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2025/04/24

お題「リスクオフ緩和ムーブのメモメモ/ロイターも日銀地蔵観測記事/FSRである」

https://www.chunichi.co.jp/article/1056688
【独自】山尾志桜里氏が国民民主党から出馬意向固める 今夏の参議院選挙比例代表、近く会見へ
2025年4月22日 16時33分 (4月22日 19時34分更新)

https://mainichi.jp/articles/20250423/k00/00m/010/286000c
国民、元格闘家の須藤元気氏擁立へ 医師の薬師寺道代氏も 参院比例
スクープ
政治 速報 国政選挙
毎日新聞
2025/4/23 19:13(最終更新 4/23 19:13)302文字

・・・・・・感想は差し控えておきますかw

〇コロコロと話が変わって一応今はリスクオフ緩和ですけど・・・・・・・・

・ベッセントさん今日も中国との交渉に言及&出し遅れですが昨日のトランプ発言のメモを備忘で

昨日に続きましてベッセントさん中国との交渉に対する前向き姿勢をしめしておられたようで
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/BGTIBGVYJ5NSHKWSUCQISAPQBQ-2025-04-23/
米中関税の相互的な引き下げ必要、進展に緊張緩和不可欠=米財務長官
ロイター編集
2025年4月24日午前 3:28 GMT+9

『[ワシントン 23日 ロイター] - ベッセント米財務長官は23日、中国との貿易を巡る交渉を進展させるには緊張緩和が必要とし、米中が互いに表明している関税率を現在の過度に高い水準から引き下げる必要があるとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ということでベッセントさんなのでまあまともな説明な訳で、

『ベッセント長官は国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合に出席した際に記者団に対し、世界の二大経済大国が貿易関係を再調整するためには緊張緩和が必要との考えを示した。このことは米国の対中関税率145%、中国の対米関税率125%の引き下げを意味するのかとの質問に対して、「そうあるべきだと考える」とし、「米国も中国もこれが持続可能な水準とは考えていない。禁輸措置に相当する水準だ。両国間の貿易の断絶は誰の利益にもならない」と述べた。』

ということでイイハナシダナーではあるものの、結局は

『この日は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がホワイトハウス当局者の情報として、トランプ政権は中国との緊張緩和を目指し、中国製品に対する関税を50─65%程度に引き下げることを検討していると報じた。』

結局何ですかその高率関税という話ではあるんですよね・・・・・・・・・・


でまあ昨日はトランプ師匠のめだか師匠ムーブがまた出ていてリスクオフの巻き戻しムードさらに広がるの巻でしたが、

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZIAIPRNVCFOIJBL7OPJGSESU7I-2025-04-22/
FRB議長「解任しない」とトランプ氏、利下げなお要求 市場好感
Nandita Bose
2025年4月23日午前 10:06 GMT+9

『[ワシントン 22日 ロイター] - トランプ米大統領は22日、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を解任する意向はないと述べる一方、FRBは金利を引き下げるべきだと改めて主張した。』(上記URL先より、以下同様)

またも市場の動きにビビって90日延長に次いで解任の撤回、ということになった訳ですが、そもそも初手で言っていることが言いがかりの極みで愚連隊でもそこまで言わんじゃろという事を言っている訳ですし、

『先週以来、利下げに応じないパウエル氏への批判を強めていたが、解任の可能性を巡る主張をトーンダウンさせた。ホワイトハウスで記者団に「(パウエル議長を)解任するつもりはない」と明言。その上で「金利を引き下げるという考えについて、もう少し積極的になってほしい」と要望。「われわれは利下げを行うには絶好のタイミングだと考えており、議長には遅れることなく、早めか適切な時期に行ってもらいたい」と語った。』

ということで結局利下げの圧力かけまくっているので、こりゃまあ次回のFOMCで何もねえよバーカバーカってなったらまたトラ公が暴れ散らかすに100万ジンバブエドルとしか申し上げようがないのですが、このキチガイジジイが次に何を標的にして暴れだすんでしょうかねえって感じで中々安心できないのは安心できない次第でございますが、とりあえず金融市場がトランプ成敗の方向で動くと池乃めだか師匠ムーブを起こすというのは2回連続の発生でこりゃもう明らかになったと言えますので、引き続き市場による警告機能というのがワークする事が大事なことだ、とまあそのように今回は思いました。


・イールドカーブの大逆襲クソワロタ(こちらは円債の方のメモ)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/P7OERDRQFVI7NBRTR2B2NPQKXU-2025-04-23/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、リスクオフ緩和で売り圧力 長期金利1.325%
ロイター編集
2025年4月23日午後 3:22 GMT+9

『東京 23日 ロイター] - <15:12> 国債先物は続落、リスクオフ緩和で売り圧力 長期金利1.325% 

国債先物中心限月6月限は、前営業日比22銭安の140円48銭と続落して取引を終えた。米関税を巡る過度な警戒感が後退し、国債先物は売りが優勢となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の1.325%。一方、現物市場の超長期ゾーンは金利低下が目立った。』(上記URL先より、以下同様)

ということでまあ先物は下がったし10年金利も上がっているのですが、なにせ茲許は超長期の大逆襲が来ているので、むしろ気分的には「金利低下してますなあ」位の感じではなかろうかって気がしますけどアタクシだけの愚感想だったらすいません。

『国債先物は朝方から売りが先行。前日の夜間取引で先物が下落した流れに追随して始まった。ベッセント米財務長官が米中貿易摩擦は緩和されるという見通しを示したことが好感され、日経平均株価が一時3万5000円台に上昇したほか、ドル/円も一時143円台に上昇するなどリスクオフの流れが後退し、円債の売り圧力が強まった。トランプ米大統領が22日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を解任する意向はないと述べたことから、「行き過ぎたリスク回避の動きがいったん収まった印象だ」(りそなホールディングスのエコノミスト、佐藤芳郎氏)との指摘もあった。ただ、「米関税を巡る不透明感は引き続き残っている」(同)とみる。』

まあそうじゃろねというお話ですが、なんせイールドカーブちゃんの方は

『    OFFER  BID   前日比 
2年   0.678  0.686   0.022  15:03
5年   0.891  0.898   0.023  15:06
10年  1.319  1.325   0.016  15:00
20年  2.193  2.202  -0.047  15:09
30年  2.676  2.688  -0.05   15:06
40年  3.05   3.058  -0.075  15:08』

とかいうことになっていますが、月曜はネタにしました通りでトラ公大暴れの米国トリプル安からのリスクオフの中でイールドカーブがまたまたスティープニングする、という悪い雰囲気でしたが、火曜の超長期流動性供給入札が強くて、ただの入札前コンセッションでしたかそうですか、ということで戻っているのと、リスクオフの緩和でスティープニングの巻き戻し、というのが重なっているんだとは思いますが、まあ今月は兎に角動きが激しいでございますわ。しかも何でこうなっているのか後付けでだいたいリスクオンリスクオフで説明点かないことは無い(あと日本の場合は減税減税財政拡大音頭が少しだけ冷静になったのも効いていると思いますけど)のだが、そもそも論として日中の値動きなどを始めとして本当は何で動いておられますのん、というのがまるでワカランチ会長な相場で無駄に疲弊する相場ではあります。


〇ロイターも決定会合前の関係者ソース記事出しましたけどまあ特になんも無いですねえ・・・・・

昨日はこんなのが出てて、ヘッドライン的には英語の方が先に出てた気もしますが、
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/WBXIIZ7YARPBVFEWF7FL6BYI7A-2025-04-23/
日銀、金融政策は維持の公算 利上げスタンスも継続へ=関係筋
和田崇彦
2025年4月23日午後 6:04 GMT+9

まあ特にこれで世の中が反応していたわけでもないですが、記事の方も決定会合前だから時候のご挨拶とばかりに出したような感じでして(^^)、

『[東京 23日 ロイター] - 日銀は30日と5月1日に開く金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決める公算が大きい。米国の高関税政策を受け、展望リポートで示す実質国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)の見通しを引き下げる可能性があるものの、基調的な物価上昇率の方向性や経済・物価見通しの実現度に応じて段階的に利上げする政策スタンスは維持する見通し。複数の関係筋が明らかにした。ただ、米関税政策を巡る不確実性は高く、決定会合までに得られる情報を分析し、情勢を見極めて最終判断する。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、

『前回の決定会合以降、米国の関税政策をめぐる不透明感が高まっており、経済・物価見通しへの影響は避けられない情勢となっている。ただ、日銀は現時点では、米関税が成長率の下押し要因になったとしても、基調的な物価が2%を目指していく方向性そのものは変わっていないとみている。厳しい人手不足による賃上げのモメンタムは失われておらず、人件費の価格転嫁も続くとの見方が出ている。企業収益は歴史的高水準にあり、関税のダメージを吸収可能との声もある。』

とまあ威勢の良い話をしている感はありますが、そもそも論として関税の影響は足元には出るの間違いないとしても、その先の中長期の話になるとどうなのかって話はまた別物(そもそもアメリカ人だって関税政策で痛い目に遭えば今の政策を全部キャンセルする流れになるでしょ)なので、そういう意味では「足もとの話に関しては影響あるけど中長期的な方向性に対してどうこうというのはまだまだ判断できない」としか言いようが無いので、それこそ経済見通しだって手前は下げても先々はそんなに下げんじゃろと思いますけれどもどうでしょうかね。

でもってこの記事の味わいのある点としましてこの次に、

『こうした基本シナリオを前提に、日銀は、経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく方針も維持するとみられる。実質金利は十分低い水準にあるとみているほか、方針を変更することで、市場の利上げ期待が完全に消滅してしまえば、経済が回復した際に再び利上げ期待を高めることが非常に難しくなるとの声もある。』

ということで、いやまあ経済がガチのガチでグレートリセッションとかになるなら日銀が何を言おうとも利上げ期待は完全に消滅してしまうんですけど、そうじゃない状況において市場の利上げ期待が出たり引っ込んだりしているのは、昨年の8月から今年の1月に見られましたように、日銀が「決め打ちコミュニケーション」をするのが悪いのでして、日銀は「経済物価情勢と先行き見通しを踏まえて、見通しを含む経済状況に対して適切と思われる金融政策を行いますが何か」と言って、経済物価情勢と先行き見通しの説明をして、あとは市場がせっせと解釈する、という方向に持っていけばいいものを、一々クソ細かくああでもないこうでもないと手取り足取り親切丁寧に説明しようとするから、市場が毎度毎度過剰に反応するし、親切丁寧に慣れ切ってしまうと市場も先出し決め打ちクレクレと言い出しますし、日銀取材のメディアだって決め打ちクレクレになってしまうので、植田日銀3年目に入ってもうすぐ折り返し点ですからちょっとこのクソコミュニケーション改善しろやという感じですね。

あと、昨日リスクオフの緩和モードになっただけでちゃっかりドル円ちゃんってドル高に振れていた訳でございまして、日銀がうっかり利上げ観測を自らの手で消してしまいますと、またあっという間に円安に振れるじゃろ、というのが昨日の相場で見えた感がありますので、日銀としても為替がこの水準なら為替初の物価無駄上昇圧力が緩和されて(゚д゚)ウマー以外の何物でもないのですから、利上げのポーズだけはしておいて実際は検討しまっせ状態で引っ張るのが適切な作戦に見える(なお個人的にはそもそもこの政策金利はクソ低いので利上げを引っ張るのは如何なものかと思うけどまあ発射台がここですからと考えるとシャーナシな面はある)ので、今回の展望レポートは極力「新たな展開を示さない」という風に持っていくのが吉だとは思いました。

逆に何かその辺りで新機軸が出たら結構ビビる予定になっておりますので(^^)、そっちの意味で
展望レポートには注目しております。



〇金融システムレポートキタコレ

ご紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr250423.htm

100枚組全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr250423a.pdf

概要、という名前の紙芝居形式要旨
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr250423b.pdf

でもって毎度毎度なのですが、機構局方面というより金融システム調査課方面なのかもしれませんが、エディターで使っているのがUnicode形式じゃないと保存できない物件を使っているっぽいので、全文の方の本文冒頭部分をワシの環境(MS標準テキストですがアップローダーがクソ古いのを使っている関係で文字コードはANSIという昔ながらのジジイムーブ)でコピペしようとすると、

『?本銀?の?融システムレポートは次の 2 点を?的としている。?つは、?融システムの安定性を評価すること、もう?つは、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることである。

本レポートでは、?融システムの脆弱性について、マクロプルーデンスの視点から分析を?っている。マクロプルーデンスとは、?融システム全体の安定を確保するため、実体経済と?融資本市場、?融機関?動などの相互連関に留意しながら、?融システム全体のリスクを分析・評価し、それに基づいて制度設計・政策対応を図るという考え?である。 』(全文の冒頭を引用していますが文字コード問題による文字化け修正をしないとこうなるwwwwwww)

という悲しいことになってしまうのでこれをネタにしたいときは週末の手作業が必要という原始人。

・・・・・とお断りをしておいて、HTMLで書かれているご紹介ページの方から引用しますと、


・「普通の経済」への移行過程におけるフリクションについてみていくってことですかね

『2025年4月号の問題意識』ってところですが、

『金融機関は、日本銀行による政策金利引き上げや市場参加者の金利見通しの変化を映じた市場金利の変化を踏まえながら、貸出金利や預金金利を設定している。』

という書き出しも中々ユニークなのですが、このユニークな書き出しは以下の部分のマクラになっておりまして、

『今回のレポートでは、こうした金利環境の変化が金融機関や家計・企業に与える影響について、アップデートする。』

金利の無かった世界から金利のある世界(いやまあ企業金融的にはマイナス金利時代とて金利はあったというのはありますけど)への移行が進む中でその影響や如何に、という話ですが、それに加えまして、

『また、わが国経済が緩やかに回復するなかでも、収益の改善ペースが鈍い企業を中心に、デフォルト率が感染症拡大前よりも高い状態がみられており、その動向を点検する。』

こちらではオブラートに包んで砂糖をまぶして上にクリームと苺を乗っけた表現をしていますけど、「物価が上がって金利がプラスになる普通の世界」においては、収益力の低いことしかできない皆様はご退場頂かないといけない世界になる、ってのはオブラートに包みながらもそれこそ空手形になった「2%への招待状」の頃からずーっと日銀は言っていますし、逆にそうじゃないと経済全体の生産性上がらんし基礎的な成長率だって上がらんじゃろという話なので、これは来るべきものが来ていますって状況にちゃんと金融機関が対応できていますかね、ってお話でもありますので、まあ表面上どういう結論で見せるのか、という話はあるのですが、これは日銀のプルーデンス部門としては「金融機関だって何でもかんでも貸出OKOKみたいなガバガバスタンスだとこれからは厳しくなるよ」ってメッセージをだしているんだと思いましたがどうでしょうか。

『このほか、金融機関の不動産関連向け融資が増加を続けるなか、不動産価格の上昇の背景に関する分析を行う。』

ここは利上げのフリクション云々とはちょっと違ってマクロプルーデンスの方の話ですね。


・海外ファンド経由の市場変動逆輸入に関して

『国際金融市場では、各国の通商政策をはじめとする経済政策運営を巡る不確実性が高まっている。』

まあこれはご挨拶。

『また、近年、内外金融市場でプレゼンスを拡大している投資ファンドなどの海外ノンバンク部門によるポートフォリオ調整が、わが国の資産価格変動の振幅拡大に寄与しやすくなっている可能性が指摘されている。』

ほほう。

『今回レポートでは、海外ノンバンク部門による金融活動の特性の分析を含め、グローバル要因に由来するストレスやその波及について、わが国金融システム安定上の含意を整理・点検する。』

本件以前似たような話があった時の主な着目点は、ファンドなどによってグローバルな投資が拡大していて、それが連関性をもって動く傾向があり、何らかの動きの際に一緒くたに動くことによって国内の金融機関による海外ファンド投資の価格変動が連関をもって発生して、金融機関の資本面に対して想定以上のリスクになる可能性がありまっせ、みたいな話はあったと思うのですが、今回は国内「市場」への波及となっているのかなって感じです(物凄く斜めよみしかしていませんすいません)


ということで海外の何とかは市場ダイナミズム的にオモロイとは存じますが、アタクシ的には前半の「金利のある普通の経済に戻ったんだから金融機関は大金融緩和時代とは違ったアプローチが必要じゃないの」と言っている(かどうかは知らんがワシはそう言っているものだと思ったので)というのが今回のポイントになっているのかなとは思いました。


・安定性評価で安定していないとは言わないのが仕様ではありますが・・・・・・・

でもってその続きですが、『わが国金融システムの安定性評価(要旨)』ですな。

『わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。』

これはヤバイとはいわないのでシャーナシ。

『貸出市場では、企業の資金需要が増加を続けるなか、金融機関が積極的な融資姿勢を維持するもとで金融仲介活動が円滑に行われている。こうしたもとで、現在の金融活動に大きな不均衡はみられていない。』

見られているとはよほどのことがない限り言わないし言ったら金融引き締めが必要になるのでシャーナシ。

『わが国の金融機関は、内外の金融市場や実体経済に大幅な調整が生じるリーマンショック型のストレスや、地政学的リスクの顕在化などに伴ってグローバルな物価上昇や海外金利が一段と上昇するストレス等に対して耐え得る、充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有している。』

まあこれもそうですね。

『もっとも、4月入り後には、内外の金融市場が大きく変動するなど、各国の通商政策をはじめとする経済政策運営や地政学的リスク、国際金融市場の動向を巡る不確実性が高まっている。金融機関は、様々な形のリスクが顕在化しうることに注意していく必要がある。』

ということなので全体は問題なしとしていますがまあ問題意識はあるわな。

『より長期的な視点からみると、人口減少などを背景に企業の借入需要が構造的に減少する状況が続いた場合、貸出市場の需給バランスによっては、金融機関の収益力や損失吸収力が低下し、金融仲介活動の停滞や、過度な利回り追求など金融仲介活動の過熱につながる可能性もある。わが国金融システムの安定性を将来にわたって確保していく観点からは、こうした金融システムの停滞・過熱両方向のリスクを点検しつつ、先行きの動向を注視していく必要がある(図表I-1)。』

ということでヒートマップになりますが、今日は時間の都合もあるので、さっきのポイントになっていた部分を引用しますとして、


・結論が微妙ですが倒産・デフォルト動向

『倒産・デフォルト動向』ってのがあって、

『緩やかな景気回復が続くなかで、企業収益は全体としては改善している(図表I-4左図)。もっとも、大企業に比べると、中小企業の収益の改善ペースは緩やかである。また、その売上高営業利益率の分布をみると、全体としては回復しつつあるもとで、感染症拡大以降下方に拡大した分布のばらつきは、依然として感染症拡大前には戻っていない。こうしたもとで、金融機関における経営改善支援の取り組みの重要性は一層増している。』

経営改善支援っていうかそれこそM&Aというか事業継承支援とかそういう話であって、経営改善支援って言葉は美しいけどそもそも融資先のやってる事業を金融機関の人間ができる訳でもないんだから、経営改善支援って言葉なんだかなあとは思います、まあそれは兎も角としまして、

『企業倒産・デフォルトをみると、このところ増勢は鈍化している(図表I-4中図)。中小企業・零細企業のうち、デフォルトした企業の特性をみると、債務超過でかつ営業赤字の企業や、営業赤字の企業で大宗を占めるが、こうした財務面で脆弱性を抱える企業の割合はこのところ低下しており、感染症拡大前の水準に近付いている(図表I-4右図)。もっとも、足もと、各国の通商政策や地政学的リスクを巡る不確実性が高まっている点には留意が必要である。今後の展開次第では、グローバルな金融経済活動が大きな影響を受け、企業の財務内容の悪化につながる可能性がある。金融機関は、こうした潜在的なストレスの影響について注視していく必要がある。』

というか何でもかんでも融資ホイホイだせばいいってもんじゃない、という本来当たり前の話に戻るだけのような気がするんですが、そういう金貸しって多分バブル崩壊から金融機関アイヤーになる前までの途中くらいでは起きていたと思うのですが、その前はバブルだしその後は自分の方がアイヤーだし、もっと後はガバガバ大金融緩和時代だし、まあ金融機関もここからは正念場だと思うんですよね。知らんけど。


・相互連関に関しては図表を見ないと(汗)

『内外ノンバンク部門のプレゼンス拡大と金融機関の投融資』ってのがありまして、

『わが国の金融仲介活動においては、預金取扱機関が中心的な役割を担っており、国内におけるノンバンク金融仲介機関(NBFI)のシェアは約3割程度と、海外よりも低い。』

へい。

『もっとも、国内金融機関による海外ノンバンク部門への投融資と、海外ノンバンク部門による本邦株式・債券への投資が、海外ファンド関連を中心に趨勢的に増えるもとで、わが国の金融機関や金融資本市場と海外ノンバンク部門との間の結びつきは強まっている(図表I-5)。』

ここでほほうと言いたいのですが、図表I-5を見て頂かないと何ともという感じなのでまあみておいてくんなまし。

『わが国の金融機関の有価証券ポートフォリオとグローバルな投資ファンドのポートフォリオについて、リターンの相関関係をみると、金融危機以降、多くの投資ファンドと相関の高いポートフォリオを持つ金融機関が趨勢的に増えている(図表I-6左図)。』

これは毎度指摘されているような気がします。

『このことは、わが国金融システムが、グローバルな金融市場の変動や海外ノンバンク部門からの影響を直接・間接に受けやすくなっていることを示唆する。この結果、例えば、負債構造やレバレッジに脆弱性を抱える海外ファンドが、海外発のストレスに対して、グローバルにポートフォリオ調整を行う結果として、わが国金融市場や金融機関財務に影響が及びやすくなっている可能性もある(図表I-6右図)。』

『金融機関には、こうした点にも留意しつつ有価証券にかかるリスクを把握・管理していくことが求められる。』

ということでその他ネタにできるようなら今後ボチボチと参ります。






2025/04/23

お題「日銀謹製基調的物価/からの決定会合プレビュー雑感/ECBのポンチ絵確認/140円で円高とかアホなのか」

大僧正キタコレ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-22/SV4UM8DWLU6800
関税によるインフレ長期化させないのがFRBの責務−カシュカリ総裁
Catarina Saraiva
2025年4月23日 4:03 JST

という流れですがこれはトラ公とFRBの意地の張り合いになりますわな(どう見たってトラ公が悪いのだが)

〇基調的インフレは年度替わりに向けて強くなりそうに見えますけどねえ

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

いつもの奴ですが、

Mar-24  2.2  1.3  1.9
Apr-24  1.8  1.1  1.6
May-24  2.1  1.3  1.5
Jun-24  2.1  1.4  1.6
Jul-24   1.8  1.1  1.5
Aug-24  1.8  0.7  1.3
Sep-24  1.7  0.8  1.4
Oct-24  1.5  0.8  1.3
Nov-24  1.7  0.9  1.1
Dec-24  1.9  1.0  1.1
Jan-25  2.2  1.4  1.3
Feb-25  2.2  1.4  1.2
Mar-25  2.2  1.4  1.4

例によって左から刈込平均、加重中央、最頻の値ですが、昨年一旦刈込平均って1%台後半になったかと思いきや結局2.2%で安定していますし、加重中央とか最頻も特に最頻値に関しては1.1位まで下がったかと思いきや最近はちゃっかり上昇している訳でして、いや強いじゃんと思いますし、

Mar-24  79.5  15.1  64.4
Apr-24  80.8  14.0  66.9
May-24  79.3  15.5  63.8
Jun-24  78.7  16.1  62.6
Jul-24  75.7  18.8   56.9
Aug-24  74.7  19.9  54.8
Sep-24  76.1  18.2  57.9
Oct-24  75.1  19.5  55.6
Nov-24  75.5  19.3  56.1
Dec-24  75.7  19.0  56.7
Jan-25  77.0  17.2  59.8
Feb-25  78.7  15.7  63.0
Mar-25  80.5  14.2  66.3

左から上昇品目、下落品目、差分となっていますけど、上昇品目相変わらず8割な訳でして、この辺の数値を見たってどーーーーーー考えても「基調的な物価」とやらは2%近いところで普通に安定してるじゃろうし、何なら上振れしてもおかしくないって思うのですが、例の「基調的物価」というフワフワ説明で誤魔化すことに関しては、今回の展望レポート辺りを機会にもうちょっと説得力のある、というか意味の分かる説明にする、あるいはそういう説明をするのを止める、でも良いと思うんだけど、いずれにしても謎のお気持ち表明であらされるところの「基調的物価」ってのは、まあ全般的な話をするのに使うなとまではいいませんけれども、政策反応関数として直結させる使い方をするのは、結局政策判断が恣意的になって、なんかの拍子にジャガーチェンジするだけ、というのをここまでの間散々みさせられてしまっておるわけで何とかならんのかなとは思います。


〇まあ金曜くらいまでは油断ならんのかとは思いますけど今回は「事前の変なのが無い」のが味わいある(MPMプレビュー)

昨日ネタにしましたように、月曜の夜にBBGがいつもの謎の「関係者」コメントをリファーしながら記事書きましたけど、今回の決定会合、まあ確かに無風は無風だからネタも無いってのもあるのはあるのですけれども、その前にロイターが「成長率見通し下方修正の模様」みたいな観測記事書いた以外に目立ったものは無し、という展開になっております。

でまあこの辺り、地味ではあるのですがアタクシ的にはそこそこ注目しておる事象でございまして、昨年の8月の土下座とその後の土下座撤回(ロジック的には10月展望で土下座撤回しているもののその後もちょいちょいハトハトチキン音頭が流れていたので結局1月のジャガーチェンジまで土下座撤回ができていなかった)の流れがありましたが、よくよく考えてみたら、確かに先行きの決め打ちができないという意味で様子見地蔵になるのはその通りとしても、昨年8月よりもよほど酷い市場のムーブが起きている訳ですし、前回の米国経済失速懸念(というかソフトランディング大丈夫か懸念というか)なんかよりもだいぶ怪しげな今回の中で、ここまでの期間において昨年8月のような土下座ムーブが起きていないってのも味わいがあるんですよ。

でまあ土下座ムーブしていない、ってのと多分繋がっているのですが、今回の決定会合に関しては展望レポートの見通し期間が1期伸びるので、その点でもどういう見通し出すのかとか、足元の関税の影響をどのように考えていますって話をするのか、というような今いまの話ではなくてもこの先の政策運営の示唆になる(かもしれない)ネタって幾つもあるわけでして、今までの植田日銀の流れですと先週末あたりから今週にかけてってお漏らしチック(お漏らしとは言っていない)なニュースが出てきてもおかしくない時間帯なのですが、まあ今回は見事なまでに全然出てこないでござるの巻となっております。

ということでですね、今回の決定会合って展望レポートとかそういうの大事なのは言うまでも無いのですが、総裁会見で総裁が例の「丁寧な説明」のトーンをどう出してくるのか、というのも注目していまして、前回辺りからその辺が矯正されてきた感があるのですが、とにかく植田さん無駄に丁寧に説明しようとする結果、「利上げをした際にはタカタカ説明」「現状維持の際にはハトハト説明」というように、政策決定の説明を無駄に丁寧に行う結果、常に増幅装置として働くというヘタクソ説明だった訳ですわな。でもって前回3月会合で割と皆さん注目していたのが、現状維持なんだけど説明がハトハトじゃなかったってことですが、とにかくもうちょっと淡々と説明すること、に加えて変な地均しをしようとする、っていう悪癖が改善されるようになっていただければ、と斯様に思うのでありました。

まあ政策は現状維持だし説明は基本「様子見地蔵でごわす」ってことになるとは思いますけれども、どういう説明をおっぱじめるかという所ですな。ちょっと気になるのは先般の中川審議委員金懇記者会見で「関税の影響について聞かれたときのクソ長いああでもない項でもない説明」ではありまして、あれをおっぱじめるとまた何時もの何言ってるのか逆に分からなくなる植田先生の講義、になってしまうんですよね。さてどうなるやら。



〇ECBのポンチ絵(遅くなりました)

https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2025/html/mopo_statement_explained_april.en.html
Our monetary policy statement at a glance - April 2025

こちらは3月
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2025/html/mopo_statement_explained_march.en.html

でもってこちらは1月
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2025/html/mopo_statement_explained_january.en.html

・最初のポンチ絵は利下げしましたよという話です

『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(今回)
『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(3月)
『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(1月)

『We did this because inflation is on track to settle at around our 2% target.』(今回)
『We are doing this because inflation is on track to settle at around our 2% target, and the economy is facing headwinds.』(3月)
『We are doing this because inflation is developing broadly as we expected and is on track to settle at around our 2% target.』(1月)

絵は全く同じですが、説明がだんだん悪く言えば雑、よく言えば余計なことを言わなくなってあっさり味、になっているのがオモロイのですが、これはまあ次の部分にもありますように・・・・・・・・


・まあゆうて経済が弱いのはトラ公の前からなので今回は「不確実性」で全てをまとめてしまうというある意味思考停止が可能www

2番目のポンチ絵

『Uncertainty about how the economy will develop is exceptionally high』(今回)
『Uncertainty at home and abroad is a burden on the economy』(3月)
『The economy is weak』(1月)

となっていまして、説明文の方は

『Tensions over global trade and the related big swings in financial markets are clouding the outlook for the economy.』(今回)

『Trade tensions could weigh on exports and make it more difficult for firms to plan ahead. Because of uncertainty, firms are holding back big investments and people are still saving a lot of their incomes. But, gradually, the economy should get stronger.』(3月)

『Manufacturers are producing fewer goods. And there are risks, like greater barriers to trade, that make the outlook more uncertain. Services are doing better. Over time, the economy should grow more strongly again.』(1月)

となっていまして、前回までは「まあ色々とありますが今後は回復していくでしょう」って締めを入れておりましたが、今回はもうそんな話も全部抜きで「不確実ですなあ」で済ませているのは中々いい味を出していまして、実際そうだから仕方ないとは言え、トラ公の出方がわからんので最早先行きの予想をいうだけ無駄です様子見地蔵です、といいながら先のコメントをしないで思考停止をするの巻となっていますわな。

でもってこの経済の絵柄はまあずーっと暗いトーンなので(利下げしてるんだから当たり前だけど)そこは変わらずという感じですね。


・経済の中間評価

『Many parts of the economy are feeling the strain』(今回)
(3月は見通し会合なので中間評価に相当するこのイラストと説明は無し)
『People are still not spending yet』(1月)

どう見ても悪化です本当にありがとうございました。

『New trade barriers make it more difficult for Europe to sell its exports. Companies may invest less because of trade tensions around the world and the stress in financial markets. Consumers are more concerned about the future and are cautious about their spending.』(今回)

『Many people have more money in their pockets because their pay has gone up. But they are not yet confident enough about the future and are cautious about their spending.』(1月)

こちらのイラストもどっちも絵柄は明るくないんですけど、3月は「暴落チャート」みたいなのが背景にあってアチャーみたいなポーズしているビジネスパーソンのイラストがあるので、こっちの方がトーンは暗いですし、説明文も暗くなっていますけど、結局これも「トラ公のせいで訳わからんので皆さんの経済活動が様子見地蔵になって抑制されていますなあ」というお話ではいはいトラ公トラ公という所で。


・今回は豪華にもう一つのイラストが追加

『Europe’s economy has built up some strength that will help it cope with the strain』(今回)

って小見出しのイラストが今回追加されていまして、

『People have higher incomes to spend. Manufacturing is doing a bit better. Governments and the EU have taken important steps to invest more, for instance in infrastructure and defence.』(今回)

という元、EUがなんかみんなで頑張って修繕していきますわよみたいなイラストがあるのですが、なぜその背景色にしたのかという位に背景色がダークブルーでして、これはなんの判じ物という感じですが、これから頑張って対応していきますわよ見たいな話なんですかねえ、まあ前向きだけど前途遼遠って話なんでしょうか、うーん。



・労働市場とインフレに関しては特に悪い話をしている訳ではなくて

以下が雇用と物価の話ですけど、

『The job market is strong』(今回)
『Many people are in jobs』(3月)
『The job market remains strong』(1月)

『Inflation keeps coming down』(今回)
『Inflation is heading towards our 2% target』(3月)
『Inflation is, overall, on its way down』(1月)

めんどいので小見出しだけ並べましたが、まあこういう説明。ただし物価に関してさすがに今回は説明文で、

『Energy prices have fallen again. Services prices are no longer going up so strongly. Inflation is expected to settle at around 2%. But trade tensions make the outlook for prices more uncertain.』(今回)

ってのは入れていますな。


ということで全般的に「トラ公のせいで様子見地蔵」っぽい説明だなと思いましたが会見の方をちゃんと見ろというお話ですなすいませんすいません。



〇140割れが過度な円高とかいうアホアホ発言登場なのだが(国民玉木氏)

アホなのかと
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-22/SV3KO3T1UM0W00
玉木国民代表、1ドル=140円割れなら日銀は金融緩和を検討する余地
照喜納明美
2025年4月22日 11:46 JST

『国民民主党の玉木雄一郎代表は22日の記者会見で、ドル・円相場が1ドル=140円を割り込めば、日本銀行は正常化という名の金融引き締めよりも金融緩和を検討する余地が出てくると述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

『・今まで予想されたペースで金融政策を正常化する状況にない
・賃金上昇や過度な円高回避のため柔軟な金融政策が必要だ
・中小の賃上げ率は5%下回っており、引き続き積極的な財政支援と金融支援が必要
・長期金利をはじめ債券市場の動きを注視
・関連記事:玉木国民代表、経済悪化なら金融緩和も必要−中小賃上げに米関税影響』

だそうなんですけど・・・・・・

>長期金利をはじめ債券市場の動きを注視
>長期金利をはじめ債券市場の動きを注視
>長期金利をはじめ債券市場の動きを注視

・・・・・・・えっと、お前らやらお前らのゆかいななかまたちが減税前税財政支出って喚くから超長期金利が上昇したってことは認識無いのかこのアホウは、という話でありますし、大体からして植田総裁就任前後のドル円って130円台じゃろうがという話で、そこからハトハトチキン音頭を植田日銀がせっせと踊った結果円安にぶっとんだんじゃろという話で、140円のどこが円高だよというお話ではあります。

130万円の壁の話が賞味期限切れたので今度は円高懸念でもネタにしたのかよというお話でございますが、どう見たってアクチュアルの物価高が問題になっているのに、高圧経済音頭を踊って下さりますとさすがに減税に釣られた魚どもも気が付いてくる向きが増えると思いますので、高市大先生と共に高圧経済リフレ音頭でも踊ってもろて頂いて、という感じですな、という雑メモでした。







2025/04/22

お題「3月FOMC記事要旨は「関税政策は物価上昇圧力」アピール/BBGのいつもの観測記事/その他米国株やら円債の雑感」

見よこれが市場機能じゃああああああ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-21/SV2PH9T1UM0W00
米国資産売り加速、FRB独立性に疑問符−トランプ氏再び利下げ要求
Cristin Flanagan
2025年4月22日 0:57 JST

トランプがそろそろ株式市場に対してブチ切れて大統領令を出すとか言い出すに100ロバート・ムガベwww


〇情勢がホイホイ動く中で出し遅れるとどんどん出し遅れになりますが3月FOMC議事要旨

もはやすさまじい今更感がありますが
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250319.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
March 18-19, 2025
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, March 18, 2025, at 9:00 a.m. and continued on Wednesday, March 19, 2025, at 9:00 a.m.1

まあ3月の議事要旨で出たのが4月の第2週ですから議論の時期にはまだトラ公関税砲撃がどうなるのかはわかっていなくて、議事要旨公表の段階ではどうのこうのとなっていた時期なので、幾分か配慮があるかね、という感じになりますわな。

となりますと、この会合の議事要旨の見どころって基本的に「経済物価見通し」の方であって政策アクションの話はまあどうでもよいという感じになります、ということで『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の前半を読むのが吉となります。

2パラ目から。

『Participants observed that available data pointed to an economy that continued to grow at a solid pace and labor market conditions that remained broadly balanced, but that inflation stayed somewhat elevated.』

現状認識は(今となっては)まあどうでもよくて、

『Participants generally noted the high degree of uncertainty facing the economy. Information from participants' business contacts and from many surveys indicated some deterioration in household and business sentiment amid heightened uncertainty about government policies. Various participants commented that high uncertainty had the potential to damp consumer spending as well as business hiring and investment activities or that inflation was likely to be boosted by increased tariffs. As a result, participants generally saw increased downside risks to employment and economic growth and upside risks to inflation while indicating that high uncertainty surrounded their economic outlooks.』

でまあこれが出たのは4月2週になるので、既に状況が出たあとのものになっているから、「関税政策の先行きに不透明感があって、その結果センチメントが悪化しているし、高関税になった日には経済の下振れと物価の上振れリスクが高まりますがな」という記述になっていますわな、まあ順当。

3パラ目から先が物価の話になっていましてここが長いのは、まあそういう編集をしているということでして、つまりはFED的には物価が再加速するのはマズーって思っていますよ、ってメッセージ、すなわち「トラ公要因は利下げ要因ではなくて利下げ遅れる要因だよ」と思いっきりお伝えしている、ということを意味しますわな、と思いましたがどうでしょうかね。

まずは現状。

『In their discussion of inflation developments, participants noted that inflation had eased significantly over the past two years but remained somewhat elevated relative to the Committee's 2 percent longer-run goal.』

物価が2%に向けて進展しましたよ、というのは最初にありますが、

『Some participants observed that inflation data over the first two months of this year were higher than they had expected. Among the major subcategories of prices, housing services inflation had continued to moderate, consistent with the past slowing in market rents, but inflation in core nonhousing services remained high, especially in nonmarket services. Some participants highlighted that core goods inflation had increased, and most of them noted that these increases might reflect the effects of the anticipation of higher tariffs.』

個別に見た場合、非住宅のサービスが強いのと、関税引き上げを前に財の上昇も見られるとの指摘。でもって先行き見通しですが、ここのパラが結構長文です。

『With regard to the outlook for inflation, participants judged that inflation was likely to be boosted this year by the effects of higher tariffs, although significant uncertainty surrounded the magnitude and persistence of such effects.』

関税政策によって物価の先行きはブーストされるでしょう、規模は分からんけどな、というのが冒頭でして、

『Several participants noted that the announced or planned tariff increases were larger and broader than many of their business contacts had expected. Several participants also noted that their contacts were already reporting increases in costs, possibly in anticipation of rising tariffs, or that their contacts had indicated willingness to pass on to consumers higher input costs that would arise from potential tariff increases.』

この辺までが「関税政策によって物価があがりまっせ既に動きも出てまっせ」の指摘で、

『A couple of participants highlighted factors that might limit the inflationary effects of tariffs, noting that many households had depleted the excess savings they had accumulated during the pandemic and were less likely to accept additional price increases, or that stricter immigration policies might reduce demand for rental and affordable housing and alleviate upward pressures on housing inflation.』

2名が指摘しているのは関税政策によって消費が落ちるのでそんなに物価上がらんかもね、というお話ですね。

『A couple of participants noted that the continued balance in the labor market suggested that labor market conditions were unlikely to be a source of inflationary pressure.』

労働市場はインフレ圧力のソースにはならんじゃろ、という2名の指摘。

『A couple of participants noted that, in the period ahead, it could be especially difficult to distinguish between relatively persistent changes in inflation and more temporary changes that might be associated with the introduction of tariffs.』

これまた2名の指摘になるんですけど、関税の影響に関して「一時的なものになるか持続的なものになるのかは判別がムツカシイ」という指摘がありまして、「コストプッシュは基調的なインフレには関係ない」とばかりに無視を繰り返す日銀の屁理屈軍団は爪の垢を煎じて飲んで欲しいものです。

『Participants commented on a range of factors that could influence the persistence of tariff effects, including the extent to which tariffs are imposed on intermediate goods and thus affect input costs at various stages of production, the extent to which complex supply chains need to be restructured, the actions of trading partners in responding with retaliatory increases in tariffs, and the stability of longer-term inflation expectations.』

でもってこの指摘に対して、関税政策が持続的なインフレにつながるかどうかということの要因についての議論が行われていまして、まあいくつか指摘されていますけれども、こういうのをちゃんと議論しているのはどこかの日銀以下同文。

でもって次のパラに

『Almost all participants pointed out that many market- or survey-based measures of near-term expected inflation had increased recently. Participants generally noted that most measures of longer-term expected inflation remained well anchored, a factor likely to put downward pressure on inflation. Several participants emphasized that ensuring that longer-term inflation expectations remained anchored would enhance the Committee's ability to achieve its price-stability goal.』

インフレ期待に関しては長期インフレ期待はアンカーされている、といういつもの話をしているものの、短いところのインフレ期待は上がっていますよ、というこの辺は先般のパウちゃんの講演でもありましたが、まあそういう認識になっています(これは長期インフレ期待が上がっているというと即政策対応になるのでアンカーされていると基本的に言い続けるのが仕様なのでこれ以上はあまり出てこないですけどね)。

でまあ以下労働市場とか企業部門とか不確実性の話がありますが、まあこの3月議事要旨に関してはひたすら「関税政策がインフレ上振れの大きな要因になりまっせ」アピールをしている、すなわちトラ公の言う通りにはなりませんよ宣言(既にこれ出ている時点でもトラ公は利下げ利下げ五月蠅かったですからね)をしている、というのが見どころだったと思います。今更ですいませんが。



〇何かこれ出たときに先物一瞬反応していましたので一応(BBGのいつもの奴)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-21/SV1KB3T0AFB400
日銀は利上げ路線維持の見通し、シナリオ変更の必要性乏しい−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2025年4月21日 19:10 JST

→物価目標達成時期は後ずれも視野、米関税が世界・日本経済を下押し
→先行き不確実性は大きい、中心シナリオ維持もリスクを丁寧に説明へ

まあそりゃそうじゃろうとしか言いようのない話なのですが、なぜか知らんけどこれ出たときに先物イブニングちょっと反応していたように見えましたので一応。

『日本銀行は、先行き2%の物価安定目標が実現していくシナリオを維持し、緩やかに利上げを進めていく従来の政策スタンスを継続する公算が大きい。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

そらそうよとしか言いようが無いし、まあ足元でトラ公が自滅しているからドル安になっているとはいえ、油断するとすぐに金融政策がどうのこうので円安に成り兼ねないですし、

『関係者によると、米関税政策によって先行き不確実性が高まる中で、金融政策は現状維持が決まる見通しだ。一方、物価目標の達成時期の後ずれも視野に議論が行われる可能性があるという。会合直前まで入手可能なデータや情報を精査して判断する。』

だそうなのですが、そもそも「物価目標の達成時期が後ずれ」とか言ってる「基調的な物価」とかいう屁理屈なのですが、現実の物価が2%を(日本としては)盛大に高止まりしている状況が続いており、物価高対策ってのが大きな政治、社会問題になっているのに、「2%物価目標はまだ達成していませんし達成時期は遅れそうです」とかいう屁理屈がどこまで通用するのかって話で、経済に懸念があるから緩和的な政策で経済を支える、の線で説明しないと日銀ヤバいじゃろと思うんですけどねえ。

しかしまあ何ですな、

『会合では、中心的なシナリオ自体に大きな変更が想定されない中で、米関税政策によって拡大しているリスクについて、丁寧な説明が行われる可能性が大きい。経済・物価の下方リスクの強まりが意識される中、26年度までの見通し期間の後半としている現在の目標実現時期は、後ずれする可能性もあるという。』

という話で記事は締まっているのですが、「リスクについて、丁寧な説明が行われる」のは結構と言いたいのですが、昨日ネタにしました中川審議委員の記者会見でのどう見ても想定問答集棒読みの説明をみておりますと、植田総裁の会見でもああでもないこうでもないと延々と要領を得ない説明をしそうでして、そういう説明をするとメディアもそうですし市場もそうなんですが、「自分の見たいものだけを見る」という結果になって、まあ碌なことにならんので、丁寧な説明をするよりも市場(メディアも)に「考えさせる」ように説明の尻を持って行くことはできんのか、とは思うのですよね。とにかく植田日銀は説明のし過ぎというか何でもかんでも説明しようとして、その結果「ブレブレ」に見えてしまう悪癖があるので・・・・・

でまあ今回のアタクシのプレビュー大予想ですが、明日になったら言ってることが変わるトラ公とかいう要素を考えているといかんともしがたいのでそこはパスして考えますと、物価の話をあんまり真正面からすると話がややこしくなるので、「ちょっと色々と不確実要素が多すぎで良くわからんのですが、為替円安がコストプッシュを加速させるリスクが下がってきたのは結構なことです」位に言いながら「まあ今回は様子見様子見」で下手に先行きの話をしないで、現状の見通しを維持するって感じになるのかと。でもって利上げ時期に関しては「シナリオ通りに推移するというのが確実性高まったら利上げしますけど現時点では不確実性要素が多いの見りゃわかりますよね」でやるやる詐欺方式でコミュニケーションすりゃいいんじゃないですかねえとは思います。まあ会見でそんな喧嘩は売らないですけど、「むしろ今の状況のどこが確実性が高いと思ってらっしゃるんですか」くらいの反問して煙に巻く位で良いと思うのですが、なんかこのBBGの観測記事見てると、「丁寧な説明」をおっぱじめて無駄なボラを提供しそうでそっちが懸念されます。


〇トラ公のパウちゃん攻撃による米債スティープにお付き合いする必要もないんだが(昨日の円債ちゃん)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/QQKJZASQGRKRFMOFPM3ZFF7GSA-2025-04-21/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.285% 超長期債に金利上昇圧力
ロイター編集
2025年4月21日午後 3:16 GMT+9

『[東京 21日 ロイター] - <15:12> 国債先物は反落、長期金利1.285% 超長期債に金利上昇圧力

国債先物中心限月6月限は、前営業日比12銭安の140円96銭と反落して取引を終えた。国債先物は買い一巡後、手掛かり材料待ちとなり方向感に乏しかった。新発10年国債利回り(長期金利)は同横ばいの1.285%。あすの超長期債対象の流動性供給入札を控えて、超長期ゾーンの金利上昇が目立った。』(上記URL先より、以下同様)

ということで何かまたスティープしておられた訳ですが、

『後場に入り、先物はじわじわとマイナス圏に転じた。現物市場では超長期ゾーンを中心に金利上昇圧力がかかり、その流れが長期ゾーンや国債先物に波及した面があった。』

ってことでまたも

『    OFFER  BID   前日比 
2年   0.638  0.646   0.013  15:03
5年   0.838  0.845   0.01  15:03
10年  1.283  1.291   0.011  15:03
20年  2.265  2.274   0.033  15:11
30年  2.738  2.746   0.044  15:11
40年  3.137  3.148   0.061  15:06』

ということでここ暫くのカーブの動きが無茶苦茶派手でしたのに対しては地味とは言いましても、よくよく考えたらやっぱり盛大にイールドカーブスティープしている訳で、単に今日の超長期ゾーンの流動性供給に向けたコンセッションだったら良いのですけれども、トラ公のパウちゃん攻撃による米国のスティープニングを受けているんだとしますと(ってその要素が無いとは思わないけど)いやもうねって感じではありますが。


〇後日備忘用にマクラの記事を貼っておく(ただの雑感)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-21/SV2PH9T1UM0W00
米国資産売り加速、FRB独立性に疑問符−トランプ氏再び利下げ要求
Cristin Flanagan
2025年4月22日 0:57 JST

→米主要株価指数は軒並み約3%の下げ、ドル・長期債に売り膨らむ
→トランプ氏、パウエル氏が「今すぐ利下げしなれば経済減速の恐れ」

『連休明け21日の米金融市場では、トランプ大統領によるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長解任への懸念から、米国資産売りが加速。米主要株価指数が軒並み約3%の下げとなっているほか、ドルと米長期債への売りが膨らんでいる。一方、金はオンス当たり3430ドルを突破し、再び最高値を更新した。』(上記URL先より、以下同様)

ということでこれが市場機能じゃ見たかトラ公って感じですが、

『トランプ氏はインフレは実質的に存在しておらず、予防的な利下げの時期だと自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿。改めてパウエル議長に利下げを要求した。』

そもそも現実認識がおかしい(自動車の非関税障壁の話でもそうだけど)のでモウロクジジイなのではないかという気はしますが、まあモウロクジジイじゃなくたって財務省解体デモとか参加する現実認識がアレなアレどもがウヨウヨ涌いて出てくる現代社会なので洋の東西を問わないのでしょうけれども。

しかしまあ関税交渉もたいして始まらず、腹いせにパウエルに八つ当たりしたら市場からノーを突き付けられましたので、トランプはどこに当たり散らすんでしょうかってなもんで、株安を受けてまた泡吹くのかどうなのか、もはや何とか刃物の世界ですが、やけくそになって何かの発射ボタンを押すのだけは勘弁して欲しいものです。

というだけの雑談でトラ公のムーブをロジカルに判断するのは無理だし、そもそも事実認識も間違えている訳で、当初はキチガイの振りをしているだけかとも思いましたが、真正のアレという奴ですな、ナムナム。


〇フィラデルフィア連銀総裁交代ですか(メモだけ)

https://www.philadelphiafed.org/about-us/250417-philadelphia-fed-names-anna-paulson-as-next-president-and-ceo
Philadelphia Fed Names Anna Paulson as Next President and CEO
17 Apr ’25

『The Federal Reserve Bank of Philadelphia has appointed Anna Paulson as the new president and CEO. Paulson currently serves as executive vice president and director of research at the Federal Reserve Bank of Chicago and will take office on July 1, 2025.』

ということでシカゴ連銀のリサーチ部門統括の副総裁をやっているアンナ・ポールソンさんがハーカーさんの後任ということですが、シカゴ連銀なだけに物価重視派ってことですかしら、まあ良くわからんですけど。

『Philadelphia - The Federal Reserve Bank of Philadelphia today announced the appointment of Anna Paulson as its next president and chief executive officer. In this role, Paulson will represent the Third Federal Reserve District on the Federal Open Market Committee (FOMC) in the formulation of U.S. monetary policy and lead the organization.』

でもって、

『Paulson has 20 years of experience as a leader in policy analysis and research related to financial stability and monetary policy. As executive vice president and director of research at the Chicago Fed, she advises the Bank’s president and CEO on monetary policy and attends FOMC meetings.』

『Paulson leads the Chicago Fed’s research and policy analysis work, overseeing the department that provides analytic support for monetary policymaking, and conducts research on banking and financial markets, macroeconomics, microeconomics, and the regional economy.』

『In addition, she is an expert on financial markets and institutions, with particular expertise in the insurance industry. Paulson established the Chicago Fed’s Insurance Initiative, which analyzes financial stability and regulatory issues in the insurance industry on behalf of the Federal Reserve System. During her time at the Chicago Fed, she also oversaw the Bank’s public affairs and community development divisions.』

ということで連銀の実務家みたいですね。まあどうなるかに関しては就任してから見て行こうかと。









2025/04/21

お題「3M入札金利がクソ流れしたんですが/中川審議委員金懇会見は日銀のスタンスが昨年8月とは違う事を示す(ような気がします)」

今朝の2コマ漫画
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20250419/GE00065106.shtml
維新・梅村みずほ参院議員が離党届「人を大切にできない政党は国民も大切にできないと思った」
大阪
2025/04/19 10:55

https://www.tokyo-np.co.jp/article/250961
ウィシュマさん「詐病」発言 で梅村みずほ参院議員をようやく処分 野党第1党狙う維新のモラルと責任感
2023年5月19日 11時00分


〇償還が海外休日要因あるにせよまたなんか急に流れましたな(3M新発)

金曜の短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250418.htm
国庫短期証券(第1301回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1301回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号     国庫短期証券(第1301回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日      令和7年4月21日
4.償還期限     令和7年7月22日
5.価格競争入札について
(1)応募額         7兆9,050億円
(2)募入決定額     3兆4,294億9,000万円
(3)募入最低価格    99円89銭1厘0毛
(募入最高利回り)   (0.4329%)
(4)募入最低価格における案分比率    14.1414%
(5)募入平均価格    99円90銭6厘4毛
(募入平均利回り)   (0.3716%)』

ちょwwwwテール6毛wwwwwwww

前日の時点での売参ベースでは新発3Mの引けは0.330%になっていまして、そこから見たらエライ勢いで甘い入札になっていますし、応札が8兆切っているのも少ないわという入札でして、直前の1年入札も応札少な!って感じでしたが今回の3Mの8兆割れは少ない訳でして、1週前の3Mちゃんが11兆0957億円のおうさつだったので、応札3兆円減少っていうのはエライ勢いで減った、という感じになっておりまする。

いやまあ確かにこの銘柄償還日が海外休日になるから海外の人が買いにくい、というのはあるのですけれども、マイナス金利解除からこの方、3Mの需要がガチで強いときって海外休日が何ぼのもんじゃいという勢いで強い結果になるのが仕様でして、短国に関しては1年の入札が微妙おぶ微妙だったのもあったのですが、ゆうて前週の3Mは堅調だったしセカンダリーで物が余りまくって居る感じもしなかったので、いくら海外休みだからと言ってこんなに流れるものなのかしらという所です。

海外が本格的に短国買えなくなったとでもいう話だったらアレですけれども、そうじゃないのであれば短国市場における低利回り(ゆうてこれ金利が上がったとてアベレージの0.3716%ってGCレポや現先レートから見たら10個くらい強いのですよね)を支える要因となっている「運用というよりも短国としてのモノに対するニーズ」の方が剥落したということなんでしょうかしら、まあこれはそういうニーズで買っているお方の懐具合とかお家の事情に依存しますので、よそ様の懐具合なんぞシランガナなのでシランガナではあるのですが、長い方から避難してとりあえず短国で国債ポートの残高だけは作っておいて、リスク量を落としておくというムーブから、まあいきなりの早期利上げジャガーチェンジもなかろうとなって来て長い方にお帰りになられ、その結果償還再投資のニーズが一気に減ったとか、そういうことくらいしか想像できないところではありまして、もしそうなのであれば今後の長いところの動向に跳ねてくるかなというのをちょっと楽しみに見たいと思います。

でもって売参ちゃんですが
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(3M銘柄だけ拾って並べています)

(4/17引値)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.380
国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.350

国庫短期証券1290 2025/06/02 平均値単利 0.350
国庫短期証券1292 2025/06/09 平均値単利 0.350

国庫短期証券1297 2025/07/07 平均値単利 0.330
国庫短期証券1299 2025/07/14 平均値単利 0.330
国庫短期証券1301 2025/07/22 平均値単利 0.330

(4/18引値)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.410
国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.380

国庫短期証券1290 2025/06/02 平均値単利 0.380
国庫短期証券1292 2025/06/09 平均値単利 0.380

国庫短期証券1297 2025/07/07 平均値単利 0.390
国庫短期証券1299 2025/07/14 平均値単利 0.390
国庫短期証券1301 2025/07/22 平均値単利 0.390 

なんか謎にカーブがうねうねしていますがまあそれは兎も角として、入札一発で水準訂正という中々訳の分からんことになっていますが、ゆうて毎度申し上げておりますように、短国の場合はそもそも利上げが無いと考えたとしてもGCや現先レートから見たらクッソ低い水準で止まっておりますので、金利が上がったとてまだまだ絶対値の水準としては少々アレな水準ということになっておりはしますけど、金曜のムーブがただの一発ネタなのか恒常化するのかは注目しようと思います。


〇中川審議委員金懇会見は「大本営のスタンスが昨年8月とはちょっと違うかも」を示していますね(知らんけど)

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250418a.pdf
中川審議委員記者会見
――2025年4月17日(木)午後2時30分から約30分
於 前橋市

まあ金懇自体がどうでもよいというか、今回の金懇では「一切新しいネタが無かった」というのがインプリケーション、という中川さんの金懇だった訳ですが、会見は「想定問答はどういうつくりになっているのか」というのが良くわかると思うのでそういう見方で見れば楽しみもあるというものです。

と言いましても最初の方が「今日はどうでしたか」というのとご当地質問(前橋市での金懇だけに自動車企業に対するトランプ関税の影響がどうのこうのって質問でした)で7ページ半の質疑のうち丸々2ページを費やしているのでその残りになりますけどwwwwwww

・関税政策とか為替に関してのクッソ長い想定問答をご覧あれ

『(問)二点お伺い致します。まず赤澤経済再生担当相とアメリカ当局との会談についてですけれども、関税交渉で為替の話題は出なかったということですが、次回への協議の予定も今月予定されているということですけども、今後どういったところを注視していくかというのを一つお伺いしたいと思います。』

いつもだと後半部分割愛しますが、話の流れからいって後半も引用しておいた方が良いのでこの質問の後半ですけれども、

『それからもう一点なんですけれども、5 月 1 日に発表する展望レポートに関してですが、成長率の下方修正の可能性があるという報道もなされていますが、関税交渉の影響なども受けて、どのように考えられているか教えて頂けたらと思います。』

どっちもシランガナで返してもよさそうですがまずは「為替」という所にバッチリ反応しまして、

『(答)為替についてということですが、おそらく関税政策とも関わると思うんですけれども、為替に関して今の水準を含めて、交渉の状況も含めて、全く私は今のところ情報が報道されていること以上には存じ上げておりませんので、その点はお答えを差し控えさせて頂きますが、』

で話を切ってしまっても良いんじゃないかと思うのですが、この後の説明がクッソ長い。

『広く言いますと、わが国の経済・物価への関税政策の影響というのは、為替のみならず、あらゆるところに多岐にいろんな経路を介して影響を及ぼし得るというふうに考えています。』

ということでまあ関税交渉について聞かれているのと、質問の後半部分で先行き見通しと関税交渉の関係について聞かれているからこういう説明がおっぱじまるのはしゃあないのですが、この後がまた飛んでも無く長いのよ。

『日本の経済・物価に影響を及ぼすことをとってみますと、これも様々なものが当然考えられますので、現時点で為替も含めまして、その影響を一概に評価することは非常に難しいです。』

質問の後半で展望レポートの見通しに対して「関税交渉の影響も含めどう考えますか」って言ってるのでその部分に対する答えが混じっていますけど、この後の説明が・・・・・・

『まず関税の導入自体、グローバルな貿易活動に影響を及ぼすという直接の影響もありますし、これは国の輸出、それから輸出の関連企業の収益の下押し、もしくは関税を含む政策の不確実性の高まり自体が企業の収益の下押しになる可能性と、また、企業や家計のコンフィデンスに影響することによってその行動、例えば消費ですとか企業の設備投資ですとかそういったものに影響するということもありますし、その後、また直近もありましたけれども、国際金融資本市場に影響を及ぼす可能性もあります。』

説明が長い、もうちょっと整理してくれって感じなのですが、これ想定問答が箇条書きになっているのを全部順に読んでるだろと言いたくなる。

『結果的にこうしたルートを通じて為替の市場も含めて、わが国の経済を下押しするという方向に働く要因になるとは考えられます。』

経済には下向きに働きやすい、以上、で良いと思うのですがここまでクドクドと説明するのは、想定問答でそういう風に細かく書いているからだとは思うのですけれども(個人の妄想です)、それにしてもまあ足元の状況を受けてちょっと「リアゲコワイヨー」のいつものアレが大本営の中で始まっているかも知れないなとひじょーにいやーな予感がせんでもないところではあります。

ただまあ半期報絡みで国会方面で色々と答弁させられる中で今回はハトハトチキンをできるだけ出さないようにしている(ように見える)、というのもありますので、ビビりつつも日銀が率先してハトハトチキンをやってしまうと(12月から1月のジャガーチェンジのように)後でそれをひっくり返すのに無駄なエネルギーを使って市場との対話を訳わからなくするという問題点がある、というのを学んだので、決め打ち回避をしている、というのも実際にそうでしょと思われるので、まあどっちなんでしょうねというのは展望レポートでてからニュアンスを見に行くって感じですかねえ。来週木曜か(ってか大型連休もうすぐじゃねえかアイヤー)。

でまあ中川さんの能書きはさらに続きまして、

『では、物価面ということに関して言いますと、』

なげえよw

『今申し上げた経済の下押しが、押し下げ方向に作用するとすれば、こちらの方は経済の方からの影響として物価が下がる方向には作用すると思いますが、一方でグローバルサプライチェーンなど、これも取り沙汰されていますけども、供給サイドからの影響というもので、輸入物価の上昇などを通じて上押し方向に働く可能性も考えられます。』

単純にグローバルなインフレ要因です、という訳でもない(日本が関税上乗せとかしなっけりゃまあこのあたりの話は米国とは違いますからね)ですな。

『この辺りも踏まえますと、輸入物価の上昇を通じて、加えて国際商品市況や完成品の価格設定、それから金融市場等の影響も踏まえますと、為替市場への影響というものもまた想定しにくいもので、全体として不透明であり不確実性が高まっているというお答えになります。』

何かわかったようなわからんような説明で、もうちょっとシンプルに回答すれば、とは思うのですが、冒頭からこの質問までの回答がクッソ長くて、尺稼ぎしてるじゃろと思う位に説明が長いの作戦かしらと思ったのですが、記者の皆様の方もこのクソ長い回答で気が付いたのか(^^)、全体的な説明を必要とするような網羅的な質問をすると想定問答を延々と読みだすというのに気が付いて、短答形式で短答しかできないような質問に切り替えている(ので後半は短答形式になる)のが面白いところですwwwwwwwww

なお、これで終わりではなくて質問の「展望レポートについて」の話があるんだが、今までのところで回答しとるじゃろって感じですわな。

『二点目の 5 月の展望レポートに向けて、成長率に関してのご質問でした。その件の記事に関しましては詳細をちょっと拝見していないので、お答えは直接には差し控えさせて頂きますけれども、5 月の展望レポートに関しましては皆様ご承知の通り、見通し期間が 1 期延びることにもなります。ですので、次回の金融政策決定会合では、その時点での関税政策の影響も含めまして、国内外の経済・物価情勢、金融市場の動向などを丁寧に確認しまして、経済・物価の見通し、そしてそのリスク、そして見通しが実現する確度を点検しましたうえで、展望レポートでお示ししたいというふうに考えています。もちろんその際には、どうすれば皆様に分かりやすく伝えることができるかということも意識したうえで会議の前に準備をし、会合で議論していきたいというふうに思っています。』

何も回答していないのと同じなんですが長すぎワロリンチョw


・昨年8月9月のキーワード「金融市場が不安定な時は」云々について聞かれるも・・・・・・・・

でまあこの先は基本短答になっています。

『(問)関税政策も含めまして、昨今非常に金融資本市場がですね、上下に大きく激しく動いております。まず一点目として、現状、中川審議委員はこの金融資本市場、現在非常に不安定な状況という理解でいいのでしょうか。』

まあこうやって切った方が良い、というのがさっきの質疑で読めた、って感じの質問の間合いがとても良い^^;

『(答)金融市場に関しては、直接の評価としては私の方から差し控えさせて頂きますけれども、現時点におきましては非常に不確実で不透明であるというふうに[思っており]、そういったものを反映して現状の状況になっているというふうに評価しています。』

ここ面白くて、上記質疑の続きで、

『(問)もう一点はですね、今、詳細は控えるということだったんですけれども、金融資本市場が不安定なときにはですね、利上げはするべきではないと去年総裁も国会などで答弁されておりますけれども、そういった総裁のお考え含めてですね、審議委員もその点はお変わりないというか、どういったお考えでいるのかお聞かせください。』

と追及されているのですが、

『(答)現時点におきましては先ほどの繰り返しになりますけれども、その時その時点での経済・物価情勢、それから金融市場の動向を丁寧に確認したうえで適切な判断をしていきたいというふうに考えています。』

と回答を回避していまして、まあ回避自体はそうじゃろうなと思いますけれども、直前の回答をよく見ますと、金融市場に対して「非常に不確実で不透明」とは言っているけれども「不安定」とは言っていない、というのがポイント高いところでして、うっかり「不安定」とか言ってしまうと昨年の内田副総裁土下座金懇の亡霊が甦ってきてしまいますので、それは避けようという大本営御一同の意思があるな、って思いました(まあ折角そうやっても植田さんがうっかり「不安定」とか言いそうですけどw)がどうでしょうかね。


・先行きの金融政策運営に関して「後ろ倒しになった」という説明すら回避するという徹底姿勢

でもってこの質疑の次にこんなのがありましたが中々これも味わいがありました。

『(問)本日の講演で、日銀の見通しに沿って推移すれば引き続き利上げをしていくと、そういうお考えを示されましたが、確認なんですけれども、足元までの経済・物価は見通し通りとの認識でよろしいのか、そのうえで米関税政策を踏まえてですね、見通しが実現する確度、これは低下しているのかとか今の現時点での中川委員のお考えをお願いします。』

ついでに後半ですが、

『あともう一点、アメリカの関税措置につきまして、上乗せ関税が 90 日間停止されている状況ですけれども、少なくともですね、この帰趨が明らかになるまではですね、政策金利を引き上げる、政策判断を変更判断するというのはなかなか難しい状況だと思われるのか、その二点お願い致します。』

でまあこれに対してですけど、

『(答)これも申し訳ありません。繰り返しにはなりますけれども、次回会合まであと 2 週間ほどございます。また関税の交渉といいますか、そういったことも今まだ私自身も情報としてはそう多いものを持っておりません。こういったものを次回会合までに丹念に確認したうえで、その時点で最良の判断をしたいというふうに思っております。』

『あと確度に関しましても、今の判断というのは非常に難しいです。ですので、こういったものも踏まえて、ここから 2 週間、それまでに出てくるデータ、情報、経済情報もありますし、それだけではなくて、いわゆるソフト情報、企業からのヒアリング情報なども踏まえて適切に情報収集をしたうえで判断したいというふうに思っています。』

からの、

『それから、[上乗せ関税が 90 日間]停止をされている状況で政策判断の変更がしづらいだろうかというご質問だったと思いますけれども、こちらも重ねて同じ回答にはなってしまいます。その時点で、物価・経済情勢を踏まえて、適切に政策判断をしていくということに変わりはございません。』

ということで、昨年の12月には(別に中川さんが言ったわけではないですが総裁の定例会見で)日銀は「米国新政権の経済政策の影響ガー」とか言って政策維持の理由を説明していたのですから、そういうことであれば「交渉がどうなるか次第でもありますねえ」みたいな回答をしても別に罰は当たらんという感じの筈なんですが、そういう説明すらしないでひたすらなんも回答しない、というのは中々面白いところでして、これもまた昨年8月とは全然違うなあ、と思うのでありました。


以下短答形式で政策に関する質問があるのですが、全部「繰り返しになりますが今の時点では何とも」の繰り返し、ということになっていまして、この辺り昨年8月の相場変動の時とは全然違うんだな、というのを垣間見た感じがしました。

ということで時間の都合上この辺で勘弁していただきとう存じます。








2025/04/18

お題「中川審議委員群馬金懇は「インプリケーション無し」がインプリケーション/1年短国メモ/超過準備付利垂れ流し問題キタコレ」

これが「企業アンケート」なのが悲しい・・・・・・
https://jp.reuters.com/business/QNGY2FK4TFP4HF52VK4WIRPO5Q-2025-04-17/
4月ロイター企業調査:9割が石破首相「期待外れ」、次期総理トップは高市氏
梶本哲史
2025年4月17日午前 10:03 GMT+9

『[東京 17日 ロイター] - 4月のロイター企業調査で石破茂首相の政権運営の評価を聞いたところ、「やや期待外れ」と「大いに期待外れ」が合わせて9割を超え、「期待通り」の1割を大きく上回った。石破政権に求める政策は物価高対策が最多、景気とトランプ米大統領への対応が続いた。次期首相として最も多く名前が挙がったのは高市早苗元総務相で、回答企業の3割を占めた。調査は4月2日─11日。調査票発送企業は505社、回答社数は222社だった。』(上記URL先より)

「財政懸念で超長期金利急上昇」ってのは今週になって大いに話題になった話だから、という面はあるにしましても、どこからどうみても財政懸念で金利急上昇か通貨安かその合わせ技か、って政権を3割の企業が望んでいるっていや貴方様がた企業さんでしょそんじょそこらの愚民じゃないんだから勘弁して欲しいわと思いましたし、やっぱりもっと市場が財政懸念をビビットにお伝えするようなことが起きないとダメなのかなと暗澹たる気持ちになりましたorz


〇中川審議委員金懇は「なんもインプリケーションが無い」のがインプリケーションではある

存在感は無いのですが、この局面では大本営の伝書鳩としての機能が期待されますので、さてどういうのが出るかと思いましたが・・・・・・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250417a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 群馬県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
中川 順子

・経済物価情勢の現状認識はどうみても展望レポートのコピペです本当にありがとうございました

『2.経済・物価の現状』というのがあるのですが、その頭のところで『(1)海外経済の現状』ってのがありまして、

『はじめに、海外経済の現状について確認します(図表1)。3月の時点での企業のグローバルな景況感は、製造業では、改善・悪化の分岐点である 程度、サービス業では引き続き改善しています。IMFの成長率の見通しは、1月時点では、2025年、2026年ともに3%台前半で、これは、概ね 1980年以降の平均的な成長率と同じ程度です。こちらは、今月に四半期毎のアップデートを控えており、各国の通商政策やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡るシナリオが注目されます。』

ちなみにクソどうでも良いのかもしれませんが、なぜかこのテキスト、2025とか2026とか1980ってある数字が多分画像データになっていてコピペができないという珍現象が生じていまして(他はテキストデータになっているのでコピペができます)、なんか物凄い器用なことでもしているのかと???と思いながら読んでおりましたがそれは兎も角。

足元「海外経済」って気になる話だと思うのですが、関税政策云々の話に関して、先の方で当然ながら先行きのリスクには加えていますが、そちらの説明でも特にハトハトチキン感を出しておりませんし、こちらでは「IMFの見通しが出るのでそれでも見まひょ」という話にとどまっているという落ち着きっぷりな表現になっているし、上記の一段落だけで海外経済の現状を終わりにしているのは無茶苦茶あっさり味じゃないですか。

でまあこれなんですけど、ワシなりのインプリケーションは小見出しにした通りで、今回のこの部分が示すものは「昨今の関税政策をめぐる状況に関して、現時点では決め打ちインプリケーションを出さない」というのがインプリケーションですよ、ってことだと思うのですよね。


でまあ以下の国内経済、物価の現状の話に関しては別にみるべきことも無いので全部かっ飛ばして先行きリスクの話になります。


・先行きリスクのところで通商問題に触れているものの「通り一遍」感が大変に強い作りですね

『3.経済・物価の先行き見通しとリスク』ってのがあるのですが、これがまた展望レポートの棒読みって感じの作品になっているのと、数値が全て画像データになっているという意味不明な作品になっていまして、いや勘弁してくださいって感じです。

先行きリスクの話になります、ってさっき言いましたがそれだと尺が稼げないので(笑)確認のために見通しで何を言ってるのかを引用しますね。

『(1)経済・物価の先行き見通し』って小見出しの方は、

『日本銀行の国内の経済・物価見通しについて、まず、1月の金融政策決定会合で決定した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)に沿ってお話しします(図表 )。』

沿ってお話するのは良いんだけどそこから3か月近く経過しているんだからアップデートは無いのか、と思うのが普通ですがこれがですな・・・・・・・・

『実質GDP成長率の見通しは、政策委員の中央値で2024年度は+0.5 %、2025年度は+1.1 %、 2026年度は+1.0 %です。

この背景として、国内経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えています。』

『生鮮食品を除いたベースの消費者物価の見通しは、政策委員の中央値で、2024年度は+2.7 %、2025年度は+2.4 %、2026年度は+2.0 %です。生鮮食品とエネルギーを除いたベースでは、 2024年度は+2.2 %、2025 年度、2026年度は+2.1 %です。』

『これらの背景としては、 年度にかけては、米価格が高水準で推移すると見込まれることや、これまでの政府による施策の反動が一部で生じることが押し上げ方向に作用することを想定しています。今後も、労働需給が引き締まった状態が続くもと、マクロ的な需給ギャップの改善と、賃金と物価の上昇が続き、中長期的な予想物価上昇率も上昇していくことから、見通し期間の後半、すなわち 2026年度末にかけて、「物価安定の目標」と概ね整合的な2%程度の水準で推移するとの考えです。』

・・・・でまあこのコーナー、なんとここまでで終了の巻となっていまして、展望レポートからのアップデートも無いままの棒読みという恐ろしいものになっていまして、期初のスタートダッシュでお忙しい群馬県の経済界の皆様を集めてこんなのにお付き合いさせられるとか何なんですかというお話ではございますけれども、まあ通商政策のつの字もありませんね。


でもってその次に『(2)経済・物価見通しにおけるリスク』を見ますが、

『こうした経済・物価の先行きの見通しには高い不確実性があります。私が注目する経済・物価見通しにおけるリスクについて3点お話しさせて頂きます。』

というからもしかして自我が発露されるかと期待するのですが・・・・・・・・

『リスクの1点目は、米国の関税政策を含む政策と、海外経済と国際金融資本市場の動向を巡る不確実性の高まりです。関税政策は、その大きな一つで、様々な経路を介して日本経済に影響を及ぼす可能性があります。グローバルな貿易活動や、わが国企業の輸出・生産・販売・設備投資、そして、業績への直接的な影響に加えて、関税を含む政策の不確実性の高まりが、国内・海外の企業・家計のコンフィデンスに影響し、わが国の実体経済や物価に影響を及ぼす可能性もあります。資源価格や国際金融資本市場の過度な変動や調整によって、経済への下押し圧力がさらに増幅される可能性もあります。影響の程度は、関税政策の今後の帰趨に大きく依存しますので、動向を高い緊張感をもって注視していく必要があります。』

・・・・・なんですかこの棒読み感は、という話ですがその次に行きますと、

『2点目は、企業による賃金・価格設定行動です。これまでの持続的な物価上昇は、家計や企業の中長期的な予想物価上昇率の上昇をもたらしてきており、企業の賃金・価格設定行動には、従来よりも積極的な動きがみられています。先ほど申し上げたように、1点目の通商政策の影響とは別に、既往の物価上昇に対応した価格改定の動きはまだその過程にあるとみているのですが、労働需給が引き締まった状況が維持されるもとで賃金の上昇圧力がさらに強まる可能性や、それらを販売価格に反映する動きが想定以上に強まっていく可能性があります。』

ほうほうそうですか(棒読み)

『3点目は、消費者マインドの悪化が、所得から支出への前向きな循環を阻害するリスクです。前述の通り、所得環境が改善していることや、政府によるこれまでの物価高対策の効果もあって、個人消費は緩やかな増加基調にあると判断していますが、食料品など身近な品目の価格上昇率の高まりもあり、マインドの改善は一進一退の状況です。関税政策を巡る不確実性や、雇用・所得環境や国内経済の不透明感、物価上昇による生活防衛意識の今後の一層の高まりなどが、消費者マインドのさらなる重しとなって、実体経済を下押しする可能性があります。』

でまあこの消費者マインドのところは最新ネタって感がややする(ゆうて前から生活物価の上昇がマイナスにって懸念は大本営では示しているけど)のですが、とりあえずベンダーヘッドラインを拾って読んでいるだけですと、割とこう通商政策の悪影響に関して注目をしているようなヘッドラインの打たれ方をしていますが、それはベンダーの方がそっちじゃないと面白くないからそういう風に打つ訳でして(確かに言及していることなんだからベンダーも別にウソ言ってるわけではない)、ほうほうそうですか警戒的ですか、となるのですが、こうやってテキスト読んでみると「ただの棒読み」感が強い上に、米国通商政策の今後の影響に関して、そこまで大きな懸念っぽい雰囲気というかハトハト感を出さないようにしている、というのが何となく伝わってくると思うのです。


・政策に関しても余計なことは全然言わないというスタンス

群馬県経済の話コーナーが最後にありますが、その前の金融政策関連コーナーの最後は『4.日本銀行の金融政策運営』になりますが、その冒頭は

『日本銀行の本年1月および3月の金融政策決定会合での決定内容について、振り返ります。』

ということから始まってただの説明。でもってこのコーナー最後のパラが先行きの金融政策運営に関するお話になっていますけれども、

『今後の金融政策運営は、現在の実質金利の水準を踏まえると、先行きの経済・物価・金融情勢次第ではありますが、日本銀行の経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』

といういつもの奴から始まり、

『今月末から開催される金融政策決定会合では、新たに 2027年度の見通しの公表を控えています。関税政策の影響を含め、不透明感が一層高まっている状況と考えていますので、内外の経済・物価情勢、金融市場の動向を、予断を持たず、丁寧に確認し、適切に政策を判断してまいります。』

・・・・・・・・・・ノー決め打ちというか何かの示唆もなし、ということでして、まあそもそも論として「事前地均し」っての大概にせえと思っているので別に事前地均ししなくて良いのですが、今回は地均し云々以前の話として、何らかの方向性をだすことも一切しない、というのが徹底されていると思いました。


この点に関しては昨日も半期報で植田総裁国会答弁していましたけれども、国会などでの一連の説明の中で、従来だったら出ていてもおかしくないハトハトチキン音頭が全然出てきていない(米国通商政策の先行きが不透明なのだから先行き不透明ですよというのが入るのは当然の話ですけど、そこからハトハトチキンに踏み込む昨年8月のようなプレイが一切見られない)のがインプリケーション、という話だと思うんですよね、個人の感想ですけれども。



〇1年短国は金利の低下で応札の減少ですかそうですか

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250417.htm
国庫短期証券(第1300回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1300回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号      国庫短期証券(第1300回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項

3.発行日     令和7年4月21日
4.償還期限    令和8年4月20日
5.価格競争入札について
(1)応募額          6兆7,948億円
(2)募入決定額    2兆4,446億9,000万円
(3)募入最低価格     99円45銭9厘
(募入最高利回り)    (0.5454%)
(4)募入最低価格における案分比率    62.2222%
(5)募入平均価格     99円47銭5厘
(募入平均利回り)    (0.5292%)』

ということで、1年短国に関しては今回応札少ないなという感じでして、

3月の1年短国

応札:9兆191億円
落札利回り:平均0.6184%、足切0.6275%

2月の1年短国

応札:8兆5,197億円
落札利回り:平均0.6107%、足切0.6228%

ということで、今回はこれに対して1年短国0.5台で入札を迎えるの巻になったので、そりゃまあ絶対水準でここまで下げられて、一方で別に利上げ観測自体が完全に死んでいる訳でもないし、だいたいからしてさっきの日銀ネタにあるように、日銀だって利上げの看板は下ろしていないんだし、と考えますとまあ0.5%カツカツの金利だとね・・・・・って感じなんですかね、知らんけど。

でまあ本日はいつものように3Mの入札があるのですが、WIは33bpということでまた元に戻って仕舞いましたが何かという風情ですけれども、はてさてどうなるのやらという所ではありまする。




〇なるほどこれはちょうかじゅんびざんだかをすぴーどをもってさくげんしないといけませんね(変換ミスではありません^^)

いやーこれは禿げ上がるほどワロタというかこんな答弁に付き合わされる神山理事お疲れ様です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d1b91e0c8d5ccae38e55873db92ad25297c253aa
西田議員「回りくどいんだよね、答弁が」と呆れ…1月利上げ→メガバンク3000億円の儲けに
「日銀が上げてくれたから利益が出るのはちょっとおかしいんじゃないか?」国会で追及
4/17(木) 12:31配信

西田先生というのはリフレ残党で財政出せ出せとやかましい先生様であらされる訳ですが、超過準備付利による金融機関への利息支払い、に関してああでもないこうでもないといちゃもんをお付けになられたようですね。

・・・・えーっと、この超多額の利息付日銀当座預金ってのは西田大先生ももろ手を挙げて賛同されていた黒田緩和の帰結で残っているものでございまして、その後始末が終わっていないのでこういう利息支払いが発生している、ということなのでして、このメガバンクうん千億円の儲けが怪しからんというのであれば日銀当座預金残高を早急に減らすしかない訳ですな。

ということですので、これは日銀が未だに月額数兆円とかいうような規模で長期国債の買入を継続して、日銀当座預金残高の適正規模への縮小ペースを渋っているのは怪しからん、という事になるわけですので、輪番減額ペースの一段の加速、あるいは日銀保有国債の売却まで考えた方が良いんじゃないですかヤダー(棒読み)というお話ですね!!!!!(吐血)

・・・・・・・まあそれはただの皮肉ですけれども。

とはいえまあ何ですな、政策金利引き上げていくにつれこの日銀当座預金付利垂れ流し問題というのは政治的にも言われだす話(その点FEDってとんでもない垂れ流しをしているのに政治イシューになってこないのは凄いなと思います)になる訳でして、この点からも日銀当座預金を減らしていくためには日銀のバランスシート縮小をあんまりチンタラとやっている訳には行かないと思うんですよね。

だって本当に2%の物価安定目標が達成できるんだったら短期政策金利はどう低めに見積もっても2%よりも高くないと変なんだから、単純に言って今の4倍以上付利お支払いってことになって、そらもう政治的にもっとややこしいことになる次第。

なお、そもそも論として「貸出で儲けろ云々」ですけれども、銀行が貸出を行うと同時に銀行の預金(銀行から見たら預金者からの借入金みたいなもん)が同時に発生しまして、それ自体は日銀当座預金残高に対して作用しませんので(債務者が借入金で何らかの購入を行った結果として当該銀行の預金が他行振込みされると個別行的には日銀当座預金が減るけど仕向先の銀行の日銀当座預金が増えるのでチャラでんがな)、日銀当座預金付利の話と貸出で儲けろ云々の話は話の次元が違うのですが、間違えやすいので注意しましょう(−−;








2025/04/17

お題「パウエル挨拶は引き続き当面は物価重視じゃろこれは/補正見送りが市場の警告(かどうかはアレですけど)が届いていたらイイハナシダナーですね(雑談)」

日本の特に債券市場も大概ですがアメリカン市場も情緒不安定ですなあ・・・・・・

〇FOMC議事要旨とか言ってましたがよく考えたらパウちゃんの講演があったのでそっちを(滝汗)

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20250416a.htm
April 16, 2025
Economic Outlook
Chair Jerome H. Powell
At the Economic Club of Chicago, Chicago, Illinois

たいして長くないので寝起きで全文ざざっと鑑賞。

・ラジャンキタコレ

最初は時候のご挨拶。

『Thank you for the introduction. I am looking forward to our conversation, Professor Rajan. First, I will briefly discuss the outlook for the economy and monetary policy.』

ラジャンキタコレ(と書きたかっただけ)

『At the Fed, we are always focused on the dual-mandate goals given to us by Congress: maximum employment and stable prices. Despite heightened uncertainty and downside risks, the U.S. economy is still in a solid position. The labor market is at or near maximum employment. Inflation has come down a great deal but is running a bit above our 2 percent objective.』

米国経済は「still in a solid position」なんですと、ということで本編開始。


最初の小見出しが『Recent Economic Data』です。

・成長率に関して

『Turning to the incoming data, we will get the initial reading on first-quarter GDP in a couple of weeks. The data in hand so far suggest that growth has slowed in the first quarter from last year's solid pace.』

1Qのデータが出てきましたが、今得られているのは昨年のソリッドなペースからは減速しておるということですな、だそうで、最初のパラは成長率の話になります。

『Despite strong motor vehicle sales, overall consumer spending appears to have grown modestly. In addition, strong imports during the first quarter, reflecting attempts by businesses to get ahead of potential tariffs, are expected to weigh on GDP growth.』

自動車販売強いんですけど全体の消費を見るとモデストな成長だし、輸入が強くて、これは関税前の駆け込みがあると思うんですが(輸入はGDPのマイナス項目だから)GDPの成長に対して重しになっております、だそうです。

次のパラグラフでセンチメントの悪化、というのを別に立てている辺りがトランプのヤローって感じでしょうかw

『Surveys of households and businesses report a sharp decline in sentiment and elevated uncertainty about the outlook, largely reflecting trade policy concerns. Outside forecasts for the full year are coming down and, for the most part, point to continued slowing but still positive growth. We are closely tracking incoming data as households and businesses continue to digest these developments.』

家計や企業のセンチメントはトラ公のせいで(というような直接表現はしてません為念^^)急速に下がっておりまして、今年の見通しも下がっています、ただプラス成長見通しは維持されています、でまあワシらは今後の企業や家計のデータを注意深く追っていきますよ、というのが成長率のお話でした。


・労働市場に関して

次のパラは労働市場です。

『In the labor market, during the first three months of the year, nonfarm payrolls grew by an average of 150,000 jobs a month. While job growth has slowed relative to last year, the combination of low layoffs and lower labor force growth has kept the unemployment rate in a low and stable range. Meanwhile, the ratio of job openings to unemployed job seekers has remained just above 1, near its pre-pandemic level. Wage growth has continued to moderate while still outpacing inflation. Overall, the labor market appears to be in solid condition and broadly in balance and is not a significant source of inflationary pressure.』

労働市場は1パラまとめて引用しちゃいましたが、引き続き「労働市場はソリッドだけど過度なインフレ圧力にならないような結構な状態ですよ(゚д゚)ウマー」という話をしておりましてこちらは特段やばい感なし。


・物価に関して(記述量が一番多い)

次のパラはこの順番ですので物価ですな。

『As for our price-stability mandate, inflation has significantly eased from its pandemic highs of mid-2022 without the kind of painful rise in unemployment that has frequently accompanied efforts to bring down high inflation. Progress on inflation continues at a gradual pace, and recent readings remain above our 2 percent objective. Estimates based on data released last week show that total PCE prices rose 2.3 percent over the 12 months ending in March and that, excluding the volatile food and energy categories, core PCE prices rose 2.6 percent.』

物価に関しては先ほどの成長と同様に2パラグラフ使って説明しています。字数ちゃんと計算していませんけど、トータルの行数見ると物価のパートが一番字数が多くなっているということで物価を一番大きいネタにしている、というメッセージじゃないかと思いましたがどうでしょうかね。

『Looking forward, the new Administration is in the process of implementing substantial policy changes in four distinct areas: trade, immigration, fiscal policy, and regulation.』

というのは最近いつも言っている言い方です。

『Those policies are still evolving, and their effects on the economy remain highly uncertain.』

これらは現在進行形でどうなるかよくわからんけど、

『As we learn more, we will continue to update our assessment.』

進行と共に私らの見通しも変化し続けますよ。とまあそりゃそうですねという説明になっていまして、

『The level of the tariff increases announced so far is significantly larger than anticipated. The same is likely to be true of the economic effects, which will include higher inflation and slower growth.』

まあこれも既に何回か言及されていますね。関税引き上げ案として今のところ出ているものは想定よりも大きいので、その影響も大きくて、それってより高いインフレーションとより弱い成長、ってのも含みまっせと。

『Both survey- and market-based measures of near-term inflation expectations have moved up significantly, with survey participants pointing to tariffs. Survey measures of longer-term inflation expectations, for the most part, appear to remain well anchored; market-based breakevens continue to run close to 2 percent.』

でもってインフレ期待の話で締めているんですが、サーベイおよび市場ベースのインフレ期待について、短いタームについてはクッソ上がりしておりまして、どう見ても関税の影響です本当にありがとうございましたというところですが、ロンガータームのインフレ期待は今のところ2%マンデートに整合的な感じですね、ということになっていますが、そもそも論としてロンガータームのインフレ期待に関しては「上がっている」という認識を示したら金融引き締めの加速が必要になるから普通これは「安定している」と言わざるを得ないという面もあるので若干割り引いて読む必要があります。


・関税の物価への影響は一時的ではない可能性がありますってぶっこみキタコレ

ということで次の小見出し『Monetary Policy』に参ります。こちらは2パラ構成です。

最初のパラですが、

『As we gain a better understanding of the policy changes, we will have a better sense of the implications for the economy, and hence for monetary policy.』

トラ公の野郎(とは言ってません^^)の動向を見ながら適時適切に対応しないといかんじゃろ、というのはまあ枕詞みたいなもんですが、

『Tariffs are highly likely to generate at least a temporary rise in inflation. The inflationary effects could also be more persistent. Avoiding that outcome will depend on the size of the effects, on how long it takes for them to pass through fully to prices, and, ultimately, on keeping longer-term inflation expectations well anchored.』

でですね、関税に関してはまず「highly likely to generate at least a temporary rise in inflation」と言ってますが、返す刀で「inflationary effects could also be more persistent」って言ってるのは重要な訳でして、つまりは「関税のインフレ圧力はワンオフだからそれよりも景気重視」というのはちょっとピントがずれている話である、ってことをパウちゃんは言っている訳でして、関税による高インフレ→インフレ期待のアンカーが上に外れる→アイヤー、という流れを警戒しないといけない、って言ってますよねこれって。


・インフレ安定化が重要というのをかなり強調しておりますが・・・・・

ということで次のパラグラフ。

『Our obligation is to keep longer-term inflation expectations well anchored and to make certain that a one-time increase in the price level does not become an ongoing inflation problem.』

ワンタイムの物価上昇そのものはマンデートとの関連で言えば大きな問題ではありません、という話から始まりますが、

『As we act to meet that obligation, we will balance our maximum-employment and price-stability mandates, keeping in mind that, without price stability, we cannot achieve the long periods of strong labor market conditions that benefit all Americans.』

デュアルマンデートのためのバランスが大事です、って最初に言うからさては景気配慮かと思わせますが、「without price stability, we cannot achieve the long periods of strong labor market conditions」ということで物価の安定が重要で第一です、という話をしておりましてどう見ても物価重視ですね。

『We may find ourselves in the challenging scenario in which our dual-mandate goals are in tension. If that were to occur, we would consider how far the economy is from each goal, and the potentially different time horizons over which those respective gaps would be anticipated to close.』

でまあ難しい局面(要はスタグフレーション)になった時にどうするか、という話をしていますが、そこはまあ慎重にどっちを重視するとかに決め打ちしないで、影響の大きさやらその期間やらなにやら考えて適切にやりまっせ、という表現をしていますので、まあ物価重視一点張りということではないって話をしているんでしょうけれども、ただまあ物価のところでインフレ期待を1パラ使っていたりしていますし、基本的にはインフレ重視姿勢なんでしょうな、と思われますがどうでしょうかね。


・最後はまとめのご挨拶

『Conclusion』です。

『As that great Chicagoan Ferris Bueller once noted, "Life moves pretty fast." 』

ありがたそうなお言葉キタコレですなw

『For the time being, we are well positioned to wait for greater clarity before considering any adjustments to our policy stance.』

状況を見極めるのには今の政策は良いポジションにいます、といつも通りの説明をしていまして、

『We continue to analyze the incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』

まあその判断するまで動かんという話ではありますな。

『We understand that elevated levels of unemployment or inflation can be damaging and painful for communities, families, and businesses. We will continue to do everything we can to achieve our maximum-employment and price-stability goals.

Thank you. I look forward to your questions.』

最後はまあご挨拶でした。



〇補正予算今国会見送りに超長期金利上昇が響いていたら結構なお話ではあります(なお相変わらずアホが発見されますな)

・補正予算云々にもしかして超長期金利上昇が何らかの影響を与えていたら慶賀すべきお話

昨日の朝はこんなのがあったのを華麗にスルーしてましたね
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250416/k10014780401000.html
“新たな補正予算案の編成 見送る”自民幹部 物価高対策めぐり
2025年4月16日 0時28分

『物価高対策をめぐり、自民党幹部は、今年度予算の執行を通じて、エネルギー価格の抑制などに取り組むとして、新たな補正予算案の編成は見送る考えを示しました。物価高対策をめぐり、自民党幹部は15日夜、記者団に対し「ことし6月から8月までの3か月間、予備費を活用して電気・ガス料金の抑制を行う。ガソリン価格は前倒しで来月後半から定額の引き下げを実施する」などと述べ、先に成立した今年度予算の執行を通じて、エネルギー価格の抑制などに取り組むと強調しました。』(上記URL先より)

ってエネルギー価格ってこれから世界的な景気懸念とかになったら下がるじゃろという話だし、トランプ関税ドル安に効いてるんだからそんな施策必要なのかという問題はあるのですが、まあ何かやってる感を出したいんでしょうとはおもいましたが、何にせよいきなりの補正予算とかいう財政ガバガバ垂れ流しパンパースジジイになるのは回避できて誠に結構。

でまあ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/URE6EZU2QJMBFHXRTJN2J7UAWM-2025-04-16/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利1.29% 利上げと財政拡大巡る観測が後退
ロイター編集
2025年4月16日午後 3:28 GMT+9

ってことになっていて、これ記事中の植田総裁の産経インタビューに関してはそれハト派じゃねえだろと思うのですが、それはそうと財政懸念後退という扱いになってフラットニング継続で昨日はツイストじゃなくてブルフラットになっておりましたが、もしかして超長期金利がクッソ上昇したことがこのダダ漏れ財政モードに一石を投じていたのであれば、「市場の警告が届いた」という話なので大変に結構なこと(個人の感想ですが)でして、こういうのを日銀の買入拡大とかツイストオペとか言って抑圧しようとかいうのは国賊に値する不見識というのが示されて誠に宜しかったんじゃないでしょうか、知らんけど。


とは言いましても届かない人には届かないので・・・・・・・・


・錬金術キタコレwwwwwwwww

サムネがアレなので閲覧注意
https://www.fnn.jp/articles/-/858263
消費税「財源5兆円で一律5%に」立憲・馬淵氏が新たな減税案を提示 仕組み転換で「輸出還付金」を廃止
フジテレビ
政治部
2025年4月15日 火曜 午後11:36

『現行制度では、国内での仕入れ・製造段階で消費税分を支払った事業者が海外輸出した場合、政府から「輸出還付金」を受けますが、新たな仕組みに転換すると不要となります。馬淵氏の案では、「輸出還付金」の廃止で約8兆4000億円〜9兆6000億円の支出を削減できると見積もっていて、これを財源として充てることで税率を一律5%にします。』

『馬淵氏は「理論上、小売売上税へ転換しても税収は変わらない。必要財源5兆円程度で、5%に減税することが可能になる」と主張しました。』(以上上記URL先より)

「税収が変わらない」のに「9兆円の財源が出てくる」という時点でインチキでしょという話ではある、というか言ってる本人が気が付かない、というのが義務教育の敗北としか申し上げようがないのですが・・・・・・・

まあアレです、(1)事務経費に9兆円くらい掛かっているからやり方を簡素化することによってその分が浮く、というのなら話はわかるのですが、まさか事務経費に9兆も掛かってねえだろとは思いますし、そうじゃないなら(2)輸出還付金って(物凄く雑に言うと)輸出業者に対して部品などを販売した企業が払った消費税を控除する施策なんだから、還付金廃止して9兆円涌いて出てくるためには元の消費税そのまま残すことになる、ということでそれなら税収は増えるけど実質的に輸出企業への増税と同じ(実質的な仕入価格が上がるんですけど)だわさ、ということでして、課税ベースの実質的な拡大を行うことによって全体の税率を下げるのはまあ所得再分配ですわな、ということになりますな。

いやまあそれはそれで考え方として一つの考え方ではあるんですけど、トランプ関税でエライコッチャで中小企業の資金繰り対策ガーとか言ってるご時世なのに、輸出企業の負担増える話をぶっこんでくる、ってのは意味くじ分からん訳でして、とにかく消費税下げる、というスローガンを出すために目先の課題に対して逆効果になる施策をぶっこんでくるというのがもう義務教育の敗北な訳でとりあえず幼稚園からやり直していただきたいものだと思いました(あくまでも個人の感想です)。

という悪態でした。








2025/04/16

お題「20年入札で月曜の逆のツイスト&シャウト(という備忘メモ)/今更ですがFOMC議事要旨より(しかも今日のは目先の話ではない)」

ほほう
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB151OE0V10C25A4000000/
高齢者向けNISA創設を検討 金融庁、毎月分配型解禁へ
日経スクープ
2025年4月15日 19:00 [有料会員限定記事]

まあノーコメントですけど。


〇20年国債入札が無事で逆にツイストあんどシャウトですかそうですか(備忘用メモ)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/MTSNQ73U7VMLPJFHG3SM7ZKDNU-2025-04-15/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.36% 買われ過ぎの反動や株高で
ロイター編集
2025年4月15日午後 3:25 GMT+9

『[東京 15日 ロイター] - <15:13> 国債先物は反落、長期金利1.36% 買われ過ぎの反動や株高で

国債先物中心限月6月限は、前営業日比67銭安の140円45銭と反落して取引を終えた。日米株高や最近の買われ過ぎの反動から、国債先物は売り圧力が強まった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.360%。』(上記URL先より、以下同様)

というよりも後にあるように超長期VS中短期で逆のツイストしてたので、確かに先物盛大に下がっているんですけど・・・・・・

『後場に入り、国債先物は下げ幅を拡大。20年債入札が想定通り弱めの結果と受け止められたことが相場の重しとなった。』

っていう後講釈になっていますが、20年入札まあそんなに強くは無かったけど、札が集まらず地獄の一丁目みたいな入札になったらリアル北斗の拳状態とかいう懸念もあったりなかったりした訳ですが、その後20年債はカーブ的に月曜の逆方向にツイストあんどシャウトしているんですからこれはちょっとチャウんじゃないのとは思いましたが(いやまあ中長期に売りが出たのは出たんでしょうけど)。

『    OFFER  BID    前日比 
2年   0.632  0.64    0.055  15:02
5年   0.873  0.881    0.071 15:12
10年  1.359  1.366    0.03  15:10
20年  2.377  2.387   -0.047  15:12
30年  2.803  2.822   -0.008  15:12
40年  3.212  3.223    0.011 15:10』

BBさんの引値と若干イメージが異なる前日比になっていますけど、まあ傾向としては20年中心にツイストという図ですし、中短期は何やってますのよという感じで、前日に0.6%割れとかやってた2年債いきなり0.6台半ばまで戻っているとかお前らの利上げ確率の計算はどうなってるんだと小一時間、と言いたいですがまあポジションの投げ踏みとか色々とあるんでしょうね、知らんけど。

とまあそういう訳でとりあえず盛大な需給懸念イベントだった20年国債は無難というよりは無事、って感じだと思うのですけれども通過しましたけど、結局昨日も昨日でイールドカーブが手負いのヒグマかって勢いで暴れ散らかしているので、相場落ち着いたって感じではないのが悲しいところではありまする。まあホワイトハウスが予測不可能な暴れ散らかし方している上に国会方面ではもう減税財政支出の話ばっかりで財政規律のキの字も無い駄々洩れパンパースおじさんおばさんが暴れ散らかしているのですから落ち着かないのはしゃあないと言ってしまえばそれまでではありますが。


〇まあ相場様も暴れ散らかしているのですが落ち着いてFOMC議事要旨を(その1)

すっかり出遅れましたすいませんすいません。

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20250319.htm(HTML)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20250319.pdf(PDF)
Minutes of the Federal Open Market Committee
March 18-19, 2025
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, March 18, 2025, at 9:00 a.m. and continued on Wednesday, March 19, 2025, at 9:00 a.m.1


引用はHTML版から参りますが、まあ目先の政策とかいわれましても状況がだいぶ変わっているのでその辺は「ロジックを確認」するのが吉であんまり目先の現世利益にならない回になってしまったわな、と思いますのでインスタントとかしないでボチボチ読んでいきます。


・「最大雇用」のコンセプトについて

最初のところに『Review of Monetary Policy Strategy, Tools, and Communications』ってのがありまして、まあ目先の政策云々は全然関係ない話になるのですが、アタクシの趣味的に面白いお話をしてるじゃろ、と思ったらしていましてですね・・・・・・・・・・・

『Committee participants continued their discussions related to their review of the Federal Reserve's monetary policy framework, with a focus on labor market dynamics and the FOMC's maximum employment goal.』

ということで話が始まりますが、

『The staff briefed policymakers on the concept of maximum employment and related labor market indicators.』

「最大雇用」を示すコンセプトと、その状況を示す指標とは何ぞや、という議論です。

『They discussed conceptual benchmarks used in evaluating the position of the labor market relative to maximum employment and in ascertaining the interaction of maximum employment and price stability.』

で、コンセプチュアルなベンチマークについての議論として、

『They discussed a set of core labor market indicators used to help assess maximum employment, including the unemployment rate, job vacancies, the employment-to-population (EPOP) ratio, and the labor force participation rate (LFPR), and described the use of these indicators in assessing maximum employment during the pandemic-related recession and subsequent economic recovery.』

失業率の他には job vacanciesだのthe employment-to-populationレシオだのlabor force participation rateだのがあって、これらを使って最大雇用というマンデートの達成について、パンデミック以降の経済についてどうでしょうという議論をしたようで。

『The staff also presented model-based analysis of simple monetary policy rules that respond to deviations of inflation from 2 percent but differ on whether they respond to shortfalls or deviations from maximum employment.』

でもってスタッフはいわゆる金融政策決定ルールベースで、物価及び雇用インディケーター、ただし雇用に関しては短期的なブレを除外したもので計算したものを出したそうですな。

『Participants generally supported the current description of maximum employment in the Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy as being not directly measurable and changing over time for reasons owing largely to nonmonetary factors.』

でもってFOMC参加者の大方の見解として、今の最大雇用に関するロンガーランストラテジーの記述は、直接的に計測不能で、しかも金融政策以外のファクターで動き得るものではあるけれども、この記述自体は別に問題があるとかではなくて概ね皆さん賛成のようですね。

『Participants acknowledged that it is difficult to assess maximum employment and that they have been well served by monitoring a wide range of indicators that can vary depending on labor market and economic conditions. They also reflected on how both the Committee and the public have interpreted the current description of maximum employment as a broad-based and inclusive goal.』

よって、参加者の皆様の認識として、「最大雇用」というのは直接計測するのは難しいもので、幅広い指標を見て判断するものだし、経済や労働市場の環境(構造)変化によって見ていくことも変わっていくものだとしました、と来まして、「最大雇用」というのは様々な意味を含むゴール( a broad-based and inclusive goal)でして、ロンガーランストラテジーの文言をFOMCと一般の皆様がそのように解釈できていますかしらという事も議論したということですかしらん。


『Participants reviewed the relationship between the dual-mandate goals and noted that those goals are not necessarily in conflict when both unemployment and inflation are low.』

でもって次はデュアルマンデートに関してのコンフリクト問題についてですね。物価安定と最大雇用について、インフレと失業が低いときに必ずしもコンフリクトが起きるわけではない、という話をしていまして、それって失業が低い中でインフレ低いけど刺激、というのは無問題、という話をしているのですが、問題はそれ物価が上がって来た時にどのタイミングで緩和政策を中立化するのか、という難しい問題につながっていると思うのですが、このケースの話はここで終わっていまして、うーんそれはパンデミック以降のインフレ高進を助長した筈だからちょっと議論して欲しいとは思ったのですが・・・・

『Participants also discussed the implications of pursuing a strategy that seeks to mitigate shortfalls of employment from its maximum level, as described in the statement, and the ways the public has interpreted that approach since it was introduced into the statement.』

さっきは「失業が低いとき」の話でしたがその次の文章では「「最大雇用」に対して雇用が不足している時」の話をしていまして、この時に雇用不足への対応をする際のインプリケーションについて議論をしました、でもってロンガーランストラテジーのステートメントに示されている最大雇用云々を追求するための施策に関して一般の皆様がどのように解釈してきましたか、という点の議論を行った、とややこしい文章になっておられます(単にアタクシの頭が足りないだけというツッコミはありますがw)。

『Participants indicated that they thought it would be appropriate to reconsider the shortfalls language.』

でまあ結局なんですねんこの話ってのの答えが次の一文にありまして、「shortfalls」って言葉について再検討をすべきですよ、というお話になっていまして・・・・・

『They judged that any strategy conveyed in the statement should be robust to a wide range of economic circumstances. 』

ストラテジーのステートメントで示される表現は幅広い範囲の経済状況に対応できるものでなければならないし、

『They also considered the extent to which the current statement had effectively communicated the Committee's approach to achieving its longer-run goals, including the Committee's assessment of the appropriate policy responses in a period of a tight labor market.』

今の(ロンガーランストラテジー)ステートメントの文言が、FOMCのアプローチ手法を一般向けにうまく説明出来ていたか、ということに関して、労働需給がひっ迫している際においてもできていたのかも検討しました、ということで最後に「in a period of a tight labor market」とやっと直近の「労働市場がクソタイトな時の政策運営」に関しての話をしている感じですが、まあこれは色々と端折りまくっている感がある(最終的に出てくるのはどうせジャクソンホールのタイミングですから途中の話に関してはトピック羅列方式にならざるを得ない面はあるのは分かる)ので、まあどういう話をしているのかが詳しくは見えない部分がありますけれども、「最大雇用」に関するストラテジーに関しては色々と悩んでいる面もあるのかね、とは思いました。

でもってちなみに例のロンガーランストラテジーですが、

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/FOMC_LongerRunGoals.pdf
Statement on Longer-Run Goals and
Monetary Policy Strategy
Adopted effective January 24, 2012; as reaffirmed effective January 30, 2024

一応定義としてはこちらの第3パラグラフに、

『The maximum level of employment is a broad-based and inclusive goal that is not directly measurable and changes over time owing largely to nonmonetary factors that affect the structure and dynamics of the labor market.』

というのが最初にあって、だからこうです、ってのが同じパラの後半に、

『Consequently, it would not be appropriate to specify a fixed goal for employment; rather, the Committee’s policy decisions must be informed by assessments of the shortfalls of employment from its maximum level, recognizing that such assessments are necessarily uncertain and subject to revision. The Committee considers a wide range of indicators in making these assessments.』

ってあって、ここにさっきのshortfallsってのがございます(あと2回この単語は出てくる)けれども、ここの表現をもう少し変えますとかいうのはあるのでしょうね。


〇おまけですがカシュカリ大僧正

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-13/SUO02UT0AFB400
FRBにできることはインフレ期待の安定のみ−ミネアポリス連銀総裁
Tony Czuczka
2025年4月14日 1:57 JST

『「米国における新常態が何かを、米国および世界の投資家が見極めようとしている。その行き先に対するFRBの影響力はゼロだ」とカシュカリ氏は指摘。「われわれにできることは、インフレ期待を安定させ、その過程で起こる浮き沈みの一部を管理することだけだ」と続けた。』(上記URL先より)

大僧正良いこと言ってるじゃんと思いましたが、こういう話になってくるとデュアルマンデートとは、って話にも繋がるので、議論はまたややこしくなるかもしれませんね。










2025/04/15

お題「超長期・・・・・・orz/でも政治方面には響いてませんねえ/生活意識アンケートは物価観強いですが・・・・」

ほうほうそうですかそうですか
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/YNIWGCOT2FORTA2FIJZJGPGQEM-2025-04-14/
短期インフレ期待、23年10月以来の高水準に=NY連銀3月調査
Michael S. Derby
2025年4月15日午前 1:12 GMT+9

でもって
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/X4AL44HCYVN7FER72ZWHKY7BEU-2025-04-14/
FRB、景気後退回避に利下げも 関税「大きな衝撃」=ウォラー理事
Howard Schneider
2025年4月15日午前 3:19 GMT+9

・・・・ほほう。

〇超長期ェ・・・・・・・

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/3LFAWSN7JFPGPFDXSHXYTSPM6Y-2025-04-14/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続伸、長期金利1.335%に低下 超長期債は売り継続
ロイター編集
2025年4月14日午後 3:28 GMT+9

『[東京 14日 ロイター] - <15:18> 国債先物は小幅続伸、長期金利1.335%に低下 超長期債は売り継続

国債先物中心限月6月限は、前営業日比5銭高の141円12銭と小幅続伸して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.0ベーシスポイント(bp)低下の1.335%。一方で超長期金利は大幅上昇し、地合い悪化が継続した。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、もはやめんどくさいというか記事の方も特に何か書いて有るわけでもないので結果だけ引用しますと、

『    OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.578  0.586   -0.036 15:03
5年   0.803  0.811   -0.037 15:09
10年  1.328  1.338   -0.019 15:13
20年  2.424  2.432   0.069  15:13
30年  2.804  2.827   0.096  15:13
40年  3.186  3.193   0.084  15:13』

・・・・・・・・orz

ご案内の通りですが超長期がうんこゲロゲロ状態になっておられる訳ですし、2年とか5年とかおまえその利回りで良いのかよ(2年また0.6%割っているんだがナンジャソラ)という動きでして、ドイヒーではあるのですが、これ昨日も申し上げましたが、もっと前の時点で財政リスクとかを反映した価格形成になっていて然るべきだったところだったんでしょうけれども、という所ですが、よく考えてみれば2月3月の金利上昇だってそこまで金利があんまり上がらんかった反動的な部分もあって、昨年8月以降1月利上げの前までのハトハト姿勢も変にマグマを溜めてしまった面があるんじゃネーノとか思ったり思わなかったり。

でまあゆうてこういうのは無限に売られるわけでもないので落ち着くところに落ち着くんでしょうけれども、期初劈頭でこれは参加者萎えるわという感じで復活にはお時間かかるのかもしれませんな、南無三。


〇なお財政拡張懸念で超長期金利上昇というのはまだ響いていない模様(アカン)

ブルームバーグさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-14/SUOWFLT0G1KW00
【日本市況】超長期債が大幅安、入札や財政拡張を警戒−株と円は上昇
山中英典
2025年4月14日 14:06 JST 更新日時 2025年4月14日 16:41 JST

『14日の日本市場は超長期債が大幅下落。15日の20年国債入札や財政拡張に対する警戒感から売りが膨らみ、20年債と30年債利回りは21年ぶりの高水準を付けた。』(上記URL先より)

ということで財政懸念という文字列がありましたが、記事中別にそんな話もたいして出ていないのは残念な話ではありますけれども、まあ能天気連中がこんなことを言いますと益々長いところの債券買う気無くすのですけど、まあこいつらには超長期金利上昇って届いていないんでしょうね。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA132NJ0T10C25A4000000/
消費減税へ赤字国債発行を 国民民主党・玉木雄一郎代表
政治
2025年4月13日 20:15

『国民民主党の玉木雄一郎代表は13日、政府に求める時限的な消費税率5%への引き下げの財源について「ちゅうちょなく赤字国債を発行したらいい」と主張した。「提案はあくまで短期の経済対策だ。非常に経済が悪くなった時を下支えする意味だ」と岡山市での講演で語った。』(上記URL先より)

「ちゅうちょなく赤字国債を出す」って言うような人間に財政の舵取りさせたらジンバブエ待ったなしで故ロバート・ムガベ師匠も空からニッコリと微笑されることかと存じますが、こんなのが党首の政党が世論調査で野党一番人気とかになっている状況で国債のクソ長いもの買えるかと言われますとそりゃ唸るじゃろということでこれは玉木nショックでもあるわけですが、

>提案はあくまで短期の経済対策だ。非常に経済が悪くなった時を下支えする意味だ

って言ってる辺り、玉木n大先生の場合根がアホウではないので、超長期の金利がバンバン上昇している背景の一部にはガバガバ財政懸念の台頭というのがあって、立ち回り間違えると自分たちが戦犯にされてしまうというのには気が付いているんだろうなあと思う訳ですわ。この辺りの小知恵の回り方はさすがですわと思いますけれども(褒めてない)。

「非常に経済が悪くなった時を下支え」って今の状態のどこが非常に経済が悪くなった時じゃというツッコミしかないのですが、逆に財政出すために経済が悪いとかいうのを阿呆のように大騒ぎしてマインド悪化させるなヴォケという感じですが、ここでまた新しいのが参戦して参りまして債券市場的には(ノ∀`)アチャーと頭を抱えるわけですが。

はいはい高市高市
https://www.sankei.com/article/20250414-T3S7YSK7INEO5GCNEL7LHUVB4A/
自民・高市氏「減税と賢い政府支出」訴え 森山幹事長の「減税は国際的信認失う」に反論
2025/4/14 14:04

『自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は14日にX(旧ツイッター)で、森山裕幹事長が講演で「財源の裏付けのない減税政策は国際的な信任を失う」などと訴えた内容について反論した。「減税」や「賢い政府支出」の必要性に触れて「財政拡大は、景気を押し上げ、むしろ税収は増収になる」と強調した。』(上記URL先より、以下同様)

そもそもお前らワイズスペンディング今までやったことあるのかという時点で机上の空論ですし、景気を押し上げて税収が増収になったらなった傍から「税収を還元」とか言い出すの最初から分かり切っている訳で、まあ何を言ってるんでしょうねえというお話ではありますが、さらに笑ったのは、

『海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す24年の経常収支の黒字額が前年比29・5%増の29兆2615億円(速報値)だったことを踏まえて「『トラス・ショック』当時の英国は、国際経常収支は赤字でした。今の日本でトラス・ショックは起きません」と指摘した。』

まーた経済ブレイン(笑)の若田部某あたりが吹き込んでるんじゃろという話ですが、お前は何を言ってるんだこれは国際収支がどうのこうのじゃなくて信認の問題じゃろと存じますし(それに経常黒字赤字ったってその内容が貿易なら安定してるけど資本だったら足が速いし、短期資本の急激な引き上げでアジア通貨危機起きたんじゃろ(と書いて気が付いたがあれは30年近く前の話ですね。ついこの前くらいのイメージだわワシorz)という話なのでそもそもの立論も微妙ですわな)さっきの某の場合は超長期の金利上昇に対して何かを気にしている感も無くは無いのですが、こちらはいつも通りのホンモノ感溢れるアレな訳でして、こんなのがホイホイとヘッドラインに出てきて、しかもかなりの大声だというのがまあ今回は従来と違うかもしれない点ですな。

一方で米国ではこういう話が出ている、といってもまあイエレンさんの場合はトランプ怪しからんだからこういうインセンティブが働くという点は差し引いて読む必要はありますけど、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-14/SUPJWIT0AFB400
米国債売りは機能不全ではなく、政策への信頼低下を示唆−イエレン氏
アンスティー・クリストファー
2025年4月14日 22:48 JST
→国債利回り上昇・ドル安は異常、ドル資産敬遠の始まり−イエレン氏
→中国の米国債売りはない、中国自身に悪影響を及ぼす−イエレン氏

一々引用しませんがイイシテキダナーということで。


〇日銀生活意識アンケートの続きで物価に関するパートなど

https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2504.pdf
「生活意識に関するアンケート調査」(第101回<2025年3月調査>)の結果

・短期の物価観は上昇していますが長期の物価観は一応それほどでもないということになるのかしら

昨日の続きで『1-3. 物価に対する実感』から参ります。

『1-3-1. 現在の物価

現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台後半となった。

1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+19.1%(前回:+17.0%)、中央値は+15.0%(前回:+12.5%)となった。

(注1)「あなたが購入する物やサービスの価格全体」と定義。
(注2)『上がった』は「かなり上がった」と「少し上がった」の合計。』

15%ェ・・・・・という感じですが「かなり上がった」の増えっぷりもなかなかのもんでして、『(図表13)現在の物価に対する実感〔Q12、13〕』を拝見しますと、

<1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか>

        平均値(注1)    中央値(注2 )
24/ 9月     +14.5 %       +10.0 %
24/12月     +17.0 %       +12.5 %
25/ 3月     +19.1 %       +15.0 %

(注)1. 極端な値を排除するために上下各々0.5%のサンプルを除いて計算した平均値。
なお、全サンプルの単純平均値は、+19.8%(前回調査<2024/12月実施>:+17.9%)

短期の物価上昇感が飛んでもない上げっぷりになっとるじゃろという話ですが、実際にそれはそうだなと思うので結果に違和感は無いちゃあ無いのですが、逆にこの物価観の中で消費がコケてないというのが凄いわと思うのですが、

『1-3-2. 1年後の物価

1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台後半となった。

1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+12.2%(前回:+11.5%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。

(注)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』

『(図表14)1年後の物価に対する見方〔Q14、15〕』を見ますと、<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか>は体感数値の凶悪な上げっぷりに対してまあ穏当(かどうか知らんが)な上げなんですけど<1年後を現在と比べると>の「かなり上がる」が徐々に増えているのはやはり物価観の上昇が強いということですわな。

ということで短期の物価観がヤバそうな感じですが、では中長期はどうでっしゃろという話で、

『1-3-3. 5年後の物価

5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台前半となった。

これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+9.6%(前回+9.2%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。

(注)『上がる』は「かなり上がる」と「少し上がる」の合計。』

ということで何か最初の「直近の物価上昇」の数字が強烈だったのでそんなに上がった感がしないというエッシャーの騙し絵状態ですけれども、

『(図表15)5年後の物価に対する見方〔Q16、17〕』を見ますと<5年後の見通し>の回答分布とかそんなに変わっている感じでもないですが、<5年後の物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うか> というのを見ると平均値がホイホイと上昇しておりまして、

        平均値(注1)  中央値(注2)
24/ 9月     + 7.9 %      + 5.0 %
24/12月     + 9.2 %      + 5.0 %
25/ 3月     + 9.6 %      + 5.0 %

(注)1. 極端な値を排除するために上下各々0.5%のサンプルを除いて計算した平均値。
なお、全サンプルの単純平均値は、+10.4%(前回調査<2024/12月実施>:+11.3%)。

単純平均は下がっているのですが、半年で平均値随分上がってるじゃんというお話ですけど、ここで昨年4月と一昨年4月の生活意識アンケート調査を確認してみますと

昨年4月
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2404.pdf

一昨年4月
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2304.pdf

昨年4月の5年後物価見通し:  平均+ 7.5 % 中央 + 5.0 %
一昨年4月の5年後物価見通し: 平均+ 8.1 % 中央 + 5.0 %

となっていまして、昨年4月の段階ですこし落ち着いていたのですが、一昨年ってその前の物価上昇がキツかった時だった訳ですが、その時よりも平均値ベースで言えばインフレ期待が上がっているということでもありますし、だいたいからして9.6%って殆どダブルデジットじゃねえかという話で、まあこの数値自体が常に高めに出るというのはあるにせよ、いいんですかねえこの長期インフレの数値の上昇を放置してて、とは思う訳で、これやっぱり政策が後手に回っておられるとしか思えません。いやまあ今月末に利上げするのどうみても無理があるからそれはしなくて良いんですけどwwwwwwwww


・経済の成長力ってこれ物価と所得の掛け算なのかな??

でまあ後はおまけですけど。

『1-5. 日本経済の成長力等』では、

『1-5-1. 日本経済の成長力

日本経済の成長力については、「より高い成長が見込める」との回答も、「より低い成長しか見込めない」との回答も横ばいだったことから、経済成長力D.I.は横ばいとなった。』

『(図表19)日本経済の成長力に対する見方〔Q19(1)〕』を見ますと、まあ数値自体はこんなもんじゃろと思いますが、昨年と一昨年の4月と比較しますと、

今回:現状並み 41.5 低い53.8
昨年:現状並み 44.0 低い50.4
一昨年:現状並み 37.4 低い59.6

となっていて、昨年の方が成長期待が高めで、でも一昨年よりは全然よろしい、という数値になっていまして、何となく物価と所得の掛け算でこの数字決まっているんじゃなかろうか、という気はしましたけれどもちゃんと分析していないからただのイメージです。


・日銀の説明云々はクソワロタ

『1-6. 日本銀行に関する認知度・信頼度等』ってのがあるんですけど。

『1-6-2. 日本銀行の外部に対する説明への評価

日本銀行の外部に対する説明への評価について尋ねたところ、『わかりにくい』(注)と回答した人の割合は5割台半ばとなった。

(注)『わかりにくい』は「わかりにくい」と「どちらかと言えば、わかりにくい」の合計。』

まあこれ自体は「わかりにくい」が多いのは致し方ないのですが、

(図表23)日本銀行の外部に対する説明への評価〔Q31〕を見ますと、直近9月12月調査対比で「わかりにくい」が上がっているのが笑ってしまう所でして、まあ1回だけなら誤差かもしれないのは割り引くとしましても、丁寧な説明をしている筈の植田さん全然響いていませんよ!!!!ってところですかそうですかということで。

・・・・毎日相場がアレで今朝はこの辺りで勘弁させていただきとう存じます(平伏)








2025/04/14

お題「短国再びタイト化が鮮明に/超長期ェ・・・・(メモ)/小野寺政調会長発言/生活意識アンケート(その1)」

ほうほうそうですかそうですか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF118BC0R10C25A4000000/
大阪万博、くら寿司は入店8時間待ち【開幕タイムライン】
大阪万博
2025年4月13日 7:31 (2025年4月13日 22:36更新)

チケットの販売がどうのこうのとか言われてましたけど大盛況じゃないですか〜


〇期初に緩んだ短国ちゃんですが結局また堅調になるの巻

3M入札
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250411.htm
国庫短期証券(第1299回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1299回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。


1.名称及び記号   国庫短期証券(第1299回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日      令和7年4月14日
4.償還期限    令和7年7月14日
5.価格競争入札について
(1)応募額         11兆957億円
(2)募入決定額    3兆4,058億7,000万円
(3)募入最低価格   99円91銭1厘0毛
(募入最高利回り)     (0.3572%)
(4)募入最低価格における案分比率    13.1221%
(5)募入平均価格    99円91銭3厘6毛
(募入平均利回り)    (0.3468%)』

平均落札0.35%割れになってしまいまして、木曜の引けの時点で売参ベースの新発WIが0.360%だったのでまあ普通に堅調というか強い入札になりましたし、応札は11兆円台に乗っていましてこれまた需要ありますじゃん(3/28のクソ流れ入札の時は8兆円カツカツしか応札が無かったことを思いますとエライ勢いでちゃんと札が集まっている状況)というお話でございまして、期初一発目にどう見ても期末調整仮需と思われるものが用無しになったとしか思えない需給の緩みで短国金利全般的に0.3%台後半うっかりすると0.40%に近いところまで来ましたなという風情でしたが、何の事は無い結局需要の強さが勝っておりますなの図。

でまあ金曜は引値の方も中々でして、

売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(4/11引値)
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.350
国庫短期証券1290 2025/06/02 平均値単利 0.350
国庫短期証券1292 2025/06/09 平均値単利 0.350

国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.340
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.340
国庫短期証券1297 2025/07/07 平均値単利 0.330
国庫短期証券1299 2025/07/14 平均値単利 0.320←3M新発

国庫短期証券1298 2025/10/10 平均値単利 0.380←6Mカレント

(4/10引値)
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.405
国庫短期証券1290 2025/06/02 平均値単利 0.405
国庫短期証券1292 2025/06/09 平均値単利 0.405

国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.390
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.390
国庫短期証券1297 2025/07/07 平均値単利 0.360←先週木曜までの3Mカレント
国庫短期証券1299 2025/07/14 平均値単利 0.360←3M新発WI

国庫短期証券1298 2025/10/10 平均値単利 0.390←6Mカレント

・・・・・・お、おぅ

ということでですね、まあ手前の方の木曜の引けの0.405って値付けもどうなのよ(木曜の実力もうちょっと金利低かったんじゃネーノと思います。知らんけど)とは思いますが、上記の通りで、新発の引けは入札よりも全然強い値付けになっていますし、しかも新発だけの話ではなくて、これまで値付け上弱くなっていた2Mどころの金利も一気に修正してきて0.35%の値付けという事になりやがりまして、まあ短国の引値も微妙なところはあるにしましても、市場の雰囲気は示せていると思いまして、ちょうど金曜にネタにした6Mカレントと比較してみますと、金曜の場合は3M以内の短い短国の需給がだいぶ変わったって感じをこの引値は示している訳でして、まあこの短国利回りは相変わらず利上げの可能性がどうのこうの見るには不適ではあるのですが、とは言え短い方が強くなっているということは後述するイールドカーブの避難民なのかリスク回避の避難民なのかは存じませんけれども避難民がまた短国にやってきた可能性も示唆されているようにも思えますが、ゆうてこの辺は想像(あるいは妄想)の世界になりますので実際に大きな玉を振り回している人に聞かないとワカランチ会長ではありますが(滝汗)。



〇超長期がアカンタレになっておりましてこれはいかんですバイな件(だいたい備忘用クリップ)

あいやー
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/CDY67B5HLNPX3HI6YFCTI3EKGQ-2025-04-11/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反発、長期金利1.355%に低下 超長期債は売り継続
ロイター編集
2025年4月11日午後 3:23 GMT+9

『[東京 11日 ロイター] - <15:10> 国債先物は大幅反発、長期金利1.355%に低下 超長期債は売り継続

国債先物中心限月6月限は、前営業日比79銭高の141円07銭と反発して取引を終えた。トランプ米政権の関税政策を受けたリスク回避の動きなどが相場を支援した。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5ベーシスポイント(bp)低下の1.355%。一方、超長期債はこのところの軟調地合いが継続し、金利が大幅上昇した。』(上記URL先より、以下同様)

ということでモウロクジジイの日替わりメニュー(あの大統領令の無茶苦茶運用ぶりを見ると、勅令だって枢密院通さないと行けなかった大日本帝国の方が牽制効いてる(統帥権除く)んじゃネーノ位に思ってしまいますなあ)に毎日振り回されておりますが、

『一方で超長期ゾーンは、20年債が同6.0bp上昇の2.365%と、2006年4月以来の高水準をつけた。30年債は同7.5bp上昇の2.735%、40年債は同8.5bp上昇の3.090%と、このところの軟調地合いが継続。』

ということでとんでもないイールドカーブのツイスト&シャウトが起きている訳でございまして、先物上がっても下がっても超長期死亡ということで段々いかんですバイになってまいりましたが・・・・・・

『    OFFER  BID    前日比 時間
2年   0.606   0.62  -0.054  15:09
5年   0.834  0.845  -0.08  15:10
10年  1.337  1.351   -0.02  15:08
20年  2.352  2.367   0.069  15:10
30年  2.706  2.722   0.064  15:10
40年  3.082  3.093   0.084  15:08』

金曜に2年の金利上がってそらそうよとか言ったら何のことは無いまたお戻りになって0.60%そこそこってお前ら利上げ織り込みはどこ行ったという話ではあるのですが、これはまあ先ほどの短国ももしかしたらそうなんじゃないか、と書きましたけど、2年とかの中期辺りにもイールドカーブの避難民が来ている(短国は利付の中長期国債じゃないから仕切り上買いにくい場合もあろうかと思いますので)からなのかも知れませんねとは存じますけどナンジャソラ(中期全般そうですけど)という感じでございますが、超長期の方がまあ連日悲しいことに。

これまあ切っ掛けは財政懸念ではあると思うのですが、表層雪崩どころか全層雪崩になっている感がごじゃいまして、ボラ上がる→リスク量上がる→想定外にリスクリミット抵触→アイヤーという奴ですか知らんけど、という流れでもありますが、とにかく期初だというのにリスク許容度低下モードって(期末なら時々発生しますけど)ナンジャソラということでこちとら( ゚д゚)としか表現ができませんわな。

・・・・・でまあ考えてみますと、結局これ大本を正せば日銀の今までの馬鹿買入と、減ったとはいえまだまだ買入続いているってことによって現物債の流動性が下がっている状態になっているのと、買入効果によって金利が無駄に押し下げられた結果として金利が上がったら買いが来るという価格調整機能が働きにくい、ってのがやっぱりあるんじゃないですかねえというのが個人の感想としては有るわけで、本来つくべきリスクプレミアムがいままで無かったし、何なら買入の金利押し下げ効果でマイナスのリスクプレミアム状態だったことの裏がどどーんと出てしまっている、ということでこれもまた黒田緩和が抱えていた潜在的な副作用の一つが顕在化している、って思うのですが、まあワタクシが思っているだけで異論はあるかと存じますけどワタクシはそういう事やぞと申し上げて置きたいですわな。

でまあ日銀買入の金利押し下げ効果によって発行の方もホイホイとできていたので、実は諸々考えたらこの金利水準での発行がサステナブルじゃなかったのか、本来はもっと手前の段階で出ていた筈の財政リスクプレミアムがエネルギー溜めた形で今回閾値を超えたので出てきた、ということなのか、まあ何が何だかわからんですけれども、この対応で日銀の超長期の輪番増やすとか言い出すと、目先凌いでも将来にリスクを大きな雪だるまにして先送りして次に問題が起きたときに起きる事象がさらに凶暴になるだけなんじゃないのと思いますな。結局日銀の買入によって今まで下駄を履いていたんだから、発行計画見直して発行年限の振り替えをするならまあ筋としてはアリだと思うけどできるのかどうかは知らん。

とは思ったのでメモメモでした。


〇どういう文脈で言ったのかはわからんですが円安真理教からやっと転換ですかしら

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/SM57DTIDIVNJ7GROZOEVNEFM6I-2025-04-13/
為替円安「物価高の原因」、円を強くしていくこと大事=自民政調会長
竹本能文, 山口貴也
2025年4月13日午前 11:55 GMT+9

『[東京 13日 ロイター] - 自民党の小野寺五典政調会長は13日のNHK番組で、為替政策に関連し「円安が物価高の原因になっている」と語った。円安是正に向け「円を強くし、日本の企業を強くしていくことが大事」との考えも述べた。

為替政策を巡り、小野寺政調会長は「国力、強い経済、強い財政、そして円の信用を高める。これで初めて王道として、もう少し円高のほうに振れる」と言及。「それが物価の下落につながる」との認識を示した。』(上記URL先より)

ということでですね、いやまあそんなの当然じゃいといいたくなりますが、与党の党三役にあたる人がNHKの番組(って日曜討論ですかね昨日だったら)でこういう話をする、ってのは従来中々見ることが無かったと思うので大事かな〜と思って貼っておきました。

でまあこういう話になりますと、もともと為替円安(一応円高修正ということにはなっていますけれども)をドライバーの一つにして物価目標達成しようってやってた黒田緩和に関しては既に現時点では小野寺政調会長の言うことにたいして逆の効果を示すわけですからして、つまりは黒田緩和を引っ張っている植田日銀の政策に関しても緩和修正を不必要に遅らせるのは如何なものか、という話になりますので、ゆうて今月末はさすがにちょっとアレだと思いますが、6月7月ってのは全然修正余地あるんじゃないですかねえ、となるというのは我田引水ですかそうですか(^^)

まあでも与党の党三役の方(これが安部残党だとさらにインパクトありますが宏池会の流れなのでまあそこはインパクトが弱まりますけど)が円安真理教に対してマッコウクジラで逆の話を全国放送のテレビでおっぱじめた、というのはほえーと思いましたし、やっとまともになってきたわ良い傾向だわと思いましたので・・・・・


〇生活意識アンケートである(なお時間が足りないので明日に続く予定、と画面の右下を見ながら)

概要
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2504.htm
全文
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2504.pdf
「生活意識に関するアンケート調査」(第101回<2025年3月調査>)の結果

『【調査概要】
・ 調査実施期間 :2025年2月6日(木)〜3月4日(火)
・ 調査対象 :全国の満20歳以上の個人
・ 標本数 :4,000人(有効回答者数2,082人<有効回答率52.1%>)
・ 抽出方法 :層化二段無作為抽出法
・ 調査方法 :郵送調査法
(回答方式は、郵送回答又はインターネット回答の選択式)』

ということなので今いまとは若干ズレがありますけれども・・・・・・・・・

・2月の時点でも景況感が悪化しておられる訳でこれはどう見ても物価高止まりの弊害じゃろ(知らんけど)

『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』ですが、

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が増加したものの、「悪くなった」との回答も増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答も、「悪くなる」との回答も横ばいだったことから、景況感D.I.は横ばいとなった。』

って書き方ですけど、『(図表1)景況感〔Q1、4〕』を見ると明らかに悪化しとるじゃろこの半年の間、という図になっていまして、

『現在の景気水準は、『良い』(注1)との回答が横ばいとなり、『悪い』(注2)との回答が増加した。』

の『(図表2)現在の景気水準〔Q3〕』も同様。でもって・・・・・

『1-1-2. 景況判断の根拠

景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」といった回答が多かった。』

って話なんですが、これ回答項目に「支出」が無いから謎な部分はあるけど、収入自体はマクロ的に増えているんだから、こんなの「実質減のせい」以外に考えられない訳で、既に2月の段階でも個人セクターはスタグフちっくになってきているということなのかと思いました。とは言え短観がクッソ強い訳で企業部門は好調だから景気が悪いのかというとそうではないという事なんでしょうけど。


・とは言え暮らし向きDIの方は持ちこたえておられまして

『1-2. 暮らし向き、消費意識』の『1-2-1. 現在の暮らし向き』では、

『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が減少したものの、「ゆとりがなくなってきた」との回答も減少したことから、暮らし向きD.I.は小幅に改善した。』

となっていまして、その次の『1-2-2. 収入・支出』を見ますと、

『収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少したものの、「減った」との回答も減少したことから、現在の収入D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「減る」との回答が減少したことから、1年後の収入D.I.は小幅に改善した。』

ほうほう。

『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加し、「減った」との回答が減少したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が拡大した。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が増加し、「減らす」との回答が減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』

結局のところ支出の方が効いているんでしょうね景況感的には、という話ですが、まあ暮らし向きの方で見ますと収入増えていますし支出は工夫すれば、って話なんですかね、知らんけど。

『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「日用品(洗剤、雑貨等)」、「自動車(ガソリン等、維持費用は含まない)」が多かった。』

『(図表8)1年前と比べて支出(金額)を増やしたもの(3つまでの複数回答)〔Q21〕』の表を見るとかなり泣けますな。いやまあそういう感じでしょうなとは思うけど。

『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』

そらそうよとしか言いようが無い。

『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。

商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「長く使える」といった回答が多かった。』

この辺は回答の個別項目の消長を見るのがたぶん筋なんでしょうけれども、なんかすごい傾向があるのかというと「今後の物価の動向」のところくらですかね、よくわからんけど。


・ということでメインイベントの「物価」になるのですが時間が無いので明日で勘弁

次が『1-3. 物価に対する実感』になるのですが、時間の都合上今朝はここで勘弁していただくということで、お前FOMC議事要旨もやってねえだろと言われるとぐうの音も出ないのですが、そこいら辺も含めまして明日に続きますすいませんすいません。








2025/04/11

お題「ベッセントが為替に言及とな/中村さんの後任に三菱商事の前代取常務の増さんノミネートはめでたい/短国とか交付税特会とか」

クソワロタ(笑えないけど)
https://jp.reuters.com/markets/commodities/ZQ67Y363O5P4XIN64FNDRU2XYY-2025-04-10/
米、対中追加関税は計145% フェンタニル対策で発動済み分合わせ
ロイター編集
2025年4月11日午前 5:00 GMT

『[10日 ロイター] - 米ホワイトハウスは10日、中国に対する追加関税の税率が合計145%になると発表した。米CNBCに対し、合成麻薬フェンタニル対策に絡み年初に発動した20%の関税を合わせた累計と説明した。』(上記URL先より)

日替わり気まぐれメニュークソワロタという感じですが、とりあえず攻撃先は中国に全面的に移ったという理解でええのかな???

〇でまあ日本のお土産に為替が入りますと「為替配慮の金融政策」という筋悪な流れになるのですが・・・・

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-10/SUHP1SDWLU6800
ベッセント氏、円高ドル安懸念せず-円安是正介入や日銀利上げ支持示唆
藤岡徹、横山恵利香、Masaki Kondo
2025年4月10日 17:29 JST

→円高と日銀利上げは強い経済の結果−全ては自然なことだ
→日銀に利上げと円安傾向反転を間接的に促しているとも受け取れる

ということでベッセントですけど、対日交渉がベッセントさん窓口な訳で、まあこの人が唯一と言ってもいいくらいマシな人なのですから、日本としてはこれベッセントさんの顔を立ててうまいこと「ディール」をしよう、という話になりそうではありますわな(ぜ、ぜんめんせんそうじゃ・・・もそれはそれでオモロイかもしれませんがまあね)。

つまりベッセントさん曰くは重要ということで記事を拝読。

『ベッセント米財務長官は9日、最近の円高ドル安傾向について懸念していないことを示唆した。日本当局が円安に歯止めを掛けるために行った為替介入が、今後予定されている日米間の貿易協議の障害にはならないことが示唆される。』(上記URL先より、以下同様)

そらそうじゃ、ということですが、

『ベッセント氏はFOXビジネスに「日本では円高が進行しているが、これは日本経済の強い成長とインフレ期待上昇の結果だ」と述べた。堅調な経済指標の結果として「日本銀行は金利を引き上げており、全ては自然なことだ」と付け加えた。』

お前らの不透明が無かったら何なら5月に利上げできたかもしれないんですけどねえ・・・・・・

『ベッセント氏の発言時に円は対ドルで約半年ぶり高値で推移していた。トランプ米大統領の関税一時停止に関するニュースが流れた後、相場は反転した。ベッセント氏のコメントからは、日銀が昨年3月以来3回の利上げを実施していることについてほぼ満足していることがうかがわれる。』

とまあそんな訳ですが、日本としては「米国に言われて為替対策で利上げ」とか世界の恥晒しにも程があるからそういう形にならないようにしながら、かつ米国の顔を立てるというややこしいパスを通らないといけない訳でしてどうするんですかこれって感じではあります。

でまあそこだけでも話がややこしい上に、国会方面では国難だの何だの言って補助金出すだの金配るだの言ってるところでして、馬鹿騒ぎが収まらないと利上げっていうのも打ち出しにくいのですけれども、かといって「不透明なので緩和的な金融政策を継続します」をあまりにもハトハト感出してしまうと対米関税交渉で面倒なことになって引いては日本にも悪影響かも知れません、って話なのでどういう風に落としてくるのかは分からんのですが、とりあえず問題が米中に絞られて来るのならば、なんかのどさくさに紛れて(どうせ現状の政策金利がクッソ低いので緩和度合いの調整で次も行けるはずなので)緩和調整をしました、ってやるチャンスはあるかな、とは思いますけれども、まあ普通に考えて今月中は無理で6月会合か7月会合か、って感じですかね、知らんけど。

まあ米中のお蔭でドル円が145円割れとかになっていたりするみたいなのでこの調子でオナシャスと言いたいのですが、逆にこれだけのボラボラ相場なのに未だにドル円この水準ってどんだけ構造的な円安圧力強いねんと思ってしまいますが為替のことは専門じゃないのでよくワカランチ会長です。

というただのメモでした。


〇中村審議委員の後任に三菱商事の増一行さん(前常務取締役)がノミネートとは結構なお話

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/ANYRFWOH7BJWNDTRIAVJLFSRLI-2025-04-10/
日銀審議委員に三菱商出身の増氏、中村委員の後任 政府提示
山口貴也, 杉山健太郎, 竹本能文
2025年4月10日午前 11:58 GMT+9

『[東京 10日 ロイター] - 政府は10日、日銀の新たな審議委員に、元三菱商事(8058.T)常務で日本公認会計士協会理事の増一行氏を充てる国会同意人事案を提示した。6月30日に任期を終える中村豊明審議委員の後任となる。』

『増氏は、三菱商事の元代表取締役常務執行役員コーポレート担当役員(CFO)。日立製作所(6501.T),出身の中村委員に続き、産業枠での候補者となる。任期は5年。衆参両院の本会議での可決、承認を経て就任する。』(上記URL先より、以下同様)

ということで中村審議委員の後任に増さんがノミネートされましたが、三菱商事からは以前に亀崎さんが審議委員になられまして(亀崎さんは副社長経験者)、流石と思わせる見識で存在感を出しておられた訳ですが、三菱商事の代表権を持つ取締役を務めた常務様ともなりますともっと「割の良い」お仕事はなんぼでもあると思われる中で、パブリックサーバントとしてお引き受けになられるとは有り難いお話でございます、としか申し上げようがないです。

中村審議委員は言ってること自体が「いやそれは中央銀行の仕事とちゃいますがな」という事をおっしゃる事も多々見られたのですが、そうは言いましても言っていること自体の話は話としての筋は通っている(ただしそれは中銀の政策運営とチャウヤロ)ので、面白がりつつも拝読はしたのですが、

『2020年7月に審議委員に就任した中村氏は、累次の利上げ局面で反対票を投じてきた「ハト派」とされる。国会での承認を経て、増氏が経済・物価見通しや中立金利への距離を巡り、どのような見解を示すかが今後、焦点となる。』

ってことで中村さんすっかり「ハト派」呼ばわりされているのですが、別に単純なハト派という訳でもないと思うのですけれども上記記事は以下の部分でハト派がどうしたこうしたばっかり言われていて、いや中村さんの言ってることそんなに単純に割り切るなよ、と思ってしまいましたけれども、ゆうて中村さんあと2回決定会合ありますんで、まだまだ頑張っていただきたいと思う所ではありますな。



〇短国は期初ちょっと甘くなってましたが結局根強いニーズによって回収されたのかしら

水曜日に6Mの入札ありましたが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250409.htm
国庫短期証券(第1298回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1298回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号       国庫短期証券(第1298回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日      令和7年4月10日
4.償還期限    令和7年10月10日

5.価格競争入札について
(1)応募額         9兆757億円
(2)募入決定額    2兆7,136億8,000万円
(3)募入最低価格    99円78銭8厘
(募入最高利回り)    (0.4237%)
(4)募入最低価格における案分比率   41.6395%
(5)募入平均価格    99円79銭3厘
(募入平均利回り)    (0.4137%)』

前日のWIが0.425%だったのでまあそんなもんじゃろ、という結果ではありまして、水曜日なのでトランプめだか師匠の「よっしゃ、今日はこれくらいにしといたるわ」が出る前という段階でしたが、短国ちゃん自体がこの辺りのゾーンまでこんな金利でして、利上げ観測とは何ぞやという価格形成になっておりますのでまあね、という感じではありました。

でもって昨日の売参ちゃんですけれども、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(4/10引値)
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.405
国庫短期証券1290 2025/06/02 平均値単利 0.405
国庫短期証券1292 2025/06/09 平均値単利 0.405

国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.390
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.390
国庫短期証券1297 2025/07/07 平均値単利 0.360←3Mカレント
国庫短期証券1299 2025/07/14 平均値単利 0.360←3M新発WI

国庫短期証券1298 2025/10/10 平均値単利 0.390←6Mカレント

という感じになっていまして、足元の方が金利高くて3Mカレントの辺り一応0.3台後半はキープしているものの、手前とインバートしているというそれこそ利上げ前かつ利上げ観測があんまり無いころの短国イールドカーブクオリティになっておりまして、しかもよくよく見れば6Mカレントも入札時は0.4台でしたけど既にちゃっかり0.39%という引値になっていて、これまた2Mあたりになります5月6月前半あたりの償還対比でインバート、という大変にお茶目なイールドカーブになっておられます。

まあ期末越えの仮需部分が剥落した分だけは金利が上がった感じではありますが、担保だ運用資金の避難だ、というような感じの「短期市場での純粋な運用以外のニーズ」という意味では使い勝手の悪い残存の短いもの(残存が短いとロールオーバーがあっという間にやってくるから)の方が忌避されて、新発が出るのでその瞬間にロットを確保できるカレントの方が強い、という市場の金利見通し関係なしなしモードに戻ってしまいましたな、残念無念。

ゆうてこの水準、GCレポよりも低い金利なのは毎度の通りなのでマーケットメーカーがあんまり在庫にしにくいから流動性が出にくくなって、流動性が低いので需給に振らされて恒常的に需要が強いもんだから低い金利が是正されない、という感じでしょうか、知らんけど。

そんな訳で今日は3M新発ですが、今月末というか5/1の利上げは向こう2週間でトラ公とゆかいななかまたちが急に真人間に戻りでもしない限り厳しいとは思うのですが、7/14償還ともなりますと6月会合はがっつり跨いできますのでちったあ調整・・・・する訳が無いのは上記の短国引値でお分かりかと思います。アイヤー。


・・・・とは言いましても交付税特会6Mを見ますとですね、

4/3の交付税特会6M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250403.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果

『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項
 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項

2.借入日       令和7年4月11日
3.償還期限     令和7年10月10日
4.償還方法     令和7年10月10日に一括償還

5.借入利率競争入札について  
(1)応募額       3兆3,460億円
(2)募入決定額     1兆1,000億円
(3)募入最高利率     0.690%
(4)募入最高利率における案分比率   37.6930%
(5)募入平均利率     0.645%』

平均の0.645%で計算しますと、6月会合で切って手前を0.50%におくと、6/18以降の換算金利が0.732%位になりまして、7月会合で計算すると8/1以降の換算金利が0.877%位になるということで6月利上げ織り込みレート。ちなみに足切りの0.690%で計算すると6月で切っても0.8%乗るので6月利上げフルフルの織り込みとかいう中々お茶目なレートになっておりました。

でまあ今週ですけれども、

4/8の交付税特会6M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250408.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果

『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項

2.借入日    令和7年4月15日
3.償還期限   令和7年10月15日
4.償還方法    令和7年10月15日に一括償還

5.借入利率競争入札について  
(1)応募額        3兆5,465億円
(2)募入決定額     1兆1,000億円
(3)募入最高利率      0.670%
(4)募入最高利率における案分比率   21.0480%
(5)募入平均利率     0.629%』

さすがにレートは下がっておりまして、前週だとどこからどう見ても6月利上げのフル織り込みになっていましたけれども、今週は平均の0.629%だと6月会合で切った場合の後ろの換算金利が0.70%ちょっと割れくらいになりまして、7月会合で切ると0.8%に乗っていますので、6月利上げを75%位織り込んだレートという数字になっていますわな。でもって足切りは0.670%なので、6月会合で切ると後ろが0.761%になっていまして、6月利上げは全部織り込んでいるというレートになっていますわな。

てな感じで、まあ交付税特会借入自体が参加者限定市場(そもそも「借入金」であって有価証券じゃないから普通の債券とかCPとかとは話がだいぶ違う)になるので、参加者限定市場での入札だからレートが資金出し側有利市場になりやすくてレートが高めに出る、というのは以前よりご紹介しているのでご案内の事だと思うのでこれ自体はある意味追い風参考記録みたいな面はありますけれども、まあゆうてトランプ関税馬鹿踊りの中でも「そうは言ったって6月利上げを織り込まないレートってのはないないない」っていう評価になっている、というのが示されている交付税特会入札な訳でして、とにかく最近の短期市場は(TDBの市場が恒常的に需要超過で価格形成が変なことになっているせいなのですが)市場ごとに価格形成が違うので、市場の中の人たちが肚の中でどのくらいの時期の政策変更を織り込んでいるつもりなのか、というのを探るのも闇鍋状態というのが難しくもあり面白くもありますな、という感じではあります。あと短期は相対の世界だから公示されている価格情報が乏しいってのも闇鍋感を強くしますよねとは個人の感想ですけど。



〇しかしまあ連日何やってるんですかねえ債券市場ちゃん(なお今日も碌な相場にならんですよね)

毎日見てるだけでも疲弊するんですが勘弁してくださいw

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/RPTD3T4IPFPDDIAQC674FDDFDE-2025-04-10/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は急反落、長期金利1.37% 米関税一部停止でリスクオフ緩和
ロイター編集
2025年4月10日午後 3:29 GMT+9

まあ後日懐かしい思いで読み直すための備忘用で特になんかが有るわけでもないですが貼っておきます。

『[東京 10日 ロイター] - <15:14> 国債先物は急反落、長期金利1.37% 米関税一部停止でリスクオフ緩和

国債先物中心限月6月限は、前営業日比1円06銭安の140円28銭と急反落して取引を終えた。米相互関税の一部停止を受けてリスク回避の流れが和らぎ、国債先物は売り圧力が強まった。5年債入札が順調な結果だったことから、先物が下げ幅を縮小する場面もあった。新発10年国債利回り(長期金利)は同10.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.370%。』(上記URL先より、以下同様)

昨日の横綱は日中の高安(駄洒落ではない)が99銭だったのですが、おお99銭か今日は動きがマイルドになったなとかパンチドランカーにも程があるアタクシ(まあ横綱よりもイールドカーブですよね、というのは有ると思いますが)。

『国債先物は朝方から売りが先行。米相互関税の一部を90日間停止するとの発表を受けて、前日の夜間取引の先物が大幅に下落した流れに追随して始まった。日経平均株価が大幅反発したことも、債券売りを促した。』

だそうですが、

『後場に入り、国債先物は下げ幅を縮小する場面があった。5年債入札が順調な結果と受け止められたことが好感された。市場のボラティリティーが高いことから入札への警戒感が強かったものの、「投資家の買いが入ったことが確認され、市場に安心感が広がった」(国内証券債券セールス担当)という。』

ということではあるのですが、5年ってもはやカーブがどうのこうの知らんけど絶対水準的には唸るちゃあ唸るけどそれ言い出したら2年も唸るレートですからねえ・・・・・

『    OFFER  BID    前日比 
2年   0.668  0.675    0.062  15:03
5年   0.897  0.905    0.074  15:09
10年  1.363  1.371    0.099  15:00
20年  2.299  2.308    0.026  15:10
30年  2.65   2.66    -0.027  15:10
40年  2.993  3.005    -0.038 15:09』

まあ超長期の後ろの連日のツイストあんどシャウトもナンジャソラですし、2年6甘と言ったって0.75%ですらない訳ですし、何かまあ色々とカオスですけれども、トラ公とゆかいななかまたちが日々気まぐれメニューで大暴れするんですからなんかもう一々相手するなよ市場はって言いたくなるくらいには疲れ果てておる今日この頃ではございますwwwwwwwwww


ということでこれは単に貼ってみただけで別に考察が有るわけでもないし考察する知見も無いですサーセン。







2025/04/10

お題「トランプ1週間にしてマッチポンプ?/一種のミニトラスショックだと思えばまあ市場の警告ですよ/総裁の信託大会挨拶/他のメモ」

これはDV男パターンなのか池乃めだか師匠なのか・・・・・・・・・・

〇トランプのマッチポンプ芸キタコレ!!!!!

アメリカン株式市場の数字見て何か目を疑ったのですがなんだこれかよwwwww

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-09/SUGO8CDWX2PS00
トランプ氏、相互関税は総じて90日間停止−中国は125%に引き上げ
Jordan Fabian、Skylar Woodhouse
2025年4月10日 2:24 JST 更新日時 2025年4月10日 3:55 JST

→停止期間中の相互関税、大幅に引き下げて10%にする−トランプ氏
→これは最初からトランプ氏の戦略だった−ベッセント財務長官

>これは最初からトランプ氏の戦略だった
>これは最初からトランプ氏の戦略だった
>これは最初からトランプ氏の戦略だった

DV男のパターンなのか池乃めだか師匠なのかはさっぱり分からんですが、こんなことをベッセントが言っている辺りがなんか池乃めだか師匠コースのような気がせんでもないというところですな(個人の妄想です)。

まあとりあえず記事をクリップしておきますと、

『トランプ米大統領は9日、米国に報復措置を講じていない国・地域に対して、高水準の相互関税を90日間停止することを承認したと明らかにした。一方、中国に対しては関税を125%に引き上げた。』(上記URL先より、以下同様)

最初から対中狙い撃ちの積りだったけど対中狙い撃ちでやるのは大義名分的にアレなので皆さんも巻き込んだ、というストラテジーなら大迷惑にも程があるのですがwww

『トランプ氏は「90日間の一時停止を承認し、この期間中の相互関税を大幅に引き下げて10%とする。即時発効する」とした。これを受け、株式市場ではS&P500種株価指数が一時8%高と急伸。米2年債利回りは30bp上昇して一時4%を上回った。外国為替市場では円がドルに対して下げに転じた。』

朝起きて数字見て目が覚めましたwwwwwwwwwww

『一方でトランプ氏は、中国が交渉を拒否しているとして関税を引き上げると説明。「世界の市場に対する中国の敬意の欠如を踏まえ、米国は中国に課す関税を125%に引き上げる。即時発効だ」と述べた。』

>世界の市場に対する中国の敬意の欠如

お前は何を言ってるんだ

『ベッセント米財務長官は今回の方針転換をトランプ氏の勝利と位置づけ、他国との協議において「大統領は最大限の交渉力を生み出した」と記者団に述べた。今後数日以内にベトナム、日本、インド、韓国の当局者と会談する予定であることも明らかにした。』

協議もおっぱじまる前から勝利とか意味不明なので何となくめだか師匠っぽい気がしますが、まあ結局一周回して戻ってきたような来なかったような、という感じになりましたなあ。


〇国難とか言って関税と全然関係ないバラマキするつもりだったのにどうするんでちゅかねえ

https://www.asahi.com/articles/AST492DC1T49UTFK01WM.html
独自
国民全員に現金5万円給付、政府・与党が検討 米関税措置など踏まえ
有料記事
2025年4月9日 16時53分(2025年4月9日 21時08分更新)

『政府・与党は9日、物価高や米トランプ政権の関税措置による影響を踏まえた経済対策の一環として、国民向けの現金給付を実施する方向で調整に入った。所得制限は設けず1人あたり5万円を給付する案が浮上している。財源を確保するため今年度補正予算案を編成したうえで、6月に会期末を迎える今国会での成立を目指す。』(上記URL先より)

ガソリン価格引き下げですら関税とまるで関係ない(だいたいからして関税で経済がグローバルに下押ししたら需要低迷で輸入燃料価格が勝手に下がるじゃろ)のですが、まさかの給付金キタコレとかいうもうアホか馬鹿かなのですが、

『複数の政権幹部が明らかにした。石破茂首相は想定を超える米国の関税措置を「国難」と位置づけてきた。物価高も続く中、早期の対策が必要だと判断した。』

物価高が続く中で一律給付金とかしたら物価高を後押しするだけなんですけど貴殿の首の上に乗っかっているのは乾燥ヘチマか何かでしょうか。

・・・・・・まあこんな調子で火事場泥棒の財政支出の話をしていたんですが、国難(笑)が90日先送りになってしまいましてこりゃ財政出せだの減税しろだの挙句の果てには利下げしろとかまで言う国会方面の皆様どうするんでちゅかねえ、というメモでした。


〇ただのリスクオフなのか市場からの財政懸念なのかは難しいですけれども・・・・・・・・

昨日の債券市場ちゃんは酷いことになっていた訳ですが

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/OISGWGJ5HNLIVLQWNAJKC6OATY-2025-04-09/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反発、長期金利1.275% 超長期債売り継続
ロイター編集
2025年4月9日午後 3:21 GMT+9

まあとにかくひたすらとんでもない1日でしたが・・・・・・

『[東京 9日 ロイター] - <15:10> 国債先物は反発、長期金利1.275% 超長期債売り継続

国債先物中心限月6月限は、前営業日比30銭高の141円34銭と反発して取引を終えた。トランプ米政権の関税政策を受けたリスク回避の動きが続くなか、乱高下した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.275%。ロングエンド主導の売りが広がり、超長期金利は急上昇した。』(上記URL先より、以下同様)

昨日の雑談でも申し上げましたように、目先火事場泥棒財政拡大(確かさっきの5万円給付で6兆円とかでしたっけ)をしたとしても直接的には超長期ではなく短いところが増発される話になるので目先の需給だけ言えば超長期売らんでもよかろうという話ではありますが。

『きょうの国債先物は、前日の米国市場で10年国債利回りが4.29%に上昇した流れには追随せず、リスクオフの安全資産買いが先行してスタート。その後、日銀がこの日実施した中長期・超長期ゾーン対象の国債買いオペで「残存期間1─3年」・「同10─25年」が投資家の売り意欲を示す結果となったことや、米10年金利がアジア時間の取引で4.5%台に急伸したことが売り圧力を強め、先物は取引中盤からマイナス圏に沈んで軟調推移した。』

『ただ取引終盤にかけては米10年金利が再び低下に転じたことや、財務省と金融庁と日銀が午後4時から三者会合を開催すると伝わったことから、先物相場は再びプラス圏に浮上した。』

まあ何が何やらという感じの動きでしたけれども、引けに関してはロイター提供トレードウェブさんの数字によりますと、

『     OFFER  BID   前日比 時間
2年    0.602  0.61   -0.034  15:03
5年    0.824  0.832   -0.016 15:08
10年   1.277  1.283   0.023  15:08
20年   2.282  2.287   0.182  15:06
30年   2.697  2.703   0.217  15:09
40年   3.049  3.053   0.21  15:06』

まあ日中もっと無茶苦茶に超長期の後ろの気配が甘くなっていた時間帯もあったので、21毛甘とかで「ああだいぶ持ち直しましたねえ」とかどう見てもエッシャーの騙し絵です本当にありがとうございましたという感じですけれども、ご案内の通り昨日の輪番は、


https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250409.htm
落札結果 (4月9日<水>)

『国債買入(残存期間1年超3年以下) 12,924 2,754 -0.021 -0.018 2.5
国債買入(残存期間5年超10年以下) 6,296 3,003 0.022  0.025  74.0
国債買入(残存期間10年超25年以下)5,005 1,350 0.225  0.234  6.0』

ということでございまして、前場引けの債券先物ちゃんは141.40で36銭高だったのですが、10年も甘いけど超長期なにやってるんですかそれはというレートになっていた訳でございまして、もう無茶苦茶でございましたな。


まーたんなるボラ上がると計算上のリスクがあがるからリスク量削減をする的なサムシングな相場でこうなっている、というのはあるのかもしれませんけれども、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB093160Z00C25A4000000/
30年債利回り上昇、20年8カ月ぶり水準 財政リスク懸念
グローバルマーケット
2025年4月9日 12:07 (2025年4月9日 14:05更新) [会員限定記事]

『9日の国内債券市場で新発30年物国債の利回りが一時2.785%に上昇(債券価格は下落)した。前日比で0.36%高く、2004年8月以来およそ20年8カ月ぶりの高水準。トランプ米政権の相互関税の導入を受け、日本政府が財政拡張に踏み切るとの思惑が出ている。財政リスクを懸念した債券売りが超長期債を中心に広がっている。』(上記URL先より、以下会員記事)

まあやっぱりこういう時は日経よくぞ書いたと褒めちぎりたくなる訳でして、いままで全然機能していなかった「市場からの財政維持可能性への警告」という意味が(どの程度かは兎も角として全くないとは思わないので・・・・・)ある超長期金利の上昇、って採り上げて日経という経済に関する日本を代表するメディアが記事するのは実に結構な流れではないかと思う訳でございます。

今までそういうの無くていきなり来ているから動きがエライ派手ですし、トランプのめだか師匠ムーブが出たあとの本日以降どうなるのかは皆目見当がつきませんけれども、もうちょっとこれが続いたら日本の国債市場が「ミニトラスショック」を起こしているような感じになってもっと馬鹿政治家に気付きを与えてくれたのにそこは残念(とはいえミニトラスショックの進行過程において債券市場が死屍累々になりそうなのでいいぞもっとやれと能天気に言いにくいのもあるけどwwwwwwwwwww)。

まあこれが市場の財政への警告じゃ、というとたぶん財政の警告以前にリスク管理売りみたいなことになっていただけではあると思いますけど財政への懸念が全くファクターとしてなかったかというとどう見てもファクターというかトリガーを引いたというかなので財政への警告ってことで日経以外も記事にしてほしいもんですので日銀記者クラブの皆さんの奮起を期待したいですけど、まあそう思う訳ですが、昨日は早速どこの誰とは言わないけど超長期の買入増やせ新発減らせ当局介入しろみたいなこと言ってる何とかストとかのコメントがベンダーで発掘されていたようないなかったような気がしまして、お前はそれでも市場の人間かよ恥を知れというか今すぐマリアナ海溝ドラム缶片道クルーズルアー添乗員なしにでも行ってこいやと思いましたが、どんだけ円債市場が黒田のシャブ漬けでマインドセットがシャブシャブしているのかという典型を見た気がして情けなくなってしまったことも申し添えましょう。


でまあ日経さん今朝もこんなの載せていて大変に結構(と言っても無課金おじさんなので記事の中身は例によって読めませんけどアタクシ)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB095560Z00C25A4000000/
日本の「信用力」じわり低下 米関税発財政膨張を警戒
グローバルマーケット
2025年4月10日 5:00 [会員限定記事]

これ「グローバルマーケット」ってあるからさっきの記事と同じセクションの方が書いているんですかね。

『金融市場で日本の財政悪化への懸念が広がり始めた。日本国債の信用力を映す金融派生商品の保証料率は8カ月ぶりの高水準をつけたほか、償還期限が30年の国債利回りは20年ぶりの高さとなった。米国の関税政策を理由に、日本政府が大規模な経済対策に乗り出すとの警戒感がある。財政リスクが一段と高まれば、日本国債などの売りを誘発する恐れがある。』(上記URL先より、以下同様)

>財政リスクが一段と高まれば、日本国債などの売りを誘発する恐れがある

ということで日経さんが記事を投下して頂くのは大変にありがたいお話でございまして(変なもんでも食ったように日経を褒め称えるワイwww)、とにかく最近の隙あらばというか口実があれば財政財政とか、未だに高圧経済とか言ってる貴様の脳味噌は高圧で圧壊でもしたのかという輩とか、まあそういうのに対して市場が警告を出せて、その警告をちゃんとしたメディアが取り上げて馬鹿どもに教える、というのが回るというのは、まあそんなこと起きない方が良いに決まっていますが、起きないと何時まで経っても馬鹿が高圧経済馬鹿踊りをするのでしゃあなしの市場変動、ということではないかと思いました(過激派ですいません)。


〇基本的に短文挨拶なので基本はスルーではあるのですが今回は確認(総裁の信託大会挨拶)

基本はこれが材料になる、ってことは無いのですが今回はタイミングがタイミングだけに・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250409a.pdf
第 100 回 信 託 大 会 に お け る 挨 拶
日本銀行総裁 植田 和男

『(経済・物価情勢と金融政策運営)』ってところだけ読む訳ですが、

『まず、経済・物価情勢と金融政策運営です。』

へい。

『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。物価については、コストプッシュの直接的な影響を除いてみた基調的な物価上昇率は、現時点では2%を下回っているものの、賃金の上昇が続くもとで徐々に高まってきています。』

でもってこれを漫然と見ていても良くわからないので、前回のMPMの声明文と比較すればよいわけですな

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k250319a.pdf
3月決定会合声明文

再掲しながら比較しますね。

『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。』(昨日の挨拶)
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(3月声明文)

これは声明文の現状認識部分と比較してみました。同じですね。

『物価については、コストプッシュの直接的な影響を除いてみた基調的な物価上昇率は、現時点では2%を下回っているものの、賃金の上昇が続くもとで徐々に高まってきています。』(昨日の挨拶)

『消費者物価(除く生鮮食品)については、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、その基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(3月声明文)

これは声明文の先行き見通しの方から引用していますが、基調的物価が「賃金の上昇が続くもとで徐々に高まってきています」という挨拶になっていますが、上記の先行き見通しでも「賃金と物価の好循環が引き続き強まり」ということで、これ自体は見通し期間のタームが長いので直接比較するのも微妙ちゃあ微妙ですけれども、ただ「賃金上昇しながら基調物価が上がっている」という説明になっていますから・・・・・・・

『このように、これまでのところ、経済・物価は「展望レポート」で示してきた見通しに概ね沿って推移していますが、』(昨日の挨拶)

ということになりますわな。これに続いて、

『先行きのリスク、特に、ここにきて各国の通商政策等の今後の展開を巡る不確実性が高まっている点には、十分に注意していく必要があります。』(昨日の挨拶)

となっているわけですが、こちらについても3月声明文のリスク要因の中で

『リスク要因をみると、各国の通商政策等の動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(3月声明文)

ということで、3月声明文を踏襲していまして変なハトハトを出さないようにしている、というのが読み取れたと思うのですよね。まあ単に決め打ちしたくないから前回踏襲しているだけとも言えますけど。

『金融政策運営については、景気の改善が続き、これまで示してきた見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、毎回の金融政策決定会合で、予断を持たずに点検していく必要があると考えています。米国の関税政策の影響を含め内外の経済・物価情勢、金融市場の動向を丁寧に確認し、経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度を点検しながら、適切に政策を判断してまいります。』(昨日の挨拶)

声明文の方では先行きの政策に関する文言は無いのですが、3月会合記者会見での冒頭の植田総裁の説明が事実上のオープニングリマークになりますがそちらでは、

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250321a.pdf
3月定例記者会見

『今後の金融政策運営ですが、先行きの経済・物価・金融情勢次第ですが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえますと、以上のような経済・物価見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。日本銀行は、2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく方針です。』(3月会合記者会見より)

まあさすがに米国の関税政策の話はでていますけれども、言ってることでシフトチェンジしている感はありませんで、今回は単純に前回踏襲でいっただけ、とは言え変なハトハトが出てこなかった、というのがポイントちゃあポイントかとは思いました。


〇積み残しネタメモメモ(俺様用備忘録)

ということで本当は今朝のネタに突如トランプのめだか師匠ムーブが飛び出したので話が変わってしまいましたが、実際には6M短国とか交付税特会の話やら、今朝のFOMC議事要旨の話をするつもりで寝ぼけ眼で株価を見たら構想が変わってしまったのでメモっておきます(汗)明日はその辺と今日の相場のメモですよね^^


〇おまけ:これはもしかしたらアレ級のアレが爆誕しているのではないかという与太話

2コマ漫画ですけど

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-02/SU2UVCT0G1KW00
日銀は5月に追加利上げも、米関税の影響限定的なら−安達前審議委員
伊藤純夫、藤岡徹
2025年4月2日 18:00 JST 更新日時 2025年4月2日 18:17 JST

『3月25日に退任した安達氏は2日のインタビューで』(上記URL先より)

からの・・・・・・↓

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250409-OYT1T50133/
トランプ関税で「賃上げ余力なくなる」、利上げ判断は「様子見」…日銀前審議委員・安達誠司氏インタビュー
2025/04/09 18:00

『インタビューはトランプ氏が世界各国に対して「相互関税」を発表した直後の3日に行った。』(上記URL先より)


・・・・・・・・これはまさかのネ申のご降臨の可能性がwwwwwwwwwwwwwwwwww






2025/04/09

お題「金利が関税ディールになるのはだいぶ筋悪だが・・・・/相場がアレなので今日もクリップ/FED要人は次々「様子見」発言」

もはやガキの喧嘩以下wwwwwww
https://jp.reuters.com/world/us/3KDQFRNJCBOOTBGWMM4W6RI5PE-2025-04-08/
米、9日に中国に対する104%関税を発動―ホワイトハウス報道官=報道
ロイター編集
2025年4月9日午前 2:50 GMT+9

『[ワシントン 8日 ロイター] - 米ホワイトハウスのレビット報道官は、中国に対する104%の関税を9日に発動させると述べた。FOXビジネスの記者が8日、報じた。これを受け、米株式市場でナスダック総合(.IXIC)が下落に転じた。』(上記URL先より)

どうりで朝起きてみたら日経先物マイナスになっとる訳だわ。

しかしまあ何ですな、ジャパンがまっさきに交渉の優先権、とか言われて喜んでいるようにも見える昨日の相場ちゃんでしたが、こんなチンピラゴロツキにも劣る全方位恫喝外交の交渉相手に最初に選ばれてるって「こいつが一番チョロいからこいつを脅していろんなもんを引き出したら他の連中も脅しやすくなるじゃろ」と狙われてるだけの話にしかアタクシには見えない訳でして(個人の感想です)、こういうのは「反発しないような気弱な奴を最初にタゲっておけば皆がシュンとなるだろ」とやってるパワハラ上司の典型的なムーブと変わらん訳でして、パワハラのエスカレートに繋がる悪事例みたいな対応を日本がヘイコラと行って世界の笑いものになるに100万ジンバブエドルということでよろしくオナシャスwwwwwww


〇まあどう見てもディールに使うのは筋悪オブ筋悪ですが・・・・(関税交渉と金融政策メモ)

いやーなんか日経ちゃん書いていますねえ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0795G0X00C25A4000000/
日銀利上げへの「外圧」焦点 日米関税協議、円安も論点
編集委員 清水功哉
ポジション
2025年4月8日 17:00

日銀の会見でもおなじみの日経清水編集委員の記事、と言いましても例によって日経無課金おじさんなので記事内容は分からんのですが、無料公開部分だけ引用しますと、

『市場の大混乱を招いた米相互関税の見直しに向けた日米協議が動き出す方向になった。関税導入の背景にある日本の対米貿易黒字を減らす方策が中心テーマで、円安の問題も議論しそうだ。米側で協議を担当するベッセント財務長官に近い関係者は、円安修正の手段として日銀の金融政策も論点になる可能性を指摘。日銀利上げへの期待が示され、一種の外圧がかかるかも焦点だ。』(上記URL先より、以下は会員記事になります)

とまあそういう訳でして、そらまあ黒田緩和には円安誘導の意図が明確にあったんですから、その黒田緩和を「修正中」ではあってもまだ緩和政策を行っているんですから、円安誘導をしてるだろ、というのを黒田緩和と絡めて言われたらぐうの音も出ないのは実際そうなんですけれども。


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07CO60X00C25A4000000/
米関税、ベッセント財務長官が対日交渉 為替も議題に
日経スクープ
2025年4月8日 3:18 (2025年4月8日 4:30更新) [会員限定記事]

『【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権は米東部時間7日(日本時間8日)、日本との貿易交渉の主導役にベッセント財務長官を指名すると決めた。対日協議には米通商代表部(USTR)も加わり、日本の関税政策のほか円ドル相場も議題とする。』(上記URL先より)

昭和脳なのでUSTRと言われるとミッキー・カンターを思い出すんですが平成のお生まれの方とか昭和60年代お生まれの方だと何ですかそれですねすいませんすいません。

・・・・でまあ為替面で色々と言われるのに対してヘイコラと利上げするのは(今の金融政策が過度な緩和だと思ってるワイ的に利上げ自体は今すぐやれと思うけど)さすがに筋悪の極みみたいな話ではあるのですけれども、まあ少なくともいろいろ言われる隙を作らないのダイジダイジネーとなる、となりますと先日ネタにしましたように、先週植田総裁と内田副総裁が国会で答弁した話についても裏読みの味わいがある、というお話になるわけですなうんうん。

先週金曜の国会答弁ネタ、月曜にネタにしましたけど再掲しますと、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-04/SU60EAT0G1KW00
植田日銀総裁、見通し修正なら適切に政策対応−米関税は経済を下押し
伊藤純夫
2025年4月4日 9:38 JST 更新日時 2025年4月4日 13:00 JST

→自動車・相互関税で「不確実性高まった」、物価に上下さまざまな影響
→見通し実現性を予断なく点検、基調物価上昇なら利上げ−内田副総裁

でまあ昨年8月に華麗なジャンピング土下座をした内田副総裁が今回は、

『植田総裁に先立って同委員会で答弁した内田真一副総裁は、景気の改善が続き、基調的な物価上昇率が2%に向けて高まっていくとの見通しが実現していけば、「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と改めて表明した。

その上で、見通しが実現していくかどうかを毎回会合で「予断を持たずに点検していく」と述べた。関税政策の影響を含めて内外の経済・物価情勢、金融市場の動向などを丁寧に確認し、見通しのリスクや見通しが実現する確度を点検して適切に判断していく考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

と(今週になってからのガキの喧嘩ムーブは織り込んでいないにせよ)お話をしていましたし、記事のヘッドラインになって金曜にこれ出たときに債券先物が反応していました植田総裁の相変わらずの下手糞答弁にしたって、

『植田総裁は、米関税の影響で経済状況が急変した場合の対応を問われ、外部環境が大きく変われば日銀の経済・物価見通しも変化するとし、「それに合わせて適切な政策対応をとっていきたい」と語った。データや情報を踏まえて毎回の金融政策決定会合で議論し、内外の経済・物価情勢や市場動向などを丁寧に確認し、政策運営に反映させていく姿勢を示した。』

とは言ってみたものの、

『米関税政策の影響については、自動車関税と相互関税の導入によって「内外の経済・物価を巡る不確実性が高まった」と警戒感を一段と強めた。世界・日本経済にとって下押し圧力とする一方、物価への影響は供給側の要因も含めて上下さまざまだとし、現時点では一概に評価はできないと語った。』

って答弁をしていまして、この辺りの流れを国会中継見ていたわけではないので良くわからんのですけれども、前半のだけですとハトハトチキンがまた来たわ、となるところを物価の影響の話をして中和している訳でして、ハトハトチキン答弁と取られない工夫はしている(だったら初手から「情勢が大きく変化したら見通しが変わる」とかいうなよこのヘタクソとは思うけどそれはさておき)ので、これ関税問題がらみというか米国の対日貿易赤字問題で為替円安誘導の金融政策ってのを言われてるんじゃろうな、というのを改めて確認できたんじゃなかろうかというお話ではあります。

とは言ってもさすがに今の調子で月末前に関税問題大団円となるってのは無理があると思いますがwwwww


〇しかしまあ全然落ち着くという感じになっていませんなあということで市況備忘用クリップ

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/CKPB6P4ERRNTPBIWE6MM7UEJ54-2025-04-08/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反落、長期金利1.26% 超長期金利の上昇目立つ
ロイター編集
2025年4月8日午後 3:22 GMT+9

『[東京 8日 ロイター] - <15:10> 国債先物は大幅反落、長期金利1.26% 超長期金利の上昇目立つ

国債先物中心限月6月限は、前営業日比1円23銭安の141円04銭と大幅反落して取引を終えた。トランプ米政権の関税政策を受けたリスクオフの動きに一服感が出て需要が低下したほか、入札が不調に終わったことも相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同15.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.260%。超長期の金利も上昇が顕著だった。』(上記URL先より、以下同様)

とまあそういう訳で昨日は日経ちゃんが6%とか上昇していましたのでこっちも巻き戻しではあったのですが、しかしまあ日中の値動きが大きすぎて何が何だかって感じでした。

『トランプ米大統領の相互関税発表を受けて3営業日にわたって続いた投資家によるリスク回避の動きが一服したことから、安全資産とされる国債先物は大幅な売り先行でスタート。売り一巡後は、前日の米国市場で4.2%台に上昇した米10年国債利回りがアジア時間中盤の取引で4.1%台半ばまで低下したことから、円債先物も下げ幅をやや縮小した。しかし午後に入ると、財務省が本日実施した30年利付国債入札が不調な結果に終わったと受け止められ、再び売り圧力が強まって先物相場は下げ幅を拡大した。』

ということで30年入札がベンダー集計の市場事前足切り予想よりも1円下とかいう華麗な入札をやってしまいまして、投資家がドン引き太郎と化していることが判明しましたので、

『現物市場で10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比4.5bp上昇の0.625%、5年債は同11.0bp上昇の0.850%、20年債は同21.0bp上昇の2.110%、30年債は同24.0bp上昇の2.510%、40年債は同27.0bp上昇の2.865%と、イールドカーブはベアスティープ化した。』

30年40年って一昨日の先物アゲ局面でも置いて行かれるどころか40年とか前日比甘のインバートとかしてたのに先物下げ下げ局面では倍速で売られるとか鬼としか言いようが無い。

まあ超長期に関しては財政出るから需給悪化懸念とかもあるのかも知れませんけれども、ゆうてこれ国債需給的には補正ぶっこんだとしても前倒し分だの何だのでホイホイやりくりできるし、増発するにしたって超長期じゃなくて中短期とか何なら短国1年じゃろ(短国間でやりくりして結局は3Mにしわ寄せがくるみたいな感じになると思うんだが)という話で、それ自体でスティープニングするというのもなんか話としては微妙ではあるのですが、ゆうて関税の影響も分からんのに国難扱いしてそれを錦の御旗にガソリンだの低所得者補助金だのとかまるで関税と関係ないところに財政出す出す話が与野党全方面からピーチクパーチクと出てくる財政規律弛緩脳全開、というのを見せつけられますと、やっぱりこいつら行き着く先はトラスショックじゃろ、になるので(トラスショックは話が飛びすぎですけど為念wwwww)まあそういうもんなのかねと。

『TRADEWEB  
     OFFER  BID  前日比 時間
2年   0.639  0.644   0.059 15:03
5年   0.846  0.853   0.109 15:11
10年  1.259  1.265   0.151 15:06
20年  2.107  2.114   0.219 15:10
30年  2.508  2.515   0.245 15:10
40年   2.87  2.88    0.29 15:13』

うっかり昨日ネタにするの忘れていましたが、これ超長期の動きが派手過ぎて割とスルー気味でしたけれども、月曜の中短期ってのも大概でして、ワシ短国をネタにしましたけど、冷静に考えたら月曜の2年カレントのBB引けって0.580%とかいうことで0.6%割れになっていたのですが、お前ら今の時点で政策金利0.5%なんだが何考えてそこまで強くできるんだ2年を、と思っていた(後出しではないですよ!)ので金利上がって0.640%水準まで戻ったのは(0.64%でも大概に低いんだが)あービックラコイタという感じでした。


〇でまあ米国ちゃんも年内何回利下げとかそういうマーケットトークになっているのですがシカゴ連銀の方からは・・・・

ふむふむ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/VU2SIBH6L5LLZPSYGRVOKGUWAE-2025-04-08/
トランプ関税、予想よりはるかに大きい インフレ再燃リスクも=シカゴ連銀総裁
ロイター編集
2025年4月9日午前 3:14 GMT+9

『[8日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は8日、トランプ大統領が打ち出した関税措置は想定されていたものよりも「はるかに大きい」とし、同措置に伴うコスト拡大の影響がどれだけ速く、そしてどの程度消費者に転嫁されるかは不透明という認識を示した。インフレが再燃するリスクへの不安もあると述べた。』

でまあグールズビー総裁って(シカゴが基本そうなんですけど)インフレ重視派なので、直近のインフレ鎮静化局面では、物価鎮静化に自信ニキだったこともあって中立金利に戻すことに対して積極的な感じで話をしていたのですが、まあトーンは変わりましたねこれは。

『グールズビー総裁はイリノイ公共ラジオとのインタビューで「インフレが制御不能に陥ると何が起こるか、われわれは学んだばかり」と指摘。関税は「マイナスの供給ショック」で、米連邦準備理事会(FRB)による対応は必ずしも明確ではないと語った。』(以上上記URL先より)

>インフレが制御不能に陥ると何が起こるか、われわれは学んだばかり

まあ結局これなんでありまして、ついこのまえのパンデミックで財政フルスロットルして金融緩和を引っ張ったらあの有様になったし、なんならその結果トランプとかいう物体が出てきてさらにエライコッチャとなっている訳ですから、そらFEDはよー利下げせんわなと思うのですが、一方で市場ちゃんの方は利下げ利下げといっているわけでして、何なんですかねえとは思う今日この頃。

まあ無茶苦茶悪意のある言い方をすれば、市場ちゃんなんぞは生活物資のインフレ云々よりも資産価格下落の方が困るという上級民が揃っておられますので(とんでもない偏見)、そら資産価格下げるなやという話になるんでしょうけれども、おまいらインフレを馬鹿にしすぎじゃないのとアメリカン市場には言いたくなるところではありますがそんな悪態はさておき、今しがたこんなのも出ていました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-08/SUF0FWT1UM0W00
サンフランシスコ連銀総裁、金利調整を急ぐ必要ない−政策は好位置に
Maria Eloisa Capurro
2025年4月9日 5:25 JST

→昨年の利下げで、金利はインフレ抑制も景気冷やさない程度に抑制的
→不透明感が強い状況で結論急げば、誤った判断を下す−デーリー総裁

『米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は8日、通商政策の変更に伴う影響を見極めようとする中、政策金利の調整を急ぐ必要はないとの考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

まただいたい全文引用になって恐縮ですが(と先に言っておく)、

『「われわれは昨年、政策金利を100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げた。これによりインフレを抑制する程度に景気抑制的だが、経済が弱含むほどは抑制的ではない水準になり、金融政策は望ましい位置にある」とブリガムヤング大学で行われた討論会で語った。』

ユタ州ですね。

『その上で「経済成長は順調、政策も良い位置にある状況で、われわれはゆっくり慎重に進めるだけの時間と能力を構築してきた」と続けた。デーリー氏はまた、米経済見通しの方向性をより正確に把握するには、政権が行う通商・税制・規制などの政策全体がもたらす影響を総合的に評価する必要があると指摘。「このように不透明な状況で結論を急げば、誤った判断を下す」と述べた。』

ということでこちらも同様のコメントになっている感じですが、まあゆうてインフレリスクとかその辺は記事によると言ってるのかどうかって感じですが、サンフランシスコ連銀のHPにはこちらのイベントに関するページがあって、

https://www.frbsf.org/news-and-media/events/2025/04/mary-c-daly-economic-outlook-and-work-of-the-federal-reserve/
The Economic Outlook and Work of the Federal Reserve

よつべ動画のリンクがあるのですが、文字起こしは無くて41分頑張って聞けば内容は分かるのですけれどもそんな時間はワシにはないので紹介だけしておきます。

ちなみに一応検索のコツだけ申し上げますと、SF連銀の場合はトップに「News and Media」ってのがあって、イベントってのとスピーチってのがあるからどっちかを当たればだいたい出てきます。

『Summary

Mary C. Daly sat down with Brigitte C. Madrian, Dean of the Brigham Young University Marriott School of Business, for a moderated discussion on the economic outlook and work of the Federal Reserve.』

ってサマリーでも何でもないですけれども、対談というかインタビューみたいな感じで公開収録って感じになっていますね、内容はお暇な方はどうぞ。





2025/04/08

お題「さくらレポートはトラ公なかりせば利上げを絶賛後押しする内容ですな/関税タコ踊り相場が続くので関連雑談を少々とクーグラ―理事発言などなど」

日経先物はだいぶ戻して債券先物はエライ下がっているように見えるが
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through
先物価格情報

ところで金曜イブニングの引けの債券先物15銭安は一体全体何だったのかと小一時間問い詰めたいですわな。

〇さくらレポートは(時間的にトラ公は織り込めないのもあるけど)「オントラック」を結構強くサポートの巻

概況みたいなもん
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera250407.htm
各地域からみた景気の現状(2025年4月支店長会議における報告)

『今回の支店長会議における報告を総括すると、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としているが、足もとでは、わが国経済を巡る不確実性が高まっている。前回の支店長会議開催時点(2025年1月)と比較すると、すべての地域で総括判断を維持している(参考参照)。』

そらまあ判断横ばいじゃろうな。

『主な需要項目等別にみると(注)、個人消費(インバウンド需要を含む)について、賃上げが消費の押し上げに寄与しているとみられるもと、旺盛なインバウンド需要もあって、サービス消費で観光・宿泊や外食等の需要が引き続き堅調であり、財消費でも、都市部の百貨店等における高額品の好調な販売が続いているとの報告が多かった。』

これはアタクシには縁のない話ですが好調と。

『また、スーパー等を中心に、物価高を受けた消費者の節約志向の影響が引き続きみられるとの報告があったほか、こうした日常消費における節約志向の一方、イベント関連等の消費が堅調であるなど、メリハリ消費の動きが続いているとの報告もあった。』

この「メリハリ消費」って実は割と昔から「ハレ消費」だのなんだの言われているのであまりあてにしてはいけないお話のような気がします、今回は違う、のかもしれないけどまあ話半分に見ていた方が良いとおもうの。知らんけど。

『設備投資については、建設コスト高による先送り・縮小や、発注先の人手不足による工事・納入の遅れ等が一部でみられるものの、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資や、IT関連需要の拡大期待に基づく能力増強投資など、幅広い分野で積極的な投資姿勢が維持されているとの報告が多かった。』

こりゃまた威勢のよろしいことで。

『生産については、一部の素材等における生産調整の動きが引き続き報告されたものの、IT関連財でAI関連の生産が増加基調にあるほか、自動車関連では受注残への対応から生産が増加しているとの報告があった。』

まあ素敵。

『この間、各国の通商政策を巡っては、企業からは、生産や企業収益等への影響を懸念する声のほか、ここにきて政策の不確実性が高まっていることから、その影響を見極めつつ具体的対応を進めていく必要があるとの声が聞かれており、支店としても、今後の動向を十分注意してみていくとの報告が多かった。』

まあこれはこういうしかないですよね。

『雇用・賃金面では、多くの地域から、企業の人手不足感が強まるもと、春季労使交渉での大企業を中心とした前年を上回る妥結結果等を受け、地域の企業においても、幅広い業種・規模で、人材確保・係留の観点から、高水準の賃上げを行うことが期待できる情勢にあるとの報告があった。ただし、中小企業を中心に、収益面の厳しさから慎重な姿勢を示す声も引き続き報告された。』

まあでも2%の世界ってのは収益面の厳しいところは淘汰されるっていう世界でもあるので、日銀が堂々とそれを正面切っていうのはポリティカリーインコレクトではあるのでよー言えんところではありますが、それはそういうもんで仕方ないじゃろというのが(死んでも口では言わないけど)ベースラインにはあるはずなので、前半というかほとんどの部分にある威勢の良い話がほぼメインとなりますわな。

『企業の価格設定面では、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の動きは緩やかながらも続いているほか、米などの仕入コスト上昇等に伴う値上げの動きがみられるとの報告が多かった。また、人件費の価格転嫁については、なお難しいとする企業の声はあるものの、賃上げ原資確保のための転嫁を実施・検討する動きが引き続き広がっているとの報告が多かった。ただし、消費者の節約志向の影響がみられるもとで、値上げの抑制や一部商品の値下げ、低価格商品の品揃え強化等の動きも引き続きみられているとの報告があった。』

「賃上げ原資確保のための転嫁を実施・検討する動きが引き続き広がっているとの報告が多かった」キタコレというお話でして、まあその「賃上げ原資確保のための価格転嫁」のどこがどう「賃金と物価の好循環」なのかはさっぱり分からないのですが、如何にもこの循環しています(悪循環にしか見えないのは気のせいにしておくw)っぽい表現もありまして、結局のところトラ公とかいう気の触れた老人がチェーンソー振り回して大暴れしているの巻さえなければ何なら今月末にも利上げできたんじゃねえか、って作りに仕上がっていますねここだけ見ますと。


でもって本編ですが、
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer250407.pdf
地 域 経 済 報 告
── さくらレポート ──
(2025年4月)

本編の方では『(3)企業等の主な声(トピック別)』ということで今回の話題に関しての報告がありますが、

『@個人消費(インバウンド需要を含む)』

『・ 富裕層やインバウンド客を中心に、ラグジュアリーブランドや宝飾品などの高額品販売が引き続き好調に推移。多くの商品で値上げをしているが、需要の減退は特段みられていない(名古屋[百貨店])。

・ 恵方巻やバレンタインといったイベント関連の売上は前年を上回っており、プチ贅沢やコト消費は堅調に推移(高松[商業施設]<松山、高知>)。』

ひょえーーーーーー(そういやバレンタインってそんなもんありましたねえすっかり忘れてたわorz)

『・ ポイント還元率の高い日に顧客が集中するなど、節約志向が継続しているものの、高単価な総菜の販売量が増加するなど、総じてみれば、所得改善効果が下支えするもとで、消費者マインドは底堅い(下関[スーパー])。』

ほうほうそうですかそうですか、と来ますが

『・ 年金暮らしの高年齢層や賃上げの恩恵が小さい世代は、節約志向を強めており、プライベートブランド商品や特売品など低価格の商品を選好(新潟[スーパー])。』

>賃上げの恩恵が小さい世代

何か目から盛大に汗がでてその文字列が読めないんですけど・・・・・・・(´;ω;`)

『・ メーカーの生産体制が正常化に向かう中、登録台数が伸長(福岡[自動車販売])。』

ほうほう。

『・ 飲み放題コースなどの値上げを実施したが、観光客や地元客の需要が堅調で、客足の減少はみられない(函館[飲食])。

・ 国際定期便の増便もあってインバウンド客の増勢が続く中、国内客の「推し活」関連の支出を惜しまない姿も不変で、客室料金を前年から数千円引き上げても、イベント開催の多い週末は満室状態が継続(福岡[宿泊])。

・ 降雪量が多く、県内のスキー場はインバウンド客を含めて客足が増加しているほか、雪まつりなどのイベントの客入りも上々(新潟[観光施設])。』

なんか全般的に威勢の良い話が続いて、時々ちょっと威勢の悪い話がこんな感じで、

『・ 旅行代金の高騰を背景に、学生の卒業旅行の目的地が従来の欧米から比較的安価なアジアや国内へとシフトしているほか、新婚旅行でもハワイやグアムから沖縄へ旅行先を変更する動きがみられる(熊本[旅行])。

・ 当社メニューの値上げや生鮮食品など生活に密接した物価の上昇から、日常使いの常連客が来店頻度を引き下げており、売上は何とか前年並みを維持(本店[飲食])。』

ちょこちょこは入っている、という感じですが総じて強いかどうかはさておき底堅そうな印象を与える内容になっていますよね。


次が『A生産・輸出、設備投資』です。

『・ 中国からの需要は落ち着いているものの、台湾や韓国からのAI関連の旺盛な需要が継続しており、半導体製造装置関連の生産は増加傾向(甲府[生産用機械])。

・ 国内外の堅調な需要を背景に、生産は増加基調にある。なお、米国等で先行きの政策運営に関する不透明感が強く、とりわけ通商政策についてはその影響を見極めたうえで、具体的な行動に移る方針(名古屋[輸送用機械])。

・ 米国の通商政策の影響を事業計画に織り込むのは困難。現時点で生産・輸出計画を変えていないが、ダウンサイドリスクは意識している(大阪[電気機械])。

・ 米国大統領選の行方が不透明な中で発生していた海外顧客の買い控えの動きは、政権発足後も通商政策の着地がみえないことから、続いている(高松[生産用機械])。

・ 深刻な人手不足を踏まえて無人搬送車の実証実験を開始した。当面は、作業員の少ない深夜帯に稼働させて倉庫内の物流を効率化する計画(金沢[卸売])。

・ 建設コストに加え、利上げ後に資金調達コストも高まっているが、必要な投資はしっかり行うため、2025 年度も投資額は高水準となる計画(大阪[電気機械])。

・ 建設業者の人手不足から、工事発注先の確保が困難化(名古屋[金属製品])。』

ということで、さすがにこちらはトラ公の影響は当然ながら直近のトラ公までは間に合っていないと思われるのですが、どの程度織り込ませているのかはよくわからんですな、いやまあ土日あったから突貫工事すればある程度織り込めるかもしれないけどどうなんでしょ、とは思いますが、警戒感は出ているという内容にはなっていますが、ゆうて設備投資しまっせの話で出ているのが労働力の供給不足から来ている話などをちりばめていまして、単なる需要増対応だけではない設備投資ニーズがありまっせ、という話をしているのがこれまた威勢のよろしいトーンになっておられます。


でもって今回トラ公のアレさえなければ最も注目されるべきだったコーナーがこの先にありまして、まずは『B雇用、賃金設定』ですわな。

『・ 人手不足から、繁忙時にテーブルが空いていても客数を制限せざるを得ない状況で、機会損失が発生(広島[飲食])。

・ 人手不足への対応に加え、足もと増加しているインバウンド客への接客を強化するため、外国人材の採用を積極化(福島[宿泊])。

・ 価格転嫁の進捗により賃上げ原資が確保できたことから、2025 年度は前年度を上回る平均4%の賃上げを実施するほか、採用強化の観点から初任給もそれ以上に引き上げる予定(福島[電気機械])。

・ 大企業の前年を上回る賃上げ方針を受け、当社も積極的な賃上げが必要と考え、2025年も前年並みとなる5%台半ばの高めの賃上げを予定(本店[食料品])。

・ 2024 年の賃上げ率は、最低賃金の上昇率や他企業の状況を参考に4%とした。2025年も同様の考え方で賃上げする予定であり、来年以降も、優秀な人材の確保に向けて継続的に賃上げを行う方針(前橋[輸送用機械])。

・ 大企業並みの給与水準は実現が難しいものの、同業他社に見劣りしないよう 2025 年も前年並みの平均3%の賃上げを行う方針(金沢[商業施設])。

・ ここ数年、若年層を中心に賃上げを実施。原資は乏しいが、人材の確保・係留のため、2025 年度も県内平均並みの賃上げをせざるを得ない(水戸[食料品])。

・ 賃上げ原資は十分でないものの、人材係留などの観点から 2025 年度もベアを実施する方針。もっとも、前年度対比で賃上げ率は縮小する見込み(北九州[スーパー])。

・ 燃料代の上昇分を十分に運送料金へ価格転嫁できていないため、収益が圧迫されており、2年連続での賃上げ実施は難しい状況(高知[運輸])。』

ということで、やや苦しいながらも賃上げ、という話が多い訳でして、でまあより重要なのがこの次の『C価格設定』でして・・・・・・

『・ 為替円安から輸入コストが上昇しているほか、人件費等も上がっているため、値上げを実施したが、需要は引き続き好調(本店[小売])。』

価格を上げたけど需要が好調とな。

『・ 短期間で米の収穫量が大きく増えることは想定しがたく、米価格は高水準が続くとみており、商品のさらなる値上げを検討(新潟[食料品])。』

『・ 客数の維持を目的に、消費者の購入頻度が高い米や卵の価格は、仕入価格の上昇に比べて値上げ幅を抑制。もっとも、自社でのコストの吸収は限界に達しているため、今後もコストの上昇が続く場合、販売価格を引き上げる方針(秋田[スーパー])。』

まあそうなりますよね。

『・ 人件費等のコストが上昇する中、価格を重視する顧客と高品質を志向する顧客のそれぞれを意識して、低価格帯商品の価格は据え置く一方、高付加価値商品は価格転嫁を行うことで、利益を確保(広島[小売])。』

なるほど。

『・ 都市部の宿泊料金の高騰を背景に、旅行先を料金水準が相対的に低い当地にシフトする動きがみられていることや、インバウンド需要も回復してきたことを受け、人件費の価格転嫁を目的に、休日を中心に宿泊料金を引き上げ(松江[宿泊])。』

島根ちゃんの「料金水準が相対的に低い当地」は泣いたがしれっとこちらでも価格引き上げと。

『・ 平日は、出張旅費の上限額であることの多い1万円以内に抑えた素泊まりプランを用意しているが、最低賃金引き上げによる人件費上昇もあり、これ以上の価格維持は困難(高松[宿泊])。』

お、おぅ・・・・

『・ 米価格の上昇分を販売価格に転嫁しているが、現時点では来店客数への影響はみられていない。もっとも、値上げが続く中で顧客離れへの懸念もあり、今後の値上げは慎重に検討していく(大阪[飲食])。』

来店客数の影響は見られていないとは威勢の良い話で、さすがに先行き慎重だけど。

『・ 生産コストの上昇が続く中、出荷先のメーカーでは、労務費を含めた価格転嫁に、より寛容になっている(大分[輸送用機械])。

・ 付加価値向上に伴うコスト上昇分の価格転嫁は可能な一方、既存商品における価格転嫁は、単純値上げとなるため、引き続き難しい(静岡[その他製造業])。』

前者のような話はある一方で後者のような話も、ということですが、この価格設定のコーナーみたら普通に価格設定が強いという話が並んでいる訳で、トラ公なかりせば利上げの見落としが前倒しになってもおかしくない内容には仕上がっています、というのは心にとめておくべきではないかと思いました。まあだから目先どうこうという話では全然ございませんが。

でまあそれはそれとして目先の関税タコ踊り相場のメモその他雑感を以下につらつらと。

〇まあしかし昨日も大暴れだったので記念備忘メモ

むちゃくちゃでございましたな
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/P7PWIKEZL5LDPIWSV7OQDU34LQ-2025-04-07/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸、長期金利は一時1.105% 3カ月ぶり低水準更新
ロイター編集
2025年4月7日午後 3:36 GMT+9

『[東京 7日 ロイター] - <15:16> 国債先物は大幅続伸、長期金利は一時1.105% 3カ月ぶり低水準更新

国債先物中心限月6月限は、前営業日比62銭高の142円27銭と大幅続伸して取引を終えた。前営業日に続き、トランプ米政権の関税政策が景気を下押しするとの懸念や日銀の追加利上げ観測の後退が買い材料だった。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.0ベーシスポイント(bp)低下の1.110%。一時1.105%と1月6日以来3カ月ぶり水準を更新する場面もあった。』(上記URL先より、以下同様)

ということで何か昨日ってイールドカーブも朝から滅茶苦茶乱高下(というのか)してましたし、もうグチャグチャでしたけれども、

『きょうの国債先物は、トランプ米政権の関税が世界景気を下押しするとの懸念から日米の株式を売って安全資産を買う投資家のリスク回避の動きにより、寄り付きから買い優勢の堅調な展開が続いた。』

これ後で悪態つくけど「関税対応」とか言ってなぜかガソリン価格補助金だとか低所得者向け給付金とか補正予算だとか大はしゃぎしてまるで関税関係ないじゃろという方向で火事場泥棒の如く財政を出そうとしている国会方面の惨状見ますと、日本国債のどこが安全資産なのかと小一時間問い詰めたくなるんですけどねwwwww

『また世界的な金融市場の混乱を受け、金利スワップ市場が織り込む日銀の追加利上げ確率も一段と後退し、従来のコンセンサスだった「半年に1回」程度のペースでの利上げシナリオが揺らいでいる。』

ワイはOISの金利スワップ市場って昔も今も参加者限定の市場だからあんなのをあてにしてはいかんと思っているんですけど何であれ皆さん重視するんですかねえ、より多様な参加者がいるキャッシュを見た方が良いと思います(そこで問題なのは今の短国市場が金利以外の要因があって国債金利がこれまた意味のない数字になっていることなんですけどね)大昔(ゼロ金利とかになる前)のユーロ円金先も実金利に直したらお前それおかしいだろという水準で平気で売買されていた(短期のアウトライトをする4桁の数字というノリだった)のですがあれ以上に参加者限定的じゃろ。

とまあそれはさておきまして、引けのカーブは

『    OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.574  0.581   -0.038 15:12
5年   0.734  0.741   -0.055 15:12
10年  1.108  1.116   -0.059 15:16
20年  1.893   1.9   -0.043 15:16
30年  2.265  2.274   -0.026 15:13
40年   2.59  2.598   0.005 15:12』

ということで何ですかこの40年国債はという感じですが、まあエライコッチャでございますというか、なんでこんなに世の中の終わりみたいな動きをするのかは昭和脳なので感覚的にしっくりこないんですよね。

・・・・と申しますのは、昭和華やかなりし頃は貿易摩擦だ何だといってやれ関税だ非関税障壁だ内外価格差是正だとか色々とやっていましたけど、別にそれが原因で世の中の終わりになったことは無いわけで(輸入自由化によって変化が起きたとかそういう個別の問題はもちろんあったけど)味噌もクソも一緒くたにしてこの世の終わりみたいなノリになるのが未だにピンとこないし、コロナみたいな自然現象じゃなくてこんなのキチガイのトランプが刃物持って暴れているだけなんですから、なんなら明日トランプが天寿を全うして頂ければ解決するだけのお話じゃろ位のもんでして、短期的にはまあ米国下押しになるけど、米国下押しでボッコボコにされたトラ公が池乃めだか師匠よろしく「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ」と言い出したら終了するでしょうし、別にまあこの世の終わりでも何でもない気がするんですけど、というのから中々マインドセットが変わらんジジイのワイ。

ま、いずれにしましても昨年8月パターンで1か月くらいはドタバタしそうですし、ちゃんと落ち着くには2か月ちかくは掛かって、まあそれから冷静に考えましょ、って話になるんでしょうね、知らんけど。


〇そらそうよとしか言いようが無いクーグラ―理事のインフレ重視コメント

そらそうよというお話ではありますが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-07/SUCXA0T1UM0W00
クーグラーFRB理事、成長よりインフレの方が喫緊課題−関税の影響
Amara Omeokwe
2025年4月8日 2:35 JST

『米連邦準備制度理事会(FRB)のクーグラー理事は7日、トランプ米大統領の貿易政策は現時点において、経済成長よりもインフレに対する影響の方が大きく、より差し迫った問題だとの認識を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、パウちゃんが金曜日に講演していた話を補完した上で、

『新たに発表された関税の発効前に商品を購入しようとする消費者の動きは、2025年初期の経済活動を支える可能性があるが、貿易政策の変更が物価に既に上昇圧力をかけ始めている兆候もあると、クーグラー氏は指摘した。』

なるほどなるほど。

『「既に見られている関税の影響としては、インフレの方がより差し迫っていると現時点で私はみている」と同氏はハーバード大学で7日に開催されたイベントでの質疑応答で発言。 「こうした前倒しの購入は、少なくとも年初の経済活動を維持する上でプラスに作用する可能性はある」と話した。』

話の筋はやや違いますけどこの前植田総裁がインフレ期待の高まりによって耐久消費財の消費が前倒しになるような可能性について言及していましたけど、まあそういう話よね。

でもって(全文引用になって申し訳ないのですが)

『「金融引き締め政策を実施すれば、景気を弱くする可能性がある。一方で、緩和をすれば、インフレを押し上げる可能性がある」と同氏。「従って、この局面を乗り切る方法について、われわれは非常に慎重でなければならない」と続けた。』

となっていまして、まあそう簡単に利下げはせんじゃろ、というお話になるわけですけれども、金融市場のリスクオフ相場で頭に血が上っている金融市場の皆さんは3回利下げだ5回利下げだとか抜かしているみたいでお前らポジショントークも大概にせえと思いましたwwwwww


ちなみにハーバードでやってたのはガチの講義のようでして、

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/kugler20250407a.htm
April 07, 2025
Inflation Dynamics and the Phillips Curve
Governor Adriana D. Kugler
At Ec10b Principles of Economics Lecture, Department of Economics, Faculty of Arts and Sciences, Harvard University, Cambridge, Massachusetts

『Governor Adriana D. Kugler presents a lecture about inflation dynamics and the Phillips Curve to students in Harvard University's Ec10b Principles of Economics class on Monday, April 7, 2025.

In the lecture she discusses how pandemic-era inflation came in a series of waves: food, core goods, core services and housing. She then talks about the Phillips curve as a model to capture inflation dynamics. Finally, Governor Kugler explores additional augmentations to the Phillips curve model that could help better explain the most recent inflation episode.

Here are the slides from her presentation.』

でもってスライドはチラ見しましたけれども、もろに物価の動きの話をしている感じですかね。


〇隙あらば財政の火事場泥棒キタコレ

関税対策で何でガソリン価格の引き下げなのよ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250407/k10014772671000.html
自民幹事長 ガソリン価格“原油や為替見極め引き下げ幅検討”
2025年4月7日 20時48分

いや関税で経済にマイナスだったグローバルに需要減るんだから原油価格がさがるじゃろ放っておいても、
と思うのですが、

『ことし6月からガソリン価格を引き下げるための対応策をめぐり、自民党の森山幹事長は、今後の原油価格や為替の動向を見極めた上で、引き下げ幅を検討する考えを示しました。』(上記URL先より)

森山幹事長は「今後の原油価格や為替の動向を見極めた上で」って言ってるだけだいぶマシなのですが、

https://www.47news.jp/12415452.html
【速報】首相、低所得者向けの物価高対策に意欲
2025年04月07日 15時39分共同通信

『石破首相は参院決算委で、低所得者向けの物価高対策に意欲を示した。消費税減税には重ねて慎重な姿勢を示した。』(上記URL先より)

って関税と何の関係があるんじゃヴォケという話で、もうこれをネタにして選挙民向けアピールする気が満々、という火事場泥棒にも程がある話ばっかり出てきていまして、いやマジでこいつらトラスショック起きないと目が覚めんじゃろというお話で、関税の一連の話がいったん冷静モードになってきた後って大丈夫かという気はします(まあこういうの含めて昨日のイールドカーブのロンガーエンドが弱いっていうのであれば話は分からんでもないがまさか現時点でそこまでは織り込んでねえじゃろとは思いますがどうですかね)、

でまあこの火事場泥棒ムーブですが、火事場泥棒の正当性をアピールするあまり昨日も、

https://news.yahoo.co.jp/articles/7ea0f13717834282250b036c2e255065cfdef352
首相「今回の関税は国難」トランプ大統領との電話会談で「フェア」訴える考え強調…アメリカへの投資と雇用への貢献をアピールへ
4/7(月) 11:46配信 フジテレビ,政治部

っていうことで「国難」とか言ってると、それマインドを悪化させる自滅ムーブになって、菅直人大先生の「デフレ宣言」を思い出すので勘弁して欲しいと既に申し上げた気がするのだが、どうもこの「国難」ムーブ大好きみたいで実にマズイ傾向だわとおもうのでありました。









2025/04/07

お題「トラ公関連のいろんな記念メモ/パウエル講演はスタグフリスクを名言」

お、おぅ・・・・・・・
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through
先物価格情報

日経225先物

限月   25年6月限
取引日 04/07

始値 33,550 (04/04)(17:00)
高値 33,660 (04/04)(17:20)
安値 31,970 (04/04)(23:50)
現在値 32,220 (04/05)(06:00)
前日比 -1,540

あらー下がっちゃったのねーーーーということですが債券先物も15銭安で引けているのねw    


〇結局のところスタグフレーションになるという話だとは思うのだが

これはワロタ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/FIB7UH3LGBOOZED3VPVCWMCX6Q-2025-04-06/
「市場が語った」と中国、米関税受けた相場急落で
Antoni Slodkowski
2025年4月6日午前 10:25 GMT+9

『[北京 5日 ロイター] - 中国外務省の郭嘉昆報道官は5日、市場がトランプ米大統領の関税を拒否する姿勢を示したと述べ、米国に「対等な協議」を求めた。

同報道官は4日の米国株式市場の急落を示す画像をフェイスブックに投稿し、「市場が語った」と書き込んだ。その上で「今こそ米国が間違った行動をやめ、対等な協議を通じて貿易相手国との相違を解決する時だ」と訴えた。』(上記URL先より)

共産主義国家に「市場が語った」とか言われるのは何のギャグかというお話ですが、まあ金曜は円債が一番この世の終わりみたいな動きをしていましたけれども、色々なコメントを見ていると「想定以上にどうのこうの」みたいなのが多かったんですが、トラ公政府ってキチガイ集団で、常人の皆さんがキチガイの行動を読めないのは端から分かっていることなのであまり考えずに出たとこ勝負、と思っていたのですが、何かもうものすごい勢いでこの世の終わりみたいな話になるし、逆にあのキチガイ集団がキチガイ施策を出さないとでもお思いで、という感じで、なんかまあ今に始まったことではないのですが、最近の金融市場(特に債券が全般的に目立つのですが)って楽観(=トランプがゆうてそこまで無茶せんだろ)と悲観(=よくよく考えてみたらリーマンショックでもコロナショックでもないのに何でお前らこの世の終わりみたいな話になるのよ)の振れ幅大きすぎでジジイのワシにはどうも「???」となってしまいます。

まああくまでもジジイの個人の印象だし合ってるのかどうかも知らんけど、もうちょっと振れ幅昔の方が小さかった気がするんで、あんまり陳腐言い方はしたくないけど、パッシブ化とかAI的な取引とか、そのあたりに原因の一つがあるんじゃなかろうかというのは20世紀に人間様がアクティブにやる時代の叩き上げジジイの懐古趣味ですかそうですかすいませんすいません。


でまあ本件ですけれども、ゆうて米国民が部品から何から米国だけで生産された製品を使って生活できている訳ではないでしょうし、そもそも自由貿易の最大の受益者って米国じゃろと思う(個人の感想です)ので、結局音を上げて元に戻るまで何か月なのか何年なのか知りませんけど、最悪でも3年半でしょというお話で、コロナショックやリーマンショックみたいなのと違って底は見えてるじゃろとは思いますが、これ普通にスタグフレーション的に機能するとしか言いようが無いので、現状で引き締め気味の金融政策は維持せざるを得ない(理不尽な話だがインフレ再加速したらパウエルが悪いとかキチガイ集団が言い出すに10万福井俊彦)ので、金利が高めで推移しながら経済は減速だけど物価は下がらんどころか上がる、ということになるんですよね、とまあそんなお話。


しかしまあ何ですな、
https://jp.reuters.com/world/us/K3DB6ZA4A5JZZK6P2UQMXMRZLM-2025-04-06/
全米50州で反トランプの大規模デモ、関税や政府縮小に抗議 欧州でも
Jonathan Landay, Nathan Layne, Tim Reid
2025年4月6日午前 11:44 GMT+9

『[5日 ロイター] - 米首都ワシントンなど全米各地で5日、市民がトランプ政権の政策に抗議する大規模なデモを実施した。全米50州で約1200のデモが行われたとみられ、カナダとメキシコでも開催が予定されている。

ワシントン中心部の国立公園「ナショナル・モール」でもデモが行われ、主催者は2万人以上が参加すると
ロイターに述べた。

ワシントンのデモに参加した元生物医学科学者の女性は、移民や教育政策、「政府効率化省(DOGE)」の活動、関税などトランプ政権のあらゆる政策に抗議するため参加したとし、「国全体が攻撃を受けている、全ての制度、米国を形作る全てだ」と語った。

元資産運用者の73歳の男性は、包括的な関税など経済政策に懸念を示し、「共和党支持集の農家が損害を被るだろう。雇用が失われ、当然401k(確定拠出年金)が打撃を受ける。人々は何万ドルも失っている」と述べた。』(上記URL先より)

ということで抗議の動き、ではあるのですが、この記事の味わいのあるのはインタビュー受けてる参加者の属性でありまして、バイデンのせいで生活が苦しくなったとか言ってメイクアメリカグレートアゲインに夢を託した皆さんとは別属性と思われる方々の抗議活動、という風に見えるわけで、こういうのが出てくると逆に「効いてる効いてる」とか喜んでそうでして(個人の妄想です)、まあ関税の影響で物価が上がりだして「こんな筈は無かった」と思い知って暴れだすまでにはお時間かかりそうですので、そう簡単にトラ公引かんじゃろとは思いました。


ということで、
https://jp.reuters.com/markets/us/56XJHHHOCVPANCP5VXCSFU4REA-2025-04-04/
米国株式市場=ダウ2231ドル安、ナスダック弱気相場入り トランプ関税で貿易戦争懸念
ロイター編集
2025年4月5日午前 6:47 GMT+9

『[ニューヨーク 4日 ロイター] - 米国株式市場は、トランプ米大統領が発表した相互関税に対する報復措置で貿易戦争が激化するとの懸念から2日連続で急落し、ダウ工業株30種(.DJI), opens new tabが調整局面に入ったほか、ハイテク株の多いナスダック総合(.IXIC), opens new tabはベアマーケット(弱気相場)入りが確認された。』(上記URL先より、以下同様)

ということでまあ米国がセルフ経済制裁をしているんだからしゃーないですが、

『ダウは前日比2231.07ドル(5.5%)安の3万8314.86ドルで終了。昨年12月4日に付けた終値ベースの最高値(4万5014.04ドル)から調整局面入りしたことが確認された。ナスダックは5.8%下落して終了。昨年12月16日に付けた終値ベースの最高値(2万0173.89)から22.7%下落し、弱気相場入りしたことが確認された。』

そもそも昨年12月に最高値つけてましたなw

『中国はこの日、米国の相互関税への対抗措置として10日から全ての米国製品に34%の追加関税を課すと発表。2日にトランプ大統領が発表した中国への追加関税と同率を適用した。』

『その後、英国、オーストラリア、イタリアの首脳がトランプ氏の関税措置への対応を協議したと伝わったことを受け、米株価は下げ足を速めた。』

とまあそんな話だそうですな。というただの記念備忘メモでした。


〇パウちゃん講演があったようですのですがスタグフレーションリスクの高まりについて思いっきり指摘してますね

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20250404a.htm
April 04, 2025
Economic Outlook
Chair Jerome H. Powell
At the Society for Advancing Business Editing and Writing Annual Conference, Arlington, Virginia

『Recent Economic Data』ってところから参りますが、

『After a couple of years of solid growth, many forecasters have anticipated somewhat slower growth this year. The initial reading for first-quarter GDP will be released later this month. The limited hard data are consistent with a slower but still solid growth outlook. At the same time, surveys of households and businesses report dimming expectations and higher uncertainty about the outlook. Survey respondents point to the effects of new federal policies, especially related to trade. We are closely watching this tension between the hard and soft data. As the new policies and their likely economic effects become clearer, we will have a better sense of their implications for the economy and for monetary policy.』

経済は今のところソリッドだが新政権の貿易政策などへの不透明感からマインドが悪化しているので今後の影響を見極めたい、と順当な話ですね。

『Looking across many indicators, the labor market appears to be broadly in balance and is not a significant source of inflationary pressure. This morning's jobs report shows the unemployment rate at 4.2 percent in March, still in the low range where it has held since early last year. Over the first quarter, payrolls grew by an average of 150,000 jobs a month. The combination of low layoffs, moderating job growth, and slowing labor force growth has kept the unemployment rate broadly stable.』

でもって次が労働市場で労働市場に関しては強いけれども物価の(好ましくない)上昇圧力にはなっていない、とこちらは理想的な状態であるという従来通りの説明。

『Turning to the other leg of our dual mandate, inflation has declined sharply from its pandemic highs of mid-2022. It has done so without the kind of painful rise in unemployment that has often accompanied periods of tight monetary policy that are needed to reduce inflation. More recently, progress toward our 2 percent inflation objective has slowed. Total PCE prices rose 2.5 percent over the 12 months ending in February. Core PCE prices, which exclude the volatile food and energy categories, rose 2.8 percent.』

物価はここまで順調に高インフレ抑制に向かっていますが・・・・・・

『Looking ahead, higher tariffs will be working their way through our economy and are likely to raise inflation in coming quarters. Reflecting this, both survey- and market-based measures of near-term inflation expectations have moved up. By most measures, longer-term inflation expectations-those beyond the next few years-remain well anchored and consistent with our 2 percent inflation goal. We remain committed to returning inflation sustainably to our 2 percent objective.』

先行きに関してですが、インフレ期待の話をしていまして、近いタームのインフレ期待はサーベイデータでも市場データでも上昇している、ロンガータームのインフレ期待は落ち着いている(これは落ち着いていないというと即金融政策になってしまいますので基本的に「落ち着いている」としか言わないのが仕様ですけど)、だそうで今後の推移をよく見ていきたいと。

・・・・まあ決め打ちの仕様がないからこうなるのは当然ではありますが、インフレ期待の上昇について既に指摘しているので、実際に関税が発動して物価に跳ねたらどういう評価になるのかは要確認ですね。


続きまして『Monetary Policy』です。

『Turning to monetary policy, we face a highly uncertain outlook with elevated risks of both higher unemployment and higher inflation.』

金融政策のパートの開口一番「elevated risks of both higher unemployment and higher inflation.」ということで思いっきりスタグフレーションリスクが高まった、とぶち込んでおります。

『The new Administration is in the process of implementing substantial policy changes in four distinct areas: trade, immigration, fiscal policy, and regulation.』

はい。

『Our monetary policy stance is well positioned to deal with the risks and uncertainties we face as we gain a better understanding of the policy changes and their likely effects on the economy. It is not our role to comment on those policies. Rather, we make an assessment of their likely effects, observe the behavior of the economy, and set monetary policy in a way that best achieves our dual-mandate goals.』

スタグフリスクについてぶっこみましたが、ゆうて先行きの話は「今はwell positionedだから今後の状況をよく見て適切に対処していきたい」ということになっていますので、これはまあしばらくは政策が地蔵だということを示していますな、ってか地蔵にならざるを得ませんけど。

『We have stressed that it will be very difficult to assess the likely economic effects of higher tariffs until there is greater certainty about the details, such as what will be tariffed, at what level and for what duration, and the extent of retaliation from our trading partners.』

影響についてはまだまだどうなるかもよくわからんし、だいたいからして規模や期間だってわからんし、相手国への影響という世界経済への影響も含めまあ今の時点で何とも決め打ちできませんわなというお話。

『While uncertainty remains elevated, it is now becoming clear that the tariff increases will be significantly larger than expected. The same is likely to be true of the economic effects, which will include higher inflation and slower growth.』

でもって確かに言えること、といってるのが関税引き上げが想定よりも大変に大きくて、その影響としてのスタグフレーションを含む規模も大きいじゃろうと。

『The size and duration of these effects remain uncertain. While tariffs are highly likely to generate at least a temporary rise in inflation, it is also possible that the effects could be more persistent. Avoiding that outcome would depend on keeping longer-term inflation expectations well anchored, on the size of the effects, and on how long it takes for them to pass through fully to prices. Our obligation is to keep longer-term inflation expectations well anchored and to make certain that a one-time increase in the price level does not become an ongoing inflation problem.』

でもってその後は「長期のインフレ期待がアンカーされるかどうかがポイントでそれによって物価上昇がパーシステントになるかどうかが決まりますので長期のインフレ期待のアンカーに努めます」って説明をしておりますね。まあこの説明だとそう簡単に利下げってできないんとチャイマスカと思いますがどうでしょうかね。

『We will continue to carefully monitor the incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks. We are well positioned to wait for greater clarity before considering any adjustments to our policy stance. It is too soon to say what will be the appropriate path for monetary policy.』

先行きの話はまだワカランチ会長、とはそりゃそうだ。ということで最後に『Conclusion』ですが、

『We understand the benefits of a solid economy where workers can find jobs and inflation is low and predictable. We also understand that elevated levels of unemployment or inflation can be damaging and painful for communities, families, and businesses. That is why we at the Fed will continue to do everything we can to achieve our maximum-employment and price-stability goals.

Thank you. I look forward to your questions.』

まあ最後はただのご挨拶でした。

ということでしばらくは地蔵にならざるを得ないのと、利下げのハードルは結構高くなったように見えますね。



〇内田さんは昨年8月のアレの教訓を得たようですが植田さんは何で学習能力がないんでしょうか(金曜の国会)

金曜の国会ですけどね。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-04/SU60EAT0G1KW00
植田日銀総裁、見通し修正なら適切に政策対応−米関税は経済を下押し
伊藤純夫
2025年4月4日 9:38 JST 更新日時 2025年4月4日 13:00 JST

→自動車・相互関税で「不確実性高まった」、物価に上下さまざまな影響
→見通し実現性を予断なく点検、基調物価上昇なら利上げ−内田副総裁

ということで金曜日は総裁副総裁が雁首揃えて国会に出ていたのですが、記事中の順序が逆になりますが、先に内田副総裁が答弁していて、実際の答弁リアタイで聞いている暇は無かったですけれども(笑)ヘッドライン見た感じですとこちらのきじにありますように、

『植田総裁に先立って同委員会で答弁した内田真一副総裁は、景気の改善が続き、基調的な物価上昇率が2%に向けて高まっていくとの見通しが実現していけば、「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と改めて表明した。

その上で、見通しが実現していくかどうかを毎回会合で「予断を持たずに点検していく」と述べた。関税政策の影響を含めて内外の経済・物価情勢、金融市場の動向などを丁寧に確認し、見通しのリスクや見通しが実現する確度を点検して適切に判断していく考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、昨年の実績が有るだけに今回も内田さんジャンピング土下座をするんじゃないかと心配しておりましたが、心配は完全に杞憂に終わりまして良かったよかった、と思ったのですがこの後に出てくるハトハトチキンのうらなりおじさんが相変わらずだったわけでして、

『植田総裁は、米関税の影響で経済状況が急変した場合の対応を問われ、外部環境が大きく変われば日銀の経済・物価見通しも変化するとし、「それに合わせて適切な政策対応をとっていきたい」と語った。データや情報を踏まえて毎回の金融政策決定会合で議論し、内外の経済・物価情勢や市場動向などを丁寧に確認し、政策運営に反映させていく姿勢を示した。』

あのですね、そういう表現をする必要はないんですよ。金曜の相場はまあグチャグチャでしたけれども、少なくともワイが見てる感じこのヘッドライン出たあとって債券先物そこそこ上がっていた訳でして、こういうときにわざわざハトハトチキン決め打ちヘッドラインを招くような表現を使う必要はないのであって、内田さんみたいな説明をしておけば良いものを「見通し修正なら」とかいうから相場にボラを与えるんですけど全く学習というのをしていないですね、学者だというのに。

『米関税政策の影響については、自動車関税と相互関税の導入によって「内外の経済・物価を巡る不確実性が高まった」と警戒感を一段と強めた。世界・日本経済にとって下押し圧力とする一方、物価への影響は供給側の要因も含めて上下さまざまだとし、現時点では一概に評価はできないと語った。』

見通し修正、とか言わないでこの部分くらいに寸止めしておけよと思いますが、ここで残念なのは昨年8月以降ここまでの金融政策に関して「米国経済の不確実性」を何度も言い訳に使っていることでして、米国経済が不確実なら政策修正は先送り、ってのが説明上の仕様になっているのですが、必ずしもそうじゃないだろというのは3月会合主な意見でも指摘があったのですが、うっかり安直に「米国経済の不確実性ガー」って言ってしまっているので、まあこれでさえ「政策修正を先送りしますよ宣言」に読めてしまうのが何んともかんともという感じでして、まあこういう切所であんまり歯切れよく説明しない方が良いに決まっているのですが、植田さん何とかならんのこのムーブ、とは思いました。



〇円債ちゃん何かもうグチャグチャでしたので備忘メモ

ちょwww
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XBZ25GULJBPEFIJSOGBMIZROYE-2025-04-04/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸、長期金利1.16%に急降下 3カ月ぶり低水準
ロイター編集
2025年4月4日午後 3:35 GMT+9

『[東京 4日 ロイター] - <15:18> 国債先物は大幅続伸、長期金利1.16%に急降下 3カ月ぶり低水準

国債先物中心限月6月限は、前営業日比1円90銭高の141円65銭と大幅続伸して取引を終えた。前日に続き、トランプ米政権の関税による景気下押し懸念や日銀の早期利上げ観測の後退が買い材料だった。新発10年国債利回り(長期金利)は同20.0ベーシスポイント(bp)低下の1.160%と、1月7日以来3カ月ぶり水準に急降下した。』(上記URL先より、以下同様)

この先物ちゃんのお値段、昨年末の債券先物の引けが141円90銭だったので、限月違いとかそういうのはさておきますと、なんか知らんけど利上げ前のしかもまだまだ利上げ無いんじゃないの状態の時まで戻っておられるとかいういやお前らちょっと落ち着け短期金利25bp上がってる(短国の利回りは15bpくらいしか上がっていない説はあるがw)んだぞという展開にwwwwwww

『きょうの国債先物は、トランプ米政権の関税が景気を下押しするとの懸念から日米の株式が売られて米国債が買われたリスク回避の動きが相場の追い風となり、寄り付きから買い優勢の堅調な展開が続いた。また午前には日銀の正副総裁が衆院財務金融委員会に出席し、植田総裁は「米国による自動車関税や相互関税で内外の経済・物価を巡る不確実性は高まった」などと答弁を行った。』

ということでまあ反応しましたよねさっきネタにした植田答弁。就任して2年やってるのに何でああヘタクソなの。

『さらに米10年国債利回りがアジア時間中盤の取引で4%の大台を割り込んだこともあり、先物相場は中盤以降の取引で上げ幅を拡大した。』

一時先物サーキットブレーカー行くか、と思わせてやっぱり行かない、とかいう焦らしモードでしたわな。ということでただの記念備忘メモですが、

『   OFFER  BID    前日比 時間
2年  0.61   0.616   -0.137  15:13
5年  0.773   0.78   -0.189  15:04
10年 1.158  1.164   -0.197  15:15
20年 1.916  1.923   -0.167  15:15
30年 2.286  2.295   -0.096  15:16
40年 2.589  2.595   -0.094  15:16』

中期、先物から長期を中心にしてお強いわけですが総じていえばブルスティーブですな。中短期そこまで金利下がるもんなのかよとは思うのですが・・・・・・



〇短国はツイストフラットwww

一方で短国ちゃんですが、これやっぱり仮需一段落の影響なんでしょうか・・・・・・・・

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

今回は長いところの引値も並べておきますが、

(4/4引値)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利  0.410
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.410

国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.410
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.410
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.410

国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.395
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.395
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.395
国庫短期証券1297 2025/07/07 平均値単利 0.384

国庫短期証券1281 2026/01/20 平均値単利 0.480
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.480
国庫短期証券1294 2026/03/23 平均値単利 0.490


(4/3引値)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.389
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.389

国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.389
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.389
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.389

国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.389
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.389
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.390
国庫短期証券1297 2025/07/07 平均値単利 0.390

国庫短期証券1281 2026/01/20 平均値単利 0.520
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.550
国庫短期証券1294 2026/03/23 平均値単利 0.565

てな訳で、新発3M入札は後述しますがまずまずの結果ですが、手前の短国のレートが上昇するわ1年どころの短国のレートは低下するわで短国だけツイストスティープしていますなwwwwまあ短いところがGC対比で高杉晋作だったせいではあるのですが、ちょっと笑ってしまったのでメモっておきます。

でもって3Mは
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250404.htm
国庫短期証券(第1297回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1297回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。


1.名称及び記号   国庫短期証券(第1297回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第123条の18第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日   令和7年4月7日
4.償還期限  令和7年7月7日
5.価格競争入札について
(1)応募額        10兆3,766億円
(2)募入決定額    3兆4,294億7,000万円
(3)募入最低価格     99円90銭1厘0毛
(募入最高利回り)   (0.3974%)
(4)募入最低価格における案分比率  98.7375%
(5)募入平均価格    99円90銭3厘6毛
(募入平均利回り)   (0.3870%)』

WIと前回債が0.390%の引値になっている所に対してこの結果なので順当だし、応札も今回は10兆円台を回復していまして、前回が8兆円カツカツの応札で事故みたいな流れ方をしていたのから見たら極めて安定した結果になりまして、期末まであった余計な仮需が剥落すればまあこんなもんってところでしょうかね。



〇そういやこれちょっと気になったのですがあんまり考察している暇がないのでメモだけ(桜井さんのインタビュー記事)

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/ZFGJPXVOKJJXXBMOGBGFY3HWTI-2025-04-04/
インタビュー:日本の成長率下方修正へ、利上げ1%で打ち止めか=桜井元審議委員
和田崇彦, 木原麗花
2025年4月4日午後 5:25 GMT+9

『桜井氏は、米国の関税政策の影響が指標などに表れる前の5月か6月に日銀が追加利上げする可能性があるものの、その後利上げペースは鈍化し、28年4月までの植田和男総裁の任期中に政策金利を1%程度まで引き上げる程度にとどまる可能性があると述べた。』(上記URL先より)

1%までの利上げを3年近く掛けそうだ、と言ってるのに何で0.75%への利上げが5月か6月になる「可能性がある」なのかが謎にも程がある(年内一杯くらいまで待つ可能性がある、とかいうなら理屈は分かるのだが)ので、気になりました、というのをメモっておきます。


ということで雑多な雑感で恐縮至極











2025/04/04

お題「トランプ関税暴投の反応備忘用メモ/なお短国wwwww/需給ギャップ云々の件について改めて(備忘用ですが)日銀の理屈を再度整理」

あーはいはい虚構新聞虚構新聞
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025040300824&g=int
米、無人島にも相互関税 アザラシ、ペンギンが生息
時事通信 外経部

・・・・・・・・虚構新聞じゃなくて時事通信ニュースだと????

〇暴投王が初球から普通の球なげるわけないじゃないですかヤダーという想定ではなかったのねorzorz

ということでまあメモ程度に雑談。

・相手は稀代のノーコン暴投王じゃろ(某ノーコン暴投王は別にわざとじゃないので例えに出すのは失礼ですが)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03DLS0T00C25A4000000/
NYダウ、一時1600ドル超下げ 関税で景気・業績不安
トランプ関税
2025年4月3日 22:36 (2025年4月4日 0:57更新)

日本株ももちろん下がるし債券先物はクソ上がりしていましたが、

『【ニューヨーク=竹内弘文】3日の米株式相場は急落して始まった。ダウ工業株30種平均は前日終値比の下げ幅が一時1600ドルを超えた。前日にトランプ米大統領が発表した全世界を対象とする相互関税は米国の景気や企業業績への不安を高め、投資家はリスク回避のため株式を手放す動きが加速した。』(上記URL先より、以下同様)

ということでアメリカン市場でもドヒャー状態で、

『製品の生産を米国外の拠点に依存する企業は関税の影響が直撃する。アップルは一時10%程度下落。ナイキも同14%安となった。国境をまたいでサプライチェーン(供給網)を持つ自動車の株価も安い。ゼネラル・モーターズ(GM)は3%安。米政権は米東部時間の3日に自動車への25%の追加関税も発動した。関税は価格上昇圧力につながり、米景気にも打撃となる。投資家心理を冷やして幅広い銘柄に売りが広がった。』

だそうですが、そもそも論としてトランプのヤローが初手からまともなものを出してくる訳が無いじゃろ、ってのはコンセンサスだと思いっきり勘違いしておりましたアタクシ誠に申し訳ございませんとしか言いようが無くて、そういうのが出てから交渉だなんだというのを込みで高めの危険球を投げてくるのを織り込み済みで先日までの価格形成だとばかり思っていましたすいませんすいません。

まあこれでインフレ進行してトランプとか共和党を支持してた愚民の皆様が塗炭の苦しみに喘げばいいんじゃないですかとしか申し上げようがないが、こりゃFEDはスタグフレーション対応どうしますねんということでムツカシイことになりますが、まあこの際「物価高騰抑制が大事」とかいって引き締め続けた方がまだマシなんじゃないかとは思いますけどさてどうなるのやら。


・久々に「高度な計算式」を思い出しましたwwwwwww

しかしまあ何ですな、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN030N90T00C25A4000000/
トランプ関税」の税率、貿易赤字÷輸入額で計算か
トランプ関税
2025年4月3日 11:59 (2025年4月3日 19:48更新) [会員限定記事]

『【ワシントン=八十島綾平、赤木俊介】トランプ米政権が2日公表した相互関税の税率を巡り、各国・地域ごとの税率の算出方法に疑念が出ている。相手国がもともと課している関税などを考慮したものとしつつ、実際は貿易赤字の金額をもとにした大ざっぱな数字である可能性が浮上した。反発が出るのは必至だ。』(上記URL先より、以下は会員記事)

ということで何か有料部分のリードを見ると日経新聞が計算しました( ー`дー´)キリッとか書いているように見えましたが、出て数時間もしないうちに世界のツッター民たちが指摘しているんで、まあ有料部分見ると書いてある内容の印象違うのかもしれませんけど日経図々しいなと無料部分だけを読むと思ってしまうので書き方工夫した方がエエンチャウノと思いました。

まあそれはともかくとして、世界のツイッター民の皆様が早速ご指摘していたようですが、そりゃまあトランプ政権だもんその程度の雑な計算してくるの仕様じゃん、とか思いましたけれども、今回のトランプムーブを受けてメチャクチャショックが走っているのを見て、その前のウクライナ対応とかガザにトランプの銅像の画像をリツイート(だか何だか)とかそういうのを深刻に見てなかったのかなあとか思いまして反省しておりますwwwwwwww

でまあこの面白計算式で思い出すのが北浜流一郎大先生でして、北浜先生の高度な計算式、でちょっと調べてみますと高度な計算式による今日の日経平均株価予想というのが出てくると思いますが、まあ北ハマー先生の場合はお茶目でやっている所も多々あるんじゃないかとは思いますが、トランプの場合はこの初手がただの故意暴投なのか、それとも素でやっている暴投なのかという所で、故意暴投なら改善してくるんでしょうけれども、素で暴投している場合はヤバイ、ということでワールドワイドな金融市場においてはもしかしたら「こいつは素で暴投しているのではないか」というトランプキチガイ懸念ということでリスクオフならまあそういうことなのかなと思います。

いやまあこれだったら確かにどんだけ工作に手間暇掛かったとしてもプーチンおじさん大勝利にも程があるから、そりゃプーチンさんが大統領選挙(以下自主規制)


〇盛大にブルスティープ相場と相成りました一方で地味に短国クソワロタのだが

ということで昨日の市場ちゃんに関してはさすがにクリップしておく必要があるでしょうと思うので、皆様とっくにご案内の事とは思いますがロイターさんから、

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/Y4NU4KHWWBJCTHDEPQS6I6DDEQ-2025-04-03/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸、長期金利一時1.325% 5週ぶり水準に急低下
ロイター編集
2025年4月3日午後 3:32 GMT+9

『[東京 3日 ロイター] - <15:15> 国債先物は大幅続伸、長期金利一時1.325% 5週ぶり水準に急低下

国債先物中心限月6月限は、前営業日比1円17銭高の139円75銭と大幅続伸して取引を終えた。トランプ米政権の関税を受け、景気懸念や日銀の早期利上げ観測の後退が買い材料となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同13.0ベーシスポイント(bp)低下の1.340%。一時は1.325%と、2月26日以来5週ぶりの低水準をつける時間帯もあった。』(上記URL先より、以下同様)

ってな訳で139.75とか言って2月末の先物の終値その辺で、実際問題としてはそこからカレンダースプレッド分があるから既にもっと上にいるのですが、先物だけで言えば3月の下げが無かったことになりましたってなもんで(米国株式アイヤーでイブニングで一段高だからもうぐちゃぐちゃですが)、

『トランプ米大統領は米国時間2日夕方(日本時間3日早朝)に相互関税の詳細を発表し、日本も税率24%でその対象とした。これを受け、きょうの国債先物は寄り付きから終日、買い優勢の堅調な展開が続いた。』

ってなもんで、

『   OFFER  BID    前日比  時間
2年  0.746  0.752    -0.083  15:14
5年  0.963  0.97     -0.11   15:03
10年  1.339  1.345   -0.124  15:02
20年  2.083  2.09    -0.101  15:15
30年  2.384  2.39    -0.091  15:11
40年  2.676  2.685   -0.072  15:04』

ということでだいたいブルスティープみたいな感じになっておりましたが、ゆうてこれ瞬間的にはびっくりポンではあるけど、現実問題としてそのまま進むのかとか、仮に進んだとしても結局米国企業に返り血が飛びまくってトランプが窮地に追い込まれてしまうとか、まあ色々な変化があるでしょうし、こんなんどう見ても物価高になるからFEDはますます動けなくなるじゃろとか、まあ色々と考えていくことにはなるとは思うのですけどね。

ま、昨日のジャパンの場合は期初ってのも影響していてそうで、そういえばほんの12年前の期初には黒田緩和というのがあって物凄い値動きをしましたなあというのを昨日のことのように思い出すわけですが、個人的印象として昨日の国内は債券市場が一番勢いよく反応していまして、機関投資家ばかりでやっている市場の期初だけに一番動きましたってところでしょうか。


一方でクソワロタのが短国でして、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(4/3引値)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.389
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.389

国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.389
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.389
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.389

国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.389
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.389
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.390←カレント3M


(4/2引値)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.370
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.370

国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.370
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.370
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.370

国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.370
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.370
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.375

ってな引値になっていまして、なんということでしょう世の中ブルスティープしているというのに短国の短いところは金利が上がっているじゃあーりませんか、というエッシャーの騙し絵状態ではあるのですが、利上げ観測が後ろに倒れ、しかも間が悪いことに今は期初なので、期初早々だとキャリー拾いするなら早めにとかそういう考えも発生するでしょうしということで、短国界隈に避難してきていた避難民の皆様が大挙してお帰りになられた、ということなんでしょうかねえ、知らんですけど。

まあ元々の金利水準が利上げもへったくれもない価格形成になっていましたので、ここだけは利上げ観測が前に倒れようが後ろに倒れようが変化の仕様がない、と言ってしまえばそれまでではありますけれども、ここまで露骨に期初に金利上がって外部環境的には弱くなる必要が無いのに一段と弱くなる、という相場展開になっているのはかなりの面白現象ではあると思いましてこちらもメモっておきます。


でまあ今日は3か月TDBの入札があるのですが、今回の銘柄からは7月償還になりますけれども、5月にも6月にも段差がないというこの短国なので7月償還だからどうした、という事もないとは思いますので、あとは世の中の短国需給動向(3月3週くらいから需給強くて期初になっていきなりズッコケとなったのだが昨日のトランプ関税踊りを見てどうなったのかは知らんが引値見ると需給が改善したようには見えないですね)次第ではありますけど・・・・・・・・・



〇まあこれで4月(5月)利上げするには来週再来週に急転直下福徳円満コースですがもしかしたら・・・・

ということで5月というか4月会合で利上げするのって、来週再来週にトランプ関税踊りが急転直下して円満解決モードにでもなるんだったら別ですが、そうじゃないのにわざわざ利上げすることもアルマイト、というお話になってさすがに見送り、って考えるのが今の時点では一番順当な読み筋ですわな。

では利上げが止まるのか、という話になるとそれは全然別問題で、これを期に世界的なリセッション入りとかいうような面白モードになるなら話は違いますけれども、ゆうてそんなリセッションまであるかいなという話になってきた場合には、そもそも論としてそんなにリセッションするもんなのかってのも有るわけでして、まあ今の時点でいきなり利上げ止まるわという話になるのは話飛びすぎじゃろと思います。これが政策金利1%くらいまで上がっていればまだしも0.5%ですからねえ。

とは思うのですが、ジャパンの非関税障壁とやらも考慮して云々とかいうトランプ政権の言い草はまあどうせただのハッタリだとは思いますが気になるところでして、それすなわち非関税障壁の中に「日本は対米貿易を有利にするために過度な金融緩和政策を放置して意図的に円安誘導を行っている」という半分くらい言ってることが正しいイシューがある可能性が大有りというのがねえでしょうか、って思う訳ですわ。

まあゆうてそれがあるから今月末に利上げはさすがに(急転直下が無ければ)無理があるので勘弁してもらうにしても、円安誘導怪しからんというのが来ると話はややこしくなりませんかねえ、とまあその辺は気になるところではございます。


〇需給ギャップは相変わらずマイナスですけれども労働需給ギャップのプラスが拡大していますねえ

https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm
需給ギャップと潜在成長率

まあ足元トラ公云々に全集中、というのがある上に、そもそも論として1月の展望レポートで「物価は需給ギャップで示されるよりも強くなる可能性がありますがな」という話をしている、という時点でこの需給ギャップの推計の注目度は下げられて然るべきものではありますけど。


      需給ギャップ 資本投入ギャップ 労働投入ギャップ
2023.1Q    -0.40     -0.63      0.22
2023.2Q    -0.13     -0.49      0.36
2023.3Q    -0.34     -0.68      0.34
2023.4Q    -0.11     -0.41      0.30
2024.1Q    -0.74     -1.05      0.31
2024.2Q    -0.62     -0.88      0.26
2024.3Q    -0.55     -0.84      0.29
2024.4Q    -0.27     -0.71      0.44

でまあここで改めて確認しますけれども、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501b.pdf
(1月展望のBOXはまだ別PDFになっていませんので全文のリンクをはっておきます)

(BOX2)資本と労働の代替性と労働の供給制約(本文39p、PDFの41枚目)
(BOX3)労働の供給制約と企業の投資活動 (本文41p、PDFの43枚目)

のところがポイントになるのですが、

BOX2の方ですと、

『業種別に生産関数の推計結果をみると、製造業は資本と労働の代替性が高い(1を上回る業種が多い)一方、サービス業や建設業は、生産要素間の代替性が低く(=補完性が高く)、レオンチェフ型に近い(1を下回る)形状である可能性が示唆された(図表 B2-3@)。業種ごとの代替弾力性と期近の雇用人員判断DIの関係を散布図でみると、サービス業や建設業では、資本と労働の代替性が低く、機械への代替が難しいなかで、深刻な人手不足に直面しており、労働の供給制約に直面していると考えられる(図表 B2-3A)。』

『以上を踏まえると、資本と労働の代替性が低い業種が労働供給制約に直面しているほか、図表B2-1 が示唆するように、最近は、製造業でも雇用人員判断DIにおける不足感の強まり対比で生産・営業用設備判断DIにおいては不足感が強まっておらず、労働供給制約に直面していると考えられる。こうした観測事実は、経済活動や物価・賃金のダイナミクスも、労働需給のひっ迫に焦点を当てた情勢判断を行うことが重要な局面になっていることを示唆している。』

ってのが結論になっているのですが、これすなわち労働需給がひっ迫する中で労働力足りないから資本が稼働できませんって状況になっておりますがな、という事が随所に発生しているということが示唆されまして、資本稼働率が上がらんのは需要不足じゃなくて労働供給不足に起因するので、結果としては労働供給不足によって需給ギャップが改善しませんよ、ってことになっているってお話。

でまあBOX3に

『ただし、BOX2でみたように、こうした資本による労働の代替は緩やかにしか進行せず、労働の供給制約によって生産が抑制されている可能性もある。実際、機械受注や建築着工などの設備投資に関する先行指標は、高めの水準ながら横ばい圏内の動きが続いている』

『これと関連し、機械受注や建設工事の受注残は増加傾向にある。機械受注における主要品目の受注残をみると、工作機械の受注残は中国の不動産市況軟調などの影響を受け横ばい圏内で推移しているが、半導体製造装置などが含まれる電子計算機等や通信機など、ITサイクルなどと関連して需要が旺盛で高度な知識を必要とする品目は一貫して受注残が増加している(図表 B3-4@)。これらの品目では、専門人材の不足などから企業は労働の供給制約に直面して、機械類の増産が難しくなっている可能性がある。』

『また、建設工事の受注残についても、人手不足による着手の遅れなどから、手持ち工事月数が上昇傾向にあることが確認できる(図表 B3-4A)。こうした建築着工の遅れによって、工場建屋の完成が遅れると、例えば、そこに据え付けられる予定の産業用ロボットの納入も後ずれし、結果的に産業用ロボットの受注残が増加することになる。』

『このように、最近では、設備投資の進捗が、労働の供給制約によって遅延している可能性がある。もとより、受注残が増加していることは、需要が旺盛であることの証左でもある。今後の設備投資を判断していくうえでは、需要動向に加え、人手不足による労働供給制約にも注意していく必要がある。』

ということでして、需給ギャップをみないとは言わないけど、労働供給制約に着目すべきって話が有ったわけでして、先般の日銀短観の雇用判断DIも、あの数字自体には何か数値にバイアスというか癖は有ると思いますが、ゆうて雇用判断DIの水準クッソ逼迫しているというデータになっていた訳で、こういう背景のある中でそらトラ公の関税芸が影響ないとは言わないけれども、それ一発でいきなりリセッションなのか、というとこれまたそこまで決め打ちせんでヨロシカロ、という事に成ろうかとは思いますのと、あとは需給ギャップ自体の数値も大事じゃないとは言わないけえれども、必ずしも需給ギャップが経済の状態のすべてを示している訳ではない、って話になっていますよ、という整理を今更ではございますが、日銀のロジックを改めて整理してメモっておこうかとおもって、需給ギャップ出てきたので書いてみました。


なお潜在成長率ですけれども、

           潜在成長率  TFP 資本ストック 労働時間 就業者数  
2023.2Q-2023.3Q   0.57   0.67    0.25    -0.42     0.06
2023.4Q-2024.1Q   0.57   0.66    0.23    -0.42     0.09
2024.2Q-2024.3Q   0.62   0.65    0.23    -0.37     0.12
2024.4Q         0.66   0.63    0.26    -0.34     0.11

ということで何か一応上がってきていることにはなっています。






2025/04/03

お題「短国雑談/安達前審議委員BBGインタビューとな/監事理事人事雑談とか短観おまけ雑談(インフレ期待の計測)とか」

ほうほうなるほどなるほど
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/X7YIYJPX4BLMTNPFY7WIRATQ2A-2025-04-02/
トランプ関税で実効税率17%に、製造業「広範に混乱」=リッチモンド連銀
Howard Schneider
2025年4月3日午前 4:44 GMT+9

『[ワシントン 2日 ロイター] - 米リッチモンド地区連銀は2日に公表した報告書で、トランプ米政権がこれまでに発表した関税措置のほか、今後発表する可能性のある関税措置で、米国が輸入するモノ(財)に対する平均実効関税率は約17%と、現在の2.2%から大幅に上昇すると試算した。中西部と南部の製造業が特に「広範な混乱」に見舞われるとしている。』

『報告書はリッチモンド地区連銀のワデル副総裁らが作成。トランプ第1次政権下の2018年と19年に導入された関税措置で国内の雇用と生産が純減したとし、トランプ第2次政権が掲げる一段と積極的な関税措置も同様の影響をもたらすリスクがあると警告した。』(上記URL先より)

でもって日本の輸出品は関税24%ですかそうですかさいでっかということで

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through
先物価格情報

とりあえず日本株先物はさがっているようでございますな。


〇短国ちゃん昨日も3M以内が甘いとな

売買参考統計値ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(4/2引値)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.370
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.370

国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.370
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.370
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.370

国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.370
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.370
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.375←カレント3M

(4/1引値)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.350
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.350

国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.360
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.360
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.360

国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.360
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.360
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.375

ということで、全般的に3M以内の短国の引値が昨日は甘くされていまして、まあどうせ期末の帳尻需給が剥落したってのがあるでしょうし、一方で債券市場の方はツエツエ蠅になっているので資金シフトでも起きたんかいなと思ったり思わなかったり。

まあ金利上がりました、と言いましてもご覧の通りで4月(5月)会合跨ぎとかそういう概念の一切存在しない引値構成になっていまして、じゃあ短期市場は早期利上げの可能性を読んでいないのかと言えばそうじゃなくて、短国絡まないものですと会合跨ぎを加味したレートになっていたりするものもあるようですので、短国だけアホアホイールドになっているということではあるのですが、これ金利上がったと言ってもGCよりも10bp前後金利低いですし、明日3M入札どうするんでしょ(ちなみにWIは引用してないけど0.370%)という風情ではありまする。

まあ短国ちゃんの場合、利上げ観測高まると利上げ織り込んだレート形成になるというのは昔の話になっていまして(いや真面目な話昔はちゃんとそういう値付けになってたんよ)、利上げ観測高まる⇒ポートの短期化というか長期からの避難民が殺到⇒避難所大混雑でエライコッチャ、という流れで金利下手したら下がるまでありますのですが、いつも申し上げておりますように信用リスクフリーの国債利回りが短期の指標金利として機能していない状態というのはどうにかならんもんかいな、という嘆きは変わらないのでありました。

まあ今回に関しては期末用需要の剥落で説明はつくと思いますが、もしかしたらその中に長期からの避難民の皆様が米国不透明ガーを見てやや調子にのって売られていた感もなくはない長期の方に戻っていったというのがあると面白いなとは思いました。まあメモということでよろしくです。


〇いやいきなりなにゆうてるのこのおじさんは(安達前審議委員BBGインタビュー)

ってか退任早々情報発信な上に内容がお前は何を言ってるんだ状態で何ですかこの人の品位はと思いました(あくまでも個人の感想ですし品位がないとか言ってませんので念のため申し添えます^^)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-02/SU2UVCT0G1KW00
日銀は5月に追加利上げも、米関税の影響限定的なら−安達前審議委員
伊藤純夫、藤岡徹
2025年4月2日 18:00 JST 更新日時 2025年4月2日 18:17 JST

→基調物価は着実に上昇、順調に進めば年末までに再利上げあり得る
→米関税措置で物価・賃金に影響なら、利上げ路線が停止のリスクも

なんかこの部分と記事が微妙にあっていない気もするんですがまあ引用しますと、

『前日本銀行審議委員の安達誠司氏は、基調的物価の着実な上昇を踏まえると、米関税政策によって日本経済や金融市場に大きな影響が生じなければ、次回5月の日銀金融政策決定会合での追加利上げもあり得るとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

はあそうですか


・「利上げ提案があれば」じゃなくて「利上げ提案をする」のが政策委員の仕事だろお前は何を言ってるんだ

『3月25日に退任した安達氏は2日のインタビューで、日銀3月短観で企業の物価見通しが上方修正されるなど、日銀が重視する基調的物価は1月利上げ以降も一段と上昇していると説明。「利上げに向けた環境は整ってきている」とし、仮に審議委員として5月1日の会合に出席し、利上げ提案があれば「賛成する状況だ」と語った。』

「利上げ提案があれば「賛成する状況だ」」ってお前は何を言ってるんだという話で、じゃあ3月会合で何か言えよという話だし、そもそもそういう状況だと思うんだったら「仮に審議委員として5月1日の会合に出席し、利上げ提案があれば「賛成する状況だ」」じゃなくてお前が政策委員会の委員として利上げを提案するのが筋だろというお話ですわな。

まあこの部分を見ただけでこのおじさん、責任感もって政策やろうとか思っていなかったというのを堂々と表明しているようなもんで、これなら言ってること滅茶苦茶だけどちゃんと自分の主張をしていた某ジンバブエ大先生の方がマシまである、という飛んでもない話で誰だこんなの政策委員にしたのは、と改めて思うのでありました。


・基調的な物価が何でそんなピンポイントで出てくるんでしょうかねえ

次のパラグラフも意味くじ分からんのだが。

『安達氏は足元の基調的な物価上昇率を1.75%程度と試算し、順調に進めば年末か今年度末には目標の2%に達するとみる。』

その0.25%って計測誤差の範囲内じゃないですかねえ、何でピンポイントで出てくるのかよくわからん


・そこの0.25%に何でそんなにハードルがあるのか意味が分からん

でもって、

『日銀の利上げは5−7月と9−12月に1回ずつをベースシナリオとしつつ、現状は「0.75%への利上げのリスクは大きくないが、1%への道は開けていない」と指摘。1%への利上げ局面では現行の緩和スタンスの変更が必要になるとみる。』

0.75%と1%の間に大きな差がある、ってこれまたエライ勢いでピンポイントで話をする根拠がさっぱりわからん訳でして、ちょっとその根拠をそこの屏風から出していただけますでしょうかwwwww


・まあこの部分は程度問題なんですけれども

とまあ悪態ばっかりついていても何なので記事の後ろの方を見ますと、

『一方、安達氏は、不確実性が完全になくなることはないとも指摘。米関税政策を受けて企業が設備投資を抑制するなど、実体経済の下振れリスクが顕在化して来年の賃上げや基調的物価に影響するような事態になれば、「利上げ路線をいったん停止する必要が出てくる可能性もある」という。』

ということなんですが、日銀大本営の説明ですと、賃金は構造的に強くて、多少の需給ギャップで反応する状況ではない、というような渾身のレポートが1月会合の際に出ていた訳でして、そらまあ何とかショックみたいなことがトラ公の関税芸によって世界に巻きおこれば利上げしにくくなるのはそらそうよという話なので、この辺の話ってどの程度の話か、と言わないで基調的物価とかフワフワした説明されても議論として意味がないのでまあ残念な説明だわと思いました。

しかしまあ何ですな。現時点で大幅に緩和的な日本の場合はそういう状況での緩和による追加的効果が金融政策が引き締め的な米国と比較して乏しいどころか多分ない訳で、政策発動余地のない状況で何とかショックとか来られたらどないしますねんという事で、ハトハトチキンが修正引っ張りすぎた罪は深いわと思うのでありました。


・しかし退任早々踊るのが緩和音頭じゃないというのが中々面白くて

記事の最後の方にありますように、

『安達氏は大胆な金融緩和によって経済成長と緩やかなインフレを目指すリフレ派の論客として、安倍晋三政権の指名を受けて20年3月に日銀審議委員に就任。』

ということでしたので、退任早々高圧経済音頭とかザイセイガー音頭とか財務省陰謀論音頭でも踊るのかと思いきや何いつの間に転向してるんだよ(とか書いてますが安達さんは就任以降まあ「なんも言わない政策委員」として大本営の九官鳥として機能していた以外の実績がないので入った瞬間からそうだったという説は大いにありますがその点はひとまず置きましてwwwww)という話をしているところが中々滋味の深いものがありまして、現下の経済物価情勢の中で高圧経済音頭とか財務省陰謀論音頭とか踊っているとガチで見識を疑われるというような認識があるからこんなトーンの話になるんじゃろうなと思いますけど、リフレ派から破門されませんか大丈夫ですかと思ってしまいました(ニッコリ)。


〇そういや理事と監事の発令がでていましたな(汗

https://www.boj.or.jp/about/release_2025/rel250401a.htm
監事・理事の発令について

『次のとおり発令がありました。

播本 慶子
日本銀行監事に任命する

令和7年4月1日
内閣』

『中村 康治
日本銀行理事に任命する

令和7年4月1日
財務大臣 加藤 勝信』

『なお、坂本 哲也 監事および加藤 毅 理事は、3月31日任期満了により退任しました。』

政策委員会室長の播本さんが監事、調査統計局長の中村さんが理事で、

https://www.boj.or.jp/about/organization/tanto.htm
総裁・副総裁・理事の担当

ということで、中村さんは企画局、金融市場局、金研の担当ということですので、政策担当理事ということで、どういう方でどうたらこうたらというのは日経などでも既報だとおもいますし、まあ何なら本石町日記先生の解説とかもあるのかと思いますので門前小僧のワイは低みの見物。

ではありますが、直近の展望レポートの「背景説明を含む全文」の方にある渾身のBOX連発って
当時の調査統計局長でありますところの中村新理事の肝いり度がどの程度とかそういうのは中の人しか
分からんのでワシがどうこう言う話ではないですが、少なくとも局長が「いやこれはちょっとアカンじゃろ」みたいな
ものはそう簡単に世の中に出てくるもんじゃないでしょうから(個人の妄想です)、「賃金は構造的に強くて
多少の需給ギャップの上下に反応しませんわ」という賃金と物価の循環の話をどのような感じで政策に
反映させるのか、というか緩和調整を進めていくのか、というのは期待しても良いのかな??と思いました、
知らんけど。


〇日銀短観と言えば企業のインフレ期待がしっかり推移していることが目立ちますがというおまけ雑談

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan03b.htm
短観(2025年3月)

概要が出た翌日に
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/zenyo/2021/all2503.htm
全国企業短期経済観測調査(短観)(2025年3月調査全容)

調査全容というのが出まして、本当はこれをちゃんと時系列で追っかけて行けはあなたも立派な何とかストになれる、というのは先達から教わってるのですが、まあ生業というのがある身としてはなかなかそういう訳にもいかず(だいたいからして3月9月の短観って期初一発目に出てくるから時間が特にないぞな)ということですが、まあこれからはもっと実体経済が大事になる(本来常に大事なのですが日銀の「お気持ち」解釈で決まってしまう時間帯が長すぎた)時間帯になってきていると思いますので時系列含めて色々と読むと面白い(単発で見ても面白いんですが何せ分量が)ですわよ、とオヌヌメしておいて、

昨日短観私家版チェックした時に企業の価格関連に関しまして、

(昨日書いた駄文を再掲)
ちなみにですね、前回この販売価格見通しの小見出しが、「企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、と前回書いたがさらに堅調、と前回書いたがもっと堅調wwwww」なのですわアイヤー。

まあ一番最初の3月って2023年の3月短観になりますのでそこから見たら短期ゾーンの数値は下がっているというお話ではあるのですが、中長期のところは2023年の辺りから見たら全規模合計で見た場合にばっちり上がっていますし、足元の見通しだって日銀大本営の願望シナリオでありますところの「アクチュアルの物価は今後2%上昇水準に落ち着いてくる」どころか1年のところ上昇しだしている訳でして、どこからどう見てもこれは企業の価格上昇ムーブが続いているというお話になりまして、それが「好」循環なのかはさておいても価格引き上げのフィードバックループになっていませんでしょうかというお話で、そんな中で政策金利は0.5%だわ長期国債を市場から月4兆円とかいう紛うことなき金融緩和買入をして良いのでしょうかというお話ではございますな。
(昨日書いた駄文ここまで)

でまあこれは受け売りなのですが、先般アタクシが4回シリーズでツッコミ大会を入れたうっちー副総裁の静岡金懇ですが、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250305a2.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
(図表の方です)

PDFですと6枚目になりますが、紙芝居的には9ページになりますけど、

『消費者物価と基調的な物価上昇率』ってのがあって、これを見ますと短観であんなに強いのが並んでいるというのに『Aインフレ予想からみた基調』の企業ってのがなぜか一貫して2%を割り込んでいる「合成指数」になっているんですよね。

でまあナンジャソラという話なんですが、脚注に「2. 図表@〜Bの各アプローチの詳細は、「経済・物価情勢の展望」(2024年4月)BOX4を参照。」ってありまして、

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/box/2404box4a.pdf
(展望レポートのBOX抜粋版)

のBOX5のところを見ますと、この合成指数って

『第2は、人々の物価観を示す予想物価上昇率に関する指標に着目するアプローチである33。ただし、これらインフレ予想指標には、様々な経済主体・年限のものがあり、それぞれが有する意味付けや統計的な特徴・バイアスなどが異なる。そこで、日本銀行では、それら個別の指標を丁寧に点検するとともに(前掲図表 39)、各指標が有する情報を、統計的手法を用いて集約した合成指標も作成している34。』

とあって、じゃあこの脚注34を見ますと、

『34 具体的には、主成分分析の手法を用いて各指標の共通成分を抽出している。また、合成指標の平均とばらつきは、水準バイアスが相対的に小さい専門家のインフレ予想を基準としている。詳細は、日銀レビュー「期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性」(後日公表予定)を参照。』

となりまして、該当する日銀レビューはこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j05.pdf
期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性
企画局 長田充弘、中澤崇
2024-J-5
2024 年 5 月

こちらの『インフレ予想の集計指標 』って小見出しから先のところにあって『(集計指標の作成) 』というところに説明はあって、『【図表 9】経済主体別の合成予想物価上昇率』ってのがありまして、これを内田副総裁の講演でも使っている、という形ですが、よくよく見ますと(内田さんの講演でもそうですが)これ「10年後」とかいうそれ金融政策的に意味あるのかという期間の合成予想物価上昇率を出していまして、いやまあ勿論こちらの日銀レビューではもっと短い期間の話として『【図表 10】予測力ベースの集計指標 』ってので3年先の予想物価上昇率をベースにしたインフレ期待の予測力評価してたりしているのですが、だいたいからしてこの手の分析って過去の数字からの時系列分析しているから限界があって、このレビューの本編でも4ページの最後に、

『このように、予測力という観点からはバイアスを勘案することが有用と言えるが、バイアスは時間の経過とともに変化する可能性がある点に留意が必要である。例えば、中長期的に物価上昇率が2%程度で推移するとの見方が経済主体間で強まれば、中長期のインフレ予想指標は2%程度に収束する可能性があり、その場合にはバイアスが縮小していくと考えられる。』

『また、各指標の予測パフォーマンスも、局面によって変化する可能性がある。インフレ予想や物価の形成メカニズムは複雑であり、明らかではない点も多いだけに、予測力の観点のみをもって特定の指標に過度に依存することは避けるべきと考えられる13。』

ちなみに企業のインフレ期待の合成指標出している元データは上記URL先にもありますように短観なのですが、合成して期待インフレ率を出す云々と言いましても、局面変化が起きているような場合だと時系列だか何だか使って生データ加工しちゃうと過去の低インフレ均衡の時代に引っ張られてインフレ期待過小評価せんかいなとおもってしまう(局面変化してないなら別にそれでいいんだけど)と思ったりする訳でして、日銀大本営の言ってる「予想物価上昇率は2%に行ってません」って話もホンマカイナという思いを短観の数字見ながら改めて思う、というか何でこんなことになってるんじゃろうという質問から発生したおまけ雑談ではございました。








2025/04/02

お題「短観はお強かったのもあるけど市場が一応短観反応した(ような気がする)のが良かったですねえ」

そういえばこのオペなんですけど
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/mpr250401a.pdf
気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの実施スケジュールについて

https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo105.htm
気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション基本要領

『附則

この基本要領は、本日から実施し、金融調節上の支障がない限り2031年3月31日まで継続し、同日をもって廃止する。ただし、同日以前の日を貸付日とする貸付けの取扱いについては、なお従前の例による。』

・・・・・・・・まあトラ公はあと3年半ですけど、うーむ。


〇短観はお強い内容のようで(ただしトラ公要因は別問題)私家版チェック+α

概要
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2503.pdf
短 観(概要)―2025年3月― 
 第204回  全国企業短期経済観測調査
< 回 答 期 間 > 2月26日 〜 3月31日


・前回の短観の時と反応が違うのが何と言ってもイイハナシダナー

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/34GUUR7AKVPK5IVCXOBW4YAADA-2025-04-01/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.50% リスクオフ一服で売り優勢
ロイター編集
2025年4月1日午後 3:14 GMT+9

『[東京 1日 ロイター] - <15:10> 国債先物は反落、長期金利1.50% リスクオフ一服で売り優勢

国債先物6月限は、前営業日比13銭安の138円27銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.500%。リスクオフの流れが一服する中、円債は売りが優勢となった。

国債先物は朝方から売りが先行。リスクオフムードがいったん落ち着いたことや、夜間取引で先物が下落した流れに追随して始まった。前日に急落した日本株が反発していることも、円債の圧迫要因となった。その後、時間外取引の米長期金利の小幅な低下を眺めて、国債先物はじわじわと下げ幅を縮小した。

日銀が朝方に発表した3月短観は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス12と4期ぶりに悪化した一方、物価見通しは上方修正された 。』(上記URL先より)

ということで、回答時期的に4月2日からの関税の話を織り込んでいるのかというとたぶん織り込めていないから参考記録かも知れん、というのもあってもろ反応はしていなかったのかもしれませんが、ゆうて昨日の債券市場って朝方は横綱下がっていまして、前日に期末相場か何か知らんけど謎のクソ上がりをした反動分はあるにせよ、昨日の市場って短観に対する評価がどうのこうのってのも材料になっていたという感じなんですよね。

さてここで前回短観(12/13)の時の市場反応を見たワイの12/16の駄文を再掲しましょう。

(以下昨年12月16日に書き散らかしたアタクシの駄文を再掲しますと)

金曜の債券市場コメントをいつものようにロイターさんから
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/3EMOMH25AVNYBJDEGTU33PHWPM-2024-12-13/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利1.04% 日銀利上げ観測後退で中期債の金利低下
By ロイター編集
2024年12月13日午後 3:39 GMT+9

<記事引用部分割愛、ちなみにリンク先まだ生きてます>

ということでですね、別にこの短観で12月利上げ確定って話じゃないのはそりゃまあそうなんですけれども、何ぼなんでも「利上げ観測後退で中期債の金利低下」ってムーブになるのはどっからどうみても短観を丸無視してるだろお前ら、ということで嘆かわしいにも程があるわけですよ。

先般来申し上げていますが、11月末の植田総裁のアホアホインタビューが出る前ってのは珍しくもちゃんと経済指標に反応して債券市場動いたりしている感じが見受けられていた訳でして、それを全部ぶち壊してしまって、結局「日銀のお気持ち表明」に全集中という世界に戻ってしまった、というのが金曜の相場に如実に示されている訳ですな。
(以上昨年12月16日に書き散らかしたアタクシの駄文を再掲しました)』

ということでですね、もちろん短観が強い材料になったという訳ではないのはその通りではあるのですが、それでもちゃんと短観に反応する体制になっていた、というのは中々結構なお話な訳でして。まあ昨年の日銀の「屁理屈繰り出しながら決め打ちばっかりするコミュニケーション」によって市場が日銀の発言しか見なくなっていた、というのが、足元の物価高問題もあるでしょうし、1月に利上げしてからそこまでアホウなコミュニケーションをしていない(なお先般の内田副総裁の金懇はちょっとドイヒーだったのでジンバブエ先生の金懇でもやらなかった4回シリーズのツッコミというのをしましたので先行きそこはかとなく不安はあるのですが・・・・・)ので、ちゃんと市場が更生(??)してきてるじゃんというお話かと思うんですよね、まあ単なる個人の感想ですけれども。

ちなみに当時の駄文(の原稿)を読み返しているのですが、上記の直前にも悪態ついてて、あの時のコミュニケーションに対してバチクソ怒っていたのが良くわかるわwwwwwww

(ついでに昨年12月16日に書いた駄文から)
『でもって次のところで悪態つきますけど、今回の短観ってごくごく普通に強いのですが、これを見て普通は12月だって利上げしてもおかしくないし1月利上げ待ったなし、という感じになって然るべきなのですが、先週バシバシと打ち込まれた12月利上げ火消どころか否定の大本営的屁理屈が、1月だって利上げ出来ないんじゃねえのその理屈持ち出すと、という感じになっているもんだからまるっきり市場が反応しない、という嘆かわしい状態になっている訳で、このようなアホアホコミュニケーションを「丁寧な説明」と思ってやっている大本営は唯一ネ申又吉イエスによって地獄の火の中に投げ込まれるべきではなかろうか、という思いまで湧いてくる金曜の市場ではございましたという所でまあそんな感じですわ。』
(以上昨年12月16日に書いた駄文を再掲しました)

いやマジでこの時から見たら随分と「正常化」されてきたわとまあそういう感想がまずはあるのですが、では私家版チェックの方を行いますと・・・・・・・

・業況判断DI:製造業は微妙だが非製造業がつええええええええ

          (12月短観)       (3月短観)
          現状→3月予測     現状→6月予測
製造業大企業   +14→+13     +12→+12 
製造業中堅企業 +11→+8       +11→+4        
製造業中小企業  +1→+0       +2→▲1

非製造業大企業  +33→+28     +35→+28
非製造業中堅企業 +22→+15     +25→+18
非製造業中小企業 +16→+8      +16→+9

(前回12/16に書いた駄文より)
ということでですね、今回なんですが、前回って先行き見通しDIが現状対比で固め(弱め)に出ているという状態でしたが、今回は前回の見通しをさくっと上回って(特に非製造業)強かった前回並み(なお前回も同じく「直前の先行き見通しよりも強い」状態)になっております。どう見てもオントラックです本当にありがとうございました。
(前回の駄文ここまで)

製造業大企業が「前回予測DI未達」になっていまして、先行きに関しても若干前回の予測DIよりも弱くなっているのはさすがにトランプ関税への懸念をしめしたものなのかなとは思いますが、ゆうて確かにこれは本格的に出ている訳ではない(自動車とか強いし)ので、そこについては不確実性要因があるのですが、何ですかこの非製造業の強さは、というお話でして、非製造業強すぎワロリンチョとしか言いようが無い。なお先行きが下向きなのはこのくらい強い数字になると仕様のようなもんですが、固めに見てたけどやっぱり強いわ、というのが続く高原状態になっております。正直この短観見てどこの景気が悪いんだと言いたくなる訳で、景気が弱いから利上げはどうのこうのとか言ってる高圧経済とか未だに言ってるバカスケはとっとと滅亡していただきたいものです。


・企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、って毎度毎度書いておりますわwwwwwwww

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.8%→3月:2.9%
3年後 3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%→12月:4.2%→3月:4.4%
5年後 3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%→12月:5.0%→3月:5.2%

大 企 業 製 造 業
1年後 3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%
3年後 3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.4%
5年後 3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%→12月:3.4%→3月:3.7%

大 企 業 非製造業
1年後 3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.4%
3年後 3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.1%
5年後 3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%→12月:3.6%→3月:3.5%

ちなみにですね、前回この販売価格見通しの小見出しが、「企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、と前回書いたがさらに堅調、と前回書いたがもっと堅調wwwww」なのですわアイヤー。

まあ一番最初の3月って2023年の3月短観になりますのでそこから見たら短期ゾーンの数値は下がっているというお話ではあるのですが、中長期のところは2023年の辺りから見たら全規模合計で見た場合にばっちり上がっていますし、足元の見通しだって日銀大本営の願望シナリオでありますところの「アクチュアルの物価は今後2%上昇水準に落ち着いてくる」どころか1年のところ上昇しだしている訳でして、どこからどう見てもこれは企業の価格上昇ムーブが続いているというお話になりまして、それが「好」循環なのかはさておいても価格引き上げのフィードバックループになっていませんでしょうかというお話で、そんな中で政策金利は0.5%だわ長期国債を市場から月4兆円とかいう紛うことなき金融緩和買入をして良いのでしょうかというお話ではございますな。



・企業の物価全般見通しは従来「こういうのはインフレ期待が2%にアンカーされていると言わんのか」でしたけど・・・・

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%
3年後 3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%
5年後 3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%

中小企業 製 造 業
1年後 3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%
3年後 3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.6%
5年後 3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.5%

中小企業 非製造業
1年後 3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%→3月:2.7%
3年後 3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%→3月:2.6%
5年後 3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.5%

過去1年にわたってこの数字を見て「どっからどう見たってこれ「企業のインフレ期待は2%でアンカー」以外に何を言えという話」って言ってるんですよね。でまあこちらで中小企業だしているのは、かつてこの短観の数字を出しだしたときに日銀大本営は「大企業の価格見通しはエコノミスト見通しや市場見通しに影響されやすいが、より一般の見方に近いのは中小企業の見通しである( ー`дー´)キリッ」とか言ってたんですが、黒田末期以降は利上げを渋る屁理屈を並べるのに忙しいので、すっかり言わなくなっているというのが日銀のご都合主義な訳ですな。

前回もと「そもそも論として何を持ち出せば「インフレ期待がまだ2%に届いていない」とか言えるのか、というのを日銀は真面目に示すべきではないか、と斯様思う訳です。マジでいい加減にしろ。」などと悪態をついていますが、まあ普通にここの感想は同じという事実が今回もあるし何なら今回全般的に少しづつだけど上がっている訳で、何ならこれ2%よりも上振れしだしているんじゃないのか、って言いたくなりますね。ネタではなくて半分くらいマジで。


・販売・仕入価格判断が驚愕の上昇を示している訳でどう見てもこれは政策対応ビハインドリスクの高まりが、と思うんだが

販売価格判断

            (12月短観)         (3月短観)
           現状→3月予測      現状→6月予測
製造業大企業   +25→+24       +28→+30
製造業中小企業 +29→+34       +27→+37

非製造業大企業  +29→+31      +32→+34
非製造業中小企業 +27→+31      +30→+37


仕入価格判断
          (12月短観)          (3月短観)
          現状→3月予測      現状→6月予測
製造業大企業   +39→+37      +41→+43
製造業中小企業 +58→+58      +57→+62

非製造業大企業  +44→+44     +44→+44
非製造業中小企業 +53→+56     +57→+61


でまあ販売価格判断と仕入価格判断ですが、前回12月短観の時にはおおむね(強い前回対比)横ばいですなという結果でそんなことを書いたのですが、今回は販売価格判断上がっている上にまさかの先行き価格設定の強気がキタコレとなっているのですが、よくよく見れば仕入れ価格判断も上がっているし、先行きの仕入れ価格判断も上がっている、ということでして、コストプッシュなのかディマンドプルなのか知らんですけれども、これもまた価格上昇のフィードバックループに入っていませんか大丈夫ですか日銀政策完全に後手に回ってインフレ阻止失敗の戦犯として吊し上げられて植田総裁は頭でっかち馬鹿学者総裁として千載の汚名を残しませんか、と心配したくなるこの結果。


・雇用判断DI:前回はその前並みで見通しほどは一段の引き締まりなし、でしたが今回も同様

            (12月短観)        (3月短観)
           現状→3月予測     現状→6月予測
製造業大企業   ▲18→▲21     ▲17→▲21
製造業中堅企業  ▲24→▲27     ▲26→▲28
製造業中小企業  ▲24→▲31     ▲24→▲30

非製造業大企業   ▲39→▲39    ▲39→▲40
非製造業中堅企業  ▲46→▲50    ▲46→▲48
非製造業中小企業  ▲46→▲49    ▲46→▲52

まあこの雇用判断DIは水準がもうキテマスキテマスなので今更ここからさらに引き締まるってことはなさそうな感じではありますが、ゆうてこのように雇用が引き締まった情勢な訳でして、そらおちんぎんも上昇するというものでございます。

なおジジイのワシのおち(ここで床に穴が開きボッシュート)

ということでボッシュートされたことでもありますので(嘘ですただの時間の関係)今朝はこの辺でご勘弁。








2025/04/01

お題「米国のせいとは言え中々の期末相場/オペ紙メモ/PD懇と投資家懇議事要旨より少々」

ちょっと何言ってるか分からない
https://jp.reuters.com/world/security/7PT5HXVCPBKFRMILVB3LNK7IYE-2025-03-31/
米を不公平に扱った国、関税を予期すべき=ホワイトハウス
ロイター編集
2025年4月1日午前 4:51 GMT+9

政権皆で関税芸人になっていますが頭大丈夫なのかこいつら・・・・・

〇なんか期末相場無茶苦茶でしたな

わけわからん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XDR4THKFORL6PGFITJIB2CEJHI-2025-03-31/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸、長期金利1.485%と3週間半ぶり低水準 リスクオフで
ロイター編集
2025年3月31日午後 3:33 GMT+9

『[東京 31日 ロイター] -    <15:23> 国債先物は大幅続伸、長期金利1.485%と3週間半ぶり低水準 リスクオフで

国債先物6月限は、前営業日比63銭高の138円40銭と大幅続伸して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同6.0ベーシスポイント(bp)低下の1.485%と3月5日以来の低水準を付けた。リスク回避の流れが強まったほか、2年債入札が無難に通過したことも好感され、円債は堅調に推移した。』(上記URL先より、以下同様)

ということで何かハチャメチャな展開になっていましたが、

『2年債は同3.5bp低下の0.830%、5年債は同5.5bp低下の1.095%。20年債は同3.0bp低下の2.220%。30年債は同0.5bp低下の2.520%。一方、40年債は同1.0bp上昇の2.790%。』

というなんかドイヒーなカーブになっていたのですが、いや確かに米国リスクオフみたいな展開にはなっていたけど、最近のアメリカン市場って関税芸人がなんか言うと一々過剰に反応する(ので人間じゃなくてロボみたいな感情の無い馬鹿がやってるんじゃないかと疑いたくなるんだが)のが仕様になっているのもう見え見えなのに一々国内市場がそれに大反応するのって如何なものか(月曜の最初の大市場がうちんちだからしゃあない面はあるのは分かるけど)とは思うんですけどね。

でまあ表組みの方で見ますと、

『    OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.829  0.835   -0.033 15:14
5年    1.09  1.098   -0.054 15:14
10年  1.479  1.485   -0.064 15:15
20年  2.215  2.224   -0.026 15:14
30年  2.512  2.521   -0.009 15:13
40年  2.774  2.787    0.011 15:18』

先週激強ダッチ入札をやった40年は何をやってらっしゃるのですかという悲しいことになっているのですが、なんかまあ随所に変なことが起きてまして短国方面では、

売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html


(3/28引値)
国庫短期証券1290 2025/06/02 平均値単利 0.350
国庫短期証券1292 2025/06/09 平均値単利 0.350
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.350
国庫短期証券1293 2025/06/16 平均値単利 0.350
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.350
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.350
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.350←新発カレント3M

からの

(3/31引値)
国庫短期証券1290 2025/06/02 平均値単利 0.360
国庫短期証券1292 2025/06/09 平均値単利 0.360
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.360
国庫短期証券1293 2025/06/16 平均値単利 0.360
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.360
国庫短期証券1295 2025/06/23 平均値単利 0.360
国庫短期証券1296 2025/06/30 平均値単利 0.375←新発カレント3M

ということで、全体的に1毛甘くなってやっと0.3台後半(もっと手前の方は0.35とかですけど0.35〜0.36の引けになりやした)金曜日にクソ流れ応札少なし入札をやった新発3Mの1296の引けが0.375%になっている訳でして、何だよそれって感じです。この銘柄償還が6/30月曜で年末でも半期末でもない四半期末だからそこまでのドイヒーにはならないかもですが、ゆうて今回の期末のところで割と理不尽な相場をやってくれた短国な訳で、ロールを前提にして買うということになりますとこの償還は基本避けて通るじゃろ、となるので昔の常識だと期末に足の来る3Mってのは基本あまり好まれない(期末で落とすのが確定なら逆に買いやすいけど)というのが仕様でしたが、まあ何か1回やってみてご教訓得られました的なもんですかね、と言っても1週前の償還と段差があり過ぎですけどまあこれはただの需給。

ということで、先週は40年と言い3Mと言い碌なもんじゃなかった、というのが週開けてみると判明しておりましたという悲しい期末でした。


〇オペ紙久々に雑感

何か最近あんまりネタにしていませんでしたが(汗)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/mpr250331a.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2025年4〜6月)

順調に減額しているにはしていますし、まあ今回超長期10-25が減額されるのは想定内で、なんか若干ビビッてないかという感じですが、

-1年  1500×1⇒1000×1
1-3年 3000×4⇒2750×4 
3-5年 3000×4⇒2750×4
5-10年 3250×4⇒3000×4 
10-25年 1500×3⇒1350×3
25-年  750×2⇒750×2
物国   500×1⇒500×1
合計   45000⇒41050

でまあ10-25の減らし方ですが、たぶんこれ合計額を500億円くらい減らそうということで150×3にしたんだろうとは思うのですが、他の年限が250減ってるのにここだけ150減ってるのが見た目として超長期の金利上昇にビビってるんじゃねえのと思ってしまわないでもないのですが、ここは市場がどう受け止めているか次第なのでそこに関してはアタクシ(日銀の屁理屈と短い方みているだけで忙しいので)きちんとフォローできている訳でもないので有識者のご見解を待ちたいと思います。

ただまあ今回に関しても超長期が減額になるのならないので事前にちょっとだけだとは思うのですが話題になったりしたりで、オペ紙がまだ材料になる感がありまして、昨年の6月(開始は7月)会合によりまして輪番に関しては今の扱いは「正常化に向けたスムージング、ただし正常化がどこなのかは知らん」という状態になっている筈なので、減額に関してもっと露骨にプロラタ感を出した減額をしていくのは一つの考えとしてありだと思う(買入の刻みが細かくなるけど)のですが、どうでしょうかねえとは思います。

しかしまだこの時点で月額4兆とか意味わからん規模の買入になっていまして、四半期4000で今のところ減らしているのですが、買入が1兆円切るのにあと2年も掛かるとかあり得んというかただの財政ファイナンスな訳で、6月の見直しでは減額ペース加速しろよと思いますが、加速どころか減速しろとかいう情けないにも程がある市場の意見が結構出るんでしょうなあと思うとおじちゃんは情けなくて情けなくて。

昨日駄文のマクラに引用したこれ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250328/k10014763291000.html
超長期国債の金利上昇 財政に反応?【経済コラム】
2025年3月30日 0時02分

みたいなのをもっと市場が出すのが本来の市場経済じゃろという話でして、「金利が上がるのが懸念されるので日銀の輪番減額ペースを緩めろ」とかほざく輩はどっかの計画経済の国に逝ってもろて頂いて欲しい訳で、もっとじゃんじゃん減額して減税だの高圧経済だの寝言を言ってる馬鹿連中の目を覚まさせた方が中長期的に本邦の為になるじゃろ、くらいの原理主義発想のアタクシなのは毎度申し上げておりますので耳にタコだと思いますが期初なので改めて申し添えますwwwwwwww


〇PD懇と投資家懇の議事要旨から入札方式雑感と国債投資家のインフレ期待が垣間見れた気がしますので

PD懇
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/250321.html
国債市場特別参加者会合(第113回)議事要旨
・日時 令和7年3月21日(金)16:00〜17:00
・場所 財務省 第3特別会議室

・内容 
1. 令和7年度における固定利付債のリオープン方式について
2. 令和7年度における固定利付債の入札方式等について
3. 令和7年4-6月期における物価連動債の発行額等について
4. 令和7年4-6月期における流動性供給入札の実施額等について

投資家懇
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/250324.html
国債投資家懇談会(第96回)議事要旨
・日時 令和7年3月24日(月)10:30〜12:10
・場所 財務省 第3特別会議室

お題は同じですな。

でまあPD懇ですが、40年国債のダッチ入札に関してPDの意見割れてましたが、

『・当局案に賛成。40年債について、意見が分かれていると認識。40年債は来年度から減額となるが、これは投資家のニーズが減少または不安定なためと認識しており、この先の入札時も不安定と考えている。このため、しばらくはダッチ方式の継続を希望。』(ここから暫くPD懇より引用)

はいいんですが、次の人はお前PDの看板下ろせやと思いましたけど謎の熱弁。

『・40年債に加えて20年債及び30年債もダッチ方式を希望。日本銀行の金融政策と、米国の通商政策及び米金利上昇によって、円金利上昇が後押しされている中、2020年6月に財務総合政策研究所が公表したディスカッション・ペーパーで論じられた、入札で高値掴みとなってしまう「勝者の呪い」と定義される現象が今まさに発生している。』

『この現象下で、ダッチ方式は発行コストの低減という点で比較優位とされているが、他方、共謀が懸念される場合、コンベンショナル方式が優位とされている。茲許のコンプライアンス意識の高まりを勘案すると、日本において共謀が行われる可能性は極めて低く、ダッチ方式が発行当局にとっても優位と考えている。』

うーん何を言いたいんだこの意見は。

『・需給面では、特に今、超長期ゾーンの需要が不安定な状況のため、発行市場に新しい投資家を呼び込むことが、中長期的に重要と考えている。その新しい投資家は、米国の投資家と考えている。彼らはダッチ方式に慣れており、「入札がダッチ方式であれば参加する」という投資家が少なからず当社には見えている一方、「ダッチ方式だから入札に参加しない」という意見は聞いたことがない。ダッチ方式の拡大により、発行市場に今より多くの投資家が参入することで、発行コストを安定させることに繋がると考えている。』

何で米国にあわせにゃならんのと思いますし、そもそもPDがマーケットメークしてセカンダリーの流動性が確保されていれば別に入札がコンベンショナルだろうとダッチだろうと参加するじゃろという話ですが、まあそれに関しては日銀の馬鹿買入のせいで個別銘柄の流動性が万全ではない、という問題点が大有りなのでPDだけのせいではない面は多々あるんですが、ちゃんとセカンダリーの流動性があればコンベンショナルだろうがダッチだろうが関係ないじゃろ、ろしか思えないのだがどうなんですかねえ。

『・40年債は、来年度から発行額が減額されるところ、現行のダッチ方式だと流通市場と比べ金利が低い方に大きく乖離する傾向が強まると思うため、価格コンベンショナル方式への移行を希望する。平成19年11月の発行開始以来、時間が経過し、40年債入札の市場は成熟したと考えており、コンベンショナル方式への移行が、流通市場を含め40年債市場の更なる価格発見機能の向上や市場の成熟に繋がると考えている。』

まあコンベンショナルでしょうよ、と思います。

『・CT債についても、来年度から発行額が減額されることもあり、コンベンショナル方式への移行を希望。40年債と同様、最終投資家が実際に買いたい水準よりも金利低下方向に乖離する可能性が高いと考えているため。

『・落札上位陣の意見を聞くべきと考えるが、当社としてはCT債以外、全てコンベンショナル方式を希望する。』

ということで意見が分かれていて味わいがありました。あと物価連動国債に関してですが、

『・当局の提案に賛成だが、従前から希望している、第U非価格競争入札再開の検討を開始すべき。当社店頭では、国内外の投資家から新規もしくは再投資希望の相談が寄せられているが、一部の投資家から、市場規模の小ささを理由に、投資を見送る投資家がいる。今後の課題として、投資家層の裾野を拡げ、より物価連動債市場の規模拡大に繋げていくため、発行増額となる方策を希望。』

ってのがあって、まあそうなんじゃろうなって話なんでしょうね、知らんけど。

これは日銀の輪番が相変わらず多くて、この前減ってやっと四半期ベースの発行額の方が少し多くなったのですけれども、相変わらず2500億円/四半期の発行に対して2100億円/四半期の輪番および買入消却となっていまして、しかも元本フロア設置で発行再開した後の物国が順次償還を迎えているので直近では償還分純減状態になっているということで、市場規模が増えないから流動性が厳しくて、流動性が厳しいから参加者が増えなくて、参加者が増えないから市場規模を増やせない、という永久機関が回っているんじゃなかろうか、というのを示していますなとは思いました。


投資家懇の方ですが、入札方式に関しては(自分が入札するわけでもないからあっさり味になるのは当然ですけれども)あっさり味で、

『・当局の提案を支持する。

・当局の提案に異論はない。特に40年債は流動性に乏しく、現行のダッチ方式のままでよい。

・当社は、基本的に満期保有を前提とした上で、流動性の確保を重視し、流動性が確保された商品に投資を行う方針。従って、当局の提案には賛成する。

・40年債について、将来的にはコンベンショナル方式への移行が適切と考えているが、足元の不安定な入札状況や市場の成熟度を考慮すると、しばらくは現行のダッチ方式の継続が適当。

・40年債について、発行量の少なさから現状維持でよい。

・40年債について、流動性の観点等からも現状維持が好ましい。』(ここから先は投資家懇より引用)

となっていますが、3番目の「基本的に満期保有を前提とした上で、流動性の確保を重視し、流動性が確保された商品に投資を行う方針」ってのが仰る通りですわなということでして、入札方式云々よりもセカンダリーのマーケットメイクをどうやって安定させられるか、というのがダイジダイジネーと思う訳で、買ったは良いけど売りに行ったら5毛甘でじゃあオファーはというとオファーありませんとか言われるようなもので流動性リスクプレミアム乗ってもいなかったら誰が買いますねんというお話なので、黒田末期の日銀の発行額以上に買ってしまいました問題とか(あれは超長期じゃなくて10年債の話だが)非常に罪が重い話だったとしか言いようが無いなあと思うのでありました、と隙あらば日銀の国債買入に悪態をつくのに余念のないアタクシ。


逆に物国の方は投資家懇の方が盛り上がるわなということで、なんと吉野座長からのご質問まで出ていました。

『〇また、吉野直行座長より、出席者に対して以下のとおり質問があった。

・物価連動債への投資が乏しい理由として、見合いの負債がないことは考えられないか。財政の不安定性は高まってしまうが、物価連動預金など、負債に見合う商品があれば購入促進につながるのではないか。』

うーん何とも微妙ではあるけど、負債サイドの話を含めた参加者の意見があったので面白いから一部引用します。

『・調達側が名目金利であるため保有しづらく、保有するにも基本的に時価評価される勘定科目になるため、評価損が懸念される。市場の安定性は改善傾向にあるものの、まだ脆弱な面もあり、投資判断は慎重にならざるを得ない。もっとも、インフレ局面において、物価連動債の商品性を評価はしている。』

というように、調達側が名目金利でインフレリスクに関しては預金なり保険商品なりの預入者や購入者が負っているというのが一般的なお姿になっている、というのが現状ですわな。

『・流動性の低さがネックであり、一定の投資額に留めている。なお、利上げに伴う貸出金利や短期金利の上昇で、長期的な目線でみると、インフレ局面自体は当社の収益にはプラス。そのため、価格変動リスクを負ってまで投資するメリットは薄いのかもしれない。』

そらまあ「インフレ局面自体は当社の収益にはプラス」なら別に良いじゃんとなりますわな。

『・当社は見合いの負債が存在せず、ALMの観点から今のところ需要はない。もっとも、物価連動する新しい商品の議論もあるのだが、顧客への商品内容説明等のハードルもあり、それをどうクリアしていくかにまだ答えが出ていない状況。将来的にはその様な商品への需要に期待しており、引き続き研究しつつ、商品を出せれば負債側からの要請で物価連動債に投資していくという局面もあるかもしれない。』

これは吉野座長のコメントの通りではありますな、ってご回答っすね。

でもって面白かったのはこの後のコーナーでして、じゃあそもそも論として今がその時期なのか、という話ですけれども、

『・本邦でのインフレ期待があまり大きくないこともあり、物価に連動する商品も現状ない。将来的にそのような商品があってもいいが、機は熟してないと考える。』

『・インフレヘッジや実質利回りの点で魅力的と考えており、引き続き注目し投資もしていくが、投資を増やすためには、投資家からのインフレヘッジ需要が強まり、インフレファンドからの資金流入が必要。海外と比べると日本は持続的なインフレ局面がなかったこともあり、今後インフレが続く場合は資金流入が期待できるが、まだそのタイミングではない。』

この他にも現状では時期じゃない、という意見が2つほどございましたし、1個上の商品作る作らないの話もそうですけれども、ジャパンの国債市場的に言えばインフレ期待って盛り上がっていないってところなんですわな、というのが垣間見れた感じがしまして、そらまあ早期利上げ観測って出てもちょっとリスクオフになると一気に巻き戻しが入るのは市場の中の人たちのベースのインフレ期待が弱ければそうなるわな、って思ったのですがどうでしょうかね〜〜。