)まだ話としては意味が繋がるのですが、日銀のバランスシートが極めて大きい、市場の価格形成には介入しないのが基本、って言ってるのに、月額3兆円の国債買入が「着地点に近い」って言っちゃうとお前は何を言ってるんだという話になるわけでありまして、うーんこれはハトハトチキン大本営に丸め込まれているのか何だか知らんけど、さっきのコメ価格云々もそうなんですが、屁理屈捏ねるにしてももうちょっとマシな屁理屈を捏ねて欲しいなと思いました。

とまあそんな感じで初インタビューで噛みついてみましたが、ゆうてまあ初手段階では大本営に丸め込まれてしまっていて、その後徐々に自我を取り戻す、というムーブもこれまたアリエールな話でして、例えばこの記事中にありましたように「政策修正がビハインドになるのを回避しないといけない」という認識を(まあ学者なんだから当然持っていないとおかしいが)持っている、というのが見えておりますので、お気持ち物価などの屁理屈や市場へのハトハトチキンムーブに惑わされることなく判断をしていっていただければ、ということで今後には期待しておる次第でございます。

などと柄にもなく美しくまとめてみましたwwwwwwwwwwwwww猫かぶるなとか言われそうだが