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2025/12/16

お題「短観は今回も強いですなあ/会合後に出さないで会合前に出すのか(賃上げ云々資料)/その他少々」

自走式お掃除ロボを使えるようなスタイリッシュな生活をしたいワイでしたorz
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN152UY0V11C25A2000000/
ルンバの米アイロボット、破産法申請 中国企業傘下に
北米
2025年12月15日 13:12
(2025年12月15日 13:40更新)

・・・・・家電のコモディティ化の速度って本当に早くなったなあと昭和脳のワイは思います。


〇日銀短観はこれ強い内容ってことで宜しいと思うのですが

いつもの私家版確認です。
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2512.pdf
短 観(概要)―2025年12月― 
 第207回  全国企業短期経済観測調査  
< 回 答 期 間 > 11月11日 〜 12月12日


・業況判断DIは「結局トラ公あったけど今年全然問題なかったじゃん」という結論ですわな

          (9月短観)        (12月短観)
          現状→12月予測     現状→3月予測
製造業大企業   +14→+12     +15→+15 
製造業中堅企業 +12→+8       +16→+10        
製造業中小企業  +1→▲1       +6→+2

非製造業大企業  +34→+28     +34→+28
非製造業中堅企業 +24→+18     +25→+18
非製造業中小企業 +14→+10      +15→+10

前回はこんなこと書いてましたが、

(前回10/2に書いた拙駄文より)
ということで、いつものように「前回出ていた先行きの慎重な見方に対して結果は上振れ」で「そうは言っても先行きは現状よりも慎重」って結果になっていますが、こちらは基本的に短観DIが強いときに景気のモメンタムが盛大に良くない限りは先行きDIって足元対比で堅めに出てくる傾向が強い(と15年以上見てて思う)ので、まあこれは普通に堅調な結果でっしゃろと思います(たしかBBGの集計してた予想は大企業製造業+14だったので見事にインラインだったかと)。
(ここまで前回短観時の拙駄文)

でまあ今回もまるで同じなのですが、なにげに製造業の中堅と中小の改善が目立つ結果になっていますわな。まあ先行きが低めに出るのはもう仕様なのでそんなに気にしなくて良いかなという話なんですが、結局のところトラ公出たけど乗り切りました、っていうこの1年だったんじゃないですかねえ、と考えれば「先行きの不透明ガー」で利上げを引っ張る理由は無い(これが政策金利水準自体が既に1.5%とかあるのならその「お気持ち」で利上げを引っ張る理由に使えないでもないでしょうけど、なにせ今の水準は0.5%なのですから利上げを躊躇する意味はない、ということね)でしょうというお話だし、トラ公の影響は懸念されたようなものではなく、引き続き緩やかな成長軌道にある、ということで良かったということですな。たぶん。


・企業の販売価格見通しもトラ公関税大会を経ても特に変わらんかったですねということで

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.8%→3月:2.9%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%
3年後 12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%→12月:4.2%→3月:4.4%→6月:4.3%→9月:4.3%→12月:4.3%
5年後 12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%→12月:5.0%→3月:5.2%→6月:5.1%→9月:5.2%→12月:5.2%

大 企 業 製 造 業
1年後 12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.2%→12月:2.2%
3年後 12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.4%→6月:3.1%→9月:3.2%→12月:3.2%
5年後 12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%→12月:3.4%→3月:3.7%→6月:3.8%→9月:3.9%→12月:3.9%

大 企 業 非製造業
1年後 12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.4%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.2%
3年後 12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.1%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.3%
5年後 12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%→12月:3.6%→3月:3.5%→6月:3.9%→9月:4.1%→12月:4.0%

いやーもうずっとこういう推移をしている訳でして、こんなんもうどっからどう見たって「企業の価格設定行動から見られるインフレ期待はマイルドインフレ(この水準をマイルドというのかはさておきますがまあマイルドなんでしょうな)を前提とした状態にアンカーされている」としか言いようが無いわけで、いまさらこの数字が一段高になるべきとかそういう風に思わんじゃろ常識的に考えて、という話でございまして、これは別に今に始まった話ではないのですが、政策調整を先送りするのに都合の良いインフレ期待指数を捻りだしてインフレ期待が2%にアンカーされていない、とするのはもう大概にしていただきたいものだと思います。


・企業の価格見通しも以下同文

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%
3年後 12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%
5年後 12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.4%→12月:2.4%

中小企業 製 造 業
1年後 12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%
3年後 12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%→12月:2.6%
5年後 12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.5%→9月:2.6%→12月:2.6%

中小企業 非製造業
1年後 12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%
3年後 12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%→12月:2.6%
5年後 12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.5%

いやも最早何も申し上げることも無いのですが、これを「企業のインフレ期待が2%物価目標に整合的な状況でアンカーされている」と言わない方が頭おかしいんじゃないかという状況(しかも毎度これを言っている)訳でして、むしろこの数字が上がりだしたらヤバいじゃろという世界のようにしか見えませんがどうでしょうかね。


・販売価格判断と仕入価格判断は中小がちょっと微妙なのかこれ(絶対水準は強いけど)

販売価格判断

            (9月短観)         (12月短観)
           現状→12月予測      現状→3月予測
製造業大企業   +24→+25       +25→+26
製造業中小企業 +25→+31       +26→+32

非製造業大企業  +28→+32      +31→+32
非製造業中小企業 +28→+33      +26→+32


仕入価格判断
          (9月短観)          (12月短観)
          現状→12月予測      現状→3月予測
製造業大企業   +38→+39      +40→+43
製造業中小企業 +52→+56      +54→+59

非製造業大企業  +41→+46     +44→+46
非製造業中小企業 +52→+57     +51→+54

まあ水準自体は高いままなのですが、ちょっと気になったのは中小企業が見通し対比で販売価格判断が強くなっていないことではありますが、ゆうて販売価格判断の先行きって基本的に高めに出る傾向があるので、それ自体は揉んだではないのかもしれませんけど、中小の非製造業だけは今回前回対比で数値が下がっているのは気にかかりました(仕入価格判断も1ポイント下がっているのでツーペーなのかもしれませんけど)。


・雇用判断DI:前回は「全般少しずつ逼迫傾向」でしたが今回はまあ横ばいですかしら(なお水準はクッソ逼迫)

            (9月短観)        (12月短観)
           現状→12月予測     現状→3月予測
製造業大企業   ▲19→▲22     ▲19→▲21
製造業中堅企業  ▲25→▲28     ▲28→▲31
製造業中小企業  ▲25→▲31     ▲27→▲32

非製造業大企業   ▲39→▲40    ▲38→▲40
非製造業中堅企業  ▲46→▲50    ▲47→▲48
非製造業中小企業  ▲46→▲50    ▲48→▲52

6月短観までは「見通し程逼迫しませんでした。ただし水準は逼迫ですけど」だったんですが、9月短観では人手不足感が全体的にやや高まったかなという感じでして、今回はまあゆうて横ばい圏内っぽいですけど、製造業の中堅と中小の雇用判断DIが逼迫方向にやや進んでいるのが目立っている感じかと。

まあいずれにしましても強いのですけどね。


・・・・ということで私家版で見ますと「企業部門まるで隙無し」という剣豪のような状態になっている訳で、どこからどう見ましても利上げを躊躇する理由にはならないでしょうという感じですな。


・設備投資計画の走りも強いですよねこれ

▽設備投資額(含む土地投資額)の足取り

ってコーナーが短観の13ページ以降にありまして、例によって図表を貼り付けるスキルも無ければそもそも貼ってよいのか問題もあるので貼るのは割愛しますが、ここの数字を過去の足取りと比較すると、別に今回米国関税政策の影響が出て設備投資が下方屈曲、という図にはなっていないように見えますよね・・・・・・・

って実は前回書いた拙駄文なのですが、全く同じ感想どころか今回の中間ラップ見たらつええええええという感じにしか
見えない訳でして・・・・・・・・・・・


・前回10月短観は思い起こせば高市政権爆誕を前提にしないで駄文を書いていたので・・・・・・・

前回書いた拙駄文は短観についてこのようにまとめていました。

(前回10/2に書いた拙駄文より)
とまあそういう訳で私家版チェックをしてみましたが、この短観だと10月利上げを排除する理由にはならんじゃろ、としか思えませんが、ゆうてそこで利上げ観測が高まったかと言われると昨日の市場ちゃんだとよくわからんとしか言いようが無い結果だったと思うの。
(ここまで前回短観時の拙駄文)

ってな感じで「自民党総裁選挙要因はあるけど短観で見たら10月利上げを排除する意味ないんですよね」だったのですけれども、その週末にご案内のように高市自民党総裁爆誕の儀が発生したので話が変わってしまいましたが、ゆうて今回の短観は10月よりもどう見たって強い内容でして、こんなんもう利上げじゃろ利上げということで宜しいんじゃないですかねえ、知らんけど。


〇こういう怪しげな利上げ正当化リサーチを出してくるのが相変わらずの小賢しさではある

はーぁ忖度忖度♪(これを見た瞬間に作った俗謡「忖度音頭」を踊りながら)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerc251215.pdf
2026 年度賃上げスタンスの動向(12 月初時点)

って題名みた瞬間に忖度音頭を踊ってしまったわwwwwwwwwww

サブタイトルが、

―本店及び全国 32 支店に対し、12/3 までの情報を確認―

『▽2026 年度の賃上げスタンスの動向(前年度との比較)について、本支店を通じて情報収集を行ったところ、いくつかの支店では 2025 年度を「上回る」(2支店)、「下回る」(2支店)との回答があったが、大半の先では高い伸びとなった前年度並みとの回答であった。』

どう見てもモメンタム維持です本当にありがとうございました(まあこの物価上昇率だと前年並みでやってくれないと生活給の観点からやってられんわという話なのでそうじゃないと困るのだが)。

『▽2025 年度の企業収益について、米国の関税引き上げの影響等もあって顕著な改善を見込む先は多くはないものの、人手不足感の強い状態が継続するもとで、従業員の係留・士気向上の観点から、「2026 年度についても、2025 年度と同程度ないし世間相場並みの賃上げを行う必要がある」と考える企業が大半を占めているように窺われる。』

「世間相場並みの賃上げを行う必要がある」という部分に「ノルムの変化」を埋め込んでいますねえw

『―― 大・中堅企業については、2026 年度も 2025 年度並みの賃上げは可能だが、中小企業については価格転嫁の遅れ等による収益不芳先を中心に 2025 年度並みの賃上げは厳しいとの声は比較的多く聞かれる。業種別にみると、自動車等の製造業の一部からは、米国の関税引き上げによる収益減を主因に、2025 年度並みの賃上げを2026 年度も継続することは困難との声も聞かれる一方、非製造業を中心に人材の確保や係留の観点から 2025 年度並みの賃上げが必要との声が聞かれる。』

まあそうなりますわな・・・・・

『―― 年齢階層別には、とくに人手不足感が強く、採用市場での競争も激しい若年層を中心に、初任給の引き上げも含めて、手厚めの配分を行うとの先が多い。』

・・・・・ねえねえジジイはジジイは????

『―― 高めの上昇率となった 2025 年度の最低賃金の改定を受けて、パート労働者の賃金を引き上げる中で、正社員についても公平感の観点から相応の賃上げを行う必要があるとの声が、都市部以外の地域で聞かれている。』

なるほど。

ということですが、今までこんなの出したことなかったのに突如出てくることと言い、そもそも論としてこの資料って今回の金融政策決定会合で利上げを決定した時に「参考資料」として出せば良さそうなものだと思うのよね。

然るにわざわざ決定会合の直前に出してくるとか露骨な予告ホームラン過ぎてもう笑ってしまうしかないのですが、日銀のコミュ障振りってこういう所やぞ、という風に思う訳でして、利上げするからさて事前に賃金動向を出しておきましょう、とか本人たちはたぶん親切のつもりで出しているんけど、こっちはまた露骨な予告ホームランを急に出してくるとか小賢しいわという感想が先に立ってしまう訳ですが、まあそれ自体はあくまでもアタクシ個人の感想でありまして、もしかしたら債券市場全般的には「ヘヘーアリガヤヤアリガタヤ親切にも資料が出てきた」っていう感想かもしれませんので、まあその辺は良くわかりませんわ。


〇FOMC終わって発言が色々出てきますな

会見ネタすらまだ追いついていないというのにこれである(すいませんすいません)

ボストン連銀コリンズ総裁
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-15/T7BRJ8KK3NY800
ボストン連銀総裁、利下げ支持は「際どい判断」−インフレなお懸念
Jonnelle Marte
2025年12月16日 at 4:23 JST

『米ボストン連銀のコリンズ総裁は、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げを支持したものの、その決定は「際どい判断」だったと述べた。インフレの高止まりに対する懸念が依然としてあるためだという。「11月の時点で私の分析では政策金利を据え置く方向に傾いていたが、12月の会合までに入手可能となった情報にはリスクバランスがやや変化したことが示唆された」と、コリンズ氏は15日、リンクトインに投稿した。』(上記URLより、以下同様)

ほうほうそうですかそうですかという感じですが、

『「インフレがさらに顕著に上昇するというシナリオは、やや可能性が低くなった」と同総裁は指摘。「長期的なインフレ期待を示す一部指標の低下と、実効関税率の低下を示唆する最近の通商政策変更、労働市場の軟化を反映している」と説明した。コリンズ総裁はその上で「5年近く続いている高インフレを踏まえ、インフレの持続性については引き続き懸念している」と述べた。』

ってな話でして、まあここから先は物価指標に注目が戻るのかも知れませんなと思いました。


ウィリアムズ総裁
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-15/T7BHSGKK3O6B00
NY連銀ウィリアムズ総裁、金融政策は来年に向けて良い位置にある
Jonnelle Marte、Matthew Boesler
2025年12月16日 at 0:45 JST
更新日時:2025年12月16日 at 1:08 JST

・やや景気抑制スタンスを中立に向け移行したことで良い位置にと発言
・2026年の米成長率は約2.25%に加速、インフレは鈍化と予想

『ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、雇用に関するリスクが高まり、インフレリスクが幾分後退している中、先週の利下げ決定を受け、金融政策は来年に向けて良い位置にあるとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

だそうで、

『ウィリアムズ総裁は15日、ニュージャージー州ジャージーシティーでのイベントで「金融政策はこれらリスクの均衡を図ることに非常に注力している。そのために連邦公開市場委員会(FOMC)はやや景気抑制的な金融政策スタンスを中立に向けて移行させた」と発言。「こうした措置により、金融政策は2026年に向けて良い位置にある」と述べた。発言内容は準備原稿に基づく。』

ってな訳ですので、NY連銀を見に行きますと、
https://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2025/wil251215
Speech
Resilience
December 15, 2025
John C. Williams, President and Chief Executive Officer
Remarks at the New Jersey Bankers Association, Jersey City, New JerseyAs prepared for delivery

これ小見出しを見ますと

Turning the Corner
Temporarily Stalled
Gradual Cooling

と来てからの

Monetary Policy and the Road Ahead
Balance Sheet
Conclusion

ってなっていまして、今目を泳がせては見ましたがネタにする時間はちょっと無いのですいませんすいませんって感じです。ざっと見てあんまり決め打ちはしていないようには見えましたし、そもそもお題が「レジリアンス」なので少なくとも利下げをホイホイ行うという前提の話ではない(レジリアントならガツガツ緩和する必要はない筈だから)と思いましたけどどうでございますかしらってなもんです。


〇高市さん改心したのかとも思いきやなのですが・・・・・・・・

こんなんがあったというお話を聞きつけてきましたので備忘メモ
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2346837?display=1
サナエノミクスについて力説 積極的な財政出動で「所得増える 消費マインド上がる 税収増える」片山さつき財務大臣
tbc 東北放送
2025年12月14日(日) 14:34
国内

もうこの題名でお腹一杯で、だったら何で今までの財政出動ではそうならなかったのかと小一時間な訳ですが、最後に

『次ページ 借金は発散しない >』

ってあってもうアレですよアレ。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2346837?page=2
サナエノミクスについて力説 積極的な財政出動で「所得増える 消費マインド上がる 税収増える」片山さつき財務大臣
tbc 東北放送
2025年12月14日(日) 14:34
国内

『片山大臣は、歳出を増やしても経済が成長し続けることで財政が破綻することはないとの考えを示しました。また、「地域ごとのクラスターが日本を救う、サナエノミクスの主役だ」などと述べ、高市政権が進める経済政策への支持を呼びかけました。』(直上URL先より)

・・・・・・・「地域ごとのクラスターが日本を救う、サナエノミクスの主役だ」ってのがどういう文脈で説明しているのかよくわからんですが何ですかねえ。

ということで、最近一部では高市さんが改心したとか、果てはリフレ派の損切りが行われつつあるかのような観測報道も出ていたり出ていなかったりしますけど、昨日ネタにした金曜日の「デフレに戻る可能性」発言にしましてもこの週末(土曜日)の講演にしろまあ結局のところ高圧経済大爆発コースへの懸念は相変わらずですなという所ですのうと思いましたが、片山さん赤紫系のお衣装がお好みなんですね(って全然関係ないですがw)。







2025/12/15

お題「中立金利がガイダンスにならないのは結構なお話&その他/3MTDBェ・・・・/ドットプロットの補足メモ」

これはこれはw
https://www.47news.jp/13590944.html
【速報】軍国主義復活は失敗すると中国共産党幹部
2025年12月13日 11時38分共同通信

最近毎日のように自己紹介してませんかねえ大陸中国さんwwwwwww

〇利上げ確定みたいなのが出てきましたな&だから中立金利の計算祭りとかやめロッテゆうたじゃろwwwww

日経さん(といってもいつものように無課金のためリードの部分だけ)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB115DU0R11C25A2000000/
日銀0.75%に利上げへ、30年ぶりの水準に 19日金融政策決定会合
日銀政策決定会合
2025年12月12日 17:00
[会員限定記事]

『日銀は18〜19日に開く金融政策決定会合で政策金利を現在の0.5%から引き上げる最終調整に入る。0.25%引き上げて0.75%とする案が有力で、1995年以来30年ぶりの金利水準に達することになる。

植田和男総裁ら執行部は利上げの議案を提出する意向を示唆している。日本経済新聞社の取材では、正副総裁を含めて9人の政策委員のうち過半数が執行部案を支持する見通しだ。』(上記URL先より、以下会員記事)

てな訳で金曜の夕刻に日経さんを始めとして各社が「来週利上げ」を報じるの巻(ちなみにお気づきかとは思いますが某公共放送のニュースサイトは先般のリニューアル以来リンクを貼らないことにしているので悪しからずご了承ください)となっておりまして、まあ知ってたという話ではありますがもうよほどの天変地異が起きない限りにおいて今週金曜日に利上げ決定、当座預金金利の新金利適用は翌営業日の12/22ということでファイナルアンサーということですな。ちなみに某公共放送では多分今朝のニュースでも取り上げているみたいです。

でまあそれはそれで良いのですが(もはやそれが出たとて反応はしない)、ロイターさんのこちらの記事はほほうと思った次第でして、

https://jp.reuters.com/opinion/V2GKXDV3GNKXDCKPZFS6UISVP4-2025-12-12/
日銀、次回会合で中立金利の推計公表せず 利上げは経済・物価次第=関係筋
和田崇彦, 木原麗花
2025年12月12日午後 5:23 GMT+9・2025年12月12日更新

『[東京 12日 ロイター] - 日銀は18、19日の金融政策決定会合で中立金利の最新推計を公表しない見通しだ。市場では今後の利上げパスに関して中立金利の推計に注目が向かっているが、日銀は特定の水準をあらかじめ中立金利と定めることはせず、引き続き経済・物価の情勢を点検しながら、政策運営をしていく方針だ。中立金利の推計値は主要なコミュニケーションツールとは位置付けない。複数の関係筋が明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)

・・・・・おおこれは(実際にそうならば、の話ですが)良い傾向だわ、というニュースでして、拙駄文では先日来散々この「ザ・中立金利を今の時点でわざわざ精緻化して推計することの無意味&コミュニケーション上の害悪」について申し上げて皆様の耳にタコができている頃かと存じますが、なにせ植田総裁が自ら「中立金利の推計を精緻化する」だの「次回には公表する」だの言いやがるもんだから、先週途中からは債券市場ではもうすっかりこの「ザ・中立金利の計算祭り」が市場のあちこちで展開されていまして、何とかストの皆様もそうですけれども、この中立金利云々の話を偉い人が聞いてしまうと当然のように「ご下問」が飛んできたりするわけでして、そういう時に弊駄文のように「今の時点で中立金利を精緻化して計算する意味は一ミリも無くてただの時間の無駄」とか言い放ってしまうとサラリーマン的に色々とアレ、という恐ろしい事案も懸念される訳で、カシュカリ総裁の頭髪の如き不毛な世界が先週の円債方面では絶賛大展開されていて甚だ遺憾の極みだった訳ですな、うんうん。

と思ったらこれは朗報といいたいけど、そもそもこの「複数の関係者」とは何ぞやというのはあるのでまあ良くわからん所ではあるのですが、

>中立金利の推計値は主要なコミュニケーションツールとは位置付けない

ってのは当然でして、以前からしつこく申し上げていますように、そもそも論として今のようにインフレ期待をシフトアップさせる途中の段階(ということに日銀の情勢判断上はなっている)の現段階におけるスライスを取って中立金利計算したってナンセンスであって、2%物価安定目標が達成されている状態、すなわち景気サイクルが1回転する間に物価が概ね2%程度で推移する(=トレンドインフレが2%)状態、当然その時点では実質成長率も1回転の間に概ね潜在成長率(=トレンド成長率が今の日銀の推計でいえば0.5%程度だし、政府の目標はトレンド成長率1%ですわな)程度で推移する状態、という物価安定目標達成後の新常態における中立金利は何ぼですか、という話をするなら意味があるのだが、としか言いようが無いわけですな。

でもってこの記事中々良い説明が続いていまして、

『日銀は内部で中立金利の推計の精緻化に取り組んでいるが、データを最新にしても推計値の幅が広いことに変化はないとの声が出ている。』

ってのがありますが、そもそもバックワードのデータ使って中立金利(らしきもの)を推計したら、長期停滞期の経済にフィットする中立金利(らしきもの)が出てくるんだから、バックワードのデータ使って中立金利を計算することに意味があるわけねえだろうとしか言いようが無いし、つまりはその場合「目標達成後の新常態」に対して過小評価された数値が出てくるのは間違いないでしょという事な訳だから、今時点での中立金利推計とかいう作業自体がデフレバイアスが掛かった発想ですがなって話になるわけですな。

でまあこういう話になるんだが、

『金融政策運営に当たり、中立金利の推計値を参照するものの、利上げで貸出動向など金融環境に変調が生じないかなど、実際の政策判断は経済・物価情勢をもとに行っていく。』

これに関連する記事をロイターさんだしていたことについては先週の弊駄文でご紹介しましたが

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/O7RPLFZUINPNBLWPBOXLZTUUVI-2025-12-08/
アングル:日銀、先行き利上げ判断で貸出動向に注目 中立金利推計に不確実性
和田崇彦
2025年12月9日午前 6:59 GMT+9・2025年12月9日更新

まあ要するにこの記事の続編みたいな感じになっていますけれども、今回の記事の方にありまして今しがた引用しました

>利上げで貸出動向など金融環境に変調が生じないかなど、実際の政策判断は経済・物価情勢をもとに行っていく。

ってところはコミュニケーション下手を打つと面倒なことになるとおもうんですよね。

つまりですね、本来はこの部分って「実際の政策判断は経済・物価情勢をもとに行っていく」っていうのが本来的には重要な話で、「利上げを行ったら経済にブレーキが結構かかっちゃいましたね」となったらその利上げは実は引き締め的な利上げでした、って話だし、「利上げしたものの経済には何らブレーキ掛かりませんなあ」だったらその利上げは緩和の調整にすぎませんでした、って話になるんだが、何せ日本の場合は期待インフレを2%に引き上げてアンカーさせるという事をしているので、過去のデータを使って推計するのが必ずしもあてにならない訳ですから、中立金利の推計とかをするよりも「利上げした後の経済物価情勢を見ながら経済に全然ブレーキ掛からんのならばまだ緩和的だから再度利上げ」って感じで判断してく、っていう話だと思うのですよね。というかそれしか実践的にはやりようが無いし。

しかしながら、ロイターさんの12/8の報道も含めまして、本来「経済物価情勢全般を総合的に判断」となるはずの部分が、前段の「貸出動向」という特定の指標に紐付けしたような書かれ方になってしまっているのにはきな臭さを感じる訳でして、それはつまりまたぞろ「その場で説明するのに便利なものを安直に使ってしまうので、後で都合が悪くなった時に別のものを持ち出してきて結果として説明の首尾一貫性が全くないご都合主義のお気持ち政策に見えてしまう」という弊害をもたらすこと繋がるんじゃないか、という点は甚だ懸念されるところです。

特に植田さんにその傾向があるんじゃないかなと懸念しているのですが、「丁寧に分かりやすく説明しよう」というのは大事ではあるのですが、その「分かりやすさ」が「その場で説明に一番使えそうなものを持ち出してその場限りの説明をする」ということに結果的になっているんじゃねえのかって思う訳でして、今次利上げ局面なんてどこまで利上げしたら経済にブレーキがかかるのかとかはやってみないと分からんの世界なんだから、分からんものを分かるかのように「丁寧に説明」するのは混乱の元になりますので、今後はもっと堂々と「利上げ後の経済物価情勢の推移を見ていき、依然として政策金利水準が緩和的だと思ったら物価目標達成に向けての確度の高まりに応じて政策金利を引き上げます」って説明したら良いのに、と思うのですが、それだと馬鹿っぽく見えてしまうんでしょうなあ植田先生のような頭の良い方には、と頭の悪いアタクシは思うのでありました。


てな訳で、中立金利計算合戦の次は「経済物価情勢の判断を何の指標でみるのか」のあてっこ合戦にならないことを切に願いたいし、大本営および植田総裁におかれましてはその線でのコミュニケーションをお願いしたい、と斯様に思うのでありましたがさてどうなるやら。



〇片山さん・・・と思ったらヘッドライン詐欺の感はある

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/TG3Y3FDJMJLDNCOCO3JDQBA7VA-2025-12-12/
かじ取り誤るとデフレに戻る可能性、日銀と共通認識=片山財務相
田中志保
2025年12月12日午後 4:01 GMT+9・2025年12月12日更新

『[東京 12日 ロイター] - 片山さつき財務相は12日の参院予算委員会で、政策のかじ取りを誤ると再びデフレに逆戻りする可能性があるという状況について「日銀との間に大きな齟齬(そご)はなく、共通した認識をしている」との見方を示した。』(上記URL先より、以下同様)

まーた金融緩和万歳円安誘導発言かよ、と思ったのだがヘッドライン詐欺だったようでして、

『加藤明良議員(自民)の質問に答えた。加藤議員は、日本経済はデフレから脱却していないという政府の見解の一方で、日銀は消費者物価の上昇を踏まえてインフレ状態と説明しているとし、二面性を持つ経済局面で「責任ある積極財政」をどう展開していくのかなどと質問した。』

基調的なインフレと一時的なコストプッシュ要因が乗っかった実際のインフレ、という説明(それ自体がホンマカイナという話はあるがそれはさておくとしまして)を日銀はしているので、インフレ状態とは言ってるのかと言われるとこれがまた難しい(のはそもそもの基調的と実際の物価の解離が何年も続いているのにその線で説明し続けているからなんですけどそこはさておきましてwww)という状態ですが、まあ質問する方はこういう質問をしてくる訳でして、とっととデフレ脱却宣言をしない政府が悪いよ政府が、とは思いますけどまあこういう質問をするわけですな。

『片山財務相は、足元の消費者物価は前年比3%程度の上昇を続けており、食料品価格など「物価高が景気を下押しするリスクがあるという状況」と説明。「かじ取りを誤ると、まだ再びデフレに戻ってしまう可能性がないとは言えないという状況については、政府と日銀の間に大きな齟齬はなく、共通した認識をしているものと理解している」と述べた。』

という説明で、2%物価目標達成できていない状態でインフレ期待もまだ2%にアンカーされていない状態(とはワイは思わんがまあ日銀公式はそういう説明)だからアンカーされる前に引き締めみたいなことをしたらアカンじゃろ、というのが日銀の説明なんで、片山さんの説明自体そんなに外れた説明じゃないのは把握しましたが、既に現内閣は「リフレ派に毒された高圧経済積極財政円安上等政権である」というのが初期値で認識されてしまっているので、何か言えば円安方向へのヘッドラインになりやすいんわなと思いました。

ちなみに某時事メインの某金融観測というコラムの報じるところによりますと

しかしまあ何ですな(と言いながらこれ記事の全文引用になってしまいましたロイターさんすいませんすいません)。

『その上で、賃金の上昇を伴った持続的・安定的な物価上昇や投資が拡大し生産性が上がるという成長型経済が「本来の目指す道だが、そこはまだ道半ば」であるとし、物価高対策などに取り組む姿勢を示した。』

ということであれば、過度な金融緩和(と政府のお助け政策)によって本来ならば淘汰されるべき生産性の低い主体を温存することによって成長分野への資源配分が阻害されるような事を起こさないようにすべきなので過度な金融緩和は早急に是正されるべきであって、引き締めゾーンに入らない範囲での利上げはジャンジャン行うべきなんですよね、って誰か金曜の会見で質問してくれませんかねえ(社名を背負ってその質問をするのは中々アレなのは分かるのでまあ出なくても文句は言わないけどさ)とは思いました。

まあでもこういうヘッドラインを打たれやすい、ということですので、植田総裁におかれましても今回の利上げの記者会見でも発言に注意しないと「ダビッシュな利上げ」というヘッドラインを打たれてしまって円安は飛ぶ飛ぶドームの風で、という素敵な事になり兼ねませんので、ハトハトチキンによるご自身のお言葉というのは封印してもろていただかないとアカンじゃろとは思う所です。

そういや余談ですが高市さんのこれはワロタ
https://jp.reuters.com/world/taiwan/Z25DXU2WARN5LMGUVY3ITTBZWA-2025-12-12/
台湾巡る高市氏の国会質疑、政府が事前に「問取り」 立憲は首相の責任指摘
鬼原民幸
2025年12月12日午後 6:32 GMT+9・2025年12月12日更新

ご自身のお言葉を披露して良い立場とそうじゃない立場というのがありますわな、とは思いっきり思いましたということでw


〇3M短国は0.6台前半でしたかそうですか、ってエライ堅調でしたなコリャコリャ

金曜の3M短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251212.htm
国庫短期証券(第1350回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1350回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号      国庫短期証券(第1350回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和7年12月15日
4.償還期限    令和8年3月23日
5.価格競争入札について
(1)応募額         11兆4,504億円
(2)募入決定額     3兆3,525億8,000万円
(3)募入最低価格    99円83銭0厘5毛
(募入最高利回り)   (0.6323%)
(4)募入最低価格における案分比率    90.5121%
(5)募入平均価格     99円83銭2厘7毛
(募入平均利回り)    (0.6241%)』

あらまという感じですが、金曜日の拙駄文で申し上げました通り、木曜の引けで1350回新発WIの引値は(売参ベースですが)0.650%(2毛5糸甘)に引値修正してきたのですが、何のことはない0.65%なんぞ全然届かんレートでの決着となりまして、最早ここまで来ると織り込みとか言っても前半の部分が1週間しか無いのでアレなんですが、アベレージの0.6241%って手前1週間を0.50%と見て換算レート計算すると利上げ後のこの銘柄の換算レート0.634%とかいうレートで、政策金利から11.6毛も乖離があるのはさすがにそりゃ(年末越えプレミアムが仮に乗っかるにしても)レート低すぎじゃろという水準になってしまうのですが、なにせWIよりもお強い水準で決着しているし、応札11.4兆円もあるしということで(応札が多いのは札を下に流したからかも知れませんけど)、あらまあニーズあるじゃんという風情ではありまする。

ちなみに足切りの0.6323%で後ろが0.642%でしてこれまた政策金利から10毛強の低金利になっておりますのでナンノコッチャという感じではありますが、まあ利上げが近いですし利上げ後のパスだって分からんという昨今なので短国方面に長期債からの避難民がやってきて大盛況になっているのかも知れないといういつものパティーンなのかも知れませんが、純粋に短期政策金利とかコールレートとかの見合いで安全資産プレミアムのっけたとしてもちょっと間尺に合わんじゃろという水準に金利が(事実上)下がってしまったのはぐぬぬという感じではありました。

まあこれ自体は短国アウトライトだけの現象で、交付税特会借入の金利でもお分かりの通り、他の部分ではさすがに12月利上げフル織り込みじゃないとレートが形成されないような感じになっていて、相対の世界なのでよくわからんですけど、コールのタームとかCPとかそういうのはさすがにそういう感じなんじゃないでしょうかね、知らんけど。


〇FOMCレビュー雑談の一発ネタ:ドットプロットの真面目なネタと面白ネタ(どっちもメモ程度で)

今回12月
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20251210.pdf

前回9月
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20251210.pdf

・ロンガーランの金利は殆ど動いてませんけど物凄く微細には上がっていますね今回

というのが真面目な話ですが、今回のロンガーランって3%超の部分(3-3.25およびそこから上)の分布って前回と一致していまして、全然動いていないんですよ。でもってですね、その下の分布ですが、

3%:4人⇒5人
2.75-3.00%:1人⇒1人
2.75%:2人⇒1人
2.50-2.75%:3人⇒3人

となっていまして(よって3%超は9人)、これだと中央値とかそういうのには影響ない世界ですが、1名だか複数だかは分かりませんけれども、弱気派の中で若干のロンガーラン引き上げの動きがあったのね、というのはほほうと思いましたけれども、もしかしたら今回ってロンガーランもう少し上がるとかそっちがコンセンサスだったのかも知れずですし、そもそもこの程度の変化だと誤差オブ誤差なのでまあ反応はせんわなとは思いましたが、一応メモだけはしておこうかと。


・ミラン理事の変態金利パス予想に変化がwwwww

まあ一番下のプロットを見ておけばミラン理事の変態金利パスが推測できますがwwwww

9月時点でのミランの政策金利パス

2025年末:2.75-3.00%
2026年末:2.50-2.75%
2027年末:2.25-2.50%
2028年末:イマイチ良くわからんが一番低いのだと2.50-2.75%


12月時点でのミランの政策金利パス

2025年末:3.25-3.50%(50利下げ主張なので)
2026年末:2.00-2.25%
2027年末:2.25-2.50%
2028年末:イマイチ良くわからんが一番低いのだと2.50-2.75%

となっていまして、まあ基本的には「じゃんじゃん利下げしてから低めの水準(と言ってもロンガーランの一番低いプロットは2.50-2.75に3票あるのでそこまで無茶苦茶低い訳ではない)で維持する」という図になっているのですが、前回対比で今回2026年末の政策金利水準が大きく下がっていますなwwwwwww

まあこれ自体は「利下げがこれでは足りないので埋め合わせるためには大幅利下げが必要」ということで低くなったんだと思いますし、ロンガーランから見てそこそこの水準の緩和的な所まで2026年には持っていく、ということなので、それが効いてくれば今度は2027年以降は利上げに転じるって話になるので、このパスの変更自体は普通にロジカルに理解できますし、ああなるほどと思ってしまいましたが、なにせ2026年末の数値の下げが目立つところではあったのでこれも備忘メモということで備忘させていただきました。

という辺りで今朝はご勘弁。(FOMC会見ネタはどうした)





2025/12/12

お題「今日は3M短国/FEDの短国買入を「QE復活」というのはちょっと論点がずれていると思いますが・・・・」

ほほう
https://www.agrinews.co.jp/news/index/350781
2025年12月12日
全農、お米券対応に奔走 臨時発行問い合わせ相次ぐ
| ニュース| ニッポンの米| 主要記事

とのことで、

『「お米券」は全農と全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)が発行している。全農が発行する同券の名称は「おこめギフト券」。同券の流通量の約2割が全農、約8割が全米販によるものという。』(上記URL先より、以下同様)

なるほど。でもって実際におっぱじまった場合ですが・・・・・

『「お米券」を活用する自治体の総数が不明なため、どのくらいの枚数を臨時発行する必要があるかといった全体像が見通せない。だが、希望する自治体が一定数ある場合は既存の体制では間に合わない。全農は臨時券発行に向けたシステム改修や関係団体との調整を進めている。』

oh・・・・・・・


〇相変わらず3M短国は利上げの織り込みがアレですがさて本日はどうっすかねえ

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20251205.htm
国庫短期証券(第1350回)の発行予定額等

『1. 入札予定日  令和7年12月12日
2. 発行予定日   令和7年12月15日
3. 償還予定日   令和8年3月23日
4. 発行予定額   額面金額で4兆3,000億円程度
5. その他   上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。』

ということですが、短国の発行スケジュールを見ながら年の瀬を思うという変態のアタクシとしては3Mの入札が今日と来週木曜(金曜はMPM2日なので前倒し)で年内終了(その間に来週1年短国がある)ということですので、おお年の瀬じゃのうとか思ってしまいますがそれは兎も角として、

売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(12/11引値)
国庫短期証券1343 2026/02/16 平均値単利 0.540
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.560
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.589
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.620
国庫短期証券1348 2026/03/16 平均値単利 0.620
国庫短期証券1350 2026/03/23 平均値単利 0.650←新発WI

こちら売参ベースのWIレートは昨日の引けで修正されて(甘い方に)0.65%に金利上昇してはいるのですけれども、ゆうてこれ12/15〜3/23を例によって12/22で分かち計算して手前を0.50%にした場合って後ろの金利0.662%(さすがに手前が1週間になってくると後ろの金利への影響が無くなるわ)とかいう金利水準でして、それって今の政策金利ベースで考えれば0.412%とかいう水準になる訳で、短国の需給がかなりタイトだった時期でも(利上げ云々関係なかったちょっと以前のい時代の話になりますが)何のかんの言って0.40%割れってのは相当需給がタイト気味の時のレートという感じになっていまして(ちなみに昨年は10月11月に短国の需給がクソ逼迫してレートがクソ低かったが今年はそういうことにならず仕舞いでここまで来ている)この水準だと利上げ後の想定3Mレートとやや乖離があるんじゃネーノ(あくまでもアタクシの主観的感想ですのであしからずご了承ください)という気はするのですが、はてさてこの3Mがどうなるんでしょうかねえという所ではあります。

ただですね、今引用した引値の短い方を見ますと、2/16償還で0.540%とか新発の織り込み度合いがどうのこうのと言っているのが空しくなるレベルでお強い引値になっている(引値がそのレートだからと言ってそのレートでビットが立つとは限らんのが短国クオリティですが為念)訳でして、まあさすがに利上げが何ぼのもんじゃいという変態はいないでしょうけれども、クソ短くなると気配がお強い状況ではありますので(ちなみに1月償還だと昨日の引けはまさかの0.50%になっていますわな、何ぼ何でも来週利上げしたら再来週からは調整すると思いますが・・・・)入札流れるのかどうかというのもイマイチどころか今10位はワカランチ会長ではございまする。はい。


〇FOMCレビューの続き

・短国買入がQE再開という話題になっているようなのですがそれは何か違うと思うんだけど・・・・・・

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251210a1.htm
December 10, 2025
Implementation Note issued December 10, 2025

ディレクティブの4ポツ目

『Increase the System Open Market Account holdings of securities through purchases of Treasury bills and, if needed, other Treasury securities with remaining maturities of 3 years or less to maintain an ample level of reserves.』

ってのを見てQE復活みたいな言い方をしている向きも見られたんですが、それはちと違うんじゃねえのかという気がするわけですよ。

つまりですね、あくまでもこの短国(必要ならば3年以内の中期国債)購入って「to maintain an ample level of reserves」を目的として買っている訳で、これがampleじゃなくてabunduntだったらSOMAの超過準備を能動的に大幅に増やすって話なんですが、ampleリサーブレベルってのはまさに現時点でのレベルである、という認識をFEDが示しているのですから、あくまでもこの場合の短国買入はリザーブ需要に対してリアクティブに反応するものであって、リザーブをプロアクティブに増加させていくというような能動的な意味合いはないんじゃねえのか、って会見ちゃんと全部読んでいる訳でもないのに勝手に思っている訳ですよ。

と書いた所で気が付きましたが(滝汗)

初手からこれあったっけという感じなのですが、上記のインプリメンテーションノートの右の方に『Related Information』ってのがありますので、これでまあだいたいわかるでしょ、と思いながら読む訳ですよ(って書き方でお察しのように、この部分は先ほど泥縄で確認した部分ですサーセン)

Statement Regarding Reserve Management Purchases Operations

って埋め込みリンクがあって、それを踏みに行きますとこんなのになります。

https://www.newyorkfed.org//markets/opolicy/operating_policy_251210a
Operating Policy
Statement Regarding Reserve Management Purchases Operations
December 10, 2025

こちらを見ますとですね、

『On December 10, 2025, the Federal Open Market Committee (FOMC) directed the Open Market Trading Desk (the Desk) at the Federal Reserve Bank of New York to increase System Open Market Account (SOMA) securities holdings to maintain an ample level of reserves through purchases in the secondary market of Treasury bills (or, if needed, of Treasury securities with remaining maturities of 3 years or less). 』

というのが冒頭にありまして、インプリメンテーションノートに記載されているディレクティブのさっきの文言と同じ事が書いてありますので、まさにこのオペレーションについてのステートメントになるんですけど、上記部分に続きましてこの第1パラグラフでは、

『These reserve management purchases (RMPs) will be sized to accommodate projected trend growth in the demand for Federal Reserve liabilities as well as seasonal fluctuations, such as those driven by tax payment dates.』

ということですので、つまりは成長通貨に伴ってインターバンク市場における必要なリザーブの水準は引きあがって行くでしょう、という事を前提として(それはその通り)、必要なリサーブ水準がトレンドとして増加することによって、SOMAでの当座預金残高総額を維持した場合にだんだん「スケアスリザーブ(いわゆるトン調節)に近くなってくるのをこの短国買入で補う、って言ってるわけですよ。

まあそういうことですので、完全なるリアクティブではなくて、ある程度プロジェクションベースでの買入になるにはなるのですが、別にこのオペレーションによってSOMA内のリザーブ総額を必要以上に拡大しましょうという話をしている訳ではないので、やっぱり「QE再開」みたいなことを言うのは(100%間違いとは言わないけど)かなりミスリードな解説になると思いますが如何でしょうか。

でもってこのNY連銀のリリースの続きを見ますと、

『Monthly amounts of RMPs will be announced on or around the ninth business day of each month alongside a tentative schedule of purchase operations for the subsequent approximately thirty days. The Desk plans to release the first schedule on December 11, 2025, with a total amount of RMPs of approximately $40 billion in Treasury bills; purchases will start on December 12, 2025. 』

毎月このくらい買いまっせというアナウンスするようですが、とりあえず今月はだいたい400億ドルの短国を購入しますよということで、これが本当に「アンプルリザーブ維持」の規模なのか(=過剰な規模になっているかどうか)についての話はそこまでこちらも米国短期市場を見ている訳ではないので分からん。

ただですね、これって「短国と中銀当座預金の交換」取引がメインになりますので、それっていわゆるQEとはやっぱり違うんじゃないのってお話でして、もちろんこれがUSトレジャリーの方が短国を過剰発行していて、そのために短期金利が上がるのを短国買入で何とかしましょうという財政お助けスキームだったりしますと、それは事実上の財政マネタイズになる話にはなったりしますので、制度の運営がどうなっているのかという転の考察が必要かな、と思います。

『The Desk anticipates that the pace of RMPs will remain elevated for a few months to offset expected large increases in non-reserve liabilities in April.』

その後向こう数か月にわたってFEDのノンリザーブ負債(って言うとナンノコッチャと思いますが具体的には発行銀行券残高見合いとかそういう奴です)の予想される大きな拡大に対応してこの短国買入を拡大する可能性がありますよああそれから所要リザーブの拡大は来年の4月くらいまでな、という説明を行っております。

『After that, the pace of total purchases will likely be significantly reduced in line with expected seasonal patterns in Federal Reserve liabilities.』

でもってその後は季節要因によるFEDの負債状況の変化を想定した場合に短国買入は大きく減らすことになるでしょう、と言ってまして、

『Purchase amounts will be adjusted as appropriate based on the outlook for reserve supply and market conditions.』

ってことですが、要するにこれは季節要因によって増減するFEDの当座預金残高需要の増減に対して、短国買入で対応しましょう、という話をしている訳でして、実際の運営で逸脱する可能性はモチのロンでアリエールではありますが、この説明の建付けを見ますと、あくまでも短期の市場オペレーションとしての短国買入であって、誤差を押して言えば日銀が資金需給に対応して共通担保オペを実施している方のイメージに近いじゃろという風にしか読めませんな。

でまあFEDが短国買入で対応するのは、季節要因による資金需給の増減に現先方式の資金供給を行うのが事務的にできないのかメンドクサイのか制度がそもそもないのかというのは不勉強にして存じ上げませんが(すいませんすいません)短国買入でやっておけば短国は早期に期落ちが来るので、実質的には購入した短国のテナーが期日になる資金供給オペを実施しているのと同じになりますので買うのが短国だってお話になるんですな、うんうん。

あとは事務連絡でして、

『The Desk was also directed in October to reinvest all principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency securities into Treasury bills via secondary market purchases. The monthly schedule of planned purchases will include RMPs as well as these purchases.』

買い切りMBSのテナーが来た時の元本部分の再投資に関してもこのオペレーションに含めるそうな。

『The Desk plans to distribute the monthly secondary market purchases across two Treasury bill sectors. Purchase amounts in each sector will be determined by sector weights. These sector weights will be based on the 12-month average of the par amount of Treasury bills outstanding in each sector relative to the total amount outstanding across the two sectors as initially measured at the end of September 2025.』

『Additional information on RMPs and reinvestment operations can be found in the following locations:』

買入に関してのQAがあるのですが、短国買入に関しては全部まとめて一緒くたではなくて、テナーによって2つのブラケットを設けて、このブラケットで幾ら買う、みたいな買い方をするようですが、その辺の細かい話は割愛しますというかこっち見てちょんまげ。

https://www.newyorkfed.org/markets/reserve-management-reinvestment-purchases-faq
FAQs: Reserve Management Purchases and Reinvestment Purchases
December 10, 2025

The following frequently asked questions (FAQs) provide further information about the Federal Reserve's secondary market transactions in Treasury securities.

ちなみに最初の方に表がありますが、

BILLS
SECTOR         1-4 months   4-12 months
SECTOR WEIGHT      75%       25%

ってなっているので、1-4Mテナーの短国が買入全体の75%、4-12Mテナーの短国が買入全体の25%ということで、大体は短い短国を買いますよというお話をしておりますね。


・むしろ重要なのはレポファシリティの常設フルアロットメント化でありまして

URL再掲
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251210a1.htm
December 10, 2025
Implementation Note issued December 10, 2025

アタクシに言わせますと(なのでアタクシの主観ですので為念)ディレクティブ2ポツ目の

『Conduct standing overnight repurchase agreement operations at a rate of 3.75 percent.』

の方でが重要でしょ、ってことでして、翌日物レポオペをフルアロットメントにした方が短期金利の跳ね上がり抑制に効く話で、こっちの方を重要視されるべきだと思うのですが、あまりにもQE再開とかいう文字列が世の中に踊っていたのでそれはちとチャウんじゃなかろうかと思って書いてみましたが、そっちの説明もインプリメンテーションノートの埋め込みリンク先にありまして、


https://www.newyorkfed.org/markets/opolicy/operating_policy_251210
Operating Policy
Statement Regarding Standing Overnight Repo Operations
December 10, 2025

『In accordance with the FOMC implementation note issued December 10, 2025, the Open Market Trading Desk (the Desk) at the Federal Reserve Bank of New York will make the following adjustments to standing overnight repurchase agreement (repo) operations effective December 11, 2025.』

はい。

『Going forward, standing overnight repo operations will no longer have an aggregate operational limit and will be conducted in a full allotment format using the FedTrade Plus trading platform. 』

フルアロットメントだし指値オペになりましたよ、という話ですが、テクニカルには

『Eligible counterparties may submit one proposition per security type during each of the twice daily operation times, with a maximum per-proposition amount of $40 billion. 』

この辺の事務的な話はワイ当然ながらこのオペレーションを触ったことが無いので不勉強で恐縮ですが、事務面の制約なのか何だかわかりませんが、1ポーションで400億ドルまでしか入れられないというような制限はあるみたいですね。よくわからんが(すいませんすいませんすいません)。

『Propositions will be awarded at the standing overnight repo operation rate immediately following the operation close time. All other operational parameters are unchanged.

Additional information can be found at the Repo and Reverse Repo Agreements page or in Frequently Asked Questions.』

ってなことでFAQがあるのだがこの辺はそもそも自分で触ってないものなので読んだとてワカランチ会長の悪寒が(大汗)

https://www.newyorkfed.org/markets/repo-agreement-ops-faq
FAQs: Standing Repo Facility
December 10, 2025

The following frequently asked questions (FAQs) provide further information about the Federal Reserve's Standing Repo Facility (SRF) operations.

・・・・てなところで今朝は勘弁してつかあさい(会見ネタは週明けでおゆるしくだせえお代官様)








2025/12/11

お題「寝起きでFOMCである(汗)」

ワイ将、外が暗いと頭の起動が遅くなるという原始人仕様なので12月のFOMCが一番のアレですww

〇FOMC声明文:大して現状判断を変えずに「バランスオブリスク」の同じ理由で利下げですかそうですか

まあ今回さすがに利下げするじゃろとは思ったが、トランプがクソみたいなこと言ってるから後任に政策金利引き下げ余地を差し上げるために据え置いたらどうしようとは正直デギンドス副総裁の頭髪ほどは思っていましたqqqqq

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251210a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251029a.htm(前回10月)

・第1パラグラフ:一応失業率の「依然として低い」が抜けているので判断下げています(ただしSEPは下がっていない)

利下げする根拠に何を持ってくるのか、というのが今回注目された所だと思うのですが、景気の現状判断を示した第1パラグラフでは・・・・・・

『Available indicators suggest that economic activity has been expanding at a moderate pace.』(今回)
『Available indicators suggest that economic activity has been expanding at a moderate pace.』 (前回10月)

総括判断は同じでした。

『Job gains have slowed this year, and the unemployment rate has edged up through September.』(今回)
『Job gains have slowed this year, and the unemployment rate has edged up but remained low through August;』(前回10月)

今回失業率の部分で「remained low」が抜けたのでこれは判断として下方修正ということになるのですが、ただ後で申し上げますがSEPの失業率見通し碌すっぽ変わっていないのでナンノコッチャ感は否めないが下方修正。

『More recent indicators are consistent with these developments.』(今回)
『more recent indicators are consistent with these developments.』(前回10月)

より最近の指標もそれを裏付けます、ってのは文言一緒で(政府閉鎖の影響でアベイラブルデーターが少ないからこれ入れているんだけど前回比較でこれが載っていると間抜けな感じはしますな)、

『Inflation has moved up since earlier in the year and remains somewhat elevated.』(今回)
『Inflation has moved up since earlier in the year and remains somewhat elevated.』(前回10月)

インフレに関する文言も変化はありません。


・第2パラグラフ:今回も「バランスオブリスク」で利下げしているのですが「ダウンサイドリスクは上がっている」を継続しているのね

一応1パラで下方修正(??)していますけどSEP的に何の下方修正にもなっていないのですから「不確実性ガー」で行くしかない訳ですな。

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回10月)

いつもの枕詞。

『Uncertainty about the economic outlook remains elevated.』(今回)
『Uncertainty about the economic outlook remains elevated.』(前回10月)

でもってこれは同じなのですが、

『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate and judges that downside risks to employment rose in recent months.』(今回)
『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate and judges that downside risks to employment rose in recent months.』(前回10月)

全開と同一文章、と言ってしまえばそれまでなのですが、ただこの文言って最後の部分が「雇用のダウンサイドリスクがこの数か月で引きあがっている」という状況変化文言なので、つまりはこれ雇用のダウンサイドリスクが10月よりもより一層強まっている、という説明になるので、そういう意味では下方リスク判断を一層強くした、というようにも読めますなとは思いますけど、まあその結果利下げしたってことなんでしょうかね、ということで次のパラに行きますが、


・第3パラグラフ:25bp利下げして「追加の政策調整」のところに文言が追加されています

『In support of its goals and in light of the shift in the balance of risks, the Committee decided to lower the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 3-1/2 to 3-3/4 percent.』(今回)

『In support of its goals and in light of the shift in the balance of risks, the Committee decided to lower the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 3-3/4 to 4 percent.』(前回10月)

てなわけで「バランスオブリスクのシフト」という同じ理由で25bp追加利下げしています。まあこれは市場の事前想定通りですけど、バランスオブリスクのシフトというのを使っていますので、理屈からしたら「ダウンサイドリスクがより一層高まりました」という若干ホンマカイナ感が漂う話になっていまして、だって見通しは変わってない(後のSEP部分でやりますが)ですし一部のキチガイを除けば来年の利下げをそこまで大きく見ていないので、下方リスク一段の拡大と言われましてもうーんそうなんですかねえ(棒読み)って風情はするんですけどあたしゃ(個人の感想です)

『In considering the extent and timing of additional adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』(今回)

『In considering additional adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks. 』(前回10月)

「追加の誘導目標水準調整を検討する際には」という部分に今回は「the extent and timing of 」って文言が入っていまして、声明文単体で見た場合この表現は玉虫色にも程があると思いました。と申しますのも「程度」文言はもっと威勢よく下げる可能性を示唆します(下げないというのも示唆するけど)し、「タイミング」文言は逆に追加利下げの「タイミングを見る」ということで次回利下げではもっと検討しますよと言っている、ということでこの文言タカハトどっちにも取れそうな気がしました。

『The Committee decided to conclude the reduction of its aggregate securities holdings on December 1.』(前回10月)

前回は長期国債償還再投資で残高維持、というのに切り替わったのでこの文言がありましたがこれは当然今回はありません。

『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(前回10月)

3パラ最後のこの文言は2パラ頭の枕詞の係り結びみたいなものなので今回も変更なしです。


・第4パラグラフ:こちらはいつものように全文一致ですのでベタ引用だけ。

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(今回)

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(前回10月)


・第5パラグラフ:今回はグールズビー総裁(シカゴ)が利下げ賛成から反対に回りましたので9対2対1

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Susan M. Collins; Lisa D. Cook; Philip N. Jefferson; Alberto G. Musalem; and Christopher J. Waller. 』(今回)

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Susan M. Collins; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Philip N. Jefferson; Alberto G. Musalem; and Christopher J. Waller. 』(前回10月)

ということで、

『Voting against this action were Stephen I. Miran, who preferred to lower the target range for the federal funds rate by 1/2 percentage point at this meeting; (今回)

『Voting against this action were Stephen I. Miran, who preferred to lower the target range for the federal funds rate by 1/2 percentage point at this meeting, 』(前回10月)

からの

『and Austan D. Goolsbee and Jeffrey R. Schmid, who preferred no change to the target range for the federal funds rate at this meeting.』(今回)
『and Jeffrey R. Schmid, who preferred no change to the target range for the federal funds rate at this meeting.』(前回10月)

シュミッドの他にグールズビーも反対ですが、SEPの所でネタにしますが今回は「利下げ反対」がこのほかに4人いるというのが中々チャーミングな結果になっておりましたな。


〇ディレクティブに今回は変化があるのですよこれがまた

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251210a1.htm
Implementation Note issued December 10, 2025

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251029a1.htm
Implementation Note issued October 29, 2025

PDFだと勝手に最終ページに出ていますがHTMLだと声明文の埋め込みリンクを踏むと出てくるインプリメンテーションノート。


・常設翌日物レポファシリティ(資金供給サイド)が指値オペになって1日の取引上限額を撤廃しています

『"Effective December 11, 2025, the Federal Open Market Committee directs the Desk to:』以下がディレクティブになりますが、その2ポツ目

『Conduct standing overnight repurchase agreement operations at a rate of 3.75 percent.』(今回)
『Conduct standing overnight repurchase agreement operations with a minimum bid rate of 4.0 percent and with an aggregate operation limit of $500 billion.』(前回10月)

常設の翌日物レポファシリティに関して、前回までは「a minimum bid rate of 4.0 percent 」と最低応札レートが4.0%で「with an aggregate operation limit of $500 billion.』」と5000億ドルまでが1日の取引上限(よって満額以上の札が入ると思ったら上の金利を差さないといけない)ってのがあったのですが、今回指値の3.75%(25下がっているのはFF誘導金利が25下がっているから順当です)でアグリゲートリミットを撤廃しているので、3.75%で無制限の常設レポファシリティになっていまして、市場参加者の資金繰り的にはお助け成分が高まったということになりますわな(この手の措置を乱発すると市場参加者の資金繰り管理が雑になるという問題点もあるんだが)。


・バランスシートのアンプルリザーブ維持のために短期国債の購入、「必要ならば残存3年までのトレジャリーノート」も買うとな

4ポツ目と5ポツ目ですが、

『Increase the System Open Market Account holdings of securities through purchases of Treasury bills and, if needed, other Treasury securities with remaining maturities of 3 years or less to maintain an ample level of reserves.』(今回)

『Roll over at auction all principal payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities. Reinvest all principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency securities into Treasury bills."』(今回)

となっていますが、前回は(実際にはもっとここの文言長いのですが、12月1日からFEDは保有資産の縮減を停止
しましたので、縮減に関わる文言部分を割愛しますと)下記の通りでして、

『Beginning on December 1, roll over at auction all principal payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities.』(前回10月)

『Beginning on December 1, reinvest all principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency securities into Treasury bills.』(前回10月)

国債の償還再投資は国債、MBSの償還再投資は短期国債、となっているのですが、今回の文言を見ますと、4ポツ目の方は「アンプルリザーブ維持のためには短期国債を購入する、ただし必要なら3年までの国債を買ってよろしい」となっていて、5ポツ目の方でも「MBSの償還再投資は短期国債」となっているのですが、この説明を見た感じだと(詳しくはMY連銀見に行くべきなんですが)MBS償還再投資の際にも3年以内のT-Note買えそうな気がしました。

ということで、この2か所が変更になっているのですが、まあ最初の常設レポファシリティの無制限化はどこからどう見ても市場に対するお助け措置だし、短国の代替で3年までの国債買えるってのもお助け措置なので、これはしらっとお助け打ってきましたねという感じだと思います。


〇SEPですが見通しはむしろ上がってねえかで今回の利下げ反対が6人(=投票メンバー以外に4人)はワロスワロス

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20251210.pdf(今回)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20250917.pdf(前回9月)

と言いつつ引用はHTMLバージョンの方から行います概ね。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20251210.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20250917.htm


・失業率見通しは変わってないし成長率見通し上がってるんだよな〜

『Table 1. Economic projections of Federal Reserve Board members and Federal Reserve Bank presidents, under their individual assumptions of projected appropriate monetary policy, December 2025』

以下左から2025、2026、2027、2028、ロンガーランです

Change in real GDP     1.7   2.3  2.0  1.9  1.8
September projection    1.6   1.8  1.9  1.8  1.8

・・・・・来年の成長率見通し上がってるじゃん

Unemployment rate     4.5   4.4  4.2  4.2  4.2
September projection    4.5   4.4  4.3  4.2  4.2

まあ「今回利下げという適切な措置を取ったから」という理屈なんでしょうけれども、「雇用の下方リスクバランスが拡大していてそのリスクバランスを受けて利下げした」なのに見通し横ばいかよってところですな。まああくまでも「リスクバランス」で利下げしていて「シナリオ修正」で利下げしている訳ではない、ってことでもあるのですがなんだかなあという感じ。

PCE inflation          2.9  2.4  2.1  2.0  2.0
September projection     3.0  2.6  2.1  2.0  2.0

Core PCE inflation       3.0  2.5  2.1  2.0 (ロンガーランなし)
September projection     3.1  2.6  2.1  2.0


物価見通しはちょっと下がっていますね。まあここが上がってたら利下げしているの無茶苦茶って話になりますが

・・・・という訳で見通し数値は達観すれば同じか成長率上方修正なんですよね。


・みんな大好きSEPちゃんですが・・・・・・

『Figure 2. FOMC participants' assessments of appropriate monetary policy: Midpoint of target range or target level for the federal funds rate』
(Number of participants with projected midpoint of target range or target level)

まあ一番クソワロタのは

Midpoint of target range or target level (Percent) 2025

で燦然と輝く

『3.875  6』

でして反対の地区連銀総裁があと4人いましたねって話ですなwwwwwww


・・・・でもって来年に関しても、

2026

3.875    3
3.625    4

と利下げするなまたはこれ以上利下げするなが合計7人いまして、

3.375    4

あと1回だけ利下げが4人

3.125    4

あと2回利下げが4人、でここまでで16人という圧倒的な状態になっておりまして、おかげでこれ全員のミッドポイントを取ると「10月12月に利下げしたのに来年末の金利見通し水準は前回9月と同じ」という大変にチャーミングな結果に成るので、さっきのテーブル1では、

Memo: Projected appropriate policy path

Federal funds rate    3.6   3.4   3.1   3.1   3.0
September projection  3.6   3.4   3.1   3.1   3.0

左から2025、2026、2027、2028、ロンガーランですな

という面白結果になっておりましてワロスワロスという感じでした。

というところで時間もアレですのでオープニングリマークなどはまた明日以降で勘弁してつかあさい。






2025/12/10

お題「植田総裁国会でまたも台無し発言(ノ∀`)アチャー/ハセットさんのコメントとか/6M短国片足0.70%でしたか」

な、なんだってーーーーーーΩΩΩ
https://jp.reuters.com/world/taiwan/NOUS5OLBLVJYRIY7VOM2FI5GNA-2025-12-09/
中国外相「日本が軍事的に脅かしている」、独外相との会談で発言
ロイター編集
2025年12月9日午後 1:29 GMT+9

大陸中国を軍事的に脅かしている日本の軍事力は世界一ぃーーーーーーーーー!!!!

・・・・の訳ねえだろという話なんですが、なんか記事中言ってることもアレで頭が痛いですなんですかこれ。


〇ここまで来ると植田さんわざと円安にしようとしてるんじゃないか疑惑がwwwwwwwww

昨日の国会質疑、引け近くにこの発言が報道されて「何言ってるんだこのハトハトチキンは」と思いましたが。

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/UMY46ZA2HZKQVP24VBZI5S2IOA-2025-12-09/
最近の長期金利、「やや速いスピード」で上昇=植田日銀総裁
和田崇彦
2025年12月9日午後 3:24 GMT+9

さらにこういう発言も出ていまして、

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025120900735
長期金利「急上昇なら国債購入増」 市場動向を注視―植田日銀総裁
時事通信 経済部2025年12月09日20時14分配信

これ見て債券先物がちょい上がったのですが、それよりも反応したのが為替ちゃんで、ドル円156円台にちゃっかり乗ってしまいましたし、まあ海外要因だとは思うのですがさっき為替レート見たらドル円156円後半に突っ込んで来ておりまして、最早植田総裁わざと円安に持って行って、円安に持っていくことによって「日銀様円安阻止のために利上げして下せえおねげえしますだ」と世間から言わせて堂々利上げを継続しようとしてわざとハトハトチキンに切り取られるような発言をしているんじゃないか疑惑まで持ち上がって来る程度にはコミュニケーションがあばばばばーという所ですな、南無三。

ああちなみに植田さんにそんな悪辣な深慮遠謀があるとは思えなくて、善人のおっちゃんが善人丸出しの素で発言しているだけではないかとは思うのですが、それにしても円安是正も金融緩和調整の目的の一つだというのに円安に火を点ける発言をしちゃうってのは素でやってるんだったら悲しすぎるので、この先の利上げをやりやすくするためにわざとピエロを演じている、って思いたくなってしまいますわなwwwwwwwwww

ということで時事の方から引用しますが、

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025120900735
長期金利「急上昇なら国債購入増」 市場動向を注視―植田日銀総裁
時事通信 経済部2025年12月09日20時14分配信

『植田和男日銀総裁は9日の衆院予算委員会で、最近の長期金利の動きについて「やや速いスピードで上昇している」と指摘した。』(上記時事通信ニュースURL先より、以下同様)

質問されたからって何でそんな回答するのって話で、そんなの「個別の動きにはコメントしない」で終わりだし、若し言うなら「経済物価情勢の改善を市場が評価しているから長期金利が上昇しているものと認識している」って淡々とファンメタに沿って推移しているといえば良いだけの話で、何で「やや速いスピードで」とか行ってしまうのか甚だ理解に苦しみますわ。というかそれ言ったら円安に飛ぶのが明らかなんだからやっぱりわざとでしょ植田さんwww

でまあそれに加えてこの国債買入の発言をしているのがさらに致命的でして、

『その上で「通常の市場の動きと異なるような形で急激に上昇する例外的な状況では、機動的に国債買い入れの増額などを実施する」と述べ、市場動向を注視する姿勢を示した。立憲民主党の藤岡隆雄氏への答弁。』

こんなんどう見たって「この先長期金利が上がったら国債買入を増額します」って捉えられてしまう訳で、輪番増額だって本来は「例えばリーマンショックのような市場混乱が生じて金融システム危機が懸念されるような例外的な状況では国債買入で対応する場合もある」という建付けなのが今の金融政策運営の枠組みの筈なんだが、これでは長期金利上昇に対して植田プットを導入したとか、さらに言えば財政懸念で長期金利上昇したら長期国債買入増額、という財政ファイナンス宣言をしていると捉えられても文句が言えない迂闊にもほどがある発言でして、いいからこのハトハトチキンに自由に喋らせるなというお話ですが、もしかしたらこれもわざと円安に振ろうして(しつこいので以下割愛w)


でまあ夕方にはFT相手のインタビューってのがあったみたいで、日経課金勢ですと中身が見れると思うのでまあ皆さん見てちょんまげという感じですが、ワイ将20年来堂々の日経無課金勢(課金は本紙を駅売りとかコンビニに走って買いに行く^^)なのでBBGの記事ででも。

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-09/T7012LKJH6V400
植田日銀総裁、持続的な2%インフレ目標の達成が近づいている
・持続的2%インフレ達成まで緩やかな政策調整を継続する考えを表明
・市場は利上げを大方織り込み、焦点は金利軌道と中立金利
Toru Fujioka
2025年12月9日 at 21:08 JST

一応BBGは(どうせ為替市場が一旦円高になったからだと思いますが)記事のヘッドラインがこのようになっていましたが、記事出てた時のヘッドライン見ていると若干微妙なところもあって、インタビューの後半(??)の方で利上げしますよとか物価目標達成に確信高まるとかそういう話をしてドル円で言えば156円30銭とかの水準から156円割れに円高に振れたって感じだったと思います(その後また156円回復しましたけど)。

一応記事では、

『植田総裁はFT紙とのインタビューで、日銀が再び利上げを実施してもそれが最終ではないと示唆した。

「持続的に2%のインフレを達成」するまで、日銀は緩和の度合いを緩やかに調整し続けると述べた。

「政策金利が自然利子率(中立金利)の水準に戻るまで」と続け、「その水準がどこであるにしてもだ」と付け加えた。

植田総裁の発言が配信されると円はわずかに上昇し、ドル・円は一時156円を割り込んだ。』(上記BBG記事URL先より)

ということで「利上げは今回で打ち止めではありません」というのをアピールしましたけど、わざわざこの時期にFT相手にインタビューするんだから、それは「この先もあるでよ」というアピールを行うことによって一段の円安を阻止しようという大本営作戦参謀の皆様の意図があるのは見え見えで、作戦参謀の振付通りに植田さんが喋れば本来は円高に振れてくれないと困るわけですから、まあこういうのを振付通りに喋るのは順当オブ順当という所ではあります。

しかしながら上述のようにその前のお時間の国会で植田さんダイナシー発言を盛大に行って折角のFTインタビューも見事に不発、という結果(しかも別要因だとは思いますが円安一段と進行しているんですが)になった訳でして、これは来週金曜の総裁記者会見が思いやられるのですが、まあ円安が一段と進行したら却って「次の次」の利上げ時期が早まるという説はオオアリクイなので話がややこしい所ではありまして結構読み筋が難しいとも言えるかと存じます。

てな訳で12月会合のリスクは植田さんが要らん事言って「利上げしているのに円安一段の進行」となった場合にターミナルレート云々の方とは関係なく円安阻止のためにその次の利上げ時期が早まる、というのが(昨日散々申し上げた中立金利談議による無用のボラも勿論大いなる問題点なのですが)これあり、という感じになりそうなのは何となく把握しました。定例会見でのハトハトチキン炸裂で為替が走るのは一段と警戒した方が良いですかね、知らんけど。



〇ハセットさんが意外にまともなことを言ったりもしている件について(とトランプ発言)

しかしまあ何ですな、
https://jp.reuters.com/markets/japan/Y2I3YUGCNBOFRJL65LYMZBFU54-2025-12-09/
次期FRB議長の条件は即座の利下げ支持=トランプ大統領
ロイター編集
2025年12月9日午後 9:32 GMT+9

相変わらずトラ公はアホなのかというかどこの未開国だよって話ですが、

『[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領は9日に公表されたポリティコとのインタビューで、連邦準備理事会(FRB)の次期議長に指名する条件として、即座の利下げ支持を挙げた。新議長が即座に利下げすることがリトマス試験紙なのかとの質問に対し、「そうだ」と答えた。』(上記URL先より)

あまりにもトラ公がやかましい、となりますとこれ実はパウちゃん議長の間は利下げしないで次の議長に利下げ余地を残して差し上げた方が親切なんじゃないかという気がしてきましたwwwwwwwwwwww


という与太話はさておきまして昨日のハセットさんですが、後から出てきたこっちはまあトラ公の犬っぽいワンワン発言ではあるのですが、

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-09/T70D4ST9NJLU00
FRBには25bp超の利下げ余地ある-次期議長の有力候補ハセット氏
・「政治と距離を置く」と強調、FRBの独立性維持に理解示す
・迅速な利下げが試金石とトランプ氏、ハセット氏の立ち位置問う声も
Amara Omeokwe
2025年12月10日 at 1:03 JST
更新日時:2025年12月10日 at 1:14 JST

『米国家経済会議(NEC)のハセット委員長は、連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利には大幅な引き下げ余地があるとの認識を示した。』(上記URL先より、以下同様)

でもってこの記事だと「政治と距離を置く」部分が記事中に無いのでどういう話をしたのかはよくわからんですけれども、

『ブルームバーグの報道によれば、ハセット氏はトランプ大統領が進める次期FRB議長人事で最有力候補とされている。ハセット氏は9日、ウォール・ストリート・ジャーナル主催のCEOカウンシル・サミットで、FRB議長に就任した場合、大統領が求める「大幅利下げ」を推進するかどうか問われた。

同氏は「データがそれを示しているのであれば、例えば今なら、そうした利下げには十分な余地があると思う」と述べた。それは25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を超える引き下げを意味するのかとの質問には、「その通りだ」と答えた。』

ということでワンワンとトラ公の犬発言をしているようにも見えるのですが、昨日というか一昨日になるのかもしれませんが、こっちの方では結構いいことを言ってましてですね、

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-08/T6YEE5KJH6V600
次期議長候補ハセット氏、FRBが6カ月先の金利方針示すのは「無責任」
・FRB議長の責務は「データ注視・政策調整・その行動の説明」
・この点ではパウエル氏も私と同じ考えだろう−CNBCで語る
Justin Sink
2025年12月9日 at 0:25 JST
更新日時:2025年12月9日 at 3:01 JST

これCNBCなので多分CNBCのネット版で発言動画とか運が良ければQA全文みたいなのが見れるかもしれないのですけれども、軽く見た感じでは運悪く引っかかってこなかったのですが、

『ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長は8日、連邦準備制度理事(FRB)が向こう6カ月の金利誘導見通しを示すのは無責任だとし、経済指標に沿って柔軟に判断する重要性を強調した。同氏は、5月に任期満了を迎えるパウエルFRB議長の後任候補として有力視されている。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、フォワードガイダンス的な手法に対して否定的な発言をしているんですよね。

『ハセット氏は経済専門局CNBCで、「FRB議長の仕事は、データを注視し、それに応じて政策を調整し、なぜその行動を取るのか説明することだ」と発言。「従って、『今後6カ月にこうする』とあらかじめ言明するのは無責任だろう」と述べた。2026年を見据え、どれだけの追加利下げが正当化されるかとの質問に答えた。』

まあとっくの昔にECBはフォワードの政策ガイダンスを出すのを止めたわけですが、FEDに関してはあのコミュニケーションの弊害にしかなっていないドットプロットを相変わらず出しているのですけれども、グレートモデレーションだったり、均衡金利から遠いときだったり、フォワードガイダンスによって緩和を強化したいときだったり、みたいな時には有効なコミュニケーション方法として使えましたが、どっからどうみたって今になったら「足もとの現状認識の微小な変化を増幅して示してしまう」という弊害の方が大きいドットチャートみたいな政策ガイダンス出さない方が良いわけでして、ハセットさんの言ってることに一理というか百理くらいはあるじゃろというお話。

『その上で、「利下げ回数の話で期待を裏切りたいわけではないが、私が言えることはデータを注視する必要があるということだ」と続けた。』

とのことでございまして、ハセットさん「今の時点」での話はするけど「政策ガイダンス方式」は取らないよ、って言ってるのはポイント高いと思いましたし、まあこういうセンスがあるんだったら(もともとパウちゃんだってトランプ人事で入って来て今が有るのと同じように)ハセットさん、そこまでキチガイ政策をぶち込んでこないんじゃないのって期待もちょっとはしたくなってきましたけどどうでしょうかねえ(甘いかな??)。


・・・・・ということでですね、基本的に「ガイダンス政策」ってのが弊害になるので引っ込めようとしているのが世の流れで、背景にはパンデミック前ロシアのウクライナ侵攻前のある種のグレートモデレーション時代から、ポストパンデミックかつ世界の分断が進む中での大いなる経済構造の変化によって、新しい均衡点がどこなのかというのが手探りであって決め打ちができない、というのがあるわけですよ多分。

でまあ日本に関してはそもそもがゼロインフレ均衡から2%マイルドインフレ均衡に持っていくという遷移ステージにある(ワイはもう新しい均衡に行ってると思っているけどそれはさておき)訳で、その点で言えば欧米以上に構造変化が大きいわけですからして、ガイダンス政策に通じる「中立金利水準の精緻な測定をして出しましょう」みたいなのを今いまの時点でやる必要って一切無いし(将来の新均衡になったという時点で出す意味はある、為念)、政策コミュニケーションの無用なノイズになるだけでしょと思うのですが、植田総裁だけなんか思いっきり世界の潮流に逆行してませんかねえ、とハセットさんの話をしていたのに気が付けば日銀話に持っていくのが拙駄文のいつものアレなので勘弁してくださいませwww

まあ日銀余談は兎も角として、FEDもこの「ドットチャート」に関しては今後どないかしていくというか基本的に廃止する方向じゃネーノと思いましたし、少なくともハセットさんになったら、ロンガーランのFFってのは出すかもしれない(ガイダンスじゃなくて長期均衡時の話ですよって建付けを明確にして)けど、年末とか来年末とかいうのはこの文脈で言えば「無責任」って話ですから無くすんじゃないですかねとは思いましたし、それはまあ良い傾向じゃろ、とも思いました、個人の感想ですけど。


〇6M短国ちゃんは足切り0.70%に乗ったけど引けは0.69%だったようで

とりあえず時間も無いので簡単にメモだけ

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251209.htm
国庫短期証券(第1349回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1349回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号   国庫短期証券(第1349回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日    令和7年12月10日
4.償還期限  令和8年6月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額       9兆7,169億円
(2)募入決定額    2兆7,693億8,000万円
(3)募入最低価格   99円65銭1厘
(募入最高利回り)   (0.7023%)
(4)募入最低価格における案分比率    80.0920%
(5)募入平均価格   99円65銭5厘
(募入平均利回り)   (0.6942%)』

まあ従来の感じですと足元のGCやコールよりも短国アウトライトの方が金利低くて、って感じだったので利上げ後0.70%位が3Mの居場所だったらまあそんなもんかもしれませんねというレートではあるのですが、ただよくよく考えますと補正の後短国増発待ったなしだし、来年度予算を考えた場合でも短国には増発圧力掛かるじゃろと考えた場合に、そもそもターム物短国の位置が恒常的にコールより低い金利というのがノーマルでよいのか問題とか有るわけですよ。

ついでに言えば、一応12月利上げでその次は7月とかそういう話だと(仮に6月でも、ですが)6/10償還でしたらそれは次の次の利上げ関係ないじゃろ、という話にはなるのですが、ゆうてこれさっき申し上げたように植田さんのコミュニケーションがチョンボしてしまって利上げしたのに円安カッ飛ぶとかいう地獄の展開になった場合には、4月利上げの目だって出てきておかしくは無いとか考えた場合に、その手のリスクを丸無視したレートになっているのも微妙に唸るところで、やっぱりタームプレミアムというのは有った方が宜しいんじゃないでしょうかという説も無くは無い。

とかまあウニャウニャと申し上げていますが、そもそも利上げ後の3Mの居場所も良くわからんし、いつまでもこの短国の需給構造のままって訳でもないと思うので、水準の評価はやりにくいのですが、売参ちゃんを見ますと、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(12/9引値)
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.690

ってなっておりますので、一応0.70%が一旦の目途みたいな感じなんですかねえ、知らんけど。

ということで今朝はこの辺で勘弁していただきとう存じます。






2025/12/09

お題「シュナーベル専務理事が「次は利上げ」とな/」6M短国とかタームのレポレートとか/日銀利上げ後のコミュニケーションに不安しか無いんですけど・・・」

そらそうよ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA038KP0T01C25A2000000/
10月実質賃金0.7%減、10カ月連続マイナス 物価になお追いつかず
経済
2025年12月8日 8:30


〇シュナーベルがBBGのインタビューで利上げ話とかその辺のメモ(詳しく読めていないのでマジのメモだけですが)

昨日の午後こんなの出て反応してたような
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-08/T6X90FKJH6V500
シュナーベル氏、ECB次期総裁に就く用意−「次が利上げ」違和感ない
Jana Randow、Mark Schroers
2025年12月8日 at 15:01 JST
更新日時:2025年12月8日 at 20:13 JST

次は利上げキタコレという話ですが、これに対して
https://jp.reuters.com/markets/japan/4GFLHD4PENNQBAUJ5LMIYZLWAE-2025-12-08/
独30年国債利回りが14年ぶり高水準、ECB理事発言などが圧迫
ロイター編集
2025年12月8日午後 4:57 GMT+9

ってなことのようでござんして、他には昨日はこんなの
https://jp.reuters.com/markets/japan/EGIPSQMXSZKEBCQ6IDXQ3ZDCVY-2025-12-08/
インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=スロバキア中銀総裁
Balazs Koranyi
2025年12月8日午後 8:58 GMT+9

もあって、しばらく前からそんな感じで利下げうちどめからインフレ上振れ懸念の方の話がECB高官から出てきているのですけれども、さっきのシュナーベルのインタビューはECBの方に早速アップされていまして、

https://www.ecb.europa.eu/press/inter/date/2025/html/ecb.in251208~6d0ca6e90d.en.html
Interview with Bloomberg
Interview with Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, conducted by Jana Randow and Mark Schrors on 3 December 2025
8 December 2025

次が利上げ云々はこの辺の問答ですね。もちろん背景説明が前の方の質疑にあるのでそっちをちゃんとみないといけませんけどとりあえず・・・・・(QAは引用者が補記しています)

Q:『The very obvious next question then is: where are we in the policy cycle? Has the rate-cutting cycle come to an end?』

A:『Interest rates are in a good place, and in the absence of larger shocks, I expect them to stay in this place for some time. The distribution of inflation risks has shifted to the upside, and accordingly, both markets and survey participants expect that the next rate move is going to be a hike, albeit not anytime soon.』

『Now we must focus firmly on the medium term and we have to ask ourselves whether the degree of accommodation or restrictiveness is the right one for the given macroeconomic environment.』

からの、

『I believe that we could see an increase in the natural rate of interest, related to what’s happening in the area of AI and with regard to public investment. Of course, we don’t have a tool to estimate r* precisely in real time. But if it were to increase, a constant policy rate would lead to more accommodation unless inflation were to drop at the same time to the same degree. We have to monitor whether our policy becomes more accommodative over time, and potentially too accommodative, which would then be a time to think about another rate move.』

自然利子率が上がっているんじゃネーノって話をしていますね。でもって

Q:『So do the expectations for the next move to be a hike feel right? Would you agree with those expectations?

A:『I’m rather comfortable with those expectations.』

という問答をしておりました。まあ詳しくはまた読んでみます。



〇今日は6M短国ですな(5年入札は知らん)&レポレートのターム物金利上昇気味ですが

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20251202.htm
国庫短期証券(第1349回)の発行予定額等

12/10-6/10なので跨ぐ決定会合は12月、1月、3月、4月になりますので、12月は織り込むにしましてもその次の利上げはよー織り込まんわというテナーになりますがな。

売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(12/8引値)
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.685

ということで昨日のWI引けが0.685%で3Mカレントは0.625%なので一応段差はあるのですが、そもそも論として利上げ後のベースレートは0.75%なのですから、この0.685%ってのを12月会合のところで分解しますと、手前0.50%で後半0.698%ってことになるので、まあどうせ短国がコールよりもレート低いじゃろ、と考えると、4月会合までの間に「もう1回」は無いという確信の下でまあ一応そこまで悪いレートでもないですかねえ位の話(と言っても想定コールレートよりも低いのは変わらんのだが)ですな。

6Mに関しては使い勝手があまりよろしくないのと、1年短国よりもレートが出ないのもあって入札の時の需給が極端にブレるときがあるので、どっちに転ぶのかよくわからんけれども、まあ一応0.70割れでそこまで悪いレートではありませんなという位かとは存じます。


でまあそれはそれとしまして東京レポレートちゃんですが、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

         O/N T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/11/26 0.501 0.502 0.496 0.495 0.495 0.497 0.588 0.645 0.746
2025/11/27 0.500 0.495 0.494 0.494 0.494 0.501 0.594 0.646 0.747
2025/11/28 0.498 0.500 0.495 0.495 0.495 0.507 0.598 0.646 0.747
2025/12/1  0.501 0.501 0.496 0.496 0.497 0.523 0.614 0.657 0.750
2025/12/2  0.500 0.501 0.496 0.496 0.505 0.543 0.639 0.673 0.754
2025/12/3  0.499 0.501 0.496 0.496 0.509 0.562 0.646 0.684 0.760
2025/12/4  0.499 0.501 0.496 0.496 0.522 0.576 0.652 0.694 0.766
2025/12/5  0.500 0.502 0.497 0.497 0.531 0.590 0.663 0.705 0.775
2025/12/8  0.500 0.501 0.497 0.501 0.541 0.603 0.676 0.715 0.779

植田さんの予告ホームラン以降(12/1の10時過ぎに予告ホームランが出ているので1日のリファレンスから予告ホームラン以降になる)1mとか3mとかのレートは着実に上昇していております(とはいっても3Mでいえば短国の方がもともとの金利水準が低すぎたせいもあって短国金利の修正の方が大きいけど)という感じですが、なんか地味に6mとかの金利も上昇してきていまして、6mの0.715%って、昨日ベースのトム6M(12/9-6/9)で手前を0.50%で分解すると後ろのレートが0.732%ということでもう一声って感じではありますが、とりあえず12月利上げは織り込み、とは言いましてもさすがに4月に次の次というのは一切織り込んでおりませんレートになろうかと思います。(ちなみに予告ホームラン前の11/26の0.645%は手前を0.50%で置いた場合の12/22以降のレートは0.668%なので当然ですが織り込みは進みましたなという感じです)

新金利適用日が12/22からになる(と思われる)ので手前の金利適用の残り日数が少なくなると自動的に金利が上がってしまうので単純比較しにくくてめんどいのですが笑、概ね現状では12月利上げに向けた修正はほぼ完了している(短国3Mは微妙な気がするけど)ようには見えるものの、さすがにその次の話は来年4月会合には来ないじゃろ、という金利形成になっているようですし、まあそれ自体は来週金曜の決定会合で突如植田さんが変な物食ったかのように威勢の良い事を言い出さない限り目先で盛り上がることはない(ただし年末年始とかに円安ぶっ飛んでしまうと4月再利上げの思惑が出てくる可能性はワンチャンのワンくらいはあるんじゃネーノとは思う)とは思うのですが、今日の6Mが妙に流れちゃったりするとその手のトークが出てくるかもしれませんぜと僕言いましたよねメソッドを適用しておきます。



〇市場備忘メモを書きつつ途中からコミュニケーションポリシーの悪態になるのでした

すいません皆さんご案内の市況のメモ引用で
https://jp.reuters.com/markets/japan/GA6VJU36FJIPHFZ75XJ32XXGG4-2025-12-08/
国債先物は続落、長期金利18年半ぶり1.965% 20年債金利は過去最高水準
ロイター編集
2025年12月8日午後 4:09 GMT+9

『[東京 8日 ロイター] - 8日の東京円債市場で、国債先物中心限月12月限は、前営業日比10銭安の133円84銭と続落して取引を終えた。週内に5年債・20年債入札を控える中、円債は売りが優勢となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.965%と、2007年6月以来の高水準を付けた。現物市場では新発20年債利回りが同3.0bp上昇の2.950%と過去最高水準を付けた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで20年は入札が木曜なのでなにも月曜から調整せんでもという感じではあるのですが、昨日は前場から20年妙に弱くて、と思ったら30年にその後伝染したりしてましてナンノコッチャという感じですが。

『2年債は前営業日比1.0bp上昇の1.060%と、07年7月以来の高水準。5年債は同1.5bp上昇の1.450%と08年6月以来の水準まで上昇。30年債は同3.0bp上昇の3.385%、40年債は同0.5bp上昇の3.660%。』

今日は5年国債の入札ですので調整したのかは知らんけどしれっと2年とかの金利も上昇しておる訳でして、

『   OFFER  BID   前日比 
2年  1.051  1.061   0.011  15:08
5年  1.442  1.448   0.011  15:13
10年  1.959  1.964   0.015  15:03
20年  2.948  2.955   0.035  15:10
30年  3.379  3.392   0.031  15:14
40年  3.664  3.676   0.017  15:10』

まあアレです。これ決定会合まで妙に間があるのが悪いのと、そもそも論として政策金利の方向性について、展望レポートで書いてあるガイダンス文言は以前から「2%物価目標達成に向けて徐々に緩和度合いを調整」と言ってあるものの、その傍から主に植田総裁が「ビハインドのリスクは無い」とか、「海外経済の不確実性ガー」とか、「基調的物価は2%にまだ達していない」とか、利上げを渋るような説明を延々としていたのが悪くて、その辺り先日の名古屋での予告ホームランでやっと言い換えましたが、それまでのハトハトチキンコミュニケーションの結果0.75%に利上げしたら向こう1年くらいこの金利、みたいな認識が世の中に強まってしまった為にこの有様って事な訳で、植田総裁の説明がヘタクソ(物凄く丁寧にやっていると本人は思っているんだろうが市場相手のコミュニケーションとしては下手糞の極み)なのがアカンのよねとは思う訳でして・・・・・・

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/O7RPLFZUINPNBLWPBOXLZTUUVI-2025-12-08/
アングル:日銀、先行き利上げ判断で貸出動向に注目 中立金利推計に不確実性
和田崇彦
2025年12月8日午後 9:45 GMT+9

ここに来て先般の植田総裁の国会発言が思いっきり効いてしまって債券市場の中の皆様におかれましては「中立金利水準の計算」ムーブが起きている(ように見える)訳で、ロイターさんでもこんな感じで紹介される訳ですな。

『中立金利は景気に対して緩和的でも引き締め的でもない自然利子率を巡る推計がもとになっている。日銀は2024年8月、金融政策の多角的レビューの一環で出した論文で自然利子率の推計を示した。6つのモデルから導き出した推計値を寄せ集めると自然利子率はマイナス1.0%―プラス0.5%で、日銀が物価2%目標を達成したとの前提に立てば、自然利子率に2%を足すことで、中立金利は1―2.5%となる。』(上記URL先より、以下同様)

ってのはご案内の通りですが、そもそも経済が常態の時に自然利子率がマイナス1%とかいうのが直感的に考えておかしいじゃろというお話で、まあ当時だと中立金利が2%でござるって出してしまうと政策金利水準が0.25%なのでその距離に市場がエライコッチャとビビリンチョになると困るから低めの下限値出しているのは政策コミュニケーションの配慮としては分からんでもないのですが、だったら初手からそんなの出すなよという話は連日拙駄文で主張しておりますのでまあ以下割愛。

『24年8月の論文は23年第1四半期までのデータが用いられている。直近までのデータを入れることで、自然利子率の推計が上振れる可能性もあるが、同論文は「新たなデータが追加されると、事後的に見て現在の推計値が変わり得る」と指摘している。直近の推計値は不確実性が大きく、相当の幅をもって評価する必要がある。』

低インフレ均衡の時代と2%物価目標達成均衡の時代ではそもそも前提条件が違うので過去のデータ使って新常態になった時の中立金利を推計すること自体がナンセンスなんですが、植田さんが「ザ・中立金利」を計測するのにご執心、ってのが政策コミュニケーション上致命的で、市場の中の皆さんも一生懸命このナンセンスな「ザ・中立金利の計算作業」をおっぱじめているという不毛にも程がある現象が発生している点は植田総裁の罪が重いとしか申し上げようがないですな、ナムナム。

とは言いましても上記記事を見ますと、

『政策金利が緩和的かどうか、その示唆を提供するものとして、日銀では金融環境、とりわけ金融機関の貸出動向が注目されている。8日に発表された11月の預金・貸出動向によれば、銀行・信金計の貸出平残は前年比4.2%増の652兆5470億円。M&A(企業の合併や買収)や不動産関連、経済活動の正常化に伴う資金需要が続き、残高は2000年1月以降の最高を更新し続けている 』

ってのが出てまして、いやだから言い訳の為に特定の指標を持ち出してその場限りの説明をするのマジで止めろよと思う訳で、黒田末期以降お前ら何回説明に使う指標を取り替えたか(物価に関してだって王道のコアCPIが都合悪く成ったらコアコアを出して、コアコアが都合悪く成ったら賃金と物価の好循環とか言い出したりして最近は基調的物価になってるだろうと)って話で、その場限りの説明をしている方はその場限りの目くらましの積りで言い訳しているんでしょうけれども、市場の方は中央銀行の政策コミュニケーションだから真に受けて考える訳で、足元では「ザ・基調的物価の推計」がブームですけれども、記事のこの説明を持ち出しだすと今度は「金融環境のインデックス」みたいなのを皆で一生懸命になって計算しようとしだすことになりまして、またまた不毛なことになりそうな悪寒しかしない訳ですよ。

まあこれインフレ目標政策の今の枠組みが2%に対してリジッドな説明をしているのの弊害でもあって、もっとフワフワした総合判断ですよっていう感じであれば特定の指標や特定の数値を殊更に出してくる必要はないのですが、2%のところを無駄にリジッドな目標にしているもんだから、じゃあその2%達成の判断根拠は、という問いに対して一々具体的なものを持ち出してくる必要が生じてくるのだが、結局のところ総合判断なので説明の為に出した特定指標が都合悪くなると別のものを出してくる、ということで説明が首尾一貫しないということになるんだよなーーーー、とは最近思う所ではありますな、うんうん。

しかしまあ何ですな、この貸出動向云々ですけど、

『<0.75%で変調は>

0.25%から0.5%に利上げしても貸出の増勢は変化なく、日銀では0.75%に利上げしても貸出のトレンドに大きな影響は生じないのではないかとの見方が出ている。

利上げの場合、金融機関が貸出金利に適用していく時期や金利上乗せの程度はまちまちだが、もし政策金利が引き締め領域に入っていくとすれば貸出動向に変調が出てくるはずで、日銀はその転換点がどの時点で訪れるのか、経済や物価その他の動向とともに注視していくとみられる。』

って言ってるんだがこちとら20世紀の不動産バブルの崩壊局面の頃金貸しの手先の小僧だったから覚えているけど、ガチのヤバい奴の時には金利上げたからと言って効いてくるのかというと、どう見たってあの時って総量規制と三業種規制の方が効いた(効きすぎた)わけで、政策金利馬鹿上げしたからだけでは止まったのかどうか怪しいですぜという話なので、貸出がどうのこうのという説明を使うのもあまりよろしくないと思うのですけどねえとは思うのでありました、大体からして金融政策が貸出に効いて云々ってタイムラグがどちゃくそあるんだから貸出で見てたら緩和修正が後手に回ってビハインドの弊害になるわ、その後の引き締めで今度は引き締めのやり過ぎになるまで引き締め続けて弊害になるわという結果になるとしか思えんのだが・・・・・・


ということで、もっと単純に「ここから先は過去のデータが当てはまらない世の中になるので事前にメルクマールを置かないで出たとこ勝負で徐々に利上げして行って新しい「2%物価安定の世界」にフィットした均衡点を探していきます」って説明するだけでエエンチャウノとは思うのですが、まあそれだと馬鹿丸出しっぽくて頭のよろしい植田総裁や日銀の高機能頭脳の皆様におかれましては不本意なんですかねえ。なんかこの調子だと12月利上げは良いんですけどその後のコミュニケーションでやたら面倒なことになりそうにしか思えませんな、南無三。







2025/12/08

お題「BBG砲でそこそこ反応したのは「その次」の話ですかねえ(謎である)/3Mは中途半端な気もするが織り込み進む/財政スタンスはマジで反省しているのか(謎である)」

12月8日と言えば真珠湾攻撃ですな〜

〇BBG砲・・・・も「知ってた」系ではあるが「この先の利上げ」の話があるから反応したのかしら

BBGのネット版ってUIをリニューアルしたんですけれども、「検索」がどこかに行ってしまった(ように見えるんだが)のはクソ改悪としか言いようが無い(UIは元々あまりよろしくなかったのが改善されたのですけど、「検索」機能でまあUIをカバーできていたんですよ今までは)

ということでニュース探すのが面倒になって益々BBGをネタにしなさそうになっていますが
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-05/T6KVQHKK3NY800
日銀が今月会合で政策金利引き上げへ、利上げ継続姿勢を維持−関係者
Sumio Ito、Toru Fujioka
2025年12月5日 at 13:27 JST
更新日時:2025年12月5日 at 13:35 JST

『・0.75%への利上げは緩和環境内での調整、政策の打ち止め感は出さず
・経済・物価に応じ利上げ継続、中立金利に関する情報発信にも注目』

ってな訳で何かリニューアルされたサイトにまだ慣れていませんが、ってかマジで「記事検索」機能が無いと使い物にならんのだがどこに記事検索があるのか知ってる人いたら教えてください。いやまあ無料で見てないでBBGの会員でログインしやがれってことなのかもしれませんけど何だかねえって感じではあります。

という悪態は兎も角として記事の方に参りますが。

『日本銀行は、内外の経済・物価や市場に大きな変化がない限り、今月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げる公算が大きい。その後も利上げ継続姿勢を維持する見通しだ。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

まあ「知ってた」ネタではあるのですが、なんか知らんけど為替市場ってこんなのでも動くのねと感心してしまいましたけど、もしかしてアルゴって低能の極みなんじゃないか(というか学習を間違えている)と思う今日のこの頃ではありますが、まあAI様が低能を発揮してくれればこちとら昔ながらの現場叩き上げ職人理論皆無ジジイにも生き延びる余地があるというのものでアリガテエアリガテエwwww

『今回の利上げは緩和的な金融環境の中での調整だとし、利上げ後も実質金利はマイナス圏にあり、金融引き締めではないという。経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば、利上げで緩和度合いを調整していく姿勢も変わらない見込みで、政策の打ち止め感は出さない見通しだ。』

見通しだ、も糞も0.75で打ち止めとか言ってるのはリフレとかいう邪教に洗脳されて思考に多大なる欠陥が発生しているような知能の欠如した人しかそんな事思わんじゃろ2%物価目標達成している時に短期政策金利の均衡値が0.75%の訳ねえだろ脳味噌ついてるのか貴様というお話なんですけれども、まあ高市さんの取り巻きがアホウ節を踊るからそりゃまああれを真に受ければ打ち止めと思ってもおかしくないというのは理解できるが何ぼ何でももう少しものを考えて頂きたいとは存じます次第。

記事の最後の方の説明はアホの子にも分かりやすく説明されていまして、

『0.75%への引き上げ後は、引き続き利上げを急がなければならない経済・物価情勢にないと日銀はみている。景気を刺激も抑制もしない中立金利について最新の見解を示す可能性があるが、水準を特定するのは難しく、利上げの影響を点検しながら探っていく考えに変化はないという。』

これ中立金利に関しては植田さんが(学者らしいといえば学者らしいのですが)「ザ・中立金利」を精緻に推計して、それを政策の羅針盤というか北極星にしようっていうのに対して、こちらのBBGの「複数の関係者」記事では「水準を特定するのは難しく、利上げの影響を点検しながら探っていく考えに変化はない」となっていまして、そりゃそうじゃろという話になっております。でもって記事の上記部分の続きは、

『日銀が集計した自然利子率の推計に基づけば、中立金利は1−2.5%に分布している。植田総裁は4日の参院財政金融委員会で、中立金利の推計にはかなり広い幅があるとしつつ、狭める作業がうまくいけば「適宜公表していきたい」との考えを示した。会合や総裁会見での情報発信が注目される。』

となっているので、こりゃどうみても「植田総裁が「ザ・中立金利」を出したがっていますけど大本営としてはそりゃ無理じゃろと思っている」という状況を示しておりますが、拙駄文では再三再四申し上げていますように、今のように均衡を変化させようとしている中で政策運営のコミュニケーションに中立金利を使うのは無駄に市場のボラを上げるだけで一利なしと思うので大本営の見解(と思われるもの)に同意ですな。

なお、

『複数の関係者によると、高市早苗政権は、日銀が今月利上げを容認する姿勢だ。ただ、このタイミングでの実施に慎重な意見もあるという。高市首相は金融緩和を重視するとみられており、日銀に利上げペースをより緩やかにするよう影響力を及ぼすのではないかとの観測も浮上していた。』

とのことですが、止まらん円安に勝てない(長期金利上昇にどのくらいの問題意識をもっているのかは謎)ってなもんですかしら知らんけど。

・・・・・・しかし来週末利上げまで待ち時間ってのは長いですね〜

てな訳でございますので、12月利上げは確定としまして、問題は植田さんが何を言い出すかによりけりではあるのですけども、妙にやる気満々の説明をおっぱじめると「次の利上げ」が来年の7月どころではなくなる勢いで説明をしかねないのが植田さんの恐ろしい所だし、まあ「次の利上げ」に関してやたらとハトハトチキンな説明をおっぱじめてしまうと(どうせFEDが利下げするとして)FED利下げ日銀利上げでも円高に振れないで、何なら年末に向けてエッホエッホと円安で利上げ催促祭りになり兼ねないので、どう説明するのかというのと、そもそも市場ちゃんが何を織り込んでいるのかのコンセンサスが今週来週でできるのか次第かと。

というかですね、木曜のロイター砲でも金曜のBBG砲でも、ただの馬鹿アルゴのせいなのかも知れないけど、為替市場が反応しちゃうのを見て「どこにコンセンサスがあるのかが分からんがな」という状態にアタクシとしては思ってしまうので、日銀の出方に対して市場がどう反応するのかがイマイチ読めない、という今までになかったパターンの中々難しい利上げではあるなと思うのでした。マジで市場のコンセンサスが良くわからんですバイ(情けない話だが)。



〇短国3Mはまあとりあえず流れずに決着してイマイチ感あるけど織り込んでるちゃあ織り込んでるかも知れん(?)レート

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251205.htm
国庫短期証券(第1348回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1348回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号    国庫短期証券(第1348回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和7年12月8日
4.償還期限   令和8年3月16日
5.価格競争入札について
(1)応募額       12兆8,896億円
(2)募入決定額     3兆3,910億円
(3)募入最低価格    99円82銭9厘5毛
(募入最高利回り)    (0.6361%)
(4)募入最低価格における案分比率    19.4500%
(5)募入平均価格    99円83銭2厘2毛
(募入平均利回り)     (0.6260%)』

とまあそういう結果になったようで、売参ベースのWI引値の0.620%に対しまして若干弱い入札でしたが、ゆうて前週のように大流れしたわけではなく、植田総裁名古屋講演予告ホームランで修正が入った先週の気配を容認する格好になりましたと。

売参ちゃん見ますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(12/5引値)
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.560
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.620←金曜までカレントだった前回新発3M
国庫短期証券1348 2026/03/16 平均値単利 0.625←3M新発債
国庫短期証券1350 2026/03/23 平均値単利 0.625←今週の3MWI(まあてきとうな値付けではあるが)

ということで0.625%とかいうアベレージ水準で引かせているので、モチのロンですが前週(先月末)の短国3M入札よりは水準訂正をしていますけど、入札流れて引けが崩れるとかいう事案にはなっていないという結果ですが、そりゃまあ良いんですけど前回新発の方は0.62%水準になっていますけれども、その1週前の3Mは0.560%(ちなみにその前の銘柄も0.560%ですアイヤー)とかいうレートになっていまして、いやなんだよその階段はってなもんですが、何せ実弾の売りが出るかPDの在庫が大いに残っている時じゃないと既発になって暫くした銘柄って水準訂正をしないというのが今の短国クオリティなのでまあご愛嬌という事で。

でまあこの0.625%っていうのは決定会合までをおまけして0.42%で計算して差し上げても後半のレートが0.659%にしかならんので、政策金利0.75%からの解離9bpってうーむという感じ(手前0.50%で計算したら0.646%ね)ではありましてもうちょっと調整しないのかよ(とか言ってるうちに手前の残り日数はどんどん少なくなっていくので本来は受渡日が1日ズレるたびに金利水準の調整が必要なんですよね、なんかあんまりそういう真面目な値付けになっていないのは短国だけじゃなくてCPとかもその傾向がみられるけど)とは思いますし、大体からして補正出たら6M短国増発でまわりまわって3M発行増えるじゃろとも思うのですけど、ここから来週金曜に向けて毎日気配値どうなるかなーとか楽しみながら見物したいと思います。


〇10年1.95%ですかそうですか&放漫財政の修正ムーブがちょっと見られるかもしれませんなあ

いつものロイターさん

https://jp.reuters.com/markets/japan/Y3EPI3DD5VJH5JE43ZODYEEJOY-2025-12-05/
〔マーケットアイ〕国債先物は続落、長期金利18年ぶり1.95% 超長期ゾーンは金利低下
ロイター編集
2025年12月5日午後 3:28 GMT+9 2025年12月5日更新

『[東京 5日 ロイター] - <15:14> 国債先物は続落、長期金利18年ぶり1.95% 超長期ゾーンは金利低下

国債先物中心限月12月限は、前営業日比17銭安の133円94銭と続落して取引を終えた。日銀の利上げ観測を背景に売りが優勢となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.950%と、2007年7月以来の高水準を付けた。一方、現物市場では超長期ゾーンの金利低下が目立った。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、もはや金利上昇のニュースが「日銀の利上げ観測」と「財政拡張懸念」しか理由の書きようがないという相場になっておりますが、今週前半にスティープした時に中立金利の見方が変われば必ずしもフラットせんじゃろ、とか堂々のドヤ顔(ではありませんが)で申し上げたら連日のツイストフラット商状というフラグ建築の冴え渡りっぷりに小職としては落涙を禁じ得ないところではあります。あばばばばばー。

『現物市場では、新発債利回りはまちまち。市場では「日銀の利上げパスが不確定要因であることから、中期ゾーンは腰の入った買いは入りづらく、足元は売りが優勢だ。長期と超長期ゾーンは、投資家による小口の買いや業者の買い戻しの動きなどがみられる」(国内証券債券セールス担当)との声が聞かれた。』

ホンマカイナって感じではあるのですが、まあさすがに0.75%に利上げしたあと1年間利上げ無しみたいな高圧経済上等というのは円安にビビって引っ込めてきている感がある訳でして、その点から超長期の売りが一旦の一段落になっているのであればそれはそれで味わいのある話。

『2年債は前営業日比3.0bp上昇の1.050%と07年8月以来の高水準。5年債は同2.5bp上昇の1.435%と08年6月以来の水準まで上昇。一方、20年債は同0.5bp低下の2.920%、30年債は同3.0bp低下の3.360%。 40年債は出合いなし。』

まあ中短期に関しては「その先の利上げ」に関して今までタカを括っていましたからこういう話になるのはまあしゃあないという感じですが、一応これだと1%を上回る利上げを織り込みに行っているんですよね。

『    OFFER  BID   前日比 
2年   1.042  1.051   0.032  15:04
5年   1.428  1.434   0.026  15:03
10年  1.943  1.949   0.018  15:02
20年  2.913   2.92  -0.004  14:59
30年  3.351  3.361   -0.03  15:04
40年  3.638  3.659   -0.039 15:04』

ということで2年1%オーバーでも金利上がるので、つまりは0.75のあと1%には利上げしますし、その後も利上げはありますよ(と言ってもこれだと利上げ到達点精々1.25%にしか見えませんが)という動きにはなっているので高圧経済円安上等の流れが変化したというイメージは共有されているんでしょうね。


でまあこんなのも出ていましたし、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025120500548
自民、所得増税の27年1月開始案を提示 防衛財源確保で、維新に反対論
時事通信 経済部2025年12月05日20時25分配信

『自民党と日本維新の会の税制調査会長は5日、国会内で会談し、防衛力強化の財源として検討されている所得税増税について協議した。自民税調の小野寺五典会長は2027年1月から増税するという党の意見を提示、維新の梅村聡税調会長は党内に賛否の声があることを伝えたという。26年度税制改正に向けて、
両党は協議を継続する。』(上記URL先より)

防衛国債を出すとかいう話を聞くと昭和脳なので例のアレ(https://www.jpx.co.jp/corporate/learning/tour/arrows/detail/17.html)を思い出してしまう程度に莫大に威勢の良い話をしておられますなと思って生温かく見守っておったのですが、まあいきなり防衛国債出すような勇者なことは回避してきそうな感じは漂ってまいりましたし、だんだん最近は「責任ある」の方にシフトしてきている感もあるのは先週木曜にもロイターが記事出していましたな。

とは言いましても、
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2329869
高校生の扶養控除縮小へ 政府与党が来年度税制改正で検討 児童手当や高校無償化など負担軽減拡充で
TBSテレビ
2025年12月5日(金) 01:13
経済

ってのが出たと思ったら、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0630Z0W5A201C2000000/
高校生の扶養控除、高市首相「縮減、指示していない」
予算・税制2026
2025年12月7日 0:50
(2025年12月7日 20:52更新)

ということで引っ込めてしまう、という感じでクレクレ圧力に対しては相変わらずでもありますけれども、発足当初の財政なんでもぶち込みますモード一辺倒では不味かろうという知性に目覚めたのであれば、そりゃまあ財政ネタで超長期叩き売るのも限界ありますがな、という話でもあるので、一旦補正で大盤振る舞いするのは織り込んだとして、今後は来年度予算に向けた動きがどうなるのかという話になるんですかね、知らんけど。

てな訳で雑談メモばっかりで恐縮至極でございました。








2025/12/05

お題「ロイター砲は知ってた案件/問題は「中立金利」とかのコミュニケーションですわな/長期と短期の市場備忘クリップ」

イイハナシダナー(消費者的に)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/349220
2025年12月5日
[ニッポンの米]米価下落の見方強まる 見通し指数32に急落

なお会員記事なので中身はよくわからんでござる(汗)。


〇ロイター砲でましたが何とあれで為替反応するのかと思いましたw

昨日のロイター砲
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/CI5TT7MUNJNENMJUSINYROHOJY-2025-12-04/
日銀、12月会合で利上げの可能性強まる 高市政権も容認姿勢=関係筋
ロイター編集
2025年12月4日午後 3:15 GMT+9

ネット版の日本語記事は3時過ぎになっていますが、実際には英文のフラッシュの方が引け前に出ていましたが、まあ12月利上げはむしろ無いって話が出た方がニュースじゃろという「知ってた」の世界なので円債は反応をした感じでもなかったのですが、ドル円ちゃんが155円50銭水準から155円20銭水準に値段が飛んで、引け後も155円割る勢い(割ったかどうか忘れたqqq)だったのにはナンジャソラと思いました。

一応記事ですけど。

『[東京 4日 ロイター] - 日銀が18、19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げる可能性が強まった。高市早苗政権も日銀の利上げ判断を容認する構えだ。複数の関係筋が明らかにした。9、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などを受けた市場の動きや、企業の賃上げを巡る情報を踏まえて最終判断する。』(上記URL先より、以下同様)

無関係者のアタクシですらこの期に及んで(とんでもない天変地異が無い限り)再来週利上げしなかったら打ち首獄門じゃろという予想位は立てられるので、まあ何を今さらという感じですが、

『利上げに踏み切れば2025年1月以来。米国の関税政策の影響見極めを優先して利上げ判断を見送ってきたが、11カ月ぶりの利上げとなる。日銀は、0.75%に利上げしても中立金利まではまだ距離があるとしており、12月以降の利上げ姿勢をどう発信するかが焦点となる。』

この点は後程植田さんの国会答弁記事があったので多少雑談を。

『日銀の利上げを巡っては「責任ある積極財政」を掲げる高市政権の理解を得られるかが焦点の1つになっていた。高市首相は就任当初から、マクロ経済政策運営の「最終的な責任は政府が持つ」と発言してきたが、外為市場で急速に円安が進んだことなどから政権内部でも日銀の利上げを容認する声が強まっていた。』

>外為市場で急速に円安が進んだことなどから

まあ結局また為替かよという感じですが、昨日のこのニュース自体は今に始まった話では無いにしましても、円債市場ちゃんの方も(これまた後でクリップしますが)金利上昇の巻をやっているのにも関わらず、ドル円ちゃんは相変わらずの155円水準で円高に全然ならん、という状況ですので、まあ結局利上げしても円安是正が進まんということになると次の利上げもだんだんと視野に入ってくるってなもんじゃなかろうかとは思ったりする訳ですがさてどうなるのやら、ということで問題になるのは最早今回の利上げではなくて「この先」の話になるのですが・・・・・・・・・・


〇中立金利は(特に今の日本の場合は)事後的にしかわからない概念上の産物なので勝負しない方が・・・・・(植田発言)

でまあ日中はこっちの方がニュースネタになっていたわけですけれども、

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/IH7BN44N6VN6NBDXLLEBBRRT6Q-2025-12-04/
中立金利は推計に幅、政策金利の到達点に「若干の不確実性」=日銀総裁
和田崇彦
2025年12月4日午後 12:51 GMT+9

ということでこっちのコミュニケーションが重要になるのですが・・・・・・

『[東京 4日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は4日の参議院財政金融委員会で、中立金利は「広い幅をもってしか推計できていない」と述べた。その上で、最終的に政策金利をどこまで上げていくのが適当かは中立金利に依存するが、推計の幅があるため「そこには若干の不確実性がある」と話した。』(上記URL先より、以下同様)

という話ではあるのですが、

『植田総裁は中立金利の推計について「常にもう少し狭めることができないか、作業を続けている」とし、今後、うまく狭めることができたら適宜公表していきたいが「現状ではかなりの幅をもって見ざるを得ない概念」と説明した。』

という説明をしているのが相変わらずの植田さんでして、他の方必ずしもこの「ザ・中立金利」を精緻に計測しようという考え方は持っていないと思われるのですが、植田さんは(マクロ経済学者だからそうなってしまうんだと思うけど)どうしてもこの「ザ・中立金利」を計測しようっていう発想に立ってコミュニケーションをおっぱじめてしまう悪い傾向がありまして、今回の利上げ以降のコミュニケーションに大いなる地雷になるだろうなあと思う訳ですよ。まあ再三再四弊駄文では申し上げているつもりですがこの点については。

つまりですね、中立金利なんてえのはある程度経済が均衡近辺で安定推移するような状況、言ってみれば暫く前の「グレートモデレーション」みたいな安定期にはそりゃまあだいたいこんなもんじゃねえのみたいな話がしやすくなると思うのですが、それってすなわち「中立金利水準は事後的にしか分からない」ということが背景になる訳でございまして、足元のジャパンのように30年間短期政策金利が0.5%以下で推移していたところから2%物価安定目標達成という別の安定状態に遷移させようとしている中で、中立金利なんて事後的にしか分からん(実質金利だって同じ理屈ですが)としか言いようが無いわけですから、中立金利に対して今植田さんが回答をするのであれば、「これから政策金利も過去かなりの期間にわたって経験の無いゾーンに踏み込むので、いわゆる中立金利の水準というのは実際に政策金利を動かす中での経済の反応を見ながら判断するしかない」という回答をすべきであって、「ザ・中立金利」を求めたい、ってのは気概としては立派だしやるなとは言わないけど、金融政策運営のコミュニケーションの中では混乱の元にしかならない手法ですわな、という所ですな。

だってまあ多くの方も指摘しているように、中立金利水準を低め(例えば1%)とか言い出せば利上げに消極的って言われて円安がバンバン進行するリスクがあるし、一方で中立金利を本来的な意味での妥当な線(2%物価+基調的な潜在成長率の水準)で示したら今度は「エライ勢いで利上げするんジャマイカ」となって債券市場があばばばば―になってしまう訳ですから、こんなの「利上げして様子見て、その結果0.75%の政策金利水準が緩和的過ぎるというのであれば利上げして調整、というのを繰り返して行って適正な政策金利水準の位置を手探りで考えていくことにいなる」というお話で、要は「利上げしても緩和的だったら緩和を再度調整をしますよ」という方向性だけ出す以外にコミュニケーション取れない筈なんですよね。

てな訳で、植田さんのこの「ザ・中立金利」を計測してそれを羅針盤にしたい、というスタンスは危険としか言いようが無いのでちょっと中の振付師の皆さん再来週までに何とか植田さんの説明スタンスを変えて差し上げて下さい。とまあそういう話になります。

ただまあ何ですな、これまでのハトハトチキンが素なのか大いなる芝居だったのか、によってだいぶ話は違ってくるのですけれども、どうもこう根がハトハトチキンっぽい気しかしない植田さんですので、今回利上げする→今後も利上げするというコミュニケーションはちゃんと行う、までは良いんですけど、いわゆるターミナルレートとか中立金利の話になった時に、例の「中立金利下限1%」みたいなハトハトちっくなお話をおっぱじめてしまって、為替が円安に飛んでしまって台無しオブ台無しになりそうな悪寒(この場合円債ちゃんは「1%への利上げは遠い」に反応するのか円安の方に反応するのかはよくわからんですよねー)しか今のところしていないのですけど、まあ今回は決定会合までの準備期間が十分にあるので、振付師の皆さんが頑張って振付を行って「この先の利上げ」に関しては方向性としては利上げ、水準とかそういうのは曖昧戦略、でお願いしたいと存じますがさてどうなるのやら・・・・

あとですね、付け加えますとこの「中立金利」とか「(いわゆる)ターミナルレート」の話ってグレートモデレーションみたいな時には政策の羅針盤というか北極星みたいな感じで役に立つ概念なのですが、今みたいに構造変化を伴いながら経済物価環境が変化している状況においては何の役にも立たないどころか、市場のボラを上げるだけの話なので、そういう話に関しては中央銀行は「ザ・中立金利」みたいな話をしない方がよくて、中銀がそれを言うもんだから市場の何とかストとかメディアとかポジションテイクしている人たちとかも、その「ザ・中立金利」なり「ザ・ターミナルレート」についであーでもないこーでもないとか言い出して話をさらにややこしくする元になるので、そっちで勝負するのは筋が宜しくないと思いますし、(まあ何とかストの場合は商売として質問されるから回答しないといけないという面はあるので同情の余地は大いにあるのですが)何とかストがやれ中立金利だターミナルレートだとかいうのもカシュカリ総裁の頭髪並みの不毛オブ不毛の話で甚だ怪しからんとは思っております次第です、個人の偏見ですけど。



〇でまあ昨日は30年国債入札が強かったのに相場コケてしまったでござるの巻(いつもの備忘メモ)

ナムナム
https://jp.reuters.com/markets/japan/WNGNBUWDYBPFNCWEC2PODSNYFY-2025-12-04/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落、長期金利は18年半ぶり高水準の1.935%に上昇
ロイター編集
2025年12月4日午後 3:45 GMT+9

『[東京 4日 ロイター] - <15:16> 国債先物は大幅続落、長期金利は18年半ぶり高水準の1.935%に上昇

国債先物中心限月12月限は、前営業日比34銭安の134円11銭と大幅続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同4.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.935%と、2007年7月以来18年半ぶりの高水準をつけた。一方、警戒感のあった30年利付国債入札が順調な結果となり、30年金利については低下した。』(上記URL先より、以下同様)

昨日は30年国債の入札が強めで決着して落札結果出た後にフワッと相場持ち直したのですが、持ち直した所で10年だか何だかの戻り売り叩き攻撃が発生してしまいまして、叩き料理アイヤーという感じで引けにかけて10年中心にあばばばばーという展開だったようですな。

『財務省が実施した30年債入札は、事前に警戒感があった中で最低落札価格が市場予想を上回り応札倍率が6年半ぶりの高さとなるなど順調な結果となり、先物は取引中盤に買い戻される場面もあったが、長続きしなかった。現物市場では10年物以外の新発国債利回りはまちまち。2年債は前営業日比横ばいの1.015%。5年債は同2.5bp上昇の1.410%と08年6月以来17年半ぶり水準を更新した。20年債は同1.0bp上昇の2.920%で、序盤には一時99年6月以来26年半ぶり高水準の2.940%をつけた。30年債は順調な入札結果が好感され、同3.5bp低下の3.385%。入札前には一時、3.445%をつけて過去最高水準を更新した。40年債は同1.0bp上昇の3.745%。』

てな訳で何か豪快なツイストフラットをしていましたが、

『TRADEWEB
    OFFER  BID   前日比 時間
2年  1.012  1.022   0.006  15:08
5年  1.403  1.409   0.024  15:13
10年 1.934  1.939   0.047  15:11
20年 2.913  2.922   0.005  15:15
30年 3.381  3.391  -0.034  15:15
40年 3.686  3.702  -0.042  15:15』

取引中盤以降特に10年の弱さが目立っていたと思うのですが、先物ならともかく10年が周辺対比で弱い推移となるのにはさすがにこれは売りでも出てこないとそうはならんじゃろ(いやまあ火曜の新発が捌ききれてないと思われる中での下げなので、という投げがあるのかもしれないけどそういう投げ方ではないような気がしますけど・・・・)とは思うのでちょっと気にかかるところです。


〇交付税特会6Mのレートがちゃっかり上昇しておりますな&今日は新発3M入札

昨日の交付税特会6M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251204.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和7年12月4日入札)

『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。


1.借入根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日      令和7年12月12日
3.償還期限     令和8年6月12日
4.償還方法    令和8年6月12日に一括償還
5.借入利率競争入札について  
(1)応募額        3兆6,900億円
(2)募入決定額     1兆3,000億円
(3)募入最高利率      0.797%
(4)募入最高利率における案分比率     52.5000%
(5)募入平均利率     0.783%』

ということで今回の交付税特会6Mは0.783%/0.797%と金利が上昇の巻になりました。前回の特会借入6Mは11月26日入札(すなわち植田総裁予告ホームランの前)だったのですが、こちらが12/4−6/3で0.757%/0.768%という結果でしたので結構レート上昇しましたね、という結果です。

まあ本来ターム物に関しては流動性リスクプレミアムがテナーの長さに応じて乗っかってきて然るべき、というのが金利市場のお約束ではありますので、利上げ後の付利金利0.75%に多少タームプレミアムが載っていること自体はごく自然な話なのでまあこれはこういうもんじゃろ、で済ますこともできるのですが、折角なので半分お遊びで「次の次の織り込み度合い」を計算しますと今回は・・・・・・

まあめんどいのでこの際足元から0.75%で計算して、このレートが4月展望での利上げ(月末の利上げになるので実質的には5月頭利上げみたいなもんですが)をどの程度織り込むんでしょうか、という面白計算をしてみますと、手前0.75%で計算して4/30(来年4月会合の翌営業日)からのレートが、平均の0.783%の場合後半0.890%になって、足切りの0.797%の場合何という事でしょう後半が0.949%になる、という面白レートに。真面目に計算しようとすると12/22までは0.50%で計算しないといけないので後ろの換算レートってもうちょっと高くなるのですが、まあお遊びなのでこんなもんで勘弁してもろて頂いて。

前週(植田予告ホームラン前)だと足切りの0.768%でかろうじて後半0.844%って数字になるので、さすがに今回の植田予告ホームランで今回の利上げのみならず、「その先に間違って利上げがあるリスクをちったあ載せて頂かないと困りますなあ」というレートになっている次第です。

勿論ですが、この交付税特会ってレートが常に高め高めで決着する物件ですので、実際に市場の中の人たちが12月の次に4月のリスクってのをそんなに強く考えているとは思えませんけれども、そうは言いましてもリスクプレミアムは載せて頂かないと、という感じになっているというのは、0.75%に利上げして打ち止め、という訳ではないんじゃネーノというのがかなり人口に膾炙してきたということの一端を示すものじゃないのかな、とか思ったりしました、知らんけど。


でもって短国ちゃんですが、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20251128.htm
国庫短期証券(第1348回)の発行予定額等

1. 入札予定日  令和7年12月5日
2. 発行予定日  令和7年12月8日
3. 償還予定日  令和8年3月16日
4. 発行予定額  額面金額で4兆3,000億円程度
5. その他  上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。

てな訳で今日は毎度おなじみの如く3Mの入札があって、売参ベースのWIは0.620%で引けさせているのですが、12/22から新金利適用、ということで考えますと、0.62%っての手前を0.50で計算させたら後ろが0.64%とかいう割と悲しいレートではあるのですが、まあゆうて短国自体は恒常的にコールよりもレートが低いので、その辺をオマケして差し上げて手前を0.42%まで下げて計算すると後ろが0.653%という数字になって参りますなとか何とか。まあ多少唸るんですけど、ゆうて年末越えでもありますし、短国ですしっていうのも絡んできて良くわからんところではありますので、結果を見てから能書きでも垂れますかってなもんです(じゃあお前なんで書いたんだと言われそうですがそういうツッコミをしてはいけません)。

今朝はこの辺で勘弁








2025/12/04

お題「”責任ある”積極財政になっていくのでしょうかねえ(城内発言)/金利上がったので長期と短期のメモメモ」

どうなんでしょうかねえ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-12-03/T6PIFTKIP3J500
ハセット氏のFRB議長起用、債券投資家が財務省に懸念を伝達−FT
Airielle Lowe
2025年12月4日 4:16 JST

ゆうてパウエルだってトランプお声掛かりの人事でしたけど、トランプの言う事なんでもヘイコラと聞いて米国経済をむちゃくちゃにしてしまったら未来永劫馬鹿議長として悪名を残すことになる訳で、よほどの馬鹿じゃない限りは未来永劫の悪名というのに怯むんじゃないかねと思うのは甘いですかねえ・・・・・・・

〇責任ある積極財政のトーンが現実を見て矯正されるのでしょうか&城内さんの「ネットde真実」クソワロタ

ほうほうそうですかそうですか
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/H367XRCM2RJFTM6RZII3TWSS5M-2025-12-03/
円安、家計の購買力低下させる可能性 産業空洞化解消にはプラス=城内成長戦略相
ロイター編集
2025年12月3日午後 3:59 GMT+9

『[東京 3日 ロイター] - 城内実・成長戦略相は3日の衆院内閣委員会で、為替円安について、輸入物価の上昇を通じて国内物価を押し上げ、家計や企業の実質的な購買力を低下させる可能性に留意が必要である一方、輸出企業の収益にプラスの面があり、海外進出した企業の国内回帰で産業空洞化の解消にもプラスとの見方を示した。』

『高市早苗政権の経済政策については、短期的に物価高対策を講じた上で、中長期的に日本経済の供給構造を強化しながら物価高を加速させることがないよう戦略的に投資を行う内容だと説明した。岡田悟委員(立憲)への答弁。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、円安で産業空洞化の解消にプラスになるんだったらとっくの昔に空洞化解消していないとおかしくね???ということで甚だアレではあるのですが、これまで高圧経済万歳と言ってたのに現実に気が付いたからと言って突如「過度な円安は怪しからん」とジャガーチェンジする訳にもいかないので徐々に足抜けしようとしているから取って付けたような言い訳をしている、というのであればまあそれはそれで移行期間中なのでシャーナイナイということで評価に値するのですが、実際の所現実を目にして改心しているのかどうかはイマイチよくわかりませんな。

でまあ一番クソ笑ったのはこの部分ですわな。

『過去に、正しい財政を学ぶ中でメディアの通説や政府の説明が正しくないことに気づき、積極財政が正しいと思うようになったと発言したことに関しては「議員個人としての過去の発言」だとして経済財政政策を担当する大臣として答弁は控えると述べた。』

>正しい財政を学ぶ中で

「ネットde真実」キタコレといった所で、こういう犬笛に踊らされて色々やらかす輩というのがここ数年特に目立つわけですけれども、国会議員がこれかよとか思いますけど、そらまあ与野党問わずで国会議員でも変な陰謀論とかオカルト科学とかを唱える連中がうじゃうじゃいるのでこういうのがいること自体はまあそういう事じゃろとは思いますけど、しかし「ネットde真実」で政策立案しないで頂きたいという所で、高市さん何ぼ何でも取り巻きが酷すぎるというお話になるのですが、この記事の締めが、

『その上で「ばらまきや放漫財政などではなく」、財政規律派を含む学者の話や経済指標などを「しっかり踏まえながら、戦略的な財政出動を行うことが大事だと認識している」と語った。』

しかし「財政規律派」とか言ってる時点でまだ脳がネットで真実モードから解離できてないわなという所ではあるのですが、ただまあさすがに円安トマランチ会長というのを見て現実に目覚めたのであれば誠に結構な事ではあるのですが、何とか諮問会議とかの会議にとんでもない馬鹿を既に招き入れてしまっているので、あの辺りの馬鹿を切ることができるのか、と思うとまあ絶望的じゃないのかね、とも思いますが、あの馬鹿一派を切り捨てられれば評価してみたいと思います。

てな訳で、「責任ある」の方に力点置いてくれればまあだいぶマシにはなると思うのですが、もともと財政出せ出せ音頭は野党も言っていることなので、今の政治状況でいきなり「責任ある財政」に舵を切るのは難しいでしょうし、根が改心している訳でもなさそうなので前途遼遠ではありますわな。



〇10年国債入札で下げ止まったかと思わせましたが1日で戻ってしまいましたな(市場備忘メモ)

https://jp.reuters.com/markets/japan/XEWZOPC6ZFI7ZM4766CNUQG76E-2025-12-03/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.89%に上昇 17年半ぶり高水準
ロイター編集
2025年12月3日午後 3:32 GMT+9

『[東京 3日 ロイター] - <15:10> 国債先物は反落、長期金利1.89%に上昇 17年半ぶり高水準

国債先物中心限月12月限は、前営業日比25銭安の134円45銭と反落して取引を終えた。日銀の利上げ継続や財政拡張に対する警戒感が重しだった。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.890%と、2008年6月以来17年半ぶりの高水準を更新した。』(上記URL先より、以下同様)

まあ冷静に考えてみたら1995年の途中から政策金利0.5%以下だったんですから、17年半ぶりの高水準って言いましてもそりゃそうだとしか言いようが無いのですけれども、まあインパクトはありますわな。

ただまあゆうて、

『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。「あすの30年利付国債入札に対する警戒感が長期・超長期ゾーンを圧迫した」(稲留氏)ことから、イールドカーブはベアスティープ化した。』

てな訳で今日は30年新発の入札があるから毎度おなじみの入札前調整の面はあるにしましても、

『2年債は前営業日比1.0bp上昇の1.015%、5年債は同2.0bp上昇の1.385%と、10年債と同様に17年半ぶり高水準を更新した。20年債は同3.5bp上昇の2.910%と、26年半ぶり高水準を更新。30年債は一時同5.0bp上昇の3.425%と過去最高水準を更新した。40年債は同5.5bp上昇の3.740%。』

『TRADEWEB 
     OFFER  BID   前日比  時間
2年   1.007  1.016   0.005  15:00
5年   1.379  1.385   0.017  15:03
10年  1.888  1.893   0.035  15:03
20年  2.908  2.918   0.036  15:09
30年  3.413  3.424   0.045  15:08
40年  3.736  3.745   0.052  15:11』

ってことで、利上げとか言ってる割にはフラットしないでスティープしていますが、単に30年国債入札の前の日だからスティープしただけ、とかいうしょうもない理由だけのような気がだいぶしますけれども、まあ一応真面目に解釈すれば、物価目標達成に向けて政策金利上げていく、っていうんだったら0.75%に利上げして一発でおしまいという訳ではないわけで、まだまだ利上げ最終局面ではない、という発想に立てば、本来利上げ最終局面に来るからこそのフラットニングというのも今しばらくお時間を要します、というはなしになるんですかねえ、知らんけど。


〇ここで短国とかGCのレートも確認しておきましょう

なお水曜の短国ちゃんの気配は殆ど引け変わらずだった(3Mまでの所で言えば月曜の時点で一旦の引値修正が終って火曜も3Mくらいまでは引け変わらずでしたけど)のですが、久々にGCちゃんを確認しますとですね、

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

         O/N T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/11/25 0.498 0.502 0.495 0.494 0.494 0.497 0.583 0.642 0.745
2025/11/26 0.501 0.502 0.496 0.495 0.495 0.497 0.588 0.645 0.746
2025/11/27 0.500 0.495 0.494 0.494 0.494 0.501 0.594 0.646 0.747
2025/11/28 0.498 0.500 0.495 0.495 0.495 0.507 0.598 0.646 0.747
2025/12/1  0.501 0.501 0.496 0.496 0.497 0.523 0.614 0.657 0.750
2025/12/2  0.500 0.501 0.496 0.496 0.505 0.543 0.639 0.673 0.754
2025/12/3  0.499 0.501 0.496 0.496 0.509 0.562 0.646 0.684 0.760

って感じでして、GCトモネって最近は付利よりも若干高くなったりもするのねという風情ではありますが、そこはさておきまして、1mとか3mとか利上げタイミングによって大いに影響がある部分の金利はさすがにここもと上昇しておられる次第でありまして、植田さんの決め打ち砲が出たのが1日の午前中でしたので、きっちりと1日のリファレンスレートから上昇している格好ではありますわな。

・・・・ただですな、GCの長い方はそこまで修正したわけでもない、といってもGCの長い所とかになるとそもそもそんなに盛大に取引されるものではないので短国アウトライトの方にサヤ寄せされてしまっている面もあろうかと思いますのでそのあたりは割り引いて考えないといけませんけれども、6mとか1yとかはそこまで上がらずの巻となっている訳でして、つまりは「その先」の利上げに対する織り込みはまだまだ進んできている訳でもない、という解釈を勝手にしておこうかと思います。実際のところは良くわからんのだが。

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(12/3引値)
(3M近辺)
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.560
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.584
国庫短期証券1348 2026/03/16 平均値単利 0.620(新発WI)
(6M近辺)
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.620
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.650
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.670(新発WI)
(1Y近辺)
国庫短期証券1338 2026/10/20 平均値単利 0.750
国庫短期証券1345 2026/11/20 平均値単利 0.755

(12/2引値)
(3M近辺)
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.560
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.580
国庫短期証券1348 2026/03/16 平均値単利 0.620(新発WI)
(6M近辺)
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.620
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.650
国庫短期証券1349 2026/06/10 平均値単利 0.670 (新発WI)
(1Y近辺)
国庫短期証券1338 2026/10/20 平均値単利 0.750
国庫短期証券1345 2026/11/20 平均値単利 0.755

(12/1引値)
(3M近辺)
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.560
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.580
国庫短期証券1348 2026/03/16 平均値単利 0.620(新発WI)
(6M近辺)
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.660
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.660
(1Y近辺)
国庫短期証券1338 2026/10/20 平均値単利 0.755
国庫短期証券1345 2026/11/20 平均値単利 0.760

ちょっと長くなってしまいましたが、まあだいたいここもとの推移ですと、植田予告ホームランで影響されたのはもともと0.75%への織り込みがあんまり進んでいなかった3Mとか6M(3Mは先週金曜の新発までは「あんまり」どころか「全然織り込んでいない」レートになっていましたが)とかで、1年ってあんまり影響ない(11/28の引値も1年近辺は1338は0.74%で1345が0.75%だったので1毛くらいは動いたがまあそんなもんしか動いてない)という結果になっておりますわな。

実際問題としては先週金曜の3Mにみられますように、短国って基本的に入札の時じゃないとまとまった集玉が難しいので、つまりは入札の時にならないと水準訂正をしない、という部分もあろうかとは存じますので、短国界隈が1ミリも「0.75%の次」を意識していないという事もないとは思うのですが、ただまあ気配に見える感じですと1%への利上げに関してはとりあえず「そんな先まで考えるほどではない」という評価になっている、ということをメモっておこうかという話でした。


〇レーン専務理事発言(これまた備忘メモですが)

渾身知恵のかたまりみたいな風格を示していますよね毎度思うんですが
https://jp.reuters.com/markets/japan/JUKDUYCWFVIDVGWFO2S26VMBEA-2025-12-03/
ECBレーン専務理事、インフレ低下予想に疑問 最近の上振れを指摘
ロイター編集
2025年12月4日午前 2:00 GMT+9

『[フランクフルト 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストであるレーン専務理事は3日、ユーロ圏のインフレ率が最近「上振れサプライズ」を見せており、来年初めのインフレ低下というECBの予想に疑問が生じていると述べた。

ユーロ圏20カ国のインフレ率は今年大半、ECBの目標である2%付近で推移していたが、過去数カ月間の物価上昇率の一部は予想を上回った。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

『レーン氏は「エネルギー価格の低下により、特に来年最初の数カ月はインフレ率が目標を下回るという明確な予測を立てていました。しかし、実際には一部のデータは逆方向に動いている。こうした動きが予測修正の要因となる」と述べた。その上で、「短期的な逸脱が一時的であることが確実視されている状況には対応すべきではない」という見解を繰り返した。』

まあ記事にもありますようにそもそもECBは据え置き予想ではあるのですが、こういう「予測が一方方向に外れ続ける」という場合って言うのは、何らかの政治的事情に忖度して鉛筆を舐めているのでなければ、今回しているマクロ経済などの想定モデルの前提条件に変化が生じている可能性というのを真っ先に疑ってかかるべき、というのが鉄則だと思いますので、今回の据え置きはさておきましても、経済予測の前提になっている構造要因の変化、要するにインフレになりやすい構造の発生、というのが欧州で発生している可能性ってのも(壮大な話をすれば)無くはない、となりますとそれこそ米国もそうなんですけど、やっぱり「隙あらばゼロインフレ」の時代ではなくなったという話で、未だにデフレ脳なハトハトチキン音頭を日本も踊っている場合じゃないようにも思えました、と我田引水のメモでした。


でもって3日はレーンさん、講演をやっているので記事はこの講演の話だと思うのですが、講演自体は結構壮大な話をしていますので、余裕が有ったら読みたいと申しますか、たぶん再来週の中銀ウィークを前に日銀もFEDもECBも今回は結果が見え見え(日銀利上げ、FED利下げ、ECB据え置き)で決定会合の前になるとネタ切れの悪寒しかしないのでその時に投下出来たら投下できるように準備できればとは思いますけれども月末月初進行のあとは年末進行なのが何んともかんとも。

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2025/html/ecb.sp251203~0aa6ff1366.en.html
Inflation deviations and monetary policy

Keynote speech by Philip R. Lane, Member of the Executive Board of the ECB, at the 15th workshop on exchange rates, co-organised by Banka Slovenije with the Banca d’Italia, the Bank for International Settlements, the European Central Bank and the Nationale Bank van Belgie/Banque Nationale de Belgique

Ljubljana, 3 December 2025









2025/12/03

お題「名古屋講演での記者会見はもはや12月利上げ確定でその先に関する質疑も」

しかしまあ何ですな
https://www.bloomberg.co.jp/quote/JPY:CUR
米ドル/円JPY:CUR
155.83JPY
(これは今朝取った数字ですリンク先はリアタイで変わります)

日銀様が利上げするってゆうとるのに結局碌すっぽ円高に行かないということで、円高恐怖症のハトハトチキン先生はニッコリかも知れないけど、円安是正にならんとなるとこれ利上げしてもまた利上げに追い込まれるパティーンでワシとしてはオモロイのだが世の中的にはオモンナイ展開になりかねませんねえ・・・・・

まあ12月利上げは左門豊作の予告ホームランってなもんですのでそれはそれとしまして、こうなってくると「利上げの理屈構成」と「植田さんの説明」がどうなるのか、ということと、それを受けた為替ちゃんが一番楽しみになってきましたな、ってな認識ですバイ星クン(左門豊作風に)


〇名古屋講演での総裁記者会見ですが12月利上げ前提で問題は「その先」がどうなるかだと思いますけど・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251202a.pdf
総裁記者会見
――2025年12月1日(月)午後2時から約30分
於 名古屋市


・円安が利上げに繋がるのかどうか

2ページ目のケツまで飛びますとそういう質問が出てきますが、

『(問)私から二点ございます。本日講演でですね、12 月の決定会合において、利上げの是非について、適切に判断していきたいという趣旨のご発言があったと思います。これに関連して、まず一つがですね、足元の為替状況ですね、その円安が様々な経路を通じて物価を押し上げやすくなっているというご説明を、本日であったり国会の場でも総裁はされていると思います。足元の円安基調は利上げを早めに実施した方がいいと考える動機になっているとお考えでしょうか。(後半割愛)』

ド直球質問キタコレですが、

『(答)まず、為替の物価、金融政策への影響でございますけれども、午前中の講演でも申し上げた通り、為替レートは円安に進みますと、輸入物価の上昇、それが国内価格に転嫁されるということから、もちろん物価押し上げ要因になります。更に、企業の価格・賃金設定行動が積極化するもとで、その価格の反応が大きくなっている面、あるいはその可能性に注意が必要だとは考えています。また、予想物価上昇率への影響を通じて、場合によっては基調的物価上昇率に影響する可能性にも注意が必要だと思います。しっかりみていきたいと思っております。(後半割愛)』

ってエライ勢いで円安がアクチュアルの物価、基調物価の押上げ要因になりますよと思いっきり明言している訳でして、ここで前回MPM後の総裁会見での為替の質疑を確認してみましょう。

10月30日金融政策決定会合後の植田総裁記者会見
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251031a.pdf

9ページにあるんですけどね。

『(問)二点お願いします。為替についてなんですけれども、もちろん水準についてはコメントは差し控えるということだと思うんですけれども、今円安が進んで、足元円安が進んできていて、これが経済・物価にどのような影響を与えるかということについて一点お願いします。(後半割愛)』

『(答)最初は為替レートですね。これは短期的な動向についてコメントしないということですし、ファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが望ましいということですけれども、変動の経済・物価への影響という点では、これも抽象的な言い方になりますけれども、為替変動のもとになった要因も含めて、経済・物価への影響を精査していきたいというふうに常に考えています。(後半割愛)』

(この質疑の引用は直上URL先の10/30総裁記者会見のものになります)

・・・・・・ということでですね、そりゃまあ水準が変わったというのもあるって理屈はあるとは思いますけれども、10月末時点でのフニャっとした一般論に対して何ですか今回の威勢の良い説明は、ということになる訳ですな。まあこれは結局のところ「過度な円安イクナイ」だし、一方で足元では財政を拡張しながら財政規律を緩めようという話を政権の方がぶっこんでいるんですから、そりゃ円安に振れやすいわけでして、その部分を金融政策でカバーできるかどうかは兎も角、従来のような「ビハインドではありません」とか寝言言って円安を加速させるようなことは言えません、って話にやっとなったかってなもんですな。

でまあ今回利上げしたものの、政権のブレーン(笑)が馬鹿のホームラン王みたいな与太発言を連発してまたぞろ高市政権の経済政策は円安上等、って言われようになってきて円安に振れたらこの理屈だと追加利上げもそんなに遅くないし、なんでしたら皆さんすっかりその点忘れているんじゃないかという話ですが、12月と1月って単体で見たらそのタイミングどっちでもよかっぺという話ではあるのですけれども、12月に利上げすると次ってその気になれば4月展望で行ける(1月展望を挟むので一応展望レポート2回分検討した結果、と言える)のでして、「その次」のこと考えると12月と1月ってそれなりに意味合いが違ってくるんですよね、という話は多分ポジション持っている市場の中の人は意識していると思うのですが、なんせポンコツ何とかストの皆さんが次は1年先とか言うもんだから「その次」の事を考えたタイミング選定という話がイマイチ盛り上がらんですな、とも思います。まあアタクシの願望全部乗せの妄想ですがなと言われてしまえばぐうの音も出ませんがwww


・ビハインドに関して

『(問)(前半割愛)あともう一点伺いたいんですけれども、政策調整なんですけれども、こちらの早過ぎるリスクと後手に回るリスクの双方があるかと思います。総裁はこれまで後手に回る、いわゆるビハインド・ザ・カーブに陥るリスクが小さいというご見解を示されていたかと思いますけれども、現時点におきましてはその政策調整早過ぎるリスクと後手に回るリスク、どちらの方により警戒が必要だというふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。』

講演の方でもこのトーンが変わっていたわけですが、ご案内の通りで

『(答)(前半割愛)それから、早過ぎる金利の調整、遅過ぎる金利の調整ということでございますけれども、これは一般論でしかお答えできないと思いますが、要するにどういう観点から早過ぎるか遅過ぎるかということで申し上げれば、基調的物価上昇率の 2%、あるいは持続的・安定的な 2%の物価目標の達成をスムーズに行う、スムーズに物価目標に達成するためにはどういう政策金利のパスが適切かという観点から判断するということでございます。』

この答弁、「これは一般論でしかお答えできないと思いますが」ってのが「えええええええ」という所でして、それすなわち同様に10月会合後の総裁記者会見では・・・・・


(以下10/30総裁記者会見より)

2p以下の
『(問)二問質問させて頂きます。(途中割愛)この際、物価上昇が続く中、ビハインド・ザ・カーブに陥る懸念はないかも併せてお伺い致します。(以下割愛)』

に対して(これは幹事社質問)

『(答)まず最初のご質問からですが、(途中割愛)わが国の消費者物価ですが、これまでのところ、食料品価格上昇の影響が減衰していく一方、基調的な物価上昇率が緩やかに上昇するという中心的な見通しに沿って推移しており、現状はビハインド・ザ・カーブに陥る懸念が高まっているとは認識していません。引き続き、基調的な物価の動きに加え、食料品価格の上昇が長期化し、物価全般の上振れ・下振れにつながるリスクが顕現化することがないかどうか、といった点を点検していきます。(以下割愛)』

だったし、その後にも念押し質問があって、5pになりますが、

『(問)二番目がちょっと関連するんですけれども、ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクは今のところ大きくないということで、次の利上げは急ぐ必要がない、ゆっくり判断できるというご認識でよろしいでしょうか。』

に対しても、

『(答)ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクがある、それに近いことをおっしゃってたのは反対された一人の委員でございますが、これも主な意見で詳しくご覧頂きたいと思いますが、強くそういうことを主張される意見があったというわけではございません。ただ、見通しの確度が上がってきている中で、もう少しデータ等の確認をしたうえでどうなるかということは、予断を持たずにデータをみていきたいというところでございます。』

(以上の引用部分は10/30総裁記者会見より)

ということで、実質この1か月の間に何でこんなにトーンチェンジしているんですか不思議でちゅねえ(鼻ホジホジ)ってなもんでございまして、結局為替円安かよってなもんでございますな、南無三。


・利上げのメリットを丁寧に説明するという従来滅多にでてこなかったムーブキタコレ

今回はまあ聞く方も12月利上げ予告ホームランな講演を受けてホームランをかっ飛ばす前提の質問をしておった訳ですが、こんなのがありましたわな。

『(問)(前半割愛)二点目は、このところの物価上昇が、需要の強さというよりも、供給制約のコストプッシュが主因だとすると、供給力を高めるために政府は積極財政をし、中央銀行は政策金利を上げない方がいいという指摘もあると思います。総裁は、この供給制約経済においての金融政策のあり方、もしくはその息の長い成長を軌道に乗せるために必要と今日おっしゃってましたが、そういった考え方についてちょっと教えて頂けるとありがたいです。』

供給力高めるためなら積極財政よりも構造改革じゃないのという気はしますがそれはさておきまして、この質問に対する回答がクッソ丁寧なのが結構ワロタところでして、仕込みなんじゃないかという位の立て板に水(なのかはちゃんと見てなかったから覚えてないけど)の風情なのが味わいがありますよね。

クッソ長いんですけど、

『(答)(前半割愛)それから、現時点での政府の総合経済対策、あるいは財政政策と私どもの政策とのミックスのようなところについてどういうふうに考えるかというご質問だったと思いますけれども、まず、そもそも私どもの政策は、消費者物価上昇率、現状 3%前後ですけれども、そこから一時的な動きを除いた、私どもとしては基調というふうに呼んでいますが、そこの動きを良くみて、それが 2%にうまく着地していくかどうかという観点から調整しているものでございます。』

というお気持ち物価を軸に行うといういつもの屁理屈を出しながら、

『そのうえで、現在のポリシーミックスの状況ということに関する考え方ですけれども、政府の方はもちろん責任ある積極財政、それから私どもの方はさっきのような意味で基調的な物価に着目しつつ、適宜、緩和的な金融環境の緩和度合いを調整していくという金融政策、そういうミックスになっているかと思います。』

ほう。

『後者に念のため付け加えれば、午前中も申し上げましたけれども、ブレーキを踏んでいるというよりは、まだ緩和的な状況にありますので、ある種、アクセルを踏んだ状態だけれどもアクセルの踏み方を調整しているという程度のものというふうにお考え頂ければと思います。』

これ官邸向けには「緩和の調整」ってのを強調する必要があるんですけど、ゆうて「緩和」をあまり前面に出してしまうと為替市場ちゃんの方が円高に振れてくれない、というデメリットがあるのが痛しかゆし。

『そういうミックスを実行していくことによって、おっしゃったように、一方でスムーズな物価安定の姿に着地することができる、それをある意味土台として、政府の政策の効果も強く息の長いものになる、経済成長等への効果ですね、というものであるというふうに思っております。』

でもってこの次の部分も中々でして、

『緩和度合いの調整が、場合によって遅れたりしますと、例えば、アメリカ、ヨーロッパ等で経験しましたように非常に高いインフレ率になって、政策金利が 4、5%にはならないといけないというような調整の可能性が出てきますので、それは混乱を引き起こしてしまう。そうならないことによって、息の長い経済成長が達成できる、そういうものであるというふうに考えております。』

この「インフレが大きく上振れする」という話って従来は、もちろんそういうニュアンスでの説明はしているのですが、このような直接的な言い方をして「インフレ上振れのリスク」というのを前面に出したことはない(あったとしてもかなり稀だったと思うの)のでして、ここら辺の利上げした時に繰り出す理屈の中でも結構強い事を今回言ってる感じなんですよね。

まあ例によって例の如く単純に12月利上げをするための予告ホームランだから威勢の良い事を言っているだけ、なのかもしれませんけれども、ただまあこんかいの説明が従来、例えば直近10月末の説明と比較しただけでも結構「先の先」まで考えた利上げ理屈になってきている、という点は見逃せないと思いますので、植田さんが相変わらずのハトハトチキンさんのままで12月会合後の説明で台無し(次の話や次の次の話を全然しないで、という意味ね)にするリスクはオオアリクイだと思いますけれども、ただ大本営の想定問答(でしょこれどうせ)ベースで見た場合、昨日ネタにしました「急に取り出した物価に関するグラフを使った「構造的に2%達成じゃワレ」宣言」も含めて考えますと、結構根本的な部分でジャガーチェンジしている可能性というのはあるんじゃないですか、って思う訳ですよアタシャ。まあ同意いただくかどうかは皆様次第ですが。


・自然利子率に関しては植田さんが喋りたがりますけどまあ喋らん方が良いと思うんですよね

自然利子率に関する質疑もありました。

『(問)今の金利水準は、自然利子率あるいは中立的な金利よりは、まだきわめて低い水準なのではないかという市場の見方があります。遅過ぎず早過ぎず利上げをしていくということは、すなわち今回仮に近い将来 0.75%まで政策金利を引き上げても、その先にも何度か利上げがあるのではっていうのが今の市場の見方だと思います。』

この質問した方は「次」あるいは「次の次」の話をしておるので良い質問ですよね。

『今後どういうペースで利上げしていくかなかなか判断難しいと思うんですけれども、総裁のお考えでは、まだ今の政策金利ってのは中立的な水準からは相当距離があるというふうにお考えでしょうか。』

これに対して植田総裁ですけれども、

『(答)現在の金利水準は、基本的には中立金利より低いというふうに考えています。ただ、どれくらい距離があるのかという点に関しては、最近のMPMの会見の中でお答えしたのと同じ答えになりますけれども、次回利上げをすることがあれば、そのときにその時点での考えをもう少しはっきりと明示させて頂ければと思います。』

って言ってるんだが、本来は抜刀斎が言うように自然利子率がそれなりの水準のマイナス、って経済はどっからどうみたって尋常な経済の状態じゃない訳でして、2%物価目標達成しているという経済状態になっているならば、そりゃ自然利子率はプラスのどこかにおるじゃろ、ってな話になるはずなので、その意味から言ったって次回の利上げのタイミングで自然利子率に言及したら後で自分の首絞めるだけだから言わない方が良いと思うんですよね。

曖昧戦術とるんだったらせめて「基調物価」の方で勝負しないと、って思いますのでこの部分は今後のコミュニケーションの中で懸念されるところですね。


というのがまあ今回の会見での「予告ホームランの先にあること」のネタになろうかと思います。

そのほかとしては12月予告ホームランですが何で12月で行けるんですか質問で、これはこれでおもろい質問があったのでそこを引用しますと、


・昨年12月は「賃金を見て行きたい春闘を見たい」と言って1月利上げ観測も叩き潰してしまったのになぜ今回は・・・・

イイシツモンダナーってなもんですが(^^)。5pになります。

『(問)去年の 12 月の金融政策決定会合の際には、そのタイミングだと春闘の見通しについてあまり情報がないという話を当時はされていて、利上げを見送ったと思います。』

これは実にいい指摘であります(褒めてる)。

『ただ昨年の状況と比べると物価安定の目標への距離は今近づいていると思いますし、本日の講演ではその賃上げの原資となる企業収益について高い水準が維持されるだろうというお話をされていました。昨年のこの時期よりも、その春闘での高い賃上げの継続について現在自信を持っていらっしゃるのか、そして去年よりもその判断を早くできるということなのか、ちょっとそこをまずお聞かせください。(後半割愛)』

まあ当然これには想定問答用意されているでしょうが、さて何と答えたかと言いますと・・・・・

『(答)まず去年の今頃と比べて何がどう違うのかというご質問だと思いますけれども、ちょっと直ちに去年の今頃の自分の心理状態を正確に思い出せないのですが、一般的な表現で申し上げれば、様々な不確実性を抱える中で、それを総合的に精査するとどういうことになるかということを考えていて、結果的に 1 月の利上げになったということだと思います。』

これ「心理状態」とかポロっと言ってしまうのが植田さんのチャーミングなところでして、つまりは「お気持ち」が問題になっているというのが良くわかって「この正直者!」と半畳を飛ばしたくなりますねw

『現状は様々な不確実性が依然としてあるわけですが、その中でも特に重視していた二番目にご質問されたアメリカの関税政策もあり、あるいはアメリカ経済に関する不確実性が数か月前よりは、残存しているけれども低下したという状態にある。』

『そういう中で先ほどのご質問とも重なりますが、残った中で大事なポイントとして、来年春闘の賃金の動向がクローズアップされているという状況であって、従ってそこに関する情報をなるべく精力的に集めて判断しようという状況でございます。(後半割愛)』

まあ全然言い訳になっていませんが、以下量もアレですし時間もアレなので割愛しますけど、この間に「12月会合に向けて賃金設定動向の状況を一生懸命集めています」ってのをクッソ丁寧に説明していて、12月予告ホームランの念押しをしております。昨年との違いって結局何なのかは分からずじまいですけどねwwwwwwwww

ということで今朝はこの辺で勘弁。








2025/12/02

お題「植田総裁予告ホームランだし「その先」に繋がるポイント部分もあるという名古屋講演でしたな/市場動向備忘でクリップ」

ということで皆様ご案内の通りではありますが一応確認をば(^^)

〇どう見ても予告ホームランです本当にありがとうございました

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251201a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ──
日本銀行総裁 植田 和男

・「全員公開の場」での予告ホームランだったのは「お漏らし」よりは筋が相当よろしいがな

今回の講演、長さもそんなに長くない中でがっつりと予告ホームランっぽい話をしているのですが、ああでもないこうでもないと言わないでぶっこんでくることそのものが予告ホームランな訳でして、これで12月利上げしなかったらお前ら全員磔刑もんじゃろってな内容に仕上がっています。

まあ何ですな、ほぼ3週間前なのでエライ勝負掛けてきましたなとは思いますけれども、とは言いましても今回は総裁講演というちゃとした表の場で予告ホームラン打ってきたのは(別にワシ予告ホームラン打つべきとは思わないけれども若し予告ホームランしたいのであれば)まあ評価する所でありまして、なんか金曜の引け後になってどこかのベンダーから変なお漏らし記事が出てきて急に地均しのようなものがおっぱじまるのと比較したら、ちゃんとした公開の平場で予告ホームラン打ってもらう方が透明性とか公平性の面から断然良い話(しつこいですが予告ホームランする必要があるのか否かの問題は別に存在するのでお忘れなきよう)なので、まあその意味では今回の総裁講演で予告ホームランをぶっこんできたのはベストとは全然思わないけれども、しょうもないお漏らし報道からスタートするよりは筋の良い話だったと思います。

ではご案内かとは思いますがこちらの駄文は備忘も兼ねていますから確認確認。


・今までは「これから関税の影響が出て悪くなるに違いない」だったのですが・・・・・・・

『2.経済・物価情勢』の『(1)海外経済』ですが、

『図表1をご覧ください。IMFによる 2025 年の世界経済見通しは、本年4月に、米国の関税政策の影響を織り込む形で2%台後半まで引き下げられましたが、その後は上方修正が続き、直近 10 月の見通しでは、25 年、26 年ともに3%台の成長を維持することが見込まれています。このように、ひと頃、世界経済の大きな下押し要因と考えられていた関税政策の影響は、これまでのところ、さほど顕在化していません。』

という認識は従来通りで、

『その背景として、大きく3つの点を指摘できます。第一に、本年夏場以降、多くの国や地域において、米国との通商交渉が合意に至り、先行きを巡る不確実性が低下したことです。第二に、後ほど述べるように、米国内において、関税コストの販売価格への転嫁が緩やかなものに止まっており、米国の個人消費が当初懸念されていたほど下押しされていないことがあります。第三に、AI関連を中心とする世界的なデジタル分野への投資拡大や、コロナ禍で販売が急増したパソコン、スマホの買替需要の高まりなどが、各国の貿易や生産活動を下支えしていることです。』

という背景認識も従来通り。でもって見通しですが、

『先行きを展望すると、関税政策の影響を受けて海外経済はいったん減速するとの見方に変わりはありませんが、その後は緩やかな成長経路に復していくと予想しています。こうした見通しが実現するかどうかは、世界経済を牽引する、米国の動向が重要なカギを握っています。』

となっているのですが、この次の部分がポイントでして、

『図表2をご覧ください。左グラフの米国の設備投資をみると、AI関連需要の拡大を背景に、このところ、大手ハイテク企業による投資が大幅に増加しています。中央のグラフをご覧ください。先ほど述べたとおり、関税賦課の負担が物価の上昇という形で消費者に転嫁されるペースは、これまでのところ、緩やかなものに止まっています。これに、最近の株高による資産効果も加わり、米国の個人消費は堅調に推移しています。もっとも、これは、米国の企業部門が、消費者に代わり、関税のコスト負担を相当程度引き受けていることを意味しています。この点に関し、右のグラフからは、雇用者数の増加ペースが、足もと鈍化していることがわかります。厳格な移民政策の影響を含め、その背景は複雑ですが、関税政策による企業収益の下押しが、労働市場の動向に及ぼす影響についても注意してみていきたいと思います。』

『このほか、AI関連需要の今後の展開やプライベート・クレジット市場の動向など、米国経済について留意すべき点は少なくありませんが、足もとまでの動きを踏まえると、経済全体の下振れリスクはひと頃より低下していると考えられます。先月半ばに政府機関閉鎖が終了したことも、不確実性の低下につながるものと考えています。』

という説明になっていますが、これまでの日銀というかハトハトチキン音頭では必ずと言っていいほど、「関税の影響は当初想定よりも時間を掛けてゆっくりと出てきているので、これから悪影響が出てくるんですだから先行き警戒ですよ」って説明をしていたのですが、まあ今回見事なまでにその部分をバッサリと削除している訳でして、お前ら今まで言ってたのは何だったのか、という話になる訳でして、相変わらずの勝手にジャガーチェンジコミュニケーションには困ったもんですが、まあこのようにジャガーチェンジしたということはすなわち利上げということですわな、となるわけで初手の段階でまあこれは予告モードですわとなる次第。


・国内経済情勢の見通しに関しても同様

『(2)わが国の経済・物価情勢』に入りますが、『(経済の現状と先行き)』の先行きの部分に関しても然りでありまして、

『経済の先行きを展望すると、先ほど申し上げたとおり、7〜9月期のマイナス成長は一時的で、今後はプラス成長に復していくとみています。当面は、各国の通商政策等の影響を受けて海外経済が減速するもとで、わが国経済の成長ペースは伸び悩むと考えられますが、その後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、わが国経済も成長率を高めていくと見込んでいます。』

という展望レポートの見通しを示しながらも「直近のマイナス成長は一時的」とうのをご丁寧に入れた上で、

『こうした中心的な見通しに対するリスクとして、10 月末に私どもが取り纏めた「展望レポート」では、海外の経済・物価動向や輸入物価の変動など、様々な要因を指摘しています。もっとも、ここ数か月の最大の懸念事項であった関税政策については、先ほど述べたように、米国内でその悪影響がさほど顕在化しておらず、また、国内でも、企業収益に与える影響が限定的との見方が増えつつあるなど、先行きの不透明感は次第に薄れてきているように思います。』

まあ結局ここも米国ガーになるのですが、ついこの前までは「米国がこれから関税の悪影響で悪化するに違いないからハトハトチキンだぜコケコッコー」とやっていたのに、急に(先ほどの海外経済と同様に)それを言わなくなる、という毎度おなじみのご都合主義にも程がある説明ではありますが、突如これを抜いておりますのでこちらでも予告ホームランな訳ですし、


・物価のところでは6月の内外情勢調査会で言及してなかった物件が登場して構造変化を説く植田総裁

『(物価の現状と先行き)』の所も中々ワロタのですが、

『続いて、物価情勢に話を進めます。』

ということで話がおっぱじまるのですが、読んでてワロタのはこの先の部分でして、

『この点に関し、右グラフで品目別の価格変動分布をご覧ください。』

おや???

『直近 10 月の分布は、食料品をはじめ、5%以上の上昇を続ける品目数の多さから、右の裾野が厚めとなっていますが、輸入物価上昇の影響が大きかった2023 年の分布と比較すれば、品目間のバランスははっきりと改善しています。その結果、わが国がデフレに陥る以前、年平均で2%程度の物価上昇率を実現していた 1990 年代前半の分布に近い姿となりつつあります。』

>年平均で2%程度の物価上昇率を実現していた 1990 年代前半の分布に近い姿となりつつあります
>年平均で2%程度の物価上昇率を実現していた 1990 年代前半の分布に近い姿となりつつあります
>年平均で2%程度の物価上昇率を実現していた 1990 年代前半の分布に近い姿となりつつあります

これは物価2%安定目標の達成がかなり近い!って言ってるのに等しいので、12月利上げ予告ホームランのみならず、今後物価目標が達成して政策金利が中立金利に近い水準まで上げていく、という正常化路線に入りますよ、という事も示唆しているという意味で重要なポイントになるのですよ。

・・・・・でまあそれはそれでいいんですけど、この図表7(PDFの14枚目)の右側「品目別の価格変動分布」のグラフを見ますと、凡例を見ればおわかりのように出している数字が「2025/10月」「2023/6月」「1992/1月」とかいうものすごいタイムリープをした凡例しかだしていなくて、実際問題としてじゃあお前らここ1年はどういう推移してたんだよこの数値、ってお話になるわけでして、こんなの弘法大師の池じゃあるまいし、一晩で急にこういう分布になっている訳はないんだから、この図表を出すのを満を持していて、説明で必要になるタイミングまで温存していました、ってのが見え見えな訳ですよ。

何故ならば、今年6月頭の内外情勢調査会における植田総裁のハトハト講演(https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250603a.htm)における物価の図表(https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250603a2.pdf)ってこの図表パートのPDFの6枚目になるのですが、さっきの「品目別価格変動分布」なんて一ミリもだしていない訳でして、こんなん「自分の説明に都合が良くなったので今まで満を持して出していなかったものを登場させました」ってなもんじゃろというお話な訳ですな。

とまあそういうことで、相変わらず悪態は申し上げるのですが、まあこのような図表が唐突に登場してくる(ちなみに他の人が時々この品目別の話とか、サービス価格の話とかを出してくるケースが無かったわけでは無いので念のため申し添えます)というのは、これは12月利上げの予告ホームランのみならず、今後もそれなりのペースでの利上げを継続していきまっせ、という話だし、何なら円安加速とかしたら利上げが前倒しになる可能性だってアリエール(なにせ物価構造が2%時代に似てきているんですから)という話にもなるので、この部分のメッセージもダイジダイジネーと思う訳ですよ、アタクシがそう思っているだけかもしれませんけれども。

でまあ先行きの話はいつも通り(もともとドメ要因だけで見れば物価の見通しは確りしているので今回特にそこでのジャガーチェンジは見られないと思うの)なので割愛しまして金融政策に参りますね。


・金融政策運営はご案内の通りで予告ホームランだし何ならこれ高市さんをこれで説明したんじゃろとオモタです

まずは「今後の利上げは「緩和の調整」です」と説明します。

『続いて、金融政策運営についてお話しします。日本銀行としては、これまでご説明したような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。』

この背景説明をご丁寧に実施する次第でして、

『こうした方針の前提として、図表8にありますように、現在の実質金利、すなわち名目の政策金利から物価上昇率を差し引いた金利は、きわめて低い水準にあり、経済・物価に対して中立的な実質金利──経済学の世界では「自然利子率」と呼ばれています──を大きく下回っているとの認識があります。つまり、政策金利を引き上げるといっても、緩和的な金融環境の中での調整であり、例えて言えば、景気にブレーキをかけるものではなく、安定した経済・物価の実現に向けて、アクセルをうまく緩めていくプロセスだと考えています。』

という説明をしているのですが、なんかこの辺りの部分って高市さん向けに植田さんが植田先生となってゼミを行った際の説明がそのまんまこれだったんじゃないかな、ってふと思いました(^^)

続きましてこのような説明が出てきますが、

『そう申し上げたうえで、日本銀行では、最近の米国経済や関税政策を巡る不確実性の低下などを踏まえると、経済・物価の中心的な見通しが実現していく確度は、少しずつ高まってきていると考えています。今は、企業の積極的な賃金設定行動が継続していくかどうかを見極めていく段階にあり、特に、来年の春季労使交渉に向けた初動のモメンタムを確認していくことが重要と考えています。』

からの、

『図表9をご覧下さい。まず、前提として、左グラフの短観の雇用人員判断DIをみると、非製造業でバブル期並みの「不足」超となるなど、全体として人手不足感が強い状況が続いています。今年度の最低賃金が前年比+5%超と過去最高の伸び率になったことも、賃上げの裾野を拡げる方向で作用する可能性が高いとみられます。』

って植田さんこのまま高市さんにレクしたんじゃねえのって感じですね。

『この間、賃上げの原資となる企業収益については、先ほど述べたとおり、関税政策の影響を加味しても、全体として高い水準が維持される見通しです。こうしたなか、連合は、来年の春闘に向けた闘争方針を先週発表し、目標賃上げ率を前年と同じ「5%以上」とすることなどを掲げています。経営者側も、例えば経団連は、賃上げの「さらなる定着」という方針を強く打ち出しているほか、経済同友会が9月に実施した調査をみても、多くの先が、今年とほぼ同じかそれ以上の賃上げ率を予定しています。先週開催された政労使会議では、政府が、中小企業を含めた賃上げの環境整備に取り組むことを表明しました。』

このしつこいまでの説明な訳でして、その結論がこの予告ホームラン。

『現在、日本銀行では、12 月 18 日、19 日に予定されております次回の決定会合に向けて、本支店を通じ、企業の賃上げスタンスに関して精力的に情報収集しているところです。決定会合においては、この点を含めて、内外経済・物価情勢や金融資本市場の動向を、様々なデータや情報をもとに点検・議論し、利上げの是非について、適切に判断したいと考えています。』

どう見ても予告ホームランです本当にありがとうございました。

・・・でですね、これマジで高市さんへのレク原稿なんじゃねえのかと思ったのは更にこの次の部分に、

『振り返ってみれば、過去 10 年余りの政府、日本銀行による積極的なマクロ経済政策は、わが国経済に強力な刺激効果をもたらし、これにより、賃金と物価がともに緩やかに上昇するメカニズムが復活しました。』

ということでアベノミクスに対するヨイショ(どう考えたって人口動態とコロナショックとグローバル化の巻き戻しが切っ掛けであってアベノミクスでメカニズム復活するならもう10年前に復活してるだろという話なのでインチキにも程があるんだがこうやってアベノミクスをヨイショしておかないと高市さんが暴れだしかねませんからwww)をしている部分が有るわけでして、こんなの言う必要もないのに言ってるという辺りが、アベノミクス教の現官邸に対する配慮というかヨイショというか忖度というか、な訳でしてまあ笑いましたわwwwwww

『こうしたなか、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現する姿に着地するよう、徐々に金融緩和度合いを調整しています。遅すぎることもなく、早すぎることもなく、緩和の度合いを適切に調整していくことは、金融資本市場の安定を確保しつつ、物価安定目標をスムーズに実現するとともに、わが国経済を息の長い成長軌道に乗せるために必要であり、ひいては、これまでの政府と日本銀行の取り組みを最終的に成功させることにつながると考えています。』

政策が遅れることのリスクは大きくない、とか言ってたのにまあ何という事でしょう、って感じですね。

あと、会見に関しては今日会見録出てくると思いますが、あんまり真面目にライブみてませんでしたけれども、画像で見る感じですと今回の植田さん、いつもの総裁会見での微妙に話しにくそうな感じではなくて、なんか生き生きとしていたようにはお見受けしましたが、これがハトハトチキンが仮面だったのでその仮面の重圧が外れてニッコリしているのであれば大変結構なのですが、ただまあ植田さんの場合は根がハトハトチキンなんじゃネーノというのも怪しさがあるのでそこはあまり信用しないということで。



〇一応相場の反応ちゃんをクリップしておきます(備忘用メモです)

債券市場ちゃん
https://jp.reuters.com/markets/japan/ATIPB2OOONJ7ZJDH7KG5CDJ6RI-2025-12-01/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落、長期金利17年ぶり1.875% 12月日銀利上げ観測で
ロイター編集
2025年12月1日午後 6:55 GMT+9

『[東京 1日 ロイター] - <15:18> 国債先物は大幅続落、長期金利17年ぶり1.875% 12月日銀利上げ観測で

国債先物中心限月12月限は、前営業日比70銭安の134円43銭と大幅続落して取引を終えた。植田和男日銀総裁の発言を受けて12月会合での利上げ観測が一段と強まり、円債は売り圧力が強まった。新発10年国債利回り(長期金利)は同7.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.875%と2008年6月以来の高水準を付けた。』

『国債先物は朝方から売りが先行。前週末の夜間取引の下落の流れに追随して始まった。その後、植田日銀総裁の名古屋金融経済懇談会でのあいさつ もっと見る をきっかけに、国債先物は下げ幅を拡大、現物市場では全年限で金利上昇圧力がかかった。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、一時超長期殆どパラレルくらいの勢いで売られていてなんということでしょうって感じでしたが、

『2年債は同3.0bp上昇の1.020%、5年債は同7.0bp上昇の1.380%と、いずれも08年6月以来の高水準を更新。20年債は同6.5bp上昇の2.890%と1999年6月以来の水準まで上昇。30年債は一時3.395%と、過去最高水準を更新した後、同5.5bp上昇の3.390%。40年債利回りは同4.5bp上昇の3.730%。』

『     OFFER  BID   前日比
2年    1.011  1.022   0.03  15:04
5年    1.373  1.379   0.064  15:15
10年   1.868  1.874   0.064  15:13
20年   2.883  2.892   0.062  15:12
30年   3.383  3.395   0.055  15:13
40年   3.714  3.727   0.039  15:13』

てな形で一応フラットはフラットなのですが、そんなにフラットニングした感じではないですしおすしというところですが、まあゆうて売るほど世の中ショートなのかというとそれは良くわからんけど、とはいっても買う方も腰は当然引けますので、入札があるとそこで水準訂正、ってのはまあしゃあないんですかねえ、今日10年入札ですが。


でもって短国ちゃんはまあ全面的に気配甘くなってはいるのですが、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

金曜日はご案内の通りで新発3mが驚異の水準訂正をした(と言っても絶対水準が相変わらずですけれども)ので、3Mのカレント近辺の引けってこんな感じでしたが、

(11/28引値)
国庫短期証券1343 2026/02/16 平均値単利 0.470
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.470
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.490
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.580


昨日の引けは

(12/1引値)
国庫短期証券1343 2026/02/16 平均値単利 0.540
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.560
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.560
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.580

となりまして、12月利上げ予告ホームランなのですが3M新発1347回の引値は0.580%ステイでして、ただまあさすがに周辺銘柄は全部3M新発の方にサヤ寄せされるという結果になりまして、さすがに気配は甘くなったのですけれども、ゆうて3月9日償還でレート0.58%ですかそうですかってな水準なのはうーんそうなのかなーとは思ってしまいますが、まあ利上げがどうのこうのになった時に日銀当座預金ブタ積みじゃなくて国債残高維持しながら価格変動リスク下げる、ってことになったら3M新発TDBがどこからどうみても流動性高いし価格変動リスク少ないし、となるので何なら利上げ前に人気化しても不思議ではない、までアリエールですからこの辺の水準に関しては正直よー分からんというところではあります。


とまあそんな訳で本日は10年入札ですね、さてどうなるやら(皆が警戒する入札は警戒するのでまあ・・・ではあるのですがさて)







2025/12/01

お題「短国3Mが突如覚醒(か?)/野口審議委員金懇会見は挨拶対比で威勢が良いとお見受けしました」

ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-28/T6F65KKJH6V900
トランプ氏、移民政策を大幅強化-「第三世界諸国」からの移住恒久停止
Akriti Sharma
2025年11月28日 13:39 JST 更新日時 2025年11月28日 17:23 JST

ネイティブアメリカンからしてみりゃお前は「国内の平穏を損なう移民」の末裔に他ならないんじゃないですかねえ(鼻ホジホジ)


〇短国3Mが突如覚醒したようですが(ただし感謝祭要因はあると思います)

金曜は短国ネタどうしようかな〜と思いながらもイマイチイメージが良くわからなかった(こちとら休み明けだったのでボケているというのは言い訳でいつもボケているんですが)のでパスしたら短国ちゃんがエライことになっておりました。

金曜の3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251128.htm
国庫短期証券(第1347回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1347回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号   国庫短期証券(第1347回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和7年12月1日
4.償還期限    令和8年3月9日
5.価格競争入札について
(1)応募額         8兆8,657億5,000万円
(2)募入決定額      3兆3,975億9,000万円
(3)募入最低価格     99円85銭0厘5毛
(募入最高利回り)    (0.5576%)
(4)募入最低価格における案分比率     56.9036%
(5)募入平均価格     99円86銭0厘9毛
(募入平均利回り)    (0.5187%)』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・( ゚д゚;

ちょwwwwおまwwwwww0.5187/0.5576ってどんだけ流れとるんじゃという話ですが、売参ちゃんを確認しますと、カレント近辺の銘柄の引値って、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(11/27引値)
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.470
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.490 ←金曜入札までのカレント3M
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.510 ←新発WI

だったので、1個手前の銘柄との乖離は一応階段ついてたって話なのですが、さらにWIの引けを突き抜けた平均落札な上に足切りが盛大に流れたでござるの巻となっていた上に、

(11/28引値)
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.470
国庫短期証券1346 2026/03/02 平均値単利 0.490
国庫短期証券1347 2026/03/09 平均値単利 0.580

ということで、足切り水準も突き抜けた大甘レートとなって引けておりましてナンノコッチャという感じではあるのですが、ただまあ先週金曜の場合はいわゆる一つのサンクスギビングっちゅうのがあったので、とにかく短期国債というモノであればかいまっせなことも多いとされる海外の皆様が七面鳥だかなんだかでお祝いしていて不参加、という事情があったりするのかもしれませんけれども、まあ逆に言えばそういう買いがちょっと細るとレートが調整されまっせという状況を示したってえことでしょうか、知らんけど。

・・・・・とは言いましても、じゃあこの0.58ってどんな水準かと言いますと、手前の金利0.50%、後ろの金利0.75%で計算した時に1月決定会合での利上げのブレークイーブンに届いているなどということはまるでなくて、1月で切って0.687%とかいう水準なので、1月利上げ半分ちょい織り込みにやっと上昇したとかいう水準だったりします。まあ短国の場合はコールよりも恒常的に金利が低いので手前の金利が(いまだいたい年内償還の短国がその辺だと思うのですが)0.44%で置いてみると後ろの金利が0.767%になるので、まあそう考えると1月利上げをだいたい織り込んだ水準、とする方が妥当な評価に近いかもしれません。

ということは当然ながら12月利上げの織り込みは全然足りない訳で、さっきの手前0.44%理論で計算すると12月会合で切った場合の後半利回りは0.618%なんで、政策金利0.75になって足元の短国が0.6台前半はどこからどうみてもねえだろ、という話になるので12月利上げは碌に織り込んでいないという数値ではあるのですが、何せこれまでが3M(一時0.5台乗ってましたが最近は)0.5%割れ水準とかいう年末越えプレミアム(があるのかどうか知らんけど)を勘案したとしてもそれはどうなのという水準で延々と推移していたことを思いますとこれは中々の展開、ということになったのでウヒョーということで早速ネタに。

ではあるのですが、上記の引値の付き方見ればお分かりのように、新発のところだけゲロ甘になっているだけでして、既発に売りが出るような状態でもなさそうですし、水準一気に修正した場合、他の年限と違って短国ちゃんの場合は持ち切りホールディングカンパニーの方が多いので、価格下落懸念の売りではなくて、はいはい押し目買い押し目買いというのしか来ないという大変にチャーミングなマーケット(売りが出るとすれば他資産との裁定が発生するか、アロケーションの変更によって資金化されるかのどっちかしかない、というのが基本)なので、これがそのまま定着するのかどうか、は今日のハトハトチキン先生の名古屋講演で予告ホームランが来るかどうかにかなり影響されそうですわな、知らんけど。


ちなみにネタにするのさぼっておりましたが交付税特会6Mちゃんのほうですけれども、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251126.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和7年11月26日入札)

『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日   令和7年12月4日
3.償還期限  令和8年6月3日
4.償還方法  令和8年6月3日に一括償還
5.借入利率競争入札について  
(1)応募額        3兆8,500億円
(2)募入決定額     1兆3,000億円
(3)募入最高利率     0.768%
(4)募入最高利率における案分比率    38.3367%
(5)募入平均利率     0.757%』

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251120.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和7年11月20日入札)

『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日    令和7年11月28日
3.償還期限   令和8年5月29日
4.償還方法   令和8年5月29日に一括償還
5.借入利率競争入札について  
(1)応募額    3兆8,364億円
(2)募入決定額     1兆3,000億円
(3)募入最高利率    0.761%
(4)募入最高利率における案分比率  2.4000%
(5)募入平均利率    0.753%』

ということで、交付税特会ちゃんの方はアタクシがのうのうと休みを取っていた時に既に利上げ全織り込みモードになってあらさられました次第でして、11月って交付税特会6Mが毎週のようにあったのでならべますと、

11/26入札:12/4-6/3 0.757%/0.768%
11/20入札:11/28-5/29 0.753%/0.761%
11/18入札:11/26-5/27 0.739%/0.752%
11/11入札:11/21-5/22 0.734%/0.745%
11/5入札:11/14-5/15 0.722%/0.733%

ということで元々レートが高めで利上げも織り込みにいっていた特会6Mですが、こっちはしっかりと金利水準上昇(と言ってもさすがに0.75%プラスアルファ水準まで上がってしまうとそこからは札が入るのかな、って感じではありますが)になっておりまして、特会これだけ織り込んでいるのに短国3Mが1ミリも織り込んでいないのはこれ何ぞと言おうかと思ってたもののパスしたらこの3M入札という辺り相変わらずのフラグ建築士っぷりで落涙を禁じ得ませんが、まあ一番ウゴカンチ会長だった短国3Mが動くというクララが立ったみたいな感動物語(大嘘)が金曜日はこっそりと展開されていましたな、というメモでした。


〇野口委員大分金懇会見より:金懇挨拶テキスト対比でエライ威勢がいいように見えますね

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251128a.pdf
野口審議委員記者会見
――2025年11月27日(木)午後2時30分から約30分
於 大分市


・9月に真人間になったかと思ったらまたリフレ音頭を踊りだした件について

というのがそりゃ最初に聞かれるよねというところでして、

『(問)9 月の講演の中で、野口審議委員はこれまで以上に利上げの必要性、政策調整の必要性が高まっているという趣旨のご発言をされて、上振れリスクをみていかなければいけないということをおっしゃっていたと思うんですが、今日の講演に関してはそういったご発言はありませんでした。その点について何か変化があったのかっていうことをまず一点。(後半割愛)』

最初のオープニングリマークの次になる事実上の一発目の質問がこれですわ、そりゃそうだ。

『(答)まず最初のご質問についてでありますけれども、私自身の政策に対するスタンスというか考え方自体が、例えば 9 月[の札幌商工会議所における講演]時点と大きく変わったということは全くないというふうに、私自身としては認識しております。』

は??

『ただ、強調点は多少変わったかもしれませんが、それは 9 月と同じことを繰り返す必要もないのかなというところが主でありまして、基本的には 9 月時点でも同じであります。』

いやいやいやそのりくつはおかしい。

認識が変わらないんだったら同じことを繰り返して主張すべきであって、「 9 月と同じことを繰り返す必要もない」というのは情報発信としておかしいじゃろ、というお話なんですが、これ素で言ってるのかお芝居で言ってるのかはよくわからんのですが、ただまあよくよく考えてみると植田総裁も一つの事について質問された時に一生懸命に別の言い回しで説明するのが丁寧な説明と思っている節があって、それが市場を散々困らせているのですけれども、学者先生ってそういう習性(そりゃまあ教育という面では一つの事を教えるのに色々な説明を使った方が学生が理解しやすいってのはあるでしょうから・・・・)があるのかなとは思いました。

にしてもこれはナンジャソラという感じでして、

『政策調整を進めていくという基本的な立場は、これは前提条件でありまして、そのうえで、どのぐらいのペースで行うのかというのが、現在の最も大きなポイントであるわけです。』

ということですが、9月の講演ではその時期も早そうな話をしていましたけれども、

『それに関しては、今回の講演の中でお話しさせて頂いたように、早すぎても遅すぎても、問題が出るであろうと。』

早すぎても問題、というのであれば12月は無いし1月も消極的なのかという話になるんですが、この先の説明がこれまた微妙で、

『その適切なペースというのはなかなか難しいのでありますけれども、それを狙っていかなくてはいけないというところであります。』

「ペース」って言ってるので次回利上げで打ち止めとかいう話ではない訳でして、同じ穴の狢で何とか委員会とか何とか審議会方面で大暴れしているリフレ高圧経済音頭の一派の皆様とはそもそもこの時点で言ってる話が違う(野口さんの方がマシ)ということになっていますし、

『ただ、一つ言えることは、そういった中でも、着実に目標に近づいているということは事実です。目標に近づいているということは、例えば、いわゆる需給ギャップが今まではマイナスだったのが、それがゼロになり、プラスの方向に動いていく。あるいはかなり完全雇用に近い状態が継続して、人手不足感が労働市場でますます強まっている。あるいはいろいろな基調的なインフレ率という点で言えば、期待物価に関する様々な指標が、非常にゆっくりではありますけれども、徐々に 2%に近づいてきている。いろいろな指標をみてもですね、目標にじわじわと近づいているということは事実であります。』

寧ろぶち抜けてるんじゃないかという気がしますがそこは解釈の世界なので置いておくとしまして、

『ということは、目標に近づいているにもかかわらず、仮に目標に到達したにもかかわらず、かなり実質金利その他の面で金融緩和的な状態が続くということになりますと、これは当然上振れリスクというものをもたらしてしまうということでありますので、われわれが目標に近づけば近づくほど、その上振れリスクの重みというのは高くなるということを 9 月[の講演]で強調させて頂いたわけであります。』

さいですな。

『その点については、認識としては、私自身は変わっていないというふうに考えております。(後半割愛)』

ということでして、何でそうなるのかは正直よくわからんのですが、会見の一発目の質疑からいきなり金懇挨拶のテキストのトーンよりもタカっぽくなっている、というのが中々不思議な展開なんですよ。


・春闘云々を金懇テキストでは結構言ってましたけど・・・・・

ということなのでこういう質問もあったのですが、

『(問)ご講演の中で、米国の関税政策の影響について、これまでのところ限定的という見方をされていましたが、この辺りが企業収益および来年の春闘に与える影響っていうのをどういうふうにご覧になられているかという点。あと、前回の決定会合後の会見で総裁が、初動のモメンタムというところを見極めたいとお話がありましたが、野口委員にとってもこの初動のモメンタムというのが利上げの判断材料になるか、その点お聞かせ頂ければと思います。』

これに対する野口さんの回答ですが(全般的に今回説明が長い)、

『(答)今のご質問に関してでありますけれども、私個人としても、今後の政策調整において非常に重要な要因というか、最も重要な要因の一つかもしれませんが、それはやはり来年の春闘に向けた賃上げの状況であるというふうに考えております。』

ふむふむ。

『ただこの賃上げというものは、春闘が終わったからそれでもう終わりであるというわけでもなければ、春闘が始まらない限りは全く分からないというものでもないのです。ですから、常にこれはウォッチしていかなくてはいけない。』

ほほう。

『今までも春闘で、例えばベアが 3%超というふうに決まったとしても、例えばマクロの賃金統計などではなかなかそれがそこまでいっていない。じわじわと上がってはいくのだが、せいぜい 2%台の半ばぐらいであるというようなところで、やはりそれは春闘というのはごく一部の企業の賃上げ動向を数字にしたものでしかありませんので、それが全体としての中小企業、それから地方経済まで浸透していって、それがマクロの数字として表れてくるには、やはりそれなりのラグがあるわけです。』

まあベア上げながら他で下げたりゲフンゲフン

『そういうことを考えれば、春闘という一つのイベントだけをとらえて、日本の賃上げの動向というものを判断するということは、私はそれほど簡単ではないというふうに考えております。』

おおおおおおおお。きわめてまともな発言キタコレ。

『逆に言えば、春闘に向けたいろいろな動きというのは、もう既に出始めているとも考えられると思います。』

キタコレ!!!

『その一つは、例えば労働組合の方では、連合の方で基本方針というのが既に出ております。その中では、例えば、講演の中でもお話をしたのですが、1%の実質賃金上昇の賃上げノルム(注)という、そういうフレーズが出ておりました。これは私はそういうものが実現できるというのが、いわば日本銀行が目標としている日本経済の姿とかなり近いものだというふうに考えておりますので、』

!!!!!!!!ノルムキタコレ!

『労働組合の側がそういう観点でもって日本経済を見据えて、そして実際に賃金交渉を行うということであれば、それは非常にポジティブな意味があるというふうに考えております。これは実際、実現できるかどうかはまた別でありますが、少なくとも労働組合の方はそういう考え方をもう既に打ち出していると。』

「非常にポジティブ」頂きました。

『それから経営者の側も、あまり表には表れておりませんけれども、例えば各種の経営者団体が既にいろいろなアンケート調査をして、来年度の賃上げ動向、例えば来年は今年の春闘を維持するのか、あるいはそれはちょっと今年[並み]はさすがに無理で少し引き下げになるかもしれない、あるいは引き上げをするつもりであると、いろいろなアンケートを取ったりしているわけです。経営者団体のそういった情報というのも、ランダムではありますけれども入ってきておりますので、そういうものも一つの参考になって、実際どういうかたちで決着するのかというのはもちろんまだ分かりませんが、そういういろいろなルートがありますので、必ずしも何か春闘が終わらない限り何もできないというものではないというふうに考えております。』

・・・・こりゃどう見ても賃金上昇の定着とかノルムとかそういうのに対してエライポジイティブじゃん、という話でして、この威勢の良さは金懇テキストとは打って変わってるじゃんというお話。


・ただし利上げ時期に関してはそんなに威勢良くないですが利上げ自体の必要性は割と認めています

以下多少質疑あるのですが最後のところでこんなのが

『(問)講演の中でもかねて、利上げのペースについて、ほふく前進との認識を示されてました。今、足元、雇用情勢も改善してまして、あと需給ギャップもゼロに近づいている中で、この金融緩和を続けることがマイナスの影響も出てくるかと思うんですけれども、12 月、1 月と市場では半々ぐらいで織り込みが進んでますけれども、この辺の市場の見方と野口さんの見方に齟齬はあるのでしょうか。』

具体的時期になると野口さんそこはトーンダウンするんですよね。

『(答)市場の見方は、市場は市場でこういう見方もあり得るなというふうに私は個人で思っておりますけれども、もちろん今後どのぐらいのペースで政策調整をしていくかというのは、これは今後のデータ次第。まだいろいろなデータ、いろいろなイベントというのがありますので、その中で特に賃上げ、それから米国経済、あるいは為替の今後の動き、そういういろいろなものを勘案して、最終的に物価・経済にどういう影響を与えるのかということを見極めながら、これは繰り返しになりますけども遅すぎず、早すぎずですね、適切な水準で政策調整をしていくということになると思います。』

といういつもの話をするものの、返す刀で

『今まではかなり仮に遅れたとしてもそれが大きな影響ということはなかったにしても、これは目標に近づけば近づくほど遅れることによる様々な歪み、あるいは物価や経済を上振れさせてしまうというマイナス面が強くなるというのは事実なので、』

おーーーーーーー

『そこは日本銀行としても政策調整のタイミングというものに非常に注意深く、適切に、遅すぎず、早すぎずやらなくてはいけない状況に今入っているということだと思います。』


ということでですね、なんか知らんけど、11/20の小枝さんの金懇は「金懇テキストは無茶苦茶威勢が良いのだが記者会見ではトーンダウン」だったのですが、今般の11/27の野口さんの金懇は「金懇テキストは特に威勢が良い訳ではないのだが記者会見では定性的な部分でエライ威勢が良い」という対照的な物件にしあがっていまして、なぜそうなるのかはよくわからんので不思議ちゃんではあるのですが、ただまあ会見は講演テキストよりはだいぶ威勢がいいな、とは思いました。