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2025/01/31
お題「ECBは景気悪化を前面に/SC落ち着いてきた気がするがGC末初ェ・・・/氷見野副総裁講演(その1)」
ヘッドライン見たときに紛争地域とかの話だと思って内容読み返してビビりました・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN303JP0Q5A130C2000000/
米旅客機と軍ヘリが空中衝突 首都近郊「生存見込めず」
北米
2025年1月30日 12:19 (2025年1月30日 22:52更新)
〇とりあえずECBはポンチ絵確認で勘弁
今回(URL長いのでハイパーリンクは途中の文字列までに貼ります)
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2025/html/mopo_statement_explained_january.en.html
前回(同上)
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_december.en.html
・追加利下げの理由をシンプルというか雑というかに
『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(今回)
『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(前回12月)
ってのは連続利下げなので同じなのはさておきまして、
『We are doing this because inflation is developing broadly as we expected
and is on track to settle at around our 2% target.』(今回)
『We did this because inflation is coming close to our 2% target and the
economy is weakening. Our future decisions will depend on how we see the
economy and inflation developing.』(前回12月)
今回はインフレが2%に向けてオントラック、だけで済ませていますな。
・経済の認識を「一応回復はしてるんだけどなあ」から「弱いっす」に降参モード
次のポンチ絵ですが今回の白眉、
『The economy is weak』(今回)
『The economy is recovering more slowly than we expected』(前回12月)
ド直球キタコレということで、経済は弱いんじゃ利下げするぞ利下げ、ってなもんですな。
『Manufacturers are producing fewer goods. And there are risks, like greater
barriers to trade, that make the outlook more uncertain. Services are doing
better. Over time, the economy should grow more strongly again.』(今回)
『People are not buying as many goods and services. Firms are also holding
back investments. Some industries find it difficult to compete with the
rest of the world. But over time, the economy should get stronger.』(前回12月)
一応先行きになりますとまた復活しますでしょうという話になっていますが、今回は「there
are risks, like greater barriers to trade, that make the outlook more uncertain.」とトラ公のリスクも含めて先行き不透明感を高めていますし、ポンチ絵の方も今回の方がなんかアカン感じになっています。
・ 将来不安で消費が伸びなくなるお話も
『People are still not spending yet』(今回)
『Wages are going up, but by less than before』(前回12月)
『Many people have more money in their pockets because their pay has gone
up. But they are not yet confident enough about the future and are cautious
about their spending.』(今回)
『Many people are in work and new jobs are still being created. But firms are posting fewer vacancies.』(前回12月)
おちんぎんが上がっているので懐は豊かなんですが先行き懸念であまり消費が伸びませんなあという話を今回はぶちこんできていまして、これまたなんだか暗いお話。絵柄はそこまで暗くはないのですが、前回対比だと明るさに欠ける感じですね。
で、今回はスタッフ見通しの無い会合なので記載内容が違ってくるのでポンチ絵が一個多くなりまして、
『The job market remains strong
Unemployment is around the lowest it has been since the start of the euro,
although firms are advertising fewer job vacancies.』(今回)
というここだけは威勢の良い話になります。雇用環境は強いと。
・インフレはフラフラとしていて中々説明にお困りのようで
『Inflation is, overall, on its way down』(今回)
『Inflation is gradually on its way down』(前回12月)
『Prices have gone up a bit faster over the past few months, including
for energy. But in the course of the year, inflation is expected to settle
around our 2% target.』(今回)
『Some services are still getting more expensive, as a late response to
the high inflation of the past. In the coming months inflation may go up
and down a bit. But overall, we expect it to soon settle at around our
2% target.』(前回12月)
2%に向けて紙飛行機が飛んでいく先行きの軌道、ってポンチ絵は同じなのですが、足許で物価が強くなったりもするので、見通し軌道みたいなのが、ちょっと上がってその後2%に向けて巡行で下がっていく、という絵になっていますが、今回足元で上振れになったもんだからその「ちょっと上がって」の山を気持ちちょっと高くしている絵になっているのが芸が細かいと思いました。どこかの中央銀行と違って一応継続性を意識しているようで何よりですね。
とまあそういう訳で会見とかそっちの方は全部かっ飛ばしますが、今回は「景気が弱いがね」で押していった感じですかね、全然読んでないから知らんけど。
〇月末月初のGCがまた低下しているんだがこれは月末だからのGC要因なのかSCアイヤーの余波なのか問題
最近大注目の東京レポレートちゃん
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/24 0.232 0.399 0.402 0.412 0.417 0.423 0.446 0.466 0.548
2025/1/27 0.090 0.240 0.300 0.342 0.380 0.412 0.436 0.468 0.550
2025/1/28 0.056 0.073 0.198 0.286 0.339 0.380 0.428 0.468 0.550
2025/1/29 0.208 0.348 0.355 0.373 0.394 0.409 0.438 0.470 0.550
2025/1/30 0.293 0.147 0.276 0.343 0.382 0.403 0.436 0.472 0.550
T+0のGCONは順調に上昇してきたのですが、末初取引になるGCTNがいきなりの低下になりまして、SCは後述のように補完供給の実行額も順調に減って来てポジションが解れてきた感が漂うのですけれども、末初GCが急に低下とはこれ如何にというお話。
まあそういえば一時期月末月初だけGCの資金調達サイドが引いてしまって結果として期末でも四半期末でもない末初取引のGCレートがクソ低下する、という事案が昨年あったわけですが、まーたそのパティーンが復活したのかよってお話でして、まあこの手の事案があるたびに申し上げるからクソうるせえと言われそうですが、レポ市場そのものの参加者層の薄さ、多様性の無さに起因する脆弱性というのが明らかになってきている訳ですな。
でまあ国債流通のベースになる部分のレポ市場が参加者の多様性の乏しさによってなんかの拍子でワンウェイになってしまうとこの有様、ということになるのではどこまで行っても国債市場の脆弱性に繋がるのですが、とは言っても今更昔みたいな無担貸し債の時代に戻るわけにもいかん(無理でしょ)しと思います。
でまあ今回の場合はたぶんSC発なんですけど、SCに関して言えばそもそも論として日銀がアホみたいに買い占めをしているのも碌なもんじゃない訳で、バンバン減額措置をおこなって市中に国債放出して流通玉を増やせやというお話でもありますな。
ところで補完供給
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250130.htm
落札結果 (1月30日<木>)
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 7,273 7,273 0.050 0.050
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分) 0 0
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
利付国(2年)第458回(1億円)、460回(119)、
利付国(5年)149回(174)、152回(226)、156回(441)、159回(6)、
利付国(10年)342回(118)、347回(22)、352回(65)、359回(394)、361回(1,462)、362回(1,154)、363回(462)、364回(300)、365回(564)、366回(1,119)、
利付国(20年)76回(3)、97回(12)、113回(482)、184回(39)、
利付国(30年)39回(10)、52回(4)、79回(2)、
利付国(40年)7回(26)、8回(10)、12回(47)、
利付国(物価10年)29回(11)です。』
物国って悪目立ちするから29回がまた戻ってる、とか見てしまいますがそれはさておきまして、やっぱり10年債って日銀が持ってるのが多いせいか補完供給出ますよねってなもんですし、額減ったし銘柄数も減りましたが、まあ一目多いわなというのは変わらんという所で困ったもんですが、金額的に言えばだいぶマシになってきた訳でして、月跨いだら状況もうちょっと良くなることを期待したいですね。
ちなみに今日はGW明けに足が来る3Mの入札がありますが、とりあえず4月(今年は2日目が5/1ですが)利上げとかいう可能性無いわけでもないとは思うのですが、ゆうてこの程度のテナーならあんまり関係ないですかしらねえという所ではあります。
〇氷見野副総裁の講演は非常に分かりやすい説明で「ここからも普通に政策調整でっせ」というお話をしています
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250130a1.pdf
金利のある世界
一橋大学政策フォーラム「金利のある世界」における講演
日本銀行副総裁 氷見野 良三
2025年1月30日
まあこちら読みまして「本当に頭のいい人の説明ってすげええええええええええ」と思いました(小学生並みの感想)。頭悪いのに頭が良いと思っている身の程知らずのアホウほど持って回ったわけ分からん言い方して頭よさそうに見せようとするんですよねーーーーと書いてたら何か頭がクラクラしてきましたがどうしてでしょうかwwwwwwwwwwwwwwwworzorz
まあそれはさておきwww
・説明は平明ですな
『2.どのような「金利のある世界」を目指すのか?』という小見出しから繰り出される文章の平明さかつ説得力の高さよ、ということで日銀は何故ここまで氷見野さんをもっと前面に出さなかったのかと思います。いやマジで今まで何の宝の持ち腐れしてたのよ・・・・・・
とべた褒めしながら本文に参りますが。
『第一は、どのような「金利のある世界」を目指すのか、それをどうやって実現するのか、という問題です。』
はい。
『「金利のある世界」と「金利のない世界」の違いは、単に金利のありなしだけではありません。また「金利のある世界」の姿にもいろいろなものが考えられます。何が原因となって、どういうスピードで金利のある世界に移行するのかについても、さまざまなパターンがありえます。』
然り。
『この問題を考える準備として、まず、政策金利の水準について、きわめて概念的ですが、整理を試みてみたいと思います(図表1)。まず、経済への影響が大きいのは名目政策金利から予想インフレ率を差し引いた実質政策金利の水準だといたしますと、中央銀行は実質政策金利が適切な水準となるように名目政策金利を設定している、と考えることができます。』
なるほど。
『適切な実質政策金利の水準は何かといえば、中立的な実質金利の水準である自然利子率を出発点に、それを、金融政策をどの程度緊縮的ないし緩和的に運営したいかの政策スタンスによって調整した水準、と考えられます。』
でもって、
『政策スタンスは、物価安定をマンデートとする中央銀行の場合、インフレ率が物価安定の目標に沿ったものとなるように定めることになります。』
ということでしらっと埋め込んでいるのですが、今般の展望レポートで色々と示されている論理展開やら、需給ギャップと物価の関係の話に示される説明などから見ますと、今回の利上げって単なる利上げではなくて、今まで色々と余計な要素をひっつけて(金融市場とか賃金とか)時にそこをフレームアップすることによって外部から見たら「政策反応関数がコロコロ変わる」という風になっていたスタンスから、本来あるべき物価に着目した金融政策に本家帰りをするムーブの兆候が見られていた訳ですけれども、この氷見野さんのしらっと埋め込んだ説明もその「物価重視姿勢」に言及しているのは中々味わいがあると思います。
『政策スタンスを具体的にどう判断するかには、いろいろ考え方がありうるところですが、一例としては、足元のインフレ率や中長期の予想インフレ率が目標とどの程度乖離しているかをみて、更に、その乖離が今後どう変化していくと見込まれるか、経済のスラックやボトルネックの状況、外的なショックの影響の持続性、さらには各種構造要因などをもとに考えて、それで判断する、というアプローチが考えられます。』
ほうほうほう。
『特に、予想インフレ率が2%にアンカーされている国では、アンカーが外れるリスクはどうか、アンカーされていない国では、2%にどうアンカーするか、が重要な視点になる、と思います。』
ただまあこういう話をしているので、結局のところ「予想インフレ率」という鉛筆舐め舐めが可能な概念での話をすることになるので、そういう意味では別にタカ派講演って感じにもならんわなとは思う訳です(まあ実際にそうでしたけど)、なぜなら・・・・・・
『これらの点を一言でいえば、「物価の基調に関する判断をもとに政策スタンスを定める」ということになろうと思います。』
といういつもの「物価の基調」というと何かスタティックなファクトベースの政策に見えますが、実はただの「お気持ち」で決まってしまう「物価の基調」を持ち出している辺りはうーんそれでは結局お気持ち金融政策になってしまうんだよなーと思いながらその先を読む。
・とは言えただの「お気持ち金融政策」にしないような心意気は伝わります
でもって続きましてこういう話になるのですが、
『以上、政策金利の水準に関する概念的な整理の一例を申し上げましたが、ここで言及した諸要素のうち、足元のインフレ率・名目政策金利・物価安定目標以外は、いずれも直接的には観察できません。予想インフレ率も、そのアンカーされ度合いも、自然利子率も、経済のスラックやボトルネックの状況も、外的ショックの影響の持続性も、各種構造要因も、さまざまな仮定を置いて、さまざまなデータを複雑に加工して推計ないし評価するしかないものです。』
ということは、
『したがって、こうした枠組みで考えることが本当に望ましい結果を招くのかどうか、あるいは、現実の政策運営がこうした枠組みに沿ったものとなっているかどうかを、現実のデータできちんと検証することは容易ではありません。』
と来まして、次の部分はまあ事実そうなんですがズバッとぶっこんでいるのは中々結構でして、
『また、実際に観察されるインフレ率と政策判断の間に多くの直接観察されない要素が介在するため、コミュニケーション手段としても分かりにくいものとなっていることは否定できないように思います』
コミュニケーションが分かりにくくなっている、というのを堂々とぶっこんでいる訳ですよ。氷見野さんの講演にしろ会見にしろ、その場ではほんわかした雰囲気でほんわかと聞いてしまう(と言ってもこの前の金懇会見の某ベンダーの中継でしか見たことないですけどアタクシ)のですが文章でみると端々に五寸釘が打ち込まれているなあと思う訳です。
しかもいわゆる政策ルールに関して、
『ただ、より単純な政策ルール、例えばテイラー・ルールにしても、自然利子率や需給ギャップといった直接観察できない要素が中核にあることにはかわりがありません。また、多くの中央銀行は単純なルールをそのまま適用するようなことはしていません。むしろ、概念的には何らかの形で以上の整理に類した枠組みを前提に議論がなされている場合が多いのではないかと思います。』
ということでして、これもまあ穿って読んでみれば、現在日本の金融政策の話になると10人中100人くらいが中立金利ガーとかターミナルレートガーとか言ってるわけですが、そもそもそんな単純なものではないので、そういう決め打ちで数字の話をするのはどうなのよ、と言われている気もします、まあ勝手な読み間違いのような気もしますが。
・米国の急激な引き締めは「インフレ期待のアンカーが怪しくなったから」という整理からの・・・・・
さらに続き。
『こうした整理を前提とすると、たとえば、2022 年に米国が一気に急激な金融引き締めを行い、「金利の高い世界」に突入したことについては、以下のように解釈することが可能ではないかと思います(図表2)。』
ほうほうそれでそれで?
『すなわち、予想インフレ率はもともと2%にアンカーされていた。しかし、資源価格の高騰などを受けた急激なインフレと、コロナからの経済の回復や財政出動に伴う需給のタイト化が起こった。そのため、将来的に中長期の予想インフレ率が2%より上方に乖離していくリスクが大きくなった。それで、政策スタンスを緊縮的にした、という解釈です。』
ほほう。
『実際、米国はこうした対応により、中長期の予想インフレ率のアンカーが外れるリスクをうまく封じ込めたと思います。』
からのジャパンですが、
『他方、日本で起こってきたことは、米国とは似て非なるものだったと思います。』
ほう。
『すなわち、予想インフレ率が2%をはっきり下回った状態から徐々に2%に近づいていき、経済のスラックも少しずつ縮小していく中で、政策スタンスも金融緩和度合いを少しずつ調整してきた、というプロセスだったといえると思います。』
なるほどですが、それ「インフレ期待の上昇が2%で都合よく止まる」というのって結構難しいんじゃないですかって気がしますよね、米国だってまあ例のメイクアップストラテジーとかの呪縛もあったにせよ、結局のところインフレ期待の動向なんて直接見えないんだから、その結果としておそらくはインフレ期待の不安定化という事象に対して打つ手がビハインドした結果として急速な引き締めを行い、まあそれで何とか出来た、というお話なんですから、ジャパンの場合はインフレ期待上げるのは良いんですけど、インフレ期待って多分慣性がありそうで、動き出すと都合よく止められないので、実は米国よりもさらに難しいことになるかもしれない、って辺りの考察も欲しかったですが、まあそういうのはビハインドのリスクを従来より指摘している田村抜刀斎にお任せして今度の金懇を楽しみにしたいと思います(思わぬとばっちり)。
・理想像通りに行くんですかねえ(疑わしい目)
さらに話は続きまして、
『こちらの方向での理想像を考えてみますと、企業が投資や研究開発に取り組み、勤労者もスキルを積み重ね、経済が成長し、成長の果実が賃金や企業収益となり、それが消費や投資に繋がっていく、という成長と分配の好循環が進み、緩やかな物価上昇が定着していく中で、自然な形でゆっくりと「金利のある世界」に入っていく、という姿となろうかと思います。』
例えば企業収益って思いっきり株主の方に流れている気がしますし何ならそれって結構海外に流れてませんかねえ。まあそんな話はさておいて、こんな理想像になるのかね、という点について。
『こうした場合の「金利のある世界」は、金利があるというだけではなくて、成長のある世界、賃上げのある世界、一つひとつの商品の価格が凍り付いていない世界、積極的な投資が行われ、生産性も改善していく世界でもある、ということになろうかと思います。』
隙あらば財政クレクレの大合唱やってる国でこういう事になってくれるのでしょうか(絶望)。
『また、このように企業行動などに定着していた硬直性が解きほぐされることで、もしかすると自然利子率も少し上昇していくかもしれないとも思います。』
うーんこの願望論。
『経団連は「金利のある世界」に関して会員企業にアンケート調査を行い、その結果を昨年
12 月に公表しています(図表3)。それによれば、「金利のある世界」についてポジティブな印象を有する企業は約7割、ネガティブな印象を有する企業は約3割だったとのことです。』
ほほう。
『ポジティブと答えた企業が挙げた理由としては、「それが本来あるべき経済環境だから」とか「景気が良い状態を指すものだから」という答が多かったとのことです。また、「金利のある世界で企業に求められる経営は何か」という問いかけに対しては、「高付加価値商品・サービスの提供」との回答が突出して多かったとのことです。そうした回答をされた企業がイメージされている姿は、先ほど述べました理想像に近いのではないかと思います。』
『わたしどもが日本銀行で目指しているのもそうした姿ですし、これまでのところ、徐々にそのような姿に近づいていっているように思います。』
まあでも皆さん頭で思っていてもいざ金利上がると住宅ローン金利ガーじゃないですけど支払金利ガーとかそっちの話になってしまうのよね・・・・・・・
でもってこのコーナーの最後に、
『日本銀行は、先週の金融政策決定会合で、0.5%への利上げを決定いたしました(図表4)。利上げ後も実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりサポートしていくと考えております。また、今後については、先行きの経済・物価・金融情勢次第ですが、経済・物価について私どもが有している見通しが実現していくとすれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えております。』
これは大本営。
『良い道筋をたどれる可能性をできるだけ高くできるよう、適切な政策運営に努めて参りたいと考えております。ポジティブな「金利のある世界」にたどり着くためには、今後どのように歩んでいったらいいのか。気をつけるべき点は何か。金融政策としてはどうか。企業・家計・政府の取り組みの面ではどうか。これらが先生方のご意見をお聞きしたい一つ目の点です。』
ということでこのコーナーは終り。
・時間の都合でちょっと飛ばして(すいません)金利上昇の影響に関する興味深い説明に関して
次の『3.「実質金利のある世界」は来るのか?』がさらに面白いというか分かりやすいというか説得的なのですけれども、そっちはいったん飛ばして『4.バランスシートの変化の影響は?』がこれまた味わいのある話をしているのでそっちに参ります、3は後程また。
『第三は、かつての「名目金利があった時代」に比べると、企業や家計のバランスシートの姿は大きく変化しているが、そのことは今回の「名目金利のある世界」で生じることにどう影響するのだろうか、という疑問です。』
ほうほう。
『この点については、まず、日本より先行して金利を引き上げたアメリカの例を見てみたいと思います。IMF
が7月に公表した対米審査報告書に興味深い分析がありました4。』
へー。
『米国は 2022 年に金利を大きく引き上げたわけですが、その前のコロナ期に、米国の企業と家計は変動金利の借入れを固定金利に借り換え、低い借入れ金利をロックインしました。住宅ローンの
95%は低利の固定金利となり、社債の平均満期期間も長くなりました。』
へーへー。
『また、同じ時期に、企業も家計も満期の短い保有金融資産を増やしました。家計の持つ銀行預金やMMF
は GDP の3%分近くも増え、また、企業も GDP の2.3%分に相当する額の銀行預金や
MMF を更に持つようになりました。』
へーへーへー。
『その結果、過去の利上げ局面では企業の利払いがネットで増えたのに、今次利上げ局面ではむしろ3、4割かた減ったといいます(図表7)。また、家計も、自動車ローンやカードローンの利払いは増えたものの、全体としてみればネットの利払いの増加はわずかにとどまった、というのです。』
!!!!!!!!!
『もちろん、今後、借換えなどに伴って影響が遅れて表れてくる可能性はあると思いますが、IMF
によれば、企業と家計において「負債の長期固定金利化」と「保有短期金融資産の増加」というバランスシートの変化が進んだ結果、これまでのところ家計消費や設備投資に対する利上げの影響はずいぶん抑制された、
というのです。』
相変わらず「住宅ローン金利ガー」ばっかり言ってる日本のラベルの低さに絶望しますねえ・・・・・・・
『日本でも、企業や家計のバランスシートは大きく変化しています(図表8)。』
でジャパンの話。
『たとえば、企業セクターについていえば、無借金企業や実質無借金企業の比率が大幅に上昇しました。実質無借金企業の比率は、1999
年には 25%でしたが、2021 年には 46%に達しています。また、企業の変動金利借入の比率は低下し、借入期間は長期化しています。』
はい。
『家計の保有金融資産は、1990 年度には 1,000 兆円でしたが、足元では 2,200兆円と、この間に
1,200 兆円増加しています。他方、金融負債は、90 年度の340 兆円が足元では
390 兆円と、50 兆円の増加にとどまっています。なお、金融負債のうち、住宅ローンでは、米国とは異なり、変動金利型の比率が上昇しています。』
ということで、実はマクロ的に言えばそういうことやぞ、という話なのですが住宅ローンに関してはもう絶望的にしょうもないなあという感じですなwwwwwwwwwwww
『こうした変化の結果、日本でも、かつての「名目金利があった世界」と、今回の「名目金利のある世界」では、いろいろ違いが生じてくるのではないかと思います。』
という短い部分なのですが、これすなわち利上げが怪しからんとか言い出す連中へのカウンター(しかも別に喧嘩売ることもなく)アーギュメントとして出されたものでして、この説明がちゃっかり入っている辺りがまあそういうことですよねというお話。
しかしまあ何ですな、住宅ローン金利ガーの話ばっかりされるけど、社会厚生的に考えたら「これからの一次取得者が住宅買えるのか」って観点からの議論の方がよっぽど重要だろと思う訳で、金融緩和による資産価格上昇によって住宅の一次取得するこれからの若い衆が無茶なローン組まされるほうがアカンんのじゃないかって話がなぜか出てきませんよね、と思うのでした。
2025/01/30
お題「FOMC声明文は現状認識をバチクソ強くしましたな/レポ市場やや落ち着いたのかな?/議事録とか議事要旨とかのネタ頭出し」
日銀ネタも多い中でFOMCで成敗が追い付かないです・・・・・orz
〇寝起きでFOMC声明文:現状認識をバチクソ強くして利下げ一旦停止とな
冬は朝頭が起動するのに時間がかかってのう(経年劣化とか突っ込むのは却下^^)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250129a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241218a.htm(前回)
・第1パラグラフ:現状認識をバチクソ強くしていますなあ
まあ今回は最初のパラに尽きるんですけど。
『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace. 』(今回)
『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace. 』(前回12月)
いつものソリッドペースという総括判断は同じですが・・・・・・
『The unemployment rate has stabilized at a low level in recent months, and labor market conditions remain solid.』(今回)
『Since earlier in the year, labor market conditions have generally eased,
and the unemployment rate has moved up but remains low.』(前回12月)
労働市場に関しては「全般的に(タイトさが)緩和している」というのを抜きまして、さらに失業率に関しても「ここもと上がってきています、水準は低いんですけど」というのからド直球で「低い水準で安定している」ということになりましたし、とどめに「労働市場はソリッドです」と強い表現にしまして、ここの部分は前回対比バチクソ強い現状認識になっています。
『Inflation remains somewhat elevated.』(今回)
『Inflation has made progress toward the Committee's 2 percent objective but remains somewhat elevated.』(前回12月)
物価に関しては「2%目標達成に向けた進展が進んできております」という表現がこれまた抜かれまして、ド直球に「インフレは若干お高い状態を維持しています」になっていまして、これまた前回対比バチクソ強い認識。
まあ前回は利下げ、今回はステイなのだから現状認識が強くなるのは当たり前と言ってしまえば当たり前ではあるのですが、表現もシンプルにしてきまして、なんか「吹っ切れた」感が漂いますなこの声明文だけ見ますと。
・第2パラグラフ:とは言いましてもリスクバランスとか先行きの不確実性とかについては全文一致
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回12月)
これはいつものお祓い文言みたいなやつ。
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals are roughly in balance.
The economic outlook is uncertain, and the Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(今回)
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals are roughly in balance.
The economic outlook is uncertain, and the Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(前回12月)
でもってお祓いのあとの文言も全文一致でした。
・第3パラグラフ:先行きに向けて「政策の調整を行いまっせ」というのは同じですね&バランスシートのランオフは継続
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target
range for the federal funds rate at 4-1/4 to 4-1/2 percent.』(今回)
『In support of its goals, the Committee decided to lower the target range
for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 4-1/4 to 4-1/2 percent.』(前回12月)
今回は現状維持。
『In considering the extent and timing of additional adjustments to the
target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess
incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』(今回)
『In considering the extent and timing of additional adjustments to the
target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess
incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks.』(前回12月)
現状が引き締め的な金利なので当たり前っちゃあ当たり前ですが、「In considering
the extent and timing of additional adjustments」という文言は残していまして、まあこれを素直に受け取れば、今後状況が改善(というか2%に向けて物価上昇が鈍化すれば、ですけど)すれば政策スタンスを中立に戻しますよ、っていうのは変わらん、ということになるでしょう。実はアジャストメントには物価上振れ対応のアジャストメントもアリエールなんですが、それ言い出すと元の文言だってそうじゃんとはなりますけど。
まあこの文言いじるとそれこそエライコッチャになるので(明らかに中立近辺に下がったときなら変更可能)今はこのままなんでしょうな。
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities.』(今回)
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities.』(前回12月)
ランオフは変わらず。ちなみにディレクティブ見ますと数値も同じでした。
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(前回12月)
3パラの最後は2パラの頭にあったお祓い文言の対句ですな。
・第4パラグラフ:こちらも毎度の全文一致
めんどくさいから全文一気に引用しますが(手抜き)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(前回12月)
状況を総合的に判断して必要に応じて必要な措置をやっていくけえのう、といういつもの文言です。
・第5パラグラフ:まあ全員一致ですわな
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michael S. Barr; Michelle W. Bowman; Susan M.
Collins; Lisa D. Cook; Austan D. Goolsbee; Philip N. Jefferson; Adriana
D. Kugler; Alberto G. Musalem; Jeffrey R. Schmid; and Christopher J. Waller.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Philip N. Jefferson;
Adriana D. Kugler; and Christopher J. Waller.
Voting against the action was Beth M. Hammack, who preferred to maintain
the target range for the federal funds rate at 4-1/2 to 4-3/4 percent.』(前回12月)
今回はいつもの定例での投票メンバー入れ替えになっています。
・ディレクティブ:特段の変化は無かったと思います
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20250129a1.htm
Implementation Note issued January 29, 2025
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241218a1.htm
Implementation Note issued December 18, 2024
こちらは一々引用しませんが、各種オペレーション、常設ファシリティの金利水準、オペの応札限度額などに
関しては変化なく、償還再投資に関する額の表現も同じだったと思います(見間違えてたらゴメン)。
〇なおロンガーランストラテジーに関しては今回は全般見直しのため更新されないのかね
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
Meeting calendars, statements, and minutes (2020-2026)
こちらを見ますとわかりますが、1月は毎度ロンガーランゴールアンドストラテジーの確認とかいうのがあって、
去年だと、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240131b.htm
January 31, 2024
Federal Open Market Committee reaffirms its "Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy"
ってのがあるのですが、今回に関してはこれがなくて、オープニングリマークに目を泳がせてみたら、
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20250129.pdf
Transcript of Chair Powell’s Opening Statement
January 29, 2025
3ページ目の前半の辺りに、
『As we previously announced, our five-year review of our monetary policy
framework is taking place this year.』
から始まるパラグラフがありまして、
『At this meeting, the Committee began its discussions by reviewing the
context and outcomes of our previous review that concluded in 2020, as
well as the experiences of other central banks in conducting reviews.』
5年ごとの見直し時期ですわと。
『Our review will again include outreach and public events involving a
wide range of parties, including Fed Listens events around the country
and a research conference in May. Throughout this process, we will be open
to new ideas and critical feedback, and we will take on board lessons of
the last five years in determining our findings. We intend to wrap up the
review by late summer. 』
夏の終わり位にはまとめる、ということなので前みたいにジャクソンホールのタイミングで出してくることを予想。
『I would note that the Committee’s 2 percent longer-run inflation goal
will be retained and will not be a focus of the review』
2%目標というのは変えない、とのことですが、まあ明らかに変えるだろうと思うのは、「アベレージインフレーションターゲット」とか「メイクアップストラテジー」の辺りでして、その枠組みに引っ張られて引き締め着手が遅れてインフレの高騰を招いた、というのは衆目の一致するところでしょさすがに、と思いますので、まあこの辺りの全面見直しが行われると思いますし、そうなりますと当時黒ちゃんや雨宮さんが「メイクアップストラテジーはワシが育てた」とかクソ思いっきり自画自賛していたのが(ノ∀`)アチャーということになるのですが、まあどうせ黒ちゃんの事だから知らぬ存ぜぬということになるでしょうが、雨宮さん日銀総裁で戻って来た日には是非ご所感をお伺いしたいものだと存じますw
#でまあ本日はジャパンの方もネタありますので寝起きFOMCはこの辺で勘弁
〇レポ市場のあばばばばーはやや改善しましたかしら
毎度の東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/24 0.232 0.399 0.402 0.412 0.417 0.423 0.446 0.466 0.548
2025/1/27 0.090 0.240 0.300 0.342 0.380 0.412 0.436 0.468 0.550
2025/1/28 0.056 0.073 0.198 0.286 0.339 0.380 0.428 0.468 0.550
2025/1/29 0.208 0.348 0.355 0.373 0.394 0.409 0.438 0.470 0.550
いやーやっとGCTNが0.35%近辺まで戻りましたが、ゆうてコールよりも12も低いのどうなのよとは思いますけれども、7bpとかいう地獄の黙示録みたいなレートが解消されて何よりです。
でもってSLF
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250129.htm
落札結果 (1月29日<水>)
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 12,049 12,049 -0.150 -0.150
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分) 0 0
オペレートがクソ低いのはGCレポレート連動だからシャーナイのですが、それはそれとしまして額は1.2兆円までへりましたわな、と思いますが銘柄を見ますと、
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
利付国(2年)第458回(487億円)、465回(201)、
利付国(5年)149回(184)、152回(226)、153回(5)、156回(415)、157回(178)、158回(132)、159回(425)、161回(100)、165回(21)、
利付国(10年)342回(116)、348回(190)、349回(18)、351回(33)、352回(236)、355回(198)、359回(730)、361回(1,493)、362回(1,064)、363回(620)、364回(111)、365回(213)、366回(1,546)、367回(1,000)、368回(461)、371回(254)、374回(229)、
利付国(20年)76回(1)、119回(106)、121回(98)、164回(391)、175回(36)、184回(296)、
利付国(40年)1回(1)、7回(37)、11回(150)、
CT国債(5年)2回(47)です。』
ということで、銘柄数減ってる(脚注の一番最後にあるから目立つ物国29回もなくなりましたな)には減っていますが、ゆうて銘柄数は多いので、まだSC繋ぎ直せていないのかね転んでいるのか知らんですけれども、そういう向きはそこそこありますな、という感じではあるので、うーんこのとは思いますが、月曜火曜のようなゲロゲロマーライオンではなくなってきたのは大変に結構な傾向ですな。
〇決定会合議事録を見たらエライモンがフラッシュバックした件(ただのネタメモ)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2014/gjrk.htm
金融政策決定会合議事録等(2014年7月〜12月開催分)
2025年1月29日
日本銀行
本日、以下の資料を公表しました。
金融政策決定会合議事録等(2014年7月〜12月開催分)
まあ辺りまですけれどもQQE2とかいうのが行われた10月2回目の会合を見るわけですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2014/gjrk141031a.pdf
政策委員会・金融政策決定会合議事録
開催日時:2014年10月31日(9:00〜13:39)
最近は画像ファイルじゃなくてテキストデータをPDFにしたものが公開されているので必殺人力タイピングという驚異のクソ手間が省けてかなりありがたいのですが、この冒頭に『U.金融経済情勢に関する執行部報告』というのがありまして、山岡金融市場局長(当時)の報告があるのですけれども・・・・・・・・・
『山岡金融市場局長
本日お配りした「金融調節の運営実績」および「最近の金融・為替市場の動向」参考計表【追加】に基づいてご説明する。まず、図表1をご覧頂きたい。』
『金融市場局では、引き続きマネタリーベースを年間約 60〜70 兆円のペースで増加させる調節を行っている。この中で、(2)の短国金利はマイナスでの推移を続けている。』
あああああああああ
『これは、われわれが年末に向けて短国の買入れを増やそうとする中で、銀行の一部も年末の債券ポートフォリオの平均デュレーションを短くみせたいといった事情から、「どうしても短国が欲しい。ただ、年末にかけては日本銀行も大量に買ってくるだろうから、その前に前倒しに買っておこう」ということで、10
月の早い段階から短国が取り合いのような状況となり、レートがマイナス領域に低下したものである。』
ぐええええええええええ
『図表2の短期国債オペに際して、短国の需給逼迫を眺め、年末のバランスシートの
270 兆円への到達から逆算するペースから考えるとやや控えめの3兆円のオファーを
17 日に行ったところであるが、それでも倍率は0.87 倍と札割れとなった。』
以下状況説明が続くのですが、この時は兎に角短国のレートがクッソマイナスになって毎日ナンジャコリャということで悪態をつきまくっていた次第でございまして、このころのログはちゃんと整理している筈なので(ちょっとマイナス金利の辺りから過去ログの整理がちゃんとできていないので時間と余裕と体力と意欲のある時に成敗していきたいと思います)すが、まあ当時のあれがフラッシュバックしてきて昨日は朝っぱらから卒倒しそうになりましたとさ、ということでこの辺りの議事録は鑑賞する企画を考えておこうかと思います。
というかあれから10年かよorzorz
〇12月決定会合議事要旨に「常識的」が見当たらないのですがこれはどういうことでしょうか
総裁会見の前にこっちの件、と言っても今日は細かく成敗している暇がないのでメモというか頭出しだけです。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g241219.pdf
政策委員会
金融政策決定会合
議事要旨
(2024年12月18、19日開催分)
まあこの議事要旨のみどころはだいたい『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』でどういう帳尻プレイをしてくるのか、と思った訳ですが、帳尻プレイに関してはまた後日抜刀することとしまして、まずは例の「常識的である」を探すのが先決というものですwwwwwwwww
しつこいようですが念のため引用しますと12月会合主な意見の金融政策運営の2番目、という結構目立つ場所にこんなのがありましたわな。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241219.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 12 月 18、19 日開催分)
『・利上げ判断の焦点は、国内面では、賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外では米国の経済と政策運営、そのもとでの金融資本市場の動向である。これらについては、賃金という面では春季労使交渉に向けた動きを、米国という面では新政権発足を確認していくのが常識的である。』(この部分直上URL先の12月会合「主な意見」より)
結局次の会合とかいう物凄い早いタイミングで利上げ判断が行われたにもかかわらず、1月会合の利上げ判断がタイミングとして常識的ではないので反対、という反対意見が出ない、という驚愕の敵前逃亡プレイが炸裂した訳ですが、敵前逃亡のアニキ(だかアネキだかわかりませんがまあアネキではないでしょう)のご意見が議事要旨にどう反映されているのかというのを見たかったわけですよアタクシだけはなくて債券市場の多くの皆様がきっと見ようと思ったと思いますよね。
なのでまあ本件既報っちゃあ既報ですが、ゆうて後日の為にも残さないとと思いますけど。
URL再掲
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g241219.pdf
まずですね、「常識」でテキスト検索かけても何も引っかからない、という時点でもう怪しさ満載なわけですよwwwwwwwwwwwwww
でまあさっきの主な意見の文言と重なる「賃金では春季労使交渉に向けた動きを、米国では新政権発足を確認したいと述べた」というのがある部分がありますので、その部分を引用してみましょう。
『また、何人かの委員は、現時点では、物価の上振れリスク等は相応に抑制されており、利上げを急ぐ理由とはならないとの見解を示した。』
というのの続きになりますが、
『このうちの一人の委員は、輸入物価は落ち着いており、円キャリー取引が積み上がる状況でもないほか、内生的にも、この3年間の賃金の上昇は物価上昇に追い付いておらず、高めの賃上げが実現することが望まれる状況にあると指摘した。』
「高めの賃上げが実現することが望まれる状況」だったらなおさらの事今月に見切り発車する必要は無かったんじゃないでしょうかねえwwwwwwwwwwwwww
『更に、この委員は、利上げ判断の焦点は、国内面では、賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外では米国の経済と政策運営、そのもとでの金融資本市場の動向であると指摘したうえで、賃金では春季労使交渉に向けた動きを、米国では新政権発足を確認したいと述べた。』
「常識的」はどこに逝ったんだよ出てこいや「常識的」ガンガンガンガン(アスキーアート略)
・・・・・いやー何ですかねえ、主な意見で「常識的」って委員様がお書きになられたわけですから、そのご意見を尊重してちゃんと「常識的」っての入れて差し上げるもんじゃないですかねえ(−−;
まあ何ですな、これ「常識的云々を書かないとはこの議事要旨の記載内容は怪しからんので議事要旨の承認に反対」とか言って誰かが暴れたら(利上げ提案に対して非常識呼ばわりみたいな言われ方した田村抜刀斎は抜刀する権利があったと思いますが笑)面白かったのに、という感じですが、何ですかこれはと思いますので、アタクシは10年後の議事録を見るまでは絶対に元気で生き抜くという生き甲斐を見つけてしまいましたwwwwwwwww
ということでまあどっちも頭出しメモという事でこの辺り改めて明日以降に参りますね。
2025/01/29
お題「レポレートェ・・・・・/日銀審議委員に小枝先生ノミネート/櫻井元審議委員ロイターインタビューとな」
ほうほうそうですかそうですか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-28/SQSKMIT0G1KW00
DeepSeekに見る中国のAI戦略の脅威−豊富なIT人材と需要が強みに
Yuan Gao、Vlad Savov
2025年1月28日 23:13 JST
でまあ中国様が豊富な人材で開発能力が高いのは分かったんだが結局これが何なんだかさっぱり分からんアタクシはアホの子としか言いようが無いですかそうですかorzorz
〇レポ市場ェ・・・・・・・・
ということで東京レポレートちゃん
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/24 0.232 0.399 0.402 0.412 0.417 0.423 0.446 0.466 0.548
2025/1/27 0.090 0.240 0.300 0.342 0.380 0.412 0.436 0.468 0.550
2025/1/28 0.056 0.073 0.198 0.286 0.339 0.380 0.428 0.468 0.550
あらートモネも下がっちゃいましたねーという所でして、3mから先はほぼ変わらんのですが手前は足元がクソ下がってしまって2日目もこの有様となりますとそらまあ期中の金利の積分の手前の数字が変わってくるんですからシャーナシで金利低下ということで。
でもってSLFちゃんのほうですが、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250128.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 26,318 26,318 -0.050 -0.050
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分) 0 0
あらーGCのリファレンス下がっちゃったからオペレートも下がっちゃったのーってところですが、前日よりはマシとは言えこのレートでも2.6兆円の札が入るわけでして、
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は
,利付国(2年)第451(13億円),454(200),457(218),458(940),466(410)
,利付国(5年)149(295),150(209),151(574),152(226),153(100),155(189),156(436),157(444),159(332),160(75),162(141),163(13),165(11),166(361),171(40),172(20),173(99),174(2,053),
利付国(10年)342(208),347(123),348(330),351(71),352(191),355(703),357(965),358(660),359(2,281),360(681),361(1,948),362(1,205),363(1,077),364(257),365(980),366(257),367(1,013),370(332),371(545),372(541),373(150),
利付国(20年)92(27),98(55),113(582),119(109),120(4),121(281),122(139),123(3),124(126),125(70),132(150),135(33),138(166),140(78),161(6),163(149),164(86),169(5),170(19),171(300),172(236),174(203),176(3),177(3),178(4),184(862),
利付国(30年)17(143),43(7),54(85),62(5),64(75),76(41),79(82),
利付国(40年)7(53),12(97),
CT国債(5年)2(47),
利付国(物価10年)29(67)です。
・・・・・・銘柄数が相変わらずの多さで泣けてくるわけですが、まあ背景とかそういうのはよくわからんですけれども要するにSCレポが利上げ自体が本当の要因なのかはともかくとして、利上げのタイミングのところで締まってしまって、でまあその結果GCに波及するでござるの巻という風情だと理解してまして、と申しますのはしばらく前には月末要因っぽい要因で月末だけGCがクソ低下するという事があったのですが、あの時にはSC方面でSLF殺到とかそういうのは無かったので、まああれはGC要因だと思うのですが今回はSLFがこれですもんね、ということで。
しかしまあ何ですな、この手の事故だか事件だか分からんけどとんだ災難事案がレポ方面で発生するたびに申し上げておりますが、国際標準ガー的な皆様がお好きな話として、「レポ市場は国債担保の有担保取引なのだから信用リスクフリーであり、こっちの市場が本来短期市場の中心になるべき」ってのがあるんじゃなかろうか、というのが昔からありまして、まあ確かにレポ市場って残高にしても取引高にしても凄い額になっているのは確かなのですが、一方でレポ市場って実際に参加するとなりますと事務面管理面の参入障壁があって、そうホイホイと参加できないという問題がある(特にマイナス金利だのゼロ金利だのやってると資金運用利回りが叩き出せないから参入障壁を越えるための燃料wが足りない)ので、今のレポ市場って規模はクソでかいのですが、参加者の幅が狭いので、今回をはじめとしたこの出会い頭の衝突事故みたいなことが起きやすいという脆弱性が常に付きまとうんですよね。
だんだん気が付いたのか最近あまりこの「GC市場こそが真の短期市場の中心になるべきではないか」話って聞かれなくなった気もするんですけれども、まあGC市場をメインに据えたいと考えるのであれば、まずは参加者の幅を広げて市場参加者の多様性を作っていかないと難しいものがありますよね、と改めて思った今日この頃でありまする、ということでまあだからどうしたと言われても困るのですが、今回の場合はこのSC市場の惨状が解れてくるまではヤヤコシヤモードが続きそうですなという感じかな、とは思います。知らんけど。
〇日銀審議委員に小枝先生がノミネート
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/JQGSNLIYPZLK7M7XSLUTKVQEIQ-2025-01-28/
日銀審議委員に小枝・早大教授、安達委員の後任 政府提示
By 山口貴也, 竹本能文, 杉山健太郎
2025年1月28日午後 2:12 GMT+9
名前が出て「ああなるほど」とは思いましたが・・・・・・・・・・・・・
『マクロ経済学や金融、国際金融が専門で、日銀が23年12月に行った「金融政策の多角的レビュー」に関する研究会にも登壇した経歴を持つ。研究会では、金融政策の緩和度合いをみる上での基準となる自然利子率、国債買入れの直接的な効果をみることができるタームプレミアム、イールドカーブ全体の情報を包括的に捉えることができる潜在金利は「それぞれ非伝統的金融政策の異なる側面を捉えており、
いずれも有用な指標」としていた。』(上記URL先より、以下同様)
多角的レビュー第1回WSの指定討論者として出ておられましたな。
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240129a.pdf
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第1回「非伝統的金融政策の効果と副作用」の模様
『6.第4セッション:非伝統的金融政策「非伝統的金融政策の効果と副作用」』ですけど、まあこの手の日銀のまとめってのは要約に要約を重ねていて、そもそもこのWSって半日丸々くらい使っていたはずなので、本来の内容を掲載しようとしたらこんな量になるわけがないのでバチクソ端折られているのと、日銀のご都合によって丸めているのでイマイチ良くわからんという感じでございますな、残念無念。
あとですね、
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/study_gov_debt_management/member.htm
国の債務管理に関する研究会 メンバー
こちらにも小枝さんのお名前がありますが、不覚にしてどういう議論をされているのかとは存じ上げませんけれども、ガバガバ財政に対しては批判的だろうなというのは何となく想像できますけれども、日銀の長期国債買入に関してどのような意見をもっているのか、というのはちょっと気になるわけで、財政健全化を進める中で激変緩和が必要だから日銀は国債買入を大量に続すべき、とかいう話をおっぱじめられますとそれはイカンザキ(個人の見解です)と思うのですがどうなんでしょうかね。
でまあさっきの記事に戻りますが、
『経済・物価見通しや中立金利への距離を巡り、どのような見解を示すかが今後、焦点となる。
市場では「オーソドックスな経済学者で金融政策を活発に研究している。政策委員会のリフレ派的なところがより消えることになるだろう」(科学技術振興機構の鵜飼博史チーフ・エコノミスト)との見方が出ている。
日銀と近い学者との指摘もあり、「日銀側、植田(和男)総裁の意向も反映されているのではないか。採決に影響を与えるというより、議論の質を高める委員ということではないか」(野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト)との受け止めも目立つ。』(さきほどのロイター記事より)
>議論の質を高める委員ということではないか
木内さんwwwwwwwwwwwwwwww
と言いながら草を生やしたものの、まあ全く同じ感想だったりするわけで、安達さんって最初から最後(まだ終ってないけど)まで徹頭徹尾空気でして、野口先生は一応時々自我が出ていたのですが、この人はマジ何だったのかというお話でして、日銀審議委員は誰かの経歴の箔をつけるためのお飾りポストじゃねえんだよふざけるなって話だし、まあ安倍人事碌なもんじゃねえという所でしたわな。
でまあ木内さんご指摘のように、今般の小枝先生加入によりまして、決定会合の質が上がり、今のようなクソ屁理屈かつまるで首尾一貫していない政策反応関数かつ勝手にゴールポストを動かしていくスタンス、という黒田末期からのどうしようもない状態からの脱却(実は今回の展望レポートとか見ているとその兆しは見えた気がする、というのだけは「私言いましたよね」ムーブしておきます^^)に進んでいたければと思いますし、ちゃんとしたアカデミアの方が入ることによって、植田総裁がハトハトチキンから脱却して、「見たかお前らこれが真の植田和男じゃああああ」と覚醒していただく触媒になって頂ければと存じます次第。
という位ですが、まあ変なのがならなくてとにかく良かったです。
〇しらっと櫻井さんのロイターインタビュー
おやこれは・・・・・
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/S37JBO4PMVLGDGQITULV5FSHWY-2025-01-28/
インタビュー:次の利上げは6―7月か、政治情勢不透明なら4月に前倒しも=桜井元日銀委員
By 和田崇彦, 木原麗花
2025年1月28日午後 3:09 GMT+9
櫻井さんと言えばリフレ枠で入ったのかと思ったら途中から腹話術人形の二つ名で名を馳せまして、総裁副総裁辺りが言い出すと色々とデリケートな案件(婉曲表現)に関してインタビュー記事がしらっと出たりして割と注目度はあった、というお方な訳ですが、利上げ直後にインタビュー記事とはこれ如何にw
『桜井氏は、昨年12月に日銀が利上げを見送ったのは国内政治の不透明感が理由だったのではないかと述べた。一方、1月の利上げに関しては、トランプ米政権の政策運営に伴う不確実性は今後も続く可能性が高く、どこで利上げしてもリスクが変わらないのであれば早めに利上げしようと判断したのではないかと話した。』(上記URL先より、以下同様)
「どこで利上げしてもリスクが変わらないのであれば早めに利上げしよう」ってまさに実務的にはそうですよねというお話でして、現状の政策金利水準が中立金利と思われるような水準に近いならともかく、現実の物価が上振れている中で「きわめて緩和的」な状況を修正しないで放置する方がリスクな訳ですから、櫻井さんの指摘の通りなのが正しい話で、「米国が不確実だからー」で様子を見るのが正しいとか言ってるアホウはまず今の金利水準を見てから言えという話になるわけです。様子見が正しいのはもっと金融緩和度合いが少なくなってからの話ですがな。
『桜井氏は今後の利上げパスについて、不透明感が高まるような事態が起きなければ、2026年度にかけて年2回程度のペースで利上げが行われるとの見通しを示した。植田和男総裁の任期は28年4月までで、約3年残り任期がある。桜井氏は、25年度と26年度に2回ずつ利上げを実施し、政策金利を1.5%まで引き上げていくとの見通しを示した。』
お、1.5%来ましたね!!!!!!!!って物価目標2%で潜在成長率が0.5%なのに名目中立金利が1%の訳あるかいな、というお話でもあるし、さらに今回の展望レポート背景説明で示されたように、物価と賃金は構造上上がりやすいステージに変化している可能性が高いので、従来のようなクソ低い水準が実質均衡金利なのか、というお話もあると思う訳で、何気に今回の展望レポートのお話って先に繋がることだと思うのです。
『その上で、27年度の1年間に政策金利を2%にするのかは「情勢次第」と話した。』
まあ1.5に引き上げてもその時「こりゃ緩和的じゃろ」と思えるような状況なら上げれますからね。
『政策金利を1.5%まで持っていくことができれば、「もし景気が悪くなったときに下げられる」と述べ、利下げ余地が確保できるとの見方を示した。政策金利が1%では「何かあったときに下げる余地が限られてしまう」とも話した。』
政策金利1%では糊代がない!!!!!!!!!!
いやーリフレ枠だったはずの櫻井さんですが、リフレが偽装だったのか日銀審議委員になって更生したのか良くわかりませんが(こらこらなにをゆうとるワイw)中々のイイハナシダナーということで、「ターミナルは1%(キリッ)」とか言ってるマーケットの面々は(まあワシにもその傾向無くはないが0.5まで上がってくれて緩和的なままなら1とはいわず1.5楽勝じゃろうしそもそも2.5じゃろ中立金利はともうちょっと声を大きめに言いたくなりますな)櫻井さんに弟子入りすべきですな(^^)
でもって中立金利に関してもしれっと、
『中立金利について「執行部は1.5%―2.0%と考えているのではないか」とも述べた。ただ、少数与党で長期政権が望みにくい状況下、日銀と政府のコミュニケーションは大変になるとの見方を示した。』
ほうほうそうですかそうですか、ということで早速ネタにしてみましたというお話でした。
〇基調的物価ェ・・・・・・・・・・・
いつもの
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
昨年1年でコピペしますと、
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9
Apr-24 1.8 1.1 1.6
May-24 2.1 1.3 1.5
Jun-24 2.1 1.4 1.6
Jul-24 1.8 1.1 1.5
Aug-24 1.8 0.7 1.3
Sep-24 1.7 0.8 1.4
Oct-24 1.5 0.8 1.3
Nov-24 1.7 0.9 1.1
Dec-24 1.9 1.0 1.1
いつものように左から刈込平均、加重中央、最頻、ですけれども、12月CPIがご案内の通り強かったので刈込平均堂々の反転上昇でまた2%に接近している訳でして、まあ物価が下がらんというのであれば、それはどう見ても2%目標達成です本当にありがとうございましたと思う訳でして、そういう意味からも政策修正って急務な訳で、そうそうノホホンと「時間的余裕がある」とか言ってる場合じゃないと思うの。
上昇品目下落品目割合だって
Jan-24 83.9 10.7 73.2
Feb-24 81.8 12.8 69.0
Mar-24 79.5 15.1 64.4
Apr-24 80.8 14.0 66.9
May-24 79.3 15.5 63.8
Jun-24 78.7 16.1 62.6
Jul-24 75.7 18.8 56.9
Aug-24 74.7 19.9 54.8
Sep-24 76.1 18.2 57.9
Oct-24 75.1 19.5 55.6
Nov-24 75.5 19.3 56.1
Dec-24 75.7 19.0 56.7
世の中の4分の3のアイテムは値上がりする、というのがもはや常識化しているという感じなのですが、これ前年同月比ベースでみていると思うのですが、そろそろインフレ時代になったことですし、より体感的なものに近いんじゃないかと思うので、「前月比」の上昇下落品目ってのも出していただきたいなと思うのであります。どうでしょうかねえ・・・・・・・
〇総裁会見どこ行ったといわれると困るが今日も時間が無いので勘弁
ということですいませんすいません。今日はスポ末明日はトム末明後日は月末ということで、レポ市場が荒れるのが悪いという事ですな、ぐえーーーーーーーーー
2025/01/28
お題「労働供給制約の影響を連発で投下した展望レポート背景説明BOX/レポ市場がアイヤー(金曜の引けからですが)」
しかしなんか急にこんなの出てきました感が(ただの勉強不足と言われるとぐうの音も出ないけど)
https://jp.reuters.com/markets/us/W6X3FMNRB5KOJHEIUOUG5XKSOY-2025-01-27/
米国株式市場・午前=ナスダック・S&P急落、ハイテク株売られる
By ロイター編集
2025年1月28日午前 2:56 GMT+9
『[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米国株式市場で、S&P総合500種とナスダック総合が急落している。アップルのアプリ市場「アップストア」の米国版で27日、中国の新興企業ディープシークの人工知能(AI)アプリがチャットGPTを抜き、無料アプリランキングで首位に立ったと報じられ、米大手ハイテク株が下落した。』
『半導体大手のエヌビディア(NVDA.O),は15.1%下落。半導体株指数(.SOX),は8.2%下落し、1日の下げ幅としては2020年3月以来の大きさを記録した。
マイクロソフト(MSFT.O),とグーグルの親会社アルファベット(GOOGL.O),はそれぞれ3.8%、2.8%下落した。デル・テクノロジーズ(DELL.N),と
スーパーマイクロ・コンピュータ(SMCI.O),も8.6%、11.1%下げた。』(上記URL先より)
チャットGPTすら使いこなせていない(というと如何にも使っているような書き方だがそもそも使ったことがないような気がするwwww)アタクシにとっては何のことやら。
・・・・でまあそれはさておきまして、なんか色々と謎にネタ満載モードになってそれはそれで困りますな、ああそれから今日は国会同意人事が出るんでしたっけ・・・・・
〇展望レポート背景説明が労働供給制約の話を怒涛のぶちこみをしている件について
まあ最初はこれですな。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501b.pdf
経済・物価情勢の展望
2025 年 1 月
「背景説明を含めた全文」になりますが、こちらをインスタント読みしたい場合は最後にある「BOX」を読むのが吉、というのは人口に膾炙しておりますけれども・・・・・・
・労働供給制約の話がオンパレード
(BOX1)最近のサービス収支の動向
(BOX2)資本と労働の代替性と労働の供給制約
(BOX3)労働の供給制約と企業の投資活動
(BOX4)労働需給と賃金について
(BOX5)サービス価格の趨勢
こちら、最初のはインバウンド様VSデジタル赤字ファイッ!って奴ですけれども、その後が基本的に労働供給制約に関連するお話(5にもその要素がある)でありまして、もろにそのお題になっているBOX2からBOX4を拝読しようという企画です。
・労働需要は増えども資本投資が進まん話について
『(BOX2)資本と労働の代替性と労働の供給制約 』から参ります。
『本BOXでは、業種別にみた資本と労働の代替性について分析し、労働の供給制約への含意について考察する。』
例によってアタクシはそもそも経済学を専門に勉強したわけではない(高校の政経まで)のでこういうムツカシイ言葉が出てくるとウヘーと思いますが気合で読み進める。
『生産・営業用設備判断DIと雇用人員判断DIの関係をみると、過去においては、両者が概ね連動して動いていたが、最近では、人手不足感が強まっても、設備判断DIは不足超に動きにくい傾向があり、特にそうした傾向が非製造業において顕著である(図表B2-1)。』
ということは、資本ストックがクソ余っているとか不稼働の資本ストックがあるとか、そもそも人手不足が供給制約によるものなのか、という話になるようですが、
『需要が改善する時には、通常、資本と労働の両方への需要も増加することになるが、業種によっては、資本と労働への需要の増え方が異なるケースもある。』
ほうほう。
『これは、業種ごとに、生産関数における資本と労働の代替性が異なることに起因する。』
ということで以下説明があるのですが門外漢にはバチクソムツカシイ言葉が並んでおられる次第ですけど泣きながら引用します。
『以上の問題意識をもとに、今般、非金融法人部門(マクロでみた付加価値の約7割)を対象に、労働と資本の代替性が業種によって異なるか、法人季報のデータを使用してCES(Constant
Elasticity of Substitution)型の生産関数を用いて資本と労働の代替弾力性を推計した。』
お、おぅ・・・・・・
『一般論として、CES型の生産関数は、代替弾力性が1であれば通常のコブ・ダグラス型、代替弾力性が0であれば、最小の生産要素によって生産が規定されるレオンチェフ型を内包する。』
やべえ日本語なのに意味が分からん、と思ったら解説が次にあって、
『代替弾力性が大きいCES型の生産関数のもとでは、労働供給制約に直面した場合には、資本によって、ある程度代替が可能であるため、生産の抑制効果は大きくない(図表
B2-2@)。』
『一方、生産関数がレオンチェフ型の場合は、労働供給制約の影響によって、生産が大きく減少する。』
つまり労働と資本の代替性ってのは労働者が足りなかったら労働者を補完する設備を入れればいいじゃないというのがどの程度成立するのかという話ですな、と思ったら、
『生産は労働量に制約されるため、資本は余剰であっても生産には寄与しない(具体例として、従業員が確保できないために店を100%稼働できない飲食店が挙げられる)(図表
B2-2A)。』
ということで最後にワシのようなアホの子でもわかる説明になっていました、めでたしめでたし。
でまあその業種別分析の結果ですが、
『業種別に生産関数の推計結果をみると、製造業は資本と労働の代替性が高い(1を上回る業種が多い)一方、サービス業や建設業は、生産要素間の代替性が低く(=補完性が高く)、レオンチェフ型に近い(1を下回る)形状である可能性が示唆された(図表
B2-3@)。』
直感的にそんな感じはしますよね。
『業種ごとの代替弾力性と期近の雇用人員判断DIの関係を散布図でみると、サービス業や建設業では、資本と労働の代替性が低く、機械への代替が難しいなかで、深刻な人手不足に直面しており、労働の供給制約に直面していると考えられる(図表
B2-3A)。』
つまりは供給制約に直面しているという話であり資本稼働率が上がらんという話。
『以上を踏まえると、資本と労働の代替性が低い業種が労働供給制約に直面しているほか、図表B2-1
が示唆するように、最近は、製造業でも雇用人員判断DIにおける不足感の強まり対比で生産・営業用設備判断DIにおいては不足感が強まっておらず、労働供給制約に直面していると考えられる。』
でまあ非製造業や建設業などのような労働集約型産業で労働供給制約が問題になりやすいのは割と順当ですが、最近では製造業においても労働供給制約が見られるとのことで、
『こうした観測事実は、経済活動や物価・賃金のダイナミクスも、労働需給のひっ迫に焦点を当てた情勢判断を行うことが重要な局面になっていることを示唆している。』
という結論ですが、これが展望レポート基本的見解の本文中にあった、物価の見通し部分における
『こうしたもと、多くの業種で企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかるとみられる。』(この部分は展望レポート基本的見解の本文にあるやつね、URL先は同じでOK)
の解説になっている訳でして、これすなわち「賃金や物価の動向を判断するにあたっては従来のように需給ギャップ動向から判断するのではなく、労働需給そのものを見た方が良い局面に局面変化が起きている可能性がある」という話をしている訳でして、インフレターゲットの枠組みの中においては当然ながら物価安定目標の達成が重要、という話になりますので、従来であれば需給ギャップがプラスの状態を続けて基調的な物価を上げていきましょう、という話だったものが、かならずしもそういう話ではなくなってきている、すなわち政策反応関数の中で需給ギャップが締める重要性が経済の構造変化だか局面変化によって、従来よりも低下している、ということを言いたい、というのは伝わるわけです。
これが現世利益的にどういう話にブレイクダウンできるかとなりますと、需給ギャップがマイナスだから基調的物価は上がらんので利上げなんてとんでもない、という論点というのは毎度言われることが有るわけですが、それに対してのカウンターファクチュルですよってな話でございまして、今後の政策調整において「需給ギャップの呪縛」を(別に全部取っている訳ではないですが)軽くしたという効果のあるお話ですわな、ということですな。
まあ確かに日銀謹製の需給ギャップ推計値って需給ギャップを「資本投入ギャップ」と「労働投入ギャップ」の和で表現しているのですが、資本投入ギャップのクソマイナスが足引っ張っている状況がここしばらくずーっと続いていて、これが需要不足による資本過剰だ、というだけではなく、労働供給制約による稼働率の低下によるものがあるんじゃネーノって話ってことですわな、と思いましたが、なにせこちとら政経は高校までの脳しかないので変なこと書いているかもしれないので識者の皆様気になったことがあったら教えてちょんまげということで伏してお願い申し上げます。
・労働の代替となるべき資本ストックの拡充も労働供給制約で遅れつつあるのではとかいうコーナー
次のBOX3『(BOX3)労働の供給制約と企業の投資活動』ですが、
『本BOXでは、労働の供給制約が企業の投資活動に与える影響について確認する。短観のソフトウェア投資額をみると、人手不足が深刻な業種ではソフトウェア投資が急増しており、限られた人手で労働生産性を高める動きが活発化している(図表
B3-1)。』
ほうほう。
『また、昨年に日本銀行が実施した大規模アンケ―トの結果をみても、企業が現在の設備投資スタンスを積極化させている理由として、人手不足対応の投資が、企業規模を問わず、回答割合の上位を占めている(図表
B3-2)。』
ほうほうほう。
『また、大・中堅企業では、脱炭素やDX関連投資の必要性が意識されるもと、研究開発投資も増えており、これを支える専門的な人材への需要も旺盛である(図表
B3-3)。』
というのがマクラですが、
『ただし、BOX2でみたように、こうした資本による労働の代替は緩やかにしか進行せず、労働の供給制約によって生産が抑制されている可能性もある。実際、機械受注や建築着工などの設備投資に関する先行指標は、高めの水準ながら横ばい圏内の動きが続いている。』
ということで・・・・・・・
『これと関連し、機械受注や建設工事の受注残は増加傾向にある。』
どういうことかと言いますと、
『機械受注における主要品目の受注残をみると、工作機械の受注残は中国の不動産市況軟調などの影響を受け横ばい圏内で推移しているが、半導体製造装置などが含まれる電子計算機等や通信機など、ITサイクルなどと関連して需要が旺盛で高度な知識を必要とする品目は一貫して受注残が増加している(図表
B3-4@)。』
という状況なのですがこれが何を意味するのかと言えば、
『これらの品目では、専門人材の不足などから企業は労働の供給制約に直面して、機械類の増産が難しくなっている可能性がある。』
ほほう。まあ流れるように説明されているから若干ホンマカイナ感はあるけどw
『また、建設工事の受注残についても、人手不足による着手の遅れなどから、手持ち工事月数が上昇傾向にあることが確認できる(図表
B3-4A)。』
でもって、
『こうした建築着工の遅れによって、工場建屋の完成が遅れると、例えば、そこに据え付けられる予定の産業用ロボットの納入も後ずれし、結果的に産業用ロボットの受注残が増加することになる。』
ということで、
『このように、最近では、設備投資の進捗が、労働の供給制約によって遅延している可能性がある。』
てな推計になるということで、ホンマカイナ感はあるがこういう要素もあるかもねくらいには読んでおきましょう。
『もとより、受注残が増加していることは、需要が旺盛であることの証左でもある。今後の設備投資を判断していくうえでは、需要動向に加え、人手不足による労働供給制約にも注意していく必要がある。』
てな訳で、労働供給制約によって労働代替となる設備への投資の進捗が遅れます、というお話でした。
・賃金版フィリップスカーブがスティープ化しているというお話
これでもかとばかりに『(BOX4)労働需給と賃金について 』が投下されまして、
『本BOXでは労働需給と賃金について確認する。』
キタコレ!
『労働需給のひっ迫度合いの広がりを、業種・企業規模横断的にみるため、前回の展望レポートで示した短観の雇用人員判断DIのヒートマップで確認すると、最近は、引き続き、人手不足感が幅広い業種・企業規模で強いことが分かる(図表
B4-1)。』
図表の赤っぷりが凄いw
『また、正社員とパート別、業種別・企業規模別(図表 B4-2、B4-3)にみても、最近では、パートに比べ、正社員の労働需給がひっ迫しており、相応に広がりがある23。
』
正社員の労働需給がひっ迫しているというのにワイの給料いやなんでもありませんorzorz
『今般、労働経済動向調査の欠員率を用いて、UV 分 析 ― ― 失業( Unemployment
) と欠 員(Vacancy)の関係から、失業率の構造的な部分と循環的な部分を識別する方法――を行い、構造失業率を推計した24。』
ほえーという感じですが脚注24も引用しますね。
『24 UV分析では、失業率と欠員率が等しいとき、労働需給は全体として均衡していると考え、そのときの失業率を構造失業率とみなす。今回は、構造失業率を規定するUV曲線の傾きが長期的に一定で、切片は統計的手法によって変化し得るよう推計した』
だそうです。まあ何かアホのワイにはわかったようなわからんような話ですが後の方に行くと興味深いのが出てくるので我慢して字面を追いますと(汗)、
『構造失業率は、若手を中心とした正社員の転職市場の拡大や、これまで非正規労働者として働いていた人が正規労働者へと転換する動きが活発になるなかで、自発的失業に付随する摩擦的失業に規定される面がある。』
『この点、自発的失業に関しては、労働力調査で求職理由が「自発的離職」の失業者数を捕捉できることから、今般、これと構造失業率の関係について調べた。』
ということでその結果ですけど、
『図表 B4-4@をみると、両者には高い相関があることが確認できる。これらは、別々の計算方法から導出されたものであるため必ずしも一致するものではないが、一つの解釈として、転職市場が活発化するもとで、若者を中心に、よりよい転職先を探す目的で失業プールに滞留する人(所謂「ジョブ・ホッピング」)が増えていることが構造失業率を押し上げていると考えられる。』
若者じゃないのでさっぱり分からないですが威勢の良い話ですなあ。ホンマカイナ感はあるけど。
『その構造失業率を用いて労働市場のひっ迫度合いを表す失業率ギャップ(実際の失業率と構造失業率の差)を計算すると、労働市場のひっ迫度合いはバブル期より強まっている(図表
B4-4A)。』
まあ最近のアホみたいな初任給引き上げムーブとか見るとそれは分からんでもない。
『こうした計測結果を踏まえつつ、労働需給のひっ迫度合いと名目賃金の関係を雇用形態別にみると、一般労働者・パート労働者ともにコロナ禍以降に傾きがスティープ化している(図表
B4-5)。』
この図表B4-5が『図表B4-5:賃金版フィリップス曲線』になっていて興味深い結果になっています。かつても賃金版フィリップスカーブを持ち出して物価の話をするというのがあった(さほど大々的では無かったけど)のでその時に見た推計賃金版フィリップスカーブがおぼろげに記憶にありますし。
『これは、@人手不足が中長期的に継続する可能性を踏まえ、賃金が先行き持続的に上昇を続けるという予想が出てきていることに加え、A人手不足感の強まりによって、企業の賃金設定スタンスが前傾化していること、が要因として考えられる』
ということで賃金版フィリップスカーブですが、こちらがスティープするということは要するに賃金が労働需要の伸びに対して上昇しやすくなっている、という話ですので、こちらはおちんぎんが上がりやすいですよというお話で、これまた物価が上がりやすい話に繋がるという話になるわけでございますな、うんうん。
〇ところでレポ市場がエライことになっている件について
まあ金曜の終盤に既にそうなっていたのですが決定会合レビューにかまけて遅く成りましたすいませんすいません。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/mpr250124c.pdf
国債補完供給における応募銘柄数の上限引き上げについて
2025 年 1 月 24 日
日本銀行金融市場局
こちら金曜の引け後に出てたのですが、
『国債補完供給における応募銘柄数の上限引き上げについて
日本銀行では、レポ市場における国債需給の過度な引き締まりを抑制し、レポ市場の安定を確保する観点から、一時的な措置として、下記の対応を実施します。
1月 27 日(月)から1月 31 日(金)までの間に実施する国債補完供給について、売却対象先ごとの1回当たりの応募銘柄数の上限を一時的に緩和し、従来の
30 銘柄から 50 銘柄に引き上げることとする。』
ということで、レポ市場が逼迫したということで、国債補完供給の方は要はSCがひっ迫という話なんですが、金曜の利上げの後になって急に「よーしパパ利上げになったのを確認したから貸債引き上げて国債売るぞ」となったのか、単純に1/27から付利新金利適用になるから、そこを跨ぐタームのレポを回避した人が世の中にたくさんいてSCのエンドが鬼のようにたまってミスマッチが生じたのか、まあ供給側の要因なのか需要側の要因なのか、ってなもんですが、しかし中々アレじゃなと思っておりましたら、昨日の東京レポレートは、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/24 0.232 0.399 0.402 0.412 0.417 0.423 0.446 0.466 0.548
2025/1/27 0.090 0.240 0.300 0.342 0.380 0.412 0.436 0.468 0.550
ちょwwwおまwwwwGCオーバーナイト9bpwwwwwwww
ということで、利下げでもあったのかというような面白レートになってしまいましたが、これが単に皆が利上げのタイミングにタームSCのテナーをぶつけた合成の誤謬状態でしたらある程度時間をかければ解決するのかも知れませんが、まあそれにしましても多少はお時間かかりそうで、利上げしたのにGCレートは上がらない(どころか下がる)というお話なんですが、これはちょっとまあ市場の方も10年以上ぶりの利上げ局面になったので、このような時の匙加減についてのスキルが消失している(馬鹿正直に全部テナーを政策変更日にぶつけたらロールリスク高いじゃろ、というある種の流動性リスクに対して今までベタ凪だったから無頓着になっていた的な事案)のかなあとも思いましたがどうなんでしょうかね。知らんけどさ。
なお、無担保コール翌日物はちゃっかりと、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp250127.htm
無担保コールO/N物レート(1月27日<月>速報)
平均 0.476%
最高 0.478%
最低 0.470%
ということできちんとレート形成が行われておりますので、レポ方面が勝手に自爆炎上しているという風情ですが、レポの金利がこんな感じなので短国ちゃんの方もレート織り込み済み、と言ってしまえばまあそういうことなのかもしれませんけれども、現実問題として足元GC金利が上がらんもんだから(一々引用しませんが)昨日の売買参考統計値見た感じの引値って手前から3Mの辺りとか金曜日比変わらずのオンパレードになっていたかと思いますので、手前で35bpとかコール金利と12〜13bpも違うのかよというアレな数値になっておられましたが、まあレポ市場が落ち着かんことには何んともかんともwww
でもってSLFですがまたエライコッチャになっていまして、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250127.htm
落札結果 (1月27日<月>)
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 47,489 47,489 0.150 0.150
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注5) 100 100 0.150 0.150
(注4) 売却銘柄は,
利付国(2年)第451(22億円),453(108),457(538),458(843),459(11),460(86),462(127),464(166),466(58),
5年146(370),151(839),153(307),154(187),155(687),156(560),157(516),158(307),159(685),160(121),162(241),163(1,263),164(458),165(189),166(450),168(155),171(797),174(1,448),
10年342(197),345(91),346(332),347(144),350(71),352(271),353(134),355(390),356(423),357(861),358(827),359(2,675),360(928),361(2,221),362(913),363(2,703),364(2,080),365(1,362),366(1,338),367(533),368(1,131),369(357),370(730),371(1,351),372(1,568),373(811),374(69),375(1,189),376(493),
20年76(9),91(11),98(10),113(226),119(403),120(43),121(100),124(150),135(154),138(130),145(15),154(39),155(140),156(124),158(708),159(254),160(165),169(84),171(65),172(1,082),174(1,792),177(161),178(150),179(643),180(500),181(50),184(943),185(135),187(242),188(312),
30年9(8),21(1),27(51),29(4),37(29),54(112),61(99),64(387),69(10),75(19),76(19),79(22),81(20),82(5),
40年2(30),7(69),
CT国債(5年)2(2),
利付国(物価10年)29(30)です。
(注5) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却銘柄は、利付国(2年)第453回です。
って午前分は額も凄いけど銘柄数がこれまた凄いわということで、さすがにこれは見たことない気がしますけど、まあ次の利上げの時はもうちょっと期日分散しながらやってちょんまげとしか申し上げようがないwwww
ちなみに金曜のSLFは
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba250124.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 5,344 5,344 -0.050 -0.050
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注5) 1 1 -0.050 -0.050
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
利付国(2年)第458回(352億円)、
利付国(5年)150回(105)、155回(171)、156回(374)、157回(287)、161回(17)、
利付国(10年)342回(43)、351回(1)、359回(1,503)、361回(1,265)、362回(467)、365回(525)、368回(171)、
利付国(20年)119回(44)、
利付国(40年)7回(19)です。
だったのでどんだけ昨日は出たのよという話で、もはや脚注に「利付国」とか「回」とか書いている場合じゃなかったというのがなんかもうエライコッチャでしたなお疲れ様ですという感じですけど、GCレートとかそっちに波及してしまうので政策変更の度に毎回これやられたらタマランチ会長にもほどがあるわと思いました。
ということで総裁会見という重要イベントのネタがあったりするし、市場は市場で何か別件で株式市場ちゃんがあれだったりと急に話題だらけになっておりまして突如成敗が追い付かなくなっておりますが、今朝はこの辺で勘弁していただきとう存じます(平伏)。
2025/01/27
お題「展望レポートについて(その2):物価上昇メカニズムの表現が変わっているのは重要かなと」
いつもだと逐語チェックとかするんですけど、それをやっていると量がクソ多くなるのと、そもそもそこまでやってる時間がない(そっちが重要w)というのもありまして、本日分としては「前回との大きな変更点」を見ようかという企画です。
〇基本的見解の本文の構成的には「大きな変更点」が明確にありますわな
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf(1月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf(10月)
ということで今回って割とわかりやすい「変更」があったので手抜きジジイなのでアタクシが「この辺じゃろ」というポイントを中心に行こうかと思います。
〇労働供給制約が前面に出てきて物価上昇の説明に変化が生じているのは重要だと思うの
鏡のところでにありました「人手不足感が高まるもと」の文言が何で目立つかというと、基本的見解本文の物価見通しのところに飛ぶわけですけれども(鏡の比較で合った通り今回は経済の部分は文言一緒状態なのでそっちは基本かっ飛ばしても良いわけですな、うんうん)、
『2.わが国の経済・物価の中心的な見通し』の『(2)物価の中心的な見通し』から。
この中で、物価の見通し自体はコメ価格云々くらいの違いはあるのですが大きな変化はないのですけれども、政策判断で使っている「基調的物価」とかいうお気持ち物価の部分で表現が変更されているのは話として重要でして、
『物価の基調を規定する主たる要因について点検すると、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、振れを伴いつつも、改善傾向をたどっている。』(今回1月)
『物価の基調を規定する主たる要因について点検すると、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、振れを伴いつつも、改善傾向をたどっている。』(前回10月)
ということで最初のところは同じですな。
『先行きの需給ギャップは、上記の経済の見通しのもとで、見通し期間終盤にかけては、プラス幅を緩やかに拡大していくと予想される。』(今回1月)
『先行きの需給ギャップは、上記の経済の見通しのもとで、見通し期間終盤にかけては、プラス幅を緩やかに拡大していくと予想される。』(前回10月)
この辺り、いつものように「基調的物価の主な要因は需給ギャップと期待インフレ」という説明の流れになっていまして、これ自体はQQEおっぱじめた当初からずーっとフィリップス曲線を使って説明していて、最初期の段階では「現時点での需給ギャップと物価の関係から行くと、インフレ期待が上がらないと2%を安定的に達成するのは難しいからQQEで期待に直接働きかける」という説明をしていた訳です。
最近はすっかりそれを言わない訳ですが(現実問題として期待に働きかける政策そのものが空理空論であったことが明らかになったし、当時空理空論を世界の標準とか言ってた連中が何でまだ偉そうに物を喋っているのかが意味不明ですけどそれはさておきwww)、まあ基本基調的な物価とは需給ギャップと期待インフレという話になっているんですよね日銀は。
でですな、この先が重要なんじゃねえのという変化でして、
『この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっている。こうしたもと、多くの業種で企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかるとみられる。』(今回1月)
『この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まり、賃金の上昇圧力は強まっていくと考えられる。このことは、コスト面では人件費の上昇圧力をもたらすとともに、家計の購買力の増加に寄与するとみられる。』(前回10月)
最初の女性や高齢者のところは同じなのですが、今回の説明って「労働供給制約が構造的なものになっており、それが多くの業種で顕在化していることから、賃金や物価は上がりやすい」という説明になっていますよね。
でもってこれって従来の「需給ギャップと期待インフレで基調的物価を説明する」というのから見たらナンジャソラな訳で、需給ギャップ以上に賃金や物価が上がりやすいっていうことは、それってつまり緩和的な金融政策によって需給ギャップを持ち上げて物価上昇をサポートして物価目標の達成に向けてやっておりまっせ、というのが場合によっては別に無くてもよろしいバイという話に繋がるわけでして、需給ギャップでこれまで説明していたことからみたら随分と話が違うじゃねえかという事になります。
さらに、この文章単体で前回比較を行いますと、これまた中々お洒落なのですが、10月は「賃金の上昇力が強まる」ので「人件費の上昇圧力という物価要因をもたらすと同時に家計の購買力が上がりますよ」というお話をしていて、つまりは賃金と物価の好循環というのを思いっきり示唆する内容があったんですが、今回は単純に労働供給制約によって賃金と物価が上がりやすくなっています、というお話に摩り替っているのもチャーミングな訳ですよ。
もちろんですけれども、この後の部分で毎度おなじみの幻想皇帝にもほどがある概念「賃金と物価の好循環」という誰が考え付いたのが知らんけど罪深い概念がいつものように述べられていますので、別に毎度おなじみの好循環の話を引っ込めたわけではないのですが、そうは言いましても労働供給制約によっても好循環が発生、という従来の表現を引っ込めていまして、まあどうみたって引っ込めるべきお話なので引っ込めたこと自体は評価に値すると思いますが、中々ここは味わいの深い部分になるんじゃないでしょうかねえ、知らんけど。
〇期待インフレの部分でもしらっと表現の微妙な変更が
でまあ続きになりますが、基調的物価の話は「需給ギャップ」と「期待インフレ」になりますので後半は期待インフレの話になります。
『次に、中長期的な予想物価上昇率をみると、緩やかに上昇している。』(今回1月)
『次に、中長期的な予想物価上昇率をみると、緩やかに上昇している。』(前回10月)
クソどうでもいいが物凄い長期間にわたって「緩やかに上昇」したら2%をとっくに上抜けしてませんかねえwwwwww
『短観における企業の物価全般の見通しは、緩やかに上昇している。適合的予想形成の強いわが国において、これまでの物価上昇率の高まりは、家計や企業の中長期的な予想物価上昇率の上昇をもたらしてきている。』(今回1月)
『短観における企業の物価全般の見通しは、緩やかに上昇している。適合的予想形成の強いわが国において、これまでの物価上昇率の高まりは、家計や企業の中長期的な予想物価上昇率の上昇をもたらしてきている。』(前回10月)
でもってまあここから先です。
『企業の賃金・価格設定行動には、従来よりも積極的な動きがみられており、名目賃金ははっきりと増加している。また、賃金の上昇が続くもとで、人件費や物流費等の上昇を販売価格に反映する動きも広がってきている。』(今回1月)
『企業の賃金・価格設定行動には、従来よりも積極的な動きがみられており、名目賃金ははっきりと増加している。また、賃金の上昇を販売価格に反映する動きも引き続き強まってきている。』(前回10月)
10月の書き方は如何にも「物価と賃金の好循環」な書き方でしたが、今回はしらっと「人件費や物流費の上昇」ということで普通に全般的ないわゆるノルムとかいわれるものに近い話になっていますよね。
『先行きについては、労働需給が引き締まった状況が維持されるもと、企業の賃金・価格設定行動の変化が続き、予想物価上昇率は緩やかに上昇していくと考えられる。』(今回1月)
『先行きについては、需給ギャップの改善が続き、企業の賃金・価格設定行動が変化するもと、予想物価上昇率は緩やかに上昇していくと考えられる。』(前回10月)
そしてここもチャーミングなのですが、前回は「需給ギャップの改善が続くことによってインフレ期待の上昇が見込まれる」というロジックだったのですが、今回は「労働需給が引き締まった状況が維持されることによってインフレ期待の上昇が見込まれる」とロジックを変えてきておりまして、これは先ほどの需給ギャップの話の対句みたいなもんでして、これすなわち需給ギャップの改善無くしても物価や賃金は上がりやすい、といっている訳でして、物価目標達成に向けて需給ギャップのマイナスガーと言われずに済むという割と重大なロジック転換を起こしているんですな、うんうん。
『こうしたもと、物価上昇を反映した賃上げが実現するとともに、賃金上昇が販売価格に反映されていくことを通じて、賃金と物価の好循環は引き続き強まっていくとみられる。本年の春季労使交渉についても、昨年に続きしっかりとした賃上げを実施するといった声が多く聞かれている。』(今回1月)
『こうしたもと、物価上昇を反映した賃上げが実現するとともに、賃金上昇が販売価格に反映されていくことを通じて、賃金と物価の好循環は引き続き強まっていくとみられる。』(前回10月)
春闘云々はおためごかしですけれども、結語の好循環云々は毎度同じなのですが、これ途中を見ると構造的な労働需給の逼迫によって物価が上がりやすいという意味においては、それって全然好循環ちゃいますがなという話を堂々としているので、この「賃金と物価の好循環」に関しても徐々に引っ込めて行くんじゃなかろうか、とは思いました。まあどうやって引っ込めるのかというと難しそうな気もしますが、そこは当代一流の頭脳が屁理屈を捻りだすと思いますのでお楽しみにということですな。
〇7月に戻った「先行きの金融政策運営」の表現だが本来これが妥当というものです
でまあこちらは先だっても書いたので重複になりますが、『4.金融政策運営』の最後の段落。
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回1月)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(前回10月)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(前々回7月)
前々回の展望レポートの時にやっとゴテゴテした余計な表現が無くなって良くなったわ、と思ったらご案内の通りで8月の金融市場動向にビビった内田副総裁が株式市場に全面降伏するとかいう中央銀行にアルマジロなムーブをしてしまったのを10月展望レポートではうっちーの顔を立てたというかうっちーは間違っていなかったことにしたいという日銀のしょうもないムーブによって再度のハトハトチキンになったのですが、今回しらっと元に戻したので、これまた昨年8月以降12月の経団連講演までの話は無かったことにさせてもろていただいて、という事らしいです、まあどの面下げて言うのかねとは思うが方向性自体はこれでよろしいバイ。
〇供給制約に関しては潜在成長率の推計部分にも出ていて
これ記者会見でツッコミを入れてた方がいてさっすがーと思いましたけど。
本文3ページ脚注
『3 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、足もとでは「0%台半ば」と計算される。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータに左右されるうえ、デジタル化の進展などに伴い生産性や労働供給のトレンドがどのように変化するかといった点を巡る不確実性も高いため、相当の幅をもってみる必要がある。』(今回1月)
『3 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、足もとでは「0%台後半」と計算される。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータに左右されるうえ、デジタル化の進展などに伴い生産性や労働供給のトレンドがどのように変化するかといった点を巡る不確実性も高いため、相当の幅をもってみる必要がある。』(前回10月)
という事で潜在成長率下がっていますがなというお話ですな。ちなみにこの脚注3の本文部分ですが、これは経済見通しの部分でして、
『潜在成長率は、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、設備投資の増加による資本ストックの伸びの高まりなどを背景に、緩やかに上昇していくとみられる3。政府による各種の施策や緩和的な金融環境は、こうした動きを後押しすると考えられる。』(今回1月)
『潜在成長率は、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、設備投資の増加による資本ストックの伸びの高まりなどを背景に、緩やかに上昇していくとみられる3。政府による各種の施策や緩和的な金融環境は、こうした動きを後押しすると考えられる。』(前回10月)
となっていますので、お前らオントラックオントラック言ってるけど潜在成長率下がっているののどこがオントラックじゃヴォケ、という説はあるのですが、まあこれ自体は供給制約によって稼働率が上がらない(みたいなことを記者会見で植田総裁が説明していたのですが、よつべちゃんねるが途中でおかしなことになっていていまいちよくわからんかったので今日のテキスト見る)からですよあくまでもテクニカル、みたいな説明になっていましたけどどうなんでしょうかね。
・・・・・という辺りがまあ大きな場所でして、それ以外もあるかとは存じますが今朝はお時間の関係上この辺で勘弁していただきとう存じます。
2025/01/26
お題「展望レポート(その1)物価によりフォーカスしたつくりになっているように見えますがどうでしょうか」
まあほとんど「明日の朝のための夜なべ」の時間帯なのですが、なんせ展望レポートあるからそれをうだうだうだと比較してみよう企画のために先に作って先にアップするの巻です。
〇うだうだうだと比較する前にアタクシなりの愚意見を先に書いてみますね(個人の愚意見です)
・労働供給の制約を前面に出してきているのは「物価が上がりやすい」という話ですから・・・・
今回の展望レポート、一番目立つのは「人手不足で賃金が上がる」というお話が何回か出ていることでして、これって「賃金は勝手に上がる」ということで、よく言えばノルムとやらの変化という事になるんですが、単純に「構造的に賃金が上がりやすい」という話ですから、その賃金が上がることによって物価が上がりやすくなるのか、はたまた企業の労働分配が下がるのか、という話になるわけですが、いずれにしてもそれってどこも「賃金と物価の好循環」じゃないよね、と思うののですよ。
でですな、それを堂々と打ち出してきているし、今回って(後で会見録みて確認必要ですが)会見では植田総裁「オントラックだが物価が上振れしている」とかいうそれはオントラックじゃねえだろうという話を現状認識として示していまして、これすなわち物価は勝手に上がりやすくなっていますよってなもんでそういう話になっていると。
そんな訳で、従来の「賃金と物価の好循環」というのは相変わらず標榜はしているけど、今回の声明文と展望を見た最初の感想って「物凄く物価上昇(しかも構造的に上がりやすい)にフォーカスしてるな」という点だったのですよ。でもってそうなりますと、物価見通しは今回全期間に渡ってコアもコアコアも2%オーバーであって、しかも構造的に物価が上がりやすい状態になっている(単に労働供給要因とは言え)いるのですから、実は6か月に1回とかそんなノホホンとした利上げしている場合じゃないんでネーノってなお話になるわけですな、うんうん。
まあ実際にどうなんかいなというのはもちろん今後の展開次第ってなことになるんでしょうけれども、この先は物価動向って結構大事だし、何なら今回物価が下がらんのを見て3月以降の利上げが前倒しになったんじゃねえか位のイメージになっても何らおかしくないというのが展望レポートを見たときの第一感ですが、肝心の会見の多くの部分がかなり今回グダグダだったので、「なんかこいつら足元で急に物価シフトしてねえか」というのは疑惑として思ってはいるものの、確信はない(単に政治動向の風の吹き回しなのかも知れないし正直訳わからん)というところです。
とは言いましても、今うだうだとおもいついたことをそのままキーボードで打ち込む脊髄反射モードで書いていますけど、こうやって書きながら思うのは、「たぶん8月から12月までのロジックではないものがこの先出てくるんじゃないの」ということですわ。
・展望レポート最終段落(声明文の金融政策運営の部分でもある)が7月末に回帰
えーこれは土曜日(サイトの「本日の駄文」をお読みになっていると先ほどアタクシが書いたことになりますけど)にも申し上げましたように、今回って金融政策の先行きガイダンスにあった「今後の利上げはハトハトチキン(意訳)」となっていたヘッジクローズが解除されていまして、7月末の状態に戻ったわけです。
ということですとよくよく考えてみますと、それはすなわち「7月末のあの勇ましい「見たかお前らこれが真の植田和男じゃああああ」な強気ムーブが戻ってきた」という事でもあるわけでぞな、というのが有るわけで、忘れちゃいけないシュラシュシュシュな訳ですよそこは。
でまあ土曜日に申し上げましたように、今回って声明文の書きっぷりだけ見ていると「オントラックだから利上げ」なのですから、ここからうっかり円安が進もうもんなら「上振れ」になりますし、従来よりも物価にフォーカスした上で真の植田和男(?????)が王の帰還の如く戻って来ているのであれば、あーた上振れ対応で半年を待たずして利上げだってアリエール、という話になるわけですよ。
つまりですね、昨年7月は「オントラック」よりも「上振れリスク(要は円安ですがぶぶ漬け話法で円安とは言わない)」が前面に出た利上げでしたので、上振れリスクの元の一つである円安が是正されたら「上振れリスク対応が効いたのでめでたしめでたしだからその先は急がんバイ」というのもありだったのですが、今回は「オントラックで推移したから利上げ」な上に物価に注目度上げてしかもその物価は上がる話になっているのですから、つまりは上振れしたら追加調整(利上げ)が早まってなんらおかしくないというお話になります。
という訳でして、まあ確かに順当に考えれば特に経済物価が変調(下がる方)をきたさなかったら半年後の7月追加利上げって如何にもありそうな感じになりますけど、物価上振れした際には早まるってのを考えたらさすがに3月とかいう豪快な話は無くても、4月の展望とかで再度上方修正してきて利上げだってなくはないお話(まあその時点で物価高批判がそれなりに高まるか円安にぶっ飛んでいる必要はありますが)ですし、アタクシがお勧め(???)したいのは6月会合でして、6月会合って輪番ペースの見直しが行われるタイミングでして、この時に輪番ペースの一段の削減をするか横ばいかの二択になる(輪番減額の勢いが止まるとか増えるとか言ってるトンカチがたまに散見されているのですが景気物価が思いっきり下振れる予想していないでそれを言ってる人は義務教育からやり直した方が良いと思いますので念のため申し添えます)のですが、まあこれだけ利上げしているのに金利がクッソ低いという時点で輪番が買いすぎなのは明白なので、6月に減額ペース拡大するならば、まあその時にセットで利上げしちまった方が緩和縮小を2回やるよりは1回にまとめて桶ってことでお勧めしておきたいと思います(誰にw)。
ということで展望レポートですがこちらは基本的に10月(前回)と比較します。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf(1月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf(10月)
〇鏡部分:物価に関する記述の「人手不足」云々の話がめちゃくちゃ目立ちますよね
最初の『<概要>』から参ります。
『・先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(今回1月)
『・先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(前回10月)
ということで、1ポツ目(経済見通し)は全文一致なんですね。問題はこの次。
『・物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台後半、2025 年度に2%台半ばとなったあと、2026 年度は概ね2%程度となると予想される。』(今回1月)
『・物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台半ばとなったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。』(前回10月)
ご案内のように見通し計数が上がっているのですが、問題はそのメカニズムでして、
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、消費者物価の基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回1月)
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(前回10月)
今回の展望レポートでポイントとなるのはここしかない、という位に出オチ感のある部分になりますが、「人手不足感が高まるもと」ってのが重要な話で、労働需要が構造的に逼迫するので賃金が上がりやすいってので物価が上がりやすいってのをこれは含意しているので、物価目標達成に向けて需給ギャップがプラスで有ることを続けていって経済を支えないと、みたいなお話で従来「緩和的な状況で経済を支える」という話をしていた訳でして、まあそれ自体別に引っ込めるような話でもないのでしょうが、この理屈を持ち出せば物価強いなら需給ギャップ弱くても政策調整はできる(引き締めはちょっとまた別問題でしょうけれども)という話になりますわな。
『なお、2025 年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、米価格が高水準で推移すると見込まれることや政府による施策の反動が生じることが押し上げ方向で作用すると考えられる。』(今回1月)
『なお、2025 年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、政府による施策の反動が押し上げ方向で、このところの原油等の資源価格下落の影響などが押し下げ方向で、それぞれ作用すると見込まれる。』(前回10月)
まあこれは政策云々とは別の世界の話になるんですけど、今回「コメ価格」を思いっきり上振れ理由にしているんですけれども、別にコメ価格って極端な作況の悪化があったとかそういう話ではなくて、もともとそれ以前からコストがめちゃ上がりしていたのを生産者の方で吸収して値上げしていなかったものが、災害などに伴う昨年の一時的な需給の逼迫によって価格が上昇してしまって、でまあ元々供給力自体は趨勢的に落ちていた(コスト高くて担い手が足りない)のでそれまで抑制されていた過去のも含めたコストプッシュが一気に来たので、個別品目的には唐突感あるかもだけど、全般的なコストプッシュの流れと同じなので、何かこうやって「コメのせいで物価が上がる」みたいな書かれ方されるのって、農業者が悪者にされてるみたいでちょっとなんだかなあって思いました。政策とは全然関係ないけど。
でもってですね、コメの場合市況商品ではありますけれども、そもそも論としてこれまでコスト転嫁ができていなかった分がコスト転嫁された結果の価格上昇なのですから、それっていわゆるワンオフの価格上昇じゃなくて、基本的には持続的な物価上昇要因として作用するもの(前年比という意味では持続的じゃないけど原数値としては下がる訳ではないという話)だと思われますので、それは基調的物価に効いてくる話なんじゃないですか、とも思うので、一時的要因っぽい表現の中にコメ価格があるのも微妙は気はします。
でもって話を戻して3ポツ目ですが、
『・前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度と2025 年度が、米価格の上昇に加え、このところの為替円安等に伴う輸入物価の上振れもあって、上振れている。』(今回1月)
『・前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025
年度が、このところの原油等の資源価格下落の影響などから幾分下振れている。』(前回10月)
消費者物価の上振れにコメ価格が同様に入っていますが、為替円安は為替が戻ったら反動が来る話であってもコメ価格に関しては先ほど申し上げた通り基調的な物価に影響与えるんじゃないのとは思いました。
でもって4ポツ目。
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(今回1月)
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(前回10月)
ということでリスク要因は同じです。
5ポツ目がリスクバランスなのですが、
『・ リスクバランスをみると、経済の見通しについては概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2024
年度と2025 年度は上振れリスクの方が大きい。』(今回1月)
『・リスクバランスをみると、経済の見通しについては概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2025
年度は上振れリスクの方が大きい。』(前回10月)
ここが毎度紛らわしいのですよね。
と申しますのは、ここの文言を総合して読めば「物価の現状が上振れ、先行きに見通しついて上方修正させた上に「リスクバランスは上振れの方が大きい」ときている訳でして、これだけ読むと半年に1回とか生温い利上げをしている場合じゃないし、何なら声明文の方では「実質金利は極めて低い水準」って言ってる(基本的見解の本文でも言ってる)訳ですから、それを踏まえたらとっとと政策調整しろという話になるわけで、何なら今後毎会合利上げしても、というのは極端でございますけど、まあ普通に考えたら物価上振れリスクが高いのが変わらんようだったらそれを再点検する4月会合に利上げしたって何らおかしくない、ということになるんですよね。
えまあこの「リスクバランス」なんですが、これは10枚目の『政策委員の経済・物価見通しとリスク評価』を踏まえたリスクバランスの分布図をもとに書いている、という仕切りだった筈でして、そうなると単純に政策委員の見通しプロットの中で「こう置いたけど上振れするかも」という人が多いと「上振れリスクが大きい」という表現になるわけでして話がややこしい。
つまりですね、見通しの中央値よりも下の人が「予想はこうだけど上振れするかもね」と言って、見通しの中央値よりも上の人が「予想はこうだけどそこまで上がらんかもね」と言って予想した場合って、中央値をベースにしてみれば寧ろ予想って中央値近くに収斂されていることになるのですが、この時にうっかり前者の方が数が多いと、この展望の鏡の書き方のお作法的に「上振れリスクが大きい」となってしまうので、ここの書き方ってこういう書き方をしない方が良いんじゃないかと思うのですよ。
幸か不幸か今回は会見でそこまで強い話になっていなかった(というかただのぐだぐだ会見だった)気もしますが、これ全体として政策委員の皆様が予測の中央値に対して上振れ下振れの意味で言ってるのじゃない可能性がある、ということになりますので、エライややこしいんですよね。
なので表面的にこれ見ると結構ドギツイ訳でして、まあ展望レポート読み直して一旦売りが嵩んだのはシャーナシやで、と思いました。
何か夜なもんで余裕ぶっかましてたら明日に差し支えるわと思い直したので今晩はいったんここで打ち止めしてアップさせてもろてwwwww
2025/01/25
お題「決定会合レビュー(その1)」
ということで折角(?)利上げもあったことですので記念更新ということでボチボチ参ります。
〇衆目の予想?通りの利上げは良いんだが反対が中村さんだけとはwwwwwww
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k250124a.pdf
金融市場調節方針の変更について
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成8反対1)(注)。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%程度で推移するよう促す1。』
『2.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変更を決定した2(賛成8反対1)(注)。
(1)補完当座預金制度の適用利率
補完当座預金制度の適用利率(日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除く>への付利金利)については、0.5%とする3。
(2)基準貸付利率4
補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を0.75%とする。』
『1 新たな金融市場調節方針は、翌営業日(1月 27 日)から適用する。
2 補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率は、翌営業日(1月 27 日)から適用する。
3 被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペの貸付利率は、引き続き、補完当座預金制度の適用利率となる。
4 日本銀行法第 15 条第1項第2号に規定する「基準となるべき貸付利率」。なお、同第1号の「基準となるべき割引率」も0.75%とする(手形割引の取り扱いは現在停止中)。』
とまあそういう訳で、予定??通りの利上げで付利金利などの引き上げ適用開始は翌営業日の来週月曜から、は良いんですけどね・・・・・・・・
『(注)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、安達委員、野口委員、中川委員、高田委員、田村委員。
反対:中村委員。中村委員は、次回の金融政策決定会合において法人企業統計等で企業の稼ぐ力が高まったことを確認したうえで、金融市場調節方針の変更を判断すべきであるとして反対した。』
中村委員が反対したのですが、反対の理由はいつもの「企業の稼ぐ力が高まったことを確認したうえで」となっています。まあこれは言ってることの是非はさておきまして話としてはわかるのですが、ここれ12月会合主な意見の例の意見を再確認してみましょう。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241219.pdf
『・利上げ判断の焦点は、国内面では、賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外では米国の経済と政策運営、そのもとでの金融資本市場の動向である。これらについては、賃金という面では春季労使交渉に向けた動きを、米国という面では新政権発足を確認していくのが常識的である。』(直上URL先12月会合主な意見より)
「春季労使交渉に向けた動き」と「新政権発足」を確認していくのが「常識的である」とまで言い切った訳で、つまりこれって12月会合で利上げ提案した田村抜刀斎を「非常識」と罵倒したにも等しいという大変に良い根性をしたご意見でして、ここまで大きく出たのに今回の決定会合でこの理由による反対票が無かったわけですな。
オラオラオラ常識的ヤロー!!早く出てこいやガンガンガン!!!!(アスキーアート略)
としか申し上げようがない訳ですわな。だって今回の中村審議委員の反対理由はこれじゃない訳で、それすなわち12月会合の主な意見のこの意見の人中村さんじゃない(そもそも中村さんがこんな品の無い書き方しないでしょ)訳でして、じゃあこの「常識的ヤロー」は誰だったんですかねえというか、主な意見で品性下劣な意見を述べておいて今回は雲隠れって品性下劣の上に卑怯者とかいうとんでもないゴミクズな訳で、まあ最悪10年後には答え合わせができるのですけど、まあこいつはとりあえず恥を知れというか、政策委員今すぐやめろやとしか申し上げようがございませんな。
でもって結局誰だったんですかねえ・・・・・・
〇貸増終了はよーやったと思うのだが「予定通り」は草生えるwwwwwwwwww
で、声明文に戻ります。
『3.貸出増加支援資金供給について、予定通り 2025 年6月末をもって新規の貸付けを終了する。なお、本資金供給を円滑に終了する観点から、経過措置として、7月以降、2025
年中は、満期到来額の半分を上限として、貸付期間1年の借り換えを認めることとした(全員一致)。』
「予定通り」ってナンジャラホイという感じでして、この貸増って本来は「緩和効果の強化」のために実施していたんですから、本来は金融緩和政策の修正を行うという段階に入った時点でとっとと止めろと弊駄文では申し上げていたので、貸増停止自体はまあ結構なお話なんですが、これまでって貸増はそれこそ議事要旨とか見ても碌すっぽ議論した形跡もなく脳死状態で継続されていたものなので、何かここで「予定通り」とか書かれるの物凄い違和感のある表現ですわな。
本来的にはこの貸増って上述しましたけど、「貸出支援基金」の一環として行われているものなのですが、この貸出支援基金ってのが、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo80.htm
貸出支援基金運営基本要領
『1. 趣旨
この基本要領は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する観点から、金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置として、貸出支援基金(わが国経済の成長基盤強化および貸出増加に向けた民間金融機関による取り組みを支援するため、適格担保を担保とする資金供給を行うために本行バランスシート上に創設する基金をいう。以下同じ。)の運営を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。』(直上URL先「貸出支援基金運営基本要綱より)
ということで、「金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置」なのでありまして、既に金融政策に関しては過去の大規模金融緩和を縮小させている段階に入っているので「金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置」は必要ないんですよね。
でまあ今回ってそういう意味では金融緩和のさらなる縮小をしている中なので、既にこの措置は継続する必要がないと判断した、という意味合いで終了させる筈なのですが、そこを「予定通り」とかいう言葉で煙に巻いている辺りがまあいつもの日銀クオリティだなというお話ではあります。
でもってそもそも論として貸増の要綱の中に「いついつに終了」って書いてあったっけと思いながら貸増の基本要綱を見に行ったのですが、決定会合結果公表から時間がたたないうちに要綱改定のリリースがだされておりまして、案の定ですが
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo81.htm
貸出支援基金の運営として行う貸出増加を支援するための資金供給基本要領
決定 2012年12月20日
改正 (途中は割愛して)2025年 1月24日
と差し替え食らっていましたので、変更前の要綱が見れないという抜け目のないプレイをしています。
でまあこの改正タイミングを見るとおおむね1月(昨年7月のように変動金利化した時に途中変更がありますが)に貸増ってだいたい1月会合で延長が決まっていて例えば昨年だと、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2024/k240123a.htm
当面の金融政策運営について
2024年1月23日
日本銀行
『2.日本銀行は、「貸出増加を支援するための資金供給」について、貸付実行期限を1年間延長することを決定した(全員一致)。』(直上URL先2024年1月会合声明文より)
ってありまして、一応1月会合の辺りで1年延長を決めている、という経緯があるので今回は延長しませんという決定ではあるし、まあこの貸増自体とっとと止めろやというものなので、貸増の終了(経過措置あり)に関しては無事に終了して良かったですねとは思うのですが、この「予定通り」ってのは間違ってはいないのですけれども、12年もの間(内容いじりながらですが)脳死自動継続みたいになっていたので、急に今回「予定通り(キリッ)」と言われるとナンジャソラとなりました。
まあそれはそうと、この貸増ですが過去に実施た分はテナーがクソ長いので一気にゼロにはなってくれませんけれども、そうは言いましても今後貸増が減りますと、まあこれって実質ただの共担オペなので、オペで出てくる金がなくなる分だけ担保需要も減るので、短いゾーンの国債(別に共担オペだから国債担保以外もあるので全部が全部国債ではないけど)の需給逼迫要因が一つ減るという点でも良い話だし、日銀のバランスシートの縮小にも資するのですが、なぜか昨年7月の変動金利化の後も札が謎にたくさん入っていたこともあって、うっかりすると延長するんじゃないかと危惧していましたけれども、これをスパッと止めれたのは大緩和時代の残滓の整理という点で結構なことだったと思います。
〇声明文単体で見ると今回の利上げは「オントラックで先行きの確信度が高まった利上げしました」ですな
またまた声明文に戻ります。
『4.わが国の経済・物価は、これまで「展望レポート」で示してきた見通しに概ね沿って推移しており、先行き、見通しが実現していく確度は高まってきている。』
以下文章は続きますがいったんここで切らせてもらいまして、この項番4の結論部分、すなわち第二段落に飛びますと、
『こうした状況を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。』
となっていまして、この項番4の両段落の主文だけでつなげて読めば、今回の金融政策決定の背景にあるのは「見通し通りに推移すれば金融政策の修正を実施」という話になるのですよね。
ただ、ここで話がややこしいのは(この後の展望レポートやら週明けにテキスト出てくる総裁会見ネタで出てくるのですが)「物価が上振れ」だの「物価見通しの上振れリスクが大きい」だのという認識が展望レポートおよび総裁会見で示されていることでして、結局「オントラックだから利上げした」のか「上振れしたから利上げした」のかがわかりにくい出来上がりセットになっているんですよね。
まあ声明文が一番エライ(というかなんというか)という本来の建付けに戻って考えてみますと、ここの声明文項番4主文抜粋のように、「オントラックだから利上げ」なのですが、その他ゴテゴテとついているのが非常に話をややこしくしている訳でして、これって植田日銀が標榜する「丁寧なコミュニケーション」が丁寧ではなくてコミュ障丸出しのポンコツコミュニケーションになっていると断じざるを得ない状況にもつながる話だな〜って思うのですよ。
すなわちですね・・・・・・・・・
〇10月展望や12月会合でああでもないこうでもないと余計なことを言うから話をややこしくしている件について
声明文に戻ります、項番4の第一段落を先ほどの引用部分も含めて引用しますと、
『わが国の経済・物価は、これまで「展望レポート」で示してきた見通しに概ね沿って推移しており、先行き、見通しが実現していく確度は高まってきている。』
『すなわち、わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。賃金面では、企業収益が改善傾向を続け、人手不足感が高まるもと、本年の春季労使交渉において、昨年に続きしっかりとした賃上げを実施するといった声が多く聞かれている。』
この辺から展望レポート基本的見解とかぶりまして、この中にも今回重要になると思われるポイントが含まれているのですが、まあそれはまた後程としまして、「本年の春季労使交渉」というのを説明に入れざるを得なくなっていますわな。
『物価面をみると、賃金の上昇が続くもとで、人件費や物流費等の上昇を販売価格に反映する動きが広がってきており、基調的な物価上昇率は、2%の「物価安定の目標」に向けて徐々に高まってきている。』
この「お気持ち」でしかない「基調的な物価上昇率」の説明はやらん方がええと思うんだがまあそれはさておきましてその先、
『こうしたもと、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、このところの為替円安等に伴う輸入物価の上振れもあって、2024年度が2%台後半となったあと、2025年度も2%台半ばとなる見通しである。』
事実として円安の影響があるんでしょうけれども、ここで「為替円安の影響で上振れ」という認識を示してしまいますと、7月決定会合において「為替円安の影響も含めた物価上振れリスク」に思いっきり言及して金融政策の修正を行ったことにイメージがかぶって読めてしまうのは致し方ない所でして、この説明は丁寧な説明のつもりでつけたんでしょうけれども、ここに言及することによって「円安対応の利上げなのか」「物価上振れが起きたから利上げしたのか」というような読み方ができるようになりまして、はてさて今回の利上げの決め手は何だったんですかねえ、というのに疑問符が頭の中で飛び交う、という事になるわけですな。
しかも今回ってこの声明文の記述にもある通りで、物価見通しの引き上げとリスク認識における「上振れリスクの方が大きい」ということが展望レポート基本的見解で示されている訳で、結局どっちですねんというのが主文に続くゴテゴテデコレーションのせいでわかりにくくなっているんで、このデコレーションは如何なものかという気がします。
さらに声明文の続きですが、
『この間、海外経済は緩やかな成長経路をたどっており、様々な不確実性は意識されているものの、国際金融資本市場は全体として落ち着いている。』
でまあ第一段落は終るのですが、えーっと米国新政権の経済政策の影響云々はどこに逝きやがったのか、というお話な訳です。
あとでもネタにしますが、今回の展望レポート基本的見解では、先行きの金融政策運営に関する文言の中に10月展望で追加された「米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し」という話、12月会合や年末の経団連講演で示された「米国をはじめとする海外経済の先行き、特に米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性は大きい状況です。米国の政策運営は、米国の経済や物価だけでなく、世界経済や国際金融資本市場にも、大きな影響を及ぼしうるものです。そうした観点から、わが国の経済・物価への影響も、よく見ていく必要があります。」(これは昨年12月25日の植田総裁経団連講演テキストより)という認識に対して、この説明はナンジャソラという話になっていまして、まあ12月の情報発信がゴミだったということなのでしょうけれども、あまりと言えばあまりな食言で、お前ら12月25日からどれだけ認識急変しているんだよ、ってのがさっぱり分からんのは分からんままなのでした。
〇実質金利が大幅ななマイナスだったら中立金利への修正を急がないといけないんじゃないでしょうかwwwwwwwww
声明文に戻って項番4の第二段落です、これまたさっきの再掲部分も含めて引用しますと、
『こうした状況を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。』
ってのはまあそうですかという所ですが、この次の文言もどうなのよとおもうのですけれども、
『政策金利の変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。』
ってありまして、まあこれ自体は「今後も利上げしますよ」いうための説明であったり、「今回の利上げは別に引き締めをしている訳ではないですよ」というエクスキューズであったりする意味合いの文言である、ということなんでしょうけれども、その前の部分で示されているように、今回って物価の現状認識および先行き見通しを上方修正し、すくなくとも中心的な数値で見たら見通し期間の全期間にわたって物価は2%を上回って推移しているという「目標達成状態という見通し」になっている訳ですよね。
でもって足元で物価が上振れて円安の影響も出ている、となったらそもそも論として「実質金利が大幅なマイナス状態」という金融緩和状態を継続することによって、経済活動をしっかりとサポートするどころか「物価上振れリスクがある」のですから、その物価上振れリスクを助長することになりませんかねえ、というツッコミが普通に成立するじゃろという話になるわけですよ。
そうだとしたら、半年に1回どころか展望レポートごと、極端に言えば毎会合利上げして政策金利水準を「実質金利が大幅にマイナス」という状況からマシにしていくことが急務になるんじゃないでしょうか、ってツッコミを入れたくなる訳でして、この説明の仕方もなんかもうちょっと考え直さないといかんじゃろと思いますが、実はこの部分が「金利が低すぎる」というメッセージ出しているという意味にしらっと摩り替っている、という可能性もありまして、まあ良くわからんところではあるのですが、この項番4はゴテゴテ書きすぎで読み方によっては変なメッセージに読めてしまうんですよね。
〇先行きの政策運営に関する文言から「米国経済ガー」が削除されました
という訳で項番5が展望レポート基本的見解の最後の部分に該当しますが、
『5.今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』
こちらですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf
展望レポート基本的見解(2024年10月)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(直上URL先2024年10月展望レポート基本的見解より)
となっていた文言の「そのうえで、米国をはじめとする〜」という政策修正やる気無し無し文言を削除していまして、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2024/k240731a.htm
金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について
2024年7月31日
日本銀行
『5.今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(直上URL先2024年7月31日決定会合声明文より)
ということで、昨年7月末の一瞬だけ植田総裁が覚醒して本来の植田和男に戻ったんじゃないかというレナードの朝状態だった時の声明文に回帰した形で、これで株式市場に全面降伏した8月頭の内田副総裁の説明が無かったことになるし、12月に散々言ってたトランプ2始まってからの様子を見るような説明もなかったことになる、という物件に仕上がっております。
〇しかしたかが利上げでこんなポンチ絵作らなくてもええじゃろと思うし「事前に決まってた」って言ってるようなもんじゃん
まあしかし今回の決定会合、声明文と同時に出たこれにはワロタというよりも事務方お前ら氷見野さんに喧嘩売ってるのかと思いましたが・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/k250124b.pdf
2025年1月金融政策決定会合での決定内容
・・・・・あのですね、折角氷見野副総裁が横浜金懇において、
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250115a.pdf
氷見野副総裁記者会見
――2025年1月14日(火)午後2時から約30分
於 横浜市
『(問)すいません、また同じところの質問で恐縮なんですけれど、今日の講演の
11 ページの、利上げを行うかどうか、政策委員の間で議論し、判断をしていきたいということなんですけども、これは執行部として利上げの議案を提案するというようなことまで含意していらっしゃるのでしょうか。それとも、メンバーの中で利上げについてふわっと話すよという程度のことぐらいしか示唆していないのか、どの程度の指し示しなんでしょうか。
(答)通常、議案の提出は議論を踏まえて行いますので、議論の結果次第かなというふうに思います。』(直上URL先の2025年1月14日横浜金懇での記者会見より)
って原理原則を示しているんだから、声明文と同時にこれを出すのは酷かろうという話で、これが同時に出せるんだったら氷見野さんの言ってる「通常、議案の提出は議論を踏まえて行いますので、議論の結果次第」ってのが嘘八百になってしまう(だってこれだけのポンチ絵を決定会合の声明文作成と同時に作成するのは物理的に無理)訳でして、こういうのはまあ事実として執行部が用意しているものであっても、原理原則というのを踏まえて、声明文公表の後に時間を置いてから出す(例えば記者会見開始前というか午後3時に出すとか)ってことにした方が良いと思いますけど(例え事前に準備万端整えているとしたって)そういうプロトコルは大事にした方が良いんじゃないでしょうかねえ、と思いましたが如何なもんでしょうかね。
というところでとりあえずアップします
2025/01/24
お題「さあ50bpということですが・・・・・・」
まあここもと決定会合待ち雑談ばっかりですが今日も雑談ですいません。
〇日経も利上げということですプロトコルというのは大事にして差し上げてくださいwwwwww
まあこれ自体は知ってた定期ですけど、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB227L60S5A120C2000000/
日銀、0.5%に利上げへ 17年ぶり金利水準に
金融政策
2025年1月24日 5:00
(珍しく会員記事じゃない)
この記事、ちょっと面白かったのはその前に出ていた記事が(こっちは会員記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB231IX0T20C25A1000000/
日銀、半年ぶり利上げ0.5%へ 政府も容認の構え
金融政策
2025年1月23日 19:00 [会員限定記事]
『日銀の執行部が24日の会合で利上げ提案を出し、政策委員の過半が賛成して利上げが決まる見通しだ。24年3月に...』(上記URL先より、以下会員記事)
ちょwwwwwおまwwwwwwwwwwwww
えーっと、政策委員の議論を踏まえて議長提案が行われ、議長提案に反対の人の中で別の議案を提出する人(12月の田村委員とか)が別の議案を出すときには出す、という建付けになっているのですが、そういうのを平然と無視した書き方する日経新聞さんオッスオッスといったところなのですよね。
何せ先日氷見野副総裁が金懇会見において、氷見野さんわざわざこういう説明をしているんですよね。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250115a.pdf
氷見野副総裁記者会見
――2025年1月14日(火)午後2時から約30分
於 横浜市
『(問)すいません、また同じところの質問で恐縮なんですけれど、今日の講演の
11 ページの、利上げを行うかどうか、政策委員の間で議論し、判断をしていきたいということなんですけども、これは執行部として利上げの議案を提案するというようなことまで含意していらっしゃるのでしょうか。それとも、メンバーの中で利上げについてふわっと話すよという程度のことぐらいしか示唆していないのか、どの程度の指し示しなんでしょうか。』
『(答)通常、議案の提出は議論を踏まえて行いますので、議論の結果次第かなというふうに思います。』(以上直上URL先1/14氷見野総裁会見より)
でまあこのようにですね、そらまあ案というのは当然ながらあるってえのはあるんでしょうけれども、政策運営の建付けとしては氷見野さんの説明通りな訳で、こういうのはプロトコルの世界だから、そういう建付けを堂々と踏みにじる記事を書くってのは如何な物かと思うのですよね。まあ朝5時の記事ではさっきの「執行部が利上げ提案をして〜」の記述が無くなっているからもしかしたら社内で指摘でも入ってその部分がしらっと記載しない形の記事になった、というのであればそれはそれでまあ罪一等を減ずるって感じなんですが、こういう「建付けとしてこうなっている」というのにはそれなりの理由があるわけで、それこそ(アタクシはやらないから詳しくは知らんけど)茶の湯だって懐石だってプロトコルに沿って行われる部分にはそれなりの意味合いというのがあるのですから、そういうのを日本唯一の経済クオリティペーパー(イヤミじゃなくて一応そういう認定はワシの心の中では存在する)たる日経さんが書いちゃうのは残念なことではあります。
とまあいつもの雑談ではございますが、まあそんなことより本日の注目点。
〇「今回の決め手」を聞くのが吉定期ですがどこまでその辺が会見で出てくる(または展望で示される)か
まあここもとずっと言っている話ではあるのですが、ざっくり整理してみるとこんな感じですかね。
・「実際の物価の推移」に関する言及がどうなるのか
これまた氷見野副総裁の横浜金懇からになりますが、横浜金懇の挨拶の方(HTMLバージョン出ているので引用しやすいHTMLを貼っておきます)で今回アタクシが注目したんですがイマイチ市場的には話題になっていないっぽい部分ということでしつこくご紹介しますが。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/ko250114a.htm
最近の金融経済情勢と金融政策運営
神奈川県金融経済懇談会における挨拶
日本銀行副総裁 氷見野 良三
2025年1月14日
『3.日本銀行の金融政策運営』の『物価を巡る状況と今後の金融政策』の部分にこういう説明がありましたわな。
『日本銀行は、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指しているわけですが、現実の物価上昇率がちゃんと下がっていかないとこの目標はもちろん実現できません。他方、人々が将来の物価上昇率について抱いている予想が2%に向かって上がっていかないと、実際の物価上昇率もいずれはまた2%を下回るようになってしまい、目標を持続的・安定的に実現することはできません。』
『そこで、現実のインフレ率は下がっていって、予想インフレ率は上がっていって、それが両方2%前後で着地する、という、難度の高い道筋を描いて、そうなっていくという見通しを持っているわけですが、これまでのところ、その背後にある経済のメカニズムも含めて、概ねその見通しに沿って進んでいると思っております。』
『わたしどもとしては、そうした見通しが今後も実現していくとすれば、昨年3月、7月に続いて、今後も政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えております。方向はそういうことだとしても、もちろん、内外には上下双方向のさまざまなリスク要因がありますので、注意深く判断していく必要があります。』(以上直上URL先1/14氷見野副総裁横浜金懇挨拶より)
「現実の物価上昇率がちゃんと下がっていかないとこの目標はもちろん実現できません」
「難度の高い道筋を描いて」
ってのは結構ポイントで、そういえばこれ、ということで思い出すのはいつもアタクシが悪態ばっかりついている展望レポートハイライトになるんですけど、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202410.htm
展望レポート・ハイライト(2024年10月)
経済・物価情勢の展望
の『物価は来年度以降2%程度で推移する』と
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202407.htm
展望レポート・ハイライト(2024年7月)
経済・物価情勢の展望
の『物価は来年度以降2%程度で推移する』。
これ書いていることは同じなんですが、絵の方を見ると2%への経路が7月は普通にトラックコースを疾走するとその先に2%があるのに、10月はスカイダイビングで2%に向けて着陸態勢ってなっていまして、実はこのイラストでも「現実の物価上昇率が2%に下がる道のりの難易度がしらっと上がっている」というのが示されているんですよね(出たときにもちょっと書いた気がしますが)。
でまあそういうイラストでの認識を踏まえて氷見野さんの先日の金懇挨拶のテキストを読みますと非常に味わいがあるわけでして・・・・・・・・・・・
・「待つことのコストは大きくない」のか「ビハインド・ザ・カーブのリスクは高まっている」のか
とまあ小見出しに書きましたが、ここの認識ってどうなっているのよというお話な訳ですよ。特に今回って「オントラック」とは言ってますが、そもそも論として氷見野さんの説明でも展望のポンチ絵でも「現実のインフレ率は下がっていって、予想インフレ率は上がっていって、それが両方2%前後で着地する、という、難度の高い道筋を描いて、そうなっていくという見通しを持っている」(これは氷見野さんの金懇挨拶引用の再掲)ということになっているのですが、「現実の物価」に関して展望レポートで見通しの引き上げが行われる可能性が高い(まあ実際高止まりしていますからね)という状態な訳でして、その点ではアクチュアルな物価に関して言えばオントラックどころか上に逸脱して2%に向けて無事着陸できるのか大丈夫かなんか強い上昇気流来ましたで、という風情も醸し出している訳ですよ。
となりますと、一昨年の5月の内外情勢調査会で植田総裁が言ったハトハトチキンの象徴「待つことのコストは大きくない」、あるいはこれは最近でも言ってる「時間的余裕がある」という認識が、現実の物価が2%に向けて下がるという動きに必ずしもなっていない、という事実を前にどのように認識が変化したのか、あるいは認識変わらずノホホンとしているのか、という所って注目したい訳ですよ。
既に田村委員だと思われますが、主な意見などでも緩和政策の修正が後手にまわるビハインドのリスクについて指摘している向きもありますが、このビハインドのリスクに関して、まあ確かにこれを今回急に前面に出してくるというのはジャガーチェンジっぽく見えてしまい兼ねないので出し方は難しいかもしれませんが、いつまでも「待つことのリスクは大きくない」「緩和修正判断に関しては時間的余裕がある」という訳でもない、というのが実際の物価の推移ではないかとアタクシは思う訳でして、日銀でもそういうイメージが強まっているのであれば、今割と「どうせ次の利上げは半年どころか(半年後は選挙なんかあるからやりにくいので)その後よ」みたいな感じで(特に債券よりはその外側の人たちかな)イメージができているように思えますが、そもそも論として日銀の政策はインフレ―ションターゲッティング(を通じた国民厚生の最大化)なんですから、現実のインフレ率ってのを延々と無視し続ける訳にもいかないから、物価が(黒田末期からの)日銀の触れ込みである「そのうち下がるんでヘーキヘーキ」から逸脱しっぱなし状態ってのはやっぱりどうなのよという話になるタイミングが来るんじゃないかと思うのよね。
ということで、基本的なスタンスと思われている「時間的余裕がある」という認識がどうなったのか、だいたいからして今回だって12月会合の時点(と年末の経団連講演)で1月利上げ観測叩き潰して回ってたんですから、あの時点では「1月に米国や春闘の見切り発車しなくても十分に時間的余裕がある」と思ったからああいう情報発信になったはず(そうじゃないなら情報発信が根本的に間違っている)ですから、リスク認識の変化があったんじゃないか、という風に考えるのって別にアタクシそんなに奇をてらったつもりではないのですが、ここのところにつきましては別に小一時間問い詰めたいとかそういう訳でもなく聞かせてほしいなあと思います。
ま、会見で誰も質問しない可能性は大有りなのですが、展望レポート基本的見解の方に何らかのメッセージ性のある説明があるかもしれませんよね。まあ何と言いましても「待つことのコストは大きくない」と「ビハインド・ザ・カーブのリスクを認識すべき」では今後の政策パスが天と地の差になってきます(だからまあもし出てくるとしてもその途中のグラデーションっぽい玉虫色になりそうな気はしてきましたけど笑)し、まだまだ金融市場は「ビハインドのリスク」という意識は少ないと思いますけど、現実の物価推移は「ビハインドのリスク」を高めてきているようにしかアタクシには見えず、この捉え方が変化すると話の前提がかなり変わるんじゃないでしょうか、とまあそのように思われますので、その辺についてなんか推測することができる材料があるといいなあ、と思います。
・ジャガーチェンジの理由は現実の物価なのか為替なのか(はたまた他の要因なのか)
これはまあ先般来の雑談で何回か申し上げた通りなのでそんなにクドクド書きませんけれども、「現実の物価が上振れしているので政策修正を早めた」のであれば、今後注目すべきは賃金云々よりも物価の方になってくる、というお話ですし、「為替円安が国内所得の漏出に繋がっているから過度な円安は是正されるべきなので政策修正を早めた(なお日銀のお約束として為替対策で政策修正したとは口が裂けても言わないですので念のため)」のであれば、今後も為替に注目という話な上に、円安阻止で政策修正を早めたのであれば、今回の政策修正の説明において、「その次」に関してそんなハトハトチキンな説明をする筈がない(ハトハトチキンな説明したら円安に飛んで元も子もない)訳でして、はてさてどうなんでしょうというお話。
もちろんですが、他の要因、というかさっきああだこうだと書いた「ビハインドのリスクを認識しだしたので政策修正を早めた」という可能性もある(というかアタクシは実はそうなんじゃないかと色々と考えているうちに思うようになってきた)訳でして、まあこの背景についてはゴリゴリとツッコミが会見で入ってくれると思うのですが、どのようになるのかによって先行き注目される政策反応関数候補の注目優先度合いが決まるわけですので、そらもう注目よというお話ですかね、知らんけど。
・ターミナルレートはどうせ不毛の議論だがよくよく考えてみたら1%の訳ねえだろと思います
まあこれも既に書いたので結論だけですが、物価が2%で安定して潜在成長率が0%台後半なのに名目中立金利が1%の訳ねえだろとしか言いようが無いわけで、どこからどう見たって2%台は最低でもあるわヴォケという話ですが、まあ日銀ちゃんとしては今その2%だの何だの言うと金利上昇だヒャッハーという話になるから怖くて言えないというのは分かるので、今回急にその1%云々が上振れすることはないと思いますが、ゆうて現実の政策金利が1%に近くなってきた(つまり次の次の利上げ)の段階においても現実の物価が上振れっぱなしとかいう事態になったら政策金利を1%で止めてしまうこと自体がビハインドのリスクを高めることになるので、「1%」が過度に注目されないように徐々にトーンを調整していくようにしないと自分の首を絞めることになるんじゃないかと思いますし、日銀の皆様ってアタクシごときがニワトリ並みの脳味噌で考えることくらいは先刻ご承知でしょうから、「1%」のトーンダウンってのがこれから必要になってくると思います。それが今回なのかというとそこは難しいのかもしれませんが。
・とまあそうなってきますと・・・・・・・・・・
どうなんでしょうかねえ今の中短期金利って感じで、それこそ短国なんか3Mの0.35も付利対比15も低いのかよというのがありますが、1Yって0.51%かそこらなわけで。いやそもそもベースの時点付利とどっこいどっこいなのが1年金利ってのも唸りますわな、と思うのですが、これまで植田日銀が行っていた「時間的余裕あるアピール」が市場に強烈な印象を植え付けてしまっているっという事なんだろうなあと思います。
まあそんなこんなで整理になっていない整理をしてみましたが、何はともあれ展望レポートの書きっぷりと引け後の植田総裁会見をお楽しみにという所ですな。
ああそれから「常識的である」の人は当然今回反対するんですよね、「今回は判断できないので利上げを見送るのが常識的である」って意見言ってほしいですねwwwwwwwww
〇3M短国は入札はWIより弱くて引けではガッツリ盛り返すパターン今回も
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250123.htm
国庫短期証券(第1283回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1283回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1283回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年1月27日
4.償還期限 令和7年4月28日
5.価格競争入札について
(1)応募額 13兆636億5,000万円
(2)募入決定額 3兆4,330億7,000万円
(3)募入最低価格 99円90銭7厘0毛
(募入最高利回り) (0.3733%)
(4)募入最低価格における案分比率 37.7310%
(5)募入平均価格 99円90銭8厘9毛
(募入平均利回り) (0.3657%)』
ということで、昨日申し上げました通りで売参の前日時点でのWIは0.350%だったのですが、入札の方は0.365%平均の0.373%足切りということで流れた、と言ってもまあ0.4%に届かんのですよねえという結果になっておりました上に、
売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/23引値)
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.330
ということで引けは何と0.33%になっていましてなんのこっちゃという感じですが、周辺銘柄の引けを見ますと0.350%レベルで前日比変わらずというのが並んでいるので、単純にこの新発の落札結果みたら「前回より金利高いじゃん買うか」みたいなムーブでも起きて新発だけ買い進まれたんですかねえ良くわからんですなあ、という結果に相成りました。
まあ最近のパターンだと入札直後強くなるんですが何か気が付いたら修正されている、というのが目に付くにはつくんですが、入札直後当該銘柄だけ強くなってくるっていうのは本質的には短国の発行が未だに需要(金利水準によって出てくるような潜在需要も含め)対比でショートしているんだろうなあと思う訳で、これが潤沢に流通玉が転がっていて、かつ新発がバンバン買い進まれるムーブが発生しているなら新発だけ単体で引けが強くなるって値付けにならない筈(周辺銘柄に波及する)筈で、まあ期末だの四半期末だのがらみの特殊なテナーであればそういう個別性の値付けが起きる可能性はありますが、これ4/28償還で別にどうということもない銘柄ですからね。
あと昨日は特会6Mもあって、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250123.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和7年1月23日入札)
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和7年2月4日
3.償還期限 令和7年8月5日
4.償還方法 令和7年8月5日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 3兆6,015億円
(2)募入決定額 1兆2,500億100万円
(3)募入最高利率 0.590%
(4)募入最高利率における案分比率 32.5840%
(5)募入平均利率 0.569%』
先週の7/31足の交付税6Mが0.538/0.570でしたので一段と上がりましたが、まあこれは確かに6月利上げ織り込みガーという話に仕立て上げると面白いですが、これってまあきのうも申し上げた通りに、「期中の政策金利みとおし云々はさておいても、6M資金をFIXすることによる流動性リスクプレミアムを要求します」っていう、金利がある時代の自然な姿に向かっているという風に解釈しようかなと思います。他の短期のオープン市場とかでもそんな感じの兆候は見られるのですけれども、短期市場ってご案内の通りで相対の世界で個別性が強いからこういう形で出るものは良いんですけど、そうじゃない件に関してはほんわかとしか申し上げにくいのがまあそういう市場やぞということですな。はい。
ということで本日はこの辺で勘弁していただいていざ出陣!
2025/01/23
お題「特会借入とか短国入札とかをマクラに短期方面のタームプレミアムの雑感/公共放送も利上げ観測報道ですね」
お、おぅ・・・・・
https://jp.reuters.com/life/DSKGXO45NZKADPN65RP4DMT2XA-2025-01-22/
トランプ氏は「性的少数者や移民に慈悲を」、司教が礼拝で説教
By Steve Holland
2025年1月22日午後 3:25 GMT+9
〇そういや特会借入は当然の如く利上げ後モードになっている訳ですが&今日は3M入札
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/2501.htm
入札カレンダー:令和7年1月
『(3)借入金』のところに特会借入入札の結果が出ていますが、
今週火曜日
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250121.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和7年1月21日入札)
『1. 借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和7年1月30日
3.償還期限 令和7年7月31日
4.償還方法 令和7年7月31日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 3兆3,385億円
(2)募入決定額 1兆3,000億円
(3)募入最高利率 0.570%
(4)募入最高利率における案分比率 89.6310%
(5)募入平均利率 0.538%』
スタート日がなにせ利上げ行われた場合に新金利適用日そのものずばりですし、7月決定会合で利上げが決まったとしても新金利適用は8/1からの筈なので、これはもう全期間付利金利0.50%じゃんということですが、平均0.538%で足切り0.570%ということですので、付利金利にターム分のプレミアム(当たり前ですが6か月資金FIXなので相手が特会だからクレジットリスク自体はゼロだとしても資金が固定されるプレミアムは必要だし、バランスシートは使うのですからそのコストだって必要)乗っかったらまあこのくらいはプレミアムつけても罰は当たらんと思いますが、別の考え方をするともうちょっと味わいのある結果になります。ってのはこの後しますが話の都合上今月の特会借入のその前のレートの話をしますね。
先週水曜日の交付税特会借入6Mが1/24(なので最初の3日だけ付利金利25bp)〜7/24で平均が0.499%、足切りが0.519%でして、まあ先週水曜の時点ですと氷見野さんの金懇攻撃の翌日でしたので、1月利上げ確率がずんずん上昇していた時ではあるのですが、まあこの時点で特会とか(CPなんかもそうですけど)は1月利上げの蓋然性高いじゃろというか1月利上げが乗っかったレートじゃないとちょっとねえ、という感じに資金を出す方がなっていました(そらそうですよね)ので、見た目的には先行して1月利上げを完全織り込み水準となった訳です。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250115.htm
でまあ先々週火曜日(先々週火曜日って大発会翌日なんですよね〜、なんかあっという間ですね)の交付税特会借入6Mが1/16〜7/17で平均0.472%で足切り0.500%でしたというのはネタにしましたけれども、この時点では1月利上げはまあ無くて3月利上げですかねえ大丈夫ですかねえという風情でしたが、まあこの時点で既に交付税特会借入という参加者の幅がそんなに広くない(人数はいると思いますけどこれ「借入金」なので参加できる業態がそもそも限定的なのよ)資金運用に関しては足切り0.500%とか普通に早期利上げを織り込まさせられていた、というのもありますので、まあ0.538の0.570になっても要求されるプレミアムそんなもんじゃろ、というのはありますわな。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250107.htm
・・・・とは言いましたけれども、これ「6月利上げの織り込みってどうよ」という計算をするとそれはそれで面白いことになりまして、1/30〜7/31を6/18(6月会合でうっかり利上げがあった場合の新金利適用日)で分かち計算して、手前を0.50%で起きますとあら不思議、最後の1か月の金利が、足切りの0.570%だと何と0.795%くらいになるんですわアーコリャコリャ。ちなみに平均の0.538%で計算すると後ろの金利は0.660%くらいという水準になりまふ。
まあこれをもって「6月利上げの思惑が」というのはちょっと牽強付会にも程があるのでそれはよーもうしませんけれども、そらまあ現実問題として1月に利上げになった場合(というかなるんですが)には、今のところは「半年に1回ペースじゃろ」という考えが漠然と多数派のイメージになっているんじゃないか(そもそも7月に上げた時点でそうじゃろって感じだったのにあの時に急に植田総裁が威勢の良すぎることを言い出して話がややこしくなった)と思うのですが、そらまあ「半年に1回」がかなりコンセンサスに近い、となれば資金出し手的にはコンセンサス分にプレミアム乗っていた方が投資としての魅力が有るわけですし、だいたいからして付利50bpの時に何も50bpと同じ金利で6Mフィックスする必要もないわけですから、まあ見た目そういう感じでタームプレミアム乗っかるという事になろうかとは思うのですが、お話のネタとしては(強引感満載ですが)出てきそうな気がしたので書いてみました。
ちなみに特会借入って長いのもありまして、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/energy-result250109.htm
エネルギー対策特別会計の借入金の入札結果(令和7年1月9日入札)
先々週の木曜日(なのでまだ横浜からペリー提督もとい氷見野副総裁の砲撃が来る前)でしたけれども、こちらが1/20〜1/20の1年物で平均0.592%、足切り0.640%になっていたので、こちら平均の0.592%ですと7月会合で切った場合の後半レートが(手前は手抜きで全編0.50%で置きます)0.695%位で9月会合で切った場合の後半レートが0.780%位、ということで、しれっと0.75%までの利上げを織り込んだ格好になっているというのがチャーミングではあるのですが、まあこれもそうなんですけど1年間のFIXなんだからそのくらいのプレミアムは乗るじゃろしかも利上げ局面なんだし、というのも当然ながらあるわけでして、本来であればターム物の足が長けりゃ資金FIXのプレミアムが乗るもんじゃろ、というのを既に特会借入では体現しているとも言えまして、中々味わいがあるというものです。
でまあ今日は(明日が決定会合2日目なので)前倒しの3M短国入札があるわけですが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20250116.htm
国庫短期証券(第1283回)の発行予定額等
『1. 入札予定日 令和7年1月23日
2. 発行予定日 令和7年1月27日
3. 償還予定日 令和7年4月28日
4. 発行予定額 額面金額で4兆5,000億円程度
5. その他 上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。』
27日発行なのでどう見ても新金利スタートです本当にありがとうございました、という銘柄になるのですが、昨日の売参見てますと、
(1/22引値)
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.355
国庫短期証券1283 2025/04/28 平均値単利 0.350
先週入札のあったカレントの方が0.355で値付けしてるのに新発WIを0.350で値付けする意味が良くわかりませんけれどもwまあ周辺の銘柄全部0.350に値付けされているので平仄合わせてるんですかね、知らんけど。
でもってこの引値って確か昨日は短国全ゾーン引け同じ(ちなみに利付は短いところとか含めて引値甘にされていましたな、もともと利付の短い方がレート低すぎ問題があったと思うのですが)になっていたのはまあ良いんですけど、この期間構造がですな、
(1/22引値)
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.350
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.350
国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利 0.400
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.400
1279ってのが6Mカレント(先々週の木曜に入札があったやつ)ですが、その手前の6/20までが全部0.350%の横並びで値付けされていまして、まあその次のところでいきなり0.400%に値段が飛ぶのも何なのという感じだし、おそらくは1279の方が発行してそんなに時間がたっていない(1238は1Yの成れの果てなので昨年6月発行)ので、まあ6月償還の0.350%ってのもホンマカイナ感はありますけれども、まあ短国の方はしつこく申し上げておりますように需給がもともと超過状態で推移していたこともあって、イマイチこうタームプレミアムとかそういう概念が乗っかってこない、というのがあるなあと今でも思われる訳ですな。
まあこの点に関しては黒田末期にぶっこんだ2年長期共担が期落ちになってその分の担保需要が無くなって来るとか、エライ減らされた発行を一部戻してきたとか、年末年始プレミアム要因が終わったとか、まあその手の話で極端にひっ迫していた需給が緩和されたんですけれども、とは言いましてもそういう需給要因がない(参加者限定的という部分を割り引いて考える必要がありますが)特会借入のレートの期間構造と並べてみますと、まだまだ短国自体のレート形成がこなれていないというか、需給相場の面はありますけれども、本日の3M入札、まあ今回は全期間における日銀超過準備付利金利が0.50%になるのが確実な中、付利マイナス0.15%で良いんでしたっけ問題と、本来発生してもおかしくはないタームプレミアムを反映したような金利になるんでしたっけ問題というのの結果を見るのが結構楽しみでして、新発WIの35bp対比どういう入札になって最終的にどうなるのか、というのを見ておきたいなという所です。
なお、利上げ観測盛り上がりの巻となってからの短国入札ですが、入札ではWI取引よりも流れる結果になっても、入札日に関して言えば引けがだいたい平均落札レベルよりも強く引けさせていましたので、高値覚えの残像から「ああこんなにいい金利になったんなら買いますか」というムーブがすくなくとも落札直後のセカンダリーではあったんでネーノっていう風情を醸し出している(その後利上げ確率が上がってしまっているのでそれを加味したレート上昇が発生しているからその後どうなっているのかが引値推移だけでは読みにくいのですが・・・)のですが、まあさすがに今回は7/27からの付利金利は0.50%だし、償還日までは政策金利変わらんじゃろという分かりやすい入札になるので、先ほど申し上げた(1)付利金利対比で幾らのプレミアム(本来はディスカウントになるべきなんですけどね)を載せるのか、(2)タームの流動性プレミアムをいくら要求するのか(たぶんしないんですが)を見て、それでもってさらに来週の3M(1/31入札)は実際に政策金利が上がった後に短国市場の価格形成がどうなっているのか、という初手での反応が見れるので、この辺の入札は面白いと思います(思ってるの多分クッソマニアな人だけだと思うけどwww)。
ついでに東京レポレートちゃんですが、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/20 0.248 0.244 0.255 0.304 0.334 0.369 0.410 0.445 0.520
2025/1/21 0.238 0.238 0.276 0.317 0.350 0.388 0.420 0.451 0.530
2025/1/22 0.236 0.222 0.292 0.327 0.360 0.393 0.427 0.456 0.538
一応まだチンタラと上昇している(1wみたいに適用期間の変化がもろに跳ねるのは盛大に上昇していますけど)ようでございますが、まあいったんこの辺で落ち着いて実際に利上げになってからまた仕切り直して考えてみましょうという事かも知れませんな。知らんけど。
〇ただの一発ネタですが
https://www.boj.or.jp/intl_finance/meeting/group/gro250122a.htm
金融安定理事会による「気候関連の脆弱性評価:分析枠組みとツール」の公表について
2025年1月22日
『金融安定理事会(FSB)は、1月16日、「気候関連の脆弱性評価:分析枠組みとツール」(原題:Assessment
of Climate-related Vulnerabilities: Analytical framework and toolkit)を公表しました。
本報告書は、金融安定理事会(FSB: Financial Stability Board)の常設委員会の一つである、脆弱性評価委員会(SCAV:
Standing Committee on Assessment of Vulnerabilities)の下に設置されている気候脆弱性とデータ(CVD:
Climate Vulnerabilities and Data)ワーキンググループによってまとめられました。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
一瞬「トランプのようなあたおかジジイが登場してちゃぶ台ひっくり返されるという意味での脆弱性」と空目してしまいましたすいませんすいませんすいません。
・・・・・しかしトランプが関税砲を思ったほど振り回しまくらなかったからということで一旦金融市場は「懸念されていたほどキチガイではなかった」っていう形で安堵っぽいムーブをしているんですが、この気候変動問題も含めまして、矢継ぎ早にぶっこんできている諸々の足利義持ムーブに関しては結構なアレ成分が強めになっていて、事前にトランプが無茶苦茶言ったことによって懸念のハードルが下がっていたから安堵ムーブになっているものの、スクラッチであれをぶっこんでいたら安堵ムーブになっていたのかよ、と思いまするに、いやこの状況で「米国新政権の政策の影響が懸念されるかもしれないので見極めたい、というのはもう時効ですよ時効」というのは何ぼなんでも強引にも程があると思うのですよね。
ま、初手(12月)で「米国新政権の政策の影響が不確実云々」って余計なこと言わなければ良かっただけの話なのですけれども、言ってしまった以上は今回利上げするのは利上げするで結構なのですが、ちゃんと落とし前をつけて頂かないと納得はできかねますな〜。
〇まあ今更ニュースですがこんなのが出てるのに気が付いたので(公共放送ニュース)
このタイムスタンプですと5時じゃなくて5時半のニュース(?)ですかしら
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250123/k10014700751000.html
日銀 政策金利を0.5%程度に引き上げの方向で検討の見通し
2025年1月23日 5時33分
『日銀は23日から金融政策決定会合を開きます。追加の利上げに向けて日銀は、アメリカのトランプ大統領が就任直後に打ち出す政策や金融市場の動きを注視していましたが、今の経済・物価の見通しに大きな影響はないという見方が多く、利上げの環境は整ったとして、政策金利を0.5%程度に引き上げる方向で検討が行われる見通しです。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、一昨日出ていた共同通信のような下品な書き方ではなく、きちんと「見通しです」と書いているのはさすが公共放送。
『日銀の金融政策決定会合は23日と24日の2日間開かれ、追加の利上げに踏み切るかどうかが最大の焦点です。これまで日銀は追加の利上げの判断にあたって、春闘に向けた賃上げの動きに加え、アメリカのトランプ大統領の政策や金融市場の動向を確認したいという姿勢を示してきましたが、このうち賃上げの動きについては、日銀内の大半が前向きな動きが継続していると見ています。』
『また、トランプ大統領が就任直後に打ち出した政策や金融市場の動向も想定された範囲内で、今の経済・物価の見通しに大きな影響はないという見方が多くなっています。このため会合では、利上げの環境は整ったとして、現在0.25%程度の政策金利を0.5%程度に引き上げる方向で検討が行われる見通しです。』
ということですが、まあこれ自体金融市場的には既報で勝負あった話ではあるのですが、連日申し上げていますように「何でジャガーチェンジしたのか」についての根拠、ワシはアクチュアルの物価特に体感物価の上昇による批判に耐えられなくなってきた説を提唱したいのですが、まあ為替円安をなんとかせいという話なのかも知れないですけど、いずれにしましても何がファクターだったのか、ということが「その次への距離」に効いてくる話なんだから、まあその話をちゃんとしやがれこのやろーっていう感じです。
しかしまあ何ですな、某社の有力エコノミストの方も仰っていましたが、一昨日の共同みたいな記事(いかにもどこかからお漏らしが出たかのように書き、本来決定会合で議論してから決定する事をあたかも事前に決定済みであるかのような報道をする書きっぷり)に対して日銀って何で「いついつの共同通信の記事についてですが、金融政策は金融政策決定会合において9名の政策委員の合議によって決まるのであり、事前に何らかの決定が行われるものではなく、現時点では何も決定されたものはありません」っていうのを公式に表明しねえのよってなもんで、確報のように報じるクソ報道を一々叩き潰して回らないから「事前リークによる期待のコントロール」とか「(昔よく置物一派が言ってましたが最近はあまり聞かない)日銀と報道機関の癒着」とか言われるわけでございまして、まあその辺さすがに公共放送は弁えて書きますよねとは思いますが、共同のああいう記事を放置する日銀も日銀だよな、って言う事で、まあ今に始まったことではないですが、報道の在り方も含めて日銀はコミュニケーションの改善に努めるべきではないかと、特に今回の11月末日経インタビュー以降のとんでもないグダグダを見ていて痛感しましたな。
なんか雑談ばっかりですいませんというか待ってるの疲れたからとっとと結果出してくれ決定会合wwwww
2025/01/22
お題「トランプ2初動では利上げ確定演出と/利上げするとして背景説明をする人は・・・・/短国とりあえず足元35bpまで上昇」
うーむ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17B0C0X10C25A1000000/
気候変動対策、始まる機運低下ドミノ トランプ氏再離脱
トランプ政権
2025年1月21日 21:53 [会員限定記事]
『トランプ米大統領は20日の就任日に気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱を表明した。環境分野での国際協調への機運は下がり、脱炭素をめざす金融の国際的な枠組みからの離脱は相次ぐ。米国内では化石燃料への投資拡大も見込まれ、温暖化対策の後退が相次ぎそうだ。』(上記URL先より)
日本が別にトランプに右にならえする必要はないと思いますが何ともまあ・・・・・
〇まあ色々とあったものの目先急に市場に影響はなしと
まあまあ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZINVNAXULBLQ7KGINDGAGPZ2ZY-2025-01-21/
トランプ関税が市場直撃、トリプル高から一転 株と為替が乱高下
By 植竹知子
2025年1月21日午後 12:19 GMT+9
『[東京 21日 ロイター] - 「トランプ関税」が東京市場を直撃している。21日朝方はトランプ米大統領が就任初日に新たな関税の導入を見送るとの観測が安心材料となり、株高・円高・債券高(金利は低下)の「トリプル高」でスタート。だがその後にメキシコ・カナダへの関税を検討と伝わると、株高と円高の流れが反転して神経質な相場展開となった。日経平均株価(.N225),
opens new tabは一時、日中高値から600円近く下落する場面もあった。』(上記URL先より)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-21/SQGB8SDWLU6800
【欧州市況】債券・株とも上昇、トランプ氏は欧州標的の関税発表せず
Kit Rees
2025年1月22日 3:46 JST
何と申しますか、今回のトランプ2に関してはとりあえずバイデンのやってたことをひっくり返して回るという足利義持ムーブをしていて、話が多岐にわたり過ぎててマジの話をすると本当は「この影響を見極めるためには時間が必要」としか言いようが無いのでして、何でこの段階で「米国新政権の経済政策の影響」が見通せるのか1ミリも理解できない就任演説をぶっかまされたと思うのですが、えーっとそれでも1月利上げするのは問題ないんですよね。
ということで昨日はトランプ演説の後に市場が絶望的な反応をしなかった、ということで、
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20250121/k00/00m/020/086000c
日銀、利上げの公算大 政策金利、0.5%程度に引き上げへ
2025/1/21 10:51(最終更新 1/21 19:24)
1033文字
『日銀が23、24日に開く金融政策決定会合で、政策金利を現行の0・25%程度から0・5%程度に引き上げる公算が大きくなった。2025年春闘で昨年並みの大幅な賃上げが見込まれ、物価上昇率は2%を超えた状態が続いている。20日のトランプ米政権発足後、株式市場などに大きな混乱はなく、日銀内には追加利上げに踏み切るのが適切との意見が広がっている。』(上記URL先より)
と思ったら共同通信が第一報でこれをだしまして、
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e438ae4575a6a333d2d3f9d5a9773047c7f9d7e
日銀、追加利上げ公算大
1/21(火) 15:50配信
共同通信
『日銀が23、24日に開く金融政策決定会合で、政策金利の追加引き上げを決める公算が大きくなった。21日の金融市場でトランプ米大統領の就任に伴う大きな波乱が見られず、利上げに踏み切る環境がほぼ整った。』(上記URL先より)
まあ別に今更市場は反応しないのですけれども、とは言いましてもしらっと毎日では「日銀内には追加利上げに踏み切るのが適切との意見が広がっている」とかあのーすいませんもう決定会合前のブラックアウト期間なのに何で「日銀内で意見が広がっている」って現在進行形のお話が書けるんですかそれはブラックアウト違反じゃないですかというのが出てみたり、共同通信の第二報が、
https://www.47news.jp/12058116.html
【速報】日銀、追加利上げ決定へ
2025年01月21日 23時46分共同通信
『日銀が23、24日に開く金融政策決定会合で、政策金利の追加引き上げを決める方向であることが21日、分かった。』(上記URL先より)
って議案が何で勝手に漏れるんですかお前らの情報管理どうなっているんだ(なお「決定会合でこんな方向性になりそうですのですが議決延期請求とか出しませんよね」みたいな下話が来る可能性はあって(それも微妙にどうかとは思うけど)そこからのお漏らしというのもアリエールですな)というニュースが出ておりまして、まあ今回利上げすること自体は結構というか遅すぎじゃヴォケというくらいの話でもありますが、それにしたって米国だって欧州だって英国だってこんなグダグダの未開国家コミュニケーションしとらんわという話でして、折角この前の金懇で氷見野さんがコミュニケーションについて良い話をしていたというのに大本営クソだなとしか申し上げようがございませんな。
まあとりあえず無事??に利上げするのはするんでそれは良いんですけど、今回の一連の流れはもう無茶苦茶としか言いようが無くて、昨日も申し上げましたが、11月末に日経新聞のインタビューを行ったのが全ての間違いの始まりだったということを(本来は正式に認めるべきだと思いますがあいつ等にもしょうもない体面とかいうのがあるからそこは内々で大反省会をしてくれればそれでまあ良しとするしかないかなとは思うが)認めて猛省をすべきである、とは思うのですが、三百代言ムーブで屁理屈捏ねて「勝手に我々の言ってることを曲解している市場が悪い」とか思ってそうなのでその辺記者会見で誰か問い詰めてくれませんかねえ3社くらいで連合軍組んで追い詰めてほしい(提案)。
〇さて今回は展望レポート会合ですしおまけに利上げまで来ますので説明が・・・・・・・
これ実は月曜に何の気なしに講演日程確認したら気が付いた(のでたぶん金曜に更新されていたのか月曜に更新されていたんだと思うのですが)のですが昨日ネタにするのを忘れておりましたwwwwwww
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
今後の講演・挨拶等の予定
日程 講演者等 講演内容等
2025年 1月30日 氷見野副総裁 一橋大学政策フォーラムでの講演
2025年 2月 6日 田村審議委員 長野県金融経済懇談会における挨拶
2025年 2月19日 高田審議委員 宮城県金融経済懇談会における挨拶
おや氷見野副総裁の講演がまたセットされています。ということですが、展望レポートの後って基本的には正副総裁が何らかの形で講演(きさらぎ会とか内外情勢調査会とかいうのも含め)を実施して、そこで今般の展望レポートの説明みたいなのをするのがおおむね仕様になっていますし、何なら今回だったら政策変更しそうなので更に正副総裁による説明会(笑)が実施されるかとは存じますのですが、氷見野さんが連発で講演するのですか、とは思うのですが・・・・・・
ただまあこの「一橋大学政策フォーラムでの講演」ってのでその「説明会」を実施するのかって話になりますと何となくソウジャナイ感も漂うので、別途講演みたいなのがセットされる(ちなみに直前にいきなりぶっこめる講演としては読売国際になりますかねえ)のかもしれませんけれども、とりあえずこの混乱の張本人であるところの植田内田は出てこない(植田総裁は決定会合後に会見で吊るし上げもとい説明の機会がありますけど)ということのようでオイコラ出て来い(ガンガンガン)って感じではありますな。
ま、金懇の方はだいぶ前から準備しているから別に他意はないんでしょうけれども、今回まあ順当に金曜日に利上げが実施された場合、その後に出てくるのが氷見野さんという良識の府みたいな方であり、その次に出てくるのが前回利上げ提案をした田村抜刀斎というのが中々味わいのある人選に結果的になっているのは面白いです。氷見野さんの説明は前回の横浜金懇で何となく分かったとはいえ、会見でも言ってましたが次回利上げ云々の話については当然ながら細かい説明をしていなかったので、政策フォーラムとかいう所でどういう話をするのか、直近の利上げに関するコメントはもしかしたらないかもしれませんが、まあ詳しく聞いてみたいですし、抜刀斎に関しては12月に抜刀したのに会見では植田さんに全否定モードされていた訳ですから、それが1月会合で驚異のジャガーチェンジした背景に関して「利上げはワシが育てた」という凱旋報告と共に、そのあたりについての抜刀斎なりの分析を是非よろしくおねがいしたいし、昨日も申し上げたけど、「結局何でこんなにジャガーチェンジになったのかという政策反応関数」についてもっとわかるように説明してほしい訳です。ということで期待していますm(__)m
あ、あとですねちなみにクッソどうでもよいといえばどうでもよいのですが、
https://www.boj.or.jp/en/about/press/index.htm
Speeches and Statements
Date Speaker Event
Feb. 6, 2025 TAMURA Naoki, Member of the Policy Board At a meeting with local leaders in Nagano
Feb. 19, 2025 TAKATA Hajime, Member of the Policy Board At a meeting with local leaders in Miyagi
ちょwwww英文ページにまだご案内出てないwwwwwwwww
あとちなみに何ですけど、今回の12月から1月へのジャガーチェンジの背景が何か、によっては実は次の利上げってよく言われるような遅いものではない可能性があって、特にアクチュアルの物価高止まりが遂に問題視されるようになっているのであれば、欧米並みとはさすがに行かないにしても、ハトハト利上げとか言ってる場合ではない、という認識に傾いてきていて、本当は春闘も米国も見たかったのに急に1月利上げに舵を切りなおした、という可能性だってなくはない訳です。まあそうじゃなくて単に11月末以降のコミュニケーションが我々の想像を絶するレベルの下手糞だったという「ハンロンの剃刀」ムーブだったんじゃないかとは思うけど世の中万が一というのはありますからね〜〜。
〇えーっとリフレ派じゃなきゃなんでもいいです(安達委員後任人事の提示とな)
ほうほうそうですかそうですか
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/UEOC52YC2FOYFAHHSY3TOUXPEA-2025-01-21/
安達日銀委員の後任含む同意人事案、28日にも政府提示=関係筋
By ロイター編集
2025年1月21日午後 5:46 GMT+9
『[東京 21日 ロイター] - 政府は3月25日に任期を迎える日銀の安達誠司審議委員の後任を含む複数の政府系機関の国会同意人事案を28日にも提示する。複数の政府・与党関係者が21日までに明らかにした。
国会同意人事は政府が任命する際に衆参両院が可決して同意する必要がある重要ポストの人事。今回は3月末までに任期を迎える複数のポストの人事案が提示される見通し。』(上記URL先より)
ということでまあこの人はマジのマジで最初から最後まで空気としてしか存在していなくて、野口先生は言ってることの是非は兎も角としても一応意見というのは出していたのですがこの人は置物一派の風上にも置けない空気にも程がありましたが、日銀政策委員をキャリアパスの箔付けに使っただけなんじゃねえのか安倍ってのは碌な人選しないわな、とまあそういうお話ではありましたので3月末とは言わずに今日退任しても良くってよという所ではありますが。
でまあ後任という話なんですけど、置物一派じゃなければ何でもいいやという所ではありますけれども、できれば産業界で企業経営に携わった方が就任していただけるとありがたや(以前だと商社とかそういう方とメーカーの方がいたりしたもんですから)という風に思いますし、まあ汚物は消毒して頂いてとは思うのですが、その辺はゲル政権なのでアホな人事はしてこないとは思うのですが・・・・・・・・・
〇実際に利上げになってみないと分からんには分からんですが短国も利上げ織り込みなのかしらこれで
毎度の売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/21引値)
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.350
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.350
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.350
・・・・
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.350
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.350
・・・・
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.350
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.350
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.350
(1/20引値)
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.330
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.330
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.330
・・・・
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.330
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.330
・・・・
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.330
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.350
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.350
ということでですな、昨日はトランプ2のスタートが無事(かどうか知らんけどとりあえず初動でカオスにはなっていない)だったのに敬意を表しまして、短国の引値って足元からずーっと同じ35bp(ちなみに6月償還くらいまで35bp)になっておりました。
いやお前1/27償還は利上げ関係ないじゃろというのはご愛嬌としましても、とりあえずこれは利上げ後の短国はコールから15下という辺りになるってお話なのかよとか思ってしまう訳ですが、よくよく考えますとそれって絶対水準の金利があるから誤魔化されている面がありますが、マイナス金利解除してコールが7bp髭の時に短国は別にマイナス8bpではなかったわけで、どういう事やこのスプレッド、と思いますけれども、こればっかりは新金利適用された来週になってから暫くみていく必要がある、というかまあ決定会合2日目の前日に3Mの入札があります(いつもだと金曜ですが決定会合2日目なので入札日が調整される)ので、それを見ますかってなもんですが、前回の3Mカレントの引値が0.355%で1283のWIが0.350%になっていまして、そこからどのくらい流れるのかはたまた流れないのかという風情ではあります。
東京レポ―レートちゃんの方は
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/10 0.243 0.248 0.240 0.239 0.243 0.249 0.325 0.397 0.494
2025/1/14 0.244 0.245 0.240 0.241 0.247 0.255 0.330 0.397 0.496
2025/1/15 0.244 0.245 0.240 0.244 0.253 0.267 0.334 0.398 0.497
2025/1/16 0.241 0.244 0.241 0.255 0.269 0.291 0.349 0.410 0.500
2025/1/17 0.242 0.243 0.241 0.289 0.320 0.352 0.402 0.434 0.512
2025/1/20 0.248 0.244 0.255 0.304 0.334 0.369 0.410 0.445 0.520
2025/1/21 0.238 0.238 0.276 0.317 0.350 0.388 0.420 0.451 0.530
1月か3月か、によって新金利適用期間がもろに違ってくる3週間から3か月の辺りの金利が上昇して、逆に先行して上がっていた6か月とか1年に関しては利上げ確定演出が出てもそれはまあ織り込んでいるわよってな風情で落ち着いているので、一応ここの流れは利上げ確定演出を受けておりますなあってなもんでございまする。
ただまあGCレートって順当に考えれば利上げ後のオーバーナイト金利は付利のちょっと下くらいの水準で基本推移する(瞬間的な需給での振れはあるけど)と見られますし、今だってまあそうでしょと思うのですが、GC翌日物が付利のちょっと下くらいの水準で落ち着くと考えますと全般的にこの金利ってどうなのよ感も無くは無いわけでして、これ50bpに利上げになった後のGC翌日物金利水準がどの辺に落ち着くのかってのも注目されるよな、とは思うのでありますがどうでしょうかしら・・・・・・・・・・・・・・・
とまあMPM前雑談ばっかりでシャーセンが今朝はこの辺で勘弁
2025/01/21
お題「今回のジャガーチェンジの背景が分からんと今後も予想できませんよね/生活意識アンケートが順当だが衝撃の物価高デメリット」
まあトランプさんの落語につきましては専門家の皆様にお任せするとしますが、そこまで破滅的な無茶苦茶じゃなかったという理解でよいのかしら・・・・・
ということで一応既定路線の金曜利上げ(適用は月曜)ということにしてそのお話の続きで。
〇結局のところ「何でジャガーチェンジしたのか」の真の背景をちゃんと説明していただきたい
とは言ったもののどうせウソツキ大本営のウソツキヤローたちなので「総合判断です(
ー`дー´)キリッ」としか説明しないのは分かっているのですが・・・・・・
月曜日はまあさすがに1月利上げの線は動かんじゃろ、ということで何とかストの皆さんも色々と解説をしておられましたが、ワイのみた感じ10人中15人くらいは「でもって結局こいつらのコミュニケーションは何だったのか」ということで怒り心頭滅却という感じでして、そらまあそうだなというか、結構書ける文体の最大級に近い表現を使って「ふざけるなこの野郎」というのがヒシヒシと伝わってくる文章が多くて大変に共感しました。というかあのクソコミュニケーションで納得しろという方がおかしい。
・・・・でまあ結局のところ、12月の会見と植田総裁の経団連講演と決定会合主な意見などで示された「1月では到底判断が付かない」というのが年末年始とかいうなんもない筈の時間帯にいきなりひっくり返った背景が分からんままなのですが、これが分からんと結局のところこの先だって日銀が何をもって政策判断をしているのか、というのが分からんままで、結局クソみたいな観測報道とかそういうのに振り回される三流未開国家の未開金融市場のままになるわけでして、甚だ遺憾の極みな訳ですよ。
まあどうせ政治というか官邸というか、そっち方面から言われたんじゃろ以外の感想は無いのですけれども、それにしたってじゃあその政治方面だか官邸方面だか知らんけど、その方面は何をもって突如のジャガーチェンジが行われたのか、というのの背景というのものが分かると、まあ今後の金融政策がどう転んでいくのか、ということを考察するのに非常に役に立ちますし、ある程度政策をロジカルに考えることができるようになって皆さんハッピーな訳ですよ。
でもってじゃあ何がどうなって今回のジャガーチェンジになったのか、総合判断とかいう説明ではなく、何で米国と賃金が12月19日、およびその後の情報発信で「判断に時間がかかる」となっていたのに実質1週間でジャガーチェンジになったのか、というのをきちんと説明していくのが今回の利上げに際して重要なことなんで、まあ「ターミナルレートがどうした」とかそういう質問ははっきり言って無駄なので総裁会見は最初から最後までその説明を求める糾弾会になっていただきまして、植田総裁には自己批判をしていただくということでよろしくお願いしたいものですな。
〇なお今回は7月パターンも3月4月パターンもどっちもダメなのでどういう説明になるんだか
えーっとですな、いろんなレポートとかコメントみていると、なぜだか知らんが「ハト派利上げ」とか「次はどんなに早くても秋」とかいうコメントも目立つのですが、今回「ハト派利上げ」をやったら昨年の3月4月の二の舞で、利上げしているのに円安にかっ飛ぶ、という地獄絵図になるし、だいたいからして利上げして円安に飛んだらそれこそ円安止まらなくなるリスクがあるから、普通に考えてそれはやらんじゃろとは思います(まあトランプ演説でドル下がっているので多少はセーフかもしれないけど)。
でまあ今回もし為替円安にビビって利上げしているなら、7月パターンで威勢の良いことを言いすぎてしまう、というタカ派モードになってしまうという可能性も無くはない(ただしワイは今回のジャガーチェンジは為替ではなくて物価だと思っているのでそうは読まないけど)のですが、これをやるとまた内田副総裁の全面土下座金懇が炸裂する、という面白パティーンが発生するわけで、まあ今回は説明難しいよね、とは思います。
とは言いましても、もともと日銀大本営の情報将校の皆様(およびたぶん内田副総裁)がポンコツ三等兵にも程があって、毎度毎度市場の期待を自分たちの情報発信でコントロールしようとかいうポンコツ三等兵の分際で大それたことをしようとして、下手糞なのに市場をコントロールしようとして毎度毎度どちらかに振れ過ぎた情報発信をして、それを打ち消しに行くのにさらに逆側に振れた情報発信をする。でもって黙ってりゃあ昨年11月みたいに市場が経済物価情勢を見ながら利上げ期待を持ってくるというのにそれに対してコントロールしようとしてセンスが皆無なポンコツ二等兵の皆様が余計な日経インタビューを設定して余計な情報発信をした結果のコミュニケーションの大混乱な訳で、お前らは何ぼ頭良いか知らんけど、市場との対峙においてはポンコツ三等兵だという自己認識を今回の情報発信の無茶苦茶ぶりから反省してもっと大人しくなれとしか言いようが無いですし、まあそういう事を思いっきり氷見野副総裁横浜金懇で言ってるだろってなもんですが、っていつの間にか話がそれて悪態になっていますが、まあ自分たちの情報発信がポンコツであるとこの期に及んでも認識していない可能性は高い(そりゃ日本最高の知能のエリートですからポンコツとか思わんじゃろうよ、って気は大いにする訳で)ので、今回もどういう説明するのかというのを固唾を飲んで見守るモードかなという所です。
まあそれはさておき順当だが衝撃味のあった生活意識アンケートネタが遅れましたが参りますね。
〇生活意識アンケートは明らかに「物価(体感物価)の高止まりの是正が急務」というのを示しています
というお題で話は終っているといえば終わっていますが(^^)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2501.htm(ざっくり版)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2501.pdf(詳細版)
「生活意識に関するアンケート調査」(第100回<2024年12月調査>)の結果
【調査概要】
・ 調査実施期間 :2024年11月7日(木)〜12月3日(火)
・ 調査対象 :全国の満20歳以上の個人
・ 標本数 :4,000人(有効回答者数2,099人<有効回答率52.5%>)
・ 抽出方法 :層化二段無作為抽出法
・ 調査方法 :郵送調査法
(回答方式は、郵送回答又はインターネット回答の選択式)
基本的にPDFの方から引用します。
・景況感が物価高止まり(というか体感物価の一段高)を受けて悪化しているのは重要な話ですよね
『1.要 旨』、『1-1. 景況感等』
『1-1-1. 景況感』から参ります。
『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。』
こちら毎度回答に癖があるので構成比を見るよりは前回からの傾向を見るのが吉だと思うのですけれども、今回って体感物価が前回よりも上がっている(しかも前回の場合は若干落ち着いてきたという感じになっていた後の反転上昇という形で、推しからの反転アンチみたいな流れになっているのがかなりきつかったんじゃないかと思う)次第。
なので、その下のグラフにある
(図表1)景況感〔Q1、4〕
<現在を1年前と比べると>
<1年後を現在と比べると>
を見ましても推しからの反転アンチが暴れてるって感じの結果になっているのが泣けるわけですが、その下にある、
<景況感D.I.の推移>
の長期時系列グラフというのを改めてみますと中々味わいがあって、2013年以降の流れってみて見ますと一回物価が上がった辺りで落ちているのですが基本的に物価がゼロ近傍で落ち着いている中では生活意識的な景況感って高めの水準で安定して推移していたんですが、まあその後コロ助大暴れナリの時に景況感悪化したのはシャーナシとしまして、コロ助が徐々に大人しくなって景況感回復した、と思ったら2022年以降の物価上昇でまた景況感悪化していて、どこからどう見ても2013年から2019年くらいの時期よりも悪化している、という状況になっていまして、「物価が上がれば(賃金が上がるので)景気が良くなる」という日銀の今の理論というか置物一派の唱えていた「2%インフレ目標で日本は変わる(なんのことだかわからない人は「「リフレ派バナー」で検索してみてくださいませ)とかのような話は虚構オブ虚構であった、というのが思いっきり実証されましたなあというお話ですな。
まあじゃあデフレが良いのかというと名目賃金が下げにくいので企業収益が上がりにくいとか借入金利の実質負担が大きいとかそういうのはそれはそれでありますわなというのもあるので別に物価が下がればよいというもんでもないのは念のため申し添えますけど。
まあどう見ても今の物価が高杉晋作という話なのを示しているのが一発目にある、ということで、このアンケート今となっては中々優秀なアンケートだし、これちゃんと集計して出しているというのは日銀の事務方の良心でもあるわな、という風には思いますですわよ、いやマジで。
・こんなんで金利水準高すぎとか思うの謎ではあるがまあそういう回答なのでシャーナイ
ちょっと先に行って『1-1-3. 金利水準』ですが、
『金利水準についての見方は、「金利が低すぎる」との回答が減少し、「金利が高すぎる」との回答が増加したことから、金利水準D.I.はマイナス幅が縮小した。』
『(図表4)金利水準についての見方〔Q5〕』の推移が中々ビックリするんですが、お前らそんなに変動金利の借入しているのかよという感じですが、まあ冷静に考えたら普通預金金利が入って来るの2月8月だから2月にならないと前回の0.25%利上げの恩恵がフルに来ない(基本的に普通預金金利が0.1%に上がったの8月とか9月だから)んで預金金利が上がった感がないのもあるのかねとは思いました、知らんけど。
・物価上昇の弊害が出てきていますなあ
これ毎度申し上げますが調査機関が11月な訳ですが年末年始に向けて物の値段が上がる、というか上がったわけですが、それを受けたらもっと悪化してるんじゃないのかという結果でして、
『1-2. 暮らし向き、消費意識』の『1-2-1. 現在の暮らし向き』ですが、
『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が減少し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。』
こちらの『(図表5)現在の暮らし向き〔Q6〕』も反転悪化という景況感と同じ結果。挙句に・・・・
『1-2-2. 収入・支出
収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少し、「減った」との回答が増加したことから、現在の収入D.I.は悪化した。先行き(1年後)については、「増える」との回答が減少し、「減る」との回答が増加したことから、1年後の収入D.I.は悪化した。』
ってなってて、『(図表6)収 入〔Q7、8〕』を見ても『<現在を1年前と比べると>』の方が特にじりじりと悪化していますわな。マクロ的には下がってはいないはずなんですが、支出が増えていて体感的に収入下がっている感が強まっているんじゃないかと考えますと、アクチュアルの物価上昇をずっと放置して「適合的期待形成」とか言ってる場合ではないんじゃなかろうか、という気がするんですけどどうなんでしょうかね。モチのロンですが支出の方は、
『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が拡大した。先行き(1年後)は、「減らす」との回答が増加したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が拡大した。』
でもってこちらは『<現在を1年前と比べると>』は「増えた」が着実に増加する中で、『
<1年後を現在と比べると>』が今回「減らす」が反転攻勢ニキと化していまして、これどう見ても体感物価の高止まりを背景に節約志向が高まってきているというスタグフレーションの入口みたいなことになってきてないかという懸念が高まりますわな。
『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。
商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「長く使える」といった回答が多かった。』
最近すっかり死語になっていますが、「コト消費」みたいなこと言われている時期には「価格が安い」ってのまあ常に1位にしても他の要素の比率も高かったはずなんですが、足許は『(図表9)今後1年間、商品やサービスを選ぶ際に特に重視すること(3つまでの複数回答)〔Q11(3)〕』を見ればお分かりのように『価格が安い』が優勢だし、何なら『長く使える』も増えてますな、ナムナム。
・体感物価のスパイクが全然シャレになっていない件について
毎度申し上げておりますがアタクシ現金主義なので体感物価の上昇は財布で実感できるのでまあこの結果はそうだ罠と思いましたが『1-3.
物価に対する実感』。
『1-3-1. 現在の物価
現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。
1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+17.0%(前回:+14.5%)、中央値は+12.5%(前回:+10.0%)となった。』
『(図表11)現在の物価に対する実感〔Q12、13〕』の『<1年前に比べ現在の物価は
何%程度変化したと思うか>』がやばいってもんじゃない訳でして、
『 平均値 中央値
24/ 6月 +15.7 % +10.0 %
24/ 9月 +14.5 % +10.0 %
24/12月 +17.0 % +12.5 %』
でもって平均値ですが99%タイルで計算していまして、『なお、全サンプルの単純平均値は、+17.9%(前回調査<2024/9月実施>:+15.0%)』となっています。
『1-3-2. 1年後の物価
1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台半ばとなった。
1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+11.5%(前回:+10.0%)、中央値は+10.0%(前回:+8.0%)となった。』
『(図表12)1年後の物価に対する見方〔Q14、15〕』の『<1年後の物価は現在と比べ
何%程度変化すると思うか>』を見ますとこちらも反転上昇ニキの流れでして、
『 平均値 中央値
24/ 6月 +11.5 % +10.0 %
24/ 9月 +10.0 % + 8.0 %
24/12月 +11.5 % +10.0 %』
これまた、『なお、全サンプルの単純平均値は、+13.3%(前回調査<2024/9月実施>:+10.5%)。』ですな。
・挙句に長期のインフレ期待も平均値は反転と
『1-3-3. 5年後の物価
5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台前半となった。これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+9.2%(前回+7.9%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』
日銀の屁理屈的に辛うじて救いなのは中央値が変わっていないことですが、このように体感物価がスパイクする中で景況感が悪化して節約志向、って結果が思いっきりビビットに出ている訳で、まあ先ほどのジャガーチェンジの背景ですが、一応万分の一くらいは「生活意識アンケートなどにみられるように物価の上昇、特に生活者の体感物価が上昇していることがマイナスに働いており、高圧経済とか言ってる場合じゃないのが明らかになったからあわててジャガーチェンジした」、という可能性もデギンドス副総裁の頭髪程度はあるのではないかと思ってますがどうでしょうか。
というか、そもそも物価安定目標やっているんだから、訳の分からんお気持ちとかマクロ経済学的にあり得ない賃金と物価の好循環とかいうような幻想の話をするんじゃなくて、現実の物価と向き合って政策運営をすれば良いだけの話じゃろという所ですが、その意味では先般の氷見野副総裁の横浜金懇ではアクチュアルの物価が高とまっていることについては「今後下がる必要がある」と述べていたので、さすがにお貴族様の日銀も気が付いて来たのかなと思う、というか思いたいところですな。
というところで時間も無くなって来たので今朝は勘弁。
2025/01/20
お題「1月利上げは債券先物方面などはもう織り込んだ??/一方で短国とかレポとかが本格織り込みへ」
え???
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-17/SQ8X4CDWX2PS00
FRB、気候変動リスク巡る世界の中銀ネットワークから脱退
Christopher Condon
2025年1月18日 3:52 JST
『米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するために2017年に設立された「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」から脱退したと発表した。』(上記URL先より、以下同様)
ファーーーーーーーーー
『FRBは声明で、「理事会はNGFSおよびそのメンバーとの関わりを高く評価してきたが、NGFSによる取り組みの範囲はますます広がり、法律で定められた理事会の責務の範囲外となるより広範な問題を扱うようになった」と記した。』
なるほどね。
気候変動オペなんてのも日銀の本来の責務からは逸脱しているようにしか見えませんのでそういうのは政府に何らかの形で別のインセンティブとして移管するのがよろしいんじゃないでしょうか・・・・・・・・・・
〇さすがに1月利上げ記事の追い打ちが来ても織り込み済みモードにまでなっていますな
金曜も引き続き1月利上げじゃろさすがにモードになっていて、象徴的だったのはちょうど18時に出た(金曜の18時って野暮用があったりするんでそういう時間に抜き記事ださないで貰えますかねえお蔭で野暮用遅刻しちまったじゃねえかよ、とただの自己都合)日経ちゃんのこちらの記事。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB162Q10W5A110C2000000/
日銀政策委員、過半が利上げ支持 市場見極め最終判断
【イブニングスクープ】
日経スクープ
2025年1月17日 18:00 [有料会員限定記事]
ご覧の通りで有料会員記事ではありますが、フラッシュ自体はベンダーとかにも流れますので拝読しますと、
『日銀が23?24日に開く金融政策決定会合で、政策を決める9人の政策委員の過半が追加利上げを支持する見通しであることが、複数の関係者への取材で分かった。追加利上げが決まれば政策金利は0.5%となる。20日に就任するトランプ次期米大統領の発信や、その後の国内外の市場の反応などを見極めたうえで最終判断する。』(上記URL先より、以下有料記事)
ということでですね、なんか票読み記事とかいう下品な記事まで出てきましたが、「日経スクープ」とか勢い込んで記事打ってきましたが、債券先物のイブニングセッションはこれを見て1銭くらい上がっただけでウゴカンチ会長にも程がある展開になっておりまして、もはやニュースでも何でもないというステータスになっておりましたwwwwwwww
今朝も日経さん追撃していて、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB16DV20W5A110C2000000/
日銀1月利上げ、市場織り込み着々 混乱回避へ地ならし
金融政策
2025年1月20日 5:00 [会員限定記事]
『日銀は23?24日に金融政策決定会合を開く。14?16日に正副総裁が「利上げするか議論し判断する」とそろって発言した。会合直前に相次いで利上げの可能性に踏み込んだことで市場への織り込みが進む。2024年7月の利上げ決定が市場予想に反したサプライズと受け止められ、大幅な円高・株安が発生したことへの反省が透ける。
利上げ前に地ならしすることで、24年7月会合後のような市場の混乱を避ける狙いがあるとみ...』(上記URL先より、以下有料記事)
ということですが、折角氷見野副総裁が「予告ホームランはしない」という良い話を横浜金懇で行っているというのに何ですかこれはという話ですが、まあ大本営が事前アナウンスしたがっている、ということでしょう。
記事の内容自体は知らんけど、こいつら一昨年の12月は植田総裁に「チャレンジング」発言させて、そのあと12月会合で火消しのために土鳩も土鳩なハトハトメッセージ出したがゆえに1月会合では何もできずに3月会合でマイナス金利解除をしたり、7月に関して言えば6月の輪番ペースの減額(これももとはと言えば3月4月に長期金利上昇にビビるあまり、輪番を減らさないような言い方をわざわざしたのに5.13事件というサプライズ輪番減額を実施して市場を混乱させた収拾のために6月に「7月に輪番減額の具体額出すよ」とそっちばかりをアピールしたから「じゃあ利上げは9月じゃろ」と思わせた所で7月に(為替のせいでしょうけど)泡食って利上げ。でもって今回は12月か1月にも利上げみたいな雰囲気に市場がなっている中で、12月会合で利上げ見送りはまあ良いとしまして、その見送り方が1月利上げどころか3月利上げもできないんじゃないかという勢いの情報発信をしてからのこれ、という流れなのは皆様ご案内の通り。
てな訳で、もうお前らは事前アナウンスとか予告ホームランとかやろうとすると混乱とボラティリティを振りまくだけだから大人しく物価の話だけしてろよ馬鹿が、ということでして、お前らは余計な説明をゴテゴテと入れるんじゃないよ、ってなもんですな。
今朝はブルームバーグさんも
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-19/SQB7R8T0AFB400
日銀が利上げの見通し、トランプ次期大統領就任後に波乱なければ
Paul Jackson、Craig Stirling
2025年1月19日 19:13 JST
→日銀は23、24日の政策決定会合で利上げを決定する可能性
→トランプ氏は大統領就任直後に多くの大統領令に署名する見込み
『日本銀行の利上げ期待が高まる中、植田和男総裁は23、24日の金融政策決定会合で政策金利引き上げの必要性について判断する。ただし、トランプ次期米大統領の就任後の数日間で市場に衝撃が起きなければの話だ。』(上記URL先より)
とか報道していますが、たぶんもはやイシューではない、という状態になっておるとは思うのですが、ここでかなりアタクシ懸念しているのは、トランプがキチガイ演説をぶっこんでスーパーリスクオフ、ではなくて、日経平均で言えば1000円くらい下がる程度の中途半端な「いつもよりもちょっと下がったね」位の下げの時に日銀大本営腰抜け集団の腰が抜けてしまって「利上げコワイデチュー」とか言い出して利上げを先送りにする、というズッコケ三銃士ムーブが発生することでして、まあそれやったら日銀の信認って何なのよ(もとより今回のコミュニケーションの支離滅裂振りでも信認は大概落ちていると思いますが)という話になりますが、まあ日銀の芸風としてそういう不幸なお笑い属性が強いのは大変に気になるところでございます。
まあとにかく日銀は「丁寧な説明」とやらを心掛けているようなのですが、どこからどう見ても自分で火を点けて自分で消して回ってまた自分で火を点ける、というあたおかムーブをしているだけということになっていますので、根本的にコミュニケーションを見直さないといけないと思います。
しかしまあ何ですな、日経さんの記事によりますと既に利上げ賛成過半数とのことですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241219.pdf
12月会合主な意見
こちらの金融政策運営の2番目にあったこの極めてちから強いご意見。
『・利上げ判断の焦点は、国内面では、賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外では米国の経済と政策運営、そのもとでの金融資本市場の動向である。これらについては、賃金という面では春季労使交渉に向けた動きを、米国という面では新政権発足を確認していくのが常識的である。』
「常識的である」とまで大きく出たこの意見の方は当然ですが今回利上げ提案が出たたら反対すると確信しておりますが(当初の読み筋通りに野口さんならまあ野口さん今回反対するかなとは思うのですけれども、この意見に関しては副総裁じゃないかという説もある(副総裁にしてはこの「常識的である」があまりにも下品な表現なので私はさすがにそうじゃないと考える、というか考えたいのだが意見の順序的には副総裁説もあり得るんだよな)、この人は当然反対して、「賃金や米国に関してはこれから見ていくことがあり現時点で利上げの判断をするのは時期尚早」と意見を述べるのが「常識的」ですわなあとそれが何か楽しみで楽しみでwwwwwwwwww
なにはともあれ金曜日が待ち遠しいですなあ。
〇3M短国もさすがに利上げ織り込みレートに向けて上昇したしGCターム物もレート上昇
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250117.htm
国庫短期証券(第1282回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1282回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1282回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年1月20日
4.償還期限 令和7年4月21日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆2,705億円
(2)募入決定額 3兆4,300億6,000万円
(3)募入最低価格 99円90銭9厘0毛
(募入最高利回り) (0.3653%)
(4)募入最低価格における案分比率 75.5977%
(5)募入平均価格 99円91銭1厘7毛
(募入平均利回り) (0.3544%)』
ということでして、木曜の売参WIが0.340%(+8.5)とかになっていた訳ですが、売参WIよりもさらに甘い結果になっておりまして、0.35-0.36%ですか3Mで、ということですが、まあ冷静に考えて見ますと0.5%に1月に利上げしたら1/27のところからGCレートは0.4%台半ばくらいになるんじゃないでしょうかという話ですから、いつもの短国プレミアムを勘案してもこの水準だとどうなんでしょうかねえ的なものはあったりなかったりする(正直始まってみないと短国ばっかりは水準どうなるかまるで読めない需給関係で決まる闇鍋債券なので)のですな、。
ということで年始で短国レートちゃん上昇の巻ですが、売参をみますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/17引値)
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.330
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.350
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.350
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.350
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.350
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.350
3Mの辺りが軒並み0.35%ですな、金曜日に水曜、木曜の引けをネタにしたので再貼り付けしますと、
(1/16引値)
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.300
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.319
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.319
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.320
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.320
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.340
(1/15引値)
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.240
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.270
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.250
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.255
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.255
でまあGCちゃんですが、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/9 0.240 0.246 0.236 0.237 0.240 0.247 0.325 0.397 0.494
2025/1/10 0.243 0.248 0.240 0.239 0.243 0.249 0.325 0.397 0.494
2025/1/14 0.244 0.245 0.240 0.241 0.247 0.255 0.330 0.397 0.496
2025/1/15 0.244 0.245 0.240 0.244 0.253 0.267 0.334 0.398 0.497
2025/1/16 0.241 0.244 0.241 0.255 0.269 0.291 0.349 0.410 0.500
2025/1/17 0.242 0.243 0.241 0.289 0.320 0.352 0.402 0.434 0.512
東京レポレートは集計が11時時点の数値を集計、方式なので実質的には氷見野さんの金懇が完全に効いてきたの15日公表数値から、という事になると思うのですが、そこからチマチマ上昇していたものの、先週金曜日で1mとか3mとかいうような1月利上げか3月利上げかで大差ゾーンの金利がビビットに反応してきましたな、という所ですので、金曜の短国入札結果と整合性の取れた動きになっていますわな、と思いました。
〇生活意識アンケートを見ると何ぼ何でも今の物価高放置はマズイという話にならんかね(イントロだけ)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2501.htm
「生活意識に関するアンケート調査」(第100回<2024年12月調査>)の結果
『調査概要
調査実施期間:2024年11月7日〜12月3日
調査対象:全国の満20歳以上の個人
標本数:4,000人(有効回答者数2,099人<有効回答率52.5%>)
抽出方法:層化二段無作為抽出法
調査方法:郵送調査法(回答方式は、郵送回答又はインターネット回答の選択式)』
ということでこれ年末近辺の物価高が起きる前の調査なんですが、それにしても「物価上昇でちょっと色々と大変なんですけど」というのが結構如実に出ている物件となっていまして、そんな中で高圧経済とか言ってる玉木nとかいう役職停止中なのに党代表みたいな面を下げてしゃしゃり出ている外道はお前の言ってる政策やったら何が起こるのか分からん知能程度な訳はない筈なのにお前は何を言ってるんだという所ですな。
でまあその中身をネタにする予定でしたが、今朝はショパンの事情で時間が無くて(っておめー土日に何で下準備してねえんだよと言われるとぐうの音も出ないのでそのツッコミはしないで下さいお願いします)アレでしたのでネタにするのは明日ということでご勘弁賜りとう存じます。
2025/01/17
お題「1月利上げに向けた続報も出ておりますな/1Yとか3MとかのTDBとかレポレートとか/減額措置がどうしたこうした雑談」
ふーん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-16/SQ71SQT0AFB400
ベッセント氏、FOMCは独立性維持すべきだ−減税延長の必要性強調
Viktoria Dendrinou、Daniel Flatley
2025年1月17日 4:40 JST
→日鉄のUSスチール買収、CFIUSに差し戻されたら審査する
→為替の変動や中国製品の値下げなどが関税の影響を緩和へ
『トランプ氏の掲げる経済政策がインフレを引き起こす可能性について問われると、次期政権の政策が実質賃金を押し上げ、インフレ率を米金融当局の2%目標に近づけると確信していると述べた。』(上記URL先より、以下同様)
・・・・・・???
『為替レートの変動、消費者の好みの変化、中国製品の値下げにより、米消費者に対する関税の影響はすべて緩和されるだろうとも発言。「足元の景気低迷を輸出で克服しようとしている中国は、市場シェアを維持するために価格を引き下げ続けるだろう」と述べた。』
・・・・・・???
良くわからんので判断保留。
〇1月利上げって雰囲気になりましたなあ
昨日は朝っぱらから時事通信が
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025011500959&g=eco
日銀、1月利上げ検討へ 米新政権発足見極め
時事通信 経済部
2025年01月16日07時04分配信
『日銀は23、24両日開催の金融政策決定会合で、追加利上げを検討する。植田和男総裁は15日、全国地方銀行協会の会合で「来週の決定会合では利上げを行うかどうかについて議論し、判断する」と発言。前日の氷見野良三副総裁と同様に、政策変更を視野に突っ込んだ討議を行う考えを明らかにした。20日のトランプ米政権発足後に世界経済や金融市場が混乱しなければ、日銀は利上げする可能性が高い。』(上記URL先より、以下同様)
ということで観測記事の形になっていますが、その観測が「利上げする可能性が高い」と決め打ちしてきましたが、まあ氷見野さんに続いて一昨日の植田さん、というのがあったので1月利上げをかなり織り込みの巻になってきたという次第でこれが出たから急に債券市場動くとかいうのは無かったけど、アメリカン金利が低下していた方も効いてるのか為替ちゃんが反応していた感じですな。
でもって記事はまあ解説記事状態でして、
『日銀は年末年始の企業経営者の発言や今月9日に開いた冬の支店長会議での報告などで、利上げ判断で重要なカギとなる賃金引き上げに相当の手応えを感じている。植田総裁は冬の支店長会議について「(今年の春闘での賃上げに向け)全国の状況は前向きな話が多かった」と評価する。』
ほうほう。
『もう一つの重要な要素はトランプ次期米大統領の経済政策だ。日銀はトランプ氏の大統領就任演説で、政策の不確実性は一定程度解消できる可能性があると見込んでいる。』
わずか数日で不確実性が一定程度解消できる、というご認識でしたら、なにもわざわざ「米国新政権の経済政策の影響に不確実性が高い」とか説明する必要は無かった訳で、完全に12月の総裁記者会見が食言だったことを示している上に、会見の時にネタにしましたように、昨年12月の定例記者会見においては、植田総裁は(昨年4月の会見での「はい」と違って)ハプニングで米国ガーを連呼したのではなくて、明らかに腹話術人形遣いの作文に乗っかって発言していたのが会見時の態度でも発言の流れでも明白でしたので、これすなわち大本営が年末年始のどこかで突如の君子豹変をしたという話に他ならないのですが、このジャガーチェンジの背景がさっぱり分からんですわな。
『ただ、トランプ氏が就任後に日本を含む海外への関税引き上げなどを打ち出し、世界経済が混乱したり金融市場が動揺したりすれば、利上げは3月に先送りされる可能性がある。日銀は来週の会合ぎりぎりまで状況を見極めた上で、最終判断する。』
まあさっきネタにしたベッセントの話の感じですと、トランプって関税をただ単にブラフに使うだけの話で、それによって世界経済混乱させるとか自分で自分の首を締めにいくわけではない(そもそもトランプは主義主張に殉じる人ではないからそういうことはしないでしょ)と思うのですが、まあこればっかりは来週にならんと分からんですな。
でもって昨日は20年入札があるというのに前場引けの11時02分にフラッシュを打ってくるという割とタチの悪いことをしてたのがBBGではありましたが、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-16/SQ4SDOT0AFB400
日銀が来週会合で利上げの公算大、米新政権の影響限定的なら−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2025年1月16日 11:02 JST 更新日時 2025年1月16日 16:20 JST
→今年の賃上げは昨年に続く良好な内容へ、価格転嫁も想定通り強まる
→経済データや市場動向などを会合直前まで見極めた上で最終決定する
『日本銀行は、来週予定されるトランプ米次期大統領の就任時の発言を受けて金融市場などで大きな混乱が起きなければ、23、24日の金融政策決定会合で追加利上げを決める公算が大きい。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
時事通信の報道に関しては「時事通信が分析を行った結果を踏まえて時事通信としてこう見ます」って体の記事になっていますが、こちらは毎度おなじみの如く「関係者によると」になっている、というのがまあ面白いですわな。
『関係者によると、日銀が政策判断で重視している春闘をはじめとした今年の賃上げは、支店長会議での報告などを踏まえ、33年ぶりの高水準となった昨年に続く良好な内容が期待できるという。持続的な賃上げ機運の高まりから、賃金コストを価格に転嫁する動きも想定通り強まっている。』
しかしまあこれもひどい話でして、そもそも12月の決定会合のあと円安スペクタクルになったのって、
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241220a.pdf
総裁記者会見
――2024年12月19日(木)午後3時30分から約75分
の1ページ目の事実上のオープニングリマークでの説明だったんですよね。あれから円安ショーが拡大したわけですが、あの時植田さんが言った、というか大本営問答作成局が植田さんに言わしめた説明って、
『そのうえで、金融緩和の度合いを調整するタイミングについては、様々なデータや情報を丹念に点検したうえで、判断していく必要があります。この点、賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、来年の春季労使交渉に向けたモメンタムなど今後の賃金の動向について、もう少し情報が必要と考えています。また、米国をはじめとする海外経済の先行きは引き続き不透明であり、米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性も大きい状況が続いていると判断しています。』(この部分だけ直上URL先の2024年12月19日植田総裁記者会見での冒頭説明より)
とにかく12月会合って会見の冒頭の説明(別に言わされた発言ではない、という点が重要)のこれを聞いた瞬間に(ノ∀`)アチャーと思いましたが、もうその瞬間から一大円安スペクタクルショーが始まった訳でして、
「来年の春季労使交渉に向けたモメンタムなど今後の賃金の動向について、もう少し情報が必要」
「米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性も大きい状況が続いていると判断」
が実質2週間(しかも年末年始だから空白期間みたいなもんだし)でいきなりひっくり返るとかお前ら真面目にやる気あるのかという事は、利上げ自体はアタクシ的に大歓迎ではあるけれども、この間の日銀はあまりにもひどいレベルの食言をしている訳で、その点についてはしつこく指摘しておきたいもんです。
と、話がそれましたが、BBGも
『20日に就任するトランプ氏の発言では、関税をはじめ経済政策の具体的内容や為替を含む日本への言及が注目される。関係者によると、金融市場にショックを与える大きな波乱や世界経済見通しを覆すようなことがない限り、0.25%程度の政策金利を0.5%程度に引き上げて金融緩和度合いを調整する環境が整いつつあるという。経済データや市場動向などを会合直前まで見極めた上で最終決定する。』(先ほどのブルームバーグ記事に戻っています)
という締め方をしていますので、トランプ就任演説待ちというか、そこで変なハプニングが無ければまあよろしあるねという事でしょうが、まさかとは思うがトランプ発言受けて円高になったら安心して1月利上げスキップとかやらねえよなというのは心配になりますな、さすがの日銀もそこまでアホでは無いと思いますので、グローバルリスクオフ祭りにならなければ利上げじゃねえのという感じですが。
でもって昨日は公共放送がこんなニュースを打っていまして、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250116/k10014695041000.html
日銀 植田総裁 利上げに関し連日発言 来週 利上げの見方広がる
2025年1月16日 15時35分
『日銀の植田総裁は16日、第二地方銀行協会が開いた会合であいさつし、「来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうかについて議論し、判断したいと思う」と述べました。15日も同じ発言をしていて、金融市場では日銀が来週利上げに踏み切るのではないかという見方が次第に広がっています。』(上記URL先より、以下同様)
まあこちら第二地銀協の新年何とか会みたいな会合だと思われまして、前日に地銀協の新年何とか会があったのでその第二弾ということですから、そらまあ前日と全然違う話をおっぱじめる方がビビりますので同じ話をするのは仕様ではあるんですけど、わざわざこうやってニュースに取り上げて、しかも公共放送だから一般向けのニュースに思いっきりなるわけでして、全体として利上げ機運を盛り上げる感じになっておりますわな。
発言自体は、
『この中で植田総裁は、追加の利上げを検討する上で重要な判断材料になるとしていた賃上げに向けた動きについて、年初の企業幹部の発言や先週開いた日銀の支店長会議での報告を踏まえ「おおむね前向きな話が多いように思う」と述べました。そして植田総裁は「こうした要因をにらみつつ経済・物価の見通しをとりまとめ、それを基礎に来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうかについて議論し、判断したいと思う」と述べました。植田総裁は15日も同じ発言をしていて、追加の利上げに向けた環境が整いつつあるという認識を重ねて示した形です。』
ということで同じ話をしているので前日の発言の焼き直しではあるのですが、「連日言っている」というのが一つの話題性になるわけでして、この機会を捕まえて総裁に2度言わせている、という時点でまあお察しという話でして、つまりは氷見野副総裁のやたらやる気満々な金懇挨拶は氷見野さんの単騎突撃ではなくて、威力偵察、というよりは普通に前軍が戦線に投下されたムーブでした、というのが答え合わせになるんじゃないでしょうか、と思いました(個人の感想です)。
・・・・しかしまあ何ですな、年末年始のほぼ空白期間の間にコロッと話が変わってしまったって背景ってまあマジのマジでさっぱり分かり兼ねるところではありますが、この間に大きく変わるとすれば政治的に物価高批判が一段と高まっている(第二種兼業主夫のワイから見たら特にこの秋口からの生活物資の値上がりが甚だしくて、現金決済主義なので北里柴三郎先生がホイホイとお出かけになるのを悲しみをもって見守る日々な訳で現金はマジで支出を体感できるのでお勧めしませんw)のがあって、この年末の価格上昇とかシャレになっていなかった訳ですが、この辺りの話が年末帰郷した先生方によって危機意識として伝わった、というのを一つ想像していまして、だからこそ先日の氷見野さんの講演でもアクチュアルの物価が下がらないといけないって趣旨の話があったりしたんじゃないの、と思うとちょっといい傾向ではあるなと思うのですが、実際問題としてこの突如のジャガーチェンジ(植田日銀の何回目のジャガーチェンジでしたっけwwwwwww)の背景がマジで分からんですわな。どうせ日銀に問い詰めてもウソツキ大本営は「従来言っている通りです」としか回答しないのは自明なので聞くだけ無駄なんですけど。
〇さて今日は3M入札があるのですが
なお決定会合前に来週23日とかいう面白タイミングでも3Mの入札があるのですが、まあ前日の時点では普通に考えたらこっちじゃろ、というのは見えているかもしれませんけど・・・・・・
でまあ昨日は1Yの入札があったんですな。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250116.htm
国庫短期証券(第1281回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1281回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1281回)
2.発行根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項』
これは特例公債じゃないんですね。まあいいですけど。
『3.発行日 令和7年1月20日
4.償還期限 令和8年1月20日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆9,576億円
(2)募入決定額 2兆4,424億7,000万円
(3)募入最低価格 99円44銭3厘
(募入最高利回り) (0.5601%)
(4)募入最低価格における案分比率 42.8171%
(5)募入平均価格 99円46銭0厘
(募入平均利回り) (0.5429%)』
とまあそういうことで、0.5台には乗っているのですけれどもその次の利上げとか考えなくていいのかよと思ってしまうような水準ではあるのですが、まあもともと短国自体油断しているとすぐに「モノとしてのTDB需要」がどこからともなく湧いて出てきて他の短期金利と関係なくアホのように金利低下をする、という謎の属性があるので、逆に早期追加利上げみたいな話になる(ならんと思うけど物言いが悪いとその次の利上げ時期に関して妙に前倒しになったり妙に後ろ倒しになったりするリスクはある)と退避資金がまたやって来て短国強くなる、みたいな訳わからんことになりかねないので、まあ水準落ち着きどころはしばらく見ないと分からん(しばらく見ても分からん説はある)のかなとは思いますが。
売参様によりますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/15引値)
国庫短期証券1281 2026/01/20 平均値単利 0.560
(1/16引値)
国庫短期証券1281 2026/01/20 平均値単利 0.529
ということで、入札の足切りが前日の売参WI引値と同水準という形になって、入札後は買いでもあったのかアベレージよりも2毛上のところで引けさせていますので、まあゆうて絶対水準0.5%あれば買う人いるのかと思って呆然と眺めておりました(眺めていただけかい!とツッコまないようにお願いしますw)。
でもって3Mちゃんですが、3M近辺の売参を見ますと、
(1/15引値)
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.240
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.270
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.250
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.255
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.255
(1/16引値)
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.300
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.319
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.319
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.320
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.320
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.340
1282ってのが新発WIですが、さすがにこのテナーになりますと来週利上げ(実際には新金利適用は1/27になると思いますが)と3月利上げではインパクト大違いですので(これが長期債と短期市場の差である^^)、利上げ観測をやっと反映しましたなという風情にはなっているのですが、さて本日の入札は何ぼになるのやら。
まあ利上げ後の短国の短いところの居場所がそもそも謎なので何ともかんともですが・・・・・・
なお東京レポレートちゃんも昨日のリファレンス(11時時点の数字というのを集計するわけですが)を見ますと、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2025/1/10 0.243 0.248 0.240 0.239 0.243 0.249 0.325 0.397 0.494
2025/1/14 0.244 0.245 0.240 0.241 0.247 0.255 0.330 0.397 0.496
2025/1/15 0.244 0.245 0.240 0.244 0.253 0.267 0.334 0.398 0.497
2025/1/16 0.241 0.244 0.241 0.255 0.269 0.291 0.349 0.410 0.500
まあレポレートはもともとの水準が短国と違って(短国の方がおかしいんですが)いましたので反応が遅めかもしれませんが、3mとか6mもうちょっと跳ねてもよさそうな気もしますが、まあ一応その辺の金利が1m含めて上昇していますけれども、短国の方がこれまでのクソ低い金利がGCレベルにサヤ寄せされただけという話かもしれませんけど、変化幅で言えば短国の方が反応早いようにも見えますがさてどうなのやら。
〇減額措置がどうしたこうした
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2025/mpr250116a.pdf
チーペスト銘柄等の国債補完供給にかかる減額措置の取り扱いについて
202 5 年 1 月 1 6 日
日本銀行金融市場局
『日本銀行では昨年 10 月に、本行の保有比率が極めて高い銘柄がチーペスト銘柄になることを踏まえ、「チーペスト銘柄等1にかかる国債補完供給の要件緩和措置」を当面継続する方針を示すとともに、チーペスト銘柄等の国債補完供給にかかる減額措置の願い出について、日本銀行が国債市場の流動性改善に資すると判断した場合には、原則として当該願い出を承諾する方針を明確にしました2。』
冒頭から偉そうなんだが、そもそも指値オペだの大量の国債購入だのして10年国債をキチガイのように買い占めまくって国債現物市場の流通玉を枯渇させたのお前らだろという話で、スイッチングオークションでもして流動性供給に努力するとかいうなら話は分かるが、減額措置を「承諾する」とかよく考えたらてめえ何様のつもりだというか、これは典型的なモラハラDV人間ですわwwwwwwwwwwwwwww
でまあそんな悪態はさておきまして、
『同時に、本措置の利用が進むもとで、日本銀行が、減額措置の願い出に対し、「流動性改善に資する」と判断する際の考え方について、照会も頂くところです。この点、日本銀行としては、本措置が、債券先物の受渡決済における現物の受渡しにかかる懸念を和らげる趣旨で講じられたものであることに鑑み、チーペスト銘柄等の減額措置が国債市場の流動性改善に資するかどうかについては、当該銘柄の市中保有額の水準を判断の基本に据える方針です。』
先物チーペスト銘柄以外については過去の愚行の副作用を改善する気はないとのことです、残念ですねえ。
『具体的には、過去の債券先物の取引最終日時点の先物建玉残高の水準を参考として、1銘柄当たりの市中保有額が
1.2 兆円程度の水準を回復するまでは、減額措置の願い出を原則として承諾することとします。』
いやまあ最終未決済建玉を勘案したら1.2兆円くらい市中にあれば、ってのは感覚的には何となくわかるのですけれども、これ数字を明示的にしちゃうと却ってSCでかき集めてスクイーズするとかいうような輩を招くことにならんかねとは思うのですけれども、一応その後に、
『そのうえで、国債市場の流動性の改善度合いは、市中保有額の多寡に加えて、その時々の市場の状況にも影響を受けることから、日本銀行としては、今後とも、チーペスト銘柄等の現物・レポ市場における売買・貸借取引の状況等を丁寧に確認し、所要の措置を講じていくこととします。』
とあるので、変なスクイーズみたいのが掛かった時には1.2兆円以上でも減額措置をバンバンやれることになっているにはなっているのでそっちが登場するんでしょうけれども、何はともあれこういうようなことが後になって本来正常になって然るべき債券市場を歪めている、というのが長期国債馬鹿買入の副作用なのでありまして、多角的レビューでござるとか言ってあの時点で勝手に効果と副作用の総括をしてるんじゃねえよこのバカスケというお話にもつながる次第ですわ。
と考えますと、来る6月会合では国債買入ペースの減額をもっと加速させていかないといつまでたっても債券市場が本来の市場としてのシグナリングだったり、効率的な資源配分に資する、というような重要な機能を果たせないままとなり、ひいては国民厚生に対して望ましくない状態が続きまっせ、ということになるんじゃないかと壮大な締め方をしておきまして今朝はこの辺で勘弁。
2025/01/16
お題「植田総裁まで1月会合はライブ発言キタコレ/氷見野副総裁金懇会見」
あらあらまあまあ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-15/SQ4TMHT0AFB400
米CPI、コアは前月比で6カ月ぶり鈍化−3月利下げを再び意識
Molly Smith
2025年1月15日 22:44 JST 更新日時 2025年1月16日 2:30 JST
→12月コア指数は予想下回る前月比0.2%上昇、米国債・米株・円上昇
→宿泊費低下のほか、医療サービスや家賃の低い伸びがCPIを抑制
『昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコア指数の伸びが予想を下回った。前月に比べてもインフレが鈍化したことで、債券市場での大幅な売りは食い止められ、連邦公開市場委員会(FOMC)は従来考えられていたよりも早く金利を引き下げるのではないかとの期待が再び高まった。』(上記URL先より)
なんですかねえって感じですが。
〇植田総裁がまたダマテンご挨拶をぶっこんで1月利上げ検討とか言い出すとかもうね
昨日は午後にこれが出てナンジャソラですわ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-15/SQ3UU7T0G1KW00
植田日銀総裁、来週会合で利上げ判断と明言−市場観測強まり円高進行
横山恵利香、浦中大我
2025年1月15日 13:26 JST 更新日時 2025年1月15日 17:09 JST
→米経済政策と春闘のモメンタムが重要なポイントと改めて指摘
→各界意見や日銀支店長会議では前向きな話が多かった−賃上げ
ちょwwwwwwおまwwwwwwwww
『日本銀行の植田和男総裁は15日、来週の金融政策決定会合で米新政権の政策や春闘の賃金動向などを精査し、追加利上げを行うかどうか判断すると明言した。市場では同会合での利上げ観測が一段と強まり、円高が進行している。』(上記URL先より、以下同様)
いやまあ早期利上げして頂くのは結構なんですけど、昨日公の発言があるなんて日銀から何のアナウンスもなかったじゃんダマテンの闇討ちやめえや、というか昨日まさに氷見野さんが「コミュニケーションの見直しをする」っていい話をしたばっかりなのに昨日の今日でこれは台無しにも程があるわけで、企画と政策広報の猛省を促したい。
『植田総裁は全国地方銀行協会の新年の集いであいさつし、今年も経済・物価情勢の改善が続くなら、政策金利を引き上げて金融緩和度合いを調整すると改めて表明した。利上げの判断では米国の経済政策、春闘に向けたモメンタムが重要なポイントだと指摘。賃上げについては、各界の意見や9日の日銀支店長会議での報告では前向きな話が多かったとの認識を示した。』
地銀協の新年会でのご挨拶だったようで、ご挨拶の内容自体特に公表しないってのは分かるけど、内容を公表しないからと言って日銀サイドがダマテンってのはどうなのかよと思います。
でまあその内容ですけれども、詳しいのが日銀から公表されている訳でもないので、別のソースで公共放送さんから引用しますと、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250115/k10014694111000.html
日銀総裁「来週 利上げ行うか判断」長期金利 国債利回りは上昇
2025年1月15日 18時36分
『日銀の植田総裁は15日、全国地方銀行協会の会合であいさつし、賃上げに前向きな企業が多くなっているとして「来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうか議論し、判断したいと思う」と述べました。直前に発足するアメリカのトランプ次期政権の政策も見極めながら、追加の利上げに踏み切るかどうか判断するとみられます。』(直上URL先のNHKサイトのニュース記事より、以下同様)
『この中で植田総裁は、経済・物価情勢の改善が続くのであれば、それに応じて追加の利上げを検討するという従来の考え方を示したうえで、重要な判断材料になるとしていた賃上げに向けた動きについて、年初の企業幹部の発言や先週開いた日銀の支店長会議での報告を踏まえ「前向きな話が多かったと思っている」と述べました。』
どう見ても1月会合がライブに完全に昇格です本当にありがとうございました。
『そのうえで植田総裁は、今後の金融政策について「こうした要因をにらみつつ経済・物価の見通しをまとめ、それを基礎に来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうか議論し、判断したいと思う」と述べました。』
「利上げを行うかどうか議論する」ですから1月に仮に様子見にしたって3月やりまっせという勢いですわな。
『日銀は、14日も氷見野副総裁が横浜市で行った講演で追加の利上げに向けた環境が整いつつあるという認識を示しましたが、植田総裁もこれに続いた形です。』
・・・・・ということで、植田総裁なんか急に変なもんでも食ったのか、7月会合のアレみたいに突如覚醒をして「見たかお前らこれが真の植田和男じゃああああ」のスイッチでも入ったのか、内田副総裁の持ってるリモコン装置が故障したのかよくわかりませんが、何ですかこの氷見野さんとの連発コンボはというお話になってまいりましたな。
でまあそもそも0.25だの0.5だのクソ低い(この前だした日銀の潜在実質成長率0.6%が正しいんだったら2%物価目標達成の時の政策金利は2.6%だろ常識的に考えて派のワイ)水準がクソなので今すぐ利上げすべきと思っているので早期利上げするのは歓迎したいのですが、だったら12月会合前後でなんであんなに春闘ガーとか米国新政権の経済政策の影響ガーとか連呼して1月利上げ観測を叩き潰して回っていたのか、というのが全く意味不明な訳でして、なんちゅうか植田日銀はハイな状態とローな状態の差が極端にも程があって、しかも全然首尾一貫していないからこっちは振り回されるばっかり(なのでだんだん斜に構えて日銀の情報発信を受け止める人増えてると思うけど)な訳で、お前らもうちょっと「丁寧な説明」という言葉の意味を考えろという話ではあります。
たぶんですね、7月のクッソタカな会見とか、9月12月のクッソハトな会見とかを見ますに、植田さんって「今回やった政策(現状維持も含め)の背景説明」を必死こいて丁寧に説明しようとしてるんじゃないかという気がしてきたんですよね。でも聞いている方としては(政策変更ならまだしも現状維持の時は特に)今回の背景の話って市場的にはもう「終わった話」なのであって、聞きたいのは「その先の話」になるのですから、終わった話を丁寧に説明されると、「その先の話」もそうなのかという印象を与えやすくなる訳で、その結果7月みたいなクッソタカな会見になったり、12月みたいなクッソハトな会見になったりして、一々混乱のタネを捲いて回っているって事なのかなあということで、つまりは想定問答の作文をもうちょっと考えるのと共に、植田総裁に対しては「終わったことの話を必要以上に丁寧にすることはない」というのを徹底した方がええんじゃないかな、とかふと思いました、まあアタクシの妄想ですけど。
まあそれはそれとして、「来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうか議論」というのを氷見野さんだけではなくて植田さんが言ったのは当然ながら発言としてのステータスがワンランク上になるわけでございまして、12月会合後およびその後の情報発信では1月の利上げ検討なんてあり得ないくらいの勢いだったのに、氷見野さんの金懇に乗っかって思いっきり植田さん直近の情報発信を上書き修正してしまいましたな。でまあこうなると一昨日のこのニュースもなるほどねという話になるわけですが、
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/S5KY7TRXX5OC5BIXSOKF57J36E-2025-01-14/
日銀の利上げ検討と我々がデフレ脱却目指すことは矛盾せず=赤沢再生相
By 竹本能文
2025年1月14日午後 12:50 GMT+9
『[東京 14日 ロイター] - 赤沢亮正経済再生相は14日の閣議後会見で、氷見野良三日銀副総裁が来週の金融政策決定会合で利上げ行うか議論をするとの発言に関し、日銀の利上げ検討と政府がデフレ脱却を目指すことに「矛盾することはない」と述べた。』(こちらは直上URL先で一昨日のニュースです)
という事でして、まあ何か知らんけど利上げOKサインでも出たのかもしれませんけれども、結局やる気あるんだったら何で12月にあの情報発信をしたのか、というのが全く意味不明ではございまして何なんでしょというのは相変わらず分からんです。何なんですかねえあの人たちは。
〇氷見野副総裁金懇会見はご案内のように1月会合ライブですよというのと12月の情報発信を上書き訂正する内容
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2025/kk250115a.pdf
氷見野副総裁記者会見
――2025年1月14日(火)午後2時から約30分
於 横浜市
・「米国新政権の経済政策の影響が不透明だから様子見」という過去の植田発言を上書き訂正
幹事社質問の次の質疑の前半はまあ普通にド直球でして、
『(問)二点あります。一点目は、講演の中で、アメリカの経済について、新大統領の政策の先行きに注目が集まる中、来週のトランプ大統領就任演説で政策の大きな方向が示されるのではないかというご発言ですけれども、これはある程度政策の方向がみえ、またそれによって市場で大きな混乱が起きたりしないのであれば、1
月の利上げも十分可能という趣旨でおっしゃっているのか、少し具体的に説明頂ければと思います。(後半割愛)』
はい直球。
『(答)何かたくさんご質問があったような気がして全部カバーできるかどうか分かりませんけれども、一つは
1 月の利上げの話ですけれども、これはそれまでに得られた情報を精査して、経済・物価の見通しの全体像を考えたうえで、政策委員の間でよく議論して、適切に判断していくということでありますので、何か特定の項目でこれがあったらとかこれがなかったらとかいうチェックリストのようなふうには考えておりませんで、全体像としてどう評価するかということになってくわけですが、』
と原則論から入りまして、
『その中の一つの大事な要素としては、アメリカの話があって、アメリカの経済自体は堅調だというふうにみておりますけれども、[トランプ次期]大統領、もう既にいろいろ発信されているわけですが、就任演説では、一つにはどんなバランスでどんなスケジュールで進めていくのかとか、あるいは、これまでに発信されていないような何か新しいものがあるかとか、そういったところはよくみていこうと思っておりますけれども、』
ほうほう。
『何か一対一でその話と、1 月の結論を結び付けるようなつもりはございません。(後半割愛)』
まあ12月会合の時に植田総裁が何度も「アメリカ新政権の政策の影響が」と言いまくってしまって、だったら1月は当然ながら判断できるわけがない時間帯だから政策変更できないよね、という事になってしまったのを上書きしようという趣旨はのは分かりますし、金懇挨拶の方にもありましたが、米国新政権の政策の影響が不確実、とか言い出したらそんなの無限に不確実。すなわちまあ言ってみれば12月の説明って失言に近い(利上げする気が一切ないなら失言ではないけど)説明だった訳ですので、氷見野さんが今回それを上書き訂正しましたよってことなんでしょうね。
・直近の為替円安が物価に影響を与えているというのをきちんと言明していますね
質問の後半は為替円安の物価上振れリスクに関してですが、
『(問)(前半割愛)あと二点目は、為替の影響なんですけれども、輸入物価の円安による上昇のリスクっていうのは昨年
7 月に利上げした際に一つファクターになったと思うんですけれども、最近の動きは、そうした輸入物価の上昇を通じた物価の上昇圧力として、リスクとしてとらえなければならないのか、そこのリスクはこれまで日銀がみていた通りだいぶ減衰しているのか。加えて、賃上げから物価への上押しの働きっていうのも踏まえた全体で、物価は、氷見野副総裁、今、上振れ下振れどちらの方向がより強く意識しなければならないとみてらっしゃるのか。すいません、要は国内の物価の動向についてのリスクの考え方についてお願いします。』
加えて、以下が余計にもほどがある。もうちょっと整理して(というか為替に絞って)聞いてくれ。
『(答)(前半割愛)二つ目、物価の状況ということで、まず為替、輸入物価の話がありました。今日の懇談会でも、何人かの方からやはり経営上は為替の安定が重要だというお話がありまして、具体的に数字を挙げて金利と為替でこんなにどっちが大変かと言えば、為替だというようなお話をされた方もあったわけですけれども。』
ここは氷見野さん中々チャーミングなのですが、上記の質問だと為替の話をかっ飛ばして物価の話をおっぱじめて誤魔化す、という技も可能だったと思うのですが、いきなり真正面から為替の話をおっぱじめまして、しかも「具体的に数字を挙げて金利と為替でこんなにどっちが大変かと言えば、為替だというようなお話をされた方もあったわけですけれども」というのを、今日のヒアリングによる一つのアネクドートではありますが堂々と紹介していまして、金利が多少上がっても問題ないが為替がぶっ飛ぶと問題、という説明をイタコ方式でしらっとぶち込んでいるのは中々いい味を出しています。
『円安、経済の様々なところに影響があるわけですけれども、今ご質問のあった物価との関係ということになりますと、直近で輸入物価指数をみますと、ドルベースではかすかに下がっているんですが、円ベースでは
10 月、11 月と、前月比でみるとかなり高い伸びになっております。ですので、そういったものが物価にどう影響していくかというのはよくみていかなければならないと思っております。』
10月、11月の数字を出して円安がこれから物価に影響を与えていくんじゃないですかという話をしておりますな。以下賃金云々は余計な質問に対応した説明ですけど。
・金懇挨拶に引き続き会見でも「アクチュアルの物価が高すぎ」というのを明示的に指摘しています
『そのうえで、更にいろんな賃金はじめとした様々な要素を含めて、物価について全体に上下どちらのリスクの方が大きいと思っているかということでしたけれども、そこがなかなか微妙でありまして、ヘッドラインの上昇率は、今いろんな政策的なものを除くと
3%ぐらいですので、ちゃんと下がっていかないと困るわけですけれども、他方インフレ予想みたいなものをみると、あるいは例えば私どもが出してる基調的な物価の動向をみるための指標とかいうのをみると、これは今度は低いということで、両方をみてやっていくしかないというふうに思っております。』
この部分は昨日ネタにしました金懇挨拶でもありましたけれども、会見でも「ヘッドラインの上昇率は、今いろんな政策的なものを除くと
3%ぐらいですので、ちゃんと下がっていかないと困る」と「アクチュアルの物価は高すぎ」というのを明示的に発言しているのが注目されるところでして、従来植田総裁や内田副総裁の説明ではこの「アクチュアルの物価が上振れしているのは怪しからん」という認識を示さないままに「基調的物価ガー」だけ言っていたんですけれども、ちゃんとこれを示しているというのは昨日も申し上げましたが実に結構なことだと思います。
・思いっきり「1月ライブ」感を出す質疑応答
次の質疑ですが質問が良くまとまっていましたね。
『(問)午前の講演で政策判断の注目点として、国内の賃上げ動向というのを挙げられました。そのうえで昨年度に続いて強い結果が期待できるとの言及もございましたが、そうした中で
3 月の春闘のですね、1 次集計を確認する必要性というのを、副総裁ご自身どのようにお考えなのか。その強い内容がですね、既に予想されている中で、緩和調整が遅れてしまうことのリスク、これについて現時点で副総裁はいまどのようにお考えか、教えてください。』
まあ普通に「1月やれよ」って煽り質問ではありますが(^^)、
『(答)賃上げは賃金と物価の好循環の非常に大きな要素ですので、注目点ではあるわけですけれども、全体を評価したうえで、賃金の話だけではなくて、全体を評価して判断していくということになると思います。』
もうこの時点で12月の植田総裁会見での「賃金と米国政策を見極めないと利上げ判断はできない」という1月利上げ観測を全力で叩き潰しにいった説明(ちなみに12月会合の時にネタにしましたように、前回の植田さんの説明は植田さんの失言とかじゃなくて想定問答がそういう作りになっていたからなので、植田さんというよりも大本営の説明でしたわな)を上書き訂正していますよね。
『そのうえで、ではどこまでみて判断するかということになりますが、これについては来週の決定会合でよく議論して判断していくということになると思いますけれども、』
からの、
『足元の状況、足元で得られた情報でどうかということであれば、12 月の時点で得られた情報に比べれば、あるいは支店長会議であれ、新年の要人の発言であれ、また
12 月末にいろいろ出たアンケート調査の結果であれ、比較的前向きの、去年と比べて前向き度が同じか強いくらいのものが多かったということは言えると思います。』
ということで、賃金の判断を前進させるに足る材料が12月以降に出てきましたよと。
『そのうえで、賃金以外の部分も含めて経済物価の見通しを考えて、トランプさんの演説もみて、2
日目の朝出るCPIも見て、しっかり判断していきたい、というふうに考えております。』
ということですが、CPIなんて東京都区部から考えてどう見たって強いじゃろという話になるので、トランプの演説で余程のお馬鹿発言が出てこない限りは「しっかり判断」することになるんじゃねえの、ってまあ思ってしまいますよね、ということでこの辺りで更に「1月ライブ」感が強まった(既に金懇挨拶の時点で強まっていましたけど)なあとは思いました。
・なお直球の火の玉ストレートの質問に関しては思いっきり見送り三振の回答ですな(^^)
この質疑応答、聞いている時は何となく流してましたが文字になったの見ると氷見野さんにしては珍しく回避行動をとっているのですね。
『(問)副総裁、午前中の講演の中で、利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し判断する、という来週の決定会合についてのご発言ありましたけれども、もちろん主な意見はもう
12 月の主な意見は発表されていて、その中でも、利上げをするかどうか議論されている。当たり前といえば当たり前なんですけれども、このタイミング、来週に決定会合控えたタイミングで執行部である副総裁がこういった発言をされるというのは、利上げの可能性をそれなりにみていらっしゃる、というふうに受け止める向きもあると思います。副総裁として、可能性としては利上げを決定することがあるというふうにみてらっしゃるという理解でいいのかどうかお願い致します。』
これはもう思いっきり回避回答ですがw
『(答)これは政策委員の講演が一度に固まったり、ばらばらになったりする、というのが非常に評判が悪いので、均等にしようということのわけで、ところが
1 月というのは非常にやりにくくてですね、1 月最初の週に地元の経済界の方に集まって頂くというのはちょっと迷惑ですし、来週になるともう決定会合の週ですし、その後になると、今更何を言いに来たということにもなりかねませんので、今週にならざるを得なかったと。そうすると、黒船が来ただの何だのというのは私がいくら言いたくてもですね、それだけで話が終わると、ややお集まりの方にもご不満が出るかということで、来週の決定会合についても一言言おうと。でも、そこで議論して決まることなので、政策委員の間で議論し判断したいと思いますというふうに申し上げたという経緯でございます。』
ワロタって感じですが、この前の甲府での金懇でも信玄堤の話を思いっきりしていまして、実はあの部分が白眉だったというのをネタにしたと思いますが、そういう意味では今回まだ黒船来航云々かんぬんの部分をネタにしていないのですが、そっちをネタにすべきだなと思いました^^;
・赤信号青信号を使った質問キタコレ
こんなのもありました。
『(問)今日の講演でもありましたけど、経済・物価情勢はオントラックで推移してますと、春闘の賃上げも期待が持てると、アメリカの大統領も就任後にある程度方向性がみえるんじゃないか、というようなお話ありました。状況を考えると、利上げに赤シグナルが灯っているものって、やや見当たらないと思うのですが、その辺り何か副総裁ご自身が気になっている点とかありましたらお願いします。』
これは以前氷見野さんが「経済に全部青信号とかいうことはないんだからそれでも必要な時は政策調整をしますよ」って話をしたのを踏まえた例えですね。
『(答)これは全体像を見たうえで判断しますので、赤シグナルが 1 個あったらやらないとか、実はその赤シグナルも
1 個あってやめるような場合もあり得ると思うので、なかなかチェックリストみたいにして、これがあったらどう、ということを申し上げるのは非常に難しいですけれども、これまでに出ているデータ、情報についての考え方は、ある程度、今日申し上げたわけですけれども、トランプさんの就任演説でどんなお話があるのか、あるいは、決定会合の
2 日目の朝には全国のCPIの数字も出ますし、それまでに起こること全部みたうえで、よく議論して判断していきたいというふうに思っております。』
まあ不測の事態がなかったらかなり具体的に議論する、というのは把握しました。
・どさくさに紛れて内田副総裁が8月に行った株式市場全面降伏講演をディスっているのはワロタ
この質疑は回答がワロタですけれども。
『(問)二点お伺いしたいんですけれども、足元で世界的にというか長期金利急上昇してまして、日本の
10 年金利も今日 1.245%ということでかなり上昇急ピッチなんですけれども、金融政策運営への影響はどのようにみてらっしゃいますでしょうか、というのが一点目。(後半割愛)』
まあワイだったら「ねえよ馬鹿」とか問題発言して秒で辞任に追い込まれそうですが、氷見野さんここを先途としらっと内田方面に砲撃を加えているのがお洒落でして、
『(答)長期金利も市場で決まるものですので、内外の長期金利の変動の背景みたいなものについては、コメントは差し控えたいと思いますけれども、市場はいろいろ上がったり下がったりするものですので、1
日、2 日、1 週間の動きだけをもって政策の判断のベースにするということにはならないのではないかというふうに思います。(後半割愛)』
>1 日、2 日、1 週間の動きだけをもって政策の判断のベースにするということにはならないのではないかというふうに思います
>1 日、2 日、1 週間の動きだけをもって政策の判断のベースにするということにはならないのではないかというふうに思います
>1 日、2 日、1 週間の動きだけをもって政策の判断のベースにするということにはならないのではないかというふうに思います
(;∀;)イイハナシダナー
どう見ても内田方面への砲撃です本当にありがとうございました(^^;
2025/01/15
お題「氷見野副総裁横浜金懇は1月利上げの可能性を引き戻しましたな(やるとは言ってない)」
日本農業新聞の論説だけにまあそういう話ですが
https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/282178
2025年1月15日
[論説]減少する農地と担い手 直払いで経営安定急げ
伝えたいようで今朝は会員以外でも見れる記事になっておるので貼ってみた。
〇氷見野副総裁横浜金懇は想定以上にやる気を見せてたし良い話はあったし
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2025/data/ko250114a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
── 神奈川県金融経済懇談会における挨拶 ──
日本銀行副総裁 氷見野 良三
ということで参ります。
〇いきなり話がワープしますが「コミュニケーション」の部分は大変に素晴らしかった
順序が思いっきり逆になりますが、『3.日本銀行の金融政策運営』の最後の部分に『(金融政策を巡るコミュニケーションのあり方)』という小見出しがあって、この内容が色々とイイハナシダナーにも程があるし、何なら植田内田への砲撃も混じっていてさすが氷見野さんとしか申し上げようがない、まあもちろん内容的に見るとちゃんと大本営で相談した話も入っているので植田内田が反省したというのもあるかも知れませんけど兎に角ここは良かった。本文11ページ(PDFで12枚目)の下段の方からの部分になります。
『さて、金融政策の運営を巡っては、多くの方々から、丁寧なコミュニケーションに努めるように、とのご意見をいただいています。コミュニケーションに関して3点ほど感想を述べさせていただければと思います。』
からの3点、悉くが大変に結構なお話をしておりましてまあ読めと。
・フォワードガイダンス政策は変化の時代には役に立たないどころかマイナス迄ある
『第一に、日本銀行は 1999 年2月、ゼロ金利制約に直面するとともに、当時審議委員だった植田総裁の発案で、金融政策の今後の姿についてガイダンスを示すことにより、追加的な緩和効果の発揮を目指すようになりました。』
そうですね、でもってここでポイントなのは「ゼロ金利制約の中で追加的な金融緩和効果を出すために作ったのが時間軸政策だ」ということ。
『この戦略は、当時は時間軸政策と呼んでいましたが、その後フォワードガイダンスと呼ばれるようになりました。他の先進国もゼロ金利制約に直面していく中で、世界中の中央銀行に広まり、あらかじめ将来の金融政策決定会合の結論についてまで一定のガイダンスが示されるのが当たり前になりました。』
でもって「ガイダンスではない」といつも言ってるけど、FEDがドットプロット出しているのも一種のガイダンス政策に似た面があるわけですが、この手のガイダンスをやたら持ち上げていたのはウッドワードとバーナンキ。
『しかし、フォワードガイダンスについては、効果もある一方、政策転換が必要な局面になった場合には制約になってしまうのではないか、場合によっては政策変更を遅らせてしまいかねない弊害があるのではないか、という点も意識されるようになりました。』
まあ完全に遅れてしまいましたよね欧米は。米国の場合はその直前にアベレージインフレーションターゲットだのメイクアップストラテジーだの言って物価の上振れを容認してしまったのがさらに良く無かったのですが、「時間的余裕がある」とか言ってるどっかの日銀は他山の石で玉を攻むることはしないんですかねえ。
『このため、多くの中央銀行は、ゼロ金利制約から自由になった 2022 年の段階でフォワードガイダンスを取りやめました。』
FEDは(位置づけはガイダンスではないけれどもデファクトではガイダンスだわさ)ドットチャートを使っていますけどね。
『現在では、多くの中央銀行のコミュニケーションでは、「それぞれの決定会合の時点までに手に入ったデータの全体像をよく見て、会合ごとに判断していく」という姿勢が基本線になっています。』
でもって、
『日銀が公表文から将来を縛る表現を落としたのは、他の諸国に遅れ昨年3月のことでした。したがって新しい時代に入ってまだ間がないわけですが、その前のフォワードガイダンスの時代とは局面が変わっている、という点をまず申し上げておきたいと思います。』
非常に重要な論点でして、つまりは本来事前予告ホームランなどというものはあり得んというお話ですし、まあそれだったら事前のお漏らしなどというものも当然あり得んという事になるわけでして、局面が変わっているのに、というか局面が変わってから寧ろなのですが、事前の予告だのお漏らしだのみたいなのが横行するインチキコミュニケーションを行っている大本営に対してしらっとイヤミを言っているのですが、次の点ではさらにそれにブーストが掛かります。
・事前織り込ませを毎度毎度するという発想がそもそも頭おかしいと断罪しているんですよね
ここからが氷見野抜刀斎モード。
『第二に、金融政策が意図してサプライズを起こすことは、危機時などパーセプションを大きく転換すべき場面を除き、望ましいことではありません。』
まあそれはそうですが、黒田って散々やってくれましたよね。
『また、市場が金融政策に対して抱く予想が我々の考え方と乖離していると、そのギャップが解消される過程で市場が混乱することも考えられますので、ギャップの生じにくいコミュニケーションが望ましいことになります。』
でもって、
『更に、そもそも、金融政策の効果は、中央銀行の意図がどれだけ広く正確に受け止められるかに大きく依存します。』
ですな。
『したがって、世の中の人々が金融政策の今後について考え、予測するうえで役に立つように、基本的な考え方や、経済の現状についての見方について発信することは極めて大切です。』
と、ここまで説明してからの抜き打ち抜刀斎が以下始まる。
『しかし、だからといって、毎回の金融政策決定会合の結論について、事前に市場に完全に織り込んでもらえるようにコミュニケーションをとるべきだ、ということにはなりません。』
キタキタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
『政策は毎回政策委員の議論で決めるものですので、そのようなことは不可能です。』
まるで事前に大本営が決めているかのようなお漏らしが出ていることに対して氷見野副総裁がお怒りのようです。
『また、「会合ごとに織り込みを目指した事前のコミュニケーションがなされるはずだ」という期待が生じると、経済の動向よりも日銀の言いぶりの変化ばかりに市場の注目が集まることになりかねず、それも決して望ましいこととは思いません。』
昨年末について言えば、珍しくも経済指標に反応して動いていた債券市場が、11月末の植田総裁日経インタビューを境にいつものように日銀の顔色および関連する各種報道をうかがって動くという最悪の展開になってしまいましたのは記憶に新しいですが、この期待を生じさせているのはどう見ても大本営ですので、これまた氷見野さん抜刀斎モードになっておられますな。
・あのアホにも程がある金懇日程が改善されるのは実に結構な話です
でもって3番目もちょっとうれしかったのですが、まあこれは氷見野さんの独断じゃなくてちゃんと大本営ともども決定(内決?)したんでしょうなと思いまするに、やっとコミュニケーションを改善する気になったかという話でして、
『第三に、コミュニケーションについては経験に学びながら継続的な改善に努めていきたいと考えております。』
からの、
『コミュニケーションは、もちろん中身が大切ですが、場面の設定についてもいろいろ工夫できるところがあると考えております。』
ときまして、
『例えば、政策委員による今日のような金融経済懇談会についても、従来は半月に4人やったり、1か月間なかったり、ということがありましたが、時期を平準化していきたいと考えております。また、日程についても、これをぎりぎりに発表すると何か緊急にメッセージを出そうとしているのかとか誤解されかねませんので、できるだけ早くに公表することにしたいと考えております。』
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
いやこれアタクシのような三下も含めましてそこら中から文句出てた話だし、なんか「総裁副総裁は平審議委員とは違うんじゃ」とでも言いたいのか特に総裁副総裁の講演などが直前まで日程が公表されないとかいう勿体付けた偉そうムーブをしていたのは毎度トサカに来ていましたし、審議委員の金懇を一気に4人やるとかお前ら真面目にコミュニケ―ションする気あるのかっていう舐め腐った日程の決め方してたり(まあ確かに某とか某とか某の金懇って他のとセットにして注目度を下げておかないと無能すぎて見てられない物件が出てくるから単独にしたくないって大本営の気持ちも分からんでもないですけどwww)でしたので、これについて率直にこういう説明をして改善していただくというのは氷見野さんというよりもさすがにこれは大本営だと思うのですが、そうかやっと改善してくれますか、とこれは評価したいですね。
『そのほか、ご意見を頂戴しながら、試行錯誤になるかもしれませんが、いろいろ工夫してまいりたいと考えております。』
ということですが、植田さんみたいになんでもかんでもその時の材料を強調しすぎるとかいうのはコミュニケーションのブレ以外の何物でもないので内容の改善もよろしくオナシャス。
・・・・・あとですね、今回の金懇の会見って14時開始でどこぞのベンダーがやる気満々でカメラ入れて実況放送していましたけれども、この会見14時開始ってのも高く評価したいところでして、これまでって金懇会見の内容がヘッドラインで流れてくる時間が14時半過ぎ(だいたい40分近く)からの債券先物の引け近くという時間帯にあたっていたので、時間が少ない分消化できないうちにヘッドラインの文字列に過剰に反応する、という弊害があって毎度悪態をついていた訳ですが、14時開始ですと受け止める方もヘッドラインの内容を落ち着いて消化しようという時間的な余裕もあるし、(まあ今回は某社のカメラ入っていたからヘッドラインへの反応がそこまで過敏じゃない(発言内容を確認しようとなる)というのもあったとは思います、為念)引け際に無駄な乱高下をしなくて済んだので、今後も金懇会見は14時スタート同時エンバーゴでお願いできればと思います。よろしゅうに。
〇金融政策運営のパートではちょいちょいと素敵な論点があって一部は巧まざる植田内田への砲撃にw
ということで引きつづき金融政策運営のパートですが、今度は同パートの頭から参ります。
・そもそも今の実質金利ドマイナスという状況は状況が改善されたら普通の姿ではないとな
『(物価を巡る状況と今後の金融政策)』って小見出しから。
『さて、先ほど、「デフレに陥った後、実質金利が高くなってしまった」というお話をいたしました。しかし、その後、2013
年に量的・質的金融緩和を開始したあと、日本は物価が下がり続けるという意味でのデフレではない状態になり、実質金利はマイナスになりました(図表8)。』
っていう説明をしていますが、図表8を見ますと実は2014年あたりからずっと実質金利がマイナスです、という図になっているのがチャーミング。
『名目金利がマイナス、という状態、すなわち、「日銀にお金を預けると、タンス預金よりも損になる」という状態は去年の3月に解消しましたが、「お金を貸したり預けたりしても、物価の上昇分を考えると目減りしてしまう」という実質金利マイナスの状態は続いています。』
はい。
『実質金利がマイナス、ということは、事業の実質での価値が今後少しずつ毀損していくプロジェクトに、借金をして投資しても見合う、ということを意味します。』
とはいえ借入金利も名目プラスなのでどうなんでしょうかね。まあそれは兎も角として、
『実質金利がずっとマイナスであり続けることがありうるかどうか、という点については、経済学者の間でも意見が一致していません。ノーベル賞を取った元
FRB 議長のバーナンキ氏の論文には、そんなことはありえない、という議論が出てきます3。他方、財務長官やハーバード大学の学長も務めたサマーズ氏の論文では、マイナスの実質金利はそんな珍しいことではない、という議論が出てきます4。』
でまあこの辺までが前振りでして、
『ですので、ここでなにか結論を申し上げようというつもりはありません。ただ、経済をマイナスのショックが襲っているような状態や、デフレ的な様々な諸要因が強固に残っている状態では、実質金利がマイナスになるということは必要でもあり、決して不正常でもないが、ショックやデフレ的な諸要因が解消された状態であれば、実質金利がはっきりとマイナスの状態がずっと続く、というのは、普通の姿とはいえないのではないかと思います。』
キタコレ!
『日本についていえば、ショックやデフレ的な諸要因のうち、多くは解消されていて、少子高齢化・人口減少とグローバル化という二大構造要因は続いているものの、それらがいわれているように宿命的なデフレ要因であるわけではないのではないか、という見方を申し上げました。』
今日そこまで間に合わないのですが前段の部分にこの辺の話があります。
『本当にそうかどうか。もちろん道は平坦ではないでしょうが、生産性を高めて賃金を引き上げ続けられる企業へと労働力が移動する傾向は強まっています。』
『企業も政府も国際経済の新しい構図を見越して戦略を推し進めています。』
『仮に今後も人口減少やグローバル化に伴う様々な課題を工夫して乗り越えていけるとすれば、実質金利が深いマイナスではなくなっていく姿を将来像として展望することも可能になるのではないか、と思います。』
本来植田さんがこういう中長期的なパーセプションで「政策金利が今の水準のままで留まるのはおかしい」という話をすべきところだと思うのですが、なにせ植田内田(特に内田)はクソ目先の話しかしないというのは何なんでしょうねと思いますし、こういう説明をする氷見野さん非常に真っ当に見えますわ。
・物価2%安定目標達成は「物価が下がって期待インフレが上がる」必要があると説明しているのもイイハナシ
次の段落ですけど、
『もちろん、当面の金融政策運営に当たっては、より短期的な経済・物価・金融情勢に十分な注意を払っていく必要があります。』
というのが頭に入るもののこの先は、
『ここで、物価の現在地を確認してみますと、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価急上昇の影響から
2022 年 12 月と 2023 年1月には4%にまで至りましたが、その後は徐々に落ち着いてきております。わたしどもでは、来年度・再来年度については2%程度に着地するというのをメインシナリオと考えています(図表9)。』
『他方、人々が将来の物価上昇率について抱いている予想についてみますと、1%を下回っていたのが、徐々に上昇し、1%台半ばにまで至っています。』
実はもっと上なんじゃなかろうか説はあるのですがそれはさておきまして、
『日本銀行は、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指しているわけですが、現実の物価上昇率がちゃんと下がっていかないとこの目標はもちろん実現できません。』
この「現実の物価上昇率がちゃんと下がっていかないとこの目標はもちろん実現できません」ってのは実に良いことを言っていまして、日頃弊駄文では日銀大本営やら植田内田やらが「基調的な物価は2%行ってないから緩和継続」というのを毎度のように能天気に言っていて、いつの日か日銀は物価高放置をしていると批判の十字砲火がやってくるゾという事を申し上げているのは皆様もご案内の事かと存じますが、氷見野さんの挨拶のこの部分、すなわち「現実の物価上昇率がちゃんと下がる必要がある」というのを言っているのは大事な話でして、日銀が物価高放置をしているんじゃないか、という疑念を払拭することでもありますし、日銀のお貴族様は庶民が物価高で苦しんでいるのを分かっていないとかいうような話に発展するのを防ぐこともできまして、実に良い事を言ってると思いました。
『他方、人々が将来の物価上昇率について抱いている予想が2%に向かって上がっていかないと、実際の物価上昇率もいずれはまた2%を下回るようになってしまい、目標を持続的・安定的に実現することはできません。』
氷見野さんの説明って無茶苦茶分かりやすいんですよね、文章で見てもそうですし、会見での説明なんかでもそうなんですよ。
『そこで、現実のインフレ率は下がっていって、予想インフレ率は上がっていって、それが両方2%前後で着地する、という、難度の高い道筋を描いて、そうなっていくという見通しを持っているわけですが、これまでのところ、その背後にある経済のメカニズムも含めて、概ねその見通しに沿って進んでいると思っております。』
難度の高い道筋、って認めているのもいいですよね。
・「今後も政策金利の調整を行う」というのを淡々と言明しつつ・・・・・
でもって次の段落に行きますと、
『わたしどもとしては、そうした見通しが今後も実現していくとすれば、昨年3月、7月に続いて、今後も政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えております。方向はそういうことだとしても、もちろん、内外には上下双方向のさまざまなリスク要因がありますので、注意深く判断していく必要があります。』
となっていますが、この次を見ますと・・・・・・・・
・賃金に関しての説明を見ると別に3月まで待たずとも判断できますよという文脈ですがな
『国内での注目点の一つは、2025 年度の賃上げの見通しです。』
でまあこれが従来の植田さんの説明だと1月には判断付くわけないじゃんみたいな感じの説明になっていた訳ですが、
『それぞれの企業ごとにさまざまな課題に直面しておられますので、賃上げはもちろん容易なことではないと思いますが、強い業況判断、高い水準が続いている企業収益、歴史的には低い水準にある労働分配率、人手不足、転職の活発化、最低賃金の引き上げなどからすれば、2024
年度に続いて強い結果を期待できるのでは、と願っております。』
願っている、であって思っている訳ではない(というか「思っている」だと1月利上げ色が強くなりすぎますからまあさすがにそこまではよー書かんわな)のですが、少なくともここに出されている内容は既に確認済みの話であって、それらから見たら本年度並みの賃上げが来年度も期待できる、という話になっておりますので、何なら1月会合の時点で「賃金動向は想定通りに強いので政策金利の調整に支障はありません」という話にできますわな。
さらに、
『年初の各界の方々の発言も前向きなお話が多かったように思います。先週開きました私どもの支店長会議でも、全体的に強めの報告が多く、特に、今後の継続的な賃上げを中期経営計画に盛り込むこととした企業についての報告が複数の支店長からあったのが印象に残りました。各種アンケート調査でも、賃上げ予定先比率や賃上げ率は、前年並みないし前年を上回る結果が多いようです。』
となっていまして、年初からの材料を見ても継続的な賃金引き上げ傾向を後押しする話をしていまして、12月会合の時には判然としなかったけれども1月会合の時点では賃上げ継続を確信できる、という話にすることは可能な話の作りになっています。
・問題の「米国新政権ガー」に関しても「トランプが冒頭から無茶しなければエエンチャウノ」ムーブをかましていまして
その次が米国新政権の政策ガーという無限に不透明なものを理由に出してしまった植田総裁のトンチキコミュニケーションの尻ぬぐいモードに完全になっている、という部分でしてですね、
『海外での注目点の一つは、米国の新政権の政策と、それが米国経済・世界経済・日本経済に与える影響です。』
まあこれは言及せざるを得ませんけど、
『これは継続的に見続けるしかありませんが、』
でもってこの点って結局無限に「影響を見極める必要がある」と言い続けられるというマジックワードというかチキンオブチキンのワードなのですけど、それに対して氷見野さんはこのように割り切っておられまして、
『来週の就任演説で政策の大きな方向は示されるのではないかと思います。』
はい、つまり1月でも3月でも同じということですな!!!!!!
『これまでに示された内容をもとに、中長期的には様々な影響が論じられていますが、少なくとも米国経済は当面強いパフォーマンスが続くとの見方が多く、下方リスクに焦点が当たっていた昨年8月ごろとはだいぶ様子が変わってきたように思います。』
これ中々芸が細かいのは「下方リスクに焦点が当たっていた昨年8月ごろとはだいぶ様子が変わってきたように思います。」という部分でして、昨年8月ごろ、と言えばまさにあの利上げをした後に米国要因も相まって株安円高になって内田副総裁がションベンちびって全面降伏宣言をしたあの時になるわけですな。
つまりですね、今回の氷見野さんの「米国懸念は昨年8月ごろとはだいぶ違いますがな」というのは、当時の内田副総裁の全面降伏宣言を上書きする機能も果たしている、ということになっておりまして、まあゆうてその後も植田総裁が米国経済ガーを連発して円債市場の失望を誘っていただいた訳ですが、それらをしれっと上書きするムーブになっているのが大変にお洒落なところです。
でまあ最後は一般的な話をして先ほどネタにした後半部分の小見出しに繋がるのですが、
『いずれにせよ、これらの点を含め、足元までに発表されたデータ・情報を分析し、本年以降の経済や物価の見通しを作成する作業を現在鋭意続けております。その結果は来週「展望レポート」にまとめて公表する予定です。』
『政策運営にあたってはタイミングの判断が難しくかつ重要です。来週の金融政策決定会合では、「展望レポート」にまとめる経済・物価の見通しを基礎に、利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し、判断したいと思います。』
ということで、最後にもちゃんと「利上げを行うかどうかを議論し」とありまして、12月会合主な意見だと何かお前ら本当に議論したのかって感じの消極的な感じでしたから、そこから見たら1月会合利上げ全然出来ますじゃないですか、という話を思いっきり上書きしてきた、というのが今回の氷見野さんの金懇挨拶になるかと思います。個人の感想ですが。
・でもって1月利上げやっぱりありになったのかどうかですが正直よくわからんけど1月無しで決め打ちはできないわな
ま、だからと言って利上げするかどうかは良くわからんのですが、利上げ見送って円安にブチ飛ばれるのがマズイとか、そもそも3月に利上げ(前回のは利上げと言ってもマイナス金利解除でしたから利上げというほどの利上げではなかった)するのってどうなのよ(期末的に)というのも勘案すると、4月展望まで引っ張るよりは1月ってのだってまあアリエールかもね、という話になるかもしれませんな。
あとはこの氷見野さんの「上書きムーブ」がガチの全体的な方向性となっていて、12月に早期利上げ観測を叩き潰しすぎたのでこのまま1月迎えて利上げすると闇討ちの2乗くらいの話になってヤバかろうというご配慮で氷見野さんが威力偵察をしてきているのか、単に氷見野さんが単騎突撃してきているのか、というのはまあさすがに判断しかねますので、どっちなんですかねえという見立てによって読み筋は変わってくるかと思います。
とまあそんなところでござる。
2025/01/14
お題「金利あがっていますなあ&BBG砲/3M短国25bpで一旦買い入ったかな/日銀謹製消費活動指数」
ふむふむ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/EPQVQRLV3JMPFCM6HW5ISIT4XQ-2025-01-13/
大手金融各社、FRB利下げ予想修正 雇用統計受け
By ロイター編集
2025年1月14日午前 1:05 GMT+9
〇10年1.2%ですかそうですか(金利上がってきたのでメモ)&謎のBBG砲撃
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XJQN2MWQ6BOODG6A6DGRCUM6GU-2025-01-10/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.195% 日銀利上げ観測や米金利高で
By ロイター編集
2025年1月10日午後 3:27 GMT+9
『[東京 10日 ロイター] - <15:09> 国債先物は反落、長期金利1.195% 日銀利上げ観測や米金利高で
国債先物中心限月3月限は、前営業日比25銭安の141円06銭と大幅反落して取引を終えた。日銀の追加利上げを巡る警戒感や米金利高が相場の重しだった。新発10年国債利回り(長期金利)は2.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.195%と、2011年5月以来13年8カ月ぶりの高水準をつけた。
きょうの国債先物は、夜間取引で下落した流れを引き継ぎ、売り先行でスタート。日中は入札やオペといった国債の需給イベントがなく新規の売買手掛かりが乏しい中、きのうの日銀支店長会議を巡ってタカ派的な受け止めが市場の一部にあることが相場の重しとなった。』(上記URL先より、以下同様)
ということで日銀支店長会議云々はホンマカイナという感じではあるのですが、金曜日もなんかずるずると金利上昇の巻になっていまして、12月会合後の上げは何だったのかという話ではあるのですが、1月にハト派据え置きでもしない限りは1月会合スキップでもそんなに金利は下がらんのじゃネーノという風情になっていまして、単純にアメリカン金利のせいなのかも知れませんけれども、何ですのこの流れはとは思いますけど、よく考えてみたらマイナス金利やってるときも10年1%になったりしたのですから、そこからベースレート幾ら上がりましたねんと考えたらそんなもんなのかも知れませんけれどね。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.643 0.65 0.004 15:01
5年 0.818 0.826 0.021 15:03
10年 1.19 1.195 0.02 15:02
20年 1.959 1.965 0.021 14:59
30年 2.293 2.3 0.01 15:03
40年 2.719 2.725 0.019 15:06』
中期から後ろ全体的に売られている格好ですし、イブニングでも雇用統計と下にネタにしますがBBG砲??の効果から一段安になっている(月曜の市場は踏まえていないけど)の巻ですからぬー。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through
先物価格情報
長期国債先物 日通し
限月 25年3月限
取引日 01/14
始値 141.07 (01/10)(15:30)
高値 141.11 (01/10)(17:03)
安値 140.55 (01/11)(05:41)
現在値 140.56 (01/11)(05:54)
前日比 -0.50
取引高 15,276
ちょwwwwwwなんですかこの先物の下げはという感じですが、まあこうなったら一旦消えた1月利上げもこれはさすがに何ぼかは織り込んでいるでしょうというか、1月利上げしてもここまで来れば円債的にはサプライズにならんのではなかろうかという風情になっているので、正常化志向があるならば乗るしかないこのビックウェーブに、ということでしらっと1月利上げしちまえば良いんですけれども、今の日銀って正常化志向はあるにはあるんでしょうけれども、「ボク失敗したって言われたくないの」状態という一種のデフレ脳に一番浸っているのが今の日銀な訳でので、まあアレだけ言っておいて1月やっぱりやりますってのはじゃあ12月のあの話は何だったのかという事になるのでよーせんとは思いますけどね。
しかしまあ何ですな、話を蒸し返すのが大好きなアタクシとしては一昨年12月の氷見野副総裁の
この言葉が実に重い訳ですなと思いますが、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko231206a.htm
最近の金融経済情勢と金融政策運営
大分県金融経済懇談会における挨拶
日本銀行副総裁 氷見野 良三
2023年12月6日
『しかし、世の中全体で賃金と物価の循環が回りだすと、何かをすることのハードルが下がり、何もしないことのリスクが高くなり、どこかで両者の関係が逆転すると、これまでに起きなかったような変化が起きる、という見方もできるのではないか、という気がします。』(この部分だけ直上URL先2023年12月6日氷見野副総裁大分金懇講演より)
今まさに「これまでに起きなかったような変化」が起きていると思うのですが(というか物価上げすぎ問題がががが)、肝心の植田内田がとんでもないチキンあるいは保身体質で中央銀行としての本来の職分を全うしようとしてないんだから世話は無いわけですな。
でまあそれは兎も角として、お漏らしタイムにはちょっと早い気がするのですが、3連休前の金曜日の引け後にこういうのを出すなこういうのを、と思うのですがBBGがまた微妙な記事をだしておりまして、これ出たあと債券先物のイブニングセッションが141円割れに下がっていましたのでまあクリップクリップ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-10/SPUUBDT1UM0W00
日銀が物価見通しを上方修正の公算大、コメ価格上昇と円安−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2025年1月10日 17:30 JST 更新日時 2025年1月10日 17:49 JST
→24・25年度のコアコアCPI、23・24日に金融政策決定会合
→政策は米新政権の政策の影響など注視、直前まで慎重に見極め
17時半に出すなや17時半に、という所ですが、ヘッドライン打つタイミング的には大変にお上手なタイミングでしたので債券先物がホイホイと下がるわ(この時点では140.90近辺に下がっただけでして、その後の140.50水準への下げは米国雇用統計要因だと思います)10年は1.2%マークするわということでアイヤーとなった訳ですが。
『日本銀行が今月開く金融政策決定会合では、変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(コアコアCPI)について、2024年度と25年度の見通しが上方修正となる公算が大きい。利上げの是非は直前まで見極める方針だ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
あらそうですかという感じですが、コメ価格に関してはこれコメって生鮮食品じゃない(保存が効くから)ので、コア指数にもコアコア指数にも跳ねてくるので米価が上がると結構効くのよね、ということですし、まあ端境期に引き上げるわけにもいかないから新米がごく普通に流通していて端境期に入る前に上げておかないと、ということですかねえ、知らんけど。
で、報道を拝読しますと、
『23、24日に開く会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)について議論し、最新の見通しを示す。関係者によると、コアコアCPI見通しの引き上げは、コメを中心とした食料品価格の上振れが主因。円安の進行や原油価格の上昇も押し上げ要因になる。賃金コストを価格に転嫁する動きも想定通り強まっているという。』
ということですが、米価は兎も角としてしらっと「円安の進行」を入れているのがチャーミングでして、ついこの前の金融政策決定会合では円安の影響に関して、利上げ云々を言われたくないもんだから「この程度の円安はシランガナ」というスタンスになって、7月に利上げした時にリスク要因に昇格した筈の為替円安をスルー気味にする、という政策反応関数をまたも変えるしょうもないプレイに出ていたんですけれども、なんだよ1月展望で為替円安を物価上振れ材料にするのかよ、というお話でして、為替円安で物価上振れ、という話をするのでありましたら、それは7月の時点に話が戻るんですよね、すなわちこの為替円安で物価上振れの可能性が高まったので利上げ、って普通にできる話になるんですよね。12月言ってたことと全然違うじゃねえかという話をさておきますとwww
『植田和男総裁は、経済・物価情勢の改善が続けば、利上げによって金融緩和度合いを調整すると繰り返している。物価見通しの上振れや経済・物価が見通しに沿って推移することは、追加利上げの根拠になり得る。
市場では日銀が今月会合で追加利上げの是非を議論すると広く予想されている。』
議論をする(利上げをするとは言ってない)という話ではあるのですが、じゃあ本当に議論しているのかと言いますと、12月決定会合後の主な意見を見ると何か全然そういう感じじゃなかったし、それ以前に決定会合後の植田総裁の記者会見がやる気無し無しだったので、そこから1月急に利上げとか言われましても(為替で追い込まれるのでなければ)話がワープしすぎてなんのこっちゃ感が否めません。
『報道後、外国為替市場では円を買う動きが優勢となり、ドルに対し一時1ドル=157円76銭まで上昇した。報道前は158円30銭台で推移していた。』
はいはい手前味噌手前味噌という感じですが、今朝のドル円も157円台半ばくらいで帰ってきているから一応効いてるのかねというところで。
なお、BBGも慎重でして、
『もっとも、総裁は利上げを見送った昨年12月会合後の会見で、今年の春闘など賃上げの動向と20日に始動するトランプ米政権の経済政策の影響などを注視していく考えを表明している。今月の会合では市場動向などを直前まで見極めた上で、利上げが必要な情勢かを慎重に判断する見通しだ。』
とか言ってて、決め打ち記事にはしないというスタンスになっていますけれども、まあ激強物価見通しを出しておけば3月利上げへの思惑で円安進行もそんなに行かないし、市場が織り込んでしまえばそれに乗ってしまえばよいということで1月会合で事実上の予告ホームランをしてくる可能性は出て来ましたかねえ、とは思うのですが、直上記事にもありますようにそもそも植田さんは「トランプ新政権の政策ガー」とか「春闘ガー」とか言ってるので、1月会合時点で事実上の予告ホームランを打つのっていうのもやりにくい(春闘は先行するアネクが強いとか言えるにしてもトランプは何も分からん段階だから)のですが、1月会合どういう情報発信してくるのでしょうかねえ。マジで分からん。
〇3M短国入札は0.25%台まで届きましたがさすがにそこは買いが来たのかしら
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250110.htm
国庫短期証券(第1280回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1280回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1280回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項』
6Mは特例公債扱いの条項がありましたが、3Mはいつもの通りの発行根拠法です(前回の3Mもそうですけど)。
『3.発行日 令和7年1月14日
4.償還期限 令和7年4月14日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆1,691億円
(2)募入決定額 3兆4,276億6,000万円
(3)募入最低価格 99円93銭8厘0毛
(募入最高利回り) (0.2516%)
(4)募入最低価格における案分比率 25.4896%
(5)募入平均価格 99円94銭0厘8毛
(募入平均利回り) (0.2402%)』
ということで、こちら3Mは前日のWIが0.240%でして、平均は0.2402%ですけれども足切りが0.25%水準に乗ったところまで流れまして、おお0.25%ってなもんですけれども、中々の結果になりました。
でまあ見てて「ほー」と思ったのが応募額でして、前回までの3Mって兎に角応札がすくなくて8兆円台(先週火曜の入札は8兆円カツカツだった)とかいうすげえ少ない応札が続いていまして、年末年始越えプレミアム付きのこのレートはちょっとニーズがそんなにないでしょうという上に、GCや現先利回り対比で利回り水準が低すぎて業者が在庫をキャリーしにくいということで、必要最低限の札しか入れません、というのが鮮明でしたが、今回は応札が12兆円に復活していまして、年始入って数営業日経過したから、というのもあるとは思いますが、なんせ水準がやっとまともな水準に近くなってきたので、応札も入るということになりましてまことに結構な流れになっております、いい話だ。
なお、売参ちゃんを見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/10引値)
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.240←火曜に入札のあった3M
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.240
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.235←金曜に入札のあった新発3M
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.240
国庫短期証券1282 2025/04/21 平均値単利 0.239←今週金曜に入札のある3MWI
国庫短期証券1267 2025/05/12 平均値単利 0.255
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.255
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.260
国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利 0.340←木曜に入札のあった6M
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.270
国庫短期証券1251 2025/08/20 平均値単利 0.320
(1/9引値)
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.245←火曜に入札のあった3M
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.245
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.240←金曜の新発3M(この時点では)WI
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.254
国庫短期証券1267 2025/05/12 平均値単利 0.254
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.254
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.260
国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利 0.350←木曜に入札のあった6M
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.270
国庫短期証券1251 2025/08/20 平均値単利 0.320
ということで、だんだらが長くて恐縮ですが、3Mの辺りは新発の引けが0.235%と入札の平均水準よりも強くひかせているので、これはまあさすがに水準訂正が火曜日金曜日で一気に入ったことから買いが来た、という解釈をしておけば良いと思いますし、周辺も気持ち強くなっているのも、まあさすがに足元GCや現先レートとそんなに遜色ないなら一旦は買いが入るところなのかな、という感じではあります。
あと6Mのところが周辺のへなちょこ気配を修正するのかと思ったら6Mの方を少し強くしているのは笑いましたが、まあ金曜は3Mが一旦底打ちしたように見せる動きになったから周辺を甘くしないで6Mを強くするのかよとは思いました、ホンマカイナという感じはしますけど。
・・・・しかしまあ何ですな、3Mカレントやっと0.235%だの0.24%だの0.25%だのということで金利が上昇しましたけれども、もともとの水準がキチガイのような低金利だったのでそっちに目が慣れてしまって普通のレートに見えるのですが、この水準って1月利上げを食らうと保有期間の最初の2週間だけしか足元金利対比でチャラになっていなくて、その後11週間ほどファンディングコスト対比で盛大にやられるという事になりますので、まだまだ変な水準なのは何度も申し上げていると思いますけれどもそういう事やぞという水準ではございますので念のため申し添えますw
〇消費活動指数
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cai/index.htm
消費活動指数
そういやこちらってあんまりアタクシネタにしていないのですが(難しいから)、この消費活動指数って結構なレベルの日銀渾身の投下物件でして、この説明書きを見ればそれがわかるのですが、
『個人消費は、GDPの約6割を占めるコンポーネントです。このため、マクロの景気判断を行ううえで、個人消費の動向を、いち早く、正確に把握することは重要です。』
はい。
『こうした観点から、以下では、分析データ「消費活動指数」を定期的に作成・公表しています。消費活動指数は、財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計としており、月次や四半期といった短期的な消費活動を把握することが可能となっています。また、消費活動指数は、最も包括的にわが国の消費活動を表す国民経済計算・確報の家計消費と同様の変動をしているだけでなく、確報とは異なり、速報性を有しています。さらに、サンプルに起因する振れも小さく、各種のマインド指標との相関も高いものとなっています。』
これ物凄いオブラートに包んだ言い方になっていますけれども、そもそも論としてGDP統計で個人消費の統計ってのがちゃんと出ている訳ですから、そのGDP統計を見ればいいじゃん、という話のところにも関わらずGDP統計の向こうを張って日銀が出している訳ですよねこの消費活動指数って。
でもってこの説明書き、改めて読みますと・・・・・・・
「消費活動指数は、財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計としており、月次や四半期といった短期的な消費活動を把握することが可能となっています。」
→ワシらは各種の基礎データを丹念に収集して計算しておりますのでその結果として、
「また、消費活動指数は、最も包括的にわが国の消費活動を表す国民経済計算・確報の家計消費と同様の変動をしているだけでなく、」
→GDPと同じように出しておりますし、その上・・・・・・・・
『確報とは異なり、速報性を有しています。』
→後から何度も改訂されるGDPとかいう統計よりも速報性があり、なおかつ・・・・・・
『さらに、サンプルに起因する振れも小さく、各種のマインド指標との相関も高いものとなっています。』
→GDP指数の消費統計よりも優秀です( ー`дー´)キリッ
ということで、オブラートを貫通してみますと日銀の自信のほどが窺える統計だ、というのがお分かりになろうかと存じます。
『具体的には、名目値と実質値、旅行収支を調整したものと調整していないもの、形態別の内訳など、様々な系列を作成・公表しており、分析目的に応じて使い分けることが可能となっています。
公表日時は、原則として毎月第5営業日の14:00としています。ただし、業務の都合により遅れることがあります。
消費活動指数の具体的な作成方法については、以下の調査論文をご参照ください。』
とあって、この調査論文ってのも
『中村・河田・田中・植前「消費活動指数について」、日本銀行調査論文(2016年5月)
中村・三浦・丸山「消費活動指数の公表内容の拡充と見直しについて」、日本銀行調査論文(2016年10月)
金藤・萬処・加藤・須合「消費活動指数の08SNA対応と精度向上を企図した見直し」、日本銀行調査論文(2018年4月)
高橋・近藤・宗像・大久保・岩崎「近年の消費行動の変化を踏まえた消費活動指数の推計方法の見直しについて」、日本銀行調査論文(2021年7月)』
って並んでいてやる気のある論文が並んでいるんですよね。
・・・・・ということで数値の方を見ますと、
項目は左から順に、名目消費活動指数、実質消費活動指数、名目消費活動指数(旅行収支調整済)、実質消費活動指数(旅行収支調整済)
Jan-24 106.8 97.3 105.2 95.9
Feb-24 108.5 98.7 106.6 97.0
Mar-24 108.0 97.9 106.1 96.2
Apr-24 108.7 98.7 106.5 96.7
May-24 108.7 98.2 106.4 96.1
Jun-24 110.2 99.0 107.8 96.8
Jul-24 110.6 99.5 108.6 97.7
Aug-24 110.7 99.1 108.9 97.6
Sep-24 110.3 99.0 108.5 97.4
Oct-24 110.3 98.8 108.6 97.3
Nov-24 111.3 99.0 109.5 97.4
でもってこれ2015年=100で指数化されていますので、何のことは無い実質消費旅行収支調整済みって2015年対比で2.5%も下がっている訳でして、そらまあ好循環を感じませんわという所ですが、この指数2019年10月のところから盛大に落ち込んでいまして、そこから見たらだいぶ戻っている格好にはなっているのですけれども、まあ足元も消費って実質ベースで精々横ばいという感じですわな。まあ物価上がる中で実質ベース下がっていないんだから良い結果ということなのかもしれませんけど・・・・・・・・・
まあこの辺の指数に関しては本職の何とかストの方が解説をしてくれると思うのでそれを見ましょうずという所ですが、消費活動指数出ていたのでちょっと上記の日銀自信満々解説をご紹介したくて書いてみました。
2025/01/10
お題「さくらレポートに1月利上げの熱量無し(個人の感想です)/短国入札とかのメモ/需給ギャップ/地区連銀総裁発言クリップ」
あちゃー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250109/k10014688741000.html
インフルエンザ患者数 現行の統計開始以降で最多に
2025年1月9日 19時28分
昨日議事要旨ネタで他の話をパスしてしまったのでその辺も含めましてつらつらと
〇さくらレポートの「賃金と物価」のトーンってこれワタクシは「熱量がない」と思いました
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer250109.htm
地域経済報告―さくらレポート―(2025年1月)
全文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer250109.pdf
地 域 経 済 報 告 -- さくらレポート -- (2025年1月)
でまあ何地域が上げた下げたは兎も角、今回の現世利益は「賃金と物価の循環」の確認な訳ですよ。よって全文の方ですと本文4ページ(PDFの6枚目)から始まる『(3)企業等の主な声(トピック別)』を見るのがよろしい訳ですが、その点についてはこちらにも説明があるのでまずはそっちをみましょうず。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera250109.htm
各地域からみた景気の現状(2025年1月支店長会議における報告)
『雇用・賃金面では、2025年度の賃金設定について、現時点では競合他社の動向を見極めており、賃上げ率を固めていないとの企業の声や、中小企業を中心に、収益面の厳しさから慎重な姿勢を示す声も引き続き報告された一方、すでに、賃上げ率の具体的な検討を進めているとの企業の声も報告された。』
はい。このまとめ方がもうアレでして、もし今回「2025年度のおちんぎんは絶好調で春闘見るまでもなく死角なし」とかいうのであればもっともっと熱量のある表現になるじゃないですか当然のことながら。
然るに、上記のような書き方ですとこれはまあどこからどう見ても「じゃあ今後の賃金設定がきちんと出てくるかはもうちょっと確認しないとね」という話になります、というか毎度の事ですけれども、大本営様に対して忖度していますなというお話で、賃金上がっとるんじゃおいこら大本営真面目にしやがれコノヤロー的な突き上げっぽいのも無いわけですな、寧ろ去年のこの時期のさくらレポートの方がその傾向があったようにも思えますが、今年はまあこういう状況ですので、それはもうそういう事やぞと。
まあ一応、
『全体としては、構造的な人手不足のもと、最低賃金の引き上げもあって、継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきているとの報告が多かった。』
という結論にしているので、「賃金上昇は見られます」ってのが結論ですが、これはまあ普通に「現時点ではまだ決め打ちできるほど強いわけではないので今後を見ましょう」にしかアタクシには読めないので、1月会合で判断するような熱量は乏しい、と言わざるを得ません。
ただまあ昨年がそうだったように、1月決定会合終わってから急に変なもんでも食ったかのように3月会合に向けて別途「おちんぎんがキテます」っていうような補足レポートみたいなのが出て来る可能性もあるので、別に3月もやる気無いのかというとそうではないと思うのですが、少なくとも再来週に蛮勇振るって利上げじゃオリャーとなるには熱量が足りないという評価にしておきますアタクシは。
ではおちんぎんの対になる企業の価格設定行動ですが。
『企業の価格設定面では、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の動きは緩やかながらも続いているとの報告が多かった。また、人件費の価格転嫁については、なお難しいとする企業の声はあるものの、賃上げ原資確保のための転嫁を実施・検討する動きが引き続き広がっているとの報告が多かった。』
いやまあ食品価格だからこれとは別の話かもしれんけど体感的には食品価格がエゲツナイ上がり方しててマジで頭クラクラするんだが。
『ただし、消費者の節約志向の影響がみられるもとで、値上げの抑制や一部商品の値下げ、低価格商品の品揃え強化などの動きも引き続きみられているとの報告があった。』
そらそうよというお話で、名目の支出額黙っていても増えてるんだもん帳尻合わせないと・・・・・
というのは兎も角として、企業の価格設定行動の方は「きっちり進んでいる」感の強い表現になっておりますな。価格は上がるけど賃金はイマイチとのことですが、そもそもリフレ政策というのは実質賃金を下げることによって雇用を強くしていきましょうなどというのはかの浜田宏一大先生も仰せになっていたことなので、まあアベノミクス黒田緩和の答え合わせだぞということで。
さて、これ昨年の同時期どういう話をしていたのか、というのを比較するとオモロイかと思いまして、昨年のを引っ張り出してきました。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera240111.htm
各地域からみた景気の現状(2024年1月支店長会議における報告)
『雇用・賃金面では、多くの地域から、労働需給の引き締まりや、企業の人手不足感の強まりが報告された。本年の賃金改定に関しては、一部の大企業において、昨年並みあるいはそれ以上のベースアップを伴う賃上げ方針を既に表明する動きがみられるもとで、地域によって濃淡はあるものの、地方でも昨年よりも幾分早いタイミングで賃上げ機運が醸成されつつある。』(上記URL先昨年1月の支店長会議報告から、以下同様)
ということで、今年のに比べて書いていることに勢いがありますよね。後半は、
『ただし、競合他社の賃上げ動向等を見極めたいとして、現時点では賃上げ率等を固めていない先が多いほか、中小企業を中心に、収益面の制約から慎重さを崩さない先も少なくないなど、賃上げの広がりや程度等については不確実性が高いとの報告が多かった。』
となっているものの、前半の掴みの部分での熱量が違いますなというお話です。
『企業の価格設定面では、既往の原材料コスト上昇分を転嫁する動きが続いているが、そのペースは鈍化しているとの報告が多かった。また、値上げの抑制や一部商品の値下げなど、消費者の節約志向の強まりに対応した価格設定行動がみられるとの報告が複数あった。一方で、人件費の上昇を念頭に置いた値上げを実施ないし検討する動きもサービス業等で徐々に出てきているとの報告があった。』
価格設定の方は先ほど申し上げました通りで、これ昨年よりも今年の方が普通に表現が強くなっている、というのが見て取れるかと思いまして、まあこれですと「賃金動向を確認したら政策調整」って話をしてくるんじゃないですか、とまあそういうお話になると思います。
とは言いましても、そもそも論として植田日銀の場合は(黒田末期からそうですけど)「政策行動から後付けでその時に都合のよい理屈(または屁理屈)を繰り出してくる」という行動になっておりますので、今回のは「目先で言えば動かない言い訳」になっていますし、「賃金を確認した時点では動く時の言い訳に使える」となっていまして、まあ動かない言い訳がある時は動かないという行動からすると、1月利上げにとっては(円安にこれからかっ飛ばされない限りにおいて)一つハードル置きやがったなということで。
〇6M入札も滑ったけど持ち直して本日は今週2発目の3M入札
とまあそういうことで昨日は30年国債入札があったような気がしますがそういうのはスルーしまして(おい)短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250109.htm
国庫短期証券(第1279回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1279回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1279回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項』
はい、こちら発行根拠法見ますと今回の6Mは一部が特例公債(赤字国債)で発行されていますな。だからどうしたと言われると困りますが。
『3.発行日 令和7年1月10日
4.償還期限 令和7年7月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆6,540億円
(2)募入決定額 2兆7,443億9,000万円
(3)募入最低価格 99円81銭6厘
(募入最高利回り) (0.3717%)
(4)募入最低価格における案分比率 26.1111%
(5)募入平均価格 99円82銭5厘
(募入平均利回り) (0.3535%)』
昨日の新発6M、前日のWIの引値が0.330%だったのですが、足切り0.37%水準まで流れまして、ありゃまあという感じではあったのですが、3Mが0.25%ちょっと割る水準ですので(0.25+0.50)÷2=0.375%というガバガバ計算をするとなるほどまあそんなもんちゃあそんなもんかしら、ということで買いも入ったのか引値は0.350%に持ち直しておりました。さっきのガバガバ計算からしたら0.35%って強くねえかという気がしないでもないですが、まあそもそも売参ちゃんを見ますとこの辺の短国って(もともと3Mカレントよりも長くなると恒常的に流通玉があるようなゾーンでもないので気配もメクラウチなところがあるんですけど)引値が強くて、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/9引値)
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.245←火曜に入札のあった3Mカレント
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.245
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.240←今日入札予定の新発3MWI
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.254
国庫短期証券1267 2025/05/12 平均値単利 0.254
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.254
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.255
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.260
国庫短期証券1279 2025/07/10 平均値単利 0.350←昨日入札のあった6Mカレント
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.270
国庫短期証券1251 2025/08/20 平均値単利 0.320
6Mカレントの両隣の銘柄どないなってますねん(ちなみに償還が10日なのは6Mの成れの果てで20日なのは1Yの成れの果て)というツッコミをしたくなりますが、まあ短国市場がマシになってくる過程において、新発債が出るとそこだけ電気ショック受けたみたいにピクッと反応して、そのうち徐々に周囲の銘柄にも伝染していくみたいな人間味の溢れる(のか??)価格形成になっていくんでしょうかねえ、さっぱりわかりませんが。
まあアレです。短国ちゃん(特に3M以下の)利回り修正が進んだ結果として、GCレートや現先レート対比でのとんでもないネガティブキャリーがおおむね解消されてきたのは大きいと思うのですよね。これまでって短国のマーケットメイクしろって言われましても新発を入札で買って在庫にしていると在庫ファイナンスするキャリーコストが在庫の短国の利回りと全然あっていなかったから、新発買って在庫にして持っているだけでコスト垂れ流しという碌でもない状況だったと思いますが、利回りがGCレートや現先レート並みになってくれれば恐怖の持っているだけで赤字状態ではなくなるので、マーケットメーカーとして在庫をキャリーしやすくなるでしょうから、そうなってくれば短国市場の価格形成ももっと円滑というか理屈の通ったというか、そういう形に徐々になっていくことを期待したいところではあります。
でもって今日は3Mの入札があるわけですが、なぜかWIちゃんを見ますとカレント3Mよりも利回りが低いとかいう謎値付けになっておりまして、これがマジなのか何なのかよくわかりませんけれども、6M入札後の持ち直しを受けましてこちらも堅調になるのかどうか、はてさてどうなりますやら(応札額も見ておきたいですね)。
あと交付税特会借入6Mが火曜日にあったのをうっかりしておりましたので改めてネタにしますと、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250107.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和7年1月16日
3.償還期限 令和7年7月17日
4.償還方法 令和7年7月17日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 3兆5,050億円
(2)募入決定額 1兆3,000億円
(3)募入最高利率 0.500%
(4)募入最高利率における案分比率 35.0470%
(5)募入平均利率 0.472%』
・・・・・どうみても利上げ後レートです本当にありがとうございました、という感じですが、7月足ならさすがに0.75%まで利上がっていることはなかでしょバイというお話ですから、仮に1月利上げになってもチャラ水準の50bpっていう所で止まるのは中々リーズナブルな結果となっておりまして、まあ本来利上げ局面ってこんな感じでタームプレミアムが乗っかって利上げを多少多めに織り込んだ価格形成になって然るべきだし、そのタームプレミアムをどう読むのかが短期資金ディーリングの昔のムーブだった筈ですので、交付税特会借入6Mというドマイナーな世界ではこういう数字になっているのイイデスネと思ってしまいました。
〇需給ギャップちゃん
https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm
需給ギャップと潜在成長率
https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/gap.pdf
需給ギャップと潜在成長率(図表)
直近の推移だと、(左から需給ギャップ、資本投入ギャップ、労働投入ギャップ)
2023.1Q -0.36 -0.61 0.25
2023.2Q -0.12 -0.46 0.35
2023.3Q -0.34 -0.65 0.30
2023.4Q -0.05 -0.35 0.30
2024.1Q -0.71 -0.99 0.29
2024.2Q -0.58 -0.77 0.18
2024.3Q -0.53 -0.79 0.26
というということですが、需給ギャップマイナスで推移しているのに物価はずーっと2%オーバーで推移しているんですから、寧ろこれは物価安定目標は思いっきり達成しているという状態を意味するんじゃないですかとか言いたくなってしまう(そもそも需給ギャップが本当にマイナスなのかというのもアレですが)のですが。
あと、半期展開の潜在成長率
2022.1 : 2022.2Q-2022.3Q 0.38
2022.2 : 2022.4Q-2023.1Q 0.46
2023.1 : 2023.2Q-2023.3Q 0.53
2023.2 : 2023.4Q-2024.1Q 0.53
2024.1 : 2024.2Q-2024.3Q 0.58
ということで潜在成長率0.6%くらいあることになっているのですが、本当にそうなんですかねえというのはあって、需給ギャップマイナス推移なのに人手不足だわ物価が上がるわってなんか違和感があるんですけどアタクシもアホの子なのでこの辺の理屈がイマイチわかったようでわかっていないのでメモだけ置いてお茶を濁すのでした。
〇要するに当分利下げはしませんよと(FED要人発言備忘クリップ)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/ZLXQ5PQ7A5MF3N6G76QCT22MKM-2025-01-09/
米利下げ、段階的で忍耐強いアプローチ必要 不透明感強い=ボストン連銀総裁
By ロイター編集
2025年1月10日午前 12:33 GMT+9
『[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は9日、見通しを巡りかなりの不確実性が存在するため、連邦準備理事会(FRB)は今後の利下げを慎重に進める必要があるという見解を示した。コリンズ総裁は「経済は総じて好調で、政策はすでに中立的なスタンスに近づいている」とし、足元の不確実性を踏まえ「段階的かつ忍耐強いアプローチが求められていると考える」と語った。』(上記URL先より)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/QYVGDXNTYBNERCSXVN4NLSEBMU-2025-01-09/
FRB利下げ継続、即時実施は不要 指標注視=フィラデルフィア連銀総裁
By Michael S. Derby
2025年1月10日午前 1:25 GMT+9
『[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は9日、連邦準備理事会(FRB)は利下げを継続すると引き続き予想していると述べた。ただ、経済見通しを巡る不確実性が高まる中、直ちに利下げを実施する必要はないとの考えを示した。』(上記URL先より)
まあ12月FOMC後のSEPでのドットプロットと今回の議事要旨で4人の地区連銀総裁が12月利下げに反対していたし、うち3人は「金融市場がヒャッハーしているとインフレ抑制の阻害要因」とかぶっこんでいた訳でして、総じて地区連銀総裁の方が利下げ慎重というか寝転がり派として作用するでしょうなあ、という感じですな。
でまあちょっとこの辺りでいろんな人の講演を、と言いたいところなのですが年末年始来イマイチ(実は今100くらい)そこらへんの読み込みができておりませんですので、心を入れ替えて追いついていきたいという所存であります。
2025/01/09
お題「12月FOMC議事要旨は要するに「しばらく利下げしないもんねー」ですわな」
えらいこっちゃ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250108/k10014687361000.html
トランプ氏 グリーンランドめぐり“デンマークに高い関税も”
2025年1月8日 19時45分
グリーンランド領有希望⇒冬戦争
パナマ運河領有希望⇒スエズ動乱
・・・・・20世紀に逆戻りですかそうですか、ってかいきなりプーチン越えをしてくるのさすがに耄碌してるんじゃねえのかこのジジイは
〇12月FOMC議事要旨を毎度の速成手抜き読みで鑑賞してみます
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20241218.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
December 17-18, 2024
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors
on Tuesday, December 17, 2024, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday,
December 18, 2024, at 9:00 a.m.1
いつものように『Participants' Views on Current Conditions and the Economic
Outlook』の金融政策運営にかかわる部分(すなわち後ろの方)から読んでまいりますね。こちらの部分は全部で12パラグラフあるのですが、うち10〜12の3パラが金融政策運営にかかわる部分になりますのでそちらから参ります。
・今回の金融政策決定、の中で政策金利据え置き派から「金融環境」への言及があったのは味わいある
まずは10パラ。
『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants
generally noted that inflation had made progress toward the Committee's
objective but remained somewhat elevated. Participants also observed that
recent indicators suggested that economic activity had continued to expand
at a solid pace, labor market conditions had generally eased since earlier
in the year, and the unemployment rate had moved up but remained low.』
今回のFOMCの金融政策決定は、というパラは最初の部分が「全体観としての認識」を示して居まして、これは声明文1パラの表現と基本的に同じことを書いているものなのであまり気にしないでどこまでが声明文の箇所だったっけと流しながら読むのが手抜き読みのコツですw
よってここから気合入れて読むのですが、
『The vast majority of participants viewed it as appropriate to lower the
target range for the federal funds rate by 25 basis points to 4-1/4 to
4-1/2 percent.』
このFOMCでは利下げが行われましたが、
『They assessed that such a further lowering of the target range for the
policy rate would help maintain the strength in the economy and the labor
market while continuing to enable further progress on inflation.』
禅問答みたいな話をしていますが、「利下げによって経済や労働市場の強さを助けながら今後のインフレの動向に対応できる」という話をしています。まあ記事とかでご案内の通り今回はインフレの部分が一番重要になるとは思うのですが、ゆうて政策の話でどういう扱いになっているのかは見ておくということで、いつものパティーンで読んでおります。
『A majority of participants noted that their judgments about this meeting's
appropriate policy action had been finely balanced.』
多数の参加者は今回の決定は大変によくバランスしていると。
『Some participants stated that there was merit in keeping the target range
for the federal funds rate unchanged.』
これはFOMCの時にも反対ありましたし、SEPのドットチャート見ると利下げした会合なのに本年12月末のドットを「今回据え置き」で置いたのが当時投票権のあるハマックさん含め4人いた、ということで既にご案内のことですが、数名の参加者は「政策金利据え置きのメリット」を主張しましてその背景は、
『These participants suggested that the risk of persistently elevated inflation
had increased in recent months, and several of these participants stressed
the need for monetary policy to help foster financial conditions that would
be consistent with inflation returning sustainably to 2 percent.』
前半は「ここ数か月にインフレが高止まりするリスクが高まっているから」ということでこれはまあそういう罠という話なんですが、この後半部分が結構面白くて、「政策金利据え置きを主張する人のうち数名(これ多分4人中3人だと思います、1名ならワンだし2名ならアカップルオブになるはずだから)はこう言いました」ということで言ってるのが、「the
need for monetary policy to help foster financial conditions that would
be consistent with inflation returning sustainably to 2 percent.」とファイナンシャルコンディションを持ち出しているのが結構「おおおおお」と思いました。
これすなわち何を言ってるかといいますと、この3名は「利下げヒャッハー浮かれポンチ相場を金融市場がやっているとインフレ高止まりリスクを高めるからダメ」という話をしている訳でして、この観点で直球を投げて来る意見がここで出てくるとはあんまり思っていなかった(そもそも金融環境を説明のぽいんとで持ってきているFED高官っていなかったと思うので)ので、ここはひとつのメッセージとして考えるお話かなと。
でまあ議事要旨作っている時間帯には長期金利上昇ってのも起きている訳でして、それを踏まえてもこの意見をどどーんと掲載してきている、というのは、まあFEDが露骨にそう言いたい意思があるのかはもちろんアタクシの想像の世界になるのですが、アタクシ思いまするに直近の米国長期金利上昇に関して別に特段の遺憾の意を持っているわけではなく、少なくとも一部にはそもそも昨年末にかけての利下げヒャッハー金融市場に不快感を持っていた向きがあった、というのをわざわざ見せに来ていると解釈しましたので、ここに一つのメッセージを感じました、個人の感想ですけど。
でもってこのパラの最後は資産買入でしてこれはいつものようにあっさり味。
『Participants judged that it was appropriate to continue the process of
reducing the Federal Reserve's securities holdings.』
引き続き同じようにランオフを継続しますよと。
・先行き政策部分は「しばらく利下げはしませんよ〜」と強めに出していますね
第11パラグラフ。
『In discussing the outlook for monetary policy, participants indicated
that the Committee was at or near the point at which it would be appropriate
to slow the pace of policy easing.』
既にSEPのドットプロットで露骨に示されていましたのでここの書き出し自体は特にサプライズではないですけれども、のっけから露骨に金融政策の引き締め縮小のペースを落とすのが適切とぶっこみまして、
『They also indicated that if the data came in about as expected, with
inflation continuing to move down sustainably to 2 percent and the economy
remaining near maximum employment, it would be appropriate to continue
to move gradually toward a more neutral stance of policy over time.』
とはいえ従来の見通し通りに物価が落ち着きつつ完全雇用に近い状態が継続すれば今後も引き締めの縮小をしていって中立に向かっていきますよと。
『Some participants observed that, with the target range for the federal
funds rate having been lowered a total of 100 basis points with this meeting's
decision, the policy rate was now significantly closer to its neutral value
than when the Committee commenced policy easing in September.』
これは前回の議事要旨でも話題になっていた中立金利との関係の話で、「ピークから今回含めて100bpの利下げをしたんですがそろそろ中立水準に近いんじゃないでしょうか」というのが数名から来てて、じゃあもう利下げせんのかよって突っ込みたくなりますがまあそういうのがあります。
『In addition, many participants suggested that a variety of factors underlined
the need for a careful approach to monetary policy decisions over coming
quarters.』
しかも多くの参加者が、「the need for a careful approach to monetary policy
decisions over coming quarters」ということなので、今後「数四半期」のタイムラインで「ケアフルアプローチが必要」という指摘をしたというのが続いておりまして、なんかもう「しばらく利下げする気ないもんねー」というのを思いっきりメッセージとして出していますわな。
『These factors included recent elevated inflation readings, the continuing
strength of spending, reduced downside risks to the outlook for the labor
market and economic activity, and increased upside risks to the outlook
for inflation.』
その要因は最近のインフレの上振れ、消費の強さの継続、労働市場や経済のダウンサイドリスクが減ったこと、今後のインフレのアップサイドリスクの拡大がありますと。
『A substantial majority of participants observed that, at the current
juncture, with its policy stance still meaningfully restrictive, the Committee
was well positioned to take time to assess the evolving outlook for economic
activity and inflation, including the economy's responses to the Committee's
earlier policy actions.』
かなりの多数の参加者(なんのこっちゃ)は現状の政策スタンスは依然として「meaningfully
restrictive」であり、今後の展開次第での対応が可能であると考えている、だそうな。
『Participants noted that monetary policy decisions were not on a preset
course and were conditional on the evolution of the economy, the economic
outlook, and the balance of risks.』
まあ最後の「事前に何か決めているわけではないよ」はいつも通りですが、この先行き説明の部分は「当面利下げはしませんがな」というのを強く出している感じですね。
・先行きリスクのところではこれでもかとばかりに「物価が高止まりする場合のリスク」の話をしていますね
第12パラグラフ。
『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook
for monetary policy, the vast majority of participants agreed that risks
to achieving the Committee's employment and inflation goals remained roughly
in balance.』
先行きリスクは上下おおむねバランス、
『Many participants observed that the current high degree of uncertainty
made it appropriate for the Committee to take a gradual approach as it
moved toward a neutral policy stance.』
不確実性が高いので中立スタンスに持っていくには緩やかなアプローチが適切、
『Participants noted that although inflation was on course to return sustainably
to 2 percent over the next few years and the Committee was determined to
restore and maintain price stability, the likelihood that elevated inflation
could be more persistent had increased.』
と来てからの「物価が高止まりするリスクが以前よりも強くなっている」キタコレ。
『Most participants remarked that, with the stance of monetary policy now
significantly less restrictive, the Committee could take a careful approach
in considering adjustments to the stance of monetary policy.』
しつこく「a careful approach」の話が出てくるのですが、その背景に、「(利下げしたんだから)以前よりも引き締め度合いが下がっている」というのも入っていますね。
『Many participants noted that the Committee could hold the policy rate
at a restrictive level, or ease policy more slowly, if inflation remained
elevated, and several remarked that policy easing could take place more
rapidly if labor market conditions deteriorated, economic activity faltered,
or inflation returned to 2 percent more quickly than anticipated.』
いや何回繰り返してますねんという感じですが、「今後もインフレが高止まりした場合は今の引き締め的な政策金利のレベルを維持するか、引き下げるにしてももっとゆっくりにするか、というアプローチをするのがよろし」と多くの参加者が言ってます、ってのがあって、これでもかとばかりに「利下げを慎重にやりますし何ならやらないかもしれません」というのをアピりにアピっている、というのが中々メッセージ性のお強い物件になっているなと思いました。
・インフレに関する先行き見通しでも「物価の高止まり」の話になりますわな
ここでさすがに今回は手抜きと言えどもインフレの部分を読まないと、と思うので第2パラと第3パラもチェックしておきます。
2パラ。
『In their discussion of inflation developments, participants noted that
although inflation had eased substantially from its peak in 2022, it remained
somewhat elevated.』
まあこの辺はおなじみの話ですが、
『Participants commented that the overall pace of disinflation had slowed
over 2024 and that some recent monthly price readings had been higher than
anticipated. Nevertheless, most remarked that disinflationary progress
continued to be apparent across a broad range of core goods and services
prices.』
2024年の物価鎮静化のペースは予想よりも早かったですね、財とサービスの双方に置いて幅広く、ということで最初の方は「今年はインフレ鎮静化しましたなあ」というお話で、以下ああだこうだと続く。
『Notably, some participants observed that in the core goods and market-based
core services categories, excluding housing, prices were increasing at
rates close to those seen during earlier periods of price stability. Many
participants noted that the slowing in these components of inflation corroborated
reports received from their business contacts that firms were more reluctant
to increase prices, as consumers appeared to be more price sensitive and
were increasingly seeking discounts. With respect to core services prices,
a majority of participants remarked that increases in some components had
exceeded expectations over recent months; many noted, however, that the
increases were concentrated largely in non-market-based price categories
and that price movements in such categories typically have not provided
reliable signals about resource pressures or the future trajectory of inflation.
Most participants also remarked that increases in housing services prices
remained somewhat elevated, though they continued to slow gradually, as
the pace of rent increases for new tenants continued to moderate and would
eventually be reflected further in housing services prices.』
手抜き間溢れる一気引用ですがw、まあこの辺はこういう財とかこういうサービスとかの価格においてどうなったというような話で各コンポーネントの話をしているので、一つ一つ見ていくのは面白いのですが、まあこれ自体で次の政策インプリケーションになるような物価の話かというとそうでもないのでこのパラはこれで流しまして次の「見通し」に行く。
3パラ。
『With regard to the outlook for inflation, participants expected that
inflation would continue to move toward 2 percent, although they noted
that recent higher-than-expected readings on inflation, and the effects
of potential changes in trade and immigration policy, suggested that the
process could take longer than previously anticipated.』
ということで先行き見通しのパラグラフですが、まあ案の定さっきの政策のところで散々言われていた「今後物価が高止まりしてしまうリスク」というのが冒頭にぶち込まれていまして、足許での物価が想定よりも強めに推移している上に、今後の関税と移民政策の推移によっては物価が高止まりしてその期間が長くなる可能性がありますよね、と早速来ておりますし、冒頭のところなのでこれは普通に「委員会の総意」でありますわな。
『Several observed that the disinflationary process may have stalled temporarily
or noted the risk that it could. A couple of participants judged that positive
sentiment in financial markets and momentum in economic activity could
continue to put upward pressure on inflation. All participants judged that
uncertainty about the scope, timing, and economic effects of potential
changes in policies affecting foreign trade and immigration was elevated.』
でもって参加者の意見の中にさっきあったファイナンシャルコンディションの話もありますね(逆順読みしているからこっちが本来先なんですけど)。
『Reflecting that uncertainty, participants took varied approaches in accounting for these effects.』
これらの不確実性に関して・・・・・
『A number of participants indicated that they incorporated placeholder
assumptions to one degree or another into their projections. Other participants
indicated that they did not incorporate such assumptions, and a few participants
did not indicate whether they incorporated such assumptions.』
SEPの方に加味している人もいればいない人もいますよ、という話でこのパラは終っていますが、まあ物価に関しては思いっきり上振れリスクの不確実性を高めているという説明になっていました。
という所で今朝は勘弁。
2025/01/08
お題「3M新発短国の落札レート前回(12/20)比10bp上昇とな/日銀バランスシート云々のレポートから(その3)」
ありゃま
https://jp.reuters.com/markets/bonds/us/
米国債利回り
米国債5年 利回り
US5YT=XX +4.460 +0.039
米国債10年 利回り
US10YT=XX +4.679 +0.063
米国債30年 利回り
US30YT=XX +4.913 +0.075
〇年始一発目の3M短国がかなり真っ当なレートになってきた件について
10年国債の入札とかございましたがやはりこっちですわな。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250107.htm
国庫短期証券(第1278回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1278回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1278回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和7年1月8日
4.償還期限 令和7年4月7日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆651億円
(2)募入決定額 3兆4,336億9,000万円
(3)募入最低価格 99円94銭0厘0毛
(募入最高利回り) (0.2462%)
(4)募入最低価格における案分比率 85.2252%
(5)募入平均価格 99円94銭6厘9毛
(募入平均利回り) (0.2178%)』
・・・・・・!!!
ということで新発3Mちゃんですが、0.2178%/0.2462%とかいうよくよく考えたらこれで足元GC並みなのでタームプレミアムとか利上げ観測とかどこですねんというレートではあるのですが、ご案内の通り特にこの3か月間は飛んでもない利回りで推移していました訳でして、年末越えたら急にこれってなんのこっちゃねんという感じではあるのですが、なんと20bp台に乗るわ足切りは24.6bpになるわということで見たこともないレートに、って本来25に利上げした時点でこうなってないとおかしいんですけれども、なんかもう謎の好需給が延々と続いていたのでまあビックリの金利上昇です(水準そのものはここまで上がっても「でもって利上げ観測は何処??」レベルですけどwwwwwwww)。
今回から一応1回3000億円の増発になっているのですが、その前に散々減らされているのでこれでもまあ少ないわなという感じの筈なんですが、なんか急に需給良くなっているのって、可能性としては(1)長期債買わないで短国に資金を逃がして金利上昇を待っていた人たちの中で誰か短国外して長期債にでも買いをした(2)黒田末期にぶっこんだ2年共担の期落ちが来るので担保繰りのニーズが減った(3)そもそも1月償還の3Mってもともとがクソみたいな低利回りで入札されているので持ってる人が限定的でその人たちのロールがないと新発プライマリーで行く人が少ない、とか何とか妄想はできるんですけれども、どういう風の吹き回しですかこれはという感じではありまする。
まあもともとが「過大需要で価格が無駄に釣りあがっていた債券」なので過大需要のどこかに変化が無いと中々こうはなってくれないのですが、短国ちゃんに関しては今日は無いですけど明日が6Mで金曜にまた3Mがありますので、こちらの入札動向も注目されるところではなかろうかという感じではありますな。
なお昨日の引けですけれども、売参ちゃんによりますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(1/7引値)
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.230
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.23
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.245←昨日の新発
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.245
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.245←金曜の3M新発WI
(1/6引値)
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.220
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.220
国庫短期証券1278 2025/04/07 平均値単利 0.205
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.190
国庫短期証券1280 2025/04/14 平均値単利 0.190
ということで、入札結果を受けて何か順イールドっぽい利回り形成になっていまして、年末越えのプレミアム(まあ冷静に考えてみると今年の年度末の末初は平日なので1日ですから1週間のロングウィークエンドの年末越えとは全然話が違うんですよね)とかそういうものもなく、なんか債券の利回りみたいな値付けになっておりまして甚だめでたい。
まあそうは言いましても、絶対水準的にまともな利回りになってきますと(とか言ってるが1月利上げを食らうとあっという間に話が別になってしまいますので念のため申し添えます)やっと実需の方も手が出てくるんじゃないかとか思ったり思わなかったりしますが、CPとかそっちの方は割とがっつり利上げを織り込みに行っている筈なので、そこから見ると足元GC並みに上がったのは立派立派と思いますけれども、利上げをビタイチ織り込んでいないというのは、円債市場ちゃんの足元での雰囲気とは大差なのでまあそこをどう見るかって話になってきますな。
何せアレです。たぶん円債市場的にはここまで来ると1月利上げか3月利上げか、というよりもその後今年ちゃんと利上げのおかわりがあるのかという話が重要で、なんだか知らんけど足元では年後半に向けてもう一発利上げ来て足元75bp来るんじゃねえのみたいな感じになりますと、まあ1月3月ってどうでもよくなる話なんでしょうけれども、短期の場合は2週間後に利上げになるのと10週間後に利上げになるのでは雲泥の差になるので、その辺の読み筋自体が短国市場のレートからだとまだ読みにくい感が大有りでして、もっと短国のレート形成が「市場の予想する政策金利の足し算」になってくれると、市場自体もおもしろくなるとおもうんですが、まあ年初一発目のこの結果はそういう「正常化」への期待をちょっと持たせてくれる結果でしたので、何か今年生きる気力が涌いてきましたwww
しかしまあ何ですな、今回の短国ですけれども、金利水準がそんな訳で大幅上昇(なんせ12/20の3M(償還3/31)の結果は0.1255%/0.1453%ですから10bpも金利上昇)したのにも関わらず応札が8兆円カツカツの水準まで下がっていまして、単純に正月一発目でしかも営業日の関係上皆さんクッソタイトで短国じっくりアウトライトしている場合じゃなかっただけなのかも知れませんけれども、応札がずーっと少ないまま、というのはナンデジャロと思いながら見ておりました。
短期ってもともと相対の世界で個別性が強いので中々「これ」みたいな公示レートが無くてアレではございますが、一応参考になりそうな東京レポ―レート見ますと、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/12/30 0.244 0.245 0.223 0.223 0.224 0.235 0.325 0.397 0.494
2025/1/6 0.246 0.245 0.226 0.229 0.232 0.241 0.326 0.397 0.494
2025/1/7 0.243 0.250 0.231 0.233 0.234 0.246 0.325 0.397 0.494
昨日もこのレートを貼っておりましたのでだんだら割愛して引用しましたが、特に足元の短国レート上昇と関係なく推移している所を見ますと、別に短期(のオープン系)市場の中の人たちが突然金利観を変えた、という訳ではなさそうに見えますので、単純に今回の動きは需給関係によるもので、単純にタイミングの問題で買いが来なかっただけなのか、それともこれまでクソ過大需要だった需要要因に何らかの変化が起きたのかは、明日以降の入札推移を見ないと判断ムツカシイですな。知らんけど。
〇昨日で完結と思ってましたがご指摘ご議論などを受けて日銀財務のペーパーネタのおまけをば
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j15.pdf
日本銀行の財務と先行きの試算
企画局企画調整課
2024-J-15
2024 年 12 月
・「シミュレーション」にストレスシナリオが無いわ作成過程がブラックボックスだわwwwww
最後に『先行きの収益・自己資本に関する試算』ってのがあるのですが、日銀の場合はこういうときに破局シナリオの話は死んでもしないというのが仕様になっているので(金融機関にはストレステストだの何だのさせるのに)どうせ結論先にありきじゃろ、ということで昨日はまあ時間もなかったし終わりで良いかなと思ったのですが、突っ込み不足にもほどがあるというツッコミも頂いたりしましたので試算に対する愚考をしてみましょうの巻、というのが今朝のネタです(^^)。
『以上のようなメカニズムを踏まえ、以下では、先行き 10 年程度の期間について、日本銀行の収益や自己資本に関する試算4を行う。試算の結果は、既に説明したように、将来の金利パスやバランスシートの規模などの前提をどう置くかによって、大きく異なることになる。』
でもって次が笑いどころなんですが、
『また、仮定であるとしても、日本銀行の今後の金融政策運営を示唆するものと受け止められる可能性もある。』
wwwwwwww
『このため、今回、日本銀行では、市場参加者へのヒアリング5を実施し、試算を行う仮定として妥当と考えられる前提について、以下を設定することとした6。』
でもってこのヒアリングとやらですが脚注を見ますと、
『5 主要な銀行、証券会社などに対してヒアリングを実施し、その結果をもとにした。』
どう見てもブラックボックスです本当にありがとうございましたというか、普通シナリオって標準とストレスとって形で置くもんでしょと思いますが、以下の部分で分かりますように、きわめて生温いシナリオしか設定されていないというのが味わいがあるのですが、これはまあ別の角度から大規模量的金融緩和の副作用を考えるヒントになる、と読み取るのがよろしいんじゃないか、というのはまあネタを割ってしまえば読者様の識者様からのご指摘によるものなんですけど(滝汗)、成程と思ったのでそのあたりを軸に以下紙芝居を鑑賞しましょうず。
・ヌルヌルのヌルとしか言いようが無い生温い前提ですねえ
『(前提)』ってのを見ますとですね、
『@ 短期金利・長期金利の推移
短期金利については OIS 市場7におけるインプライドフォワードレート、長期金利については国債のイールドカーブから算出されるインプライドフォワードレート(市場金利が織り込む金利見通し)のとおり推移すると仮定する。』
まずこの時点で「物価目標達成シナリオになっていない」という恐ろしい前提になっているのがお分かりになろうかと存じます。どの時点でこの計算しているか知らんけど、10年金利が1%行くか行かないか、というような状況の市場金利を是として作成しているんですから。
でまあそれだけだとさすがに素人衆からも「おかしくねえか」とツッコミが来るので、
『また、市場金利が織り込む金利見通しに加え、(a)短期金利は、今後数年程度をかけて
1.0%〜2.0%となり、(b)その際の長短スプレッドは、+0.25%P〜+0.75%P
となると仮定した場合の試算値のレンジも合わせて示すこととする8。』
というストレスでも何でもなくて、単に物価目標をヌルヌルと達成していく、というだけのシナリオですが、それをぶっこんでいるわけですね。
でですね、この前提がクッソヌルイ、というツッコミをするのは簡単なのですが、それだけではなく考察(ただの愚考)をするというのがまあ大事なんですがその前に前提その2も見てみましょう。
『A バランスシートの規模やその推移
バランスシートについては、試算の便宜上、本年 7 月に決定された長期国債買入れの減額計画のとおり
2026 年 1-3 月にかけて国債の月間買入れ額を月 3 兆円程度まで減額し、同年
4 月以降は当該買入れ額から不変と仮定する(図表 9、10 参照)9。』
何という事でしょう、金融政策が正常化に向かうというのになぜか長期国債買入は月額3兆円とかいう大金融緩和状態を継続するとか仰せです!!!!
『また、今後の取扱い方針を公表している資産はその方針に沿って変動し、その他の資産は不変と仮定する。』
・・・・・ということでですね、まあ結論は申すまでもなく「まあ大丈夫ですわ」になるんですけれども、そもそもの前提が相当に強引なのが分かりますわな、
・この前提しか置けないことが意味するのは「QQE+YCC+マイナス金利の大いなる副作用」なんだよな〜
上記の「前提」ですが、これって総じて言ってしまえば「インフレは上振れしないし、為替市場での自国通貨の大きな減価もおきないし、その間に金融引き締めのようなことは一切不要で時間をかけてゆっくりと世の中が推移していく」というのが前提になっている訳ですよ。
然るに、昨日も申し上げましたが、物価が上振れる(というか現に上振れているんだが)とか、為替市場での自国通貨の減価が進む(現に進んでいるんだが)とかいうようなことが本当に起きないのか、というと全然そんなことは無いし、寧ろ日本の最大の埋設地雷ってこの点ですよね、というお話な訳ですよ。
為替市場で自国通貨の減価が進む中でヌルヌル金融緩和モードの長期国債買入なんぞ継続してられるのか、欧米みたいな物価上昇になった時には金融引き締めで一気に短期政策金利の引き上げをする必要が起きないのか、とかそういう事態に関するシミュレーションが出せるようなバランスシートの状況ではない、というのがこのヌルヌル試算が裏側から示しているところ、と考えますと話が分かりやすいかと存じますが(←この辺り受け売りです汗)、今の日銀のバランスシートってのは「放っておいてもインフレや円安が加速しないような状況に恵まれないと上手くエクジットできない」という状況になっている、ってのがこのシミュレーションで裏側からですけど如実に示されている物、ということで理解すると中々味わいがある上に背筋も凍る、という事かと存じます、というのはあくまでも個人の感想ですが、まあそんな次第でございます。
・ついでにおまけでヤマケンさん貼っておきますね
https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2025/01/04/post2742/
緩和効果は過大評価の可能性
〜日銀「多角的レビュー」を読む(1/2)
2025.01.04
https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2025/01/06/post2759/
金融政策はなぜビハインド・ザ・カーブが続くのか
〜日銀「多角的レビュー」を読む(2/2、完)
2025.01.06
2025/01/07
お題「なんか初手から相場わちゃわちゃ動いたのでメモ/日銀バランスシートがどうしたこうしたの続き」
ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-06/SPOCJRDWLU6800
FRBのバー氏、銀行監督担当副議長を退任へ−任期全う方針一転
Katanga Johnson
2025年1月7日 1:10 JST 更新日時 2025年1月7日 4:45 JST
→今年2月末で退任、FRB理事としての職務は継続へ
→銀行資本規制、大幅強化案で中心的役割−業界が猛反発しロビー攻勢
『米連邦準備制度理事会(FRB)のマイケル・バー氏は、銀行監督担当副議長の職を退く。FRBが6日に発表した。後任が早期に決まる場合を除いて、同氏は2月28日付でこの職を降りる予定。FRB理事としての職務は続ける意向だという。』(上記URL先より)
〇年始早々しらっと金利上昇したので記念メモとか植田さんの発言メモとか
・年初いきなり金利上昇更新とかMPMの時の金利低下は何だったのかと小一時間w
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/TJCKRPLQJFLU3DQRV6543RAJ44-2025-01-06/
国債先物は反落、米金利高や入札前調整で 長期金利13年半ぶり高水準
By ロイター編集
2025年1月6日午後 3:43 GMT+9
『[東京 6日 ロイター] - 6日の東京円債市場で、国債先物中心限月3月限は、前営業日比31銭安の141円59銭と大幅反落して取引を終えた。アジア時間の取引で米金利が上昇したことや入札前の調整の動きが売り材料となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.125%と、2011年7月以来13年半ぶりの高水準をつけた。』(上記URL先より、以下同様)
でまあ今日の10年は新発債で出てくるから償還が伸びるので償還マジックで更に見た目の金利は上昇するとな。
『きょうの国債先物は、米10年国債利回りがアジア時間序盤の取引で一時4.63%台へと急ピッチで上昇したことに加えて、10年利付国債入札を明日に控えた調整の動きやヘッジ売りが相場を圧迫し、1日を通じて売り優勢の展開が続いた。』
結局米国に引っ張られているだけ(年末からこの方ずっとそうですけど)ではあるのですが、米国が今年は利下げモードってのが無くなる(大幅に軽減される)というのとインフレ的な政策が来るってのとですとまあ政策金利が0.25%のままでいるのがムツカシイというのはそりゃまあありますよねということですが。
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比2.5bp上昇の0.625%、5年債は同4.5bp上昇の0.780%、20年債は同3.0bp上昇の1.915%、30年債は同2.5bp上昇の2.305%、40年債は同4.0bp上昇の2.660%。』
ということでですな、昨日は中期弱いわって感じでして、ってまあ5年がそもそも2回利上げしたら逆ザヤになる金利で良いのか問題というのを考えたらそらそうよという気もするのですけれども、需給とかも含めて何となく強かった5年もやっと金利上昇していますなというお話なんですけど、これ福井総裁時代の量的緩和解除ってあったんですけど、その前にまあ普通に先行き金利上がりまっせの示唆が出ていた時代って最初は超長期が崩れた(そらまあ超長期がその前にどフラットしたんだから反動が来るのは当然)のですけれども、一旦戻った後の売りでは中期がバシバシと売られたってのがございまして、いやまあ普通の利上げ局面だと中期が直撃を食らうんですけれども、ここまでって後ろは売られども中期って妙に粘り強い(まあ理由は日銀が何のかんの言って利上げをすぐに渋りだすからなんでしょうけど)というのがあったので、これはこれで自然ちゃあ自然なのかもしれませんなあとは思いましたが40年債ェ・・・・・・
まあ年初初日なだけに良くわからんですけどね。
・年末要因剥落で短国の気配が甘くなっておりますな
いつものやつ
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(12/26引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.110
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.110
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.139
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.139
(12/27引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.110
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.110
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.110
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.140
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.180
(12/30引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.180
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.180
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.180
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.204
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.180
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.180
(1/6引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.230
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.230
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.230
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.230
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.185
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.185
ということでダラダラと年末年始の流れを貼ってみましたが、年末越え要因が剥落したところでまあ見事に特に短いところの金利が上昇していまして、この間の東京レポレートちゃんって
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1Y
2024/12/26 0.241 0.238 0.201 0.206 0.214 0.223 0.323 0.396 0.492
2024/12/27 0.241 0.239 0.223 0.218 0.218 0.230 0.324 0.396 0.492
2024/12/30 0.244 0.245 0.223 0.223 0.224 0.235 0.325 0.397 0.494
2025/1/6 0.246 0.245 0.226 0.229 0.232 0.241 0.326 0.397 0.494
ということで特に気配が大きく動いていないということで。これはもう単純に短国需給の問題というお話(実際には年末年始とか取引少ないからどのくらいの動きを反映しているのかイマイチよくわからん面はあるけど)でして、1月償還って10月に入札の行われた3Mになるんですが、この時ってとにかく金利がアホみたいに低かった時期で、海外投資家などに嵌ってしまって出てこなくて入札は強いわ流通玉は無いわ、ということでずーっとクッソ強い状態になっていたのですが、年末越要因剥落したので気配を一気に甘くしてきましたな。まあ現実問題としてこの辺のゾーンに流通玉があるのかはよくわからんのでこのレートで買えるのかは知らんけど、売りにこられても買いが無いってのはそうでしょうなあ(ワンチャン1月利上げにしたって短いところは決定会合前の資金一時待避所にしようにも間もなく償還になってしまうので待避所にならない)というお話なのかなとは思いました。知らんけど。
・植田総裁がなんか仰せだったようですが
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB179100X11C24A2000000/
植田日銀総裁「今年も経済・物価改善続けば利上げ」
金融政策
2025年1月6日 12:31
『日銀の植田和男総裁は6日、全国銀行協会の賀詞交歓会で挨拶し、「2025年も経済物価情勢の改善が続いていくのであれば政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」と語った。具体的な利上げの時期は「今後の経済・物価や金融情勢次第」としたうえで「様々なリスク要因を注視する必要がある」と説明した。』(上記URL先より、以下同様)
ということでこちらはヘッドラインにもなっていましたのでご案内かとは思いますが。
『20日に米大統領に就任するトランプ氏の経済政策については「不確実性は大きい状況だ」と話し、慎重に見極めていく姿勢を見せた。』
どう見ても1月利上げ否定です本当にありがとうございましたorzorz
『日銀は23日、24日に金融政策決定会合を控えている。米国の経済情勢や国内の春季労使交渉(春闘)の動きなどを踏まえて「データやその他の情報を精緻に分析し、経済・物価見通しを作成する」と述べた。そのうえで「金融政策決定会合での政策判断の基本材料にする」と言及した。』
でまあ記事の方は終り(珍しく全部読める物件)なのですが、基本材料にする(キリッ)とかイキって見ましても、結局のところ「不確実性ガー」で逃げてしまいますので、ここから市場に追い込まれる以外の可能性では1月は無いんでしょうけれども、まあこれ3月だと皆さん思っているから金利が上がっている訳でして、ハトハトチキン音頭が1月会合で炸裂されると話がややこしいことになるので勘弁して欲しいもんです。
まあ何ですな、観客席で見ている方としましては「利上げを先送りする理由がない状況なのに何で先送りするの」と思ってしまうので毎度毎度利上げ観測が出ては事前観測報道が出てわ謎の関係者コメントが出てわ、というので右往左往しますけれども、アタクシつらつら思いまするに、植田日銀って発想が観客席のワシらとは根本的に逆でして、「利上げをせざるを得ない理由があれば利上げをするけれども、そうじゃないなら利上げを先送りするのが得策」というのを行動の基本原理にしている、と思えばこの人たちの言ってる話も理解はできる(納得はしないけど)というもんじゃないのかねとは思いまする。
利上げをせざるを得ない理由は様々あるはずなんですけれども、まあやっぱり今のところは為替円安で物価、ではなくてベンチの方から「おどりゃええかげんにせんかい」と監督やコーチが飛んでやってくる、というイベントが発生とかそっちになってしまうのが悲しいですけれども、まあ円安は最早誰でも思いつく話ですので、今年は「それ以外」に「利上げをせざるを得なくなり理由」が出てくるのか、というのがポイントの一つになるんじゃないかと思います。
だいたいからして「2025年も経済物価情勢の改善が続いていくのであれば政策金利を引き上げ」っていってるんですけれども、経済は知らんが物価情勢のどこがどう「これ以上改善」しようがあるのかという話でして、皆さんも年末に正月食材買いに行って店頭で野菜の価格見て死にそうになったと思いますが、まあ生鮮の季節物特別価格モードはさておいても、諸色値上がりの折、物価情勢の改善とか何寝言を言ってるんだかよくわからんのですが、ギロッポン夜の帝王様のような高貴なお方はスーパーで買い物かご持って値札見て卒倒するような生活はされておられないのでこういうのまるで分からんのだろうなあとは思うし、経済だってこのクソ物価のせいで消費頭打ちじゃろというのは有るわけでして、物価高に関して日銀ってあまりにも無頓着すぎる情報発信をしていて、まあなんだかんだ言って今まではずっとスルーされてきましたけれども、そろそろこっちの方(ある意味本筋)から「利上げせざるを得ない情勢」がやってくるのかもしれないなあ、とは思ったり思わなかったり(個人の妄想です)。
まあどうなるのやらという感じですが、「追い詰められないのであれば今の政策を継続していても別に問題ないじゃろ」というスタンスはここもとの会見やら講演やら主な意見やらに結構色濃く出ているようにアタクシには読めてしまう一方で、観客席の方は「利上げを先送りする理由が無くなったら当然利上げするじゃろ」と思っている節があるので、まあアタクシが植田日銀の基本スタンスを読み間違えているのであればそれはそれで結果としては良い事になるのですが、そうじゃないとなると面倒な気もしますな、うんうん。
〇日銀バランスシートのペーパーから少々の続き
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j15.pdf
日本銀行の財務と先行きの試算
企画局企画調整課
2024-J-15
2024 年 12 月
・政策金利引き上げに伴いポートフォリオに逆ザヤが発生するとは書かない辺りが大本営クオリティ
バランスシートによる収益とか損失とかの説明部分は今回は面倒なのでとばして考察部分をツッコむ感じで参りますが、『大規模金融緩和の実施・終了に伴う収益の振幅メカニズム
』ってところの小見出しが、
(中央銀行のバランスシート・収益の特徴等)→まあこれは一般的な説明
(バランスシート拡大局面における収益増加)→これは緩和時の話なのでまあそうですね、って話
と来るのですが、その次が
(バランスシート縮小局面における収益減少)
となっていますな。
『日本銀行では、本年 3 月に金融政策の枠組みの見直しを行い、7 月には政策金利の引き上げと長期国債買入れの減額計画を決定した。このように、バランスシートを縮小し、政策金利を引き上げる局面では、付利金利の引き上げによる支払利息の増加により、収益が下押しされることとなる(図表
4)。』
>収益が下押しされることとなる
>収益が下押しされることとなる
>収益が下押しされることとなる
逆ザヤと書かないのが泣ける。
『こうした特徴を踏まえ、日本銀行では、大規模な金融緩和の実施と終了に伴う収益の振幅を平準化し、財務の健全性を確保する観点から、2015
年に債券取引損失引当金を拡充2するなど、自己資本の充実に努めてきている(図表
5、6)。』
よくよく考えてみたら「別に赤字になるから問題が起こるのではない」という主張をするなら自己資本の充実につとめなくても良い訳で、この辺の歯切れの悪さが、「実は財務の健全性は大事」ということを意味していると思いますよねw
『なお、市場金利が上昇すれば保有国債の時価は下落する。しかし、日本銀行は、保有国債について、一部の例外を除いて売却を行っていないという保有実態も踏まえ、米国連邦準備制度(FRB)や欧州中央銀行(ECB)と同様に、償却原価法を採用している。』
ということで時価でやられる件について言い訳をしているのですが、保有国債の時価下落ってのは要するに市場金利対比クッソ低い金利の国債をもってフィックスしている訳で、その国債が発行銀行券などの無コスト負債と見合っている分には問題は無くても、付利している日銀当座預金見合いでもっている場合は期間損益が赤になる形で出てきますよね、という件に関しては、
『このため、国債の時価下落によって評価損が生じたとしても、満期到来を待たずに保有国債を売却することがなければ、期間損益に直接影響を与えることはない。売却をしない限り実現することのない評価損益と期間損益は異なるものである(図表
7)。』
という話をして期間損益の赤字の話に関して文章の方では書いていない、というのがどうせそんなこと書くとメディアが大々的にネタにするからやべえので寸止めにしている、という大本営しぐさを感じさせて大変に詫び錆び(意図的誤字ww)のある世界でございます。
・そもそも「償還再投資を続けられる」という前提が「平時」の前提なんですよね〜
でもってこの次の小見出しが、
(その後の回復)
ってなっていますが、
『前述のとおり、バランスシートの縮小局面に入ってしばらくの間は、付利金利の引き上げによる支払利息の増加により、収益が下押しされることとなる。』
なお、この後に「一時的な赤字」というのがあるけどその前にこのような説明がありまして、
『もっとも、その後は、当座預金(超過準備)が減少するにつれて支払利息は減少する。さらに、保有国債が利回りの高い国債に順次入れ替わっていくため、受取利息が増加することが見込まれる。』
ということなのですが、そもそも論として何で償還再投資を続ける前提になっているのかという話でして、バランスシートの縮小を急速に行わなければいけないような状況に陥った場合に償還再投資どころか保有国債の売却だってあり得る話だし、だいたいからして償還再投資の際に何で長期債を買う必要があるのかという話だし(中央銀行の財務改善のためにより利回りの高い長期債を購入するのは本末転倒にもほどがある話)、まずこの前提部分がペテンなのですが、これはこういうペテンを言っておかないと出口に置いて真っ当な政策金利水準になった際、あるいはもっとインフレが問題になるような状況になった際の日銀財務のシミュレーションが飛んでもないものになってしまうから、こういうペテンを言わざるを得ない、というのがまあ実際のところではなかろうか、と弊駄文では愚考するわけでございますwwwwwwww
『こうした過程で、一時的に赤字が発生する可能性はあるが、その場合でも、通常、いずれは収益が回復していく。』
ということで話を強引にまとめて、あとはケースシナリオの話になっていますが、「通貨防衛のために大幅引き締めの実施」とか「インフレ目標達成後にさらにインフレになって金融引き締めが必要になった時」とかそういう話は一切しない(今のバランスシートでそれシミュレーションしたらただの地獄の一丁目になるからできない)という図になっております。
と考えますと、マジのマジで物価目標達成する気があるんだったら、その後って経済物価情勢によっては「金融引き締め」が必要になる局面だって出てくるわけで、その際の引き締め政策の発動の邪魔になるクソデカバランスシートはとっととどうにかしろ、という結論に本来はなるはずなんですよね。いやマジで・・・・
2025/01/06
お題「謹賀新年なので新春雑談と日銀財務に関するペーパーから(その1)」
ということで2025年がやってまいりましたが、当方暇なら更新するとか大口叩いておりましたけれども、見事な寝正月になってしまいまして新年早々反省しながら仕事始めを迎えておるという甚だ遺憾な昭和100年の始まりなのでしたorzorz
〇年初なので何となく金融政策妄想雑談から
・結局ドル円は飛ぶことなく年始休みを抜けやがりましたか
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 157.17 JPY
変化 -0.11
変化% -0.07%
2025年1月6日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
うーん火力が足りん火力がという感じでして、とにかく今月は再来週の末に金融政策決定会合がありますので、日銀のケツに火が点くためには年初早々ドル円160円を伺う勢い、とかになってほしかったのですが、これですと日銀のケツに火が点かないので1月利上げはどこに、というお話になってしまいまして極めて遺憾にもほどがある展開ではあります。
まあ年末にネタにしました12月会合主な意見、「慎重に考えるのが常識的」という割と飛んでもない意見を2発目に持ってきているという時点で1月利上げ観測を叩き潰しに行っていますので、とにかく手っ取り早く日銀のケツに火を点ける方法が円安しかない(というか他に考えられない)ので、円安行かないとうだうだして4月くらいまで引っ張りに掛かる可能性も大有り(というか4月パスすると今度は選挙の時間帯になってしまう)とかいう展開になるんですけれども、たぶん日銀は円安に飛ばない限りシランガナのスタンスを続けるんじゃないかな、というのが今年の初手での予想(妄想)になります。
・ところで12月主な意見の「2番目」は誰なんでしょという新春雑談
先週月曜日(要するに納会の日)に12月主な意見の話をしましたが、とにかくあの主な意見は「金融政策運営」の2番目に置かれた意見がアタクシ的には衝撃的だったんですよね。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241219.pdf
『・利上げ判断の焦点は、国内面では、賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外では米国の経済と政策運営、そのもとでの金融資本市場の動向である。これらについては、賃金という面では春季労使交渉に向けた動きを、米国という面では新政権発足を確認していくのが常識的である。』
この「常識的である」という締め文言に関して、先週アタクシはこの部分に関して(この意見自体がアホじゃろとかそういう悪態も言いましたが)こんな事を申し上げた訳ですよ。
(先週月曜に書いた駄文から)これを2発目に持ってくる時点で今回の主な意見の構成って「1月利上げするわけねえだろこの馬鹿どもが」と市場に向かって宣告しているのと同じですのであって、確かに後の方には利上げを検討みたい話が田村さん以外にもあるにはあったのですが、それは単なる「私言いましたよね」スキーム(ここまで引用)
てなことを書きましたが、これ書きましたところその後「そもそもこの「1月利上げとかいう輩は非常識」と言わんばかりの強硬見解って誰ですねん」というのでちょっと盛り上がったりしたんですね。でもってこれが誰でしょうと考察するのもこれまた今回の主な意見の読みの中で面白ポイントになるかと思いましたので、遠い記憶(おいおい)を辿って書いておきますと、こんな読み筋になります。
基本的には主な意見の構成って1発目は声明文に出てきそうな表現、すなわち大本営というか総裁辺りが自我を出さないで書いた文章になるんですが、2発目あたりもそんな感じになることが多いんですよね。従って「主な意見」の各項目って最初の1つは確実にそうですけれども、まあ2つ目とか3つ目くらいまで大本営、すなわち正副総裁の意見が並ぶことが多い訳ですよ。
と考えますとさっきの「1月利上げとか言ってる輩は非常識」と田村委員にマッコウクジラで喧嘩を吹っ掛けているのは内田さんか、という話になるのですが、内田さんが書いたにしては文章の格調というか品性というか、なんかこう品がないんですよね、特に最後の「常識的である」とかいう決めつけ文言。
でまあこの手の決めつけとかレッテル貼りとかが得意で、ついでに格調が低くて品位がアレ、ということになりますと、ほらほら皆さん想像できるじゃありませんか、「(カタカナ3文字伏字)派」とかいう一派がいますことを。
とまあそういう訳で、納会とかいってもただの月末四半期末だし何なら末初オーバーナイトが1週間とかいう状況の中、ああだこうだと推論をしておった訳ですが、これはまあ一番当てはまるの野口審議委員じゃねえのというのが推計大会の結果になった次第。まあ当たるも八卦当たらぬも八卦ですが、如何にも野口先生が言い出しそうな感じの調子だなと思う訳ですな。
・・・・・・となりますと、それはそれでインパクトというのがあって、普通「主な意見」の最初の方って前述のように大本営ちっくな意見を並べて、その後に左右というかタカハトというか強弱というかの意見を並べていく、という感じの構成に作っていることが多い(経済情勢の部分だとテーマごとに意見が羅列されるので強弱入り乱れますが)訳でして、その中で野口委員というリフレ派残党の意見をいきなりの2番目に持ってくる、というのも編集としては結構思い切った感じになっていまして、これ書いたのが野口さんだとしますと(というか野口さんだと思ってますがアタクシ)、「政策バイアスの強い(政策調整に反対というバイアスの強い)人の意見を敢えてぶちこんだ」ということになりますので、月曜日に書いた「「1月利上げするわけねえだろこの馬鹿どもが」と市場に向かって宣告しているのと同じ、というアタクシの愚見を裏付けするんじゃないのかね、とまあ思った次第なので新春雑談がてらこちらに記載させていただいた次第でありまする。
やはり円安しか(日銀に)勝たんということですか(正月早々ため息)。
〇世の中(金融市場じゃないところ)的にやや話題になっていたので日銀財務云々の件
年末前にこんなのが出ておりましたが
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j15.htm
日本銀行の財務と先行きの試算
2024年12月26日
企画局企画調整課
・こちらのペーパーは「部局で出しているレポート」になります
アタクシは性格が悪いのでまずこれを見たときに「書いているスタッフ名が無くて「企画局企画調整課」名義で出ている」というのに注目するわけですね。
で、注目した後何を見ますかと言いますと、上記HTMLのご紹介ページの最後の文言を見るのですよ。
『日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行企画局企画調整課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。』
でまあこの最後の部分を見て「いつもと違う」と秒で気が付く人は野良日銀ヲチャーのお仲間入りということでめでたい訳ですな。じゃあちなみに普段はどうかと言いますと例えば、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j14.htm
大規模言語モデルを用いた新たなテキスト分析の取組み
― 最近の賃金・物価動向に関する分析への応用 ―
2024年12月25日
調査統計局 井澤公彦*、亀井郁夫、柴田菜緒、高橋悠輔、米山俊一
*現・大阪支店
の最後は、
『日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行調査統計局経済調査課マクロモデルグループ(代表
03-3279-1111)までお知らせ下さい。』(この部分だけ直上URL先の12/25日銀レビュー紹介文より引用)
ということで、いつもの「これは個人の見解です」がなくて、つまりは企画局企画調整課が課として出しました、って建付けなので、決定会合の議決は経ていないにしましても、日銀としての見解を示したものである、というのはまあそういう事やぞというお話ですので、その分だけ通常のペーパーよりも重いものになっている、ということに成ろうかと存じます。
・・・・・というのを踏まえて少々見物するのですが、さっきのHTMLのところの紹介文を引用しますと、
『要旨
日本銀行では、中央銀行の財務と金融政策運営に関する考え方について、人々の幅広い理解を得ていくことが重要との考えから、金融政策運営が中央銀行の財務に影響するメカニズムについて、様々な情報発信を行ってきた。』
黒ちゃん時代は「それは別に問題ないですが」で全部切り捨てていたような気がしますがw
『本稿では、こうしたメカニズムについて改めて整理したうえで、この間の金融政策の枠組みの見直しや政策金利の引き上げ等の金融政策運営面の変更を踏まえ、市場参加者へのヒアリングに基づき、一定の仮定のもと、先行きの日本銀行の収益・自己資本に関する試算を行った。』
市場参加者に何のヒアリングするんだ・・・・・
『その結果、市場金利が織り込む金利見通しを前提とした場合には、財務面での負の影響は限定的となる一方、より厳しい仮定を置いた場合には、一定の財務リスクがあることが確認された。日本銀行としては、今回の試算結果も踏まえつつ、引き続き財務の健全性確保に努めていく方針である。』
という結論ですな。
・このネタの元は「多角的レビュー第1回WS」ですね
一昨年の話になるのか・・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/bpr231206a.htm
金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第1回「非伝統的金融政策の効果と副作用」
2023年12月6日
日本銀行
この中の『第3セッション:日本銀行のバランスシート』で公表された資料
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr231206c.pdf
中央銀行の財務と金融政策運営
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ(第1回)
―― 第3セッション 日本銀行のバランスシート ――
2023年12月4日
日本銀行 企画局
ここで示された見解は、必ずしも日本銀行の公式見解を示すものではありません。
の焼き直しというかアップデート版なのですが、この時の資料は引用した紙芝居の表紙に「ここで示された見解は、必ずしも日本銀行の公式見解を示すものではありません。」ってヘッジ文言があったのですが、今回は紹介文、本編共にその文言が無いということになっているので、その点では今回の方が強化バージョンであることが示されているかと思います。
とは言いましても元ネタが多角的レビュー第1回WSなので、その時と同じ突っ込みになるんですけれども・・・・・
・図表のインチキ成分が少し緩和されていますなwwwwwwww
以下本編の方から引用していきますが、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j15.pdf
日本銀行の財務と先行きの試算
企画局企画調整課
2024-J-15
2024 年 12 月
『大規模金融緩和の実施・終了に伴う収益の振幅メカニズム』って小見出しの辺りから。
【図表 1】日本銀行のバランスシート。ってのがあるんですけれども、これを見ますと、淡々とバランスシートの規模が書いてあるんですよね。でまあこの図表何ですけど、WSの資料を見ますと、スライド7枚目『(2)中央銀行のバランスシートと収益の基本的構造』に(図表3)中央銀行のバランスシートと収益構造、ってのがありまして、これと比較しますと味わいがあります。
と申しますのは、WSの図表の方では資産サイド(=長期国債と短期オペ)に「利息収入あり」、負債サイド(=銀行券と日銀当座預金と法定準備預金)「利息支払なし」というのがあって、それ自体は付利が無い時代のシニョリッジの説明なのでインチキではないのですが、2023年12月時点で「いやそれマイナス金利解除して利上げ始めたら話が違うだろ」という図になっていて、もちろんその後で説明はあるのですけれども、なんかこう「日銀の財務はマイナス金利を解除しても安全です」というのを強調したいという下心満載の図になっていたんですよね(ちなみにその次のスライドで今回の本編の図表1と同じのが出てくる)。
さらにちょっと笑ったのは、その先の【図表 4】逆ざやのメカニズム。
今回ってこの部分もWS資料よりはちゃんとした図になっていまして、WSのですとスライド10枚目の『(4)バランスシート縮小局面の財務構造の変化』ってところなんですけど、ここに(図表6)利上げ時の逆ざやのイメージ、ってのがあって、まあ今回の図表4と同じような説明になっているんですよね。
でもってこの図表、前回のWSの時はバランスシートの図の書き方が恣意的で、「所要準備(法定準備預金)+銀行券+(日銀の)自己資本」の部分がなぜか「日銀当座預金」よりも大きいような図になっていまして、結果として負債・資本の部の「無利子」の方が「有利子」よりも大きい面積を占める、という2023年の時点での現実から見たらインチキにも程がある図になっていたんですよね。
でもって今回ですけれども、確かアタクシこのWSの資料が出たときにこの点で思いっきり悪態ついたのが聞こえたのかもしれませんが、今回の図表4では「有利子」の面積の方が「無利子」の面積よりも有意に大きくなっているので、少しはマシになった感はあります。明らかにWSのは「日銀の財務はマイナス金利を解除しても安全です」というのを強調したい下心があふれ出すぎてキモイ状態になっていましたのですが、ちょっとはマシに。
・・・・とは言いましても実際の額から見たら面積比全然おかしいんですけれどもwwwwwwwwwwwwwww
などと書いているうちに時間の方が残り少なくなってまいりましたので続きは明日以降に参りたいとは思います。新年とか言ってるけど連休明けの月初で四半期頭ですから生業の方が忙しい訳でして(滝汗)。
それでは今年もよろしくお願いします(平伏)。