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2025/11/28
お題「野口審議委員金懇:「経済の過渡期」の話をするならもっと深堀をしてほしかったのですが」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB265L90W5A121C2000000/
日銀の早期利上げ、カギは「為替」 有識者の見方に濃淡
東短リサーチ社長の加藤出氏、前日銀副総裁の若田部昌澄氏
経済
2025年11月27日 11:00 [会員限定記事]
例によって中身は無課金マンなのでわからにですが、加藤さんが識者なのは言うまでも無いのだが、もうおひとりの方は識者じゃなくて活動家なんじゃないですかねwwwww
〇野口審議委員金懇挨拶は残念ながらまたリフレモードにお戻りのようで惜しまれますなあ
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251127a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 大分県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
野口 旭
・・・・とは言いましても高圧経済万歳とかそういう話をしている訳では無かったので、そこまで酷いわけではないのですが、高市政権発足で折角落ち着いていたリフレ派脳の方が再活性してしまったような感じではあるので、そこは残念無念と言ったところ(表現が悪いアタクシw)。
もし昨日のこれが利上げ無問題ですぜガハハハハ、って内容だったら一発で12月利上げ待ったなしという話になっていたと思うのでそこは残念無念と言った所ではありますが、まあそうは言いましても12月決定会合まで3週間もありますがな、というのも事実としては有るわけで、まだまだ時間はあるのでここからも色々とネタは有ろうかと存じます。
てな訳で残念ながらリフレモードでイマイチおもんないのですが鑑賞していきましょうず。
・「今は過渡期」という認識に対する深堀りをもっとしてほしかったんですけどねえ
『2.経済・物価情勢』の『(1)内外経済情勢』の冒頭にこんなのがありまして、
『わが国経済は現在、 1990年代初頭のバブル崩壊後からコロナ禍前までの数十年間続いたデフレあるいはゼロインフレ経済から、物価と賃金が共に上昇し続ける中で成長していく経済へと移行する、その過渡期にあるといえます。』
というのが一発目にありまして、以降もこの「過渡期にある」というのを連発しておりますな。ちなみにクソどうでも良いですが昭和脳のワイが読むとこの「過渡期」ってのは中ソ対立における過渡期論争ってのを思い出してしまいますが、「過渡期のどの位置にいるのか」という点に関してはそれこそ中ソ対立並みにムツカシイ論争(まあ過渡期論争は言い訳で他の理由があったんでしょうけど中ソの場合は)になる話なので、その辺の考察部分を見たくなるわけですな。
でまあ野口さん、だいたい最近はこの「過渡期にあります」という話をしていて、それ自体言ってることに違和感は無い(なおワイは既に次の定常状態に移行しているのではないかとの認識だが)のですが、この部分の以下の記述は、
『そうした中で、わが国経済では、雇用拡大による人手不足を背景とした賃上げの進展、企業収益の拡大に基づく株価の上昇、ビジネス機会の多様化による新規事業の拡大など、これまで見られなかった新しい動きが生じ始めています。』
というなんちゅうか今起きてる現象面の話になってて、
『他方で、コロナ禍の終了とともに始まったコストプッシュによる物価高は、家計にとっての大きな負担となり、個人消費の下押し要因となっています。したがって、わが国経済が真の意味で成長軌道に復帰するためには、人々の賃金あるいは所得が物価上昇を上回るように拡大し続けていくことが必要不可欠といえます。』
ってふわっとした話になっていて、どういう状態だから過渡期なのかという話がここではない(後でちょっとある)のですけれども、まあこれ構造問題で言いますと、日銀の多角的レビュー(やその後の特に内田副総裁が強調していますけど)で言われたのが「労働市場の構造変化」になりますけど、今回の労働市場の構造変化っていうのは人口動態をドライバーとした自然現象という話ですけれども、そのまえの日本の労働市場構造の形作った日本的労使関係が確立したのっていうのは割と新しくて、第一次・第二次石油ショックを受けたいわゆる「1975年体制」を嚆矢とするというのが有力な説だと思う(ワシの元ネタは「平成バブルの研究(村松・奥山2002)」ですけれども)ので、そこまで遡って話をしていただきたいのですがそういう話は高田さんが得意そうな気がします。
ではどう過渡期なのか、という話を読み取ろうとしてみたのですが、まずは認識の背景が同じく経済物価情勢の『(2)物価情勢』の所でして、
『わが国では、コロナ禍後に生じた世界的インフレの波及を契機に、 年春から現在まで、消費者物価の前年比上昇率が目標とされている2%を上回る状態が続いてきました(図表3)。ただし、その物価上昇に寄与してきた項目は、時期によってやや異なります。』
『当初は、輸入価格の急激な上昇を背景としたエネルギーや食料品の価格上昇がとりわけ大きく寄与していました(図表4)。』
『その後、世界的インフレの収束に伴って輸入価格の上昇が緩やかになり、エネルギーや食料品の価格も落ち着き始めたことで、昨年半ば頃には消費者物価上昇率が2%から2%半ばまで低下しました。』
『しかしそれは、食料品とりわけ米類の価格上昇を主因として再び伸びを高めていきました。その原因の一つは、食料品に関する国際商品市況などを背景とした飲食料品の輸入価格上昇です。そしてもう一つは、昨年来の供給不足を背景とした米類の価格上昇です(図表5)。』
というのの背景が、
『こうした食料価格上昇の背後には、当然ながら輸入食材等のコスト上昇があります。米類の価格上昇も、その直接の契機は供給不足ですが、その背後には、肥料、燃料、農機具など資材価格の高騰による生産コストの上昇があったと考えられます。こうしたコストの価格転嫁は、各所で強く顕在化し始めています。』
であり、
『それは後述のように、ゼロノルムすなわち「価格は上がらなくて当然」という人々の通念が崩れ去っていく中で、これまで累積してきたコスト上昇を一挙に取り戻そうとする動きとして理解することができるかもしれません。』
というのがあるので、ゼロノルムの変化、というのが起きていて現状は2%ノルムへの過渡期だ、と言いたいのかね、と思う訳ですな。でもってこのゼロノルム云々ですが、『4.2%の「物価安定の目標」に向けた政策運営』の『(1)目標達成への見通し』に記述がありましてですね、
『私自身も、この見通し(引用者追記:10月展望レポートの日銀物価見通しである「物価は一旦伸び率を下げるもののその後2%に向けて再度上昇する」というものですね)を大枠としては共有しています。』
『ただし、消費者物価の伸びはこれから全体としては低下していくものの、これまで米類を含む食料品に生じてきたように、局所的な値上げの連鎖が生じる可能性はあると考えています。それは、コスト上昇が積み重なっていけば、価格は結局のところは上昇していかざるを得ないからです。』
『わが国ではこれまで、値上げに対する消費者の忌避感がきわめて強かったことから、多くの企業はコストが多少上昇しても値上げは極力行わず、賃金抑制などによって対応することが常態化していました。それが、賃金・物価のゼロノルムです。』
ふむふむ。
『しかし、長い間ほとんど上昇することがなかった米類を含む一部食品価格の急上昇が示すように、需給逼迫によって上昇モメンタムがいったん生じれば、価格がこれまでのコスト転嫁の遅れを取り戻すように上昇し続けることは決して稀ではありません。そのような「埋め合わせ」型の値上げは、今後も局所的には生じるかもしれません。』
うーんこの説明だとノルムが変わっていないという認識なんじゃネーノと言いたくなってしまうのだが。
『上の見通しによれば、こうした過渡的な価格上昇はあったとしても、消費者物価上昇率それ自体は、今後はいったん低下していきます。問題は、そうした中でも、物価の基調は2%目標に向けて着実に上昇し続けていくのか否かです。それはひとえに、賃金上昇のモメンタムがこれからも維持されるのか否か、さらにはその勢いが中小企業や地方経済にまで浸透していくのか否かに依存します。』
賃金上昇のモメンタムが云々って言ってるけどそもそも論として実質賃金が上昇し続けないと物価があがらんのか、というとそういう話でもない筈だし、なんかそうじゃないんだよな感が。
でもってですね、上記のあとに賃金の話があるのですが・・・・・・
『この賃金動向に関しては、まずは来年の春季労使交渉に向けた動きが注目されます。労働組合側の基本方針は既に、この
月末に公表された日本労働組合総連合会『 春季生活闘争基本構想』に示されています。そこでは、これからの「賃上げノルム」のあり方として、ベースアップで3%以上、定期昇給を含めれば5%以上の賃上げの実現が、すなわち2%物価上昇を前提とすれば1%程度の実質賃金上昇の実現が、目標として掲げられています。』
という話ですが、
『確かに、仮に名目賃金上昇率が3%程度で安定すれば、消費者物価上昇率が2%近傍で推移する限り、わが国のこれまでの労働生産性上昇率にほぼ等しい1%程度の実質賃金上昇が持続的に実現されることになります。』
であったら消費者物価上昇率が2%を超えている状況になっている要因の円安なんとかしたらあっという間に達成ジャンという話なんですけれども、そもそも労働生産性上昇率って1%もありましたっけ??????
『おそらくはそれが、わが国経済が2%目標を達成したのちに到達する定常的な状態です。』
って話をしているんですが、それは2%目標を達成したからそうなるのではなくて単純に労働生産性の伸び率と名目賃金上昇率と物価上昇率の足し算引き算の話では????
『私自身は、こうした地点への到達は、見通し期間の前半は難しいにしても、おそらくはその後半、すなわち来年度後半から再来年度にかけての頃には実現されると考えています。ただしそれは、米関税による下押しの影響は今後も大きく深刻化はせず、また新たな地政学的リスク等も生じないという前提条件に基づいています。したがって、それらのリスクが顕在化した場合には、この見通しはおそらくさらに後ずれすることになります。』
労働生産性、名目賃金、名目物価の3つのうちどの変数を捕まえて直上の話をしているのかが良くわからんですがな。
ということでまあ謎なんですが、ノルムという意味ではインフレ期待の話もあるじゃんと思う訳ですがインフレ期待の記述部分を見てみますと、その次の『(2)目標達成までの政策調整のあり方』というところにあるのですが、
『こうした、過去における長期デフレやゼロインフレの影響が最も明確に現れているのは、インフレ期待の動向です。』
むしろこの話を先にしろと。
『コロナ禍以降のインフレ局面を通して、わが国における期待インフレの各種指標は徐々に上昇してきました(図表9)。とはいえ、2%超の物価上昇が既に3年以上も続いているにもかかわらず、それらはまだ2%に届いていません。』
??????
と思うかもしれませんが、巻末の図表9(PDF19枚目)を見ますとそこの下半分に「インフレ期待」ってのがあるのですけれども、
『市場で示された予想物価上昇率』→物価連動国債のBEI(とインフレスワップ)
ですし、
『日銀が推計した予想物価上昇率(主体別)』は、
「うち家計」は例によって家計意識アンケートの5択選択肢情報を用いた修正カールソン・パーキン法の数値という低い数字が出やすいのを使っていて(ちなみに11/20の小枝さんは他に±5%以上の回答を±5%に置き換えて算出するという謎刈込は行っているもののもっと高い数値の出てくる数値的なものを出していたのに・・・)
「うち企業」は何か知らん謎の数字が出ていて、短観の全産業平均で出したらとっくの昔に2%超えになっている筈で(念のため展望レポート全文の方の図表38--@まで確認したわw)なんかよくわからん数字が出ているし、
「うち専門家」ってのはこのインフレ局面で低い方に外しっぱなしの「コンセンサス・フォーキャスト」を使う、
ということになっていまして、まあ見事に「2%行ってないもの」をチェリーピックして並べているというのが野口さんの説明の信用性を無くすお話になってるなあ、とアタクシは思いましたがあくまでも個人の感想ですwwwwwww
まあそれはそうとしてその続きは、
『それは、コロナ禍以前の過去数十年にわたってデフレあるいはゼロインフレが続いてきた影響が、人々のインフレ期待の中に未だ残り続けていることを示唆します。その影響が払拭され、インフレ期待が2%近傍でアンカーされるようになるには、まだ時間が必要なのです。』
だそうなのですが、低く出ている数値を恣意的に拾ってきてその説明は如何なものかと思いました。
でもって実質最後(本当の最後はご当地経済の話)の部分にこの「過渡期」の話が出てきまして、
『(3)過渡期としての日本経済』って小見出しになりまして、
『冒頭で述べたように、わが国経済は現在、賃金と物価の上昇ゼロが持続する経済から、それらが共に緩やかに上昇し続ける経済へと移っていく、その過渡期にあります。多少抽象的な言い方をすれば、われわれは今、一つの定常均衡から別の定常均衡への移行の最中にあるといえるのです。』
移行の最中だからどの段階にあるのかを見極めながら政策運営をしていく、という話はわかるんですれども、そうであるならば移行のどの段階にあって。新しい(望ましい)定常均衡との距離はどのくらいなのか、というのをもっと示すような講演をして頂きたかったです。
『コロナ禍前までのゼロインフレの時代には、物価、賃金、金利は上がらないことが当然と考えられており、企業や家計は常に、それを前提として行動していました。しかしながら現在は、それらはむしろ上がっていくのが当然と考えられ始めており、そのことが企業の経営や家計の資産運用などにも大きな変化を与え始めています。』
そんな雑な分析じゃなくて・・・・・
『日本銀行のそこでの役割とは、適切な政策調整を通じて、その移行に伴う摩擦や混乱を可能な限り抑え、経済を新たな成長経路へと導いていくことです。ただし、航空機の運航は離着陸時が最もリスクが高いのと同様に、その調整の遂行にはおそらく様々なリスクと困難を伴います。私自身はしかし、それらを乗り越えた先には、日本経済の新しい姿が現出していることを信じて疑いません。』
ってのは分かるんだが、結局今回の金懇の話って引用割愛した部分は足元の経済情勢の話(米国ガーみたいなお話)になっていて、経済社会構造の変化とかそっち方面の話になっていないので、それじゃあ結局ブラインドでエイヤー運転するのと変わらなくねえか、って思ってしまいました。ということで折角過渡期云々の話をするならもっとそちらの考察を入れて欲しかったと思いました、まる。
今日は他のネタもあったような気がしますがこの辺で勘弁させていただきとう存じます(4日経ってやっと体調と脳が戻ってきた感がwww)
2025/11/27
お題「補正の国債増発メモ/やはり足元の日銀の情報発信は意図あるじゃろ/注目が復活の日銀謹製基調的物価」
ふむふむ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-26/T6BLTDT9NJLS00
高市首相、台湾有事答弁を釈明「具体的言及したいと思わなかった」
広川高史、照喜納明美
2025年11月26日 15:35 JST 更新日時 2025年11月26日 17:49 JST
からの
https://www.47news.jp/13510070.html
【速報】首相は台湾有事答弁を事実上撤回と野田氏
2025年11月26日 16時26分共同通信
どうみてもブックです本当にありがとうございました・・・・なのだが「解釈撤回」とはこれ如何にw
〇補正で国債増発で一応規模に配慮を示したということらしいのですけれども・・・・・(昨日の夜出てきたニュースのクリップ)
こういうネタは場中に出せ場中にw
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-26/T69VHHT9NJLS00
補正で国債増発11兆円台後半、税収上振れでも歳入の過半補う−関係者
梅川崇
2025年11月26日 19:15 JST
→当初予算と合わせた国債発行額、前年度の42.1兆円を下回る
→税収上振れは3兆円近くを見込む、25年度は過去最高の80.7兆円に
というのもあるのだがこの記事の題名は内容を盛り込み過ぎた結果一見して何が何だか分からなくなっているので共通一次試験(年齢がバレる)からやり直してください。
『政府は、経済対策に伴う2025年度補正予算案で、11兆円台後半の規模で新規国債を追加発行する方針だ。補正予算時の発行額としては22年度以来の大きさとなる。
複数の政府関係者が26日、明らかにした。税収の上振れなどを財源に活用するが、過半を国債で補う。25年度当初予算と今回の補正予算を合わせた国債発行額は、24年度の42兆1390億円を下回る。当初予算段階では税収増加を背景に、17年ぶりに国債発行額が30兆円を割り込んでいた。』(上記URL先より)
ということですが、3M短国を1回1兆円増発すればアッという間に13兆円の発行ができますな(だからしつこいって)www
まあ一応、
『責任ある積極財政を掲げる高市早苗首相は、経済対策の財源について「税収の上振れなどを活用してもなお足りない分は国債の発行により賄う」と説明してきた。当初と補正の合算で国債発行額が前年度を下回る姿を見せることで財政にも配慮したが、市場の懸念を払しょくできるかは見通せない。』
ということで配慮しているという話らしいのですが、そもそも論として本来補正って一発物でやるから補正な訳ですけれども、どう見たってお前それ本予算でやれ、というような恒常的な話がぶちこまれたりしたらそれはやっぱり財政懸念な訳ですから、まあ内容を見ないと何ともかんともではあるのですが、こちとら浮世から離れていたのでこの辺りの市場コンセンサスがイマイチわかっていないのでその辺はボチボチと確認しながら見て行きたいと思いますのでまあ貼ってみただけということですサーセン。
〇やっぱりそういう解釈になりますよねえ
まあこれで反応したとかいうムーブでは無かったとは思いますけれども
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/ZQDMLS3EEJJTZCSJS3SIQ2NYIY-2025-11-26/
日銀の情報発信、利上げ判断につながる変化 円安を警戒
和田崇彦
2025年11月26日午後 1:09 GMT+9
昨日はこのほかにも12月利上げとかその後の利上げとかいう話でニュースが出て、円債ちゃんの方は言われんでも分かっとるわ状態だったと思うのですが、為替市場でヒョイヒョイと円高に振れたりして反応してて面白いなと思って見ておりました。
『[東京 26日 ロイター] - 日銀が利上げの是非を検討する中で、市場への情報発信を変えてきている。植田和男総裁は円安が基調的な物価上昇率に波及する可能性に初めて言及、外為市場で円安傾向が強まれば、利上げ判断につながり得るとの考えを示唆した。高田創審議委員や田村直樹審議委員のほかに近い将来の利上げを支持する審議委員が出てきており、市場でも12月利上げを織り込む動きが出ている。』(上記URL先より、以下同様)
ということでですね、昨日拙駄文の方でちょっと威勢よく「小枝さんと増さんの同時アタックってこれわざとだろ(小枝さんのはかなり前から日程の段取りをしているので増さんの日経インタビューを敢えてぶつけてきている)」って書いたのですが、まあ同じこと考えますわなというお話ですわな。
でもってですね、これ更に勝手読み妄想の世界になりますが、火曜日に小枝さんの金懇をネタにした時に申し上げましたけれども、金懇テキストの方が威勢が良くて、会見の方がイマイチ威勢が良くない、という結果になっていたのですが、これって普通に考えるとちょっと不自然な話でして、一般的には金懇でのスタンスって、執行部以外の方々の場合は(公然と反対票をぶっこんでいる場合は別として)現在の日銀の中心的な見方とスタンスに沿って説明するものの、質疑応答で堂々の本音が飛び出してくる場合もある(本音と中心的な見方が同じなら同じにしかならんけど)のでして、そういう意味では大本営の意向と違っていると思われる見解が金懇テキストにぶっこまれてくるのはかなり自我を出している状態、会見でぶっこんでくるのは自我を出している状態、というような感じで区分される訳ですが、今回の小枝さんの場合って「金懇テキストは威勢が良いのに会見ではチキンさん」というパティーンになっているのは結構不可解な訳ですな。そして増さんの日経インタビューをここぞとばかりにぶつけてきたのはどう見ても大本営の日程調整の賜物、と解釈しますと後は言わなくてもわかるよね、ってお話になるかと思うのですが、かなりこの読み筋には妄想成分が入っているので信じるも信じないも皆様次第(というか書いてる自分も「それはちょっと話がうますぎないか」と思って書いているのは事実です笑)ということでよろしくお願いします。
記事の方ですが、
『日銀は基調的な物価上昇率について「2%に向かって緩やかに上昇している」とのスタンスだが、その上振れは利上げにつながり得る。植田総裁の国会答弁は為替円安の影響について、さらに踏み込むものだ。日銀では、足元の円安はもはやレンジ内の動きではないとの警戒感が出ている。』
昨年7月の0.25%への利上げが円安進行による物価上振れリスクへの配慮も含めて利上げした、という奴なので今回もその理屈を繰り出すことは十分に可能ですね。
『9月、10月の金融政策決定会合で利上げを支持したのは高田創、田村直樹審議委員の2人にとどまっていたが、ここに来て近い将来の利上げに前向きな審議委員が複数出てきている。小枝淳子審議委員は20日の講演で、実質金利は「他国と比べても明らかに低い」とし、実質金利を均衡状態に戻していく金利の正常化を進めることが「将来に意図せざるゆがみをもたらさないためにも必要だ」と述べた。』
テキストではこうなっていましたが会見ではチキンが入っていたというのに味わいがあるのは今申し上げた通りw
『増一行審議委員は一部メディアのインタビューで、日銀の利上げ判断が「近づいている」と述べた。増委員も実質金利の低さに言及したほか、政策金利が中立金利を下回っている現状について「早くそこから抜けたいと強く思っている」と述べた。』
こちらは日経の記事を見ていなかった(気が付いた時には日経本紙を買えなかった(最近はゴミ箱に日経本紙が転がっているようなことも無いので甚だ遺憾ですなwwwww)ので無課金おじさんのワタクシ結局読まずじまい)のですけれども、「政策金利が中立金利を下回っている現状について「早くそこから抜けたいと強く思っている」と述べた」んですかそうですかほほー。
ってな訳でして、
『日銀は追加利上げについて、決定会合までに集まるデータや情報を丁寧に分析して判断する。東短リサーチ/東短ICAPによれば、翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む12月会合での利上げ確率は5割程度まで上昇した。』
おやおやまあまあという感じですが、明日の短国少しは反応しませんかねえと思ったり思わなかったりしますが・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
今後の講演・挨拶等の予定
日程 講演者等 講演内容等
2025年11月27日 野口審議委員 大分県金融経済懇談会における挨拶
2025年12月1日 植田総裁 名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶
ということで、野口さんの金懇が設定されていて、リフレ派学者枠の野口さん、と言ってもあんまり強烈には自我をだしてこない上に、自分から利上げとは言わないけれども別に高圧経済をしろとか言ってるわけではない、というお方になっておられまして、日銀の中の皆様によって真人間に近づいてきたのではないかという期待もあるお方ですので、もともとそこまでハトハトな話をしないんじゃないかという気がせんでもないのですけれども、まあそれでも野口さんはリフレ派学者枠(そんな枠は無いのだが学者枠にリフレ派ばっかり入っていたので勝手にそう命名しているだけのことです)扱いなので、利上げに対して前向きな事を言い出したらこりゃもう12月利上げも益々視野に入るという話になりますので今日は何はともあれこちらに注目というところかと思います。
でもって来週月曜が植田総裁なのですが、下手したら今の政策委員会の中で一番利上げに対してビビっている(つまり植田さんはハト派なのではなくてチキン派という別の鳥さんなのですな)んじゃないかという植田さんですが、時々急に変なもんでも食ったのかという位のジャガーチェンジをして威勢の良い事を言って植田和男先生に戻ることもあるので、チキン植田のままなのか真人間に戻るのかも注目しますわな皆さんも、というお話かと。言われんでもわかっとるわと言われそうですがwwww
でまあ昨日も申し上げましたが、12月か1月かのどっちかに利上げする気なんだったらそりゃ12月(FEDが12月に利下げして1月に利下げを見送るというのを前提にした場合)の方がエエじゃろとは思いますけどさてどうなるのやら・・・・・
〇すっかりフェードアウト気味だった日銀謹製基調インフレは相変わらずの堅調さである
いつものやつ
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
こちらの数字、基本的には日銀が利上げを渋るのに対して「不都合な真実」を毎度のように呈示しているというオシャンティーな物件ですので最近はすっかり言及されなくなった、と思ったら突如11/20の金懇で小枝さんがこの3指標に対して言及したのですけれども、小枝さんが言及した、というよりは大本営が言及させた、とかいうような妄想を逞しくした場合には・・・・・・・(^^)
今日はめんどいので過去1年分だけ貼りますけど
Oct-24 1.5 0.8 1.3
Nov-24 1.7 0.9 1.1
Dec-24 1.9 1.0 1.1
Jan-25 2.2 1.4 1.3
Feb-25 2.2 1.4 1.2
Mar-25 2.2 1.4 1.4
Apr-25 2.4 1.7 1.8
May-25 2.5 1.7 1.6
Jun-25 2.3 1.4 1.4
Jul-25 2.0 1.1 1.5
Aug-25 2.0 1.1 1.9
Sep-25 2.1 1.4 1.7
Oct-25 2.2 1.5 1.6
例によって左から刈込平均値、加重中央値。最頻値なのですが、これを見ると普通に基調的物価強いままじゃんというか、今夏を抜けたらまた強くなってねえか、って話になっているのが実にアレという展開でありますが、小枝さんが先般の金懇講演でわざわざこの3指数を「ハードデータを元にした数値」の例として堂々と挙げていて、しかも「ハードデータを見るのも重要」みたいな言い回しをしていたということですので、これってすなわち(各種施策によって見た目の)コアCPIが下がるにしても基調物価はこの通りです、って言い出すためには「都合の良い」ものに昇格(笑)したこの3指数をさっそくお蔵入りしてた道具箱から出して来ておりますよ、ってなもんなんじゃろうなあというお話。
まあアレです。こういうような感じで妙に段取りを組みだすと突如逆に行く、というのが華麗なる日銀の伝統芸能である、というのが非常に気になる所でありますが、ぜひともそのジンクスを今回は打ち破って頂きたいもんだと思いますwwwww
ちなみに上昇品目、下落品目の割合に関してはすっかり安定していて、
Oct-24 75.1 19.5 55.6
Nov-24 75.5 19.3 56.1
Dec-24 75.7 19.0 56.7
Jan-25 77.0 17.2 59.8
Feb-25 78.7 15.7 63.0
Mar-25 80.5 14.2 66.3
Apr-25 80.3 14.2 66.1
May-25 81.6 13.2 68.4
Jun-25 80.5 13.6 66.9
Jul-25 79.7 14.6 65.1
Aug-25 80.1 14.6 65.5
Sep-25 77.6 17.6 60.0
Oct-25 77.4 16.9 60.5
なんかもう8割近い品目が値上げってのがすっかり定着しましたよね。この辺りを見ても普通に「基調的物価はすくなくともゼロインフレ均衡とは程遠い状態」であると言えるのではないでしょうかとは思うんですけど・・・・・・・
2025/11/26
お題「小枝さん増さんの同時アタックは普通に利上げ地均しじゃろ(個人の感想です)/展望レポートハイライト/3M短国は相変わらず利上げを丸無視レート」
うーむ
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000468461.html
2025年11月24日 21:04
台湾「日本が防衛との解釈は困難」 高市総理の答弁受けて台湾外交部が議会に分析
まあそりゃそうなんですけど、こういう分析を行うってことはつまり台湾でも日本が防衛に来てくれると思う人士が一定数いる(ので火消を実施した)って話だったりするんだろうなあと・・・・・
今更撤回もできないから内容を説明、の方向で何とか収めて頂きたいものですけどさてどうなるのやら。
〇増委員が日経インタビューに出ていたようですな(なお有料記事なので中身は分からんorz)
こんなのあったのね(超滝汗)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB124IS0S5A111C2000000/
日銀審議委員の増氏、利上げ「近づいている」 政権と意思疎通図る
金融政策
2025年11月22日 0:00 [会員限定記事]
『日銀の増一行審議委員(元三菱商事常務執行役員)は日本経済新聞の取材に対し、利上げ判断が「近づいている」と述べた。市場では日銀が12月か2026年1月の金融政策決定会合で利上げするとの観測がある。「何月かは言えないが距離感としては近いところにいる」と指摘した。』(上記URL先より、以下同様)
これはキタコレとしか言いようが無い。
『7月の就任後、報道機関の単独インタビューを受けるのは初めて。11月20日に実施した。増氏は「経済や物価の情勢を見ると、利上げをしていい環...(以下有料記事なのでここまで)』
ということでして、まあ要するに12月か1月に利上げしますよって話を思いっきりしているように見えるリードになっておりますけれdも、20日に行われた小枝さんの金懇挨拶も思いっきり利上げする気満々の風情でしたし(ただし会見の方はチキン成分入りなのは気になりますけれどもwww)、同日に増さんがこのようなインタビューで平仄を合わせにいっていること、しかも従来より利上げ提案している抜刀斎や高田っちと違う系列の方が2名ぶっこんできたこと、更に言えば、増さんってご案内の通りで(商社だけど)産業界出身の委員ということで、(他の委員の方には申し訳ないですが)背景の重みが違う(他に重いのは抜刀斎ね)ということで、増さんが早期利上げを主張してくるのにはそれなりの重みがある、と解釈するのが妥当というか、どうせこの日経インタビューだって大本営がセッティングしてきた(順序的にはそろそろインタビューが出てくるころではあったのでタイミング自体はそこまでサプライズじゃないにせよ)訳ですからして、これはまあごくごく普通に「大本営のお気持ち」を反映したもの、と解釈するのが妥当ではないかと思いました。あくまでも個人の感想なので本当にそうなのかは無担保無保証ですけれどもwww
でまあタイミングなんですけれども、
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/YAM4IWCPXFNCFAQKKDBDBXLBTE-2025-11-18/
高市首相と会談、植田日銀総裁「利上げは今後のデータ次第で適切に判断」
竹本能文, 杉山健太郎
2025年11月18日午後 4:58 GMT+92025年11月19日更新
『[東京 18日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は18日、高市早苗首相との会談で、物価と賃金が共に上昇するようなメカニズムが復活してきている中、インフレ率が2%で持続的・安定的にうまく着地するように徐々に金融緩和の度合いを調整していると説明したと述べた。利上げに関しては「今後のデータ・情報次第で適切に判断する」と語った。会談後に官邸で記者団の取材に応じた。』(上記URL先より、以下同様)
ってイベントがこれまた先週あった訳ですが、
『為替については「もちろん議論した」としつつ、具体的なコメントは控えた。その上で「為替はファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが望ましい」と改めて説明。政府と連携して為替の動向と経済への影響について注視していきたいと語った。』
ってことでさすがに為替に関しては高市さんマズーと思っているようですけれども(ただし高市さんの取り巻きのゴミたちが円安上等高圧経済と言い続けているのがこれまた台無しにしているんだが)そう考えますと、
https://jp.reuters.com/markets/japan/MAPJTVZJ7FJX7GWCDTOX7EHPII-2025-11-24/
円安に歯止めかかるか、口先介入や米利下げ観測焦点=今週の外為市場
青山敦子
2025年11月25日午前 7:59 GMT+9
米国様の利下げ観測が復活して12月利下げじゃねえのか、って言われているんだからそこにぶつけて12月に日銀が利上げした方が円安止めるのには効果あるんじゃネーノとは思ったのですが、たぶん今のコンセンサスって1月の方が可能性高いじゃろって感じなんですかね、知らんけど。
でまあ75に上げたはいいけどそこで利上げ打ち止め感出してしまうとやっぱり円安になってしまって元も子も無いので、そうはならんじゃろ、という話でいかせてもろて頂いて、という話かとは思うのですがはてさてどうなるのやら・・・・・・
〇展望レポートハイライトですが10月は「変化なし」というメッセージを出してきましたなw(11/14)
展望レポートハイライト
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202510.htm(今回10月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202507.htm(前回7月)
今回ある意味面白かったのは「絵面に変化なし」ですね・・・・・・・・
・経済の見通しは秋バージョンにしただけで絵面は同じようなもん
『日本経済の成長率は伸び悩んだあと高まっていく』(今回10月)
『日本経済は成長ペースが鈍化する』(前回7月)
ここの見通しは上がっていますが、説明文を見ますと
『日本経済は、各国の通商政策等の影響を受けた海外経済の減速により下押しされ、成長率が伸び悩みます。その後は、海外経済とともに、成長率を高めていきます。』(今回10月)
『日本経済は、各国の通商政策等の影響を受けた海外経済の減速により下押しされ、成長ペースが鈍化します。その後は、海外経済とともに、成長率を高めていきます。』(前回7月)
ということで、先の見通し自体は同じように「その後は、海外経済とともに、成長率を高めていきます。」になっていまして、絵面の方をみましても「足もと一旦踊り場になるけどその先は上向きに進んでいく」となっていて、違っているのは背景が秋バージョンになっていることなのですが、これは昨年もこんな感じで秋バージョンになっていたのでそこには深い意味は無さそうに見えます。
・物価は見事に同じ絵ですねえ
『物価は減速したあと2%程度に向かう』(今回10月)
『物価は減速したあと2%程度に向かう』(前回7月)
『消費者物価の前年比は、食料品価格上昇などの影響が弱まるもとで、来年度前半にかけて2%を下回る水準まで減速します。その後は、成長率が高まるもとで、上昇率は徐々に高まっていき、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(今回10月)
『消費者物価の前年比は、食料品価格上昇などの影響が弱まり、経済の成長ペースも鈍化するため、来年度に1%台後半まで減速しますが、再来年度は2%程度となります。』(前回7月)
絵の方ですが、1%台後半⇒2%を下回る水準、なのでそこは絵としては違っても良くねえか、と思いますが、詳しくトレース掛けたわけではないですけれども、たぶん今回って前回と物価のパスの矢印の角度って一緒になっていますのでw、まあ変わらずという絵になっています。
ただし、定性的には「経済の成長ペースも鈍化」が無くなったので、見通し自体は強くなっているんですけれども、日銀の屁理屈的に言えばそのアクチュアルの推移ではなくて「基調的な物価がどう推移するか」というので最近は勝負しているので、絵面が同じでも問題ない、という判断なんでしょうなあと思いました。
・不確実性ガーの絵面も一致とな
『通商政策等の影響を巡る不確実性はなお高い状況が続いている』(今回10月)
『通商政策等の影響を巡る不確実性は高い状況が続いている』(前回7月)
なお高い状況、と「なお書き」が入ったのですが絵面は見事に同じ。
『日本を含む多くの国・地域で米国との交渉が合意に至っていますが、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は、なお高い状況が続いています。金融・為替市場や日本経済・物価への影響にも、十分注意を払う必要があります。』(今回10月)
『日米間の交渉が合意に至るなど、前向きな動きもみられていますが、各国の通商政策等の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は、高い状況が続いています。金融・為替市場や日本経済・物価への影響にも、十分注意を払う必要があります。』(前回7月)
って話なんですが、通商交渉自体はもう終わったじゃんと思うのですがその辺は「これから影響が出ます」攻撃を使っておりまして、ここを強調しだすと利上げを先送りする理屈になる、という意味で日銀にとってはまあウマーな理屈なので、この理屈は温存、という辺り、前の方で書きました小枝、増の両委員による連続地均しアタック(かどうか知らんがアタクシにはそう見えた)に対して考えた場合「へいへいピッチャーやっぱり(利上げに)ビビってるよビビってるよ」っていう逃げ道を残しているという感じになっておりまして中々解釈にムツカシイ所ではありますわな。
ただですね、この展望ハイライトが出たのって14日の金曜ということですし、絵の発注してできるまでの日数とかを考えた場合(内製なのか外注なのか知らんけど)、これは展望出てから割と早い時期に作り込みを始めている筈なので、つまりはアタクシが先週俗世を離れて山奥に庵を結んでいた(嘘)間およびその前からではありますが、円安進行を受けてちょっとこれはノンビリやっている場合じゃないゾ、って話になってきたのかも知れん罠、と思いましたがどうでしょうか。あくまでも個人の妄想ですけど。
・2%目標云々も相変わらず3本の温度計があるのですが3本の意味は何なんでしょうかwww
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(今回10月)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(前回7月)
というのは相変わらずでして、
『金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくか、丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要です。』(今回10月)
『金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくか、丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要です。』(前回7月)
というのは同じなのはまあ分かるのですが、この絵面、毎度毎度「3本の温度計」が出てくるのですけれども、「実際の物価」「基調的な物価」の2本はわかるのですが3本目ってナンナンデスカ、と毎度同じ絵が出ているので今更になって疑問に思うのも何ですが、3本の明細についてちょっとご解説頂くとアリガタヤと思うのでした。
まあアレです、2本じゃなくて3本の方が絵の据わりが良いとか、それこそ「コロナ対策3本の鉛筆」とか、そういう感じで「3」が好きなんだと思うのですけれども、よくよく考えてみたら「基調的物価」「アクチュアルの物価」以外に何でもう一本あるのかというのに今更疑問に思ってしまったのですがちょっと教えて頂けるとアリガタヤwwwwww
〇短国ェ・・・・・・・・・・・・
14日の短国3Mちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251114.htm
国庫短期証券(第1344回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1344回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1344回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年11月17日
4.償還期限 令和8年2月24日
5.価格競争入札について
(1)応募額 9兆9,526億円
(2)募入決定額 3兆3,169億4,000万円
(3)募入最低価格 99円87銭4厘5毛
(募入最高利回り) (0.4632%)
(4)募入最低価格における案分比率 57.6655%
(5)募入平均価格 99円87銭7厘3毛
(募入平均利回り) (0.4529%)』
先週金曜の短国3Mちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251121.htm
国庫短期証券(第1346回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1346回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1346回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年11月25日
4.償還期限 令和8年3月2日
5.価格競争入札について
(1)応募額 9兆8,369億円
(2)募入決定額 3兆3,209億9,000万円
(3)募入最低価格 99円87銭0厘5毛
(募入最高利回り) (0.4879%)
(4)募入最低価格における案分比率 4.6364%
(5)募入平均価格 99円87銭3厘5毛
(募入平均利回り) (0.4766%)』
とまあそんな結果でございましたが、先週1週間で少しは金利上がったか、という感じではあるのですが、相変わらず利上げって何でしたっけレートなのは全然変わらんという困ったちゃん状態になっておりまして、甚だ遺憾の極みという感じですか。
これちなみに応札が9兆円割るとちょっと少ないなという感じだと思うのですが、10兆割っているにしても10兆に近い9兆円ですし、ニーズの方は淡々と続いておりまして、世の中の短国というか短いゾーンでロットの捌ける国債に対するニーズは非常に堅調なものがあるので国債増発なんぞ短国でやればもう楽勝で行けますよどうでしょうか、と言いたくなるわけですが、利上げした途端に利回りはだいたい上がる(昨年10月のように地獄のような低金利になる場合もあるのですけど)ので、3か月後の再調達コストがいきなり上昇してしまうという諸葛孔明の罠(でもなんでもなくて単なる順当な話ですが)であったりしますけれども、まあゆうて長期や超長期増発するくらいなら短国でどないですかと言いたくなる(なお3Mは国債発行計画的に使うものになっていない(1年短国は使う)という残念な仕切りがあるのですけれども・・・・・)のですがどうでしょうかねえ(ただのポジトーwwwww)
てなわけで今朝はこの辺で勘弁(全然追いついていないですねすいませんすいません)
2025/11/25
お題「11/20の小枝審議委員新潟金懇は挨拶テキストは威勢が良いが会見はトーンダウンって感じですかね」
ということで1週間ご無沙汰しているうちに円安になるわ金利は上がるわとなっていますが、俗界から離れて庵を結んでおりましたので(大嘘)ボチボチとやってまいります。
〇折角の小枝審議委員の初戦だというのに補正だの日中だのでスルー気味だったかとは思うのですが威勢の良い金懇挨拶(11/20)
ということで何をいまさらネタで恐縮ですがまずはその辺りから参ります。ちなみにこの金懇挨拶テキスト、分量自体はそこまで多くない(例えばS井Sゆり大先生みたいな長さは無い)のですが、展望レポートの説明部分とご自身の金融政策運営に関する見解をバランスよくコンパクトにまとめていて、本質的な部分での頭の良さというのを感じさせる物件ではないかと思いました(褒めてる)。
では金懇挨拶
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251120a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 新潟県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
小枝 淳子
・経済物価の現状と見通しの部分は展望レポートをベースにした中心的な見解を示しているのですが・・・・
『2.経済・物価の現状と見通し』って所から参りますが。
『今年も残すところ1か月余りとなりました。1年を振り返りますと、しばしば目にしたのは「米」という字でした。このうち1つは米国、それからもう1つはコメのニュースです。』
うまいこと言いますね(^^)。
『まず、米国の通商政策については、今年の春にその不確実性が極めて高くなりました。米国の通商政策等の要因が海外経済を下押しした場合、わが国の外需もその分弱まることになります。また、輸出企業の収益や設備投資の減少が生じた際には、同様に経済の下押し圧力になると考えられます。』
『一方、私たちの主食のコメに関しては、去年の後半以降、価格が高騰しました。様々な食料品価格の上昇を背景に物価高といわれるなか、コメ価格への目線も消費者のインフレ実感に影響を与えた可能性はあったと思います。』
『本日は、こういった二つの「米」の影響とそのマグニチュードを意識しつつ、経済・物価の現状と見通しについてお話していきたいと思います。』
というのがマクラでして上手い事言うじゃんと思いましたが、その先に経済と物価の現状評価がありまして、まあ現状評価自体は基本的に日銀公式とそんなに変わらないので結論だけ引用しますと、経済は、
『以上のような状況から、経済の状況を総合的に評価いたしますと、全体として、足もとのわが国の経済指標は悪くないと思います。私どもの展望レポートの基本的見解では、経済面では「一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」と判断しております。経済の見通しやリスクバランスについては後ほど議論いたします。』
となっていて、物価は
『以上のような状況から、物価の動向を総合的に評価いたしますと、足もとの物価は全体としては強めだと思います。私どもの展望レポートの基本的見解では、物価面では「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比を見ると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは3%程度となっている」と判断しております。物価の見通しやリスクバランスについては次に議論いたします。』
ということなのでまあ中心的な見解ですね。でもってこの「次に議論するリスクバランス」の所ですが、先行きの見通しに関しての記載を見ますと、『(経済・物価の見通し)』を見ますと結局展望レポート通りの説明をしておりましてですね、
『図表 11 のボックスをご覧ください。経済のリスク要因としては、各国の通商政策などの影響を受けた海外の経済・物価動向、輸入物価の動向、環境変化が中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響等を考慮しています。物価のリスク要因としては、企業の賃金・価格設定行動、為替相場の変動や輸入物価の動向を考慮しています。リスクバランスについては、マーカーの形でお示ししています。』
『直近 10 月時点の委員の見通しを総合してみると、経済については、25 年度についてはバランスしていて、26
年度については、下振れリスクの方が大きくなっていることがわかります。物価については、上下にバランスしていることがわかります。』
という説明であっさり味になっていまして、さっきの米の話で言えば、というのが続きまして、
『二つの「米」の観点から申し上げますと、関税については、経済へは下振れリスクとなる一方で、物価には上下双方向のリスクがあるとみています。外需の弱まりは物価の下振れリスクとなりますが、供給制約の強まり等は輸入物価の上振れリスクとなります。』
『コメについては、仮に今後その価格水準が消費者の物価高の実感を大きく押し上げる場合には、インフレ予想の上振れを通じて、先行きの物価に対しては上振れリスクとなる一方で、経済に対しては、消費の影響を考慮すると下振れリスクとなりうると考えています。』
『もっとも、総合的に見た経済と物価のリスクバランスは、2つの「米」以外の要因にも左右されます。特に、金融環境は重要な要因の一つですので、次の金融政策運営パートで議論致します。』
金融環境って今のガバガバ金融環境が重要な要因とな、ってなもんですがさてどうなのでしょうか・・・・・
・主な意見で金融環境を修正すべきと言ってたのは小枝さんですかね(利上げすべきと3連発で言及ですわw)
次の目次が『3.金融政策運営』で、小見出しちゃんが『(金融環境・金融緩和度合い)』というのが一発目に入ります。
ということなのでだいたいお察しの話になるのですが、
『わが国の金融環境は、緩和的な状況が続いています。図表 12 をご覧ください。』
『実質金利はマイナスで、その水準は他国と比べても明らかに低いと思います。こうした状態では、仮に実質金利のマイナス幅が少し縮んだとしても、緩和的な環境のもとで、消費や投資は刺激され続ける可能性は高いと私はみています。』
>(多少利上げしても)消費や投資は刺激され続ける可能性は高い
キタコレ!!
『金融政策がどれだけ緩和的なのかを判断する上では、実質金利が、均衡的な概念である自然利子率と比べて、どれだけ低い水準にあるのかという視点があります。自然利子率の推計値には幅があります(図表
13 右)が、長期的には、自然利子率は潜在成長率と(図表 13 左)は同じような推移になると考えるのは自然かもしれません。人口動態など、経済社会の構造が変化する中で、これらがどのような推移をたどるのかについても、注意を払う必要があると考えています。』
まあでもゆうて2%物価目標やってて潜在成長率が何ぼ何でも1%に近いところにはあるじゃろと考えれば当然ながら名目の自然利子率って2%よりも上ですわな、知らんけど。
『現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、実質金利を均衡状態に戻していくという金利の正常化を進めることが、将来に意図せざる歪みをもたらさないためにも必要であると私は考えています。』
再度ぶっこんできました!!!!!!いやまあぶっこむもへったくれも当然の話ではあるのですから学者と名乗っている方なら当然こういう主張になる筈で、高圧経済とか抜かしている偽学者はとっとと退場してもろていただいて欲しいもんです。
『足もとの需給関連指標を見ると、需給ギャップは概ねゼロ%近傍ですが(図表
14 左)、人手不足感が高まるもとで、労働市場はタイトです(図表 14 右)。そうしたもとでは、展望レポートに記載しているように「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」ことは必要だと考えています。』
中々しつこく利上げの必要性を書いていていいぞもっとやれという所ではあります。
『なお、実質金利と自然利子率はいずれも実質の値ですが、これらに対応する名目の金利、つまり現在
0.5%である政策金利を中立金利と比較することは、金融政策の1つの論点となっており、市場関係者の関心も高いと理解しています。』
でもってこの次が基調物価の話です。
・基調物価に関してはなんと「既に2%近くにある」と言ってることが高田っち並みじゃないですかヤダー
次の小見出しが『(基調的な物価上昇率)』です。
『金融政策運営を考えるにあたっては、基調的な物価上昇率について議論することも必要だと考えています。日本銀行の使命である持続的に安定的な2%の物価目標を達成するうえでも、こうした概念は重要だと考えています。』
ただこの「基調的物価」って概念的には重要なんですけど、実際の政策運営となると、そもそもが「ザ・基調物価」というものが計測できないために、時に政策の後付け理屈としての「お気持ち物価」になってしまうんじゃないでしょうか、というのは毎度拙駄文では申し上げている次第ですが、はてさて小枝さんはどういう説明をするのでしょうか。
『基調的な物価上昇率については様々な指標がございます。このうち、ハードデータに基づく指標は、その計算方法が明確であり、一定の役割があると思います。』
ほほう、と思う訳ですが、それで行くと多分高めの数字が出てくるはずなんですよね、と思ったらこの先は案の定そういう話になっています。
『図表 15 左は、伝統的なCPIの各指標を四半期平均で表しており、このうち、先に申し上げた展望レポートで見通しを公表しているCPI除く生鮮食品については、足もと3%程度となっています。一方、海外でよく使用されているコアインフレの定義であるCPI除く食料・エネルギーは、直近の四半期では1%台半ば程度です。』
『図表 15 右も、ハードデータを使用して、品目別の平均値や中央値といった統計的な値から、基調的な物価上昇率を計算したものです。これらの値は、足もとのCPI米類のような、極端に価格が上昇した品目の影響は、直接的には受けません。』
図表右というのは「CPIの刈込平均値等」でいつもの日銀が出している奴です。
『もっとも、主食であるコメ価格の高騰は、関連品目の価格にも影響を与えますし、さらには、「食料品全体の価格が高くなりそう」といった消費者のインフレ期待を高め、その結果、他の食料品等の価格設定行動が変わる可能性もあることから、物価に対する二次的な影響はありうると考えています。』
というのが実際のCPI(構成品目)から出した数字で、その次が、
『したがって、食料品価格の高騰は、インフレ予想にも影響する可能性はあります。インフレ予想については、図表
16 をご覧ください。』
図表16左は最近日銀がドヤ顔(かどうか知らんが)で出している「生活意識アンケートを使った合成予想物価上昇率」なのですが、この図表16の見せ方で小枝さん中々良いじゃんと思ったのは、図表16の左の「インフレ予想(家計)」が「量的」と「質的」の2本立てにしていることです。だいたい最近は数値が低く出る方の「質的」を出してくるので高い方を出してきたのやるじゃんとは思いました。
なお、脚注を見ますと、
『(注)左図の「質的」は、5択選択肢情報を用いた修正カールソン・パーキン法による。「量的」は、±5%以上の回答を±5%に置き換えて算出。』
ってなってて、5%以上の回答を5%にしてしまうのどうなのよという気はせんでもないですけれども、修正カールソン・パーキン法で計算しているのってディスインフレ期から長くの期間を取っているので、インフレ期待のシフトアップを必ずしも取れていないとしか思えないので、それよりは大分ええじゃろとは思う訳ですが、その結果について小枝さんは、
『左の図は、先程少し触れた生活意識アンケートの結果から、一定の仮定に基づいて計算したインフレ予想となります。右の図は、企業や専門家へのアンケートに基づくものや、マーケットベースの指標の一部をお示ししています。どの指標を見てもこの数年でしっかり上昇している傾向であることがわかります。』
ほうほうしっかり上昇ですかそうですか(そりゃそうなんだが)。
でもって結論がですね、
『このように多くの指標がある中で、その推計の幅や計測誤差も踏まえると、私としては、総合的に見て基調的な物価上昇率は2%ぐらいになってきていると思います。』
>基調的な物価上昇率は2%ぐらいになってきていると思います
>基調的な物価上昇率は2%ぐらいになってきていると思います
>基調的な物価上昇率は2%ぐらいになってきていると思います
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
とは言え、
『物価目標の達成にあたって、基調的な物価上昇率については、その定着度、あるいはアンカー度合いを確認することも重要だと思います。例えば、長期の収束値のほか、物価と失業率の関係を示すフィリップス曲線の切片は安定しているかといった視点は、モデルからも示唆できるところもあり、そうした点は今後も見ていきたいと考えています。』
ということで微妙な逃げ口上はあるのですが、そもそも論として日本の場合は(概念的に言えば)期待インフレをゼロ均衡から2%均衡に引き上げる、ということでフィリップス曲線で言えばフィリップス曲線のY切片をパラレル(かどうかはさておき)シフトさせることが必要という話になっているので、切片が安定しているのか、というのは中々判断ムツカシイし、うっかりすると上抜けしてしまうリスクもあるので、その点から言ったら少なくともちゃっちゃと1%(でも十分に実質金利はマイナスでしょ)までの利上げをしていく必要がある、って話になると思うのですがその辺は小枝さんどうお考えかなというのは聞きたくなりますわな。
『また、経済が底堅いか、需給はどのぐらい引き締まっているかなど、物価を取り巻く要因も見ながら、総合的に判断をしていく必要があると思います。』
という説明になっていたので、「ザ・基調物価」を精緻に計測しよう、という方面では無さそうなのは安心しました。というか寧ろ植田総裁の方が「ザ・基調物価」とか「ザ・中立金利」を精緻化しようとしているんじゃないかと思われる節があるんですよね。
でもって足元の物価との関係ですが、
『足もとの物価は、基調的な物価上昇率よりも強い状況が続いています。供給サイドの一時的な要因による消費者物価の押し上げ寄与が、今後想定どおりに縮小していくか、注視する必要があります。また、食料品などの上昇が想定以上に長引く可能性はないか、またこうした動きがインフレ予想にどの程度影響しうるのか等についても、みていく必要があります。』
『金融政策の運営に当たっては、経済・物価動向に加え、金融市場や金融システムにおける様々な動向を踏まえつつ、その短期的・長期的な影響について、日々情報を更新して、その都度、政策判断していく必要があります。』
ということで金利の話は締めています。以下バランスシートの話をしていますが直近の政策委員の皆様この部分では特に面白い事を言う方がいなくて、小枝さんもその例外に漏れないという感じですのであんまりコメントする気もないですが、一応引用だけしておきます。
『バランスシートの正常化)』
『金融政策の主役はあくまでも政策金利でありますが、日本銀行では、長年続いた非伝統的金融政策のもとで極めて大きくなった本行のバランスシートについて、正常化を進めています。』
調子に乗って後先考えずに拡大させた、の間違いじゃないかと思いますがそれはさておきましてwww
『日本銀行のバランスシートで最も大きな資産項目は国債です。図表 17 をご覧ください。長期国債買入れの減額計画についてお示ししております。減額計画は去年の7月より毎四半期
4,000 億円ペースで実行されていますが、本年6月の金融政策決定会合では、市場機能の改善と国債市場の安定という2つの点のバランスに配慮し、減額ペースを
2026 年3月まで続けること、それから来年度については、毎四半期 2,000 億円ペースで進めることを方針として決定しました。償還分のほうが買入れ分よりも大きいことから、日本銀行におけるストックの国債保有額は、毎年緩やかに低下していきます。買入れの減額については、来年6月の金融政策決定会合で中間評価を実施いたします。』
特に何も言ってませんな。
『次に図表 18 をご覧ください。本年9月の金融政策決定会合では、ETF等の処分方針についても決定しました。市場に攪乱的な影響を与えることを極力回避する観点から、市場全体の売買代金に占める売却割合は
0.05%程度としています。』
0.05%とかアホなのかと思いますがまあそれはさておきましてwwwww
『また、こうした売却ペースのもとで、市場の状況に応じ、売却額の一時的次に図表
18 をご覧ください。本年9月の金融政策決定会合では、ETF等の処分方針についても決定しました。市場に攪乱的な影響を与えることを極力回避する観点から、市場全体の売買代金に占める売却割合は
0.05%程度としています。また、こうした売却ペースのもとで、市場の状況に応じ、売却額の一時的な調整や停止を行うことができるとするなど、市場の安定に配慮するための柔軟性も確保しています。』
『予見可能な形で粛々と正常化を進めるとともに、適切なバランスシートの大きさやその構成については、資産・負債の両面から議論していく必要があると考えています。』
と、特に何も言ってませんでした、ということですが利上げ(緩和の調整)はやる気満々なのは良くわかりました。結構結構。
〇小枝審議委員記者会見ですが金懇挨拶テキストの威勢の良さは会見ではトーンダウンしている感じを受けましたがどうでしょうかね
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251121a.pdf
小枝審議委員記者会見
――2025年11月20日(木)午後2時30分から約30分
於 新潟市
・当たり前だが正常化に関する質問が来たが自然利子率▲1%はねえだろ・・・・・・・・
『(問)講演の内容について二問質問させてください。一問目は、講演の中でやはり、日本の実質金利がまだきわめて低いために、これを均衡状態に戻していく、金利の正常化を進めることが必要であるというふうにおっしゃってますが、金利の正常化っていうのは、今、経済がわりとしっかりしていて、物価もやや強めということであれば速やかに進めていくべきものなのか。また、政策金利を考える上で、中立金利も意識しなければならないということですが、この中立金利について、委員はどれくらいの水準とみてらっしゃるのか、まだちょっと先なのか、近づいているのか、その辺りを伺いたいのが一点目です。
(後半割愛)』
でもって回答ですが、
『(答)まず、一点目の金利の正常化、実質金利がきわめて低い中、アウトプットギャップとしては、大きくプラスでもマイナスでもない状態で政策金利を引き上げていくということは、やはり金利の正常化という面があると思いますが、そういったことを速やかに進めていくべきものなのかという最初のご質問ですが、』
なげえw
『やはりそこは基調的なインフレも、いろいろな指標があって、総じてみれば推計の幅だとか、計測の誤差もあるんですけれども、総じてみれば
2%ぐらいになっていると思いますが、それが定着しているか、アンカー度合いも引き続きみていかなければいけないと思っておりますので、速やかに進めていくべきものなのかといったことに関しては、やはり足元の経済・物価状況について確認しながら判断していくということになると思います。』
さっきのテキストの方でアタクシが逃げ口上と言った部分がキタコレでして、
『足元は、やはり海外経済の不確実性が継続する中、国内の企業の賃金の設定行動に関して、その動向がどういう状況に今後なっていくかという今後の動向についてをみながら判断していく、様々なデータや情報をみながら判断していくべきものなのかなという、物価を取り巻く状況をみながら判断していくものだと考えております。』
うーんこの講演よりもチキン感が漂う・・・・・
『中立金利については、中立金利は自然利子率とインフレ率を加えたものですので、インフレ率についてはどのインフレ率を加えるのかという議論があるものの、2%のインフレ目標ということであれば、やはりその推計の幅は自然利子率の方から来ていると私は考えています。自然利子率は、多角的レビューでもお示しした通り、マイナス
1%から 0.5%の幅でお示ししておりましたけれども、その幅は、足元でも大きく変更はないかなと私はみております。』
田村審議委員はこの前の金懇で「そもそも自然利子率がマイナス1%などというのが常態の経済というのはおかしいだろ」という指摘をしていたので是非田村さんとの対談をお願いしたいですなあ。
『いずれにせよ、足元の政策金利は、中立金利のその下限をみても、政策金利は現在低い位置にあるのかなというふうにはみております。
(後半割愛)』
とは言え名目1%で中立の下限って認識なのはちょっとどうなのよとは思いました。
・金融不均衡の論点について
と思われる表現も金懇挨拶の中にあったので質問される訳でして、
『(問)二点お伺いします。今日の講演の中で、実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、金利の正常化を進めることが、将来に意図せざる歪みをもたらさないためにも必要であるというご発言がありましたけど、この意図せざる歪みは何を指しているのか。もう少し補足説明をお願いできればと思います。
(後半割愛)』
これ聞く方は当然金融不均衡、何らかのバブル発生についての言及を期待していますわな、でもって回答。
『(答)まず最初の、実質金利がきわめて低い中、金利の正常化は将来の意図しない経済の歪みを抑制するためにも、適度なペースで必要というところでしたけれども、歪みとは何かというご質問で、』
まあ毎度しつこく確認していますな、なげえよとは思いますけど確認すること自体は重要なのでこれはこれでそういうキャラだと思って今後は見て行くことにします(^^)。
『実質金利のような、一般論として、マクロの実質変数がその均衡から大きく離れている状態が続きますと、やはり資源配分に影響がある可能性はあると思います。』
これは学者らしい回答の仕方ですな。まあ要するにバブルの発生なんですけどこれを露骨に言えば。
『将来の時点で、その資源配分に偏りが出てきたですとか、あるいは偏ったゆえ、将来からみて選択肢が狭まってしまったということになりますと、やはり持続的な経済成長というところと関係もあると思いますので、やはりそういった面では金利の正常化というのは適切なペースで進めていくことが必要であると私は考えております。
(後半割愛)』
後の方で具体的に関連質問がありまして、
『(問)ご講演の中で金融政策の運営にあたって、市場や金融システムにおける動向を踏まえつつ判断すべきということですが、金融システムについては、今後意識すべき不均衡等の現象が既にみえているのか、どういった点を注目されているのかっていう点とですね。
(後半割愛)』
ってのに対しては、
『(答)まず、金融システムについてのご質問ですけれども、10 月のFSRでもお示しした通り、わが国金融システムはそういった安定性を有していると私も判断しております。個々のミクロの情報についても、もちろん丁寧にみていきたいとは思っておりますが、やはり総じてみて、安定性を有しているというふうに判断できると思っております。
(後半割愛)』
市場について質問して欲しかったとは思うのですがシャーナイ。ただまあこれの質疑の前に「ビハインドのリスク」についての質問があってですね・・・・・・・
・基調的物価が2%で実質金利が極めて低いのにビハインドのリスクが高くないというのは如何なものかとは思うのですけどねえ
こんな質問がありましてですね、
『(問)二点お願いしたいんですけども、基調的な物価が既に 2%になっているのではないかという中で緩和的な金融環境を続けることによってですね、先行き基調が
2%から上抜けてしまうリスク、いわゆるビハインド・ザ・カーブになってしまうリスクというものが従来よりも高まってるんではないかという認識を小枝委員が持たれているのかどうかというのが一点目で。
(後半割愛)』
それも聞くべき質問ですわな。
『(答)一点目ですけれども、基調的なインフレについては、いろいろな指標を総合的にみて、計測誤差なども考えると、2%ぐらいになってきているとは思いますが、やはり同時に、その定着度をアンカー度合いもみていく必要があると考えております。』
という認識は金懇挨拶と同じですが、
『こうしたことから、基調的なインフレは、どの指標をみても緩やかに 2%に向けて上昇してきているという傾向の中、ビハインド・ザ・カーブのリスクが高まっているかというご質問でございましたけれども、ビハインド・ザ・カーブって言ったときに、やはりそこは中央銀行はインフレをコントロールできているのかという問いと関係していると思いますが、』
説明が怪しくなるw
『そこではやはり基調的なインフレがどうなっているかということで、それが緩やかに
2%に上昇してきていて、それが定着しているかを、確認していくという段階だと思いますので、』
定着する前に上に突き抜けるリスクについての認識を聞かれているのですが・・・・・
『特に従来からリスクが大きく変更があったということは、私としては 10 月の展望レポートなどでお示しした中心的な見通しから大きく見解が変わっているわけではありません。(後半割愛)』
ということで謎回答になっていて、まあこの部分は小枝さんも説明がやや無理気味という認識をしているんじゃないかなとは思いましたがどうでしょうかね(説明が怪しいからw)。
・「基調的インフレ」のコミュニケーションについての小枝さんの立ち位置は会見見るとちょっと微妙かな
『(問) (前半割愛)基調的物価上昇率は非常に重要な概念なんですが、コミュニケーション上、分かりづらいっていう声が、おそらくボードの議論の中からも主な意見等からみえるんですけれども、今後のコミュニケーション上、この基調インフレあるいは中立金利といった概念を、もう少し分かりやすく説明できないのか、その辺りについて委員ご自身はどのようにお考えでしょうか。』
まあ概念として重要なのと政策運営のメルクマールになるかというのは別問題なんですよね。本来はそこをちゃんと説明しないと行けないのですが、黒田末期以降この「基調的物価」を政策調整先送りの言い訳に使いまくって「お気持ち物価」化してしまったのがまずよくなくて、その点については今年の7月展望でやっと概念面での基調の話になったような感じだったのに10月展望でまた「基調的物価上昇”率”」とか鏡に入れてしまって「ザ・基調物価」な説明っぽく読める書き方に戻ったのは残念な所です。では小枝さんはどういう説明をするかと見てみますと、
『(答)(前半割愛)基調的なインフレをどう伝えていくかっていう話だったと思いますが、私はいろいろ様々な指標をみてその詳細をみながら総合的に判断していくということで、日々やらさせて頂いてはいるんですけれども、でもハードデータに基づいた、例えば計算の仕方が分かりやすいわれわれのコアインフレっていいますか、CPI除く生鮮食品とかの、その見通しについても今回
10 月の展望レポートでも少し記述を加えているところでございますし、いろいろな指標がある中総じてみて、今どのぐらいかというふうな判断というのは、定着度も含めて丁寧に行っていく必要があるのかなと考えております。』
うーん総合判断なのか特定数値なのかが微妙に曖昧だな。
・基調物価2%「定着の判断」については結局明快な説明は無いですね
『(問)(前半割愛)二点目について基調的物価についてはその定着度合いをよくみる必要があるとおっしゃっていたと思うんですけれども、その定着度合いというのはどういった観点や定義でみていらっしゃるかというところをお伺いしたいです。
』
そらそうだ。
『(答)(前半割愛)基調的インフレの定着度合いは具体的にどうみればいいのかということですけれども、やはりそこは需給がどのぐらい引き締まっているか、経済がどのぐらい底堅いのか、賃金の動向がどのぐらい安定的に、賃上げの状態がみられるものかですとか、様々な物価を取り巻く要因をみて総合的に判断していくことだとは思います。』
って話をしているんだが、そもそも「基調的インフレ」っていうのは経済が均衡状態にある中で物価がどの辺にいるのか、という話なんだから需給がどのくらい云々とかあんまり関係ないと思うんですよね、本来的には。
『それに加えて、モデルからは長期のインフレの予測値はどういうところに収束していくのかですとか、あるいはフィリップス・カーブの切片の状況などもあるとは思いますが、基本的には物価を取り巻く様々な要因をみて、総合的にその定着度については判断していくのが適切ではないかと私は考えております。』
結局説明になっていませんでしたw
・賃金引上げの定着の確認方法
金懇挨拶の方でめんどいのでかっ飛ばしましたけれども、賃金引上げの持続性とかそういう話も当然あったのですが、まあ展望レポートと同じ話なんでエエジャロ理論でかっ飛ばしてしまいましたが、会見質疑の方にあったので引用しますね。
『(問)今後の賃上げの見極めの指摘が、講演の中でもあったと思いますが、主要企業による中間決算の上方修正もあったりしますが、来年の賃上げ、現時点でどうみているのかを、多面的な賃金動向が重要とのことなんですが、今年の最低賃金の引き上げ幅ですとか、冬のボーナスの民間調査なども出てますが、それぞれどうみているかっていう賃金のことが一点。
(後半割愛)』
でもって回答ですが、
『(答) (説明の順序上前半割愛)賃上げの見極めということでしたけれども、一点目のご質問。やはり、春の賃金改定に関する動向の情報は、今後、方向性として分かってくるところもございますし、本行では日々のヒアリングなどを通じても、情報が蓄積されているところですので、大変大事な情報の一つだとは思っております。』
ほうほうそれでそれで?
『同時に、賃金動向に多面性があると、私、挨拶で申し上げて、冬のボーナスですとか、あるいは最低賃金ですとか。冬のボーナスに関しては、やはりその企業収益、全体としてみれば、企業収益の水準は高い状況にあると思いますけれども、そういったことを反映して、個々の企業の冬のボーナスがどうなっていくかというのは、これから分かってくる面もございますし、最低賃金に関しては、大幅な上昇が、引き上げが今年ございましたけれども、それがマクロでみた実質賃金にどのぐらい影響があるのかというところも、丁寧にみていく必要があると考えております。
』
ということで無回答でした。まあしゃあないちゃあしゃあないけど何時ごろから分かるのかという話だと既に11月くらいからヒアリング情報は入ってきていると思うんですけどそこのコメントが無いのはふーんと思いました。
まあ全体的に見ますと金懇挨拶は威勢が良いのですが会見は金懇挨拶ほど気合が入っていないという感じでしたかね、と思いましたが実際に市場がどう反応したのかは見ていない(マジで見てない)ので知らんがなということでよろしくお願いします。
(11/14の夜に)
中の人敬白:平素より拙駄文をご愛読いただきまして誠にありがとうございます。中の人が夏休みとかいうものを取りますもので、11/17の週は更新をお休みさせていただきます。25日火曜日より平常運転に復する所存であります。
あと、先ほどこんな記事がありましたが、内田副総裁のご回復を願うと共に、いやあんまり無理なさらないで頂きたいと願う所であります。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-14/T5PHHJKJH6V700
内田日銀副総裁が白血病治療で入院、リモート公務ー12月会合は出席予定
南部真帆、伊藤純夫
2025年11月14日 16:52 JST 更新日時 2025年11月14日 18:08 JST
2025/11/14
お題「米国レポ市場がどうのこうのの単なるメモ/展望レポートの「賃金と物価」の考察がドンドン充実している件について/事務連絡(来週お休みします)
ほれほれ予算規模拡大予算規模拡大
https://news.yahoo.co.jp/articles/5af150e01a1585c52f9016d71bcdf1a7f0618f05
自民 去年の規模を上回る補正求める声強まる
11/13(木) 15:57配信
『麻生太郎副総裁は派閥の会合で「単にいくら予算をつけるといったことだけでなく、お金を使わなくても大きな効果を生む政策、たとえば、規制改革などについてもしっかり議論を行ってほしい」とけん制しました。』(上記URL先より)
と懸念するならお前が林さんを支持してりゃよかったんじゃないですかねえwwwwww
〇この程度で逼迫とか言われましてもとは思うのですが・・・・・・・(FFメモ)
こんなんありましたけど
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-13/T5O8B5T96OSI00
FRBに対応強化を求める声、短期資金調達市場で金利が高止まり
Alex Harris
2025年11月14日 3:00 JST
→TB増発や政府支出の遅れが資金逼迫に拍車、QTも一因
→NY連銀当局者、資産購入は「遠くないうちに」
って話で、この点に関してはウィリアムズとかもそろそろ償還再投資が本格化する(12月からはFEDの保有国債の縮小は行わなくなるので)という話をしているので、FEDのバランスシートの縮小は今月までではあるのですが。
『ここ数週間、米国債を担保とする翌日物レポ金利や、通常は政策金利決定のタイミング以外では動かない主要政策金利など複数の主要短期金利が高止まりしており、直近2カ月でレンジ内ながら4回も上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
>レンジ内ながら
>レンジ内ながら
>レンジ内ながら
・・・・・いやレンジ内なら文句言うなよお前らどれだけ甘えてるんだよと思う訳で、こちとらリーマンショックの時に短期市場の中でオープン金利(現先とかレポ)がロンバートに張り付いてしまって実質利上げになって連日当時の弊駄文で悪態ついてたんだぞと言いたくなりますが笑。
でもってその次に「FRBの利下げにもかかわらず短期金利に圧力」とあってレポ金利とかトライパーティーGC金利とかが上昇していて、一方で実効FF金利は横ばい、という埋め込みグラフがでておりますな。
『その一つ、担保付翌日物調達金利(SOFA)の1営業日の変動幅は、利上げ局面を除けば、コロナ禍の最盛期だった2020年3月以降で最大を記録した。』
『逼迫の背景には、米財務短期証券(TB)の増発があり、これが短期市場から資金を吸い上げ、銀行システムに残る資金を減らしている。』
ということでジャパンの短国市場からしたら夢のような事態になっておられるようですな。
・・・・・まあアレです。リザーブが馬鹿みたいにあった期間が長すぎたので資金繰り管理をガチガチに実施することができなくなったというのはあるでしょうし、別にアタクシ米国の短期金融市場詳しくないから勝手にあてずっぽうで言いますけど、人材云々もあるでしょうが、それよりも長期にわたって短期のファンディング市場は金が余っているし中銀のファシリティがあるから、というようなのが前提になっていた時間が長すぎて、市場慣行とか市場の中の人たちの体制とか、そういうのの構造が既にスケアスリザーブに耐えられない状態になってしまっているので、スケアスリザーブに対する耐性が無くなっている(まあそんなの暫くこの調子でやっていればいずれそれに沿った体制を皆さんが組むとは思うけど)とか、そういうのがあるんじゃないかなとは思いました。
まあこのリザーブ潤沢システム、時々付利問題が振られることがありまして、まだそこまで大問題になっていないようですが、チラチラとその手のヘッドラインが散見されることもありますので、まあアンプルリザーブシステム自体が本当に必要なのか、金融機関への過剰な優遇措置ではないのか、って話は出てくる(なんせFED(日銀もそうですけど)ってかつては中銀当座預金への付利はしていなかったんですから)可能性もあるので、はてさてどういう折り合いをつけていくことになるのか、というのは見通せる将来においてリザーブが逼迫とか言うような夢のような話が起こる可能性が皆無の日銀ちゃんとしましても参考になる罠、という感じだと思います。
〇展望レポート全文のBOXをしつこくネタにしますが「賃金と物価の相互作用」に関する部分には別の論点がありますわ
今回の展望レポート
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2510b.pdf
でまあこの前と昨日BOXをネタにしましたが、BOX1が「米国政策の影響がこれからグローバル輸出を下押しする可能性があるであるで」というお話になっていまして、んでもってBOX3では「食料品価格が上昇すると個人消費が下押しするでするで」ということで、特にBOX3については前回までは言及されていた「食料品価格の高止まりの期待インフレへの影響」の部分が大幅にトーンダウンというか殆どフェードアウトしていて、消費下押し圧力の話をだしていたわけですな。
・・・・・ということで、どうも大本営情報部は経済の先行きに対して割と弱気(慎重)なんでネーノというのが見て取れるのですが、「賃金と物価の相互作用」の方はちょっとまた別の面もあるようでして・・・・
今回
(BOX4)賃金上昇が物価に及ぼす影響
ってのがあるのですが、この「賃金と物価」をネタにしたBOXって半年に1回のペースで出てきてて、
4月展望全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504b.pdf
(BOX4)最近の賃上げと価格転嫁を巡る動向
昨年10月展望全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410b.pdf
(BOX3)最近のわが国における賃金と物価の関係について
ってのがそれぞれありまして、どちらも展望背景説明の一番最後、要するにPDFの最終ページから前に辿れば見つかるので分かりやすいと思うのです。
でもってこれを逐次比較とかはさすがにしませんけれども、この分量がドンドン充実している、というのが中々味わいがあるんですよ。すなわち、
昨年10月→1ページ半、図表3枚
今年4月→文章2ページ半、図表4枚
今回10月→文章3ページ、図表7枚
ということでですね、まあ展望(だけじゃなくて定期的に出てくるものはだいたいそういう仕様なのですが)の背景説明の部分っていうのは、ある程度形式が出来上がっているので、図表とかもある程度は前回とおなじものを更新する、という形で(定点観測の継続性という意味では当然ですけど)できていて、そこまで大きな変化って無いんですよね。
然るに、この「賃金と物価の相互作用」に関してはどんどん内容が充実(というか何というか)している訳でございまして、この点に関しては「基調的物価が高まっていることがより確認できています」というお話になっている、というのがこれまた味わいの深いものとなっているとアタクシは思いましたがアタクシがそもそも変態なのは自覚しているので、単なる変態によるあたおか妄想かもしれませんのでそこは割り引いて解釈してもろていただいて、という所ではありまする(汗)。
でまあ一々引用するのも、とは書きましたが折角なので結論と思われる部分を比較しますと、昨年10月の展望BOXでは・・・・・・
『CPIのヒストリカル分解をみると(図表 B3-3@)、コロナ以降のインフレ率の高まりは、主として、エネルギー価格や食料品などの輸入物価上昇の価格転嫁の影響で説明できる一方、足もとにかけては、そうした外生的な要因や需給環境などでは説明しきれない部分(図表B3-3@における残差)が押し上げ方向に寄与している。』
『この残差を子細にみると(図表 B3-3A)、正の賃金ショックがCPIを押し上げていることから、企業の積極的な賃金設定行動が物価を押し上げていることが示唆される。』
『今後も、過去の低インフレ期における平均的な関係性以上に賃金ショックが物価の上押しに作用していくと考えられる。』(以上昨年10月の展望レポート背景説明BOX3より)
となっていて、まあ何かまだフワッとした形での説明にとどまっていたわけですな。これが4月になると、
『以下では、こうした企業の賃上げ姿勢の積極化と、最近の価格設定行動がどのような関係にあるかを、企業レベルのデータを用いた実証分析によって確認しておく。具体的には、POSデータから、個別企業が販売する商品の平均価格を作成したうえで、これを法人季報の企業別の個票データとマッチングしたデータセットを構築した33。』
ちと長いのですがご勘弁(これどこで切ればいいかが中々難しくて結局パラグラフまとめて引用せざるを得なかったんで、汗)。
『これを用いて販売価格引き上げ時の企業行動をみると、近年は値上げした際の販売数量の落ち込み幅が、コロナ禍前よりも小さくなっている(図表
B4-4@)34。これは、ここ数年、自社が値上げした場合の顧客の価格弾性値(自社製品の相対価格が1%上昇した際、販売数量が何%減少するかを表す値)が低下している可能性を示唆している。』
『また、今次の物価上昇局面では、販売価格を引き上げた企業の価格マークアップは拡大する傾向にあり35、こうした企業では販売数量1単位当たりの利潤(ユニット・プロフィット)も増加している可能性が示唆される(図表
B4-4A)。』
ってな話で販売価格マークアップをベースにした話になっていまして、そのマークアップを行った結果として、
『また、販売価格を引き上げた企業の一人当たり人件費をみると、足もとでは、販売価格を引き上げた企業ほど、賃上げ率も高い様子が窺われる(図表
B4-4B)。』
つまり手数料引き下げ圧力の高い金融業いやなんでもないです、という自虐ネタはさておきまして、
『今次局面では、価格マークアップの引き上げに成功した企業は、ややラグを伴って賃金支払も増加させる傾向が、中小企業も含めて広がっている可能性が示唆される。』(以上今年4月の展望レポート背景説明BOX4より)
という構成になっていて、「価格引き上げの動きができている企業は賃金を引き上げれています」と
いうお話をしている、という流れになっている訳ですな、うんうん。
でまあ今回なんですけど、まず結論項と思われる最後のパラグラフの部分を引用しますと、
『人件費増加の価格転嫁動向について、2022 年以降の産業別産出デフレーターを分配面から要因分解すると、人件費の上昇は、幅広い産業で産出価格の押し上げ要因となっていることが確認できる(図表
B4-6)。』
『また、2010 年代後半と比べても、近年は、付加価値当たりの人件費を表すULC上昇の産出価格へのパススルー率が有意に上昇していることが実証的に確認され、賃金上昇が販売価格に転嫁されやすくなっていることが窺われる(図表
B4-7)。』
ド直球ですね。
『ただし、業種別に産出デフレーターの上昇要因を子細にみると、製造業(食料品や機械業種)では、人件費上昇の押し上げ寄与が総じて大きめとなる一方で、非製造業では、人件費上昇の押し上げ寄与はさほど大きくない。この背景としては、人手不足が深刻な非製造業による活発な省力化投資が、労働生産性の向上、ひいてはULCの下押し圧力につながっている可能性を指摘できる27。』
まあでもそれってULCは下がるかも知れないけど、(文章内にあるように)労働生産性の向上とか、省力化投資そのものが設備投資全体に与える効果、という話だから別に悪い話をしている訳ではないというお話ではありますな。
でもってこの話って「賃金の引き上げが投入コストの押し上げに寄与している」という話を思いっきりしている訳でして、従来「今の物価上昇はコストプッシュであってコストプッシュに金融政策で直接対応するのはよろしくないんじゃないでしょうか」という説明をずっとしていたわけですが、ここに来て明確に「賃金引上げによる投入価格の上昇圧力」というのを示してきている訳ですな。
・・・・・となりますと、この1年間の「賃金と物価」の三部作って(いやまあ別に三部作シリーズのつもりで作ったわけではないので勝手に変態のアタクシが三部作扱いしている訳ですが)いうのは、
昨年10月「最近の価格上昇を要因分解すると誤差項の部分で賃金要因あるんじゃネーノ」
↓
今年4月「価格引き上げに成功する企業は賃金を上げれますねえ」
↓
今年10月「賃金引上げによって投入価格の上昇が明確にみられる」
というお話になっているので、これは結構な勢いで「賃金と価格の相互作用」の強まりを確認していますよって話になっているので、この点に関して言えば大本営情報部はいわゆる基調的物価(まあ「物価の基調」と言うべきだと思うけど)に対しては強い話をしている、ということになろうかと思うのでして、景気の方は何か弱気というか慎重なんですけど、物価の基調に関しては威勢が良い話をしている、ということですので、その点からすると景気に対する妙な弱気モードを脱却すればこれまた利上げを妨げるものではないし、何なら物価の基調が強くなっているのが確認されつつあるのですから、2%物価安定目標達成は近い、という説明をおっぱじめるのも可能、ということになるというのが中々の諸葛孔明の罠となってませんかねえ、とは思った訳です。
ってなんか昨日言ってたのは何だとか言われそうですが、景気に謎の弱気なのはそうなんで、はてさてこれどっちに転ぶんだよと言うお話ではある(って言っても米国ってむしろ上振れの話の方が最近は多くねえかという気もするし日銀の謎の弱気も謎だが)次第です。
〇植田総裁の昨日の国会答弁はお前は何を言ってるんだと思いましたが上記BOXネタからしますと・・・・・
これはロイターさんの見出しが如何なものかと思ったのだが
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/36HVLZWHVNPWNKCUEEOC55WN3Y-2025-11-13/
長期金利急騰、例外的なら「機動的に国債買い入れ増額」=植田日銀総裁
山口貴也
2025年11月13日午前 10:55 GMT+9
長期国債云々よりもヘッドライン見ててドヒャーと思ったのはこっちですわこっち。
『<要因識別「困難」>
参院予算委では、現状の物価高の要因がデマンドプル型かコストプッシュ型か見解を問われ、「明確に識別することは、なかなか難しい」と答える場面もあった。』(上記URL先より、以下同様)
ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwwww
今まで「コストプッシュだから金融政策で直接対応するのは如何なものか」って言ってたのは何だったのかとこの答弁部分のヘッドラインを見て椅子から転げ落ちそうになったのですがwwww
『植田総裁は「コメを含む最近の食料品価格上昇については一時的なコストプッシュ要因が相応に影響していると考えている」とした。一方で「景気が緩やかに回復し、労働需給がひっ迫するもとで、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きも続いており、食料品のみならずその他の財やサービス価格も緩やかに上昇している」と指摘。一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率は「2%に向けて緩やかに上昇していると判断している」と述べた。』
って説明の中に、上記ネタにした展望レポートBOXの話がどのくらい含意されているのかはよくわからんのですけれども、まあこの答弁を見て「そうだBOX4をネタにしないといかんじゃないか!」と思ってネタにしたという説は多々あるのでした、あっはっは(超滝汗)。
〇ところで事務連絡(中の人夏休みのお知らせ)
ところで事務連絡ですが、中の人が来週夏休み(秋だけど)をとりますよって、来週は更新をおとぼけさせて頂きます、誠に申し訳ございませんがちゃんと整理していない過去ログでもご覧になって頂ければというか再来週にまたお越しいただければと存じますです。(整理できてなくて本当に申し訳ないというか、若田部語録でも整理しておけば良かったとは思っていますのでその辺は追々)
よろしくお願いいたします(土下座)
2025/11/13
お題「引き続き高圧経済音頭だが円安警戒もしているのか/短国金利ェ・・・・/展望BOX見ると大本営情報部景気に弱気じゃろこれ」
イズムィコ先生が見出しになるとは(驚)
https://mainichi.jp/articles/20251112/k00/00m/030/004000c
露外務省、小泉悠氏ら30人を入国禁止 「日本の反露政策への対応」
経済 国際 速報 欧州
毎日新聞
2025/11/12 06:11(最終更新 11/12 15:52)
710文字
(ピー)中年男性ネタとかやってたのが懐かしいのですが案の定その絡みでネタにされておるようで何より。
〇高圧経済音頭絶好調ですなあ・・・・(今度は若田部発言)
も り あ が っ て ま い り ま し た !!!!!!!!!!!orzorz
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-12/T5LE1UKJH6V400
諮問会議でPB目標不要論、「使命終えた」−経済対策14兆円超求める声も
梅川崇、照喜納明美
2025年11月12日 19:10 JST 更新日時 2025年11月12日 20:18 JST
→高市首相の目標見直し表明に呼応、PB撤回なら財政政策の転換点に
→PB黒字化、歴代政権が財政目標として掲げるも未達状態が続く
いやー凄いですねえ、盛大な額の政府債務があってもまあ信認自体はあるのって「ちゃんと元利払いする意思はありますよ」「債務を発散させる気はありませんよ」って形だけでも表明して目標としているから、というのは大きいと思うんですけどねえ・・・・・
『政府が12日開いた経済財政諮問会議で、財政健全化の指標としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の不要論が上がった。経済対策では昨年度を超える規模を求める声もあり、財政拡大路線へとかじを切った。』
『民間議員として新たに加わった前日本銀行副総裁の若田部昌澄・早稲田大学教授は、提出資料の中で「PB黒字目標はデフレ時代の歴史的産物、歴史的使命を終えた」と指摘。名目成長率が名目金利を上回っている現状を踏まえ、一定の財政赤字の許容が可能とした。』(上記URL先より)
>PB黒字目標はデフレ時代の歴史的産物
・・・・おっしゃっていることの意味がさっぱり分かりませんけれども、というお話で、益々ブレーン笑の皆様が大暴れして大変なことになっておりますが、まあ何か知らんけど財政出すって話をするとヤフコメ界隈あたりの愚民の皆さんに大ウケして、それを見た低能メディアがビビって翼賛報道するもんだから世間ウケ狙った曲学阿世が横行する、とまあそんな図式になっているのってゲルの戦後80年談話の中にあった「メディアの問題」の図式そのままじゃん(引用すると長くなるから割愛するけど→https://www.kantei.go.jp/jp/content/20251010shokan.pdfの4ページにあるわ)とは思いますが、まあこんなことやってれば統制しきれない金融市場から何かを食らう日も来るでしょとは思いますけどまあコマッタモンダって感じですな。
だいたいからして、
>名目成長率が名目金利を上回っている現状を踏まえ、一定の財政赤字の許容が可能
って言ってるのだが、そういうスタンスになって財政赤字増やすぞーって言い出したら財政維持可能性の信認が(所与として存在する巨額の財政赤字を背景に)低下することによって財政リスクプレミアムが発生して名目金利が上がるんですが何言ってるんですかこの人はお前それでも学者かと思ってしまいますが、まあ学者と呼ばれる手合いにはインチキ野郎も数多く含まれているのはご案内の通りということで誠に残念無念。
なお昼間には(経済財政諮問会議は夕方なので若田部さんのが出たのは遅めの時間)こんなのが出ていましたが・・・・・・
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-12/T5JF2YKJH6V400
片山財務相、「円安のマイナス面目立つ」−足元は一方的な急激な動き
青木勝、梅川崇
2025年11月12日 14:26 JST 更新日時 2025年11月12日 14:54 JST
元のBBGの画面って改行位置が悪いから最初なんのことかと思いました(みればわかります笑)
『片山さつき財務相は12日、外国為替市場で進んでいる円安は急激だとし、経済への影響は「マイナス面が目立ってきていることは否定できない」と市場をけん制した。参院予算委員会で答弁した。』
『片山財務相は、為替動向について「一方的な急激な動きが見られる」と指摘。「投機的な動向を含め、為替市場における過度な変動や無秩序な動きについて、高い緊張感を持って見極めている」との見解を改めて示した。』(上記URL先より、以下同様)
と思ってるなら日銀に利上げするなと言わんばかりの恫喝モードになっているのを撤回しろって感じですし、ブレーン笑の皆様が好き放題いうのを黙らせて、黙らせるだけではなくて切り捨てないといけませんねえ、としか思えませんが、高市さんにそれができるかどうか。
『片山財務相はこれまでも閣議後会見などで円安をけん制する場面があったが、「マイナス面が目立っている」との表現は初めて。警戒感の度合いを一段上げたと言えそうだ。』
警戒度合い上げたってそもそもがお前らのスタンスがスタンスな訳ですし高圧経済って言ってるのを日本でやったら通貨安志向政策になるんだからそりゃもう円安警戒とか言ったってただの言葉遊びに過ぎませんですがな、というお話になるんですけどね。
ということで、まあなんちゅうか連日この有様で頭がくらくらしますね、という悪態なのでした。
〇短国ェ・・・・・・・・・
ということですが、円安怪しからんとか言ってはいるものの、言ってるそばから底抜けのように高圧経済馬鹿踊りが展開される今日この頃ですが、ここで3M短国方面を見てみましょう
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
1月半ば足(2M)位から並べてみますね
(11/12引値)
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.435
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.430
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.430
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.430
国庫短期証券1341 2026/02/09 平均値単利 0.430
国庫短期証券1343 2026/02/16 平均値単利 0.425←現在のカレント3M
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.450←明日入札の3M新発WI
お、おぅ・・・・・・・・・・
とまあこんな状況でして、あのすいません1月決定会合で利上げだと新金利適用が1/26〜になるので1340回以降ってその分のグラデーションついて罰は当たらんと思うのですが、という話なのですが、これがまたお洒落なことに
(11/11引値)
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.440
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.440
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.440
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.435
国庫短期証券1341 2026/02/09 平均値単利 0.440
国庫短期証券1343 2026/02/16 平均値単利 0.425
国庫短期証券1344 2026/02/24 平均値単利 0.440
ということでご丁寧にも水曜って気配強くなっている(カレントは元々月曜の時点でクソ強い引値にされているので横ばいですが)ということで、カレントがショートカバーで局地的に強くなったというわけでもなくて短国自体が水準を徐々に強くしているというおそロシアモードになっておられる次第。
拙駄文で再三再四申し上げているように、利上げ観測の高まりで利上げ食らっても価格変動的ダメージは屁な短国方面に避難民が殺到する場合も流動性のあるカレントとかその近辺が買われたりする現象はあるので、即断はできないものではあるのですが、ただまあこれ1月になっても利上げ出来ないんじゃないかと考えれば普通に金利がフラットになっても全然おかしくないし、相変わらずコールやGCと比べて金利が低いとかタームプレミアムとは何のことかという問いをしたくなるレートであるにしましても、短国自体の超過需要があるんだからそこはこんなもんじゃろという話になるわけでして、さすがにこれは連日のようにぶち込まれる高圧経済音頭を受けて「ひょっとして日銀って1月も利上げできないんじゃないの」という疑念が出てきたような気がしてきました。
強いて申し上げますと、月曜の中川審議委員の岡山講演での内容皆無状態、というのがポイントとなるかもしれない所でして、金懇じゃなくてわざわざここに講演持って来ていたのですから、本来ならばもう少し経済物価情勢の改善やら、不確実性の緩和やらの話をして、2%物価目標達成の確度が徐々に高まっている、っていうのをアピってきて12月1月の利上げに向けた情報発信が出てきてもおかしくは無かった所だったのですが、金懇みたいに(出席者のロジの関係があるから)かなり前から段取り組んでいる案件じゃない講演がひょっこりと入ってきたという攻撃だったのに、その攻撃の機会を何もしないで見送り三振してきた、というのはヘイヘイ日銀大本営高市にビビってるビビってるとは思えますので、主な意見とかでは威勢の良い事言ってるけど結局大本営ビビってるじゃんとなって1月利上げ出来ませんとなると次は3月まで飛びますので・・・・・・(1月出来ないと3月も苦しい気がしますけどその頃には円安で成敗され利上げはあるじゃろ)。
〇展望レポート全文の方のBOX鑑賞の続き:食料品価格上昇の影響について景気下押し方面で説明していますねえ
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2510b.pdf(今回10月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2507b.pdf(前回7月)
先般BOX1を読みましたが、そちらの全体的なトーンとして「米国政策の影響がこれから徐々に時間を掛けて出ていく中で米国経済も世界経済も下押し圧力になるので本邦の輸出にも下方圧力がかかるんじゃなかろうかと懸念してます」っていう感じで割と弱気だったんですが、BOX3ってのもトーンが弱気化しているんですよ。
と申しますのは・・・・・・・・
『(BOX3)食料品価格の上昇と個人消費への影響 』(今回10月)
『(BOX3)最近の食料品価格上昇の背景とその影響』(前回7月)
初手の記載が既に怪しげじゃないですか・・・・・・・・
でもって話をすっ飛ばして結論部分を見ますと、
『先行きについて、中心的な見通しでは、食料品価格の上昇率が低下していくもとで、個人消費は再び緩やかな増加基調に復していくと考えているが、食料価格は、天候要因や国際商品市況、為替相場の動向次第で大きく変動し得るため、食料品価格と個人消費の今後の展開を注意深くみていく必要がある』(今回10月)
『今回の展望レポートの中心的な見通しでは、食料品価格の上昇は本年度後半にかけて一巡していくと想定しているが、食料品は消費者の購入頻度が高いものであるだけに、それが家計のコンフィデンスやインフレ予想、および個人消費に与え影響には、引き続き注意していく必要がある。』(前回7月)
となっていまして、インフレ予想とかそういう文言がさらっと抜けておりますし、上記のようにそもそも今回のお題が「個人消費への影響」でして、食料品価格上昇の個人消費への影響がプラスの訳が無いというのを勘案すれば、普通にこれ「食料品価格上昇は個人消費へマイナスになる」という話をしている訳でして、それって景気下押し材料としてとらえているし、何ならこれによって企業の価格設定行動が弱気化するんじゃなかろうか、というような話にもつながるのすよね。
いやだったら過度な円安助長する緩和のやりすぎをとっとと是正しろよ、と思うのですが、こうも大本営が弱気トーンですと当然ながら「景気をしっかりささえるためにも今の緩和的な金融環境を維持するのが重要(
ー`дー´)キリッ」とか言い出すのが大本営クオリティな訳でして、なんかエライ弱めのトーンになってきたな、とは思います。
モチのロンですが政策決定は政策委員会なので、その点で言えば主な意見でのトーンの方が目先重要であることは間違いないのですが、ただまあ大本営情報部の情勢判断の本音が出る場合もある、という展望レポート全文のBOXちゃんを見ますと、今回は大本営情報部が自我を出してきたとみるのが妥当なのではないかという気もしますし、はたまたハトハトチキン総裁にお付き合いして忖度しているのかも知れませんけれども、ただまあちょっと情報部弱気だゾ、と思ってしまいました。
ちなみにこの展望レポートBOXは大本営情報部の自我が出るばあいもありますし、出ないでひたすら大本営作戦部に忖度する場合もありまして、これはまあその時の巡りあわせ(分かる人にはわかる婉曲表現w)だったりするのでまあ何なんですけど、ちょっと今回の展望全文のBOXは政策委員会のトーン対比で弱いなと思いました。
ちなみにこのコラム、中身の方もオモロイのですが毎度おなじみの如く時間が無いもんでこの辺で勘弁していただきますが、この部分を見てジジイのワイは咽び泣きましたのでそこだけご紹介しましょう。
さっきの結論部分の1つ前のパラグラフになります。
『消費動向については、年齢階層別にも違いが生じている。』(今回10月、以下同様)
ほう。
『外食や旅行、耐久財などの高額消費を中心に捕捉しているとみられるクレジットカード消費額をみると、堅調に推移する若年層とは対照的に、60
歳以上の支出減少が目立つ(図表 B3-9)。』
あばばばばーーーーーーー
『60 歳以上の世代は、相対的に賃金上昇の恩恵を受けにくく、かつ消費バスケットにおける食料品ウエイト(エンゲル係数)の高さから直面する物価上昇率も高めとなっていることが、同世代の消費の弱さにつながっている可能性がある。』
ちなみにこの「(図表 B3-9)年齢階級別実質消費」ってのはPDF47枚目(本文45ページ)にあるので若者の皆様はガハハと笑いながら、昭和ジジイは泣きながらグラフを見るとよろしいかと存じます、とほほ。
2025/11/12
お題「日銀への圧力ニュース連日ですなナムナム/主な意見だと早期利上げだが圧力が・・・・・・」
これは・・・・・・
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-11/-18
銀行の合成証券化が高成長継続、昨年度18%増−リスク潜むと当局警戒
Tasos Vossos、Neil Callanan、Esteban Duarte
2025年11月12日 4:06 JST
『SRT取引では通常、銀行が融資の価値の5−15%についてデフォルト(債務不履行)の補償を受ける。これにより、銀行は支払い余力に関する指標の改善や成長に向けた資本の解放が可能になる。今年10月に国際通貨基金(IMF)が発表した報告書によると、2016年以降に合成証券化された資産の総額は1兆ドルを超えている。
ただ、IMFはSRT取得に短期のレポ取引が利用されることが多い点を指摘。これに対し、銀行が発行するクレジットリンク債は一般的に長期で流動性が低いため、市場にずれが生じかねないとみている。
IMFは「これらのレポ取引でマージンコールが急増すれば、ヘッジファンドは流動性を得ようと他の資産を売るため、より流動性の高い他の市場に波及する恐れがある」と論じた。』(上記URL先より)
〇次から次へと日銀に利上げするな圧力が掛かりますが結局それで円安になって・・・・・・・
まあ既に色々と出ているからこれ自体は既報の確認みたいなところはありますが・・・・・
https://jp.reuters.com/world/japan/A7RIF6PI6NJEVIQWDEPFAYC7JM-2025-11-10/
マクロスコープ:高市氏、経済対策で日銀に「注文」へ 積極財政の推進鮮明
鬼原民幸, 竹本能文
2025年11月11日午前 6:59 GMT+9
『[東京 10日 ロイター] - 高市早苗首相は近く策定する初めての経済対策に日銀への「注文」を盛り込む方針だ。デフレ脱却に主眼を置いたこれまでの政権に比べ、より経済成長を重視する政権の意向を強調する。専門家からは「高市政権は利上げに慎重な立場を示しており、日銀に一定の影響力を及ぼそうとしている」との指摘も出ている。』(上記URL先より、以下同様)
はいはい恫喝恫喝。でまあ植田さんが斯界の第一人者の学者としての矜持でそれを撥ねつけるだけの根性あるかどうかが試されますが端から期待していないのでまあいいです。
『経済対策とそれを支える補正予算には、時の政権の独自色が反映されやすいとも言われる。高市氏の経済対策案に「注文」が盛り込まれたことについて、経済官庁幹部は「意図的に書き込まれたものだ」と解説。「高市氏はデフレ脱却にとどまらない経済成長を重視している。これから積極財政を推進していくという宣言でもある」と述べた。』
ってな訳でまあ財政出す話を次から次へとしている上に、
https://jp.reuters.com/markets/japan/GXPAJH7GRNILVGK2ZEIN4LHATI-2025-11-11/
政府系ファンド創設で超党派議連、幹部に加藤前財務相ら 年内にも初会合
鬼原民幸
2025年11月11日午後 5:01 GMT+9
『岡本氏は予算委での質問の中で、政府系ファンド(ジャパン・ファンド)の制度設計案を説明した。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の積立金、外国為替資金特別会計(外為特会)、日銀保有の上場投資信託(ETF)をファンドが一括管理し、国内外の債券・株式などで運用する。安定、効率を基本にリターンの一部を他の政策に活用する構想だ。』(上記URL先より)
>リターンの一部を他の政策に活用する構想だ
>リターンの一部を他の政策に活用する構想だ
>リターンの一部を他の政策に活用する構想だ
・・・・・・年金資産を運用して出る収益は年金の支払いのために使われるべきものだし、日銀のETFをファンドが活用って積極売買でもするつもりなのかという話だし、だいたいからしてそっちで収益上がったのを「他の政策」に活用って言ってますがETFの配当は国庫納付金に回っていますがなとか、なんかもうツッコミどころが大杉栄なのですけれども、要するに「リターンの一部を他の政策に活用する」ってことで財源を捻りだそうという話ですが、まあ筋の悪そうな話が出てきましたなあって風情な訳ですよ南無阿弥陀仏。
ってかそもそも資金の性質が全然違う(年金資産と外為特会は全然別の性質のものじゃろ)ものを全部一緒くたにして運用をするってのが入り口時点で意味くじ分からんとしか申し上げようが無いのですけれども・・・・・・・・
まあここぞとばかりにドンドンと凄い話ばっかり出てくるようになっておりまして、ここまで筋悪だと変に止めようとしないで勝手にやらせてとっととトラスショックを起こしてもらって有象無象が全員パージされて二度と出てこなくなるようになった方が中長期的にはマシなことになるんじゃないか位の悲しさが漂う次第ですが。
でまあたぶんポジションってあるから今朝の日経さんの記事とかになるとおもうのですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD106UK0Q5A111C2000000/
円安防止策、「日銀利上げ→為替介入」の順番か 米側の意向背景に
ポジション
2025年11月11日 17:15 [会員限定記事]
『円安がジリジリと進む中、政府による円買い・ドル売り為替介入に対する市場の関心が強まってきた。ただ、ドルを売る介入には米国の理解や了承を得るのが普通。問題はその米国が円安防止には日銀の金利引き上げが先決との意向を示唆している点だ。従って、介入の前にまず利上げが必要になる可能性があり、円安がさらに進むなら高市早苗政権も利上げを容認せざるを得なくなるかもしれない。』(上記URL先より)
まあこれ自体はかなり一般的な見立てなのですが、政権から打ち出されようとしている施策が悉く財政拡張となっている昨今でありまして、昨日だって結局超長期金利上がってしまいましたし(入札自体は弱めとは言え大流れみたいなことにはならなかったけど)、これで市場金利が上昇しだすと日銀に利上げするな圧力掛かりやすくなる→円安圧力→追い込まれて利上げ、というコンボになるんですが、この場合って結局「その次」の話はしにくい状態になるので、利上げしたとて円安圧力の軽減にはならんという流れになって、結果として利上げにまた追い込まれるというダメダメスパイラルになるんでネーノとは悲しんでおります。
まああれですな、ここ数日矢継ぎ早に出てくるネタがどれもこれも碌なもんじゃねえという感じで、やはりやりよったかこいつらという雑談なのでした。
〇10月会合主な意見の続き:物価のコミュニケーションとどう見ても恫喝ですキタコレの巻と
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi251030.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 10 月 29、30 日開催分)
ちなみに今回話の都合で前回の主な意見も引用します
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250919.pdf(9月主な意見)
・先行き金融政策の話では12月おそくとも1月の利上げを強く示唆しているとしか思えませんが・・・・・
まずは金融政策に関する意見でちょっと別口っぽいのがあって昨日はその前まで引用したのでちょっと引用しますけれども、
『・ 将来の急激な利上げショックを避けるため、金融緩和度合いを調整して、中立金利にもう少し近付けるべきである。』
『・ 現段階での利上げは、将来のためにも経済のゆがみを抑制し、政策金利を緩やかに均衡状態に戻していくという、金利正常化のプロセスと考えられる。』
ということですが、結構田村さんと高田さんが言いそうな意見の数が多めで、人数的にいってこの2名で全部書いてるわけは無いので、そう考えますと利上げに関しては今回一段とその必要性についての認識が浸透してきている、と読むのが妥当だと思うのですよね。
つまりですな、昨日引用しました通りで、今回の主な意見における金融政策運営に関する話は、
たぶん大本営(または大本営の九官鳥)3本→留保条件付きだけど結論は利上げできますよね、が1本→やる気満々1本→見極め云々言いながらも近い将来の利上げが適切というのが2本→やや慎重なのが1本→上記のように緩和度合いの是正のためというド直球で利上げすべきみたいなのが2本。
という図式になっていまして、何のことは無いハト(もどき)って1名しか居ないじゃんという話でして、こんなんどうみても利上げ待ったなしじゃん、と思うのですが、まあご案内の通り足元では前段でネタにしました高市政権大暴れの巻というのがあるので日銀としても地蔵にならざるを得ない(本来なら植田さんが「財政大盤振る舞いするならば今はデフレ経済じゃないんだから金融は少なくとも中立だし何なら軽く引き締め気味にしておかないと物価高や円安が抑制できませんよ」って高市さんを説得すべきなのですが植田さんにそんな蛮勇があるとは思えないので)ということだし、まさにその地蔵宣言があの中川さんのなんも言ってない岡山講演なわけですから、足元ではそっちの方で市場ちゃんが動いている(3MカレントTDBの引けって一々引用しませんけど昨日ってなんか強くなって0.425%とかになっているんですけど勘弁してください)という図なので何んともかんともなのですが、まあ普通に今の日銀って利上げ体制は組めているという状況なのは判明した「主な意見」でしたな。
・物価目標に関する説明とか考え方について
今回の展望では堂々と『基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され』などと鏡に書かれて、あたかも「基調的な物価上昇率」というのがピンポイントで示されるのかよというような書き方になっているのですが、主な意見の最後にこの件に関連する意見が入っていました。
あとですね、7月展望(7月会合)の時には結構この「基調的物価」が記者会見でも質問されていましたけれども、「物価の基調とは何ですねん」という点では「総合判断」という雰囲気を結構だしていまして、そうなると2%というのはその2%という数値に厳密になっているかどうか、というのが重要なのではなくて、「何となく2%位でっしゃろ」みたいなフワッとした感じ、まあそれを綺麗な言葉で言えば「総合判断」になるんですが、そっち方面への説明にシフトしたように見えていたので、実を言えば10月展望で基調的な物価上昇「率」って言い出したのは何か7月言ってたのと話が違うじゃんと思っていたのですが。。。。
『・ 金融政策は、消費者物価指数が2.0%より上か下かではなく、その背後にある特殊要因やメカニズム(需給状況、賃金、予想インフレ率等)も踏まえて判断することを丁寧に説明すべきである。』
ってのがありまして、これ別に全員の見解として一致している訳ではないと思うのでアレなんですけれども、ただまあ本来はこういうもんでしょという話なんですが、相変わらず展望の数字が出るとまずは2%との乖離を見たがるという流れになっているのですが、ただまあこれは日銀の説明もよろしくないのでどうにかならんのかねとはアタクシも思っているのですが、同憂の士がいるわと思ってアタクシニッコリの巻でした。
でもってこのコーナー最後の意見。
『・ 縮小均衡マインドが残存する下では、ヘッドライン物価と基調的物価を区別した議論が必要であったが、人々のノルムが転換する中、ヘッドラインを重視したシンプルなコミュニケーションが望ましい。』
物価目標って皆さん直ぐうっかりするんですけど、あくまでも「ヘッドラインの物価」が目標で、ただヘッドラインだと季節要因とか天候要因とかの一時的な変化を全部反映してしまうので、それをトリミングしたもので物価のトレンドを見ましょう、ということでコアだのコアコアだの言っている訳ですからね。
まあノルムが2%になったらヘッドラインもアンダーライングも2%って話だとは思うのですが、それはそうとしてその間に過度な緩和の是正しておかないと不味いよねと思いました、まる。
・どう見ても恫喝です本当にありがとうございました
最後の『V.政府の意見』ですが。
『(財務省)
・ 物価高対策を早急に講じるとともに日本経済の強さを取り戻すための経済政策を作り上げていく方針であり、10
月 21 日の総理からの指示に基づき、総合的な経済対策を策定し、補正予算の編成を進めていく。
・ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、内外の経済情勢等を十分に注視し、市場とのコミュニケーションを図りつつ、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待する。』(今回10月)
うむ。でもって前回。
『(財務省)
・ 予算編成では、「骨太方針2025」に沿って、経済再生と財政健全化の両立に取り組む。
・ ETF・J−REITの処分指針については、適切にご判断いただきたいが、市場の状況を注視し、必要があれば柔軟な対応を期待する。
・ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、内外の経済情勢等を十分に注視し、市場とのコミュニケーションを図りつつ、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待する。』(前回9月)
9月はETF等の処分の話があったからその分が入っていますが、「日本銀行には〜」の部分は全文一致ですね。
然るに・・・・・・
『(内閣府)
・ 日本経済は、米国の通商政策等による影響が自動車産業を中心にみられるものの、緩やかに回復している。
・ 政府は、「経済あっての財政」、「責任ある積極財政」の考え方の下、物価高対策、危機管理投資・成長投資、防衛力・外交力強化を柱とする「総合経済対策」を策定する。
・ 日本銀行には、日本銀行法、政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携し、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を期待する。』(今回10月)
経済あっての財政って言ったって財政が破綻したら経済もへったくれもないんですけどねえ、という話はさておきまして、日本銀行には云々はと言いますと皆様既にご案内かとは存じますが、
『(内閣府)
・ 政府は、日米間の関税協議の合意の実施を進める一方、残る関税措置に対し必要な対応を行いつつ、経済財政運営に万全を期す。また、実質賃金上昇と最低賃金の引上げの実現に向けた取組を進める。
・ ETF及びJ−REITの売却は、市場との適切なコミュニケーションの下、状況に応じて、必要があれば柔軟な対応をお願いする。日本銀行には、政府と緊密に連携し、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を期待する。』(前回9月)
ということで、「日本銀行法、政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携し」ってのがどう見ても恫喝です本当にありがとうございましたというお話ではありまして、まあキテマスなというお話なんですけど、連中の言う日銀法4条って念のため申し上げますと・・・・・・・
https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000089/
日本銀行法(平成九年法律第八十九号)
『(政府との関係)
第四条 日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。』、
ってありますが、あくまでも「意思疎通を図らなければならない」のであって、日銀が政府に従えとは一言半句も書いていない訳でして、日銀法4条を振りかざすのは法令の条文を逸脱した解釈としか申し上げようがありません、ってのを念のため確認しておきますね。
ということでオモイケがまさかの2日シリーズになってしまいましたが、まあしばらくはこの政治介入関連の方が話題というか話の中心になりそうですな、ナムナム。でもって時間の都合上今朝はこの辺で勘弁。
2025/11/11
お題「高圧経済の高圧高まるの巻/中川さん講演は「何も言わない」でした/主な意見は利上げ前提のオンパレード」
ありゃま
https://www.sankei.com/article/20251110-H5HK7F4ZYZFKZCC2VIN6FNMGTI/
高市首相「NHK党とは組んでいない」 自民は立花党首逮捕のN党参院議員と会派結成
動画
2025/11/10 15:01
産経にまで書かれてしまう(しかも見出しで論破wwwww)のが落涙を禁じ得ないのですが、やっぱり謝ったら死ぬ病をやってるのかよというのもあるんだが、高市さんって昔から全く必要のない所で勢いよく突っぱねてしまって詰んでしまう、という傾向がみられていまして、この前の外交で治ったのかなと思ったのですが、言わなくても良いことをホイホイと言ってしまう(この前のへずまりゅう案件もそうですが)のと、守勢に回った途端にボロボロになるのは変わってなさそうで一万抹くらいの不安がががが。
〇日銀に圧力で高圧経済という取り巻きの皆様のコースが着実に見えてまいりましたなあ(個人の感想です)
どんどん本性を明らかにしておられる取り巻きの皆様www
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/KOQMKBSIKVMXLO44JP45W3Z7VE-2025-11-10/
高市政権の経済対策、適切な金融政策「非常に重要」追記へ=政府筋
山口貴也
2025年11月10日午前 9:49 GMT+9
『[東京 10日 ロイター] - 高市早苗政権が近くまとめる経済対策の基本的枠組みが10日、判明した。強い経済成長と物価安定の両立に向け、適切な金融政策運営が行われることが「非常に重要」と追記。日銀に対し、経済政策で足並みをそろえるよう求める高市首相の意向を反映する。』(上記URL先より、以下同様)
はいはい圧力圧力って感じですが。
『複数の政府筋が明らかにした。経済対策は、1)生活の安全保障・物価高への対応、2)危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現、3)防衛力と外交力の強化――を柱とする。3本柱の対策を実行するため、「予算、財政投融資、税制、制度・規制改革など、あらゆる政策手段を総動員」する考えを打ち出す。』
だそうで、
『一方、日銀に対しては「今後の強い経済成長と物価安定の両立の実現に向けて、適切な金融政策運営が行われることが非常に重要」との認識を新たに示す。政府・日銀が「緊密に連携し、デフレに後戻りすることのない物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、一体となって取り組んでいく」とも追記する。』
てなのもありましたし、一方の財政では
https://jp.reuters.com/markets/japan/R3E7VGSTKFLZXA54T36SYOBDXQ-2025-11-10/
決定済みのPB目標破棄せず、来年6月に新指標を検討=高市首相
竹本能文
2025年11月10日午前 10:14 GMT+9
などと昨日は言ってましたが、
https://jp.reuters.com/world/japan/VJTQJYOCBZIEHDLKCH4CPGNX7I-2025-11-07/
高市首相、プライマリーバランス黒字化「数年単位で確認」 単年度目標取り下げ
ロイター編集
2025年11月7日午後 2:06 GMT+9
って言ってたんですから、破棄しないとか言ってても来年6月にはゴールポスト動かすって言ってるんだから言葉遊び以外の何物でもない訳で、そりゃ「責任ある積極財政」だって「責任ある」とか言ってるのは言葉遊びでしょとしか思えない訳ですが、さすがに債券市場ちゃんも・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/japan/BWFYCM6W4NKITIDPB3TZM4ZAZU-2025-11-10/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.695% 米政府閉鎖の解除期待などで
ロイター編集
2025年11月10日午後 3:26 GMT+9
『[東京 10日 ロイター] - <15:12> 国債先物は続落、長期金利1.695% 米政府閉鎖の解除期待などで
国債先物中心限月12月限は、前営業日比23銭安の135円63銭と続落して取引を終えた。政府閉鎖の解除期待を背景とした米金利上昇やあすの30年債入札に向けた調整の動きから、円債は売りが優勢となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.695%と10月10日以来1カ月ぶりの高水準を付けた。』(上記URL先より、以下同様)
まあ昨日は10月会合主な意見もありましたし、米国要因で株高というのもありましたので、上記のような書き方になるとは思うのですが、入札前準備要因があるとは言え、朝っぱらから下で始まって結局安値引けみたいなムーブをしていたのって、どう見たってこれは高市政権の財政金融政策トラスコースのリスクへの意識がチラチラとしてきたと思うんですけどねえ。
特にですね、当初は鈴木幹事長とか麻生副総裁とかが控えているからそんなに無茶はしないのではないか、みたいな感じでの期待する(あるいは高を括る)向きの方が多かったと思うのですが、もう直近とか「高市政権のブレーン」と称するものが見るに耐えない言説を垂れ流して連日メディアをにぎわせているわけでして、どっからどうみたってこんなの高圧経済ぶっこまれまくりじゃんとしか申し上げようがないし、まあやれるもんならやってみろって感想しかこっちも湧かない訳ですがそれはそうと、
『現物市場では、超長期ゾーンの金利上昇圧力が目立った。高市早苗首相が財政健全化目標について、単年度ごとの達成状況ではなく、数年単位でバランスを確認する方針に転換する意向を示したことも圧迫材料となった。』
そらそうよという感じですが、
『2年債は前営業日比0.5bp上昇の0.940%、5年債は一時1.265%と、2008年7月以来の高水準を付けた後、同1.5bp上昇の1.260%。20年債は同3.0bp上昇の2.650%、30年債は同3.0bp上昇の3.130%。40年債は同4.0bp上昇の3.465%。』
10年は1.695%でしたが引値自体1.7%にされていましたな。
『 OFFER BID 前日比
2年 0.937 0.944 0.005 15:05
5年 1.26 1.265 0.017 15:02
10年 1.694 1.699 0.02 15:04
20年 2.645 2.651 0.03 15:06
30年 3.121 3.132 0.031 15:05
40年 3.455 3.47 0.042 15:09』
ということで超長期弱いですが、まあ今日は30年国債の入札がありますので、入札事前準備要因というのもあると思うのでそこは割り引いて考えた方が吉だとは思うのですけれども、これで30年国債入札もニーズがイマイチとかいうことになると唸ってしまいますので入札動向乞うご期待という所でしょうか。
ただまあやっぱり高市政権発足当時にあった「そうは無茶せんだろ」という期待があの経済ブレーン笑や城内大臣の連発する威勢の良い発言などによってドンドンと剥落し、やっぱりやべえ輩じゃんという認識になってきているという期待の変化wが足元で進行してるんじゃネーノという風に思ってしまうんですよねえ、個人の偏見であることは重々承知しておりますが。
〇中川審議委員の岡山での講演は絶望的なまでに何も言っていませんが言っていないということは・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251110a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 岡山クラブにおける講演 ──
日本銀行政策委員会審議委員
中川 順子
中川さんなので大本営の忠実な腹話術人形としてのムーブがあるので、もし大本営に何かの意思があって伝えたいことがあるならなんか出る可能性もあるかな、とは思っていたわけですな。
・・・・でまあご案内の通りでほぼ読む価値無し、という恐ろしいものが出てきました。読む価値ないのでただの埋め草だしワイの借りてるさくらインターネットのレンタルサーバーの容量の無駄遣いでもあるのですが、どうせ容量はクッソ余っているのでセーフということで(違)サクッと確認してみましょう。
・先行き見通しとリスクの説明が全くもって内容がスカスカ
『3.経済・物価の先行き見通しとリスク』というのがあるので見るわけですが、
『(1)企業・家計の経済活動の展望
企業・家計の経済活動の展望についてお話しします。』
って事で始まりますが、
『海外経済は、暫くの間、米国の関税引き上げの影響から、いったん減速しますが、その後は、徐々に成長率を高め、緩やかな成長経路に復していくというこれまで想定してきたメインシナリオには変更ありません。』
その理由は??と聞きたいのだが全く説明なく次の項目に行くんですよね。
『日本の企業収益については、米国の関税引き上げによる輸出採算の悪化や、海外経済の減速の影響から、当面は、製造業を中心に高水準ながらも減少基調が続くとみています。その後は、海外経済の回復による輸出の増加や、実質賃金の上昇による個人消費の増加に支えられ、改善基調に復していくことを想定しています。』
はあそうですか。
『設備投資については、受注残高解消の動きや旺盛な省力化投資が支えとなりつつも、通商政策を巡る不確実性を背景に増勢は一旦鈍化するとみています。その後は、企業の業績見通しにかかる不確実性が低下するなかで、需要の増加に応じた能増投資など前向きな投資が活発となり、人手不足等による省力化投資も下支えするかたちで、増勢が強まっていくと考えています。』
『名目雇用者所得は、企業収益の減少に伴って増加ペースは幾分鈍化しますが、その後は、労働需給が引き締まった状態が続くもとで、収益の回復に合わせて、増勢が幾分強まっていくとみています。』
『個人消費は、食料品価格の高止まりに加え、企業収益の減少に伴う賞与の伸びの鈍化が下押し要因となりますが、今年の春季労使交渉や最低賃金の引き上げを受けた所定内給与の上昇が一定の下支えになり、横ばい圏内の動きにとどまる可能性が高いとみています。その後は、物価上昇の落ち着きにより実質雇用者所得の改善が明確になっていくことで、緩やかな増加基調に復していくと考えています。』
・・・・・・・・・
『物価の先行きについては、これまで消費者物価指数の上昇に大きく寄与してきた米などの食料品価格のプラス寄与が剥落していくことで、前年比の伸び率は落ち着いていくとみていますが、これまでの物価上昇には、企業による賃金・価格設定行動の積極化なども影響していると考えており、今後の企業行動を丁寧に確認する必要があります。』
『以上の展望には、省力化投資による一定の労働生産性の向上や、原油価格を含む交易条件が改善に向かうことなどを織り込んでいます。』
あのですね、展望レポートの棒読みでよかったら別にボーカロイドにでも喋らせておけば良いんですが。
でもって次の『(2)経済・物価の見通し』ですが展望レポートの中心的な見通しの中央値を読み上げているだけの説明で馬鹿馬鹿しくなってきたので引用を飛ばしましてリスク要因の所ですが、
『(3)経済・物価の先行きのリスク
以上申し上げた経済・物価の先行きにはなお高い不確実性があります。私が注目するリスクについて、3点お話しします。』
私が注目する、とやっと腹話術人形に自我キタコレと思ったのですが・・・・・・・
『1点目は、米国経済の先行きです。近年、米国では、株高にも支えられた個人消費と大手IT企業による設備投資が、経済成長を牽引してきました(図表6左)。これには、企業の新陳代謝や生産性の高いセクターへの労働移動が生じたことや、移民の増加などが寄与してきました。消費者物価は、足元緩やかに上昇の動きがみられますが、これまでのところ、関税引き上げの影響はまだ限定的にみえます(図表6中)。今後、関税の影響が物価や経済活動により大きく表れる可能性や、政府部門の雇用の大幅な削減や移民政策による労働供給の減少が成長を下押しする可能性があります(図表6右)。これまで経済を牽引してきたAI関連投資の成長期待が修正されることによって、資産価格の大幅な調整や米国の景気が大きく減速する可能性にも留意が必要です。』
・・・・・・・・orzorz
私の注目するリスクとかいうから期待したらこの調子である。以下は
『2点目は、各国の通商政策等の影響です。例えば、先日の米中首脳会談は前向きな進展があったとみられていますが、中国がその技術力と競争力によって、米国以外の国々に向けた輸出を拡大させることが、これらの国の企業業績を押し下げ、海外経済、ひいては日本経済への下押し圧力となる可能性があります。一方で、関税交渉の合意内容や関税政策への対応策として、各国が拡張的な財政政策を実施することにより、想定よりも上振れる可能性もあります。』
『3点目は、わが国企業の賃金・価格設定行動と、それらが経済、物価に及ぼす影響です。既往の物価上昇に対応したわが国企業の価格改定の動きは、まだその過程にあるとみているのですが、これまでの経済・物価情勢のもとで、企業の賃金・価格設定行動は従来よりも積極化してきており、労働需給が引き締まった状況が続くとの見方が強まるもとで、見通しよりも賃金上昇やそれを販売価格に反映する動きが強まり、価格の上昇が、家計のコンフィデンスや予想物価上昇率に影響を及ぼす可能性があります。一方で、需要の弱まりなどにより、企業が販売価格に転嫁することが難しく、業績への下押し圧力からコストの削減の方に強く傾くことになれば、賃金に物価上昇を反映する動きが弱まる可能性があります。』
こりゃ酷いとしか言いようが無いくらいに展望レポート棒読みですので、金融政策の部分も全く期待できないのですが、期待できないという期待を裏切ることなく・・・・・・
・金融政策も完全に展望レポート棒読み
『4.日本銀行の金融政策運営』ってがあるのですが、最初の部分が延々と決定済み事項の説明をしていまして最早馬鹿馬鹿しい(というのと半角英数認識しない問題があって補記するのが面倒)ので割愛しますが、先行きの金融政策運営に関しては・・・・・・
『今後の金融政策運営は、現在の実質金利の水準を踏まえると(図表9)、日本銀行の経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』
どう見ても棒読みです本当にありがとうございました。
・ただまあこの見事なまでの棒読みっぷりには棒読みなりのインプリケーションが有るわけでして・・・・・
とまあそういう訳で、なんかわざわざ中川さん来てお話をしなくたって、支店長が説明すりゃエエヤンという位に展望レポートの棒読みでしたが、これはこれで一応インプリケーションというのを捻りだすことは可能な訳ですよ。
すなわち、この中川さんの講演は「とにかく大本営としては今一言も言いたくない」というメッセージを発した、という意味合いが有る(と勝手にアタクシが思う)訳でして、つまりは今後の金融緩和調整に関しまして(あまりもブレーン笑がやかましい上に高市さんにも説明できないので)とりあえずは政権との距離感を掴みがたいのでそこが見えてくるまで政策に関しては地蔵にならざるを得ない、ということになっている、って事なのかとは思いました(あくまでも個人の偏見)。
とは言いましても、まあさすがにこの次にネタにする主な意見でもそうですが、何ぼ何でも政策金利50bpはアカンじゃろという考えもだいぶ政策委員会の中で広がりを見せているので、そういう意味では今回の展望とか総裁記者会見の後半(春闘の初動の動き云々ね)にもあったように、「いつでも動けるようにはしないとさすがにマズイじゃろ」というのも無くは無いと思うのですが、ただまあ高市の取り巻きの馬鹿どもが馬鹿音頭を踊ってやかましい中に利上げ示唆を露骨に突っ込むのもムツカシヤだし、だからと言ってハトハト講演をさせるわけにもいかない、となって講演会の聴衆の皆様にはド失礼になるのを承知で展望レポート棒読みをぶっこんできた、とまあそんな感じですかねえとは思いました、ただのアタクシの妄想の産物ですが。
まあアレです、あたしゃ別に今みたいに「物価目標達成見通しの確度が高まれば利上げ」って言ってる中であれば事前織り込ませとかむしろ有害無益(織り込ませている間に突発事態が起きたときに説明がぐだぐだになって信認を落とす)だと思っているので、別に地均しなんぞ要らんじゃろとは思いますが、今の日銀しぐさって講演だかお漏らし報道だか知らんけど、なんかその手の物を使って前触れをだしたがる傾向にあるので、今回展望の棒読みで一切新しい情報を入れてない、というのはそれはそれで意味があったかな(皮肉も含め)とは思います。
〇10月会合主な意見
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi251030.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 10 月 29、30 日開催分)
・物価のところを見るとバチクソのタカ派はまだ2名に留まるようで
『(物価)』のところを見ますと・・・・・・
『・ 消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペースの影響などを受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで消費者物価とともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』
『・ 米国の関税政策による下押しの影響がこれから顕在化するにしても、わが国の景況は、物価上昇率低下による実質賃金の改善などによって相応に維持され、物価の基調も2%に向けて緩やかに上昇し続けていくと考える。』
最初の2つは大本営ですね。
『・ 物価面では、食料品価格の上昇の影響が顕著で、他の分野における企業の価格設定行動の変化は緩やかである。これは、食料品への支出増が消費者の節約志向につながっているためと思われ、今後の賃金と家計所得の動向を注視することが重要である。』
ということで1名ハトがいるんですが、食料品価格の上昇が顕著で経済の足引っ張っているんだったら少なくとも円安助長政策となる今の超緩和は是正した方が良いんじゃないかね、とは思ってしまいますな。
ああそれからちなみになんですが、上述のような言い方をすると必ず「為替対策で金融政策をいじるのは不適切」っていう藁人形論法で反論されるのですが、「不適切な過度な円安を今の超緩和が助長しているから是正しろ」と言っているだけで円高にするために利上げしろという話ではなくて過度な円安支持政策を止めろという話ですから、会見で総裁に突っ込むときもその辺を断って退路を塞いでからツッコミをすることを推奨したいですな。
以下の意見は、
『・ 物価の上昇は食料品価格の大幅な上昇が影響しており、この背景には人件費や物流費、輸入物価の上昇もあるが、一部の企業の積極的な値上げ姿勢もある。今後の物価動向を見極めるうえでは、こうした企業行動が続くかどうかや、消費者の購買状況等を注視していく必要がある。』
こちらは背景としてもっと強いんじゃないかという認識をしめしているのですが、一方で持続性に関しても確認したいと言っているので現状認識はタカだけど先行きに関しては中立ですね。
『・ 企業や家計の予想物価上昇率は既に概ね2%に達し、インフレ・ノルムが定着しており、物価の上振れリスクが懸念される。実際、家計の足もとのインフレ実感が低下したにもかかわらず、5年後の予想インフレ率は上昇している。賃上げが3年連続して物価安定の目標と整合的な水準になることを見通せる来年春には、物価安定の目標達成と判断できる公算が大きい。』
どう見ても高田さんです本当にありがとうございました、と思うのですが、来年春に物価安定目標達成だったら足元25bpとかいうチンタラ利上げでは間に合わないのではないでしょうかw
『・ 最近の金融資本市場の動きや企業の積極的な賃金・価格設定行動を受け、物価安定の目標が概ね達成されたとの判断の確度はより高まったと考える。現段階では物価が上がらないノルムは既に解け、賃金圧力も伴うだけに、リスクバランス上も物価の上振れをより意識する必要がある。』
こちらは抜刀斎ですね。
・・・・・となりますと、今回は大本営2名、ハト1名、タカにはなり切っていない中立1名、タカ2名で残りは案山子ということになったようです、意見出してないから意見無いのかもしれませんが、少なく見積もってこの3体の案山子が何考えているのかというのは気になるところですな、うーむ。
・物価の方がその調子ですが何故か利上げの方は割とやる気を感じる内容なのですが・・・・・
ということで『U.金融政策運営に関する意見』ですが(政策現状維持なのに)何と13個も意見がありました。
でもってこれ最初の方がですね・・・・・
『・ 経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。そのうえで、こうした見通しが実現していくかは、不確実性がなお高い状況が続いていることを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である。』
大本営ですな。
『・ 先行きの政策判断に当たっては、15%の関税率を前提とした各社の収益計画が早晩固まってくることから、これに基づいた企業の賃金設定行動、特に、来年の春季労使交渉に向けた初動のモメンタムが重要である。』
あら初動のモメンタム。
『・ 先行きの政策運営に当たっては、引き続き、@各国通商政策の世界経済への影響、A米国の金融政策と為替相場の方向性、B国内の物価と賃金の見通しの3点を注視していく必要がある。特に、わが国企業が、関税の影響や米国をはじめとする世界経済の動向についての不確実性を踏まえたうえで、積極的な賃金設定行動を維持するかが重要である。』
この辺りまで大本営っぽい感じではあるのですが、この次がですね、
『・ 来年の賃上げ期待はあるものの、物価上昇による消費行動の変容や、資材価格や人件費などの建設コストや住宅価格の上昇、それに伴う住宅着工件数の減少などから、生活者への負担が増していることが窺われる。また、足もとの銀行貸出の伸びにも注意を払っている。今後、先行きの不透明感は残るが、経済・物価の見通しと達成確度次第で金利を調整すべき環境になると考える。』
えらい散々留保条件付けているのですが、なぜか最終結論は「今後金利を調整すべき環境になる」と言ってるのが真っ先に来まして、
『・ 米欧と異なってわが国の政策金利は中立金利を下回っている。株式市場などの金融資本市場が不安定化する可能性もある。足もとは急ぐ状況ではないかもしれないが、適切な情報発信を続けながらタイミングを逃さずに利上げを行うべきである。』
『・ 金利の正常化をもう一歩進める上では、条件が整いつつあるとみている。もっとも、基調的な物価上昇率については、その定着度合いも確認する必要がある。』
『・ 関税政策の影響が表れるのが遅れている中にあって、次回利上げはなお緩和の範囲内での調整であることを踏まえると、世界経済や金融市場で悪いニュースがないことを前提に、春季労使交渉に向けた初期段階の労使双方の動きなどから、企業の積極的な賃金設定行動が維持される見通しを確認できれば、政策変更につながると考える。』
ちなみにこれはこの前の金懇から勘案すると田村さんかな。
・・・・って感じで、物凄い勢いで「利上げ」の話が出ている感じになっていまして、この先にちょっと様子見の意見が並ぶのですが、そちらも
『・ 米国で所得税還付などにより景気が過熱し、円安などを通じてわが国の物価が大きく上押しされるリスクを考えれば、早めの利上げが望ましいともいえるが、米国の労働市場の「奇妙なバランス」が崩れ始め、資本市場も調整局面を迎え、わが国の物価や景気に想定以上に下押し圧力がかかるリスクもまだ否定しきれない。このため、今しばらく見極めて判断する方が適当である。』
『・ 利上げを行うべきタイミングが近づいているものの、足もと、米国の関税政策をめぐる不確実性が依然として高いことや、わが国新政権の経済政策の方向性がまだ十分に明らかでないことなどを勘案し、状況をもう少しだけ見極めることが適当と考える。』
こんな感じでして、目先については利上げ一色で後はタイミングの問題、という状態になっている、というのが示されているという威勢の良い状態になっていまして、物価の部分の意見が少ないのは政策の方で字数使ってしまいましたみたいなのもあるのかもですが、まあ威勢が良いというのは示されているので、先ほどネタにした中川さんの何も言わない講演との対比がナンジャソラって感じではありました(さっきまとめておきました通りのイメージですが)
以下もう少しあるのですが今朝は時間の関係でここで勘弁(滝汗)
2025/11/10
お題「短国3Mは利上げを織り込みませんね/展望レポート全文は予想物価上昇率の見通し外しっぷりと輸出先行きの記述が気になりますが」
ほーれほれほれ物価高の弊害物価高の弊害
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025110800334
米地方選、完敗に動揺 物価高で不満表面化―トランプ政権
時事通信 外信部2025年11月08日20時31分配信
『【ワシントン時事】米共和党は、4日に投開票されたニューヨーク市長選など地方選で全敗した。高騰する生活費への不満が募り、トランプ政権への批判として表面化した形だ。中間選挙を来年に控え、政権や党内には動揺が広がっている。』(上記URL先より)
ということですが、FEDに利下げさせようとしている場合ですかねえとか言ってる場合ではなくて日本につきましても高圧経済とか言ってる場合かという話になるんですけどねえ〜。
〇短国ちゃんは利上げの織り込みっぷりがアレなんですよねえ
金曜の3M短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251107.htm
国庫短期証券(第1343回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1343回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1343回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年11月10日
4.償還期限 令和8年2月16日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆5,041億円
(2)募入決定額 3兆3,485億8,000万円
(3)募入最低価格 99円87銭2厘0毛
(募入最高利回り) (0.4773%)
(4)募入最低価格における案分比率 60.8367%
(5)募入平均価格 99円87銭3厘6毛
(募入平均利回り) (0.4713%)』
ということで3M短国ですが2/16の足ということでどんどん足が伸びているのですが(毎週新発やってるんだから当たり前だが)、直近の落札結果って、
11/7入札 2/16足: 0.4713%/0.4733%
10/31入札 2/9足: 0.4690%/0.4747%
10/24入札 2/2足: 0.4945%/0.5016%
ということになっておりまして、先週金曜日は平均こそ前週から金利上昇しているのですが、足切は同水準で決着していまして、えーっと12月はさておき1月利上げ観測とはどうなったのかというお話になるのですが、(1月の決定会合は1/23金曜日に終わるので利上げしたら1/26から利上げ適用)まあ短国の場合は短国ならではの事情というのもあるかもしれないけれども、いやーしかし堅調ですなあという感じです。
木曜の6Mも
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251106.htm
国庫短期証券(第1342回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1342回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1342回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年11月10日
4.償還期限 令和8年5月11日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆2,127億円
(2)募入決定額 2兆7,003億8,000万円
(3)募入最低価格 99円70銭0厘
(募入最高利回り) (0.6034%)
(4)募入最低価格における案分比率 26.1360%
(5)募入平均価格 99円70銭7厘
(募入平均利回り) (0.5893%)』
こちらは5/11足で0.5893%/0.6034%ですが、前月の6Mは10/10〜4/10で0.5933%/0.6034%となっていましたが、この時は高市総裁爆誕の巻ただし公明との連立協議が微妙に難航、というときだったのですが、1か月足が伸びているのにレートは同じということになっておったわけですな。
でですな、こちらは1月会合で利上げになったとして手前0.50%で計算すると、足切りの0.6034%ってのは1月会合後0.679%となっておりまして、1月利上げを71%くらい織り込んでいる(つまり全部は織り込んでいない)というレートになっておりまして、うーんこのという感じではありますが、
売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.440
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.440
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.440
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.460
国庫短期証券1341 2026/02/09 平均値単利 0.439
国庫短期証券1343 2026/02/16 平均値単利 0.455←新発3M
国庫短期証券1342 2026/05/11 平均値単利 0.590←カレント6M
ということで、6Mは概ね平均水準になりますが、0.59%としますと1月会合の手前と後ろで分けますと、後半のレートは0.656%になりますので、1月利上げの織り込みが62%まで下がってしまうわけで益々アレという感じではありますな、うーむ。
なお一方で交付税特会の方はと言いますと、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251105.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和7年11月5日入札)
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和7年11月14日
3.償還期限 令和8年5月15日
4.償還方法 令和8年5月15日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 3兆9,810億円
(2)募入決定額 1兆3,000億円
(3)募入最高利率 0.733%
(4)募入最高利率における案分比率 53.7300%
(5)募入平均利率 0.722%』
こちらはまあレートでお察しかと思いますが、平均の0.722%水準で12月利上げ(1月ではない)をきっちり100%織り込んでおりまして、12月会合(新金利は12/22適用)で分かち計算をしますと、12月会合以降の金利が0.780%とかになるので、利上げをかなりきれいな形で織り込んでいるレートになっておりますので、別に短期市場の全体が1月利上げすら懐疑的、ということではないと思いますが、短国の需給がやたら良くて、しかも年末越え要因という訳でもなさそうな感じ(年末越えだけが要因なら2Mあたりがもっと強くなっているのでえすがそこまでの引値になっていない(まあ実際は多少2Mの方が強いと思うのですが)ので)なのでナンジャロネと思いながらメモってみました。
〇展望レポート全文のBOXと予想物価上昇率に関する部分を確認してみましたが輸出の見通しがエライ暗いのが気になる
まあ今更ネタが続きますが10月展望レポートネタで。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2510b.pdf
・よくよく見ると予想物価上昇率が盛大に上がり続けている件について
でまあいつものBOX鑑賞があるのですが、その前に物価の部分で気になったのを1か所。本文30ページ、PDFで32枚目になりますが、インフレ期待の部分ですね。
『第2に、中長期的な予想物価上昇率は、緩やかに上昇している(図表 38)。』
ってことで図表38の『図表38:予想物価上昇率』の『@各種調査』を見ますと(実は7月も上がってはいたのですが)今回ってどこからどう見ても「一段高」になっているんですよ。しかもあの「家計」という『2.
家計は、5択選択肢情報を用いた修正カールソン・パーキン法による。』という推計法、すなわちゼロインフレ期間を多めに推計期間の中に取っていると、インフレ期待が安定している時はよくフィットしても、インフレ期待が変化する場合には過小評価するでしょ、っていう推計方法を使った家計のインフレ期待でさえ(目の子でグラフ見た感じで)1.5%水準に達している訳でして、これはもうどう見てもインフレ期待2%じゃろと思いますし、企業のインフレ期待の数字とか見てると頭がくらくらする水準になっているんですよね。
でですね、このインフレ期待の見通しってのは基本的に「基調的物価」の見通しとニアリーイコールになるので、
『先行きについては、従来より積極化している企業の賃金・価格設定行動は維持され、人件費や物流費を含むコスト上昇を販売価格に反映する動きは継続すると見込まれるものの、成長ペースの影響などを受けて伸び悩むとみられる。』(今回)
ちなみに7月の展望では、
『先行きについては、従来より積極化している企業の賃金・価格設定行動は維持され、人件費や物流費を含むコスト上昇を販売価格に反映する動きは継続すると見込まれるものの、成長ペースの鈍化などの影響を受けて伸び悩むとみられる。』(7月展望レポート全文より)
となっていてまるで同じなのですが図表38を見ますと「どこが伸び悩みですねん」という推移が示されている訳でして、そもそも論としてお前ら基調物価の見通しを読み間違えていないですか、というようなお話になるわけですな。
まあその点を指摘しているのが田村委員であり高田委員な訳ですが、この「インフレ期待」の部分が見通しを定性的にも外している訳でして、だったら金融政策のPDCAのCの所をもっと考えたらいかがでしょうか、という事になるんじゃないかと思うのよね。
なお、より長期的には2%になります、って言う見通しはいつも通りですが、
『その後については、成長率が高まり、労働需給の引き締まりがより明確となるもとで、積極的な企業の賃金・価格設定行動は更に広がっていき、再度、予想物価上昇率は緩やかに上昇していくと考えられる。』
ということになっているのですが、図表38の企業の予想物価上昇率(図表の脚注にありますようにこれは『企業は、全産業全規模ベースの物価全般の見通し(平均値)。』なので短観の数字をそのまま引いているだけなんですが)って既に2%を上回っているのに更に上昇しているんですが、一層上がった感じで行動されたらそれ物価は目標よりも上振れしませんか、って思ってしまいました、まる。
・今回のBOXは前回対比増量企画
ということで本文38ページ(PDFの40枚目)に飛びますけど。
(BOX1)米国関税政策の影響と先行きの輸出に関する考え方
(BOX2)設備投資の堅調さの背景
(BOX3)食料品価格の上昇と個人消費への影響
(BOX4)賃金上昇が物価に及ぼす影響
でもって各ボックスの分量ですが、
BOX1→3ページ
BOX2→2ページ
BOX3→3ページ
BOX4→3ページ
ということですが、これ7月展望は
(BOX1)各国の通商政策の動きとその影響:アップデート(3ページ)
(BOX2)不確実性と設備投資 (2ページ)
(BOX3)最近の食料品価格上昇の背景とその影響 (4ページ)
だったので、BOX4が丸々増えた格好になっていますわなという所でして、この「(BOX4)賃金上昇が物価に及ぼす影響」って好循環とか言ってたのに何を今さらジローな気しかしませんが・・・・・
・米国関税政策の影響と先行きの輸出の見通しがエライ弱気なんですよね
でもって「(BOX1)米国関税政策の影響と先行きの輸出に関する考え方」 ですけど。
『本BOXでは、関税引き上げがわが国経済に及ぼしている影響について、足もとまでの状況を点検する。そのうえで、先行きのわが国輸出の考え方を財別に整理する。』
ということでああだこうだと説明があるのですが、先行き見通しの所を確認しますとですね、
『以上の関税引き上げの影響を踏まえたうえで、わが国の輸出の先行きを展望すると、米国の関税引き上げに伴う駆け込みの反動減がマイナスに作用するほか、海外経済減速による下押し圧力も徐々に強まっていくと予想される(図表
B1-4)。』
うーむこの弱気。
『以下、財別に考え方を整理する。』
ということですが当然ながら主に考察されるのは自動車関連になりまして、
『まず、米国向け輸出の3分の1程度を占める自動車関連輸出をみると、』
はい。
『一部自動車メーカーの生産ライン停止の影響もあり、足もとで減少しているものの、米国新車販売がアナリスト等の予想を上回って堅調さを維持するもとで、なお高めの水準となっている(図表
B1-5)。』
なのですが、
『こうした堅調さの背景には、@EV等補助金の終了前の駆け込み需要に加えて、A関税引き上げ分の価格転嫁が、他の財と比べて緩慢なペースにとどまっていることから、駆け込み需要の反動減が本格化していないことも影響しているとみられる(図表
B1-6@)。』
といういつもの「これから来る」攻撃キマシタ。
『実際、わが国のみならず、他国の自動車メーカーも対米輸出価格を引き下げることで、関税分の販売価格への転嫁を抑制しており、米国の自動車需要が価格面から下支えされている様子が窺われる(図表
B1-6A)。』
『先行きは、米国自動車市場において関税コストの販売価格への転嫁がゆっくりと進むもとで、米国を中心に前倒し需要の反動も含めて最終需要への下押し圧力が強まってくることから、自動車関連輸出は伸び悩む可能性が高いと考えられる。』
だそうですわよ。
『次に、情報関連輸出は、半導体分野別関税の導入可能性に備えた前倒し需要だけでなく、AI関連需要の基調的な強さにも支えられて、増加傾向を続けている。』
今回展望レポート基本的見解の中でもAI関連の話が出ていましたわな。
『世界半導体出荷額について、最新の業界予測も含めて周波数分解を行うと、@中期的にPC・スマートフォンの買い替えサイクル(コロナ禍での巣ごもり需要から購入された分の買い替え期)が到来するもとで、A長期的にもAI関連需要がトレンド的に増加していることから、ITサイクルは、足もとで拡張局面に入っている可能性が窺われる(図表
B1-7)。』
ほう。
『このうち、AI関連需要は、米国における生成AIやデータセンター等への投資需要がけん引している。』
へー。
『この点、わが国IT関連企業の出荷は、PC・スマホ関連や車載向けが中心で、昨年以降急増しているAI関連需要を十分に取り込めているとは言い難く、わが国情報関連輸出の増加幅は、GPUやデータセンター向け製品の多い台湾・韓国メーカーと比べると限定的となっている(図表B1-8)。』
さよですか。
『先行きも、情報関連輸出は、AI関連需要の恩恵を一部で受けるものの、PC等の買い替え需要が一巡すると、いったん下押し圧力がかかる可能性が高い。』
なのに何で展望の基本的見解でわざわざAI入れたんじゃろ、と謎は残るのだがAI関連もこのトーンでして、
『最後に、資本財輸出をみると、』
ということで資本財になるのですが、
『中国向け半導体製造装置の需要一巡から、持ち直しが一服している(図表 B1-9)。』
ほう。
『通商政策を巡る不確実性が残るもとで、世界的に設備投資の先送りが一部で顕在化しているとみられ、機械受注の外需も増加から横ばい圏内に転じている19。このため、先行きのわが国資本財輸出も、減速していく可能性が高い。』
というあっさり味で締めていまして、結局輸出とかトラ公関税の影響とかの部分がエライ勢いで弱気に見えますなあ、ということでありまして、そんなに弱気化する話なのかよという気もしますけれども、この部分が結構気になりました、というネタでした。
その他のBOXに関しては明日以降で勘弁してつかあさい。
2025/11/07
お題「高市政権財政は爆発コースですなあ(トホホ)/9月議事要旨の編集の妙味に見られる先行き利上げ示唆メッセージ」
そもそも論としてワイズスペンディングってのも幻想に近い話なので
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0656M0W5A101C2000000/
高市政権の積極財政「賢い支出」を、減税は物価高助長 経済学者が注文
エコノミクスパネルの佐藤主光氏×渡辺努氏
エコノミクスパネル
2025年11月6日 18:00
言っていることの意味はわかるけど、「責任ある積極財政」というのと「ワイズスペンディング」っていうのは議会制民主主義で普通選挙やってる場合には同レベルの机上の空論じゃねえかと言いたくなる話だし、「責任ある積極財政」とか言う無責任極まりないものにお墨付きを与えるようなもんだからむしろタチが悪いという風にも思ってしまう訳ですな、個人の偏見オブ偏見ですが(制約のある中でのやりくりでワイズスペンディング、ならまだ話はわかるんだけどさ)。
〇やはり財政方面で大立回りをするようですな〜
ということで今日もメモから。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6d0a2fc8ad0c3331b36ca47045439e0bd25ad0be
若田部前日銀副総裁を起用へ 諮問会議に積極財政派 政府
11/6(木) 22:27配信
『政府は6日、経済財政諮問会議の民間議員に安倍政権が経済政策「アベノミクス」を推進していた際に、日銀副総裁を務めた若田部昌澄早大教授を起用する方向で調整に入った。』(上記URL先より)
ということでまあ前日から報道は出ていたのですが、経済財政諮問会議の柳川先生は放逐されまして若田部大先生が起用されるようですが、まあ拙駄文では指摘していたとは存じますが、大先生の日銀時代の講演とか基本的に読みどころの無い(ツッコミどころはある)物件であったことを勘案するとまあ頭がクラクラしてくる訳でして、この入れ替えは控えめに申し上げて国債売ってプリンストン債買う(ご存じない方は調べて味噌、気が付けばあれから四半世紀経ってるんですよね)レベルかとは存じますので(個人の偏見です)あーあーあーという感じですな、ナムナム。
でもってこちらは今朝の2時配信なので朝刊記事になると思うのですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA051H30V01C25A1000000/
高市早苗首相、自民党内に「積極財政派」別動隊 肝煎り政策を主導
高市早苗政権
2025年11月7日 2:00 [会員限定記事]
『高市早苗首相は先端技術や安全保障分野への投資拡大を推進するため、自民党の積極財政派の議員と協力する。自身と考え方が近い議員連盟のメンバーを閣内や政府会議に配置した。政策決定の議論を主導し、肝煎り政策の実現につなげる。』
『自民党所属の衆参両院議員73人でつくる「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が6日、国会内で会合を開いた。高市政権の積極財政を「実行部隊として支える」方針を決定した。』(上記URL先より)
・・・・・・orzorz
まあこりゃ碌なもんじゃないという感じですが、ただまあこの「積極財政」の答え合わせが直ぐに出てくるかというとそれもまた微妙かもしれないのですけど、初手の外交(特に対韓外交)の動きが素晴らしかったので期待したアタクシだったのですがこりゃどうも無理ぽですわという印象を強く受けましたでござるの巻。
というただの備忘メモでした。
〇米国12月利下げはますます微妙な感じですかしら(これもメモですが)
今朝はこんなのが
https://jp.reuters.com/markets/japan/ZR5K74W43RJFNNQI756S5IDUGU-2025-11-06/
追加利下げ不要、インフレ高止まり=米クリーブランド連銀総裁
Michael S. Derby
2025年11月7日午前 3:31 GMT+9
『[ニューヨーク 6日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のハマック総裁は6日、米国のインフレ率が高止まりしていることを踏まえ、連邦準備理事会(FRB)は追加利下げを実施するべきではないとの考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)
投票権は無いのですが、
『ハマック総裁はニューヨークのエコノミック・クラブでの講演で「高インフレを引き続き懸念しており、金融政策はそれに対応するものでなくてはならない」と指摘。「先週の連邦公開市場委員会(FOMC)後、FRBの金融政策はほとんど引き締め的ではなくなったと考えている」とし、一段の利下げを実施すべきか、現時点で自分自身にとっては明確ではないと語った。』
中立金利水準(どうせ事後的にしか分からんというか事後でもわからんという気もしますけど)がどの辺なのか、という話が出てくるんでしょうなあとか思う訳ですが、日銀会合あって月末月初でなんかワチャワチャしてて整理が追い付きません誠に面目ない。
あと、ウィリアムズは政策金利云々の話ではないのですが、
https://jp.reuters.com/markets/japan/DRXV374VORIWHPBAOBEAFIDHGM-2025-11-06/
米FRBの独立性、世界経済にとって極めて重要=NY連銀総裁
Ann Saphir
2025年11月7日午前 3:32 GMT+9
『[6日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は6日、連邦準備理事会(FRB)は独立性を維持しているため、短期的な政治的帰結に左右されずにインフレを抑制できるとし、FRBの独立性は米経済だけでなく世界経済にとって極めて重要になっているとの考えを改めて示した。ウィリアムズ総裁はドイツのフランクフルトにあるゲーテ大学でのイベントで「中央銀行が独立性を失えば、物価安定や経済安定の面で深刻な結果がもたらされる」と述べた。』(上記URL先より)
ってな話をしているので、まああんまりトランプの尻馬に乗る感じじゃない、という流れですが、さきほどのハマックの中立金利との乖離の話も含めますと、物価指数が下がってくれないとか、何なら反転上昇とか言い出した場合は、「中立金利に向けた調整」をする必要は乏しいだろ、という話になってくるので、12月利下げの有無に加えて先行きの金利パスに関しても論点になってくるんじゃなかろうかとは思うところではありますが、傍目で見ているとそこまでの織り込みになっているかというとそういう話はまだなのかしらとも思ってしまいます。
あとグールズビーも利下げ慎重発言していますがそれは既にこの前も言ってたので引用割愛します。
〇9月会合議事要旨の「今後の金融政策」部分(昨日の残りです)
今回の議事要旨はこちら
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2025/g250919.pdf
政策委員会
金融政策決定会合
議事要旨
(2025年9月18、19日開催分)
9月会合主な意見
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250919.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 9 月 18、19 日開催分)1
昨日アタクシの段取りの悪さのせいで時間切れになってしまったので続きでございますサーセン。
・先行きの金融政策運営に関しての部分でも「この先の利上げ」に関する示唆を思わせる記述があると思うのだが
先行きの金融政策運営に関する部分です。こちら9月会合主な意見の該当部分をまずは改めて見てみますと、
『・今後の政策運営に当たっては、各国通商政策の世界経済への影響、米国の金融政策と為替相場の方向性、国内の物価と賃金の見通しの3点を注視していく必要がある。
・ 米国経済の帰趨が見えることを待つことで得られる知見もあるが、国内の物価との関係では待つことのコストも徐々に大きくなっていくので、待つことのコスト・ベネフィットやそれに伴うリスクの比較考量が必要になっていく。
・ 経済・物価が本行の見通しに対してオントラックであり、大きく軌道を外れなければ、ある程度定期的な間隔で政策金利の水準を調整していくべきであると考えている。この先、米国の関税の影響を含め、3月決算企業の上期決算と通期見通しや短観など、幅広い情報が揃うだろう。
・ 米国の相互関税賦課以来の不安が後退し、物価見通し実現に向けて海外要因の制約が解消に向かう中、再び利上げスタンスに回帰し、海外対比で低水準の実質金利の調整を行い得る状況と考える。
・0 .5%までの利上げの経済 全 体 への影響は 極めて 限定的である。上下双方向のリスクがある現時点で、政策金利を一気に引き締める領域まで引き上げるべきではないが、物価の上振れリスクがある中、将来の急激な利上げによるショックを避けるため、中立金利にもう少し近づけておくべきである。』(以上の部分9月会合「主な意見」より引用)
って感じ(最後のは田村委員の利上げすべしの意見ですが)かと思いまして、ご案内の通りですがこの辺りが出たことと日銀短観の合わせ技で早期利上げありうべし、って感じになった(ただしその後は高市総裁爆誕で話が振り出しに戻りましたが)訳なので、元々「主な意見」の時点でも先行きの金融政策に関しては「今はまだでも先行きは利上げよ」ってテイストを割と強めに出していたというのが「主な意見」でした、という復習をしましてでは議事要旨に参りましょうず。
『先行きの金融政策運営に関連して、多くの委員は、@米国をはじめとする世界経済の動向、A関税政策がわが国企業の収益や賃金・価格設定行動に与える影響、B食料品価格を含めた物価動向などを点検し、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度や、上振れ・下振れ双方向のリスクを丹念に点検し、予断を持たずに判断していくことが重要であるとの認識を示した。』
これ自体は決定会合の時点でも説明されていたことなのですが、「主な意見」の方を見ると先行きの金融政策運営の話では米国経済リスクの話が前面に出ていて、つまりは上記の3点というはまさに@から順に見て行く、という感じになっていたかと思われます。
でもってこれは9月議事要旨ネタからは若干逸脱しますが、10月会合における情報発信を見た場合、「来年度の春闘に向けた初動のモメンタム」というのが前面に出ていて、つまりは注目点は@からAに移行しているということになりますな。
でもってここでまた編集の妙味が出てしまう訳ですが、9月議事要旨はこの続きの一発目が、
『ある委員は、企業収益や春季労使交渉の事前情報などから、ここ数年の賃上げの流れが途切れないことがある程度の確度をもって予想できるかどうかが重要であると
の見方を示した。』
ってしれっと書かれているのですが、「主な意見」の『U.金融政策運営に関する意見』の部分見ますとこれらしい記述は無いんですよね。
勿論ですけれども、主な意見に自分の何の見解載せたいかは各委員が自分で考える話になるので、主な意見に載ってない意見が載るのは別におかしい話ではない(むしろ自然)なのですけれども、そうは言っても個別委員からの指摘のコーナーの一発目が主な意見に載っていないものってのは中々味わいがあるなと思う訳ですな。
さらにオモロイなと思うのは、その意見が「企業収益や春季労使交渉の事前情報などから、ここ数年の賃上げの流れが途切れないことがある程度の確度をもって予想できるかどうかが重要」っていう10月会合議事要旨ですかってな意見になっていることでして、まあ当然言ってもいないことはここに書かれる訳は無いので9月もこの話をしていた、ということではあるのでしょうが、これって賃金動向に関しての点検だってちゃんと行っていますし把握も進みますよ、ってことを言っているようなもんだと思いますので、つまりはこの辺りの意見も「賃金動向の把握をするのに別に無茶苦茶時間がかかるわけではないですよ」っていう大本営の声なき声を示したのかしら、などと思ってしまいました。だいぶ個人の偏見だとは思いますが一応。
『一人の委員は、経済・物価が日本銀行の見通しに対してオントラックであり、大きく軌道を外れなければ、ある程度定期的な間隔で政策金利の水準を調整していくべきであると述べたうえで、この先、米国の関税の影響を含め、企業の上期決算と通期見通しや短観など、幅広い情報が揃うとの認識を示した。』
思いっきり主な意見の通りですね。
『別のある委員は、米国経済の帰趨が見えることを待つことで得られる知見もあるが、国内の物価との関係では待つことのコストも徐々に大きくなっていくので、待つことのコスト・ベネフィットやそれに伴うリスクの比較考量が必要になっていくと指摘した。』
これも主な意見通り。
『これに関連して、複数の委員は、待つことのコスト・ベネフィットを考える際には、わが国の場合、長年にわたるデフレを経験していることも考慮する必要があるとの認識を示した。このうちの一人の委員は、マクロ的な需給ギャップがほぼゼロに達している状況では、物価の上振れリスクにも留意が必要としつつも、わが国の金融政策には、インフレ期待を2%にアンカーさせるという他の中央銀行にはない特別な配慮が必要であり、アンカリングが不十分と考えられるうちは、緩和的な金融環境をできるだけ維持し続けることが適当であると指摘した。』
さらにここも興味深くて、10月会合における植田総裁は相変わらずで弊駄文既報の通り、「ビハインドになってませんか」の問いには「なってません(
ー`дー´)キリッ」という感じで一刀両断している回答(をしたのでドル円がその瞬間40銭くらい飛んでましたが)だったのですが、これを見ますと、「待つことのコスト・ベネフィット」に関して「ある委員」からの指摘に対して「複数の委員」から反論も出ている、という状況になっている、というのをこれは示している訳ですな。
まあ実際の話がどういうニュアンスで行われたのかは判然とはしないですが、こうやってそれなりの文字数を割いて議事要旨に掲載している、ということはかつてのような「待つことのリスクは小さい」の一点張りでは全然ないですよ、ということを示しているとしか読み取れない訳でして、しかもこれが今回ではなくて9月会合の時点での話として示されているのですから、この辺りでも日銀は利上げを結構ちゃんと考えていますよ、っていうのを伝えようとしてませんかねえ、とは思ったりする訳です、まあ個人の偏見かも知れませんが笑。
あとここでの「待つことのプロコン」の中では「インフレ期待のアンカリング」という概念としては良くわかるのですが、じゃあ実際の政策判断に使うにあたって使えるのか、というとこれまた使い物にはならず、結局は政策行動の屁理屈に使われやすい概念が出てきておりますが、今後はこのインフレ期待のアンカリング、というフワフワしたものをどうやって判断するんですか、って辺りも面白論点になりそうな気がします。
・ETF売却に関して
まあここは特にいう事も無いというか何ですかこの100年計画はとしか言いようが無いのですが、
『この間、何人かの委員は、市場のリスク・プレミアムに影響を与えるために相応の規模で購入したETF等を、市場に影響を与えないように十分緩やかなペースで処分していく以上、処分完了まで長期間かかるのはやむを得ないとの認識を示した。』
『この点に関し、ある委員は、今回の売却ペースについては、単純計算で処分に
100 年以上かかると指摘されるであろうが、それが却って安心材料となり、市場への影響を軽減することに繋がるとの見方を示した。』
っていうことなんですけど、後日出てきたFSRちゃんを見ますと「株式市場」って赤いわけでして、だったら安心材料なんぞ与えたら更に株式市場の過熱を加速させる要因になりませんかねえとも思う訳で、なんかちぐはぐなんだよな〜と思いました、まあオマケですけど。
〇短国とかの話があった気がするが時間が無いので勘弁
昨日は6Mで相変わらず足切りが0.60に辛うじて乗るも引値は0.585%水準で、6M前月と同じレートってナンジャラホイという感じではあるのですが(1か月足が先なんだから先行きの利上げを織り込むなら先月より金利高くても罰は当たらんじゃろという意味)相変わらずだし、今日は3Mでございますがはてさてどうなるんでしょうかねえと。
2025/11/06
お題「やはり財政運営が怪しそう/9月会合議事要旨は主な意見よりも更に利上げとの距離の近さを示しているんじゃないかと」
だんだん怪しげになってまいりましたorzorz
https://mainichi.jp/articles/20251105/k00/00m/010/217000c
「慣れない副業する人が心配」 高市首相、労働時間規制緩和巡り見解
政治 経済 速報 雇用・就職・働き方
毎日新聞 2025/11/5 16:25(最終更新 11/5 18:06) 395文字
『高市早苗首相は5日、衆院本会議の代表質問で、労働時間規制の緩和検討について「過労死に至るような残業を良しとはしない」と述べた一方、「残業代が減ることで、生活費を稼ぐために慣れない副業で健康を損ねる方が出ることを心配している」
と語った。』(上記URL先より)
「残業代が減ることで、生活費を稼ぐために慣れない副業で健康を損ねる方が出ることを心配している」
・・・・お前は何を言ってるんだ。
〇結局「財源は国債」だしまあ何だかねえ・・・・・・
外交では中々良いムーブを示していたので結構期待しているのですが(というか折角だから期待したいのですが)肝心の経済財政政策は結局あのアホアホ取り巻きのアホアホ教に帰依したままのようで甚だ遺憾の極み。
https://jp.reuters.com/world/japan/3DARGNIONRKHHHMDSEI5UR77Q4-2025-11-05/
マクロスコープ:高市首相が教育・防衛国債に含み、専門家は「金利上昇材料」と警戒
鬼原民幸, 竹本能文
2025年11月5日午後 5:39 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - 高市早苗首相は5日の衆院代表質問で、教育と防衛政策の強化に充てる「教育国債」「防衛国債」導入の可能性を問われ、「未定だ」と前置きしつつ新たな財源調達のあり方を検討していると述べた。国債発行による財源確保に含みをもたせたもので、具体化すれば政府の財政運営の大きな変更となる。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、「新たな財源調達」と言ってますけど結局国債増発をするというお話で、しかも「教育国債」だの「防衛国債」だの名前を変えて正当化しよう、というのがもう発想がリフレ一派の火事場ナンチャラを彷彿させるものとなっておるわけでして、(リフレ一派は東日本大震災の後復興名目で日銀の国債直接引受を提唱しだして、まあアレ以来ワシはリフレ一派は碌なもんじゃねえなと思った訳ですが2011年4月辺りに書いた過去ログを見ると結構あの時期のやりとりを記録してましたが、当時の駄文は措辞が色々と不穏当なのでまあその辺ご了承頂きたく存じます次第ですわ、まる)こうやって美名を使って国債増発しようという発想がヤバいんですよね、というのがワシの基本思想。
『「国債とするか否かは未定だが、リスクを最小化し未来を創造するための投資にかかる新しい財源調達のあり方については前向きに検討している」。高市氏は国民民主党の玉木雄一郎代表から「教育国債」「防衛国債」発行検討の有無を問われ、こう述べた。』
まあどう見ても発行する気満々でしょ(事務的に直ぐに発行できないとか言われて名前はつけない可能性はあるけど)という感じでして、
『SBI証券チーフ債券ストラテジストの道家映二氏は「教育国債という発想は建設国債と同じく資産だから赤字国債の対象外という発想だろう」とみた上で、「国債の増発につながるロジックで、国債売り、金利上昇材料だ」と指摘する。「市場関係者の間では、高市政権は中枢に麻生太郎・自民党副総裁や鈴木俊一幹事長がいることや『小さな政府』を志向する維新と連立していることから財政再建に理解があると誤解している人がいるが、今後徐々に非常に積極的な財政拡大方針が浸透してくる可能性がある」と話した。』
ワシの駄文、基本的に個別コメントは晒し上げ以外では引用しないように心がけているのですが、こちらの道家さんのコメントは首がもげるほど頷いてしまったので引用します。
〇9月会合議事要旨は9月会合主な意見と並べると味わいがあるという珍しい作品に仕上がっています
今回の議事要旨はこちら
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2025/g250919.pdf
政策委員会
金融政策決定会合
議事要旨
(2025年9月18、19日開催分)
ちなみに今回9月会合主な意見との比較部分が出てくるので主な意見
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250919.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 9 月 18、19 日開催分)1
・アクチュアル物価の記述部分ですがなんか絶妙な編集をしているように見えますけど・・・・・・・
物価の先行きに関する部分をまずは見ますけど、
『物価の先行きについて、委員は、このところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられるとの認識を共有した。』
というのは結論がそうなのですからそうなんですけど、
『ある委員は、米価の先行きはなお不透明であるが、輸入食材を含む食料品の価格が落ち着いてくることに伴い、消費者物価の上昇率は徐々に低下するとの見方を示した。』
のあと、
『また、別のある委員は、最近の加工食品の値上がりに関し、一部の企業は、輸入物価の上昇が落ち着いている中でも積極的な値上げに踏み切っている印象があるとしたうえで、多くの先が価格転嫁が不可欠であるほど収益が悪化して
いるわけではないことを踏まえると、今後の消費者の購買状況次第では、値上げの流れに変化が生じることもあり得ると述べた。』
という「足もとの価格上昇は調子に乗り過ぎ」の指摘が入るのですが、その後は
『これに対して、一人の委員は、輸入物価や米などの原材料価格のトレンド、食料品価格への価格転嫁の継続度合い、食料品以外への価格転嫁の広がりの3点に注目していると述べたうえで、銘柄米の価格水準は見通し対比でやや強めに持続する可能性があるとみているほか、データやヒアリング情報を踏まえると、食料品価格への価格転嫁の継続性が高まっているのではないか、との認識を示した。』
ってのが来まして、、
『そのうえで、この委員を含む何人かの委員は、最近の食料品価格上昇には、人件費や物流費を販売価格に転嫁する動きも相応に影響していることを踏まえると、価格上昇が想定以上に長引く可能性があることにも留意する必要があると指摘した。』
ということで、殆どがアクチュアルの物価の見通し対比の上振れというか下がらん可能性について指摘した意見のオンパレードになっているんですよね。でまあ主な意見の時にも確かにそんな感じの指摘はありますなあとか言いながらネタにした(ちなみに先月の頭ですねネタにしたの)ですが、それ以上に物価に関するトーンが強めに出ているような編集になってるじゃん、と思う訳ですよこれがまた。
つまりですね、アクチュアルの物価に関する主な意見での記述はこの4意見になっていたんですが、
『・消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね
整合的な水準で推移すると考えられる。
・ 加工食品の大幅な値上げが続いているが、輸入物価の上昇が落ち着いている中でも、一部の企業は積極的な値上げに踏み切っている印象もある。消費者の購買状況次第では、値上げの流れに変化が生じることもあり得る。
・ 物価の先行きについては、輸入物価や米などの原材料価格のトレンド、食料品価格への価格転嫁の継続度合い、食料品以外への価格転嫁の広がりの3点に注目している。銘柄米の価格水準は見通し対比でやや強めに持続する可能性があるとみているほか、データやヒアリング情報を踏まえると、食料品価格への価格転嫁の継続性が高まっているように思う。
・ 食料品価格の上昇の相当部分は米価を起点とするものだが、米価以外の要因に基づく部分もかなりの比重を有する。』(以上「9月会合主な意見」より)
ってなっていまして、指摘されている4点の並び順と言ってることの趣旨は同じなんですけど(それはさすがに違ったらアレですので)、よくよく見ればこの主な意見のところでは最後に一番あっさり味で書かれている記述が「そのうえで、この委員を含む何人かの委員は」という複数委員の指摘となっている上に、「価格上昇が想定以上に長引く可能性があることにも留意する必要がある」という石直球が投げ込まれるでござるの巻ともなっておりまして、どう見ても主な意見よりもここのトーン強めに出ているんですよね。
・基調物価の所でえらい長い議論が入っているのは主な意見では読み取りにくかったですね
でもってお気持ち物価もとい基調物価に関してですけれども、まずは話の都合上主な意見を見ますと、
『・基調的な物価上昇率は、2%に向けて緩やかに上昇しているものの、なお2%に至っていないと考えている。そのうえで、食料品価格の上昇が想定以上に長期化した場合には、予想物価上昇率を通じて基調物価を押し上げる可能性がある一方で、家計のコンフィデンスの悪化が個人消費に影響すれば、基調物価を押し下げる方向に作用する可能性もある。
・ 基調的な物価上昇率には推計の幅や計測誤差もあるため、2%に達したか、伸び悩んでいるかの識別は容易ではない。一方、2%近傍で定着したかを丁寧に確認する必要はあり、モデルからの示唆も含めてみていきたい。
・ 賃上げ定着を受けた国内要因によるインフレ圧力に加え、予想物価上昇率も高まるなど、「物価安定の目標」が概ね実現したと捉えている。既に物価が上がらないノルムが転換し、インフレ期待も引き上がる中、物価上昇の二次的影響が生じやすく、物価の上振れリスクが存在する。
・ 物価の基調は2%定着に向けて、着実に歩みを続ける公算が大きく、今後の財政政策の影響を含め、上振れリスクも大きい。』(以上「9月会合主な意見」より)
ってなっていたのですが、基調的物価のパートの議論が結構な充実ぶりだったんですね。まあ9月会合は利上げ提案に関する議論もあったし、ETF等の売却の話もあったので、中々主な意見ではカバーできなかったというのは有ると思います(字数の関係で)けれども、この辺りの話をかなり突っ込んでやっていました、というのがこの議事要旨では伝わってくるのよね。
ということで議事要旨引用しますけど、
『また、消費者物価の基調的な上昇率について、委員は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとの見方を共有した。』
これは決定事項ですわな。
『何人かの委員は、足もとまでの各種指標の動きを踏まえると、基調的な物価上昇率は2%に向けて緩やかに上昇しているものの、なお2%に至っていないとの認識を示した。』
逆に他の委員はどういう認識なんでしょ・・・・・・
『ある委員は、実際の消費者物価が徐々に低下していく中でも、基調的な物価上昇率は2%に向けて着実に高まりつつあり、インフレ期待の各指標も、足もとでは1%台後半に入りつつあると指摘した。』
まあそもそも論として消費者物価の「水準」自体は精々横ばいであって徐々に低下というほどの推移は示していないと思いますけどそれはさておきまして、1%台後半に入りつつあるんだったらそれ計測誤差も勘案したらほぼ目標達成じゃろとは思うのですけどね。
でもってここから先が基調的物価の計測とかコミュニケーションの話になってきまして、
『一人の委員は、基調的な物価上昇率には推計の幅や計測誤差もあるため、2%に達したか、伸び悩んでいるかの識別は容易ではないが、2%近傍で定着したかを丁寧に確認する必要はあり、モデルからの示唆も含めてみていきたいと述べた。』
『この間、別のある委員は、基調的な物価上昇率を計測する指標には様々なものがあるが
、それぞれの 特性や有用性について 整理・検討を深めることが必要であると指摘した。』
今回の展望で「基調的な物価上昇率」とか言い出してしまっていて、総合判断っぽい説明になっていた7月展望対比でまたまた「ザ・基調物価」を出そうとしだしているんじゃネーノという懸念が、
『別の一人の委員は、基調的な物価上昇率を捉えるとされる 全ての指標を詳しく説明することは必ずしも適切でないものの、月次で公表されている特定の指標の動向だけに注目が集まることも望ましくないと述べたうえで、引き続き、適切な情報発信の方法を工夫していく必要があるとの見解を示した。』
と、どんどんコミュニケーション方面の議論になっていまして、
『複数の委員は、基調的な物価上昇率は、金融政策を運営するうえで非常に重要な概念であると指摘しつつも、その正確な計測が難しいことなどを踏まえると、具体的な水準の特定に議論の焦点が当たり過ぎれば、経済・物価見通しとの関係で適切に政策を判断していくという金融政策の基本的な考え方をうまく
伝えられなくなる可能性があるとの認識を示した。』
これは仰せの通りで、中立金利の議論もそうなのですが、概念的に幅があって、結局のところ総合判断で見て行く(中立金利なら設定した政策金利に対して経済がどう反応したかで事後的に判断するんだし)しか無い話なので、概念としては非常に重要であっても、実際の金融政策運営をどうするか、という話になると使い物にならない概念(ただし説明をするときには便利な概念なのでついつい中央銀行は使ってしまいがちになるんですけどね)だと思うのですよね。
でもってその点を複数の委員が指摘しているのに何で10月展望の記述に「基調的な物価上昇”率”」って出しちゃうかな問題はあるのだがそれはさておき、
『このうちの一人の委員は、基調的な物価上昇率が2%にかなり近接した状況の中、実際の物価上昇率を重視したコミュニケーションも必要であると指摘した。』
好意的に解釈しますと、10月展望の鏡の部分で「基調斬物価上昇率」というのを出して、しかもそれを実際の物価と並列して見通し説明に入れていたのは、この人の意見を取り入れていて、基調物価が2%でアンカーされるんだったらCPIも2%でアンカーされるという世界を想定したコミュニケーション、すなわち物価目標達成を視野に入れたコミュニケーションを行っている、つまりは12月利上げ待ったなし、とも言えたりするんじゃないでしょうかと存じます次第でございます。
『また、別の一人の委員は、「展望レポート」における物価見通しが、来年度、コストプッシュ要因の減衰に伴いいったん2%を下回り、その後、再び2%に向かっていくかたちになっている背後には、基調的な物価上昇率が、緩やかに上昇しつつも、なお2%に至っていないという判断があるとの認識を示した。』
理屈としてはそうですよね。実際には基調物価が既に2%乗っていたらこうはならないと思いますけど。
『このことを前提に、この委員は、基調的な物価上昇率の説明に偏り過ぎず、長年そうであったように、「展望レポート」における経済・物価見通しを政策運営上のコミュニケーションの中心に据えることが適当ではないか、との見解を述べた。』
ということでコミュニケーションの話が結構充実していました、って思うのですよね。
でもってさらに物価のリスク要因(さっきの主な意見で並んでいた後半の方になる)ですけれども、議事要旨ですと経済のリスク要因の話のあとに物価固有のリスク要因になるので物価の部分だけ引用しまして途中飛ばしますけど、
『物価面のリスクに関して、複数の委員は、企業の価格設定行動次第では、食料品価格の上昇が想定以上に長期化する可能性がある一方、家計のコンフィデンスの悪化が個人消費に影響すれば、物価上昇率を押し下げる方向に作用する可能性もあると指摘した。』
主な意見でもありますし、10月展望でもこの指摘は継承されていますね。
『ある委員は、賃上げ定着を受けた国内要因によるインフレ圧力に加え、予想物価上昇率も高まるなど、「物価安定の目標」が概ね実現したとの認識を示したうえで、既に物価が上がらないノルムが転換し、インフレ期待も引き上がる中、物価上昇の二次的影響が生じやすく、物価の上振れリスクが存在するとの見方を示した。』
高田さんですね。
『また、一人の委員は、物価の基調は2%定着に向けて、着実に歩みを続ける公算が大きく、今後の財政政策の影響を含め、物価の上振れリスクも大きいとの見方を示した。』
『これらに対し、別のある委員は、物価高が消費者マインドに影響し、サービス消費が若干伸び悩んでいる足もとの状況を踏まえると、これまでのところ、食料品価格のコストプッシュ的な上昇が、より一般的な基調物価の上昇に広がっていく兆候は感じられないと述べた。そのうえで、この委員は、今後の価格改定の動きや可処分所得に関する政府の対策の影響などを丁寧に確認していきたいと付け加えた。』
『この間、何人かの委員は、米国経済が想定以上に減速した場合には、わが国の実体経済のみならず物価の下振れ要因にもなるとの認識を示した。』
となっていて、リスク要因としての上振れ警戒のトーンは逆に主な意見で出ているよりは強くなさそうにも見えるのが中々微妙だなとは思いました。
・政策に関しましても・・・・・・
政策金利どうします問題の所ですけれども、金利維持に関する議論パートがこうなっていました。
『何人かの委員は、日米間の交渉の進展はわが国経済を巡る不確実性の低下に繋がると考えられるが、当面は、通商政策等が内外の経済・物価に及ぼす影響を見極める必要があるため、現在の金融政策運営を維持することが適当であるとの見方を示した。』
金融政策の所の主な意見を引用しだすとクッソ長くなるのでちょっと割愛しますが、概ね主な意見の順序に沿ってこのパートも展開されているんですけれども・・・・・・
『このうちのある委員は、米国の関税率が 15%になっても日本経済に影響はあり、成長率がいったんは鈍化するという見通しは不変であるほか、物価面では、食料品のコストプッシュが収まることで、来年度に2%を下回ると予想されることを踏まえると、今は、現在の金利水準で緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべきであるとの認識を示した。』
これは思いっきり主な意見と同じです。
『一人の委員は、わが国経済の特徴として、内需が外的な負のショックに対して脆弱な傾向があると指摘し、金利の正常化を進めるうえでは、ハードデータをもう少し確認してから判断しても遅くないと
の見解を示した。』
順番がずれているのですがこれも主な意見にありまして、
『別のある委員は、利上げに向けた条件は次第に揃いつつあるものの、米国経済が減速局面に入る可能性もあることを踏まえると、市場にサプライズとなる現時点での利上げは避けるべきである
との意見を述べた。』
ここが面白くて、主な意見でこの意見に対応するのってこれなんですけど、
『・ 市場にサプライズとなる現時点での利上げは避けるべきである。』(この部分「9月会合主な意見」より)
これ全然トーンが変わってくるじゃんという感じでして、この「別のある委員」さんは前段の部分を字数の関係なのか書いていなかったわけですが、そこをわざわざ書いてくる大本営というのが結構お洒落でして、これ主な意見よりも利上げに対する許容度高くみえるじゃん、と思った訳でしてなんか非常に味わいが深いものを感じました。
『別の一人の委員は、わが国の経済状況という観点だけから判断すれば、前回の利上げから半年以上が経過していることもあり、そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期かもしれないとしつつも、米国経済の落ち込みの程度の目途がついていないため、当面の金融政策運営は、現状維持が適当との認識を示した。』
これもまんま主な意見でした。
・・・・・ということでですね、先行きの金融政策運営の部分がまだ残っているのですが、時間が無くなってしまうという失態によって今朝はここで一旦勘弁なのですが、主な意見を踏まえつつも、編集的には利上げに対しての距離感が近いように見える編集なんじゃないの、と思う訳ですよ。
でもってご案内の通りですが、9月会合の時の植田総裁の説明だと、利上げ提案も華麗に一蹴って感じで却下されたかのような物言いになっていまして、いつものハトハトクオリティを彷彿させてくれていたのは皆様記憶に新しい(だからその後の主な意見でナンジャソラ話が違うじゃねえかとなった)と存じますが、それをさらに利上げとの距離を詰めたトーンで議事要旨を出してきた、というのはまあ示唆するところはあるという風にアタクシは解釈します。ええまあ本人の願望も混じっていると言われるとそれはそうかもしれませんが笑笑笑。
2025/11/05
お題「メローニへの道は険しいかな/総裁定例記者会見は12月利上げ排除していないと思いますけどね」
ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-04/T57FKYGOT0JM00
ビットコインが10万ドル割れ、6月以来の安値−最高値から20%超下落
Sidhartha Shukla
2025年11月4日 23:04 JST 更新日時 2025年11月5日 4:18 JST
〇メローニへの道は険しいですかねえ・・・・・(城内さん発言とか)
うーんこの
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/5FRQETWHH5JLXHP4K4LQIAW3DU-2025-11-04/
日銀には成長と物価の両立に向けた政策期待=城内経済財政相
竹本能文
2025年11月4日午前 11:47 GMT+9
『[東京 4日 ロイター] - 城内実・経済財政担当相は4日の閣議後会見で、日銀に対して経済成長と物価の安定の両立を期待すると述べた。』(上記URL先より)
・・・・・・物価の安定のためには成長の過熱を抑制する必要もあるのですが、そういう政策はするなと仰せのようでして、ああこりゃアカンというか、高圧経済教とかいう既に米国でそれによるインフレの上昇が大問題になったという失敗例が目の前にあるというのに相変わらずその邪教を信じて高圧経済音頭を踊っている馬鹿信者なのではないかという香りしかしない発言ですし、まあ昨日ネタにしたように毎回金融政策決定会合に出席するとか圧力かける気満々な姿勢は見せているしで、結局は高圧経済大爆発トラスコースの方が蓋然性が高そう、と甚だ遺憾の思いを新たにしている今日この頃。まあ爆発するならさっさと爆発してもろて頂いて、とは思うの
ですけれども・・・・・
でまあ昨日はこんなのがありましたが
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/index.html
日本成長戦略本部/日本成長戦略会議
まあこれ自体は
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/pdf/honbu.pdf
日本成長戦略本部の設置について
『2.本部の構成は、次のとおりとする。ただし、本部長は、必要があると認めるときは、関係者の出席を求めることができる。
本部長 内閣総理大臣
副本部長 内閣官房長官
日本成長戦略担当大臣
本部員 他の全ての国務大臣』
ということなので閣議とは別個の閣僚会議みたいな奴で、
『附 則
1.この規程は、閣議決定の日から実施する。
2.新しい資本主義実現本部の設置について(令和3年 10 月 15 日閣議決定)は、廃止する。ただし、廃止前の新しい資本主義実現本部が検討した事項等については、本部に引き継がれるものとする。』
看板付け替えではあるのですが、第1回ってのが早速行われて、
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/honbu/dai1/kentoujikou_set.pdf
成長戦略の検討課題
『1.「危機管理投資」・「「成長投資」による強い経済の実現
◆ 「危機管理投資」・「「成長投資」の戦略分野における、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、産学連携、国際標準化といった多角的な観点からの総合支援。
◆ AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙など、戦略分野毎の取りまとめ担当大臣が、業所管大臣や需要側大臣等と協力して、官民投資の促進策を策定。日本成長戦略担当大臣が全体を取りまとめ。』
うーんこのという感じで、結局産業政策かよという感じですし、官民投資の促進策ってなんちゅうか官は基盤整備の方を行って頂きたいんですけど結局予算使って派手なことをやりたいです金は将来の成長投資なんだから国債発行してOKOKってなりそうな雰囲気を感じたのは気のせいでしょうか。
しかしまあ何ですな、『2.分野横断的課題への対応 』の方ですが、
『◆ 新技術立国・勝ち筋となる産業分野の国際競争力強化に資する戦略的支援。』
とか勝ち筋となる産業分野なんぞが初手から分かれば苦労はせんわと思いますし、
『◆ 金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略の策定。』
とか何を言いたいのかよくわからんというか、金融でなんで経済の潜在力を解き放てるのかさっぱり意味が分からなくて、特にこの金融のところはお前は何言ってるんだという感じで筋悪施策が出てきそうな悪寒しかしません杞憂民ですすいませんすいません。
・・・・・ということで昨日は高市さんメローニへの形態進化を遂げてくれる期待を込めたんですけど、多少うーんと唸ってしまうのでありますが、まあいずれにしましても今回の補正予算編成の所で色々なスタンスなりなんなりが見えてくるんジャマイカとおもいます、というのは同じでありまする。
〇植田総裁会見である
展望レポートのお話は後回しで総裁会見
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251031a.pdf
総裁記者会見
――2025年10月30日(木)午後3時30分から約60分
・せっかく「確度が高まっている」という発言をしているのにビハインドの回答で台無しにするスタイル
いやマジで困ったもんだよこのチキンさんと思う訳ですけれども、最初の幹事社質問での説明がですね・・・・・
『(問)二問質問させて頂きます。まず第一問目です。総裁はこれまで経済・物価情勢で三つの点検ポイントを挙げられてきました。米国を始めとする世界経済の動向、関税政策が企業収益や賃金などに与える影響、食料品価格を含む物価動向ですが、』
さいですな。
『今回の金融政策決定会合では判断に際し、それぞれについてどのような部分に不確実性が残っており、利上げ可能な環境か否かを見極めるうえで、今後どの程度の時間を要するとお考えでしょうか。』
って来てからの、
『この際、物価上昇が続く中、ビハインド・ザ・カーブに陥る懸念はないかも併せてお伺い致します。(後半割愛)』
というのがあった訳ですが、この回答がですね、
『(答)まず最初のご質問からですが、今回の展望レポートにおける経済・物価見通しですが、いずれも前回展望レポートから大きく変わっておらず、中心的な見通しが実現する確度は少しずつ高まってきていると判断しています。』
ってことで「確度が高まってきている」という説明をしている訳ですよ。本来ならここで「利上げが徐々に近づいている」という話をしても然るべきだとは思うのですが、そういう話はしないで後の方で台無しにしていくんですがその前に各ポイントの説明がおっぱじまります。
『そのうえで、まず米国経済の動向ですが、関税による企業収益の悪化を通じた雇用・所得形成への影響や、関税コストの価格転嫁を通じた個人消費への影響などが、今後、次第に明らかになると考えられます。』
これね、植田さんご自身がハトハトチキンだからこういう説明になってるんだろうなあと思うのですが、この説明だと「ここから悪くなるはずです!」って言ってるようにしか見えないし聞いた時もそうとしか聞こえない説明になるわけですよ。というのはですね、
『もっとも、こうした点は、当面はっきりしない可能性があるため、逐次入手する情報に基づき、経済全体の姿を予想しながら判断していくことになると思います。』
って言ってますけれども、米国関税政策の米国内への影響に関しては「これから出てくるので」という発現が遅れている、という事に加えて、現状では思ったほど悪くない(貿易相手国が結局関税の一部を負担する形になっていることも含め)という面もあるのですが、そっちの評価の発言が無い訳ですよ。もちろん展望レポートの方ではその辺りの話もあるんですけどね。
でまあこういう「これから悪影響が出るに違いない」って一面だけで説明しているというのが。もう「利上げするのコワイデチュー」ってチキンさんモードだなってのが分かりやすい所ではあるのですな、残念無念。
さてその続き。
『次に関税政策がわが国経済に与える影響についてですが、これに関しては、関税政策による収益下押し圧力が作用するもとでも、企業の積極的な賃金設定行動が途切れることがないかどうか、もう少し確認したいと考えています。』
もう少し確認なら12月短観では確認が完了しそうですがさてどうなるやら。
『今後は 15%の関税率を前提とした収益計画のもとで、来年の春季労使交渉に向けた労使の対応方針が明らかになってくるほか、本支店を通じたヒアリング情報も随時蓄積されていきます。』
というこの説明に関してですが、来年度の賃金設定行動(計画)などに関する話って別に来年の支店長会議に入らないと出てこないわけではなくて、その前から色々と出てくる、ということをこの説明は示唆しているんですよ。「随時蓄積されていきます」なので。
『これらを用いて、企業の賃金設定スタンスや具体的な賃金の動向を分析し、賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持されていくかどうか、確認していきたいと考えています。』
なのでこの説明でも12月に「点検した結果2%物価安定目標達成の確信度がさらに高まったので緩和度合いの調整を行う」ということで利上げすることは十分に可能な説明をしているんですよね。
でもってアクチュアルなCPIに関してですが・・・・・
『わが国の消費者物価ですが、これまでのところ、食料品価格上昇の影響が減衰していく一方、基調的な物価上昇率が緩やかに上昇するという中心的な見通しに沿って推移しており、現状はビハインド・ザ・カーブに陥る懸念が高まっているとは認識していません。』
まあ足元でビハインドだと思ったら慌てて利上げしないといけないのですから「現状はビハインドじゃない」というのは良いんですけど、
『引き続き、基調的な物価の動きに加え、食料品価格の上昇が長期化し、物価全般の上振れ・下振れにつながるリスクが顕現化することがないかどうか、といった点を点検していきます。』
ということで、物価の状況の点検の話の中にビハインド云々の回答を入れてしまったのが悪くて、物価の状況に関しては物価で話をして、ビハインド云々は別途回答すべき話だったし、ビハインド云々に関しては「現状ではビハインドとは考えていないが、そうならないように毎回の会合できちんと点検します」って言えばいいのに、物価上振れ下振れリスクの点検の話だけしてビハインドの点検っていうのを言わないで、
『日本銀行としては、今申し上げた点を中心に、これまでと同様、経済・物価の中心的な見通しの確度やリスクを確認しながら、毎回の決定会合において適切に政策を判断していきます。利上げの是非やタイミングについては現時点で予断を持っていません。(後半割愛)』
とこの部分の回答を締めたもんですから、そりゃ「ビハインドになっていない」の部分がヘッドラインになる罠ということで、このビハインドじゃないですよ発言の所でドル円って40銭くらいは円安に飛んでいた訳でして、あーあやっちまいやがったよという感じでした。
まあこの説明、粒粒を良く見れば別に早期の政策調整を排除した説明ではないのですが、「米国経済の悪影響がこれから出てくる」「ビハインドじゃない」ってのが思いっきり悪目立ちしてしまう形になっていまして、まあハトハトチキンモードをだいぶ見慣れてきた市場の皆様におかれましても、この2点の部分がハトハトチキン音頭登場って感じで反応しちゃうし、この部分が植田さんの本音でしょって読み取ってしまう程度にはパブロフの犬ちゃんになっておりますので、そりゃまあ円安に飛ぶ罠と会見の初期から思うのでありました。
・もうちょっとまともな答えは無かったのか
次の質疑応答の頭の部分で会見を聞く気を一気に無くしてしまった俺ガイル。
『(問)二問お伺いします。幹事社の質問と若干重なる部分がありますけども、関税政策の国内の影響を見極めるうえで、来年の春闘が重要になるということがありました。現時点でのデータ、見通しのままで進んだ場合に、賃上げがどのような結果になるというふうに現時点でみているかを教えてください。また、特に注目している業界や業種などがあれば併せてお願いします。(後半割愛)』
『(答)来春闘の予想を今申し上げるには材料が不足していると思いますけれども、取りあえず、今年の春闘の結果±αくらいであると予想しているという程度にとどめさせて頂きたいと思います。』
>今年の春闘の結果±αくらいであると予想している
お前は何を言ってるんだと思いました。
なおこの先ですが、
『ただ、セクター的にということで申し上げれば、関税の影響で収益に特に下押しの影響が既に出ています製造業、更にその中でも自動車関係というところは注意深くみていきたいなと思っています。(後半割愛)』
だそうですが、この質疑応答の最初の部分も「来春闘の予想を今申し上げるには材料が不足していると思いますけれども」という説明の仕方がやっぱりハトハトっぽく読まれてしまう訳でして、「来春闘の動向についてはこれから随時蓄積されていく情報で判断していくことになります」っていう感じで、さっき出てきた「随時蓄積」という良いワードがあるんだからそれを使えばもうちょっと「賃金動向の点検は徐々に進んで行きます感」が出せると思うのですが、まあそういう感じの発言をしないのは植田さんの根がハトハトチキンだからつい本音が出てしまう、って事なんだとは思うのですが(個人の偏見です)、もうちょっとこう発言に含みというか何というかが欲しいですし、大体からして政策委員の総意と違くね(すくなくとも9月会合の説明はその後に出てきた主な意見対比で全然ニュアンスが違っていたわけですしおすし)って話でもあったりするんですよね。困ったもんです。
・確度が高まったという説明の再確認
今の質問の後半ですが、
『(問)(前半割愛)先ほど、利上げに向けて確度が少しずつ高まっているというお話がありましたけども、前回
9 月会合と比べてどういった点からですね、確度が上がっているというふうにお考えかというところをお願いします。あと、利上げまでの距離としてはどれぐらい残っているというふうにお考えでしょうか。』
でもってこの回答ですが、
『(答)(前半割愛)それから、見通しの確度が上がったという点の根拠というご質問だったと思いますが、これは抽象的な言い方になりますが、概ねこれまで、例えば
7 月に置いた見通しがまずあって、その後 3 か月間入ってきたデータを利用して見通しをまた置いてみたらほぼ同じ姿になったということで、これまでの見通しの確度が上がったというふうに判断したということでございます。』
うーんこの蒟蒻問答という感じですが、別の角度から質問されて見ると・・・・・・
・なんかこれ植田さんだけ見通しの確度が上がっていないのではないか疑惑ががががが
こんな質問がありました。
『(問)私からも二つお願い致します。今回の決定会合で前回 9 月と同じく二人の委員から利上げ提案があり、七人が反対されるということになりました。前回
9 月と比べてですね、総裁含むボードメンバーの中でお二人の主張、9 月と同じような主張かと思うんですけれども、理解が広がりつつあるのかどうかという点について教えてください。(後半割愛)』
というのがあってですね、
『(答)反対された二人と、その他の方々の意見の距離というご質問だと思うんですが、詳しいことは議事要旨か主な意見ですか、これをご覧頂けたらと思いますが、平均的に申し上げて、最初にも申し上げましたように、私どもの見通しの確度は少し上昇したというのがわれわれの認識というところだと思います。ただ、緩和度合いの調整を行うまでにもう少しデータ等の確認をしたいというところであるかと思います。(後半割愛)』
って回答になっていて、「もうちょっとだけデータ確認したい」という説明になっているのですよね。
とは言いましても、この「データの確認をしたい」に植田さんの場合はゴテゴテとデコレーションをしていくので、結局ハトハトチキンっぽい説明になってしまう訳ですが、他の委員の中心的な考えと植田さん個人の考えに解離が出ているようにしか思えませんな、まあ主な意見を見てみたいですね。
・ビハインドに関する説明が再度来たわけですが
さっきの質問の2番目は植田さんが質問の確認を行ったのでそこから先を引用しますね。
『(問)二番目がちょっと関連するんですけれども、ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクは今のところ大きくないということで、次の利上げは急ぐ必要がない、ゆっくり判断できるというご認識でよろしいでしょうか。』
『(答)ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクがある、それに近いことをおっしゃってたのは反対された一人の委員でございますが、これも主な意見で詳しくご覧頂きたいと思いますが、強くそういうことを主張される意見があったというわけではございません。』
うーんこの。何で一々否定するのかねそっちの方面の話になると。
『ただ、見通しの確度が上がってきている中で、もう少しデータ等の確認をしたうえでどうなるかということは、予断を持たずにデータをみていきたいというところでございます。』
もうちょっとこう「ビハインドになるのはよろしくないのでその点は常に点検している」位の説明をすれば腰の引けた感じがしなくなると思うのですが、会見始まって割と早い時間帯で上記のような質問が飛んでくる、という時点でこの時の植田さんの会見が「ああ毎度おなじみハトハトチキン音頭だわ」という認識が会見場の方でも共有されている、ということになっている訳で、でまあそれに沿ってベンダーのヘッドラインとかも打たれてしまうわけですから、そりゃまあ円安が進む罠としか言いようが無いわけですよ。
・「初動のモメンタム」
でまあ質疑応答色々とあったのですが結局のところ賃金が一番重要ポイントになる訳でして、その点についての質問があった時にこの言葉が飛び出したんですよね、初出はこの部分。(ちなみに10ページ目からのところになります)
『(問)総裁、先ほどからですね、見通しの実現の確度は上昇したんだけれども、緩和の度合いの調整を行うまでは、もう少しデータを確認したいと。特に春闘に向けてのですね、労使の交渉姿勢についてデータを確認したいんだというお話をされてますが、』
これは綺麗にまとまっていて大変に結構結構。
『春闘に関しては、先日連合が 5%以上の賃上げを求める基本構想を発表しました。現在は経営側がですね、方針を検討しているというような状況だと思いますが、12月のですね、次回の会合までに、この利上げの是非を判断できるほどですね、そうしたデータがある程度揃うという可能性があるのかどうか、その辺のお考えを伺えますでしょうか。
関連して、12 月は国の予算編成の時期でもあり、なかなか政策変更を行うのが難しいのではないかという説を唱える人もいますが、これについて総裁はどのようにお考えでしょうか。』
これに対する回答ですが、
『(答)春闘に関する動きについて、12 月までにどうか、情報はどれくらい集まるかというご質問ですが、本当に最終の春闘の妥結の賃金上昇率がどれくらいになるか、ということについて、きちんとした姿を知るまで待ちたいということではなくて、取りあえず私が申し上げているのは、初動のモメンタムがどういう感じになるかというところをもう少し情報を集めたいということでございます。』
キタコレという感じですが、この後賃金動向に関する「初動」って言葉がF5検索すると3回(なので全部で4回)出てきまして、質疑応答の最後の方ではこの「初動のモメンタム」がバズワード化している印象がありました。
でもって最初の方にあってアタクシが引用しました「本支店を通じたヒアリング情報も随時蓄積されていきます」という部分を合わせて考えますと、ごくごく普通に12月の段階でも「初動のモメンタム」は確認できるでしょうし、さらに1月会合の時期になれば初動どころか最早序盤戦もたけなわという感じになる訳でして、この言い方であれば遅くて1月くらいの勢いにしか読めないんですよね。
ただまあその前のハトハトチキン音頭が邪魔をして中々こっちが伝わらないとか、そもそも高市政権が(直近の城内大臣の発言に見られるように)利上げにブースカ言い出しそうとか、まあその手の見方も加わって結局そんなに12月利上げじゃあともならん、というお話ではありますわな。
『それから、予算編成と政策ということでございますが、これは、予算編成の途中であっても、どういう政策が決まりそうか、あるいは決まりつつあるか、ということを見通しに織り込みつつ、政策を場合によっては変更するということは十分可能だと思っております。』
まあこれは原則論の話をしただけではありますが、これもまた12月利上げを否定しなかったということになるわけですな、うんうん。
というあたりで今朝は時間の関係でこの辺で勘弁していただきとう存じますが、その他補足ありましたら明日にでも。
2025/11/04
お題「高市さんメローニになれるでしょうかねえ/FOMC高官発言連発メモ/」展望レポートは賃金と物価のメカニズムのリスク文言に注目しました
ほうほう
https://www.asahi.com/articles/ASTC12W3BTC1UHBI00FM.html
「心配なくなった」 韓国大統領が高市首相に好印象、奈良訪問も提案
慶州=貝瀬秋彦2025年11月1日 18時12分
『李氏はまた、高市氏が個別の政治家の時と国家の総責任を負う時とは考え方と行動が違わなければならないとし、自分も野党指導者の時と全国民を代表する大統領である時とは判断と行動が違わなければならない、とも話した。』(上記URL先より)
>高市氏が個別の政治家の時と国家の総責任を負う時とは考え方と行動が違わなければならないとし
これはメローニ高市爆誕コースの香りがしてきましたよ良い話じゃないですか。
〇とは思うのですがなんせ取り巻きが悪いので早速財政大丈夫か問題が
再掲しますが
https://www.asahi.com/articles/ASTC12W3BTC1UHBI00FM.html
「心配なくなった」 韓国大統領が高市首相に好印象、奈良訪問も提案
慶州=貝瀬秋彦2025年11月1日 18時12分
『李氏はまた、高市氏が個別の政治家の時と国家の総責任を負う時とは考え方と行動が違わなければならないとし、自分も野党指導者の時と全国民を代表する大統領である時とは判断と行動が違わなければならない、とも話した。』(上記URL先より)
「個別の政治家の時と国家の総責任を負う時とは考え方と行動が違わなければならない」ってのもまあ微妙ではあって今までの主張は何だったんだってなツッコミはある訳ですがそれはさておきまして、そうやってメローニ高市爆誕と思いたくなるのですが、金融財政に関してはなんせ本田悦朗大先生盛大に調子に乗って来て、
https://news.yahoo.co.jp/articles/3915c7fa6e7d96630d85b8100b5572a0a4fc268d
高市政権の“経済政策ブレーン” 本田悦朗氏「財政余力は毎年10兆円」と提言
10/28(火) 4:20配信
最終更新:10/28(火) 7:16
TBS NEWS DIG Powered by JNN
とか言ってるかと思ったら、
https://news.yahoo.co.jp/articles/23374b5426c1b9ddc1aa675aff8d3bddd9881e08
「アベノミクスが最終段階に入った」高市氏に経済政策ブレーンが寄せる期待
10/30(木) 10:09配信
最終更新:10/30(木) 10:09
西日本新聞
『物価上昇には財政で対応するのが原則」とし、政府による減税や交付金などの政策実施を求めた。』(上記URL先より)
物価上昇に財政で対応するってことは財政緊縮でもするんでしょうかwwwwwwwwwwwwwwwww
という位にあたおか電波を連日のように発信しておられますし、城内大先生に関しては、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-31/T4V7R8GOYMTC00
城内経財相、経済対策の財源「あらゆる手段を精査」-国債増発排除せず
氏兼敬子
2025年10月31日 15:38 JST 更新日時 2025年10月31日 16:38 JST
『城内実経済財政政策担当相は31日、総合経済対策の財源について、財政への信認が損なわなければ国債の追加発行も排除しない考えを示した。ブルームバーグなど報道各社とのインタビューで語った。
城内氏は、経済対策の財源としての国債増発の可能性を問われ、個人的な意見と断った上で、財政の信認が揺るがない限りは「あらゆる手段を使ってもいいのではないか」との見解を示した。全ての手段をきちんと精査することが大事だとも述べた。』(上記URL先より)
えーっとすいません、そもそもそうやって「あらゆる手段を使ってでも財政出すのが先にありき」っていうスタンスを取っている時点で「財政の信認が揺るがない限り」という概念に反する話になるとしか申し上げようがないですし、金融政策決定会合に関しても、
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/29115918ce2589a9e1eaf6d8a7cd1da1ebd24f28
城内経財相 今後も日程の調整がつけば日銀決定会合に出席したい
10/31 10:36 配信
みんかぶ(FX)
・・・・圧力をかける気満々としか思えない訳で、まあ高圧経済音頭でタコ踊りする皆さんをブレーン(笑)にしているんですから高市さんが折角メローニ路線で現実を見据えた真人間ムーブをしようとしても、いままでの取り巻きの皆さんがどういうことになるのでしょう、と思いますし、安倍ちゃんの時よりもブレーン(笑)のレベルが大幅に下がっているのはハマコー先生の離反を見てもお分かりの通りな訳でして(まあハマコーの場合はレベルが上がったから離反したという可能性はあるがw)、まあこの手のブレーン(笑)をどう処するのか次第ではあろうかと思いながら今後の補正予算論議を見て行くか、って感じでしょうかね。
ちなみに皆様ご案内の通りなので引用するまでもないですが、俺様備忘メモというか後になって忘れるといけないので念のため引用しておきますと、「純債務残高」という年金資産を接収する気満々の意味不明指標(あんな腐れ指標を作ったOECDだか何だかは一生涯肥溜めに首まで浸かっていて欲しい)は施政方針演説で出さなくなっているあたりも、然りで、今回の韓国との外交(なんせ上記のように朝日新聞までも絶賛記事書いているんですから)を見てたら高市さんトラスになるじゃろ、と全然期待してなかったワイも期待してしまいたくなるメローニ爆誕となるのをちょっとだけ希望の光が見えてきた感じですな、うんうん。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/445741
高市首相は「財政健全化」をどう考えてる? 総裁選で訴えていた「純債務残高の対GDP比」って何のこと?
2025年10月30日 06時00分
『 A 所信表明では「政府債務残高の対国内総生産(GDP)比を引き下げていく」と、従来の政府の考えを踏襲しました。国の経済規模に対する借金の割合を示す「債務残高対GDP比」は財政の健全性を示す国際的な指標です。ただ、高市氏は自民党総裁選で「純債務残高」の対GDP比を重視し、こちらを引き下げると訴えました。』(上記URL先より)
ということですが、まあ最近純債務残高言わなくなっている(ように見える)ので、ブレーン(笑)の皆様に吹き込まれた邪宗門から解脱して頂きますと誠に幸い、と思いたいので期待しようとは思っています、一抹どころか百抹くらいの不安はあるけど。
〇米国ネタも結構忙しくなってまいりました(12月は必ずしも利下げではない件)
ご案内の通りだとは思いますが備忘用に。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-31/T4ZZ4IGOT0JM00
米地区連銀総裁3人、利下げ決定を支持せず−12月会合へ議論の口火
Catarina Saraiva、Alex Harris
2025年10月31日 22:20 JST 更新日時 2025年11月1日 9:45 JST
→12月に再び利下げをするのは難しいと考える−ローガン総裁
→12月追加利下げは既定路線ではないとのパウエル議長の発言を裏付け
『米地区連銀総裁3人が、先の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ決定を支持しない考えを示した。「12月会合での追加利下げは既定路線ではない」とのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の警告を裏付ける形となった。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことで、FOMC後の会見の説明に関しては(ネタにしている余裕が無いのでまだできてませんが)ご案内の通りかとは思うのですが、まあ確かに今回のFOMCって経済の認識引き上げているのですが、「雇用に対する下振れリスクのバランス」だけで利下げをしたという会合なので、中立金利どのくらいですかという話も含めてまあそうホイホイとこの先どのくらい下げられるのかというのが理屈の上ではありますな、という話だった訳ですな。
『ダラス連銀のローガン総裁とクリーブランド連銀のハマック総裁は10月31日、ダラスで開催された会議で、金利据え置きが望ましかったと述べた。これに先立ち、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、FOMC会合で利下げに反対票を投じた理由を説明する声明を発表していた。』
ローガンさんって一瞬時期FRB議長候補のリストに出ていた気がしますが、まあ普通にこういう話をするとなると途中で外されたんですかね、まあ普通の見解がぶっこまれていて良かった。シュミッドさんはご案内の通りで金利据え置きすべきの反対票ぶち込んだ人ですな。
『次回12月FOMCまでに激しくなると見込まれる議論の口火を3氏が切った格好だ。FOMC内では現在、労働市場を支えるために追加緩和が必要だとする当局者と、インフレ懸念を優先する当局者の間で意見が分かれている。』
ということなのですが、今回のFOMCって利下げしたにはしたんですけど、経済の認識が(多少ですけど)強くなっている、ということもありますので、そうなると金融政策はタイムラグを伴って経済に効く理論からしたら、利下げ前の時点でも金融政策というか金融環境ってそこまで強い引き締め的な状態ではなかったのではなかろうか、という理屈になってきてもおかしくない訳で、そうなりますと一段の追加利下げは物価上振れのリスクを高めることに成り兼ねない、という理屈に一定の説得力が出てくるので、まあ議論はかなりややこしくなりそうですよね。
でもって週初は3本来ていまして、
クック理事
https://jp.reuters.com/markets/japan/DNHOS4FRPBPG3FAFOWTM6I2B7A-2025-11-03/
12月FOMC「ライブ会合」、幅広いデータに基づき判断=クックFRB理事
ロイター編集
2025年11月4日午前 4:51 GMT+9
『[3日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は3日、12月の次回連邦公開市場委員会(FOMC)について、政策変更もあり得る「ライブ会合」になるとの考えを示した。同時に、連邦政府機関の一部閉鎖で経済指標の発表が滞る中、次回会合まで幅広い情報源から得られる情報に基づいて判断していく姿勢を示した。』(上記URL先より、以下同様)
そりゃライブ会合になるのは間違いないのですが、
『クック理事はブルッキングス研究所で行った講演で、最大雇用と物価安定というFRBが担う2つの責務の双方に対するリスクが高まっていると指摘。「金利を高すぎる水準に維持すれば労働市場が急速に悪化する恐れがある一方、過度な利下げを実施すればインフレ期待がしっかりと抑制されなくなるリスクが高まる」とし、「いつものように、毎回の会合で入手される経済指標に基づき金融政策スタンスを決めていく」と語った。』
どっちにウェイトを置いているかはこの記事だと分からんので講演見るしかないかなとは思いました。
デーリー総裁
https://jp.reuters.com/markets/japan/PMSJ2IOPRVLWFPSGUWV5DSHX4Q-2025-11-03/
次回FOMCまで指標注視、先週の利下げ支持=米SF連銀総裁
ロイター編集
2025年11月4日午前 4:38 GMT+9
『[3日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は3日、
連邦準備理事会(FRB)が先週の会合で決定した 0.25%ポイントの利下げを
支持すると述べた。 12月の次回会合で追加利下げを決定する必要性については、それまでに発表される
経済指標を精査する考えを示した。』
『12月の次回会合については、最大雇用と物価安定というFRBが担う2つの責務に対するリスクのバランスを取る必要があるとし、「先入観を持たずに臨む」と語った。また、同会合までに、今年これまで行った利下げが労働市場軟化に対する十分な保険となったか、あるいはさらなる支援がまだ必要かを検証したい考えを示した。』(以上上記URL先より)
ということでまあ利下げ反対派ではない感じですかね。さっきのクック理事はそもそも利下げ賛成票投じているんだからまあああいう説明になるでしょうし。
https://jp.reuters.com/markets/japan/HOSUGVE42NKUDKOZG66AIOFN5A-2025-11-03/
追加利下げ急がず、インフレ高止まり=米シカゴ連銀総裁
ロイター編集
2025年11月4日午前 3:36 GMT+9
『[3日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は3日、米国のインフレ率は連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%をなお大きく上回っていると指摘し、追加利下げを急がない考えを示した。』
『グールズビー氏はヤフー・ファイナンスのインタビューで、連邦準備理事会(FRB)の12月の次回会合でどのように投票するか「まだ決めていない」としながらも、「直近の2回のFOMCより、利下げに踏み切るためのハードルはやや高くなっている」と語った。』(上記URL先より、以下同様)
ということですが、グールズビー総裁は今年のFOMCでは投票権がありまして、つまり直近のFOMCでは25bp利下げに賛成票投げた方なのですけど、
『その上で、金融政策の道筋は物価動向次第になるとの考えを示し、「金利をかなり引き下げることは可能」としながらも、「インフレの低下に合わせて金利を引き下げていくことが最も賢明な策になる」と語った。』
シカゴ連銀って伝統的(?)に物価重視派の人が総裁になるという仕様があるので、物価上振れリスクとかそもそも(引用割愛していますが記事中にありますけど)アクチュアルの物価が高止まりしているとタカ派っぽくなるという特性がありまして(前任のエバンスは分かりやすいまでの物価重視派でした)まあ結局この先は物価がうっかり反転上昇ニキとか言い出してしまうと利下げなんてとんでもない、って話になりやすくなる、ということになりそうで、物価指標を見ておけばエエンチャイマスカとは思います。
もちろんですが、トラ公はトラ公なのでキチガイ政策を突然ぶち込んできて経済を壊しにくるかも知れませんのでその点は思考の中にいれておかないといけませんけどね、
〇展望レポート基本的見解ですが今回は「物価のリスク要因」の所を先に見ておきたいと思いjます
というのは今回の基本的見解って海外経済ガーの部分が少しマシになっている(ただし展望全文の方のBOXを見ると若干その辺りも微妙に見えたりするのが味わいがある)のですな。でもって「見通し通りなら政策調整」というのは相変わらずスタンスとして変わっていない、ということになりますと、これ何がポイントになり得るかと申しますと、経済(特に海外)がコケないというのが大前提にあるのは言うまでも無いのですが、そこの前提を置いた場合って、結局物価が見通し通り推移するか、特に日銀の言う基調的物価とかいうお気持ち物価(しかも今回わざわざ基調物価率とか言い出したけど展望レポート全文には案の定その数値をピンポイントで計算した形跡はありませんでございましたわあっはっは)が順調に推移しているか、という話になるので、そうなると物価の見通しとかリスク要因とかが重要になるんですな。
でもって物価のリスクのところが定性的に見て結構「下振れリスク緩和」になっているなと思いまして、それすなわち物価上振れリスクの高まりに置いても政策調整ができる(2024年7月パターン)ことにもなりますし、物価のところが堅調であるならば政策調整ですよ、って言ってるようなもんになりますので見てて「おおおお」と思った次第です。
ということでいつもと順序が全然違いますが確認します。
基本的見解10月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2510a.pdf
基本的見解7月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2507a.pdf
『3.経済・物価のリスク要因 』の『(2)物価のリスク要因』を今朝は成敗します。
・賃金に関する下振れリスクの表現が結構緩和されているのは重要なポイントだと思いました
『第1に、企業の賃金・価格設定行動やそれらが予想物価上昇率に与える影響である。』(10月)
『第1に、企業の賃金・価格設定行動やそれらが予想物価上昇率に与える影響である。』(7月)
という項目自体は同じですけど。
『企業の賃金・価格設定行動は、従来よりも積極化しており、中心的な見通しでは、成長ペースの伸び悩みが物価動向に影響を与えつつも、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持されると想定している。』(10月)
『企業の賃金・価格設定行動は、従来よりも積極化しており、中心的な見通しでは、成長ペースが鈍化し、物価に対する下押し圧力として作用するもとでも、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持されると想定している。』(7月)
ここの「成長ペース」の部分が変更になっているのは鏡の方で示された先行き見通しやら現状認識やらでも示されているので、それ自体はメインシナリオの上方修正的な動きと同じではあるのですが、今回は「成長ペースの伸び悩み」に関しても「物価動向に影響を与えつつも」という表現にわざわざしているのは何気に下振れリスク緩和表現。
確かに鈍化よりはより強い状況なので物価下押しというのを外した、ということではあるのですが、伸び悩みであっても物価下押しと言っても良い筈なので、ここ差し替えてきたのはニュアンスとして物価下振れのリスクが緩和されているという話ですし、そうなればバランス上では物価の上振れリスクが出てきてもおかしくは無いということになるので、これは今回の決定云々というよりは、近い将来に利上げをする際に物価上振れリスクからの説明も可能になるように布石を打っていると読むことができるんじゃないかと思うのです。
『もっとも、各国の通商政策等の影響で企業収益が大きく下振れる場合には、コスト削減に注力する傾向が強まる可能性がある。』(10月)
『もっとも、今後の各国の通商政策等を巡り不透明感が高い状況が続くことがあれば、コスト削減に注力する傾向が強まる可能性がある。』(7月)
でもってこの部分もおーと思ったのですが、前回は「不透明が高いとコスト削減に注力(→賃金が上がらない、が続きます)」だったのに、今回は「企業収益が大きく下振れる」ということで、そもそもこの可能性自体を下げてきているんですよね。
以上の要因があるので、
『こうしたもと、物価上昇を賃金に反映する動きが弱まることも考えられる。』(10月)
『こうしたもと、物価上昇を賃金に反映する動きが弱まることも考えられる。』(7月)
というリスクがありまっせ。という話ですが、この物価上昇と賃金の相互参照(ただのスパイラルという話は大有りだがそこは措く)のメカニズムってのが今日銀が謎の勢いで推している基調的物価の2%定着に向けた点検事項ということになりますので、これすなわち今の日銀の理屈上最重要ポイントになるわけですな。
でもってこの最重要ポイントに関して、下振れのリスクが弱まっている、というのは先ほど申し上げたように別の上振れリスクとのバランス上物価のリスクを上振れにする昨年7月方式も可能、とは申し上げましたが、もっと単純に言ってしまえば、日銀の今の時点での最推しの基調物価上昇すなわち2%物価目標達成判断のための基本メカニズムに関する「達成の確信度合いの高まり」でもありますので、そういう意味では今回って確信度合い高まっているんだから利上げしても何らおかしくない(べき論で言えば今頃政策金利は1.5%近くにあるべきだがそれは措く笑)という話になりますので、今回の会合から1か月半が経過した後に迎える12月会合において、「確信度の高まりが進んできたので金融政策の調整を実施します」というのは十分に可能である、とも言える訳でして、まあ相変わらず植田総裁の会見がハトハトチキンというか骨なしチキンというかって感じではあるのですが、ここの理屈から言えば近い将来の利上げに向けて話を進めている、としか読めないんですよねアタシャ。
なのでここって割と今回のハイライトだとワシは思ったのですがどうですかね、我田引水過ぎますかね・・・・・
・上振れのところはそう大きく変わっていないが食料品価格の高止まり懸念が高まっています
続いて上振れの方になります。
『一方、販売価格に賃金を反映する動きが想定以上に強まったり、先行き労働需給が引き締まった状況が続くとの見方が強まるもとで、賃金の上昇圧力が強まっていく可能性もある。』(10月)
『一方、販売価格に賃金を反映する動きが想定以上に強まったり、先行き労働需給が引き締まった状況が続くとの見方が強まるもとで、賃金の上昇圧力が強まっていく可能性もある。』(7月)
これはいつも通り。
『こうしたもとで、中長期の予想物価上昇率の高まりを伴いつつ、賃金・物価ともに上振れていくことも考えられる。』(10月)
『こうしたもとで、中長期の予想物価上昇率の高まりを伴いつつ、賃金・物価とも上振れていくことも考えられる。』(7月)
ここに「に」が入ったのは良くわからんですな。文章の体裁上だとは思うのだが別に改行とかで困っている訳でもなさそう。
『この間、このところの米などの食料品価格上昇については、供給サイドの一時的な要因の影響が大きく、消費者物価の押し上げ寄与は次第に縮小していくと想定している。』(10月)
『この間、このところの米などの食料品価格上昇については、天候要因等の影響が大きく、消費者物価の押し上げ寄与は次第に縮小していくと想定している。』(7月)
天候要因だったのが「供給サイドの一時的な要因」と天候では引っ張り切れなくなって供給要因にしていますが、一時的な要因じゃなかったらやっぱり上振れになるんですけどどうでしょうかねえ(ニッコリ)。
『もっとも、今後、一時的な要因が新たに生じた場合や、人件費や物流費の上昇を販売価格に転嫁する動きが強まった場合には、食料品価格の上昇が想定以上に長引く可能性がある点には留意が必要である。』(10月)
『もっとも、最近の価格上昇には、人件費や物流費を販売価格に転嫁する動きも相応に影響しており、企業の賃金・価格設定行動次第では、価格上昇が想定以上に長引く可能性もある。』(7月)
今後に関してしれっと「一時的な要因が新たに生じた場合」とか入れている訳で、食料品価格上昇がひたすら長引くかもという話も入っていまして、
『食料品は消費者の購入頻度が高いものであるだけに、価格上昇が長期化すると、予想物価上昇率の変化を通じて、消費者物価を押し上げる方向に作用する可能性がある。一方、家計のコンフィデンスの悪化を通じて個人消費が減少し、消費者物価を押し下げる方向に作用する可能性もある。』(10月)
『食料品は消費者の購入頻度が高いものであるだけに、価格上昇が長期化した場合には、家計のコンフィデンスや予想物価上昇率の変化を介して、基調的な物価上昇率に二次的な影響を及ぼしうる点にも留意が必要である。』(7月)
ということで、ここもちゃんと「上振れ下振れ」という言い方になっていて、基調的物価への二次的影響というふわっとした言い方じゃなくなったな、と思いました。
・為替の影響云々は同じですね
『第2に、今後の為替相場の変動や国際商品市況を含む輸入物価の動向、およびその国内価格への波及は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(10月)
『第2に、今後の為替相場の変動や国際商品市況を含む輸入物価の動向、およびその国内価格への波及は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(7月)
こちらですけど、
『各国の通商政策等の影響をはじめ世界経済の先行きを巡る不確実性はなお高く、これが供給サイドから輸入物価を上昇させたり、為替相場や国際商品市況を大きく変動させる可能性がある。(10月)
『各国の通商政策等の展開をはじめ世界経済の先行きを巡る不確実性は高く、これが供給サイドから輸入物価を上昇させたり、為替相場や国際商品市況を大きく変動させる可能性がある。』(7月)
この部分では世界経済の不確実性の表現を下げていますが、これ自体はメインシナリオ通りなのでまあこれは仕様。
『この点、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』』(10月)
『この点、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(7月)
円安がかっ飛んでしまうと物価上振れリスクになりますよという昨年7月パターンの文言もそのままで、
こちらに関しては前回と同じということでよろしいかと。
ということで今朝はこの辺で勘弁していただきとう存じます、というか月初に3連休入れられると後が忙しくていかんですな。