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福井俊彦総裁


2003年下期

2004/03/10「引き続き国会答弁:量的緩和の強調発言」
2004/03/09「今更ですが1月30日の国会答弁(だった筈なのですが・・・・・)」
2004/03/01「凄いオチのついた総裁記者会見(2004/02/26)」
2004/02/09「総裁定例記者会見(2004/02/05)より」
2004/02/02「信じるものは足をすくわれる(国会答弁)」




2004/03/10

お題「この質問者は何なんだ?」

昨日は旧聞ではありますが話題になった1月30日の衆議院財務金融委員会の福井総裁答弁を改めて確認致しました。

で、ドラめもんを書いているうちに、福井総裁の答弁よりも質問者のアフォぶりのほうが気になってしまいました所、読者様から「このレベルの低い質問者は日銀出身だというのが情けない限りなところです」というご指摘を頂きまして、検索エンジンで「津村啓介」氏を調べたら確かにもと日銀マン。しかも随分とお若いお方ですな。

という事がわかりましたので、本日はこの質問者の方を肴にしてみることに致します。あたくし体調が悪いと文章が攻撃的になる傾向がありますので、最初に念のためお断りしておきますね^^。


その前に一応昨日の続きの「出口戦略」に関する総裁答弁。

『ただいまの御質問に対しましては極めて簡潔にお答え申し上げるということでお許しいただきたいと思いますが、と申しますのは、出口戦略の詳細を申し上げるには余りにも時期尚早だという点が一つございます。ただし、将来におきまして、この量的緩和のフレームワークから通常の金融政策のフレームワークに切りかえていく、いわゆる出口戦略というのは非常に重要だという点は同時に強く認識をいたしております。』

と言うのはいつも言っている事と同じ。

『CPI、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまでというものは、私ども、当面の非常に重要なゴール、目標といたしておりますけれども、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%以上になれば、すぐ、均衡ある、将来望ましい日本経済の姿になるかどうかということとはまた別問題。その先、本当に均衡ある日本経済の姿、いわゆる最終的なゴールに行くまでさらに距離があるかもしれないというふうに思っていかなきゃいけないと思います。したがいまして、そういう意味では、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上に達するというのは、一つの通過点であるかもしれないということでございます。』

この発言が「あらら?」と思わせる内容でした、この部分を読みますと「CPIがゼロ以上になっても量的緩和を続けるのか?」というお話になります。まぁ量的緩和のコミットメントが出た頃から「CPIゼロ以上は必要条件であって、CPIだけで量的緩和を自動的に終了させる訳では有りません」という事は言われていましたが・・・・・

またお得意の「サービス発言」が出てしまったという所なんでしょうが(以前も同じ事を言いましたが)自分たちで「CPI時間軸」を改めて明文化したのに、せっかく明文化した時間軸の条件に余計な「均衡ある日本経済の姿」という具体的に何を意味するのか判断に苦しむような条件を加えてしまってどうするんでしょうか。

毎度毎度こんな事ばかりやっているので、日銀の金融政策が「何をやらかすのかさっぱり判らん」というまるでリスク要因状態になっていますし、ひいては(今はまだ信認度絶大のようですが)日銀の金融政策への信認低下をひき起こす原因にならないだろうかと懸念してしまいますな。

なにせ(何度も槍玉に挙げますが^^)「私の使う単語について、あまり厳密にその連続性をご理解頂かないほうが会話がしやすい気がする。」と言い放つ総裁様でございますので。



ということで本日も前振り(というか元々のテーマ)が長くなりましたので、結局本題の話は端折って駆け足で。


○わざわざ国会に呼ぶ必要の無い答弁ですな

さて、津村議員様の質問なんですが、日銀総裁をわざわざ呼んで答弁をさせた内容はといえば、会議録をご覧頂きますとより判りやすいのですが普段の講演や記者会見などで総裁をはじめとして各審議委員が日頃から言っている見解と同じものです。総裁の答弁を読んでいると、日銀Webに載っている文書と同じじゃね〜のって感じです。強いて言えば「均衡ある日本経済の姿云々」の部分くらいですか。これも別に驚倒するほど新しい話ではないんですけど。

『本日、大変御足労いただいておるわけでありますけれども、言うまでもなく国会の場は国民との対話の場でありまして、また、金融市場も大変注目をしていると理解しております。』

となどと格好良く見栄を切って、普段の公式見解をそのまま繰り返させるだけに日銀総裁を呼んで何の意味があるのかと小一時間問い詰めたい所であります。

もと日銀マン(しかもこの人海外留学までさせてもらっているようですが)が質問するのであれば、もっと核心を突く質問をして頂きたいわけでして、少なくとも門前の小僧たるあたくしのドラめもん程度の突っ込みは必要ではないかと思う訳ですな。例えば・・・・

・景気判断が上向きになっているのに緩和を強化すると、過剰流動性の供給が将来に禍根を残さないのか
・ところで、10月の金融政策決定会合で量的緩和の強化を行ったが、衆議院解散にあわせた政治的な意図が見られる
・岩田副総裁は講演で「事後的に当座預金残高引上げと為替介入の累増額がバランスしている」という話をしている。これは「当座預金残高目標引上げは為替介入のバックファイナンス」であり、「日銀による米国債購入政策」だという事を意味するのではないか

なんて感じですかね。読者様のアイデアを拝借しておりますが。


○自分の言葉で質問しましょう

昨日も書きましたが、この議員様の質問の進め方が実に香しい。長々と質問しているので途中を端折ります。(略)というのは割愛部分です。

『こちら、BNPパリバ証券というフランス系の証券会社がございますが、(略)ここで、総裁記者会見の文言を引きつつ、総裁のコメントに対して次のように論評しています。』

『例えば、「日銀はこれまで「量的緩和はデフレ解消の効果は薄い」と主張しており、突然の「路線変更」には、市場を始め、日銀内部ですら、戸惑いの声が出ている。」これは朝日新聞でございますが、こう報道されております。』

昨日は「一生懸命勉強しているのでしょうが」などと甘い事を申し上げましたが、日銀出身で海外留学を売りにして民主党の候補者公募で候補者になったようなお方がご本人の出身母体である日銀に対する質問がこれではこの候補者のレベルは推して知るべしと言った所であります。

何の事は無い総裁に普段どおりの公式見解の繰り返しを述べさせただけで、おまけに野党議員だというのに質問のあいだじゅう、日銀総裁のヨイショに終始するというテイタラク。何なんだこいつはって感じです。正直、最初この会議録を見たときには完全に「ああ、与党議員の質問なんだな〜」と思っておりまして、質問の冒頭部分をみて「民主党・無所属クラブの」という文言が出た時に腰を抜かした次第であります。もうアフォかヴァカかと。

ちなみにこのセンセイ、国債管理政策への質問もしているのですが、これもまた過去の海江田議員の質問を引き合いにしていて、その上質問内容が全てといっていいほど政府の既に実施した施策を賛美するような内容だったりする訳でして、情けない限りです。

「国債発行30兆円枠の欺瞞」について自由党(当時)の達増議員あたりが辛辣に突っ込んでいた時期、ちょうどりそなの話やら予定利率の話なんかもあり、中々盛り上がっていたのですが、あの時期の会議録は面白かったのですが、この民主党の状況は如何な物かと思うわけです。何だかな〜。


○とにかくこれが「日銀出身」でどうするんだ

というお話になる訳ですな。自分のバックグラウンドである筈の金融政策に関して日銀総裁に質問して出てくる回答は公式見解どおり。おまけに総裁をヨイショしておりますが、お前は本当に野党議員だという自覚があるのかとまたも小一時間問い詰めてみたくなる訳であります。しかもこの人海外留学までしてます。日銀の金で行っているのかどうかがこの人のWebでイマイチ良く判らなかったのでどっちなのか判らないのですが、もし仮に日銀の金で留学までしたお方がこの状況だとすれば、明治の軍人、児玉源太郎氏の有名な言葉(ただし司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」からの孫引きですが)を奉りたいと存じます。

「国家は貴官を大学校に学ばせた。貴官の栄達のために学ばせたのではない」


もっと書く積りでしたが時間切れかつ体調不良なのでこの辺で。

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今に始まった事ではないが困ったちゃんの国会」(2004/03/09)

さて、ここの所の債券下げ相場の前に発生した「時間軸効果への過剰な期待感」の一因を担ったとあたくしのみならず、各所からブーブー言われつつある福井総裁の国会発言。まぁ今更ではありますが、問題の衆議院財務金融委員会が行われた1月30日の会議録を衆議院Webで確認してみましょう。

この日の委員会では「平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出第一号)」と「農業共済再保険特別会計の農業勘定における平成十五年度の再保険金の支払財源の不足に充てるために行う積立金の歳入への繰入れに関する法律案(内閣提出第二号)」の審議を行うという名目で参考人として福井総裁が呼ばれているのですが、そもそも何でこの名目で福井総裁が呼ばれるのか判りませんな。

で、問題の質疑は、民主党・無所属クラブの津村啓介委員とのやり取りにあるのですが、どうもこの委員は一生懸命調べて質問しているようなのですが、正直申し上げて勉強不足というよりは、勉強している方向に問題があるようで、質問というか突っ込んでいる内容が甚だしくトンチンカンに思えます。

以前の国会の財務金融委員会で「国債発行30兆円枠とは一体何だったのか」という議論が行われた時には見事な突っ込みをしていて実に楽しく会議録を拝読したのですが、今回は質問からして非常に下らん。色々なレポートを引用している時点で既に失格です。

と、質問者のレベルの低さを嘆いても仕方が無いので該当箇所を読んでみましょう。長いのであちこちで省略します。

『(津村委員)(冒頭部略)福井日銀総裁に御質問をさせていただきたいと思います。先般の追加的な金融緩和についての御質問でございます。質問の趣旨ですが、今回の措置につきまして、一部市場参加者からは、そもそも今回の政策変更の背景には、量的緩和政策の効果に対する福井総裁御自身の認識の変化があったのではないか、そういった見方をする向きもあるようでございます。』

と言った後、この委員は某社のレポートを『こちらは英語にも訳されて、海外の投資家にも広く読まれているレポートだと聞いております。』などと言いながら引用してからこんな感じで質問を続けています。

『そのほか、追加緩和措置が発表された翌日の一月の二十一日の新聞各紙にも同様の指摘が見られまして、今回の日銀の追加緩和については、市場との対話、これまで福井総裁が昨年三月に就任されて以来大変努力をされてきたと思うんですけれども、この市場との対話という部分で若干配慮不足があったんではないか、そういった論調が一月二十一日の報道に大変目立ったのが残念でございます。』

まぁここは良いとしましょう。

『例えば、「日銀はこれまで「量的緩和はデフレ解消の効果は薄い」と主張しており、突然の「路線変更」には、市場を始め、日銀内部ですら、戸惑いの声が出ている。」これは朝日新聞でございますが、こう報道されております。』

それは朝日新聞が勝手に言っている事でして、日銀の見解は折にふれて日銀から発信されており、きちんとWebに載っておりますな。そもそも「突然の路線変更」って既にその前に「強気の景気判断と当座預金残高目標引上げ」というセット政策は始まっておりますが何か?

と、日銀総裁の発言を分析する積りで書き出したドラめもんなのですが、何時の間にか津島啓介氏が肴になってますな、あはは。

結局この人は田谷審議委員の講演を引用する事ですら何故かブルームバーグの記事から引用するという、本人は他の議員の前で「自分は金融通である」と自慢したいのだろうな〜と思わせる香しい(田谷審議委員の講演は当日中に日銀Webにアップされていますので、正確を期すなら報道の引用ではなく日銀の公式発表文を引用すべきでしょ)質問で、自分の言葉で質問できないのかねこの人は、って思いますな。で、最終的にどんな質問をしようとしていたかというとこんな感じでした。

『言うまでもなく国会の場は国民との対話の場でありまして、また、金融市場も大変注目をしていると理解しております。ただいま御紹介いたしました、ついに日銀は量的緩和の効果を積極的に認めたとか、日銀は新たな領域に踏み出したとか、突然の路線変更、こういった受けとめ方が本当に正しいのか、もし仮に誤解であるとすれば、量的緩和政策の効果に対する福井総裁のこれまでと変わらない御評価と、今回の政策変更の正しいねらいについて、この場を通じて、私、多少時間がございますので、改めて説明をしていただきたいと思います。』

思わず質問者に釣られて余計な前振りをあたくしもしてしまいましたな。


やっと肝心の総裁答弁になりました(^^)。

さて、この答弁、実を言うと恐ろしく長く、しかもこの質問者はこの答弁の後に「出口戦略」について質問をするというこのやり取りだけ見ていると意味不明な質問をしていまして、(実はこの委員の質疑を最初から読むと、何で出口戦略について質問したのかが判るのですが)それに対してまたも延々と総裁の答弁がございます。という訳で、長くなりすぎるので本日は最初の答弁について。

情報ベンダーに出て債券相場がやたらめったら反応してしまったのが総裁の『量的緩和の効果というものは、もう御承知のとおり、流動性をたくさんマーケットに供給することによりまして、短期金利のみならず期間の長い金利についても極力低位に抑えて』という件でございました。確かに先ほどの質問に対してこのような発言が出ていたのは事実でありますが、良く良くこの答弁を読んでみると、総裁はこんなお話もしております。同じ答弁の中からフレーズを拾ってみます。

『私どもの感覚では、昨年の夏ごろまでは、経済が、どちらかというと、ともすれば落ち込もう落ち込もうとするような環境でございました。幸いにも、昨年の夏過ぎ以降は、経済が少しずつ上向きの方向に、いわばいい方向に局面変化をした、こういう状況でございます。』
『政策姿勢は一貫しておりますが、局面はいい方向に変わっているということでございます。』
『現在の状況に即して申し上げますと、景気は確かに緩やかに回復をしておりまして、先行きにつきましても、当面景気が後戻りしてくる心配はない』
『今度は、経済が前向きに動き始めましたら、その下支えしていた力は、これに伴って後押しをしていくという力になるわけで、表現は、下支えから後押しというふうに変わるといたしましても、金融緩和の効果、実態的な効果そのものは何ら変わりがない。』

とまぁ随分景気の良い進軍ラッパが響き渡る現状認識でございますが、これだけ言っていると例によって金融市場が動揺するといけないと思うようでして、消費者物価に関してはこんなことを仰っています。

『ただ、回復テンポは、まだ過剰債務など構造的な問題が多々残っておりますもとで、緩やかなものにとどまる可能性が強いと私ども判断しております。』
『消費者物価指数の動きを見ておりますと、基調的にはなおしばらく下落基調をたどる、つまりデフレ脱却の展望はなお容易につかみにくいという状況にございます。』
『私どもの認識は、残り〇・幾らのデフレを克服していく道、つまりこの最後の一マイル、ザ・ラスト・ワン・マイルはなお非常に厳しい道だ、これが私どもの基本的な認識でございます。』

という訳でして、この答弁を真面目に読むとどこがどう債券市場の買い材料になるのかさっぱり判らない内容でして、精々中立じゃないんですかね〜って感じであります。


元々の質問をご覧になるとおわかりのように、話題となった「長短金利云々」の答弁は「量的緩和とは何ぞや」というお話の中での一節でありまして、正直申しあげて「市場金利を今ある水準からどうしよう」という意図は答弁の中からは全く感じられません。この部分を引用してみましょう。

『量的緩和の効果というものは、もう御承知のとおり、流動性をたくさんマーケットに供給することによりまして、短期金利のみならず期間の長い金利についても極力低位に抑えて、企業及び金融機関、特に企業にとっての資金コストを常に最低限のものに抑える、信用スプレッドについても、非常に幅の狭い、低位なものに抑えて、金融環境を企業にとって有利なものにしていくということのほかに、金融市場あるいは我が国の経済にはさまざまなショック要因が今後とも舞い込んでくると思いますが、そのショックを金融市場の中で極力速やかに吸収してしまう、そういう安定的な金融環境を企業に提供することによりまして、今後とも、リストラ、さらにはより前向きに価値創造に向かっての新しいビジネスモデル構築を支援してまいりたい、こういうことでございます。』

現在の金利水準がどうのこうのという話は当たり前ですが一言もなく、量的緩和の効果について話をしているだけなのですが、時あたかも債券市場が上に行きたがっていた所でしたので、このお話に飛びついたと言った所なのでしょう。


で、国会の会議録というのは正式にリリースされるまで数日〜2週間程度掛かっておりまして、答弁の全文が明らかになる頃には既に次の話題に興味が向かっている訳ですな。よって情報ベンダーで出てくるフラッシュがそのまま参加者の記憶に残ってしまう訳でございます。良く良く見ると別にこの答弁でも大した話はしていないというのですが、そんな検証なんぞをするのは余程のマニアでしょう。過去の国会答弁を一々議会発表の会議録まで見るのはさすがに(^^)。


で、ここであたくしの愚案なんですが、やはり日銀総裁が国会で答弁する場合なんぞは当該質疑の部分を文責日銀ということで翌日にでもリリースして頂きたいわけであります。どうも国会答弁の場合は正式なものが出てくるのが遅いので、情報ベンダーからの情報が一人歩きしてしまう傾向にあるので。FRBだって議長の議会証言(というかあれは演説だが)なんかをすかさずリリースしているのですから、日銀がやってイカンという事でもないでしょう。色々と手続き上の問題はあると思いますが、是非ご検討いただければ(って日銀の人が見る可能性あるのかこの文書??)と思うわけです。

まぁそれ以前に、大した話でもないのに一々日銀総裁を呼びつけて何か喋らせようとする国会を何とかするほうが先決なのですが。最近はあまり有りませんが、政治的にウケの悪かった速水総裁時代は、金融政策決定会合中に国会に呼び出したり、決定会合の直前に国会で金融政策運営について答弁させたりともう無茶苦茶でしたからね〜。


という訳で、出口戦略に関する答弁は他にネタが無ければ明日にでも。ちなみに会議録は衆議院Web(http://www.shugiin.go.jp)から「会議録」で本会議や各委員会をクリックすると過去のものを見る事が出来ます。お暇なときにどうぞ。

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「凄いオチのついた日銀総裁記者会見」(2004/03/01)

2月26日の金融政策決定会合後に行われた定例会見の要旨が例によって日銀Webにアップされました。

http://www.boj.or.jp/press/04/kk0402d.htm

○強気な経済見通し

経済の現状に関してやたらと出てきた言葉が「順調な回復」というフレーズであります。

『経済に関する判断については、一言で言えば、海外経済、国内経済とも、目下のところ順調な回復過程を辿っているという判断である。』

『実質GDPの伸びはかなり高い数字が出たというのが率直な印象であるが、同時に、名目GDPをみてもプラスになってきているということで、両方みて、景気が順調な回復過程に入っていると判断できると思う。』

『全てを総合して、景気は緩やかな回復を続けている。この先も続くことについての我々の確信をかなり裏付けている。そして、物価についても、基調のところでは、緩やかに良い方向に向かっているのではないかと判断をなし得る材料ではないかと思う。』

とまぁこんな感じで「景気の基調は順調な回復」というのが基本的な見解のようであります。そして個人消費の堅調さについて注目しているようでありまして、当面の注目点として個人消費を挙げております。

『10〜12月のGDPの数字でみても、個人消費についても比較的しっかりした数字が出ているが、この点についても、1〜3月の動きをよくみたい。個人所得の回復を伴いながらの個人消費の伸びということにつながっていくのかどうか、あるいは、個人所得の増加がさほどでない状況が続いても、企業が提供してくる新しい商品・サービスが需要誘発型であることから、消費も伸びるという面がある程度伴っているのかどうか、あるいは、その合わせ技か。様々なことをきちんと判断していきたい。』

まぁGDPについてもそうなのですが、「まずは1〜3月の動きを見ていきたい」という感じの発言が並んでおります。言葉を額面通りに受け止めると「1〜3月の動きがこのまま堅調推移を辿れば益々判断を上方修正したいですな〜」とも読めてしまうのですが、ど〜せ何だかんだと理由をつけて、情勢判断の上方修正は避けるでしょうな。長期金利が上昇するのは日銀総裁にとって非常に宜しくない事態だという認識を感じさせる発言が相次ぐ今日この頃でありますから。


○物価に関するコメント

『ご承知の通り、企業物価は下げ止まって、プラスマイナスゼロというところまで来ている。これが今後どのようになるのかということと同時に、こうした川上段階の物価の動きが、小売ないしは消費者物価指数の段階までどのように波及していくか。金融政策の観点から、重要なポイントである。』

というお話でして、この「川上段階での物価の動きの波及」ということに関しては、先に岩田副総裁が講演(というか神戸における懇談会での挨拶)で同じような表現で指摘しておりました。当然とは言え、この「物価上昇の川下への波及」状況に関しては注意しておく必要があるのでしょうな。どうやって注目すればよいのかあたくし不勉強でよく判らないのですが(汗)。

関連してこんな質疑もありました。(質問の冒頭部分を趣旨を損なわない程度にカットしています)

『(問)最近、原油高や国際商品市況高が非常に目につく。また、先日の岩田副総裁の講演でも、川上部門の急騰が中間財および最終財に波及していくことを慎重に見極めなければいけない、とご発言されている。一次産品の急騰が今後どういったかたちで物価に出てくるのか、総裁の個人的なお考えで結構なので伺いたい。』

『(答)これからの動き次第なので、明確に予測し難いところがあるというのが率直なところであるが、少なくとも世界経済、日本経済ともに、過去の国際商品市況ひいては国内商品市況が上がる局面との対比でみると、今回は、最終段階の価格――小売段階や消費者物価の段階――への波及の時間的ラグが、過去のパターンよりもかなり長いという感じで、既に認識され始めていると思う。』

「物価について強気」などとへたなことを言った途端に金融市場が暴れだすので、慎重に「時間が掛かる」という留保を加えています。

『日本だけでなく、主要国も押し並べてそういった状況である。従って、今後急速に消費者物価の段階にまで川上段階の物価の上昇が及ぶとは、断言し難い状況であると思っている。』

そりゃー断言しませんわな(^^)。

『しかし、世界経済、そして日本経済の回復が順調であれば、着実に需給ギャップが縮まっていくわけであるし――その中でも企業間競争がグローバル化の下でかつてなく厳しく、その面では最終製品について高い値段を通し難い環境は今後とも続くと思うが――、大きな下敷きとして需給ギャップが少しずつ縮まっていけば、力のある企業から順次価格戦略をより積極的にしていく可能性があると思う。これからの見極めどころであると思っている。』

需給ギャップの縮小(本当にGDPデフレータに見られるような需給ギャップがあるのかいなという気もするんすけど)と、一次産品の価格上昇の合わせ技で消費者物価の上昇も期待できると言いたいと解釈致しましたが、本音は奈辺に?


○長期金利上昇のトラウマ

ま〜何と申しますか、この総裁様は「昨年の長期金利急上昇(本当の問題は中短期金利の上昇だったんですけど、そう言ってもインパクトが無いので「長期金利上昇」と言いたがる)に火を点けた」という批判を相当気にしているのではないかと思われる節がございまして、最近とみに「長期金利の低下」というお話をされております。

『金融市場のほうは、平穏に推移しているという判断である。(途中割愛)金利の形成もスムーズであり、短期金利だけでなく、より長めの金利も、景気回復のモメンタムが増す中で逆に少し低下の方向に動いている状況にある。』

『非常に大きな背景として世界的に景気の回復が進んでいる中で、日本だけでなく、海外主要国の債券市場をみても、やはりほぼ同じぐらいの幅──今、10ベーシス・ポイントとおっしゃったが──で長めの金利も下がっている状況である。日本の長期金利というか、やや長めの金利の最近の低下は、日本だけが際立っているというわけではなく、だいたい世界の長期金利の動きと整合性のある動きをしていると思う。』

と、都合の良い時だけ世界の長期金利の動きまで持ち出してきております。

で、まぁ金利上昇の点火役と言われたことが相当のトラウマなのは、今回の「品貸しスキーム」の導入にも反映されているようで実に微笑ましい(^^)。品貸しスキーム導入に関しての質問に対する答えです。長いのであたくし的に微苦笑した部分を引用致します。

『(引用者注:品貸しスキームに関して)過去を振り返ってみても、「あの時こういう制度があれば良かった」というケースがいくつかあるが、それほどあるわけではない。しかし、いくつかあるケースというのが、市場価格の形成に歪みを残したという過去の形跡がしっかり残っている。』

この「過去の形跡」というのが何かと申しますと、債券先物2003年6月限が中心限月だった時に発生したスクイーズ騒動。ちょうど相場が上げ基調であり、先物受渡際割安銘柄候補の2銘柄ともに流通玉が少ないという状態でもあったので、スクイーズ懸念で債券先物が心理的に非常に売りにくくなってしまいました。

この時に数年ぶりに先物際割安銘柄のスクイーズ絡みのレポ仕手戦みたいな争いが起きまして、結局売り方敗北だったと記憶しております。また間が悪い事に債券先物の限月交代後に0.8%クーポンの20年62回債の入札が行われまして、相場の崩壊が始まったので、「スクイーズ騒動なかりせば、馬鹿高値もつかずに済んだのでは・・・・」と言いたくなるのかもしれませんな。

ま〜そんな訳で、「長期金利上昇の引き金を引いた」として叩かれるのは「ゼロ金利解除は失敗だった」として叩かれる位に気になる事のようでございます。無駄に蛮勇を奮われても困りますが、この程度でトラウマ的な反応を示されると、この人量的緩和の解除が適切なタイミングで出来るんかいなと不安になって参りますな。何となく解除が送れて悪性インフレの種をまきそうな悪寒。



○最後にとんでもないオチが待ってます(-_-メ)

さて、色々と総裁会見を引用しているのですが、実はこの方とんでもないコメントをしておりまして、日銀Webを読んでいたあたくしを凍りつかせつつも爆笑の発作を起させる大技を出してくれました。

『(問)先程、景気について、総裁は「順調な回復過程にある」という言葉を使われたと思う。これまで日銀は「緩やかな回復過程」という言葉を使ってきたわけだが、一段と景気の見方が強気なものになってきたということなのか。』

『(答)全く同じ言葉を使わなければ同じ見方ではないというところまで厳密にお考え頂くのであれば、言い直さなければならない。今まで通り「緩やかな回復過程を続けている」という判断に変わりはない。毎回「緩やかな回復」が続いているとしても、何か心配事があるのかないのかということまで考えて言えば、そうした範囲の景気回復であれば、当面そんなに大きな懸念材料がないという意味で「順調だ」ということだ。私の使う単語について、あまり厳密にその連続性をご理解頂かないほうが会話がしやすい気がする。』

や〜(-_-メ)、この発言にはたまげました(^^)。実に素晴らしい。海の向こうの宗主国様では中央銀行の発表するステートメントや議長発言の微妙な言い回しによって金融市場が大々的に反応するというのに。

「下衆どもは総裁様の発言に細々と反応するんじゃねぇ」と言う事なのか、はたまた「普段テキトーに言ってるんだから真に受けないでね〜」とでも言いたいのか判りませんが、中央銀行総裁としては実に見事な香気を放つご発言、大変痛み入ります。自爆系のギャグだと思えば良いのかも知れませんが。


しかし、こんな事言われてしまいますと、あたくしが折角やっている「自称日銀ウォッチ」の意味がなくなるので困ってしまいますな。まぁ勢いで言ってしまう癖があるんでしょうな。このお方は。

大昔の副総裁時代に金利引上げについて「ジャストタイミングで考えている」という発言をして金融市場大騒ぎになった時から全然変わっていないと思えばまぁこんなものなのでしょうが・・・・・・・・頭が痛い。

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「例によって日銀総裁記者会見」2004/02/09

http://www.boj.or.jp/press/04/kk0402a.htm


○景気認識はやたらと強気

例によって景気に関するコメントはやたら強気な点が多いわけであります。

『景気は引き続き緩やかに回復を続けており、今後もそのように動くであろうということである。個々の指標で見ると、輸出・生産が、少なくとも年末くらいまではかなり目立って増加している。雇用の面でも、有効求人倍率とか失業率で見る限り、比較的良い数字が出ている感じがある。』

『今まで出たデータからみて、10〜12月については、おそらくGDP統計についても比較的高めの数字が出ると思うが、経済というものは、予想よりも高めの動きが出た場合は、その後に若干の調整をしていくことがあるので、今申し上げたとおり、10〜12月、1〜3月と引き伸ばして、実際によく確認しながら、これからも適切な対応をしていきたい。』

このコメントは会見の冒頭(要旨によれば)質疑での景気認識に関するものであります。景気認識が強気なのもそうなのですが、物価についても「デフレ払拭近し」的な発言をしております。会見の内容が報道されている時にはこのコメント出てなかったように思えますが。

『物価については、生鮮食料品を除くコアの消費者物価指数でみると極めて微細な一進一退の動きで、結局ゼロ%でここ数か月横這っている。その限りでは分水嶺を歩いているということで、良い傾向にターン(転換)して欲しいが、これも今後の推移を少し見ないと軌道がよくわからない面が残っている。』

と、まぁこんなコメントしたらまたも「日銀の梯子外し」が懸念される所ではございます。こんなコメントを昨年の絶賛暴落相場で言ったら焼き討ちモノでございますが、現在の日銀総裁様は、先日の国会答弁でもこの記者会見の後半でも言っているのですが、金融緩和政策に関して、次第に「口先介入」が拡大していくような状況になっております。

先日も「信じるものは足をすくわれる」などとふざけたお題で申し上げましたが、景気認識がサービスフレーズなのか、口先介入がサービスフレーズなのか良く判りませんが、この人の発言を過度に信用するのは如何なものかと思う訳です。今までが今までですので。


○金融政策口先介入

信じるものは掬われる(^^)。金融政策をとにかく緩和のままにしておくという御託を今回もまた述べておりますが、金利水準にも国会答弁と同じく口先介入をおっぱじめております。

『経済、金融の局面は、当然のことながら刻々と変わっていく。普通の経済状況であれば、局面変化に応じて金融政策のスタンスは微妙に修正されていくのが普通の姿である。今のように景気が少しでも良い方向に向かえば、それに沿って日本銀行も金融政策の緩和スタンスを微妙に修正していくのが普通の姿であるが、我々は普通の姿をとらないということを繰り返し明確に言っている。局面変化があっても、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまでは、頑固に今の姿勢を続ける。』

まぁ散々悪態を今までついていて何ですが、総裁も現在の姿が通常のものではないという御認識でいる事は判りました。非常時なので非常の事をしていると言う事なのかとは思いますが、それにしても論理破綻した金融政策というのも何なんでしょうかな。ま、いいけど。

『局面の変化があっても、企業行動をフルに金融面からサポートしていくことにより効果を出していくとともに、短期および比較的長期の金利を極力低いところで安定させ、先行きについても、低位安定が確保されるであろうという企業の期待にきちんと応えていく。』

ということで、国会答弁と同じ話ですが、金利に関して具体的数字は述べてはいないものの、水準に関して口先介入をするようになって来ましたな。他にやる事が無いから口先介入をしているのではないかと思われる節がありますが、あまり変な口先介入するのは如何なものかと。

口先介入はその場では一時的に効果を発揮するかも知れませんが、結局はあとから実弾(あるいは政策)を打ち込まないと空しいものになるでしょう。そうなりますと最終的には口先介入をやったお方の言動に対する信認が失われる事に繋がるんですけど、そこまで考えてやっているのかしらん?


○金融政策の説明責任

もはや申し上げる事もございませんが、当座預金残高の3兆円引き上げには、『当座預金残高目標引き上げ分の3兆円という額についての機械的な計算根拠はない。』と涙の出るようなお話がされておりました。まぁこの前も同じ事を言ってましたので、もはや驚くに値しないのですが。

で、それはまぁ良いと致しまして、国債買切りオペに関しての誘導質問なのか抜け作な質問なのか良く判りませんが、『量的緩和拡大で引き上げている長期国債買入額が累増して買入残高が日銀券ルールを超える場合どうしますか』という質問に対して、総裁はこう答えております。

『国債の買切りオペについて、私が着任して以来一度も増やしていない。増やす必要がなかったし、増やさないことによって国債に対する信認を確保するということに非常に役に立っていると思う。この考え方は今後とも崩したくないと思っている。』

まぁこれだけは守りたいと言うことなのでしょうか。日本銀行にとっての悪夢国債直接引受だけは避けたいと言うことなのでしょうが、結局短期国債の買入は増えている(短期国債は直ぐに償還になるものであるから金融調節の世界だと言う理屈になっております)ので、それも如何なものかとは思います。

まぁ深く突っ込むのはFBの引受問題との比較とかをしないといけないので、別の機会にしようかと思います。



○銀行経営問題に関してのコメントは相変わらず金融庁と同じで・・・・

金融政策と直接関係無いのですが、中小企業融資において「キャッシュフローを見て融資する」という動きが起きるのが望ましい姿であるといった、金融庁と同じく激しく現実を無視したお話をしておられます。まぁ金融庁がそう言っているのですから仕方が無いかも知れませんが。

『中小企業の世界でも既にキャッシュ・フローという言葉は、外国の言葉ではもうなくなっていて、自分たちのビジネスについて、将来の収益性を数字の上で予測し、それに対してどの程度リスクがあるかという感覚の掴み方も、かなり広範囲に始まっている。』

将来の資金繰りを数字の上で予測するのは昔からやっている話ですが、収益性でございますか。まぁ株式公開でも目指すというなら判らんでもないですが・・・・

『また、そういう条件が整っていけば、金融機関のほうでも新しい審査能力が身に付いてくる。担保ということを頭の中に真っ先に思い浮かべるというよりは、キャッシュ・フローをどう読むか、企業自身の見方と、自分達の見方とは一体どう違うのか──リスクの評価についても同じであるが──、その辺のすり合わせがもう健全に始まっているということもあるので、一概に悲観する必要はないと思う。』

今の制度下において、税務上合理的に中小零細企業が行動すると、企業に内部留保を行うよりは、代表者個人(と家族)に流出させた方が有利。よってまぁ普通の中小零細企業は揃いも揃って過小資本。そんな過小資本かつ社外流出の多い企業に対して、まともにキャッシュフローを重視して融資したら融資謝絶だらけになってしまうと思いますがね。

どうも金融庁あんど日銀は中小企業というのは将来株式公開を目指すべく日々成長にいそしんでいるものだと勘違いしているのではないかと思ってしまいますな。


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「信じるものは足をすくわれる」(2004/02/02)

先週末の債券市場では福井総裁の衆議院財務金融委員会での答弁が注目されて、中期債に大手銀行さまと思われる買い出動がございまして、今まで散々押さえられていた5年債の0.5%を割り込むという素晴らしい相場になりました。

ところで、本当にこの発言で中期債を買って良いんでしょうか?


国会の会議録がアップされるのには少々時間が掛かるので、金曜日の時事メインの記事を参考にしますと、こんな感じです。

・(量的緩和政策からの)出口戦略の詳細を語るのは時期尚早
・ただし、将来における出口戦略の重要性については強く認識している

・前年比CPIが安定的にゼロ%以上というのは当面の非常に重要な目標
・しかし、それで本当に均衡ある日本経済の姿になるかは別問題

・従って、CPI時間軸は一つの通過点であるかもしれない
・通過点が来た以降の問題はより望ましい均衡のとれた日本経済に向かって金融政策をきめこまかく運営していかなければいけないと思う

・(前述の「きめこまかい運営」について)重要な点がいくつかある

1.量的緩和の下では金融市場の機能をかなり犠牲にしているので、金融市場の機能回復を図りながらその後の金融政策を運営しないといけない。

2.国債発行残高が非常に累増しているという前提条件の下でその後の金融政策をしないといけない。


よくよく見ると強気な事と弱気な事を同時に言うというこのお方独特の答弁でございまして、しかも発言している場所が衆議院財務金融委員会。

頑固とも愚直とも思える前任の総裁と違いまして、現総裁はその発言にサービスフレーズを入れるのが得意であります。時あたかも米国では「時間軸外し」を連想されるようなFRBの声明があり、国内消費者物価の発表もあった日と言う事でございまして、福井総裁としては、国内金融市場で「時間軸短縮」の思惑が出るのを避けたと言う風に解釈した方がよいのではないかと思います。

サービスフレーズと言えば昨年の福井総裁。長期金利どころか2年金利やら5年金利が「早期の量的緩和解除」を織り込むまでに上昇している最中にも「長期金利上昇放置、景気回復奉祝」的な、まさしく「景気付け」発言を繰り返して「大手銀行ALMの成行売り」を止めるどころか駄目押しを行ったのは記憶に新しい所でございます。

「量的緩和のコミットメント」はその反省の為に導入されたものですね。


で、話を戻して、最近の福井総裁は先日の予算委員会でも「短期・長期の金利を出来るだけ低くする」(日経新聞)といってみたりしておりまして、かつての景気回復フレーズを反省したのか、債券市場へのサービスフレーズ(ただし金利低下が機関投資家にとってのサービスフレーズかというと甚だ疑問)を連発しております。

政治からの下らない圧力を避ける為に、ある程度のサービスフレーズを入れるのも理解できなくはないですが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。

何時の間にやら時間軸のコミットメントが「CPI」から「均衡ある日本経済」というもはや訳の分からぬ物になっておりまして、中央銀行の政策とは思えない状況になっております。こういう風になんでもかんでもサービスフレーズを出すと言うのはその逆もありうる訳でして(というか現にそういう事態はありました)そのへんのリスクを考える必要があるでしょうな。


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