安達誠司審議委員
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安達さんの略歴(日銀Webより)
昭和40年7月4日生
平成元年3月東京大学経済学部卒業
平成元年4月大和証券(株)
平成7年3月(株)大和総研
平成13年1月富士投信投資顧問(株)
平成13年6月クレディ スイス ファースト ボストン証券会社 東京支店
平成16年10月ドイツ証券会社東京支店
平成25年1月丸三証券(株)
平成25年3月丸三証券(株)調査部 経済調査部長
平成26年3月一橋大学大学院国際企業戦略研究科修士課程修了
(前職:丸三証券調査部 経済調査部長)
詳しくはこちら→https://www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/bm_adachi.htm/
2024/10/22「高松金懇会見:半年に1回の利上げは全然排除していないのでハトハト会見ではありません」
2024/10/18「高松金懇補足:今回米国経済下振れリスクの話が全然ないのはお前ら9月会合は何だったのかと(補足メモ)」
2024/10/17「高松金懇:報道はハト扱いになっていたが利上げに関しては全然ハトじゃないですね」
2024/06/03「熊本金懇会見より(その2)経済の状況によっては2%物価目標が適切じゃない場合もあるとかどうしたの?」
2024/05/31「熊本金懇会見より(その1):結局輪番の位置づけがきちんと定義されていないんですよね」
2024/05/30「熊本金懇:両論併記したいのはわかるのだが両建てのし過ぎで何言ってるのかわからん状態クソワロタ」
2021/12/06「内容の無さに思わず・・・(その3)/DXが人への投資という珍解釈を堂々と唱える会見の説明に呆れて先を読む気が起きない」
2021/12/03「大分経済界の人々に対してこの内容の無さは失礼極まるという低レベルの金懇でした(その2)」
2021/12/02「3回目の金懇挨拶だが中身のスッカラカン具合に突っ込んでいたら思わず2回シリーズに(その1)」
2014/10/22
〇だいぶたっちゃいましたが安達審議委員高松金懇の続き(会見)ですが会見も全然ハトじゃないですよね
すいません虫干しで・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241017a.pdf
安達審議委員記者会見
――2024年10月16日(水)午後2時30分から約30分
於 高松市
・年内かどうかの質問エエカゲンニセエと思いますけど
実質最初の質問ですが、
『(問)一問目は、午前の安達委員の挨拶を読みますと、追加利上げの時期なんですけれども、追加利上げは年内は難しいのではないかという印象を持ちましたが、安達委員のお考えをお聞かせください。』
記者の皆さん何でこの「年内」の質問ばっかりするんですかマジでいい加減にしてくれませんかという話でして、12月も1月も似たような話なんで、その時点で「年内」という質問が超無意味にあたるので、少なくとも円債市場の中の人の端くれであるところのアタクシからしたら、この「年内」云々を聞くたびに馬鹿は口を開くなという感想しか出てこない訳ですよ。
昨日は総裁の信用組合大会のあいさつにツッコミを入れた(リスク要因の説明が本編と同じくらいの分量ってバランスがおかしいだろというツッコミね)訳ですが、まあ確かに馬鹿メディアがこういう質問ばっかりするから金融市場の中の人たちが誰も想定していないので今更説明不要だし何なら余計な説明にも程がある10月会合での利上げ無し説明をせざるを得ないというのもあるかも知れず、何ちゅうかこの相互でマイナスのフィードバックループが発生するコミュニケーションになっていますな、と安達さんじゃなくて記者の方に突っ込むワイ。
『二問目は、その逆の質問になるんですけれども、安達委員は 5 月の熊本での挨拶では、普段の金懇での挨拶の構成を変えて、円安についてのくだりを前の方に持ってきたうえで、円安がもたらすインフレ圧力について、警戒感を示されたわけなんですけれども、現状、為替は
149 円台ですが、これが再び 160 円をうかがう展開になれば日銀として再び利上げを急ぐ必要が出てくるのかと、この二点をお願い致します。』
まあ2番目は順当な質問(回答は見え見えであったとしても)なのでいいんですけどね。
・利上げ時期に関する安達さんの回答ですがちょいちょいハトじゃないものがあるわけでして
『(答)まず、一点目の追加利上げの時期につきましては、私が特に何月というのを意識しているわけではございません。』
そりゃそうだ。
『基本的にはスタンスとしては変わってないつもりでして、まず一つは今までの利上げ、と言ってもまだ
0.25%ですけども、利上げをしたことについてはそれなりの効果があるといいますか、経済の正常化に向けての動きというのがみえてると思います。』
「まだ0.25%」とか言っている時点で今回の利上げで打ち止めみたいな阿呆なことを考えていない、というのが伝わるわけでして、普通に今後も利上げしますよってニュアンスがあるわけですねこれ。
『ただ、問題は、急ぎ過ぎてもう 1 回デフレになってしまうというのは、最も避けなければならないリスクですので、その両方を勘案しながらですね、慎重にやっていくべきであろうというふうに考えていて、これはこれまでの金融政策運営のスタンスとも整合的であると思ってますし、今後もそのスタンスというのは変わっていかないだろうと、変えていくべきではないだろうというふうに考えています。』
という説明ですが、まあこれって植田チキン理論と同じですからチキンではあるけれども利上げしないと言っているわけではないし、不確実性ガーというよりはむしろマシ。
でもって後段の質問への回答ですが、まあこれは当然の如く実質無回答になりまして、
『二問目の話ですけども、現状、一時期160円であったドル円レートは、今149円と、一時期
140 円ということで、これは多分アメリカの利下げをきっかけに多少為替の水準が変わってきたなというふうに考えています。』
日銀の事を言わないのは大本営レクが良く浸透しているようですねw
『それに伴って、直近の企業物価指数の中でも輸入物価指数もですね、円建てでみると前年比でマイナスになってきていますので、当面、円安が予想以上に加速することによる物価上昇圧力というのは、今のところはかなり削減されているというふうに考えています。』
そんなことはお前に言われんでもわかっておるわけで質問の答えはどうしたという話ですが、
『今後の為替レートの動きはまだ分からないわけですけども、為替レートから実際の物価、特に財を中心とする伸縮的な消費者物価への波及というのは、ある程度タイムラグがありますので、そのタイムラグを勘案しながら為替の影響は考えていきたいというふうに思っています。』
ということで思いっきり無回答でした。まあそうなる罠と思いましたが、円安の影響で利上げしておいてこの説明もどうなのかとは思いますw
・段階的な利上げ云々に関して
次からの質問は「年内」が無いので評価したいw
『(問)まず一点目、午前中の講演の中で、段階的な利上げの必要性というのを強調されていたかと思いますけれども、これはどの程度の緩慢さをイメージされていらっしゃるのか、どの程度であれば段階的というふうに言えて、逆にどうなれば急ピッチだというふうに考えていらっしゃるのか。その辺のイメージがあればお伺いしたいです。(後半割愛)』
まあ時期は決め打ちしないということになりますけど、政策の波及効果を見極めながらということで説明すると、基本的には最低でも四半期、普通は2四半期という話になると思いますが、
『(答)まず、最初のご質問ですけれども、段階的な利上げというのは、あくまでも大前提は実質金利がマイナスの状況で、緩和的な状況を続けながら、利上げをやっていくという意味です。』
でもって、
『基本的には、今、いわゆる基調的なインフレ率というのが目標とする 2%をまだ下回っていて、ただそれに向かってですね、キャッチアップしている状況ですので、』
基調的なインフレをその屏風から出してもらえませんかねえ
『段階的な利上げのやり方の一つのパターンとしては、基調的なインフレ率の上昇ペースに合わせて実質金利のマイナスを維持しながらやっていくというところです。』
「基調的なインフレ」ってのがそもそもフワフワしていて定義できていないし、数字で出せてもいないのに、あたかも「ザ・基調的なインフレ」があって、その水準から「ザ・実質自然利子率」があって、その差分を取ってから政策金利水準との差を見ながら調整していく、みたいな説明をするのは、まあ大本営のインチキ説明としてはさもありなんという話なんですが、そもそも中立金利水準だってよくわからないし、この「基調的なインフレ」だって別に客観的に担保されているようなものでもないので、この説明の方式自体が良くないのよね。
だから毎度毎度記者会見で「中立金利はいくらですか」っていう不毛な問答が繰り返されるし、何なら市場の何とかストまで中立金利だの基調的なインフレだのの推計に血道を上げたりしておるわけでして、マジでこのインチキ説明は止めてほしいです。
まあそれはともかくとして、安達さんの説明の続き、
『これがもし万が一インフレ圧力が非常に高まるという状況であれば、これはインフレ率の上昇ペースを上回るペースで利上げをしていかないといけないわけで、この状況ではまだ全くないという意味で段階的な利上げというふうに申し上げている、ということです。(後半割愛)』
インフレ圧力が高まる状況の時の利上げでは「基調」ではない「インフレ率」をベースにしてものを考えるっていう説明に読めてしまうのですが、そうすると「基調的なインフレ」と「アクチュアルのインフレ率」に乖離がある中でインフレ率が上振れしたらものすごい勢いでの政策対応が必要になることになるんだが、そこの点をどう考えているのかは知りたいですな。
でまあ別に同じくペースの質問がありました、上記の人の次だったんですけど。
『(問)午前中の金懇で、段階的な利上げの限定的な条件として、実体経済にショックを与えない範囲でということが条件だというふうにご指摘されていたかと思いますが、実体経済にショックを与えない範囲でやるためにはそもそもどのようなかたちで利上げをするのか、経済状況を分析するのか、その条件というのは何になるのでしょうかというのが一問。(後半割愛)』
良い質問ですな。では回答。
『(答)まず、最初のご質問ですけども、ちょっと問いの順序というかを変えまして、実体経済に影響を与える利上げというのはどういうことかということなんですけども、』
そもそも実体経済に影響を与えない利上げとは何ぞやw
『基本的には、やはり設備投資が金利上昇のショックによって大きく減速するとかですね、あと住宅投資自体はちょっと需要の先食いみたいな側面も今ありますけれども、金利の上昇で住宅ローンの金利が上がってそれが悪影響を及ぼすとか、そういうこと諸々ですね。』
うーんなんだかなあ・・・・・・
『どちらかというと実体経済に金利がどういうふうな影響を与えるかっていうのを慎重にみながらですね、進めていくということです。』
まあ利上げの影響を見ながら次に行く、という説明なのはわかったわ。途中が微妙だけど。
『あと、これはやはりその時に出るデータ自体を、その場で慎重に解釈して、政策につなげるということだと思います。』
で??
『先にペースみたいなのがありきで、それに従ってやっていくというよりも、これから先はかなり経済指標を慎重にみながら、特にこれまでは割とやはり物価関連の統計を集中的にみてきたんですけども、私個人の考えとしては、そろそろ実体経済のいろんな指標の推移なんかもみながらやっていく必要があるんじゃないかと。』
物価を集中的に見てて何でこんなに慎重になるの3%超えのCPI何か月続いてたと思ってるんだよ・・・・・・・
『これはアメリカ経済に影響を受ける部分も含めてですけども、そういう側面に入ったんじゃないかというふうな解釈も一つ入っています。(後半割愛)』
まあ慎重ってのは連呼しているけど、結局「利上げをする」ってのは同じなんで、別にハトなのかと言われるとチキンではあるかもしれないけどハトと割り切るにはちょっと違うんじゃないの、と思います。
・後付けで見るとこれは中々チャーミングな質疑
こんなのがありました。
『(問)一点目は 8 月以降ですね、株式市場、為替市場もそうですけれども、大幅に乱高下した。今なおマーケットが不安定だというふうにとらえてらっしゃるのかということが一つ。(後半割愛)』
この回答ですが、まあ安達さんの説明は妥当なんですよ。
『(答)まず、今のマーケットの状況ですけども、8 月は非常に大荒れな展開になりましたけれども、それに比べると現状は落ち着いていますということで、』
ですよね。
『一つは 8 月の為替の大きな変動、これはキャリートレードのクラッシュだったと思いますけども、それがありましたので、投機的な円売りドル買いのポジションは、例えばIMMの先物ポジションとかをみる限りは随分解消されていて、そういう面では非常に大きな為替の円安リスクっていうのは、ある程度は低下しているのかなと思います。』
円安じりじり進んでいるけどな!!!!
『ただ、ここからまたポジションを作るという可能性もありますので、それは注意しています。』
あっそう。
『ただ、株式市場に関しては、まだ、やはり割と例えば日経平均で言うと1,000
円を超す下落とか上昇とかっていうのは、割とまだ頻度が平均的な頻度よりも高いと思いますので、そういう面では上げ下げというか、プラスマイナス両面考えましても、まだちょっと不安定な要因が残っているのかなというふうに思っていますので、そこは注意してみております。(後半割愛)』
とまあ穏当な説明でしたが、昨日ネタにしましたように、信用組合大会での植田総裁のあいさつでは「金融資本市場も、引き続き不安定な状況にあります。」だの「これらの動向を極めて高い緊張感をもって注視し」だの警戒感爆発トーンの説明をしている訳でして、植田総裁の講演原稿を手抜きで前のをそのまま流用したのかというような内容になっていましたが、普通に安達さんが上記の認識なので(これでもチキン成分はあるけど)逆に大本営は何をやってるんだというお話ではありますな。
ということで安達さんの金懇ネタ間飛んじゃいましたが、「半年に1回程度のノロノロ利上げなら全然排除していないし、インフレ堅調ならもっと早まる可能性あるんじゃないの」って説明になっていることが読み取れると思うので、あれを捕まえてハトとかいう人はちょっと目ん玉かっぽじってよく読み直した方が良いのではないか、というのは不肖アタクシの愚考になりますのでその辺のご判断は読者の皆様にお任せであります。
今朝はこの辺で勘弁。
2024/10/18
〇安達審議委員会見と思ったら時間が無いのだが金懇ネタでもう一つあったのでメモメモ
昨日書き忘れていたんですが
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241016a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
香川県金融経済懇談会における挨拶要旨
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241016a1.pdf
この『2.経済・物価情勢』の『(1)経済情勢』と関連図表なんですけれども、9月20日の金融政策決定会合の時に植田総裁が散々っぱら言って、その後に出た「主な意見」のほうでも盛大にでていた「米国経済下振れリスク」に関するアップデートどころかそもそも言及がない、というのが中々お洒落というかナンジャソラな訳で、君たち9月会合は何だったのか、と小一時間問い詰めたい訳ですが、これは一体全体どうなっているんでしょう・・・・・・・・・
というのだけ追記いたしまして今朝はこの辺で勘弁。
2024/10/17
〇安達審議委員金懇挨拶:大本営の代弁であると考えて読めば味わいもあるわけですが全然ハトじゃないですよこれ
HTMLはまだ掲載されていませんので
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241016a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
香川県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2024年10月16日
PDFバージョンから引用しますけど
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241016a1.pdf
・いやーなんちゅうかこれ総裁が言い出すと運が悪いと燃える可能性があるんですが・・・・・
『2.経済・物価情勢』の『(1)経済情勢』ですけれども、安達さん基本的に大本営代読みたいな話しかしないので、基本的にゆうとることは大本営のレク通りって感じなんでしょうけれども、その途中部分で消費の話をしているんですけどね、
『家計部門についてですが、個人消費は今一つさえない状況が続いているとの声が聞かれています(図表1)。もっとも、その多くの部分は、様々なアクシデントにより、自動車生産が滞っていたことによる耐久財消費の不振によって、ある程度は説明が可能だと考えています。』
とのことですが、
『これを一時的な要因として控除すれば、私としては、個人消費は概ね想定されるトレンドに沿って推移していると判断しています。』
なお今回の金懇挨拶での説明、「オントラック」の連呼になっているのはまあ気に留めておく必要はあろうかと存じます。
『確かに物価上昇によって、財の中でも食料品や日用品等を中心とする非耐久財では節約志向が強まり、非耐久財消費は減速傾向にあるようです。例えば、スーパーマーケット等では、低価格のPB商品へ需要がシフトしているとの話も聞かれます。しかし、その一方で、サービス消費は堅調に推移しており、外食産業の業績が好調との声も聞かれます。』
でもって問題はこの次なんですけど、
『大変興味深いのは、実質賃金の減少が続き、所得環境が厳しい中において、家計は「選択的支出」を削減するのではなく、「基礎的支出」の部分について様々なやりくりを行って削減している点です。』
『これは、各家計はそれぞれの事情に応じて抑えるところは支出を抑え、使うところは支出をするといったより「メリハリ」をつけた消費スタンスに移行しつつあることを意味しています。』
えーっとこの部分、図表見てもいまいちよくわからなくて、個別の家計単位でこのようなことが起きているんだったらまあそうですねって感じなんですけど、マクロ的にアグリゲートした結果がこうなのであれば、それって単純に「日常物価の上昇と資産価格の上昇によって格差拡大が発生した結果、それをマクロ的に合算し場合に基礎的支出の削減(家計の苦しくなった人)と選択的支出の上昇(格差の上級方面の人)になっているだけ」の可能性があるんでネーノと思うのだが、アタクシも別に経済分析の専門家じゃないからこの辺の真実がどこにあるのかは正直知らんので、確かに上記の安達さんの説明が真実なのかもしれませんけど、それにしてもここはもうちょっと丁寧に説明しないとうっかり総裁が講演や会見でこの調子で言い出すと炎上案件になりかねないので、こういう説明はもうちょっと丁寧に行っていただきたいのですよね。政策の説明とか余計な方では丁寧な癖にこういう辺りが雑なのが日銀クオリティ。
なおこの項の先の部分は、
『また、企業側も家計の消費スタンスの変化に対応するために、自社の製品やサービスの販売戦略を多様化させることで、販売価格帯に広がりが出ているように感じます。』
まあこれ自体は言い方は綺麗なんですけど、これもまた格差拡大によって貧乏人相手の商売と上級国民やインバウンド様への商売の分化が進んでいる、という話ですよねつまり日銀は格差拡大を認識しているんですよねって言われそうなので、あんまりこういう話を前面に出さない方が説明としては良いんじゃないのと思うんですけどねえ。
『つまり、日本経済は物価高によって低迷している点もあるとは思いますが、一方で、こうした状況下において、家計や企業が日常活動の中で創意工夫を生かす余地が生まれつつあるという点では、むしろ、経済の正常化の方向へ向かっていると捉えることも可能ではないかと思われます。』
という結論になっていまして、まあインフレ的経済のメリットを述べておりまして、良い傾向ですよというお話をしているのですが、家計消費の話を絡めてこの説明をするのは先ほども申し上げましたように政治的な可燃性が極めて高いようにアタクシには思えますので、こういうのは企業部門における販売戦略の多様化の文脈をメインに出して説明した方が安全なんじゃないですか、って思いました。
まあ例の「家計の物価上昇許容度」というもとはと言えば渡辺努先生が言い出したのを日銀がパクってたら盛大に炎上してしまい、元ネタのつとむちゃんはと言えば「そんな意味で言ったわけではない」とか日銀の梯子を盛大に外した、という2年前の事案がありましたが、それを思い出すのはアタクシだけでしょうかということで。
・こちらは日銀毎度おなじみの歴史改変説明を検証するコーナーとなります
でまあ続きまして物価の部分ですけれども、『(2)物価情勢』に参りまして、『(わが国の物価を巡る状況)』というのを見てみましょう。
禿げ上がるほどクソワロタのですが、このほぼ最初の部分で安達さん、
『まず始めに、私の物価に関する見方について述べさせていただきたいと思います。私は、従来から消費者物価をみる際には、サービス価格を中心とする、価格の改定頻度が比較的低い項目で構成した「粘着的な消費者物価」と、財価格を中心とする、価格の改定頻度が比較的高い項目で構成した「伸縮的な消費者物価」の二つに分けて、物価動向を考えています1。』
さて、ここで安達審議委員の過去の講演一覧を見てみましょう(ってここでワイの過去ログ整理のおさぼり(ひっそりと遡及して整理しだしていますので乞うご期待)の弊害が炸裂するんですが、滝汗)。
安達審議委員講演一覧
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_speaker/bm_adachi/index.htm
過去の金懇挨拶をポチポチと確認してその間の物価に関する記述部分をみていただきますとわかるんですけど、就任直後の2020/11はパンデミック真っ最中だったのでまあパンデミックに関する問題の話になっているのでここはまあ参考記録でシャーナシではあるのですが、その後の金懇挨拶に起きましても、基本的に
(安達審議委員2022年6月札幌金懇)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2022/ko220602a.htm
『次に物価情勢についてお話しします。5月20日に公表された4月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品)は、前年比+2.1%まで上昇しました。一見すると、日本銀行が掲げる2%の「物価安定の目標」に近づいたように見えますが、このうち+1.0%台半ば程度は原油等のエネルギー価格の上昇が寄与しており、このような変動の大きい要因や携帯電話通信料の引き下げの影響を除いた、いわゆる基調としての、あるいは、「実力ベース」のインフレ率は、前年比で+1.0%程度にとどまっています(図表8)。即ち、2%の「物価安定の目標」の達成は、現時点では依然として道半ばと言えます。』
『先行きの消費者物価は、メインシナリオ、すなわち先ほど申し上げたリスク要因の大部分が顕在化しない前提では、経済の回復ペースと歩調を合わせて、生鮮食品やエネルギーを除いてみれば、上昇率を徐々に高めていくとみています。もっとも、4月28日に公表した日本銀行の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」における政策委員見通しの中央値で示されているとおり、2024年度の物価見通しは前年比+1.1%と、引き続き、2%の「物価安定の目標」の達成は難しいという見通しになっています。こうした中、4月の金融政策決定会合では、2%の「物価安定の目標」の達成に向けて、緩和的な金融政策を粘り強く続けるということを改めて確認したところでございます。』
『次に先行きの物価情勢を巡る論点についてお話ししたいと思います。
コロナ禍における日本の物価の先行きに関しては、これまで、慎重な見方、すなわち、コロナ禍はマクロ的な需給ギャップのマイナス幅を拡大させ、これによりデフレ圧力が強まるリスクが高いという見方が多かったように思います。私自身も、2年前に就任した当初は、そのように考えていました。しかし、昨年来、以下の要因から、むしろ物価の上昇圧力が高まる可能性が高いと考えるようになりました。以下、私が過去の講演で申し上げたことと一部重なりますが、改めて私が物価の上昇圧力が高まる可能性が高いと考えた要因を2点ご説明したいと思います。』(ここまでの部分直上URL先2022年6月2日安達審議委員札幌金懇挨拶より)
ってあって、この先の2点の説明まで引用しているとクッソ長くなるので割愛しますが、ゆうとる2点は「企業の価格設定行動」と「企業による成長期待」でしたし、最初の物価のところでも「コアコア物価」に関する切り分けはありますが、「粘着的な消費者物価」と「伸縮的な消費者物価」という話は一切出ていないんですな。
じゃあ何で安達さんが「従来から」とか言ってるのかという話ですが、この次の金懇であらされるところの2022年10月の金懇挨拶で急にこの話がおっぱじまった訳です。
(安達審議委員2022年10月富山金懇)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2022/ko221019a.htm
この中の物価情勢の話の先行き見通しのところにおもむろに登場してくるのですが、就任直後から言ってるとか、せめて物価が上がりだした時期から言ってるならともかく、その後になって言い出している時点で何が従来からじゃ、というお話なのですが、これにはちゃんとオチがありまして、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2022/ko220606a.htm
【講演】
金融政策の考え方
きさらぎ会における講演--「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて」--
日本銀行総裁 黒田 東彦
2022年6月6日
ここの『3.2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて』の『(1)コロナ禍における物価変動:日米欧の違い』の中に、
『これに対し、日本の消費者物価は、上昇したとはいえ、足もとでも2%程度にとどまっており、欧米と比べると低い伸びとなっています。しかし、このことは、同時に、物価の上がりにくさという、日本の長年の課題を改めて浮き彫りにした面もあります。すなわち、財価格は、程度の差はあれ、欧米と同様、需給ギャップに連れて循環的な変動を示しています。一方で、サービス価格は、欧米と異なり、極めて硬直的な状態が続いており、コロナ禍でも殆ど上昇していません。』
『わが国で、毎年2%程度の物価上昇が実現する状態は、サービス価格の押し上げ寄与が常に2%程度あり、その前後の変化率で、財価格が循環的に変動するという姿になろうかと思います。この点、日米で消費者物価の品目別価格変動分布を比べてみますと、コロナ前の米国では、サービスを中心に、2%前後で品目間の上昇率にある程度ばらつきがみられます(図表5)。他方、日本では、価格変化率がゼロ%となっている品目が圧倒的に多くなっており、この点はコロナ禍でも大きな変化はありません。』(この部分上記URL先の2022年6月6日の黒田日銀総裁(当時)のきさらぎ会における講演より)
ってことでして、まあそういうことやぞというお話でして、勝手に歴史を改変しないで頂きたい、と思うのでありましたが、これは大本営も同じでして、大本営って物価のメカニズムの話をするのにコロコロと別の概念を持ち出してきて、結局何をしたいのかというと金融緩和調整の先送りをしたいから別の概念繰り出してきて「2%行っていない」というし、ついには「基調的な物価」とかいうあるのか無いのかよくわからんものを出してきている、というのがあるわけで、別に安達さんだけの話では無かったりするんですけどね。
・これはまあ半年に1回くらいの利上げだったら全然OKって話でしょ(できるかどうかは別として)
『3.金融政策運営』の途中から。
『この足もとの金融政策運営につきましては、そもそも日本銀行の金融政策が段階的な利上げという正常化プロセスに入るタイミングが早すぎるのではないか、また、正常化プロセスに入ることによって、再度デフレーションに陥るリスクはないのかといったことに疑問を持たれている方もいらっしゃるように思います。そのため、まずはこの点について私の考えをお話ししたいと思います。』
いやいやいや普通は遅すぎ批判じゃないのかと思いますが、どうもこれはこの後のマクラみたいですね。ただこのマクラ要らんだろ(語順に読んでいくんだからこれ見たら円金利関係者の8割くらいは「お前は何を言ってるんだ」とその時点でカチンとくると思うんでもうちょっと物を考えて書けと思うの)って感じですけどね。
『結論から先に申し上げると、金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしていると考えています。』
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwww
『この条件ですが、過去の事例を基に考えてみますと、第一に消費者物価指数を構成する品目別の価格の前年比上昇率の分布がもはやデフレーション期特有の形状ではなくなっていること、第二に消費者物価の「水準」がデフレーション期以前のピークを超えていること、が重要であると考えており、既にこれらの条件は満たしています(図表
12)。』
あらまあ。
『そして、正常化に向けたプロセスを進めていくうえでは、もう1つ重要な条件があり、これは「再度のデフレーション入りのリスクを意識させるようなドラスティックな政策変更は避ける」ということです3。実は、この条件こそが、これからお話をさせていただく、金融政策の正常化の際には段階的な利上げというプロセスを経ることが適当であると、私が考える理由です。』
ということで段階的な利上げはむしろそうすべきという話をしているのですよね。でもってこの次の段落ですけど・・・・・・・
・早とちりして頭だけ読むと思いっきり騙されてしまう文章構成ってのもあまり良い説明じゃないと思うんだが
まあキーになるのはこの段落ですけどね。
『そこで、段階的に利上げを進めていく場合に注意すべき点ですが、基調的な物価上昇率が目標値である2%を持続的・安定的に実現するまでは、基本的には緩和的な金融環境を維持しつつ、極めて緩慢なペースで政策金利を引き上げていくという点です。』
ってここだけ見るとものすごいハトに見える訳で、現に公共放送さんは
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241016/k10014610851000.html
日銀 安達審議委員“利上げ 緩慢なペースで進めることに注意”
2024年10月16日 17時25分
って記事になっていましたが、これは別に公共放送さんを晒し上げる意図ではなくて、普通に何とかストとか言われる人たちでもホイホイと騙されているのをみて、おまえら早とちりするなと思いました。なぜならば、
『基調的な物価上昇率が2%を持続的・安定的に実現する前段階で政策金利の引き上げが必要な理由は、インフレ目標を達成してからの急ピッチでの政策金利の引き上げは、実体経済に大きなショックを与えかねない点にあります。』
これはすなわち、インフレ目標が達成できた時点での金融政策はかなり中立に近いところにいないとその後に政策を中立(運が悪いとそれ以上)に引き上げていかないと行けなくなり、そこまでの距離が長い場合には経済にショックを与えかねないので良くない、という説明な訳ですよ。なので馬鹿緩和を未来永劫続けろという話ではなくてむしろその逆ですよね。以下話は続きますが、
『このような急ピッチな利上げによる実体経済へのショックの程度は事前に推し量ることが困難ですが、例えば、基調的な物価上昇率が目標値である2%近傍を安定的に実現するまではゼロ金利を維持し、目標実現後に非連続に、急激に政策金利を引き上げた場合、景気を悪化させ、再度、デフレーションを意識させるようなデフレレジームへの転換となってしまうリスクも無視できないと考えます。これを避けるためには、むしろ、実体経済にショックを与えない範囲でという限定条件に注意しつつ、その中で段階的に政策金利を引き上げていった方が、よりスムーズな金融政策の正常化が可能になると思われます。これは、一種の金融政策のリスクマネジメントと言えます。』
普通に政策調整しますよって言ってますがな。でもここで段落を切っていてその次の段落の頭にまたこういう書き方をしているのがわざとやっているんでしょうけれどもミスリードを誘発する書き方になっていて、
『そして、この際に最も重要なのが、政策金利は段階的に引き上げていくけれども、緩和的な金融環境を維持するという点です。ここでいう緩和的な金融環境とは、実質政策金利が自然利子率を下回っている状態のことを指します。』
って言ってるんですが、そんなの「緩和の調整をする」って言ってるんだから当たり前で、誰も政策金利を今3%に上げろと言っている奴はいないわけですから、こんなの別にいう必要もないのですが、わざわざこういう風に言って誤読を誘っているのが日銀の「丁寧なコミュニケーション」ですんで引っかからないようにしたいもんです。
じゃあその金利水準はと言いますと続きにあるのですが、無駄にクソ長いのですけど以下最後まで引用していきますね。
・結局2%目標達成に極めて近い時点での名目政策金利はほぼ1%水準って言ってるようにしか見えませんが・・・・
『ここで問題となるのが自然利子率の水準です。自然利子率の議論は、最近の金融政策を考える上での重要なロジックとなっていますが、残念なことに、現時点では、信頼性の高い数値を実証的に特定することが困難です。日本銀行でも様々な手法を用いて自然利子率の推計値を算出していますが、その数値(2023/1Q時点)は推計手法によって▲1%程度から+0.5%程度のばらつきがあり、試算の域を出ません4。』
計測が困難なのに重要なロジックって何だよそれというのはさておきましてw
『ただ、私自身は、現時点では、インフレ抑制のための急ピッチな利上げを実施する必要はなく、むしろ、拙速な利上げは回避すべきだと考えていますので、最も慎重な推計値で考えてよいのではないかと考えています。そして、この場合でも、現時点での実質政策金利は自然利子率を十分に下回っており、緩和的な環境は維持できているものと考えています。』
最も慎重な推計値って▲1%で、つまりは物価目標達成時における名目中立金利を1%に置いている、ということなので言ってること田村さんと本質的に変わらんじゃないですかヤダー。
『そして、基調的な物価上昇率が持続的・安定的に2%を実現し、インフレ目標を達成した後、仮に、基調的なインフレ率が2%を超えて上昇する可能性が高まった場合には、インフレを制御すべく、物価上昇率の上昇ペースを上回るペースで政策金利を引き上げていくということになります。』
2%達成したけどまだ物価が上がるわ、ってなったら1%の名目金利を2%以上の水準に引き上げる、ってのもかなり乱暴な話ですのでそう考えると物価目標達成がかなり近い時点での名目金利はどう見ても1%割れというのはありえないという説明になりますよねこれ。
『また、物価上昇率が2%程度で持続的・安定的に推移していれば、その時の政策金利が中立金利とほぼ同水準であると推測できますので、その水準を維持することを意識した金融政策運営を行うことになります。』
節子、金融政策の波及ラグ忘れたんかいwwwというのはさておき次の段落になりますが、まあこの辺は消化試合です。
『このように、基調的な物価上昇率が持続的・安定的に2%を実現し、インフレ目標を達成した状態の下での政策金利水準が「中立金利」に近い水準であるといえますが、現時点では将来にわたる不確実性の存在ゆえ、具体的な水準および時期は見通せないというのが正直なところです。どのような要因が中立金利および自然利子率の水準を決めるかについては、アカデミアや各国中央銀行のリサーチャーによって様々な論文が発表されています5。それらの論文には様々なファクターの存在が指摘されていますが、やはり大前提としては潜在成長率の行方、その意味では人口動態や技術進歩率の動向が重要な鍵を握っていそうです。また、貯蓄投資バランスや長期金利の水準等も決定要因であるといわれています。自然利子率の推計手法の精緻化を進める努力を続けることも重要ですが、自然利子率の個々の決定要因についての定性的な評価も含め、今後さらに継続的に議論を進めていくことが重要であると考えます。』
ということでこのコーナーが終わるわけで、どこがハトやねんというお話なんですよね。まあちゃんと全文読まないと騙される設計にしているのは普通にわざとやってますよね・・・・・・・・・・・・
2024/06/03
〇安達審議委員金懇会見ネタの続き
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240530a.pdf
安達審議委員記者会見
――2024年5月29日(水)午後2時30分から約30分
於 熊本市
金曜は輪番の質疑だけしかネタにしなかったのでその他のトピックにつきましても。
・為替について「長期化すれば対応」を言ってるのだが腰が定まっているかというとそうでもなさそう
ご案内の通り、今回の金懇では経済物価情勢や金融政策の話をする前にわざわざ為替の話をおっぱじめる、という謎プレイがあったので当然為替についても質問されるわけでして、こちらの質問は本文3ページ(本文のページのPDFの枚数は同じです)にあります。
『(問)二点お願いします。今日の挨拶の中で為替についても言及されてますが、この足元の円安が金融政策を変えるまでの影響を物価には及ぼしていないとお考えか、ちょっと改めてお考えを伺えますか。(後半割愛)』
『(答)まず為替レートにつきましてはですね、具体的にどの水準が良いとか悪いとかという水準感に関しては、コメントは差し控えさせて頂くということで、』
まあいつものことなんですがわざわざ金懇挨拶で為替の話ぶっこんでいるのにコメントしないってのも何なんですかねえとは思うのですが、この先が中々でして・・・・・・・
『将来の物価に関する影響が今そんなに出ないのかどうなのかという話なんですけども、この今の状況がもし長期化するならば、当然出てくるはずですので、』
ここはほうほうと思いましたが、と申しますのはこれまでの植田さんとかの説明だと「為替の円安で物価が上がるのは一時的な話、なぜなら為替が無限に円安になるわけではないので前年比で見た影響はワンタイム」という理屈を捏ねておった訳ですけれども、冷静に考えてみれば為替で上がった物価って逆に下がる要素が為替が逆に行かない限り無い訳で、それって物価の「水準」自体を変えている話なんですけど、大本営の理屈は必ず「前年比」の話にしてしまって水準の話をしない、というのが仕様だったのですが、上記のように「長期化すれば影響が出て来る」という言い方になっているのですな。
『それは実際の統計なりですね、あとわれわれ企業の方々を中心にヒアリングする機会もありますし、あと短観等のサーベイ調査もありますので、その辺で具体的にやはり影響が、このまま続くと当然出てくる可能性がありますので、出てくればそれはもちろん対応しますし、』
ということでして、何か知らんけど円安が長期化して定着したら物価に影響が出て来るかもしれないので対応する、とか言ってるのは従来の「為替が物価に与える影響はワンタイムだからそれで直接政策はいじらないよ、基調的物価に影響するなら別だけど」というのから円安対応に一歩踏み込んでいる訳ですな。もちのロンですがこの次に、
『今の動きが、それに向かって動いてるかどうかというのは、これは当然注視していかなければならないので、現時点で影響ある、ないという話はできないというふうに考えております。』
という結論になっているので、今すぐ対応する訳ではないのですけれども、今回しれっと「為替の状況が長期化するようなら対応の可能性も」ということで、これまでの説明からそこそこ踏み込んでいまして、しかも安達さんとかいう大本営のホーンスピーカーがこれを言っている、というのは結構味わいあがると思います。
・・・・・・なお、ここで注意しておきたいのは、今回の大本営もとい安達さんの表現はあくまでも「物価に」影響がある、と言っているだけというのが曲者でして、最近前面に出している「基調的物価すなわち第二の力ガー」という説明からしますと、本来は「基調的物価に影響がある」のであれば対応するし、そうじゃないものは全部ワンタイムだから対応しない、というのが本線であります。すなわち「物価に影響があるなら対応」ってのも実は説明としては例の基調的物価ガーからすると変な説明になっていまして、これって後になってから「基調的物価に影響を与えている訳ではないのでやっぱり対応しなくても良いですねテヘペロ」とか言い出すリスクがあるんですよね。まあ安達さんだってそこ分かって「基調的」を使わないで答弁しているんですよ。
ということでその点は留保しておいて、単にこれが足元の円安牽制のためにお為ごかしに言っているのか、それとも円安対応(とは正面切って言わないけど)で何かしなきゃいけないという認識の元に話をしているのかは決め打ちしにくいな、と思いました。
・・・・・・・・・・というのは後の方(4ページ)の質疑でですね、
『(問)(前半割愛)もう一つは円安についてなんですが、やっぱり長期化すると当然物価の方に影響が出てくる。あと今回の講演でも状況によってはその度合いの、利上げによって度合いのペースを速める可能性があるっていうふうにおっしゃられていますが、やはり今、先ほど現時点で為替は判断できないとおっしゃられていますけども、やっぱり円安基調がずっと続いている状況を踏まえると、こういった度合いを早めるということに関しても、しっかり考えていかなきゃいけないというふうにお考えでしょうか。』
と踏み込みの更問が来ました。これに対しての回答ですが、最初前半の部分だけしか回答してなかったもんでもう一度質問の巻になって、
『(問)円安が進んでいますけれども、結構押し上げられていますけれども、早める必要性は。 』
と質問が簡単になったので安達さんすかさず
『(答)それは実際のインフレ率とかですね、あとわれわれは最近基調的な物価上昇率と言ってますけども、例えば予想インフレ率の長いところが、上振れたりとかということがもし状況として出てくれば、それは考えるということであります。
』
と簡潔に回答の巻いうことで、しかもここではさっき言ってなかった「基調的物価」を出して誤魔化している訳ですな。さっきの所では円安が長期化したら対応の可能性がある、ってのをプンプン匂わせていたんですが、こうやって更問されるとしれっとトーンダウンしておりまして、まあさっきの回答がちょっと言い過ぎだからメモかブロックサインでも飛んできたのかどうかは分からんですけれども、さっきの質疑応答からはトーンが後退しているのが見て取れますね。
・政策金利に関しても結局どうしたいのかの腰が全然定まっていないのは伝わりますな
為替に関しては上記のような感じ、輪番は金曜にネタにした通りで、では政策金利はどうなのでしょうかと言いますと本文5ページに質疑がありまして、
『(問)(前半割愛)二点目なんですが、そのうえで総裁は物価の上振れリスクが高まる場合に政策対応も考えるというふうにお話されてるんですけども、安達委員も先ほど円安により早期の物価加速のリスクもあるような話もされておられまして、来月にMPMあるわけですが、ちょっとそれはあれとしましても、将来の急激なですね、引き締めに晒されるリスクについて、早めに対応すべきなのかどうか、その点について今、安達委員どのようにお考えか、よろしくお願いします。
』
これは良い質問ですね。では回答。
『(答)(前半割愛)二つ目の話としてはですね、今、物価安定目標に向かってというか、持続的・安定的な物価上昇がもう実現する世界に入ってしまうと、政策金利は理論的にはいわゆるテイラールールみたいなかたちで運営をしていくことになると思うんですけども、』
お、まともな話になっているので期待期待。
『そこの状況、実際に本当に 100%実現するという世界になるまで、例えば現状の0.1[%]を維持して、実現した瞬間にじゃあ
2%にポンと飛ぶという政策判断は、そこまでの急激な利上げっていうのは、逆に経済を傷めてしまうわけなので、それは避けなければならないということです。』
でですね、この次がまた重要でして、
『2%を実現してからもゆっくりとしたペースで利上げをすると、これはインフレ率が上振れる可能性が出てくるわけですので、』
はいそうですよね。なんか今までの植田さんの説明だと「待つことのリスクは大きくない」だったのですが、待つことによって上振れのリスクが生じるって言ってるので、これは昨年5月の内外情勢調査会での植田さんの主張をやんわりと否定(強く否定ではない、という意味ね)している事に他ならないんですよね。
『消去法としては非常に緩やかなペースで、これは景気の状況とかをみながら段階的に調整していくというのが、多分、今の時点では最も蓋然性が高いといいますか。』
ってことでまあこんな説明しているんですけど、じゃあこの「非常に緩やかなペース」って何の事じゃいという話になる訳でして、この前の展望レポートの説明だと見通し期間の終盤前には2%物価目標達成しているというはなしになるんですから、であれば本当は半年に25bpでは遅くねえかという話でもありますが、まあ結局近くなってから利上げペースを上げていくことになるんじゃないでしょうか(物価が強いのが続けばの話ですが)ということかと。しらんけど。
『ただ、前提としては、やはり順調に基調的な物価上昇率が上がっていって 2%に向けて着実に上がっているという状況のもとでは、非常にゆっくりとしたペースで金利を調整していくというのが一番適しているんじゃないかなというのが私自身の見方です。』
非常に緩やかなペースで、のあとに非常にゆっくりとしたペースで、と繰り返していますが、今申し上げたようにそもそも論として例えば2026年の後半には物価目標達成してて政策金利は中立的な水準にあって然るべき、となったらその「非常に緩やか、ゆっくり」では間に合わない筈なんですよね。
『ただ、それは非常に、いつ実現する状況が 100%確定するかというのが、今のところまだその
100%になる時期というのは見通せない状況ですので、だったらその次もやるのかとか、やらないとかというような具体的な政策論にするにはまだ話は早いのかなということで、非常にちょっと曖昧模糊としてますけども、やり方としてはそれがいいんじゃないかなというふうに考えているということです。
』
いやそれやり方でも何でもないじゃん、と思う訳ですが、この引用部分の説明が最早何が何だか良く分からない混乱状況という感じでして、これは即ち大本営におかれましても先行きの政策金利をどうしていくべきなのか、という点について腰が定まっていないというか泡吹いているとかまあそんな状況なんだろうなあと想像しました。
ただまあ非常にゆっくりした云々とは言ってますが、物価目標達成の時分には中立金利に近い所になっていて然るべき、という認識を出している訳ですので、そこから考えたら少なくとも今ってアホのように超緩和的なのは「見ればわかる」状態なのですから、そう考えますとやっぱり10月展望まで今のゼロ金利状態、ってのは如何なものかという話になるんじゃないですかねえ、知らんけど。
・ターミナルレートの質疑の中でしらっと「2%物価目標が妥当なのか問題」を喋っている安達さん
この質疑、まあそもそも中立金利が何ぼかというのは政策の正当性を言い張るための方便だとアタクシは思っている(個人の偏見です)のでそっち自体はどうでもいい話ではあるんですけど、ということで本文6ページ。
『(問)あともう一点、ちょっとややばくっとした質問で恐縮なんですけれども、最終的な利上げのいわゆるターミナルレートっていうのは、どのぐらいの水準にあるのかというふうにみてらっしゃるのかっていうのを、もしお考えがあれば教えてください。
』
『(答)そこはですね、私はまだ全然そのイメージがないという状況でして、これは最近ちょっとそういう話というのは、いろんなところで聞かれるようになってきましたけども、望ましいインフレ率+中立金利で名目の政策金利という関係だと思うんですけども、それを多分考えるためには、最終的に物価安定の目標が実現したときの実体経済の絵を描かないといけないわけですけども、』
まあそれはそうなんですが、
『そこが例えば人口動態とかそういうのを考えると、かなり潜在成長率が低い世界、潜在成長率がそのままイコール中立金利ではないんですけども、大きなウエイトを占めているので、』
という所から段々味わいのある話になって来まして、
『すると、非常に低い中立金利に 2%のインフレ率が乗っかる世界なのか、それとも、例えばデフレ以前の世界に戻るというふうに考えると、90
年代前半ぐらいの潜在成長率に日本経済は戻らないと、2%の物価安定目標実現は無理だというふうに考えると、もうちょっと高い金利になるわけですけども。どっちの世界が実現するのかとか、どっちを目指すのか、これは政府の経済政策との絡みもありますけども、ちょっとまだ私自身ちょっとそこは整理しきれてない部分があるので、そこのターミナルレートが何%かということについては、ちょっと私はまだ具体的な意見は持ってないというのが現状です。』
これ話の切れ目がないから切りにくくてゾロっと引用してしまいましたが、どさくさに紛れて安達さん「潜在成長率が非常に低い状態では2%の物価安定目標の実現が無理という可能性もある」というニュアンス(無理と決め打ちしている訳ではないですよ為念)の発言をぶっこんでいる訳ですね。
いやあのすいません、物価安定目標の2%って北極星みたいなもんでこれは経済の状況がどうのこうのとか関係なく目指すもの、というのが黒田以降の日銀のスタンスだし、置物一派もそういう触れ込みで説明していたと思うのですが、何かいきなり真人間になったような説明になっていまして、いや安達さん何か変なもんでも食ったのかよと思ってしまいましたが、なんと経済の構造次第ではそもそも2%の物価目標ってのが適切じゃない可能性があるというニュアンスの発言してるのには結構たまげました。
というのがこの部分の趣旨でして、ターミナルレートはまあどうでもよいのですが折角引用しているので最後まで引用しますねこの応答。
『まだ多分そこまで行くには、かなりのやっぱり距離があると思いますので、そこは現実的な調整をやる時間というのがありますから、そこの時間的な猶予の中でですね、考えていきたいなというふうに思っております。
』
とまあそういうことでありますが、2%物価目標が経済の構造からみた時に本来目指すものなのかというような事について可能性として挙げているだけであっても、こういうのが安達さんなのか大本営の代弁なのかは知らんけど出てきているというのは大変に味わいの深いものを感じました。
2024/05/31
〇安達審議委員金懇会見:この調子で6月会合で輪番の指針って出せるのかよというそこはかとない不安
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240530a.pdf
安達審議委員記者会見
――2024年5月29日(水)午後2時30分から約30分
於 熊本市
一部ベンダーさんではこういうときのヘッドラインの打ち方にバイアスがあるように見受けられまして、いやあのですねあなた方は報道にバイアスかけないでほしいんですけど、と思うのですがバイアス掛けないと記事がヒットしないとか、記事がヒットしなかったら営利団体として営利活動にならんとか、まあそういう大人の事情があってムツカシイというのもあるので、後からちゃんと裏を取って「ここのヘッドラインの打ち方にはこういうバイアスがある」というのを理解したうえでニュースヘッドラインに反応する、というのが大事だと思います。
特に植田総裁は無駄に両論併記するので切り取られ方によって印象が違うという事が多々ある(その点黒ちゃんの場合は切り取られリスクの少ない喋りではあった)ので注意しないといけないんですよね。
というのは兎も角としまして、安達審議委員の金懇って基本的に大本営の伝達用スピーカーシステムなので、そういう意味では会見に関しても大本営の考えが伝わるのでそっちの意味では便利、ということで見るわけですよ。
・長期金利に対するコメントを見るとこの人たちYCCから発想が脱却できていませんね
金懇の場合は基本的に最初の幹事社質問は今日はどうでしたかというのと、地域経済に関するお話になるのでその辺はかっ飛ばしまして、2ページ目の質疑に入ります。
『(問)長期金利についてお伺いします。長期金利、今日も上昇して 12 年半ぶりの高水準になっているようです。最近の長期金利の上昇についての受け止めをお願いします。』
というのが前半で、後半は輪番。
『また、今日は午前中の講演で、国債買入れについてですが、どこかの時点で減額させるというふうにおっしゃってました。その見直しのタイミングなのですが、早い方がいいのか、当面は見直さないで状況を見守るのか、その辺りについてお願いします。』
でまずは長期金利ですけれども、
『(答)まず長期金利についてはですね、これは日々動いているわけでありまして、ちょっと今の段階ではですね、まだ具体的にコメントするような材料はないので、一応差し控えさせて頂きたいというふうに思っております。』
まあこれは良いんだがこの後余計な言葉が続く。
『一応YCCを解除した大きなポイントは、基本的にはやはり[金利が]市場において形成される度合いを高めていこうということでありますので、それが景気に対して悪影響を与えるほどの上昇になれば、これは懸念される状況ですので、』
そもそも論として「市場で金利が形成される」のを是とするんだったら、「景気に対して悪影響を与えるほどの上昇」ってのはよくよく考えると変な話でして、金利は経済物価などに応じて形成されるんですから、市場金利上昇がドライブした結果景気が悪化するってのはちょっとおかしい話ですわな。
市場金利上昇が経済物価情勢と関係ない要因、例えば財政破綻懸念があるから国債ウリウリモード、みたいな他の外生要因によって売られる場合に、それが過度かつ長期間継続すれば景気に対して悪影響、ってのはあるかもですが、なんもない中で金利が引っ張って経済を悪化させるまで上昇するってのは相当無理のある話なんですよね。
というそもそも論の立場から見ますと、この大本営もとい安達さんの説明っていうのは、その思想の背後に「長期金利ペッグ(今回で言えばYCC)政策残滓がある」という事でございまして、いやだからそれがあるから今ややこしいことになってるんだぞ、というのがどうもわかっていなさそうだとアタクシは思うのですよ。
ですからして、
『その辺はいずれにせよ、今後非常に、より注意深くモニタリングしていく、その材料の一つであるというふうには認識しております。』
ってのも結局これ長期金利に再介入するような発想がないとこういう言い方にならんわけでして、YCCから頭が抜けていない、というのがありますと、仮に今後短期政策金利が今の実質ゼロみたいな金利から0.25%だの0.50%だのになった時に、債券市場への関与という発想を残したままだと無用な介入を行い、その結果日銀の不規則な動きが市場に大きな影響を与えることになるから国債市場に置いて無用なリスクプレミアムを要求されることになる、という結果に繋がるんじゃないかという懸念がぬぐい切れない、というのがアタクシの見立てですが、まあこの点については見解が分かれるところだと思います。
・輪番をどうするのかについての説明がカオスにもほどがある件について
さっきの質問の後半の回答になります。
『国債の買いオペの話につきましては、3 月に一応今の方針を決定しまして、現状
1 回減額させて頂いたんですけれども、これはわれわれが 3 月に決定した、これはレンジを定めてましたので、そのレンジ内でありますので、基本的には減額したというよりも、ちょっと状況をみながらですね、国債の需給の環境を今注意深くみている状況だというふうに思います。』
このカオスな説明、まあ大本営のお告げがこれな訳でして、結局じゃあ何が判断基準になって減額をしたのか、というのが一切分からないというのが恐ろしいにもほどがあるわけでして、今後の輪番の上げ下げ(上げないのかもしれませんが)についてもまったく予見可能性がない、という事を意味するわけでまあヤバいですなこれは。
『なので、何かしらの、例えば政策意図を持ってやったわけではないというふうに考えています。』
政策意図はない、判断基準はなんだかよく分からん、って何なんだよそれって感じでして、だったらもうオペ紙のレンジもやめて1か月固定ただし金融政策決定会合によって変更になる場合もありますああそれから無茶苦茶投機的な動きがあったら臨時入れるかもよ、の方がよっぽどマシなんですけどね。
『減額のタイミングにつきましてもですね、一応 3 月の政策決定会合の中では、例えばインフレ率とかそういうのにひも付けた、いわゆるマクロ経済政策とは一応別のかたちで、市場の需給動向とかですね、機能度とかそういうものを総合判断で決めていくということですので、』
「市場の需給動向とかですね、機能度とかそういうものを総合判断で決めていくと」と全然関係ないタイミングで減額してるんですけど・・・・・・(やるなら4月の前半位に(初回は減額しないで様子見ましたが大丈夫そうだったので入札が減った分だけ減らします」ならまだ話が通じた)
『そこは早くした方が良いとか、遅くした方が良いというような判断というのは今のところはございません。』
で、
『これは日々需給をみながら、その都度判断していき、最初は現場に裁量を任せている範囲内で対応して、その後はまたそれで考えていくということであります。
』
日々需給を見ながら判断してたら5/13の減額は明らかにサプライズになるの分かると思うのですけどねえ・・・・・・・・・・・・・・
ということで、まあこりゃアカンという話になっている上にですね、
その後の質疑で4ページの質問(答えは5ページ)になるんですけど、国債買入に関する質問が再度ありまして、
『(問)まず国債の減額のことなんですけども、先ほど講演でも触れられていますが、本格的に減額するということを決めた場合ですね、やっぱり長期金利が上がりやすくなって、景気への影響というのも、一つ重荷になる可能性もあります。そういうことを考えると、やっぱり国債の減額をするに当たっては、日本の景気状況っていうのをしっかり点検したうえで、判断してやられるかどうかってことが一つ。
(後半割愛)』
でもってこの回答。
『(答)基本的にですね、今学界とかでもよく言われてますけど、金融政策、リスクマネジメントベースで考えるという議論がございまして、先ほどご質問された話はまさにリスクマネジメントの一つとして考えているというところであります。』
ちょwwwおまwwwwさっきの質疑で「例えばインフレ率とかそういうのにひも付けた、いわゆるマクロ経済政策とは一応別のかたちで、市場の需給動向とかですね、機能度とかそういうものを総合判断で決めていくということ」って言ってるのに何を言い出してますねん・・・・・・・・・
『ただ国債の減額については、これは一種の長期的なスタンスとして、』
と来たので話が戻るのかと思いきやこの先の説明が無茶苦茶微妙でして、
『現状というかこれからインフレ率が 2%で一応物価の安定的な目標に、もし順調に向かっていくという前提のもとではですね、』
ということで、結局お前ら「いわゆるマクロ経済政策とは一応別のかたちで」になってない説明になっていまして、要するにこれ輪番の位置付けについて日銀内での整理ができていない、というのが現状のステータスである、という事を示しているんですよ。でもってこの先行きますね。
『なるべくやっぱり長期金利はシグナルとしてのその情報的な価値というのをやはり有効利用すべき局面にだんだん入っていくというふうな判断がありますので、その中で減額を段階的にしていくということだと思います。』
と言ってるんですけど、
『なので、減額先にありきで、それで長期金利が急に高騰し過ぎたりとかですね、するとちょっと本末転倒になりますので、』
ってのも変で、シグナルとしての価値が高いんだったら日銀の関与を減らすべきで、長期金利が上がるのはシグナルが機能した結果だろそれを結局要らんって言ってるんだからこの人たちは市場統制をしたい、すなわちYCCから発想が離れていないんですよね。
その結果、
『そこはやはりあまり予断を持ってというか、何か事前に計画とか基準を持ってですね、機械的に何か決めていくというよりも、その場の判断でやっていくという話だと思います。
』
ということになってしまうので、これじゃあ輪番の予見可能性を高めて今市場にあるリスクプレミアムを解消するとかいう頭が全然ない、というのが分かると思います。
でまあさっき申し上げましたように「輪番の位置づけが整理できていない」という状況でもありますので、そんな状況なのに6月会合で輪番についてなんか出せるのかってのはちょっと疑問もあったりするのですよ。まあ6月会合で7月利上げの予告ホームラン打ってくれれば政策金利に関する目先の不透明感はクリアになりますけど。
ということで時間の都合上この辺で本日は勘弁していただきとう存じます。
2024/05/30
〇安達審議委員熊本金懇挨拶より:両論併記したいのはわからんでもないが両論併記の結果お前は何を言ってるんだ状態w
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240529a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 熊本県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
安達 誠司
・最初にいきなり為替の話をしているのはヘイヘイピッチャービビってるビビってるって奴ですわw
冒頭あいさつの次を見て吹いた。なんだよこの『2.足もとの円安と金融政策』ってwwwwwwww
ということで草をはやしている場合でもないので鑑賞鑑賞。
『通常であれば、金融経済懇談会でのご挨拶の冒頭では、経済・物価情勢についてお話しさせて頂くところですが、このところ為替が1ドル=160
円を窺う展開となるなど、円安が進展するもとにおいて、為替変動への対応について日本銀行に様々なご意見を頂戴する機会が増えているという状況を鑑み、今回は為替変動に対する日本銀行の対応について、私見を交えつつお話しさせて頂きたいと存じます。』
ってのをわざわざ入れされられた訳でして、しかも過去数回にわたるこのお方の金懇やらMPMでの投票行動やらを見ればお分かりのように、こちらの先生におかれましてはチーム置物のくせに大本営九官鳥モードにもほどがあるわけでして(野口審議委員はその点ではまだチーム置物としての自我をある程度保っておられますな)つまりは大本営がヘイヘイピッチャービビってるよビビってるよ!となっておるというのが示されている訳で大変に香ばしい。
『まず、大原則としてですが、金融政策の目的は、あくまでも「物価の安定」です。金融政策の自立性、自由な資本移動、為替レートの安定を3つ同時に達成することはできないという「国際金融のトリレンマ」をベースとした考え方を踏まえると、短期的な為替レートの変動を金融政策によってある一定の水準で固定しようとした際には、その代償として、その後の金融政策運営に大きな制約がかかってしまうことになります。』
トレンドとしての為替レートの変動に対応していないように思えますがそれはさておきまして、
『これを足もとの実態に当てはめて考えてみます。現在のように、変動幅が非常に大きな為替レートを安定させるために、金融政策を頻繁に変更すると、金利の変動幅も大きくなることが想定されます。』
頻繁に変更って別に為替の乱高下を止めろとは誰も言ってなくてトレンドとしての以下同文。
『金利があまりにも大きく変動することになれば、先行きの金利の予想が困難となり、家計の住宅投資や企業の設備投資などの資金調達に支障をきたします。資金調達が困難になれば、当然のことながら経済活動にも悪影響を及ぼします。このように、短期的な為替変動への対応を金融政策で行うと「物価の安定」に影響が出てしまうと考えます。
』
これを一般論として言ってるなら話は分かるが、最初にこの段落で「これを足もとの実態に当てはめて考えてみます。」って言ってるわけで、物価がすでに2%を上回って久しいのに何のかんのと小理屈捏ねてマイナス金利とかいう超過剰金融緩和を引っ張りすぎたことによって発生した円安進行を是正しろと言われているだけで、何も金融引き締めしろとか言ってるわけじゃないのに、「足もとの実態に当てはめ」てない説明してごまかしているという藁人形論法で説明しておりますわな。
ということで以下の部分はただの藁人形論法をベースにした引かれ者の小唄というか三百代言クオリティというかな物件で読む価値はないので割愛します。
・基調的な物価とか第一の力第二の力とかいう成分を使わないで物価の現状と先行きの話をしているのは味わいある
でまあ先に飛んで経済物価情勢の話になりますが、『(2)物価情勢』をちょっとだけ拝読しますので、最初の小見出し『(わが国の物価の現状)』から参りますが、
『次に、わが国の物価情勢についてお話しします。まず、消費者物価は、現在、上昇率を低下させており、減速局面にあるといえます(図表
10)。』
6月7月くらいから再加速すると思うんですけど前年比ベースでみますと・・・・・・・・・
『この動向を仔細にみるために、消費者物価を品目の価格の改定頻度に着目して、価格の改定頻度が比較的低い項目でみた物価である「粘着的な(sticky)消費者物価」1と、価格の改定頻度が比較的高い項目でみた物価である「伸縮的な(flexible)消費者物価」2に分けた切り口でみたいと思います。なお、「粘着的な消費者物価」は、中長期的なインフレ予想や賃金動向に影響を受けることが考えられる一方で、「伸縮的な消費者物価」は、商品市況等を映じた原材料価格の影響を受けやすい傾向があります。
』
キタコレなのですが、まあ途中は飛ばしましてここでいきなり小見出し『(わが国の物価の先行き)』に飛びます。
『そして、消費者物価の先行きですが、こちらも「粘着的な消費者物価」と「伸縮的な消費者物価」に分けて考えたいと思います。
』
と来まして途中を飛ばして結論に行きますと、
『以上のことから、消費者物価は、現状は減速局面にありますが、輸入物価や企業物価、そして賃金動向から予想する限りにおいては、本年の夏から秋頃にかけて、再び上昇に転じていく可能性があると考えています。』
ということで、このコーナーの特徴として「基調的な物価」とか「第一の力、第二の力」の話が無いことが挙げられます。
まあこれ安達さんだって何とかストを本職にしてた時分はちゃんと分析してた訳ですから、そもそも今日銀が前面に出している「第一の力、第二の力」のレトリックがインチキ成分を含んでいることくらいはご存じでいらっしゃると愚考しますと、そういうインチキではなく、ちゃんと正統派として物価の分析をしたい、という自我によってこの部分が構成されていると思うと中々いい味出してるじゃん、と思います。
なお、これも実は大本営の深慮遠謀で、第一の力第二の力とか基調的な物価がどうのこうのの説明が苦しくなった時のライフラインとして粘着的な物価と伸縮的な物価というのを残している、という可能性も否定はできませんなあとは思います(個人の感想です)。
・先行きの金融政策運営の話が両論併記過ぎて何を言いたいのかわけわからん件について
『4.金融政策運営 』にお話は飛びまして、最初の政策変更の説明はクソどうでもよいので割愛しまして、事実上最後のコーナーになります小見出し『(今後の金融政策運営方針)』に行きます。
最初から参りますね。
『次に、今後の金融政策運営についてお話しします。
まず、日本銀行としては、今後も引き続き、金融政策の目標としては「持続的・安定的な物価上昇」の実現であり、この目標が達成されるまでは、現在の緩和的な金融環境を維持することが重要です。』
ここでは「達成されるまでは緩和が必要」と言っています、よく覚えておいてくださいね。
『この背景としては、足もとにおいて「持続的・安定的な物価上昇」が実現する見通しの確度がかなり高まっていますが、まだ確信を持って実現できるといえる状況ではないため、達成できると確信する時が来るまでは、緩和的な金融環境を維持することが重要だと思われます。』
ここでは「実現できる見通しの確度がかなり高まっている」という認識をしめしていますね。
では次の段落に参ります。
『この場合、金融政策が前のめりになりすぎることで、折角のわが国経済が回復する機運に水を差すといった「拙速な利上げ」は絶対に避けなければなりません。』
拙速、とか絶対に、とか強いお言葉ですなあとは思いますが、まあここは前段の話からしたらそういっても別におかしくはないので、
『このため、基本的には実質金利がマイナスの状態を維持することが重要であると考えます。』
となるのですが、ここから先が両論併記の結果尻滅裂になるの巻でありまして、
『ただし、あまりにも下振れリスクに配慮しすぎると、物価上昇のペースが加速して、結果としてより急激な金融引き締めの実施を余儀なくされ、経済に悪影響を及ぼしかねない点にも注意が必要です。』
はい??
『これは、「持続的・安定的な物価上昇」が実現するまで、政策金利を現状のゼロ近傍で固定化し、目標が実現した後に利上げを始めた場合に、急激な物価上昇を抑制するためにこの上昇率を大きく上回るペースでの利上げを余儀なくされて、経済へ悪影響を引き起こしかねないことを危惧しています。
』
いやあんた今「物価目標達成までは緩和を継続すべき」「拙速な利上げはダメゼッタイ」って言ってるやん何ゆうてますねんというお話になるわけです。
では次の段落。
『私は、例えばコロナ禍において物価は下振れリスクが高いと想定していたらむしろ上振れたといったように、予想が一方向に傾き過ぎるリスクには留意が必要であるというのが、コロナ禍以降の金融政策のあり方におけるインプリケーションだと考えており、下振れリスクと同時に上振れリスクにも配慮する必要があるというのが、金融政策のリスクマネジメントを考える上で重要な局面にきていると考えます。』
さっきの「拙速な利上げはダメゼッタイ」とこの理屈整合性が取れないんですけど。最初から「データディペンデントでフォワードルッキングに政策修正を行う」って言えば済むだけの話なのになんで両論振り切った説明を並べるわけなのよ。
『そのため、基調的な物価上昇率が2%に向けて高まるという状況が持続している限りにおいて、経済・物価・金融情勢に応じて、金融緩和度合いを段階的に調整することが大切ではないかと考えています。』
って言ってるんですけど、一方で会見の方でのヘッドライン見た感じだと「ゆっくりやる」だの「2%達成にはまだかなり距離がある」だの言ってたように見えたわけで、一体全体あなたは何を言いたいのかというのがさっぱり分からん支離滅裂モードになっておられまして、大丈夫かよと思ってしまいましたがその辺は会見録も併せて明日改めて確認しましょう。
国債買入に関してが次の段落にありまして、そこでこのコーナー終わるのですが、まあそもそも安達さん債券市場にそんなに近かったわけではない(基本的にエコノミストだったはず)のでその辺のご見識はあまりお強くないのはシャーナイとは思うのでこんな感じになるんだろうなと思いましたが、うーんこれもなんか結局何をどうしたいのかがまるで分らんという感じですね。一応引用だけしておきます。
『また、イールドカーブ・コントロールがその歴史的使命を果たしたことから、今後は国債の買入れ額を将来どこかの時点で減額させることが考えられます。』
『なお、現在は、3月に見直した国債買入れの枠組みのもとでの金融市場の状況を確認しているところであり、これまでと概ね同程度の金額で継続することとしています。』
『そのうえで、将来、国債の買入れ額の減額が急激なペースで行われますと、長期金利等に不連続な変動をもたらしてしまい、これが金融政策自体の不連続な引き締め局面への移行と解釈されてしまった場合には、先ほど述べましたように、最終的には経済へ悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。』
『そのため、国債買入れは、債券市場の需給や機能度、そして流動性の状況を総合的に勘案しつつ、段階的に減額していくことが望ましいと考えています。
』
ああそうですかそうですかというところですが会見録とあわせて確認をしたいと思います。
2021/12/06
〇やっぱり虫の居所が悪いので安達審議委員の大分金懇ネタ続き
安達審議委員大分金懇
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211201a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf
HTML版が出てきたのでHTML版の方から引用します。
・為替市場の円安の悪影響に関する話をしているのだが論拠が案の定ペラペラ
『(3)為替相場の物価等への影響』って小見出しがありまして、
『このところ、為替相場の物価等への影響がメディア等で話題になっているため、その点についてお話したいと思います。』
というのがあるので読んで差し上げる。
『最近、円安の動きがわが国のインフレ率上昇に繋がることに関して、「悪い円安によるスタグフレーション」のリスクを指摘する声や、その流れを止めるために日本銀行は早急に金融政策の修正を図るべきであるとする声がメディア等で聞かれます。』
「早急に金融政策の習性を図るべき」という表現に悪意を感じますね。
『スタグフレーションの定義は、論者によってまちまちではありますが、一般には、持続的なインフレ率の上昇と、景気の悪化が同時進行する現象を指すと思われます。』
ほうほう。
『10月28日に公表した日本銀行の展望レポート(「経済・物価情勢の展望2021年10月」)における、景気とインフレ率の見通しの中央値を確認すると、実質GDPは、2021年度が前年度比+3.4%、2022年度が同+2.9%、2023年度が同+1.3%、また、消費者物価指数(除く生鮮食品)は、2021年度が前年度比0.0%、2022年度が同+0.9%、2023年度が+1.0%となっており、現状も今後も、スタグフレーションとは程遠いと考えています。』
それはただのお前らの見通しの話でファクトベースの話しじゃないんですけど。
『これは、例えば、第1次オイルショック時に実質GDPがマイナス成長となり、消費者物価が前年比20%を超える上昇率を示したような状況とは全く異なります。』
これはただの高インフレじゃろ、スタグフだったら第2次オイルショックの方が適切な気がするんだがまあそれは良いとしまして次に行く。
『為替相場の水準について具体的にコメントすることは差し控えますが、一般論としては、円安がわが国経済に与える影響は、様々な要素の相互作用の結果として決まり、その時々の内外の経済物価情勢によって変化し得ると言えると思われます。そう申し上げたうえで、私自身は、このところの為替相場の動きが、例えば、スタグフレーションに繋がるような「悪い円安」の状態にある、とは考えていません。』
おんどれが考えていないのは分かったんだがその根拠がおめえらがお手盛りで出していて、しかも特に物価見通し全然当たっていない展望レポートってのは何なんでしょうか、せめてファクトベースで輸入品の最近の価格動向とかそういう話をしてくれませんかねえ。
『むしろ、このところの円安は、日本企業の海外子会社の収益の増加や輸出企業の収益への寄与を通じて、企業の設備投資を下支えしたり、海外企業による日本での工場建設等の「企業立地」の検討を後押ししたり、わが国にとってプラスをもたらしている面があると思います。』
先日ネタにしたように、最初の部分でも「企業の設備投資スタンスの積極化に裏打ちされる成長見通しの改善」について言及していたので、お前は何を言ってるんだという気はするけれども、まあ前半の方で話をしていることと話が繋がっているのでこれは一つの意見ですが、輸入物価が今後どうなるとか資源エネ価格がどうなるとかそっちのコストプッシュの話は「ぼくたちのかんがえるしょうひしゃぶっかしすうのさきゆきみとおし」だけが根拠とは情けない。
・「金利平価説」とか日銀の政策委員が堂々と口に出すなよ
でもってその次。
『なお、円相場は、中長期的なタイムスパンでみると、比較的狭いレンジ内で推移しているとみています(図表11)。』
という所なんだが、
『「金利平価説」的な考え方でみると、市場において、わが国と米欧の間の金利差が大きく拡大するとみられておらず、そのもとで円相場が比較的狭いレンジで推移している状態にあるとも言えると思います。』
ちょwwwそこらのヘッポコ何とかストかよって感じなのですが、インフレ国の方が金利が高くて、価格平価的に考えたらインフレ国の方が通貨安になる、ってかそもそもお前ら日銀が円高放置してたからデフレが止まらんとか言ってた話しはどこ行ったって問題で、現在って資本取引を背景にした通貨取引の方が貿易為替よりも格段にデカいから、平時の短期的にはキャリートレードの方が大きくて、んでもって見かけ的に金利先高観が出るとその通貨が上がる、とかそういう現象が起きているってだけの話で、中長期的に見た時に金利平価とかナンジャソラの世界なので、民間ヘッポコ何とかストが言うのなら兎も角、中央銀行のお方が「金利平価説」とか言わないで欲しい。
いやこんなの「市場において〜金利差が大きく拡大するとみられておらず、そのためにキャリートレードのような資本取引をドライブとした為替トレンドが起きにくくなっている事が為替市場の安定に繋がっていると思います」みたいな感じで、そんなヘナチョコ用語使わんでも説明できるじゃろ、と思うんですけどねえ。
『日本銀行を含む多くの中央銀行は、為替相場の水準を金融政策の目標とせず、あくまでも2%の物価安定の目標に向けて金融政策運営を行っていますが、主要先進国がともに2%の物価安定の目標を目指していることは、為替相場を安定させている一因になっているとも考えられます。』
ってこの説明も、消費者物価指数の実績値がここまで違ってきてしまうといつまでも言えるかどうかは分からんので、何とかの一つ覚えのようにこれを連呼するのもどうかと思いました。
・コロナオペの延長に関してのご説明だがそもそも論の方がアレ
『3.金融政策』のパートに参る。最初はどうでもよいので飛ばして、
『コロナオペの来年4月以降の取り扱いについては、今後、日本銀行において、新型コロナウイルス感染症の動向や、それが企業金融面に及ぼす影響等を丹念に点検しながら、検討していくことになります。』
『そう申し上げたうえで、私自身が感染症への政策対応として意識すべきと考えている論点についてお話させて頂きます。』
『まずは、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、企業による事業の継続を支援する観点から、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる姿勢にあることを指摘しておきたいと思います。今後、もし、感染が再拡大し、公衆衛生上の措置を再び取らざるを得ない状況になった場合等には、企業の資金繰りを支える必要が生じる可能性があります。コロナオペのあり方は、感染症の動向に依存するところが大きく、その動向や企業金融面への影響を見極める必要があります。』
そらそうなんだが、マクロ的にそれ必要なの??って話は無いんですよね。大体からしてこれ「企業の資金繰り支援」って言ってるんですが、実際には金融機関向け貸し出しに対してのオペであって、別に資金繰り困難企業のケツ持ちをする訳ではないですし、そういうのはケツ持ちをする公的金融やら制度融資やらの方でカバーできる問題ではないかと思うんですけどね、まあいいですけど。
『一方で、コロナ禍の前から収益性が低く、将来的に債務返済が滞るリスクが高かった企業が延命しているのではないか、といういわゆる「ゾンビ企業論」の意見が、識者の間にあることも承知しております。仮にそれが現実に起きてしまうと、産業の新陳代謝、及び、新規開業などが阻害され、特に地域経済において、経済活性化の妨げになることが懸念されています。』
何で「特に地域経済において」なのかの理由がさっぱり分かりませんが、それよりも何よりも「懸念されています」じゃ無くてそういう問題が起きてるから潜在成長率は下がりっぱなしだし、物価目標は全然達成しないし、なのではないかと思うのですが、そういう考察は無いんですね。
『コロナ禍入り後の2020年以降の企業の倒産件数について、歴史的な低水準で推移していることは良いことと言えると思いますが、あわせて、成長が期待できる分野において新しい企業が誕生することも意義のあることと考えます。さらに、金融システムの観点からは、コロナ禍に累積した企業債務が、将来、不良債権となって、金融システムのリスクとして顕在化しないかといった視点も意識する必要があるように思います。この点は、地域金融機関の経営上も重要な論点であり、与信先企業の健全性の見極めにあたっては、特に、地域に密着した営業基盤を有する地域金融機関の役割が大切なように思います。低採算企業の再生がテーマになる場合は、企業再生ファンド等の民間資金の役割も重要と思われます。』
何かフワッとした事しかお話してませんよねーと思うのですが、これを鈴木審議委員の金懇テキストと比較すると良く分かると思いますので続いて鈴木審議委員(金曜は時間がマジでなかったので単にベタ貼りばっかで恐縮至極でございました)の金懇ネタの続きに参ります。
〇安達審議委員の記者会見は冒頭の所で読んでるアタクシが固まってしまってその先が頭に入らないんですが・・・・・・・・・・
さて安達審議委員の記者会見なのですが。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk211202a.pdf
安達審議委員記者会見要旨
―― 2021年12月1日(水)
午後2時30分から約30分
(大分市・東京間オンライン開催)
冒頭の所で物凄く意味がよくわからない話があってその後を見ても内容が頭に入らない(まあ内容は無いんだけど)という珍説明があってですね・・・・・・・・・・・
最初の、
『(問) まず、本日の懇談会でどのような内容をお話しされたのか、教えてください。』
ってのの回答なんだが、ここは基本斜め読みしかしないんですけど、途中で物凄い勢いで引っ掛かってしまったアタクシがいる訳ですよ。即ち上記URLの2ページ目の第2パラグラフの冒頭なんですけど、こんな説明がありましてですね、
『こうしたもとで、都市部への人口流出が続く大分県においては、今後、DXの推進等を通じてサービス産業の生産性を上げる必要がある、つまり「人への投資が重要である」という意見も伺い、非常に印象に残りました。』
??????????????????
DXの推進って基本的に省力化とか効率化の話であって、人手を減らして生産性を上げましょうって話だと思うのですが、この接続詞の「つまり」というのはどういう事でございますでしょうか???????????????
いやさすがにここまで堂々と言われると、言われたアタクシの方が何か間違っているかと思ってしまう位なのですが「つまり」って接続詞は前後がイコールとか前の話をサマライズしたものが後ろの部分とか、そういう言葉だと思うのでして、DX推進と「人への投資」って寧ろ相反する概念とチャウの???と思うんですが。
そらまあ人間だから言い間違えってのは存在するんで、単なる言い間違えなのかも知れないと思ったのですが、これって会見「要旨」であって、単なる言い間違えしてたら要旨をテキストに落とすときにチェックが入って訂正される(実際問題として映像確認できる総裁記者会見の映像を見ればお分かりになると思いますが、言葉使いとかは要旨になった段階で発言意図を損なわないようにしながら修正されることはしばしばある)と思うのですが、訂正入ってないのが不思議ちゃんなんですがどういうことなのこれ?
いやまあDXの推進等、の「等」の部分にDX推進して効率化したので人材の再教育を行うとかそういう話が含まれている、ってことなのかも知れないけど、これは「つまり」ではなくて「それに加えて」とかそういう話しなんじゃないかと思うのだが、何ちゅうかこれだと「DX推進が人への投資」と言ってるとしか読めなくて、お前は何を言ってるんだ状態になるんですけど、ここ何とかならなかったのかしら、と思いました。
なお、他の内容は特に見ることも無いのでパスします。
2021/12/03
〇安達審議委員大分金懇:これは翌日の鈴木さんと比較させるための日程ですか(個人の妄想です)
ということでまずは昨日の続き。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211201a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
大分県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2021年12月1日
・(続きの前に)相変わらず審議委員の金懇日程の組み方に・・・・・・・・・
今申し上げましたように、よく考えたら翌日に鈴木審議委員の金懇がぶっこまれていまして、さはさりながら展望レポート出たのはだいぶ前だし、12月のMPMったって別に何かある訳でもない(コロナオペに関しては何も考えずにノーズロ延長するなら12月にやってもおかしくは無いのですが、欧米主要中銀が金融緩和縮小(しかしどうでもいいのですが、正常化路線で金利が1%かそこら上がるのを「引き締め」っていうの止めてもらえませんですかねえと思うんですよね、1%の政策金利が引き締め的って資本主義の敗北じゃろ)の流れとなる中、空気だけは読む今の日銀がコロナオペカードを12月に切る訳が無いと思いますので(個人の妄想です)。
という訳で、まあ12月半ば過ぎになると金懇やりにくいというのはあるので昨日一昨日と連発だったんでしょうけれども、次にネタにします通りで、今回の鈴木審議委員の金懇は(ちょっと前回の出来がやる気ナッシングというかな感じの残念感漂うものだったのに対しまして)まあ審議委員の講演としてのクオリティに仕上がっているだった訳ですな。
然るに、安達大先生の金懇、何せ昨日ネタにしましたように、「直近のサプライチェーン問題が特定の業種を中心に広がりを見せつつ影響しています」の説明の図表で示している鉱工業生産とか世界貿易量のグラフが2008年からの時系列、しかも産業別でも何でもないという、わざわざ大分県地元経済界の重鎮に集まって(オンラインとは言え)頂いて話すにしては、そこらの駆け出し小僧何とかスト見習いでもそんな図を使って説明せんじゃろ、というレベルの作品を出しておりまして、内容云々以前の問題だし、わざわざ時間を割いて下さっている地元経済界に対して失礼極まりないような物件なのですな。
・・・・・・ということで、今回の無駄に2日連続金懇とかいうプレイ、これは「安達さんと鈴木さんの金懇の内容を比較して下さい」という金懇日程組んでる中の人たちのイヤガラセプレイキタコレと懐かしく、と申しますのは一時期木内さんの金懇が計ったかのように、FOMCしかもライブ会合となりそうなところの翌日にばかり設定される(ので注目されない)、というようなプレイがあって、こんなの「計ったように」じゃなくてどう見ても計って設定してるじゃろ、というような陰湿プレイが垣間見れて大人の世界コワイヨーと思った(個人の感想です)のですけれども、さては今回はわざと安達さんと鈴木さんの出来の違いを比較しろという企画を練ったな、などという妄想を逞しくしてしまうアタクシは陰謀脳にも程があるので今の話は全部アタクシが夢の中でみたせん妄ということでよろしくお願い申し上げます。
さて、せん妄から目覚めたことですので(^^)昨日の続きから少々(なお政策インプリケーションは無いので、単にアタクシの悪態節の鑑賞にしかならないので飛ばして頂いて結構ですわよ)。
昨日は『(2)物価情勢』の『(わが国の動向、見通し)』というコーナーで、『しかし、最近では、次に述べる幾つかの要因を踏まえて、物価上昇率が高まっていく可能性が高まったと考えています。』というののその1の謎説明の何と途中で話が終わってしまいましたのでその続きからになります。
・高付加価値云々の話ってまあ言いたいことは分かるんだけど微妙にポリティカリーにアレな感も
要因その1、ってのが企業の価格設定行動の変化、って話なのですが、その背景にコストプッシュに堪えられない、というのが何故か無くて、前半では今回の需要喪失には価格弾力性がある訳ではないので値下げが起きなかった(という所までは良いとして)。さらに政府日銀の資金繰り支援策で値下げをして売り上げを確保する動きが起きなかった(その説明はどうかと思う)、というのがあったのですが、それに加えてこういう説明が。
『また、コロナ禍が落ち着きつつある現在、企業が自社の財・サービスの価格を引き上げる動きを徐々に見せ始めています。コロナ禍をきっかけに、特に消費関連業種では、顧客ニーズの構造的な変化を見極め、過去に多くみられた「薄利多売」のビジネスモデルを転換し、高付加価値でマージンの厚いビジネスの展開を志向する先が増え、しかも売上を伸ばしている、という話も聞かれるようになりました。これらの動きは、企業の価格設定行動の変化を示しているように思われます。』
って言ってるんですが、そらまあ一つの考え方ではあるかも知れないけど、依然として食品スーパー行けば頑張って安売り目玉商品ぶっこみながら商売している訳で、確かに巷間聞くお話では高級腕時計(置き引きをしてはいけません)やら高級車やらが売れる、みたいな高級品売れてます話もありまして、それって単なる格差拡大チャウのとかって気がするのよね。いや個別企業の行動で高級品志向しましょうって動きが起きるのは別にそらそういう企業もいるわなという話だと思うのですけれども、高級品バカ売れで(日本はそういう意味では物価が大して上がってないから良いようなものの)一方でCPIが5%とか言い出されると、そら政治的にフリクション起きるわ、となっているのが米国であり欧州であったりするわけで、何ちゅうかまあ別に良いんですけど、この例を安易に持ち出すのってそろそろポリティカリーに微妙な時間帯になっている気がするんですよね、というのは個人の感想ですが。
まあそれよりなにより、企業の価格設定行動の変化、という話の中にコストプッシュの影響の言及がないってのがもうその時点でなんだそれって感じはします。
・12月の短観での設備投資のところは注目せんといかんなこりゃ
物価上昇率が高まっていく可能性というののその2です。
『第2の要因は、経済情勢のところで指摘した点とも重なりますが、企業の設備投資スタンスの積極化に裏打ちされる成長見通しの改善です。』
何か無茶苦茶大きくでたぞオイ。
『最近の企業の設備投資は、「資本ストック循環」(図表9)という観点からみると、将来の収益見通し、より専門的な言葉では「期待成長率」、の上方修正を伴った積極的なスタンスに変わってきている印象を受けます。』
だそうなんだが、その割には一斉賃上げのご要請(まじでこの「ご要請」攻撃止めろやボケと思うけど)に対して結局経済界猛反発してたりする訳で、本当の本当にそんなに企業のスタンス強いのけ???????
#ちなみに図表9を見てもどこがどう期待成長率が上がっていると読めるのかがさっぱり分からないのでだれかこの表の見方教えてくださいアタクシ経済学という学問は大学で何もしてないもんで
『企業が、自社の経営環境について、前向きな見方をするようになっているということは、自社の財・サービス価格の引き上げを通じた利益率の上昇も視野に入れた、収益から設備投資への「前向きな好循環」が起きつつあるといえるのではないでしょうか。』
仰ることがその通りだったらその通りなのですが、それならもっとお賃金に反映しても良さそうなもんだと思う訳ですけど、まあ設備投資スタンス云々って言ってるので12月短観の設備投資計画でもじっくりと見るように楽しみに待っております。
『企業が価格の引き上げを通じてマージンを拡大させることは、今後賃金の引き上げにも波及する可能性があり、2%の「物価安定の目標」を実現するための大きなカタリスト(触媒)になることが期待されます。』
ということなのですが、結局これ「私はこう思っています」だけの話しだったような気がせんでもないですな。
・節子、それはただのコストプッシュだし非資源国から資源国への所得移転や
次のは仰ることはその通りなのだがズッコケ三銃士な説明。
『第3の要因は、エネルギー価格が高止まりする可能性があることです。』
いや確かにそれは物価上昇要因だがただのコストプッシュなので実質成長の下押し要因になると思うのですが・・・・・・・
『他国においてもエネルギー価格の上昇が足もとインフレ率上昇に大きく寄与していますが、日本においても、携帯電話通信料等の影響を除くベースでみた足もとのインフレ率の上昇の約半分はエネルギー価格の上昇によるものです。先行きのエネルギー価格は、不確実性があり、どこかのタイミングで反転し、インフレ率の低下要因になる可能性はあります。』
でもってこの後が中々お洒落で・・・・・・・・・
『しかし、現在のエネルギー価格の上昇は、従来とは異なり、比較的長く持続する可能性も否定できないと考えています。』
ほうほうそれでそれで???
『その要因として、世界的な気候変動リスクへの対応によって代替エネルギーへの転換を志向する動きが指摘できると思います。』
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwwwwwww
『主要国は、気候変動リスクへの対応として、二酸化炭素排出量の大幅な削減にコミットしようとしています。そのもとで、世界的にエネルギー源を石油や石炭といった化石燃料から、太陽光、風力、水力、地熱といった代替エネルギーへ転換する必要性が各国の共通認識となっています。そのため、従来は、原油需要が拡大した局面では、原油供給量が増えることでエネルギー価格の上昇が抑制されましたが、今次局面では、代替エネルギーを模索する動きがあるもとで、原油需要に見合うかたちで原油供給量が増えず、結果としてエネルギー価格の上昇が続いています。こうした動きは、今後も長く続く可能性があるように思います。』
現象としては全くその通りなのですが、グリーントランジションを推進してオペまでぶっこんでいる日銀の中の人、しかもそのオペぶっこむのの決定に参画した張本人がこれを正面切って言ってしまうのってさすがにマズくねえか、と思うのですよ。
だってね、エネ価格高止まりが続きます、ってのは日本の場合は単純にコストプッシュ要因になる話で、そら物価にはプラスかも知れんが、実質成長にはマイナス要因になる話な訳で、こういう説明すると、「私は日本の実質成長にマイナスになる事を分かっていますがグリーントランジションを推進しております」って正面切って言うようなもんな訳でござんして、いやそういうの民間金融機関の何とかスト辺りが言うなら別に結構なんですが、政策当事者としてグリーントランジションの旗振り役の一翼を担っているんだったら、こういう他人事みたいな説明するのはちょっとまずいんじゃないでしょうかねえ、と思うのですよね。
つまりですな、グリーントランジションって日本にとっては目先はコストプッシュになる話なんだけど、それを上回る日本経済へのメリットがあって旗振りをしているんです、って言わないと「経済下押ししてまで物価目標達成したいのか」と逆ねじ食らわされるじゃろ、と思うのですがどうでしょうかねえ。
・ポストコロナの物価がどうしたこうしたという能書きがあるのだが・・・・・・・・・
さっきのところはその後とってつけたように中長期的なインフレ期待の言及がありますがどうでもよいので飛ばしまして次の小見出し『(ポストコロナの物価情勢の注目点)』に参ります。
最初の時点から色々とおかしくてデスネ、
『以上のように、先行き物価上昇率が高まっていく可能性についてお話ししましたが、物価上昇が日本国民の大多数のみなさんにとって「良いインフレ」になるためには、賃金上昇率が高まっていくことが必要になると考えられます。』
この時点で既に「お前は何を言ってるんだ」状態でして、そもそもさっきの説明にあった「その2」にあるように「企業の期待成長が高まっているように見受けられる」というのが正しいんだったら、賃金上昇が当然ながら追随していかないとおかしい訳でありまして、その2で見ている要因の通りだったら「賃金上昇率が高まっていくことが必要になる」もへったくれもなく、高まるのが自明ですわな。
さらにですよ、「物価上昇が日本国民の大多数のみなさんにとって「良いインフレ」になるためには」って言ってるんですが、「その3」で示した資源価格の高止まりってどこからどう見ても日本国民の皆さんにとって悪いインフレにしかなり得ないものでありまして、さっき言ってたことと全然話が違ってるのは何ぼ何でも酷くねえかってお話。
まあこれ置物一派によくみられるパターンなのですが、説明のパートパートで言ってる部分部分ではそんなに変な事を言っている訳でもないのですが、全体を俯瞰してストーリーを構築している訳ではないために(個人の想像です)、一つ一つのパーツレベルではあっていても、全体を構築すると前後の話が全然整合しない、という物件の典型が今回の安達さんのこの説明だわ、と思う訳ですよ。
確かに単独で今の部分、すなわち「物価上昇が日本国民の大多数のみなさんにとって「良いインフレ」になるためには、賃金上昇率が高まっていくことが必要になると考えられます。」というのはこれ単独で見れば仰せの通りなので、置物一派の説明ってボケーっと読んでいるとパーツパーツでの説明は部分的には仰せの通りだから、ついうっかり読み流してしまうんですよ。でもってこうやって一歩一歩立ち止まって読んでみると、改めて話の全体に整合性が無いのが分かる訳です。
・・・・・・ただこれって置物一派にとどまらず、近年ジャパンのあちこちで見られている事案だったりする気がしまして(個人の感想です)、それがモロに良く見えたのが近年のコロナ対応なんかだったりするんじゃないのかねえ、とか思うと、ジスイズザパニーズクオリティなのかもしれないな、とため息が出てしまう所です。
まあ一応その先を読んで進ぜよう。
『現時点では、残念ながら、賃金上昇率が高まっていく動きはまだ明確にはみられていません。しかし、私としては、コロナ禍を通じた企業・家計の行動変容が、人々の「物価観」を変え、それを通じて企業による賃金設定にも、賃金の上昇に繋がり得る変化が生じる可能性に注目しています。』
『新型コロナウイルス感染症は、いつかは収束するとはいえ、当面、ウイルスが完全に撲滅されることは想定しにくい状況です。ワクチンの効果が相応に期待できるとはいえ、感染症との共存を余儀なくされる状況においては、特に飲食・宿泊・娯楽といった対面型サービス業で感染抑制に相応のコストをかけ続ける必要が生じる可能性があります。また、わが国における高齢化の進行を踏まえると、価格が高くても付加価値が高い財・サービスの消費が、個人消費全体を牽引していく可能性も考えられます。このような高付加価値の財・サービスを提供するため、企業が従業員により高い賃金を支払う動きが出てくる可能性があるのではないかと考えています。』
『これらを踏まえると、ポストコロナという局面は、企業、とくにサービス業が、販売価格を引き上げ、さらに従業員の賃金も引き上げるうえで良い機会になるかもしれないと考えています。』
うーんこのフワフワした説明。そもそも企業の価格設定行動(その1ね)成長期待が上がるから物価上昇が定着するかもしれないってさっき言ってたのだから、「コロナ禍を通じた企業・家計の行動変容が、人々の「物価観」を変え、それを通じて企業による賃金設定にも、賃金の上昇に繋がり得る変化が生じる可能性に注目しています。」ってのさっきと逆の話をしているようにしか見えなくて、何ちゅうかこの話をするならどっちかにしてくれよという感じなんですよねー。単にこれだと循環論法になっているようにしか見えない。
・・・・・・・などとネチネチやってると時間がいくらあっても足りない、という恐ろしい状況になっているので、どうせ政策インプリケーションも無いので安達さんの金懇講演ネタはこの辺にして(虫の居所次第では続きをやるかもしれませんが)鈴木さんの金懇ネタに参ります、と言っても大分時間が怪しいが。
2021/12/02
お題「安達審議委員大分金懇は特に政策へのインプリケーションも無いのだがネチネチ読んでたら不覚にも明日に続いてしまった(その1)」
尾身クロンキタコレ
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20211201/1000073272.html
ペルー滞在歴ある20代男性オミクロン株感染確認 国内2例目
12月01日 17時18分
キタコレはまあいいとして(よくないが)南アで発見されたとか言ってたのに何故ペルーに早速輸入?さているアルね。
〇安達審議委員が金懇をしていたのだがヘッドラインも碌になかったので気が付かなかった訳だが
まだHTML版は出ていないのでPDF版の方から引用しますけど。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko211201a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
大分県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2021年12月1日
まあ前回の安達さんの金懇読んだときも思ったのだが、こんなつまらん話しか出来ない人だったのだったっけと大変にガックリする内容で、そらヘッドラインも碌に出ないわ(いやまあワシが月初だから忙しかったのはあるんだけど)という感じですよねー。
・経済の3つの特徴という事ですが・・・・・・・・・・・・・・
最初のご挨拶はすっ飛ばして経済物価情勢の説明からまずは参りましょう。『(内外経済の現状)』ってところなのですが。
『新型コロナウイルス感染症を巡る状況は、引き続き不確実性を伴っておりますが、先ほど申し上げたような明るい兆候もみられるもとで、経済情勢にも変化の兆しがみえつつあります。以下では、最近の日本を含む世界経済に共通していると考えられる3つの特徴についてお話ししたいと思います。』
ということで話があるんですが、これがまた内容がありきたりすぎて貴方マーケットエコノミストだか何だかやってたのに小僧が相場コメント書いてるような話しか出来んのかよと思いました。
『第1の特徴は、サービス消費の底打ちと持ち直しです。これまでの新規感染者数の増加局面では、多くの国・地域において、人流抑制を目的とした公衆衛生上の措置が講じられたため、飲食・宿泊・娯楽等の対面型サービス業の多くが事実上の営業停止状態を余儀なくされました。しかし、ワクチン接種の進展等によって、それらの業種における営業活動は多くの場合は再開され、業況は持ち直しつつあります(図表2)。』
まあ状況説明だからここは勘弁するけど、
『この点は経済にとって明るい材料といえますが、感染症の動向は不確実性が高い状況にあり、サービス消費がすぐにコロナ禍前の水準に戻ると考えるのは楽観的だと思われます。』
以下の部分が浅すぎにも程があるんだが。
『実際、日本の状況をみると、一部で期待されていたような「リベンジ消費」、すなわち、コロナ禍で抑圧されていた消費が経済活動の再開を機に一気に拡大する現象は、今のところまだみられていません。』
これが「コロナの先行きが不確実性が高い状況だから」で片づけるのは表面的過ぎにも程がある訳で、生活様式に変化が起きている可能性(即ち構造的な変化の可能性)とか、日本の場合特にそうだと思いますけど、コロナ対応の一連のドタバタで政策に対するコンフィデンスって相応に落ちていると思うのですけれども(個人の感想です)、それによって個人の消費支出が防衛的になっている可能性は無いのかね、とか、米国におけるリベンジ消費どころではないヒャッハー消費の要因っていうのは、そもそも論としてコロナ感染症の今後の動向云々よりも、財政バラマキまくった結果の家計へのウェルスの拡大に加え、株高とか住宅価格上昇による家計資産ウハウハのヒャッハー消費とか、そういう要因があるのではないかと思われる(個人の感想です)のであって、ジャパンとはまた状況が全然違うのに「リベンジ消費が出る」とか考えたオメーらが楽観にも程がある、とかそういうような論点が経済学部すら出ていないドシロートのアタクシでもホイホイと論点として思いつくのですが、そういう考察は一切ないというのが大変に素敵ですね!
・DXはまだしも気候変動関連が成長力のある設備投資に直結するという話に無理があるのではないか
以下続きます。
『第2の特徴は、企業の設備投資の積極化です。世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大は、家計や企業の行動様式、例えば人々の働き方等に大きな変容をもたらしました。また、それはデジタル・トランスフォーメーション(DX)に代表されるような企業の新たな設備投資需要を生み出しました。』
『加えて、今年のノーベル物理学賞で気候変動問題に関連する研究に賞が授与されるなど、気候変動問題に対する世界的な意識の高まりもあり、企業によるカーボンニュートラルに向けた設備投資需要も今後大きく拡大する可能性が出てきたと考えられます。』
ってのもこれ日銀公式の説明をダダ流ししているだけなのですが、DXったって本格的な意味でのDXというよりは単なる情報化投資だったりするんでネーノとは思いますが、まあDXで投資が出る話はまだ勘弁するにしても、気候変動問題に関する云々ってあるけど、カーボンニュートラルに向けた設備投資需要で成長戦略、みたいな話を日銀はやたら推す(どころかオペまでおっぱじめる)のですが、そもそも何で政府が推進しないと行けないのかという時点で、このマターは市場原理に任せてやって行くと進展しない、という話なのでありますからして、それは即ちこの関連で出るかもしれない設備投資って、市場原理的な意味では微妙なアレな設備投資ってえことじゃなかろうかとか、そういう話になるんでネーノという気がふつふつとする訳でございまして、こんな「気候変動関連で成長」みたいなのを政府部門が言うのって何なのよ、と思う。
民間の一企業が「乗るしかないこのビックウェーブ」って言って気候変動対応に関する政策対応の変化がビジネスチャンスってのは思いっきりよく理解できるんですけど、政府としてアグリゲートしてみたら、気候変動対応におけるトランジションによって(実際の真相はわからんけど)昨日ネタにしたラガルドインタビューでドイツの新聞ちゃんが指摘していたように、「グリーントランジションでエネルギー価格が高止まり」みたいに、トランジションされる方が今度は設備投資を抑制したりする(から価格が上昇しても増産されない)んだし、そこらの民間企業みたいに「よーしパパビジネスチャンスだぞー」などというノリでこの話をするのって広義の政府部門としてその姿勢は如何なものかと思うのですけどまあ個人の感想です。
『わが国の視点では、設備投資は足もとまで持ち直しの動きをみせていますが(図表3)、先行きも設備投資需要が堅調を維持するならば、資本財の分野で高い国際競争力を有する製造業にビジネス機会をもたらし、企業の輸出や生産の拡大にも寄与するものと思われます。』
『また、日本銀行が、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、強力な金融緩和を粘り強く続けていく局面にあることも、こうした新たな設備投資需要を支える一因になると思います。』
あーはいはいって感じですが、そもそも物価目標の実現はできるだけ早期に達成する、という政府との共同文書はまだ存在しておりますし、日銀様におかれましては何でこんなややこしい政策をするのか、という問いに対しては「このやり方をするのが一番早く、かつ望ましい方向で物価目標を達成できると考えています」っていう嘘八百でも良いんですが、そういう前提がある訳でして、目先の景気とか目先の消費みたいな話にこの金融緩和による効果がどうのこうのという話をするのは結構なのですが、DX推進だの気候変動対応だの(特に後者)というような壮大かつ時間もかかるテーマに対する設備投資が、QQEによって推進されるってのは、お前さん物価目標を早期に達成する気無いんですね、という事につながると思うんですけどどうなんでしょうかねえ。
・供給制約云々の説明部分が色々とみてらんない件について
『これまでお話しした第1と第2の特徴は、経済にとって明るい話題でした。一方で、次にお話しする第3の特徴は、今後の経済情勢を考える上での懸念材料とも言えるもので、今後も注意深くみていく必要があると考えています。』
ほうほうコロナかなんかですかねえ。
『第3の特徴とは、経済における供給制約の影響です。』
さっきは需要が出るという話をしていて今度は供給制約がマイナスとの事ですが。
『昨年来、日本を含む世界経済は、様々な供給制約に直面してきました(図表4)。2020
年度後半頃からは、自動車用の半導体不足が大きな問題となってきました。コロナ禍で、当初、自動車販売が急減するもとで、世界の半導体メーカーは、比較的マージンが薄いと言われる自動車用の半導体の生産を抑制していました。』
ふーん。
『一方で、自動車自体の需要は、コロナ禍で「人との接触機会をなるべく減らす」という人々の行動変容もあり、予想外の急激な増加を見せました。こうした中で、自動車用の半導体の供給不足が発生しました。』
と、この説明だけですと単に今まで適正価格じゃなかった半導体価格が適正な水準に上がるという動きであって、そらまあ自動車産業的には痛いかも知れんけど、経済全体で見たらツーペーなんでネーノ、と思ってしまうような説明から始まる時点で読んででどうもこう(ノ∀`)アチャー感が抜けない。
『その後、本年入り後には、自然災害や工場火災などの影響により、供給不足はさらに強まりました。本年夏にかけては、自然災害や工場火災に起因する供給不足の問題は緩和したものの、主に東南アジア諸国での感染症急拡大に伴う工場閉鎖等から、半導体だけではなく、他の自動車部品の生産も止まり、新たな供給制約が顕在化しました。』
何ですかね、安達さんのこの説明って上記部分から先の話を単純にすれば良いだけの話じゃないの、と思うのでありまして、少なくとも最初の自動車半導体の生産が減った後に需要が来たんだが、の部分って、単純に元々マージンの薄い商売をしていたものの需要が無くなったから生産を止めた、っていう話にしか読めない訳で、それは供給制約の話ではないんじゃないでしょうかねえ。
『供給制約がみられる産業は、自動車に限らず、白物家電等の他の財にも波及しつつあり、企業の輸出や生産の下押し要因となっています(図表5および6)。』
という話は良いんだが、この図表5および6ってえのを是非とも最初のURLのPDFの方をポチっとなとしていただきまして、講演テキスト本文のケツにある図表5と図表6というのを見て頂きたいのでございますのでURL再掲しておくわ。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211201a1.pdf(URL再掲)
図表5ってのが本文図表込みで20枚ある今回の金懇挨拶要旨の16枚目で、図表6が17枚目にあたるのですが、図表5ってのが『世界貿易量(季節調整済、2010年=100)(注)世界貿易量は、世界実質輸入。2021/3Qは、7〜8月の値。(出所)オランダ経済政策分析局』ってあって2006年以降の世界貿易量総額の推移が一本の線で表示されているだけの物件、図表6ってのが『鉱工業生産(季節調整済、2015年=100)(出所)経済産業省』というこれまた2006年以降の鉱工業生産の推移を一本の線で示したものになっております。
・・・・・・えーっとすいません、このコーナーってコーナーの冒頭の所で、「最近の日本を含む世界経済に共通していると考えられる3つの特徴についてお話ししたいと思います。」って言って話をおっぱじめていて、その中で供給制約の話をしていて、主に半導体を中心にした話を今してたと思うのですが、その説明を補強するための図表として何で2006年からの時系列を引っ張ってきているのか全く意味が分からんし、しかも「供給制約がみられる産業は、自動車に限らず、白物家電等の他の財にも波及しつつあり、企業の輸出や生産の下押し要因となっています」ってあるなら、もうちょっと個別の産業にブレークダウンした図表出してくれんと、全然話に広がりが出てこないんですけど、こんなプレゼンで良く今まで何とかストやってたなと感心してしまう図表のチョイスに腰が砕けました。
『供給制約の影響は、予想外の需要の急拡大により深刻化したわけですが、港湾労働者における感染症の拡大に起因した港湾機能の低下による物流面での制約も影響しており、その背景は複雑です。』
その辺の話しであれば全部感染症が原因なのではないでしょうか(鼻ホジホジ)。
『また、供給制約の解消の見通しは、今後の感染症の動向次第でもあり不確実性が大きくなっている印象を受けます。現時点で、このような供給制約は一時的との見方を維持していますが、今後の動向を注意深く見ていきたいと考えています。』
ということで、何ちゅうかまあ日銀公式見解を垂れ流すにしても、垂れ流し方というのがある訳で、こんなんだったら展望レポートの説明を延々としてた方がエエンでネーノと思ってしまいました(個人の感想です)。
・海外金融当局の物価上昇定着警戒についての言及が半年ほどアップデートされていないような気がしますが
次の『(2)物価情勢』という小見出しから少々。『(海外の動向)』の中身はどうでもよいのですが、結論が泣けた。
『次に物価情勢についてお話しします。このところ、米欧諸国では、インフレ率が中央銀行の目標値である2%を上回る状況が続いています(図表7)。このインフレ率の上昇には、先に述べた世界的な供給制約に加え、原油や天然ガスをはじめとするエネルギー価格の上昇等が影響していると考えられます。また、特に米国では、コロナ禍入り後に労働市場から退出した「無業者」の労働市場への復帰が予想以上に緩慢となっており、足もとでは労働需要の拡大に労働供給が追いついておらず、これにより賃金の上昇圧力が高まっています。』
『もっとも、米欧諸国のインフレ率の上昇については、需要・供給サイドともに、コロナ禍における一時的な要因が影響しており、それが中長期的な物価上昇圧力、例えば、中長期の予想インフレ率の上昇に波及していく可能性は小さいというのが米欧当局の現時点の中心的な見方となっています。』
「可能性は小さい」とのことですが、別に今から始まった訳ではなくて、しばらく前のブレイナード、クラリダ連続攻撃の辺りから、「期待インフレのアンカーが外れるとは見ていないけれども、リスクには注意しないといけない」という情報発信をFEDは行っている訳で、「メインシナリオとしては見ていないが、可能性が小さいと楽観している訳でもない」というのが今の米欧当局の中心的な見方にしかアタクシには見えないのでございますが(賃金の急速な上昇に言及したパウエルとかね)、アタクシいつの間にパラレルワールドの向こう側に飛ばされてしまったんでしょう、と思いました(個人の偏見です)。
・企業の価格行動変化云々の部分で無駄に日銀政策アピールをしているんですが・・・・・・・・・
でもってその先は日本の物価の話で、『(わが国の動向、見通し)』というコーナーになるのですが、最初の現状の数値の説明部分はさておくとしましてその先を拝読。
『私自身は、コロナ禍入り前は、わが国の物価の先行きについて、慎重な見方を持っていました。すなわち、わが国経済は、もはやデフレではない状況にはあるものの、相応のデフレ圧力は残っており、インフレ率はゼロ%近傍で推移するのではないかと考えていました。』
まあその話の前にこの説明も無茶苦茶で、デフレではないけどデフレ圧力で物価はゼロ%近傍っての、それあんたら置物一派が散々罵ってた麿時代と同じ状況なんですけど、としか申し上げようがないのであって、アタクシも鋼鉄の面の皮と心臓を持ちたかったなあとここまで来ると羨ましくなるような説明はクソウケタ。
というのは兎も角として、
『しかし、最近では、次に述べる幾つかの要因を踏まえて、物価上昇率が高まっていく可能性が高まったと考えています。』
ということで、
『第1の要因は、企業の価格設定行動の変化です。コロナ禍において、企業、特に消費関連サービス業は、急激かつ大幅な需要減少に直面しましたが、過去の大幅な需要減少局面でみせたような激しい価格競争を今回は行わず、価格低下を小幅にとどめたり、価格を据え置いたりする行動をとっていると考えられます。』
『これは、今回の需要減が公衆衛生上の措置という人為的な要因や感染症への警戒感によるものであり、企業経営者は、価格を下げても売上増加につながらないと判断したことが一因と推測されます。』
まあ日銀公式もこれなのですが、そもそも論としてこの間のコストプッシュ要因の話をしていないのはインチキ成分が強くて、この間にコストプッシュが起きていて、そもそも下げようにも下げれません状態だったという話をスルーしているのは毎度気になる説明ですな。
とは言えここまではまあ勘弁するんだが、
『政策面では、政府による各種支援金や実質無利子・無担保融資、および、日本銀行による新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ(以下、コロナオペと言います)といった資金繰り支援策が、事業の継続を支え、企業による激しい価格競争を回避させる要因となった可能性もあると思われます。』
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いやあの企業が多く存続したら競争圧力のこるじゃん、という話はどこ行ったって感じですし、話しの都合上先の方にワープしますが、後の方の政策に関する部分の中で、
『一方で、コロナ禍の前から収益性が低く、将来的に債務返済が滞るリスクが高かった企業が延命しているのではないか、といういわゆる「ゾンビ企業論」の意見が、識者の間にあることも承知しております。仮にそれが現実に起きてしまうと、産業の新陳代謝、及び、新規開業などが阻害され、特に地域経済において、経済活性化の妨げになることが懸念されています。』(これは金融政策に関するパートからの引用です)
ってのを言っている訳でして、何ちゅうかこの説明自由自在って感じが何とも。
いやまあ行間を読めば「企業の資金繰りを支援することによってヤケクソ倒産セールのようなダンピングを起こさせなかったので価格競争が起きなかった」という事を言いたいのかなとも思うのですが、その前段で「これは、今回の需要減が公衆衛生上の措置という人為的な要因や感染症への警戒感によるものであり、企業経営者は、価格を下げても売上増加につながらないと判断したことが一因と推測されます。」というのを入れてしまっている以上、同じ理屈で倒産セールしたって売れないものは売れない、って事にならんかと思うので、なんかこの我田引水説明をわざわざする必要がないと思うんですよねー。
・・・・・・・あらま、内容が無いとか言いながらネチネチと読んでいたら時間が無くなってしまいました。下準備しとけという声が飛んできそうですが(すいませんすいません)、どうせ大したことのない記者会見とまとめて明日成敗致します。別に政策インプリケーションは1ミリも存在しなくて、単にアタクシがネチネチと悪態を書くというだけの読み物になりそうで読者の皆様には甚だ申し訳ない物件になる気しかしません(だから最近はFRB7割ECB2割って感じのローテーションになってしまうのです)けれども、何卒ご容赦の程をお願いいたします(ジャンピング土下座)。