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2026/03/23
お題「声明文メイン部分以外の決定会合レビュー雑談です」
金融政策決定会合本編のレビューはこっそりと昨日更新しましたのでその続きを少々とその他少々。
〇決定会合レビュー続き:高田さんと田村さんのコメントを確認
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260319a.pdf
当面の金融政策運営について
2026年3月19日
日本銀行
・高田さんイラン戦争で引くこともなく利上げ提案だし何ならさらに強い事を言っている訳でして
『(注1)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:高田委員。高田委員は、「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外発の物価上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが高いとして、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すとする議案を提出し、反対多数で否決された。』(今回)
前回声明文はこちらでして、前回の高田さんの利上げ議案提出の理由はと言いますと、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260123a.pdf
『(注)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:高田委員。高田委員は、「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外経済が回復局面にあるもと、国内物価の上振れリスクが高いとして、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すとする議案を提出し、反対多数で否決された。』(前回1月声明文)
ということで、「物価安定目標は達成」というのは同じで、前回は「海外経済が回復する中では国内物価の上振れリスクが高い」だったのですが、今回は「海外発の物価上昇の二次的波及」という表現に代わっていまして、つまりはこれは「物価上昇リスクへの警戒アラートレベルがかなり上がっている」ということになります。なにせ「二次的波及」って言ってますんで。
まあ多分大丈夫だろうとは思ってはいたものの、高田っち過去においては何か矢鱈とフニャフニャと経済の不確実性の方を持ち出してハトチックな話をしていた時代があったので、今回のイラン戦争を受けて腰砕ける可能性も無くはないと心配は微かにしておったのですが、杞憂に終わって何よりですし、イラン戦争は明らかに物価上振れリスクに繋がる話なので、インフレ期待の不必要な上振れを招くリスクも、と考えれば今回の高田さんのように、本来は超緩和政策の修正をより急ぐべきという話になりまして、その通りに出てきたのでこれは安心感が高いですな。
・田村さん4月に抜刀なるか
『(注2)高田委員は、物価の見通しについて、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村委員は、基調的な物価上昇率の見通しについて、2026
年度入り後以降、「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとして、反対した。』
これは声明文項番2の第2パラグラフの物価見通し文言への反対ですけれども、こちらは展望レポートの記述には無いのですが、総裁会見の方で説明がありまして、
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2026/kk260126a.pdf
冒頭の植田総裁の説明部分になりまして1ページ目の最後の部分になります。
『なお、展望レポートについて、高田委員からは、消費者物価は既に概ね物価安定の目標に達する水準にあることなどを記述する案、田村委員からは、基調的な物価上昇率は
2026 年度入り後以降、物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移することなどを記述する案が提出され、それぞれ否決されました。』(植田総裁1月定例記者会見)
ということですので、こちらは前回と同様の意見表明が出ていまして、焦点になるのは田村さんの「2026年度入り後以降」がいつですねんという話になるのですが、少なくとも現在の展望レポートでの記述、すなわち「見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。」よりは手前に来る、というお話でして、でもって見通し期間後半とは何ぞやということになりますと、見通し期間が2027年度末までなのですから、普通に見積もれば2026年度の後半以降年度末にかけては物価目標達成にニアリーイコールという話になるのですから、まあ田村さんの見積もりは年度前半の早めになるという話。
そう考えますと4月会合で「達成しますた」に鞍替えしてくるかどうかは謎ではあるのですが、7月会合では「達成しますた」になっていないと田村さんのこの提案との整合性が取れなくなるので、4月から7月の間のどこかでは「物価目標が達成できました」って話をすることになる訳でして、物価目標達成したという中で政策金利が物価目標−1%ってのはさすがにおかしいじゃろという話になるから、そこから逆算すれば4月会合には利上げを提案していないと説明の整合性が取れませんなという話になるかとは思うのですよね。
4月はそもそも論として利上げ決定になる可能性は大有りだと(願望込みで)思うのですが、物価目標達成の方の抜刀まで飛び出すのかはさすがに微妙ではあるのですが、4月に達成の抜刀をしてきたらこれはこれでおもろい事になってまいりますなという感じかとは思います。
〇でもって会見はテキスト今日出ますからそれで再度やりますが普通に利上げ意向は示したと思うのですが・・・・・
会見に関しては実は今回って幹事社以降の質疑応答が中々良かったと思うのですけれども・・・・・
ロイターさんから
https://jp.reuters.com/opinion/N7YYU2ZTCRKATGLE4FCQ3TROJM-2026-03-19/
賃金・物価のメカニズム注視、利上げは毎回会合で適切に判断=日銀総裁
杉山健太郎, 和田崇彦
2026年3月19日午後 3:45 GMT+9
・4月利上げの可能性を無くすような表現を徹底的に回避していたのはポイント高い
『植田総裁は「中東情勢が日本経済にどのような影響を及ぼすかが重要なポイントになる」とし、これまでと同様、経済・物価情勢や基調的な物価上昇率に関する見通しの確度やリスクを確認しながら、毎回の会合で適切に判断していくと述べた。』(上記URL先より、以下同様)
というのはまあ今回は言わざるを得ないのですが、従来と違ったのはこの「見極め」に関してでして、質疑の中でこういう説明をしていたのがポイント高いと思いました。
『植田総裁は、中東情勢の緊迫化の基調物価への影響について、政策委員の中では上方リスクを重視する委員と下方リスクを重視する委員に分かれたが「微妙に前?者の方が多かった」と明らかにした。総裁自身はどちらを重視するか問われたが、まだ軍事衝突が始まったばかりで日々情勢が変化しているとして「もう少し情勢を見た上でどちらを重視するか判断したい」と述べるにとどめた。』
でもってこの「もう少し情勢を見た上で」に関連して、ロイターさんもきっちり記事で拾っていますが、
『基調物価について、植田総裁は「過去からの様々なデータの積分のようなもの」と表現。新たなショックが起きた場合、厳密な判断は難しくても「どの方向に行きそうか、変動がどの程度なのか、短期間でわかる可能性はある」と説明した。』
>短期間でわかる可能性はある
>短期間でわかる可能性はある
>短期間でわかる可能性はある
・・・・短期間で分かるか〜ってツッコミはありますが、それはさておきまして、このように言っている意図は明らかでして、「見極めに時間がかかる⇒4月利上げはなし」と解釈されてしまうのを回避している、ということな訳ですから、これはやるやらないは兎も角として、4月利上げの旗は降ろしていない、ということをきっちりとアピールしているということになります。実際問題としては「基調的物価」の影響が短期間で分かるわけねえだろと思うので、この説明自体がやや強引な訳ですが、そのような強引な説明をしてでも「4月利上げ無しとは思われたくない」という意思な訳でして、つまりは4月利上げの可能性普通に大ありじゃろと願望込みで思うのでありまする。
また、これも質疑でありまして、ロイターさんがきっちりと拾っている部分でしたが、
『今回、金融政策を現状維持とした理由について、原油価格上昇に伴うリスクシナリオが新たに登場してきた点を重視したという。来月にかけてデータが集まってきたところで改めてリスクシナリオについても点検し、適切に判断する予定だと語った。』
っていう説明も、これが植田さんじゃなかったら「4月利上げ待ったなしじゃん」という反応になってもおかしくは無いのですが、何せついこの前までハトハトチキンの象徴みたいなムーブをしていましたので、こういったからと言って別に市場ちゃんが4月利上げムーブになる訳ではない(そもそも論としてイラン戦争真っただ中で利上げする訳ねえだろと高を括っている面はあるかと思いますが)のが残念ですが、昨日書きましたように「イラン戦争は物価上振れ要因」っていう認識を示す中で、イラン戦争が基調物価に与える影響とかリスクを点検し、ってなったらそりゃもう利上げじゃろという話になって然るべきでして(と思うのはアタクシの個人の偏見という説は大いにあるのでその点は割り引いてつかあさい)、しかもこれを「来月に掛けてデータが集まってきたところで」という話をしているのは、4月会合と4月展望レポートを意識した説明になっていますので、この辺りを聴いていて(今回は日銀よつべでリアタイ視聴してました)おおおおおお、と思ったんですけどね。
まあアレです。アタクシの場合は茲許拙駄文で再三指摘しておりますように、「植田総裁が急にハトハトチキンから植田和男先生に変身したんじゃないか説」を唱えておりますからこのようなおおおおおおという反応になる、というのはありまして、ちょいと見ただけでも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK212IS0R20C26A3000000/
日銀「タカ派」のお株奪う欧米中銀 植田氏の円安けん制はや息切れか
編集委員 大塚節雄
2026年3月23日 5:00
[会員限定記事]
https://www.asahi.com/articles/ASV3L22F3V3LULFA02WM.html
日銀が金利据え置き 植田総裁、次の利上げ「イラン情勢がポイント」
2026年3月19日 11時52分(2026年3月19日 18時14分更新)
有料記事
稲垣千駿 江口英佑 笹井継夫
全般的に何か「4月利上げの可能性は残しているけどどうせイラン戦争中は利上げせんじゃろ」という論調になっているように見えまして、うーんそうなのかなあ違うと思うんだけどなあという違和感は拭えないのですが、何とかストの皆さんの所感は既に出だしていますが、全体のトーンがどうなるのかは今日見て行きたいなと思いました。
・総じて「妙な説明」は大幅に減った印象が強い訳でしてその意味するところは・・・・・・・
まあこれはただの感想ですけど。
最近急に植田さんが(`・ω・´)シャキーンとしてきましたけれども、今回の総裁の説明でもさきほど申し上げたように会見の質疑応答が最初から割といい感じで流れている印象を受けまして、それは何かというと「政策に後付けで変なその場凌ぎの屁理屈を繰り出してこなくなっている」ということだと思うのよ(個人の感想です)。
あとは、過去の変な屁理屈を(質問された場合はしょうがないけど)自分からは言わなくなっているように見えるのもこれまたポイントが高くて、これすなわち「政策行動の正当化の為に変な無理筋理屈を繰り出さなくて良くなってきている」という状況の変化をしめしていて、それすなわち物価目標達成によって真の意味での普通の金融政策運営に徐々に近づこうとしており、その背景にはやっぱり物価安定目標達成が具体的視野に入ってきたことを意味するんじゃないかなあ、とかなりの願望は込みですが思う所であります。
まあ兎に角、最近の植田総裁がそうですけれども、今の日銀は「説明が安定している」という印象が強くて、大変に結構なことだと思うのでこの調子で是非お願いしたいところでありますな、というただの感想でした。
・基調物価とかの追加資料は良いんだが中立金利は今計算してもしょうがないと思いますけどねえ
会見のロイターさん記事の最後にありましたが、
『植田総裁は会見の冒頭で、日銀の情報発信を拡充すると発表した。今後の物価動向は政府による物価高対策や原油価格上昇の影響などで短期的に振れやすくなり、基調を把握しにくくなると指摘。こうした点を踏まえ、消費者物価指数のコア指標を拡充して公表するなど、より丁寧な説明を行っていきたいと語った。』
まあこれはヘッドラインの物価に過度に降らされません宣言ですけれども、またいつもの「政策行動の説明に都合の良い数字だけ拾ってくる」ことのないように願いたいものです。
『国内総生産(GDP)統計の基準改定を踏まえ、日銀のスタッフが日本の潜在成長率や需給ギャップを改めて推計しているほか、』
これは直近計算していない奴なので当然ですが、
『最新のデータを用いて自然利子率の再推計を行っていると説明。これらについても、準備が整い次第公表するという。』
自然利子率に関しては以前出してしまったので出すしかないのはまあ分かるんですけど、そもそも論として期待インフレがアンカーされた後に改めて計算するべきもので、期待インフレが2%にアンカーされていない時点での自然利子率を出すことはコミュニケーション上の齟齬を招く可能性があるので如何なものかとは思います。
という辺りが決定会合レビュー雑談シリーズという感じですな。
2026/03/22
お題「決定会合レビュー:今回は分かりやすくて「イラン戦争の影響で利上げ路線が頓挫するわけではないよ」がキーメッセージ」
はあそうですか・・・・
https://www.afpbb.com/articles/-/3627611
ネタニヤフ氏、「キリストはチンギスハンに劣る」と発言 力なき正義は悪の前に無力と主張
2026年3月21日 8:36 発信地:エルサレム/中東・アフリカ [ 中東・北アフリカ
]
〇いつもだと週末初日の朝にツッコミのですがショパンの事情で決定会合レビューが連休最終日の昼前時間で勘弁つかあさい
という訳で声明文比較をしますね。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260319a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2601a.pdf(1月展望レポート基本的見解)
・現状認識:関税の影響云々の表現を若干緩和、住宅投資を若干引き上げだがまあ横ばい
声明文項番2の第1パラグラフ、展望基本的見解の本文の最初の部分ですな。
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(今回)
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(1月展望)
総括判断変わらず。
『海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。』(今回)
『海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。』(1月展望)
海外経済の総括判断も同じですが、次の国内企業セクターの話に若干の変更がありまして、
『輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(今回)
『輸出や鉱工業生産は、米国の関税引き上げの影響を受けつつも、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持しており、業況感も良好な水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(1月展望)
企業部門の説明ですが、「米国の関税非上げの影響を受けつつも」という部分が削除されていまして、これは何ですねんという話になりますが、こちらをアタクシなりに解釈ししますとですね・・・
最初の海外経済のところでは「各国の通商政策等の影響を受けて」が残っているのにこっちの輸出や生産の部分では削除(ただし製造業の収益の部分は継続)、ということになっているのは多分芸が細かい話なのですが、もともと昨年のタリフ砲の時に日銀公式が気にしていたのは「タリフの影響で企業業績や先行き見通しが下押しして、その結果マインドが悪化することによって企業の価格設定や賃金設定が消極化するリスク」という奴(それによって賃金と価格の循環が途切れる)でした、ということを思い出すと分かりやすいのですが、輸出や生産の部分でこの「米国の関税引き上げの影響を受けつつも」を削除したのは、製造業の収益問題はあるにしましても、全体として足元の企業の行動が結局問題なかったですね(主に最近の賃金設定と価格設定行動を踏まえて)、と評価しましたよというメッセージが含まれているんじゃないかな、とアタクシは思ったのですがどうでしょうか。
業況感の部分は短観で新しいのが出るとアップデートされるのが基本仕様なので今回は書いていない、ということですな多分。
なので気持ち威勢が良くなっているとは言えないこともないですが、まあ横ばい評価って事になるでしょうね。次は個人部門などですが、
『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少傾向にある。この間、公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。』(今回)
『個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少している。この間、公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。』(1月展望)
住宅投資が減少「傾向」にある、となったので減少言い切り型から比較すると微かな上方修正ですが、まあここも横ばいってことで宜しいかと。
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(1月展望)
ここはいつも通り変わらず。
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、2%程度まで低下している。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(1月展望)
ここは現象の説明なので当然こういう説明になるのですけれども、ちゃんと「政策効果で」って書いているのは(書くの当たり前だけど)アクチュアルの物価が下押ししたことに対して特殊要因だよっていうのをちゃんと示している格好ですな。
・先行き見通しでは原油価格上昇の話が当然あるのですが「物価に重点を置いた記述」になっているのが味わいあり
先行き見通し部分になります。
『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられる。ただし、中東情勢の緊迫化を受けて、国際金融資本市場では不安定な動きがみられるほか、原油価格も大幅に上昇しており、今後の動向には注意が必要である。』(今回)
『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられる。』(1月展望)
「ただし、中東情勢の緊迫化を受けて、」以下の部分ですが、また例の「国際金融資本市場では不安定な動き」がでているのが(ノ∀`)アチャー感は漂うのですが、その後に原油価格の話がありまして、この原油価格上昇が与える影響に関する記述に味わいがあるのが今回の特徴です。
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、いったん2%を下回る水準までプラス幅を縮小したあと、足もとの原油価格上昇の影響がプラス幅を拡大する方向に作用すると考えられる。』(今回)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。』(1月展望)
アクチュアルの物価に関しては従来の見通しに原油価格の影響を上乗せしました。
『この間、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる(注2)。なお、原油価格上昇が基調的な物価上昇率の見通しに及ぼす影響についても、留意が必要である。』(今回)
『もっとも、この間も、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、消費者物価の基調的な上昇率は、緩やかな上昇が続くと見込まれる。その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(1月展望)
基調物価の方、今回ちょっと順序を変えてきていまして、この部分の解釈ですけれども、前回までは「政府の対策によってアクチュアルな物価上昇率は下がるけど基調物価の上昇は続くよ」って表現だったのですが、そのアクチュアルな物価の方が原油のせいで物価上昇率が下押ししている時間が短くなりそうなので順序を変えてきたのかなとは思いました。
でもって原油価格上昇の影響ですけれども、「原油価格上昇が基調的な物価上昇率の見通しに及ぼす影響についても、留意が必要である。」とだけ書いていまして、これは説明としては原油価格上昇が経済下押しで基調物価を下げるパスと、インフレ期待を押し上げて基調物価を上げるパスがあって、(声明文だからそこまでクドクド書いていないというのもあるのですが)どっちも記述していないのですな。
でまあ字数の関係で書かなかっただけで他意はないのかもしれませんが、ただここでうっかり両論併記をしてしまうと、どうしても今の流れですと、両論併記すると「経済下押しで基調物価下押し」の方がピックアップされてしまうだろうなあとは思いましたので、今回書かなかったのは「利上げの旗を降ろしたメッセージにとらえられたくない」という意思を示したものだと勝手に解釈しましたけど、まあ単純に字数だけの可能性もありますのでそこは話半分で。
ただまあアレです、アクチュアルの物価に関して原油価格上昇が上振れ(それは当たり前だが)というのを書いているだけに、基調物価の方でどっちも書かないプレイをすると、アクチュアルの方の上振れ要因だけが読後の印象に残りやすいので、全体で見た場合にタカっぽく見えるかなと思いました。
・リスク要因はこれまた中東情勢を乗っけただけ
声明文のリスク要因の記述は書きっぷりが前回比較しにくいのですが、展望会合じゃなくて政策変更が無かったのが9月会合まで遡るのであんまり比較にならんですが9月の表現と比較しますが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k250919a.pdf(昨年9月会合声明文)
『リスク要因としては、今後の中東情勢の展開や原油価格の動向、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向などがあり、それらのわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(今回)
『リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(昨年9月の声明文)
今回は中東情勢を乗っけただけですね。
・今回項番3の政策ガイダンスがあるのが異例です
今回はこの次に項番3ってのがありまして、
『3.金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、「展望レポート」で示している経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回)
この表現自体は、
『金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(1月展望)
というのと同じなのですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k251219a.pdf(12月会合声明文)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k250919a.pdf(9月会合声明文)
過去の声明文の体裁をみれば分かりますように、展望会合じゃない時で政策変更が伴わない場合は政策ガイダンスに関する文言は掲載しないのが仕様だったのですが、今回は政策変更なしの展望会合じゃないので、政策ガイダンス文言をわざわざ掲載しているのはちょっと異例だったりします。
でまあこの部分はどこからどうみても「今後も徐々に利上げをしていきますよ、の姿勢は不変です」っていうのをわざわざメッセージとして示しました、ということになりますので、これまた「利上げ路線の頓挫はありません」という事を示しています。
・・・・・てな訳で声明文は明らかにメッセージとしては「利上げの旗は降ろしていませんというのを強調」となっています。
でもって会見は月曜に会見録出るので火曜日にネタにしようかとおもいますが、会見の方でも「利上げの旗は降ろしてませんよ」メッセージが確りしていましたので、まあ今回の会合はそういう事やぞ、という結論だったかと思います。
ということで急いでないけど取り急ぎこんなもんで勘弁。
2026/03/19
お題「FOMC声明文は「1回パス」ですがSEPに見どころがある気がします/短国ちゃんとかその他雑談」
FOMCの日、だいたい最近は市場の初期反応がおかしいことが多くて、市場の反応見てしまうと変な先入観を持ってしまうので基本は駄文書き終わるまでネットニュースもよまずラジオも聴かずにやっているのですが、さすがに今日はトラ公どうなったが気になるので声明文とSEP読んで一定の感想をもったあとにニュースチェックをしやしたです、はい。
〇FOMC声明文:うーんこれは1回パスだがウォーラーさんオッスオッスwww
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20260318a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20260128a.htm(前回)
・第1パラグラフ:雇用の安定化は足踏みと言う評価ですね
『Available indicators suggest that economic activity has been expanding at a solid pace.』(今回)
『Available indicators suggest that economic activity has been expanding at a solid pace.』(前回)
総括判断は変わらず。
『Job gains have remained low, and the unemployment rate has been little
changed in recent months.』(今回)
『Job gains have remained low, and the unemployment rate has shown some
signs of stabilization.』(前回)
失業率の所が前回は「安定化のいくらかのサインが示されてきている」だったのが「あんまりかわらんねえ」になったのでここの部分が若干下方修正(向きが下向きになった訳ではないが)ですね。
『Inflation remains somewhat elevated.』(今回)
『Inflation remains somewhat elevated.』(前回)
物価の表現は変わらず。
ということで若干雇用のところが下がってるちゃあ下がっている感じです、1パラは今回も構成がシンプル。
・第2パラグラフ:イラン戦争の影響は「不確実性」でしてまあ要するに「1回パス」ですわな
そりゃそうだとは思いますが、どうせこの辺に関しては質疑応答で散々聞かれたでしょう(まだ聞いてない)。
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回)
2パラ冒頭はいつもの開経偈。
『Uncertainty about the economic outlook remains elevated.』 (今回)
『Uncertainty about the economic outlook remains elevated.』(前回)
もともとイラン関係なく「不確実性は高い」の評価だったのでここも同じで、今回はこの次に中東情勢のコメントが入りまして、
『The implications of developments in the Middle East for the U.S. economy are uncertain. 』(今回)
というのが入りましたが、「こりゃ不確実性ですわ」とは言ってるもののそれ以上は言ってなくてこれはいわゆる一つの「1回パス」って感じですな。
『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(今回)
『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(前回)
こちらも従来通りなので、中東問題の評価は今回回避しました。そりゃまあ回避する罠と思いますのでこれ自体は順当な感じかなと思いました。
・第3パラグラフ:政策据え置き、関連記述も据え置き
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 3?1/2 to 3?3/4 percent.』(今回)
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 3?1/2 to 3?3/4 percent.』(前回)
今回も政策据え置きでして、
『In considering the extent and timing of additional adjustments to the
target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess
incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』(今回)
『In considering the extent and timing of additional adjustments to the
target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess
incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』(前回)
今後も状況を見ながらあんじょうようやっていきまっせと何の決め打ちもしない文言はいつも通りですし、
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(前回)
2パラの対句になっているこの部分も同じ締め、ということで何も変わらんですな。
・第4パラグラフ:いつものように全文一致
いつものように全文一致なのでパラ全部まとめて引用します。
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(前回)
あんじょうようやっていきまっせ、というだけの話ですな。
・第5パラグラフ:ミランはいつもの通りでしたが、ねえねえウォーラーちゃん今どんな気持ち(アスキーアート略)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook;
Beth M. Hammack; Philip N. Jefferson; Neel Kashkari; Lorie K. Logan; Anna
Paulson; and Christopher J. Waller. 』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook;
Beth M. Hammack; Philip N. Jefferson; Neel Kashkari; Lorie K. Logan; and
Anna Paulson.』(前回)
ほうほう。
『Voting against this action was Stephen I. Miran, who preferred to lower
the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point at
this meeting.』(今回)
『Voting against this action were Stephen I. Miran and Christopher J. Waller,
who preferred to lower the target range for the federal funds rate by 1/4
percentage point at this meeting.』(前回)
あらあらあらウォーラーちゃん、FRB議長に指名されると思って利下げ提案したのに指名されなかったから取り下げちゃったの??カナチイネーwwwww
・・・・などとどうせ聞こえないと高を括って煽っていけませんが(むしろ聞こえて欲しいw)、これはウォーラーちゃんの利下げ取り下げについての弁明が欲しいですねえ笑
・ディレクティブに変化なし
PDFだと声明文のケツにつく奴。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20260318a1.htm
Implementation Note issued March 18, 2026
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20260128a1.htm
Implementation Note issued January 28, 2026
こちらは確認しましたが常設ファシリティ、資産買入に関するディレクティブ内容の変化はなかった筈です。
〇SEPの見どころ2選:ロンガーランGDPの変化とドットチャートの下限切り上がり
SEPですけど
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20260318.pdf(PDF)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20260318.htm(HTML)
だいたいHTMLから引用します。ワシの思った見所は上記2点です。
・12月対比で成長見通しが上がって物価見通しは手前が上がってるのですがそれはそうとロンガーランのGDPが上方シフトとな
『Table 1. Economic projections of Federal Reserve Board members and Federal
Reserve Bank presidents, under their individual assumptions of projected
appropriate monetary policy, March 2026』
手抜きおじさんなのでいつものように『Median』だけ比較します(本当は非推奨)
Change in real GDP 2.4 2.3 2.1 2.0
December projection 2.3 2.0 1.9 1.8
以下同様ですが左から順に2026、2027.2028、ロンガーランでして、成長率見通しが全般的に上がっているというのもみどころですが、さらに見所は今回「ロンガーランの成長率の見立てが上方シフトした」ことですな。
こちらに関しては各委員の細かい数字分布とかを真面目に追っていないのであんまり詳しく分析できなくて恐縮なのですが、このロンガーランGDPの1.8%⇒2.0%ってのがどのくらいおおおおおおという話なのかと言いますと、咄嗟に手に入るSEPの一番古いのって
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
Meeting calendars, statements, and minutes (2021-2027)
の所でして(もちろんもっと前のも拾えるが時間が足りなくなってしまうので・・・)、2021年3月のSEPを見ますと、https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20210317.htm
この時のロンガーランのGDPって1.8%ですので、つまりはずっと「ロンガーランの成長率は2%を若干下回る程度」という評価だったんですな。
然るに、今回2.0%に上方シフトした訳で、これって最近FOMCでも出てますし、FED要人発言でも出てきますが、「IT技術による生産性の構造的な上昇が発生してどうしたこうした」の話によって「潜在成長率が上がった」という話をしております次第でして、潜在成長率が上がったというのは中立金利水準が上がる話と、同じ成長率であっても以前と比較した経済の実力が下がるという話になって、結局トータルとしてどっちですねんというのがよくわからんですけれども、いずれにしましてもこの数字があがるのはお〜と思いました。
とは言いましても次に書きますがドットプロットの方のロンガーランの金利自体は気持ち上がっているちゃあ上がっているけどまあ「動いてない」と評価するのが妥当だというムーブになっていました。
Unemployment rate 4.4 4.3 4.2 4.2
December projection 4.4 4.2 4.2 4.2
成長見通しは上がっていますが失業率の見通しは若干悪化(潜在成長率が上がっているからというのもあるかな)
PCE inflation 2.7 2.2 2.0 2.0
December projection 2.4 2.1 2.0 2.0
でもって物価見通しは2026年が上がっていますが、その先はあんまり変わらないので、その点で言えば現状のイラン戦争の影響は現実のエネ価格上昇があるから物価に流石に跳ねるにしても一旦は「テンポラリー」であるというのをメインシナリオに置いているということです。そりゃまあ「パーシスタント」だったら政策対応しないと行けなくなるからテンポラリーひょうかになるのは自明と言ってしまえばそれまでですけどね、問題はリスク認識の方になるので。
・みんな大好きドットプロットではミラン大先生ですら政策金利の下限値を引き上げているのが注目ちゃあ注目だと思ったんだが
『Figure 2. FOMC participants' assessments of appropriate monetary policy:
Midpoint of target range or target level for the federal funds rate』
の方ですが、今回の特徴は「先を含めて地蔵っぽくなっている」というのと「ミラン大先生ですら盛大な緩和すべし主張を引っ込めている」ですかね、と思いました。
2026年暦年1年間での今後の利下げ回数
0回:7名(3.50-3.75)
1回:7名(3.25-3.50)
2回:2名(3.00-3.25)
3回:2名(2.75-3.00)
4回:1名(2.50-2.75)
4回とか言うのはミラン先生チーッスってところなのですが、こちらの大先生、12月FOMCでのSEPにおける2026年のFF金利見通し最低水準だったのが、この時の水準って(2.00-2.25)だったので、なんとミランさん、今回50bpも金利を切り上げてきているんですね。そのせいもあって前回対比でバラバラ感がエライ少ないドットプロットになっているのがご愛嬌なのですが。
なおミランさん、2027年末のFF水準の方は「さらに1回利下げ」(2.25-2.50)に置いていまして、これは前回のミランさんの2027年末のFFレートと同じにしている辺りがミランさんの意地なのか何だか知らんけどちょっと笑ってしまいました。
なお、ロンガーランに関しては
3.00-3.25に置いていた人が1人増加
2.75-3.00に置いていた人が1人増加
2.75ジャストに置いていた人が1人減少
2.50-2.75に置いていた人が1人減少
となっているので、微かに上がっているのですが、多くの人はプロット動かしてないんだろうなーとは思いましたが、一応声明文自体は一回パスですけど、SEPはちょっと金利下げ期待を剥落させないことも無い程度、ただこれだけだと別にこんな程度は期待してたんじゃないかな、というのが感想でして、今後この「潜在成長率の引きあがり」に関する情報発信を見て行くのが注目になるかと思います。
・・・・と言った辺りで続きは明日以降(明日とは??)
〇短国ちゃんと長期ちゃんの話を(って半分以上昨日書いておいた奴なのは読めばわかりますww)
昨日短国3Mの話をしましたのでフォロー
・一応短国ちゃんのメモをば
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20260318.htm
国庫短期証券(第1370回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1370回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1370回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和8年3月23日
4.償還期限 令和8年6月22日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆1,016億円
(2)募入決定額 3兆6,739億9,000万円
(3)募入最低価格 99円79銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.8199%)
(4)募入最低価格における案分比率 63.0013%
(5)募入平均価格 99円79銭9厘2毛
(募入平均利回り) (0.8070%)』
昨日ネタにしましたように前日のWI引値は0.80%でしたが、入札の足切りは0.8199%ということでまあ0.82%となった訳ですが、最近はWI引けよりも入札が甘くなるのは仕様みたいなもんなので、問題はその後どうでしたかという話になるのですが、
売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(3/18引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.745
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.755
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.770
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.770
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.800←1個手前の3M引値
国庫短期証券1313 2026/06/22 平均値単利 0.810
国庫短期証券1370 2026/06/22 平均値単利 0.810 ←新発3M入札後の引値
(3/17引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.779
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.780
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.790
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.790
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.800←カレント3M
国庫短期証券1313 2026/06/22 平均値単利 0.780
国庫短期証券1370 2026/06/22 平均値単利 0.800←新発3MWI
・・・・てなわけで引値は0.810%なので、先週金曜日の新発のように足切りで引けた後にズルズル甘くなるパターンではないのですが、とはいえ0.810%だと平均よりは若干弱めだったりしますので、先々週以前の3Mとも違うパターンですな(その前の3Mは入札だけ甘くなって引値はバッチリ強くされるムーブをやっていました)。
ということで判断しがたいので保留なのですが、
・戦争早期終結期待もあったんだと思いますがついでに長期債の方のメモをば
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-18/TC37DYKK3NY800
イランが報復表明、ラリジャニ氏殺害で−トランプ氏は早期終結に言及
・イラン情報相殺害、標的の高官は追加承認なく排除可能−イスラエル
・民兵組織バシジのソレイマニ司令官も死亡、イランは攻撃を継続
Kateryna Kadabashy、Hadriana Lowenkron、Sherif Tarek
2026年3月18日 at 20:10 JST
『イラン軍部は、ラリジャニ氏だけでなく、民兵組織バシジのソレイマニ司令官の殺害に対する報復も誓った。イスラエルによると、両氏は同じ空爆で死亡した。』(上記URL先より、以下同様)
ということのようですが、昨日はたぶんこっちの方に反応して原油安株高債券高になっていたと思うのですけど・・・・・・
『一方、トランプ氏はあらためて、米国はまもなく戦争を終結させる準備が整うと述べた。同氏は17日、ホワイトハウスで、「もしわれわれが今撤退すれば、彼らが再建するには10年かかるだろう」と述べ、「われわれはまだやめる用意がないが、近い将来にやめる」と言明した。』
でまあ一応昨日の債券市場のメモも備忘で置いておくのですが、
https://jp.reuters.com/markets/japan/33EGRLCTQ5PX3KRMERHLSEJD2A-2026-03-18/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利2.21% 原油高一服などで買い戻し
ロイター編集
2026年3月18日午後 3:26 GMT+9
『[東京 18日 ロイター] - <15:17> 国債先物は続伸、長期金利2.21% 原油高一服などで買い戻し
国債先物中心限月6月限は前営業日比46銭高の131円55銭と続伸して取引を終えた。米金利低下や原油相場の下落を背景に買い戻された。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.5bp低下の2.21%。
朝方の国債先物は買いが先行。前日の米債市場での長?期金利低下や夜間取引で国債先物が上昇した流れに追随して始まった。中東情勢緊迫化を背景に上昇してきた原油相場が落ち着いた動きとなっていることも、相場のサポート要因となった。』
『後場に入っても堅調に推移。時間外取引の米長期金利が4.17%付近に低下したことも、円債のサポート要因となった。その後は、今晩の米連邦公開市場委員会(FOMC)やあすの日銀金融政策決定会合の結果を控えて、徐々に様子見姿勢が広がった。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『 OFFER BID 前日比
2年 1.244 1.251 -0.024 15:04
5年 1.636 1.645 -0.04 15:08
10年 2.209 2.216 -0.05 15:04
20年 3.072 3.081 -0.055 15:13
30年 3.476 3.487 -0.065 15:13
40年 3.708 3.724 -0.052 15:13』
盛大なフラットニングをしているのですが・・・・・・、とここまで昨晩夜なべしておいたわけですよ、基本的にFOMC読みで時間食うから通常運転だと書いてられないから。
でですね、いつもだとFOMCの答え合わせはしないのですが、どうせ今日はトラ公見ておかないと、と思ったら案の定これである。
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-18/TC3K51KK3NYD00
イラン、湾岸諸国のエネルギー施設攻撃を警告−報復の応酬さらに激化
・カタール、サウジ、UAEのエネルギー施設が「正当な攻撃対象」に
・原油相場は急伸、北海ブレント先物の上昇率は一時5%超える
Patrick Sykes、Kateryna Kadabashy
2026年3月19日 at 0:12 JST
>原油相場は急伸、北海ブレント先物の上昇率は一時5%超える
>原油相場は急伸、北海ブレント先物の上昇率は一時5%超える
>原油相場は急伸、北海ブレント先物の上昇率は一時5%超える
株先とか債先の東証ナイトセッション引け見たらお察しのダブル安になっておられましたが、そもそもモウロククソジイイのトラ公が撤退だのなんだの言ったからと言って好感する市場がナイーブにも程があるんだが、たぶんAIとかいう感情の無いポンコツがニュースヘッドラインに一々反応するのが悪いんだよなあと令和のラッダイトおじさんは思うのですがwwww
まあ今回はFOMCの答え合わせ以前にこっちで動くからこっちみておきましょってなもんですな、と思いました。
〇あとおまけに日銀プレビューというかただの雑談メモ
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-18/TC2LG2T96OSK00
日銀のタカ派シグナルに備え−円や利回り上昇見込むヘッジファンド
・イラン戦争でエネルギー輸入国、日本のインフレリスク高まる
・植田総裁会見、不確定要素多い−さらなる値動きの可能性が好機に
Ruth Carson、ジョン・チェン、Abhishek Vishnoi
2026年3月18日 at 14:23 JST
更新日時:2026年3月18日 at 14:55 JST
すっかりグレートモデレーション脳になっていて、特に日本の場合はコロナ後のインフレーションで大して苦労した訳もないからなおのこと世の中グレートモデレーション脳になっているのですが、
『投資家の間では、日銀がインフレリスクを重視するのか、それとも景気を支えるため、利上げに慎重な姿勢を取るのかが議論されている。タカ派寄りとなれば円高と利回り上昇につながる可能性がある一方、ハト派姿勢なら利回りを抑える代わりに通貨安が再燃し、資産価格の変動が拡大するリスクもある。』(上記URL先より)
1970年代から80年代(および直近パンデミック以降)の教訓は「中央銀行はインフレ安定化を最重視すべき」って話ですよね、ってのは先般ネタにしたシュナーベルの講演にもあるようにどっからどうみても定説じゃろという話なのでございまして、そもそも論としてこの点が議論になるのが如何なものかって話。
日銀だってこの間延々と馬鹿緩和モードですけど、あくまでも「基調的インフレが2%に達していない」「インフレが上振れて物価の安定が上方向に損なわれるリスクは小さい」というのがその背景にある、という説明をしていたわけで、少なくとも説明の上では物価安定を無視して景気浮揚している訳ではないので、こういう論が立っていること自体がグレートモデレーション脳にも程があるんですけど、とは思います。
などというとだいたいこのジジイクソうるせえとか煙たがれるというデメリットが生じますので使用上の用法容量にはご注意くださいwwwwww
まあ今日の植田さんの説明のお手並み拝見という事ですな〜
2026/03/18
お題「短国レートが微妙に上昇しております/外貨調達リスクの問題はやっぱりブラックボックスがあって当局も把握しきれてませんねえ」
おやおやまあまあ
https://jp.reuters.com/world/security/RYSZGDJWENL6TIIIKNNMOHPUQQ-2026-03-17/
米テロ対策トップ辞任、イラン戦争支持できず 「切迫した脅威なし」
ロイター編集
2026年3月17日午後 11:45 GMT+9
しかしまあむちゃくちゃでござりますな
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-17/TC1YNIKK3NY900
トランプ氏要求に欧州ついに「ノー」、戦争参加しないと各首脳が明言
・独仏ギリシャの首脳ら、要請を明確に拒否−過去の曖昧さから脱却
・拒否ならNATOに「非常に悪い」結果とトランプ氏、欧州は大きな賭け
Andrea Palasciano、Arne Delfs、Francine Lacqua
2026年3月18日 at 4:19 JST
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-17/TC247OT9NJLT00
日本など同盟国の「支援は不要」、ホルムズ対応でトランプ氏不満あらわ
Hadriana Lowenkron
2026年3月18日 at 4:22 JST
〇3M以降の短国レートが地味に上昇している件について
昨日の1年短国
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20260317.htm
国庫短期証券(第1369回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1369回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1369回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項』
ということで今回も一部が特例公債で発行されていますわ。ちなみに先月債はこの他にCT債も発行根拠法になっていましたが、毎度思うのですがなんで「1年短国2月債」だけCT要素が入るのでしょうか・・・・
『3.発行日 令和8年3月23日
4.償還期限 令和9年3月23日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆1,020億円
(2)募入決定額 2兆4,195億8,000万円
(3)募入最低価格 98円94銭7厘
(募入最高利回り) (1.0642%)
(4)募入最低価格における案分比率 43.8490%
(5)募入平均価格 98円95銭6厘
(募入平均利回り) (1.0550%)』
ということで1年短国ちゃんですが1.055%/1.064%ということで、前日のWI引けがその前からは甘くされたとは言え1.035%でナンノコッチャという水準でしたが、WIからは抜けてお安くなった入札となりました、とは言っても4月利上げを前提にすると後半の換算利回りが足切り水準からスタートしても1.100%になるので、7月会合でもう一発利上げだとすると後半1.14%で「次の次」には耐えられないのですが、10月会合だとすれば辛うじて後半1.23%水準になるので、4月10月利上げならばなんとか耐えるのですが、という微妙な水準にはなったという結果に。
ただまあ後述しますけど売参ちゃんを見ますと引けは1.065%の方にはサヤ寄せされていないので、そのくらいの織り込みまで入っているなら買いも入るんですかねえ、知らんけど。
でもって今日は変則日程なので水曜ですが3Mの入札がございましてですけど、ここで売買参考統計値を確認しますと・・・・・・
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(3/17引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.779
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.780
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.790
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.790
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.800←カレント3M
国庫短期証券1313 2026/06/22 平均値単利 0.780
国庫短期証券1370 2026/06/22 平均値単利 0.800←今日入札の新発3MWI
(3/16引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.770
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.770
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.790←前回債
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.790
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.790←カレント3M
国庫短期証券1313 2026/06/22 平均値単利 0.780
国庫短期証券1370 2026/06/22 平均値単利 0.800←今日入札の新発3MWI
(昨日磔刑に失敗して1364を2個貼ってましたね、すいませんすいません)
・・・・ということで、入札のあと足切り水準で売参を引かせていたカレント3Mちゃんですが、昨日も引けの気配が甘くされまして遂に夢の0.80%乗せとなりまして、何せこの銘柄6/15償還ですから、4月利上げが無かったら丸儲けレート(もともと丸儲けレートではありますが)という夢の金利に!・・・・などというと煽りにも程がある訳で、これ4月利上げだとします今日のレギュラー私の3/19スタート6/15エンドだとして期間利回り80bpですと、前半が0.75%だと思いますと後半は0.845%ですし、まあ期近の短国なので付利よりも5bp程度は強いということでオマケして手前を0.70%にしたとて後半は0.891%なので付利から10個強いレートになってしまいまして、4月利上げの織り込みは足りない、という水準になっておられる次第でして、手前の金利水準と後半の金利水準のクオリファイレートをいくらでみるのか(付利で見るのが本来の姿ですけど短国アウトライト自体がそもそも付利より金利低いのでそれで考える説もある一方で、短国の現先レポレートは付利近辺だし、みたいな感じで難しいのだ)によりますけど、単純に付利水準だと思った場合に昨日の引けの0.80%水準ってカレント銘柄で言えば4割の利上げ織り込みになっておられるという感じですかね、知らんけど。
とまあそんな状況なので、おそらくはカレントの方がまだそれなりに残っている状況の中で今日入札を迎える3Mって事になりますが、こちらはWI引値が0.800%(同じ償還の1年短国の成れの果てとレートが違うのはご愛嬌)となっていますけれども、はてさてこちらの入札はどう転ぶのかという所ではありまする。まあ上記のように現状のカレントの0.80%ってのも4月利上げの織り込みがこれでエエンカという面は多々ある上に、テナーが7日間延びるのでカレントと並びだとちょっとねえとは思いますが、はてさてどうなるのやらと言ったところではあります。
あとちなみに短国1年新発債の方ですが、
国庫短期証券1369 2027/03/23 平均値単利 1.055
ということで、入札レベルがさきほどの通りで1.055%/1.064%でしたので、平均落札の方に収斂された利回りになっておられますが、単純な短期金利の足し算ベースだと微妙な水準な中でこの新発そんなにニーズあるのかしらというのも観察できればとは思う所であります。なおついえdに申し上げますと、1年短国になってくると実際問題としては短期金利の足し算での買いが来る来ないというよりはスワップ市場などとの裁定がワークするかどうか次第だとは思いますが、ただまあベースとして短期金利の1年になると微妙だけど6Mから手前の金利って本来は期中の短期金利の足し算(短期金利の定積分と言った方が頭が良さそうですねwww)をベースにしてベースレートを考えて、そこに流動性リスクプレミアム乗っけてみたり、期末越えプレミアム乗っけてみたり、国債というモノのプレミアム乗っけてみたり(クレジット物ならクレジットスプレッドも)しながらレートを考える、というのを金利がちゃんとあって何となく短期金利が動くような時代には皆さんやっていましたので(ウン十年前の話だがw)、そういう地味な計算をひたすら垂れ流すおじさんと化している訳ですな。はい。
まあしかし常に「織り込み過小」から始まってしまっているのが今次局面の残念なところで、短期のキャッシュってマネーポジションの人じゃない限りショートからは入りにくい(デリバは別ですけど)ので、まあ今みたいな金余りだとなかなか「織り込み過大」とはなりにくいんでしょうけど、そこが昔とはだいぶ違うなという風に思ったりしますです、はい。
〇BISが外貨調達の流動性管理に関してペーパーを出しておりますな
https://www.boj.or.jp/paym/intlact_pm/cgfs/cgfs260313a.htm
BISグローバル金融システム委員会報告書「外貨調達リスクとクロスボーダー流動性」の公表について
2026年3月13日
日本銀行
『BISグローバル金融システム委員会(Committee on the Global Financial System
<CGFS>)は、3月12日、以下の文書を公表しました。
Foreign currency funding risk and cross-border liquidity
(外貨調達リスクとクロスボーダー流動性)』
ということで要旨部分の日銀仮訳を拝読しますが、
https://www.boj.or.jp/paym/intlact_pm/cgfs/data/cgfs260313a.pdf
報告書要旨(Executive Summary)の和訳
グローバル金融システム委員会報告書
「外貨調達リスクとクロスボーダー流動性」
要旨(日本銀行仮訳)
『外貨資金不足は、金融ストレスを引き起こす主な要因であり、資金調達市場が毀損する場合に顕在化し、金融機関の流動性の高い資産(liquid
claims)と流出しやすい資金調達(flighty funding)の間にミスマッチが存在する場合に悪化する。』
さいですな。
『外貨資金不足に直面した金融機関の機能維持は、グループ内の流動性移転の余地と、最後の手段としての中銀流動性ファシリティへのアクセスにかかっている。』
ということで、
『外貨調達リスクに対するエクスポージャーの継続的なモニタリングと当該リスクを低減するメカニズムは、システミックな悪影響を回避するために不可欠である。』
って話になりますが、まあこの辺の議論は(金融機関の規模とクロスボーダー取引の規模がクッソデカくなったからというのはありますけど)ここ20年30年のスパンで考えてみますと隔世の感どころの騒ぎじゃない位に緻密になったなあとは思います。昔は基本的に個別エンティティのチョンボの話で留まっていた面が強いですからねえ。
『本報告書は、外貨調達リスクとクロスボーダー流動性に関するグローバル金融システム委員会(CGFS)作業部会の分析結果を示す。本分析は、米ドル、ユーロ、日本円、英国ポンド、スイスフランの主要
5 通貨に焦点を当てている。前半は、入手可能なデータから金融機関の外貨資金不足に対するエクスポージャーについて検証する。後半は、外部の民間外貨資金調達市場へのアクセスが毀損された場合の、同一金融機関グループ内のクロスボーダー送金(内部市場)の頑健性を検討する。』
『さらに、外貨資金不足に直面する金融機関エンティティに対する最後の手段としての中銀流動性支援について議論する。』
なるほど。でまあちょこちょこ飛ばしながら読みますけど・・・・・
『通貨間の比較を可能とする全てのデータセットと指標は、外貨エクスポージャーにおける米ドルの中心性を裏付けている。ユーロが主要な外貨である欧州の小規模開放経済を除き、米ドルは今回調査した法域・金融システムにおける主要な外貨エクスポージャーであり、銀行は積極的に米ドルエクスポージャーを管理していることが窺われる。』
ということで、外貨エクスポージャー管理=ドル管理(主に銀行業態の話のようです)なんですな、ふむふむ。
『連結ベースでみた場合に得られた主な知見は、銀行グループは、外貨の多くを当該通貨の発行法域ではなく本店で集中管理しているという点である。金融機関の本店が所在する国以外で事業を行う当該金融機関の関連エンティティは、当該金融機関グループの内部資本市場を通じて外貨を調達する傾向がある。』
まあそりゃそうでしょうなあというお話。
『金融機関における外貨資金不足の可能性は、資金調達やヘッジ取引の相手先が減少する場合への備えとして、流動性の高い資産を保有することの重要性を示す。本作業部会が関連するデータを入手した法域の銀行システムでは、一般的に安定性が高いとされる非金融企業の預金が外貨調達の中心であるが、一部の法域ではNBFIs
等からのノンコア調達も重要な資金源となっている。ノンコア調達は一般的に流出しやすい傾向があるため、ノンコア調達で調達した資金の一部またはそれを上回る同一通貨の資産を保有することが考えられるが、これらの外貨資産の流動性は銀行によって異なる。』
というのが続いていまして、NBFIキタコレという話ですが、NBFIって(特に短期金融市場において)調達運用のミスマッチの面でも色々と言われますけれども、ついでに流動性供給部分の方でも目をつけられておりますなあと思ってしまいました笑。
でまあその点についてもちょっと先の方で、
『NBFI セクターは、銀行の外貨調達源としての役割を果たすことに加え、業種別にばらつきはあるものの、自らも外貨調達リスクにさらされうる。入手可能なデータによると、資産運用会社や年金基金によるオフショア投資は多額であり、外貨エクスポージャーが通常生じる。一方、国際的に活動する大規模な保険会社は、バランスシート上の外貨ポジションが小さい傾向がある。』
法域によって色々と異なっては来るのですが、レバレッジ型のファンドとかですとファンディングで突如詰むというのは毎度のように発生する事象ではあるので槍玉に上がるわなあとは思います。
『後半部分では、外部の民間資金調達市場へのアクセスが毀損された場合の外貨資金不足を緩和する手段に焦点を当てている。ここでは、作業部会メンバーに対して実施したサーベイの回答をもとに、銀行の内部資本市場と中銀の外貨流動性ファシリティに対するありうべき障害について整理している。また、銀行の外貨調達リスクを低減するための当局によるプルーデンス面での対応についても整理している。』
ということですがその辺はかっ飛ばしまして(「銀行の内部資本市場と中銀の外貨流動性ファシリティに対するありうべき障害」に相当します)最終部分までワープしますと、
『本報告書の調査結果は、主に 2 つの重要な示唆を強調している。』
ということでですね、
『第一に、外貨調達リスクやその影響を軽減するための当局の継続的な取り組みには大きな意義がある。こうした取り組みには、モニタリングツールの改善や、ストレス時におけるグループ内部の送金の頑健性強化等が含まれ、また適切な場合には、ストレステストへの外貨調達リスクの組み込みや通貨別の流動性要件の賦課等も含まれうる。当局は、こうした取り組みを通じ、銀行による外貨調達リスクの厳格な管理を促している。』
ということで別に今急に始まった話ではないでしょうけれども、外貨調達の問題は相変わらず重要テーマ扱いされていますね、って事ですな。
『国際協調とクロスボーダーでの危機への備えは、重要な点でこれらを補完する。究極的には、中銀による効果的な支援は、モラルハザードの防止に留意したうえでの、銀行による利用可能な中銀流動性ファシリティへのアクセスにかかる備えにかかっている。』
まあそうなんですがこの「モラルハザードの防止に留意」が難しいのよねという話で、GFC(リーマン)前だとこの点はバジョット・ルールに則った仕組みの設計で防止していた面があるのですが、バジョット的な駆け込み寺に駆け込むことはスティグマ問題を発生させてどうのこうの、というのがリーマンショックの時に顕在化しまして、その結果今度はモラルハザード問題発生するじゃろそれはみたいな設計に傾くような感じもありましたが、こうやってモラルハザード抑制を出されますとちょっと安心します。
『第二に、データギャップやデータの不完全さにより、外貨調達リスクに対するエクスポージャーの地理的な把握は不完全なものとならざるを得なかった。最も重要なデータギャップは、外貨資産と負債のマチュリティ、外貨資産の流動性、為替デリバティブの利用状況に関連するものであるが、これらのデータの中には、当該データが国レベルで収集されていないものもあれば、情報の秘匿性のため本作業部会でのデータ共有に制約が生じたものもある。』
『また、本来、資金調達リスクはエンティティレベルの概念であるが、同様の制約により、本作業部会の分析の大部分は国レベルの集計データを用いて実施した。既存の国際協力枠組みの活用等により、データの秘匿性の制約を問題のない形で緩和することは、外貨調達リスクに対するグローバルエクスポージャーのさらなる把握を支援する。』
ということになると実務的にはなんかまた報告増えそうな悪寒がしますが、まあそういう状況な訳で自国通貨の場合は自国中銀が把握できるけど、クロスボーダーの部分になるとブラックボックスが結構あって、この中のパンドラの箱がうっかり開く、というリスクは常に内包しているのですな、というのを改めて認識しましたってことで。
本編はこちらだが当然読んでません笑
ご紹介
https://www.bis.org/publ/cgfs71.htm
Foreign currency funding risk and cross-border liquidity
Report prepared by a CGFS Working Group co-chaired by Stephanie Curcuru (Federal Reserve Board) and Antoine Martin (Swiss National Bank)
全文
https://www.bis.org/publ/cgfs71.pdf
2026/03/17
お題「原油上昇もさすがに一服しますかね(下がるとは言ってない)/各中銀の情報発信に注目したい(プレビュー雑感)/短国ェ・・・・」
今朝は株高債券高だな!
https://port.jpx.co.jp/jpxhp/main/index.aspx?F=future&disptype=day_through
先物価格情報
〇イラン戦争と原油価格情勢は決め打ちできないですが徐々に外交合戦になっておられるのかしら
昨晩の早めの時点ではこんな感じでしたのですが・・・・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/commodities/CINQJ2KF7FLYDBOB5L2PJLNZGI-2026-03-16/
原油先物が上昇、ホルムズ海峡の混乱長期化を懸念
Enes Tunagur
2026年3月16日午後 7:36 GMT+9
『[ロンドン 16日 ロイター] - 16日の原油先物は、トランプ米大統領がホルムズ海峡の安全確保に向けた国際的な対応を呼びかけたにもかかわらず上昇した。』(上記URL先より)
「にもかかわらず」じゃなくてこのモウロクジジイが支離滅裂な話を繰り返すから原油価格が上昇しているとしか思えませんけどねえ・・・・・・・・・
・・・というかですね、この「国際的な対応を呼びかけ」ってこれでしょ???
https://jp.reuters.com/world/security/FP5H4MND4RL7DMBAYDUZHEQGWQ-2026-03-15/
トランプ氏、NATOと中国に圧力 ホルムズ海峡協力巡り=FT
ロイター編集
2026年3月16日午前 8:46 GMT+9
『トランプ氏はFT紙に「ホルムズ海峡の恩恵を受けている人々が、そこで悪いことが起きないよう協力するのは当然だ」と述べた。』(上記URL先より)
どう見ても物事上手く進まないから八つ当たりしているだけにしか見えない訳だし、こいつの「国際協力」に乗っても何時手のひら返しされるか分からんからまあ誰が乗るんだよという話ですな。
あ、そうか!協力してトラ公を座敷牢にでも押し込めば良いのか!!!!
・・・・という冗談はさておきまして、
https://jp.reuters.com/world/ukraine/UZA3S4YAVJK7FBOLTUKPZJCQEM-2026-03-16/
ホルムズ海峡船舶護衛、欧州の多くで慎重論 「われわれの戦争でない」
ロイター編集
2026年3月17日午前 12:11 GMT+9
『ドイツのピストリウス国防相は「強力な米海軍にできないことを、トランプ大統領は少数の欧州フリゲート艦にできると期待しているのだろうか」と疑問を呈し、「これはわれわれの戦争でも、われわれが始めた戦争でもない」と述べた。』
『ドイツのメルツ首相はベルリンで行った記者会見で、米国とイスラエルによる対イラン作戦にドイツは参加しないと表明。「EU基本条約の下で必要とされる国連や北大西洋条約機構(NATO)などからの要請はない。このため、この戦争がNATOの任務でないことは当初から明らかだった」とし、「米国とイスラエルは開始に先立ってわれわれと協議を行っていない。このため、ドイツが軍事的に関与するかどうかという問い自体が存在しない」と語った。』(上記URL先より)
ちょwwwwwおまwwwwwドイツって最初どっちかと言えば(トラ公寄りという意味での)威勢の良い方じゃなかったっけって話で、先般のメローニもそうですけどドイツもこの調子になってしまって高市さんこの週末に訪米ってのが益々ヤバそうな感じになってきましたな。
でまあこの流れを受けてなのか、
https://jp.reuters.com/world/security/NZ2KAHMN35NL7BAXCVWWMDV2WY-2026-03-16/
トランプ氏、ホルムズ海峡の支援に消極的な国批判 モジタバ師安否不明
ロイター編集
2026年3月17日午前 3:51 GMT+9
『トランプ大統領はホワイトハウスのイベントで、ホルムズ海峡を通過する船舶護衛への協力について「非常に熱心な国もあれば、そうでない国もある。長年にわたりわれわれが支援してきた国もあり、それらの国を恐ろしい外部勢力から守ってきたが、彼らはさほど積極的でな?い」と述べた。』
『フランスのマクロン大統領と15日に電話会談したと明らかにし、マクロン氏はホルムズ海峡の封鎖解除に向けて協力する意向を示したと語った。さらに、ルビオ米国務長官が、米国への支援を申し出ている国の名前を発表する見通しとした。』(上記URL先より)
ってどう見てもこれはヘイヘイピッチャービビってるよビビってるよ!にしか見えなくなっていますがwwwwww
一方のイランは
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16ARJ0W6A310C2000000/
NY原油、90ドル台前半へ下落 一部船舶のホルムズ海峡通過で
イラン軍事衝突
2026年3月17日 3:54
『ロイター通信は13日、イラン当局がインドの液化石油ガス(LPG)運搬船2隻の海峡通過を許可したと報じた。インドが2月、同国近海で拿捕したイラン系タンカー3隻の解放が通過の条件に含まれていた可能性がある。イランはホルムズ海峡を事実上封鎖しているが、海峡通過の交渉には個別に応じる構えだ。米国の同盟国などに対し、揺さぶりをかける狙いもあるとみられる。』(上記URL先より、以下同様)
ってことでトラ公ネタ公コンビと他国の分断を図りに来ていますな、そりゃまあそうしないと引き分けにすら持ち込めないでしょうから当たり前のムーブと言ってしまえばそれまでですが・・・・・
『イランのアラグチ外相は15日放送の米CBSテレビの番組で「我々は、船舶の安全な航行について協議を希望する国に対して門戸を開いている」と述べた。すでに複数の国から打診を受けていると明かした。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、フランスとイタリアもエネルギー輸出の再開に向け、イランとの協議を始めた。
海運調査会社ウィンドワードは15日、パキスタンとトルコのタンカーが13日に海峡を通過したと分析した。同社は「(今後、それ以外の国についても)一部船舶の通過が許可される可能性がある」と指摘した。』
中東湾岸諸国とは歴史的には比較的良好な関係の日本としてはトラ公にも逆らいにくい中でさてどう立ち回るんでしょうかねえ、と思うのだが首相と防衛大臣がアレというのが誠に不安しか無いですな。
・・・・とは言いましてもいずれにせよホルムズ海峡が全部止まるという訳では無さそうなのは不幸中の幸いではありますが、ゆうて供給制約が厳しい状態であるのは変わりないわけで、まさに先週ネタにしたシュナーベルの言う「供給制約下における金融政策運営」が問題になってくる状態になりますな。
〇FOMCは「供給制約下における金融政策運営」を会見でどう説明するのかが注目されますけど・・・・・&その他
とまあそんな次第なので、FEDに関してはパウちゃんの会見が今回は注目優先度高くしたいなと思う所です。
パウちゃんどうせ議長を退任するので、先行きの話を今の時点で行っても、結局上書きされてしまうのではないか、というのはもちろんあるのですが、先行きの話に関してはこの「供給制約下における金融政策運営」について委員会でどういう議論があってパウちゃんがどう考えるのかというのをFOMC後の会見でどう説明するのか、というのを見てみたいです。
いやまあ最近すっかり会見QAネタをさぼっていますが、さぼっている理由はまあ手抜きってのもありますが、そもそも論として会見QAで言ってることよりも後日出てくる議事要旨の方が金融政策の先行きに関してのメッセージ性が強い(もともとオープニングリマーク以外の部分は議論を経て行われているものではないのでステータスが落ちるので順当ではあるのですが・・・・)のでそっち見てれば良いかなってなもんで思わずすっ飛ばすとか、そもそもが政治合戦になっているので会見説明聞いても何ですなとか思ったりもしたのですが、今回ばっかりはさすがに(後日議事要旨で「先行き金融政策」の部分を熟読する必要があるにしましても)パウちゃんの説明を聴いておきたい所ではありますわな。
ECBはもう思いっきり「この先インフレリスクが再燃する恐れが高まればインフレファイターで引き締めしますよ」でして、それにより一時的に景気が減速したとしても長期的に見たらその方が良い選択、という確信の元に行う話だし、第一次石油ショック、第二次石油ショックの教訓はその選択肢がベターであったという事を強く示唆していますから自信満々で引き締めしてくるでしょうなあというので、これはまあ普通に分かりやすいのですが、FEDがどう出るか地区連銀総裁の皆様がどういうFED内議論をするのか、というのが今回の会見で何か出てくれば面白いですね、とは思うのでありました。
でまあ日銀に関しては散々申し上げているのですが、日銀の場合は兎に角黒田体制の最後辺り(もっと厳しい言い方をすれば「2年で2%」が出来なくなった時以降、となるのですがwww)にロバストじゃない説明を散々してしまいましたので、今次局面においても当然ながら外野(のうち主に高市さんの経済ブレーン(笑)方面など)から「供給ショックは金融政策で対応する必要が無いと日銀言ってたじゃないですか」とツッコまれる訳ですが、茲許の植田総裁の説明は必死こいて過去のインチキ説明を上書きしようとして「基調的物価への影響」という説明を使って「供給ショックだから対応しない、という訳ではない」という風に話を持って行こうとしているのが伝わるので、まあもっと早くからその説明して置けよとは思いますが、今までのイカサマ説明よりは数億万倍立派なものになっているので、あとは市場の方が何とかスト連中筆頭に「供給ショックは対応しない」の説明に脳が侵食されてしまっているのを解毒しないといけませんなというお話になる、とおもうのですがさて本当にそうなってくれるのかは楽しみにしています。
つまりは「王道の説明」と「王道の行動」にやっと植田さんが軌道を戻して本来の植田先生に相応しい政策運営と説明に戻れるのかどうか、というのが今回の決定会合後の会見での説明に掛かっているな、と期待は割としておる次第でありまして、王道説明に戻ってデフレ脳じゃない王道政策になっていただけることを大いに期待したいし、寧ろ市場の皆さんって結構なデフレ脳が残ってるじゃろと言いたくなる状況なのも変わっていく流れになりませんかねえとは思うのでありまする。
ちなみに申すまでも無いのですが、本来は需要ショック供給ショックで分けるものではなくて、あくまでも「一時的か持続的か」、「二次的効果が生じるのか(持続的か、にも繋がりますが)」というのがメインでサブで「ショックのマグニチュード」を見てフォワードルッキングで対応必要性の有無を考えるべきものなので「供給ショックだから対応不要」というのは利上げを先送りしたかった当時の日銀大本営が繰り出した安直な屁理屈でして、本当は当時の説明がきちんと「今の物価上振れには持続性が無いし、期待インフレや企業行動の変化のような二次的波及が好ましくないところまで進むような状況ではない」って言えばよかったのですが、とりあえず舌先三寸で安直に説明しようとして分かりやすいけどロバストじゃない説明を過去してたツケが回って来ておりますのが、そのツケを植田さん頑張って返済してくださいお願いしますお願いします。
まあ日銀ニキ日銀ネキは皆さん揃いも揃ってとんでもなく頭が良いから凡下の我々なんぞを舌先三寸で丸め込もうと思えば屁理屈の大型百貨店の如く屁理屈を繰り出すことが可能でして、優秀な脳味噌も使い方を間違えると碌なことにならんという事ではありますな、と思う今日この頃です。
なお、イラン戦争対応で突っ込まれて結局いつもの「その場限りの便利な屁理屈」コースで説明する恐れも思いっきりあるので、どっちで出てくるのかというのを今回ほど見たいと思う会合も無いかもです。同じようなポエムを毎日書いているきがしますが、今回の会合でコミュニケーションの立て直しが大いに進みそうな期待値は直近の植田さんの説明でワシの中では高まっていて、期待するところが大ですし、勿論なのですがこれコミュニケーションの立て直しが進むようになれば、今までみたいなチンタラした正常化ペースでは無くなってくる、という目がかなり出てくると思いますので、結構重要な会合になるんじゃないかな、と思っておりますがどうでしょうかしら・・・・・・・
〇おや、短国3Mのようすが・・・・・・・・・・(入札後引値が強くなっていたのですが今回はまさかの金利上昇引け値キタコレ)
いつもの売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(3/16引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.770
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.770
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.790←前回債
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.790
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.790←新発カレント3M
国庫短期証券1313 2026/06/22 平均値単利 0.780
国庫短期証券1370 2026/06/22 平均値単利 0.800←明日入札の新発3MWI
(3/13引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.779
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.780
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.780
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.780
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.780
国庫短期証券1313 2026/06/22 平均値単利 0.780
国庫短期証券1370 2026/06/22 平均値単利 0.780
・・・・ということで何と今回は短国3Mのカレントの引けが入札後も足切り水準で引かされたというのは弊駄文で既報の通りですが、月曜の引値がさらに1毛甘く引かせているという流れになっておりまして、ナンノコッチャという感じではあるのですが、まあ本来は4月末に利上げあるんだったら1週間づつ保有期間がシフトしている分だけ5月償還以降の短国の引値ってスロープ状になっていてもおかしくはないので別に金利が上がるのはおかしくは無いのですが(でもご覧になればわかるように値付け自体は5月足と6月足とかいう別に決定会合を跨ぐわけでもないのにカレンダーの月が違うという理由で階段になっているという安直引値www)、それにしても今週急にこうなる理由がイマイチワカランチ会長ではあります。
なお、引値の方に「明日入札の」ってありますが、今週は週末3連休の前に決定会合が入ってくるので、短国の入札日程が変則になって水曜日に月曜発行の3Mの入札、今日は月曜発行の1Yの入札という段取りになっておりまして、新発債を捌いている間に次の入札来るという格好になるから、水曜の新発を甘めの水準で迎えておきたい、ってのがあって甘くなっているだけなのかも知れませんけどね、知らんけど。
ちなみに1年新発Wiは、
国庫短期証券1369 2027/03/23 平均値単利 1.035
ってことですが、この水準でいつもの付利とのブレークイーブンを計算すると、仮に4月会合で利上げがあったとすると、4月会合以降の本銘柄の換算利回りが1.07%程度ということですので、4月利上げの次の利上げが10月会合だったとしても、10月会合以降の換算利回りが1.15%程度となってしまいまして、まあ中々厳しいレートじゃのう、という感じなのですがさてこの1年短国ってどの程度の水準になるの
やら、とは思ってしまいます。
〇デジタル通貨関連の余談ですがリテール向けに広範にCBDC出すのってやっぱり話に無理があると思うんですが
昨日のメモの続きです。
https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig260312a.pdf
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」第 10 回会合の議事要旨
昨日全銀協がリテール型CBDCによるファイナンシャルディスインターミディエーションとか通貨発行の二重構造(=預金金融機関による信用創造機能)への影響についての指摘をしていましたが、そもそも論としてリテール型CBDCを広範に発行するのかよ、という問題があるのですが、議論の早めのところ(2ページ)でこのような質疑がありましたわということで補足しておきます。
『(金融情報システムセンター)2点質問したい。1点目は、海外での一般利用型CBDCの検討に関して、米国、欧州、中国の対応が明確に分かれてきていると認識している。米国と中国は一般利用型CBDCの検討から距離を置く方向性にあると思うが、この点についての評価を伺いたい。(後半割愛)』
まあこの点については米国とか中国の言ってる方が現実の運用面から言ったら即している(特に信用創造機能への悪影響を考えた場合)でしょとは思いますが、
『(事務局)1点目に関しては、各国において必要とされる通貨、あるいは望ましい通貨制度という観点からの検討が進んできた結果だと認識している。』
ほうほう。
『例えば、米国ではSCの活用に重心が置かれ、』
SCはステーブルコインです。
『中国ではデジタル人民元を中銀負債から商銀負債に転換しつつ、基準策定やインフラ運営については引き続き中国人民銀行が関与する形で担っていく方向性が示された。』
これもまあ当然でして、信用創造機能を商銀に残しておかないと色々と不具合発生するじゃろって話ですな。
『一方、欧州では、中銀負債としてのデジタル通貨を発行することを前提に議論が進んでいる。』
というかECBだけラガルドの趣味だか何だか知らんけどしつこくリテールCBDCに熱心なんですよね。
『本行としては、そうした諸外国の動きを引き続きフォローしながら、わが国に相応しい通貨や決済システムのあり方について今後も検討を続けていきたいと考えている。(後半割愛)』
リテールCBDCは技術面での検討はテクノロジーの発展とか技術への知見の強化の意味では研究するけど発行する気は無いですよ、っての明言しても良いんじゃないの、って思うんですけどね〜
2026/03/16
お題「短国レートやや上昇気味ですな/中立金利下限1%の呪縛をどうコミュニケーションするのやら/デジタル通貨関連のメモ」
これどさくさに紛れて金融所得課税の強化の布石なじゃいのかと思ったんだが・・・・
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20260313-GYT1T00144/
市販薬と成分・効果似る「OTC類似薬」は患者が追加負担、健康保険法など改正案を閣議決定
2026/03/13 11:03
『また、支払い能力に応じた負担を徹底するため、75歳以上の後期高齢者を対象に、株式配当などの金融所得を保険料や窓口負担の算定に反映させる仕組みも盛り込んだ。金融機関に法定調書のオンライン提出を義務づける。現在は確定申告をしなければ、金融所得が反映されず、不公平との指摘が出ていた。』(上記URL先より)
ああそれから話は変わりますがゲンダイオンラインは引きつづき本件攻めますねえ
https://gendai.media/articles/-/165168
2026.03.15
【スクープ】サナエトークン設計者は「玉木トークン」も計画していた…!「国民民主党の躍進に貢献」とうそぶく男の「政界人脈」
河野 嘉誠 ジャーナリスト/ジャーナリスト
週刊現代 講談社/月曜・金曜発売
wwwwwwwww
〇短国3Mは前回前々回と異なり入札後伸びませんでしたがさて・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20260313.htm
国庫短期証券(第1368回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1368回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1368回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和8年3月16日
4.償還期限 令和8年6月15日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆2,485億円
(2)募入決定額 3兆6,030億7,000万円
(3)募入最低価格 99円80銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.7796%)
(4)募入最低価格における案分比率 96.2179%
(5)募入平均価格 99円80銭7厘4毛
(募入平均利回り) (0.7740%)』
ってことで0.7740%/0.7796%になった訳ですが、最近の3Mの推移が、0.7573%/0.7781%⇒0.7715%/0.7836%⇒(イラン戦争)⇒0.7667%/0.7756%⇒0.7740%/0.7796%という流れになったので、金利低下の動きは一応一服したみたいな感じにはなっております。
でもって売買参考統計値ちゃんのほうですが、こちらが
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(3/13引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.779
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.780
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.780←前回債
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.780
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.780←新発カレント3M
(3/12引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.750
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.750
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.740
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.750
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.750
ってな訳でして、今回は足切り水準が売参引値にされていまして、ここが過去2回位の3M短国入札と違っているところでして、前回とか前々回に関しては入札段階では0.77%台とかになっていたのですが、入札後はあっさり味で0.76%近辺とかに引けが戻されまして、上記の3/12引値にあるように大体3Mカレント辺りで付利金利髭くらいの引値に置いていた、という推移だったのですけれども、今回世が世なら期末越えの残高調整ニキ&ネキが登場して強くなってもおかしくないような時間帯に入りつつある中で、入札足切りが引けってことは入札後のセカンダリーが盛り上がらんかったというお話だと思いますので、短国方面に避難民があんまり来ないのねという解釈になるのか、それとも4月利上げ見通しが言うほど後退していないから6月半ばの足の銘柄を今の付利金利でフィックスさせるというのもさすがに如何なものかという話なのか、まあ1回だけの入札結果でどうのこうの言うのも何ですが、ただまあ一応3月末近い中で盛り下がってしまったのは平常運転のパターンとはちょっと違うなと思いました、まる。
〇原油価格が上がると日銀のコミュニケーションは難しくなるわけですが
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-15/TBXXIYT96OSJ00
世界の中銀、原油急騰の中で相次ぎ会合へ−インフレ警戒で判断難しく
・FRBとECB、英中銀、日銀など主要中銀が今週政策会合を予定
・米国はなお年内緩和方向、G7の中で例外的−日銀は4月利上げか
Jana Randow
2026年3月15日 at 23:29 JST
『世界の主要中央銀行は今週、イランでの戦争に伴う新たなインフレ圧力に直面する中で会合を開く。各中銀はこの先、利下げの先送り、場合によっては利上げ検討を余儀なくされる可能性がある。』
『現時点で直ちに金融政策が変更されるわけではなさそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行)はいずれも今週、政策金利を据え置くと予想されている。急騰するエネルギーコストが消費者物価や経済成長にどの程度波及するかを見極めるとみられる。』(上記URL先より、以下同様)
一応整理しておいて発想のたたき台にでもなれば有難いのですが、日本と米国と欧州ではそもそも金融政策の現在地が異なっていて、欧州は「今の政策は中立的」という評価をしているし、米国は「今の政策は(少々)引き締め的」という評価をしているし、日本は「今の政策は(割としっかり)緩和的」という評価をしている、というのがスタートにあるから、物価重視とか景気重視とかいう前にそもそもスタート位置が違うのでして、さすがにまあ皆様におかれましてはその程度はワシに言われんでもわかっとるわという話ですけれども、どうも金利じゃない人に掛かるとそもそもこのスタートの時点がアレというのがありますわな。
でもって先日来申し上げておりますように、日本の場合は「インフレ期待が2%でアンカーされている状態ではなくてインフレ期待を引き上げている最中」ってのがありますから、その点で言えばインフレ対応の意味ではスタートが緩和的であってインフレ期待が不安定な分政策調整は一番急がないといけない立場にある、というお話でしょうね、とは先般来これまた何度も申し上げている通り。
ということで日銀のコミュニケーションとしては、(今回はどこからどう見ても政策据え置きでしょうから政策決定で悩む事は無いのですが)「方向として大規模緩和の縮小を継続する」って旗を降ろさない事が重要で、一昨年8月のようにてめえの利上げに米国雇用統計ショックが不幸にも重なって相場が動いた時のビビリンチョの再来をするのだけは止めてね、ってお話になりますが、これはまあ多分ここまでの植田総裁のトーンを見ますに大丈夫かなとは思っています、まあ大丈夫じゃなかったら円安が飛ぶ飛ぶになってエライコッチャだとは思うのですが、何せ今の政権の経済ブレーン(笑)は円安上等を堂々と予算委員会中央公聴会でもぶっこんでくるという人たちなので、株が下がらない限り円安を見てもビビらない可能性があるのがオソロシスではあります。知らんけど。
あとですね、たぶん今回も話題になると思うのですが「中立金利水準」の話に関してのコミュニケーションは大幅に改善する余地がありまして、何が改善する余地かといえば名目水準の「1%〜2.5%」っていう数字を如何にして引っ込めるかが重要になってくると思うんですよね。
つまりですね、まあ実際には1%に利上げした後に1.25%にワシのべき論としてはちゃっちゃと上げろやと思いますが、ゆうてまた慎重にとか言って4月に利上げしたとてその次が7月になってくれるのかは怪しいもんだとは思ってしまいますけれども、ここで以前言ってた「中立金利のレンジの下限が1%」ってのが猛烈に響いていて、さすがに今や1%で打ち止めと思っている人は金利市場には居ないと思いますが、ゆうてまあ「レンジの下限に来たからこの先の利上げはかなり慎重になるだろう」って何とかストの皆さんは考えてしまいますがなという話ですな。
ただですね、よくよく思い返してみますと、「中立金利の下限が1%」とかいう話っていうのは、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j09a.pdf
自然利子率の計測をめぐる近年の動向
日本銀行ワーキングペーパーシリーズ
No.24-J-9
2024 年 8 月
って時期の話だし、このペーパーで出しているのは2023年1Q時点の自然利子率の推計値が▲1%〜+0.5%って言ってる話だし、さらに言えばこのWPの表紙に「多角的レビューシリーズ」ってありますのがこれまたアレでして、多角的レビューシリーズって「黒田緩和は間違っておりませんでした」という無謬伝説の補完みたいな立論が多少目に余る(個人の偏見です)という物件が散見される訳でして、まあこれもだした時期がまだ政策金利が0だの0.25%だのという時期に出ている訳ですわな。
・・・・と考えますと、2024年8月の時点で「中立金利は最低でも1.5%」みたいなスタッフペーパーを(しかも上記URL先を見ればわかるように「企画局」スタッフのペーパーでwww)出すのはあまりにも刺激が強い(あの時点では今次利上げ局面ではどこまで利上げ出来るかという市場のコンセンサスが今よりもクッソ低い金利でしたからねえ)訳ですがな。
いやまあ勿論そんな忖度なしで計測した結果で2023年1Q時点での自然利子率の下限が▲1%だったということなんだとは思いますが(超棒読み)それにしたって2023年と今では既に状況が違う訳ですし、大体からして安定成長経済の中で自然利子率▲1%ってのはあり得んだろと考えますと、本来は名目の1%なんぞは壁でも何でもないのですが、とにかく黒田日銀以降(とくにひどくなったのはQQE2以降だし最悪だったのは末期)の日銀の「説明」がこの中立金利水準にしろ、他のものにしろ(例を一つ出すなら「第一の力」「第二の力」ですな)ロバストな説明をしないでその場で都合のいい説明ばっかりするもんだから、後になってこうやって「中立金利の下限が1%」が猛烈に響いてくるということになります。
という訳で、この中立金利の説明、徐々にフェードアウトしているようには見えますが、この辺りの話をどういう風に持って行くのか、持って行けるのかと言った方が正しいですが、中立金利の議論をできるだけ「無かったこと」にする方向にコミュニケーションをとろうとしているか否か、というのは「1%よりも先の利上げに対するやる気」を測るバロメーターになるんじゃないかと思いますがどうでしょうかね。
いずれにしましても、さっきの記事に戻りますけど
『FRBによる利下げは、なお見込まれている。中東情勢に起因するインフレリスクより、米労働市場に表れている亀裂の方が大きな懸念材料となっているためだ。ただ、今週の会合での引き下げは想定されていない。』
『2026年中の利下げはもはや完全には織り込まれていないが、FRBは依然として緩和方向に傾くとみられており、その点で米国は主要7カ国(G7)の中で例外的だ。』
とのことですがインフレ飛んだら利上げになる可能性は普通にあり得るとは思うのですが、まだリスクシナリオの域をでないんですね。
『一方、欧州では事情が異なる。市場は、米国とイスラエルがイランを攻撃する直前まで、英中銀が3月に利下げを行う確率を約80%とみていたが、現在は据え置きが予想されている。ゴールドマン・サックスなどのエコノミストらは年内の利下げを引き続き予想しているが、市場はむしろ利上げの可能性を織り込み始めている。』
『ユーロ圏の経済成長は英国に比べてやや底堅い。ECBは19日の会合で政策金利を据え置く見通しだが、市場ではいずれ対応を迫られるとの見方が強く、年内1、2回の利上げを織り込んでいる。』
英国はさておきましてECBは先週ネタにしたシュナーベルの講演からどう見てもインフレファイターですなとは思いました。
〇デジタル通貨に関する会議のメモだけ
https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig260312a.pdf
中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」第 10 回会合の議事要旨
『1.開催要領
(日時)2026 年 2 月 2 日(月)13 時 00 分〜15 時 00 分
(形式)Web会議形式
(参加者)別紙』
色々とお話があっておもろいのですが、最後の方にあった部分だけとりあえず引用します。最後の方になりまして4ページになりますが、
『(全国銀行協会)
2点申し上げたい。1点目は、CBDCに関する関係府省庁・日本銀行連絡会議において、預金取扱機関に配慮した議論を進めていただき、感謝申し上げたい。第7回幹事会で議論された「預金との共存」について、CBDCの保有額に上限を設ける形で預金からの資金シフトを抑制し、金融システムへの悪影響を抑える方向性に異存はない。もっとも、一例として個人間決済と法人間決済では取引金額が大きく異なると考えられ、それぞれの取引の特性を踏まえた上限額の設定や上限超過分への対応の柔軟化など、バランスの取れた検討をお願いしたい。』
『 2点目は、仲介機関の役割に関して、業務上の負担軽減策や長期的な持続可能性を意識したインセンティブ設計が重要だろう。特に、短期的な投資効果を勘案して、仲介機関の参加が自発的に促されるようなインセンティブ設計が重要となるのはないか。持続可能なCBDCエコシステムを構築するうえで、こうした視点に基づく議論を深めていくことが必要であり、銀行界の声を説明するような場を設けていただけるとありがたい。』
2点目はさておき、1点目は思いっきり「金融機関の信用創造」にかかわる部分になってますが、マイナス金利だのゼロ金利だのという時代には意外にスルーされ気味だったのでいい話だなあと思ったのでメモだけ。
ちなみに、
『(財務省)
預金とCBDCの共存に関して、信用創造機能への影響を小さくした上で、決済手段として両者をどのように調和させるかという点は、非常に重要な論点だと考えている。また、おっしゃる通りインセンティブ設計は重要で、仲介機関のコストを小さくしながら、CBDCを扱うことでメリットが享受できるような仕組みについて、銀行界の方々とも議論しながら検討を進めて参りたい。』
ということで財務省(と日銀)は当然ながら認識しているのでまあそれ自体は大丈夫だとは思っておりますけど。
ということで今朝はこの辺で勘弁
2026/03/13
お題「総裁の国会答弁にハトハトチキンが無いですねえ/短国入札ですな/シュナーベル講演鑑賞会(ファイナル)」
ヤケクソだなおい
https://jp.reuters.com/world/us/LIVPDNLSKJO33DKWIUKA2YHOJA-2026-03-12/
トランプ氏、原油高は米の利益 イラン核保有阻止が最優先事項
ロイター編集
2026年3月12日午後 11:03 GMT+9
このウソツキクソジジイの言う事を一々真に受けてはいけないのだが一々血圧が上がって大変に健康に宜しくないですな。
〇植田総裁国会答弁は今回も「利上げの姿勢」をちゃんと示すようにしていますね
特に相場の材料にはなっていなかったけどメモメモということで
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/PFD3XIHSSBJNZKZ3XC5P2BCTDQ-2026-03-12/
為替変動、過去に比べ物価に影響及ぼしやすくなっている=植田日銀総裁
竹本能文
2026年3月12日午前 11:35 GMT+9
『[東京 12日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は12日の衆院予算委員会で、過去に比べると為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があると指摘し、そうした動きが人々の予想インフレ?率の変化を通じて基調的な物価に影響する可能性があることに留意が必要だと述べた。階猛委員(中道)への答弁。』(上記URL先より、以下同様)
って本当はこういうのは国会会議録で確認した方が良いのですが会議録は直ぐに出てくるものではありませんので・・・・・・
『為替相場の動向は経済・物価動向に「実質的な影響を及ぼす重要な要因の一つ」との認識を示した。企業の賃金・価格設定行動が積極化する中で為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっていると分析し、基調的な物価に影響する可能性があることも念頭に置いた上で、「為替相場動向がわが国の経済・物価の見通しや、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めながら、適切に金融政策を運営してまいりたい」と語った。』
もとより「円安が物価高を加速させる可能性がある」っていうのは展望レポートその他でも説明している話なので、この答弁自体は順当と言ってしまえばそれまでなのですが、為替の影響について聞かれたときに単純に「物価が上がる」だけではなくて、「物価が上がったことの二次的波及効果」についてちゃんと説明をしているのが結構な話ですな。もっと欲を言えば「基調的物価」で説明しちゃうと何か分かったような分からんような煙巻きバズワードになってしまいますので、ちゃんと「物価上昇の二次的波及」というのをきっちりと言明した方が良いんじゃないのかねとは思いますが。
でまあこれ為替に対する質疑なのでこういう回答になるのですが、来週の決定会合での会見では絶対に「エネルギー価格上昇」について聞かれるのですけれども、この時にどういう回答をするのか、というのも中々面白くて、利上げ期待を大きく後退させないための工夫をするのかどうか(=経済に下押しで基調物価を下げる、というのを強く言ってしまうと利上げ期待は相当後退してしまうリスクがある)も注目したいな、というだけのお話ではあります。
ただまあ茲許の植田さんからの情報発信は小見出しに書いたように「利上げの姿勢」は崩していませんし、おそらくは「市場の利上げ期待の大幅な後退を回避したい」というのがベースにあるんじゃろうなあというのは感じますので、このままその線で行けるのか行けないのかというのは決定会合のお楽しみって感じでよろしいかと。
〇今日はまたまた3M短国ちゃんがございますが・・・・・
これもまあメモですけど売買参考統計値ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
しちめんどくさいので、じゃなくて木曜の引値って殆どの銘柄が水曜の引け変わらずだったので、手抜きで昨日の3Mカレント近辺の引値だけ確認しておきますが、
(3/12引値)
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.750
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.750
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.740←カレント3M
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.750←(6Mで発行された銘柄の成れの果て)
国庫短期証券1368 2026/06/15 平均値単利 0.750←今日入札の新発WI
ということで引値75bp辺りになっているのですが、ゆうてここ数回の入札ってWIよりも弱い所で入札が決着して、でもその後の引値は持ち直す、というお茶目な展開が続いておりますけれども、毎度申し上げておりますように、3Mの保有期間のうち4月会合までの期間(実質的には4/29まで)の期間がドンドン短くなってきますので、まあ本当はこんな感じのフラットなイールドカーブになるのも変な話ではあるのですが、入札はちゃっかり甘くはなるのでその辺全くの丸無視というわけではなさそうではあります。
とは言いましても、本当に4月利上げを完織り込みならもうちょっとレートがチャウヤロ(引値見ると〇月償還というようなカテゴリーでレートが値付けされるのがアレだがまあそれが短国なんでシャーナイナイ)とは思いますけど、無理やりインプリケーションを引っ張ってくるとしますと、先週金曜入札の3mが0.7667%/0.7756%でして、その前の週の金曜日、すなわちイラン戦争前の3mが0.7715%/0.7836%で、その前の3mが0.7573%/0.7781%となっていまして、月末のところでは「こりゃ4月利上げかね」みたいな感じでレートが順調に上昇したところ、土日でイラン戦争おっぱじまって先週金曜の入札では折角前週に織り込みに行ってた4月利上げの織り込みをやや剥がす感じになっていまして、引値が一応0.75%なので今日の入札では一段剥がしに来るのか来ないのか、というようなお話位が注目されますかねえ。
短国ちゃんって年末越えのところは入札日程が変則になって年末越え近くになると(年内の入札が早めに終わる(償還も当然同じように早めに予定されていますが)時と場合によっては年末越えの需給がおかしくなって、直近の年末越えがそうでしたけれども、年末越えの短国の需給ひっ迫で面白レートが形成される場合もあるのですが、3月の場合は期末とは言いましても、カレンダー自体が通常運転ですから今年の場合で言えば3/30発行まで普通に入札があるので、特に期末だから面白レートって感じでもないようには思えますな。
今回はそうなるような感じでは無いと思いますが(フラグではありません)早期利上げ観測が妙に盛り上がってしまって「価格変動が小さい国債」へのニーズがアホみたいに強くなってしまうと利上げが確実視される中で何故か会合跨ぎの筈の短国レートが低下、というような面白現象が発生することもあるので短国ムツカシネーというところではありますが、今回は落札レートが横ばいなのか低下なのか上昇なのか(本来は何もなくても上昇なんですけどまあ横ばい圏内なら利上げ期待の大きな変化なし、の解釈になるかと)楽しみに結果を見たいと思いますが、一般的には今日のお楽しみは10年CT落札結果の方ですかそうですか(^^)。
〇だんだんヒマネタシリーズ化していますがイラン戦争を受けた中銀対応の論点整理に絶好なのでシュナーベル講演の続き
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2026/html/ecb.sp260306_1~a4943607d7.en.html
Navigating inflation and employment in an era of supply shocks and AI
Speech by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at the 2026 US Monetary Policy Forum
New York, 6 March 2026
・イラン戦争を受けた金融政策運営へのインプリケーションと言う石直球は・・・・
昨日の続きで『Implications for monetary policy today』から参ります。
『What do these lessons imply for monetary policy today?』
思いっきり「today」って言ってるのが火の玉ストレート。
『Euro area inflation is projected to be at our 2% target over the medium term.』
へいへいそうだっか。
『In the near term, the recent spike in energy prices following the tensions in Iran makes the inflation path more uncertain.』
イラン戦争の物価への影響は不確実性が高いということで直球投げ込んできましたが、
『However, as long as deviations from our target - in either direction
- remain temporary and small with well-anchored inflation expectations,
they are of limited relevance for policy decisions, as they naturally occur
when an economy is exposed to volatile energy prices (Slide 8).』
「temporary and small with well-anchored inflation expectations」であれば、金融政策としてはネグリジアブルである、というお話をしておりまして、まあこれは普通に普通の説明ではあるのですが、これを日本の場合に当てはめてみますと、昨日散々ポエムを書いたように「well-anchored
inflation expectations」なのかというとそうではない訳ですが、それに加えましてあくまでもここでのポイントは「temporary
and small 」とあるように一時的かどうかというのが重要だという話になっていまして、日銀が以前説明していた「第一の力」「第二の力」ではないんだよなあというお話なんですよね。
『What matters for monetary policy is the medium-term outlook - that is,
whether underlying price dynamics and wage developments are consistent
with the target over the policy-relevant horizon. Judged on this basis,
the lessons from the pandemic suggest that policymakers must tread carefully.』
でもって中期的な見通しを踏まえて政策は「policymakers must tread carefully」と慎重な運営が求められるというのがパンデミックのご教訓、ってころでそれだけでは何の話ですねんということになるのでその次のコーナーになるんですけど、
・高インフレ再燃の可能性があると火の玉ストレート
小見出しの時点で出オチにも程があるのですが、
『Inflation could re-emerge with tight labour markets and strong domestic demand』
「労働市場がタイトで国内需要が強い中ではインフレーションが再度(好ましくない)上昇するかもしれません」頂きました。
『Although vacancy rates have declined from historical peaks, labour markets
across the euro area remain tight by most conventional metrics. Unemployment
is low by historical standards and is below estimates of the natural rate
of unemployment (Slide 9, left-hand side). Firms in many sectors continue
to report difficulties in filling positions (Slide 9, right-hand side).』
ユーロ圏の労働市場はタイトです、というのをデータで示してからの、
『This tightness directly feeds into wages.』
労働市場がタイトなのでお賃金に反映しますと、
『While negotiated wage growth is expected to moderate, overall compensation
per employee remains elevated relative to levels consistent with stable
inflation (Slide 10). Wage drift continues to add to total labour costs
in an environment where labour is becoming structurally scarcer owing to
rapid demographic ageing, moderating immigration and rising skill mismatches.』
組合交渉ベースの賃金の伸びはモデレートとなることが想定されているようですが、構造的に労働市場がタイト化してきているので、物価上昇対比で高い水準の賃金推移が続いているそうな、ウラヤマシカ。
『This constellation of factors poses upside risks to the future trajectory
of domestic inflation, particularly in labour-intensive services where
wages account for a large share of total costs and the pass-through tends
to be gradual but persistent.』
でもってそのような状況なのでユーロ圏内の物価にはアップサイドリスクがありますよ、特に労働集約タイプのサービス業では賃金上昇のパススルーが跳ねるでしょと言ってて、しかもここで味わいがあるのは「gradual
but persistent」とパススルーの持続性について言及しているところですね。
『At the same time, expansionary fiscal policy is increasingly underpinning
aggregate demand, pushing the economy towards its potential or even beyond
it (Slide 11, left-hand side).』
でもって更に拡張的な財政が需要を押し上げてしまうので・・・・・
『In the manufacturing sector, new orders and expectations for future output
have risen markedly and are now at their highest levels since the Russian
invasion of Ukraine four years ago (Slide 11, right-hand side).』
製造業セクターでは新規受注と今後の受注見込みの水準がウクライナ侵攻以来の高水準でっせ。
『In parallel, governments are actively responding to shifts in the global
trade and security order. New trade agreements are opening alternative
markets that should help offset part of the slowdown in trade with the
United States.』
でもってタリフマンの影響についても色々な対応を行っていて影響が限定的というような認識らしいですな。
『Efforts are also intensifying to better leverage the EU’s Single Market.
Governments are reducing internal barriers to further strengthen both domestic
demand and resilience.[14]』
ここはユーロ圏独自の市場統合の話なのでして、その先は(タリフマンの影響回避のために進めている)貿易ポートフォリオの見直しの影響の話なのでスルーします。引用だけしておきまして、
『Moreover, empirical evidence suggests that the ongoing adjustment in
global trade patterns is unlikely to have a material impact on the euro
area inflation outlook.』
『ECB staff analysis finds that the estimated impact of trade diversion
from China on the euro area is modest and statistically insignificant (Slide
12, left-hand side).[15] Even under extreme counterfactual scenarios in
which imports from China rise markedly and import prices fall noticeably,
the estimated impact on core inflation would remain small.[16]』
『The exchange rate does not materially alter this picture. Since last
summer, the euro has remained broadly stable in both nominal and real effective
terms, including against the Chinese renminbi (Slide 12, right-hand side).』
『Most of the appreciation observed in the first half of last year can
be interpreted as a sign of confidence in the euro and in Europe’s economic
potential at a time of elevated geopolitical uncertainty.』
為替の影響も今のところは大きな影響はないとのことですな、でもって結論項に参りますが、
『The upshot is that, with tight labour markets and strengthening domestic
demand, price pressures could re-emerge if demand outpaces supply. The
lessons from the pandemic suggest that, in this environment, central banks
should focus on anchoring expectations rather than trying to fine-tune
economic activity.』
最後はこのネタの紹介シリーズでネタにしました「Conclusion」にありましたことと同じ話をしておりまして(というかConclusionの方が順序後ですな)、
The lessons from the pandemic suggest that, in this environment, central
banks should focus on anchoring expectations rather than trying to fine-tune
economic activity.
ということで、経済活動のファインチューンよりもインフレ期待の不安定化を回避することを優先すべき、ということですので、これはすなわち「スタグフレーションっぽくなったとしても経済優先で緩和するのではなくて物価優先で引き締めをする」というインプリケーションになりますわな、ということですが、長年のグレートモデレーションムーブ(日本だとその上にゼロインフレモードがあった訳ですが)ですっかり緩和脳が身についてしまっている市場参加者も多い中ですが、本来の中央銀行の対応ってこうなりますよね、って話だし、何なら日本もデフレ経済からマイルドインフレ経済に転換したんだったら、シュナーベルの言うような政策運営ってのが視野に入ってくるじゃろ、とは思いました。
というポエムを連日垂れ流してお目汚し恐縮でございました。
2026/03/12
お題「目先のイラン戦争に振り回されますがまあシュナーベル講演でも鑑賞して一服一服(その3)」
ほうほう
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-11/TBQZPHT9NJLT00
イランが停戦の条件提示、再攻撃しないとの保証を米国に要求
・非公式接触は欧州および中東の国々が仲介している−当局者
・将来の侵略を防ぐための国際的な保証が必要−イラン大統領
Ben Bartenstein、Donato Paolo Mancini、Samy Adghirni
2026年3月12日 at 4:00 JST
更新日時:2026年3月12日 at 4:57 JST
『イランは特に、現在の戦争が終結した後にイスラエルが再び攻撃する可能性を懸念しているという。当局者らは機密性の高い情報であるため匿名で語った。米国がそのような保証をイランに与える意思があるかどうか、またイスラエルにも同様の保証をさせることができるかどうかは明らかになっていない。』(上記URL先より)
トラ公はまだ期待ができますがネタ公がそれを飲む可能性はゼロなんしょうねたぶん(絶望)
しかしまあ何ですな、
https://www.cnn.co.jp/usa/35244897.html
【分析】トランプ氏、イランで何が起こっているかさえ知らなかった?
2026.03.11 Wed posted at 18:12 JST
反トランプのCNNだからバイアスが盛大に掛かっている「分析」だとは思いますがさもありなんと思ってしまうのがwww
〇こういう時は日々の値動きに振らされるだけなので悠然とシュナーベルのNY講演鑑賞の続きでもwww
まあ中銀ウィーク前なのでというのもありますが・・・・・
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2026/html/ecb.sp260306_1~a4943607d7.en.html
Navigating inflation and employment in an era of supply shocks and AI
Speech by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at the 2026 US Monetary Policy Forum
New York, 6 March 2026
・供給制約下で高圧経済アプローチをするのは愚の骨頂というのが世界標準のポリシーミックスなんですよね〜
でもって次の小見出しが『Running the economy hot can fuel second-round effects』な訳ですが、ここで思い出すのは、置物一派って麿日銀の金融政策運営を極めて口汚く罵っていたのですが、その罵倒の中でよく言ってたのが「世界標準の金融政策をやっていない」だった訳ですな。
然るに、今回のシュナーベルさんの説明ってのは、パンデミックとその後の供給制約下(この供給制約にはサプライチェーンの毀損や外的要因(要は戦争)などによる価格ショックに加え、労働供給のタイト化も含まれますわな)におけるインフレの好ましくない大加速とその対応で大変だった、というご教訓を踏まえた主要国中銀のコンセンサスをわざわざNYに出張って説明しているわけでした、その説明の以下の部分にあるのは高圧経済アプローチというのが供給制約下において好ましくないアプローチであるって話になっている訳ですよ。つまりは「今の状況下で高圧経済アプローチをとるのは好ましくない結果を招く」というのが「世界標準の金融経済政策」になる訳ですな。
だというのに、世界標準の金融政策ガーとか言ってたリフレ連中がやれ高圧経済だやれMMTだ(これは浅田先生)とか異端にも程があることを堂々と抜かしているのはナンナンデスカネエ、と悪態をついて鑑賞に参りたいと思います。
『The second lesson is closely related: putting too much emphasis on employment
can make it more difficult to control inflation.』
雇用(要するに景気)に過度に注目してしまうとインフレーションのコントロールをより困難にする、頂きました。
『A key lesson from the pandemic is that when labour markets are tight,
supply shocks transmit more forcefully into prices and wages.』
労働市場がタイトな時には供給ショックが価格や賃金に伝播する力がそうでない時よりも強まる、というのが「A
key lesson from the pandemic」ということでして、これ日本に当てはめた場合、確かに日本の場合はパンデミック以前には構造要因的には既に供給不足の問題が生じていた可能性はあるのですが、その一方で労働市場がタイトで人員確保が困難だの給与をバンバン上げないとだのという話が必ずしもポピュラーではなかった訳ですが、さすがに現在に至るとその状況は欧米並みとまでは言えないかもですが、タイトな労働市場ってことになってきているようにお見受けされる訳ですな。
と考えますと、今回の賃金年次改定のムーブを受けてその辺りの認識に変化が生じますと、日銀ちゃんも従来のデフレ脳的な金融政策アプローチではない考えになるっていうのは不思議ではないというか寧ろ理屈に合う話になるかと存じますのですが、これは債券市場界隈の何とかスト方面なんかがそうなのですけれども、「足元のイラン戦争の影響で利上げが後に遅れる」の見解一色に見える訳でして、皆様におかれましてはシュナーベル講演をよく読んでいただきまして、「供給制約下の最適金融政策」が従来のデフレ均衡時の話とはちがうんじゃないの、という発想の転換をお願いしたいもんだ、とまあ斯様に思うところであります。
・・・・とまあてめえのポエムばっかり書いておりますが、そろそろ真面目にシュナーベルの説明を読まないといけませんので続きに参ります。
『Second-round effects play an important role in understanding this mechanism.』
二次的波及効果がこのインフレーションメカニズムを理解するのに重要な役割を果たします、ときまして、
『When unemployment is low and vacancies are high, workers have more bargaining
power to recover real wages after an inflation shock. At the same time,
firms are more likely to pass higher input costs into output prices to
protect their margins when demand is strong enough to tolerate price increases.』
まあこの二次的波及の話は一般的な説明ですが、価格ショックが実質賃金確保のための労働者の行動に繋がってそこからコストに波及して価格に波及する、という「賃金と物価の好循環」じゃないですかヤダーwww
『These processes can take place even when longer-term inflation expectations remain anchored.』
でですね、またポエムで恐縮ですが、ここも結構ワイはポイントだと思うのですけれども、中々そういう説明をしてくれる何とかストがいないのでちょっと読んでる人いたら誰か賛同してくれないかな(起源主張はしないからww)と思うのですけど、ここでシュナーベルは「(価格ショックを起点にした)賃金と物価のスパイラルは供給制約下においてはインフレ期待が安定してアンカーされた状態でも発生しうる」って言ってまして、まあ確かにそうだった(実際にはインフレ期待が上方シフトしていた可能性はもちろんあるけど観測不能なのでそこは措く)のですわな。
でもってですね、ジャパンの場合ってそもそもが長期期待インフレがゼロインフレ均衡(変態仮面ブラードが提唱した複数均衡論に乗っかって言えば、の話ですが)にアンカーされていた状態にあったものを、一旦その長期期待インフレを2%に引き上げてマイルドインフレ均衡に持って行こうとしているわけでして、当然ながらその間って言うのは長期インフレ期待を一旦不安定化させて好ましいインフレ期待の方に着地させようというプロセスなんですから、このインフレ期待がゼロインフレ均衡から離陸したばっかりのような時は大きな問題にならないかもしれませんが、2%均衡に向けて着陸させようとしたときに、「供給制約下の価格ショック」が起きて、しかもその間に金融経済政策が依然として追い風吹かしまくる政策やってたら着陸できなくてさらに上に上がっていくリスク、ってのはインフレ期待が不安定化している日本の方が寧ろヤバいんじゃないか、という話になると思うのですよ。
となりますと、今次局面で高圧経済アプローチ的発想を総理の経済ブレーン(笑)がするのはあいつら所詮は(笑)なのでまあしゃあないのですが、日銀もそれに乗ってしまうというのはよろしくない、ということになろうかと思うのですが、「そもそも今ってインフレ期待を不安定化させている状態だから」って話を意外に何とかストの皆さんがしてくれていないなあと思います。まあ確かにこの理屈(屁理屈という話もありますが)ってレポートに書くとただのポエムになってしまうのでレポートにならん、というのはあるとは思うのですが、ただまあ直近植田総裁が急に中の人が変わったのかという位の勢いで中の人のハトハトチキンを追い払って(`・ω・´)シャキーンと覚醒して来た背景には世界的標準のこの話を当てはめるにおいてインフレ期待に関する見方の変化もあるのかも知れないなとは思ったりもしました。
・・・・・すいません今朝はワイのポエムばっかりで。
『This is essentially what we observed during the pandemic inflation surge.』
でまあ本編に戻るとパンデミックの時のご教訓話になりまして、
『In 2021 and 2022, the wage drift - reflecting firm-level adjustments,
bonuses and labour market pressures beyond negotiated agreements - was
a dominant driver of growth in compensation per employee in the euro area
(Slide 5, left-hand side).』
『In a tight labour market, employers typically offer newly hired or incumbent
employees higher wages than those set out in prevailing collective agreements.[9]』
『At the same time, firms were quick to pass on rising input costs to consumers.
Many firms began to adjust prices far more frequently than they had done
previously, reflecting demand conditions that were sufficiently robust
to accommodate this pass-through (Slide 5, right-hand side).[10]』
『In that sense, running the economy hot may make second-round effects
more likely - and once these take hold, monetary policy would need to tighten
more aggressively to prevent a wage-price spiral, eroding earlier employment
benefits.』
価格ショックが賃金引き上げに繋がってそれがコストプッシュによる二次的効果を起こして賃金と物価のスパイラルを生みました、ってことで、「running
the economy hot may make second-round effects more likely」で「once these
take hold, monetary policy would need to tighten more aggressively to prevent
a wage-price spiral,」というお話をしておりますわな。
・そもそも供給制約下における拡張的な政策の効果はそうでないときに比較して効果が小さいとな
『Supply-side constraints make expansionary policy less effective』って小見出しに参ります。
『The third lesson is that expansionary policies become less effective
in stimulating employment once the economy is close to its potential.』
経済が均衡水準に近い状態の時にエクスパンショナリーな政策を実施するのは雇用の刺激に対してより少ない効果しか出しません、というお話をしております。まあジャパンの場合は均衡よりもマイナスです(=需給ギャップはマイナスです)で攻めてくるのでこの説明を持ち出しても刺さらないのが残念無念wwww
『In the years following the sovereign debt crisis, the euro area economy
operated below capacity. Unemployment was high, labour force participation
was depressed and large parts of the workforce were either underemployed
or discouraged.』
『In this environment, an accommodative monetary policy stance delivered
tangible gains. Existing slack was gradually reabsorbed, participation
increased and unemployment fell (Slide 6, left-hand side). Monetary policy
helped bring idle resources back into productive use.』
ギリシャショック(the sovereign debt crisis)の時代まで話を戻していますが、この時はユーロ圏の経済が需要不足状態(当時は「slack」ってのが良く言われていまして、FEDやECBがスラックを説明に使う中で、BOEは「スペアーキャパシティーオブエコノミー」って一々独自用語を使うのがチャーミングでした、どうでもいいですけどwww)状態にあったので、需要創出策が効果を発揮しましたよ、という所から話を起こしておりまして、
『But once slack was absorbed, policy began to run into diminishing marginal
returns.[11] Matching frictions became more and more important, slowing
the pace at which unemployment could fall and driving up the vacancy-to-unemployment
ratio (Slide 6, right-hand side).』
『In such an environment, additional demand stimulus cannot sustainably
increase employment. In fact, a large part of the improvement in euro area
labour markets observed in recent years reflected supply-side responses
rather than demand stimulus.[12]』
スラックが解消された後は刺激策の効果がマージナルになって来まして、「a large
part of the improvement in euro area labour markets observed in recent
years reflected supply-side responses rather than demand stimulus」ってことで、最近数年の雇用の改善は需要創出策によるものというよりは供給サイドの事情によるもの、との指摘が行われているのがチャーミングです。
『In particular, rising participation and a significant influx of foreign
workers helped expand the labour force and alleviate shortages. Foreign-born
workers accounted for around half of labour force growth in recent years,
helping firms meet demand and significantly contributing to GDP growth
(Slide 7).』
『In that sense, over the past 15 years, the euro area economy has transitioned
from a primarily demand-constrained regime to one in which supply constraints
have become more prevalent.』
『And in a supply-constrained environment, expansionary demand policies
become a less effective tool for increasing employment or growth.[13]』
ユーロ圏での労働供給制約に対応した動きは「労働参加率上昇」と「外国人労働者の流入」だったというお話をしておりますな。でもってまたしつこく「And
in a supply-constrained environment, expansionary demand policies become
a less effective tool for increasing employment or growth.」で締めています。
以下、『Implications for monetary policy today』、『Inflation could re-emerge
with tight labour markets and strong domestic demand』ってのがあって、その後『Higher
productivity driven by AI may ease monetary policy stance endogenously』と続いて初手でネタにしましたイイハナシダナーの『Conclusion』になりますが今朝はこの辺で勘弁していただきとう存じます。
まあアレです、経済が大幅にビローポテンシャルで経済には大きなスラックが存在する、っていうんだったら高圧経済アプローチが有効な局面とは言えそうには思うのですが、ジャパンってどっからどう見たってそんな経済じゃないでしょ、と思うんですけどねえ・・・・・・・・・
2026/03/11
お題「中央公聴会に国民民主が呼んだ人がオバゼキとな/シュナーベルのNYでの講演が中々良いので鑑賞の続き」
あれから15年も経ったのか・・・・・
〇国民民主っていつの間に高圧経済推しじゃなくなっているの???
こんなのがあったんですけどね
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA102X00Q6A310C2000000/
首相の経済政策 小幡績氏「気合だけ」、高橋洋一氏「外為でウハウハ」
政治
2026年3月10日 17:00
『衆院予算委員会は10日、2026年度予算案の採決の前提となる中央公聴会を開いた。高市早苗政権の経済政策を巡り、有識者から賛否の声があがった。』(上記URL先より、以下同様)
というのがあったようなのですが、
『嘉悦大の高橋洋一教授(日本維新の会推薦)は「通貨安は悪くない。国内総生産(GDP)が上がるから税収も増える」と説明した。』
オエー(アスキーアート略)
『「日本は外為特会(外国為替資金特別会計)も持っているのでウハウハだ。ホクホクとは言わないが、ウハウハと年中言っている」と話した。高市首相は衆院選の応援演説で外為特会の運用の状況を「ホクホク状態だ」と表現していた。』
維新とヨーイチの悪魔合体キタコレという所で頭がクラクラしますが、とりあえず「円安でウハウハ」だそうで、ヨーイチ大先生「ホクホクとは言わないがウハウハ」って「ホクホク」よりも威勢がいいじゃないですかさすがです大先生って話だし、この調子だと総理の経済ブレーン(笑)方面からは高圧経済円安音頭しか出てこないわな、というのは把握しました。
でもって今回のネタの本命いは記事中の最初に出てくる国民民主推薦の有識者発言でして、
『国民民主党が推薦した慶大の小幡績教授は政権の「責任ある積極財政」への評価を問われ「気合を示したものだけなので、評価していいかわからない」と述べた。』
『円安やインフレが進行すると国債の価格が下がり、買い手がいなくなる可能性があると主張した。「通貨安は国益に最も反する。これは世界共通だと思う」と語った。』
オバゼキってのもリフレ派の逆方向で言ってることがアレのお方という評価をワイはしておりますので(あくまでも個人的感想ですので念のため申し添えます)、まあワイに言わせますと一種の「無〇(一文字伏字)な味方」ということで警戒対象物件ではありますわな。今回だって日経が要約しているとは言いましても「国債の価格が下がり、買い手がいなくなる」ってお前は何を言ってるんだという話で、価格と言うのは経済合理性のある水準に下がれば買いが入る訳で、価格が下がるから買い手がいなくなるとか意味不明にも程がある説明でオバゼキはオバゼキだわって話なんですが、「責任ある積極財政」が「気合を示したものだけ」という解説は良く説明できてるなと思いました。
というオバゼキ評価はさておきまして(というか国権の最高機関に出てくる「有識者」がオバゼキにヨーイチって何だよそれというのは大いにあるのだが)、この部分の最大の注目点は「あの高圧経済万歳の玉木大先生の国民民主がオバゼキを呼んできた」って事であります。どっからどうみてもオバゼキの主張と高圧経済って相反する話な訳でして、いつの間に国民民主は宗旨替えをしたのか、単に良くわかっていなくてとりあえず経済政策批判やってるのを探したらオバゼキが釣れたのかは分からないのですが、減税高圧経済推しじゃなかったのかよというのがビックリしたのでメモっておこうかと思います。
〇シュナーベルのNYでの講演は現状の「世界標準の金融政策(に近そうなもの)」を良く説明していますのでオヌヌメです
てな訳で昨日の続きですが。
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2026/html/ecb.sp260306_1~a4943607d7.en.html
Navigating inflation and employment in an era of supply shocks and AI
Speech by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at the 2026 US Monetary Policy Forum
New York, 6 March 2026
・デュアルマンデートもシングルマンデートも実はそんなに変わらんよというお話をしておりまして・・・・・
これ細かく読んでいくとかなり面白いのですが、細かく読んでいるとかなり大部になってしまうので、最初の部分の1970年代の話とかを一旦すっ飛ばしまして、『Single
and dual mandates often lead to similar policies』の小見出し部分から先を鑑賞してみましょうです。
でもってこの部分も途中から参りますが、
『The dual mandate only truly “bites” when stabilising inflation requires
accepting weaker employment outcomes. But even if such a trade-off arises,
both mandates often lead to similar policies.』
デュアルマンデートが問題になるのはインフレ抑制のために雇用を犠牲(経済を下押し)させないといけない場合になりますが、でも実はその時も物価だけのシングルマンデートと似たような政策になります、ってな話をしていまして、
『The pandemic provides a recent illustration.』
パンデミック対応が然りということで、
『When inflation surged, central banks around the world - whether operating
under a single mandate or pursuing explicit employment objectives - responded
with comparable vigour, even if doing so meant tolerating higher unemployment
(Slide 3).』
インフレが上振れたあとは多少の経済の下押しを厭わずに欧米中銀は引き締めを実施しました。
・その心は「インフレ期待の高騰と物価高の二次的波及を抑えるためにはやることは同じ」だそうで
『The reason is straightforward: once the combination of excess savings,
rising energy prices and disrupted global supply chains began to feed into
inflation expectations and second-round effects, restoring price stability
to limit the broader economic fallout became the overriding task.』
何故かと言いますと、過剰貯蓄、エネルギー価格の上昇、グローバルなサプライチェーンの毀損のなかでインフレ期待と二次的波及が発生した時に、経済への広いよろしくない結果を限定的にさせるためには、物価安定を維持ことが重要なタスクになるからです。
『As a result, the scope for divergence was limited. Monetary policy had
to ensure that supply-side shocks did not translate into persistently higher
inflation.』
その結果供給ショックが持続的な高インフレになることを限定的にすることが出来ました、という話をしておりまして、結論部分を昨日はネタにしましたが、そこでも言っていましたように、もはや「供給要因だから金融政策の対応が不要である」というのはカビの生えた概念であって、物価上昇要因が需要要因供給要因のいずれであるかにも関わらず、注目すべきは「インフレ期待のデアンカリング」と「物価高の二次的波及の有無」ということになっているかと思われますので、どこぞの日銀は「好循環」とか言ってる(最近あんまり言わなくなったけど)けどこれ一種の二次的波及でして、ただまあ日本の場合はそもそもインフレ期待を「引き上げた後安定」させないといけないし、初手の段階での問題は「二次的波及が起きないこと」だったのでまあ好循環が必要云々は言いたいことは分かるのですが、ただこれも行き過ぎて循環の行きすぎになると欧米と同じ話になりゃしませんかという懸念があるでしょうし、最近になって植田総裁が急に覚醒しているのも背景にそのようなリスクを認識しているから、って事なんじゃないかと思いましたがどうでしょうかねえ。
と話がすっかりそれましたがその続きに参ります。
・とは言いましても物価安定のための政策運営はフォワードルッキングに実施するという中和部分があります
『The same logic also works in reverse.』
逆もまた然りということですが何の話かと言いますと、
『In the euro area, once the disinflation process was firmly under way
and medium-term inflation expectations remained anchored, the ECB began
to remove policy restriction, even though domestic inflation was still
elevated.』
インフレ期待が上振れしていないという状況の中で、物価上昇の鈍化の傾向が進んできた段階で、アクチュアルのインフレがまだマンデート対比高水準にある中でもECBは金融引き締めの縮小を開始しました、という話をしておりまして、
『This decision reflected a forward-looking assessment: maintaining an
overly restrictive stance for too long would have risked imposing unnecessary
economic costs in terms of weaker growth and higher unemployment.』
フォワードルッキングに考えた場合、アクチュアルの物価を過度に重視して過剰に景気を抑制して雇用を過度に犠牲にすることは、経済全体に無用のコストをかけることになる、という話もしておりますので、まあ一応FEDが今後の物価上昇鎮静化をフォワードルッキングに見通した場合に引き締め度合いの縮小を行う、って事に対しては別に悪い事だという話をしているわけではないのですな、というのを一応引用しておかないと引用が偏りますので引用してみました。
でもって、パンデミックの経験が、という話ですが
『The experience during the pandemic thus illustrates an important point:
a central bank with a single mandate is not indifferent to employment outcomes.
It recognises that price stability must be secured in a manner that minimises
avoidable volatility in output and labour markets.』
フォワードルッキングに政策をやっていけば結局のところシングルマンデートであろうとも雇用に関心を持たないということはない、って話をしていまして、雇用ってすなわち経済なんだからそりゃまあそうなるでyそうという話ではあるのですが、ここでも味わいがあるのが、後段の「It
recognises that price stability must be secured in a manner that minimises
avoidable volatility in output and labour markets.」でして、つまりこれって「高圧経済」アプローチは好ましいものではない、ってのを言外に示している話でもありますなと思いました。
でもってこれはECBが普段言っていることと同じ話になるんですけどね、という宣伝(?)に繋がりますが、
『This is closely mirrored in the ECB’s mandate: price stability is the
primary objective, while support for employment is conditional on it -
that is, “without prejudice to the objective of price stability”.[3]』
物価対策が一番重要ですが物価安定に反しない限りは雇用支援をしていく、という話をしております。でもって米国の話になるのですが、
・「インフレが持続的に上振れている場合には金融政策による雇用支援の余地は狭くなる」
『For a central bank with a dual mandate, monetary policy is better understood
as a balancing exercise rather than a lexicographic ordering.[4] Still,
inflation imposes a constraint: employment can be supported only insofar
as inflation remains consistent with price stability; once inflation deviates
sustainably, the scope for employment support narrows sharply.』
デュアルマンデートは「バランシングエクササイズ」なので「雇用と物価の両者のバランスをとる」という考えで整理するのがよろしいんじゃないかという話をしておりますが、それに続きまして「Still,
inflation imposes a constraint: employment can be supported only insofar
as inflation remains consistent with price stability; once inflation deviates
sustainably, the scope for employment support narrows sharply.」ってありまして、やっぱり「インフレ上振れの時は物価安定の方が優先されます」ってお話をしておりましてですね・・・・
・結局はどこの中銀も「物価安定を一義的に考える」はずですよと
『In practice, many central banks therefore operate in remarkably similar
ways, regardless of the formal structure of their mandates. The broad consensus,
built over decades, is that without price stability, maximum employment
cannot be sustained.』
ということで、実際問題としては「物価安定無くして雇用安定はできない」というコンセンサスの下、物価安定を一義的に考えてフォワードルッキングに行動したら結局どこの中銀も、法的なマンデートの違いがあったとしても、似たような政策運営になるんですな、という説明をしておりまして、
『The real distinction between mandates may therefore lie less in day-to-day
policy decisions and more in communication, accountability and the political
economy of central banking.』
なのでマンデートの違いがもたらすものは、政策決定行動ではなくて、コミュニケーションにおける説明方法の違いに帰着するでしょう、というお話になっております。
・パンデミックのご教訓として・・・・・・・・
次の小見出しの『Pandemic revealed limits of supporting employment』は短いのですけど、
『This brings me to the second question: if the institutional framework
of inflation targeting and central bank independence emerged because attempts
to foster employment proved destabilising, then why would one think that
asking central banks to pay more attention to employment today would lead
to better outcomes?』
『The pandemic offers three lessons suggesting this confidence may be misplaced.』
雇用支援の行動をしたことによって物価が不安定化(上振れ)したとするのであれば、雇用にもっと注意を払うべきという考え方は良い結果につながるのでしょうか、ってことでパンデミックのご教訓という話になりまして次の小見出しに進むのでして、
・供給ショックが頻発する界隈では金融政策運営が一段とチャレンジングになるというお話に繋がります
『More frequent supply shocks make monetary policy more challenging』という小見出しになるのですが、
『The first is that monetary policy becomes more of an art than a science
when supply shocks become more prevalent.[5]』
いきなりオモロイ説明になるのですが、「第一に」で出てくるのが「供給ショックがより頻発する時には、金融政策はサイエンスというよりもアートになる」という説明でして、テイラールール的なアプローチによるシステマティックな金融政策アプローチをしている場合じゃないよって話を初手でぶっこんでいるのがチャーミング。
でもってその背景説明も中々良い内容でしてですね、
『In the years before the pandemic, policymakers increasingly came to believe
that the Phillips curve was flat, as inflation proved remarkably unresponsive
to tightening labour markets (Slide 4).[6]』
これ本当はスライド見ながら読んだ方が良いと思うののですがそこはまあECBのサイトの方で当たって頂くとしまして、パンデミック前の数年間から話を起こしております。
でもって何の話をしているかというと、パンデミック前ってフィリップスカーブがフラット、すなわち労働市場の引き締まりに対しても物価がそんなに上がらん、という状況であるという状態だったため・・・・・
『This experience helped explain why major central banks, including the
ECB, entered the pandemic with policy settings that were historically accommodative,
designed to tighten labour markets, strengthen wage growth and ultimately
lift inflation back to target on a sustained basis.』
でまあそういう状況なので、「物価が安定しているなら雇用促進のサポートの為に金融政策は緩和的にしておけば皆さんウハウハよ」ということでECBを含む主要国の中央銀行が金融政策を緩和的な状態で維持するという行動に繋がったんですけれども、
『This growing conviction, however, fostered a misconception: namely that
inflation could not re-emerge rapidly under certain conditions.』
そういう自信ニキで金融緩和状況を継続しておりましたが実は諸葛孔明の罠だったというお話で、ある状態になった場合にインフレが盛大に上昇する、ということを見落としておりました、って話でその状態が供給制約ってことになる訳ですな。
『In reality, the slope of the Phillips curve only tells us how inflation
responds to changes in slack, holding other shocks constant. But a very
flat curve does not imply immunity from inflation.
That is what we saw during the pandemic.』
フィリップスカーブは他のショック要因が無ければ状況が変わらんということを示しているだけで、ショックがあった時にフィリップスカーブがそのままである保証はなんもない、というのを私らはパンデミックの中で見たわけです、というお話をしております。
『While strong demand played a role, the inflation episode was not simply
a movement along a stable Phillips curve. Instead, we saw a steepening
of the curve and large upward shifts, driven by supply bottlenecks, energy
shocks and changes in price-setting behaviour and inflation expectations.[7]』
今次局面において、インフレの上昇は需要の強さによる面はあるのですが、単にそれだけではなくて、フィリップスカーブで説明できる以上の動きが起きて物価が上振れた訳でして、その中で私たちがみたのは供給制約やエネルギー価格ショックや、価格設定行動の変化やインフレ期待の上昇によるフィリップスカーブのスティープ化と上方シフトです、との説明をしておりまして、
・事前に予定されていた講演だと思うのですがイラン戦争をさっそく組み入れた説明をしているのがさすがです
『Looking ahead, the global economy is likely to be exposed more frequently
to such supply-side disturbances - from energy price spikes and trade fragmentation
to climate-related shocks. The recent escalation of the conflict in Iran,
which has heavily affected energy markets and shipping routes, serves as
a stark reminder of this vulnerability.』
今後の世界経済においてもエネルギー価格の上昇とか供給サイドの不安定化とか気候要因による関連ショックが起きやすいでしょう、という話をしておりまして、早速今回の講演でイラン戦争を例に挙げているのがさすがのプレイです。
『As a result, managing inflation - regardless of whether central banks
have single or dual mandates - is not about fine-tuning unemployment along
a stable Phillips curve; it is about credibly committing to the inflation
target.』
結果として中銀がインフレをマネージするためには安定したフィリップスカーブの下でのファインチューニングではなくて、「インフレ―ションターゲットへのクレディブリーなコミット」が必要になりましたよと。
・インフレをマネージするフレームワークとして「オーバーシュート容認」は過去の話ですよと
『In today’s more volatile world, policy cannot rely on established empirical
relationships. It must operate under uncertainty about the type, size,
persistence and transmission of shocks. Judgement then becomes as important
as models, and credibility becomes the central policy asset.』
でまあさっきの「アート」の話が回収されるのですが、「Judgement then becomes
as important as models, and credibility becomes the central policy asset.」ということで、従来の経済から観測された経験的な法則が必ずしも信用できない状態になっているので、色々なショックの状況を見ながら判断していくというのがモデルを回して見て行くことと同様に重要になりますよ(モデルより重要とは言ってないので念のため申し添えます)という話をしておるわけですな。
となりますとこれまた話が脱線しますが、日銀の言う例えば中立金利って話も、あれ単に昔のデータから引っ張って来ているのがそもそもディスインフレ期を引っ張っているから初手の時点で過小評価だというツッコミが有るのですが、シュナーベルの指摘を踏まえればやっぱり過去のモデルから計算するだけじゃダメじゃん(つまり中立金利の下限が1%とか言ってる場合じゃないって事ね笑)と思いました。
まあそれは兎も角として、
『In response to these insights, major central banks have adjusted their policy frameworks.
The Federal Reserve has moved away from its flexible average inflation
targeting approach, which had emphasised making up for past shortfalls
by allowing inflation to run above target for some time. In the same vein,
the ECB in its latest strategy statement no longer highlights a willingness
to allow inflation to overshoot.[8]』
これらの考えを受けて主要中銀のフレームワークも修正が加えられたという話をしておりまして、もちろんここに日銀は入ってこないのですが笑、FEDがアベレージインフレーションターゲッティングの考えてメイクアップストラテジーとか言ってたのを引っ込めましたし、ECBもインフレ率が目標を上回って推移すすることを容認するというのを最早ハイライトしなくなりましたよ、という話をしている訳でして、まあどこぞの中央銀行がドヤ顔で「メイクアップストラテジーはワシが育てた」とか言ってたのが黒歴史になってしまいましたので、滅多なことでドヤ顔をするもんじゃないなというのが分かると思います笑。
という事で次が『Running the economy hot can fuel second-round effects』という高圧経済論者涙目の話になるのですが、時間の都合上今朝はここまでで勘弁してつかあさい。
2026/03/10
お題「市場が馬鹿動きするので記念備忘メモ/トラ公TACOってるのかどうなのか・・・・/シュナーベルが「供給制約下の金融政策」話でパウちゃんにエール(その1)」
中の人の設定年齢考えたら当たり前なのですが、東京大空襲から81年も経っているのか・・・・(中の人は81歳設定ではありませんw)
〇なんかまあ派手にスティープニングしたので記念備忘メモ
https://jp.reuters.com/markets/japan/2YR4SPK3TJIJHIC4ZRHFOM64MM-2026-03-09/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、原油高でインフレ懸念 長期金利一時3週ぶり高水準
ロイター編集
2026年3月9日午後 3:17 GMT+9
『[東京 9日 ロイター] - <15:10> 国債先物は反落、原油高でインフレ懸念 長期金利一時3週ぶり高水準
国債先物中心限月3月限は、前営業日比15銭安の132円32銭と反落して取引を終えた。中東情勢の緊迫が長期化するとの観測を背景に原油価格が急騰、インフレ懸念が強まったことが相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0ベーシスポイント(bp)上昇の2.180%。一時、3週ぶり高水準となる2.225%をつける場面も?あった。』(上記URL先より、以下同様)
日経平均は一時4000円超の下げでしたわなあ・・・・・・
『日本時間の早朝にイランがハメネイ師の後継に次男のモジタバ師を選出したと伝わったことで、米国・イスラエルとイランの戦闘の長期化が?意識されて原油先物が110ドル台に急騰。さらに米10年金利も3週ぶりに4.2%台まで上昇し、きょうの国債先物は、朝から売り優勢の軟調な相場展開が続いた。』
ってなもんで、昨日は原油価格連動みたいな相場をやっておられたような気もしますがw
『ただ午後2時過ぎには、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が主要7カ国(G7)の財務相が緊急石油備蓄の共同放出について協議すると報じ、原油価格や米金利の上昇に一服感が生まれたことから、円債先物も取引終盤にかけて下げ幅を縮小していった。』
『現物市場では10年物以外の新発債利回りもおおむね上昇。2年債は前営業日比0.5bp低下の1.235%、5年債は同0.5bp上昇の1.620%、20年債は同5.5bp上昇の3.055%、30年債は同7.0bp上昇の3.455%、40年債は同6.5bp上昇の3.660%。』
一時はもっと飛んでもないスティープニングをしておりましたのでだいぶ戻ってはいまして、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 1.234 1.24 -0.005 15:04
5年 1.613 1.624 0.006 15:05
10年 2.178 2.185 0.021 15:00
20年 3.046 3.056 0.056 15:05
30年 3.453 3.464 0.074 15:07
40年 3.649 3.663 0.063 15:08』
ということで「スタグフレーション懸念があるということになって利上げが遅れてスティープニング」という図になっておるという感じですが、まあ早速来ましたと言えばそれまでですが、
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1538cac8bbe5c6d7ddeddd036efc65defcdea55
高市総理「遅すぎることなく対策打つ」 原油価格高騰でガソリン・軽油、電気・ガスなど経済対策検討
3/9(月) 14:54配信
『中東情勢の緊迫化を受け、原油の高騰が懸念される中、高市総理はガソリンや軽油、電気・ガス料金の対策について「先週前半から検討に入っている。遅過ぎることなく対策を打つ」と話しました。』(上記URL先より)
でもって財源はどうも予備費の方から捻出するようですが、またまた財政が出てくる話になるのは見え見えという展開でして、消費減税やってる場合かよという気はだいぶするのですが、規模によってはまたどこかからへそくりを調達しないといけないとかそういう話になり兼ねませんし、財政の方も懸念される、っていう成分が今回のこのスティープニングにどのくらい効いているのかはよくわからんところではありますが、改めて財政の話も出てくるでしょうなあと。
ということで、なんか大丈夫かよという感じですが、今朝になってみたらトラ公がTACOりでもしたのかまた別件ニュースになっていまして・・・・・・・
〇トラ公がなんか言ってるようですがTACOなのか気休めなのか
クソワロタ
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-09/TBNCMBT9NJLW00
対イラン戦争「ほぼ完了」、トランプ氏早期終結示唆−原油90ドル割れ
Bryan Pietsch
2026年3月10日 at 4:27 JST
更新日時:2026年3月10日 at 4:54 JST
『トランプ米大統領はイランでの戦争は「ほぼ完了している」と、CBSに対して述べた。CBS記者がトランプ氏への電話インタビュー内容をXに投稿した。トランプ氏は、イランには「海軍がなく通信手段もなく、空軍もない」と述べたという。トランプ氏はまた、自身が当初想定していた4−5週間というイランへの攻撃期間について、「はるかに」前倒しで進んでいるとの認識を示したとしている。』(上記URL先より)
でもってこれである
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-09/TBN6COKJH6VD00
対イラン戦争、トランプ氏「ほぼ完了」−原油価格は80ドル台に下落
・ホルムズ海峡は事実上の閉鎖状態続く、安全確保策は未定
・G7は必要に応じ備蓄放出の用意、現時点では実施に至らず
Kate Sullivan
2026年3月10日 at 3:30 JST
更新日時:2026年3月10日 at 5:05 JST
『原油価格は9日に一時1バレル=118ドルを超えたが、主要7カ国(G7)が戦略石油備蓄の協調放出など必要な対策を講じる姿勢を示すと上げ幅を縮小し、トランプ氏の発言が伝わる前は95ドル付近で推移していた。ただ海上輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上の閉鎖状態が続いており、通過する船舶の安全確保について各国の最終的な計画はまとまっていない。』(上記URL先より、以下同様)
ってなもんでして、
『CBSとの電話インタビュー発言が報じられる前、トランプ氏は米紙ニューヨーク・ポストとのインタビューでは、「私にはあらゆる事態に対応する計画がある」と原油価格の上昇について言及し、「きっと満足してもらえるだろう」と述べていた。』
『11月の中間選挙を前に、同氏は根強いインフレを巡る国内の懸念に直面している。戦争が収まる気配を見せない中、ガソリン価格上昇への対処も迫られている。8日には100ドルの原油価格について「支払う代償としてはごく小さいものだ」とし、イランの核の脅威が排除されればコストは急速に下がるだろうとの見方を示していた。』
一方で最高指導者の後任決定には思いっきり文句垂れてたし、このジジイが言ってることがそもそも一貫していないので、これも世界株安金利上昇を見てTACOったのかよとは思ってしまうのですが(個人の偏見です)タリフマンの「ディール」と違って人がたくさん死んでんねんで、という話でして、これトラ公がTACOってディールに持ち込もうとしたってヘイコラとディールになるのかよっていうのは甚だ疑問にしか思えないんですけどねえ・・・・・・
と思ってイブニングを見たら
https://port.jpx.co.jp/jpxhp/main/index.aspx?F=future&disptype=day_through
先物価格情報
取引終わるの朝の6時(こちらは出てくるのが基本的に20分遅れます)なので終わる前の状態で見ていますが日経先物で4桁円上げているのですがうーむナンジャソラという感じではございますが、まあ何せこればっかりはシナリオもへったくれも無いので変化する状況に反応するしかないのと、そうは言ってもトラ公に関しては一貫したまともな動きをしないのはタリフマン以来ずっと変わらないのですから、本件の材料に目先で一々反応すると死ぬだけのようには見えますな、とは思いますがはてさてどうなるのやら・・・・・
てな訳で、とりあえず本件当面はドタバタと振り回され放題になりそうだし、しかもトラ公の言動に戦略性があるのかも疑わしい(芝居でやってるなら救いが無くはないがどう見てもこいつの場合は素だろw)ので、まあコマッタモンダという話ですが、ジャパンに関しては来週利上げはさすがに無いにしても4月利上げ自体は本来はあって然るべきだとは思いますが、どうせドンパチやっている中では何もしないというか、何かしたら国会議事堂方面がキーキー馬鹿騒ぎをおっぱじめるだけでしょうなあとしか思えないのが悲しい所ではあります。
まあ実は黒田日銀のQQE2って他の理由もありましたが、一つの理由として「原油価格下落によるインフレ期待の低下懸念」みたいなのを挙げていたという事案が過去にあったんですから、原油価格上昇によるインフレ期待の(望ましくない)上振れ懸念で利上げするのだって別におかしい話ではないし、まあ今のところ2%が完全に達成していないという定義になっているから引き締めは無いにせよ、緩和の修正だったら別にできるんじゃねーの、とは思いますがまあ絶対そんな理屈で緩和修正しないと思いますけどね(ニッコリ)。
なお、最近氷見野さんが物価目標達成度合いについて「基調的物価はほぼ2%だがまだ達していない」という説明をしていましたが、実際問題として「現状が既に2%目標達成状態」なのであれば、原油高はインフレ期待のアンカリングを不安定化させるリスクがあるので引き締め的な利上げをしないといけない、という理屈に繋がりますし、大体からして前回の高インフレ局面で欧米中銀は利上げが遅れたからエライことになった訳なので、今の時点で基調的物価が2%に達していることにしてしまうと寧ろ利上げを加速させないとマズイという話になってしまいますので、一旦は「基調的物価は2%に達していない」ということにしておかないといけない訳ですな。ただし先般の植田総裁の国会答弁のように、だからといって利上げを渋っていると欧米の二の舞になって内閣が幾つ飛んでも足りない状態になり兼ねませんのでインフレ期待の上振れを言っている(どうせ上記のように物価対策名目で財政が追加で出そうだし)ということで、まあ今時点での情報発信としては今の日銀は珍しくもチキンさんになっていなくて正論パンチを繰り出していると評価できるかと思います。
ということなので4月利上げない、で決め打ちしてしまうのも早計な気がします(3月はさすがに無しの決め打ちでよいと思いますが笑)。
〇供給ショックのもとにおける金融政策というネタでシュナーベルさんが講演していた件について
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2026/html/ecb.sp260306_1~a4943607d7.en.html
Navigating inflation and employment in an era of supply shocks and AI
Speech by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at the 2026 US Monetary Policy Forum
New York, 6 March 2026
そこそこ長いので一気に全部ネタにするという訳にも行かないのですが、こちら小見出しを拝読しますと、
From stagflation to central bank independence
というのはボルカーショックの時代とかの話で、あの時代も供給ショックからのスタグフレーションを「マネタリーベースコントロール」という美名の下で実際にやっているのは大引き締め、というボルカー議長の荒療治とかがあって、でまあその後インフレターゲットみたいな政策になってきましたよみたいな話になりますわな(って雑に斜めよみしただけなのでアレですが)。
でもって
Single and dual mandates often lead to similar policies
Pandemic revealed limits of supporting employment
ってのが(NYでやってるフォーラムでの講演だけに)米国金融政策のデュアルマンデートとの関連での話をしているようにざっくりと読むとそういう話をしていまして、そこからお題の話になってくるようで、
More frequent supply shocks make monetary policy more challenging
ってことで話はパンデミック対応の金融政策運営のお話になるのですが、その次の小見出しが
Running the economy hot can fuel second-round effects
っていうとで、パンデミック対応の金融政策運営においていわゆる高圧経済アプローチと言うかメイクアップストラテジー的な対応というか、まあそういうのをやったら(ノ∀`)アチャーという結果になったというお話をしておられる訳ですな。しかも使っている動詞が「fuel」ということでカチカチ山がボーボー鳥になってしまうというニュアンスが含まれる筈(ですよね?)の動詞をお使いになっている所に強めのメッセージがある訳ですな、うんうん。
でもってさらに
Supply-side constraints make expansionary policy less effective
「供給制約は拡張的な政策の効果をそぎます」
とかぶっこんだあとに、
Implications for monetary policy today
ということでインプリケーションについての話をしていますが、
Inflation could re-emerge with tight labour markets and strong domestic demand
Higher productivity driven by AI may ease monetary policy stance endogenously
「タイトな労働市場の環境下において強い需要があればインフレが再加速する可能性がある」「AIによる生産性の上昇によって金融政策スタンスが(何もしなくても勝手に、という意味で)内生的に緩和的にしてしまう」
ということで現在の欧米の話をしている訳ですが、思いっきり「利下げしてる場合なんでしょうかねえ」ってお話をしているのがチャーミングであります。
ただまあECBの場合は既に現在の政策金利水準が中立水準であり、政策スタンスも中立的であるというような定義で政策運営を行っているから、この調子で事態が進展すると利上げの可能性が、って話に簡単になっていくのですが、ゆうて米国の場合は現状が依然として引き締め的ということになっているので、直ぐに利上げまで話が飛ぶかは別(まあ地区連銀総裁辺りからは利上げ話が出てくるんですけど)ということになろうかとは思います。
でもってですな、これ別にシュナーベルにしましてもNYのシンポジウムの皆様にしてもそんなのはシランガナという話ではあると思いますが、これをジャパニーズケースに当てはめてみますとそれなりにアレな話になる訳でして、未だに高圧経済音頭を踊っておられる現政権周りにおかれましては、
Running the economy hot can fuel second-round effects
とかいうのがインドラの矢の如く突き刺さって下さる筈なんですが、まあどうせあの経済ブレーン(笑)には馬の耳に念仏だったりしますし、何ならそう喩えるのすら馬に失礼という世界だったりしたりしなかったりしますな、うんうん。
でもってとりあえず途中を全部飛ばして一旦最後の小見出しの
Conclusion
に参りますが(途中は他に大ネタが飛んでこなければ明日以降ちょっとネタにしようかと)、
『All in all, and with this I would like to conclude, the ECB’s price
stability mandate is well-equipped and robust to deal with the challenges
central banks face today. It provides a firm anchor in a world marked by
more frequent supply-side shocks, and it is flexible enough to accommodate
temporary deviations from target while keeping policy firmly focused on
the medium term.』
この部分はECBの政策枠組みが物価安定のためにロバストなものでありますよ、という自画自賛なのですが、その次の辺りがパウちゃんへのエールになっていまして(もちろん途中の部分でもホイホイとエールが飛んでおります、為念)、
『In this volatile world, the lessons from the pandemic suggest that central
banks should resist the temptation to fine-tune the economy, accommodate
fiscal policy or deliberately run the economy hot in pursuit of marginal
short-term gains. The costs of misjudgement can be significant: credibility,
once eroded, is difficult to rebuild.』
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
パンデミックの教訓、すなわちポストパンデミックの時期に過度に経済を吹かしてしまったことによってインフレが上振れてしまってその後の修復にコストを要することになってしまった、という反省な訳ですが、その教訓というのは「中央銀行は短期的な目先の利益のために金融政策を(不必要に)緩和的にして経済を過熱させようという誘惑を排除しなければいけない」ということで(その分の中には拡張的財政云々というのもあるのですが、中銀単体で言えば拡張的財政は別の話なのでしらっと飛ばして抄訳しましたサーセン)、というお話をおっぱじめておりまして、しかも最後の一文が「The
costs of misjudgement can be significant: credibility, once eroded, is
difficult to rebuild.』とかどう見てもパウちゃんへの巨大なエールになっているのが大変にお洒落であります。
でまあそんな訳でパウちゃんへのエールになっているのはその通りではあるし、たぶんシュナーベルちゃんはパウちゃんへのエールを送っているんでしょうけれども、これは思いっきり今の日本に対するインドラの矢になっている訳でございまして、供給制約下における高圧経済アプローチがやべえ奴になる、というのを思いっきり指摘していますし、なんなら日本の場合は上乗せで財政ポジションが欧米よりももっと悲惨なので財政のクレディビリティ問題からの自国通貨下落問題だって内包しているんですよね。
まあアレです、救いなのは植田総裁がここもとすっかり覚醒してきている風情を示していまして、さすがにもう「待つことのリスクは大きくない」とか言ってるような状態では無くなっていて、シュナーベルが指摘するような諸問題に関しては日本に関しても当てはまるじゃろ、という現状認識になりました、ということであれば、植田さんの覚醒も今回は腰が入ったものになるんじゃないかな、と期待できるかもしれませんな。
いずれにしましても、この辺りの考えが中銀サークル界隈では標準的ではないか、と思いますと、植田さんもこの指摘が日本にも結構刺さる問題だと考えるのも別に不思議ではなくて寧ろ順当でありまして、何ならデフレ金融緩和脳のジャパニーズ金融市場の参加者の方がこの辺りの認識に追いついてなさそうな気がだいぶします(個人の感想です)とおもったのもありましてしらっとネタにしてみた次第だったりします(今回の原油上げで「利上げが遠のく」の大合唱になっているように見えたので)。
でまあその後ですけれども、
『Current monetary policy in the euro area is firmly grounded in these
lessons. With inflation projected to be at our target over the medium term
and inflation expectations anchored, monetary policy remains in a good
place.』
そりゃまあ今の時点で中立なんだから「monetary policy remains in a good place」ですわな。
『But we cannot be complacent. We need to be vigilant as the current geopolitical
and macroeconomic environment creates upside risks to inflation over the
policy-relevant horizon. In particular, we must carefully monitor the persistence
of the energy price shock, its impact on inflation expectations and any
indication that firms start passing through higher input costs to their
customers.』
でもってこの部分も言ってることは順当の話をしているのですが示唆的でして、つまりこの説明の中で「供給ショックだから金融政策で対応しない」などというカビの生えた説明は行っていない訳でして、これがまあ世界のグローバルスタンダードなのですが、一方で極東のどこぞの国では未だに「供給ショックなので利上げダメゼッタイ(どころか利下げとか言いかねないですよねえあの連中www)」とかいうのが横行しておるわけでして、まあコマッタモンダとは思いますが帰結はつい先日欧米で見せている風景になってしまいかねませんなどこぞの国に関しては。
『Over time, the adoption and widespread use of new technologies like AI
could expand supply, raise the natural rate of interest and relieve some
of these structural constraints. The task of monetary policy will be to
identify these forces and calibrate policy appropriately.』
AI云々のところはまあ正直サービスフレーズ(先般のFOMC議事要旨でもAIによる生産性上昇の影響がどうのこうのとあって、FED方面では割と話題のイシューですから)っぽくて、まあ「供給制約下における金融政策運営-ポストパンデミックからの教訓」ってのが本当のお題で、その話をしながら利下げをさせようと不当圧力をかけられている被害者のパウちゃん(と多くのFEDの皆様)に対するエールも送っている、というお話ではないかと思いました。
ということで本編に関しては明日以降ちょいちょいと参りますが中々オモロイしなんなら今の日本に思いっきり通じる部分もオオアリクイかと(個人の感想です)。
2026/03/09
お題「3M短国入札も若干金利低下ですねえ/次回利上げの突撃兵は植田さんですね^^/消費活動指数とかフィンサム挨拶とか」
ほほう
https://www.yomiuri.co.jp/election/20260308-GYT1T00386/
石川県知事選挙で山野之義氏が初当選、高市首相の応援も受けた現職の馳浩氏ら破る
2026/03/08 23:54 (2026/03/09 00:12更新)
分裂選挙とは言え地方首長選挙でこれってのを勘案しますと衆院選は中道自滅ってのを確認って思いました。知らんけどな。
〇3M入札は0.76〜0.77%でこちらも前週よりもレートは低下でござる
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20260306.htm
国庫短期証券(第1366回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1366回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1366回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和8年3月9日
4.償還期限 令和8年6月8日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆7,793億円
(2)募入決定額 3兆6,030億9,000万円
(3)募入最低価格 99円80銭7厘0毛
(募入最高利回り) (0.7756%)
(4)募入最低価格における案分比率 43.2005%
(5)募入平均価格 99円80銭9厘2毛
(募入平均利回り) (0.7667%)』
ってな結果でして、前週の3Mが0.7715%/0.7836%だったので、前週対比れレート低下ということになっていまして、4月利上げに関する織り込み度合いが変わっていないのであれば当然ですがテナーが1週間後ろに倒れる分だけレートが上がっても良いのですが、レートは低下している訳でして、これはまあ金曜日にネタにしました水曜の交付税特会6M入札と同じでして、これ即ち4月利上げ確率が市場の中の皆様的に若干なりとも低下しているという証左という解釈でよろしいんじゃないかと思います、知らんけどな。
でもって売参ちゃんを見ましても、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(3/6引値)
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.750
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.750←カレント3M
・・・・
国庫短期証券1367 2026/09/10 平均値単利 0.870←本日の新発6MWI
(3/5引値)
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.760←カレント3M
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.760←金曜の新発3MWI
・・・・
国庫短期証券1367 2026/09/10 平均値単利 0.875←月曜の新発6MWI
ということで、引値もちゃっかり強めに設定されていまして、75bpってホンマカイナ感は若干ありますけど、入札よりも強い所で引かせていますし、しかも木曜の引け対比強くなっていまして、ついでに言えば今日は6Mの入札があるのですが、6MのWIもしっかり強くして引かせていますので、まあさすがに中東情勢が一段とヤヤコシヤの中で利上げ間に合うのかいな、という話になってしまうのもやむなしって感じですかねえ。
ただまあ6Mのレートで言えば0.75と1%の間に位置する(と言ってもまあ0.75の方に寄ってはいますが)水準にいまして、4月利上げを全部織り込むようなドリームレートではない、というのも然りではあるのですが、そうは言ってもちゃんと80bp台後半にいますので、利上げ思惑が消えたわけではないというのも見て取れるかと思います。
〇氷見野副総裁国会答弁はとりあえずノーコメント地蔵みたいなもんですかしら
金曜は氷見野さんが国会答弁していましたが
https://jp.reuters.com/world/japan/OZDS2ACDWZOVTB76UUJMZ7COLY-2026-03-06/
物価安定目標の持続的・安定的実現へ適切に金融政策運営=氷見野日銀副総裁
杉山健太郎
2026年3月6日午後 3:12 GMT+9
『[東京 6日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁は6日の衆議院予算委員会で、為替の動向や賃上げへの取り組みが日本の経済・物価に与える影響を十分注視した上で、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて適切に金融政策を運営していきたいと語った。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『氷見野副総裁は、金融政策は為替相場のコントロールを目的としたものではないと指摘。労働生産性などの影響を受ける賃金上昇率を直接的に金融政策の目標?にすることは「難しい」との認識を示した。政府・日銀が2013年に結んだ政策協定(アコード)の取り扱いについて「具体的なコメントは控える」とした。伊佐進一委員(中道)への答弁。』
そらそうだ、という感じですが、某ベンダーでのヘッドラインでの感じでも氷見野副総裁の答弁は「利上げネタで突出しない」っていう感じでして、これは先週ネタにしましたように、今回の氷見野副総裁の和歌山金懇テキストおよび会見でもそういうトーン(ただしよくよくテキストを読んでみると普通に1%への利上げはやる気満々じゃろとしか読めないのでその辺りは抜け目ないんですが)になっていまして、足元では利上げに関して一番やる気満々に見えるのが植田総裁、という図式で行ってるな、というイメージを受けました。
いやまあ勿論足元のこの有様(先週後半もそうですが金曜の夜間取引で日経先物1000円以上下げている訳でしてそれを受けて腰が砕けるのかどうかは予断を許さないというか植田さんの覚醒については最後の最後までどうしても半信半疑感が拭えない・・・・www)を受けて植田さん実はもう腰が砕けているのかもしれませんけれども、今見えている範囲内だと今回は植田さんがやる気元気井脇というモードに入っているので、植田さんが先頭に立って突撃している感がありますな(個人の感想です)。
しかしまあ何ですな、
『伊佐委員は、今の経済環境は政府・日銀がアコードを結んだ10数年前と異なってい?ると指摘。現在の課題である物価高や円安、賃上げなどを盛り込んだ内容にするべきではないかと質問した。』
中道って物価高対策のためにも過度な金融緩和の継続はダメじゃろ、ってのが党是だったと思うのですが、この質問の趣旨は「お前は何を言ってるんだ」という話でして、物価高だの円安だの賃上げだのいろんなもんを織り込んでしまったら条件が増えるから日銀動きにくくなるだけだし、しかも「賃上げ」を盛り込んだら全然利上げができなくなるんですけどお前は何を言ってるんだと思いました。まあ中道に関してはマジのマジで「お前らのこういう所がダメなんだゾ」と教えて差し上げたい位ですわ。
勿論氷見野さんは、上記のように「できるかヴォケ」というのを丁寧に言ってますけど。
〇日銀謹製消費活動指数を見ますと何んともかんとも
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cai/index.htm
消費活動指数
『個人消費は、GDPの約6割を占めるコンポーネントです。このため、マクロの景気判断を行ううえで、個人消費の動向を、いち早く、正確に把握することは重要です。
こうした観点から、以下では、分析データ「消費活動指数」を定期的に作成・公表しています。消費活動指数は、財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計としており、月次や四半期といった短期的な消費活動を把握することが可能となっています。また、消費活動指数は、最も包括的にわが国の消費活動を表す国民経済計算・確報の家計消費と同様の変動をしているだけでなく、確報とは異なり、速報性を有しています。さらに、サンプルに起因する振れも小さく、各種のマインド指標との相関も高いものとなっています。』
『具体的には、名目値と実質値、旅行収支を調整したものと調整していないもの、形態別の内訳など、様々な系列を作成・公表しており、分析目的に応じて使い分けることが可能となっています。
公表日時は、原則として毎月第5営業日の14:00としています。ただし、業務の都合により遅れることがあります。
消費活動指数の具体的な作成方法については、以下の調査論文をご参照ください。』
ってな訳で毎月出ているんですが、これ自体は日銀渾身の指数(のはず)でして、もともとこの指数を出しますよって話になった時に出たペーパーが、
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2016/ron160502a.htm
消費活動指数について
2016年5月2日
日本銀行調査統計局
中村康治*1
河田皓史*2
田中雅樹*3
植前理紗*4
『本稿の執筆に当たっては、関根敏隆、肥後雅博、川本卓司の各氏および日本銀行のスタッフから有益な助言やコメントをいただいた。また、尾崎直子、三浦弘の各氏からは、計数作成においてご協力を頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、残された誤りは全て筆者に帰する。なお、本稿の内容と意見は筆者に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。』
(本編はこちら⇒https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2016/data/ron160502a.pdf)
関根さん、肥後さんのお二方は(10年前の物なのそりゃそうだではありますが今はOBです)とも日銀のエコノミストとしては大変に著名ですし、もう一人お名前の出ている川本さんは現在調査統計局長でこれまたバリバリのエコノミストですし、こちらのペーパーのファーストオーサーの中村さんは現在企画担当理事ですがこれまたバリバリのエコノミストでもある方、ということでこちらの物件って(あんまりアタクシもネタにしませんが、汗)日銀渾身の作品なんですよね、ということで直近の状況を見ますと・・・・・・
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cai/cai.pdf
消費活動指数(図表)
(1)消費活動指数(実質)
25/3Q 4Q 26/1Q 25/11月 12月 26/1月
消費活動指数(旅行収支調整済) 0.6 -0.0 0.5 0.7 -0.2 0.4
消費活動指数 0.1 0.0 0.8 0.6 -0.2 0.7
(注)1. 消費活動指数(旅行収支調整済)は、除くインバウンド消費・含むアウトバウンド消費。
2. 直近月の補外推計には、前月の値を利用
ってことで全体を見ると何となく持ちこたえているようには見えますが、
(2)消費活動指数における形態別消費(実質)
@耐久財 (季節調整済、2015年=100)
A非耐久財・サービス (季節調整済、2015年=100)
ってのを見ますと今に始まったことではないのですが、非耐久財が(もしかしたら下げ止まっているのかもしれませんけれども)パッとしなくてサービスは威勢よく上がっている、ということでサービスが支えているの図となって、そりゃまあ非耐久財の実質消費がズルズル下がっていたら生活実感的にはアカンですよね、というのが分かりますなあ、というネタを突如入れ込んでみました(一応出てくると図表はふむふむと見てはいるのですが)というのと、ついでに消費活動指数の宣伝でも勝手にしておこうかと思いましてネタにしました。
〇先般のフィンサムでの植田総裁挨拶を一応ネタにしておこうかと思いまして
何を今さらという説はだいぶありますがイラン戦争のせいで目先の金融政策じゃない話が後回しになる仕様だったのでご勘弁という事で。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2026/data/ko260303a.pdf
新金融エコシステムにおける中央銀行の役割
── FIN/SUM(フィンサム)2026における挨拶 ──
日本銀行総裁 植田 和男
冒頭挨拶の途中からですが、
『今年の FIN/SUM のテーマは、「AI×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」です。AI
とブロックチェーンは、FinTech センターの設立当時から、日本銀行でも大きな関心事でした。当時から金融や決済の分野での活用を想定し、FinTech
センターにおいて、欧州中央銀行と共同調査を行い、ブロックチェーンが金融市場インフラに対してもたらしうる利点や潜在的な課題の洗い出しを行ったほか、金融研究所において、「証券取引における分散台帳技術の利用を巡る法律問題研究会」や「アルゴリズム・AI
の利用を巡る法律問題研究会」を開催し、法的論点の整理を行いました。』
おーそういえばその手の話やっていましたねえ。こちとらド素人なのでさっぱり分からんですが、ゆうてワイはこの業界経験はバックオフィスからスタートしていますし、短期回りやっていると決済方面も普通は詳しくならざるを得ないので興味はある話なんですが、分散台帳技術の中で「ある証券の権利者が常に一義的に確定されるのか」ってのは出た当初から気になっているお話ではあったり無かったりしますのでそんなので一席駄文を書いた覚えも^^
『それから 10 年が経過した 2026 年現在、ブロックチェーンは様々な金融サービスにおいて実装段階に入っており、さらに、生成
AI の急速な発展もあって、新時代の金融エコシステムの創出というべき革新的な動きにつながっています。本日は、この新しい金融エコシステムにおける中央銀行の役割についてお話しします。』
ということですが、ワシも決済周りにあんまりかかわらなくなって久しくてすっかり知識も経験もさび付いているので、リスキリングじゃないですけど勉強しないとなあとは思うのであります。
・システム運用の頑健性についての指摘
最初の見出しが『2.AI×ブロックチェーン:新しい金融エコシステムの可能性
』になりますが、分散台帳とAIの強みについての説明部分が最初に入りますがそこをかっ飛ばしますと、
『AI とブロックチェーンを組み合わせることにより、新たな金融サービスが創出されるという、いわば新時代の金融エコシステムが発展していくうえでは、規模の拡大や経済社会への影響に応じて、取引の透明性や公正性、特に関連する決済の安全性と頑健性を確保する仕組みが必要となります。』
まあアレです。アタクシの頭が古いだけなのではあるのですが、権利者が常に(シームレスに)一義的に確定できていない状況っての気持ち悪いのと、AI自体がそもそも論としてレビュー入れて運営しないとアカンもんのような気がするのと(進歩の結果レビュー不要なのでしたらサーセン)、というのがあるので、「関連する決済の安全性と頑健性を確保」というのが気になる訳ですアタクシは(単なる現代のラッダイトおじさんのタワゴトではありますが)。
『当面、ブロックチェーンを利用した複数のシステム、そして、より伝統的なシステムが併存すると予想されます。』
ふむふむ。
『各システムの中では決済がうまく回っていても、異なるシステム間では、決済手段がスムーズに交換されない(相互運用性が無い)という可能性やそれに伴う問題について考えておく必要があります。』
この問題は大きいと思います。通常は相互運用性があってもなんかトラブってしまったらとか、新しい要素が追加された途端に問題生じるとかも含めまして・・・・・
・中央銀行マネーの扱いについての説明で肝心なところはフワッとさせていますね
でもってたぶん本編の『3.中央銀行の役割:信頼のアンカーとして 』ですけれども、
『多くの中央銀行は、物価安定の実現に加えて、現金や中央銀行当座預金など、経済活動を支える決済手段である「中央銀行マネー」を提供しつつ「決済の安定性」を維持することが求められています。』
はい。
『現在では、現金以外に、銀行預金や様々なキャッシュレス決済手段が利用され、こうした多様な支払手段が共存できる背景として、それぞれの支払手段の健全性を支える制度とともに、多様な支払手段をつなぐ「中央銀行マネー」の存在があります。』
ということで以下説明しているのですが、今回のこの挨拶で気になったのは「中央銀行と預金貸出取り扱い金融機関のマネー供給の二重構造」についての説明をどスルーしていることですな。まあ最近の議論だと既に「中銀マネーは広くリテールに供給するものではなくて、マネー供給の二重構造は維持する」ってので結論は出ているのでスルーしているのかもしれませんけれども・・・・
というのはですね、
『「中央銀行マネー」は、価値の基準として、あらゆる支払手段を1対1で交換できる基盤の役割を果たしています。異なる銀行の預金が中央銀行預金を通じてつながっていなければ、19
世紀米国のワイルドキャット・バンキング時代のように、銀行間で預金の価値は異なると、人々が認識してしまうリスクがあります。そうなると、決済、そして経済活動一般に大きなマイナスの効果が発生します。』
、
『また、「中央銀行マネー」は、金融機関間の資金決済や証券決済などの大口の決済分野において、最も安全で流動性の高い決済手段として、システミックリスクの抑制に貢献しています。「中央銀行マネー」は、あらゆる支払手段をつなぐ基盤であること、および最も安全で流動性の高い決済手段であることを通じて一国の経済の「信頼のアンカー」としての役割を果たしているのです。』
って説明をした後に、
『新しい金融エコシステムにおける「信頼のアンカー」の今後の発展を展望してみましょう。』
という所からの説明が微妙にキナ臭くて、
『一つの可能性として、様々なブロックチェーン上の、場合によっては異なる支払手段が、「中央銀行マネー」とスムーズに交換できる仕組みを提供することで、「中央銀行マネー」を介した相互運用性を確保することが考えられます。』
むむむ。
『あるいは、ブロックチェーン上の資産の取引について、「中央銀行マネー」で決済する仕組みを提供することも考えられます。』
うーむ。
『それもチェーン上にトークン化された「中央銀行マネー」をのせて実行するやり方もありますし、既存の「中央銀行マネー」のシステムと新しいブロックチェーン上の取引システムを何らかの方法で連結させるというやり方もあります。』
これは要するにこれらの決済手段のプロバイダーを中央銀行当座預金先という形にするって話になるとは思うのですが、使い方間違えるとマネー供給の二重構造とか銀行による信用創造機能の方に影響するんじゃネーノという気がだいぶしますので、あくまでもこの辺のサービスは「金融機関経由」の方が無難なんじゃないのかねとは思いましたがどうなんでしょうかね。
まあアレです。
『以上のようなアイデアを具体化するための様々な実験プロジェクトが進んでいます。ただし、期待される効果の研究だけでなく、意図せざる結果の研究も重要です。』
というかどう見たって効果よりも「意図せざる結果の研究」の方が重要じゃろとしか思えませんが、まあフィンサムの挨拶でそれを強調するのは興ざめにも程があるからそこは手心を加えているんでしょうなあと。
『例えば、スマートコントラクトは人手を介さず取引を自動的に実行することができて大変便利ですが、スマートコントラクトの設計が不十分である場合には、不正利用により金融市場やシステムの安定性が脅かされる可能性があります。技術の進歩のスピードが速く、直接的な規制になじまない分野では、中央銀行を含む国際的な議論を通じて、決済の安全性を確保するためのベストプラクティスを整理することも考えられるかもしれません。』
なんかもっと重い問題があるような気がしますがそれはさておきまして、
『中央銀行が新しい技術を活用し、新たな金融エコシステムのもとで「信頼のアンカー」となるような仕組みを提供するためには、利用する局面や取引の性質、引き起こされるリスクも踏まえた、綿密な制度設計を行うことが不可欠です。そのためにも、中央銀行自身が新しい技術に対する深い知見を得ることが重要だと考えています。』
ということで、研究をすること自体は大変重要だと思いますのでドンドン研究して頂ければと思います。最後に『4.日本銀行の取り組み
』ってのがありますが時間の都合で割愛ということで。
2026/03/06
お題「4月利上げに関するBBGと時事通信の観測記事/交付税特会とか短国/氷見野副総裁金懇挨拶(その3)」
しかしまあ何ですな
https://gendai.media/articles/-/164742
2026.03.04
「サナエトークン」を宣伝していたチームサナエは「高市事務所」が活動拠点だった…!サナエ歯ブラシ(6600円)を売りさばく謎の組織の正体
河野 嘉誠 ジャーナリスト
週刊現代 講談社
残念ではあるのだが高市さん、この調子だと第一次安倍政権の再来になってしまうのではないかという懸念が拭えませんわ(個人の妄想です)。
〇4月利上げの可能性云々という観測記事が出ておりますのう
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-05/TBEJ4TKK3NYB00
日銀は4月利上げの可能性も排除せず、中東情勢の影響見極め−関係者
・3月会合は政策金利維持する公算大、先行き不確実性と市場不安定化
・経済・物価は見通しに沿って推移、原油上昇長期化なら基調上振れも
Sumio Ito、Toru Fujioka
2026年3月5日 at 14:13 JST
更新日時:2026年3月5日 at 15:15 JST
『日本銀行は中東情勢の緊迫化を受けて内外経済の不確実性が高まる中でも利上げ路線を堅持しており、4月に利上げが必要な環境になる可能性も排除していない。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
ということなのですが、後述しますけど4月利上げに関する見方って多少の後退はあると思うのですけれども、ゆうて短期方面見ていると4月利上げじゃろみたいな値付けにいまのところなっているのですが、昨日はこのBBG記事の他にも時事通信さんが同じような展開の記事を書いてまして、メディアの方が「この情勢を受けて4月利上げ困難になった」っていうのがベースで考えているのかな、とそっちの方にほほーと思いました。
まあこの点に関しては一昨年7月の利上げの後に(たまたま間が悪かったのもあるが)円高株安がどどーんと進んだ所で内田副総裁が金融市場全面降伏ポツダム宣言受諾メッセージ(=市場が大きく動いてる時に政策修正しません宣言)をしやがった、というのがメディアの皆様にはまだまだ沁みついているという事なんだなと思いまするに、その場凌ぎとしてなんか言わないと、というお気持ちは分かるのですが、それにしても物の言い方というのはあまり強い事を言ってしまうと、後々まで呪縛になって憑りついてしまうんだなあ、と思ってしまいました。
足元では植田総裁が何に覚醒したのかはよくわからんですけど、まあなんか思いっきり覚醒発言していますし、(これネタにするの忘れたかもしれませんけど)氷見野副総裁が先般の金懇会見で「市場が大きく動いているから何もしないということはないですよ」って説明していますし、状況全然違うじゃんと思うのですが、やはり「市場が動いている中での利上げは困難」っていう認識って刷り込まれてしまっているからこそ、ブルームバーグも時事通信も「4月利上げの可能性は「排除しない」」になるんだなあと。
ていうかですね、この時点で4月利上げの可能性を排除しちゃったらダメじゃんとしか言いようが無いので、「排除せず」ってヘッドラインが出てくるセンスが意味不明と思ってしまうのですが、やっぱり一般的にはこういう感じになるんだな、と勉強になってしまいました。
などという愚意見はさておきまして、
『関係者によると、米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けた金融政策判断について、日銀は戦闘と原油価格の上昇が長期化するかが最大のポイントとみている。今後の展開を予断を持たずに注視していく必要があり、現在は内外経済や物価への影響、市場動向を慎重に見極めていく局面にあるという。』
『不透明感の強まりに加えて金融市場も不安定化する中で、今月18、19日に開く金融政策決定会合では政策金利の維持が決まる公算が大きい。先行きは中東情勢次第だが、これまでの日本の経済・物価情勢は日銀の見通しに沿って推移しており、現時点で4月に利上げが必要になる可能性も排除されないと関係者は語った。』
3月は普通にないでしょというのはコンセンサスなのでまあ良いとしまして、4月会合までは事実上2か月残っているんだから何がどうなっているか分からんですし、問題はこれ「長期化」したとしても本当に利上げを先送りにできるのかという話でして、同記事中でも、
『中東情勢の影響を巡っては、短期的に収束すれば一時的なショックにとどまる一方、長期化する場合はインフレ予想の上昇を通じ、政策判断で重視する基調的な物価上昇率が上振れるリスクが高まる。企業の価格設定行動が積極化している中で、コスト上昇を価格に転嫁する動きは従来よりも強まっている。』
からの、
『原油価格の上昇はエネルギーの輸入依存度が高い日本経済にとって、交易条件の悪化を通じて下押し要因になる。日本経済に与える影響の程度にもよるが、物価の基調が目標の2%に近づいている中で、追加的な上振れ要素が生じた場合、政策判断は難しい対応を迫られることになると関係者は指摘した。』
という流れでこの記事は締まっているのですが、ここで味わいがあるのが「基調物価の上振れ」が先に来ていて、その次に「経済の下押し」という順で記事が展開されていることでして、昨日ネタにした一昨日の植田総裁の国会答弁でも「基調物価の上振れ」の話を国会とか言う化け物の巣窟の中でちゃんと植田さん臆せずにぶっこんできておりますように、さすがに今回のイラン戦争問題って時あたかも「積極財政」をぶっこむわ、どうせあの化け物共はイラン戦争を口実にして一段の経済対策を打って積極財政の上塗りをしてきそうだわ、となりますと、これはウクライナ侵攻以降の欧米の二の舞になるリスクだってさすがに無視できない、という危機感を日銀が持っているから、「基調物価の上振れリスク」という部分が話としては先に出てくる、ってことなんじゃないかと思いました。
もちろんこれはブルームバーグさんの記事なんで編集上こうなっているだけ、という可能性もあるのですが、(時事メインの記事なのでネット版は無くて引用とかできませんけど)昨日同じように出ていた時事通信さんの時事メインでの観測記事でも、物価上振れの部分が結構クローズアップされていたという印象だったので、さすがに今は「待つことのリスク」も考えた動きが必要、ってことになっているのかとは思いましたがどうでしょうか。
まあそうなりますと、とりあえず1%への利上げは4月にはぶっこんでおいて、その次の利上げに関してはとりあえずは直ぐに次の次、とはならないで状況を見極める、という感じで行く方が良かろうって判断に傾いているのかなとは思いましたし、それを見極めるためにも3月会合での会見では(先日も申し上げましたが)「待つことのリスクは大きくない、という以前の認識ですが、あれから時間もだいぶ経過した現在はどうなんでしょうか」ってのは聞いて欲しいなと思うのでした。
まあアレです。1%に利上げしたとて結局は政策金利が物価情勢対比でクソ緩和的なのは変わらん訳でして、今後うっかりすると欧州どころか米国だってインフレ上振れ回避のために利上げをしないといけなくなる可能性だってある訳で、そう考えますと「しばらく情勢を見極める」とか言っている間に円安物価高進んでしまって結局次の次もそんなに遅くならない、という線もあるでしょうけど、まあ確かに「1%」の先は何処で抜刀になるのかは中々ムツカシヤではあろうかと。
ってな訳で妄想雑談恐縮至極。なんかのたたき台になってくれれば幸いです。
〇そういえば水曜の交付税特会6Mはしれっと金利が低下していた件について&今日は3MTDBですな
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result260303.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和8年3月3日入札)
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和8年3月12日
3.償還期限 令和8年9月11日
4.償還方法 令和8年9月11日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 4兆5,479億円
(2)募入決定額 1兆2,500億円
(3)募入最高利率 1.205%
(4)募入最高利率における案分比率 86.0387%
(5)募入平均利率 1.191%』
ということですが、前回の特会6Mが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result260219.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和8年2月19日入札)
2月19日に実施されたのですが、こちらのレートが1.204%/1.220%になっていましたので、そこから見ますとレート低下という結果になっていますので、イラン戦争を受けて金利低下しました、っていう結果になっていましたのですが昨日うっかりネタにするのを忘れていましたすいませんすいません。
ただまあ特会6Mのレート水準自体は相変わらずでして、今後6Mの間に2回利上げを食らっても付利対比でブレークイーブンするとか言う変態利回りなのではありますが、これはその水準云々よりも「前回対比でレートが低下した」という動きを注目して評価すればいいんじゃないかと思いました、知らんけど。
でもって今日は3Mなのですが、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(3/5引値)
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.760←カレント3M
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.760←今日入札の新発WI
(3/4引値)
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.750
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.750
ということで(だいぶ手抜き引用ですが)昨日債券市場、というか中短期の金利が弱かったのに敬意を表したのかどうか知らんですけど、一応カレントは0.75%オーバーになっておりまして、そういや先週の3Mも入札だけは弱かったりしましたので、さて今日はどうなるのやらという話ですし、ご案内の通りで3M短国は出るたびに償還が長くなって4月利上げだと考えた場合の「後半部分」が長くなってきますので、本来はだんだん難易度の高い入札になってくるんですよね。まあ結果出てからのお楽しみ、って感じではありますが。
〇氷見野副総裁金懇挨拶の続き
すいませんすいません
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2026/data/ko260302a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 和歌山県金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 氷見野 良三
・物価の曼荼羅についての説明ですがのっけから「食料品価格高騰」に言及
『3.物価の現状と見通し』になります。
『経済については以上といたしまして、次に物価について見てみたいと思います。曼荼羅でいえば右上の黄色い部分に当たります(図表6)。』
図表6は上記URL先からみてちょんまげ。
『(物価上昇率)』って小見出しから。
『「物価上昇率」に向かって、先ほどの「GDPギャップ」と、「供給ショック」とから矢印が伸びております。「GDPギャップ」からの矢印は、経済が過熱気味であれば物価には上昇圧力がかかるだろうし、停滞気味であれば下向きの圧力がかかるだろう、という趣旨です。』
それはわかる。
『また、「供給ショック」からの矢印は、原油高・円安などによって輸入物価が上昇すれば物価には上昇圧力がかかるだろうし、逆に政府の物価対策でガソリン税の引き下げ、高校授業料の無償化などが行われれば、物価を引き下げる効果が生じるであろう、ということです。』
という前置きの次が、
『私どもは、本年度の物価上昇率(除く生鮮食品)を 2.7%と見込んでおります。生鮮食品以外の食料品の上昇率が物価安定目標の2%を大きく上回っているので、他の財・サービスの平均は2%を下回っているものの、全体では
2.7%となっているわけです。』
お、
『これは国民のみなさまに大きな負担となっており、「生活意識に関するアンケート調査」でも、57%の方々が暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と答えておられます。』
キタコレ!!!
・食料品価格の上昇の主因は供給要因とな
『では、この物価高、特に食料品価格の上昇は、「供給ショック」のせいなのでしょうか、それとも「GDPギャップ」のせいなのでしょうか。』
ほうほう。
『他の財やサービスの価格が食料品に比べれば落ち着いていること、GDPギャップがゼロ近傍であると推計されていることからすれば、米を巡る状況やカカオやコーヒーの国際市況の高騰など、食料品固有の供給ショックが主因ではないかと考えることができます。』
ほっほー。
『このため、「展望レポート」では、
物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。
と述べています。』
となりましたがその直後に・・・・・
・でも実は需要要因もあるんじゃネーノという話をしまして
『もっとも、食料品の値上げの理由として6割強の企業が物流費や人件費の上昇も挙げているという調査結果3もあります。「供給ショック」だけが主因ではなかったとすれば、食料品の影響が落ち着くのに思ったより時間がかかる可能性も考えられます。』
おおおおおおおお!というところですが、
『ただ、1月の消費者物価上昇率(除く生鮮食品)は 2.0%でしたので、今のところ見通しに沿った展開となっているようです。』
という締め方をしていまして、無難な説明で纏めています。
・基調物価は長期インフレ期待による規範みたいなもんですがなというお話
次の小見出しが『(物価の基調とインフレ予想)』でして、
『さて、曼荼羅で物価上昇率の右隣に描いてあるのが「物価の基調」です。これは、一時的な需要ショックや供給ショックの影響が全部収まったあとのインフレ率の落ち着きどころ、という意味です。』
となるのですがここで良い説明がありまして、
『では、需要ショックや供給ショックの影響がないのに、なぜそれでも物価が上昇し続けるのでしょうか。』
という部分もしらっと大事なこと言ってて、つまりは「基調物価が2%ってのは需給ギャップがゼロの時に物価が2%上がっている状況を理念的に示す」って話な訳で、どこぞの馬鹿リフレ派が言うような「需給ギャップを常に何%かのプラスにしないと物価目標達成しない」みたいなのは話がそもそもおかしいんですよね。
というのを言外に示しているのかは知らんけど、まあそんな意味が入っていますよね。
『その中心として私どもが想定しているのは、「賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズム」です。すなわち、世の中で物価は毎年この程度上がるものだ、という予想が共有されると、毎年の賃上げも物価上昇に生産性の上昇分を上乗せした程度は必要だと労使ともに考えるようになるのではないか、また、企業は賃上げに伴うコスト増から生産性の上昇分を差し引いた程度の価格転嫁は必要だと考えるようになるし、消費者の側の受け止め方も賃上げの状況によって変わってくるかもしれない、そうなれば、格別のショックさえなければ、共有されたインフレ率の予想に即したインフレ率が実際に持続するようになるのではないか、という考え方です。』
何という無茶苦茶丁寧な説明。ただこれ文章に落とされて熟読すればよくわかりますけど、聞くだけだとその場で何となくフンフンと聞き流されてしまいそうな気もしました。
『曼荼羅で言えば、「予想インフレ率」から「物価上昇率」に向かって矢印を描いて、また「予想インフレ率」を「物価の基調」の胎内に描いたのは、以上のような趣旨からです。』
いやマジで丁寧な説明だわこれは。
『物価上昇率から予想インフレ率に向かう方向にも矢印が走っていますが、これは、人々はこれまでの実際の物価上昇率の経験を踏まえて予想を形成するのではないか、という趣旨で描いております。』
うーむ明快。
・基調物価の計測方法と現時点での評価
話は続きます。
『物価の基調を計測するための手法には様々なものがありますが、大きく二つのアプローチに分けて考えてみることができます。一つ目は、一時的なショックの影響を取り除いた残りを基調と考えるアプローチです(図表7左)。二つ目は、アンケート結果や市場データをもとに企業・家計・市場参加者等が抱いているインフレ予想を推計する方法です(図表7中)。』
はい。
『さらに、物価の基調の根幹にある上述のメカニズムからすれば、賃金の上昇率が生産性の上昇率をどの程度上回っているかも有益な情報となるはずです(図表7右)。』
ほっほー。
『全体としてみれば、物価の基調が着実に上昇してきている、ということは確かだろうと思います。』
お、
『では、すでに物価安定の目標の2%に達しているかどうか、というと、達観すれば既に概ね2%近傍であるとしても、2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか、という気がいたします。』
>達観すれば既に概ね2%近傍である
>達観すれば既に概ね2%近傍である
>達観すれば既に概ね2%近傍である
おおおおおお!というところですが、
>2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか
と言って達観云々の部分の毒抜きを行っているのがチャーミングです。ニュースヘッドラインも達観云々よりもこの達しているとは言えないの方が主にヘッドラインになっていたと思いますので、氷見野さんこれは上手く書いたなと思います。
でまあ後の追加説明部分はおまけみたいなもんですが、
『日本銀行の「展望レポート」は、物価上昇率が一旦2%を下回ることを予想した先ほどの部分に引き続いて、以下のように述べています(図表8左)。
もっとも、この間も、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、消費者物価の基調的な上昇率は、緩やかな上昇が続くと見込まれる。その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半(注:見通し期間というのは
2025〜27 年度のことです)には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』
ついでにハイライトの絵の説明もしていまして、
『この文章について、日本銀行が公表している「展望レポート・ハイライト」は、イラストを用いて表現しています(図表8右)。上から階段を下りてくる人物が現実の物価上昇率にあたり、下から階段を上ってくる人物が物価の基調にあたります。二人が右側の2%と書いた広場に到達したあとは、二人とも「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で歩んでいく、というわけです。』
『物価の基調と物価安定目標の間の差を「インフレギャップ」と呼びたいと思います。曼荼羅では右端に登場しますが、インフレギャップは足元ではまだ若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になるだろう、ということになります。』
というのが物価の説明でしたが、しらっと「達観すれば既に概ね2%近傍である」って言ってるんですから、今般のイラン戦争要因と言う物価上振れ要因が発生する中で、大幅な実質金利のマイナスをそう長く放置している訳にも行かない、ということになるんじゃないですかねえ、という認識になるだろうなあは思いました。
ということでこの先は金融政策の話になるのでそちらは既報通りということで。
2026/03/05
お題「植田総裁国会答弁は覚醒モードが継続中のようですな/氷見野副総裁和歌山金懇挨拶(その2)」
は????
https://www.yomiuri.co.jp/world/20260304-GYT1T00352/
イラン新体制、トランプ大統領「考えていた人物のほとんどは死んでしまった」…「最悪のシナリオ」に言及
2026/03/04 19:44
『トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、イランの今後の体制について、「我々が考えていた人物のほとんどは死んでしまった。別のグループはいるが、彼らも死んでいる可能性がある」と悔やんだ。さらに「最悪のシナリオは前任者のような悪い人物が権力を握ることだ。我々は望んでいない」と率直に語った。』(上記URL先より)
こいつは何をいってるんだ・・・・・・
〇植田総裁国会答弁でも引き続き覚醒モードのようで何より
というのはいいんですけど、ロイターさんのネット版、なんか急に記事のエンコード変えたのかテキストに落とそうとすると変なところに謎の「?」が発生してしまうんだが(UTF-8なら出てこないのだがフォントがおかしくなる、ちなみにワイは昔のFTP使ってるからANSI一択につき引っ掛かる)元に戻りませんかねえ(陳情、ちなみに昨日から発生していると思うの)。
お蔭で余計な手間が増えておりますがwwwロイターさん記事から参ります、うっかり?を消し忘れている場合があるかもしれませんが、既存文字が文字化けするわけではないというのも中々謎な挙動ではありますわな。
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/BKT4CFKSNBINNBU2P5XEPWCIIA-2026-03-04/
中東情勢を注視、中心的見通し実現すれば政策金利引き上げ=植田日銀総裁
和田崇彦
2026年3月4日午後 1:55 GMT+9
『[東京 4日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は4日午後の衆議院財務金融委員会で、中東情勢の影響を引き続き注視するとした上で、経済・物価情勢が改善し、日銀の中心的見通しが実現するなら引き続き政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整すると述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ということなのですが・・・・・・
『植田総裁は、中東情勢の展開次第でエネルギー価格や金融市場への影響を介して「世界経済や日本経済に大きな影響を与える可能性がある」と述べた。』
って話をしつつも、
『一般論として、原油価格の上昇は交易条件の悪化を通じて景気や基調的な物価には下押し圧力となる可能性がある一方で、上昇が続くと家計や企業の中長期的な予想インフレ率の上昇につながる可能性があり、基調的な物価上昇率を押し上げる可能性があるとした。』
結構ここが今までの植田さんとは一味違うわと思ったところでして、(別のベンダーのヘッドラインでもこの辺りの流れは確認しておりましたが某別のベンダーのネット版記事検索機能が無くなるという無茶振りをされているので記事をネタにできない・・・)今までですと「供給ショックによる物価上昇は金融政策では対処しませんがな」のようなハトハト論で攻めていたのですが、先般の読売新聞インタビューに続きまして今回の国会答弁においても、ちゃんと両論を入れるようにしていて、物価上昇によるインフレ期待上振れへの言及が入っているのがポイントの高いところです。
『一方、2%物価目標の持続的・安定的な実現のためには賃金も相応の伸びが必要だと述べた。今年の春闘については、幅広い企業で「しっかりとした賃上げが実施される可能性が高い」と述べ、実質賃金の前年比は徐々にプラスに転じていくとの見通しを示した。』
賃金云々はあんまり言い過ぎない方が良いのですが、まあこれ自体は・・・・
『ただ、日銀としては賃金に直接働きかける手段を持っていないため、「インフレ率の上昇の?中で、賃金も上昇していく状態を作り出したい」とし、「実質賃金の上昇率を金融政策の目標にするのはなかなか難しい」と述べた。』
例によって賃金目標だの成長率目標だのを日銀に課そうとする馬鹿が発生しているためそれに対して回答しているんでしょうけれども、こういうことになるからあんまり賃金賃金言わんほうがよろしいわけだし、実質賃金がマイナスだから利上げ出来ないとかいう主客転倒した話(賃金が一切上がらんのが要因なら金融緩和継続でも良いかもだけど、物価が上がり過ぎているのが原因だったら金融緩和継続はダメじゃろという話なんだが、高圧経済馬鹿にはそんな説明は通じない)になってしまう訳でして、まあ「物価と賃金の好循環」とかいうのは黒田時代の末期に利上げを渋るために繰り出してきた屁理屈なのですが、そういう屁理屈をその場しのぎで捏ねるから後で面倒なことになる訳で、今の日銀って過去繰り出したしょうもない屁理屈のせいで動きがやりにくくなっている、という意味でも黒田は記者相手にクダ巻いてる暇があったら国会に行って説明してこいという感じではありますわな。
まあその点は兎も角としましても、某別のベンダーの方で見てた感じでも、今回の国会答弁の黒田さんは読売インタビューの後に発生したイラク戦争という事態があったにも関わらず、ハトハトチキン化せずに、しっかりと原則論を唱えているのが結構心強くて、読売新聞インタビューの時に「植田さんが急に覚醒」と勝手に評しましたが、その状態が継続しておりまして、これはまあ高圧経済馬鹿音頭に付き合っているとインフレ止められなかった馬鹿中央銀行と千載に悪名を残すリスクを強く持ってきたのではないか、と思いますがどうでしょうかね。
・・・と考えますと、今度の(どうせ据え置きの)金融政策決定会合後の会見で「政策がビハインドかどうか」を聞くよりも(聞いたってビハインドと思っているとか言う訳が無いので)、「就任直後の講演で「待つことのリスクは大きくない」との認識を示していましたが、その後の時間の経過と共にこの認識はどう変わった、あるいは変わっていないのか教えてください」と回答できる質問をしてもろていただいた方が吉なのかもしれませんなあとは思いました。さすがに「その後の経済物価情勢の好転により、待つことのリスクは大きくないという状況では無くなっている」って回答するとは思うのですが、そこから踏み出すかはたまた腰が引けるか、というのは見てみたいなとwwwww
まあ今後のイラン戦争情勢次第ではあるのですが、このように今回「物価上振れ」「インフレ期待上振れ」の部分をきちんと説明しているのは心強くて、今後イラン戦争情勢次第ではスタグフってしまう可能性があるのですが、前回のスタグフチックなウクライナ侵攻後に欧米中銀は当初は(メイクアップストラテジー的な考えもあり)利上げを遅らせていたらインフレ爆発してその後盛大に引き締めをしなければいけなくなった、という事案があるので、さすがに今回は(既に要人発言がありますように)スタグフったとしても単純な金融緩和方向にはいかないし、何なら利上げする可能性だってあるかなって中で、日銀の場合は既に現時点でも外野からは「イラン戦争で物価高になって景気下押しされたら利上げが遠のく」という感じで言われているという状況で、1周遅れで欧米のチョンボの後追い(しかも今回それをすると欧米主要国と真逆対応になるのがさらにヤバそう)になり兼ねないのが懸念される(から超長期の金利が若干怪しいのだがただの入札前調整かも知れないから判断保留)のですが、そんな中できちんと「インフレ期待の上振れで基調物価の上振れ」の指摘をしているのは結構ポイントの高い所だと思いました。
でもってこの記事の最後の方になりますが、
『長期金利については、先行き2%物価目標の達成確度に応じて日銀が短期金利を引き上げていけば「長期金利も整合的な形で安定的に形成されていく」ものの、適切なペースで短期金利が調整されずに物価の上振れの可能性を市場が認識すれば長期金利も上振れるリスクがあると指摘した。「長期金利が安定的に形成されるよう、経済・物価に対する見方や金融政策運営の考え方につ?いて、市場との間で丁寧なコミュニケーションに努めていきたい」と語った。』
・・・・ただ今後気になるのはこの「長期金利」の話でして、確かに「責任ある」積極財政っていうことでその「責任ある」を強く言うようになったのって高市トレードで超長期中心に長期金利が馬鹿上がりした後からとなっているので、その点では高市さんも長期金利上昇については反応する、ということなので、植田さんの今回の説明ってその点では高市さんに対する利上げの正当性の説得になっているですよね。
なのでこの
『適切なペースで短期金利が調整されずに物価の上振れの可能性を市場が認識すれば長期金利も上振れるリスクがある』(再掲)
ってのは利上げ路線の正しさについて、高市官邸に対して「刺さる」説明を意識して答弁しているので、その点においても今回の国会答弁って植田さんの覚醒モード確変継続中って感じで見ているアタクシも大フィーバーって感じでございまして、この部分が結構アタクシ的には「おお!植田さんやるじゃん!!!」となった所ではあるのですな。
ただですね、この説明って諸刃の剣なところがあって、「長期金利があがるなら日銀が買えばいいじゃない」というマリーアントワネット理論(全然マリーアントワネットじゃないwww)を誘発するリスクがありまして、モチのロンですがそんなことしたら財政ファイナンス懸念で悲惨な結果になる(直ぐになるのかタイムラグもってなるのかはわからんけど)訳ですが、まあ高圧経済馬鹿音頭を踊っている馬鹿にそんな話が通じる訳が無いので、高圧経済馬鹿音頭連中に「じゃあ日銀が買えばいいじゃないか」と言われるリスクを考えて諸刃の剣を振り回して頂きたく伏してお願いする所存です。
先般来拙駄文では杞憂民モード全開になっているのですが、今のアタクシの杞憂は利上げの遅れも勿論あるのですが、もっと破壊力の強い中央銀行財政ファイナンス問題の発生の方を杞憂しているので、その杞憂の一環で言っているだけでして、その点ではだいぶ債券村のコンセンサスよりは杞憂寄りだとは思うのですが、まあ今後の説明であんまりこの長期金利上昇の剣を抜刀しすぎるのも考え物じゃなかろうかという話でこのコーナーを謹んでしめさせていただきとう存じます。
〇氷見野副総裁の和歌山金懇での経済の説明は中々複雑ではある
ぼちぼちと参りますが
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2026/data/ko260302a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 和歌山県金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 氷見野 良三
『2.経済の現状と見通し』を鑑賞します。『(需要ショックとGDP)』ってところから。
・堂々と「米国経済の読み間違え」を説明していますな
『では、まず左上の経済からです(図表2左)。曼荼羅では、「GDP」に、矢印が三本向かっています。』
曼荼羅見ながらご確認を〜。
『経済活動の水準「GDP」は、日本経済の巡航速度の水準「潜在GDP」の前後で変動するが、変動の要因の一つは経済の通常の循環の外から需要にショックが及ぶ「需要ショック」で、もう一つは金融の引き締めや緩和の状況を示す「金融環境」だ、という見方です。』
はい。
『日本銀行が1月に公表いたしました「展望レポート」では、以下のように述べております(図表2右)。
先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられる。
この文章には「需要ショック」が二つ入っています。一つ目は、「各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで」というところです。米国の関税政策などが日本からの輸出に影響を与えるマイナスの「需要ショック」のことを述べております。
二つ目は「政府の経済対策…などにも支えられて」と言っているところで、政府の経済対策で需要が喚起され、プラスの「需要ショック」となることを想定しています。』
ふむふむ。
『その次に、「緩和的な金融環境」も出てきますが、これについては最後の金融のところでご説明したいと思います。』
でもってこの次が、
『こうした条件の下で、経済成長がどうなっていくか、がGDPのところの問題ですが、この部分は私どもの見通しが外れたところです(図表3左)。』
ということで、まあ既に米国経済に関しては「想定以上だった」みたいな説明を12月の利上げの時以降行っていますし、実際問題として日銀だって見通し外したって認識ではあるのでしょうけれども、このように堂々と「私どもの見通しが外れた」とぶっこんでくるのは結構なお話。
つまりですね、見通し外したんだから前提条件変わった、ってことになるので、昨年4月以来のハトハトチキンは終了しております、ってのを明確に示しているので、話の前提がだいぶ変わっている、という説明をきっちりと行っていますな。
昨日ネタにしましたように、今回の氷見野さん、会見でも妙に「利上げネタで政治方面を刺激しないように」って風情の質疑応答が目に付いたんですけれども、政治方面が読んでもすぐに反応しそうもない部分においてはきっちりと利上げ路線を裏打ちする説明を展開しているのが中々チャーミングではございますなとは思いますw
でもって続き。
『トランプ政権が昨年の4月に関税政策を発表する前には、私どもは日本のGDP成長率は
2025 年度も 2026 年度も1%前後になるだろうという見通しを持っておりました。米国の関税発表の直後にはこれを大幅に引き下げたのですが、その後それを順次引き上げてまいりまして、一番最近に公表した見通しでは、結局米国の関税発表前の見通しの水準に戻っています。思ったほど大きな「需要ショック」にはならなかったということになります。』
ということですが、
『なぜ直後の見通しが外れたのか。私どもは直後の見通しでも、「今後、各国間の交渉がある程度進展するほか、グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されること」を前提に置いておりましたので、実は関税交渉の進み方について大きく読み間違えていたわけではありません。』
そ、そうなのか???とは思うけど次に行きますとですな、
『一番想定外だったのは、米国経済が思ったより強かった、ということです。』
ほーーーーー。
『米国経済について読みが外れたのは私どもだけではありません。米国の中央銀行であるFRBも一旦見通しを大きく引き下げたあとでまた元に戻しており、しかも最近公表された速報ベースの実績値は直近の見通しをさらに大きく上回っています(図表3右)。』
日銀の悪い癖で、なんでも「ボクだけじゃないもん」って言ってしまうのはまあ言いたい気持ちは分かるのですが、往生際が悪いって印象を与えかねないので程々にしてほしいもんです。
『ではなぜ米国経済は思ったより強かったのか。二つ理由が考えられます。第一は、関税負担のかなりの部分を米国企業がかぶって消費者への転嫁を抑えたために、物価がそれほど上昇せず、消費が想定されたほどには抑制されなかったことです(図表4左)。』
輸出側、ではなくて米国側が被っているのがオシャンティー。
『第二はAI関連の設備投資ブームです。米国ではIT関連以外の設備投資が鈍化する一方、巨大AI企業の設備投資が激増しています(図表4中、右)。私どもは、去年の
10 月ごろには、「先端半導体に強い台湾や韓国とは異なり、日本は米国のAI関連投資の需要をあまり取り込めないのではないか」という見方をしていました。』
確かにそうでした。
『しかし、1月の支店長会議の報告では、日本国内への影響は、地域的にも広がりがあり、分野的にもデータセンターのエアコンから半導体製造装置まで多様で、直接の輸出企業だけではなく、その協力企業にも幅広く及んでいる、という印象を受けました。』
ここは興味深い説明でした。
・国内の需給ギャップに関する話は忍法煙巻きの術ではあるが「多面的分析」が重要って事ですな
『(潜在GDPとGDPギャップ)』に参ります。
『では、そうした状況の下で、現在のGDPは、日本経済の巡航速度の水準である「潜在GDP」を上回っているのでしょうか、下回っているのでしょうか。これが曼荼羅ではGDPの一つ右上に描かれている「GDPギャップ」にあたります。これがプラスであれば、経済は過熱気味であり、設備や労働力といった供給能力は不足している、ということですし、マイナスであれば、経済は停滞気味であり、供給能力には余裕がある、ということになります。』
はい。
『日本銀行スタッフの推計によれば、GDPギャップ(需給ギャップ)は足元では概ねゼロ近傍だ、という結果になっています(図表5赤線)。ここには示していませんが、内閣府の試算でも概ね似たような結果となっています。』
はい。
『だとすれば、日本経済は、過熱も停滞もしておらず、設備や人手は全体としては不足してもいなければ余ってもいない、ということになります。みなさまの実感ではいかがでしょうか。』
「みなさまの実感ではいかがでしょうか。」ってのが良いですね〜
『私どもが企業に対して行っているアンケート調査「短観」では、業況についての評価は大幅なプラス領域にあり、しかも改善を続けています。人手不足は非製造業を中心にバブル期以来の厳しさとなっており、これと設備についてのアンケート結果を組み合わせて供給能力の過不足の度合いを指標にすると、著しい不足を示す結果となります(図表5青線)。実際、建設や機械については受注残が積み上がり続けています。』
キタコレ!
『他方、だからといって経済に過熱感があるかというと、内閣府のアンケート調査の結果をまとめた消費者態度指数は過去の景気回復局面に比べかなり低い水準が続いています(図表5緑線)。ここには示していませんが、日本銀行が一般の方々に対して行っている「生活意識アンケート調査」の結果も同様の姿を示しています。』
ふむふむ。
『また、私どもの本店や支店が地域経済の状況の分析をした結果をまとめた「さくらレポート」でも、各地域ともに「持ち直している」とか「緩やかに回復している」といった評価になっています。これは「拡大している」よりは何段階か弱い表現です。』
ふむふむなるほど。
『経済はまだそんなに強くない、というのが多くの国民の方々の実感ではないかと思います。』
ということで・・・・・・・
『こうした矛盾した印象となっているのがなぜかは難しい問題ですが、人口減少の中での成長過程であるために、不足感と停滞感が併存し、これに地域間や所得階層・資産階層間での景気回復に対する実感の違いが輪をかけている、ということではなかろうかと思います。』
なるほど〜ってことで、多面的な見方をしましょうって感じのまとめになっているのが印象的でした。今朝はこの辺で勘弁して続きは(何もなければ)また明日。
2026/03/04
お題「イラン戦争の反応メモと雑談/氷見野副総裁金懇会見は金融政策の先行きにで見事なノーコメント地蔵を貫くの巻」
現代ビジネス仕事速いなwwww
https://gendai.media/articles/-/164668
2026.03.03
【独自】仮想通貨「サナエトークン」を大宣伝!高市総理公認の後援会「チームサナエ」のリーダーを直撃!その言い分は…
河野 嘉誠 ジャーナリスト
週刊現代 講談社
高市さんは巻き込まれただけだとは思う(思いたい)のですが、このお方の取り巻き(だか寄ってくる人たちというか)って見事なまでにアレというのは何とかならんのかと思ってしまいます。
〇2日目は株安債券安と来ましたがということで多少雑感をプラス
・2日目は株安債券安でしたが今日はどうなるのやら・・・・・
とりあえず備忘メモで恐縮ですが
https://jp.reuters.com/markets/japan/SYOQIYSBAZKR3M5JFBQ7FNMO4U-2026-03-03/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物大幅反落、インフレ懸念が圧迫 長期金利は2.125%に上昇
ロイター編集
2026年3月3日午後 3:30 GMT+9
『[東京 3日 ロイター] - <15:10> 国債先物大幅反落、インフレ懸念が圧迫 長期金利は2.125%に上昇
国債先物中心限月3月限は、前営業日比59銭安の132円65銭と大幅反落して取引を終えた。中東情勢を背景としたインフレ懸念が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同6.5ベーシスポイント(bp)上昇の2.125%。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、10年入札自体は事前に押し込んだので無難な入札になりましたが、
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比3.0bp上昇の1.245%、5年債は同6.0bp上昇の1.590%、20年債は同7.0bp上昇の2.950%、30年債は同4.5bp上昇の3.320%、40年債は同5.0bp上昇の3.555%。』
2日で結局先物が15銭下がっているのだからそうなるのはそうなるんですが、月曜に盛大に金利低下した5年とか思いっきり行って来いになって2日で1毛5糸(先物スライドではあるが)金利上昇したとかもう笑うしかないのですが、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 1.243 1.249 0.028 14:56
5年 1.585 1.595 0.048 15:03
10年 2.118 2.126 0.055 15:07
20年 2.947 2.956 0.061 15:12
30年 3.321 3.336 0.038 15:13
40年 3.538 3.556 0.034 15:07』
ってことで5年〜10年甘いのですが、どさくさに紛れて20年が2日で3毛甘くなっているのはこれは何ぞという感じですがよくわからんですな。まあ単純に需給のせいだとは思いますけど。
https://port.jpx.co.jp/jpxhp/main/index.aspx?F=future&disptype=day_through
先物価格情報(日中に見ると日中の数字が更新されます)
こちらみると日経先物は下がっている(とは言っても昨日の引け後1200円とか盛大に下げていたのから見ると戻っている)のですが、債券先物は昨日の引け後こちらも20銭とか下がっていたのが戻っているのですが今日はどうなるのやら・・・・・
さすがにトラ公も原油高で株安モードはヤバイと思ったのか
https://jp.reuters.com/markets/commodities/4NUIEDNT7BK7FK6JFFNK2XLWHY-2026-03-03/
米、ホルムズ海峡通過タンカーの軍事保護を検討=報道
Gnaneshwar Rajan
2026年3月4日午前 4:25 GMT+9
『[3日 ロイター] - トランプ米政権は急騰しているエネルギー価格を引きき下げるめ、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を通過する原油、天然ガスタンカーに軍事的な保護を提供することを検討している。米政治専門サイトのポリティコが3日、複数の関係筋の話として報じた。ロイターはこの報道内容を独自に確認できていない。』(上記URL先より)
って話になっているようですが、今回ばかりはTACOろうにも交渉相手を悉く殲滅してしまっているだけにTACOる訳にも行かない訳ですしどうなるんですかねえ・・・・・・・・・・
・しかしまあこれで日本だけは「利上げするな」の大合唱になるんでしょうなあ
シュミッドさんなので元がタカ派ではあるのですが
https://jp.reuters.com/markets/japan/TN7RME6IIRMVJM3WPLWNWPD5HM-2026-03-03/
カンザスシティー連銀総裁、利下げに慎重姿勢 インフレ過熱を懸念
ロイター編集
2026年3月4日午前 1:44 GMT+9
ってな感じで他の主要国ではインフレ過熱懸念で金融政策を緩和的にすることに対しては慎重な話が出てきている(から欧米金利上がっているんですしおすし)わけですが、日本の場合は物価高対策が必要って話になってくると日銀への利上げを止める方向に話が行くとしか思えないのが頭痛い訳ですな。
でまあそうなると円安になって後追いで利上げをすることになるという残念なスパイラルになる訳で、よくよく考えてみたらこれまでの利上げも結局のところ円安後追い利上げに他ならないので、
https://jp.reuters.com/world/japan/6AVJQAAMUNKMDO3YENUMOJXHWI-2026-03-03/
日銀、3月会合で政策金利据え置く可能性 利上げ姿勢は維持=関係筋
和田崇彦, 木原麗花
2026年3月3日午後 3:58 GMT+9
『[東京 3日 ロイター] - 日銀が18、19両日に開催する金融政策決定会合で、0.75%としている政策金利を据え置く可能性があることが分かった。昨年12月の利上げの影響見極めに加え、イラン情勢の緊迫化がどの程度続くのか不透明感が漂う。ただ、足元で為替円安が進行しているほか、日銀は中立金利までの利上げ姿勢を崩しておらず、決定会合までの曲折も予想される。』(上記URL先より、以下同様)
ってまあさすがに3月利上げはねえだろとしか言いようが無いのですが、3月の時に当記事のように「物価目標達成するんだから徐々に利上げよ」という姿勢を維持できるかという話でして、なにせ昨年はトラ公の関税攻撃によって超クソ弱気になってしまって、そのせいもあって、関税攻撃が一段落したところでの利上げが一歩遅れてしまったら自民党総裁選が始まってしまい、たまたま円安にかっとんでくれたから12月に利上げが出来たものの、先般の高市植田会談でも「難色を示した」とか言われる状況でちゃんと利上げ姿勢を維持出来るのかどうか、ってのが注目されますわな、と思います。
なお同記事でも、
『原油先物の先高観の強まりは、東京都区部で節目の2%を割り込んだばかりのコアCPI(消費者物価指数)上昇率の押し上げ要因となり、予想インフレ率に影響する可能性がある一方、ガソリン価格が上昇すれば国民生活に直結する。』
ってことなのですが、ゆうてこの状況下で日銀が利上げを渋る姿勢を示しますと(いまはただのドル高なので円安一辺倒ではない、という意味で)円安モードが再燃してしまってエネルギー価格上昇の影響とのダブルパンチが発生してさらにエライコッチャになりますがな、と思うのですが同記事のこの先の部分を拝読しますと、
『消費の下押し圧力は実質国内総生?産(GDP)成長率にも飛び火しかねず、』
という指摘はその通りなのだが、
『複数の政府関係者は「日銀は利上げがしにくくなった」と口をそろえる。政府内では、事態の長期化を懸念する声が強い。』
という話に自動的になってしまうのがジャパンクオリティでして、複数の政府関係者が口をそろえるくらいなので、高市総理が利上げについて文句タラタラとなりそうなのは火を見るより明らかなのが困った所ではありますし、先般の経済財政諮問会議を見ればイラン戦争無しの段階ですら「利上げダメ」とか民間馬鹿委員が言っているのですから、どこからどう見ても経済ブレーン(笑)の皆様が一段と利上げするなやと吹き込むのが見え見えですから翻意するとは到底思えませんがな。
というのを軸に考えていくことにはなりますが、ただまあこの姿勢が明確になると円安に飛ぶので4月末の金融決定会合を前に円安で首が回らなくなるので結局利上げ、というのは思いっきりありそうですし、(いちいち数字引用しませんが)短国市場ちゃんも売参引値見る限りにおいては3Mとかの辺りは不動モードでしたので、いまのところは4月利上げが中心ってことになっているとは思うのですが、3月会合に向けたムーブについては要確認ですな。
〇氷見野副総裁和歌山金懇の会見から先に参りますが
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2026/kk260303a.pdf
氷見野副総裁記者会見
――2026年3月2日(月)午後2時から約30分
於 和歌山市
・とりあえずイラン戦争に関しては判断保留なのは仕方ないが残念感は漂う
実質冒頭質疑は当然これになりますわな。
『(問)米国とイスラエルはイランへの攻撃に踏み切り、原油価格が高騰しています。地政学リスクなど不透明感が高まっている中では、これは利上げに慎重になる要因になるのか、それとも供給要因であってもインフレ期待や基調物価に影響する可能性もあるので、必ずしも利上げを慎重化させる要因にならないのか、副総裁のお考えをお願いします。』
とは言え、この質問って非常に良い聞き方をしていて、「供給要因であってもインフレ期待や基調物価に影響する可能性もあるので、必ずしも利上げを慎重化させる要因にならない」ってのは大変に重要な論点なのでして、ウクライナ侵攻とコロナ対策財政拡大の効果が出てきたのの合わせ技で欧米で物価が上がった時に「供給要因なので放置プレイ」とかして(おまけに米国では「メイクアップストラテジー」とか言って放置プレイをしていた訳で)後でエライことになった訳ですが、今回の日本って財政ガバガバ出す中での供給ショックになる可能性があって、同じこと起きたらどないしますねんというか日銀は無能オブ無能の烙印を千載に残すことになるんですが、という話ではあります。
でまあそれに対してですが氷見野さんの回答は、
『(答)まず、今後の展開次第のところがかなりあるかというふうに思いますけれども、今後の展開については見極めがたいものがまだたくさんありますので、特定の展開を前提としてどういうふうに働くといったお答えをすることは差し控えさせて頂きたいと思います。いずれにしましても、政府とも密接に情報交換を行いながら状況をしっかり注視してまいりたいと考えております。』
ここで麿総裁なら堂々と「一般論ではございますが」とか言い出しそうですが、氷見野さんをもってしてもここで一般論をぶちこむのは難しい、という状況になっているんだなというのは把握しましたので、まあ確かに政府のヘッドがアレで、経済財政諮問会議などの経済ブレーン(笑)がアレではここで一般論をぶちこめない、ということは良くわかった訳です。
でまあそう考えますと、日銀の次回利上げってのは円安追い込まれ系での利上げにならざるを得ないのではないかという気がだいぶしまけれども、ワンチャン期待できるのは「市場が既に次回の利上げまでは少なくとも織り込んでいるしだいたい4月で見ている方が多い」ということでありまして、これはすなわち4月に利上げしい、とか3月利上げ見送りの際に先行きの利上げに消極的な姿勢を見せると円安飛ぶ飛ぶ炎と燃えて♪となってしまいますよ、という認識が界隈に発生していれば普通に1%への利上げはできるんじゃないかという期待がありまして、これすなわち「市場が利上げに連れて行く」というパターンになるって奴ですな。
・・・ということで何の気ない質疑で思いっきり妄想入りの見通しを考えてみましたが、要するに「日銀は利上げネタで官邸方面を刺激するのを今はかなり慎重に構えている」というのがこの質疑応答で読み取れました(個人の妄想ですが)」というのと、「とはいえ次回の利上げに関しては遅らせると円安を助長しかねないという認識がどの程度あるかによってハードルが意外に高くない可能性は残っているでしょう」というこれは別にこの質疑応答関係ないですが、そういう勝手読みの世界になったというお話です。
・やはり「中立金利」を説明に使うのは難しい局面になっていますわな
次の人の質問ですが、
『(問)二点お伺い致します。まず一点目がですね、物価目標に対する距離感について伺いたいのですけれども、本日の講演でですね、2%の物価目標は確実に達しているとまではまだ言えないけれども、既に概ね
2%近傍であるというご認識を示されたかと思います。日銀はですね、これまで物価目標の達成時期には、既に中立金利に達しているというような説明をされてきたと思うのですが、併せて考えると、物価目標に今近いということは中立金利にもだいぶもう近いというようなご認識を氷見野さんはされているのでしょうか。関連してその物価目標までの距離感とか、利上げのペース、ゴールについての考え方をお聞かせください。(後半割愛)』
中立金利との関係で今の金利ってどうなのよ、というのが質問のメイン部分でして、これまた回答しにくい(まともに回答するとやはり「利上げ話で官邸を刺激」になってしまうから)質問になる訳ですが、氷見野さん今回は・・・・・
『(答)一つ目のところは、例の階段の絵が書いてある絵みたいな話になると思うのですけれども(引用者追記:これはネタにまだしていませんが、金懇挨拶本編での説明に使った「展望レポートハイライト」のポンチ絵です)、物価安定目標に確実に基調物価が達しているというふうにまではまだ断言できないということで、現状では緩和的な政策を今後徐々に調整していくと、利上げを行って中立に近づけていくということだというふうに思いますけれども、』
ということで方向性自体は示していますが、
『現時点では緩和的な領域の中でやっていることで適切だと思いますし、ということは中立金利よりは低い状態にあっておかしくないということで、今後物価の基調が2[%]で安定していく過程の中で、中立に近づけていくということになると思うわけですが、』
基調物価が2%に達成していない、という定義にしておかないと今の政策金利水準が適正という結論になってくれない、ということですな。
『そのうえで距離感というご質問だったんですが、今日申し上げたのも、その距離というのを緻密・精密に測定して特定することができないということに現状ありますので、中立金利、あるいは自然利子率についての見方と、物価の基調についての見方と、あと現状での金融環境の状況等をみながら、ある意味総合的に判断していくしかないというふうに考えております。(後半割愛)』
この辺りは金懇挨拶本編の方にあるのですが、この辺りに関しては思いっきりこういうような言い方をして蒟蒻問答モードに持って行っているなあという感じですし、中立金利の概念についても目標達成が近くなった時にはコミュニケーションとして(目標達成から遠いときと比較して)適切さに欠けるという説明をしておりますので、まあ中立金利を使った説明は徐々に避けていくようにしたいんだろうなあとは思いました。
とは言いましても、今まで散々説明に使ってしまった概念なので、いまさら急に引っ込める訳にも行かないし、引っ込めたくてもこの質疑のように質問が飛んでくるわなと思いました。
・今回はタカハトいずれの言質も与えない戦術に徹底していますなあ
まあ今回に関してはしゃあない面はあるのですが、とは言え先ほども申し上げたように、官邸方面との間合いが掴み切れていない面はあるんだろうなあとは思いました。
つまりですね、
『(問)二点ご質問させて頂きたいと思います。確認なのですけど、これまで日銀は経済・物価情勢の改善に応じて政策金利を引き上げていって、金融緩和度合いを調整するということを表明してきたわけですけれども、今回の中東情勢の緊迫化を受けても、この方針自体は変わりがないのでしょうかというのが一点目です。
二点目ですけれども、こういった中東情勢を巡るこの不透明感の高まりですとか、今日も日経平均一時
1,000 円超下がるなどして市場変動が大きくなっているという状況ですが、このように市場変動が大きなとき、こういったときにはやはり利上げをしていくということには慎重にならざるを得ないのでしょうか。この二点をお願い致します。』
という質問に対して、
『(答)一つ目ですけれども、方針自体に変化があるとは考えておりません。ただ、その方針の中に入っております、経済・物価情勢の改善に応じて、というところがどうなっていくかには今後影響はあり得る話だと思いますけれども、それがどういう影響が今後出そうかということについては、何か現時点で予想申し上げるということは差し控えたいと思いますし、また、考え方の枠組み自体が何か変わるということではないというふうに思っております。
二つ目は、不透明感が高まって市場変動が大きいときには慎重に金融政策を運営するのかどうかということですけれども、これは市場変動が大きい場合、不透明感がある場合、そのときなりに必要なことはしっかり判断してやっていく必要があると思います。市場変動が大きいときには必ず政策変更をしない、ということとは限らなくて、市場変動が大きいために、対応するために、政策変更が必要だと考えるシナリオもあり得ないわけではありませんので、何か市場の動向と、政策の運営の仕方について、カテゴリカルに結びつけて法則を述べることは差し控えたいと思います。』
ということで、コンセプチュアルな話で新しい事を絶対に言わないというのが徹底していますし、
『(問)本日、質問で、不確実性についてイラン情勢と米国の関税と今出たわけですけれども、昨年は金融政策の変更にあたって米国の関税の影響を見極めるというような、判断までに見極める必要があるというようなことがあったと思うんですけども、今回イラン情勢はかなり不透明感強いんですけれども、次の政策変更にあたってその見極められるまで待つ必要があるのか、それとも見極められないけども政策変更ということもあり得るのか、お考えをお聞かせください。』
という質問に対しても、
『(答)どの程度見極めが必要になるかの見極めも、現時点ではできておりませんので、それも今後の展開次第だろうというふうに思います。ですので、今の時点で見極めに必要になる時間軸について予想を申し上げることは差し控えさせて頂ければと思います。』
ということですので、今回は兎に角「先行きの金融政策に関しては完全に従来路線の維持以外のことは言わない」という姿勢は徹底しているなと思いました。
なので早期利上げの話が無いのは残念、とは言えますけれども、昨年のトランプ関税を受けた後のスーパーハトハトチキンムーブメントの事を思いますと、今回は良く踏みとどまった、とも言えますので、つまりは先行き金融政策については今回見事にノーコメント地蔵だったな、というところです。
ということで今朝はこの辺で勘弁
2026/03/03
お題「イラン攻撃を受けた市場クリップ/氷見野副総裁和歌山金懇挨拶(その1)」
そういや先週末こんなのがあったんでしたな
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-02-27/TB3UR0KJH6V900
諮問会議の民間議員がインフレ予想低下を警戒、日銀に適切対応求める
Sumio Ito
2026年2月27日 at 17:35 JST
『前日銀副総裁の若田部昌澄早大教授が足元の物価動向について「総合、いわゆる欧米型コアともに2%を下回っており、サービスも弱め」と指摘。』(上記URL先より)
>欧米型コアともに2%を下回っており、サービスも弱め
>欧米型コアともに2%を下回っており、サービスも弱め
>欧米型コアともに2%を下回っており、サービスも弱め
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消 費 者 物価指数
全 国 2026年(令和8年)
『(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は111.4
前年同月比は2.6%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇』
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消 費 者 物 価 指 数
東京都区部 2026年(令和8年)2月分(中旬速報値)
『(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は110.6
前年同月比は2.5%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇』
しかもCPIの伸び率弱まっているのってガソリン暫定税率とか補助金の影響だし一般サービスは強いんだがこの馬じゃなかった若田部とかいう輩は何見て物喋ってるんですかねえ・・・・
〇とりあえず全般的に金利が低下している中ですが短国は3Mカレントまで引け変わらずなのがチャーミングというメモ
ロイターさんによる昨日の債券市場レビュー
https://jp.reuters.com/markets/japan/WB2YEYTFOVIFNASWAAG3TXT62I-2026-03-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利2.06% 中東情勢緊迫化で買い
ロイター編集
2026年3月2日午後 3:32 GMT+9
『[東京 2日 ロイター] - <15:18> 国債先物は続伸、長期金利2.06% 中東情勢緊迫化で買い
国債先物中心限月3月限は前営業日比44銭高の133円24銭と続伸して取引を終えた。中東情勢緊迫化を背景にリスク回避ムードが強まり、円債は買いが優勢となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.0bp低下の2.060%。』(上記URL先より、以下同様)
ということでまあ順当に全体的に金利が低下していました次第で、
『現物市場で新発債利回りは総じて低下。2年債は同3.0bp低下の1.215%、5年債は同4.5bp低下の1.530%。20年債は同4.5bp低下の2.880%。30年債は同5.5bp低下の3.280%。40年債は同4.0bp低下の3.520%。』
ってことなのですが、ただまあ一方で資源高ショックって事になりますと、これはウクライナ侵攻の時と同じパターンで、その価格上昇が持続的に効いてくるってことになると、単純にコストプッシュだから放置していて良いという事にはならない、というのを先般のインフレ高進局面で欧米の中銀は学習しているので、欧米の金利ってそんなにホイホイと下がるのかいなというのもこれありではあるのですが、初期反応はリスクオフだ金利低下だ〜となるのはそらそうよという話ですので、
『 OFFER BID 前日比
2年 1.214 1.221 -0.022 15:02
5年 1.526 1.536 -0.041 15:04
10年 2.057 2.064 -0.051 15:15
20年 2.876 2.887 -0.034 15:15
30年 3.275 3.29 -0.041 15:15
40年 3.503 3.517 -0.035 15:08』
ということで全般お強くしておられるのですが、ここで味わいがあったのが短国ちゃんでして、
(3/2引値)
国庫短期証券1356 2026/04/20 平均値単利 0.705
国庫短期証券1358 2026/04/27 平均値単利 0.705
国庫短期証券1359 2026/05/07 平均値単利 0.760
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.760
国庫短期証券1360 2026/05/11 平均値単利 0.720
国庫短期証券1362 2026/05/18 平均値単利 0.764
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.770
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.770
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.760←新発3MI
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.770←今週金曜入札の新発WI
(2/27引値)
国庫短期証券1356 2026/04/20 平均値単利 0.705
国庫短期証券1358 2026/04/27 平均値単利 0.705
国庫短期証券1359 2026/05/07 平均値単利 0.760
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.760
国庫短期証券1360 2026/05/11 平均値単利 0.720
国庫短期証券1362 2026/05/18 平均値単利 0.730
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.770
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.770
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.760←新発3MI
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.769←今週金曜入札の新発WI
まあここまで並べることは無いのですが(笑)、3Mまでのところの引値は(一部の変態銘柄の修正は別にして)引けカワランチ会長という結果になっておりまして、4月末を跨いだ所で引値が段差持って甘くなっているでござるの巻、という4月会合利上げモードが継続しておりまして、ついでに申し上げますと3Mカレントゾーンから後ろに行きますと引けが1毛強とかそういう感じで強くなっている、という形になっていまして、長期債市場の盛大な金利低下に対してこの推移は中々味わいがあると思いました。
だからどうしたと言われると困るのですが、氷見野さんの金懇挨拶でも地均しはしていないけど別に利上げを先送りする感じもしないですし、円債はこんな感じですがグローバルの債券市場ちゃんって・・・・
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-02/TBACMIT96OSK00
米国債売り加速、中東情勢受けた原油高でインフレ懸念−ドル上昇
・米ISM製造業で仕入れ価格指数が急上昇したことも国債相場の重しに
・S&P500種とナスダック総合はプラス圏に浮上、ドル一時157円75銭
Rita Nazareth
2026年3月3日 at 4:04 JST
『2日の米金融市場では、中東での紛争激化を受けて原油価格が大幅に上昇。インフレ再加速への懸念から、国債相場は急落(利回り上昇)している。市場では米利下げ観測が後退し、ドルが買われた。
米国債相場は全ての年限で下落。この日発表された米ISM製造業総合景況指数が2カ月連続で拡大圏となったことや、仕入れ価格が2022年以来の高水準に急上昇したことも国債相場への重しとなった。
国債 直近値 前営業日比(bp) (「変化率」表示は無意味なので引用割愛)
米30年債利回り 4.70% 8.8
米10年債利回り 4.05% 11.2
米2年債利回り 3.49% 11.7
米東部時間 13時58分』(上記URL先より)
とか、
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-02/TBAAPEKJH6V500
【欧州市況】株は11月以来の大幅安、国債下落−利下げ観測が後退
Levin Stamm
2026年3月3日 at 4:39 JST
『欧州債は下落。トレーダーの間では利下げ観測が後退した。エネルギーの供給ショックで物価が上昇し、インフレを招くとの見方が広がった。
償還期限が短めの英国、イタリア債が下げを主導した格好となった。エネルギー価格の上昇に伴い、中央銀行の金融政策は難しいかじ取りが求められるとの懸念が背景にある。また、償還期限が長めの国債は、政府が支出拡大を余儀なくされることで、圧迫されるリスクを抱えている。
欧州中央銀行(ECB)が年内に利下げするとの見方は、ほぼ完全に消えた。先週末時点では可能性はおよそ五分五分とみられていた。』(上記URL先より)
ってな中で円債だけホイホイと金利低下できるもんなのかねという気はせんでもないというか、インフレがコストプッシュだから緩和継続ガーって言ってたら物価もさることながら円安を助長せんかしらという懸念しか出てこないでござるの巻になるんだが、とは思いますがどうなるやら。
というかですね、先週に発生していた「諮問会議の民間議員がインフレ予想低下を警戒、日銀に適切対応求める」(さっきのBBGのヘッドラインより)っていう事案がとんでもないフラグになっているのが笑うに笑えません・・・・・・
〇氷見野副総裁の和歌山金懇はテキストが中々面白かったが早期利上げ地均しではありませんわな
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2026/data/ko260302a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 和歌山県金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 氷見野 良三
・参考文献の最初と最後がクソワロタ(褒めてる)
今回の金懇挨拶、図表の曼陀羅図があまりにもインパクトがあるのですが、脚注の並びもインパクトがありまして・・・
1 空海『御請来目録』806 年
・・・・
7 詳しくは、氷見野良三『易経入門 孔子がギリシア悲劇を読んだら』文春新書、2011年、をご覧ください。
8 吉川幸次郎『古典について』講談社学術文庫、2021 年
9 狩野直喜「山井鼎と七経孟子考文補遺」(『支那学文藪』みすず書房、1973 年、所収)。文語調の表現を口語調に改めました。
って脚注7が特にビビりましたが、氷見野さんってマイヨールの評伝書いているのは存じ上げてましたが、何ですかこの脚注7の書籍は(褒めてる)って話でこれはビビるしか無いじゃないですかヤダーってなもんでございました(^^)。
・曼陀羅図はなんの判じ物かという話はあるのですがワシは「物事は単純に割り切れるものではない」という意味かと思いました
でまあ今回の金懇挨拶、初手からこの説明がおっぱじまるわけでして、『1.はじめに』の部分が、
『みなさま、本日はお忙しい中ありがとうございます。日ごろから日本銀行にご支援・ご協力を賜り、感謝申し上げます。』
からの『(マクロ経済の見取り図)』でして・・・・・
『本日は、まず、日本の経済と物価について、次いで金融政策の運営について、考えを述べさせていただきたいと思いますが、なにぶん、経済も物価も金融政策もいろいろな論点がありますので、どの話がどこにどうつながって、全体の中でどういう意味を持つのか、見えにくいかと思いまして、全体を一覧する見取り図のようなものを用意してまいりました(図表1)。』
でもって図表1が『マクロ経済の見取り図』ってことで驚異の曼陀羅図が登場するのですな。
『ちょっと曼荼羅みたいに見えるかもしれませんが、弘法大師もはじめて曼荼羅を日本に持ち帰られた際に、「なかなか文章には載せきれないことがらも、図画で示すと一目でわかる」といった趣旨のことをおっしゃっています1。』
でもってこの脚注がまさかの「空海『御請来目録』806 年」だったりします。
『今回は高野山にもお邪魔させていただく予定ですが、一種のオマージュとしてお許しいただけるのではなかろうかと希望的な観測を抱いております。』
お、おぅ・・・・・
『なお、中身はマクロ経済学の標準的なモデル「動学的総需要・総供給モデル」の骨格をなす5つの方程式を絵にしたものです2。』
ほうほう。
『内生変数を円状に並べ、外生変数のうち比較的恒常的なものをその内側に、一時的な色彩が強いものを外側に配置してあります。』
な、なるほど。
『また、矢印もいっぱい引いてありますが、変数の間の関係について、方程式で足し算になっているところを黒矢印で、引き算になっているところを白矢印で示してあります。』
改めて図表1を読むとなるほどなるほどと思うのだがこれはまた複雑な、ってなもんですが、この先の説明も含めて鑑賞しますと、経済の動きってのはそう簡単に単純化するもんでもない、っていう話をしているのかなあとアタクシは勝手に理解しましたが、氷見野さんの真意と違っていたらアタクシの浅学菲才を謝罪するしかないんですが、まあその浅学菲才のワイが思ったのは、この氷見野さんの曼陀羅図連発攻撃なんですけど・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf
「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム
ー 「第一の矢」の考え方 ー
こちらは図表シリーズになりますが、6ページ目の図表(PDFの7枚目)に「「量的・質的金融緩和」の波及経路」ってのがありまして、風が吹けば桶屋が儲かる置物フローチャートとして名高い波及経路でして、まあこの波及経路が全然ワークしなかったことでも著名ではあるのですが、置物リフレ理論にしましても、最近の馬もとい若田部大先生などの高圧経済万歳理論とか、審議委員絶賛ノミネート中の浅田先生のMMTとか、まあ兎に角経済を直線的な単純化をして説明して「こうやれば世の中バラ色」という説明をすることによってリテラシーの低い馬鹿政治家や愚民の皆様大喜び、という流れが続いている訳ですな。
とまあそんな現状を踏まえまして、氷見野さん今回はこの曼陀羅図で説明(曼陀羅図見ただけでは何が何だかなのですが、説明文章を読むと何となくイメージが掴めそうになってくるというまさに弘法大師もビックリの内容になっている)しているのって、インチキ連中の「風が吹けば桶屋が儲かる」的な物事の単純化によるインチキ説明に対するアンチテーゼの意味も込めてこういう説明をしているのかな、とか思ったりはしましたが、あくまでもこれはアタクシの浅学菲才がもたらす勝手解釈なので、氷見野さんの意図と全然違っていたらゴメンナサイとしか申し上げようがありません。
・説明は全体として流れるように繋がっているので紹介しだすと全編を読んでいくことになるのだがそこを無理矢理現世利益にしますと・・・・
ということでですね、今回の氷見野さんの説明って全体がこの曼陀羅図を流れるように説明しているので、途中だけ切り取ってネタにしにくいのでして(というのはアタクシの読み込みが足りないから、という説はあるのですが・・・)、とりあえず目先の金融政策に関する部分だけ無理やり読み取ろうとすると、『4.当面の金融政策運営』の部分を拾いながら読むことになります。なお全編に関しては会見も含めて明日に続くで勘弁してつかあさい(滝汗)。
・金融政策の説明の初手でしらっとぶちかましているんですよね
でもってその初手の部分がいきなりこれでありまして、
『さて、日本銀行の仕事の一つは、経済が過熱して物価に上昇圧力がかかれば金融を引き締め、経済が沈滞して物価が下押しされれば金融を緩和することです。それによって、過度のインフレにもデフレにもならないよう物価を安定させ、経済を息の長い成長軌道に乗せることを目指すわけです。』
全くその通りですな。
『日本銀行法の第2条には、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」とありますが、これはそのような意味だろうと理解しております。』
ということで日本銀行法第二条をぶっこんでいるのが非常に味わいが深くて、日本銀行法第4条の政府との連携の話ばっかり持ち出す一派に対して静かなる大砲撃をしていますし、物価が高止まるのも怪しからん(なお物価の話の部分が前の方にあるのでそれはそれで明日以降)ということで、国民厚生の観点と、経済のスムージングという話を最初に持って来ているのは、氷見野さんにそういう意図があるかどうかはさておいても、大変に結構なぶちかましになっているのでありました。
でもって(政策金利)ってところですが、
『では、以上のような一般論を今の日本の状況に当てはめると、どういう結果になるでしょうか。』
今朝は時間と量の関係上一般論部分をワープするという暴挙に出ますが、実際にはこの「一般論」部分が結構大事な説明になっているのでお時間のある方はその一般論部分を目ん玉おっびろげて読むべし、であります。いずれ拙駄文でもご紹介する所存ですが。
『まず、先ほど申し上げた「インフレギャップはまだ若干のマイナスだが、今後ゼロ近傍に近づいていく」という見通しからすれば、ある程度緩和的なスタンスから出発して、政策金利のゆるやかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく、ということになると思います。』
>だんだん中立に近づけていく
>だんだん中立に近づけていく
>だんだん中立に近づけていく
まあ当然なのですがちゃんと言及しますね。
『GDPギャップについても、私どもの見通しでは、足もとのゼロ近傍から今後はプラス幅を徐々に拡大していくと想定していますので、政策金利を緩やかに引き上げていく方向に働くことになりそうです。』
ほうほう。「なりそうです」とは、って感じですがその次で、
『しかし、すでに申し上げた通り、GDPギャップをめぐっては異なる見方もあります。』
これまた前段を見る必要がありますので何ですが(汗)
『供給能力不足の状況からすればGDPギャップの実態は推計値よりも高いはずだ、という見方(前出図表5青線)に立てば、もっと利上げを急ぐべきだ、ということになりそうですし、経済はまだ強くない、という実感のほう(前出図表5緑線)に立つとすれば、そんなに急がなくても、ということになるかもしれません。』
おーーーーなるほど納得感のある説明。
『日本銀行は昨年 12 月に政策金利を 0.5%から 0.75%に引き上げましたが、これについては、遅すぎた、というご批判も、早すぎる、というご批判もいただいているところです。このように見方が分かれる背景には、今申し上げたような事情も働いているのではないかと思います。』
今の説明を受ければそういう話になりますな、なるほどなるほど。
『さて、GDPギャップとインフレギャップとを見て、例えば金融政策は若干緩和的にすることが適当だと判断したとして、では具体的には政策金利を何パーセントにしたらいいのでしょうか。』
ってことで、
『曼荼羅では、「自然利子率」と「予想インフレ率」のところから「政策金利」に矢印が向かっています。自然利子率というのは景気に中立的で経済を加速も減速もさせない実質金利の水準のことで、これに予想インフレ率を足すと、景気に中立的な名目金利の水準になります。政策金利をこれより若干低めにしておけば、金融政策は若干緩和的になることになります。こうしたやり方で政策金利を定めておけば、政策金利から左方向に向かって計算していくと、ちょうど頃合いの「金融環境」になるだろう、というわけです。』
という話になるのですが、そこで中立金利(あるいは自然利子率)が幾らか、という話の数値の精緻化方向に行くのではなくて、数値を知るには経済現象から後付けでみていくしかないですよね、という話にしておりまして、その説明の部分のまとめ部分で、
『以上からすれば、利上げによる影響はこれまでのところ限定的であり、金融環境は依然緩和的な領域にあるのではないかというふうに見えます。ただ、影響が数字に出てくるのは必ず遅れます。本日は、みなさまの肌感覚としてどうか、というお話をぜひお聞きしたいと思っております。』
ってことを説明していまして、今回は「方向性として利上げなのはまず間違いないけどそれ以上の踏み込みは全然していない」という事に成ろうかと思います。
・説明の最後の一個手前の部分でこんな説明をしているのが痺れました(これまた褒めてる)
『(循環の全体像で考える)』ってのが最後の部分の1個手前にあるのですけどこれが大変に宜しいので読んで味噌ということで拝読しますが、
『さて、以上で経済・物価・金融の循環の全体像の図式的な整理を一通りご覧いただきましたが、どのようにお感じになったでしょうか。もう少し単純明快に整理できないのか、と思われた方もおありではなかったかと思います。』
この辺りがアタクシ先ほど申し上げた曼陀羅図を持ち出したアタクシの勝手解釈に繋がるんですけどね。
『ただ、いろいろな要素が影響しあいながら、循環し、変化していく姿を全体像として把握すること7には、三つぐらいのメリットがあると思います。』
しれっとここに『7 詳しくは、氷見野良三『易経入門 孔子がギリシア悲劇を読んだら』文春新書、2011年、をご覧ください』があるのがチャーミング。
『第一に、経済の状況について評価する際に、特定の指標の動きだけで判断するのではなく、循環の中の様々な兆候を総合して、全体としていったい何が起きているのかを考えることができるようになります。例えば、全体のシナリオのどこにほころびの兆しが出ても、それに気づきやすいだろうと思います。』
これは結果的にリフレ連中への見事な精密爆撃になっておりますが、特定指標でギャースカ言う市場のワシらにもきちんと着弾しているという話がありますな(滝汗)。
『第二に、ショックや政策の直接的な影響だけではなく、様々な間接的な経路を通じた副作用やフィードバックにも注意しやすくなるのではないかと思います。』
然り。
『第三に、それぞれの指標には誤差もあれば推計の幅もあります。特殊要因による一時的な動きもあれば、大きな変化の兆しもあります。指標相互の関係や、全体の中での動きを評価することにより、指標のより的確な読み方ができるようになるのではないかと思います。』
おおおおおおおお。でもって最後にパウちゃんの言葉を入れています。
『FRBのパウエル議長は、「入ってくるデータの全体像に基づいて」政策を判断する、としばしば強調していますが、今申し上げたような趣旨も含まれているのではないかなと勝手に想像しています。』
ってな訳で、今回の金懇挨拶もネタにするのが中々大変(全体が繋がっているので)なのですが、とりあえずアタクシが最も印象を受けた(いやまあ全体として印象強いのでどこが、と切り取るのも難しいのですが)部分をネタにしてみた次第でありまする。
会見含めて続きは明日で勘弁。
2026/03/02
お題「3M入札は4月利上げモードも付利上金利は買い来るのかね/高田さんの会見は「腰が引けた」感が満艦飾で寧ろハト派かとwww」
あーあ
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-02-28/TB6DOMT96OSG00
トランプ氏「最大のばくち」、イラン攻撃は支持率回復シナリオの第1幕
Neil Munshi、Peter Martin
2026年3月1日 at 3:05 JST
・オマーンが交渉進展を報告、国民の大半が戦争に反対する中での攻撃
・国民の関心をそらす目的なら、最終的には非常に悪い結果に−専門家
『米国の大統領は国内での支持が落ちるとイラン攻撃に頼るという見方は、トランプ氏自身がかつて繰り返していたものだ。同氏は2011年、「オバマ大統領は再選のためにイラン戦争を始めるだろう」などと投稿。2013年にも同様の投稿を繰り返していた。』(上記URL先より)
支持率挽回のためにおっぱじめた、のではないと思いたいのですが・・・・・
〇なんかまた飛んでも無いものをおっぱじめやがりましたなorzorz
という訳で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC012M40R00C26A3000000/
ホルムズ海峡、事実上封鎖 イラン海軍が商船三井に航行禁止を通告
米・イスラエルがイラン攻撃
2026年3月1日 22:06
(2026年3月1日 23:22更新)
[会員限定記事]
『商船三井は1日、イラン海軍からエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行禁止を通告されたことを明らかにした。米国とイスラエルによるイランへの攻撃を受け、同国周辺は混乱が続いている。同海峡が事実上封鎖されたことで、世界のエネルギー輸送にも影響が出る可能性がある。』(上記URL先より、以下会員記事)
ってことになっておりまして、これ経済にマイナスではあるのだがコストプッシュ要因にもなりそうですし、どうするんでしょというか、だからとっとと1.5%くらいまで利上げしておけば良かったのにという話ではありますが、今後の進展次第なので何ともではありますけど、ベネズエラみたいに都合よく進むとは思えんのだがなあ・・・・・・
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-01/TB8J76KJH6V400
ドル急伸、アジア時間早朝は逃避活発−対円は156円付近ほぼ変わらず
Matthew Burgess
2026年3月2日 at 4:34 JST
だそうですがアジア他通貨対比で円が堅調とはまだまだ日本も逃避先扱いされているんですかねえ、知らんけど。
まあいずれにしましても今後の動向次第としか言いようが無いですがメモっておきました。
〇3M短国は4月利上げモードではありました(がイラン戦争おっぱじまったのでこの先は知らん)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20260227.htm
国庫短期証券(第1365回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1365回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1365回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和8年3月2日
4.償還期限 令和8年6月1日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆6,841億円
(2)募入決定額 3兆6,697億5,000万円
(3)募入最低価格 99円80銭5厘0毛
(募入最高利回り) (0.7836%)
(4)募入最低価格における案分比率 4.5253%
(5)募入平均価格 99円80銭8厘0毛
(募入平均利回り) (0.7715%)』
先週が0.7573%/0.7781%でしたので明確に金利上昇、と言いましても今回は(前回債まで低調だった)応札が10兆円台を回復していまして、それなりに札もありましたわってな結果だったこともあるのか、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
売買参考統計値
(2/27引値)
国庫短期証券1356 2026/04/20 平均値単利 0.705
国庫短期証券1358 2026/04/27 平均値単利 0.705
国庫短期証券1359 2026/05/07 平均値単利 0.760
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.760
国庫短期証券1360 2026/05/11 平均値単利 0.720
国庫短期証券1362 2026/05/18 平均値単利 0.730
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.770
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.770
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.760←新発3MI
国庫短期証券1366 2026/06/08 平均値単利 0.769←今週金曜入札の新発WI
(2/26引値)
国庫短期証券1356 2026/04/20 平均値単利 0.705
国庫短期証券1358 2026/04/27 平均値単利 0.705
国庫短期証券1359 2026/05/07 平均値単利 0.760
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.760
国庫短期証券1360 2026/05/11 平均値単利 0.725
国庫短期証券1362 2026/05/18 平均値単利 0.769
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.770
国庫短期証券1364 2026/05/25 平均値単利 0.770←カレント3MTDB
国庫短期証券1365 2026/06/01 平均値単利 0.780←2/27入札新発3MのWI
ということで5月足の一部の銘柄が周囲対比で変態引値になっていますが、新発3Mの引値しれっと0.760%と強くなっていまして、まあなんのかんの言っても明確に付利越えレートになってくると買う向きがあって4月利上げ織り込みモードになっても結局はそんなにカーブが立たないのね、とは思ってしまいましたが、そもそも論として米国のイラン攻撃という新展開になったのでこの先どうなるのかは良くわからんところではあります。トラ公の思惑通りに早期解決するなら途中ですったもんだしても結局は元に戻るとは思いますが思惑通りに行くのかとなると激しく不透明・・・・・・・
〇高田審議委員金懇会見は(材料視されなかったけど)なんか全然タカ派じゃないんですが・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2026/kk260227a.pdf
高田審議委員記者会見
――2026年2月26日(木)午後2時から約35分
於 京都市
・長期国債買入に関しては超及び腰でビビリンチョ(まあハト派って奴です)であるというのが確認できました
質疑としては中盤になりますが、
『(問)午前中の講演で国債市場のところについて結構分量を割かれていまして、その点についてお伺いしたいんですけれども、減額についてはゆっくり時間をかけてやっていってもいいんじゃないかという趣旨のお話があったと思うんですが、これはおっしゃるように今年の
6 月にも中間評価というのはありますけど、別に何か急いで減額をする必要はないんじゃないかというお考えをお持ちという理解でよろしいのかどうかということと、』
急がなくて良い、なのか(個人的には今のペースじゃ遅過ぎて話にならんと思いますがそれはさておき)一段と様子見地蔵なのか、ってのは気になりますわな。
『あともう一点、例外的な状況では、柔軟に対応ということなんですけれども、この文章を細かいところまで書かれてることを見ると、どちらかというと柔軟に対応していく必要性というのを、何か重きをおかれていらっしゃるのかなっていう印象を持つんですけど、そういった点どういうふうにお考えになっているんでしょうか。』
ということで、この例外的な状況云々のところはあんまりネタにしませんでしたが、まあそういう印象を与えるような感じでしたし、ヘッドラインでもそんな感じで出ていたな、とは思われる所でしたのでこの二点の回答は気になる訳ですが、
『(答)国債の減額のところについて、もう既に始められておりますので、その流れの中でということだと思います。』
蒟蒻問答チックだがペースはこのままってことかしら、うーむ。
『それから、6 月にまた中間評価をということになるのですけれども、別にその前に何とかとかいうことよりも、今日申し上げたのは、あくまでも一般論的なところということかと思います。』
一般論の割にはちょっと及び腰にみえましたけどねえ。
『ですから、もちろんYCCも止めてるわけでありますし、自由なもしくは市場機能にということではありますけれども、やはりその変動具合によっては先ほども申し上げたリスク・プレミアムが上がり過ぎてしまうと、そうなると逆に市場機能が歪んでしまったりとか、市場機能が不全になってしまうリスクというのは、私もこの
40 年間債券市場を見ておりますと、やっぱり局面局面によっては起こることもある。ですから、そういう意味からすると、ある程度時間をかけながら、丁寧に対応していくというのはやっぱり必要なんだろうなというのが、前半部分のところであります。』
でまあこの説明を見ますとやはり及び腰っぽくて、まあ気持ちは分かるんですけど、ワイ的には金曜日も申し上げましたように、ここから先は利上げ遅れについても問題なのですが、さらに大きな「財政ファイナンス懸念の浮上」について考えた場合に「市場配慮で買入を維持」みたいなものの言い方をするのは、その財政ファイナンス懸念を助長することになり兼ねない地雷説明だと思っていますので、ここについては(高田さんってずっとこのスタンスで一貫しているからその意味では高田さんとしては順当な説明であったとしても)状況の変化に対応してもうちょっと「原則論」に寄せた説明をしてほしいなと思います、っての金懇挨拶本編でもネタにしましたが、会見でのこの説明を見ますと更にそのイメージを強くしてしまいますな、と思いました。
でもって後半部分。
『それから、それと関連する部分もあるのですが、後半部分でご指摘頂いた例外的な状況というのでしょうか、そういうリスク・プレミアムが過度に上がってしまうような状況、そういったときには、やはりある程度オペも含めた、そういう思案に入れるというか、そういうメニューもある程度念頭に置きながら対応していくというのは、こういう局面においては、一つ重要な点ではないかと。』
重要な点、って言ってますのでこれは高田さんをそれこそ金融市場局担当理事に据えると金利上昇時にビビリンチョしそうな、ってな感じが思いっきり漂ってくる説明になっています。
でもってさらに、
『それをすぐにどうするかということは別にしても、少なくともそういうメニューというものが存在するということを念頭に置いて考えていくということは、私は重要じゃないかなと思ってますので、』
追い打ちの如くこれですので、ビビリンチョしそうなのがまあよくわかります。
『そのための様々な手段というのはいくつかございますけれども、そういうものをある程度念頭に置きながら、そんなかたちで私自身も考えているということであります。』
ということで、高田さんの説明は「例外的な状況」に関して柔軟と言うかビビリンチョと言うかな訳で、この辺は大本営参謀が何考えているかという方が重要ではあると思いますが、利上げにはタカでも債券市場に対しては配慮という名のビビリンチョをかましているのが残念というか、まあそういうスタンスでありますので、金懇挨拶における長期国債買入減額に関わる説明が及び腰にも程があるわと思ったのは会見のこの説明で裏が取れましたな、ってな感じです。
・長期金利に関するコメントがハト派だわ政治忖度だわ
この質疑よりも前の方にあったんですけどね、
『(問)(前半割愛)二点目は最近の長期金利の動きで、ご講演でも少し触れられているんですが、この長期金利の上昇の背景の一つに、政権の財政政策への不安、あと日銀の利上げが遅いためにインフレが高進するのではという、そういった構造的な要因、需給だけでない日本の経済政策に対する懸念っていうのを反映しているということも言えるかと思うんですけれども、こうした財政に対する不安、これが長期金利の動きを不安定にするリスクっていうのはどのようにお考えでしょうか。債券市場に精通していらっしゃる高田委員の考えを是非伺いたいと思います。』
ビハインドと財政の両方の懸念に対しての質問ですが、クソ長い時点でだいたいお察しなんですけど、
『(答)(前半割愛)それから二番目の長期金利のところなのですけれども、今日の講演のところでも申し上げたのですけれども、長期金利のいろいろな決定要因というのでしょうか、これにはいろいろなファクターがあると思っています。』
だいたい質問に対する回答の前に枕詞を置いている時点で「とりあえず尺を稼いで無難な回答をどうしようか考えている」というモードであることが多い訳でして(笑)、
『一つは、日本銀行が決める政策金利みたいな部分もありますし、それからある程度長短金利差を中心としてリスク・プレミアムというのでしょうか、そういうようなファクターというものもあると思いますので、特に後者のリスク・プレミアムというような部分については、様々な要因が絡んでくるのは確かです。』
ちなみにですね、先ほど申し上げた通りでさっきの長期国債買入に対しての質疑はこの質疑の先の方にあったのですが、リスクプレミアムってのがさっきの質疑であったのを踏まえますと、高田さん結構金利急騰時にビビリンチョしそうだな、というのが分かるのですが、ただ「財政リスクプレミアム」に対応して日銀が国債買入を拡大してしまいますと、それはまさに財政ファイナンスって言われてしまうんじゃないですかねえ、とは思ってしまうので長期国債買入に関する高田さんの説明には財政ファイナンス懸念に対する部分がちょっと危ないんじゃないかなとは思った次第なのです。
それはさておきまして続きに参りますと、
『そういう中で、市場の方々がいろいろなところを気にされるというところで、これはもう市場参加者の意識によっても随分変わってくるということだろうと思います。もちろん需給という部分もあるでしょうし、またその需給というのはこれからのいろいろな政策というのでしょうか、発行とか、償還であったりとかいう部分もあるでしょうし、また市場の中での債券に対するニーズみたいなものもあるだろうと思いますから、そういうものをやっぱりよくよく見ていきたい。またそれは変化の要因でもございますから、そこはよく見ていきたいというふうに思っています。』
ということで、需給の話を思いっきりしていますし、金曜にネタにした通りで実質的なネット発行額というのをエライ気にしているので、まあこれは国債買入の縮小にはハトオブハトだなと思いました。
とまあこれだけ散々説明して最後に財政が出てきますが、
『財政ということでありますと、これはもう政府、それから国会でのということとなりますから、われわれの方としては、そこのところについて、今申し上げられる状況でもないということではありますけれども、』
いやいやいや、政府との共同声明を出していて、そこに思いっきり「また、政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」(2013/1/22デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について)ってあるんだから、そもそも「われわれの方では申し上げられる状況でもない」って言ってるのおかしいだろって話なんですが、
『ただ一般論として申し上げれば、そうしたところが不安定要因になるものもあるわけでありますから、そこのところに対して一定の安定を保ったような状況というものを重視していきたいなというふうに思っているということでございます。』
「持続可能な財政構造を確立するための取り組み」ってのは共同声明に謳っているんだから当然日銀サイドが発言して然るべきなんですが、そもそもこの高田さんの説明には「財政」という言葉が説明部分の中に一切ない、という辺りがもうお察しの忖度というかビビリンチョな訳で、まあ利上げに関して威勢の良い事を言ってるけど結局ビビリンチョなのは変わらんな、とは思いました。
・でもって肝心の利上げも威勢の良さは会見ではあまり見受けられないんですよね
実質冒頭の質問から(最初のは幹事社によるご当地質問を兼ねた「本日の感想」です)
『(問)私から、利上げに関して二点ほどお伺いしたいんですけれども、午前中の講演では、高田さん、物価目標は概ね達成しているとして、今後も段階的にギアシフトを行っていく途上にあるというご指摘をされています。段階的にということは、これはやはり次の
1%で終わりではなくて、更なる利上げも視野に入れているということかなと理解するんですけれども、現時点で考えられている、適切な利上げペースあるいはターミナルレート、こういったものをどういうふうに考えているかというのを伺えますでしょうか。』
そら聞くわな。
『市場では 4 月までで 1 回、年内 2 回の利上げという見方が多いと思いますけれども、もう少し早いペースでの利上げも必要になると想定していらっしゃるのかどうか、その辺りを伺えますか。これがまず一点です。』
でもって2点目にも行きますが、
『もう一つ関連して、仮に 3 月とか 4 月に利上げが行われなかった場合、物価が予想以上に上振れするリスクや、意図せざるビハインド・ザ・カーブが生じるリスクが、どの程度高まるというふうに考えられていらっしゃいますでしょうか。』
利上げが適切って提案しているんだからそもそも現時点での政策金利が過度に緩和的だと思っている証拠の筈なんですが回答の方が中々微妙なんですよね、ということで参りますが、回答が初手からクソ長くなっていまして、本来こんなのシンプルに回答できそうなものをああでもないこうでもないと説明している時点でちょっとスタンス大丈夫かとは思ってしまうんですよ。
『(答)今ご指摘頂いた点なのですけれども、私自身はもう去年から物価目標のところは概ね達成というような言い方をしておりますので、そういう意味からしますと、もう既に今年
1 月の会合のところでも、利上げの提案をさせて頂いてるということでございますので、これからはともかくとして、一応そういうスタンスであるということはまず申し上げておきたいということだと思います。』
ってわざわざ最初に断る時点で「威勢の良い事を言ってクローズアップされないようにしよう」ってビビリンチョスタンスっぽく見えるのですが。
『そういう状況でありますから、ある程度段階的にこれからも対応していくというようなことは基本的なスタンスとしてみているということです。』
だそうなのですが、この先がフニャフニャなんですよ、以下鑑賞しますが、
『ただ、今ご指摘頂いた点なのですけれども、ペースでありますとか、ターミナルレートというのは、これは今の時点ではなかなか分かりづらいというふうに私も思っていまして、』
いやいやいやいや高田さん何言ってるのよという話で、物価安定目標達成していると思ってるんだったら概念的に適切な短期政策金利は名目中立金利水準であって、0.75%という今の水準が中立金利の訳ないでしょと思うのですが、まあ利上げペースとか言ってる時点で何ですのってなもんでして、
『というのはやはり今後の経済とか物価とか、もしくは金融環境とかですね、こうしたものにやっぱり左右されるということ。』
物価安定目標達成しているんだったら、あくまでも経済(と物価)のサイクルを均すためのスムージングとしての金融政策運営を実施しているステージになる筈なんだから、中立金利対比でどの程度の緩和または引き締め状態が望ましいか、ってのがベースになって政策金利が決まる筈、って事になりませんかねと思う訳で、
『それから、私も今年 1 月の段階でも先ほど申し上げたように、利上げをということで申し上げているのですけど、その背景には、海外のところの影響がやはり随分大きいかなというふうに思っておりまして、今回のこちらの講演の中でも、今年
2026 年は回復に向けた転換局面であるというような現状認識をさせて頂いておりますので、その辺のところの具合もやはり十分に考慮に入れたうえで、国内だけではなくて海外の状況というのでしょうか、よりそちらのところも考えておきながら対応したいというふうに思っております。』
という説明であれば、引き締め局面ではないにしたって、どう見たって超緩和局面であることは不適切になるんですからなんでそんなに及び腰の説明になりますのよってところですが、先ほどネタにしましたように、財政の維持可能性に関する発言を思いっきり避けているという部分も含めまして、今回の高田さん一切踏み込まないどころかビビリンチョな説明に終始しているわなとは思いました。
『ですから、良く中立金利でありますとかターミナルレートというか、いろいろ議論はありますけれども、なかなか今、国内の要因のところだけでその辺のところを簡単に申し上げられるというような状況ではないかなと。そこはもう少し環境認識というのでしょうか、その辺を見極めたうえで考えていく必要があるというふうに思いますし、』
でたな「見極めたい」
『またペースについても、なかなか例えば何か月とか、半年だとか 1 年だとかそういう別に決まったものがあるわけでも全くないわけでありますから、あくまでも環境次第と、データ次第といいましょうか、また金融環境次第というようなことでやっぱり考えていくべき。』
うーんこの。
『特に先ほどから繰り返しになりますけれども、今年 2026 年というのは海外環境も含めて大きな変化の[年]ということでもありますから、その辺は予断を持ってみることではなくて、環境についてじっくり見極めていきたいと、そんなふうに考えているところであります。』
じっくり見極めたい、だそうでして、だったら何でお前前回利上げ提案してるんだよと言う話ですな。質問の後半ですが、
『それから今後の動向ということも含めて 3 月、4 月にという、あまり仮定の条件を置いた議論というのはなかなかしづらいとは思ってるのですけれども、私としては別に今の段階でビハインド・ザ・カーブになっているとは思いません。』
なっているか、という質問をしていないのにわざわざ「ビハインドになっていない」って回答する辺りがもう今回の説明やたら腰が引けているなあという所でして、
『ただ、今日の講演の中でもそうなのですけれども、状況によってはそのリスクがあるケースもあるわけでありますから、極力そういうことにならないような対応を取りたいという認識、それが先ほどの前半のところで申し上げた、私の認識でありますとか、またもしくは
1 月の段階で私なりの提案をさせて頂いたといったところの背景になるというふうにご理解頂ければと思います。』
いやーその説明だと益々1月利上げ提案の意味が分からんのだが、という感じではあります。
でもって利上げに関しては別の質疑でも及び腰感満載の説明があるのですが、ながくなるしまあ基本的に重複なので今回はこの(クソ長い)説明を紹介して終わり(時間が無いからなんですが笑)にしようかと思います。