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2025/05/30
お題「トランプ・・・・・/超長期・・・・・・・(以上メモ)/FOMC議事要旨のロンガーランストラテジーに関する部分から」
はいはい5月末5月末orzorz
〇トランプ露骨な圧力キタコレ
いやーどこの未開国だよアメリカさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/LGCT5WLW4NLS7CPXC6O4TQHVMY-2025-05-29/
「利下げしないのは間違い」、トランプ氏がパウエルFRB議長に直接伝える
ロイター編集
2025年5月30日午前 4:39 GMT+9
『[ワシントン 29日 ロイター] - トランプ米大統領は29日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長と面会し、主要政策金利を引き下げないことは「間違いだ」と伝えた。ホワイトハウスのレビット報道官が明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)
これはロバート・ムガベ大統領も天国でニッコリorzorz
『トランプ大統領がパウエル議長と面会するのは2019年11月以来。トランプ氏はFRBが利下げを行っていないとして、これまでも繰り返し公の場でパウエル議長を非難してきたが、今回議長に直接会って伝えた格好となる。』
傍から見ているとこんな無茶苦茶やっててよく軍部が大人しくしているわと思ってしまうレベルなんだが、FRBちゃんからはこんなリリースが。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/other20250529a.htm
May 29, 2025
Statement on Chair Powell's meeting with the President
『At the President's invitation, Chair Powell met with the President today
at the White House to discuss economic developments including for growth,
employment, and inflation.』
discussという雰囲気ではなさそうだが・・・・・・とおもったら、
『Chair Powell did not discuss his expectations for monetary policy, except
to stress that the path of policy will depend entirely on incoming economic
information and what that means for the outlook.』
discussじゃなくて議論する代わりに主張した(except to stress)って思いっきり書いてあるのはさすがにFRBもナメトンノカとトサカに来ているということでよろしいでしょうか。
『Finally, Chair Powell said that he and his colleagues on the FOMC will
set monetary policy, as required by law, to support maximum employment
and stable prices and will make those decisions based solely on careful,
objective, and non-political analysis.』
「as required by law」とか「non-political analysis」とかもうバチバチに火花飛ばした表現でこれはFRB当然とはいえ良く頑張っておられる、ということでございますな。
・・・・・・・いやこうなるともはやプーチンよりもタチが悪いまであるわトラ公(個人の感想です)
〇超長期ジャイアントスイング止まらねえ(今日も備忘メモ)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/YLUBDJAKIZLOLMEL33BMBW46EA-2025-05-29/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、売り先行後買われる 長期金利は1.52%に小幅上昇
ロイター編集
2025年5月29日午後 3:36 GMT+9
『[東京 29日 ロイター] - <15:14> 国債先物は反発、売り先行後買われる 長期金利は1.52%に小幅上昇
国債先物中心限月6月限は、前営業日比10銭高の138円95銭と反発して取引を終えた。売り先行後は前日の反動や水準に着目した買いが入った。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.520%。』(上記URL先より、以下同様)
とまあ横綱と10年カレント見ますと、うーんちょっとツイストスティープしましたねえ、くらいの話で収まるのですが、問題は毎度の超長期でして、
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも概ね上昇。2年債は前営業日比0.5bp上昇の0.750%、5年債は同1.0bp低下の1.030%、20年債は同5.0bp上昇の2.445%、30年債は同8.0bp上昇の2.980%、40年債は同2.5bp上昇の3.125%』
えーっと、7年が10銭高(1毛ちょいくらい強)に対して20年が5甘で30年が8甘ですかそうですか、ってなもんでして、昨日は10−25年の輪番があって輪番イマイチでこけましたっていうか引け近くに更にこけた感があったので何なんですかねえって感じですが、結局相変わらずの板の薄さでちょっと大人の売買があると値段がすっ飛ぶとかそういう話ですかしら知らんけど。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.74 0.755 0.002 15:13
5年 1.027 1.035 -0.005 15:13
10年 1.516 1.524 0.011 15:19
20年 2.442 2.45 0.051 15:14
30年 2.97 2.987 0.083 15:19
40年 3.115 3.137 0.04 15:19』
とまあそんな訳でカレンダーベースの市中消化の組み換えがあるかも云々がらみのネタがメインだとは思うのですが、盛大にフラットニングしたと思ったら今度は盛大にスティープニングしている訳でして、これ捌きが悪いと盛大に往復ビンタ食らいそうですし、往復ビンタにならずともこういう流れですと上での踏みと下での投げが発生していて、なんかまあ期初早々(って言ってももう2か月経過してますけど)エライコッチャでございますがなという所ですわな。
まあだから日銀が超長期の買入増やせというのは話の筋がだいぶ違うじゃろ、というのは超長期アイヤーの当初はそんなことを言ってるポンポコリン何とかストも散見されたような気がしますが、さすがにそれは筋違いじゃろ、というのが人口に膾炙しているようで、まあ発行サイドの方で調整(要はそもそもが発行のし過ぎ)じゃろという話になってきているのは結構なお話ではあるかなと思います、個人の感想ですが。
〇5月FOMC議事要旨ネタの続きです(というか昨日はインスタントすぎでしたさーせん)
HTML
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250507.htm
PDF
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20250507.pdf
引用コピペはHTMLの方が圧倒的に楽なのでHTMLの方から参ります。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250507.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
May 6-7, 2025
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors
on Tuesday, May 6, 2025, at 8:30 a.m. and continued on Wednesday, May 7,
2025, at 9:00 a.m.1
・インフレ期待の重要性についてああだこうだと議論していまして・・・・・・
最初に『Review of Monetary Policy Strategy, Tools, and Communications』って小見出しがありまして、まあ目先の金融政策はどうせ地蔵だし、何ならトラ公があんなに圧力かけたら梃子でも動かないじゃろ北風と太陽の寓話をしらんのか(トラ公知らなさそう)と思うので、目先の話よりも冒頭のこれに飛びつくワシなのでした。
『Committee participants continued their discussions related to their review
of the Federal Reserve's monetary policy framework, with a focus on the
price-stability side of the dual mandate and the FOMC's monetary policy
strategy.』
ということで夏(多分ジャクソンホールのタイミング)にまとまるロンガーランストラテジーあんどゴール、に関する議論のお話が今回の議事要旨のトップを飾っています。
『The staff briefed policymakers on lessons drawn from the experiences
of the U.S. and other economies with inflation over the past five years
and the possible implications for monetary policy.』
ここ5年間の各国の経済と物価の経験およびそこから得られそうな金融政策への含意についてスタッフからの報告がありました、ということでその内容ですが、
『The staff discussed the role of large and persistent demand and supply
shifts, the way production capacity constraints amplified supply-demand
imbalances, and the degree to which labor market tightness contributed
to inflation both in the U.S. and abroad.』
「The staff discussed the role of large and persistent demand and supply
shifts」って話をしておるわけで、こりゃまあインフレが上に爆裂した米国およびそれ以外の共通部分も多いかとは存じますが、持続的な需給バランスの変化および構造的なシフト、についてのお話をしておるわけですな、ということで本編第2パラグラフ。
『The staff considered the role of stable longer-term inflation expectations
in limiting the magnitude and persistence of the post-pandemic inflation
surge and facilitating disinflation without significant damage to the labor
market.』
長期的なインフレ期待がアンカーされていたことによって今次局面においてインフレ抑制が大きな経済の後退を伴わずとも出来ました、って話をしております、まあホンマカイナという気もします(需給バランスに関する他の要因というかリバーサルがあったんチャイマスカという気もしますけど)が、現状のFEDはこういう整理をしています。
『The staff also considered whether medium-term inflation risks have become
more balanced around the 2 percent objective than they were during the
pre-pandemic period, when the proximity of the policy rate to the effective
lower bound (ELB) appeared to contribute to inflation running persistently
below 2 percent. 』
さらにパンデミックの前の時代との比較ということで、ゼロ金利制約の状態の政策金利を継続していたパンデミック前の時代と比較して中期的なインフレーションリスクはよりバランスしているかどうか、ということも考察したそうな。
『They presented model-based analysis of the costs and benefits of different
inflation-targeting strategies in conditions of low levels of aggregate
demand and inflation as well as in situations in which simultaneously high
inflation and unemployment lead to a tradeoff between the Committee's inflation
and employment objectives.』
でもってスタッフのブリーフィングは続くのですが、インフレ―ションターゲッティングのストラテジーについて低インフレ期と高インフレ期の場合についてのプロコン比較をしたそうな。
ということで後半の2パラグラフが参加者の議論になります。
・委員の皆さんもインフレ期待ダイジネーの話ですが一部に短期インフレ期待の言及があるのも味わいがあります
『In their discussions, participants strongly reaffirmed their commitment
to the 2 percent longer-run inflation objective and to the importance of
longer-term inflation expectations being firmly anchored at that target
rate. They emphasized that anchored inflation expectations help the Committee
in achieving price stability, thereby enhancing the Committee's ability
to promote maximum employment. 』
インフレ期待のアンカーが大事だよね、という話をしておりますのはまあ順当なのですが、そもそもインフレ期待の本当の数値というのが実は誰にもわからなくて、事後的には何となくそれらしい数字が出せるのかもしれないですが、リアルタイムで計測できるものではないからして、それはもう経済主体の行動パターンがどうなっているのか、というのを丹念に見て、その結果として従来と違うことが起きているんだったら何かあるかもしれないと注意する、って言う事になると思うのね。
と書くと以下日銀のネタを書きたくなるが今朝はショパンの事情であんまり時間が無いので割愛しまして(^^)次。
『Some participants also noted that short-term inflation expectations matter
for economic decisions and can affect the persistence of inflation.』
ここで一部(Some)の参加者がショートタームのインフレ期待について言及しているのは面白いなと思いましたが、ショートタームのインフレ期待に関しても経済主体の行動に影響を与える(まあそれはそうだとワシも思う)ので、場合によっては持続的なインフレに影響を与えることもあるでよ(=だからショートタームのインフレ期待を丸無視するのはダメじゃろ、という事だと思いますが)って話をしていますね。
『Participants agreed that a commitment to its explicit 2 percent inflation
objective, along with anchored longer-term inflation expectations at that
level, enhances the Committee's transparency and accountability and bolsters
the effectiveness of monetary policy.』
明示的に2%のインフレ目標にコミットしてまっせというのを示すのではインフレ期待のアンカーにダイジダイジネー、でこのパラは終りまして次に行く。
・「金融政策のストラテジーは幅広い経済局面においてもロバストなものであるべき」
でもってこのコーナー最後のパラですが、
『Participants discussed the advantages and disadvantages of flexible average
inflation targeting, under which monetary policy seeks to make up for persistently
below-objective inflation to achieve average inflation of 2 percent, and
flexible inflation targeting, under which policy seeks to return inflation
to 2 percent without making up for previous deviations from target.』
キタコレ!ということで過去(というか一応今でも建付け的にはロンガーランゴールあんどストラテジーが生きているので生きているんだが)に実施したフレキシブルアベレージターゲットとかメイクアップストラテジーについてのプロコン議論のコーナーが最後に来ます。
『Participants generally observed that when the risks of the policy rate
hitting the ELB were more prominent and inflation was persistently running
below the target, flexible average inflation targeting could have potentially
limited the risk of longer-run inflation expectations becoming unanchored
to the downside.』
政策金利がゼロ制約に引っかかっていて、インフレが長期間にわたってターゲットを下回っている場合、フレキシブルターゲットはインフレ期待のアンカーが下振れに外れることを防ぐ効果は潜在的にあったかもしれませんなあ(could
have potentially limited the risk)というお話ですが、
『Participants noted, however, that the strategy of flexible average inflation
targeting has diminished benefits in an environment with a substantial
risk of large inflationary shocks or when ELB risks are less prominent.』
ハウエバーということで、フレキシブルターゲットはそのようなリスクが比較的小さいとき、あるいは大きく持続的なインフレ―ショナリーなリスクがあるような時にはそのベネフィットを消してしまう、ときました。まあ結果どう見てもそうでしたからそうですわな。
『Participants indicated that they thought it would be appropriate to reconsider
the average inflation--targeting language in the Statement on Longer-Run
Goals and Monetary Policy Strategy.』
よって今出しているロンガーランストラテジーのアベレージインフレーションの考え方は見直すべき、と思いっきりそういう話になっておりまして「メイクアップストラテジーはワシが育てた」とか言ってドヤ顔ぶっかましていた黒ちゃん雨宮さんねえねえどんな気持ちどんな気持ち(アスキーアート略)ってな感じですが、
『Participants noted that an effective monetary policy strategy must be
robust to a wide variety of economic environments.』
>an effective monetary policy strategy must be robust to a wide variety of economic environments.
>an effective monetary policy strategy must be robust to a wide variety of economic environments.
>an effective monetary policy strategy must be robust to a wide variety of economic environments.
(;∀;)イイハナシダナー
今は低インフレだからメイクアップストラテジーだけど高インフレ懸念が出てきたのでやっぱりメイクアップ無し、とかそんな器用なことができる訳なくて、どっからどうみてもそれはビハインド・ザ・カーブになってしまう訳ですし、だいたいからしてそもそも論で、そんな器用なことをしだすとまさにそれは金融政策の「時間的不整合」という話になって政策運営のクレディビリティーを失う訳ですから、多くの経済状況に対してロバストなものがストラテジーであるべき、というのはまあ仰せの通りで、なんか説明が前と毎度のように整合性が無い(展望レポートハイライトの絵の推移を見ればお分かりの通り)どこかの中央銀行は(インフレ期待を引き上げて2%でアンカーさせるという器用なことをしないといけない、という面でFEDよりも困難なことをしている、という同情すべき面があるのは考慮しましても)爪の垢煎じて飲んでいただきたいと願う次第ではあります。
『They viewed flexible inflation targeting as a more robust policy strategy
capable of correcting persistent deviations of inflation from either side
of the Committee's 2 percent longer-run objective. Participants also noted
that the Committee's strategy should reflect its willingness to make forceful
use of all available tools as appropriate should the risks of hitting the
ELB again materialize.』
ということで、まあ普通にフレキシブルターゲット(多少のブレは容認するけど特定の期間を通じて平均2%みたいな無理やりなことはしない、ってことでしょうかね)が需要だし、ゼロ金利制約に引っかかった時には非伝統的なツールで金融緩和の補完を行いますよ、ってのがよろしかろう、というお話になっているようですね。
ということで今朝は時間の都合上ここで勘弁してつかあさい。
2025/05/29
お題「毎日スイング超長期ェ・・・・・/ウィリアムズに公開処刑されとるんだがwww/FOMC議事要旨(その1)」
早くも5月終わりですねえ(いやまあ明日もあるけど)
〇40年国債入札そのものは結果マシでしたがベアスティープとな(備忘メモ)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/I5BK7THCENNADOZAXCVMEX2DRQ-2025-05-28/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、前日の反動と弱い入札結果で 長期金利1.515%
ロイター編集
2025年5月28日午後 3:24 GMT+9
『[東京 28日 ロイター] - <15:10> 国債先物は反落、前日の反動と弱い入札結果で 長期金利1.515%
国債先物中心限月6月限は、前営業日比60銭安の138円85銭と反落して取引を終えた。前日に大幅高した反動と弱い入札結果が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.515%。』(上記URL先より、以下同様)
朝っぱらから20年7甘だのやってて何やってるんだよという相場でしたが、40年国債入札は。
『午後に入ると、注目の40年債入札が応札倍率が1年ぶりの低水準となるなど弱い結果と受け止められ、先物相場は一段と下げ幅を拡大。1日を通じて軟調な展開となった。』
となったんですが、40年新発自体はクソ甘い結果になって、でもってこちらダッチ方式の入札だから皆さま大甘の王子で購入できましたので、この新発単体で言えば引けではガッツリプラスになっていましたという入札だったので、昨日は全般ベアスティープではあっても多分そこまで悲壮感があるような下げじゃなかったと思うんですがどうでしょうかね。
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比1.5bp上昇の0.745%、5年債は同4.0bp上昇の1.040%、20年債は同6.0bp上昇の2.395%、30年債は同7.0bp上昇の2.900%、40年債は同5.0bp上昇の3.335%。イールドカーブはベアスティープ化した。』
入札弱かった後に後ろはもちなおしていましたし、って所ですが(まあ今日輪番だし)しかし毎日毎日アホみたいにカーブが暴れている方が気持ち悪い所でして、昨日も申し上げましたがどこのEM国債市場だよというお話でありまして、まあクソのような政策金利水準(今も大概にクソだが)ばかりやってた市場なので仕方ないのかも知れませんが、何なんですかこれはと毎日見てるだけでも頭がくらくらしますわ。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.74 0.753 0.02 15:00
5年 1.036 1.044 0.04 15:10
10年 1.513 1.519 0.056 15:08
20年 2.394 2.401 0.043 15:10
30年 2.892 2.911 0.057 15:08
40年 3.339 3.371 0.044 15:05』
もう何なんでしょうね毎日という所ですが、とりあえず次は10年入札どうなりますねん、ですしその前の月末インデックス長期化問題ですかしら、知らんけど。
というただの備忘メモでしたサーセン。
〇ウィリアムズに期せずして公開処刑されてしまう日銀テラワロス、からの「合成予想物価上昇率」へのツッコミ
これはクソワロタ
https://jp.reuters.com/economy/federal-reserve-board/HDWEBDEV3JKC5AMEPR4U3V6I6E-2025-05-28/
インフレが目標から乖離し始めれば強力な対応必要=NY連銀総裁
木原麗花
2025年5月28日午後 1:31 GMT+9
『[東京 28日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は28日、インフレが目標から乖離し始めた際に中央銀行は「比較的強力に対応」しなければならないと述べた。』(上記URL先より、以下同様)
こwwwれwwwわwwww
『米国の関税や通商政策が経済に与える影響の不確実性が高いことを考えると、中銀は問題に対する完璧な解決策を目指すのではなく、「間違った場合のコストが利益をはるかに上回る」ような措置を避けることに集中すべきだとした。』
まあまあ大本営屁理屈局減屁理屈企画課としては「日本は米国と違ってインフレ期待が2%以下の水準にあって2%にアンカーされていない状態を引き上げようとしているのでウィリアムズ氏の説明は当てはまらない部分がある」とか「米国の場合はインフレ期待が2%から上方乖離してしまうことが大きなリスクなので、間違った場合のコストが大きいのは過早の緩和措置だが日本の場合は再度デフレ状態に陥る方が大きなリスクなので間違った場合のコストが大きいのは過早の緩和政策の修正である」って屁理屈を捏ねるでしょう、というのはもう言われる前に気が付く位には屁理屈局の屁理屈は見飽きているので秒速で回答できるんですけど、まあそれはさておきましてwww
『東京で開催された日銀の氷見野良三副総裁との対談で、中銀が避けなければならないコストのかかるリスクの一つはインフレ期待が目標から乖離することだと指摘。「インフレが極めて持続的になることは避けたい。なぜなら恒久化する可能性があるためだ」と語り、そのためにはインフレ率が中銀目標から乖離し始めたら「比較的強力に対応することだ」と付け加えた。』
wwwwwwwwwwwwwwwwww
まあウィリアムズにその意図があったかどうかは分からんけど、実際の物価が3年も上振れて続けているのに、謎の「基調的物価」を持ち出して頑なにアクチュアルの物価上昇の長期化をネグっているし、物凄い勢いの緩和を未だに続けているのに平然としている、という講演を前日にぶっ放した植田総裁に対してとんでもない勢いでの砲撃になっているのはクソ笑いました。
『「われわれはインフレ期待が有害になるような形で変化する可能性があることを強く認識しなければならない」とも話した。』
『ウィリアムズ氏は、こうした不確実性を踏まえ、中銀は長期的なインフレ期待を安定させるだけでなく、短期的な期待も「秩序立って」いることを確認し、国民の将来の物価動向に対する認識が「数年以内に」中銀目標に向けて戻るよう努力しなければならないと述べた。』
でまあ大本営屁理屈局に言わせればインフレ期待が2%行ってないから寧ろ政策の中立化は時期尚早ってことになっているのですが、昨日植田さんの講演をネタにした時にご紹介した「合成予想物価上昇率」なんですけど、これってそもそも論として「合成予想物価上昇率」そのものが下方バイアスあるじゃろ、というツッコミをしたくなる面がありまして、改めてこれを見ますと、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j05.pdf
期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性
(まあだいたい「多角的レビューシリーズ」ってのは黒田緩和の正当化という結論先にありきで作った妙なペーパーが多くて将来にも禍根を残すんじゃないかと危惧しているんだがその話はまあさておき)
『インフレ予想指標の予測力 』って小見出しのあたりから見ますと、ってまあこの部分はおまけなのでご興味のある方はURL先の本編をちゃんと読んでいただければと思いますが(以下の引用は直上URL先2024年5月の日銀レビュー本編より)、
『【図表 6】インフレ予想指標の上方バイアス 』
『【図表 7】インフレ予想指標の予測力 』
ってのがあって、色々な指標の「過去の」情報バイアスや「過去の」予測力をみているのですが、この図表6にしても図表7にしても、その計測期間がどうなっているのか、というのは脚注に書いてあるのですが、
図表6→『全サンプルは、2007/1Q〜2023/4Q の値。』
図表7→『@は 2007/1Q〜2022/4Q、Aは 2007/1Q〜2020/4Q の値。』
となっていまして、要するにこれ過去の低インフレ局面におけるバイアスや予測力を見ていまして、そこは何ぼ屁理屈日銀でもさすがにちゃんと説明しているのですが、小見出しの『(年限別にみた各インフレ予想指標の予測力)』ってところで、
『図表7は、@1年先までの物価上昇率、A3年先までの物価上昇率それぞれについて、各指標の予測誤差(ベンチマーク対比)をまとめたものである12。』
図表7は本編を見て味噌。
『まず、1年先までの物価上昇率に対する予測力をみると、多くのインフレ予想指標で、ベンチマーク対比、統計的に有意な予測誤差の低下(改善)がみられる。家計の量的質問に基づく指標は、水準バイアスを調整しない場合には予測力がみられないものの、バイアスを調整すると大きく改善し、コンセンサス・フォーキャストによるエコノミスト予想より高い予測力(低い予測誤差)を示すようになる。その他の指標では、バイアスの調整前後で概ね同程度の予測力となっている。』
なので展望レポート背景説明の中に出てくる「家計の予想物価上昇率(質的質問)」って部分にはバイアス調整が入っているんですけれどもこれが曲者なのは察することができる訳ですな、ナムナム。
『次に、3年先までの物価上昇率に対する予測力をみると、インフレスワップを除くすべての指標で、バイアス調整前では予測力がみられないものの、バイアスを調整すれば予測力は有意に改善する。』
でまあ過去のゼロ近辺インフレ局面にフィットするバイアス調整を掛ければ、そりゃ過去の局面での予測力は高まるじゃろうが、局面変化した場合にどうなるのってなもんでして、クオンツで過去の相場を分析して最適化したパラメータを使って売買したら儲かりますとか言ったら既にそのパラメータはフィットしない局面でしたっていう落ちが世の中にはよくあるのですが、まあそれに似た話で、実はもう今の時点で予測力的には問題があって、ってなことだってアリエールだし、なんならすでにインフレ期待が2%に行ってるどころか下手したら2%を上回っているかもって状態だったらしたらどうしましょ、とは思う訳ですな。
まあさすがにヘリクツ日銀と言えどもスタッフペーパーだと良心は残っているので、以下にはこのような記載があるのですが、
『このように、予測力という観点からはバイアスを勘案することが有用と言えるが、バイアスは時間の経過とともに変化する可能性がある点に留意が必要である。』
良心キタコレ
『例えば、中長期的に物価上昇率が2%程度で推移するとの見方が経済主体間で強まれば、中長期のインフレ予想指標は2%程度に収束する可能性があり、その場合にはバイアスが縮小していくと考えられる。』
『また、各指標の予測パフォーマンスも、局面によって変化する可能性がある。』
はいはい良心良心。
『インフレ予想や物価の形成メカニズムは複雑であり、明らかではない点も多いだけに、予測力の観点のみをもって特定の指標に過度に依存することは避けるべきと考えられる13。』
いやーまったくおっしゃるとおりですなーーーーーーー(棒読み)
・・・・・昨日の植田さんの講演(スピーチ)の図表、どこからどう見ても「特定の指標に過度に依存しながら」「合成予想物価上昇率とかいう最適化している期間が明らかに過去の低インフレ局面の方が長い合成指標」を使って「基調的な物価」の説明をおっぱじめておられる、という大変に素敵なスピーチだった訳でして、植田さんにあんなスピーチさせる位ならもっと毒にも薬にもならない話をさせておけよ植田さんだってあんなクソみたいな屁理屈捏ね散らかしスピーチしてたら学者として恥ずかしいだろと思いますし、何なら白川総裁山口副総裁時代にあんなスピーチ原稿出したら落雷落雷また落雷じゃろと思うのですけどね〜
ということでいつの間にかウィリアムズはどっかに行ってしまいしましたがまあそういうことで。
〇FOMC議事要旨でしたサーセン超インスタント読みで勘弁
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250507.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20250507.pdf
とりあえず政策判断の部分だけ読んでみますね
『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の最後の政策に関する部分だけ(時間の都合上)とりあえず鑑賞しますです、はい。パラグラフとしては最後の3つになります。
『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants
noted that inflation remained somewhat elevated. Participants also observed
that recent indicators suggested that economic activity had continued to
expand at a solid pace.』
インフレは幾分か上振れ、経済はソリッドペースで拡大継続。
『They noted that swings in net exports appeared to have not been fully
reflected in inventory and spending data, which complicated the interpretation
of the recent data on economic activity.』
関税政策がらみの輸入のスイングが統計数字上攪乱要因ですなあと。
『Participants further noted that the unemployment rate had stabilized
at a low level and that labor market conditions had remained solid in recent
months. 』
失業率は低位安定していて労働市場は引き続きソリッド。
『In this context, and amid a further increase in uncertainty about the
economic outlook and a rise in the risks of both higher unemployment and
higher inflation, all participants viewed it as appropriate to maintain
the target range for the federal funds rate at 4-1/4 to 4-1/2 percent.
Participants judged it appropriate to continue the process of reducing
the Federal Reserve's securities holdings.』
という状況を踏まえまして、さらには一段と高まった経済見通しの不確実性と、リスクとしての高インフレおよび高失業率のリスク拡大を踏まえ、全員の「参加者」が政策金利の現状維持とバランスシート縮小ペースの維持に賛成しました。
でもってその次のパラグラフ。
『In considering the outlook for monetary policy, participants agreed that
with economic growth and the labor market still solid and current monetary
policy moderately restrictive, the Committee was well positioned to wait
for more clarity on the outlooks for inflation and economic activity. 』
先行き金融政策に関するパラグラフになりますが、経済成長と労働市場は依然としてソリッドで、今の金融政策は引き締め的であるという認識のもと、足元の金融政策は「well
positioned to wait for more clarity on the outlooks for inflation and economic
activity」ということで、先行きの見通しが今後クリアになってくるまでは政策動きませんし、そうしていても問題ないポジションですよ、ってのは別に今に始まった説明ではなくて従来通りの説明ではありますが、引き続きの地蔵モードの明確化をおこなっております。
『Participants agreed that uncertainty about the economic outlook had increased
further, making it appropriate to take a cautious approach until the net
economic effects of the array of changes to government policies become
clearer. 』
『Participants noted that monetary policy would be informed by a wide range
of incoming data, the economic outlook, and the balance of risks.』
とにかくホワイトハウスの狂人(とは言ってない)が何をしでかすかわからんので(とも言ってないがwww)今後の政策動向およびその影響を見ながらcautious
approachをするのが適切であるし、経済見通しもリスクバランスも幅広いよ、ってな話をしていますね。
3番目(つまり最後)のパラグラフ。
『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook
for monetary policy, participants agreed that the risks of higher inflation
and higher unemployment had risen. 』
最後のパラがリスクマネジメントアプローチで、インフレ上振れと失業上昇(=経済悪化)リスクは高まっている、とまあ順当な話をしまして、
『Almost all participants commented on the risk that inflation could prove
to be more persistent than expected. Participants emphasized the importance
of ensuring that longer-term inflation expectations remained well anchored,
with some noting that expectations might be particularly sensitive because
inflation had been above the Committee's target for an extended period.
』
これ前の方(斜めよみしかしていないけど)でも物価とインフレ期待の話がありましたし、何ならさっきネタにしたウィリアムズの日銀金研国際コンファランスでの氷見野さんとのパネルで言ってた「物価上振れの長期化によるインフレ期待の上振れは一番アカン」に繋がる部分ではありまして、アクチュアルのインフレが上振れする期間が長くなると長期期待インフレが2%のアンカー外れて上振れするリスクが出てくるよね、という指摘なども含めたインフレリスクの話をしておりまして、
『Participants noted that the Committee might face difficult tradeoffs
if inflation proves to be more persistent while the outlooks for growth
and employment weaken.』
でもって参加者の皆さんは「物価がの上振れがより持続的になってきて、その間に景気が弱まる可能性が高まったらどうするんじゃこの二律背反」というお話をしたようですな。
『Participants observed, however, that the ultimate extent of changes to
government policy and their effects on the economy was highly uncertain.』
『A few participants additionally noted that higher uncertainty could restrain
business and consumer demand and that inflationary pressures could be damped
if downside risks to economic activity or the labor market materialized.』
でそのトレードオフ問題に関する結論は特にその先に記載は無くて、政府の施策がどう転ぶかわからんしその影響もハイリーアンサータンですという話と、そもそも関税政策がアンサータンなこと自体が経済主体の行動を消極化するリスクもあるよね、という話で話を終えています。
てな訳で、今回はすくなくともこの政策部分を読む限りは政策地蔵モードの確認をしているのと、たぶん物価上昇の持続性が強まることへの警戒をしている感じで、とはいえホワイトハウスのアホウ次第なのでとにかく分からんから今は地蔵地蔵地蔵ということですな、というのは把握しました。
続きは明日で勘弁。
2025/05/28
お題「超長期ジャイアントスイングがもうどこのEM国債かと/植田総裁金研コンファランススピーチが見苦しい件について」
お、こちらは会員じゃなくても読めますね
https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/308869
2025年5月28日
[論説]米輸入を巡る農相発言 国内の基盤強化が先だ
| 主張| 論説| 主要記事
〇超長期連日の爆上げだがこれはどこのエマージング国債ですかと小一時間
ご案内のこととは存じますが
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/Y545PIPBVRLI7IDOP7HP44RYO4-2025-05-27/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利1.465% 国債発行見直し報道で安心感
ロイター編集
2025年5月27日午後 3:31 GMT+9
『[東京 27日 ロイター] - <15:27> 国債先物は続伸、長期金利1.465% 国債発行見直し報道で安心感
国債先物中心限月6月限は、前営業日比35銭高の139円45銭と続伸して取引を終えた。財務省による国債発行計画の再検討が報じられたこと受けて、市場の安心感が広がり、円債は堅調に推移した。現物市場では新発10年国債利回り(長期金利)は同4.0bp低下の1.465%。超長期債金利は大幅に低下した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで連日の超長期デーですが、
『後場に入り、国債先物は上げ幅を拡大。財務省が2025年度国債発行計画の年限構成を近く再検討すると伝えられたことや6月20日に国債市場特別参加者会合が開催されると報じられたことを受けて「国債発行計画の変更についてはもう少し時間がかかるとの見方が多かったこともあり、市場では好感されている」(前出の国内銀の運用担当)との声が聞かれた。現物市場では超長期ゾーンを中心に金利が低下、その流れが長期ゾーンや国債先物にも波及した。』
となりまして、
『5年債は同1.0bp低下の1.00%。20年債は同16.5ベーシスポイント(bp)低下の2.340%、30年債は同18.5bp低下の2.850%、40年債は同24.0bp低下の3.295%といずれも5月上旬以来の水準まで低下した。一方、2年債は同1.0bp上昇の0.730%。』
24毛強wwwwwwww
『 OFFER BID 前日比
2年 0.719 0.734 0.01 15:20
5年 0.993 1.002 -0.01 15:20
10年 1.459 1.467 -0.043 15:20
20年 2.329 2.353 -0.156 15:20
30年 2.825 2.853 -0.182 15:20
40年 3.276 3.287 -0.246 15:20』
ってな訳ですが、ご案内のように今般は期中で、かつ予算案の追加などが起きない状況ではあるものの、国債発行に関連すると思われるPD懇が行われる云々で如何にも発行年限の見直しみたいなのが行われそうな雰囲気、というのが報道されたのですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB272140X20C25A5000000/
財務省、6月20日に国債特別参加者会合 超長期金利の上昇議論へ
経済
2025年5月27日 13:01 (2025年5月27日 18:35更新) [会員限定記事]
『財務省が6月20日に債券市場参加者を集めた国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー、PD)会合を開くことが分かった。足元の債券市場で超長期国債の金利が上昇していることなどを議論するとみられる。需給の悪化を踏まえ、超長期債の発行計画を修正するとの観測も浮上する。
PD会合は証券会社や大手銀行など19社の金融機関が参加し、債券市場の状況などを議論する。
財務省は会合に先立ち、2025年度の国債発.』(上記URL先より、以下有料会員記事)
などなどのニュースが出て一段高、ってお話なんですけど、詳報はBBGさんのほうで、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-27/SWWEN4T0AFB400
財務省が国債発行額でアンケート聴取、40年入札は警戒一転し楽観論
日高正裕
2025年5月27日 13:34 JST 更新日時 2025年5月27日 16:50 JST
→PD懇や国債投資家懇メンバー、それ以外の機関投資家に送付
→どの程度が適当な発行額か、現在の市場状況などについて尋ねる
『財務省が投資家を含む幅広い国債市場参加者を対象に、国債の発行額についてアンケートを送付していることが分かった。超長期債は連日で大幅上昇(金利は低下)し、警戒感があった28日の40年国債入札には一転して楽観論が浮上している。』(上記URL先より、以下同様)
楽観論が浮上するのかよw
『アンケートは財務省から26日にメールで送付された。例年6月に開く国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合のメンバーだけでなく、通常この時期には開催しない国債投資家懇談会のメンバーや、それ以外の機関投資家も対象に含まれた。国債の年限ごとにどの程度の発行額が適当かを質問しているほか、現在の市場状況についてコメントを求めている。複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。』
ほうほうそうですかそうですか、ということでカレンダーベースの発行額の年限割り振りの組み換え、という思惑で超長期戻っている次第ですが、いやまあ拙駄文でも「需給何とかしたいんだったら日銀の買入拡大とかアホな事言ってないで発行側が対応するのが筋」と申し上げましたので、このムーブ自体はまあやるならやるでどうぞってなもんではあるのですが、ここもと超長期の金利が上昇してやっと「減税の財源は赤字国債を出すのが当然」とか言ってた輩がちょっと大人しくなったと思って喜んでいた面もあるアタクシと致しましてはちょとt複雑な心境ではあったりします。
まあ財政懸念で本来出そうと思っていた国債が出せなくなった、というお話にすれば減税馬鹿へのご教訓ストーリーにはなるのかもしれないけど、金利が下がってしまうとちょっとね、という感じで。
・・・・というかですね、超長期発行減額ったっていきなり7月発行(くらいでしょ早くて)から発行半減とかそんなドラスティックなことにはならんじゃろ(なったらおもしろいけど)と思いまするに、一連の動きで超長期が数日で20毛も30毛(というかそれ以上)も飛ぶって方が頭痛くて、日本国債市場はいつからエマージング国債市場になったんだっけという値動きの勢いの方にビビっております。
まあこれはしつこく申し上げておりますが、中短期の金利が日銀買入で無駄に抑圧されているので、金利変動の材料に対するエネルギーの放出場所が超長期に逝ってしまっているので価格変動が増幅されやすいってのと、そもそも財政問題だすまでもなく、2%物価安定目標を達成した社会における金利水準としておかしいじゃろ、というエネルギーがあるのと、そこに加えて財政の話、ってところではないかとは思いますので(個人の偏見です)、つまりは日銀の長期・中期ゾーン以下の国債買入をバンバン減額しろといういつもの話になるのでした、しつこいですかそうですか。
〇植田総裁金研国際コンファランスの挨拶がとんでもない屁理屈大王になっていて見苦しいわ恥ずかしいわ
来週内外情勢があるって話をしましたが、よく考えたら5月末は金研国際コンファランスがあるんでした大変に失礼いたしました。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250527a1.pdf
日本銀行金融研究所主催2025年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳
日本銀行総裁 植田 和男
・基調的な物価(講演原文では「underlying inflation」)の説明が苦しいという自覚はあるようですね
『2.わが国の金融政策が直面している課題』の二つ目の小見出し『(政策金利)』の途中から日銀の屁理屈音頭がおっぱじまりますわよハーヨイヨイ♪
『難しい質問は、実際の物価上昇率が 2%を上回って3年以上推移しているにも関わらず、なぜ日本銀行はそのような緩和的なスタンスを維持しているのか、ということです。』
そりゃお前らが黒田を否定しないでハトハトチキンやってるからじゃろ、と思うのですが当然ながら当事者がそんなことを認める訳も無いので屁理屈が展開されます、以下ご覧ください。
『この問いに対して、日本銀行は、基調的な物価上昇率が 2%を下回っているため、と答えてきました。これは自然と次の質問につながります。基調的な物価上昇率は、何によって構成されているのでしょうか。』
政策から後付けされたお前らのお気持ち表明じゃろ、と言っても当事者がそんなこと以下同文。
『基本的には、基調的な物価上昇率とは、一時的な変動要因を除いた物価上昇率を指します。しかし、実際には、この概念を捉える完璧なデータは存在しません。そのため、データの全体感と経済を巡る情報を勘案して総合的に判断しなければなりません。』
だったら最初から総合判断で恣意的にやっていますって言えば良いのに、そこで何かちゃんとしたベンチマークがあるかのような話をするから苦しい屁理屈になるのですが、というかまあ今回のこのスピーチ、「基調的な物価」での説明が何ぼ何でも限界に来ているってことを大本営でも自覚しているんでしょうね、この段落の最後になるんですけどこの最後の部分はワロタ。
『そして、この点は、人々とのコミュニケーションを難しくさせます。』
そらお前らのお気持ちだしお気持ちの変わる原動力が首尾一貫してないからこっちだって分からんわとしか申し上げようがないですけど、
『私どもは、基調的な物価上昇率を巡る説明が不明瞭であるとの厳しい指摘をしばしば受けてきました。』
wwwwwwwwwwそらお気持ち物価なんだから仕方ないじゃろと思うのですが、厳しい指摘って自覚してるならお気持ち物価止めええやと思う訳ですが、以下更に充実の屁理屈が展開されますので鑑賞しましょう。
・構成要素に明らかに下方バイアスを持っていそうなのを満載にした合成予想物価上昇率を持ち出しまして・・・・
でもって次の小見出しが『(予想物価上昇率)』です。
『基調的な物価上昇率を評価するために注意深くモニターしている指標のひとつは、予想物価上昇率です。』
とまあそういうことで、物価の指標を引っ張り出してもだんだん説明が苦しくなる(後述)なので、とうとう予想物価上昇率を持ち出しているんですけれども、
『基調的な物価上昇率という概念よりは明瞭ですが、予想物価上昇率もまた、誰の予想が最も重要なのか、どの予想年限が適当なのか、などの問題を伴います。』
と言ってるそばから、
『図表 4 は、各指標が有する情報を集約した日本の合成予想物価上昇率に加えて、ドイツと米国の中長期の予想物価上昇率を示しています。』
って言ってるんですが、図表4の『日米欧の中長期インフレ予想』を見ますと、その脚注は
『(注)中長期インフレ予想は、日本は合成予想物価上昇率(10年後)、米国・ドイツはコンセンサス・フォーキャスト(6〜10年後)。(出所)Bloomberg、Consensus
Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、QUICK「QUICK月次調査<債券>」、日本銀行』
この「合成予想物価上昇率10年後」ってのは展望レポートの背景説明の方にもあって。最近だと内田副総裁の講演でもリファーされていましたが、なんかいろんなもんをこねくり回していて、例えば短観の物価見通しとか生活意識アンケートの物価見通しとかもコネコネされていて何だかよくわからん数字になっているものな上、米国ドイツのコンセンサスフォーキャストってのは上記の脚注見たら出所がBBGになっているから、それって単に何とかストアンケートの集計結果みたいなもんで、一般市民のインフレ予想との乖離はどうなっているのか、ってなもんだし、同じベースで集計しているのかどうかも怪しいものを並べてどうするんだ、というお話な訳ですけれども、そういうのを比較した上で、
『ドイツと米国では、予想物価上昇率は、おおむね 2%から 3%の間で、驚くほど安定していました。2022
年から 2023 年の間に、物価上昇率が 10%近くに達したときも、それは目標水準近くにアンカーされていました3。この安定は、中央銀行が物価を安定させる能力に対する人々の信頼を表しているのではないかと思われます。』
からの、
『対照的に、日本の中長期の予想物価上昇率は、1990 年代後半から、大規模金融緩和が導入された
2013 年まで、概ね 0%から 1%の間にとどまっていました。予想物価上昇率は、2014
年に1%以上に高まりましたが、2016 年までに低下して、以前の範囲に戻り、2021
年までそこにとどまりました。より短い年限の予想物価上昇率は、よりゼロに近い水準にとどまっていました。ゼロインフレという均衡の強固さを物語ります。』
という話にしていまして、その結果として、
『予想物価上昇率は、グローバルなインフレ高騰と日本の継続的な金融緩和に反応して、2022
年に再び上昇し始めました。予想物価上昇率は、足もと、1.5%から 2.0%の間にあり、まだ
2%の目標水準を下回っているものの、この30 年間で最も高い水準にあります。すなわち、私どもは、予想物価上昇率をゼロから引き上げることには成功しましたが、2%にアンカーされているという状況には、まだ至っていません。このため、私どもは、今なお緩和的な政策スタンスを維持し続けています4。』
という政策の正当化に使っているのですが、そもそも日銀の合成予想物価上昇率については先般弊駄文で申し上げましたのの再掲ですが、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j05.pdf
期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性
2024 年 5 月
こちらの5ページ(PDFの5枚目)あたりに『【図表 8】共通成分ベースの集計指標(年限別の合成予想物価上昇率)』ってのがありますが、よく見ますと、
『(注)年限別の合成予想物価上昇率は、家計(生活意識に関するアンケート調査<量的質問・質的質問>)、企業(短観)、専門家(コンセンサス・フォーキャスト、QUICK
調査、インフレスワップ)による各年限のインフレ予想について、主成分分析を用いて共通成分を抽出したもの。2006
年以前の計数は参考値。
(出所)日本銀行、Bloomberg、QUICK 月次調査<債券>、Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」』
ってやつなんですが、コンセンサスフォーキャストって過去の実績に引っ張られて今次局面で物価見通しを全然当ててなくて下方に外しっぱなしだし、まあクイック調査とかも然りですけど、これ現時点において下方バイアスを持ってそうなものを使っている時点でお察し指標(ちなみにこの日銀レビューを書いているのが調査統計局じゃなくて企画局というのも味わいが深い訳ですがwww)なんですけどねえ、ってなお話でもあったりします。
・基調的な物価上昇率は予想物価上昇率だという新しい言い訳が構築されてきたようです
でもってその続きですが、『(中央銀行コミュニケーション)』って小見出しになります。
『この政策スタンスのコミュニケーションは容易ではありません。』
そりゃそうじゃろお気持ち物価を尤もらしく屁理屈でデコレーションしているだけなんだからwwwwwwwwwww
『それは、基調的な物価上昇率の概念に伴う曖昧さもさることながら、図表 5
が示しているように、総合ベースでみた物価上昇率と基調的な物価上昇率との間に大きな乖離があるためです(ここでは、予想物価上昇率を基調的な物価上昇率の近似として用いています)』
>ここでは、予想物価上昇率を基調的な物価上昇率の近似として用いています
>ここでは、予想物価上昇率を基調的な物価上昇率の近似として用いています
>ここでは、予想物価上昇率を基調的な物価上昇率の近似として用いています
と、どさくさに紛れて勝手に基調的な物価上昇率を予想物価上昇率(しかも日銀計測のお手盛りVer)にすり替えてしまいましたwwwww
『その乖離は、サプライショックの直接的な影響と、総合ベースでみた物価上昇率に影響するその他の一時的な要因に対応しています。』
とのことですが、サプライショックが一過性なのか持続性があるのか、というのを丸無視してサプライショックだからネグリジアブルだ、って屁理屈捏ねてるからそうなるんじゃろという話で、
・推計データと直接計測されたデータが常に大きく乖離するのであればそれは推計がおかしいじゃろとwwwww
『中央銀行は、基調的な物価上昇率に主に反応しますが、人々は総合ベースでみた物価上昇率に反応する傾向があります。この反応の乖離は、常にある程度は存在するものですが、最近の乖離の大きさとそれが長い期間にわたって継続していることは、日本において特に問題となっています。』
>乖離の大きさとそれが長い期間にわたって継続していること
>乖離の大きさとそれが長い期間にわたって継続していること
>乖離の大きさとそれが長い期間にわたって継続していること
そもそも論として「計測可能なザ・基調的物価上昇率」が存在しないのですから、「乖離の大きさとそれが長い期間にわたって継続している」っていうのは、常識的な視点からしたら「お前らがお手盛りで計算している基調的な物価上昇率がそもそも間違えているんだろ」という話になるじゃろ、としか申し上げようがないのですけれども、何をいってるんでしょうかこの人はwwwww
・勝手に「中央銀行」を主語にするなと
さらに続きですが、
『一般的に、中央銀行は、サプライショックに対して、それが基調的な物価上昇率に影響するとみられない限り、その状況を見守るアプローチを採用しています。』
そうじゃなくて「一時的なショックに留まるのか、それとも中長期的な影響をもたらすのか」によって対応をするかしないかが決まる、ってのが中央銀行の物価安定という施策を進める際のポイントじゃろ勝手に「中央銀行は」とか言ってるんじゃないよお前らだけじゃろお前ら。
『私どももまた1度目のサプライショック、すなわち 2022 年から2023 年にかけての輸入財の価格上昇の状況を見守ってきました。しかしながら、日本の近年の経験は固有のものです。総合ベースでみた物価上昇率が高まった一方、基調的な物価上昇率も高まりました。基調的な物価上昇率を高めた要因として、コロナ禍からの景気回復や労働需給の引き締まりに加え、国内物価・賃金に影響を及ぼしたサプライショックを指摘することができます。』
『足もと、私どもは、食料品価格の上昇というかたちで、もう1つのサプライショックに直面しています。私どもの中心的な見通しでは、食料品価格上昇の影響は減衰していくとみています。しかしながら、基調的な物価上昇率が以前よりも
2%に近いことを踏まえると、食料品価格の上昇が基調的な物価上昇率に与え得る影響に注意する必要があります。』
と言ってる本当の物価上昇率が既に2%超えてるんじゃないですかねえ、と思うのですが最後に図々しく、
『サプライショックが世界的により頻繁に生じるようになるにつれて、総合ベースでみた物価上昇率と基調的な物価上昇率の関係が、多くの中央銀行にとって主な焦点であり続けると考えられます。』
とか偉そうに言っているのですが、他の中銀が基調的な物価上昇率と総合ベースで見た物価上昇率の関係でどうのこうのっていう政策対応の説明していましたっけ、ってな問題が有るわけですし、大体からしてコア物価指数を過度に重視することに対しても昔から常に指摘があったんですよね。
・ここで懐かしの変態仮面ジム・ブラード前セントルイス連銀総裁の2011年の指摘を見てみましょう
変態仮面だの何だの聞こえないことを良いことに極東の島国の片隅で勝手な二つ名つけていますが、まあ賛否はありますけどブラード前総裁の論点提起ってのは面白いので良くチェックしていました。
(URL長すぎで画面が乱れるかもなのでハイパーリンクは文字列の途中までに貼っております)
https://www.stlouisfed.org/news-releases/2011/05/23/st-louis-feds-bullard-discusses-commodity-prices-inflation-measures-and-inflation-targeting
St. Louis Fed's Bullard Discusses Commodity Prices, Inflation Measures, and Inflation Targeting
May 23, 2011
『Core vs. Headline Inflation』って小見出しの2パラ目ですが、基調的な物価ガーとか抜かしている屁理屈大本営はちょっとこれでも読めやという感じでして、
『“Headline inflation is the ultimate objective of monetary policy with
respect to prices,” Bullard said, noting that these are the prices that
households actually pay. “Core is not an objective in itself,” he added.
He said that while the only reason to look at core is as an intermediate
target for headline, “its use as an intermediate target is questionable.”』(直上URL先2011年5月のセントルイス連銀ブラード総裁講演紹介文より)
さらに、上記URL先でリファーされているのが『Measuring Inflation: The Core Is Rotten』ってまた
喧嘩を売るような題名の講演テキストになりますが、
https://www.stlouisfed.org/-/media/project/frbstl/stlouisfed/files/pdfs/bullard/remarks/measuring_inflation_may_18_2011_final.pdf
Measuring Inflation: The Core Is Rotten
Money Marketeers of New York University
New York, N.Y.
May 18, 2011
最初の『Introduction』の4パラグラフ目のところにありますけれども、
『One immediate benefit of dropping the emphasis on core inflation would
be to reconnect the Fed with households and businesses who know price changes
when they see them. With trips to the gas station and the grocery store
being some of the most frequent shopping experiences for many Americans,
it is hardly helpful for Fed credibility to appear to exclude all those
prices from consideration in the formation of monetary policy.』
コア指数ガーばっかり言いすぎていると本来の目的である国民が本来負担している「総合物価」との乖離が長期的に生じた場合(ちなみに前の方の先の引用部分の直後にブラードの説明引用として、「For
example, from 2003-2006, while core inflation averaged about 2 percent,
it was consistently below headline inflation. 」ということで、総合物価が長期的にコア物価を上振れていた時期を例に出しています)に、金融政策本来の目的が果たせているのか、というような論点を提示しているわけですよ。
とまあそんあ次第でコア指数ですらコア指数に固執してはいかんのでは、というような指摘が大昔から有る中で、「基調的な物価上昇率と実際の物価上昇率の長期間の大きな乖離がどうのこうの」とか能天気に言ってる場合じゃない訳で、黒田緩和からの修正が遅れまくっているのを正当化するためのしょうもない言葉遊びしてる場合じゃないだろと思います。
・この講演原稿作ったのは誰だあ!(ガラッ)
てなわけでまあ突発性海原雄山状態になってしまうわけですが、この手の屁理屈、〇〇さんや〇〇さん(伏字に関しましては皆様勝手に好きなのを入れてください)が捏ね散らかすならまた大本営の屁理屈かよ、って笑えないけど苦笑しながら見るって感じですが、斯界の第一人者であらされる学者の植田和男先生ともあろうお方がこのような屁理屈満載の説明を、しかも海外からのお客様もお招きしたアカデミック寄りの金研国際コンファランスで行う、ってのさすがに如何なものかって話でして、植田先生だってこの牽強付会ぶりを読んだら分かると思うのですが、いや先生学者として言ってて恥ずかしくないのかね、と思ってしまいますし、そんな講演原稿作ったのは誰だかは存じませんけど、いやちょっと何なんだよ、と思いましたとさ、というのが本日の結論でした。
2025/05/27
お題「超長期が戻っておられますが(メモ)/G7後の総裁記者会見から少々/今更ですが備忘代わりに債券市場サーベイ」
「減税の財源は赤字国債」とか言ってないでこういう話をしてればいいのに・・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e7f42f6fa79d5dcb35e8fdf13257dc5f9c34e8e
国民民主・玉木代表 備蓄米5キロ892円で「販売価格は下がる」予想も「問題は…」「10年越しの宿題」
5/26(月) 17:05配信
『また、「そもそも、コメの値段を下げればいいというものでもない」とし、「農家の再生産可能な所得を確保しつつ、適正価格のコメを消費者に届ける、この政策目標をどうすれば達成できるのか。その政策が問われている」と指摘した。』(上記URL先より)
〇何か知らんけど昨日も超長期の戻りとな
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/NQ23XAUCYBI4XIY5PH6YOCQZBQ-2025-05-26/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、米関税懸念や強めの入札結果で 長期金利1.515%
ロイター編集
2025年5月26日午後 3:31 GMT+9
『[東京 26日 ロイター] - <15:10> 国債先物は続伸、米関税懸念や強めの入札結果で 長期金利1.515%
国債先物中心限月6月限は、前営業日比36銭高の139円10銭と続伸して取引を終えた。米関税を巡る懸念や強めの入札結果が相場を支援した。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.0ベーシスポイント(bp)低下の1.515%』(上記URL先より、以下同様)
そもそも週末はトラ公のEU関税50%→と思ったら日曜には撤回(先送り)というのがあってイブニングの先物(=金曜の夜)とのギャップから始まっているので訳ワカメ相場ではありましたけれども。
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて低下。2年債は前営業日比0.5bp低下の0.720%、5年債は同1.5bp低下の1.015%、20年債は同3.0bp低下の2.505%、30年債は同3.0bp低下の3.035%、40年債は同1.5bp低下の3.535%。』
40年だけ置いて行かれているように見えるのは40年国債入札を控えているから、という露骨プレイが背景にあるんでしょうけれども、まあ30年まで強いんですからこんなのどうせ入札前のいつものアレという奴じゃろとかタカをくくっているとそうじゃなかったりするから油断も隙も無いのですが、まあ全般買われておりますので。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.718 0.724 -0.008 15:03
5年 1.007 1.013 -0.022 15:05
10年 1.504 1.51 -0.04 15:03
20年 2.503 2.51 -0.047 15:05
30年 3.027 3.039 -0.057 15:05
40年 3.529 3.534 -0.049 15:05』
てな訳で引けですとそこまで露骨ではないのですがブルフラットということで、いや別に何かあったわけでもない(と思う)のに何やってますねんって感じではありますが、売り込まれている方も財政懸念にしては別に財政懸念で売りじゃあとなっている訳もない(買わない言い訳にはなっていた)のに何かそんなに威勢よく売るのかよという感じだったので戻っても変じゃないといえば変じゃないのですが、いずれにしましても市場の流動性というか機能度が低いということが示されている訳ですし、中短期の日銀の買入がアホみたいに多すぎて金利抑圧効果が強いから、そのせいで相場変動パワーが超長期の方に向かいやすいってのもあるんでしょうかね、知らんけど。
〇G7会見でわざわざ超長期について質問されているのはワロタ&物価安定にコミットですかそうですか
しかしまあ何ですな、
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250526a.pdf
植田総裁記者会見(5月22日)
――G7終了後の加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言
2025年5月26日
日本銀行
―― 於・バンフ(カナダ)
2025年5月22日(木)
午後2時9分から約16分間(現地時間)
『【冒頭発言】
私ども日本銀行に関連するところに関して少しだけ申し上げれば、大臣のお話とちょっと重なりますが、世界経済に関して、各国の通商政策等を巡る不確実性の影響およびその背景にあるグローバルなインバランスの問題、状況などについて議論致しました。それから、不確実性の高さが経済・金融安定に及ぼす影響等について十分に注視し、中央銀行として引き続き物価安定に強くコミットしていくということについて、参加者と認識を共有したところでございます。』
>中央銀行として引き続き物価安定に強くコミットしていく
>中央銀行として引き続き物価安定に強くコミットしていく
>中央銀行として引き続き物価安定に強くコミットしていく
・・・・・ほほう、って感じでして、いやまあ関連の英文での発表を真面目に見ればいいんですけどワシにも生業というのがあって中々手が回らない所ではございますのでパスしますけど、「物価安定に強くコミット」っていうのが、これはFEDのメッセージかな、って思うところでございまして、そう簡単に利下げするかよバーカバーカとホワイトハウスの狂人に向かってメッセージを飛ばしているな、と思いました。
しかしまあ何ですな。物価安定に強くコミットしていくのは結構なのですが、その物価見通しを毎度毎度外し続けて物価が高止まりして遂にはプチ米騒動モードにまでなっている(ちなみに大正の米騒動では内閣が1個飛びましたわな)次第で、まあ米騒動そのものは日銀ワシのせいじゃないって言いたくはなるでしょうけれども、物価引き上げの中でも最後まで上がらなかったのがコメだったので、その分がまとめて出たらこうなりました的な部分もあるので、なんちゅうか供給ショックだからシランガナで済ませていいのかねとは思います(ゆうて金融引き締めまで需要減らせるわけでもないけど)。
でまあ質疑応答ですが、こんな時の質疑がいきなりこれであるwww
『【問】植田総裁には、最近、ちょっとG7と離れてしまうんですけれども、超長期金利が大きく動いていて市場の注目が高まっています。その中で、日銀の植田総裁としてそういった動きについてどういうふうにご覧になっているのかということと、何か対応をされていくような考えはあるのかどうか、その点をお願い致します。』
いやこの程度の動きで一々対応したらアカンヤロと思うのですが、昨日ネタにした野口審議委員の会見でもそうなんですけど、何でメディアは日銀に「対応」をさせたがるような質問ばっかりしてるんだかというのが意味不明にもほどがあって、お前らべき論から考えてもうちょっと筋の良い質問してくれよと思うのですが、そもそもべき論自体が分からんのでしょうから始末に負えません。
『【答】超長期金利の動きについてのご質問ですけれども、短期的な金利の動向については具体的にコメントすることは差し控えさせて頂きたいと思います。ただ、もちろん、市場動向については、引き続きよく注意してみていきたいというふうに思っております。』
まあこれはこれでも良いのですが、もうちょっと市場に対してある意味突き放した方が良いでしょとは思うのですよね。変に含みを持たせる必要があるのか、というか含みを持たせると市場のクレクレコジキどもがコジキ音頭を盛大に踊りだしてやかましくてかなわん訳ですよ。
これがまあ超長期じゃなくて短期まで含めた金利全般が財政懸念で大暴騰して企業金融の目詰まりが発生するとか言う話ならそらまあ何か考えろよ(と言っても財政懸念だったら日銀はやりようがなくて発行当局が何かすべき話ではあるんだが)という話になるとは思うのですが、超長期の金利が上昇ったって、冷静に考えて2%物価目標が達成された世界が続いていくならば均衡物価水準2%で潜在成長率1%だとしてタームのリスクプレミアム乗っければそらもっと上の金利になっとるじゃろ、ということでそもそも今の金利水準短期とか政策金利から見ていくと高く見えますが、そもそもが起点の金利が低すぎなのでおかしい、というお話でもあることを忘れて超長期金利ガーと言ってもねえとは思います。個人の感想ですが。
でまあそれはさておき今回の会見のもう一つの質疑応答ですが、
『【問】植田総裁に伺いたいんですけれども、米国の関税政策を巡る不確実性というところをG20のときにもかなりご指摘があったと思うのですけれども、今回その辺りの、各国の方々とお話をされての認識ですとか、何か変化を感じるところがあれば教えてください。』
これは良い質問でして、まあ別にG7の場を使わなくても、おそらくは各国の金融政策担当当局も財政当局も相互に連携して状況のアップデートを互いに行っているとは思いますが、そういうアップデートを皆で持ち寄って検討する、というのが(表の会合でやっているかは兎も角としてどこかの機会で)今回も行っているでしょうし、そういう状況のアップデートの為にG7みたいなのは非常に大事(しかも5月は月初を除いて主要各国では中央銀行の金融政策決定会合が無いのでこの時期は情報共有にとても重要な時間帯ですわな)だと思いますので、そういう意味合いのある質問じゃないかな、って思いました、知らんけど。
『【答】 まず関税政策ですけれども、ご案内のように、米中あるいは米英の間で一応前向きの動きがあったということが一つ言えるかと。また、他の参加国でもそういう評価はあったと思います。』
ほうほう。
『ただ、いずれにせよ、この二つの二国間の動きを含めて、先行き、関税について非常に不確実な状況が続いているということが一つと、それから、関税がどこに落ち着くにせよ、それが経済にどういうふうに影響していくかという点についても非常に大きな不確実性がまだ残っている、あるいはこれからデータをみていかなくてはいけない局面であるという辺りは、私もそう思いますし、他の参加者も多くの方はそういう認識であったというふうに思っております。』
という説明でして、まあその辺は話をしにくい、というのがあるかもしれませんけれども、もうちょい「今いまで皆さんが認識している状況は、もうちょっと前の直近時点と比較してどこがどういう感じで変化しているのか」というののアップデート状況が分かるような説明を入れて頂きたかったな、と思いました。
一応、さっきのところで「一応前向きの動きがあったということが一つ言えるかと。また、他の参加国でもそういう評価はあったと思います。」というのがあったので、この点が評価すべきプラス要素としてアップデートされました、という話ではあるとは思うのですが、ただまあこの植田さんの言ってる日本語の字面を見ますと、そんなにポジティブ感が無いなとは思えましたのですが、実際のニュアンスはどうだったんでしょうかね。
・・・・と申しますのは、これは日銀が直近の展望レポートでベースラインシナリオを下げてきたことに関連する話なんですが、4月展望レポートで一旦引き下げになったベースラインシナリオって、今後上下どっちにブレる可能性があるのは良くわかるのですが、そもそものベースラインがどこに置かれているのかがフワッとした脚注での説明しか(公表文書では)出てきていないので、植田さんの説明として聞きたいのは「でもって今回のG7での各国政策当局の見方というのは、日銀が4月展望レポートで示しているニューベースラインシナリオ対比上振れ要素なのか下振れ要素なのかカワランチ会長なのか、というのがもうちょっと分かりやすくなって欲しいなってことですな。
毎度申し上げていますが日銀って展望とか政策変更の時に一気にシナリオを書き換える悪い癖があって、途中でのグラデーションみたいなのは無い(その代わりに謎の決め打ちインタビューとか決め打ち観測記事とかは飛び出す)傾向にあるのですが、今回はどうせ「上下どっちにもぶれやすいし何ならベースラインシナリオの書き換えだってありますよ」って言ってるんだから、なんかもうちょい情勢の変化の説明をして欲しいなってことです。
とまあそんな所ですが、植田さんの上記説明のニュアンスだと、たぶん植田さんまだまだハトハトチキンムーブをぶっかましている感じでして、「多少明るい材料は出ているかも知れないが所詮は先行き下振れリスクですがな」って感じで見ているんだろうな、とは思います。
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
今後の講演・挨拶等の予定
『2025年 6月 3日 植田総裁 内外情勢調査会における講演』
ってのがあるので、まあその時にアップデートして頂ければとは思う所でございます。
〇そういえば市場機能度のアンケートをネタにしていなかったので備忘の為にメモメモ
まことに申し訳ございません
https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond_list/bond2505.pdf
債券市場サーベイ
<2025年5月調査>
回答期間:2025年5月1日〜5月9日
調査対象先数:75先
(「調査対象先数」は、国債売買オペ対象先のうち調査協力を得られた先、および大手機関投資家<生命保険会社、損害保険会社、投資信託委託会社等>)
期間的には5月金融政策決定会合終わって連休があってその直後位って感じなのですが・・・・・・
・機能度指数の落ち込みワロリンチョ
『1.債券市場の機能度の状況(長期国債の流通市場を念頭において、ご回答下さい)
(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)
(注)債券市場の機能度は、(2)@〜Fの質問項目への回答内容等を総合的に勘案して、ご回答下さい。』
(現状)
機能度判断DI(現状)(注) 前々回昨年11月 -20⇒ 前回2月 -13⇒ 今回5月 -44
ってこりゃまたドイヒーという所ですが、今回ってまた調査タイミングが微妙で、5月決定会合を受けてスティープニングがおっぱじまったタイミングでして、4月展望が「7月まで1回パス」で来るかと思っている向きの方が多分多くて(ただしまあ物価目標達成見込み時期とかは後ずれするだろうなあとは思ってたと思いますけど)いる中で、堂々のベースラインシナリオの引き下げ、物価見通しの引き下げと前回までリスクが上振れだったのに対して出てきた展望レポートが下振れ、という飛んでも無い勢いのジャガーチェンジハトハト音頭サプライズがぶっこまれた、というところでしたので、決定会合当日の5月1日から連休明けの7日まで3連続の割と過激なスティープニングが起きたときだったんですよね。
とまあそういう市場状況だったので機能度低下が余計に目立つ数字になったのかとは思う(前回2月調査が同じく期間が2月の頭の週だった)のですが、金融政策決定会合というか展望レポートおよびその後の総裁会見でのハトハトチキン音頭満艦飾部分に関してはその後の「金融政策決定会合主な意見」の方でだいぶ中和された感はあるのですが、その後はご案内のザイセイガーというのもありましたし、まあMPMでハトハトサプライズだした結果ツイストスティープだったりなんだったりしたのが効いたかなと。
(3か月前と比べた変化)
機能度判断DI(変化) 前々回昨年11月 9⇒ 前回2月 15⇒ 今回5月 -47
なのでまあ何というアイヤーなことでしょう、という感じですが、やっぱり問題になるのはアスクビットスプレッドとアベイラビリティな訳でして、こちらの方はと言いますと・・・・・
『(2)債券市場の機能度・流動性に関する各論
@貴行(庫・社)からみたビッド・アスク・スプレッドについてご回答下さい。』
(現状)
ビッド・アスク・スプレッド判断DI(現状) 前々回昨年11月 -30⇒ 前回2月 -24⇒ 今回5月 -49
6改善して25悪化ドイヒー
(3か月前と比べた変化)
ビッド・アスク・スプレッド判断DI(変化) 前々回昨年11月 3⇒ 前回2月 8⇒ 今回5月 -56
マイッタ56はクソワロタ(ワロエナイ)
『A貴行(庫・社)からみた市場参加者の注文量について、板の厚み(注)等を念頭においてご回答下さい。』
(現状)
注文量判断DI(現状) 前々回昨年11月 -38⇒ 前回2月 -26⇒ 今回5月 -59
12改善して33悪化ですかそうですかorz
(3か月前と比べた変化)
注文量判断DI(変化) 前々回昨年11月 -4⇒ 前回2月 8⇒ 今回5月 -52
・・・・・・・・・・
『D貴行(庫・社)の取引ロット(1回あたりの取引金額)についてご回答下さい。』
(現状)
取引ロット判断DI(現状) 前々回昨年11月 -20⇒ 前回2月 -20⇒ 今回5月 -25
(3か月前と比べた変化)
取引ロット判断DI(変化) 前々回昨年11月 -4⇒ 前回2月 2⇒ 今回5月 -23
こちらの数値ですが、前々回⇒前回って現状DI上は変わっていないのですが、前回比の判断が改善に向かっていたのでおーいいじゃんという感じだったかもしれませんが、今回って5ポイント悪化したのもそうですが、前回比の方がうーんこのという感じでして、とにかく市場でオファービットが広すぎるのも困る話ですが、ロットが捌けないのはそれ以上に重大な問題を引き起こしますので、まあその辺は日銀ちゃんも先刻ご承知の介だと思いますが、事前織り込ませというのが必要とは思えないけど、直近まで何も言わないでいきなりベースラインシナリオを下げるのもイケてない話でして、もうちょっとこの何とかならんもんなのか、とは思ってしまいました。
2025/05/26
お題「市場メモ(なんか知らんがブルフラット)/野口審議委員会見からみる大本営のスタンス」
ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-23/SWQ1TJDWX2PS00
ベッセント氏、米国債取引巡る銀行規制の緩和示唆−SLR見直し
アンスティー・クリストファー
2025年5月24日 1:13 JST 更新日時 2025年5月24日 10:48 JST
『銀行の自己資本規制の一つであるSLRから国債が除外されれば、銀行は中核的自己資本比率に影響を与えずに、より多くの国債を購入できる。新型コロナ禍の局面ではSLR規制は一時的に停止されていたが、その後、再び適用が再開された。ベッセント氏とパウエルFRB議長は、これまでにも同規則の見直しを支持する姿勢を示している。』(上記URL先より)
これって「通貨は一緒なのに財政は別々」という変態法域があるのが悪いのであって、はっきり言ってユーロ通貨圏内を除いた国では自国通貨建の内国国債に関してはSLRとか要らんじゃろとしか言いようが無くて、変態法域が馬鹿みたいに馬鹿国家をドンドン編入して拡大したから発生したソブリン危機問題のせいで他国が迷惑被っている、だけの話なんで、こんな規制はユーロ通貨圏だけでやってろって話だし、いやなら共通通貨圏の財政統合しろって話ではありますな。
まあやったから長期金利が下がるかというとそれは謎だがwww
ところで、どうもトラスショックマジで起きないと愚じゃなかった国民は眼が覚めないようですな
https://nordot.app/1299268628214136988
次の首相ふさわしい人は高市氏21%が最多
2025/05/25
Published
2025/05/25 16:57 (JST)
コピーライト 一般社団法人共同通信社
〇何か知らんけど一転して盛大にブルフラットしているんだが何がにやら(といういつもの備忘メモ)
いつものように
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/B7C4LYEQGNJ35OE7PPH57RQYMM-2025-05-23/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小反発、長期金利1.540% 超長期債は金利低下
ロイター編集
2025年5月23日午後 3:30 GMT+9
『[東京 23日 ロイター] - <15:25> 国債先物は小反発、長期金利1.540% 超長期債は金利低下
国債先物中心限月6月限は、前営業日比9銭高の138円74銭と小反発して取引を終えた。米金利低下に加えて、現物市場で長期や超長期ゾーンの金利低下の流れが波及し、国債先物は強含みで推移した。現物市場では新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp低下の1.540%。国債先物は買いが先行。前日の米長期金利低下の流れに追随して始まった。その後、先物は一時マイナス圏に沈む場面があった。』(上記URL先より、以下同様)
でまあ最早先物よりも超長期が注目される訳ですが、
『現物市場では新発債利回りは超長期金利を中心に低下。2年債は同0.5bp低下の0.725%、5年債は同横ばいの1.030%、20年債は一時2.600%と2000年10月以来の高水準を付けた後、同5.5ベーシスポイント(bp)低下の2.5300%。30年債は同11.0bp低下の3.055%、40年債は同13.0bp低下の3.540%。』
30年11毛強wwwwwwww
『 OFFER BID 前日比
2年 0.716 0.732 -0.001 15:25
5年 1.026 1.036 0.007 15:25
10年 1.54 1.549 -0.012 15:25
20年 2.53 2.555 -0.025 15:25
30年 3.052 3.087 -0.082 15:25
40年 3.532 3.557 -0.116 15:26』
とまあそんな訳でこちらの表だとキチガイ成分が足りませんが、まあ記事にある通りで前日までのスティープニングはどこに逝ったのかというお話ですが、結局何をもって急に強い話になっているのかは何なんでしょうねってな感じですが、
そういやJPXはサイトリニューアルしたので先物価格情報のURLも新しくなっています(従来のページには新ページへのリンクが張ってあります)
https://port.jpx.co.jp/jpxhp/main/index.aspx?F=future&disptype=day_through
先物価格情報 日通し
長期国債先物
限月:25年6月限
取引日:05/26
始値:138.77 (05/23)(15:30)
高値:139.86 (05/23)(21:01)
安値:138.77 (05/23)(15:30)
現在値:139.30 (05/24)(06:00)
前日比:+0.56
取引高:13,478
あー高値86銭かーと思ってよく見たら大台が1円違うじゃないですかヤダーということで、イブニングはイブニングで先物上昇の巻となっておりまして、なんでこのタイミングで急にまた両手両足に変なドーピングでもしたのかという勢いでの威勢の良さis何なんでしょというお話ではありますが、米国様ではやはりここもとの金利上昇で火消をしないといけませんねってムーブが見て取れたり、ジャパンの場合は面白農林大臣からセクシー農林大臣に交代して財政出せ出せムーブに一定の歯止めとでも思っているのかどうなのかはさっぱり分からんですが、何か急に謎のブルフラットはまあ市場が落ち着かなねえええええと言ってしまえばそれまでではありますがしかし謎ですぬー。
〇一方短国ちゃんは前週対比金利上昇の巻
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250523.htm
国庫短期証券(第1308回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1308回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1308回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年5月26日
4.償還期限 令和7年8月25日
5.価格競争入札について
(1)応募額 11兆3,302億円
(2)募入決定額 3兆4,272億8,000万円
(3)募入最低価格 99円90銭2厘0毛
(募入最高利回り) (0.3934%)
(4)募入最低価格における案分比率 70.9259%
(5)募入平均価格 99円90銭4厘9毛
(募入平均利回り) (0.3818%)』
とまあそういうことで、0.3818%/0.3934%になったのですが、前週の3M新発が0.3677%/0.3793%の落札結果で、その前の週の3M新発が0.3979%/0.4090%だったので、先々週やたら強かった短国ですが、先週の入札は足切り0.40に届かんとは言え、前回よりはマシな結果になっていまして、まあ別に必ずしもそういう訳じゃないとは思うのですが、だいたい短国の強さと長い所の強さが逆相関みたいな感じに毎度なっていまして、ただの偶然のような気もしますが、今日の場合はゲロゲロマーライオン相場チックだった超長期が落ち着く(というか戻りが速すぎて「落ち着いた」とは言い難いけどwww)中で短国は少し金利上がる(絶対水準は低いけど)とか謎のシーソーでオモロイです。
売買参考統計値見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(5/23引値)
国庫短期証券1305 2025/08/12 平均値単利 0.370
国庫短期証券1306 2025/08/18 平均値単利 0.370
国庫短期証券1308 2025/08/25 平均値単利 0.370
国庫短期証券1309 2025/09/01 平均値単利 0.370←今週入札予定の新発3MWI
(5/22引値)
国庫短期証券1305 2025/08/12 平均値単利 0.370
国庫短期証券1306 2025/08/18 平均値単利 0.370
国庫短期証券1308 2025/08/25 平均値単利 0.370
ということで今回は引値変わらずになっていまして、入札レベルよりも強いところで引かせてるので、まあ結局にーズは強いんでしょうかね、知らんけど。
〇野口審議委員会見も大本営の腹話術人形でして・・・・・・・
ということで木曜の引け後に野口審議委員の会見で反応した、という感じなのかホンマに、って感じではありましたが、野口儀審議委員の会見を確認してみましょう。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250523a.pdf
2025年5月23日
日本銀行
野口審議委員記者会見
――2025年5月22日(木)午後2時30分から約30分
於 宮崎市
質疑応答はだいたい国債買入の話と今後の利上げに関する話に終始していたんですけど、この質疑応答見てて思ったのは「何でお前ら国債買入ペースを減らす方向の質問」しかしてないのって話で、この前の市場参加者会合の資料見たら「減額ペース減らせ」一色でも何でもないし、何なら加速すべきというのもあるし、ワイもそう思っているけど、そもそも論として減額が甘いからいつまで経っても市場の流動性がちゃんと回復しないでストレス耐性が弱いんじゃ、という主張も普通に市場参加者会合の資料にあるのですが、まるで市場が買入減額ペースをスローダウンさせろ一択かのような質問しかしないの何なんお前らマジで要らんわ、と思いました。
といきなり悪態をついておいて質疑応答ですが、まずは国債買入の減額に関しての一連の質疑を順に参ろうかと。
・長期国債買入ペースの減速に関しての一連の質疑だが野口さんの回答がまんま大本営でその点にビックリ
『(問)私から国債買入れでいくつかお伺いします。午前の講演で来年 4 月以降の国債買入れの方針につきまして、より長期的な視点から検討する必要があると発言されました。このより長期的な視点の意味するところについて、もう少しちょっと具体的に説明をお願いしたいということと、』
それはそうですね、そもそも長期的な部分は分からんと思うのですが。
『来年 4 月以降の国債買入れにつきまして現行計画のですね、毎四半期 4,000
億円ずつ減額していくと、そういうペースになっているのですけども、それを維持するべきなのか、または加速すべきか減速すべきか、来年度の国債買入れに関する野口委員の現時点のお考えをお聞かせください。』
これは変わらずって回答するのがほぼ見え見え(実際そうでしたが)
『もう一点、関連で足元超長期金利が急ピッチで上昇しておりまして、市場には日銀による超長期ゾーンの国債買入れの増額や買入れ区分の統合などを求める声が出ております。野口委員は超長期金利の安定に向けて、オペや減額計画などで配慮する必要性についてどのようにお考えか、大まかに二点よろしくお願いします。』
>市場には日銀による超長期ゾーンの国債買入れの増額や
いやあのそういう事言ってるトンチキはもちろん市場だからいるんだけど、お前この前の市場参加者会合の資料読んでるのかよって話で、そりゃまあ超長期買ってつかまっているから目先日銀にお助け下さいとかいうのはいるだろうけど、市場にはそんな声がでております、じゃねえよお前の認識どうなったるんだとしか申し上げようがない。
でまあ回答ですがこれがまた見事な大本営でして、
『(答)まず国債買入れ減額計画についてでありますけれども、これは私午前中のお話の中でも説明させて頂きました通り、基本的には予見可能性、もちろん柔軟性を伴った予見可能性ということでありますけれども、それが一番非常に重要であると。』
で、以下の回答が完全に大本営でしてマネタリーベース直線一気理論とか高圧経済とかとは全然違うお話が展開されています、すなわち、
『つまり、それは長期国債、昔のようにYCCのように長期国債の金利というものを日銀がある意味一つの政策目標にしていた状況とは全く違っておりまして、現在はあくまでも短期金利の操作によって金融政策を遂行している。』
ほう。
『そういう意味で言えば、国債買入れの金額から長期金利というような経路を通じた、その経路というものは、少なくとも政策としては考えていないということであります。』
そもそもYCCじゃなくてお前らの言ってたのマネタリーベース直線一気理論じゃなかったのかよという話で、完全に大本営の教育が行き届いて大本営のまんまの説明をしている訳ですな。
・・・・・となりますと、6月末で中村審議委員がご退任になられる訳でして、リフレとか言って自我を持ってハトハト金融緩和高圧経済を言いそうな野口さんが大本営にすっかり洗脳されてしまったという現状であれば、まあ大本営好き放題の図、ということになりますな。ゆうてトップが足元すっかりハトハトチキン音頭を爆音で踊り散らかしているので、だからと言って急に利上げが早まるというもんでもないですが、なんせ植田とかいうハトハトチキン先生、急に何かのスイッチが入ると突然威勢の良いことを言い出すジャガーチェンジムーブをぶちかますので、まあ別に利上げが全然ないですわ〜と言ってる場合でもないとは思いますけど。
でもって続き。
『ただ、これまで日銀がYCCを行っていく過程の中で、国債買入れ額というのは相当の規模になっておりますので、これをある種縮小していくということは当然のことであると考えております。』
まあ冷静に考えると何で縮小するのが当然なのか、って話があるのですが、ここをゴリゴリと突き詰めてしまいますと「中央銀行による財政マネタイズ」という管理通貨制度における最大の禁じ手の話になってしまうので、この点については既にバランスシートのランオフをしている中銀も含めて歯切れが悪くなるんですよね。
『それは市場にとってもある程度のボリュームをもって、その売買が行われる状態というものが重要だと考えておりますので、そこに向けて基本的にはマーケットをできるだけ荒らさないようにということは、つまり日銀が政策的な意図を持って何かその国債買入れの増減を行うということはないということが一番基本であるというふうに考えております。』
輪番の上げ下げに政策的を持たない、だそうですので、これは後半の「介入して下せえおねげえします」とかいう日銀依存ジャンキーで市場参加者の矜持を欠片も持たない輩への回答にもなっています。
でもって「長期的な視点」云々に関して回答の続き。
『ただ、より長期的に考えていきますと、最終的に日銀がどういうところで着地をするのかというのは、要するに中央銀行のバランスシートが最終的にどの規模に落ち着いていくのが最適かという問題になってくるわけであります。』
さいですな。でもってこの次の回答がズコーなのですが、
『これは実はまだどこの中央銀行も同じだと思いますけれども、量的緩和というものを行った中で、国債の買入れが膨れ上がったものを正常化してどこまで縮小していくのかというところですね、ここはまだ明確にはなっていないという状況の中で、手探りでそれを探っていくということになるわけでございます。』
だったら何で今回の見直しにおいて「長期的な視点」での話をするって事になっているのかが意味不明で、そんなの来年になって再度状況を見て、日銀のバランスシート規模と短期金融市場(長期金利ではない)との兼ね合いを見ながら規模の縮小をどの程度実施するのか、を考えるって話をすればいいのに、何で長期的な視点の話が今回出たのかが謎で、植田総裁の趣味で言ってたのか大本営が言わせたのか知らんけど、全く意味ねえじゃんと思いました。
まあそれは兎も角としまして次。
『その中で日本銀行としては、当面の計画というものは決めておいた、それを今後は実行していくと、少なくとも来年[3月]の時点まではそれをやっていくというようなことにおそらくなっていくわけであります。』
だったら別に長期的な検討は今後に回せばいいだけの話なんですがなぜか・・・・・・
『その後のことを考えますと、その最終的な姿に向けて、どういうふうにスムーズにそこに持っていくのかということを考えて行く必要もあるという、そういう意味で長期的な観点ということをお話したわけであります。』
そもそも姿が決まっていないのにスムーズに持っていくも蜂の頭もないんだが。
『ただし、具体的にそれがどういう金額になるのかというような具体的な数字ということに関しては、ようやく市場関係者からのヒアリングというのも終わってですね、それをわれわれとしても踏まえた上で、なるべくマーケットに予見可能性というものを乱さないようなかたちでこれまでの計画を大きく変えることはおそらくはないと思いますけれども、それで最終的なところにうまく着地していくような、そういうような新たな計画というものが必要になるというふうに考えております。』
???????????????
最終の着地がどうなるか今時点で皆目見当がついていないのに何で「最終的なところにうまく着地していくような、そういうような新たな計画というものが必要になるというふうに考えております。」という話になるのかが良くわからんのだが、大本営の屁理屈を教わったのは良いけど、大本営の屁理屈って屁理屈として練りに練っているだけに、ちゃんと構成を理解して捏ねないと上記のようにお前は何を言ってるんだということになりますので使用上の注意を良くお読みになってお使いくださいw
『これが最初のご質問に対するお答えであります。それから、4,000[億円]というような金額を維持すべきかどうかというようなことに関しては、これは今後の検討次第、検討を経た上で決めるということになると思います。』
だそうな。
・マーケットに対してリアクティブに何か介入するわけじゃないよ
でもって今の質疑応答の応答の方はまだ続くのですが、さっきの「介入クレクレ」へのご回答編。
『超長期の金利水準がこれまでの水準を考えると非常に金利が引き上がっていくペースが速いというようなことが最近生じているわけでありますけども、これと今度のこの
6 月に行われるような新たな計画というものが、私自身は少なくとも直接リンクするというふうには考えておりません。』
はい来た〜〜!!
ということでリフレリフレ言ってた人とは思えない発言ですが、まあ大本営もさすがにこの程度で一々日銀が市場に手を突っ込むほうがアカンじゃろ、という認識は持っているようでして、誠に結構なお話ではあります。だいたいからしてこの程度で一々介入やりだしたらそれこそキリがなくてYCCに戻るようなもんだし、なんかの拍子に財政ファイナンスって言われだし兼ねないし、そういわれた場合のリスクは今の財政運営を巡る政治状況から言ったら過去にないくらいに地雷踏むリスクがあるわけですからね。
『これはある意味で、長期金利はマーケットに委ねるというようなことを決めたわけでありますから、その中にはマーケットというのは様々な情報を消化していく中で、金利というものが形成されていくということだと思います。』
極めて大本営なのですが、これをリフレ野口さんが言う、というのが感慨深い。
『最近の長期金利の動きというのも、おそらく背後にいろいろな要因があって、その中には米国の政策の不安定性あるいは米国の長期的な財政状況というもの、こういうものは特に超長期金利、長い方の金利にいけばいくほどですね、長くなればなるほどそういう世界的な連動性というのがどうしても高まってきますので、そういうものの影響というのも日本の超長期金利も受けざるを得ないという中で起きている現象であると。』
日本の財政、と言わないのが日銀大本営の腰の弱い所でして、んなもん総裁副総裁に言わせると多少アレですけれども、ヒラの政策委員が言う分にはOKじゃろとは思いますけど。
まあ日本の場合はそれもあるけれども、「本来もっと前に上がっていて然るべきだった長期金利が日銀の買入によって不必要に抑えられていて、その本来起こるべき金利上昇が日銀の買入関与が相対的に低い超長期金利にまとめて出た」って話じゃないですかねえという所ですな、知らんけど。
『それ自身ですね、急激ではありますけれども、それが非常に何か異常な動きであるかどうかというのは、私は一概にそういうふうに決め付けることはできない。そこにはやはりマーケットなりの判断がその背後にあるわけでありますから、それをむやみに介入をして何か操作するというようなことは私は適切ではないというふうに考えています。』
おおおおおおおおおお!!!!!!!
ということでリフレ野口がこれを言う、ってのは中々インパクトがある(と言ってもまあ金懇挨拶のテキストみた時点でこういう回答になるんじゃろうなというのは想定できるんですが)ということではあったかと思います。
・長期金利市場に対するコメントが真人間にも程があってビックリした件
でまあ他にも輪番に関する質疑あったのですが基本的にさっきの説明と同じことを言わせるだけの愚問だったので割愛しますが、最後の奴だけ引用しますね。
『(問)度々繰り返しとなって、恐縮なんですけれども、足元の長期金利、超長期金利の国内の上昇について、今上昇ペースが広がってますけれども、これは国債買入れ減額の見直しにあたって金額の増減を判断する、機動的に対応するような例外的な状況ではないっていうご認識でよろしいでしょうか。』
この回答がリフレ野口とは思えない回答で面白かった。
『(答)私の個人的な今の見方では、これまで日本の金利というのは動かない世界にあった、長期金利もマイナスの時期もあったぐらいなわけでありますから、そういう意味で言えばイメージとしてですね、これだけ上がりますと非常に急激だというようなイメージがあるわけでありますけれども、もともと金利というのはいろいろな将来の予想や思惑というものを反映してかなりボラタイルに動くというのが金利というものであります。』
うひょーーーーーーーーーー
『そういうふうに考えますと、それが一概に、何か異常なものと決め付けるというのも難しいわけであります。』
何という真人間発言w
『もちろん状況によっては、中央銀行として金融市場を安定化させるために積極的に何かをやらざるを得ない状況というのは、当然あると思いますけれども、現状では少なくともそういうような状況にはないというふうに私は考えております。』
そらそうよという所ですな。
・トラ公関税政策に関連して
『(問)午前の講演の方でも少し触れられていたようなんですけれども、今後の不確実性という意味で、アメリカのトランプ政権による関税措置についての影響について、懸念というか危惧するというふうな話も出てたんですけども、警戒感というか、先行きの不透明感が漂う今の状況について、改めてご見解を伺いたいのと、それが今後の日本銀行の追加の利上げ措置に与える影響について、今、現時点でのお考えを教えてください。』
でもってこちらの回答ですが、
『(答)これは、正直申しまして、4 月 2 日以前の状況と、それ以降の状況というのは、世界的なマクロ経済状況が大きく変わってしまったということは認めざるを得ないというふうに考えております。』
「前提」は変わったと思うが「状況」はこれから変わると思うんですよね、まあいいけどさ。
『その 4 月 2 日の結果として金融市場というのが大きく変動をしたわけであります。しかし、その後の状況をみていきますと、さすがに最初のトランプ関税ショックの状況がいろいろな情報が新たに付け加わることによって、少しずつ解消されてきているというのも事実であります。』
このあたり、ちょいちょいと大本営ってハトハト一辺倒じゃない説明を挟むんですよね。
『しかし、そうは言ってもこれからどうなるかというのは、まだはっきりとしていないということです。』
そらそうよ。
『日本にとってみれば、一番大きいのが自動車関税だというふうに思いますけれども、それがどういうふうに落ち着くのか、それからやはり中国と米国との関税の協定というのも、日本においても非常に中国経済と日本経済との結びつきはそれなりに大きいわけでありますから、中国あるいはアメリカ、米中関係というものが大きく毀損されるということになると、その影響を日本も受けるということでありますけれども、これも一時の非常にほとんど貿易が途絶するような状況が予想されるような状況からは、かなり解消されてきているということを考えますと、少しずつ霧が晴れてきているというような状況だというふうに考えております。』
この「一時の非常にほとんど貿易が途絶するような状況が予想されるような状況からは、かなり解消されてきている」って説明は重要で、つまりは「コロナショックのようなことにはならない」というお話なんですけど、どうせなら説明で「コロナショックのような世界貿易が止まる勢いのショックまでは至らないかもしれませんね」位言えば良いと思うのですが、そこは何か説明しないんですよね、何でじゃろ。
『その中で金融市場の方も少しずつ落ち着きを取り戻していると。』
へい。
『ただし、そうは言っても、また何か新しい状況が出てきて、それがかなりネガティブなものだったりすると、またそこに反応するということは起きておりますので、まだ完全にその
4 月 2 日以前に戻ったとは全く言えないと。暫くはこの不確実な状況は続くだろうということだと思います。』
そらそうじゃろね。
『そのうえで、日銀の金融政策についてでありますが、これはやはり 4 月 2 日当時の状況は、これはいったんとにかく状況を、関税がどういうところに落ち着いていくのかを見極めるしかないというような時期が一定程度続いたわけでありますが、少しずつその帰趨というのが明らかになっていく中で、とはいってもかなりの下押し効果というのは、最善の、例えば各国別の追加関税っていうのがかなりなくなったというようなかたちでも、アメリカの
10%の基本的な関税は残るわけですから、その分に関してはかなり下押しが生じるということを考えますと、ある程度の見通しのずれというのはやむを得ないというふうに思っております。』
まあその通りなんですが、今回展望レポートでそれを織り込ませて見通しを下げた、ということでして、じゃあその織り込ませってどのくらいなのか、というのがまあ何となくフワッとは書かれているのですが、実はどの辺まで織り込んでいるのかが公表文書だとよくわからんという作りになっているのが今回の展望レポートの不親切設計部分で、今後の展開における関税政策動向の推移が、4月展望レポートでの想定対比で上振れしているのか下振れしているのか、というのが分からない状態だと、展望レポートで示された経済物価パスおよび政策パス(政策パスは明示的には示していませんけれども察するパスね)から上振れるのか下振れるのかが分からん、という状態に今はあるので、6月会合と言いたいけど少なくとも次回の展望ではもうちょっと明確な前提を見せて欲しいです。
『けれども、これが場合によっては思っていたよりも元の軌道に戻っていく時期が早くなる可能性もあるかもしれないというのが今の状況だと思います。ただ、そうは言っても、やはりまだ不確実性は非常に大きいので、見通しというのがはっきりしないとなかなかわれわれとしては次のステップというのを踏むというのはリスクが非常に大きな状況であり、あえてリスクを取るという選択肢はあり得ません。』
だそうなのですが、そもそも正常化が遅れるのがリスクになりうる、という発想が野口さん、というよりは大本営なんでしょうけれども、その辺りには無い(主な意見や議事要旨を見ていると多分抜刀斎辺りを筆頭に正常化を遅らせるリスクについて指摘する向きもあるので、政策委員会全員がそうなのでは無いとみられますが)なあというのは分かるかと思います。
『そういうふうに考えますと、私は午前中にほふく前進的なアプローチというふうにお話しましたけれども、そういうような考え方で暫くは弾丸が飛び交うような状況でむやみに動かないで、状況をまず注視していくというのが現状では基本になるというふうに考えております。』
まあとりあえず大本営は動きたがらないというのは把握したので今朝はこの辺で勘弁。
2025/05/23
お題「債券市場備忘メモ/野口審議委員宮崎金懇は驚愕の大本営腹話術ムーブ」
このゴミクズみたいな題名をつけたのは誰ですかしら
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-21/SWKDY6T0G1KW00
日銀テーパリングに警鐘鳴らす国債市場、買い手がストライキ入り
グラス美亜、アリス・フレンチ
2025年5月21日 9:04 JST 更新日時 2025年5月21日 13:56 JST
何で日銀テーパリングに警鐘なんだよどうみたって財政規律への警鐘じゃろ大丈夫かお前ら、と思いました(個人の偏見です)
まあこういうときは日経かNHKがちゃんとした説明をしていただくしかないってところですわな、とは思うのでした。
ああそういえばあえて細かくは言及しませんけど、『このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません』って入れればどんなゴミコラムを掲載しても良いと思ってるんじゃねえよ某ベンダーよ、と思ったのですがヒット数に貢献するのもシャクなので敢えてどこのベンダーの何なのかは割愛しますw
〇うーむ引け前30分弱で下げましたか債券ちゃん(という備忘メモ)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/RAZKSJSUNBJQNEOPROE44VTUKE-2025-05-22/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利2カ月ぶり・40年金利は過去最高水準更新
ロイター編集
2025年5月22日午後 3:47 GMT+9
『[東京 22日 ロイター] - <15:15> 国債先物は続落、長期金利2カ月ぶり・40年金利は過去最高水準更新
国債先物中心限月6月限は、前営業日比49銭安の138円65銭と4営業日続落して取引を終えた。米金利の大幅上昇や日銀審議委員の発言が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.565%と2カ月ぶり高水準をつけたほか、同40年国債利回りは連日で過去最高水準を更新した。』(上記URL先より、以下同様)
野口審議委員の金懇があって、引け前には会見のヘッドラインが流れていましたけれどもその話はこの先の方で行いますとしまして、
『午前には、日銀の野口旭審議委員が宮崎県金融経済懇談会であいさつし もっと見る
、利上げには「ほふく前進的なアプローチが重要」などと発言。さらに午後の記者会見で
もっと見る 、超長期金利の上昇について「現状では対応が必要な状況ではない」などと発言すると、円債先物は下げ幅を拡大した。』
まあ実際どうだったんでしょうかね、ってのはあって、会見での発言は別に普通に大本営の言いそうなことを言ってるだけだったし、この程度で一々日銀が市場介入してたら、「中銀プット期待」が無限に残り続けてしまう訳で、それは何時まで経っても債券市場の(価格発見機能とかそういう本当の意味での)市場機能は回復しないまま、という話なんで、市場介入発言に期待して失望売りした、って本当に失望してるんだったら、そのような輩は市場に対峙する見識が皆無としか言いようが無いので退場されることを推奨いたします。
まあ馬鹿アルゴとかが反応したとか、このヘッドラインでの連想売り期待して仕掛けに行くとか、そういうムーブはいつもの事なので馬鹿アルゴは要らんのだが仕掛け売りムーブはそりゃまああるじゃろとは思うので、そういう感じでの下げは起きるかもしれないとは思いますけどね。
今回はたぶん引け前25分か30分前くらいからエンバーゴになっていたんじゃないかなという感じで、引け際の会見ヘッドラインリスクのこと考えたら(ケースによっては引け前15分くらいとかからヘッドライン出ていた時もあったので)最近少し会見を流す時間を早めてヘッドラインが引け際にぶつかって市場に無駄なボラを起こさないような配慮というか努力してるのかな、っていうのはあったのですが、まあ昨日の場合は引けギリギリまでホイホイとヘッドラインが出続けていたのもあって、これ会見の頭もそうなんですがケツの時間が引け際ギリギリでそこでヘッドラインリスクを誘発するような受け答えが出てしまうのも何だよな、とはちょっと思いました。
とは言え、最初に申し上げたように、そもそも野口さんの説明は大本営の九官鳥あるいは腹話術人形の範囲を逸脱しているような感じは無かったので(ただそのこと自体に意味があるのでは、という話はこの後で)本当の本当の意味で野口さんの発言のせいで引け際下がったとは思えないですけど、まあこうやって記事のネタにされてしまう、ってのも日銀的にはリスクになるんじゃないのかな、って思いますので・・・・・(いやまあロジ的にこのくらいの時間に会見が入らざるを得ないってことなのは想像つくんですけど)
まあそれは兎も角。
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比1.5bp上昇の0.730%、5年債は同3.5bp上昇の1.030%。20年債は同5.5bp上昇の2.595%で2000年10月以来の高水準、30年債は同3.5bp上昇の3.170%、40年債は同6.0bp上昇の3.675%と過去最高水準を更新した。』
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.721 0.735 0.017 15:03
5年 1.023 1.031 0.034 15:11
10年 1.561 1.567 0.052 15:14
20年 2.579 2.589 0.049 15:15
30年 3.156 3.181 0.037 15:16
40年 3.674 3.688 0.059 15:14』
ということで昨日の場合は超長期だけという話ではなくて10年とか先物とか含めてアイヤーって感じでしたな。
〇野口審議委員宮崎金懇:リフレの野口さんが大本営の腹話術人形をやっているとはこりゃビックリ
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250522a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
宮崎県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2025年5月22日
PDFバージョンはこちらですが、今回は対外公表時点でPDFとHTMLの両方が出ていたので、引用はHTMLバージョンの方から行います。
(PDF)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250522a1.pdf
・言ってることがまんま大本営になっているというのが兎に角ビックリしました
・・・・・ということで引用しますとか言ってるのに初手から結論を申し上げておりますが、アタクシ的に結構なサプライズだったのは「今回の説明が全然リフレ派じゃない」ということでして、野口先生何か変なもんでも食ったのかとも思いましたが、日銀大本営の粘り強い教育が遂に実を結んで邪宗門から離脱して真人間に戻られたというのであれば実に慶賀すべきお話ではあるな、などと思った訳ですが、まあビックリして債券売るほどのもんでもないとは思いますけれども、そうは言いましてもハトハトチキンムーブを増幅するブースターにはならなくなる、というだけでも政策委員会のタカハトバランスには影響する話ではあろうかと思いました。
でもってですね、会見の方は当然ながらヘッドラインでしか現時点では存じ上げないのですが、そっちもリフレ派の発言とは思えない大本営九官鳥ムーブになっていましたし、何なら大本営よりも威勢が良いんじゃないかって読めそうなヘッドラインもあった(ヘッドラインなので眉唾で読む必要はあるのですけれども)訳でして、これが元々から大本営の腹話術人形やってる人が言ってるなら別にどうということは無いのですが、リフレ派としての自我があるとみられている野口先生がいきなり腹話術人形にクラスチェンジしたってのはまあそれはそれでインパクトあるじゃろ、とは思いました。
・・・・ということなので内容は大本営発表なのですが一応鑑賞するのは鑑賞します。
・金融政策運営の話がまさかの堂々大本営腹話術
『3.金融政策』ってところですが、最初の小見出しの名前が『(1)政策金利の調整』となっているのが既に大本営臭がプンプンしますけど・・・・・
『日本銀行は昨年3月の金融政策決定会合において、物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断して、それまでの大規模金融緩和政策を停止し、短期金利の操作によって金融緩和の度合いを調整する伝統的な政策枠組みに移行しました。日本銀行はその上で、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を昨年7月には0〜から0.1%程度から0.25%程度に、そして本年1月には0.5%程度まで引き上げました(図表7)。』
というのはまあマクラ。
『日本銀行がこのように政策金利の調整を進めてきた理由は、2%程度の物価上昇が安定的に達成される状況に可能な限り円滑に到達する点にあります。』
おや、これは・・・・・・
『確かに物価は上振れているとはいえ、後述の「物価の基調」を勘案すると、現状ではまだその目標地点には到達してはいません。』
でたな「物価の基調」とかいうお気持ち物価、ということですが、この説明部分が後にあってこれがまた普通に大本営の説法のまんまって感じなのが何ともです。まあ先に行きまして、
『他方で、様々な指標はそこに着実に近づいていることをも示唆しています。』
ほう。
『仮に目標到達が完遂されるまでは政策金利調整を一切行わないとすると、目標達成時には、経済的ショックをもたらしかねない、より急激な調整が必要となります。』
リフレ派って(最近は財政方面にお出かけとは言え)こういう説明はしないで高圧経済高圧経済ってイキリ散らかしている、というのが仕様だったりしますので、こんなまんま大本営の話をするとはこりゃビックリ。
『日本銀行は今後も、物価の基調が2%近傍で安定しつつあることを慎重に見極めつつ、政策金利を調整していくことになります。私は、その調整においては、ほふく前進的なアプローチが重要と考えます。』
しかしまたこれ大本営「匍匐前進」とか言い出しやがったのかという感じでして、どうしてこう微妙にヘタクソな言葉しか使わないのかというお話でして、この先を見ますと、
『それは、「政策金利を一段階引き上げるごとに相応の時間をかけてその経済への影響を確認し、さらにその時々の上下リスクを十分に点検した後に次の利上げを決める」といったやり方です。』
ってことだったら普通に「リスクバランス重視のアプローチ」でも何でもいいけど、別に「ゆっくり」を強調するような言葉使わんでもええじゃろと思う訳ですよ。
と申しますのは、そもそも匍匐前進でも何でもいいんですけど、そういうアプローチができるのは物価がそんなに上がらんという前提だからできる訳で、物価上昇が長引く結果インフレ期待が高まってしまうとか、もとより3年くらい物価が2%を上振れている状況の中で、日銀に対する物価高放置批判が高まってきた場合に匍匐前進とか言ってたら日銀は地獄の火の海に投げ込まれるだけの話であって、要は前提として(碌に当たらない大本営の物価見通しどおりに)アクチュアルの物価がここから伸び率を縮小する、というのがあれば匍匐前進可能、ってだけの話であって、その前提をネグって匍匐前進だけキャッチーなフレーズとして独り歩きさせるのってマズイと思うんですよね、いやまあ大本営は分かっててわざとネグっているんだろうな、というのは想像するに難くないですけど。
でまあその結果、
『これは、政策金利の終着点であるターミナルレートを中立金利の推計などから決め打ちするようなやり方はとらないことを意味します。』
まあそういうことになるんですけど、2%達成の判断基準も「お気持ち物価」なところに加えて中立金利も分からん、というのもなんだかなあっていうのはありますし、だったら最初から中立金利がどうのこうのとか精緻な推計ができるようにしていきたいとか総裁に言わせるなよって思うのです。
『そうした推計は、日本経済が数十年もデフレ的状況にあったことを踏まえると、ターミナルレートのおおまかな目途をつける以上の役には立ちません。政策金利の終着点は、その時点の経済状況とりわけ物価動向から判断する以外にはないのです。』
っていうのはまあそらそうよという話なんですが、だったら何で「今の実質金利は極めて低い」って決め打ち出来るのか、というツッコミにどう回答するのって話に繋がるわけでして、結局マイナス金利時代とかマイナス金利解除時代とかに説明に使うのに(どうせ中立金利まで遠いので)便利だから、ということで政策の説明に際して中立金利を絡めた説明を多用しちゃったから実際に利上げ開始モードになって中立金利との差が気になるようになってくるあたりで説明がややこしくならざるを得なくなる、ってことですわな。
でまあその辺に関してはそれこそ「展望レポートハイライト」のポンチ絵がその場その場での説明にはなっているのですが、過去との流れを見ると過去とのポンチ絵の流れが完全にぶつ切りになっていることにも分かりやすく示されている訳でして、植田総裁だってまあ説明が過去の理屈を打ち捨てて毎度新しい理屈で説明していてロジックの一貫性がない、ってのは気が付いていると流石に思うので、どう考えているんでしょうなあというのは聞いてみたいですね、たぶん一生心の中にしまっておかれるとは思いますけどね。
・今回の金懇挨拶の凄いのは長期国債買入に関する説明部分がまんま大本営なところでもありまして
でまあその次の『(2)バランスシートの調整』という小見出しですが、
『日本銀行は昨年7月の金融政策決定会合で、2026年3月までの長期国債買入れ減額計画を決定しました(図表8)。その目的は大規模金融緩和政策によって縮小した市場の回復であり、金融緩和の調整にはありません。』
増やすときは緩和緩和と言っておいて減らすときはテクニカル、というインチキ説明(世界中皆さんこれですけどwwwwwwww)はマネタリーベース直線一気理論とか言ってたリフレの先生とは思えませんが、というかYCCやってる中で長期国債の買入が減少していた時期にマッカラムルールがどうのこうのとか言ってリフレとゆかいな仲間たちって(日銀の中にいる連中は別として)文句垂れてませんでしたっけ、ってなもんですがその先に行きますと、
『政策金利である短期市場金利がもっぱら金融調節を通じて誘導・維持されていた世界金融危機以前の「希少な準備預金」の時代とは異なり、現在は政策金利が中央銀行当座預金への付利を通じて設定されており、政策運営はバランスシートからは独立しています。』
>政策運営はバランスシートからは独立しています
>政策運営はバランスシートからは独立しています
>政策運営はバランスシートからは独立しています
wwwwwwwwwwwwww
『仮に国債買入れ減額の多寡によって金融引き締めや緩和効果が生じたとしても、それは短期市場金利の操作によって調整されるべきものです。』
「国債買入れ減額の多寡によって金融引き締めや緩和効果が生じたとしても」って言いながらそれは政策ではありません、ってそもそも論としてお前は何を言ってるんだという世界(トン調節の時代に調節上の都合でやってるオペレーションを捕まえて緩和だ引き締めだと言ってたのも置物一派でしたなあそういえば)で、リフレの解毒が完全に終わっておられないのではないかと推測されます(個人の臆断です)www
『昨年7月の計画は、月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4千億円程度ずつ減額するといった、それ自体は機械的ともいえるものでした。これは、長期金利の形成がもはや市場に委ねられた以上、政策的な意図による国債買入れの増減は行わないことを意味します。他方で、市場急変時には買入れ額を機動的に変更するという部分では、その計画には一定の柔軟性が担保されています。』
どう見ても大本営情報部発表です本当にありがとうございました。
『それは、市場の回復が重要とはいっても、そのことがむしろ市場の混乱を助長あるいは放置する結果になっては無意味だからです。ただし、そのような例外措置は、あくまでも市場に無秩序な攪乱が生じた場合に限定されます。』
と参りまして、
『日本の10年物国債金利はこの3月には1.6%弱まで急上昇しましたが、それは個人的には、急激ではあっても攪乱的とはいえなかったと考えます。というのは、それは主に、日本の経済や物価の上振れを背景とした、ターミナルレートに関する市場の目線の切り上がりを反映する動きであったように思われたからです。』
完全に大本営、というかこの部分があった時点でお察しなのに、何で会見ヘッドラインで反応するんだよというお話もでもありまして、金懇挨拶の時点で今回は大本営発表が会見でも行われるじゃろ、という話にならんのかね、とは思う所ではありました、って事後諸葛亮で恐縮ですが。
『昨年7月の長期国債買入れ減額計画は、本年6月に中間評価を行った上で、2026年4月以降の新方針が示されることになります。』
でもって・・・・・
『私自身は、今のところは、既存の計画を大きく変更する必要性は感じませんが、2026年4月以降に関しては、より長期的な視点から検討する必要があると考えます。』
ほうほう。というか「より長期的な視点の検討」は良いんですけど、その結論は何も今の時点で決める必要はないと思うのですよね。
『いずれにせよ、現在の「潤沢な準備預金」を前提とした政策レジームでは、バランスシートの縮小は十分な時間をかけて進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましいといえます。』
でまあこれも普通に大本営なのですが、こちらに関しても「物価上昇が抑制されている」という状況であればバランスシートの縮小についても(中立金利近辺への利上げと同じ理屈で)匍匐前進できるかとは思うのですが、こちらに関しては物価上昇に加えて「日銀の買入が特に中短期の金利を無駄に抑制しているために市場が機能しにくい状態になっているからなんかの拍子に大きな動きになる」ってのが起きており、しかも市場を大きく変動させるトラ公関税とかいう馬鹿ムーブがあるので、市場機能回復は急がないといけないと思うので、この大本営および野口さんの認識はどうなのかとは思います。
とは言いましても、まあ現状検討中というステータスなのであんまり変なこと言いにくいってのは分からんでもないのですけれどもね。
まあいずれにしましても、長期国債の大量買入れで期待インフレに直接働きかける、とか言ってた置物とゆかいな仲間たちの説明とは思えないお話をおっぱじめていた、というのはサプライズではありました。
以下『4. 2%の「物価安定の目標」の持続的達成に向けて』の部分はこれまた大本営発表なので見ても見なくても良いかと思いますが、会見録をネタにするついでにネタにするかもしれませんししないかもしれません。
2025/05/22
お題「あらアメリカン金利も上昇ですか(備忘メモ)/NBFIに関する日銀レビューは読んでみるのが吉かと」
あらま
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250521/k10014811761000.html
小泉新農相 就任会見で「備蓄米入札を中止 随意契約を検討」
2025年5月21日 22時46分
米価を下げるのを目的化して要らん事(外米輸入完全自由化とか価格統制とかそういう後に禍根を残しそうな派手なこと)をおっぱじめそうな悪寒しかしませんし、生産農家にしてみたら米よりも他の作物作った方が収入になるって状況になっているんだから目先の価格上昇を何とかするだけの発想じゃ多分どうにもならんのですけどね。
〇なんか色々と金利が上昇しておられるようなのでメモメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL21D6Q0R20C25A5000000/
NYダウ続落、一時800ドル安 米長期金利の上昇を嫌気
海外
2025年5月21日 23:26 (2025年5月22日 4:10更新)
『【NQNニューヨーク=横内理恵】21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落して始まり、午前9時35分現在は前日比362ドル67セント安の4万2314ドル57セントで推移している。米長期金利の上昇が株式の相対的な割高感につながり、嫌気されている。21日の米20年国債入札が不調だったとの報道をきっかけに金利上昇が加速し、ダウ平均は一時800ドル超安まで下落する場面もある。』
『21日の米債券市場で長期金利の指標となる10年債利回りは前日比0.06%高い(債券価格は安い)4.54%を付ける場面があった。30年債の利回りは再び5%台に上昇している。米国の財政悪化懸念が金利上昇への圧力となっている。海外投資家の米国資産離れが進むとの観測もあるなか、米国債への需要を見極めるうえで米財務省が21日に実施する20年債入札に関心が集まる。』(上記URL先より、引用は原文ママ)
てな訳で日経電子版の(アタクシが朝見た時点では)中でも割と良く見えるところにあった記事ちゃんになりますが、アホアホ財政でMDY格下げで、ということで金利上昇とはこれまた市場の価格発見機能による警鐘ということで誠に結構なお話ではあります(ってどこからどこまでが警鐘と投機の境目なのかは知らんけど)。
でまあ昨日のジャパンですが、
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/3RJUUD2MYBKNZH7Q5YRNJUQHR4-2025-05-21/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、長期金利1.515% 中期債は金利低下
ロイター編集
2025年5月21日午後 3:32 GMT+9
『[東京 21日 ロイター] - <15:21> 国債先物は小幅続落、長期金利1.515% 中期債は金利低下
国債先物中心限月6月限は、前営業日比1銭安の139円14銭と小幅続落して取引を終えた。手掛かり材料難で、国債先物は方向感に乏しかった。新発10年国債利回り(長期金利)は同横ばいの1.515%。現物市場では中期ゾーンの金利低下が目立った。』(上記URL先より、以下同様)
ってな訳で、
『市場関係者によると「中長期ゾーンと超長期ゾーンで、市場は分断されている状況だ」(国内証券債券セールス担当)。超長期ゾーンは「前日の夜間取引では同ゾーンの金利急上昇を受けて海外勢の買いが入ったとみられる一方、きょうも国内勢の動きは鈍く、ポジション調整の動きが出ている」(同)という。中期ゾーンは国内勢による押し目買いが入っていると指摘する声が聞かれた。』
ナムナム・・・・・・
『現物市場では新発債利回りはまちまち。超長期ゾーンは後場に入り金利上昇圧力が強まる場面があった。前日の20年債入札不調の余波や、4月分の公社債店頭売買高で国内勢による売りが鮮明となったこともあり、「改めて国内需給の悪化が認識された格好だ」(りそなHDの佐藤氏)という。その後、押し目買いに支えられ、金利上昇幅を縮小した。』
ってな訳で、前日の入札不調でアヒャーとなった20年はまだマシっぽかったけど、30年40年ちゃんの方が循環逆物色みたいな感じでよわよわみたいな感じで、
『20年債は一時2.575%と2000年10月以来の高水準を付けた後、同2.0ベーシスポイント(bp)低下の2.535%。30年債は一時3.185%と過去最高水準まで上昇した後、同0.5bp上昇の3.130%、40年債は一時3.635%と過去最高水準を付けた後、同1.0bp上昇の3.605%。
2年債は同1.0bp低下の0.715%、5年債は同1.0bp低下の0.995%。』
うーんこのという感じで、
『 OFFER BID 前日比
2年 0.705 0.718 -0.011 15:08
5年 0.99 0.996 -0.012 15:18
10年 1.511 1.518 -0.001 15:18
20年 2.534 2.541 -0.008 15:17
30年 3.111 3.13 0.001 15:13
40年 3.596 3.603 0.018 15:17』
てな訳で、一応引けのところでは小マシになっているので、一旦ピークアウトしたと言いたくはなるのですけれども、アメリカン債券市場様が上で引用したような(ノ∀`)アチャーになっているとなるとまあこれもねえという感じもするのですが、この辺はいざ今日の市場がおっぱじまってみないとよくわからんとしか言いようが無いので判断保留。
というただのメモなんですけど、だから日銀が超長期の輪番をどうのこうの、というのを輪番の縮小計画と絡めて話をするのは筋違い、というかそもそも論としてYCCからの脱却に関して金利上昇を過度にビビって輪番縮小ペースがクソ遅かったから輪番縮小の方が完了する全然前の段階で市場への対応がどうのこうのという話とカチ合ってしまった訳でして、とにかく世の中何が起こるか分からんのだから、必要のなくなった政策手段はとっとと撤収すべきだし、輪番に関して言えばYCCという政策を最後の方が特に必要も無くなっている経済物価情勢なのに無理やり継続して継続のために買入の爆発的な拡大をしたから縮小が遅れるわ後遺症が拡大長期化して残るわ、なのであって、そういう点からも先般の「多角的レビュー」ってどうみたって時期尚早の明の太祖洪武帝ムーブだったわけで、これもう植田日銀で再検証させたって同じことかできなさそうだから、次か次の次くらいにもう一度検証して頂きたいもんだと思う訳ですが、こちらもそのころまで元気でいないと成仏できんわという感じです、いやマジで。
てな雑談はともかくとしまして、
〇NBFIに関する日銀レビューがあるのでまあ読んで味噌というお話です
こちらですがどさくさに紛れてすっとばしていたのですが、要確認の日銀レビューなのでさらっとご紹介しますが皆様もご確認つかあさいとは思いますので。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2025/rev25j03.htm
ノンバンク金融仲介機関の近年の動向と強靭性向上への取組み
025年5月15日
金融機構局 大石洋、小林永典*、杉原慶彦
*現・静岡支店
こちら、金融機構局のスタッフによるレビューですのでお察しの通りですが、今回の金融システムレポート(FSRが使用しているエディタの文字コードが何故かこれだけ日銀の通常のと違うせいで、テキストに落とすときの関係上ネタにするのがめんどいのでネタにしていないですすいません)の中で、
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr250423a.pdf
金融システムレポート
2025 年 4 月
主に本文53ページ(PDFだと58枚目)以降に、『2.内外ノンバンク部門を巡るリスクと金融安定上の含意
』ってお題のコーナーがあって、今回のレビューに関してはこれに関連するお話になるので、FSRの当該部分もご覧になるとよろしいかと思うのです。
でまあ要旨の方はさっきのご紹介HTMLから引用しますが、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2025/rev25j03.htm(再掲)
ノンバンク金融仲介機関の近年の動向と強靭性向上への取組み
『要旨
ノンバンク金融仲介機関(NBFI)は、グローバルな金融資産のおよそ半分を保有しており、金融仲介活動において重要な役割を担っている。内訳をみると、近年は、伝統的なNBFIである保険会社・年金基金ではなく、投資ファンドのプレゼンスが世界的に高まっているほか、主としてクロスボーダー取引拡大を介して、銀行部門とNBFIの相互依存性も高まっているとみられる。』
ってな訳で、
『このもとで、投資ファンドを中心としたNBFIの経済行動がストレスを増幅するなどして、金融市場の価格変動が高まったとされるケースも増えている。』
ほうほうそうですかそうですか。
『こうしたストレスは、銀行部門を含むグローバルな金融システム全体にも容易に波及しうるため、金融安定理事会(FSB)を中心に、脆弱性の抑制に向けた様々な政策勧告が出されている。本稿では、FSBが定期的に公表している「グローバル・ノンバンク金融仲介モニタリング報告書」や政策勧告などをレビューし、NBFIによる金融仲介の特徴やその強靭化に向けた取組みを紹介するほか、先行きの課題を展望する。』
ということで壮大な話ではあるのですが、一番わかりやすいのであればこの前のコロナショックの時にまたまた米国ではMMFの保有するCPがどうたらこうたらでお助けオペをFEDが時限的に実施していましたが、あれ前回のショックの時も似たようなのをやっていて、その度ごとにFSB-IOSCOがMMF規制強化しているんですが、アメリカン短期市場って馬鹿なのか悪知恵が卓越しているのか知らんですけど、毎回何とかショックでやらかしているの米国で、そのケツが世界的な規制強化に繋がるというなんだかなあって事象が発生していたりもしますわな。
ということで本文ですが今朝はショパンの事情で簡単に。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2025/data/rev25j03.pdf
日銀レビュー 2025-J-3
ノンバンク金融仲介機関の近年の動向と強靭性向上への取組み
(以下こちらの本編より引用)
『はじめに 』ってところをさらっと見ますと、最初のところに『【図表 1】主な
NBFI 』ってのがあって、この中でまあだいたい今回というか近年の規制監督的な話題と言えば図表1にある一番下の、『投資ファンド』になりますが、その分類を見ますと、『本稿の定義』ってのでは、
『証券の発行により資金を集め、運用益を投資家へ還元する基金の運用主体。発行体が証券の常時買戻しを保証している投資ファンドをオープンエンド型ファンドと呼ぶ。』
ってございまして、この中の類例として3つに分けていまして、それが
『MMF・MRF
ヘッジファンド
OIFs』
ってなってて、脚注に『(注)OIFs は MMF・MRF、ヘッジファンドを除く投資ファンド。』ってなっておりまして、さきほどワイが「一番わかりやすい例」って言ってMMFを挙げましたが、まあ米国のMMFが危機の度に流動性ガーCPのファイヤーセールガーって言ってお助け措置をFEDに泣きつくというポンポコムーブをやらかすもんだから独立項目になっているのが味わいがあるというものです(味わいは無いが)。
でまあこの項の最初のところ読んだら「ん??」ってのがあったから引用するわけですが、上記本編の1ページ右側の上の方の第2段落からになりますが、
『グローバルにみた NBFI の保有資産残高は増加傾向にあり、銀行部門とともに金融仲介を支えている。流動性変換や満期変換、レバレッジをかけた投資を積極的に手掛ける主体も存在するなか、特定の
NBFI の経済行動が金融市場におけるストレスの増幅要因ないし起点となるかたちで、金融市場のストレスが高まる事例や、銀行部門を含む他の金融機関の巨額の損失につながるような事例もみられている1。』
ってあるので脚注1を見に行きますと、
『1 2007〜09 年のグローバル金融危機では、リーマンブラザーズやベアスターンズなどのブローカー・ディーラーの破綻、AIG
やモノラインなど保険会社の破綻、およびブローカー・ディーラーが運営する投資ファンドの凍結や破綻、CDO
などの証券化商品の価格下落がみられたが、これらについてはいずれも NBFI の経済行動がストレスの増幅要因ないしは起点となった可能性が指摘されている(グローバル金融危機に関する指摘や分析は数多くあるが、例えば、Darrell
Duffie (2010), “The Failure Mechanics of Dealer Banks,” Journal of Economic
Perspectives 24(1), pp.51-72 を参照)。』
まあ起点は起点かも知れないですけど、いわゆるリーマンショックの時にその後の市場ストレスを増幅させたのは「カウンターパーティーリスクへの意識が非線形的に高まった」というのがあって、まあその後いくつかの対策は行われましたが、例えば日本で言えばオープン市場の金利がクソ高止まりしてしまって、レポレートや現先レートが貸出ファシリティ(公定歩合)金利近辺に張り付いてしまって、金融引き締め効果が発生した(というのに日銀が有効な政策手段を入れたのが12月の金融政策決定会合で、それまでコールレートの方は安定していたこともあったし、まあそれどころじゃなかったのも分かるのだがあれはどうかと思いましたわ)とか、そういうのもあるので、NBFIの行動がきっかけになりましたとかいうのはまあ事実そうじゃろとは思うけど、危機が拡大する過程においてはNBFIとは関係ない要因も多々あったと思うので(そもそもそうじゃなかったら危機が拡大しないでしょうよ)、こうやって割り切られてしまうとちょっと釈然としない面はある。
なお脚注が大変に細かくてさらに続くのですが、
『近年でも、感染症拡大期におきた 2020 年 3 月の市場急変では、プライム MMF
から資金が急速に流出し、一部ファンドの解約停止措置や CP 発行レートの上昇など短期金融市場の混乱を招いたとされる(FSB
(2020), “Holistic Review of the March Market Turmoil”を参照)。』
でまあこれを受けて世界的にMMFの規制強化がしばらく前におかわりされているし、FSBが本件に関してレポートを出したりしているんですが何せ英文だしめっちゃこまかくて、法域ごとに現状どうなっているとかそういう事まで書いてあるのでネタにするにはちょっと細かすぎるし読むのも骨だしそもそも英文だし(しつこい)のでまあ興味のある方がいるとは思えませんがそんなのありまっせということで。
『2021 年 3 月のファミリーオフィスの破綻では、同ファンドに与信を提供していたわが国金融機関を含む大手金融機関が巨額の損失を被った。』
ってのもネタになっているのだがそれは信用供与先が飛ぶという通常の与信行為で発生しうる通常の話じゃろって感じで、わざわざこれを例に出すのはちょっとNBFIに対して無駄に目の敵にしてませんか、とは思いますが。
『2022 年 9 月に起きた英国債市場の混乱時には、デリバティブを活用して債務主導投資(Liability
Driven Investment、LDI)を行う英国の年金基金が証拠金不足に陥り、金利の上昇が増幅された(伊藤ほか(2023)「企業年金の運用戦略からみた金融安定への含意−英国債市場の混乱からの教訓−」日銀レビュー2023-J-2
参照)。』
まあ年金基金もNBFIだからこういう例になるんだがそれ単純に過大なポジションの失敗によるもので、NBFIが悪いという話じゃないじゃろとは思うが。
『2024 年 8 月初には、海外投資家のハイレバレッジなポジションの巻き戻しが、わが国を含め先進国の株価などの価格変動を増幅させたことが指摘されている(金融システムレポート
2024 年 10 月号の BOX 1 参照)。』
ということで、いやそれはNBFIだからどうのこうのじゃなかろうってのも並んでいるのですが、まあこういう風に並べられる、という時点でプルーデンス方面(主にFSBという金融安定化委員会マターになります国際的な風潮ということですが)におけるNBFIへの風当たりは強いんだろうな、という話になるのですが、本文に戻りますと、さっきの続きが、
『また、こうしたストレスは、NBFI と銀行との間の資金貸借、有価証券投資、リスク移転取引などを通じてグローバルな金融システム全体へ波及しうる。』
からの、
『金融システムの安定を確保するうえでは、NBFI の脆弱性や銀行部門との相互連関性などを把握しつつ、強靭性の向上に取組むことが重要である。』
ってな話でこの先本編に繋がっていくのですが時間の関係でこの先は後日ネタにできればしますし、まあとにかく読んで味噌という話になるのですが、ただまあ金融の本質って満期変換であったり、信用リスクの引き受けであったり、というのが有るわけでして、(レバレッジに関してはちょっと判断保留するけどまあレバレッジもあるように思えますが)それを何でもかんでも「脆弱性」で片づけて「強靭性の向上」に寄せて考えてしまうと、金融仲介行為そのものが成り立たなくなるし、NBFIガーって言ってる部分の一部(全部とは言わない)には銀行への規制強化によってその手の機能がNBFIに流れ込んできた面だってあるじゃろ、と思うので、FSBのお立場は分かるのですけれども、過度な規制にならんように、とは毎度思うのでありました、というアタクシの個人の愚感想だけ申し上げて続きは後日やるかもしれませんしやらないかもしれません。
まあこちらの日銀レビューとFSRは読んで味噌ということで(しつこい)
2025/05/21
お題「超長期入札が大コケだったので記念メモ/国債市場参加者会合資料でたので鑑賞の巻」
ますますアレに磨きが掛かっていますな
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-20/SWJEPFT0G1KW00
石破首相のギリシャ発言は市場に影響与えかねず問題−玉木国民代表
照喜納明美
2025年5月20日 12:22 JST
お前の暴言の方が市場に悪影響与えとるわという話だし、何ならゲルがこういうと債券市場の中の人の感覚的には「ゲルは財政規律に関して目配りをしている」と好感するんだが(中の人でも一部の馬鹿何とかストのように息を吐くように妄言垂れ流しているゴミクズを除く)、玉木nってSNS重視してエコーチェンバーのサイクルに物凄い勢いで嵌ってるんじゃないですかねえ、とは思いました(個人の感想です)
〇20年国債入札がクソ流れしたので記念メモ
既に皆様ご案内の事だと思いますので備忘記念メモだけ。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20250520.htm
20年利付国債(第192回)の入札結果
『本日、20年利付国債(第192回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 利付国庫債券(20年)(第192回)
2.発行根拠法律及びその条項 財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項
3.表面利率 年2.4パーセント
4.発行日 令和7年5月21日
5.償還期限 令和27年3月20日
6.価格競争入札について
(1)応募額 1兆8,778億円
(2)募入決定額 7,509億円
(3)募入最低価格 98円15銭
(募入最高利回り) (2.540%)
(4)募入最低価格における案分比率 80.8791%
(5)募入平均価格 99円29銭
(募入平均利回り) (2.453%)』
oh・・・・・・
ということでテールが1円14銭でイールドでは8毛7糸流れるとかいう悲惨な入札になってしまいましたし、大体からして前場調整してなかったっけってなもんでして、どんだけニーズがないんだよという風情。
でまあ記念メモなのでロイターさんの解説も見ますと、
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/UVHA5BJQIBNJHOCBZEZDOMPIAQ-2025-05-20/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1カ月半ぶり1.515% 20年債入札不調
ロイター編集
2025年5月20日午後 3:21 GMT+9
『[東京 20日 ロイター] - <15:11> 国債先物は続落、長期金利1カ月半ぶり1.515% 20年債入札不調
国債先物中心限月6月限は、前営業日比10銭安の139円15銭と続落して取引を終えた。20年債入札が不調だったことが嫌気され、売り圧力が強まった。新発10年国債利回り(長期金利)は一時1.525%と3月28日以来の高水準を付けた後、同3.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.515%。新発20年債利回りは24年半ぶりの高水準、新発30年債と新発40年債の利回りは過去最高水準を付けた。』(上記URL先より、以下同様)
アイヤー
『朝方の国債先物は強含みで推移。前日の米長期金利が4.45%付近まで低下した流れに追随して始まった。その後は20年債入札に向けた調整が入り、先物はじわじわと上げ幅を縮小した。後場に入り、国債先物はマイナス圏に沈んだ。きょう実施された20年債入札では、テールが1円14銭と1987年以来の大きさとなったほか、応札倍率も2.50倍と2012年以来の低水準となり、不調な結果と受け止められた。』
1987年だとタテホショック関連ですかね(さすがにマジで調べないとわからん)という話ですが、まあその時代と今では金利水準全然違う(昔の方が全然高い)ので何ともかんともという話ではありますけれども、まあ6年国債で1円くらい流れたことも昔はあるのですが、それはそうと(ノ∀`)アチャーって感じでして、
『 OFFER BID 前日比
2年 0.717 0.723 0.003 15:07
5年 1.002 1.008 0.012 15:11
10年 1.509 1.515 0.034 15:07
20年 2.542 2.552 0.143 15:11
30年 3.124 3.139 0.164 15:11
40年 3.59 3.599 0.145 15:11』
ということで中長期は戻った(と言っても10年3.5甘とかですが)けど超長期アカンタレということになっておらえるようであばばばばーって感じですな。
まあアレです、これトークとしては財政懸念って話もあるにせよ、実際問題として財政懸念でジャパンがアレなのでショートで攻撃じゃああああ、というアタックで売られているという感じはあんまり(ほぼ)しないんじゃなかろうかという所で、どちらかというと財政懸念は「超長期ゾーンへの追加投資を及び腰にしてしまう」って感じは受けますな。あくまでも個人の感想ですがw
結局元を辿れば日銀の金利抑制政策の余波で国債の金利水準が(順当に2%の物価目標が達成された場合にごくリーズナブルに想定される短期金利パスよりも)恒常的に低い水準に日銀のマイナス金利YCC解除後も続いていて、そのせいで特に長短スプレッド取りに行く系の人が利回り取らざるを得ないので、とは言っても無理するわけではないのですが、それでも少しずつだけでも皆さんがそうやってポジション取れば結局全体としてはリスクが大きくなるわけで、そういう中でトラ公がらみのボラ上昇やら、ドイツ様の財政政策の転換やら、トラ公がらみの減税減税財政財政大合唱やらがあって、買いの手が止まっている中で新発が捌ききれずに金利が上昇して、別に誰かが気合入れてショート入れるわけでもなく、ロングの投げ回転が効いてしまっているという感じなんでしょうかね、知らんけど。、
とまあそんな訳ですので、「スムージング」とか言って金利抑圧効果のある長期国債買入をアホウのように継続するのは如何なものかと思う訳でして、そらまあマイナス金利とYCCを外した直後だとスムージングしたくなるのはわかるのですが、既に「2%物価目標達成に向けて徐々に政策金利を引き上げて緩和を調整する」って言ってるんだから、長期国債買入による市場介入をしている時間帯じゃなかったのに、まあ昨年減額ペースをビビって1年経過したらこうなった、ってなもんでしょうねとは思うのですが、まあそれ関連での市場参加者会合の資料が出てきましたので鑑賞鑑賞。
〇植田さんが会見で言ってる「来年春以降のデザイン」とかいうの引っ込めた方が良いんじゃないでしょうか・・・・・(市場参加者会合)
「債券市場参加者会合」(第22回)金融市場局説明資料[PDF 2,041KB]
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond250520.pdf
前段の資料ページはまあどうでもよいので、『4.意見照会へのご回答』以降を確認しましょう。
ということで資料の25ページ目(PDFも同じく25枚目)になりますが、(以下黒丸ポツとかチェックマークにつきましてはアタクシの編集の都合上全部・に置き換えて引用しております、為念)
・超長期は別にアタックとかではなくて過大なポジションがあったのがトラ公ショックで顕在化したって感じなのかな
『意見照会へのご回答(国債市場の動向)
・ 市場動向について、年度末にかけては「政策金利の引き上げや買入れ減額を背景に金利が上昇した」、本年度入り後は「10
年以下の金利は、米国の関税政策発表を受けて低下した」、「超長期ゾーンの金利は、投資家需要の弱さやポジションの巻き戻しにより、大きく上昇した」といったご意見を頂きました。
・ 国債需給について、年度末にかけて「投資家の様子見姿勢から悪化する場面もみられた」、足もとでは「中長期ゾーンの需給はタイト」、「超長期ゾーンの需給は顕著に悪化」といったご意見を頂きました。』
まあそうじゃろうなという感じですが、超長期に関しては「需要の弱さ」「ポジションの巻き戻し」でして、いわゆる指値オペ攻撃みたいなのとは全然話が違うというのが見て取れる、というか日銀の事務方でもその辺はちゃんと把握しているというのが見て取れますな。
『(具体的なご意見の例)』っての見ますと、
『・ 年度末にかけては、日本銀行による政策金利の引き上げや買入れ減額を背景に金利が上昇した。その際、政策金利の終着点を巡る不透明感や期末要因から投資家の買いが手控えられ、需給環境が悪化する場面もみられた。』
買入減額は予定通りに行われているので何でas is expctedの買入減額を背景に金利が上昇せにゃならんのよだし、政策金利の終着点を巡る不透明感ってあーた物価安定目標が達成出来たらその時の政策金利は中長期的な物価上昇率に潜在成長率乗せてあとは適当な幅をもったレンジの中のどこかじゃろ、という話で、何が不透明感じゃ、と思いました。
『・ 4月入り後は、米国の関税政策発表をきっかけに、景気減速懸念から本邦追加利上げ観測が後退し、10
年以下の金利は大きく低下した。』
うむ。
『・ 中長期ゾーンは、本年度入り後、国内銀行等による買いがみられており、需給はタイトである。
ほうほうほう。
『・ 超長期ゾーンは、米国の関税政策発表をきっかけに、アセット・スワップやフラットナーのアンワインドが発生し、生保需要の減退という構造変化も相俟って、需給が顕著に悪化し、金利も大きく上昇した。』
ということでまあこの手のポジションがあって、でもってトラ公切っ掛けの相場変動でボラ上がり過ぎで持っていかれるとか、まあ市場が動く中で何ぼ何でもおまえここまでスティープせんでもええじゃろと思ってカーブポジション参戦したら何のことはないとんでもない水準までさらに持っていかれて投げ回転、みたいなお話なんでしょうかね、知らんけど。
なおアタクシは基本的に大昔の人なのでいまだにあのアセスワってのなじみがなくて、まあ市場がクソ混乱した時ってああいう合成ポジションは明後日の方向にまた裂き食らったりしちゃいますよねと思うのだが、今回は何がどうなったのやら。
・日銀の国債買入が過大で金利抑圧が続いているのが機能度向上の阻害要因って話が並ぶのは順当だがいい話
次が『意見照会へのご回答(国債市場の機能度)』である
でまあこれはネタにし忘れていますが5月調査の債券市場サーベイがもう笑ってしまうしかない状態でしたが、今回の市場参加者会合は国債買入の正常化に向けたパスの話が絡んでいるので買入を絡めたお話になるわけですが。
『・ 「国債の買入れ減額により国債市場の機能度は改善傾向にある」、「国債補完供給の減額措置によりチーペスト銘柄の流動性は改善した」、「4月入り後は、ボラティリティが高まり、超長期ゾーンの流動性が特に低下するもとで、長期までのゾーンとの市場の分断が生じている」、「ストック効果が大きいもとで機能度の改善は道半ば」といったご意見を頂きました。』
とまあそういう訳で、総じて「日銀の市場介入を減らすのが機能度向上に資する」という話になっているようには見えましたが、『(具体的なご意見の例)』を見ますと、
『・ 段階的に買入れが減額されていることで、債券市場の流動性や金利のより自由な形成といった市場機能度は改善傾向にある。』
『・ 国債補完供給にかかる減額措置により、チーペスト銘柄の流動性は、ひと頃と比べて改善した。』
まあそうですよね。そもそも論としてYCCの為に大量に買った国債なのですから、市場機能改善したければ売ったって本来はそこまで筋違いじゃないと言いたいのですが、まあ単純にアウトライトの売却って言い出すとそれはそれでインパクトというかハレーション大きいと思うのでして、つまりはYCCとかいう出口の事をなんも考えないで勢いとノリとマイナス金利政策の失敗を糊塗するためにぶっこんだ施策の罪深さというのが良くわかるわけです。あとは日銀の現場力が高いのが不幸な方に効いてしまって、無駄にYCCを延命させてしまったのも出口のコストを結果として高めてしまった(早くに方向転換して「普通の緩和政策」に戻せておけば何年も経過してもこんな話せんで済んでいたと思うの)感はありますな。
『・ 4月入り後は、ボラティリティが上昇するもと、市場のリスク許容度が低下し、需給悪化が顕著となった超長期ゾーンを中心に流動性が低下した。足もとにかけて、流動性は回復しつつあるが、超長期ゾーンの流動性は改善していない。』
『・ 特に超長期ゾーンの流動性の著しい低下が懸念されており、長期ゾーンまでと超長期ゾーンで市場分断のような状況が発生している。』
まあそうですね。
『・ 10 年以下と 10 年超で日銀保有比率に大きな差があることが、4月入り後のイールドカーブのスティープ化や市場分断の遠因となった。』
だから中短期の買入をもっと減らせという話なのか超長期をもっと買えという話なのか、結論がどっちなのかによって全然評価が異なる話ですがこの先は記載されていませんので分からんですなw
『・ ストック効果が残存するもと、利上げ見通しや経済ファンダメンタルズ対比では金利上昇が抑制され、投資家の国債需要が十分に喚起されず、機能度の改善は道半ば。』
然り。
・しかし肝心の6月以降の減額計画に関しては意見がバラバラクソワロタ(ワロエナイけど)
『意見照会へのご回答(現行の長期国債買入れ減額計画)』に参ります。
『・ 現行の減額計画については、「買入れ減額のペースを早めるべき」、「現行計画どおり進めるべき」、「買入れ減額をより緩やかなペースに変更すべき」、「一度に大幅な減額をすべき」といったご意見を頂きました。』
意見がバラバラですし、こんなの偶々このタイミングでやったらからこういう回答になったけど、もし3月にこの意見聴取してたら別の回答になっていたでしょうし、4月にやっても別の回答になっていたでしょうな、と思う次第なので、まあ日銀だって端からそんな気はないでしょうけれども、多数決方式で決めるようなもんじゃない、ってお話ではありますわな、と思いました(個人の感想です)。
『(具体的なご意見の例)』ですが、。
『・ 10 年以下のゾーンについては、日銀保有比率は高いままであり、投資家需要対比で市中流通玉が不足しているほか、イールドカーブに歪みが生じていることを踏まえ、同ゾーンを中心に買入れ減額を加速するべき。』
まあこれストックで見るのかフロー(新発と流動性供給入札による追加発行対比)で見るのかというのもあるかな、とは思いました。
『・ ボラティリティの上昇により市場全体のリスク許容度が低下している状況で減額ペースを加速させると、かえって市場の機能度を低下させる恐れがあるため、現行計画を変更することは望ましくない。』
うーんそれ言いたい気持ちは分かるんだが、そういう発想っていきつくところは「中銀プットアリガタヤ」になってしまいまして、それによって発生する過大なリスクテイクが将来における金融リスクの拡大に繋がると思いますし、大体からして「ここまでの減額ペースが遅すぎたから市場機能の回復が遅れて、その結果トランプ関税ショックへの耐性が市場に育っていなかった」という見方だって出来る(というかアタクシはそう思っているがそこは別の見解もあると思います)訳でして、ちょっと断面にとらわれているなあという気はします。
『・ 足もとの超長期債のように、特定の年限の流動性が著しく低下する場合には、内訳としての残存期間別の減額の割り振りを慎重に検討する必要があるものの、国債買入れの減額幅やペースの予見性を保つことは重要であり、現行の減額計画自体は変えるべきではない。』
まあ予見性のキープは重要ですが、前段の機能度のところでは日銀の国債買入が依然として(ストックかフローかとかそういう論点はありそうですが)過大であることが市場機能の向上を妨げている、って意見が大勢を占めているっぽいので、別に予見可能性云々を盾にして変えるべきではないってのもどうなんでしょ、6月に見直しをしますって大昔から言ってる話なので、そらまあその見直し時期を待たずに変えるのは筋悪だと思うけど。
『・ 現行計画のもとで、過度なボラティリティが生じることなく、着実に減額が進んでいる。計画を変える必要はない。』
『・ 足もと流動性が低下しているが、米国の関税政策という買入れ減額とは別要因によるものであり、計画どおりに減額を進めるべき。』
『・ 足もとの国債市場の動向を踏まえると、国債買入れの減額が、流動性を悪化させる方向に作用している可能性もあるため、買入れ減額をより緩やかなペースに変更すべき。』
『・ 段階的な減額により、市場機能の改善は不十分なものにとどまっているため、段階的な減額をやめて、一度に大幅な減額を行う形に見直すべき。』
最後に原理主義者が登場していますな笑。まあ機能度の事考えたらもっと減額加速した方が良いと思いますが、最低でも今のペースでは減らさんとって思いました。
・2026年4月以降の話とか何でしようってことになっているのかがマジで意味わからん
でもってこの後のコーナーが『意見照会へのご回答(26/4 月以降の長期国債の買入れ<ペース>)』、『意見照会へのご回答(26/4
月以降の長期国債の買入れ<買入れ金額等>)』なのですが、こんなん来年4月というかその前の段階でまた中間評価やりゃ良いじゃんというだけの話だと思うのですが、植田総裁が何を思ったのか会見とかでこの話をしたもんだからアンケート項目に入っているんですよね、マジで意味わからん。
こんなの理念的には「望ましい当座預金残高(あるいはバランスシート)規模になるまでは新規買入をゼロにする。、ただし四半期ベースで幾ら以上のバランスシート減少規模になる場合はスムージングの為に長期国債買入を超過分だけ実施する、保有国債の償還スケジュール見れば事前に計画できますのでお前らも日銀保有国債の明細よくみておけや」で終わりだと思うのですが・・・・・・・・・・
ということであんまりこちらは引用しませんけど、
『意見照会へのご回答(26/4 月以降の長期国債の買入れ<買入れ金額等>)』を見ますと、個別の意見はめんどうなので割愛しますが、まとめのとことでは
『・計画期間末時点における買入れ金額(月額)についても、「ゼロ」、「1〜2兆円程度」、「3兆円程度」といったご意見を頂きました。また、「今後も、中間評価を行うべき」、「目指すべき超過準備の姿を示すべき」、「状況を見極めるべき」とのご意見も頂きました。』
昔みたいに銀行券の趨勢的な伸びに対応して長期国債買入をする、ってんならともかく、そうじゃないのであれば本来的には長期国債買入はゼロじゃろって話で、月額3兆とかの輪番がビルトインされた状態での債券市場の価格形成ってその時点で市場の金利形成機能をおかしくするじゃろ、としか言いようが無いのでまあ本来はさっき書いたようにゼロじゃろゼロと思いますがね。
でまあこの「目指すべき超過準備の姿を示すべき」ってのも大事な論点で、ただまああまりにも今の超過準備が多すぎるので、目指すべき水準がどの程度になるのかというのもさっぱり分からん、ということかとは思いますが、今は明らかに超過大なんだからとりあえず減らしていきながら様子見ます、で良いんだと思うのですけれども、植田さんなんか妙なこだわりでもあるんですかねえ、とこの2026/04以降の話という部分については思うのでありました。
ということで今朝はこの辺で。
2025/05/20
お題「1年短国は順当のようだし4月よりは金利水準がマシに/」展望レポートハイライトが毎度味わいがありますなあというネタ
うひょひょひょひょ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/LKIYORKNTFPXDC7B2HPKCISMUY-2025-05-19/
米30年債利回り18カ月ぶり高水準、ドル下落 ムーディーズ格下げで
Karen Brettell, Lucy Raitano, Gertrude Chavez-Dreyfuss
2025年5月20日午前 12:21 GMT+9
ドル下落は日銀金融政策修正したくないでござる的には助かるんでしょうがしかし・・・・・・
〇1年短国はまあ無難ですけど利上げ織り込みとかそういうのは気にしないように
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250519.htm
国庫短期証券(第1307回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1307回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1307回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項
3.発行日 令和7年5月20日
4.償還期限 令和8年5月20日
5.価格競争入札について
(1)応募額 7兆5,549億円
(2)募入決定額 2兆4,523億7,000万円
(3)募入最低価格 99円42銭5厘
(募入最高利回り) (0.5783%)
(4)募入最低価格における案分比率 47.0810%
(5)募入平均価格 99円43銭3厘
(募入平均利回り) (0.5702%)』
0.5702/0.5708ということで、じゃあこの利回りなんですのんという話になりますが、先月の1年短国って4月17日に実施されていた訳ですが、14日の辺りがパウエル首にするだのなんだのイキリ散らかしていたあたりで、そこから戻りかけ、という時点でしたがこの時の落札利回りは
こちらは4月に実施された1年短国の結果ね
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250417.htm
落札利回りは平均が0.5292%で足切りが0.5454%となっていまして、さすが米中合意(といってもただの90日間の問題先送りだが)パワーは違うわという感じではありますが、ゆうて3月入札の1年短国(入札があったのは3月18日)は平均が0.6184%で足切りが0.6275%なので関税前の状態には戻らん(そもそも2か月経過しているのだから利上げ織り込みが2か月後ろに倒れたとしてレート同じでツーペーですからね)というのはそらまあしゃあないわなという所です。
なお、この金利水準そのものを捕まえると「向こう1年の利上げ織り込みがなんぼ」という話もできないことはないのですが、そもそも論として短国は短国なので3Mが0.35%少々とかいう状況で政策金利から下方に乖離した状態なのでまあそこは気にしないように、というところではございますが、米中の大騒ぎの問題先送り、パウエル首にするだのイキリ散らかしていたところから段々トランプのめだか師匠ムーブが出てきだした、という辺りで先月よりも金利水準修正したって感じですな。
ちなみに売買参考統計値の引け利回りを見ますと、
昨日の1年新発の引け
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.564
金曜の1年新発WIの引け
国庫短期証券1307 2026/05/20 平均値単利 0.560
となっていらっしゃられまして、入札水準はWIよりもやや金利上がった、とはいえ別にテールがビビるような流れ方をしている訳でもないですし、引けてみれば入札のアベレージよりも強いところで引けさせているので、まあごくごく順当に収まった入札って評価でよろしいんじゃないかと思いました、知らんけど。
〇またポンチ絵の体裁を前回と比較不能なものにしてきたんだが(展望レポートハイライト)
毎度おなじみの「ECBの真似っこしてみたものの訳わからんものになってしまったが今更引っ込みもつかないので継続性とかそういうのを丸無視して作って金融市場から注目されないように編集する攻撃」(大いなる個人的な偏見です)のハイライトですが、さて今回はと言いますと・・・・・・
今回4月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202504.htm
前回1月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202501.htm
前々回10月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202410.htm
・経済の見通しが関税要因で云々は分かるのだがイラストの振れ幅が大きすぎて笑うしかない
最初のイラストが、
『日本経済は成長ペースが鈍化する』(今回4月)
でして、まあこれ自体は関税政策あるから引き下げました、って話(ベースラインシナリオそのままで不確実性に全部ぶち込んで7月展望まで様子見地蔵です勿論本当に何かしなといけないなら動くけどまあ地蔵でお待ちください、という選択肢もあったとは思うがそこはさておきまして)になっているので結論が過去のと比較すると、
『日本経済は成長を続ける』(前回1月)
『日本経済は成長を続ける』(前々回10月)
から下がっているのはまあ良いんですけど、イラストの振れ幅大きすぎにも程があって、昨年10月は左打ちの強打者(大谷選手のイメージですかねえ)がバックスクリーンにホームランかっ飛ばしている、という凄まじく威勢の良いイラスト、前回はクロスカントリースキーで前進しているの巻というまあ普通ちゃあ普通のイラスト、からのいきなり重いコンダラ試練の道を状態なイラストに転換しております。
でまあ必死こいて引き摺っているのが下向き矢印付きでずぶずぶ沈む地球儀(世界経済でしょうねえ)と大型貨物船(一瞬タンカーかと思ったけど世界貿易の積りなんでしょうね)という何かもう昭和のスポ根みたいなのが出てくるわけですよ。
・・・・・・いやあのですね、ちょっとあなたたち絵柄のイメージの振れが大きすぎやしませんか、って話でして、説明の文書を読みますと
『日本経済は、各国の通商政策等の影響を受けた海外経済の減速により下押しされ、成長ペースが鈍化します。その後は、海外経済とともに、成長率を高めていきます。』(今回4月)
ってことで一旦鈍化したあとには成長戻ってきますよって話になっているのに、絵柄がもう苦行の世界みたいな絵柄(図と言い憂鬱そうな色と言い)になっている訳ですよ。
なお、ここで昨年10月(前々回10月)の展望レポートの説明文を見ますと、
『日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(前々回10月)
って文章でして、「潜在成長率を上回る」とは言ってるけど高成長とかそういうことまでは言っていないし、海外だって「緩やかな成長」って程度の話をしているのに、大谷選手のバックスクリーンへのホームランがかっ飛ばされるっていうイラストも文章対比で威勢が良すぎますし、なんですかこのイラストの振れ幅はということで、絵師自体はプロがやってるのか日銀の中に絵師がいるのか存じませんが、絵師に対してのインプットをもう少しこう手加減というか何というか、ってした方がエエンチャウノというお話です。
余談ちゃあ余談ですけれども、これ植田日銀の悪いところではあるのですが、会見での質疑応答における説明でも、利上げしている時はやたらめったら威勢の良いことを言ってしまうから「やっぱり次回の利上げが前倒し」みたいになるし、現状維持の時はやたらめったら慎重な事を言ってしまうから「利上げって実は当分できない/打ち止めなんじゃないか」みたいになってしまう、というのがあって、今回で言えば総裁記者会見が(質問されたことに対して丁寧に回答しているのは分かるし植田さんも別に期待を余計に振り切ろうと思って言ってるんじゃないとは思うのですが結果的に)植田さんが政策修正なしなしみたいな説明をしてしまって、最近の主な意見などが出てやっと「従来路線は変わっていない(ただし不確実なのでその点で言えばでたとこ勝負)」って認識が広まりつつある(のでそれこそ1年短国のレートも4月半ばよりは上昇している)訳ですな。
でまあライブ配信の方は致し方ない面はあるのですが、事前に編集ができるこのようなポンチ絵で何も振れ幅を大きくする必要はない訳でして、これもまあ植田日銀的には「絵柄としてわかりやすくしたい」って事なんでしょうけれども、金融市場の中の人(というほど偉くはなくてただの門前小僧がジジイになっただけのオッサンだが)からしてみますと、こういう物件は当然ながら前回からの継続性を見て、前回対比での変化を見てどこにポイントがあるのか、というのを見ますので、振れ幅をあまり極端にするのは如何な物かと思いますし、一般向けだから分かりやすく、って言ったってここまで振れ幅を大きくするのは、(どの位いるかは知らんけど)このイラスト見た一般の皆さんの期待を無用に振り切らせることになってしまい兼ねないので、如何なものかと思うのですよね。
ま、そういうと「前回との整合性とか見るな」って言われそうですが「そんなもんを中央銀行の名前で出すな」と思うのよね。
・「基調的な物価」と「アクチュアルの物価」の2本立て説明さん、あっさりお蔵入り(か?)
2番目のイラストが「物価」についてになりますが・・・・・・
『物価は減速したあと2%程度に向かう』(今回4月)
『物価は2%程度に向かう』(前回1月)
『物価は来年度以降2%程度で推移する』(前々回10月)
こちら、先般の東京都区部4月CPI出たときに前々回10月のイラストについて言及しながらヘソが茶を沸かしましたなあという駄文をこちらで開陳申し上げた覚えがございますが(・∀・)こちらにも特徴がありまして、
『消費者物価の前年比は、食料品価格上昇などの影響が弱まり、経済の成長ペースも鈍化するため、来年度に1%台後半まで減速しますが、再来年度は2%程度となります。』(今回4月)
『消費者物価の前年比は、来年度に2%台半ばとなったあと、再来年度は概ね2%程度となります。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(前回1月)
『消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(前々回10月)
前々回10月は秋の紅葉の丘をバックにパラグライダーが2025(年度)2026(年度)の2%に向かって順調に効果着陸するの図、となっていました。まあ2025年度一発目が早速上振れしている時点で「来年度(=2025年度)・再来年度は概ね2%程度」を大外ししているんですけれども、まあそれは兎も角として。
1月って2%というフロアーに向けて下から上がってくる階段と上から下がってくる階段があって、上から下がるのが「アクチュアルの物価」で下から上がってくるのが「基調的な物価」って話だった訳ですな。
でまあ今回ですが、前回あった「基調的物価とアクチュアルな物価」のイラストから、単純に物価の折れ線グラフ(折れ矢印グラフと言うべきか)に切り替わっておりまして、しかも2026年度のところまで下がり続けた後に2027年度に2%になる(すなわち文章にもありますけど2026年度は2%割れ)というイラストになっています。
まあこれ4月東京が上振れはさておきましても、今後食料品価格の伸び率が鈍化するのと経済の減速が相まって物価が下がるっていうのが日銀大本営の見通しになっているからそういう図になっているのは分かるのですが、何せ日銀はこの2年以上に渡ってアクチュアルの物価見通しを盛大に外しまくっている訳で、物価見通しを2年も外し続けて何が物価安定目標じゃとしか言いようが無い(というか何で定例記者会見で大して問題視されないのよと思うけど)ですが、それは兎も角としまして。
今回ってイラストが「アクチュアルの物価一本に戻った」のもあるのですが、説明文の方でも「基調的物価がどうのこうの」という言及を止めているのが何げにポイントでして、これはまあさすがに「基調的な物価が2%行っていないから(基調的物価を押し上げるために)緩和的な政策が必要です」って説明をしていると、実際の物価(特に世の中的には食料品、就中コメ)がクソ上振れしている現状がある中、うっかり着火したら日銀が業火に焼かれるリスクというのがある訳で(現に黒田時代の「家計の物価上昇許容度」が一時盛大に焼かれた上に最初に言い出した渡辺某は逃げ出すという見苦しい姿を示したという事案がありましたわな)、ってのを感じているので、こういう一般向け(という建付けの)プレゼンでは「基調的物価ガー」をあまり出さないようにしたんじゃなかろうか、とアタクシは思いましたけどまあアタクシが思っているだけの話で実際にどうなのかは知らんけどな、という所ではあります。
・リスク要因は順当
3番目はリスク要因ですがこれはまあ順当な説明と絵柄ですね。
『通商政策等の展開や影響を巡る不確実性はきわめて高い』(今回4月)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(前回1月)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(前々回10月)
前回と前々回は同じイラストですが、今回はまあ関税問題が大きすぎで全部を覆ってしまいましたので、イラストはそれっぽいものになっています。まあこれは順当ですな。
『各国の通商政策等の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は、きわめて高い状況です。金融・為替市場や日本経済・物価への影響にも、十分注意を払う必要があります。』(今回4月)
『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(前回1月)
『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(前々回10月)
・金融政策云々だが謎の温度計3本の意味は何ぞや????
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(今回4月)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(前回1月)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(前々回10月)
と書いてある小見出しは同じで
『金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくか、丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要です。』(今回4月)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(前回1月)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(前々回10月)
先行き次第ではあるが、が先行きどうなるかをよく見て確認して行きましょう、になったのはそりゃまあ今回関税問題という大ネタが投下されたので仕方ないのですが、前々回前回と違うこの「3本の温度計」イラストの意味がまるで分からずワイ大いに悩む。
ECBも以前似たような温度計並べてたりして、過去のがパッと出てこないのですが、一応財とかエネルギーとか何かそんな感じで温度(物価)が違いますよってのがあったのですが、今回のイラスト、3本温度計があって温度が違うのは分かるんだが、じゃあ何の温度見てるんだよ、というのがさっぱり分からないという謎の「3本の温度計」でして、そういや「コロナ対策3本の鉛筆」ってのがあったわなと思いますと、もしかして日銀大本営は「3本のナントカ」が好きなのかどこの毛利元就だよと思ってしまいました。
と言ったところで今朝はこの辺で勘弁。
2025/05/19
お題「短国3Mとかその周囲の話あれこれ/中村審議委員講演は中村節だけど賃金の部分を見てみました」
もはやトラ公は息を吐くように妄言を言い出すのですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN173H00X10C25A5000000/
トランプ氏、ウォルマートを批判 関税理由の値上げ「すべきでない」
トランプ政権
2025年5月18日 4:12
関税って輸入品の競争力を下げて国内産業を保護するために実施する筈ですが、輸入品値上げさせないで輸入企業に負担させてたら何のための関税だか最早意味が分からないのですが、ここまでの殿堂級の馬鹿だと本邦の関税交渉ってのらりくらりと対応してしておけば米国の方が先に音を上げて降参するじゃろ、としか思えなくなってきましたwwwwwwwwwしかしFEDカワイソス。
とは言え、ウォルマートを目の敵にしている馬鹿を笑っている場合ではなくて、物価高対策で消費税減税だのとか言って消費税を目の敵にする扇動にまんまと乗せられた人民の皆さんがいる極東の島国もありますし、まあ実は人の国を馬鹿だアホウだと言ってる場合ではないという話はあるorzorz
https://www.47news.jp/12595992.html
政治
共同通信
消費減税・廃止すべき73% コメ高騰対応、不十分87%
2025年05月18日 19時37分共同通信
〇短国ちゃん
5/2の入札では金利が0.4%台に乗っておーと思ったのですが、やはり短国は短国でありました・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250516.htm
国庫短期証券(第1306回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1306回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1306回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年5月19日
4.償還期限 令和7年8月18日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆8,536億円
(2)募入決定額 3兆4,232億8,000万円
(3)募入最低価格 99円90銭5厘5毛
(募入最高利回り) (0.3793%)
(4)募入最低価格における案分比率 0.7083%
(5)募入平均価格 99円90銭8厘4毛
(募入平均利回り) (0.3677%)』
うーんこのという感じで、まあ一応0.3台後半に位置しているから3月あたりの状況からみたらマシと言えばマシなんですけれども、
東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
ここもとのレートって、
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/5/09 0.493 0.490 0.463 0.460 0.459 0.458 0.467 0.491 0.571
2025/5/12 0.487 0.489 0.466 0.463 0.460 0.460 0.465 0.492 0.570
2025/5/13 0.477 0.482 0.466 0.464 0.460 0.460 0.467 0.492 0.571
2025/5/14 0.487 0.484 0.466 0.464 0.462 0.461 0.468 0.494 0.573
2025/5/15 0.483 0.485 0.466 0.466 0.464 0.463 0.469 0.494 0.574
2025/5/16 0.496 0.492 0.469 0.466 0.466 0.465 0.469 0.494 0.573
って感じでしちぇ、タームだと0.46-0.47ですけどオーバーナイトとかトモネって0.48-0.49とかで推移していて、いやまあGCレートと短国限定レートだとちと違うとかそういうのはあると思うのですが、その辺のレートまではさすがにこの手の集計無いですし、ベンダーでもさすがにネタにはならない世界なのでその辺はちょっとさておきますけれども、まあゆうてこの短国3MのレートってアベレージでいえばだいたいGCから10bpくらい下のレートという状況になっていまして、こういうレートになってしまうのは日銀当座預金残高大杉問題とか、各種金融規制などの強化による短期国債へのニーズの強まり、といった構造的なお話になってくるのですが、しかしまあ本来は毎週4.5兆円も発行される3Mの短国こそが短期市場のリファレンスレートになって然るべき(というか黒田緩和が進んでくるまでは3M短国が短期の事実上のリファレンス金利になっていた)なのですが、まあこういう状況になっているのはコマッタモンダがそういう構造になってしまっているのは残念。
というのはさておきまして、売参ちゃんを見ますとこれがまたですね、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(5/16引値、3M銘柄のみ引用します)
国庫短期証券1302 2025/07/28 平均値単利 0.365
国庫短期証券1303 2025/08/04 平均値単利 0.365
国庫短期証券1305 2025/08/12 平均値単利 0.365
国庫短期証券1306 2025/08/18 平均値単利 0.365 ←新発債
国庫短期証券1306 2025/08/18 平均値単利 0.365 ←今週金曜日入札のWI
(5/15引値)
国庫短期証券1302 2025/07/28 平均値単利 0.370
国庫短期証券1303 2025/08/04 平均値単利 0.370
国庫短期証券1305 2025/08/12 平均値単利 0.370
国庫短期証券1306 2025/08/18 平均値単利 0.380 ←WI取引
ということで、金曜の短国入札結果を受けて値付けの修正が入った形になっていまして(まあ実力ベースでは前日の段階で既に強かったように見受けられますが)入札が堅調なのは別にこの銘柄に特別な買いがあったとかそういうのではなくて、短国が全般またいつもの堅調モードにすっかり戻ってしまいましたな、という奴のようですな、知らんけど。
ちなみに多分あんまり関係ないと思いますが、上記の売参のページの最初のところに、
『統計情報の見直しに関するアンケートの実施について(2025年5月30日まで)』
ってのがあるのですが、こちらを見ますと、PDFファイルが重いから作るの大変なので廃止したい、とのお告げなんですが、ファイルのサイズ見てみたらエクセル4.9MBくらいでPDF5.6MBなので両方作るのがめんどいんだろうなあというのは分かるんですが、たぶんWin3.1とか97とかからの時代の人的にはPDFの方が閲覧してて安心感あるので閲覧用にはPDFの方が助かるには助かるんだよな〜とは思いますが、こちとら債券市場の妖精さんなので特にコメント送るでもなしという感じです。PDF無いと困る、というお方は(いるのかどうかは不明だがwww)日証協にご意見してあげてつかあさい。
ちなみに売参引用している時は毎回PDFを見に行ってそこからコピペしております私。
〇短期と言えばこんな力作が出ているのは良いんですけど・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2025/wp25e07.htm
金利見通しの分布における歪度の高さと中央銀行の金融市場調節の効果:高粒度な取引データを用いた実証分析
2025年5月16日
前橋昂平*1
宮川大介*2
佐々木貴俊*3
曽根泰平*4
なお、本チャンに関しては
『全文掲載は、英語のみとなっております。
全文 [PDF 1,971KB]』
とありましてまあこの時点でそもそもドメドメザパニーズかつ数学がクッソ苦手なワイはお手上げではあるのですが、
https://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2025/data/wp25e07.pdf
Skewed Interest Rate Expectations
and Effects of Central Banks’ Market
Operations:
Empirical Findings Using Granular
Transaction Data
しゃーなしでお情けでHTMLページの方に掲載されている『要旨』を拝読するんですが、
『要旨』
『本研究では、日本円OIS取引に関する取引情報蓄積機関の高粒度データを用いて、各市場参加者の先行きの金利見通しを推計し、時間を通じて変化する金利見通しの分布とそのモーメント(平均・分散・歪度・尖度)を算出した。そのうえで、この新しいデータを活用して、日本銀行の国債買入れが国債利回りに及ぼす効果が、金利見通しの分布のモーメントに応じて変化するか、を定量的に検証した。検証の結果、日本銀行の指値オペが国債利回りを押し下げる効果は、金利見通しの分布の右裾が長いほど高まる傾向にあることが分かった。この実証結果は、推計された金利見通しの分布が、中央銀行の効果的な金融市場調節にとって有用であることを示唆している。』
とのことでして、さっきの英文PDFの最初の『Abstract』の和訳になるのですが、本文の構成は
1. Introduction
2. Related Literature
3. Empirical Strategy
3.1 Monthly Distribution of Market Participants’ Expectations on Future Interest Rates
3.2 Verifying the State-Dependent Effects of the BoJ’s JGB Purchases Conditional on the Expectation Distribution
3.2.1 Two-Week Distribution of Market Participants’ Expectations on Future Interest Rates
3.2.2 Estimating the Effects of the BoJ’s JGB Purchase Conditional on the Expectation Distribution
4. Data
5. Empirical Results
5.1 Monthly Distribution of Market Participants’ Expectations on Future Interest Rates
5.2 Market Participants’ Expectations and the Effects of Market Operations
6. Who Drives the Skewness?
7. Robustness Checks
8. Conclusion
ちなみにこの8のところの英文が何となくさっきの要旨のケツの部分に対応した話がありまして、まあかなりの力作なのは認めるのですが、OIS市場が示している「織り込まれた将来の政策金利」ってのが本当の意味で債券(長期債)市場プレーヤーが考えている将来の政策金利を示しているのか、というとOIS市場自体が参加者限定市場だし、それこそ長期債券運用の人が皆さんOISをヘッジツールに使っているのならばともかく、残念ながらそんな市場じゃないので、何ちゅうかまあ分析手法として頑張っておられるのは分かるのですが、OIS市場のデータを使って市場の金利見通しの変化を見る、ってのが体感的に長期金利の価格形成と整合しているのかというとちょっとズレている気がしますし、そのズレっていうのは平常時はもしかしたら大きくないけど、本稿で材料にしているような「指値オペ」のような一種異常な事をしているような状況において、OIS市場から得られる先行きの金利見通しはOIS市場参加者にとってはその通りですが、それが債券市場の金利見通しをイコールで示しているのか、ということになるとちょっと違いませんかねえという話になるんですが、本編なにせ英文なので何となく読んでみましたがよくわからんかったからいずれ日銀レビューシリーズで纏めていただけると甚だアリガタヤという感じです。
でまあ別にこのコーナーは上記の分析にケチをつけるためにネタにしたのではなくてですね、そもそも論として日銀のウルトラハイパーな国債買入(額もそうだし指値オペみたいなトンチキオペも含めて)やら何やらによって、円金利市場全体において「えーっとそもそも市場参加者が純粋期待仮説(でもなんでもいいけど)で織り込んでいる価格ってどこにあるのよ」ってのが今の債券市場でも短国市場でも「それ以外の謎の需給要因」によって変な値段になっとるじゃろ、というのが多々あるようにワシには思える次第(あくまでも個人の感想ですので異論は有ろうかと存じます)でして、まあそういう意味での「市場機能」の復活までは相当遠い道のりが掛かりそうな気がしますわな、などといつもの悪態になるのでありました。
ああ一応補足しておきますと、長期債の市場に関しても「この参加者は基本的にこの年限の辺りに投資する」というのがあるのでイールドカーブ全体の中で参加しているメンバーが異なっている(市場分断仮説でしたっけ)ってのはありますし、何なら金融規制強化が進む中でその傾向は強くなった気がしないでもない(マイナス金利とYCCで本来来るべき人じゃない人が超長期にやってきた問題というのも別にありましたけど)。
〇中村審議委員講演:まあいつもの中村節です
何かHTMLバージョンが早速できているので(毎度これが出てくるタイミングが場合によって差があるのは謎にも程があるんだが)HTMLバージョンの方から引用します。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250516a.htm
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250516a1.pdf
【講演】わが国の経済・物価情勢と金融政策
西日本政経懇話会における講演
日本銀行政策委員会審議委員 中村 豊明
2025年5月16日
西日本という位だから西日本新聞さんだろうと思ったら記事になっておりました。退任前の記念講演みたいな
感じですけれども、ちゃんとこういう機会があるのは中村さん良かったんじゃないですかね。
https://www.nishinippon.co.jp/item/1352240/
賃上げと投資がけん引する成長型経済への分岐点」 西日本政経懇話会で日銀の中村氏が講演
2025/5/18 6:00
まあ記事の方は読んで味噌ということでさておきまして、講演の方はさっきのHTMLバージョンから参ります
以下基本的に
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250516a.htm(再掲)
より引用です。
・ちなみにいつもの金懇よりも趣旨が綺麗にまとまっている気がしました
中村審議委員の金懇って「それは仰せご尤もなんだがその点については金融政策ではどうしようもない経済の構造に関する部分だからその部分と金融政策を絡めるのは筋が悪いんじゃないでしょうか」ってお話だったり、特に雇用とか個人所得に関する部分では「お前らも頑張って生産性向上しろ」とそれはお話として全く仰せの通りではあるのですが、ただまあ世の中というのは頑張って生産性向上したりする人じゃない人の方が多分多数派で、その多数派の皆様がある程度幸せになりつつも結果的には生産性向上に寄与できるような企業サイドの仕組みの方が大事じゃないのとか、「所得が上がらないなら投資信託を買えばいいじゃないか」みたいな話がおっぱじまったり、ということで、まあ言ってる趣旨は趣旨として分かるんだが日銀政策委員の話としてはどうなのよ、的なお話がずっと続いていました。
でまあ今回ですが、その辺いつものように『4.構造的課題の克服による持続的な経済成長に向けて』という所で中村節が出ているのですが、読んでてほほーと思ったのは、これ自体は毎度出てくる中村節ではあるのですが、
『(2)産業の高収益化に向けた「企業と雇用のダイナミズム」の向上』
『(3)将来不安を軽減する「家計のダイナミズム」の向上』
の部分でして、これ以前はどちらかというとさっき申し上げたように、(2)だと労働者もスキルを上げて頑張るべきみたいな話が展開されていて、以前の中村さんの金懇見たときにアタクシ「世の中ってそんな頑張らないといけないような社会よりも平凡にコツコツ働いてそれなりの生活が遅れる社会の方が多くの人々にとってはエエンチャウノかね」などと申し上げた覚えがありますが、今回は(2)のコーナーで労働者も努力しろというトーンがだいぶ穏やかになっていて、企業サイドが生産性向上を行って賃金を上げるべき、という話がメインになっていまして味わいがありました。ちなみに(3)の例によってNISAで投資しろみたいな話もあるのですけれども、賃金上がるのが大事です、ということで(賃金をめぐる背景が変わったせいも勿論あるのですけれども)「世界の経済成長を家計に取り込むためにも給与が上がらないなら投資信託を買えば良いじゃない」というマリーアントワネットムーブが前面から引っ込んだのもほほう、と思いました。
・景気には当然のように弱気認識なんですが・・・・・・・
『2.内外経済情勢』のコーナーですが、まあ普通に弱気でして、
『海外経済は、これまでのところ、総じてみれば緩やかに成長していますが、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられます。米国の関税強化による貿易取引の減少懸念、これに伴うコストカット圧力や設備投資の様子見姿勢等が強まり、景気下押しリスクが増大し、不確実性が非常に高くなっています(図表1)。』
コストカット圧力ってのは微妙な気もするんですが、まあ確かに米国現地工場の生産について輸入部品の関税分を飲み込んで販売価格変えない、みたいな話をしておられる大手企業さんもいらっしゃったと思いますので、その辺を念頭に置いているのかな、とは思いますけれども全員が全員そうなのかな、というのは良くわからんですのでちょっと悲観に傾いているかなとは思うのですが。
『まず米国経済ですが、2025年1-3月の実質GDPは前期比年率▲マイナス0.3%と駆け込み輸入の影響もあってマイナス成長となりました。4月の消費者物価指数は前年比+2.3%とまだ関税引き上げの影響はみられていないものの、先行きのインフレ再燃懸念や長期金利の上昇、企業業績の悪化懸念や株価下落等により、企業マインドや消費者マインドに翳りがみられ、景気後退懸念も台頭しています。』
『パウエルFRB議長も、関税引き上げのインフレ率への影響は、物価水準の一回限りのシフトを反映して、短期間で終わる可能性もあるが、より持続的になることもありえるとも発言しておられ、先行きの不確実性が高く、今後の動向を注視しています。』
というのが米国で、次が欧州。
『ユーロ圏経済は、投資抑制、コスト高止まり等に伴い、産業競争力が低下しており、2025年1‐3月にドイツ・フランスが2四半期ぶりにプラス成長に回復しましたが、米国の関税引き上げ等により、景気低迷の持続が懸念されます。』
でもって中国。
『また、中国経済は、内需低迷、貿易摩擦激化による輸出減少等で、景気低迷の長期化が懸念されます。家計資産の大部分を占める住宅は価格の緩やかな低下が続いており、全国では5〜から6年分の販売在庫を抱え、回復には長い年月を要すると思われます。このため、地方政府の財政状態も改善せず、賃金の下押し圧力や高い若年失業率等、労働市場における課題は当面解消されず、個人消費に引き続き強い節約志向が窺われ、対内直接投資低迷も続くのではないかと懸念しています。2025年1-3月の実質GDP成長率は前年比+5.4%と高い伸び率でしたが、内需の成長率寄与度は+3.3%ポイントと低調でした。GDPの名実逆転が2年続く等、デフレ傾向が強く、米中貿易摩擦も拡大していますので、5%成長率目標達成のハードルは高いと思われます。』
中国に関して最もズタボロの認識ですねえ。
『ASEAN経済は、グローバルなIT需要が回復するもとで緩やかに改善していますが、中国や米国への貿易依存度が高いことや、人口ボーナス期を過ぎ価格競争力低下が成長の足かせとなる「中所得国の罠」に陥る国もあることなどから、成長力低下が懸念されます。』
アジアは米中転ぶので碌なことがないと。
『日本企業は、米国による関税引き上げの影響もあって、中国市場だけでなく、ASEAN市場や国内市場でも価格競争力のある中国企業との競争激化が懸念されます。先日、米中の通商交渉に一定の進展がみられましたが、今後の経済動向に注意が必要な状況は変わらないように思われます。』
ということでまあ全体観がこんな感じなので政策関連はいつものようにハト派なのですが、それはまあ良いとしてなんか金曜日のベンダーの報道を見ていると中村委員がハト派発言したからと言って価格動いてたみたいな後付け講釈があったんだが、中村さんがタカ派発言してビックリして動くなら分かるけど、中村さんがハト発言するのはそりゃ通常運転じゃろと思うので、ハトの方に反応したがっている一部のムーブがあるんだろうな、とは思いました。
・賃上げの持続性に関連する論点がいくつかあって興味深いですな
次の小見出しが『3.経済の成長軌道への回復状況に応じた金融政策運営』ということで、もうこの小見出しの時点でハトハトなお話が出てくるのは見え見えなのでその辺の話はまあさておくのですが、今回の中村委員の講演では「賃金」の部分が面白かったというかなんというかでしてですね、
『(1)わが国産業構造の変化と経済の回復状況』の部分から。
最初のところですが、
『昭和の高度経済成長時代には、為替円安環境のもとで豊富な労働力を活用し、高性能・高品質・低価格を大量生産・垂直統合モデルによって実現した輸出産業が急速に成長し、家計所得も高い伸びを続けました。一方、生産効率の向上を追求する過程で、終身雇用・年功序列システムも形成されました。その後、日米貿易摩擦が起き、プラザ合意を契機に急速な円高が始まり、大企業を中心に海外拠点展開が活発化していきました。』
ってな話になっているのですが、これアタクシの手元にある(ちゃんとした人の書いたちゃんとした)本(具体的に今手元にあるのは「平成バブルの研究(村松・奥野2002)」と「新しい労働社会(濱口2009))」)を見ますと、いわゆる「終身雇用・年功序列・企業内組合」のセットって産業によっては先の戦間期に始まった所やら高度成長期などにも拡大したのは拡大しましたけど、制度としてビルトインされるようになったのってオイルショックを受けた後の1975年辺り、というお話になっていまして、生産効率の向上よりも、雇用保証を軸にしてコストプッシュインフレを抑制するための「三方一両損」(村松・奥野2002による)政策だったりするので、高度成長時代の制度なのかというとそういう認識だとちと違うんじゃないかと思うのですが、まあこういう話は専門外にも程があるのでこれ以上突っ込みません。
でまあ歴史の話はさておきまして、(途中を割愛します)現在の状況についての説明を見ますとですね、
『令和の時代に入り、コロナ禍以降の世界的なインフレの高進や為替円安により、日本でも輸入物価を起点としたインフレが生じました。大企業を中心に、これまで取り組んできた「事業構造(ポートフォリオ)改革」による「稼ぐ力」の強化が奏功して、600兆円を超えた名目GDP、2年連続5%を超えた賃上げ率2、100兆円を超えた設備投資など、積極化した経営が進みました。また、グローバル市場での成長力強化のため、M&Aや人財3・研究開発等の成長投資を積極化する動きがみられ、人手不足の中、デジタル化の遅れを取り戻す省力化やDX投資など新たな投資ニーズも生まれています。』
『3月の消費者物価(除く生鮮食品)は+3.2%と2%を超えるインフレが3年続き、(振れを伴いつつも)前年比+2〜5%程度の賃金上昇も約1年続くなど、企業業績の拡大とともに賃金も物価も上昇するという「賃上げモメンタムの定着」を期待するところまで来れたと思います(図表9)。』
賃上げモメンタムの定着、がこれからどうなりますか、って話ではあるのですが、この先を見ますとですね、ってことで小見出し『(2)わが国経済の改善状況』になりますが、最初が賃金の話でして、ここが中々味わいがありまして、
『続いて、わが国経済の改善状況についてもう少し詳しくお話しします。』
からの、
『まず、企業業績ですが、企業の「稼ぐ力」を表す指標として、法人季報における2024年4-12月累計の一人当たり営業利益をみますと、前年同期比+10%と増加を続け、労働分配率も59%とバブル期(1990年同期累計)の61%を下回るなど、企業の「賃上げ余力」が向上しています(図表10)。』
>労働分配率も59%とバブル期(1990年同期累計)の61%を下回る
>労働分配率も59%とバブル期(1990年同期累計)の61%を下回る
>労働分配率も59%とバブル期(1990年同期累計)の61%を下回る
・・・・・・・・・ちょwwwwwwwwwww
バブル期のように企業が儲かっているというのに労働分配していない訳ですから、そもそも賃上げしなかったのは企業がクソだったし今でもクソおぶクソという事を示しているようにしか見えませんし、だったとするならば、とんでもない景気後退にでも陥るなら別ですが、多少の景気減速しても、このクソ低い労働分配を正常化(何をもって正常化というのか、というのはさておきまして)すればお茶の子さいさいで賃上げ原資出てくるだろいい加減にしろ、って話だと思うのですが、展望レポートのベースラインシナリオの中ではやたらめったら「企業の収益減→賃金上昇の流れが終わる」ってのが懸念されているように読み取れましたが、単にこの物価上昇期において企業が賃金を上げ渋っていただけなんじゃないですか、っていうのがふつふつと湧き上がってくる次第。
ですから中村委員の説明も、
『特に、大企業は、一人当たり営業利益がバブル期(1990年同期累計)の約2倍に増加するなど好調で、設備投資もコロナ禍前(2018年同期累計)から約2割増加し、労働分配率も43%とバブル期よりも10%ポイント低下しています。』
>労働分配率も43%とバブル期よりも10%ポイント低下しています。
oh・・・・・・・・・
『また、キャリア採用拡大に伴う賃金体系の歪みや主要国との年収格差等の是正の必要性もあって、今後も高い賃上げ率を継続すると思われます(図表11)。』
てか企業が人財(笑)とか言いながら労働者に正当な報酬を還元してなかっただけの話じゃん、ってところではありますがwwwwwww
『雇用の7割を占める中小企業も、価格転嫁率向上4の効果等もあって、一人当たり営業利益は前年同期比+11%と増加し、労働分配率も74%と高水準ながらも若干低下するなど、「賃上げ余力」の改善が窺われます(図表10<再掲>)。』
でまあこちらが中小企業の話になりますが、
『このうち、多くの雇用を抱える(資本金1千万円以上5千万円未満の)小さめの中小企業では、一人当たりの営業利益や給与・賞与は増加しているものの、水準は大企業の夫々13%、57%に止まり、一人当たり設備投資は2年連続減少し、水準も大企業の14%と格差が拡大しており、防衛的な賃上げと設備投資の両立が難しい状況が窺われます。』
うむ。
『こうした中小企業では、「稼ぐ力」の強化が遅れており、持続的な賃上げのハードルは引き続き高いように思います。しかし、雇用の1割強を抱える(資本金5千万円以上1億円未満の)大きめの中小企業は、一人当たりの設備投資や営業利益も増加し、労働分配率も小さめの中小企業より低く、成長志向の中小企業が比較的多いように思われます。』
まあこのあたりではに成長すりゃいいってもんじゃないというケースも規模が小さい場合にはあるので。
『2025年1-3月期の法人季報で、大・中堅企業に加え、雇用の7割を占める中小企業においても設備投資と営業利益の増加が確認できれば、(米国の関税政策の影響が懸念されますが)「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行の実現に一歩近づくと考えています。』
という話になっているのですが、その中小企業の賃上げに関しては、この話の中の物価のところを飛ばしますと、
『続いて、賃上げ動向についてお話しします。』
ってのがあって、
『まず、2024年の賃上げ動向を振り返りますと、連合の最終回答集計におけるベア+3.6%に対して、毎月勤労統計調査の所定内給与上昇率は月間単純平均で+2.6%、連合の(比較的規模の大きい中小企業が含まれる)組合員300人未満の企業の定昇込みの賃上げ率+4.5%に対して、中小企業を対象とする日本商工会議所調査の定昇込みの賃上げ率は年度ベースで+3.6%と、何れも約1%ポイント下回りましたが、2025年の賃上げ率向上に期待が高まりました。』
『1990年以降の連合の全体の賃上げ率と組合員300人未満の賃上げ率の推移をみますと(図表11<再掲>)、バブル期以降暫くの間は両者に大きな差はなく、バブル崩壊後の1995年以降、この格差が広がり、コロナ禍で一旦縮まりましたが、人手不足が深刻化したコロナ禍明けの2023年から再び拡大しています。』
『法人季報では、中小企業の一人当たり営業利益は、バブル期の1990年度では大企業の40%の水準でしたが、現在は13%と「稼ぐ力」や「賃上げ余力」の差が拡大しており(図表10<再掲>)、賃金格差縮小のハードルはまだ高いように思われます。』
うーむ。
『連合による2025年春季労使交渉の第5回回答集計では、好調な企業業績を背景に、平均賃上げ率は+5.3%、ベアは+3.8%と昨年を上回っていますので、(米国の関税政策の影響が懸念されますが)大企業の賃上げの勢いが中小企業に波及するか、注目しています。なお、この格差縮小の改善には、中小企業の「生産性を向上する設備投資」の推進や「もう一回り大きくなる構造改革」の増加といった経営努力による「稼ぐ力」と「賃上げ余力」の向上が必要だと考えていますが、詳細は後程ご説明します。』
でまあ詳細についての部分をネタにしようと思ったら時間が無くなってしまったので惜しくも割愛(金融政策云々の部分にある)しますが、うーんまあ言いたいことは分かるんだが「稼ぐ力」を常に向上させないと賃上げできないって話でもないと思うので、中村委員ちょっとハードルを高く設定しすぎなんじゃないですかって思うのですよね。
でもって一方で緩和政策は大事って話をしているのですが、負債や資本のコストがある程度かかるようにしておかないと「稼がない投資」に資源が回ってしまうんじゃなかろうか、と考えますと別に金融引き締めろというのではないですが、極端な緩和政策もどうなのかとは思うので、その辺の結論が相変わらずちょっとうーんという事ですが、まあ中村節が今回も読めましたし、今までの中では一番変なクセというが謎の自我が弱かったように思えました。
と言ったところで今朝はご勘弁。
2025/05/16
お題「財政リスクプレミアムを引き上げた張本人が何か言ってますが/ロンガーランストラテジー見直し関連(パウちゃん講演)」
これはひどいwwww
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250515-OYT1T50167/
トランプ政権のジャンボ機受領計画に「プーチンも驚くほどの腐敗」批判、本人は「無料で手にできるのになぜ…」
2025/05/15 18:52
『トランプ大統領は13日、自身のSNSで、後継機の納入が遅れているとして、一時的にカタールからの「贈り物」を代替機として使う意向を示した。外国政府からの金銭などの受け取りを禁じる憲法に抵触するとの指摘があることに対し、「無料で手にすることができるのになぜ何億ドルも払わなければいけないのか」と反発した。』(上記URL先より)
・・・・・・ちょっと診察を受けた方が良いんじゃないかと思う。
〇マクラにしても良いのだがあまりにも酷いので備忘代わりにネタに(玉木発言)
まあこれも酷いんだが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-15/SWA7DET1UM0W00
玉木国民代表、超長期米国債の買い入れ提案もあり得る−米国関税交渉
照喜納明美、村上さくら
2025年5月15日 15:16 JST 更新日時 2025年5月15日 18:00 JST
→米国産日本車の逆輸入も提案、米国輸出拡大と日本企業の業績に貢献
→日銀の国債買い入れ減額縮小のペースを柔軟に調整すること必要
いろいろとあたおかで、
『米側が問題視する対日貿易赤字に関し、玉木氏は米国で生産した日本車を逆輸入し、米国からの輸出として計上する案も提唱した。』(上記URL先より、以下同様)
節子、それは経理操作っていう奴や、まあ本人も、
『米国で生産されたとはいえ、日本メーカーの自動車輸出増でトランプ大統領が納得するかは疑問だとし、』
という認識はあるようだが、
『プレゼンテーション方法も課題だと述べた。』
ってのがもう性根として「実質的に意味のないことを意味のあるように表面上取り繕えばOK」というインチキ数字の作り方で物事を済まそう、ということで問題に対して真剣に向き合おうとしないでその場誤魔化せば良いや、っていう根性が大変に良く伝わってくる説明なのですが、それよりも金利市場界隈の100人中300人くらいが目を疑ったり爆笑の発作を起こしたりしたのは以下の部分ですわな、曰く、
『日本の超長期国債金利の上昇に懸念』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA132NJ0T10C25A4000000/
消費減税へ赤字国債発行を 国民民主党・玉木雄一郎代表
政治
2025年4月13日 20:15
『国民民主党の玉木雄一郎代表は13日、政府に求める時限的な消費税率5%への引き下げの財源について「ちゅうちょなく赤字国債を発行したらいい」と主張した。』(この部分だけ直上URL先の4/13日本経済新聞記事より)
あのさあ、お前が「消費税減税の財源は赤字国債」とか堂々と言ってる上に、最近はすっかり愚じゃなかった国民の皆さんも乗っかってしまってエライことになっている訳で、そういうの反映した結果が財政リスクプレミアムとして超長期金利に乗っかっている訳で、お前があたおか減税路線を引っ込めて懺悔して何なら議員辞職と政界引退でもしたら財政リスクプレミアムは剥落するんじゃよなにゆうとるんじゃという話だし、
『国内経済に関し、玉木氏は米国の関税措置による影響で、景気が腰折れする可能性が高まっているとの見方を示した。日本がスタグフレーション(景気停滞下のインフレ)に陥らないような政策が「今一番求められている」と述べた。』
物価対策と言って財政大バラマキをしたら物価が上がるんですけどこのオッサンは相変わらず、
『そのためには柔軟な財政政策が必要となるが、』
って言ってる時点でイカサマヤローにも程があるんだが、
『日本の長期金利の上昇は景気浮揚策の足かせになりかねず、』
だからお前らの財政規律丸無視ムーブのせいじゃろという話で、
『玉木氏は「最近の急速な超長期国債の金利の上昇は非常に心配な面もある」と述べた。急激な動きには一定の対応が必要になる可能性はあると指摘。日本銀行の国債買い入れ減額も「ペースダウンのペースを柔軟に調整していくことが必要だ」と述べた。』
景気浮揚策の足かせになる長期金利上昇を抑えるために日銀に長期国債を買わせよう、ってのが財政リスクプレミアムを更に高める施策だし、何なら財政ファイナンスって思いっきり言われても文句が言えない説明になっているのですが、このオッサンの場合は分かっていて自分の商売の為に耳当たりのよいインチキ話をしているじゃろ(分かっていないなら馬鹿なのだがこの人勉強はかなりできる人でしょ)というのがまあトサカに来るところではありますわな。
ということで備忘メモでした。
〇FEDの政策枠組みレビューに関してのパウちゃん講演キタコレなので鑑賞してみるでござる
こんな感じでニュースにもなっていますね
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZXEQ5WZ74FORDPU2NR455EQ5M4-2025-05-15/
雇用とインフレに関する戦略の再考が必要=FRB議長
Howard Schneider
2025年5月16日午前 1:23 GMT+9
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-15/SWAZ7AT0AFB400
パウエル議長、政策決定枠組みの変更示唆−雇用や物価の目標関連
Amara Omeokwe
2025年5月15日 21:56 JST 更新日時 2025年5月16日 1:26 JST
まあ要するに低インフレの時に入れた「メイクアップストラテジー」みたいなムーブは低インフレ時に効果を発揮したように見えたが高インフレへの対応が思い切り後手に回ってエライことになった、という反省なんでしょうけれども、そういえば2020年のロンガーランストラテジーが出たときに当時黒ちゃん(や雨宮副総裁)が率先しててめえらのオーバーシュート型コミットメントについて「メイクアップストラテジーはワシが育てた」と宣伝していたのを思い出すわけでして、悪ノリはほどほどに、というご教訓が得られると思うのですが、たぶん「メイクアップストラテジーはワシが育てた」をほじくり返すのはアタクシくらいしか居なさそうなのであえて冒頭で書いておきましたwwwww
話を本題に戻しまして、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20250515a.htm
May 15, 2025
Opening Remarks
Chair Jerome H. Powell
At the Second Thomas Laubach Research Conference, hosted by the Federal Reserve Board, Washington, D.C.
まあそこそこの量がありまして寝起きでざざっと要点纏めるってのがホネ(なのはそこそこ真面目に読んでみて思いました、滝汗)でして、まあこれ一番読んでおいた方が良いのは以下の小見出し、
The Consensus Statement
2019-20 Review
2025 Review
のうち真ん中の「2019?20 Review」ではあるのですが、反省部分と自己擁護部分が混在していてまとめるのめんどいのでwとりあえず結論部分の最終コーナー読んでみますね(続きは週明けにでも)。
『2025 Review』
『In the current review, the Committee is engaged in discussions about
what we have learned from the experience of the past five years.』
ここ5年間(2020年に入れたロンガーランストラテジー以降)の教訓を受けてただいま検討中です。
『We plan to complete consideration of specific changes to the consensus
statement in coming months. We are paying particular attention to the 2020
changes as we consider discrete but important updates reflecting what we
have learned about the economy, and the way those changes were interpreted
by the public.』
手前を飛ばしているので話の流れがアレで恐縮ですが、2020年のレビューって従来示していた「目標からの乖離に注目」から「目標の未達に注目」みたいな言い方(=メイクアップストラテジー)になったのと、「アベレージターゲット」みたいな言い方(何年間のアベレージとかそういうガチガチなことは言わなかったけど)をして、いずれにしても「緩和的成分を強めた」ものを出して、でまあその結果アフターコロナのインフレ拡大に対して完全に後手に回った(のだがこの講演では完全に後手に回った、とは言わずに「皆さんも予想していたように物価上昇はすぐに終わると思っていましたがその後ヤバい事に気が付いたので機敏に対応した」とか見苦しい言い訳をしているのはいただけません)という事が有るわけでして、でまあその反省も踏まえ、って言えば良いようなもんだがそこは何かオブラートに包んでいるな、って感じですが、
『In our discussions so far, participants have indicated that they thought
it would be appropriate to reconsider the language around shortfalls.』
まあそういう訳でオブラートに包んだ言い方をしていまして、今日ネタにしている時間のない前段のほうでは「結局我々は大した景気後退も失業拡大も起こさずにインフレ退治に成功しつつある」って自画自賛しているんだがその前のインフレに対して後手に回った点は何なんだよ、ということですが、まあゆうてこのように「it
would be appropriate to reconsider the language around shortfalls」って言ってるんだから、いわゆるメイクアップストラテジーがインフレ対応に置いて後手に回った、というのを反省しているのは認めている訳ですな。だってこの「shortfalls」関連の部分こそがメイクアップストラテジーだったのですから、その再考が必要でしょうって言うのがレビューの中で見えてきた、って言ってるんですから。
『And at our meeting last week, we had a similar take on average inflation
targeting. We will ensure that our new consensus statement is robust to
a wide range of economic environments and developments.』
でもってこれは今度の議事要旨に出てくるんだと思いますが、アベレージインフレーションターゲットに関しても「we
had a similar take」をした、ってんですから、要するにアベレージターゲットだのメイクアップストラテジーだのというのは高インフレ対応を後手に回してしまう手かせ足かせになりました、ってのはちゃんと反省している訳ですが、それこそもっと大昔にブランシャール(当時IMFのエコノミストだった気がします)がプライスレベルターゲットとかのある種のアベレージターゲットな説(要は緩和バイアスムーブ)を提唱した時に、当時のドナルド・コーン副議長が「実務的には机上の空論で政策運営には使えない」って一刀両断していたのですが、まあ時を経て決着はついたな、と思うのですがブランシャールもそうですがドン・コーンですら忘れてそうな気がしますwwww
次のパラに参ります。
『In addition to revising the consensus statement, we will also consider
potential enhancements to our formal policy communications, particularly
regarding the role of forecasts and uncertainty.』
キタコレ!ということですが、この辺はウッドワードやバーナンキが言ってたフォーキャスト決め打ちとかフォワードコミットメントとかに関連するところになると存じますが、グローバルに経済構造が以前のように一種のロバストネスでモデレートな状態であれば有効であったかもしれない手法が、近年(具体的にはポストパンデミック以降)では下手なフォワードコミットメントが政策ノイズ(=手前の小さな差が将来の大きな差になるんだから当たり前だが、フォワードの見通しを見て市場がその変化に振らされて無駄なボラを与える、などの弊害だと思いますがそこまで細かくこの議論を追っかけていないのでその辺はアタクシがそう思っているだけです為念)を振り撒く問題に関しても再検討。
つまりはドットプロットを含むフォーキャストの出し方についても再考するんじゃろうな、という話なんですが、
『As we have been reviewing assessments of the 2020 framework and of policy
decisions in recent years, a common observation is the need for clear communications
as complex events unfold. While academics and market participants generally
have viewed the FOMC's communications as effective, there is always room
for improvement.17 Indeed, clear communication is an issue even in relatively
placid times. A critical question is how to foster a broader understanding
of the uncertainty that the economy generally faces. 』
まあゆうて「今のコミュニケーションは良好に行っている」とは自画自賛というか自己擁護しておりますので、あくまでも工夫の範囲内って建付けでやってくるんじゃろうなあとは思いますが、
『In periods with larger, more frequent, or more disparate shocks, effective
communication requires that we convey the uncertainty that surrounds our
understanding of the economy and the outlook. We will examine ways to improve
along that dimension as we move forward.』
「In periods with larger, more frequent, or more disparate shocks」ということで、今の状況はかつてのグレートモデレーションの時とは全然違うんじゃ、という認識のもとで、より効果的なコミュニケーションをどうするかというのを考え中です、ってな説明をしていますので、「見せ方」の変化というのはまあさすがに起きるじゃろって感じでしょうな、アタクシはそもそもあのドットプロットが嫌い(というと語弊があるけどあんなのはフォワードガイダンス政策の代役なので変化の時代には弊害しかないと思っています)なのでまずはそこが変わるんじゃないかと踏んでいるのですがさてどうなるでしょうかね。
ということで最後のクロージングパラグラフ、
『Let me end by saying thank you again for being here. We have been looking
forward to the conversations that will occur over the next two days. These
discussions will help broaden and deepen our thinking about these issues,
and they are critical to the success of these reviews.』
最後はご挨拶でございました、ということで続き(というかかっ飛ばした部分)は週明けにでも。
2025/05/15
お題「雑メモ少々(グールズビー発言とジャパンの超長期)と展望レポートBOXの威勢の良い話です」
ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-14/SW99U9T1UM0W00
米企業、利回り上昇を好機とみて米国債に殺到−資金運用の長期化図る
Liz Capo McCormick
2025年5月15日 2:03 JST
〇マクラにしようと思ったら意外に長くなってしまったのでちょっとしたメモ(シカゴ連銀グールズビー総裁)
これはw
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-14/SW93SRDWLU6900
FRBは安定した舵取りを、株価や政策の変動下でも−シカゴ連銀総裁
アンスティー・クリストファー
2025年5月14日 22:57 JST
→「株式市場や政策発言の日常的な振れに反応するべきではない」
→経済データは景気が順調なことを示唆−NPRとのインタビュー
『グールズビー氏は14日朝に放送された米公共ラジオNPRのインタビューで、「米金融当局の役割は、株式市場や政策発言の日常的な振れに反応するのではなく、安定した手綱を握り続けることだという点を忘れてはならない」と発言。「少なくとも順調に行っていることを示唆するデータが続いている」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほう。
『経済データを「われわれは依然として息を潜めて見守っている状態だ」とグールズビー氏。4月のような状況では「ある種の麻痺状態に陥ることもあるが、それが数値に表れるまでには時間がかかる」と説明した。』
そらそうよ。
『「多くのノイズがある」が、「これを乗り越えることができれば、表面下には底堅いハードデータに裏付けられた経済がまだ存在していると感じている」と語った。』
まあそこはこれからのデータを見て結論が変わるかもしれませんね。
『その上で、「これほど短期的な変動が大きい中で、企業や中央銀行が長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない」と指摘。「非常に難しい環境だ」と続けた。』
>長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない
>長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない
>長期的な事柄について性急に結論を出すことを期待するのは現実的ではない
ベースラインシナリオを下げた中央銀行いやなんでもありませんwww
・・・・・とまあそれだけの一発ギャグでした。まあFEDの場合は結論を出す=利下げ=トラ公大歓喜もインフレ再加速リスク高まる=FEDの存在意義が問われる、という流れなのでそもそも明確に経済がアカンですバイとなれば別だが変にフォワードルッキングに「結論を出す」わけにいかない、という事情があるのでどこぞの中央銀行とは立場が違う、ってのはあるんですけどね!!!!!!
〇超長期ゾーンェ・・・・・・・・(俺様用市場備忘メモ)
いやもう何なんですかこのイールドカーブ
一昨日
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/C7SZNSKJ7BNONIICDF3RVXDY3M-2025-05-13/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物続落、米中合意でリスクオン 長期金利1カ月超ぶり高水準
ロイター編集
2025年5月13日午後 3:28 GMT+9
めんどくさいから途中を全部かっ飛ばしますが
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.706 0.714 0.054 15:10
5年 0.971 0.979 0.065 15:10
10年 1.441 1.448 0.056 15:08
20年 2.341 2.351 -0.037 15:09
30年 2.874 2.884 -0.069 15:09
40年 3.345 3.349 -0.086 15:09』
からの昨日は、
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/EUBBFD5BPFIHFAYIW4SOI43Z74-2025-05-14/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物6日ぶり反発、一進一退 長期金利小幅高の1.45%
ロイター編集
2025年5月14日午後 3:29 GMT+9
これまた途中を割愛しましてロイターさん謹製の引け時点の気配だけ出しますと
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.699 0.706 -0.008 15:09
5年 0.962 0.968 -0.01 15:02
10年 1.444 1.45 0.003 15:08
20年 2.354 2.364 0.014 15:17
30年 2.901 2.91 0.035 15:16
40年 3.354 3.365 0.022 15:17』
ということで連日ツイストな上に2日でこのジャイアントスイングぶりでして、もうおまいら何やってますねんという世界ではあるのですが、ここまで動かれると何も出来ませんがなの世界になっているような気がしますけれども、じゃあ日銀が買えばよいのかというと多分というかほぼ間違いなく逆効果ですし、これってもちろん超長期ゾーンの金利が中長期的な均衡物価水準(つまりは2%物価上昇)に成長率やらタームプレミアム(やら財政プレミアム)やらを乗せて考えられる水準から見たらお前何なんだよというイールドだから実需持ち切り勢が出てきにくくて、さっぱり落ち着きませんってお話なんですかねえ、とは思ってしまうので、そこに日銀の買入を入れる(既に入ってはいますけど)と状況は超短期的には改善するけれども中期的にみたら明らかに悪化するじゃろというお話。
てかまあ超長期のうち20年ってマイナス金利だ何だと言ってる期間に預金金融機関みたいに本来負債の足がそんなに長くない人たちがマイナス金利とかいう焼け野原政策によって戦争避難民と化してやって来て、その結果金利押し下げ効果が出てしまったとか、そういうのもあったと思いますし(個人の見解です)、超長期のスイングばっかり目立ちますが、そもそも論として日銀の長期国債買入が全体的に過大なのと、バランスシートの大きすぎに起因する超過準備のとんでもない莫大さによって、イールドカーブの起点の金利だって無駄におしさげられている感が強い(2年とか)訳で、まあ要するに日銀の買入による金利押し下げ効果が無駄に効いているから市場が機能したいのに機能できていない感がある、とかいうのはまあ「それってあなたの感想ですよね」と言われるとぐうの音もでませんけどまあそういうことじゃろ、とは思う訳でして、つまりは輪番減額ペースを落とせとかいうのは愚の骨頂だと思いますという話だが、昨日ネタにしましたように、主な意見を見ますと買入に関しては「市場に対して短期的なリアクティブな反応をするのはイクナイ」という見解になっているようなので、その辺は日銀の判断に希望は繋いでおこうかと存じます次第。
というだけのメモでした。超長期大暴れに関しては皆様の方がお詳しかろうという所でなんか偉そうですいませんでした(ジャンピング土下座)。
〇それはそうと展望レポート全文の方のBOX鑑賞の続き(その2):やっぱり「構造的に賃金と物価が上がりやすい」ネタです
展望レポート背景説明を含む全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504b.pdf
45ページ(PDFだと47枚目)にある『(BOX4)最近の賃上げと価格転嫁を巡る動向
』を拝見しましょうの巻です。
『本BOXでは、最近の正社員の賃金上昇について様々な指標で確認したあと、賃金設定と価格設定の関係性を企業レベルのデータから考察する。』
ほうほう。
・ベースアップ動向に「構造的な変化」の可能性があるそうでイイハナシダナー
『2025 年度のベースアップ率について、連合の集計値をみると、4 月 17 日公表の第4回集計時点で+3.79%と、前年の同時期(+3.57%)を幾分上回っている(2024
年度の最終集計:+3.56%)。』
さいですな。
『マクロでみたベースアップ率を被説明変数、物価上昇率・労働生産性・中長期インフレ予想を説明変数とする簡単な関数を
1992 年度から 2022 年度までのデータを用いて推計し、』
さらっと書いてあるんだがこの「中長期インフレ予想」ってなんの数字を使っているのかがこのボックスの図表にある説明(脚注など)をみても分からんというが諸葛孔明の罠のような気がしますがとりあえず気が付かなかったことにして読み進めますと、
『2023年度以降のベースアップ率の同関数の予測値を求めると、ここ3年間のベースアップ率の実績値は、関数予測値をはっきりと上回っている(図表
B4-1@)。』
ほうほうほう。
『このことは、近年のベースアップ率の決定メカニズムが、デフレ期から構造的に変化している可能性を示唆している。』
キタコレ!!!
『構造変化を示すひとつの可能性としては、BOX3で指摘したとおり、正社員を中心に人手不足感が強まり、転職市場も拡大するもとで、これまで労働需給の影響を比較的受けにくかった正社員の所定内給与にも、上昇圧力がかかるようになってきたことを指摘できる(図表
B4-1A)。』
てな訳でアタクシが一昨日最初にこれって言ったのがBOX3だったりしたのの伏線を回収しておりますが、前回の展望レポートではもっと目立つ格好で構造的におちんぎんが上がるようになってきましたですお、という話をしておったのですが、今回はこのBOX4とさっきのBOX3がここに該当しますわな、というお話。
まあ正社員の所定内給与の上昇圧力と言っても、「正社員(年寄りは除く)」とかそういう世界だったりしたりしなかったりとか書いていると悲しくなるので先に行きましょうwwwww
・でまあ全般の賃金カーブも底上げに向かうそうな
『正社員で強まっている賃金上昇圧力は、新卒市場においてもっとも顕著に表れている。』
裏山鹿〜
『実際、各種企業情報に基づくと、2025 年度の初任給は、昨年度に続いて水準を大きく切り上げているとみられる。初任給の企業別分布をみると、2021
年度頃は 21 万円あたりの最頻値に集中する比較的裾野の狭い分布となっていたが、ここ数年は、上昇方向に裾野の拡大を伴いつつ、分布がはっきりと右方シフトしている(図表
B4-2)。』
ほうほうほうほう。
『初任給の引き上げは、年功賃金カーブ上で新卒に近い若年層の賃上げにも波及すると考えられる。』
ねえねえジジイのおちんぎんはジジイのおちんぎんは(見苦しいにも程がある人)
『こうした動きを起点に、年功賃金カーブが一段と上方改定されていけば、平均的な賃金水準も切り上がっていく可能性がある。』
まあカーブはツイストフラット(書いてて情けなくなってきたwwwwww)
・中小企業への賃上げの広がりに関して
てなギャグはさておきまして、
『正社員の賃上げの動きは、労働組合のある大企業から、ややラグを伴うかたちで、中小企業にも波及している。』
この話は決定会合議事要旨とか主な意見とか(まあタイミング違うだけで同じもんだが)でも言及されていますな。
『2024 年度の賃上げ実績を振り返ると、@労働組合がある企業の賃上げ率は、組合のない企業よりも高かったほか、A労働組合のある企業の中で比較しても、規模が大きいほど賃上げ率が高くなる傾向がみられる(図表
B4-3)。』
マジかそんなに労働組合って力あるんかい、って感じですが、単にそれは「労働組合が組成できるほどの規模の企業ほど賃上げの余力がある」、というAの話なだけで@はただの相関なだけではないかという気がせんでもないのですがまあいいです。
『2025 年度のベースアップ率(連合第4回集計)をみると、中小企業(300 人未満)におけるベースアップ率の上昇率は、大企業より大きくなっており、正社員の賃上げの動きは中小企業にも着実に広がっている姿が窺われる。』
しかしまあ何ですな、そういう賃上げの広がりを定着するのを見たい、ってのはまあ言いたいことは分かるのですが、その間延々と物価の上振れが続いて実質所得が伸びませんって状態が続いてしまうと、そもそも何のために2%物価安定目標をやっているんですか、という話になりゃあせんですかねえとも思う訳で、まあそれこそ「2%への招待状」からこの方(というか黒田緩和直前のハマコーのダイヤモンドオンラインインタビューがまさにそうですが)ちらちらと出ていますように、2%物価上昇の世界ってより優勝劣敗がワークしやすくなる(からこそマクロ的に見た資源の適正配分が進みやすくなり、その結果マクロ的に生産性の向上だったり経済の成長が促進されやすいんだが)訳で、その辺をオブラートに包むだけならまだしも、置物一派を始めとして「物価2%目標達成したら世の中皆が幸せに」みたいな虚構を振り撒いてしまって、その共同幻想が全然解消しない状態だからこそ、いざ物価が上がってみたら「物価高対策で財政を」とか頭おかしい事をおっぱじめている訳ですが、虚構を振り撒いた連中は財政出せ財政出せ減税しろ減税しろなのですからあいつら本当に碌でもないですわな。
・・・・すいません思わず話が逸れてしまいました
でまあそうやって中小にもおちんぎん引き上げの動きが、という話の続きが価格転嫁の話になっていましてですね、
・価格設定行動に関してですが「価格を上げてもたいして問題にならん」の定着が進んでいますという話
『以下では、こうした企業の賃上げ姿勢の積極化と、最近の価格設定行動がどのような関係にあるかを、企業レベルのデータを用いた実証分析によって確認しておく。』
ほー。
『具体的には、POSデータから、個別企業が販売する商品の平均価格を作成したうえで、これを法人季報の企業別の個票データとマッチングしたデータセットを構築した33。』
でまあ『図表B4-4:販売価格引き上げの影響』になるんですけど、これでどの程度のカバーができているのかとかいうのは気になりますけどまあ先に行きましょう。
『これを用いて販売価格引き上げ時の企業行動をみると、近年は値上げした際の販売数量の落ち込み幅が、コロナ禍前よりも小さくなっている(図表
B4-4@)34。』
脚注にありますが、『34 通常の個別需要曲線を念頭に、マクロのインフレ環境等を時間固定効果でコントロールしながら、自社製品の相対価格の変化がどれほど販売数量を変動させたかを推計した。』とのお告げで、『図表B4-4:販売価格引き上げの影響』の『@販売数量』に相当します。
『これは、ここ数年、自社が値上げした場合の顧客の価格弾性値(自社製品の相対価格が1%上昇した際、販売数量が何%減少するかを表す値)が低下している可能性を示唆している。』
値上げしてもそんなにダメージは食らわん、と来てからの、
『また、今次の物価上昇局面では、販売価格を引き上げた企業の価格マークアップは拡大する傾向にあり35、こうした企業では販売数量1単位当たりの利潤(ユニット・プロフィット)も増加している可能性が示唆される(図表
B4-4A)。』
ダメージ食らわんどころか収益が増えて(゚д゚)ウマーである、という可能性もありまっせ、というイイハナシダナー(消費者的にはタマランチ会長という説は大有りだが)。
『また、販売価格を引き上げた企業の一人当たり人件費をみると、足もとでは、販売価格を引き上げた企業ほど、賃上げ率も高い様子が窺われる(図表
B4-4B)。』
あら素敵。ということで、
『今次局面では、価格マークアップの引き上げに成功した企業は、ややラグを伴って賃金支払も増加させる傾向が、中小企業も含めて広がっている可能性が示唆される。』
つまり・・・・・・
賃金と物価の好循環(ただしマークアップ引き上げができる企業とその従業員のみ)という話ではあるのですが、この()の部分に一昨日ネタにしたBOX3で示されるような労働力の移動が起きることによって、マークアップできない企業はマークアップできるように頑張っていただくなり、それが無理なら粛々とご退場いただくなり、ってのがまあ「賃金と物価の好循環」ですわな、という話ならそりゃまあそうですよね、という話ではありますけれども、まあ問題なのはこの「賃金と物価の好循環」ってのがあまねく皆さんに行き渡るかのような幻想を与えているんじゃないの、ってところなんだろうなあ、とか思ったり思わなかったり、ってところかと思います。
まあゆうてこういう形で賃金と物価の好循環(ただしマークアップ引き上げができる企業のみ)が確認されてきたら、それこそそれは物価安定目標達成じゃろ、と考えますと見通し期間の後半とかいうここから1年半も待つ必要あるんかいな、とは思ってしまうこちらのBOX3とBOX4なのでありました、というのがこのシリーズのアタクシの私家版結論ということにしておきます。
2025/05/14
お題「4月決定会合主な意見:出だしの強烈な悲観意見とそれに対するランボー怒りの抜刀の対比がおもろかった」
これはこれは
https://www.mof.go.jp/about_mof/recruit/mof/jimuhosa/20250513_rizai.tyousa.html
専門調査員の募集(理財局国債企画課(調査係))
『現在、理財局国債企画課(調査係)において専門調査員を募集しています。仕事内容・勤務条件等は以下のとおりです。』
ということで、
『4.応募資格
金融機関等において資金運用・金融取引に係る専門的知識(実務経験数年)を有していると認められる者』
マジかここに数年どころか四半世紀いやなんでもありません。
〇4月決定会合主な意見は中々の面白さでしたな
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250501.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 4 月 30 日、5 月 1 日開催分)1
・ものすごい勢いでハトハトチキンになったことに対するランボー怒りの意見が非常に面白いというか素晴らしい
今回の主な意見、一番面白かったというか素晴らしかったのはこの二つの意見でしょ。ということでまずは順序をさておいて引用しますけど、
『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』の8個目の意見ですけどね。
『・ GDPに占める輸出の割合等をみると日本の貿易依存度はそこまで高くないことから、米国の関税政策の動向だけでなく、国内要因にも注目して、冷静に金融経済の状況判断をしていきたい。』
>冷静に金融経済の状況判断をしていきたい
>冷静に金融経済の状況判断をしていきたい
>冷静に金融経済の状況判断をしていきたい
>冷静に金融経済の状況判断をしていきたい
>冷静に金融経済の状況判断をしていきたい
・・・・・・・・(;∀;)イイシテキダナー
でですね、ご案内のように今回はなんせフォワードルッキング(笑)にベースラインシナリオを引き下げるわ前回まで上振れと言ってた物価を下振れと言うわ、という大胆なプレイが出ていた訳ですが、この後でネタにしますが、この「経済情勢」のところとか「この世の終わり」みたいな感じの意見が並びまくっておりまして、なるほどここまで「この世の終わり」みたいな雰囲気だったのか、と思いながら読んでいる所の最後の方(最後から2番目)にこの意見が出てきたので思いっきり吹いてしまいました。
つまりですね、この意見を提出した方から見たら、経済情勢に関する意見の最初の部分、つまりいつもの編集順序からしたら正副総裁辺りの意見と思われるものが冷静さを欠いたハトハト総悲観状態で、「お前らアホかいいから落ち着け」とたしなめたい、というのが非常に良く伝わる意見でして、この「冷静に」ってのがもう素敵としか言いようが無いのですが・・・・・・・
たぶんさっきのと同じお方だと思うのですが、『U.金融政策運営に関する意見』の6番目にも素敵な意見があるんですよ。
『・米国経済減速から利上げの一時休止局面となるが、米国の政策転換次第で追加的な利上げを行うなど、過度な悲観に陥ることなく、自由度を高めた柔軟かつ機動的な金融政策運営が求められる。』
>過度な悲観に陥ることなく、
>過度な悲観に陥ることなく、
>過度な悲観に陥ることなく、
>過度な悲観に陥ることなく、
>過度な悲観に陥ることなく、
(;∀;)イイシテキダナー
(;∀;)イイシテキダナー
(;∀;)イイシテキダナー
ということでですね、まあ同じお方がランボー怒りの抜刀斎となっておられるのではないかと存じます次第なのですが、要するに「過度な悲観に陥って冷静さを欠いた議論が行われている」という事態が先般の金融政策決定会合では行われていた、という所だったんでしょうなあ、というのが活写されているという事で、言葉の力、というのをここまで感じたことはない、という「主な意見」でありました。
・でもって冷静さを欠いた悲観のハトハトチキンは誰だったのでしょうかねえ(・∀・)ニヤニヤ
てな話になるわけですが、この「主な意見」。後半の方になると総悲観みたいだったのから少しマシになってくるので、決定会合後の記者会見がどう見てもハトハトチキンだったのを踏まえれば、こんなの要するに総裁と副総裁(のうち誰かさん)がハトハトチキンで冷静さを欠いて過度な悲観に陥って議論をリードしたのか強引に押し通したのか、過度な悲観のハトハトチキンに腰抜け政策委員(なお中村審議委員は信念のハト派なので腰抜け呼ばわりからは除外されます)が迎合オブ迎合したのか、その合わせ技なのかは分りかねますが、まあその流れに対してランボー怒りの抜刀斎が抜刀されたということで割と画期的だったかもしれないな、と思うのでありました(あくまでも個人の妄想ですのでその点はよろしゅうに)。
まあ半分くらい妄想ですけどねwww
では通常ベースに戻って順に確認してみましょう。
・経済のパートの冒頭にこの世の終わりみたいな意見が並んでいるというのがもうね
『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』の冒頭がとにかくこの世の終わりみたいな意見が並んでいるのには呆れました。
『・ わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。先行きは、各国の通商政策等の影響を受けて成長ペースは鈍化するものの、その後は海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくとみられる。』
これは公式見解だからまあどうでも良いのですが、
『・ 不確実性の増大が設備投資や家計消費に与える影響、米国への輸出量の減少や採算の悪化、世界的な景気悪化や円高が対世界輸出に与える影響、株価下落の逆資産効果などの負の需要ショックが見込まれる。資源価格下落等に伴う正の供給ショックも見込まれるが、需要ショックよりは小さい。全体としては、米国の関税政策は、わが国の経済・物価のいずれにも下押し方向に働く。』
思いっきり経済も物価も下押しなんですって。
『・ これまでの見通しは、米国の関税政策によって、大きく揺るがされている。米国の関税引き上げは、わが国の経済と物価を下押しする。それは、わが国の輸出を下押しするだけでなく、貿易の縮小を媒介として、世界経済全体を下押しするためである。』
世界経済下押しまで決め打ちしている、というこの世の終わりシリーズが2本続いていて、これって前の方の順序に出ているというのを勘案しますと総裁副総裁なんじゃないのって思ってしまうわけですな。
でもってこの後。
『・@米国の関税政策の着地とAそれへの企業の対応は二重の意味で流動的であり、現時点での見通しは仮置きに止まる。今後の推移次第で、見通しには大きな修正があり得る。』
という冷静なのがあるんですけど、だったらそもそも何で今回ベースラインシナリオを下げたのかと小一時間問い詰めたい。
『・米国では、新政権発足以降、経済成長にマイナスに働く関税等の政策が先行しているが、今後、減税等の政策に転じた場合、成長率上振れもあり得る。』
『・相互関税は世界各国に賦課されるため、日本企業の相対的な競争条件悪化には繋がり難く、収益減少が限られる可能性もある。』
という意見もあるわけで、こんなに意見があって、かつさっきの抜刀もあるんだから(最大で4名ですが、何となくこのうちの一つがさっきの抜刀の人のような気もしますのでもしかしたら3人)、衆寡敵せずでベースラインシナリオを下げるような展望レポートになったって感じでしょうかねえ。
でまあこれは文章からしてたぶん中村審議委員。
『・米国の関税引き上げによる影響について不確実性が高い状況だが、高関税が長期化すれば、直接的影響を受ける輸出企業を中心に、事業再編やバリューチェーン強靱化のための取引先の選別、多層化した下請構造の圧縮、生産拠点の米国シフト等が進む惧れがあり、これが、雇用の7割を占め経営体力が比較的弱い中小企業に影響を及ぼす懸念がある。』
まあこれはさっきの過度な悲観おじさん(またはおばさん)とは違いますので一つの意見。
でもってこの次がさっきの抜刀斎な訳ですが、
『・GDPに占める輸出の割合等をみると日本の貿易依存度はそこまで高くないことから、米国の関税政策の動向だけでなく、国内要因にも注目して、冷静に金融経済の状況判断をしていきたい。』
「冷静に」ってのが強烈な砲撃になっているのは先ほど申し上げた通り。
『・今のところ、国際金融資本市場で顕著な dash for cash の動きは見られないが、引き続きノンバンク金融仲介機関(NBFI)の動向などを注視する必要がある。』
まあここにしか入れる場所が無いのでここに入っていますが、NBFIに関しては今回のFSRでも話になっていましたし、BIS-FSBだったと思いますけど、今回はこの話が出ていましたわな。
・物価のパートを見ますと何でこれで物価見通し下振れとリスク分布も下振れに一気にジャガーチェンジできるんでしょ
まあ経済に関してはそりゃ関税が上振れにはならんから下振れという話で、問題はその程度ということなんですけど、物価に関しても今回思いっきり下振れしたので、さてこれはなんの判じ物、というのを確認してみましょう。『(物価)』のパートですね。
『・ 消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』
『・ 物価見通しについては、展望レポートに前提として記載された関税政策等の影響のもとでも、現時点では、引き続き賃金の伸び
と 労働需給の引き締まりに支えられ、振れを伴いつつも、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると想定している。』
この辺は公式見解。
『・ 米国の関税政策は、わが国経済を貿易面・コンフィデンス面から下押すと考えられる。物価面では、経済の減速とサプライチェーンの混乱という上下双方向の要因があるが、いずれも賃金面ではマイナス要因となりうるため、基調的な物価には下押し要因となる可能性が高い。』
賃金にマイナスだから、っていうのも割と斬新な切り口な希ガス。
『・ 物価は 2027 年度まで2%近傍を維持する見通しであり、更に、グローバルサプライチェーンの混乱等の物価上振れリスクがある点に留意が必要である。』
・・・・筈なのですが展望レポート見ると下振れリスクって話が強調されていましたわな。さらに
『・関税ショックは短期的な価格ショックと考えることもできるので、長期的には実質的な効果を持たないという理論上の結論はありうる。したがって、現時点では、やや長い目でみれば、米国の関税政策とその不確実性が、基調的な物価上昇率や潜在成長率に影響を与えるとはみていない。』
まあそういう話もあるわな。
ということで物価ってこの4つしか意見が無いんだが、何でこれしかないのにあの展望レポートの結論になっているのかがさっぱり分からんのですが、アタクシの大妄想によりますとハトハトチキン音頭の踊り過ぎで冷静さを欠いた過度な悲観に陥ったハトハトチキンのトップ連中が以下同文。
・金融政策に関する意見になるとハトハト音頭の演奏が止まる件についてwwwwwww
『U.金融政策運営に関する意見』ですけれども、この金融政策運営に関する意見で何であの総裁記者会見になるのかが益々意味不明になるわけです、ということで鑑賞しますと、最初の方は公式見解になるんですけどね、
『・ 経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。そのうえで、こうした見通しが実現していくかは、不確実性がきわめて高いことを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である。』
まあ予断持ってるから何のデータもでてこないのに堂々とベースラインシナリオを引き下げたんですけどね!!!!!
『・ 見通しは2%の「物価安定の目標」を実現する姿となっており、実質金利は大幅なマイナスであるので、利上げしていく方針は不変である。その際、前提となる関税交渉の帰趨を含めて、不確実性がきわめて高い中で、見通し自体が上下に変化しうるため、見通し実現の確度、リスクを見極めていく必要がある。』
まあそりゃそうだって感じですが、実質金利大幅マイナスなんだから利上げするじゃろ、というのは結構なご意見ですが、以下こんな感じで真人間っぽい意見が続きましてですね、
『・ 経済・物価の見通しを巡る不確実性は高く、その確度は従来に比べて高くはない。先行き、見通しの上振れ・下振れ双方の可能性を点検したうえで、適切に政策を運営していく必要がある。』
『・ 米国の関税政策の展開がある程度落ち着くまでは様子見モードを続けざるを得ない。』
様子見モード、とか何ですかそのネット民みたいな言葉はと思いましたが、まあこの辺の意見はそりゃそうだという話ではあるんだが、だったら何で今回決め打ちでベースラインシナリオの引き下げを拙速に行ったのかがまるでよくわからない(しつこくいう人)。
次はこれ多分中村審議委員だと思います。
『・米国の関税政策により、日本企業は行き過ぎたコストカット、賃上げ・投資の抑制といった縮み志向や産業の空洞化に陥る可能性も考えられ、積極化していた企業マインドや倒産の傾向に変化がないか注視する必要がある。日本経済への影響を慎重に見極める必要があるため、現状の金融政策を維持することが適当である。』
過度な緩和は資源配分の非効率を招くリスクがあると思うので、言いたいことは分かるんだが、それが今の金融政策を維持することを正当化しないと思うんですけどね。まあこれは見解の相違の世界だけど。
でもって次がさっきご紹介した抜刀で、
『・米国経済減速から利上げの一時休止局面となるが、米国の政策転換次第で追加的な利上げを行うなど、過度な悲観に陥ることなく、自由度を高めた柔軟かつ機動的な金融政策運営が求められる。』
ランボー怒りの抜刀という話は先ほど申し上げた通りです。
でもって次。
『・「物価安定の目標」の実現に向けて最も重要なのは、@企業の賃金・価格設定行動、A企業や家計の予想インフレ率がどうなるかであるが、以前の賃金・物価が上がりにくい状況に戻っていくリスクは小さい。このため、2%の「物価安定の目標」に向けて上昇してきた基調的な物価上昇率が下方に屈折してしまう可能性は小さい。』
まあそうじゃろうな、とは思うが根拠が書いてないので何んともかんとも。
『・わが国では金利の下限制約から脱却して1年以上経つが、足もとにおける経済と物価はしっかりとしており、こうした中、現在の金融政策スタンスは、とても緩和的な状況にある。』
まあ結論は良いんだけど「政策金利0.5%」ってのは金利の下限制約ひ引っかかって言う状態と変わらんじゃろと思う訳で、そういう言い方は短期金利が1%になってから言って欲しいですねw
・情報発信に関して意見が2つありましたので
『・どのような見通しを立てたにせよ、米国の関税政策の展開によって、良い方にも悪い方にもすぐに覆る可能性がある。それは、日本銀行の政策経路が今後いつでも変わり得ることを意味する。その点、当面、市場とのコミュニケーションにおいて十分に率直であるべきである。』
言ってることはご尤も。
だったら何も今回ベースラインシナリオ変えなくても良かったんじゃないかね、という気が思いっきりしますけれども、「上にも下にも変わりうる」っていう当たり前の指摘がちゃんとできていてエライというか、ハトハトチキン総裁がハトハト決め打ち過ぎるんだがwww
その点で言えばこの意見の「その点、当面、市場とのコミュニケーションにおいて十分に率直であるべきである。」ってのも市場とのコミュニケーションが誤魔化しやってねえか、って批判なのかも知れないなと思うとそれはそれで面白い。
『・市場は、日本銀行の従来からの基本方針を内外の情報にあてはめて、日本銀行からの直接的な示唆を俟つことなく、利上げ時期についての見方を形成し、自ら修正し続けている。こうした状況を維持できるような情報発信の仕方を続けることが望ましい。』
これもご尤もなんですが、とにかく今の日銀って隙あらばしょうもない「直接的な示唆」を受けた記事をメディアに書かせる、というのを得意技にしている訳でして、その点では今回の情報発信においてなんですが、「アベイラブルなデータがなんも無いのにトランプ関税を受けてベースラインシナリオを引き下げた」というのであれば「置き」についてもっと詳しく(関税がどのくらいになるとか、世界経済がどのくらい下押しするか)を示してくれないと、「こうした状況を維持できる」かどうかは怪しくなりますわな、というお話でもあります。
まあ世界経済に関してはIMFのWEO使った、といいたいんでしょうけれども、そもそも論として先般のIMFのWEOってあれどっからどう見ても「アメリカよ、お前らの政策そのままやると世界経済が大変な事になるんだ分かってるのか」って牽制をぶち込むという意図によってマイナス要素モリモリモリタウンにして鉛筆舐めまくってるじゃろ、としか言いようが無い物件で、あれをそのまま真に受けた対応は他の中銀してねえだろってなもんですけどね。
・国債買入に関しては変な動きはしなさそうには見ているんですが・・・・・・
最後に輪番に関しての話があるのですが、
『・4月の市場急変時に、超長期金利の大幅上昇など国債市場で年限別の分断が生じた。国債買入れの減額計画の中間評価に向け、年限別の需給動向や流動性、業態毎に異なる見方を丁寧に確認することが重要である。』
って話なんだが、その次の人はこんなことを言ってまして、
『・超長期債について、金利の先高観が強く市場が神経質な状況では、投資家は投資に慎重にならざるを得ない。中央銀行が市場を十分に考慮することは当然であるが、一方で、その時々の市場の意見に反応しすぎると、その柔軟性が却って予見性を低下させ、市場の不確実性をより高める可能性がある。日本銀行が市場に不確実性を招くことは極力避けるべきである。』
これは誰が言ってるのかわかりませんけど非常に良い意見過ぎて弟子入りしたくなるレベルでして、特にこの「その時々の市場の意見に反応しすぎると、その柔軟性が却って予見性を低下させ、市場の不確実性をより高める可能性がある。」ってのがまさにその通りって感じですわな。
特に今はもうYCCやっている訳ではないのですから、日銀が下手に意図的な市場介入をすると、市場はその意図的な介入を所与として行動しだすので、それこそ市場による価格発見機能とか市場機能を通じた効率的な資源配分とか、そういうものを阻害するだけでなんら良い話は無い、という事を認識して頂いて、YCC脳から脱却すべきだと思うのですが、まあこれに関しては日銀よりも市場の方がYCC脳のクレクレコジキムーブになっているのを自覚してるのかしてないのか知らんけど、見ていてお前それ市場の人間として言ってて恥ずかしくないのってツッコミをしたくなるようなコジキムーブなご意見が聞かれたりするのは非常に見苦しいと申しますか市場の恥だから市場から退場して頂きたいもんですわ、とあらぬ方面に砲撃するアタクシwww
まあそれは兎も角、輪番に関する意見の最初のについては、なんか若干微妙な気もしますけれども、別に意見として市場の短期的な意見にリアクティブに行動しろと言っている訳ではなさそうに見えますので、その意味ではこの「主な意見」を見る限りにおいて、日銀サイドのほうで今回の輪番の中間評価で変なYCCチックなムーブをしなさそうに見える(個人の願望入りです)のは結構なことだと思いました。
まあ超長期の需給がどうのこうのという問題ですが、それは日銀にケツ持ちをさせるという発想がQQEデフレ脳だし、大体からしてそれは財政ファイナンス脳なのでありまして、市場が消化できないレベルで国債発行しているんだったら、お値段が安くなる(金利が上昇する)ことによってしか解決できない訳で、それで発行コストが上がるのが嫌なら発行を減額して短期化するしかなくて、そんなの全部発行当局が何とかしろ案件ですわな。って最近の論調をチラ見すると輪番をどうしろというのではなくて市場の方でも発行サイドが何とかする話じゃろ、ってのが主流になっているようには見えますけど(個人の感想です)。
・しかし「冷静さを欠いて過度な悲観のハトハト音頭を直ぐに踊りだす」というのは・・・・・・・
とまあそんなところで「主な意見」の鑑賞なのですが、これ4月展望レートおよびその後のハトハトチキン音頭満艦飾の植田総裁会見と比較しますと冷静、というかハトハトチキン音頭を「過度な悲観に陥って冷静さを欠いて」踊っていた連中がいて、あまりにもそのハトハトチキン音頭がやかましいのでそれに引っ張られてあんなもんが出てきた、ということではあろうかと存じます。
とはいえ、展望レポート基本的見解(全文でもいいけど)の物価見通しは25年度下振れ6名、26年度下振れ5名(しかも下振れの5名が弱い数字を出している)ということなので、単にハトハトチキン音頭を上の方が踊っていただけではなくて、「過度な悲観に陥って冷静さを欠いて」一緒になって踊ったアホウがいるという事でもありますので、まあこの内容が思ったほどのハトハトチキンじゃなかったからといって安心できるもんでもないな、という感じですわ。
つまりですね、二つの相反する懸念があって、その1としては「こいつら結局隙あらばハトハトチキンじゃん」というのがまあ懸念される訳で、紙に書くと冷静な意見言ってるのに何であの展望レポートのリスクバランスチャートになるんだよ、ってなもんでして、まあ結局根はハトハトチキンなんだろうな、っていう懸念があるのですが、さらに問題だと思われる懸念その2は、「こいつら雰囲気でいきなり極端にドテンしやがるんじゃねえか」って話でして、いやまあこれまでもマイナス金利解除からこの方、毎度毎度ドテンドテンを繰り返すジャガーチェンジおじさんおばさんの集団だった、というのが植田日銀の得意技だったのですけれども、今回なんてもう「雰囲気で一気に弱気化した」としか見えないようなできあがりの展望レポート基本的見解を出してきている訳でして、逆に言えば雰囲気で一気にまたドテンしてくるかもしれない、という事でありますので、兎に角植田日銀は安定性に欠くとしか言いようが無いな、というのはまあ今更言われんでも分かっとるわというのはありますが、それにしてもまあひでえなと思うのでした。
と言ったところで今朝は時間の関係でこの辺で勘弁していただきとう存じます。
2025/05/13
お題「米中90日間先送りムーブで日銀どうするんじゃこれwww/展望レポート全文のBOXを鑑賞(その1)」
ほうほうそうですかそうですか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250512/k10014803191000.html
政党支持率 自民26.4% 立民7.6% 国民7.2% 支持なし38.2%
2025年5月12日 19時29分
〇トラ公またもめだか師匠ムーブキタコレでクソ笑うしかないのだが(備忘メモと雑談)
・米中合意と言っても結局90日間の交渉期間を設けましょうの世界ではあるが
あらあらまあまあ
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 148.47 JPY
変化 3.13
変化% +2.15%
2025年5月13日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
てなわけで皆様ご案内の通りですが、前日に前振りがあったので既に昨日の時点でリスクオン気味の相場にはなっていたのですが、
前日の前振り
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/SCFKO4IKYJLSZE6SP4UASH2N3E-2025-05-11/
米中貿易協議で「大きな進展」、12日に声明 協議枠組み設置と中国
Emma Farge, John Revill
2025年5月12日午前 7:41 GMT
『[ジュネーブ 11日 ロイター] - ベセント米財務長官は11日、スイスのジュネーブで前日から行われた米中の貿易問題を巡る閣僚級協議で2国間の貿易戦争の緩和に向けて「大きな進展」があったと述べた。詳細は12日に説明するとした。』(上記URL先より)
ってところでしたが、昨日日本時間で多分16時くらいだったと思うのですが、共同声明出ましたよのニュース出てリスクオーンとなった次第で、
昨日の合意云々
https://jp.reuters.com/world/us/XKKXM4ODSVIOJPQXYRGALXODCI-2025-05-12/
米中、追加関税引き下げで合意 景気後退懸念緩和で株・ドル急騰
Emma Farge, Olivia Le Poidevin, Lewis Jackson
2025年5月13日午前 12:25 GMT+9
『[ジュネーブ 12日 ロイター] - 米国と中国は12日、両国の貿易問題を巡り10─11日にスイスのジュネーブで行った閣僚級協議で、相互に発動した関税率を115%ポイント引き下げることで合意したと発表した。上乗せ分の90日間の停止、経済・貿易関係に関する協議メカニズムの構築も打ち出した。米中は関税の応酬の結果、米国の対中関税率は145%、中国の対米関税率は125%まで上げられた。この合意を受け、株式市場とドル相場は急騰した。』(上記URL先より)
ってなもんで、相変わらずのトラ公関税茶番劇場(茶番とか言うとめだか師匠に失礼ですがwww)でございますが、そもそもトラ公は制球が全然定まらないノーコン剛球な(自主規制)投手みたいなもん(自主規制の部分はお好きにどぞw)訳でして、ノーコンが投げてくる球をクソ真面目に一々反応するのがアカン訳ですが、まあ今回の場合はちゃんとした人たちが共同声明だしているんだから90日間の交渉期間設定、みたいな感じになったんでしょうなあというのは分かります。
でもってトラ公また調子に乗って
https://jp.reuters.com/world/us/YP2U4MJITVOLHDNPIWJHNBQDRA-2025-05-12/
トランプ氏、対中関税「145%に戻らず」 90日停止後も
ロイター編集
2025年5月13日午前 12:28 GMT+9
『[ワシントン 12 日 ロイター] - トランプ米大統領は12日、中国からの輸入品に対する関税について、90日間の一時停止期間が終了しても145%に戻ることはないとの認識を示した。』(上記URL先より、以下同様)
なんかもうバザールの値段交渉しているみたいなノリじゃなこいつは。
『トランプ大統領は、米中は合意に達するとの期待を表明。同時に、対中関税が再び大幅に引き上げられる可能性もあると述べた。米中は10─11日にスイスのジュネーブで行った閣僚級協議で、相互に発動した関税率を115%ポイント引き下げることで合意。上乗せ分の90日間の停止、経済・貿易関係に関する協議メカニズムの構築も打ち出した。トランプ氏はこの日、今週末に中国の習近平国家主席と会談する可能性があると述べている。』
プーチンにも言いくるめられるトラ公なのでプーさん(以下禿しく自主規制^^)
まあ何にせよ結構結構という感じですが、まあそうなりますと当然のように・・・・・・・
・まあ当然ですが「関税対応での金融政策を急ぐ必要はない」となりますわな
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/NYCFMWT7AVO5XDYBHII5GNF6IM-2025-05-12/
FRB政策対応の必要性低下、米中関税引き下げで=クーグラー理事
ロイター編集
2025年5月13日午前 2:51
『[ダブリン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクーグラー理事は12日、米中の大幅な関税引き下げ合意を受け、貿易摩擦による経済への影響は軽減される見通しで、FRBが金融政策で対応する必要性が低下する可能性があるとの認識を示した。』(上記URL先より、以下同様)
となるわけで、
『クーグラー氏はアイルランドで開かれた経済シンポジウムで、物価上昇と経済減速を依然として予想しているものの、これまでに見込んでいたほどの規模ではないと指摘。経済減速の可能性に対応するために「FRBがツールを行使する必要性の度合いに関し、私の基本的な見通しは変わった」と述べた。』
とまあ極めて当然ではありますがこういう話になるのですが、こうなりますと関税政策を受けて「先行きが分からないので今回は1回パス」をしようと思えば出来たのに、物凄い勢いでベースラインシナリオを下げた日銀の対応というのが大変に素敵なことになってしまう訳でして、お前ら7月展望でまたジャガーチェンジしたら最低でも今回の展望で「経済下振れさせて下振れリスク認識を出した」という政策委員の面々はリアルハラキリショーをやっていただかないと落とし前が付かんじゃろ(なお中村委員は6月末でご退任だし間違って大本営が7月にジャガーチェンジしたら反対に回るのは確実だと思うのでリアルハラキリショーの出演は免除されますw)ってなもんですが、はてさてどうなるのやらという感じです。
まあゆうて関税ゼロになるわけではないから経済へのマイナスが全部なくなったわけではない(寧ろ米国とか「経済が減速しない程度の関税による物価高」の方がきつくなるんじゃないかという線までアリエールんだが)のですけれども、こうなってくると日銀の今回の展望レポートの前提になっている見方、すなわち
『2 各国の通商政策等の今後の展開やその内外経済・物価に及ぼす影響については、不確実性がきわめて高い状態にある。今回の展望レポートの中心的な見通しは、今後、各国間の交渉がある程度進展するほか、グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されることなどを前提に作成している。なお、今後の各国の政策の帰趨や、それを受けた各国の企業・家計の対応次第で、経済・物価の見通しが大きく変化しうる点には注意が必要である。』(4月展望レポートより)
となっているのですが、じゃあこの「各国間の交渉がある程度進展するほか、グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されることなどを前提に」の前提は米中関税がどの程度の水準になるのか、日本の関税がどの程度の水準になるのか、といったベースラインの前提はどうなっているのか、というのがこれまた今回非開示な訳でして、そもそもの日銀の見通しが関税協議の進展によって「見通しの前提よりもリアルの展開が上振れている/下振れているのか」というのが分からんという作りになっているのが甚だ遺憾の極みだったりするわけでして、4月展望の後に行われる総裁副総裁講演、ということですと今回は
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
今後の講演・挨拶等の予定
2025年 6月 3日 植田総裁 内外情勢調査会における講演
となっていて、きさらぎ会よりも後の日程だと思うのですが、今回は内外情勢調査会の方で講演、ということですので、「日銀は関税に関して一定程度の置きを置いて見通しを作った結果が4月展望」なんだから、その置きを公表しろってツッコミに対して何らかの説明が求められるんじゃないですかねえという所です。
・・・とは言いましても日銀見物門前の小僧をウン十ウン年もやっておりますとだいたい日銀の言い訳は想定できる次第でして、これ日銀が何と言って申し開きするかと言いますと「前提について展望レポートで書きましたようなベースラインで考えて頂く、ということで各政策委員にはお願いしましたが、実際に各国の関税がどの程度になるのか、という点については個々の政策委員の判断に委ねられており、関税率が幾らになる、という数値まで決め打ちした前提を置いている訳ではないので、すなわち「何か一定の数値を決めているわけではない」となりますので、具体的な前提はお出しできません」となると思うんですよね。
じゃあ何も出さないのかという話ですが、さすがに今回は話の前提が完全に関税政策依存になってしまっているので、そこを考えたら各々の政策委員がどの程度の関税率を想定していたか、というのを個別委員が分からないようにしてレンジで示す、くらいの事はやっていただかないと、関税政策の進展に伴い今回の展望レポートの前提対比で今の状況が上振れているのか下振れているのかすら分からんという事になってしまいますがな、とは思うのでした。
・ところで為替円安ですが
でまあ先ほど引用したようにドル高進行なのですが、日銀がハトハトチキン音頭を踊ってしまっているのでリスクオン局面になるとそもそも円安が進行しやすい展開に戻っている訳でして、ご案内の通りでドル円148円だという状況になってしまいまして、折角140円瞬間割れまで円安是正されたんですが、こうなりますと展望レポートでの物価見通しの前提条件も変わってくるじゃろ、ってなもんですし、だいたいからして為替円安誘導怪しからんって言われてませんでしたっけという話ではあるのですが、こっちの方が目先は気になるところではあります。
・・・まあしかし何ですな、ここ数年は物価の上振れに対して延々とバックワードルッキングで言い訳を繰り返し、挙句の果てには「基調的物価」という「お気持ち物価」を説明に乱用してその場を凌いでいた日銀ちゃんが、珍しくも突然フォワードルッキングにベースラインシナリオを下げたら2週間もしないうちにこの有様、というのはもはや伝統芸能の美といったものを感じますな、ナムナム。
〇展望レポート全文のBOXを鑑賞する企画(たぶん時間が足りないのでその1)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504b.pdf
経済・物価情勢の展望
2025 年 4 月
背景説明を含む全文、ってのの最後に毎度のようにBOXってのがあるのですが、今回のお題は・・・・
(BOX1)各国の通商政策の動きとその影響
(BOX2)わが国における生産性の動向
(BOX3)労働需給と労働者の企業間移動
(BOX4)最近の賃上げと価格転嫁を巡る動向
となっていまして、通商政策に関してのお話は1本で残りが労働市場に関連する話になっている、という構成になっておりまして、でまあ1月展望のBOXを思い出していただければわかりますが、今回についても労働市場について言及している部分についてはエライ勢いでポジティブな話が並んでいるのよこれが。
ということでざっと読んで今回視点として一番味わいがあったような気がするのが『(BOX3)労働需給と労働者の企業間移動
』なので今朝は(時間の関係上)こちらの鑑賞でも。
『(BOX3)労働需給と労働者の企業間移動 』から参ります。
・まずは人手不足ですよと言う話から入りますが
『本BOXでは、労働需給が引き締まり傾向を強めるもとでの労働者の企業間移動の動向を点検する。』
ということで、
『まず、短観の雇用人員判断DIの「ヒートマップ」をみると28、人手不足感の強い状態が、大企業、中小企業ともに、幅広い業種で継続していることが確認できる(図表
B3-1)。』
さよですな。
『正社員とパートに分けて人手不足感をみると(図表 B3-2、B3-3)、最近は、パートに比べ、長期雇用を前提とする正社員の労働需給の方が、引き締まり度合いが強くなっており、人手不足の長期化を予想した企業による労働需要の強さが窺われる29。』
(労働者的に)イイハナシダナー
・でもって人手不足の規模は何と平成バブル期並みとな
『前回の展望レポートでは、労働経済動向調査の欠員率(=未充足求人数/常用労働者数)を用いたUV分析を行い、失業率の動きを、構造的な変動と循環的な変動に識別することを試みた(図表B3-4@)30。』
次のページに『図表B3-4:失業率ギャップ』ってのがあって、『@構造失業率』ってのがありましてその数値があるんですが、これもっと昔からの時系列も見たいです(2002〜なので)。
『これと同じ手法で推計した失業率ギャップ(実際の失業率と構造失業率の乖離)をみると、労働需給の引き締まりは、足もとで一段と強まっており、その程度は
1980 年代後半のバブル期をも上回っている(図表B3-4A)。』
でもって『図表B3-4:失業率ギャップ』の『A失業率ギャップ』だと1983年からの数字があるので@も長期時系列出せるじゃろと思いましたが、失業率ギャップはそこそこ結構なマイナスになっています。
『これには、@労働需要の増加を受けた実際の失業率の低下傾向に加えて、A近年の転職市場の拡大に伴う自発的離職の増加が、構造失業率を押し上げる方向に作用していることも影響している。』
ということですが、ただこの分析若干ツッコミどころがあって、足元確かに80年代最後のバブルよりも労働需給が引き締まっているのですが、実は図表B3-4Aを見ますと(グラフのメモリが細かくないから目の子でざっくり見た感じだと)2015年あたり位から既に労働需給が顕著に引き締まった状態で平成バブル並みに引き締まっている訳で、じゃあ何で今とその時代が違うんじゃというのは説明が欲しいなとは思います。
で、まあこの先に一応説明らしきものがあって・・・・・・
・転職市場の活発化による効果があるとのお話でして
『実際、転職市場をみると、中途採用の比率が上昇傾向にあるなど、労働者の企業間移動は近年、活発化してきているとみられる。さらに、転職によって賃金が上昇した人の割合も、足もとでは既往最高水準まで上昇しており、企業が人材確保のため、中途採用者に対する賃上げを積極化している姿が窺われる。』
マジかワシいや何でもありません(自爆)
『こうしたもとで、賃金上昇を伴う転職割合は、2010 年代初頭には 25%であったが、2024
年には 35%まで高まっている31。』
賃金上昇を伴わない転職が65%なのか、と思っちゃいましたがそれはさておき、この先が本稿のメインイベントになります、すなわち・・・・・
・賃金の上昇トレンドが起きることによって企業間の優勝劣敗が起きてマクロ的に効率化が進むというお話
『こうした転職市場を通じた労働者の企業間移動について、企業側からみると、近年は、生産性の高い企業が雇用者数を増加させている一方、生産性の低い企業は雇用者数を減少させている(図表B3-5)。』
キタコレ!
『このことは、企業間の生産性水準の違いが、賃金水準の差につながり、ひいては新規に雇用できる労働者数の差をもたらしている可能性を示唆している。』
ほう!
『こうした動きを、労働者側からみると、現在勤めている企業の年収や実質賃金期待が低い場合、当該労働者は転職を選択する可能性が高くなることも分析を通じて確認されている32』
ほっほーーーーー
ちなみにこの脚注32は
『32 リクルートワークス研究所が集計している「全国就業実態パネル調査」の個票データを用いて、転職意向の決定要因を推計したところ、現在の年収が業種平均対比で低いと転職意向が高くなるほか、インフレ期待が高いと実質賃金期待が低いこともあり、転職意向の確率を有意に押し上げることが
確認された。』
>インフレ期待が高いと実質賃金期待が低いこともあり、転職意向の確率を有意に押し上げる
>インフレ期待が高いと実質賃金期待が低いこともあり、転職意向の確率を有意に押し上げる
>インフレ期待が高いと実質賃金期待が低いこともあり、転職意向の確率を有意に押し上げる
・・・・・なんか話が(日銀的に)うますぎる気がしますので、ここら辺はちょっとお手盛りモリモリモリタウンと化しているような気がしますが、なんか美しいまとめ方をしていまして、
『このように、マクロ的に労働需給が一段と引き締まるもとで、賃金水準のばらつきの拡大は、転職市場を通じた労働者の企業間移動を促しているように窺われる。』
という結論になっていますけど、これ途中のところでさらっと書いているからオブラートにやや包まれていますけど、さっきの「このことは、企業間の生産性水準の違いが、賃金水準の差につながり、ひいては新規に雇用できる労働者数の差をもたらしている可能性を示唆している。」ってのが重要ポイントで、つまりは労働者の移動がインフレ期待の高まりにより促進されることによって、労働力が生産性の低い企業に固定されることなく、マクロ的に見た場合の生産性向上に資する、ってエライまた美しいストーリーを描いている訳でして、お気持ち物価の話とかベースラインシナリオあっさり引き下げとかの話とはだいぶ違った威勢の良いコラムになっている、というのが見て取れると思います。
他のBOXについては追々ということで今朝はこの辺で勘弁してつかあさい。
2025/05/12
お題「短国とかのメモ/FOMCオープニングリマークは思いっきり物価重視な説明になっていますね」
いやマジでこのオッサン何なん??
https://diamond.jp/articles/-/364394
日本銀行は利下げへ転換せよ、トランプ関税下の利上げ路線が招く「デフレ逆戻り」のリスク
渡辺 努:ナウキャスト創業者・取締役、東京大学名誉教授
政策・マーケット
渡辺努 物価の教室
2025.5.8 8:30 会員限定
このオッサンが金融政策の話をするときってその場その場でウケそうな事を言ってるだけじゃろ、としか思えない次第(個人の意見ですw)わけで、まあ今回は減税だの高圧経済だの寝言を言ってるどっかの連中に媚び売ってるんでしょうけれども(個人の妄想ですww)、これが東大の経済学部長だったってのが日本の経済学の退廃をよく示しているとワイは思う訳で(なんせ東大という権威を背負っているんですから)、まあ何と申しますか経済学が学問の名に値するのかという疑問まで生じてしまうわけで学会に自浄作用とか無いのかね(あくまでも個人の感想ですwww)。
てかよ、そもそも論として「賃金と物価の好循環」ってのがブードゥー経済学じゃろって話なんだが。
〇また長いところが弱くなったり短国が強くなったりしているんだが
金曜の3M短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250509.htm
国庫短期証券(第1305回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1305回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1305回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年5月12日
4.償還期限 令和7年8月12日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆7,289億円
(2)募入決定額 3兆4,322億8,000万円
(3)募入最低価格 99円89銭7厘0毛
(募入最高利回り) (0.4090%)
(4)募入最低価格における案分比率 56.0199%
(5)募入平均価格 99円89銭9厘8毛
(募入平均利回り) (0.3979%)』
前週は平均0.4台だったし足切り0.42%まで乗ってきた(0.4051/0.4249)のですが、金曜は0.40を切る平均になりまして、あらまあ0.4台は長持ちしないんですか、と申しますのは
売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
いつもの奴を見ますと、
(5/9引値)
国庫短期証券1301 2025/07/22 平均値単利 0.380
国庫短期証券1302 2025/07/28 平均値単利 0.380
国庫短期証券1303 2025/08/04 平均値単利 0.379
国庫短期証券1305 2025/08/12 平均値単利 0.380
ちゃっかり引値が0.38%とお強くなっておられまして、しかも新発だけではなくて既発も揃ってお強くなっておられますのでこりゃまあ普通に短国また強く成りやがったなという感じですわな。月末跨ぎだかGW跨ぎだかを抜けた瞬間一瞬大甘の皇子になったかと思ったのですが、結局売り(かどうか知らんけどまあ状況証拠的には少し外しがあったんだろうなあという感じですかしら)はいつものようにあっさり味で吸収されてしまいましたでござるの巻となっておられるようです、短国強いっすわ。
ちなみに木曜の引けが
(5/8引値)
国庫短期証券1301 2025/07/22 平均値単利 0.410
国庫短期証券1302 2025/07/28 平均値単利 0.410
国庫短期証券1303 2025/08/04 平均値単利 0.410
国庫短期証券1305 2025/08/12 平均値単利 0.410
と3Mカレント近辺は軒並み41bpだったのですが、金曜の入札イベントを経て軒並み3毛強となっている(まあ素地として木曜の時点で実力はもうちょっと強かったんでしょうけど)ということで、こりゃまたお強いという所ですが、そもそも(ネタにしてなかったですが)先週の場合は木曜の6Mも
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250508.htm
国庫短期証券(第1304回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1304回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1304回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年5月12日
4.償還期限 令和7年11月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆1,422億円
(2)募入決定額 2兆6,774億8,000万円
(3)募入最低価格 99円77銭8厘
(募入最高利回り) (0.4462%)
(4)募入最低価格における案分比率 36.1956%
(5)募入平均価格 99円78銭2厘
(募入平均利回り) (0.4381%)』
そもそも6Mも40台前半でしたし、こちらの短国引値が
(5/8引値)
国庫短期証券1304 2025/11/10 平均値単利 0.410
と入札レベルよりも強い引値になっているわ、さっきの5/8引値の3M近辺とレート並びということで、もはや7月利上げとか一切あり得んじゃろというような素敵な値付け(10月だと10月末なのでまあ11月10日償還に効かないのはあるけど)になっていまして、この時点でまあ強いわなと思いました、とかそういうのを事前に言わないで結果が出てからいうのを事後諸葛亮と言いますのでアレですがw
とまあそんな感じでまたまた短国堅調になっているんですけど、長い方は足元では、
ロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XXZOAGIMEZOSHN5W4DSZD7KMJM-2025-05-09/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物続落、米関税巡る警戒後退や米金利高で 長期金利1.355%
ロイター編集
2025年5月9日午後 3:19 GMT+9
『[東京 9日 ロイター] - <15:10> 国債先物続落、米関税巡る警戒後退や米金利高で 長期金利1.355%
国債先物中心限月6月限は、前営業日比27銭安の140円35銭と3営業日続落して取引を終えた。トランプ米政権の関税政策を巡る警戒ムードの後退や米金利上昇が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.355%。』(上記URL先より、以下同様)
ってな訳で、まーたイールドカーブの方がスティープしておるんだが
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比1.5bp上昇の0.630%、5年債は同1.5bp上昇の0.875%、20年債は同4.0bp上昇の2.340%、30年債は同3.0bp上昇の2.905%、40年債は同5.5bp上昇の3.385%。』
ということで、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.624 0.63 0.01 15:00
5年 0.871 0.878 0.015 15:06
10年 1.349 1.354 0.029 15:03
20年 2.335 2.344 0.04 15:05
30年 2.898 2.907 0.031 15:04
40年 3.375 3.383 0.046 15:10』
てな訳でまたも後ろが甘くなっておられるようで、何ですかねえこの相場ちゃんはと思いますけど、最近偶然なのかそういうムーブがあるのかは知らんですが、イールドカーブスティープでベア相場みたいな時ってだいたい短国の短いところがツエツエバエになるという
謎の逆相関があるようにも見受けられますがよくわからんので判断保留。
〇FOMCオープニングリマークを確認しておく企画ですがまあ物価重視明言ですねえ
QAもあるんですが
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20250507.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
May 7, 2025
どうしても会見の方が瞬間瞬間でヘッドラインになるから市場ちゃんって瞬発的に反応してしまう傾向があるのですが、特にパウちゃんになってからのFEDでは、声明文>オープニングリマーク>>会見での説明、って序列が厳然としてあるように見受けられまして、結局のところ声明文をメインで読んでおかないといかんじゃろ、って思うのですよね(後になってみると結局声明文で示した認識の方に寄せられる)、まあその辺はバーナンキとかいう逆さ絵のインチキジジイが会見で変にレトリック使って説明するというのを多用したせいで、それが市場のイメージとして強く残ってしまった流れにあるというのがアタクシの見解(偏見にだいぶ寄っているので念のため申し添えますw)でして、本来声明文が一番エライのですが、声明文以外の出物の方が色々な分かりやすい出し方で情報をだしているもんだからつい皆さんそれに飛びつくって感じだと思うの(個人の偏見入り感想です)。
てな訳で声明文の次に偉いのはオープニングリマークなのでそちらを先ずは読むのダイジダイジネーということで。
あと、FRBのトップを見ますと
『Speech by Governor Cook on productivity dynamics
Speech - 5/9/2025
Speech by Governor Waller on monetary policy research
Speech - 5/9/2025
Speech by Governor Kugler on assessing maximum employment
Speech - 5/9/2025』
などという読めと言わんばかりの3連発がありますが(実はもう一つあるけどAIと労働市場なので)それはまた追々ネタにできればしようかと思います。
・初手で「The risks of higher unemployment and higher inflation appear to have risen」を示す。
『CHAIR POWELL. Good afternoon. My colleagues and I remain squarely focused
on achieving our dual mandate goals of maximum employment and stable prices
for the benefit of the American people.』
冒頭はいつもの文言。
『Despite heightened uncertainty, the economy is still in a solid position.
The unemployment rate remains low, and the labor market is at or near maximum
employment. Inflation has come down a great deal but has been running somewhat
above our 2 percent longerrun objective.』
でもってその次が経済の全体の状況についてとデュアルマンデートに対する物価雇用の状態についてのコメントになって、今回も通常通りにそのコメントになるのですが、今回はもうこの一発目の「Despite
heightened uncertainty, the economy is still in a solid position.」が出オチのようなもんでもうこの時点で様子見地蔵ですよというのが伝わるわけですが。
『In support of our goals, today the Federal Open Market Committee decided
to leave our policy interest rate unchanged. The risks of higher unemployment
and higher inflation appear to have risen, and we believe that the current
stance of monetary policy leaves us well positioned to respond in a timely
way to potential economic developments. I will have more to say about monetary
policy after briefly reviewing economic developments.』
でもって次のパラグラフに行きますと「The risks of higher unemployment and
higher inflation appear to have risen」ってなりまして、さらに「we believe
that the current stance of monetary policy leaves us well positioned to
respond in a timely way to potential economic developments.」ってありまして、「リスクは高まっているけどとりあえずワシらの政策はwell
positionedで今後の展開に如何様にも対応できます」って説明をしていて、つまりはこれは「今後の展開を見て必要なら何かするけどそうじゃなかったら地蔵ですわ」というお話でございますわな。
・経済物価情勢に関する説明では1QGDPの説明をわざわざしているんですね
この先は経済物価雇用情勢に関する説明です。全体の話の中では1QのGDPについての説明があって、
『Following growth of 2.5 percent last year, GDP was reported to have edged
down in the first quarter, reflecting swings in net exports that were likely
driven by businesses bringing in imports ahead of potential tariffs.This
unusual swing complicated GDP measurement last quarter.』
関税駆け込み要因で輸入が増えてGDPが押し下げになっていますが、そのせいで統計の解釈を複雑にしています、
『Private domestic final purchases, or PDFP-which excludes net exports,
inventory investment, and government spending-grew at a solid 3 percent
rate in the first quarter, the same as last year’s pace. Within PDFP,
growth of consumer spending moderated while investment in equipment and
intangibles rebounded from weakness in the fourth quarter. Surveys of households
and businesses, however, report a sharp decline in sentiment and elevated
uncertainty about the economic outlook, largely reflecting trade policy
concerns. It remains to be seen how these developments might affect future
spending and investment. 』
民間最終消費を見ますと3%成長と堅調に推移していますが、そうは言っても消費支出はモデレートしてきていますし、サーベイを見ますと関税政策のせいでセンチメントが急速に悪化しているので、「It
remains to be seen how these developments might affect future spending
and investment.」と先行き警戒。
『In the labor market, conditions have remained solid. Payroll job gains
averaged 155 thousand per month over the past three months. The unemployment
rate, at 4.2 percent, remains low and has stayed in a narrow range for
the past year. Wage growth has continued to moderate while still outpacing
inflation. Overall, a wide set of indicators suggests that conditions in
the labor market are broadly in balance and consistent with maximum employment.
The labor market is not a source of significant inflationary pressures.』
労働市場に関しては「broadly in balance and consistent with maximum employment」ということで、最大雇用というワシらのマンデートにおおむね整合的で、しかもおちんぎんが無駄な高インフレのドライバーになっている訳ではない、といつものように労働市場に関しては結構な状況であるとの認識。
『Inflation has eased significantly from its highs in mid-2022 but remains
somewhat elevated relative to our 2 percent longer-run goal. Total PCE
prices rose 2.3 percent over the 12 months ending in March; excluding the
volatile food and energy categories, core PCE prices rose 2.6 percent.』
『Near-term measures of inflation expectations have moved up, as reflected
in both market- and survey-based measures. Survey respondents, including
consumers, businesses, and professional forecasters, point to tariffs as
the driving factor. Beyond the next year or so, however, most measures
of longer-term expectations remain consistent with our 2 percent inflation
goal.』
物価に関してはマンデートよりも若干高い水準に維持されており、インフレ期待に関してはニアータームのインフレ期待が上昇していてこれは関税のせい、ただしロンガータームのインフレ期待は安定している(と言ってもこれが安定していないとなったら即政策対応必要なのでまあここに関してはいつもこう言っているのが基本だから必ずしもあてにならない)。
・今回の政策に関しては現状維持なので特筆すべきことはなし
『Our monetary policy actions are guided by our dual mandate to promote
maximum employment and stable prices for the American people. At today’s
meeting, the Committee decided to maintain the target range for the federal
funds rate at 4-1/4 to 4-1/2 percent and to continue reducing the size
of our balance sheet. 』
政策決定は地蔵だったので特に書くことも無く次に行く、
・政策は大きなものをぶっこまれたものの状況は変化しつつあって皆目見当がつかないので今後を見て判断、ですわな
ここからトラ公の関税政策に関する話になるが、まあ当然ちゃあ当然ですが大事な話なので2パラグラフ使って説明していますね。
『The new Administration is in the process of implementing substantial
policy changes in four distinct areas: trade, immigration, fiscal policy,
and regulation.』
ってのは3月FOMCでも最初の書き出しは同じです為念。
『The tariff increases announced so far have been significantly larger
than anticipated. All of these policies are still evolving, however, and
their effects on the economy remain highly uncertain.』
関税について最初にぶちこまれた政策案は「significantly larger than anticipated.」でしたよ、という話はしておりますが、全ての政策は「still
evolving,」であって、政策の影響に関しては「remain highly uncertain」ですよ、という説明をしまして、
『As economic conditions evolve, we will continue to determine the appropriate
stance of monetary policy based on the incoming data, the outlook, and
the balance of risks.』
今後の状況の進展を見ながら経済の見通し、およびリスクのバランスを判断していき、その結果として私たちは適切な金融政策について決定していくことを続けるでしょう、とまあ当然といえば当然なのですが、このように「状況の変化を見ながら適宜適切な対策」って話をしておりまして、碌すっぽデータもないのに国難国難減税減税財政支出財政支出と喚き散らかしておられるどっかの国の烏合の衆の尻馬にのってフォワードルッキング笑にベースラインシナリオを下げておられるどこぞの中央銀行は爪の垢を煎じて飲むべきだと思いました。
でもって、
『If the large increases in tariffs that have been announced are sustained,
they are likely to generate a rise in inflation, a slowdown in economic
growth, and an increase in unemployment.』
先般ぶっこまれた関税政策がそのままぶち込まれた暁には米国は物価上昇と経済の減速と失業の増加を招くでしょう、と来まして、
『The effects on inflation could be short-lived-reflecting a one-time shift
in the price level. It is also possible that the inflationary effects could
instead be more persistent. Avoiding that outcome will depend on the size
of the tariff effects, on how long it takes for them to pass through fully
into prices, and, ultimately, on keeping longer-term inflation expectations
well anchored』
関税の影響は基本的にはワンタイムの価格レベルのシフトにとどまるとみられますが、そうは言いましても本当にワンタイムで済むのかというと、より長期的な影響を与える可能性もありますよ、って説明をしているのが(上振れリスクって言ってるんだから当たり前とは言え)大変に良いお話になっていまして、3年間アクチュアルの物価が2%を上振れて推移しているのに「コストプッシュは一時的」を念仏のように唱えて挙句の果てには「基調的物価」というお気持ち物価で政策を説明し続けているどこぞの中央銀行以下同文。
でもって次のパラグラフはこの部分の締めになるのですが・・・・・・
・「ワンタイムの物価上昇に留める」「物価の安定無くして最大雇用の実現無し」
『Our obligation is to keep longer-term inflation expectations well anchored
and to prevent a one-time increase in the price level from becoming an
ongoing inflation problem. As we act to meet that obligation, we will balance
our maximum employment and price-stability mandates, keeping in mind that,
without price stability, we cannot achieve the long periods of strong labor
market conditions that benefit all Americans. 』
ということで、小見出しにした通りで「ワンタイムの物価上昇が先行きのインフレの好ましくない上昇を引き起こさないようにすること」というのが大事だという話をしておりまして、でもって「物価安定無くして最大雇用は実現しません」って思いっきり言っていますので、このオープニングリマークに関して言えば(QAで何言ってるかはさておいて)物価重視スタンスで政策やっていきますよ、というお話にしか読めないと思うのだがどうでしょうかねえ。
でもって、
『We may find ourselves in the challenging scenario in which our dual-mandate
goals are in tension. If that were to occur, we would consider how far
the economy is from each goal, and the potentially different time horizons
over which those respective gaps would be anticipated to close. For the
time being, we are well positioned to wait for greater clarity before considering
any adjustments to our policy stance.』
結局は「we are well positioned to wait for greater clarity before considering
any adjustments to our policy stance.」ということで様子見地蔵。
・ロンガーランストラテジーあんどゴールに関してと最後のご挨拶
次は話が変わりまして、
『At this meeting, the Committee continued its discussions as part of our
five-year review of our monetary policy framework.』
ということで5年に1度の見直しのロンガーランストラテジー&ゴールに関しての話になります。
『We focused on inflation dynamics and the implications for our monetary
policy strategy. Our review includes outreach and public events involving
a wide range of parties, including Fed Listens events around the country
and a research conference next week. Throughout this process, we are open
to new ideas and critical feedback, and we will take on board lessons of
the last five years in determining our findings. We intend to wrap up the
review by late summer. 』
こちらは予定通りで多分ジャクソンホールのタイミングで出てくるでしょうね。
最後はいつものご挨拶なので引用だけ。
『The Fed has been assigned two goals for monetary policy-maximum employment
and stable prices. We remain committed to supporting maximum employment,
bringing inflation sustainably to our 2 percent goal, and keeping longer-term
inflation expectations well anchored. Our success in delivering on these
goals matters to all Americans. We understand that our actions affect communities,
families, and businesses across the country. Everything we do is in service
to our public mission. We at the Fed will do everything we can to achieve
our maximum employment and price stability goals. Thank you. I look forward
to your questions.』
ということで。
2025/05/09
お題「3月MPM議事要旨:これだけ威勢の良い話をしていたのに何で4月にああなったんでしょうかねえ・・・・・」
https://jp.reuters.com/business/P6VGX2OLAFN3VI4O2C7JRHBBNU-2025-05-08/
米、対中関税を最低50%に引き下げる計画検討 来週実施も=報道
ロイター編集
2025年5月9日午前 5:04 GMT+9
『[8日 ロイター] - トランプ米政権は、計145%の対中関税を最低50%まで引き下げることを検討しており、早ければ来週にも実施される可能性がある。米紙ニューヨーク・ポストが8日、関係筋の情報として報じた。』(上記URL先より)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-08/SVY6YWDWX2PS00
トランプ氏、英国との貿易協定合意を発表−詳細は交渉継続
Josh Wingrove、Hadriana Lowenkron、Alex Morales、Jennifer A Dlouhy
2025年5月9日 0:13 JST 更新日時 2025年5月9日 1:49 JST
『トランプ氏は、今週末に開始する中国との貿易交渉についても、「中身のあるものになると思う」と述べ、目に見える進展が得られるとの見通しを示した。中国側に譲歩する意向があると予測し、大きく前進すれば、同国への関税引き下げを検討する可能性もあるという。
関税引き下げの可能性について問われると、トランプ氏は「あり得る」と答えた。「様子を見るつもりだ。現在は145%で、これ以上は上がりようがない。従って、下がるのは確かだ。われわれは非常に良好な関係を築けると思う」と語った。』(上記URL先より)
って言う事ですが英国との合意だって結局やってること因縁つけてタカリをしているチンピラゴロツキのお作法以外の何物でもない訳で米国が無法者国家になってしまうのは残念な話です。
〇3月会合議事要旨:4月展望で振り切る「前」の話を普通に載せているので次回がちょっと楽しみだったり
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2025/g250319.pdf
政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨
(2025年3月18、19日開催分)
ご案内の通りでトラ公のせいで先行き訳わからん(マクラにある話のようにそもそも先行き何が出てくるのかも分からんわな)ところなので、じゃあその前段階の3月はどうでしたか、って話になるのですが、4月にベースラインシナリオを下げる、という他の中銀がまだ様子見とか言ってる中で画期的なフォワードルッキング(笑)をカマしてきた日銀ちゃん、さぞかし3月も警戒を怠っていなかったのかと思いますと、そこにはナンジャソラな光景が待っておりました、ってのが今回の3月議事要旨のキモかなと思いました。
ということで『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』からちょいちょいと拝読して参ります。
・雇用所得環境に関してこれでもかとばかりに強い話を延々と並べているのが不思議ちゃんではある
途中からになりますが、雇用所得環境。
『雇用・所得環境について、委員は、緩やかに改善しているとの見方を共有した。また、委員は、連合による春季労使交渉の第1回回答集計結果は、本年もしっかりとした賃上げが実施されるという1月会合時点の見方に沿ったものとの認識を共有した。』
からいきなりの出オチで、
『そのうえで、何人かの委員は、現時点で明らかとなっている賃上げ率は、事前に想定していた範囲の中では、高めの水準となっていると述べた。また、何人かの委員は、大企業だけではなく、相対的に規模の小さい企業でも賃上げ率が高めとなっており、賃上げの裾野が広がっていることが窺われると指摘した。』
とまあエライ威勢の良い話(まー実際問題として(除くワイの財布orz)威勢が良かった訳ですが)で始まりまして、
『このうちのある委員は、今回の賃上げ率の前年からの上振れ幅が大企業よりも中小企業の方が大きいことを指摘したうえで、2022
年以降の価格転嫁の進捗と同様に、賃上げについても、大企業が先行し、それを中小企業が追いかける展開となっていると付け加えた。』
でですね、
『こうした中、多くの委員は、賃金上昇の持続性が次第に高まっているとの認識を示した。』
という認識と共にさらに、
『複数の委員は、今後の毎月勤労統計等を確認していく必要はあるが、2%の「物価安定の目標」と整合的な賃金上昇が定着しつつあるとの認識を示した。』
でもって、
『この点に関し、一人の委員は、人手不足という構造的な変化が進むもと、労使双方で、物価上昇を賃金に反映する必要があるとの認識が広がってきていると付け加えた。』
とまあ3月会合でこれだけイキリ散らかしていた訳ですよ、全員の意見じゃないとは言え、議事要旨でここまでスペース取ってああでもないこうでもないと景気のいい話を並べ立てるんですから、これは少なくとも議事要旨を作っている編集(すなわち大本営の事務方)としても、こういう意見が強かった、ということをお示ししましょう、ってことになっている筈なんですよね。
でまあここまで威勢の良いイキリ散らかしモードだったのに、今回の展望レポートでは「所得から支出への前向きの循環メカニズム」を削除してしまっている、というのは飛んでもない勢いでのジャガーチェンジ、って話になるわけでして、逆に言えば4月(5月)に突如の腰砕けになった背景は何ぞね、ってのが非常に気になるわけですよ。その背景が何なのかがある程度わかれば、背景に変化が生じたらまた再度のジャガーチェンジもありうるで、となるわけですから。
でもってその続きですが、
『複数の委員は、人手不足感が強いことに加え、企業収益が好調なことも、賃上げの背景にあると指摘した。』
まあ一つあるのは「企業収益」のところでして、4月展望の基本的見解では、既に確認した通りですが、関税政策の影響について海外経済の減速と企業収益の下押し、というのを強調していましたので、企業収益が下押しされるから賃金が上がりにくくなる、というストーリーだと思うんですよね。
でまあそれはそれで理屈はその場では完結するのですが、だったら1月展望で言ってた「この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっている。こうしたもと、多くの業種で企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかるとみられる。」(というのは1月展望の基本的見解の4pにあります)って認識はどこに逝ったんだよ、というのは先日来申し上げている通りであります。
まあ何ですな、日銀って特に最近の黒田末期からこの方そうなのですが、政策運営に対しての理屈を良く言えば丁寧に作り過ぎでして、その結果政策が変わると過去説明していた丁寧なつくりの理屈との整合性が取れなくなるのでシレっと新しい理屈をこれまた堅牢に構築してしまう、という傾向が強くて、結果的にはどこからモウロクジジイの関税政策みたいに「お前さっきまで言ってたことと違うじゃねえか」という話になる訳で、なんも考えていない(知らんけどそうとしか見えない)モウロクジジイの耄碌理論と結果的に同じことになってませんかねえ、って残念に思ってしまいます次第ではありますな、うんうん。
・・・・・しまった話が逸れたので元に戻してさっきの続き。
『この間、別のある委員は、人材のスキルや地域のミスマッチが拡大しており、企業間での賃金格差も広がっているとみられる点は丁寧にみていく必要があると述べた。』
『また、一人の委員は、法人企業統計をみると、雇用の7割を占める中小企業では、賃金が増加する一方、設備投資は2年連続で減少していると指摘した。そのうえで、この委員は、中小企業では、労働分配率が高い中、防衛的賃上げと設備投資の両立は難しい状況が窺われるとの見方を示し、賃上げモメンタムの定着には、中小企業の生産性を向上させる設備投資ともう一回り大きくなる構造改革が鍵となる
と指摘した。』
最後のは多分中村審議委員だと思いますが、まあこの辺りの話ってのはそれはまあ個別で見るとそういう話になるというのはその通りなのですが、2024年12月の黒田総裁(当時)の経団連での「2%への招待状」講演の結びの部分に、
「要するに今の過渡期的な状況を利用するかどうかは、早い者勝ちの面があるということです。デフレのもとでの「縮小均衡」の経済と、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」の経済とでは、企業を取り巻く環境は全く異なります。企業経営のルールブックが変わるということです。進化論を唱えたダーウィンは、「生き残るのは、強い生き物ではなく、変化に対応できる生き物だ」と言ったと伝えられています。いち早く環境変化を先取りし、「拡大均衡」の経済に対応できた企業こそが競争の「勝者」となり、新しい時代における繁栄を享受できることになるのだと思います。」(2014年12月25日黒田総裁講演より)
ってなっていた訳で、そもそも論として2%物価安定目標が達成されている世界というのは、自分の被雇用スキルを時代に即して変化させることができない個人や、生産性を引き上げることができない企業は「拡大均衡」の経済の中で取り残されていくのは必然ですよ、っていう世界を含意している筈で、そういうのを目標にして政策やるって息巻いて黒田緩和以降の政策をぶっこんでいるのに、それが実現する段になって「変化できないで取り残される者」に対してどうのこうのだから、みたいな話をするのはおめーそりゃ話が違うじゃろ、としか申し上げようがないんだが、また余談になってしまいましたなすいませんすいません。
・物価の話ですがこちらも何だろねってのがちょいちょい見受けられますが
『物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、足もとは3%台前半となっているとの認識で一致した。また、予想物価上昇率について、委員は、緩やかに上昇しているとの評価で一致した。』
まあこれは良いとしまして、
『そのうえで、何人かの委員は、足もとの物価上昇率は見通しの範囲内にあるものの、米を含む食料品価格の上昇から、幾分上振れて推移しているとの認識を示した。』
という認識だったのですよね。でもって
『多くの委員は、こうした食料品価格の上昇は、天候など一時的な要因による部分が大きいが、供給力の持続的な低下や人件費・輸送費の上昇などが影響している面もあるほか、食料品価格の上昇が予想物価上昇率を押し上げ、基調的な物価上昇率に影響する可能性もあるとの見解を示した。』
えーっと、3月会合では「多くの委員」がこういう認識をしめしていたのに、何で4月になって物価見通しが下方修正された上にリスクも下振れリスクが大きい、っていう認識にひっくり返ったんですか、というお話でありまして、お前らどんだけ情緒不安定なんだよと小一時間問い詰めたいし、今回の展望レポートの物価のリスク要因のところでは、
「この間、このところの米などの食料品価格上昇については、それ自体は天候要因等を背景とするものだとしても」(4月展望レポート基本的見解6ページ)
っていうあっさり味で天候要因(なのでこの後下がる、って含意)というのだけにしていて、いやお前らどっちなんだよというお話ではありまして、この辺の認識がどうワープしたのか、というのも非常にイミフなところではありまして、4月議事要旨でどんな話に変化しているのかを見るのが楽しみで6月会合が待ち遠しいという所ではあります。
てなイヤミはさておきまして続きですが、
『このうちの一人の委員は、1月の総合ベースの消費者物価指数の上昇率の過半はエネルギー、生鮮食品、穀類によるものと指摘したうえで、生鮮食品、穀類の上昇は主に供給ショックと位置付けられるが、持続性がありうるため、予想物価上昇率などへの波及を注視すべきとの見方を示した。』
『また、別の一人の委員は、企業の価格設定行動が変化するもと、これまで動きの鈍かったサプライチェーンの川下でも、コスト転嫁がされやすくなっていると指摘した。』
『一方、ある委員は、賃金上昇の価格への転嫁は、企業向けサービスには明確に表れている
一方、消費者向けサービスにおいては明確ではなく、個人消費が力強さを欠く中で企業が価格転嫁に慎重になっている可能性があると指摘した。』
まあこの辺は個別の意見ですので流しまして「先行き」のパートに入ります。
・物価の先行き見通しは4月にどのように変わったのかをイヤミたらたらしながら確認するのが吉(意地悪)
『物価の先行きについて、委員は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、消費者物価の基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくとの認識で一致した。』
ほうほうそうでしたかそうでしたか、4月にどうジャガーチェンジしたのか、その背景に何があるのか、というのを
見たいもんですなあ(棒読み)
『そのうえで、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとの見方を共有した。』
トラ公の関税が出たとはいえ、まだどうなるかが見当つかないのにいきなり見通しを1年後ろ倒しにした皆さんどういう言い訳を次回出してくるのかが楽しみですな(一部は「主な意見」でも見れるかもですが)。
『ある委員は、春季労使交渉の集計結果などを踏まえると、物価は着実な上昇が見込まれる状況となっており、基調的な物価上昇率も2%に向けて順調に上昇している可能性が高いとの見方を示した。』
『一人の委員は、企業の価格転嫁に伴う価格上昇圧力はしばらく継続するとの見解を示したうえで、民間調査によれば、2025
年の食料品の価格改定の動きも再び勢いを増していると指摘した。』
まあ今回は26年度の物価見通しで上のプロットの人たちが上振れ、下のプロットの人たちが下振れをリスクとして認識しているので、この人たちは上プロット組かもしれませんので個別見解に対してはあまり悪態をつく必要ないかもしれませんw
『この点に関連し、別のある委員は、4月の期初の値上げが、とくにサービスにおいてどの程度となるか見極めていく必要があると述べた。』
あら〜〜、見極める前に物価のベースラインシナリオが下がっちゃったの〜〜〜かなちいね〜〜〜、と言ってもこの方が上振れ組なのか下振れ組なのかが分からんからまあ煽らんでおくw
・関税の影響は物価については上下双方ある、だったのに何で4月には見通し下振れになったんでちゅかねえ
でまあその続きですがリスク要因、
『経済・物価の見通しのリスク要因として、委員は、各国の通商政策等の動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高いとの認識で一致した。』
というのはまあヨロシとしまして、
『そのうえで、何人かの委員は、春季労使交渉での賃上げ率が高めとなっていることや、食料品価格が上昇していることが物価に及ぼす影響について注意する必要が
あると述べた。』
ほほう。
『他方、何人かの委員は、このところ、関税政策を含めた米国新政権の政策運営を巡る不透明感が高まっているとしたうえで、今後発表される米国の政策やそれに対する各国の対応次第では、わが国の経済・物価にも影響が及びうることに十分注意する必要があるとの見方を示した。』
まあそりゃそうですわな、ではありますがこの後が中々味わいありまして、
『これに関連して、複数の委員は、関税の導入は、経済活動を下押す要因になると考えられる一方、物価に及ぼす影響については一概には判断しにくいと指摘した。』
って認識だったのに、何で4月展望レポートで思いっきり下方向になってしまっているんですかというお話でして、結局のところ4月展望でいきなり下方修正しないでリスク認識の下方修正だけにとどめておいた方が3月からのジャガーチェンジ感が出なかった話だし、そもそもこの関税政策ってリーマンショックとかコロナショックみたいなのとはまた別の種類のショック(かどうかも現時点では分からんが)なのに、フォワードルッキングに反応するから過去との整合性がおかしくなる、ということになっている訳ですな、ナムナム。
・先行きの政策運営に関して3月は勇ましい意見が結構並んでいたんですけど・・・・・・・・
『V.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』ですが、まあ前半の方はさらさら流して読むとしまして最後の辺りが何ともなのでそっちがアタクシ的にはメインイベントになります。
『先行きの金融政策運営について、委員は、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な考え方を共有した。そのうえで、具体的な金融政策運営については、予断をもたず、経済・物価見通しやリスク、見通しが実現する確度をアップデートしながら、適切に判断していく必要があるとの認識で一致した。』
ってのから始まる話ですが、
『何人かの委員は、前回1月の会合で政策金利を引き上げた直後であることも踏まえると、現在は、政策効果に加え、各国の通商政策等の動きやその影響を丁寧にみていくことが可能な局面にあるとの認識を示した。』
なのはまあ良いんですけどなんかこの辺りのタイミングって威勢の良い感じの情報発信があったような無かったようなw
『ある委員は、1月までの政策金利変更の影響や、このところの長期金利の変動の影響を評価するためのデータは現時点では
十分に揃っていないとしたうえで、経済活動への本格的波及とその影響の確認には時間が必要であると述べた。』
『別のある委員は、当面、米国新政権の政策とその世界経済・国際金融資本市場への影響を注視しながら、国内的には0.5%という新しい金利水準の下での経済・物価の反応を見極めていくことが適当であると指摘した。そのうえで、この委員は、これらを踏まえて、次の政策金利の引き上げを判断すべきであるとの見解を示した。』
『別の一人の委員は、米国の政策運営に起因する下方リスクは急速に高まっており、関税政策の今後の展開次第では、わが国の実体経済にまで大きな悪影響を及ぼす可能性が十分あると指摘した。そのうえで、この委員は、そうした可能性が高まった場合には、政策金利を引き上げるタイミングをより慎重に見極めることが必要となるとの見方を示した。』
『この間、別のある委員は、変革速度の非常に速い中国企業との競争激化に加えて、米国の関税政策や供給網の分断などの不確実性の高まりから、わが国経済への下押しリスクが高まっていると評価したうえで、今後、中小企業の業績・投資、賃金・物価動向などへの影響を入念に確認する必要があることから、当面は現状の政策を維持することが適当であると述べた。』
最後のは中村審議委員だと思うのですが、実質金利を低位に維持することによって中小企業の変革を遅らせてしまう、ってご認識が無いのかしら、ってのはずーっと昔から気になるところではございますわな。
でもって続きですが、ここからがイキリ散らかしパートになりましてですね、
『他方、ある委員は、不確実性が高まっているからといって常に慎重な政策対応が正当化されるわけではなく、今後の状況によっては、果断に対応することもありうるとの見解を述べた。』
抜刀斎キタコレ!
『別の一人の委員は、各国の通商政策等の影響から物価に上下双方向の不確実性がある時に、不確実だから現状維持、金融緩和を継続するということにはならないと指摘したうえで、次回会合では、@企業や家計のインフレ予想、A物価上振れリスクの顕在化、B賃上げの進展をしっかりと確認し、金融政策を判断していく必要があると述べた。』
おおおおおおお抜刀斎以外にも!
『この点に関連して、別の一人の委員は、米国経済は、減速を示す指標もあるが、雇用関連指標などは底堅いと指摘し、政策変更を急がないとのFRBの情報発信も踏まえると、日本銀行の政策の自由度は引き続き増した状況であるとの見方を示した。また、この委員は、資産価格上昇に伴う期待収益率向上から、市場参加者は、実質金利を消費者物価で捉える以上に低位に感じ、緩和効果がより強まっている可能性があると指摘したうえで、今後、来年度を視野に、過度な緩和継続期待の醸成による金融の過熱を避けることが必要になった場合には、金融緩和度合いの調整を機動的に行う必要があると述べた。』
あらこれはさらに威勢が良い、ということでもしかしたらこっちが抜刀斎かもしれませんね。
・・・・何はともあれこのパートがそこそこ字数を取りつつ結構な勢いで威勢がいい話をしておる次第でして、一方で4月展望であそこまで盛大に腰砕けになった訳ですからその間は何だったのか、というツッコミを受けるのは当たり前田のクラッカーだと思うのですが、そこを堂々と出してきた日銀大本営のスタンスってのが中々味わいがあるなと思いました。
と申しますのは、まあワイの完全なる妄想の世界線ではありますが、こういうのを思い切り強調しておくことによって、「いやー米国関税政策の影響ってビビるほどの事も無かったね〜よかったよかった」という話に一件落着、となった時に再度ジャガーチェンジできるように「私言いましたよね」ムーブとしてこの威勢の良い話のご紹介パートが浮上してくるんですよね〜。まあワイの妄想だけど。
そして次の段落もさらに威勢が良くて、この状況認識で何で4月展望があそこまで弱くなるのか、というのが甚だ疑問としか言いようが無いのですが、
・中立金利に関連した情報発信についてとかいうこれまた勇ましい議論
『委員は、今後、基調的な物価上昇率が高まっていった場合の政策運営について、どのような情報発信が適切かについて議論した。』
っていうこれまた勇ましい議論をしていたのに、4月展望であそこまで一気に青菜に塩モードになってしまうのが全く意味不明ですけれども、わざわざこのコーナーを作っているのはまあ何らかのナニがあるかもしれませんなあという所で。
『ある委員は、高水準の賃上げが実現し、「物価安定の目標」の実現が目前に迫りつつある段階にあることを踏まえると、今後は、こうした前提で情報発信する新たな局面に入るとの見方を示した。』
こりゃ強い。
『別のある委員は、次の利上げを行う局面では、基調的な物価上昇率が2%にかなり近づいていることも想定されることから、その際には、金融政策スタンスについての説明を、従来の緩和から中立へ転換させることを含めて検討していく必要があると述べた。』
とは言え0.75%じゃあクッソ緩和には変わらんじゃろと思いますけど。
『この点に関連し、何人かの委員は、中立金利を巡る不確実性を踏まえると、政策金利を引き上げていく過程において、金融政策が緩和的かどうかの評価は次第に難しくなると指摘した。』
となりまして、
『このうちの一人の委員は、中立金利の推計誤差を大きく減らす特効薬は存在しないが、引き続き推計の精度の引き上げ等に向けて努力していく必要があると述べた。』
これは総裁かな〜
『何人かの委員は、中立金利や基調的な物価上昇率はいずれも厳密に観察することができないものであることを前提としたうえで、どのような情報発信が適切か考えていく必要があるとの見解を示した。』
いやだから「基調的物価上昇率」とかいう「お気持ち物価」を便利使いするの止めれば良いだけだと思うんですけどね、とは思いました。
なお、以下の長期国債買入云々の話はまあどうでもいい話しかしていないので割愛します。
2025/05/08
お題「FOMCでござるが声明文は案の定「今回は1回パス」で来ましたわな」
この手の輩って必ずと言っていいほどこういうムーブをするんだが
https://www.47news.jp/12547944.htm
戦争検証の中止申し入れ 自民保守系、官房長官にl
2025年05月07日 21時35分共同通信
『自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護る会」代表の青山繁晴参院議員らは7日、林芳正官房長官と国会内で面会し、戦後80年の節目に石破茂首相が調整している先の大戦の検証について、中止するよう申し入れた』(上記URL先より)
勝っていたとしたって今後の事を考えたら検証するのが大事ですし、ましてや先の大戦は本邦の歴史に類を見ないまでに大敗北したんだから検証することは「今後の日本の尊厳と国益」を守るために必要じゃろ、としか言いようが無いんだが何考えてるんだか。
なお本件は短期間で結論出せるもんじゃないからもっと数年単位で時間を掛けて腰を据えてやるべきだ、という面でのツッコミはあるんですけどね。
というのはさておきましてFOMCを寝起きかつ答え合わせ(?)しないで確認。
〇FOMC声明文:不透明性とリスクの高まりを示すも両方のバランスはとりつつ現状認識は変更せずに1回パスですかね
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250507a.htm(今回5月)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250319a.htm(前回3月)
ということでいつもの寝起き確認。
・第1パラグラフ:今のところまだ経済の強さは維持されていますとしていて1QGDPはノイズ扱い
『Although swings in net exports have affected the data, recent indicators
suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.
』(今回5月)
『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.』(前回3月)
そりゃまあそうじゃろ、ということでして、1QGDPで輸入が関税前の駆け込みムーブと思われる動きでクソ強くなり、その結果統計的にはGDPが弱くなった、という現象が見られましたが、それはさておき今のところ得られるデータを見ますと経済はソリッドペースで拡大を続けている、という認識を示しています。よって、
『The unemployment rate has stabilized at a low level in recent months, and labor market conditions remain solid.』(今回5月)
『The unemployment rate has stabilized at a low level in recent months, and labor market conditions remain solid.』(前回3月)
だし、
『Inflation remains somewhat elevated.』(今回5月)
『Inflation remains somewhat elevated.』(前回3月)
と現状認識自体は変更していません。
・第2パラグラフ:失業率の高まりとインフレの高まりのリスクが同時に高まっている、という両論併記モード
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回5月)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回3月)
これはいつもの開経偈。
『Uncertainty about the economic outlook has increased further.』(今回5月)
『Uncertainty around the economic outlook has increased.』(前回3月)
今回は不透明感に関して謎に前置詞を変えてきましてこれは最早ドメドメザパニーズのアタクシには良くわからんですが、アラウンドからアバウトになったのは多分それだけでも不確実性の一段の強まりを示しているんだと思いますし、そもそもファーザーが付いているので不確実性が盛大に高まっている、という訳ですが、そらそうよとしか言いようが無いのでこれは順当な言い回し。
『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate
and judges that the risks of higher unemployment and higher inflation have
risen.』(今回5月)
『The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(前回3月)
マンデートに対する上下双方のリスクに注意、は同じですが、今回は「より高い失業率(=経済下押し)リスク」と「より高いインフレーションのリスク」の双方が高まっている、ということで、インフレと経済と両にらみでリスク拡大という説明でバランスを取っていてどっちがどうなのというのは会見を見ないと(読まないと)ワカランチ会長ではありますがどうだったのかまでは確認できていませんサーセン寝起きなので。
・第3パラグラフ:前回縮小ペース削減したバランスシートに関しても含めて政策は現状維持
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 4-1/4 to 4-1/2 percent.』(今回5月)
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target range for the federal funds rate at 4-1/4 to 4-1/2 percent.』(前回3月)
政策金利据え置き。
『In considering the extent and timing of additional adjustments to the
target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess
incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』(今回5月)
『In considering the extent and timing of additional adjustments to the
target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess
incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』(前回3月)
あんじょうようやっときますわ、の文言は当然ですが同じ。
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities
and agency debt and agency mortgage-backed securities. 』(今回5月)
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities
and agency debt and agency mortgage-backed securities. Beginning in April,
the Committee will slow the pace of decline of its securities holdings
by reducing the monthly redemption cap on Treasury securities from $25
billion to $5 billion. The Committee will maintain the monthly redemption
cap on agency debt and agency mortgage-backed securities at $35 billion.』(前回3月)
前回はバランスシートの削減ペースを落とすという決定をしたので前回比較で文章が短くなっていますが、これは前回決定の踏襲ですよというお話ですな。
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(今回5月)
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(前回3月)
3パラの最終文言はいつもの同じ文言で、これは2パラの最初の文言と対句みたいになっている文言ですな。
・第4パラグラフ:こちらは毎度のように全文一致
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(今回5月)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(前回3月)
塩梅見ながらあんじょうようやっときますわ、の文言は同じですわ。
・第5パラグラフ:全員一致で少なくとも投票メンバーには利下げ主張無かったんですね
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Susan M.
Collins; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Philip N. Jefferson; Neel Kashkari;
Adriana D. Kugler; Alberto G. Musalem; and Christopher J. Waller. Neel
Kashkari voted as an alternate member at this meeting.』(今回5月)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Susan M.
Collins; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Philip N. Jefferson; Adriana
D. Kugler; Alberto G. Musalem; and Jeffrey R. Schmid. Voting against this
action was Christopher J. Waller, who supported no change for the federal
funds target range but preferred to continue the current pace of decline
in securities holdings.』(前回3月)
今回カンザスシティ連銀のシュミッド総裁の代打でカシュカリ大僧正が投票していますが、いずれにしましても全員一致で金利据え置きとなりましたな。
・ディレクティブにも変更は無し
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250507a1.htm
Implementation Note issued May 7, 2025
前回はこちら
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250319a1.htm
Implementation Note issued March 19, 2025
こちらは引用してるとクソ長くなるので引用しませんが、各種ファシリテやディスカウントウィンドウィの金利水準、ONRRPなどの固定金利オペレーションの応札限度額などに変更は無く、バランスシート縮小に関しては前回FOMCで減額ペースの鈍化を決定した米国債保有残高に関して、4月の「月間50億ドルを超える償還があった場合は超過分を再投資する(3月末までは250億ドル)」を継続しています。
・まあこれは順当オブ順当だとは思いますが・・・・・・・
ということでまあ順当オブ順当な結果になったんじゃないかとは思いますし、投票メンバーの皆様もうっかりここで利下げ票入れるとトラ公が調子に乗ってキチガイムーブを強めるだけですから全員一致は結構な結果だったと思います。
しかしまあ何ですな、確かに「関税によってモロにインフレ上振れ要素がある」という事情があるにせよ、本家本元のFEDが「先行きは不透明だしリスクは経済と物価で逆方向のリスクがあるので今回は1回パスして様子を見ましょう」ってやっているのに、どっかの日銀とか言うハトハトチキンヤローは国難国難財政財政減税減税と喚き散らかしておられるのの尻馬に乗って、何のデータも出てきてないのにハトハトチキンのサイドだけはフォワードルッキングに機敏に対応してベースラインシナリオを思いっきり下げてくる、という謎プレイを演じているのでして、まったくもって何やってるんだか、という感想は否めません(あくまでも個人の感想です)。
でもって今回はSEPの無い会合なのでオープニングステートメントを読んでいくお時間になるのですが、例によって例の如く時間が足りなくなりそうなので今朝はここで勘弁していただきとう存じます(ジャンピング土下座)
2025/05/07
お題「決定会合レビューで総裁会見」
さて連休明けですな。でもって明日はFOMCと。
〇総裁会見はまあ普通に展望レポートの「ベースラインシナリオ引き下げ」の説明ですねえ
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250502a.pdf
総裁記者会見
――2025年5月1日(木)午後3時30分から約65分
・ということで最初の質問は「関税政策の影響は」という順当なものですが
『(問)トランプ大統領の一連の関税政策について、現時点でどのように分析していらっしゃいますでしょうか。今回の決定会合の結果と展望レポートについて、関税政策がどう影響したか教えてください。』
順当である。
『(答)今回の展望レポートでは、最近の関税政策ですが、これは海外経済の減速、わが国企業の収益の減少、不確実性の高まりによる支出の先送りなどの経路を通じて、経済の下押し要因として作用すると評価しています。』
いきなりの出オチとしか言いようが無いですが、予断を持たずに判断という事を(ちょっと上の方で引用した展望レポートでは)言ってるのに、思いっきり予断をもって判断しておるわけです。まあこの時点で「シナリオを定性的に下振れさせている」訳ですが。
『ただその後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していくことなどから、下押し圧力は次第に弱まっていくとみています。』
このような器用な見方をするよりも「今は良くわからないからベースラインシナリオを維持するけど今後の動向を見ながら考えます」の方が良いと思う訳でして、今回の日銀方式ですと、思ったより影響が大したことがなかった場合に下振れさせた見通しを再度上げるのが出遅れる可能性があるのもそうなんですが、「影響はいずれ無くなっていく」という見通しを置いていることによって、実は関税政策の影響がもっと持続的かつ構造的なものになったという場合に「今は弱いけどいずれ戻る」という看板を下ろすのが遅れてしまうリスク、ってのもあると思うのでして、あんまりこういう小賢しい見通しを出さない方が良いと思うのですよね、もっと見えてからで良かったと思うのですが。
『物価に対しては、成長ペースの鈍化などを通じて、押し下げ方向に作用をすると考えており、基調的な物価上昇率もいったん伸び悩む姿を想定していますが、』
グローバルな供給網の変化とかそっちの方は気にしないんですかそうですか(展望のリスクシナリオの中にはあったけど)。
『その後は徐々に高まっていくと予想しています。』
このような器用な見方以下同文。
『ただ、物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移すると考えられる時期は、見通し期間の後半になる見込みです。』
こういう表現をしていますので、時期が1年先送りになっています。よって、
『こうした意味で、今回お示しした経済・物価の見通しは前回と比べて下振れていますが、見通し期間内に基調的な物価上昇率が物価安定の目標と整合的な水準まで高まるという姿は、これまでと変わっていないところでございます。』
ベースラインシナリオを下げているのに「これまでと変わっていない」っての訳わからんから勘弁して欲しいんですが、そうしておかないと円安にぶっ飛ぶから、って配慮は有るんだと思います。
『こうした中、今回の決定会合では、実質金利がきわめて低い水準にあることなどを踏まえ、現在の緩和的な金融環境を維持することで、引き続き、経済活動をしっかりとサポートしていくことが適当と判断しました。そのうえで、各国の通商政策等の今後の展開や、その影響を巡る不確実性がきわめて高い状況にあることも認識しております。』
でもって、
『この点を含め、経済・物価の見通しが実現していくかについては、今後とも予断を持たずに点検し、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切に政策を判断してまいりたいと考えています。』
特に現時点で明らかに出ているような経済指標も(たぶんアネクも)ないのにベースラインシナリオ下げている時点でお前ら「予断を持ってシナリオ変更」じゃろとしか申し上げようがないのだが、どこまで行っても今回ここでいきなりベースラインシナリオを下げるとかいうある種の蛮勇を振るった意味が分からんですな、というお話でした。
・これもよいそもそも論でまあこの辺りまでで論点はかなり出ている感じがw
会見の頭の辺りからクソ忙しくてヘッドラインしか追えなかったのでリアタイであんまり聞けてなかったのですが、これはよいそもそも論質問。
『(問)二問お願い致します。最初は、展望レポートの中で、持続的な安定的な物価、基調インフレが達成する見通し期間が後半ということで、展望レポートの見通し期間が1
年間延びた、その中での後半に物価安定の目標と概ね整合的な水準で基調物価が推移するということであれば、当然のことながら利上げのタイミングやペースもその分遅れるという判断でよろしいのでしょうか、という点が一点目です。』
そらそうだ。
『二点目は、金融政策の基本的な方針は利上げを続けるということだと思うんですけれども、これはすなわち賃金と物価の好循環等の基本的なメカニズムは維持されていると、ただそこを巡る不確実性が高いと、そういう理解でよろしいでしょうか。』
うんうん。
でもって回答ですが、
『(答)後半からお答えしますと、この見通しのまず成長率といいますか実質GDPの姿に示しましたように、関税政策の影響等を受けて、今年度と来年度、成長率が少し下振れするという姿をみています。その結果として、物価上昇率と賃金上昇率はやはりやや下振れするというふうに、あるいは伸び悩みの状態に入っていくというふうに考えています。ただ、その間もかなり深刻な労働者不足は続いているというようなこともあって、賃金と価格がお互いに相手を上昇させるという意味での好循環は継続していくというふうに考えています。もちろんどの程度の水準でそれが続いていくかという点については、見通しの姿のうえで、上下にリスクがあるということは認識しております。』
丁寧に説明したいのは分かるのだが、こういう説明をするから植田さんの会見はクソ長くなってしまう訳でして、こんなの「ご指摘の通りで、足踏みはするかもしれないが基本的なメカニズムが崩れたという認識をしている訳ではありません」って回答すればいいだけなんですよね。昔どこかの記事だかインタビューだか講演だか忘れたけど、共立女子大の先生やってる時に「講義がつまらない・わかりにくい」とか言われたと自嘲ネタを植田総裁ぶっこんでいましたけど、全然反省してねえだろとしか申し上げようがありません。
『そのうえで、それを前提にということですけれども、おっしゃいましたように、基調的物価上昇率が
2%に近いところに収束していくというタイミングは、見通し期間が延びてその後半ということですので、やや後ずれしているという姿になっています。』
はい後ずれ明言キタコレな訳でして、関税の影響がまだ全然わからんという状況なのに「予断を持って」思いっきり政策運営にかかわる物価目標達成時期の後ずれをしているんですよね。
『それが金融政策にどう影響するかということですけれども、これまでのように割と単調に基調的物価が
2%の上昇率に収束していくという姿から、いったんちょっと足踏みするようなところを経てまた上昇するという姿にやや修正していますので、その中のどこでその見通しの確度が高まったということを判断できるかというのは、なかなか難しい問題かなと思います。その辺、柔軟に考えて政策対応したいと思いますし、それから、先ほども強調させて頂いたと思いますが、中心的な見通し自身の確度が、これまでほどは高くないというふうに残念ながらみています。従って、例えば関税政策等について大きな動きがあるという場合には中心的な見通し自体も変わり得るし、それが将来の金融政策の動向にも影響を与えるというふうにみております。』
ワシもしつこいのだが「関税政策等について大きな動きがあるという場合には中心的な見通し自体も変わり得る」のに何で今回動きもない段階で中心的な見通しを変えたんだよとしか言いようが無い。
・・・・まあそれだけハトハトチキンの血が騒いでコケコッコーとなったんでしょうとしか思えませんが。
・よく考えたら財政とかは「決まったものだけ織り込んでいる」のに何で今回の関税は・・・・・・・
次の質問の前半ですが、
『(問)前回の 3 月会合で、総裁は米国の関税も含めて、4 月になればある程度みえてくるというふうに話しておられましたけれども、その結果として米国の関税政策というのは想定よりも悪かったというか、景気に対しては下押しかなり強かったと考えているのかという点と、その結果として、現時点でですね、経済と物価、オントラックというふうに言えるのでしょうか。(後半割愛)』
これに対する説明だが。
『(答)まず経済自体ですけれども、足元までは概ねオントラックできているというふうにみています。経済と物価ですね。ただし、おっしゃったように、懸念していた米国の関税政策が、特に
4 月 2 日の時点では、かなり悪い方に振れた。その後、若干の巻き戻しがあって、現在もうひとつ分からない状態になっているということ。その後、ある程度交渉の進展があるということは、見通しの中に織り込んでいますけれども、それでも無視できないレベルの関税が残るということを前提にした見通しになっています。その結果、見通しがやや下振れたという姿になっています。(後半割愛)』
は良いんですけど、展望レポートの作りとして毎回「各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また、先行きの政策運営については、市場の織り込みを参考にして、見通しを作成している」としていて、財政政策とか、物価対策の各種措置とかそういうのは「最終決定するまで入れない」という仕切りになっていまして、だったら今回だって「関税が分からんからとりあえず無視して(あるいは10%の部分だけにして)出すけれどもより影響が大きくなる可能性はありその場合は見通しを変更します」と言って出す方が分かりやすかったと思うのですけど、ハトハトチキンがコケコッコーだから仕方ないですわな。
でもってこの人の次の人の質疑で「では関税の置きはいくらか」という話があったのですが、
『(問)総裁、冒頭のご説明で、この中心的な見通しを作るうえで各国間の交渉がある程度進展すると、関税についてですね、ということを前提に置いているというご説明がありましたけども、具体的には現在、日米の関税交渉が進行中でありますけども、相互関税の上乗せ分が今一時停止されてますが、それがかからない、発動されないということなのか。それともう一つ、自動車への関税っていうのもこれは撤廃されるという前提で想定して見通しを作ってるのか。各委員それぞれ前提が少しずつ変わると思うんですけど、総裁自身はどういった前提を置いて見通しを置いたのかをまず伺えないでしょうか。(後半割愛)』
それはその通りで、「置きを置いて見通しを作った」のであれば、その置き自体を見せてくれれば、実際の交渉の進展次第で日銀の今回の見通しが今後どっちに転ぶのか、というのが分かりやすくなるんですが、回答がこりゃまた摩訶不思議でして、
『(答)まず、関税に関する仮定ですけれども、おっしゃるように各委員、個別にそれぞれだと思いますけれども、私も含めて大まかな姿としては、これまでに議論されてきたものの中の一番極端なところにはいかない、それから全くゼロとか、10%だけで済むというよりはもう少し高いレベルに交渉の結果落ち着く程度の前提で、それぞれ具体的な姿は各委員に任されているというところでございます。(後半割愛)』
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
いやちょっと待て、展望レポートの説明だと「今回の展望レポートの中心的な見通しは、今後、各国間の交渉がある程度進展するほか、グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されることなどを前提に作成している。」けど「なお、今後の各国の政策の帰趨や、それを受けた各国の企業・家計の対応次第で、経済・物価の見通しが大きく変化しうる点には注意が必要である。」ってあるんだが、その前提がそもそも各委員でバラバラにばらけていたら置きの意味はどうなっているんだというお話ですがな。
関税率がこのくらいとした場合に、この程度の下押しが考えられます、のこの程度の下押し、という部分に関して各委員の評価が違って、その結果見解がバラけるというのは別に普通の話だから良いんですけど、その関税率がこのくらい、自体が全然バラバラの前提で置いてるんだったらそれ意味ねえだろというか、だったら最初から「関税は不確実なのであくまでも不確実要因」とかまあ何なら10%だけ入れておくとかの置きにしておいて今後の展開次第で6月の会合での見通し変更も視野に入れた方がええじゃろと思う訳なのでこの説明はナンジャソラとズッコケてしまいますな。
つまりですね、このちょっと先の質疑であったのですが、
『(問)今の質問にも関連する点で二点お願いします。一つは、これだけ読みにくい関税政策の影響、きわめて高い不確実性ですけれども、見極めに現時点でどの程度時間がかかるかという点において、例えば今
90 日間の関税の猶予期間というのをトランプ政権、設けてますけれども、これが
7 月の上旬に来ますけれども、例えばやはりその 90 日の期限が終わってある程度関税の中身が確定するまでは、なかなかこれは見極めにくいと現状でみていらっしゃるのかどうかという点が一つです。(後半割愛)』
というのがあったのですが、これには植田さん、
『(答)まず、関税政策について不確実性が大きく低下するのはいつ頃かというご質問だと思いますが、おっしゃるように
90 日間で交渉を米国政府としては終わらせたいという意向が表明されてますので、そこは一つのポイントになるとは思いますけれども、その手前でも、例えば現在の日米の交渉のように順次行われている交渉もありますし、90
日経ってもまだっていうところも残ると思いますので、そこは何とも言えないと思いますし、いったん大体これでいくというふうにセットされても多少の不確実性はまだ残るという、何とも断定のしにくい状態が続くかなと思います。それと余談になるかもしれないですが、関税の体系が決まっても、その経済への影響というところは、これまでにない規模の関税の発動ですので、なかなか不確実性は大きいということだと思います。(後半割愛)』
だったら今回はベースラインシナリオを維持して7月に下方修正必要なら下方修正して、もし6月の時点である程度アウトラインができたら出す、で良かったと思うのですが、結局どこまで行っても今回こんなにハトハトチキン音頭でコケコッコーとなる理由が分からんですな・・・・・・・・
・輪番に関しては「政策意図を輪番では使わない」ようでそれは大変に宜しいお話である
『(問)(前半割愛)もう一点、次回の 6 月会合で国債買入れの中間評価と 26
年度の減額計画を示すと思うんですけども、経済の減速のリスクを受けてですね、景気を支えるために買入れの減額ペースを緩めたり、あるいは減額を止めたりといったことは選択肢として取り得るのでしょうか。』
という質問に対しての回答ですが、
『(答)(前半割愛)そのうえでですが、国債の買いオペの中間評価に関わる部分ですけれども、これは以前から申し上げていますように、金融政策としての対応は短期金利の操作を中心に行うということで考えています。今回の中間評価は、債券市場、国債市場の市場動向、機能度をしっかり点検しつつ、26
年 4 月以降の姿も提示するということを基本線に行うということでございます。』
ということなので、基本的に政策ツールではない(もうYCCじゃないんだから)というのを明らかに説明しているのは中々結構だと思いました。さらに別の質問で、
『(問)(前半割愛)あと国債の買入れについてですけれども、次回会合で議論されるということですが、最近の超長期金利の動きだとか、債券市場全体のボラティリティだとかを受けてですね、もっと減速ペースを来年度ですね、26
年度に早めるべきだとか、いやそうじゃないという意見もいろいろありますよね。今、総裁、そういったことについてはどういうふうにお考えになってるんでしょうか。』
に対しては決め打ちは特に行わずに、
『(答)(前半割愛)それから国債の買入れについては、中間評価でこれまでの経験をレビューするわけですけれども、おっしゃった点を含めまして、市場参加者会合でのやり取りも含めて市場の機能度等について判断していきたいというふうに思っています。』
としていましたな。
・基調的物価とアクチュアルの物価に関しての指摘に対して
『(問)国内物価に関して二点伺います。一点目が海外が騒がしくなってちょっと霞んでしまってますけれども、国内のインフレは、年度ベースでみると日銀の見通し期間と同じスパンの
3 年間 2%を超すというか 3%台となってます。一方で、実質金利はきわめて低い水準で推移しておりまして、そうした情勢下で不確実性はきわめて高い局面に入りました。この局面での政策判断の考え方をちょっと改めて伺いたいなと。正常化のタイミングが遅れたある種のビハインド・ザ・カーブに陥っているのではないのか、現状の認識を伺えればと思います。(後半割愛)』
ということで、基調的物価を連呼するが現実の物価が延々と上振れているじゃないかという石直球な質問に対して植田さんの回答は、
『(答)消費者物価総合では 3%を超えるインフレ率が足元続いていまして、これは直ちに2[%]に下落するとか
2[%]を下回るという状況ではないわけですけれども、一方で、これも前から申し上げています通り、数字できっちりお示しすることができないのは、なかなか申し訳ありませんが、基調的物価上昇率は、2%をやや下回っているというふうにみています。』
数字できっちりお示しできないのでしたらそれはただの「お気持ち表明」ではないでしょうか、と言いたくなるわけで、展望レポートの背景説明の方なんかでも説明はあるのは分かっていますが、でも結局この2%行ってない云々って「お気持ち」じゃないのかと言いたくなる訳ですな。
『上昇してきてはいるけれども、2%まではある程度の距離があるというふうにみていたわけですが、従って金融緩和基調を、ここまで調整しながらも維持してきたということでございます。』
その調整が足りないからアクチュアルの物価が高止まりしているんじゃないか、ということには毎度毎度特殊要因ワンタイムエフェクトだから、で説明をしているのが現状ですわね。
『ちょっと先に行きますけれども、この基調的物価上昇率がどんどん急上昇してくるということになれば、場合によってはビハインド・ザ・カーブということだと思いますが、これまでのところゆっくりとした上昇できている、ということで、ビハインド・ザ・カーブではないというふうに考えてきましたし、』
それはビハインド・ザ・カーブじゃないとしたいから基調的物価が急上昇しないということにしているだけなのかもしれませんし、更に別のポイントとして、1989年に見られましたように、物価が反応する前に緩和的な金融環境が資産価格形成を歪めてしまってから物価がノコノコと上がりだす、ということもあり得るわけで、基調的物価一点張りで説明している(ように見える)スタンスって如何なものかとは思います。
『更に今回の見通しにありますように、少し先にいって、基調的物価の上昇には足踏みの可能性が出てきている、という中では、現在の金融緩和の程度を取りあえず、少なくとも今回の会合では維持するのが適当というふうに考えたところです。(後半割愛)』
だそうです。
・この質疑は中々でした
これに一種関連した質疑があったのが面白かったけど、
『(問)総裁、先ほどビハインド・ザ・カーブは否定されましたけれども、やはり現状をみてますと絶好の正常化のチャンスを逸してしまったんではないかっていうような感じにも受け取れております。』
からの、
『ゆっくりやってきた前提というのは先ほどお話あったように基調的物価上昇率が
2%に達してないってことですけれども、その基調的物価上昇率って非常にブラックボックス的な指標の前提っていうのは、おそらく賃金と物価の好循環があり得るという前提だったと思うんですが、』
と来まして、
『現実に起きていることはですね、2 年連続で非常に高い春闘の賃金上昇率が、賃上げがあったにもかかわらず、ほとんどの月で実質賃金がマイナスになってると。つまり現実に起きてることは、賃金と物価の悪循環が起きてるわけですけれども、そもそも植田総裁が追い求めていた賃金と物価の好循環というのは幻想だったんではないんでしょうか。』
イイシツモンダナー
でもって回答ですが、まあこれは引かれ者の小唄として鑑賞する物件ですな。
『(答)賃金と物価の好循環はある程度回っているというふうに、もちろん考えております。』
盗人モーモーしいとはこの事w
『ただ、やや誤算だったという意味では、去年の半ば過ぎから、食品価格の上昇が目立ってきた、これが以前に使っていた言葉で申し上げれば「第一の力」がまた出てきたような動きで、賃金がある程度上がっているにもかかわらず、実質賃金を抑えてきたという動きになっているということだと思います。』
第一の力だからしゃーなし理論で誤魔化すのかw
『それからもう一つ、好循環という意味では、まだかなと思いますのが、賃金が上がり続けていますし、今回の春闘も強いわけですけれども、財価格への波及はある程度進んでるわけですけれども、サービス価格のところへの波及がもう一つ思ったほどのところではないかな、というところを注意してみております。』
サービス価格がもっとあがるべきとな・・・・・
あと、なんかお前の感想を会見で大演説するなそういうのはチラシの裏にでも書いとけ、というような文字列があった(リアタイ視聴してないからイマイチよくわからんが)ような気がするんですが、巣に帰って寝てろって感じですな。
2025/05/06
お題「展望レポート基本的見解ですが見ているとやっぱり前回からの整合性が気になりますねえ」
うーん結局連休最終日の夜になってしまうま。
〇展望レポート基本的見解逐語確認(その3かつファイナル)
引き続き展望レポート基本的見解の続きで物価の見通しから参ります。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504a.pdf(今回4月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf(前回1月)
・CPIの見通しを下げている訳ですがその理屈は・・・・・
『(2)物価の中心的な見通し 』から参ります。
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025 年度に2%台前半となったあと、2026
年度は1%台後半、2027 年度は2%程度となると予想される。』(今回4月)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024 年度に2%台後半、2025 年度に2%台半ばとなったあと、2026年度は概ね2%程度となると予想される。』(前回1月)
ということで何と引き下げですが、経済の見通しが弱くなったから下げ、ってのはまあそれはそれで理屈としては完結しているのですが、上の方でも申し上げましたように、そもそも論として1月展望の時に「物価が経済の需給ギャップにかつてよりも反応しにくくなっていて、構造的な労働供給ギャップの要因で堅調に推移する」って話をしたばっかりなのにいきなりのジャガーチェンジをしているのはお前ら前の説明との整合性をもうちょっと考えて説明してくれや、というお話ではあります。
なので以下の部分は「お前ら何で1月に言ってたことと違う理屈で勝負するのよあんたら認知に問題ありませんですかねえ」って言いたくなってしまうのですが、まあこの理屈を以下鑑賞するわけですな。
『これまで物価上昇率を押し上げてきた既往の輸入物価上昇やこのところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。』(今回4月)
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、』(前回1月)
文章の都合上前回のをここでぶつ切りしますが、輸入価格云々は円安が一服したから、と言いたいんでしょうけれども今回の決定会合受けて140円くらいまで戻ってくれてたドル円ちゃん早速145円近くになっていますし、だいたいからしてコメ価格の転嫁問題だってまだまだだし、各種価格転嫁いよいよこれからも続く、としか思えないのですが、なぜか減衰することになっている、というのが不思議なんですが、たぶんこれ何とかストを捕まえても同じような話をする向きが多そうなので、過去データから語る人たちはこういう局面変化に弱くて、お前らまだデフレ脳やってるのかという感じですが、まあそこは個人の感想ですの世界なので何んともかんとも。
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回4月)
『消費者物価の基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。なお、2025年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、米価格が高水準で推移すると見込まれることや政府による施策の反動が生じることが押し上げ方向で作用すると考えられる。』(前回1月)
前回言ってた1月の押し上げって米価の高止まりは現実に続いているんだし、何でそれを引っ込めたのかが訳わからんとしか言いようが無いですよね。でまあ見通し期間が2027年3月末までから2028年3月末までに伸びているので、見通し期間の後半の開始時期が1年先送りになっているのは言うまでもありません。
・1月に言ってた上振れ要因を全部打ち返してしまうのは「経済の下振れ」
『2026年度までの見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、2025
年度と 2026 年度は、原油価格の下落や今後の成長ペース下振れの影響などから、下振れている。』(今回4月)
『こうした見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、2024年度と
2025 年度が、米価格の上昇に加え、このところの為替円安等に伴う輸入物価の上振れもあって、上振れている』(前回1月)
明確な輸入物価の転嫁やら米価の転嫁やらというのを押し返してドテンさせるほど経済の下押しによる物価の下げ圧力が強い、という謎結論になっています。何でお前らそこまで悲観的なの????
って話でして、潜在成長率並程度の成長が見込まれるのに、なんで1月に言ってた上振れ要因を押し返してお釣りがくる下振れ要因になるんだよ(すくなくとも潜在成長率並の成長ならば、理屈の上では基調的な物価上昇にマイナス要因にはならんじゃろ(押し上げ要因にもならんけど)というお話だと思うんだがどういう理屈でこうなるの???)と小一時間問い詰めたい。
・そもそも論として「物価安定目標達成と整合的な基調的物価」という状態には「金融政策が中立的」を自動的に含意してないとおかしいんだが
『消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、原油価格や政府による施策に関する前提にも依存する。』(今回4月)
『消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、原油価格や政府による施策に関する前提にも依存する。』(前回1月)
というのはいつものことですが、
『原油価格については、先物市場の動向などを参考に、見通し期間終盤にかけて、概ね横ばいで推移していく前提としている。』(今回4月)
『原油価格については、先物市場の動向などを参考に、見通し期間終盤にかけて緩やかに低下していく前提としている。政府によるガソリン・電気・ガス代の負担緩和策は、昨年度までの消費者物価(除く生鮮食品)の前年比を押し下げる方向に作用してきた。2024
年度と 2025 年度については、負担緩和策の段階的な縮小・終了が、前年比を押し上げる方向に作用するとみられる。』(前回1月)
この辺は特殊要因の話、ちなみに原油価格って毎回これ先物市場の価格を見て云々っていう説明になっているのですが、そもそも論として先物価格の期先限月と期近限月の間の差ってのは受渡適格品目が変わらない限りにおいては、単純に保管コストの差になるんですから(農産物の場合は供用適格銘柄の生産年が変化するので必ずしもこの限りではないが原油は基本変わらん筈)、もともと先物市場の価格を使って云々って前提を置くのも訳わからんのだが何とかならんのかこの設定は。
『エネルギー価格の変動の直接的な影響を受けない消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比は、既往の輸入物価上昇やこのところの米などの食料品価格上昇の影響が徐々に減衰していくことに加え、成長ペース鈍化などの影響から、いったん2%を下回ると見込まれる。その後は、成長率が高まるもとで、2%程度で推移すると考えている。』(今回4月)
『エネルギー価格の変動の直接的な影響を受けない消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比は、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響は徐々に減衰するものの、賃金上昇等を受けたサービス価格等の緩やかな上昇が続くほか、米価格の上昇などもあって、2%程度で推移するとみられる。』(前回1月)
ということで今回は「成長が下押しされるから物価見通しが下押し」になっているのですが、そもそも論として物価安定目標2%が達成されているのでしたら、理屈の上では経済が潜在成長率並で推移していたら物価の前年比はおおむね2%になっていないと話としておかしいのですが、今回の見通しだと経済が潜在成長率程度で推移すると物価(基調物価)が2%割り込むって説明になっていますので、まあ物価目標達成していないから、ということなんでしょうけれども、潜在成長以上の成長が続いて物価目標と整合的な水準に達する、ってのも説明としては謎オブ謎なんですよね。
つまりですね、緩和的な政策を続けていて、物価見通しが2%行くか行かないか、って状況が続いているんだったら、そもそも論としてそれはバイデフェニションで物価目標未達成(=本来なら中立的な金融政策を実施している中で2%で推移していないとおかしいから)ということになるので、見通し期間の後半に物価安定目標達成と整合的な水準、っていうのがそもそも何を言っているのかを詰めると話が結構矛盾してくるんですよ。
おまけにアクチュアルの物価の方は2%から上振れ推移で延々とやっておられるわけで、結局この人たちの言ってる「物価目標達成」というのは具体的にどういう状態なのか、というのが曖昧なまま、その曖昧な「基調的物価」で話を通しているからアタクシのような頭の悪い者にはいつまで経っても腑に落ちないんですよねえ(物価目標達成と整合的な水準に基調的な物価がいますよ(見通し期間後半のどこかでそうなる、という説明ですよね)、というときには金融政策が中立的な水準にある、というのがセットじゃないとそもそもその状態は「物価目標達成と整合的」とは言わないんじゃないか、ってことね)。
とまあメタ哲学みたいな話をこねくり回しましたが続き行きますね。
・需給ギャップの部分に対する感応度合いが弱くなっていったという話は生きているのよね
『物価の基調を規定する主たる要因について点検すると、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、振れを伴いつつも、改善傾向をたどっている。先行きの需給ギャップは、上記の経済の見通しのもとで、現状程度で推移したあと、見通し期間終盤にかけて、再び改善していくと予想される。この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっている。こうしたもと、多くの業種で企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかるとみられる。』(今回4月)
『物価の基調を規定する主たる要因について点検すると、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、振れを伴いつつも、改善傾向をたどっている。先行きの需給ギャップは、上記の経済の見通しのもとで、見通し期間終盤にかけては、プラス幅を緩やかに拡大していくと予想される。この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっている。こうしたもと、多くの業種で企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかるとみられる。』(前回1月)
今回は経済見通しをバチクソ下げた結果、ここの文言の中での需給ギャップの見通しに、「現状程度で推移したあと」というのが入った格好になっています。
でまあそれはそれでいいんですけど、「マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかるとみられる」っていうのを今回引っ込めていないんだったら、何で物価の見通しが下振れる上にリスクバランスも下になるのよという話で、話の整合性に関して違和感しかないですね。まあ最初の方から言ってますけど、今回は「先行き見通しリスクが多くてまあ普通に考えると経済に下振れリスクになるんだが、ゆうて状況が皆目見当つかないので一旦は従来シナリオを維持して警戒度を高めます」で良かったと思うのですが、ハトハトチキン音頭を踊ったが為に話の整合性が取れなくなっている感は非常に強いし、結局大したことが無かったらまたお前らベースラインシナリオを動かすのかと小一時間という所ではあります。
・適合的期待形成云々をどさくさに紛れて削除しているんだがアクチュアルの物価は上振れしとるじゃろ
『次に、中長期的な予想物価上昇率をみると、緩やかに上昇している。』(今回4月)
『次に、中長期的な予想物価上昇率をみると、緩やかに上昇している。』(前回1月)
何四半期「緩やかに上昇」って言い続けてるんでしょうかいい加減にしてください。
『先行きについては、従来より積極化している企業の賃金・価格設定行動は維持され、人件費や物流費を含むコスト上昇を販売価格に反映する動きは継続すると見込まれるものの、成長ペースの鈍化などの影響を受けて伸び悩むとみられる。』(今回4月)
という説明でその後復活するって話ですけれども、これ前回1月の見通しと比較しますとね・・・・
『短観における企業の物価全般の見通しは、緩やかに上昇している。適合的予想形成の強いわが国において、これまでの物価上昇率の高まりは、家計や企業の中長期的な予想物価上昇率の上昇をもたらしてきている。』(前回1月)
アクチュアルの物価は高止まりしているので当然「適合的予想形成の強いわが国において、これまでの物価上昇率の高まりは、家計や企業の中長期的な予想物価上昇率の上昇をもたらしてきている」という記載がありまして、何なら10月の展望でも同じ記載があったのですが、今回どさくさに紛れて削除しているんですが、「適合的期待形成でインフレ期待が上がる」っていうのは今次局面におけるキモみたいな話をしていたし、大体からして過去の大規模黒田緩和がインフレ期待に効かなかった理由も適合的期待形成にしていたんだから、この期に及んで急に適合的期待形成を引っ込めるのはインチキにも程があるじゃろ、と思いました。
適合的期待形成を引っ込めるのは今回物価見通しを下げるわ下振れリスクにするわとしたのと無縁ではないはずで、適合的期待形成の面からいったら足元物価が延々と上振れ状態になっていることは、インフレ期待を押し上げる強い要因になり得るので、あるかまだわからん景気下押し要因を打ち返してお釣りが来たっておかしくないじゃろ、という話になるので、適合的期待形成の話をすると見通しの数値との整合性がおかしくなる、という事によりましてこのような仕儀になったんじゃろうな、というのは何となく想像は付きます(個人の妄想です)。
・1月は随分と威勢よく構造的な感じの話をして期待インフレの強まりの話をしていたんですけどねえ
しかも1月の説明は上記に引き続きまして、
『企業の賃金・価格設定行動には、従来よりも積極的な動きがみられており、名目賃金ははっきりと増加している。また、賃金の上昇が続くもとで、人件費や物流費等の上昇を販売価格に反映する動きも広がってきている。』(前回1月)
と勇ましい話に加えて、
『先行きについては、労働需給が引き締まった状況が維持されるもと、企業の賃金・価格設定行動の変化が続き、予想物価上昇率は緩やかに上昇していくと考えられる。こうしたもと、物価上昇を反映した賃上げが実現するとともに、賃金上昇が販売価格に反映されていくことを通じて、賃金と物価の好循環は引き続き強まっていくとみられる。本年の春季労使交渉についても、昨年に続きしっかりとした賃上げを実施するといった声が多く聞かれている。』(前回1月)
となっていて、エライ勢いでイキリ散らかしていた訳でして、何なんですかこのジャガーチェンジは、というお話でしてどんだけお前らハトハトチキン音頭になっとるんじゃ、というお話ではあります。
でまあ今回はさっきの後に、
『その後については、成長率が高まり、労働需給の引き締まりがより明確となるもとで、積極的な企業の賃金・価格設定行動は更に広がっていき、再度、予想物価上昇率は緩やかに上昇していくと考えられる。』(今回4月)
となっていますが、前回は段落分けた状態で、
『これらの点検を踏まえると、消費者物価の基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを受けて徐々に高まり、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。もっとも、こうした見通しには引き続き不確実性があり、企業の賃金・価格設定行動などを丁寧に確認していく必要がある。』(前回1月)
ということでエライ威勢が良かったのに対して、ってお話ではございました。
・リスク要因その1は通商政策
『3.経済・物価のリスク要因』の『(1)経済のリスク要因 』
『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れないし下振れの可能性(リスク要因)としては、主に以下の点に注意が必要である。』(今回4月)
『上記の中心的な経済の見通しに対する上振れないし下振れの可能性(リスク要因)としては、主に以下の点に注意が必要である。』(前回1月)
ということで最初が通商政策。
『第1に、各国の通商政策等の動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向である。』(今回4月)
『第1に、海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向である。』(前回1月)
『最近打ち出された各国の通商政策は、様々な経路を介して内外経済を下押しする方向に作用すると考えられる。広範な関税の導入はグローバルな貿易活動に影響を及ぼすとみられるほか、関税を含む政策の不確実性の高まりが、各国の企業や家計のコンフィデンスや国際金融資本市場に大きな影響を及ぼすと考えられる。これらの政策が内外経済に及ぼす影響やその程度については、今後の政策の帰趨にも大きく依存するため、その動向を十分に注視していく必要がある。』(今回4月)
『米国経済は堅調に推移しており、同国の政策運営を巡る不確実性は意識されているものの、国際金融資本市場は全体として落ち着いている。もっとも、こうした政策運営を巡る不確実性が、同国の経済・物価動向のみならず、世界経済や国際金融資本市場に影響を及ぼしうることについては、引き続き留意していく必要がある。また、米欧では、中央銀行による既往の利上げの影響についても、引き続き不確実性がある。』(前回1月)
まあここは前提の話が変わっていますが、過去の利上げの影響が云々がしらっと抜けていますな。
『この間、ウクライナや中東情勢等の帰趨次第では、海外経済への下押し圧力が高まる可能性がある。中国経済についても、不動産市場や労働市場における調整圧力が続くなか、政策効果も含めて、先行きの成長ペースを巡る不確実性は引き続き高いほか、通商政策の影響も相俟って、一部の財における供給能力の過剰が世界経済・物価に及ぼす影響についても注意を払う必要がある。』(今回4月)
『この間、ウクライナや中東情勢等の帰趨次第では、海外経済への下押し圧力が高まる可能性がある。中国経済についても、不動産市場や労働市場における調整圧力が続くなか、先行きの成長ペースを巡る不確実性が高いほか、一部の財における供給能力の過剰が世界経済・物価に及ぼす影響についても注意を払う必要がある。』(前回1月)
関税政策の中国経済の影響を付け加えています。まあこの辺はそうですよねという話ですけど、既に見通しを下げてしまっているので、さらに上乗せで下振れかよどんだけハトハトフォワードルッキングなんだよ、とは思ってしまいます。
・輸入物価の動向なんだが明確に「輸入物価上昇が経済に悪影響」というのを連呼しているんですが・・・・・
『第2に、輸入物価の動向である。』(今回4月)
『第2に、資源・穀物価格を中心とした輸入物価の動向である。』(前回1月)
今回「輸入価格の動向である」とぶっこんで来ましたが、この中身が結構前回と違っていまして、
『上記の各国の通商政策等の影響を受けて、グローバルに物流の混乱が生じたり、サプライチェーンの再構築などが進み、そのコストが嵩んだりするようなことがあれば、輸入物価が上昇し、国内需要を下押しする可能性がある。』(今回4月)
輸入物価上昇が国内需要の下押し圧力、って思いっきり言ってまして、それは仰せの通りなんですが、だったらお前ら円安に振るなよアホがとしか言いようが無いわけで、今回ハトハト情報発信をしてドル円が5円近く円安ドル高に振れたんだが輸入物価上昇を悪だと明確に言い切るんだったらなんでハトハトチキン満艦飾の話をする訳なのお前ら、って思いました。
でもって
『また、資源・穀物価格については、先行き、ウクライナや中東等を巡る地政学的な要因により、大幅に変動するリスクに引き続き注意が必要である。』(今回4月)
『資源・穀物価格については、先行き、ウクライナや中東等を巡る地政学的な要因により、大幅に変動するリスクに引き続き注意が必要である。』(前回1月)
というのは前回と同じで、
『中長期的には、気候変動問題への各国の対応等を巡る不確実性もきわめて高い。』(今回4月)
『中長期的には、気候変動問題への各国の対応等を巡る不確実性もきわめて高い。』(前回1月)
これも同じ。輸入物価に関してはこの後にもあって、
『また、輸入物価が大幅に上昇することがあれば、家計の生活防衛的な動きが一段と強まり、経済を下押しすることも考えられる。一方、輸入物価が下落すれば、経済が上振れる可能性もある。』(今回4月)
となっていますが、前回までは
『エネルギーや小麦など資源・穀物の輸入国であるわが国にとって、供給要因による資源・穀物価格の上昇は、海外需要の拡大や輸出の増加を伴わないため、輸入コストの増加を通じた経済への下押しの影響が大きくなる。仮に交易条件が再び悪化する場合には、企業収益や家計の実質所得を圧迫し、企業や家計の支出行動の慎重化を通じて、設備投資や個人消費が下振れるリスクがある。また、輸入物価上昇の消費者物価への転嫁が進むもとで、家計の生活防衛的な動きが一段と強まり、経済を下押しすることも考えられる。一方、資源・穀物価格が下落すれば、経済が上振れる可能性もある。』(前回1月)
ということで、前回までも輸入物価上昇自体は交易条件の悪化が経済下押し、とはなっていましたが、引用部分の頭に「供給要因による資源・穀物価格の上昇は、海外需要の拡大や輸出の増加を伴わないため、輸入コストの増加を通じた経済への下押しの影響が大きくなる」って説明があったのに対して、今回はもうその手の前提の話を取っ払ってシンプルに「輸入物価上昇はアカン」という説明になっているのはほほうと思いました。だったら円安に飛ぶような情報発信するなやとは思いますが(しつこい)。
・リスク要因その3はおおむね同じ
『第3に、やや長い目でみたリスク要因として、わが国を巡る様々な環境変化が企業や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響がある。』(今回4月)
『第3に、やや長い目でみたリスク要因として、わが国を巡る様々な環境変化が企業や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響がある。』(前回1月)
『感染症の経験や人手不足の強まり、脱炭素化に向けた取り組みや労働市場改革の進展などは、わが国の経済構造や人々の働き方を変化させるとみられる。人口動態の変化等に伴う人手不足感の強まりは、デジタル化などによる省力化投資の動きを加速させる可能性がある。一方、そうした資本と労働の代替が十分に進展しない場合には、一部の業種における供給制約によって成長率が下押しされるリスクがある。』(今回4月)
『感染症の経験や人手不足の強まり、脱炭素化に向けた取り組みや労働市場改革の進展などは、わが国の経済構造や人々の働き方を変化させるとみられる。人口動態の変化等に伴う人手不足感の強まりは、デジタル化などによる省力化投資の動きを加速させる可能性がある。一方、そうした資本と労働の代替が十分に進展しない場合には、一部の業種における供給制約によって成長率が下押しされるリスクがある。』(前回1月)
ここまで前回と同じ、資本と労働の代替が十分に進展しない場合は云々というのは具体的には「顧客ニーズはあるけど従業員足りないから設備が稼働できない」という話ですね。
『さらに、最近打ち出された各国の通商政策はグローバル化の潮流に変化を及ぼしていく可能性があり、今後の各国の政策の展開次第では、そうした変化が急速に進むことも考えられる。』(今回4月)
『さらに、地政学的リスクの高まりや貿易摩擦の強まりなどを背景に、グローバル化の潮流に変化が生じる可能性もある。』(前回1月)
これは今回のトランプを受けた文言変更。
次が『(2)物価のリスク要因 』ですね。
『以上の経済のリスク要因が顕在化した場合には、物価にも影響が及ぶと考えられる。このほか、物価固有のリスク要因としては、以下の2つに注意が必要である。』(今回4月)
『以上の経済のリスク要因が顕在化した場合には、物価にも影響が及ぶと考えられる。このほか、物価固有のリスク要因としては、以下の2つに注意が必要である。』(前回1月)
・企業の価格設定行動が成長下押しを受けて弱まるので予想物価上昇率が弱まるというのがリスクとは違和感大有りだが
『第1に、企業の賃金・価格設定行動やそれらが予想物価上昇率に与える影響である。』(今回4月)
『第1に、企業の賃金・価格設定行動である。』(前回1月)
ということなんですけど、これ期待インフレが上がるという話かと思えばさに非ず。
『企業の賃金・価格設定行動は、従来よりも積極化しており、中心的な見通しでは、成長ペースが鈍化するもとでも、こうした傾向は維持されると想定している。もっとも、今後の各国の通商政策等を巡り不透明感が高い状況が続くことがあれば、コスト削減に注力する傾向が強まる可能性がある。こうしたもと、物価上昇を賃金に反映する動きが弱まることも考えられる。』(今回4月)
『企業の賃金・価格設定行動は、従来よりも積極化しており、中心的な見通しでは、賃金と物価の好循環が引き続き強まっていくことを想定している。もっとも、中小企業を中心に賃金上昇の価格転嫁は容易ではないとの声も引き続き聞かれており、今後、輸入物価からの価格転嫁の影響が減衰していくもとで、賃金上昇分を含め、コストの販売価格への転嫁の動きが弱まることがないか注視していく必要がある。』(前回1月)
前回は「価格転嫁も賃金上昇も進んでいるけど中小企業がちと心配」「価格転嫁は本当に続くのかがちと心配」って感じのニュアンスだったのですが、どうも通商政策を受けて企業部門が収益をスクイーズさせて対応して(というのがそもそもデフレ脳であって、全部かは知らんけど普通にホイホイコスト転嫁される動きが続くじゃろ、とアタクシは思うのですけれども、まあそれは見解の相違なので何とも)対応する結果、価格があまり転嫁されずに賃上げの原資も足りなくなる、ということでメカニズム崩壊じゃんという話をしているのはちとビビった。
『一方、販売価格に賃金を反映する動きが想定以上に強まったり、先行き労働需給が引き締まった状況が続くとの見方が強まるもとで、賃金の上昇圧力が強まっていく可能性もある。こうしたもとで、中長期の予想物価上昇率の高まりを伴いつつ、賃金・物価とも上振れていくことも考えられる。』(今回4月)
『一方、販売価格に賃金を反映する動きが想定以上に強まったり、先行き労働需給が引き締まった状況が続くとの見方が強まるもとで、賃金の上昇圧力が強まっていく可能性がある。こうしたもとで、中長期の予想物価上昇率の高まりを伴いつつ、賃金・物価とも上振れていくことも考えられる。』(前回1月)
ということでこっちは同じなのですが、今回4月はおまけ文言があって、
『この間、このところの米などの食料品価格上昇については、それ自体は天候要因等を背景とするものだとしても、家計のコンフィデンスや予想物価上昇率の変化を介して、基調的な物価上昇率に二次的な影響を及ぼしうる点にも留意が必要である。』(今回4月)
って言ってるけど、お前2024年産米の作況指数101だぞ何が天候要因じゃ、ってのはさておきまして米の価格上昇などによる価格上昇に関して「家計のコンフィデンス」って入れていて、価格上昇による適合的期待形成の話の中にコンフィデンス悪化に伴う影響ってのを入れていて、どうしても物価のリスクも下振れ方向にしたいらしいというのが伝わります。
・為替の影響云々はまだ残しているのね
『第2に、今後の為替相場の変動や国際商品市況を含む輸入物価の動向、およびその国内価格への波及は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(今回4月)
『第2に、今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向、およびその輸入物価や国内価格への波及は、上振れ・下振れ双方の要因となる。』(前回1月)
2番目のこちらですが、
『各国の通商政策等の展開をはじめ世界経済の先行きを巡る不確実性は高く、これが供給サイドから輸入物価を上昇させたり、為替相場や国際商品市況を大きく変動させる可能性がある。この点、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(今回4月)
『世界経済の先行き等を巡る不確実性は高く、これが国際商品市況を大きく変動させる可能性がある。また、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(前回1月)
でもって為替の影響が以前よりも大きい、かつ輸入物価上昇が経済の下振れリスクだったら、別に円高誘導しろとは言わないけど、円安を促進するような政策の「見せ方」をすること自体が経済にマイナスになるんじゃないかねえ、と思いました。
・第一の柱第二の柱は思いっきり形骸化しているから見直すべき
という訳で金融政策に参ります。『4.金融政策運営 』
『以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する5。』(今回4月)
『以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する4。』(前回1月)
ってやっていますが、そもそも論として第二の柱による点検、という意味では累積している緩和政策が出口の段階で物価高と円安を招いていること、なんてえのは思いっきり「第二の柱」に引っかかっている話の筈なんですが(よって緩和縮小はできるものはどんどんやらないといけない)、まあそういう話にはなっておりませんわなあと思うので、この点検も形式的になっているにも程があるので見直した方が良いと思います。
『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、2025
年度に2%台前半となったあと、2026 年度は1%台後半、2027 年度は2%程度となると予想される。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回4月)
『まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価の前年比は、2024
年度に2%台後半、2025 年度に2%台半ばとなったあと、2026 年度は概ね2%程度となると予想される。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(前回1月)
でもってこの『「物価安定の目標」と概ね整合的な水準』ってのがそもそもこの時点で政策金利が緩和的だったら整合的な水準じゃねえだろ、というのは先ほどから申し上げている通り。
『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検する。』(今回4月)
『次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検する。』(前回1月)
でもって本来の意味でのリスクってまさに今QQEYCC政策の出口において色々と問題が発生しているじゃろ、と思うのだがそういう話は全然なくていつもの能天気な話だけである。一応引用します。
『わが国経済・物価を巡るリスクとしては様々なものがあるが、とくに各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はきわめて高く、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。リスクバランスは、経済の見通しについては、2025
年度と 2026 年度は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについても、2025
年度と 2026 年度は下振れリスクの方が大きい。』(今回4月)
『わが国経済・物価を巡る不確実性は上下双方向で引き続き高く、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響にも、十分注視する必要がある。リスクバランスは、経済の見通しについては概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2024
年度と 2025 年度は上振れリスクの方が大きい。』(前回1月)
でもって、
『金融面のリスクについてみると、不動産価格の上昇ペースには引き続き留意が必要であるものの、全体としてみれば、資産市場や金融機関の与信活動には過熱感はみられていない。わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。また、内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、わが国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有している。そのうえで、各国の通商政策等を巡る不確実性がきわめて高いことを踏まえると、それが様々な経路を通じて金融システムに及ぼす影響については丁寧にみていく必要がある6』(今回4月)
『金融面のリスクについてみると、株価や不動産価格の上昇ペースには引き続き留意が必要であるものの、全体としてみれば、資産市場や金融機関の与信活動には過熱感はみられていない。わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。また、内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、わが国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有している。有価証券投資におけるリバランス行動などを反映して、円金利の上昇に対する金融機関の耐性も改善方向にある。より長期的な視点から金融面の不均衡について点検すると、低金利や人口減少、企業部門の貯蓄超過などによる金融機関収益への下押しが長期化した場合、金融仲介が停滞方向に向かうリスクがある。一方、こうした環境のもとでは、利回り追求行動などに起因して、金融システム面の脆弱性が高まる可能性もある。現時点では、これらのリスクは大きくないと判断しているが、先行きの動向を注視していく必要がある。』(前回1月)
金融面のリスクのうち過熱リスクに関するものをバシバシと削ってやがってこんなところでもハトハト音頭ですね・・・・
・金融政策運営に関してはハトハトオマケ文言が加わりましたとさ
『金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(今回4月)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(前回1月)
あれだけハトハト音頭言っておいて緩和度合い調整する気概があるようには見えませんけどねえ。
でもって今回は昨年10月とかにあったハトハトオマケ文言が追加。
『そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を巡る不確実性がきわめて高い状況にあることを踏まえ、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要と考えている。』(今回4月)
ちなみに昨年10月展望でのハトハトオマケ文言はこちら。
『そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。』(昨年10月)
何で今回は「予断を持たずに判断していくことが重要」って言ってるのかよくわからん話で、予断を持たずに判断するのが本当に大事なんだったら今回慌ててベースラインシナリオを下方修正しないで、ベースラインシナリオは今のところ維持するけれども、先行きは思いっきり不透明ですから予断を持たずに判断して行って、シナリオの下方修正も機を逃さずに行います。って言えばいいわけで、今回ベースラインシナリオを下げている時点で予断をもって見通し修正してるじゃろと思いましたwwwwwwwww
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回4月)
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(前回1月)
適切に運営しているとも思えませんがwwwwwww
というところで今回は全文逐語比較してしまいました、クソ長くてごめんやで。
2025/05/05
お題「というわけで展望レポート基本的見解本編に参ります(現状判断と経済の先行き見通し編)」
連休も残り1日半となりましたがいかがお過ごしでしょうか。
ということで展望レポート確認の儀の続きです。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504a.pdf(今回4月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf(前回1月)
〇展望レポート基本的見解:ロジック的にはベースライン下げているとしか言いようが無い
・現状認識:海外経済ってそんなに弱いデータもう出てましたっけという説はあるのだが
経済の現状認識『1.わが国の経済・物価の現状』から参ります。
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(今回4月)
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(前回1月)
ということで現状認識は変わっていません。
『海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みの動きがみられるが、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は改善傾向にあり、業況感は良好な水準を維持している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(今回4月)
『海外経済は、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は横ばい圏内の動きとなっている。企業収益は改善傾向にあり、業況感は良好な水準を維持している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(前回1月)
海外経済のところで「一部に弱めの動きもみられるが」が入って輸出や生産には「関税の駆け込みがある」という話、企業収益と業況感は短観直後なので入っている感じですね。
・後でも出てくるんですがアクチュアルの物価上昇が宜しくない状態というのを明言してるんだよな〜
『個人消費は、物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな増加基調を維持している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(今回4月)
『雇用・所得環境は緩やかに改善している。個人消費は、物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかな増加基調にある。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(前回1月)
今回語順が謎に変わっていますが、個人消費のところで「物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられる」ってのを入れていますね。いやだからそんなにアクチュアルの物価上昇がまずいんだったら何でガバガバ緩和金融政策を継続するのかが良くわからん次第だし、円安いかせるようなハトハト情報発信をなぜ行うって思いますけどね。個人消費以外の部分も含めて基本的に言っていることは同じです。
・既往の価格転嫁の影響が減衰という文言をしらっと削除
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、既往の輸入物価上昇や米などの食料品価格上昇の影響もあって、足もとでは3%台前半となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(今回4月)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、政府によるエネルギー負担緩和策の縮小もあって、足もとは3%程度となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(前回1月)
金融環境と物価のところですが、金融環境はいつも通りですけど、物価に関しては今回「既往の輸入物価の転嫁が減衰」を外していまして、足元の物価は強い話をしているんですよね。でもなぜか今回は物価見通しが下がるという謎展開。
ということで先行き見通しですがまずは経済の見通し。
・経済見通しは「通商政策のせいで海外が下がる」が前提
『2.わが国の経済・物価の中心的な見通し2, 3 』
脚注2は金曜日に申し上げた通りですし・・・・・・・
『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。』(今回4月)
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。こうした見通しは、前回の展望レポートにおける見通しから概ね不変である。』(前回1月)
金曜日にネタにした通りで、そもそも論として脚注2にあるように、「今後、各国間の交渉がある程度進展するほか、グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されることなどを前提に作成している。」という前提なのにもう海外が下がって企業収益も下がる、と決め打ちしていまして、ナンジャソラという感じですけれども、さらにこの部分は見どころがありますわな。
・「所得から支出への前向きの循環メカニズム」がなくなるってよく考えたら飛んでもない下方修正なんだが・・・・
ご案内の通りで、今回会見でも散々ツッコミを受けていたと思われる(と思われるというのは実はアタクシ先週木曜って月末月初だったせいもあって会見をゆっくり聞いている場合じゃなかったので、つまりは決定会合を月末月初にやるのは大迷惑ということですなw)のですが、今回皆様ご案内の通り「所得から支出への前向きの循環メカニズム」が削除されました。
循環メカニズムが壊れたんだったら政策の前提壊れたじゃろ、と言いたくなるのですが、どうも会見での説明もそうですし、今回の展望ってベースラインシナリオは下げているものの、25年度の成長率見通しを辛うじて潜在成長率並に置くとか、2027年度の経済物価見通しが何となく長期均衡っぽい数値を出しているとかいうことで、どうも「循環メカニズム」とやらが壊れたという認識ではないっぽいですな(壊れているのなら先行き政策調整どころの騒ぎではないし)。
だったら普通に考えて「所得から支出への前向きの循環メカニズム」は生きているという認識なんだから、この文言生かせておけよ、と思う訳ですが、これを外したってのは結構な下方修正を意味するんですな。
でまあこの「前向きの循環メカニズム」で思い出すのは昨年1月の展望レポートハイライトのポンチ絵をだったりする訳で。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202401.htm
展望レポート・ハイライト(2024年1月)
2番目のポンチ絵の『物価のトレンドは2%目標に向けて徐々に高まる』って奴ですが、これ出たときにアタクシ「お前ら賃金と物価の好循環を6回も確認しないと2%行かないって言うのか」と悪態をついたと思います。
でですね、日銀大本営としては、前々から言っている「賃金と物価の好循環」という痴人の夢キャッチコピーがあるんですけれども、現実の物価が上振れしていてどっからどう見ても起きているのは悪循環だし、物価高が大きな政治イシューになっているのですが、物価高対策と称して再分配やるならまだ話は分かるが、財政出動をしようという物価高促進政策をとる馬鹿どもが馬鹿踊りをして大変なことになっている今日この頃というご時世の中、呑気に「賃金と物価の好循環」とか言ってるとそのうち火炙りにされかねないから、そもそも「好循環」という言葉自体を使うのを止めよう、としているんじゃないかねえ、とアタクシは思ってしまったのですよ。
まあこの「前向きの循環メカニズム」がまた復活するかもしれませんし、何ともその辺は良くわからんけど、少なくとも「賃金と物価の好循環」とかいう寝言を言わないで済むようにするために、「循環メカニズム」みたいな文言はしばらく(何なら未来永劫)お蔵入りにしておいた方が日銀の身を守るためにもお勧めなんだけどなあ、とアタクシが勝手に思っているだけですが、もしかして大本営も「循環メカニズム」系の言葉をこのどさくさに紛れてお蔵入りにしようとしているならオモロイなと感じました(あくまでもワシの妄想)。
・前回見通しとの比較がエライ先の方にありまして、
さっき引用した部分、実は1月展望では段落分けがあって、最後の一文の
『こうした見通しは、前回の展望レポートにおける見通しから概ね不変である。』(前回1月)
は毎回の展望で「前回との比較」ということで横ばいだったり上げてたり下げてたり、というのを書いているのですけれども、今回はこの前回からの比較がエライ先の方にありまして、ここだけ順不同になりますが引用しますと、
『2026年度までの見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、2024
年度は、個人消費を中心に幾分上振れているが、2025 年度と 2026 年度は、各国の通商政策等の影響を受けて、下振れている。』(今回4月)
24年度とか終わった話はどうでもよくて、ご案内の通りで25年度26年度の成長見通しを引きさげというベースラインシナリオ書き換えの巻となっています。
・「設備投資は構造的な投資需要で支えられる」だったのがいきなり足元の景気要因で腰砕け見通しになると
今回はご案内のように先行き見通しのところ「目先は通商問題で下押し(ただし景気後退にまではならない)けどその後元に戻ってくる」という見通しになっています。
『すなわち、輸出や生産は、海外経済の減速を背景に、弱めの動きになると見込まれる。こうした動きを受けて、企業収益も、高水準ながらも減少するとみられる。』(今回4月)
ってのが最初に来まして、
『こうしたもと、設備投資は、緩和的な金融環境が下支え要因として作用するなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靱化に向けた投資は継続されると見込まれるが、海外経済減速の影響を受けて伸び率は鈍化すると見込まれる。』(今回4月)
となっています。前回のとはだいぶ文章構成が違うので引用箇所が結構ズレてしまいますが、設備投資に関しては、
『そうしたもとで、設備投資は、緩和的な金融環境が下支えとなるなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靱化に向けた投資を含め、増加傾向を続けると考えられる。』(前回1月)
ということで、基本的な話は前回と同じだけど、海外が減速するので伸び率が鈍化する、という話になっていて、それはまあ理屈としては分かるのですが、これまでの説明って設備投資は上記の説明にあるような「構造的な投資需要に支えられる」って話だったので、循環的(かつ一時的)な要因で設備投資が鈍化する、っての何か従来の話と違くねって感じでして、従来が強すぎなのか今回が弱すぎなのか、どっちなのかねとは思いますけれども、これは植田日銀になってからの仕様だと思うのですが、とにかく政策アクションを正当化するために理屈を無駄に強気/弱気に極端に振り切ってしまう傾向があって、今回は特に前回利上げした後の展望だからその振れ方が極端に見える、というのがありますわな、と思いました(個人の感想です)。
・労働需給は逆に前回「今後の回復過程で一段と引き締まる」だったのが構造的に引き締まる話になっています
次が雇用所得ですが、
『雇用・所得環境をみると、経済の成長テンポは鈍化する中にあっても、女性や高齢者などの追加的な労働供給が見込みにくくなってくるもとで、労働需給は引き締まった状態が続くと考えられる。こうしたもと、名目賃金は、当面は本年の春季労使交渉の結果等を踏まえて高い伸び率が続くと見込まれるほか、その後も、企業収益減少の影響を受けて伸び率を幾分鈍化させつつも、増加を続ける可能性が高い。』(今回4月)
というのが今回で、前回1月は、
『家計部門をみると、雇用は増加を続けるが、これまで女性や高齢者の労働参加が相応に進んできたなかで、追加的な労働供給が見込みにくくなってくるため、その増加ペースは徐々に緩やかになっていくと考えられる。もっとも、このことは、景気回復の過程で、労働需給の引き締まりを強める方向に作用する。そのもとで、名目賃金は、物価上昇も反映する形ではっきりとした増加が続くとみられ、雇用者所得も増加を続けると予想される。』(前回1月)
となっていて、労働需給の説明って前回は「供給制約が出てきているので今後の景気回復の過程で労働需給が引き締まる」だったのですが、今回って景気に関して目先下押しって言ってるくせに、なぜか景気回復の過程云々が関係なくなってもう構造的に労働需給が引き締まります、って話になっていまして、これはこれで設備投資の先行き見通しとアプローチが違っていて整合性はどうなっているの、と思いました。これ設備投資と労働需給の説明が前回と今回で逆転しているんですよね。なんですかねえという感じですが。
まあそうしておかないと賃金の増加って絵が描きにくくなって、賃金と価格の好循環とかいう痴人の夢が実現しなくなってしまって、これまたメカニズム自体が壊れるという話になるから、って事なんでしょうけれども、ご都合主義っぽさは否めない。
・個人消費の部分でも「賃金と物価の好循環」を引っ込めるムーブ的なものを感じるんですけどね
『個人消費は、当面は物価上昇の影響を受けつつも、雇用者所得の増加が続くことなどから、緩やかな増加基調を維持するとみられる。政府によるガソリン代の負担緩和策や
2025 年度から実施される税制改正なども、個人消費を下支えすると考えられる。この間、公共投資は横ばい圏内で推移し、政府消費は、医療・介護費の趨勢的な増加を反映し、緩やかに増加していくと想定している。』(今回4月)
こちらも前回と構成が違うので前回の方がぶつ切り引用になります。
『こうしたもとで、個人消費は、当面は物価上昇の影響を受けつつも、賃金上昇率の高まりなどを背景に、緩やかな増加を続けるとみられる。政府によるガソリン代等の負担緩和策が縮小しつつも継続されることなども、当面の個人消費を下支えすると考えられる。』(前回1月)
『この間、公共投資は、横ばい圏内で推移すると想定している。政府消費については、医療・介護費の趨勢的な増加を反映し、緩やかに増加していくと想定している。』(前回1月)
さて、こちらなんですけど、前回と比較して違うのって個人消費のドライバーが前回は「賃金上昇率の高まりなどを背景に」だったのが「雇用者所得の増加が続くことなどから」になっていまして、こちら前回は個別の賃金という話だったのが、今回マクロ的に「雇用者所得」としてきましたことについては「賃金上昇と物価上昇の好循環」という痴人の夢を引っ込めるために「賃金上昇」アピールを減らしてきたんじゃないか、って邪推してみたいのですがどうでしょうかね。
・今回は「その後」バージョンがあって
今回4月は「その後」ってのがあります。
『その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、わが国経済も成長率を高めていくと見込まれる。』(今回4月)
こちらは再掲になりますが前回1月の最初の部分、
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(前回1月)
に重なる部分です。でもってその先ですが、
『輸出や生産は、増加基調に復していくと考えられる。企業収益は内外需要の増加から改善していくとみられ、設備投資は、需要増に対応した能増投資もあって、増加傾向を続けると考えられる。雇用・所得環境をみると、人手不足感が強まるもとで名目賃金は再度伸び率を高め、個人消費は緩やかに増加していくと考えられる。』(今回4月)
『企業部門をみると、輸出や生産は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、グローバルなIT関連財の回復などから、増加基調に復していくと考えられる。この間、サービス輸出であるインバウンド需要は、増加を続けると予想される。企業収益は、内外需要が緩やかに増加していくもとで、改善傾向をたどるとみられる。』(前回1月)
ちなみにインバウンドに関しては今回記載がないです、何でなのかは知らん。でもって先ほど先出しをした見通し対比があって、
・潜在成長率の話は同じですか
『この間、潜在成長率は、政府による各種の施策の後押しなどもあって、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、設備投資の増加による資本ストックの伸びの高まりなどを背景に、緩やかに上昇していくとみられる4。』(今回4月)
『潜在成長率は、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、設備投資の増加による資本ストックの伸びの高まりなどを背景に、緩やかに上昇していくとみられる3。政府による各種の施策や緩和的な金融環境は、こうした動きを後押しすると考えられる。』(前回1月)
でもってこの次が物価の話になるのですが、とりあえず本日はこの辺で、残りどどーんと明日成敗しまくろうかと思います、天気も明日は悪いみたいだしw
2025/05/03
お題「決定会合レビュー:引き続き展望レポートを拝読の巻」
ということで南関東地方は天気もよろしく絶好の行楽日和となっておりまして、これは消費が捗るわと大変に結構なことではありますが、ワイ将成敗ネタをボチボチ成敗して参りたいと思います。
話は違いますが昨日の日経さんの解説記事、例によって無課金おじさんなので中身はシランガナなのですけれども、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK01CSQ0R00C25A5000000/
植田日銀は「動かぬ鳥」か 米関税で「消えた」賃金と物価の好循環
編集委員 大塚節雄
日銀政策決定会合
2025年5月2日 5:00
こちらの記事ですが、題名を「動かぬ鶏」にすればよかったのに、と思いました、なおガチで中身は見ていないので読む意味があるかどうかは知らんのでよろしゅうに。
〇展望レポート基本的見解の鏡部分:昨日も申し上げましたが「何でデータもないのにここまで弱気化したのか」が・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504a.pdf(今回4月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf(前回1月)
昨日は鏡の経済見通しのところでおもいっきりああだこうだ申し上げましたが、まあ今回の展望レポートに関してはキモはこの鏡の部分かな、ってところだと思うのでうだうだ書いたわけですが、再掲しますと、「アベイラブルなデータがなんも無いのにいきなりフォワードルッキング(と言えば聞こえがいいが)に見通し下げるとかお前ら本当にチキンというかなんというかではあるのですが、それこそ昨年12月の決定会合主な意見で「米国という面では新政権発足を確認していくのが常識的である。」とか言ってた人とか関税政策の動向がこれから確定していく訳で、何の確認もしないでベースラインシナリオを引き下げる、という行動をとることに対してどういう所感があったのか、ぜひ聞いてみたいものでありますな、あっはっは。
とまあそういう話ですが物価のところを若干時間が無いので端折り気味に書いてたな、とちょっと反省しているので再掲しながら物価のメカニズムの部分でのポイントと勝手に思っている部分を再掲しますね。
・物価見通し:基調的物価に対して1月に言ってた話はどうなってるんだよという一貫性の無さに泣いた
鏡の2ポツ目、基調的物価というピンポイントでは数値が出てこない謎の概念についてですけれども、
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回4月)
『消費者物価の基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(前回1月)
元々日銀の説明として「基調的な物価の主な決定要因は「需給ギャップ」と「期待インフレ率」です」って話をしていたのですが、1月の展望レポートでは展望レポート全文の方で詳しく背景説明がありましたが(12月の25年レビューの結果も踏まえて)、労働市場の構造的な変化が進んだ結果として、労働需給の構造的な供給不足要因が寄与するようになって、景気循環による需給ギャップに対する感応度が下がってきている、という話をしていたのですが、今回って成長見通しが確かに下方修正されたとはいえ、2025年度の成長見通しが中央値で+0.5%、すなわち「潜在成長率程度の経済成長は続ける」という見通しになっている(だから経済の見通しでの表現が「成長ペースは鈍化する」となっていて後退になっていない)のでして、いやそれで何でこんなに基調物価を下方修正する必要があるのよ、って感じな訳ですな。ちょっと昨日は時間がなくて端折ってしまったので改めて。
でまあ1月の説明との整合性が無くて今回は成長見通しに普通に反応する基調的物価の図、というのを出しているのですが、だったら何で1月にあんな認識しめしたんでしょうねえ、って感じで、兎に角黒田日銀の最終盤からこの方ずっとそうなのですが、政策アクションに対してそれを正当化する立派な理屈(もしくは屁理屈)を繰り出してくる(例えば1月展望の「需給ギャップ離れ」は追加利上げの際に「需給ギャップがマイナスなのに何で利上げするんだ」と言われる時のカウンターとしての理屈な訳ですよ)から、継続して日銀のロジック展開を見ている方としては「ロジックが全然一貫していないからまたこいつジャガーチェンジしやがった」としか見えない訳でして、それが極北とまでは言わないけれどもドイヒーな状態になると、MPMの前に出てくる日銀のお気持ち表明報道みたいなのに一々右往左往する、という事になるわけでして、折角ここもと経済指標に対して真面目に反応しようとしていた、すなわち本来の意味での市場の価格発見機能がワークしてきそうになっている中で、頼むからロジックをホイホイと翻さないで欲しいと思うのです(そうなるとまた「日銀のお気持ちリーク報道しか勝たん」になってしまうので)。
・まあ経済物価見通しを下振れさせてリスク認識を下振れリスクが大きいとなるとそりゃ円安よ
ということで展望レポート鏡の3ポツ目に進みます。
『・2026 年度までの見通しを前回の見通しと比べると、成長率については、2024
年度は幾分上振れているが、2025 年度と 2026 年度は、各国の通商政策等の影響を受けて、下振れている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025
年度と2026 年度は、原油価格の下落や今後の成長ペース下振れの影響などから、下振れている。』(今回4月)
『・前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度と2025 年度が、米価格の上昇に加え、このところの為替円安等に伴う輸入物価の上振れもあって、上振れている。』(前回1月)
成長率下振れはまあ関税わからんから積極的な企業活動をしにくくなる、という事になるから、まあ下振れになるのはしゃあないのですが、まあ今回は物価見通しも下げてるわけで、ナンジャソラとなりますわな。
でまあ何で下がったのかは前述の通りで、経済見通しが下がったから全自動で物価見通しも下がる、という計算になっていて下がっている、って事なんでしょうが、お前ら多角的レビューと1月展望の話はどこ行ったんだ、というのはさっき申し上げた通りです。
4ポツ目はリスク要因
『・リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はきわめて高く、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。』(今回4月)
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(前回1月)
不確実性が高いのに堂々とベースラインシナリオ変更するとは何ぞこれという話はさておきまして、今回鏡の部分では「為替の変動が」云々が抜けておりまして、ありゃりゃとは思ったものの、本文には残っているのでまあそこは大きく気にしなくても良いのかなとは思いました。
5ポツ目はリスクバランスですが
『・リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2025 年度と 2026 年度は下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについても、2025
年度と 2026 年度は下振れリスクの方が大きい。』(今回4月)
『・リスクバランスをみると、経済の見通しについては概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2024
年度と2025 年度は上振れリスクの方が大きい。』(前回1月)
ということで、経済のリスクバランス下なのはまあ良いとして、物価のリスクバランスがドテンして「下」になったのはさすがにそれは衝撃(または笑劇)でして、FRBの場合はてめえが関税掛けるんだから物価に上振れリスクなのは当然ですけど、関税に関して例えば直近のECBのステートメントでは、物価のリスクに対して「Increasing
global trade disruptions are adding more uncertainty to the outlook for
euro area inflation.」(4/17会合後のマネタリーポリシーステートメント)としていて、「分からん」というだけにとどめている(経済の下振れは物価の下振れ要因になるけど、供給制約が発生すると物価の上振れになる、ってのが関税関連の要因として説明されています、他には財政支出とか天候不順とかが上振れ要因)訳でして、そういう中で日銀が果敢に「物価は下振れリスク」とぶっこむのはそりゃ目立つじゃろ、としか言いようが無いわけですな。
・ただこの物価のリスク評価を見ますと「そもそも政策委員のスタンスが極端な割れ方をしている」と見るべきでして
でもってですね、これは基本的見解最終ページ(10p)の『政策委員の経済・物価見通しとリスク評価
』を見ますとどうなっていますかというと、特に2026年度のところが分かりやすいのですが、
2026年度の物価見通しとリスク要因
コアCPI
1.9%:1名でリスクは上振れ
1.8%:3名でリスク上振れ2名、リスク中立1名
1.7%:2名でリスク下振れ2名(ここが中央値)
1.6%:2名でリスク下振れ2名
1.4%:1名でリスクは下振れ
というのが全員の分布になっていて、お前ら全般的に何でそんなに弱いんじゃと思うのですが、まあそれはさて置きますとしましても、これ上の方の見通しを出している人がリスクは上振れ、下の方の見通しを出している人がリスクは下振れ、となっているんですよね。
ということはですね、これ恐らく何ですけど、物価の数値を上目の方で見ている人と下目の方で見ている人って、根本的に物価のシナリオが違っていて、上と下とに割と極端な割れ方をしているんじゃないかという感じがするのですよね。なんかまあ「置きシナリオ」を置かれているから大人の配慮で数字が収斂しているけれども、実際はもっとこの人たちの見通しって「上下にスプリット」なんじゃないかなと思うのですよ。
でまあこのリスク評価の表現って建付けとして上と下の数が多い方を取る、みたいな仕切りがあるらしいのですが、その結果っ今回は5対3で下振れが勝っているので、出来上がりが「物価の見通しを引き下げ、リスクバランスもドテン下振れ」というインパクトの強いものになっているんですけれども、これ上振れの面々は逆にそこそこの上振れを本来は見ていた可能性があるので、なんか編集の仕切り上仕方ないのですけれども、必要以上にハトハトメッセージの出来上がりになってしまっているようには見えますね。
ということで鏡の読み込みが終わったところで一旦アップします。続きは今日か明日か明後日かは知らんですけれどもボチボチやっていきます。
2025/05/02
お題「ハトハトサプライズキタコレでしたなこりゃまたすんつれいしました(日銀MPMレビュー)」
今回は何も方向性出さんじゃろ、と自信満々に死亡フラグを立てたらきっちりと回収してしまいましたという一級フラグ建築士クオリティに全米が泣いたwwwwwww
でまあ今日も今日とてフラグ回収のせいで時間もアレにつきまあ展望レポート詳細に関しては連休中に(気力があれば明日に)続きをしますが今日は簡単に全般的なワシの愚感想をば。
〇展望レポート全般:3か月様子見するかと思ったのだがここでベースラインシナリオを下げるとは・・・・・
政策変更も無かった(それは順当)ので展望レポートなのですが・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2504a.pdf(今回4月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf(前回1月)
今回の決定会合、5/1ではありますが展望レポートは『経済・物価情勢の展望(2025
年4月)』なので4月という表記で参りますね。
ということでまずは<概要>(いわゆる「鏡」)を見ます。1ポツから順に鑑賞。
・ベースラインシナリオをバチクソ引き下げてきまして・・・・・・・
『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。』(今回4月)
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(前回1月)
もう最初の時点でシナリオがどちゃくそ下方修正されていまして、「海外経済が緩やかな成長を続けるもとで」→「各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し」ってありまして、さらには「わが国企業の収益なども下押しされるもとで」ってのが入っています。
でもって今回は前回と違って二段階方式の見通しになっていて、「目先」バージョンは「成長ペースは鈍化」になっていますな。ちなみに「成長ペースは鈍化」とあるのは出来上がりの成長率見通しの数字の中央値が2025年度で+1.1%→+0.5%なんですけど、潜在成長率がそのくらいということになっているから「成長ペースは鈍化」にしていると思います。
でもって「その後」ですけれども、従来のシナリオにあった「所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから」というのをしらっと引っ込めているんですよね。「その後」は「海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで」戻る、というシナリオになっています。
でまあこの文章が今回どう見ても重要ポイントになるのでさらに確認したいのですが・・・・・・・
・「関税問題はある程度穏当に収まる」という置きにも拘わらず「様子見」ではなく「ベースライン下方修正」とはこれ如何に
2pにある脚注2ですな。
『2 各国の通商政策等の今後の展開やその内外経済・物価に及ぼす影響については、不確実性がきわめて高い状態にある。』
さいですな。
『今回の展望レポートの中心的な見通しは、今後、各国間の交渉がある程度進展するほか、グローバルサプライチェーンが大きく毀損されるような状況は回避されることなどを前提に作成している。』
でまあここが今回バチクソユニークなところでして、普段のこの脚注2は
『2 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また、先行きの政策運営については、先行き政策金利が緩やかに上昇していくという市場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。』(前回1月)
という風になっていまして、今回も脚注3に「各政策委員は、既に決定した政策を前提として」文言はあるので上記の部分(とこの先の部分)は今回特別記載な訳ですよ。
・・・・でですね、この前提って要するに「関税政策はまあゆうて破壊的な結果を招くようなことにはなりませんなあ」という前提を置いている、という事だと思うのですが、それだったら普通はFEDみたいに「今の我々は状況を確認する余裕のある政策ポジションにある」と言いながら「この先何が起きるかはまださっぱり分からないので現時点では予断を持たずに状況の把握に努めていく」と言いながらシナリオの変更をしないでステイ、という選択肢を取るのがまあ普通の対応で、6月なり7月なりの時点で状況をアップデートして必要ならばベースラインシナリオの引き下げをすれば良いじゃん、とまあそのようにアタクシは思っていたので、今回はこれみた瞬間にハトハトサプライズキタコレ!!!!となった訳でございますわよ。
でですね、さっきの脚注の続きですが、
『なお、今後の各国の政策の帰趨や、それを受けた各国の企業・家計の対応次第で、経済・物価の見通しが大きく変化しうる点には注意が必要である。』
ということなのですから、なおさら今回って別にベースラインシナリオ下げる必要が無かったとは思うのですが、わざわざ今回ベースラインシナリオを下げてきた、となりますとそりゃまあハトハトサプライズじゃろ、ということになりますので、為替市場ちゃんの方がさっき見たらドル円145円台まで来ておりまして、折角円安是正したというのに何やってるんだか、という感じであります。
・ここでベースラインシナリオを下げるメリットis何???
ということで今回は経済のベースラインシナリオを(出来上がりの数字はさほどではないけど)定性的にはドチャクソ下げているのですが、不確実なんだからリスク認識だけしておいて様子見しないで下げる理由ってのが結局よくわからなくて、まあ素直に考えれば通商問題を受けて一気にハトハトチキン音頭が復活してハトハトチキン音頭を踊りだすの巻、という話になるので素直に為替とか反応して毎度の円安になっている訳ですが、債券市場ちゃんの方はツイストスティープとかいうこれまた面白ムーブになっていて(ブルスティープならまあ素直なんですが)ナンジャソラという感じではあるのですが、勝手に解釈してみますと・・・・・・
まあアレですよ。この人たち昨年12月には米国の政策ガー来年度の賃金動向ガーって言ってハトハト情報発信としか思えない説明をして、その前の時点では1月遅くても3月には利上げじゃろとかいう感じだった市場の利上げ見通しをいきなり3月も怪しいんじゃないかという風に持って行ったのに、年末年始に突如のジャガーチェンジをぶっこんで1月に利上げしてしかもその後の情報発信も割と利上げ路線が順風満帆っぽい説明が続いていたわけですよ(直近を除くと)。
でもって今回だって直前まではさすがに順風満帆とは言ってないけど、米国政策を受けて一瞬でハトハトチキンになるかと思ったら意外にも(笑)粘っているから、ああこれは今回の展望は「1回パス」で行って6月か7月展望のところで必要ならば修正していくんでしょうなあ(ちょうど90日云々もあるし)とまあ思われたのですがまたまたここでハトハトジャガーチェンジをする、という傍から見たら情緒不安定と言いたくなるプレイをしておるわけですな。
でまあそういうのに何度も振り回されている(だいたいからして昨年7月の利上げだって突如マジックマッシュルームでもキメたのかというタカ転ジャガーチェンジでナンジャソラだった訳ですし)国内債券市場ちゃんとしては、「このジャガーチェンジって要するに6月7月は利上げしない、っていいたいだけなんチャウの」という疑念がぬぐいきれない、というのはあって今までのジャガーチェンジの時よりも初期反応が小さめだったんじゃないのかね、とアタクシ勝手に皆様の心中を想像したんですけどそんな感じですかしらどうっすかねえ・・・・・・・・・・
でまあそれが何より証拠には、さっき引用した脚注2にありますのを再掲しますと
『なお、今後の各国の政策の帰趨や、それを受けた各国の企業・家計の対応次第で、経済・物価の見通しが大きく変化しうる点には注意が必要である。』(再掲)
となっている訳でして、これ何かあっさり味で片付いたらどうなのよとか、そもそも関税でもろ被りする人はもちろんいるのだけど全員が直撃弾くらう話じゃねえだろとか、まあ色々とツッコミどころはある話なので、急に「やっぱり大したことないのが分かったので従来のシナリオに戻しまーす(はあと)」とか言い出して10月展望の辺りでジャガーチェンジするとか普通にやり兼ねない(何なら7月だってやり兼ねないけどさすがにそれやったら総裁記者会見の前に政策委員全員のリアルハラキリショーを横にドクター控えさせて差し上げるのでやっていただかないと落とし前というのが付かないじゃないでしょうかと存じます次第ではございますがwwwwwwww)というのも別に普通にアリエールな訳だし、これまで散々こいつらのジャガーチェンジ芸で煮え湯を飲まされているので、まあそういう意味では債券市場が普通に先物踏み踏みになりつつもどこか微妙なテイストなのもむべなるかな、という感じですな。
・これ関税の影響が思いっきり海外経済の下押しになるという前提になっているのですよね
でですね、さっきの経済見通し再掲しますと、
『先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。』(今回4月)
良く見ますと、「海外経済が減速するから成長ペースは鈍化」するけど「その後は海外経済が成長に戻るから成長率が上がってくる」という説明になっていまして、これ関税の影響が徹頭徹尾海外発ということになっている訳ですな。
この間先般のECBは関税の影響について経済に下押しって言ってるけど大物のFEDちゃんはまだ「経済のリスクは下ですけどそこはまあ分からん」になっていて、まあFEDの場合は物価がどう見ても上振れになるので、というのはあるにしましても、そこまで決め打ちでアカンタレとしている訳でもなくて、じゃあどこが下振れ出しているかというとIMFの見通し(WEO)ですかねえという感じですよね。
でもってあまり詳細に見ていない(すいません、というか忙しくて中々ね〜)のでIMFの見通し云々の話は通り一遍の話しか分かっていないですがIMFの見通しってこれやや下方にバイアス掛けてねえか(トラ公に反省させる意味もあるし)という気がするんですが、まあとにかく日銀は今回の関税政策の影響について「海外の経済が関税政策の影響でクソ減速します」という前提を置いている点は注意が必要で、そこまで減速しないという話になったらこれまたジャガーチェンジが可能になっておりまして、ベースラインシナリオがどちゃくそ下がっているとは言え、あくまでも「海外が下がるからアカンじゃろ」になっているのが一種のエスケープクローズでして、国内の話に直接的になっていない点もジャガーチェンジができる伏線を張っている、というお話な訳ですわ。
・つまり今回の決定会合「書いてあることを素直に読めばハトハトチキン音頭満艦飾だが・・・・」
はい、ハトハトチキン音頭満艦飾になっているけど、色々とジャガーチェンジするための抜け道は用意してあるので、ジャガーチェンジには要注意、ってのがアタクシの私家版結論となっております今のところ。
・・・・しかし結局のところ、だったら従来シナリオを維持しながら「不確実性が非常に高いので今後の進展を慎重に見極めて判断します」で良かったんじゃないの、と思う訳で、こんなのまた利上げしますって話になる時に強引な説明をしてジャガーチェンジをしないと行けなくなるんだから、日銀に何のメリットありますねんという風に思うのですが、まあ辛うじてこれ交渉も始まる前から交渉の失敗を前提にしたような国難国難財政財政減税減税とか喚いている永田町方面の馬鹿集団へのアピールでもしたかったのかね、くらいしか咄嗟に思いつくメリットが無いのですが、まあその結果としてハトハト満艦飾を受けてドル円がまた145円になっててこれ連休中に円安一段と進行したらどう落とし前つけてくるのか物凄く楽しみになってきたので円安ワッショイでオナシャスとは思ってしまう今日この頃ではありますな。
・・・・という訳で何か最初の一文4行分だけで散々マイポエムを書いてしまって申し訳ない、あと鏡の部分で物価ですけれども。
・なんと物価は「経済見通しが下がるから基調的物価も伸び悩む」になっておられますな
そもそもお前ら基調的物価を持ち出して説明しているけど実際の物価上昇率の見通しを展望レポートで下方に外し続けているのは毎度毎度「ワンタイムの特殊要因」で済ませているの何ですねんという感じな訳ですがそれはさておきまして、
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025
年度に2%台前半となったあと、2026 年度は1%台後半、2027 年度は2%程度となると予想される。これまで物価上昇率を押し上げてきた既往の輸入物価上昇やこのところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。』(今回4月)
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台後半、2025 年度に2%台半ばとなったあと、2026 年度は概ね2%程度となると予想される。既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、(中間部分割愛)なお、2025
年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、米価格が高水準で推移すると見込まれることや政府による施策の反動が生じることが押し上げ方向で作用すると考えられる。』(前回1月)
比較のために読点のところで切って後ろの部分にワープしまいましたが、既往の輸入物価上昇とか米の上昇の影響は減衰する、とのお告げで、1月に見ていた話はしらっと抜けるという素早い対応ですけれども、米価って普通に端境期に向けて上がっているし、早場米の作付が順調ではないというニュースも一部の現象かもしれませんが流れていた気がするんですが、そういうのはリスク要因には入っているようですが(明日以降に本編のネタをやります)さっきの通商と違ってメインシナリオには入れないんですねえ(棒読み)という所ですが、
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回4月)
『消費者物価の基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(前回1月)
となっていまして、えーっと確か前回の展望レポートの時は思いっきり「労働需給ギャップ」をキーにした形で物価への影響を説明していくながれになっていて、単純に経済の成長がちょっと弱まったくらいでは物価がいきなりコケるわけではないって説明をしていた筈なのですが、今回は思いっきり「経済の見通し変化による一時的な成長鈍化(しかもマイナス成長とかじゃなくて潜在成長率並程度に落ちるだけ)が基調的な物価に影響を与えます」って説明になっていまして、お前ら前回の説明はどこに行ったんだという話なのですが、こうやって説明の理屈をホイホイと変えるから困るんですよね。しかも前回との整合性を無視すればこの説明はこの説明で完結した理屈になっているのがだいぶタチが悪いwwwww
まあそんな悪態は兎も角として、すくなくとも「目先」に関して経済の見通し下げて基調物価の見通しも下げているんですからそらまあハトハトになるじゃろということですわな。
でもって「見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。」の文言を維持するのは皆様ご案内の通りで、物価目標達成時期の見通しが後ずれしていることに他ならない(見通し期間が1年延びているから)訳で、そりゃまあ素直に読めばハトハト満艦飾になりますわな、というお話ではあります。
とまあそんなところで鏡の1ポツと2ポツだけでアタクシめの時間が無くなってしまいましたので今朝はここで勘弁してもろていただいて、気力体力残っていたら明日(すくなくとも連休前半)には記者会見とか展望全文とか含めて成敗の儀を行いたいと存じます(そうしないと連休明けはFOMCからスタートになりますからね)。なにとぞご勘弁(平伏)
2025/05/01
お題「今日は「余計なことは何もなし」でオナシャス/末初GC界隈ェ・・・・/ECBなどがfragmentationへの対応についてのコンファランスやっとりますね」
聞け万国の労働者♪とどろきわたる〜めーでーの♪
〇ということで決定会合ですがまあ今回は「なんも余計なことはしない」でしょうね
お、日経がなんも書いてないな
https://www.nikkei.com/
(日経新聞トップページ)
んな訳で決定会合なのですが、今回って展望レポ―トの見通し期間が1年度長くなるので、物価目標達成時期の表現をどうするのか、ってのはまあ一般的にはちょいと注目されるところでして、従来通りの『見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』の表現をそのまま使いますと、自動的に物価安定目標達成の時期が後ずれする、ということになりますわな。
でまあここの表現をどうするのかというのが作文的には悩ましいところでして、表現同じなら物価安定目標達成の時期が後ずれするから「後ずれした」という話になって金融緩和の修正が先送りになる、という見方になるでしょうねえと思うので、まあこの作文は一番注目されるんじゃないでしょうかね。
ちなみに2027年度の見通し数値も注目されるのかもしれませんが、こんなの今の時点だとどこからどう考えても「成長率は潜在成長率(と日銀が考えている)近辺」「物価は2%近辺」に落ち着くとしか思えませんので(つまり目標を達成して特に外的ショックが無い状況で長期均衡水準に収れんします、って意味あい)まあそこは特に、って感じですし、2025年度の成長率見通しは下げるんでしょうけれども、そこが下がったとて2026がたいして変わらず、2027が長期均衡水準って見通しを出すなら特にそこによる深い政策的な意味はない、ということになりますわな。
まあ今回はここまでの植田総裁の珍しくもガードが固くてハトハトチキン音頭を踊りださないという状況を鑑みるに、日銀大本営としては「極力新しい色を出さないようにして従来路線の踏襲を行う」というの徹すると思うので、まあハトハトチキン音頭を期待している向きからしたら失望するかもしれませんけど、市場だって別に今回ハト転するの期待してないでしょと思うので(知らんけど)特にそれがあったからどうのこうのってのも無いでしょうな、とか死亡フラグを建築しておきます。
それより寧ろ問題というかなんというかなのは、アクチュアルの物価が従来から日銀の見通しの「2%に落ち着く」ってのが全然見えないことに関して「基調的な物価は2%に達していない」という弁明をどこまで通すのか、って話ですが、まあ日銀記者クラブの面々もクソ甘いから「そもそもお前らの言ってる基調的物価って何なんだよちゃんと国民にわかるように説明しろや」とツッコむ向きもあんまりいなさそうで、この「基調的物価」のレトリック大概にせえというのがあるのと、さらには中立金利に関するレトリックをそろそろちゃんと整理しておけと思う訳ですが、まあこの辺りちゃんと整理する気はアリやナシや、というのを今日は見たい(のだが会見でそういうツッコミは飛ばないかなあ〜)ところではありまする。
とまあ好き勝手雑感を述べましたが、「余計なことをしない」で行くのか行かんのかはまあ知らんけど、今回は日銀が先頭に立って波風立てることはしない方が良いと思いますし、ここまでの植田さんの説明が変なハトハトチキン音頭とか下手糞な両論併記とかしなくなっているのでまあそういう「本当の無風」を予想しておきます。
〇末初レートェ・・・・・・・・・・・・(GC界隈)
東京レポレートちゃん
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/4/25 0.494 0.483 0.459 0.457 0.455 0.453 0.466 0.490 0.577
2025/4/28 0.459 0.446 0.453 0.453 0.453 0.452 0.465 0.490 0.578
2025/4/30 0.272 0.408 0.429 0.432 0.446 0.451 0.464 0.490 0.577
おぉ・・・・・・・・・・・
とまあそういうことで4/30の当日スタート翌日物のGCちゃんのリファレンスレートが0.272%とかいうエゲツナイ低下をしておりまして、5/1-5/2のトモネGCも低下(1w2wも低下)するとかいう結果になっておりまして、謎に月末月初のところ、なのか大型連休の合間モードのせいなのかが謎ですけれども、四半期末でもないのにGCレート界隈の金利がクッソ低下しておられましてわけわからんという所ではありまする。
まあこれが短国全般に波及しているかというと、月曜もそうでしたけれども、昨日に関しても3M以内の短国に関して特にレートが全般低下したという訳でもなく(寧ろ期近銘柄の引けは甘くされていました、一々引用しませんけど)東京レポレート見ても1M以降の金利が特に動いた訳でもないので、まあ一時的現象ではあると思う(というか思いたいwww)のですが、なんか気味悪い現象が発生しやがったなという所なのでメモメモという感じです。
なお、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp250430.htm
無担保コールO/N物レート(4月30日<水>速報)
『平均 0.476%』
といういつもの0.47%台後半張り付き状態でファンディング市場全体の話ではない(そもそも無担コールがファンディングじゃなくてただの日銀当座預金裁定の場じゃないかという話はさておく)ようですし、あくまでもGC界隈での現象、ということなのですが、GCに関しては再三再四申し上げておりますように、市場の規模はばかでかいのですが参加者層が特定参加者限定感が強いので、特定の方のお家の事情によってイミフムーブが発生することもあり良くわからんところではあります、知らんけど。
〇ECBのトップページのお勧め新着(?)にあったスピーチのお題が遠大っぽかったのでご紹介でも
まあ決定会合待ち(ゆうて無風なので待っても意味無し芳一説は大有りだが)なのでちょっとこんなんでも、という企画です。
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2025/html/ecb.sp250429~5c32473955.en.html
SPEECH
Navigating a fractured horizon: risks and policy options in a fragmenting world
Frankfurt am Main, 29 April 2025
Speech by Piero Cipollone, Member of the Executive Board of the ECB, at
the conference on “Policy challenges in a fragmenting world: Global trade,
exchange rates, and capital flow” organised by the Bank for International
Settlements, the Bank of England, the ECB and the International Monetary
Fund
BISとCOEとECBとIMFの共催で「“Policy challenges in a fragmenting world:
Global trade, exchange rates, and capital flow” 」というのがあったそうで、IMFの方でこのコンファレンスのページがあったので見ますと、こちらの講演がウェルカムリマークということで最初の基調講演みたいな感じになっているようですな。
(URLがクソ長いのでリンクは途中のところまでで当該サイトに直リンするようにしました)
https://www.imf.org/en/News/Seminars/Conferences/2025/04/29/policy-challenges-fragmenting-world-global-trade-exchange-rates-capital-flows
Policy Challenges in a Fragmenting World: Global Trade, Exchange Rates, and Capital Flows
Joint BIS, BoE, ECB, and IMF Spillover Conference
Frankfurt, Germany
April 29-30, 2025
『As the world economy faces unprecedented shifts, the dynamics of global
trade, exchange rates and capital flows are evolving in ways that challenge
established economic theory and policy frameworks. Rising geopolitical
tensions, economic fragmentation and changing approaches to trade policy
and financial regulation are reshaping global integration, capital mobility,
and currency stability.』
『This conference brings together recent research in international economics
and finance, offering insights that can inform policy design and support
effective interventions.』(以上の部分直上URL先IMFページより)
ということで講演の方ですけど、講演のマクラの部分で、チポローネ理事(と読むのか?)は、
『I’m honoured to welcome you to this conference, jointly organised by
the Bank for International Settlements(BIS), the Bank of England, the European
Central Bank (ECB) and the International Monetary Fund (IMF).』
『Today, we come together to discuss the urgent challenges posed by global
fragmentation - a growing risk to our interconnected world. Earlier this
month, the President of the United States announced tariff hikes, sending
shockwaves through the global economy - a stark reminder that the fractures
we face are no longer hypothetical, but real.』(最初のURL先のチポローネ理事の講演から引用、以下同様)
ということで思いっきり昨今の情勢を受けてどないでっしゃろというのを欧州英国連合で集まっております、みたいな図になっておられますな、うんうん。
でもってもちろん本来でしたらこの講演をじっくりお料理するというところではあるのですが、何せ日銀会合もありますし月末GCは変なことになっていますしなのでこのコンファランス自体面白そうな気がだいぶするのですけれども大型連休中に成敗する暇があれば成敗する感じですか(その前に日銀の展望レポートの成敗が先ですけど)。
一応講演の全体像ですが、マクラのケツのところに、
『Today I will focus on three key points.』
ってなことで、
『First, we are seeing increasing signs of fragmentation becoming visible across the economy and financial system.』
世界経済のfragmentationが進んできているんじゃなかろうかという点について
『Second, the implications of this accelerating fragmentation could extend
far beyond the immediate disruptions, with consequences for growth, stability
and prosperity.』
fragmentationが世界経済の目先の混乱のみならず、中長期的に成長、安定、繁栄を損なう点について
『Third, in this evolving economic landscape, central banks must adapt
their approaches yet retain a steadfast focus on their core mandates, while
striving to preserve international cooperation.』
このような経済変化の状況の中において、中央銀行は我々に課されたマンデートに対するしっかりとしたフォーカスを維持し、国際的な協力も確保していくように努めることが大事だということ
というのがありまして、でまあ今日はインスタント読みなので肝心の本論をかっ飛ばして最終部分にワープしておきますが(おい)、
『The central bank's role in a fragmented world』って小見出しが最後の方にあって、
『So, as these tectonic shifts reshape the global economic landscape, central
banks must adapt their approaches while remaining steadfast in their core
mandates. The challenges posed by fragmentation require a delicate balance
between confronting new realities and working to preserve the benefits
of an integrated global economy. In order to navigate the present age of
fragmentation, it is necessary to take action in four key areas.』
中央銀行は今の大きな変化(になりうる)問題に対して、新たな現実に対応していく必要があります、ということで、「
In order to navigate the present age of fragmentation, it is necessary
to take action in four key areas」ってなことで4点言ってましてですね。
『First, central banks must focus on understanding and monitoring fragmentation.』
fragmentationのモニタリングと理解が必要ですと。
『Traditional macroeconomic models often assume seamless global integration
and may not fully capture the dynamics of a fragmenting world. Enhanced
analytical frameworks that incorporate geopolitical factors and how businesses
adjust to these risks will be essential for accurate forecasting and effective
policy formulation. The Eurosystem is reflecting on these issues.』
伝統的な経済学のモデルではfragmentationをカバーできていないので対応しないといけませんねもちろんECBも努力していますよ、ときまして
『Second, monetary policy must adapt to the new nature of supply shocks generated by fragmentation.』
金融政策はfragmentationによる供給ショックの新たな本質に対応しないといけません、とは何ぞやということですが、
『The effects of the greater frequency, size and more persistent nature
of fragmentation-induced shocks and their incidence on prices require a
careful calibration of our monetary responses. In this respect, our communication
needs to acknowledge the uncertainty and trade-offs we face while giving
a clear sense of how we will react depending on the incoming data. This
can be done by making use of scenario analysis and providing clarity about
our reaction function, as emphasised recently by President Lagarde.[30]』
fragmentationによって発生する供給ショックが物価に及ぼす影響について、それが持続的なのかとかその規模とかそういう面について十分な考察が必要です、というお話で、ラガルドもこの前そんな話をしていたとのことですが、物件はこちらのようですね。
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2025/html/ecb.sp250312~915537d675.en.html
SPEECH
A robust strategy for a new era
Speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at 25th "ECB and
Its Watchers" conference organised by the Institute for Monetary and
Financial Stability at Goethe University in Frankfurt, Germany.Frankfurt
am Main, 12 March 2025
まあこちらは全然読んでませんのでパスですがw
それは兎も角、まあこういう話をECBがしているというのに、日本では(緩和修正を早めたくないからなのは詭弁を使っているのはわかるけど)相変わらず「コストプッシュは一時的なので」で済ませているのは如何な物かなって思ってしまいますよね〜。
『Third, instead of building walls, we must forge unity.』
壁ができる代わりに我々がユニティーを作らないといけません、ということで、
『Even as political winds shift, central banks should strengthen international
cooperation where possible. Through forums such as those provided by the
BIS and the Financial Stability Board, we can keep open channels of cooperation
that transcend borders. Our work on cross-border payments stands as proof
of this commitment in line with the G20 Roadmap[31]. 』
『The ECB is pioneering a cross-currency settlement service through TARGET
Instant Payment Settlement (TIPS) - initially linking the euro, the Swedish
krona and the Danish krone. We are exploring connections between TIPS and
other fast-payment systems globally, both bilaterally and on the basis
of a multilateral network such as the BIS’ Project Nexus.[32]』
ここではクロスボーダー決済のシステム構築を例に挙げていますね。
『And fourth, central banks must enhance their capacity to address financial
stability risks arising from fragmentation.』
fragmentationによって生じる金融安定リスクへの対応の余地を強化しないといけません、だそうで、
『The potential for sudden stops in capital flows, payment disruptions
and volatility in currency markets requires robust contingency planning
and crisis management frameworks. Global financial interlinkages and spillovers
highlight the importance of preserving and further reinforcing the global
financial safety net so that we can swiftly and effectively address financial
stress, which is more likely to emerge in a fragmenting world.[33]』
『In fact, the lesson from the 1930s is that international coordination
is key to avoiding protectionist snowball effects, where tit-for-tat trade
barriers multiply as each country seeks to direct spending to merchandise
produced at home rather than abroad.[34] 』
『In order to avoid this, the G20 countries committed to preserving open
trade could call an international trade conference to avoid beggar-thy-neighbour
policies[35] and instead agree on other measures, such as macroeconomic
policies that can support the global economy in this period of uncertainty
and contribute to reduce global imbalances.』
1930年代の保護主義の雪だるま式な拡大(からの世界大戦、ということでしょうね)からの教訓は、国際強調が重要であるし、近隣窮乏化政策(beggar-thy-neighbour
policies)を回避するような国際強調の仕組みが大事ですよ、とのことですがトラ公どこからどう見ても逆をやるとしか思えない・・・・
ということでこのコーナーの最後が
『Let me finally emphasise that the current situation also has important
implications for the euro area. If the EU upholds its status as a reliable
partner that defends trade openness, investor protection, the rule of law
and central bank independence, the euro has the potential to play the role
of a global public good. This requires a deep, trusted market for internationally
accepted euro debt securities. That is why policy efforts to integrate
and deepen European capital markets must go hand in hand with efforts to
issue European safe assets.[36]』
EUのような枠組みは国際協調のために大事です、とかいうことで、EU圏の資本市場がの統合と信頼の確保が大事ですよ、みたいな話をしております。
ということでヒマネタといえばヒマネタなのですが、まあなるほどね〜と思いながら眺めておりましたのでご紹介させていただいた次第です。