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2025/10/10

お題「本田悦朗さんやや軌道修正(悪い方に)/6M短国レビュー/FOMC議事要旨ネタ続き」

これは見事なオマエガナー
https://www.afpbb.com/articles/-/3602445
イリノイ州知事とシカゴ市長は「刑務所に入るべき」 トランプ氏が収監要求
2025年10月9日 7:57 発信地:ワシントン/米国 [ 米国 北米 ]

しかしこのジジイは何なんですかねえ・・・・・・


〇あら結局12月利上げという訳でもなかったりするのですか(本田氏や若田部氏のインタビュー記事メモ)

いやーリフレの皆様がお元気でよろしゅおすなあ(はんなり)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9fcdbc5044e2d68019981713d53edc61100161b4
本田氏、利上げ「よほど慎重に」 高市政権に影響か、政策提言
10/9(木) 18:02配信

『本田悦朗元内閣官房参与(70)は9日、共同通信の取材に対し、日銀の追加利上げは需要を冷やす恐れがあることから「よほど慎重にやってほしい」と訴えた。』(上記URL先より、以下同様)

あらあらあら、というお話ですし、

『追加利上げに関し「住宅ローン金利や設備投資に影響を与える」と懸念を表明。「国民はデフレマインドを完全に払拭しているとは言い切れない」として拙速に実施しないよう主張した。』

出たよこの鉋屑みたいな金利を払えないような投資をする方が資源の最適配分を阻害してるじゃろうというような話ですが、何はともあれ。、

『最近の円安に関しては「日本経済にとって追い風になる」と分析した。』

と言ってて、BBGのインタビュー記事で言ってた1ドル=150円を超える円高は行きすぎ云々というのはどこに逝ったんだというお話ですが、どうも結局のところはアホアホリフレによります高圧経済タコ踊りをやっておられる、という話ですな。


でまあ昨日は若田部前副総裁のインタビュー記事もございまして・・・・・・
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/F2JWQ6CFI5MNZBGASNLGZLZVCM-2025-10-09/
訂正 インタビュー:年内利上げは困難、12月なら「相当強い理由が必要」=若田部元日銀副総裁
By 和田崇彦, 木原麗花
2025年10月9日午前 9:42 GMT+9

『[東京 9日 ロイター] - 元日銀副総裁(訂正)の若田部昌澄・早稲田大学政治経済学術院教授はロイターとのインタビューで、12月に政策金利を引き上げるのであれば「相当強い理由がないといけないのではないか」と述べ、日銀による年内の利上げは困難との見方を示した。日銀の利上げ路線自体には理解を示し、経済が順調に推移し、物価安定目標を達成する確度が高まるなら金利を引き上げるのは「当然ありうる」と話した。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、じゃあ過度な円安の進行は「相当強い理由」になり得るんじゃないですかねえとか思うのですけれども、

『若田部氏は、円安がインフレを加速するかは「円安で起きることがどこまで持続的なのかにもよる」と指摘した。その上で、日銀が示した長期時系列の消費者物価指数(CPI)の要因分解を見ると、為替は確かに物価に影響しているが「それほど24年の段階でも大きくない」とし、「日銀が本当に為替を気にするのであれば、物価にどれだけパススルー(転嫁)があるのか明らかにするべき」と述べた。』

などと屁理屈を述べておりますな。これ完全に詭弁で、日銀が出しているのは為替変動の直接的な価格への影響の話なんだが、政策判断という意味では何らかの要因で発生した価格ショックがあった場合に、それをルックスルーできるのか否か、という点についてはその波及効果なども含めて規模の大きさ、持続性の強さがどうなのか、という事を考えないといけないし、ECBやFRBがこの夏に立て続けに表明したように、近年の経済構造の変化(=供給力に常に余裕のあった状態から、隙あらば供給制約が発生しやすくなった状態、というのが主ですが人口動態その他諸々の話も含まれる)によって、価格ショックが伝播しやすくなり、それが継続的な物価上振れ、ひいてはインフレ期待の不安定化に繋がる、っていうのが今や(リフレ派の大好きな)「世界標準の金融政策」となっているのですが、このおじさんは為替の一時的効果(しかもその前年比)だけ見てああだこうだ言っている訳でして、まあ詭弁にも程が有るわけですよ。

でまあ詭弁によって言ってるのは結局円安は良い円安ってお話な訳ですあ、このようにも仰せでして、

『若田部氏は「経済が巡航スピードで推移し、物価安定目標を持続的・安定的に達成する見込みの確度が高まってくるなら利上げは当然ありうる」と日銀が利上げを継続する方針に理解を示す一方、望ましい金融政策運営は「高圧経済論と統合運用論だ」と指摘。景気を「無理に過熱させる必要はないが、ある程度景気は温め続けることが望ましい」と話した。』

>望ましい金融政策運営は「高圧経済論と統合運用論だ」と指摘。

・・・・・・・・( ゚д゚)

高圧経済音頭のタコ踊り大好きですね皆さん、って所ですがなんですかこの統合運用論って、という話で、まさかとは思いますがあのジンバブエ大先生の珍理論「国債を中央銀行が買入すれば政府債務はチャラになる」のあのジンバブエも裸足で逃げ出しロバート・ムガベ大統領も天国から微笑んで下さる理屈の話でもしてるんでしょうかしら。この統合運用論についてのツッコミが無いので何言ってるのかさっぱりわかりませんけど。


まあそんな感じで、円安は良い円安とかいうタコ踊りをしながら高圧経済音頭を踊っておられますけれども、そもそも論として高圧経済ってイエレンが言ってたのに近い事をやった(そのまんまでは無かったけれども金融緩和のメイクアップストラテジーとかはまあ高圧経済に近い話でしたからねえ)結果、米国ではエライインフレが発生して、収束に向かって推移しているとはいえ、この間に人心が荒廃して政権1個飛んでトンデモナイキチガイが米国の舵取りをした結果世界に災厄を振り撒く、という盛大な副作用が発生した、という事案が目の前にあると思うのですが、それでもなお高圧経済タコ踊りを繰り広げるとかどういう発想でそういう発想に帰着するのかが全く意味不明ではありますな、うんうん。

まあ何はともあれ高市総裁のブレーン(笑)とのことですし、高市総裁は「責任を持って金融政策の方向性を決める」らしいので(なお総理総裁の辞任くらいが国民生活への害悪に釣り合うのかと言いますと全然バランスが取れない訳で、最低でも阿南陸軍大臣ムーブくらいは必須としか申し上げようがありませんけどね)精々高圧経済踊りでもやって頂ければと(嘆息)。


しかしまあ何ですな、さっきの本田悦朗さんの共同通信記事のヤフコメなんですけど(直リンはしません)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9fcdbc5044e2d68019981713d53edc61100161b4/comments

何気にサプライズだったのは平常運転なら高市さん絶賛あるいはアクロバット擁護が並ぶヤフコメちゃんが結構まともに「円安物価高を大概にしろ」が多くみられる(ような気がする、全部読んでる訳ではないので分からんけど)んじゃなかろうかと思われる所でして、まあ高圧経済の圧力鍋がぶっ壊れて大惨事になった時は高圧経済諸共地獄の火の中に投げ込まれる未来というのも想像できる所ですかね、その時は私らも巻き添えってのが甚だ遺憾の極みではあるんですが、リフレが二度と出てこないためのコストなのかもしれないとシートベルトを準備しながら思ったり思わなかったり、というところでしょうかねえ、盛大な個人の偏見ですけど。


〇6M短国は10月利上げはまるでおりこんでいないけど来年頭の利上げは結構織り込むの巻とな

昨日は注目の5年国債入札(やや低調)の横でひっそりと6M短国の入札がありましてですね

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20251009.htm
国庫短期証券(第1336回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1336回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号     国庫短期証券(第1336回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日      令和7年10月10日
4.償還期限     令和8年4月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額         8兆4,892億円
(2)募入決定額     2兆7,074億8,000万円
(3)募入最低価格     99円70銭0厘
(募入最高利回り)    (0.6034%)
(4)募入最低価格における案分比率    65.5336%
(5)募入平均価格     99円70銭5厘
(募入平均利回り)    (0.5933%)』

足切りの0.6034%水準、1月の利上げでしたら1/26(1/23決定で翌営業日から付利金利引き上げという想定)から新金利になるのですが、1/26の所でこの利回りをいつものアホでもできる比例配分計算をしますと、前半0.50%で後半0.754%ということになるので、1月利上げはちゃんと織り込んでいる水準で、平均の0.5933%だと後半が0.729%になるので利上げ9割織り込み、ということになっていますので、何だかんだ利上げ織り込みを碌にしない(というか需要が強すぎて利上げを織り込んでくれない)短国ちゃんであっても1月利上げは織り込んでいるという結果。

まあ6Mまで足が長くなると、3Mの倍のBPVになっていまいますからリスク量大きくなるので金利上昇からの避難民がやってくるにしてはあまり良い避難所とも言い難い所もありまして、毎週発行されていて発行量が多い3Mという避難所だったり、担保需要その他諸々の「国債であることに価値がある」人達の需要が相対的に少ない(こともあるしそうでないときもあるのが6Mの訳わからんところですけど)のも影響しているのかもしれませんが、兎にも角にも1月会合ではさすがに利上げがあるじゃろ、というレートになっておられるのは把握しました。

とは言いましてもまあそれこそ今月利上げ食らったらアイヤーではあるのですが、3Mの新発もだんだん足が伸びてくるので再来週になりますと足が遂に1月会合越えになってしまいますし、これからどういう織り込み方をしていくんでしょうかしらねえ、という風情ではあります(一応高市ムーブ前の先週の3Mとかは平均でも0.50%水準で足切りは0.5%乗せになっていました、というかまあ年末跨ぎ要因もあるので3Mの方はイマイチ良くわからんですな)。


〇引き続き9月FOMC議事要旨の経済物価情勢認識のパートを

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250917.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
September 16-17, 2025
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, September 16, 2025, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday, September 17, 2025, at 9:00 a.m.1

昨日は『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の金融政策運営のパートをネタにしましたが、前半の経済物価情勢の認識も確認しておこうという企画です。

『In conjunction with this FOMC meeting, participants submitted their projections of the most likely outcomes for real GDP growth, the unemployment rate, and inflation for each year from 2025 through 2028 and over the longer run. The projections were based on participants' individual assessments of appropriate monetary policy, including their projections of the federal funds rate. Participants also provided their individual assessments of the level of uncertainty and the balance of risks associated with their projections. The Summary of Economic Projections was released to the public after the meeting.』

最初のパラグラフはSEP会合の時は「んじゃまあ今回もSEP出したんでよろしく」というパラなのでぬるっとパスして次に参ります。

・物価に関して:アクチュアルの物価がそんなに上がるという話ではないのですがインフレ期待の不安定化は注意してますね

2パラ目から物価の話をしておりますな。

『Participants observed that inflation had moved up since the beginning of the year and remained somewhat above the Committee's 2 percent longer-run goal.』

物価は引き続きマンデートを幾分か上回って推移していますと。

『Although participants generally assessed that this year's tariff increases had put upward pressure on inflation, some remarked that these effects appeared to have been somewhat muted to date relative to expectations from earlier in the year.』

関税の影響は物価に上、という人たちと上だけどまあゆうて茲許では落ち着いてきているという意見が両論併記。

『A few participants suggested that productivity gains may be reducing inflation pressures. A couple of participants expressed the view that, excluding the effects of this year's tariff increases, inflation would be close to target. A few other participants, however, emphasized that progress of inflation toward the Committee's 2 percent objective had stalled, even excluding the effects of this year's tariff increases.』

この辺は雑多な意見という感じで並べられていますが、物価は上振れているという人とタリフ除けば2%になってるがなという人がいたりしますね、あとは生産性が上がっているので物価上昇圧力が弱まっているとの指摘も。


3パラは物価見通しです。

『With regard to the outlook for inflation, participants generally expected that, given appropriate monetary policy, inflation would be somewhat elevated in the near term and would gradually return to 2 percent thereafter.』

適切な金融政策によって物価は今しばらく2%上回るけれども徐々に2%に収束してくるでしょうというのが全体的な見方ですが、この後は個別イシューの物価への影響はどうですかという話になります。最初は関税。

『Some participants noted that business contacts had indicated that they would raise prices over time because of higher input costs stemming from tariff increases.』

関税の影響で価格引き上げが続くというアネクドートの指摘が数名(Some)から来ていまして、

『Uncertainty remained about the inflation effects of this year's increase in tariffs, though most participants expected these effects to be realized by the end of next year.』

一方で多くの参加者は関税の影響は年末までにある程度でると思うが不確実、という認識ですな。

でもって次が労働市場の影響。

『Some participants remarked that the labor market was not expected to be a source of inflationary pressure. 』

労働市場は物価上振れのドライバーにはならんでしょという認識を数名が示して、

『A couple of participants expected that the reduction in net migration would be associated with lower demand and lower inflation, and a couple of participants observed that continued productivity gains would likely reduce inflation pressures.』

2名は移民の減少は経済の需要減になってインフレ下げ要因、2名は生産性向上はインフレ圧力を下げる、という感じでこの物価の先行きに関する要因の説明ではアクチュアルのインフレが上振れるような話はあんまり見られないというのが特徴的ですね。

『Participants noted that longer-term inflation expectations continued to be well anchored and that it was important they remain so to help return inflation to 2 percent. Various participants stressed the central role of monetary policy in ensuring that longer-term inflation expectations remained well anchored.』

ここはインフレ期待の話で、インフレ期待のアンカーダイジダイジネーみたいな話なので先に行きますが、

『A majority of participants emphasized upside risks to their outlooks for inflation, pointing to inflation readings moving further from 2 percent, continued uncertainty about the effects of tariffs, the possibility that elevated inflation proves to be more persistent than currently expected even after the inflation effects of this year's tariff increases fade, or the possibility of longer-term inflation expectations moving up after a long period of elevated inflation readings. 』

『Some participants remarked that they perceived less upside risk to their outlooks for inflation than earlier in the year.』

多数派の(A majority of)参加者は物価の上振れリスクを指摘していて、その背景にはアクチュアルの物価が高止まりする中で関税問題などもあって、物価上振れが想定よりも持続性の強いものになるリスクがあり、それがインフレ期待を高めるんでネーノというのがあるようです。一方で数名は年初よりもインフレ上振れリスクの可能性は下がっているだろう、という説明ですね。


・労働市場は現状弱い話をしているが先行きは「適切な金融政策でこの先はそんなに悪くならん」と言っているのだが・・・・

4パラから労働市場です。

『In their discussion of the labor market, participants observed that job gains had slowed and the unemployment rate had edged up. Participants noted that the low level of estimated job gains over recent months likely reflected declines in growth of both labor supply and labor demand.』

労働市場は減速しているますし、ジョブゲインが低いのは労働の供給も需要も下がっていることによるものとの認識。

『Participants noted low net immigration or changes in labor force participation as factors reducing labor supply.』

移民減少の影響(供給減)に触れた後、

『As for factors that may be reducing labor demand, participants noted moderate economic growth or the effects of high uncertainty on firms' hiring decisions.』

今後も経済の不確実性を背景に労働需要は減るでしょう、とこっちは弱めの話になっていて、

『 Under these circumstances, participants cited a number of other indicators as helpful for assessing labor market conditions. These included the unemployment rate, the ratio of job vacancies to unemployed workers, wage growth, the percentage of unemployed workers who find a job, the quits rate among employed workers, and the layoff rate.』

この辺はいろんな指標をみてますって話なので次に行きまして、

『Participants generally assessed that recent readings of these indicators did not show a sharp deterioration in labor market conditions. A few participants, though, saw recently released labor market data, including revisions to previously released data and the BLS's preliminary estimate of the payroll employment benchmark revision, as indicating that labor market conditions had been softening for longer than was previously reported.』

幾つかの意見が出ていますが、メタメタに悪化している訳ではないが現状は弱まっている、というのが労働市場だという話ですな。

でもって5パラが見通しですが。

『With regard to the outlook for the labor market, participants generally expected that, under appropriate monetary policy, labor market conditions would be little changed or would soften modestly.』

適切な金融政策によって今後は横ばいか若干悪くなる程度で済むでしょう、だそうな。

『Several participants noted that the number of monthly job gains consistent with a stable unemployment rate had declined over the past year and would likely remain low, citing the large number of workers nearing retirement age or continued low net immigration.』

でもってここから先は色々な要因を絡めた話(移民とが人口動態とかマイノリティーとかの話)があるのですが、とりあえず意見を並べています、って感じで特に方向性も無いので引用だけしてパスします(手抜きマン)。

『Participants indicated that their outlooks for the labor market were uncertain and viewed downside risks to employment as having increased over the intermeeting period. In support of this view, participants mentioned a number of indicators, including the following: low hiring and firing rates, which are evidence of less dynamism in the labor market; concentrated job gains in a small number of sectors; and increases in unemployment rates for groups that have historically shown greater sensitivity to cyclical changes in economic activity, such as those for African Americans and young people.』

『Several participants saw continuing adoption of artificial intelligence as potentially reducing labor demand. Some participants noted that survey responses indicated that household sentiment regarding the labor market had moved down.』


・金融政策パートに行く直前にやっと全体観が出てきますw

6パラが全体観で7パラ以降が金融政策です。うーんあっさり味。

『Participants observed that growth of economic activity slowed in the first half of the year relative to last year.』

というのは声明文にある話で、以下セクター別の話がありますが最初が家計の話で、

『Regarding the household sector, participants noted that lower consumption growth had contributed to the slowdown in the growth of economic activity in the first half of the year.』

『Several participants remarked that recent data indicated some firming of consumption expenditures this quarter. Some participants mentioned that households were showing greater price sensitivity, and several participants observed that high-income households were increasingly doing better, economically, than lower-income households.』

ここでしらっと消費に関して二極化が起きている指摘がありますね・・・・・・

『Several participants noted continued weakness in the housing market, and a couple of participants mentioned the possibility of a more substantial deterioration in the housing market as a downside risk to economic activity.』

住宅セクターは引き続き弱い。

『For businesses, many participants noted strong high-tech investment. Several participants noted that financial conditions were supportive of economic activity. A few participants commented that the agricultural sector continued to face headwinds because of low crop prices and high input costs.』

企業では個別の意見はありますけど、なんかまあこれでおしまいでしてあっさり味にもほどがあるんですが、たぶん足元のポイントは経済というよりも労働市場(も経済ちゃあ経済ですが)と物価なんですよ、ってことなんでしょうね。








2025/10/09

お題「円安ワッショイで中短期再修正かしら(メモ)/9月議事要旨は政策部分だけ見ると先行きの決め打ち感はあまり強くないかと」

そりゃまあそうでしょうなあ
https://www.47news.jp/13263648.html
【速報】国民、首相指名選挙の野党連携に否定的姿勢
2025年10月08日 11時41分共同通信

とは言え、首班指名投票って別に立候補制ではないし、誰も過半数取れなかった時の決選投票では比較1位が当選する(院の過半数を必要としない)ので、共産とかも含めて揃いも揃って嫌がらせで「玉木」って書いたら大変に香ばしい事になるわけで、立場もパターンも全然違いますが、「山崎首班工作事件」で検索して味噌ラーメンということでwww

ええまあ当然ながらそんなことは起きないのですがwwwwwwww


・・・・・とかいう与太話はさておきまして毎勤ちゃんですが

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2508p/dl/houdou2508p.pdf
毎月勤労統計調査 令和7年8月分結果速報 を公表します

『2 実質賃金指数(令和2年平均=100)

〇消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で実質化したもの
・現金給与総額 82.7(1.4%減)※8ヵ月連続マイナス

(参考)消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年同月比 3.1%上昇

〇消費者物価指数(総合)で実質化したもの
・現金給与総額 84.2(1.2%減)※2ヵ月ぶりのマイナス

(参考)消費者物価指数(総合)の前年同月比 2.7%上昇 』

5年前の2割引きになってて「賃金と物価の好循環」も糞もあったもんじゃないですよねえ・・・・・



〇高圧経済円安ワッショイですのう・・・・・・

そらそうよ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-08/T3TEM2GOYMTE00
円は対ドルで5日続落、152円台後半−日仏の財政懸念でドル指数は上昇
George Lei
2025年10月8日 22:42 JST 更新日時 2025年10月9日 2:00 JST

→ブルームバーグのドル指数は一時0.3%上昇、2カ月ぶり高値に迫る
→市場は米国が相対的にましだと見なしている−ビクトリノ氏

てな話ですが、昨日は東京の19時くらいにはドル円153円に乗ってたので朝になったら153円後半かと思ったのでまあ昨晩はマシな方、とかうっかり思ってしまいますが、月曜の東京の日中(午後)に150円に乗ったばかりなのでありゃありゃまあまあという感じですが、そりゃまあ高圧経済円安上等ワッショイってブレーン(笑)の皆様が仰せになっているんですからしゃあないですわなとしか言いようが無い。

まあアレです、この調子だと10月は利上げしないにしてもファイティングポーズ取っておかないと円安加速させそうだし、何なら25bp利上げしたって利上げした後に「当分様子見」とか言ってハトハト姿勢を示してしまうと利上げしているのに円安加速とかいう面白事案に発展するリスクもありそうですが、まあゆうて高市大先生は「政府の責任」って言ってますので円安放置しても日銀無答責らしいので(たぶんそうはならないけどw)これはチキン植田総裁も枕を高くして眠れるというのものですな、うんうん。


一応昨日の債券市場ちゃんですが円安でよく考えたら利上げ接近するじゃんムーブなのか、

https://jp.reuters.com/markets/japan/4MU72D73QNLPPEAJ4XOPVTQRWQ-2025-10-08/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.695% 円安進行や財政懸念が売り材料
By ロイター編集
2025年10月8日午後 3:33 GMT+9

『[東京 8日 ロイター] - <15:10> 国債先物は続落、長期金利1.695% 円安進行や財政懸念が売り材料

国債先物中心限月12月限は、前営業日比19銭安の135円68銭と3営業日続落して取引を終えた。円安進行や財政懸念が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.695%。』(上記URL先より、以下同様)

ということでまたまた10年1.7%近くなってまいった次第ですが、

『また自民党の高市早苗新総裁が掲げる「責任ある積極財政」を巡る懸念も、引き続き円債売りの材料となった。財政規律派のキーパーソンだった自民党の宮沢洋一税制調査会長の退任や 、高市新総裁が国民民主党との連携・連立を模索していることが報じられる中、鶴田氏は「政治・財政政策の不透明感が投資手控えにつながった」と指摘。一部には高市氏が国民民主党の玉木雄一郎代表に財務相ポストを提示するのではないかとの見方もあり、閣僚人事や連立協議の行方に債券市場参加者の注目が集まっている。』

そこはやはり西田財務大臣くらいの面白人事をやっていただきますと大変に面白いのですが(タマキでも十分に面白人事だが)、「責任ある積極財政」ってもはやその時点でお前は何を言ってるんだという話だし、お前らが引き合いに出す高橋是清さんは軍事費の膨張を抑制しようとして軍部の反感買ってテロの犠牲になったんですけどねえというお話ではあるのですが、政治記者がイキり散らかさなくても円安債券安で物価が再加速してあばばばば―ってなるんでしょうなあというのが政権始まる前から早速始まっているのには草も生えませんwwww

『TRADEWEB
    OFFER  BID   前日比 時間
2年  0.921  0.931    0.02  15:02
5年  1.222  1.232   0.024  15:07
10年 1.689  1.696   0.021  15:02
20年 2.693  2.701   0.016  15:09
30年 3.151  3.165   0.004  15:07
40年 3.467  3.486   -0.03  15:05』

2年の0.92-0.93って水準は先週(つまり高市総裁前)のピーク水準で2年カレントの引けが0.95%水準だったのでまだまだ弾幕足りもうさんという話ではあるのですが、ただまあゆうて「円安絶賛進行するのに高圧経済音頭を堂々と踊りまくる(見るのも汚らわしいので引用しませんけどどこぞの馬鹿が良い円安とか抜かしておられるようですしおすし)」という状況では、皆様ご想定の政策金利では利上げが足りませんという話に成り兼ねませんので(まあその前に物価高に耐えられなくなって政権が先に飛ぶ可能性もありますけど)超長期の財政懸念もさることながら、現実問題として均衡金利の水準がもっとシフトアップするという発想からの中短期金利のリプライシングだって起きて然るべき(まあ昨日の場合は単に5年入札準備の面はあると思いますが)という考えだって成立すると思いますので、そういう流れなのか単純に5年国入札の準備なのか、まあ良くわからんですけどね・・・・・


〇9月FOMC議事要旨:年内追加利下げの話をしてるがそこまで前のめり決め打ち感を出さないようにしているのかなと

HTML版から引用します
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250917.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
September 16-17, 2025
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, September 16, 2025, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday, September 17, 2025, at 9:00 a.m.1


いつものインスタント読みで『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の最後の金融政策のパートから読みます。ケツから4パラグラフになります。第7パラから第10パラですな。


・利上げは「リスクバランスの下方シフト」が理由ですが・・・・・・

まずは第7パラグラフ。

『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants noted that inflation had risen recently and remained somewhat elevated, and that recent indicators suggested that growth of economic activity had moderated in the first half of the year.』

物価は最近上がっていてやや(マンデート水準より)高い状態が続いているが、最近の経済データを見ると年前半の経済はモデレートになってきている。

『While participants noted the unemployment rate remained low, they observed that it had edged up and job gains had slowed. In addition, they judged that downside risks to employment had risen.』

労働市場は失業は低いけどやや上がってきていてジョブクリエーションが減速してて雇用のダウンサイドが上昇。

『Against this backdrop, almost all participants supported reducing the target range for the federal funds rate 1/4 percentage point at this meeting.』

という背景のもと、ほとんどすべての参加者(メンバー以外も含むよ)は0.25%利下げに賛同。

『Participants generally noted that their judgments about this meeting's appropriate policy action reflected a shift in the balance of risks.』

でもってFOMCのステートメントでも会見のオープニングリマークでも強調されていましたが、今回の利下げは「リスクバランスの下方シフトによるもの」という説明になっていますな。全然関係ないですが隙あらば日銀ネタに結び付けてしまえば「物価のリスクバランスが足元でさらに上方リスク高まっている」という理由なら別に10月に利上げできるんですよね、まあそんな勇気がチキン総裁にあればとっくの昔に政策金利は1%またはそれ以上なんだが。


・バランスオブリスクの変化、という説明の詳細説明が入っているのはほえーと思いましたのですが

同じく7パラの今の部分の続きですがここが見どころではないかと(インスタントで他の部分読む前に言ってるので他の見どころがあるかもしれませんけど、汗)思うので小見出しも変えてみましたが・・・・・・

『In particular, most participants observed that it was appropriate to move the target range for the federal funds rate toward a more neutral setting because they judged that downside risks to employment had increased over the intermeeting period and that upside risks to inflation had either diminished or not increased.』

ほとんど(most)の参加者は政策金利水準をよりニュートラルなセッティングに持っていくのが適切であり、前回会合以降に雇用の下方リスクが拡大して物価の上昇リスクがなくなったあるいは増えていない、という認識が背景にあるよ、と説明しました、ってこの部分、別にさっきの記述あるから重複記載に見えてしまうのですが、この次に数名(A few)の参加者が利下げ見送りが適切って言っているので、その意見と比較するために掲載したんだと思いますが、別にこの部分が無しで次のとことに行っても趣旨は変わらんと思いますので、ここはわざわざ「ほとんどの参加者はこのようにリスクバランスが直近で変化したという認識です」ってのをアピールしようとして書いたんじゃないか、と思いました。まあ裏読みのし過ぎかも知れませんけれども。

でもって次に、

『A few participants stated there was merit in keeping the federal funds rate unchanged at this meeting or that they could have supported such a decision. 』

数名は利下げしないのが適切との意見で、

『These participants noted that progress toward the Committee's 2 percent inflation objective had stalled this year as inflation readings increased and expressed concern that longer-term inflation expectations may rise if inflation does not return to its objective in a timely manner.』

この人たちは今年に入ってインフレ減速の動きが止まっているし、アクチュアルのインフレが強いことに加え、適切なタイミングで今後アクチュアルのインフレが減速してくれないと、ロンガータームのインフレ期待が上振れしてしまうのではないか、という懸念を示した、ということでインフレが中々落ち着かないことによる弊害を指摘していますわな。

『One participant agreed with the need to move policy toward a more neutral stance but preferred a 1/2 percentage point reduction at this meeting.』

あともう一つの面白ポイントはミランの50bp利下げ提案の記述で、なんですかこの理由も碌に出てこない記載はということで中々草が生えますけれども、どうせあのオッサン、先般の講演に見られるようなアホアホ理論 (そういやあの面白講演のアホアホ理論をネタにするのをすっかり忘れておったわw)を繰り回すくらいだったと考えますと、まあ将来の議事録には掲載しても議事要旨には掲載する価値無しって事だったんジャマイカと勝手に妄想してしまいましたwwwwwwww

でもって資産買入残高縮小に関しては。

『All participants judged it appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings.』

とのこと。


・先行きの利下げは慎重にという数名の見解の背景が「ファイナンシャルコンディション」なのは味わいがありますね

第8パラグラフが今後の政策運営という皆様の大好物パート。

『In considering the outlook for monetary policy, almost all participants noted that, with the reduction in the target range for the federal funds rate at this meeting, the Committee was well positioned to respond in a timely way to potential economic developments.』

今回利下げしたので今後の経済の推移にタイムリーマナーに対応できるウェルポジションドな位置になった、という説明がalmost all participantsから出ているので、別に連続利下げを初手から決め打ちしているという話ではない、ということにはなりまして、

『Participants observed that monetary policy was not on a preset course and would be informed by a wide range of incoming data, the evolving economic outlook, and the balance of risks.』

とまあこのようにプリセットコースではないですよ、という話が書かれますけれども・・・・・・・

『Participants expressed a range of views about the degree to which the current stance of monetary policy was restrictive and about the likely future path of policy.』

現時点(利下げ後)での引き締め度合いがどの程度であって、今後の政策コースとして見込むパスがどうなるのかという点のご意見開陳コーナーがあったようでして、

『Most judged that it likely would be appropriate to ease policy further over the remainder of this year.』

ほとんど(Most)は年末にかけて利下げのおかわりが必要との認識。

『Some participants noted that, by several measures, financial conditions suggested that monetary policy may not be particularly restrictive, which they judged as warranting a cautious approach in the consideration of future policy changes.』

一方で数名(Someなのでさっきの利下げ反対なA fewよりも多い)の参加者は、ファイナンシャルコンディションを見ますと金融政策は特に引き締め的ではないので、今後の利下げは慎重に行うべきである、という指摘をしていまして、ファイナンシャルコンディションを持ち出しているのは要するに資産価格がワッショイワッショイしているのにホイホイ利下げしちゃっていいのか??という指摘をしているのはこれまた味わいがあるなと思いましたがどうですかね。


・リスクマネジメントアプローチの部分では追加利下げバイアスをあんまり出さない表現になっているのね

第9パラグラフはリスクマネジメントアプローチがどうのこうののパートです。

『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook for monetary policy, participants generally judged that upside risks to inflation remained elevated and that downside risks to employment were elevated and had increased.』

さっきのところではリスクバランス下方シフトで利下げとか言ってた割には先行きのリスクでは何故かしらんけど従来通りで物価のアップサイドリスクは依然として高いし、ってあるのがオモロイのだが、一応今回は雇用の方のダウンサイドリスクに「and had increased」と入れて格好はつけています。

『Participants noted that, in these circumstances, if policy were eased too much or too soon and inflation continued to be elevated, then longer-term inflation expectations could become unanchored and make restoring price stability even more challenging. By contrast, if policy rates were kept too high for too long, then unemployment could rise unnecessarily, and the economy could slow sharply.』

今後の利下げが早すぎても遅すぎてもイクナイ、という話はいつも通り。

『Against this backdrop, participants stressed the importance of taking a balanced approach in promoting the Committee's employment and inflation goals, taking into account the extent of departures from those goals and the potentially different time horizons over which employment and inflation are projected to return to levels judged consistent with the Committee's mandate.』

ですからバランスドアプローチがダイジネー、とあんまり以前と変わらん表現で通していて、追加利下げバイアスをあんまり前面に出していないイメージを受けました。


・バランスシートの話では「アバンダント」から「アンプル」への変化の見極め云々というお話をしていました

第10パラグラフはバランスシートの話でした。

『Several participants remarked on issues related to the Federal Reserve's balance sheet and implementation of monetary policy.』

バランスシートの話とな。

『A few participants stated that balance sheet reduction had proceeded smoothly thus far and that various indicators pointed to reserves remaining abundant.』

まだリザーブはアバンダントであるという認識が数名から出されています。まあこれ初手で「Several participants」が示した見解って書いてあるので、人数自体は多く出てこない点は注意して読んでおきましょう。

『Nevertheless, with reserves declining and expected to decline further, they noted that it was important to continue to monitor money market conditions closely and evaluate how close reserves were to their ample level.』

そろそろアンプルリザーブに近くなってきているんじゃないか、ということで短期市場の動向などは良く確認しておくのダイジダイジネーという話をしていますので、まあ「アンプルリザーブ」水準になったという認識になると、とりあえずFEDの資産残高縮小は一旦止まって残高キープ(ただまあその時に借り換えで長期債買うのか短期債買うのかとかそういう論点は残るかと)ということになるというお話ではあります。FEDの場合は基本「マーケットニュートラルに近い買い方」になると思いますけど。

『In that context, a few participants noted that the SRF would help keep the federal funds rate within its target range and ensure that temporary pressures in money markets would not disrupt the ongoing reduction in Federal Reserve securities holdings to the level needed to implement monetary policy efficiently and effectively in the Committee's ample-reserves regime.』

常設レポファシリティ(Standing Repurchase Agreement、でして能書きはhttps://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/standing-overnight-repurchase-agreement-facility.htmにあります)が市場金利の上限を画するために重要になっていくでしょうというお話をしておりまして、まあこの利用状況も睨みながらアンプルリザーブに達したかどうかの判断ってことになるのかしら、とは思いました。

今朝はこの辺で勘弁ということで。








2025/10/08

お題「散々調整して30年国債無事通過(備忘メモ)/ドル円ェ・・・・・/支店長の報告は「利上げ出来なくもないがパスが吉」的なまとまり方ですね〜」

トラスではなくメローニの方に向かってくれるかもしれないですね
https://www.47news.jp/13261436.html
【独自】高市氏、靖国参拝見送りへ 中韓との外交問題化回避
2025年10月07日 21時27分共同通信

『自民党の高市早苗総裁が今月17〜19日に東京・九段北の靖国神社で執り行われる秋季例大祭中の参拝を見送る方向で調整に入った。複数の関係者が7日、明らかにした。高市氏はこれまで、閣僚在任中も終戦の日や春秋の例大祭には靖国神社を参拝してきた。』(上記URL先より)

とは言えそっち方面で高市カラーが出せないとなって財政金融面でバリバリ全開の高圧経済をぶっこんでくるという懸念はあるんだよな〜、知らんけど。

〇30年国債無難な結果と言ってもまあ前日から散々調整しましたからねー

https://jp.reuters.com/markets/japan/7TH7BCI7H5IZ3OOWO2ZXTMZUAU-2025-10-07/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.675% 入札無難で超長期も金利上昇一服
By ロイター編集
2025年10月7日午後 3:29 GMT+9

『東京 7日 ロイター] - <15:15> 国債先物は続落、長期金利1.675% 入札無難で超長期も金利上昇一服

国債先物中心限月12月限は、前営業日比3銭安の135円87銭と小幅続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.675%。序盤に一時1.695%と17年ぶりの高水準をつける場面もあった。警戒された30年債入札が無難に通過し、午後は長期・超長期の金利上昇が一服した。』(上記URL先より、以下同様)

ということなのですが、

『後場に入ると、財務省が実施した30年利付国債入札が事前に警戒感があった中で無難な結果となったことが好感され、先物相場は下げ幅を縮小。終盤には一時、小幅プラス圏に浮上した時間帯もあった。』

ってお話ではあるのですが、ゆうて30年国債って前回号の87回債のBBさんの引けが月曜は13毛5糸甘の3.285%で昨日の引けは87回債で3.280%と5糸強で、新発88回の引けが3.170%でしたが、88回の入札って前場引けにやっていますけど前場は散々調整して平均3.248%の足切り3.259%でやっているので、引けで比較したら前週末比で30年って昨日の引けは13甘とかですけれども、入札自体はそこから8毛近く甘い所でやっているんですから、高市総裁爆誕で30年20毛甘くしてやっと捌けたってだけの話ではあるのですが、前週末から20毛甘くなったとかいうのは華麗にスルーして入札のテールがそんなに長くなかったとか応札倍率が平均並みにあったとか、(散々甘くしたから)最終投資家のニーズがあったとかそっちが評価されますという毎度おなじみの展開ではありましたな。

まあアレです、とりあえず調整したけど入札ダメでした、とかいうような地獄のような話にはならなかったので当面はメデタシメデタシという話ではあるのですが、散々調整してやっと入札が通過できた、というだけの話ではあるので、めでたさも半分くらいって感じだと思うんですけどね、まあ個人の感想ですけれども。

『現物市場で10年物以外の新発国債利回りは概ね上昇。イールドカーブはフラット化した。2年債は前営業日比1.0bp上昇の0.905%、5年債は同2.0bp上昇の1.210%。20年債は同0.5bp上昇の2.695%。一時は26年ぶり高水準の2.740%をつけた。30年債は同0.5bp上昇の3.290%。入札を控えた午前には過去最高となる3.345%に上昇する場面もあった。40年債はまだ売買が成立していない。』

ということで前日のツイストスティープを少しだけお返しした(お返ししたうちに入らん気もするけれども前場引けよりはだいぶ戻ったし)形で、

『TRADEWEB
     OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.899  0.911   0.009  15:20
5年   1.2    1.21   0.014  15:19
10年  1.671  1.677   0.002  15:20
20年  2.682  2.697    0    15:20
30年  3.28   3.297   0.005  15:20
40年  3.489  3.513   -0.019 15:20』

ということでまあとりあえず30年入札イベントは終了したものの、なんか次にありますように円が飛ぶ飛ぶとなっておりまして、はてさてどうするんじゃこれという話ではあるのですが、何せ次の首班指名決まって閣僚が決まるまでは実質的に皇帝のいない8月状態なので介入もできんしチキン日銀が何かする訳も無いし、来週水曜臨時国会とかのんびりとしている場合なのかよとは思ってしまいますな、南無三。


〇あらあらドル円ちゃんが151円になっちゃったの〜〜(煽り口調)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-07/T3RHNMGOT0JR00
円が対ドルで1%下落、一時151円90銭台−キャリー取引が復活
Vassilis Karamanis、Michael G Wilson
2025年10月7日 22:00 JST 更新日時 2025年10月8日 3:47 JST

『7日のニューヨーク外国為替市場では、円が今年初の4営業日続落。円を調達通貨とするキャリー取引が復活し、レバレッジをかけた新たな円売りの圧力が強まっている。

円はドルに対し、一時1%安の151円93銭まで下落。2月下旬以来の安値を付けた。景気刺激策に前向きな高市早苗氏を首班とする内閣が発足する見通しとなり、日本銀行の早期利上げ可能性が後退したとの見方が広がった。』(上記URL先より)

・・・・ってそれ土曜日の時点で分かってるじゃんという話なので何じゃこの後講釈はという感じではありますが、ユーロがフランスの政局云々で(向こうの時間の)月曜からヘロってきたから相対的に対ドルでの弱さが加速したって面はあると思うのですが、しかし本田悦朗大先生の口先牽制(???)もまるで空しく円は飛んでいくの巻となっておられる次第で誠に香ばしい展開。

まあ為替市場ちゃんムツカシネーなので別にこのままホイホイと円安が進むかどうかもワシにはわからん(分かってたら商売変えてるわwww)ので何ですが、これ日銀の利上げって本田大先生のいう12月利上げって意外に理由付け(屁理屈のこじつけ)が難しいのでどうなんでしょうね〜とは思う所でありまする。

すなわち、経済物価見通しやらリスクバランスに関しての大きな点検ってのは四半期定例の展望レポートで行う訳ですし、皆様ご案内の通りで月曜火曜にネタにしました植田総裁の大阪講演(HTMLバージョンが出ています)を見ましても、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko251003a.htm
最近の金融経済情勢と金融政策運営
大阪経済4団体共催懇談会における挨拶
日本銀行総裁 植田 和男
2025年10月3日

「当面、わが国の経済・物価情勢を点検するうえで重要と考えられる3つのポイント」の中にあったポイントってえのが、

第1に、海外経済の動向です。
第2のポイントは、関税政策が、わが国企業の収益や賃金・価格設定行動にどのような影響を及ぼすか、という点です。
第3の点検ポイントは、食料品価格の動向です。

となっていた訳でして、これが10月末では見極めがつきません不確実性が高いです、方式で展望レポートを出してきて、そういう理由で政策金利の調整を見送りました、とやっておいて、12月中旬の金融政策決定会合でそれを覆すだけの「不確実性の低下」っていうのなかなか面倒で、一応12月短観は(いつものスケジュールなら)決定会合の前に出ますけれども、目の前に春闘が待ち構えているのに見切り発車で賃金設定行動は大丈夫っていうの相当に豪快なお話(そもそもそれを見極めたいと言って去年の12月はハトハトチキンモードの利上げ見送りで皆をズッコケさせたという前科がある)になるんで、まあゆうて「12月に利上げできるくらいなら10月にもできるじゃろ」という感じに今だとなっているように見えるんですよね。

まあいざとなれば従来通りで三百代言モードとなって屁理屈捏ねて来るんでしょうけれども、この調子で10月決定会合前にホイホイと円安が進んだ場合にはどうなっちゃうんでしょうというかって話ですが、昨年7月同様に「物価上振れリスク」で利上げという理屈は全然問題ないというか既に前回会合で田村さんがその理由で利上げ提案しているんだからそれにモロ乗りしてしまえばヨロシアルねではあるんですが、組閣も終わる前からこの調子なのは中々困る所ではありますな。

・・・・・とは言いましても、まあ日銀ちゃんとしては何か高市大先生が「政府が責任を持って」とか言って日銀をただのオペレーション担当にでもするかのような物言いをしておりますので、ケツ叩かれない限りはシランガナと寝転がるのが組織的には正しい(国民厚生的に正しいのかどうかは知らんけどサナエが責任取るって言ってますからね〜)という話になってしまいますので、まあ難しくなってまいりましたという感じではありますな、うんうん。


〇なんかすっかり高市政権爆誕(予定)で今回はパスモードになってしまいましたがさくらレポート関連

さくらレポート
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer251006.htm(各地域の現状判断文言だけページ)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer251006.pdf(本チャン)

でまあこちらの1枚ダイジェストの方からとりあえず引用します
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera251006.htm
各地域からみた景気の現状(2025年10月支店長会議における報告)

・景気判断は「横ばい」で来ているので政策金利調整を妨げるものではないんですな

『今回の支店長会議における報告を総括すると、一部に弱めの動きもみられるが、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。前回の支店長会議開催時点(2025年7月)と比較すると、全9地域中1地域で総括判断を引き下げている(参考参照)。』

ということで北海道下がっていますが、他は横ばいでして、今の展望レポートで示している見通しと、決定会合で政策調整見送りとしている理由では「インラインで推移すれば政策調整(利上げ)」「ただしトラ公のせいで経済の下振れリスクが大きい」なので、判断が概ね横ばいで来ているのは(見通し上向きだとインラインあるいは多少の上振れということになるので)政策調整を急いでしなければいけないわけではないけれども、(下振れリスクが顕在化している訳でもないので)政策調整を排除するものでもない、という至極穏当(忖度とかそんなことは言いませんよ!)な結果になっております。


『主な需要項目等別にみると(注)、輸出・生産については、米国の関税引き上げに伴う駆け込みとその反動減に加え、資本財の受注についても下振れの動きがみられるとの報告があった一方、AI関連の受注の堅調さを指摘する報告も多数あった。』

関税の影響があるものの大きな下押しになっていない、という形なのでこれまた政策調整を急ぐ必要はないが別に排除するものではない、という論調。

『この間、一部の地域のサプライヤーからは、関税の影響により収益が下押しされている国内納入先において、取引価格の交渉スタンスが厳格化しているとの声が聞かれたものの、現時点では、人件費の価格転嫁の流れを阻害するまでには至っていないとの報告が多かった。』

この後にも賃金設定と価格設定という重要項目扱いしている部分の評価がありますが、この部分の時点で既になのですが、「賃金価格設定行動に関しては、懸念が無いわけでもないけれども全体として行動が下方屈曲するような動きにはなっていない」という留保付きインラインという結論になっていて、美しいまでにこれは政策調整を急ぐ必要はないが別に排除するものでもない、になっていて、しかもこれだとまさに「今後の見極めが必要」となるとかいう判断になっておられますな。

『設備投資については、IT関連需要の拡大期待に基づく能力増強投資や、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資などで積極的な投資スタンスが維持されているとの報告が多かった。ただし、各国の通商政策の影響を巡る不確実性の高さを背景に、投資の先送りや見直しを検討・実施する動きがみられるとの報告があったほか、建設コスト上昇により投資の先送り・縮小等を検討する動きもみられるとの報告があった。』

ということですが短観の設備投資計画ってトラ公要因があるとは思えないような平常運転になっていたようにお見受けします。まあここも作文としては政策調整を急(以下同文)。


・注目のおちんぎんですが

次が注目のおちんぎん。

『賃金設定面では、先行きの賃金設定について、各国の通商政策の影響や海外経済の減速等により企業収益が大きく下振れた場合には、賃上げを抑制せざるを得ないとの声があった一方、人手不足感の強さや最低賃金の引き上げ、最近の食料品を中心とする物価上昇等を受けて、引き続き高めの賃上げが必要とする声も報告された。』

うーーーーんこの見事な作文、という感じでして、賃金と価格が相互に参照しながらどうのこうの、の話も維持されているという話だし、一方でトラ公の影響でここから企業収益がスクイーズされてくる、あるいは米国経済が減速してきてそもそも輸出自体がアイヤーとなる場合におちんぎん大丈夫か問題は依然としてありますので、というのも入っていまして、この説明を見ますとまあおちんぎんの動向に関してはまだ判断ができません、という絵になっていますし、こんなのもありましたわな。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-06/T3JCWMGOT0JK00
日銀支店長会議、引き続き高めの賃上げが必要との報告−米関税警戒も
伊藤純夫
2025年10月6日 14:18 JST 更新日時 2025年10月6日 17:21 JST

『記者会見した正木一博理事・大阪支店長は、人手不足の中で企業経営者は引き続き賃上げが必要と認識していると語った。一方で、賃上げ率に関しては、米関税政策の影響が企業の売り上げや収益にこれから具体的に出てくるとし、「来年の賃上げの程度を申し上げるには、情報が十分ではない」との認識を示した。』(この部分だけ直上URL先10/6ブルームバーグニュース記事より)

ということで前企画担当理事の正木さんもこのように仰せでして、少なくとも賃金方面は「確認のお時間を頂きたい」という説明になっている訳ですな。


・価格設定行動は一応堅調なのだが・・・・・

でもって本編に戻って次が価格設定行動。

『価格設定面では、仕入コストや人件費、物流費等の上昇を転嫁する動きが続いているとの報告が多かった。ただし、米などの食料品価格の上昇等を背景に消費者の節約志向がやや強まるもとで、値上げの抑制や低価格商品の品揃え強化等の動きもみられるとの報告があった。』

そらこれだけ食料品価格ホイホイあがったらそうなるわなとは思いますが、価格設定行動に関しても別に政策調整を急ぐ必要以下同文というストーリーになっていますな。

『こうしたもと、個人消費(インバウンド需要を含む)については、イベント関連等でのハレの日消費の堅調さを指摘する報告があった一方、日常消費では、消費者の根強い節約志向を背景に、スーパー等において、購入点数の減少が続いているとの報告があったほか、値上げを行った外食等からは、客数の伸びがこのところやや鈍化しているとの報告があった。』

なんちゅうかこの現象っていつかみた光景なので(とっさに出てこないけど昔もこの手の「ハレの日消費」とか「メリハリ消費」とか言ってた時期があってそれこそさくらレポートでもその話があったと思うのですが期末期初進行なので下調べとかしてる元気が無くてすいませんすいません)まあ微妙感は正直ある。ただその時と違うのはおちんぎんが上がっているらしいことで、まあそれがどう出るかということになろうかと思いますけども・・・・・・・・(お前のおちんぎんはと質問するのは禁則事項wwww)

『この間、都市部の百貨店等からは、高額品を中心に免税売上には弱さがみられる一方、最近の株価上昇もあって国内富裕層の需要は堅調さを維持しているとの報告が多数あった。また、観光・宿泊需要も、インバウンド需要の増勢鈍化の影響を受けつつも、底堅く推移しているとの報告があった。』

どう見ても格差拡大です本当にありがとうございましたorzorz


・まあ経済は様子見必要というストーリーだが利上げ提案は物価で来ていますので

ということで支店長会議報告の全体部分だけで言えば「今回は様子見しましょうそうしましょう」ってトーンの方が強く示されている感じはしますが(個人の感想です)、ゆうて高田さんも田村さんも「物価目標概ね達成(高田さん)」あるいは「物価上振れリスクの高まり(田村さん)」での利上げ提案を行っているので、このさくらレポートがでたからとてその部分って変わらんと思いますので(とアタクシが思っているだけで高田さんと田村さんの思考を見ている訳ではないので断言はできないが)、まあその点からしたら別にこの展望レポートで利上げ提案取り下げるとも思えないですし、何なら高圧経済するなら物価上昇リスク高くなるし、実質金利が黙っているとさらに下がってしまうから田村さん的にはより強力に利上げ提案しないと筋が通らんことになる、という訳で、まあその辺りで利上げ逓減路線が頓挫することは無いという話だと思いますけどどうでしょうかね〜。

と言ったところで今朝は勘弁。






2025/10/07

お題「高市総裁の初期反応ですが・・・・・/おや本田悦朗先生の発言が・・・・/総裁大阪会見もまあチキンちゃん」

?????????????
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB063YV0W5A001C2000000/
市場、財政規律派の起用に期待感 10年債利回りの上昇幅小さく
為替・金利
2025年10月6日 19:32 [会員限定記事]

『6日の金融市場で相対的に落ち着いた動きをみせたのが10年債の利回りで、小幅な上昇にとどまった。市場では自民党の高市早苗新総裁が要職に財政規律派を起用し、拡張的な財政政策への一定の歯止めになるとの期待がある。』(上記URL先より)

例によって無課金おじさんだから記事の中身は分からんですけど、高圧経済って連呼している訳だし、連立の枠組み拡大したらやっぱり財政拡張なんですからそんな訳は無いでしょとしか思えないし、何なら財務大臣にT木さんとかもっというならN田さんとかぶっこんでくるジャマイカとしか思えませんけどねえ。知らんけど。


〇超長期が売られる挙句に今日は30年国債入札だが5年とかホイホイ買われる意味はアレかと

例によってロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/7TKMKAZLOVNF3PPJCZ3P4M7BI4-2025-10-06/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反落、長期金利一時1.675% 高市トレードでスティープ化
By ロイター編集
2025年10月6日午後 3:44 GMT+9

まあスティープするのはわかるんですが、

『[東京 6日 ロイター] - <15:20> 国債先物は小反落、長期金利一時1.675% 高市トレードでスティープ化

国債先物中心限月12月限は、前営業日比1銭安の135円90銭と小反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.670%。一時1.675%と17年ぶりの高水準をつける場面もあった。自民党総裁選で高市早苗前経済安保相が勝利したことを受け、短期債が買われた一方で超長期債が売られ、イールドカーブはツイストスティープ化した。』(上記URL先より、以下同様)

ってなもんで、細かい話はかっとばして結論は

『TRADEWEB
     OFFER  BID    前日比 時間
2年   0.886  0.902    -0.04  15:35
5年   1.181  1.195    -0.03  15:35
10年  1.666  1.675    0.011  15:35
20年  2.677  2.695    0.083  15:35
30年  3.27   3.286    0.133  15:35
40年  3.501  3.525    0.144  15:35』

ということで今日30年入札が待っていることも影響しているんでしょうけれども、超長期はまあ甘くなるというのは良いんですけど、2年は兎も角(2年も正直意味不明)5年がそんなに買われて良かったんでしたっけというのはアタクシ的には思うのよ。あ、ちなみに短国3Mは2毛強くらいだったと思いますが、まあ元が0.50%水準なのでそんなもんかもしれませんね(3Mなので当然ながら1月の頭の足)。

だって皆様ご案内の通りで為替ちゃんは円は飛ぶ飛ぶでドル円もアレだが対ユーロとかもエライコッチャ(夕方にフランス新内閣が飛んだので少し戻しましたが)になっていまして、そのうえ高圧経済やりまっせ、と言ってるんですからそらもう物価がそう簡単に落ち着いてくれる訳は無くて、円安圧力はかかりやすいし財政出して結局物価を押し上げるという話になるのですから、そうなった場合に0.5%とかいう今の政策金利がこの世のものとは思えない低さなのは必定だし、ターミナル1%とか寝言言ってる場合じゃない局面がしばらくしたら訪れるリスクはビンビンに高まっている、という事だと思うんですよね。

ですから、まあ10月利上げか12月利上げか、で盛大に影響のある3M(ただし元々3Mは10月利上げ即死レートだったので2毛強にしかなっていない)短国は分かりますけれども、2年とか5年のスパンで考えた場合、短期政策金利のパスって普通に考えたら上方シフトしませんかねえと思うのですが、まあ昨日の初期反応はフラットニングポジションの巻き戻しって奴でしょうからそういう動きもするわとは思うけど、2年ならまだしも5年がつよつよというのはさすがに何じゃそらと思いました、あくまでも個人の感想ですけれども。


〇コストプッシュだから対処しなくて良いというのは最早世界の中銀からは言われないんですが・・・・・

そういやこんなのがありましたが。

https://news.yahoo.co.jp/articles/140a73289204adacc3a6c1c3a0d7417232f57cb4
日銀の早期利上げ観測後退 高市総裁誕生で正常化進めにくく? 円安で物価高助長の懸念も
10/6(月) 21:24配信

『日銀の利上げに慎重とされる自民党の高市早苗新総裁の首相就任が濃厚となる中、金融市場では日銀の早期利上げ観測が急速に後退つつある。円安が進行する一方で「責任ある積極財政」を掲げる高市氏がばらまきへと突き進めば、物価高を助長することになりかねない。金融政策の正常化を進める日銀との政策の方向性の違いが、国民生活に混乱を招くという懸念も出ている。』(上記URL先より、以下同様)

ということで何気に産経とか読売とかの高市先生大歓迎モードと思われる皆様ですらさすがに昨日のドル円150円に多少ビビっているのか、「高圧経済アプローチが円安物価高を招く懸念」について言及しているのが味わいがあったのが昨日のアタクシの印象です。

でまあこの記事にありますが、

『「コストプッシュ型のインフレを放置して、もうデフレではなくなったと安心するのは早い」

高市氏が4日の記者会見で日銀の利上げを牽制(けんせい)するような発言をしたことから、29〜30日の金融政策決定会合での利上げ再開を見込んでいた市場では巻き戻しが起こり、運用面の魅力が高まりそうにない円を売ってドルを買う動きが強まった。』

などと言っている訳ですが、弊駄文では何度もご紹介していますように、今年は主要中銀でストラテジーレビューが行われて金融政策運営のストラテジー(ゴールではない)の見直しが行われた訳ですが、その説明の中でECBにしてもFRBにしても、コストプッシュに関しても(特にECBのラガルドは)「過去のグレートモデレーションの時代と異なり、価格ショックが持続的なインフレにつながるリスクが強まっている」という説明をしていまして、コストプッシュだから放置して良いとかいう話ではなく、あくまでも価格上昇の持続性とか、セカンドラウンドエフェクトとか、インフレーションエクスペクテーションへの影響とか、そういう点を重視して必要であれば供給要因起因の価格ショックであっても対応しないといけない、というのが今や世界の中銀業界のコモンセンスとなっている訳ですな。

然るに、日銀の場合はとにかく利上げをゆっくりやりたい、というために黒田末期以降数々の屁理屈を繰り出してきた訳でして、この「コストプッシュだから対処しなくて良い」というのもその一つでして、そういう小細工で変な屁理屈を出すもんだからこうやって政治家に理屈が悪用されてしまう訳で、とにかく変な屁理屈を出してごまかしながら正当化する、という悪い癖を日銀は止めるべきだし、過去の変な屁理屈に関しては「経済構造がデフレ的では無くなったから」とかいう美名をつけていいから、有耶無耶のうちに無かったことにするんじゃなくて、ちゃんと説明して「あれはデフレ時の理屈でインフレ―ショナリーに経済構想が転換した現時点ではこの理屈は有効ではない」ってちゃんと言わないと、インフレ―ショナリーになっているのに「コストプッシュ型のインフレはインフレに非ず」みたいなことを言い出すアホウが出てくる(じゃあ第一次石油ショックは何でしたっけという話ですわな)ことになるので、その場しのぎの屁理屈を繰り出すという日銀のスタンスは罪が深いわ、と思う訳ですよ。

ちなみに「賃金と物価の”好”循環」もまるで同じでして、好循環とかいうもんだからいつまでたっても賃金上げるのを何とかするためにとか言って、今回だって(やるかやらんかわからんけど)赤字企業に財政支出しかねないような勢いの話が出てきたり出てこなかったりする訳で、いやそうじゃねえだろとなってしまうのですが、そもそもこれも利上げ先送りのその場しのぎで屁理屈シリーズ、「賃金と物価の好循環はアリマース」を唱えたもんだから好循環とか言う幻想を追いかけて財政出す出すとかいう話になってしまっている訳で、この手の「日銀が目先の利上げを先送りするために繰り出したトンデモ屁理屈」が色々と弊害を発生させているなあとしか思えませんので、まったくもって罪万死に値すると思いました(個人の偏見です)。

しかしまあ何ですな、高市さん大好き産経新聞ですら上記の部分の続きに、

『だが、過度な円安が進めば、輸入コストが上昇し、国内物価の上昇を助長することになる。高市氏が積極財政を打ち出していることも需要の刺激を通じて、物価をさらに押し上げる
ことになる。』

って有るわけで、さすがに物価高が問題になっている中で高圧経済やるのはどうなのか、という話自体はあるのかな、と思っていましたら・・・・・・・・


〇本田悦朗大先生がまさかの12月利上げ論と思ったらさすがに円安はマズイという話なのね

昨晩こんなのが出ました
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-06/T3PBFPGOYMTG00
高市ブレーンの本田元内閣参与、日銀は10月利上げ困難−12月の可能性
藤岡徹、伊藤純夫
2025年10月6日 21:00 JST 更新日時 2025年10月6日 21:26 JST

え?????12月の可能性???????と思ったらですねえ

→経済状況が大きく悪化しない限り、0.75%へ利上げしても問題はない
→1ドル=150円超は「行き過ぎ」、過度な円安で物価高止まりの懸念

えええええええええええええ!!!!!お前らって「円安の何が悪いんだ」じゃなかったのかよ、という話ですがそれこそ置物残滓だったはずの野口審議委員が先般の札幌講演で急に真人間になられた(ちなみにあの講演リードのところだけしかネタにしていませんが本文も味わいがある部分が有るのでネタが渋滞しているので遅れていますがそのうちネタにします)という事案につきまして弊駄文でご紹介しましたが、もしかして本田先生まで急にまともな話をおっぱじめたのかよ。というお話なんですがまあ記事を拝読拝読。

『高市早苗自民党総裁の経済ブレーンの1人である本田悦朗元内閣官房参与は、日銀の利上げ時期に関して、今月の金融政策決定会合は難しいとする一方、12月会合の可能性はあるとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

えええええええええええええええええ!!!!!12月アリなのかよおおおおおおおおおお!!!!!

・・・・・まあ何ですな、高圧経済音頭でタコ踊りしている間にドル円が160円を軽く突破して170円180円とかになって来てどうしようもなくなって12月に利上げに追い込まれる、というパスでの利上げはアリエール(なんならそれ10月末に来たらもっと香ばしい)というパスでの「追い込まれ利上げ」のルートは考えていたのですが、まさかの本田悦朗大先生から10月はさすがに早いが12月はアリ、という見解が出るとは、という感じではあります。

『本田氏は6日のインタビューで、日銀の利上げついて高市氏が慎重に進めてほしいと考えており「いつならいいとか、今はだめだとか言うことはない」と指摘。その上で、10月中旬ごろとみられている首相就任から間もない29、30日の会合で利上げに踏み切るのは、「さすがに難しい」と語った。』

からの、

『一方で、今後経済状況が大きく悪化しない限り、現在の0.5%程度の政策金利を0.75%程度に引き上げても問題は生じないとみている。「マクロ経済環境によるが、今のような環境であれば0.25%上げても問題ない。仮に12月にやるとしても、米国は心配だが、そんなに混乱しなければ大丈夫だろう」と述べた。』

ということで、まあリードのところにありますように、高圧経済やって円安ぶっ飛んだら圧力釜が壊れて大爆発して台所が大惨事になりまっせ、というのはさすがに認識しておられる、というのが背景にあるのかな、とおもいましたし、これが「現実路線メローニ化」への過程の兆候ならばそれはそれで結構なお話ではあるのですが。

『昨年に出版された高市氏の著書「国力研究」で経済分野の執筆を担当した本田氏の発言は、積極的な財政政策と金融政策で経済成長を目指す高市氏の下でも、将来的な利上げは排除されないことを示唆している。それでも、市場が従来想定していた早期利上げは後ずれを余儀なくされそうだ。』

あーすいませんBBGさん、12月利上げOKならむしろ「昨日の時点での」市場の利上げ見通しが前倒しになると思いますよwwwwwwwwwwwww

でまあ為替ちゃんの方ですが、

『本田氏によると、円安進行が日銀の利上げの判断を複雑化させる可能性がある。円安は一般論として日本経済のサポート要因になるとしつつも、過度な進行は物価を高止まりさせてしまうとし、円安が「150円を超えたら、やや行き過ぎだろう」との認識を示した。本田氏の発言を受けて、円は下落幅を縮小し、対ドルで一時149円80銭台まで戻した。記事配信前には150円台前半で推移していた。』

ということで、じゃあお前ら160円の時に何で利上げしろって言わなかったんだよという気もしますが、まああの時対比で今の方が物価高の長期化によって弊害が高まっている、という状況でもありまして、だから石破政権吹っ飛んでしまった訳なので。円安のプロコン比較をした場合に、過去よりも問題が大きくなっている状況に変化したのでこれ以上の円安は容認しにくい、という話でまあ理屈自体は通らんでもないな、とか何とかヘリクツ日銀につきあっているとヘリクツ製造スキルは上がりますなあ(何の役にも立たないし何なら後で自分の首を締めるだけのスキルだがwww)と思うのでした。

まあ高圧経済とか言いながらも円安はアカンというのは虫の良すぎる話なので、この折り合いをどうさばいていくのかを生温く見守っていくわけですが、その点で財務大臣人事にあんな人やそんな人をぶっこんでくると大変に香ばしい事に成り兼ねません、ということで首班指名が来週とのことなのでまあドキドキの展開は続くかなという所で。


〇大阪講演での総裁記者会見だが講演よりはましだがやっぱりハトハトチキンというか優柔不断というか

昨日は支店長会議もあったわけですが、10月利上げが(この後為替は飛ぶ飛ぶドームの風でとなって追い込まれる場合を除き)かなり消えましたとなってしまったので、次は12月短観直後になるはずの12月会合、すなわち12月短観見ますか、って話になると思うのでややウェイト低下、ということで明日に回します(時間の関係で)。

ということで大阪での会見ですが、講演テキストはハトハトというかチキンエキス満載でもう鶏ガラスープの素かよという世界ではありましたが・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk251006a.pdf
総裁記者会見
――2025年10月3日(金)午後2時から約30分
於 大阪市


・不確実性の度合いの変化と「点検はいつまでやるの」に関して

冒頭の(たぶん)幹事社質問はオープニングリマークみたいなもんなので割愛しまして(本当はこのオープニングリマークをもうちょっと工夫する余地は無いのか(他中銀みたいに)とは思うのですよ、今の方式だとイマイチ(金懇や地方講演だとご当地経済の話があるのでそっちは良いんですけど)だなと・・・)、その次の質疑から参ります。

『(問)二点お願いします。一点目が不確実性のことで、4 月には不確実性はきわめて高い、7 月の関税日米合意後も不確実性は引き続き高いと発言されていましたが、今日はそういった発言がなかったようにも思いましたが、今も不確実性は高い状況なのでしょうか、というのが一点目です。』

仰せの通り。

『二点目がですね、チェックポイントの一つの米国経済の動向ですが、その雇用情勢や遅れている関税の転嫁、金融政策の行方など、この 1 か月で見通せるとも思えないのですが、この引き続き注視や当面は点検というのは、どこまで時間をかけるのでしょうか。少なくとも数か月はかかる認識なのでしょうか。考え方も含めて教えてください。』

そりゃツッコみますよね。植田さんの回答ですが、

『(答)不確実性、特に通商政策周りの不確実性の推移のようなものですけれども、4 月の時点ですと、関税の水準で言うと、どこまで行ってしまうか分からないというような種類の不確実性まであったように思います。それが 7 月あるいは 8 月、9 月の動きの中で、日本周りであれば、例えば、概ね 15%ということで、おそらく当面は決着したということですので、そこは不確実性は低下したということだと思います。』

とは言ったものの、

『ただし、例えば 15%の関税率、他の国には、大体似たような水準あるいは少し違った水準で、関税率が大体決まっているわけですが、これがアメリカ経済、そして世界経済にどういう影響を及ぼしていくのか、その中で日本経済がどういう影響を受けるのか、この点に関する不確実性は依然としてかなり大きなものが残っているというふうに判断しています。』

どう見てもハトハトチキン音頭です本当にありがとうございました。

『そのうえで、こうした不確実性のもとでどれくらい情報を見極めることが、例えば、ご質問はおそらく次の政策判断に必要なのか、ということだと思うのですけれども、それは申し上げるまでもなく、全てのハードデータがどういうふうに出るかということを全て把握してからということですと、すごい先になるということは明らかですので、』

でまあそのハトハトチキン音頭をここで中和しているのですが、そう思うんだったら初手でその前段で引用したような説明をするんじゃなくて、「もちろん色々な不確実性はあると思いますが、先行きの経済への悪影響の程度については色々なデータで確認しながらフォワードルッキングに判断していく」というような感じでフォワードルッキングな判断をする、って言えばいいのにとおもうのですよね。一々この引用の前段部分のようにバックワードルッキングして石橋を叩いても渡らないみたいな言い方をするからハトハトチキンな訳ですが、まあそのハトハトチキンというか優柔不断なのは植田さんの仕様なんでしょうかねえ、コマッタモンダ。

『私どもの政策判断に必要な程度の見極めができるところまでということになるかと思います。その判断材料としては、ハードデータもありますし、ヒアリング情報もありますし、様々な人のマクロ経済に対する見方のヒアリングもあります、ということになるかと思います。』

だそうなのですが、結局途中に物凄いハトハトチキンの表現をしているのがまあ植田さんの本音ですかそうですか、ってな話になってしまうんですよね。モチのロンですがこの総裁発言も「全てのハードデータがどういうふうに出るかということを全て把握してからということですと、すごい先になるということは明らかですので」云々を採り上げればそんなに判断遅く成らんよね、とは言えるのですけれども、まあここを読むと全然こうやる気を感じさせてはくれませんなというお話。


・おちんぎんについての見極めは案の定「情報が足りません」ですしおすし

次の質問が賃金。

『(問)賃金動向についての質問です。賃金動向についても、このチェックポイントに挙げられているところですけれども、今日の講演内容をみますと、先行き、海外経済や通商政策等を巡る不透明感が高い状況が続くような場合には、物価上昇を賃金に反映させる動きは弱まる可能性があるというようなことを指摘されています。』

まあそもそも論として「賃金動向」を判断材料のファクターに加えた時点でそれは来年まで待てという話になるので、講演で賃金動向ダイジダイジネーを前面に出すと10月利上げする理由が無くなってしまうんですよね。

『今日の話し合いも踏まえまして、現時点で今後の賃金動向どうなっていくとご覧になっているか、あるいは、この差し当たり 10 月会合までにそうした判断が、来春闘含めですね、なかなか難しいのかなというふうにも思うんですけれども、どのような判断ができるのか、そういったことについて教えてください。』

質問する方も「なかなか難しいのかなというふうにも思うんですけれども」って言ってますけど案の定の回答です。

『(答)今年の賃金動向について、ここのところ、ここ数週間とか 1、2 か月で強いネガティブな情報が入ってきたということではありません。そのうえで来年の賃金動向についてどうかということになりますと、講演でも申し上げたように、例えばアメリカ経済が今後どういう経路を辿るか、それが日本経済、日本企業の収益にどういう影響を与えるかということにも大きく依存しますので、そこについての情報はまだ少し不足しているというふうにみております。』

ちなみにベンダーのニュースヘッドラインで見ただけですが、昨日の支店長会議に関連して大阪支店長の会見があったようで、大阪支店長も早速「情報は不足してますな」という話をしてたように見えました。


・政策ビハインドのリスクは・・・・・・うーむこの温度の低さ

次の質問は政策ビハインドのリスク。

『(問)今年の秋も食料品などの値上げの動きが広がっています。物価が上振れするリスクについて総裁はどのようにお考えでしょうか。それと併せて、ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクについて、以前はそれほど大きくないとおっしゃっていましたが、その考えに今も変わりはないのか、その辺りについてお願いします。』

そらそうよ。

『(答)食料品価格については、私どもの中心的な見通しとしましては、そもそもここまでの上昇が、一時的な供給要因によるものであるというふうにみていますので、既に少し下がり始めた動きが、今後も基本的には継続するというふうにみております。』

下がり始めた、って表現ですが、そんなに水準が下がっているのか問題というのが有るわけで、あんまり下がる下がるって連呼しない方が良いんじゃないですかとは思うのですけど。下がるのは上昇率であってべつに食料品価格がここから5%下がるとかそういう威勢の良い話が有るわけないんですから。

『ただし、インフレ率が下がっていくペースについては、ある程度不確実性があるということでございます。そのうえで、こうした食料品価格のインフレが減速していくペースが、まず基調的な見通しとしては減速していって、ちょっと表現があれですが、基調的なインフレには大きな影響を与えないという見通しでございます。』

と、この辺から「インフレ率が下がっていく」と軌道修正していて、

『ただし、リスクとして減速のペースが想定よりも緩やかになるときに、何らかのメカニズムを通じて基調的インフレ率を少し押し上げるという方向に働くケースも排除できないですし、逆に、いったんは長続きするということは前提になりますが、それが消費マインドに下押し圧力を加えて、需要サイドから消費が弱含み、それが基調を少し弱めてしまうというリスクもあるかもしれません。』

ここでやっと「減速」と言い換えているので、もしかしたらこれ(ライブ見てないから知らんけど)質疑応答の途中でこっそりメモでも入ったのかと思ってしまう位に最初の表現と違っているのが味わいがありますが、まあとにかく物価水準が別にここから下がるわけではないのだから「下がる」って表現を日銀は使わない方が良いと思うんですよね。

でまあそんな話はさておきまして、続きですが、

『その中で、ビハインド・ザ・カーブになる可能性は、ということですが、これは今申し上げたケースの中では、食料品価格のディスインフレのペースが遅くて、それが何らかの理由で基調、あるいはインフレ期待、中長期のインフレ期待を押し上げるという効果を持つというケースですけれども、今のところはその可能性は高いとはみていませんが、』

(ノ∀`)アチャー

『もしそういうふうになれば注意を要する現象ですので、引き続きよくデータを見ていきたい、あるいは分析をしていきたい、というふうに思っております。』

「もしそういうふうになれば」というこの温度の低さよ・・・・・・・


関連してちょっと先に9月会合の利上げ提案がらみの質問があって、

『(問)これまでのところ、9 月の決定会合で 2 人の審議委員が利上げを提案して、その後、野口委員(注)も利上げのタイミングについてかつてなく近づいているのではと発言されました。主な意見でも、物価の上振れリスクについての指摘が多かったんですが、今日の総裁の講演を拝読すると、やはり米経済のリスクおよび関税が日本経済にもたらすリスクと、全体的に経済の下振れリスクをより重点を置いて説明されているように感じました。』

なのでハトハトチキン音頭ということでしたわな。全く仰せの通り。

『ここから経済の下振れリスクと、物価が上振れるリスク、どちらが政策判断上、今大きいとご覧になってるのか、やはり経済を慎重に見極めてから利上げしないと、早過ぎる利上げのコストが大きいと、そちらをより重視されているのか、そのバランスについて教えてください。』

さてこの回答ですが、

『(答)バランスと申しますか、重要そうなリスクを様々にみたうえで、最終的には物価の見通しにそれらが影響するかどうか、そしてその見通しの周りのリスクがどういうものであるか、という判断につなげるということだと思います。経済のリスクについて、余計なことかもしれませんけれども、アメリカ経済をみますと、ここまでのデータを見る限り、労働市場以外は割と堅調に推移しているということかと思います。従って、いろんな機関の標準的な見通しをアメリカ経済が上振れて着地する、期間は難しいですけれども、というリスクもゼロではないかと思います。そういうことも含めて様々なリスクを点検していきたいと思います。』

物価のリスクの話をしないのがもうその時点でやる気ないですしおすし。


・これは笑ったんですけど

『(問)米国の経済状況についてお尋ねしますけれども、現在米国ではですね、一部の政府機関が閉鎖されておりまして、今日予定されております、9 月の雇用統計の発表も延期されるということが確実な状況になっています。こうした現在の米国の情勢がですね、日銀の利上げ時期の判断を遅らせてしまうというようなリスクについてはどのようにお考えでしょうか。』

に対する開口一番がもうハトハトチキン音頭全開でして、

『(答)特に米国経済のデータが公表される時期が遅れてしまうということについては、なかなか深刻な問題だなというふうに思っています。』

は??????別に未来永劫でない訳じゃないし、データ以外にも色々と調べられるでしょうし、そのためにNYの支店とワシントンの駐在員事務所があるんじゃないの?????と思うのですが、初手でいきなり「深刻」とか言っちゃう辺りがもうチキン全開なんだよな〜。

まあその後一応、

『私どもの対応としては、なるべく早く再開されるということを願うとともに、周辺のデータ、例えば雇用統計ですと、雇用統計そのものでなくても同種のデータがいくつかございますので、そこからある程度類推するという作業とか、あるいは今月後半にワシントンで[世銀・]IMF[年次]総会が開かれますが、そういう場所で、現地の政策担当者あるいは金融機関の方々とお会いして、生の情報を手に入れ、それも追加的な材料として判断していくというような作業を続けていきたいというふうに思っております。』

とはフォローしているのですが、だったら初手で「深刻な問題」とか言うなよという話で、出てこないという不便さはあるけれども、以下云々のように別の方法でも状況は把握できます、って説明すりゃいいだけの話な訳で、殊更に「深刻な問題」とか言ってしまうあたりが「利上げ先送りをする言い訳が有ればバンバンフレームアップして優柔不断モードになりましょう」という植田さんのハトハトチキンの心象風景を活写しているなあと思いました、まる。











2025/10/06

お題「高市さんはメローニになるかトラスになるかお楽しみ/植田総裁大阪講演はハトハトチキン音頭全開でしたな」

ありゃま高市総裁。

〇とりあえずはお手並みを拝見したいですがメローニになるかトラスになるかお楽しみということで

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0371W0T01C25A0000000/
高市氏「積極財政」鮮明 赤字企業の賃上げ支援、金融政策「政府に責任」
高市早苗・自民党新総裁
2025年10月5日 2:00 [会員限定記事]

『自民党の高市早苗新総裁は4日の記者会見で「積極財政」を鮮明にした。早期のガソリン減税にくわえ、赤字企業の賃上げを支援すると打ち出した。日銀の金融政策を巡り「責任を持つのは政府だ」と語り、緊密な対話を迫った。』

『党総裁選で「責任ある積極財政」を公約した。4日の記者会見でもガソリン税の旧暫定税率の早期廃止を訴えた。1リットルあたり25円ほどを上乗せしている。地方自治体が物価高対策に使う交付金の積み増し...』(上記URL先より、以下会員記事)

ということで相変わらず「金融政策は政府が行う」という話を堂々としているし、赤字企業の賃上げ支援っていやそうじゃなくて「物価が上がる普通の経済」で賃金引き上げの出来ないような企業はご退場頂くことによって資源の適正配分が進むんじゃろ、というツッコミになってしまいますので、まあ特に経済政策に関して(他の政策もそうだけど)高市大先生の取り巻きのゴミを積極登用しだすかどうか、というのが岐路になろうかという所でございますな。

しかしインフレで困っているという状況で高圧経済マジでぶっこんでいただきますと、まあとてもチャーミングなことになりそうな気しかしませんので、いったんこれは日銀が利上げできないということにはなるでしょうけれども、どうせ円安になって何とかしなければいけなくなるので本当の意味での引き締め(いまみたいな利上げは引き締めでも何でもありません)が見れるかと思うと胸がドキドキしますね(心房細動ではない)。

まあなんですな、急に高市大先生がメローニ状態になって現実路線になれば、という期待はカシュカリ大僧正の頭髪程度の期待はしておりますが、ジャパニーズトラスショックとか起きて高圧経済もろとも爆発していただきまして、例のゴミみたいな取り巻きの経済ブレーン連中ともども二度と取り上げられなくなることになれば、そりゃまあそれはそれで長期的には災い転じて福となす(なお福となすためのコストは知らん)ということにもなって頂きますと幸いですが、あくまでもメローニになって頂く方を期待していますので念のため申し添えます(^^)。

ああそれから進次郎、おまえは10年雑巾がけをやって出直してこいというか、大臣やってやったことが大体碌なもんじゃないというのは多分お前根本から物事の考えがまちごうとるとしか言いようが無いので(特に今回の農相としての施策で日本農業新聞にボロクソ言われているとかもうねという感じで)、10年じっくりと実務をやってから出直したってまだまだ先はあるんだから総裁選とか当分出てこなくて良いわということでwwwwwwww


〇ということなので10月利上げが微妙になる所ですがここで植田総裁の大阪講演を確認しましょう

なお大阪講演ではご案内のように円安モードになっておったのでお分かりのようにハトハトチキンでしたが・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251003a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 大阪経済4団体共催懇談会における挨拶 ──
日本銀行総裁 植田 和男

・珍しく今回のテキストは半角英数が認識されます

というクソどうでもいい事を指摘しておきたいのですが、最近の金懇挨拶とか講演のPDF版って半角英数をテキスト認識してくれない、という謎の仕様になっていて、引用するときにしゃあなしで補記しているという困ったちゃんなのですが、今回のは何故か補記不要となっていまして(そもそも半角英数成分が少ないというのもあるけど)大変助かりました。

でまあそれはそれで良いのですが、この「半角英数テキスト認識」の有無ってどうせこれ講演テキストを作っているエディターの問題だと思うのですが、茲許の野口さんや田村さんの講演や金懇では半角英数認識しないバージョンだったのですが、総裁のこれは認識するバージョン(ちなみに総裁記者会見のPDFは認識「する」バージョンです)になっている、という辺りは何か考察(妄想)ができそうな気がします笑。

・まあハトハトチキンというかチキンというかですわな

いやまあ結果的にはうっかり10月利上げ決め打ち予告ホームランしなくてセーフだったね(ニッコリ)というお話ではあるのですが、しっかしまあ今回の講演もハトハトチキンともうしますか、要するに単なるチキンさんであるなあ植田さんったらということで、よく言えば慎重なんですけどまあ優柔不断という方がふさわしいんとチャイマスカとは思います次第で、全編普通にハトハトチキンでしたな、でだいたい話は終ってしまうのでありました。

まあアレです、木曜に出ていた「主な意見」を見るとそれなりに高田さん田村さんの利上げ提案に対して議論があり、「利上げの必要は認めるが今じゃない」というようなそれなりに賛同に近い意見も散見された、というような9月決定会合だったのにも関わらず、総裁会見での植田総裁の説明が単に「反対多数で否決されました、以上」だった、という辺りが植田さんの「お気持ち」なんだと思いました。

ということで本編につきまして少々。


・経済の現状の説明文の棒読み感にワロタ

『2.経済・物価情勢』の『(経済の現状と先行き)』ですけれども、まずは経済の現状部分の説明何ですけど・・・・・

『はじめに、経済の現状と先行きについてお話しします。わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復していると判断しています。』

という展望レポートおよび9月会合声明文の認識を踏襲するのはまあ良いんですけど、

『まず、企業部門について、図表1をご覧ください。一昨日公表しました、私どもの短観の結果をみますと、企業の業況感は、日米関税交渉の合意により、先行きの不透明感が後退したとの見方から、製造業の一部で改善し、全体としても良好な水準となっています。』

『図表2をご覧ください。企業収益は、関税政策による輸出採算悪化の影響などが製造業でみられていますが、全体としては既往ピーク並みの高水準が維持されています。右の表で今年度の収益計画をみますと、製造業では、前回調査の6月時点と同程度の 8.6%の減益が予想されています。もっとも、関税政策の影響が相対的に小さい非製造業では、前年並みの収益予想となっており、全体としてみれば、高めの水準が維持される見通しです。』

『図表3をご覧ください。左のグラフの輸出については、本年春先以降、自動車を中心に関税の引き上げに伴う駆け込み輸出とその反動の動きがみられますが、基調としては横ばい圏内の動きが続いています。右のグラフの設備投資は、緩やかな増加傾向が続いており、今年度の設備投資計画をみても、増勢が維持されています。企業の皆様へのヒアリングによれば、デジタル関連投資や人手不足に対応するための省力化・効率化投資など、中長期的な視点で必要な投資は、しっかりと行っていくとの声が多く聞かれています。』

以下続くのですが、もうこの棒読み感(ライブは聞いてないのでこれをどういう感じで説明しているのかは知らんですけど)満載の説明は何なのよというお話ではあります。

でまあその結論ですが、

『このように、米国の関税政策は、わが国の輸出関連企業の収益面にマイナスの影響を及ぼしていますが、これまでのところ、設備投資や雇用・賃金動向を含め、わが国経済全体に波及している様子は窺われません。』

なので何なのかとかそういう判断の説明は一切なしで、

『先行きを展望すると、個人消費は雇用者所得の改善に支えられて底堅く推移するものの、関税政策の影響を受けて海外経済が減速し、輸出や設備投資の下押しに作用することから、わが国経済の成長ペースはいったん鈍化すると考えています。もっとも、その後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率は高まっていくとみています。』

ということでそりゃまあ9月決定会合やったからその公式見解棒読みで何か文句あるかと言われると困りますけれども、結局のところ7月展望の説明と一緒で直近の数値の説明はしているものの、直近の数字が見通しに対してインラインなのか上振れなのか下振れなのかの評価も無し、というやる気のない説明になっておりまして、まあハトハトかどうかは兎も角としてチキンなのはわかりました。


・しかも物価が世の中的に問題になっているのにこっちは直近のアップデートすらないというやる気のなさ

『(物価の現状と先行き)』を見ますとこれがまたアレでして、

『続いて、物価情勢についてお話しします。』

『図表6をご覧ください。生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、足もとで+2%台後半となっています。こうした物価上昇の主因は、米を含む食料品の動きです。水色の棒グラフが物価全体の伸び率に占める食料品価格の寄与度を示していますが、これをみますと、消費者物価上昇の半分以上が食料品価格の上昇に起因しています。食料品価格、とりわけ米価格の上昇は、人々の消費量が突然増えたというよりも、供給サイドの一時的な要因によって生じている面が強いため、これが収まっていけば、消費者物価の押し上げ寄与は次第に低下していくとみています。このため、日本銀行では、7月の展望レポートにおける中心的な見通しとして、生鮮食品を除いた消費者物価の上昇率は、来年度にかけて2%を下回ってくると予想しています。』

7月展望レポート以降の推移についての評価はありませんなあ。

『そのうえで先行きを展望すれば、関税政策などの影響を受けつつも、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率、すなわち食料品などの一時的な変動要因を除いた物価上昇率と現実の物価上昇率はともに高まっていき、展望レポートの見通し期間の後半には、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準に達すると考えています。』

全く7月からアップデートされていない(というか4月展望からアップデートされていない)という話だし、それこそ9月決定会合で高田さん田村さんが「物価」にフォーカスして利上げ提案をしたというのにこの物価の扱いの短さ、という辺りに兎に角植田さんは「経済の下振れリスクガー」状態である、というのが見て取れると思います。


・9月会合の議論を踏まえれば「物価」が重要ポイントになるはずですがそうはならないのがハトハトチキンクオリティ

金曜は真っ先にそこに目が行きました(^^)。『(当面の点検ポイント)』って奴ですが。

『今申し上げた経済・物価の中心的な見通しを巡っては、様々な不確実性が存在します。以下では、当面、わが国の経済・物価情勢を点検するうえで重要と考えられる3つのポイントについて、お話しします。』

そしてその一発目は高田さんや田村さんが指摘する物価情勢ではなくて・・・・・・・

『第1に、海外経済の動向です。海外経済については、各国の通商政策等の影響を受けていったん減速するものの、その後は緩やかな成長経路に復していくと日本銀行はみています。しかし、こうした見通しは、主要国の経済や政策の動向、とりわけ米国経済の今後の展開によって大きく変わる可能性があります。』

はいはい米国経済ガー米国経済ガーということですが、もはやめんどくさいのでその中身はパスします。途中を割愛しまして、

『第2のポイントは、関税政策が、わが国企業の収益や賃金・価格設定行動にどのような影響を及ぼすか、という点です。15%という関税率が決まったことは、関税政策を巡る不確実性の低下に繋がります。そうした関税率を前提とした各企業の新たな経営戦略は、今後、明らかになってくると考えています。』

これを言い出すとまあ年末までは様子見をしますよ、って話になるのですがまあこの中身の方も一応拝読しますとですね、

『今回の短観の結果をみる限り、関税の影響が相対的に小さい非製造業については、全体として、高水準の収益が維持される可能性が高いと思われます。一方、輸出ウエイトの大きい自動車などでは、冒頭申し上げたように、今年度の収益計画は、相応の減益見通しとなっています。』

ゆうて自動車って短観の現状DIって前回から見たらどちゃくそ確りしているんですけどね。

『こうした業種を含め、これまでに蓄積された高水準の企業収益がある程度バッファーになると見込まれるため、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは、基本的に、今後も維持されると考えられます。』

と言ってますが、

『しかしながら、先行き、海外経済や各国の通商政策等を巡る不透明感が高い状況が続くような場合には、企業におけるコスト削減の動きが強まったり、物価上昇を賃金に反映させる動きが弱まる可能性があります。日本銀行としては、今後、こうしたリスクが顕現化してくることがないか、本支店を通じて、企業の皆様の声をきめ細かく確認していきたいと考えています。本日もこの後、皆様の見方をお伺いできれば幸いです。』

どう見てもハトハトチキンです本当にありがとうございました。


でもってやっと3番目に物価の話が来るのですが、この物価の話もですねえ・・・・・

『第3の点検ポイントは、食料品価格の動向です。』

物価の上振れリスクとか、コストプッシュの二次的波及とか、インフレ期待の変化とか、そういう話ではなくて「食料品価格動向」というミクロの話をしている時点で物価上振れリスクの話を小さなスケールに閉じ込めているのがもうねという感じです。

『現在の価格上昇は、基本的に一時的な要因による部分が大きいとみていますが、最近では、人件費や物流費を食料品の販売価格に転嫁する動きも相応に影響しているという指摘もあり、企業の賃金・価格設定行動次第では、価格上昇が想定以上に長引く可能性もあります。反対に、食料品価格上昇の長期化が、家計のコンフィデンス悪化に繋がれば、その分、個人消費が下押しされ、物価上昇率を押し下げる方向に作用する可能性にも、今後、注意していく必要があります。』

とまあそういう話で二次的波及効果の話っぽい表現が無いわけでもないのですが、ただまあ明示的にそういう上振れリスクを想起させるような書き方はしていない、という所がもうねという感じでして、再三再四申し上げているように、高田さんと田村さんは「物価」にフォーカスして利上げを提案していたというのに何ですかこの扱いはということでやっぱりハトハトチキン音頭でありました、というお話。


・金融政策に関してはハトハト音頭にも程が有るわけで

『3.日本銀行の金融政策運営』ってのがありますがこれまたやる気無し無しモードでして、

『続いて、日本銀行の金融政策運営についてお話しします。』

『米国の関税政策導入が公表された4月を境に、内外経済を取り巻く環境は大きく変わりました。』

のっけからこのハトハト音頭。

『関税政策は、米国自身の労働市場や物価情勢を含めて世界経済に不確実性をもたらし、15%というこれまでにない高い関税は、わが国経済の下押し要因として作用することになります。』

は〜〜あハトハト♪

『こうした点を踏まえると、まずは、緩和的な金融環境を維持し、経済活動をしっかりと支えていくことが大切です。』

そもそも緩和のし過ぎの金融環境が本当に経済に(中長期的な意味で)プラスなのかということを考えてほしいもんですが。

『このため、日本銀行は先月の金融政策決定会合において、0.5%の政策金利を据え置きました。』

ということで、利上げ提案があって、しかもそれに対して「利上げに対して理解を示す」議論も行われた筈なのですが、すっかりそういうのはスルーして説明しているのがハトハト音頭。

『先行きの金融政策運営については、図表8でお示ししている通り、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、これまでご説明したような経済・物価の中心的な見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』

7−9の実績がインラインだったのかどうかの説明一切スルーして言われましても空しく響くだけですなあ。

『経済・物価情勢が改善しているかどうかについては、当面は、先ほどお話ししたいくつかのポイント、すなわち、米国を始めとする世界経済の動向、関税政策がわが国企業の収益や賃金・価格設定行動に与える影響、食料品価格を含めた物価動向などを点検していくことになります。』

ということだそうですが、じゃあこれらのポイントの今の時点での走りは何のよというのも無いわけで、要するに利上げを先送りするために理屈捏ねているだけということですわ(溜息)。

『日本銀行としては、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度や、上振れ・下振れ双方向のリスクを丹念に点検し、予断を持たずに、適切に政策を判断していく方針です。』

最後にバランスシートの話があるのだが話にならんので割愛。


・・・・・・ということでまあ想定通りですがハトハトチキンでしたけど、自民党総裁が高市さんになったんでこりゃまたチキンの上塗りになりそうな悪寒しかしないのですが、まあゆうて高圧経済タコ踊りをしているうちに円は飛ぶ飛ぶ炎と燃えて、となって結局利上げに追い込まれることになると思いますし、そうなると利上げの時も今までのハトハト音頭じゃなくて威勢よくいかないと行けなくなると思うんですけどね(個人の感想です)。でもって高市さんが急にメローニとなってしまえばやっぱり利上げ待ったなし(物価上振れですから)となるし、ってなところじゃないのかねえとは勝手に思うのですが(モチのロンだがパスによって長期金利は大きく話が違ってくるので政策金利の話ですよ為念)。







2025/10/03

お題「昨日の内田さんと今日の植田さんは公式見解棒読みコースの筈ですが/MMF復活がどうのこうのの件(メモ)」

まあとりあえず週末の自民党総裁選待ちですよね〜〜

〇内田副総裁の証券大会挨拶はいつもどおり何の材料にもなりませんでした(メモ)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko251002a.pdf
令和7年全国証券大会における挨拶
日本銀行副総裁 内田 眞一

こちらは投資の日とかいう牛のキャラクターの日の当日あるいは近所に実施している奴なので毎年下半期の期初に実施されて、通り一遍の挨拶しかしないのが仕様なので本来これは材料にするものではないんですよね。

しかしながら、今年の1月の15日と16日に植田総裁が地方銀行協会と第二地方銀行協会の新年の賀詞交歓会みたいな会合で連日にわたって利上げの地均し発言みたいなの(「来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうかについて議論し、判断したいと思う」という発言をしたと当時の報道にありますわな)をした、という余計な事案がありまして(しかもこの賀詞交歓会みたいな新年あいさつは特に日銀HPに出すような原稿ものではなかった)、そういうイレギュラーな事やられると、今回のウッチーのだって何か言い出すんじゃなかろうか、とまあ思っちゃうじゃないですか。

(ちなみにこの時はその前の1/14に氷見野副総裁の横浜金懇での突撃講演があって12月にハトハトチキン会見で一気に遠ざかった利上げ観測を一気に引き寄せるというジャガーチェンジコミュニケーションが炸裂していた訳でございますので紙に出たものの方が先行していて植田さんはそれをリコンファームした、という感じです)

てな訳ですので、まあガチのガチで10月利上げ決め打ちでエイヤーとしたいのであればここで何か言う可能性も無くは無い、という発想になってしまう訳ですが、ご安心ください今回も特になにもありませんでした。

ということで金融政策に関する説明部分ですが、

『続いて、金融政策運営についてお話しします。日本銀行としては、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、先ほど申し上げた経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していく方針です。』

ということで、まあ予定通りの公式見解棒読みモードになっておりまして、ここでなにか新しいのは出てこない、という結果でした。一応メモだけという感じですが。


〇本日の植田総裁の講演は注目したいところですがこれまたなんも出せないし何ならチキンかと

https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定

3日(金)
8:50    ○  ●  日銀当座預金増減要因(10月見込み)
10:05   ○  ●  【挨拶】植田総裁(大阪)
14:00   ○  ●  需給ギャップと潜在成長率

ということで、総裁講演は朝の10時5分に講演原稿が解禁されるようですのでその時間に注目、といいたいのですが、さすがに明日自民党総裁選挙があるので今回仮に不測の事態が無ければ10月利上げ、と腹を括っていたとしても、自民党総裁選挙が不測の事態になるかもしれませんので、とりあえず昨日のウッチーのトーンで逃げてくるとは思います。

ただ困るのはその後記者会見も予定されていて、昨年ですと会見をブルームバーグさんとかが実況放送していたと思いますが、こちらで植田さんが要らんことを言ったり必要なことを言わなかったりするというリスクがありまして、まあどっちにしましてもハトハトチキン方向で発言が出てくるんじゃネーノとしか思えないのが何んともかんとも。

・・・・・と申しますのはですね、この前のMPM後の記者会見ってあったじゃないですか

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250922a.pdf
総裁記者会見
――2025年9月19日(金)午後3時30分から約65分

『(問)私からも二問お伺いします。一つはですね、今日二人の政策委員から利上げの提案があったことについてです。0.75%程度に上げるよう議案が提出されたということですが、この議案を巡る議論について、もう少しご説明を頂ければと思います。次回会合での取り扱い等についても、どういう議論があったかとか、そういったところについてもお伺いできればと思います。(後半割愛)』

に対する回答って、

『(答)前段ですけれども、詳しいことは議事要旨をご覧頂くしかないと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、高田委員は、物価が上がらないノルムは転換して、物価安定目標の実現が概ね達成されたという理由で提案されましたし、田村委員は、提案はやはり 0.75%ですが、理由としては、物価の上振れリスクが膨らんでいるということに着目され、中立金利にもう少し近づけるためということで提案されました。これらの提案に対して他の委員は反対されましたので、必ずしもそれぞれが提案された理由に、完全には同意されなかったということになるかと思います。(後半割愛)』

って回答でして、なんか物凄いあっさりと否決されたような説明をしていたんですけれども、ご案内のように、後日出てきた「主な意見」ではこの利上げの是非についてはちゃんと議論しているし、「利上げの必要性は認めるけど今のタイミングではない」というような意見も主な意見の中に出ていた、ということを勘案しますと、本来ここの回答ってもっと「利上げ提案に関しての議論を経た結果として今回は反対多数で否決されました」というような言い方をして「ちゃんと議論はしていたんですよ一蹴されたわけではないですよ」って言い方をして然るべきだったんですよね。

然るに、植田さんの会見の説明は上記にあるようにあっさり味(会見一応途中まではリアタイ視聴していました(途中から質疑がクソつまらなくなって作業に戻ったw)けれども、この部分はやはりあっさり味の「反対多数で否決されました」でした)けれども、あの「主な意見」との温度差は何なのよ、という所ですよね。

まあ以下はワシの妄想の産物なので話半分に聞いて頂きたいんですけど、9月会合で結構具体的に利上げの検討が行われ、「タイミングの問題」という感じの話が多数派かどうかは微妙ですけれども、少なくとも少数意見と切ってしまえる量ではない、という状態になっていた、というのが主な意見で見えてきていたんでしたら、当然ながら決定会合でもそういう話をしていた筈なので、本来植田さんはそこのニュアンスくらいは分かるように説明してもおかしくはないのですが、あえてあっさり味の説明をしたのは、まあ植田さんご本人がハトハトチキンの本領を発揮して「地蔵の言い訳ができるうちは地蔵継続」というスタンスの最右翼である、ということを示唆するものではないか、とまあ左様に思う訳ですな。

何故ならばその直後の質疑で、

『(問)今ほどの質問とちょっと似てるんですけれども、まず今日の金利の決定について、高田委員がですね、ノルムが転換して物価安定目標の実現を概ね達成されたと、田村委員が上振れリスクについても言及されてます。総裁ご自身のですね、このお二人のご意見に対する違い、距離感というものがどの程度なのか、というところを教えて頂けますでしょうか。(後半割愛)』

についても、

『(答)前半は先ほどのご質問と同じで、ただ私の意見はというご質問だったと思いますけれども、基本的には、基調的な物価上昇率という表現で申し上げれば、高田委員は、概ねそれが 2%前後のところに達しているという評価をされたと思いますけれども、私の評価としては、まだ少し下回っていて、しかし 2%に向けて近づきつつある過程にあるという評価でございます。それから、田村委員は、見通し対比物価の上振れリスクが膨らんでいるということで、利上げ提案をされたわけですけれども、私の認識では、それももちろんリスクとして一つあると思いますけれども、米国の関税政策の影響等がこれから一段と出てくる可能性がある中で、景気に対する下振れリスク、それを通じて物価に対する下振れリスク、これも意識しないといけないというふうに考えています。(後半割愛)』

っていうやる気無し無し回答をしていました次第で、植田さんにやる気があるならこんなやる気無し無し回答する必要無いじゃろというお話ですよね、と思うのよね。


・・・・・・と考えますと、今日の講演にしてもハトハトチキンの申し子である植田さんがそんなやるきのある講演や会見をぶっこんでくる訳が無い、という事になろうかと思うのですが、現世利益的に言いますと今の時点でのポジションがどっちに傾いていて、傾いた方は総裁講演と会見でタカが出るのを期待しているのかハトが出るのを期待しているのかどっちでしたっけというお話でして、これがまたイマイチ分からんです、事前の市場が期待するのがどっち方向七日によって反応も違ってきますからなー。

ただまあ何ですな、一昨日の短観出たときって瞬間下で反応しましたが、その後どちらかと言えば先物上昇気味で推移していたし、昨日は昨日で10年入札が(前場に米国のせいで相場が持ち上がった所で入札になったせいもあって)ズッコケ三銃士な入札になってしまったのを見ますと、それなりに地均しぶっこんでくる期待は入っているのかね、とは思ってしまいますので、大したこと言わなかった場合の反動ってどうなのかなとかそういうのを楽しみにしています(フラグ建築をしている訳ではないのでよろしく)

ああそれから20日くらいになって急に某社とか某社とか某社とかにポロリが出てくるとかいうコミュニケーションが出てくるのはとっても悲しいので今回は政策金利上げるにしても上げないにしても事前のポロリ報道が出ないことを全力で祈念しております。


〇これは貯蓄性のリテールMMFとは全然別の話だと思うのですが・・・・・・・(これまたメモ)

昨日の日経1面にドドーンと出ていた記事、まあ一応本紙確認しましたりもしましたが、題名及びリードの部分と中身の部分の話がなんかちぐはぐでしたよね。

ちなみに日経朝刊に出る前に前日(1日)の夜にこんな形で電子版に出ていたのですが、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2812I0Y5A920C2000000/
国内MMF、9年ぶり復活 「金利ある世界」で増える投資の選択肢
【イブニングスクープ】
為替・金利
2025年10月1日 18:00 [有料会員限定記事]

『日本国債を軸に運用し、預金に近い商品として知られるマネー・マーケット・ファンド(MMF)が約9年ぶりに復活する。超低金利下で姿を消していたが、日銀の利上げに伴う金利上昇を背景に、主要金融機関が早ければ2026年前半に販売を再開する。「金利ある世界」への回帰で個人マネーの選択肢が増えてきた。』(上記URL先より、以下会員記事)

そもそも日本国内でマイナス金利前に販売されていた公社債投資信託(日々決算型)のMMFは「マネー・マネージメント・ファンド」なのでその時点でチャイマスガナではある(日本で販売される外国籍投資信託の「外貨MMF」は「マネー・マーケット・ファンド」と言いますよ為念)というのがもうねというお話ですが。

でまあ、記事全文はそんな訳で有料会員限定記事、ということなので本紙とかをみたりしましたが、リードの部分と中身の部分の話がイマイチかみ合わんじゃんとおもったら、本件の開発に携わっている会社さんからのリリースでていましたな(直リンはしません)

https://progmat.co.jp/news/2025-10-02-press/
フ゜レスリリース「ステーブルコインと連携した“オンチェーン完結型デジタル証券“の共同検討結果について」

あとこっちらのシャッチョさんのブログ(note)でも説明があって(クソ長いです)これまた直リンはしませんけど
https://note.com/tatsu_s123/n/na345deba4ac2
【速攻解説】「トークン化MMF」と「トークン化法」で、ステーブルコイン×デジタル証券の”理想形”へ!日本と海外のギャップと解決に向けた道筋とは

ってのがありまして、ざっくりとアタクシが理解したのかしてないのかはともかくとして、おおむね外していないだろうと思われるのは、こちらメインはブロックチェーンを用いた決済プラットフォームの話であって、その決済プラットフォーム上で動く電子トークンの裏付けになるのがMMF型の投資信託になる(ので別法域の話ですけど米国ですとこのデジタル証券専用にMMFを立てる話になるようですな)というお話なので、「国内MMF復活」という文字列でイメージされるマイナス金利によって商品が終了する前の個人向けの貯蓄性資金ニーズへの対応商品としてのMMFとはだいぶ別物のお話、とまあそういう事のように見受けられました。と言っても同社に直接質問したりしたわけではないのでアタクシの誤解があったらゴメンナサイ(ってのもあるので直リンはしてなかったりするのだ)。

まあここから更に日銀が利上げをしていけば(あるいはその利上げを見込んで)マイナス金利時代に瀕死の状態になっていた国内金利商品の復活というのはそれはそれでアリエールという話ではあるのですけれども(現に定期預金金利とかだって期間限定高率キャンペーンとか色々と威勢の良い話が散見される訳でございますしおすし)、この話自体はそれらの貯蓄性資金取り込みの話とは多分話の次元が異なる物なので、この辺りをネタにして「個人マネー取り込みの金利競争が始まった」とか言い出すとだいぶ恥ずかしい事になるので偉い人からご下問があった時には注意しないといけませんですぞ、と思いましたのでメモっておきます。



まあ何はともあれ材料待ちですね材料待ち(自民党総裁選結果では別に週末更新とかしませんので念のため笑)








2025/10/02

お題「9月短観は今月の利上げを排除しないというか普通に後押し材料じゃろ」

????
https://www.afpbb.com/articles/-/3601072
トランプ氏、自身をノーベル平和賞に選ばないのは「米国への侮辱」
2025年10月1日 7:47 発信地:クアンティコ/米国 [ 米国 北米 ]

『【10月1日 AFP】ドナルド・トランプ大統領は9月30日、複数の戦争解決に貢献したと主張し、自身をノーベル平和賞に選ばないのは米国への「侮辱」になると述べた。』(上記URL先より)


〇日銀短観は10月利上げの障害にならないというか後押しになりますなあ(いつもの私家版チェック)

ほいな
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2509.pdf
短 観(概要)―2025年9月― 
 第206回  全国企業短期経済観測調査 
< 回 答 期 間 > 8月27日 〜 9月30日

だいたい前半2週間くらいに回答されるものが多いらしいようなことを聞いた覚えがあるので、9月とは言ってますけど概ね9月前半の状況なんですかねという所で・・・・・・

・今回の短観は堅調な内容だったと思いますがまあこれからの材料待ちですしおすし

前回6月短観は悪くなると思いきや全然悪くない内容で、関税で国難とは何だったのかというような風情ではあったので、債券先物10銭ちょい反応しておりました(その後10年国債入札が激強の結果となったので全ての話がすっ飛んでしまいましたが)って感じでしたが、今回は今回で同じく全然悪くない内容だと思うのですが、これまた債券先物ちょっと反応してたように見えますけれども、その後期初の買いだか何だかしらんけど先物ホイホイと上昇した、と思ったら引けに掛けてはヘロヘロとしてて、結局まあ達観すればあんまり反応してなかったたって事になるのかなとは思いますが、そりゃまあここから先植田さんの講演会はあるし(と言っても自民党総裁選の前日になってしまったのでただで無くさえチキンさんの総裁が10月の話とかできんじゃろとしか言いようがない)自民党総裁選あるし、というところですかね、知らんけど。

とは言いましても7−9って成長率弱いと見込まれる筈のところでの短観なのに全然弱くないじゃんという物件だし、後述しますが企業の価格設定や物価観に得な変化もなく引き続きインフレ期待は確りとしている、という結果ですので、10月利上げをしない理由というものも特にない、ってお話ですな。

ただまあ別に10月に利上げしないと大変な事になるという訳でもない(10月利上げしなかった場合にいつものハトハトチキン踊りが出てしまって円安爆誕となると大変なことになるのですが・・・)という説もあるのですが、ゆうてこれもう1月(=年末の米国の消費と国内企業の冬季賞与設定と来年の春闘の出足の雰囲気が分かる段階)までの間に余程の下方屈曲が起きない限り利上げって話になりますよね、とは思うんですけどね、個人の感想ですけど。


・業況判断DIは「前回の先行き下がる見通しよりも全然強い」し何なら前回の短観はトラ公前なんですよ!!!

          (6月短観)        (9月短観)
          現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   +13→+12     +14→+12 
製造業中堅企業 +10→+6       +12→+8        
製造業中小企業  +1→▲2       +1→▲1

非製造業大企業  +34→+27     +34→+28
非製造業中堅企業 +25→+17     +24→+18
非製造業中小企業 +15→+9      +14→+10

ということで、いつものように「前回出ていた先行きの慎重な見方に対して結果は上振れ」で「そうは言っても先行きは現状よりも慎重」って結果になっていますが、こちらは基本的に短観DIが強いときに景気のモメンタムが盛大に良くない限りは先行きDIって足元対比で堅めに出てくる傾向が強い(と15年以上見てて思う)ので、まあこれは普通に堅調な結果でっしゃろと思います(たしかBBGの集計してた予想は大企業製造業+14だったので見事にインラインだったかと)。


ちなみに前回6月短観の時に書いた駄文を再掲しますと、

+
こちらですけど、何せ前回の短観は「 < 回 答 期 間 > 2月26日 〜 3月31日」でして、短観の回答ってのが概ね回答期間の前半の早いうちに回答される傾向がある、という風に聞いておりますので、すなわちあの4月に出たトラ公のキチガイ関税は織り込んでいない(トラ公の事だからある程度のブラッシュボールは投げてくるじゃろというのは織り込んでいたと思いますが)訳でして、その状況でトラ公に対するフワッとした懸念段階で出した先行きの下げ(特になぜか非製造業)見通しに対して、今回って軽々と上方修正していますし、殆ど3月短観から現状DI変わっていないという結果になっておりますので、これは堅調堅調。

ただまあどうせ大本営のことですから、「米国関税政策の悪影響はこれから出てくるんです」とか言い出す下がる下がる詐欺によってこの数字は追い風参考記録扱いしてくる、に1万ジンバブエドルといった所です。(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文より)


まあ何ですな、この「米国政策の悪影響はこれから出てくる」攻撃は結構便利で下がらなければ何度でも使えるし、そりゃまあトラ公のやってるのって正気の沙汰とは思えないような事をやっているし、なんだかんだいって外国に対するカツアゲに成功しているのでその分米国内での悪影響が緩和されている面もあって(当然こっちが煽り食うんだが)イマイチはっきりと分からんまま推移するって事なのかもしれませんけれども、どこまで「米国政策の悪影響が懸念なので今の大規模緩和を物価高にも関わらず継続しますコケコッコー」というのが通じるのかというのは良くわからんですなwww

いずれにしましても企業セクターは全般的に見れば堅調です、ってのが1ページ目に堂々と出ているというお話。

しかしまあ何ですな、「自動車」セクター見ますと、

                 (6月短観)        (9月短観)
                現状→9月予測     現状→12月予測
「自動車」大企業      +8→+7       +10→+8 
「自動車」中堅企業   +13→+0        +16→+2 
「自動車」中小企業    +0→▲8        +5→▲3 

まあ「先行きは警戒ですぅ」というのは特に中堅中小で今回も示されてはいますけれども、自動車の追加関税が無事に引き下がったことで何のことは無い業況感改善している訳でして、「関税政策の影響がこれから出てくるから云々」の話は、ここから米国のキチガイ政策によって米国経済が悪化するというルートが残っているとは言え、直接的な関税云々の話はもう一段落なんじゃネーノとしか思えないんですけど、それでも「米国の影響ガー」で利上げを引っ張るんですかねえ・・・・・・・

いやあのですね、これが今の政策金利水準自体がより中立金利っぽいところに近いような水準(知らんけど少なくとも1.5%とかそういう今よりも全然高い水準じゃろ)にいるなら「米国の影響ガー」で様子見地蔵をするのは分かるんですけど、政策金利水準が0.5%で思いっきり金融政策でアクセルベタ踏み状態で物価は3%だ何だと言ってて物価高で国民の不満が爆発して人心が荒廃しつつある今日この頃な訳ですから、そらお前らこの馬鹿緩和の調整をしろよとしか思えんのだが・・・・・・・


・企業の販売価格見通しはトラ公関税大会を経た6月9月短観でも安定推移していますよね

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.8%→3月:2.9%→6月:2.9%→9月:2.8%
3年後 9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%→12月:4.2%→3月:4.4%→6月:4.3%→9月:4.3%
5年後 9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%→12月:5.0%→3月:5.2%→6月:5.1%→9月:5.2%

大 企 業 製 造 業
1年後 9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.2%
3年後 9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.4%→6月:3.1%→9月:3.2%
5年後 9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%→12月:3.4%→3月:3.7%→6月:3.8%→9月:3.9%

大 企 業 非製造業
1年後 9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.4%→6月:2.3%→9月:2.3%
3年後 9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.1%→6月:3.2%→9月:3.4%
5年後 9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%→12月:3.6%→3月:3.5%→6月:3.9%→9月:4.1%

とまあここ2年の推移を出すと普通に堅調なまま安定していますし、何なら(人件費などの影響が大きいという話になっている)非製造業の5年のところとかホイホイと上昇しているのでして、ハトハトチキン先生は相変わらず企業行動の下方屈曲が懸念されますって言いそうですけど、どう見たって企業の価格設定に関するノルムがゼロノルムからプラスのノルムに変化した、ということでここは高田っちの9月会合での意見そのものじゃん、と思います。


でですね、うっかりしておりましたがこれ前回駄文書いたのに対して日銀に土下座しないといけないのがありましてですね・・・・

(ここから前回6月短観を見て7/2に書いた駄文より)
この推移を見ますと、どこからどう見ても「企業の価格設定行動はこの2年間ほど全然変わらずに堅調」としか言いようが無いと思うのですが、これまた「米国関税政策の悪影響は以下同文」と言い張ってくると思います。まあこれを受けて7月展望が4月にクソ下げしたものを撤回でもすれば日銀も大したもんですけど、そんなタマではない、というのは散々見ておりますのでwwwww
(ここまで前回6月短観の時に書いた駄文より)

よくよく考えたら7月展望レポートで物価見通しの足元だけですけれどもバチクソ引き上げておりました。結局足元だけしか上げてないので政策に直結しないという残念な上方修正ですけれども、珍しくあっさり味で見通し違いを認めて上方修正していたのですが、短観の時にこんな悪態ついてたの忘れていましたのでジャンピング土下座をさせていただきます(^^)。


・企業の物価全般見通しも同様でこの2年くらいずっと高値安定しているんですけどね

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%
3年後 9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%
5年後 9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.4%

中小企業 製 造 業
1年後 9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%
5年後 9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.5%→9月:2.6%

中小企業 非製造業
1年後 9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.6%→6月:2.5%→9月:2.6%
5年後 9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%

これに対する感想ですが、前回7月短観の時に書いた駄文からまったく変わりませんので再掲しますwwwwwww

毎回申し上げていますが、こちらで大企業じゃなくて中小企業をだしているのは、かつてこの短観の数字を出しだしたときに日銀大本営は「大企業の価格見通しはエコノミスト見通しや市場見通しに影響されやすいが、より一般の見方に近いのは中小企業の見通しである( ー`дー´)キリッ」とか言ってたんですが、黒田末期以降は利上げを渋る屁理屈を並べるのに忙しいので、すっかり言わなくなっているので可哀そうなので掲載している次第でありますw

でまあ今回は確かにスライトリーに下がってい入るものの、結局のところこの2年間ほど特に著変は無い、とも先ほどと同様に言える訳でございまして、「そもそも論として何を持ち出せば「インフレ期待がまだ2%に届いていない」とか言えるのか、というのを日銀は真面目に示すべきではないか、と斯様思う訳です、ってのを毎回のように言っているのですが、ひたすら誤魔化し続けているのが変わっていない、というのも皆様ご案内の通りかと存じます。


・販売価格判断と仕入価格判断は前回見通しよりはやや弱め(絶対水準は強いけど)

販売価格判断

            (6月短観)         (9月短観)
           現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業   +25→+27       +24→+25
製造業中小企業 +27→+31       +25→+31

非製造業大企業  +34→+30      +28→+32
非製造業中小企業 +30→+33      +28→+33


仕入価格判断
          (6月短観)          (9月短観)
          現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業   +39→+39      +38→+39
製造業中小企業 +54→+56      +52→+56

非製造業大企業  +45→+44     +41→+46
非製造業中小企業 +54→+56     +52→+57

ということでこちらの数値ですが仕入、販売共に「見込みほどは上がらなかった」という数字なので、まあ一応物価がこの後一旦上昇率は鈍化する、という見通しに整合的ではありますが、ゆうてこれ数字自体は強いのでまあ水準が下がるとかそういう夢のようなお話にはなりませんですね。


・雇用判断DI:ここのところずっと「見通しほどは一段の引き締まりなし」ですが今回は全般少しずつ逼迫傾向ですかね

            (6月短観)        (9月短観)
           現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   ▲18→▲22     ▲19→▲22
製造業中堅企業  ▲24→▲28     ▲25→▲28
製造業中小企業  ▲23→▲28     ▲25→▲31

非製造業大企業   ▲39→▲40    ▲39→▲40
非製造業中堅企業  ▲46→▲48    ▲46→▲50
非製造業中小企業  ▲46→▲50    ▲46→▲50

これも傾向は同じで、毎度「先行き更に雇用人員が逼迫するという見通し程には引き締まらない」という結果ですが、今回は全般的にちょっとの数字ではあるのですが、雇用人員の逼迫度合いが全体的に強まっているように見えるなあとは思いました。


・設備投資計画:別にコケる気配が無いんだが・・・・・・・

▽設備投資額(含む土地投資額)の足取り

ってコーナーが短観の13ページ以降にありまして、例によって図表を貼り付けるスキルも無ければそもそも貼ってよいのか問題もあるので貼るのは割愛しますが、ここの数字を過去の足取りと比較すると、別に今回米国関税政策の影響が出て設備投資が下方屈曲、という図にはなっていないように見えますよね・・・・・・・


とまあそういう訳で私家版チェックをしてみましたが、この短観だと10月利上げを排除する理由にはならんじゃろ、としか思えませんが、ゆうてそこで利上げ観測が高まったかと言われると昨日の市場ちゃんだとよくわからんとしか言いようが無い結果だったと思うの。



・念のため昨日の相場についてロイターさん謹製解説を貼っておくの巻

まいど恐縮です
https://jp.reuters.com/markets/japan/Q7IWGH4HS5LNDOXXIHSOKIWUKE-2025-10-01/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、長期金利1.645%で横ばい 方向感乏しい
By ロイター編集
2025年10月1日午後 3:35 GMT+9

『[東京 1日 ロイター] - <15:15> 国債先物は小幅続落、長期金利1.645%で横ばい 方向感乏しい

国債先物中心限月12月限は、前営業日比1銭安の135円78銭とわずかながら続落して取引を終えた。前日比プラス圏で推移した時間も長く、相場の方向感は乏しかった。新発10年国債利回り(長期金利)は同横ばいの1.645%。

きょうの国債先物は、小幅な買い先行でスタート。その後9月調査分の日銀短観が売り材料となりマイナス圏に沈んだが続かず、取引序盤以降はプラス圏で推移。しかし相場に強い方向感は出ず、先物相場は取引終盤に再び小幅マイナスに転じて取引を終えた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで同記事のその後を見ると何とかストの方に喧嘩を売られているような記載があるようにも見えますがwwwそれは兎も角として、

『TRADEWEB  
     OFFER  BID    前日比  時間
2年   0.945   0.955    -0.001  15:25
5年   1.225   1.233    0.001  15:25
10年  1.642   1.649    -0.003  15:25
20年  2.602   2.616    0.004  15:26
30年  3.144   3.163    0.015  15:26
40年  3.371   3.393    0.022  15:25』

ということですが、短い方がイマイチ反応していないっぽいのでまあ今回は反応薄って評価だとはおもうのですけれども、ただまあ野口さんの札幌講演、9月会合主な意見、というのを見れば次の利上げって10月にあるかどうかは兎も角としても時間の問題でしょって感じではあるかと思いますので、今後に関してはそもそも論として今次利上げ局面で1%で政策金利調整が終わるのか問題のリプライシングがどうなるか、ってお話になるんじゃないかと思うのですよね。だってガチに2%物価安定目標達成しているんだったら名目政策金利1%が中立金利って経済は何ぼ何でもねえだろということで・・・・・

期末期初で中々手が回らなくて手を付けられていないネタが積みあがる上に、駄文のネタって時間が経つと証文の出し遅れで読み物として成立しないものもあるので甚だ恐縮ですが期末期初進行を成敗しないといけませんわ(滝汗)








2025/10/01

お題「9月会合主な意見は10月の利上げを全然排除しない(むしろやるんじゃねえか位の勢い)内容でしたな」

下期入りということでこれからもよろしくお願いします(^^)

〇9月決定会合主な意見は利上げ提案に対して一蹴ではなく議論があったことを示すかと

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250919.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 9 月 18、19 日開催分)

・経済に関しては企業行動と消費と米国経済というお話ですな

まあそりゃそうよという話ではありますが、『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』の部分の意見自体は少なかったのですが、

『・ わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。先行きは、各国の通商政策等の影響を受けて成長ペースは鈍化するものの、その後は海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくとみられる。』

というのは公表文の公式見解なのでさておきまして、次からの意見が・・・・・

『・ わが国経済の現状は、まずまず堅調である。米を含む食料品の価格上昇の加速が天井を打ち、これまで回復軌道に乗らなかった個人消費が漸く上向きつつある。』

ほうほうそうなのか、という感じですが実際問題として食料品価格に関しては上昇せずとも水準が下がるわけでもないし、何なら10月からも値上げ自体は続くんで大丈夫かね、とは思いますけど。

『・ 企業の積極的な経営姿勢が維持されていることを、短観や企業ヒアリング情報で確認したい。』

ということで今日の短観と今月の支店長会議での報告は注目される所です。

『・ 設備投資を材料に経済情勢を判断する際には、企業内での計画策定と実行のタイミングに大きなズレが生じ、状況が変わり得ることに、留意する必要がある。』

そりゃそうなんだが端折りすぎていて「だから何なのか」がイマイチ分からん。

『・ 米国の関税政策の米国経済や世界経済への影響は、インフレや雇用の急激な悪化という形ではなく、じわじわと時間をかけて出てくる見通しになってきている。』

この点については「だから永遠に様子見をします」という風には読めそうな意見なのですが、ゆうて永遠に様子見してて良いのかという問題があるがそれは物価とか金融政策のパートの部分での考え方によりけりで、「だから永遠に様子見」なのか「そうは言ってもどこかでエイヤーと判断(綺麗な言い方をすればフォワードルッキングに判断、となるw)するべき」という話になっているのか、これだけだとどっちだか分からんですね。

『・ 最大のリスク要因は、米国経済の先行きである。米国の関税政策それ自体による不確実性は低下していくと思われるが、仮に今後、関税によるインフレが米国経済を大きく下押しするようであれば、わが国経済も影響を免れない。』

米国のインフレが米国の消費をコケさせて輸出が落ちるルートが懸念ってのはまあ話は分からんでもないのですが、これも言い出すと無限に様子見ができる(「これから悪影響が出てくるはず」となるから)ので、その点では除く大本営で5本の意見中様子見地蔵が後半3件、手前の2件が積極派ですな。


・物価については高田さん田村さん以外にも物価上振れの二次的波及に言及している人がいるような気がします

次が問題になりそうな物価のお話。『(物価)』ですな。

『・ 消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』

最初は常に公表文書通りの大本営なので次に行きます。

『・ 加工食品の大幅な値上げが続いているが、輸入物価の上昇が落ち着いている中でも、一部の企業は積極的な値上げに踏み切っている印象もある。消費者の購買状況次第では、値上げの流れに変化が生じることもあり得る。』

この人の意見は前半は輸入価格上昇の二次的効果が出ているような話になっているのですが、後半は物価高が消費を下押しして企業の価格設定の積極性が落ちる可能性がある、ということで謎の両論併記ですな。

『・ 物価の先行きについては、輸入物価や米などの原材料価格のトレンド、食料品価格への価格転嫁の継続度合い、食料品以外への価格転嫁の広がりの3点に注目している。銘柄米の価格水準は見通し対比でやや強めに持続する可能性があるとみているほか、データやヒアリング情報を踏まえると、食料品価格への価格転嫁の継続性が高まっているように思う。』

現在の物価高を引っ張っている食料品価格の上昇に対して、今の日銀大本営の見解では「これはあくまでも食料品価格というセクターでの上昇であって二次的な波及による一段の物価高の広がりは起きない」という読み筋になっていて(だから食品価格の上昇率が落ち着いて来れば(=価格水準が下がるとは言ってない)物価上昇率は2%を下回る、という見通しなのです)、その大本営見解に対して「それは違くね」というお話をしていますね。つまりは物価上振れリスクの指摘かと。

『・ 食料品価格の上昇の相当部分は米価を起点とするものだが、米価以外の要因に基づく部分もかなりの比重を有する。』

まあそうですね。ただ問題はそれがセカンドランドエフェクトを起こすかどうかなのでその見解も聞きたいところでした。

『・ 基調的な物価上昇率は、2%に向けて緩やかに上昇しているものの、なお2%に至っていないと考えている。そのうえで、食料品価格の上昇が想定以上に長期化した場合には、予想物価上昇率を通じて基調物価を押し上げる可能性がある一方で、家計のコンフィデンスの悪化が個人消費に影響すれば、基調物価を押し下げる方向に作用する可能性もある。』

言ってることは大本営で、こちらは「基調的な物価」の大本営パターンですけど、これ字数制限が元々あるので(たぶん300位)大本営で手分けして入れ込んだ感じなのか、それとも大本営以外の委員が書いているのか、よくわからんですな。

『・ 基調的な物価上昇率には推計の幅や計測誤差もあるため、2%に達したか、伸び悩んでいるかの識別は容易ではない。一方、2%近傍で定着したかを丁寧に確認する必要はあり、モデルからの示唆も含めてみていきたい。』

何かを言っているようでイマイチ良くわからん意見ではある。まあ基調的物価というのがそもそも論としてお気持ちなのでイリュージョンの世界、というのが大いにあるのでしゃーないないのですけど。

でもって物価の意見の最後は高田っちと田村抜刀斎ですね。

『・ 賃上げ定着を受けた国内要因によるインフレ圧力に加え、予想物価上昇率も高まるなど、「物価安定の目標」が概ね実現したと捉えている。既に物価が上がらないノルムが転換し、インフレ期待も引き上がる中、物価上昇の二次的影響が生じやすく、物価の上振れリスクが存在する。』

「「物価安定の目標」が概ね実現した」なので高田さん。

『・ 物価の基調は2%定着に向けて、着実に歩みを続ける公算が大きく、今後の財政政策の影響を含め、上振れリスクも大きい。』

まあこのお二方の見解は順当なのですが、上記のように物価のパートの中では大本営の基本シナリオとは異なった「セカンドラウンドエフェクト」への言及を行った人がいまして、この人が(字数の関係からすると抜刀斎の可能性もありますが)高田さん田村さんへの援護射撃になっているのはほほうと思いました。


・金利引き上げに関する部分は利上げ提案を結構真剣に議論していたような節が読み取れると思いましたが・・・・

『U.金融政策運営に関する意見』ですが、今回はETF等の話もあったので意見の数が多いのですが、金利に関しては何と10個の意見があったのですな。

『・ 経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。そのうえで、こうした見通しが実現していくかは、不確実性が高い状況が続いていることを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である。』

というのは大本営ですが、

『・ 米国の関税率が 15%になっても日本経済に影響はあり、成長率がいったんは鈍化するという見通しは不変である。物価面では、食料品のコストプッシュが収まることで、来年度に2%を下回ると予想される。こうした状況下、今は、現在の金利水準で緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべきである。』

ってのが次にあるのですが、そもそも論として「しっかりと支える」じゃなくて「かなり低い実質金利で経済を吹かしている」の間違いじゃろとツッコみたくなるこの「しっかりと支える」ですけど、野口委員辺りが言いそうだと思っていましたが月曜の札幌講演を見るとそうではないようなので、これは執行部のどなたかという感じのようですが・・・・・・


『・ わが国の経済状況という観点だけから判断すれば、前回の利上げから半年以上が経過していることもあり、そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期かもしれない。もっとも、米国経済の落ち込みの程度の目途がついていないため、当面の金融政策運営は、現状維持が適当と考える。』

月曜の講演からするとむしろこちらの方が野口さんっぽいですよね、って感じで、「米国がリスクなのでとりあえず様子は見るけど利上げしないと言っている訳ではない」なので既にこの意見の辺りで利上げを排除している訳ではない、のトーンになってきておりまして・・・・・・

『・ 市場にサプライズとなる現時点での利上げは避けるべきである。』

って意見が出ているのがヒエーと思った訳でして、こういう意見が出ているということは、今回の2名の利上げ提案っていうのが別に一蹴されたとかそういう世界なのではなくて、現実に利上げ可能か否か、ってのが結構突っ込んで討議されたことを意味するんですよね、と思いましたがどうでしょうかね(こればかりは決定会合の中での話だから知る由もないですが)。

まあ「市場にサプライズになるからやらない」という考え方に関してはちょっと如何な物かという面もあって、そうなりますと毎度決め打ちして事前織り込みさせないと政策が決まりません、という話になるので、それって結局大本営の思うがままに政策が運営されてしまうことになって、政策委員会の意味が無くなってしまいかねませんので、別に市場にサプライズになるからどうのこうのっていうのは本来は筋違いだと思います、というのは付け加えておきますです、はい。

『・ わが国経済の特徴として、内需が外的な負のショックに対し脆弱な傾向がある。金利の正常化を進める上では、ハードデータをもう少し確認してから判断しても遅くないだろう。』

この意見も別に利上げをするなと言っている訳ではなくて、タイミングとしてまだ早いという話をしているだけですので、最初の方にあった大本営第2号??の「経済をしっかりと支えるべきである」とはニュアンス違うんですよね。


『・ 今後の政策運営に当たっては、各国通商政策の世界経済への影響、米国の金融政策と為替相場の方向性、国内の物価と賃金の見通しの3点を注視していく必要がある。』

まあこれははあそうですなという話ですが、この流れでこう言っているのは「まだ利上げする時期ではない」ってことを言いたいんでしょうかね。

『・ 米国経済の帰趨が見えることを待つことで得られる知見もあるが、国内の物価との関係では待つことのコストも徐々に大きくなっていくので、待つことのコスト・ベネフィットやそれに伴うリスクの比較考量が必要になっていく。』

こちら抜刀斎っぽいのではあるのですが、この先にも抜刀斎チックなのがあるのでもしかしたら抜刀斎と同様に考えている人が1名他にいて、ただしまあ今回は利上げのタイミングじゃないので10月利上げは排除しない人なのかもしれません。

『・ 経済・物価が本行の見通しに対してオントラックであり、大きく軌道を外れなければ、ある程度定期的な間隔で政策金利の水準を調整していくべきであると考えている。この先、米国の関税の影響を含め、3月決算企業の上期決算と通期見通しや短観など、幅広い情報が揃うだろう。』

これですと10月か12月には利上げできますな。

『・ 米国の相互関税賦課以来の不安が後退し、物価見通し実現に向けて海外要因の制約が解消に向かう中、再び利上げスタンスに回帰し、海外対比で低水準の実質金利の調整を行い得る状況と考える。』

こちらは抜刀斎の提案理由と同じなので、もちろんさっきのと合わせて同一人物の可能性はある(もともとこの部分で意見が10本ありますので)のですが、さっきのが抜刀斎と別人28号だとオモロイなと。

『・ 0 .5%までの利上げの経済 全 体 への影響は 極めて 限定的である。上下双方向のリスクがある現時点で、政策金利を一気に引き締める領域まで引き上げるべきではないが、物価の上振れリスクがある中、将来の急激な利上げによるショックを避けるため、中立金利にもう少し近づけておくべきである。』

でもまあこれが利上げ提案と考えれば抜刀斎だったりするので、結局この主な意見を見ると利上げに対して別に排除しないし結構具体的に検討されたというのが読み取れるんじゃなかろうかと思う訳ですが、高田さんなのかも知れないのでそこは分からんですけど、田村さん高田さん以外に2名くらいは利上げをかなり現実的なものとして受け止めている向きがあったし、それ以外でも「今じゃない」という意見はありましたし、という所で、結構威勢の良い内容だったと思います。


・ETFに関してはまあこんなもんですか

ワシ的にはツッコミたいところは多々あるのだが。

『・ 金融機関から買入れた株式の処分を無事終了することができたので、その際のやり方で、あまり間を置かずにETFやJ−REITの売却を開始することが適当である。』

そりゃええんじゃが、だったらとっくの昔の時点で「あんな買入をしていたら処分するときに遼東半島租借もビックリのミレニアム計画になる」っての分かって悪ノリしたとしか思えない買入拡大を実施したって話になると思うのだがそっちの反省の弁は無いのかと小一時間問い詰めたい。

『・ 正常化を量と金利の両面からバランス良く進める上で、今回はバランスシート正常化を優先してもよい。マイナス金利政策の終了や、国債買入れの減額開始から時間が経ち、ETF等の処分にも踏み出すタイミングが来ているようにも思われる。』

今回は、っていうことは次回は利上げするのか(じゃあ何で去年の7月は利上げと輪番減額を同時にぶっこんだのかと小一時間。ってのもあるけどw)

『・ 少なからぬ規模の株式がマーケットに放出され得る状態で存在し続けることは、望ましい状況とはいえない。株式市場に大きな影響を与えない規模でETF等の処分を開始することが適当である。』

後処理としてそういう発想をするのは分かるが、だったらそんな買入が本当に必要だったのか、株価が盛大に上がっていく中での買入継続が本当に必要だったのか、ということをもうちょっと真剣にレビューして頂きたい。

『・ 市場のリスク・プレミアムに影響を与えるために購入したETF等を、市場に影響を与えないように処分していく以上、
処分完了まで長期間かかるのはやむを得ない。』

これも同じですし、そもそもリスクプレミアムはとっくの昔に解消されているのに「一体として効果を発揮する」とかいうフリードマンルール丸無視の屁理屈で漫然とETFの買入を継続していたのではないかという問題について以下同文。

『・ ETF等の処分に際しては、市場の状況に応じ、売却額の一時的な調整や停止を行うことができるとするなど、市場の安定に配慮するための柔軟性も確保すべきである。』

殊更に市場を押し下げようとして売る必要はないと思うがもっとバンバン売れないもんですかねえ。

『・ 株式市場のリスク・プレミアムは正常化している一方、J−REIT市場はリスク・プレミアムが依然として大きいことを踏まえると、売却ペースは相当緩やかにすることが望ましい。』

もちろんリートとマンション価格高騰は直接つながっている話ではないのは承知の上で言いますけど、お前は何を言ってるんだとしか言いようが無い。これ以上緩やかに売ってどうするんだよというか物件の耐用年数を大幅にオーバーした期間で売るってのも何だよそれってイメージなんですけど。