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2025/02/21

お題「高田委員金懇会見より/金月GC金利下がらずとな/その他雑談ポエムです」

まあこういう投票結果になる罠
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD192JG0Z10C25A2000000/
高校無償化、私立向け拡大「反対」70% 経済学者調査
学費上げや公立衰退を懸念
エコノミクスパネル
2025年2月21日 2:00

『日本経済新聞社と日本経済研究センターは経済学者に政策の評価を問う「エコノミクスパネル」の第3回調査として、高校無償化への賛否を尋ねた。自民党と公明党、日本維新の会がめざす私立高校向け支援額の引き上げには70%が反対した。』(上記URL先より)

公教育を兎に角充実させる、という方向だったという事に関しては昔の方がベターな選択だったように思えますけどどうなんでしょうかねえ。

〇高田審議委員金懇会見である

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250220a.pdf
高田審議委員記者会見
――2025年2月19日(水)午後2時30分から約40分
於 仙台市

・変なカタカナ言葉使うなという話ですな(ギアシフト)

今日の所感はのオープニングの直後の質疑応答は笑ったw

『(問)まず一点お伺いしたいんですけれども、今回の要旨の中でですね、ギアシフトという言葉、もう一段ギアシフトというお話ありましたけれども、これは前回の 9 月の時にも確か使っていたかなと思いまして、例えばその 9 月から 2 月になりまして、そのギアシフトの意味合いであったりとか、例えばもう少し利上げのペースを早めるとか、何かそういう意味合いについて少しお伺いできますでしょうか。』

ギアシフトっていったら「加減速」という話だし、よく考えたら「ギアを一段と上げて」ってのもなんか変な言い方で、速度を高めるためにギアを上げているんだったら寧ろそれ経済への押し上げを企図しているのかとか、まあ変な解釈もできますし、だいたいからしてこの質問にあるように、ギア上げる、って言われたら利上げペースを加速する、って意味にも取れるし、まあこういう変なカタカナを使って良いのは福井俊彦だけ、というのは昔からの常識ではあります。

以下アホのような禅問答が展開されています。

『(答)ギアシフトという言葉は、実は去年の 2 月(注 1)から使っていまして、昨年の 9 月も使いましたし、そういう意味でいうと金融緩和の度合いをどう調節していくかという言葉の中で使わせて頂いたということです。これはこの 1 年間私も一貫して申し上げているのが、結局企業の前向きな動き、今日の報告の中でも、やはりバランスシートとそれから損益計算書というんでしょうか、バランスシートでみれば、バランスシートを拡大させる、これまで縮小していましたから、そういうところを拡大させる動き、設備投資に代表される[動きです]。また一方で、損益計算書でみると、お金を使っていく、そういう意味からすると、賃上げであるとか、価格転嫁であるとか、そういったところの前向きな動き、好循環というものが続いていくのであれば、だんだんギアシフトしていくということで使ってきましたので、そういう意味では、昨年の 2 月(注 1)も、それから去年の 9 月のときも、そんな思いで使わせて頂いていますし、』

全然話が整理できていないからもうこの時点で何を言ってるのか、お気持ちしか分からないという恐ろしい禅問答になっていまして、

『また一方で、そういう企業の動きが、この 1 年間も含めて私は前向きな動きが続いていると思っておりますので、そういう観点からすれば、今回においても、もうちょっとギアシフト、ある面、企業の前向きな動きに沿って、その動きの中でだんだんと緩和の度合い、それを調節していくというかたちで使っています。』

どうも政策金利の水準調整そのものが「ギアシフト」という意味らしい、だったら最初から「政策金利の水準の調整」と言えと。

『ですから、そういう言葉を使わせて頂いたということは、そういう企業の前向きな動きが、依然続いているということを前提にしておりますので、それが急に早まったとか、別に遅くなったという思いは特にありません。』

普通ギアチェンジって加速度(またはエンジンブレーキの例のように負の加速度)調整のために使うもんじゃろということで、早まったり遅く成ったりしていないのにギアチェンジとはこれ如何にというお話でして、どうも高田っちはこの言葉が「キャッチーな言葉」と思ってドヤ顔(かどうか知らんが)で言ってる節が見受けられますが、どう見ても言ってることの真意を分からなくしているようにしか見えませんなwwwwww

『ただ、ある程度持続的というのでしょうか、少なくともこの 1 年間そういう動きが続いている、振り返ればそういう動きを背景として、昨年の 3 月であり、また昨年の夏であり、また今年にもそれなりの変革が行われているし、また一方で、これからもそういう動きをみながら、調節をどうしようかということを当然考えていきたいなと思っています。』

クソ長いんだがこれギアチェンジとか言わなかったら5行で話終わるんじゃネーノという感じでして、いやまあ高田さんがあまりしゃべりたくないからこういう変なバズワードを使って蒟蒻問答作戦に出ることによって、煙に巻いてその場をしのぐ、という発想ならば(別にいい事とは思わないけど)ああそうですか、ってなもんですが、これ真面目にコミュニケーションしようとしているんだったらギアシフトって使わない方がどう見ても良いんじゃないかね、と思いました。


・蒟蒻問答はまだ続く

こちらの方の2問目の質問が続きますが、

『(問)もう一点なんですけれども、トランプ大統領が就任してからちょうど 1 か月くらいになります。要旨の中でもですね、不確実性という言葉がありましたけれども、1か月経ってみてまだちょっと分からないところもあると思うんですけれども、どういった不確実性があるというふうに高田審議委員は思うというか、考えていらっしゃいますか。』

寧ろ「不確実性が晴れたという解釈でよろしいですか」と聞く方が嫌がらせ成分は高いと思うのですが、あえてこういう聞き方をすることによって「不確実性は高いんですやっぱり」と言わせようとしているのかな、と思いましたw

『(答)不確実性はもういくらでもあります。だからそれを言い出したらキリがないということだと思います。』

じゃあ何で12月は不確実性ガーで利上げ見送りになったんですかねえwww

『ただ、私自身トランプ政権のところをどう評価するかというのは、なかなか難しいわけですけれども、少なくともアメリカの実体経済をみておりますと、例えば今年の 1 月のIMFの見通しも随分上方修正されていますし、雇用環境も結構堅調な状況が続いているということを考えますと、そういう意味での、これまで昨年からずっと利下げをしていて、その背景には雇用の減速があったわけですけれども、そういう意味での先行きに対する経済の不確実性は低下していると考えていいんじゃないかなと思います。』

トランプの評価をさておいてそういう評価ができるのに何で12月は以下同文w

『ですから、私自身、今日の午前中の講演なんかでもそうなのですけれども、場合によっては、ソフトランディングというよりは、タッチ・アンド・ゴーの可能性もと申し上げたということでもありますし、また一方で、トランプ政権が 1 か月経って、そういう意味では、もちろん不確実性は続いてはいるわけですけれども、少なくとも金融市場、また実体経済、そうした中の大きな不確実性が増しているということではないのかなと思っています。』

まあ説明がコンニャクにも程があるわけですが、

『ただ一方で、これからも、経済は生き物でありますから、変動することがあるし、また一方で、新しい政権、アメリカも変わったわけでありますから、そういう中での、これから政策がどう出てくるかというところもありますから、その辺は予断なくみてかなきゃいけないなとみています。』

ちょっと待て、だったら何で1月利上げしたんだよ。

『少なくとも言えるのは、昨年までみえていたような経済の減速、もしくはそれに伴う政策の変更、そういうものは随分変わったんじゃないかなとみているということです。』

昨年までって言ってるけど12月から1月の間に何か劇的な変化あったかよという話でして、まあ高田っちは大勢順応派という認定をベースにしますけど、大勢順応おじさんがこういう感じで煙に巻きながら重大な判断変更の背景を誤魔化しているのですから、まあ要は1月政策変更(あるいは12月政策変更見送りも含め)の背景って何なんでしょうねえ(棒読み)という話になるわけですな。

だってさ、12月のあの説明からの1月の利上げってことだと春闘と米国動向に劇的な変化がないとできない訳ですし、その中で少なくとも春闘をメインにするのは無理があって、どう見たって米国の不確実性払拭をメインに置かざるを得なかった訳ですから、何で米国の判断が変わったのか、という説明をしないといけないんですが、この高田っちの説明って12月から1月の間の差分が何なのかとか全然わからん(以前からそうでしたが、みたいな説明にしかなっていない)訳でございますので、つまりは1月利上げの背景ってなんだったんでしょうかねえ棒読みということになる、とまあそういう訳でございますわオホホホホ。


・長期金利静観プレイなのは良いのだが理屈に関しては今後ブラッシュアップの余地がありそうですな

例の静観プレイ問答ですが、

『(問)二問お伺いします。足元ですね、日銀の追加利上げ観測の強まりなどを背景に長期金利が1.4%を超えて上昇しております。緩和的な環境を維持するという観点でちょっとお伺いしたいんですけども、本日の講演の図表 10 をみますと、実質長期金利のところがですね、引き続きマイナスにはなっているんですけれども、1.5%を長期金利が超えてくるとプラスの領域に入ってくるような感じにもみえます。』

まあこれもここまでの日銀の説明の弊害ですよね(だから今回の金懇挨拶のパートで高田っちは中立金利を数値で出すのは良くない呼ばわりをおっぱじめたわけです)。よくよく考えてみたら均衡物価水準2%で潜在成長率が0.5%で1.5%の名目長期金利が実質金利プラスになるわけねえだろしかもアクチュアルの物価水準2%軽く超えてるんだぞというお話なんですけど。

『こういったプラスの領域に近づくというか、入ってくるというか、そういう場合、緩和的な環境の観点で問題はないのか、高田委員のご自身のスタンスをお願いします。』

ということで一ひねりした質問である。

高田っちの回答。

『(答)長期金利に関してですけれども、私、基本的には長期金利の動きというのは市場の中の動きでありますから、それについてあんまりコメントするものでもないのかなと思っております。』

まあそれはそうですわな。

『ただ一方で、昨年の 3 月にイールドカーブ・コントロール、YCCをやめているわけでありますから、こういう意味からして、経済の実態に沿ったいろんな思惑、その中で長期金利も動いているということなんじゃないかと思いますので、そういう意味では、ある面でそういう政策の変更に関する動きが出てきたのかなと思っているところです。』

まあこれって大本営が想定問答考えてもそうなるだろうな、と思います。

でもってここ大事なのは大本営ですら「YCC止めたんだからシランガナ」という話をしていることでして、つまりはこんな水準で牽制期待(この後別の小見出しにしてネタにします)とか言ってる市場の方々の頭の中の方こそパラダイムシフトができていない、ということですわな、重要重要。

『また一方で、図表 10 のところでつけさせて頂いた実質長期金利ですけれども、こちらにありますように、確かに長期金利のところが上がってくれば、物価のところを一定とすれば、そこのところでそれが縮まってくるということはあろうかとは思いますけれども、ただ、まだ幅はあると思っていますので、』

これは金懇挨拶で言ってた「中立金利を数値で示すのはコミュニケーション上よろしくない」というお話。

『そういう意味からしますと、先ほどから繰り返しのように、YCCをやめた後の先行きに対する経済ですとか、それから物価に対する見通しですとか、そういったものを普通に反映したものじゃないかなと私は思っています。』

ということでまた「YCC止めてんだから」というのが出てきました。

・・・・・・まあこの話自体は当然ちゃあ当然なのですが、一方で日銀はついこの前までYCCによって長期金利を押し下げることによって緩和的な金融環境を作って物価目標達成に向けた環境作りをする、と抜かしながら長期金利市場へ特に最後の方はアホみたいな介入をしていた訳でして、その介入が終わったあとの金利上昇について「それは勝手に決まれば問題ない」みたいな話をするのってのも説明の非対称性にもほどがあるわけですな、まあ日銀大本営にこれを聞くとおそらくですけど(アタクシが考える想定問答としては)当時は短期政策金利による追加的な金融緩和余地がなくなったので長期金利に介入しただけで有って、短期政策金利による金融環境の調整が可能な状態になっている現在において長期金利に介入する必要はありません、という回答になると思うんですよね。

ただまあ今でも減らしつつあるとはいえアホみたいに輪番やっている訳でして、そことの矛盾についての整理もしていかないといけない訳でして、1月からの一連の流れ、高田っちの講演での説明に関しても、従来の「緩和政策調整をできるだけ先送りできるもんなら先送りする」という意図で構築した屁理屈の山をしらっと修正していく、という話ですからまあコミュニケーションギャップはかなりこれからも出てくるんじゃ無かろうかと思いました。

という感じでいかめんどくさいので割愛します(気が向いたら続きやります)。


〇昨日はいつもの金月GCじゃなかった件&今日は3M

毎度おなじみ
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

        O/N  T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/2/18 0.459 0.448 0.421 0.423 0.421 0.423 0.449 0.486 0.554
2025/2/19 0.489 0.474 0.433 0.425 0.425 0.428 0.450 0.487 0.560
2025/2/20 0.495 0.486 0.440 0.431 0.432 0.431 0.451 0.488 0.562

ということで、特に先週とか金月のところのGCがダダ下がりしていたのですが、昨日はトモネのGC下がらず、というか寧ろ上がってるじゃんということになっていまして、とはいえ一方で昨日の短国アウトライトで急に需給が悪くなったとかそういう雰囲気は無かったように思える(むしろ需給はタイトっぽい気がするんだが)訳でして、いやまあ短国だけじゃなくて長期債の方で在庫嵩んできたとかそういう話なのかもしれませんが、先週アホみたいにGCレート低下したのにたいして今週は何ぞというところです(積み最終ってあんまり関係ない気がするんだがまさか積み最終の影響とかあるのかしら・・・)。

とまあそんな状況ですが今日は毎度の3M入札がありますけど、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(2/20引値)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.300
国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.295
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.300
国庫短期証券1289 2025/05/26 平均値単利 0.300

1287がカレントで1289が今日入札のWI(1231は1年物の成れの果て)になっていますが、手前も含めて売参ベースの気配は30bp(ちなみに3月償還の短国の売参引値は昨日甘くされてまして35bpになっていまして、貫録の逆イールドになっております、ゆうてまあGC対比では手前も強いのですが)にされていまして、GC高止まりの中でこっちの入札はどうなっちゃうんでしょうかという所です。なお上記の並びでお分かりのように、4月会合(結果出るのは5/1ですがやはり4月会合と言いたくなる)での利上げの可能性などというのものは織り込まないといういつもの価格形成になっておられるのは申すまでもございません、マッタクモウ。



〇この程度で一々牽制を期待するとかYCCに戻してほしいのかと小一時間問い詰めたいのだが

150円割れはイイハナシダナーですが。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-20/SRZKBYDWLU6800
円買いが加速、対ドルで一時149円40銭台−日銀の利上げ観測強まる
グラス美亜、Vassilis Karamanis
2025年2月21日 1:14 JST

→円は対ドルで一時1.3%高の149円47銭、昨年12月6日以来の高値
→植田総裁と石破首相の会談、円の強気派に自信与えた−TDのルー氏

記事の後ろの方から引用しますが、

『日本の最近の経済統計が、日銀による追加利上げ見通しを補強している。昨年10−12月の実質国内総生産(GDP)速報値は市場予想を上回り、12月の名目賃金は28年ぶりの高い伸びを記録した。』

『日銀の植田和男総裁は20日に石破茂首相と会談を行ったが、長期金利上昇については話題に出なかったと述べた。』

ってな訳で、

『TDセキュリティーズのマクロストラテジスト、アレックス・ルー氏(シンガポール在勤)は「植田総裁と石破首相の会談は、恐らく円の強気派に十分な自信を与え、それがドルの対円での下げを加速させている」と指摘。「このところの円高と日本国債利回り上昇について議論しなかったことは、、当局が一段の利上げにも違和感を抱かないと解釈できそうだ」と分析した。』(上記URL先より、句点は原文ママ)

とまあそういう話になっていましたが、昨日はベンダーなどを見ていると高田っちの金懇が改めて「長期金利上昇の牽制が入らなかったのが重要でタカ派丸出しです」みたいな講釈を述べている向きがあって吹いたのだが、いやまあ確かに昨年8月のビビりんちょ内田副総裁の印象が未だに強いから、「そろそろ日銀はビビりんちょしてくるんじゃないのか」という予想をするのはまあ分からんでもないのですが、ビビりんちょが無かったというのは本来あるべき姿な訳でして、なかったから重要とかいうのは流石にお前らデフレ脳だしYCC復活して欲しいんかと小一時間問い詰めたいというところになろうかと存じますわ。

まあここもとのこういうムーブを見ていますと、市場の方が相当のデフレ菌侵されていて、デフレ脳から治っていないんだなというのと、そのデフレ脳からの遷移が始まる中でやっと起きましたリプライシング、ってお話なのかもしれませんなあとは思いました。

とは言いましても、そもそもその市場のデフレ脳を育てたのはYCCによるアホみたいな市場介入な訳で、市場介入がデフォ位の脳になってしまっていた時間帯が長いし、何なら市場に参戦してからずっと大規模市場介入しか見ていない人だってたくさんいるわけですから、そらまあそういうことになるじゃろうな(今だって大概に大規模市場介入しているんですけどね)というのは逆にアタクシの場合ジジイですのであーなるほどねと柔軟な思考が必要であると自戒しつつ見ている次第です。

でまあその大規模介入デフォ意識をどう払しょくしていくか(バランスシート正常化にもつながる話ではありますが)もそうなんですけれども、市場のデフレマインド(???)を根強くしているのって、日銀が黒田末期以降に行っていて今もまだ継続されている部分が多分にあります屁理屈の構成、というのもあるんじゃないのかと他責思考満載で付け加えさせていただきたい訳です。すなわち、ついこの前までの日銀って基本的に「金融政策スタンスの中立化をできるだけ先送りするために屁理屈を駆使する」というムーブをしていたわけで、物価目標達成のメルクマールをホイホイと変えてみたり、しまいには賃金と物価の好循環とか言い出したり、第一の力第二の力とか言い出してみたり、しまいには「対応する時間的余裕がある」といってみたり直近では「米国新政権の経済政策の影響を見極める必要が」とか抜かしていた訳ですな。

でまあその点から考えますと、急に変なもんでも食ったのかロボトミー手術でも受けたのかは知らんですが、年初から突如のジャガーチェンジをしてきて利上げをしたんですが、そこで出てきた大勢順応派の高田っちの金懇で出ていた中でワシが注目したのは「米国経済はタッチアンドゴー」とか「中立金利の水準は今の段階では出すべきではない」とか今までの説明を全力でひっくり返し、しかも今までのような「先送りのための屁理屈チェンジ」ではない、というのが大事ですよね、という訳でして、先送りのための屁理屈を繰り出さない日銀が高々10年金利1.4%ごときで何か牽制するとか思うのはちょっとアレなんじゃないですかね、とまあそんな事を思いました。

というポエムになってしまいましたが、要するに昨日のベンダー見ながら出てきているコメントへのワシの愚感想が「ごん、デフレ脳はお前らだったのか」という小話でした。





〇米国地区連銀総裁次々とご発言とな(週末確認用備忘メモもかねて)

・ボスティック総裁(アトランタ)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/CP4CVRGI55ICZOQVQ42TXSJFSQ-2025-02-20/
アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な不確実性も存在
By Howard Schneider
2025年2月21日午前 3:15 GMT+9

『[ワシントン 20日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は20日、トランプ米大統領の貿易・移民政策を巡り広範な不確実性が依然として存在するものの、連邦準備理事会(FRB)は年内に計50ベーシスポイント(bp)の利下げを実施できるとの見方を示した。』

『ボスティック総裁は記者団に対し、2回の25bpの利下げが自身のベースライン予測としたものの、これに関する不確実性はかなり大きく、「上下双方向に影響を与え得るさまざまな要因がある」と述べた。』

『ボスティック氏は19日に発表した論文で、米国が新たなインフレ急上昇に直面しつつあるとは考えていないものの、輸入関税の引き上げや移民政策、規制変更が今後の見通しに与える影響を巡り、企業の間で「広範な懸念」があると指摘。「全体として見ると、足元のインフレデータは楽観論と悲観論の両方の証拠を示している」との考えを示した。』(上記URL先より)

ということですが、

(URLがクソ長すぎ)
https://www.atlantafed.org/about/atlantafed/executive-leadership-committee/bostic-raphael/message-from-the-president/archive/2025/02/20/uncertainty-calls-for-caution-humility-in-policymaking

Uncertainty Calls for Caution, Humility in Policymaking

Raphael Bostic - President and Chief Executive OfficerRaphael Bostic
President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Atlanta
February 20, 2025

記事は19日の論文というのがあるのですが、イマイチ見つからなかったのでとりあえずこれを貼っておくの巻。


・グールズビー総裁(シカゴ)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/Z3AJAHOPFNJTFMMTM7RKB6RO5E-2025-02-20/
トランプ関税、「コロナ禍規模の衝撃」なら物価懸念=シカゴ連銀総裁
By ロイター編集
2025年2月21日午前 2:34 GMT+9

『[20日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は20日、トランプ米大統領が表明している広範な関税措置の導入で新型コロナウイルス禍で発生したような供給ショックが引き起こされれば、インフレが悪化する可能性をやや懸念していると述べた。』

『グールズビー氏はシカゴで行った講演で、トランプ氏が1期目の政権で導入した関税措置は範囲が限定されていたほか、十分な適用除外があったため、供給網に対する影響が抑えられ、インフレは実質的な影響を受けなかったと述べた。』

『トランプ氏が現在の2期目の政権で検討している広範で高率な関税措置については、適用次第になるとしながらも、コロナ禍と同規模の衝撃につながれば、懸念を高めなければならないと語った。』

『労働市場については、「安定的な完全雇用」の段階に移行したようにみえると指摘。ただ、移民の大規模な強制送還が実施されれば、雇用創出に直接的な影響が及ぶ可能性があるとの懸念を示した。』(上記URL先より)

まあそうですねというお話ですが、こちらの講演なんですが、これがまたシカゴ連銀のサイトって基本的に探すのクソ面倒(先代から変わったらデザイン変わってさらに探しにくくなった)でちょっと探したがらしきもの見当たらないという残念モード。


・ムサレム総裁(セントルイス)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/YLI2TZXQCJNZLGOUMV4EOEY66M-2025-02-20/
米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス連銀総裁
By Howard Schneider
2025年2月21日午前 3:18 GMT+9

『[ワシントン 20日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は20日、このところの経済指標でインフレ期待の上昇傾向が示されているとし、景気停滞と物価上昇が同時に起きるスタグフレーションに米経済が陥るリスクを指摘した。成長鈍化と高インフレが同時に起これば、連邦準備理事会(FRB)は雇用と物価を巡る二重の責務を達成する上でジレンマに直面し、難しい舵取りを迫られる。』

そらそうだ。

『ムサレム氏はニューヨークのエコノミック・クラブでの講演で、このところの経済指標でインフレ期待の上昇傾向が示されていることで、FRBは一段と制約的な金融政策を迫られる可能性があると指摘。インフレ率は最終的に目標とする2%に収束するとの見方を示しながらも、インフレ期待の短期的な指標は過去3カ月間で顕著に上昇していると指摘。インフレ率が現在の水準にとどまったり、インフレ期待が上昇したりすれば「基本シナリオと比べて、一段と制約的な金融政策が適切になる可能性がある」と述べた。』(上記URL先より)

ということですが、

https://www.stlouisfed.org/from-the-president/remarks/2025/remarks-on-economic-outlook-and-alternative-scenarios
Remarks on the Economic Outlook and Alternative Scenarios
Feb. 20, 2025

『St. Louis Fed President Alberto Musalem spoke at an Economic Club of New York event in New York City. He gave the talk “Remarks on the Economic Outlook and Alternative Scenarios” and participated in a moderated Q&A.』

ということで週末の宿題シリーズにしておきます。





2025/02/20

お題「短国とか交付税特会とかその辺のメモ/高田審議委員宮城金懇より」

しばらく前に長期お休みというのが公表されていたのだがあまりにも・・・・
https://www.yakult-swallows.co.jp/news/detail/30677
球団からのお知らせ | 東京ヤクルトスワローズ
2025 2/19

『これまで、つば九郎を支えてきた社員スタッフが永眠いたしました。球団マスコットとして、ここまで育ててくれた功績に感謝と敬意を表します。

体調不良の発表以来、温かい励ましのお言葉をたくさん頂戴し、誠にありがとうございました。

今後の活動については、しばらくの間休止となることをお知らせいたします。

なお、皆さまにおかれましては、故人のプライバシーを尊重し、温かく見守りくださいますようお願い申しあげます。』(上記URL先より)

orzorz

なお、本日はFOMC議事要旨寝起き手抜き読みを本来実施する日なのですが、高田さんの金懇の方を優先しまして(単に昨日高田さんの金懇ネタの下書きをしている余裕がなかっただけの話ですすいませんすいません)明日真面目に読んでみました攻撃で参ろうずということで勘弁島倉千代子。


〇1年短国入札とか交付税特会とか

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250219.htm
国庫短期証券(第1288回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1288回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号    国庫短期証券(第1288回)
2.発行根拠法律及びその条項

財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)第69条第4項、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項』

いつもの1年短国だと発行根拠法ってこのだんだらの中の一番最後の「特別会計に関する法律第46条第1項」だけなのですが、今回は震災復興だの特例公債だのGX債だのが混じっているというプレイになっていまして、これなんですけど、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/index.htm
入札カレンダー

をポチポチしながら過去の1年短国の発行根拠法を見ておりますと、昨年の2月発行の1年短国もこんな感じのだんだらになっていまして、それ以外(過去1年ちょっと遡っただけですが)は「特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項」になっているんですなこれがまた。

でまあ何で2月発行だけこうなっているのかというのは年度終わりが関係してくる(特例公債に関しては補正予算の関係ですかね)ような気はするのですけれども、ワシも良くわからんので発行当局にお問い合わせする突撃兄さん姉さんがいましたら是非結果を教えてつかあさい(お前が聞けというツッコミは聞こえなかったことにする)。

それはさておきまして、

『3.発行日     令和7年2月20日
4.償還期限    令和8年2月20日

5.価格競争入札について
(1)応募額         8兆5,197億円
(2)募入決定額    2兆4,446億9,000万円
(3)募入最低価格    99円38銭1厘
(募入最高利回り)    (0.6228%)
(4)募入最低価格における案分比率     87.1428%
(5)募入平均価格    99円39銭3厘
(募入平均利回り)    (0.6107%)』

ということで、昨日ネタにしましたように、1年新発WIは火曜日の売買参考統計値ベースで0.620%だったんのですが、入札は足切りこそ0.62に乗っていますけど平均は強めでしたし、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

昨日の引けを見ますと、

(2/19引値)
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.600

ということで、ちゃっかりと入札平均よりも1bp強い水準で引かせていまして、まあ相変わらずニーズの方はおありになるんじゃろうな(しかも60あれば足元GC対比でもポジティブキャリーなので利上げ観測云々という重大問題の事さえ気にしなければ(というのに強引さがあるがそれはさておき)もってられるんですよね)というのは何となく感じられましたな、うーんこの。


ちなみに東京レポレートちゃんの方はと言えば

        O/N  T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/2/17 0.479 0.441 0.419 0.420 0.422 0.428 0.449 0.484 0.554
2025/2/18 0.459 0.448 0.421 0.423 0.421 0.423 0.449 0.486 0.554
2025/2/19 0.489 0.474 0.433 0.425 0.425 0.428 0.450 0.487 0.560

足もとGCがじり高ではありますが、こちらは今日のトモネで毎度の金月(しかも今週末は1日多いんですね)現象になるのかどうかといったところですが、短国需給は良さそうなので(個人の印象です)またやるのかねとか思ったり思わなかったりしますけど、それはそうと1年のところは短国の気配の上昇をちったあ反映したのか知らんけど気持ちレート上昇しましたね、とは言っても短国より金利低いですけど(3Mでは短国の方が圧倒的に金利低いのでそういう比較をすると面白いというか多分短国市場が変態なだけです)という所。



あと昨日は交付税特会借入もありまして、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250219.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果

『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項   特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日     令和7年2月28日
3.償還期限   令和7年8月29日
4.償還方法    令和7年8月29日に一括償還

5.借入利率競争入札について  
(1)応募額        3兆8,568億円
(2)募入決定額     1兆2,500億円
(3)募入最高利率      0.614%
(4)募入最高利率における案分比率  75.5000%
(5)募入平均利率      0.595%』

毎度のクッソ単純な分解をしますと、平均の0.595%ってのはこれ「手前0.50%、後ろ0.75%」理論で考えた場合、6月決定会合で切った時に前半0.50%としたら後半が0.740%になりますので、相変わらずですが特会借入はきちんとタームプレミアムのっけた入札になっていますし、6月利上げでほぼブレークイーブンになっているの図となっていますな。

まあゆうて4月会合(今年は5月頭ですが)で切った場合には後半0.645%なので、まだ4月会合での利上げという話ではないし、特会のレートが高めに出ることを加味すれば「7月利上げメインシナリオ」となっているという感じなんでしょうな、知らんけど。、



〇高田審議委員宮城金懇だがこれを「想定内」というのはちょっとどうかと思いますけどねえ

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250219a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
宮城県金融経済懇談会における挨拶要旨

日本銀行政策委員会審議委員 高田 創
2025年2月19日

ということで高田さんの金懇挨拶ですが、本日は話の構成上、つい先日だったはずの年末に実施された植田総裁のクリスマス経団連講演を比較に引っ張り出したいと思います(という時点でお察しかと思います^^)。

植田さんの年末講演
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241225a.htm
2%物価目標の実現とわが国経済
日本経済団体連合会審議員会における講演

日本銀行総裁 植田 和男
2024年12月25日

でまあ最初に申し上げておきますが、高田さんがなぜか「タカ派」みたいな言われ方していますけど、別に高田さんタカ派でも何でもねえじゃろという感じでして、先日も申し上げた通り、一瞬「レナードの朝」状態になったこともありますが、通常は政策周りの方では碌すっぽ自我を出さないで、ひたすら大本営見解を踏襲する感じでやっておられた方な訳で、そういう意味で注目できる、という風に申し上げておりました次第なのでして、もともとタカ派だからノーサプライズ、という何とかストの皆様の見解がベンダー見ていると垂れ流されてくるのですが、そもそもそこの認識が如何なものかと思いますし、しかもタカ派だからノーサプライズ、とは到底言えなさそうな話がいくつか出ていた、ということで以下ネタにする所存であります。


・冒頭の米国経済に関する認識だが何をどうするとここまでジャガーチェンジできるのか

『2. 経済・物価情勢』の冒頭に米国経済の話がありますが、

『最近の経済指標からは堅調な米国経済の姿、特に景気減速懸念の契機となった雇用の底入れの可能性が示唆されます。Fedは、昨年後半3回連続の利下げを行ってきましたが、今年1月のFOMCでは政策金利を据え置きました(図表2)。昨年 12 月のFOMCにおける経済・物価見通しでは利下げ見通しが示されていますが、市場参加者の一部からは、米国経済の堅調さや米国新政権を巡る思惑もあって、利下げ休止を見込む声も聞かれるところです。』

『こうした経済の底堅さを踏まえると、新政権下における政策運営を巡る不確実性には依然留意が必要ですが、私としては、ソフトランディングよりむしろ早期の再加速――言わば「タッチ・アンド・ゴー」――の可能性が高まっていると捉えています。』

ちょwwwwwwおまwwwwwwwwww


さてここで植田総裁の12月25日の経団連講演での米国経済に関する説明を再確認して見ましょう。

『米国をはじめとする海外経済の先行き、特に米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性は大きい状況です。米国の政策運営は、米国の経済や物価だけでなく、世界経済や国際金融資本市場にも、大きな影響を及ぼしうるものです。そうした観点から、わが国の経済・物価への影響も、よく見ていく必要があります。』(この部分2024年12月15日植田総裁経団連講演より)

いやーあのですね、こんなにハトハト言ってたのがたった2か月で下振れ懸念なし位ならまだしも、「タッチアンドゴー」ってお前らナメトンノカというジャガーチェンジな訳でして、しかも高田さん今回の金懇では先ほどの部分に続きまして、

『そもそも、米国では2%程度とされる潜在成長率を上回る3%に近い成長が4年続き、2025 年も高めの成長率が見込まれるなか、むしろ米国の雇用や物価動向が一段と上振れる可能性やその国際金融市場への影響も念頭に置く必要があります。』

ってとんでもない「そもそも」をぶっこんでいる訳でして、これは昨年12月、というかその前からですけれども、米国の下振れリスクが物凄く懸念されると言ってた政策委員会は何だったのかというお話でして、この冒頭部分見た段階で「ええええええええ」と思うんじゃないのでしょうか、って考えたのですが、何かワシの感覚おかしいですかねえ・・・・・・・・・・・・


・いいかげん「賃金と物価の好循環」の話はフェードアウトした方が良いと思うの

国内の話で物価の部分なんですけどね。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)前年比は、2024 年度に2%台後半、2025 年度が2%台半ばとなったあと、2026 年度は概ね2%程度で推移し、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると想定しています(前掲図表3)。』

これは展望レポートの説明みたいなもんですね。

『物価の基調をみるうえで、様々な主体の中長期的な予想物価上昇率をみると、着実に底上げされています(図表6)。また、企業の賃金・価格設定行動には積極的な動きがみられており、人手不足を背景とした供給制約――言わば「人手不足経済」への転換――のもと、人件費や物流費等の持続的なコスト上昇を価格転嫁する動きが拡がっている点に注目しています(図表7)。』

って言ってるんですが、それって別に成長力が上がって賃金が上がるのではなくて、単に供給制約で賃金が上がっているというだけの話ですし、「コスト上昇を価格転嫁する動き」ってのは「積極的な動き」という話よりは単にコストプッシュのリアクティブな話ですよね。

でもってコストプッシュで企業が価格設定を引き上げると、供給制約が強まっている労働市場においては生活給の観点から賃上げ要求が強まるので賃金という名のコストが上がり、その結果労働コストの上昇によって企業は価格設定を引き上げていく、ってののどこがどう「好循環」なのかという話でありますが、既に日銀大本営見解が「需給ギャップ弱くても賃金や物価は上がりやすい」ということで労働市場の供給制約要因で説明するようになっていまして、高田さんの説明もそれを踏まえたものになっているから上のようなものになっている訳ですな。

でまあそういう要因であってもそらまあ物価が上がらんという状態を脱却しているといえばそれまでではあるのですが、それ言い出したら一方で今のアクチュアルな物価高状態を「コストプッシュだからいずれ下がります」って説明しているのは何なのよという話になるわけで、賃金と物価がコストプッシュのインターアクションで上昇するけど、今の物価はコストプッシュだから下がるっての説明がだいぶおかしくないですか、と思う訳ですよ。

まあそこは一時的なショックによるコスト上昇と供給制約要因という構造問題による話は別とかいう屁理屈を捏ねてくるのかな、とは想像できるのですが、とりあえずこの続きに参りますと、

『最近では、サービス価格が、4月・10 月以外の月でも上方改定される頻度が高くなっており、価格引き上げが定着したとの捉え方もできると思います。こうしたもとで国内のインフレ圧力を示すGDPデフレーターをみると、価格転嫁が進展した 2023 年はユニット・プロフィット(UP)等が伸びの中心でしたが、2024 年は賃金上昇を背景に、ユニット・レーバー・コスト(ULC)の寄与が高まっています。』

賃金上昇→労働コスト上昇ということでアクチュアルの物価が高止まりする中で、

『支店長会議を通じたヒアリング情報や報道等における前向きな企業の声の拡がりなどを踏まえると、私としては、2025 年の春季労使交渉におけるベアも昨年に続くしっかりとした水準を期待しています。』

となっているのって単に生活給補填のための話であって、実質賃金がダダ下がりしている(件についてはさすがに高田さんもこの講演の今の引用部分の前のところで説明していますことは念のため申し添えます)状況なのですけれども・・・・・

『今年のベアを受けて、先行きも、賃金と物価の好循環が強まり――言わば、国内要因によるインフレ圧力で――、UPとULCがバランスよく伸び、長年、安定的な達成を果たせなかった「物価安定の目標」の実現に近づいていくと考えています。』

という説明をしているのですが、ここのどこがどう「賃金と物価の”好”循環」なのかと小一時間問い詰めたい訳でして、より分かりやすいのがこのPDFの22枚目にある『図表8』の『2022年度以降の賃金・物価動向(3段階の視点から)』って奴でして、この説明の中には「実質経済の成長」というのがなんもない訳でございますわ。ってまあ今の説明だって結局コストプッシュで物価が上がって、でもって現在は構造変化によって労働供給制約があるから物価が上がってみると労働者の生活コスト補填のために賃金上げざるを得なくなったので賃金が上がって、それでホームメイドインフレになるって話だが、それを「好循環」というのはさすがに無理筋じゃないのというのがより分かりやすくなっている訳ですな。

とまあそういう事を思いまするに、さすがにこの「賃金と物価の好循環」ってのいい加減にお蔵入りさせておかないとマズイと思うのですが、まあ高田さんがこういやって堂々と説明しているのを見ますと、日銀大本営まだこの説明で行くつもりなのかもしれませんが、供給制約要因の話を持ち出してきて説明を強化した時点で諸刃の剣というか、日銀自身を刺す刃になりかねない危険な説明に近くなってきていると思うので、この説明は大概にした方が良いと思うのはワシだけでしょうか・・・・・・・・・


・一応「1月に米国経済の認識が大きく変わった」ことになっている模様&金融政策の方向性を為替の話をするのは筋悪

『3. 最近の金融政策運営』に参りますが、実施した政策の話は飛ばしましてその先から

『私は、これまでもお伝えしてきたとおり、物価が概ね見通しに沿って推移するもとで、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など「前向きな企業行動」の持続性が確認されていけば、その都度、もう一段のギアシフト――金融緩和度合いの更なる調整――を進めることが必要だと考えてきました。』

出たな事後諸葛亮www

『この点では、積極的な設備投資スタンスや価格転嫁・賃上げの拡がりなどの状況は、昨年来続いてきたとも考えられます。他方、同時に、1970 年代の変動相場制への移行後、先進国の金融政策スタンスとそれに対応する景気サイクルが概ね連動していたなか、内外の異なる景気サイクルを背景とする金融政策のスタンスの違いで、為替を中心とする金融市場に大きな変動が及ぶリスクも重視してきました。実際、今次局面を除いた日本銀行の 1970 年代以降の過去5回の利上げ局面を振り返ると、米国の利下げ後に、日本も利下げに転じていました。』

これこの後で「ゆうて今回は日本が利上げしても為替は円高に飛ばん(ので利上げはできる)」という事を言うための前振りなんですけど、この話をしてしまうと、日銀が緩和を引っ張ることによって意図的に円安を誘導しました、って話をしていることにも繋がるから言わずもがなだと思うのよね。この続きの、

『もっとも、今次局面では、日米の金融機関や企業、家計のバランスシート調整圧力は生じていないほか、1月にかけて米国経済の堅調さが改めて確認され、日米の金融政策スタンスの違いも縮小したといえます。私としては、こうした状況を踏まえ、市場の大きな変動リスクが後退した、すなわち、日本銀行の政策の自由度が増したと捉えています。』

でまあどさくさに紛れて「1月に急に米国経済の見方を強気化させた」という謎の言い訳をしているのがご愛嬌ですが、この言い方をおっぱじめるとじゃあ米国が再度利下げしたら利上げ停止するのか、という話になるわけで、この為替がらみの話をするのはどう見ても筋悪。


・物価上振れリスクの話をしているのはまあ良いんだが資産価格(というか不動産市場)のコメントがおかしいだろこれ

でもってその続き。

『先行きについても、緩和的な金融環境のもと、引き続き、「前向きな企業行動」の持続性が確認され、見通しが実現していけば、一段のギアシフトを進める局面だと考えています。』

これも利上げを急ぐような読まれ方する言い方で、会見のヘッドライン見るに「金利水準の位置が変わる」という意味らしいのですが、長年何とかストをしていたのに言葉遣いが(さっきのタッチアンドゴーもそうですが)エライ乱暴というか軽薄というか、高田さんってこんなお調子者でしたっけ???とこの辺り滅茶苦茶違和感というかなんというかを感じました。

『その際には、価格転嫁や賃上げが中小・地方企業に拡がるかといった視点も重要です。他方、賃金と物価の好循環が強まるなか、特に新年度に向けて国内要因によるインフレ圧力もあるもと、米国経済が再び回復に向かう確度の高まりによって為替を中心とする市場変動を背景に、物価が上振れる可能性もあるほか、不動産も含む資産価格の上昇で投資家の期待も高まっているといえます。』

>不動産も含む資産価格の上昇で投資家の期待も高まっているといえます
>不動産も含む資産価格の上昇で投資家の期待も高まっているといえます
>不動産も含む資産価格の上昇で投資家の期待も高まっているといえます

これまた意味不明にも程があるわけで、直近の不動産価格上昇を大喜びしている場合じゃねえだろと思うのですけれども、なんかこの辺りも含めて高田さん言ってることが浮かれポンチっぽくて、なんか変なキノコでもキメているんじゃないかと心配になるのでした。ちなみに会見ヘッドライン見た感じでは昨今の不動産価格上昇は全然問題ないどころか好ましいみたいな感じの発言しているように見えましたが、これは今日会見録が出るので確認しようかと思います。

でまあ結論の

『こうした観点から、私としては、既に前向きな企業行動が生じてきたという点で、2%の「物価安定の目標」に近づいているとの認識のなか、過度な緩和継続期待が醸成され、物価上振れリスクや金融の過熱リスクが顕在化しないよう、1月に実施した追加利上げ以降も、ギアシフトを段階的に行っていくという視点も重要だと考えています。』

はまあそうですねという感じなのですが、途中の説明がナンジャコリャ感が強い訳でして、そういう点も「ナンジャコリャ」という意味でのサプライズのある挨拶なんだよね、と思いましたが如何でしょうかねえ。


・中立金利の水準話を無効化する攻撃の布石打ちはクソワロタ

まあそもそも論として中立金利というのは「金融政策が経済に与える影響を金利ルートで考えた場合に金利が経済に緩和的なのか引き締め的なのか中立的なのか、というルートがある」というようなものであって、金融政策運営上「ザ・中立金利」があってそことの差でオートパイロットができるとかいうような単純なものではない、とまあそういう物体な訳ですけれども、この点に関してが次のコーナーに出てきます。

『ただし、米国経済にかかる不確実性はなお残存しているほか、中立金利の把握が困難なもとでは、政策金利引き上げの経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら対応するといった慎重さが求められると思います。』

って話は既に大本営もしていますが、じゃあこの「影響を検証」する期間って本当に6か月も必要なのか、というのはあるわけですし、だいたいからしてそんなペースで利上げしていったら「利上げ局面の時間」が長くなるわけでして、かえって市場にストレスを掛けるんじゃなかろうか、という風にも思う訳でして、さすがに毎回利上げするような話ではないのは同意なんですけど、見極めに半年置かなくても別に見極めできるじゃろ(上振れリスクがないならともかくとしてあるんだし)という気はしますけどね。

『特に、日本では 1990年代以降、低水準の政策金利が続き、米欧のように政策金利の変動がみられなかった点でも中立金利の推定は困難です。』

それは良いんですがこの後が金融政策パートの最後の最後になりますけど、そこでしらっと面白い事を言っていまして、

『また、こうした制約のもとで、中央銀行が一定の中立金利の水準を示すことは、市場でフォワード・ガイダンスのように捉えられる可能性もあり、政策の柔軟性の観点からも課題があると思います』

ちょwwwwwおまwwwwwwww

いやまあ言ってることはその通りなんですが、それを言い出したら、

『続いて、本日の最後の話題として、今後の金融政策運営に関連して、2点ポイントを申し上げます。

第1のポイントは、日本銀行は、2%目標の持続的・安定的な実現に向けた移行期にあたる現時点においては、景気・物価に中立的となる中立金利よりも政策金利を低くすることにより緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりとサポートしていく、ということです。デフレ・低インフレ環境に逆戻りすることは、避けなければなりません。』(この部分2024年12月15日植田総裁経団連講演より)

っていう説明している説明自体が無効化されるじゃろという話だし、同じことですが実質金利ガーみたいな話をするのも変なことになってしまいますわな。なお今の引用でかっ飛ばしていましたが、高田さんも金融政策の説明パートの中で今回の施策の説明の中で、

『ただし、政策金利変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境が維持されることは変わりません(図表 10)。』

って言ってるんですが、中立金利の水準が示せないのに「実質金利は大幅なマイナスが続き緩和的な金融環境が〜」って説明をするのは、今みたいに金利水準がクソ低い分には何とでも言いくるめることができるかもしれませんが、今後の政策調整においてどう見ても説明が詰んでしまうのが明らかじゃろという話でして、まあそういうのもあって今回は高田さんが従来よりもより明確に「中立金利の具体的水準を出すのは政策運営上弊害がある」という話をしましたが、言ってる本人も実質金利ガーを使っているのがナンジャソラという風に思いました。

まあいずれにせよ中立金利の話を特に水準絡めて行うのはここから先やらん方がええじゃろということでこういう話が出てきたんだろうなあとは思いましたです、はい。


・なお後半部分は基本どうでもよいので割愛します

高田さんの自我は基本的に後半部分に出ているのですが、べつにまあ面白くないし有益な示唆があるわけでもなさそうなので全部割愛します、悪しからずご了承くださいませwwwwwwww





2025/02/19

お題「金利が上がると急に相場雑談備忘メモを取る訳でw/今日は1年入札もあるでよ/ウォーラー理事発言を確認(手抜き読み)」

食管制度復活待ったなしですね(全然違う)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250218/k10014725821000.html
スーパーのコメの平均価格 1年前と比べ90%近く値上がり
2025年2月18日 13時02分

『農林水産省がまとめた全国のスーパーでのコメの平均価格は、2月9日までの1週間で5キロあたり3829円と、前の週に比べて141円値上がりしました。コメの価格高騰が続いていて、1年前と比べると90%近く値上がりしています。』(上記URL先より)

--米が無いならブリオッシュを食べればいいじゃないの(マリーアントワネット(史実ではない))
--米が無いなら肉で作ったおかゆを食べればいいじゃないか(西晋恵帝(こっちはマジ))

まあゆうて昭和30年代くらいまでは米がガチの主食で作況が悪いと輸入しないと国民の飯が足りなくなるので国際収支に跳ねて金融環境が引き締まる要因になっていた訳ですが、時代が変わってもコメ価格って日本国民のマインドに盛大に跳ねるんだなあとしみじみと思う今日この頃ではあります。

〇引き続き金利がお上がりになっているのでメモメモ(=金利が上がるとメモを取り出す人)

いつものロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XAE5VINQSFMUTMWS4ZXXHJLPNI-2025-02-18/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利15年ぶり1.430% 日銀利上げ警戒や弱い入札で
By ロイター編集
2025年2月18日午後 3:25 GMT+9

『[東京 18日 ロイター] - <15:20> 国債先物は続落、長期金利15年ぶり1.430% 日銀利上げ警戒や弱い入札で 

国債先物中心限月3月限は、前営業日比45銭安の138円93銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同4.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.430%と、2009年11月以来の高水準を更新。日銀の利上げ継続への警戒感や弱い20年債入札を背景に軟調に推移した。』(上記URL先より、以下同様)

とまあそういう訳で、昨日はドイツ様の金利が今後の財政拡大圧力(軍事費増大)をネタに上昇したというのをネタにしていたようですが、まあそもそも論として海外金利とあんまり関係なく売られている感の方が強いのでどう見ても取って付けた言い訳です本当にありがとうございましたというお話だとおもうのですが。

『国債先物は朝方から売りが先行。前日の欧州債市場で独10年債利回りの上昇や夜間取引での国債先物の下落に追随して始まった。その後は、現物債市場で押し目買いが入ったことを眺め、国債先物もいったん下げ渋った。後場に入り、国債先物は下げ幅を拡大。この日実施された20年債入札は案分利回りが市場予想を下回ったほか、テールが拡大。応札倍率も低下し、弱い結果と受け止められた。「イールドカーブ上の割高感が意識されたことや、あすの高田創日銀審議委員の発言を見極めたいとの見方から、買い手控えられた可能性がある」(国内運用会社)という。』

だそうですが、20年国債入札ちゃんが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20250218.htm
20年利付国債(第191回)の入札結果

『本日、20年利付国債(第191回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号     利付国庫債券(20年)(第191回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第47条第1項

3.表面利率     年2.0パーセント
4.発行日       令和7年2月19日
5.償還期限     令和26年12月20日

6.価格競争入札について
(1)応募額       2兆3,312億円
(2)募入決定額     7,629億円
(3)募入最低価格     99円05銭
(募入最高利回り)    (2.067%)
(4)募入最低価格における案分比率    9.1954%
(5)募入平均価格     99円60銭
(募入平均利回り)    (2.028%)』

テール55銭はBPV大きい20年カレントだとは言ってもある方(イールドで4毛ありますからねえ)ということで、結果出る前の後場寄りから先物ちゃん下がってはいたのですが、結果出てから暫くは先物ちゃん値持ちしていましたが引けにかけてあばばばばーという感じになって最後の引けも最終気配から4銭下に飛ばしてザラ場で付いていなかった安値で引かせるとかいうオシャンティーな展開になっておられましたわな。

まあアレです、利上げ局面だから超長期フラットニング、という大きなストーリーは意味として分かるんですが、20年2%って絶対水準が本当の本当にそれでエエンデスカという話を考えますると、この辺もまた長きにわたるマイナス金利の弊害ちゅうかなんちゅうかで、絶対水準に関する目線が、ということなんでしょうかね、知らんけど。

まあ福井の俊ちゃん時代の政策金利0.5%時代と比較するにしたって、あの時と今ではアクチュアルの物価が全然違う訳で、それこそ体感物価で言えば2%なんぞ突き抜けている状態な訳ですし、しゃーなし賃金上げるでみたいな流れになっている訳ですし、そこと比較してどーだこーだ言うのですら環境の違い考えたら目線どうなのよということなのですけれども。

でまあしつこくポエムなんですけど、結局黒田のアホウが最後の1年で勝利宣言して政策の手じまいの方向性を強く出す(マイナス解除位は普通にできたじゃろ)とかそういうのをしないで逃げ切りを図るために最後の1年でYCCの柔軟化はしたものの、その間に金利維持のために無茶苦茶な国債市場への追加緩和プレイを実施したことが猛烈に響いているのと、その後を受けた植田さんがさっさと手じまいの方向を出せばいいのに「待つことのリスクは大きくない」とか寝言を言って黒田緩和の後始末をビビって1年先送りしたのが効いた格好でして、特にこの「待つことのリスクは大きくない」「急がず余裕を持って対応」が、アクチュアルの物価水準を丸無視に近い状態で市場の中の人たちが目線を構築するのに効果が出てしまい、さらにはアホみたいな輪番の額(ようやく減ってはいるけど昔から見たら飛んでもない額の買入は続いておるわけで)による10年以下の金利水準が上がりにくいモードというのが相まって、皆さんの目線のリプライシングを妨げてしまったんでしょうかね、ただのイメージポエムですが。


でまあさっきのロイターさんの記事に戻りますと、

『市場関係者によると「絶対利回り水準の2%がサポートになると市場では楽観的な見方が強かっただけに、衝撃的な結果となった」(国内証券債券セールス担当)という。』(冒頭URL先のロイターさん記事より、以下同様)

だそうですが、まあ絶対水準の目線がさだまるというかリプライシングされるまではお時間かかるじゃろという話ではありますけど、

『    OFFER  BID   前日比  時間
2年   0.819  0.825   0.015  15:03
5年   1.083  1.089   0.035  15:20
10年  1.424  1.43    0.045  15:05
20年  2.058  2.064   0.054  15:02
30年  2.339  2.346   0.036  15:02
40年  2.648  2.658   0.025  15:20』

しれっと10年1.4を軽く通過されてしまいましたが、はてさてどうなるのやらという感じですが、今日の高田さんの金懇、まあ内容は昨日申し上げたようにそうオモロイもんでもないとは妄想しておりますが、会見でどこからどう見ても長期金利上昇についてああでもないこうでもないと質問される訳ですが、会見の報道解禁時刻をお願いだから1430またはそれ以前に設定して頂きたいですな。どうせロジはもう出来上がっているから修正するの無理だとは思うのですが、ついこの前までだと1445エンバーゴみたいな感じで会見のヘッドラインが流れていたと思うのですが、あれは引け際にぶつかって無駄な先物の値動きを誘発するので、引けまで時間のある段階でのエンバーゴにしていただきたい、とこんなところで言っても負け犬のオーボエなのですけれどもお願いしておきます。


〇なお本日は1年入札があるわけですが

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(2/18引値)
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.510
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.520
国庫短期証券1276 2025/12/22 平均値単利 0.545
国庫短期証券1281 2026/01/20 平均値単利 0.600
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.620

(2/17引値)
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.480
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.490
国庫短期証券1276 2025/12/22 平均値単利 0.515
国庫短期証券1281 2026/01/20 平均値単利 0.560
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.590

さすがに長期金利様の上昇をちったあ反映したのかどうか知らんですけど、1年カレントが0.6%乗せの引値になっていて、今日入札の1288回WIが0.620%の引けになっている訳ですが、なにせ短国に関しては3か月カレントが0.30%カツカツ(で手前対比逆イールド)というバグとしか言いようが無い状況になっておりますので、なんかこれがどういう利上げを織り込んでいるのかとか考えるのがムツカシイという謎引値になっておられます。

まあ1年短国に関してもこれ純粋な運用目的ということになりますと、国債縛りとか公社債縛りとかの運用で、ゆうてベースレートが国債で値段がお付きになる一般債の利回りも国債に引っ張られて絶対水準がコールの足し算(定積分)と比較してどうなのよとか考えると結局のところナンジャソラであれば、クレジットリスク取って利回り取る人と、だったらもう国債でええじゃん派に分かれるとは思いますけど、まあそんな感じで純粋な短期金利見合いというにはまだ微妙な水準。

とは言っても短いところかつ短くても1年くらいのテナーがあって信用リスクフリーでロット捌けるのこの1年短国しかないので、まあここは短国そのもののニーズってどうなんでしょというのを見るには良きかなという感じかしら。金曜日に3Mありますけど、何せここもと2回の入札がまさかの金利低下方向で来ているというニーズの強さですので、長期債と別ロジックで動く短期国債はまあ見世物としては楽しめると思います。

ちなみに東京レポレートちゃんの方はまだ反応していないようで、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

        O/N  T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/2/14 0.307 0.431 0.419 0.421 0.422 0.424 0.449 0.482 0.554
2025/2/17 0.479 0.441 0.419 0.420 0.422 0.428 0.449 0.484 0.554
2025/2/18 0.459 0.448 0.421 0.423 0.421 0.423 0.449 0.486 0.554

まあこれ午前中のリファレンスレートなので売参引けとお時間が違うという問題もあるのですが、短国の値付けが反応してるんだから反応して差し上げろよと思いましたwww


〇FOMC会見ネタをとぼけているのにいきなりここで直近のウォーラー理事講演から少々

とはいってもまあ本来昨日の朝のネタで然るべきものなので皆様ご案内と思いますが簡単に。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/waller20250217a.htm
February 17, 2025

Disinflation Progress Uneven but Still on Track Rates Cuts on Track as Well
Governor Christopher J. Waller
At the University of New South Wales Macroeconomic Workshop, Sydney, New South Wales, Australia

この講演、というかスピーチみたいなかんじですが、そんなに長くはないのですがなんか政策周りに関するいろいろなネタを取り上げていて、労働市場と物価の話がメインなのですが、長短金利の話があったり、先行き不透明な時にどういう対応するのか、ということで直近のエピソードの話をしてみたりとネタが割と多め。

とは言えこちとら手抜き大魔王なのでまずは目先の政策の部分なので最後の3パラグラフから入りますが、

・ウォーラーも利下げ一旦ポーズを支持ということで

まあそりゃそうよという感じではありますが。

『So, what does my economic outlook mean for monetary policy? 』

から始まる最後から3つ目のパラグラフから読むという手抜きにも程があるプレイですいません。

『The labor market is balanced and remarkably resilient. If you want an example of a stable labor market with employment at its maximum level, it looks a lot like where we are right now.』

前段で散々言及しているのですが労働市場の現状にはまるで問題なさそうな感じのニュアンスでしたね。

『On the other side of the FOMC's mandate, inflation is still meaningfully above our target, and progress has been excruciatingly slow over the last year.』

物価は「思ったほど下がらん」でして、

『This tells me that we should currently have a restrictive setting of policy, as we do-to continue to move inflation down to our goal-but that setting should be getting closer to neutral as inflation moves closer to 2 percent and should allow the labor market to remain in a good place.』

引き締め的な状況が必要、物価が2%に近くなってきたら政策は中立に、とまあ妥当な説明ですが次のパラに行きますと、

『So for now, I believe a pause in rate cuts is appropriate.』

直球にも程がありますw

『Assuming the labor market continues to be in rough balance, I can wait and see if the higher inflation readings in January moderate, as they have in the past couple of years. If so, I'll have to decide if this reflects residual seasonality that will go away later in the year and if the underlying trend in inflation is toward 2 percent, or if there is a different issue holding up inflation and how that may play out.』

『Whichever case it may be, the data are not supporting a reduction in the policy rate at this time. 』

『But if 2025 plays out like 2024, rate cuts would be appropriate at some point this year.』

とは言いましてもウォーラーさん、足許の物価の数値が高止まりしているのがガチの高止まりなのか何らかの季節要因などの特殊要因なのかを見極めて、もしガチじゃないんだったらやっぱり利下げ、と言っていますので、単純に次回FOMCは据え置きだぜという話ではありますが、アクチュアルの物価上昇率が鎮静化してきたら利下げする気満々にここの記述だと読めてしまいますよね。


・トランプ関税の影響を気にしているかというとそこまでではなくてあくまでも足元のアクチュアルな物価を気にしている模様

でもって最後のパラですが、

『And while we are waiting on data to understand how the economy is moving relative to our objectives, we will learn more about Administration policies.』

トラ公の政策動向も見ないといけませんとな。

『My baseline view is that any imposition of tariffs will only modestly increase prices and in a non-persistent manner.』

関税ぶっこんでも物価上昇のインパクトとしてはオンリーモデストリーだしそれ自体が持続的なものにならん、というのがベースラインなんですって、それはどうかという気がするけど・・・・・・・・

『So I favor looking through these effects when setting monetary policy to the best of our ability. Of course, I concede that the effects of tariffs could be larger than I anticipate, depending on how large they are and how they are implemented. But we also need to remember that it is possible that other policies under discussion could have positive supply effects and put downward pressure on inflation.』

モチのロンだが関税の影響がもっと大きかったり持続的だったり、という変化は考えられますけれども、そもそも論としてトラ公の政策は関税だけじゃない訳で、他の施策によって物価の過度な上昇を抑制することだってあるじゃろ、ということでそこまでトラ公警戒による物価高云々の話をしている訳ではなくて、ウォーラーさんはあくまでも足元の物価が意外にサガランチ会長であること、で話を進めていますね。

『At the end of the day, the data should be guiding our policy action-not speculation about what could happen. And if the incoming data supports further rate cuts or staying on pause, then we should do so regardless of how much clarity we have on what policies the Administration adopts. Waiting for economic uncertainty to dissipate is a recipe for policy paralysis.』

でまあ最後は「データディペンデント」で締めていますが、つまりは物価上昇率の鈍化が見られたらウォーラーさんは利下げ行く気満々っぽく見えますわなというところで、今後もやはり物価関連の指標次第だなというのを改めて確認するという手抜き読みでありました。









2025/02/18

お題「なんかワシが休み明け戻ってきたら金利が上がっているのでその手の雑感をメモっておくだけの企画です(さーせん)」

日本農業新聞のこの記事もそうですが週間アクセスランキング上位がもうね
https://www.agrinews.co.jp/news/index/288235
2025年2月14日
[ニッポンの米]今夏も不足? 民間在庫110万〜130万トン 6月末時点を本紙独自試算

右にある週間アクセスランキング上位がコメの記事だらけですにゃー。

〇今後の金懇は当然ながら注目な訳ですけど明日は高田さんですな

https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話

今後の講演・挨拶等の予定

   日程           講演者等        講演内容等
2025年 2月19日     高田審議委員    宮城県金融経済懇談会における挨拶
2025年 3月 5日      内田副総裁     静岡県金融経済懇談会における挨拶

前回の田村審議委員の金懇挨拶が割といい感じでぶち込んでおられましたというか、大本営のジャガーチェンジによって寧ろ王道路線にすら見える挨拶になっていたという面白現象が生じていましたけれども、まあ田村さんの場合は威勢よく抜刀するのはある意味織り込み済みだったので、審議委員就任以降あまり自我が芽生えてこられないように見受けられる(一瞬レナードの朝かと思ったタイミングはあったのですが、結局元の地蔵モードに戻っているように見受けられますな)高田審議委員が何を言い出すのか、というのがかなーーーり注目されるかなというのは衆目の一致するところかと。

まあこのような洞が峠の筒井順慶(洞が峠云々は史実じゃないそうですが)的な方が今回利上げしましょう路線に転ぶのか転ばないのかというのがポイントであって、別に中身がどうのこうのとか、それこそ国債市場に対する話とかそういうのは最早高田さんに一切期待していないのでそっちはどうでもよくて、全体のトーンがどうなのか、というのが重要でしょうな。


でもって来月頭には内田さんの金懇ですが、昨年8月に株式市場に全面降伏した金懇のあの説明をどうひっくり返すのか、という点が注目されますが、どうせその辺は内田さんの事ですから無かったことにしてどスルーを決め込ので会見での質疑が注目されますが、「あれはあのタイミングとして適切と考えたことを述べただけであって、外部環境に変化が生じればその環境変化に応じて判断の材料にも変化が生じるのは寧ろ当たり前で、未来永劫同じ基準で考えるというのは不適切」とか堂々の説明をしてくるのはほぼ読めるところではあるのですが、年末までの日銀と年明けの日銀、何でこんなに変わったのか、というのは未だに日銀の説明では理解できないですし、まあそういう背景があるから市場の中の人のみならず政策周りを見ている人たちはその間をいろいろな想像あるいは妄想で埋めて行ってるわけでございますが・・・・・・・・

でまあご案内の通りだし以下ネタにしますけど、ワシが精霊界あるいは餓鬼道にお散歩に行ってる間に円債市場ちゃん円債独自に動き出している感が強まっていると思うのですけれども、それもまあ年末年始のジャガーチェンジの間に何があったのかについて得心のいく説明が日銀に無いもんだからそこを埋める想像に妄想のバンドワゴンが起きるみたいなことになっているのかもしれないな、と思うので、明日のはあまりそっち方面の話は期待しませんけれども、内田さん何か説得力のある(屁理屈ではない)説明してくれませんですかねえ、とは思いますです、はい。



〇まあ債券市場も物価上昇を舐めておったということでしょうかねえ(市場雑談メモ)

金利が上がると市場雑談を始めるのが仕様ですが、

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night
先物価格情報

って(日通し見ても良いですけど)見ますと何か昨日の引けより弱いようですが、昨日の債券市場ちゃんはと言えば、

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZQGIPDJ3QVNA5ACSZAJMCR4MMM-2025-02-17/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利15年ぶり1.385% 日銀利上げ継続に警戒
By ロイター編集
2025年2月17日午後 3:38 GMT+9

『[東京 17日 ロイター] - <15:23> 国債先物は反落、長期金利15年ぶり1.385% 日銀利上げ継続に警戒 

国債先物中心限月3月限は、前営業日比32銭安の139円38銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.385%と、2010年4月以来の高水準を更新。日銀の利上げ継続への警戒感から円債は軟調に推移した。』(上記URL先より、以下同様)

まあ冷静に考えたら前回の俊ちゃんの利上げの時ってえのはCPIの上昇率がプラスではあったものの今よりも断然低い水準だった訳でして、政策金利0.5%までやっと上げれたわという状況だった訳でございまして、その時の金利水準を上回ったからアイヤーとかいうのも冷静に考えると妙な話ではあるのですが、そもそも論として日銀がアホみたいに輪番とかやって市場介入して中期から長期の金利を押し下げてみたり、当座預金残高をアホみたいに積ませてしまってイールドカーブの起点の短期ゾーンの国債金利が上がらない状況にしちゃったりで、金利水準がバグっていることに加え、12月会合とその後の年末の植田総裁講演までは明らかに日銀の方が物価高を舐め腐って利上げに消極的な姿勢を示していました訳で、もっと早い時期から今のスタンスをしっかり示していれば話は違ったのかもしれませんわなとは思いますが時すでにお寿司なのでそんな話はさておきまして、

『国債先物は朝方から売りが先行。前週末の夜間取引で下落した流れに追随して始まった。朝方発表された2024年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値が予想を上振れたことも材料視され、じりじりと下げ幅を広げる展開となった。』

何かワシが先週餓鬼道を彷徨していた(ウソです)間にアメリカン金利と関係なく動くようになってきたんですかよーわからんですが。

『後場に入り、国債先物は下げ幅を拡大。「円債の地合いが悪い中で、朝方のGDPが予想を上振れたことで、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が切り上がるという市場の見方から、5年ゾーンを中心に売りが強まっている」(国内証券債券セールス担当)という。』

そもそも「利上げの最終到達点」は中立金利な訳で、物価安定目標が2%で潜在成長率が0.5%だったら利上げの最終到達点は2.5%だし、そんなもん1回の国民所得計算が上振れたからと言って変化しないわボケナスと思う訳でして、それを言うなら「今回の段階的利上げが一旦ストップしそうな中間点」であって、まあその水準が0.5だの0.75だのではなさそうですね、って話になったという意味で有ればそういう事やぞというお話ではありますけど、このターミナルレートっての言葉がカッコイイし、半可通な偉い人に向けて説明するのには物凄く便利な用語なので皆さん使いたがるのですが、まあ本来の意味でつかわれていませんよね、とは思うのでこれからも跳梁跋扈する用語だろうなあと思います、まる。

まあしかし何ですな、

『現物債市場で新発債利回りはまちまち。2年債は同1.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.805%、5年債は同4.5bp上昇の1.050%と、いずれも2008年10月以来の高水準。 一方、20年債は同横ばいの2.005%、30年債は同0.5bp低下の2.305%、40年債は同0.5bp低下の2.630%。』

2年が0.8で5年が1.0を明確に上回ってきましたか〜って感じですが、先ほども申し上げましたように俊ちゃんの利上げの時はその先に1%だの1.5%だのに利上げできるのかよというのに関しては市場の中の人的にはそこまで現実ではないにせよ、当時だと1990年代(なんせ1990年代前半とかだと政策金利もっとあったし何ならまた金利上げられるんじゃないか見たいな雰囲気あった時もあったのよ・・・・)、の金利の記憶ってのがある程度共有されていたのに対して、ほぼ10年にわたってマイナス金利やらかした後という現在は市場の中の人の金利水準感も全然違うんですよね。まあ昔は皆が考えていたぼやっとした潜在成長率みたいなもんも水準違うから一概には言えないですけど、水準の目線が全然違ってしまっているなあとか言ってるワタクシは老害(自爆)。


とまあそういう訳でロイターさんのいつものトレードウェブによりますとを引用すると、


『     OFFER  BID   前日比 時間
2年    0.804   0.81   0.015  15:03
5年    1.046  1.053   0.047  15:20
10年   1.379  1.385   0.035  15:17
20年   2.003  2.012   0.003  15:20
30年   2.304   2.31  -0.005  15:05
40年   2.624  2.634  -0.006  15:20』

ということで中期の方が売り込まれるの巻な上に超長期こんなところでもうフラットするんかいとは思いますがそもそも中期の金利が中々上がらん(短期も上がらんのだが)かったからこんなもんなのか正直大昔のノートでもひっくり返して探さないとよくワカランチ会長ではありますけれども(滝汗)。


まあしかし何ですな、植田日銀の8月以降の謎の情報発信によってすっかり調子狂わされてしまったという感じはするのですが、0.25%への利上げの後のハレーションに植田日銀はクソビビっていた訳ですが、こうやって年末年始を境に日銀が急に7月利上げの時の「淡々と利上げしまっせモード」にジャガーチェンジというか元に戻っただけではあるのですが、円債市場の中の人達(自戒を込めるのでワシも含めております、為念)って8月〜12月の日銀やる気ありませんモードと、その前の植田総裁就任後の2022年4月展望やら2022年5月の植田講演による「待つことのリスクは大きくない」というのにすっかり頭を毒されてしまっていて、毒がまだ抜けきっていないという風情なんでしょうなあと思う次第でして、「利上げは急がなくても良いでしょ」という意見は意見で分かりますし、別に毎会合利上げするような状況には至っていないじゃろというのも思うのですが、ゆうて物価水準から考えた適正な短期金利から見たら飛んでもなく低い水準に政策金利が位置している、というのを皆ですっかり忘れてしまっていたんじゃなかろうかというお話ではあるな、と1週間ほど相場様を離れて戻ってみたらちと雰囲気変わりましたかね、と思いながらの愚感想ではございました。

てなポエムですいませんすいません。


〇なおGCとか短国とかは利上げが何ぼのもんじゃいというレートになっておりますな相変わらず

東京レポレートちゃん
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

        O/N  T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/2/10 0.467 0.457 0.436 0.435 0.435 0.434 0.449 0.480 0.551
2025/2/12 0.407 0.449 0.439 0.436 0.434 0.434 0.450 0.480 0.552
2025/2/13 0.384 0.351 0.411 0.419 0.422 0.427 0.449 0.482 0.552
2025/2/14 0.307 0.431 0.419 0.421 0.422 0.424 0.449 0.482 0.554
2025/2/17 0.479 0.441 0.419 0.420 0.422 0.428 0.449 0.484 0.554

週明けて見ますと足元のレポレートは落ち着いてきたのですが、1wとか2wとか下がった金利がイマイチ戻らないのって金月の3日は金利が低いのを織り込んで計算するからという感じでございましょうが、レポ方面を見ますと足元から3Mまでフラットだし、6mや1yのレートは動いていないしという事で、そもそも論として利上げ観測の前倒しとか何の話でしょ状態になっておられますし、

売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(2/17引値)
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.320
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.320

国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.310
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.310

国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.300
国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.295

需給だからしゃあなしなのは分かるのですが、3Mから手前に向けてイールドカーブがインバートしている(期末越えプレミアムで金利下がっているなら4月足の方が5月足より金利が低くないとおかしいのだが後ろ対比でインバートしている次第)とかいうのは、もうどっからどう見ても「ロットが買える新発のニーズが強くて、その後は徐々に打ち返しなども来るので気配が弱くなる」って話だし、これが足元GC対比で順イールドになっていればポジティブキャリーだからマーケットメーカー持ってられるけど逆ザヤだから既発ゾーンになると無駄に多くの在庫はイラネという話になるので、実際の居場所はさておきましても逆イールドになってしまうというのは理屈の上では別におかしくない現象(ただの需給とキャリーコストだけの理屈だけど)になっておりますが、まあ不思議な相場が続くもんじゃなと頭が痛い(ので増発増発)。

でまあこの引値ちゃんなんですけど、1年カレントとかで

国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.480
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.490
国庫短期証券1276 2025/12/22 平均値単利 0.515
国庫短期証券1281 2026/01/20 平均値単利 0.560
国庫短期証券1288 2026/02/20 平均値単利 0.590(1年新発WI)

インプライドフォワードレート考えたらなんじゃこのイールドカーブはとか突っ込みたくなりますけれども、何せこの辺のゾーンは新発が捌けてしまったあとは当分流通玉が出てきにくい(担保ニーズなどで持っていかれている場合は短くなってくると銘柄差し替えのニーズが出てくるので流通玉が出てくるみたいなので短いゾーンになると1年短国の成れの果ても流通玉が割とあったりするような気がします、知らんけど)ので、新発の時の水準をベースに引値のイールドが引かれるので訳わからんことになってしまいますが、それはさておきまして1年0.56だの0.59だのって何だよと言いたくなりますが、GC1y(ってのもまあこれは気配の世界ですけど)のレートもこんなもんだったりしますので、短国ちゃんの方では利上げが何ぼのもんじゃいという水準になっているのですが、金利観を反映するよりも需給の方が勝っているだけ、という事だとは思いますけど、この辺の金利水準が恒常的にバグっているから中期の金利もバグっていたのが、ここに来て急に「よくよく考えてみたら」という話になった、とまあそういう話なんでしょうかね、知らんけど。







2025/02/17

お題「田村審議委員会見はもうちょっと別の話聞きたかったなあと/展望レポートハイライト/GC金月現象とか3M短国とか雑感」

どもども、ご無沙汰しておりました。予定通り(??)の潜水モードでございました(汗)復帰しましたのでぼちぼちと成敗を続けてまいりますわ

〇田村審議委員金懇会見ですが質問の筋が何でこんなに悪いの???(今更ネタで恐縮ですが)

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250207a.pdf
田村審議委員記者会見
――2025年2月6日(木)午後2時から約30分
於 松本市

最初の質疑は毎度「本日のご所感は&ご当地経済についてはどうですか」なのでそこはパスしましてその次なんですけど。

・0.25%の政策金利が0.50%に上昇した位でそう簡単に設備投資止まるかよと思うんですけどねえ

ということで「今日はどうよ」の次の質問なんですけど、

『(問)長野県でも製造業・非製造業ともに、設備投資が活発ということで、この辺り利上げになると設備投資にちょっと影響が出るのかなという考えもあると思うのですけど、どのようなお考えかちょっとお伺いさせてください。』

メディアって兎に角「大変だ大変だエライコッチャや」と騒ぎ立てるのが商売だと思っている節があるわけで、利上げしなけりゃ円安大変だとか言うし、いざ利上げするとこのように「設備投資に悪影響が」とか言いだすんですが、そもそも政策金利水準が0.25%の状態なものが0.50%になっただけで止まる設備投資ってそりゃ何だよヴォケという話で、経常運転資金をいっぱいいっぱいで借りてて利息も払えない収益力しか無いような企業ならそらまあ鉋屑みたいな金利でも上がったらエライコッチャなのはそうだと思いますが、設備投資をしようっていう企業が0.25%の政策金利が0.50%になったから設備投資止めるとかどういうスケールで物事考えてるんだっていう話で、長期にわたる大規模金融緩和でメディアの脳細胞が弛緩してしまったんじゃないのか、と思いますわ、というか実質一発目の質問がこれしかできないの勘弁して欲しいですよね。

まあ回答はありきたりではあるのですが、

『(答)本日の意見交換会の場でも、金利の引き上げはゆっくりなペースに止めてほしいという意見がある一方で、金利よりも今は円安の方が大変なので、あるいは資材コストの上昇が大変なので、それを抑えてほしいという両方の意見がありました。もちろん企業によってもどっちの方を抑えてほしいかというのは違いますし、あるいは企業だけじゃなく家計も考えると、住宅ローンを借りている家計は、金利は上がらない方がいいだろうし、一方で、住宅ローンのない、借入のない家計であれば、金利が上がった方が預金利息(注 1)が増えて消費により多く回せる、そういうふうに一律どうするのがいいというのは言えない中で、日本全体として金利をどうしていくのかというのを考えなければいけないと。』

『そのときに地域経済がどうなのか、中小企業がどうなのかをしっかりと踏まえて、例えば今日の懇談会でお伺いしたようなご意見、実情を踏まえながら、慎重に考えていきたいというふうに考えております。』

まあ本当は「金懇挨拶にも書いたじゃろつまんねえ質問を一発目からするんじゃねえよ」という所だとは存じますが、そんなことを口走る人は偉い人にはいないですわなw

ということでこちらは回答の鑑賞よりも質問の晒し上げでしたが先に行きまして、


・ターミナルレートをすぐに決め打ちしたがるの何なの????

ということで次の質問も前半は単純に質問の晒し上げなんですがwww

『(問)二点お伺いしたいと思います。まずあの一点目は、政策金利の終着点についてなんですけれども、田村委員は中立金利については最低でも 1%程度ということでお話しになっていますけれども、そのターミナルレートということになると、この 1%を上回っていく可能性というのをみていらっしゃるのでしょうか、というのが一点目。(後半割愛)』

これって何とかストとかもやたらターミナルレートガーって言いたがるのですが、そもそも論として欧米と違って「使えそうな過去のデータがない」という状況にこれからなっていくわけですし、だいたいからして物価上昇率に関しては既にその水準になって久しいわけで、そんな状況下で中立金利を決め打ちする方が無茶だ、って日銀の何人もの政策委員(総裁副総裁も含めて)が何度も言っているのに、相変わらずこの質問するのも何なんだよと思うのですが、まあこれはメディアだけじゃなくて相も変わらず「ターミナルレートが―」とか言うと商売のネタになる何とかストとかいう人種がいるのも悪いというかそっちの方が悪いわという感じなので一概に晒し上げという話でもないですけど。

しかもこの質問、今の時点で決め打ちできない中立金利が1%よりも高い可能性があるかどうか見てますか、ってそんなの分からんのだから1%より高いかもしれないし低いかもしれないし1%かも知れない、以外に何の回答するんだよこのバカスケ、と思うのですが、やはり偉い人というのはそういう回答をしないで丁寧にご回答される訳ですので、応対話法の勉強になるなあと思いました(ナンノコッチャ)。

『(答)まず一つ目のターミナルレートについて、ターミナルレートの定義も難しいんですけれども、』

と言いながら、そもそも論の話をまず行っていましてですね、

『現時点においては、私の見通しは来年度後半に 2%の物価安定目標を実現できるだろうと考えていて、それから更に物価が上がっていくとも考えてないですし、そこから思い切り下がっていくとも考えていない、』

ふむ

『ということは、中立金利ぐらいにいればいいということだろうと理解しております。』

なるほど。

『もちろんそれはこれから先の物価や経済の情勢次第ですけれども、見通し通りであれば、中立金利に持っていくことが先決で、そこから先はそれからの物価や経済がどうなるか次第だというふうに考えております。』

まずこれが原理原則の話ですわな。物価目標達成と言える時点で少なくとも中立に近い金利に持って行ってないと、そりゃ物価が望ましくない上振れをするじゃろ、という話ですから。

『現時点で中立金利の水準を特定することは難しいと考えています。』

で、ここからが水準の話ですが、

『中立金利推計のベースとなる自然利子率は、推計手法によって相当なばらつきがあり、かなりの幅を持ってみる必要があると考えています。』

と来まして、

『また、長きにわたってほとんど金利がない世界が続いてきたわが国においては、経済主体が金利にどのように反応するのか、予断を持たずに、注意深くみていく必要があると考えています。』

はい。

『従って、実際には政策金利の引き上げを進めていく中で、金利の変化に対して経済・物価がどのように反応するのかを分析しながら、中立金利の水準を探っていくということになると考えています。』

ただこれだけ言うと低能メディアがハトヘッドラインを打つ可能性があるのでさっき言ったことをまた蒸し返しまして、

『一方で、経済・物価が見通しに沿って推移するとすれば、2025 年度後半には、短期金利は、名目の中立金利まで上昇していることが必要であり、』

最初にその話をしているのですが、わざわざ再度説明をおっぱじめていましてですね、

『どのようなペースでの調整が適切かということを考えるうえで、一定の水準を念頭においた方が適時、段階的な調整ができると、私としては考えています。』

改めてそういう説明をした上で、

『例えば中立金利として 1%を念頭に置いた場合と 3%を念頭に置いた場合では、求められるペースが異なってまいります。ただ、私も中立金利が 1%と決め打ちしているわけではありません。2025 年度後半 1%という水準を念頭に置きながら、物価安定の目標の実現の確度の高まりに応じて段階的に短期金利を引き上げ、その時々、経済・物価の反応を確認して、適切な短期金利の水準を探っていく必要があると考えています。』

特にこの先に関しては結局はこれしか言いようが無いわけで、ターミナルレートの話にやたら拘る何とかストとメディアはお前は何を言ってるんだと思うのですよね。そりゃまあターミナルレートなるものを置くと色々な物語を書きやすいから楽ってのはあるんだけど、だからと言って「ザ・ターミナルレート」みたいなのがあるかのようにして話を組み立てさせようとするのは本末転倒にもほどがあるじゃろ、とアタクシは思うのですけどねえ。

『なお、私が念頭に置く最低 1%程度という水準は、私自身が金融実務家として企業や家計と接してきた感覚や、このところの企業や金融機関の経営者の声などを踏まえて、最低でもこれぐらいではとイメージしている水準ということです。(後半割愛)』

でまあこの質問の最後の部分で「そもそも1%が最終形じゃないわ」と入れているのがチャーミングというものです。


・コストプッシュだから上振れリスクにならんという訳ではないという極めて当然の説明キタコレ(これは良い質疑)

その次になってやっとメカニズムの質問になってくれるんですよね。

『(問)物価の上振れリスクについて、ちょっとお伺いします。足元の米価格や円安による物価上振れについてですね、総裁はコストプッシュであって、今年の半ばから年末にかけて減退していくんだと、そういう見通しを示されておられますが、田村委員はどのようにお考えでしょうか。足元の物価上振れがインフレ期待とか、賃金などに反映されて、いわゆる物価の基調、これ自体を押し上げていくリスク、これについてどのようにお考えなのか、お教えください。』

そりゃあるじゃろ、というかそもそも論としてあの「第一の力」「第二の力」の説明がインチキな訳でして、毎度拙駄文で申し上げておりますが、現実に起きている物価上昇が持続的、波及力のあるものなのか否かというのが重要であって、コストプッシュだから対応しなくていいって話じゃないんですからね。

でもってこの質問は後半もあるのですが、実際には前半後半で一体の質問を形成しているので後半も。

『そのうえで、上振れリスクが顕在化した場合にですね、早めに対応する必要性についてはどのようにお考えなのかということをお伺いしたいんですが、例えば極端なことを言えばですね、継続利上げとか、4 月の次の展望レポートでですね、物価が上振れたら、そこでは利上げする必要性が生じるのかとか、それについてどのようにお考えなのでしょうか。』

まあ起きてみないと分からんがな、としか回答はしようがないですが、まあやっと物価上昇の背景に絡めた質問になっておりましてこれはニッコリでありますな。では回答はと言いますと、

『(答)一つ目は、物価の上振れリスクについてですけれども、私自身は上振れリスクがだんだん膨らんできているというふうに感じています。』

しらっとぶっこんでいるのですが、まあ普通に考えてそうじゃろ、ということでその背景ですけど、

『その理由は、足元みられている企業の価格転嫁の状況あるいは人手不足を映じた人件費の上昇とその価格転嫁の動き、これらの背景にある企業の積極的な価格設定行動、あるいはそれら全部の背景にある実態的に需要が潜在的な供給を上回っている状況、こういったことを踏まえて私としては上振れリスクが膨らんでいるというふうに考えています。』

やっとちゃんとした質疑応答が聞けました。

『実際に上振れしていった場合には、おっしゃられたような、それが予想物価上昇率に反映されていくといったようなことも起こってくるというふうに考えているところです。』

でもって後半ですが、

『次に、上振れたときに早めに対応する必要性ということですけれども、まず利上げのペースについて、例えば半年に一回というような予断を持っているわけではないです。先ほど申し上げた通り、基本的には経済や物価、金融情勢次第で、それをみながらやっていくと。』

特にこの先に関しては分からんという話ですが、利上げして実際の預金金利や短プラに反映し、それが企業や家計にどういう影響あるか(あるいは全然ないのか)というのを見ていくしかないですからねえ。

『そのときに私としては 1%という水準を念頭に置きながら、物価安定の目標の[実現する確度の]高まりに応じて適時かつ段階的に短期金利を引き上げながら、毎回の決定会合で、その時点で利用可能な各種のデータ、それから、最近とても重要だと思っているのがデータだけじゃなくてヒアリングなどの情報、こういったものをみながら、経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度をアップデートし、適切に政策を判断していくということだと考えています。』

この説明で分かるわけですが、田村さんの「政策金利1%」というのは別に田村さんが考えている中立金利の水準とかでは全然なくて、「まあとりあえず1%まで上げてみてその時点で状況見てまだ中立水準じゃ無いようだったら上げて行きましょうず」という話をしている、という風に読み取れる(と思うんだが)訳でして、そういう意味では「最終着地点」じゃなくて「中間目標地点」なんだと理解した方が良いと思うのですよね。もちろん1%上げる前に経済物価情勢がアイヤーということになったら途中で終了するんでしょうけど、本来潜在成長率が0%台半ばで物価が安定して2%で推移してるんだったらそりゃ名目の自然利子率は2.5%じゃろという話ですからね〜

『従いまして、ペースは半年に一度と決めているわけではなく、データや情報次第では、より早くなる可能性もあれば、遅くなる可能性もあるというふうに考えているところです。』


・折角良い金懇だったのに今回の松本金懇って記者会見が台無しにもほどがある

でまあこういう丁寧な説明をしているのに直後にこの質問するのがこれって酷くないですかねえ・・・・・

『(問)今の利上げの時期についてなんですけど、適切に判断したいということで、現状の環境で言うといつ頃が適当だと考えているのか、ちょっとその辺りの考えを一つお聞かせください。あとそのペースについてなんですけど、25 年度後半に少なくとも1%っていうところでいうと、これまでと同様に、やはり半年に一度くらいのペースになってくるのかなと思います。それが今早くなったり遅くなったりするということでしたけれども、今後ですね、次回利上げする際にはいわゆる 0.5%の壁を超えるというところで慎重な判断を求める考えもあるかと思うのですが、その辺りを踏まえてどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。』

まあ端的に申し上げて小学校教育からやり直した方がよろしいんじゃないかと思いました。回答は言うまでもありませんので割愛します。

・・・・てかこんな質問飛ばされたらワシなら「すいませんこれまでの質問で全部ご回答しているんですけれども貴殿は何を聞きたいのでしょうかさっぱり意味が分かりません」とか言い出す自信があるわけでして、丁寧に回答するの本当に頭が下がります。


・今回は利上げ時期の前倒しをした訳ではないとの説明ですが・・・・・・・

まあこれは質問出ますわなという質問でして、

『(問)二点ございますけど、一点目がこちら先ほどから質問が出ている 25 年度後半には少なくとも 1%程度まで短期金利を引き上げるというところなんですが、24 年 9 月の講演では、26 年度[まで]の見通し期間後半にかけてという表現をされてまして、これはその田村さんの中では前倒したという理解でとらえてよろしいでしょうか。前倒したとしたら、その理由は何でしょうかというのが一点目です。(後半割愛)』

でまあこの回答ですが、

『(答)昨年 9 月の講演では、見通し期間の後半、具体的に言うと 25 年度後半から 26 年度にかけてというふうに申し上げました。それを今回 25 年度後半というふうに申し上げているのが、もともとこれだけの期間があったものを、こういうふうに変えていますので、前倒しというわけでもないですけれども、もう少し私の中で絞れてきたというところかなと感じております。』

これは禅問答モードですが、最初の方に引用した質疑応答のところでも「また、長きにわたってほとんど金利がない世界が続いてきたわが国においては、経済主体が金利にどのように反応するのか、予断を持たずに、注意深くみていく必要があると考えています。従って、実際には政策金利の引き上げを進めていく中で、金利の変化に対して経済・物価がどのように反応するのかを分析しながら、中立金利の水準を探っていくということになると考えています。」という一見ハトっぽい問答がありましたけれども、今回に関しては金懇のテキストの方で結構かっ飛ばしているので、会見までかっ飛ばしで行くのもどうかということでバランスを取りにいってるんじゃないかな、と何となく思いました、知らんけど。

『その理由ということですけれども、基本的には見通しが実現していく確度が高まってきたと判断しているものです。』

で??

『わが国経済が緩やかに回復する中で、賃金面では人手不足感が高まるもと、本年の春季労使交渉において、昨年に続き、しっかりとした賃上げを行うといった声が聞こえてきます。物価面では、消費者物価の前年比が、2024 年度が 2%台後半となった後、2025年度も 2%台半ばとなる見通しです。更に、足元みられている企業の価格転嫁の状況や人手不足を映じた人件費の上昇とその価格転嫁の動き、これらの背景にある企業の積極的な価格設定行動や、実態的に需要が潜在的な供給を上回っている状況などを踏まえますと、私としては上振れリスクが膨らんできたというふうに考えておりまして、そういう意味で、先ほど申し上げたように、この期間の中で絞れてきたんじゃないかというふうに考えております。(後半割愛)』

いやーそれは「絞れてきた」じゃなくて「上振れリスクが高まったから判断が手前に寄った」じゃろうよとは思ったのですが、これはまあ刺激的な言い方を(金懇テキストでぶちかましただけに)抑制したんでしょうかね、分からんけど、とは思いました。


〇展望レポートハイライト(これも前のネタで恐縮ですが)

これまた先々週ネタで恐縮ですが

今回1月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202501.htm

前回10月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202410.htm

前々回7月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202407.htm


・景気見通しの絵柄の変化がどういう判じ物なのかと小一時間問い詰めたい

最初の解説が経済なのですけどね、

『日本経済は成長を続ける

日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(今回1月)

『日本経済は成長を続ける

日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(前回10月)

『日本経済は成長を続ける

日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(前々回7月)

・・・・・まあ見通しオントラックって言ってるんだから先行き見通しがずっと変わっていないのはまあ良いんですけど、絵柄が毎回違うの何なのという感じで、7月は丘の方に向かってトレイルランっぽい格好をしていて、10月はまさかのバックスクリーン弾丸ライナーという威勢の良い軌跡、でもって1月になったら今度は絵柄が7月っぽいのに戻っているのですけれども、今回はトレイルランじゃなくてラングラウフで前進する方式だし、2025、2026に向けて軽い下りの坂になっているので、どう見てもスキー履いてたら鼻歌交じりで進んでいく、という図になっておられます。

まあ何ですな、オントラックで先行きの自信ニキというので丘を登る感じのトレイルランから先に向けて軽い下りをスキーでホイホイ進んでいくラングラウフになる、というのは分からんでもないのですが、だったら10月の大谷翔平ばり(ご丁寧にもバッターは左打者なので大谷翔平じゃなかったら村上宗隆辺りであって岡本和真や大山悠輔ではないw)のバックスクリーン弾丸ライナーは何だったのでしょうか。謎のイラストを入れるのは止めてもろて頂いてwww


・物価に関しては遂に「基調的物価と実際の物価の二本立てイラスト」が登場w

物価のポンチ絵に関してはそもそもその題名が、

『物価は2%程度に向かう』(今回1月)
『物価は来年度以降2%程度で推移する』(前回10月)
『物価は来年度以降2%程度で推移する』(前々回7月)

ということで、2025年度2%ってのを今回降参して上方修正しているので題名が変わるのは当然ですけれども、


『消費者物価の前年比は、来年度に2%台半ばとなったあと、再来年度は概ね2%程度となります。』(今回1月)
『消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。』(前回10月)
『消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。』(前々回7月)

しかしこうやって書かれますとCPI高止まりするじゃんという話だし、おまいら以前に「適合的期待形成ガー」って散々言ってた訳で、適合的期待形成の度合いが強い日本においては物価が上がっても中々定着しない(ので異次元緩和をバンバン続けるのは適切)という理論を出していたわけですからして、本来であれば現実の物価の見通しが思いっきり上振れしているんだったら適合的期待形成にも影響を与えるのだから、期待形成すなわち基調的な物価とやらに与える影響は大、となるはずなのですがそこは丸無視(もちろん田村委員のように言及している人もいますが大本営屁理屈部では対外的にはスルーしている)しているので、

『この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(今回1月)
『この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(前回10月)
『この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(前々回7月)

という同じ見通しになっているの正直意味不明ではありますし、そもそも論としてアンダーライングの物価上昇ってのの要素に期待インフレ率ってねえのかという気がしますわな。まあそれは兎も角としてこちらのイラストを見ますと、

前々回7月→2025、2026に向けてトラックコースのランナーが謎に疾走していてその地点に2%の大文字が
前回10月→前回から一転して疾走感のないパラグライダーの着地の図になっていて2025、2026に向けて2%とか書いてるところに着地する点線が
今回1月→2026という所に向けて下から上がってくる階段と上から降りてくる階段があって「2%」に向けて歩いていくという図

ということでですな、基調的物価ガーの屁理屈大会を毎度聞かされている我々一味は今回の絵が何を示そうとしているのかわかるのですが、物価が2つあって片方が上がっていって片方が下がっていってどっちも2%に向かっている、ってそれ一般の人(向けという触れ込みになっておりまして前回との差分比較とかそういう事は考えて作っていないという触れ込みになっていますので)が見て「何で2つあるの」って話になるだけにしか見えないので、過去一謎のイラストになっているなあと思いますわ。まあそもそも論として「基調的物価」というのをメインの説明にすること自体に無理があるのですけれども。


・不確実性のイラストが前回と同じなんだが米国ガーを抜いた分は反映しないのかね

『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(今回1月)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(前回10月)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い』(前々回7月)

そもそも論として世の中というのは不確実なんだからこの「不確実性は高い」ってのは言い訳にならんと思うのですけれどもwwwwwww

『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(今回1月)

『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(前回10月)

『海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(前々回7月)

こちらは7月に為替云々文言を入れたわけですが、次の金融政策運営のところでもスルーされていますが、10月展望ではご案内の通り最後の金融政策運営に関する記述の中で「そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。」というのをぶち入れていまして、それが1月展望で元に戻った、すなわち7月利上げ時のドヤ顔状態に戻った、と言えるわけなのですが、このハイライトの方ではその重要な変化が無かったことになってしまっていますわな。

まあそこに関しては10月ハイライトで言及してないから今更いじりようがないということではあるのですけれども、なんかこの「リスク要因」と「金融政策運営」の字面が7月から変化なしで来ているのは、その間のハト転タカ転を考えると?????という感じにはなってしまいますよね。

でもってイラストですが、この部分は前回10月と同じに作っているのも正直不思議でして、前回10月は上述の通り、「米国の動向ガー」というのがあって、今回そこは無くなったのですから、絵柄変えた方が良かったように思えますけどここは変えないのね、と思いました。


・よって金融政策に関しては文言どころかイラストも3展望連続で同じになっている

ECBと違うのは「展望レポートのハイライト」であって「今回の金融政策決定会合の結果の説明」ではない、というのがあるので、このハイライトって政策金利動かした話を割愛するプレイに毎度毎度出ている訳ですが。

『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(今回1月)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(前回10月)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく』(前々回7月)

というお題目が同じですが、

『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(今回1月)

『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(前回10月)

『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(前々回7月)

と来ましてイラスト(割と謎のイラスト)も3回連続で同じになっています。まあ謎とか言いましたけど、ECBみたいに方向性出すのは難しいし、先行きも状況(計器)調整しながらやりまっせという意気込み(?)は伝わるのですけれども、さっきも申し上げた「米国経済ガー」要素が入って出た件はどうなっとるんじゃという気はしました。



〇金月のGCが先週も下がっておりましたようで&3Mは相変わらず強く推移とな

という訳でGCですけどね。
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

        O/N  T/N  1w  2w  3w   1m 3m  6m 1y
2025/2/4  0.454 0.448 0.436 0.437 0.437 0.438 0.445 0.477 0.551
2025/2/5  0.460 0.449 0.434 0.435 0.436 0.434 0.447 0.479 0.551
2025/2/6  0.482 0.410 0.426 0.429 0.430 0.433 0.448 0.480 0.551
2025/2/7  0.381 0.445 0.426 0.429 0.431 0.429 0.448 0.480 0.551
2025/2/10 0.467 0.457 0.436 0.435 0.435 0.434 0.449 0.480 0.551
2025/2/12 0.407 0.449 0.439 0.436 0.434 0.434 0.450 0.480 0.552
2025/2/13 0.384 0.351 0.411 0.419 0.422 0.427 0.449 0.482 0.552
2025/2/14 0.307 0.431 0.419 0.421 0.422 0.424 0.449 0.482 0.554

先々週末にも「金月の金利下がりましたなあ」とか書いていた訳ですが、先週はアタクシが精霊界に出かけている(超大嘘)隙にまたも金月の金利がお下がり遊ばされていまして、しかも前の週よりも下がり方が派手になっていましたが、まあそうは言いましても14日になったらトモネのGCはだいぶ元に戻っている訳で、また例の短国発行要因ですかねえという所ですが、何せ精霊界に出かけていたもんんで(全くの嘘です)その辺よーわからんですな(分からんのは事実www)。

その間の短国入札ですが、

2/7の新発3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250207.htm
国庫短期証券(第1286回)の入札結果

『5.価格競争入札について
(1)応募額         10兆7,528億円
(2)募入決定額    3兆4,404億6,000万円
(3)募入最低価格     99円91銭8厘0毛
(募入最高利回り)     (0.3291%)
(4)募入最低価格における案分比率   68.5407%
(5)募入平均価格     99円92銭2厘5毛
(募入平均利回り)     (0.3110%)』

ということで0.3110%/0.3291%だった訳ですが、

2/14の新発3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250214.htm
国庫短期証券(第1287回)の入札結果

『5.価格競争入札について
(1)応募額        9兆9,875億円
(2)募入決定額    3兆4,304億4,000万円
(3)募入最低価格    99円92銭0厘0毛
(募入最高利回り)   (0.3211%)
(4)募入最低価格における案分比率   34.5991%
(5)募入平均価格    99円92銭2厘8毛
(募入平均利回り)   (0.3098%)』

ということで0.3098%/0.3211%でレート下がってるじゃんという事でして、まあ先週の金月GCがその前の週よりも威勢よく低下していたのも短国の需給が反映していて、その結果3Mの入札のレートが低下しておられますよという事なんですかね、知らんけど。

でまあ売参見ますと、先々週金曜と先週金曜の3M新発の引値は
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表

(2/7引値)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.310

(2/14引値)
国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.290

となっていまして、2/13の引値ですと、

(2/13引値)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.300
国庫短期証券1287 2025/05/19 平均値単利 0.305

なのでまあ需給良いってことなんでしょうかねえとは思いますけど、金月だけはGC下がっていますけど、短国発行日の月曜のところになる金曜のGCTNは上述のように0.431%まで上がっていて、GC対比で14位低い利回りで3Mセカンダリーってのも何なんですかという感じだし、そもそも論として次の利上げが7月会合で決め打ちするのってどうなのよという話でもあって(さすがに3月は無いでしょうけれども4月(今年は2日目が5/1になるという大迷惑決定会合でGW開始前に決定会合終わらせろよってなもんですが)の決定会合完全に無風かと考えた場合、いやお前その需給だけ相場でエエノンカイとは思ってしまいますな。




2025/02/07

お題「GCとか短国とか特会借入とか/田村審議委員長野金懇/夏休み(冬だけど)のお知らせ」

謹慎中の物体がサムネが登場しますので閲覧注意wwwwwww
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025020600588&g=pol
日銀審議委員候補に聴取を 国民・玉木氏
時事通信 政治部2025年02月06日11時51分配信

というかですね、「高圧経済が必要だから金融緩和修正は時期尚早」とかこの物価高の中で言ってるてめえが先に聴取されるべきじゃろという所ではございますけどねえ(個人の感想ですw)

〇東京レポレートGCTNが下がっておったり6MTDB入札だったり

いつもの東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

       O/N  T/N 1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/2/4 0.454 0.448 0.436 0.437 0.437 0.438 0.445 0.477 0.551
2025/2/5 0.460 0.449 0.434 0.435 0.436 0.434 0.447 0.479 0.551
2025/2/6 0.482 0.410 0.426 0.429 0.430 0.433 0.448 0.480 0.551

ONの方は上がっているのですが金月取引になるTNの方が低下してて、しかも1、2wも低下しているのでこれはなんの判じ物という感じなのですが、マイナス金利解除直後にも毎度週末近くの受渡になるとGCが下がるという事象がありまして、あの時も真の原因はよーわからん面がありました(というかまあ短期ってのは相対の世界だからわからんことが多いんで想像するしかない面が多々あるんですけど)けれども、TDBの新発の発行日でありますところの月曜スタートになると金利が上がって週末にかけて金利が下がっていたという例がありましたので、これで月曜渡しになる今日のTNの金利(または月曜のON)が上がっているようだと、短国の在庫増減要因ということになるのかなあとか漠然と思ったり思わなかったりという感じですかね、まあ想像の世界なので知らんけどとは申し上げますけれども。

SC要因ではなさそうなのは補完供給見ると、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250206.htm
落札結果 (2月6日<木>)

国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4)   3,901  3,901   0.150  0.150
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)         0    0

(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、

利付国(5年)第152回(13億円)、156回(482)、

利付国(10年)342回(107)、347回(28)、352回(156)、358回(533)、361回(1,219)、362回(607)、368回(48)、370回(35)、

利付国(20年)137回(15)、158回(25)、171回(250)、

利付国(30年)4回(12)、17回(10)、20回(91)、54回(60)、

利付国(40年)7回(63)、8回(147)です。

ってなっているので(しかし10年利付ってSLFよー出ますわな)、どこかでSCが大渋滞してどうのこうのという訳ではないからこっちではないわなという話。


昨日の6Mですけど、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250206.htm
国庫短期証券(第1285回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1285回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号     国庫短期証券(第1285回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項』

6Mなので特例公債枠での発行ができまして堂々と最初のところに特例公債の表示がありますね。

『3.発行日     令和7年2月10日
4.償還期限    令和7年8月12日

5.価格競争入札について
(1)応募額          10兆1,865億円
(2)募入決定額     2兆6,930億9,000万円
(3)募入最低価格      99円81銭2厘
(募入最高利回り)      (0.3756%)
(4)募入最低価格における案分比率  86.7769%
(5)募入平均価格      99円81銭4厘
(募入平均利回り)      (0.3716%)』


これが何ぼのもんじゃいという話ですが、いつものように売参から引値を拾ってくると、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(2/5引値)
国庫短期証券1285 2025/08/12 平均値単利 0.375

(2/6引値)
国庫短期証券1285 2025/08/12 平均値単利 0.330

ということで入札は売参引値よりもちょい強いくらいで終わってますが、結局その後買い進まれて33bpになっている訳ですが、いやまてお前らさっき(昨日の短国入札の時点で言うさっき)の田村審議委員の金懇テキスト読んだかよというお話でして、0.375でも大概なレートではある(GC逆ザヤ6か月フィックスですからねえ)のですが、7月利上げ説より前倒しになったらどうするつもりですねんという感じで3か月とほぼ変わらんレートで6か月はどうなのよとは思うのですが、3M対比で6Mって月一でしか出ないし3Mよりも足が長いし1年よりは利回りで負けるしで中途半端なものなので、需要がある時はバチクソあるし、ないときは全然ないみたいな特性が(少なくとも昔は)あったので、まあ全般として短国需要に対する発行がまだまだ足りませんわなというお話になるんじゃないかと流れるようにそっちの話に持っていく人wwwww

なお、6Mのレート、と言えば交付税特会が今週火曜日に行われていまして(さーせん)

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250204.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果

『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項

2.借入日     令和7年2月14日
3.償還期限    令和7年8月14日
4.償還方法    令和7年8月14日に一括償還

5.借入利率競争入札について  
(1)応募額        3兆5,766億円
(2)募入決定額     1兆2,500億円
(3)募入最高利率     0.585%
(4)募入最高利率における案分比率   10.4480%
(5)募入平均利率     0.578%』

ということで、まあさっきの6Mと微妙にスタートエンド違いますけどこの際同じもんだと達観していただきますと、こちらは火曜日に実施ということですから、それこそ火曜日の国会でのインフレ問答(も午後だったはずですが既におじいちゃん記憶が怪しいのでパスしますけど)を受けた水曜の赤沢さんの「ゲルはもにょもにょ申し上げていましたがインフレはインフレよ(超意訳)」発言の前だったりしますけれども、それでもちゃんと0.58%水準な訳ですな。

でもってこのアベレージの0.578%というのをいつものノリで期間案分してばらしてみると、2/14〜8/14の0.578%っていうのは6月決定会合で付利が75bpに上昇したとして計算するとほぼ期中の平均付利に近い数字になる(前半を50bpで計算すると後半が74.8bpになる)訳でして、まあ実際にはこういうのにテナーがあることによる流動性リスクプレミアム(とは言っても特会向け貸出金は日銀適格担保だからファイナンスは容易につくんですけどね)があるというのは当然ございますので、まあ座学のお話の世界ではありますけれども、交付税特会の方では利上げ前倒しリスクものっけたようなレート(実際には単純に期間プレミアムとも言えますがそう言ってしまうと身も蓋もないのでw)っぽいのをやっているというのに、6Mカレント短国の引けが(ショートカバー要因あるにせよ)33bpになっているのはこれは相変わらずの短期金融資産における高流動性信用リスクフリー資産の圧倒的な不足という状況を示している、という認定にしておいて問題ないんじゃないかと思ったのですがどうでしょうかね(だからGCも短国在庫減少要因で下がったと)。知らんけど。

本日は3Mの入札なんですが、新発WIを見ますと

(2/6引値)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.320(これはWIになります)

(2/5引値)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.340

うーん入札前に気配強くなってるやんという状況ですがはてさてどうなるのやら・・・・・・


〇田村審議委員長野金懇だが想定上の抜刀で大変に良いものを見せて貰いました

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250206a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
長野県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2025年2月6日

・賃金設定と物価の情勢に関しては当然ながら強い認識を示しています

まあその辺りは順当おぶ順当なのですけれども、『2.経済・物価情勢』の『(1)経済情勢』の物価認識の辺りから参りましょうず。

『こうした先行きを見通すうえで、私が特に注目している賃金の動向についてお話ししたいと思います。所得から支出への前向きの循環メカニズムが続いていくかどうかを見極めるうえで、今まさに行われている春季労使交渉がどのような着地となるかが重要なポイントです(図表2)。』

ちなみにここで田村さん、「所得から支出への前向きの循環メカニズム」という言い方をしておりまして「賃金から物価への好循環」と言っていないのも密かにポイントが高いですw

『大企業では、労使交渉を待たずに、「去年並みの高い賃上げを行う」との声が既に幾つも聞かれています。中小企業については「厳しい」との声も引き続きありますが、「人手不足の状況下、賃上げを行わざるを得ない」との声も多く聞かれています。』

何故ワイの(爆発音)

『こうした中で、企業の賃金設定行動にパラダイムシフトが起こりつつあると感じています。』

キタコレ。

『従来は、「収益を上げて、その還元として賃上げを行う」というのがよくみられた企業行動でした。』

これを読んでて思い出しましたが、そういやワシが小僧の頃は「高収益を上げたのに何で賞与(とは言わすに臨給(臨時給与ですな)というのが某界隈のしきたりでした、今は知らん)がたいして増えんのや」という話に対して「将来も安定的に支給できるように原資を確保しました」とかいうのがあったなあ(とうぜんそんなもんは不渡りになったんだが)というしょうもないことを思いだしました。

『もっとも、原材料価格が上がれば、それを所与として経営を考えなければならないのと同様に、人を確保できる水準の賃金を設定せざるを得ないという状況がまずあり、それを所与として経営を考える、具体的には、価格転嫁や効率化、事業や企業の再編を含めたビジネスモデル変革などを、考えなければならない時代に入ってきていると感じています(図表3)。』

なお1980年代後半は似たような感じで事業の多角化とか果ては財テクとかやってましたなあ(遠い目)。

『賃金が毎年、上昇していくことを織り込んで中期経営計画を策定したという企業経営者の声が聞かれますが、これは、長らく続いてきた「賃金は上がらない」という考えが根本的に変化していることを示すものだと考えられます。』

これ経営側からするとこういう話になるけど、個々の被雇用者単位のミクロで見たときに、一定の年功序列的なものがあるのって同様に「賃金が上昇していくことを織り込んで生活設計を立てる」というものがビルトインされていたんですよね、なんか全然違う話ばっかりしてて申し訳ないけど急に懐古厨になってしまいましたアタクシ。

『こうした点を踏まえれば、私としては、今年の春季労使交渉では、2%の「物価安定の目標」と整合的な、しっかりとした賃上げが期待できると考えています。 』

ワイの(爆発音)は兎も角として、まあ普通にお強いお話をしています。順当ですけどね。


・物価に関しては今回の展望レポートで示された「物価メカニズムを考える際の需給ギャップ再考」が入ります

続いて『(2)物価情勢』です。

『続いて、物価情勢についてお話しします。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、足もとは3%程度、振れの大きいエネルギーも除いた消費者物価の前年比も、2%台半ばとなっています(図表4)。季節調整済みの前月比で消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)をみると、昨年6月以降明確に加速しており、同月以降の動きを均してみると年率で3%程度のインフレが継続していることになります(図表5)。』

ヘッドラインで見たらもっとエゲツナイのは皆様ご案内の通りですがそこまでは言及しませんな。

『こうした動きの背景には、足もとの原材料価格や運送費・光熱費等の上昇分の価格転嫁に加え、過去の上昇分の価格転嫁が十分に出来ていない業種・企業によるラグを伴った価格転嫁が続いていること、人件費の上昇分の価格転嫁が幅広く行われるようになってきていること、こうした中で、米類の価格上昇がさらに物価を押し上げていることがあると考えています。』

米穀価格上昇に関してはこれから一段と影響が広がりそうですわな。しかし全国作況指数101でこうなるってのもアレですけどね(ジジイなので1993年冷害はカジュアルに覚えていますが当時の作況指数全国で70台だし東北地方はもっと壊滅的だったのですよね)。

『2%以上のインフレが3年近く続いているうえに、日本人にとって重要な「お米」の大幅な価格上昇が、その数値以上に消費者マインドにダメージを与え、個人消費に悪影響を与えてしまわないか懸念しています。 』

とまあこの辺はマクラですが、

『私は、わが国で物価上昇が続いている背景には、需給ギャップがプラス、すなわち需要が潜在的な供給力を上回っており、物価に上昇圧力がかかっていることがあると考えています。』

キタコレ!!!!

『この需給ギャップについては、日本銀行が推計しており――推計手法によって異なる値をとり得るほか、様々な推計誤差が含まれるため、幅を持ってみる必要がありますが――、足もとの値はゼロ近傍にあります(図表6)。』

『では、足もとは、物価に上昇圧力も低下圧力もかからないような状況でしょうか。需給ギャップを分解すると、労働投入ギャップがプラス(人手が不足)になっているのに対し、設備がフルに稼働していないことを受けて、資本投入ギャップがマイナス(設備が過剰)となっています。』

『しかし、設備がフル稼働していないのは必ずしも需要が不足しているからではなく、人手不足によって十分に設備を稼働させられないという側面も大きいと考えられます1。』

ということで(そういやまだネタにでききれてませんが)総裁会見でもその話ありましたり、より具体的には今回の展望レポートの怒涛のボックス3連発にありました説明が田村さんから行われます。

『なお、企業の実感を示す短観のDIでは、足もとで、労働力について「不足」と感じる企業の割合が大きく上昇する一方、設備について「過剰」と感じる企業はほとんどありません。それらを加重平均したDI2が、需給ギャップの日本銀行推計値の動きから大きく乖離しているのは、このような理由によるのではないかと考えられます。』

『したがって、私としては、需給の逼迫度合は業種によって差はありますが、マクロ的な需給ギャップは既に実態的にはプラスの領域にあり、供給力不足が物価に上昇圧力をかけている状況にあるのではないかと思っています。』

ということでして、これはすなわち日銀政策委員会の中で最もタカ扱いされている田村審議委員の指摘すなわち展望レポート背景説明(なので政策委員会の議決事項じゃない方)と一致ということになりますので、そうなると同じ認識を前提にした時に金融政策運営どないなりますねん、ということになってくるのが従来以上に気になってくる、とまあそういう話になるわけです、はい。

物価の話はもうちょっとありまして、インフレ期待に関しては

『物価の基調を確認するうえで重要な要素である、企業・家計の中長期的な予想物価上昇率についてもみておきたいと思います。』

からの、

『短観における企業の物価全般の見通しは、緩やかに上昇しており、5年後の予想は2%を超える姿が続いています(図表7)。家計について、日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」の結果では、バイアスがあるため水準自体は割り引いてみる必要がありますが、5年後の予想は2%を大きく超えています3。』

と来まして結論は、

『以上から、私としては、企業や家計の予想物価上昇率はしっかりと高まっており、概ね2%程度の水準に達していると考えています。』

どう見ても物価安定目標達成です本当にありがとうございました。


その次が見通しとそのリスクでして、

『話を消費者物価に戻しまして、物価の先行きについてみていきたいと思います。生鮮食品を除いた消費者物価の予想を政策委員の中央値で申し上げれば、2024年度が前年比+2.7%、2025年度が+2.4%、2026年度が+2.0%となっています(図表8)。「物価安定の目標」の実現に向けてオントラックで進んでおり、目標が実現する確度は、引き続き高まってきていると判断しています。』

『そして、足もとみられている企業の価格転嫁の状況や、人手不足を映じた人件費の上昇とその価格転嫁の動きを踏まえると、私としては、上振れリスクが膨らんできていると考えています。 』

上振れリスク拡大キタコレ!!!!!!!

とまあそういう話になって本丸その1の金融政策運営の話になるのだ。


・金融政策運営では今年この後2回利上げするの全然普通じゃろと前倒しキタコレ

『3.金融政策運営』になりますがこちらマクラとか今までやってきた話の部分をかっ飛ばしまして、途中から参りますね。

『今後、消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていき、2026年度までの展望レポートの見通し期間の後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するというのが日本銀行としての見通しです。』

という所までは日銀の実施した施策についての説明なのですが、ここで抜刀斎おもむろに抜刀となるのでして、

『さらに、私としては、様々な不確実性はあるものの、企業の賃金・価格設定行動の変化、人手不足を背景とした供給力不足の状況、概ね2%程度に達している企業・家計の予想物価上昇率を踏まえれば、中小企業まで含めた賃上げの実績を確認できる2025年度後半には、「物価安定の目標」が実現したと判断できる状況に至るとみています。』

抜刀キタコレ!!!!!!

『この場合、2025年度後半には、政策金利である短期金利は経済・物価に対して中立的な水準、すなわち名目の中立金利まで上昇していることが必要と考えています。』

目標達成してるんだからそうなりますよねーーーーーーーーーーーー。

『先ほど申し上げた通り、物価上振れリスクがある中、短期金利が経済・物価に対して中立的な水準を下回っていると、物価をさらに押し上げてしまうからです。』

その通りでして、じゃあ中立金利isなんぼでっしゃろという話ですが、

『この中立金利について、私は、最低でも1%程度だろうとみており、したがって2025年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価安定の目標を持続的・安定的に達成するうえで、必要だと考えています。』

まったくもっておっしゃる通りですな〜。とは言えさすがに抜刀しっぱなしという訳にも参りませんのでここで抜刀は一旦仕舞われて次に中和文言が入ります。


・抜刀を仕舞って中和文言

『ただし、長きに亘ってほとんど金利がない世界が続いてきたわが国においては、経済主体が金利にどのように反応するか、予断を持たずに注意深くみていく必要があります。』

まあそれはそうですけど、それ言い出したら長きにわたって物価が上がってこなかった方の影響だって皆さんちゃんと読めていないんですから、金利の方だけ注意深くみるとビハインドになるリスクが高まる可能性もアリエールではないかとw

『したがって、2025年度後半の1%の水準を念頭に置きながら、「物価安定の目標」の実現する確度の高まりに応じて、適時かつ段階的に短期金利を引き上げつつ、経済・物価の反応を丁寧に確認し、適切な短期金利の水準を探っていく必要があると考えています。』

ということで抜刀は一旦仕舞ってもろてますが、

『以上のような考えのもと、次の利上げ、政策金利を0.75%まで引き上げるタイミングについても、適切に判断してまいりたいと考えています。私としては、政策金利を0.75%に引き上げたとしても、引き続き実質金利は大幅にマイナスであり、経済を引き締める水準にはまだ距離があると考えています。』

と、結局抜刀は仕舞い切れないのが抜刀斎w

『例えて言えば、アクセルを強く踏み込んだ状態から、少しだけアクセルを緩めることによって、必要な場合に、急ブレーキを避けつつ減速することができるようにしておくことが必要な局面であるということです。 』

最後にしらっと糊代論。


・真の抜刀は実はこの後始まるんですよねーーーー

『4.金融政策の多角的レビュー 』が今回の抜刀斎の真骨頂でしてですね、

『昨年12月の会合では、2023年4月以降実施してきた「金融政策の多角的レビュー」を取りまとめ、報告書を公表しました。この「多角的レビュー」は、過去25年間のわが国の経済・物価・金融情勢について振り返ったうえで、非伝統的な金融政策運営の効果と副作用を点検し、先行きの金融政策運営への含意を整理したものです。本日は、私がポイントと考える点についてご紹介するとともに、一部については私の考えも述べておきたいと思います。 』

ということで抜刀準備完了でして要はこの後よこの後。

『(1)2013年以降の大規模な金融緩和の効果と副作用 』

当然以下もそうですが抜刀シーンからの殺陣シーンという抜刀斎無双状態を鑑賞いたします。

『これらの点について、私が金融ビジネスの現場にいた頃の経験なども踏まえて、何点かコメントしたいと思います。』

からの、

『第一に、経済の供給サイドに対する副作用についてです。「多角的レビュー」では、現時点までのデータからの分析に基づき、「プラス・マイナス両面で明確な結論が得られず」としています。』

そうなっていましたな。

『ただし、私は、大規模な金融緩和が長期化したことも一因となって、ビジネスの新陳代謝の停滞によって生産性低迷がもたらされ、供給サイドに対して大きな副作用があった可能性が高いと考えています。』

抜刀キタコレ!

『したがって、大規模な金融緩和が「全体としてみればプラスの影響をもたらした」と言い切ることはできないのではないかと思っています。 』

一刀両断!

『第二に、「今後、副作用が遅れて顕在化し、マイナスの影響が大きくなる可能性には留意が必要」という点についてです。』

についても、

『金融市場の機能度や金融仲介機能、経済の供給サイドに対する副作用など、引き続き丁寧に点検していく必要があると考えています。』

でもってこの次がさらにイイシテキダナーになるんですが、

『また、関連するテーマとして、金融緩和の長期化が問題をもたらすことはないか、例えば、過度な円安の進展、都心住宅価格の高騰などが、今後、経済や国民生活にどのような影響を与えていくかといった点も、丁寧にフォローしていく必要があると考えています。 』

イイシテキダナーーーーー

でもって『(2)先行きの金融政策運営への含意 』に入りますが、最初の曳かれ者の小唄のご紹介部分はさておきまして殺陣wに参りましょう。

『ここで、注意が必要だと私が考えているのは、今回のレビューでは、定量分析の限界から、個別の政策ごとには効果があまり分析されていないことです。』

キタコレ。

『私の実感として、2013年から2年間程度の大規模緩和は、為替、株価、不動産といった資産価格のリプライシングを通じて、経済・物価にプラスの影響を与えましたが、一段の国債買入れの増額やマイナス金利の導入など、その後の追加施策の限界的な効果は極めて小さかったと感じています。』

>その後の追加施策の限界的な効果は極めて小さかった
>その後の追加施策の限界的な効果は極めて小さかった
>その後の追加施策の限界的な効果は極めて小さかった

イイハナシダナー

『将来、非伝統的金融政策を検討せざるを得なくなった場合には、こういった点を踏まえて、慎重に検討することが必要だと考えています。 』

これまた両断ですが、3点目に『(3)2%の「物価安定の目標」 』ってのがあって、まあ途中は抜刀を仕舞って温和に話をしているのですが、最後のところで・・・・・・

『そのうえで、私が大切だと考えているのは、「多角的レビュー」が指摘している「金融政策運営に当たっては、その時々の物価上昇率の実績だけではなく、物価変動を規定する諸要因を見極め、物価の基調を捉えていくことが重要である」という点です。』

ってのも地味に書かれていますがこれまた重要な抜刀ポイントでして、

『私としては、2.0%という数値に拘るのではなく、「緩やかな上昇」の範囲にある限り、その背後にあるメカニズムが「物価安定の目標」と整合しているかをみていくべきだと考えています。』

これってどう見ても黒田もそうですけれども植田総裁になってからの政策スタンスについて「2%という数値に過度に拘って経済物価情勢に対して過度な金融緩和を行っている」と思いっきり袈裟懸けで抜刀している訳でして、このコーナーの抜刀斎ぶりが何とも迫力のあるものだ、ということで政策金利云々も大事な話だけど、まあ皆様におかれましてもこっちを読んでいただきたいものだと勝手に思ってこのコーナーをご紹介した次第です。


でまあ4点目が『(4)財政政策と金融政策 』ですけれども、ここはさすがの抜刀斎も抜刀を鞘にきっちり収めておりまして、最後に

『なお、大規模な金融緩和の副作用として、国債市場の機能度が低下し、長期金利の水準や変化から、将来の経済・物価、政府の財政状態などについて市場がどのように考えているかといった情報が分かりにくくなっている点には留意が必要だと考えています。 』

となっているのはまあシャーナイですかなあとwwwwww

でもって最後にまたも良い事言ってまして、

『ここまで、「多角的レビュー」の対象である金融政策に焦点を当てた言い回しでご説明してきました。最後に強調しておきたいのは、金融政策は経済・物価に大きな影響を与えるものですが、金融政策によってすべてができる訳ではないということです。』

はい。

『あくまで経済の主人公は企業や家計などの経済主体です。足もとの物価や賃金の上昇も、金融政策がサポートした部分はあったとしても、金融政策だけで実現できた訳ではないと考えているということは、改めて申し上げておきたいと思います。 』

置物とか黒田方面に砲撃を加えて締めております。


・おまけだが毎週はすげええええええ

最後に『5.おわりに ―― 長野県経済について ―― 』というご当地経済の話になるんですが、
その中にしらっと、

『なお、私自身も、スキーシーズンには毎週のように長野県にお邪魔しており、長野県の一ファンとして、長野県の発展を祈念しております。』

ちょwwwwwwwwwwwwwwwwそれはまたエライ元気な。


・普段から抜刀斎ではあるのですが・・・・・・・・・・

以下まあ穿ちすぎかもしれないけどちょっと雑感。

田村審議委員って仰せの話毎度ご尤もではありますが、ゆうて今回ってその切れ味がさらに強くなっている訳でして、これってまあ12月の時のアレから急転直下して利上げになったこの流れやら、最近の赤沢さんの発言やらでもそうですが、そういう流れの中で見た場合にはやっぱり味わいがあるかなと。

抜刀するにしても手加減というのがあるわけで、今回でまだフルスロットルではないような気がしますが、それでも従来以上に抜刀がキレッキレというか言い回しが強烈になっているように見えまして、世の中の流れがこのくらいぶっこんでも行けるという感じになっているのかな、なんてちょっと思ったんです、まあそういう読み筋は田村さんに失礼な話になると思うのであくまでもワイの勝手愚感想ですけど、ちょっとそう思ったというのを最後に付け加えてお目汚しすいませんという感じでありまする。


〇お休みのお知らせ

さてさて、弊駄文の中の人、遅めの夏休みを取りやすので、来週は駄文を基本的にはお休みする予定です。ドチャクソ面白いネタでもあったら水面下から急浮上するかも知れませんが、まあしないと思ってくださいませ。再来週月曜日には浮上するはずですのでよろしゅうおねがいするます。






2025/02/06

お題「GCは45bpくらいですかね/赤沢発言/今更ジローの総裁会見(その2);物価の説明がぐだぐだ過ぎ」

既報のお話ではありますが鶏卵方面
https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/286606
2025年2月6日
[論説]鳥インフル急拡大 未発地域も警戒強化を

『注視すべきは、野鳥でのウイルス確認と家禽(かきん)での発生地域が必ずしも重なっているわけではない点だ。今季に家禽で発生した14道県のうち、野鳥のウイルス感染が確認されたのは7道県にとどまる。

1月下旬には青森県の野鳥で今季初のウイルスが確認され、幅広い地域で拡散が続いている恐れがある。野鳥でのウイルス確認が農場に近い場合はもちろん、過去に発生がない地域も、野鳥の侵入を防ぐネットの確認など、防疫対策を改めて徹底したい。

多発の背景には、ウイルスが環境中に多く存在していることが指摘されている。農研機構によると、昨年10月から11月末までに侵入したウイルスから、4種類の遺伝子型が検出された。家禽での発生が少なかった前季は2種類だけ。ウイルスの遺伝子型が多くの種類で見つかっている場合は、環境中のウイルス量も多い可能性があるという。』(上記URL先より)

・・・・・・・・・・・orzorz


〇デフレ云々発言のずれが訂正されてきましたが・・・・・・・・

昨日は朝っぱらにこれが出て、ちょうど毎勤で実質賃金の単月プラスというものがでて来るというプレイが炸裂したところだったので合わせ技で前場の債券はウリウリになっておられましたな。後場持ち直したけど。

https://jp.reuters.com/business/GK2EKJ5BBNPFXFT5EX3TRCEUXM-2025-02-05/
インフレの状態という日銀総裁の認識と齟齬ない=赤沢経財相
By ロイター編集
2025年2月5日午前 11:46 GMT+9

『[東京 5日 ロイター] - 赤沢亮正経済財政相は5日、日銀の植田和男総裁が4日の衆院予算委で現在はインフレの状態と述べたことについて「植田総裁の認識と特に齟齬(そご)はない」と語った。』(上記URL先より、以下同様)

まあそもそもCPIのあの推移を見て「デフレ」というのはかなり無茶苦茶な説明で、定義上
あり得んじゃろということなんですけど、

『午前の衆院予算委で尾崎正直委員(自民)の質問に答えた。』

大蔵省出身で地元の高知県知事になったあと衆院入りした尾崎先生なのでまあそこはちゃんとした質疑応答だったんじゃなかろうかと期待されますな。

『赤沢経財相は植田総裁の発言について「現状において消費者物価が上昇している点を踏まえて、インフレの状態との認識を述べられた」とした上で、「経済学的に申し上げれば足元の消費者物価が上昇しているという点でインフレの状態とおっしゃるのはその通り」と語った。』

まあ当たり前ですよね。

『同相は4日の予算委で、足元はデフレではないとの認識を示す一方、「インフレかどうかはどの程度の物価上昇率をインフレと呼ぶかさまざまな見解があり、デフレでない現状を直ちにインフレと申し上げるのは難しい」と発言。石破茂首相も「インフレかどうかを決めつけることはしない」と述べていた。』


まあゲル政権はその前に変に威勢の良い話をして、特に株式市場方面からの総すかんを食らっていたこともあって、株式市場に媚びを売るべく就任直後に金融政策修正は慎重に、というスタンスを示してしまったという初手の失敗が尾を引いていた感がありますが、ここに来てようやく「生活物価がバカスカ上がっている状況であんまりノホホンとしているわけにはいかない」というのが実感できてきて、緩和継続すれば幸せになるもんんじゃない、という認識になっていただけるとよろしいんじゃないかなとは思う訳です。

まあそうなっていけば、高圧経済とかどう見てもインフレ爆裂か円安爆裂するような結論しか見えないような事を仰せになる、という脳の方が高圧経済の結果圧力に負けて脳味噌が漏出してしまわれたのかと思われるような某玉木nとかのようなリフレ残党狩りも進んで大変に結構かと。


・・・・・・・という与太話はさておきましても、今回の一連の流れっていうのは、おせえよとはいますけれども、政府にしても日銀にしても「基調的物価」というお気持ち物価もさることながら、やはり「実際の物価」についてちゃんと考慮に入れた上で政策やっていかないと、特に日本の場合、日銀の小理屈を春秋の筆法よろしく持って来れば、今まで0近辺だったインフレ期待のアンカー外してしまっているんですから、その際って適合的期待形成が強い国なんですから、目標とすべき水準から上振れした高物価を長期間継続するというのは、外れたアンカーどこに着地できるのか問題という事に繋がるわけで、今のような感じの隙あらば値上げのニュースみたいな状況の際に「基調的物価が大事、実際の物価推移はどうせ一時的」で済ませていけない、という認識が共有されてきたんだとすれば、「余裕を持って対応」から本当の意味での「プリエンティブな対応」になっていく流れだって起きてもおかしくないし、そうなるとまあ話がガラッと変わってくるのでさてどうなんでしょうという所ではごじゃいますな、


〇今日は田村抜刀斎の金懇ですな

https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm

今後の講演・挨拶等の予定

2025年 2月 6日   田村審議委員  長野県金融経済懇談会における挨拶
2025年 2月19日   高田審議委員  宮城県金融経済懇談会における挨拶
2025年 3月 5日    内田副総裁   静岡県金融経済懇談会における挨拶

ということで今日は抜刀斎の金懇ですけれども、過去の主な意見だの議事要旨だのを総合しますと、おそらく何ですけど田村さんは政策委員会の中でもっとも「緩和修正がビハインドすることのリスクを警戒」という人でした訳ですな。

でまあ今ってご議論はあるところではありますが、ちょっとこれ緩和修正の出遅れの弊害が出てるんじゃなかろうか、という感じがある(だいたいからして延々と日銀は「この後物価の上昇ペースは鈍化して2%(あるいは2%以下)に下がる」という見通しを外し続けているんだからその時点でアカンヤロ)訳でして、足元の状況について「緩和修正が遅れてしまって結果的に本格的な高インフレを抑制するために強力な金融引き締め措置を行わなければならないリスクも意識すべき時間帯に入った」位の認識をぶち込む、というような抜刀モードで是非抜刀の方をお願いしたいですな。

しかしまあ何ですな、今日jの田村さんの金懇ですけれども、会見で「先日の総裁の会見では多少分かりにくかったのですが、12月は8対1で否決された田村委員の提案が今回逆に1対8で採り上げられることになった他の委員の変化について、委員はどのように分析されましたでしょうか」とか絶対聞く奴おるじゃろうという所で、そこで抜刀するかしないかとかいろいろな抜刀シーンが予想されますが、本日はどの程度の抜刀になるのか楽しみですね。

でもって3/5に内田副総裁の金懇になっていまして、展望レポートの説明をするの巻という話(氷見野さんの講演はあれはあれで大変にすんばらしかったのですが、日銀の経済物価見通しはこんなんですよ云々の話は(講演会場が講演会場なだけにそシャーナシだが)なかったので、その補足って感じだとは思うのですが、今回は何を言い出すことになるのか、まあ今月の相場次第じゃねえかと思わせてくれる辺りが甚だアレなところではございますw


〇レポレートは45水準に落ち着きましたが短国金利水準中々上がらんですね

いつもの
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

        O/N T/N   1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/1/31 0.169 0.404 0.373 0.386 0.400 0.422 0.439 0.472 0.550
2025/2/3  0.474 0.431 0.422 0.422 0.424 0.428 0.442 0.474 0.551
2025/2/4  0.454 0.448 0.436 0.437 0.437 0.438 0.445 0.477 0.551
2025/2/5  0.460 0.449 0.434 0.435 0.436 0.434 0.447 0.479 0.551

ということで水曜日まで来まして、まあGCレポの翌日物取引に関しては0.45%ですなというのが落ち着きどころになったっぽいように見えますので、今後TKRR見ていく中では。翌日物のところがこの水準から飛んだらちょっと要確認、って感じでよろしいのでしょうね、知らんけど。

短国ちゃんの方ですが、こちらは昨日の引けをつらつら見ていると短め(2月償還)の期近部分が0.36%水準と気持ち金利上昇していますけれども、相変わらずGCとのスプレッドは開いたままですので、まあやはりというか案の定というか、「短期国債が需要対比少なくしか供給されていませんがな」というお話だったんですかね、ということになりますし、さらに言えば「利上げしばらく様子見地蔵観測」があるうちは短国市場はある種の平和な箱庭状態になっているのですが、昨今のパティーンとしまして「もしかして利上げ前倒しになるんじゃね観測」が出てくると、利上げ前倒しになるなら長いの買えないと言って短国に避難民が大挙して押し寄せてくるというオソロシスな展開が発生しますので、この場合はまた「世の中の利上げ観測を丸無視して短国だけ頭沸いてるのかというレベルで激強」というのもアリエールなのがオソロシスではあります。
・・・・・まあもろもろ、これからどうなるんでしょうかねえ、


〇植田総裁記者会見続き(メモ程度ですが):物価に関する説明がこの時点で固まってなかったんでしょうね

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250127a.pdf
総裁記者会見
――2025年1月24日(金)午後3時30分から約70分


物価に関するコメントが固まってないなあというところのめもを簡単に。

昨日もご紹介しましたように、前半の答弁の中では、

『輸入物価ですが、前年比でみれば、引き続き抑制された水準にあるという点は変わりはないとみています。ただ、前回 10 月の展望レポート時点との対比でみますと、為替円安等に伴い、輸入物価が上振れていまして、本日取りまとめた新しい展望レポートでは、先ほど申し上げましたが、消費者物価の見通しは、24 年度が 2%台後半となった後、25 年度も 2%台半ばと高めとなりました。こうした状況を踏まえ、2%目標の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和度合いの調整をすることが適切と判断したところであります。』

といったかと思えば、

『最初のビハインド・ザ・カーブになりつつあるのではないかという点ですけれども、この消費者物価全体、ヘッドラインといいますか、ここでは除く生鮮ですが、これがおっしゃるように 25 年度にかけて、少し大幅に上方修正になっています。ただこれは、私どもの現在の見通しでは、取りあえずカレンダーイヤーで言って、今年の半ばくらいまでの上方修正で、その後は落ち着いてくるものというふうにみています。』

などと言い出して、物価が上振れたから利上げしたのか、そうじゃないのかの整理が正直よくわからん説明になっていましたというのを申し上げました。

でですね、今回ってこともあろうにまた「第一の力」の話を持ち出してきまして、ってまあ点火したのは記者の方ですけど、

『(問)日銀の物価の見方でお伺いしたいんですけども、暫く前までは「第一の力」、「第二の力」という表現を使われてたのが、前回、植田さんの会見で、古い表現で恐縮ですがって言葉を付け加えられて、あまり「第二の力」の言葉は使わなくなったんですけど、これは、日銀がみてた「第一の力」っていうのは、輸入コストによって上がってきたものが減衰していって、「第二の力」にバトンタッチするという見方をずっと言われてたと思うんですけども、そこの動きが変わってきたというか、日銀が想定したような物価の動きではなくなったので使わなくなったんでしょうか。』

という質問って構造変化の可能性について質問しているんだからまさに労働供給不足の話を絡めると面白い回答になったかもしれないのですが、

『(答)考え方そのものは全然変わっていません。何となく政策委員会の議論で「第一の力」、「第二の力」という表現を使われる方がたまたま少し最近減ってたんで、前回そういうふうに申し上げたんだと思います。』

まあ植田さんってウソつくの苦手だよね、ってのはここ見ればわかりますよね。

『基本線として、暫く前までのインフレーションは「第一の力」の影響力が強くて、それは減衰しつつあるんだけれども「第二の力」にだんだん移りつつあるという見方が生きてるし、そのプロセスが続いているということだと思います。』

で??

『ただ、そのうえで申し上げれば、今日発表しました[消費者物価の]見通しで、除く生鮮の 24 年度、25 年度の見通しが、かなり大きく上方修正になっているというところは、この分類で言いますと、「第二の力」によってるのではなくて、ある種の「第一の力」、米ですと輸入価格ではないですけれども、コストプッシュという意味では「第一の力」的なもの、これの影響が強く働いてこういう上方修正になっているというふうに申し上げておきます。』

という答弁をしたら次の人が連携更問

『(問)ちょうど今のお話についてお伺いしたいと思っていたんですが、2024 年度、25 年度の物価見通しの上振れ理由、これがあまり使われなくなっているのかもしれませんが「第一の力」、コストプッシュ要因であるということであればですね、日本経済の実力としての物価上昇とはまた違う要因ということになるかとも思うんですが、それでもオントラックと考え、利上げをした理由というのは何なんでしょうか。(後半割愛)』

逆側から攻撃してきましたね

『(答)まず前半ですけれども、今回の利上げですけれども、あるいはオントラックという表現ですけれども、オントラックという意味では、特に除く生鮮の 24 年[度]、25 年度の上方修正は、オントラックから少しずれてる部分になります。上方にずれてる部分。』

ズレているのかよ!!!と思ったら、

『ですから、ここがほとんど前回の見通し通りであってもオントラックということになって、つまり米価格上昇とかがなくても、概ね前回の見通し通りに経済が進んでいるということ、』

・・・・・・・言ってることがカシュカリ総裁の頭髪程も理解できないんですけど

『すなわち表現を変えれば、先ほどの「第二の力」とか、基調的物価の上昇が見通し通りに続いている。去年の賃金上昇が価格に少しずつ反映されていくという動きが続いているという意味でオントラックであるということで、』

?????????????????????

『それは続いているので見通し期間の後半、大まかには 26 年度のどこかで、基調的な物価上昇率も 2%に収束していく可能性が高まったというふうにみました。それが利上げの最大の理由でございます。(後半割愛)』


・・・・・・とりあえず今般の利上げの背景説明を物価でさせると無茶苦茶になる、というのは理解したのだが、もうちょっと整理するなり本当の事をいうなりしてちゃんとしていただきたいものですな・・・・・・・・


#本日もショパンの事情でこの辺で勘弁











2025/02/05

お題「足もとGCは結局0.45かそのチョイ下くらいですかねえ/今更ですが決定会合総裁会見(しかもその1w)」

ほほう(日本農業新聞さん)
https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/286085
2025年2月4日
[論説]水田政策の見直し どこに行った 飼料用米


〇GCレートの通常の居場所が見えてきましたかねえ

昨日の東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

        O/N  T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/1/31 0.169 0.404 0.373 0.386 0.400 0.422 0.439 0.472 0.550
2025/2/3 0.474 0.431 0.422 0.422 0.424 0.428 0.442 0.474 0.551
2025/2/4 0.454 0.448 0.436 0.437 0.437 0.438 0.445 0.477 0.551

という結果になっておりましたので、これはGCレートのベースは足元では0.45かそのちょっと下とかそういう水準なのかな〜って感じは漂ってきますが、確かにまあ次回利上げ7月でっしゃろと思えば7月末の足まではコールレート0.477%じゃろという話にはなるにしましても、3mまで足元フラット(なんなら気持ち低い)というのも如何なものなのかという気もしますが、まあこれは利上げ直後の混乱モードが収束していく過程の出来事とかそういう感じですかねえ、知らんけど。

でまあ既に何回か申し上げましたが、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

売買参考統計値ちゃんをみますと昨日の引けの短国ズが

(2/4引値)
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利  0.350
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利  0.350

国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利  0.330
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利  0.330

国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利  0.330
国庫短期証券1284 2025/05/07 平均値単利  0.315
国庫短期証券1267 2025/05/12 平均値単利  0.340

国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利  0.340
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利  0.340

3月足で35bpなのですが年度末越えのところで33bpくらいになりまして、5/7償還の1284ってのが3Mカレントですが、これはまあ入札が妙に強かった奴なのでショートカバーの余波があって強いので参考記録ですが3Mカレントのあたりまで33bpくらいで、じゃあその後ろでイールド上がるかと思えば売買参考統計値ベースの値付けを見ますと7月足までが34bpってことでだいたいフラットとなっていますな(というか3月足から見たらインバート)。この後ろになるとちょっとイールド上がりますが、ゆうて1年短国でGC1年と同じくらいの0.550%という値付けになっておりました。

てな訳で、うーん結局短国とGCで10bpスプレッドかいな〜ってことですが、まあ先週の3Mはワケワカランチ会長の強さではあったのですが、今週金曜の3Mはどうなるんじゃろの世界で、結局短国強いんかいという話ですとまあ世の中に信用リスクフリーの短期金融商品が不足している、という評価になるかなと思いますので今週の入札もはてさてどうなるやらという所でございまする。

・・・・・しかしまあ何ですな、物価高に関して色々やべえ奴という話が続出してきて、半年に1回とか呑気に対応している場合なのか問題というのが(第二種兼業主夫なので)気になる今日この頃だというのに、今のところこの辺りの界隈ではまだまだ次の利上げの話はそこまで気にしていない、というところなんでしょうかね、知らんけど。


〇超今更で恐縮ですが決定会合総裁会見を見ますと「質問する方が緩和脳だらけ」なのがある意味オモロイ

先々週の金曜日ですからもはや証文の出し遅れなんてもんじゃねえという話ですが・・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250127a.pdf
総裁記者会見
――2025年1月24日(金)午後3時30分から約70分

まあ正直この会見聞いてて質問も回答もぐだぐだだった印象しかないのですが、時間が経過してから読むとそれはそれで味わいというものがありまして・・・・・・・


・ジャガーチェンジの理由がさっぱり分からん件について

最初の幹事社の質問は割と良かったのですが、植田さんの回答がかなりのグダグダというかそれは公表文書に書いてあることの棒読みじゃろ、という答弁だったせいなのか、その先が延々とクソのような質疑応答になっていまして、幹事社の次からテレビ東京の某さんの前までの記者は顔を洗って出直してこいと思いましたがまあそれは兎も角。

『(問)幹事社から二問お伺いします。まず追加利上げを決めた理由について伺います。総裁は12 月の会見で、利上げの判断材料として、春闘でのモメンタム、米国のトランプ新政権の経済政策の不確実性、円安の物価への影響を挙げていました。それぞれの見方がこの 1 か月でどう変わったのか、変わっていないのか、それが政策の判断にどう影響したのか教えてください。(後半割愛というか次で)』

幹事社いきなり直球。

『(答)まず先ほど申し上げましたように、今日の会合では、展望レポートの見通しについて議論しまして、わが国の経済・物価が、これまで示してきた見通しに概ね沿って推移しており、先行き見通しが実現していく確度が高まってきていると判断しました。』

以下クソのような棒読み回答になるのですが、

『ご指摘頂いた今年の春季労使交渉ですが、昨年に続き、しっかりとした賃上げの実施が見込まれると判断しました。すなわち、今年も賃上げを継続するという企業の声が増加しているほか、支店長会議では、継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきているという報告もありました。また、各種のアンケート調査でも、昨年の同時期対比で賃上げの実施を計画する先が増加していることを確認致しました。』

そんなの12月会合の時点でもだいたい分かってただろうし、その確度が欲しくて年末年始に出てくる各種サーベイを見たいんだったら、少なくとも12月主な意見での「常識的」野郎みたいな意見って出ないですよね。

年末年始に出てくるサーベイや企業経営者、労働組合サイドのスタンスを見れば確信度が高まる、ってんだったら12月会合の会見の時点で「これから年始に向けて大手を中心に来年度の賃金動向についてのスタンスがより明確になるので、その動向をしっかりと見極めたい」とかなんとか言えばいいのに、12月の会見とその後の12月25日の経団連講演は1月利上げ観測を完全に叩き潰しに行っていたし、なんなら3月も怪しいんじゃないかと思わせるものだった訳で、この辺を並べているのは完全に取って付けた言い訳なのですよね。

『米国についてですが、まずインフレ率が低下するもとで、様々なデータをみますと、経済がしっかりとしていると評価しました。また、今週入り後、トランプ大統領が就任し、政策の大きな方向性が示されつつありますが、その後も国際金融資本市場は、全体として落ち着いていると判断しました。』

この説明も割とクソッタレでして、経済データなんぞは12月会合で分かっていたし、12月の時点ではトランプ就任後に出てくるものを見ないと、くらいの勢いで説明していた訳ですし、さらにクソッタレなのは「市場は落ち着いている」ってお前ら株価見て金融政策やるのかよ、ということでまあ見事に取って付けた言い訳しかしていない訳ですな。

『輸入物価ですが、前年比でみれば、引き続き抑制された水準にあるという点は変わりはないとみています。ただ、前回 10 月の展望レポート時点との対比でみますと、為替円安等に伴い、輸入物価が上振れていまして、本日取りまとめた新しい展望レポートでは、先ほど申し上げましたが、消費者物価の見通しは、24 年度が 2%台後半となった後、25 年度も 2%台半ばと高めとなりました。』

という説明も、この後の説明との整合性という意味で意味不明でして、この説明だと、実績値の物価および見通しが強いから利上げしたように見えるのですが、後で質問されるとソウジャナイという回答になっていて、この辺りの整理が今回の利上げにおいて全般的な腹落ちしてるのかしてないのかが微妙だな、と今更読みますと思いますわな。

『こうした状況を踏まえ、2%目標の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和度合いの調整をすることが適切と判断したところであります。(後半割愛というか次に)』

この会見だけじゃなく思うのですが、こうやって文字起こし見て改めて思うのですが、声明文とか(今回の場合は展望レポートも含め)に書いてあることを同じように説明するだけだったら、もっと説明を簡潔にした方が良いとしか言いようが無くて、植田さんの説明って「そこに書いてある通り」のことを別にパラフレーズするでもないし、書いてあることの背景説明を加えてくれるわけでもないのに馬鹿丁寧に書いてあることを読み上げるみたいな説明をするから、毎度毎度会見の前半の総裁の説明がクソ長くて会見が押しまくるし、聞いている方としては「公表文書にあることをそのまま言われても意味がないじゃろ」とイライラが募るわけですが、まあ植田さんもうこのお歳になって矯正するのも無理があると思うのですが、何とかならんのかねと思います。(会見を時間無制限にすれば解決しますかねwwwwwwww)


・今後の利上げペースについて回答できないのはまあ分かるけど

幹事社の質問の後半。

『(問)(前半割愛)二問目は、利上げの影響と今後のペースについてお伺いします。0.5%への利上げによる実体経済への影響をどうお考えでしょうか。それも踏まえたうえで、0.75%以上となる今後の利上げについては、これまでと同様の考え方、ペースで進めていくんでしょうか。それとも、利上げが企業とか家計に与える影響をこれまでより慎重に見極めていくということもあり得るのでしょうか、考え方を教えてください。』

これに対する回答が、

『(答)(前半割愛)それから、利上げの影響と今後のペースに関するご質問ですが、今回の金利引き上げは、昨年 7 月の 0.25%への引き上げ時と同様、市場金利等の上昇を介して、経済に影響を及ぼすと考えています。もっとも、今回の金利変更後も、実質金利は、繰り返しで恐縮ですが、大幅なマイナスが続くことになります。従って、緩和的な金融環境が維持され、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えています。今後ですが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはありません。』

まずもってこの説明は既に声明文にもあるし、その前の冒頭説明でもしているので全部無駄。

『そのうえで、緩和度合い調整のペースやタイミングについては、今後の経済・物価・金融情勢次第であって、予断は持っていません。毎回の決定会合において、その時点で利用可能な各種のデータ・情報から、物価・経済の見通しやリスク、見通しが実現する確度を随時アップデートしながら、適切に政策を判断していきたいと思っております。』

これだけ回答するのに前半に無駄口叩きすぎでして、そら植田先生共立女子大の時に学生さんによる講義の評価が宜しくなかったの良くわかるわという所でして、振付師におかれましては「書いてあるうえに既に説明した事はそもそも回答をかっ飛ばせ」という振付をお願いしたいものです。


まあアレです、植田さんしばらく前までは逆に同じことを説明するのに一々言い回しを変えていて、その結果発言を変に切り取られるヘッドラインリスクを高めていたし現に発生していた、というのがあったので、そこら辺を反省して「言い回しを工夫してサービスをするのを止めた」のかもしれないのですが、時間無制限ならともかく、時間制限のある会見で冒頭部分で説明した内容と同じ説明をトップバッターの幹事社質問でやるのはそれはそれで遅延工作かよと思ってしまうので、なんちゅうかこのコミュ障って印象はぬぐえませんな、ナムナム。


・コストプッシュだから対応しなくていいとか一時的とかは一概に言えないはずですが

次の人の質問ですが、

『(問)今回出された展望レポートで、物価見通しですが、特に 25 年度、0.5%の上方修正と、大幅な上方修正になってますけども、これ米の価格の上昇とか、輸入物価の上振れということですが、この大幅な上方修正を受けてですね、日銀の利上げがビハインド・ザ・カーブに陥るリスクっていうのは出てきているのかどうかということですけども。』

この質問、ここまでは良いのですが、

『市場は日銀が大体半年に概ね一度利上げということを想定してますけども、もっと早めに金融の緩和の度合いをですね、調整しなければいけないという場面が出てくるのかどうかというところをまず伺えないでしょうか。(後半割愛)』

この部分がクソでして、何で一々「市場が」とかいうのかと思いますし、そもそも論として市場の中の人が全員同じ考えじゃないのを「市場は」とか勝手に外野が括るなボケと思うのですが、なんか今回他の質問でも(一々引用しませんけど)市場はどうのこうのみたいな言い方で、まあそれが今の金利水準の話とか為替レートの話とか株価を持ち出して言うならともかく、市場だって別に見方が一致しているわけでもないものを勝手に市場の見方とか言いながら質問に使うなよなと思いました。

まあそんな悪態はさておきまして植田さんの回答ですけどね、

『(答)最初のビハインド・ザ・カーブになりつつあるのではないかという点ですけれども、この消費者物価全体、ヘッドラインといいますか、ここでは除く生鮮ですが、これがおっしゃるように 25 年度にかけて、少し大幅に上方修正になっています。』

で??

『ただこれは、私どもの現在の見通しでは、取りあえずカレンダーイヤーで言って、今年の半ばくらいまでの上方修正で、その後は落ち着いてくるものというふうにみています。』

であればさっきの幹事社質問の「何でジャガーチェンジしたのか」の回答の中で物価が上振れたという話をしたのか、という事になるわけでして、この辺りもちゃんと腹落ちしないで利上げしたんじゃねえのというお話でですわな。

でもってまあ事後諸葛亮にも程がありますが、足許で出てきている報道とかこの前の1月会合主な意見とかを見ていますと、結局のところアクチュアルの物価上昇が利上げ時期を12月に考えていたであろう時期から前倒しした要因の一つ(決定要因なのかどうかはさておきますけど)だったように見えるわけですが、少なくともこの時の総裁説明って冒頭では足元のアクチュアルな物価の上振れに言及したものの、その後の説明ではあくまでも見通しが変わっていない(のでオントラックだから利上げ)という説明になっていまして、この辺りも何か分かったような分からんような説明になっていたわけですよ。

まあこの時の総裁会見、リアタイで聞いていた時の記憶をたどれば、やはりこんな感じでわかったような分からんような説明で「なんだかわけわからん」という感じが強かったと思います。でもってその先ですが、

『その理由はおっしゃったように、ここの原因がコストプッシュ的なものであるからです。』

などとクソ思いっきり言い切っているのですが、季節野菜の天候要因だったらそらワンオフだけど、コスト上昇が持続的なものなら一旦上がった価格がそう簡単に下がらん訳で、毎度申し上げていますが、コストプッシュディマンドプル関係なく、その物価上昇が持続的なのか一時的なのか、あるいは波及効果がどうなるのか、ということが大事じゃろとしか言いようが無い、というか植田さんだってわかっているだろうと思うのですが、このインチキ説明をする辺りがもうねという感じです。

『一方で、いつも申し上げてる、目に見えないもので恐縮ですが、基調的な物価上昇率については、見通しに沿って緩やかに上昇し続けているという範囲にとどまっているかなというふうにみています。従って深刻なビハインド・ザ・カーブ現象、あるいは政策金利がそういう水準にあるというふうには今のところみておりません。(後半割愛)』

そりゃまあビハインドのリスクがあるとか言ったらエライことになるのですが、せめて「今のところ見ていないが、ご指摘の点も含めて今後も毎回の金融政策決定会合で常に情勢の点検を行って適切な政策運営に努めます」って言っておけば良いのに、植田さんってなんか知らんけど毎度毎度こうやって結論言い切り型の説明をするもんだから、後でその話をひっくり返すときに「貴方以前こう言ってませんでしたっけ」とツッコミを食らってしまうわけでして、何でこう一々言い切り型で締めちゃうのかなと思います。ビハインドかどうかなんてそんなの事後にならないと分からんのだから、ヘッジクローズ入れておけよと思うし、言い切るもんだから金融政策運営のインプリケーションがあるんじゃないかと受け止められるんですよね。

・・・・ということでもうちょっとあるのですが、本日は時間の関係でこの辺で勘弁させていただきとう存じますです、はい(汗)








2025/02/04

お題「政府も実際の物価を気にしだした???/GCレートとかその辺/1月会合主な意見は物価が急にクローズアップ」

トラ公クオリティ来ましたねえ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-03/SR45OKDWLU6800
トランプ氏、対メキシコ関税の発動を1カ月延期−土壇場で方向転換
Alex Vasquez、Maya Averbuch、Jenny Leonard
2025年2月4日 0:31 JST 更新日時 2025年2月4日 4:50 JST

『両首脳は合成麻薬フェンタニルや移民の米国流入を防ぐため、メキシコが国境に1万人の警備隊を配置することで合意。これは関税賦課を回避するためにトランプ氏から出されていた重要な要求だった。』(上記URL先より、以下同様)

国境警備隊(警備はするけど出入国は大目に見る)だと笑うのだが

『今回の先送り決定は、トランプ氏が関税をあくまで交渉の材料と考えており、米国経済への痛みを伴う措置には消極的との見方を強めるものだ。』

ふざけるなてめえぶち(ピー)ぞという気概で果し合いも辞さずの捨て身の反撃してくると急に大人しくなる小物上司みたいなムーブなんだよなあ結局このトラ公はwww


〇こんな日経記事がありましたが今頃になって物価高のペインに気が付くのは遅すぎませんかねえ

昨日は日経ちゃんでこんな記事が
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA28DCN0Y5A120C2000000/
物価上昇「3%」の衝撃 政府・与党、日銀利上げ容認へ変心
竹内宏介
底流
2025年2月3日 5:00 [会員限定記事]

例によって課金記事なので無課金勢のワイは細かい話はわかりませんが、無料公開のリード部分を見ますと・・・・・・

『「日銀の利上げには慎重だったが、考え方を変えた」。ある自民党幹部は昨年末、周囲にこう話した。同氏は岸田文雄前政権でも中心にいた人物で、発言は驚きをもって受け止められた。』

『変心は現職閣僚にも起きている。赤沢亮正経済財政・再生相は石破茂政権発足直後の2024年10月初旬に、日銀は利上げを「慎重に判断してほしい」などとけん制していたが、年明けには容認発言を繰り返した。』(以上上記URL先より)

とまあそういう訳で、本編は読んでおりませんのですが皆様日経課金勢だと思うので本編読んでおられるとは存じますが、まあこれは実際の物価がクソ強い上に食糧価格が上昇して本格的に生活者の皆様にペイン感が高まるという展開になってお貴族様のポンコツ政治屋どもがやっと気が付きたとかそういうお話なんでしょうな、というのはまあ題名と最初のところを見ればわかりますし、「岸田政権でも中心にいたある自民党幹部」で「日銀の利上げに慎重だった」と言われるとまあどこぞの政治屋さんが何となく妄想されますが、その辺は深く詮索しないことにしまして。

・・・・・・いやお前ら気が付くの遅すぎじゃろなにを今更祐天寺とは思いますが、気が付かないままで「基調的な物価を引き上げるために金融緩和政策は必要」とかそれ報道のされ方によっては国民感情逆撫でどころの騒ぎじゃねえぞという想定問答を繰り返している場合じゃないんですけど、日銀の今回の利上げですが、年末年始のジャガーチェンジの背景が「実際の物価がクソ高い(特に生活物資)こと」が背景にあって、それによって「こんな大規模緩和やってる場合じゃねえぞ」という話になっているのならば、先週の東京都区部における「総合」のクソ強さとかも当然今後のイシューに上がってくる話ですわな、と思います。

7月は「円安進行による物価上振れリスク」が前面に出ていましたので、まあアレは誰がどう見ても円安阻止キャンペーンの一環でしたよね、というのは見えるところなのですが、1月の場合はアクチュアルの物価自体は「見通し対比上振れで来ましたので24年度の見通しは引き上げですわ」になっていましたが、先行きの物価に関しての上振れリスクを前面に出すんじゃなくて、「オントラックだから利上げ」の堂々の王道利上げをしましたし、さらに言えば展望レポートでも「物価が上がりやすい」話をぶちこんでいる(主に労働面の供給制約起因ですが)訳でして、その点で今回の政策修正って「物価によりシフトした」という事を決定会合レビュー雑談で申し上げたかと存じますが、こちらの記事がどの辺までが取材記事なのか知らん(というか中身読んでないですが笑)ですけど、こたつ記事じゃないんでしたら、なんか1月会合で急展開の如く「物価」が前面に出てきた(本来そうあるべきでしたのでこの急展開はあるべき姿への回帰ですわな)背景に、やっとアクチュアルの物価高を放置プレイしているのがまずかろう、という話になってきたのかな、と思ったので3行ヘッドラインだけなのに雑談と妄想を膨らませてしまいました。はい。


〇GCレートがやっと然るべきところに落ち着きつつあるような気もしますね(TKRR)

いつもの東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

         O/N T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y   
2025/1/30 0.293 0.147 0.276 0.343 0.382 0.403 0.436 0.472 0.550
2025/1/31 0.169 0.404 0.373 0.386 0.400 0.422 0.439 0.472 0.550
2025/2/3  0.474 0.431 0.422 0.422 0.424 0.428 0.442 0.474 0.551

ということでカレンダーベースで2月にがっつりと入ったところでGCTNは0.431%まで上昇しまして、コールが0.477%なのでだいぶマシな水準になってきましたよね、というお話ですね、GCONは0.474%でコール並みになっているし。

まあこの水準が定着するのか定着しないのか、ってのイマイチもう少し日数みないとなんともですが、昨日の補完供給オペも

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250203.htm
落札結果 (2月3日<月>)

国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4)    5,062  5,062   0.150  0.150
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)          0    0

(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
利付国(2年)第457回(352億円)、
利付国(5年)149回(161)、156回(554)、
利付国(10年)342回(90)、350回(37)、352回(84)、361回(1,244)、362回(1,042)、366回(150)、371回(853)、
利付国(20年)119回(57)、125回(68)、191回(1)、
利付国(30年)4回(15)、5回(3)、57回(1)、
利付国(40年)7回(36)、8回(135)、10回(168)、
利付国(物価10年)29回(11)です。

銘柄数も減って来て参りまして、今般のレポ市場あばばばば―祭りの前の状態には戻ったというところで結構結構。とは言いましてもまあ良く言われるのは「SLFが何日間か連続して坊主になった時が真の市場機能回復だよな」ですので減ったからと言ってもまだまだ市場機能回復には道遠いけどそれはさておくとしまして、まあ現在の市場環境という意味ではここまで戻れば先々週金曜日からのSCショックは一段落という評価でよろしいのかしら、と思いますとGCもまあこの調子で安定ですかねえ。


ただまあこの一連のムーブの中で気になったのはやはり末初GCの訳わからんプレイでして、SCショックがGCに波及したまでは分かるのですが、末初GCはGC由来の事案っぽい気がしますので、これまたGC市場の脆弱性を示しているなとは思います。とは言いましても「末初になるとGCの資金調達サイドがいなくなってレートがドチャクソ低下する」って事象に関してはまあ資金が調達できない方ではないのでシステミックリスクにはならんのですけれども、ただ末初の度にそれやられると運用側の新たな参入者が入りにくい(突如出会い頭の事故のように運用できないことが発生する市場を資金運用市場のメインに使う訳にはいかないでしょ)ことになって市場の広がりを阻害することになるからよろしくないんじゃないでしょうかとは思いました。


あとここから気になるのは短国ちゃんでして、現状って3Mカレント近辺が30bp台前半というような引値が並んでいると思うのですが、GCレートが40bp台半ばに上昇しているのにその水準ってのは如何にも逆ザヤというところでして、これはまた例によって例の如く「短期市場のリスクフリーアセットの不足」がこのレートに出ているのか、はたまた単純にGCレートの波及が遅れているだけなのか、という辺りがワカランチ会長にも程がありまして、そんなことを言っているうちに3月になってくると「年度末越え」が意識される(3月決定会合のことは知らんがなでよろしいかと思いますw)訳でして、さあどうなるんでしょうねというのは気になってまいりますけれども、短国レートが堅調に推移するまま、ということであればやはり短国の発行不足なんじゃねえかな、という気はだいぶしてまいります(年後半から貸増が順次落ちる影響もあるのでこのタイミングで更に増発はしにくいかなというのもあるけ)。



〇総裁記者会見をネタにしていない気がするがなぜか主な意見を先にネタにしてしまう人

まことにもうしわけございません
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2025/opi250124.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2025 年 1 月 23、24 日開催分)1

ちなみに12月会合分はこちら
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241219.pdf

・急に「現実の物価が上がっている件」への言及に進展するという展開

まあこの辺りもさっきネタにした日経さんの「物価が高いので政府サイドも利上げ容認姿勢を強めた」みたいな話に繋がりそうですけれども、物価の話に関して、例えば『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』にあった個人消費と物価の関係について言及している人がいまして、もちろん12月と1月のこの意見が同一人物である保証はないのでそこは割り引いていただきたいのですが、このような変化が生じていました。


『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』の後ろの方にある意見ですけどね、

『・個人消費が上向き基調になるためには、実質賃金のプラス転化が必要と考える。春季労使交渉での賃金上昇モメンタムの持続と、米や生鮮食品の価格上昇やドル高円安の継続に伴う物価の上振れの行方が現時点の焦点である』(1月主な意見より)

『個人消費はこれまでの物価上昇に対して堅調さを維持しているが、物価上昇の見通しがさらに強まれば下方リスクが大きくなると考えている。様々な物価指標からどう判断するかが極めて重要である。』(12月主な意見より)

12月会合から1月会合の間には確かに年末年始にどう見たってこれヤバい奴という食品価格中心に年末年始特別価格を見てギョッとなったというのはありますが、えーっと兄さん(姉さんかも知れんが)結構な勢いで物価警戒トーン上げてますねという話でして、12月は「物価上昇の”見通し”」が「さらに強まればリスク」、だったのが1月は「物価上昇の”上振れの行方”」が「現時点の焦点」と、現実の物価上昇に(おせえよお前らというのはさておきまして)目覚めたかのような記述に進化している訳ですな、うんうん。


・物価に関する意見の部分が前回とトーン大分違う件について

物価に関しては『T.金融経済情勢に関する意見』の『(物価)』というコーナーがあるのですが、そもそも12月って3つ(実質2つ)しか意見出てなかったのよね。

12月主な意見にあったのはこの3つ

『・ 消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(12月主な意見より)

『・ 米価の高騰や粘着性が比較的高いと考えられるサービス価格の上昇等によって、物価の実勢は強いと感じる。もっとも、予想インフレ率は安定的に推移していることから、物価が加速度的に上昇していく状況にはない。』(12月主な意見より)

『・消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー)の季節調整済前月比は、6月以降、明確に加速し、均してみると年率3%台半ばの上昇が継続している。』(12月主な意見より)

最初のは大本営だから実質2つしか無くて、他の金融政策のところなどでもさっき引用した話以外でそんなに物価物価した話が出ている訳でもなかったのですが、今回は物価のコーナーだけでも、

『・消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(1月主な意見より)

という大本営はさておきまして、以降

『・各種アンケート調査や1月の支店長会議での報告から本年の賃上げがかなり前向きであると感じたほか、今月公表された「生活意識に関するアンケート調査」において家計の中長期的な予想物価上昇率が上昇したことを踏まえると、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて基調的なインフレ率は着実に上昇していく蓋然性が高まったと考えられる。』(1月主な意見より)

なんですかこの「12月からこんなに変化する材料がありました」とアピる意見はwwwwwww

『・業種によって違いはあるものの、労働力不足を受けて需給ギャップが実態的にプラスにあることが、高い物価上昇率が続く背景にある。』(1月主な意見より)

しれっと「実体的な需給ギャップ」とか面白文言が入っておるw

『・今後の物価動向については上下双方向のリスクは共にかなり大きいが、概ねバランスしている。アメリカのインフレ再燃と世界的な貿易摩擦の激化が同時に起こり、スタグフレーション型シナリオとなる可能性もある。単に緩和度合いを強くしておけば乗り切れるという状況ではない。』(1月主な意見より)

ここが中々秀逸なご意見でして、スタグフってた時に金融緩和継続して物価上振れ圧力を更に高めればいいものか、というとそうじゃねえだろ問題というのがあるわけでして、その点からも利上げしたとは言えクソ緩和モードであることには変わりない現状でよろしいのか、ということも含めたぶっこみも入っている。


・利上げしたからというのもあろうかと思うが物価に関する話がやたら目立つ金融政策運営パート

とまあそんな訳で、物価のコーナーでも前回対比充実していますが、金融政策運営の部分でも物価に対する言及がホイホイと出てきているのが今回の特徴でして、12月の主な意見って米国リスクガーと春闘ガーのオンパレードで実際の物価がどうのこうのという意見少なかったのに対しまして(上記にあるように無かったわけではない)、今回はお茶に自白剤でも仕込まれたのかと思う位に物価の話がぶっこまれていてどうなってますねんというお話ではあります。

12月の方を引用、と言ってもそもそも物価に関する話が少ないので引用のしようがあんまりないのでURL貼ったんで見てちょんまげとしか言いようが無いのですが、1月の方で物価に関してああだこうだ言いながら金融政策運営の話をしている向きを引用すると以下の通りですわな。

『・基調的な物価上昇率は2%の目標に向けて徐々に高まってきている。加えて、現実の消費者物価は、見通しどおりとなった場合、2022 年度から4年連続で2%を有意に上回ることになり、コストプッシュとはいえ、経済主体の物価観は累積的に高まっている。』(1月主な意見より)

「累積的に」って日銀の文書では割と良く使われている(別に大本営だけじゃなくて大本営以外の人も使う)言葉で、このワードで日銀HP内検索かけると面白いくらいに爆釣状態になりますわよwww

『・経済・物価がオントラックで推移する中、インフレ上振れリスクが膨らんでおり、金融緩和度合いを適時・段階的に調整していくことが適当である。』(1月主な意見より)

上振れリスクは今回の大本営発表ではさほど強く言われていませんでしたので審議委員の誰かだと思いますが上振れリスク拡大に言及キタコレですし、

『・新年度に向けた価格転嫁の一段の進展や円安進行で、物価が上振れる可能性もあるほか、不動産も含めた資産価格上昇で投資家の期待も高まっている。今後、過度な緩和継続期待の醸成による円安進行や金融の過熱を避ける観点から、金融緩和度合いの調整を行うことも必要である。』(1月主な意見より)

こちらはメインは後半だと思いますが、話のマクラは物価上昇ですわな。

『・企業や家計の予想物価上昇率は概ね2%程度となっているとみている。今後は、金融政策が影響を及ぼし得る「市場ベースの物価」(家賃や公共サービスを除いた物価)をよく見ながら、物価の上振れリスクに注意していくべき局面にある。』(1月主な意見より)

除く帰属家賃の話ってかつて石田審議委員(住友銀行出身)が詳しく言及していたこともありますので何かお察しな抜刀の香りがしますが、上振れリスクの方が抜刀斎だけではなくて複数いるというのも見て取れますな。

とまあそんなところで今朝は勘弁していただきとう存じます。



2025/02/03

お題「氷見野さん講演ネタ続き/短国3M0.3台前半かよ&レポレートとかSLFとか/東京都区部CPI・・・・・」

ふーん
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250131/k10014708871000.html
総務相 ネット上の偽情報対策 “ガイドラインを春めどに策定”
2025年1月31日 17時30分

ネット上の偽情報以前に日銀が国債を買えば債務はチャラだの日銀当座預金が10%増えると予想インフレ率が0.44%上昇するだのというような毒電波を放流する有害物質をだなあ・・・・・・・


〇氷見野副総裁一橋大学講演ネタ(その2)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250130a1.pdf
金利のある世界
一橋大学政策フォーラム「金利のある世界」における講演
日本銀行副総裁 氷見野 良三
2025年1月30日

・氷見野さんの博識ぶりが垣間見れるコーナー「実質金利のある世界」に関するお話

ということで金曜日に時間の都合上かっ飛ばしたのが『3.「実質金利のある世界」は来るのか?』のお題の部分ですな。

『第二は、「実質金利のある世界」は来るのか、です1。』

脚注にありますように、これは横浜金懇でさらっとやっていたネタなのですが、これを今回は深堀しておりまして・・・・・・

『我々は、「名目金利のある世界」には入りつつありますが、「実質金利のある世界」には距離があります(図表5)。』

『名目金利がマイナス、という状態、すなわち、「日銀にお金を預けると、タンス預金よりも損になる」という状態は去年の3月に解消しましたが、「お金を貸したり預けたりしても、物価の上昇分を考えると目減りしてしまう」という実質金利マイナスの状態は続いています。』

さいですな。

『実質金利がマイナス、ということは、「事業の実質価値が今後少しずつ毀損していくプロジェクトに、借金をして投資しても見合う」ということを意味します。』

なるほど。

『そんな実質金利マイナスの状態がずっと続きうるものでしょうか。FRB 議長を務め、ノーベル賞も受賞したバーナンキ氏は、MIT の大学院生だったときに、第2回ノーベル経済学賞の受賞者である恩師のサミュエルソンから、そんなことはありえない、と教わったそうです2。』

ふむ。

『サミュエルソンは、「実質金利がずっとマイナスであり続けるのなら、ほとんどどんな投資だって収益性があることになってしまう」といっていた、「たとえば、マイナスの実質金利の下では、山越えの燃料費のわずかな節約のためにでも、ロッキー山脈を平らにした方が良いことになる」といっていた、というのです。確かに、小さなキャッシュフローでも、それが無限に続くとすれば、マイナスの実質金利の下では計算上は現在価値が無限大になります。』

なるほど。

『この話にはなかなか考えさせられるところがあるように思います。』

どのような感じで?

『サミュエルソンの議論には、米国経済の繁栄が永遠に続くと信じられていた時代のにおいがします。』

ほうほう。

『サミュエルソンが現在の日本にやってきて同じことを言えば、学生からはすぐにこう言い返されてしまうのではないでしょうか。「サミュエルソン先生、ロッキー山脈を越える交通量が今後減り続ける場合には、先生の反例は成り立たないのではありませんか。したがって、日本のように労働力人口の減少がずっと続くと見込まれていて、いずれは経済規模も縮小に転じると見込まれる経済では、実質金利がずっとマイナスであり続けることもありえないわけではない、ということになりませんか」と。』

おーーーーーーー。

『しかし、わたしとしては、そうした学生に対しては次のように言い返してみたいと思います。』

ふむふむ。

『「労働力人口の減少が必ずしも経済規模の縮小につながるわけではない。日本では、バブル崩壊後のいわゆる過剰雇用の解消が済んだあとは、労働力人口が減少するのに総労働時間は維持され、実質 GDP は伸び続けている(図表6)。日本は実質でプラスの成長を続けてきたし、今後も続けるだろう。個別には減る活動も増える活動もあるだろうが、経済活動全体としては大きくなっていくわけだから、『実質金利のマイナスがずっと続くことはない』というサミュエルソンの議論は、日本についても成り立ちうるのではないか」と、こう言い返したいと思います。』

なるほどというかこういう説明がサクッとできるのが本当に頭良いんだな氷見野さん、っていうところでございます(同年次の偉い人によりますと氷見野さんってそれこそ学生の頃から天才の誉れが高かったそうですからお茶の子さいさいなんでしょうけれども)。

『この返事の是非は、「今後もプラスの成長を続けるだろう」という見通しにかかっています。わたしは続けることは可能ではないかと思っております。』

なるほどなるほどなるほど。つまりそもそも論として実質金利がずっとマイナスみたいな話をすること自体が敗戦思想みたいなもんですな。


・一転して日本の今後の課題についてさらりと昔話を使って伝えまして

『昔話になって恐縮ですが、私は 1985 年から 1987 年にかけて米国のビジネススクールに留学していました。』

はい。

『ある授業で先生が学生に、米国の工場のビデオを見せたあとで、日本の工作機械工場のビデオを見せてくれたことがありました。ロボットがロボットを作り、ロボットの修理までロボットがこなしている様子に、米国人の同級生たちが衝撃を受けていたのを覚えています。』

『「日本にはもうこんなに引き離されてしまっているのか。こんな超先進国といったいどう戦えばいいのか」という、驚きと諦めのまじったような反応だったと思います。』

かつてこの手の工場見学して学生なりにひょえーと思ったのが懐かしい。

『当時、全世界の産業用ロボットの3分の2は日本で稼働していましたが、2020 年には 12%にまで落ちました3。』

oh・・・・・・

『AI、自動運転、ドローンの活用などでは、日本はまだ世界の先端にはいないと思います。逆に言えば、人口減少・人手不足の中でも経済規模を拡大し続けていくためにできることはきっとあるはずだろうと思います。』

できるというよりもやるべきことという感じでそう考えると中々のハードルの気もしますが・・・・・orz


・さらにここで一転して結論項になりますが

でもってその次。

『経済をマイナスのショックが襲っているような状態や、デフレ的なさまざまな諸要因が強固に残っている状態では、実質金利がマイナスになるということは必要でもあり、不正常でもないだろうと思います。』

ふむ。

『日本についていえば、世界金融危機やコロナ禍などの外的ショックが襲っていた時期や、バブル崩壊後の過剰債務・過剰設備・過剰雇用やそれを受けた慎重な企業行動が残っていた時代はそれにあたると思います。また、今後、人口減少を打ち返せない時代がくるとすれば、その時代も同じかもしれません。

なるほど。というか「人口減少を打ち返せない時代」になっているんじゃないか疑惑いやなんでもありません。

『しかし、ショックやデフレ的な諸要因が解消された状態であれば、実質金利がはっきりとマイナスの状態がずっと続く、というのは、普通の姿とはいえないのではないかと思います。』

ということでまあ普通に考えて金利は上がるじゃろ、という話でもありますが、この次し、


・実質金利がマイナスの中で需給ギャップがあんまり改善していかないのは何故なんでしょうか

この次も中々奥が深くて、

『もっとも、経済に中立的な実質金利の水準は、人口動態だけではなく、さまざまな要因に影響されるといわれています。また、その推計値を巡っては、データや手法によって大きな不確実性があることが指摘されています。』

でもってこの後が中々面白くて、

『本行スタッフによる推計でも、手法により結果にかなりのばらつきがあります。推計値のうち、マイナス1%前後の値は過去の強い緩和時期のデータに引きずられすぎているのではないか、という見方もありますが、』

ということで、中立金利の下限が1%ってのはちょっと低すぎないか、というのをしらっとぶち込んでいますが、

『他方、ゼロ近傍の値の方が正しいのであれば、実質金利がはっきりとしたマイナスにある中で、需給ギャップの推計値がなぜ目立って改善していないのか、という疑問もあります。』

こういうと学術的には正しくないと思うのですが、金融緩和効果が需要増に結びつかないで為替レートとか資産価格の方に漏出しちゃっているんじゃないか、とは思っていまして、その文脈で考えると、この前の展望レポートの供給制約問題の指摘ってのも何か繋がってこないかなとか思うのですが、アタクシ無学なんでよくわからん。

まあそんな訳で、氷見野さんのこのコーナーが終わるわけでして、

『このあたりの問題をどう考えたらいいのか。将来的に「実質金利のある世界」の到来をどの程度意識しうるものなのか。先生方のご意見をお聞きしたい二つ目の点です。』

ということでお話が終わります。


・なお氷見野さん今回(も)別に全然ぶっこみモードじゃなくてですね

https://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/2018/20180526.pdf
金融規制の国際交渉
日本金融学会春季大会における講演
2018 年 5 月 26 日(土)
於:専修大学生田キャンパス
金融国際審議官 氷見野 良三

まあアレです、おまいらこれでもちょっと読んで味噌、ということでこちらを読みますと、今回のはそこそこぶっこみ成分がありますが、ゆうて直上URL先のお話のようなぶっこみからみたら全然本気(?)出していない感が強い訳でして、もっと氷見野さんに本気(??)を出していただければと存じますのでよろしくお願いしたいですね。

今回の講演だって、金利のある世界になって企業も生産性の向上に努めたりして経済のダイナミクスが復活するというような話になっていましたけど、本当にそうなのか、ってのを突き詰めだしたらやっぱりそこだってグレーな話ですから、本来はそのあたりの論点も深堀してほしいんですよね、と思いましたし、これは前半ご紹介したことになりますけれども、「日本はインフレ期待を2%に向けて上げていくステージなので元々スタート時点で2%アンカーされていた米国とは違う」って話をしていたのですが、インフレ期待って「アンカーされなくなるとヤバイ」というものなのですから、それはすなわち「インフレ期待は動き出すと慣性ついて動きやすい」という含意もあるわけで、一旦動き出したインフレ期待を2%でピタリと止めるにはどうしたらよいのか、という考察も欲しいなあとか、まあ色々と思う所はありますです、はい。



〇3M短国入札強いじゃねえかよ&一方でGCTNは上昇しておりまして2月入りしてどうなるのやら

金曜の短国入札ですが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250131.htm
国庫短期証券(第1284回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1284回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号      国庫短期証券(第1284回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和7年2月3日
4.償還期限    令和7年5月7日
5.価格競争入札について
(1)応募額        12兆4,676億5,000万円
(2)募入決定額      3兆4,266億8,000万円
(3)募入最低価格      99円91銭3厘5毛
(募入最高利回り)      (0.3397%)
(4)募入最低価格における案分比率    44.7138%
(5)募入平均価格      99円91銭7厘3毛
(募入平均利回り)      (0.3248%)』

ということで、0.3248%/0.3397%ということで0.35%どころか0.34%にも届かずという結果になっていましたし、売買参考統計値ちゃんを見ますと、

国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.330(2個前の3M)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.335(1個前の3M)
国庫短期証券1284 2025/05/07 平均値単利 0.320(金曜の新発)
国庫短期証券1286 2025/05/12 平均値単利 0.340(今週末入札のWI)

ということで凸凹があるのがお茶目ですけれども、新発は0.32%が引値になっているので、0.3248%の平均落札は思いっきり正当化されている結果になっていますが、まあゆうて前回債の引けは0.335%だったりするので、単純にショートカバー入っているだけの可能性もありますが、いずれにしましても周辺銘柄見ても0.35%よりは金利ちょっと低い水準、とかゆうとるのですが、お前ら無担保コール0.477%に対して15bpも低くて良いと思ってるのかと小一時間問い詰めたい訳です。

でまあ東京レポレートちゃんになりますが、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

        O/N  T/N  1w  2w  3w  1m  3m  6m  1y
2025/1/29 0.208 0.348 0.355 0.373 0.394 0.409 0.438 0.470 0.550
2025/1/30 0.293 0.147 0.276 0.343 0.382 0.403 0.436 0.472 0.550
2025/1/31 0.169 0.404 0.373 0.386 0.400 0.422 0.439 0.472 0.550

GCONは末初だから前日のGCTNと同じ理屈で低いのはさておきまして、GCTNは0.4台と割とまともに近いレートに上昇(コールと7bpも差があるのかよとは思うけど)となりまして、末初要因剥落しまして、SC要因の方もだいぶ解れてきたということで金利が上昇しているにはいるのですが、ゆうてGC1wとか2wがGCTNと逆転している(O/N以外はトムスタートなので別に何を跨ぐでもないトムスタートの1wや2wがGCTNよりも金利低いってそりゃ変じゃろという話なのですが、金利上がったとはいえこの辺のリファレンス金利が逆っているところとかは、まだ1/24以降のレポ市場あばばばばーの後遺症が抜けきってはいないという事を意味しているのかとは思いましたが、実際のところどうなんでしょうかね。

でまあGCTNがガチのガチで40bp以上だとしますと、短国3Mの0.3台前半ってのそりゃどうなのよという話にもなる訳でした、それの意味するところはマーケットメイカーがポジションをキャリーするときのネガティブキャリーが大きいというところになりますので、それは昨年10月から11月の前半辺りに見られたような、特殊要因と思われる需要に引っ張られてでもしない限りはネガティブキャリーが多すぎないかねというのは思いますですバイ。まあどうなることやらという感じですが。


ついでに補完供給ですが、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250131.htm
落札結果 (1月31日<金>)

国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4)  5,320 5,320   -0.150 -0.150
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)       0    0

ということで残高は減りまして、

『(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、

利付国(2年)第451回(13億円)、457回(32)、
利付国(5年)149回(165)、150回(38)、156回(671)、161回(5)、170回(152)、
利付国(10年)342回(106)、352回(88)、359回(239)、361回(1,328)、362回(1,091)、363回(154)、364回(181)、366回(925)、368回(10)、

利付国(20年)83回(40)、124回(1)、138回(11)、
利付国(30年)54回(38)、73回(7)、
利付国(40年)7回(25)です。』

ということで銘柄数相変わらずあるちゃあありますが、このくらいの銘柄数ならまあ平常運転ではあるので、補完供給だけ見てるとかなりショートカバーはかなりほぐれた」と(願望も込めて)いう感じでしょうかしら、よくわからんけど。


〇東京都区部CPIがどう見てもアカンタレな件について

東京都区部CPI
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消 費 者 物 価 指 数
東京都区部 2025年(令和7年)1月分(中旬速報値)
※全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表するものです。

『◎ 概 況

(1) 総合指数は2020年を100として110.2
前年同月比は3.4%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇

(2) 生鮮食品を除く総合指数は108.7
前年同月比は2.5%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は107.8
前年同月比は1.9%の上昇 前月比(季節調整値)は0.2%の上昇』

ぐえええええええええええ!

ということでワイの収入4年で1割(内務省検閲により削除されました)というのは兎も角としましても、総合指数って、

『表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)』

を見ますと季節調整後ベースでこの4か月で1.8%も上昇していますし、この半年でみたら普通に半年で2%上昇している訳ですな、南無三。

でまあ

『表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比』

だって何とかストの皆さん相変わらずコアだのコアコアだのの前年同月比ばっかり見ていますけど、こんなの原数値見ろよという話で、この半年で総合指数107.8(7月)→110.2(1月)とかいうエゲツナイ上げ方になっておりまして、これ適合的期待形成によって期待インフレを押し上げるにしたって2%で都合よく止まってくれるのかよという話だし、消費にクッソ悪影響じゃろというお話ではあります。

まあ何せ物価のニュースって毎月のように出てくるわけで、賃上げの話って年1な訳でして、日銀は相変わらず先週末の植田さんの国会答弁でも「基調的物価が2%行ってません」ばっかり言ってるけれども、むしろこの段階においても日銀が十字砲火食らわないのが不思議なんですが、なにせクソ低金利の放置プレイが物価押上げ要因になっている、というのに気が付いていない(ピー音)が多いので救われている面があるんじゃねえのかという話ですな。


しかしまあ何ですな、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250131/k10014708601000.html
東京23区 1月の消費者物価指数 「米類」の上昇幅最大に
2025年1月31日 11時48分

『東京23区の1月の消費者物価指数は速報値で天候による変動が大きい生鮮食品を除いた総合で去年の同じ月より2.5%上昇しました。このうち値上がりが続く「米類」は70%を超える上昇となり、上昇幅はこれまでで最大になりました。』(上記URL先より、以下同様)

まあコメはこれまでコスト上昇を全然転嫁してなかったからという面も多々ありまして、それ考えるとこのコメ価格上昇ってワンオフで終わってこの後下がるとかいうものではなく、前年比に関しては確かにこの後1年したら剥落すると思いますけど、ベースのお値段自体はさがるようなもんじゃない訳でして、波及効果も大きいでしょうというお話なので、コメ価格はワンオフだからこの後反動減がとか言ってる何とかストは顔を洗って出直した方が良いと思うの。

『特に食料の値上がりが目立っていて、このうち「米類」は70.7%上昇し、記録が残る1971年以降で最大の上昇幅を4か月連続で更新していて、歴史的な高止まりが続いています。このほか「チョコレート」は30.2%、「コーヒー豆」も19.0%、それぞれ上昇しました。』

ナムナム。

『一方、「生鮮食品」も値上がりし、23.8%上昇しました。主なものでは「キャベツ」が去年の同じ月の3倍以上、「白菜」は2倍以上に、それぞれ値上がりしました。また、「みかん」は37.3%、「りんご」は25.2%、それぞれ上昇しました。』

食糧価格の上昇って全力で家計に直撃しますし、体感物価上がるわけでして、見たかお前らこれが物価上昇の世界じゃという話なんですが、置物一派はザイセイガーに走っているのがまあ置物クオリティとしか申し上げようがありませんな。



〇なお日銀の説明は相変わらずコストプッシュだから徐々に物価上昇は縮小とか言っている訳ですな

でまあその植田さんの国会委員会質疑ですけどね。
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/3LNEYOGPQRPRLAD2O44UOMV7MM-2025-01-31/
基調物価の2%上昇に向け、緩和的な金融環境を維持=植田日銀総裁
By 和田崇彦
2025年1月31日午後 3:46 GMT+9

なんちゅうかですね、そもそも今の物価の高止まり(欧米に比べれば屁ですけどずっとたいして物価が上がっていなかっただけに耐性がない)がクッソ続いているのに、「物価上昇に向けて金融緩和を継続する」って言ってる時点で(さっきも言ったけど)良く十字砲火食らわんわと思いますが、まあジャパニーズの金融リテラシーがない(あったら某洋一のユーチューブチャンネルとか人気化せんわな、というか私はちゃんとてめえのよつべを調教しているのでそういう種類のものは出てこないので知らんけど)というお話なんですが(しつこい)まあそれはさておきまして、

『[東京 31日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は31日、衆院予算委員会で、基調的な物価上昇率が2%に向けて徐々に高まっていくよう、緩和的な金融環境を維持していると述べた。その上で、日銀が描く経済・物価の見通しが実現していけば、政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整していくと改めて述べた。

階猛委員(立憲)の質問に答えた。』(上記URL先より、以下同様)

まあここで違う説明ができない、というのは分かるのでそれはそれでシャーナシなんですけど、

『植田総裁は現在の物価高は食料品やエネルギーといったコストプッシュ要因によるもので「国民に多大な負担をかけていることは認識している」と話した。ただ、こうしたコストプッシュによるインフレは年央・年末にかけて縮小していくとの見方を示した。』

って言ってるんだが、弊駄文では何度も申し上げていていますが、そもそも「コストプッシュだから対応しない」というのが理屈としておかしくて、コストプッシュが一時的な天候要因による不作で、というようなものならそら対応せんでもよろしかバイという話なんですが、コストプッシュだろうとディマンドプルだろうと、重要なのはそれが一時的なのか持続的なのか、ってえお話でして、持続的なのであればそれは対応を検討するという話でしょ、ということでして、この「コストプッシュだから」という説明って思いっきり鷺説明の香りしか漂ってこない物件なのですが、まあこれを多用するのは明らかにインチキですよね。

だいたいからして「賃金と物価の好循環」とか言ってるけど、賃金が物価に反映するってのも生産側から見たらただのコストプッシュな訳でして、賃金上がるから需要が増えるので、って言ったって別にコメ価格あがったからと言ってそれ単体では国内で所得移転が起きているだけの話なのですから、それ好循環とどう違いますねん、と屁理屈捏ねることだって可能な訳で、この「コストプッシュだから対応しない」って説明って(煙に巻くのにはかなり有能な屁理屈だから使いたがる気持ちは良くわかるんだけど)たいがいにした方が良いんじゃないかなとは思います。


何かFOMCとかECBとかもそうなのですが、よくよく考えたらすっかり植田総裁会見をかっ飛ばしているという事に気が付いた(いやまあ気が付いてないわけではないのですが)ので、その辺も追いついていかないとアカンですな、すいませんすいません。