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2025/10/31

お題「展望レポート基本的は数字は横だが書いてることは上方修正ですねえ/ハマコーが真人間になっている件について(雑談メモ)」

当然ながら今日はECBちゃんもあるのですが日銀の方が先ですわなさーせん
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2025/html/mopo_statement_explained_october.en.html
Our monetary policy statement at a glance - October 2025

さすがにネタの渋滞が甚だしいので週末何とかするように努力しますが成果物を出せるとは言ってませんので期待しないでください(滝汗)。

〇日銀の前にこれだけはネタにしておきたいのだがハマコーwwwwwwwwwww

ちょwwwwwおまwwwwwwww
https://www.asahi.com/articles/ASTBY1HBKTBYULFA006M.html
「日銀は今すぐ利上げせよ」 アベノミクスの擁護者が一転して警鐘
有料記事
聞き手・西尾邦明2025年10月30日 12時25分

有料記事なので冒頭の部分しか出てこないけどそこの部分だけでもちゃんと主張が伝わるように書いている朝日新聞有能なので褒めてつかわす(謎のウエメセ)。

『日本銀行は30日の金融政策決定会合で、6会合連続で利上げを見送った。米国の関税政策の影響をなお見極め、高市早苗新政権ともコミュニケーションを図っていく考えだ。一方、高市氏が後継を自任する安倍晋三・元首相の経済政策「アベノミクス」を理論面から支えた浜田宏一エール大学名誉教授はいま、利上げを主張している。大規模な金融緩和を唱えていたリフレ派の経済学者が、「必要なのは金融引き締めだ」と訴えるようになったのはなぜか。詳しく聞いた。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

『――いまの日本経済をどう見ていますか。

 「最大の問題は物価が上がり続けるインフレの放置です。『物価の番人』である日銀はなぜ、利上げをためらうのでしょうか。円安も是正されず、交易条件の悪化で日本人は輸入品を高く買わされる一方、外国人が『安い日本』を買いたたいているような状況を見過ごせません。国民を苦しめ、国家の基盤を揺るがす事態です。金融引き締めが必要です」』

これは真人間の浜田宏一先生じゃないですかどうしたんですかwwwwww

というところですが、この後の部分、何となくかすれている部分が「状況が違うのだから」というように読めるわけでして、状況が違うんだから当然対応が違う、って話をしているんだと思うのですが、未だに高圧経済音頭を踊り続けて調子に乗ってあちこちに登場する本田悦朗先生にちょっと一喝食らわせていただけませんかねえ浜田先生、というかそれ貴殿の国民に対するご奉公として義務ですよ義務、などと思いましたので、読売とか産経とかでもどんどん主張して頂きたくよろしくお願いいたします(平伏)。

ということで日銀でも何でもないのですが、まあ浜田先生がこういうなら、というお墨付きを頂きながら金融政策の方は正常化というか物価重視、経済は財政出す、っていうミックスをするならばまだマシな部類(高圧経済はどう見たって高圧ボンベ大爆発で大惨事だから)になるじゃろと思いますし、浜田先生の主張であれば安倍ちゃんの後継として別に安倍ちゃん否定にもならんし、高市さん問題ないじゃないですか〜、

・・・・・などという話は中々難しいかも知れませんが、トラスになるかメローニになるかの分岐点の一つかとは思いますので情勢を生温かく見守っていきたいと思います。


〇日銀政策決定会合レビュー展望レポート基本的見解:見通し計数は横だが書いてあることは改善してますがな

とりあえず7月展望と比較します。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2510a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2507a.pdf(7月)


・鏡の先行き見通し文言はこれまでの懸念部分の上方修正なのでそれなりに重要だと思うの

<概要>の部分ですな。

『・先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは伸び悩むと考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。』(今回)

『・先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。』(7月展望)

ということでこちら、先行きの成長について「その後については」以降は同じなのですが、その前の部分が「先行き鈍化」から「先行き伸び悩み」ということで、海外減速の影響で「成長が鈍化」すなわち成長ペースが落ち込むあるいはマイナスになる、という見通しだったのが「伸び悩む」ということで、成長ペースが伸びないのは同じことになりますが、とは言いましても「落ちる」ということではなくなっています。

てな訳で上方修正でして、まあ「伸び悩み」じゃあど威勢がいい話でもないけど、ここまでの流れを考えてみますと、4月会合(5/1だが)にいきなりとんでもないハトハトモードに入ったのって何ででしたっけ、と思い起こしますと、基本線として「トラ公のキチガイ関税政策によって世界経済が落ち込み、その結果日本企業の収益が下押しされることによって、企業の賃金設定行動が下方屈曲してしまし、結果として賃金上昇のモメンタムが腰折れしてしまうのが最大のリスク」という認識の元にハトハトモードになり、どう見ても根がチキンの植田さんがここを先途とハトハトチキン音頭を踊りだした、とまあそういう流れだった訳ですよ。

そのように考えますと、今回「伸び悩み」ということで落ち込みをあまり示唆しない文言に変更した、というのは、これまで考えていた最大の懸念がかなり軽くなった、ということを意味する文言変更になるので、つまりは重要という事だと思います。

でまあ皆様ご案内の通りで、今回兎に角総裁会見でも今後の判断においての材料を賃金賃金賃金とひたすら連呼していて(お前ら物価安定目標政策やってるのに物価にさらに遅行する賃金ターゲットやってたらどう見てもビハインドだろいい加減にしろとは思うが)、賃金のお話をしているのですが、そのベースになる部分で賃金モメンタムの腰折れ懸念が軽減されている、という認識を既に今回先出ししているということなので、そう考えますとそこまで利上げが遠くなったという話でもない、という仕掛けにはなっていると思われます。裏読みのし過ぎかも知れませんけどね!!!!!

ただまあこんな婉曲表現じゃあ分からんがなという問題が有るわけで、さらにハトハトチキン先生相変わらず会見の頭からハトハト音頭を踊っていたりしましたしで、ドル円はウホウホと154円に乗っておられる次第でございますが、まあ円安ドル高に振れれば大魔神ベッセントの一撃が炸裂するでしょうからそれはそれでよい(全然良くないが)とも言えますな、アイヤー。


・物価の表現なのですが何で今回表現を変えているんでしょうかねえ

鏡の2ポツ目は物価の見通しですが。

『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、来年度前半にかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。』(今回)

『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025 年度に2%台後半となったあと、2026 年度は1%台後半、2027 年度は2%程度となると予想される。このところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。』(7月展望)

コアCPIの見通し文言なのですが、こちら前回までは(展望出たときに気になったので過去1年分見たのですが)年度ごとの展開を数値として出していたのですが、今回は見通し計数の出し方は変わっていないのでそこは同じなのですが、ここの表現が変わっていまして、とりあえず向こう1年程度(来年度前半にかけて、なので)のコアCPI推移の話を書くにとどまっているというのがほえーと思いました。

何でこうなったのかは謎ではあるのですが、コアCPIの見通し計数が2%かどうかでああでもないこうでもないという話をするのが不毛であって、そうじゃなくてもっと全体的なピクチャーで考えるべき、というような感じで、CPIの数値自体が厳密に2%かどうかでギャースカ言う話ではない、ということであればまあ2%数値への過度なこだわりからの足抜けを始めてきている、という話になるので方向性は悪くは無いかと。

まあ意地悪な見方をすれば、コアCPI見通しの年度別展開出してここ数年当たったためしが無いわけで、あたりもしない数値を本文の文言の形で出すのは(ちなみにこれ鏡だけではなくて本編の方でも同じ表現に変更になっています)恥ずかしくなったのでしらっと出すのを止めたという見立てもできる訳で、どうなんでしょうねえというのはあるw


でもって物価の見通しってコアCPIと基調物価の2本立てなのですが、

『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペースの影響などを受けて伸び悩むことが見込まれる。』(今回)
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、』(7月展望)

この部分も先ほどの1ポツ目の成長見通しとシンクロしていますが、前回が「成長ペース鈍化」と決め打ちになっていたものが「成長ペースの影響」と曖昧表現になっています。まあ「基調物価は伸び悩み」なので言ってることの趣旨は似ているのですが、ここでも諸葛孔明の罠の如く、「基調物価は伸び悩み」が前回は決め打ちで伸び悩みになっていましたが、今回は「ことが見込まれる」となっているので、実は決め打ちではない見通しになっているので、これまた「基調的な物価はあんまり伸び悩んでいましたよヤッホー」とか言い出すことがやりやすくなっている文言変更が発生しています。


物価の見通しは数値は2本立て、タイムスパンも目先とその後の2本立てでしてその後の話になりますが、

『その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回)

『その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(7月展望)

今回わざわざ「基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率は」と打ち込んできているのがこれまたナンジャコリャという話になるんですよね。まず思ったのは「基調的な物価上昇率」という言葉で、確かこの基調物価というのはスペシファイした数値は出せるものではない、という話だったので「物価の基調」というのであれば分かるのですが「率」というスペシファイした数字でも今日の展望レポート全文で出てくるんかいな、と思ってしまいました(どうせ出ない)が、いかにも「ザ・基調物価上昇率」みたいなのがあるような表現を使うのは如何なものかと思いました。

まあ今回は「基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率は」と書いているので、実際のコアCPIが「率」なので文章として「物価の基調と消費者物価の上昇率は」と書くと日本語としてナンジャソラになるから敢えて「率」とした、という日本語の綴り方の関係、という説もアリエールなのですが、ここもうちょっとなんか言いようが無かったのかなと(基調物価上昇率はいくらですか、という不毛な議論がおっぱじまるのも不毛なので)は思いました。

まあ見通し期間後半に達成とか言ってますがお前は何を言ってるんだ、という話はいつも通りの問題としてありますけどね!!!!!!


・見通しのところはまあ文言通り

『前回の見通しと比べると、成長率、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比ともに、概ね不変である。』(今回)
『前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025 年度は、食料品価格上昇の影響を主因に上振れているが、2026 年度と2027 年度は概ね不変である。』(7月展望)

まあここは文言通りなのでパス。


・リスク要因の文言は米国関税リスクの表現を緩和

まあ順当ですね。ちなみに今回本編のリスク認識もちょっと緩和されていますのでそれは後日。

『リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はなお高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(今回)
『リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(7月展望)

不確実性は「なお」高い状況が続いており、ということですのでリスク認識緩和ですな。これは本編をネタにする際にもうちょっと見てみますが、リスク要因の文言はここで見られる以上に下方リスクが緩和されているように読み取れると思います。


・リスクバランスは政策委員のプロットなのでまあその通りって感じです

『リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2026 年度は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、概ね上下にバランスしている。』(今回)
『リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2025 年度と 2026 年度は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、概ね上下にバランスしている。』(7月展望)

これはリスクバランスチャートの上三角下三角を基準にしている筈ですが、見通し数値が強い人の下三角と見通し数値が弱い人の下三角だと定性的には意味が違うんじゃないかと思うので、ここの出し方ってもうちょっと何とかならんのかとは思います。





2025/10/30

お題「FOMCである」

そして今日は決定会合であるが何はともあれFOMC。

〇声明文:経済物価情勢事実上上方修正させながら利下げは「バランスオブリスク」ですかそうですか

理由付けはバランスオブリスクになっているのが中々こうアレですなとは思いながら・・・・・・

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251029a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250917a.htm(前回)


・第1パラグラフ:経済全体の現状認識は上がっているんですよねえ

『Available indicators suggest that economic activity has been expanding at a moderate pace.』(今回)
『Recent indicators suggest that growth of economic activity moderated in the first half of the year.』(前回)

経済活動は前回「今年前半はモデレートになった」だったんですが今回の認識は「has been expanding at a moderate pace」で「拡大」に現状認識が引き上げになっているということで、例によって何のニュースも見ざる聞かざるで初手これを読んで、さすがに利下げは利下げなんじゃろと思ってたのに初手がこれで一瞬ビビりました。

『Job gains have slowed this year, and the unemployment rate has edged up but remained low through August; more recent indicators are consistent with these developments. 』(今回)
『Job gains have slowed, and the unemployment rate has edged up but remains low. 』(前回)

初手でビビらせてくれましたが笑、労働市場のところは「ジョブゲインは今年スローで進行していますなあ」という感じでジョブゲインの減速を表現していて、「8月以降失業率がちょっと上がっている、水準は低いけど」って言い方をしていますが、まあその表現自体は前回と同じですけど、その後に「直近のデータはこれらの現状認識を確認させるものでした」となっていますわな。

とは言いましても、基本線は言ってること同じだし、労働市場が悪化していますというような認識まで判断を引き下げたわけではない、ということになりますとまあこれはまたバランスオブリスクか、ということでしょうね利下げするなら、と思ったら案の定この先で出てきたのはそんな結果だったのは皆様もご案内の通り。

『Inflation has moved up since earlier in the year and remains somewhat elevated.』(今回)
『Inflation has moved up and remains somewhat elevated.』(前回)

インフレの所ですが、今回「今年の早めの時期から」上がっています、tって言い方をしていますね。その後の若干高い水準にいます云々は同じ表現。

・・・・・・ということでどうせ利下げしてるんだが先行き見通しをこれで下げるというのもさすがに妙(経済の現状認識を引き上げているから)なのですが先行き見通しパラグラフどうなっているかと思いながら2パラに進む訳ですな。


・第2パラグラフ:雇用のダウンサイドリスクの表現が現在完了から過去形になっているのはどうなんでしょ

『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回)

これはいつもの開経偈なので気にせずに次に行きますと、

『Uncertainty about the economic outlook remains elevated.』(今回)
『Uncertainty about the economic outlook remains elevated.』(前回)

同じですね。

『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate and judges that downside risks to employment rose in recent months.』(今回)
『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate and judges that downside risks to employment have risen.』(前回)

ダウンサイドリスクについての部分がまあ重要ということになるのですが、前回が現在完了形の表現になっていて、今回は過去形で「ここ数か月で雇用の下振れリスクが上がりました」となっていて、ここまで来るとドメドメジャパニーズの学校の英語教育だとニュアンスどっちがどうなのよというのが良くワカランチ会長なところはあるのですが、さっきのところでも「8月以降」とかあったように、「ここ数か月の下振れリスク」というのを強調する形になっているので、リスク認識自体は別に下がったということではないけれども、この表現だと先行きに関しては今後のデータ見ながら雇用データがコケ無かった場合にはリスクが減るみたいなことにもできるようにはなっているかなあとは思いました。この後のオープニングリマークと会見でどんな話をしているんやらというのはあるけど寝起きなのでそこまでまだ間に合っていないですわ(ノ∀`)アチャー


・第3パラグラフ:「バランスオブリスク」対応で25bp利下げ、12月からバランスシートのランオフ終了(償還分全部国債へ再投資へ)

てな訳で決定事項の3パラです。

『In support of its goals and in light of the shift in the balance of risks, the Committee decided to lower the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 3-3/4 to 4 percent.』(今回)
『In support of its goals and in light of the shift in the balance of risks, the Committee decided to lower the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 4 to 4-1/4 percent.』(前回)

経済の現状認識上げているんですから見通し悪化かリスク対応で利下げになるんですが、見通しが特に大きな悪化を示している訳ではない(そもそも現状認識上げておいて見通し下げるのはアクロバットですしおすし)ので、今回も「バランスオブリスクのシフト」で利下げしました。

まあこの点に関しては金融政策の足元の水準自体が中立よりも引き締め的なのであれば、リスクバランスを勘案してフォワードルッキングに引き締め度合いの調整を行いました、という言い訳ができる、というかまあそういう言い訳でやらせてもろて頂いているという感じではあるのですが、この理由で利下げできるのってあと1回かいいとこ2回って感じのような気がしますけれどもはてさてどうなるんでしょうかねえ。

『In considering additional adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks. 』(今回)
『In considering additional adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks. 』(前回)

でもってここの表現が追加利下げに関して「In considering additional adjustments to the target range for the federal funds rate」を継続しているので、今後の「政策金利の調整」の余地はあるということですが、ただまあよくよく考えてみれば中立金利だと思っていて物価上振れリスク対応でadditional adjustmentsしました、とか言い出すことも不可能ではないのでそこが微妙ではありますけれども、まあ前回の表現を踏襲しているというのを素直に受け止めれば「中立金利に向けた追加調整も状況を見ながら実施しますよ」という言い方になっている、というお話かとは思いました。まあどうせ会見で質問されてるじゃろ。

そして次がバランスシートのランオフ停止。まあ案の定ですけれどもしばらく前にパウちゃんがNABEで「Understanding the Fed’s Balance Sheet」ってお題の講演を行ったのはその露払いでしたが、そういう認識が有るので慌ててパウちゃん講演のバランスシートの話の方をネタにしました、ってなもんですばいエヘヘ。

『The Committee decided to conclude the reduction of its aggregate securities holdings on December 1.』(今回)
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities.』(前回)

12月償還分からは償還分の再投資を全額実施することになりますが、MBSに関しては同額の米国短期国債を購入することになります。後の方でディレクティブを確認しましょうず。

『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(前回)

3パラ最後の部分は2パラ最初の文言の対句みたいなもんです。


・第4パラグラフ:状況見てあんじょうようやっときますわ云々は今回も全文一致

ここは見事に全文一致ですな。フォワードガイダンスみたいなことやらない限りここは変わらんでしょ。

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(今回)

『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take into account a wide range of information, including readings on labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial and international developments.』(前回)

全文一致なのでもう特に途中も切らずに1パラまとめて比較引用しました、比較引用になっていないとかいう説はあるが笑。


・第5パラグラフ:ミラン50利下げ、シュミッド現状維持を主張

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Susan M. Collins; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Philip N. Jefferson; Alberto G. Musalem; and Christopher J. Waller. 』(今回)

『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Susan M. Collins; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Philip N. Jefferson; Alberto G. Musalem; Jeffrey R. Schmid; and Christopher J. Waller.』(前回)

賛成が1名減っていますねえ、と思えば、

『Voting against this action were Stephen I. Miran, who preferred to lower the target range for the federal funds rate by 1/2 percentage point at this meeting, and Jeffrey R. Schmid, who preferred no change to the target range for the federal funds rate at this meeting.』(今回)

『Voting against this action was Stephen I. Miran, who preferred to lower the target range for the federal funds rate by 1/2 percentage point at this meeting.』(前回)

ということで、またミランが50bp利下げ(そういや前回利下げ後に行った50bp利下げ正当化講演あんまり深堀していないのだが正直言ってる理屈が意味ぷーなやつなんですよね)を主張しているのですが、今回は敢然とシュミッド総裁(カンザスシティ連銀総裁なので先代のジョージさんも先々代のホーニッグさんもそうでしたが基本的にタカ派的ではあるのだ)が政策金利据え置きを主張しましたな。結構結構。


・ディレクティブは各種ファシリティの25bpフルスライドと12月1日からは全額償還再投資の指示になっています

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20251029a1.htm(今回)
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250917a1.htm(前回)
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation

一々引用しませんが、各種の常設ファシリティ、オペレーションに関しましては適用金利の25bp引き下げを実施して、応札限度のあるオペレーションの応札限度の変更は実施されていません。まあ順当ですが。

でもって資産買入れに関しては、まず国債が、

『・Roll over at auction the amount of principal payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities maturing in October and November that exceeds a cap of $5 billion per month. Redeem Treasury coupon securities up to this monthly cap and Treasury bills to the extent that coupon principal payments are less than the monthly cap.』(今回)

『・Roll over at auction the amount of principal payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities maturing in each calendar month that exceeds a cap of $5 billion per month. Redeem Treasury coupon securities up to this monthly cap and Treasury bills to the extent that coupon principal payments are less than the monthly cap.』(前回)

という所までは同じ(12月から変更なので目先は変更なしですからここは同じ表現になるのは当然)ですが、

『Beginning on December 1, roll over at auction all principal payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities.』(今回)

ということで、保有国債の償還元本について全額ロールオーバー(入札方式での買入)を行うという指示。

でもってMBSですが、

『・Reinvest the amount of principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities (MBS) received in October and November that exceeds a cap of $35 billion per month into Treasury securities to roughly match the maturity composition of Treasury securities outstanding. 』(今回)

『・Reinvest the amount of principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities (MBS) received in each calendar month that exceeds a cap of $35 billion per month into Treasury securities to roughly match the maturity composition of Treasury securities outstanding.』(前回)

同じくここまでは同じでこの次が、

『Beginning on December 1, reinvest all principal payments from the Federal Reserve's holdings of agency securities into Treasury bills.』(今回)

ということで、12月1日からは償還されたMBSに関して再投資、なのですがMBSではないのは順当ですけれども、こちらに関しては「Treasury securities」ではなく「Treasury bills」になっていまして、短国への再投資という風になっていて、MBS買入の痕跡を早く消したいってイメージなのかと思ってしまいました笑。

ということで今朝は時間の都合上ここで勘弁させていただきたく存じます。







2025/10/29

お題「日銀謹製基調的物価と交付税特会借入のメモ/本田悦朗先生の埋蔵金攻撃が来てますねえ/雑談少々」

もうね・・・・・
https://news.ntv.co.jp/category/politics/67e17314c2244d7dab9abe2574146b14
高市首相、トランプ大統領に“ノーベル平和賞推薦”伝える方向で調整
日本テレビ放送網
2025年10月28日 8:49

続報によりますとマジで推薦する方向なのを伝達したようですが、ノーベル平和賞かよって所でして、いやまああの賞自体がアレではあるのですが・・・・・・

ということでですね、どうせなら米中緊張緩和にもつながりそうな気がするので孔子平和賞に推薦した方が良いんじゃないかと思ったのですが、調べてみたら孔子平和賞っていつの間にか終わっていたみたいですね、アイヤー。


〇日銀謹製基調的インフレですがこれは来年度に向けて下がるという触れ込みはどうなるのやら

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

こちらの数字ですが、例によってエクセルを落としましてちょっと長めに期間を取りますと、

Jan-23  3.1  1.1  1.6
Feb-23  2.7  0.8  2.1
Mar-23  2.9  1.0  2.7
Apr-23  3.0  1.2  2.8
May-23  3.1  1.4  2.9
Jun-23  3.0  1.4  2.9
Jul-23  3.3  1.6  3.0
Aug-23  3.3  1.8  3.0
Sep-23  3.4  2.0  2.8
Oct-23  3.0  2.2  2.6
Nov-23  2.7  1.7  2.4
Dec-23  2.6  1.6  2.4
Jan-24  2.6  1.9  2.3
Feb-24  2.3  1.4  2.0
Mar-24  2.2  1.3  1.9
Apr-24  1.8  1.1  1.6
May-24  2.1  1.3  1.5
Jun-24  2.1  1.4  1.6
Jul-24  1.8  1.1  1.5
Aug-24  1.8  0.7  1.3
Sep-24  1.7  0.8  1.4
Oct-24  1.5  0.8  1.3
Nov-24  1.7  0.9  1.1
Dec-24  1.9  1.0  1.1
Jan-25  2.2  1.4  1.3
Feb-25  2.2  1.4  1.2
Mar-25  2.2  1.4  1.4
Apr-25  2.4  1.7  1.8
May-25  2.5  1.7  1.6
Jun-25  2.3  1.4  1.4
Jul-25  2.0  1.1  1.5
Aug-25  2.0  1.1  1.9
Sep-25  2.1  1.4  1.7

だんだらになりまして誠に申し訳ございませんが、こうやって推移を見ていると「2%物価目標に達していない」ってのは何を持って言ってるんですかってな話になると思うのですが、また例によってガソリン補助金からの間接税引き下げとかでCPIのヘッドラインとコアが0.3%だか0.4%だか下がるというプレイが予定されているようですけれども、昨年の時と同じようなもんで結局のところその後戻るじゃん、って流れになるんだったらそれは「物価目標行ってません」って話でも何でもなかろうと思うのですが、「基調的物価を捕捉するための指標」って言いながら出している数字すら無視して「お気持ち物価、もとい基調的物価」を盾に取る説明をこの人たちはどこまでやるんでしょうかねえという感じです。

最近は第二種兼業主夫の立場から見ますとどっからどうみてもお前それ調子に乗って便乗値上げしてるだろうというのが見られる今日この頃でありますが、一部はこれまで上げれなかった分の鬱憤晴らしで上げている面があるからそこは共感の余地は無くは無いのですが、それにしてもどうせガソリン値下げしたら「こりゃ消費者の財布の紐が緩むわ値上げじゃ値上げ」というムーブの方が起きるんジャマイカって気がしますし、なんだったら消費税減税したら減税分の一部が値上げで相殺されるんチャイマスカという気もしますし、まあそう簡単に物価下がらん(というか水準自体が高いままでしょうなあ)とは思う訳です。

そもそも中央銀行の物価安定目標ってのは「総合物価」を対象にしているんですけどねえ・・・・・・・


でもって値上げ値下げ品目比率なのですが、足元で改善(というか改悪というか知らんが)して値上げ品目比率−値下げ品目比率の数値が小さくなる、すなわち値上げムーブの勢いに陰りが見えたような明るい(かどうか知らんが)兆候もあるのかな、と思ったのですが、こちら昨年からの時系列を見ますと、

Jan-24  83.9  10.7  73.2
Feb-24  81.8  12.8  69.0
Mar-24  79.5  15.1  64.4
Apr-24  80.8  14.0  66.9
May-24  79.3  15.5  63.8
Jun-24  78.7  16.1  62.6
Jul-24  75.7  18.8  56.9
Aug-24  74.7  19.9  54.8
Sep-24  76.1  18.2  57.9
Oct-24  75.1  19.5  55.6
Nov-24  75.5  19.3  56.1
Dec-24  75.7  19.0  56.7
Jan-25  77.0  17.2  59.8
Feb-25  78.7  15.7  63.0
Mar-25  80.5  14.2  66.3
Apr-25  80.3  14.2  66.1
May-25  81.6  13.2  68.4
Jun-25  80.5  13.6  66.9
Jul-25  79.7  14.6  65.1
Aug-25  80.1  14.6  65.5
Sep-25  77.6  17.6  60.0

直近でここ数か月65くらいだったのが60に下がっている上、値下げ品目比率が10%台前半だったところが10%台後半に遂に乗ってきた、ということで消費者の価格上昇に対する耐性が徐々に厳しくなってきたことによって値下げムーブも起きているのか、と一瞬喜びそうになりましたが、2024年の頭からの推移見ていますと2024年当初はまあ碌なもんじゃなかったですけれども、その後って何気に値下げ品目2割くらいはあったのかと思いますと、うーんまだまだそんな感じでもないかなあと思ってしまいましたが、しかしこの数字にしたって基調的物価が高いってお話じゃろとしか言いようが無いのですが、殆どこの指標スルー気味になっているのが悲しいですな。


〇交付税特会借入6Mのレート推移を見ながら利上げ見込みの推移を妄想するの巻

今月の特会入札6M結果

10/3入札分(=高市前)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251003.htm

10/15→4/16
平均:0.732%
足切:0.749%

10/16入札分(=高市総裁爆誕も連立組換中で何となくまとまりそうな感じ)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251016.htm

10/23→4/24
平均:0.700%
足切:0.725%

10/23入札分(=高市内閣がめでたくスタートした後)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251023.htm

11/5→5/7
平均:0.717%
足切:0.730%


10/3入札分ってのは平均落札レートで見たばあいに10月会合での利上げを綺麗に織り込んだレートとなっていて、10/15-10/31=0.500%、10/31-4/16=0.754%とかいう物凄く美しい金利になっておった訳ですな、以前ネタにしたと思いますが。

でもってこれが10/16入札分になりますと平均の0.700%ってのは10月会合で切った場合には後ろのレートが0.709%まで華麗に低下した結果で(12月利上げは0.798%なのでフル以上に織り込んでいます)ございましたが・・・・・

先週木曜の分になりますと、11/5スタートなのでもはや10月利上げ織り込み関係ないじゃろの世界になるわけですが、10月会合で切った場合は平均0.717%なのでこれがまた一応高市発足前時点よりも利上げ織り込みがちょっと前に進んでいるように見える数字になるのですが、ただこれ12月利上げの線で計算しなおすと、10/23→4/24の0.700%ってのが、12/26以降の金利が上述のように0.798%になるはずなんですが、直近の方になりますと、12/26以降の金利は0.792%になるので、平均で見た場合はお気持ち程度の織り込み低下になっております。

とは言いましても足切レートの方で見ますと、先々週が0.835%で先週が0.809%になっていますので、12月利上げ織り込み度合い(ってまあどっちも数字だけで見たら100%超なんですが交付税特会借入は元々レートが高め高めで決着するものなので絶対水準よりも相対感覚で見てもろていただいて、ってもんですけど)はそこそこ下がっているという結果になっております。まあ織り込みが減ったというよりも、さすがに先週木曜の段階まで来た所では10月のワンチャン利上げリスクも無くなってきたので、万が一の心配をして一応抑制していた運用意欲が高まっているって事を示したもんかね。ってな所でしょうか、知らんけど。


まあ10月無いにしましても12月までは丸々1か月半ありまして、補正予算で云々だから利上げをしにくいですよねえ云々というのも勿論大有りではあるのですが、1か月半とかいう時間があると、円安アイヤーのリスクというのもこれあり、というかアメリカンが利下げをだいぶ織り込んで来る過程において全然ドル円戻らん訳でして、そうなりますとこれ今回の決定会合で毎度おなじみの植田総裁によるチキン音頭がコケコッコーと踊られてしまいますと中々やべえ奴じゃんという気がしますし、例の経済ブレーン(笑)どもが0.75%に利上げしたら打ち止めで高圧経済ヒャッハーとかいう高圧経済タコ踊りをおっぱじめるとこれまたアイヤーという未来しか想像できないのですが、この辺の警戒感がどうなるか、というお話ですが・・・・・・・

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/2511.htm
入札カレンダー:令和7年11月

(3)借入金

こちらを見ますと、11月は毎週のように交付税特会6M借入があるのでレート推移を見れて楽しめそう(不謹慎)ですな、と思いました。まあ特会借入は参加者限定市場で流通市場ってありましたっけな持ち切り市場(とは言いましても担保などには普通にホイホイ使える)なので限定参加者市場の限定レートではあるのですが、性格上銀行業態の方々が参加してて何となくその人たちのイメージの片鱗でも見れるかな、と思いますので来月はこうご期待という感じで見ております(随時ネタにします)。



〇さっそくインチキ埋蔵金構想キタコレ(本田悦朗さんのインチキ埋蔵金登場)

キタコレ
https://news.yahoo.co.jp/articles/3915c7fa6e7d96630d85b8100b5572a0a4fc268d
高市政権の“経済政策ブレーン” 本田悦朗氏「財政余力は毎年10兆円」と提言
10/28(火) 4:20配信

これアタクシの環境でヤフーニュースのページで見るとトップページのロゴの欄外に「だまされないで!身近に潜むフェイクニュースの罠」ってのがあるのでちょっと微笑してしまいましたがw

『高市総理の経済ブレーンの一人、本田悦朗氏がインタビューに応じ、高市氏に「財政余力は毎年10兆円ある」と提言したことを明らかにしました。』(上記URL先より)

毎年10兆円あったら10年で100兆円も財政余力があるんですかヤダーという話ですが、この「埋蔵金」ネタって大昔の民主党政権が思い切り引っ掛かったりもしましたし、まあ徳川埋蔵金とかM資金みたいなもんで、まーた始まったかという世界ですが、この調子で出てくるんですからまあ「責任ある積極財政」とか言う話の底も見えますなということですし、10年15年前よりも財政余力無くなっているんだしどうするんでしょうね。

というかですね、物価上がっているんだから物価上がった分スライドで経常経費増える筈で、その分黙ってても支出増えるはずなんですが、なぜか税収上がった話の方ばっかりしているというのも訳わからん(というかまあ都合のいい話だけするというムーブなので訳は分かるのですけれどもw)のですが、とりあえず補正で国債が出ないとか規模が小さいとか言って喜んでいる場合じゃないと思うんですけどねえ・・・・・・・・・

という友蔵心の俳句でした。


〇そういえばなんかその方面の方にはかなり面白そうなワークショップの告知がありましたよ

先週金曜に出てたんですけど

https://www.imes.boj.or.jp/jp/conference/finance/2025_fworkshop.html
日本銀行金融研究所ファイナンス・ワークショップ開催のお知らせ
2025年10月24日
日本銀行金融研究所
経済ファイナンス研究課

『日本銀行金融研究所・経済ファイナンス研究課・ファイナンス研究グループでは、11月28日に、「機械学習・AIのファイナンス分析への応用」をテーマとして、ファイナンス・ワークショップを開催します。』

だそうですが、

『ファイナンス分野では、早くから機械学習やAI技術が用いられてきました。近年、オルタナティブデータ(金融市場や金融機関に関連する高粒度データ、公開文書やレポートのテキストデータなど)の活用が進むもと、複雑な特徴量間の関係を捉えられる機械学習の手法や、大規模言語モデルをはじめとしたテキストに特化したAI技術が用いられる機会が一段と増えています。また、得られた分析結果の解釈を助けるための取り組みも進められています。』

ってな話でして、

『本ワークショップでは、1. 日本国債市場について、粒度の高い取引データに機械学習の手法を応用して、流動性に及ぼす要因を考察した研究、2. 日本企業の株式リターンの特徴について、機械学習の手法を用いて、分析結果の解釈可能性にも焦点を当てつつ分析した研究、3. 日本企業の開示情報から大規模言語モデルにより抽出したセンチメントと、株式リターンとの関係を分析した研究の報告を予定しています。』

>日本国債市場について、粒度の高い取引データに機械学習の手法を応用して、流動性に及ぼす要因を考察した研究

・・・・ほほう。

ということですので、ちょっとご紹介してみましたというだけの雑談です。


〇盛大にどうでもいいのですが日銀HPのオペ結果について

https://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/ope/index.htm
オペレーション

『日次公表分
更新は、オペレーションのオファーおよびオファーバックの都度、実施します。

なお、オペレーションのオファーがなかった日については表示されません。』

って事で、その先に『オファー/落札結果』ってのがありまして、こちら10月頭からエクセル形式になって一覧性が非常に悪くなったなあというのはありまして、これエクセルが出てくるのですが倍率設定に難があって出てきた時にエクセルを一々縮小しないと何がなんだかさっぱり分からない状態なんですよね。まあモニターの大きさとかによって異なると思うのですがエクセルの表示倍率25%〜35%位じゃないと一般的な画面の大きさだとキツいと思う(今のデフォは70%)ので、デフォルトの倍率30%辺りに置いて頂きたいと思いますがどうでしょうかね。

・・・・・というのもあるのですが、昨日は何がどうなっているのか謎でしたが、日銀HPをEdgeで見ているとこのエクセルファイルが何時まで経っても「落札結果」が反映されず(15時くらいまで何回かF5チャレンジ(良い子はF5連打は控えましょう)したのですがダメでした、19時過ぎとかに思い出して更新したらやっとファイルが反映されていました)に往生しました(どうもGoogleChromeでは見れてたっぽいのが更に謎)ということですが、もしかしたらこれ私の環境のせいなのかも知れないので私だけに起きた現象だったらゴメンチャイなのですが、まあ何か謎現象でした。

エクセル形式にしたのはデータ集計とか整理する人には多分盛大な改善なのでユーザーフレンドリーにやってもろて頂いている、というのは分かるのですが、オペ結果見に行ったときに一発で見れる視認性というのもこれまた大事で、情報ベンダーが速報打つから確認できるとは言え、オペ先以外は情報ベンダーもそうですけど最初に見に行くのは日銀HPですし、オペ先だって平均幾らとかそういう通知は有るのか無いのかわからん(こちとら昔の専用機時代の日銀ネットしか詳しくないので)ですが、あのHTML自体は視認性が非常に良かったので惜しいなとは思う所であります。

別に戻せとは言いませんけれども、エクセルの視認性上げる(単に倍率いじるだけの話)のは何とかしておいていただけるとアリガタヤと思いました。晒し上げみたいですいませんすいません。









2025/10/28

お題「FOMCも近いので古いネタで恐縮ですがFEDのリザーブ運営に関するパウちゃん講演からの虫干しネタ」

そういや小池知事
https://news.yahoo.co.jp/articles/e5f93b05bc2c0c67a8695db7cc16956289735f12
小池都知事「ライフが先でしょ」ワークライフバランス「捨てる」高市首相の残業規制緩和指示に
10/25(土) 9:36配信

こういうのをぶち込んでくるのが上手いのが百合子クオリティだなと思いました。


〇やりかけだったパウちゃんの講演の「アンプルリザーブレジーム」に関して

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20251014a.htm
October 14, 2025

Understanding the Fed’s Balance Sheet
Chair Jerome H. Powell
At the 67th Annual Meeting of the National Association for Business Economics, Philadelphia, Pennsylvania

ええすいません先々週のネタですが中銀ウィーク開催するのとどうせFEDは利下げするでしょうからそっちの話よりもバランスシートの方の話の方がネタになる可能性が今回のFOMCではあると思いますので泥縄駆け込みで(滝汗)。

こちらの講演、最後の方が金融政策の話でしたが、前半の方ではバランスシート政策の話をしていまして、その中で「後から考えてみたら資産買入拡大はもっと早くに終了すべきだった」という説明をしていまして、つまりはバランスシート大きすぎ問題がある、というのを説明していた所まではやったのですけれども、具体的に今後の資産残高縮小ペースに関連する「アンプルリザーブレジーム」というある意味負債サイド(中央銀行当座預金規模)に注目した話の部分がそこそこ長いのですっ飛ばしていたらまさかの高市政権決まるまでのすったもんだがあったので遅く成りました、と言い訳。

でまあ割と長いのですが小見出し『Our Ample Reserves Framework Works Well』というお話になりますが、これは資産買入の資産サイドの構成がどうのこうのとかいうのは関係なくて、あくまでも負債サイドで見た場合の話になるわけですな。でまああんまりその辺使い分けで説明する人多く無いかも知れませんが、そういう意味で言えばバランスシートの負債サイドの拡大をメインの説明に置く場合はQE(量的緩和)、資産サイドの拡大をメインの説明を置く場合はLSAP(大規模資産買入)になるんですよね。まーそこを細かく峻別して言ったり書いたりするのは変態に限られますけど。


・アンプルリサーブレジームの定義:短期金利のコントロールができて金融機関の流動性が確保できた状態

『Turning to my second topic, our ample reserves regime has proven highly effective, delivering good control of our policy rate across a wide range of challenging economic conditions, while promoting financial stability and supporting a resilient payments system.17』

アンプルリザーブシステムは短期金利のコントロールができて金融機関の流動性が確保できた状態、ということですがその目的に対して「highly effective」に機能できることが分かっている、というご認識ですな。

ただまあこのアンプルリザーブシステムって中銀預金付利やスタンディングファシリティによって金利を維持するシステムになっているので、中銀当座預金や中銀スタンディングファシリティへのアクセスが無い市場参加者に取ってみたら不公平にも程がある制度になっている訳で、マネーマーケットにおける市場機能による資源配分の効率化という意味では問題含みの制度ではあるんですけどね。

まあそんな話は兎も角として先に行きますが、

『In this framework, an ample supply of reserves ensures adequate liquidity in the banking system, and control of our policy rate is achieved through the setting of our administered rates-interest on reserve balances and the overnight reverse repo rate.』

この辺はアンプルレジームシステムにおける短期金利コントロールの方法の説明で、内容は今申し上げた通りで中銀当座預金付利とスタンディングファシリティによって超過準備を不胎化することによって市場金利をコントロールさせますよというお話ですな。

『This approach allows us to maintain rate control independently of the size of our balance sheet. That is important given large, unpredictable swings in liquidity demand from the private sector and significant fluctuations in autonomous factors affecting reserve supply, such as the Treasury General Account.』

この常設ファシリティがあるので中銀バランスシートのサイズ、といっているけど実務的に言えば「中銀預金残高総額」の方が説明として適切だと思いますけど、中銀預金残高がある程度スイング(特に置きやすいのが政府預金残高増減に伴う資金需給のブレ)しても金利がぶれません、という説明をしています。

でまあここで古い人ならお分かりだと思いますが、それに対しては準備預金制度という資金繰りバッファーを持たせる制度による突発的な赤残発生リスクを抑制させて、きめ細かな資金供給、資金吸収のオペレーションを行えば別にアンプルリザーブじゃなくてもインターバンクの金利コントロールができる、というのは昔の日銀を見れば一目瞭然なのですが、そもそも論として米国の場合資金需給予想とかそんな洒落たもん出てたっけの世界で、実効FFレートなんてドチャクソぶれていた筈なので(一応システムレポとかカスタマーレポとかあったけど)、まあそういうシステムが組めない、というのはあると思うの。

まあアタクシも別に米国の短期市場で資金繰りとかやったことはないのでよくわからんですけどね。


・現状の当座預金規模はアンプル(かアバンダントかは本当は分からんのだが)リザーブとなる規模ですとの認識

『This framework has proven resilient whether the balance sheet is shrinking or growing. Since June 2022, we have reduced the size of our balance sheet by $2.2 trillion?from 35 percent to just under 22 percent of GDP-while maintaining effective interest rate control.18』

でまあこのアンプルリザーブレジームはバランスシートを縮小する中でも今のところ機能している、という説明になっているのですが、なんかこれ説明の順序がおかしくて、もともとが「アバンダント・リザーブシステム」になっているところから中銀当座預金残高を縮小していく中で徐々にアンプルになり、最後はトン調節(スケアス・リザーブシステムとかいうカッコイイ名前がついている模様)になるんであって、アンプリザ―ブシステムがワークしているんじゃなくて、「今の中銀当座預金規模はアンプルリザーブ(なのかアバンダントリサーブなのかは判別しにくいが)システムとなる規模である」って説明した方が話の筋としてはあっていると思うの。


・でもってここから市場の現世利益「バランスシートのランオフはどこで止まるのか」のお話になる

てなわけで次に進みますが、

『Our long-stated plan is to stop balance sheet runoff when reserves are somewhat above the level we judge consistent with ample reserve conditions.19』

ということで、アンプルなのかアバンダントなのかというのを(そもそもアバンダントの説明かっ飛ばしていますし)あんまり議論しないまま次の話、「必要と思われる中銀当座預金水準になったのでそろそろ中銀当座預金残高の圧縮、すなわち資産サイドの縮小を止めて残高維持モードにしますか」という判断についてのお話がおっぱじまります。

てな訳で「reserves are somewhat above the level we judge consistent with ample reserve conditions」ならばバランスシートのランオフをストップしますという計画が前から言ってる通りございますが、ときまして、

『We may approach that point in coming months, and we are closely monitoring a wide range of indicators to inform this decision.20』

「We may approach that point in coming months」だそうです。ホンマカイナという気もせんでもないのですが、まあこの前も財政要因(税揚げ要因だったかな)でインターバンクの資金需給がタイトになった時に常設レポファシリティに申込がワサワサとやってきた、という事案があったように、たまにそういう感じになる位にまではリザーブが減った、ということなんですかね。

まあこの辺は国によっても違うのでアレですが、法定準備以上に中銀当座預金を抱えて保守的な資金繰りをするようになっているっていうのが仕様になってきているってのが要因で、法定準備の水準から適正準備を弾き出すという話になっていないから、減らしていかないと分からんということなんでしょうけれども、まあどうせFEDの事だから細かいオペをするよりもやや多めにリザーブ出しておいて特異日だけ常設ファシリティに来いや、という話を考えているんだとは思います。

ただまあ何ですな、このシステムってよくよく考えると市中銀行に対してスケアスリザーブシステムの時に行っていなかった付利すなわち政府部門による支出を行っている(昔の日本や米国のスケアスリザーブシステムでは中銀預金に付利してなかった)のがどうなのかとは思いますし、その額がそれなりに巨大だとするとちょっと唸ってしまう面はあるんですけどね。

すいませんまた話が逸れましたが「あと数か月でアンプルリザーブシステムとしての適正水準に達するでしょう」の続きに参ります。

『Some signs have begun to emerge that liquidity conditions are gradually tightening, including a general firming of repo rates along with more noticeable but temporary pressures on selected dates.』

この部分が今申し上げた「財政要因で大きな資金不足が生じたときの事例」ですね。

『The Committee's plans lay out a deliberately cautious approach to avoid the kind of money market strains experienced in September 2019. Moreover, the tools of our implementation framework, including the standing repo facility and the discount window, will help contain funding pressures and keep the federal funds rate within our target range through this transition to lower reserve levels.』

でまあそういうのが恒常的に発生する(となるとそれはトン調節が必要なのに調節をしない状態なんだから困るのは当たり前なんですが)のはイクナイので、そこまで中銀当座預金の削減は行わんよ、というお話。

でもって「常設レポやディスカウントウィンドウは中銀当座預金残高が少なくなってきた時の市場金利を誘導するためのツールです」って言ってるのは、これは要はこれらの常設ファシリティを使ってね、というお願いでして、これって特にディスカウントウィンドウがそうだったのですが、GFCの時にディスカウントウィンドウを使うことがスティグマ扱いされて使用がためらわれた問題というのがあったのでこういう事を言っているんですよね。

と言いましても、先般常設レポファシリティの残高が急増した時に一瞬だけ金融不安みたいな話題にされていたように、相変わらずこれらの常設ファシリティに関するスティグマちっくな扱いというのは中々治らんなあと思われるところでもありまして、これはもうFEDが必死こいて説明するしかないと思うのですよね。


・適正なバランスシートの額は経済活動の拡大とともに増えますよというまあ技術的な話

さて次に行きます。

『Normalizing the size of our balance sheet does not mean going back to the balance sheet we had before the pandemic.』

これはスケアスリザーブに戻りません、という話をしているようにも一瞬見えるのですが、次の話を見ますと「そもそも経済活動の拡大に伴って中央銀行の適正な当座預金残高規模というのは拡大するんです」という技術的な説明のコーナーになっています。というかまあこの説明自体全般的に技術的な説明なんですけどね。

つまりですね、

『In the longer run, the size of our balance sheet is determined by the public's demand for our liabilities rather than our pandemic-related asset purchases.』

というのが「経済活動の拡大によって必要となるバランスシート規模は拡大する」という話でして、

『Non-reserve liabilities currently stand about $1.1 trillion higher than just prior to the pandemic, thus requiring that our securities holdings be equally higher. Demand for reserves has risen as well, in part reflecting the growth of the banking system and the overall economy.』

パンデミック以降現在までの間の発行銀行券残高の拡大によるバランスシートの拡大(発行銀行券残高が恒常的に拡大した場合は発行銀行券は負債サイドになるので、中銀バランスシートの総額は増えますがこの場合中央銀行当座預金残高は増えませんし、単純な資金需給で見た場合は一時的な銀行券増発は瞬間で見れば中央銀行当座預金残高の減少要因になるのはご案内の通り)や、銀行セクターやら経済活動規模の拡大に伴いまして、中央銀行当座預金需要が拡大していることもありまっせ、という話をしていまして、このパラグラフでの説明はスケアスリザーブシステム云々ではなくて「適正な資産規模の総体は経済活動の拡大と共に拡大します」という技術的な説明でした。


・バランスシートの右側で何を持つか問題に関して

では次に行きます。

『Regarding the composition of our securities portfolio, relative to the outstanding universe of Treasury securities, our portfolio is currently overweight longer-term securities and underweight shorter-term securities. The longer-run composition will be a topic of Committee discussion. 』

じゃあ資産サイドでは何を持つのか、という話なのですが、

『Transition to our desired composition will occur gradually and predictably, giving market participants time to adjust and minimizing the risk of market disruption. Consistent with our longstanding guidance, we aim for a portfolio consisting primarily of Treasury securities over the longer run.21』

将来的には主に米国国債にしますよ、ただその間の移行は強引に行いませんよ、という話をさらっとしただけですね。


・付利払うのが税金垂れ流しっていう論点に対する回答はまあこういうしか無いんでしょうね・・・・・

次のパラグラフは付利問題ですが2パラグラフを使って説明しているのでやっぱり言われるネタなのだなと思いました。

『Some have questioned whether the interest we pay on reserves is costly to taxpayers.』

特に米の政策金利はクッソ高いですから言われますわな。ただまああんまり言われていない気はしますけどね。

『In fact, that is not the case. The Fed earns interest income from the Treasury securities that back reserves. Most of the time, our interest earnings from Treasury holdings more than cover the interest paid on reserves, generating significant remittances to the Treasury. By law, we remit all profits to the Treasury after covering expenses. Since 2008, even after accounting for the recent period of negative net income, our total remittances to Treasury have totaled more than $900 billion. 』

今は赤字だけどその前は資産サイドの米国国債からの収益をバンバン国庫納付してました、ってまあこの理屈しか言いようが無いのか、と思いましたし、まあこう考えてみた場合、短期市場金利が安定するから、というのを錦の御旗に掲げて無駄にアンプルリザーブを抱える、というのはやっぱりやりにくいんですよね本来は。

なお日銀の場合はアンプルリザーブを維持するために買入を継続している訳ですが、この買入継続ってスムージングだのなんだのの美名はありますが、その一方で買入継続すると保有資産の利回りが上がるからそんなに度肝を抜く赤字にならんのでオッケー、という結構な荒業な面もあるんですよね、本件とは関係ないけど。

『While our net interest income has temporarily been negative due to the rapid rise in policy rates to control inflation, this is highly unusual. Our net income will soon turn positive again, as it typically has been throughout our history. Of course, having negative net income has no bearing on our ability to conduct monetary policy or meet our financial obligations.22』

今のような大赤字垂れ流しは「highly unusual」だとまで言って赤字垂れ流しになるようなものではないという説明をしておりますが、一定以上のアンプルリザーブ(というかアバンダントリザーブ)でやっていると引き締め局面では毎度同じことが起きると思います。

でもって付利の言い訳話2パラ目。

『If our ability to pay interest on reserves and other liabilities were eliminated, the Fed would lose control over rates.』

2パラ目の付利の言い訳は「付利をしないと短期市場金利のコントロールができない」という話ですが、まあこれは実を言えばスケアスリザーブシステムで回すことができるんだったら別に付利しなくてエエヤン問題というのはあったりするので確かに今の時点を切り取れば短期市場金利がゼロに向かって降下するだけなので無理なんですが、リザーブのデザインを変えれば話は別なんですよね。

『The stance of monetary policy would no longer be appropriately calibrated to economic conditions and would push the economy away from our employment and price stability goals. To restore rate control, large sales of securities over a short period of time would be needed to shrink our balance sheet and the quantity of reserves in the system. The volume and speed of these sales could strain Treasury market functioning and compromise financial stability. Market participants would need to absorb the sales of Treasury securities and agency MBS, which would put upward pressure on the entire yield curve, raising borrowing costs for the Treasury and the private sector.』

延々と言ってますが言ってることは「リザーブ縮小のためにFEDの資産売却を急ぐと市場が混乱して皆様も巻き添えに
なりますのでできませんですわ」というお話ですが返す刀で、

『Even after that volatile and disruptive process, the banking system would be less resilient and more vulnerable to liquidity shocks.』

と言ってまして、スケアスリザーブシステムの場合はインターバンクの流動性がなんかの拍子に枯渇するリスクが高まる、という説明をしているのですが、それはまあお前ら資金需給モニタリング頑張れば違くね??とは思いますけど、技術的にかなり難易度が高いっぽいのは何となくわかる。

でまあこの最後ですが、

『The bottom line is that our ample reserves regime has proven remarkably effective for implementing monetary policy and supporting economic and financial stability.』

ということで締めていますが、remarkably effectiveとは大きく出たなという感じです。でまあ説明の中にありましたように、バランスシートのランオフに関しては「向こう数か月」って言ってたから早ければ今回、遅くとも12月か1月のFOMCでランオフのストップというのが出てくるんじゃないかな、って感じかと思いました。


ということでFOMCも近いので駆け込みで虫干しネタで恐縮至極でした。







2025/10/27

お題「短国2月足でも0.50%割れとな/(以下雑談シリーズで)日銀ペーパーより/財政に関する言い方は配慮していますね」

ほほう
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA245BT0U5A021C2000000/
高市内閣支持率74%、現役世代戻り自民支持も上昇 日経世論調査
高市新政権
2025年10月26日 19:00 [会員限定記事]

これは年内解散総選挙コースになりますかねえ、とは思うのだが記事の2段落目が、

『現行の調査方式になった2002年以降に発足した内閣と比較すると、高市内閣は鳩山由紀夫内閣(75%)、菅義偉内閣(74%...』(上記URL先より、以下有料記事)

っていう字面に何かアレなものが・・・・・・・・・


〇うーん2月償還でも0.50%割れですか3Mちゃん

金曜の短国3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251024.htm
国庫短期証券(第1340回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1340回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号    国庫短期証券(第1340回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和7年10月27日
4.償還期限   令和8年2月2日
5.価格競争入札について
(1)応募額          12兆3,291億円
(2)募入決定額     3兆3,248億7,000万円
(3)募入最低価格     99円86銭5厘5毛
(募入最高利回り)    (0.5016%)
(4)募入最低価格における案分比率     33.5841%
(5)募入平均価格     99円86銭7厘4毛
(募入平均利回り)    (0.4945%)』

先週途中からWIが徐々に安くなってきていたので1月決定会合越えに敬意を表したのかと思えばふたを開けてみたら結局のところ足切りで0.50%乗りましたが平均は0.50%割れということで、毎度おなじみの如く絶対水準的には1月までの利上げを織り込んでいないかのようなレートになっているの巻ということでして、まあゆうて短国市場の参加者だけ利上げを丸無視している訳ではなくて、需要が強いからということなんでしょうがうーむこの。

引値を見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/24引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.420
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.410
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.470
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.470
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.475
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.475
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.475←カレント3M
国庫短期証券1341 2026/02/09 平均値単利 0.475←今週金曜入札の新発WI

(10/23引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.420
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.410
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.470
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.470
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.480
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.480
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.525←カレント3Mの入札前WI

ということで新発のところの階段がしらっと無くなりました、という結果になっていまして、まあ一応引き続き年末年始の所で階段があるので、12月決定会合前の足の方が選好されているのは分かるんですが、しかし仮に12月利上げ織り込んでいるにしても、1月頭と2月頭のレートが並びかよ(まあ実際に売買した場合にはそのレートで必ずしも出てくるとは限らんのが短国市場ではありますが)という所でして、相変わらずのニーズの強さを示した入札というか利上げインパクトに対する値付けどうなっているんだよという毎度の結果になったのでした、なんだかなあ。(と言っても昨年の「10月に成ったら短国利回り殆ど0になってしまったでござる」現象よりは全然マシだが)


〇日銀から財政インフレのレポートが出たと思ったらしょんぼりしてしまいましたという雑ネタ

https://www.boj.or.jp/whatsnew/index.htm
ニュース一覧

今月はこんなのが金研論文で登場の巻

10/24(金) 調査・研究 (論文)金融研究所DPS:サプライチェーン制約とインフレ
10/24(金) 調査・研究 (論文)金融研究所DPS:日本における財政インフレ:財源の裏付けがない財政ショックの役割

でまあ財政インフレキタコレと思ったのですが・・・・・

https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/english/25-E-14.html
Fiscal Inflation in Japan: The Role of Unfunded Fiscal Shocks
Takeki Sunakawa

英文でございました、というのはエエんじゃが。

『We investigate the extent to which fiscal factors have contributed to inflation in Japan over the past four decades』

>over the past four decades
>over the past four decades
>over the past four decades

過去40年の分析ですかそうですか。

『Despite sustained fiscal expansion and rising debt since the 1990s, inflation remained low until recent years. Using the medium-scale DSGE model developed by Bianchi et al. (2023), we estimate the model with Japanese data and find that, in contrast to the U.S. case, unfunded fiscal shocks are not the main drivers of inflation in Japan.』

1990年代以降の日米を比較した場合に財政拡張の物価上昇への寄与は日本ではメインドライバーになりませんでした、っていうことなんですが、

『Instead, real demand and supply shocks, along with accommodative monetary policy, have played more significant roles in shaping inflation dynamics』

それよりも需給ショックやその間の金融緩和政策がインフレ形成に顕著な影響を与えました、という話をしているんですけれども、いやあのですねえという感じではありますけれども、こちら(英文なので当然ながら目を泳がせた程度なのですが)本文の最後のところに「まとめ」がありまして・・・・・・

https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/25-E-14.pdf
Fiscal Inflation in Japan:
The Role of Unfunded Fiscal Shocks
Takeki Sunakawa
Discussion Paper No. 2025-E-14

『5 Concluding Remarks

In this paper, we examined the role of fiscal factors in Japan’s inflation dynamics using a medium-scale New Keynesian model adapted from Bianchi et al. (2023). While their analysis of U.S. data finds that unfunded fiscal shocks are key drivers of inflation, our estimation using Japanese data suggests that such shocks play a limited role. Instead, inflation in Japan has been primarily shaped by real demand and supply shocks, alongside monetary policy measures-particularly the Bank of Japan’s QQE policy since 2013.』

何ですかこの提灯結論は。

『Looking ahead, we may refine the model to better reflect the macroeconomic environment in Japan.』

今後モデルを改善していくことが必要かもしれませんという事で、

『First, we could incorporate expected forward interest rates instead of the shadow rate to more accurately capture the effects of the zero lower bound and forward guidance, as discussed in Sudo and Tanaka (2021).』

そりゃおめー分析期間の9割近くはゼロ金利制約だっただろ当たり前じゃという話ですし、

『Second, following Smets and Wouters (2024), we may consider fiscal shocks with partial repayment guarantees rather than relying solely on a binary distinction between funded and unfunded shocks.』

まあそもそも論として「Unfunded Fiscal Shocks」と言えるものがこの40年の間にあったのか(あったとすれば小渕財政とコロナショック以降くらいなもんでしょ)という話が有るわけで、分析するなら1945年前後のものを出さないと(まあ分析するまでも無いのですがあの時期に関しては)と思う訳でして、

『Finally, to account for Japan’s prolonged low inflation and deflationary pressures, it may be fruitful to incorporate a framework with persistent deflation dynamics, such as that proposed by Cuba-Borda and Singh (2024).』

『These extensions would provide a better understanding of the interaction between monetary and fiscal policies and inflation in Japan.』

ということなんですが、財政がインフレーションにそんなに寄与していませんですよって話になっている辺りがもう何ですかこの提灯がということで、「責任ある積極財政」とかいうものが出てきたタイミングになんてドンピシャリで日銀が出したのかと思ったら割と真逆の財政インフレなんて無かったんじゃという話になっているのは草も生えません。まあこれ英文本文の最初のページの脚注見ればわかりますが、日銀のスタッフペーパーではなくて外部の学者さんのペーパーなのでそこだけはホッとしましたけど、うーんなんじゃこりゃと思いました。

しかもこれキーワードってのが設定されているのですが、

『Keywords: Inflation; Fiscal Theory of Price Level; Japan』

ってFTPLかよおいおいおいって感じでして、なんか責任ある積極財政にお墨付きキタコレみたいでげんなりしました。


〇さすがに為替市場に暴れられるのはヤバイという意識はあるようですが・・・・・・(片山発言とかその辺のメモ)

金曜にしれっとこんなのが出ていましたが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-24/T4M1DKGP9VCW00
片山財務相、財源足りなければ「国債増発やむなし」−今年度補正予算
梅川崇、横山恵利香
2025年10月24日 11:45 JST

→財政健全化も課題、債務残高対GDP比は主要国で最悪の水準
→飲食料品への消費減税、「真摯に議論していくことになる」

『片山さつき財務相は24日、経済対策の策定に伴う今年度補正予算について、財源が足りなければ国債を増発して対応する考えを示した。ブルームバーグなどとのインタビューで述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、まあ円債市場ちゃんの方は最近高を括っているのだか単にその前に高市財政ネタで超長期売り過ぎて安くし過ぎたあるいは売り疲れたということなのかもしれませんが(笑)、このヘッドライン出てもそんなに反応していた風は無かったと思います。

まあ一応

『片山財務相は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)に留意しつつ債務残高対GDP比を引き下げる目標が明記されていることに触れ、今後も財政健全化に配慮した政策運営を進める考えを示した。』

という話をしているのでその辺が支えになっている面はあるとは思うのですが、ゆうて例の「政府純債務」とか(何で年金財政で持っている有価証券が政府の債務からの控除項目に使えるのかが1ミリも理解できないんですが何ですかあの国民財産接収概念は・・・・・)まあそのうち色々と都合のいい数字を捻りだしてくるのは曲学阿世連中のインチキ理論ですが、まあそういうのを出さないで真面目にPB改善に努力して下さるのを生暖かい目で見て行こうかとは思います。



でまあこの片山さんのインタビュー(BBGだけじゃなくて複数社とのインタビューみたいですね)が出たのに対しまして城内さんがフォローに入っていまして、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-26/T4PTZRGPL3WI00
補正予算は規模ありきでない、現時点で「全く白紙」−城内経済財政相
吉田昂
2025年10月26日 12:18 JST 更新日時 2025年10月26日 14:16 JST

『城内実経済財政政策担当相は26日、経済対策の策定に伴う今年度補正予算の規模について「現時点では全く白紙」とし、経済指標だけでなく消費者意識の改善を重視する意向を示した。同日朝のNHKの討論番組で語った。』(上記URL先より)

ということで、まあ国債増発してばらまきますよではありません(実際にばらまかないのかというのはさておきまして)というスタンスを示すことによって、片山さんの国債増発止む無し発言を中和したのかな、とは思いました。

『21日の初閣議で高市早苗首相は物価高への対応や成長投資などを柱とする経済対策の策定を指示した。国民負担の軽減と財政規律のバランスが課題となっており、片山さつき財務相は24日のブルームバーグなどとのインタビューで、やむを得ない場合には国債の増発も検討すると述べた。』

あんまり国債増発の話がクローズアップされてしまうと円安に飛びやすい、という辺りは城内さんは認識しているのかなあとは思いましたがどうなんでしょうかね。

『26日のNHK番組には城内氏のほか、片山財務相、小泉進次郎防衛相ら高市政権の新閣僚5人が出演した。補正予算案を国会に提出する時期を問われた片山氏は、経済対策と補正予算は高市政権の「試金石」だと述べる一方、可能な限り早期に提出するとの考えを示すにとどめた。』

ということなのですが、片山さんの張り切りぶりを見ますとそこはかとない不安しかございませんな、ナムナム。


〇短国を見ているとアレですが一応予想は12月か1月なんですね

こいつは木曜のニュースですが(汗)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-23/T4EZ6HGP9VD600
日銀10月会合は9割が政策維持を予想、12月利上げ5割に拡大−サーベイ
伊藤純夫、Cynthia Li
2025年10月23日 10:15 JST

→早期の利上げ再開が市場コンセンサスに、来年1月までならほぼ全員
→高市政権発足も今月見送り要因、物価高対策優先で利上げ路線は容認

『高市早苗政権の発足後で初めてとなる来週の金融政策決定会合で、日本銀行が0.5%程度の政策金利の維持を決めると日銀ウオッチャーの9割が見込んだ。12月会合での利上げ予想は5割程度に急上昇している。』(上記URL先より、以下同様)

まあゆうてこの何とかスト調査も市場でポジション持っている人との温度差があったり、そもそもお前普段金融政策ちゃんと見てたっけと言いたくなるのがいたりで調査の記事を見ていると誠にアレなものを感じるアレな調査ではあるのですけれどもwwwwwww

『ブルームバーグがエコノミスト49人を対象に16−22日に行った調査によると、日銀の利上げ時期について、29、30日の会合との見方は10%で、前回9月調査で最多の36%から大きく減少した。一方、続く12月は49%と22%から拡大し、来年1月までを98%が予想。早期の利上げ再開が市場コンセンサスになっている。』

利上げ再開、というといかにも「その次」があるのような書き方ですが、実際にはこの後またインターバルが、みたいな事を想定している人の方が多いんじゃねえのかとは思いますが、以外にも1月までに利上げやりそこなう、というのは殆どいないんだなというのにはほほーと思いました。

なおアタクシもさすがに今週はなんも無しで、田村さん高田さんの利上げ提案に誰か賛成したら滅茶苦茶楽しいのに、という位の想定しかしておりませんのでございますが(なおべき論で言えば今頃政策金利が1-1.5%のどこかにいないとちゃんちゃらおかしいと思っていますので念のため申し添えます)、内閣支持率見て調子に乗って補正予算通したら通常国会前(つまり12月)に総選挙とかぶち込んでくるかも知れない訳で、今月が高市政権始まったばかりだから様子見、とか言ってると同じ理屈で12月動けない可能性があって、そうなった場合に1月ですかそうですかうーん、とか言うのは気になりますが、幸か不幸か公明党との連立解消しているし維新とは競合多いから選挙準備の問題で解散総選挙をそう簡単にぶち込めないとは思うのですが、一応気にした方が良さそうな感じではありますな、知らんけど。

なお、ありうべからずな話ではありますが、まあどうせ高圧経済ヒャッハーとなって高圧経済音頭を皆で踊って居たら会場の高圧ボンベが大爆発して大惨事が発生する、という流れになるので日銀は後追いで利上げに追い込まれる、という感じになるんじゃないかとは遠い目で思っている所ではありますけれども、高市さんにおかれましてはトラスにはならないでメローニになって頂きたいものではあります。まあしばらくはチキン日銀さん地蔵モードなんでしょうね。








2025/10/24

お題「今日の新発3Mは1月会合越えですわ/FSR出ましたので少々

むむむ
https://www.agrinews.co.jp/news/index/340295
2025年10月24日
米先物またストップ高 4日連続、相対急騰で
| ニュース| ニッポンの米| 主要記事

『米の指数先物取引で23日、値幅制限の上限となるストップ高を4日連続で記録した。全ての限月(取引満了月)で60キロ当たり3万6000円を超える水準まで上昇。農水省公表の2025年産米の9月の相対取引価(以下会員記事)』(上記URL先より)


〇さて今日は2月足の3M短国入札なんですが

ばいさんちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/23引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.420
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.410
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.470
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.470
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.480
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.480←カレント3M
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.525←今日入札の新発WI

(10/22引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.420
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.410
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.470
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.470
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.480
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.480
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.505

ここもと短国ちゃんの引値って12月足と1月足のところにきっちりとした段差ができてきてて(じゃあ実際の利回りはどうなんですのかという話になるとそもそも流通玉がバンバンあるわけでもないのでよくわからんところはあるけどそれはさておき)、手前の0.41%だ0.42%だってのがそもそもレート低いとかそういうツッコミはさておきますと、12月−1月って年末越えのプレミアム乗ってもおかしくない中(現に昨年は10月になって短国利回りクソ低下して0%近くまで下がって戻るのに1か月を要した)階段が付いているので、一応12月決定会合に敬意を表しているということなんでしょうかね。

まああと利上げ見込んで避難している資金なので12月会合前に一旦満期来てもらった方がエエじゃろというニーズもあるのかもしれませんが、まあ何か今回は珍しくもそんな値付けになっておられるの巻、というのにだんだん落ち着いてきたようには見えます、知らんけど。

でもって本日の新発はとうとう2月償還になりまして、これがまた1月会合で利上げをした場合には超過準備預金付利のレート適用って1/26からになると思われますので、今回の新発から事実上の1月会合跨ぎになりますけれども、こちらカレントが出てWIの値付けがおっぱじまった時にはカレントとレート並び(どっちも0.440%)で付いていたんですけども、この1週間で気配ちょっと甘くなってきた上に昨日のWIの値付けでは明確にきちっとした階段ができてきまして、これはまあ1月決定会合にも敬意を表した値付けになって、そらまあそうなって然るべき(階段の度合いが足りないとか元の金利がコールよりも6bp低いのアホじゃろとかそういうのはさておきまして)ではございますわなというのが値付け上は発生しておりますわな。

・・・・・・でまあこの短国入札、果たして本日は1月会合跨がない銘柄との段差はどうつくのでございましょうか、というのをまあたまには注目してやって下せえどうせ他の入札無いんだし、というメモでございました。はてさてどうなるのやら。



〇金融システムレポートが出ましたぞな

ご紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr251023.htm

概要(プレゼン形式)
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr251023b.pdf

全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr251023a.pdf

でまあいつもの事なのですが、金融システムレポートってなんか日銀が普段使っているエディターと別のもん使っている(というか多分日銀って部署ごとに使っているエディターがバラバラだと思われるので発生する現象なのだが)ので、MSなんとかみたいな文字コードに落とすと特定の文字だけ文字化け現象が発生するといういつもの事案が発生するのですが、この文字化けが発生する文字が・・・・・

『わが国の?融機関は、内外の?融市場や実体経済に?幅な調整が?じるリーマンショック型のストレスなど、様々なストレスに対して耐え得る、充実した資本基盤と安定的な資?調達基盤を有している。』(概要から適当にコピペ)

『?本銀?の?融システムレポートは次の 2 点を?的としている。?つは、?融システムの安定性を評価すること、もう?つは、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることである。 』(本文から適当にコピペ)

ということで、金とか行とか一とかクリティカルな漢字が引っかかるのがもうねという感じですが、(プレーンテキストじゃなくてMSワードでも多分最新のユニコードとかじゃないと捕捉できないと思うのです)さすがにHTMLバージョンは無事なのでご紹介ページの方から少々ということで勘弁していただきとう存じます(突っ込みたかったらまたやりますが上記のように編集が必要なので下準備ってのが必要になるざます)。

てな訳で以下はご紹介ページ(HTML版)からの引用となります。
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr251023.htm

・問題意識の4点という事ですが・・・・・・・

『2025年10月号の問題意識』

『国際金融市場では、4月初、各国の通商政策を巡る不確実性の高まりを受けて、資産価格の大きな振幅がみられた。現在も、各国の経済政策運営や地政学的リスク、国際金融市場の動向を巡る不確実性の高い状況が続いている。今回レポートでは、以下の4点を中心に点検する。』

あらま、不確実性の高い状況が続いている、だそうですわ。

『第一に、各国の通商政策等の変化がわが国企業部門や金融機関の信用コストに与える影響を分析する。また、地政学的リスクの顕在化などを契機に、各国の通商政策等が変化する結果、世界貿易量が大幅に減少し、企業収益が大きく押し下げられる可能性もある。そうしたテールリスクが顕在化した場合の金融システムの頑健性についてもカバーする。』

でまあ2番目以下の文言の量とこの文言の量を比較しますと、この部分の文言の量が多いわけでして、つまりは「世界経済のリスクが顕在するとどうのこうの」というのをガッツリと点検させられましたってなお話に通じるんじゃないか、と邪推するわけでして、それはすなわちハトハトチキンな問題意識、ってな所ではなかろうかと思った次第です。

まあこのFSRの場合「海外経済がちょっと滑るともうエライコッチャですわ」というような結論は普通出てこないというのが基本仕様になっている(なお本当の本当にヤバイ場合にそういう結論を出せるのか問題、という東京渡辺銀行ムーブみたいな論点もあるのですよね)ので、そんな結論にはならんのですが、フワッとした感じで「経済下振れシナリオ」という言い方ではなくて「通商政策等の変化が」という具体的な名前を出しているのが日銀大本営の海外経済への懸念(あるいは杞憂)の根強さというのを示しているんじゃなかろうか、と邪推しました。

『第二に、株価や不動産価格について、それぞれの市場における取引環境を点検したうえで、先行きのリスク等を分析する。』

都心不動産の馬鹿上がりとか、それこそ最近どっかの日経新聞記事の見出しで見た覚えがあるけどURL記録してないからどの記事だか咄嗟に出てこないけど「株高で投資余力が拡大した富裕層が都心中古マンションの投資をどうのこうの」みたいな記事が飛び出てみたりしてて、これは懐かしの昭和62年くらいから平成元年くらいまでのアレがアレという大変に素敵なものを思い出すのですが、この先で触れますけど扱いが軽くないかという気がだいぶします。

『第三に、内外でプレゼンスを拡大しているヘッジファンド等の海外ノンバンク部門の投資ポジションの巻き戻しなどが本邦金融市場に影響を及ぼす可能性について整理する。』

これはここ数回ネタになっているものですな。まあこんなん過度な金融緩和の弊害以外の何物でもないんですけどね。

『第四に、金利環境の変化が金融機関や家計・企業に与える影響について、アップデートする。預金動向については、人口動態やデジタルチャネルの普及などの構造的な要因に加え、金利上昇局面において金融機関に影響する要因を整理する。』

なにせ延々と鉋屑みたいな金利しか無かったので、本当の本当に正常化して政策金利が2%台になる(そもそも論として実質中立金利がマイナス水準ってのが定常化する訳ないんだから本当に世の中正常化したら政策金利は2%を超えてないとおかしい)ので、じゃあその時の預金や投資資金の粘着性ってどうなのか、というのはまさにやってみないと分からない世界でこれから面白い(不謹慎ちゃあ不謹慎な言い方ですが)テーマになるので、その世界というのをアタクシも生きてみてみたいもんではあります。


てなわけで、なんか相変わらず「米国関税政策の影響ガー」が日銀に物凄い勢いで影を落としている、というのがFSRのテーマ設定からも見て取れるなあと思いました、もちろんレポート作成するためのタイムラグがあるというのは割り引かないといけませんけれども、この調子ですと、今月の展望レポートで米国関税政策の影響に関するアセスメントと先行き評価をどうしてくるのでしょうという話になるとまあ高田っちの「影響大したことないじゃん」とはならないのかもしれませんな、外したらごめんやでではありますが。


・株価のヒートマップwwww

次が『わが国金融システムの安定性評価(要旨)*』でして、まあここは・・・・・・

『わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。』

最初がこれじゃなかったらエライコッチャなのでまあこれはこうでしょうという所ですが、

『貸出市場では、企業の資金需要が増加を続けるなか、金融機関が積極的な融資姿勢を維持し、金融仲介活動は円滑に行われている。こうしたもとで、現在の金融活動に大きな不均衡はみられていない。』

はて・・・・・・・

『わが国の金融機関は、内外の金融市場や実体経済に大幅な調整が生じるリーマンショック型のストレスや、地政学的リスクの顕在化などに伴って、世界貿易量が大きく減少し、グローバルに物価や金利が上昇する複合的なストレス等に耐え得る、充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有している。』

まあそれは分かる。

『もっとも、各国の経済政策運営や地政学的リスク、国際金融市場の動向を巡る不確実性の高い状況が続いている。』

ここでも書かれてますねえ。

『金融機関は、様々な形のリスクが顕在化し得ることに注意していく必要がある。』

だそうですが、金融緩和政策の行きすぎが顕在化しうることにも注意するようにマネタリーポリシーウイングに指摘して差し上げてくださいお願いします。

『より長期的な視点からみると、人口減少などを背景に企業の借入需要が構造的に減少する状況が続いた場合、貸出市場の需給バランスによっては、金融機関の収益力や損失吸収力が低下し、金融仲介活動の停滞や、過度な利回り追求など金融仲介活動の過熱につながる可能性もある。わが国金融システムの安定性を将来にわたって確保していく観点からは、こうした金融システムの停滞・過熱両方向のリスクを点検しつつ、先行きの動向を注視していく必要がある(図表I-1)。』

でもってヒートマップがあるのですが、株価以外緑になっててマジかいなという感じではあるのですけどね。構造的に厳しい話は前からの指摘通りだしその辺はそうでしょうねという所ですが。


・不動産価格の扱いがこれでよいのかしら

ということで資産価格の話が次に来ますけど、『資産価格の動向』って小見出しで、

『国際金融市場では、4月初に各国の通商政策を巡る不確実性の高まりを受けて、市場センチメントが大きく慎重化したことから、株価の大幅な下落などがみられたが、その後、通商交渉の進展などから市場センチメントが改善するもとでリスク性資産価格は上昇している。ヒートマップ上、わが国の「株価」にはトレンドからの上方乖離を示す「赤」が点灯している(前掲図表I-1)。』

『9月末時点のバリュエーション指標をみると、PERは概ね過去平均並みの水準で推移しており、株式リスクプレミアムを示唆するイールドスプレッド(株式期待益回り-10年物国債金利)は幾分低下している(図表I-2左図)。』

『通商政策をはじめとする各国の経済政策運営を巡る不確実性は高い状況が続いており、先行き、国際金融市場においてセンチメントが慎重化する可能性もある。わが国の金融機関が相応の株式リスク量を有していることを踏まえると、株価などのリスク性資産価格の動向には留意が必要である。』

というのが株価の説明ですが、不動産の方がですねえ・・・・

『不動産価格は、大都市圏を中心に上昇が続いている(図表I-3)。』

『資材価格の高騰や人手不足の影響などによる供給要因が寄与しているとみられるほか、景気が緩やかに回復するもとで物件需要が堅調であることや、投資用マンション取引や海外投資家による商業用不動産取引などの需要も寄与している可能性がある。』

寄与している可能性がある、って世界じゃないと思うのですが・・・・・・

『賃料は上昇してきているものの、不動産リスクプレミアムを示唆するイールドスプレッドの低下傾向は続いており、先行きの不動産需要等に関する市場参加者の見方が変化する場合には、不動産価格が調整する可能性も考えられる(前掲図表I-2右図)。』

それはバリュエーションがおかしくなっている、というはなしではないでしょうか・・・・・・

『金融機関の不動産関連エクスポージャーが趨勢的に増加していることも踏まえると、引き続き、不動産市況の動向に注意していく必要がある。』

とまあそういうことになっているのですが、株価はともかく不動産のバリュエーション大丈夫か問題の扱いがあっさり味過ぎませんかねえと思うのでありました。


・海外ファンド云々はまあいつも通りです

『海外ノンバンク部門の動向がわが国金融市場に与える影響』です。

『投資ファンドなど海外ノンバンク部門によるわが国金融市場への投資や国内金融機関による海外ノンバンク部門への投融資が趨勢的に増えており、わが国の金融システムと海外ノンバンク部門の結びつきは強まっている。』

だから利上げしろ利上げ。

『近年のヘッジファンドの動向をみると、グローバルに国債市場でのプレゼンスを高めているなかで、わが国の国債市場でも、ヘッジファンドを含む海外投資家による売買額が大きく増加している(図表I-4)。レポ調達などを通じて、ヘッジファンドのレバレッジは高まっており、市場環境が変化する際には、デレバレッジを伴った急速なポジション調整が、資産価格変動を増幅する可能性がある。こうした調整が国債市場で生じれば、国内の幅広い金融商品に影響を及ぼす可能性もある。金融機関は、海外ノンバンク部門の行動がわが国の金融市場にストレスをもたらす可能性にも留意しつつ、有価証券にかかるリスクを管理していくことが求められる。』

んなこと言われましてもって話なんですよねこれは。そもそも平穏(というか何というか)な投資でリターン足りないからオルタナ投資じゃーとかそういうのに追い込まれるんですから、まず日銀は段階的に中立金利まで利上げしますってのを明確に示さないと(まああの政権相手に今の日銀がそんなの出来ないのは分かってますが)。


・でもって経済悪化シナリオの場合

『倒産・デフォルト動向と各国の通商政策等の影響』って小見出しになっていまして、

『緩やかな景気回復が続くもとで、企業収益は全体として改善しており、感染症拡大時に増加した「営業赤字かつ債務超過」や「営業赤字」の企業の割合も低下してきている。企業倒産やデフォルトは、振れを伴いつつも、横ばい圏内で推移している(図表I-5)。ただし、原材料価格の上昇、人手不足や人件費上昇が追加的な負担となっている点には注意が必要である。』

からの、

『企業部門は、各国の通商政策の変更等の影響に対しても相応に耐性を有しているとみられる。』

というのが今回は有りまして、

『大企業が公表している収益見通しを前提にすると、ストレスが生じる前の財務状況が良好であることから、大企業の債務返済能力は、各国の通商政策の変更等の影響に対して、全体として維持されると考えられる(図表I-6左図)。』

『中小企業についても、手元資金が潤沢な先が多いもとで、全体としてみれば収益やデフォルト率等への影響は限定的とみられる(図表I-6中図、右図)。』

ってのがありますね。

『もっとも、通商政策の変更等にかかるストレスが収益見通し対比で大きくなる場合には、中小のサプライヤー企業を含め、財務が相対的に脆弱な企業において債務返済能力が大きく悪化する可能性もある。輸出産業では大口貸出の比率が高い傾向があり、仮に個社のランクダウンが起きると、信用コストに与える影響が小さくない点にも留意が必要である。』

だそうです。

『各国の通商政策等を巡る動向については不確実性が高い状況が続いており、世界貿易量が大幅に減少し、企業収益が大きく押し下げられるといったテールリスクも考えられる。金融機関は、様々な形のリスクが顕在化し得ることに注意していく必要がある。』

そういうリスク込みで運営するんだから大きなお世話じゃという気もしますがそういう結論。


・金利上昇時の預金粘着性の方が気になりますけどね

『金利上昇局面での金融機関収益および損失吸収力』ですが、

『金融機関収益をみると、緩やかな景気回復が続くもとで信用コストなどの損失が抑制されているほか、既往の経費率改善や円金利上昇等の影響もあって基礎的な収益力を表すコア業務純益の改善が続いている(図表I-7左図)。』

この図表見るとマイナス金利からの正常化開始で銀行セクターは通常ベースでちゃんと収益が上がるように転換しているのですから・・・・・・・

『金融機関の金利耐性をみると、銀行勘定全体でみた円貨金利リスク量は、自己資本対比でみて引き続き低位に抑制されており、金融機関は、総じて十分な損失吸収力を有している(図表I-7右図)。ただし、国内の人口や企業数の減少など構造的な借入需要の減少による収益率への趨勢的な下押し圧力が続いているほか、足もとは、内外金融市場を巡る不確実性の高い状況が続いている。金融機関は、こうした構造要因や様々な相場変動を想定しつつ、自身の損失吸収力も勘案しながら、ポートフォリオを適切に管理していくことが求められる。』

毎回金利が上がると含み損がどうのこうのがジャーナリスティックにネタになるけど、基本的には収益力が盛大に高まるんだから含み損がどうのこうのは収益力の上昇で中期的カバーできますがな、の世界なんですよね。

『この間、金融機関の預金をみると、個人・法人とも前年比プラスとなっているものの、伸び率はこのところ鈍化している(図表I-8)。家計の保有金融資産の増加が続くなか、最近は預金の伸びが低下する一方で、株式や株式投信等への投資が増えている。また、業態間では地域金融機関のシェアの低下傾向が継続しているほか、足もとは要求払預金から定期預金へのシフトが進んでいる。人口動態やデジタルチャネルの普及などの構造的な要因が預金動向に及ぼす影響や、預金の構成変化が金利リスク量に与える影響には留意する必要がある。』

シリコンバレー銀行は超特殊事例でしたが、まあ預金の粘着性ですよこれから重要なのは、と言ってもこれは完全未体験ゾーンだからまあシミュレーションもへったくれもありませんけどね。

『日本銀行は、考査・モニタリング等を通じて、これらの潜在的な脆弱性に対する金融機関の取り組みを促していく。また、マクロプルーデンスの視点から、金融機関による多様なリスクテイクが金融システムに及ぼす影響を引き続き注視していく。』

ということで全文などは成敗するかどうかは謎ですが読んでいきたいと思います。








2025/10/23

お題「やっぱり財政やる気満々じゃろ/高田審議委員講演(その3)根強く日銀に残る円高恐怖症の片鱗を垣間見れますね」

今のところ全文読めるようです(全3ページ)
https://dot.asahi.com/articles/-/267911?page=1
「朝生」共演で高市首相と“恋バナ”までした立憲・辻元清美氏が喝! 
「早苗ちゃん、維新にもだまされたらあかん!」
高市早苗
2025/10/22/ 14:30

これ「喝」って表題にあるし話者が辻本さんだからその時点で読まない人が多そう(なので「喝」とか書いてるアエラの編集はヘタクソと思うけど)ですけど、別に喝じゃなくて普通にエピソードトークしながらエールも送りつつ批判も入れるという感じで話が上手いわと思いました。


〇財務(大蔵)官僚出身だから財政規律をとかいうのはまあ違うと思うのでメモメモ

https://www.asahi.com/articles/ASTBQ14V5TBQULFA00NM.html
片山さつき財務相が初登庁 「きちっと財政規律を定めた積極財政を」
2025年10月22日 13時41分

『片山さつき財務相が22日に初登庁し、幹部らに訓示した。財務省が国債発行(借金)に慎重であることを念頭に、「投資をしてリターンがある世界を見込まないといけない」と指摘。職員の意識の転換を求めて、積極財政の必要性を強調した。』(上記URL先より、以下同様)

いやまあこの記事自体全文が出ている訳ではないし、省内向け訓示だったら別にHPに掲載されるような話でもないので残念ながらこれどういう文脈で言ってるのかが分からんので、記事ソースということで一定の留保をしながら読まないといけないけど・・・・・・

『訓示では「借金を未来の世代につけまわさない方がいいに決まっている。それができるなら」と指摘。投資によって経済を成長させることが重要だとし、「成長しない日本を未来に残すことの方が(借金よりも)よっぽどつけだ」と話した。そのうえで、「きちっと財政規律を定めた積極財政をやっていく」と述べた。』

「投資によって経済を成長させることが重要」ってことですが、そもそも成長する投資の機会があるなら民間が投資をするわけでして、官が投資して経済成長させるってそれ後進国が文明開化するようなときだと民間資本の蓄積が無いから官が行わないといけないけど、この成熟経済において何で官が投資によって経済を成長「させる」とか言っちゃうのかと存じます次第で、成長云々の話ならば成長を促進するような制度設計をする話で有って、財政投資で成長戦略ってのがなんかもうだいぶアレ。

『さらに、財政均衡を重視するだけでなく、物価高に応じてむしろ予算を増やす考えを「お金はかかるけども、財務省から言うべきだ」と主張。それによって国民からの信頼が増すとの考えを示した。』

そもそも物価が上がれば予算執行に必要な経費増えるのでまあそれはそうですけど、それは積極財政の範疇ではないので、まあそうじゃない話をしているんでしょうなあと思いますし、

『これを念頭に、片山氏は「これからはザイム真理教のデモが起きるのではなく、財務省が夢につながる予算を作ってくれていると思っていただけるように、マインドを多少リセットしてほしい」と呼びかけた。』

・・・・・色々と最悪じゃなこの物言い。

とは思いましたが、まあこれ全文の流れがどうなっているのかこの記事だけでは分からんので判断を保留しては置きますが、足元円債市場ちゃん方面では(想定していた最悪の人事よりマシだったので)もと財務官僚の人だし主計官やってた人だから云々で財政ノーズロは回避できるという見方もあるみたいですけど、まあこの訓示の記事を拝読しますと、財務官の時にバッサバッサと査定していた(防衛庁の担当でバッサバッサやった件についての武勇伝について昔軍事系ブログとかそういうのを見て回っておりましたなあそういえば・・・・)のはあれ単純に「バンバン査定するのが善」ということでハッスルして見境なくバッサバッサと査定した、っていう「優秀なだけ」の官僚様にアリがチーなパティーンであって、さすれば今回は高市さんの積極財政高圧経済に乗っかるのが善なのでこれまたハッスルして突撃するんとチャイマスカ、としか思えんのですよね。

まあ目先の補正予算とかは日程も短いので経済対策ゆうてもいきなり本格的な予算措置を取るのは難しいでしょうから、それを見て安心感とかいう講釈になるのかも知れないなあとは目先は思うのですけれども、いやその今回の補正予算での国債追加発行云々の話ではなくて方向性考えたらどこからどう見ても高圧経済で高圧かけまくるじゃろ、と思うのですが、まあ個人の感想にも程があるので実際にどうなるかは分からんですけどね。

などと思いました。


〇高田審議委員広島金懇の金融政策に関する理屈ですとまあ毎回利上げ主張ですわな

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251020a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策:
資産運用立国と日本経済
── 中国経済連合会における講演 ──
日本銀行政策委員会審議委員
高田 創

まあゆうて今時点で高田さん(と田村さん)の利上げコールが現実化するかというと中々のハードルの高さがあると思いますが(為替がぶっ飛ばない限り)、12月に向けて高田さんのこの理屈って一段と裏付けされるじゃろと思いますし、まあグローバルリスクオフとの兼ね合いになりますけど、結局のところ「高市カラー」を出して来たら積極財政炸裂になるのですからまあ市場環境的にも利上げ後押しされるじゃろ、と考えますと今のうちに論点を確認するのも悪くは無いかと存じますです、はい。

てな訳で『3. 最近の金融政策運営』から参ろうず。

・やはり「物価安定目標の実現」が理由なんですよね

『次に、今後の金融政策運営に対する私の考えをお話しします。本年1月には、わが国の経済・物価は、これまで示してきた見通しに概ね沿って推移し、先行き見通しが実現していく確度が高まってきていたため、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和度合いを調整することが適切と判断し、政策金利の 0.5%程度への引き上げを決定しました。』

ということでまずはレビューをしているのですが、

『国内要因に加えて海外要因からも「物価安定の目標」実現が目前に迫りつつあるなかで、特に短期の実質金利は大幅なマイナスとなっており緩和的な金融環境は継続しています(図表13 )。』

物価安定の目標実現は「目前に迫りつつある」のだが、

『さらに、次のギアシフトに向けたクロース・コールを行う上で注目してきたのは関税を中心とした海外要因でしたが、前述のように当初抱いた不安は低下したと判断するに至りました。』

ということなので、そもそも米国云々なかりせばもっと早くから物価目標達成が極めて近いので利上げをすべき、という話になっていたという事後諸葛亮のような気もせんでもないですがなんか物凄い強気なんですよね。

『こうしたもと、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など「前向きな企業行動」の持続性が確認され、さらに、7月に関税交渉が 15%で合意し、その後、9月に確定したなか、私としては、警戒モード、「計画運休」の解除の段階と判断しました。』

てな訳で、さっき書いたように「米国関税なかりせばもっと早くに利上げ判断」だったという威勢の良すぎる説明になっています。


・やっぱり「円高恐怖症」のトラウマが日銀に強いんだなと思ったこの一節

次の部分が非常に興味深いんですよ実は。

『もっとも、関税政策による影響で米国経済の減速が生じうるだけに、内外の金融政策のスタンスの違いで、為替を中心とする金融市場に大きな変動が及ぶリスクへの注視も、長年の歴史を振り返ったうえで重要と考えてきました。』

とは何ぞや、という話なんですが、これ多分以前も高田っち言ってた話だし何なら民間何とかストの時にも言ってたと思うのですけど、以下のようなお話でして、

『実際、1970年代の変動相場制への移行後、日米欧の金融政策の連動が繰り返されてきました。今次局面を除いた日本銀行の過去5回の利上げ局面を振り返ると、米国の利上げ局面で日本も利上げし、米国の利下げ後に日本は利下げに転じていました。』

『FRBが利下げを再開する場合には日本銀行の金融政策の自由度が低下する可能性もありました。ただし、今回は米国の深刻な景気後退が想定され難いもとでは、 2000年頃のITバブル崩壊後や 2000年代後半の世界金融危機後とは異なります。今回、米国は利下げに転じましたが、その理由は、景気後退ではなく、9月のパウエル議長の会見でも、あくまでもリスク管理的なものとされ、その後も経済の底堅さは続いています。』

この点はまあそうですねという話で、今回の米国は「金融緩和」なのではなくて「引き締め状態の中立化」なのですから話が違う訳ですな。

でもってそれは良いんですけど次の部分が非常に味わいがありまして、

『米国利下げ後も米国の長期金利は底入れし、為替も円高は回避されているだけに、今回は、過去繰り返された事例とは異なり、日本の利上げの制約にはならないと考えるに至りました。』

>為替も円高は回避されているだけに
>為替も円高は回避されているだけに
>為替も円高は回避されているだけに

・・・・・・・お、おぅ

いやむしろここから円高になった方が良くないか、ってな局面だと思うのですが、この局面の中でも「円高が回避されているから日本の利上げの制約にはならない」という認識を示しているのが非常に興味深いわけでして、まあ高田さんがこういう説明をするくらいですから、つまりは植田総裁なのか内田副総裁なのか日銀大本営皆さん揃ってなのかは分からないですけれども、まあかつて円高をネタにボコボコに批判されたというのがこの円安で困っている局面でもトラウマとして日銀に根強く残っているからこそ、いまさら円高回避もねえだろというような所でも「円高が回避されているから日本の利上げの制約にはならない」という説明をわざわざしているんだと思うんですよね、名推理なのか迷推理なのかは分からんけどwww

でもって日銀あるいは植田総裁に相変わらずの円高恐怖症があるのでしたらば、そりゃまあ円安多少進んでもケツ叩かれないと動かないし、円高にちょっと戻るだけでビビリンチョになるわなと考えますとやっぱり円安に振れやすいって話になると思うのですよね、知らんけど。


・構造的に物価が上がりやすくなった件の話は例によって説明が長いのですがまあそうですねという話

次の段落は物価が構造的に上がりやすくなる云々で高田さんの好きな「ビック・プッシュ」が登場する部分です。お話自体はまあそうですね、って話なので流しますが。

『2022年から 2023年にかけ、コロナ禍後の世界的な経済回復の潮流からエネルギー・食料品価格上昇の「ビッグ・プッシュ 」を起点に世界規模で物価の上振れが生じ、日本にもその波が及び、円安も相俟って輸入製品中心の物価上昇が生じました。』

『日本では賃金等の引き上げ抑制のノルムも残存していただけに二次的な物価上昇は限定的でしたが、海外発の「ビッグ・プッシュ」が日本のノルムを解く効果を果たしました。』

ノルムが解けたそうです。

『一方、今回は既に物価が上がらないノルムも解け、中長期のインフレ期待も引き上がると思われるだけに、物価上昇の二次的な影響もさらに生じやすくなっています。』

この認識の部分が大本営と根本的に相違する部分ですな。まあ大本営が高田っちと同じ認識だったら中立金利まで利上げすることになるのでそうならんわけですが。

『賃金に加え、粘着性が高く、従来、岩盤とされていた家賃やオフィス賃料の上昇も生じだした点も基調的物価上昇を示すものです。』

『さらに、海外状況の制約も低下しただけに、今後、物価上昇要因が生じた場合、日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要があると思います。』

ですわなー

『足もとはベアを中心に 2026年に向けた賃金の上昇も 2023年以降4巡目を迎えるなか、私としては、もう一段ギアシフトを行いつつ、「物価安定の目標」の実現に概ね達していることを前提にしたコミュニケーションを行う必要があると考えております。』

という理屈ですな、まあこれ全部通ると中立までの利上げが決まるので(べき論としてはそうあるべきだと思いますが)どうせ物価動向よりも政権の顔色伺いながら利上げ判断するハトハトチキンには届かない理屈ではあるのですが、この先の説明も重要な論点になるんですよね〜、ということで次に進みます。


・既にゼロインフレ均衡からマイルドインフレ均衡に向けた遷移が行われているのだから政策の根本スタンスを・・・・・

『市場とのコミュニケーション上、縮小均衡モード・ノルムが残存する期間はヘッドラインの物価が2%を上回っても、基調的物価は物価目標に達していないとして粘り強い緩和を継続することが必要でした。』

『一方、今やノルムも解け、「平時」に戻った中、既に3年半の間、2%を超えるヘッドラインの物価水準にも注目した対応も重要であると考えました。』

この説明、どこまで高田さんが意識しているのかは分からないですけれども、変態仮面(とアタクシだけが勝手に二つ名を進呈している)ジェイムス(ジム)・ブラード元セントルイス連銀総裁の説明で人口に膾炙した「複数均衡論」の考えも入っていますわなと一読して思った次第で、って全然的を外してたらゴメンナチャイなのですが、ゼロインフレ近辺の均衡においては均衡からの脱却のために強力な施策が必要だったけれども、既にマイルドインフレ近辺の均衡へと経済のステージが変化したのだから、それに見合った政策運営にすべきではないか、というお話な訳ですよ。

『国内での根強いノルムが後退し「物価目標の実現」に概ね達したと考え、さらに、海外の不安が後退したなか「計画運休」解除と評価し、私は利上げに向け機が熟したと考えました。その結果、もう一段のギアシフト、緩和の度合い調整が必要として9月の金融政策決定会合で0.75 %への利上げを提案しています。』

ということで金利のパートはおしまいでして、この後資産買入のパートになるのですが、こっちの話はまたいずれまとめて色々と考える話ですが、現時点では正常化するまで10年スパンの世界になっているので、あんまり先の事を考えてもしゃあない(べき論はとっとと正常化ですけど)ので割愛します。







2025/10/22

お題「高市政権発足だが財政は出る出るじゃないのかね/氷見野さん講演(政策に関係なし)3M短国が逆行の金利上昇とな/高田さん講演続き(ちょっとだけ)」

さて始まりますなあ

〇高市内閣発足ということでメモメモ

・早速物価高対策と言いながら物価ブースト策が出てくるのではないかと

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA214F60R21C25A0000000/
高市早苗内閣が発足、初の女性首相 初閣議で物価高対策を指示
高市新政権
2025年10月21日 13:47 (2025年10月22日 1:09更新)

『自らの内閣を「決断と前進の内閣」と名付け「変化を恐れず果敢に働く。あらゆる政策を一歩でも二歩でも前進させていく」と主張した。』(上記URL先より、以下同様)

なにもしない検討使も困りますがじり貧を恐れてドカ貧になるのも勘弁してくださいね。

『経済対策に関しては「手取りを増やし、家計の負担を減らす」と訴えた。ガソリン税の旧暫定税率を「速やかに廃止する」と言明し、冬場の電気・ガス料金を支援するとも打ち出した。』

ということで、まあ結局のところは財政ジャカジャカ出すじゃろうなあとしか思えない訳でございまして(個人の杞憂です)、まあ財政を威勢よく出してくる案件に関しては財源無いのにどうするんだ的な事を今の流れで言いましても、まさに昭和の軍部にモノ申す人扱いとなって、メディアスクラムで抵抗勢力だの財務省の陰謀だの言われるだけでして、でもって財政出す方は金がもらえる人がホイホイと増えるんだからそりゃ貰う方を反対する向きも少ないじゃろ、となりますので、他の案件と比較して財政をノーズロで出していく話って楽勝で話が通るじゃろうし、初期段階で一番「高市ここにあり」を出せる施策ですから、まあ財政規律への配慮とか期待しない方がエエントチャイマスカと読んでおります、個人の偏見ですけど。

一応そりゃ真正面から「経済が成長すれば税収が増えるのだから財政規律なんぞシランガナ」まで言う事は無いでしょうけれども、どうせそういう方向でのお話になってくる訳で、そうなると物価高は普通に促進される(高田さんの先般の広島での講演の説明を間借りしますとトランプ関税という天災のせいで世界的にも財政拡張金融緩和になっているのですから世界的にもまたインフレ圧力が高まりやすい訳ですし)って話になるんじゃないかねえと思いますがどうなるやら。


・財務大臣人事がさすがにちょっと・・・・・・

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2138O0R21C25A0000000/
債券売り「高市トレード」いったん収束へ 人事や政策に透ける財政配慮
ポジション
2025年10月21日 18:03 [会員限定記事]

『高市早苗政権の発足を前に、20?21日の日本株市場で再燃した「高市トレード」。日経平均株価は連日で最高値を更新したが、債券市場では歴史的な金利上昇局面は一服している。国内債が売られて金利が上昇する債券版「高市トレード」が収束に向かった背景には、財政拡張の思惑の後退がある。』(上記URL先より、以下の主要部分は有料記事です)

でまあ例によって例の如く無課金おじさんなのでよくわからんですけれども、人事のどこが財政配慮なのかがさっぱり分からんのですがどういうロジックで財政配慮って言ってるんでしょうかしら・・・・・・

まあ財政規律とかそういうのに対する配慮は(表面的には取り繕うとは思いますけど)まあそんなに起きんじゃろうなあというのが財務大臣人事な訳でして、いやまあ当選回数はそこそこある片山さんではありますが、財務大臣としては軽量級も軽量級でして、予算の割り当てとかの中で各省庁と調整して政治判断、みたいな話をするのに(失礼ながら)片山さんではちょっと・・・・・・

そもそもですね、デージンにも格というのが有るわけでして、財務大臣、大蔵大臣となりますと、政党政治以降では基本的に党三役クラスの経験者とか、枢要閣僚または官房長官/書記官長を歴任しているとか、派閥の領袖あるいは代貸しクラスの党内の実力者、ってのがなるのが財務大臣なり大蔵大臣で、かつて泉山三六って物凄い軽量大臣が出たことがありますが(当時の吉田首相の人選ミスだった模様ですが)それ以外の歴代みたら党や内閣の重鎮クラスがやっているもんなんですよね。

てな訳でアタシャこの人選見たときに「ああ財政規律配慮とか口で言ってるだけモードで行くんでしょうねえ」と思いっきり印象を受けたので、何でこういうことになるのかがさっぱりワカランチ会長ではありました。

昨日は氷見野さんの講演があって、そちらで金融政策の話が一切なかったので、「MPMに近いタイミングの氷見野さんの講演だからワンチャン残っている10月利上げがあるなら何かそれらしい匂わせがあるに違いない」という発想もあったようで、実際には金融政策の話は一切ない講演だったので、10月利上げの可能性はこれでなくなった、ということでそこの利上げ思惑を剥がした効果なんじゃないかと思いましたけどね。


しかしまあアレです。「変化を恐れず果敢に働く。あらゆる政策を一歩でも二歩でも前進させていく」というやる気満々モードで、政権の初手でやるのが「物価高対策」でしかも高圧経済方向の施策の方が世間ウケが良くて、おまけに高市さんのお取り巻きさんも高圧経済って言ってるんですからそりゃもう「果敢に高圧経済の実行」としか思えないんですけどアタクシ杞憂民ですかねえ・・・・・・・・・



〇氷見野副総裁講演・・・・はとりあえず現世利益ネタは無かったのでURL貼るだけ

そもそも英文の講演テキストしかアップされなかった(邦訳版は後日出てくると思いますが)という時点で現世利益関係なしモードなんですよね。

https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2025/ko251021a.htm
[Speech]
Prophets, Armed and Unarmed: The Roles of Power and Knowledge in International Prudential Standards
Speech at the 2025 GZERO Summit Japan
HIMINO Ryozo
Deputy Governor of the Bank of Japan
October 21, 2025

本チャンはこちら
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2025/data/ko251021a.pdf
Prophets, Armed and Unarmed:
The Roles of Power and Knowledge
in International Prudential Standards
Speech at the 2025 GZERO Summit Japan

HIMINO Ryozo
Deputy Governor of the Bank of Japan

冒頭のご挨拶が、

『Good afternoon.』

『More than a decade ago, in his book titled Every Nation for Itself, Ian Bremmer argued that the world was entering a G-Zero era, with no group of countries being able to lead on global public goods.』

『What I plan to do during the next 15 minutes is to test that idea in one specific area: international prudential standards, standards designed to safeguard global financial stability.』

ということで思いっきりプルーデンスのお話なので氷見野副総裁の得意技の一つ(まあ何でも得意という説はあるが)ののお話ではあるのですが、小見出しは

Introduction
1. International Prudential Standards as Global Public Goods
2. Agreement, Transposition, and Enforcement
3. Knowledge and Power
4. Markets, Network Externalities, and Government
   Basel I
   Basel Core Principles
   Basel II
   Basel III
5. How Should We Proceed from Here?
Conclusion

となっていまして、今回はマネポの話は無しオブ無しという内容となっておりました。ただまあ氷見野さんの講演自体はきっと読むとためになるものだと思うので、読むには読んでおきたいなとは思いますです、はい。


〇短国3Mの3M辺りの引値が地味に金利上昇している件について

昨日の債券市場は何でそうなのかは知らんけど(まあそれ言い出すと金曜月曜の相場も何でこんなエキセントリックな動きをするのよ。ではありましたが)、金利低下で2年とかの辺りの金利も低下しておったのですが、その中で異彩を放つ短国ちゃんの引けがこちら。

いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/21引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.440
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.410
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.470
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.470
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.475
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.475←3Mカレント
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.505←今週入札のある3M新発WI

(10/20引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.439
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.400
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.440
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.440
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.440
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.440←3Mカレント
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.440←今週入札のある3M新発WI

この12/22償還の値付けはご愛嬌としまして、(全編においてろくすっぽ織り込んでいない、と言われればまあその通りではあるんですけど)年末越えという需給要因(になりうるもの)を跳ね返しまして12月と1月の決定会合跨ぎで階段が出来まして、しかもカレントおよび新発WIのところに関しては1340回(次の新発)以降が1月会合跨ぎになるんですが、なんか一応ここにも階段がついてるじゃあーりませんか、という話でして、まあこれがマジなのか何となく雰囲気で引値引かれているのか(何せ短国の場合は新発近辺以外の銘柄については流通玉自体がシェフの日替わり気まぐれメニューさん状態なので本当はどこにいるのかというのはムツカシヤ)良くわからんですけれども、10月会合は兎も角としても12月1月の所でも何の段差もないまま2月償還まで同じっていうのもさすがに如何なものかという話になったんでしょう。

まあなるんだったら別に昨日じゃなくても良いのに(むしろ高市政権登場で日銀の次回利上げが1月でできないリスク考えるとかになるのかと思えばそうではない、というか短国3M辺りは需要が強いのでその辺の政策金利の足し算とのブレークイーブンとかそういう話になりにくいんですけどね)とは思うのですが、中長期債の方が金利低下する中で中々の異彩を放っていたので個人的に味わいを感じました、ということでネタにするの巻ではございました。


〇高田審議委員広島講演の続きですが時間が無いのでちょっとだけ(なのでさらに続きます、汗)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251020a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策:
資産運用立国と日本経済
── 中国経済連合会における講演 ──
日本銀行政策委員会審議委員
高田 創

・かつての日米貿易摩擦問題との比較をしても日本経済にそんなに大きな悪影響にならんじゃろという見解

昨日の続きですが、最後に『(過去の日米通商摩擦との比較)』ってのがあって、昨日時間が無くてその前で打ち切りしてしまったのですが続きを、というかその先の金融政策の話をすることになりますとこちらがクソ長いので金融政策の手前まで、ということになりますが(汗)。

『ここで改めて、今回の米国の関税政策と 1990年代までの日米通商摩擦時を比べてみたいと思います 。』

ほうほう。

『過去半世紀余り続く米国の経常収支赤字の主因となる貿易赤字は、1980 〜 1990年代まで、日本が圧倒的なウエイトを占めていました(図表10 11、 )。米国の貿易赤字に占める日本の割合は、 1991年のピークには53%にまで達し、「米国の貿易赤字問題=日米通商問題」と位置付けられる状況でした。当時、経常収支赤字の改善に為替市場を通じた調整機能が期待されており、円高圧力が高まりました。』

はい。

『図表 11のように米国の貿易赤字の圧倒的なプレゼンスを日本が占めていたもと、為替円高進行に加えて、直接的な輸出割当制や輸出自主規制といった米国側の対応がとられました。このことは、関税賦課ではないものの、当時、日本だけ競争環境が悪化した異例な状況にあったと捉えられます。』

『その結果、日本企業は米国市場で他国との競争条件を保つ観点から、為替円高のもとでも現地のドル建て価格を据え置くかたちで価格転嫁を避けることで深刻な影響が生じました。』

『日本企業はその負担に対して、「リストラ経営」でコスト圧縮を行い、その過程で賃金が圧縮され、同時に、マージンや販売価格も圧縮されました。』

・・・・・・という話なんですがむしろそれよりも問題だったのは資産バブルとその崩壊の過程で表面化した「3つの過剰」だったんではないかと思うんだが。その背景に貿易不均衡問題はあったと思うけど。


『今回の米国の関税政策は、1990年代までの通商摩擦時と異なり、日本を含む各国・地域が幅広く対象となっており、日本だけに影響が及ぶわけではありません。もちろん、自動車産業については輸出への依存度合いの高さが指摘され、その影響は大きいです。ただし、日本企業の自動車生産に占める米国への輸出割合はピークの 1998年には 30%程度でしたが、 2024年には6%近くまで低下しています。加えて、日本企業は長年のリストラ経営に伴う企業財務の改善で、海外発のショックへの耐性があることも指摘したいと思います。』

『図表 12左図のとおり、企業収益は 1990年代後半から直近 2024年度で10 倍近くに拡大し、90 兆円程度と過去最大の水準となりました。これだけの企業収益水準が続くことは2000年代に生じた経済回復局面とも異なる点であり、企業価値底上げの背景になっています。日本企業は 30年以上にわたって通商摩擦に伴う厳しい外部環境のなか円高でも耐え抜くべく損益分岐点を引き下げ、ショックへの耐久度を増してきました。』

とまあそういうことで、現実問題として企業の財務ポジションが様変わりしたのはその通りなんですが、その間の説明がなんかエライアバウトじゃなと思います。

『今年7月に合意され、9月に確定した相互関税率 15%は、対米黒字国の中では最低水準であるほか、日本の輸出における対米依存度も過去と比べて大きく低下しています。完成車メーカー各社が公表している関税引き上げによる今年度の減益幅は、合計すると2兆円台半ば程度となりますが、日本企業の収益が100兆円近い水準にあること、関連部品産業も含め価格転嫁も見込まれ、円安の恩恵もあり、減収はこれよりも限定される可能性があります。以上、米国の関税政策を受けても、いまのところ輸出企業中心に企業行動に変調の兆しは見られておらず、 1990年代のような価格引き下げ圧力や賃金抑制圧力が繰り返されることにはなりにくく、
企業の前向きな動きは途切れにくいと展望しています。』

まあ要するに言いたいのは最後の「以上、米国の関税政策を受けても、いまのところ輸出企業中心に企業行動に変調の兆しは見られておらず、 1990年代のような価格引き下げ圧力や賃金抑制圧力が繰り返されることにはなりにくく、企業の前向きな動きは途切れにくいと展望しています。」を言いたかったんだと思いますが、途中の説明が高田さんらしからぬ端折り過ぎじゃないかなとは思いました、はい。







2025/10/21

お題「植田総裁G20会見ハトハトがクローズアップされてましたが・・・/高田審議委員講演は「世界経済見通しの強さ」の認識が特徴的」

https://mainichi.jp/articles/20251018/k00/00m/020/245000c
「資源国に頭を下げる」政策に終止符を 高市氏が考えるエネルギー論
経済 速報 金融政策・財政 企業・産業
毎日新聞
2025/10/20 06:30(最終更新 10/20 16:17)
有料記事 1940文字

「資源国に頭を下げる」って別に今まで普通の商取引で輸入しているだけの話で資源国に土下座して回ってるの見たことないんですけど・・・・・・というのもあるんですがまあここの部分は悪意ある切り取りの可能性も(全文が無いから分からん)あるのでさておくとして無料部分の最後のところ。

『具体的にはまず安全の確保を前提に原発の再稼働を進め、さらに次世代の「革新軽水炉」に移行。2030年代に核融合炉を稼働させる方針だ。』(上記URL先より、以下有料記事)

核融合炉が10年ちょっとで実用的なレベルで稼働できるわけねえだろ誰だよ高市にそんな夢物語吹き込んでいるのは、って思いました。


〇植田総裁G20での会見はハトハト音頭が目立ちましたが一応中立部分もありますわな

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251020a.pdf
植田総裁記者会見(10月16日)
――G20終了後の植田総裁、三村財務官 共同記者会見における総裁発言
2025年10月20日
日本銀行
―― 於・ワシントンDC
2025年10月16日(木)
午後3時20分から約16分間(現地時間)

こちらベンダー記事出た時には清水理事のコメントも含めてハトハト音頭の盆踊りという風情でしたが、一応中立的な部分もあったわな、と思ったのでクリップしておきます。

・海外経済ガー関税の影響ガーの話になるとハトハトチキン踊りが始まる

『【問】植田総裁にお願い致します。海外経済についてなんですけれども、IMFの世界経済見通しでは、世界経済の成長率、上方修正されましたが、直近では米中貿易摩擦の再燃ということで、先行きの不透明感も高まっています。今回の一連の国際会議や当局者の方々とのやりとりを経て、海外経済、とりわけアメリカ経済の先行きや日本経済への影響をどうみているのか、訪米前と何か変化があったのか新しい発見があったのか、その辺り教えてください。』

って質問に対する回答が思いっきりベンダーの記事になっていた部分でして、

『【答】まだ会議全体はIMF分がこれからですので、半分ぐらい過ぎたところですので、今後も情報収集にあたるというところですけれども、全般的な世界経済、アメリカ経済の印象としましては、日本で思っていた姿とそれほどのギャップはないということであります。つまり、例えば 3 月、4 月ぐらいの見方と比べますと、ここまでの経済動向はさっきの resilient という言葉がぴったりするような底堅さをみせているということだと思います。』

レジリアントという言葉がピッタリ、って認識なんだったらもう少し威勢の良い言い方をすれば、としか思えないのだが、ここから一転ハトハトチキン音頭に切り替わるのは何なんでしょうかねえ。

『その一つの理由が、関税の影響の発現がやや遅れている、従って、他の強さもある中で、世界経済、アメリカ経済がかなり好調に推移している面がある。』

関税の影響が出るのが遅れているからレジリアントに見える、ということなんですがそれって関税の影響がそんなに大きくないって可能性はないんでちゅかねえ、と思うのですがこの締めが、

『ただ、遅れているということなので、今後出てくるかもしれない。その分は依然として見通しに織り込んだり、下方リスクとして織り込まざるを得ないというのが、いろんな機関あるいは人々の世界経済、アメリカ経済に対する評価ということだと思います。取りあえず簡単ですが。』

という説明になっていて、現状がレジリアントという事を踏まえたら「実は関税の影響がそんなに大きくないかもしれない」という可能性もあると思うのに、なぜか知らんけど「いや今後悪くなるはずだ」みたいな話になってしまうの何なん???って感じです。

まあアレです、確かにトラ公のやらかしていることって狂気の沙汰にも程があるので、あのトラ公のキチガイ政策が続くなら経済が悪くなるに「違いない」っておもってしまうのは分かるんですよ。むしろ「悪くならないとあのトラ公のキチガイ政策が問題ないという事になってしまって常識が覆る」という認識でおらっしゃられて、その結果として「トラ公がおかしいのだから経済が悪くならないのはおかしい」というようなべき論で見通しの下振れを連呼しているんじゃないか、という感じもしないでもないなあ、と最近思う訳です、はい。

となると海外の下振れガーはハトハトチキンなのか、トランプには天誅が下されるべきなので下振れすべきというべき論で語っているのかが微妙な気もしてきました。まあ海外の経済学者とかは思いっきり「天誅論」で下振れ予想しているようにも見えますが。


・実は10月利上げの可能性の質問に対しては頭ごなしの「無し」発言をしていないという事実isある

なんかベンダーヘッドラインではこっちの質問があまり扱われていなかった引用なのですが、何気にこの後半部分を見ますと味わいがありまして、

『【問】植田総裁に一点お伺いしたいと思います。今回の会見が 10 月の政策決定会合前の総裁の公の場での最後の発言機会となる可能性があることを踏まえまして、こちらも伺いたいと思います。』

キタコレ!でもってこれは「最後の機会となる可能性があるからちゃんと回答しやがれください」という意味もありますね。

『総裁はこれまで、経済・物価が日銀の見通し通りに確度が十分高まれば利上げをするというかたちで発言されているかと思います。その一方で、主に昨今の日本国内の政治状況を受けて、10 月会合での市場の利上げの織り込み度合いが大きく低下しておりまして、もし利上げとなった場合、混乱を招くリスクがあります。国内政治情勢が不安定化することで金融政策運営が難しくなるのではないかどうかという点に加えて、会合に向けての確度の高まり具合、利上げの可能性等、市場に何かメッセージがあればお願い致します。』

ここで10月利上げに対して上記の「海外経済の下振れリスクガー」を連発するのかと思えばさに非ず、
だったのが味わいのあるところでして、

『【答】まず基本的なスタンスとしまして、私どもとしましては、経済・物価見通し、そしてそれを巡るリスク、そして見通しの確度、こういうものに従って金融政策を決定していくということでございます。従って、おっしゃったように、見通しの確度が上がっていけば、その度合いに応じて、適宜金融緩和の度合いを調整していくという姿に全く変わりはございません。』

まあこれはこういうのが仕様なので良いのですが、

『そのうえで今回の会合との関連で、10 月の会合に向けてどうかということですが、これは先ほど申し上げましたように、まだワシントンでの会合は途中ですので、もう少し情報収集にあたり、それから 10 月末にかけて出てくるデータあるいは情報も加味したうえで、10 月の会合であれば、その時点での情報、データ、人々の見方、メンバーの見方をまとめて議論して、そこで決定するということでございます。』

ということで原則論だけしかしなかったので、まあ一応は「10月無し宣言」にはなっていない(ただし前半ではハトハトチキン音頭を踊っているけど)ので、まあ普通に考えたら10月利上げって話にはよーならんとは思いますけど、まだ1週間ちょいあるのでその間の情勢(って為替だが)次第で泡を吹かないといけないリスクは意識しているのかな、って思いました。あとはまあ今回は利上げ織り込みが殆ど剥落しているから敢えてここで利上げ無しをぶっこみに行く必要が無いというのもあるかもしれませんけど・・・・・・



〇高田審議委員の広島講演ですが「物価目標達成」の背景の経済の説明がドチャクソ強いっす

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251020a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策:
資産運用立国と日本経済
── 中国経済連合会における講演 ──
日本銀行政策委員会審議委員
高田 創

広島での講演だと思うのですが、資産運用立国云々ってまさに岸田さんもニッコリという奴なので、その辺配慮してお題決めたのかねとか邪推する程度には心が汚れているアタクシですが、資産運用立国云々の話は今日はパスします(あとでやるかもしれないしやらないかもしれない)。

まあ資産運用立国よりも成長経済で遊休資産なんてものは全然ないよ投資大歓迎、っていう方が楽しい気がするんですけれども、それは昭和脳ですかそうですかってなもんですねたぶん。


・米国の関税政策の影響に関しての説明が大本営(さっきの植田総裁の会見にあるような「おかしくなるべきだ」)と真逆に近い件について

『2. 経済・物価情勢』から参ります。なお今回はまた半角英数がテキスト認識されないので補記しています(忘れてなければ)

『経済・物価情勢です。海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられますが、総じてみれば緩やかに成長しています。今年10月に改訂されたIMFの世界経済見通しは、米国の関税政策の影響を大きく受けた4月やその後7月の見通しからも上方修正されています(図表1)。』

でもってこの先が米国ですが、

『関税政策の影響が懸念される米国経済については、4月のトランプ政権の相互関税賦課の影響から、物価上昇に伴う内需落ち込みを想定していましたが、実際の影響は今のところ限られています。米国の雇用は減速がみられますが、企業収益もIT関係を中心に改善し、株価も史上最高値圏にあります。先行き不安から消費・投資への懸念は根強いですが、資産価格も堅調ななか、マインドへの影響も限られています。今年1月のFOMC以降、政策金利は据え置かれていましたが、雇用の減速を背景にFRBは9月、再び利下げに転じています(図表2)。但し、賃金や雇用者所得は堅調で、AI投資も高水準です。』

全般的に威勢の良い説明ですよね。でもって先行きですが、

『先行きについては、家計・企業・金融機関のバランスシートは健全であり、金融環境も安定的であることなどから、従来、景気悪化局面でみられた信用収縮に伴う急激な落ち込みは想定され難いと捉えています。』

ほうほう。

『本年初から関税中心に、成長にマイナスに働く「北風政策」が先行しましたが、7月には減税法案も議会を通過し、規制緩和政策のメニューに伴う投資拡大等も加わり、プラスに働く「太陽政策」の局面に移行しつつあるだけに、局面が変化してきたと認識しています。』

「局面が変化してきたと認識しています」とは思いっきり大きく出たなって感じでして、「まだ関税の影響が出るのが遅れているがこれから出る筈だし出るべき」って言ってる大本営とは正反対の認識を示しているというのが高田っちいきなり後方から直線一気に抜刀斎を追い抜くミスターシービー状態キタコレという風情ではあります。


・米国の影響が小さい分は海外にしわ寄せがくるんじゃないか問題は「各国が財政金融を出しているから相殺」という認識

次のパラグラフは各国の影響ですけれども、

『関税を世界中に賦課する米国は、最適関税理論上、大国の特権を活かした交易条件改善から、減速の影響は今のところ限られています。そこでは、海外が米国への輸出価格を引き下げることで、本来、米国が負担するはずの関税負担を海外に課す効果が生じます。』

でもってこの先その原理の説明がありますがまあそこは説明されなくても直感的にそうじゃろという話なのでノーコメント引用。

『次の図表3は、教科書的な最適関税論を示す概念図です。米国のように世界経済に影響を及ぼしうる「大国」の前提に立つと、関税の賦課による需要減少に伴い、世界価格が低下する結果(図表3左図のP0→P2)、関税による厚生損失(図表3左図の@)を関税収入(図表3左図のA)が上回り、プラス効果が生じます(図表3左図のA−@)。一方、「小国」の場合(図表3右図)は、関税を賦課しても世界価格は不変(図表3右図、P0=P2)となり、大国のような交易条件の改善効果は見込めません。今回、業種や製品によって差異はあるものの、米国に当てはまる大国の前提に立つと、世界の他地域の輸出価格を引き下げることを通じて、世界に課税をするような効果を生むことになります。』

でもってじゃあその米国以外はどうなっているかという話ですが、

『一方、関税負担が生じる海外諸国には、本来、減速要因として働くはずですが、米国の関税政策に伴い海外全般で危機意識が醸成されたことで、欧米、中国、新興国で押しなべて財政金融政策が同時に緩和方向に傾き、世界中のベクトルが揃う異例な環境が生じています。』

なので堅調という話でして、

『次の図表4は、世界各国の金融政策の方向性を示しています。2022 ・2023 年の引き締め局面から一転し、過去1年余り、各国が揃って金融緩和局面にあることがわかります。同時に、米欧中、各地域で財政政策の拡大も生じており、金融と合わせて拡張的な効果を及ぼします。その結果、当初、米国の関税政策で世界的な減速が不安視されていたにもかかわらず、金融・財政政策のベクトルが揃うことで想定外の経済底上げ・インフレ圧力が生じる可能性に留意したいと思います。』

さっきの植田総裁のG20会見での説明とはまるっきり見立てが逆ですが、現実には世界経済がそこまでコケてないんですから現実に即して言えば高田さんの言ってる方に分があるようにも見えますよね〜

『こうした状況は、 2020年以降、コロナ禍で世界的に景気押し上げ政策がとられた局面と類似しています。』

なるほど。

『夏場以降、世界的な株高が生じているのは、こうした世界的な金融財政政策によるサポートを受けている可能性もあります。』

2020年以降のアノマリーと考えたらインフレ再加速じゃないですかヤダー、ということでじゃあジャパンはという話に繋がります。


・日本経済への影響に関しても関税の影響大したことないぞな攻撃

『米国の関税政策の日本への影響は、当初、海外経済の減速や、企業収益の減少とそれに伴う賃上げの減速、不確実性の高まりによる企業・家計の支出先送りなどの経路を通じてわが国経済を下押しすると考えられました。』

ということでジャパンへの影響。

『今年春先以降の日本経済の状況は、喩えれば4月のトランプ政権の「相互関税台風」予想を受けて生じた公共交通機関の「計画運休」のように、事前に、「台風」が来る前から見通しを引き下げていました(図表5)。』

ワロタw

『但し、実際には、 10月発表の日銀短観や日銀支店長会議の報告等でも目立った減速は確認されていません。』

はい。

『足もと、日本の企業部門では、 2025年度の企業収益予想は伸び悩むものの高水準、 2025年の春季労使交渉でも、連合の第7回集計(最終回)で高水準の賃上げ率が実現しています(図表6)。家計部門では、個人消費は、物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用者所得の改善を背景に底堅く推移しています(図表7)。従って、雇用・所得環境の改善が個人消費を支える構造に変化はないと考えます。』

ほうほう。

『コメなどの食料品価格上昇で足もとの物価上昇率は2%を上回っていますが(図表8)、賃金上昇率の高まりを背景に、先行して上昇した物価を賃金が追いかけ、個人消費も緩やかな増加を続けると期待されます。』

ということで国内も関税の影響大したことないよねという話ですわ。


・物価の基調も強いがなという話で威勢よく「事実上の物価目標達成」宣言である

次が物価の話。

『物価の基調をみるうえで、様々な主体の中長期的な予想物価上昇率をみると、着実な底上げが継続しています(図表9)。国内のインフレ圧力を示すGDPデフレーターをみると、これまでユニット・プロフィット(UP)等が伸びの中心でしたが、 2024年以降は賃金上昇を背景にユニット・レーバー・コスト(ULC)の寄与が高まり、UPとULCがバランスよく伸びる姿に近付き、物価上昇が輸入物価要因だけでなく国内要因による上昇、ホームメード化する動きが生じています。』

ホームメイドインフレとな!

『この点、 2025年春季労使交渉の賃上げ率が高水準となったことは、こうした傾向が継続する可能性を示唆します。さらに、 2025年度の最低賃金引き上げ幅の目安が、前年の5%を上回る6%で決められたことも賃金の上昇が続くことを示唆します。地方では国の目安を超える水準で各県が競い合い、引き上げ率が 6.3%にまで至ったことは、物価のノルム転換の象徴的な事例であり、期待インフレにも影響を与えると考えられます。』

ノルムの転換まで言及。

『政府が 2020年代中に最低賃金の水準を時給 1500円まで引き上げる目標を掲げていることは、将来の水準にコミットすることで、賃金に対するフォワードガイダンスのような効果を生むと考えられます。』

とまあ威勢の良い賃金とその物価への影響の話が先に来ましてその後が企業行動の物価への影響の話でして、

『以上、人手不足を背景とした供給制約――言わば「人手不足経済」への転換――のもとで、企業の賃金・価格設定行動には積極的な動きがみられており、賃上げ定着を受けた国内要因、ホームメード化したインフレ圧力から、エネルギー価格下落下でも物価上昇が生じ、前掲図表8にあるように消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は 年4月以降、3年半近く2%以上と、米欧主要国と比べても高い水準が続いています。』

これまた威勢が良い。

『また、物価のノルムが既に転換し、予想物価上昇率の底上げも加わるだけに、こうした国内の動向をみる限り、私としては、既に「物価安定の目標」実現が概ね達成した局面と捉えています。』

ということで物価目標実現達成、という話だが確かにここまでの威勢の良い説明を見ますと「お、そうだな」という感じになってしまいますね。


・春の段階で懸念していたことは・・・・・

次のパラグラフに参ります。

『4月の相互関税公表後、「物価安定の目標」に向けた動きをみるうえで、こうしたシナリオに対して米国による関税政策が水を差さないか注視してきました。その際、関税政策のわが国経済への波及経路を考えるうえで、これまで次の4点でマイナスの影響が表れないかに注目してきました。』

『具体的には、第1に、不確実性の高まりから設備投資の下振れがあるか。第2に、米国の関税政策に起因した世界経済の減速を背景とする輸出下振れがないか。第3に、企業収益の低下から 2026年に向けた賃上げの動きが抑制されるとともに、販売価格も抑制する動きが生じないか。さらに、第4として、米国の各種政策に伴う思惑から為替円高が進行し、企業収益や輸入物価等を押し下げないかにありました。』

むしろ円安になった方が個人消費にはプラスで実質賃金のプラス化が展望しやすくなる気がしますがまあそれはさておきまして、

『以上4点について、今年4月の相互関税賦課後、半年を経過した段階の評価として、』

ということで・・・・・

『第1に、設備投資は、8月に公表された日本政策投資銀行の設備投資計画調査や 月の日銀短観でも目立った下振れはみられていません。なかでも、日銀短観で、相互関税の影響を受けやすいとみられる大企業製造業の上方修正があった点に注目しています。』

『第2に、世界経済については、IMFの 月の見通しで、7月に続き改善が生じ、半導体のサイクル等も上向きの流れがあります。』

『第3の企業収益は、4−6月期、製造業を中心に落ち込みが生じましたが、円安の影響もあって、輸出企業でも想定対比で目立った下振れは確認されていません。その後、関税妥結もあり、8月以降は、業績予想の修正度合いを示すリビジョン・インデックスがプラスに転じ、下期に入って今年度の収益の上方修正が生じる可能性があるだけに、賃上げの動きが抑制されるまでには至らないと展望されます。さらに、最低賃金の引き上げ目安が2024年を超える6%の水準で決まったことも、来年の賃上げに向けた発射台を高める要因となります。』

『私は、特に、第4の米国の政策への期待次第で市場が大きく変動する可能性を懸念していましたが、米国経済の腰折れは回避されています。9月に米国は利下げに転じましたが、円高に振れる動きは生じず、むしろ円安に振れる動きが生じています。また、日米ともに株式市場が史上最高値圏にあることも安心感をもたらしています。』

何という威勢の良い認識でしょうか!

『以上、4つの懸念を総括すると、国内企業の前向きな動きが続く中、その制約となりうる海外の通商要因も大きな下押しにはなりにくいと評価されます。』

『その結果、国内の物価見通し実現に向け、海外要因が制約となることはなく、私としては、年前半以来の「計画運休」は解除、「物価安定の目標」実現を前提とした議論も必要と考えます。』

ということで経済認識の部分で既に金融政策の話になっていまして、時間の関係で一旦ここまでで一つの話になっているので続きは明日以降ということで勘弁してちょ。









2025/10/20

お題「内田副総裁挨拶は多分なんの示唆もしていないかと/抜刀斎の抜刀を鑑賞(その2)&記者会見/短国とか交付税特会とか」

そういやこちらですけど
https://www.kantei.go.jp/jp/content/20251010shokan.pdf
(内閣総理大臣所感)
戦後 80 年に寄せて

『国内の政治システムは、なぜ歯止めたりえなかったのか。

第一次世界大戦を経て、世界が総力戦の時代に入っていた中にあって、開戦前に内閣が設置した「総力戦研究所」や陸軍省が設置したいわゆる「秋丸機関」等の予測によれば、敗戦は必然でした。多くの識者も戦争遂行の困難さを感じていました。

政府及び軍部の首脳陣もそれを認識しながら、どうして戦争を回避するという決断ができないまま、無謀な戦争に突き進み、国内外の多くの無辜の命を犠牲とする結果となってしまったのか。

米内光政元総理の「ジリ貧を避けようとしてドカ貧にならぬよう注意願いたい」との指摘もあった中、なぜ、大きな路線の見直しができなかったのか。

戦後 80 年の節目に、国民の皆様とともに考えたいと思います。』

一旦おっぱじめるとダラダラと継続してしまう、ってのは野放図に拡大した量的緩和政策を見ればジャパンの戦前からの伝統芸能としか言いようが無いわけでして、石破さんの所感(北岡先生監修ですよね確か)で指摘される事案なんざあ事の大小問わずに身の回りでも日常のように発生していますよね、ということでまあちゃんと読むべきだと思うのですよ。

ちなみにこの発表のあった時の会見(発表自体が会見でしたけど)ですが、最初の質問が「公明党の連立離脱について」だったのは、まさにこの総理大臣所感で指摘された、

『1920 年代、メディアは日本の対外膨張に批判的であり、ジャーナリスト時代の石橋湛山は、植民地を放棄すべきとの論陣を張りました。しかし、満州事変が起こった頃から、メディアの論調は、積極的な戦争支持に変わりました。戦争報道が「売れた」からであり、新聞各紙は大きく発行部数を伸ばしました。』

っていう無責任極まりないメディアのどうしようもない軽薄さの象徴みたいで悲しくなりました。



〇内田副総裁の信組大会での挨拶は別にどうということも無いと思うのだがなんか反応してた気が

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251017a.pdf
【挨拶】
全国信用組合大会における挨拶
日本銀行副総裁 内田 眞一
2025年10月17日

通常はそもそもネタにしないのですが、なぜか反応してた感じもしていやそれはチャウヤヤロと思いましたので一応ネタにしますが・・・・・・・


・一応9月短観の評価(当然前向き)を行っている点だけはまあ反応したくなるのかもしれませんけど

基本的にはこの手の挨拶って直近の展望またはMPMからはあんまり踏み出さないのですけどね・・・・・

『2.経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営』って小見出しがまあ基本的に現世利益なのですけどね。

『まず、経済・物価情勢についてです。』

ということですが、

『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。』

これはいつものアセスメント。

『私どもの9月短観の結果をみますと、企業の業況感は、日米関税交渉の合意により、先行きの不透明感が後退したとの見方から、製造業の一部で改善し、全体としても良好な水準となっています。企業収益は、関税政策による輸出採算悪化の影響などが製造業でみられていますが、全体としては高水準が維持されています。設備投資も、デジタル関連投資や省力化・効率化投資などを中心に緩やかな増加傾向が続いています。』

でまあ今回はサービス(?)で9月短観の評価が入っていまして、直近MPM以降の新しいネタを突っ込んできた、という意味では確かに「おー」とならんでもないのですが、ただまあ淡々と強いって話をしているだけで、後の方の金融政策の話がまあ全然カワランチ会長って感じなので、そんなに過大評価するもんではない気がします。いやまあモチのロンですが、来週水曜木曜までに円安がかっ飛んでしまう場合には何のかんの屁理屈をつけて利上げをする(実際には円安牽制)可能性無くは無いので、そういう時の為の用心ってのはあるのかなとは思いますが・・・・・・

というよりですね、今回の挨拶の中で直近の短観に関して前向きな評価をしているのって、利上げを急ぐという話というよりは、むしろ「利上げが遠いんじゃないかと思われると円安にかっ飛びやすくなるのでそれを事前に牽制しよう」って考えの現れで、そのためにちょっとサービスフレーズ(?)が入ったんじゃなかろうかと。まあさすがに日銀だって為替市場に追い込まれて利上げは格好悪いからやりたくないでしょうからね。

『個人消費は、物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しています。』

直近の毎勤の現金支給額の実質値が2020年基準で90割れ水準とかなのにまあ何だかんだよく持ちこたえていますねえ、と思います。

でまあ何でさっきのがただのサービスフレーズであんまり深刻に受け止める必要なしと思うか、でありますが、

『先行きについては、各国の通商政策等の影響から海外経済が減速し、わが国経済の成長ペースは鈍化すると考えられますが、その後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込んでいます。』

ということで、先行きの文言がもう完全にテンプレですし・・・・・・

『物価面では、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、足もと2%台後半となっています。このうち、米などの食料品価格上昇の影響は、次第に減衰していくと考えられます。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けていったん伸び悩むことが見込まれるものの、その後は、成長率が再び高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、日本銀行の展望レポートの見通し期間後半には、「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられます。』

どう見てもテンプレです本当にありがとうございました。

『リスク要因としては様々なものがありますが、とくに、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、それが金融・為替市場やわが国経済・物価に及ぼす影響については、十分注視する必要があります。』

でもってリスク要因もテンプレ、ということで、ここら辺が全部テンプレということなので、(もともとそんな種類の挨拶にはしないというのが仕様ですけど)今回のこの挨拶で何かの示唆なり地均しなりをしようという意思は感じられませんなあ、という風に思いました。


でもって金融政策に関しても、

『続いて、金融政策運営についてお話しします。日本銀行としては、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、先ほど申し上げた経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していく方針です。』

ということでこちらもテンプレオブテンプレって事ですのでまあねって感じだと思います。まあ念のため今回はネタにしておきました、って感じです。



〇田村委員金懇ネタの残りの部分は金融政策運営でして新しい話があるわけでもないが一々仰せご尤も

田村銀儀委員沖縄金懇
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251016a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 沖縄県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
田村 直樹


・金融政策運営に関する説明が一々ご尤もな件につきまして

さて金曜日はワイの時間の都合で金融政策のパートの前の部分で終わっていますが、物価の説明の部分も一々ご尤もだった訳でして、金融政策の部分も当然のように一々ご尤もなんですけど、いざ鑑賞という事で。

『3.金融政策運営』という小見出しの所からです。なお今回の金懇テキストのPDFは半角英数をテキストとして認識しないという謎仕様が発生していません、エディター変えたかなんかしましたかしら???

『ここからは、日本銀行の金融政策運営についてお話します。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指して、政策運営を行っており、2024年3月の金融政策の枠組みの見直し以降、短期金利の操作を主たる政策手段と位置付ける、普通の金融政策に戻っています。そして、「物価安定の目標」の実現する確度の高まりに合わせて、金融緩和の度合いを調整していく方針にあり、短期政策金利の誘導目標を2024年3月に0〜0.1%とした後、2024年7月会合で0.25%程度に、更に2025年1月会合で0.5%程度に引き上げました。』

というのはこれまでの政策の説明ですが、

『また、直近の2025年9月会合では、短期政策金利の誘導目標を、0.5%程度のまま維持することが決定されましたが、私はこれに反対し、0.75%程度への引き上げを提案しました。』

はい。

『これは、上下双方向のリスクがある現時点で、政策金利を一気に引き締め領域まで引き上げるべきではないものの、物価の上振れリスクがある中、将来の急激な利上げによるショックを避けるため、中立金利にもう少し近付けておくべきであると考えたからです。』

タカ派だのなんだの言われる訳ですが、そもそも論として「引き締めしろ」と言っている訳ではなくて、高圧経済アプローチしてたら欧米みたいに将来のある時点で一気に引き締めに転じないと行けなくなるからそれをフォワードルッキングに回避すべき、という理屈な訳で、そもそもタカハト分類ってのも雑な話なんですよね、ジャーナリスティックにはそういう区分けになってしまいますが。

でもってこの説明はこの先に出てきます。

『なお、この会合においては、図表13にある通り、日本銀行が保有するETFおよびJ−REITについて、市場に攪乱的な影響を与えることを極力回避する等の基本方針を踏まえ、「金融機関から買入れた株式」の売却と同程度の規模で、市場への売却を行うことを決定しました。市場全体の売買代金に占める売却割合を0.05%程度に抑えるため、全て売却するまで100年以上を要する計算となりますが、市場のリスク・プレミアムに影響を与えるために購入したETF等を、市場に影響を与えないように処分していく以上、処分完了まで長期間かかるのはやむを得ないと考えています。』

ってことなんですけど100年はナメトルジャロと思いますし、いまの市場だったら1日500億円くらい売却したって屁でしょと思いますし、何なら日銀の作った絶好の押し目買いの急所くらいの勢いで買われるじゃろとしか思えないので、何で皆さん揃いも揃ってこう貧弱な計画なのかと思いますけど、まあ皆さんが忘れた頃にバカスカ売却をおっぱじめるでしょさすがに100年超はお前どこの遼東半島租借だよという話ですからねえ。

まあその悪態はさておき、

『以下では、政策金利について、私の考えをもう少し詳しく説明します。』

ここからが金融政策論議の本番です。

『図表14は、日本、米国、ユーロ圏の消費者物価上昇率と政策金利の推移ですが、足もと、米国およびユーロ圏では、消費者物価上昇率が概ね2%台で推移する中、政策金利は米国が4%強、ユーロ圏は2%程度となっています。それぞれの地域の経済・物価情勢に応じて水準は区々ですが、いずれも政策金利は中立金利の近傍ないしやや上回る水準にあって、上振れ・下振れ両睨みが必要な不確実性の高い状況に備えています。』

はい。

『一方、日本の消費者物価上昇率は概ね3%前後で推移していますが、政策金利は0.5%と、米国・ユーロ圏対比、低い水準に止まっています。』

要するにこれですよこれ。

『わが国のインフレ実績は2%目標を長期にわたってはっきりと上回っており、更に、私としては、インフレ上振れリスクが膨らんできている状況にあると考えています。』

ですなあ。

『もっとも一方で、米国の関税政策によって今後、米国経済が大きく下押しされ、その悪影響がわが国に及ぶリスクがあるのも事実です。』

ほうほう。

『このように経済・物価の上振れ・下振れ双方向のリスクがある状況に備えるには、中立的な金融政策スタンスに近づけておくことがリスクマネジメント上、重要だと考えています。』

どう見てもご尤も。

『図表15に名目金利から予想物価上昇率を差し引いたわが国の実質金利の推移を示していますが、現在、はっきりとしたマイナスとなっており、自然利子率のいずれの推計値も下回っています。これは、言い換えれば、わが国の短期金利の水準は中立金利を下回り、現在は緩和的な金融環境、すなわち、経済や物価を押し上げる位置にあると言えます。』

ですので、

『中立金利は、概念的には、経済・物価に対して中立的な実質金利の水準である自然利子率に、予想物価上昇率を加えたものですが、この中立金利について、私は、最低でも1%程度だろうとみていると従来から申し上げてきました。』

そもそも物価2%だったら名目中立金利は1%でもクッソ低くてたぶん中立じゃないんですよね。

『ただ、自然利子率は直接観察できるものではなく、その推計値は手法によって大きなばらつきがありますので、実際のところ中立金利が1%以上のどの辺りにあるのかは、政策金利を引き上げつつ経済・物価の反応を見て、探っていくしかないと考えています。』

はい。

『これまで、0.5%まで政策金利を引き上げてきましたが、その日本経済全体への影響は極めて限定的であると捉えています。中立金利まではまだまだ距離があるということだと受け止めており、実際、図表16の通り、企業からみた金融機関の貸出態度や資金繰りは、全体として緩和的な状況が続いている状況です。』

いちいちご尤もすぎます。

『私としては、先ほどの経済・物価情勢を巡る話題で申し上げた通り、関税政策に関する日米交渉合意や企業の前向きな賃金・価格設定行動の維持、物価の上振れリスクを踏まえると、「物価安定の目標」の実現時期が前倒しとなる可能性は高まっていると考えています。』

なので、

『政策金利の引き上げが遅れて物価が大きく上振れする、いわゆるビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうと、物価を落ち着かせるために急速な利上げを余儀なくされ、結果的に日本経済に大きなダメージを与えることになってしまいます。』

「高圧経済」とか言って高インフレ上等上等ということで対応する、という可能性はもちろんなくは無いのですけれども、既に政治的に高インフレ上等政策というので政権が1個飛んでいることを考えるべきなのですが、何故か知らんけど「高圧経済」がインフレ上振れ上等という結論にならないで「良い政策」とか思っているのが高市とおかしな取り巻き達、というのがオソロシスであります。

『図表17は家計と企業に「好ましい物価と賃金・収入の状態」を問うたものですが、家計・企業ともに「物価と収入がともに緩やかに上昇する状態」が好ましいという回答が最も多くなっています。』

まあゆうて物価高に追いついてませんがorz

『長い間、「物価と賃金がともにほとんど変動しない状態」を続けてきたわが国経済が、ようやく「ともに上昇する」状況に変化した現在、「緩やかに」と言える好ましい水準で、それを定着させることが重要です。』

「緩やかに」と言える水準じゃないのですよね今の物価、

『早すぎる金融引締めによって「ともにほとんど変動しない状態」に戻ってしまうことは避けなければなりません。一方で、「緩やか」とは言えない物価上昇を続けることも避ける必要があります。』

『なお、物価上昇率に比べて金利が低すぎる場合、預金の実質的な目減りが続き、賃金上昇の恩恵を受けないリタイア世帯などにとっては、辛い状況が続いてしまうことも意識しておく必要があるように感じています。』

リタイアどころかこき使われているのに賃金上昇のいやなんでもありません。

ということで纏めは

『上下双方向にリスクがある現時点で、一気に政策金利を引締め領域まで引き上げてインフレを抑えにかかるべきとは考えていませんが、物価の上振れリスクが膨らむ中、将来の急激な利上げショックを避けるためにも、金融緩和度合いを調整して中立金利にもう少し近付けるべく、利上げを判断するべき局面にきていると考えています。』

まあ特に目新しい話があったわけではないですが、一々仰せご尤もでして、これに対して大本営はどういう理屈を捏ねますのやら、という感じですなあ。


〇田村委員沖縄金懇会見より

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251017a.pdf
田村審議委員記者会見
――2025年10月16日(木)午後2時から約30分
於 那覇市

14時くらいからやっていただきまして、ほぼリアタイくらいでヘッドライン出していただけますと引け際の攪乱的な動きに巻き込まれる、というよりも会見のヘッドラインが債券市場への攪乱要因になりにくくなるので、出来れば今後も金懇会見は14時スタートで運営して頂きますようにお願いできればと思います。


・10月も普通に利上げ提案するでしょうねえ

あの理屈ならば10月に利上げ提案取り下げというのは考えにくいのですが、

『(問)田村委員、9 月の会合で利上げを提案されたと思います。午前の挨拶でも利上げを判断すべき局面というご発言がありました。10 月の会合で改めて利上げを提案するお考えはあるのかどうか、今のお考えをお聞かせください。』

『(答)金融政策決定会合での判断は、その時点までの経済・物価情勢や決定会合の場における議論次第であるため、現時点で確たることは申し上げられません。』

そりゃそうだ。

『なお、9 月の決定会合以降の私にとっての注目点を申し上げれば、短観では業況判断DIにおいて、企業の前向きな姿勢が維持されていることが確認できたほか、設備投資計画についても、前年度に続き、高い水準の増加が計画されていることが確認できました。また、日本銀行本支店のヒアリング情報をみても、企業の前向きな経営姿勢が維持されているものととらえています。』

短観はさっきもありましたように大本営も強いとの認識を示していますわな。

『このような環境下、現時点においては、経済・物価の上振れ、下振れ双方向のリスクがあり、一気に政策金利を引き締め領域まで引き上げる必要はないものの、物価の上振れリスクが膨らむ中、将来の急激な利上げショックを避けるためにも、金融緩和度合いを調整して中立金利にもう少し近づけ、上下双方向のリスクに備えるべきだと考えています。』

「現時点なら利上げすべき」と明言。

『ただし、繰り返しになりますけれども、金融政策決定会合での判断は、その時点までの経済・物価情勢や決定会合の場における議論次第でありますので、現時点で確たることは申し上げることはできません。』

まあ順当な回答でしたね。


・「金融市場が不安定なら利上げをしない」という昨年8月のその場しのぎの大本営屁理屈に抜刀の巻

次の質問の後半部分への回答が中々味わいが深い。

『(問)(前半割愛)もう一問が国内の政治状況と金融市場についてちょっとお伺いします。自民党の総裁選以降、株価とか金融市場が大きく乱高下しています。昨年の急落の際には、内田副総裁が不安定な状況の中で利上げをしませんという趣旨のご発言をされましたけども、現在の急変というのはこういう状況に当たるとお考えでしょうか。利上げの判断に影響するとお考えかという点をお伺いします。』

まああの時の内田副総裁の発言ってその場しのぎ(まああの時に限らずなんですけど、今の植田日銀(というか黒田日銀の末期あたりからすっとそうなんですが)のコミュニケーションの一番悪いところは「その場しのぎでその時に都合の良い理屈を繰り出してくるので、説明の理屈が昔言ってたことと整合性が取れない」という所でした、つまりは昨年8月のあの内田副総裁の発言だって結局のところその場しのぎで言ってただけなんですよね。

でまあその点も含めて田村さんが抜刀斎になる訳なのですが。

『(答)(前半割愛)二つ目のご質問、金融資本市場が不安定な状況にあるという点に関してでございますが、市場は日々変動するものであって、水準についてのコメントは控えますけれども、ファンダメンタルズを反映して安定して推移することが望ましいと考えております。金融資本市場の動向や経済・物価に与える影響については引き続き丁寧に目を配ってまいりたいと考えております。』

とはまあ言うでしょうけど、この後から抜刀がモードになるわけでして。

『そのうえで申し上げますと、そもそも市場は上下に変動するものであって、ときには行き過ぎることもあると思います。』

抜刀キタコレ(・∀・)

『市場の安定だけを優先し過ぎる場合、経済・物価に応じた適切な金融政策が取れなくなる懸念があるほか、』

これは切れ味抜群!

『経済・物価情勢と市場との間の歪みを拡大させてしまうリスクもあります。』

でもってこの部分、言い方がオブラートに包んでいるから気が付かないかもしれませんが、要は「内田プット」とか言われてしまったら市場に好ましくない不均衡が発生する、って言ってるんですよね。御尤もすぎる。

『また、やや長い目でみれば、ファンダメンタルズに沿った水準に落ち着いていくものだと考えております。とはいっても、ただし大幅な急変動というのは望ましくなく、過度にフラジャイルな状況にあるときには、冷却期間を置くなどの対応が必要なケースもあると考えており、その場その場で判断していきたいと考えています。』

まあ確かにこの「フラジャイル」に対応する適切な日本語が無くて、ニュアンスを伝えるには英語を使う方が適切ですわな(ってかマーケットがらみのこの手の言葉になると英語の方が真面目な話使い勝手が良いまである)。


でもって後の方でさらに質問がありまして、

『(問)(前半割愛)二点目なんですが、先ほど市場安定を優先し過ぎると適切な金融政策を行えなくなる懸念があるというふうに発言されました。足元で、例えば、10 月会合の市場の利上げの織り込みって 10%台ぐらいまで低下してるんですけども、田村委員のお考えからすると、やはりそういった市場の織り込みとかはあまり気にせず、やっぱりやるべき局面ではやるべきだと、そういうふうに考えておられるということでよろしいんでしょうか。』

まあ回答は言うまでもありませんけれども、

『(答)(前半割愛)次に、市場の織り込みが不十分な場合でも利上げを行うのかどうかという点に関してですけども、これも先ほど申し上げたことの繰り返しになるんですけれども、市場がファンダメンタルズをどういうふうにみて、どういうふうに判断しているのか、それと私の見方が合ってるのかずれているのか、あるいは合っていても何らか別の要因で利上げの織り込みが低いのか。そういった場合に、そこから先、更に見方のずれが広がっていくのか、そうじゃないのか。そういったことをいろいろ踏まえて、金融政策決定会合の当日に判断していきたいと考えているところです。』

市場が織り込んでいないのに自分が利上げ提案する場合に背景というのは考えて自分の考えに抜けがあるかどうかは確認するけど、という感じでの回答ですな。


・しらっと「中立金利の下限は1%の訳ねえだろ」と抜刀していますわ

中立金利の質問もありました。

『(問)今日、ご挨拶の中で中立金利についてお話がありまして、最低でも 1%程度という表現に加えて、1%以上のどの辺りにあるのか探っていくというような表現がありました。これは目指すべき政策金利とリンクしてくるところもあると思いますけども、この辺りの考え方、中立金利がどうあるべきかという考え方についても教えて頂けますでしょうか。』

『(答)中立金利についてですが、まず現時点で中立金利の水準を特定することは難しく、かなりの幅を持ってみる必要があると考えています。また、長きにわたってほとんど金利がない世界が続いてきたわが国においては、経済主体が金利にどのように反応するのか、予断を持たずに、注意深くみていく必要があると考えております。』

『従って、実際には政策金利の引き上げを進めていく中で、金利の変化に対して経済・物価がどのように反応するのかを分析しながら、最低 1%の上、1.5%なのか、2.0%なのか、中立金利の水準を探っていくことになると考えています。』

とまあそういう回答ですが、しらっと1%じゃなくて1.5だの2だのと言っていますなあ(いやまあ2でも良く考えたら低いんだが)。

『なお、私が念頭に置く最低 1%程度という水準は、私自身が金融実務家として企業や家計と接してきた感覚、あるいはこのところの企業や金融機関の経営者の声などを踏まえて、最低でもこれぐらいはとイメージしている水準です。』

とのことですが、ここで一発踏み込んで「かつてマイナス金利政策や政策金利がゼロ近傍の際には最低1%と考えてみましたが、実際に政策金利の引き上げを実施しても経済へは大幅な緩和として作用していることを考えますと、もう少し高くても良いのではないでしょうか」とかぶっこんで来たら神プレイだったのですが、惜しくもそういう話はしておりませんが、でもまあこれはこれで「中立金利が1%の訳あるかヴォケ」という話がこの後続きますので要鑑賞。

『付言しますと、自然利子率というのは景気を加速も引き締めもしない、実質利子率の水準ですが、その自然利子率がマイナス、中立金利が物価より低いということは、平たく考えますと、預金者は物価上昇にいつも負けてしまい、また経営者は物価上昇ほどにはリターンが得られない案件でも投資を行うということ、そういう状況が定常状態であるということで、そういう状況が長く続くことは、ビジネスの現場の直感に反するように私としては感じています。』

よくよく考えてみたら(よくよく考えないでも直感でわかりそうなもんだが)自然利子率がマイナス1%ってどんな経済になるとそういうことになるのかって話ですもんね。

『実際、これまでの利上げの日本経済全体への影響はきわめて限定的であり、中立金利の水準まではまだまだ距離があるととらえています。』

実際に政策金利引き上げても全然問題ないじゃないですか、という説明をしていますわな。

といったところですかね〜


〇3M短国と交付税特会借入6Mの利上げ織り込みの温度差ェ・・・・・・・・

・3M短国ちゃん・・・・・

流動性供給入札の傍らでひっそりと実施されました3Mちゃん

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251017.htm
国庫短期証券(第1339回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1339回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号   国庫短期証券(第1339回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和7年10月20日
4.償還期限    令和8年1月26日
5.価格競争入札について
(1)応募額       11兆7,837億円
(2)募入決定額    3兆2,896億7,000万円
(3)募入最低価格   99円87銭4厘5毛
(募入最高利回り)   (0.4680%)
(4)募入最低価格における案分比率     63.6532%
(5)募入平均価格   99円87銭7厘4毛
(募入平均利回り)   (0.4571%)』

うーんこのという感じでして、こちらは1月会合がぎりぎり掛からない(MPMはその前の金曜ですが付利金利の適用はどうせ月曜の1/26になるので)のですがそれにしましても0.45台ですかそうですかという結果でして、

売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/17引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.400
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.400
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.440
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.440
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.440
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.440←新発3M
国庫短期証券1340 2026/02/02 平均値単利 0.440←今週金曜入札予定の3MWI

(10/16引値)
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.439
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.400
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.440
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.440
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.440
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.460←新発3MのWI

なにせ今回の新発3Mの落札利回りって前回が0.50%ちょい割れ水準だったのから見たら盛大にレートが低下でござるの巻になっていまして、まあこれ自体はトランプ関税大暴れによるリスクオフが影響しているとは思われますけれども、それにしても12月利上げ観測を綺麗に剥がしに行ってる、のかそうじゃないのかは解釈が難しい所でして、実はこの間に手前の年内償還物がことごとく0.40%の引値にされていまして、そこから見ると年末越え銘柄は段差ついてるちゃあついているので12月利上げの可能性を反映している、とも読めるのですけれども、そもそも短国ってここ暫くは0.4%台後半の水準で推移していたのがスタンダードっぽくなっていた所なので、何ですかこの金利低下は、という話もある訳でヤヤコシヤではある。

ただまあ何ですな、金曜の引けで新発3M2月償還ってのが堂々と0.44%で値付け(まあWI自体このタイミングででは取引が行われるってもんでもないのであくまでも雰囲気で値付けされている世界だとは思いますが)されていまして、1月会合跨いでいるのに階段がついていないということで、うーんこれはという感じではあります。短期の純投資というのにはちょっと微妙ではあるのですが、またまた国債市場への避難民がやってきているのかも知れずなんかよくわからんですな、うんうん。


それから先週木曜日に交付税特会6Mの入札があったんですが、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result251016.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和7年10月16日入札)

『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項   特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日        令和7年10月23日
3.償還期限        令和8年4月24日
4.償還方法       令和8年4月24日に一括償還
5.借入利率競争入札について  
(1)応募額        4兆1,113億円
(2)募入決定額     1兆3,000億円
(3)募入最高利率       0.725%
(4)募入最高利率における案分比率    54.2420%
(5)募入平均利率       0.700%』

まあこの数字見れば見え見えですが、このレートって12月利上げも100%以上織り込み(平均の0.70で12月会合以降の換算レートが0.795%だし0.725だと後半0.835%になります)だし何なら10月利上げも結構な織り込み(平均だと10月会合後の換算レートが0.709%、足切りだと0.735%)とかいう大変に威勢の良い(あるいは悪い)レートになっておりました次第で、特会借入の分短国発行増やしてくれよと思ってしまうレートなのが短国と好対照になっております。

ただまあ短国の方も3M近辺くらいまではやたら強いのですがその先になると微妙ちゃあ微妙(もともと新発出てしばらくの間を除いて6M辺りの短国って流通玉が常にあるわけでもないので水準感が訳わからんというのはある)ですので、特会だからというよりも6Mだからということなのかもしれませんけど何ですかこの温度差はという世界ですな。

ちなみに10/3(なので高市の前)に行われた交付税6Mは、10/15〜4/16で平均が0.732%、足切りが0.749%になっていまして、こちらのレートは(足切りの方は一目瞭然なので平均で見ますと)平均落札の0.732%ってえのは10月決定会合跨ぎで考えた場合に後半(ほとんどが後半ですが)のレートが0.754%となっておりまして、10月利上げを完全に織り込んだ水準だったので、まあそこから見たら後退なのは後退ではあるのですが、とは言えあんまり利上げ観測剥がしていませんね、ってことかとは思いました。








2025/10/17

お題「植田総裁と清水理事のハトハトチキンコメント/田村委員の明快な説明あるいは抜刀を鑑賞しましょう(その1)」

お、おぅ・・・・・
https://www.47news.jp/13301163.html
【速報】高市氏、参政代表に首相指名で協力要請
2025年10月16日 14時32分共同通信

もはやノーコメントorz

〇合わせ技で結局ハトハトチキンコメントキタコレ(植田総裁と清水理事)

さきほどこんなのがでてたようなのでとりあえずメモ

植田総裁
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/D5VCRBJDLJIMLBM4VH4QHR4WN4-2025-10-16/
経済・物価見通しの確度上がれば、それに応じ政策調整=日銀総裁
和田崇彦
2025年10月17日午前 5:09 GMT+9

ってお題を見ると(BBGでもこのお題)ほうほうって感じなのですが・・・・・・・

『[16日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は16日、訪問中の米ワシントンで行った記者会見で、経済・物価見通しの確度が上がっていけば、その度合いに応じて政策調整していく方針に変わりはないと話した。』(上記URL先より、以下同様)

と言っているのでそっちがニュースのお題になっていますけど・・・・・

『その上で、世界経済は「底堅さを見せている」ものの、その底堅さは関税の影響がまだ出ていないことによるもので、関税影響を「見通しに織り込んだり、下方リスクとして織り込まざるを得ないというのが様々な機関や人々の評価だ」と話した。』

「底堅さは関税の影響がまだ出ていないことによるもの」
「関税影響を「見通しに織り込んだり、下方リスクとして織り込まざるを得ない」

・・・・・どう見てもチキンの言い訳です本当にありがとうございました。

さらに随行していると思しき清水理事がですね・・・・・・

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/JTEON433NJP3RPONTLJY4BYLVY-2025-10-16/
日銀、政策正常化は極めて慎重に プラス金利への反応不確実=清水理事
木原麗花
2025年10月17日午前 3:18

『[ワシントン 16日 ロイター] - 日銀の清水誠一理事は16日、プラス金利という新たな環境に日本経済がどう反応するか不透明なことを踏まえると、金融政策の正常化は極めて慎重に進める必要があるとの考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

あのーすいません、事実上のゼロ金利解除したの昨年の7月で50bpまで利上げしたの今年の1月なのに何がどう「プラス金利という新たな環境に日本経済がどう反応するか不透明」なんでしょうか・・・・・・・

『清水氏は国際金融協会(IIF)主催のセミナーで、多くの先進国では長期インフレ期待が中央銀行の目標に定着しているが、日本では事情が異なり、インフレ期待と基調的な物価上昇率はいまだ低水準にあると指摘。日本ではインフレ期待がなお2%を下回っているため、インフレ期待を押し上げ、経済活動の下支えを続ける必要があると述べた。』

そもそもこの「期待インフレが2%を下回っているためにインフレ期待を押し上げないといけない」というのが本当にそうなのか、ということは決め打ちできない筈で、日銀の見通しとかいう希望的観測ではなくて、アクチュアルに今起きている物価のダイナミズムを見て謙虚に判断すべきだし、なんなら田村委員の今回の金懇でその辺の指摘もありますがな。

『その上で、世界各国の中銀が通商政策などに起因する不確実性に直面していることが、経済や物価見通しに影響を及ぼす可能性があると指摘。日本では長期にわたり低インフレと低金利が続き、プラス金利環境に慣れていないという特有の不確実性に日銀は直面していると述べた。』

どう見てもチキンです本当にありがとうございました。

『金利上昇に対し経済がどのように反応するか正確に分からないため、政策の影響を見極めるにあたり日銀は極めて慎重になる必要があると言及。経済の先行きに十分な確信が持てれば、政策の正常化を進めることができると語った。』

正確に分からない、のは当たり前でしてそんなこと言ってたら一生利上げできなくて最後には取り返しのつかないビハインドになるとしか思えませんが、まあ何ぼ何でも日銀の理事になられるようなお方なのでアタクシの如き凡下の言うような理屈をご理解の上で、あえて上記のような説明をぶっこんでいるのですから、まあこりゃどこからどうみても「利上げするのコワイヨー」というのを綺麗な言葉と理屈で示したもの、ということになろうかと存じます。

ってな訳でですね、これはつまり植田さんと清水さんの合作で「利上げを自分からやると手を挙げる気はありません」って宣言しているのですが、もうこうなったら政策委員6人中5人が利上げ賛成して執行部をひっくり返しにいかないと(なおそうなったときには対面というのが有るので執行部は利上げと言い出すので表面上はよくわからんままジャガーチェンジになる)中々大変なんじゃネーノ(さもなければ円安阻止の要請が飛んでくるパティーン)ってガックシと来てしまいました。


・・・・とは言いましてもですね、これは植田日銀になってからの物凄く悪い傾向なんですけど、思い起こせば昨年の12月から1月に掛けてのムーブがそうでしたが、12月にも利上げするんじゃないか、の流れを12月会合と年末までの情報発信で思いっきり強いトーンで「利上げは慎重に慎重に」のハトハト音頭を踊った結果、この理屈だと1月どころかうっかりしたら3月利上げも厳しい可能性があるんじゃないか、となってしまって円安に振れるわ金利は低下するわ、とやっておりましたが、何がどういう話になったのかは今でも謎ですけれども、年始になったら突然の盛大なジャガーチェンジが発生して、いきなり1月利上げに向けて強引な地均しをして1月利上げに持って行った、という恐ろしいプレイがあったじゃないですか。

ということですので、こうやって利上げ観測を押し返しに行っているのって、実は彼らにとっては10月利上げ観測を押し返しに行っているだけだったりする、というムーブの可能性も否定できないのがこの人たちのコミュニケーションの恐ろしさでありまして、10月利上げなんてあと2週間でドル円が10円飛んだらワンチャン実施かもしれないので組閣後の第一発目が確かにリスクなんでワンチャンのワンくらいリスクは見ないといけないのかもしれないけれども、まあさすがに10月やってその後もホイホイというのはちょっと厳しい(アタクシのべき論は田村さん高田さんと同じだけどその話は次のコーナーで)と思うので、何も市場の利上げ観測を今必死こいて押し返しに行く必要って全くないのですが、どうもこう昨年12月に見られましたように、一々この人たち説明が過剰に強いんで、今回もその一環である可能性も否定できないな、というのだけ読み筋の片隅に置いておきます。


〇抜刀斎の抜刀は実に正論過ぎて涙がちょちょ切れます(まあだからと言って10月利上げ通るとも思えんけど・・・・orz)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251016a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
沖縄県金融経済懇談会における挨拶要旨

日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2025年10月16日


・現状評価でも明確に根拠を示して「米国政策の影響ガー」へ抜刀の巻

『2.経済・物価情勢』の『(1)わが国経済の現状と見通し』から参ります。

『はじめに、わが国の経済情勢についてお話します。わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、総じてみれば、緩やかに成長していると判断しています。』

という総括判断は大本営と同じです。というかまあ田村さんと高田さんは「物価」を重視して政策金利の調整を提案しているのですから、経済の判断が全般として大本営と同じであることは利上げ提案と矛盾はしませんわな。

でもって米国ガーについてが以下の話でして、

『そのような中で、米国の関税政策とそれがわが国経済に及ぼす影響に大きな不確実性があり、図表1に示した通り、4月、7月時点で日本銀行の経済見通しも修正を余儀なくされてきました。』

ってことでこの辺は次の話のマクラみたいなもんですが、

『実質GDP成長率の見通しを政策委員の中央値で申し上げれば、1月時点では2025年度1.1%、2026年度1.0%と比較的しっかりとした成長を見込んでいましたが、4月に米国の関税政策が発表されたことを受けて、4月見通しでは2025年度0.5%、2026年度0.7%へと大きく引き下げました。もっとも、この時点では、米国の関税政策等がどうなっていくのか、それに対して企業がどのように対応するのか、二重の意味で流動的であり、今後の推移次第で、上方向・下方向両面で、大きな修正があり得るものでした。』

以下が本編。

『その後、6月調査の短観やその他のヒアリングデータから判断すれば、私にとっては驚くほど、企業の前向きな姿勢が維持されていたところ、更に日米の関税交渉が、特に自動車関税について、穏当な内容で合意に至りました。』

「私にとっては驚くほど、企業の前向きな姿勢が維持されていた」ですよ!

『これにより、米国の関税政策に関する不確実性がはっきりと低下し、日本企業が動きやすくなったことは、間違いないと考えていましたが、今月発表された9月調査の短観の業況判断DIは、図表2に示した通り、企業の前向きな姿勢が引き続き維持されていることを裏付けるものでした。』

「これ(日米関税交渉の妥結)により、米国の関税政策に関する不確実性がはっきりと低下し、日本企業が動きやすくなったことは、間違いない」と来てさらに直近の短観で「企業の前向きな姿勢が引き続き維持されている」って何回ポジティブなことをおっしゃってますのよ、というお話でして、これはまあ田村さん思いっきり強調したいからこういう感じで畳みかけているのでしょうけれども、これは剣豪の殺陣シーンって感じですな(^^)。

さらに先行き見通しに関しても、

『もちろん、業種によって影響の大小がある上、日本全体として見ても、米国の関税政策を受けた海外経済の減速等の影響から無傷ではいられないと思いますが、海外経済が緩やかな成長に戻っていくのに伴い、わが国経済も成長率を高めていくと考えています。』

と、ここは穏当なのですが、隙あらば抜刀する田村さんなので、

『また、今後出てくるデータや情報を注意深く見ていく必要はありますが、私としては、海外経済の減速も当初考えていたほどではない可能性が十分にあると考えています。』

とこちらでも抜刀をするのでした、イイハナシダナー。


・物価の現状と先行きの説明ですが・・・・・・・

でもって次が『(2)わが国物価の現状と見通し』ですな。

『次に、わが国の物価については、図表3の通り、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2%台後半となっています。』

この辺はマクラです。以下さっきと同じで展望レポートでの見通しの推移を説明しています。

『そのような中で、物価見通しについても、米国の関税政策のもたらす不確実性を背景に、修正を余儀なくされました。図表4に示した通り、消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、1月時点では2025年度2.4%、2026年度2.0%と、2%の『物価安定の目標』以上の上昇率が続くとみていましたが、4月には2026年度の見通しを1.7%に引き下げました。これは、米国の関税政策による企業収益の伸び悩みから、2026年度の賃上げが一定程度下押しされるリスク等を見込んだものでした。なお、7月に2025年度見通しを2.7%と大きく引き上げたのは、食料品価格を中心に足もとまでの実績が大きく上振れたことに対応したものです。』

まあこの部分、特に田村さん抜刀はしていないのですが、4月に極端に下げ過ぎたんじゃないの、という話だし、4月にあれだけ下げたのって結局のところ米国の不確実性を過大に見積もったのも勿論あるのですが、それよりも日銀大本営が考えている物価ダイナミズム(つまりはいわゆる物価の基調って奴です)を読み間違えている、すなわち日銀の物価分析や予測のモデルとなる前提がゼロインフレノルムからの修正が無いあるいは足りないことに起因していて、それはすなわち日銀大本営の出す物価先行き見通しを常に過小評価させる方向に作用しているんじゃないの、ってお話だと思うんですよね、アタクシ無学だからよくわからんけど。

まあそれはそうとしまして先に行きますが、この先が大事な「見通し」のお話でして、

『今後の消費者物価の基調的な上昇率は、「成長ペース鈍化などの影響を受けて、当面、伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、2027年度までの展望レポートの見通し期間後半には『物価安定の目標』と概ね整合的な水準で推移する」というのが日本銀行としてのベースシナリオです。』

これは大本営の伝言部分ですが、

『一方で、私としては、「物価安定の目標」の実現時期が前倒しとなる可能性も十分にあると考えています。物価がベースシナリオから上振れる可能性もあると考える理由は、以下の通りです。』

キタコレ(゚∀゚)


・理由その1:企業の価格・賃金設定行動や設備投資行動

『第一に、企業の前向きな経営姿勢が維持されていることです。』

さっき短観で確認していましたな。

『私は、米国の関税政策等のあおりを受けて、企業の経営姿勢が、デフレ期のような、賃金・物価が上がりにくい状態に戻ってしまわないかという点を心配していましたが、』

ということでまずは価格設定行動。

『まず、価格設定行動については、従来よりも積極化した姿が維持されています。短観で「販売価格は上昇する」と回答した企業の割合を、「仕入価格は上昇する」と回答した企業の割合で割った値――価格引上げに関する企業の積極性を示す大まかな指標――を図表5に示していますが、この指標は、2022年以降、企業にデフレマインドが浸透していく前の1990年代初頭の水準にまで戻り、足もとでも高めの水準が維持されています。』

ほうほう。

『また、図表6に企業の1年後の物価全般の見通しと自社製品の販売価格の見通しの推移を示していますが、共に、2%を超える高い水準が続いています。』

企業のインフレ期待にも言及した後に、この部分も明快な説明が来るのですよね。

『私が注目しているのは、2022年までは、物価全般の上昇ほどには自社製品を値上げしないというスタンスだったものが、2022年以降は、物価全般以上に自社製品を値上げするというスタンスに変わっており、これは企業の価格設定行動の積極化を示すものと捉えています。』

むしろ最近は調子に乗って値上げしてねえか位の勢いを感じますわな・・・・・・


次が設備投資行動です。

『企業の設備投資については、4月の米国の関税政策発表直後は企業の様子見姿勢も一部見られましたが、図表7の通り、9月調査の短観では、前年度に引き続き高い水準の増加が計画されており、多くの企業が、人手不足対応やデジタル関連の投資、GX(グリーン・トランスフォーメーション)関連の投資などを継続するなど、前向きな設備投資スタンスを維持しているものとみられます。』

今月頭の短観みたら10月利上げ待ったなしみたいな結果でしたもんね、最近のごたごたですっかり忘れてしまいますが笑。


でもって賃金設定行動。

『更に、賃金設定行動についても同様に、積極姿勢が維持されていると判断されます。先日開催された支店長会議で聞かれた各地域の報告や、日本銀行の本支店が行った企業ヒアリングの内容をみても、図表8に示されるように企業の人手不足感が強い下で、継続的に賃上げを行っていくとの声が多数聞かれています。』



・理由その2:食料品価格上昇はワンオフではないんじゃネーノって話

『第二に、図表9に示した通り、食料品の価格上昇が2022年以降、持続的に続いていることです。』

はい。

『生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇が続き、それが食料加工品や外食の価格上昇に繋がっています。生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇自体は供給要因として一時的なものかもしれませんが、@肥料や光熱費、運送費などの各種コストの上昇、A生産から流通の各段階の人件費上昇、B人手不足等による供給力の低下、C気候変動に伴う天候不順などが影響していることを考えると、値上がり品目が交替しつつも、全体として高めの価格上昇が続く可能性があります。』

価格上昇の背景にただのワンオフではない恒常的な投入コストの上昇があるでしょ、って指摘ですな。

『また、生鮮食品や米・卵などの食品の価格の上昇が一時的であったとしても、食料加工品や外食の価格への波及は一度に起こるわけではなく、段階的に行われることから、一定の持続性を持つことが多いと考えられます。』

持続性への指摘ですわな。

『更に、図表10に示した通り、主要食品メーカーによる食料品値上げ理由の推移をみると、人件費を値上げ理由として挙げる割合が高まり、構造的な物価押し上げ要因となってきていることを示しています。』

賃金と物価の循環キタコレ。

『このように考えると、食料品価格は今後も持続的に上昇する可能性が十分にあります。』

現にまだあがっていますし少なくとも水準が下がるとかそういう夢のようなことは考えにくいですもんねえ。

『食料品の価格上昇は家計の予想インフレ率に大きな影響を与え、更なる物価押し上げ要因となり得ます。』

抜刀の手は緩めません^^;


『したがって、単なる一時的要因と捉えるべきではなく、十分に目配りしていく必要があると考えています。』

ですよねーーーーー。


・理由その3:サービス価格の内容についてですが、サービス価格の説明の中でしれっとCPI指数の下方バイアスにも言及

『第三に、サービス価格のうち、人件費の影響が及びやすい品目をみると、2%を上回る高い伸びを続けていることです。』

ということで・・・・・・

『図表11に示した通り、サービス全体の表面的な価格動向は、前年比で2%をやや下回る推移となっていますが、これは、構造的に一般物価の動きから大幅なラグを有するとみられる家賃1、2や公共サービス3が含まれるためです。』

この中で脚注2に注目なのですが、

『2 わが国の消費者物価指数の家賃の上昇率が低い背景として、家賃の引上げにかかる制度的なハードルが高いこと、継続家賃を含めた調査であるため居住者入れ替え時に行われた新規家賃の上昇の影響は一部に限られることなどが指摘されています。また、賃貸住宅の経年による品質劣化の調整を行っていないことも下方バイアスを生じさせています。こうした影響は、民営家賃の価格だけでなく、ウエイトの大きい持家の帰属家賃の価格にも反映されることにも留意しておく必要があります。なお、サービス物価に占める民営家賃と持家の帰属家賃のウエイトは 36%となっています。』

という解説があります。

『これらを除いたサービス価格、私はこれを「市場ベースのサービス価格」と呼んでいますが、その動向をみると、2%を超える伸びを続けており、賃金と物価が相互に参照しながら上昇していくメカニズムが働いていることを示すものと捉えることができます。』

はい。

『更に、最近では、家賃や公共サービスも、徐々にその伸び率を高めてきており、特に公共サービスについては、政府が、本年6月に、医療・介護・障害福祉等の公定価格の引き上げ方針を掲げるなど、今後、その伸び率を一段と高めていく可能性があります。』

国鉄じゃなかったJR東も運賃改定するんでしたっけ来年。


・理由その4:インフレ期待に関して大本営の推計に対して抜刀しております

『第四に、図表12に示した予想物価上昇率の動きです。』

はい。

『私は、先行きの物価動向を考えるうえでは、実際の経済活動の主体である企業や家計の予想物価上昇率を重視すべきだと考えています。』

さいですな。

『短観における企業の物価全般の見通しをみると、引き続き緩やかな上昇を続けており、5年後の予想は2%を超える姿が続いています。また、家計については、日本銀行が実施した「生活意識に関するアンケート調査」の結果を見ると、バイアスがあるため水準自体は割り引いてみる必要があるものの、5年後の予想物価上昇率の中央値および平均値のいずれも、2%を大きく上回る状況が続いています4。』

この脚注4も重要でして、

『4 家計の予想物価上昇率にかかるバイアスを調整するため、「少し上がる」、「かなり上がる」などの選択肢で先行きの物価感を回答するアンケート(質的質問)で得られた結果から予想物価上昇率を統計的に推計すると、足もとは1%台半ばの水準と、2022 年以前の水準からわずかな上昇に留まっています。量的質問の中央値、平均値とも、2022 年以前の水準から大幅に切り上がっていることと比べれば、私としては、質的質問から導いた推計値は過小評価されているのではないかと感じています。』

『例えば、過去、「かなり上がる」と回答していたような人々の予想が更に上振れたとしても、同じ選択肢を選ばざるを得ない(「かなり上がる」より上の選択肢がない)、といった制約からくる下方バイアスなどがあると考えられます。』

日銀の出している「合成予想物価上昇率」のコンポーネントの家計部分なんですが、これアンケートの数字を使って合成しているのではなくて、上記のように「定性的な回答」を集計して実際の物価上昇率に後付けでフィットするような感じで加工しているので、計測期間が前に戻れば戻るほどゼロインフレ時代のファクターが強くなってくる、すなわちインフレ期待がノンリニアにジャンプすることをまるで捉えられない、という問題点がありますし、まあ大本営のことですからその辺分かってわざと使ってるだろという疑惑は否めません、というのを的確に指摘しておられます、すんばらしい。


『予想物価上昇率が2%程度で安定している欧米と異なり、低い水準から上昇してきたわが国において、これが更に上振れしていってしまわないか、注意が必要だと考えていましたが、10月に発表された企業・家計の予想物価上昇率は更に高まっている状況です。』

という大変に明快な説明ですわな。

『以上のような点から、私としては、先行きの国内の物価情勢について、7月の展望レポートで示した見通しと比べ、上振れて推移するリスクが大きいと予想しています。』

ということで以下『3.金融政策運営』の話になるのですが、アタクシの時間の関係で今朝はここで勘弁して頂きまして続きは後日ということでお願いします。





2025/10/16

お題「ベッセント発言メモ/パウちゃんの「バランスシート政策」はQE2じゃなくてQE1のイメージなんですね」

これはひどい・・・・・
https://www.47news.jp/13295910.html
【速報】自民がNHK党の斉藤氏と近く参院会派
2025年10月15日 14時24分共同通信

などと言ってたら
https://www.asahi.com/articles/ASTBH3F1FTBHUTFK00TM.html
自民と維新、連立見据え政策協議 高市氏が首相に選出される公算大
有料記事
2025年10月15日 19時27分(2025年10月15日 21時13分更新)

ほほうそうなりましたか、ところで関西の自民党の皆さん息してます??って感じなんですが大丈夫なんかいなというのと、選挙区調整は(関西の自民を壊滅させれば)可能としても関西以外で票持ってるんでしたっけ問題はある気がしますな。知らんけど。


〇適正な金融政策とは???(ベッセント発言メモ)

ほほう
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/4CHTBU7ATRJJLJCLSJLPRUTVRI-2025-10-15/
日銀が適切な政策進めれば、円はふさわしい水準に=米財務長官
ロイター編集
2025年10月16日午前 2:28 GMT+9

『[ワシントン 15日 ロイター] - ベセント米財務長官は15日、日銀が「適切な金融政策」を進めれば、円は自らのふさわしい水準を見いだすという認識を示した。最近の対ドルでの円の水準が妥当かどうかという記者団からの質問に応じた。』(上記URL先より)

そもそも何でドル円質問されてるんだという気はしますが、円安はアカンというお話をしらっと入れてきている訳でして、まあ新政権も決まらん(たぶん高市さんで良いんでしょうけど)中で10月会合でいきなり利上げするような蛮勇が日銀にある訳が無いのでベッセントさんそう言われましてもって話ではないかと存じますけど。

まあそれよりも
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-15/T46ID5GOT0JO00
ベッセント米財務長官、次期FRB議長候補を12月にトランプ氏に提示へ
Daniel Flatley
2025年10月16日 0:55 JST

→トランプ氏に候補者3−4人を提示、同氏が面談へ−CNBCインタビュー
→候補者はこれまでに自身が面談した11人から5人に絞り込まれた

『同氏は15日、米経済専門局CNBCとのインタビューで「感謝祭の後、12月のどこかの時点で、トランプ氏に3−4人の候補者を提示することになるだろう。大統領が同候補者と面談する」と述べた。』

『ベッセント氏によれば、候補者はこれまでに自身が面談した11人から5人に絞り込まれた。CNBCはこれより先、この5人にはボウマンFRB副議長(銀行監督担当)とウォラーFRB理事、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長、ケビン・ウォーシュ元FRB理事、ブラックロックのグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)リック・リーダー氏が含まれると報じていた。』

CNBCの並べたリストが正しいのかは謎ですけど(ニュースは10日に出てたみたいですね汗)、我らが変態仮面ブラード先生は選漏れですかそうですか、とは思うのですが、そりゃまあ物価重視派を選んでしまうと少なくとも今の時点では利下げを渋るじゃろうなあと思われますので、利下げ上等スタンスからしたらちょっと違うだとって拙駄文で申し上げた感じになってまいりましたな。

でまあそんな流れもあるから先般のパウちゃんの講演では物価安定を声高に言わなくなってしまったのかと思うとちょっと悲しいというか、どうせ首飛ばされるんだったら好き勝手言えばエエヤンとか思ってしまうアタクシのような人間は基本的に偉い人にはなれませんというのは洋の東西を問わずの常識でもあるんだろうなあとか思ったりしました。



〇パウエル議長講演:バランスシートの部分に関する説明を拝読

そもそもあの講演、題名がバランスシート政策の方なのでさすがにそっちを読まないのはどうなのか、ということで昨日の続きでござる。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20251014a.htm
October 14, 2025

Understanding the Fed’s Balance Sheet
Chair Jerome H. Powell
At the 67th Annual Meeting of the National Association for Business Economics, Philadelphia, Pennsylvania

『Today, I will discuss the essential role our balance sheet played during the pandemic, along with some lessons learned. I will then review our ample reserves implementation framework and the progress we have made toward normalizing the size of our balance sheet. I will conclude with some brief remarks on the economic outlook.』

ということで昨日は最後のエコノミックアウトルックをネタにしましたが本題の方を確認する企画です。最初の小見出しは『Background on the Fed's Balance Sheet』ですな。


・最初の解説コーナーはただの解説ですがジンバブエ理論は当然否定されますなwww

最初の方は解説コーナーですが

『One of the primary purposes of a central bank is to provide the monetary foundation for the financial system and the broader economy. This foundation is made of central bank liabilities. On the Fed's balance sheet, the liability side of the ledger totaled $6.5 trillion as of October 8, and three categories account for roughly 95 percent of that total.2 First, Federal Reserve notes-that is, physical currency-totaled $2.4 trillion. Second, reserves-funds held by depository institutions at the Federal Reserve Banks-totaled $3.0 trillion. These deposits allow commercial banks to make and receive payments and meet regulatory requirements. Reserves are the safest and most liquid asset in the financial system, and only the Fed can create them. The adequate provision of reserves is essential to the safety and soundness of our banking system, the resilience and efficiency of our payments system, and ultimately the stability of our economy.』

この辺はFEDのバランスシート構成の話をしていて、6.5兆ドルがバランスシートの総量で、うち銀行券が2.4兆、中銀当座預金が3.0兆となっていまして、

『Third is the Treasury General Account (TGA), currently at about $800 billion, which essentially is the checking account for the federal government. When the Treasury makes or receives payments, those flows affect dollar-for-dollar the supply of reserves or other liabilities in the system.3』

政府預金が0.8兆ドルありまっせと(何でここでパラが分けられているのかが謎だが)。

『The asset side of our ledger consists almost entirely of securities, including $4.2 trillion of U.S. Treasury securities and $2.1 trillion of government-guaranteed agency mortgage-backed securities (MBS).4 When we add reserves to the system, we generally do so by purchasing Treasury securities in the open market and crediting the reserve accounts of the banks involved in the transaction with the seller. This process effectively transforms securities held by the public into reserves but does not change the total amount of government liabilities held by the public.5』

資産サイドでは4.2兆が米国国債で2.1兆がMBSですよ、というまあこの小見出し部分はただの解説コーナーなのですが、この最後の部分で、

『This process effectively transforms securities held by the public into reserves but does not change the total amount of government liabilities held by the public.』

って言ってまして、「中銀が国債を買った場合は国債(という負債)が中銀預金(とう負債)に変換されるだけの話なので、政府セクターとしてみた場合の借金の総額は変わらないですよ」という当然の説明をしておるのですが、さすがに最近そこまでストレートに言う馬鹿はいなくなったと思いたいのですが、なんせ日本の場合は大学教授とかいう肩書の人間が「国債を中央銀行が買うと政府の債務負担がその分減る」というようなジンバブエ理論を唱えるわ、挙句の果てには中央銀行の政策委員に就任するわ、というような狂気の沙汰としか言いようが無い事案が発生したりもしていましたので、ちゃんとこういう事を五寸釘で差しておかないといかんぜよ、という事なのかもしれませんな、ナムナム。


・バランスシート政策の有用性を説明しているのだがこの説明だと名目下限金利問題ってそうなのか??と思ってしまいます

次のコーナーは『The Balance Sheet Is an Important Tool』という小見出しです。

バランスシート政策は「特に政策金利が下限制約に達している場合にはクリティカルに重要なツール」と初手で定義しています。

『The Fed's balance sheet serves as a critical policy tool, especially when the policy rate is constrained by the effective lower bound (ELB). When COVID-19 struck in March 2020, the economy came to a near standstill and financial markets seized up, threatening to transform a public health crisis into a severe, prolonged economic downturn.』

でまあそういう話を最初のパラグラフでしているのですが、ここでおもろいのはGFC(リーマンショック)の話を全然しないでコロナ対応のバランスシート政策、という話をしていることでして、バーナンキ時代の話を全然していないことだとアタクシは思いました。

というのはですね、バーナンキ時代のQEってQE1とかQE2とか言われていましたが、QE1ってのはリーマンショックの時の市場混乱に対応した「最後のカウンターパーティー」機能で、バランスシートを使うといってもマネタリーベースがどうしたこうしたみたいな政策ではない一種のプルーデンス対応措置だったのに対して、QE2ってのはその手の危機対応ではなくて、政策金利が名目下限制約にあった中で、フォワードガイダンスや資産買入による追加的な金融緩和効果を出そうとした施策な訳で、これを分けて考えないと話がおかしくなるのよね。

でもってパウちゃんの説明、次のパラを読んでみますと、

『In response, we established a number of emergency liquidity facilities. Those programs, supported by Congress and the Administration, provided critical support to markets and were remarkably effective in restoring confidence and stability. At their peak in July 2020, loans from these facilities totaled just over $200 billion. Most of these loans were quickly unwound as conditions stabilized.6』

コロナショックで色々な緊急お助けファシリティを導入したのはご案内の通りですが、これは「効果はありました」って話をしているのですが、ただこれって「量的緩和」ではなくて「信用緩和」だし、この手のファシリティ出たときにもネタにしたと思うのですが、バジョット・ルールほどではないものの、あくまでも市場における流動性提供を企図としているものであって、量的緩和な政策とは違う内容なんですよね、まあFED自体はそこを曖昧にして量的緩和っぽい話(ファシリティの規模は大宣伝してた)をして量的緩和っぽい緩和効果を狙っていたんじゃないかとう節はあるんですが。

『At the same time, the market for U.S. Treasury securities-normally the deepest, most liquid market in the world and the bedrock of the global financial system-was under extraordinary pressure and on the verge of collapse. We used large-scale purchases of securities to restore functionality to the Treasury market. Faced with unprecedented market dysfunction, the Fed purchased Treasury and agency securities at an extraordinary pace in March and April of 2020. These purchases supported the flow of credit to households and businesses and fostered more accommodative financial conditions to support the recovery of the economy when it ultimately came.7 This source of policy accommodation was important as we had lowered the federal funds rate close to zero and expected it to remain there for some time.』

同時にコロナショックで米国国債市場までディスファンクション状態になっていたので、市場機能の回復のために国債やMBSの購入プログラムを実施し、それによって市場機能の回復が進み、緩和的な金融環境が経済をサポートした、という説明になっています。

パウちゃん、というかFED自体ここはいつまで経っても曖昧にしていて、資産買入などのバランスシート政策は「何らかのショックで市場が機能不全になった時に、その状態を放置していると金融仲介そのものが回らなくなるので中央銀行がカウンターパートとしてしゃしゃり出てくる」という文脈で実施しているのですが、このパラグラフの後段にあるように、「This source of policy accommodation was important as we had lowered the federal funds rate close to zero and expected it to remain there for some time.」と言っていて、いやまあ事実そういう効果はあったと思いますが、じゃあその効果のソースは何だったのか、すなわちマネタリーベースみたいな量の問題なのか、長期国債買入に伴う金利抑制の方なのか(まあその点ゴリゴリ詰めれば金利って言いそうな気はしますが)を曖昧にしているのは相変わらずだなと思いました。

次のパラグラフは資産買入+ガイダンス文言の話。

『By June 2020, we slowed our purchase pace to a still substantial $120 billion per month. In December 2020, as the economic outlook remained highly uncertain, the FOMC said that we expected to maintain that pace of purchases "until substantial further progress has been made toward the Committee's maximum employment and price stability goals."8 That guidance provided assurance that the Fed would not prematurely withdraw support while the economic recovery remained fragile amid unprecedented conditions.』

2020年12月に「we expected to maintain that pace of purchases "until substantial further progress has been made toward the Committee's maximum employment and price stability goals.」という資産買入のガイダンス文言を入れました、からの・・・・・・・・・

『We maintained that pace of asset purchases through October 2021. By then, it had become apparent that elevated inflation was not likely to go away without a strong monetary response. At our meeting in November 2021, we announced a phaseout of asset purchases. At our next meeting in December, we doubled the pace of the taper and said that asset purchases would conclude by mid-March of 2022. Over the entire period of purchases, our securities holdings increased by $4.6 trillion.』

てなわけで2021年10月まで買入を継続しましたが、この時点でインフレに対処するためには強力な措置が必要じゃろという事が明らかになって来たので、11月に資産買入のテーパリングを公表しました。


・批判に対してお答えしつつもちゃんと「もっと早めに停止することは可能だったしそうした方が良かったかも」だそうです

という歴史的な話をしましてからの反省の弁というか何というかが次のパラグラフなのですが、

『A number of observers have raised questions, fairly enough, about the size and composition of asset purchases during the pandemic recovery.9 Throughout 2020 and 2021, the economy continued to face significant challenges as successive waves of COVID caused widespread disruption and loss. During that tumultuous period, we continued purchases in order to avoid a sharp, unwelcome tightening of financial conditions at a time when the economy still appeared to be highly vulnerable. Our thinking was informed by recent episodes in which signals about reducing the balance sheet had triggered significant tightening in financial conditions. We were thinking of events of December 2018, as well as the 2013 "taper tantrum."10』

資産買入に関してはその額が不必要に多かったのではないかと批判を頂くわけですが、という話をしているのですが、2013年のテーパータントラムがトラウマになっていたのを認めているのはエライというか何というかですな。

『Regarding the composition of our purchases, some have questioned the inclusion of agency MBS purchases given the strong housing market during the pandemic recovery.11 Outside of purchases aimed specifically at market functioning, MBS purchases are primarily intended, like our purchases of Treasury securities, to ease broader financial conditions when the policy rate is constrained at the ELB.12 The extent to which these MBS purchases disproportionately affected housing market conditions during this period is challenging to determine. Many factors affect the mortgage market, and many factors beyond the mortgage market affect supply and demand in the broader housing market.13』

MBSに関してもコロナの後の回復の強さを勘案したら買入をそんなに続ける必要があったのか、という疑問を投げかけられるのですが、ということで言い訳をしているのですが、こちらの言い訳の方では「金利」の概念が出てきまして、MBS買入によって住宅ローン金利が下がったのだが、これを止めると住宅ローン金利の上昇から家計の消費に対して悪い影響を与えて、それが広範に拡大するのを懸念してました、という説明をしていますが、この次にちゃんと反省の弁がありまして・・・・・・・

実はここまでパラグラフのぶつ切りをしないで引用してたんですがこのパラはぶつ切りします。

『With the clarity of hindsight, we could have-and perhaps should have-stopped asset purchases sooner. 』

あらま反省の弁、ということで「明らかになった後付けで考えてみれば、もっと資産買入を早めに停止することは可能だったしおそらく停止すべきだったのではないか」って思いっきり反省の弁を述べているのはどこぞの中央銀行とは大違いな訳で誠に結構としか言いようが無いですな。

とはいってもちゃっかりその後は正当化の説明をしていますがw

『Our real-time decisions were intended to serve as insurance against downside risks. We knew that we could unwind purchases relatively quickly once we ended them, which is exactly what we did. Research and experience tell us that asset purchases affect the economy through expectations regarding the future size and duration of our balance sheet.14 When we announced our taper, market participants began pricing in its effects, pulling forward the tightening in financial conditions.15 Stopping sooner could have made some difference, but not likely enough to fundamentally alter the trajectory of the economy. 』

資産買入を止めることによって下振れが発生するリスクを重視して、「保険」として買入を継続したということなのでソコントコヨロシク!という説明をしておりますわな。

ただその最後に 「Stopping sooner could have made some difference, but not likely enough to fundamentally alter the trajectory of the economy.」って言ってるのが最初の「後付けですが」に繋がる話でして、「もっと早くに資産買入を停止していたら、その時に下振れの影響は起きたでしょうけれども、経済の基本的な流れを壊すようなもんではなかったでしょう」と事後反省の弁だか反省の弁じゃないのか分からんですが、そういう説明をしておられますな。

でもって、

『Nonetheless, our experience since 2020 does suggest that we can be more nimble in our use of the balance sheet, and more confident that our communications will foster appropriate expectations among market participants given their growing experience with these tools.』

さはさりながら、2020年(パンデミック)以降の経験は、バランスシートの活用について我々はより機動的(久々にみたnimbleの文字列)に対応できると思うし、バランスシートツールを活用した経験からそのコミュニケーションも円滑に進むでしょう、ということでバランスシート政策の有用性を強調しています。


でもってこのコーナー最後の部分ですがこいつもぶつ切りしますね。

『Some have also argued that we could have better explained the purpose of asset purchases in real time.16 』

説明、という話の流れでこういう話に繋がっているんでしょうけれども、当時もっとこの資産買入の目的についてちゃんと説明できなかったんですかねという批判に対して、という論点。

『There is always room for improved communication. But I believe our statements were reasonably clear about our objectives, which were to support and then sustain smooth market functioning and to help foster accommodative financial conditions.』

改善の余地というのは常にあるが我々は都度適切な説明をしていたと思います、というお気持ち表明でしたw

『Over time, the relative importance of those objectives evolved with economic conditions. But the objectives were never in conflict, so at the time this issue appeared to be a distinction without much of a difference. That is not always the case, of course. For example, the March 2023 banking stress led to a sizable increase in our balance sheet through lending operations. We clearly differentiated these financial stability operations from our monetary policy stance. Indeed, we continued to raise the policy rate through that time.』

経済の状況と共に政策ツールの効果における重要度は異なってくる(ので説明の改善の余地があったのではというツッコミが来る)、という話をしていますが、この辺りの説明は何かそれ言ってるけどみんなただのお気持ち表明っぽくてちょっとどうなのかねとは思ってしまいました。


・しまった時間が無い

でもって最後の小見出しが『Our Ample Reserves Framework Works Well』なのですが、時間が無くなったので明日に続きますすいませんすいません。

なんか無理くりまとめてみますと、結局のところバランスシート政策と言ってもパウちゃんの場合は(実際にどうなのかはさておき形式上は)QE2よりもQE1、すなわち市場の機能不全対応の意味でぶっこんだものの、引くタイミングをビビリンチョして遅くなりました、って言ってますので、マネタリーベースがどうのこうのとか国債長期金利の低下がどうのこうのというような日銀的な理屈とはだいぶ一線を画しているな、と思いました。









2025/10/15

お題「トラ公関税ムーブ相場だと思うのですが/日銀ETF等売却始動へ/FEDWIRE等の稼働時間拡大へ/パウちゃん講演」

どうしてこの方は言葉のチョイスのセンスがアレなのかと
https://www.asahi.com/articles/ASTBG0J7XTBGUTFK00FM.html
高市早苗総裁「連立離脱は私の責任」 自民の両院議員懇談会で謝罪
有料記事
2025年10月14日 15時14分(2025年10月14日 20時30分更新)

『自民党の両院議員懇談会の終了後、高市早苗総裁は都内の講演で「自民党総裁にはなったけど、総理にはなれないかもしれない。そう言われているかわいそうな高市早苗」と述べ、少数与党で首相指名選挙に臨む自身の状況を表した。』(上記URL先より)

連立離脱は私の責任、って思ってたら「かわいそうな」って形容詞がどう見ても余計で、お前実は反省してねえだろ「一方的に公明党のせいで私は何も悪くない」だと思ってるだろってなもんな訳ですがどうして二言目にはこう言ってしまうのかと・・・・・・・orz

まあ野党連合は無理がありありだから高市首班になるんでしょうけれども、来週火曜までこの調子なのかと思うと頭がクラクラシマスナ。

#ゆうて今の局面野党連合がやってまともに機能するとも思えないので野党連合に一旦渡しておいて空中分解するのを見届けてから颯爽と登場するのは無くは無い気もしますが・・・・


〇高市トレードの巻き戻し・・・・ではなくてトラ公の関税ムーブでしょこれは(市場備忘メモ)

円債の人たちにしてみたら「高市トレードの巻き戻し」と言われるのはだいぶ違和感があると思うのですが(ですよね?)、円債以外の世の中的には直近のムーブが「高市トレードの巻き戻し」とかいう安直まとめになりそうなので忘れないようにメモという事で。

https://jp.reuters.com/markets/japan/36SNO2ZBGJMS3NBMB2FF3XWZIE-2025-10-14/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利1.66% 米中摩擦と国内政局でスティープ化
ロイター編集
2025年10月14日午後 3:19 GMT+9

『[東京 14日 ロイター] - <15:10> 国債先物は続伸、長期金利1.66% 米中摩擦と国内政局でスティープ化

国債先物中心限月12月限は、前営業日比43銭高の136円33銭と大幅続伸して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.0ベーシスポイント(bp)低下の1.660%。米中貿易摩擦や国内政局の混迷を受けてイールドカーブはスティープ化した。きょうの国債先物は、米中貿易摩擦 もっと見る を背景としたリスクオフにより前週末の米国市場で国債が買われた(金利は低下)流れ もっと見る が波及し、買い先行でスタート。さらに東京市場でも日経平均株価(.N225),が一時1500円超下落したことから、投資家の安全資産需要による債券買いの動きに弾みがついた。』(上記URL先より、以下同様)

昨日は先物がだいたい日経平均の値動きに逆相関しながら動いていた感じで、日経ちゃんって前場はそこそこ持ちこたえていたのですが、後場になると総崩れみたいな感じで下がっておられた次第で、それを見て先物ちゃんソイヤソイヤと上昇。

・・・・・なのはまあ良いんですけど、中短期そこまで買われるの何ですねんというと、まあ普通にトランプがまた関税砲を振り回して大陸中国に喧嘩をおっぱじめて他の国とは違うので中国が引かないもんで、そっちで景気懸念なので利上げが遅れる、という話ならまあ話としては繋がっているので、つまりは高市トレードの巻き戻しでも何でもない訳ですな。ただの米中対立懸念のリスクオフじゃろ。知らんけど。

『現物市場では10年物以外の新発国債利回りはまちまちで、イールドカーブはスティープ化した。2年債は前営業日比3.0bp低下の0.890%、5年債は同4.0bp低下の1.185%。20年債は同0.5bp上昇の2.710%、30年債は同4.0bp上昇の3.225%、40年債も同4.0bp上昇の3.495%。』

ということで何かエライ勢いでツイストスティープしていますが、これは先日弊駄文でも申し上げたような気がしないでもないですが事後諸葛亮で申し上げれば、どうせ誰が政権取ったって政権の目玉政策は「物価高対策と称した盛大なバラマキ炸裂」だしそれくらいしか簡単に国会通せそうなネタは無いんだし、でまあそれによって起きるのはさらなる物価高なんだがアホの集団がそんなものを気が付くわけも無いのでぶっこんで来るのは言うまでもなし、と考えたらそりゃまあカーブスティープするわなと。(こんな極端ムーブしていいのかどうかはさておき)

まあそんな訳なので表にしますと、

『TRADEWEB
     OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.884  0.895   -0.029 15:04
5年   1.181   1.19   -0.033 15:09
10年  1.655   1.66   -0.029 15:02
20年  2.708  2.716    0.001 15:06
30年  3.204  3.222    0.03  15:09
40年  3.482  3.497   0.025  15:06』

ってことで(なんか記事の数字とこちらの前日比があってませんがBBさんの引けから考えたら記事の数字の方があってるような気がするんだが特に超長期)エライコッチャではあったのですが、超長期がゲロゲロマーライオンになっていたのを見ますと、高市トレードの巻き戻しチャウやろと思うのですが、ゆうて本日は20年国債入札があるので、入札前のカーブ調整かもしれません(にしてはちょっと派手だが先週の月曜も30年入札前に高市トレードやってた訳ですしおすし)。


でもって地味に短国ちゃんですが売参を見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/14引値)
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.450
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.450
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.450
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.450
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.440
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.440
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.440←3Mカレント
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.445←今週の新発WI

(10/10引値)
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.460
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.460
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.450
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.480
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.450
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.450
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.450
国庫短期証券1339 2026/01/26 平均値単利 0.455

・・・・・ということで12月償還が0.45%、1月償還が0.44%の水準に低下してきていまして、10月利上げはなんぼのもんじゃいなのは今に始まった話ではないのですが、12月利上げにもあんまり敬意を表しているんだか表してないんだか(1月利上げならカレントのところまでは影響無し)という数字になっておりますが、まあこの辺も本当に利上げ期待が後退しているのかはよく分からんところではあります(少なくとも1月までには実施、ってのはまだコンセンサスだと思っているのですが違うのかなあ)。

という俺様備忘メモ恐縮至極。


〇ETF等の売却に関する準備が始まっておりますな

https://www.boj.or.jp/mopo/measures/trustee_select/tru251014a.htm
指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領に定める信託の受託者選定にかかる一般競争入札についての公募
2025年10月14日
日本銀行金融市場局

ということで本文ってのを見ますと。

https://www.boj.or.jp/mopo/measures/trustee_select/data/tru251014a1.pdf
指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領に定める信託の受託者選定にかかる一般競争入札についての公募
2025 年 10 月 14 日
日本銀行
金融市場局

ということで、

『「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」(2013年4月4日政策委員会決定)および「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領に定める信託の受託者の選定に関する細目」(2017年1月31日決定)に基づく信託の受託者選定にかかる一般競争入札への参加者を、下記の要領により公募します。』

ってことですが、

『1.信託契約

(1)信託の種類
日本銀行を委託者兼受益者とする指定包括信託
業務内容の詳細は、入札説明書(5.(1)により交付するもの。以下同じ。)に記載する。

(2)信託財産(当初信託元本)

イ、 受託者として現行の受託者以外の信託銀行が選定された場合

若干の金銭(注)

(注)日本銀行が現行の受託者のもとで信託財産として保有する指数連動型上場投資信託受益権、不動産投資法人投資口および金銭については、新たに選定された受託者との契約開始後に追加信託を行う。

ロ、 受託者として現行の受託者が選定された場合

契約開始日の前日に日本銀行が信託財産として保有する指数連動型上場投資信託受益権、不動産投資法人投資口および金銭』

『(3)契約開始日

日本銀行および受託者の準備が整った日』

『(4)契約終了日

2027年3月31日。ただし、1回を上限に、契約終了日の翌日からさらに1年間、契約期間の延長ができるものとする。

また、契約期間の満了または信託の終了に伴い、新たな受託者を選定する場合には、新たな受託者が従前の受託者から円滑な信託財産の引継ぎ等を受けるために日本銀行が必要と認める期間を契約期間に加算するものとする。』

以下延々と参加者となる資格要件の説明があるのですが、これによって従来の状態とどの辺がどのように変わるのか(日銀が支払う報酬がどう変化するのか)というのには興味があるのですが、この辺の話はアタクシ詳しくないにも程がある状態なので詳しそうな人に教えてもらわんと何ともかんともなので識者の方教えてくださいお願いしますってところではあります(チラッ)。

一次審査・二次審査があって、その後入札に入るようなのですが、

『(4)入札・開札

イ.日時・場所
・入札

日時:2025 年 11 月 25 日
14 時 00 分(提出受付開始)〜14 時 30 分(提出受付締切)
場所:東京都中央区日本橋本石町2-1-1
日本銀行本店

・開札

日時:2025 年 11 月 25 日 14 時 30 分
場所:東京都中央区日本橋本石町2-1-1
日本銀行本店』

ということですので、イメージ的には来年の頭からは売却がひっそりと開始されるとかそんな感じになるんですかねえ(準備期間次第なのでよくわからんけど)、という所ではありますな、うんうん。



〇FEDWIREなどの日曜祝日稼働(ただし土曜はお休み)に向けたアナウンスがでていますな

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/other20251009a.htm
Press Release
October 09, 2025

Federal Reserve Board announces expanded operating days of two large-value payments services,
Fedwire Funds Service and the National Settlement Service (NSS), to include Sundays and weekday holidays
For release at 4:30 p.m. EDT

『The Federal Reserve Board on Thursday announced expanded operating days of two large-value payments services, FedwireR Funds Service and the National Settlement Service (NSS), to include Sundays and weekday holidays. The Reserve Banks will implement this expansion in several years, no earlier than 2028 to ensure operational and industry readiness.』

遅くとも2028年までには実施する目論見のようですな。

『Currently, both the Fedwire Funds Service and NSS operate Monday through Friday, excluding holidays. Once the expansion announced today is implemented, the Reserve Banks will operate both services Sunday through Friday, including weekday holidays. The operating hours each day will remain the same, with the Fedwire Funds Service open 22 hours per day, and NSS open 21.5 hours per day.』

現行は月曜から金曜ただし祝日を除く、の稼働(夜中は2時間ほどお休み)なのですが、これを日曜から金曜、
平日の祝日も含む稼働にしますよというお話。


詳しくは
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/files/other20251009a1.pdf
FEDERAL RESERVE SYSTEM
Docket No. OP 1870
Federal Reserve Action to Expand Fedwire Funds Service and National Settlement Service Operating Hours
AGENCY: Board of Governors of the Federal Reserve System
ACTION: Service Announcement.

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/files/other20251009a2.pdf
BOARD OF GOVERNORS OF THE FEDERAL RESERVE SYSTEM
Date: August 21, 2025
To: Board of Governors
From: Staff
Subject: Expansion of Fedwire Funds Service and National Settlement Service (NSS) Operating Hours

ってのがあるのですが、後者は8枚組なのですが前者は45枚組なので読もうとしましたが思いっきりめげてしまいました汗。

まあ要するに米国の国債決済が日曜にもできまっせとかいう話で、未決済残高の削減とか、利便性の向上とかそういう点では進歩が相変わらず進んでいるのですが、ゆうて証券決済に24/365って必要なのか(って今回のも別に年中無休になる話ではないけど)ってのもなんだか微妙な気もせんでもないのですが・・・・・・


〇パウちゃん講演の経済認識と金融政策の部分は

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20251014a.htm
October 14, 2025

Understanding the Fed’s Balance Sheet
Chair Jerome H. Powell
At the 67th Annual Meeting of the National Association for Business Economics, Philadelphia, Pennsylvania

ということでお題はバランスシートの話なのでそっちを見ろという話なのですが、まあ目先の現世利益的には経済の見通しの所を最初に見ますわなという所で今朝はそこの所で一旦勘弁してもろて頂いてバランスシートの話は明日に続くの巻にしますサーセン。

んな訳で『Current Economic Conditions and Monetary Policy Outlook』から先の部分を参ります。

『I will close with a brief discussion of the economy and the outlook for monetary policy.』

現世利益コーナーキタコレ。

・ガバメントシャットダウンによってデータがアベイラブルじゃない件についての説明を見てどっかの中銀総裁を思い出すなど

『Although some important government data have been delayed due to the shutdown, we routinely review a wide variety of public- and private-sector data that have remained available. We also maintain a nationwide network of contacts through the Reserve Banks who provide valuable insights, which will be summarized in tomorrow's Beige Book.』

政府閉鎖の影響で一部の重要な経済データがアベイラブルじゃない状態、ではありますが当然ながらFRB議長が「幅広い政府・民間のデータはアベイラブルであり、各地区連銀のネットワークを通じた経済調査も機能しているので、ご案内の通り先般のベージュブックにも反映しています」って言うのは当然オブ当然ではあります。

さて、ここでパウちゃんとは一切関係ない悪態となりますが、どこぞの中央銀行総裁が米国のガバメントシャットダウンで経済データの公表が遅れる点についてどのように発言していたのかを改めて確認しましょう。

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251006a.pdf
総裁記者会見
――2025年10月3日(金)午後2時から約30分
於 大阪市

『(答)特に米国経済のデータが公表される時期が遅れてしまうということについては、なかなか深刻な問題だなというふうに思っています。(以下割愛)』(この部分だけ直上URL先10/6植田総裁大阪講演での記者会見(4p)より)

・・・・・・orzorz

FRB議長が上記のように言っている(まあ普通こう言う罠)訳ですが、一方で植田さん何でデータが出ないことだけで「なかなか深刻な問題だな」になるんだよというお話でして、まあお前さんどんだけチキンなんですかコケコッコーって事ではあるんですが、こういう片言隻句に「追加利上げコワイヨー」って本音が駄々洩れになるの勘弁して欲しい所ではありますなとは思いました、全然パウちゃんと関係なくて誠に申し訳ございません。

話を戻しますね。


・9月末までのデータを見ると見通しよりも若干ながら強い推移とか仰せですが・・・・

『Based on the data that we do have, it is fair to say that the outlook for employment and inflation does not appear to have changed much since our September meeting four weeks ago. Data available prior to the shutdown, however, show that growth in economic activity may be on a somewhat firmer trajectory than expected.』

9月FOMC以降の推移を見ると雇用および物価の見通しに変化は無くて、シャットダウンの前のデータを見ますと経済活動は多分想定よりも若干だけど強い(may be on a somewhat firmer trajectory than expected.)と威勢の良い説明をしててこれはトラ公も憤怒という所ですなwww


・雇用に関しては「下振れリスクが上がってきている」を入れてるんだが微妙な玉虫色感も拭えない

『While the unemployment rate remained low through August, payroll gains have slowed sharply, likely in part due to a decline in labor force growth due to lower immigration and labor force participation. In this less dynamic and somewhat softer labor market, the downside risks to employment appear to have risen. While official employment data for September are delayed, available evidence suggests that both layoffs and hiring remain low, and that both households' perceptions of job availability and firms' perceptions of hiring difficulty continue their downward trajectories.23』

全体観の次が雇用の話ですが、「the downside risks to employment appear to have risen.」と言っているので、別に利下げせんと言ってるわけでもないけど、このダウンサイドリスクが上がっている、に関してはこの後の部分で「というのを受けて9月に利下げしました」って文章が出てくるので、このパラグラフの締めは「水準としては強いって認識」をしているので微妙に玉虫色。


・物価は若干強いけどブロードベースのインフレ圧力ではないという認識であまり上振れリスクの話をしていないですな

『Meanwhile, 12-month core PCE inflation was 2.9 percent in August, up slightly from earlier this year, as rising core goods inflation has outpaced continued disinflation in housing services. Available data and surveys continue to show that goods price increases primarily reflect tariffs rather than broader inflationary pressures. Consistent with these effects, near-term inflation expectations have generally increased this year, while most longer-term expectation measures remain aligned with our 2 percent goal.』

財のインフレが関税のせいで最近やや上振れとなっているけれども、これ自体はあくまでも関税の直接的な影響の反映にとどまり、(二次的波及を伴った)ブロードベースのインフレではないし、中長期のインフレ期待も引き続き安定している、という説明になっていまして、こちらでは特段上振れリスクの強調をしていないので、さっきの雇用の下振れリスクの表現をどう見るか次第なのですが、すくなくとも利下げ断固拒否って話では無さそうには見えますけどさてどうなんだか。


・最近パウちゃんの好きな「There is no risk-free path for policy」という名言キタコレです

『Rising downside risks to employment have shifted our assessment of the balance of risks. As a result, we judged it appropriate to take another step toward a more neutral policy stance at our September meeting.』

ここの部分ですが、さっきの雇用に関する説明部分との係り受け関係が微妙な玉虫色な気がしました。つまり雇用のリスクが高まっている云々は将来の利下げを示唆しているのか、それとも9月利下げ決定しましたよのマクラなのか、というのが中々わかりにくい(わざとやってるんだと思いますが)。

『There is no risk-free path for policy as we navigate the tension between our employment and inflation goals.』

お、また来ましたねこの名言。

『This challenge was evident in the dispersion of Committee participants' projections at the September meeting. I will stress again that these projections should be understood as representing a range of potential outcomes whose probabilities evolve as new information informs our meeting-by-meeting approach to policymaking. We will set policy based on the evolution of the economic outlook and the balance of risks, rather than following a predetermined path.

Thank you again for this award and for inviting me to join you today. I look forward to our conversation.』

ということで、先行きに関しては何ら決め打ちはできないし、物価の上振れと雇用の下振れの両方に対応するのはそもそもがムツカシイ匙加減が必要ですわ、という話をしていまして、結局は決め打ちをしていないのですが、一応雇用の方は下振れリスクが高まっていると言いながら物価の上振れリスクに関しての評価は特にない(のだから上振れリスクが高まっているという認識ではない、というメッセージになる)ので、ここから物価指標がクソ強いのが出てくるとか、雇用統計が遅れて出てきたらクソ強かったとか言うのでなければ「リスクバランスが悪化の方に寄っているから政策の中立化を進める」というのは別に普通の話ってことになるんですかしら、とは思いました。微妙にトラップはあるのですが。

バランスシートの部分は明日で勘弁していただきとう存じます(汗)






2025/10/14

お題「公明党連立離脱で高圧経済に拍車掛かりそうな(気のせいかもしれないけど)/3M短国強含み/生活意識アンケート/フィラデルフィア連銀総裁発言」

金曜はまあ高市さんその物言いがアカンのじゃ(明らかにふてくされたし)と思いましたけど
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025101000908&g=flash
速報】自民党の高市総裁は、公明党から「一方的に連立政権の離脱を伝えられた」と記者団に述べた
2025年10月10日16時49分配信

すぐ目の前で高市さんが関係修復不可能になるような物言いをしているのを見ているのに・・・・
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025101200431&g=pol
安住立民幹事長、首相指名「まだ覚悟がない」 玉木氏念頭に発言か
時事通信 政治部2025年10月12日22時41分配信

あのさあ、そういうのはもう喧嘩別れして二度と組む気が無い相手に対するものの言い方なんですけど何で連携しようとしている相手を揶揄するのですかねえ貴方がたは馬鹿の人の集団なのですかと小一時間問い詰めたい。


なお高市先生
https://www.asahi.com/articles/ASTBC2J4RTBCUTFK004M.html
独自
自民が「公明選挙区」に独自候補を擁立検討へ 維新に連携呼びかけも
有料記事
2025年10月11日 17時15分

マジなのか飛ばしなのか分からんので何とも言い難いですけれども(その後の展開によるとマジっぽいけど)連立解消したって言ったって元のさやに納まる可能性だってまだある相手なのに公然と刺客送り込む話を表に出す(検討するにしたって極秘にやっておけよ・・・・)とかダイジョウブデスカソレハ・・・・・


〇てなわけでまさかの公明党連立離脱でさてどうなるのやら

まあこれはご案内の通りですが
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA102WV0Q5A011C2000000/
公明党、自公連立政権を離脱へ 斉藤鉄夫代表「いったん白紙」
公明連立離脱
2025年10月10日 15:42 (2025年10月10日 18:09更新)

「いったん」白紙かと思ったらマクラにも書きましたように、

https://www.asahi.com/articles/ASTBC2J4RTBCUTFK004M.html
独自
自民が「公明選挙区」に独自候補を擁立検討へ 維新に連携呼びかけも
有料記事
2025年10月11日 17時15分

とか中々の展開で、ちょっと高市さん沸点低すぎませんかという感じで大変に面白い(超不謹慎)のでもっとやれという感じですが・・・・・・・


https://www.yomiuri.co.jp/politics/20251011-OYT1T50030/
臨時国会「20日の週」前半に召集の方針…新首相「所信表明」に対する代表質問は11月にずれ込みか
2025/10/11 07:00

『自民党の梶山弘志国会対策委員長は10日、立憲民主党の笠浩史国対委員長と国会内で会談し、20日の週の前半に臨時国会を召集する方針を示した。衆参両院の議院運営委員会理事会を15日にも開き、政府が召集日を伝達する方向だ。新首相の所信表明演説に対する代表質問は11月にずれ込む見通し。』(上記URL先より)

今ならどうせ野党の態勢も整ってないんだからもう初手は少数与党の単独内閣作る覚悟で今週さっさと首班指名選挙やっておいた方がエエンチャウノ(今ならどう見たって決選投票で比較第一党の自民党が勝つの見え見えだから)と思いますけど。ここで野党サイドに三木武吉とか石田博英とか川島正次郎がいたら1週間の間に事態をひっくり返せてしまいかねいからさっさと臨時国会開けば良いと思うんですけどねえ。

#てかこの調子だとトランプの相手はうっかりしたらゲルじゃん笑

・・・・・しかしまあ何ですな、高市大先生のこの無駄な攻撃性の高さと交渉力がゴミっぽい感じからすると、初手では貿易交渉とかそういうものやってるよりは、経済対策ならやりやすい!となって高圧経済で物価高対策、というのが一番やりやすそう(に見えてしまう)ってことで起死回生とばかりに積極財政音頭と円安上等音頭を踊りそうにしか見えなくて、その点でも益々盛り上がってまいりましたとしか言いようが無いこの展開って感じですな、ナムナム。


〇3M短国は0.50%割れとか相変わらずなのよね

短国は当然ながら公明の連立離脱前です。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251010.htm
国庫短期証券(第1337回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1337回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号     国庫短期証券(第1337回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和7年10月14日
4.償還期限    令和8年1月19日
5.価格競争入札について
(1)応募額          11兆600億円
(2)募入決定額      3兆3,270億8,000万円
(3)募入最低価格      99円86銭8厘5毛
(募入最高利回り)     (0.4954%)
(4)募入最低価格における案分比率     79.1393%
(5)募入平均価格      99円86銭9厘9毛
(募入平均利回り)     (0.4901%)』

ということで足切り0.50%に届かんのかよという結果だし、売参見たら引値が

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/10引値)
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.460
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.450
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.480
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.450
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.450
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.450

(10/9引値)
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.460
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.460
国庫短期証券1333 2025/12/22 平均値単利 0.480
国庫短期証券1334 2026/01/07 平均値単利 0.460
国庫短期証券1335 2026/01/13 平均値単利 0.460
国庫短期証券1337 2026/01/19 平均値単利 0.475

ということで何か知らんけど1月償還の3Mカレントまでが軒並み引値0.450%に低下していて、いやうーんなんですかこれはという感じですし、新発が平均より4毛強い引けとかどう見ても入札ショートカバーです本当にありがとうございましたという数字になっているのは草も生えないって結果なのですが、なんせ再来週に臨時国会が先送りになりそうな事態ってのはこの短国ちゃんは織り込んでいないので、織り込むとどういう挙動を示すのかは確認して行きたいものでありますな。今週は1年短国もありますし。



〇生活意識アンケートは割と日銀ニッコリの展開かと思いましたがさて・・・・・・

https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2510.pdf
「生活意識に関するアンケート調査」(第103回<2025年9月調査>)の結果

なんか今回は日銀的には割とニッコリな感じで、景況感とか雇用とか収入とかのDI改善していて、しかも短期のインフレ期待は低下、となっていますので、日銀としては「リスク対応を急がないといけない」というようなことが低下する、という意味でかなり(゚д゚)ウマーな結果に見えました。


・景況感が改善してるよ!!やったね!!!!

『1.要 旨』の最初は『1-1. 景況感等』でまずは『1-1-1. 景況感』です。

『1-1-1. 景況感

景況感のうち、現在(1年前対比)については、「悪くなった」との回答が減少したことから、景況感D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が増加し、「悪くなる」との回答が減少したことから、景況感D.I.は改善した。』

改善キタコレ!!!!!!

でもってその理由の

『1-1-2. 景況判断の根拠

景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」との回答が多かった。』

という回答1位の理由はいつもこれが1位なのでそれ自体は仕様なのですが・・・・・・・


・収入改善が景況感改善の背景にある(と思われる)とかいう日銀大歓喜の展開

『1-2. 暮らし向き、消費意識』に飛びます。

『1-2-1. 現在の暮らし向き

現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が増加し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した。』

マジか暮らし向き改善しているのか(じっと家計簿を見る)!!!!

でまあその背景ですが、

『1-2-2. 収入・支出

収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加し、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「増える」との回答が増加したものの、「減る」との回答も増加したことから、1年後の収入D.I.は小幅に悪化した。』

収入が改善と。

『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が増加し、「減らす」との回答が減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』

あら支出は減っているのね、ってなんか節約しているだけのような気もしますが、でもまあ暮らし向きDI改善している訳ですし、おまけに景況感DIも改善している訳ですし、なんか今回の生活意識アンケート随分と威勢の良い結果だと思うのですよね。

・・・・・・一方で物価高対策云々で参院選で当時の連立与党は負け散らかしている訳でして、いやまあこれ3か月前対比改善だから選挙時期が一番悪かった、という話なのかもしれませんけれども、なんだ生活実感改善してるじゃん、という結果になっているのはちょっとビックリでありました、


ちなみにこの間の「節約」で割を食ったのは、といえば先の方の質問項目になりますが、

『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』

毎度この3項目は上位を占めているのですが、まあそういうことやぞって感じではありますな。南無三。


・雇用環境DIは直近下がってきていてアリャーって感じでしたが今回めでたく反発

『1-2-3. 雇用環境

1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「あまり感じない」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は改善した。
(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』

(図表11)のしたの<雇用環境D.I.の推移>っていう長期時系列を見ますと分かりやすいのですが、足元に向かってここもとちょっと下げ気味だったのが戻ったのは重畳重畳。


・短期のインフレ期待がやや低下して長期のインフレ期待は変わらずとかいうこれまた日銀大歓喜の展開

みんな大好き『1-3. 物価に対する実感』も中々日銀ニッコリの展開でして、

『1-3-1. 現在の物価

現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。

1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+16.9%(前回:+19.5%)、中央値は+10.0%(前回:+15.0%)となった。

(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』

ということで『(図表12)』の、『<1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか 』を見ますと、

       平均値  中央値
25/ 3月  +19.1 %  +15.0 %
25/ 6月  +19.5 %  +15.0 %
25/ 9月  +16.9 %  +10.0 %

ということで短期のインフレ実感が鎮静化してきましたのでこれは「好循環」と強弁するチャンス来々軒にも程がある。

『1-3-2. 1年後の物価

1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台後半となった。

1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+11.9%(前回:+12.8%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』

『(図表13)』の『<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか> 』を見ますと、

      平均値 中央値
25/ 3月 +12.2 % +10.0 %
25/ 6月 +12.8 % +10.0 %
25/ 9月 +11.9 % +10.0 %

ということで平均値が下がったよ!やったね!!!ということで日銀の「いったん物価の上昇率は鈍化しまっせ」の見通しにも整合的な結果が出てきて日銀歓喜。


中長期のインフレ期待については、

『1-3-3. 5年後の物価

5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台半ばとなった。

これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+10.0%(前回:+9.9%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』

ということで、なんか数字が大きい気もしますが、従来よりここの数値ってCPI統計の数値から見たらアホみたいに高い水準が出てくるのが仕様なので、数値の水準自体をあまり気にしても仕方ないのですけれども、

『(図表14)』の『<5年後の物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うか> 』を見ますと、

      平均値 中央値
25/ 3月 + 9.6 % + 5.0 %
25/ 6月 + 9.9 % + 5.0 %
25/ 9月 +10.0 % + 5.0 %

ということで何かじりじり上がっている気もしないでもないですが、日銀のあの謎の長期インフレ期待推計値よりも、この生活意識調査で出てくるこの落ち着いた推移、すなわち多分2%位にアンカーされているっぽいインフレ期待、ってのがそういう事なのじゃないかと思うのですけどね、知らんけど。

ついでに、

『1-3-5. 5年後の物価が上昇すると考える理由

5年後の物価について『上がる』(注)と答えた人(8割台半ば)に、その理由を尋ねたところ、「最近物価が上がっているから」との回答が最も多く、次いで「中長期的に物価は上がるものだから」との回答が多かった。』

この「中長期的に物価が上がる」が3割半ばの水準で安定気味に見えますけど、まあこの辺りも(そりゃ100%じゃないのは残念という話になるかもしれないけど)このくらいの割合の人が「中長期的に物価は上がるものだから」って言ってる(ちなみに図表見れば分かる通りですが、この数値自体はまあ最近は毎度こんなもん)のはまあ結構なんじゃないですかねえ、と思います。


とまあそういう訳で、総じて物価上振れリスクみたいなのを示すものではなかったけれども、とは言いましても別に悪い結果でも何でもなくて、2%物価目標達成に向けて進んでいますって感じの内容(というかまあこれだけ見たら達成してるじゃんとしか思えんが)だったというところでしょうかね。



〇フィラデルフィア連銀ポールソン総裁年内2回利下げ発言とな(メモ)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-13/T42XO4GOYMTE00
フィラデルフィア連銀総裁、年内あと2回の利下げ支持−初の公式発言
Maria Eloisa Capurro
2025年10月14日 2:54 JST

→関税による物価上昇、持続的なインフレにつながる状況見られない
→金融政策はやや景気抑制的、経済予測に沿った緩和実施が望ましい

『米フィラデルフィア連銀のポールソン総裁は、年内にあと2回の0.25ポイント利下げを実施するのが望ましいとの考えを示唆した。関税による消費者物価上昇の影響は度外視するべきだとの立場を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ちょっとバタバタして途中の連銀高官発言スルーしてましたが、こちらはデビュー戦なので一応メモを。

『ポールソン氏は13日、フィラデルフィアで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次会議で、「関税に起因する価格上昇が、持続的なインフレにつながるような状況は見られないというのが私の見解だ。特に労働市場において、そういった兆候はない」と述べた。発言は講演原稿に基づく。』

ということでして、ボウマン理事もしばらく前に「フォワードルッキングに」って話をしていましたが、一方で連銀高官の中には(パウエルもそうですが)「物価上振れとインフレ期待の上振れのリスクに警戒すべき」という流れもありまして、どっちに向かうのか、というのはここからの物価と雇用の推移次第、としか言いようが無さそうな展開になっておりますな、というクリップでした。

ちなみに講演テキストはこちらになります。
https://www.philadelphiafed.org/the-economy/monetary-policy/251013-economic-outlook
Economic Outlook
Anna Paulson
by Anna Paulson President and Chief Executive Officer
13 Oct '25

Philadelphia Fed President Anna Paulson gives her first economic outlook speech at the National Association for Business Economics Annual Meeting in Philadelphia.

寝起きだし時間も無いので内容はとりあえずパスします。






2025/10/10

お題「本田悦朗さんやや軌道修正(悪い方に)/6M短国レビュー/FOMC議事要旨ネタ続き」

これは見事なオマエガナー
https://www.afpbb.com/articles/-/3602445
イリノイ州知事とシカゴ市長は「刑務所に入るべき」 トランプ氏が収監要求
2025年10月9日 7:57 発信地:ワシントン/米国 [ 米国 北米 ]

しかしこのジジイは何なんですかねえ・・・・・・


〇あら結局12月利上げという訳でもなかったりするのですか(本田氏や若田部氏のインタビュー記事メモ)

いやーリフレの皆様がお元気でよろしゅおすなあ(はんなり)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9fcdbc5044e2d68019981713d53edc61100161b4
本田氏、利上げ「よほど慎重に」 高市政権に影響か、政策提言
10/9(木) 18:02配信

『本田悦朗元内閣官房参与(70)は9日、共同通信の取材に対し、日銀の追加利上げは需要を冷やす恐れがあることから「よほど慎重にやってほしい」と訴えた。』(上記URL先より、以下同様)

あらあらあら、というお話ですし、

『追加利上げに関し「住宅ローン金利や設備投資に影響を与える」と懸念を表明。「国民はデフレマインドを完全に払拭しているとは言い切れない」として拙速に実施しないよう主張した。』

出たよこの鉋屑みたいな金利を払えないような投資をする方が資源の最適配分を阻害してるじゃろうというような話ですが、何はともあれ。、

『最近の円安に関しては「日本経済にとって追い風になる」と分析した。』

と言ってて、BBGのインタビュー記事で言ってた1ドル=150円を超える円高は行きすぎ云々というのはどこに逝ったんだというお話ですが、どうも結局のところはアホアホリフレによります高圧経済タコ踊りをやっておられる、という話ですな。


でまあ昨日は若田部前副総裁のインタビュー記事もございまして・・・・・・
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/F2JWQ6CFI5MNZBGASNLGZLZVCM-2025-10-09/
訂正 インタビュー:年内利上げは困難、12月なら「相当強い理由が必要」=若田部元日銀副総裁
By 和田崇彦, 木原麗花
2025年10月9日午前 9:42 GMT+9

『[東京 9日 ロイター] - 元日銀副総裁(訂正)の若田部昌澄・早稲田大学政治経済学術院教授はロイターとのインタビューで、12月に政策金利を引き上げるのであれば「相当強い理由がないといけないのではないか」と述べ、日銀による年内の利上げは困難との見方を示した。日銀の利上げ路線自体には理解を示し、経済が順調に推移し、物価安定目標を達成する確度が高まるなら金利を引き上げるのは「当然ありうる」と話した。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、じゃあ過度な円安の進行は「相当強い理由」になり得るんじゃないですかねえとか思うのですけれども、

『若田部氏は、円安がインフレを加速するかは「円安で起きることがどこまで持続的なのかにもよる」と指摘した。その上で、日銀が示した長期時系列の消費者物価指数(CPI)の要因分解を見ると、為替は確かに物価に影響しているが「それほど24年の段階でも大きくない」とし、「日銀が本当に為替を気にするのであれば、物価にどれだけパススルー(転嫁)があるのか明らかにするべき」と述べた。』

などと屁理屈を述べておりますな。これ完全に詭弁で、日銀が出しているのは為替変動の直接的な価格への影響の話なんだが、政策判断という意味では何らかの要因で発生した価格ショックがあった場合に、それをルックスルーできるのか否か、という点についてはその波及効果なども含めて規模の大きさ、持続性の強さがどうなのか、という事を考えないといけないし、ECBやFRBがこの夏に立て続けに表明したように、近年の経済構造の変化(=供給力に常に余裕のあった状態から、隙あらば供給制約が発生しやすくなった状態、というのが主ですが人口動態その他諸々の話も含まれる)によって、価格ショックが伝播しやすくなり、それが継続的な物価上振れ、ひいてはインフレ期待の不安定化に繋がる、っていうのが今や(リフレ派の大好きな)「世界標準の金融政策」となっているのですが、このおじさんは為替の一時的効果(しかもその前年比)だけ見てああだこうだ言っている訳でして、まあ詭弁にも程が有るわけですよ。

でまあ詭弁によって言ってるのは結局円安は良い円安ってお話な訳ですあ、このようにも仰せでして、

『若田部氏は「経済が巡航スピードで推移し、物価安定目標を持続的・安定的に達成する見込みの確度が高まってくるなら利上げは当然ありうる」と日銀が利上げを継続する方針に理解を示す一方、望ましい金融政策運営は「高圧経済論と統合運用論だ」と指摘。景気を「無理に過熱させる必要はないが、ある程度景気は温め続けることが望ましい」と話した。』

>望ましい金融政策運営は「高圧経済論と統合運用論だ」と指摘。

・・・・・・・・( ゚д゚)

高圧経済音頭のタコ踊り大好きですね皆さん、って所ですがなんですかこの統合運用論って、という話で、まさかとは思いますがあのジンバブエ大先生の珍理論「国債を中央銀行が買入すれば政府債務はチャラになる」のあのジンバブエも裸足で逃げ出しロバート・ムガベ大統領も天国から微笑んで下さる理屈の話でもしてるんでしょうかしら。この統合運用論についてのツッコミが無いので何言ってるのかさっぱりわかりませんけど。


まあそんな感じで、円安は良い円安とかいうタコ踊りをしながら高圧経済音頭を踊っておられますけれども、そもそも論として高圧経済ってイエレンが言ってたのに近い事をやった(そのまんまでは無かったけれども金融緩和のメイクアップストラテジーとかはまあ高圧経済に近い話でしたからねえ)結果、米国ではエライインフレが発生して、収束に向かって推移しているとはいえ、この間に人心が荒廃して政権1個飛んでトンデモナイキチガイが米国の舵取りをした結果世界に災厄を振り撒く、という盛大な副作用が発生した、という事案が目の前にあると思うのですが、それでもなお高圧経済タコ踊りを繰り広げるとかどういう発想でそういう発想に帰着するのかが全く意味不明ではありますな、うんうん。

まあ何はともあれ高市総裁のブレーン(笑)とのことですし、高市総裁は「責任を持って金融政策の方向性を決める」らしいので(なお総理総裁の辞任くらいが国民生活への害悪に釣り合うのかと言いますと全然バランスが取れない訳で、最低でも阿南陸軍大臣ムーブくらいは必須としか申し上げようがありませんけどね)精々高圧経済踊りでもやって頂ければと(嘆息)。


しかしまあ何ですな、さっきの本田悦朗さんの共同通信記事のヤフコメなんですけど(直リンはしません)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9fcdbc5044e2d68019981713d53edc61100161b4/comments

何気にサプライズだったのは平常運転なら高市さん絶賛あるいはアクロバット擁護が並ぶヤフコメちゃんが結構まともに「円安物価高を大概にしろ」が多くみられる(ような気がする、全部読んでる訳ではないので分からんけど)んじゃなかろうかと思われる所でして、まあ高圧経済の圧力鍋がぶっ壊れて大惨事になった時は高圧経済諸共地獄の火の中に投げ込まれる未来というのも想像できる所ですかね、その時は私らも巻き添えってのが甚だ遺憾の極みではあるんですが、リフレが二度と出てこないためのコストなのかもしれないとシートベルトを準備しながら思ったり思わなかったり、というところでしょうかねえ、盛大な個人の偏見ですけど。


〇6M短国は10月利上げはまるでおりこんでいないけど来年頭の利上げは結構織り込むの巻とな

昨日は注目の5年国債入札(やや低調)の横でひっそりと6M短国の入札がありましてですね

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251009.htm
国庫短期証券(第1336回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1336回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号     国庫短期証券(第1336回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日      令和7年10月10日
4.償還期限     令和8年4月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額         8兆4,892億円
(2)募入決定額     2兆7,074億8,000万円
(3)募入最低価格     99円70銭0厘
(募入最高利回り)    (0.6034%)
(4)募入最低価格における案分比率    65.5336%
(5)募入平均価格     99円70銭5厘
(募入平均利回り)    (0.5933%)』

足切りの0.6034%水準、1月の利上げでしたら1/26(1/23決定で翌営業日から付利金利引き上げという想定)から新金利になるのですが、1/26の所でこの利回りをいつものアホでもできる比例配分計算をしますと、前半0.50%で後半0.754%ということになるので、1月利上げはちゃんと織り込んでいる水準で、平均の0.5933%だと後半が0.729%になるので利上げ9割織り込み、ということになっていますので、何だかんだ利上げ織り込みを碌にしない(というか需要が強すぎて利上げを織り込んでくれない)短国ちゃんであっても1月利上げは織り込んでいるという結果。

まあ6Mまで足が長くなると、3Mの倍のBPVになっていまいますからリスク量大きくなるので金利上昇からの避難民がやってくるにしてはあまり良い避難所とも言い難い所もありまして、毎週発行されていて発行量が多い3Mという避難所だったり、担保需要その他諸々の「国債であることに価値がある」人達の需要が相対的に少ない(こともあるしそうでないときもあるのが6Mの訳わからんところですけど)のも影響しているのかもしれませんが、兎にも角にも1月会合ではさすがに利上げがあるじゃろ、というレートになっておられるのは把握しました。

とは言いましてもまあそれこそ今月利上げ食らったらアイヤーではあるのですが、3Mの新発もだんだん足が伸びてくるので再来週になりますと足が遂に1月会合越えになってしまいますし、これからどういう織り込み方をしていくんでしょうかしらねえ、という風情ではあります(一応高市ムーブ前の先週の3Mとかは平均でも0.50%水準で足切りは0.5%乗せになっていました、というかまあ年末跨ぎ要因もあるので3Mの方はイマイチ良くわからんですな)。


〇引き続き9月FOMC議事要旨の経済物価情勢認識のパートを

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250917.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
September 16-17, 2025
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, September 16, 2025, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday, September 17, 2025, at 9:00 a.m.1

昨日は『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の金融政策運営のパートをネタにしましたが、前半の経済物価情勢の認識も確認しておこうという企画です。

『In conjunction with this FOMC meeting, participants submitted their projections of the most likely outcomes for real GDP growth, the unemployment rate, and inflation for each year from 2025 through 2028 and over the longer run. The projections were based on participants' individual assessments of appropriate monetary policy, including their projections of the federal funds rate. Participants also provided their individual assessments of the level of uncertainty and the balance of risks associated with their projections. The Summary of Economic Projections was released to the public after the meeting.』

最初のパラグラフはSEP会合の時は「んじゃまあ今回もSEP出したんでよろしく」というパラなのでぬるっとパスして次に参ります。

・物価に関して:アクチュアルの物価がそんなに上がるという話ではないのですがインフレ期待の不安定化は注意してますね

2パラ目から物価の話をしておりますな。

『Participants observed that inflation had moved up since the beginning of the year and remained somewhat above the Committee's 2 percent longer-run goal.』

物価は引き続きマンデートを幾分か上回って推移していますと。

『Although participants generally assessed that this year's tariff increases had put upward pressure on inflation, some remarked that these effects appeared to have been somewhat muted to date relative to expectations from earlier in the year.』

関税の影響は物価に上、という人たちと上だけどまあゆうて茲許では落ち着いてきているという意見が両論併記。

『A few participants suggested that productivity gains may be reducing inflation pressures. A couple of participants expressed the view that, excluding the effects of this year's tariff increases, inflation would be close to target. A few other participants, however, emphasized that progress of inflation toward the Committee's 2 percent objective had stalled, even excluding the effects of this year's tariff increases.』

この辺は雑多な意見という感じで並べられていますが、物価は上振れているという人とタリフ除けば2%になってるがなという人がいたりしますね、あとは生産性が上がっているので物価上昇圧力が弱まっているとの指摘も。


3パラは物価見通しです。

『With regard to the outlook for inflation, participants generally expected that, given appropriate monetary policy, inflation would be somewhat elevated in the near term and would gradually return to 2 percent thereafter.』

適切な金融政策によって物価は今しばらく2%上回るけれども徐々に2%に収束してくるでしょうというのが全体的な見方ですが、この後は個別イシューの物価への影響はどうですかという話になります。最初は関税。

『Some participants noted that business contacts had indicated that they would raise prices over time because of higher input costs stemming from tariff increases.』

関税の影響で価格引き上げが続くというアネクドートの指摘が数名(Some)から来ていまして、

『Uncertainty remained about the inflation effects of this year's increase in tariffs, though most participants expected these effects to be realized by the end of next year.』

一方で多くの参加者は関税の影響は年末までにある程度でると思うが不確実、という認識ですな。

でもって次が労働市場の影響。

『Some participants remarked that the labor market was not expected to be a source of inflationary pressure. 』

労働市場は物価上振れのドライバーにはならんでしょという認識を数名が示して、

『A couple of participants expected that the reduction in net migration would be associated with lower demand and lower inflation, and a couple of participants observed that continued productivity gains would likely reduce inflation pressures.』

2名は移民の減少は経済の需要減になってインフレ下げ要因、2名は生産性向上はインフレ圧力を下げる、という感じでこの物価の先行きに関する要因の説明ではアクチュアルのインフレが上振れるような話はあんまり見られないというのが特徴的ですね。

『Participants noted that longer-term inflation expectations continued to be well anchored and that it was important they remain so to help return inflation to 2 percent. Various participants stressed the central role of monetary policy in ensuring that longer-term inflation expectations remained well anchored.』

ここはインフレ期待の話で、インフレ期待のアンカーダイジダイジネーみたいな話なので先に行きますが、

『A majority of participants emphasized upside risks to their outlooks for inflation, pointing to inflation readings moving further from 2 percent, continued uncertainty about the effects of tariffs, the possibility that elevated inflation proves to be more persistent than currently expected even after the inflation effects of this year's tariff increases fade, or the possibility of longer-term inflation expectations moving up after a long period of elevated inflation readings. 』

『Some participants remarked that they perceived less upside risk to their outlooks for inflation than earlier in the year.』

多数派の(A majority of)参加者は物価の上振れリスクを指摘していて、その背景にはアクチュアルの物価が高止まりする中で関税問題などもあって、物価上振れが想定よりも持続性の強いものになるリスクがあり、それがインフレ期待を高めるんでネーノというのがあるようです。一方で数名は年初よりもインフレ上振れリスクの可能性は下がっているだろう、という説明ですね。


・労働市場は現状弱い話をしているが先行きは「適切な金融政策でこの先はそんなに悪くならん」と言っているのだが・・・・

4パラから労働市場です。

『In their discussion of the labor market, participants observed that job gains had slowed and the unemployment rate had edged up. Participants noted that the low level of estimated job gains over recent months likely reflected declines in growth of both labor supply and labor demand.』

労働市場は減速しているますし、ジョブゲインが低いのは労働の供給も需要も下がっていることによるものとの認識。

『Participants noted low net immigration or changes in labor force participation as factors reducing labor supply.』

移民減少の影響(供給減)に触れた後、

『As for factors that may be reducing labor demand, participants noted moderate economic growth or the effects of high uncertainty on firms' hiring decisions.』

今後も経済の不確実性を背景に労働需要は減るでしょう、とこっちは弱めの話になっていて、

『 Under these circumstances, participants cited a number of other indicators as helpful for assessing labor market conditions. These included the unemployment rate, the ratio of job vacancies to unemployed workers, wage growth, the percentage of unemployed workers who find a job, the quits rate among employed workers, and the layoff rate.』

この辺はいろんな指標をみてますって話なので次に行きまして、

『Participants generally assessed that recent readings of these indicators did not show a sharp deterioration in labor market conditions. A few participants, though, saw recently released labor market data, including revisions to previously released data and the BLS's preliminary estimate of the payroll employment benchmark revision, as indicating that labor market conditions had been softening for longer than was previously reported.』

幾つかの意見が出ていますが、メタメタに悪化している訳ではないが現状は弱まっている、というのが労働市場だという話ですな。

でもって5パラが見通しですが。

『With regard to the outlook for the labor market, participants generally expected that, under appropriate monetary policy, labor market conditions would be little changed or would soften modestly.』

適切な金融政策によって今後は横ばいか若干悪くなる程度で済むでしょう、だそうな。

『Several participants noted that the number of monthly job gains consistent with a stable unemployment rate had declined over the past year and would likely remain low, citing the large number of workers nearing retirement age or continued low net immigration.』

でもってここから先は色々な要因を絡めた話(移民とが人口動態とかマイノリティーとかの話)があるのですが、とりあえず意見を並べています、って感じで特に方向性も無いので引用だけしてパスします(手抜きマン)。

『Participants indicated that their outlooks for the labor market were uncertain and viewed downside risks to employment as having increased over the intermeeting period. In support of this view, participants mentioned a number of indicators, including the following: low hiring and firing rates, which are evidence of less dynamism in the labor market; concentrated job gains in a small number of sectors; and increases in unemployment rates for groups that have historically shown greater sensitivity to cyclical changes in economic activity, such as those for African Americans and young people.』

『Several participants saw continuing adoption of artificial intelligence as potentially reducing labor demand. Some participants noted that survey responses indicated that household sentiment regarding the labor market had moved down.』


・金融政策パートに行く直前にやっと全体観が出てきますw

6パラが全体観で7パラ以降が金融政策です。うーんあっさり味。

『Participants observed that growth of economic activity slowed in the first half of the year relative to last year.』

というのは声明文にある話で、以下セクター別の話がありますが最初が家計の話で、

『Regarding the household sector, participants noted that lower consumption growth had contributed to the slowdown in the growth of economic activity in the first half of the year.』

『Several participants remarked that recent data indicated some firming of consumption expenditures this quarter. Some participants mentioned that households were showing greater price sensitivity, and several participants observed that high-income households were increasingly doing better, economically, than lower-income households.』

ここでしらっと消費に関して二極化が起きている指摘がありますね・・・・・・

『Several participants noted continued weakness in the housing market, and a couple of participants mentioned the possibility of a more substantial deterioration in the housing market as a downside risk to economic activity.』

住宅セクターは引き続き弱い。

『For businesses, many participants noted strong high-tech investment. Several participants noted that financial conditions were supportive of economic activity. A few participants commented that the agricultural sector continued to face headwinds because of low crop prices and high input costs.』

企業では個別の意見はありますけど、なんかまあこれでおしまいでしてあっさり味にもほどがあるんですが、たぶん足元のポイントは経済というよりも労働市場(も経済ちゃあ経済ですが)と物価なんですよ、ってことなんでしょうね。








2025/10/09

お題「円安ワッショイで中短期再修正かしら(メモ)/9月議事要旨は政策部分だけ見ると先行きの決め打ち感はあまり強くないかと」

そりゃまあそうでしょうなあ
https://www.47news.jp/13263648.html
【速報】国民、首相指名選挙の野党連携に否定的姿勢
2025年10月08日 11時41分共同通信

とは言え、首班指名投票って別に立候補制ではないし、誰も過半数取れなかった時の決選投票では比較1位が当選する(院の過半数を必要としない)ので、共産とかも含めて揃いも揃って嫌がらせで「玉木」って書いたら大変に香ばしい事になるわけで、立場もパターンも全然違いますが、「山崎首班工作事件」で検索して味噌ラーメンということでwww

ええまあ当然ながらそんなことは起きないのですがwwwwwwww


・・・・・とかいう与太話はさておきまして毎勤ちゃんですが

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2508p/dl/houdou2508p.pdf
毎月勤労統計調査 令和7年8月分結果速報 を公表します

『2 実質賃金指数(令和2年平均=100)

〇消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で実質化したもの
・現金給与総額 82.7(1.4%減)※8ヵ月連続マイナス

(参考)消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年同月比 3.1%上昇

〇消費者物価指数(総合)で実質化したもの
・現金給与総額 84.2(1.2%減)※2ヵ月ぶりのマイナス

(参考)消費者物価指数(総合)の前年同月比 2.7%上昇 』

5年前の2割引きになってて「賃金と物価の好循環」も糞もあったもんじゃないですよねえ・・・・・



〇高圧経済円安ワッショイですのう・・・・・・

そらそうよ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-08/T3TEM2GOYMTE00
円は対ドルで5日続落、152円台後半−日仏の財政懸念でドル指数は上昇
George Lei
2025年10月8日 22:42 JST 更新日時 2025年10月9日 2:00 JST

→ブルームバーグのドル指数は一時0.3%上昇、2カ月ぶり高値に迫る
→市場は米国が相対的にましだと見なしている−ビクトリノ氏

てな話ですが、昨日は東京の19時くらいにはドル円153円に乗ってたので朝になったら153円後半かと思ったのでまあ昨晩はマシな方、とかうっかり思ってしまいますが、月曜の東京の日中(午後)に150円に乗ったばかりなのでありゃありゃまあまあという感じですが、そりゃまあ高圧経済円安上等ワッショイってブレーン(笑)の皆様が仰せになっているんですからしゃあないですわなとしか言いようが無い。

まあアレです、この調子だと10月は利上げしないにしてもファイティングポーズ取っておかないと円安加速させそうだし、何なら25bp利上げしたって利上げした後に「当分様子見」とか言ってハトハト姿勢を示してしまうと利上げしているのに円安加速とかいう面白事案に発展するリスクもありそうですが、まあゆうて高市大先生は「政府の責任」って言ってますので円安放置しても日銀無答責らしいので(たぶんそうはならないけどw)これはチキン植田総裁も枕を高くして眠れるというのものですな、うんうん。


一応昨日の債券市場ちゃんですが円安でよく考えたら利上げ接近するじゃんムーブなのか、

https://jp.reuters.com/markets/japan/4MU72D73QNLPPEAJ4XOPVTQRWQ-2025-10-08/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.695% 円安進行や財政懸念が売り材料
By ロイター編集
2025年10月8日午後 3:33 GMT+9

『[東京 8日 ロイター] - <15:10> 国債先物は続落、長期金利1.695% 円安進行や財政懸念が売り材料

国債先物中心限月12月限は、前営業日比19銭安の135円68銭と3営業日続落して取引を終えた。円安進行や財政懸念が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.695%。』(上記URL先より、以下同様)

ということでまたまた10年1.7%近くなってまいった次第ですが、

『また自民党の高市早苗新総裁が掲げる「責任ある積極財政」を巡る懸念も、引き続き円債売りの材料となった。財政規律派のキーパーソンだった自民党の宮沢洋一税制調査会長の退任や 、高市新総裁が国民民主党との連携・連立を模索していることが報じられる中、鶴田氏は「政治・財政政策の不透明感が投資手控えにつながった」と指摘。一部には高市氏が国民民主党の玉木雄一郎代表に財務相ポストを提示するのではないかとの見方もあり、閣僚人事や連立協議の行方に債券市場参加者の注目が集まっている。』

そこはやはり西田財務大臣くらいの面白人事をやっていただきますと大変に面白いのですが(タマキでも十分に面白人事だが)、「責任ある積極財政」ってもはやその時点でお前は何を言ってるんだという話だし、お前らが引き合いに出す高橋是清さんは軍事費の膨張を抑制しようとして軍部の反感買ってテロの犠牲になったんですけどねえというお話ではあるのですが、政治記者がイキり散らかさなくても円安債券安で物価が再加速してあばばばば―ってなるんでしょうなあというのが政権始まる前から早速始まっているのには草も生えませんwwww

『TRADEWEB
    OFFER  BID   前日比 時間
2年  0.921  0.931    0.02  15:02
5年  1.222  1.232   0.024  15:07
10年 1.689  1.696   0.021  15:02
20年 2.693  2.701   0.016  15:09
30年 3.151  3.165   0.004  15:07
40年 3.467  3.486   -0.03  15:05』

2年の0.92-0.93って水準は先週(つまり高市総裁前)のピーク水準で2年カレントの引けが0.95%水準だったのでまだまだ弾幕足りもうさんという話ではあるのですが、ただまあゆうて「円安絶賛進行するのに高圧経済音頭を堂々と踊りまくる(見るのも汚らわしいので引用しませんけどどこぞの馬鹿が良い円安とか抜かしておられるようですしおすし)」という状況では、皆様ご想定の政策金利では利上げが足りませんという話に成り兼ねませんので(まあその前に物価高に耐えられなくなって政権が先に飛ぶ可能性もありますけど)超長期の財政懸念もさることながら、現実問題として均衡金利の水準がもっとシフトアップするという発想からの中短期金利のリプライシングだって起きて然るべき(まあ昨日の場合は単に5年入札準備の面はあると思いますが)という考えだって成立すると思いますので、そういう流れなのか単純に5年国入札の準備なのか、まあ良くわからんですけどね・・・・・


〇9月FOMC議事要旨:年内追加利下げの話をしてるがそこまで前のめり決め打ち感を出さないようにしているのかなと

HTML版から引用します
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250917.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
September 16-17, 2025
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, September 16, 2025, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday, September 17, 2025, at 9:00 a.m.1


いつものインスタント読みで『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の最後の金融政策のパートから読みます。ケツから4パラグラフになります。第7パラから第10パラですな。


・利上げは「リスクバランスの下方シフト」が理由ですが・・・・・・

まずは第7パラグラフ。

『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants noted that inflation had risen recently and remained somewhat elevated, and that recent indicators suggested that growth of economic activity had moderated in the first half of the year.』

物価は最近上がっていてやや(マンデート水準より)高い状態が続いているが、最近の経済データを見ると年前半の経済はモデレートになってきている。

『While participants noted the unemployment rate remained low, they observed that it had edged up and job gains had slowed. In addition, they judged that downside risks to employment had risen.』

労働市場は失業は低いけどやや上がってきていてジョブクリエーションが減速してて雇用のダウンサイドが上昇。

『Against this backdrop, almost all participants supported reducing the target range for the federal funds rate 1/4 percentage point at this meeting.』

という背景のもと、ほとんどすべての参加者(メンバー以外も含むよ)は0.25%利下げに賛同。

『Participants generally noted that their judgments about this meeting's appropriate policy action reflected a shift in the balance of risks.』

でもってFOMCのステートメントでも会見のオープニングリマークでも強調されていましたが、今回の利下げは「リスクバランスの下方シフトによるもの」という説明になっていますな。全然関係ないですが隙あらば日銀ネタに結び付けてしまえば「物価のリスクバランスが足元でさらに上方リスク高まっている」という理由なら別に10月に利上げできるんですよね、まあそんな勇気がチキン総裁にあればとっくの昔に政策金利は1%またはそれ以上なんだが。


・バランスオブリスクの変化、という説明の詳細説明が入っているのはほえーと思いましたのですが

同じく7パラの今の部分の続きですがここが見どころではないかと(インスタントで他の部分読む前に言ってるので他の見どころがあるかもしれませんけど、汗)思うので小見出しも変えてみましたが・・・・・・

『In particular, most participants observed that it was appropriate to move the target range for the federal funds rate toward a more neutral setting because they judged that downside risks to employment had increased over the intermeeting period and that upside risks to inflation had either diminished or not increased.』

ほとんど(most)の参加者は政策金利水準をよりニュートラルなセッティングに持っていくのが適切であり、前回会合以降に雇用の下方リスクが拡大して物価の上昇リスクがなくなったあるいは増えていない、という認識が背景にあるよ、と説明しました、ってこの部分、別にさっきの記述あるから重複記載に見えてしまうのですが、この次に数名(A few)の参加者が利下げ見送りが適切って言っているので、その意見と比較するために掲載したんだと思いますが、別にこの部分が無しで次のとことに行っても趣旨は変わらんと思いますので、ここはわざわざ「ほとんどの参加者はこのようにリスクバランスが直近で変化したという認識です」ってのをアピールしようとして書いたんじゃないか、と思いました。まあ裏読みのし過ぎかも知れませんけれども。

でもって次に、

『A few participants stated there was merit in keeping the federal funds rate unchanged at this meeting or that they could have supported such a decision. 』

数名は利下げしないのが適切との意見で、

『These participants noted that progress toward the Committee's 2 percent inflation objective had stalled this year as inflation readings increased and expressed concern that longer-term inflation expectations may rise if inflation does not return to its objective in a timely manner.』

この人たちは今年に入ってインフレ減速の動きが止まっているし、アクチュアルのインフレが強いことに加え、適切なタイミングで今後アクチュアルのインフレが減速してくれないと、ロンガータームのインフレ期待が上振れしてしまうのではないか、という懸念を示した、ということでインフレが中々落ち着かないことによる弊害を指摘していますわな。

『One participant agreed with the need to move policy toward a more neutral stance but preferred a 1/2 percentage point reduction at this meeting.』

あともう一つの面白ポイントはミランの50bp利下げ提案の記述で、なんですかこの理由も碌に出てこない記載はということで中々草が生えますけれども、どうせあのオッサン、先般の講演に見られるようなアホアホ理論 (そういやあの面白講演のアホアホ理論をネタにするのをすっかり忘れておったわw)を繰り回すくらいだったと考えますと、まあ将来の議事録には掲載しても議事要旨には掲載する価値無しって事だったんジャマイカと勝手に妄想してしまいましたwwwwwwww

でもって資産買入残高縮小に関しては。

『All participants judged it appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings.』

とのこと。


・先行きの利下げは慎重にという数名の見解の背景が「ファイナンシャルコンディション」なのは味わいがありますね

第8パラグラフが今後の政策運営という皆様の大好物パート。

『In considering the outlook for monetary policy, almost all participants noted that, with the reduction in the target range for the federal funds rate at this meeting, the Committee was well positioned to respond in a timely way to potential economic developments.』

今回利下げしたので今後の経済の推移にタイムリーマナーに対応できるウェルポジションドな位置になった、という説明がalmost all participantsから出ているので、別に連続利下げを初手から決め打ちしているという話ではない、ということにはなりまして、

『Participants observed that monetary policy was not on a preset course and would be informed by a wide range of incoming data, the evolving economic outlook, and the balance of risks.』

とまあこのようにプリセットコースではないですよ、という話が書かれますけれども・・・・・・・

『Participants expressed a range of views about the degree to which the current stance of monetary policy was restrictive and about the likely future path of policy.』

現時点(利下げ後)での引き締め度合いがどの程度であって、今後の政策コースとして見込むパスがどうなるのかという点のご意見開陳コーナーがあったようでして、

『Most judged that it likely would be appropriate to ease policy further over the remainder of this year.』

ほとんど(Most)は年末にかけて利下げのおかわりが必要との認識。

『Some participants noted that, by several measures, financial conditions suggested that monetary policy may not be particularly restrictive, which they judged as warranting a cautious approach in the consideration of future policy changes.』

一方で数名(Someなのでさっきの利下げ反対なA fewよりも多い)の参加者は、ファイナンシャルコンディションを見ますと金融政策は特に引き締め的ではないので、今後の利下げは慎重に行うべきである、という指摘をしていまして、ファイナンシャルコンディションを持ち出しているのは要するに資産価格がワッショイワッショイしているのにホイホイ利下げしちゃっていいのか??という指摘をしているのはこれまた味わいがあるなと思いましたがどうですかね。


・リスクマネジメントアプローチの部分では追加利下げバイアスをあんまり出さない表現になっているのね

第9パラグラフはリスクマネジメントアプローチがどうのこうののパートです。

『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook for monetary policy, participants generally judged that upside risks to inflation remained elevated and that downside risks to employment were elevated and had increased.』

さっきのところではリスクバランス下方シフトで利下げとか言ってた割には先行きのリスクでは何故かしらんけど従来通りで物価のアップサイドリスクは依然として高いし、ってあるのがオモロイのだが、一応今回は雇用の方のダウンサイドリスクに「and had increased」と入れて格好はつけています。

『Participants noted that, in these circumstances, if policy were eased too much or too soon and inflation continued to be elevated, then longer-term inflation expectations could become unanchored and make restoring price stability even more challenging. By contrast, if policy rates were kept too high for too long, then unemployment could rise unnecessarily, and the economy could slow sharply.』

今後の利下げが早すぎても遅すぎてもイクナイ、という話はいつも通り。

『Against this backdrop, participants stressed the importance of taking a balanced approach in promoting the Committee's employment and inflation goals, taking into account the extent of departures from those goals and the potentially different time horizons over which employment and inflation are projected to return to levels judged consistent with the Committee's mandate.』

ですからバランスドアプローチがダイジネー、とあんまり以前と変わらん表現で通していて、追加利下げバイアスをあんまり前面に出していないイメージを受けました。


・バランスシートの話では「アバンダント」から「アンプル」への変化の見極め云々というお話をしていました

第10パラグラフはバランスシートの話でした。

『Several participants remarked on issues related to the Federal Reserve's balance sheet and implementation of monetary policy.』

バランスシートの話とな。

『A few participants stated that balance sheet reduction had proceeded smoothly thus far and that various indicators pointed to reserves remaining abundant.』

まだリザーブはアバンダントであるという認識が数名から出されています。まあこれ初手で「Several participants」が示した見解って書いてあるので、人数自体は多く出てこない点は注意して読んでおきましょう。

『Nevertheless, with reserves declining and expected to decline further, they noted that it was important to continue to monitor money market conditions closely and evaluate how close reserves were to their ample level.』

そろそろアンプルリザーブに近くなってきているんじゃないか、ということで短期市場の動向などは良く確認しておくのダイジダイジネーという話をしていますので、まあ「アンプルリザーブ」水準になったという認識になると、とりあえずFEDの資産残高縮小は一旦止まって残高キープ(ただまあその時に借り換えで長期債買うのか短期債買うのかとかそういう論点は残るかと)ということになるというお話ではあります。FEDの場合は基本「マーケットニュートラルに近い買い方」になると思いますけど。

『In that context, a few participants noted that the SRF would help keep the federal funds rate within its target range and ensure that temporary pressures in money markets would not disrupt the ongoing reduction in Federal Reserve securities holdings to the level needed to implement monetary policy efficiently and effectively in the Committee's ample-reserves regime.』

常設レポファシリティ(Standing Repurchase Agreement、でして能書きはhttps://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/standing-overnight-repurchase-agreement-facility.htmにあります)が市場金利の上限を画するために重要になっていくでしょうというお話をしておりまして、まあこの利用状況も睨みながらアンプルリザーブに達したかどうかの判断ってことになるのかしら、とは思いました。

今朝はこの辺で勘弁ということで。








2025/10/08

お題「散々調整して30年国債無事通過(備忘メモ)/ドル円ェ・・・・・/支店長の報告は「利上げ出来なくもないがパスが吉」的なまとまり方ですね〜」

トラスではなくメローニの方に向かってくれるかもしれないですね
https://www.47news.jp/13261436.html
【独自】高市氏、靖国参拝見送りへ 中韓との外交問題化回避
2025年10月07日 21時27分共同通信

『自民党の高市早苗総裁が今月17〜19日に東京・九段北の靖国神社で執り行われる秋季例大祭中の参拝を見送る方向で調整に入った。複数の関係者が7日、明らかにした。高市氏はこれまで、閣僚在任中も終戦の日や春秋の例大祭には靖国神社を参拝してきた。』(上記URL先より)

とは言えそっち方面で高市カラーが出せないとなって財政金融面でバリバリ全開の高圧経済をぶっこんでくるという懸念はあるんだよな〜、知らんけど。

〇30年国債無難な結果と言ってもまあ前日から散々調整しましたからねー

https://jp.reuters.com/markets/japan/7TH7BCI7H5IZ3OOWO2ZXTMZUAU-2025-10-07/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.675% 入札無難で超長期も金利上昇一服
By ロイター編集
2025年10月7日午後 3:29 GMT+9

『東京 7日 ロイター] - <15:15> 国債先物は続落、長期金利1.675% 入札無難で超長期も金利上昇一服

国債先物中心限月12月限は、前営業日比3銭安の135円87銭と小幅続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.675%。序盤に一時1.695%と17年ぶりの高水準をつける場面もあった。警戒された30年債入札が無難に通過し、午後は長期・超長期の金利上昇が一服した。』(上記URL先より、以下同様)

ということなのですが、

『後場に入ると、財務省が実施した30年利付国債入札が事前に警戒感があった中で無難な結果となったことが好感され、先物相場は下げ幅を縮小。終盤には一時、小幅プラス圏に浮上した時間帯もあった。』

ってお話ではあるのですが、ゆうて30年国債って前回号の87回債のBBさんの引けが月曜は13毛5糸甘の3.285%で昨日の引けは87回債で3.280%と5糸強で、新発88回の引けが3.170%でしたが、88回の入札って前場引けにやっていますけど前場は散々調整して平均3.248%の足切り3.259%でやっているので、引けで比較したら前週末比で30年って昨日の引けは13甘とかですけれども、入札自体はそこから8毛近く甘い所でやっているんですから、高市総裁爆誕で30年20毛甘くしてやっと捌けたってだけの話ではあるのですが、前週末から20毛甘くなったとかいうのは華麗にスルーして入札のテールがそんなに長くなかったとか応札倍率が平均並みにあったとか、(散々甘くしたから)最終投資家のニーズがあったとかそっちが評価されますという毎度おなじみの展開ではありましたな。

まあアレです、とりあえず調整したけど入札ダメでした、とかいうような地獄のような話にはならなかったので当面はメデタシメデタシという話ではあるのですが、散々調整してやっと入札が通過できた、というだけの話ではあるので、めでたさも半分くらいって感じだと思うんですけどね、まあ個人の感想ですけれども。

『現物市場で10年物以外の新発国債利回りは概ね上昇。イールドカーブはフラット化した。2年債は前営業日比1.0bp上昇の0.905%、5年債は同2.0bp上昇の1.210%。20年債は同0.5bp上昇の2.695%。一時は26年ぶり高水準の2.740%をつけた。30年債は同0.5bp上昇の3.290%。入札を控えた午前には過去最高となる3.345%に上昇する場面もあった。40年債はまだ売買が成立していない。』

ということで前日のツイストスティープを少しだけお返しした(お返ししたうちに入らん気もするけれども前場引けよりはだいぶ戻ったし)形で、

『TRADEWEB
     OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.899  0.911   0.009  15:20
5年   1.2    1.21   0.014  15:19
10年  1.671  1.677   0.002  15:20
20年  2.682  2.697    0    15:20
30年  3.28   3.297   0.005  15:20
40年  3.489  3.513   -0.019 15:20』

ということでまあとりあえず30年入札イベントは終了したものの、なんか次にありますように円が飛ぶ飛ぶとなっておりまして、はてさてどうするんじゃこれという話ではあるのですが、何せ次の首班指名決まって閣僚が決まるまでは実質的に皇帝のいない8月状態なので介入もできんしチキン日銀が何かする訳も無いし、来週水曜臨時国会とかのんびりとしている場合なのかよとは思ってしまいますな、南無三。


〇あらあらドル円ちゃんが151円になっちゃったの〜〜(煽り口調)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-07/T3RHNMGOT0JR00
円が対ドルで1%下落、一時151円90銭台−キャリー取引が復活
Vassilis Karamanis、Michael G Wilson
2025年10月7日 22:00 JST 更新日時 2025年10月8日 3:47 JST

『7日のニューヨーク外国為替市場では、円が今年初の4営業日続落。円を調達通貨とするキャリー取引が復活し、レバレッジをかけた新たな円売りの圧力が強まっている。

円はドルに対し、一時1%安の151円93銭まで下落。2月下旬以来の安値を付けた。景気刺激策に前向きな高市早苗氏を首班とする内閣が発足する見通しとなり、日本銀行の早期利上げ可能性が後退したとの見方が広がった。』(上記URL先より)

・・・・ってそれ土曜日の時点で分かってるじゃんという話なので何じゃこの後講釈はという感じではありますが、ユーロがフランスの政局云々で(向こうの時間の)月曜からヘロってきたから相対的に対ドルでの弱さが加速したって面はあると思うのですが、しかし本田悦朗大先生の口先牽制(???)もまるで空しく円は飛んでいくの巻となっておられる次第で誠に香ばしい展開。

まあ為替市場ちゃんムツカシネーなので別にこのままホイホイと円安が進むかどうかもワシにはわからん(分かってたら商売変えてるわwww)ので何ですが、これ日銀の利上げって本田大先生のいう12月利上げって意外に理由付け(屁理屈のこじつけ)が難しいのでどうなんでしょうね〜とは思う所でありまする。

すなわち、経済物価見通しやらリスクバランスに関しての大きな点検ってのは四半期定例の展望レポートで行う訳ですし、皆様ご案内の通りで月曜火曜にネタにしました植田総裁の大阪講演(HTMLバージョンが出ています)を見ましても、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko251003a.htm
最近の金融経済情勢と金融政策運営
大阪経済4団体共催懇談会における挨拶
日本銀行総裁 植田 和男
2025年10月3日

「当面、わが国の経済・物価情勢を点検するうえで重要と考えられる3つのポイント」の中にあったポイントってえのが、

第1に、海外経済の動向です。
第2のポイントは、関税政策が、わが国企業の収益や賃金・価格設定行動にどのような影響を及ぼすか、という点です。
第3の点検ポイントは、食料品価格の動向です。

となっていた訳でして、これが10月末では見極めがつきません不確実性が高いです、方式で展望レポートを出してきて、そういう理由で政策金利の調整を見送りました、とやっておいて、12月中旬の金融政策決定会合でそれを覆すだけの「不確実性の低下」っていうのなかなか面倒で、一応12月短観は(いつものスケジュールなら)決定会合の前に出ますけれども、目の前に春闘が待ち構えているのに見切り発車で賃金設定行動は大丈夫っていうの相当に豪快なお話(そもそもそれを見極めたいと言って去年の12月はハトハトチキンモードの利上げ見送りで皆をズッコケさせたという前科がある)になるんで、まあゆうて「12月に利上げできるくらいなら10月にもできるじゃろ」という感じに今だとなっているように見えるんですよね。

まあいざとなれば従来通りで三百代言モードとなって屁理屈捏ねて来るんでしょうけれども、この調子で10月決定会合前にホイホイと円安が進んだ場合にはどうなっちゃうんでしょうというかって話ですが、昨年7月同様に「物価上振れリスク」で利上げという理屈は全然問題ないというか既に前回会合で田村さんがその理由で利上げ提案しているんだからそれにモロ乗りしてしまえばヨロシアルねではあるんですが、組閣も終わる前からこの調子なのは中々困る所ではありますな。

・・・・・とは言いましても、まあ日銀ちゃんとしては何か高市大先生が「政府が責任を持って」とか言って日銀をただのオペレーション担当にでもするかのような物言いをしておりますので、ケツ叩かれない限りはシランガナと寝転がるのが組織的には正しい(国民厚生的に正しいのかどうかは知らんけどサナエが責任取るって言ってますからね〜)という話になってしまいますので、まあ難しくなってまいりましたという感じではありますな、うんうん。


〇なんかすっかり高市政権爆誕(予定)で今回はパスモードになってしまいましたがさくらレポート関連

さくらレポート
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer251006.htm(各地域の現状判断文言だけページ)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer251006.pdf(本チャン)

でまあこちらの1枚ダイジェストの方からとりあえず引用します
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera251006.htm
各地域からみた景気の現状(2025年10月支店長会議における報告)

・景気判断は「横ばい」で来ているので政策金利調整を妨げるものではないんですな

『今回の支店長会議における報告を総括すると、一部に弱めの動きもみられるが、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。前回の支店長会議開催時点(2025年7月)と比較すると、全9地域中1地域で総括判断を引き下げている(参考参照)。』

ということで北海道下がっていますが、他は横ばいでして、今の展望レポートで示している見通しと、決定会合で政策調整見送りとしている理由では「インラインで推移すれば政策調整(利上げ)」「ただしトラ公のせいで経済の下振れリスクが大きい」なので、判断が概ね横ばいで来ているのは(見通し上向きだとインラインあるいは多少の上振れということになるので)政策調整を急いでしなければいけないわけではないけれども、(下振れリスクが顕在化している訳でもないので)政策調整を排除するものでもない、という至極穏当(忖度とかそんなことは言いませんよ!)な結果になっております。


『主な需要項目等別にみると(注)、輸出・生産については、米国の関税引き上げに伴う駆け込みとその反動減に加え、資本財の受注についても下振れの動きがみられるとの報告があった一方、AI関連の受注の堅調さを指摘する報告も多数あった。』

関税の影響があるものの大きな下押しになっていない、という形なのでこれまた政策調整を急ぐ必要はないが別に排除するものではない、という論調。

『この間、一部の地域のサプライヤーからは、関税の影響により収益が下押しされている国内納入先において、取引価格の交渉スタンスが厳格化しているとの声が聞かれたものの、現時点では、人件費の価格転嫁の流れを阻害するまでには至っていないとの報告が多かった。』

この後にも賃金設定と価格設定という重要項目扱いしている部分の評価がありますが、この部分の時点で既になのですが、「賃金価格設定行動に関しては、懸念が無いわけでもないけれども全体として行動が下方屈曲するような動きにはなっていない」という留保付きインラインという結論になっていて、美しいまでにこれは政策調整を急ぐ必要はないが別に排除するものでもない、になっていて、しかもこれだとまさに「今後の見極めが必要」となるとかいう判断になっておられますな。

『設備投資については、IT関連需要の拡大期待に基づく能力増強投資や、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資などで積極的な投資スタンスが維持されているとの報告が多かった。ただし、各国の通商政策の影響を巡る不確実性の高さを背景に、投資の先送りや見直しを検討・実施する動きがみられるとの報告があったほか、建設コスト上昇により投資の先送り・縮小等を検討する動きもみられるとの報告があった。』

ということですが短観の設備投資計画ってトラ公要因があるとは思えないような平常運転になっていたようにお見受けします。まあここも作文としては政策調整を急(以下同文)。


・注目のおちんぎんですが

次が注目のおちんぎん。

『賃金設定面では、先行きの賃金設定について、各国の通商政策の影響や海外経済の減速等により企業収益が大きく下振れた場合には、賃上げを抑制せざるを得ないとの声があった一方、人手不足感の強さや最低賃金の引き上げ、最近の食料品を中心とする物価上昇等を受けて、引き続き高めの賃上げが必要とする声も報告された。』

うーーーーんこの見事な作文、という感じでして、賃金と価格が相互に参照しながらどうのこうの、の話も維持されているという話だし、一方でトラ公の影響でここから企業収益がスクイーズされてくる、あるいは米国経済が減速してきてそもそも輸出自体がアイヤーとなる場合におちんぎん大丈夫か問題は依然としてありますので、というのも入っていまして、この説明を見ますとまあおちんぎんの動向に関してはまだ判断ができません、という絵になっていますし、こんなのもありましたわな。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-06/T3JCWMGOT0JK00
日銀支店長会議、引き続き高めの賃上げが必要との報告−米関税警戒も
伊藤純夫
2025年10月6日 14:18 JST 更新日時 2025年10月6日 17:21 JST

『記者会見した正木一博理事・大阪支店長は、人手不足の中で企業経営者は引き続き賃上げが必要と認識していると語った。一方で、賃上げ率に関しては、米関税政策の影響が企業の売り上げや収益にこれから具体的に出てくるとし、「来年の賃上げの程度を申し上げるには、情報が十分ではない」との認識を示した。』(この部分だけ直上URL先10/6ブルームバーグニュース記事より)

ということで前企画担当理事の正木さんもこのように仰せでして、少なくとも賃金方面は「確認のお時間を頂きたい」という説明になっている訳ですな。


・価格設定行動は一応堅調なのだが・・・・・

でもって本編に戻って次が価格設定行動。

『価格設定面では、仕入コストや人件費、物流費等の上昇を転嫁する動きが続いているとの報告が多かった。ただし、米などの食料品価格の上昇等を背景に消費者の節約志向がやや強まるもとで、値上げの抑制や低価格商品の品揃え強化等の動きもみられるとの報告があった。』

そらこれだけ食料品価格ホイホイあがったらそうなるわなとは思いますが、価格設定行動に関しても別に政策調整を急ぐ必要以下同文というストーリーになっていますな。

『こうしたもと、個人消費(インバウンド需要を含む)については、イベント関連等でのハレの日消費の堅調さを指摘する報告があった一方、日常消費では、消費者の根強い節約志向を背景に、スーパー等において、購入点数の減少が続いているとの報告があったほか、値上げを行った外食等からは、客数の伸びがこのところやや鈍化しているとの報告があった。』

なんちゅうかこの現象っていつかみた光景なので(とっさに出てこないけど昔もこの手の「ハレの日消費」とか「メリハリ消費」とか言ってた時期があってそれこそさくらレポートでもその話があったと思うのですが期末期初進行なので下調べとかしてる元気が無くてすいませんすいません)まあ微妙感は正直ある。ただその時と違うのはおちんぎんが上がっているらしいことで、まあそれがどう出るかということになろうかと思いますけども・・・・・・・・(お前のおちんぎんはと質問するのは禁則事項wwww)

『この間、都市部の百貨店等からは、高額品を中心に免税売上には弱さがみられる一方、最近の株価上昇もあって国内富裕層の需要は堅調さを維持しているとの報告が多数あった。また、観光・宿泊需要も、インバウンド需要の増勢鈍化の影響を受けつつも、底堅く推移しているとの報告があった。』

どう見ても格差拡大です本当にありがとうございましたorzorz


・まあ経済は様子見必要というストーリーだが利上げ提案は物価で来ていますので

ということで支店長会議報告の全体部分だけで言えば「今回は様子見しましょうそうしましょう」ってトーンの方が強く示されている感じはしますが(個人の感想です)、ゆうて高田さんも田村さんも「物価目標概ね達成(高田さん)」あるいは「物価上振れリスクの高まり(田村さん)」での利上げ提案を行っているので、このさくらレポートがでたからとてその部分って変わらんと思いますので(とアタクシが思っているだけで高田さんと田村さんの思考を見ている訳ではないので断言はできないが)、まあその点からしたら別にこの展望レポートで利上げ提案取り下げるとも思えないですし、何なら高圧経済するなら物価上昇リスク高くなるし、実質金利が黙っているとさらに下がってしまうから田村さん的にはより強力に利上げ提案しないと筋が通らんことになる、という訳で、まあその辺りで利上げ逓減路線が頓挫することは無いという話だと思いますけどどうでしょうかね〜。

と言ったところで今朝は勘弁。






2025/10/07

お題「高市総裁の初期反応ですが・・・・・/おや本田悦朗先生の発言が・・・・/総裁大阪会見もまあチキンちゃん」

?????????????
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB063YV0W5A001C2000000/
市場、財政規律派の起用に期待感 10年債利回りの上昇幅小さく
為替・金利
2025年10月6日 19:32 [会員限定記事]

『6日の金融市場で相対的に落ち着いた動きをみせたのが10年債の利回りで、小幅な上昇にとどまった。市場では自民党の高市早苗新総裁が要職に財政規律派を起用し、拡張的な財政政策への一定の歯止めになるとの期待がある。』(上記URL先より)

例によって無課金おじさんだから記事の中身は分からんですけど、高圧経済って連呼している訳だし、連立の枠組み拡大したらやっぱり財政拡張なんですからそんな訳は無いでしょとしか思えないし、何なら財務大臣にT木さんとかもっというならN田さんとかぶっこんでくるジャマイカとしか思えませんけどねえ。知らんけど。


〇超長期が売られる挙句に今日は30年国債入札だが5年とかホイホイ買われる意味はアレかと

例によってロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/7TKMKAZLOVNF3PPJCZ3P4M7BI4-2025-10-06/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反落、長期金利一時1.675% 高市トレードでスティープ化
By ロイター編集
2025年10月6日午後 3:44 GMT+9

まあスティープするのはわかるんですが、

『[東京 6日 ロイター] - <15:20> 国債先物は小反落、長期金利一時1.675% 高市トレードでスティープ化

国債先物中心限月12月限は、前営業日比1銭安の135円90銭と小反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.670%。一時1.675%と17年ぶりの高水準をつける場面もあった。自民党総裁選で高市早苗前経済安保相が勝利したことを受け、短期債が買われた一方で超長期債が売られ、イールドカーブはツイストスティープ化した。』(上記URL先より、以下同様)

ってなもんで、細かい話はかっとばして結論は

『TRADEWEB
     OFFER  BID    前日比 時間
2年   0.886  0.902    -0.04  15:35
5年   1.181  1.195    -0.03  15:35
10年  1.666  1.675    0.011  15:35
20年  2.677  2.695    0.083  15:35
30年  3.27   3.286    0.133  15:35
40年  3.501  3.525    0.144  15:35』

ということで今日30年入札が待っていることも影響しているんでしょうけれども、超長期はまあ甘くなるというのは良いんですけど、2年は兎も角(2年も正直意味不明)5年がそんなに買われて良かったんでしたっけというのはアタクシ的には思うのよ。あ、ちなみに短国3Mは2毛強くらいだったと思いますが、まあ元が0.50%水準なのでそんなもんかもしれませんね(3Mなので当然ながら1月の頭の足)。

だって皆様ご案内の通りで為替ちゃんは円は飛ぶ飛ぶでドル円もアレだが対ユーロとかもエライコッチャ(夕方にフランス新内閣が飛んだので少し戻しましたが)になっていまして、そのうえ高圧経済やりまっせ、と言ってるんですからそらもう物価がそう簡単に落ち着いてくれる訳は無くて、円安圧力はかかりやすいし財政出して結局物価を押し上げるという話になるのですから、そうなった場合に0.5%とかいう今の政策金利がこの世のものとは思えない低さなのは必定だし、ターミナル1%とか寝言言ってる場合じゃない局面がしばらくしたら訪れるリスクはビンビンに高まっている、という事だと思うんですよね。

ですから、まあ10月利上げか12月利上げか、で盛大に影響のある3M(ただし元々3Mは10月利上げ即死レートだったので2毛強にしかなっていない)短国は分かりますけれども、2年とか5年のスパンで考えた場合、短期政策金利のパスって普通に考えたら上方シフトしませんかねえと思うのですが、まあ昨日の初期反応はフラットニングポジションの巻き戻しって奴でしょうからそういう動きもするわとは思うけど、2年ならまだしも5年がつよつよというのはさすがに何じゃそらと思いました、あくまでも個人の感想ですけれども。


〇コストプッシュだから対処しなくて良いというのは最早世界の中銀からは言われないんですが・・・・・

そういやこんなのがありましたが。

https://news.yahoo.co.jp/articles/140a73289204adacc3a6c1c3a0d7417232f57cb4
日銀の早期利上げ観測後退 高市総裁誕生で正常化進めにくく? 円安で物価高助長の懸念も
10/6(月) 21:24配信

『日銀の利上げに慎重とされる自民党の高市早苗新総裁の首相就任が濃厚となる中、金融市場では日銀の早期利上げ観測が急速に後退つつある。円安が進行する一方で「責任ある積極財政」を掲げる高市氏がばらまきへと突き進めば、物価高を助長することになりかねない。金融政策の正常化を進める日銀との政策の方向性の違いが、国民生活に混乱を招くという懸念も出ている。』(上記URL先より、以下同様)

ということで何気に産経とか読売とかの高市先生大歓迎モードと思われる皆様ですらさすがに昨日のドル円150円に多少ビビっているのか、「高圧経済アプローチが円安物価高を招く懸念」について言及しているのが味わいがあったのが昨日のアタクシの印象です。

でまあこの記事にありますが、

『「コストプッシュ型のインフレを放置して、もうデフレではなくなったと安心するのは早い」

高市氏が4日の記者会見で日銀の利上げを牽制(けんせい)するような発言をしたことから、29〜30日の金融政策決定会合での利上げ再開を見込んでいた市場では巻き戻しが起こり、運用面の魅力が高まりそうにない円を売ってドルを買う動きが強まった。』

などと言っている訳ですが、弊駄文では何度もご紹介していますように、今年は主要中銀でストラテジーレビューが行われて金融政策運営のストラテジー(ゴールではない)の見直しが行われた訳ですが、その説明の中でECBにしてもFRBにしても、コストプッシュに関しても(特にECBのラガルドは)「過去のグレートモデレーションの時代と異なり、価格ショックが持続的なインフレにつながるリスクが強まっている」という説明をしていまして、コストプッシュだから放置して良いとかいう話ではなく、あくまでも価格上昇の持続性とか、セカンドラウンドエフェクトとか、インフレーションエクスペクテーションへの影響とか、そういう点を重視して必要であれば供給要因起因の価格ショックであっても対応しないといけない、というのが今や世界の中銀業界のコモンセンスとなっている訳ですな。

然るに、日銀の場合はとにかく利上げをゆっくりやりたい、というために黒田末期以降数々の屁理屈を繰り出してきた訳でして、この「コストプッシュだから対処しなくて良い」というのもその一つでして、そういう小細工で変な屁理屈を出すもんだからこうやって政治家に理屈が悪用されてしまう訳で、とにかく変な屁理屈を出してごまかしながら正当化する、という悪い癖を日銀は止めるべきだし、過去の変な屁理屈に関しては「経済構造がデフレ的では無くなったから」とかいう美名をつけていいから、有耶無耶のうちに無かったことにするんじゃなくて、ちゃんと説明して「あれはデフレ時の理屈でインフレ―ショナリーに経済構想が転換した現時点ではこの理屈は有効ではない」ってちゃんと言わないと、インフレ―ショナリーになっているのに「コストプッシュ型のインフレはインフレに非ず」みたいなことを言い出すアホウが出てくる(じゃあ第一次石油ショックは何でしたっけという話ですわな)ことになるので、その場しのぎの屁理屈を繰り出すという日銀のスタンスは罪が深いわ、と思う訳ですよ。

ちなみに「賃金と物価の”好”循環」もまるで同じでして、好循環とかいうもんだからいつまでたっても賃金上げるのを何とかするためにとか言って、今回だって(やるかやらんかわからんけど)赤字企業に財政支出しかねないような勢いの話が出てきたり出てこなかったりする訳で、いやそうじゃねえだろとなってしまうのですが、そもそもこれも利上げ先送りのその場しのぎで屁理屈シリーズ、「賃金と物価の好循環はアリマース」を唱えたもんだから好循環とか言う幻想を追いかけて財政出す出すとかいう話になってしまっている訳で、この手の「日銀が目先の利上げを先送りするために繰り出したトンデモ屁理屈」が色々と弊害を発生させているなあとしか思えませんので、まったくもって罪万死に値すると思いました(個人の偏見です)。

しかしまあ何ですな、高市さん大好き産経新聞ですら上記の部分の続きに、

『だが、過度な円安が進めば、輸入コストが上昇し、国内物価の上昇を助長することになる。高市氏が積極財政を打ち出していることも需要の刺激を通じて、物価をさらに押し上げる
ことになる。』

って有るわけで、さすがに物価高が問題になっている中で高圧経済やるのはどうなのか、という話自体はあるのかな、と思っていましたら・・・・・・・・


〇本田悦朗大先生がまさかの12月利上げ論と思ったらさすがに円安はマズイという話なのね

昨晩こんなのが出ました
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-06/T3PBFPGOYMTG00
高市ブレーンの本田元内閣参与、日銀は10月利上げ困難−12月の可能性
藤岡徹、伊藤純夫
2025年10月6日 21:00 JST 更新日時 2025年10月6日 21:26 JST

え?????12月の可能性???????と思ったらですねえ

→経済状況が大きく悪化しない限り、0.75%へ利上げしても問題はない
→1ドル=150円超は「行き過ぎ」、過度な円安で物価高止まりの懸念

えええええええええええええ!!!!!お前らって「円安の何が悪いんだ」じゃなかったのかよ、という話ですがそれこそ置物残滓だったはずの野口審議委員が先般の札幌講演で急に真人間になられた(ちなみにあの講演リードのところだけしかネタにしていませんが本文も味わいがある部分が有るのでネタが渋滞しているので遅れていますがそのうちネタにします)という事案につきまして弊駄文でご紹介しましたが、もしかして本田先生まで急にまともな話をおっぱじめたのかよ。というお話なんですがまあ記事を拝読拝読。

『高市早苗自民党総裁の経済ブレーンの1人である本田悦朗元内閣官房参与は、日銀の利上げ時期に関して、今月の金融政策決定会合は難しいとする一方、12月会合の可能性はあるとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

えええええええええええええええええ!!!!!12月アリなのかよおおおおおおおおおお!!!!!

・・・・・まあ何ですな、高圧経済音頭でタコ踊りしている間にドル円が160円を軽く突破して170円180円とかになって来てどうしようもなくなって12月に利上げに追い込まれる、というパスでの利上げはアリエール(なんならそれ10月末に来たらもっと香ばしい)というパスでの「追い込まれ利上げ」のルートは考えていたのですが、まさかの本田悦朗大先生から10月はさすがに早いが12月はアリ、という見解が出るとは、という感じではあります。

『本田氏は6日のインタビューで、日銀の利上げついて高市氏が慎重に進めてほしいと考えており「いつならいいとか、今はだめだとか言うことはない」と指摘。その上で、10月中旬ごろとみられている首相就任から間もない29、30日の会合で利上げに踏み切るのは、「さすがに難しい」と語った。』

からの、

『一方で、今後経済状況が大きく悪化しない限り、現在の0.5%程度の政策金利を0.75%程度に引き上げても問題は生じないとみている。「マクロ経済環境によるが、今のような環境であれば0.25%上げても問題ない。仮に12月にやるとしても、米国は心配だが、そんなに混乱しなければ大丈夫だろう」と述べた。』

ということで、まあリードのところにありますように、高圧経済やって円安ぶっ飛んだら圧力釜が壊れて大爆発して台所が大惨事になりまっせ、というのはさすがに認識しておられる、というのが背景にあるのかな、とおもいましたし、これが「現実路線メローニ化」への過程の兆候ならばそれはそれで結構なお話ではあるのですが。

『昨年に出版された高市氏の著書「国力研究」で経済分野の執筆を担当した本田氏の発言は、積極的な財政政策と金融政策で経済成長を目指す高市氏の下でも、将来的な利上げは排除されないことを示唆している。それでも、市場が従来想定していた早期利上げは後ずれを余儀なくされそうだ。』

あーすいませんBBGさん、12月利上げOKならむしろ「昨日の時点での」市場の利上げ見通しが前倒しになると思いますよwwwwwwwwwwwww

でまあ為替ちゃんの方ですが、

『本田氏によると、円安進行が日銀の利上げの判断を複雑化させる可能性がある。円安は一般論として日本経済のサポート要因になるとしつつも、過度な進行は物価を高止まりさせてしまうとし、円安が「150円を超えたら、やや行き過ぎだろう」との認識を示した。本田氏の発言を受けて、円は下落幅を縮小し、対ドルで一時149円80銭台まで戻した。記事配信前には150円台前半で推移していた。』

ということで、じゃあお前ら160円の時に何で利上げしろって言わなかったんだよという気もしますが、まああの時対比で今の方が物価高の長期化によって弊害が高まっている、という状況でもありまして、だから石破政権吹っ飛んでしまった訳なので。円安のプロコン比較をした場合に、過去よりも問題が大きくなっている状況に変化したのでこれ以上の円安は容認しにくい、という話でまあ理屈自体は通らんでもないな、とか何とかヘリクツ日銀につきあっているとヘリクツ製造スキルは上がりますなあ(何の役にも立たないし何なら後で自分の首を締めるだけのスキルだがwww)と思うのでした。

まあ高圧経済とか言いながらも円安はアカンというのは虫の良すぎる話なので、この折り合いをどうさばいていくのかを生温く見守っていくわけですが、その点で財務大臣人事にあんな人やそんな人をぶっこんでくると大変に香ばしい事に成り兼ねません、ということで首班指名が来週とのことなのでまあドキドキの展開は続くかなという所で。


〇大阪講演での総裁記者会見だが講演よりはましだがやっぱりハトハトチキンというか優柔不断というか

昨日は支店長会議もあったわけですが、10月利上げが(この後為替は飛ぶ飛ぶドームの風でとなって追い込まれる場合を除き)かなり消えましたとなってしまったので、次は12月短観直後になるはずの12月会合、すなわち12月短観見ますか、って話になると思うのでややウェイト低下、ということで明日に回します(時間の関係で)。

ということで大阪での会見ですが、講演テキストはハトハトというかチキンエキス満載でもう鶏ガラスープの素かよという世界ではありましたが・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251006a.pdf
総裁記者会見
――2025年10月3日(金)午後2時から約30分
於 大阪市


・不確実性の度合いの変化と「点検はいつまでやるの」に関して

冒頭の(たぶん)幹事社質問はオープニングリマークみたいなもんなので割愛しまして(本当はこのオープニングリマークをもうちょっと工夫する余地は無いのか(他中銀みたいに)とは思うのですよ、今の方式だとイマイチ(金懇や地方講演だとご当地経済の話があるのでそっちは良いんですけど)だなと・・・)、その次の質疑から参ります。

『(問)二点お願いします。一点目が不確実性のことで、4 月には不確実性はきわめて高い、7 月の関税日米合意後も不確実性は引き続き高いと発言されていましたが、今日はそういった発言がなかったようにも思いましたが、今も不確実性は高い状況なのでしょうか、というのが一点目です。』

仰せの通り。

『二点目がですね、チェックポイントの一つの米国経済の動向ですが、その雇用情勢や遅れている関税の転嫁、金融政策の行方など、この 1 か月で見通せるとも思えないのですが、この引き続き注視や当面は点検というのは、どこまで時間をかけるのでしょうか。少なくとも数か月はかかる認識なのでしょうか。考え方も含めて教えてください。』

そりゃツッコみますよね。植田さんの回答ですが、

『(答)不確実性、特に通商政策周りの不確実性の推移のようなものですけれども、4 月の時点ですと、関税の水準で言うと、どこまで行ってしまうか分からないというような種類の不確実性まであったように思います。それが 7 月あるいは 8 月、9 月の動きの中で、日本周りであれば、例えば、概ね 15%ということで、おそらく当面は決着したということですので、そこは不確実性は低下したということだと思います。』

とは言ったものの、

『ただし、例えば 15%の関税率、他の国には、大体似たような水準あるいは少し違った水準で、関税率が大体決まっているわけですが、これがアメリカ経済、そして世界経済にどういう影響を及ぼしていくのか、その中で日本経済がどういう影響を受けるのか、この点に関する不確実性は依然としてかなり大きなものが残っているというふうに判断しています。』

どう見てもハトハトチキン音頭です本当にありがとうございました。

『そのうえで、こうした不確実性のもとでどれくらい情報を見極めることが、例えば、ご質問はおそらく次の政策判断に必要なのか、ということだと思うのですけれども、それは申し上げるまでもなく、全てのハードデータがどういうふうに出るかということを全て把握してからということですと、すごい先になるということは明らかですので、』

でまあそのハトハトチキン音頭をここで中和しているのですが、そう思うんだったら初手でその前段で引用したような説明をするんじゃなくて、「もちろん色々な不確実性はあると思いますが、先行きの経済への悪影響の程度については色々なデータで確認しながらフォワードルッキングに判断していく」というような感じでフォワードルッキングな判断をする、って言えばいいのにとおもうのですよね。一々この引用の前段部分のようにバックワードルッキングして石橋を叩いても渡らないみたいな言い方をするからハトハトチキンな訳ですが、まあそのハトハトチキンというか優柔不断なのは植田さんの仕様なんでしょうかねえ、コマッタモンダ。

『私どもの政策判断に必要な程度の見極めができるところまでということになるかと思います。その判断材料としては、ハードデータもありますし、ヒアリング情報もありますし、様々な人のマクロ経済に対する見方のヒアリングもあります、ということになるかと思います。』

だそうなのですが、結局途中に物凄いハトハトチキンの表現をしているのがまあ植田さんの本音ですかそうですか、ってな話になってしまうんですよね。モチのロンですがこの総裁発言も「全てのハードデータがどういうふうに出るかということを全て把握してからということですと、すごい先になるということは明らかですので」云々を採り上げればそんなに判断遅く成らんよね、とは言えるのですけれども、まあここを読むと全然こうやる気を感じさせてはくれませんなというお話。


・おちんぎんについての見極めは案の定「情報が足りません」ですしおすし

次の質問が賃金。

『(問)賃金動向についての質問です。賃金動向についても、このチェックポイントに挙げられているところですけれども、今日の講演内容をみますと、先行き、海外経済や通商政策等を巡る不透明感が高い状況が続くような場合には、物価上昇を賃金に反映させる動きは弱まる可能性があるというようなことを指摘されています。』

まあそもそも論として「賃金動向」を判断材料のファクターに加えた時点でそれは来年まで待てという話になるので、講演で賃金動向ダイジダイジネーを前面に出すと10月利上げする理由が無くなってしまうんですよね。

『今日の話し合いも踏まえまして、現時点で今後の賃金動向どうなっていくとご覧になっているか、あるいは、この差し当たり 10 月会合までにそうした判断が、来春闘含めですね、なかなか難しいのかなというふうにも思うんですけれども、どのような判断ができるのか、そういったことについて教えてください。』

質問する方も「なかなか難しいのかなというふうにも思うんですけれども」って言ってますけど案の定の回答です。

『(答)今年の賃金動向について、ここのところ、ここ数週間とか 1、2 か月で強いネガティブな情報が入ってきたということではありません。そのうえで来年の賃金動向についてどうかということになりますと、講演でも申し上げたように、例えばアメリカ経済が今後どういう経路を辿るか、それが日本経済、日本企業の収益にどういう影響を与えるかということにも大きく依存しますので、そこについての情報はまだ少し不足しているというふうにみております。』

ちなみにベンダーのニュースヘッドラインで見ただけですが、昨日の支店長会議に関連して大阪支店長の会見があったようで、大阪支店長も早速「情報は不足してますな」という話をしてたように見えました。


・政策ビハインドのリスクは・・・・・・うーむこの温度の低さ

次の質問は政策ビハインドのリスク。

『(問)今年の秋も食料品などの値上げの動きが広がっています。物価が上振れするリスクについて総裁はどのようにお考えでしょうか。それと併せて、ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクについて、以前はそれほど大きくないとおっしゃっていましたが、その考えに今も変わりはないのか、その辺りについてお願いします。』

そらそうよ。

『(答)食料品価格については、私どもの中心的な見通しとしましては、そもそもここまでの上昇が、一時的な供給要因によるものであるというふうにみていますので、既に少し下がり始めた動きが、今後も基本的には継続するというふうにみております。』

下がり始めた、って表現ですが、そんなに水準が下がっているのか問題というのが有るわけで、あんまり下がる下がるって連呼しない方が良いんじゃないですかとは思うのですけど。下がるのは上昇率であってべつに食料品価格がここから5%下がるとかそういう威勢の良い話が有るわけないんですから。

『ただし、インフレ率が下がっていくペースについては、ある程度不確実性があるということでございます。そのうえで、こうした食料品価格のインフレが減速していくペースが、まず基調的な見通しとしては減速していって、ちょっと表現があれですが、基調的なインフレには大きな影響を与えないという見通しでございます。』

と、この辺から「インフレ率が下がっていく」と軌道修正していて、

『ただし、リスクとして減速のペースが想定よりも緩やかになるときに、何らかのメカニズムを通じて基調的インフレ率を少し押し上げるという方向に働くケースも排除できないですし、逆に、いったんは長続きするということは前提になりますが、それが消費マインドに下押し圧力を加えて、需要サイドから消費が弱含み、それが基調を少し弱めてしまうというリスクもあるかもしれません。』

ここでやっと「減速」と言い換えているので、もしかしたらこれ(ライブ見てないから知らんけど)質疑応答の途中でこっそりメモでも入ったのかと思ってしまう位に最初の表現と違っているのが味わいがありますが、まあとにかく物価水準が別にここから下がるわけではないのだから「下がる」って表現を日銀は使わない方が良いと思うんですよね。

でまあそんな話はさておきまして、続きですが、

『その中で、ビハインド・ザ・カーブになる可能性は、ということですが、これは今申し上げたケースの中では、食料品価格のディスインフレのペースが遅くて、それが何らかの理由で基調、あるいはインフレ期待、中長期のインフレ期待を押し上げるという効果を持つというケースですけれども、今のところはその可能性は高いとはみていませんが、』

(ノ∀`)アチャー

『もしそういうふうになれば注意を要する現象ですので、引き続きよくデータを見ていきたい、あるいは分析をしていきたい、というふうに思っております。』

「もしそういうふうになれば」というこの温度の低さよ・・・・・・・


関連してちょっと先に9月会合の利上げ提案がらみの質問があって、

『(問)これまでのところ、9 月の決定会合で 2 人の審議委員が利上げを提案して、その後、野口委員(注)も利上げのタイミングについてかつてなく近づいているのではと発言されました。主な意見でも、物価の上振れリスクについての指摘が多かったんですが、今日の総裁の講演を拝読すると、やはり米経済のリスクおよび関税が日本経済にもたらすリスクと、全体的に経済の下振れリスクをより重点を置いて説明されているように感じました。』

なのでハトハトチキン音頭ということでしたわな。全く仰せの通り。

『ここから経済の下振れリスクと、物価が上振れるリスク、どちらが政策判断上、今大きいとご覧になってるのか、やはり経済を慎重に見極めてから利上げしないと、早過ぎる利上げのコストが大きいと、そちらをより重視されているのか、そのバランスについて教えてください。』

さてこの回答ですが、

『(答)バランスと申しますか、重要そうなリスクを様々にみたうえで、最終的には物価の見通しにそれらが影響するかどうか、そしてその見通しの周りのリスクがどういうものであるか、という判断につなげるということだと思います。経済のリスクについて、余計なことかもしれませんけれども、アメリカ経済をみますと、ここまでのデータを見る限り、労働市場以外は割と堅調に推移しているということかと思います。従って、いろんな機関の標準的な見通しをアメリカ経済が上振れて着地する、期間は難しいですけれども、というリスクもゼロではないかと思います。そういうことも含めて様々なリスクを点検していきたいと思います。』

物価のリスクの話をしないのがもうその時点でやる気ないですしおすし。


・これは笑ったんですけど

『(問)米国の経済状況についてお尋ねしますけれども、現在米国ではですね、一部の政府機関が閉鎖されておりまして、今日予定されております、9 月の雇用統計の発表も延期されるということが確実な状況になっています。こうした現在の米国の情勢がですね、日銀の利上げ時期の判断を遅らせてしまうというようなリスクについてはどのようにお考えでしょうか。』

に対する開口一番がもうハトハトチキン音頭全開でして、

『(答)特に米国経済のデータが公表される時期が遅れてしまうということについては、なかなか深刻な問題だなというふうに思っています。』

は??????別に未来永劫でない訳じゃないし、データ以外にも色々と調べられるでしょうし、そのためにNYの支店とワシントンの駐在員事務所があるんじゃないの?????と思うのですが、初手でいきなり「深刻」とか言っちゃう辺りがもうチキン全開なんだよな〜。

まあその後一応、

『私どもの対応としては、なるべく早く再開されるということを願うとともに、周辺のデータ、例えば雇用統計ですと、雇用統計そのものでなくても同種のデータがいくつかございますので、そこからある程度類推するという作業とか、あるいは今月後半にワシントンで[世銀・]IMF[年次]総会が開かれますが、そういう場所で、現地の政策担当者あるいは金融機関の方々とお会いして、生の情報を手に入れ、それも追加的な材料として判断していくというような作業を続けていきたいというふうに思っております。』

とはフォローしているのですが、だったら初手で「深刻な問題」とか言うなよという話で、出てこないという不便さはあるけれども、以下云々のように別の方法でも状況は把握できます、って説明すりゃいいだけの話な訳で、殊更に「深刻な問題」とか言ってしまうあたりが「利上げ先送りをする言い訳が有ればバンバンフレームアップして優柔不断モードになりましょう」という植田さんのハトハトチキンの心象風景を活写しているなあと思いました、まる。











2025/10/06

お題「高市さんはメローニになるかトラスになるかお楽しみ/植田総裁大阪講演はハトハトチキン音頭全開でしたな」

ありゃま高市総裁。

〇とりあえずはお手並みを拝見したいですがメローニになるかトラスになるかお楽しみということで

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0371W0T01C25A0000000/
高市氏「積極財政」鮮明 赤字企業の賃上げ支援、金融政策「政府に責任」
高市早苗・自民党新総裁
2025年10月5日 2:00 [会員限定記事]

『自民党の高市早苗新総裁は4日の記者会見で「積極財政」を鮮明にした。早期のガソリン減税にくわえ、赤字企業の賃上げを支援すると打ち出した。日銀の金融政策を巡り「責任を持つのは政府だ」と語り、緊密な対話を迫った。』

『党総裁選で「責任ある積極財政」を公約した。4日の記者会見でもガソリン税の旧暫定税率の早期廃止を訴えた。1リットルあたり25円ほどを上乗せしている。地方自治体が物価高対策に使う交付金の積み増し...』(上記URL先より、以下会員記事)

ということで相変わらず「金融政策は政府が行う」という話を堂々としているし、赤字企業の賃上げ支援っていやそうじゃなくて「物価が上がる普通の経済」で賃金引き上げの出来ないような企業はご退場頂くことによって資源の適正配分が進むんじゃろ、というツッコミになってしまいますので、まあ特に経済政策に関して(他の政策もそうだけど)高市大先生の取り巻きのゴミを積極登用しだすかどうか、というのが岐路になろうかという所でございますな。

しかしインフレで困っているという状況で高圧経済マジでぶっこんでいただきますと、まあとてもチャーミングなことになりそうな気しかしませんので、いったんこれは日銀が利上げできないということにはなるでしょうけれども、どうせ円安になって何とかしなければいけなくなるので本当の意味での引き締め(いまみたいな利上げは引き締めでも何でもありません)が見れるかと思うと胸がドキドキしますね(心房細動ではない)。

まあなんですな、急に高市大先生がメローニ状態になって現実路線になれば、という期待はカシュカリ大僧正の頭髪程度の期待はしておりますが、ジャパニーズトラスショックとか起きて高圧経済もろとも爆発していただきまして、例のゴミみたいな取り巻きの経済ブレーン連中ともども二度と取り上げられなくなることになれば、そりゃまあそれはそれで長期的には災い転じて福となす(なお福となすためのコストは知らん)ということにもなって頂きますと幸いですが、あくまでもメローニになって頂く方を期待していますので念のため申し添えます(^^)。

ああそれから進次郎、おまえは10年雑巾がけをやって出直してこいというか、大臣やってやったことが大体碌なもんじゃないというのは多分お前根本から物事の考えがまちごうとるとしか言いようが無いので(特に今回の農相としての施策で日本農業新聞にボロクソ言われているとかもうねという感じで)、10年じっくりと実務をやってから出直したってまだまだ先はあるんだから総裁選とか当分出てこなくて良いわということでwwwwwwww



〇ということなので10月利上げが微妙になる所ですがここで植田総裁の大阪講演を確認しましょう

なお大阪講演ではご案内のように円安モードになっておったのでお分かりのようにハトハトチキンでしたが・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251003a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 大阪経済4団体共催懇談会における挨拶 ──
日本銀行総裁 植田 和男

・珍しく今回のテキストは半角英数が認識されます

というクソどうでもいい事を指摘しておきたいのですが、最近の金懇挨拶とか講演のPDF版って半角英数をテキスト認識してくれない、という謎の仕様になっていて、引用するときにしゃあなしで補記しているという困ったちゃんなのですが、今回のは何故か補記不要となっていまして(そもそも半角英数成分が少ないというのもあるけど)大変助かりました。

でまあそれはそれで良いのですが、この「半角英数テキスト認識」の有無ってどうせこれ講演テキストを作っているエディターの問題だと思うのですが、茲許の野口さんや田村さんの講演や金懇では半角英数認識しないバージョンだったのですが、総裁のこれは認識するバージョン(ちなみに総裁記者会見のPDFは認識「する」バージョンです)になっている、という辺りは何か考察(妄想)ができそうな気がします笑。

・まあハトハトチキンというかチキンというかですわな

いやまあ結果的にはうっかり10月利上げ決め打ち予告ホームランしなくてセーフだったね(ニッコリ)というお話ではあるのですが、しっかしまあ今回の講演もハトハトチキンともうしますか、要するに単なるチキンさんであるなあ植田さんったらということで、よく言えば慎重なんですけどまあ優柔不断という方がふさわしいんとチャイマスカとは思います次第で、全編普通にハトハトチキンでしたな、でだいたい話は終ってしまうのでありました。

まあアレです、木曜に出ていた「主な意見」を見るとそれなりに高田さん田村さんの利上げ提案に対して議論があり、「利上げの必要は認めるが今じゃない」というようなそれなりに賛同に近い意見も散見された、というような9月決定会合だったのにも関わらず、総裁会見での植田総裁の説明が単に「反対多数で否決されました、以上」だった、という辺りが植田さんの「お気持ち」なんだと思いました。

ということで本編につきまして少々。


・経済の現状の説明文の棒読み感にワロタ

『2.経済・物価情勢』の『(経済の現状と先行き)』ですけれども、まずは経済の現状部分の説明何ですけど・・・・・

『はじめに、経済の現状と先行きについてお話しします。わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復していると判断しています。』

という展望レポートおよび9月会合声明文の認識を踏襲するのはまあ良いんですけど、

『まず、企業部門について、図表1をご覧ください。一昨日公表しました、私どもの短観の結果をみますと、企業の業況感は、日米関税交渉の合意により、先行きの不透明感が後退したとの見方から、製造業の一部で改善し、全体としても良好な水準となっています。』

『図表2をご覧ください。企業収益は、関税政策による輸出採算悪化の影響などが製造業でみられていますが、全体としては既往ピーク並みの高水準が維持されています。右の表で今年度の収益計画をみますと、製造業では、前回調査の6月時点と同程度の 8.6%の減益が予想されています。もっとも、関税政策の影響が相対的に小さい非製造業では、前年並みの収益予想となっており、全体としてみれば、高めの水準が維持される見通しです。』

『図表3をご覧ください。左のグラフの輸出については、本年春先以降、自動車を中心に関税の引き上げに伴う駆け込み輸出とその反動の動きがみられますが、基調としては横ばい圏内の動きが続いています。右のグラフの設備投資は、緩やかな増加傾向が続いており、今年度の設備投資計画をみても、増勢が維持されています。企業の皆様へのヒアリングによれば、デジタル関連投資や人手不足に対応するための省力化・効率化投資など、中長期的な視点で必要な投資は、しっかりと行っていくとの声が多く聞かれています。』

以下続くのですが、もうこの棒読み感(ライブは聞いてないのでこれをどういう感じで説明しているのかは知らんですけど)満載の説明は何なのよというお話ではあります。

でまあその結論ですが、

『このように、米国の関税政策は、わが国の輸出関連企業の収益面にマイナスの影響を及ぼしていますが、これまでのところ、設備投資や雇用・賃金動向を含め、わが国経済全体に波及している様子は窺われません。』

なので何なのかとかそういう判断の説明は一切なしで、

『先行きを展望すると、個人消費は雇用者所得の改善に支えられて底堅く推移するものの、関税政策の影響を受けて海外経済が減速し、輸出や設備投資の下押しに作用することから、わが国経済の成長ペースはいったん鈍化すると考えています。もっとも、その後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率は高まっていくとみています。』

ということでそりゃまあ9月決定会合やったからその公式見解棒読みで何か文句あるかと言われると困りますけれども、結局のところ7月展望の説明と一緒で直近の数値の説明はしているものの、直近の数字が見通しに対してインラインなのか上振れなのか下振れなのかの評価も無し、というやる気のない説明になっておりまして、まあハトハトかどうかは兎も角としてチキンなのはわかりました。


・しかも物価が世の中的に問題になっているのにこっちは直近のアップデートすらないというやる気のなさ

『(物価の現状と先行き)』を見ますとこれがまたアレでして、

『続いて、物価情勢についてお話しします。』

『図表6をご覧ください。生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、足もとで+2%台後半となっています。こうした物価上昇の主因は、米を含む食料品の動きです。水色の棒グラフが物価全体の伸び率に占める食料品価格の寄与度を示していますが、これをみますと、消費者物価上昇の半分以上が食料品価格の上昇に起因しています。食料品価格、とりわけ米価格の上昇は、人々の消費量が突然増えたというよりも、供給サイドの一時的な要因によって生じている面が強いため、これが収まっていけば、消費者物価の押し上げ寄与は次第に低下していくとみています。このため、日本銀行では、7月の展望レポートにおける中心的な見通しとして、生鮮食品を除いた消費者物価の上昇率は、来年度にかけて2%を下回ってくると予想しています。』

7月展望レポート以降の推移についての評価はありませんなあ。

『そのうえで先行きを展望すれば、関税政策などの影響を受けつつも、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率、すなわち食料品などの一時的な変動要因を除いた物価上昇率と現実の物価上昇率はともに高まっていき、展望レポートの見通し期間の後半には、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準に達すると考えています。』

全く7月からアップデートされていない(というか4月展望からアップデートされていない)という話だし、それこそ9月決定会合で高田さん田村さんが「物価」にフォーカスして利上げ提案をしたというのにこの物価の扱いの短さ、という辺りに兎に角植田さんは「経済の下振れリスクガー」状態である、というのが見て取れると思います。


・9月会合の議論を踏まえれば「物価」が重要ポイントになるはずですがそうはならないのがハトハトチキンクオリティ

金曜は真っ先にそこに目が行きました(^^)。『(当面の点検ポイント)』って奴ですが。

『今申し上げた経済・物価の中心的な見通しを巡っては、様々な不確実性が存在します。以下では、当面、わが国の経済・物価情勢を点検するうえで重要と考えられる3つのポイントについて、お話しします。』

そしてその一発目は高田さんや田村さんが指摘する物価情勢ではなくて・・・・・・・

『第1に、海外経済の動向です。海外経済については、各国の通商政策等の影響を受けていったん減速するものの、その後は緩やかな成長経路に復していくと日本銀行はみています。しかし、こうした見通しは、主要国の経済や政策の動向、とりわけ米国経済の今後の展開によって大きく変わる可能性があります。』

はいはい米国経済ガー米国経済ガーということですが、もはやめんどくさいのでその中身はパスします。途中を割愛しまして、

『第2のポイントは、関税政策が、わが国企業の収益や賃金・価格設定行動にどのような影響を及ぼすか、という点です。15%という関税率が決まったことは、関税政策を巡る不確実性の低下に繋がります。そうした関税率を前提とした各企業の新たな経営戦略は、今後、明らかになってくると考えています。』

これを言い出すとまあ年末までは様子見をしますよ、って話になるのですがまあこの中身の方も一応拝読しますとですね、

『今回の短観の結果をみる限り、関税の影響が相対的に小さい非製造業については、全体として、高水準の収益が維持される可能性が高いと思われます。一方、輸出ウエイトの大きい自動車などでは、冒頭申し上げたように、今年度の収益計画は、相応の減益見通しとなっています。』

ゆうて自動車って短観の現状DIって前回から見たらどちゃくそ確りしているんですけどね。

『こうした業種を含め、これまでに蓄積された高水準の企業収益がある程度バッファーになると見込まれるため、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは、基本的に、今後も維持されると考えられます。』

と言ってますが、

『しかしながら、先行き、海外経済や各国の通商政策等を巡る不透明感が高い状況が続くような場合には、企業におけるコスト削減の動きが強まったり、物価上昇を賃金に反映させる動きが弱まる可能性があります。日本銀行としては、今後、こうしたリスクが顕現化してくることがないか、本支店を通じて、企業の皆様の声をきめ細かく確認していきたいと考えています。本日もこの後、皆様の見方をお伺いできれば幸いです。』

どう見てもハトハトチキンです本当にありがとうございました。


でもってやっと3番目に物価の話が来るのですが、この物価の話もですねえ・・・・・

『第3の点検ポイントは、食料品価格の動向です。』

物価の上振れリスクとか、コストプッシュの二次的波及とか、インフレ期待の変化とか、そういう話ではなくて「食料品価格動向」というミクロの話をしている時点で物価上振れリスクの話を小さなスケールに閉じ込めているのがもうねという感じです。

『現在の価格上昇は、基本的に一時的な要因による部分が大きいとみていますが、最近では、人件費や物流費を食料品の販売価格に転嫁する動きも相応に影響しているという指摘もあり、企業の賃金・価格設定行動次第では、価格上昇が想定以上に長引く可能性もあります。反対に、食料品価格上昇の長期化が、家計のコンフィデンス悪化に繋がれば、その分、個人消費が下押しされ、物価上昇率を押し下げる方向に作用する可能性にも、今後、注意していく必要があります。』

とまあそういう話で二次的波及効果の話っぽい表現が無いわけでもないのですが、ただまあ明示的にそういう上振れリスクを想起させるような書き方はしていない、という所がもうねという感じでして、再三再四申し上げているように、高田さんと田村さんは「物価」にフォーカスして利上げを提案していたというのに何ですかこの扱いはということでやっぱりハトハトチキン音頭でありました、というお話。


・金融政策に関してはハトハト音頭にも程が有るわけで

『3.日本銀行の金融政策運営』ってのがありますがこれまたやる気無し無しモードでして、

『続いて、日本銀行の金融政策運営についてお話しします。』

『米国の関税政策導入が公表された4月を境に、内外経済を取り巻く環境は大きく変わりました。』

のっけからこのハトハト音頭。

『関税政策は、米国自身の労働市場や物価情勢を含めて世界経済に不確実性をもたらし、15%というこれまでにない高い関税は、わが国経済の下押し要因として作用することになります。』

は〜〜あハトハト♪

『こうした点を踏まえると、まずは、緩和的な金融環境を維持し、経済活動をしっかりと支えていくことが大切です。』

そもそも緩和のし過ぎの金融環境が本当に経済に(中長期的な意味で)プラスなのかということを考えてほしいもんですが。

『このため、日本銀行は先月の金融政策決定会合において、0.5%の政策金利を据え置きました。』

ということで、利上げ提案があって、しかもそれに対して「利上げに対して理解を示す」議論も行われた筈なのですが、すっかりそういうのはスルーして説明しているのがハトハト音頭。

『先行きの金融政策運営については、図表8でお示ししている通り、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、これまでご説明したような経済・物価の中心的な見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』

7−9の実績がインラインだったのかどうかの説明一切スルーして言われましても空しく響くだけですなあ。

『経済・物価情勢が改善しているかどうかについては、当面は、先ほどお話ししたいくつかのポイント、すなわち、米国を始めとする世界経済の動向、関税政策がわが国企業の収益や賃金・価格設定行動に与える影響、食料品価格を含めた物価動向などを点検していくことになります。』

ということだそうですが、じゃあこれらのポイントの今の時点での走りは何のよというのも無いわけで、要するに利上げを先送りするために理屈捏ねているだけということですわ(溜息)。

『日本銀行としては、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度や、上振れ・下振れ双方向のリスクを丹念に点検し、予断を持たずに、適切に政策を判断していく方針です。』

最後にバランスシートの話があるのだが話にならんので割愛。


・・・・・・ということでまあ想定通りですがハトハトチキンでしたけど、自民党総裁が高市さんになったんでこりゃまたチキンの上塗りになりそうな悪寒しかしないのですが、まあゆうて高圧経済タコ踊りをしているうちに円は飛ぶ飛ぶ炎と燃えて、となって結局利上げに追い込まれることになると思いますし、そうなると利上げの時も今までのハトハト音頭じゃなくて威勢よくいかないと行けなくなると思うんですけどね(個人の感想です)。でもって高市さんが急にメローニとなってしまえばやっぱり利上げ待ったなし(物価上振れですから)となるし、ってなところじゃないのかねえとは勝手に思うのですが(モチのロンだがパスによって長期金利は大きく話が違ってくるので政策金利の話ですよ為念)。







2025/10/03

お題「昨日の内田さんと今日の植田さんは公式見解棒読みコースの筈ですが/MMF復活がどうのこうのの件(メモ)」

まあとりあえず週末の自民党総裁選待ちですよね〜〜

〇内田副総裁の証券大会挨拶はいつもどおり何の材料にもなりませんでした(メモ)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251002a.pdf
令和7年全国証券大会における挨拶
日本銀行副総裁 内田 眞一

こちらは投資の日とかいう牛のキャラクターの日の当日あるいは近所に実施している奴なので毎年下半期の期初に実施されて、通り一遍の挨拶しかしないのが仕様なので本来これは材料にするものではないんですよね。

しかしながら、今年の1月の15日と16日に植田総裁が地方銀行協会と第二地方銀行協会の新年の賀詞交歓会みたいな会合で連日にわたって利上げの地均し発言みたいなの(「来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうかについて議論し、判断したいと思う」という発言をしたと当時の報道にありますわな)をした、という余計な事案がありまして(しかもこの賀詞交歓会みたいな新年あいさつは特に日銀HPに出すような原稿ものではなかった)、そういうイレギュラーな事やられると、今回のウッチーのだって何か言い出すんじゃなかろうか、とまあ思っちゃうじゃないですか。

(ちなみにこの時はその前の1/14に氷見野副総裁の横浜金懇での突撃講演があって12月にハトハトチキン会見で一気に遠ざかった利上げ観測を一気に引き寄せるというジャガーチェンジコミュニケーションが炸裂していた訳でございますので紙に出たものの方が先行していて植田さんはそれをリコンファームした、という感じです)

てな訳ですので、まあガチのガチで10月利上げ決め打ちでエイヤーとしたいのであればここで何か言う可能性も無くは無い、という発想になってしまう訳ですが、ご安心ください今回も特になにもありませんでした。

ということで金融政策に関する説明部分ですが、

『続いて、金融政策運営についてお話しします。日本銀行としては、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、先ほど申し上げた経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していく方針です。』

ということで、まあ予定通りの公式見解棒読みモードになっておりまして、ここでなにか新しいのは出てこない、という結果でした。一応メモだけという感じですが。


〇本日の植田総裁の講演は注目したいところですがこれまたなんも出せないし何ならチキンかと

https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定

3日(金)
8:50    ○  ●  日銀当座預金増減要因(10月見込み)
10:05   ○  ●  【挨拶】植田総裁(大阪)
14:00   ○  ●  需給ギャップと潜在成長率

ということで、総裁講演は朝の10時5分に講演原稿が解禁されるようですのでその時間に注目、といいたいのですが、さすがに明日自民党総裁選挙があるので今回仮に不測の事態が無ければ10月利上げ、と腹を括っていたとしても、自民党総裁選挙が不測の事態になるかもしれませんので、とりあえず昨日のウッチーのトーンで逃げてくるとは思います。

ただ困るのはその後記者会見も予定されていて、昨年ですと会見をブルームバーグさんとかが実況放送していたと思いますが、こちらで植田さんが要らんことを言ったり必要なことを言わなかったりするというリスクがありまして、まあどっちにしましてもハトハトチキン方向で発言が出てくるんじゃネーノとしか思えないのが何んともかんとも。

・・・・・と申しますのはですね、この前のMPM後の記者会見ってあったじゃないですか

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250922a.pdf
総裁記者会見
――2025年9月19日(金)午後3時30分から約65分

『(問)私からも二問お伺いします。一つはですね、今日二人の政策委員から利上げの提案があったことについてです。0.75%程度に上げるよう議案が提出されたということですが、この議案を巡る議論について、もう少しご説明を頂ければと思います。次回会合での取り扱い等についても、どういう議論があったかとか、そういったところについてもお伺いできればと思います。(後半割愛)』

に対する回答って、

『(答)前段ですけれども、詳しいことは議事要旨をご覧頂くしかないと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、高田委員は、物価が上がらないノルムは転換して、物価安定目標の実現が概ね達成されたという理由で提案されましたし、田村委員は、提案はやはり 0.75%ですが、理由としては、物価の上振れリスクが膨らんでいるということに着目され、中立金利にもう少し近づけるためということで提案されました。これらの提案に対して他の委員は反対されましたので、必ずしもそれぞれが提案された理由に、完全には同意されなかったということになるかと思います。(後半割愛)』

って回答でして、なんか物凄いあっさりと否決されたような説明をしていたんですけれども、ご案内のように、後日出てきた「主な意見」ではこの利上げの是非についてはちゃんと議論しているし、「利上げの必要性は認めるけど今のタイミングではない」というような意見も主な意見の中に出ていた、ということを勘案しますと、本来ここの回答ってもっと「利上げ提案に関しての議論を経た結果として今回は反対多数で否決されました」というような言い方をして「ちゃんと議論はしていたんですよ一蹴されたわけではないですよ」って言い方をして然るべきだったんですよね。

然るに、植田さんの会見の説明は上記にあるようにあっさり味(会見一応途中まではリアタイ視聴していました(途中から質疑がクソつまらなくなって作業に戻ったw)けれども、この部分はやはりあっさり味の「反対多数で否決されました」でした)けれども、あの「主な意見」との温度差は何なのよ、という所ですよね。

まあ以下はワシの妄想の産物なので話半分に聞いて頂きたいんですけど、9月会合で結構具体的に利上げの検討が行われ、「タイミングの問題」という感じの話が多数派かどうかは微妙ですけれども、少なくとも少数意見と切ってしまえる量ではない、という状態になっていた、というのが主な意見で見えてきていたんでしたら、当然ながら決定会合でもそういう話をしていた筈なので、本来植田さんはそこのニュアンスくらいは分かるように説明してもおかしくはないのですが、あえてあっさり味の説明をしたのは、まあ植田さんご本人がハトハトチキンの本領を発揮して「地蔵の言い訳ができるうちは地蔵継続」というスタンスの最右翼である、ということを示唆するものではないか、とまあ左様に思う訳ですな。

何故ならばその直後の質疑で、

『(問)今ほどの質問とちょっと似てるんですけれども、まず今日の金利の決定について、高田委員がですね、ノルムが転換して物価安定目標の実現を概ね達成されたと、田村委員が上振れリスクについても言及されてます。総裁ご自身のですね、このお二人のご意見に対する違い、距離感というものがどの程度なのか、というところを教えて頂けますでしょうか。(後半割愛)』

についても、

『(答)前半は先ほどのご質問と同じで、ただ私の意見はというご質問だったと思いますけれども、基本的には、基調的な物価上昇率という表現で申し上げれば、高田委員は、概ねそれが 2%前後のところに達しているという評価をされたと思いますけれども、私の評価としては、まだ少し下回っていて、しかし 2%に向けて近づきつつある過程にあるという評価でございます。それから、田村委員は、見通し対比物価の上振れリスクが膨らんでいるということで、利上げ提案をされたわけですけれども、私の認識では、それももちろんリスクとして一つあると思いますけれども、米国の関税政策の影響等がこれから一段と出てくる可能性がある中で、景気に対する下振れリスク、それを通じて物価に対する下振れリスク、これも意識しないといけないというふうに考えています。(後半割愛)』

っていうやる気無し無し回答をしていました次第で、植田さんにやる気があるならこんなやる気無し無し回答する必要無いじゃろというお話ですよね、と思うのよね。


・・・・・・と考えますと、今日の講演にしてもハトハトチキンの申し子である植田さんがそんなやるきのある講演や会見をぶっこんでくる訳が無い、という事になろうかと思うのですが、現世利益的に言いますと今の時点でのポジションがどっちに傾いていて、傾いた方は総裁講演と会見でタカが出るのを期待しているのかハトが出るのを期待しているのかどっちでしたっけというお話でして、これがまたイマイチ分からんです、事前の市場が期待するのがどっち方向七日によって反応も違ってきますからなー。

ただまあ何ですな、一昨日の短観出たときって瞬間下で反応しましたが、その後どちらかと言えば先物上昇気味で推移していたし、昨日は昨日で10年入札が(前場に米国のせいで相場が持ち上がった所で入札になったせいもあって)ズッコケ三銃士な入札になってしまったのを見ますと、それなりに地均しぶっこんでくる期待は入っているのかね、とは思ってしまいますので、大したこと言わなかった場合の反動ってどうなのかなとかそういうのを楽しみにしています(フラグ建築をしている訳ではないのでよろしく)

ああそれから20日くらいになって急に某社とか某社とか某社とかにポロリが出てくるとかいうコミュニケーションが出てくるのはとっても悲しいので今回は政策金利上げるにしても上げないにしても事前のポロリ報道が出ないことを全力で祈念しております。


〇これは貯蓄性のリテールMMFとは全然別の話だと思うのですが・・・・・・・(これまたメモ)

昨日の日経1面にドドーンと出ていた記事、まあ一応本紙確認しましたりもしましたが、題名及びリードの部分と中身の部分の話がなんかちぐはぐでしたよね。

ちなみに日経朝刊に出る前に前日(1日)の夜にこんな形で電子版に出ていたのですが、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2812I0Y5A920C2000000/
国内MMF、9年ぶり復活 「金利ある世界」で増える投資の選択肢
【イブニングスクープ】
為替・金利
2025年10月1日 18:00 [有料会員限定記事]

『日本国債を軸に運用し、預金に近い商品として知られるマネー・マーケット・ファンド(MMF)が約9年ぶりに復活する。超低金利下で姿を消していたが、日銀の利上げに伴う金利上昇を背景に、主要金融機関が早ければ2026年前半に販売を再開する。「金利ある世界」への回帰で個人マネーの選択肢が増えてきた。』(上記URL先より、以下会員記事)

そもそも日本国内でマイナス金利前に販売されていた公社債投資信託(日々決算型)のMMFは「マネー・マネージメント・ファンド」なのでその時点でチャイマスガナではある(日本で販売される外国籍投資信託の「外貨MMF」は「マネー・マーケット・ファンド」と言いますよ為念)というのがもうねというお話ですが。

でまあ、記事全文はそんな訳で有料会員限定記事、ということなので本紙とかをみたりしましたが、リードの部分と中身の部分の話がイマイチかみ合わんじゃんとおもったら、本件の開発に携わっている会社さんからのリリースでていましたな(直リンはしません)

https://progmat.co.jp/news/2025-10-02-press/
フ゜レスリリース「ステーブルコインと連携した“オンチェーン完結型デジタル証券“の共同検討結果について」

あとこっちらのシャッチョさんのブログ(note)でも説明があって(クソ長いです)これまた直リンはしませんけど
https://note.com/tatsu_s123/n/na345deba4ac2
【速攻解説】「トークン化MMF」と「トークン化法」で、ステーブルコイン×デジタル証券の”理想形”へ!日本と海外のギャップと解決に向けた道筋とは

ってのがありまして、ざっくりとアタクシが理解したのかしてないのかはともかくとして、おおむね外していないだろうと思われるのは、こちらメインはブロックチェーンを用いた決済プラットフォームの話であって、その決済プラットフォーム上で動く電子トークンの裏付けになるのがMMF型の投資信託になる(ので別法域の話ですけど米国ですとこのデジタル証券専用にMMFを立てる話になるようですな)というお話なので、「国内MMF復活」という文字列でイメージされるマイナス金利によって商品が終了する前の個人向けの貯蓄性資金ニーズへの対応商品としてのMMFとはだいぶ別物のお話、とまあそういう事のように見受けられました。と言っても同社に直接質問したりしたわけではないのでアタクシの誤解があったらゴメンナサイ(ってのもあるので直リンはしてなかったりするのだ)。

まあここから更に日銀が利上げをしていけば(あるいはその利上げを見込んで)マイナス金利時代に瀕死の状態になっていた国内金利商品の復活というのはそれはそれでアリエールという話ではあるのですけれども(現に定期預金金利とかだって期間限定高率キャンペーンとか色々と威勢の良い話が散見される訳でございますしおすし)、この話自体はそれらの貯蓄性資金取り込みの話とは多分話の次元が異なる物なので、この辺りをネタにして「個人マネー取り込みの金利競争が始まった」とか言い出すとだいぶ恥ずかしい事になるので偉い人からご下問があった時には注意しないといけませんですぞ、と思いましたのでメモっておきます。



まあ何はともあれ材料待ちですね材料待ち(自民党総裁選結果では別に週末更新とかしませんので念のため笑)








2025/10/02

お題「9月短観は今月の利上げを排除しないというか普通に後押し材料じゃろ」

????
https://www.afpbb.com/articles/-/3601072
トランプ氏、自身をノーベル平和賞に選ばないのは「米国への侮辱」
2025年10月1日 7:47 発信地:クアンティコ/米国 [ 米国 北米 ]

『【10月1日 AFP】ドナルド・トランプ大統領は9月30日、複数の戦争解決に貢献したと主張し、自身をノーベル平和賞に選ばないのは米国への「侮辱」になると述べた。』(上記URL先より)


〇日銀短観は10月利上げの障害にならないというか後押しになりますなあ(いつもの私家版チェック)

ほいな
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2509.pdf
短 観(概要)―2025年9月― 
 第206回  全国企業短期経済観測調査 
< 回 答 期 間 > 8月27日 〜 9月30日

だいたい前半2週間くらいに回答されるものが多いらしいようなことを聞いた覚えがあるので、9月とは言ってますけど概ね9月前半の状況なんですかねという所で・・・・・・

・今回の短観は堅調な内容だったと思いますがまあこれからの材料待ちですしおすし

前回6月短観は悪くなると思いきや全然悪くない内容で、関税で国難とは何だったのかというような風情ではあったので、債券先物10銭ちょい反応しておりました(その後10年国債入札が激強の結果となったので全ての話がすっ飛んでしまいましたが)って感じでしたが、今回は今回で同じく全然悪くない内容だと思うのですが、これまた債券先物ちょっと反応してたように見えますけれども、その後期初の買いだか何だかしらんけど先物ホイホイと上昇した、と思ったら引けに掛けてはヘロヘロとしてて、結局まあ達観すればあんまり反応してなかったたって事になるのかなとは思いますが、そりゃまあここから先植田さんの講演会はあるし(と言っても自民党総裁選の前日になってしまったのでただで無くさえチキンさんの総裁が10月の話とかできんじゃろとしか言いようがない)自民党総裁選あるし、というところですかね、知らんけど。

とは言いましても7−9って成長率弱いと見込まれる筈のところでの短観なのに全然弱くないじゃんという物件だし、後述しますが企業の価格設定や物価観に得な変化もなく引き続きインフレ期待は確りとしている、という結果ですので、10月利上げをしない理由というものも特にない、ってお話ですな。

ただまあ別に10月に利上げしないと大変な事になるという訳でもない(10月利上げしなかった場合にいつものハトハトチキン踊りが出てしまって円安爆誕となると大変なことになるのですが・・・)という説もあるのですが、ゆうてこれもう1月(=年末の米国の消費と国内企業の冬季賞与設定と来年の春闘の出足の雰囲気が分かる段階)までの間に余程の下方屈曲が起きない限り利上げって話になりますよね、とは思うんですけどね、個人の感想ですけど。


・業況判断DIは「前回の先行き下がる見通しよりも全然強い」し何なら前回の短観はトラ公前なんですよ!!!

          (6月短観)        (9月短観)
          現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   +13→+12     +14→+12 
製造業中堅企業 +10→+6       +12→+8        
製造業中小企業  +1→▲2       +1→▲1

非製造業大企業  +34→+27     +34→+28
非製造業中堅企業 +25→+17     +24→+18
非製造業中小企業 +15→+9      +14→+10

ということで、いつものように「前回出ていた先行きの慎重な見方に対して結果は上振れ」で「そうは言っても先行きは現状よりも慎重」って結果になっていますが、こちらは基本的に短観DIが強いときに景気のモメンタムが盛大に良くない限りは先行きDIって足元対比で堅めに出てくる傾向が強い(と15年以上見てて思う)ので、まあこれは普通に堅調な結果でっしゃろと思います(たしかBBGの集計してた予想は大企業製造業+14だったので見事にインラインだったかと)。


ちなみに前回6月短観の時に書いた駄文を再掲しますと、

+
こちらですけど、何せ前回の短観は「 < 回 答 期 間 > 2月26日 〜 3月31日」でして、短観の回答ってのが概ね回答期間の前半の早いうちに回答される傾向がある、という風に聞いておりますので、すなわちあの4月に出たトラ公のキチガイ関税は織り込んでいない(トラ公の事だからある程度のブラッシュボールは投げてくるじゃろというのは織り込んでいたと思いますが)訳でして、その状況でトラ公に対するフワッとした懸念段階で出した先行きの下げ(特になぜか非製造業)見通しに対して、今回って軽々と上方修正していますし、殆ど3月短観から現状DI変わっていないという結果になっておりますので、これは堅調堅調。

ただまあどうせ大本営のことですから、「米国関税政策の悪影響はこれから出てくるんです」とか言い出す下がる下がる詐欺によってこの数字は追い風参考記録扱いしてくる、に1万ジンバブエドルといった所です。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文より)


まあ何ですな、この「米国政策の悪影響はこれから出てくる」攻撃は結構便利で下がらなければ何度でも使えるし、そりゃまあトラ公のやってるのって正気の沙汰とは思えないような事をやっているし、なんだかんだいって外国に対するカツアゲに成功しているのでその分米国内での悪影響が緩和されている面もあって(当然こっちが煽り食うんだが)イマイチはっきりと分からんまま推移するって事なのかもしれませんけれども、どこまで「米国政策の悪影響が懸念なので今の大規模緩和を物価高にも関わらず継続しますコケコッコー」というのが通じるのかというのは良くわからんですなwww

いずれにしましても企業セクターは全般的に見れば堅調です、ってのが1ページ目に堂々と出ているというお話。

しかしまあ何ですな、「自動車」セクター見ますと、

                 (6月短観)        (9月短観)
                現状→9月予測     現状→12月予測
「自動車」大企業      +8→+7       +10→+8 
「自動車」中堅企業   +13→+0        +16→+2 
「自動車」中小企業    +0→▲8        +5→▲3 

まあ「先行きは警戒ですぅ」というのは特に中堅中小で今回も示されてはいますけれども、自動車の追加関税が無事に引き下がったことで何のことは無い業況感改善している訳でして、「関税政策の影響がこれから出てくるから云々」の話は、ここから米国のキチガイ政策によって米国経済が悪化するというルートが残っているとは言え、直接的な関税云々の話はもう一段落なんじゃネーノとしか思えないんですけど、それでも「米国の影響ガー」で利上げを引っ張るんですかねえ・・・・・・・

いやあのですね、これが今の政策金利水準自体がより中立金利っぽいところに近いような水準(知らんけど少なくとも1.5%とかそういう今よりも全然高い水準じゃろ)にいるなら「米国の影響ガー」で様子見地蔵をするのは分かるんですけど、政策金利水準が0.5%で思いっきり金融政策でアクセルベタ踏み状態で物価は3%だ何だと言ってて物価高で国民の不満が爆発して人心が荒廃しつつある今日この頃な訳ですから、そらお前らこの馬鹿緩和の調整をしろよとしか思えんのだが・・・・・・・


・企業の販売価格見通しはトラ公関税大会を経た6月9月短観でも安定推移していますよね

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.8%→3月:2.9%→6月:2.9%→9月:2.8%
3年後 9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%→12月:4.2%→3月:4.4%→6月:4.3%→9月:4.3%
5年後 9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%→12月:5.0%→3月:5.2%→6月:5.1%→9月:5.2%

大 企 業 製 造 業
1年後 9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.2%
3年後 9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.4%→6月:3.1%→9月:3.2%
5年後 9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%→12月:3.4%→3月:3.7%→6月:3.8%→9月:3.9%

大 企 業 非製造業
1年後 9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.4%→6月:2.3%→9月:2.3%
3年後 9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.1%→6月:3.2%→9月:3.4%
5年後 9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%→12月:3.6%→3月:3.5%→6月:3.9%→9月:4.1%

とまあここ2年の推移を出すと普通に堅調なまま安定していますし、何なら(人件費などの影響が大きいという話になっている)非製造業の5年のところとかホイホイと上昇しているのでして、ハトハトチキン先生は相変わらず企業行動の下方屈曲が懸念されますって言いそうですけど、どう見たって企業の価格設定に関するノルムがゼロノルムからプラスのノルムに変化した、ということでここは高田っちの9月会合での意見そのものじゃん、と思います。


でですね、うっかりしておりましたがこれ前回駄文書いたのに対して日銀に土下座しないといけないのがありましてですね・・・・

(ここから前回6月短観を見て7/2に書いた駄文より)
この推移を見ますと、どこからどう見ても「企業の価格設定行動はこの2年間ほど全然変わらずに堅調」としか言いようが無いと思うのですが、これまた「米国関税政策の悪影響は以下同文」と言い張ってくると思います。まあこれを受けて7月展望が4月にクソ下げしたものを撤回でもすれば日銀も大したもんですけど、そんなタマではない、というのは散々見ておりますのでwwwww
(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文より)

よくよく考えたら7月展望レポートで物価見通しの足元だけですけれどもバチクソ引き上げておりました。結局足元だけしか上げてないので政策に直結しないという残念な上方修正ですけれども、珍しくあっさり味で見通し違いを認めて上方修正していたのですが、短観の時にこんな悪態ついてたの忘れていましたのでジャンピング土下座をさせていただきます(^^)。


・企業の物価全般見通しも同様でこの2年くらいずっと高値安定しているんですけどね

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%
3年後 9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%
5年後 9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.4%

中小企業 製 造 業
1年後 9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%
5年後 9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.5%→9月:2.6%

中小企業 非製造業
1年後 9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%
5年後 9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%

これに対する感想ですが、前回7月短観の時に書いた駄文からまったく変わりませんので再掲しますwwwwwww

毎回申し上げていますが、こちらで大企業じゃなくて中小企業をだしているのは、かつてこの短観の数字を出しだしたときに日銀大本営は「大企業の価格見通しはエコノミスト見通しや市場見通しに影響されやすいが、より一般の見方に近いのは中小企業の見通しである( ー`дー´)キリッ」とか言ってたんですが、黒田末期以降は利上げを渋る屁理屈を並べるのに忙しいので、すっかり言わなくなっているので可哀そうなので掲載している次第でありますw

でまあ今回は確かにスライトリーに下がってい入るものの、結局のところこの2年間ほど特に著変は無い、とも先ほどと同様に言える訳でございまして、「そもそも論として何を持ち出せば「インフレ期待がまだ2%に届いていない」とか言えるのか、というのを日銀は真面目に示すべきではないか、と斯様思う訳です、ってのを毎回のように言っているのですが、ひたすら誤魔化し続けているのが変わっていない、というのも皆様ご案内の通りかと存じます。


・販売価格判断と仕入価格判断は前回見通しよりはやや弱め(絶対水準は強いけど)

販売価格判断

            (6月短観)         (9月短観)
           現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業   +25→+27       +24→+25
製造業中小企業 +27→+31       +25→+31

非製造業大企業  +34→+30      +28→+32
非製造業中小企業 +30→+33      +28→+33


仕入価格判断
          (6月短観)          (9月短観)
          現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業   +39→+39      +38→+39
製造業中小企業 +54→+56      +52→+56

非製造業大企業  +45→+44     +41→+46
非製造業中小企業 +54→+56     +52→+57

ということでこちらの数値ですが仕入、販売共に「見込みほどは上がらなかった」という数字なので、まあ一応物価がこの後一旦上昇率は鈍化する、という見通しに整合的ではありますが、ゆうてこれ数字自体は強いのでまあ水準が下がるとかそういう夢のようなお話にはなりませんですね。


・雇用判断DI:ここのところずっと「見通しほどは一段の引き締まりなし」ですが今回は全般少しずつ逼迫傾向ですかね

            (6月短観)        (9月短観)
           現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   ▲18→▲22     ▲19→▲22
製造業中堅企業  ▲24→▲28     ▲25→▲28
製造業中小企業  ▲23→▲28     ▲25→▲31

非製造業大企業   ▲39→▲40    ▲39→▲40
非製造業中堅企業  ▲46→▲48    ▲46→▲50
非製造業中小企業  ▲46→▲50    ▲46→▲50

これも傾向は同じで、毎度「先行き更に雇用人員が逼迫するという見通し程には引き締まらない」という結果ですが、今回は全般的にちょっとの数字ではあるのですが、雇用人員の逼迫度合いが全体的に強まっているように見えるなあとは思いました。


・設備投資計画:別にコケる気配が無いんだが・・・・・・・

▽設備投資額(含む土地投資額)の足取り

ってコーナーが短観の13ページ以降にありまして、例によって図表を貼り付けるスキルも無ければそもそも貼ってよいのか問題もあるので貼るのは割愛しますが、ここの数字を過去の足取りと比較すると、別に今回米国関税政策の影響が出て設備投資が下方屈曲、という図にはなっていないように見えますよね・・・・・・・


とまあそういう訳で私家版チェックをしてみましたが、この短観だと10月利上げを排除する理由にはならんじゃろ、としか思えませんが、ゆうてそこで利上げ観測が高まったかと言われると昨日の市場ちゃんだとよくわからんとしか言いようが無い結果だったと思うの。



・念のため昨日の相場についてロイターさん謹製解説を貼っておくの巻

まいど恐縮です
https://jp.reuters.com/markets/japan/Q7IWGH4HS5LNDOXXIHSOKIWUKE-2025-10-01/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、長期金利1.645%で横ばい 方向感乏しい
By ロイター編集
2025年10月1日午後 3:35 GMT+9

『[東京 1日 ロイター] - <15:15> 国債先物は小幅続落、長期金利1.645%で横ばい 方向感乏しい

国債先物中心限月12月限は、前営業日比1銭安の135円78銭とわずかながら続落して取引を終えた。前日比プラス圏で推移した時間も長く、相場の方向感は乏しかった。新発10年国債利回り(長期金利)は同横ばいの1.645%。

きょうの国債先物は、小幅な買い先行でスタート。その後9月調査分の日銀短観が売り材料となりマイナス圏に沈んだが続かず、取引序盤以降はプラス圏で推移。しかし相場に強い方向感は出ず、先物相場は取引終盤に再び小幅マイナスに転じて取引を終えた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで同記事のその後を見ると何とかストの方に喧嘩を売られているような記載があるようにも見えますがwwwそれは兎も角として、

『TRADEWEB  
     OFFER  BID    前日比  時間
2年   0.945   0.955    -0.001  15:25
5年   1.225   1.233    0.001  15:25
10年  1.642   1.649    -0.003  15:25
20年  2.602   2.616    0.004  15:26
30年  3.144   3.163    0.015  15:26
40年  3.371   3.393    0.022  15:25』

ということですが、短い方がイマイチ反応していないっぽいのでまあ今回は反応薄って評価だとはおもうのですけれども、ただまあ野口さんの札幌講演、9月会合主な意見、というのを見れば次の利上げって10月にあるかどうかは兎も角としても時間の問題でしょって感じではあるかと思いますので、今後に関してはそもそも論として今次利上げ局面で1%で政策金利調整が終わるのか問題のリプライシングがどうなるか、ってお話になるんじゃないかと思うのですよね。だってガチに2%物価安定目標達成しているんだったら名目政策金利1%が中立金利って経済は何ぼ何でもねえだろということで・・・・・

期末期初で中々手が回らなくて手を付けられていないネタが積みあがる上に、駄文のネタって時間が経つと証文の出し遅れで読み物として成立しないものもあるので甚だ恐縮ですが期末期初進行を成敗しないといけませんわ(滝汗)








2025/10/01

お題「9月会合主な意見は10月の利上げを全然排除しない(むしろやるんじゃねえか位の勢い)内容でしたな」

下期入りということでこれからもよろしくお願いします(^^)

〇9月決定会合主な意見は利上げ提案に対して一蹴ではなく議論があったことを示すかと

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250919.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 9 月 18、19 日開催分)

・経済に関しては企業行動と消費と米国経済というお話ですな

まあそりゃそうよという話ではありますが、『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』の部分の意見自体は少なかったのですが、

『・ わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。先行きは、各国の通商政策等の影響を受けて成長ペースは鈍化するものの、その後は海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくとみられる。』

というのは公表文の公式見解なのでさておきまして、次からの意見が・・・・・

『・ わが国経済の現状は、まずまず堅調である。米を含む食料品の価格上昇の加速が天井を打ち、これまで回復軌道に乗らなかった個人消費が漸く上向きつつある。』

ほうほうそうなのか、という感じですが実際問題として食料品価格に関しては上昇せずとも水準が下がるわけでもないし、何なら10月からも値上げ自体は続くんで大丈夫かね、とは思いますけど。

『・ 企業の積極的な経営姿勢が維持されていることを、短観や企業ヒアリング情報で確認したい。』

ということで今日の短観と今月の支店長会議での報告は注目される所です。

『・ 設備投資を材料に経済情勢を判断する際には、企業内での計画策定と実行のタイミングに大きなズレが生じ、状況が変わり得ることに、留意する必要がある。』

そりゃそうなんだが端折りすぎていて「だから何なのか」がイマイチ分からん。

『・ 米国の関税政策の米国経済や世界経済への影響は、インフレや雇用の急激な悪化という形ではなく、じわじわと時間をかけて出てくる見通しになってきている。』

この点については「だから永遠に様子見をします」という風には読めそうな意見なのですが、ゆうて永遠に様子見してて良いのかという問題があるがそれは物価とか金融政策のパートの部分での考え方によりけりで、「だから永遠に様子見」なのか「そうは言ってもどこかでエイヤーと判断(綺麗な言い方をすればフォワードルッキングに判断、となるw)するべき」という話になっているのか、これだけだとどっちだか分からんですね。

『・ 最大のリスク要因は、米国経済の先行きである。米国の関税政策それ自体による不確実性は低下していくと思われるが、仮に今後、関税によるインフレが米国経済を大きく下押しするようであれば、わが国経済も影響を免れない。』

米国のインフレが米国の消費をコケさせて輸出が落ちるルートが懸念ってのはまあ話は分からんでもないのですが、これも言い出すと無限に様子見ができる(「これから悪影響が出てくるはず」となるから)ので、その点では除く大本営で5本の意見中様子見地蔵が後半3件、手前の2件が積極派ですな。


・物価については高田さん田村さん以外にも物価上振れの二次的波及に言及している人がいるような気がします

次が問題になりそうな物価のお話。『(物価)』ですな。

『・ 消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』

最初は常に公表文書通りの大本営なので次に行きます。

『・ 加工食品の大幅な値上げが続いているが、輸入物価の上昇が落ち着いている中でも、一部の企業は積極的な値上げに踏み切っている印象もある。消費者の購買状況次第では、値上げの流れに変化が生じることもあり得る。』

この人の意見は前半は輸入価格上昇の二次的効果が出ているような話になっているのですが、後半は物価高が消費を下押しして企業の価格設定の積極性が落ちる可能性がある、ということで謎の両論併記ですな。

『・ 物価の先行きについては、輸入物価や米などの原材料価格のトレンド、食料品価格への価格転嫁の継続度合い、食料品以外への価格転嫁の広がりの3点に注目している。銘柄米の価格水準は見通し対比でやや強めに持続する可能性があるとみているほか、データやヒアリング情報を踏まえると、食料品価格への価格転嫁の継続性が高まっているように思う。』

現在の物価高を引っ張っている食料品価格の上昇に対して、今の日銀大本営の見解では「これはあくまでも食料品価格というセクターでの上昇であって二次的な波及による一段の物価高の広がりは起きない」という読み筋になっていて(だから食品価格の上昇率が落ち着いて来れば(=価格水準が下がるとは言ってない)物価上昇率は2%を下回る、という見通しなのです)、その大本営見解に対して「それは違くね」というお話をしていますね。つまりは物価上振れリスクの指摘かと。

『・ 食料品価格の上昇の相当部分は米価を起点とするものだが、米価以外の要因に基づく部分もかなりの比重を有する。』

まあそうですね。ただ問題はそれがセカンドランドエフェクトを起こすかどうかなのでその見解も聞きたいところでした。

『・ 基調的な物価上昇率は、2%に向けて緩やかに上昇しているものの、なお2%に至っていないと考えている。そのうえで、食料品価格の上昇が想定以上に長期化した場合には、予想物価上昇率を通じて基調物価を押し上げる可能性がある一方で、家計のコンフィデンスの悪化が個人消費に影響すれば、基調物価を押し下げる方向に作用する可能性もある。』

言ってることは大本営で、こちらは「基調的な物価」の大本営パターンですけど、これ字数制限が元々あるので(たぶん300位)大本営で手分けして入れ込んだ感じなのか、それとも大本営以外の委員が書いているのか、よくわからんですな。

『・ 基調的な物価上昇率には推計の幅や計測誤差もあるため、2%に達したか、伸び悩んでいるかの識別は容易ではない。一方、2%近傍で定着したかを丁寧に確認する必要はあり、モデルからの示唆も含めてみていきたい。』

何かを言っているようでイマイチ良くわからん意見ではある。まあ基調的物価というのがそもそも論としてお気持ちなのでイリュージョンの世界、というのが大いにあるのでしゃーないないのですけど。

でもって物価の意見の最後は高田っちと田村抜刀斎ですね。

『・ 賃上げ定着を受けた国内要因によるインフレ圧力に加え、予想物価上昇率も高まるなど、「物価安定の目標」が概ね実現したと捉えている。既に物価が上がらないノルムが転換し、インフレ期待も引き上がる中、物価上昇の二次的影響が生じやすく、物価の上振れリスクが存在する。』

「「物価安定の目標」が概ね実現した」なので高田さん。

『・ 物価の基調は2%定着に向けて、着実に歩みを続ける公算が大きく、今後の財政政策の影響を含め、上振れリスクも大きい。』

まあこのお二方の見解は順当なのですが、上記のように物価のパートの中では大本営の基本シナリオとは異なった「セカンドラウンドエフェクト」への言及を行った人がいまして、この人が(字数の関係からすると抜刀斎の可能性もありますが)高田さん田村さんへの援護射撃になっているのはほほうと思いました。


・金利引き上げに関する部分は利上げ提案を結構真剣に議論していたような節が読み取れると思いましたが・・・・

『U.金融政策運営に関する意見』ですが、今回はETF等の話もあったので意見の数が多いのですが、金利に関しては何と10個の意見があったのですな。

『・ 経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。そのうえで、こうした見通しが実現していくかは、不確実性が高い状況が続いていることを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である。』

というのは大本営ですが、

『・ 米国の関税率が 15%になっても日本経済に影響はあり、成長率がいったんは鈍化するという見通しは不変である。物価面では、食料品のコストプッシュが収まることで、来年度に2%を下回ると予想される。こうした状況下、今は、現在の金利水準で緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべきである。』

ってのが次にあるのですが、そもそも論として「しっかりと支える」じゃなくて「かなり低い実質金利で経済を吹かしている」の間違いじゃろとツッコみたくなるこの「しっかりと支える」ですけど、野口委員辺りが言いそうだと思っていましたが月曜の札幌講演を見るとそうではないようなので、これは執行部のどなたかという感じのようですが・・・・・・


『・ わが国の経済状況という観点だけから判断すれば、前回の利上げから半年以上が経過していることもあり、そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期かもしれない。もっとも、米国経済の落ち込みの程度の目途がついていないため、当面の金融政策運営は、現状維持が適当と考える。』

月曜の講演からするとむしろこちらの方が野口さんっぽいですよね、って感じで、「米国がリスクなのでとりあえず様子は見るけど利上げしないと言っている訳ではない」なので既にこの意見の辺りで利上げを排除している訳ではない、のトーンになってきておりまして・・・・・・

『・ 市場にサプライズとなる現時点での利上げは避けるべきである。』

って意見が出ているのがヒエーと思った訳でして、こういう意見が出ているということは、今回の2名の利上げ提案っていうのが別に一蹴されたとかそういう世界なのではなくて、現実に利上げ可能か否か、ってのが結構突っ込んで討議されたことを意味するんですよね、と思いましたがどうでしょうかね(こればかりは決定会合の中での話だから知る由もないですが)。

まあ「市場にサプライズになるからやらない」という考え方に関してはちょっと如何な物かという面もあって、そうなりますと毎度決め打ちして事前織り込みさせないと政策が決まりません、という話になるので、それって結局大本営の思うがままに政策が運営されてしまうことになって、政策委員会の意味が無くなってしまいかねませんので、別に市場にサプライズになるからどうのこうのっていうのは本来は筋違いだと思います、というのは付け加えておきますです、はい。

『・ わが国経済の特徴として、内需が外的な負のショックに対し脆弱な傾向がある。金利の正常化を進める上では、ハードデータをもう少し確認してから判断しても遅くないだろう。』

この意見も別に利上げをするなと言っている訳ではなくて、タイミングとしてまだ早いという話をしているだけですので、最初の方にあった大本営第2号??の「経済をしっかりと支えるべきである」とはニュアンス違うんですよね。


『・ 今後の政策運営に当たっては、各国通商政策の世界経済への影響、米国の金融政策と為替相場の方向性、国内の物価と賃金の見通しの3点を注視していく必要がある。』

まあこれははあそうですなという話ですが、この流れでこう言っているのは「まだ利上げする時期ではない」ってことを言いたいんでしょうかね。

『・ 米国経済の帰趨が見えることを待つことで得られる知見もあるが、国内の物価との関係では待つことのコストも徐々に大きくなっていくので、待つことのコスト・ベネフィットやそれに伴うリスクの比較考量が必要になっていく。』

こちら抜刀斎っぽいのではあるのですが、この先にも抜刀斎チックなのがあるのでもしかしたら抜刀斎と同様に考えている人が1名他にいて、ただしまあ今回は利上げのタイミングじゃないので10月利上げは排除しない人なのかもしれません。

『・ 経済・物価が本行の見通しに対してオントラックであり、大きく軌道を外れなければ、ある程度定期的な間隔で政策金利の水準を調整していくべきであると考えている。この先、米国の関税の影響を含め、3月決算企業の上期決算と通期見通しや短観など、幅広い情報が揃うだろう。』

これですと10月か12月には利上げできますな。

『・ 米国の相互関税賦課以来の不安が後退し、物価見通し実現に向けて海外要因の制約が解消に向かう中、再び利上げスタンスに回帰し、海外対比で低水準の実質金利の調整を行い得る状況と考える。』

こちらは抜刀斎の提案理由と同じなので、もちろんさっきのと合わせて同一人物の可能性はある(もともとこの部分で意見が10本ありますので)のですが、さっきのが抜刀斎と別人28号だとオモロイなと。

『・ 0 .5%までの利上げの経済 全 体 への影響は 極めて 限定的である。上下双方向のリスクがある現時点で、政策金利を一気に引き締める領域まで引き上げるべきではないが、物価の上振れリスクがある中、将来の急激な利上げによるショックを避けるため、中立金利にもう少し近づけておくべきである。』

でもまあこれが利上げ提案と考えれば抜刀斎だったりするので、結局この主な意見を見ると利上げに対して別に排除しないし結構具体的に検討されたというのが読み取れるんじゃなかろうかと思う訳ですが、高田さんなのかも知れないのでそこは分からんですけど、田村さん高田さん以外に2名くらいは利上げをかなり現実的なものとして受け止めている向きがあったし、それ以外でも「今じゃない」という意見はありましたし、という所で、結構威勢の良い内容だったと思います。


・ETFに関してはまあこんなもんですか

ワシ的にはツッコミたいところは多々あるのだが。

『・ 金融機関から買入れた株式の処分を無事終了することができたので、その際のやり方で、あまり間を置かずにETFやJ−REITの売却を開始することが適当である。』

そりゃええんじゃが、だったらとっくの昔の時点で「あんな買入をしていたら処分するときに遼東半島租借もビックリのミレニアム計画になる」っての分かって悪ノリしたとしか思えない買入拡大を実施したって話になると思うのだがそっちの反省の弁は無いのかと小一時間問い詰めたい。

『・ 正常化を量と金利の両面からバランス良く進める上で、今回はバランスシート正常化を優先してもよい。マイナス金利政策の終了や、国債買入れの減額開始から時間が経ち、ETF等の処分にも踏み出すタイミングが来ているようにも思われる。』

今回は、っていうことは次回は利上げするのか(じゃあ何で去年の7月は利上げと輪番減額を同時にぶっこんだのかと小一時間。ってのもあるけどw)

『・ 少なからぬ規模の株式がマーケットに放出され得る状態で存在し続けることは、望ましい状況とはいえない。株式市場に大きな影響を与えない規模でETF等の処分を開始することが適当である。』

後処理としてそういう発想をするのは分かるが、だったらそんな買入が本当に必要だったのか、株価が盛大に上がっていく中での買入継続が本当に必要だったのか、ということをもうちょっと真剣にレビューして頂きたい。

『・ 市場のリスク・プレミアムに影響を与えるために購入したETF等を、市場に影響を与えないように処分していく以上、
処分完了まで長期間かかるのはやむを得ない。』

これも同じですし、そもそもリスクプレミアムはとっくの昔に解消されているのに「一体として効果を発揮する」とかいうフリードマンルール丸無視の屁理屈で漫然とETFの買入を継続していたのではないかという問題について以下同文。

『・ ETF等の処分に際しては、市場の状況に応じ、売却額の一時的な調整や停止を行うことができるとするなど、市場の安定に配慮するための柔軟性も確保すべきである。』

殊更に市場を押し下げようとして売る必要はないと思うがもっとバンバン売れないもんですかねえ。

『・ 株式市場のリスク・プレミアムは正常化している一方、J−REIT市場はリスク・プレミアムが依然として大きいことを踏まえると、売却ペースは相当緩やかにすることが望ましい。』

もちろんリートとマンション価格高騰は直接つながっている話ではないのは承知の上で言いますけど、お前は何を言ってるんだとしか言いようが無い。これ以上緩やかに売ってどうするんだよというか物件の耐用年数を大幅にオーバーした期間で売るってのも何だよそれってイメージなんですけど。