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2025/09/10
お題「短国6M新発がお強い/またBBGでお漏らし/河野先生いいぞもっと言え/金研国際コンファランスから」
またカレーライス物価指数(でしたっけ)があがるのか・・・・
https://www.agrinews.co.jp/economy/index/331138
2025年9月10日
ジャガ・タマ上げ基調 果菜類も続伸 野菜小売価格
ちなみに玉ねぎに関しましては
https://www.agrinews.co.jp/economy/index/330878
2025年9月9日
タマネギが5割高 高温干ばつ 北海道産入荷少なく
| ビジネス| 主要記事
ってのもありますわ。
〇短国6Mが利上げが何ぼのもんじゃいという威勢の良さを示していますがさて・・・・
昨日は6Mの入札だったんですけど
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250909.htm
国庫短期証券(第1330回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1330回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1330回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年9月10日
4.償還期限 令和8年3月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆8,122億円
(2)募入決定額 2兆7,069億9,000万円
(3)募入最低価格 99円74銭3厘
(募入最高利回り) (0.5195%)
(4)募入最低価格における案分比率 16.3333%
(5)募入平均価格 99円74銭6厘
(募入平均利回り) (0.5135%)』
とまあこういう結果だったのですが、売参ちゃんを確認しますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
前日の引値が・・・・・
(9/8引値)
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.515
国庫短期証券1330 2026/03/10 平均値単利 0.540←新発6MWI
国庫短期証券1330 2026/03/10 平均値単利 0.540
だったのですが、昨日の引けは何と
(9/9引値)
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.480
国庫短期証券1330 2026/03/10 平均値単利 0.480←新発6M
国庫短期証券1294 2026/03/23 平均値単利 0.500
とかいうオシャンティーなことになっておりまして、これそもそも論として月曜のWIもちょっと強くなっていた所だったのですが、そんな水準なんぞ知らんわというような勢いでぶち抜けた入札結果になって、さらに引けはそこから3毛以上強い引けになっているというこの恐ろしきムーブメント。
でもってこの前の3M(先々週から先週に掛けての前回債3Mカレント)ムーブと違うのは周辺銘柄(1年短国の成れの果て)も一緒に激強になっていることでして、ちょっとちょっとお兄さんお兄さんこの銘柄償還来年の3月でっせ利上げ観測はどうなっているのという値付けになっておりますが、まあ6Mって経験的には需給が強いときと弱いときの差が極端な銘柄(理由は3Mという毎週発行の使い勝手の良い短国があるのに対してこっちは月一発行だから使い勝手が限定されてしまうので使いたい人が出てくる時と出てこないときの差が大きいから)なので、というのはあるのですけれども、いやさすがに世の中1月くらいまでの利上げは想定しとるじゃろ、と思うのでナンジャコリャ感が拭えない結果となりましたが、いったい全体なんの判じ物なのかはよくわかりませんけど、10月か12月か1月か利上げが分からんけど、確実に利上げになるまでは短国で逃げよう、と思ったら確かに今のカレント3Mって12月足だから12月利上げ前に償還来ちゃうし、12月の後半に足を置くと年末前に償還分の再投資を考えないといけないから、だったら3月まで足を伸ばすか、という位しか思い当たるニーズが無いのですが、まあこれはお買い求めになられておられる方にしか分からん話なのかどうなのか。ってな訳で相変わらず謎話ばっかりで恐縮ではございますが昨日の怪奇現象としてメモっておきましたというお話です。
〇またなんかお漏らし芸をしているのかいいかげんにしなさい(BBGからお漏らしキタコレ)
はいはいお漏らしお漏らし
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-09/T23HZJGOYMTT00
日銀は政治混迷でも年内利上げ排除せず、今月は政策維持へ−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2025年9月9日 17:15 JST 更新日時 2025年9月9日 17:40 JST
→経済・物価はシナリオ沿った動き、関税の米大統領令で不確実性低下
→米経済動向に警戒感強める、政策対応が遅れるリスクは大きくない
『事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は新政権の政策を巡る思惑で神経質な市場の動向を注視している。経済・物価情勢は7月の最新シナリオに沿った動きと判断しており、年内に環境が整う可能性も引き続き視野に入れている。』(上記URL先より、以下同様)
でたなまた「事情に詳しい複数の関係者」ってことでもう定例のお漏らしタイムと化していまして成人用おむつの販売も捗りますなあとしか申し上げようがなくて呆れてしまいますが、そもそも論として「年内に環境が整う」とかお前らとんでもない実質金利ドマイナス政策やっててなーーーにが「環境が整う」だよ今すぐ臨時会合開いて政策金利50上げてももしかしたらビハインドかもしれんじゃろ何をゆうとるんじゃおどれらは、とまあそんな話なんですけどね。
でまあ相変わらずビハインドのリスクは大きくない、とのことで、同記事中にも、
『政策対応が後手に回るリスクは大きくないとの認識にも変化はない。米関税政策の影響や新政権による経済政策、米国を中心とした海外経済の動向などを見極めながら、追加利上げのタイミングを急がずに探っていける状況にあるという。』
だそうで、何を寝言言ってるんだよとは思うのですが、弊駄文では何度か申し上げておりますように、今のハトハトチキン体制におきましては兎に角ケツを叩かれないと動かないので、じゃあ何が日銀のケツを叩くのか、というのを考えるという話でして、その点で言えば昨日も申し上げましたが、新政権が出来て劈頭でデフレ脱却宣言して経済のレジームチェンジを高らかに宣言したら日銀は利上げをせざるを得なくなってくるし、何なら中立金利に向けた利上げを視野に入れないといけなくなるので、まあそういう感じのケツの叩かれ方か、為替円安か、誰かが上手に犬笛を吹いて物価高の責任が日銀に回ってくる事態が発生するか、な訳ですな。
ただまあ上記のように日銀が(一部の政策委員はそうじゃないと指摘していますけど)政策ビハインドに陥るリスクは小さいので追加利上げを急がない、というスタンスでいるわけですが、あんまりそっちの方で見方が固まってしまうと当然なのですが為替円安になって日銀に怒られが発生するリスクが有るので、こうやって適当なお漏らしをすることによって円安ぶっ飛びを回避しよう、という小賢しいプレイをしておかないとまーた日銀がケツ叩かれる事態になるので叩かれたくないからお漏らしプレイに走る、とまあこのように考えておけばよろしいのではないかと思います、あくまでもアタクシの超個人的偏見ですけどね。
てかさ、この「決定会合前にお漏らし」ってのマジで止めてくれませんかねえ、経済物価情勢などをみながら(GDP2次速報だって強かったんだがそういうのを見ても直接的にしゃあないというのが悲しすぎる)政策予想をする、ってのが一生定着しないんですけど・・・・・・・・
〇もはや弾幕として全然意味が無いかも知れませんが河野太郎先生がいいこと言ったわw
この人も誰かさんと同じで責任ある地位につけないで犬笛番長の方が良いのかもしれませんね
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-09/T2AQ9HGP9VD000
自民・河野氏、円安是正へ日銀は利上げを-対応遅らせればインフレ継続
Shery Ahn、氏兼敬子
2025年9月9日 10:45 JST 更新日時 2025年9月9日 12:19 JST
→利上げ先送りなら輸入品価格はさらに上昇へ、円相場の安定が重要
→現金給付や消費税減税、財政赤字の拡大につながると否定的な見方
『自民党の河野太郎前デジタル相は9日、インフレの抑制には円安の是正が不可欠だとし、政策金利の引き上が必要だとの見解を示した。ブルームバーグテレビジョンのインタビューに英語で応じた。』(上記URL先より、以下同様)
英語で答えたんだ〜
『河野氏は、日銀の利上げ先送りは「インフレが続くことを意味する。輸入するもの全ての価格が今より上がることになる」と指摘。円相場の安定の重要性を強調した上で、「そのためには、日銀が金利を引き上げる必要がある」と語った。』
『河野氏は、現金給付は「単に財政赤字を拡大させるだけ」であり、効果は乏しいと指摘。消費税減税についても財政赤字拡大につながるとして否定的な見方を示した。』
まあ自民党の政調のメンバーにでもなってもろていただいて過度な円安の是正に向けた取り組みをしていただきたいものですが、こうやって犬笛を吹いてくれる方がいないといつまでたっても「物価高対策」とか言いながら結局物価の上がる施策をバンバン打ち続け、一方で日銀は「基調物価ガー」というお気持ち物価を持ち出して超越大緩和政策を継続して物価押上げに寄与する、というアホの極みみたいな政策が続くかと存じますのでまあね。
〇今回の金研国際コンファランスのお話が中々面白かった件について(1回では終わらないのでシリーズものの見込み)
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/25-J-07.pdf
「金融政策の新たな課題」
2025年国際コンファランスの模様
Discussion Paper No. 2025-J-7
ある意味本チャンはこちらになります(コンファランスは英語の筈なので、見たことないから知らんけど)
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/english/25-E-10.pdf
New Challenges for Monetary Policy
Summary of the 2025 BOJ-IMES Conference
Wataru Hagio, Daisuke Ikeda, and Yojiro Ito
Discussion Paper No. 2025-E-10
これ日本語版読んでるだけでも中々味わいが深くて、今回のコンファランスまとめは中々の作品に仕上がっていると
思いますが、結構な分量なのでチョイチョイとネタにしていこうかと存じます。
・植田さんの開会挨拶自体は既にネタにしましたがまとめられたのを見るとやっぱり重大なツッコミどころが2点ですな
本文2ページ(PDFの4枚目)が『2. 開会挨拶』になります。
この挨拶自体は
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250527a.htm
日本銀行金融研究所主催2025年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳
日本銀行総裁 植田 和男
2025年5月27日
本チャンはこちら
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2025/ko250527a.htm
Opening Remarks at the 2025 BOJ-IMES Conference Hosted by the Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan
UEDA Kazuo
Governor of the Bank of Japan
May 27, 2025
にありましてネタにしたので重複ちゃあ重複ですが再掲のノリでw
『植田は、わが国の金融政策が直面している課題について、自身の見方を共有した2。最初に日本の物価上昇率について説明した。2021
年以降、日本の物価上昇率は米欧に遅れて高まったのち、足もとでは米価格といった食料品価格の上昇を主因として、再び上昇していると述べた。』
『次に日本の政策金利は日米欧経済の中で最も低くなっていると述べた。そうしたもとで、「実際の物価上昇率が
2%を上回って 3 年以上推移しているにもかかわらず、なぜ日本銀行はそのような緩和的なスタンスを維持しているのか」と問題提起したうえで、基調的な物価上昇率(一時的な変動要因を除いた物価上昇率)がなお2%を下回っているためと答えた。』
はいはいお気持ち物価お気持ち物価。
『続いて、基調的な物価上昇率を捉える完璧なデータは存在しないと述べたうえで、基調的な物価上昇率を評価するために注意深くモニターしている指標の
1 つとして、予想物価上昇率を挙げた。日本の予想物価上昇率は、1.5%から 2.0%の間にあり、この
30 年間で最も高い水準にあるものの 2%の目標水準を下回っていると述べた。それを
2%にアンカーするために、緩和的な政策スタンスを維持し続けていると説明した。』
などと仰せになっていたのはご案内の通りですが、ここで先日行われた氷見野副総裁の記者会見での基調的物価についてのコメントを確認してみましょう。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250903a.pdf
氷見野副総裁記者会見 (9/2)
『かなり、と言ったかどうかあれですが、近づきつつあると言ったときに水準はどれくらいかということですけれども、これが、結局、推計方法によっていろいろですし、そもそも概念として、予想インフレ率の中長期的なものでみていくのか、あるいは一時的なものを外していくのか、一時的なものを外すといったときに何を一時的とみるかというようなことで、必ずしもピンポイントで特定できるものではありませんので、近づいているという方向は申し上げられますが、何か更にゾーンを狭める表現をあえて申し上げるのは、ちょっと差し控えさせて頂ければと思います。』(この部分だけ直上URL先の2025年9月2日氷見野副総裁記者会見3pより)
とまあそういう訳でして、そもそも基調的物価だのインフレ期待だのに関して植田さんの言うような狭いレンジで示されるものではないし、大体からして1.5〜2.0って言うならそれもう目標達成みたいなもんだろ計測誤差考えたら、という話な訳で、何でこんな講演をしてたんですかねえってなもんな訳です。
でもって本編に戻りますが、
『また、この政策スタンスのコミュニケーションは容易ではないと指摘した。その理由として、人々が注目する総合ベースでみた物価上昇率と、中央銀行が注目する基調的な物価上昇率との間に大きな乖離があることを挙げた。』
というのも講演で言ってましたが、そもそも論として日銀法2条には「第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」とあって、基調的物価上昇率とやらが政策のゴールなのではなくて、政策のゴールはあくまでも「国民経済の健全な発展」なのですから、本来は「コア指数だけ見てて良いのか」という位の話をするべき、というか昔からその話は有るわけでして、ヘッドラインでもコアでもない「基調的物価」で政策がどうのこうのとか言ってる時点でお前は何をいってるんだというお話ですな。
『こうした乖離は、ある程度は常に存在するが、最近の乖離の大きさとその継続期間が日本において特に問題となっていると付言した。』
おどれが勝手に作っているだけじゃろうがw
『世界的にみて、供給ショックが頻繁に生じるようになるにつれて、こうした乖離は、多くの中央銀行にとって主な焦点であり続けると考えられると述べた。』
でもって
『最後に、本コンファランスの議論が、基調的な物価上昇率と予想物価上昇率の計測、それらに支えられた金融政策についてのコミュニケーションのあり方、頻繁に生じる供給ショックのもとでの金融政策運営等のきわめて重要な問題に光を当て、世界の中央銀行コミュニティに貴重な知見がもたらされることを祈念すると述べ、開会挨拶を結んだ。』
ってな話になっていますが、まあこの先のお話自体は中々面白いんですよね。
・最初の前川講演は質疑応答の方がオモロイ
『3. 前川講演:Trust and Macroeconomic Stability: a Virtuous Circle(信頼とマクロ経済の安定:好循環)』ってのが次のコーナーですが、講演しているのは
Agustin Carstens, Bank for International Settlementsです。
『カルステンスは、数多くの経済・金融危機に対峙してきた経験をもとに、公共政策に対する信頼(trust)の重要性に関する講演を行った3。まず、数多くの危機から得られた
2 つの重要な教訓を挙げた。』
でもってこの教訓自体は、
『第 1 に、危機の代償は大きいため回避することが最善であると述べた。』
緩和政策の修正がビハインドになると危機にになる恐れもあると思うのですが日銀ちゃんったら・・・・・・・
『第 2 に、経済と金融市場は常に変化するため、現在適切と思われる政策や枠組みも、最終的にはおそらく急速に変わる必要があると述べた。』
ですわなあ、ということですが、この後の話は主に現在の一般的な通貨制度(通貨発行の二重構造に基づく今の状況)に対する信認を維持するためにはどういう観点が必要かというような話になっているのでかっ飛ばして質疑応答の方を見ますとですね・・・・・・・
・お漏らしという意味では予測可能ですがwwwwwwwww
『フロアとの質疑で、オルファニデスは、信頼の定義には公的機関が予測可能な行動をとるという考え方が含まれているものの、実際の政策運営においてはシステマティックなルールに基づく政策よりも裁量が優先されることが多いとコメントし、この点についての対応策を問うた。』
質問者は Athanasios Orphanides Massachusetts Institute of Technology です。
『カルステンスは、金融政策の枠組みは、予測可能性を高めるための確固たる基盤を提供すべきであり、中央銀行が裁量を行使する場合は、丁寧な説明を行い、行動を最終的な目的に結びつけるべきだと述べた。』
wwwwwwwwww
それこそ政策判断基準の説明するのにコアコア物価出してみたり賃金出してみたりサービス価格出してみたり賃金と物価の好循環とか言い出したりしながら基調的物価とか言ってると思ったらインフレ予想とか言い出す、という中央銀行がいるような気がしますなw
・これはベッセント財務長官もニッコリ(とはちと違うかもだが)
続いて塩路先生。
『塩路悦朗(中央大学)は、非伝統的金融政策の実施期間中、中央銀行はさまざまな資産を購入したが、その結果、中央銀行により大きな役割を求める世論の圧力が高まったのではないかと指摘し、このような過度な期待を抑えて正常な状態に戻る方法について尋ねた。』
ですよねー。
『カルステンスは、世界金融危機(Global Financial Crisis: GFC)以降、中央銀行が唯一の選択肢だと認識され、金融政策は副作用がなく多くの目標を成し遂げられる万能なツールだという期待が高まったと指摘した。中央銀行ができることとできないことの境界線を引くにあたって、もう少し慎重さが必要であったと付言した。』
然り。
・全然向き合っていない人がいるような気がしますが・・・・・・
『ゴロドニチェンコは、政治的圧力が高まる中、中央銀行への信頼をどのように維持できるのかと尋ねた。』
質問者は Yuriy Gorodnichenko University of California, Berkeley です。
『カルステンスは、中央銀行の独立性を維持するために、中央銀行と政府との間で摩擦が生じることはやむを得ず、それが結果として中央銀行の信頼性を高めることになると答えた。』
摩擦を絶対にしないように心がけておられるとしか思えない中央銀行があった気がしますが気のせいでしょうかw
『また、中央銀行は、そういった摩擦に必要なタイミングで向き合うことが責務の一部であると心に留めておく必要があると述べた。』
イエーイハトハトチキン見てるか〜(ってコンファランスにいたでしょうから見てるんですけどね)。
・でまあどうせ日銀ちゃんは他人事だと思ってるでしょうけど
質疑パート(元のURL先見て頂ければ分かりますが適当に飛ばして引用していますので念のため)の最後には
こんなのがありまして、
『ハウザーは、中央銀行は、信頼の低下という社会的トレンドにどのように対処し、信頼を守ることができるのかと問いかけた。』
質問者は Andrew Hauser Reserve Bank of Australia です。
でまあ日銀の場合は幸か不幸か物価に責任があるというのが人口に膾炙していないので物価高批判が日銀に飛んでこない、という大変に素敵な状態にあるわけですが、この状況とていつまで続くか分からんと思うのだが、まあどうせ日銀は他人事だと思ってるでしょwwwwwww
『カルステンスは、過去 20〜30 年間、金融・財政政策が経済の安定と成長の実現に非常に有効だと広く信じられてきたが、実際にはそうではなかったと述べ、中央銀行は、特に物価安定以外の目標を追い求める際は、積極的なアプローチをとることにより抑制的であるべきだろうと答えた。』
まあ日銀にいわせりゃ黒田緩和は全部「物価安定目標のため」なので積極的なアプローチをとりましたって言うでしょうけれども、お前ホンマにそれでエエんか、というのは自問して頂きたいものです。
ということでこのネタは明日以降に続きますが中々今回のは面白いので一読推奨しておきます。たしか日銀のよつべチャンネルに録画があるはずです。
2025/09/09
お題「超長期がアレだったので備忘メモ/ジャクソンホールの植田総裁の講演ってなんか色々とヤバい奴でしたな」
そう言えば自民党総裁選フルスペックということですが、ここで日本農業新聞の論説を見てみましょう。なお今朝の時点では会員じゃなくても全文公開しているので皆さんに読んで欲しいんとチャイマスカね。
https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/330880
2025年9月9日
[論説]石破首相の辞任 生産現場重視の農政を
| 主張| 論説| 主要記事
『党勢回復の“切り札”として起用した小泉進次郎農相の言動も、賛否が相次いだ。失言で大きな批判を浴びた江藤氏の後任として、知名度と持ち前の発信力で党の支持を一時的に回復させたが、随意契約による安値での放出に踏み切り、長年、低米価に苦しんできた農家からは不安や怒りが渦巻いた。また、備蓄米放出を安価な輸入米の流入を防ぐための策と主張しつつ、緊急輸入に言及。米の市場流通を「じゃぶじゃぶ」にするとの発言が、農業関係者らの反発を招き、参院選での苦戦につながった。次期政権には、消費者だけでなく、食を支える生産現場の声をより重視した農政を求めたい。』(この部分だけ直上URL先日本農業新聞記事より)
〇案の定超長期がアカンタレだったので俺様備忘メモ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/2NEA5T75LBO2XFMF5YUXBQ6YO4-2025-09-08/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利1.57% 早期の日銀利上げ観測後退
By ロイター編集
2025年9月8日午後 3:26 GMT+9
まあ皆様ご案内の所だし特に付け加える能書きも無いのですけれども記事を引用するという安直備忘おじさんのアタクシ。
『[東京 8日 ロイター] - <15:14> 国債先物は続伸、長期金利1.57% 早期の日銀利上げ観測後退
国債先物中心限月9月限は、前営業日比8銭高の138円04銭と続伸して取引を終えた。米金利低下や早期の日銀利上げ観測の後退を背景に国債先物は買いが優勢となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同横ばいの1.570%。』(上記URL先より、以下同様)
これしかし「早期の利上げ観測後退」って言ってますけど、10月か1月かでそこまで重大な違いがあるのかね(1月もできなくて当分0.5%だって言うなら話は別だけど)とは思うのですが、大体からして「早期利上げ観測の後退」ってそれ他が同条件なら円安を誘発しやすいし物価を押し上げやすいんですから、先に行ったら実はインフレが加速して日銀が各方面からシバキ倒されながら利上げを急がないといけなくなるかもしれない訳で、インフレ加速しようもんなら利上げの最終着地点が上方シフトしたっておかしくないんですが、まあそういうややこしいことは考えずに脊髄反射するのはいつもの事。
『現物債市場で新発債利回りは超長期ゾーンの金利上昇が目立った。財政拡大懸念がくすぶる中、「全体的に様子見姿勢が強い。(石破首相の退陣表明後となる)今晩の欧米勢の動向に市場の関心が集まる」(石田氏)との声が聞かれた。5年債は前営業日比1.0bp低下の1.095%。一方、20年債は同3.5bp上昇の2.670%、30年債は同6.0bp上昇の3.285%。2年債と40年債は出合いなし。』
はいはいスティープニングスティープニングというところでして
『 OFFER BID 前日比
2年 0.816 0.823 -0.015 15:02
5年 1.091 1.098 -0.012 15:02
10年 1.561 1.568 -0.007 15:02
20年 2.663 2.673 0.033 15:13
30年 3.279 3.292 0.061 15:11
40年 3.515 3.54 0.069 15:13』
てなスティープになっています。ということですが、ではまあ実際問題次が誰になるのかという話だと、たぶん高圧経済とか今の状況で言うのは正常な知能が存在するのかお前というような事を言い出す人じゃなかったらそう極端な話にはならんとは思うので(個人の感想です)すし、自民党総裁選って10月4日には片が付いている訳で、新政権の劈頭に「デフレ経済からは脱却したので新しい経済に相応しい成長型経済政策を実施する」とか言ってデフレ脱却宣言を出して日銀には金融政策の正常化を促す、っていうような景気づけするような施策が来たって別におかしくねえじゃろと(かなり妄想に寄ってますが)思ったりもするわけです。
まあ勿論大分妄想には寄っていますが、ただまあ今の日銀の緩和政策修正スタンスってアタクシ思いまするに(=個人の感想ですよ!!)、ああだこうだと小理屈はつけるものの、一貫しているのは「自分たちから率先して緩和政策の正常化を推進した後で難癖つけられ無いよう我が身大事の石橋を叩いて渡らない大作戦」にしか見えない訳で、石破氏もとい石橋を叩いて渡らないためにああでもないこうでもないと手を変え品を変えて利上げしない小理屈をこねくり回している訳なので(個人の偏見です)、今までのように金融政策に基本的に放置プレイだったゲル政権から新しいのに変わり、高インフレを助長するような大規模緩和政策イクナイ!っていうのに気が付く人に変わったら変わった途端に日銀ケツ叩かれて中立金利とは言わないにしても、政策金利1%くらいまではホイホイと人が変わったように利上げしてくるようになるかもしれず、とは思うので、ゲル政権がダラダラ続くよりは日銀が決断を迫られる可能性は高まった(ただし人によっては利上げできなくなる)とも思うんですけどどうなんでしょうかね。
〇ベッセントが米国の量的緩和(というか大規模資産買入)を今更批判しておられるのですがこれはwww
ほうほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-05/T24JDPGOT0JM00
ベッセント長官、金融政策含むFRB調査を要求−量的緩和を批判
アンスティー・クリストファー
2025年9月6日 2:39 JST 更新日時 2025年9月6日 10:09 JST
→WSJに寄稿、FRBは「責務逸脱」で自らの独立性脅かすと主張
→金融危機対策が格差生んだと指摘、トランプ政権時の施策は批判せず
『米連邦準備制度理事会(FRB)は「責務から逸脱」することで自らの独立性を脅かしていると、ベッセント米財務長官が批判。金融政策を含め、FRBに対する独立した調査を行うよう求めた。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうそうですかそうですか。
『ベッセント長官は5日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載されたコラムで「独立性の核を成すのは、信頼性と政治的な正当性だ」と主張。「いずれもFRBが自らの責務を超えて行動することによって、危機にさらされている」と述べた。』
「自らの責務を超えて行動する」とは何ぞという話ですが、
『ベッセント氏は常々主張してきたFRBによる「金融政策の機能強化型実験」への批判をコラムで展開。中でも2007ー09年の金融危機対応としてFRBが実施した量的緩和(QE)は、過剰な刺激を経済に与えたと指摘。さらには銀行システムに対し行き過ぎた規制を敷いたとも述べた。「量的緩和のような非常手段は真の緊急時に限り、連邦政府全体との連携のもとで行われるべきだ」とベッセント氏は述べた。』
これわwwwwwww
真の緊急時どころか緊急でも何でもないのに莫大な量的緩和を相変わらず碌に縮小出来ていない中央銀行がこっちの方にあるんですがベッセントさんちょっと日本の財務大臣でもやって貰えませんですかねえ(ギャグで言ってるので念のためw)
・・・・・まあこの「中央銀行の則」の件については実はこの前の日銀の金研国際コンファランスの中でちょろっと言及されていた話(ベッセントの話とは別文脈ですけど勿論)でして、その辺の金研国際コンファランスに関するレポートがこの前金研から出ていたのでいずれネタにしますが、中央銀行が危機対応を名目にして危機対応以上の「資源配分に対する恣意的な介入」を行ってしまったのではないか、ということはまあ問われるべきではないかと思います。ベッセントの場合は単に難癖付けるために言っているだけの可能性があるので何んともかんともではありますが。
ただまあ
『規制の在り方については、連邦預金保険公社(FDIC)と通貨監督庁(OCC)の権限を強めて「銀行監督を主導させ、FRBはマクロ監視と最後の貸し手としての流動性、金融政策に専念する」よう、「より一貫性のある枠組み」を訴えた。』
というのは考え方としてはアリだと思うのですが、別個にやるのが本当に効果的なのかというのもまた一つ難しい所がありますな。いや何でと言われると説明が上手くできないんですけど。
でまあそれはそれとしまして、
『新型コロナ禍当時のFRBによる対応は、具体的に批判しなかった。パウエルFRB議長は信用市場の崩壊を防ぐために、第1次トランプ政権当時のムニューシン財務長官と連携して施策に取り組んだ。』
に言及しないのですが次の部分は・・・・・
『ベッセント氏はただ、2008年より後に実施された一連の量的緩和について「資産保有者に事実上の保証措置」を与えたも同然であり、格差拡大の一因となったと指摘。大企業は低金利で安価に借り入れでき、住宅保有者は資産価値の上昇という恩恵を享受したと述べた。』
『「その一方で若年層や保有資産が少ない世帯は、資産形成から締め出され、インフレの打撃が集中し、資産価値上昇の恩恵にもあずかれなかった」とベッセント氏は述べた。』
Oh・・・・・・・・・・
これはまあ仰せの通りとしか言いようがありませんけれども、米国のあの資産買入でこの言われっぷりだとしますと日本の資産買入は何なんでしょうとベッセントさんにご意見をお伺いしたい所ではありますし、その所感を是非植田さんにお伝えいただければと思います、実現性ゼロだけどwwwwwwww
〇今更ネタですがジャクソンホールでの植田総裁講演
本チャン講演は英語
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2025/ko250824a.htm
Japan's Labor Market under Demographic Decline: Evolving Dynamics and Macroeconomic Implications
Remarks at the Panel on "The Policy Implications of Labor Market Transition"
at the Jackson Hole Economic Policy Symposium Hosted by the Federal Reserve
Bank of Kansas City
日本語訳なのですが昨日ネタにしたように日本語訳が微妙なところがある日本語訳
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250824a.htm
・「QQEが効いた」って話を自画自賛するのは逆に自分の首を締めるリスクがあるんだが
昨日引用したのの再掲からですが、まずは『2.人口動態のトレンド』の第3パラグラフの最後の部分、
(邦訳)『労働需給は、人口の減少にもかかわらず、緩和した状態が続き、2010年代半ばに大規模な金融緩和が実施されるもとで、ようやくタイト化の動きが始まりました。』
まあ邦訳の時点で怪しいわけでして、「労働市場の構造変化が起きたから」という理由で最近の説明が行われているのに、黒田のヤローに弱みでも握られているんだか何だか存じませんが、こういうときに一々「黒田緩和のお蔭で労働市場がタイト化した」って説明するのが意味不明で、植田さんって黒田さんに何の義理があるんだよ(高校が一緒とかそういうのはさておき)と思う訳で、この言い方が毎度お前らは何を守ろうとしているのか、というお話なんですが、昨日の再掲になりますが英文即ちジャクソンホールでドヤ顔(かどうか知らんが)で説明している本編の方が酷いんですよね。
(本編)『Only with the large-scale monetary easing of the mid-2010s did conditions begin to tighten.』
これじゃあ「LSAPが行われたから労働市場がタイト化した」、って説明にしか見えない(と思うのだがどうでしょうかアタシャドメドメザパニーズなんで良くわからんけど)訳でして、そこまでして黒田緩和を正当化したいのも意味わからんのだが、もっとアカンのは労働市場に関しては日銀って多角的レビューからこの方「労働市場の構造変化が起きている」という説明をメインに置いている話と整合性が取れていないことなんですよね。
つまりですね、労働市場から来るインフレ圧力に対しては、循環要因によるものではなく構造要因である、としておけばアクチュアルのインフレ高止まりに対して金融政策はあんまり効かない、って説明をする際に有力な説明方法になるんですが、上記のような「黒田緩和が効いて労働市場がタイト化した、しかも黒田緩和がOnly
with」って言い方をしちゃいますと、循環要因でインフレ圧力が起きているなら金融政策で対処すべき、って話になるので(今はそうじゃないけど)将来的にインフレ放置批判に日銀が晒される際に、労働市場からのインフレ圧力に対して金融政策によって対応しないといけない、という形になってしまう(構造要因なら逃げられる)ので、まあどうなのよと思うのですよね。
同じことではあるのですが、『1.はじめに』の部分でも植田さんは
(邦訳)『2013年以降の日本銀行による大規模な金融緩和は、コロナ禍後の世界的なインフレの進行と相まって、わが国の物価上昇率をプラス領域へと押し上げました。』
っていってるのの本編が、
(本編)『The large-scale monetary easing since 2013, together with post-COVID-19
global inflation, has finally pushed inflation into positive territory.
』
という説明をしていまして、まあこちらはそこまで極端に言ってることは差が無いですが、ただまあ英文の方が主語が分かりやすくて、やっぱり「黒田緩和が物価に効いた」という話をしていまして、じゃあ今まさにインフレが高止まりしていて、その結果として「物価高対策」というのが政治イシューになって選挙では与党が負けている、という状況な訳なんですから、だったらこの「The
large-scale monetary easing」で物価をこれ以上押し上げる必要があるんですか、というお話になるわけで、黒田緩和の効果を強調すればするほど、「だったら今の方が物価が上がっているだけ更に緩和度合いは拡大しているんだから、もっと早くに緩和規模を縮小しないと物価が更にあがるんじゃないですか」と言われたらどうするのってお話になるわけです。
なお、こっちに関してはご案内の通り基調的物価とかいう「お気持ち物価」であり「お手盛り物価」を持ち出して、これをさらに上げるためにThe
large-scale monetary easingが必要、という奇妙な理屈を繰り出してくると思います。為念。
しかしまあ何ですな、いずれにしましても今回のこのジャクソンホール講演で相変わらず植田日銀は「黒田緩和のお蔭で物価が上がった」という金融政策の効果発現のタイムラグが9年もあるという大変に斬新な理論と共に、黒田緩和が歴史的な意義を終えたみたいな説明をしやがらねえなというのがよくわかる説明を繰り広げておりまして、まあその流れだとインフレや円安が取り返しのつかないようなことになってこないと(というか参院選の結果と最近の世論調査結果の地獄のような結果を見るとだいぶ取り返しがつかない領域に入りつつあると思うんだが)「言われないと動かない」スタンスも含めてまあ動きは常にビハインド、って感じになるだろうなあとゲッソリしてしまいました。
・この話って「大規模緩和をしているのに労働市場がタイト化しなかったのはこの要因のせい」で使うんうじゃなかったの??
あと気になった点ですけど『3.女性とシニア層の労働参加の高まり』ってところですね。めんどくさいから邦訳の方でネタにしますけど。
『この間、労働力率の高まりは、人口動態の変化が労働供給に及ぼす影響を緩和する方向に作用してきました。』
というのですが、これはさっき引用した2章の最後の一文、『労働需給は、人口の減少にもかかわらず、緩和した状態が続き、2010年代半ばに大規模な金融緩和が実施されるもとで、ようやくタイト化の動きが始まりました。』の続きなんですね。
でまあつまりは日銀のいつもの理屈からすると、「大規模緩和が直ぐに労働市場の引き締まりにつながらなかったのはこのような構造要因があったから」という説明でして、以下の部分は・・・・・
『女性やシニア層の労働力率は、2010年代初め以降、はっきりと上昇しており、生産年齢人口の減少を十分に補ってきました(図表3)。15〜から64歳の女性の労働力率をみると、2000年代初めは60%程度でしたが、2025年6月時点では78%に達しています。』
でもって、
『各種の調査によれば、こうした労働力率の高まりは、政策面の対応と社会的な変化の双方に起因しています。例えば、短時間労働者に対する社会保険の適用拡大や育児・学童保育の拡充のほか、女性の雇用を支援する社会慣行の広がりが挙げられます。シニア層に関して言えば、これまでの法整備によって、企業は、65歳までの雇用機会確保を義務付けられているほか、70歳までの就業機会確保に関する努力義務も課せられています。』
単純に生活費足りないから労働市場に出ざるを得なかっただけのような気もしますがまあ先に行きますと、
『もっとも、労働力率の更なる引き上げ余地は限られています。』
この辺から話の筋がおかしくなっていきまして、
『実際、現在の女性の労働力率をみると、既に北欧諸国と遜色ない水準となっています。65歳以上のシニア層の労働力率も、2024年時点で25%を超える水準まで上昇しており、OECD諸国のなかでは、韓国に次いで二番目に高い水準となっています。』
でもって従来の日銀の説明だと「このように労働参加率の上昇余地は限られているので構造的に労働市場がタイトになりやすい」って話をしていたのですが、ここで何か変なもんでも食ったのか日銀が急に労働政策の話をおっぱじめておりまして、
『以下の2つの領域では、依然として労働供給に拡大余地がありますが、いずれも相応の政策的な取り組みが必要になります。』
政策的な取り組みは別にお前らの考えることじゃねえだろと思いますし、そもそも労働可能な国民を全員労働市場にぶち込むのが本当に国民の社会厚生上必要なのかは金融政策とは別レベルの価値判断の問題じゃろうが、と思うのですがこの先が何故か堂々とこんな論説を言い出していて、
『第1に、現状、女性の正社員比率が50%程度と男性の80%程度と比べて低いことを踏まえると、この比率を引き上げ、労働時間を増やすことが考えられます。』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・( ゚д゚;)
『これを実現するためには、例えば、学童保育を一段と拡充するなどの施策が必要になるでしょう。』
これ海外での講演だし時期的に自民党総裁がどうのこうのばっかりの時期だから話題にならなかったようなもので、それは中央銀行が口出しする話じゃなくて国民の総意で形成される立法府が決める話だろお前は何を言ってるんだと思いましたし、そんなことに口出ししている前にアクチュアルのインフレ何とかしろとか中長期的な財政健全化の話をしろとしか言いようが無い。
『第2に、外国人労働者に関してです。労働力人口に占める外国人労働者の比率は3%程度にとどまっていますが、2023年から2024年にかけての労働力人口の増加率に対する外国人労働者の寄与度は、50%を超えています。外国人労働者をさらに増やしていくかについては、より幅広い議論が必要になるでしょう。』
いやマジで何でこんな話をしたのか意味が分からんというか中銀総裁が喋って百害あって一利ない話を何でしたのよ、と思いますが一々蒸し返して寝た子を起こすお前何やってるんだと言われますとまあ(・∀・)ニヤニヤということでご勘弁いただければと存じます。
一応本編の方も引用しておきます。段落分けはさっきの引用と同じようにしています^^;
『Rising labor force participation rates have mitigated the impact of demographics on labor supply.』
『Labor force participation among women and seniors has increased sharply
since the early 2010s, more than compensating for the fall in the working-age
population (Chart 3). The participation rate of women aged 15-64 reached
78 percent in June 2025 -- up from around 60 percent in the early 2000s.』
『Research attributes this to both policy and social changes: expansion
of social insurance coverage to part-time workers, greater childcare and
after-school care capacity, and a gradual shift in norms toward supporting
women's employment. For seniors, as a result of legal reforms made so far,
firms are required to ensure employment until age 65 and to make efforts
to ensure employment opportunities until age 70.』
『That said, the scope for further increases is limited.』
『The current female labor force participation rate is already comparable
to Northern European economies. The labor force participation rate for
people aged 65 and over was above 25 percent in 2024, which was the second
highest among OECD countries, after South Korea.』
でもって問題(じゃねえのとワイが懸念する)部分は、
『Two areas could still expand labor supply, though both would require significant policy effort.』
『First, increasing the share of full-time work among women and extending
working hours: Currently, only around 50 percent of women workers are regular
employees, compared with around 80 percent for men.』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・( ゚д゚;)
『This would require measures such as further expanding after-school care capacity.』
からの、
『Second, foreign labor: Although foreign workers account for only around
3 percent of the labor force, their contribution to labor force growth
from 2023 to 2024 exceeded 50 percent.1 Further increases would require
a broader discussion.』
ってな話をしておりましたが、まあどうせ日銀の事だから別に人々を皆労働市場に追い立てようとかそういうような発想で言ってるんじゃなくて、もっと無邪気にレーバーフォースを拡大するにはこんな施策があるんじゃないかなーっての邪念なく言ってるだけだと思うのですけれども、まああんまりこういうの無邪気に言わない方が良いと思うのですけどねえ、と思いましたという感想でした。
2025/09/08
お題「これは地蔵モード突入ですね(ゲル辞任)/短国結局0.4台半ばになるの巻/植田総裁のジャク穴講演ネタを今更ですが」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17AX70X10C25A7000000/
石破茂首相、示せなかった「安倍時代の次」 1年で政権に幕
石破首相辞任へ
2025年9月8日 2:00 [会員限定記事]
まあ何ですな、就任時には「旧弊を変えてくれる」と期待されていたと思うのですが、あちらこちらに中途半端な配慮をして回った結果、自分のカラーが打ち出せないままに石持て追われてしまう、という極めて残念な流れになった訳ですな。
でまあまあこのゲルの末路に関してはどこぞの中央銀行総裁が反面教師として見習っていただきたいものなんですが、はてさて自分に投影することができるのでございましょうかというお話でもあったりしますな。
なおアタクシ的には林さんとか何なら赤沢さんでも良いんじゃないかとか思う所ですが、どうせ進次郎か高市かってことになるんでしょこれは碌でもないって所ではあります。
〇自民党総裁選爆誕で様子見地蔵に拍車がかかる&あるいは日銀的な見方の比較対照
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250907/k10014915981000.html
【Q&A】石破首相 辞任を表明 なぜ今?今後どうなる?
2025年9月7日 20時02分
へいへいそうだっかという感じで、本来は別に自民党総裁選挙やってようと必要な施策は実施する、というのが当たり前のあり方なので、クソみたいな過剰緩和政策はとっとと修正してもろて頂いて、という感じなのですが、これまでが兎に角ハトハトチキンな上に、そのハトハトの理屈は言うたびにコロコロ変わり、要するにお前ら緩和政策の修正をしない言い訳探しを一生懸命行っているだけなのね、という所ではあるのですが、そういう日銀が9月は元々あるとは思えませんでしたけど9月に急に変なもん食ったかのように蛮勇振るう訳もなし、というお話ではありますな。
ただまあどうなんですかね、10月決定会合の場合さすがに次期自民党総裁も決まっていますでしょうから、物価高対策で過剰な金融緩和による不必要な物価の上昇を緩和するためとか言われたら面白いとは思うのですが、まあそんなこと言い出すタマがいるかというと微妙な話で、(そんな知恵があるんだったらとっくの昔に日銀批判が高まっている筈なので)まあ難しいんじゃないですかねえとなると、9月10月ってタイミングは厳しくて次の12月1月ってタイミングになるのかしらとか思ったり思わなかったり(フラグ建築ではありません)。
まあいずれにせよ政治空白期間中も新政権発足直後も地蔵モードっていうことになるんでネーノとは思うのですが、日本版トラスショック懸念で円安がじゃんじゃかと進行した場合にはその限りに非ず、というのがワンチャン10月利上げに至るパスなんでしょうかね、知らんけど。
でまあ先週末BBGのこんな記事があったのを思い出しまして、別に関根さんを晒し上げるとか論難するとかそういう意図があるわけではないのですが、比較対比すると面白いなあと思ったのがあったので箸休めに(初手から箸休めすんなw)。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-05/T21QJ8GP9VCX00
日銀の10月利上げは難しい、米関税の影響見極めに時間−関根元局長
伊藤純夫、藤岡徹
2025年9月5日 12:30 JST 更新日時 2025年9月5日 13:50 JST
→市場の見方は楽観的、そう簡単に霧は晴れないことへの理解が必要
→日本企業の関税対応が賃上げ含め見通せれば12月にも利上げの可能性
日銀の元調査統計局長の関根さんのBBGインタビュー記事で、記事中にもありますが、先週木曜のインタビューだったとのことなので、自民党の両院議員総会と氷見野さんの金懇が終わっていてゲル辞任の話はさてどうなるんでしょう状態のタイミングです。
『元日本銀行調査統計局長の関根敏隆一橋大学国際・公共政策大学院教授は、日銀が米関税政策の影響を見極めるのには時間がかかるとし、市場が有力な時期の一つとみている10月の追加利上げは難しいとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうそうですかそうですか。
『関根氏は4日のインタビューで、仮に現職の調査統計局長として米関税の影響を10月までに見極めてくれと言われれば「ノーと言わざるを得ない」と述べた。実体経済面から10月利上げは困難としつつ、為替や政治などの動向も踏まえた市場の織り込みを「間違っているというつもりもない」とも語った。』
日銀は一義的に物価安定目標を掲げていたと思うのですが物価の話はどこに???っていう気はしますが、
『米関税政策の影響の見極めに相応の時間がかかるとみる理由について、トランプ政権では合意事項ですら先行きどうなるか分からないと説明。その意味で市場は楽観的とし、「そう簡単に霧は晴れないことをマーケットも理解してほしい」と述べた。』
>そう簡単に霧は晴れないことをマーケットも理解してほしい
>そう簡単に霧は晴れないことをマーケットも理解してほしい
>そう簡単に霧は晴れないことをマーケットも理解してほしい
ということな訳ですが、記事のこの先の小見出しに思いっきり『不確実性』ってあったりしまして、そういう事やぞ、というお話ではあるのですが、まあこの手の見立てって日銀出身で大本営方面にもそれなりに近かった皆様の多くが上記URL記事にある関根さんの見立てと同じような感じで見て行っているなあ、と最近色々見たり聞いたりしていると思うのです(個人の感想です)。
でまあ然るに、って話なんですがついこの前氷見野副総裁は金懇挨拶の中で、
9/2氷見野副総裁釧路金懇挨拶
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250902a1.pdf
『私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので、上方向のリスクと下方向のリスクのバランスを評価して、メイン・シナリオから離れた時にもあまり困ったことにならないよう、適時適切に対応してまいりたいと思います。』(直上URL先9/2氷見野副総裁釧路金懇挨拶本文11ページ)
>私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので
>私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので
>私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので
って仰せでして、まあそういう事を言っちゃあ何なのですが、この差ですよこの差、って言いたくなってしまう訳でございまして、後はアタクシが何を言いたいのかは読者諸兄のご賢察にお任せ致しますけれども、まあこういう辺りだぞって感じはしてしまいますな。この先書き散らかすと碌な事書かなさそうな気がするのでこの辺で(正確には書いたけど読み直して消したんだがwwwwwww)
〇最近短国ネタばっかりで恐縮ですが3M短国入札w
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250905.htm
国庫短期証券(第1329回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1329回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1329回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年9月8日
4.償還期限 令和7年12月8日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆1,094億円
(2)募入決定額 3兆3,503億6,000万円
(3)募入最低価格 99円88銭4厘5毛
(募入最高利回り) (0.4638%)
(4)募入最低価格における案分比率 47.2346%
(5)募入平均価格 99円88銭7厘4毛
(募入平均利回り) (0.4521%)』
ということで0.4521/0.4638となって、結局木曜のWI引けの0.45%、しかも前日の引けから1毛わざわざ甘くして引かせた0.45%の方が思いっきり正当化される入札結果となりました。
じゃあお前月末にやった3Mカレントの0.40%とかいう謎引値何なんだよというお話ですが売参ちゃんを見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(9/5引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.455
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.455
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.455←金曜までカレントだった3Mの前回債
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.455←金曜の新発3M(つまり今のカレント3<)
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
国庫短期証券1331 2025/12/15 平均値単利 0.455←今週入札の3MWI
(9/4引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.440
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.440
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.400←金曜始まる時点でのカレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.450←金曜に入札のあった3MのWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
これわwwwwwwwwwwww
ということで、何のことは無い新発が出てきたらやっぱり0.4台半ばとかじゃないとニーズは無い模様でして、その結果たぶんショート銘柄になっていたんだとは思われるのですが、カレント3Mの方も新発の方にサヤ寄せされて一気に5毛5糸水準調整してしまいまして、しかも新発の方も平均よりは若干甘めに引かされていますので、まあ1328回に関しては入札前に過剰に気配弱くしたら買いがドバっときてしまったのでショートカバーでアイヤーとなったものの、新発が出たら本来の居所に戻った、という感じにはなったんですかね、知らんけど。
とは言いましても、(さすがに9月は無いにしても)10月利上げへの一定の警戒感がある、というのが前提の値付けなのであれば、3Mって回号が出るたびに1週間期ズレしてくることになりますので、10月会合の後の期間というのが長くなっていく、つまり織り込み度合いというのを見ると後ろの償還と手前の償還が並びになっているのは実際問題として話はどうなのよというのもありまして、まあそういうの反映してこの前まで謎の階段が付いていたと思いますけれども、さてどうなるのやらという感じですな。
あとですね、今週の3M新発って12/15償還になりますけれども、年末年始って一時的に発行償還の端境期になってきますので、後の銘柄になってくると(今月の3M入札はあと3回)償還が年末に接近してきまして、年末というのは短国市場ちゃんにとっては割と鬼門というのが特にマイナス金利解除以降、って要するに去年の年末越えですが、こちらは何かもう謎の価格形成になってしまうでござるとなっていましたので、そのタイミングで償還金使う予定が有れば問題ないのですが、ロールするということになると年末越えの阿鼻叫喚に巻き込まれるリスクもありまして、中々めんどいゾーンに突入してきますな、とは思います。ついでに言えば12月15日償還であれば12月会合前ですがその次の銘柄からは12月会合も跨ぐでござるの巻になるんですかね。
〇すっかり忘れておりましたがジャクソンホールの植田総裁講演ネタ予告編
単に今朝は時間が足りないので予告編とか言っておいて自分で明日のネタを強制しているだけなんですけど。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250824a.htm
【講演】
人口減少下における日本の労働市場:ダイナミクスの変化とマクロ経済へのインプリケーション
カンザスシティ連邦準備銀行主催シンポジウムパネルセッション「転換期の労働市場の政策的含意」 における講演の抄訳
(於・米国ワイオミング州ジャクソンホール)
日本銀行総裁 植田 和男
2025年8月23日
本チャンはこちら
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2025/ko250824a.htm
[Speech]
Japan's Labor Market under Demographic Decline: Evolving Dynamics and Macroeconomic Implications
Remarks at the Panel on "The Policy Implications of Labor Market Transition"
at the Jackson Hole Economic Policy Symposium Hosted by the Federal Reserve
Bank of Kansas City
UEDA Kazuo
Governor of the Bank of Japan
August 23, 2025
まあ大したことないとか言ってスルーしておりましたが、これ読んでてクソワロタのは小見出しの『2.人口動態のトレンド』のところでして・・・・・・・・
『図表2は、短観の雇用人員判断DIを示しています。1980年代後半から1990年代初頭にかけては、経済が過熱し、資産価格が大きく上昇するもとで、労働需給が短期的に引き締まる局面がみられました。こうした労働需給の引き締まりには、生産年齢人口が減少に転じるタイミングが近づくなか、企業がより多くの労働者の確保に努めていたことも影響しています。もっとも、バブル崩壊とその後の金融不安は、長期にわたる経済の停滞をもたらし、その後のグローバル金融危機も経済を一段と下押ししました。労働需給は、人口の減少にもかかわらず、緩和した状態が続き、2010年代半ばに大規模な金融緩和が実施されるもとで、ようやくタイト化の動きが始まりました。』(邦訳バージョン)
ってなっているのですけれども、この部分を英文の本チャンを見ますとですね・・・・・・・
『Chart 2 shows the Tankan (Short-Term Economic Survey of Enterprises in
Japan) diffusion index for employment conditions. There was a brief period
of tightness in the late 1980s to early 1990s, driven by an overheated
economy and asset price inflation.』
図表2は、短観の雇用人員判断DIを示しています。1980年代後半から1990年代初頭にかけては、経済が過熱し、資産価格が大きく上昇するもとで、労働需給が短期的に引き締まる局面がみられました。
『The approaching decline in the working-age population also prompted firms to hire more workers.
こうした労働需給の引き締まりには、生産年齢人口が減少に転じるタイミングが近づくなか、企業がより多くの労働者の確保に努めていたことも影響しています。
『However, the bubble's collapse and subsequent financial instability ushered
in prolonged stagnation, compounded by the Global Financial Crisis.』
もっとも、バブル崩壊とその後の金融不安は、長期にわたる経済の停滞をもたらし、その後のグローバル金融危機も経済を一段と下押ししました。
『Labor markets remained loose despite demographic decline.』
労働需給は、人口の減少にもかかわらず、緩和した状態が続き、
・・・・・とまあここまで比較してみましたが、本チャン講演の方が雑じゃないのかね(「こうした労働需給の引き締まりには〜」の辺り)とか思いますが、最後のこの部分がワロタんですががががが
『Only with the large-scale monetary easing of the mid-2010s did conditions begin to tighten.』
2010年代半ばに大規模な金融緩和が実施されるもとで、ようやくタイト化の動きが始まりました
>Only with the
>Only with the
>Only with the
・・・・・・・・・英文の方だと如何にも「LSAPによって労働市場がタイト化しました」と自慢たらたらしているように読めてしまうのでございますが、なんか日本語とニュアンス違くね????と思ってしまったのはアタクシの英語力のせいでしょうかよくわかりません><;
とまあそれが予告編だが実は本編もこんなもん説はややあるw
2025/09/05
お題「市場雑談備忘メモ/氷見野副総裁金懇会見での基調的物価の応答が味わい深い」
へー
https://www.agrinews.co.jp/news/index/330134
2025年9月5日
ケーキの主役もシャイン 旬を迎え各社が提案強化
記事のサムネにあるタルト、1ピースが記事によると1296円だそうですがホールを何ピース取りしてるんじゃろ(と思ってちょっと検索したら10ピース取りみたいな答えが返ってきた)
〇30年入札確りで一旦フラットしたものの&今日は短国3M入札ですが
・30年国債でソイヤソイヤとなったんだが終盤結局イマイチさんですかそうですか
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/B4KJJ5CXFZJA7JAOQRH2ASROZI-2025-09-04/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、海外金利高一服と入札無難で 長期金利1.605%
By ロイター編集
2025年9月4日午後 3:16 GMT+9
『[東京 4日 ロイター] - <15:10> 国債先物は反発、海外金利高一服と入札無難で 長期金利1.605%
国債先物中心限月9月限は、前営業日比34銭高の137円63銭と大幅反発して取引を終えた。海外で超長期金利上昇が一服したことや事前に警戒感があった30年債入札を波乱なくこなしたことが相場を支援した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5ベーシスポイント(bp)低下の1.605%。』(上記URL先より、以下同様)
ちょうどうまいことに昨日は海外がJOLTSとかのせいで金利下がって帰ってきたし、今週はなんか超長期に親でもぬっころがされたのかというような超長期の叩き売りが行われておりましたので、事前調整の結果無事な結果となって確かそのあとそこそこフラットニングしてたはずなんですが、結局終わってみればそんなにフラットしてないとはこれ如何に(どうせ戻ったら叩きが出たんでしょうけど)という感じで。
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OFFER BID 前日比 時間
2年 0.845 0.854 -0.011 15:02
5年 1.131 1.138 -0.02 15:08
10年 1.599 1.605 -0.025 15:02
20年 2.653 2.661 -0.023 15:04
30年 3.248 3.258 -0.031 15:09
40年 3.487 3.501 -0.029 15:08』
何か普通の戻りになっておりましたが、ただまあこの数日の上げ下げって何気に中短期の方も結構な上下をしていまして、超長期が派手だったり新値更新だったりするからそっちがニュースネタになるんですけど、これ結局財政ネタというよりも日銀の利上げに関する思惑の方が微妙に動いていて(氷見野さんの金懇あり自民党の情勢あり石破植田会談ありと実際問題ネタにする要素はうじゃうじゃあるので)財政云々はまあ後付けなんでネーノという気がするのと、あとは単純に中短期から長期までの動きと超長期が別で、超長期だけ海外勢とかのファストマネーが財政がどうのこうので売ってるとかなんですかね、まあさっぱりわからんので知ってる人教えてジェネラル!
ま、いずれにしましても30年入札こけて阿鼻叫喚とはならなかったので良かったのかどうかは兎も角として、一旦足元までの相場は一勝負終わって次の一勝負ネタ待ちという風情ではなかろうかと相場のリズム的には思うのでありました、知らんけど。
・短国3Mはカレント銘柄の強い引値が特殊要因なのか実はこっちが正しいのかがわからんのだが
でまあ今日は一部の人しか興味の無い3M新発入札ちゃんですが、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(9/4引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.440
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.440
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.400←カレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.450←今日入札のWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
(9/3引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.439
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.439
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.400←カレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.440←今日入札のWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
・・・・・まあWIの値付けなので、というのはあるんですけど昨日は新発WIを1毛甘に値付けしていまして、カレントの手前は引き続き0.44%だし、これはカレントの0.40%がマジなのか、単純にこの銘柄だけショート銘柄になってしまっているだけでそういう大人の事情を外せばやっぱり短国3Mの居場所は(10月利上げの可能性を勘案して)ちゃんとレートが付くのか、って10月利上げだと思った時にこの水準でリスクプレミアム合ってるのか問題はあるのですが10月利上げが無いと次は12月3週になるので新発1329は利上げ無し無し銘柄になるというこのデジタルっぷりが短期のターム物の醍醐味ですwwwwww
まあアレです、やっぱりこういう引値の謎の歪みとか見ちゃいますと、短国って発行量足りないよねと思いますし、これ今は政策金利が0.5%だからまだ顕在化してこないんですけど、政策金利が1%か1.5%か2%かどこになるかは正直謎ですけど、どっかに多分閾値があって、その閾値を超えると「この水準なら別にクレジットリスクとか期間リスクとかを取らなくても短期(または中短期)の国債投資で十分な絶対収益が出るんじゃないの」っていうムーブが出てくる(主にリテール資金からの)とアタクシは思っております次第でして(正直根拠は無いけどこちとら人生半世紀は生きているのでお年玉を預貯金したら見える数字の利息が入る時代を知っとるので・・・)のではなかろうか、と思う訳でして、その時に短期国債の利回りが3Mあるのにコールよりも全然低い、とかいうような利回りになっているのはあんまりよろしくないんじゃないかと思うんですよね〜、ということでいつもの話だが短国増えてちょんまげと思うのでありましたという毎度の話ですいませんすいません。
〇氷見野副総裁釧路金懇記者会見の続き
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250903a.pdf
氷見野副総裁記者会見
――2025年9月2日(火)午後2時から約35分
於 釧路市
例の「供給要因だから政策対応しないとか言ってるのは間違い」という氷見野さんの説明、すなわち今や主要中央銀行では当たり前の話で需要要因供給要因ではなくて波及効果、持続性を見極めて対応の有無を考えるって話になっているので供給要因なのでーと言い続けているハトハトチキン中央銀行がインチキなだけ、ってのを言外に喝破した質疑応答が今回の白眉でしたが、他にも白眉級のがあってこれは馬氏の五常もニッコリという所です。
・基調的インフレの質疑応答が大変に素敵でした
『(問)基調的なインフレ率についてお伺いします。午前の講演で、関税の影響で足踏みしても、いずれ
2%と概ね整合的な水準で推移するというふうに見方を示されました。この基調がですね、足踏みから再び上昇に向かう確からしさにつきまして、副総裁、現時点でどのように考えておられるのか、そこにですね、確信が持てなければ、再上昇にですね、追加利上げは難しいとお考えなのかをお願い致します。』
というのが前半で、
『その基調的な物価上昇につきまして、講演では 2%にかなり近づきつつあるというふうに発言されまして、ご発言からするとですね、少なくとも、副総裁、1%後半ぐらいをイメージしておっしゃっているのかなという印象を受けたのですが、大まかで結構なのですが水準のイメージについてもうちょっと教えて頂ければと思います。二点よろしくお願いします。』
というのが後半ですね。まあ前半は基調的物価というよりも単純に利上げ判断云々の話になっておりますが。
『(答)一つ目ですが、これも表現が少し違うかもしれませんけれども、7 月の展望レポートで、この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受け伸び悩むものの、その後は上がっていって、見通し期間後半には物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移すると考えられる、というふうに言っているのと特に言っている趣旨は変わりません。』
まあ確かにあの辺りの部分は大本営の説明をするパートになっていましたな。
『それで、ではそうなっていく確からしさはどうか、確信が持てなければ利上げはないのかということですけれども、これは、そうなる見通しの確度および上下双方向のリスクをみていくということだと思います。その確度がある程度高まっていく、更にその確度、メインシナリオ通りにいかないといったときに、これ上振れするリスクと下振れするリスクどっちがどうなのかというのをみて判断していくということになりますので、何か確度だけみてというよりは、メインシナリオの確度と上下双方向のリスクをみながら判断していくということではないかというふうに私は思っております。』
まあしれっと「何か確度だけみてというよりは」とか入れている辺りがこれもお洒落でして、毎度「確度」だけで説明してごまかし続けている(でもって昨年7月のように急に「上振れリスク」とか言い出して利上げする)というのに対して「もっとちゃんと説明しろ」と大本営に対してイヤミを言ってるんでネーノと思いましたが勝手な裏読みをしているだけの個人の感想ではあります(汗)。
でもって後半の回答ですけど・・・・・
『かなり、と言ったかどうかあれですが、近づきつつあると言ったときに水準はどれくらいかということですけれども、これが、結局、推計方法によっていろいろですし、そもそも概念として、予想インフレ率の中長期的なものでみていくのか、あるいは一時的なものを外していくのか、一時的なものを外すといったときに何を一時的とみるかというようなことで、必ずしもピンポイントで特定できるものではありませんので、近づいているという方向は申し上げられますが、何か更にゾーンを狭める表現をあえて申し上げるのは、ちょっと差し控えさせて頂ければと思います。』
>何か更にゾーンを狭める表現をあえて申し上げるのは、ちょっと差し控えさせて頂ければと思います
>何か更にゾーンを狭める表現をあえて申し上げるのは、ちょっと差し控えさせて頂ければと思います
>何か更にゾーンを狭める表現をあえて申し上げるのは、ちょっと差し控えさせて頂ければと思います
ちょwwwwwwおまwwwwwwww
直前の金懇挨拶でご案内の通りですが、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250902a1.pdf
『直近の消費者物価の統計に即して申し上げますと(図表5)、7月の消費者物価上昇率は
3.1%と、2%を大きく上回っています。これは、ガソリン補助金などによる引き下げ効果があった上での数字ですが、そうした効果は、上昇率の面では一時的な変動と考えることができます。他方、この
3.1%という消費者物価上昇率には、食料価格の上昇が 2.1パーセントポイント寄与しています。これについても、米価格の急上昇が起点となって起きた一時的な変動の面がかなりある、とみることができます。こうした上下の要因を除いて基調をみるために、例えば食料とエネルギーを除いた品目の上昇率でみると、
1.6%であり、まだ2%には達していません。』(この部分直上URL先の同日実施された金懇挨拶より、以下同様)
って思いっきり数字を出していたのは何だったのかというお話になるのですが、確かに氷見野さんこの挨拶でも、上記のように説明した直後に返す刀で、
『実際には、何が一時的で何が基調的な変化か、何を除いて何を含めて考えたらよいか、の判断は簡単ではありません。』
と喝破した後に、
『そのため、日本銀行では、変動の大きな品目を除いて考える、というやり方のほかに、経済構造をモデル化して基調を推計する方法や、家計や企業や市場参加者などが中長期的なインフレ率についてどのような予想を持っているかを計測する方法など、さまざまな手法を用いて分析を行っています。』
『そうした分析を総合すると、「基調的なインフレ率は 年代には0%と1%の間あたりにあったと思われるが、最近では2%にかなり近づいてきている。ただ、2%に達しているとまではまだ言えないのではないか」といった結果になっています。』
『そこで、「現実のインフレ率は高いが、一時的な要因の影響が収まるにつれ、いずれ落ち着いていく」というシナリオをメインに置いているわけです。』
という展開になっていた訳ですが、これはあくまでも大本営としてはこう言っているけど実際問題として基調的物価をそんなナローレンジで出してリアタイの政策判断に使えるかヴォケ、というのが氷見野さんのご指摘、とお見受けしましたがどうでしょうか????
というのも昨日のネタにしたかったのですが時間が無くて今日に回してしまいましたが、まあこの基調物価の話と、需要要因供給要因の話、という今の政策説明の根幹部分での質疑応答のこの2本が今回本来は読むべき部分だと思いましたが如何ですかね。
ということで今朝は台風らしいのでこの辺で勘弁(台風関係ないじゃろ説は却下wwwww)
2025/09/04
お題「30年入札ですなあとか短国とか/謎の植田石破会談/氷見野副総裁釧路金懇関連」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020C30S5A900C2000000/
忍び寄る70年代「大インフレ」の悪夢 FRBとドルの信認危うく
激震FRB 中銀独立の行方
国際
2025年9月4日 4:00 [会員限定記事]
まあ日経無課金(というか別に日経以外にも課金している訳ではないというロクデナシ)なので記事は読めませんがグローバルにそういうことやぞというのは描きやすいストーリーになってきましたわな。
〇短国3Mカレントだけガンガンズンズンお値段上昇しているのは何ぞこれ
という話の前に昨日も昨日とてだったので長い方のロイターさんの記事
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/OYYY2R3XDNJGVB2P5HBJUETLFA-2025-09-03/
国債先物反落、30年金利が最高水準更新 財政懸念が相場圧迫
By ロイター編集
2025年9月3日午後 3:48 GMT+9
『[東京 3日 ロイター] - 国債先物中心限月9月限は、前営業日比23銭安の137円29銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.630%。財政懸念を背景に超長期ゾーンの金利上昇幅が大きくなり、新発30年国債利回りは過去最高水準を更新した。』(上記URL先より、以下同様)
ということですが、まあそもそも今日30年国債入札あるから事前調整入るし、海外の金利もFED利下げヒャッハーネタでの低下が一巡したら結局じり高だし、というような諸々が有るわけで、少し長めのストーリー(例えばさっきの「70年代の再来」みたいなお話)であれば財政懸念というよりも構造的な高インフレレジーム転換への懸念とかそういう壮大な話になるのですが、まあ財政云々はとりあえずネタって面も多々あるとは思うのですが、とりあえずは今日の入札どっちに転ぶかによりけりかなと思います、知らんけど。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.858 0.865 -0.003 15:02
5年 1.152 1.159 0.009 15:03
10年 1.624 1.63 0.03 15:12
20年 2.68 2.687 0.058 15:08
30年 3.279 3.288 0.083 15:12
40年 3.523 3.534 0.085 15:09』
まあエライスティープしましたなという所ですが、事前に調整したから入札何とかなるんじゃネーノというのが一般的には順当な見方になると思うのですがはてさてどうなるやら。
・・・・・という中で短国カレント3Mちゃんがですね、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(9/3引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.439
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.439
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.400←カレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.440←今週金曜入札のWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
(9/2引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.436
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.436
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.420←カレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.440←今週金曜入札のWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
とまあ謎のカレント銘柄だけレート低下の巻となっていまして、まあ銘柄指定で持っていかれてしまったショートカバー要因とかそういうことなんでしょうけれども、こっちはこっちで先週金曜の入札前は0.48%だの何だの(実際は入札もっと弱いんじゃないのって見方もあったみたいでございますな)とか言っててニーズ無し無し君かと思わせておいてからのムーブで、推しからの反転アンチがコメント欄で大暴れみたいな風情になっているのは何ぞこれという感じですな。
また長期方面から避難民が来たのか、ただの変な特殊現象なのかがよくわからんですが、こちらは明日3Mの入札があってWIの方は一応0.440%の値付けが維持されているのですがはてさて何がどうなるやら・・・・・
〇植田さんと石破さんの会談がありましたのでメモ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-03/T1ZSUEGOYMTF00
植田日銀総裁、利上げは予断を持たず判断する−石破首相と会談
照喜納明美、梅川崇
2025年9月3日 13:18 JST 更新日時 2025年9月3日 14:02 JST
→経済・物価見通し実現すれば、利上げしてくスタンスに変わりはない
→為替はファンダメンタルズ沿い安定的推移望ましい、政府とモニター
『会談に関しては、経済・物価や市場の動向などについて意見交換したと説明。その中で為替の話も出たが、具体的内容は差し控えるとした上で、「ファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが望ましい」と語った。政府と連絡を取りつつモニターしていくとも述べた。』
『両者の会談は石破首相の就任直後の昨年10月2日と今年2月に続いて、3回目となる。』(以上上記URL先より)
こんな感じで記事になるとイマイチインパクト無いんですけど、リアタイでは「為替の話があった」ってヘッドラインが出てきて為替ちゃんの方が反応したりしてて、「為替」だの「利上げ」だのについての言及がノーコメントじゃなく能動的に出たんじゃないかって印象を与えてくれたので、ご時世柄ほほーと思った訳です。
まあどうせならゲルが植田さんとっ捕まえて「おどれが物価高なんもせんから選挙に負けてエライことになっとるんじゃ」と暴れ散らかしていたら面白いのですが(そんなことは起き得ないのでご安心ください)現状機能しているのかどうかも怪しいゲル政権と会談して何の話をするんだか、とは思うのですが、ここまで不人気のゲルさん、乾坤一擲の勝負で金融政策に活路を見出そうとして呼んだんだったらちょっとオモロイなとは感じました。まあしかしゲルって正直ここまで不人気である必要はないと思うのですがテレビは見ない新聞も碌に読まないワイなのでなんで不人気なのかがイマイチ体感的に理解できていくて政治ネタはワカランチ会長モードでありまする。
一応時期的には金融政策の方向性に絡んだりすることもあったりなかったりという感じなので、ちょっと気にはなりますが、まあいずれにしましても9月会合までは時間なさすぎですし、10月会合の時には世の中どうなっているのか分からんですし、今から決め打ちで何か出来るかというとそんな勇気は無いでしょうからここからの情勢に流されていくしかないんじゃないでしょうかね日銀も。
〇氷見野副総裁釧路金懇講演の続きと会見ですがやはり氷見野節が随所に埋め込まれていますね
金懇挨拶
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250902a1.pdf
昨日ネタにしましたように、一番味わいのあったのはウィリアムズを引き合いに出したイタコ話法による「ハトハトチキン見てるイェーイ!!!」の部分な訳ですが、この次のパートの日銀の長期国債買入に関する記載も中々の味わいでしたのでそちらから参ります。
『3.日本銀行の金融政策運営』の『(国債買入れの減額計画)』という本文11ページ、PDF12枚目の後半部分から始まるところですが、最初は現象面の話をしているので割愛しまして途中から参ります。
『中央銀行のバランスシートは、資産・負債の両面から経済の諸側面に影響を及ぼし得るものですので、国債買入れの減額の問題も、様々な視点からみることができます。』
この時点で既に先般の金融学会で内田副総裁が「短期金利操作と無関係に中央銀行はバランスシート政策を行うことができる」というお前それ何ぼ何でもレトリックに問題ねえかという説明に対してのイヤミになっている気がしますが先に行きまして、
『以下では、昨年3月や7月、本年6月の決定に参加するにあたって、私なりに考えたことのうちいくつかを紹介させていただければと思います。それぞれの政策委員ごとに視点がありますので、あくまでも私個人の考え方です。』
ワクワクテカテカ
・マネタリーベース直線一気理論を唱えていた連中は脳が1970年代辺りで止まっていた模様ってことですなこりゃw
『第一に、物価への直接的な影響という視点があります。日本銀行の負債の規模は、日本銀行券の発行残高と金融機関から日本銀行への預け金との合計に概ね一致します。これをマネタリー・ベースと呼びます。』
マネタリーベースキタコレ!
『日本銀行が国債保有を減らしてバランスシートの資産サイドを小さくすると、バランスシートの負債サイドであるマネタリー・ベースも小さくなります。』
『米国がインフレに苦しんだ 年代末に一世を風靡したマネタリストの考え方では、このマネタリー・ベースが増減すれば、民間金融機関が受け入れる総預金額であるマネー・ストックが増減し、それが物価を左右する、とされていました。』
「、とされていました」という時点で以下お察しの通りで、
『しかし、この三者の間に安定的な関係がないらしいことは、FRBがマネタリー・ターゲットを採用して間もなく明らかになる、という展開となりました。』
ボルカーのインフレ絶賛大成敗なマネタリーターゲットって高金利政策をとるのを高金利政策と言わずにぶっこむ方便みたいな面もあったかということで、まあ単純に事実を述べているだけに過ぎないのですが、こう言いながら「日銀当座預金が10%増えると予想インフレ率が
0.44%上昇する」などという寝言をほざいていた人を「とっくの昔に決着がついている話をしていた人ですね」と間接的に指摘しているのが実に美しいですね(まあそこまでの意図があったかは別として、笑)
『ただ、国際決済銀行のボリオらは、 32か国の 70年間にわたるデータを分析し、インフレ率が5%以下の低インフレ・レジームにある間はマネー・ストックとインフレの間に関係は見られないが、高インフレ・レジームになると急に関係が高まる、と論じています6
。』
『6 Claudio Borio, Boris Hofmann, and Egon Zakrajsek, "Does Money
Growth Help Explain the Recent Inflation Surge?," BIS Bulletin, no.
67, 26 January 2023.』
これはまたとんでもないオタクなもんをリファーしてきましたな(絶賛している)という感じで、マジかこれ読まないといけないじゃん(今度の連休辺りに)と思いました。さすが氷見野さんとしか申し上げようがありません。
『ボリオら自身、だからといって単純に因果関係を結論付けるべきではないと述べていますが、物価が安定していた時期の先進国だけの経験をもとに、過大な水準のマネーを不必要に放置しておくことにはリスクもあるのではないかと思います。』
>物価が安定していた時期の先進国だけの経験をもとに、過大な水準のマネーを不必要に放置しておくことにはリスクもあるのではないかと思います
ってこれバランスシートの話をしていますけど、日銀の今の話にも通じるものがあって、過去の長期ディスインフレ期の経験を元に物価が上がらんと言い続けて過剰な金融緩和を不必要に放置しておくリスクも同根な訳でして、しらっとぶっこんでいるように見えるのは気のせいでしょうか・・・・・・
・ストック効果の話については長期金利の実体経済への影響が云々で済ませていますが・・・・
『第二に、経済活動への影響の視点があります。日本銀行の保有国債の規模は、いわゆるストック効果を通じて長期金利の水準に影響を与えます。他方、私どもの分析では、実体経済に与える影響は短期金利が中期・長期に比べてはるかに大きく、超長期の金利の影響はごくわずかである、という結果になっています
7。』
脚注7は『7 日本銀行「『量的・質的金融緩和』導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証」2016
年 9 月』ですけど、ここでも昨日ネタにしたのと同じくで、日銀大本営発表の物件に対して「という結果になっています」とわざわざつけることによって突き放したような表現になっているのが味わいが深くて、
『したがって、短期の政策金利を上下に操作できる状況においては、緩和や引き締めは政策金利の操作を主な手段とすれば足り、国債の購入額を緩和や引き締めの手段として位置付ける必要はない、と考えます。』
って言ってますが、MBとの関係の問題だってあるかもしれない、って言っている中でここだけこういう風に言ってるのは裏読みのし過ぎかも知れませんが、「お宅のお嬢ちゃん最近ピアノがお上手にならはりましたなあ(はんなり)」というぶぶ漬け話法を想起してしまうのはアタクシがネットミームに漬かり過ぎですかそうですかwwww
・減額スピードをどうするのかという話はまあ結局「急にやってしまうのはアカン」になってしまうわな
『第三に、市場機能の回復の視点があります。私どもが昨年末に公表した「多角的レビュー」の分析では、@日本銀行の銘柄ごとの国債保有比率が5割を超えると、国債市場において売り手が求めるレートと買い手が求めるレートの格差が非線形的に拡大していく、A7割を超えると、日本銀行による買入れ額の増額は、市場の取引高をむしろ減少させる方向に作用する、という結果になっています(図表11
左、中)。現在、日本銀行の国債保有比率はかなりの銘柄でこうした水準を超えています(図表11
右)』
となっていまして、
『ですので、市場機能回復の観点からは保有比率を引き下げることが望ましいですし、日本銀行の新規購入が少ないほど保有比率引き下げのスピードは速くなります。ただ、スピードを優先した結果、長期金利が急激に上昇し、臨時に買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施することになれば、市場機能には却ってマイナスとなります。』
『FRBが 年に市場の混乱を受けてバランスシートの縮小を一旦停止せざるを得なくなった経験にもかんがみれば、「市場機能の回復」と「市場の安定」のバランスをとった減額スピードが適切ではないかと考えます。』
という理屈になってしまうのですが、なまじこんなの指値とかできるようにしておくからこういう理屈になっておっかなびっくりで結局バランスシートの縮小が進まんのじゃという事を言うと過激派扱いされますので用法容量を注意して主張しましょうってな感じですけど、まあこういうのも当局が介入しすぎなんだよなーという思いはやはり20世紀から市場の空気を吸って生きておりましたジジイとしては思ってしまいますが、当局的にはこうなってしまうんでしょうねえとは思います。
・適正なリザーブの水準問題に関してはまあ結局先の話ですので
『第四に、銀行システムの機能と安定性への影響です。日本銀行が市場から国債を購入すると、その代金は金融機関が日本銀行に対して持つ預け金の形で支払われます。こうやって一旦日銀預け金が供給されてしまうと、保有主体は移り変わっても、銀行システム全体としての日銀預け金保有高は金融機関側の意思では変えられません。』
さいざんす。
『現在、日銀預け金が金融機関の資産の部の5分の1程度を占めていますが、全体としてはおそらく金融機関が必要とする水準をかなり上回っているのではないかと思います。』
『他方、金融機関は流動性管理のために一定の日銀預け金を必要としていますので、FRBがしばしば強調するように、日銀預け金の供給を過剰に減らすと金融システム・金融市場の安定にマイナスに働く可能性もあります。ストックはフローよりゆっくり動くので、残高ベースで日本銀行がこの問題に直面するのはまだ先だと思いますが、適切な残高と整合的な月間購入額の定常的な水準がどの程度なのか、という問題は、考えながら進めていく必要があるだろうと思います。』
リザーブ水準をアバンダントかアンプルかスケアスかって話ですが、これ短期市場デザインの問題にもなるのですが、日銀の場合はそんな論議を四の五の言う前に長期国債のストック減らせやという話なのでまあこれは論点説明だけで終わるのはしゃあなしw
・日銀財務の問題は財務そのものが問題になるというよりも政策遂行の障害になると「人々が思う」かですよね
『第五に日本銀行の財務との関係があります。日本銀行の財務についての考慮が政策判断の主要因となるべきではありませんが、バランスシートが大きくなればなるほど財務の変動は激しくなります。現状のバランスシートでも債務超過に陥る可能性が大きいとは思いませんし、また、仮にそうなっても直接政策遂行に問題が生じるわけではありませんが、日本銀行に対する信認の低下につながり得るリスクを抑制する観点からは、バランスシート規模は縮小していくことが望ましいと考えます。』
さらっと流していますがこれだけでもかなり重い話題になりますのでいつかはこの辺りの話もお願いします。
ということでまあその3以降はちょっとオマケチックではあるのですが、ここにもしらっと氷見野節が出てましたな、という感想でした。
〇会見ネタをやる時間がだいぶ無くなってしまったので(無計画ですいません)とりあえず白眉な質疑をご紹介
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250903a.pdf
氷見野副総裁記者会見
――2025年9月2日(火)午後2時から約35分
於 釧路市
今回の質疑応答の白眉ともいえる問答が一番最後にありましたので、ちょっと時間が足りなくなったのですいません今朝はとりあえずこれだけネタにさせてくださいゴメンチャイ。
一番最後の質疑の後半の質疑なんですけどね・・・・・・・・
・「供給要因による物価上昇だから一時的なので対応不要」というハトハトチキン理論を華麗に粉砕の巻
『(問)(前半割愛)二点目なんですけれども、7 月の決定会合の際に、植田総裁が、供給サイドからのインフレ圧力が高まっているときに利上げで対応しようとすることが望ましいのかちょっと考え込んでしまうというご発言をされていたかと思います。需要サイド、供給サイドといったインフレの要因によって金融政策の対応が変わり得るのかどうか、お考えをお伺いできれば幸いです。』
これは良い質問過ぎます。素晴らしいんですけどさて氷見野さんの回答はと言いますと、
『(答)(前半割愛)供給ショックの場合と需要ショックの場合で金融政策の対応にどう違いがあるかという点で、私は植田総裁のようにエコノミストではありませんので、あまり明快に講義できる自信はないのですけれども、』
これは学会発表で大先生が挙手して急に「私この分野良くわからないので教えて欲しいんですけど」と言い出して発表者がションベンちびる展開ですね!!!!!!!!と申しますのも返す刀で・・・・・
『これは需要ショックか供給ショックかということだけで機械的に決まるものではなくて、例えば、その要因が一時的なものか持続的なものか、更に、起きた環境において、例えば中長期のインフレ予想がある程度アンカーされているのかそうでないのか、更には中長期の予想が
2%からどの程度ずれていると考えるのかとか、更にそこを総合して考えたときに、そうしたショックが物価安定にとって一時的なものにとどまるのか、持続的な影響があるのかといったところを評価して、対応するということになると思います。』
ど正論、というかこれが常識であって「供給ショックだから対応しない」と言い張り続ける極東の某島国の某ハトハトチキン中央銀行の言ってることの方がおかしいわけですが、その点をきっちりと喝破して頂く氷見野さん流石です。
『ただ、金融政策が直接効くのは、需要に対してまず効果が表れるわけですので、どちらかというと需要ショックのときの方が金融政策どうしたらいいかというのは判断しやすいというのはおっしゃる通りだというふうに思います。供給ショックのときは、結局は、需要ショックのときより更に悩んで、だから何もしないということにはならんわけですけれども、様々な政策変更の影響も考えて、悩んで判断していくということになるだろうというふうに思います。』
別にハトハトチキンヨイショじゃなくて言ってることは至極ご尤もなフォローは入れているのですが、その中にもしれっと「だから何もしないということにはならんわけですけれども」ときっちりぶっこんでおられまして、この質疑応答が一番良かったな、と思いましたので、今回の釧路金懇を見て「ハト的」とか言ってしまうのは、大本営代弁部分だけを読んだ場合の感想であって、読み込みが足りませんなと思う訳です。いやまあ当初のベンダーヘッドラインで脊髄反射するのはしゃあない面が多々ある(自分もそういう事してた時期あったし笑)のですが・・・・・・・・
ということで時間の都合でこの辺で勘弁していただきとう存じます
2025/09/03
お題「色々と動いたので市場備忘メモ/氷見野副総裁金懇挨拶」
ほほうこれはこれは
https://www.sankei.com/article/20250901-V6THMEGCSJEWDDRNXJ7PEMA76U/
「日本は移民国家」参政党・神谷宗幣氏、将来的な外国人受け入れ比に言及「上限は10%」
2025/9/1 09:15
政治 政局
トータル1200万人受け入れるのか(特別永住者含め在留外国人は昨年末で377万人です)、こいつは豪気じゃねえかwww
〇氷見野さんの金懇で買われたと思ったらイブニングで森山氏幹事長辞任で下げるとな&短国ェ・・・・・
ということでオモロカッタのでメモメモ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XTRAZSTSPBME7COOZ5OB36EKKI-2025-09-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利1.6% 強い10年債入札や日銀副総裁の慎重姿勢で
By ロイター編集
2025年9月2日午後 3:24 GMT+9
でまあ昨日はアタクシ「これで氷見野さんの金懇が普通にいや別に利上げそんなに前のめりになる必要ないじゃろ不確実性高いんだし、とかいう肩透かしを食らった場合の方がちょっとアヒャヒャ相場になるんですかねえ、知らんけど」と万能ヘッジクローズ(ではありませんので使用にはご注意をw)の知らんけどを入れてみましたが、まあそんな展開になって珍しいワシがフラグを立てないとはこれ如何に、と思って他のですが、引け後にご案内のように自民党幹事長どころか党四役全員辞任とかで、これが昭和の時代だと「進退伺を出す」という形にして党長老が出てきて「まあまあこれは一旦預かりということで」とかいう腹芸あるいは茶番劇というのがあったのですが、何せ時代は平成どころか令和ですのでそうもいかず、ということでイブニングに入ってゲル政権オワ終わり待ったなし→トラスショックも夢ではない→ベアスティープだわ円安だわ、という早速の阿鼻叫喚になっておられましたようで、さっき先物ちゃんをみたら、
https://port.jpx.co.jp/jpxhp/main/index.aspx?F=future&disptype=day_through
長期国債先物
限月:25年9月限
取引日:09/03
始値: 137.50 (09/02) (15:30)
高値: 137.53 (09/02) (15:46)
安値: 137.25 (09/02) (21:34)
現在値: 137.30 (09/03) (05:15)
前日比: -0.22
取引高: 11,364
とかいうオシャンティーな展開になっていて草も生えませんwwwwwww
でまあその氷見野さんの金懇挨拶に関してはこれ本当にハト派と捉えて良いのか問題という重要な論点があるのですがそれは後程にするとしまして昨日の債券市場ちゃん。
(URL再掲)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XTRAZSTSPBME7COOZ5OB36EKKI-2025-09-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利1.6% 強い10年債入札や日銀副総裁の慎重姿勢で
By ロイター編集
2025年9月2日午後 3:24 GMT+9
『[東京 2日 ロイター] - <15:17> 国債先物は反発、長期金利1.6% 強い10年債入札や日銀副総裁の慎重姿勢で』(上記URL先より、以下同様)
ってな訳で、
『日銀の氷見野良三副総裁による金融経済懇談会でのあいさつでは、10月会合に向けて利上げを強く示唆するような発言が出なかったとし「市場想定対比ではそこまでタカ派的ではなかった」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア債券ストラテジスト、鶴田啓介氏)という。
後場に入り、国債先物は上げ幅を拡大。この日実施された10年債入札は強い結果と受け止められた。「1.6%台の利回り水準への実需のニーズが確認できた」(国内証券債券セールス担当)とし「一部の投資家や業者のショートカバーに支えられた印象だ」(同)との声が出ている。』
だそうでそうなんですかあ。。。とは思いますがそれはさておき、
『現物債市場で新発債利回りはまちまち。2年債は同1.5bp低下の0.865%、5年債は同1.5bp低下の1.150%、20年債は同1.0bp低下の2.620%。一方、30年債は同1.0bp上昇の3.200%、40年債は同2.0bp上昇の3.445%。』
入札強かった10年は兎も角として、中短期がガッツリ堅調になっているのがまあ利上げ思惑ヒャッハーの反転アヒャヒャヒャヒャって感じではあるのかもしれませんな。
『 OFFER BID 前日比
2年 0.858 0.866 -0.014 15:09
5年 1.141 1.148 -0.02 15:07
10年 1.597 1.603 -0.021 15:08
20年 2.619 2.631 0 15:13
30年 3.202 3.21 0.02 15:08
40年 3.438 3.451 0.027 15:13』
ということでツイストしていましたが、その後は自民党両院議員総会で最初は何か皆さん無事にそのままという展開になるのかと思いきや森山幹事長辞意表明ってことで、夕方には
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/D3Y4GQVI7RPODIIHQVTICUD3DI-2025-09-02/
〔マーケットアイ〕外為:ドル148円半ばに上昇、森山自民幹事長が辞意表明と伝わる
By ロイター編集
2025年9月2日午後 4:50 GMT+9
『[東京 2日 ロイター] - <16:40> ドル148円半ばに上昇、森山自民幹事長が辞意表明と伝わる
ドルは現在、148円半ばに上昇している。自民党の森山裕幹事長が辞意を表明したと伝わった。日銀の氷見野良三副総裁の発言などで円売りが進み、森山氏の辞意が伝わる前には148円台までドル高/円安が進んでいた。』
『<15:10> 午後3時のドル147円後半、買い戻し優勢 日銀副総裁発言で円売りも
午後3時のドル/円は147円後半と、前日東京時間午後5時時点と比べドル高/円安の水準で推移している。日銀の氷見野良三副総裁の発言が予想ほどタカ派的ではないとして、円売りが一部で出た。ドルが全般的に買い戻されたとの声もある。』
『<12:08> 午前のドルは147円後半へじり高、日銀副総裁発言で円安
午前のドルは147円前半から後半へじり高となった。日銀の氷見野良三副総裁の発言が期待ほどタカ派的でなかったとの見方から、円売り圧力が強まったという。副総裁は2日午前、各国の通商政策の影響は「いずれ顕在化する」とした上で、当面は影響が「大きくなる可能性の方により注意が必要ではないか」などと述べた。』(以上上記URL先より)
ってな感じで、金懇挨拶見てやや円安→会見終わって欧州タイムでさらに円安→森山幹事長辞任表明報道で一段と円安、というのが昨日の夕方までの流れという感じだと思います。
とまあそういう訳で、はやくもトラスショックinジャパンを見越すようなムーブメントが発生しだしていて大変に味わいのある展開を見せたりしている訳ですが、さて今後はどうなるのかというお話ではありますが、政治の方はまあ良くわからんので何がどうなるとかあんまり考えないようにしますwww
それはそうと昨日の短国ちゃんなのですが
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
ちょっとだんだら引値をだすのも何なので3Mカレント近辺だけにしておきますが、
(9/2引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.436
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.436
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.420←カレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.440←今週金曜入札のWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
(9/1引値)
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.440
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.440
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.440←カレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.440←今週金曜入札のWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
ということで先週金曜に入札のあったカレント3Mの1328回の引けがなんと0.42%に低下していまして、まあ新発銘柄だからということで誰かが買いに来てしまってショートカバーが入ったとかそういう世界線なのですかねえ、とは思いますけど金曜日に0.47%〜0.48%で入札をやったとは思えない展開になっておる訳でして、この3日くらいで短国の3M近辺急に強くなっているのもナンノコッチャ感がありまして、まあ何がどうなっているのか分からんですけど、色々な思惑だったりお家の事情だったりが飛び交っているのかなあ、とは思いました。
〇氷見野副総裁釧路金懇挨拶:執行部として大本営の代弁をしている中に氷見野節がチョイチョイ見れるんですよね〜
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250902a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 道東地域金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 氷見野 良三
・大本営の代弁コーナーを見るとハトハト講演と思ってしまうのですが読みどころはそこではないと思うの
ということで挨拶がおっぱじまるわけですが、最初の『2.経済と物価の見通し』では、
『さて、まず、わが国の経済と物価の見通しについて申し上げたいと思いますが、それを大きく左右しかねないのが米国の新政権の考え方です。』
と来まして最初のコーナーが『(米国新政権の思想と政策)』でして、この部分が最初の読みどころになる訳でして、単に大本営の話をホーンスピーカーの如く棒読みしているだけの挨拶ではないわけです。ということで最初のこの部分ですけどね。
『これについては、政権発足後8か月を経て、分かるようになったことも増えてきたように思いますが、予想を超えるようなニュースも日々続いており、分からないことも増え続けているような気がします。』
なるほど。
『そのうえで、分からないながらも現時点での個人的な感想を申し上げますと、新政権の考え方の大きな特徴としては、』
ということで、
『第一に、政治と経済と文化、内政と外交を、垣根なく一体的にとらえていること、』
『第二に、状況に応じて方法を変えるとか、一旦退却してから再度前進するといった「戦術」のレベルでは極めて柔軟だが、最終的に何を達成しようとするのか、といった「戦略」のレベルでは頑強であること、』
『第三に、昔からの通説や定石だけで物事を考えずに、力の所在と源泉に関する事実に立ち返って様々な可能性を追求すること、』
『の三つが挙げられるのではないかと思います。』
なるほど確かに!!
・通商政策を例にとりながらより深堀りをしたお話が聞けるのは氷見野さんの金懇ならではなのです
でまあそういう話から以下発展していくのですよ。
『例えば、通商政策について我々が教科書でまず習うのは、自由貿易体制をなぜ守っていかなければならないか、という理由です。』
ふむふむ。
『「比較優位の原則に基づき、各国が最も得意な分野に特化して生産を行い、国際的な分業を進めることで、経済全体の効率性と成長を高めることができ、それは、全ての国にとってメリットをもたらす。だから、世界全体で力を合わせてポジティブ・サム・ゲームを追求していこう」というワシントン・コンセンサス的な考え方で、私もこの考え方には多くの真実が含まれていると思います。』
でまあこういうことしてないんだからこりゃまあ経済全体の効率が下がるわなとかそういう話に進むのではなく、さらにこの話を深堀りするのが氷見野節な訳でして、、
『他方、これで物事のすべての側面を捉えきれているかというと、必ずしもそうとは限りません。』
からの、
『超大国の場合には、自らの対応によって輸入価格を左右できるほどの市場規模があり、しかも、貿易相手国の対抗関税を抑止できるだけの影響力もあるので、いわゆる最適関税理論によれば、関税をゼロにするより一定の関税を課す方が交易条件が改善して有利になる、といわれます
。1』
Oh・・・・・・
でもってここの脚注1なんですが、リファーされているのが、
『1 Nicholas Kaldor, "A Note on Tariffs and the Terms of Trade," Economica 7, no.28,(1940):377-80』
ということで(アタクシ経済学徒じゃないから詳しくないんで恐縮ですが)マクロ経済学の基礎を打ち立てたカルドア卿の1940年の論文を引用していましてまあ唸らされます。
『また、現在の地政学的な状況に鑑みれば、自国の戦略的自律性と戦略的不可欠性の確保を目指す経済安全保障の考え方の重要性は増大していかざるを得ません。』
『さらに、「最も効率的な経済体制が公正や分配の面で必ずしも理想的な結果をもたらすとは限らず、しかも政府の再分配機能には限界がある」という議論も、社会的・経済的な分断が深まるにつれ、重みを増します。』
なるほどこれは重い指摘。
『すなわち、関税だけをとってみても、交易条件という経済的な面、経済安全保障という外交的な面、公正や分配を巡る政治的な面がないまぜになっているような気がします。』
『「知的エスタブリッシュメントは、極端に格差が拡大するような新自由主義的な経済体制を、経済効率を根拠に弁護してきたのではないか」という批判も含まれているとすれば、彼らに対する文化闘争の面すらあるかもしれません。』
おーーーーーーーーーー。
『関税は経済・外交・政治・文化を横断した大きな運動の一つの表れと捉えることができるのではないかと思います。』
!!!!!!!!
『ですので、米国の新政権の政策の影響を関税の問題だけに限って論じるのでは話を矮小化し過ぎであり、わが国の経済や物価の中長期的な展望を語るためにはもっと広い視点の議論が必要だと思います。』
ここまでの説明をお伺いしてここに至りますと首がもげるくらいに頷いてしまう訳ですが。
『ただ、それでは私の能力を超えてしまいますので、以下では関税政策の当面の影響に絞って議論させていただければと思います。』
どう見てもそれは氷見野さんの能力の中で十分に含蓄の深い話をしていただけると存じますが、まあ金懇なので大本営の伝言係をやらないといかんという企画でもあるので、この先が伝言係モードに切り替わるのですが、その中でもちょいちょいと氷見野節は出てくるって感じではありますな。というかこのお題に関しての氷見野副総裁の考察と見解をお聞きする機会があるなら木戸銭払っても聞きたいとマジで思います。
・米国関税の影響が日本経済にどうなるか問題の説明部分に飛びまして
次の小見出しが『(関税政策の影響)』ですが、この説明部分も非常に丁寧に説明されていてまあ読めって感じなのですが引用していると量も時間もオワランチ会長になってしまいますので、会見ネタと共に明日続きをするかもしれませんけれども、途中すっ飛ばして結論部分に参ります。
『想定される4つの主な経路と、それらの経路を通じた影響が思ったより大きくなる可能性と小さくなる可能性とについて申し上げてきました。では、これらの経路を通じた影響は、日本の側にはどのように表れているでしょうか。』
はい。
『日本から米国への自動車の輸出価格は大きく下落しましたし、日本銀行が行っている企業へのアンケート調査「短観」でも、一部の業種では業況や収益見通しの悪化が見られます。企業へのヒアリングを行うと、今後についての不安を口にされる経営者は少なくありません。』
『ただ、経済全体としてみれば、現地通貨建ての輸出価格は横ばい、輸出数量は駆け込みとその反動があるので評価しにくいですが、史上最高に近い水準で概ね横ばい、鉱工業生産も横ばいです。企業の業況感や収益計画・設備投資計画の水準は引き続き高く(図表4)、本年度分の賃上げや夏のボーナスには顕著な影響は見られていません。個人消費も底堅く推移しています。』
なるほど。
『関税政策の影響がこれまでのところ思ったほどには顕在化していないことについては、影響が出るまでに時間がかかっているだけであり、影響はこれから及んでくる、というのが基本的な見方だろうと思います。』
「基本的な見方だろうと思います」って形で言い切っていないのが味わいがあります。つまり、
『ただ、既に述べたような理由で、そもそも関税政策の影響が思ったほどは大きくない可能性も考えられます。他方、思ったより大きい可能性も、米国新政権から我々が想定していないような政策が新たに打ち出される可能性も考えられます。いずれも頭の隅にはおいておいた方がよいのではないかと思います。』
ってのはさらっと流して読んでしまいそうな部分ですが、これ実は対句になる部分が金融政策運営のところに埋設地雷のように入れ込まれている、という事をここで気にしておいてください。
『いろいろ申し上げましたが、今後についてのメイン・シナリオとしては、各国の通商政策の影響はいずれ顕在化し、海外経済が減速、わが国の企業の収益も下押しされるだろうと見ています。その場合、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、日本経済の成長ペースは鈍化するものと考えられます。』
『ただ、影響が思ったより小さくなる可能性も、大きくなる可能性も、両方考えられるところで、当面は大きくなる可能性の方により注意が必要ではないかと考えています。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、日本経済も成長率を高めていくと見込んでいます。』
というのが伝言モードで、この「大きくなる可能性の方により注意が必要」であら早期利上げモードじゃないのね、ってなってアヒャヒャヒャヒャな10年入札になったという感じでしょうね。
・基調的インフレの説明部分www
次のコーナーが『(物価の見通し)』です。
『さて、次は物価についてです。現時点でメイン・シナリオと考えているのは、「現実のインフレ率はお米の値上がりとその波及を主因に物価安定目標の2%を大きく上回っているが、いずれ落ち着いていく。他方、基調的なインフレ率は2%より低いが、賃金と物価の相互参照のメカニズムが働いて2%にかなり近づきつつあり、足踏みはあっても、いずれ2%に達する」といったものです。』
といったものです、ってのが味わいがある。
『こうした「基調的なインフレ率はまだ2%を下回っている」という見方については、現実のインフレ率が既に3年余りの間2%を上回っており、しかも3%を上回る期間が多くなっていることから、分かりにくいといったご意見や、その適切性についてのご疑問をいただくことが少なくありません。』
wwwwwwwwwwwwwwww
『基調的なインフレ率というのは、一時的な変動を除いたインフレ率のことです。一時的なショックの影響がなくなった後の落ち着き先のインフレ率、ということもできます。』
ほうほう、というかそういう理屈だとそもそも論として「基調的なインフレ率」ってのは後付けにならないと分からないということになるので、基調的インフレ率を現在進行形で把握して政策判断のメルクマールにするのって、金融政策の波及効果にラグがあることを勘案したら政策反応関数に使うの無理じゃんという話になりそうですが、そういう話は華麗にスルーして基調的インフレの説明がおっぱじまります、ナンノコッチャ。
『直近の消費者物価の統計に即して申し上げますと(図表5)、7月の消費者物価上昇率は3.1
%と、2%を大きく上回っています。これは、ガソリン補助金などによる引き下げ効果があった上での数字ですが、そうした効果は、上昇率の面では一時的な変動と考えることができます。他方、この
3.1%という消費者物価上昇率には、食料価格の上昇が 2.1パーセントポイント寄与しています。これについても、米価格の急上昇が起点となって起きた一時的な変動の面がかなりある、とみることができます。こうした上下の要因を除いて基調をみるために、例えば食料とエネルギーを除いた品目の上昇率でみると、1.6
%であり、まだ2%には達していません。』
こwwwwれwwwwwわwwwwwww
さては次回の決定会合での総裁会見ではこの屁理屈を新たに繰り出しますよ宣言ですかそうですかと笑ってしまいました。というのはこの先で氷見野さん、
『実際には、何が一時的で何が基調的な変化か、何を除いて何を含めて考えたらよいか、の判断は簡単ではありません。』
って今言ってた1.6%云々ってのもある種のイリュージョンあるいはフィクションです、って言ってるようなもんじゃんと思ったのでw
『そのため、日本銀行では、変動の大きな品目を除いて考える、というやり方のほかに、経済構造をモデル化して基調を推計する方法や、家計や企業や市場参加者などが中長期的なインフレ率についてどのような予想を持っているかを計測する方法など、さまざまな手法を用いて分析を行っています。』
はい。
『そうした分析を総合すると、「基調的なインフレ率は 年代には0%と1%の間あたりにあったと思われるが、最近では2%にかなり近づいてきている。ただ、2%に達しているとまではまだ言えないのではないか」といった結果になっています。』
この辺り、さっきからずっと「といった結果になっています」とか決め打ちを避けた説明になっているのは、知的誠実のある説明ではあるのですが、なんか突き放したっぽくも見えて読んでて滋味深いなと思います(個人の感想です)。
『そこで、「現実のインフレ率は高いが、一時的な要因の影響が収まるにつれ、いずれ落ち着いていく」というシナリオをメインに置いているわけです。』
ってのも面白くて、アクチュアルのインフレが落ち着くという見通しは基調的インフレが2%行ってないから、というのが今の日銀大本営のロジックの背景説明ということになりまして、そうなりますとインフレが落ち着くという見通しそのものの背景がお気持ち物価から来ているという話であって、個別価格の見通しのアグリゲートではありません、という話をしている訳ですなこりゃまた。
いやまあ物価の見通しってのをマクロ的に考えれば仰せの通りという話ではあるのですが、現実にアクチュアルな物価は(以下でも話があるけど)個別価格におけるショックが波及していくのが手を変え品を変え出てきているということがあるわけですから、個別物価の積み上げベースで少なくともニアータームの物価見通しを考えないといかんのじゃないのかねとも思う訳で、その辺今の日銀大本営は何をどう考えているんだろう、と思ってしまいました。
・一時的ショックだから基調に向かって落ち着く・・・・とならん背景について
話は続きまして、
『振り返ってみますと、 2021年からは原油や小麦などの国際商品市況、次いで円安の進行を要因として輸入物価の上昇が起こりました。
2023年以降は、輸入物価指数は下落に転じたものの、今度は国内の生鮮食品、次いで米、と、新たな供給ショックが物価を引き上げてきました。』
『2021年以降を通してみれば、一時的な要因は次々に消えていくものの、次々に新しい要因が登場するというパターンになっているわけです。』
はい。
『しかし、これについては、上向きの一時要因が続いているのはたまたまにすぎず、次は下向きのショックが来るかもしれない、いや、米国関税政策という形ですでに来ている、という風に考えることができます。』
これが大本営ね。
『他方、あえて別の見方を考えてみますと、二つぐらい挙げられるかと思います。』
ほいな。
『第一は、日本の国内事情に関するもので、「デフレ・ノルムの時代には、一時的な物価下押し要因の効き目が大きかったが、最近は、輸入物価の下落などの下押し要因が生じても影響に広がりはみられず、逆に、一時的な物価上押し要因が大きく効くようになってきている。これは、人手不足、価格設定や転嫁に関する企業や消費者の考え方の変化、インフレ予想の上昇などが下地にあるからだ。」という仮説です。』
この点に関しては先般シントラフォーラムの時に公表されたECBのストラテジー見直しと、その時に行われたラガルド総裁の示した認識も(デフレノルム云々の部分は違えども)この手のレジームシフトを前提にした話なので、実は日本だけの話のかというと必ずしもそうではないとおもうのですが、そっちの話はさておかれまして、国内の人手不足云々の話になります。
『今、下地として申し上げた三つのうち、人手不足の影響について見てみたいと思います。』
ということですが、以下の部分は展望レポート1月の基本的見解に一部と、その詳しい背景説明が全文の方にありました話の説明部分となっているので引用をすっ飛ばしまして第二の要因の方に参ります。
『物価を上押しするような一時的な要因の継続に関する第二の解釈としては、グローバルな環境が、
2010年代までのデフレ的なものから、 2020年代にはインフレ的なものに変わってきているためだ、という見方が考えられます。』
うむ。
『これも、「地政学的な理由からグローバル化の巻き戻しが始まっており、国際分業によるコスト最小化が行いにくくなっているから」とか、「人口動態の変化により世界全体が人手不足の時代に入っているから」とか、「気候変動及びその対策のコストが増加しているから」とか、いろいろな議論があります
。』
ただこれはこれでそうじゃろというか大本営も言ってますよね、言うと都合の良い時だけ限定ですがw
『もっとも、これらの議論はかなり長い時間軸での話であり、それをどの程度足もとの情勢判断と結びつけてよいのかの見極めはやはり難しいです。』
まあそりゃそうだ。
・上振れの話は構造的な面が強いのだが下振れの方は・・・・・
『以上のような議論は、いずれも上振れ方向のリスクを示すものですが、他方、下振れ方向のリスクも考えられるところです。』
・・・・でもって下振れの方ですが、
『まず、各国通商政策を起点として、先ほど申し上げたような経路で日本経済の下押しが始まれば、それが日本の物価や賃金にも下押し方向に効きます。』
『輸出企業が「関税分は輸出価格を引き下げたい」と考え、仮にそれをきっかけにコスト削減を優先する傾向が復活するようなことになれば、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇するメカニズムが停滞する可能性もあります。』
これは4月にやたら大本営が強調していた話。
『また、世界経済が停滞すれば、原油をはじめとした国際商品相場には下押し方向に効きます。更に、既に過剰生産能力を抱えた国もある中で、米国という輸出先を失った国々が、日本を含めた他の輸出先での売り上げ拡大を狙って輸出価格の引き下げを行うならば、これも物価への下押し圧力となります。』
これはコストプッシュの逆なんだから経済にプラスで需要が強まるからそんなにマイナスにならんとチャウのという気が。
『これまでのところ、こうした経路では目立った影響は観察できませんが、いずれ顕在化する可能性も否定できません。』
だそうです。
・金融政策運営の部分でイタコ話法を使って氷見野節が炸裂しているんですよね〜
ということで次が『3.日本銀行の金融政策運営』ですけど、
『日本の経済と物価に関する以上のような「メイン・シナリオ」と「上下双方向のリスク」を踏まえ、当面の金融政策運営についてはどのように考えていけばよいでしょうか。』
となりまして最初が金利政策の運営、次がバランスシート運営の話になるのですが、バランスシートの方で実はかなり面白いなあと思うところがあるのですが、惜しくも時間が足りなくなりそうですのでその手前の部分で寸止めとなるのですけど、まあ今回読んでて一番「おおおおお」と思ったのがアタクシが小見出ししたイタコ論法部分。
小見出し『(当面の金融政策運営)』に参りますが、最初の金融政策運営の話はまあ超あっさりと流していまして、
『経済や物価への影響が大きいのは、名目金利からインフレ率についての見通しを差し引いた実質金利ですが、これは、これまで3回政策金利を引き上げてきたにもかかわらず、インフレ率が上振れしてきたこともあり、依然きわめて低い水準にあります。』
『このため、これまでご説明したような経済・物価のメイン・シナリオが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適切だろうと考えています(図表9)。』
『ただ、既に申し上げた通り、経済も物価も様々な要因から上下双方向のリスクが考えられます。メイン・シナリオが本当に実現していくかどうかについては、予断を持たずにみていきたいと思います。』
とまあドチャクソあっさり味で終わっているのですが、実はこの分けた中の3番目の対句でもあり、さっき言ってた対句部分でもあるお話がこの先にありまして本日の白眉になります。
『先日、私どもの金融研究所が主催している国際コンファレンスに、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が参加されました。この方は高名な研究者でもあり、「不確実性の下での金融政策」を研究テーマの一つとしてこられました。』
ほう。
『せっかくの機会なので、「こういう不確実性の高い環境では、どういう作戦で金融政策を運営していったらいいと思うか」と尋ねてみました。』
ほうほう。
『ウィリアムズ総裁のお返事は、私の理解したところでは、だいたい以下のようなことだったと思います。』
ほうほうほう。
『すなわち、金融政策はいつだって不確実性に直面してきた。不確実性が高いからゆっくり進めたらいいとか、迅速に進めたらいいとか、小刻みにやった方がいいとか、大きなステップを取った方がいいとか、そんなことはいえない。ただ、特定のシナリオを前提に厳密な最適解を求めようとするのではなく、むしろいろんなシナリオを想定してもちゃんと機能するような作戦を見つけるようにした方がいい。――こんな感じのお返事ではなかったかと思います
。5』
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
『私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので、上方向のリスクと下方向のリスクのバランスを評価して、メイン・シナリオから離れた時にもあまり困ったことにならないよう、適時適切に対応してまいりたいと思います。』
>私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので
>私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので
>私たちの前からリスクや不確実性がなくなることはありませんので
ハトハトチキン見てるかイェーーーーイ!
>メイン・シナリオから離れた時にもあまり困ったことにならないよう、適時適切に対応してまいりたいと思います
>メイン・シナリオから離れた時にもあまり困ったことにならないよう、適時適切に対応してまいりたいと思います
>メイン・シナリオから離れた時にもあまり困ったことにならないよう、適時適切に対応してまいりたいと思います
ですよねーーーーーーー。でまあそう考えると今の0.5%という金利が本当に適正水準なのかって話な訳で、これが1%台前半とかにいるなら話は違ってくるかもしれんが、まあそういうことやぞ、ということだし、経済物価の見通しの中でも上下のリスクを強調していることの対句になっている訳でした。
ということで続きは明日にでも。
2025/09/02
お題「長期弱くて3Mカレント強いとな/債券市場サーベイ雑感/中川さん金懇関連補足」
Oh・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250901/k10014908961000.html
関東内陸部 あす気温40度に迫るおそれ 熱中症対策の徹底を
2025年9月1日 21時42分
〇氷見野副総裁金懇挨拶を前に長期債ちゃんは弱いわ3Mの短国は堅調だわ
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
『今後の講演・挨拶等の予定
2025年 9月 2日 氷見野副総裁 道東地域金融経済懇談会における挨拶』
ということで氷見野さんの釧路金懇というイベントを10年国債入札日にぶつけるなよって感じでして、まあ金懇テキスト自体は応札前の前場に出てくるからまだしもなのですが、会見がどうせ14時からで解禁時間がどうせ14時半とかになるということで、まあ入札やりにくいわ、というのもあって長期債ちゃんが弱くなるの巻。
いやまあ金懇自体が出席する偉い人とかの都合があるから日程をそう自由に設定できない、というのは分かるにはわかるんですけど、月初第2営業日って基本的に10年国債の入札があるんだから、副総裁とか総裁クラスの講演は数日前か後ろにずらした日程的配慮をして頂きたいのですが、日銀って伝統芸能のようにこの辺の日程への配慮が無いんですけど。
そんな訳なのかどうか知らんけど昨日も債券ちゃんなんか売られていましたなということで、
いつものロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PMNLTL7YKBO45GRG2RVOGOJ4OM-2025-09-01/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、日銀副総裁発言や入札控え警戒感 長期金利1.625%
By ロイター編集
2025年9月1日午後 3:20 GMT+9
『[東京 1日 ロイター] - <15:10> 国債先物は反落、日銀副総裁発言や入札控え警戒感 長期金利1.625%
国債先物中心限月9月限は、前営業日比24銭安の137円30銭と反落して取引を終えた。明日の日銀副総裁の発言や10年利付国債入札に対する警戒感が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.625%。』
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.873 0.88 0.005 15:02
5年 1.161 1.169 0.017 15:06
10年 1.618 1.624 0.016 15:02
20年 2.622 2.632 0.017 15:08
30年 3.183 3.191 0.005 15:06
40年 3.418 3.426 0.002 15:03』
(以上上記URL先より)
ということでして、翌日に氷見野さんの金懇とかいうもし9月やら10月に利上げする気が満々ならば、地均しイベントが発動するのが然るべき姿、というイベントがあるのでそりゃまあここから利下げってのはあり得ないし、この物価情勢でこのまま0.5%の政策金利はあり得んじゃろという点も踏まえますと、まあヘッジの方をしたくなるということで入札前に失速しちゃうのしゃあないですよね。
ああちなみに念のため申し添えますが、9月ってのはさすがにここから地均しするの無茶じゃろと思うしそれならば何ぼ何でも大本営九官鳥に少しは露払いさせるじゃろとしか思えんので9月ぶっこんできたらビビるのですが、その一方で記者会見の質疑応答にもありましたように、妙に「短観を確認」っていう新しいワードがクローズアップされたこともありまして、じゃあ短観を確認して決定会合となれば10月か12月会合になるので、なんと年内2回の利上げチャンスがある、とも取れる説明を大本営九官鳥が行っていた、というのも踏まえますと、正直12月は1月と事実上は(短期の人以外にとって)で何も違わんじゃろとは思うのだが、10月だとその先の利上げタイミングが元のペースに戻る(つまりその次が3月くらいになるし、何なら1月にもう一発行って年2回ペースに引き戻してくるだって無いわけではない)可能性が出てくるので、そりゃまあ4月のハトハトチキン大会はどこに逝ったのという話になりますので、10月の可能性についてもっと強い話をおっぱじめるかどうかが注目じゃろうな、って話だと思うの。
しかもさっきの予定表見ますと、9月末に野口審議委員の金懇あるけど、野口さんは申すまでもなく置物一派の残滓なので積極的な利上げとかいう可能性は極めて低く(突如野口さんが邪宗門からの解離に成功した結果として人間本来の善性を取り戻されて利上げの必要性とか言い出したらそれはそれで一気に10月利上げの機運が高まりますのは諸葛孔明の罠として注意しておく必要はありますが)、10月20日の高田っちの金懇挨拶はちょっと期待したくなるけど何ぼ何でも直前過ぎてそこから地均しスタートにはならんじゃろ(その前の時点で勝負ついてて高田っちのはリコンファーム扱い)と思うので、まあ10月やりたきゃ今回なんか威勢の良いのが出てくるというのがありそうな話(大穴では上記のように野口さんまさかの地均しというのがあるが・・・・)
って冷静に考えたら地均しとか予告ホームランみたいなのをなんでするんじゃという話ではありまして、そんなのしなくたって政策反応関数がロジカルに示されていたら、経済物価情勢を勘案して市場が勝手に利上げを織り込みに行くのですが、何せ「お気持ち物価」で政策判断をしておられるわけですし、展望レポートの経済情勢の見通しが「基本的に前回から不変」なのに「展望レポートハイライト」では全然トーンの違う絵を出してくるという位に訳の分からん方々なので、結局のところ予告ホームランだか予告三振だかわからんものをあてにするしかない、という困ったコミュニケーションになっている次第でありまする。
でもってこれに連動しているのかどうかは分からんのですが短国ちゃんが味わいの深い引値になっていまして・・・・・
売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(9/1引値)
国庫短期証券1315 2025/09/29 平均値単利 0.420
国庫短期証券1316 2025/10/06 平均値単利 0.410
国庫短期証券1318 2025/10/14 平均値単利 0.410
国庫短期証券1320 2025/10/20 平均値単利 0.410
国庫短期証券1321 2025/10/27 平均値単利 0.410
国庫短期証券1322 2025/11/04 平均値単利 0.440
国庫短期証券1324 2025/11/10 平均値単利 0.440
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.440
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.440
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.440←カレント3M
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.440←今週金曜入札のWI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.455
(8/29引値)
国庫短期証券1315 2025/09/29 平均値単利 0.420
国庫短期証券1316 2025/10/06 平均値単利 0.410
国庫短期証券1318 2025/10/14 平均値単利 0.410
国庫短期証券1320 2025/10/20 平均値単利 0.410
国庫短期証券1321 2025/10/27 平均値単利 0.410
国庫短期証券1321 2025/10/27 平均値単利 0.410
国庫短期証券1322 2025/11/04 平均値単利 0.440
国庫短期証券1324 2025/11/10 平均値単利 0.440
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.460
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.460
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.460←新発3Mの引け
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.460←今週金曜入札の新発WI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.480
ということで(昨日に関しては3Mカレントゾーンだけ出してればよい説はあるのでだんだら長くてすいませんすいません)長い方が氷見野さん講演やら自民党総裁選で高市高圧経済政権爆誕リスクの懸念(って昔ほどは無いと思いますが)とかもあって弱っちいのですが、一方で3Mのカレント周りが堅調で、0.47だの0.48だのとか言って入札やってた金曜の新発3Mが0.46⇒0.44と(短期目線いえば)利回り盛大なる低下でワッショイワッショイという流れになっておりまして、先週入札に向けてよわよわにしてたのは一体全体何だったのかと小一時間問い詰めたくなるような世界。
でもって一方で長い方が上記のようにションボリーヌとなっているのと合わせ技で考えれば、長期債投資している方面から金利リスク一旦降りました組が避難民となって短国市場にやってきて、でもってロット捌けそうなところで金利リスクも小さい、となると3Mカレントとかたぶんその手前の銘柄辺りが買われやすいじゃろ、となるので11月の頭の償還辺りと並に同じ水準(10月償還はどうせ利上げ前と思われるのと半期末越えのプレミアムが乗りやすいのでレートが低めになるのはしゃあなし)まで引値を強くされました、ってなもんじゃろと思いましたが、引値と長期債動向見て勝手に妄想しているだけなので間違ってたらゴメンチャイ。
という割と味わいのあるムーブが発生した訳ですが、これで氷見野さんの金懇が普通にいや別に利上げそんなに前のめりになる必要ないじゃろ不確実性高いんだし、とかいう肩透かしを食らった場合の方がちょっとアヒャヒャ相場になるんですかねえ、知らんけど。
〇さすがに5月対比では改善しちょるじゃろというサーベイですが今日は別の話で雑談
https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond_list/bond2508.pdf
債券市場サーベイ
<2025年8月調査>
回答期間:2025年8月1日〜8月7日
調査対象先数:75先
(「調査対象先数」は、国債売買オペ対象先のうち調査協力を得られた先、および大手機関投資家<生命保険会社、損害保険会社、投資信託委託会社等>)
ということでさすがに5月よりは数値改善しているのですが、そもそも論としてこれ回答期間が決定会合の直後(しかも展望会合)にぶつかる設定になっているの如何な物なのかと今更ながらに思う(2月だけは直後ではないけど5月8月11月の第一週ってどこからどう見ても展望会合直後なんですよね)のですが、これ調査タイミング2週間くらい後ろに倒した方が良いんじゃないかと思います。
まああと調査項目に関しても、QQE+YCCやっていた時と同じ項目ってのも微妙なところがあって、いやまあQQE+YCC政策からの解脱がどの程度進んでいるか、っていうのを見たいという面から言えば同じ項目でも良いのかもしれませんけれども、もう少し視点を変えますと、アスクビットスプレッドとか板の厚さとかの問題よりも、もっと本源的に「債券市場の価格形成が日銀の長期国債買入によって歪んでいないか」というのを見ていくのが大事なんじゃないかと思うんですよね。
と申しますのは、YCCってのはその政策手段の性格上、長期債市場に対して強力な介入を行う、すなわち意地悪な言い方をすれば価格形成を歪ませることによって、金融緩和政策の所期の目的を達成しよう、という物なのですから、まあ価格形成が歪むのって政策運営上やむを得ないというかそういう物だったんですな。ただその価格形成が歪むのも程度問題というのがあって、アスクビットスプレッドが無茶苦茶開くとか板がスッカスカだ、ということになると国債の安定消化に支障を来すという盛大な副作用に結びつくことになるから、そこまでにならないようにアスクビットスプレッドや板の厚みを気にする、ってのはまあ分かるんですな。
然るに、現状ってYCCやっている訳ではなくて、盛大に買ってしまった長期国債を本来はバランスシートかどうやって落としていくか(って財務省にバイバックさせない限り自然減しかできないんですけど)という中で、これまで馬鹿みたいな額の買入をしていたから経過措置で買入減額をチンタラとやっている、という状況な訳ですから、問題にすべきは今申し上げた通りで、「日銀の長期国債買入が市場の価格形成を歪めているか否か」が問われるべき段階に入っている筈なんですよ。
ということでして、YCCやってる時と同じ調査を継続するのが本当にそれでエエノカという問題提起を突如ぶっこんで見ました。まあやってる方としてはこれだけデータが揃っている調査なので急に項目変えたくないとか無くしたくない、って気持ちは良くわかるのですが、まあご検討頂きたいものだと思う次第でありまする。
〇中川委員山口金懇の補足メモ
金曜と昨日ネタにしたのですが少しだけ補足というか漏れていた分が有るので追加します。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250828a1.pdf(金懇挨拶)
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250829a.pdf(金懇会見)
・物価の説明でよく見たらしらっと「2%になっている」という言及がwwwww
金懇挨拶の方で『(3)国内物価の現状』ってのがあるのですが、その説明の中での5ページ(PDFの6枚目)の下から9行目くらいからの部分になりますけれどもこんなのが、
『日本銀行が、継続的に公表しているコア指標をみます(図表10 )。左のグラフは基調的なインフレ率を捕捉するための指標の一部で、日本銀行スタッフが脚注にある通りの試算をしています。右のグラフは消費者物価指数(除く生鮮食品)を構成する各品目の、前年比上昇品目と下落品目の割合です。』
というのはいつもの基調物価ですけれども、よくよく読み直したらどさくさに紛れてこんなのがその直後にしらっとぶっこまれておりましたw
『次の図表(図表11 )の左のグラフは、消費者物価指数(総合)を構成する全品目の前年比価格変動率の分布です。分布の裾は上昇方向に広がり、単純中央値は2%近傍にあります。』
>分布の裾は上昇方向に広がり、単純中央値は2%近傍にあります
>分布の裾は上昇方向に広がり、単純中央値は2%近傍にあります
>分布の裾は上昇方向に広がり、単純中央値は2%近傍にあります
図表11ってのはPDF19枚目になるのですが、よくよくこの図表の小見出しを見てみますと、
『予想物価上昇率』
ってなっていて、<CPIの品目別価格変動率の分布><予想物価上昇率>ってございまして、つまりは図表11の左のグラフってのはこの<CPIの品目別価格変動率の分布>ですわな、説明の通りですが。
ちなみに、7月の展望レポートではどうなっていたかと言いますと、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2507b.pdf(展望レポート全文)
こちらの本文28ページ(PDFだと30枚目)以降が物価の話で、その後BOXの方でも物価の話があるのですが、この<CPIの品目別価格変動率の分布>に相当するグラフって出ていない(刈込平均とかのいつもの奴は出ている)ので、何気にこれしれっと大本営がぶっこんできやがったゾというお話でして、これは何ぞというのを補記させて頂きます、うーんこれはwwwwwwww
・しかし「好循環」言わなくなりましたねえ
会見の方ですが、まあこれ引用していると長くなるから引用しませんけど、今回の質疑応答の特徴としまして、想定棒読みは仕様なのでまあいつものことなんですが、その中で「賃金と物価の好循環」を絶対に言わないという流れになっていたのは味わいが深いのと、基調的物価の話もあんまりしなくなっているし、何なら水準の話してねえな、と思ったのでその点も補記させていただきますw
まあ一応屁理屈変更への布石は着々と埋めている感じはしますね、本当に変更するかどうかは正直謎というかあのハトハトチキンじゃあ厳しかろうとは思うのですが、追い込まれたときでも追い込まれたと言わずに堂々の屁理屈を展開できるように準備に余念がない、というのはさすが大本営と感心するところであります(褒めてないw)。
2025/09/01
お題「3M短国レート上昇一旦休止とな/中川審議委員金懇会見より」
いやーちょっと暑すぎてなんかもう思考も行動も停止しますわ月末月初だというのにorz
〇短国ちゃんは結局金利上がったら買いがあったのかしら知らんけど
金曜の短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250829.htm
国庫短期証券(第1328回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1328回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1328回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年9月1日
4.償還期限 令和7年12月1日
5.価格競争入札について
(1)応募額 11兆5,881億5,000万円
(2)募入決定額 3兆3,580億8,000万円
(3)募入最低価格 99円88銭0厘0毛
(募入最高利回り) (0.4818%)
(4)募入最低価格における案分比率 93.3338%
(5)募入平均価格 99円88銭1厘9毛
(募入平均利回り) (0.4742%)』
ということでですね、足切りはWIの0.48%というのに見事に乗ったのですが、平均0.4742%でして、でまあどうなりましたのやらと思ったら売参ちゃん見ますと、
売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(8/29引値)
国庫短期証券1315 2025/09/29 平均値単利 0.420
国庫短期証券1316 2025/10/06 平均値単利 0.410
国庫短期証券1318 2025/10/14 平均値単利 0.410
国庫短期証券1320 2025/10/20 平均値単利 0.410
国庫短期証券1321 2025/10/27 平均値単利 0.410
国庫短期証券1321 2025/10/27 平均値単利 0.410
国庫短期証券1322 2025/11/04 平均値単利 0.440
国庫短期証券1324 2025/11/10 平均値単利 0.440
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.460
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.460
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.460←新発3Mの引け
国庫短期証券1329 2025/12/08 平均値単利 0.460←今週金曜入札の新発WI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.480
(8/28引値)
国庫短期証券1315 2025/09/29 平均値単利 0.420
国庫短期証券1316 2025/10/06 平均値単利 0.410
国庫短期証券1318 2025/10/14 平均値単利 0.410
国庫短期証券1320 2025/10/20 平均値単利 0.410
国庫短期証券1321 2025/10/27 平均値単利 0.410
国庫短期証券1322 2025/11/04 平均値単利 0.440
国庫短期証券1324 2025/11/10 平均値単利 0.440
国庫短期証券1325 2025/11/17 平均値単利 0.460
国庫短期証券1327 2025/11/25 平均値単利 0.455←木曜時点での3Mカレント
国庫短期証券1328 2025/12/01 平均値単利 0.480←3M新発WI
国庫短期証券1311 2025/12/10 平均値単利 0.480
ってな訳で手前の方の引けは変わらんのですが新発周りはWI0.48%に対して結局既発の3Mの0.46%の方にサヤ寄せされて引けということになったので、まあ50に近い所は買う人がいましたってなもんなんでしょうけれども、短国ちゃんって毎週のように新発が出てきて足が常に1週間ずれてくるので、9月利上げは言うまでもなく、10月利上げだと思った場合の「後半」がだんだん長くなってきますのですが、まあ足元との関係で言えばずっと付利金利よりは10ちょっと強いというレートで推移してきた3M短国となっているので、その点では今の水準自体は魅力はあるものの、ゆうて利上げになったら付利金利が25bp吹っ飛ぶのですから、その瞬間結構な逆ザヤになってしまう問題というのは大いにありますが、その一方で今月は関係ないですけど10月になると3Mが年末越えになるんですけど、この年末越えに関しては昨年ですと1月償還(つまり10月に入札のあった物件群)が飛んでも無く低いレートで推移していて、年末跨ぎプレミアム怪しからんでござる状態になっておった訳ですが、はてさて今年は利上げリスクの勘案と年末跨ぎプレミアムの関係はどうなるのやらというのも今から勝手に盛り上がって注目しております、はい。
まあいずれにしましても、0.50%よりもそこそこ手前(2毛からそこそこ手前的な感覚ですがそれはアタクシの主観なのは為念)で買いが入って反転でござるの巻になった結果の0.46%引けだと思いますので、既に交付税特会のレートは実質的に10月利上げの織り込み度合いを若干剥がしに来ている推移になっていました、というのは先週の特会借入のレート推移を捕まえて拙駄文で申し上げておりましたが、まあ短国に関しても(短国の方は引けが0.46%だと結局前週の3Mと同じ水準の引けではあります)一旦は利上げ見通しの水準訂正ムーブ一段落(一段落と言っても金利が下がっている訳ではないですけど)ということですかね、知らんけど。
〇中川審議委員山口金懇会見より:まあ想定問答なんですが「短観の見方」と「利上げ遅れのリスク」の回答を鑑賞です
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250829a.pdf
中川審議委員記者会見
――2025年8月28日(木)午後2時から約24分
於 下関市
・24分の会見はクソワロタ
上記のようにこの会見、冒頭に燦然と輝く会見時間ですがさすがに30分割れはインパクトがあるのでちょっと最近の金懇会見を確認してみました
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/index.htm
記者会見 2025年
7/24内田副総裁:約35分
7/4高田委員:約40分
6/25田村委員:約40分
5/22野口委員:約30分
4/17中川委員:約30分
3/5内田副総裁:約30分
2/19高田委員:約40分
2/6田村委員:約30分
1/15氷見野副総裁:約30分
一々URL引用したら見苦しいのですがインデックスの方から金懇会見を拾って回りますとこのような感じになると思いますが、通常「約30分」ってのが多くて、高田さんとか田村さんの場合は質問にも熱が入るので40分になったりするのですが、まあだいたい30分プラス10分程度、って感じになっていると思うのですよ。会見後のロジとか存じ上げませんのでこれ自体が何時に締めとかがあるのかがよくわからんのですが、会見のヘッドラインが以前は14時45分くらいから出てくきてたので、会見終ってから解禁みたいな運営だったんですかしら、とは思いました。まあこの14時45分くらいってのはヘッドラインで引け際の値動きを無駄に増幅すると悪態ついてたら最近は14時半くらいからヘッドライン出るようになってこの点は大変に良かったと思います、蛇足ですけど。
とまあそういう次第で、この「24分」ってのは中々やるなと見た瞬間にビビりました(悪い意味で)が、まあそんな訳で鑑賞してみましょう。
・大本営の今の理屈によれば「企業の行動様式が下方屈曲してディスインフレモードに戻らないのを見たい」でしたが・・・・
この会見録、全部で6枚組になりますが、最初の幹事社(ちなみに金懇の場合地元の地方紙さんがやっている筈)によります「今日はどうでしたか&ご当地質問」とその応答、という思いっきり想定問答な物体が1ページ半にわたってございますので実質4ページ半の質疑応答になります。
でですね、これはヘッドラインに出ていて「政策修正のタイミングは短観タイミング」というヘッドラインに見えたので「これは何ぞ」と思っていたのですが、実質最初の質疑応答にこの話がありましてですね、
『(問)二点お伺いしたいと思います。一点目が、本日の挨拶要旨の中で、各国の通商政策の進展の変化をみるために、次回の短観の結果が大変重要というお話がありました。10
月には短観の発表に加えて、支店長会議も控えていると思いますが、こういった利上げを今後判断するうえで、この短観のデータは判断材料として欠かせないものなのでしょうか。(後半割愛)』
という質問があって、そういや短観重要って言ってたわと思ったのですが、
『(答)まず、一点目です。短観は、私どもきわめて大事な調査だというふうに認識はしています。』
ほほう。
『こちらみて頂いた通り、センチメントや設備投資の計画というものを確認することができるものです。』
ほっほーーーーーーーー。
『ただ、常に毎回の決定会合におきましては、その時までに出た、把握できる最大限の情報、特にハードデータをもとにして、私ども判断していきますし、そちらに短観の調査、発表が間に合えば、それも当然織り込んでいくということですので、ご質問の直接のお答えになっているかどうか分かりませんが、短観というものは非常に重要で、その時点において直近の短観の結果というものを十分に読み込んだうえで、決定会合を都度、判断していきたいというふうに考えます。(後半割愛)』
大本営の従来の説明ですと、企業の行動に関しては賃金設定行動と価格設定行動を見たい、という話をしていまして、その理屈ですと年末の賞与設定と年末年始に見えてくる来年度の賃金設定ってのが重要って話になっていたのですが、短観と質問されての回答ではありますが、やたら「短観が重要」という説明をしているのに加え、「設備投資ガー」と言い出している訳でして、しかもこの中川さんの説明の中には「雇用判断」に関する言及は無い(まあ短観の場合雇用判断は最近は常に激強なので使いにくいというのはあるけど)ので、おやちょっと説明変わってないかというか、賃金が前面に出ていたのが設備投資も出すようになったな、と思いました。
でまあ短観で判断、って話になると10月の次は12月会合になるというのが味わいがあるのですがさてどうなんでしょうかねえ・・・・・・
・展望レポート棒読みでしたから短観との関係しか聞きどころが無かった説はあるのですが短観の質問があと2つ
『(問)一点お伺いしたいのが、今日の午前中の挨拶の要旨の中で、先ほどの質問にもあったのですけれど、通商政策の進展の変化をみるために次回の短観結果が大変重要というコメントがあったかと思います。その中で、具体的にどのようなポイントに着目するのか、どのような条件が確認できれば先ほどおっしゃったような利上げに向けたような環境がある程度整った、もしくは進展したと判断できるのか、その辺りもう少し詳しく見方をお伺いしたいです。』
これに対してなんと想定問答には書いてあるのかというのを拝読しますとですな、
『(答)おそらく利上げすることの要素を判断するときの、要素っていうかたちでのご質問かというふうに思います。』
さよですな。
『実際には物価上昇率の基調というものをみていくんだっていうのが、日頃から私どもがお答えしている内容ではあるんですけれども、本日、展望レポートでお示ししている指標のうち、主なものをまた今回、可能な限り足元までデータをアップデートして、今日お示ししたつもりでおります。』
ん??
『こういった中では、一時的な物価変動の影響を受けにくい物価指標というのもいくつかあって、そのうちの一つ、例えばサービス価格もそうなんですが、加えまして人々の物価観というものを示す中長期的な予想物価上昇率、これも重要になりますし、更にはその物価変動の背後にあります、いわゆるマクロ的な需給ギャップ、それから労働需給の環境、それから賃金の上昇率、こういったものは全て物価の方への影響、ないしは物価からまた賃金への影響、そして結果的には経済への影響というものを及ぼしますので、この辺りを総合的にみながら都度判断してまいりたいということでございます。』
ちょwwwwwおまwwwwwwww
短観のどの辺を注目するのか、という質問に対して何ちゅう回答してますのやらwwwwww
次の人はこんな質問を、まあそりゃ聞くわな。
『(問)先ほど、今後の金融政策をみるうえで短観が重要になるというふうにおっしゃっていたんですけれども、逆にいうと、9
月の会合もあると思うんですけれど、短観が出ないうちには利上げがやっぱりまだ待たなきゃいけないというふうにとらえていいのかという点が一つ。(後半割愛)』
『(答)一点目は年内の利上げに関して、年内と限ったときに、これに関してということですが、こちら繰り返しになりますが、決定会合が何回か予定、計画されていますので、その都度、その時点までのデータ、ヒアリングデータも含めたソフトデータ、ハードデータを得て、適切に判断していきたいということに尽きます。』
何ですかこの回答はwwwwまあこの次に、
『短観がないとできませんかという、もし率直なご質問ということであれば、それは直近まで出ている最新の短観のデータをベースにして、そこに各支店の、今日の下関支店もそうですけども、支店から集めてくれるソフトデータをそこに加味することによって、補ったかたちで判断していくということもあり得ると思います。(後半割愛)』
となって、短観が出た直後じゃないと政策動かしませんとは言ってません、という回答になっているのですが、なんだか妙な質疑応答ではありますな。想定棒読みしてたんで聞く方もやる気なくして24分で終了した、という嫌な予感がするのですがさてどうだったのやらw
・政策がビハインドするリスクに関する質疑応答は案の定の想定問答モード
ちなみに質疑応答はほとんどが短観と政策ビハインドで終わっていました。
『(問)(前半割愛)二点目が、これもご挨拶の中で、何度か中長期的な予想物価上昇率について、徐々に上昇しているというお話がありました。1
月に利上げをされてから、4 会合連続で政策金利を据え置いておられると思いますが、アメリカの関税政策の不確実性が続いている中で、利上げが遅れて、今後ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクがどれぐらいあるとお考えでしょうか。』
これに対する回答ですが、
『(答)(前半割愛)それから、中長期の物価予想をみて頂いたと思いますけれども、ビハインド・ザ・カーブのリスクについてというご質問だったと思います。こちら今、全体のメカニズムとしては、何度か繰り返しになると思いますけれども、賃金と物価がお互いにみながら、双方がゆっくりと上昇していくというメカニズムが働いていく中にはあると思いますけれども、これが例えばヘッドラインのCPI、つまり物価上昇、それが賃金に影響して、そこからサービス価格にまた影響していくという流れが、こういったものの循環が、非常に動きが大きくなって、結果私どもがみているいわゆる物価、いろんな物価指標が、これらを押し上げる力が加速度的に高く強まってしまうということを、ビハインド・ザ・カーブのリスクというふうにとらえるのであれば、そのリスクは今の時点でそれほど高くはないというふうには思っています。』
なんか勝手にビハインドのリスクを限定してませんかという話で、ここぞとばかりに賃金を持ち出しているのですけれども、それよりもインフレ期待が上振れしてしまう方がリスクじゃろうが、ってなもんでして、このビハインドに関する話は大本営も藁人形論法出さざるを得ない程度には「大丈夫と言い切るのに無理を感じている」状態なのかなと思いました。
『ただ、今申し上げた通り、循環としては賃金と物価がお互いに参照しながら上昇していくというメカニズムが働いているというふうには思っていますので、この辺り、今後この急激に基調的な物価、あらゆる物価の指標に、大きく変えてしまうような変動が起こるかどうか、その可能性にしても十分に注意を払っていかなければいけないとは思っています。』
というわかったようなわからんような回答でした。
先の方でも質問ありまして、
『(問)(前半割愛)もう一つは、日銀としては基調物価がまだ 2%に達していないというふうにみていらっしゃると思うんですけれど、利上げが遅れることによるリスクをどうみていらっしゃるか、この二点お伺いしたいです。』
『(答)(前半割愛)二点目は 2%に向けてということでしたっけ。二人目のご質問に非常に近いと思いますけども、現時点において、賃金が物価を参照しながら少しずつ上がってきているという、このメカニズムというものが、かつてに比べれば働いている状況にはあると思います。その点でいきますと、いい循環といいますか、物価と賃金が相互に連関しながら、賃金は毎年物価に合わせて改定していくものなのだという、そういうものが慣習付いたらいいなというふうに思っていたところが、それがある程度実現しつつあるのかなということにおいては非常に良い傾向だというふうに判断するべきだと思うのですが、』
既に悪い傾向になっているからこそのあの参院選結果なんじゃないですかねえ(個人の感想です)。
『一方で、ビハインド・ザ・カーブをどう定義するかにもよりますけれども、』
藁人形論法キタコレ!
『今私どもがみている指標からしますと、賃金と物価が双方に参照しながら、更にヘッドラインのCPIが賃金に影響するといった先で、サービス価格の方を含めた、こういったものに広がることによって、結果的に物価が急速に上がる力が大きくなる、しかも加速度的に大きくなるというリスクに関しては、私ども引き続き注意深くみていかなければならないというのは認識しておりますけども、今の時点のリスクとしては、それほど大きくないのではないかというふうには思っています。ただ、かつてに比べますとこの循環というもの、メカニズムというものが動くようにはなっていますので、引き続きいろんな指標を慎重にみてまいりたいと思います。』
結局さっきのと全く同じ回答なのでしたwwww
ってな所で今朝はこの辺で。