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2025/01/15
お題「氷見野副総裁横浜金懇は1月利上げの可能性を引き戻しましたな(やるとは言ってない)」
日本農業新聞の論説だけにまあそういう話ですが
https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/282178
2025年1月15日
[論説]減少する農地と担い手 直払いで経営安定急げ
伝えたいようで今朝は会員以外でも見れる記事になっておるので貼ってみた。
〇氷見野副総裁横浜金懇は想定以上にやる気を見せてたし良い話はあったし
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250114a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 神奈川県金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 氷見野 良三
ということで参ります。
〇いきなり話がワープしますが「コミュニケーション」の部分は大変に素晴らしかった
順序が思いっきり逆になりますが、『3.日本銀行の金融政策運営』の最後の部分に『(金融政策を巡るコミュニケーションのあり方)』という小見出しがあって、この内容が色々とイイハナシダナーにも程があるし、何なら植田内田への砲撃も混じっていてさすが氷見野さんとしか申し上げようがない、まあもちろん内容的に見るとちゃんと大本営で相談した話も入っているので植田内田が反省したというのもあるかも知れませんけど兎に角ここは良かった。本文11ページ(PDFで12枚目)の下段の方からの部分になります。
『さて、金融政策の運営を巡っては、多くの方々から、丁寧なコミュニケーションに努めるように、とのご意見をいただいています。コミュニケーションに関して3点ほど感想を述べさせていただければと思います。』
からの3点、悉くが大変に結構なお話をしておりましてまあ読めと。
・フォワードガイダンス政策は変化の時代には役に立たないどころかマイナス迄ある
『第一に、日本銀行は 1999 年2月、ゼロ金利制約に直面するとともに、当時審議委員だった植田総裁の発案で、金融政策の今後の姿についてガイダンスを示すことにより、追加的な緩和効果の発揮を目指すようになりました。』
そうですね、でもってここでポイントなのは「ゼロ金利制約の中で追加的な金融緩和効果を出すために作ったのが時間軸政策だ」ということ。
『この戦略は、当時は時間軸政策と呼んでいましたが、その後フォワードガイダンスと呼ばれるようになりました。他の先進国もゼロ金利制約に直面していく中で、世界中の中央銀行に広まり、あらかじめ将来の金融政策決定会合の結論についてまで一定のガイダンスが示されるのが当たり前になりました。』
でもって「ガイダンスではない」といつも言ってるけど、FEDがドットプロット出しているのも一種のガイダンス政策に似た面があるわけですが、この手のガイダンスをやたら持ち上げていたのはウッドワードとバーナンキ。
『しかし、フォワードガイダンスについては、効果もある一方、政策転換が必要な局面になった場合には制約になってしまうのではないか、場合によっては政策変更を遅らせてしまいかねない弊害があるのではないか、という点も意識されるようになりました。』
まあ完全に遅れてしまいましたよね欧米は。米国の場合はその直前にアベレージインフレーションターゲットだのメイクアップストラテジーだの言って物価の上振れを容認してしまったのがさらに良く無かったのですが、「時間的余裕がある」とか言ってるどっかの日銀は他山の石で玉を攻むることはしないんですかねえ。
『このため、多くの中央銀行は、ゼロ金利制約から自由になった 2022 年の段階でフォワードガイダンスを取りやめました。』
FEDは(位置づけはガイダンスではないけれどもデファクトではガイダンスだわさ)ドットチャートを使っていますけどね。
『現在では、多くの中央銀行のコミュニケーションでは、「それぞれの決定会合の時点までに手に入ったデータの全体像をよく見て、会合ごとに判断していく」という姿勢が基本線になっています。』
でもって、
『日銀が公表文から将来を縛る表現を落としたのは、他の諸国に遅れ昨年3月のことでした。したがって新しい時代に入ってまだ間がないわけですが、その前のフォワードガイダンスの時代とは局面が変わっている、という点をまず申し上げておきたいと思います。』
非常に重要な論点でして、つまりは本来事前予告ホームランなどというものはあり得んというお話ですし、まあそれだったら事前のお漏らしなどというものも当然あり得んという事になるわけでして、局面が変わっているのに、というか局面が変わってから寧ろなのですが、事前の予告だのお漏らしだのみたいなのが横行するインチキコミュニケーションを行っている大本営に対してしらっとイヤミを言っているのですが、次の点ではさらにそれにブーストが掛かります。
・事前織り込ませを毎度毎度するという発想がそもそも頭おかしいと断罪しているんですよね
ここからが氷見野抜刀斎モード。
『第二に、金融政策が意図してサプライズを起こすことは、危機時などパーセプションを大きく転換すべき場面を除き、望ましいことではありません。』
まあそれはそうですが、黒田って散々やってくれましたよね。
『また、市場が金融政策に対して抱く予想が我々の考え方と乖離していると、そのギャップが解消される過程で市場が混乱することも考えられますので、ギャップの生じにくいコミュニケーションが望ましいことになります。』
でもって、
『更に、そもそも、金融政策の効果は、中央銀行の意図がどれだけ広く正確に受け止められるかに大きく依存します。』
ですな。
『したがって、世の中の人々が金融政策の今後について考え、予測するうえで役に立つように、基本的な考え方や、経済の現状についての見方について発信することは極めて大切です。』
と、ここまで説明してからの抜き打ち抜刀斎が以下始まる。
『しかし、だからといって、毎回の金融政策決定会合の結論について、事前に市場に完全に織り込んでもらえるようにコミュニケーションをとるべきだ、ということにはなりません。』
キタキタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
『政策は毎回政策委員の議論で決めるものですので、そのようなことは不可能です。』
まるで事前に大本営が決めているかのようなお漏らしが出ていることに対して氷見野副総裁がお怒りのようです。
『また、「会合ごとに織り込みを目指した事前のコミュニケーションがなされるはずだ」という期待が生じると、経済の動向よりも日銀の言いぶりの変化ばかりに市場の注目が集まることになりかねず、それも決して望ましいこととは思いません。』
昨年末について言えば、珍しくも経済指標に反応して動いていた債券市場が、11月末の植田総裁日経インタビューを境にいつものように日銀の顔色および関連する各種報道をうかがって動くという最悪の展開になってしまいましたのは記憶に新しいですが、この期待を生じさせているのはどう見ても大本営ですので、これまた氷見野さん抜刀斎モードになっておられますな。
・あのアホにも程がある金懇日程が改善されるのは実に結構な話です
でもって3番目もちょっとうれしかったのですが、まあこれは氷見野さんの独断じゃなくてちゃんと大本営ともども決定(内決?)したんでしょうなと思いまするに、やっとコミュニケーションを改善する気になったかという話でして、
『第三に、コミュニケーションについては経験に学びながら継続的な改善に努めていきたいと考えております。』
からの、
『コミュニケーションは、もちろん中身が大切ですが、場面の設定についてもいろいろ工夫できるところがあると考えております。』
ときまして、
『例えば、政策委員による今日のような金融経済懇談会についても、従来は半月に4人やったり、1か月間なかったり、ということがありましたが、時期を平準化していきたいと考えております。また、日程についても、これをぎりぎりに発表すると何か緊急にメッセージを出そうとしているのかとか誤解されかねませんので、できるだけ早くに公表することにしたいと考えております。』
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
いやこれアタクシのような三下も含めましてそこら中から文句出てた話だし、なんか「総裁副総裁は平審議委員とは違うんじゃ」とでも言いたいのか特に総裁副総裁の講演などが直前まで日程が公表されないとかいう勿体付けた偉そうムーブをしていたのは毎度トサカに来ていましたし、審議委員の金懇を一気に4人やるとかお前ら真面目にコミュニケ―ションする気あるのかっていう舐め腐った日程の決め方してたり(まあ確かに某とか某とか某の金懇って他のとセットにして注目度を下げておかないと無能すぎて見てられない物件が出てくるから単独にしたくないって大本営の気持ちも分からんでもないですけどwww)でしたので、これについて率直にこういう説明をして改善していただくというのは氷見野さんというよりもさすがにこれは大本営だと思うのですが、そうかやっと改善してくれますか、とこれは評価したいですね。
『そのほか、ご意見を頂戴しながら、試行錯誤になるかもしれませんが、いろいろ工夫してまいりたいと考えております。』
ということですが、植田さんみたいになんでもかんでもその時の材料を強調しすぎるとかいうのはコミュニケーションのブレ以外の何物でもないので内容の改善もよろしくオナシャス。
・・・・・あとですね、今回の金懇の会見って14時開始でどこぞのベンダーがやる気満々でカメラ入れて実況放送していましたけれども、この会見14時開始ってのも高く評価したいところでして、これまでって金懇会見の内容がヘッドラインで流れてくる時間が14時半過ぎ(だいたい40分近く)からの債券先物の引け近くという時間帯にあたっていたので、時間が少ない分消化できないうちにヘッドラインの文字列に過剰に反応する、という弊害があって毎度悪態をついていた訳ですが、14時開始ですと受け止める方もヘッドラインの内容を落ち着いて消化しようという時間的な余裕もあるし、(まあ今回は某社のカメラ入っていたからヘッドラインへの反応がそこまで過敏じゃない(発言内容を確認しようとなる)というのもあったとは思います、為念)引け際に無駄な乱高下をしなくて済んだので、今後も金懇会見は14時スタート同時エンバーゴでお願いできればと思います。よろしゅうに。
〇金融政策運営のパートではちょいちょいと素敵な論点があって一部は巧まざる植田内田への砲撃にw
ということで引きつづき金融政策運営のパートですが、今度は同パートの頭から参ります。
・そもそも今の実質金利ドマイナスという状況は状況が改善されたら普通の姿ではないとな
『(物価を巡る状況と今後の金融政策)』って小見出しから。
『さて、先ほど、「デフレに陥った後、実質金利が高くなってしまった」というお話をいたしました。しかし、その後、2013
年に量的・質的金融緩和を開始したあと、日本は物価が下がり続けるという意味でのデフレではない状態になり、実質金利はマイナスになりました(図表8)。』
っていう説明をしていますが、図表8を見ますと実は2014年あたりからずっと実質金利がマイナスです、という図になっているのがチャーミング。
『名目金利がマイナス、という状態、すなわち、「日銀にお金を預けると、タンス預金よりも損になる」という状態は去年の3月に解消しましたが、「お金を貸したり預けたりしても、物価の上昇分を考えると目減りしてしまう」という実質金利マイナスの状態は続いています。』
はい。
『実質金利がマイナス、ということは、事業の実質での価値が今後少しずつ毀損していくプロジェクトに、借金をして投資しても見合う、ということを意味します。』
とはいえ借入金利も名目プラスなのでどうなんでしょうかね。まあそれは兎も角として、
『実質金利がずっとマイナスであり続けることがありうるかどうか、という点については、経済学者の間でも意見が一致していません。ノーベル賞を取った元
FRB 議長のバーナンキ氏の論文には、そんなことはありえない、という議論が出てきます3。他方、財務長官やハーバード大学の学長も務めたサマーズ氏の論文では、マイナスの実質金利はそんな珍しいことではない、という議論が出てきます4。』
でまあこの辺までが前振りでして、
『ですので、ここでなにか結論を申し上げようというつもりはありません。ただ、経済をマイナスのショックが襲っているような状態や、デフレ的な様々な諸要因が強固に残っている状態では、実質金利がマイナスになるということは必要でもあり、決して不正常でもないが、ショックやデフレ的な諸要因が解消された状態であれば、実質金利がはっきりとマイナスの状態がずっと続く、というのは、普通の姿とはいえないのではないかと思います。』
キタコレ!
『日本についていえば、ショックやデフレ的な諸要因のうち、多くは解消されていて、少子高齢化・人口減少とグローバル化という二大構造要因は続いているものの、それらがいわれているように宿命的なデフレ要因であるわけではないのではないか、という見方を申し上げました。』
今日そこまで間に合わないのですが前段の部分にこの辺の話があります。
『本当にそうかどうか。もちろん道は平坦ではないでしょうが、生産性を高めて賃金を引き上げ続けられる企業へと労働力が移動する傾向は強まっています。』
『企業も政府も国際経済の新しい構図を見越して戦略を推し進めています。』
『仮に今後も人口減少やグローバル化に伴う様々な課題を工夫して乗り越えていけるとすれば、実質金利が深いマイナスではなくなっていく姿を将来像として展望することも可能になるのではないか、と思います。』
本来植田さんがこういう中長期的なパーセプションで「政策金利が今の水準のままで留まるのはおかしい」という話をすべきところだと思うのですが、なにせ植田内田(特に内田)はクソ目先の話しかしないというのは何なんでしょうねと思いますし、こういう説明をする氷見野さん非常に真っ当に見えますわ。
・物価2%安定目標達成は「物価が下がって期待インフレが上がる」必要があると説明しているのもイイハナシ
次の段落ですけど、
『もちろん、当面の金融政策運営に当たっては、より短期的な経済・物価・金融情勢に十分な注意を払っていく必要があります。』
というのが頭に入るもののこの先は、
『ここで、物価の現在地を確認してみますと、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価急上昇の影響から
2022 年 12 月と 2023 年1月には4%にまで至りましたが、その後は徐々に落ち着いてきております。わたしどもでは、来年度・再来年度については2%程度に着地するというのをメインシナリオと考えています(図表9)。』
『他方、人々が将来の物価上昇率について抱いている予想についてみますと、1%を下回っていたのが、徐々に上昇し、1%台半ばにまで至っています。』
実はもっと上なんじゃなかろうか説はあるのですがそれはさておきまして、
『日本銀行は、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指しているわけですが、現実の物価上昇率がちゃんと下がっていかないとこの目標はもちろん実現できません。』
この「現実の物価上昇率がちゃんと下がっていかないとこの目標はもちろん実現できません」ってのは実に良いことを言っていまして、日頃弊駄文では日銀大本営やら植田内田やらが「基調的な物価は2%行ってないから緩和継続」というのを毎度のように能天気に言っていて、いつの日か日銀は物価高放置をしていると批判の十字砲火がやってくるゾという事を申し上げているのは皆様もご案内の事かと存じますが、氷見野さんの挨拶のこの部分、すなわち「現実の物価上昇率がちゃんと下がる必要がある」というのを言っているのは大事な話でして、日銀が物価高放置をしているんじゃないか、という疑念を払拭することでもありますし、日銀のお貴族様は庶民が物価高で苦しんでいるのを分かっていないとかいうような話に発展するのを防ぐこともできまして、実に良い事を言ってると思いました。
『他方、人々が将来の物価上昇率について抱いている予想が2%に向かって上がっていかないと、実際の物価上昇率もいずれはまた2%を下回るようになってしまい、目標を持続的・安定的に実現することはできません。』
氷見野さんの説明って無茶苦茶分かりやすいんですよね、文章で見てもそうですし、会見での説明なんかでもそうなんですよ。
『そこで、現実のインフレ率は下がっていって、予想インフレ率は上がっていって、それが両方2%前後で着地する、という、難度の高い道筋を描いて、そうなっていくという見通しを持っているわけですが、これまでのところ、その背後にある経済のメカニズムも含めて、概ねその見通しに沿って進んでいると思っております。』
難度の高い道筋、って認めているのもいいですよね。
・「今後も政策金利の調整を行う」というのを淡々と言明しつつ・・・・・
でもって次の段落に行きますと、
『わたしどもとしては、そうした見通しが今後も実現していくとすれば、昨年3月、7月に続いて、今後も政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えております。方向はそういうことだとしても、もちろん、内外には上下双方向のさまざまなリスク要因がありますので、注意深く判断していく必要があります。』
となっていますが、この次を見ますと・・・・・・・・
・賃金に関しての説明を見ると別に3月まで待たずとも判断できますよという文脈ですがな
『国内での注目点の一つは、2025 年度の賃上げの見通しです。』
でまあこれが従来の植田さんの説明だと1月には判断付くわけないじゃんみたいな感じの説明になっていた訳ですが、
『それぞれの企業ごとにさまざまな課題に直面しておられますので、賃上げはもちろん容易なことではないと思いますが、強い業況判断、高い水準が続いている企業収益、歴史的には低い水準にある労働分配率、人手不足、転職の活発化、最低賃金の引き上げなどからすれば、2024
年度に続いて強い結果を期待できるのでは、と願っております。』
願っている、であって思っている訳ではない(というか「思っている」だと1月利上げ色が強くなりすぎますからまあさすがにそこまではよー書かんわな)のですが、少なくともここに出されている内容は既に確認済みの話であって、それらから見たら本年度並みの賃上げが来年度も期待できる、という話になっておりますので、何なら1月会合の時点で「賃金動向は想定通りに強いので政策金利の調整に支障はありません」という話にできますわな。
さらに、
『年初の各界の方々の発言も前向きなお話が多かったように思います。先週開きました私どもの支店長会議でも、全体的に強めの報告が多く、特に、今後の継続的な賃上げを中期経営計画に盛り込むこととした企業についての報告が複数の支店長からあったのが印象に残りました。各種アンケート調査でも、賃上げ予定先比率や賃上げ率は、前年並みないし前年を上回る結果が多いようです。』
となっていまして、年初からの材料を見ても継続的な賃金引き上げ傾向を後押しする話をしていまして、12月会合の時には判然としなかったけれども1月会合の時点では賃上げ継続を確信できる、という話にすることは可能な話の作りになっています。
・問題の「米国新政権ガー」に関しても「トランプが冒頭から無茶しなければエエンチャウノ」ムーブをかましていまして
その次が米国新政権の政策ガーという無限に不透明なものを理由に出してしまった植田総裁のトンチキコミュニケーションの尻ぬぐいモードに完全になっている、という部分でしてですね、
『海外での注目点の一つは、米国の新政権の政策と、それが米国経済・世界経済・日本経済に与える影響です。』
まあこれは言及せざるを得ませんけど、
『これは継続的に見続けるしかありませんが、』
でもってこの点って結局無限に「影響を見極める必要がある」と言い続けられるというマジックワードというかチキンオブチキンのワードなのですけど、それに対して氷見野さんはこのように割り切っておられまして、
『来週の就任演説で政策の大きな方向は示されるのではないかと思います。』
はい、つまり1月でも3月でも同じということですな!!!!!!
『これまでに示された内容をもとに、中長期的には様々な影響が論じられていますが、少なくとも米国経済は当面強いパフォーマンスが続くとの見方が多く、下方リスクに焦点が当たっていた昨年8月ごろとはだいぶ様子が変わってきたように思います。』
これ中々芸が細かいのは「下方リスクに焦点が当たっていた昨年8月ごろとはだいぶ様子が変わってきたように思います。」という部分でして、昨年8月ごろ、と言えばまさにあの利上げをした後に米国要因も相まって株安円高になって内田副総裁がションベンちびって全面降伏宣言をしたあの時になるわけですな。
つまりですね、今回の氷見野さんの「米国懸念は昨年8月ごろとはだいぶ違いますがな」というのは、当時の内田副総裁の全面降伏宣言を上書きする機能も果たしている、ということになっておりまして、まあゆうてその後も植田総裁が米国経済ガーを連発して円債市場の失望を誘っていただいた訳ですが、それらをしれっと上書きするムーブになっているのが大変にお洒落なところです。
でまあ最後は一般的な話をして先ほどネタにした後半部分の小見出しに繋がるのですが、
『いずれにせよ、これらの点を含め、足元までに発表されたデータ・情報を分析し、本年以降の経済や物価の見通しを作成する作業を現在鋭意続けております。その結果は来週「展望レポート」にまとめて公表する予定です。』
『政策運営にあたってはタイミングの判断が難しくかつ重要です。来週の金融政策決定会合では、「展望レポート」にまとめる経済・物価の見通しを基礎に、利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し、判断したいと思います。』
ということで、最後にもちゃんと「利上げを行うかどうかを議論し」とありまして、12月会合主な意見だと何かお前ら本当に議論したのかって感じの消極的な感じでしたから、そこから見たら1月会合利上げ全然出来ますじゃないですか、という話を思いっきり上書きしてきた、というのが今回の氷見野さんの金懇挨拶になるかと思います。個人の感想ですが。
・でもって1月利上げやっぱりありになったのかどうかですが正直よくわからんけど1月無しで決め打ちはできないわな
ま、だからと言って利上げするかどうかは良くわからんのですが、利上げ見送って円安にブチ飛ばれるのがマズイとか、そもそも3月に利上げ(前回のは利上げと言ってもマイナス金利解除でしたから利上げというほどの利上げではなかった)するのってどうなのよ(期末的に)というのも勘案すると、4月展望まで引っ張るよりは1月ってのだってまあアリエールかもね、という話になるかもしれませんな。
あとはこの氷見野さんの「上書きムーブ」がガチの全体的な方向性となっていて、12月に早期利上げ観測を叩き潰しすぎたのでこのまま1月迎えて利上げすると闇討ちの2乗くらいの話になってヤバかろうというご配慮で氷見野さんが威力偵察をしてきているのか、単に氷見野さんが単騎突撃してきているのか、というのはまあさすがに判断しかねますので、どっちなんですかねえという見立てによって読み筋は変わってくるかと思います。
とまあそんなところでござる。
2025/01/14
お題「金利あがっていますなあ&BBG砲/3M短国25bpで一旦買い入ったかな/日銀謹製消費活動指数」
ふむふむ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/EPQVQRLV3JMPFCM6HW5ISIT4XQ-2025-01-13/
大手金融各社、FRB利下げ予想修正 雇用統計受け
By ロイター編集
2025年1月14日午前 1:05 GMT+9
〇10年1.2%ですかそうですか(金利上がってきたのでメモ)&謎のBBG砲撃
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XJQN2MWQ6BOODG6A6DGRCUM6GU-2025-01-10/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.195% 日銀利上げ観測や米金利高で
By ロイター編集
2025年1月10日午後 3:27 GMT+9
『[東京 10日 ロイター] - <15:09> 国債先物は反落、長期金利1.195% 日銀利上げ観測や米金利高で
国債先物中心限月3月限は、前営業日比25銭安の141円06銭と大幅反落して取引を終えた。日銀の追加利上げを巡る警戒感や米金利高が相場の重しだった。新発10年国債利回り(長期金利)は2.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.195%と、2011年5月以来13年8カ月ぶりの高水準をつけた。
きょうの国債先物は、夜間取引で下落した流れを引き継ぎ、売り先行でスタート。日中は入札やオペといった国債の需給イベントがなく新規の売買手掛かりが乏しい中、きのうの日銀支店長会議を巡ってタカ派的な受け止めが市場の一部にあることが相場の重しとなった。』(上記URL先より、以下同様)
ということで日銀支店長会議云々はホンマカイナという感じではあるのですが、金曜日もなんかずるずると金利上昇の巻になっていまして、12月会合後の上げは何だったのかという話ではあるのですが、1月にハト派据え置きでもしない限りは1月会合スキップでもそんなに金利は下がらんのじゃネーノという風情になっていまして、単純にアメリカン金利のせいなのかも知れませんけれども、何ですのこの流れはとは思いますけど、よく考えてみたらマイナス金利やってるときも10年1%になったりしたのですから、そこからベースレート幾ら上がりましたねんと考えたらそんなもんなのかも知れませんけれどね。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.643 0.65 0.004 15:01
5年 0.818 0.826 0.021 15:03
10年 1.19 1.195 0.02 15:02
20年 1.959 1.965 0.021 14:59
30年 2.293 2.3 0.01 15:03
40年 2.719 2.725 0.019 15:06』
中期から後ろ全体的に売られている格好ですし、イブニングでも雇用統計と下にネタにしますがBBG砲??の効果から一段安になっている(月曜の市場は踏まえていないけど)の巻ですからぬー。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through
先物価格情報
長期国債先物 日通し
限月 25年3月限
取引日 01/14
始値 141.07 (01/10)(15:30)
高値 141.11 (01/10)(17:03)
安値 140.55 (01/11)(05:41)
現在値 140.56 (01/11)(05:54)
前日比 -0.50
取引高 15,276
ちょwwwwwwなんですかこの先物の下げはという感じですが、まあこうなったら一旦消えた1月利上げもこれはさすがに何ぼかは織り込んでいるでしょうというか、1月利上げしてもここまで来れば円債的にはサプライズにならんのではなかろうかという風情になっているので、正常化志向があるならば乗るしかないこのビックウェーブに、ということでしらっと1月利上げしちまえば良いんですけれども、今の日銀って正常化志向はあるにはあるんでしょうけれども、「ボク失敗したって言われたくないの」状態という一種のデフレ脳に一番浸っているのが今の日銀な訳でので、まあアレだけ言っておいて1月やっぱりやりますってのはじゃあ12月のあの話は何だったのかという事になるのでよーせんとは思いますけどね。
しかしまあ何ですな、話を蒸し返すのが大好きなアタクシとしては一昨年12月の氷見野副総裁の
この言葉が実に重い訳ですなと思いますが、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko231206a.htm
最近の金融経済情勢と金融政策運営
大分県金融経済懇談会における挨拶
日本銀行副総裁 氷見野 良三
2023年12月6日
『しかし、世の中全体で賃金と物価の循環が回りだすと、何かをすることのハードルが下がり、何もしないことのリスクが高くなり、どこかで両者の関係が逆転すると、これまでに起きなかったような変化が起きる、という見方もできるのではないか、という気がします。』(この部分だけ直上URL先2023年12月6日氷見野副総裁大分金懇講演より)
今まさに「これまでに起きなかったような変化」が起きていると思うのですが(というか物価上げすぎ問題がががが)、肝心の植田内田がとんでもないチキンあるいは保身体質で中央銀行としての本来の職分を全うしようとしてないんだから世話は無いわけですな。
でまあそれは兎も角として、お漏らしタイムにはちょっと早い気がするのですが、3連休前の金曜日の引け後にこういうのを出すなこういうのを、と思うのですがBBGがまた微妙な記事をだしておりまして、これ出たあと債券先物のイブニングセッションが141円割れに下がっていましたのでまあクリップクリップ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-10/SPUUBDT1UM0W00
日銀が物価見通しを上方修正の公算大、コメ価格上昇と円安−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2025年1月10日 17:30 JST 更新日時 2025年1月10日 17:49 JST
→24・25年度のコアコアCPI、23・24日に金融政策決定会合
→政策は米新政権の政策の影響など注視、直前まで慎重に見極め
17時半に出すなや17時半に、という所ですが、ヘッドライン打つタイミング的には大変にお上手なタイミングでしたので債券先物がホイホイと下がるわ(この時点では140.90近辺に下がっただけでして、その後の140.50水準への下げは米国雇用統計要因だと思います)10年は1.2%マークするわということでアイヤーとなった訳ですが。
『日本銀行が今月開く金融政策決定会合では、変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(コアコアCPI)について、2024年度と25年度の見通しが上方修正となる公算が大きい。利上げの是非は直前まで見極める方針だ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
あらそうですかという感じですが、コメ価格に関してはこれコメって生鮮食品じゃない(保存が効くから)ので、コア指数にもコアコア指数にも跳ねてくるので米価が上がると結構効くのよね、ということですし、まあ端境期に引き上げるわけにもいかないから新米がごく普通に流通していて端境期に入る前に上げておかないと、ということですかねえ、知らんけど。
で、報道を拝読しますと、
『23、24日に開く会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)について議論し、最新の見通しを示す。関係者によると、コアコアCPI見通しの引き上げは、コメを中心とした食料品価格の上振れが主因。円安の進行や原油価格の上昇も押し上げ要因になる。賃金コストを価格に転嫁する動きも想定通り強まっているという。』
ということですが、米価は兎も角としてしらっと「円安の進行」を入れているのがチャーミングでして、ついこの前の金融政策決定会合では円安の影響に関して、利上げ云々を言われたくないもんだから「この程度の円安はシランガナ」というスタンスになって、7月に利上げした時にリスク要因に昇格した筈の為替円安をスルー気味にする、という政策反応関数をまたも変えるしょうもないプレイに出ていたんですけれども、なんだよ1月展望で為替円安を物価上振れ材料にするのかよ、というお話でして、為替円安で物価上振れ、という話をするのでありましたら、それは7月の時点に話が戻るんですよね、すなわちこの為替円安で物価上振れの可能性が高まったので利上げ、って普通にできる話になるんですよね。12月言ってたことと全然違うじゃねえかという話をさておきますとwww
『植田和男総裁は、経済・物価情勢の改善が続けば、利上げによって金融緩和度合いを調整すると繰り返している。物価見通しの上振れや経済・物価が見通しに沿って推移することは、追加利上げの根拠になり得る。
市場では日銀が今月会合で追加利上げの是非を議論すると広く予想されている。』
議論をする(利上げをするとは言ってない)という話ではあるのですが、じゃあ本当に議論しているのかと言いますと、12月決定会合後の主な意見を見ると何か全然そういう感じじゃなかったし、それ以前に決定会合後の植田総裁の記者会見がやる気無し無しだったので、そこから1月急に利上げとか言われましても(為替で追い込まれるのでなければ)話がワープしすぎてなんのこっちゃ感が否めません。
『報道後、外国為替市場では円を買う動きが優勢となり、ドルに対し一時1ドル=157円76銭まで上昇した。報道前は158円30銭台で推移していた。』
はいはい手前味噌手前味噌という感じですが、今朝のドル円も157円台半ばくらいで帰ってきているから一応効いてるのかねというところで。
なお、BBGも慎重でして、
『もっとも、総裁は利上げを見送った昨年12月会合後の会見で、今年の春闘など賃上げの動向と20日に始動するトランプ米政権の経済政策の影響などを注視していく考えを表明している。今月の会合では市場動向などを直前まで見極めた上で、利上げが必要な情勢かを慎重に判断する見通しだ。』
とか言ってて、決め打ち記事にはしないというスタンスになっていますけれども、まあ激強物価見通しを出しておけば3月利上げへの思惑で円安進行もそんなに行かないし、市場が織り込んでしまえばそれに乗ってしまえばよいということで1月会合で事実上の予告ホームランをしてくる可能性は出て来ましたかねえ、とは思うのですが、直上記事にもありますようにそもそも植田さんは「トランプ新政権の政策ガー」とか「春闘ガー」とか言ってるので、1月会合時点で事実上の予告ホームランを打つのっていうのもやりにくい(春闘は先行するアネクが強いとか言えるにしてもトランプは何も分からん段階だから)のですが、1月会合どういう情報発信してくるのでしょうかねえ。マジで分からん。
〇3M短国入札は0.25%台まで届きましたがさすがにそこは買いが来たのかしら
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250110.htm
国庫短期証券(第1280回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1280回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1280回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項』
6Mは特例公債扱いの条項がありましたが、3Mはいつもの通りの発行根拠法です(前回の3Mもそうですけど)。
『3.発行日 令和7年1月14日
4.償還期限 令和7年4月14日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆1,691億円
(2)募入決定額 3兆4,276億6,000万円
(3)募入最低価格 99円93銭8厘0毛
(募入最高利回り) (0.2516%)
(4)募入最低価格における案分比率 25.4896%
(5)募入平均価格 99円94銭0厘8毛
(募入平均利回り) (0.2402%)』
ということで、こちら3Mは前日のWIが0.240%でして、平均は0.2402%ですけれども足切りが0.25%水準に乗ったところまで流れまして、おお0.25%ってなもんですけれども、中々の結果になりました。
でまあ見てて「ほー」と思ったのが応募額でして、前回までの3Mって兎に角応札がすくなくて8兆円台(先週火曜の入札は8兆円カツカツだった)とかいうすげえ少ない応札が続いていまして、年末年始越えプレミアム付きのこのレートはちょっとニーズがそんなにないでしょうという上に、GCや現先利回り対比で利回り水準が低すぎて業者が在庫をキャリーしにくいということで、必要最低限の札しか入れません、というのが鮮明でしたが、今回は応札が12兆円に復活していまして、年始入って数営業日経過したから、というのもあるとは思いますが、なんせ水準がやっとまともな水準に近くなってきたので、応札も入るということになりましてまことに結構な流れになっております、いい話だ。
なお、売参ちゃんを見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/10引値)
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.240←火曜に入札のあった3M
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.240
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.235←金曜に入札のあった新発3M
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.240
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.239←今週金曜に入札のある3MWI
国庫短期証券1267 2025/05/12 平均値単利 0.255
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.255
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.260
国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利 0.340←木曜に入札のあった6M
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.270
国庫短期証券1251 2025/08/20 平均値単利 0.320
(1/9引値)
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.245←火曜に入札のあった3M
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.245
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.240←金曜の新発3M(この時点では)WI
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.254
国庫短期証券1267 2025/05/12 平均値単利 0.254
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.254
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.260
国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利 0.350←木曜に入札のあった6M
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.270
国庫短期証券1251 2025/08/20 平均値単利 0.320
ということで、だんだらが長くて恐縮ですが、3Mの辺りは新発の引けが0.235%と入札の平均水準よりも強くひかせているので、これはまあさすがに水準訂正が火曜日金曜日で一気に入ったことから買いが来た、という解釈をしておけば良いと思いますし、周辺も気持ち強くなっているのも、まあさすがに足元GCや現先レートとそんなに遜色ないなら一旦は買いが入るところなのかな、という感じではあります。
あと6Mのところが周辺のへなちょこ気配を修正するのかと思ったら6Mの方を少し強くしているのは笑いましたが、まあ金曜は3Mが一旦底打ちしたように見せる動きになったから周辺を甘くしないで6Mを強くするのかよとは思いました、ホンマカイナという感じはしますけど。
・・・・しかしまあ何ですな、3Mカレントやっと0.235%だの0.24%だの0.25%だのということで金利が上昇しましたけれども、もともとの水準がキチガイのような低金利だったのでそっちに目が慣れてしまって普通のレートに見えるのですが、この水準って1月利上げを食らうと保有期間の最初の2週間だけしか足元金利対比でチャラになっていなくて、その後11週間ほどファンディングコスト対比で盛大にやられるという事になりますので、まだまだ変な水準なのは何度も申し上げていると思いますけれどもそういう事やぞという水準ではございますので念のため申し添えますw
〇消費活動指数
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cai/index.htm
消費活動指数
そういやこちらってあんまりアタクシネタにしていないのですが(難しいから)、この消費活動指数って結構なレベルの日銀渾身の投下物件でして、この説明書きを見ればそれがわかるのですが、
『個人消費は、GDPの約6割を占めるコンポーネントです。このため、マクロの景気判断を行ううえで、個人消費の動向を、いち早く、正確に把握することは重要です。』
はい。
『こうした観点から、以下では、分析データ「消費活動指数」を定期的に作成・公表しています。消費活動指数は、財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計としており、月次や四半期といった短期的な消費活動を把握することが可能となっています。また、消費活動指数は、最も包括的にわが国の消費活動を表す国民経済計算・確報の家計消費と同様の変動をしているだけでなく、確報とは異なり、速報性を有しています。さらに、サンプルに起因する振れも小さく、各種のマインド指標との相関も高いものとなっています。』
これ物凄いオブラートに包んだ言い方になっていますけれども、そもそも論としてGDP統計で個人消費の統計ってのがちゃんと出ている訳ですから、そのGDP統計を見ればいいじゃん、という話のところにも関わらずGDP統計の向こうを張って日銀が出している訳ですよねこの消費活動指数って。
でもってこの説明書き、改めて読みますと・・・・・・・
「消費活動指数は、財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計としており、月次や四半期といった短期的な消費活動を把握することが可能となっています。」
→ワシらは各種の基礎データを丹念に収集して計算しておりますのでその結果として、
「また、消費活動指数は、最も包括的にわが国の消費活動を表す国民経済計算・確報の家計消費と同様の変動をしているだけでなく、」
→GDPと同じように出しておりますし、その上・・・・・・・・
『確報とは異なり、速報性を有しています。』
→後から何度も改訂されるGDPとかいう統計よりも速報性があり、なおかつ・・・・・・
『さらに、サンプルに起因する振れも小さく、各種のマインド指標との相関も高いものとなっています。』
→GDP指数の消費統計よりも優秀です( ー`дー´)キリッ
ということで、オブラートを貫通してみますと日銀の自信のほどが窺える統計だ、というのがお分かりになろうかと存じます。
『具体的には、名目値と実質値、旅行収支を調整したものと調整していないもの、形態別の内訳など、様々な系列を作成・公表しており、分析目的に応じて使い分けることが可能となっています。
公表日時は、原則として毎月第5営業日の14:00としています。ただし、業務の都合により遅れることがあります。
消費活動指数の具体的な作成方法については、以下の調査論文をご参照ください。』
とあって、この調査論文ってのも
『中村・河田・田中・植前「消費活動指数について」、日本銀行調査論文(2016年5月)
中村・三浦・丸山「消費活動指数の公表内容の拡充と見直しについて」、日本銀行調査論文(2016年10月)
金藤・萬処・加藤・須合「消費活動指数の08SNA対応と精度向上を企図した見直し」、日本銀行調査論文(2018年4月)
高橋・近藤・宗像・大久保・岩崎「近年の消費行動の変化を踏まえた消費活動指数の推計方法の見直しについて」、日本銀行調査論文(2021年7月)』
って並んでいてやる気のある論文が並んでいるんですよね。
・・・・・ということで数値の方を見ますと、
項目は左から順に、名目消費活動指数、実質消費活動指数、名目消費活動指数(旅行収支調整済)、実質消費活動指数(旅行収支調整済)
Jan-24 106.8 97.3 105.2 95.9
Feb-24 108.5 98.7 106.6 97.0
Mar-24 108.0 97.9 106.1 96.2
Apr-24 108.7 98.7 106.5 96.7
May-24 108.7 98.2 106.4 96.1
Jun-24 110.2 99.0 107.8 96.8
Jul-24 110.6 99.5 108.6 97.7
Aug-24 110.7 99.1 108.9 97.6
Sep-24 110.3 99.0 108.5 97.4
Oct-24 110.3 98.8 108.6 97.3
Nov-24 111.3 99.0 109.5 97.4
でもってこれ2015年=100で指数化されていますので、何のことは無い実質消費旅行収支調整済みって2015年対比で2.5%も下がっている訳でして、そらまあ好循環を感じませんわという所ですが、この指数2019年10月のところから盛大に落ち込んでいまして、そこから見たらだいぶ戻っている格好にはなっているのですけれども、まあ足元も消費って実質ベースで精々横ばいという感じですわな。まあ物価上がる中で実質ベース下がっていないんだから良い結果ということなのかもしれませんけど・・・・・・・・・
まあこの辺の指数に関しては本職の何とかストの方が解説をしてくれると思うのでそれを見ましょうずという所ですが、消費活動指数出ていたのでちょっと上記の日銀自信満々解説をご紹介したくて書いてみました。
2025/01/10
お題「さくらレポートに1月利上げの熱量無し(個人の感想です)/短国入札とかのメモ/需給ギャップ/地区連銀総裁発言クリップ」
あちゃー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250109/k10014688741000.html
インフルエンザ患者数 現行の統計開始以降で最多に
2025年1月9日 19時28分
昨日議事要旨ネタで他の話をパスしてしまったのでその辺も含めましてつらつらと
〇さくらレポートの「賃金と物価」のトーンってこれワタクシは「熱量がない」と思いました
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer250109.htm
地域経済報告―さくらレポート―(2025年1月)
全文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer250109.pdf
地 域 経 済 報 告 -- さくらレポート -- (2025年1月)
でまあ何地域が上げた下げたは兎も角、今回の現世利益は「賃金と物価の循環」の確認な訳ですよ。よって全文の方ですと本文4ページ(PDFの6枚目)から始まる『(3)企業等の主な声(トピック別)』を見るのがよろしい訳ですが、その点についてはこちらにも説明があるのでまずはそっちをみましょうず。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera250109.htm
各地域からみた景気の現状(2025年1月支店長会議における報告)
『雇用・賃金面では、2025年度の賃金設定について、現時点では競合他社の動向を見極めており、賃上げ率を固めていないとの企業の声や、中小企業を中心に、収益面の厳しさから慎重な姿勢を示す声も引き続き報告された一方、すでに、賃上げ率の具体的な検討を進めているとの企業の声も報告された。』
はい。このまとめ方がもうアレでして、もし今回「2025年度のおちんぎんは絶好調で春闘見るまでもなく死角なし」とかいうのであればもっともっと熱量のある表現になるじゃないですか当然のことながら。
然るに、上記のような書き方ですとこれはまあどこからどう見ても「じゃあ今後の賃金設定がきちんと出てくるかはもうちょっと確認しないとね」という話になります、というか毎度の事ですけれども、大本営様に対して忖度していますなというお話で、賃金上がっとるんじゃおいこら大本営真面目にしやがれコノヤロー的な突き上げっぽいのも無いわけですな、寧ろ去年のこの時期のさくらレポートの方がその傾向があったようにも思えますが、今年はまあこういう状況ですので、それはもうそういう事やぞと。
まあ一応、
『全体としては、構造的な人手不足のもと、最低賃金の引き上げもあって、継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきているとの報告が多かった。』
という結論にしているので、「賃金上昇は見られます」ってのが結論ですが、これはまあ普通に「現時点ではまだ決め打ちできるほど強いわけではないので今後を見ましょう」にしかアタクシには読めないので、1月会合で判断するような熱量は乏しい、と言わざるを得ません。
ただまあ昨年がそうだったように、1月決定会合終わってから急に変なもんでも食ったかのように3月会合に向けて別途「おちんぎんがキテます」っていうような補足レポートみたいなのが出て来る可能性もあるので、別に3月もやる気無いのかというとそうではないと思うのですが、少なくとも再来週に蛮勇振るって利上げじゃオリャーとなるには熱量が足りないという評価にしておきますアタクシは。
ではおちんぎんの対になる企業の価格設定行動ですが。
『企業の価格設定面では、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の動きは緩やかながらも続いているとの報告が多かった。また、人件費の価格転嫁については、なお難しいとする企業の声はあるものの、賃上げ原資確保のための転嫁を実施・検討する動きが引き続き広がっているとの報告が多かった。』
いやまあ食品価格だからこれとは別の話かもしれんけど体感的には食品価格がエゲツナイ上がり方しててマジで頭クラクラするんだが。
『ただし、消費者の節約志向の影響がみられるもとで、値上げの抑制や一部商品の値下げ、低価格商品の品揃え強化などの動きも引き続きみられているとの報告があった。』
そらそうよというお話で、名目の支出額黙っていても増えてるんだもん帳尻合わせないと・・・・・
というのは兎も角として、企業の価格設定行動の方は「きっちり進んでいる」感の強い表現になっておりますな。価格は上がるけど賃金はイマイチとのことですが、そもそもリフレ政策というのは実質賃金を下げることによって雇用を強くしていきましょうなどというのはかの浜田宏一大先生も仰せになっていたことなので、まあアベノミクス黒田緩和の答え合わせだぞということで。
さて、これ昨年の同時期どういう話をしていたのか、というのを比較するとオモロイかと思いまして、昨年のを引っ張り出してきました。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera240111.htm
各地域からみた景気の現状(2024年1月支店長会議における報告)
『雇用・賃金面では、多くの地域から、労働需給の引き締まりや、企業の人手不足感の強まりが報告された。本年の賃金改定に関しては、一部の大企業において、昨年並みあるいはそれ以上のベースアップを伴う賃上げ方針を既に表明する動きがみられるもとで、地域によって濃淡はあるものの、地方でも昨年よりも幾分早いタイミングで賃上げ機運が醸成されつつある。』(上記URL先昨年1月の支店長会議報告から、以下同様)
ということで、今年のに比べて書いていることに勢いがありますよね。後半は、
『ただし、競合他社の賃上げ動向等を見極めたいとして、現時点では賃上げ率等を固めていない先が多いほか、中小企業を中心に、収益面の制約から慎重さを崩さない先も少なくないなど、賃上げの広がりや程度等については不確実性が高いとの報告が多かった。』
となっているものの、前半の掴みの部分での熱量が違いますなというお話です。
『企業の価格設定面では、既往の原材料コスト上昇分を転嫁する動きが続いているが、そのペースは鈍化しているとの報告が多かった。また、値上げの抑制や一部商品の値下げなど、消費者の節約志向の強まりに対応した価格設定行動がみられるとの報告が複数あった。一方で、人件費の上昇を念頭に置いた値上げを実施ないし検討する動きもサービス業等で徐々に出てきているとの報告があった。』
価格設定の方は先ほど申し上げました通りで、これ昨年よりも今年の方が普通に表現が強くなっている、というのが見て取れるかと思いまして、まあこれですと「賃金動向を確認したら政策調整」って話をしてくるんじゃないですか、とまあそういうお話になると思います。
とは言いましても、そもそも論として植田日銀の場合は(黒田末期からそうですけど)「政策行動から後付けでその時に都合のよい理屈(または屁理屈)を繰り出してくる」という行動になっておりますので、今回のは「目先で言えば動かない言い訳」になっていますし、「賃金を確認した時点では動く時の言い訳に使える」となっていまして、まあ動かない言い訳がある時は動かないという行動からすると、1月利上げにとっては(円安にこれからかっ飛ばされない限りにおいて)一つハードル置きやがったなということで。
〇6M入札も滑ったけど持ち直して本日は今週2発目の3M入札
とまあそういうことで昨日は30年国債入札があったような気がしますがそういうのはスルーしまして(おい)短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250109.htm
国庫短期証券(第1279回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1279回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1279回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項』
はい、こちら発行根拠法見ますと今回の6Mは一部が特例公債(赤字国債)で発行されていますな。だからどうしたと言われると困りますが。
『3.発行日 令和7年1月10日
4.償還期限 令和7年7月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆6,540億円
(2)募入決定額 2兆7,443億9,000万円
(3)募入最低価格 99円81銭6厘
(募入最高利回り) (0.3717%)
(4)募入最低価格における案分比率 26.1111%
(5)募入平均価格 99円82銭5厘
(募入平均利回り) (0.3535%)』
昨日の新発6M、前日のWIの引値が0.330%だったのですが、足切り0.37%水準まで流れまして、ありゃまあという感じではあったのですが、3Mが0.25%ちょっと割る水準ですので(0.25+0.50)÷2=0.375%というガバガバ計算をするとなるほどまあそんなもんちゃあそんなもんかしら、ということで買いも入ったのか引値は0.350%に持ち直しておりました。さっきのガバガバ計算からしたら0.35%って強くねえかという気がしないでもないですが、まあそもそも売参ちゃんを見ますとこの辺の短国って(もともと3Mカレントよりも長くなると恒常的に流通玉があるようなゾーンでもないので気配もメクラウチなところがあるんですけど)引値が強くて、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/9引値)
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.245←火曜に入札のあった3Mカレント
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.245
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.240←今日入札予定の新発3MWI
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.254
国庫短期証券1267 2025/05/12 平均値単利 0.254
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.254
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.260
国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利 0.350←昨日入札のあった6Mカレント
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.270
国庫短期証券1251 2025/08/20 平均値単利 0.320
6Mカレントの両隣の銘柄どないなってますねん(ちなみに償還が10日なのは6Mの成れの果てで20日なのは1Yの成れの果て)というツッコミをしたくなりますが、まあ短国市場がマシになってくる過程において、新発債が出るとそこだけ電気ショック受けたみたいにピクッと反応して、そのうち徐々に周囲の銘柄にも伝染していくみたいな人間味の溢れる(のか??)価格形成になっていくんでしょうかねえ、さっぱりわかりませんが。
まあアレです。短国ちゃん(特に3M以下の)利回り修正が進んだ結果として、GCレートや現先レート対比でのとんでもないネガティブキャリーがおおむね解消されてきたのは大きいと思うのですよね。これまでって短国のマーケットメイクしろって言われましても新発を入札で買って在庫にしていると在庫ファイナンスするキャリーコストが在庫の短国の利回りと全然あっていなかったから、新発買って在庫にして持っているだけでコスト垂れ流しという碌でもない状況だったと思いますが、利回りがGCレートや現先レート並みになってくれれば恐怖の持っているだけで赤字状態ではなくなるので、マーケットメーカーとして在庫をキャリーしやすくなるでしょうから、そうなってくれば短国市場の価格形成ももっと円滑というか理屈の通ったというか、そういう形に徐々になっていくことを期待したいところではあります。
でもって今日は3Mの入札があるわけですが、なぜかWIちゃんを見ますとカレント3Mよりも利回りが低いとかいう謎値付けになっておりまして、これがマジなのか何なのかよくわかりませんけれども、6M入札後の持ち直しを受けましてこちらも堅調になるのかどうか、はてさてどうなりますやら(応札額も見ておきたいですね)。
あと交付税特会借入6Mが火曜日にあったのをうっかりしておりましたので改めてネタにしますと、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250107.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和7年1月16日
3.償還期限 令和7年7月17日
4.償還方法 令和7年7月17日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 3兆5,050億円
(2)募入決定額 1兆3,000億円
(3)募入最高利率 0.500%
(4)募入最高利率における案分比率 35.0470%
(5)募入平均利率 0.472%』
・・・・・どうみても利上げ後レートです本当にありがとうございました、という感じですが、7月足ならさすがに0.75%まで利上がっていることはなかでしょバイというお話ですから、仮に1月利上げになってもチャラ水準の50bpっていう所で止まるのは中々リーズナブルな結果となっておりまして、まあ本来利上げ局面ってこんな感じでタームプレミアムが乗っかって利上げを多少多めに織り込んだ価格形成になって然るべきだし、そのタームプレミアムをどう読むのかが短期資金ディーリングの昔のムーブだった筈ですので、交付税特会借入6Mというドマイナーな世界ではこういう数字になっているのイイデスネと思ってしまいました。
〇需給ギャップちゃん
https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm
需給ギャップと潜在成長率
https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/gap.pdf
需給ギャップと潜在成長率(図表)
直近の推移だと、(左から需給ギャップ、資本投入ギャップ、労働投入ギャップ)
2023.1Q -0.36 -0.61 0.25
2023.2Q -0.12 -0.46 0.35
2023.3Q -0.34 -0.65 0.30
2023.4Q -0.05 -0.35 0.30
2024.1Q -0.71 -0.99 0.29
2024.2Q -0.58 -0.77 0.18
2024.3Q -0.53 -0.79 0.26
というということですが、需給ギャップマイナスで推移しているのに物価はずーっと2%オーバーで推移しているんですから、寧ろこれは物価安定目標は思いっきり達成しているという状態を意味するんじゃないですかとか言いたくなってしまう(そもそも需給ギャップが本当にマイナスなのかというのもアレですが)のですが。
あと、半期展開の潜在成長率
2022.1 : 2022.2Q-2022.3Q 0.38
2022.2 : 2022.4Q-2023.1Q 0.46
2023.1 : 2023.2Q-2023.3Q 0.53
2023.2 : 2023.4Q-2024.1Q 0.53
2024.1 : 2024.2Q-2024.3Q 0.58
ということで潜在成長率0.6%くらいあることになっているのですが、本当にそうなんですかねえというのはあって、需給ギャップマイナス推移なのに人手不足だわ物価が上がるわってなんか違和感があるんですけどアタクシもアホの子なのでこの辺の理屈がイマイチわかったようでわかっていないのでメモだけ置いてお茶を濁すのでした。
〇要するに当分利下げはしませんよと(FED要人発言備忘クリップ)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZLXQ5PQ7A5MF3N6G76QCT22MKM-2025-01-09/
米利下げ、段階的で忍耐強いアプローチ必要 不透明感強い=ボストン連銀総裁
By ロイター編集
2025年1月10日午前 12:33 GMT+9
『[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は9日、見通しを巡りかなりの不確実性が存在するため、連邦準備理事会(FRB)は今後の利下げを慎重に進める必要があるという見解を示した。コリンズ総裁は「経済は総じて好調で、政策はすでに中立的なスタンスに近づいている」とし、足元の不確実性を踏まえ「段階的かつ忍耐強いアプローチが求められていると考える」と語った。』(上記URL先より)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/QYVGDXNTYBNERCSXVN4NLSEBMU-2025-01-09/
FRB利下げ継続、即時実施は不要 指標注視=フィラデルフィア連銀総裁
By Michael S. Derby
2025年1月10日午前 1:25 GMT+9
『[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は9日、連邦準備理事会(FRB)は利下げを継続すると引き続き予想していると述べた。ただ、経済見通しを巡る不確実性が高まる中、直ちに利下げを実施する必要はないとの考えを示した。』(上記URL先より)
まあ12月FOMC後のSEPでのドットプロットと今回の議事要旨で4人の地区連銀総裁が12月利下げに反対していたし、うち3人は「金融市場がヒャッハーしているとインフレ抑制の阻害要因」とかぶっこんでいた訳でして、総じて地区連銀総裁の方が利下げ慎重というか寝転がり派として作用するでしょうなあ、という感じですな。
でまあちょっとこの辺りでいろんな人の講演を、と言いたいところなのですが年末年始来イマイチ(実は今100くらい)そこらへんの読み込みができておりませんですので、心を入れ替えて追いついていきたいという所存であります。
2025/01/09
お題「12月FOMC議事要旨は要するに「しばらく利下げしないもんねー」ですわな」
えらいこっちゃ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250108/k10014687361000.html
トランプ氏 グリーンランドめぐり“デンマークに高い関税も”
2025年1月8日 19時45分
グリーンランド領有希望⇒冬戦争
パナマ運河領有希望⇒スエズ動乱
・・・・・20世紀に逆戻りですかそうですか、ってかいきなりプーチン越えをしてくるのさすがに耄碌してるんじゃねえのかこのジジイは
〇12月FOMC議事要旨を毎度の速成手抜き読みで鑑賞してみます
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20241218.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
December 17-18, 2024
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors
on Tuesday, December 17, 2024, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday,
December 18, 2024, at 9:00 a.m.1
いつものように『Participants' Views on Current Conditions and the Economic
Outlook』の金融政策運営にかかわる部分(すなわち後ろの方)から読んでまいりますね。こちらの部分は全部で12パラグラフあるのですが、うち10〜12の3パラが金融政策運営にかかわる部分になりますのでそちらから参ります。
・今回の金融政策決定、の中で政策金利据え置き派から「金融環境」への言及があったのは味わいある
まずは10パラ。
『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants
generally noted that inflation had made progress toward the Committee's
objective but remained somewhat elevated. Participants also observed that
recent indicators suggested that economic activity had continued to expand
at a solid pace, labor market conditions had generally eased since earlier
in the year, and the unemployment rate had moved up but remained low.』
今回のFOMCの金融政策決定は、というパラは最初の部分が「全体観としての認識」を示して居まして、これは声明文1パラの表現と基本的に同じことを書いているものなのであまり気にしないでどこまでが声明文の箇所だったっけと流しながら読むのが手抜き読みのコツですw
よってここから気合入れて読むのですが、
『The vast majority of participants viewed it as appropriate to lower the
target range for the federal funds rate by 25 basis points to 4-1/4 to
4-1/2 percent.』
このFOMCでは利下げが行われましたが、
『They assessed that such a further lowering of the target range for the
policy rate would help maintain the strength in the economy and the labor
market while continuing to enable further progress on inflation.』
禅問答みたいな話をしていますが、「利下げによって経済や労働市場の強さを助けながら今後のインフレの動向に対応できる」という話をしています。まあ記事とかでご案内の通り今回はインフレの部分が一番重要になるとは思うのですが、ゆうて政策の話でどういう扱いになっているのかは見ておくということで、いつものパティーンで読んでおります。
『A majority of participants noted that their judgments about this meeting's
appropriate policy action had been finely balanced.』
多数の参加者は今回の決定は大変によくバランスしていると。
『Some participants stated that there was merit in keeping the target range
for the federal funds rate unchanged.』
これはFOMCの時にも反対ありましたし、SEPのドットチャート見ると利下げした会合なのに本年12月末のドットを「今回据え置き」で置いたのが当時投票権のあるハマックさん含め4人いた、ということで既にご案内のことですが、数名の参加者は「政策金利据え置きのメリット」を主張しましてその背景は、
『These participants suggested that the risk of persistently elevated inflation
had increased in recent months, and several of these participants stressed
the need for monetary policy to help foster financial conditions that would
be consistent with inflation returning sustainably to 2 percent.』
前半は「ここ数か月にインフレが高止まりするリスクが高まっているから」ということでこれはまあそういう罠という話なんですが、この後半部分が結構面白くて、「政策金利据え置きを主張する人のうち数名(これ多分4人中3人だと思います、1名ならワンだし2名ならアカップルオブになるはずだから)はこう言いました」ということで言ってるのが、「the
need for monetary policy to help foster financial conditions that would
be consistent with inflation returning sustainably to 2 percent.」とファイナンシャルコンディションを持ち出しているのが結構「おおおおお」と思いました。
これすなわち何を言ってるかといいますと、この3名は「利下げヒャッハー浮かれポンチ相場を金融市場がやっているとインフレ高止まりリスクを高めるからダメ」という話をしている訳でして、この観点で直球を投げて来る意見がここで出てくるとはあんまり思っていなかった(そもそも金融環境を説明のぽいんとで持ってきているFED高官っていなかったと思うので)ので、ここはひとつのメッセージとして考えるお話かなと。
でまあ議事要旨作っている時間帯には長期金利上昇ってのも起きている訳でして、それを踏まえてもこの意見をどどーんと掲載してきている、というのは、まあFEDが露骨にそう言いたい意思があるのかはもちろんアタクシの想像の世界になるのですが、アタクシ思いまするに直近の米国長期金利上昇に関して別に特段の遺憾の意を持っているわけではなく、少なくとも一部にはそもそも昨年末にかけての利下げヒャッハー金融市場に不快感を持っていた向きがあった、というのをわざわざ見せに来ていると解釈しましたので、ここに一つのメッセージを感じました、個人の感想ですけど。
でもってこのパラの最後は資産買入でしてこれはいつものようにあっさり味。
『Participants judged that it was appropriate to continue the process of
reducing the Federal Reserve's securities holdings.』
引き続き同じようにランオフを継続しますよと。
・先行き政策部分は「しばらく利下げはしませんよ〜」と強めに出していますね
第11パラグラフ。
『In discussing the outlook for monetary policy, participants indicated
that the Committee was at or near the point at which it would be appropriate
to slow the pace of policy easing.』
既にSEPのドットプロットで露骨に示されていましたのでここの書き出し自体は特にサプライズではないですけれども、のっけから露骨に金融政策の引き締め縮小のペースを落とすのが適切とぶっこみまして、
『They also indicated that if the data came in about as expected, with
inflation continuing to move down sustainably to 2 percent and the economy
remaining near maximum employment, it would be appropriate to continue
to move gradually toward a more neutral stance of policy over time.』
とはいえ従来の見通し通りに物価が落ち着きつつ完全雇用に近い状態が継続すれば今後も引き締めの縮小をしていって中立に向かっていきますよと。
『Some participants observed that, with the target range for the federal
funds rate having been lowered a total of 100 basis points with this meeting's
decision, the policy rate was now significantly closer to its neutral value
than when the Committee commenced policy easing in September.』
これは前回の議事要旨でも話題になっていた中立金利との関係の話で、「ピークから今回含めて100bpの利下げをしたんですがそろそろ中立水準に近いんじゃないでしょうか」というのが数名から来てて、じゃあもう利下げせんのかよって突っ込みたくなりますがまあそういうのがあります。
『In addition, many participants suggested that a variety of factors underlined
the need for a careful approach to monetary policy decisions over coming
quarters.』
しかも多くの参加者が、「the need for a careful approach to monetary policy
decisions over coming quarters」ということなので、今後「数四半期」のタイムラインで「ケアフルアプローチが必要」という指摘をしたというのが続いておりまして、なんかもう「しばらく利下げする気ないもんねー」というのを思いっきりメッセージとして出していますわな。
『These factors included recent elevated inflation readings, the continuing
strength of spending, reduced downside risks to the outlook for the labor
market and economic activity, and increased upside risks to the outlook
for inflation.』
その要因は最近のインフレの上振れ、消費の強さの継続、労働市場や経済のダウンサイドリスクが減ったこと、今後のインフレのアップサイドリスクの拡大がありますと。
『A substantial majority of participants observed that, at the current
juncture, with its policy stance still meaningfully restrictive, the Committee
was well positioned to take time to assess the evolving outlook for economic
activity and inflation, including the economy's responses to the Committee's
earlier policy actions.』
かなりの多数の参加者(なんのこっちゃ)は現状の政策スタンスは依然として「meaningfully
restrictive」であり、今後の展開次第での対応が可能であると考えている、だそうな。
『Participants noted that monetary policy decisions were not on a preset
course and were conditional on the evolution of the economy, the economic
outlook, and the balance of risks.』
まあ最後の「事前に何か決めているわけではないよ」はいつも通りですが、この先行き説明の部分は「当面利下げはしませんがな」というのを強く出している感じですね。
・先行きリスクのところではこれでもかとばかりに「物価が高止まりする場合のリスク」の話をしていますね
第12パラグラフ。
『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook
for monetary policy, the vast majority of participants agreed that risks
to achieving the Committee's employment and inflation goals remained roughly
in balance.』
先行きリスクは上下おおむねバランス、
『Many participants observed that the current high degree of uncertainty
made it appropriate for the Committee to take a gradual approach as it
moved toward a neutral policy stance.』
不確実性が高いので中立スタンスに持っていくには緩やかなアプローチが適切、
『Participants noted that although inflation was on course to return sustainably
to 2 percent over the next few years and the Committee was determined to
restore and maintain price stability, the likelihood that elevated inflation
could be more persistent had increased.』
と来てからの「物価が高止まりするリスクが以前よりも強くなっている」キタコレ。
『Most participants remarked that, with the stance of monetary policy now
significantly less restrictive, the Committee could take a careful approach
in considering adjustments to the stance of monetary policy.』
しつこく「a careful approach」の話が出てくるのですが、その背景に、「(利下げしたんだから)以前よりも引き締め度合いが下がっている」というのも入っていますね。
『Many participants noted that the Committee could hold the policy rate
at a restrictive level, or ease policy more slowly, if inflation remained
elevated, and several remarked that policy easing could take place more
rapidly if labor market conditions deteriorated, economic activity faltered,
or inflation returned to 2 percent more quickly than anticipated.』
いや何回繰り返してますねんという感じですが、「今後もインフレが高止まりした場合は今の引き締め的な政策金利のレベルを維持するか、引き下げるにしてももっとゆっくりにするか、というアプローチをするのがよろし」と多くの参加者が言ってます、ってのがあって、これでもかとばかりに「利下げを慎重にやりますし何ならやらないかもしれません」というのをアピりにアピっている、というのが中々メッセージ性のお強い物件になっているなと思いました。
・インフレに関する先行き見通しでも「物価の高止まり」の話になりますわな
ここでさすがに今回は手抜きと言えどもインフレの部分を読まないと、と思うので第2パラと第3パラもチェックしておきます。
2パラ。
『In their discussion of inflation developments, participants noted that
although inflation had eased substantially from its peak in 2022, it remained
somewhat elevated.』
まあこの辺はおなじみの話ですが、
『Participants commented that the overall pace of disinflation had slowed
over 2024 and that some recent monthly price readings had been higher than
anticipated. Nevertheless, most remarked that disinflationary progress
continued to be apparent across a broad range of core goods and services
prices.』
2024年の物価鎮静化のペースは予想よりも早かったですね、財とサービスの双方に置いて幅広く、ということで最初の方は「今年はインフレ鎮静化しましたなあ」というお話で、以下ああだこうだと続く。
『Notably, some participants observed that in the core goods and market-based
core services categories, excluding housing, prices were increasing at
rates close to those seen during earlier periods of price stability. Many
participants noted that the slowing in these components of inflation corroborated
reports received from their business contacts that firms were more reluctant
to increase prices, as consumers appeared to be more price sensitive and
were increasingly seeking discounts. With respect to core services prices,
a majority of participants remarked that increases in some components had
exceeded expectations over recent months; many noted, however, that the
increases were concentrated largely in non-market-based price categories
and that price movements in such categories typically have not provided
reliable signals about resource pressures or the future trajectory of inflation.
Most participants also remarked that increases in housing services prices
remained somewhat elevated, though they continued to slow gradually, as
the pace of rent increases for new tenants continued to moderate and would
eventually be reflected further in housing services prices.』
手抜き間溢れる一気引用ですがw、まあこの辺はこういう財とかこういうサービスとかの価格においてどうなったというような話で各コンポーネントの話をしているので、一つ一つ見ていくのは面白いのですが、まあこれ自体で次の政策インプリケーションになるような物価の話かというとそうでもないのでこのパラはこれで流しまして次の「見通し」に行く。
3パラ。
『With regard to the outlook for inflation, participants expected that
inflation would continue to move toward 2 percent, although they noted
that recent higher-than-expected readings on inflation, and the effects
of potential changes in trade and immigration policy, suggested that the
process could take longer than previously anticipated.』
ということで先行き見通しのパラグラフですが、まあ案の定さっきの政策のところで散々言われていた「今後物価が高止まりしてしまうリスク」というのが冒頭にぶち込まれていまして、足許での物価が想定よりも強めに推移している上に、今後の関税と移民政策の推移によっては物価が高止まりしてその期間が長くなる可能性がありますよね、と早速来ておりますし、冒頭のところなのでこれは普通に「委員会の総意」でありますわな。
『Several observed that the disinflationary process may have stalled temporarily
or noted the risk that it could. A couple of participants judged that positive
sentiment in financial markets and momentum in economic activity could
continue to put upward pressure on inflation. All participants judged that
uncertainty about the scope, timing, and economic effects of potential
changes in policies affecting foreign trade and immigration was elevated.』
でもって参加者の意見の中にさっきあったファイナンシャルコンディションの話もありますね(逆順読みしているからこっちが本来先なんですけど)。
『Reflecting that uncertainty, participants took varied approaches in accounting for these effects.』
これらの不確実性に関して・・・・・
『A number of participants indicated that they incorporated placeholder
assumptions to one degree or another into their projections. Other participants
indicated that they did not incorporate such assumptions, and a few participants
did not indicate whether they incorporated such assumptions.』
SEPの方に加味している人もいればいない人もいますよ、という話でこのパラは終っていますが、まあ物価に関しては思いっきり上振れリスクの不確実性を高めているという説明になっていました。
という所で今朝は勘弁。
2025/01/08
お題「3M新発短国の落札レート前回(12/20)比10bp上昇とな/日銀バランスシート云々のレポートから(その3)」
ありゃま
https://jp.reuters.com/markets/bonds/us/
米国債利回り
米国債5年 利回り
US5YT=XX +4.460 +0.039
米国債10年 利回り
US10YT=XX +4.679 +0.063
米国債30年 利回り
US30YT=XX +4.913 +0.075
〇年始一発目の3M短国がかなり真っ当なレートになってきた件について
10年国債の入札とかございましたがやはりこっちですわな。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250107.htm
国庫短期証券(第1278回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1278回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1278回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年1月8日
4.償還期限 令和7年4月7日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆651億円
(2)募入決定額 3兆4,336億9,000万円
(3)募入最低価格 99円94銭0厘0毛
(募入最高利回り) (0.2462%)
(4)募入最低価格における案分比率 85.2252%
(5)募入平均価格 99円94銭6厘9毛
(募入平均利回り) (0.2178%)』
・・・・・・!!!
ということで新発3Mちゃんですが、0.2178%/0.2462%とかいうよくよく考えたらこれで足元GC並みなのでタームプレミアムとか利上げ観測とかどこですねんというレートではあるのですが、ご案内の通り特にこの3か月間は飛んでもない利回りで推移していました訳でして、年末越えたら急にこれってなんのこっちゃねんという感じではあるのですが、なんと20bp台に乗るわ足切りは24.6bpになるわということで見たこともないレートに、って本来25に利上げした時点でこうなってないとおかしいんですけれども、なんかもう謎の好需給が延々と続いていたのでまあビックリの金利上昇です(水準そのものはここまで上がっても「でもって利上げ観測は何処??」レベルですけどwwwwwwww)。
今回から一応1回3000億円の増発になっているのですが、その前に散々減らされているのでこれでもまあ少ないわなという感じの筈なんですが、なんか急に需給良くなっているのって、可能性としては(1)長期債買わないで短国に資金を逃がして金利上昇を待っていた人たちの中で誰か短国外して長期債にでも買いをした(2)黒田末期にぶっこんだ2年共担の期落ちが来るので担保繰りのニーズが減った(3)そもそも1月償還の3Mってもともとがクソみたいな低利回りで入札されているので持ってる人が限定的でその人たちのロールがないと新発プライマリーで行く人が少ない、とか何とか妄想はできるんですけれども、どういう風の吹き回しですかこれはという感じではありまする。
まあもともとが「過大需要で価格が無駄に釣りあがっていた債券」なので過大需要のどこかに変化が無いと中々こうはなってくれないのですが、短国ちゃんに関しては今日は無いですけど明日が6Mで金曜にまた3Mがありますので、こちらの入札動向も注目されるところではなかろうかという感じではありますな。
なお昨日の引けですけれども、売参ちゃんによりますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/7引値)
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.230
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.23
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.245←昨日の新発
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.245
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.245←金曜の3M新発WI
(1/6引値)
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.220
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.220
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.205
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.190
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.190
ということで、入札結果を受けて何か順イールドっぽい利回り形成になっていまして、年末越えのプレミアム(まあ冷静に考えてみると今年の年度末の末初は平日なので1日ですから1週間のロングウィークエンドの年末越えとは全然話が違うんですよね)とかそういうものもなく、なんか債券の利回りみたいな値付けになっておりまして甚だめでたい。
まあそうは言いましても、絶対水準的にまともな利回りになってきますと(とか言ってるが1月利上げを食らうとあっという間に話が別になってしまいますので念のため申し添えます)やっと実需の方も手が出てくるんじゃないかとか思ったり思わなかったりしますが、CPとかそっちの方は割とがっつり利上げを織り込みに行っている筈なので、そこから見ると足元GC並みに上がったのは立派立派と思いますけれども、利上げをビタイチ織り込んでいないというのは、円債市場ちゃんの足元での雰囲気とは大差なのでまあそこをどう見るかって話になってきますな。
何せアレです。たぶん円債市場的にはここまで来ると1月利上げか3月利上げか、というよりもその後今年ちゃんと利上げのおかわりがあるのかという話が重要で、なんだか知らんけど足元では年後半に向けてもう一発利上げ来て足元75bp来るんじゃねえのみたいな感じになりますと、まあ1月3月ってどうでもよくなる話なんでしょうけれども、短期の場合は2週間後に利上げになるのと10週間後に利上げになるのでは雲泥の差になるので、その辺の読み筋自体が短国市場のレートからだとまだ読みにくい感が大有りでして、もっと短国のレート形成が「市場の予想する政策金利の足し算」になってくれると、市場自体もおもしろくなるとおもうんですが、まあ年初一発目のこの結果はそういう「正常化」への期待をちょっと持たせてくれる結果でしたので、何か今年生きる気力が涌いてきましたwww
しかしまあ何ですな、今回の短国ですけれども、金利水準がそんな訳で大幅上昇(なんせ12/20の3M(償還3/31)の結果は0.1255%/0.1453%ですから10bpも金利上昇)したのにも関わらず応札が8兆円カツカツの水準まで下がっていまして、単純に正月一発目でしかも営業日の関係上皆さんクッソタイトで短国じっくりアウトライトしている場合じゃなかっただけなのかも知れませんけれども、応札がずーっと少ないまま、というのはナンデジャロと思いながら見ておりました。
短期ってもともと相対の世界で個別性が強いので中々「これ」みたいな公示レートが無くてアレではございますが、一応参考になりそうな東京レポ―レート見ますと、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/12/30 0.244 0.245 0.223 0.223 0.224 0.235 0.325 0.397 0.494
2025/1/6 0.246 0.245 0.226 0.229 0.232 0.241 0.326 0.397 0.494
2025/1/7 0.243 0.250 0.231 0.233 0.234 0.246 0.325 0.397 0.494
昨日もこのレートを貼っておりましたのでだんだら割愛して引用しましたが、特に足元の短国レート上昇と関係なく推移している所を見ますと、別に短期(のオープン系)市場の中の人たちが突然金利観を変えた、という訳ではなさそうに見えますので、単純に今回の動きは需給関係によるもので、単純にタイミングの問題で買いが来なかっただけなのか、それともこれまでクソ過大需要だった需要要因に何らかの変化が起きたのかは、明日以降の入札推移を見ないと判断ムツカシイですな。知らんけど。
〇昨日で完結と思ってましたがご指摘ご議論などを受けて日銀財務のペーパーネタのおまけをば
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j15.pdf
日本銀行の財務と先行きの試算
企画局企画調整課
2024-J-15
2024 年 12 月
・「シミュレーション」にストレスシナリオが無いわ作成過程がブラックボックスだわwwwww
最後に『先行きの収益・自己資本に関する試算』ってのがあるのですが、日銀の場合はこういうときに破局シナリオの話は死んでもしないというのが仕様になっているので(金融機関にはストレステストだの何だのさせるのに)どうせ結論先にありきじゃろ、ということで昨日はまあ時間もなかったし終わりで良いかなと思ったのですが、突っ込み不足にもほどがあるというツッコミも頂いたりしましたので試算に対する愚考をしてみましょうの巻、というのが今朝のネタです(^^)。
『以上のようなメカニズムを踏まえ、以下では、先行き 10 年程度の期間について、日本銀行の収益や自己資本に関する試算4を行う。試算の結果は、既に説明したように、将来の金利パスやバランスシートの規模などの前提をどう置くかによって、大きく異なることになる。』
でもって次が笑いどころなんですが、
『また、仮定であるとしても、日本銀行の今後の金融政策運営を示唆するものと受け止められる可能性もある。』
wwwwwwww
『このため、今回、日本銀行では、市場参加者へのヒアリング5を実施し、試算を行う仮定として妥当と考えられる前提について、以下を設定することとした6。』
でもってこのヒアリングとやらですが脚注を見ますと、
『5 主要な銀行、証券会社などに対してヒアリングを実施し、その結果をもとにした。』
どう見てもブラックボックスです本当にありがとうございましたというか、普通シナリオって標準とストレスとって形で置くもんでしょと思いますが、以下の部分で分かりますように、きわめて生温いシナリオしか設定されていないというのが味わいがあるのですが、これはまあ別の角度から大規模量的金融緩和の副作用を考えるヒントになる、と読み取るのがよろしいんじゃないか、というのはまあネタを割ってしまえば読者様の識者様からのご指摘によるものなんですけど(滝汗)、成程と思ったのでそのあたりを軸に以下紙芝居を鑑賞しましょうず。
・ヌルヌルのヌルとしか言いようが無い生温い前提ですねえ
『(前提)』ってのを見ますとですね、
『@ 短期金利・長期金利の推移
短期金利については OIS 市場7におけるインプライドフォワードレート、長期金利については国債のイールドカーブから算出されるインプライドフォワードレート(市場金利が織り込む金利見通し)のとおり推移すると仮定する。』
まずこの時点で「物価目標達成シナリオになっていない」という恐ろしい前提になっているのがお分かりになろうかと存じます。どの時点でこの計算しているか知らんけど、10年金利が1%行くか行かないか、というような状況の市場金利を是として作成しているんですから。
でまあそれだけだとさすがに素人衆からも「おかしくねえか」とツッコミが来るので、
『また、市場金利が織り込む金利見通しに加え、(a)短期金利は、今後数年程度をかけて
1.0%〜2.0%となり、(b)その際の長短スプレッドは、+0.25%P〜+0.75%P
となると仮定した場合の試算値のレンジも合わせて示すこととする8。』
というストレスでも何でもなくて、単に物価目標をヌルヌルと達成していく、というだけのシナリオですが、それをぶっこんでいるわけですね。
でですね、この前提がクッソヌルイ、というツッコミをするのは簡単なのですが、それだけではなく考察(ただの愚考)をするというのがまあ大事なんですがその前に前提その2も見てみましょう。
『A バランスシートの規模やその推移
バランスシートについては、試算の便宜上、本年 7 月に決定された長期国債買入れの減額計画のとおり
2026 年 1-3 月にかけて国債の月間買入れ額を月 3 兆円程度まで減額し、同年
4 月以降は当該買入れ額から不変と仮定する(図表 9、10 参照)9。』
何という事でしょう、金融政策が正常化に向かうというのになぜか長期国債買入は月額3兆円とかいう大金融緩和状態を継続するとか仰せです!!!!
『また、今後の取扱い方針を公表している資産はその方針に沿って変動し、その他の資産は不変と仮定する。』
・・・・・ということでですね、まあ結論は申すまでもなく「まあ大丈夫ですわ」になるんですけれども、そもそもの前提が相当に強引なのが分かりますわな、
・この前提しか置けないことが意味するのは「QQE+YCC+マイナス金利の大いなる副作用」なんだよな〜
上記の「前提」ですが、これって総じて言ってしまえば「インフレは上振れしないし、為替市場での自国通貨の大きな減価もおきないし、その間に金融引き締めのようなことは一切不要で時間をかけてゆっくりと世の中が推移していく」というのが前提になっている訳ですよ。
然るに、昨日も申し上げましたが、物価が上振れる(というか現に上振れているんだが)とか、為替市場での自国通貨の減価が進む(現に進んでいるんだが)とかいうようなことが本当に起きないのか、というと全然そんなことは無いし、寧ろ日本の最大の埋設地雷ってこの点ですよね、というお話な訳ですよ。
為替市場で自国通貨の減価が進む中でヌルヌル金融緩和モードの長期国債買入なんぞ継続してられるのか、欧米みたいな物価上昇になった時には金融引き締めで一気に短期政策金利の引き上げをする必要が起きないのか、とかそういう事態に関するシミュレーションが出せるようなバランスシートの状況ではない、というのがこのヌルヌル試算が裏側から示しているところ、と考えますと話が分かりやすいかと存じますが(←この辺り受け売りです汗)、今の日銀のバランスシートってのは「放っておいてもインフレや円安が加速しないような状況に恵まれないと上手くエクジットできない」という状況になっている、ってのがこのシミュレーションで裏側からですけど如実に示されている物、ということで理解すると中々味わいがある上に背筋も凍る、という事かと存じます、というのはあくまでも個人の感想ですが、まあそんな次第でございます。
・ついでにおまけでヤマケンさん貼っておきますね
https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2025/01/04/post2742/
緩和効果は過大評価の可能性
〜日銀「多角的レビュー」を読む(1/2)
2025.01.04
https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2025/01/06/post2759/
金融政策はなぜビハインド・ザ・カーブが続くのか
〜日銀「多角的レビュー」を読む(2/2、完)
2025.01.06
2025/01/07
お題「なんか初手から相場わちゃわちゃ動いたのでメモ/日銀バランスシートがどうしたこうしたの続き」
ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-06/SPOCJRDWLU6800
FRBのバー氏、銀行監督担当副議長を退任へ−任期全う方針一転
Katanga Johnson
2025年1月7日 1:10 JST 更新日時 2025年1月7日 4:45 JST
→今年2月末で退任、FRB理事としての職務は継続へ
→銀行資本規制、大幅強化案で中心的役割−業界が猛反発しロビー攻勢
『米連邦準備制度理事会(FRB)のマイケル・バー氏は、銀行監督担当副議長の職を退く。FRBが6日に発表した。後任が早期に決まる場合を除いて、同氏は2月28日付でこの職を降りる予定。FRB理事としての職務は続ける意向だという。』(上記URL先より)
〇年始早々しらっと金利上昇したので記念メモとか植田さんの発言メモとか
・年初いきなり金利上昇更新とかMPMの時の金利低下は何だったのかと小一時間w
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/TJCKRPLQJFLU3DQRV6543RAJ44-2025-01-06/
国債先物は反落、米金利高や入札前調整で 長期金利13年半ぶり高水準
By ロイター編集
2025年1月6日午後 3:43 GMT+9
『[東京 6日 ロイター] - 6日の東京円債市場で、国債先物中心限月3月限は、前営業日比31銭安の141円59銭と大幅反落して取引を終えた。アジア時間の取引で米金利が上昇したことや入札前の調整の動きが売り材料となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.125%と、2011年7月以来13年半ぶりの高水準をつけた。』(上記URL先より、以下同様)
でまあ今日の10年は新発債で出てくるから償還が伸びるので償還マジックで更に見た目の金利は上昇するとな。
『きょうの国債先物は、米10年国債利回りがアジア時間序盤の取引で一時4.63%台へと急ピッチで上昇したことに加えて、10年利付国債入札を明日に控えた調整の動きやヘッジ売りが相場を圧迫し、1日を通じて売り優勢の展開が続いた。』
結局米国に引っ張られているだけ(年末からこの方ずっとそうですけど)ではあるのですが、米国が今年は利下げモードってのが無くなる(大幅に軽減される)というのとインフレ的な政策が来るってのとですとまあ政策金利が0.25%のままでいるのがムツカシイというのはそりゃまあありますよねということですが。
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比2.5bp上昇の0.625%、5年債は同4.5bp上昇の0.780%、20年債は同3.0bp上昇の1.915%、30年債は同2.5bp上昇の2.305%、40年債は同4.0bp上昇の2.660%。』
ということでですな、昨日は中期弱いわって感じでして、ってまあ5年がそもそも2回利上げしたら逆ザヤになる金利で良いのか問題というのを考えたらそらそうよという気もするのですけれども、需給とかも含めて何となく強かった5年もやっと金利上昇していますなというお話なんですけど、これ福井総裁時代の量的緩和解除ってあったんですけど、その前にまあ普通に先行き金利上がりまっせの示唆が出ていた時代って最初は超長期が崩れた(そらまあ超長期がその前にどフラットしたんだから反動が来るのは当然)のですけれども、一旦戻った後の売りでは中期がバシバシと売られたってのがございまして、いやまあ普通の利上げ局面だと中期が直撃を食らうんですけれども、ここまでって後ろは売られども中期って妙に粘り強い(まあ理由は日銀が何のかんの言って利上げをすぐに渋りだすからなんでしょうけど)というのがあったので、これはこれで自然ちゃあ自然なのかもしれませんなあとは思いましたが40年債ェ・・・・・・
まあ年初初日なだけに良くわからんですけどね。
・年末要因剥落で短国の気配が甘くなっておりますな
いつものやつ
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(12/26引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.110
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.110
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.139
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.139
(12/27引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.110
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.110
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.140
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.180
(12/30引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.180
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.180
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.180
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.204
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.180
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.180
(1/6引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.230
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.230
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.230
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.230
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.185
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.185
ということでダラダラと年末年始の流れを貼ってみましたが、年末越え要因が剥落したところでまあ見事に特に短いところの金利が上昇していまして、この間の東京レポレートちゃんって
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1Y
2024/12/26 0.241 0.238 0.201 0.206 0.214 0.223 0.323 0.396 0.492
2024/12/27 0.241 0.239 0.223 0.218 0.218 0.230 0.324 0.396 0.492
2024/12/30 0.244 0.245 0.223 0.223 0.224 0.235 0.325 0.397 0.494
2025/1/6 0.246 0.245 0.226 0.229 0.232 0.241 0.326 0.397 0.494
ということで特に気配が大きく動いていないということで。これはもう単純に短国需給の問題というお話(実際には年末年始とか取引少ないからどのくらいの動きを反映しているのかイマイチよくわからん面はあるけど)でして、1月償還って10月に入札の行われた3Mになるんですが、この時ってとにかく金利がアホみたいに低かった時期で、海外投資家などに嵌ってしまって出てこなくて入札は強いわ流通玉は無いわ、ということでずーっとクッソ強い状態になっていたのですが、年末越要因剥落したので気配を一気に甘くしてきましたな。まあ現実問題としてこの辺のゾーンに流通玉があるのかはよくわからんのでこのレートで買えるのかは知らんけど、売りにこられても買いが無いってのはそうでしょうなあ(ワンチャン1月利上げにしたって短いところは決定会合前の資金一時待避所にしようにも間もなく償還になってしまうので待避所にならない)というお話なのかなとは思いました。知らんけど。
・植田総裁がなんか仰せだったようですが
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB179100X11C24A2000000/
植田日銀総裁「今年も経済・物価改善続けば利上げ」
金融政策
2025年1月6日 12:31
『日銀の植田和男総裁は6日、全国銀行協会の賀詞交歓会で挨拶し、「2025年も経済物価情勢の改善が続いていくのであれば政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」と語った。具体的な利上げの時期は「今後の経済・物価や金融情勢次第」としたうえで「様々なリスク要因を注視する必要がある」と説明した。』(上記URL先より、以下同様)
ということでこちらはヘッドラインにもなっていましたのでご案内かとは思いますが。
『20日に米大統領に就任するトランプ氏の経済政策については「不確実性は大きい状況だ」と話し、慎重に見極めていく姿勢を見せた。』
どう見ても1月利上げ否定です本当にありがとうございましたorzorz
『日銀は23日、24日に金融政策決定会合を控えている。米国の経済情勢や国内の春季労使交渉(春闘)の動きなどを踏まえて「データやその他の情報を精緻に分析し、経済・物価見通しを作成する」と述べた。そのうえで「金融政策決定会合での政策判断の基本材料にする」と言及した。』
でまあ記事の方は終り(珍しく全部読める物件)なのですが、基本材料にする(キリッ)とかイキって見ましても、結局のところ「不確実性ガー」で逃げてしまいますので、ここから市場に追い込まれる以外の可能性では1月は無いんでしょうけれども、まあこれ3月だと皆さん思っているから金利が上がっている訳でして、ハトハトチキン音頭が1月会合で炸裂されると話がややこしいことになるので勘弁して欲しいもんです。
まあ何ですな、観客席で見ている方としましては「利上げを先送りする理由がない状況なのに何で先送りするの」と思ってしまうので毎度毎度利上げ観測が出ては事前観測報道が出てわ謎の関係者コメントが出てわ、というので右往左往しますけれども、アタクシつらつら思いまするに、植田日銀って発想が観客席のワシらとは根本的に逆でして、「利上げをせざるを得ない理由があれば利上げをするけれども、そうじゃないなら利上げを先送りするのが得策」というのを行動の基本原理にしている、と思えばこの人たちの言ってる話も理解はできる(納得はしないけど)というもんじゃないのかねとは思いまする。
利上げをせざるを得ない理由は様々あるはずなんですけれども、まあやっぱり今のところは為替円安で物価、ではなくてベンチの方から「おどりゃええかげんにせんかい」と監督やコーチが飛んでやってくる、というイベントが発生とかそっちになってしまうのが悲しいですけれども、まあ円安は最早誰でも思いつく話ですので、今年は「それ以外」に「利上げをせざるを得なくなり理由」が出てくるのか、というのがポイントの一つになるんじゃないかと思います。
だいたいからして「2025年も経済物価情勢の改善が続いていくのであれば政策金利を引き上げ」っていってるんですけれども、経済は知らんが物価情勢のどこがどう「これ以上改善」しようがあるのかという話でして、皆さんも年末に正月食材買いに行って店頭で野菜の価格見て死にそうになったと思いますが、まあ生鮮の季節物特別価格モードはさておいても、諸色値上がりの折、物価情勢の改善とか何寝言を言ってるんだかよくわからんのですが、ギロッポン夜の帝王様のような高貴なお方はスーパーで買い物かご持って値札見て卒倒するような生活はされておられないのでこういうのまるで分からんのだろうなあとは思うし、経済だってこのクソ物価のせいで消費頭打ちじゃろというのは有るわけでして、物価高に関して日銀ってあまりにも無頓着すぎる情報発信をしていて、まあなんだかんだ言って今まではずっとスルーされてきましたけれども、そろそろこっちの方(ある意味本筋)から「利上げせざるを得ない情勢」がやってくるのかもしれないなあ、とは思ったり思わなかったり(個人の妄想です)。
まあどうなるのやらという感じですが、「追い詰められないのであれば今の政策を継続していても別に問題ないじゃろ」というスタンスはここもとの会見やら講演やら主な意見やらに結構色濃く出ているようにアタクシには読めてしまう一方で、観客席の方は「利上げを先送りする理由が無くなったら当然利上げするじゃろ」と思っている節があるので、まあアタクシが植田日銀の基本スタンスを読み間違えているのであればそれはそれで結果としては良い事になるのですが、そうじゃないとなると面倒な気もしますな、うんうん。
〇日銀バランスシートのペーパーから少々の続き
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j15.pdf
日本銀行の財務と先行きの試算
企画局企画調整課
2024-J-15
2024 年 12 月
・政策金利引き上げに伴いポートフォリオに逆ザヤが発生するとは書かない辺りが大本営クオリティ
バランスシートによる収益とか損失とかの説明部分は今回は面倒なのでとばして考察部分をツッコむ感じで参りますが、『大規模金融緩和の実施・終了に伴う収益の振幅メカニズム
』ってところの小見出しが、
(中央銀行のバランスシート・収益の特徴等)→まあこれは一般的な説明
(バランスシート拡大局面における収益増加)→これは緩和時の話なのでまあそうですね、って話
と来るのですが、その次が
(バランスシート縮小局面における収益減少)
となっていますな。
『日本銀行では、本年 3 月に金融政策の枠組みの見直しを行い、7 月には政策金利の引き上げと長期国債買入れの減額計画を決定した。このように、バランスシートを縮小し、政策金利を引き上げる局面では、付利金利の引き上げによる支払利息の増加により、収益が下押しされることとなる(図表
4)。』
>収益が下押しされることとなる
>収益が下押しされることとなる
>収益が下押しされることとなる
逆ザヤと書かないのが泣ける。
『こうした特徴を踏まえ、日本銀行では、大規模な金融緩和の実施と終了に伴う収益の振幅を平準化し、財務の健全性を確保する観点から、2015
年に債券取引損失引当金を拡充2するなど、自己資本の充実に努めてきている(図表
5、6)。』
よくよく考えてみたら「別に赤字になるから問題が起こるのではない」という主張をするなら自己資本の充実につとめなくても良い訳で、この辺の歯切れの悪さが、「実は財務の健全性は大事」ということを意味していると思いますよねw
『なお、市場金利が上昇すれば保有国債の時価は下落する。しかし、日本銀行は、保有国債について、一部の例外を除いて売却を行っていないという保有実態も踏まえ、米国連邦準備制度(FRB)や欧州中央銀行(ECB)と同様に、償却原価法を採用している。』
ということで時価でやられる件について言い訳をしているのですが、保有国債の時価下落ってのは要するに市場金利対比クッソ低い金利の国債をもってフィックスしている訳で、その国債が発行銀行券などの無コスト負債と見合っている分には問題は無くても、付利している日銀当座預金見合いでもっている場合は期間損益が赤になる形で出てきますよね、という件に関しては、
『このため、国債の時価下落によって評価損が生じたとしても、満期到来を待たずに保有国債を売却することがなければ、期間損益に直接影響を与えることはない。売却をしない限り実現することのない評価損益と期間損益は異なるものである(図表
7)。』
という話をして期間損益の赤字の話に関して文章の方では書いていない、というのがどうせそんなこと書くとメディアが大々的にネタにするからやべえので寸止めにしている、という大本営しぐさを感じさせて大変に詫び錆び(意図的誤字ww)のある世界でございます。
・そもそも「償還再投資を続けられる」という前提が「平時」の前提なんですよね〜
でもってこの次の小見出しが、
(その後の回復)
ってなっていますが、
『前述のとおり、バランスシートの縮小局面に入ってしばらくの間は、付利金利の引き上げによる支払利息の増加により、収益が下押しされることとなる。』
なお、この後に「一時的な赤字」というのがあるけどその前にこのような説明がありまして、
『もっとも、その後は、当座預金(超過準備)が減少するにつれて支払利息は減少する。さらに、保有国債が利回りの高い国債に順次入れ替わっていくため、受取利息が増加することが見込まれる。』
ということなのですが、そもそも論として何で償還再投資を続ける前提になっているのかという話でして、バランスシートの縮小を急速に行わなければいけないような状況に陥った場合に償還再投資どころか保有国債の売却だってあり得る話だし、だいたいからして償還再投資の際に何で長期債を買う必要があるのかという話だし(中央銀行の財務改善のためにより利回りの高い長期債を購入するのは本末転倒にもほどがある話)、まずこの前提部分がペテンなのですが、これはこういうペテンを言っておかないと出口に置いて真っ当な政策金利水準になった際、あるいはもっとインフレが問題になるような状況になった際の日銀財務のシミュレーションが飛んでもないものになってしまうから、こういうペテンを言わざるを得ない、というのがまあ実際のところではなかろうか、と弊駄文では愚考するわけでございますwwwwwwww
『こうした過程で、一時的に赤字が発生する可能性はあるが、その場合でも、通常、いずれは収益が回復していく。』
ということで話を強引にまとめて、あとはケースシナリオの話になっていますが、「通貨防衛のために大幅引き締めの実施」とか「インフレ目標達成後にさらにインフレになって金融引き締めが必要になった時」とかそういう話は一切しない(今のバランスシートでそれシミュレーションしたらただの地獄の一丁目になるからできない)という図になっております。
と考えますと、マジのマジで物価目標達成する気があるんだったら、その後って経済物価情勢によっては「金融引き締め」が必要になる局面だって出てくるわけで、その際の引き締め政策の発動の邪魔になるクソデカバランスシートはとっととどうにかしろ、という結論に本来はなるはずなんですよね。いやマジで・・・・
2025/01/06
お題「謹賀新年なので新春雑談と日銀財務に関するペーパーから(その1)」
ということで2025年がやってまいりましたが、当方暇なら更新するとか大口叩いておりましたけれども、見事な寝正月になってしまいまして新年早々反省しながら仕事始めを迎えておるという甚だ遺憾な昭和100年の始まりなのでしたorzorz
〇年初なので何となく金融政策妄想雑談から
・結局ドル円は飛ぶことなく年始休みを抜けやがりましたか
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 157.17 JPY
変化 -0.11
変化% -0.07%
2025年1月6日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
うーん火力が足りん火力がという感じでして、とにかく今月は再来週の末に金融政策決定会合がありますので、日銀のケツに火が点くためには年初早々ドル円160円を伺う勢い、とかになってほしかったのですが、これですと日銀のケツに火が点かないので1月利上げはどこに、というお話になってしまいまして極めて遺憾にもほどがある展開ではあります。
まあ年末にネタにしました12月会合主な意見、「慎重に考えるのが常識的」という割と飛んでもない意見を2発目に持ってきているという時点で1月利上げ観測を叩き潰しに行っていますので、とにかく手っ取り早く日銀のケツに火を点ける方法が円安しかない(というか他に考えられない)ので、円安行かないとうだうだして4月くらいまで引っ張りに掛かる可能性も大有り(というか4月パスすると今度は選挙の時間帯になってしまう)とかいう展開になるんですけれども、たぶん日銀は円安に飛ばない限りシランガナのスタンスを続けるんじゃないかな、というのが今年の初手での予想(妄想)になります。
・ところで12月主な意見の「2番目」は誰なんでしょという新春雑談
先週月曜日(要するに納会の日)に12月主な意見の話をしましたが、とにかくあの主な意見は「金融政策運営」の2番目に置かれた意見がアタクシ的には衝撃的だったんですよね。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241219.pdf
『・利上げ判断の焦点は、国内面では、賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外では米国の経済と政策運営、そのもとでの金融資本市場の動向である。これらについては、賃金という面では春季労使交渉に向けた動きを、米国という面では新政権発足を確認していくのが常識的である。』
この「常識的である」という締め文言に関して、先週アタクシはこの部分に関して(この意見自体がアホじゃろとかそういう悪態も言いましたが)こんな事を申し上げた訳ですよ。
(先週月曜に書いた駄文から)これを2発目に持ってくる時点で今回の主な意見の構成って「1月利上げするわけねえだろこの馬鹿どもが」と市場に向かって宣告しているのと同じですのであって、確かに後の方には利上げを検討みたい話が田村さん以外にもあるにはあったのですが、それは単なる「私言いましたよね」スキーム(ここまで引用)
てなことを書きましたが、これ書きましたところその後「そもそもこの「1月利上げとかいう輩は非常識」と言わんばかりの強硬見解って誰ですねん」というのでちょっと盛り上がったりしたんですね。でもってこれが誰でしょうと考察するのもこれまた今回の主な意見の読みの中で面白ポイントになるかと思いましたので、遠い記憶(おいおい)を辿って書いておきますと、こんな読み筋になります。
基本的には主な意見の構成って1発目は声明文に出てきそうな表現、すなわち大本営というか総裁辺りが自我を出さないで書いた文章になるんですが、2発目あたりもそんな感じになることが多いんですよね。従って「主な意見」の各項目って最初の1つは確実にそうですけれども、まあ2つ目とか3つ目くらいまで大本営、すなわち正副総裁の意見が並ぶことが多い訳ですよ。
と考えますとさっきの「1月利上げとか言ってる輩は非常識」と田村委員にマッコウクジラで喧嘩を吹っ掛けているのは内田さんか、という話になるのですが、内田さんが書いたにしては文章の格調というか品性というか、なんかこう品がないんですよね、特に最後の「常識的である」とかいう決めつけ文言。
でまあこの手の決めつけとかレッテル貼りとかが得意で、ついでに格調が低くて品位がアレ、ということになりますと、ほらほら皆さん想像できるじゃありませんか、「(カタカナ3文字伏字)派」とかいう一派がいますことを。
とまあそういう訳で、納会とかいってもただの月末四半期末だし何なら末初オーバーナイトが1週間とかいう状況の中、ああだこうだと推論をしておった訳ですが、これはまあ一番当てはまるの野口審議委員じゃねえのというのが推計大会の結果になった次第。まあ当たるも八卦当たらぬも八卦ですが、如何にも野口先生が言い出しそうな感じの調子だなと思う訳ですな。
・・・・・・となりますと、それはそれでインパクトというのがあって、普通「主な意見」の最初の方って前述のように大本営ちっくな意見を並べて、その後に左右というかタカハトというか強弱というかの意見を並べていく、という感じの構成に作っていることが多い(経済情勢の部分だとテーマごとに意見が羅列されるので強弱入り乱れますが)訳でして、その中で野口委員というリフレ派残党の意見をいきなりの2番目に持ってくる、というのも編集としては結構思い切った感じになっていまして、これ書いたのが野口さんだとしますと(というか野口さんだと思ってますがアタクシ)、「政策バイアスの強い(政策調整に反対というバイアスの強い)人の意見を敢えてぶちこんだ」ということになりますので、月曜日に書いた「「1月利上げするわけねえだろこの馬鹿どもが」と市場に向かって宣告しているのと同じ、というアタクシの愚見を裏付けするんじゃないのかね、とまあ思った次第なので新春雑談がてらこちらに記載させていただいた次第でありまする。
やはり円安しか(日銀に)勝たんということですか(正月早々ため息)。
〇世の中(金融市場じゃないところ)的にやや話題になっていたので日銀財務云々の件
年末前にこんなのが出ておりましたが
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j15.htm
日本銀行の財務と先行きの試算
2024年12月26日
企画局企画調整課
・こちらのペーパーは「部局で出しているレポート」になります
アタクシは性格が悪いのでまずこれを見たときに「書いているスタッフ名が無くて「企画局企画調整課」名義で出ている」というのに注目するわけですね。
で、注目した後何を見ますかと言いますと、上記HTMLのご紹介ページの最後の文言を見るのですよ。
『日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行企画局企画調整課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。』
でまあこの最後の部分を見て「いつもと違う」と秒で気が付く人は野良日銀ヲチャーのお仲間入りということでめでたい訳ですな。じゃあちなみに普段はどうかと言いますと例えば、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j14.htm
大規模言語モデルを用いた新たなテキスト分析の取組み
― 最近の賃金・物価動向に関する分析への応用 ―
2024年12月25日
調査統計局 井澤公彦*、亀井郁夫、柴田菜緒、高橋悠輔、米山俊一
*現・大阪支店
の最後は、
『日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行調査統計局経済調査課マクロモデルグループ(代表
03-3279-1111)までお知らせ下さい。』(この部分だけ直上URL先の12/25日銀レビュー紹介文より引用)
ということで、いつもの「これは個人の見解です」がなくて、つまりは企画局企画調整課が課として出しました、って建付けなので、決定会合の議決は経ていないにしましても、日銀としての見解を示したものである、というのはまあそういう事やぞというお話ですので、その分だけ通常のペーパーよりも重いものになっている、ということに成ろうかと存じます。
・・・・・というのを踏まえて少々見物するのですが、さっきのHTMLのところの紹介文を引用しますと、
『要旨
日本銀行では、中央銀行の財務と金融政策運営に関する考え方について、人々の幅広い理解を得ていくことが重要との考えから、金融政策運営が中央銀行の財務に影響するメカニズムについて、様々な情報発信を行ってきた。』
黒ちゃん時代は「それは別に問題ないですが」で全部切り捨てていたような気がしますがw
『本稿では、こうしたメカニズムについて改めて整理したうえで、この間の金融政策の枠組みの見直しや政策金利の引き上げ等の金融政策運営面の変更を踏まえ、市場参加者へのヒアリングに基づき、一定の仮定のもと、先行きの日本銀行の収益・自己資本に関する試算を行った。』
市場参加者に何のヒアリングするんだ・・・・・
『その結果、市場金利が織り込む金利見通しを前提とした場合には、財務面での負の影響は限定的となる一方、より厳しい仮定を置いた場合には、一定の財務リスクがあることが確認された。日本銀行としては、今回の試算結果も踏まえつつ、引き続き財務の健全性確保に努めていく方針である。』
という結論ですな。
・このネタの元は「多角的レビュー第1回WS」ですね
一昨年の話になるのか・・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/bpr231206a.htm
金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第1回「非伝統的金融政策の効果と副作用」
2023年12月6日
日本銀行
この中の『第3セッション:日本銀行のバランスシート』で公表された資料
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr231206c.pdf
中央銀行の財務と金融政策運営
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ(第1回)
―― 第3セッション 日本銀行のバランスシート ――
2023年12月4日
日本銀行 企画局
ここで示された見解は、必ずしも日本銀行の公式見解を示すものではありません。
の焼き直しというかアップデート版なのですが、この時の資料は引用した紙芝居の表紙に「ここで示された見解は、必ずしも日本銀行の公式見解を示すものではありません。」ってヘッジ文言があったのですが、今回は紹介文、本編共にその文言が無いということになっているので、その点では今回の方が強化バージョンであることが示されているかと思います。
とは言いましても元ネタが多角的レビュー第1回WSなので、その時と同じ突っ込みになるんですけれども・・・・・
・図表のインチキ成分が少し緩和されていますなwwwwwwww
以下本編の方から引用していきますが、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j15.pdf
日本銀行の財務と先行きの試算
企画局企画調整課
2024-J-15
2024 年 12 月
『大規模金融緩和の実施・終了に伴う収益の振幅メカニズム』って小見出しの辺りから。
【図表 1】日本銀行のバランスシート。ってのがあるんですけれども、これを見ますと、淡々とバランスシートの規模が書いてあるんですよね。でまあこの図表何ですけど、WSの資料を見ますと、スライド7枚目『(2)中央銀行のバランスシートと収益の基本的構造』に(図表3)中央銀行のバランスシートと収益構造、ってのがありまして、これと比較しますと味わいがあります。
と申しますのは、WSの図表の方では資産サイド(=長期国債と短期オペ)に「利息収入あり」、負債サイド(=銀行券と日銀当座預金と法定準備預金)「利息支払なし」というのがあって、それ自体は付利が無い時代のシニョリッジの説明なのでインチキではないのですが、2023年12月時点で「いやそれマイナス金利解除して利上げ始めたら話が違うだろ」という図になっていて、もちろんその後で説明はあるのですけれども、なんかこう「日銀の財務はマイナス金利を解除しても安全です」というのを強調したいという下心満載の図になっていたんですよね(ちなみにその次のスライドで今回の本編の図表1と同じのが出てくる)。
さらにちょっと笑ったのは、その先の【図表 4】逆ざやのメカニズム。
今回ってこの部分もWS資料よりはちゃんとした図になっていまして、WSのですとスライド10枚目の『(4)バランスシート縮小局面の財務構造の変化』ってところなんですけど、ここに(図表6)利上げ時の逆ざやのイメージ、ってのがあって、まあ今回の図表4と同じような説明になっているんですよね。
でもってこの図表、前回のWSの時はバランスシートの図の書き方が恣意的で、「所要準備(法定準備預金)+銀行券+(日銀の)自己資本」の部分がなぜか「日銀当座預金」よりも大きいような図になっていまして、結果として負債・資本の部の「無利子」の方が「有利子」よりも大きい面積を占める、という2023年の時点での現実から見たらインチキにも程がある図になっていたんですよね。
でもって今回ですけれども、確かアタクシこのWSの資料が出たときにこの点で思いっきり悪態ついたのが聞こえたのかもしれませんが、今回の図表4では「有利子」の面積の方が「無利子」の面積よりも有意に大きくなっているので、少しはマシになった感はあります。明らかにWSのは「日銀の財務はマイナス金利を解除しても安全です」というのを強調したい下心があふれ出すぎてキモイ状態になっていましたのですが、ちょっとはマシに。
・・・・とは言いましても実際の額から見たら面積比全然おかしいんですけれどもwwwwwwwwwwwwwww
などと書いているうちに時間の方が残り少なくなってまいりましたので続きは明日以降に参りたいとは思います。新年とか言ってるけど連休明けの月初で四半期頭ですから生業の方が忙しい訳でして(滝汗)。
それでは今年もよろしくお願いします(平伏)。