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2024/12/20
お題「一大スペクタクル円安ショーとなった会見雑感とその背景について妄想してみましょう」
明日は我が身かもしれません
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-19/SOR232T0AFB400
ブラジルが記録的ドル売り介入、効果持続には疑問符−当局者に無力感
Martha Viotti Beck、Vinicius Andrade、Maria Eloisa Capurro、Leda Alvim
2024年12月20日 3:42 JST
→ブラジル中銀、80億ドルのドル売り入札−1日として過去最大規模
→債務懸念対応にルラ大統領は関心なし、資本流出止まらず
〇決定会合ですが何せ今回は総裁会見がエンターテイメントとしてはバチクソ面白かった件について(面白くない)
通常の決定会合レビューと順序を変えてお送りします。そらそうよという感じですが。
・円安ショーとしては大変に秀逸としか言いようのない総裁会見芸を遺憾なく発揮してくれました
昨日の為替市場ちゃんですが、MPMの結果が出た後って、円債の方は(前場は米国金利上昇を受けて下から始まったものの戻り基調で前場は当日の高値と言っても前日比はマイナスですが、そんな水準でしたけど)後場になっても「そらそうじゃろ」ということで横ばいから始まったのですが・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014672371000.html
日銀 追加利上げ見送り受け 円安進む
2024年12月19日 12時10分
『19日の東京外国為替市場、日銀が金融政策決定会合で追加の利上げを見送ったことを受けて、円を売ってドルを買う動きが進み、円相場はおよそ1か月ぶりに一時1ドル=155円台まで値下がりしています。』(上記URL先より)
ということで、決定会合の結果出た後円安に思いっきり振れまして、まあ正直円債の中の人的に言えば「日銀が余程発狂しない限り利上げはせんの明らかなのに明らかな結果が出て何でこんなに動いとるんじゃ為替市場はゴリラの集まりか何かか」などとせせら笑っていたわけですな。
なおこのせせら笑いが実はアカンタレであったことが15時以降に判明するのですが・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014672641000.html
円相場 一時1ドル=157円台に 日銀 植田総裁の発言受け
2024年12月19日 18時54分
wwwwwwwwwwww
『日銀は19日までの2日間、金融政策決定会合を開き、追加の利上げを見送ることを決めました。これを受けて東京外国為替市場では、日本とアメリカの金利差が縮まりにくいという観測から、19日正午前に、円相場は1ドル=155円台まで値下がりしました。』(上記URL先より、以下同様)
というのはさっきのですが、
『さらに午後に開かれた会見で、植田総裁が今後の追加の利上げのタイミングについて、「来年の春闘に向けたモメンタム(勢い)など、今後の賃金の動向について、もう少し情報が必要だ」などと発言したことから、日銀が来月の会合でも利上げを見送るのではないかという見方が出るなどして、円安が一段と進み、午後6時前には、円相場は一時、1ドル=157円台まで値下がりしました。1ドル=157円台となるのは、ことし7月23日以来およそ5か月ぶりです。』
とまあ大変にお洒落なことになってしまいまして、
『市場関係者は「今月は追加利上げを見送っても、来月は利上げするのではないかとみる投資家も多かった。ただ植田総裁の発言を受けて、来月の追加利上げも見送られるのではないかという見方が急速に強まり、一段と円売りドル買いの動きが進んだ」と話しています。』
いやもう今回の総裁会見、円安ショーというエンターテイメントだと思いますとそらもうめちゃめちゃ面白くて、最初の方の質疑で「それを言ったら折角市場が1月利上げでコンセンサスできているのを叩き潰す」という「米国次期政権の政策ガー」を言い出したからそらもう大変、この発言出て(ちなみに幹事社質問への回答です)早速155円台後半というか80銭レベルまで行き、その後も「で何で今回利上げしなかったんですか」「今後何を見ていきたいんですか」というような質問に対して重ね重ねの勢いでバンバンと言ってることを額面通りに受け取れば1月に利上げできる判断にならない、なぜなら今後見極めていくことが「米国新政権の政策とその影響」や「春闘の全体像」とか言ってるんですからそらそうよという話でして・・・・・・
まず「米国新政権の政策とその影響」って言い出したらそんなのほぼ無限(トランプの任期中ずっと)見極める理由の言い訳に使える話ですし、「春闘の全体像」って話をしだすと、これ利上げするにしたって春闘は年に1回しかないんだからじゃあお前ら政策調整を年に1回しかしないつもりかという話になってしまう訳でして、まあこんな説明言われたら(しかも繰り返し)円安に飛んでくださいといってるようなもんでありまして、アタクシの手元のノートのメモだと会見開始後20分ちょい(手元には1553と書いてあるが気が付くの遅れている可能性あるので)で156円に乗って、開始30分後(1601と書いてある)には156円20銭近辺、開始45分後くらい(1617と書いてある)には156円60銭水準、ということで、総裁が説明するたびに円安飛ぶ飛ぶ炎と燃えてということで、大変に闘魂がこもったドル円市場の推移となりました。
会見後に海外ニキが本格的にお目ざめになって会見の内容を確認したんでしょうか、その後上記ニュースにあるように夕方遅くには157円に乗りまして、今朝は米国要因でさらに円安加速しておりますわな。
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 157.41 JPY
変化 2.59
変化% +1.68%
2024年12月20日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
いやーこれは円安ショーとしては4月決定会合以来の見事なショーでしたが、前回の時は例の「為替は基調的な物価に影響ありません」一発でしたけれども、今回のエンタメとして秀逸だったのは、冒頭から植田総裁の発言が円安煽りモードになっている上に総裁が円安に飛ぶキーワードを何度も畳みかけるという息もつかさぬ円安芸を披露してくれたことでして、リアタイで日銀よつべチャンネル見ながら為替と債券先物の値段見てて笑い死にそうになりました(笑えないけど)。
ちなみに日銀よつべチャンネルですが、会見スタート時は同接2000ちょっとだったのですけど、会見が飛んでもない円安ショーの様相を呈してきまして、ふと16時過ぎに見たら同接5000近く(手元のメモでは1608同接4980とあります)に爆増しておりまして、如何に今回の円安ショーがショーとしては秀逸なものであったか、ということが見て取れると思います、アイヤー。
〇何で1月利上げのコンセンサスを叩き潰して円安を盛大に煽ったのかについて愚考してみる
ということでこういうのは3つくらい並べると頭がよさそうに見える、ってばあちゃんが言ってたので3つの可能性ということで申し上げるわけですがwww
可能性その1:円安上等高圧経済ヒャッハーのスタンスであって政策調整とかクソくらえモード
まあ何ですな、植田さんだって何度も説明していたし、ちゃんと想定問答集見ながら説明していましたので、そもそも論として今回の説明ってのは大本営謹製の想定問答に沿った説明で、植田さんがうっかり失言とかいうレベル(4月のはどっちかと言えば「言っちまった」感じのポロリ系の要素が強かったように見えますが、今回のは明らかに「こう説明します」という意図が十分に感じられる大スペクタクルハトハトチキンショーにしか見えませんでした)ではないのは明らかです。
でですね、折角市場が1月利上げのコンセンサスとなっていて、ただまあ12月やらないにして1月利上げに関してやれ米国新政権だの不確実性だの言い出してしまうと、1月やらないのではの疑念が出るよね、って少なくとも円債市場ちゃんでは思ってた訳ですよ。だって12月と1月の間に何か新しいネタがあるかっていうと春闘に関しての頭出しと支店長会議でのアネクドータルな情報ってくらいになりますから。
ということですから、今回って利上げ見送りになるにしても、あんまり米国新政権ガーとかいうのではなくて「状況は進展しているもののタイミングは今日ではない」みたいな感じで含みを持たせる(その点、今回って田村委員が利上げ提案という勇気溢れる行動に出たので、その利上げ提案をうまいこと使う手もあったのですが会見では綺麗にその逆をしていました)という感じで会見をしないと、1月利上げ見送るんじゃネーノという話になって、コンセンサスビューが動いてしまうので、そらまあ為替に影響滅茶苦茶するわな、というのはまあ普通は分かる話な訳ですよね。しかも米国が(ワイ的には別にこんなもんじゃろと思ったけど米国市場的には)ホーキッシュ利下げをしたのもあるんだし。
・・・・・・とまあそういうわけですので、わざわざ1月利上げを確信犯で叩き潰しに行くような情報発信をしているのは、円安上等なんなら高圧経済じゃヒャッハー、と突然アベノミクスの亡霊が日銀によみがえったとでも考えないと説明がつきませんわ、というのがその1ですな。
その2:円安にぶっ飛ばして1月利上げの機運を煽るという驚異のスーイサイドアタック
実は日銀ちゃん、本当は早期の緩和調整をしたいんだけど、今の状況だと政治方面とか政府方面とかがイマイチ利上げOKで盛り上がってくれないので、今回驚異の円安自爆特攻を図ることによって円安を煽り、その結果「日銀様おねげえです利上げしてくだせえ」と盛り上がらん連中に火を点けて1月利上げに持っていこう、という作戦。
・・・・あのーすいませんその自爆ってこっち散々巻き込まれるんで(最近になって生活価格の一段の上昇を実感している第二種兼業主夫としてはマジ切実)勘弁してくれませんかというかそういうヤケクソ特攻するのは如何なものかと思いますが、まあ確かに「物価高は怪しからん」とか言いながら「高圧経済」とか言っている度し難い馬鹿が国会方面にゴロゴロ転がっているので、この馬鹿どもにてめえらの言ってることの愚劣さを知らしめるというのも致しかたないのかもしれませんな、あっはっは。
その3:そもそもこの受け答えをすると利上げ観測の後退から円安にぶっ飛ぶという認識が無かった
とまあそういう訳で、その1その2は前提として「日銀はちゃんとわかってて今回市場のコンセンサスビューと思われる1月利上げ観測を叩き壊しに行っている」ということから話が入っていますが、その3というのはこれはもういわゆる一つの「ハンロンの剃刀」でございます(ご存じない方は調べて味噌)wwwwwwwwwww
なんせ大本営ちゃん、11月末の日経新聞総裁インタビューであんな両論併記発言を総裁にさせたら市場は「見たいものを見る」んだから12月利上げビューでヒャッハーやってる人たちがヒャッハーしてしまうので、(ウソか真かしらんけどその後のお気持ち駄々洩れ報道による推測では)12月利上げ観測を鎮静化させようとしてあのインタビューを組んだ、という時点で、まあ市場に対する発言などの出し方を分かっていないというか下手糞の極みである、という疑惑が思いっきり湧いて出てくるのですな。
ということはですよ、実は今回の会見も別に円安を煽るような意図は無かった、という大変に斜め上の事故事案、という可能性もあるわけですな恐ろしいことにwwwwwwwwww
まあこの3つのうちのどれか、という事になろうかとは思うのですが、アタクシ正直その3である可能性が一番高かろうと思っているのですけどqqqqq、さてどうなるんでしょうか・・・・・・・
〇来週の経団連での総裁講演がやたら重要になってまいりました!!!!!
まあそんなわけで、上記3つの可能性に関しまして、もし「その3」の「ああいう説明をしたら市場は円安にかっ飛ぶ」(しかもただでなくさえ12月末とかいう時期で市場に残っている投機筋って手負いのヒグマみたいなのしか居ないというヤバい時期なので市場が飛びだすと大変なことになりやすい時間帯ですわな)というのを分からんで無邪気に地雷原でブレイクダンスを踊りまくり、といった場合ですと、来週25日水曜に行われる年末恒例の経団連での講演で慌てて1月利上げあるで音頭を踊りだすことになりますわな。
でまあそうじゃなくて今回の会見と同じく「米国新政権の政策の動向ガー」とか言ってるようですと、来週はもう160円どころかこの前の安値の162円台も抜きに行くという大変に素敵な年末年始を送ることになっても不思議ではない、というどうしてこうなったという可能性が出てくる訳ですな。
という訳で、来週水曜日の経団連講演はワシの妄想のどれが(さっきも申し上げましたがワシは「日銀はこうなると思わないで想定問答作って今頃真っ青になっている」説w)正解だったのか、というのの一部の答え合わせができるかと存じますので、年内無風とか言ってる場合じゃなくなってしまいましてこれはもう来週の相場も目が離せない(というかそもそも今日の相場が目が離せないのですがw)ということになってまいりました、おそロシア・・・・・
まあしかしアレです、今の時点で1月利上げ観測が完全に死んだのかと言えば逆に「円安飛んで1月泣きながら(特攻スキームだったら泣いてるふりして腹の中ではニッコリしながら)利上げに追い込まれるから結局1月利上げじゃろ」という読み筋もかなり有力なので別に1月利上げ観測は死んではいないですし、なんなら円安飛んだら益々1月利上げが現実味を帯びてくるというのが面白パズルなんですけど、まあそれはそれとしまして来週の経団連講演でいきなりタカ転したらコミュ障ここに極まれりということで、それはそれで抱腹絶倒のコミュニケーション芸をお見せした1か月、ということになりますな、はーやだやだ。
〇という事で雑談ばっかりになってしまいましたので備忘めもだけ
・声明文は基本変わらずだが「政策金利の調整」文言わざわざ削らんでもええじゃろ
今回の声明文、先行きの金融政策のところでクソくだらない事を書いたから肝心の「見通し通りなら政策金利の調整」が抜けててナンジャソラと思ったら、そこは総裁会見の冒頭の説明(事実上のオープニングリマーク)のところで発言していたので安心しましたが、重要文言抜くんじゃねえよと思いました。
・田村委員の利上げ提案
感動した!!!
・多角的レビュー
声明文の方でも「効果と副作用の分析をしたのでそれを生かして」みたいなことを書いてあったのだが、あのとんでもない大規模緩和政策の副作用は「出口」の時に顕在化するものであって、現状って出口の入り口のあたりでああでもないこうでもない米国新政権ガーとか言ってる状態であって、その時点で副作用はこうでしたとかいうのは馬鹿にしとるのかとしか申し上げようがない。
・でもって今日は年内最後の3か月TDB入札なんですが・・・・・・
まあもともと短国の金利水準自体がクッソ低いので実はそこまで影響しないのかもしれませんがさてどうなるんでしょうかね
ということで今朝は勘弁してつかあさい
2024/12/19
お題「FOMCは来年の利下げは2回ですなと来た上に中立金利のビューが全般上昇とな/日銀ですが公共放送ニュースサイトでは利上げの可能性をちょっと示唆」
普段は答え合わせしないで最後まで堂々書いて後になってアイヤーとこっそり赤面することも多いのがアタクシのFOMC声明文読みの仕様ですが、今日は日銀ネタの面白ニュースの有無をチェックしないといけませんから、読み終わった(というか書き終わった)後にニュースをチェックしてみますね。
〇FOMC声明文:利下げしながらFED文学で追加利下げに関する勢いを後退、で良いと思うんだが
まずは声明文
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241218a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241107a.htm(前回)
・第1パラグラフ:経済雇用物価情勢の現状判断文言は不変です
『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.』(今回)
『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.』(前回)
まあこのパラ全部不変なのですがそれも何なのでぶつ切りしてみた企画ですw
『Since earlier in the year, labor market conditions have generally eased,
and the unemployment rate has moved up but remains low.』(今回)
『Since earlier in the year, labor market conditions have generally eased,
and the unemployment rate has moved up but remains low.』(前回)
からの、
『Inflation has made progress toward the Committee's 2 percent objective but remains somewhat elevated.』(今回)
『Inflation has made progress toward the Committee's 2 percent objective but remains somewhat elevated.』(前回)
ということで、「2%達成に向けた進展が進んでいる」も含めて現状認識は前回と同じです。
・第2パラグラフ:先行きに関する文言も前回と一致なんですよね
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. 』(前回)
ここは2パラの冒頭に出てくる悪魔払いの文言みたいなもんでいつもおなじ。
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals are roughly in balance.』(今回)
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals are roughly in balance.』(前回)
今後のマンデート達成に向けたリスクはおおむね上下にバランス。
『The economic outlook is uncertain, and the Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(今回)
『The economic outlook is uncertain, and the Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(前回)
今後の見通しは不確実で、上下双方のリスクに対して注意深く見ております、というのも一致で要するに全文一致です。
・第3パラグラフ:文言追加で「利下げありき」から「利下げのタイミングとは」に話を変えていますね
3パラは政策決定と今後の政策に関してのムニャムニャ文言ですが。
『In support of its goals, the Committee decided to lower the target range
for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 4-1/4 to 4-1/2 percent.』(今回)
『In support of its goals, the Committee decided to lower the target range
for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 4-1/2 to 4-3/4 percent.』(前回)
前回と同じ認識、すなわち経済物価雇用情勢がマンデート達成に向けて動いているのだから中立金利に向けての利下げプロセスが継続されて25bpの利下げになるのは順当なのですが、今回の声明文で焦点になるのはここになりますね。
『In considering the extent and timing of additional adjustments to the
target range for the federal funds rate, the Committee will carefully assess
incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks. 』(今回)
『In considering additional adjustments to the target range for the federal
funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving
outlook, and the balance of risks.』(前回)
はい。
前回は「今後の政策金利の追加調整を考慮する際には」(後半は状況を見て判断しますという当たり前の表現だし文言変更ないので気にしないでヨシ)となっていた表現が、今回は「今後の政策金利の追加調整の規模やタイミングを考慮する際には」と、「the
extent and timing of」というのを挿入してきました。実質的に声明文で変更があったのがここだけなんですけど。
でまあこれって従来は「政策調整をする」ってのがある種の所与みたいな感じだったのが、今回はトネガワモードが入っていて、まあ「今回まだその時と場所の指定まではしていない。どうかそのことを諸君らも思い出していただきたい。」とまでは弱くなっていないけれども、政策調整に関しての表現は後退していますよね。
・・・・・ってかまあ書き出す前に声明文比較読みしてから、ほうほうSEPはどうなっとるんじゃいと思ったら来年のドットが華麗に上方修正されていてああそういう事ねと答え合わせ出来ましたがw、
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities
and agency debt and agency mortgage-backed securities.』(今回)
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities
and agency debt and agency mortgage-backed securities.』(前回)
バランスシートのランオフに関する表現は同じで、
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(前回)
締めの文言もいつもの定型文言でした。ということでさっきの「追加された部分」が焦点になりますな。
・第4パラグラフ:状況見ながらあんじょうようやっときますわ、のところは毎度の如く全文一致
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(前回)
こちらは特段どうという事も無いので全文一致ですね、というのを確認するだけですな。
・第5パラグラフ:ハマック総裁(クリーブランド)が反対ですがSEP見るとトータルで4人が反対してますねこれ
SEPの話はこの後にでも、と思いますが今回のドット見ると「年末の政策金利」に4.50-4.75という今回の利下げ前の水準に4票入っていてクリーブランド以外にも地区連銀3つから反対が出ているという中々チャーミングな結果になっています。
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Philip N. Jefferson;
Adriana D. Kugler; and Christopher J. Waller.』(今回)
『Voting against the action was Beth M. Hammack, who preferred to maintain the target range for the federal funds rate at 4-1/2 to 4-3/4 percent.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Beth M. Hammack;
Philip N. Jefferson; Adriana D. Kugler; and Christopher J. Waller.』(前回)
・ディレクティブ:レポファシリティのコリドアが25bpになっていますな
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241218a1.htm
Implementation Note issued December 18, 2024
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation
前回はこちら
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241107a1.htm
各種オペやらディスカウントウィンドウのレートは基本フルスライドで、限度額ありのファシリティに関しての限度額にも
変更は無かったのですが、
『Conduct standing overnight reverse repurchase agreement operations at
an offering rate of 4.25 percent and with a per-counterparty limit of $160
billion per day. Setting this rate at the bottom of the target range for
the federal funds rate is intended to support effective monetary policy
implementation and the smooth functioning of short-term funding markets.』(今回)
『Conduct standing overnight reverse repurchase agreement operations at
an offering rate of 4.55 percent and with a per-counterparty limit of $160
billion per day.』(前回)
ONRRPの適用レートが30bp引き下げになっていまして、これはFED相手に資金放出する金利の方になるのですが、もともとなぜかFF誘導下限の5bp上という謎金利に設定されていたので、調達側のオペ金利との金利コリドアが20bpしかなかったのですが今回25bpになりましたな。こちらアタクシも短期スキーとは言いましても米国の短期市場まで細かく見るような余裕も知能も無いので細かい解説はできないのですが、まあFFの上下限に置いていた方がスマートだとは思います。
〇SEPですがまあドットは上がっていますけどこんなもんちゃあこんなもんではないかとは思ったがさて・・・・・
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20241218.pdf(今回)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20241218.htm(HTML版)
Summary of Economic Projections
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20241218.pdf(前回9月)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20240918.htm(HTML版)
・まあ個人的にこの方式のコミュニケーションって如何なものかとは思うけど結局つられてドットプロット
だいたい引用はHTMLの方から行っています。
『Figure 2. FOMC participants' assessments of appropriate monetary policy:
Midpoint of target range or target level for the federal funds rate』
・2024年:今回の利下げに反対が実は4名
ということで今回は、「Midpoint of target range or target level (Percent)」でみて、
『4.625 4
4.375 15』
というのが一つ目のお茶目ポイントで、ハマックさんの他に投票に参加していない地区連銀総裁3名から反対が出ているということですな。まあ4対15だから大差と言えば大差ですが、(5人ひっくり返っても過半数に届かない)。
・2025年;「来年は2回利下げですなあ」というのを示唆するドットの打ち方になっているようで
『4.375 1
4.125 3
3.875 10
3.625 3
3.375 1
3.125 1』
上の4人がハマック軍団ということで考えてみると、今回の利下げに賛成した15人中10人が「来年は2回利下げでございますな」とゆうとるわけでして、まあそんなもんじゃろとは思うのですが、そもそも論としてアメリカン市場がどのくらいの利下げを期待していたのかが良くわからん(最近はコンセンサスビューがどこにあるのかが訳ワカメな事が多くていけませんわ、ってお前が勉強不足と言われるとぐうの音も出ないのですが)ので、これが市場対比でタカなのかハトなのかは知らんが、あんまりハトではないだろうなというのは直感的にわかる(小学生並みの感想)。
でもって2026年だの2027年だの、というのはこれはドットを打つ身になって考えてみたら「そんなん知らんがな」という話になるわけで、結局は均衡水準になる時期を適当に考えて、その時期の均衡金利水準をおいてあとは2025年末からリニアに引っ張っていくくらいの話になるので、まあ正直あのあたりの水準を見てああでもないこうでもない、というのは(ネタとしては面白いけれども)あまり意味のある議論にはならない、と思うので(あくまでも個人の感想です)パスしまして次はロンガーラン。
・ロンガーラン:多くの皆さんが上げていますなあ
これはクッソバラバラなのですが、
前回(ゼロ人も0にしておかないと見にくいかと思いまして入れてます)
3.750 1
3.625 1
3.500 2
3.375 2
3.250 1
3.125 0
3.000 2
2.875 2
2.750 3
2.625 1
2.500 3
2.375 1
今回
3.875 1
3.750 1
3.625 2
3.500 2
3.375 1
3.250 0
3.125 1
3.000 3
2.875 4
2.750 1
2.625 1
2.500 1
2.375 1
これ前回3.250〜3.750のところにポイント置いてた7人が全員0.125%ずつ上げているというのがお洒落というかなんというかバチクソ笑えるのですが前回3%以下に置いていた人たちの方を見ますとこちらは下の方にあったドットがそこそこ上がっていて、少なくとも3%にかなり近いところにまでは来ていまして、中央値(2.875→3.000)で見るイメージよりも分布を見ると「あら上がりましたね」って感じが見て取れると思うのですがどうでしょうか。
まあ中立金利あがったんでネーノという話は先般来FED高官からも出ていましたので、上がるのは違和感ないけど、結構上げている人が多いなってのは思ったんですけどどないでっしゃろ。
という辺りで今日は日銀ですので面白ニュースがでていないかどうかチェックしながら一旦答え合わせをしてみましょうず。
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 154.56JPY
変化 1.06
変化%+0.69%
2024年12月19日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
・・・・・・うーん155円抜けはしないですかそうですか
https://jp.reuters.com/markets/us/5VPAQ4QWLJP2LIIXBKFSMVB5BQ-2024-12-18/
米国株式市場=大幅続落、FRBが利下げペース鈍化示唆
By ロイター編集
2024年12月19日午前 6:29 GMT+9
『[ニューヨーク 18日 ロイター] - 米国株式市場は大幅続落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が0.25%の利下げを実施すると同時に、来年の利下げペース鈍化を示唆したことを受け、当初の高値から下げに転じた。』(上記URL先より)
ふーんなるほろ。まあタカだということですかこれは面白くなってまいりました!!!!
〇でもって今日は決定会合ですが公共放送さんちょっと味わいのあるニュースを出しているように見受けられますが
さてそんな訳で日経ちゃんを見る
https://www.nikkei.com/
・・・・・日銀のにの字も無いわwwwwwwwwwwwwwwww
ちなみに昨日は公共放送ニュースちゃんの方で
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241218/k10014671771000.html
日銀 金融政策決定会合 追加の利上げに踏み切るかどうか焦点に
2024年12月18日 18時08分
え、「追加の利上げに踏み切るかどうか焦点」なのかよ、と思いましたが(記事内容はまあそこまで強いトーンじゃないけど)、今朝の公共放送ニュースちゃんでは
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014671971000.html
日銀 金融政策決定会合2日目 追加利上げ FRBの決定見極め判断
2024年12月19日 5時24分
『日銀は19日、2日目の金融政策決定会合で当面の金融政策を決定します。焦点となっている追加の利上げについては来年の春闘で賃上げの動きを見極めてから判断すべきという意見が今のところ多くなっていますが、アメリカのFRB=連邦準備制度理事会の政策決定を受けた金融市場の動向も見ながら慎重に判断する見通しです。』(直上URL先の今朝の方の記事より、以下同様)
ってなっていて、
『今回の会合では追加の利上げに踏み切るかどうかが焦点となっています。』
えーという感じなのですが、
『日銀内では現在の経済・物価の情勢から「環境は近づいている」という見方が出ていますが、来年の春闘でことしと同じ程度の水準の賃上げが広がるかや、トランプ次期大統領の経済政策や通商政策が経済に与える影響を見極めることが必要だといった意見が今のところ多くなっています。』
『さらに、現在の円相場も想定を超えて物価を押し上げるような水準ではないとして、この時期の追加の利上げは見送るべきだという意見が出ています。』
となっている(先日もネタにしましたが、そもそも論として日銀の見通しは「ここからCPIは2%に向けて下がる」という見通しなんだから、今のドル円が物価を押し上げないから利上げを急がない、というのは無茶苦茶な理屈でして、物価が2%に下がるという見通しに対してその見通しを達成しない要因になるんだから政策対処が必要という話になるし、7月会合で為替は政策反応関数に組み入れられたという説明になっているのだから後半の理屈は屁理屈にしても出来が悪いんですけどね)のですが、
『一方、日銀の会合に先立ってアメリカのFRB=連邦準備制度理事会はさきほど当面の金融政策を決定しました。日銀としては、このあとの金融市場の反応しだいでは政策対応が必要になる可能性もあり、直前まで情勢を分析したうえで慎重に判断する見通しです。』
ほほう!!!!
ということで、ちょっとドル円ワッショイオナシャス!!!!!!!!
2024/12/18
お題「3M以下の短国レートがここに来て謎に低下/コミュニケーション論(NRI井上さんのコラムから)/短国の潜在的ニーズは相当ですなというメモ」
ほえーーーーーー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC17BZJ0X11C24A2000000/
ホンダ・日産が統合へ 持ち株会社設立、三菱自の合流視野
日経スクープ
2024年12月18日 2:00 [有料会員限定記事]
〇昨日も昨日とて短国の3M以内の引値が強くなっている件について
売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(12/17引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.065
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.070
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.105
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.105
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.135
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.125
(12/16引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.100
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.130
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.130
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.140
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.135
とまあそういう訳でして、3か月以内のところの引値が全般的に(12月償還の期近債を除いて)強くなっていまして、今週に入って何気に国債の中短期がへにょへにょとしているのに対して急に変なもんでも食ったのかお前という感じの強さになっていましてなんのこっちゃ感がぬぐえない。
まあ再三再四申し上げていますが、1月償還に関しては物無し芳一(流通玉的に)なので引値この水準だったっけ問題はあるのですが、3か月とかまでつよくなっているのって決定会合を前に何起きてるのやらという所ですね。しかも2日連続でホイホイと強くなるの巻なので。
東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
レポレートのリファレンス見てますと
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/12/10 0.243 0.247 0.226 0.237 0.246 0.254 0.348 0.391 0.480
2024/12/11 0.248 0.248 0.229 0.238 0.247 0.254 0.349 0.391 0.480
2024/12/12 0.237 0.243 0.231 0.238 0.242 0.249 0.350 0.394 0.486
2024/12/13 0.242 0.247 0.231 0.237 0.239 0.246 0.350 0.394 0.488
2024/12/16 0.239 0.243 0.231 0.233 0.236 0.241 0.350 0.396 0.489
2024/12/17 0.237 0.244 0.233 0.233 0.236 0.239 0.348 0.396 0.489
となっていまして、この東京レポレートって要するに投票でして、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/files/trr.jimufurou20120801.pdf
こっちももちろん需給は影響するのですが、短国スペシフィックみたいなのは無いわけで(もちろん最近発生する月末になると急に足元GCのレートが低下するようなGCスペシフィックはあるけど)、こちらの方をつらつら眺めていますと3Mあたりのところって先週までの事前報道合戦によって一勝負終わりました、って感じで何かすっかり落ち着きムードになっているので、短期市場自体でそんなにビックリするような金利観の変化が生じたとも思えないのでこれは需給でしょとは思いますが、何せ短国ちゃんは流通量に問題があるので正直よくわからんところではありますが、決定会合前に突如動いたのでメモとして残しておこうかと思います。
〇これはよくまとまっておられますな(野村総研井上さんの指摘)
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/OBAVXRKSBRJZPCAD3OXDNY5TOY-2024-12-16/
コラム:「観測記事」による中央銀行と金融市場の対話、求められるコミュニケーション正常化=井上哲也氏
By 井上哲也 野村総合研究所 金融デジタルビジネスリサーチ部 シニアチーフリサーチャー
2024年12月17日午前 8:44 GMT+9
まあ何ですな、ロイターの場合(ネット版にも出る方)ともなると債券市場以外の方も見ますので背景説明に関してはまあそうですね、って話なのですが、中盤の『<「観測記事」の意味合い>』ってところから、
『こうした経験を踏まえて「観測記事」の意味合いを改めて考えてみると、中央銀行が、政策意図が上手く伝わっていないと感じた場合に、一部のメディアに考えを伝え、それを記事化してもらうことで理解の修正を図る手法は、日本に限らず米欧でも一般的なやり方だ。また、特定のメディアが利用される印象がある多い米欧に比べると、少なくとも最近の日本では異なるメディアが順次活用される印象もあり、ある種の公平さも感じられる。』(上記URL先ロイター記事の野村総研井上氏コラムより、以下同様)
この辺りにはヨイショ風味が感じられて如何なものかってなのはあって、今回の日経の記事で言えば日経電子版の有料会員じゃないと読めない所に肝心の一問一答がある(紙の新聞を買っても読めないのにはさすがに参った)わけで、物凄く意地の悪い言い方をすれば、日銀が日経の絶賛推進する日経電子版の販促活動の一翼を担っているようなものであって、これはメディアと当局の「もたれあい」なのではないか、ってぶっこまれたらお前らどういう回答するんだよって言いたくなるわけで、何が公平じゃとは思いますわな
それに米欧の場合ってそんなに「金融市場の見方を訂正するためにメディア使う」ってのが頻発しているかというと日本のこの頻発さとは比べ物にならんわけで、一般的なやり方とまでいうのはどうなのかねえとは思いますけどね。
まあそれは兎も角としまして、
『しかも、上記のように「観測記事」が配信されると直ちに金融市場の見方が修正されることは、金融市場も日銀がこうした手法を利用する局面があることを理解していることを意味する。その意味では、観測記事の利用は中央銀行と金融市場が理解を共有する上で、効率的で有効なコミュニケーション手段となる。』
まあ下手糞がやりと無用のボラを与えるんですけど、ここからがご指摘ご尤もすぎて首がもげてしまう部分ですな。
『それでも、こうした手法を多用しすぎることには副作用もある。』
今は副作用だらけですけどね。さて井上さんのご指摘ですが、
『第一に、中央銀行が正式なコミュニケーションの枠組みとしてとして整備してきた手段である政策決定の声明文や記者会見、政策決定における議論の議事要旨、経済や物価の先行き見通しなどの意義を損なう恐れがある。これらの手段は、金融市場だけでなく、家計や企業も含む幅広いステークホルダーとの間で、政策の考え方や方針を共有することに主眼があったはずだ。』
全くです。
『しかし、観測記事が多用されれば、利潤確保を最優先する金融市場のプロは、次の政策変更を「正しく」予想するために観測記事にのみ注意を集中することが生じ得る。一方で、足元で増加しつつある個人投資家の間では観測記事にタイムリーにアクセスできず、誤解を生ずることも考えられる。』
でもってこの点を発展させたのが次の点でして、
『第二のより重要な副作用は、中央銀行と金融市場との双方向でのコミュニケーションを一層難しくすることだ。観測記事によって、中央銀行は金融市場の予想に直接的に働きかけることができるだけでなく、今回生じたように予想のファインチューニングまで可能となり得る。そのこと自体は、実際の政策決定に伴う金融市場の不安定化を抑制する上で、中央銀行にとって少なからぬメリットを生ずることは事実である。』
ファインチューニングとはなかなか美しい言葉でして、アタクシなんぞ昨日は駄文で「お前ら未だにYCCやってるつもりか」などと悪態をついたわけですが、これファインチューニングってつまりはYCC気取り、ということでもありますわな、って思いました(^^)。なお下手糞がチューニングをすると無用の以下同文。
『それでも、長い目で見れば、中央銀行は金融市場の意見を聴取する機会や可能性を喪失する恐れがある。なぜなら、こうした枠組みの下では、金融市場が国内外の物価や経済、金融システムの動向を直接観察した結果として、自ら金融政策の先行きを予想したり発信したりするインセンティブが失われるからである。』
これですよこれ。というか「喪失する恐れ」どころかもう発生していますよね、というのは11月末に出ていた東京都区部CPIを見ながら物価の腰が強いじゃないかと言って債券市場反応していたのに、先週の日銀短観を見ても無反応どころか中短期含めて金利が低下する有様でして、本来経済物価情勢とその先行き見通しをベースにして動くべき市場が完全に日銀の「お気持ち」待ちになり下がってしまっているわけですが、何せ井上さんのこのコラムでのご指摘の通りで日銀のお気持ち分析>>>>>>ファンダメンタルズ分析、という事になってしまうのですから残念だが当然の結果でもあるのですな。
『その結果、金融市場の予想は過度に収れんすることになるため、物価や経済が想定外の動きをした場合には、中央銀行と金融市場が同方向の誤りに直面する結果、その後の金融市場の調整やそれに要する時間が長くなる恐れがある。』
はい。
『その意味では、金融市場の予想が中央銀行の政策運営と極端に乖離した方向に収れんした場合には観測記事の活用の余地があるともいえるが、そうしたケースでも金融市場の調整が時間的に前倒しされるだけという可能性もある。』
例えば米国における「市場とFEDの認識の齟齬」ってだいたい経済物価情勢に対する過度な楽観あるいは悲観が市場にあったり、3か月に1回でてくるドットチャートを過大評価するあまりに、「3か月前のドットを前提にして今の状況下で先行きの政策を読んでしまう」というようなことによって齟齬が生じている訳であって、そういう意味では最終的にはファンダメンタルズに収斂されていくものなのですね。
一方でわがジャパンの場合は、そもそもが「コアコア物価」→「来年の賃金」→「粘着的な品目の物価」→「第一の力、第二の力」→「賃金と物価の好循環」→「基調的な物価」と政策判断で使っている話がコロコロと変わっている訳で、中央銀行の軸がぶれているので、ファインチューニングすると無茶苦茶なことになるわけですな。
まあ中村委員の言葉(この言葉は名言すぎるので額装して大本営のお部屋にでも飾っていただきたいものですが)を使えば「マーケットプレーヤーも含めて、日本銀行の政策変更に対する憶測ばかりが先行してしまって、実態を示す経済データ、ファクトに対する関心が衰えてしまうのは良くない」(2024年12月5日広島金懇会見での中村審議委員発言より)ということなので、まあ米国のファインチューニングと日銀のお気持ちファインチューニングを一緒くたにするのは井上さんちょっと日銀褒めすぎじゃないのとは思いました(^^)
『中央銀行と金融市場とのコミュニケーションが一方向的になったのは、いうまでもなく、過去の非伝統的金融政策の下で、政策効果を補強するために政策運営のコミットメントやフォワードガイダンスを常用したことが契機になっている。その意味でも、日銀が金融政策を正常化する中では、市場との対話も正常化していくことが重要と思われる。』
ということで、ウッドワード流のフォワードガイダンスっていうのはモデレーション時代には効果を出したかもしれませんけれども、そもそも論として経済情勢なんて決め打ちできるもんじゃないし、経済の構造だって変化するわけでして、それこそドットチャートの扱いだってFED中々苦労しているんじゃなかろうか(その瞬間はいいけれども3か月間修正できないから変化の時代になると足元の微細な変更が先の政策金利見通しの大幅な変更に繋がって「大きな変化」と見られやすくなってコミュニケーションを難しくしていると思うの)と思いますし、その前で言えば決め打ちコミュニケーションの一環だった「メイクアップストラテジー」や「アベレージインフレーションターゲット」が明らかにインフレ対応を遅らせたという経験(FEDも認めていますし)もありますし、まあその意味ではFEDって政策ストラテジーとかの全般見直しってのを定期的にやってますから、遅くとも次の見直しではドットチャートの扱いはどうにかするんじゃないですかねえ、とは思いますがどうですかね。
ECBはラガルド肝いりの謎のポンチ絵がありますが、政策のフォワードガイダンス的なものは少なくとも公式には出してこない(ただし決め打ち発言をする誘惑には勝てないようでそっちはまだやっているけれども)訳で、そらまあ経済なんて生き物なんだから事前に一つのシナリオで決め打ちするなんてえのは寧ろ経済学者の傲慢的な何かじゃないですかってことで。
でまあ明日のMPMちゃんですが、今後の金融政策について聞かれて1月やるんですか3月に先送りする可能性はあるんですかトランプ政策見るなら1月どころか3月だってまだ分からないんじゃないですかとか散々質問されて、どういう受け答えをするのか、というのを日銀よつべチャンネルで爆笑しながら見るのが楽しみですね。
あとそれから多角的レビューが出るんですが、どうせ黒田緩和の正当化と、2年で2%行かなかった理由はノルムのせい、というので終わりの話を延々と山のように積み上げておしまい、という物件になると思いますので、なんも期待していません(年末年始の読み物に値するものが出てくれると良いのですけれども)。
〇昨日折角ネタにしましたのでこの前の投資家懇の意見の発行に関する部分を備忘で置いておきます
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/241127.html
国債投資家懇談会(第95回)議事要旨
こちらかなりの大部になっているのでネタにするの躊躇するレベルなんですけどw発行に関する部分を抜粋しておきますメモ代わりですが。
『・足元の市場を見ていると、超長期ゾーンで40年債から順番に減額するのがよいと考えている。逆に中期・長期ゾーンについては、金利が上昇して来れば、当社としても魅力的なゾーンになるため、5年債と10年債を増額、若しくは他のゾーンより相対的に増額する余地がある。T-Billについて、3か月物は当社でも担保としての利用ニーズがある一方、足元では3か月物の金利がかなり低いことから1年物を購入している。3か月物を増額し、需給バランスを改善していただきたい。』
『・イールドカーブ上、5年、10年ゾーンの金利が低く、超長期ゾーンの30年、40年が大幅に高くなっている。昔の利上げ局面と比較して、イールドカーブが立っていることを鑑みると、30年債と40年債は減額、5年債と10年債は増額が理にかなっている。投資家目線では、今後、追加利上げが行われるのであれば、残存10年以下、可能であれば5年以下のゾーンで投資を進めていきたい。20年債はアセット・スワップのスプレッドの拡大が続いていることから、需要が少ないと思われる。当社の業界においてこれまで20年債を購入していたのは事実であるが、今後は購入額が減少すると考えると、若干減額する余地がある。T-Bill・3か月物については、現在も金利が低すぎるため、投資ができておらず、購入したくてもできない状況になっているため、増額して以前の1回の入札当たり5兆円まで発行額を戻してもよい。』
『・利付債に関しては、マーケットの需給が比較的弱めの超長期ゾーンに減額の余地がある一方で、2年債・5年債については銀行のALM需要や担保需要から増額の余地がある。10年債についてはキャリー収入とロール・ダウン効果の妙味から投資家需要が見込まれ、発行額については現状程度で良いものと考えている。』
『・T-Billについて、当社では担保ニーズとしてはあまり購入していない。金利水準で見ると、足元の需給がやや解消されてきているがタイトなため、現状維持ないしは増額が適当。』
『・令和7年度発行計画については、PD会合において出た意見のとおり(短期・中長期ゾーンの発行額を増額、超長期ゾーンの発行額を減少)と考える。』
『・T-Billについては資金運用目的より外貨調達や日本銀行からの調達等の担保ニーズでの保有となっている。需給が引き締まった状況となっており、早急に対応してほしく、増額を強く希望する。』
『・40年債の減額と中期・短期ゾーンの増額について他の参加者から多くの意見があったところ、当社も概ね同意。当社の投資の主戦場は20年債、30年債となるため、この年限の発行額は維持を希望。10年債と30年債とで利回り差が相当あり、他国と比べてもかなりレアケースとなっている。そこに海外からのニーズも聞かれており、投資機会があると考えている。生命保険業界としても主戦場としていることもあり30年債の発行額維持を希望。40年債はデュレーションがやや長すぎ、規制対応が終わった中では取り扱いしづらい年限となってしまっている。一方で、20年債、30年債については引き続き需要があると考えている。生命保険業界では一時払い終身保険等が売れてきており、当該商品の見合いに20年債や30年債を買っている印象。』
『・来年度の国債発行計画について、特に30年債、40年債はイールドカーブ上、かなり割安な水準まで金利上昇しているところ、かつてのALMの視点からの需要が少し減退していると認識しており、同ゾーンの減額に賛成である。一方、残存10年以下については、年金のポートフォリオの中でも比較的流動性の高いゾーンであり、ニーズの強いところでもあるので、増額余地がある。』
ちなみに最後の方に面白演説があるのですがそれはまたいつの日か。
でまあこれ見ますと短国って「金利が何ぼ何でもクソ低すぎるし需給がタイトすぎて買っていない」という投資家さんが結構いらっしゃることが見て取れる、という中々のおそロシア状態であることが良くわかるわけでして、我田引水モードになっておりますが、やはり3M短国市場の整備を行って、3か月物金利の指標金利になりえるようなマーケットが形成されていく、というのが美しい姿に成ろうかと思う訳ですし、短期金利が出てくるようになれば短期の資金運用とかマネープール的なものでも信用リスク懸念のほぼ無い(まあ無いんですけど)短期国債ってのは取り扱いの便利さもあって滅茶苦茶大事なものになると思いました。
しかしまあ何ですな、40年債嫌われ過ぎィ!と思う訳ですが、ちょっと前には50年債発行しろみたいな話もあった気がするわけでして、いや情勢の変化がすげえなと思ってしまいましたとさ。
2024/12/17
お題「結局市場ちゃん12月リスクはどう考えているのかしら/預金準備率雑談(雑ネタ)/国債投資家懇談会でこれまた雑メモです」
ゲルがこの前トランプに会えなくてアッキーが会談したことでゲルをボロカスにいってた連中ざまあwwwww
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241217/k10014669941000.html
トランプ氏 石破首相と「ぜひ会いたい」 会談の可能性の質問に
2024年12月17日 4時58分
〇一応万が一は考えているんですかねえ(中短期の金利も上昇してたので)とかそんな雑談メモ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/EDME3GMZ6ZI6XDPYCVDLNYZFCI-2024-12-16/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.065% 20年債入札控え超長期債金利上昇
By ロイター編集
2024年12月16日午後 3:19 GMT+9
『[東京 16日 ロイター] - <15:14> 国債先物は反落、長期金利1.065% 20年債入札控え超長期債金利上昇
国債先物中心限月3月限は、前営業日25銭安の142円32銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.0bp上昇の1.065%。米金利の上昇やあすの20年債入札に向けた調整圧力から円債は売りが優勢となった。』(上記URL先より、以下同様)
ということで昨日は金利上昇してたんですけれども、よくよく見ますと、
『2年債は同1.5bp上昇の0.575%、5年債は同2.5bp上昇の0.715%、20年債は同4.0bp上昇の1.880%、30年債は同3.5bp上昇の2.275%、40年債は同3.5bp上昇の2.645%。』
『 OFFER BID 前日比 時間
2年 0.574 0.58 0.02 13:40
5年 0.712 0.719 0.027 15:09
10年 1.059 1.065 0.027 15:03
20年 1.874 1.88 0.035 15:03
30年 2.274 2.28 0.036 14:45
40年 2.634 2.648 0.039 15:11』
ということで何気に2年とかも金利上昇していましてなんのこっちゃという感じではあるのですが、一応しばらく前にアタクシ妄想していた「FOMCの結果次第で12月利上げか1月利上げかが決まる」という可能性があるとすれば、米国の利下げが無いとか、利下げするにしてもホーキッシュ利下げになってしまう場合ですと、これはまあ日銀も早期に対処しないと1月会合までに為替がかっ飛んでしまうので12月に処しておかないと、となるかも、と思えば米国ムーブに反応するのもわからんでもないか。
・・・・・・・・とは申しましても、12月に入ってからの一連のコミュニケーションをやっておいて、この期に及んで12月利上げって明後日の朝にドル円が160円ぶち抜けてれば別ですけど、そうでもないのにいきなり利上げしたら血の雨が降るとしか思えませんが、なにせ日銀のコミュニケーションというのは、一々極端から極端に振るという傾向があって、これわざとやってるんだったらある意味ただの悪党なので悪を成敗すればいいだけの話なのですが、日銀ちゃんの場合は単にコミュニケーションの中での説明の匙加減というものが分かっていなくて、その結果一々北極から南極に振るみたいなコミュニケーションになっている、というのが救いようがないのですが、まあこれで12月利上げしたらさすがに日銀コミュ障なんてもんじゃねえぞとは思いますがさてどうなるやら(フラグを立てているつもりではない)。
なおドル円ですが、
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 154.1 JPY
変化 0.38
変化% +0.25%
2024年12月17日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
とかしらっと154円水準になってきておりまして、これ12月利上げは無しだとしましても、コミュニケーションは結構難しくて、予告ホームランを打てば一番楽なんでしょうけれども、まあ予告ホームランするくらいなら12月にやっちまった方がどう見ても良いのですから、そう簡単に予告ホームランできない(するなら年末の経団連とか年始の氷見野さんの金懇でするんじゃないのかね)ので、どうしても「もっと先送り」の可能性を排除しない説明になってあばばばばーとならないようにするのはムツカシアルネと思うので、だったらもう12月に利上げしちゃいなよって気もします。
まあ最初から「利上げによる経済物価情勢への影響を半年程度かけて見極めながら、その間に想定よりも物価目標達成が早まるか、遅くなるか、というのをデータやヒアリング情報などを踏まえて判断しながら政策調整を行います」って感じで「半年程度」を最初に入れておけば良かったんじゃないですか、っていう話のような気もします(いや半年とかクソ時間かけてるという気はするけどここまで混乱するくらいなら端から「基本は半年」って言ってた方がまだマシだった迄あるんじゃないかと)。まあ今となっては時すでにお寿司にも程があるけど。
一方で昨日の短国ちゃんは
(12/16引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.100
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.130
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.130
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.140
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.135
(12/13引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.115
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.115
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.150
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.150
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.155
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.160
ということで1月足、2月足、3月足の辺りの引値が軒並み強くされるという利付債の逆のムーブをしていますが、まあそもそも1月償還って10月の短国地獄相場の時に入札があった銘柄群で、引値はこういう値付けになってはいますが、海外とかその手の買ったら出てこない人のところにクッソ低金利で嵌っている筈の銘柄なので、もともとオファーが出にくくて居場所がさっぱり分からんという物件(多分実力はもっと金利低いような気がする)だったりしますけれども、3M新発の金利もしらっと下がっているので、また短期への回避でもあるのかしらとか思ったり思わなかったりで、まあ謎は謎という状態です。
いずれにしましても明後日が決定会合ですので楽しみですな(まあ見送りで延長戦になるんでしょうけど)。
〇スイス中銀の付利がどうのこうのからの準備率引き上げれば付利対象預金減らせるんじゃないか雑談(暴論)
マイナス金利の時の三層構造ってのもスイス中銀を手本にして作っていた節があるので何気に気になっているのだが真面目に調べたことがあんまりないので今度調べる(どう見ても泥縄)。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/DHYAVGYBNJJ2LNGSJNS5PK5UCI-2024-12-16/
スイス中銀、当座預金の政策金利付利を縮小 来年2月から
By ロイター編集
2024年12月16日午後 8:18 GMT+9
『[チューリヒ 16日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は16日、中銀にある市中銀行の当座預金で付利対象の基準を引き下げると発表した。
現在、最低準備金の22倍まで政策金利の0.5%の利息を付けているが、来年2月1日から20倍に下げる。超過分には割引率(現在は0%)を適用する。
今回の変更について、中銀は、今年導入した最低準備率の引き上げを実質相殺する措置だとした。』(上記URL先より)
スイスの付利もややこしそうで、準備金の方に付利するようなシステムになっとるのかいな、と思いましたがちょっと参考になるかもしれないと思うので勉強しておかないと(日銀の中の人はこの辺研究していると思いますちなみに)って感じですな。
日本の場合は何せ超過準備の量が半端ないので、現状は超過準備に全部付利をしておかないと市場金利が0に向かって低下してしまう、という問題があるわけですが、あまりにも日銀の資産やら担保が多いので、担保需要なども含めた需要によって短国利回りがクソのような低金利になっていることは言うまでもありません。
でもって利上げするとなると今度は超過準備付利金利が50bpになりまして今の倍となりますので、だんだん補助金批判とかそっちに鉾策が向かう可能性もありますし、だいたいからして日銀の利払い負担だって大きくなりますし、まあそれ自体は民間にとってプラスとはいえ、これ日銀当座預金先のみの恩恵な訳でして、短国市場を見ればお分かりの通り、日銀当座預金付利制度に直接アクセスできる人と出来ない人の差がさらに大きくなるのってどうなのよという問題もこれあり。
・・・・とまあつらつら考えますと、ここは付利しなくても良い法定準備預金を増やす、という訳の分からん荒業を使って付利対象日銀当座預金を減らすというのは如何でしょうかとかいう本末転倒な暴論を思いつくのは多くの変態が考えることかとw
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/reservereq/index.htm
準備預金制度における準備率
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/reservereq/junbi.htm
準備預金制度における準備率 公表データ
ご案内のようにこちらは1991年に最後の変更があって以来33年間眠りについているもの(一部マイナーチェンジがあったのは注釈の方をご覧ください)なのですが、これを一気に10倍にすればいま13兆円程度の法定準備預金が10倍になるので130兆円になりまして、日銀の利払いもだいぶ減るんじゃないでしょうか、とか無茶苦茶な理論を思いつくのはマニア界隈ではだいたい一度は考えると思いますが、まあそんなのはあるんですよね。
なんなら預金準備率50倍にしたら一気に昔のトン調節の世界に戻りますので、日銀は資金供給をバンバンできる、という頭のおかしい話になるのですがwwwwwww
https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000135
準備預金制度に関する法律(昭和三十二年法律第百三十五号)
『(準備率等の設定、変更又は廃止)
第四条 日本銀行は、通貨の調節を図るため必要があると認める場合には、準備率又は基準日等(指定勘定増加額に係る基準日又は基準期間をいう。以下同じ。)を設定し、変更し、又は廃止することができる。
2 前項の準備率は、百分の二十(第二条第三項第四号に該当する指定勘定に係る準備率については、
百分の百)をこえることができない。
3 日本銀行は、第一項の規定により準備率又は基準日等を設定し、又は変更しようとするときは、指定金融機関の前条の規定による預け金の保有に伴う負担を考慮しなければならない。』
居住者の外貨預金と非居住者預金(法令第二条第三項第四号)は100%まで設定できますが、それ以外は20%までしか設定できません、残念w
まあ準備率動かしたらナンジャソラと大騒ぎになりそうですけれども、何なら海外が準備率引き上げを調節テクニックじゃなくて引き締めと勘違いして(まあ無利息強制預金が拡大するんだから引き締めは引き締めみたいなもんだけど)円安も修正されるかもしれませんが如何なもんでございましょうか、
というのは冗談ですが、超過準備減額、すなわちバランスシートの縮小をやっていかないと今後の利上げで日銀の超過準備利払いがバンバン増える訳でして、まあバランスシートもっと勢いよく縮小しろというのが筋ではありますが、ちょっとこの付利問題も今後重い話になってくるんじゃないですかねえ、と思いました。
〇今更ですが国債投資家懇談会なのですが見ててちょっと思ったことを
この前のこれ
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/241127.html
国債投資家懇談会(第95回)議事要旨
・日時 令和6年11月27日(水)10:00〜11:25
・場所 財務省 第3特別会議室
・内容 令和7年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について
途中からの実質フリートークみたいなのの前振り部分なんですけどね。
『○理財局による説明の後、吉野直行座長より、出席者に対して以下のとおり質問があった。
・マイナス金利政策下で購入していた国債は、足元の金利上昇に伴い評価損が生じたとみているが、当時を振り返り、金利上昇リスクをヘッジするために有用な方法があったのか。
・これから徐々に金融政策が正常化することに伴い、預金や保険金、年金といった国債購入の原資にはどのような変化が生じ、その変化がどう影響を及ぼすと考えているか。
・今後、どのような年限の購入を検討しているか。既存の国債の他、新たなニーズが出ると思われる新商品のアイディアはあるか。』
2番目と3番目の質問はまあ良いんですけど、この1番目の質問が吉野先生イケてないにも程がある質問でございまして、いやそういうのを「事後諸葛亮」っていうんですよ当局サイドの席に座っている人がそれをやちゃあいかんでしょ、と思うのよ。
まあ吉野先生はそこまで強い意識は無かったと思うのですが、この手の事後諸葛亮ムーブによって後付けで怪しからんだの何だの言われてしょっ引く的なムーブをすると、民間の活動を思いっきり委縮する効果が出てしまうんで、いやマジでそういう言い方せんでもらえんですか、と思う訳です。
(なお「事後諸葛亮」はネットスラングですがもともとは中国のネットスラングだそうですワシも調べて知ったが汗)
なお皆さんの意見では基本的に吉野先生の質問をいなす形になっていまして、まあそらそうよという話になるのですが、
『・マイナス金利政策下で購入した債券の評価損の発生については、利上げ局面では仕方がないと思っている。当社はポートフォリオ自体を縮小し、利上げ局面においても評価損のコントロールを行っていたこともあり、損失額は想定の範囲内であった。』(たぶん銀行業態のお方)
とまあ「そら出るもんじゃろ」という回答をド直球でする方(まさにこの通りで、金利が上がると思うからと言って国債を全部ヘッジして金利上がらなかったらエライことになりますから)あれば、
『・マイナス金利政策下の投資行動の振り返りとして、当社はALMの観点から20年債と30年債を中心にある程度の額を買っており、20年債の金利が3〜0.4%まで下がった局面などではかなり購入を見合わせたものの多くの期間である程度平準的に買っていたところ。その後の金利上昇局面では、生命保険業界として緩やかな上昇であれば直ちに予定利率を上げることにはならず、むしろプラスだと考えている。評価損はあるが、他社と同様に株式やオルタナティブ資産、オープン外債等の売却益で相殺した上、ポートフォリオの改善のチャンスとして、利回りの低い債券から高いものに入れ替えている状況である。このため、金利上昇について当社として困っていない。』(たぶん生保業態のお方)
ということでそもそも調達運用を総合的に考えないといけないわけで、「マイナス金利時代に購入した国債の評価損ガー」みたいな質問をぶっこむ自体が物事の一面性しか見てませんよねっていうぶぶ漬け話法で返されていたり、
『・マイナス金利政策下での投資行動について、年金は運用が対インデックスとなるため、大きな問題と意識したことはない。一方、国内債券のリターンが下がっていく中で、残高増にはつながらなかった。一部、ヘッジ付き外国債券に移行する動きがみられたほか、リテール(投資信託)では、マイナス金利によって短期金融商品等を扱ったファンドをクローズするきっかけとなった。今後、金利がプラスとなる中でこれらの商品が復活してくることをポジティブに捉えている。』(たぶんアセマネ業態のお方)
そもそも論としてインデックス投資しているのに国債の含み損ガーとか言われても、というお話で返されたりしていて、まあ投資家懇談会だけに皆様戦闘力がお高めで大変結構なのですが、そもそも論として吉野先生ともあろうお方が(まあ議事要旨で変に丸めてしまっただけで単に「マイナス金利時代の投資のレビューを聞きたい」だけだったのかもしれないのでそこは留保しますが)とは思ってしまいました。
いやまあそれだけの雑談ではありまして、日米金融政策控えてただの雑談恐縮至極。
2024/12/16
お題「短観は普通に強いしオントラック/でも市場は短観に反応しないという悲しさ/短国3Mとかレポレートとかのメモ」
ほうほうそうですかそうですか
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 153.6JPY
変化 -0.06
変化% -0.04%
2024年12月16日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
木曜の朝までに160円オナシャス!
・・・・決定会合で利上げせず→会見で下手な両論併記→円安爆裂→日銀ションベンちびって1月利上げ、でもよくってよ♪
〇短観私家版チェック:まあ普通に強い結果ですよね
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2412.pdf
短 観(概要)―2024年12月―
第203回 全国企業短期経済観測調査
< 回 答 期 間 > 11月11日 〜 12月12日
12日まで回答で13日に公表ってよく考えたら凄いですね・・・・・
・業況判断DI:前回見通し対比で現状DIが上振れ、というのが今回も継続
(9月短観) (12月短観)
現状→12月予測 現状→3月予測
製造業大企業 +13→+14 +14→+13
製造業中堅企業 +8→+9 +11→+8
製造業中小企業 +0→+0 +1→+0
非製造業大企業 +34→+28 +33→+28
非製造業中堅企業 +23→+16 +22→+15
非製造業中小企業 +14→+11 +16→+8
(前回10/7に書いた駄文より)
今回ですけど、製造業大企業以外は「前回の見通し対比で現状DIが上振れ」だし、何なら非製造業がめちゃめちゃ強いですね、という感じですし、これ前々回も前回も見通し対比強い(前々回はそうは言ってもその前対比では下がっていたけど前回は上昇で今回も上昇)という流れでして、毎度毎度強いということで企業部門は強いし「オントラック」にも程がある世界。
(前回のコメントここまで)
ということでですね、今回なんですが、前回って先行き見通しDIが現状対比で固め(弱め)に出ているという状態でしたが、今回は前回の見通しをさくっと上回って(特に非製造業)強かった前回並み(なお前回も同じく「直前の先行き見通しよりも強い」状態)になっております。どう見てもオントラックです本当にありがとうございました。
・企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、と前回書いたがさらに堅調、と前回書いたがもっと堅調wwwww
販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 12月:3.2%→3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.8%
3年後 12月:3.8%→3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%→12月:4.2%
5年後 12月:4.3%→3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%→12月:4.9%
大 企 業 製 造 業
1年後 12月:3.0%→3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%→12月:2.2%
3年後 12月:3.0%→3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%→12月:3.2%
5年後 12月:3.1%→3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%→12月:3.4%
大 企 業 非製造業
1年後 12月:2.1%→3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.2%
3年後 12月:2.6%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%→12月:3.1%
5年後 12月:2.9%→3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%→12月:3.6%
(前回10/7に書いた駄文より)
前々回も強くて、前回強いじゃんってなっている訳ですが、これ円安修正になった今回の時間帯(8/27〜9/30)になるのですが、円安修正されても販売価格見通し碌すっぽ下がっとらんやんけ、何なら非製造業維持&プラスじゃんということで、企業部門の価格設定は強いでございますことよ、という感じですな。
(前回のコメントここまで)
とまあ9月短観の時にも下がらんどころかじゃんという話をしているのですが、12月になってさらに上がっている訳でして、まあ最近はちょっと価格改定調子に乗りすぎじゃねえかという気がせんでもないのですが、いやまあ何なんですかこれはというお話ではございます。
・企業の物価全般見通しですがこういうのは「インフレ期待が2%にアンカーされている」と言わんのか???(ってこれも毎回書いてる)
物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 12月:2.7%→3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%
3年後 12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%
5年後 12月:2.0%→3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%
中小企業 製 造 業
1年後 12月:3.1%→3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%→12月:2.6%
3年後 12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%→12月:2.5%
5年後 12月:2.4%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%
中小企業 非製造業
1年後 12月:2.8%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%→12月:2.6%
3年後 12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.5%
5年後 12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%
(3月短観時のコメントはこちら)
これさあ、もう完全に「安定期」に入ってるじゃんという話でして、これでなんで期待インフレがまだ2%に行ってない!とか言い切るわけあのハトハトチキンジジイは、というお話な訳ですけど・・・・・・・(ちなみにハトハトチキンちゃん頼みの物価連動国債のBEIが足元ツエツエ蠅なのは先ほど申し上げた通りですw)。
(ここまで3月短観時のコメント)
(でもって6月短観時のコメントはこちらでしてですね)
って3月短観の時にも書いた(というか上記小見出しがそもそも前回と同じw)のですが、これでなんでインフレ期待が2%じゃないって言い張っているのかが全く意味がわからなくて、この物価上昇局面で完璧なまでに外しまくってもうお前ら全員退場しろとしか言いようが無いESPフォーキャストとかいうポンコツサーベイ持ち出して説明するのいい加減止めてくれませんかねえ。
ちなみに物価連動国債のBEIはなんだか知らんけど月末月初の2日で突如下がってしまったのですが、それでも10年カレントで150とかなんで、たしかにまあ200じゃないけどこれが200行ってないから市場の織り込むインフレ期待が2%にアンカーされていないというのは話に無理があるんじゃねえのとは思いますけどね。
(6月短観時のコメントはここまで)
(9月短観時のコメントはこちらですな)
ということで今回ですが、もうこれどこからどう見ても「企業のインフレ期待は2%でアンカーされている」としか言いようが無い筈なんですけれども、なんでいつまでたっても物価行ってないって話になるのやら、という感じであります。なお物価連動国債ちゃんのBEIは株式市場がウニョウニョしているせいなのか、はたまた海外のインフレ鎮静化モードのせいなのか知らんですけれども、10年カレントBEIで直近120近辺になっているんですよね〜。
(9月短観時のコメントはここまで)
とまあ今年のコメントを並べてみましたが、どっからどう見たってこれ「企業のインフレ期待は2%でアンカー」以外に何を言えという話(ちなみに物国BEIは10年カレントで直近は140近辺ですな)になっている訳でして、そもそも論として何を持ち出せば「インフレ期待がまだ2%に届いていない」とか言えるのか、というのを日銀は真面目に示すべきではないか、と斯様思う訳です。マジでいい加減にしろ。
・販売価格判断:今回はおおむね前回と横ばい推移ですね
(9月短観) (12月短観)
現状→12月予測 現状→3月予測
製造業大企業 +26→+26 +25→+24
製造業中小企業 +29→+32 +29→+34
非製造業大企業 +29→+29 +29→+31
非製造業中小企業 +28→+29 +27→+31
・仕入価格判断
(9月短観) (12月短観)
現状→12月予測 現状→3月予測
製造業大企業 +41→+39 +39→+37
製造業中小企業 +57→+56 +58→+58
非製造業大企業 +46→+44 +44→+44
非製造業中小企業 +53→+55 +53→+56
(10/7に書いたコメントです)
今回って販売価格判断が前回比下がっているのですが、仕入価格判断はそれ以上に下がっているので、結局のところ強いじゃんというお話に見えます。つまり結局強いということで。
(9月短観時のコメントここまで)
でもって今回なのですが、基本的に前回予測値横ばいないし若干弱めですが、水準自体そんなに下がっている訳でもなくて、こういうのは総じて横ばい、すなわち高止まりってことになるんとチャイマスカとは思いました。
・雇用判断DI:前回はその前並みから若干強かったのですが今回はおおむね前回並みで見通しほどは一段の引き締まりなし
(9月短観) (12月短観)
現状→12月予測 現状→3月予測
製造業大企業 ▲19→▲22 ▲18→▲21
製造業中堅企業 ▲23→▲28 ▲24→▲27
製造業中小企業 ▲23→▲30 ▲24→▲31
非製造業大企業 ▲39→▲39 ▲39→▲39
非製造業中堅企業 ▲45→▲48 ▲46→▲50
非製造業中小企業 ▲47→▲52 ▲46→▲49
(10/7に書いたコメントです)
などと6月短観の時に書きましたが、今回は普通に前回対比強い(マイナスが大きい)ということで、雇用判断DIは強いってえことでよろしいかと思います。
(9月短観時のコメントここまで)
雇用判断DIに関してはだいたい新卒採用後の6月短観が若干弱めに出るようですな。前回は6月対比強く出ていましたが、今回は「想定ほどに雇用判断は(一層の)タイト化はしませんでした」という結果ではありますが、ゆうて前回対比全般的には横ばい圏内で強いのは強いという感じかしら。
・その他1(為替レート設備投資計画)
想定為替レート
(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)
2024年度 米ドル円
2024年3月調査:通期 141.42 上期 141.60 下期 141.25
2024年6月調査:通期 144.77 上期 144.96 下期 144.59
2024年9月調査:通期 145.15 上期 146.00 下期 144.31
2024年12月調査:通期 146.88 上期 147.61 下期 146.15
結局今年は念を通じて9月短観でもまあ普通に円安が前回対比で進んでしますね。
設備投資計画
・・・・・はグラフの方を見る話になるのでこっちには貼れない(スキルがない)のですが、製造業はいつものしょんぼり曲線になってきた感じがしますが、非製造業強いですよね〜という感じで。
・その他2(短観を見て書いたコメントを恥を忍んで過去2回分大公開wwwww)
(6月短観時のコメント(7/2に書いた)から)
アタクシこのへんただ門前の小僧としてみているだけなのであれなんですけど、この数字だと強いには強いのでしょうけれども、政策修正慎重派の腰をあげさせるほど強いのかというと、「企業部門が強い」ってのはそもそも論としてメインシナリオのど真ん中に鎮座している話だと思われますので、そういう意味ではただの「見通し通りに推移しておりますなあ」だけで短観一発で7月利上げまでセットで打ち込んでくださるのはちょっと力不足かなとは思ったのですがどうでしょうか。
まあその前に円安がちまちまと進行しておられる次第なのでそっちのせいで云々というのは大有りだし、何なら神田大明神最後のご奉公でちょっとハトハトチキンをシバキ上げて輪番大減額と0.25%への利上げを飲ませてから退任していただけると誠にありがたいのですがwww
(6月短観時のコメント(7/2に書いた)ここまで)
(ここから9月短観時のコメント(10/7に書いた)から)
って自分で書いているのが中々恥ずかしい(金融政策の読み筋が外れているから)のですが、まあこの時は正直7月利上げまで行くとは思っていなくて精々7月予告ホームラン9月利上げで見ていたのですが、折から円安がバンバン進行して(6月終わりに160円突破した)このまま決定会合まで持つんでしょうか、って感じになってきていた時ですよね。
でまあ今回ですけれども、短観が全体的にクソ強いわけでして、少なくとも企業部門に関して言えばオントラックもオントラックで、こんなに順調に推移しているんだったら金融緩和の度合いを調整しない方がおかしいわ、という世界になるわけですな。
今月の決定会合は総選挙の結果が出た直後に近いタイミングだし米国大統領選挙もありますから動けん、というのはまあ理解するんですけど(本来はそんなの関係ないんですけどね)、この流れですと10月会合でまたまた12月1月に向けて威勢の良いこと言い出しそうだし、円安も進んでいるから決定会合の時の位置次第では円安牽制もかねてかなり威勢の良いことを言っても不思議ではない、ということになってしまいました。じゃあそうなるかと言いますと、7月会合で威勢の良い発言→8月頭に火消というよりも逆方向に思いっきり舵を切る株式市場従属宣言→8月後半は直前の株式降参を中和気味に推移→9月決定会合で思いっきりハトハトに舵を切る→10月会合では・・・・、ということで、10月会合で今度は普通に12月1月とかに政策調整をするのを排除しないみたいな話をおっぱじめると、また日銀はブレた、と見なされてしまって市場との対話が成立しなくなる(今でもかなり成立していないけど)のですが、まあ「丁寧な説明」とやらを見せて貰おうじゃないの、といったところで楽しみにしております。
12月短観は12月の半ばに出てくるのですが、12月短観も強かったらまさに12月1月なんもしない言い訳どうするのという話だし、オントラックなら政策調整って言ってるんだからそもそも論として10月だって政策修正しない理由は何なんですかってな話になるんですよね、さて12月短観の時にこの駄コメントを見てどういう思いになるのでしょうかアタクシはw
(ここまで9月短観時のコメント(10/7に書いた)から)
・・・・・ということで過去のアタクシの駄コメントを再掲してみたわけですが、この中でワイ「10月会合で今度は普通に12月1月とかに政策調整をするのを排除しないみたいな話をおっぱじめると、また日銀はブレた、と見なされてしまって市場との対話が成立しなくなる(今でもかなり成立していないけど)のですが、まあ「丁寧な説明」とやらを見せて貰おうじゃないの、といったところで楽しみにしております。」(10/7に書いた)ってのが中々いい感じになっていまして実に残念無念と言った風情でありますな、アイヤー。
でもって次のところで悪態つきますけど、今回の短観ってごくごく普通に強いのですが、これを見て普通は12月だって利上げしてもおかしくないし1月利上げ待ったなし、という感じになって然るべきなのですが、先週バシバシと打ち込まれた12月利上げ火消どころか否定の大本営的屁理屈が、1月だって利上げ出来ないんじゃねえのその理屈持ち出すと、という感じになっているもんだからまるっきり市場が反応しない、という嘆かわしい状態になっている訳で、このようなアホアホコミュニケーションを「丁寧な説明」と思ってやっている大本営は唯一ネ申又吉イエスによって地獄の火の中に投げ込まれるべきではなかろうか、という思いまで湧いてくる金曜の市場ではございましたという所でまあそんな感じですわ。
〇この短観で市場が全然反応しない時点で「ファクトベースの金融政策運営」への信認がない事が示されるという悪態
金曜の債券市場コメントをいつものようにロイターさんから
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/3EMOMH25AVNYBJDEGTU33PHWPM-2024-12-13/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利1.04% 日銀利上げ観測後退で中期債の金利低下
By ロイター編集
2024年12月13日午後 3:39 GMT+9
『[東京 13日 ロイター] - <15:15> 国債先物は続伸、長期金利1.04% 日銀利上げ観測後退で中期債の金利低下』
『国債先物中心限月3月限は、前営業日12銭高の142円57銭と続伸して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5bp低下の1.040%。早期の日銀の追加利上げ観測の後退を背景に現物市場では中期ゾーンの金利が低下。その流れが波及し、国債先物は買いが優勢となった。』
『朝方の国債先物は売りが先行。前日の米長期金利の上昇の流れを引き継いで始まった。その後は12月の日銀の追加利上げ観測の後退を背景に、先物はじりじりとプラス圏に浮上した。』(以上上記URL先より)
ということでですね、別にこの短観で12月利上げ確定って話じゃないのはそりゃまあそうなんですけれども、何ぼなんでも「利上げ観測後退で中期債の金利低下」ってムーブになるのはどっからどうみても短観を丸無視してるだろお前ら、ということで嘆かわしいにも程があるわけですよ。
先般来申し上げていますが、11月末の植田総裁のアホアホインタビューが出る前ってのは珍しくもちゃんと経済指標に反応して債券市場動いたりしている感じが見受けられていた訳でして、それを全部ぶち壊してしまって、結局「日銀のお気持ち表明」に全集中という世界に戻ってしまった、というのが金曜の相場に如実に示されている訳ですな。
まあアホアホインタビューは「あのタイミングで両論併記を出すこと自体が「見たいものを見る」市場を加速させるだけ」ということに気が付いていないという絶望的なセンスの無さによる産物なので、まあそれは下手糞という事でまだ救いがあるかもしれません(無いような気がするけどw)が、その後に出てきた「日銀のお気持ち表明関連記事」がどう見てもクソコミュニケーションで、お前ら未だにYCCやってる気分なのかよエエカゲンにせえや、というお話でもあるのですが、まあアタクシの悪態よりも中村審議委員の広島金懇会見でのこの言葉をかみしめるべきですな、とまあ思うのです。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241206a.pdf
『もともと 3 月のときも、それから 7 月のときも確かに反対とは申し上げたんだけれども、利上げをすることに反対とは言っていません。利上げの仕方に対して反対をしたということです。』
『データをきちんと確認して、あと一月待てば実績が出ましたねという、その確認をしてから上げるので十分良いのではないかと。』
『その方がマーケットプレーヤーも含めて、日本銀行の政策変更に対する憶測ばかりが先行してしまって、実態を示す経済データ、ファクトに対する関心が衰えてしまうのは良くないということで申し上げたので、』(以上直上URL先、中村審議委員12/5広島金懇会見の7ページより中村委員の発言抜粋)
何度もしつこく申し上げておりますが、経済データやファクトに対する関心を衰えさせているのは日銀大本営のYCCやってるつもりなのかな「自称丁寧なコミュニケーション」であるのは今回の一連の流れで明らかだし、その結果が今回の強い短観を受けているのに中期債中心に金利が下がるという真逆の反応を示す債券市場、という動きな訳で、悲しさが止まらない金曜日なのでありましたとさ。
〇3M新発短国は前回よりも若干強かったのですが引値はテールよりも甘くされていますね
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241213.htm
国庫短期証券(第1275回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1275回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1275回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年12月16日
4.償還期限 令和7年3月24日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆6,148億円
(2)募入決定額 3兆2,499億6,000万円
(3)募入最低価格 99円95銭8厘5毛
(募入最高利回り) (0.1546%)
(4)募入最低価格における案分比率 95.3191%
(5)募入平均価格 99円96銭1厘0毛
(募入平均利回り) (0.1453%)』
とまあそういう結果になっておりまして、1275の木曜売参ベースのWI引けが。
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表
(12/12引値)
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.155
ということで、前週金曜の3M新発1273が同じく前日のWI引けが0.155%で入札を迎えて、落札結果が0.1475/0.1583だったので、ほんのちょっと強い結果(アベで6毛、足切りで1厘)になりましたぞなという結果(テナーは同じ)になりまして、お前らこの銘柄1週間前週のよりも後ろなんだからちったあレート上がれやと思うのですが、そんなものは今の短国市場には存在しない概念らしいので致し方なし。
でもって金曜の引けですけれども、
(12/13引値)
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.160
ということでですが、実はこれ前週の1273の場合は(その前の1272もそうだったのですが)入札自体はWIよりもちょっと甘いところ(気持ち程度ですが)まで流れるもセカンダリーでは持ち直して、1273だと入札日の引けは平均値単利で0.145%になっていまして、アベくらい(若干強い)のところに戻っている、という動きだったのですが、今回の新発は売参ベースの引けがテールよりも甘くなっていまして、おおこれはちゃんと段差が付いてるじゃんという風情になっているのがほほーと思いました。
ちなみにその周辺銘柄の引けですけれども、
(12/12引値)
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.145
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.155
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.155
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.195
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.195
(12/13引値)
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.155
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.155
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.160
国庫短期証券1277 2025/03/31 平均値単利 0.160←今週金曜入札(年内最後)の3MWI
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.190
国庫短期証券1226 2025/04/21 平均値単利 0.190
ということで、3Mとその先に謎の段差(まあ謎でも何でもなくてこれは3M新発を境にして短国の需給が変わるんですが、「3Mまで限定」みたいなニーズが(そらまあ6Mはともかく1年とかになるとそれなりに長いですからね)お家の事情で存在する、的な一種の制度要因みたいなのがある)のはあるのですが、3M新発が5糸甘く修正されて、後ろが5糸強く修正されるとかそういうプレイになっておられますな。
ちなみに今週は水曜(決定会合1日目・・・)に1年で金曜(決定会合翌日wwwww)に3Mがあって、3Mは2025/03/31という(月曜だからしゃあないけど)期末当日に償還が来るという再投資どうするんじゃろ銘柄が入札になりますが、まあ折り返しの時には短国増発されている筈だから再投資は何とかなるんじゃないでしょうか(全く根拠のない妄想です)、知らんけど。
〇先週の東京レポレートは短いところが確りで推移して長いタームの金利上昇が止まってましたな
ということで先週の動きをメモっておく
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m
6m 1Y
2024/12/6 0.245 0.244 0.214 0.220 0.237 0.262 0.346 0.390 0.472
2024/12/9 0.243 0.240 0.219 0.234 0.246 0.264 0.346 0.391 0.475
2024/12/10 0.243 0.247 0.226 0.237 0.246 0.254 0.348 0.391 0.480
2024/12/11 0.248 0.248 0.229 0.238 0.247 0.254 0.349 0.391 0.480
2024/12/12 0.237 0.243 0.231 0.238 0.242 0.249 0.350 0.394 0.486
2024/12/13 0.242 0.247 0.231 0.237 0.239 0.246 0.350 0.394 0.488
いつもの奴ですが、先々週は例の日経インタビューの余波で(というのもありますが、その前の段階から強めの経済指標を見て10月末に0.330%だった1年GCレートリファレンスが11月末には0.450%まで上昇していましたのでその流れもある)0.45%→0.47%みたいな感じで上昇しましt、まあ今週も何となくは金利上がっていますが、そうは言いましてもその前の上げからは一服したって感じなんでしょうか、よくわからんですけれども。
でもって足元のオーバーナイトとかトモネとかそっちの方が割としっかりとした推移が続いていまして、先月末のところで突如下がったのは何だったのかというお話ではあるのですが、結果から見ると「月末だからお家の事情」要因でレートがさがる、すなわち資金調達(債券出し)サイドの月末なのでお家の事情要因ということではあると思うのですが、これ四半期末あんど年末で、しかもオーバーナイトなのに1週間物、という12/30-1/6はどういう事になるんじゃろ、って思う所ではございまする。
とまあそんなところで(ECBはどうしたというツッコミはしないように)
2024/12/13
お題「事前報道乱れ打ちのクソコミュニケーション・・・・/ECBは物価はマンデートをほぼ決め打ちして経済次第に完全シフトですね」
13日の金曜日ェ・・・・・・・・
〇もうやだこのコミュニケーション(日銀大本営って何でこう下手糞なのかと)
昨日の「関係筋」はロイターさんから来ました(なおMNIでも出てたんですがあれは有料会員じゃないと見れない記事なので内容は知らん)
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/24LJG2MELZK23HDTY7X376I3MY-2024-12-12/
日銀、利上げ見送り論強まる 直前まで情勢見極め=12月会合で関係筋
By 和田崇彦
2024年12月12日午後 2:34 GMT+9
『[東京 12日 ロイター] - 日銀内で追加利上げを急ぐ必要はないとの認識が広がっている。』(上記URL先より、以下同様)
急ぐも糞も物価情勢対比で今の政策金利頭おかしいんだから急ぐも急がないもないんですけどねえ。
『関係筋によると、18―19日の金融政策決定会合で足元の経済・物価情勢がオントラックであることを確認しつつ、海外経済や賃上げ動向をもう少し見極めた上で利上げしても問題ないとの声がある。一方、12月会合での利上げを排除すべきでないとの声もあり、日銀短観や米連邦公開市場委員会(FOMC)、市場動向を見ながら最終的に判断するとみられる。』
マジで「FOMCで円安に振れたら日銀は利上げ」という「当日の市場を見て判断」とかいう前代未聞(もちろん連中の事ですから小理屈を捏ねてそんなことは無いと言い張りますけど)の政策アクションが期待できるかもしれませんが、記事の途中にまた聞き捨てならない日銀心の俳句があるのよ、つまりですね・・・・・・
『日銀では、実質金利が非常に低い割に経済も物価も浮揚感に乏しく、中立金利は1%に届かないのではないかとの声も出始めている。利上げを急ぐ必要はなく、タイミングは慎重に選ぶべきだとの声が強まっている。』
この点って実は重大なポイントでして、こちとら1980年代後半の資産バブルの時は普通に物事の判断ができる学生あるいは社会人、という設定でありますので普通に分かるわけですが、あの時って資産価格(特に不動産)がキチガイのように値上がりする中(最後の89年とか確か半年で4割高とかやってなかったっけ)で、物価ってそんなに上がっていなかった(今から見たら上昇率高いですがその前の70年代インフレ経験からしたら低位安定にも程がある推移)んですよね。
でまあ最後にさすがにCPIも上がりだして「物価も上がりだしましたので金融引き締め」とかいう名目で引き締めしたけど時すでにお寿司だったのは歴史が示す通りでして、「物価が上がっていないから今の金融緩和を引っ張っても問題ない」というのは、日銀の戦後最大の大失態だったお話で、現に資産価格って、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB138VX0T11C24A1000000/
マンション価格、年収の10倍超える 東京は18倍に
商品ニュース
2024年12月12日 2:00 [会員限定記事]
ってこんなセクシーなことになっておられるわけでして、こんなんどうみても利上げ遅すぎで、お前らは1980年代末の資産価格バブルとその崩壊をもう1回やる気なのかという話でございますが何言ってるんだお前はって話でちょっとこの声出してる連中ツラ出せやこの野郎という所ではございますな、マッタクモウ。
昨日の「物価上昇が加速しないようだから緩和を引っ張れる」もそうですし、より重大な「CPIが上がっていないから(他の事はどうでもよくて)緩和引っ張れる」みたいな話をしているのって、まあ日銀大本営のいつもの「利上げをしないためにその場で都合の良い屁理屈を繰り出す」の一環ではあるのですが、どんどん言ってる屁理屈が危険なものになってきていまして(まあ既に「賃金と物価の好循環」とかいう屁理屈を捏ねた結果世間に幻想的な期待を振りまいてしまっている、という事案があるのですが)、いやお前ら何やってるんだよと思いました。
まあアレです、記事の続きに戻りますと、
『政府サイドからは、景気に配慮した金融政策運営を求める声が出ている。ある政府関係者は個人的な考えとしたうえで「景気がもう少し回復するまで金利は上げないでもらいたい」と話す。一方、別の政府関係者は「今の経済情勢やマーケットの状況をみて日銀が判断すること」と述べる。
和田崇彦 取材協力:木原麗花、竹本能文、杉山健太郎 編集:石田仁志』(最初のURL先のロイター記事より)
まあどうせ「物価高は怪しからん」と言いながら「日銀は利上げするな」とかいう馬鹿のホームラン王みたいな事ばっかり言ってる馬鹿政治家とか馬鹿経済評論家とか馬鹿メディアにビビってるから利上げできないんでしょ(なので円安にぶっ飛ぶと利上げができるしぶっ飛ばないと利上げができない)というのが大変に分かりやすい訳で、昨日のBBGでの「物価が急上昇する恐れはほとんどないので利上げを急がない」とか、この「CPIがそんなに上がってこない(十分上がっているけど)から中立金利も低いので利上げを急がない」とか、まあ利上げしない理由を並べ立てている時点で12月って余程追い込まれない限りやらんというつもりなのでしょうけれども、この理屈だと3月4月に利上げを引っ張ることも十分に可能ですので、そういう思惑になってきて為替がぶっ飛ぶと利上げが早まる、という謎の計算式になっておりまして、まあ為替市場の皆様におかれましてはバンバンドル買い円売りを繰り広げていただきたくよろしくお願いしますwwwwww
しかしまあ何ですな、先日ネタにした中村審議委員の「データを見て判断」の話ですえど、実は11月末の日経インタビューが出る前って結構経済指標(東京CPIとか)見ながら「やっぱりオントラックじゃんこれだと国内情勢で考えたら利上げをしない理由の方が難しいよね」というのと「でもまあ1月の展望レポートまで待つんじゃないの」というのがまあ普通に拮抗していて、わりとこう「経済指標見ながら利上げの可能性を前倒しするかしないか」みたいな感じで動いていたと思うのですよね。
然るに、そういう健全化しそうな流れを見事にぶちこわしたのがセンス皆無の11月末の日経インタビューで、「この時期にわざわざメディアでインタビューを受ける」という行為自体が何らかの強い意図をしめすもの、と市場が受け取るのは猫でもわかる話なのに、そこで全力で両論併記するもんだから早期利上げ派が勢いづいてしまって、そこから火消したり火点けしたり火消したりでもう無茶苦茶になってしまって、肝心の経済データではなくて日銀の「関係者発言」ばっかりがネタになるといういつものクソコミュニケーションに堕落してしまっている訳で、嘆かわしいにも程があるお話ではあります。
ま、市場追随(だいたい為替、たまに株価)と政治やら政府方面から怒られたくない、という2点がポイントだと思ってこの人たちの行動を考えれは実は割とシンプルに動いているのであって、「基調的物価」だの「賃金と物価の好循環」だの「目標達成に向けた確信度」などといような体裁取り繕うための屁理屈を真面目に見てしまうから話が混乱するわけでして、あれは全部「やろうとしている政策から屁理屈を逆算しているだけで、別にこいつら通貨の安定も国民厚生の向上もなんも考えてない」と思えば割とわかりやすいんじゃないかと思います。って本職の何とかストとか市場の皆さんとかに言われるようになったら日銀もおしマイケルなので、まあそういわれることの無いようにちゃんと「きちんとデータをみてファクトに基づいて意思決定をしたい(中村審議委員の12月5日の広島金懇会見での発言より)」という政策決定をしていただければよろしいかと存じます。ああこのパラグラフでの見立てはあくまでも仮の話ですからその辺はよろしくお願いいたしたく存じますあっはっは。
〇ECB利下げは「経済思ったより弱いし物価はマンデート通りだし」ですね
いつもの奴をとりあえず見ておきますね
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_december.en.html
Our monetary policy statement at a glance - December 2024
前回はこちら
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_october.en.html
・今回も「経済が想定以上に弱い」が利下げの理由ということでまあ理由は明快
最初のイラストです
『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(今回)
『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(前回)
連続利下げなので小見出しは同じですが、
『We did this because inflation is coming close to our 2% target and the
economy is weakening. Our future decisions will depend on how we see the
economy and inflation developing.』(今回)
『We can do this because inflation is coming down faster than expected
towards our 2% target and also the economy is weaker. Our future decisions
will depend on how we see the economy and inflation shaping up.』(前回)
ということでですね、前回は「おもったよりも物価が2%目標に向かって早く進展している上に経済がより弱まっている」でしたけれども、今回は「物価は目標2%に近くなっていて。経済がより弱まっている」になっているので、もはや物価抑制のための引き締めは不要、という話になっている(まあほぼ前回の段階でもそうですが、今回は思いっきり「マンデート達成」という話になっておりますわな)ので、あとは経済状況ですよね、という話なので、経済弱けりゃ中立以下への引き下げもあるで、という話ですが、まあこの辺りに関しては既にそういう話をECBの要人からはホイホイと出されているので、それ自体に新味はないと思うのですが、物価がマンデート達成に極めて近いという形で物価は安定したから経済一本足打法になった、というのが明示されたのが特色。
なおこちらのイラストは階段降りてるものなので特に意味合いがこもってはいないと思います。
・経済は「雨ザンザン」から少しはイラスト的にはマシになったけど
『The economy is recovering more slowly than we expected』(今回)
『The economy is doing worse than expected』(前回)
前回は雨がザンザン降る中でスマートフォンの天気予報情報を見るとこの先に行くと今後雨がやんで3つ先(3四半期先、の判じ物ですかね)のお天気で日が差してくるという中々わかりやすいイラストでした。
でもって今回ですが、前回よりは絵柄の暗さ(基本青色で青色の調色で絵柄の明るさを調整していますけど)がマシになっていて、なんかイラストは割と謎なんですけれども、外は雨が降っていて「ありゃーまだ雨ですか」みたいな絵なので、これまた上記の小見出しに整合的ですな。
『People are not buying as many goods and services. Firms are also holding
back investments. Some industries find it difficult to compete with the
rest of the world. But over time, the economy should get stronger.』(今回)
『Manufacturing and exports are weak. Firms are not investing much. But
services have been doing a bit better, thanks to a good summer tourism
season.』(前回)
文章も前回よりは先行きに希望のあるような言い方になっていますな(But over
time, the economy should get stronger.)。ただまあこう言っているだけに思ったほど回復が進まなければまた利下げじゃ、というのも含めているということでもあります。
・消費がでませんなあという話が引っ込んでいるのでまあ状況改善は改善なんでしょうかね
『Wages are going up, but by less than before』(今回)
『People are saving more of their money instead of spending it』(前回)
前回は善男善女(かどうかは知らんが)が銀行に貯金に並ぶという絵面になっていましたが、今回はお賃金の交渉をしている絵になっていまして、少しはマシなのかと思いきや絵の後ろにある矢印がジグザグしながら最後は下向きかよ。って感じですが、まあ欧州の場合は賃金が上がりすぎて物価と賃金の「悪循環」が起きていたので、これはたぶんECBの文脈的には「望ましくない高インフレを伴わない程度の賃金上昇におちついておる」という話なので結構なお話だという事なんじゃなかろうかとは思うのだがその辺は総裁会見などを見たほうがよいかも。
『Many people are in work and new jobs are still being created. But firms are posting fewer vacancies.』(今回)
『Even though many people have more money to spend, they are preferring to put it aside, even more so than before the pandemic.』(前回)
なんか前回のはエライしょんぼりした内容でしたので今回は改善しとるんとチャイマスカね。
・物価に関しては「2%で安定していきます」を明確に示す
『Inflation is gradually on its way down』(今回)
『Inflation is the lowest it has been in years』(前回)
前回はちょうどHCIPがドドーンと下がった(9月に2%割れ)時期だったのでイラスト的には大きく下がってまた戻る、でしたけれども今回はその後2%回復して上がっているので、素直に紙飛行機が2%近辺で安定飛行しているというECB的に美しい絵になっていますね。
『Some services are still getting more expensive, as a late response to
the high inflation of the past. In the coming months inflation may go up
and down a bit. But overall, we expect it to soon settle at around our
2% target.』(今回)
『Energy prices, especially, have come down a lot. Inflation will likely
go up in the coming months but is expected to return to our 2% target in
2025.』(前回)
まだちょっと留保が入っていますが、ただまあ絵面からしても2%程度での安定について自信ニキという感じだと思います。
というところで今朝は勘弁。
2024/12/12
お題「何で毎日「コミュニケーション」してますねん/貸増とか特会借入とか」
米国CPIちゃん・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 152.6 JPY
変化 0.64
変化% +0.42%
2024年12月12日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
それはそうとイエレン財務長官がこんなことをw
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/KQYTLQGNCVKNFFHRJLKDSBEM4Q-2024-12-11/
米、為替操作に「強力に反応」 ドルの地位に脅威なし=財務長官
By ロイター編集
2024年12月12日午前 2:26 GMT+9
『[ワシントン 11日 ロイター] - イエレン米財務長官は11日、競争上の優位性を得るために他国による自国通貨操作の動きが見られれば、米国は「強力に反応する」と表明した。ただ、現時点ではそうした市場介入は行われていないと述べた。』(上記URL先より)
うーんでもこれならジャパンのドル売り介入は「通貨防衛のため」と言えば許してくれるかもしれませんね(ニッコリ)。
〇貸増(減りました)とか1年特会借入(レートに味わいあり)とか
・貸増ちょっと減りましたが
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope241211a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2024年12月実施分)
『今回の貸付の概要
貸付予定額 33,838億円
貸付先数 24先』
・・・・・ほうほう。
何せこの貸増ちゃん、前回の9月は
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope240911a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2024年9月実施分)
『今回の貸付の概要
貸付予定額 121,454億円
貸付先数 23先』
ということで、お前らこれもう固定金利じゃねえんだぞ期中の当預付利と同レートで借入をするいみあるんかい、という結果ではありましたが、何はともあれ12兆円も出やがったのでナンジャソラ状態でしたが、今回は3兆円強になりましたな。
今回のは折り返しの元が
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/rel201012b.pdf
貸出増加支援資金供給(2020 年 12 月実施分)の実施スケジュール
『貸付日 2020 年 12 月 15 日
返済期日 2024 年 12 月 13 日』
だったのですが、こちらの残高は
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/rel201211b.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2020 年 12 月実施分)
『今回の貸付の概要
貸付予定額 54,701 億円
貸付先数 49 先』
となっていましたので、一応今回は減ったには減ったのですが、さっきのURL先にありますように、そもそも論としてまだこの貸増77兆円も残高がありやがりまして、前回が78兆円なので結局1兆程度しか減っていないというこの積み上がりよ、という感じです。
もともと金融緩和を強化する措置として実施しているのですから金融緩和を縮小する段階においては貸増も廃止の方向にもっていくのが理屈として妥当な訳で、とっとと止めやがれと言いたいのですが、もはや既得権益の如く生き残っている訳ですな。
まあ一事が万事なのですが、金融緩和を拡大するときに何でもかんでもぶっこむのは脳を空にすれば難しい話ではないのですが、責任ある政策担当者というのはちゃんと将来のことまで考えて設計しろという話でして、金融政策も然りですけれども、極端に現状に最適化しすぎて環境変化が起きたときに何もできなくなる、というのは世の中で色々と転がっているかと思うのですが、日銀とかいう最高の頭脳を集めた叡智の塊みたいな集団で今こうなっているというのがもうジャパンクオリティなんだろうなあと悲しくなります。
まあしかしこれマジで何でこんなもん今更やってるんだと思うのですが、ついこの前多角的レビューシリーズでこんなもんが出てやがってまして、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j19.htm
貸出増加支援資金供給が貸出残高に及ぼした影響
お手盛り分析でお手盛り結果出している毎度の物件ですが、貸増もこうやって効果があったことにされていまして、効果があったのはさておき、このオペによって担保需要を高めた結果、金融市場における価格形成に弊害が起きていないのか、というような話はどうせ書いていない(読むのもおぞましいので読んでない)訳でして、まあこんなのが出てくるくらいですから貸増止める気ないな、というのは伝わりました。
・特会借入は1月利上げで考えると次の利上げは7月をやや織り込んでおられるようです
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/energy-result241210.htm
エネルギー対策特別会計の借入金の入札結果
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第13条第1項
2.借入日 令和6年12月20日
3.償還期限 令和7年12月22日
4.償還方法 令和7年12月22日に一括償還
5.応募額 3兆1,367億円
6.募入決定額 7,430億円
7.募入最高利率 0.550%
8.募入最高利率における案分比率 30.0000%
9.募入平均利率 0.541%』
滅茶苦茶雑な計算になりますけど、1月利上げとして考えますと、7月会合までの適用金利が0.50%、手前が0.25%だとするとだいたい0.46%が換算レートになるんですな。ということでそれを前提にしますと、7月会合で利上げ(8/1適用)だと思って計算すると、インプライドの8/1〜12/22の金利って0.69%になるんですな、うんうん。(全部足切り基準で計算してます)
ちなみに9月会合で利上げ(9/22適用)だと思って計算するとインプライドの9/22〜12/22の金利が0.82%になるので、この特会利回りは1月に利上げだと思って計算した場合には来年9月の利上げは織り込んだレートになっている、という計算になると思います、アタクシの計算間違ってたらゴメンやでなんですけど。
まあそれ以前の問題として先週の交付税特会6Mが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241204.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果
12/13〜6/13で0.484%/0.500%になっていて、12月利上げをバチクソ織り込んだレートになっているので、12月利上げを起点にするとさっきのもだいぶ話が変わって来て、12月に利上げだとさっきのはスタートから0.50%になりますのでその分違うんですな。
でまあ12月利上げ前提で計算すると、さっきの特会1年の0.550%ってのは9月会合で分解すると後半の金利が0.72%、7月会合で分解すると後半の金利が0.63%になるので、特会6Mが手前の利上げを織り込ませるようなレートに対しては穏当なレートになっている感じがします。
こっちの1年特会の方が募集額が少ないという影響はあるのかもしれませんけれども、同じ特会でも1年はちょっとレート低めかいなというイメージを受けました。
〇でたな「関係者」ニュースwwwww(BBG報道)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-11/SO24P9T0AFB400
日銀は利上げ急がず、今月見送りでも物価加速リスク小さい−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年12月11日 18:11 JST 更新日時 2024年12月11日 19:34 JST
→経済・物価想定通りが共通認識、利上げは時間の問題になりつつある
→データや為替次第で12月利上げも排除せず、提案あれば賛成の委員も
・・・・・などという感じで題名がハト、最初のリードがタカ、という両論併記するなやヴォケという記事ですが、人騒がせにも程があるのでこの記事のヘッドラインが出た瞬間ご丁寧にも最初の方でタカヘッドラインが出てきて、その後ハトヘッドラインが出てきまして、円債はもう「またBBGの関係者か」で流していたと思う(そもそもイブニングセッションだし)のですが、ドル円市場ちゃんの方が見事に反応して瞬間円高に飛んでそのあと円安に飛んで、結局円安になる、という事態になっていました。
『日本銀行は、消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっている中で、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識している。もっとも、今後公表されるデータや為替相場の動向次第では、来週の金融政策決定会合での実施の可能性もあるという。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
まあ関係者ってのが日銀の出入り業者のオッサンとかだったら如何ともしがたいのですが、中の人も大概にこの手の取材対応について決定会合近い時には何か考えた方がエエンチャウノという気はだいぶしてきますけれどもこのようにホイホイとニュース流されてしまいますと・・・・・・
『関係者によると、賃上げコストを価格転嫁する動きに広がりが見られているが、引き続き物価上昇が加速する状況ではないと日銀はみている。トランプ次期米大統領の就任を来年1月に控え、具体的政策と世界経済への影響を含めた不確実性は大きく、1月以降に利上げを先送りした場合も大きなコストは伴わないとの認識という。』
でまあそもそも論としてここにツッコミどこがあるんですよ、つまり
>引き続き物価上昇が加速する状況ではない
>引き続き物価上昇が加速する状況ではない
>引き続き物価上昇が加速する状況ではない
さてここで先般出ていた展望レポートのハイライトを見てみましょう
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202410.htm
展望レポート・ハイライト(2024年10月)
経済・物価情勢の展望
『物価は来年度以降2%程度で推移する
消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。』(この部分直上URL先の「展望レポートハイライト2024年10月」より)
こちらのイラストを見ますと、どこからどう見ても物価の見通しは「2%に向かってスカイダイビングしていたのが無事に着陸します」って図になっている訳でして、つまりはお前らの見通しというのは「物価は2%に向かって上昇が鎮静化する」という見通しな訳ですよ。
しかるに「引き続き物価上昇が加速する状況ではない」から金融緩和調整を急がない、というのは明らかにペテン説明でありまして、見通しが「いまの2%超の物価は2%に向けて沈静化する」なのですからして、「物価上昇が加速する」とか言っている時点でおかしくて、物価の沈静化が見られないのだったら政策修正を急がないといけない、という理屈な訳ですよ。
もしそうじゃないと言いたいのであれば、日銀は堂々と「今の物価が下がってこなくても問題ない」と言い出さないといけないのですが、そんなこと言ったらゲルだの財務省だのが批判されて矢面に立っている所に堂々と出ていくことになるので言えませんわなということでして、まあ舐め腐った説明をしている訳ですよこの時点で。
でまあBBGも
『ブルームバーグの報道を受けて、円相場はいったん上げ幅を拡大した後に急落し、先月27日以来の水準となる1ドル=152円台後半まで円安が進んでいる。』
って書いているのは笑いましたが、1月〜3月は事前報道が出まくって問題になり、7月は輪番減額を大イベントに仕立て上げることによって利上げをカモフラージュして少なくとも他市場から見たら(債券では結構7月あるでと思っている人もいたと思いますが)不意打ちの利上げを行い、でもって今回はまた事前の報道が連日のように出てくるというテイタラク。
今回の場合はどっからどう見ても11月末の日経インタビューが余計なコミュニケーションで、それによって生まれた思惑をああだこうだコントロールしようとしてもう無茶苦茶になって来ているのですが、お前ら本当にヘタクソなの自覚してから行動を考えろという所でして、ゼークトの組織論と言われるもの(本当はハマーシュタインの言葉らしい)にある「無能な働き者」を地で言ってるコミュ障ぶりに涙が止まりませんな。
ということで今朝は勘弁
2024/12/11
お題「氷見野さんの金懇日程がエライ前倒しで公表されたのでただの雑談大会をお送りいたします」
イイシテキダナー
https://jp.reuters.com/markets/commodities/MTFB6TOVWJNSXDBSIMOT7JBEIE-2024-12-10/
過剰政府債務、25年に市場揺るがす恐れ=BIS報告書
By ロイター編集
2024年12月11日午前 1:37 GMT+9
『[ロンドン 10日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は10日、四半期報告書を公表し、急増する政府債務による金融市場の不安定化の脅威が強まっていると指摘し、経済的損失を防ぐために政策立案者に迅速な対応をするよう呼びかけた。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうほう。
『BISの金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は、過剰な政府債務が債券市場の混乱を引き起こし、他の資産にも波及する恐れがあると警告した。』
ほうほうほうほうほう。
『「金融市場は増大する政府債務を吸収しなければならないことを認識し始めている」とした上で、「政策立案者の政策調整には時間がかかり、市場が目覚めるのを待っていると手遅れになる」と述べた。』
中央銀行に政府債務を買わせれば良いんですよ(ジンバブエ脳)!!!!!!!!!
#と考えるとインフレってそう簡単に収まるもんじゃないという気しかしない・・・・・・・・・
〇そういや氷見野副総裁が年明けに金懇ですね(一昨日出てた話で恐縮ですが)
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/WLCBIW5ABJOE5J46UT4GYCLKYY-2024-12-09/
氷見野日銀副総裁、1月14日に横浜で懇談会と記者会見
By 和田崇彦
2024年12月9日午後 3:11 GMT+9
『[東京 9日 ロイター] - 日銀は9日、氷見野良三副総裁が2025年1月14日に横浜市で金融
経済懇談会に出席し、同日午後に記者会見に臨むと発表した。1月の金融政策決定会合(23、24日)の直前のタイミングでの実施となる。』
『懇談会は午前10時半からで、氷見野副総裁のあいさつ要旨が同時刻に公表される。記者会見は午後2時から。』(上記URL先より)
ということで一昨日のニュースを今更で恐縮ですが、会見午後2時からやってるんだったら会見の詳報をプレスが流す解禁時間はせめて2時半(できればもうちょっと早い方が良いけど)にして頂きたい訳でして、40分ってざっくり会見が30分から35分くらいやってその後エンバーゴという事だと思うのですが、この前の中村審議委員の金懇会見でもありましたように、引け前20分とかいう時間からヘッドライン打たれると消化する間もなく値が飛んでしまい、無駄なボラを与えるだけの話になって、そらまあ1カイ2ヤリおじさん、というか今の時代だとAIアルゴなのかもしれませんけれども、そういうのはウハウハかもしれんけど、普通に債券市場に投資目的で入る人たちには引け際にガシャガシャ動かされるの迷惑でしか無いので、会見のエンバーゴは日銀でコントロールできる話なんだから(ヘッドラインはしゃーないけど)是非その辺はご検討頂ければと存じます。
なお、日銀のサイトにはまだ出ていなくて、プレスの方には出る(そりゃ取材陣の段取りとかあるから前日に急にとかにはならんわな)ようですが、今回は何の風の吹き回しか1か月以上前(年末年始があるから事実上4週間前)に公表となりましたな。
ちな日銀HP
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
『今後の講演・挨拶等の予定
2024年12月25日 植田総裁 日本経済団体連合会審議員会における講演』
oh・・・・・・・
でもってなんか詳しい?記事がBBGさんから出ておるので鑑賞物としてオモロイので鑑賞しましょうじゃないですか。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-09/SO7Z0KT0AFB400
日銀が1月会合前に異例の懇談会、年明け利上げ観測高まる可能性
藤岡徹
2024年12月9日 18:34 JST 更新日時 2024年12月10日 13:37 JST
→氷見野副総裁は1月14日に神奈川県金融経済懇談会に出席、記者会見
→懇談会の時期を平準化、可能な範囲で早い段階で公表−日銀広報課
という見出しで、日銀広報のコメントというのがあるのが中々異色なのでこれは確認して起きましょうという感じですな。
『日本銀行は9日、来年1月の金融政策決定会合前に氷見野良三副総裁が懇談会で講演する予定を発表した。1月の決定会合前に政策委員が懇談会を開くのは異例。市場の1月利上げ観測を高める可能性がある。』(上記URL先より、以下同様)
これ1月利上げ観測と即断しているのですが、総裁副総裁の金懇(またはどっかの講演)っていうのは、例えば5月に総裁が内外経済調査会で講演ぶっこんだりしているように、基本的には「展望レポートのあとの1発目は総裁か副総裁が講演(金懇)を行う」というパターンになっているんですよね。
ですから、これ1月会合(1/23-24)前に会合があるから1月利上げの地均しだヒャッハーと断定するのは読みが足りなくて、12月に利上げを行った背景と今後の政策についてご説明する場、となる可能性だってあるんですよこれがまたwwwwwwww
何で異例云々となっているかというと、記事にもありますが1月ってあんまり金懇がない月(この調子で引用していると全文引用になるのでその部分パスしますが2014年以降そういうのはないみたい)なのですが、これは単純に1月って正月行事が目白押しで、その後支店長会議があって決定会合があり、ケースによっては通常国会も始まる場合もある、と基本的にクッソ忙しいですし、金懇に出席される経済界の要人の皆様も忙しいでしょうから設定しない、という割と単純な理由だと思うのですよね。
ただまあそのクソ忙しい中ぶっこんで来た上に1か月前にこうやって記事になるのはメズラシヤというお話。
『追加利上げを予想するエコノミストが増加している1月会合の前に氷見野副総裁が講演することで、日銀の政策運営に関する考え方を明確に市場に伝える機会となる。植田和男総裁は、7月の追加利上げがサプライズと受け止められ、世界的な市場乱高下の一因になったとの批判に対し、7月会合の前にコミュニケーションの機会があればよかったとの考えを示していた。』
まあ先般の日経インタビューからのドタバタを見る限りにおいて、「日銀の政策運営に関する考え方を明確に市場に伝える」つもりがまた余計なノイズを巻き散らかしてしまう、という間抜けプレイになってしまう可能性が大幅にあるのですけれども、そこは氷見野さんなのでしょうもないい両論併記してしまうようなプレイにはならんと期待したいところですが、下手糞振付師が振付をするとこの前の日経新聞インタビューの二の舞になりますので下手糞は黙っててもろて。
でまあ記事はここがオモロイ。
『日銀広報課は10日、ブルームバーグに対し、金融政策運営において情報発信は非常に重要な手段であり、「日銀は常により有効な情報発信に努めているところだ」と説明。その一環として、政策委員の金融懇談会について、「今後は、従来以上に時期を平準化して実施するほか、その実施時期についても、可能な範囲で早い段階で公表することとした」としている。』
「従来以上に平準化」って・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/index.htm
講演・挨拶等 2024年
2024年 9月12日 田村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(岡山県金融経済懇談会)
2024年 9月11日 中川審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(秋田県金融経済懇談会)
2024年 9月 5日 高田審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(石川県金融経済懇談会)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/index.htm
講演・挨拶等 2023年
2023年11月30日 中村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(兵庫県金融経済懇談会)
2023年11月29日 安達審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(愛媛県金融経済懇談会)
2023年 9月 7日 中川審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(高知県金融経済懇談会)
2023年 9月 6日 高田審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(山口県金融経済懇談会)
2023年 8月31日 中村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(岐阜県金融経済懇談会)
2023年 8月30日 田村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(道東地域金融経済懇談会)
2023年 3月 2日 高田審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(神奈川県金融経済懇談会)
2023年 3月 1日 中川審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(福島県金融経済懇談会)
2023年 2月22日 田村審議委員 【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(群馬県金融経済懇談会)
最後のは黒田総裁の時になりますが、黒田総裁の末期くらいからこのような舐め腐った金懇日程を組んでおった訳でして、なにが「従来以上に平準化」じゃヴォケとしか言いようが無いのでありまして、まるで従来も平準化するような日程を組んでいたかのような説明をする辺りが流石の日銀クオリティと感服する次第ですが、まあそれはともかくとして、
「その実施時期についても、可能な範囲で早い段階で公表することとした」っていうのはまあ公表しろよという話で、特に総裁副総裁の講演とか金懇とかが事前に全然出てこないで、うっかりすると当日まで日銀のHPの公表予定とかに出てこないとかいうバチクソとんでもない秘密主義(警備上の理由とかでもないでしょ)になっているのは特に最近顕著で甚だ怪しからんと思っておりましたので、まあ悪態はついたものの改善したのは結構である。
しかしまあなんですな、記事に戻りますと、
『日銀総裁が新年祝賀会で短いあいさつをしたり、一部の政策委員が特別イベントで講演したりすることはあったが、1月会合前に金融経済懇談会での講演や記者会見は少なくともこの10年以上なかった。講演は政策委員が金融政策に関する考えを自由に発信する機会であり、市場参加者らは予想を調整する手掛かりを得る。』(先ほどのブルームバーグ記事より)
予告ホームラン打ち込むにしても12月決定会合後の会見で「委員会の総意としては政策調整が近いとみているがまだ多少のデータ確認が必要となったので今回は現状維持」みたいな言い方をすれば委員会のコンセンサスとしてなるほど1月利上げに向けて最終点検ですね、ってなるんですけど、副総裁の金懇で予告ホームランを打つのっていうのは、「本来政策委員会で討議する話なのに勝手に執行部が予告ホームランを打った」ということになってしまって、委員会制度の建付けに関わる問題になるから、予告ホームランを打つにしたって打ち方が難しいわけで、うっかり両論併記をしてしまうと「1月利上げ見送りじゃないですかアイヤー!」ということになって翌週の決定会合で何やってもサプライズになってしまいますので、まあ大丈夫なのかねとは思います。
氷見野さんだからそこは上手くやってくれるのじゃないか、という期待値は結構アタクシの中では高いですので、何とかしてくれるとは思うのですが・・・・・・・・・・
しかしまあ何ですな、ブルームバーグさんの取材を受けた日銀広報ちゃんのコメントとして、「日銀は常により有効な情報発信に努めているところだ」ってのがあるのが中々カワチイネーという所でして、7月の政策変更がサプライズだのなんだの言われて(あれは輪番減額をフレームアップしすぎたから7月減額9月利上げじゃろという感じになった訳で金懇その他無かったのもあるけど輪番減額を大イベントにし過ぎたのが悪いので広報悪くない)今度は過剰サービスで日経インタビュー入れたら12月利上げ観測を煽ってしまって火消しをする破目になっているのに、さらに懲りず(ってまあ金懇の方が段取り考えたら日経インタビューよりも前に決まっていたとは思いますけど)1月会合1週間前に金懇を入れるとか、急にサービス大会になっている辺り、何ちゅうかこの「ほどほどに」というのが出来ないのかお前らはという所でして、まあ日銀ってクソ真面目なんですよ良くも悪くも、と思いました(^^)。
〇これは吉川無双(吉川先生のBBGインタビュー)
今日はブルームバーグさんネタばっかりですな、恐縮至極。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-10/SO7K0IT1UM0W00
日銀は早期利上げ必要、対応が遅れている可能性も−吉川東大名誉教授
伊藤純夫、藤岡徹
2024年12月10日 11:20 JST 更新日時 2024年12月10日 13:11 JST
→政策金利の低さは異常、正常化ペース「慎重に過ぎる」と旧友に苦言
→将来的な利下げ余地の確保も必要、マイナス金利の限界はすでに学習
『吉川洋東京大学名誉教授は、日本の経済・物価情勢を踏まえると現在の政策金利の低さは異常だとし、日本銀行による早期の追加利上げが必要との見解を示した。物価上昇への対応が遅れている可能性もあるとみている。』(上記URL先より、以下同様)
吉川先生と言えばしばらく前にネタにしましたけれども、多角的レビュー第2回ワークショップで
『吉川は、QQE は、わが国経済の低迷の原因はデフレであり、デフレは貨幣的な現象であるから、マネーを増やせば問題は解決する、という主張に基づくものであったと振り返った。今回の多角的レビューにおいて、この点の是非について議論せずに、物価上昇率が2%まで上がらなかった原因として、金融政策以外の要因であるノルムについて議論している点に、議論の内容自体に違和感はないものの、日本銀行の対外的なコミュニケーションとして大きな違和感があると述べた。』(多角的レビュー第2回ワークショップ議事要旨本文19ページより)
というそもそも論をぶっこんで来るというか、他の多くの人は何をしてたんだということでもありますが、まあそういう感じで吉川無双という風情な訳ですが。
『吉川氏は9日のインタビューで、インフレ率や需給ギャップなどから政策金利を割り出すテイラー・ルールに基づけば、適切な水準は日米欧でそれほど大きくは違わないとし、日本の0.25%は異常に低いと分析。』
はい。
『実体経済が米欧と比べて際立って弱い訳でもなく、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)が2年半以上も目標の2%を超えている中で、「日銀はできるだけ早めに利上げをした方がいい」と語った。』
いわゆるネット方面で幸か不幸か「日銀怪しからん」の矛先が向いていないから済んでいるだけというか、そもそも馬鹿政治家や馬鹿メディアが財政のために利上げするなとか住宅ローン金利ガーとか雇用のために利上げするなとか馬鹿ばっかり言ってるから良くも悪くも日銀免責になっているだけの話で、まあいつ風向き変わるか分からんよ、と思うんだが何で日銀はああ能天気に「急がない」って言えるのかが謎ですよね。
『その上で、日銀の政策対応が「すでにビハインド・ザ・カーブに陥っているとも言えると思う」と指摘した。景気を冷やしも過熱もしない名目中立金利はおそらく1%前後との見方も示した。』
1%じゃ低いと思いますが・・・・・・
『旧友が進める金融政策の正常化のスピードについては、「少し慎重に過ぎるのではないか」と苦言を呈した。2%を超える物価高が長期化している中で、多くの国民が困っているのが現状だとし、「インフレ抑制に最大のクスリ」である金融政策の機動性を発揮すべき状況にあるという。』
なのですが、なんせ外部状況が馬鹿政治家に馬鹿メディアと来ているので慎重になっていても矢が飛んでこない、というのがありますので中々ねえ・・・・・・・
あとまあ糊代論自体はあんまり筋の良い話ではないとは思いますが、
『吉川氏は将来的には経済が悪化して物価が下落し、「日銀が利下げしなければならない局面がいつか来る」と指摘。現在の0.25%のままで利下げ局面を迎えれば、すぐにゼロ%に戻ってしまうことを懸念する。マイナス金利政策の限界はすでに学習済みだとし、いわゆる「のりしろ」を確保するためにも金利を上げられる時に上げておくことが重要だと語った。』
これ一番怖いのは多角的レビューがとにかく「一連の金融緩和は正しかったのだが、「ノルム」があったので中々2%物価目標達成に至らなかった」の線で話を進めているのが明白(12月に出ますなあ)な訳で、そうなると利下げした後またマイナス金利だQQEだと碌なことをしないのが目に見えている訳でございまして、物価が0%近傍ならともかく2%オーバーなんだからとっとと利上げしろ何なら今日にでも、と思う訳ですが、まあそういう切迫感が無いわな、というのは日経インタビュー以降のドタバタを見ていると日銀はそんな感じじゃねえのと思うのでした、まあ吉川先生がこんな事いう位だから、あんまり日銀も盛り上がっていない(ので12月はちょっと・・・・)のではないかという気はしました。
なお、決定会合までに円安にかっ飛んでいる場合はその限りではありませんので、その場合は12月会合の利上げはオオアリクイだと思いますが、アタクシの大妄想としては、「12月現状維持」→「会見でいつもの両論併記」→「年末年始に円安進行」→「ションベンチビリながら涙目で1月利上げ」という面白展開が一番面白そう(不謹慎にも程があるが)なのでそちらでオナシャスという事で。
#すいません雑談大会になってしまいました
2024/12/10
お題「6M入札足切り30bpまで上昇/中村審議委員会見:ファクトベースで政策判断ということで・・・・」
ほほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-09/SO8FTNT0AFB400
ピムコ、米長期債への資産配分を削減−連邦財政赤字の拡大警告
Michael Mackenzie
2024年12月10日 1:52 JST
〇6M入札がありましたな(汗)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241209.htm
国庫短期証券(第1274回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1274回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1274回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年12月10日
4.償還期限 令和7年6月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆3,438億円
(2)募入決定額 2兆7,754億9,000万円
(3)募入最低価格 99円84銭7厘
(募入最高利回り) (0.3073%)
(4)募入最低価格における案分比率 69.1025%
(5)募入平均価格 99円85銭3厘
(募入平均利回り) (0.2952%)』
おーやっと30bpのりましたか(なんせ11月の6Mは0.1886%/0.2007%ですし、なんなら10月の6Mって0.0726%/0.0862%とかいう地獄のようなレートでした)ということで感慨は深いのですが、ゆうてここまで12月か1月に利上げじゃろ、となってやっと足元のGCよりも高いレートになるというのが何んともかんともドイヒーな話ではありまして、いやターム物金利は先行して織り込みをしろよと思うのですがまあこれが短国市場の今のテイタラクということではあります。
ただまあ6Mは3Mと違って引けで戻すという訳でもなかったようで、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
売買参考統計値ちゃんを見ますと
(12/9引値)
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.200
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.295←6M新発
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.289
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.315
(12/6引値)
国庫短期証券1231 2025/05/20 平均値単利 0.190
国庫短期証券1274 2025/06/10 平均値単利 0.290←6M新発WI
国庫短期証券1238 2025/06/20 平均値単利 0.280
国庫短期証券1244 2025/07/22 平均値単利 0.315
ということで、こちらの入札も金曜の3M同様に売参ベースのWIから見たら安いところで決着しておりまして、ただ引値を見ますと3Mと違って平均レベルで止まっているので、前日WI比で甘い水準の引けにされていますな。
まあ6Mは現状年限的に中途半端なのと、月1しか新発が出ないのでどうしても3Mの方が選好されやすいですし、3Mってたぶん流動性的な意味合いでも選好されますので、人気が無いときは無いという物件(3Mがどうしようも無かった10月は飛んでもないレートになっていましたけれども)ではありますのでまあそういう事やぞというお話ですな。
なお、後ろの銘柄(1年短国の成れの果てなので売りが出てこないとまともに買えない銘柄でしょうな)との引値が逆転しているとか、手前の銘柄というこれまた1年短国の成れの果てなので引値とか言ってもそもそも普通にバカスカ売買できるようなものではない(売りはできるけど買いはマーケットメーカーの在庫が無いと無理)ので、5/20-6/10という間に金融政策決定会合もなんもないタイミングで引値に段差ができているとかいうのはいつもの短国クオリティですが、このまあ短国クオリティの引値がもっと綺麗なカーブになってくるまでは短国市場の整備は道遠しという感じですな、ナムナム。
〇中村審議委員金懇会見は「お気持ち金融政策」に対して期せずして大砲撃をしていますな
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241206a.pdf
中村審議委員記者会見
――2024年12月5日(木)午後2時30分から約40分
於 広島市
・例の「私は利上げに反対ではない」は冒頭の(事実上の)説明の次にありました
最初は「本日はどうでしたか&ご当地質問」という質問なのでその次になるのですが、いきなり来ていましたね。
『(問)二点お願いしたいんですが、一点目は中小の稼ぐ力がなかなかまだ強まらない中、金融緩和の度合いを調整することは慎重に行うべきだという講演でのご発言なんですけれども、そう考えると、市場の一部でみられている年内の追加利上げは拙速なことなのかというのが一点目です。(後半割愛)』
まあ聞くわな。正直12月でも1月でも本質的に大差ない(強いて言えば12月にぶっこんでおくと4月に追加利上げのおかわりが可能というのがあるんだが、今の植田日銀にそんな気概を期待していないのでまあ1月でも同じなんでネーノと思っている)、とは思いますが、それはさておき中村さんの回答。
『(答)中小の稼ぐ力が弱いっていうことで、[金融]政策は慎重にということではありますが、』
からの、
『私は以前から申し上げているんですけど、利上げに反対しているわけではないので、』
うひょーーーーーーーーーー!!!!!
・・・・・ということになるのですが、以下の説明を読んでみましょう。
『経済の回復の状況に応じて変えていくべきだと。』
ほほう。
『それはデータに基づいて、公表されたデータやヒアリング情報がありますので、それに応じて判断をしていくべきであるという考えで、期待、こうなってほしい、こうなるはずだというところに基づいての判断よりも、それを確認するデータをみて判断をしたいということであります。』
これは言っていること自体は「見通しじゃなくてデータが改善したらデータ通りに政策を修正しろ」という話なので一見仰せご尤もなのですが、金融政策ってえのはその効果が(副作用も含め)出てくるのは時間のかかる話なので、今のようにもしかしたら経済の転換点かもしれない、というような時期においてデータを全部確認していたら、特に今の金融緩和が極端に緩和的であることから、政策修正の遅れは望ましくない勢いをつけてしまうというリスクがあるわけですので、その辺に関する中村さんの所見というのを聞きたいですよね。
でまあ話は続くのですが、
『年内の利上げという点については、これから結構たくさんのデータがまだまだ出てきますし、短観もこれから出てきますので、そういった点でいうと、そこをよくみて判断をしたいというふうに考えています。』
これわ!!!!!!!!
ということでですね、短観とか思いっきり言ってたのもそうですし、これからデータが出てくると言ったのもそうですが、どっちもヘッドラインを飾っていましたけれども、まあ確かにこの説明ですと「ここから出てくるデータが良好ならば別に利上げを否定するもんじゃないですよ」と言ってるようにしか読めませんな。
まあ中村さんが利上げ反対することにどのくらいの影響が、というのはさておきまして、少なくともデータが良いのであれば(アネクドータル含め)、自分から利上げとは言わないにしましても別に反対はしないんですから、これはまあ確かに12月利上げもアリエールみたいな発言に読めてしまいますな。
・まあ変な「米国経済のリスクガー」とか「不安定な金融市場ガー」とか「基調的物価ガー」よりはマシですわ
でまあ話の途中で小見出し入れてしまいますが、この中村さんの説明っていうのは、大本営の行っている「米国経済の下振れリスクガー」などの話や、「確度」とかいうお気持ち表明の話や、「基調的物価」とかいうその屏風の中にあるのを出してくれませんかね一休さん、というようなインチキ説明よりも「実際のデータを見て判断」なので実はコミュニケーションとしてはよっぽど筋が通っているというのが中々味わいがありますな。
とイヤミをいっておいてその次ですが、
『それは、その後言われた法人季報の話でもあるんですけれども、今、私はコロナ禍からの回復軌道にある、それは成長軌道に再び乗ったのかっていうと、まだ乗っていないと判断しています。』
ほうほう。
『例えば、今ご質問頂いた法人季報でみると、4 月から 9 月の上期をみると、1
人当たりの営業利益は全体でみると+3 割、90 年[度]の上期と 24 年[度]の上期は+3
割でして、大手企業というのはものすごく伸びています。118%ぐらいプラスになっていたかと思うんですけども。』
こういう丁寧な説明をしているのは今までここまで細かくなかったと思うのでおおおおと思いながら読み進める。
『90 年[度]上期に比べると 2.2 倍(注)になっていまして、そのうちの中小企業は実は
4 割減っています。大手と中堅は 90 年[度]上期の 1 人当たり営業利益をみますと成長しています。過去最高を超えたということになるんですが、中小企業は残念ながら
4 割減です。』
ほうほう。
『これは、前年比でみれば▲4%ぐらいなのでまあまあではあるが、やはり中小企業が減っている。』
でもって、
『しかしながら、給与と賞与の人件費でみると、みんな増えている。それは大手も中堅も中小企業も。従って、中小のところはまだ防衛的な賃上げというのが、全体でいうと窺える状況です。』
なるほどこれは分かりやすい説明。
『1人当たりの設備投資はどうかと、ソフトウェアも含めていますけども、これは全体でみると、90
年[度]上期に対して 3 割減っており、これは大企業も 1 割減っていて、中小企業は
5 割減っています。』
『大企業の場合はサプライチェーンを海外にシフト、過去の円高局面のときにずっと移してきましたので、グローバルでみると、おそらく増加していると思います。ただ、中小の場合はグローバル展開をあまりしていませんので、そうすると、この
5 割の減少は、中小の全体でみてもちょっと弱いっていうことがあって、この点、私としては少し懸念を持っていまして、生産性を向上させる力がまだ中小企業の場合には、全体でみると、平均するとちょっとまだ低下しているのかなと。』
実際にこの分析が妥当なのかどうかはさておきますけれども、説明としては説得的でして、大本営が会見やらなんやらで説明している謎の話(そうしておかないと達成した時にいきなり利上げに追い込まれるから誤魔化すのに不便だからですけどね)よりはなんぼかマシかわからん。
さらに話は続きまして、
『ただその中に、成長志向の中小企業も当然ありますので、私としては、3 割ぐらいは中小企業の中で成長志向の企業があると認識をしているんですけども、そういったところは前向きな賃上げをやれる状況になっていて、日商のアンケート調査でもそういう結果が出ていますから、改善方向にはあると。』
ほーーーーー。
『従って、まだこれからいろいろなデータが出てくるので、年内の利上げがどうかと言われても、もうちょっとデータをみないとさすがに。とにかくデータ・ディペンデントで判断をしたいというふうに考えています。(後半割愛)』
ということで、まあ基本的に中村さんは賛成しないでしょうけれども12月利上げを全く排除している説明ではない、というのが読み取れますな。ただまあこの説明だとやはり状況改善というのは時間がかかりますよね、というのがあるのと、そもそも論として「賃金」という最遅行指標の動向を見て政策判断をするというのは、政策がめちゃくちゃ後手に回るリスクが高いんですよね。
とは言いましても、これ中村さんだけのせいとではなくて、もともと「賃金と物価の好循環」とかいう最遅行指標の賃金と遅行指標の物価について、しかも「好循環」とかいう1サイクル見ますという説明を持ち出している(理由は単に政策修正をするのが怖いから言い訳をしているだけという無責任にもほどがある背景があるんですよね!!!!)日銀大本営が悪いんですけどね。
・別に利上げ排除はしないけど慎重なのはまあ間違いなさそうなので中村さんが急にタカ転とかは無いですね
次の人がまた質問しています。
『(問)年内の利上げについては、データ次第というお話を今伺いましたけども、講演では経済の回復度合いに応じて緩和度合いを調節していくべきだというお話をされまして、今の回復状況というものをみた場合、足元までのデータ等からですね、やはり年内利上げというもの、もしくは市場が織り込んでいる
1 月の利上げですね、時間軸でみた場合、いわゆる利上げは否定されるものではないというお考えでよろしいのか。データ次第ということですけども、ちょっとそこのお考えをお聞きしたいというのが一点。(後半割愛)』
露骨に同じ質問してますなこれは酷い。
『(答)データ次第っていうことですが、私の場合、平均の中央値の見通しよりちょっと弱気と言いますか、ちょっと低めですので、考え方としては先ほど申し上げたように、経済は、いま成長軌道に乗っているというよりも、回復軌道に乗っている、回復局面であるという認識です。』
からの、
『それは、先ほど申し上げた中小企業が、まだコロナ前よりも、1 人当たりの利益は超えてないし、90
年[度]上期のバブル期の絶頂期の頃に比べてもかなり低いということなので、そこのところが大企業、中堅企業とおかれている環境が中小企業はちょっと違うなというふうに思います。』
『ただ、全ての中小企業が駄目ということではない。従って、その変化度合いがどう出てくるのかは、データでみたい。だからそのデータで私がみたいっていうのは、まだ回復過程だという認識でいるもんですから、回復状況次第っていう私は文言を使っているんですけども、』
と同じ話をしているのですが、
『それによっていつ利上げかっていうのはなかなか予断をもって申し上げるにはさすがにまだデータが少な過ぎて、法人季報とGDPの
1 次速報は出ましたけども、まだ毎勤統計ですとか、GDPの 2 次速報だとか、それからその他のいろいろなデータがたくさんありますし、私がみたいというのは[挨拶要旨の]5
ページ目の中段ぐらい、多くのデータやヒアリング情報によっていろいろみたいのは、具体的には六つほど書きましたけども、それ以外でもいろんなデータで確認をしながら、成長軌道に近づいていけるのかなということをみたいというふうに考えていますので、いつ利上げかとそう急がずに、もうちょっと様子をみさせて頂きたい。(後半割愛)』
ということで、具体的なデータをバカスカ挙げておりますが、ゆうてまあ利上げ慎重なのは慎重、ということになるんでしょうね。
・中村さんは「超ハト派」と言われることにお怒りのようです
この質疑はクソワロタ
『(問)度々利上げの話で恐縮なんですが、中村委員、データ次第で慎重に検討していくというお話をされましたけども、一方で、今日の講演では、賃上げと投資が牽引する成長型経済への大きな変化の芽が出ているというふうにおっしゃいました。これまでのご発言より、やや前向きな利上げに対しての印象を受けたのですが、やはりこれまでよりも利上げに向けた環境としては整ってきているというふうに考えられますでしょうか。』
この回答の頭からいきなりですね、
『(答)私自身は昔から変わってないんですけど、皆さまが私の発言をとらえて超ハト派と言われるもんだから、そういうレッテルが貼られたのかなという気がしておりますが、』
これは中村さんブチ切れ案件wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
いやまあ以下にある通りでして、
『前から芽は出ているということは申し上げています。非常にそういう面で、私は、日本経済の将来においては明るい希望を持っている。ただ、中小企業の状態が、全体としてはまだコロナ前もちょっと超えてないので、そこのところをリードする成長志向の中小企業のところがもうちょっと拡大しないかというところを期待して待っているというところであります。』
まあ別に悲観論じゃではないのですが、ただまあ中小企業まで全部が好調好調、というような経済が起きるには高度経済成長でもしてくれないと無理があると思うので、そういう点からどうしても話がずれてくるんだと思います。
・しつこく利上げについて問われるが12月は「ニュートラル」なんですと
まあそういう位だから12月の可能性が無いわけではないんでしょうけれどね。
『(問)これまでの質問と被りますが、多くのデータに関心があるとおっしゃっていて、講演の中でもいくつか指標について挙げられていますけれども、再来週のMPMまでに出てくるもので特に確認したいもの、データ次第では
12 月にでも利上げできるのか、教えてください。』
『(答)先ほどの 5 ページのところに書いてあるようなことを確認したいとなると、毎勤統計ですとか、それから消費動向指数、GDPの
2 次速報、建設工事受注動態統計とか、もうちょっとしたら出てくる私どもの短観、それから鉱工業指数とか、機械受注統計、貿易統計、資金循環統計とか、こういうデータがこれからMPMまでに出てきますので、そういった中からどう変化がみえるかを私としては注視していくということです。』
何か質問がやたら重複している気がするのだがもうちょっと何とかならんのかね。しかも中村さんの説明って別に煙に巻くような話をしているわけではなくて普通に分かりやすいと思うんだが。
『(問)市場では 12 月の利上げを含む観測というところが後退して来ていますが、こういった市場の見方と中村委員の考えに開きはありますでしょうか。』
『(答)別に何というか、まだ 12 月とか 1 月とかもっと先かとかいうことを決めているわけではないので、データ次第と先ほどから申し上げているんですけど、どちらかというと市場がボラタイルになっていて、上がったり下がったりしているんですけど、それはアメリカでも同じようなことが起きているので、決して私と大きな変化が出ているのかどうかはちょっと分かりませんけど、もう少しきちんとデータをみてファクトに基づいて意思決定をしたいと考えているので、今の状況は別に
12 月でなくなったというわけではないし、12 月でやるということでもないし、もうちょっと時間が経って、経済データのファクトを確認しながら、いろいろ市場も動いて来るのではないかなと思いますので、私としてはまだニュートラルにいるということです。』
ひたすら「データを見て判断」の説明をしているんですけれども、
・データを見て判断となっていない風潮に中村さんはお怒りのようです
この質疑も中村さんいい感じでぶっこんでいます。
『(問)一点、7 月の金融政策決定会合では、利上げについて反対票を投じていましたけれども、そこから現在にかけては心境の変化があるのかどうか。6
月の札幌市での講演の際には、当面は現状維持が妥当というふうに伝えていましたけれども、今回は慎重に金融政策度合いを調節する局面と示されていましたけども、その辺り少し心境の変化があったのか、教えてください。』
データが良くなったから、だと思いますが・・・・・・・
『(答)心境の変化という点でというと、もともと 3 月のときも、それから 7
月のときも確かに反対とは申し上げたんだけれども、利上げをすることに反対とは言っていません。利上げの仕方に対して反対をしたということです。』
ほうほう。
『データをきちんと確認して、あと一月待てば実績が出ましたねという、その確認をしてから上げるので十分良いのではないかと。』
ほっほーーーーーー。でもってここからがランボー怒りのぶちこみです。
『その方がマーケットプレーヤーも含めて、日本銀行の政策変更に対する憶測ばかりが先行してしまって、実態を示す経済データ、ファクトに対する関心が衰えてしまうのは良くないということで申し上げたので、反対を申し上げたというときとの心境の変化はない。』
お前らがデータの話をしないで政策の話ばっかりするからこうなっているんだいい加減にしろ、というのがこの「ない」という部分に表れているようで大変に結構であります。
『その後、1 か月経ったら、経済は想定通りになりましたので、その段階だったら最初から反対しなかったということであります。』
でもってこの先も中々いい感じでお怒りでして、
『だから、心境の変化をしているわけではない。』
これは!!!!!!!!
『私の見通しに対して、オントラックかといえば、自分としてはオントラックなので、ただ、そのオントラックが政策委員平均見通しより低い。だから、レベルがちょっと違うっていうことではありますが、心境の変化はないということであります。』
・・・・・データが良くなったからであって心境も糞もあるかお前は馬鹿か、というのがひしひしと伝わってくる実に良い回答ですね!!!!!!!!!!
まあこの部分、中村さんのおっしゃるのもご尤もなのですが、そもそも論として今の大本営が「確度」だの「基調的物価」だののような「お気持ち」で政策判断の説明をしているのが悪いのでして、そういうお気持ち金融政策をしているから世の中だって「お気持ちは如何ですか」という話になってしまう訳でして、これは記者が自分で蒔いた種とは言え中村さんに結構な怒られ方になっていますが、こういう記者の質問が来るというのは大本営執行部がお気持ち説明ばっかりしているからなので、ぜひ中村さんにおいては大本営に「お気持ち金融政策をするな」とぶっこんでいただきたいものです。
2024/12/09
お題「週末特に日銀ニュース無しかな/短国3M/雇用統計と連銀要人発言(デーリー・ボウマン・グールズビー・ハマック)」
ちょっとマクラにしては長いけど・・・・・・・
https://jp.reuters.com/world/security/AOFYY6J655MC5BXBFTU4GFZU3E-2024-12-08/
シリアのアサド政権崩壊、反体制派がダマスカス掌握 大統領は首都離脱
By Suleiman Al-Khalidi, Timour Azhari
2024年12月8日午後 6:32 GMT+9
『[アンマン/ベイルート/カイロ 8日 ロイター] - シリアの反政府勢力は8日、首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放したと国営テレビで表明した。アサド大統領は航空機で首都を離れたという。これにより、父の政権から50年余り続いたアサド一族による体制が崩壊した。』
『シリア当局者はロイターに、陸軍司令部がアサド政権の終焉を将兵らに通達したと語った。ただ、軍はハマやホムスなど主要都市などで「テロリスト集団」に対する作戦を継続していると発表した。陸軍高官2人によると、アサド大統領は8日早朝にダマスカスを離れたが、目的地は分かっていないという。反体制派が首都に進攻した際、政府軍は展開していなかったという。』(上記URL先より)
https://jp.reuters.com/world/north-korea/REJ554T5ZBIAHHI4IW6V35NI5U-2024-12-08/
韓国与党・首相「大統領は国政関与せず」、前国防相は戒厳令関与で拘束
By Hyunjoo Jin
2024年12月8日午後 2:15 GMT+9
『[ソウル 8日 ロイター] - 韓国の検察当局は8日、尹錫悦大統領の3日夜の非常戒厳宣布に関与した疑いで金竜顕前国防相を拘束したと発表した。』
『4日に国防相を辞任した金氏は戒厳令宣布の中心人物とみられていた。軍高官や野党議員による尹大統領の弾劾訴追の申し立てによれば、金氏が大統領に宣布を提案した。』
『聯合ニュースによると、金氏は現地時間8日午前1時30分ごろにソウル中央地検に出頭。特別捜査チームが金氏を取り調べ、身柄を拘束した。国会で7日夜に審議された尹大統領の弾劾訴追案は、与党「国民の力」議員の大半が投票に参加しなかったため、成立せず、大統領は弾劾を回避した。
だが与党の韓東勲代表は、大統領は最終的には退陣せざるを得ないと表明。韓氏は8日、韓悳洙首相との共同記者会見で、大統領は早期辞任するまでの間、外交やその他の国政に関わることはないと述べた。』(上記URL先より)
色々とありますな・・・・・・・・・
〇先週末は毎度おなじみの日銀報道で特になんか出たという訳ではないようですな
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB061N50W4A201C2000000/
日銀利上げ、市場で高まる「1月」論 円安なら前倒しも
金融政策
2024年12月7日 5:00 [会員限定記事]
こんなのがありましたが、例によって会員限定記事なので中身はパスしますけどタダで見れるところだけ読みますと、
『市場で1月にも日銀が追加利上げに動くとみる観測が強まっている。日銀は直近で12月18-19日と2025年1月23-24日に金融政策決定会合を開く。日銀の植田和男総裁は日本経済新聞の11月28日の取材で拙速な利上げを避ける姿勢を示しつつ、米国の経済政策を含め経済・物価情勢を慎重に見極める構えを見せていた。急速な円安といった為替相場の動向が判断のタイミングに影響する可能性も残っている。』(上記URL先より、以下有料会員記事)
ということで日経さん、先週のインタビューのフォローという感じも漂いますが、題名にしましても、冒頭部分の、
「日銀の植田和男総裁は日本経済新聞の11月28日の取材で拙速な利上げを避ける姿勢を示しつつ、米国の経済政策を含め経済・物価情勢を慎重に見極める構えを見せていた。」
って辺りが、12月利上げ観測盛り上がりに水を掛けましょうという感じを示していまして、まあそういう事やぞという感じに見受けられますな。
まあアレです、この調子だとマジの話FOMCでFEDがどう出るか次第で、基本的にはドル高に飛び出したら慌てて利上げをするし、そうじゃなくて150円行くか行かないかという推移であれば堂々の1月に見送り(とか言ってるうちに1月にできなくなるのがおそロシアなシナリオではある)という感じになるんですかねえ、なんか当日の朝になって最終的に決めてそうな勢いですよねw
いずれにしましても、まだどっちとは決められない。まあ急いでやらないといけないという認識ではなさそう(こちとらとっととやれと思うけど)なので、12月にやるのは情勢が切迫(円安で)するか、さもなくば1月に先伸ばすよりもやれるうちにやっておいた方が良い(1月やりそこなうリスクを意識)、という場合になるんジャマイカとおもいましたがどうですかね〜。
〇3M短国は先週と同じくWIよりも弱めの足切りまで流れるも引値ベースは持ち直す
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241206.htm
国庫短期証券(第1273回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1273回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1273回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年12月9日
4.償還期限 令和7年3月17日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆9,618億円
(2)募入決定額 3兆2,741億5,000万円
(3)募入最低価格 99円95銭7厘5毛
(募入最高利回り) (0.1583%)
(4)募入最低価格における案分比率 15.8928%
(5)募入平均価格 99円96銭0厘4毛
(募入平均利回り) (0.1475%)』
ということで、木曜日の売参ベースの
(12/6引値)
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.155
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.145←新発3M
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.155
国庫短期証券1275 2025/03/24 平均値単利 0.155←今週金曜入札の3MWI
(12/5引値)
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.145
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.155
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.180
ということで、なんかどさくさに紛れて1220の引値が修正されているのはチャーミングですが、新発だけ引値を0.145と強くしていますな、まあ周辺銘柄の0.155%ってのも本当にそうなのか問題はありますけれども、まあ15bpアラウンドっちゅうことですかそうですかという感じですな。
そらまあ3月17日償還だし何なら今週金曜入札あるのは3/24償還(つまり3/20入札の年内最後の短国入札ですがこの銘柄は3/31償還とかいうお洒落銘柄になりますねきっと)ですから、そらおまえ12月か1月に利上げとか言っている中、という所ではありますけれども、一時の鬼レートではないものの、よく考えたら利上げの織り込みとは何ぞや、という深遠な問題(深淵でも何でもない)があるなあと思うのでりました。
一方でGCレポちゃんですが、東京レポレートは先週長いところの気配が上昇していまして。
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/29 0.228 0.240 0.209 0.211 0.218 0.228 0.308 0.368 0.450
2024/12/2 0.234 0.240 0.211 0.212 0.224 0.252 0.324 0.380 0.456
2024/12/3 0.230 0.240 0.212 0.213 0.227 0.254 0.331 0.387 0.458
2024/12/4 0.237 0.240 0.212 0.213 0.227 0.254 0.333 0.386 0.459
2024/12/5 0.238 0.240 0.212 0.215 0.228 0.256 0.341 0.388 0.465
2024/12/6 0.245 0.244 0.214 0.220 0.237 0.262 0.346 0.390 0.472
先週金曜日以降、つまり植田さんのアレ以降の推移ですけれども、ちゃっかり1Mとかいう12月会合は跨ぐけど1月会合は跨がないテナーまで上昇でござるの巻となっておりまして、中々のオシャンティーな展開になっておられます。まあこのGCの気配通りに短国が推移しているかというと上記のように行ったり来たりではあるのですが・・・・・・
〇アメリカン雇用統計は利下げの障害にならない上にリセッションは示唆しないとな
ロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/GCAGW2WL2BKN5DJDH6CPNKYMAY-2024-12-06/
米11月雇用22.7万人増に急回復、失業率は4.2%に悪化
By Lucia Mutikani
2024年12月7日午前 1:45 GMT+9
『[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は22万7000人増と、市場予想の20万人増を上回り、小幅な伸びにとどまっていた10月から急回復した。
失業率は4.2%に上昇した。前月まで2カ月連続で4.1%だった。労働市場の減速を示唆し、月内の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げを正当化する可能性がある。
10月の雇用者数は1万2000人増から3万6000人増に上方改定され、9・10月分の増加数は計5万6000人上方改定された。』(上記URL先より、以下同様)
ということですが、
『CMEグループのフェドウォッチによると、金融市場ではFRBが今月17-18日の会合で0.25%ポイント利下げを実施する確率は約89%に上昇した。』
ほうほうそうですかそうですか。でもってBBGさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-07/SO3FT9T0AFB400
12月米利下げ、雇用統計が示唆も確信には至らず−インフレ統計待ち
Amara Omeokwe、Craig Torres
2024年12月7日 9:29 JST
→雇用統計、労働市場は減速だがおおむね堅調さ維持との見方を裏付け
→先物市場が織り込む12月利下げ確率は90%−来年の見方は大きく変化
『11月の米雇用統計は米金融当局が今月利下げを決定する可能性を示唆したものの、重要なインフレ統計の発表を間近に控え、そう結論付けるまでには至らなかった。』(上記URL先より、以下同様)
ということで態度保留って感じですかw
〇でもって高官発言がここぞとばかりに出ていますが
・デーリーさん再びだが結局無回答
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-06/SO386NDWRGG000
サンフランシスコ連銀総裁、米労働市場は引き続き良い位置にある
Laura Curtis
2024年12月7日 5:08 JST
『サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、6日発表された11月の米雇用統計を受け、労働市場は引き続き健全との認識を示した。総裁は、スタンフォード大学フーバー研究所で、「労働市場は引き続き良い位置にある」と指摘。「雇用が拡大する中、失業者1人につき約1人分の空きポジションがある。つまりバランスの取れた労働市場といえる」と述べた。質疑応答では、12月の利下げを支持するかどうかについて明言を避けた。』(上記URL先より)
デーリーさん、SF連銀のサイトを見ますと、この時は「デーリーさんとお話をしよう」企画の一環がありましたようで。
https://www.frbsf.org/news-and-media/events/2024/12/mary-c-daly-stanford-university-hoover-institution-2024/
Conversation with Mary C. Daly at Stanford University’s Hoover Institution
Time 10:00 am PST
Location Stanford, California
Topics Artificial IntelligenceLabor MarketsMonetary PolicyTechnologyU.S. Economy
『Summary
President Mary C. Daly will participate in a conversation on emerging technology
and the economy at Stanford University’s Hoover Institution with Hoover
Institution Senior Fellow John H. Cochrane.
The conversation will be livestreamed and available as a recording after the event.』
とはあるのですが、誠に遺憾なことに1時間21分もある(ちなみに対談形式のものがおっぱじまるのがなぜか15分40秒後)のでご興味のあるかたはどうぞ。
・ボウマン理事は利下げ慎重派
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-06/SO2X3BDWX2PS00
ボウマンFRB理事、利下げは「慎重」に−インフレ鈍化の進展停滞
Jonnelle Marte
2024年12月7日 3:21 JST
→物価上昇に対する上振れリスクは依然として「顕著」−ボウマン理事
→現時点では労働市場よりもインフレの方が大きな懸念−ボウマン理事
『米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は、基調的なインフレ率は依然として当局目標の2%を「不快なほど」上回っていると指摘。利下げは慎重に進めたいとの考えを改めて示した。』(上記URL先より)
ボウマンさんはまあいつものクオリティですな、でもってこちらはFRBのサイトには特に何もないです。
・グールズビー総裁は「この先の金利はもっと下がる」の人で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-06/SO2YZCDWX2PS00
シカゴ連銀総裁、米労働市場なお安定−1年後の金利はかなり低い
Catarina Saraiva
2024年12月7日 4:01 JST
『連邦公開市場委員会(FOMC)の次回会合で利下げを支持するかどうかについては明言を避けたが、1年後の金利は「かなり低くなる」との見通しをあらためて示した。』(上記URL先より)
シカゴ連銀に行きますとこんなのがありまして、
https://www.chicagofed.org/events/2024/economic-outlook-symposium
38th Annual Economic Outlook Symposium
December 6, 2024
こちらのアジェンダのタブを見ますと、
『9:30 AM
Fireside Chat with Austan Goolsbee
Speakers
Austan Goolsbee, President & CEO, Federal Reserve Bank of Chicago
Scott Horsley, Chief Economics Correspondent, NPR』
ってのがあって、このサイトの中に「Watch Replay」ってのがありますが、こちらをぽちっとなとしますと、40分の動画が出てきます。ちょっとこちらも詳しく見ている余裕がなかったのでこれまたお暇な方向けではあるのですが、中立金利の話をしているんですかね(見てないけど)。
・一方でハマック総裁(クリーブランド)は中立金利水準がかなり上がっている認識ですねえ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-06/SO30N7DWRGG000
クリーブランド連銀総裁、利下げ減速の地点に「いる、ないし近い」
Jonnelle Marte
2024年12月7日 2:52 JST
→1月末までに1回の利下げという市場の見方に同意と表明
→金利は中立水準から遠くはない可能性−ハマック総裁
『米クリーブランド連銀のハマック総裁は、利下げペースを減速させるべきポイントに当局者は「いる、ないし近い」との見解を示した。経済の力強さと依然高止まりしているインフレに言及した。
『ハマック総裁はまた、現在の金利は経済を刺激も抑制もしない中立水準に近い可能性があるとし、しばらくの間「適度に景気抑制的」に維持すべきだと述べた。「適度に景気抑制的なスタンスを維持する必要性と、中立水準から遠くはない可能性とのバランスを取るため、金融当局は利下げペースを減速させるのが理にかなうポイントにいる、ないし近いと私は考えている」と指摘。』(上記URL先より)
でもってこちらは思いっきり講演原稿がありまして(というかBBGの上記記事でも「講演原稿で示された」ってありますよね)、
https://www.clevelandfed.org/collections/speeches/2024/sp-20241206-views-from-fourth-district-on-economic-and-monetary-policy
Lake Effect: Views from the Fourth District on the Economy and Monetary Policy
Beth M. Hammack
President and Chief Executive Officer
物凄い手抜きなので最後の『Policy Implications』以降を読みますと、
『The US economy at this time has a good amount of momentum and a history
of surprising resilience. For example, in the first half of 2023, the Survey
of Professional Forecasters captured the expectation that GDP growth would
be low, ostensibly reflecting rising interest rates to combat inflation.8
』
『Instead, the economy grew at an above-trend pace that year. Resilient
growth, a healthy labor market, and still-elevated inflation suggest to
me that it remains appropriate to maintain a modestly restrictive stance
for monetary policy for some time. Such a policy stance will help to sustainably
return inflation all the way back to 2 percent in a timely fashion.』
インフレ抑制のために利上げをすることによって経済に対してスローダウンの効果が出る、と当初は思っていたのだが全然そうじゃなかったよね、というのが最初に来まして、その次に
『It is difficult to know precisely how restrictive our current policy
setting is. Large fiscal deficits, elevated productivity growth, and the
Fed’s ample reserves framework with many long-duration securities on the
balance sheet are just some of the challenges we face in assessing what
constitutes a neutral stance of policy, one which neither stimulates nor
restricts economic activity.』
ということで中立的な政策金利水準ってどこでしょうか、という話になるのですが、財政支出や生産性の増加、あるいはFEDの長期債購入を含むバランスシート政策による効果、などによって中立的な金融政策水準が引きあがっているんじゃなかろうか、という論点がありますよね、という話になります。
『 Some of the forces that appeared to be holding down the neutral rate
following the Global Financial Crisis may have finally run their course
or reversed. In addition, even estimates from the most sophisticated models
of neutral rates tend to have a great deal of uncertainty around them.
』
このうち一部の要素はリーマンショック以降中立金利の押し下げに働いていた要因でもある。
『As I take into account strong economic growth, the low unemployment rate,
still-elevated inflation, and signals from financial markets, among other
factors, my overall view is that monetary policy is only somewhat restrictive
today.』
でもってさっきの記事の中の話にもありましたが、「my overall view is that
monetary policy is only somewhat restrictive today」と来ましたね。
『In economist-speak, given our sustained robust GDP growth, with U close
to U-star and pi close to pi-star, perhaps r is already close to r-star
as well. Or, to put it in plain English, we may not be too far from a neutral
setting today.』
「we may not be too far from a neutral setting today」と重ねてご説明。
『The target range for the federal funds rate is the FOMC’s primary tool
for communicating and implementing monetary policy. At our last two meetings
in September and November, the FOMC reduced the fed funds target, which
is now in a range of 4-1/2 to 4-3/4 percent. I supported these actions
to recalibrate the stance of policy, reflecting the improvements seen thus
far in reducing inflation.』
これはマクラでして、ここから政策金利どうします話になりますが、
『To balance the need to maintain a modestly restrictive stance for monetary
policy with the possibility that policy may not be far from neutral,』
しつこくも「今は実は中立にそんなに遠くないんじゃないか、ということから考えて政策をバランスさせるべき」と来ました。まあ以下はよってどういう話になるかはお察しという感じですが、
『I believe we are at or near the point where it makes sense to slow the
pace of rate reductions. Moving slowly will allow us to calibrate policy
to the appropriately restrictive level over time given the underlying strength
in the economy.』
慎重にやれと。
『Indeed, since my initial foray into forecasting in the September Summary
of Economic Projections, inflation, growth, and the labor market have all
been stronger than I and the SEP median had expected. To me, this situation
calls for a slower pace of rate cuts relative to my September forecast.
Achieving our goals means seeing further convincing evidence that inflation
is indeed continuing to decline to 2 percent while sustaining a healthy
labor market.』
しかも9月の時点での見通しを上振れているそうです。
『The 1990s provide two separate episodes in which the FOMC reduced the
federal funds rate by 75 basis points and then held it there for a time.
While today’s economy has both parallels to and differences from that
era, I see those shallow midcycle rate cuts as a relatively successful
precedent for helping to sustain a long expansion, though I hope not to
experience another bubble in equity prices along the way. It will be necessary
to monitor financial conditions alongside a broad range of economic data
and anecdotes from the business community to guide our decisions.』
1990年代ような緩和転換によってバブルを起こしたようなことがあってはいかんですバイとな。
『As of yesterday, financial markets appear to be pricing in about one
reduction in the fed funds target range between now and the end of January
and only a few cumulative reductions by the end of 2025. This path is consistent
with my current expectation for the funds rate, based on my forecast that
features solid economic growth, a low unemployment rate, and gradual improvements
in inflation.』
1月までに利下げ、というのが昨日の市場から見た織り込みだが私はそれに違和感ない。
『However, the incoming data, the outlook, and the balance of risks will
ultimately determine the future path of interest rates. As with any forecast,
there are risks on both sides of my expected policy path. Keeping interest
rates higher than needed could unnecessarily harm the health of the labor
market. But easing interest rates too much or too quickly could slow the
return of inflation to 2 percent and contribute to froth in financial markets,
a situation that could undermine financial stability and impede progress
on our monetary policy goals. As long as inflation is above our objective
and the labor market remains strong, my focus remains on finishing the
task at hand. Admittedly, it’s a careful balancing act.』
『There are more data releases between now and the next FOMC meeting that
will help to shape the outlook. I look forward to discussing my observations
with my colleagues at the FOMC table and will maintain an open mind about
the decision that will best position monetary policy to achieve our maximum
employment and price stability objectives.』
最後の方は「とはいえデータをよく見ていきましょう」的な話ですな。まあ中立金利どこにあるのか問題はこれから話題になるんでしょうね。
#あ、中村審議委員の会見を忘れた!
2024/12/06
お題「中村審議委員金懇会見でひと騒ぎワロタ/今日は短国3M/金懇講演はいつものように政策調整に時間のかかる話です」
いやー毎日色々と起きますわなーコミュ障ここに極まれりw
〇中村審議委員会見でひと騒ぎワロタ(中村さん的には貰い事故みたいな面もあるかなと)
順序が逆ですが中村さんの会見がクソ面白事案になったので。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/Z4QTPJWM2NN3NO6ZDGYZXPCDEA-2024-12-05/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利1.065% 日銀審議委員の発言で売り圧力
By ロイター編集
2024年12月5日午後 3:30 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - <15:19> 国債先物は反落、長期金利1.065% 日銀審議委員の発言で売り圧力
国債先物中心限月12月限は、前営業日18銭安の142円98銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5bp上昇の1.065%。中村豊明日銀審議委員の発言をきっかけに日銀の早期追加利上げが意識され、円債は軟調に推移した。』(上記URL先より)
昨日の債券先物ちゃん、後場の途中からはまったりモードだったというのに、引け前20分で突如の急落(143.10辺り→143円割れ水準に一気に下がるでござるの巻)となった訳ですが。
https://jp.reuters.com/economy/inflation/B3WSPQA5TBPBBPSQZIAOL7CCSA-2024-12-05/
利上げに反対ではない、データに基づき判断すべき=中村日銀委員
By 和田崇彦
2024年12月5日午後 4:28 GMT+9
『[広島市 5日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は5日、広島市内で行った金融経済懇談会後の記者会見で、「利上げに反対しているわけではない」と述べ、データに基づいて政策判断をすべきだと強調した。12月の金融政策決定会合で利上げするかどうかは13日に発表される日銀短観などのデータをよく見た上で判断したいと話した。
中村委員は追加利上げがいつか、予断を持って言うには「まだデータが少なすぎる」とも述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、この「利上げに反対しているわけではない」というのとか、「データに基づいて政策判断をすべき」っていうのがここまでの利上げの際に反対票を投じたりした中村審議委員が言ったもんだからあらまあという感じで下がったわけですが、まあよくよく考えてみたら前日の時事通信&MNI砲(MNIが効いたのかは知らんが時事通信のは効いている)で一旦12月利上げ観測ヒャッハー筋が降参したところにこれが出るもんだから華麗なる往復ビンタを食らわせた格好になってしまってこれは円債市場の皆さん益々の血圧上昇案件ということになってしまいました。いやもう日銀何やってるんだか。
まあ中村さん自体は従来通りで、
『中村委員は、自身の発言などから金融市場では「ハト派」と目されているようだとしつつ、従来から経済構造の転換に向けた芽は出ていると言ってきていると指摘。「日本経済の将来に明るい希望を持っている」と述べ、成長志向の中小企業が増えていくことに期待感を示した。』
ってお話してたようですし、そもそも金懇の方ではいつものように利上げ慎重なお話(とは言え構造改革待ってたら百年利上げできないし、その間に今の水準の緩和を継続することが本当に構造改革を推進するのかというとだいぶ疑問をぬぐえないのですけれども)をしていたので平常運転ちゃあ平常運転ですし、もともと単に「決め打ちしない」と言ってるだけだし、中村さんが反対しても利上げぶっこむ時はぶっこんでいますし、利上げ後に中村さんは別に利下げしろとか言ってるわけではないので、中村さんが利上げに反対ではない、というのが即12月利上げに影響するのかというとそれはまた別問題。
ではあるのですが、これは前々から申し上げているのですが、金懇会見がメディアのヘッドラインに出てくるお時間(エンバーゴのお時間なのかどうかは存じませんけれども)がだいたい14時40分くらい、という今の金懇の段取りがそもそも論としてよろしくなくて、それは国内債券市場の引け際になってしまうし、だいたいからして金懇会見ってライブ放送とかない(質疑応答の紙が出るのは翌日)からどうしてもヘッドラインに頼らざるを得なくなるので、引け際にヘッドラインリスクを誘発しやすく、市場に対して無駄にボラを与えるリスクがある段取りになっているんですよね。
とまあそういう事なんで、金懇会見やるなら4時過ぎとかの引け後思いっきり時間経過してからにするか、2時ちょうどくらいからにするとか、とにかく今の「引け際20分くらいでヘッドラインが飛んでくる」という運営に関しては勘弁して欲しい訳ですが、日銀はなんせかつて10年新発国債入札の日の前場引け直後(=すなわちマーケットメーカーが入札に備えて事前ヘッジが完了した後)のタイミングで、臨時政策委員会・金融政策決定会合の実施をアナウンス(=その時の臨時会合はどう見ても金融緩和で案の定緩和になった)してマーケットメーカー全員が踏み入札をしなければいけなくなった、という輝かしい前科がある位に、債券市場に関しての理解が足りない人たち、というのが伝統芸能(なのに長期国債市場に介入しまくったんだからそりゃ弊害もでる)として継承されているので(個人の感想です)、まあお前ら大概にせえよ、というお話ではございます。
しかしまあ何ですな、これ中村さん別に悪意があったわけでも何でもないと思うのですけれども、今週は土曜日の総裁日経インタビュー、水曜の時事通信砲、木曜の中村審議委員会見、という三連コンボで市場に超無駄なボラを与えてしまいまして、また債券市場に喧嘩を売ってしまうというプレイ(しかも本人たちは喧嘩を売る気はなくやっているのが無能な働き者にも程がある話)をしてしまった訳でして、おまいらマジで何なのこの下手糞はとしか申し上げようがありませんですけど、植田日銀の間中この調子だと思うと頭がくらくらします、まあ見世物としては面白いんですが見世物の端役にさせられて殴る蹴るの暴行を食らう役をさせられる市場の皆さん含むワイにとってはいい迷惑ではありますな。
というただの悪態でした。
〇中村審議委員の前に3M短国プレビューでも
今日は例によって例の如く3MTDB入札があるんですけどね。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20241129.htm
国庫短期証券(第1273回)の発行予定額等
『1. 入札予定日 令和6年12月6日
2. 発行予定日 令和6年12月9日
3. 償還予定日 令和7年3月17日
4. 発行予定額 額面金額で4兆3,000億円程度』
ということで3月17日ですよ3月17日、という足になっているのですが、直近の売参ちゃんを
見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(12/5引値)
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.155
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.155
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.155
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.145←先週入札の3Mカレント
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.155←今日の新発WI
国庫短期証券1220 2025/03/20 平均値単利 0.180
カレントだけ他と引けが違うとか、3か月オーバーになっている1220(1年短国の成れの果て)とWI3日違いでなんでこうなるのとか、毎度のアレな引値ではありますが、WIベースでは0.155%と0.1台後半の利回りになっとりますな。
ってまあ冷静に考えてみたら12月利上げ(12/20から付利金利引き上げ)とか1月利上げ(1/27から付利金利引き上げ)とかいう話の中で3月17日償還なんですからちったあそのプレミアム乗っかれよという話でもあるので、そういう点から言えば相変わらずの需給の強さよ、というお話でもあろうかとは存じますが、10月から11月頭までの地獄のような年末越えのクソレートから見たらマシちゃあマシなのですが、タイボーとかそういうの普通に金利上がっているのですからまあ別に3月後半償還ならレート上がれよという話でもあろうかとは存じます。
最近3Mって応札が以前のような10兆円台ではなくなっているのですが、まあそのあたりも含めまして、短国の需給逼迫も少しは緩んでいただきますと市場らしくなってきますのでぜひその方向でオナシャスという所ではあります。
〇中村審議委員広島金懇挨拶は具体的な目先の金融政策の話は無いが正常化に時間かかるロジックである
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241205a.htm(HTML)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241205a1.pdf(PDF)
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
広島県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 中村 豊明
2024年12月5日
HTMLバージョンが同時公表されましたのでコピペが楽なHTMLバージョンから引用します。
・個人消費が物価高で弱くて今後節約志向が高まるかもしれないというのであれば・・・・
『2.内外経済情勢』のところですが、こちらは総じて中心的見解よりも弱めのお話をしていますね。
つまり、現状認識の部分では、
『日本経済は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。企業部門では、財輸出は横ばい圏内の動きとなっているほか、サービス輸出は、入国者数の増加等によるインバウンド需要の増加を受けて、過去最高を更新する勢いで増加を続けています。鉱工業生産は、横ばい圏内の動きとなっています。企業業績は改善傾向にあり、設備投資も省力化やDX・GX等の投資ニーズが強まり、緩やかに増加しています。』
この辺までは展望と同じ話ですが、
『もっとも、需要が供給を下回る状況が続くもとでは、設備投資計画が先送りされる可能性もあり、今後の動向に注意が必要です。』
と入れてみたり、
『家計部門の所得環境は、足もとまで前年比+2%台後半の賃金上昇が続くなど、緩やかに改善しています。もっとも、成長志向の大・中堅・一部の中小企業と「稼ぐ力」の回復が遅れている過半の中小企業との間で、「前向きな賃上げ」と「防衛的な賃上げ」の二極化が窺われ、今後の動向を注視しています。』
てな感じで賃上げの動きに関しても死角あり、という話をしておりまして、
『また、個人消費は、物価上昇や節約志向の影響等により、力強さに欠けています。』
でまあこの認識でして、かつこの後先行き見通しのところでもこの点を懸念しているのですが、だったら何で金融緩和継続すべきって話になるんじゃ消費ってGDPの6割だろ、と思うのですけれども何でそうなるんですかねえ・・・・・・・
なお、物価に関しては
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰してきているものの、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、足もとは2%台前半となっています。』
現状に関してはこうです、先行きは弱気ということでこの次が先行きの話。
・先行きは賃金上昇の持続性と消費に懸念なんですが
次のパラですけど、
『日本経済の先行きを展望しますと、10月公表の展望レポートでは、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まり、潜在成長率を上回る成長を続けると予想しています(図表2)。』
というのは展望のメインシナリオですが、
『もっとも、私自身は、賃上げの持続性にまだ自信を持てておらず、個人消費の節約志向の強まりや設備投資計画が先送りされる可能性、中国を始めとする海外経済の下振れに伴う競争の激化等も織り込み、経済は政策委員見通しの中央値より低い伸び率を想定しています。』
『また、消費者物価(除く生鮮食品)前年比の政策委員見通しの中央値は、2024年度に2%台半ばとなったあと、2025年度および2026年度は、概ね2%程度で推移すると予想していますが、私自身は、2025年度以降は2%に届かない可能性があると考えています。』
うーんこのという感じで、節約志向の高まりが困るんだったら今のアクチュアルの物価上振れに対してなんか対応する、という考えにはならんのかねと思いますし、対応しないにしたって「物価の上がる政策」を継続する必要があるのか、という話はどうなんでしょうかねえ・・・・・
・よって本編では金融政策の修正に時間のかかりそうな話になる
でまあその次が『3.経済の成長軌道への回復状況に応じた金融政策運営』なんですけど、こちらはお題はこうなっていますけれども、基本的に中村さんの言う「稼ぐ力」の復活という壮大なテーマに沿ったお話になっています。
『わが国の金融政策は、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を通じて国民経済の健全な発展に資することを目的としています。米国の金融政策や海外経済の動向、為替の動向等は、日本の経済・物価に影響を与えますので考慮する必要がありますが、私は、人口動態や産業構造の変化によって低収益化した経済の回復状況に応じて、中長期的な視点でわが国のファンダメンタルズの向上に資することが、金融政策運営にとって大変重要と考えています。こうした観点から、やや長い目でみた日本の産業構造の変化等について、私の経験も踏まえて整理してみましたので、以下お話しさせて頂きます。』
「人口動態や産業構造の変化によって低収益化した経済の回復状況に応じて、中長期的な視点でわが国のファンダメンタルズの向上に資することが、金融政策運営にとって大変重要と考えています。」
お、おぅ・・・・・・・・・・
というマクラの部分の時点で「こりゃ時間のかかる話をしているわ」というのが分かるとは思うのですけれども、いやまあ中長期的な日本経済の「稼ぐ力」を強めるというような話は言いたいことは分かるんですが、じゃあそれを実現するために今のようなどこからどう見てもバチクソに緩和的な金融政策を継続する必要はあるのか、ということをもっと考えて頂きたいと思うのですけれども、
最初の『(1)日本の産業構造の変化と経済の回復状況』という所ですが、この締め部分がこうなっていまして、
『さらにコロナ禍以降の世界的なインフレの高進や為替円安により、日本でも輸入物価を起点としたインフレが生じました。これまで取り組んできた大企業を中心とした「事業構造(ポートフォリオ)改革」による「稼ぐ力」の強化が奏功して、33年ぶりの高い賃上げ率、バブル期を超えた株価、100兆円を超えた設備投資など、前向きな事業活動により、物価上昇に負けない「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への大きな変革の芽が生まれ、停滞していた規制改革も進むようになりました。もっとも、足もとの実質GDPは、前期比増加と減少を行き来しており、まだ安定的な成長軌道に乗っているとはいえません。』
という結論になっている時点で、ああこりゃ金融緩和縮小という話にならんな、と思う訳ですが、その次の『(2)経済の回復状況に応じた金融政策運営』ってところでは、
『コロナ禍からの回復局面で人手不足が深刻化し、雇用の流動化や賃金上昇が進み始めましたが、少子高齢化・人口減少による需要低迷と供給制約、低収益化した産業構造等の構造的問題があり、中小企業中心に投資回復が遅れているため、私としては、まだ賃上げの持続性に自信を持てていません。』
というのはさっきあった通りですが、
『2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な達成のためには、企業の「稼ぐ力」の向上による経済の成長軌道回帰への期待に自信が持てる経済構造への変革が必要ですが、これには相応の時間が掛かると思います。』
oh・・・・・・・・
『しかし、既に物価上昇に負けない「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への大きな変革の芽が出ていますので、これが枯れずに順調に育つように、多くのデータを確認し、経済の回復状況に応じて金融緩和度合いを慎重に調節していくことが重要な局面だと考えています。』
どう見てもこれは金融緩和を縮小する意欲が少ないとしか言いようが無いですな・・・・・・
『具体的には、多くのデータやヒアリング情報により、(1)回復が遅れている中小企業の「稼ぐ力」の水準がコロナ禍前を上回っているか、(2)価格転嫁率が改善しているか、(3)設備投資や賃金・賞与の増加に進展がみられるか、(4)「前向きな賃上げ」を行う中小企業が増加しているか、(5)家計の節約志向が改善しているか、(6)輸出競争力が向上しているか等を含め、経済の回復状況を丁寧に確認していきたいと考えています。これらについては、日本が抱える構造的問題と併せて、後ほど説明します。』
うーんこのという感じで、まあごくごく普通に利上げ慎重、としか読めませんわな。
・国民すべてを「家計のダイナミズム」に放り込むのが本当に国民厚生の向上に繋がるのかなあと
でまあこの次が『4.構造的問題を克服する持続的経済成長に向けて』の話で、まあ展望レポート棒読み金懇やるどっかの審議委員とかの講演よりはオモロイわけで、中村さんの金懇講演のメイン部分になるのですが、甚だ恐縮ですが例によってかっ飛ばすんですけど、前回の中村さんの金懇講演の時も申し上げたのですが、「家計のダイナミズム」の話、言いたいことは一つの主張として分かるのですが、やっぱり凡人のワイは腑に落ちないところがありまして、『(3)将来不安を軽減する「家計のダイナミズム」の向上』って小見出しのところですけれども、その2段落目から。
『低収益化した経済構造においては、成長志向の大・中堅・一部の中小企業が成長をリードし、多くの従業者が働く過半の中小企業にも「前向きな賃上げ」が広がることが、将来不安の払拭に必要です。しかし、現在の賃金水準は主要国の中でも低く、社会負担の増加や「年収の壁」等、時間当たり賃金の上昇が可処分所得の増加に繋がらないなどの構造的問題を抱える中で、雇用者報酬が家計の可処分所得の9割超を占める「一本足構造」となっています。』
『雇用者報酬の占める割合が7割、配当利子所得が2割の米国の家計のように、「稼ぐ力」の多様化に向けた改善も将来不安の解消には必要です(図表14)。』
利上げすると利子所得上がると思いますし、利上げしたら配当「利回り」っていうくらいですから配当引き上げのプレッシャーにもなると思いますわ(^^)
『新NISAの開始を通じて、勤務先の業績だけでなく、投資によって上場企業の成長が家計の所得向上に繋がる所得構造の多様化も進み始めています(図表15)。』
でまあここの締めが、
『持続的な賃上げ、転職による賃金上昇、「長期・積立・分散」投資等により「家計のダイナミズム」が向上し、家計の「稼ぐ力」の向上の動きが、今後、家計の消費行動の改善に繋がると期待しております(図表16)。』
ってしらっと「転職による賃金上昇」ってあるんですけれども、すべからくすべての人がホイホイと転職して給料アップだぜヒャッハーっていう世の中っていうのはそらまあ「ダイナミズム」はあるのかも知れませんが、もうちょっとこうそんなダイナミズム無しでも普通に生活設計ができるような社会の方が、中村審議委員のようなスーパーな方ではない人たちにとっては平和なんじゃなかろうか、とまあ凡人オブ凡人のワイは思うんですよね、というのを前回に引き続き書かせていただきたく存じます、はい。
#でもって結局会見はどうだったのかというのは今日出てくる会見録で確認ですな
2024/12/05
お題「日経インタビューは何だったのか(時事通信砲関連)/決済に関する植田さんの講演が微妙なアレ/その他メモですが投資家懇オモロイですよ」
ガッキーさん(涙)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241204-OYT1T50239/
自民・谷垣元総裁、法務部会で保護司制度の充実を要望…1年ぶりに党本部来訪
2024/12/04 23:03
ノブテルとかいうクソバカトンチキの国賊野郎がガッキーを裏切っていなかった世界線というのを見たかったです・・・・・
〇時事通信砲キタコレですが結局日経インタビューは何だったのかと小一時間
とはいえ時事通信さんの方は時事メインの「金融観測」記事なのでネット版というものは多分ない(探し方が下手くそなのかもしれないけど)ので残念ながら記事内容をネットから引用とはいかないのですが。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/AMYRR7E4JFKSLCLE43BM7EABWI-2024-12-04/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続伸、日銀利上げ観測後退 中長期債主導で金利低下
By ロイター編集
2024年12月4日午後 3:33 GMT+9
ちなみにクソどうでも良いですが、某ブルームバーグさんは昨日の市況解説の中で時事通信のニュースというのを頑なに書いていなくて「12月利上げ観測が一部で後退」としていてくやしいのうくやしいのう(日経のインタビューの両論併記のうちホーキッシュな方を思いっきりクローズアップしていましたからねえ・・・・)という感じでございましたがそれはそうとしまして、
『[東京 4日 ロイター] - <15:15> 国債先物は大幅続伸、日銀利上げ観測後退 中長期債主導で金利低下
国債先物中心限月12月限は、前営業日比29銭高の143円16銭と大幅続伸して取引を終えた。日銀の早期利上げ観測が後退し、金利は中長期ゾーン主導で低下。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5ベーシスポイント(bp)低下の1.050%。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことでして、
『先物相場は午後に入って一段高。時事通信とMNI(マーケットニュース・インターナショナル)から相次いで、日銀の早期利上げをやや慎重視する記事が日本語と英語で伝わったことが材料となり、国債買いの動きに勢いがついた。』
ということで、実際には時事通信の「金融観測」コラムは9時半くらいに出ていたと思うのですが、当然の如く日本語ですし、内容も(日本語使いじゃないひとだと)読むのにお時間かかるでしょうから、なんかまあ伝わるのにお時間かかった模様で後場になって思い出したかのように激強相場になったという有様でした。
でまあ時事さんの金融観測コラムはそういう訳で勝手に引用ってのもアレでございますが、かいつまんで申し上げると(というか後日のワシの備忘用に書いておくと)「日経新聞の植田総裁インタビューで12月利上げ観測が盛り上がったことに関して日銀の中の人たちにおいては困惑を隠せない向きが多いようです」「インタビューを素直に読むと利上げを急いでいるようには見えませんよね」というようなお話でして、中の人云々は取材結果だと思いますが、インタビューを素直に読んだ場合のお話ってのはまあ両論併記なんだからどっちに力点置くかって話なんですが、先日申し上げたように「トランプ政権の経済政策ガー」とか言い出すと実はかなりの先まで利上げを躊躇できるという罠のあるトラップ文言ではありますので、後はチキン日銀の腹の据わり方次第、というお話になろうかと思うのよね。
でまあそんなこんなで12月利上げ観測の火消し入りました(MNIの方は何かこれまた会員記事なのでよー分からんかったが円安対応云々とかこの辺りの水準では関係ねーよみたいな記事だったようですね)という事ですが、まあ少なくとも取材の結果「中の人が12月利上げに困惑」なのはわかったという前提でお話を進めましょうです。
えーっとですな、12月利上げ観測を煽る気が無かったんだったらそもそも何であの両論併記インタビューを実施したんだというお話でありまして、ああいうインタビューをしたら市場は「見たいものを見る」んだし、だいたいからしてついちょっと前の名古屋金懇で「この先いつでもライブよ〜」っていう感じの情報発信によってハトハト音頭のトーンを下げていた訳ですから、なんもあのタイミングで日経のインタビューをやって、しかも両論併記するってのは市場に対するコミュニケーションとして下策というのにも値しないアホの所業で、いつまでたってもマーケットセンスが無いわ日銀って、っていうお話でございます。
でまあ市場だって12月やるかもしれないしやらないかもしれない、って感じで構えている中だったのですから、なんも余計なこと言わないでそのまま決定会合を迎えれば無問題だったのに、結局日銀が市場を煽って火消するマッチポンプを実施して市場に余計なボラティリティを与えただけ、というクッソしょうもない対応をした結果になりまして、振り回された市場の中の人たちからはナンジャコラですし、さらにあの日経インタビューで思いっきり「これは12月利上げですわ」とぶっこんだ結構多くの何とかストの皆様におかれましては面目丸つぶれにも程があるわけでして、市場に喧嘩売ってどうするんだと思うのですが、これがまた日銀の悲しいところは本人たち市場に喧嘩を売るつもりで日経のインタビューを実施したとは到底思えないところでして、これがまあわざとやって12月利上げした時の円高に対する糊代つくりでもしているんだったら面白いんですけど、良かれと思って日経インタビューやった結果、市場が日銀の思う反応を示さなかった(まあワイから言わせてもらえば当然の反応を示したんですけどwww)ので困惑とかおじいちゃん情けなくて涙が止まらないですな、ナムナム。
とまあそういう訳ですので、12月やるにしてもやらないにしてもこれはまあその時の説明(引かれ者の小唄とも言う)がどのようになるのか、というのがクッソ楽しみになってまいりました、というお話でありますが、7月利上げの時にコミュニケーション不足って言われたと思ったら今回は余計なコミュニケーションをぶちこんでしまうというのがもう日銀らしくて素敵ではあります(全然褒めてない)ということで。
〇決済に関しての植田さんの講演は色んな事を織り込もうとして話が雑になっている気がするんだが
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241204a1.pdf
決済の未来と中央銀行の役割
(FISC創立40周年記念講演会)
日本銀行総裁 植田 和男
『2.決済システムの発展とデジタル技術 』ってところの最初の小見出しに、『(マネーの本質-利用者の信認の維持-)
』ってのがあるのですけど、
・別にアゲンストペイメントは必須じゃねえだろ
『まずは決済に用いられる貨幣について考えてみます。図1は、よく用いられる物々交換の不便さ、貨幣の重要さを表したものです。いわゆる欲求の二重の一致が成立しない状態となっており、物々交換はうまくいきません。しかし、皆が信頼する貨幣があれば、物の動きと反対方向に貨幣が動くことによって、交換が成立することは容易にわかります。』
なのは良いんですけど、
『また、この取引では、物と貨幣の引き渡しが同時に行われており、いわゆる
DVP(Delivery Versus Payment)が成立していることも重要です。』
いや世の中信用売り(掛け売り)は普通に行われてるじゃろ。
『物やサービス(あるいは資産)の売り手が、売却代金を回収できるか、逆に買い手が代金を払ったにもかかわらず、物やサービスを受け取り損ねることがないかどうかは、決済における最も重要な要素の一つです。』
そらそうなんだが、そこにDVPが必須というのは意味が分からん。まあこの後に続く「決済システムのデジタル化とその技術の進歩」という文脈でDVPの話をマクラにしたかったんだろうなあ、とは思うのですけれども、何ぼ何でも「DVPの成立」をクローズアップすることは無いというか説明が雑だと思う。
・色々なことを織り込みたいのは分かるが話の進ませ方が全般的に雑
でもってこの次に続くのが、
『マネーにとっては信認が命ですが、偽造対策は先人たちの頭を悩ませ続けたようです。』
となっていまして、いやまあ短い挨拶の中にいろいろな要素を詰め込みたかったんでしょうけれども、何でそこでこういう話の飛ばし方をしているのか、と思うのですよね。以下は偽造対策の話になっているのですが、そこでも・・・・・
『江戸時代の日本では、藩や商人によって盛んに紙幣が発行されましたが、現在のマイクロ文字と同様に細かい文字を模様のなかに入れるといった工夫や透かしなどの偽札対策を講じながら、17
世紀から明治初頭まで、約 260 年にわたり流通しました(図2)。今では、発行者が金属との交換を約束しない紙幣(不換紙幣)が流通しており、多くの国で中央銀行が最先端の偽造対策を講じながら紙幣(中央銀行券)を発行しています。』
偽造対策の話と中央銀行発行通貨の兌換性は全く別次元の話で、偽造対策の説明の中で兌換紙幣と不換紙幣の話を入れ込むのは意味が分からん。
『因みに、わが国では、最近は 20 年に一度、改刷を行っていますので、FISC
が創立された40 年前は、ちょうど前々回の改刷の年にあたります。今回の改刷でも新たな偽造対策が施されています。』
まあ改刷の話はいいんですけど、というか偽造対策の話をしたいんだったらこの20年に1回実施する改刷の話をもうちょっと詳しく説明した方が身になると思うのですけど、次の段落に行くとまた話が飛ぶのよこれがまた。
・マクラにしてはちょっと話が飛び過ぎですw
この直後がこの話である。
『もちろん、偽造対策だけでマネーに対する信認を確保できるわけではありません。貨幣に関する歴史の教えるところでもありますが、信認維持の最大のポイントは貨幣価値を安定的に保つことです。』
また話がワープしたとおもったら、
『これを裏から指摘したのが、ハイエクの「貨幣発行自由化論」です。これは民間の銀行に自由に貨幣を発行させれば、競争を通じて結局価値の安定した良いものが残っていくだろうという考え方です。』
ということでなんですかこの話の飛び方は、と言いますとその次が、
『現在ではデジタル技術の予想を超える発展によって、マネー間の競争に、新しい技術を体現した使い勝手の良さ、安全性に配慮したうえでの効率性が、本質的な軸として加わっています。この点に関する全体像を提供することはとても無理ですが、今後の展開を考える際の留意点を、今日はいくつかお話しできればと思います。』
という結局はまあデジタル技術の高まりによってどうのこうのというお題になるのですが、いろんなことを織り込みたいのは分かるんだが、断片的に織り込んだ結果何の話をしているんだという出来上がりになっておりまして、ちょっとこれはどうなのかと思いました。
ちなみにこの次ですけれども・・・・・・
・信用創造に関する話ってマネーの話をするなら重要なんだけどなあ
『先に進む前に、もう一度図1に戻りましょう。物の交換が貨幣を媒介に可能になると言いましたが、実は貨幣を使わなくても似たようなことは可能です。細かい点は省きますが、帳簿付けによる方法です。』
これまあ相手が専門家でしょうから良いんですけど、実物貨幣の話と「通貨」の話が混同されやすいので、もうちょっとちゃんと「実物の貨幣」って言うべきだと思うんですよね。
『物が A さんから B さんに渡ったら、帳簿上 A さんの「資産」を増やし、B
さんのそれを減らすという操作をし、これを繰り返していくだけです。貨幣による交換と似ていますが、物理的に貨幣が移動する必要がありません。』
でまあこれがいわゆる銀行の信用創造機能を介したマネー供給の二重構造の話の方に進むのかと思いきや、
『ただし、帳簿付けに対する信頼がないといけません。B さんから A さんへの支払い指図が帳簿係に正しく伝わること(メッセージング)が必要です。参加者が増え、帳簿が分断化、複雑化していくと、誰かがそれをちゃんと管理して、同期をとることも必要になります。取引が増えていくと、中間段階である程度の期間の取引を集計し、差額だけを資産変化に反映させる仕組み(ネッティング)も利用されたりします。』
うーん何でそっちの話に行くのよ、と思うのですが、これは次の段落を見ますと、
『現在の決済は、以上のような帳簿付けに関する技術が格段に進歩し、効率性が向上しつつあるところですが、それに伴って、安全性に対する以前とは異なった観点からの配慮も必要になってきています。また、新技術を体現した決済方法間の競争も激しさを増しています。』
となって、次の小見出し『(デジタル技術の発展と決済システムの改善) 』という各論部分に進むので、要はそっちの話をするためのマクラなのですが、この総論っぽい部分の説明のどこがどう雑かと言われると結構めんどいのですが、なんかまあ雑だよね、と思うのですね。
まあマネーの話ではなくて、単純に決済システム技術の話をしようとしていたんでしょうね、というのは以下のところで何となく想像は付くのですけれども、だったらマネー供給の話を混ぜない方が良いというか混ぜるな危険の世界だと思うのですよね。しかもですね・・・・・
・いきなりマネー供給の二重構造の話をするのかよ〜と思いました
『4.決済システムの未来を考える視点』という所に飛びますと、最初の小見出しが『(伝統的な決済システムの利点と課題)』ってあるんですが、そこではいきなり、
『決済システムの未来を考えるために、中央銀行預金、民間銀行預金の二層構造に、ノンバンクによる決済が加わる世界における分業の在り方に関する一つの視点を提供してみましょう。』
いきなり何の断りもなくこの話をおっぱじめるのって、いやまあ相手が専門家だから二層構造のことくらい分かっているってのはあると思うのですが、何ぼ何でもさっきのマクラ部分と比較して話がワープしてないですかね、と思うのですよ。
以下、
『出発点として、伝統的な決済システムの利点と課題について考えてみます。現在の決済システムで大きな役割を果たしているのは、銀行の預金通貨です。預金通貨には、信用創造機能があります。』
事前説明なくこの話持ってくるのかよ。
『銀行が貸出を行うことにより支払手段である預金を創出できますので、大口の資金決済に伴い必要となる顧客の流動性需要(入金に先行して支払いが発生する場合などにおける一時的な資金需要)に柔軟に対応することが容易になります。』
『電子マネーやステーブルコインの場合、支払代金を用意しておくこと(プレファンド)が必要となるため、大口決済になると負担が大きくなります。』
『預金通貨を用いる決済システムは、特に大口決済で効果を発揮します。一方、小口決済の分野では、予め支払代金を用意しておく負担が大口決済ほど大きくありませんので、ユーザーにとっての手続きの簡便さなどのユーザーエクスペリエンスが重視される傾向があります。こうした点で便利なノンバンク決済サービスは利用拡大のチャンスがあります。』
うーんこの、という感じでして、まあ話をしたい趣旨は分かるのですが、この切り口も本当にそれだけなのか、という疑問が大有りな訳ですし、まあ何ちゅうかこの植田さんの講演テキスト、全般的に作りこみが荒いというか粗いというかって感じを受けたので、突如ツッコミを入れてみたくなりましたという事です。
〇パウちゃん発言とかあるんだが時間がないのでメモだけ置く
・パウちゃん発言がありましたですね
https://jp.reuters.com/business/RSRFRS2DURKXJCY6VOTK2LI3TM-2024-12-04/
パウエル米FRB議長の発言要旨
By ロイター編集
2024年12月5日午前 5:24 GMT+9
『[4日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は4日、ニューヨークタイムズ紙主催のイベントでインタビューに応じた。主な発言は以下の通り。』(上記URL先より、以下同様)
ということで全部引用するのも何なので途中まで引用しますと、
『*米国経済は極めて良好な状態にある
*金融政策の現状に極めて満足している
*失業率は依然として非常に低く、インフレを巡る状況も進展している
*経済は堅調であり、この状態が続かない理由はない
*FRBは、インフレを抑制しながらも労働市場を阻害しないよう、 政策がそれほど制約的でない中間的な立場を模索している
*関税政策に関しては不確定要素が多すぎるため、FRBは対応政策を開始する段階にない
*財務省が責任を担う為替政策について、FRBはコメントしない
*米財政は持続不可能な道を歩んでいる、歳出入の調整が必要
*FRBの金融政策は物価安定に焦点、政府債務や財政赤字を考慮することはできない』
いやもうこの最後の2つ、じつにすんばらしいと思いました、という小学生並みの感想だけ置いておく。なおFRBのページには特に本件は載っていない模様(今のところ)
・国債投資家懇談会の議事要旨がなんかすごいことになっている件について
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/241127.html
国債投資家懇談会(第95回)議事要旨
・日時 令和6年11月27日(水)10:00〜11:25
・場所 財務省 第3特別会議室
・内容 令和7年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について
とまあこちらなんですが、なんか今回物凄い大部になっていまして、中々ゴイスーな内容になっておりますので読み物としてご鑑賞されたいと思うのですが、ちょっと時間がないので本日は謹んでパスさせていただきとう存じますさーせん。
2024/12/04
お題「債券市場サーベイ等のメモと雑感/クーグラ―理事とデーリー総裁の発言あったけど結局この先の指標次第っぽいですね」
国会の反対決議で撤回にはなったのですけれども・・・・・・
https://jp.reuters.com/world/north-korea/CFSEBIS53RPJDJZY3AMKATPU2M-2024-12-03/
韓国大統領が戒厳令、国会は拒否 軍介入やデモなどで騒然
By Jack Kim, Ju-min Park
2024年12月4日午前 4:15 GMT+9
『[ソウル/ワシントン 4日 ロイター] - 韓国の尹錫悦大統領は3日夜、YTNテレビの緊急演説で戒厳令を宣言した。韓国で戒厳令が発令されるのは1980年以来。国会は軍隊が突入を試みる中、戒厳令の解除を求める動議を可決。国会前では抗議する人々が集まるなど騒然となった。』(上記URL先より)
1980年の戒厳令って粛軍クーデターですね(ワシ思いっきり記憶にある時代です・・・)
#なおロイターのURLの中にある国名が甚だ謎である
〇債券市場サーベイとか減額措置とか
・債券市場サーベイはまあ2個前と比較するもんでしょうということで
https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond_list/bond2411.pdf
債券市場サーベイ
<2024年11月調査>
回答期間:2024年11月1日〜11月8日
こちら前回の8月が「回答期間:2024年8月1日〜8月7日」という面白期間になっていたので、その前の「回答期間:2024年5月1日〜5月9日」と比較する方が妥当かなとは思いまして。
https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond_list/bond2405.pdf
債券市場サーベイ
<2024年5月調査>
回答期間:2024年5月1日〜5月9日
(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)
(現状)
5月:▲24
11月:▲20
ではあるのですが、
(2)債券市場の機能度・流動性に関する各論
@貴行(庫・社)からみたビッド・アスク・スプレッドについてご回答下さい
(現状)
5月:▲29
11月:▲30
A貴行(庫・社)からみた市場参加者の注文量について、板の厚み(注)等を念頭においてご回答下さい。
(現状)
5月:▲33
11月:▲38
B貴行(庫・社)の取引頻度についてご回答下さい(注)。
(現状)
5月:▲17
11月:▲10
ということで、機能度は改善したという結果になっているので、イメージ的には良くなっている感じではあるのですが、ゆうてスプレッドとか板の厚みとかは改善しているわけではなくて、ただまあ売買の方がマイナス金利解除直後よりも動くようになっている、というのが影響しているんジャマイカという勝手な臆断をしておきます。
・次期チーペストに減額措置と(既にご案内の話ですが備忘のためメモっておきます)ちょっとおまけ
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
こちらの数字ですが、先日来補完供給の金額だので話題になっておりましたように、10年366回が直近数字を見ますと80262になっていまして、前回から2000億円の減額、という結果になっておりまして、めでたく(かどうか知らんが)減額措置が実施されまして、市中にチーペストが2000億円供給されることになりました。
しかしまあ改めて見ますと減ったとは言っても80262ですし、その先の銘柄も7兆5000から8兆3000とかいうような頭くらくらする数字が並んでおりまして、指値オペだの何だのやった後遺症はまだまだ続くわけでございますわな。
そういう文脈で申し上げますと、12月に多角的レビューの結果大公表、ということで相変わらずクソしょうもない過去の政策の正当化スタッフペーパーがホイホイと出ているのですが、山本謙三元日銀理事(この前本を出しておられましたが帯にフジマキ入れるのは一般にはウケると思うのですがやっぱり(ノ∀`)アチャーってなりますわな・・・・)がこんな指摘を。
https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2024/12/02/post2716/
日銀の「多角的レビュー」に期待されること
〜「財政ファイナンス酷似」「市場機能低下」の検証がカギ
2024.12.02
『多くの中央銀行は、「独立性の確保」や「財政ファイナンスの禁止」のほか、「資産の健全性確保(短期資産中心のオペレーション)」、「市場機能の重視」といった規範を有してきた。異次元緩和は、「物価2%目標の実現」の1点のために、これらの規範の多くを曲げてきた。
多角的レビューが「多角的」であるためには、物価や景気に対する効果の測定だけでなく、規範のゆがみがもたらす長期的な帰結の検証が欠かせない。
具体的には、(1)財政ファイナンス酷似の実態とその長期的な影響、および(2)市場機能低下の実態とその長期的な影響である。』(上記URL先より、以下同様)
ということで誠に仰せの通り、というか既に長期的な影響どころか短国市場には思いっきり影響が出ている訳ですけれども、政策の残したゴミが片付いてから検証というのをすべきであって、今の感じですと「QQEもマイナス金利もYCCも妥当だったのに早期達成できなかったのはノルムとかいうなんだかよくわからんものが悪いので日銀の施策は悪くない」という話になってしまい、すなわち次回に同じような状況になった時にマイナス金利だのYCCだのとかいう糞政策がドヤ顔で実行されてしまうというリスクが高まるからそんなクソみたいな歴史改竄するんじゃねえよ今すぐ多角的レビュー中断しろや茶坊主ども、と思う訳ですけれどもそれはさておきまして、ヤマケンさんのこちらの部分はウケました。
『レビューの対象を「過去25年」としていることには、少なからぬ違和感がある。先行する14年とその後11年の異次元緩和は、拠って立つ理念や理論が全く異なるものだった。これらを一括りに議論してよいかは疑問が残る。』
これはwwwwwww
これすなわち「その前の緩和政策と黒田のヤローのやったとんでもない政策を一緒くたにするんじゃねえ」という謙三心の俳句ということでして、まあ仰る通りではあるのですが、黒田と一緒にするんじゃねえというのを丁寧な日本語で書くとこうなるのか、と感心してしまいました。
まあ途中は読んでくださいというお話ですが、最後の締めが
『多角的レビューが「一面的」でなく、「多角的」であるためには、財政ファイナンス酷似と市場機能低下の検証が不可欠だ。日銀の公表が注目される。』
となっていますが、どっからどうみても一面的なレビューしか出てこなさそうなのは火を見るより明らかでございますので(個人の偏見です)、逆に「日銀が公表した後のヤマケンさんによる評価」を楽しみに待ちたいと思います。
〇連銀高官がくっちゃべるくる時間帯のようですが
・クーグラ―理事:決め打ちするような感じではないですので先導して引っ張る感じではないですよねたぶん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-03/SNXJ91DWRGG000
クーグラーFRB理事、インフレ率は2%への持続可能な道筋にある
Amara Omeokwe
2024年12月4日 4:17 JST
→FOMCの政策決定にあらかじめ定まった道筋はない−クーグラー氏
→経済は良好な状態にある、労働市場は堅調を維持−クーグラー氏
『米連邦準備制度理事会(FRB)のクーグラー理事は、インフレと広範な経済の軌道について楽観的な認識を示した。一方、連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定にあらかじめ定まった道筋はないとも指摘した。』(上記URL先より)
って話ですが、本チャンの講演はこちらになりまして、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/kugler20241203a.htm
December 03, 2024
A Year in Review: A Tale of Two Supply Shocks
Governor Adriana D. Kugler
At the Detroit Economic Club, Detroit, Michigan
激烈に手抜きですが最後の小見出しに『Outlook for Monetary Policy』というのがあるのでとりあえずはそこを読んでみますが、2パラしかないので本当はその前の色々な話を読んでおくべきだと思います、本日は超手抜きで勘弁。
『Given how the economy has developed this year, most notably the continuation
of disinflation and a modest cooling in the labor market, I see the Fed's
dual-mandate goals of maximum employment and price stability as being roughly
in balance.』
マンデート達成への道はおおむねバランス。
『In light of the progress toward our goals, my colleagues and I on the
FOMC judged it appropriate to lower our policy rate in September and again
last month. These actions were steps toward removing restraint, as we are
in the process of moving policy toward a more neutral setting.』
我々は政策スタンスは中立的な状況にもっていくプロセスにある、って思いっきり言っていますな、というのを確認して次のパラに参ります。
『Looking ahead, it is important to emphasize that policy is not on a preset course.』
さっきのBBGもこの辺を見て記事書いたな、と思わせてくれますがw
『I will make decisions meeting by meeting and carefully assess incoming
data, the evolving outlook, and the balance of risks.』
しかしこの「中立化プロセスにある」というのと「プリセットコースではないし会合ごとに判断する」ってのはよくよく考えてみると(どっかの日銀とかいうのもそうですが)話がロジック的につながらないですよね・・・・・
『While I have gained more confidence that the two positive supply shocks
I described have helped create the solid economic conditions that are currently
in place, I will vigilantly monitor for incoming risks or negative supply
shocks that may undo the progress that we have achieved in reducing inflation.』
『I view our current policy setting as well positioned to deal with any
uncertainties we face in pursuing both sides of our dual mandate.』
『Thank you for your time, and I look forward to your questions.』
ということで政策のところはまあ簡単に終わっている訳ですが、「今の政策セッティングが今後の上下の不確実性に対して良い位置にいる」と言ってまして、その前の部分では何を言ってるかとゆーと、「I
will vigilantly monitor for incoming risks or negative supply shocks that
may undo the progress that we have achieved in reducing inflation.」ということで、具体的なことはここでは言ってない(前段で言ってる可能性もあるのですが斜めよみすらしていないので分からん)ですけれども、こんなんどう見ても「トランプ政策による各種の供給制約復活や関税による直接的な物価押上げ」の話でありますわな。
そうなりますと、「our current policy setting as well positioned」というのは、トランプ政策の動向とその影響を見極めるのに今の位置は宜しい、という話なので、前段であった「先行きは中立スタンスに持っていくプロセスにある」に対して、寧ろトランプの出方を待つと称してお地蔵さんになる、という意味合いになってきますわな。
でまあ多分これ後半の方が結論だと思うので、そうなりますと利下げはそんなに急がない、という話には見えて来ますが、まあこれはどっちにしてもあまり強い決め打ちをしているわけではないように(この部分だけ読むと)思えるので、最終的には多数派意見に普通に乗っかってくるんじゃなかろうかというイメージを持ちましたがどうでしょうかね。
・SF連銀デーリー総裁:ウォーラーとクーグラ―足したような話ですが実は中立金利の話もしていた模様
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-03/SNXJ6MDWX2PS00
SF連銀総裁、金利低下は今後も継続へ−12月の利下げは不確実
Laura Curtis、Vince Golle
2024年12月4日 5:03 JST
『 米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、12月の利下げは確実ではないが、政策当局者の選択肢としては残っているとの見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)
ということですが、
『デーリー総裁は3日、FOXビジネスとのインタビューで「経済を良好な状態に保つためには、政策の再調整を続けなくてはならない」と発言。「12月になるのか、それよりも後になるのか、それは次回の会合で議論する機会を得られる問いだ。しかし重要なのは、経済に合わせて政策金利を下げ続けなくてはならないことだ」と続けた。』
ということで、こちらはFOXビジネスでどっかで文字起こしがあるかもしれませんけれども、インタビュー自体はこちらにあります、全部で7分34秒ですけれども、
https://www.foxbusiness.com/video/6365479293112
Cavuto Coast To Coast
December 03, 2024
07:34
聞き手はFOMCの会見でも登場するエドワード・ローレンスさんですが、こちらの紹介部分にも、
『The Fed is keeping 'an open mind' about rates, macroeconomy: San Francisco President Mary Daly
In an exclusive interview with FOX Business' Edward Lawrence, Federal Reserve
Bank of San Francisco President Mary Daly talks next rate decisions, keeping
the economy 'in a good place' and potential impacts from a second Trump
administration.』
ってことで、さっきのクーグラ―理事と同様に「今の政策の位置は今後のリスクに対して対応するのに適切」というのが紹介されている上に、思いっきり「トランプ政権の政策によるインパクトに」ってのもあるので、これFEDの皆さんの大勢が地蔵なのではという感じもさせてくれますわな。
でもってまあアタクシの怪しげな英語力で掛け流しをしていますが、最初の方で何となく聞き取れたのはデーリーさん「これから金曜日に雇用統計もでますし・・・・・」という感じで、これまた昨日ネタにしたウォーラー理事の説明と一緒になっています。
でまあそれはそうと、これ掛け流しで聞いてたら最後の方に「おお」というのがあったので紹介しますが、最後の方(6分30秒過ぎ)位に最後の質問という事でエドワードさんが名目中立金利について聞いていまして、それに対してデーリーさんは「私はそれ(エドワードさんが言ってた3%後半から4%)よりも低くて3%により近いと思う、若干ではあるが上昇しているかもしれないが、それでもそんなに高くはない」という話をしていて、その中立金利に到達するための時間は「時間がかかるでしょう、今後の経済物価情勢によってその時間は決まります」という話をしていましたですな(なおドメドメジャパニーズおじさんの英語力によるので間違っていたらゴメンチャイですから上記ニュースを確認してね)。
ということで、お前ら揃いも揃って「まだわからん」の連呼じゃな、とは思いましたので、雇用統計から先の経済指標が強い方に上振れになるのかならんのか、というのがキモになるのかしら〜とは思いました。
という辺りで今朝は勘弁。
2024/12/03
お題「結局日経インタビューはコミュニケーションを複雑にしただけな気が・・・・/ボスティックとウォーラー発言から」
なんとかモーモーしいとはよく言ったもので
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB25B4Z0V21C24A0000000/
日本、気づけば「ファンド天国」 官が強めた企業への圧力
資本騒乱 膨張アクティビストA
膨張アクティビスト
2024年12月3日 2:00 [会員限定記事]
「官が強めた」とかゆうとるが投機家の尻馬に乗ってそういう風潮を煽ってたのお前らだろお前ら、としか言いようが無い。
〇植田総裁日経インタビューは結局両論併記の悪いところが出た結果のようですが
昨日の債券市場ちゃん、というかまあイブニングでも先物下がっていたのですが、まああれは金曜の夜だしサンクスギビング週の週末だし、と思っていましたが・・・・・
・12月利上げ派にとっては両論併記の都合の良いところが目に入りますよねそりゃもう
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/YRBGNYLCUVIPBPJDWAMYGAXA5E-2024-12-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、日銀利上げ観測強まり中期ゾーン主導で金利上昇
By ロイター編集
2024年12月2日午後 3:22 GMT+9
『[東京 2日 ロイター] - <15:12> 国債先物は反落、日銀利上げ観測強まり中期ゾーン主導で金利上昇
国債先物中心限月12月限は、前営業日比24銭安の142円82銭と大幅反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.075%。また2年金利は日銀の追加利上げ観測を背景に、16年ぶりの高水準に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
まあゆうて2年って16年ぶりとか言ってますが、所詮は0.62%とかな訳でして、0.5%への利上げはすぐに来るにしましても、その次の利上げが1年後くらいに来るとかいう無茶苦茶悠長な展開でやっとブレークイーブンとかいうのがもうねという感じですが、まあそれでも0.6%とかいう水準になっているだけ立派(??)と言えば立派。
『きょうの国債先物は、日本経済新聞が行った日銀の植田和男総裁のインタビューが売り材料となり週末の夜間取引で大幅安した流れが波及し、終日、軟調な展開が続いた。』
ということですが、まあ横綱の動きを見ると寄りと朝9時くらいがいっちゃん弱くて、その後は盛り返して推移、ただし前日よりは低い水準での推移、ってえ感じではございましたので、寄りとその後9時くらいに下がった後(日中安値は9時5分)は下に抜けきりませんなあという感じだと思ったんだがアタクシの気のせいですかしら。知らんけど。
『インタビューでは植田総裁が追加利上げの時期について「データがオントラックに推移しているという意味では近づいている」との認識を示し、円債市場では12月会合での利上げ可能性が強く意識されている。』
とまあそういう訳でして、あの記事出て土曜の朝っぱらから大枚200円はたいて日経朝刊を買って一問一答読みそこないましたが(しつこい)、まあ記事のトーンってあれちゃんと見るとどさくさに紛れて「25年の春季労働交渉(春闘)がどういうモメンタム(勢い)になるか、それはみたい」とか「米国の経済政策の先行きがどうなるか、大きなクエスチョンマークがある」(いずれも11月30日日経本紙朝刊1面の植田総裁発言として報道された部分より)とか抜かしていて、これまともに読むと12月の政策修正って普通やらんと言ってるようなもん、とも読めるんじゃないのと思うのですが、そっちはきっちりと丸無視して12月利上げ期待の皆さんが、「データはオントラック」(同様に11月30日日経朝刊本紙1面より)の方にバッチリと反応してしまって、みたいものだけ見る現象によってヒャッハーヒャッハーとなってしまいました。ということでしょうな。
現に昨日ってベンダーに出てくる何とかストコメントを見るともなく見ていると、12月利上げ地均しキタコレヒャッハー組が目の子で7割くらい、いや待て慌てるなこれは孔明の罠だ組が3割くらい(まあ別に何とかストコメントったって人数が大事なのではないけれども相場の世界数は力の面がありますからにゃー)という感じになっていまして、12月利上げ期待ニキネキの皆様におかれましては、まあそっち見て反応するわな、となるのですな。
でまあ市場ちゃんの続きですが、
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも上昇。金融政策の見通しを反映しやすい2年債は前営業日比2.5bp上昇の0.620%。一時、2008年10月末以来16年ぶり高水準の0.625%を付ける場面もあった。5年債は同3.0bp上昇の0.750%、20年債は同2.0bp上昇の1.870%、30年債は同0.5bp上昇の2.285%。40年債は同横ばいの2.635%。』
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.614 0.62 0.028 15:02
5年 0.743 0.75 0.025 15:09
10年 1.069 1.075 0.02 15:04
20年 1.864 1.87 0.015 14:57
30年 2.285 2.292 0.012 15:12
40年 2.634 2.644 -0.002 15:12』
ベアスティープ(というか40年w)ですかそうですかという所ですが、そもそも中短期が利上げ織り込み足りなさすぎだったのですから本当の本当に12月利上げを織り込みに行っているのかというと、単純に12月か1月には何ぼ何でもやるでしょという事になっただけという気もせんでもないですけれども。
・じゃお前はどう思うのかということなのでここで敢えて死亡フラグを立ててみましょうwwwww
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/4UIUBO4FGJJK5EBW7DDKVIXIK4-2024-12-02/
アングル:日銀、追加利上げへ地ならしか 身構える市場
By ロイター編集
2024年12月2日午後 5:01 GMT+9
でまあこんな感じになるわけですが。
『[東京 2日 ロイター] - 日本経済新聞が週末に配信した植田和男総裁インタビューを受け、市場で12月利上げを織り込む動きが加速している。7月の利上げ後に市場の混乱を招いたことから、日銀内では、コミュニケーション戦略の必要性を意識する声があった。12月会合まで1カ月を切る時点での発信に市場では、追加利上げへの地ならしとの見方も出ている。』(上記URL先より)
そんな訳で、そもそも論として日銀は日経インタビューで何をしたかったのか、というのが判然としないというか、先ほど申し上げましたように、朝刊本紙1面を見ますと全然12月利上げに前のめり感なくて、寧ろさっき引用した賃金のモメンタムを見たいだの米国の経済政策の影響が大きなクエスチョンとかいう両論併記部分のハトハトチキン部分を見ますと、下手したらこいつら12月も1月も利上げしないで25年の賃金ガーに米国新政権の経済政策の影響ガーとか言いながらクソ粘りするんじゃないか、という疑問すら思ってしまう、というのはもともと植田日銀はハトハトチキンで、7月末に一瞬覚醒したものの8月の円高株安で完全にビビってしまって市場に全面屈服する内田講演をぶっこんでしまい、足許若干威勢が良くなっているのは単純にドル円がこのままだとズンズングイグイ行ってしまうから火消ししたいだけ、くらいに考えて読んでみますと、これは何なら1月もやらへんで、とも読めるわけです。
でもってじゃあお前はどう思うのか、と言われると変なこと書くとどうせまた変な死亡フラグちゃんになって恥の上塗りになりそうなのですけれども、今回のクッソ両論併記インタビュー(ただし日経朝刊本紙ベース)って、結局のところは(土曜も書いたけど)方向性は利上げだけど慎重に、というお話で、慎重にというのがあの賃金ガー米国ガーを見ますとエライ先になるという懸念もあるものの、アタクシ思いまするに、あれっていうのは「方向性は次回利上げでそれはそんなに遠くないよ」と行っているだけだと「次の次」の話が浮上してくるのがコワイヨーといういつものチキンクオリティが炸裂した結果、「次の次は急がない」というコミュニケーションをしているつもりなんじゃないのか、とアタクシとしては整理しました(あくまでも個人の感想です)。
なので12月か1月に0.50%に持っていくにしても、またまたその次の利上げに関して腰の引けたメッセージを出してくる、という7月というよりも3月パティーンになる方があり得そうな気はするのですけれども、それやって円安になってしまうと次の次が早まる、という面白政策反応関数が存在しますので、まあ何ちゅうかお前らは先の話をそう一所懸命にするなと思いますし、どうせお前らコミュ障なんだから余計なこと言わない方が身のためですわとコミュ障ワイ将は思うのであります。
・下手糞コミュニケーションをするもんだからいずれにせよ12月スキップの説明が面倒になったんチャイマスカ
しかしまあ何ですな、あのまま12月利上げあるかもしれないし無いかもしれないし、まあでも1月にはやるでしょ、みたいなサイコロバクチ状態で決定会合を迎えておけば12月どっちでも行けたと思うのですけれども、このタイミングで下手糞な両論併記をするもんだから、とりあえず12月利上げ派の皆様が勢いついてしまいまして、さっきのロイターさんの「アングル」記事だけじゃなくてもっといろんな何とかストの方々が「12月利上げや!」とぶっこんでしまったし市場も何となくそっちの雰囲気を醸し出している(ただしプライスアクションはそうだけれども実際プレイヤーの皆さんが本当にあれで見方を決め打ちできるようになっているのか、と言われたら実はそんなに変わっていないんじゃないかと思うんですけどね、両論併記にも程があるんだし)という展開になりまして、まあ昨日だけじゃまだ分からん(現にイブニングでは8銭高だし)のではありますが、いずれにしましても、下手糞な両論併記をしたもんだから、12月スキップした場合の説明がクソ面倒になったんじゃないか、というのは言えると思います。
12月スキップした場合「オントラックと言ってたのに何で3会合連続で利上げ見送りなんですか」ってどこからどう見ても突っ込まれるし、「円安だってまた復活してますが」と突っ込まれるし、それに対してどうせまた下手な言い逃れをするんでしょうけれども、言い逃れが下手くそだと(円債よりもさらに利上げ云々に反応していると思われる)為替市場ちゃんが「日経インタビューは嘘だったのか騙された」となってヒャッハーと円安になって日銀順調に死亡、とかに成り兼ねない訳ですし、12月に1月の予告ホームラン打つのってそれするくらいなら12月にやれよアホウという話になるし、まあ自分でコミュニケーションをややこしくしたのは否めないですわな。
何でこう下手糞なのかと言えば、そんなのは植田さんの「丁寧な説明」が両論併記のため市場が見たい方だけ見て日銀の伝えたいことの片方だけクローズアップされてしまう、というのと、さらに8月の内田さんの講演で勝負がついた訳ですが、市場従属金融政策状態(そらまあ物価がこの状態なのに屏風の中から出てこない基調的物価とかいうのを持ち出して2%行ってないを連呼しているんですから物価情勢で金融政策の説明ができていないんだから市場に従属するしかない訳ですけれども)になっているせいでしょ、としか申し上げようがないのですが、その市場に何とか働きかけようとしてフォワードガイダンスみたいなことを言う上にそれをコロコロとひっくり返すことになってしまうのがまた良くない、という感じでしょうかね、まあイマイチ整理できていませんが・・・・
まあいずれにせよここから日米ともに重要な指標があるんだし、別に今の時点で決め打ちするメリットって日銀にだってないので、そういう点から言ってインタビューのタイミングが絶妙に悪かったという感じではないかと思いました。
という雑談ポエムで恐縮至極。
・なおレポレートは長めのリファレンスが反応
いつもの東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/28 0.197 0.145 0.171 0.200 0.208 0.216 0.304 0.365 0.442
2024/11/29 0.228 0.240 0.209 0.211 0.218 0.228 0.308 0.368 0.450
2024/12/2 0.234 0.240 0.211 0.212 0.224 0.252 0.324 0.380 0.456
ということで、既報の通り足元GCに関しては2か月連続で謎の月末レート低下(いやまあ需給問題なので謎でも何でもなくて資金調達が急に減ったか運用が急に増えたかの二択ですが今の市場構造から言って調達サイドが急に減っただけですけどその背景は謎)が発生していましたが、じゃあ植田総裁の日経インタビューを受けてどうでっしゃろ、と思ったら一応敬意を表しているかどうか知らんけど、決定会合跨ぎの1m(3wも跨ぐけど最後の最後だから)のレートの上がり方がわかりやすいという結果になっていますな。
まあ一応こちらも12月会合での利上げの可能性って話かとは思いますがどうなんでしょうかね。
〇まあFEDも出たとこ勝負な訳ですよね(今回の雇用統計はかなり重いものになりそうですね)
ボスティックさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/LTNVADKIZBO7XJTNECIEO27FZU-2024-12-02/
インフレ引き続き低下へ、 不確実性は高い=米アトランタ連銀総裁
By Howard Schneider
2024年12月3日午前 5:14 GMT+9
『[2日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は2日、雇用を巡る経済指標が重要な判断材料になるとの考えを示し、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げの可能性について、自身の見解はまだ決めていないと述べた。』
『ボスティック氏は記者団に対し「不確実性が極めて高い。今月の会合に予断を持って臨むつもりはない」と述べ、6日に発表される11月の雇用統計を含む経済指標を注視する姿勢を示した。』(上記URL先より)
ということでボスティックさんですが、本チャンはこちらです(URLが飛んでもなく長いのでハイパーリンクは下記URL先につけますがリンクの文字は途中までにしておきますね)
https://www.atlantafed.org/about/atlantafed/executive-leadership-committee/bostic-raphael/message-from-the-president/archive/2024/12/02/heading-into-2025-with-positive-economic-outlook-mindful-of-risks
Heading into 2025 with Positive Economic Outlook, Mindful of Risks
Raphael Bostic - President and Chief Executive OfficerRaphael Bostic
President and Chief Executive Officer
Federal Reserve Bank of Atlanta
December 2, 2024
アトランタ連銀の場合、最初にキーポイントというのを並べてくれる親切設計になっているので手抜き読みには最適。
ということで『Key Points』ですけど。
『・Conditions on both sides of the Fed's mandate appear to be broadly
healthy, and Bostic's economic outlook is positive. He explains uncertainties
still persist, however, and risks loom for price stability and the labor
market.』
経済は基本的にヘルシーで経済の見通しはポジティブだけど不確実性とリスクはある
『・Atlanta Fed researchers are trying to determine whether the labor market
may be cooling more dramatically than Bostic had imagined when he developed
his outlook for the economy.』
連銀スタッフは労働市場が今後一段と冷えるのかどうかについてリサーチしており、それの結果も判断に踏まえると
『・While inflation readings have experienced bumpiness, Bostic doesn't
think progress toward price stability has completely stalled.』
2%達成が完全に来るかどうかはまだでっせ
『・A major factor contributing to the continued stubbornness of elevated
inflation has been housing prices. Market-based measures of rental price
growth have been much more muted than the official inflation statistics,
Bostic says, and that softening in market rents should eventually filter
through to the statistics.』
住宅関連というかレント関連価格のお話をしていますな
『・Bostic also is not seeing signs that a surge in economic energy that
could spark inflationary pressures is imminent. He explains inflation expectations
have remained quite stable and relatively in line with prepandemic norms.』
あんまりインフレがスパークするような兆候はないし、インフレ期待は極めて安定的に推移していると認識
『・Regarding the path ahead for monetary policy, Bostic says his strategy
will be to look to the incoming data, information from the Atlanta Fed's
portfolio of surveys, the balance of risks, and input from the Bank's business
contacts.』
でまあ最後に今後のデータや連銀スタッフの分析結果などを見ていきたい、ということであんまり決め打ちしないようにしている、って感じの「キーポイント」になっていますね。
でもってウォーラー理事ですが、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-02/SNVV07DWX2PS00
ウォラーFRB理事、12月会合での利下げ支持に傾いている
Craig Torres
2024年12月3日 5:47 JST
『政策金利据え置きが理にかなうデータが会合前に出る可能性はあるとしながらも、「現時点で12月会合での政策金利引き下げを支持する方向に傾いている」と述べた。ワシントンで開かれた米国経済研究所(AIER)主催のFRB政策枠組み見直しに関する会議の講演テキストで明らかになった。』(上記URL先より)
ということですが、こちらの本チャンはこれになりまして、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/waller20241202a.htm
December 02, 2024
Cut or Skip?
Governor Christopher J. Waller
At "Building a Better Fed Framework," American Institute for Economic Research Monetary Conference, Washington, D.C.
題名がもう露骨すぎてクソ笑うしかないのですがwwwwwwwwwwwwww
手抜き読みには最後の2パラグラフを読めば結論が書いてあるw
『In deciding which of these two approaches to take at the FOMC's next
meeting, I will be watching additional data very closely. Tomorrow, we
get the Labor Department's Job Openings and Labor Turnover Survey. On Friday,
we get the employment report, which, as I noted, may have misleading payroll
data. Then next week, we get consumer and producer price indexes for November,
which will allow a good estimate of PCE inflation for the month. Finally,
on the first day of the FOMC meeting, we receive retail sales data for
November that will give us an idea of how consumer spending is holding
up.』
こんなデータがでますのよ、というのをこれでもかと並べて最後のパラグラフ(って途中嫁とか言われそうですが時間が無いのでそっちは皆さんで読んでちょというドイヒー対応)。
『All of that information will help me decide whether to cut or skip. 』
ちょwwww出たとこ勝負wwwwwww
ではあるのですが、返す刀で
『As of today, I am leaning toward continuing the work we have started
in returning monetary policy to a more neutral setting.』
謎の間接表現ですが要するに今いまの時点なら利下げだと。
『Policy is still restrictive enough that an additional cut at our next
meeting will not dramatically change the stance of monetary policy and
allow ample scope to later slow the pace of rate cuts, if needed, to maintain
progress toward our inflation target.』
次回FOMCで利下げをしても政策はまだ引き締め的なので無問題無問題との由。
『That said, if the data we receive between today and the next meeting
surprise in a way that suggests our forecasts of slowing inflation and
a moderating but still-solid economy are wrong, then I will be supportive
of holding the policy rate constant.』
つまり、データがサプライズに強い場合は政策金利据え置きを支持するが、そうじゃなくて予想通りのデータが出てきたら利下げ支持しまっせ、と出たとこ勝負ではあるものの旗幟は鮮明にしています。
『I will be watching the incoming data closely over the next couple weeks
to help me make my decision as to what path to take.』
だそうですので、まあ25利下げ派で確定、でいいんじゃないでしょうか。
2024/12/02
お題「3MとかレポレートとかCP社債オペ1月終了とか都区部CPIとかの備忘メモと雑談です」
あらあらあら
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241201-OYT1T50041/
維新代表選、吉村洋文氏が得票率8割で圧勝…共同代表に前原誠司氏を起用
2024/12/01 18:52
前原さんの驚異の粘りには感心しますが、これはどこからどう見てもキングボン(以下割愛)・・・・・・
〇3M短国入札とか補正予算分の国債増発とか
・3M短国入札はWIよりもやや弱めも売参引値はちゃっかり0.125%とな
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241129.htm
国庫短期証券(第1272回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1272回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1272回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年12月2日
4.償還期限 令和7年3月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆9,600億円
(2)募入決定額 3兆2,742億円
(3)募入最低価格 99円96銭1厘5毛
(募入最高利回り) (0.1434%)
(4)募入最低価格における案分比率 20.8000%
(5)募入平均価格 99円96銭5厘9毛
(募入平均利回り) (0.1270%)』
でまあ金曜に申し上げましたように、木曜のWI売参値は単利で0.125%だったので、WIよりは弱い結果になっておりまして、応札額の8兆9600億円というのは前週の3Mの応札が8兆6741億円、前々週は9兆2693億円って状況なので、前回よりは応札増えているのですが、10兆円には届かないという応札でしたな。
とは言いましても売参ちゃんですけど、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(11/29引値)
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.115
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.129
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.129
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.125←先週金曜に入札があった新発
国庫短期証券1273 2025/03/17 平均値単利 0.129←今週金曜に入札のある3MWI
(11/28引値)
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.105
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.120
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.120
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.125←木曜時点のWI
ということで入札は金利上がっているのですが引値は変わらずとしておりまして、えーっと償還がドンドン後ろに倒れているんですが利上げ織り込み度合いとかいうのは何処へ、と言いたくなりますが、そもそも0.125%とかそういう水準の金利が足元のコールとかとの整合性が全然ない水準なのでまあ利上げ織り込みも減ったくれもない、と言ってしまえばそれまでなんですけど、10月から11月前半までの地獄絵図からは改善しただけにとどまっておいでですなナムナム。
でまあご案内の植田総裁インタビュー、まああれ見ると12月か1月かって感じになる(正直どっちに転んでも言い訳はできる内容、ただし3月まで引っ張ると賃金と物価の云々かんぬんの説明との整合性が取れなさそう)んですけど、それによって短国金利がどうこうという事もなさそうですし、交付税特会6Mとかガチのガチな12月全織り込みレートになっているし、どういう影響が出るのか見てみないと分からんけど、あれだと金曜と大きく変われない(決め打ちできないから)とは思うのですけどまあその答えは今日の市場で分かるということで。
・でもって補正閣議決定で割引短国で当面の財源が確保されますよと
https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2024/241129.html
令和6年度国債発行計画等を変更しました
『本日閣議決定された令和6年度補正予算に基づき、次のとおり令和6年度国債発行計画及び令和6年度政府保証債発行予定額を変更しましたので、お知らせします。』
ということで
https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2024/issuanceplan241129.pdf
令和6年度国債発行予定額
市中発行額:+45,343
個人向け国債:+9,396
でもって、
カレンダーベース 市中発行額:+24,000
第U非価格 競争入札等:+18,688
年度間調整分:+2,655
となっていますので、第U非価格で上振れた分があるのねということで、結局増発になるのは、
https://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2024/calendar241129.pdf
<カレンダーベース市中発行額>
割引短期国債:+2.4兆円(総額ベース)
となっておりますのですな。でまあ短国内は現時点でどう見ても需要対比発行が足りない3Mに振るということになるんでしょうけど、補正予算が衆参通過しないと話が始まらんのはさておき、間に合えば1月から増発とかになるんでしょうかね。どうなんでしょうか。
・GCレポレート低下は月末現象のようでしたな
ということで東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/27 0.158 0.150 0.181 0.202 0.208 0.215 0.299 0.363 0.430
2024/11/28 0.197 0.145 0.171 0.200 0.208 0.216 0.304 0.363 0.430
2024/11/29 0.228 0.240 0.209 0.211 0.218 0.228 0.308 0.368 0.450
ということでレポレートの方ですがトモネが0.24%ということでいつもの普通の金利に戻っていまして、いやお前オーバーナイト何ですねんとか言われそうですが、基本的にメインで見ておけばよいのはトモネの筈(オーバーナイトは最終調整)ですので、つまりは月末月初のところでレート低下、という現象が2か月連続で発生した、ということかと存じます。
何気に1yのGC気配が上昇しているのですが、これって短国1年の上昇に対してGCの気配の方が遅行していたのでその取り返しムーブみたいなもんですかね、知らんけど。
まあ今月末はなにせ年末年始ですし、末初オーバーナイトが1週間(12/30〜1/6)ってのは年末年始の中で一番長いテナーになるので、色々と面倒くさそうですな。まあそれ以前に年末前に利上げになるかもしれないんんですけど(あたしゃ12月は微妙だと思うのだが12月か1月のどっちかでしょと思うしそこは実際問題として大差ないという派ですけど決め打ちは全然できないと思うのでまあね)。
〇でもって今日の円債市場はどういう反応するのかよくわからんのですが・・・・・・
金曜はこの次にメモっておきますが東京都区部CPIだったわけですけれども。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/MKJ6WUS5XNPLBBQFKCRABL5BDI-2024-11-29/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続伸、終盤に切り返す 長期金利1.05%で横ばい
By ロイター編集
2024年11月29日午後 3:41 GMT+9
『[東京 29日 ロイター] - <15:10> 国債先物は小幅続伸、終盤に切り返す 長期金利1.05%で横ばい
国債先物中心限月12月限は、前営業日比4銭高の143円06銭と小幅続伸して取引を終えた。物価統計の上振れを受けて売りが先行したが、取引終盤に切り返した。新発10年国債利回り(長期金利)は同変わらずの1.050%。
国債先物は、総務省が朝方発表した11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、日銀による早期の追加利上げ観測が高まったことが売り材料となり、寄り付きから弱含みの展開が続いた。しかし午後2時以降は下げを取り戻し、プラス圏に浮上して取引を終えた。』(上記URL先より、あとで引け気配を引用します)
ということですが、まあゆうて債券先物ちゃんって
(いつものことですがこれは寄りの注文受付始まって20分くらいすると今日の日中足に切り替わります)
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 24年12月限
取引日 2024/11/29
立会区分 日中取引
始値 142.94 (11/29)(08:45)
高値 143.10 (11/29)(14:34)
安値 142.88 (11/29)(09:09)
現在値 143.06 (11/29)(15:02)
前日比 +0.04
取引高 26,783
という動きなのですが、朝方都区部CPI出てから暫くは弱めだったのですが、都区部CPI見て円高に振れた相場ちゃんを受けて前場の時点で既に142.95-98水準まで切り返していましたので、まあ確かに前日比でみたら弱含みちゃあ弱含みでしたけれども、東京都区部CPIがクッソ強かった割には底堅いというかサガランチ会長だな、というのがアタクシの印象(個人の感想です)になるんですけど、まあ金曜は月末特有の長期化フローとかもあったのでアレなんですけれども、朝方10時くらいにホイホイ切り返したのをみて、アタクシ的には「円高になったのを見て円債戻ってやがるうへえwwwww」という感想を得ました。まあその感想が正しいのかどうかは知らんけどw
すくなくとも7月の決定会合で「円安による不必要な物価上振れリスク」を入れて利上げした上に、先行きのリスク要因の中に例の『とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』というのを展望レポートのリスク要因の中に入れた、というのはこれすなわち従来は知らんがなだった為替要因が政策反応関数の中に組み込まれたことをゲロっているものですから、円債ちゃんとしては為替が円高に振れると「これは日銀の政策反応関数の一つが利上げを促さない方向になりましたわ」となるという実にチャーミングなムーブになるのですな。
てかまあ為替市場の方がナイーブにもほどがあって、植田日銀が東京CPI上振れで政策修正を早めるようなタマだったら今頃政策金利は普通に1%以上になっとるじゃろとしか言いようが無いので、その脳筋思考は何とかした方が良いと思いました(大きなお世話ですかそうですかすいません)。
〇CP社債買入やっと来年の1月で終了ですか
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr241129b.pdf
CP・社債等買入のオファー日程等(2024年12月〜2025年1月)
『3.CP等および社債等の買入れの終了について 』
『日本銀行では、本年3月の政策委員会・金融政策決定会合において、CP等および社債等について、買入れ額を段階的に減額し、1年後をめどに買入れを終了することを決定しました。この決定に沿う形で、金融市場局では、CP等および社債等の買入れ金額を段階的に減額しており、来年1月のオファー分をもって買入れを終了します。これに伴い、来月以降は、オファー日程の公表は行いません。』
だそうです。いやーまったくやっと終了かよおせーよって感じではありますが、まあ正常化正常化ということで。
〇東京都区部CPIがエゲツナイ件について
でもってその東京CPIはツエツエ蠅ですわ。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消費者物価指数
東京都区部 2024年(令和6年)11月分(中旬速報値)
※全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表するものです。
『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として109.3
前年同月比は2.6%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は108.3
前年同月比は2.2%の上昇 前月比(季節調整値)は0.5%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は107.7
前年同月比は1.9%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇』
ちょwwwwwwwww
『表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比』
ってのを見ましても、この「前年同月比+2.6%」とか見てもほーんって感じなのですが、原数値を見たらあーた2020年=100に対して総合が「109.3」なんですからそりゃ生活実感的にキテるわなというお話でございますし、
『表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)』
を見ますとですね、これ9月CPIが例の真夏の乗り切り対策とか言って出てきたエネルギー価格の引き下げ攻撃によって除くエネ以外のCPIって前月比マイナスになっているのですが、その後の10月と直近11月の前月比の上げ方がえげつなくて、総合でみると2か月連続で前月比+0.5%上昇しているし、何ならその前の8月も前月比+0.5%上昇とかいうエグいペースで上がっていますな。夏の乗り切り対策剥落要因とは言え。
でまあコアコアちゃんの前月比もこれまた着実に上がっておりまして、しかも+0.4だの+0.5だのとかいう数字がゴロゴロと並んでいる訳でして、この状態のどこがどう「基調的な物価は2%行ってない」だと小一時間問い詰めたい訳ですし、だいたいからして総裁日経インタビューで「インフレ率が2%を超え始めているときに」一段の円安になるのはリスクが大きいとか仰せになっていましたけど、今の大幅な金融緩和をやってて良いのか問題どうなってるんだよ、と減りゆく財布の中身を見ながら(いつもニコニコ現金で払っているとやたらと北里先生がホイホイと出荷していくの勘弁していただきたいと思っているから言う訳ではないのですが(おい)、まあ物価高批判が日銀にやってこないことをお祈りしておきます(棒読み)。
ということで土曜日午前にせっせとやった物件の方がメインっぽくなっておりますな(滝汗)