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2024/11/30
お題「植田総裁の日経インタビュー:まあ利上げ路線は利上げ路線なんでしょうけどねえ・・・・」
ということでおはようございます土曜の朝(というか電子版は土曜の未明なんですね)にこういうの載せられますと新聞買いに走らないといけないですかwwwwww
〇日経インタビューですが本紙を買って読んでは見ましたので少々
とは言いましてもこちら基本的に有料記事ばっかりなのでそのあたりのことはほんわかとしか書けませんのと、日経本紙買って我憤怒したのは「一問一答を電子版に」ってあって駅売り課金人間には読ませない、という日経の根性が伝わってきたことで朝から血圧が上がるわけですがなこの記事読むだけのために200円も課金したんだぞ200円も(憤怒)。てかしばらく前に日経が総裁インタビューしたときには本紙に一問一答あったような記憶があるんだが(いやあれは読売だったかな)。
・・・・てな話はさておきまして、日経ちゃんの記事の無料部分だけ拾ってみますと、
・まずは日経電子版無課金おじさんでも読めるところから参ります
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB28D410Y4A121C2000000/
植田日銀総裁、利上げ「賃金・米国見極め」 データ想定通り
植田和男・日銀総裁インタビュー
2024年11月30日 2:00 [有料会員限定記事]
ということで電子版は夜中の2時に出る、ということでもはや紙媒体ってなんのためにあるの(スクラップするとか一覧できる以外にメリット無いじゃん)というお話ですし200円ですよ200円(しつこい)。
『日銀の植田和男総裁は日本経済新聞のインタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と述べた。市場では12月か2025年1月の金融政策決定会合で日銀が利上げするとの観測が浮かぶ。植田総裁は国内賃金と米国経済を見極めたいとも主張し、拙速な利上げは避ける考えを強調した。
インタビューは28日に実施した。日銀が追加利上げを決断す』(上記URL先より、以下有料会員記事)
とまあそういうのがあって、さすがに日経1面の見出しくらいは書いても罰が当たらんと思うので見出しを見ますと、本紙(ワシが200円はたいて査収したのは「12版」です)の1面トップ記事がこちらの植田総裁インタビューで、このサイズは何段抜きというのかわかりませんが、まあ一般的な1面トップの表題サイズで『利上げ・「賃金・米国見極め」』となっています。電子版しか契約していない人(という契約方式があるのかは知らんけど)は200円握って駅なりコンビニなりにどうぞ。
でまあ見出しがあって、その横に『経済データ「想定通り」』ともあって、本紙の方でも1面では上記URL先と同様な感じでして『植田総裁は追加利上げが近いと示唆しつつも、拙速な判断を避ける姿勢を強調した』(こちらは11月30日日経新聞朝刊本紙1面トップ記事の本文第4段落目になります)という記載になっていまして、電子版とは文章構成が違いますが、同じような紹介になっていますな。
でまあ電子版の上記の記事の関連記事で、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB28DE90Y4A121C2000000/
日銀総裁「一段の円安、リスク大きい」 政策変更で対応も
金融政策
2024年11月30日 2:00 [会員限定記事]
ってのがありますが、こちらが日経本紙だと3面に「関連記事」として解説記事がありまして、見出しが同様になっている(表題の構成はちょっと違うけど中身は同じ)という感じです。
『金融正常化を進める日銀が10年超続いた異次元緩和の副作用に向き合っている。植田和男総裁は日本経済新聞の取材で「一段の円安はリスクが大きい」との認識を示した。場合によっては政策変更で「対応しないといけなくなる」と強調した。円安圧力はくすぶり続けており、日銀は経済の不確実性と両にらみの対応を迫られる。』(上記URL先より)
ということで出てきたのはいいんですけどね・・・・・・・
・市場がデータ見ながらいろいろ考えているんだから勝手に考えさせておけばいんですけどねえ
そもそも論としてこれから米国の雇用統計もでるんだし、日銀短観というインフレ定着の度合いを測る大事な指標もあるんだし、インタビュー28日に行われていたということですが、それこそ29日の昨日は東京都区部CPIがバチクソ強い、というのもあったわけで、まだまだ重要なデータや情報が出てくるわけですよ次の決定会合までには(その次は年末跨ぐけど春闘とトランプですよね)。
植田さん、名古屋金懇でこう言いましたよね。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241119a.pdf
『(答)アメリカ経済を含めまして不確実な点とか、あるいは今後変動がいろいろ予想されるというような、変動を確かめたいというような点は、ある意味無数にありまして、それを全部待ってて、それから政策をするということではなくて、毎回の金融政策決定会合で、そこまでに入ってきましたデータ、それからその他の情報ですね、これを毎回毎回点検し、それに対応して適切な政策を行っていくという、これまでの基本姿勢に現在でも変わりはございませんとお答え致します。』(直上URL先11/18名古屋金懇での会見より)
って言ってるんだから、その話とインタビューでの米国経済分からん発言(まあもちろん本紙見ればそういうこと言ってるのは分かるのですがBBGの記事の方にあるので後で貼りますね)とかしているのは、やる気がないですという話にも見えますし、一方で円安はリスクとかいってるのもこれまた「会合までのデータや情報を見ていって判断」という話との間に妙な違和感というか、事前決め打ち感のある話になっているように見えてしまう訳で、何でこんなインタビューするんだよと思う訳ですな。
アタクシこの前の名古屋金懇って「余計な事前決め打ちはしない」、「とは言いましても仔細に読むと判断が前進しているという現状認識は示しているには示している」という感じになっていて、あとはお前ら市場が考えろ、そもそも政策はその時々で適切なものを行うんだし経済は生き物なんだからそんなに事前決め打ちできないから予告ホームランはせんわ、というスタンスになった点に関しては、過去との整合性という点ではナンジャソラとは思いますけど、ただまあ毎度毎度予告ホームランをして政策をする方がそもそも論としておかしい、という原理原則に立ち返ったという意味では評価に値すると思ってた訳ですな(なので最初見たときは何でこんなのするんだと書いたけど途中で少しトーンを変えましたw)。
然るに、なんですかこの余計なコミュニケーションは、って話でして、これ毎度の両論併記になっているから、市場はみたいものの方を見て反応しちゃうし、見たいものの方を見て反応した市場が両論のもう片方を結果として出されて「私言いましたよね」となると激怒激怒大激怒になる、って話ですからして、じゃあこんなインタビューやるなよな、ってなもんでございます、というのは個人の感想ですけれども。
とまあそんな訳でBBGさんが日経インタビュー記事をご紹介している記事を出しているので尻馬に乗ってみる。
・両論併記の弊害なんだが「市場は見たい方しか見ない」ってのまだ気が付かないのかね日銀は
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-29/SNNGT7T0AFB400
植田日銀総裁、一段の円安はリスク大きいとの認識示す−日経
伊藤純夫
2024年11月30日 2:12 JST 更新日時 2024年11月30日 4:04 JST
→円安進行なら場合によって政策変更で対応が必要になるとの見解
→データが想定通りに推移、その意味で利上げは近づいている−総裁
ということで、ヘッドラインと最初のリード部分は植田さんインタビュー両論併記の片方にバイアス掛かって報道されちゃっていますよね。まあそうなるのは致し方ない面がある。
『日本銀行の植田和男総裁は、一段の円安はリスクが大きいと指摘し、場合によっては政策変更で対応しないといけなくなるとの見解を示した。日本経済新聞が30日、インタビューでの発言を電子版で報じた。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことで思いっきりこういうご紹介なのですが、ブルームバーグさんそこまで書いていないのでアレなんですが、この「一段の円安」に関して日経本紙の方でも(というか無課金なので一問一答見れませんけど)『インフレ率が2%を超え始めているときに』(11月30日日経朝刊総合2面(3面)の記事より)というのが入っていて、一問一答見てないからどういう文脈で言ってるのか謎なんですが、いやお前アクチュアルの物価2%ずっと超えてるだろそれで円安進行がリスクとか何を今さら祐天寺って感じですが、とりあえず朝刊本紙総合2面(=3面)のトップにもデカデカと横に『「一段の円安、リスク大きい」』と出しておりまして、まあBBGさんも(為替市場も)これに反応したって感じですわな。
でまあBBGさんの記事の続きですけど、
『植田総裁は同インタビューで「経済データがオントラック(想定通り)に推移している」と発言。12月の利上げへの明確な支持は示さず、次の利上げのタイミングが近づいているとの認識を示した。その上で、「米国の経済政策の先行きがどうなるか、大きなクエスチョンマークがある」としたほか、賃金動向とその価格への転嫁も慎重に見極めて追加利上げの是非を判断する姿勢を示したと、日経は伝えている。』
ということで、この「米国の経済政策の先行きがどうなるか、大きなクエスチョンマークがある」っての「日経は伝えている」とあるように、日経本紙の方でも記載されていまして、これ言い出すと結局無限に利上げを引っ張れるという事になるので、その意味では飛んでもない逃げ道の用意もしているというインタビュー。
でまあ足元ってBBGさんがこういう記事にしていますけど、昨日の東京都区部CPIが割と飛んでもない強さ(総合は2か月連続で季節調整後前月比+0.5%、コアの前月比は+0.4%→+0.5%と絶賛加速)になっているのを見て、為替市場ちゃんって円高にきっちり振れていて、一方で円債ちゃんは(インデックス長期化とかの影響もあると思うけど)円高を見て金利低下とかいうお茶目なプレイになっているのですが、まあそういう為替市場様の風潮があるだけに、そらまあBBGさん「円安はリスク」を前面に出す罠と思いました。その方がウケるでしょうからぬー。
『ニューヨーク時間29日の外国為替市場では、総裁の発言が伝わった直後に円が対ドルで上げ幅を拡大し、149円90銭台を付けた。いったん150円台に戻した後、上げ幅をさらに拡大して日中としては10月21日以来の高値となる149円47銭まで円高が進んだ。』
ということで、まあ何のためにこのインタビューやったんだかさっぱり意味は分かりませんけれども、下手に両論併記するもんだから折角「フリーハンド」になっているものを逆に12月利上げしないと許さんモードになっていくリスクもあるし、12月やらなかった時の反動を大きくすることにもつながって、却って日銀の自由度を縛るんじゃないかって気はしてきましたこの反応ですと。
(アップしてから読み直して追記しましたけど)
読み直してみたらこれだとワシがこの記事を「12月利上げと見ている」ように読めてしまうのに気が付いたのでさっきの消して別に追記しますね。
えーっとですね、この記事って結局のところ「米国や賃金の見極め」に重点をおくのか、「経済データが想定通りだから利上げが近い」に重点を置くのかで見方が割れるのですが、「円安けしからん」というのがこれまた攪乱要因にも程があるわけで、為替市場様が反応して円高に振れてしまいますと、怪しからん円安傾向が弱まってしまうので、利上げを急ぐ大きな理由が消えてしまうんですよ。
でもってこの駄文の最後の方に書いておりますが、まあ記事のトーンからすると植田さんは利上げをあまりにも引っ張りすぎるのは流石にマズイ、とは思っているようなのですけれども、そもそも今の時点でまだ政策金利が0.25%にしかなっていない、という時点で植田日銀は利上げに対する胆力が乏しいとしか言いようが無いわけで、そういう植田日銀が市場に追い込まれない形で利上げするのか、と言われるとこれまたかなり疑問なところがあるので、結局何とも言えないんですけど、為替が円高に振れてしまうと利上げを急がなくなる、でもまあ引っ張りすぎると円安ぶっ飛ぶのでそれは避けたいでしょうな。
でもってですね、利上げ路線ってのはまあ伝わる構成だし、最後の(これまた後で書いてます)インタビューアーの所感部分見ましても、利上げをアホみたいに引っ張る感じではない、ということになりますと、まあそこまで利上げが先になることもない、という感じになるんじゃないでしょうか12月か1月か、に関しては変わらないんだったら、何でわざわざこんなインタビューしたんだ、という印象がぬぐえません。
いずれにしましても、へんな両論併記をするのは市場を勝手に暴走させるリスクがあるから避けてほしいですね
(とここまで追記しました)
・こういうのは対話強化になっていないように思えるんだが
でまあBBGさんの記事の締め部分(途中は飛ばしています)ですが、
『7月の利上げはサプライズと受け止められて市場が乱高下する一因になり、植田総裁は市場との対話を一段と丁寧に行う考えを表明していた。7月会合前には、政策委員による講演や記者会見など日銀から目立った情報発信はなかった。12月会合を控えたタイミングでの総裁発言を、市場は対話強化の一環と受け止める可能性がある。』
ということなんですけど、せっかく名古屋金懇のところで「将来的には利上げ路線、でもタイミングはフリーハンドですよ」という説明になったのに、やれ米国だやれ為替だとか言い出すと、折角市場もデータを見てああだこうだ動いているのに、また政策反応関数が訳わからなくなるというものでして、あんまりこういうのを総裁副総裁が言う必要ないんだよな(審議委員に足元の情勢判断を適当にしゃべらせておけば良いのであってその辺が言う事なら何ぼでも上書きできるけど、総裁が言ってしまうと上書きしにくいのですから)とは思うんですよね。
あとですね、この手の一問一答、別に日経電子版に金払いたくないから言う訳ではなくて、これはもうちょっと大真面目な話なんですけど、ECBだとエグゼクティブレベルとかの人がメディア向けにインタビューをすると、その一問一答って基本的にECBのサイトに公開されるような仕様になっていて、まあFEDの場合は地区連銀総裁が地区連銀単位で出したり出さなかったりしていますけど、何なら新聞掲載の翌日でも構わないのですが、一問一答を日銀も出して頂きたいと思います。ヘッドラインの初期反応に対して検証の仕様がない状態が続くと、バイアス掛かった転電記事にそのまま引っかかる、という事になってしまい、それではなんの為にインタビューやっているのか意味がなくなるでしょ、と思うのですよね。
まあそれに関しては一朝一夕にはできないかもしれないけど、一般も含めて世の中への意思疎通という点では、ちゃんと日銀も一問一答を出した方が良いと思います。
・でまあ結局記事読んだおめーの感想はと言われますと「利上げ路線は利上げ路線だが」ですかね
とまあそんな訳で土曜の朝っぱらから血圧を上げたり下げたりしながらw駄文を書き散らかしている訳ですが、日経本紙の記事の書き方のトーンとしては、1面の方はやや慎重に構えているような印象を与えますし、総合2面(3面)の方はやや利上げのやる気を感じるような印象を与える、という感じの紙面構成かな、とは思います。
でまあケチだの何だの申し上げたので詫び石代わりにですが、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB281770Y4A121C2000000/
日銀、テールリスクとの闘い 通貨防衛の危機感にじむ
金融政策
2024年11月30日 2:00 [会員限定記事]
こちら、無料部分だけですと何が何やらという印象しか受けませんが、電子版じゃなくて日経本紙の方でもこの記事は読めまして、今回のインタビューを行った日経新聞さん(だと思うのですが)の金融部長の河浪武史さんの署名入り記事でして、河浪さんが今回のインタビューで感じた印象とか感想とかまあそんな感じの話になっているのですが、中々この話がよくできていまして、これを見れましたので(さっきは散々言いましたけど)200円払って良かったと思います、と褒めてつかわす(謎の上から目線wwww)。
まあこの所感部分を見ますに、利上げをあんまりビビっているとそれはそれでマズイ、という認識は植田さんお持ちのようではあるのですが、まあそうなのでしたらあとは植田さんの胆力の問題になってくると思う(だって少なくとも国内情勢でみたら利上げを躊躇する理由は無いし何なら既にtoo
lateになっているかもしれないくらいでより中立に近いスタンスに戻すのは急務の筈で、それをしないのは胆力の乏しさとしか言いようが無い)のですが、さあどうなることやらですな。
2024/11/29
お題「短国とかオペ関連とかの雑メモ/出遅れましたが基調的物価はまあ落ち着いてますよね」
またこいつらか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-27/SNLC90T1UM0W00
急激な利上げは考えられない、財政への影響も勘案−国民民主・古川氏
照喜納明美、野原良明
2024年11月28日 8:50 JST 更新日時 2024年11月28日 12:30 JST
→国内経済は供給不足、利上げで「需要抑制求められる局面ではない」
→あらゆる手段で手取りを増やす、基礎控除拡大を−「103万円の壁」
『国民民主党の古川元久税制調査会長は、日本銀行の金融政策の正常化に関し、国債利払い費の大幅増につながるような急激な利上げは避けるだろうとの認識を明らかにした。27日、ブルームバーグとのインタビューで語った。』(上記URL先より)
えーっとすいません。「国債利払い費が増えるから利上げダメ」って理屈は疑いようもなく「中銀の財政ファイナンス」でマネープリンティングによるインフレ推進でどっからどうみても「手取りを増やす」にならないんですけど何言ってるんだか。
てか家計はマクロ的には預金超過なんだから適切な水準への利上げは家計の収入を全体として増やすんですけどねえ。
〇補正予算本日閣議決定の段取りですかそうですか
ほうほうほう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-28/SNL454T0AFB400
今年度補正予算案で国債6.7兆円追加発行、税収上振れ分も活用−関係者
梅川崇
2024年11月28日 14:04 JST 更新日時 2024年11月28日 15:50 JST
→財源とする税収上振れは3.8兆円、税外収入や前年度剰余金も活用
→総額13.9兆円のうち約半分を国債に依存、財政健全化に課題残す
『政府が策定した総合経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案は、一般会計総額が13兆9433億円となる見通しであることが分かった。過去最高水準が見込まれる税収の上振れ分などを充てるが、不足分は新規国債を6兆6900億円追加発行して賄う。複数の関係者が明らかにした。』(上記URL先より)
ということですが、ホイホイと発行できるのは3M短国(とは言え3M国庫短期証券って直接新規財源債にあてられないと思うので多少のやりくりが必要なんでしたっけあんまり詳しくないのでそういう話は詳しい人に聞いてください)ということでして、1回5000億円増発したら13週間で6.5兆円の資金が出てくるし、もともと発行がバチクソ減っていたところなので増えたとて消化に困らんでしょうし、という理解でよろしいんでしたっけと思うのですが、まあゆうて財政ポジションは悪化するわけでどうなんでしょうねえってのはありますし、いずれは長期の方に振り替えることにはなるんでしょうけれども、短国需給の点では今アホみたいに逼迫している(ピークよりはマシっぽいとは言え)需給が少しは緩和されるのはありがたやとは思います(ただの目先の発想ダメゼッタイwwww)
〇でまあ今日も3Mの入札があるわけですが
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表
3Mどころの昨日の売参引値を見ますと
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.105
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.120←先週入札のあった3Mカレント
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.120
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.125←今日入札予定の3MWI
相変わらず2月と3月のカレンダーの切れ目の1週間の差で引値が1.5bp違うとか、同じ償還のゼロクーポンなのに引値が何で5糸違うのよ(ちなみに一昨日は1272も12bpで引かせていまして、入札に敬意を表して5糸甘くしたんですかね、知らんけど)とかツッコミどころは色々とあるのですが、先週の3Mは前日のWIが0.130%で引かせておいて入札は0.1210/0.1341で決着して当日の引値は0.120%で引かせていましたので、気持ち強いのかもしれませんが、まあ先週の場合はその前の週に短国レート上昇があったので居場所微妙だったと思いますが、今週は目線は分かりやすくなっているかなという所ですか、まあよーわからん闇鍋みたいな市場ではあるんですけどwww
でもって昨日ですけれども、何気にお茶目だったのは1年の短国のところで、
(11/28引値)
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.400
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.445
(11/27引値)
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.420
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.475
昨日は2年とかも金利低下していたのですが、ちゃんと1年の金利も反応して金利低下しているとか市場みたいじゃんとか思ってしまう訳ですが、まあ水準的に1回利上げで逆ザヤってのが0.4台前半と0.4台後半だとビジュアル的にどうなのよそんなに金利下がってエエノンカイとは思いますが(個人の感想です)なんか知らんけど1年カレント3毛も強くさせているのはそれもそれで市場っぽいけどナンジャソラってところですが、まあ動きがあるのは良いことですwww
・・・・しかしまあ何ですな、知らんけど昨日って為替円高とかアメリカン金利とかに反応したとかいう話だと思うのですが、円高になると日銀の利上げへの切迫感が乏しくなるから短いところの金利が下がる、ってえのもこれまた微妙な感じがする訳でして、今の日銀の行動パティーンからしますと、「円安一服」→「安心して利上げを見送る」まではそうなんですけど、その結果として、「安心して利上げを見送る」→「総裁会見でノホホンとした話をする」→「円安にぶっ飛ぶ」→「日銀真っ青」という流れになるんじゃ無かろうかとしか思えない訳ですなw
まあ円安気になるんだったらドル高一服みたいな今こそ利上げしちまえば良いじゃんとは思うのですが、円安で怒られが発生した結果、7月に急に変なもん食ったかのように利上げまでぶち込んでみたのは良いけど、8月の株安にビビって降参宣言して、10月になってみると円安に戻って来ているので降参宣言を事実上撤回して「毎回の会合はライブです」状態に戻る、とかまあわかりやすいまでの市場に振り回される(為替と時々株式)日銀ちゃん、どっからどう見ても市場に対して受動的に反応しておりますので、金利の方はともかくとして為替市場ちゃんにおかれましては利上げを織り込んで円高に振られると利上げが遅くなるので勘弁していただきたい、とかいうメタ的な状態になって
いると思料されます。困ったもんですな。
〇レポレートは月末越えたあとにどうなるのやら
東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m
2024/11/26 0.176 0.152 0.203 0.206 0.209 0.216 0.286
2024/11/27 0.158 0.150 0.181 0.202 0.208 0.215 0.299
2024/11/28 0.197 0.145 0.171 0.200 0.208 0.216 0.304
ということでレポちゃんは月末前にして引き続き低い状態で、結局昨日の月末跨ぎトモネのリファレンスレートは14.5bpとか中々の低金利になってしまいましたが、まあどうせ月末現象だとは思うのですが、月初になっても戻らないと話が違ってくるので、この辺は注目だなというのと、トムスタート1mが今日から年末越え、でよかったと思うのですが、年末越えのGCっていくらになりますのやら、というのも政策金利が0.25%になって初の年末越え(半期末越えは9月にやってますが)になりますのでどうなるのやら。
9月は別に特段の波乱も無かったという認識なのですが、何せ10月末、11月末と謎の月末GCレート低下現象が発生しているので、ちょっと9月末とは様子が異なるんじゃなかろうか説はだいぶあると思うのですがどうでしょうかね。
ということで「どうでしょうかね」だけで落ちは無いんですけどメモという事で(汗)。
〇基調的なインフレちゃん
すいません出遅れました。
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
1年分くらいだしてみると
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9
Apr-24 1.8 1.1 1.6
May-24 2.1 1.3 1.5
Jun-24 2.1 1.4 1.6
Jul-24 1.8 1.1 1.5
Aug-24 1.8 0.7 1.3
Sep-24 1.7 0.8 1.4
Oct-24 1.5 0.8 1.3
(いつものように左から刈込平均値、加重中央値、最頻値)
ということで、昨年の鬼のような物価上昇は一服、という図になっているのですが、まあゆうて過去から見てみますと、消費増税の時に増税要因に便乗値上げ要因もあった2014年と比較してみたって、
Jan-14 0.7 0.0 0.2
Feb-14 0.8 0.1 0.2
Mar-14 0.8 0.1 0.1
Apr-14 0.8 0.1 0.2
May-14 0.9 0.1 0.1
Jun-14 0.9 0.1 0.1
Jul-14 0.9 0.1 0.2
Aug-14 0.8 0.1 0.1
Sep-14 0.6 0.2 0.2
Oct-14 0.5 0.1 0.2
Nov-14 0.4 0.0 0.2
Dec-14 0.4 0.0 0.3
2014年ってどさくさに紛れて結構物価があがりましたが、この時と比較したら一目瞭然な訳で、これで物価の基調がまだダメとかいうの頭おかしいだろという世界線だと思うのですけれども、(てか上記の数字以上に生活実感としては物価クソ上がりしているし足元でまた上昇してるだろ、と第二種兼業主夫のワイは思うんだが)この辺りの話もうっかり数字の話をするとややこしいことになるので言わなくなっているのが日銀のいつもの奴、という感じではあるのですが、物価が上がったあと落ち着いてきた(のかよという気はするけど)段階においても、加重中央値とか最頻値とか上がったところからは下がったとは言え落ち着いて推移しているわけで、物価目標という意味ではこんなん達成したという話にしても何らおかしくないと思いますし、それこそ先日ネタにしましたように、日銀調査統計局様謹製の展望レポート背景説明のBOXだって全編これ「物価目標達成間近」って感じなのでして、まあ結局あとは市場に振り回されるチキン執行部の皆さん(あるいはチキン大本営なのかもしれませんけど調査統計局は寧ろケツ叩いているように見えますわな)の胆力次第ではあるなとは思うのでした。
でまあ上昇下落品目の方ですけど
Jan-24 83.9 10.7 73.2
Feb-24 81.8 12.8 69.0
Mar-24 79.5 15.1 64.4
Apr-24 80.8 14.0 66.9
May-24 79.3 15.5 63.8
Jun-24 78.7 16.1 62.6
Jul-24 75.7 18.8 56.9
Aug-24 74.7 19.9 54.8
Sep-24 76.1 18.2 57.9
Oct-24 75.1 19.5 55.6
2割も下落品目あったっけという気はしますが、まあ何はともあれもはや7割以上の品目が値上がりするというのが定着していましてそら物価高の体感強くなるわというお話ではあります。
〇オペ関連雑談メモ
なにせマイナス金利の地蔵短期市場ではなくなったので、短期方面で追いかけるものを追いかけておりますと長い方ももちろん見ているんですけど細かく追うにはワイの知能のリソースが足りないので甚だ恐縮ですがちょっと昨日はネタが2本ほどあったと思うjのでメモです。
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba241128.htm
国債買入(残存期間3年超5年以下) 9,729 3,253 -0.017 -0.016 70.3
国債買入(残存期間5年超10年以下) 9,575 3,756 -0.019 -0.017 82.9
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,229 1,505 -0.008 -0.005 5.6
国債買入(物価連動債) 1,555 600 0.180 0.013 55.0
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 4,273 4,273 -0.050 -0.050
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分) 0 0
・物国輪番
物国輪番というのが地味に結構な地獄輪番で、ずーっと普通国債対比でみると何じゃその値段はという安値で打ち込まれる、というのが延々と続いていたオペでして、まあ物国市場自体が流動性が乏しいので、ロットで売りをさばけるタイミングが輪番(と財務省買入消却)になってしまう(買う方は3か月に1回の入札)ので、ロット捌きプレミアムというかディスカウントが発生するという感じになっていたようですな、よー知らんけど。
でまあ昨日は普通国債対比遜色のない利回り差(物国は価格差で応札するので前日引けからの価格差表示ですが)っぽい感じの結果になっておりまして、なんかこういうのを見ますと昨日ネタにしていたPD懇での物国は現状維持が適切、って話なんですが、償還分で減ることも勘案したらちったあ増発して市場の流動性高まらんかしら、とは思ったのですが、まあ実際には相変わらず流動性は低い(低くなかったら8月の株式暴落の日に飛んでもない逆行安とかしていないのですよね・・・・・)という状態なのですけれども、今回はほほーと思いました。
・国債補完供給
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
利付国(2年)第453回(314億円)、
利付国(5年)153回(171)、155回(45)、156回(9)、
利付国(10年)341回(145)、359回(31)、361回(1,393)、366回(656)、367回(44)、368回(938)、370回(184)、
利付国(20年)109回(42)、120回(17)、135回(10)、
利付国(30年)63回(177)、72回(1)、73回(10)、82回(6)、
利付国(40年)8回(80)です。
とのことでしたが、27日の国債補完供給は
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba241127.htm
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 7,680 7,680 -0.050 -0.050
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)(注5) 11 11 -0.050 -0.050
(注4) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)の売却銘柄は、
利付国(2年)第453回(196億円)、457回(70)、
利付国(5年)153回(153)、155回(371)、156回(90)、
利付国(10年)341回(262)、361回(1,389)、362回(39)、364回(77)、366回(3,094)、368回(871)、370回(207)、
利付国(20年)108回(51)、117回(293)、120回(119)、135回(17)、
利付国(30年)37回(224)、63回(82)、
利付国(40年)8回(75)です。
(注5) 国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)の売却銘柄は、利付国(30年)第73回です。
となっていまして、10年366という債券先物2025年3月限の受渡最割安銘柄ちゃんの補完供給がしれっと2300億円ちょい減っていたのが話題になっておりましたのでメモっておくわけですが、これが減額措置によって日銀の在庫から放出されるということになりますと、需給改善というはなしになりますし、特に今後もそうなんですけど、当面7-10年のところって日銀が過去のYCCの影響でアホみたいに保有している銘柄が多くて、先物の流動性に影響するんでネーノという話でもありますので、玉が市中に出てくるのは結構なお話、ということですけど日銀保有銘柄の一覧表見れば最終的には分かる話ではありますな(というか今日の補完供給で減りっぱなしかどうかを見るのもありか)とは思います。
まあしかしだいぶ国債補完供給減りましたけど、まだまだ4桁億円の国債補完供給が毎日行われているわけでして、この補完供給が理想を言えばゼロ、ただまあ何かの事故みたいなのは発生するでようから、全くのゼロにもならないのかもしれませんが、国債補完供給が本当の意味でマージナルな物になって来るまでは長期債の市場機能ガーとか言ってもむなしいだけですよね、とは思うのでありました。
まあ要するに日銀は6月と言わずにとっとと輪番減額ペースを上げろやゴルァという話で、中期と長期の買いすぎで金利抑圧している分が超長期に出ている面も否定できないと思う次第で、中長期の輪番をもっと減らせと思うのですが次の四半期はどうするのでしょうかね・・・・・・
ということで雑メモばっかりで恐縮至極でありました。
2024/11/28
お題「レポ―レートとかPD懇議事要旨とか/FOMC議事要旨:経済のパートでの生産性の話はみどころかな」
うーむ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241128/k10014651931000.html
NY市場 円相場 一時1ドル=150円台半ばまで円高ドル安進む
2024年11月28日 4時50分
しかしまあ何ですな、
『26日にFRBが公表した11月の会合の議事録の内容に加え、27日に発表されたアメリカのPCE=個人消費支出の物価指数が市場の予想どおりの内容だったことから、投資家の間ではFRBが来月の会合で利下げに踏み切るという観測が広がりました。』(上記URL先より)
って話のようなんですが、12月利下げしたってそこで打ち止めだったら本質的には同じ話じゃんと思いますし(まあ米国の場合は今後の利下げが続くか否かで話をしているのだったらゴメンチャイですけど)、日銀だって12月でも1月でも利上げするなら本質的には同じ話じゃんと思うのです(その後の利上げって市場の中の人たち腹の中で思っていても中々JGBの価格形成に出てこないわなあの1年2年の金利みたら)けれども。
まあ感謝祭以降によくある年末恒例の目標未達アメリカン背水の陣兵士たちの鉄砲博打祭りの予兆なのかもしれませんけどぬーーーー。
〇東京レポレートとかPD懇とかのだいたい昨日の続き
・東京レポレートの足元GCクソ低い現象は月末までは続きそうですのう
東京レポレートちゃん
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/26 0.176 0.152 0.203 0.206 0.209 0.216 0.286 0.362 0.425
2024/11/27 0.158 0.150 0.181 0.202 0.208 0.215 0.299 0.363 0.430
何がどうなっているのやら(と言いつつ幾つかご観測についてご教授いただきました読者様におかれましては誠にありがたき幸せですが一旦その辺はまだ謎というステータスで参ります)という感じですが、まあそもそも論としてGCレポ市場自体も残高はそれなりにあっても、参入障壁がそこそこあったりしないでもない市場なので、需給って何かの拍子に大きく動いてしまう面があって、先月も月末のところで金利下がったように、大人の参加者によるお家の事情とかがあったりするとこういう現象は生じるの致し方なし、という所ではあります(ので短国アウトライトの市場がターム物に関しては指標になる方が宜しいんじゃなかろうかという気はだいぶするんですけど)ということですが、しらっと1wまで引っ張られて金利下がっているのはほーと思いながら眺めております。
まあ何ですな、今日は一々貼らないですけど短国アウトライトの方だと1年短国って昨日も売参引値金利上昇しておりましたし、GCの1年気配も上がっていまして、特殊需給に引っ張られにくい部分に関しては着実に市場っぽくなっているのは昨日も申し上げましたがまあ良い傾向かなということですが、しかしまあ何ですかこの月末現象はとは思ってしまいます。まあ月初になると戻るんでしょうけど足元の金利は(フラグではありません)。
・PD懇に関しては「議事の要点」というあっさり味ですな
でまあ一昨日のPD懇
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/241126pd.html
国債市場特別参加者会合(第111回)議事の要点
・日時 令和6年11月26日(火)16:00〜17:00
・場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室
・内容 令和7年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について
今回はあっさり味、というかそもそも予算の方がどうなるのやらってのもあるから国債発行計画出すの出さんのの話になる以前の話って感じですので、結局昨日報道で出ていた内容通りって感じになっておりますものの、後日備忘用にメモっておきます。
『<参加者からの意見>
・超長期ゾーンのうち、40年債については、生命保険会社の規制対応の進捗等による需要の減退を踏まえ、減額が適当との意見が多く聞かれた。減額の時期については、一部に令和6年度内からの先行減額を求める意見もあったものの、来年度からの減額が適当との意見が多く聞かれた。30年債については、40年債と比べれば需要の継続が見込めるものの、減額が適当との意見が聞かれた。』
うーん1月からの減額にはならんかったか、という話ですが昨日は40年入札自体はまあ何とこなしたもののカーブは修正されていたのはご愛嬌。
『・長期・中期ゾーンについては、総じて、預金取扱金融機関による追加的な投資需要が見込まれるとして、増額余地があるとの意見が聞かれた。』
昨日も申し上げましたが追加的な投資需要っつーか本来のところに戻ってきました、というお話ではあるのですがw
『・短期ゾーンについては、3か月物を中心に、旺盛な需要を踏まえ増額を求める意見が多く聞かれた。6か月物においてTBの発行を増額させ、FBの発行を3か月物に移すことで、3か月物の需給逼迫を改善してはどうかとの意見もあった。』
ああなるほどという感じですが、国庫短期証券って割引国庫債券と政府短期証券を統合発行しているので、毎回の発行根拠法真面目に読めば内訳読めるんでしょうけれども(額まではどうやって調べるのやら、官報あたりまで追っかけているほど細かく見れていないのですいません)TBFBの区別で意見するとかこれは練達者(^^)。
この際昨今のコメ小売価格上昇対策もかねて食管制度大復活で糧券発行、これですね(超大嘘ですので念のため申し添えます^^)。なお食管制度とか米穀通帳とか言われて反応するのは昭和の遺品ですw
『・流動性供給入札のうち、残存15.5-39年ゾーンについては、仮に40年債・30年債の減額を行う場合には増額を行うことも考えられるとの意見があった。また、一部銘柄について市中残高が少ない状況を踏まえ、流動性確保のため、残存5-15.5年ゾーン及び残存1-5年ゾーンについては現状維持または増額を希望する意見が聞かれた。』
まあこれは建付け上難しいとは思うのですが、日銀が持ちすぎの銘柄を狙い撃ちで流動性供給入札を実施ってできないもんかね(まあ普通に無理がある話)とは毎度思ってしまいます。どうしても割高銘柄ってレポコストで死にそうにならない限り高いところで買い戻すインセンティブが小さくなることだし。
『・物価連動債については現状維持が適当との意見が、クライメート・トランジション利付国債については減額が適当との意見が聞かれた。』
うーんという感じでして、物国って輪番とバイバックで新規発行分とほぼバランス状態になっている一方で、フロア付き方式で再発行された17回以降の銘柄が既に19回債まで償還されてて、来年3月には20回債も償還になるので、結構な実質減額になっていまして、一方で物価ちゃんの方はご案内のように2%達成への道筋とかいっている状態なので、理屈の上では増発余地があっても然るべき債券なのですが、中々難しそうですな〜。
なおGXについては・・・・・(泣)
〇FOMC議事要旨確認の続きである
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20241107.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
November 6-7, 2024
昨日は寝起き手抜き読みで金融政策運営に関する直接的な部分を読みましたが、あれ見ても結局「状況次第であんじょうようやっときますわ」ですので、そもそも論として連中が何考えているのか、という意味では前半パートを読まざるを得ません。
ということで『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』を頭から読む。
・物価の現状認識と先行き見通し:「2%達成に死角なし」って感じの記述になっていますね
このパートなんですけど、のっけから「インフレーションダイナミクス」の話になるのっていうのが最近の仕様になっている(ただしSEPの出る会合では1パラ目に「検討してSEP作ったよ、議事要旨の最後にSEPは添付するよ」が出ますので2パラになります)のですが、従来のFOMC議事要旨は最初は「経済情勢」についての議論パートになっておりました。
でまあさすがに目が慣れてきたなと思ったので、さっき物は試しに過去の議事要旨をホイホイと当たってみたのですけれども、今年の1月のFOMCまでは議事要旨の書き出しは「In
their discussion of current economic conditions」でして、経済情勢と経済先行き→インフレ情勢とインフレ先行き→雇用情勢と雇用先行き、ってな感じで構成を組んでいまして、3月会合の議事要旨から最初にインフレを書くようになった、というのを再確認しておきました。
いやまあだから何なのよと言われると答えに窮するのですがwww
『In their discussion of inflation developments, participants continued
to observe that inflation had eased substantially from its peak, although
core inflation remained somewhat elevated.』
現状は「remained somewhat elevated」だそうです、まあ数字がその通りなんでしゃーないですが。
『Almost all participants judged that, though month-to-month movements
would remain volatile, incoming data generally remained consistent with
inflation returning sustainably to 2 percent.』
とは言えほとんどすべての参加者は2%に戻っていく過程にあるとの認識。
『Participants commented that disinflationary progress had been seen across
a broad range of core goods and services prices. Notably, in both the core
goods and nonhousing services categories, prices were now increasing at
rates close to those seen during earlier periods of price stability.』
財と住宅以外のサービス価格のインフレ低下圧力が幅広く展開されているとの指摘。
『Many participants noted that the slowing in these components of core
inflation corroborated reports received from their business contacts that
firms were more reluctant to increase prices, as consumers appeared to
be more price sensitive and were increasingly seeking discounts.』
アネクドータルな企業ヒアリングなどでは物価上昇圧力の弱まりによって企業が強気の価格設定をしにくくなってきているし消費者は価格にセンシティブになっていると多くの参加者から。
『Some participants remarked that although increases in housing services
prices remained somewhat elevated, they continued to expect that these
increases would slow, as the more subdued pace of rent increases faced
by new tenants would eventually be reflected further in housing services
prices.』
住宅関連に関してはまだインフレ圧力があるものの、今後はおちついていくんでネーノという指摘が数名の参加者が指摘。
ということで、この1パラ見ますと物価2%目標に向けた現状の進展には死角なし、みたいな威勢のよさ(というか悪さというかw)を見て取れますので、そういう意味では中立スタンスへの道は開かれているようには見えますわな。
第2パラが物価の先行き見通し。
『With regard to the outlook for inflation, participants indicated that
they remained confident that inflation was moving sustainably toward 2
percent, although a couple noted the possibility that the process could
take longer than previously expected.』
参加者のうち2名は物価の2%達成が想定よりも遅れてきているという見立てですが、残りの皆さんはオントラックという認識ですね。
『A few participants remarked that insofar as recent robust increases in
real GDP reflected favorable supply developments, the strength of economic
activity was unlikely to be a source of upward inflation pressures.』
でまあこの辺から物価動向の背景に関するFOMCパーティシパントの見解が示されていてオモロイのですけれども、実質GDPが強い(割には物価は落ち着く方向にある)背景には、「供給サイドの状況が好転している(要は供給制約問題の解消)ためであり、よって物価上昇圧力につながらない」という話をしていますな。
これはまあ物価上がらんという話としてみれば政策金利を中立に持っていく理屈ではあるのですが、一方でこれって景気に対しては強いという見たてでもありますので、どっかの中央銀行総裁が10月末の時点で米国経済下振れガーと言ってたのはナンジャソラという話にもつながる(まあそれは名古屋金懇の会見でしらっと無かったことになっていますが)のでありまして、
『Participants cited various factors likely to put continuing downward
pressure on inflation, including waning business pricing power, the Committee's
still-restrictive monetary policy stance, and well-anchored longer-term
inflation expectations.』
物価上昇率を鎮静化させる要素がこんなにありまっせという指摘が来ます。
『Several participants noted that nominal wage growth had continued to
move down and that the wage premium available to job switchers had diminished.
In addition, some participants observed that, with supply and demand in
the labor market being roughly in balance and in light of recent productivity
gains, wage increases were unlikely to be a source of inflationary pressure
in the near future.』
ここは労働市場に掛かる部分ですが、労働市場における賃金上昇圧力の低下を指摘していて、その中に「転職の際のプレミアムが減ってますな」というのがあるのがオモロイです。
てな訳で先行き見通しについても基本的には死角なしみたいな感じになっていますので、ここだけ見ればああ中立金利に戻していくスタンスだな、というように読めますね。
・労働市場について:労働市場に関しては「今後も適切な金融政策の調整を行えば」ソリッドですよという話
3パラ4パラが労働市場。
『In discussing labor market developments, participants generally viewed
recent readings as consistent with labor market conditions remaining solid,
although labor strikes and the devastating hurricanes had been important
sources of temporary fluctuations in the employment data.』
一時的要因による攪乱はあるものの、労働市場に関しては「remaining solid」であると。
『Participants continued to cite declines in job vacancies, the quits rate,
and turnover as consistent with a gradual easing in labor demand.』
求人とか求職とか転職とかその辺の勢いが落ちているそうですな。
『Some participants reported that businesses were becoming more selective
in hiring as they faced larger pools of more qualified job applicants,
and job applicants were more willing to accept less accommodative work
arrangements and more moderate wage offers.』
数名の参加者からは労働市場における採用側と求職者側の力関係の変化を指摘しています。
『Participants generally noted, however, that there was no sign of rapid
deterioration in labor market conditions, with layoffs remaining low.』
とはいえここから先急速に労働市場が悪化してあばばばばーとなる予兆は無いよ、だそうです。
『A few participants cited business contacts who were using attrition,
instead of layoffs, to manage the size of their workforce. Some participants
observed that the evaluation of underlying trends in labor market developments
had continued to be challenging- with difficulties in measuring the effects
of immigration on labor supply, revisions to data, and the effects of natural
disasters and labor strikes among the factors cited as complicating this
evaluation-and that assessments of the outlook for the labor market were
associated with considerable uncertainty. Participants generally judged
that current labor market conditions were broadly consistent with the Committee's
longer-run goal of maximum employment.』
でもってアネク中心の話が続いていますが、その中にしらっと今後の懸念として企業が挙げているものの中に「with
difficulties in measuring the effects of immigration on labor supply」などとあって、おーおーおー早速大統領選挙の結果が反映されとるわ、と思いました。
でもって4パラは先行き見通し。
『With regard to the outlook for the labor market, participants generally
anticipated that with an appropriate recalibration of the Committee's monetary
policy stance over time, the labor market would remain solid.』
見通しですとこちらは「適切な金融政策スタンスの修正を今後も実施することによって」労働市場は堅固な状態を維持するでしょう、とあるので、これまた政策金利の中立スタンス化が前提になっておりまして、金融政策パートでは「あんじょうようやっておきますわ」なのですが、こっちでは中立化前提になっているのがかなりのチャーミングさをしめしていますねw
『Participants generally agreed that labor market indicators merited close
monitoring. Some participants still saw elevated risks that the labor market
could deteriorate, though many participants saw the risk of an excessive
cooling in the labor market as having diminished somewhat since the Committee's
September meeting.』
前回会合時よりも減ったとは言え、労働市場がコケるリスクについては注意が必要、という指摘で締めていまして、まあこの物価と雇用のところだけ見ると普通に政策中立化に進むのが前提の話になっていますな、というのは把握した。
・経済について:プロダクティビティの向上に関する議論紹介に割いている字数がかなり多いのは・・・・
5パラは経済について。
『Participants observed that recent data on economic activity and consumer
spending were largely stronger than anticipated, and they assessed that
economic activity had continued to expand at a solid pace and consumer
spending remained strong.』
どっちかというと特に労働市場の辺りの話だと政策中立に向けて進めていくのが前提みたいな話もありましたが、経済のパートになるといきなり威勢が良くなる。まあ個人消費が強いからというのもあるけどエライ威勢が宜しい。
『Participants remarked that consumption had been supported by a solid
labor market, rising real wages, and elevated household wealth. Many participants
observed that recent upward revisions in data on household income and the
saving rate had made these series' behavior more consistent with the strength
in consumer spending.』
『However, several participants cautioned that low- and moderate-income
households continued to experience financial strains, which could damp
their spending. A couple of participants cited recent increases in rates
of delinquencies on credit card borrowing and automobile loans as signs
of such strains.』
でもってその後は個人部門に関する話になるのですが、前半は家計の所得が上振れているので消費が強いという威勢の良い話になっていて、後半はそうは言っても中低所得層においては金融面からの制約が強まって消費を弱くしている、という話になっていますな。
6パラで企業部門の話になりますが、
『Regarding the business sector, a few participants noted that favorable
aggregate supply developments-including increases in labor supply, business
investment, and productivity-continued to support solid expansion of business
activity.』
企業部門のお話になりますが、供給面の改善、というのがさっきも出ていましたが、ここではいわゆる供給制約の問題だけではなくて、「business
investment, and productivity」ということで、企業の設備投資および生産性について指摘されているのは何気にポイントではなかろうかと。
というのは以下この生産性の改善に関する背景の議論内容が延々と記載されていまして、
『A couple of participants remarked that there was considerable uncertainty
about the durability of recent rates of increase in productivity. Although
a few participants attributed some of the productivity gains to potentially
transitory factors-such as one-time efficiency gains in response to earlier
labor shortages-or the possible underestimation of labor inputs, some participants
highlighted more durable factors, such as new business formation and investment,
as well as the integration into the workplace of technological advances.
A couple of participants discussed some of these recent trends, noting
especially possible implications of the expanded use of artificial intelligence
in the workplace. Several participants indicated that their District contacts
reported larger corporations and firms in sectors like financial services,
construction, professional services, and technology as having a generally
more optimistic outlook than smaller businesses or firms in the manufacturing
sector. Several participants remarked that the agricultural sector continued
to face significant strains due to low crop prices and high input costs.』
すいませんここ話の流れ的にぶつ切りにしにくかったので延々と引用してしまったのですが、生産性が向上しているという点について一時的なのか恒常的なのか、背景は何なのか、というような議論が延々と展開されていますが、話の流れとしては「設備投資やらAIなどの技術向上もあって、米国のプロダクティビティは上振れており、それはワンオフではなく恒常的ではなかろうか」というのが方向性としては示されていますわな、ということです。
でまあこれって何を意味するかというと、米国経済強いよねって話で有ることはモチのロンなのですが、恒常的なプロダクティビティの改善がみられるっていうのは、金融政策現世利益的に言えば、米国の潜在成長率が引きあがっていることを示している訳でして、それって名目中立金利の上昇につながる話ですからして、要はロンガーランの政策金利水準が上がるでしょ、ってお話でもあります。
んな訳でして、まあそもそも論としてこのプロダクティビティ向上の話で企業部門の話のパラグラフを殆ど食っている、というFOMC議事要旨を編集している中の人の意図からして、まあそういうことやぞというのを示しているように思えますんですが如何なもんでございましょうか。
・リスクはおおむねバランスですが「上振れ変わらず、下振れ若干減少」ですね
以下はさらさらと流しますが、7パラは先行き見通しに対するリスクと不確実性。
『In participants' evaluation of the risks and uncertainties associated
with the economic outlook, upside risks to the inflation outlook were seen
as little changed, while downside risks to employment and growth were seen
as having decreased somewhat.』
上振れリスクは特に変わらず、下振れリスクは少し減ったそうですわよ。
『Among the upside risks to inflation cited by participants were the possibility
of sudden disruptions in global supply chains due to geopolitical developments,
a larger-than-anticipated easing in financial conditions, stronger-than-expected
consumption, more-persistent shelter price increases, or sharp rises in
insurance charges for health, autos, or homes.』
『Some participants pointed to various downside risks to economic activity
and employment, including weaker global growth, sharply worsening financing
conditions due to an escalation of geopolitical tensions or a sizable asset
price correction, or an unwelcome weakening of the labor market.』
この辺はアップサイドとダウンサイドの両方についてどんなのがありますねんというのが指摘されていますが、「larger-than-anticipated
easing in financial conditions,」とかいうのがしらっと入っているのはお茶目。
『Almost all participants judged the risks to the attainment of their dual-mandate
objectives of maximum employment and price stability to be roughly in balance.』
とは言え結論は「be roughly in balance」です。
・金融安定化リスクは要因いろいろと並べられているけれども特に切実感は無いんじゃないかな
8パラはファイナンシャルスタビリティ。
『In their discussion of financial stability, participants who commented
noted vulnerabilities to the financial system that they assessed warranted
monitoring.』
金融システムの脆弱性について指摘している人たちがおいでのようですね。
『A couple of participants observed that the banking system was sound but
that there continued to be potential risks associated with unrealized losses
on bank assets.』
銀行資産の含み損爆裂という潜在的なリスクがある、と2名が指摘していますが、その次には多くの参加者が指摘、として商業用不動産関連の件が出てきます。
『Many participants discussed vulnerabilities associated with CRE exposures,
focusing on risks in the office sector. A few of these participants noted
signs that the deterioration of conditions in this sector of the CRE market
might be lessening.』
商業用不動産の次は・・・・
『A couple of participants noted concerns about asset valuation pressures in other markets.』
2名から他の資産市場におけるリプライシングの発生(値下がり)リスクの指摘があって、
『Some participants commented on cyber risks that could impair the operation
of financial institutions, financial infrastructure, and, potentially,
the overall economy; these participants noted, in particular, vulnerabilities
that could emanate from third-party service providers. A couple of participants
also mentioned third-party service providers in the context of risks associated
with brokered and reciprocal deposit arrangements.』
サイバーリスクに関しては金融機関直接の話の他にサービスプラットフォーム提供しているベンダー起因のリスク(この前米国で割と派手なのありましたよね)の指摘。
『Several participants noted that leverage in the market for Treasury securities
remained a risk and commented that it would be important to monitor developments
regarding the market's resilience.
国債市場における参加者のレバレッジ拡大による逆回転発生時のリスク。
『A few participants discussed vulnerabilities posed by the growth of private
credit and potential links to banks and other financial institutions. 』
プライベートクレジット拡大による損失波及のリスク。
『A couple of participants commented on the financial condition of low-
and moderate-income households that have exhausted their savings and the
importance of monitoring rising delinquency rates on credit cards and auto
loans. 』
中低所得者向けのローンやクレジットカードの延滞状況はよくモニターすべきとの指摘。
『A couple of participants remarked on the successful implementation of
the Securities and Exchange Commission's money fund rules, noting that
it would reduce financial stability risks posed by domestic MMFs.』
最後だけはリスクが減った話で、MMF規制の追加によってMMFからの短期金融市場攪乱リスクが減りましたよね、という話で締めていますが、まあ全般的にファイナンシャルスタビリティ面でのリスクっていう話はそんなにないかなとは思いました。
以下のパラは金融政策の話になって昨日やった部分なので本日はここまでで勘弁。
2024/11/27
お題「交付税特会6M足切りがなんと0.50%とかその他/FOMC議事要旨は「方向は利下げだが慎重」って感じですかね」
いやーなんとスポ末ですよ来週は師走ですよ・・・・・・
〇交付税特会6Mが引き続きの金利上昇とかGCレポ足元低下とか
先週木曜日に落札利回りが平均で1月利上げ全織り込み、足切りで12月利上げ全織り込み、という中々素敵なレートになっていた、という話をご報告いたしましたが、昨日は今月5発目の交付税特会6M借入の入札がありましてですね、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241126.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和6年11月26日入札)
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和6年12月4日
3.償還期限 令和7年6月4日
4.償還方法 令和7年6月4日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 4兆7,938億円
(2)募入決定額 1兆3,000億円
(3)募入最高利率 0.500%
(4)募入最高利率における案分比率 28.3070%
(5)募入平均利率 0.467%』
うひょーという結果でして、0.50で3割近い案分ってまあ0.50は止めビットを入れるならここでっしゃろレートなので流れた結果ここで案分というのは分かるのですが、止めビットに3割も案分掛かるのかよとも思ったりしました。
でまあこの0.500%とかいうのはもはや利上げ後の次回の付利金利の水準と目される金利そのものずばりなので織り込み度合い何%とかいうまでもありませんですし、平均の0.467%に関しても、12/20から手前が25bpという分解をすると(期間が長いので大きく変わらんのですが)後ろの12/20からの金利が0.488%くらい、ということになりますので、12月利上げをほぼほぼおりこみ、みたいな水準になっているのがチャーミング、という結果になりましたですな。ちなみに1月会合のところで切って計算すると後ろは0.559%位になりますので織り込みワッショイという感じになっております。
とまあそんな訳で、今月の交付税特会6M(毎回1.3兆円ほどが落札されてました)ですけれども、時間の経過と共にこのような結果に、()内は入札を実施した日ですな。
(11/06)0.331/0.347 応札6.5兆円
(11/12)0.358/0.375 応札6.5兆円
(11/19)0.384/0.400 応札6.3兆円
(11/21)0.411/0.475 応札5.8兆円
(11/26)0.467/0.500 応札4.8兆円
入札の度に足ズレが起きるので、特に12月織り込み度合いを計算する場合はちゃんと計算してちょんまげ、というのはございますが、まあそれはそうと12月1月の利上げ織り込み度がずんずん上昇している、というか昨日のとかもはや12月前提の値付けじゃろという結果になっていまして、こちら参加者層が薄い(交付税特会向けの「貸出金」なので参加者限定ではある)のはあるのですが、なんというチャーミングなムーブを示しておられるのでしょうかという味わいの深い結果になっておりました。まあ短国に関しても昨日申し上げたように3か月とかいう「モノとしての短期国債」ニーズに蹂躙されているゾーンはさておきましても、1年どころまでくると何となく市場っぽいムーブを示しておられまして、おじいちゃん懐かしくて涙がちょちょぎれてしまいますわという動きがちょいちょいと散見されるようになってまいりまして大変に結構なお話ではないかと存じます次第。
でまあその一方でGCレポレートちゃんなのですが
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート
先週月曜公表文から並べますと、
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/15 0.203 0.235 0.208 0.208 0.208 0.210 0.256 0.349 0.401
2024/11/18 0.240 0.234 0.208 0.208 0.208 0.212 0.269 0.352 0.406
2024/11/19 0.231 0.238 0.209 0.209 0.212 0.213 0.272 0.352 0.407
2024/11/20 0.231 0.238 0.211 0.211 0.212 0.214 0.274 0.352 0.411
2024/11/21 0.234 0.224 0.211 0.212 0.212 0.216 0.275 0.354 0.415
2024/11/22 0.223 0.238 0.212 0.212 0.212 0.216 0.273 0.357 0.418
2024/11/25 0.234 0.230 0.212 0.212 0.213 0.217 0.273 0.360 0.421
2024/11/26 0.176 0.152 0.203 0.206 0.209 0.216 0.286 0.362 0.425
ってなレート推移になっていまして、もともとGCの方は短国よりも水準が高い(まあそれ以前にクソ長いタームのGCってサブスティテューションやらマージンコールやらで事務のハードルが翌日物と比べて高いじゃろというのがあって、運用サイドからみたら短国アウトライトの使い勝手に対抗するようになるのはまだ時間がかかりそうではある)のでアレですけど、ゆうて長いタームのレート(というか気配というかリファレンスというか)も気持ち上がっていますよね、って感じですなあ、という話を書くっぺかなとかそんなイメージでおったのですけれども、昨日公表分のGCで足元のレートが8bpほど低下の巻という事案が発生しておられますな。
この前も月末ムーブだか何だかしらんですけど、10/29に急に足元GCの東京レポレートが低下して、10/31のオーバーナイト(トモネは10/30のトモネ)まで金利水準が5〜10bp低下するという事案が発生していましたが、このムーブって実は本来もっとそういうのが起きそうな9月末では発生しておりませんで、突如10月、11月末と2か月連続で発生している謎ムーブになっております。
まあ単純に需給が急に変わって、それが(もし今回のも月末跨いだ後終わるなら)月末要因による何かがありますね、って事にはなると思うのですが、今まで無かった月末ムーブのプレイが急に最近になって2回連続で起きる、というのはデューク東郷じゃないですけど「二度の偶然は無い!」という話になるかとは思いますが、はてさて何がどうなっているのやら、とは思います。
〇PD懇の議事要旨は多分午前中(というか朝)には出ると思いますが(メモだけ)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-26/SNJXIZT0G1KW00
財務省、40年債は生保需要減退で相応の減額が適当との意見−PD会合
山中英典、日高正裕
2024年11月26日 18:45 JST
『財務省によると、26日に開かれた国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合では来年度の国債発行計画について、40年債は生命保険の需要減退で来年4月から相応の減額をするべきだとの意見が出た。同省幹部が会合後、具体的な意見の内容を明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)
『・超長期債については異口同音に生保の規制対応の進捗(しんちょく)による需要減退を踏まえ、減額が適当との意見が多く聞かれた』
『・減額の時期については、一部で今年度内から先行して減額を求める声もあったが、相応規模の減額をするなら来年度からで良いという意見が多かった』
相応規模の減額が必要な需給関係なら先行してやった方がよさそうな気がするのだがw
『・30年債は40年債に比べれば需要は見込めるが、減額は適当との意見』
しかし一時50年債作れとかいう話があったのは何だったのだという事で、まあ市場を丸無視するのもどうなのかというのはあるのですが、中長期的視点でのニーズってのも踏まえて市場の方も意見を出さないと後から何だったのかみたいな話になるのではと。
『・長期、中期ゾーンは総じて銀行などの追加的な投資需要が見込めるとし、増額余地があるとの意見』
まあ銀行などの追加的な投資需要、というよりは日銀の政策によって止むを得ず中長期ゾーンの国債への投資ではなくて他の投資をしていた資金が回帰する、という正常化の過程にあるのと、この間に期間ミスマッチとかそのあたりに関する規制が厳しくなっているので追加需要が発生しているでしょ、ってことになるのかと思います。
でまあ最後ですよ最後。
『・短期ゾーンは3カ月物を中心に旺盛な需要を踏まえ増額を求める意見が聞かれた』
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
(;∀;)イイハナシダナー
いやもう是非ともその方向でお願いいたしたいアタクシなのでありました。
あと、昨日は企業物価指数と基調的な物価もあったのですがFOMC議事要旨ネタを優先してパスということでさーせんm(__)m
〇FOMC議事要旨は利下げの方向性は確認しながらもスタンスは出たとこ勝負だしまあ慎重ですよね
FOMC議事要旨も重要なのですが前座の方もあったので今日は簡単で勘弁
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20241107.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
November 6-7, 2024
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors
on Wednesday, November 6, 2024, at 10:00 a.m. and continued on Thursday,
November 7, 2024, at 9:00 a.m.1
・ハイパー手抜き読みなのでまずは政策決定部分から見ますがとりあえず全参加者一致で25bp利下げと
いつものハイパー手抜き読みなので『Participants' Views on Current Conditions
and the Economic Outlook』の政策部分を、と思ったらパラグラフが3つですがシンプルっぽいな、と見ましたが読んでみましょう。
まずは今回の決定に関して
『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants
noted that inflation had made progress toward the Committee's objective
but remained somewhat elevated. Participants also observed that recent
indicators suggested that economic activity had continued to expand at
a solid pace, labor market conditions had generally eased since earlier
in the year, and the unemployment rate had moved up but remained low.』
ここの書き出しは基本的に声明文1パラと同じ話をします、今回もそうですね。
『Almost all participants judged that the risks to achieving the Committee's
employment and inflation goals were roughly in balance.』
リスクはざっくりバランス。
『In support of the Committee's goals, all participants viewed it as appropriate
to lower the target range for the federal funds rate by 25 basis points
to 4-1/2 to 4-3/4 percent.』
メンバーだけではなく参加者全員で25bpの利下げを支持。
『Participants observed that such a further recalibration of the monetary
policy stance would help maintain the strength in the economy and the labor
market while continuing to enable further progress on inflation. 』
政策のrecalibration(再調整)は今後のインフレの推移に対応する体制を維持しながら経済と物価の強さを維持するために寄与しまっせと。
『Participants judged that it was appropriate to continue the process of
reducing the Federal Reserve's securities holdings.』
でまあバランスシートのランオフは引き続き実施、と来まして次のパラグラフ。
・先行き金融政策については基本は中立に向けて下げるんだが「データ次第ですよ出たとこ勝負ですよ」ですな
みんな大好き「先行きの金融政策」です。
『In discussing the outlook for monetary policy, participants anticipated
that if the data came in about as expected, with inflation continuing to
move down sustainably to 2 percent and the economy remaining near maximum
employment, it would likely be appropriate to move gradually toward a more
neutral stance of policy over time.』
今後の経済物価推移が「about as expected」であれば、徐々に金融政策スタンスをニュートラルに近づけていく(to
move gradually toward a more neutral stance of policy over time)のが適切と考えている、からの、
『Participants noted that monetary policy decisions were not on a preset
course and were conditional on the evolution of the economy and the implications
for the economic outlook and the balance of risks; they stressed that it
would be important for the Committee to make this clear as it adjusted
its policy stance.』
政策はコンディショナルであって、事前の予定はない、というお話なんですが、いやマジでだったらSEPのどっとチャートだすの止めえと思うのですが(経済物価見通しを出すのは良いし、何ならロンガーランだけ出すのはありかもしれないが中途半端に先の金利出すのは「コンディショナルでプリセットコースは無い」と言っている中では誤解を招くノイズ以外になりえない)。
『While emphasizing that monetary policy would be data dependent, many
participants noted the volatility of recent economic data and highlighted
the importance of focusing on underlying economic trends and the evolution
of the outlook when assessing incoming information.』
データディペンデントがどうした、という件に関して「最近のデータはボラタイルに出てくるので、足許の振れに引っ張られ過ぎないように全体的な基調を見ましょうね」という話をしていまして、まあだんだん先行きの政策運営の時の説明が闇鍋っぽくなって来そうだなという予感がします笑。
『Some participants remarked that, at a future meeting, there would be
value in the Committee considering a technical adjustment to the rate offered
at the ON RRP facility to set the rate equal to the bottom of the target
range for the federal funds rate, thereby bringing the rate back into an
alignment that had existed when the facility was established as a monetary
policy tool.』
ONRRPのレートを引き下げる(利下げ後ベースで4.55%でしてFFの下限が4.50なので5pp上)という話があるのね。まあこの金利水準でコリドア狭すぎとか思いますし、どっかの日銀とは逆でちょっとこれはこれで過保護な気もするのですけれども、USマネーマーケットの需給関係とか詳しくないのでここは特段判断はしませんが、理屈からすれば実効FFレートが若干なりとも下がる可能性はあるんかいな、くらいの話かなとは思います(マネーマーケットにとっては大問題の可能性はありますがそれはそれということで)。
・リスクバランスに関して
『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook
for monetary policy, almost all participants agreed that risks to achieving
the Committee's employment and inflation goals remained roughly in balance.』
デュアルマンデートのどちらについてもリスクは上下だいたいバランス。
『Some participants judged that downside risks to economic activity or the labor market had diminished.』
数名が「経済活動や労働市場のダウンサイドリスクは消えましたな」との見立て、ってのがしらっと入ってから、
『Participants noted that monetary policy would need to balance the risks
of easing policy too quickly, thereby possibly hindering further progress
on inflation, with the risks of easing policy too slowly, thereby unduly
weakening economic activity and employment.』
政策修正が早すぎても遅すぎてもいけない、という毒にも薬にもならない(一応語順は先に「早すぎダメ」になっているのは覚えておくことにするが)話があって、
『In discussing the positioning of monetary policy in response to potential
changes in the balance of risks, some participants noted that the Committee
could pause its easing of the policy rate and hold it at a restrictive
level if inflation remained elevated, and some remarked that policy easing
could be accelerated if the labor market turned down or economic activity
faltered.』
でもってじゃあ何をもって早い遅いの話になるのか、という基準として何人かの委員が言及しているのは、「インフレが高止まるんだったら追加利下げを一時停止すべき」という見方と、「労働市場が想定よりも悪化したり、経済活動が弱まるなら利下げを加速すべき」というのが並んでおります。
『Many participants observed that uncertainties concerning the level of
the neutral rate of interest complicated the assessment of the degree of
restrictiveness of monetary policy and, in their view, made it appropriate
to reduce policy restraint gradually.』
でもってここの最後ですが中立金利水準の話をしているのが味わいがあって、「多くの参加者(Many
participants)」が言っていることとして、中立金利水準に関しては不確実性があって、この不確実性によって金融政策の引き締め度合いというのを測定するのが難しくなっていることを勘案すると、金融引き締めの減少については徐々に行うことが適切であろう。という話で締めています。
とまあここまでで手抜き読み部分になるのですが、手抜き読み部分だけでいえば、決め打ち全然していないのと、先行きに関しても方向性は利下げだけどそこまでシャカリキになって利下げするという話でもなくて、むしろ最後の一文にあるように「ホイホイ利下げするとは言ってません」という方が主張されているかな、という印象でした。別に利下げしないとかそういう過激な話ではないので無難にまとめてはいるものの利下げ加速ワッショイの皆さんにとってはしょんぼり―ぬな内容かもしれませんね。
今朝はショパンの事情でこの辺で勘弁してつかあさい。
2024/11/26
お題「1年短国金利上昇とな/名古屋金懇とかその関連でのコミュニケーションを再確認しますと・・・・・」
まあ昨日の日中からそんな感じでしたけど
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/2MFREL4IBJOGHBGKUCLPII2QZU-2024-11-25/
ダウ・S&P日中最高値更新、トランプ氏の財務長官指名受け
By ロイター編集
2024年11月26日午前 2:19 GMT+9
『[25日 ロイター] - 25日の米株式市場では、S&P総合500種(.SPX),
とダウ工業株30種(.SPX),が日中最高値を更新、ハイテク銘柄中心のナスダック総合(.IXIC),
も上昇した。トランプ次期米大統領が22日、著名投資家のスコット・ベッセント氏を財務長官に指名したことが投資家心理を後押しした。
複数の投資ストラテジストは、ベッセント氏が財政・貿易政策を巡る選挙公約を遂行しながらも、政府のさらなる借り入れを抑制する措置を講じる可能性があると指摘している。』(上記URL先より)
トランプとてインフレを無駄に煽ると結局自分の首を絞めるってのは分かっているのかな、という感じはしましたがさてどうなるのやら。
〇短国ちゃんも1年の辺りがちょっとだけ市場らしくなってきた件について
いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
3Mのところばっかり見ておりましたが、実は1年短国ちゃんがここもと金利上昇気味でして、
(11/21引値)
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.430
(11/22引値)
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.455
(11/25引値)
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.460
ということで昨日ネタにするのをうっかりしておりましたが、この1年短国って入札時の利回りが0.4379%/0.4449%なので、ここに来て入札時の価格を切ってきている(ただしこの銘柄は短いゾーンと違ってGCレポ対比ポジティブキャリー)という図になっておりますな。
まあ1年ともなりますとドル円スワップ対比でどうのこうのみたいな人が参戦しませんし、担保ニーズという点では(まあゆうて2年とかも担保に使うでしょうから別にニーズが無い訳ではないと思いますが)3Mとかその辺対比で価格変動もそれなりにしますし、だいたいからして金利リスク量を食ってしまいますから、「モノ」としてのニーズが3Mよりもだいぶ少ない、ということもあってまあこのレート形成になっているように見えますすな。詳しくは知らんけど。
でまあ50bpに近くなってくると、とりあえずGCだのコールだのとかと比較してとりあえず1回分の利上げには耐えられるには耐えられるのですが、まあその次の利上げという話になると厳しいとかいう当たり前の話はあるにしましても、利付2年のカレントが、
(11/25引値)
中期国債 466(2) 2026/11/01平均値複利0.588 平均値単利0.585
とかやっていて結局2回以上の利上げになると逆ザヤ確定水準なのを勘案しますと、1年短国カレントのあたりやっと市場っぽくなってきたじゃんという風情(単に2年とかの中期がクソ割高なだけという説は大有りだがそこは知らんことにしまして、笑)になって来ましたなという雑感なのでありまする。
12月利上げ1月利上げは正直これ短期の人以外で見たら誤差の話なのに、何でこのネタで毎度引っ張られるのか、というお話に関しては、「次の次」への意識の違いってのがあるんかいな、ということなんでしょうかねえ。そこ12月でも1月でも同じな気がしますが、まあ12月利上げするとその先を強く意識するとかそういう話になっているのならそういうことなんでしょうかね、謎にもほどがあるけど。
なおワイは今のチキン体制で次の次っていうのはいつものように、円安でシバかれるか、物価高批判の矛先が日銀に向かいだす、あるいは物価高退治に日銀様おねげえしますだ、という日銀垂涎の展開でもいいんですけど、まあそんな感じで、「お膳立てされないと政策修正をしない」という日銀ちゃんチキンあるいは目先の責任回避(通貨価値の安定を通じて国民厚生に資するという本来の責任の話はさて置かれるのだが)に走るとしか見ていないので、結局は「お膳立てが整うか」だけの問題だと思うので、12月だろうが1月だろうが結局次の次に大差発生しないと思いますけどね(フラグではない)。
まあ何にしましても、こうやって少しは市場っぽくなってくるのは良い話ではあるのですが、1年短国の金利が上がってみると前述のように2年の金利とか中期の金利水準ってこれ何なのよという話になるのですが、こちらはどっからどう見ても中短期の輪番が買いすぎにもほどがあるという話に帰着するわけでして、これすなわち7月に決定した輪番減額プランの腰が引けすぎだった、という話なんですが、これはマーケットメーカーにヒアリングぶち込みに行くとどうしても現状からの大きな変更については躊躇するバイアスが掛かる(ワシがマーケットメークしてたらやっぱりそこは思うだろうし)ので、聞く相手の選択がどうだったのか、って話はあったように思えますし、まあ初手だからビビったというのもあるでしょうし、事実上の初利上げ(マイナス金利解除は利上げであっても利上げではない)もセットだからさらにビビった、というのはまあわかるんですが、見直しが来年の6月まで無い、っていう建付けは(ビビったので仕方ないけど)ちょっと時間の置きすぎだったように後知恵では思えますな。
〇そういえば植田総裁の名古屋金懇ですが流していた部分で重大な見落としがorzorz
すいませんすいませんすいません
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241118a.htm
最近の金融経済情勢と金融政策運営
名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶
日本銀行総裁 植田 和男
2024年11月18日
リスク要因の説明がクソ長い、という話をしていたのですがその間にすっかり見落としてどスルーしていた部分があったのでここで追記させていただきますが(滝汗)。
『3.経済・物価のリスク』の『海外経済の動向と金融資本市場』のところですね。
これ冒頭に、
『まず、第1のポイント、海外経済について申し上げます。図表5をご覧ください。最新のIMFの「世界経済見通し」では、前回7月の見通しがほぼ維持される形で、世界経済は2025年にかけて、3%台前半の成長を持続する見込みとされました。先行きの海外経済については、緩やかな成長の継続がメインシナリオですが、こうしたシナリオが実現していくか引き続き注意が必要と考えています。先月行われたG20の会合でも、世界経済の見通しを巡っては、このところ、不確実性が高まっているとの認識が共有されました。』
ってあるので「さらに不確実性が高まっているという認識ですがな」というように読めてしまう(まあそういう表現ですけど)ので幻惑されてしまいましたが、米国の部分って、
『米国経済については、夏場には、労働市場の減速を示唆する指標が相次ぎました。その後は良好な統計もみられており、米国において、景気の大幅な減速を避けつつインフレ率が2%に向けて低下していくソフトランディング・シナリオが実現する可能性は高まる方向にあります。』
とあっても、
『ただし、引き続き情勢を丁寧に確認していく必要はあると考えています。』
とあって、結局チキンに見えるわけですよ。でまあその次も、
『米国経済は、コロナ禍以降、新産業での起業の増加やAIの積極的な活用などもあって、生産性を高めてきました。移民の増加などから労働供給も増えており、経済の基調はしっかりとしているとみられます。』
しらっと構造的に強くなっている(生産性の増加は潜在成長率の押し上げに寄与しますわな)話を入れてみておいてからの、
『とはいえ、この間の堅調な個人消費を支えてきた一因であるコロナ禍で蓄積された超過貯蓄は減少していますし、今後、ここまでの急速な利上げの影響がラグを伴って経済活動を押し下げる可能性にも引き続き注意が必要です。』
とあって、下ブレ警戒が直後にあって前の部分を打ち消している、という文章構成になっているのが曲者でして、
『一方で、今後の景気展開や政策運営などを受けて、インフレが再燃する逆方向のリスクも否定はできません。』
ってあるのがポジティブの話なのかネガティブの話なのかが謎と読めますが、よくよく見ますとこの項の結論って、
『米国経済の動向については、こうした双方のリスクを念頭に置きつつ、丁寧に点検していきたいと思います。』
ってありまして、これどさくさに紛れて10月決定会合の発言をひっくり返しているんですよね。すなわち、10月決定会合における植田総裁の発言というのは・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241101a.pdf
総裁記者会見
――2024年10月31日(木)午後3時30分から約65分
いくつか米国のリスクに関して言及していた、というのはご案内の通りですが、代表的な物としましてはこちらの7ページから8ページに掛けての部分になります。
『(途中から引用します、植田総裁の発言部分です)これに対して、米国等海外要因については、下振れリスクを重視してみていたわけですけれども、少しその霧が晴れつつあるかなというところでございます。そのうえで、例えばアメリカの大統領がいずれにせよ変わるわけですけれども、その新しい政策がどういうものか判明するのはだいぶ先になるのではないかと、』
この文章、読点ばっかりで句点が全然ないから引用しだすとクソ長いので読点だけどここで切りますと、明らかに「従来は下振れで見ていた」だし、
『その点をどう考えるのかということだと思いますけれども、当面時間をかけて見極めたいというふうに申し上げていた米国にまつわるリスクは、少し長く取れば
6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスクについての見方ということであるというふうに私どもとしては認識しています。』
思いっきり10月31日の時点では「ダウンサイドリスク」の話しかしてなかった訳ですよこれがまた。
ですから、
『それが少しずつクリアになりつつあるというのが現状で、たださっきも申し上げましたようにそこが当面米国経済、所得も消費も強いというのが続いたとしても、そのうえで、新しい大統領が打ち出してくる政策次第では新たなリスクが出てくるということは申し上げるまでもないですけれども、そこはまた新たなリスクとして各会合で点検していきたいというふうに考えております。』
ということでですね、この時の説明を見るとここの「新たなリスク」ってダウンサイドにしか見えないし、おまけに説明の頭の方にあるように「その新しい政策がどういうものか判明するのはだいぶ先になるのではないかと」だった訳ですな。
然るに、先般の名古屋金懇での説明文ですと、思いっきり「双方のリスク」となっていまして、見極めに時間がかかるような話をしていたダウンサイドリスクが「それが少しずつクリアになりつつあるというのが現状」という説明をわずか半月前にしているのに、何ですかこの豹変は、というお話ではあります。今更気が付きましたすいませんすいませんすいません。
・・・・・ということで、植田総裁10月31日の「米国下振れ強調」をしらっと撤回しているということなんですが、じゃあ何でワイがこれスルーしてしまったかと言えば、ワイの目が節穴なのはもちろんその通りではあるのですが、もう一つだけ見苦しい言い訳をしますと、それは10月展望レポート基本的見解の記述にございましてですね、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf
経済・物価情勢の展望(2024 年10 月)
(基本的見解)
毎度問題になるのが最後の金融政策運営に関する文言でして、今回は以前ご紹介した通りですが、
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』
からの、
『そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。』
と来まして、
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』
という文章になっているのですが、今回って7月になかった「そのうえで〜」のところが加わって、ああチキン感が、とは思った訳ですが、これネタにした時にもそこは思った訳ですが、この「リスク」って別に下方リスク限定ではなくて、普通に読めば上下のリスクがあるのでそこを見ますよって話になるわけですよ。(今回の話のネタの米国経済とは関係ないですが、金融資本市場の動向、ってのは円安による物価上昇のリスクという上振れも含まれますよね)
なので、もともとこの文言を見たときに「待て慌てるなこれは諸葛孔明の罠」と思って最初下方リスクだけの話じゃないじゃんと思ったら上述のように総裁記者会見の方では思いっきり米国下振れの話をしてたし、しかもこれは会見聞いててのけぞったのですが、6月くらいから下振れリスクがありましたとか抜かしていた訳で、じゃあこの展望レポート基本的見解における金融政策運営の文言は何なのか、という風に思いつつも、そうは言っても会見発言というのは、それが総裁の発言であったとしても、それよりも展望レポートという議決事項で紙に落としてある文章の方がエライ、というのが公表文書の「格」としての建付けなので、はてやっぱり上振れだって検討するよね、という発想が頭にあったので、まあこの名古屋金懇のこの説明をワイどスルーしてしまったんですよ、とものすごく見苦しい言い訳をしておきます。
とまあそういう訳でして、名古屋金懇ってなんも言ってないように見えてどさくさに紛れて10月31日の総裁会見での米国下振れ連呼を打ち消して上下双方向のリスク、に上書きした形になっていて、何のことは無い見方は進んでいるというこの事実、って1週間もしてから気が付くとはワイも焼きが回っているなと反省することしきりな訳ですよこれがまた。
まあ確かに10月31日対比ではトランプ爆誕赤一色ということでトランプ爆誕までは兎も角として赤一色だわトランプさん相手にぐうの音も言わせない大勝利だわ、という上方サプライズはあったにせよ、10月31日にあれだけ(会見発言とは言え)米国下ブレがーって話をしていて、やっと「それが少しずつクリアになりつつあるというのが現状」位の認識をしていたものがいきなり「上下双方向のリスク」まで上書きされる話かよとは思うのですが、まあ実を言えば10月展望レポートでの金融政策運営の記述でも上下双方向のリスクを意識した文言になっていたことを踏まえれば、10月会見では植田さんちょっと口が滑っていたという事なのかもしれませんな、とは思いました。
・・・・・まあ何ですかね、その前に「丁寧に」喋りすぎだった、ということではあるのですけれども、説明がマジで分かりにくいというか、過去の余計な説明が足を引っ張っているせいではあるのですが、中々難しいわ、とか改めて思いました、とかいうアタクシの反省文をダラダラと垂れ流してしまいまして誠に恐れ入ります(汗)。
でまあ12月か1月かとか言われても正直分からんのですが、3月まで引っ張るというのはまた全然話が別次元になりそうではあるのですけど、いずれにしましても状況証拠的には政策修正いつやっても良いのでしょうね、と昨日今更ジローでネタにした展望レポートBOXもそうですけど、まあその辺の傍証はあるにせよ、あとは「お膳立て」の問題ではないかろうか、と斯様に思うのでありました(個人の見解です^^)。
2024/11/25
お題「短国はまあこんなもんですかね/今更ですが展望レポートのBOXはバリバリの利上げ環境整う宣言」
解説は面白いのだが12月利上げと1月利上げでは結論は同じようなもんであって、「3月以降の利上げ」の人を出さないと意味がないのでした。ということでそもそものお題の設定が残念なので赤点再履修www
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241122/k10014645391000.html
12月?1月?追加利上げへ 植田総裁メッセージは?【経済コラム】
2024年11月24日 1時10分
〇3Mは先週よりもレート低下しましたがまあめちゃめちゃ強くなるほどでもなく
金曜の3M短国ですが、こちら3月償還ですがその前の前の週に出てたカレント3Mを始めとして基本的に2月足の短国が引き続き11bpの引値で来ていましたのでそこでそんなに段差つくのかいなとは思っておったわけですし、カレント以外の既発も別に重いわけでもなさそうなので、という入札でしたが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241122.htm
国庫短期証券(第1271回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1271回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1271回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年11月25日
4.償還期限 令和7年3月3日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆6,741億円
(2)募入決定額 3兆2,741億5,000万円
(3)募入最低価格 99円96銭4厘0毛
(募入最高利回り) (0.1341%)
(4)募入最低価格における案分比率 60.9986%
(5)募入平均価格 99円96銭7厘5毛
(募入平均利回り) (0.1210%)』
ということで0.1210/0.1341でしたが、まあ手前の気配もしっかりしているのでと思ったら結局売参ちゃんは平均レベルの0.120%で引かせていましたが、金曜はしらっとその手前の銘柄が強くなっていましたなという所です。
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(11/22引値)
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.105
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.105
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.105
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.120←金曜入札の新発
国庫短期証券1272 2025/03/10 平均値単利 0.120←今週金曜の3MのWI
(11/21引値)
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.110
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.120
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.110
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.130←金曜入札の新発WI
しれっと手前の銘柄を5糸強くしていますし、まあ平均水準でちゃっかり引かせていますので、先週(とその前の週後半)謎の盛り上がりで金利上昇しましたが一段落という感じですか。1月償還のところが居場所が分からん(売参は7bpですがホンマカイナという感じではある)のですが、一応3Mで1bpだの何だのとかいう地獄のような水準については一旦打ち止めになったという感じでしょうか、知らんけど。
あと、3M新発ちゃん最近は応札が10兆円割れが定着していまして、今回も9兆割れでその前の週は金利があがったのもあって9.3兆円の応札あったのですが、金利が若干上がりだした11月2週目の入札から応札10兆円割れになってきまして、そのあたりも1bpとかいうような熱量はちょっと落ちたかな(と言ってもよくよく考えたら10bp台前半ってナンヤソラレートだし利上げとは何のことかという話ではあるのだが)とは思うのですが、まあ引き続き短国市場もうちょっと真面目に育成してくれませんかねえというのは変わらず、といったところですなナムナム。
〇1か月も経過してバチクソ今更感が強いのですが今更展望レポートのBOXを
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410b.pdf
経済・物価情勢の展望
2024 年 10 月
まあ今更にも程があるのですが今のうちに書いておかないと、と思ったので(汗)
展望レポートの背景説明を含む全文ですが、これを真面目に読むとそれなりに面白いのですけれども、読んでいる時間も気力もない、という方のために親切設計として最後にBOXってのがあるのですが、こちらは毒にも薬にもならないものが出てくるとか、忖度爆裂系の物が出てくるとか、意外にファンキーな物が出てくるとかいう感じで、おおむねこの3パターンに分類されますな。
でもってご案内の通りですが、展望レポートって基本的見解は政策決定会合議決事項になりますのでこれは政策委員会でオーソライズされているのですけれども、全文の方になりますと「背景説明」の部分はこれ調査統計局様謹製のスタッフペーパーになるんですが、とは言いましても普段のペーパーみたいに「日本銀行の公式見解ではありません」とは違いますのでそこはちゃんとしているし、だいたいからしてここの背景説明にある内容をベースにして基本的見解を作っている(ということになっている)のですが。
てな訳で、今回のBOXですけれども、本文35ページ、PDFの37枚目以降になるんですけれども、今回はファンキーなものが出ておられまして中々味わいがあります。
最初のは、
『(BOX1)ITサイクルの動向 』
となっていますが、もう出オチにも程がある書きっぷりになっていまして曰く、
『わが国におけるIT関連財(情報関連・半導体製造装置)の生産・輸出は、グローバルなIT関連需要の回復を背景に増加すると見込まれる(図表
B1-1)。以下では、ITサイクルの動向と先行きの持続性について分析する。』
とあって、その結論部分に飛びますと、
『推計結果をみると、世界の半導体出荷額は、今次局面では、@コロナ禍で需要が盛り上がった
PC・スマホ等の買い替えサイクルが到来しつつあることに加え、A生成AI等による需要が高まっていることを背景に、中・長期循環成分が上方への転換点に差し掛かっており、こうした需要の強さは
2026 年頃まで続くことが見込まれている(図表 B1-3)。』
『同様にわが国の半導体出荷額について、推計結果をみると、世界の中・長期サイクルと比べれば、立ち上がりの時期が遅く、中・長期循環成分の上昇度合いも相対的に小さいが、先行きは需要の回復が見込まれている。』
とまあ威勢の良い話になっておりますし、
2番目のはさらに威勢が良くて、
『(BOX2)人手不足感の広がり 』
『短観の雇用人員判断DI(全規模)を長期でみると、最近の労働需給のひっ迫度合いは、歴史的にかなり高い水準にある(図表
B2-1)。』
いきなりのこれである。
『こうした労働需給のひっ迫度合いの広がりを、業種・企業規模横断的にみるため、今般、短観の雇用人員判断DIのヒートマップを作成した(図表
B2-2)。』
PDF39枚目の右の方に、『図表B2-2:労働需給ヒートマップ・短観』ってのがあって、これがもう強いのなんのというまっかっかの図になっています。
『同図表の赤は人手不足<−2 標準偏差>、白は人手過剰<+2 標準偏差>、黄色は過去平均的な水準<平均値>を示す。これをみると、@リーマンショック前の景気回復期では労働需給のひっ迫は、大企業のごく一部の業種に限られていた一方、Aコロナ禍直前の期間および直近は、人手不足感が幅広い業種・企業規模で強いことが確認できる。』
しらっと書かれていますが、コロナ無かったとしても労働需給のひっ迫からの物価上昇圧力が掛かっていた可能性があったんですな、と思いますとコストプッシュがクソ余計で、それが無ければもっと健全(というかなんというか)な物価上昇パスの世界線もあったのかもしれませんね。
『次に、正社員とパートに分けて、労働需給の状況を確認する。労働者過不足判断DIが正社員・パート別に取得可能な厚生労働省の「労働経済動向調査」を用いて、同様に、業種別・企業規模別・雇用形態別に労働需給のヒートマップを作成した。』
ほうほう。
『まず、正社員・パートの労働需給の状況を業種別にみると、最近では、パートに比べ、正社員の労働需給がひっ迫していることが分かる(図表
B2-3)。』
この図表(PDF40枚目にある)もかなりエグイですわ。
『団塊ジュニア世代の退職が今後見込まれることも相まって、企業としては正社員の採用意欲が高まっており、正社員の人手不足感が強くなっている22。』
ちょwwww団塊ジュニア世代のちょっと上のワイの扱いwwwwww
『こうした傾向は、企業規模別にみても確認することができ、相応に広がりがある大きな変化とみなすことができる(図表
B2-4)。』
構造変化ですと。
『なお、多角的レビューの一環で実施した企業行動アンケートの結果では、過去
25 年間の変化として、「賃上げをしなくても正規労働者を確保できた」状況でなくなってきていることが示唆された23。』
ほうほう。
『こうした事実を踏まえると、わが国では、正社員の人手不足感の強まりが企業のこれまでの賃金設定スタンスに変化をもたらしている可能性もある。』
人手不足感の強まりが仕事量のいやなんでもありませんが、まあとにかく労働供給不足であるという構造に変化しました、というお話でこれまたどちゃくそ威勢の良い話をしています。
さらに3つ目のBOXですが、
『(BOX3)最近のわが国における賃金と物価の関係について 』
これですけどね、
『本BOXでは、最近のわが国における賃金と物価の関係について確認する。』
という話なんですけど。
『まず、国内のインフレ圧力を示すGDPデフレーターをみると、2023年は価格転嫁が進展したことでユニット・プロフィット(UP)等を中心に高い伸びとなった(図表
B3-1)。一方、2024 年入り後は、ユニット・レーバー・コスト(ULC)を起点とした物価上昇に移行している。』
何処からどう見ても「賃金と物価の循環メカニズムに移行しています」って言ってるのと同じな訳でして、この説明ですとそもそも論として物価2%目標の達成だって普通に見えていますよというお話になっている訳で、この状況で利上げをしない方がおかしい、という話になりますので、これはかなりのファンキーなBOXですな。
『今後、賃金・物価が緩やかに上昇するもとで、UPとULCがバランスよく伸びていくと考えられる。』
マジか、ということで関連説明が入る。まずは賃金に関しては、
『次に、賃金関連の話題として、最低賃金について詳しくみると、近年は、参照されるCPIが上昇するもとで、今年度は、最低賃金の水準が相対的に低い地域での上げ幅が大きかったこともあり、前年比で+5.1%と過去最大の伸びとなった(図表B3-2@)。』
とは言いましてもそもそもCPIの原数値が10月全国の総合で109.5なのですから上がらんと死んでしまいます。
『こうしたもと、地域別の最低賃金上昇率の情報を用いて、最低賃金の引き上げがCPIサービス価格に与える影響をみると、最低賃金の引き上げは、サービス価格を有意に押し上げることが示唆される(図表
B3-2A)。』
これまたPDF41枚目の右にある『図表B3-2:最低賃金引き上げの影響』の図表がわかりやすくて良いですよ。
『今後、最低賃金の引き上げが継続すれば、サービス価格を中心に物価が押し上げられることが見込まれる。』
どう見ても物価目標達成です本当にありがとうございました。ですし、それなら中立金利まで上げないといけないからそもそも1%とかいうのも低すぎとかそういう世界で25上げるかどうかで大騒ぎしている場合じゃないんですけどねえ。
『続いて、コロナ以降の物価上昇がどのような要因で説明されるかを確認するため、CPIをエネルギー価格や食料品価格などの外生的要因とそれ以外に分解した
Bernanke and Blanchard モデル26を推計した。』
ちなみにバーナンキとブランシャールはプライスレベルターゲットだのあの手のクソ緩和理屈をいろいろといってた人たちなのでアタクシは基本的にこいつら碌なもんじゃねえ、と思う程度にはドン・コーンとかアラン・ブラインダーとかそっちの信奉者ではあります。
『CPIのヒストリカル分解をみると(図表 B3-3@)、コロナ以降のインフレ率の高まりは、主として、エネルギー価格や食料品などの輸入物価上昇の価格転嫁の影響で説明できる一方、足もとにかけては、そうした外生的な要因や需給環境などでは説明しきれない部分(図表B3-3@における残差)が押し上げ方向に寄与している。』
でもってこのPDF42枚目にある『図表B3-3:物価上昇メカニズム』ってのが中々味わいがあって、この「残差」項目なんですけど、このグラフ見ますと実はこの残差項が2022年の第2四半期からプラテンしていまして、しかもこれ年度じゃなくて歴年なので(年度の場合グラフ横軸に「年度」の文字が入る)、実は4−6月期の物価からこの「残差項」の躍動が始まっているんですよね。
日銀が2022年4月の展望レポートで「コアコア上がらんし」とか言って物価目標達成はまだまだです、と言って政策修正をしない理由にしていましたが、6月7月くらいから妙に賃金推しになっていたのはまだ皆さまの記憶に新しいとは思いますが、これを見ますとああなるほどこの時点でもうコアコアも上がりだすわと思って他の言い訳としてより遅効性の高い賃金を持ち出しやがった、というのが後付けでよくわかるわけで大変に興味深い次第ではあります。
『この残差を子細にみると(図表 B3-3A)、正の賃金ショックがCPIを押し上げていることから、企業の積極的な賃金設定行動が物価を押し上げていることが示唆される。』
22年の第2四半期から正の賃金ショックがプラス寄与しています。
『今後も、過去の低インフレ期における平均的な関係性以上に賃金ショックが物価の上押しに作用していくと考えられる。』
でもってですね、このBOX3のもう一つ良いのは、今回BOXの記述はここで終わりで、結局3番だけは全文ガッツリ引用しましたけど、この中で「賃金と物価の好循環」などというようなポエム文言が無かった、という所に無茶苦茶良い味わいを感じている訳でして、そらまあちゃんとした経済学徒だったらそんなことよ―言わんわというポエム文言をきっちりと使わない、という辺りに何かちょっと日銀の中の人(というか調査統計局の中の人というか)の自我をアタクシは受信してしまいましたが、気のせいでございましょうか(^^)。
しかしまあ何ですな。為替円安に関しても円安が物価に上振れ要因になりえる(ので政策修正の理由になる)という話で7月の政策修正をしていますし、こちらは政策委員会決定事項ではないにしましても、展望レポート本文という重みのあるものできっちりと賃金の正のショックが物価に対する与える影響が大きくなっていることを示している訳でして、こういうのを並べますと、「既に政策修正をする条件は整っている」という話だし、何ならその先だって展望できますよね、というお話を堂々としているのですけれども、なんかそこをストレートに説明しないってのも微妙ではありますな、と思いながら今更ですがこの辺を確認させていただきました。クッソ前のネタで申し訳ございません(忘れていたわけでは・・・・無いことにしておいてください)。
2024/11/22
お題「交付税特会借入金利が一気に1月までの利上げを完全織り込みモードとな/植田総裁発言はあれで順当でしょ」
早速来たか・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241122/k10014646241000.html
ゲーツ氏 司法長官指名を辞退すると表明 起用を問題視する声も
2024年11月22日 3時20分
〇交付税特会6Mの金利が大きく上がって12月1月利上げの織り込みが・・・・・・
交付税6Mって今週は火曜と木曜にあるというイソガシヤ日程だったのですな、ということで先に火曜日の方の結果ですけど、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241119.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和6年11月27日
3.償還期限 令和7年5月27日
4.償還方法 令和7年5月27日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 6兆3,179億円
(2)募入決定額 1兆3,000億600万円
(3)募入最高利率 0.400%
(4)募入最高利率における案分比率 66.0500%
(5)募入平均利率 0.384%』
ということで0.384/0.400だったのですが、昨日の交付税特会6Mは
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241121.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和6年11月29日
3.償還期限 令和7年5月30日
4.償還方法 令和7年5月30日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 5兆7,569億円
(2)募入決定額 1兆3,000億円
(3)募入最高利率 0.475%
(4)募入最高利率における案分比率 2.5462%
(5)募入平均利率 0.411%』
ちょwww0.411/0.475ってテラ金利上昇wwwwwwwwww
ちなみに先日ネタにしましたけど、先週火曜の特会6Mは0.358/0.375なので1週間ちょいで足切り10bp上昇ですがなという金利上昇を呈しております。
・・・・とまあそういう訳で例によって例の如く「手前の金利が0.25%の時に決定会合跨いだ先のインプライド金利何ぼですか」というのを計算しますと、昨日のレートに関しては、足切りの0.475%ってのが、12/20(つまり12月決定会合の翌営業日(翌営業日から付利引き上げと考えますわな))で切った場合に、最初0.25%だとすると後ろの金利が0.504%とかいう事になりまして、なんということでしょう12月利上げフル織り込み(ただしその先の利上げはゼロ織り込みw)という結果になってしまいました。
ちなみに平均の0.411で計算すると12月会合以降の金利が0.432%で1月会合以降の金利が0.489%なので、平均ベースで言えば1月利上げが殆ど織り込み、なのでまあこっちで評価するのが妥当のような気もしますが(^^)、少なくとも12月1月の利上げをかなり織り込むような形になっている(ただし「その先」は織り込んでません)という大変に味わいの深い結果になっておりました。
足もとに来て短国は毎度おなじみの如く「短期国債というブツ」へのニーズがあるのと発行がクソ足りないのとの合わせ技で金利上がってもあんなもんですけれども、交付税特会(特会向け貸出金は日銀適格担保に使えるので担保需要には役立ちます為念)とかの辺りの「国債というモノ」以外の短期金融商品に関しては利上げを織り込みに行くようなムーブがちらほらという感じですし、足切りが12月利上げして後半の金利が0.50%、ってところできっちり止まる辺り、ようやっと昔の「短期市場における先行きの政策金利変更思惑を織り込んだ価格形成」の復活、と言いたいけどまあそこまでの話ではないにせよ、片鱗でも出てきたというのは誠にめでたい話でして、なんかもうおじいちゃんとしては生きてて良かったくらいの感慨が沸き起こって参ります、というのは無茶苦茶話を盛っていますがw、まあ感慨というものはある結果ではありました。
でもって今日は3M短国でとうとう3月償還物が登場するわけですが、売参ちゃんを見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(11/21引値)
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.110
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.120
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.110←先週入札のカレント3M
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.130←今日の新発WI
ということで一応13bpとかになっていますが、こちらの辺りの引値って基本的に前日と変わっていない(1214という1年短国の成れの果てだけは時々動いていますが)ので、交付税特会方面での利上げ織り込み祭り開始(とか言ってみましたがこのムーブが継続するかどうかは知らんけど)が何ぼのもんじゃいという動かざること山の如しモードになっておられますし、だいたいからして先週の入札でちょっと金利が上がれば買いも来る(ただし短国がもつ本来の諸葛孔明の罠は毎週テナーが1週間ズレるので真面目に織り込み計算とか始めると上記のような能天気なテナー無問題の並び引値には本来なりえないことですが、織り込み祭りによる覚醒がこっちまで来ていないので致し方なし)というのが確認できただけに、まあ変な下値不安無いよねという所ではございますな。
しかし3月償還ですかぁ・・・・っては思いますけどまあどうなることやら。
〇植田総裁の講演・・・・は今の金融政策に関係なかったのですがまさかの質疑応答コーナーがネタになるとな
そういや毎年この時期にこのフォーラムがあるんでした(毎年「あ。そういやその時期だ」と思うの巻)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241121a.htm
【挨拶】
テクノロジーの進化がもたらす金融仲介機能の機会と課題
パリ・ユーロプラス ファイナンシャル・フォーラム 2024における挨拶の邦訳
日本銀行総裁 植田 和男
2024年11月21日
これパリって言ってるけど毎回東京でやっている奴でして、まあこちらの挨拶の方は足元の金融政策云々とは関係ない話なので、と思ったらこんなのがありました、というのは皆様ご案内の通り。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241121/k10014645751000.html
日銀 植田総裁 “今後発表の経済指標を見極めた上で政策判断”
2024年11月21日 18時34分
『日銀が来月開く金融政策決定会合で追加利上げを決めるかどうかに市場の関心が集まる中、植田総裁は21日、都内で開かれたイベントで、会合まで1か月ほどあるなどと述べ、今後発表される経済指標の内容を見極めたうえで政策を判断していく考えを改めて示しました。』(上記URL先より、以下同様)
そうそう「改めて示しました」であって名古屋金懇のガチガチガードの説明と同じなんですよね〜
『イベントで植田総裁は、英語で講演を行ったあと質疑に応じ、今後の金融政策について「次回12月の金融政策決定会合まで1か月ほどあり、それまでに多くのデータが出てくるため次の会合での結論を予期するのは不可能だ」と述べました。』
そらそうよ、という話ではあるのですが、これは10月展望レポート以降の流れと同じでして、10月会合の時点で8月以降に言ってた「時間的余裕がある」とかいうトンチキフォワードガイダンスもどきを引っ込めることによって、この「時間的余裕があるから政策調整は次回は無いよーん」という逆予告ホームランというか予告三振スタンスを引っ込めたわけですから、そもそも論としては12月以降の決定会合は「ライブ」ちゃあライブな状態になっているのは既定路線な訳ですよ。
ただまあその後の信組大会挨拶もそうですし、名古屋金懇でもそうなのですが、なぜかリスク要因の説明をやたらと「丁寧に」行うもんだからやる気があるのか無いのか分からんというかやる気ないのかね、という感じにはなっていますが、まあ予告三振をするわけでもなく、予告ホームランをするわけでもなく、という話ですので、12月やるぞとか1月やるぞとかいう意気込みは無いけど、まあその時にやれるようならやりますかねえ、というような感じなんでしょうね(個人の妄想です)。
ま、そこで問題なのはそもそも「やれるようなのかどうか」の判断基準が訳わからんというかお気持ちになっているのと、今までゴテゴテデコレーションをした「市場が不安定だと利上げしない」(とにかくこれはその場しのぎにしたって最悪の対応で泣いてる子供に下手な安請け合いするの図でしたわな)とか「米国経済下振れリスクガー」とか要らん事言ってるのをどうやって「無かったことにするのか」というイカサマコミュニケーションの手腕が問われるところですが、まあそういう過去の変な「丁寧な説明」があるので、ワシらとしては「じゃあ何をもって政策調整が可能になるのか」がまあ分からんのですが、寧ろ余計な説明をしないようにした方がまだマシ(変なこと考えないで済む)だと思うのよね。
『そのうえで植田総裁は、今後発表される経済指標の内容を見極めながら会合ごとに判断していく考えを重ねて示しました。市場関係者の間では来月の金融政策決定会合で日銀が追加利上げに踏み切るかどうかに関心が集まっていますが、植田総裁は現時点で方向性は決めていないという考えを示した形です。』
これ日銀の場合めんどいのは、そもそも論として現在の金利水準というか金融緩和度合いが政策目標達成に対して適切なのかという問題があって、総裁会見でも「実質金利がとても低い」みたいに認めているように、そもそもがクソ緩和になっているのに、見通しとしては再来年度の途中には物価目標達成と言っていて、そこに向けて政策調整をするって話なので、(状況が下ブレしない限りにおいて)政策ステイを続けるというのが適切な対応になり得ないということで、まあだから「見通し通りなら調整」って言ってるんですけれども、この辺りの理屈が複雑なのもコミュニケーションを非常にややこしくしているんですよね。
でまあそう考えると、下手なガイダンスを入れると、3月以降のように「緩和的な環境が続く」→「見通し通りなら政策調整」→「金融市場が不安定なうちは利上げしない」→「米国経済下振れガーなので時間的余裕がある」とまあ説明がヤヤコシヤ(ちなみにこの間に「円安」という要素の扱いに変化が生じているのにそこを詳しく説明しない)になってしまうのであって、「丁寧な説明」のつもりなんでしょうけれどもこちとらバチクソ振り回されるだけなので、名古屋金懇とか今回の質疑応答のペースを貫くなら貫いていただいた方がまだマシでして、一々次回予告クレクレを求めてそれに応じる、みたいな愚劣なコミュニケーションは要らんじゃろ、と思う次第なんだが、予告ホームラン方式って安易に使える手法だから安易に流れてその場しのぎに使っちゃうんですよね、困ったもんです。
『一方、外国為替市場では植田総裁の発言内容が報じられたあと急に円が買われ円高が進む場面がありましたが、その後は一転、円が売られるなど荒い値動きとなりました。』
ということですが、ついでにBBG先生
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-21/SNAKIVT0AFB400
12月会合の「予測は不可能」と植田日銀総裁、ライブになることを示唆
藤岡徹
2024年11月21日 19:12 JST
→12月末に向けまだ1カ月程度、非常に多くのデータや情報が利用可能
→今回の発言で12月の利上げに自らを追い込むことなく、選択肢を残す
『日本銀行の植田和男総裁は、12月の金融政策決定会合で利上げの是非を巡り活発な議論が行われるであろうことを示唆する、これまでで最も明確なヒントを提供したようだ。』(上記URL先より、以下同様)
??????????????
えーっと、まあ先ほどから申し上げておりますので耳にタコではありますが、そもそも論として10月展望の時点で12月以降の会合に関してはライブですわな、っていうのは建付け上そういうことになっている(時間的余裕を言わない、と明言したので)訳でして、最も明確なヒントを提供したようだ、って釣りか何かですか(だってこの記事の署名している方は端から分かってるでしょって思うのですが・・・・)と反応してしまいましたが、まあこのリードの部分は記事注目させるための釣りだと思うのは、その後に、
『今回の発言は、12月の利上げに自らを追い込むことなく、選択肢を残している。植田総裁は政策は毎回の会合で決定され、事前に決められるものではないとの見解を繰り返し示している。』
繰り返し示しているのに「これまでで最も明確なヒントを提供」もへったくれもないじゃろという話でして、まあデスクが勝手につけるとか色々とお家の事情はあると思うのですが、いきなりこっちは茶を吹きそうになったので勘弁してくださいwwwwwwwww
まあそれはともかくとして、
『市場では、次の利上げに動く前に日銀は7月会合で利上げした時よりも明確なシグナルを発信するとの期待が高まっている。7月の利上げは一部の投資家にとって予想外の決定となり、8月の市場混乱につながった一因とみられている。』
とまあそういうことになっている訳ですが、むしろこれまでが過剰に話をし過ぎで、その結果「緩和的な金融環境が続く」みたいな説明が呪縛になって利上げは先じゃろ、みたいなことになってしまったのと、6月輪番減額(その前に5.13事件という不意打ち輪番減額があったので6月はある意味追い込まれ減額に見えたわけですし)の時に「市場に聞きます」とか変な時間稼ぎに見えることをしててたりして、まあそんなこんなで「牛歩戦術」に見えてしまったり、とまあ日銀の意図どおりなのか意図ちがいのかは兎も角として、下手に丁寧なコミュニケーションをしようとしたらコミュ障なので却ってエライことになったでござるの巻、という図になっておられた訳でして、まあゆうてこんな駄文を書くくらいなのでアタクシもコミュ障陰キャの方に分類されるタイプだから身に染みて分かるのですが(泣)、コミュ障が急に社交的陽キャになるとか無理なんで(野々村的号泣)、端からそういうのは諦めた上で情報発信を考えるべきではなかろうか、と斯様に思う今日この頃でありまする(なんのこっちゃ)。
ということでこの辺で今朝は勘弁。週末余裕があればちょっと読みもの読んでみたいところですけど気が付けば師走が近い・・・・・・orz
2024/11/21
お題「ここもとの短国雑感まとめてドン/内田副総裁講演は今の金融政策には関係ないですけど雑感/FRB理事講演2本もあったのか(メモのみ)」
ほーん
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024112000924&g=eco
訪日客、最速で年3000万人突破 紅葉シーズン、10月は単月最多
時事通信 経済部2024年11月20日18時44分配信
ほーんと思っただけで感想は無い、ということにしておく。
〇短国ちゃんとかあったので今更ですがメモメモ
・まあゆうて短国の絶対量は足りないんでしょうねえと思った昨日の引値
ということで売参ちゃんをメモっておきますと(引用長くなるから短い方は3Mで出た銘柄だけ並べる)
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(11/20引値)
年末越えのあたり
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.070
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.070
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.070
3Mのあたり
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.110
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.105
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.115
1年
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.379
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.420
・・・・1年どころの利回りがちゃっかり低下していまして、まあ結局のところ入札の瞬間は買いの勢いが止まっていても一旦落ち着くと気配低下しますよね、という展開な訳ですが、水準的に0.4台だと手を出しやすい、とか言っても冷静に考えれば次の利上げで付利金利負けするんですが、そもそも論として短い短国が全部今の付利に負けている利回りなので、まあそこから見たら魅力的(って書いてるワイもないないないとか突っ込みたくなるけど)ではあるものの、1年だと価格変動リスクも3mの4倍はあるわけで価格変動も考えてそれが適正なのというと謎。
とはいいましても、一旦1年どころも落ち着きましたよねって感じですな。
(11/19引値)
年末越えのあたり
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.070
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.070
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.070
3Mのあたり
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.115
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.110
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.115
1年
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.385
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.435
・・・・・・1年の入札があったのですが、0.4台半ば近くまで足切りが突っ込みまして、1個手前との金利差が結構エゲツナイことになっているのですが、これはもう需給なのでシャーナシとしましても、まあこっちはそういう意味では利上げ見通しの高まり(10月の1年短国の入札の時はトランプ来るかもと思っても圧勝の赤一色とかいう話では全然なかったしそもそも3Mの金利がクソ低かったし)を示したといえば示したと。
ただまあそのどさくさにまぎれまして、前週末の3M入札辺り前のところから引値だけは甘くされていた年末越えの短国利回りちゃんがちゃっかりと一桁bpに強くされていまして、まあ結局のところ短国のニーズは相変わらず需要旺盛ですわなというお話なんでしょうね、知らんけど。
(11/18引値)
年末越えのあたり
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.100
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.100
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.100
3Mのあたり
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.115
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.115
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.115
1年
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.379
国庫短期証券1270 2025/11/20 平均値単利 0.435
・・・・・・金曜の3Mは前日の引けでなんか威勢よくWIを安くしていましたが、結局入札は堅調でその後0.11%水準に戻ってしまって、まあ結局そういうことやぞ、という感じでしたが今度は翌日に入札のある1年WIの気配を5bpくらい飛ばして堂々の0.4台乗せにしてきました、という流れでございましたが、上記の通りで結局まあ水準をある程度修正すれば買いはホイホイやってくるということで、短国自体の需要の旺盛さというのは別に変らん(ただし3Mで1bpとかいうような地獄の利回りではコストマイナスとかなんでもいいから物寄こせという人のニーズしかないので、その辺が充足するとさすがに、というお話だったのかなあ、という先週今週のムーブではありました。
でもって明日はまたいつものように3Mがありまして、ついに明日のは3月償還になってしまうのですが(1271が新発WI)今の辺りの利回りで普通に捌けるのか在庫残るのか、はてさてどうなるんでyそうねえというのと、1月償還と2月償還で引値に段差ついてるのって、まあ1月償還の辺りの3Mって強い入札の連発=強く変える投資家のところに入って出てこない、なので玉無し芳一なのはわかるんですが、月曜日に段差少なくなったように見せていましたが、やっぱり段差あるわという感じでまあ需給要因ばっかりと言ってしまえばそれまでですが、不思議な市場のままでして、「短期のリスクフリー資産のターム物金利指標」に短国がなるのは道遠し、という感じですなあとは毎度思うのでありました。しょぼーん。
〇ちょっと旧聞ですが内田副総裁の国際預金保険協会での講演から少しだけ
まあ本チャンはこっちなのですが
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2024/ko241114a.htm
[Speech]
Challenges to the Financial System during and after the Pandemic and a Way Forward
Speech at the IADI Annual Conference
UCHIDA Shinichi
Deputy Governor of the Bank of Japan
November 14, 2024
当然のように邦訳の方で勘弁
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241114a.htm
講演】
コロナ禍とその後における金融システムの課題と展望
国際預金保険協会(IADI)年次コンファレンスにおける講演の邦訳
日本銀行副総裁 内田 眞一
2024年11月14日
こちらに関しては別に12月の利上げだ的な今の日銀の金融政策をどうこうする話は無かったのですけれども、まあここで内田さんが言ってる話、よくよく日本の状況に引き直すと課題があるじゃんという部分もありましてですね、
・得られた教訓から見ますと不必要な規模の流動性が存在することがリスク対応の障害になりかねませんな
『4.教訓と今後の課題』ってところの冒頭ですけどね。
『では、教訓と今後の課題についてお話しします。冒頭に述べたとおり、経済・金融情勢とそれに伴うリスクについて理解していたとしても、将来起こりうるショックがどのようなものになるか、予測することは困難です。しかし、だからといって、未知の出来事には準備できないということにはなりません。むしろ全く逆で、本日お話ししたエピソードが示しているのは、危機に直面した時に迅速に対応するためには、平時に何をしておくかがいかに大事か、ということです。』
とまあ中々良い事をおっしゃっているわけですが、
『中央銀行の役割』の最初のパラは中銀間スワップの話なので割愛しますが、その次のところなんて中々示唆あるじゃないのと思ったのですが、
『また、中央銀行は、LLR機能を適時に果たすために、日々、金融機関と緊密なコミュニケーションを取って、リスクをモニタリングし続ける必要があります。』
ふむふむ。
『私自身の経験を少し紹介します。2000年代初頭、未だ日本の金融システムが不安定であったとき、私は、日本銀行の金融機関モニタリングとLLR機能の調整を担うチームのリーダーでした。』
ほう。
『我々のチームは、日々の預金流出入にかかる短期的な見通しや利用可能な担保等を含め、個別行の情報をできるだけ仔細に取得するよう努めていました。皆さんもよくご存じのとおり、個々の銀行は全て異なっています。我々は、問題を抱える銀行を救うにせよ、処理するにせよ、それを秩序立って行うための計画を立てる際には、仔細でテクニカルな情報を有している必要があります。しっかりと準備すれば報われるのです。』
って中々良いお話ではあるのですが、これ今みたいに超過準備がアホほどあると、資金繰り管理というものが全然違ってくる、というか問題の予兆に気が付きにくくなるという一面もあるんじゃないかね、と思ってしまう訳でして、今みたいな無茶苦茶無駄に超過準備があって、それを日銀当座預金付利で不胎化する、という事をしていると、ファンディングというよりも日銀当座預金目掛けた運用目的の調達といううのが市場調達サイドの主な動きになるんですよねたぶん。
そうなると、昔でいうバジョット・ルール的な場合に想定される「ソルベンシーはあるんだけどリクイディティーが無い」という現象が平時ではその逆状態のものがあって、何かの時に突如顕在化する、みたいなことになりやしませんかねえとか何とか、まあフワッとしたイメージで恐縮なのですが、ようは資金繰りのところから予兆管理がしにくい、という状態になって、まあ資金繰り回るので危機が起きませんがな(キリッ)という理屈もこれありなのでこの辺りはどっちがどうなのかは難しいのかもしれませんけれども、無駄に過剰な超過準備によって金融機関の健康状態が見えにくくなる、という弊害はあるんじゃないかなと思ったりしましたです、はい。
・NBIセクターがプルーデンス上
ちょっと先に行きまして『金融システムのトレンド』という小見出しのところから。
『コロナ禍やグローバルなインフレの影響に加えて、我々は、底流する金融システムのトレンド、具体的には、グローバルな金融システムの連関性の高まり、ノンバンク(NBFI)の存在感の高まり、デジタル化などにも留意する必要があります。』
ほうほうそれでそれで?
『まず、金融システムの連関性がグローバルに高まり、ショックがより速いスピードで国境を越えるようになるにつれて、前述のとおり、中央銀行や監督当局は非常に限られた時間で状況を把握し、流動性を供給することが求められるようになっています。特に、日本のように、金融市場が時差の関係で他地域より早く開く法域にとっては、国際的な協調が極めて重要です。』
まあ今はアホみたいに超過準備だしてるから円貨は気にしなくていいけど問題は外貨っすな
『次に、NBFIの存在感の高まりにも留意が必要です。NBFIがグローバルな金融仲介のほぼ半分を占めるとするレポートもあります。金融資本市場は、ごく最近も経験したように、NBFIの戦略や行動に度々影響されています。NBFIは、中央銀行マネーに直接アクセスしていないことが多く、当局は、預金取扱機関と比べて少ない情報しか有していません。しかしながら、NBFIと銀行セクターの関連性が深まるにつれて、ノンバンクに問題が発生した時には、金融市場を介し、金融システム全体に影響が及ぶ可能性があります。』
という状況なので米国だと(あれはあれでちょっと保護しすぎのような気もせんでもないですが)ONRRPという常設ファシリティを作ってみたり、コロナショックにおいてMMF向けCPお助け臨時措置を突っ込んでみたりとインターバンクというかFEDワイヤーの向こう側にいるオープン市場に向けた措置を講じたりしているのですけれども、ジャパンの場合は何せマイナス金利政策をぶっこんだ後になってリテール証券決済のインフラであるところのMRF向けのマクロ加算措置を後から慌てて入れました、という程度にはオープン市場に対して塩対応な訳でして、今だって(本来であれば幅広い参加者がリスクフリーの短期運用手段として安心して使えるはずの)短期国債市場が毎度悪態ついているような惨状を呈しているのに華麗にスルーなされておられる次第でして、NBFIの存在に関して重要という認識あるなら当預付利でコールが0.22-0.23%だからそれでヨシ!って言ってるのはどうなのかねとは思いますが、まあ過去から積み上げた超過準備タワーの取り崩しをするのにもショック出せないとかいう理屈もわからんことはないけど、特に短期金融市場が市場としての体をなすためにはアホみたいに積みあがった超過準備をもっと減らすという観点での施策を考えた方がよろしいんじゃないですか、とポジトーおじさんw
でまあその後はデジタル化の話で、
『最後に、デジタル化やIT技術の進展は、これまでも、金融機関のビジネスやリスク管理に影響を与えてきましたが、コロナ禍によってリモートワークやオンライン会議等が急速に増加し、デジタル化はさらに加速しました。ソーシャルメディアの普及やオンラインバンキングの高度化により、預金移動のスピードの速さや規模の大きさは劇的に高まっています。金融機関も、当局も、ソーシャルメディア等を通じて情報が短時間で拡散することを踏まえ、突然の預金流出に備える必要があります。同時に、オペリスクやサイバーリスクへの目配りも重要です。』
一方で貯蓄から投資というお話もありまして、もちろんそんなのバランスの問題ではあるのですが、預金金利をクソ低位に圧迫させるようなことをしない方が良いような気もせんでもないがよくわからんw
『これらのトレンドは新しいものではありません。我々は、既に問題を認識し、その対応策についても議論してきました。こうしたトレンドは今後も続きます。我々も取り組みを続けていかなければなりません。』
とまあそんな訳でちょっと雑感というかポエムで恐縮でありました。
〇連銀高官が色々と喋っているのですが追いつきませんすいませんすいません
ほほう
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/D5O5ENNZYVIPHG4TLWWTWH32RM-2024-11-20/
米追加利下げ適切、インフレ鎮静化続くと予想=クックFRB理事
By Howard Schneider
2024年11月21日午前 3:18 GMT+9
『[シャーロッツビル(米バージニア州)/ワシントン 20日 ロイター]
- 米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は20日、インフレは引き続き緩和しているとした上で、利下げ継続が適切となる可能性が高いとの見方を示した。賃金の伸びや雇用市場が鎮静化し、価格の過剰な上昇は主に住宅に限られていると指摘した。』
『クック理事はバージニア大学での講演で「時間の経過とともに政策金利をより中立的なスタンスに動かすのが適切となる可能性が高い」と指摘。利下げの規模とタイミングは経済指標次第で、事前には決まっていないとした。』
『雇用市場の最近の鈍化は一時的なストライキやハリケーンの影響によるものであり、全体的に堅調に推移しているとした。こうした中でインフレ率は来年2.2%に低下し、その後もさらに低下するとの予想も示した。』(上記URL先より)
ということで本チャンの講演はこちらですね
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/cook20241120a.htm
November 20, 2024
Economic Outlook
Governor Lisa D. Cook
At the University of Virginia, Charlottesville, Virginia
タカ派大先生のボウマンさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/FNVBAVVXXNJYRIFPREBEZ3RVIQ-2024-11-20/
米インフレ抑制は停滞、利下げに慎重姿勢を=ボウマンFRB理事
By ロイター編集
2024年11月21日午前 4:09 GMT+9
『[20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は20日、インフレが依然として懸念材料となる一方で労働市場は堅調だと指摘し、さらなる利下げには慎重な姿勢を取るよう求めた。』
『フロリダ州での演説でボウマン氏は、FRBが目標とするインフレ率2%に向けた進展が停滞していることに言及。「インフレ目標をまだ達成していないことを認識し、労働市場の動向を注意深く見守りながら、目標達成までの道のりをより適切に検証するために、政策金利の引き下げを慎重に進めたい」と述べた。』
『また、中立政策金利(経済成長を促進も抑制もしない金利水準)はコロナ前よりもはるかに高いと考えており、「われわれは現在考えているよりも中立政策スタンスに近づいている可能性がある」とも指摘。物価安定目標を達成する前に政策金利が中立水準に達するか、あるいはそれを下回るリスクも排除すべきではないとの見解を示した。』(上記URL先より)
相変わらずのボウマンクオリティでありますが、本チャンの講演はこちらになりますな。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bowman20241120a.htm
November 20, 2024
Approaching Policymaking Pragmatically
Governor Michelle W. Bowman
At the Forum Club of the Palm Beaches, West Palm Beach, Florida
来月に向けて色々と出ているのですがまあワシにも生業というのがあって中々追い切れていなくて面目ないですorzorz
2024/11/20
お題「植田総裁名古屋講演会見ですが何ちゅうか脱力してしまう会見ではありまして」
いやマジでこのオッサン何なの??
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-19/SN6T0QT0G1KW00
日銀は12月か1月利上げを「真剣に検討」、再来年2%近くも−渡辺教授
伊藤純夫
2024年11月19日 18:02 JST
この大先生口を開けば前言の手のひら返しばっかりしていまして、真剣に検討した方が良いのはお前さんの知的誠実性の方じゃないかと思うのですが、とにかくおんどれは金融政策とかそういう話は永遠に黙っとれと思いますしメディアもインタビューするなやと思うのですが、よくよく見ますとこのBBGの記事も大変に素敵な文言が入っていまして、冒頭が・・・・・
『日本銀行出身で物価研究が専門の渡辺努東京大学大学院教授は、』(上記URL先より)
となっていて、「物価研究が専門」という言葉の中に「金融政策は素人」というのが籠められているという素敵なぶぶ漬け話法が打ち込まれている上に、そもそも論として物価研究の第一人者で日本銀行出身、という呼称により相応しい方はいらっしゃるということにBBGさんも気が付いたのか「物価研究が専門(第一人者とは言っていない)」という()も透けて見えるという点でも中々秀逸な間接話法をしておりまして、インタビューはエエカゲンニセエと思いますが記者なのかデスクなのか存じませんが、この書き出しは評価したいwww(個人の勝手な行間読みですよ!!!!)
〇植田総裁会見ですが金融政策修正に関する根本的な部分でやる気のなさみたいなのが・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241119a.pdf
総裁記者会見
――2024年11月18日(月)午後1時45分から約30分
於 名古屋市
・不確実な点をこれでもかと並べておいてこの回答は嘘つけこのハゲとしか言いようが無い
幹事社質問(今日の所感とご当地質問)の次がもう早速「12月利上げの可能性」になるんですよね。
『(問)アメリカ経済の先行き、様々なリスクがあると、点検していく必要性があると説明されていますけれども、点検には一定の時間がかかるというご認識でしょうか。トランプ氏が大統領に着任するのは来年
1 月になりますが、経済・物価に及ぼす影響、どれぐらい時間をかけて見極めたいとお考えか教えてください。また、講演の中で、毎回のMPMで金融緩和の度合いを調整するか検討していくとおっしゃられてますが、来月にもMPMありますが、次回会合でも利上げの可能性はあるということか教えてください。』
前半は「見極めの時期」の話ですが結局流れるように12月利上げの可能性について話が落ち着いていくのでしたw
答えの冒頭がクソ受けるのですが、
『(答)アメリカ経済を含めまして不確実な点とか、あるいは今後変動がいろいろ予想されるというような、変動を確かめたいというような点は、ある意味無数にありまして、それを全部待ってて、それから政策をするということではなくて、』
じゃあちゃんとそういう説明をしろって話で、米国経済ガーを連呼しまくっていて、先行き分からんばっかりしか言わないで見極めたい見極めたいって連呼している今の日銀がですね、
『毎回の金融政策決定会合で、そこまでに入ってきましたデータ、それからその他の情報ですね、これを毎回毎回点検し、それに対応して適切な政策を行っていくという、これまでの基本姿勢に現在でも変わりはございませんとお答え致します。』
嘘つけという話でして、お前ら二言目には「不確実」をすぐに出してくる訳でして、挙句の果てに氷見野副総裁には昨年12月と今年の8月に会見で「全部青信号ということは無い」って言われている訳ですが、氷見野さんがそういってるのって、結局のところ「植田と内田は全部青信号にならないとやる気がない」って言ってるようなもんでして、やたらめったら「政策修正をしない言い訳を連呼」するもんだからコミュニケーションがおかしくなっている訳なのですが、「丁寧なコミュニケーション」とか言い出してからさらに無茶苦茶になっとるわけでして、昨日弊駄文で申し上げましたように、経済のメインシナリオの1.5倍の分量を使ってリスク要因の説明をおっぱじめたら「リスクがありますから動きませんでちゅー」って言ってるようなもんだし、もしそうでなくて「丁寧な説明」だと思ってあのバランスで講演テキスト作ってたら高校の現国からやり直した方が良いと思います。
・7月に為替の影響が物価に上振れリスクと言って政策修正しているのだからこの説明は如何なものかと
次の質問は為替ですな。
『(問)このところ為替市場で円安圧力が再び強まってます。最近の円安がですね、輸入インフレを上昇させて、国内物価を上振れさせるリスクは強まらないのか。特に
7 月はですね、国内物価の上振れリスクが利上げの一因になったと思います。当時の状況と現状は違うのか、また似たようなところがあるのか。この辺りについてお願いします。』
これ無茶苦茶丁寧な質問ですよね。まあ日銀のロジックを踏まえてゴリゴリ質問、とも言えますが(^^)。
でもって総裁の回答ですが、
『(答)いつものことで申し訳ないですけど、為替レートの短期的な動向にはコメントしないことにしております。』
じゃあ7月は何で為替の影響ガ―と言ってるんだという話だし、展望レポートのリスク要因の中でも「とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。」って言ってるんだから、「最近の円安の影響はどうなのか」と質問しているのに「短期的な動向にはコメントしない」の返しはおかしいだろ。
・・・・とは言いましても、まあこれは王手飛車取りみたいな質問でして、影響あるといえば利上げが近いという話になるし、影響がないといえば4月の金融政策決定会合後の植田円安の再来、という寧ろ王手王取りレベルになっているのですが、何でこの質問が王手飛車取りになるかと考えれば7月の政策修正とそれ以降に為替円安を政策コミュニケーションに加えた日銀の自らまいた種なので日銀擁護の仕様が無いわけですなw
『ただ、いずれにせよ、為替を動かしている背後の経済要因を含めて、私どもの物価・経済見通しにどういう影響があるか、あるいは中心的な見通しの周りのリスクにどういう影響があるかということを日々分析をし、毎回の決定会合でそれを積み重ねて、そのうえで、各会合で判断していくという姿勢でございます。』
まあこれも「回答せず」で今回は兎に角「回答せず」で一貫しているのは余計なこと言わないだけマシちゃあマシなのですが(なので予告ホームランが無い事を別に悪いとは思わないし、そもそも予告ホームランで地均しとかする必要はなくて、経済物価情勢から世間様が次回は利上げじゃろ、とロジカルに考えられるような情報発信を中央銀行は行うべきで、フォワードガイダンスだのドットチャートだのというのは邪道おぶ邪道というのがワイの基本スタンス)、ここの説明では「為替円安が物価上振れリスクを高めるのではないか」との疑問に一切回答していないという面ではまあどう見ても丁寧な回答とは言い難いですなw
・極端な金融緩和の弊害について「急速なインフレの可能性がゼロではない」だけとはこれ如何に
次の質疑ですけどまあこれも雑なんですよ雑。
『(問)今日午前の講演でですね、金融政策運営のところで、金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、息の長い成長を支え、物価安定目標を持続的・安定的に実現することに資するとご発言されました。この息の長い成長というのはどういうものをイメージされているのか、もう少し具体的にご説明頂きたい。』
ふむふむ。でもって質問はもう一丁ありまして(関連して話はつながっていますが)、
『あと、金融緩和の度合いを判断する上で、その先行きの見通しというのは、海外経済と賃金と物価の好循環の二つがポイントというふうにおっしゃいましたが、この息の長い成長というのを実現するためには、これもですね、その判断時期ですとか、ポイントになってくるのか、その点について教えてください。』
でもって植田さんの回答ですが、
『(答)息の長い成長と申し上げたのは、足元金融緩和度合いが、例えば実質金利等でみて、かなり強いということとの関係で申し上げたわけですけれども、』
実質金利って安易に使わない方が良いんですけど(講演で思いっきり図表8として出してましたけど)、と思う訳で、実質金利が計測できるんだったら名目金利との差になるんだから中立金利が計算できる、という話になってしまうので、「中立金利水準は広いレンジになっているので将来の政策金利水準に関して何かの具体的ガイダンスにするのは難しい」っていう(仰せご尤もな)説明と思いっきり矛盾するわけでして、あまり実質金利実質金利言わんほうがヨロシと思うのよ。
まあそれはさておきましてその続きですが、
『適宜その度合い、金融緩和度合いを私どもの見通しに応じて調整していかなかった場合には、場合によってはですけれども、どこかでインフレ率が急に加速するとかいうことが発生して、急速な金利の引き上げを迫られるという可能性もゼロではないわけです。』
お前は何を言ってるんだ(ネタ画像は貼れないので貼りませんがw)
という話でして、経済に対して極端な緩和政策を継続することのデメリットって他にもいっぱいあるだろという事なのですが、なんと「どこかでインフレ率が急に加速する」しか言わないし、しかもそれについても「可能性もゼロではないわけです」とか可能性が低いような事を堂々と説明しているのはこりゃ酷いというお話。
まあアレです、今やってて次回会合で結果公表されるらしい例の「多角的レビュー」において、何故だかさっぱりわかりませんけれども、「黒田緩和は正しかったが当初の期待ほど効果が直ぐに出てこなかったのは経済構造要因」という強引な過去の正当化で纏めていこうとしている中で、「極端な金融緩和の弊害」などということを認めるわけにはいかない、という大本営茶坊主が如何にも考え出しそうな発想から、「金融緩和度合いを適宜調整しないとインフレが急に加速する可能性もゼロではない」というエライ矮小化したデメリットの話しかしない、という結論になっているんだろうなあ、と思うとお前らセントラルバンカーとしての矜持は無いのかと小一時間問い詰めたいですが、そんなのは福井さん白川さんまでのお話なんでしょうなと思うと悲しくなってくるのでした(一応俊ちゃんの頃から真面目に見てるから)。
でまあ植田さんの説明ですが、
『そういうことがないような経済パス、あるいは政策運営を行うことによって、例えば、今
1%前後の成長が当面見込まれるという見通しを出していますが、これが長続きする可能性が出てくるというような意味合いで使っております。』
そういうこと、というのは「インフレ率が急に加速するとかいうことが発生して、急速な金利の引き上げを迫られる」という意味になるわけですが、ここにもインプリケーションがあるわけでして、これは二つの意味合いがあって、「インフレ率が急に加速しなければ政策調整なんぞ急いでやる必要はない=よって追い込まれるまでやらない」という話であり、もう一つは「急速な利上げはしたくない=よって利上げペースを速める気はガチの通貨防衛でベルにでもならない限り行わない」という本音が良くわかって中々味わいが深い訳ですが、現国の受験勉強とかいうほとんどパズル(特に共通一次レベルではw)みたいなのをやっておいて良かったわと思う今日この頃でもありますなwww
・なお質問者はこの辺の意図について知ってか知らずかまとめてしまった模様で
これは植田さんですが、
『それから、後半のご質問はちょっと聞き取れなかったんですが。』
からの、
『(問)今の説明で何となく理解できたんですけれども、要するにタイミングを誤らずにやりたいということで、その判断の鍵となるその見通しというのは、海外経済と賃金物価の好循環、これを見極めていくということに変わりはないということでよろしいでしょうか。』
とのことですが、アタクシの勝手な行間読みと言われるとまあぐうの音もでませんが、個人の見解ですということでご勘弁いただきたいのですが、政策修正遅れのデメリットについて「可能性はゼロではない」とかいう腰の引けた説明をしているのに何かエライ美しくまとめましたな、と思ったらしっかり植田さんこれに乗っかって、
『(答)はい。海外経済、賃金動向、そしてその他にもいろいろな要因がありますが、こういうことが物価・経済にどういう影響を及ぼしていくかという、そこの見通しを誤らない
ようにしたいということでございます。』
としていますが、とにかくその前に「調整が遅れた場合のデメリット」が「可能性はゼロではない」とかやる気無し無し説明しているので、まあこれは「シメシメ」と思って質問に乗っかったんでしょ、と思いっきり意地悪な読み方をしておきます。異論は認めるwwwwwww
・オントラックで時間が経過すれば当然ながら調整の必要性は高まりますよねと言われても回答回避とな
次の質問ですけどね。
『(問)先ほどの金融緩和の継続によってですね、場合によってはインフレが加速する可能性もあるというふうにご発言されまして、日銀では経済・物価が見通しに沿って推移すれば、利上げによって緩和度合いを調整してくる話をされてるんですが、』
と前置きをガッツリと置いてから詰めるのは結構結構。
『9 月、10 月の会合ではオントラックとの判断を示されながらも、金融緩和を維持されました。』
ですね。
『先ほどのご発言に沿って考えると、やはりそれによって、ビハインド・ザ・カーブのリスクというのは高まっているのではないか、蓄積されているのではないか。』
理屈の上からは間違いなくそうなりますよね。
『国内の経済・物価は順調な一方で、海外経済というですね、外部要因の不確実性によって金利を抑えつけていると、先行き利上げのマグマがたまるという、そういうようなご認識でよろしいのか確認も含めてお願い致します。』
これ認識でよろしい以外の回答をすると論理的におかしなことになってしまいますが、さてここで植田総裁はどう回避したかしなかったか、ということですが・・・・・・・・
『(答)そこは程度問題だと思いますけれども、』
程度問題で逃げる気満々キタコレ。
『7 月に戻ってみますと、為替からくる物価上振れリスクもありましたけれども、基本的には、そこまでの経済に関する情報が、その前の時点での見通し対比大体オントラックであり、その少し先もそのままいきそうであるという中で、利上げをしたわけでございます。』
あれ?10月の会見では「6月から米国の下振れリスクはあった」って言ってませんでしたっけ????
『その後のデータは、やはり広い意味でオントラックであるわけですけれども、7
月の時点でみていた姿に比べて、どれくらいオントラックの度合いが上方修正されたのか、こういうような点を毎回の決定会合で確認しながら進んでいくということでありまして、』
で??
『オントラックであれば毎回利上げをしていくということではなくて、』
利上げ云々じゃなくて「オントラックなのに緩和を維持したらビハインドのリスクを溜めることにならんのか」という質問なんだが、「自分たちの判断で利上げをしたくないでござる」って本音が駄々洩れですな。
『見通し通りに進んでいることによって、見通し期間後半の足元の見通しが見通し通りに進んでることによって、見通し期間後半の見通しが実現する蓋然性、確度がどれくらい高まったか、』
見通し何回言ってますねんwwww
というのは兎も角として、「オントラックなら金融緩和の調整を行う」って言ってるんだったら、どの程度の度合いで調整していくのが適切なのか、っていう基準があるはずで、その基準があるのか無いのか分からん(たぶんなくてその時の「お気持ち」だけじゃねえのと思いますけどね)ということでこういう話になってしまう訳ですな。だったら最初から「経済物価情勢に対して適切な政策金利水準になるように運営する」だけ言っておいて、緩和的環境が続くだの見通し通りなら利上げだの金融市場が不安定なら修正しないだの余計なこと言うなよという話なんですけどね。
『ある程度以上高まるということが自信が得られたときに次のステップに移るような、大まかなプロセスで考えております。そういう意味では、ビハインド・ザ・カーブには一方で陥らないように、適切に判断は続けていきたいというふうにはもちろん思っております。』
ある程度以上高まる、の基準が「お気持ち」あるいは「外部環境に追い込まれ」しか見えてこないからコミュニケーションがぐちゃぐちゃになるのですが、毎回毎回その場しのぎで適当な理屈を昭和温泉旅館方式で増築していくからグロテスクな理屈が構築されて何が何だか分からなくなるんですな。南無三。
・円安のデメリットとかいう話が中京財界からも出ているというのに・・・・・・・
中京財界と言えば輸送用機械関連を始めとする輸出製造業様の令名が高いわけですが。
『(問)すいません。もう一点あるんですけれども、財界との懇談の中で過度の円安については、コスト高を招いて、非製だけでなく製造業にも悪影響を及ぼすので望ましくないという趣旨の発言がありました。この円安の及ぼす物価だけでなく経済への影響についての評価をお願いします。』
こちらの質問はさっきの質問の続きではなくてちょっと途中を飛ばしています。でまあ輸出製造業様からも問題だという指摘があるが、と思いっきり出口を塞いで質問していて素敵なのですが、まあそういう事やぞという所ではあるのですが、
『(答)これはずっと前から申し上げていることですけれども、円安がコスト高になって、消費者あるいは一部の企業にマイナスの影響を与える面ももちろん大きいわけですけれども、当然輸出企業にはプラスになる面もありますし、それからインバウンドの需要にはプラスの影響もあるということで、経済全体の評価はなかなか難しい、経済全体への円安の影響の評価はそう簡単ではないと思ってはおります。』
・・・・うーんその回答で良いのかなあ(ゲス顔)
・改めて極度の金融緩和のデメリットを聞かれましたが「急にインフレになるかもしれませんね」以外は無い模様です
でまあ後ろの方の質疑(今の人の次ですけど)で先ほどの話を蒸し返した方がいましてこれまた優秀優秀。
『(問)二点お願いします。一つ目がですね、午前の講演の中で、実質金利の水準がかなりマイナスにありますよねという話をされてらっしゃったと思うんですけれども、経済の成長に資するものだとは思うんですけれども、一方で金利が大幅にマイナスな水準にあることの弊害というものがあるのではないかと思うんですけれども、その辺りのご認識をお伺いしたいのと、』
良いですな〜
『それが今後の利上げの判断の材料になるのではないかというふうな印象もあるんですけれども、その辺りのお考えをお聞かせ頂きたいということが一つ目です。(後半割愛)』
しかし植田総裁はこの回答である。
『(答)一点目は、先ほどご質問があった点とちょっと重なるとは思いますけれども、実質金利がすごい低いということからくる悪影響といいますか、弊害ですけれども、私どもの観点からしますと、やはりどこかでインフレ、特に基調的なインフレ率の上昇が加速してしまう、2[%]を超えて加速してしまうというリスクだと思っていますし、』
それだけしかないらしいです、どういう認識しているんでしょうねえ。
『そうなってしまうと利上げのペースを思った以上に早めないといけない、そこからくるいろんな問題が出てくる。』
利上げのペースを速めなければ問題は出ないという事ですね。
『そうならないように適切に金融緩和度合いを調整していきたいというところで、ここの判断は、私どもにとっては本質的に重要なものだというふうに思っております。(後半割愛)』
ということで、極度の金融緩和のデメリットは他にはないという説明になっていますので、経済の非効率の温存だとか財政規律の弛緩を助長するだとか、そういうことは一切知らんがな、という無責任極まりないスタンスである、ということはよくわかりましたwwwwwwwwwwwww
#そういや短国1年ですが0.50接近はちょっと大げさでしたが0.4台前半でも0.45に近い方とかやっとそこまで来たかというお話なのですが時間の関係とどうせここは3Mと別世界なのでちょっと今日はパスしますさーせん
2024/11/19
お題「植田総裁名古屋講演ですが相変わらず「丁寧なリスク説明」するのは何なのよ」
日本の馬鹿政治家にレクをしてくださいお願いします
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-18/SN51JEDWRGG000
ECB副総裁、高債務によるリスク警告−長期的な課題克服の妨げに
Mark Schroers、Jana Randow
2024年11月18日 18:49 JST
『フランクフルトで開催された「ユーロ・ファイナンス・ウィーク」で講演したデギンドス氏は、プライマリーバランス(PB)の赤字が膨らみ、債務負担が増加すると、気候変動対策や国防支出、デジタル化、生産性向上といった分野への支出余地が欠如する恐れがあると述べた。
同氏は「財政の遅れや財政再建の道筋を巡る疑問は、ソブリンリスクのさらる(原文ママ)見直しを引き起こす可能性がある」と述べ、「また、現在の大幅なPB赤字は、不測の事態が発生した場合に政府が経済を支えることをより困難にする」と指摘した。』(上記URL先より)
ですよねーーーーーーー、と思うのだが日本に向かって格付け会社がもっとガリガリ言わないと(格付け会社が言うと馬鹿政治家にもちったあ伝わるじゃろ)、と思うのだが、なんだか知らんけど格付け会社なんもいわん(この前フィッチがちょっとコメントしてたようなきがするけど)のが残念無念。
〇植田総裁の名古屋講演は「何の回答もしていません」でしたがだったら金懇何で実施したのやらwwww
・本編の前に雑感その1:外国為替市場は何を期待していたのかと小一時間問い詰めたい
しかしまあ何ですな。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PJZUUIMSMZOI5P6BAFVNMUX7TU-2024-11-18/
東京マーケット・サマリー・最終(18日)
By ロイター編集
2024年11月18日午後 6:19 GMT+9
『午後5時のドル/円は、前週末のNY午後5時と比べて小幅ドル高/円安の154円半ばで推移している。名古屋市で講演を行った植田和男日銀総裁の発言を受けて午前中には155円前半まで上昇する場面もみられた。買いが一巡すると154円半ばから後半を中心に一進一退の展開が続いた。』(上記URL先より)
ということで、どうも外国為替市場の皆様は何故か昨日の植田総裁の金懇で威勢の良い12月予告ホームランでも打ってくるとでも思ったのか、金懇挨拶始まる前に154円割れ水準をやっていたのですが、講演テキスト出てよく見たら予告ホームランのよの時も無いという状況でしたので、いきなり円安に飛んで155円台前半にドルは飛ぶ飛ぶとなっておられましたのにはアホなのかと思ってみておりました。
昨日も弊駄文で申し上げましたように(と珍しく当たるとここぞとばかり「私言いましたよね」をするのが浅ましいですかそうですかwww)、そもそも論として政治的に益々微妙なご時世の中、胆力があるとは到底思えない今の日銀執行部(氷見野さんは胆力あると思うけど残りの2名がチキンにも程がある)がこんなところでラーテルの如く蛮勇を振るって予告ホームランとかするわけないじゃないですかヤダーと思っていたので別にアタクシは期待していなかった、というか債券市場の方の反応見ますと別にそんなに期待していなかった(ので失望の買戻しも限定的)という所だったかとは思います。
・雑感その2:まあゆうて予告ホームランは無理じゃないのかねえ
今の日銀って無茶苦茶中途半端な状態で、「見通しオントラックで推移したら金融緩和の度合いの調整(つまり利上げ)を行う」って言ってるんですが、何がどうチキンなのか、というかまあ植田内田に胆力が無いのが要因だとアタクシは見ているのですが、胆力が無いので、昨日ネタにしたような感じの「無邪気な利上げ慎重論を唱える馬鹿外野」の声がやかましい中、自主的に利上げしようとかするわけがなくて、周囲の状況が全部そろわないと利上げしない(まあ別の言い方をすれば追い込まれないと利上げしない、ですけどwwwwwwww)というスタンスで、7月急に利上げしたのって国債買入減額するって言ったのに円安修正大して起きなくて為替介入までする破目になったからその次の決定会合まで為替が持たないので上乗せ措置を講じざるを得なくなった、って話でしょ、という訳ですので、そんな状態の中の日銀ちゃんに予告ホームランなんぞは無理ですな。
・・・・・と考えますと、昨日ネタにした先週金曜に出てきた「展望レポートのハイライト」のホームランのイラストはあれ「植田の講演で予告ホームランができないのでせめてイラストでもホームランかっ飛ばして円安阻止ができるといいなあ」という悲しい大本営のお気持ち表明だと思うと中々味わいがありますなw
まあそれはさておきまして、とにかく「データ見ないとわからん」「0.5%への利上げはまだしもその先の利上げとか今世紀になって実施していないですぅ」みたいな状態では利上げのパスを描くのも怖いでしょうし(次回はともかくその先以降)、予告ホームランなんぞ怖くてこれまたできるもんじゃない、というお話になりますので、まあそもそも論として今回予告ホームランなりなんなりが出ると思う方に無理がある、と考えないといけませんでしたねということですし、今後の0.75%だの1%だのという利上げはもっとそういう予告は出てこない、と考えた方が妥当なんじゃないかなと思います。
・雑感その3:ベンダーのライブ映像配信とエンバーゴの関係について
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
1月18日(月) 10:05 ○ ● 【挨拶】植田総裁(名古屋)
1005とは珍しい時間ですが、金懇の場合だと1030とかが普通なのでちょっと早いのですが、もともと1005だったかどうかは昨日の朝の時点で不覚にも見てなくてアレでした(汗)。
でまあそれは良いんですけど、昨日は某ベンダーがこの講演会に関してライブ映像で放送をしていましたんですけれども、テキストのエンバーゴの前から講演始まっていて、まあ最初の挨拶の部分で本編に入る前にテキストが出てきたのでいいんですけど、これタイミングがずれたら結果的に某ベンダーエンバーゴ破りをやったことになってしまう諸葛孔明の罠じゃないのかねと思ったのですが。この辺の仕切りがなんか謎なのですがどうなってるんですかね。
という話はともかくとして本編ですが、まあこれが大した話はしていないのですけど総裁講演だから思いっきりネタにはする訳で^^
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241118a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
---名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶 ---
・経済物価の見立てと先行きの話は展望レポートの後追いで別にあたらしいアップデート無し
『2.経済・物価の現状と先行き』のところですが、これがまあ展望レポートの通りの話をするんですけれども、経済の部分でのまとめは、
『このように企業・家計の両部門で、所得が増加し、それが支出に回る前向きの循環メカニズムが徐々に強まってきています。今回の展望レポートでは、こうした動きが引き続き強まっていくと考え、図表3のとおり、来年度以降、1%程度の成長が続くと想定しました。』
ってことで話が終わっているのですが、展望レポートから3週間経過していて、次の金融政策決定会合まで4週間弱、ということは決定会合間の中間地点辺りにいるんだから、経済(物価もそうですけど)認識のアップデートをなんでしないの、って思うんですよね。
これは日銀の謎仕様でもありますが、先だっての10月会合でも同じようなことがあったわけで、つい直前の10月24日の時G20会見まで「時間的余裕がある」と「一応」」というのをつけながらも発言するもんだから、公共放送ニュースあたりからも『日銀
植田総裁「時間的な余裕ある」利上げ慎重に判断する考え2024年10月25日 9時22分』みたいに報道されてしまって、でもってその直後の10月会合で「時間的余裕があるというのはもう不適切」とか非連続で説明が飛ぶんですよ。
この辺りのコミュニケーションがなんか下手クソで、途中の経済物価情勢のアップデートをこまめに入れて(どの程度まで細かく説明するのかのさじ加減が難しいのは分かるけど)説明する、まあ執行部がそれやると色々とヤヤコシヤというのであれば政策委員が喋れば良いと思うのですが、インターミーティングでの何らかのアップデートが無くて決定会合でいきなり話が非連続に飛んでしまうから説明が訳わからんくなるのよ。
でまあそのアップデートって別に政策をどうしたいみたいな予告ホームランをする必要はなくて、単純に経済と物価の情勢について見通し対比の進捗とか望ましい方向に進んでいるのかどうかの認識とかを示せばいいだけの話だと思うのよね、まあ慣れの問題あるから急にそれを始めて最初はややこしいかもしれないけど。
然るに、なんか知らんけど政策の予告ホームランみたいな事前織り込ませはさせようとする(3月のマイナス解除がまさにそれだしその前の昨年12月のチャレンジングもそうですわな)から、経済物価情勢の認識よりも政策の方が先にあって経済物価情勢の話が後付けになっているようにしか見えないムーブになっているのが残念無念また来年、と思うのでありました。
などというアタクシのポエムはさておきまして物価に関しても同様で、
『物価の先行きですが、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、2024 年度に+2.5%となったあと、2025
年度および 2026 年度は、概ね2%程度で推移すると見込んでいます。既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は、引き続き、和らいでいく一方、景気の改善が続き、しっかりとした賃上げが継続するもとで、賃金上昇を起点とする物価上昇圧力が強まっていくと考えています。』
・「基調的物価上昇率は2%行ってない」そうですがそろそろ屏風から基調的物価を出してくれませんか
ところでこの続きに、
『輸入物価上昇などに伴う短期的な物価の変動を除いた物価のトレンド、基調的な物価上昇率は、現在は2%を下回っているとみていますが、』
って面白文言があるのですが、だったら「基調的物価」が幾らなのか数字出してくれませんですかねえ、計算根拠もつけて・・・・・・・・・
『今後緩やかな上昇を続け、2026 年度までの見通し期間の後半には、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移する見込みです。』
ということで、この謎の「基調的物価」ですが数字で出せるんだったら何で出さないのかというお話になりますし、そもそもお手盛りのブラックボックスでございますってんだったらそれはただの結果先にありきのインチキ数字じゃないの、という話になるのですが、そろそろこの「基調的物価上昇率」ってのを屏風から出してくれませんかねえ(一休さんのトンチ使用不可)。
まあ何ですな、黒田末期以降の日銀は「2%物価目標達成の判断根拠を達成していないことにするという結論に合うようにコロコロと変更してきた」という歴史でもあるのですが、とうとうこの「屏風に描かれた虎の絵」状態の説明をメインにするようになったかと思うとインチキここに極まれりとしか申し上げようがないですわ。
・そもそもメインシナリオが2ページでリスクが3ページって時点で説明がおかしい
でもって次が『3.経済・物価のリスク』となるわけですが、
『ここまで、経済・物価の現状と見通しについて申し上げてきましたが、こうした中心的な見通しを巡る不確実性は高いと考えています。先行きを見通していくうえで、特にカギとなるのは、「海外経済が緩やかな成長経路を辿っていくか」、「賃金の上昇が続き、物価との好循環が引き続き強まっていくか」という2点です。そこで、次に、この2つのポイントについて、ご説明させて頂きます。』
でまあこの説明が目の子で見た感じテキスト3ページ分使っていまして、さっきのメインである『2.経済・物価の現状と先行き』が2ページ分使っている、という事で、構成がおかしい訳でございますよ。
先般弊駄文で全国信用組合大会での植田総裁の挨拶(内田副総裁代読)って奴を見たときに指摘しました(10/18に行われた講演でして21日に弊駄文ではネタにしたのですけれども)が、その時は『2.経済・物価情勢』の中の経済物価見通し部分が経済と物価で合わせて473文字(経済131+物価342)リスク要因の説明部分が337文字でして、リスク要因の説明をやたらしてやがってこいつらやる気あんのか、とか悪態を申し上げたわけですが、今回は遂にパワーアップして「懇切丁寧にリスク要因の説明をした結果、メインよりもリスクの説明を延々とやっている」という講演になっておるわけですわ。
とまあそれだけリスクリスク言ってて12月利上げの予告ホームランどころの騒ぎじゃないという感じになろうかと思います。というのがまあわかるんですが、どんどんリスクの部分の説明を一生懸命にやる位なら最初から「なんかもう基調的物価って2%当面行きそうにないから政策修正しませんよ」と言い切ってもらった方が却って清々しいわって感じですな・・・・
なお予想屋さんとして考えた場合、日銀はどうせ自力で政策を決められなくて、周囲からケツ叩かれるまで動かないので、つまりは周辺情勢が悪化、具体的には円安がかっ飛べば政策変更に追い込まれますので、12月にスキップしてもその場合は1月に向けて阿鼻叫喚の円安になって利上げに追い込まれるじゃろ(鼻ホジホジ)って感じに1万ドラクマといったところです(^^)。
・でもってリスク要因ですがこれでもかと並べたてててマジでこいつらやる気あんのかと
『(海外経済の動向と金融資本市場)』って小見出しがあるのですが、これがもう各段落の結論部分を見ると、
全体認識
『先行きの海外経済については、緩やかな成長の継続がメインシナリオですが、こうしたシナリオが実現していくか引き続き注意が必要と考えています。先月行われたG20の会合でも、世界経済の見通しを巡っては、このところ、不確実性が高まっているとの認識が共有されました。』
米国経済
『米国経済の動向については、こうした双方のリスクを念頭に置きつつ、丁寧に点検していきたいと思います』
中国経済
『中国では、こうした内需動向を反映した一部の財での在庫調整圧力の高まりを背景に輸出が増加しており、各国への影響を含め注意を払う必要があります。』
地政学リスク(ここは冒頭部分です)
『地政学的リスクについても、引き続き注意が必要です。』
国際金融資本市場
『国際金融資本市場の変動が、わが国の経済・物価に影響を及ぼすことがないかについても、引き続き、注意していきたいと考えています。』
米国とか一部上振れがあったり、金融資本市場は円安もあって一部上振れ要因もあるのですが、まあこう丁寧に説明しているとそもそもお前らチキンで様子見地蔵だろ、っていう印象の方が強くなりますよねえ、というお話。
でもって次が相変わらずの『(賃金と物価の好循環)』で、
『続いて、第2のポイント、賃金の上昇が続き、物価との好循環が引き続き強まっていくか、という点について申し上げます。』
というのがあるんだが、そもそも好循環が強まっていくも糞も生活物価の上昇に全然賃金おいついてねえだろ(だから実質賃金が上昇するまで利上げするなという無邪気言説が外野から飛び出すんだが)という話で、良いからこの「賃金と物価の好循環」って言う幻想を振りまくの止めろとしか言いようが無いのですが、この説明もだらだらとあるけど読んでもしょうがないので割愛。
・金融政策はまあなんも言ってません(ので為替市場が失望していましたが)
『4.日本銀行の金融政策運営』ですがこれがまた全部引用しますと、
『次に、日本銀行の金融政策運営についてお話しします。
日本銀行は、本年3月に、先行き2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況となったとの判断から、マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールなどの大規模な金融緩和の枠組みを見直しました。その後、7月には、国債買入れの減額計画を決定するとともに、短期金利の誘導目標の水準を
0.25%程度に引き上げました。』
『先行きの金融政策運営については、本日ご説明差し上げたような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』
いやおまえリスクの説明ばっかり一生懸命やってるだろwwwwww
『ただし、金融政策が経済活動をしっかりとサポートしていく点に変わりはありません。図表8をご覧ください。金融政策は、主として名目の金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利の変化を通じて、経済活動に影響を及ぼします。その実質金利の水準をみますと、物価情勢が好転するもとでも、極めて低い名目金利の水準を維持していることから、2010
年代と比べてもマイナス幅が拡大しており、金融緩和の度合いはむしろ強まっていると評価できます。』
ここ段落分かれているのですが、いったんここで切りまして、
『今後、経済や物価の改善に併せて、金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、息の長い成長を支え、「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していくことに資すると考えています。』
?????????
これよくよく考えたら全然説明になっていない説明でして、緩和度合いが高まるんだったら寧ろ経済にさらにプラスのブーストが掛かるんだから別に調整する必要ないじゃん、と突っ込まれたらどう説明するんだよ、という話でこれ明らかに説明が片手落ちなんですよね。
当然ながらこの背景には「過剰な金融緩和は経済への効果よりも将来において大きなマイナスになる副作用の方が大きくなる」ってのがあるのですが、その説明をしない、というのが今の日銀の腰の引けまくったチキンさんのところでして、つまり高圧経済アプローチとかあんなものは馬鹿の所業、という説明(別に馬鹿とか言わなくてもいいけど)というようなことが言えない程度のチキンさんというか胆力がないもんだからこういう謎説明になるんですな。
まずは日銀はちゃんと「なぜ調整をしないといけないのか」というのを会見のオーラル(会見では一応言ってたようだが)ではなく、きちんとこういうテキストで示すべきだと思います。まあそれができないから追い込まれないと政策修正ができない人たちなんですけどね。
ということで以下続きを引用しますが、まあ何も言ってませんがなということで。
『金融緩和の度合いの調整を実際にどのようなタイミングで進めていくかは、あくまで、先行きの経済・物価・金融情勢次第です。米国をはじめとする海外経済の展開や金融資本市場の動向を含め展望レポートで指摘したような様々なリスク要因を十分注視する必要があります。そのうえで、これらの点が、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると考えています。毎回の金融政策決定会合では、その時点で利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく方針です。』
ということでございましたとさ。
〇そういや今日は1年短国入札(メモ)
ちょっと時間がないので書いておくだけですが、昨日は1年カレントのWIをだいぶ甘くして50bpに接近させていましたがさてどうなるやら。
2024/11/18
お題「賃金と物価の好循環宣伝の弊害が顕在化していますね/短国金利上げどまりかな/展望ハイライトまたお前はナメトンノカという絵面がw」
あらま。
https://www.asahi.com/articles/ASSCJ2D9LSCJOXIE010M.html
兵庫県知事選、斎藤元彦氏が再選 議会や職員と「謙虚に丁寧にやる」
有料記事
2024年11月17日 20時00分(2024年11月17日 23時48分更新)
大先生の場合「これからは謙虚に丁寧にパワハラをする」くらいの逸材だとは思いますので、関係各位におかれましては(以下内務省検閲により割愛されました)。
てか何で対立候補が2陣営から出ているんだよ統一候補出してろよと思ったのですが、維新は斎藤さん支援でわざと候補出したのかよとも思ってしまいました。
まあパワハラでも何でもとにかく強い言動が好まれるという現象はやはり高インフレ(日本の場合は過去暫くなかったんだから2年間3%以上とかいうのは高インフレにも程がある)を放置して人心が表面上は兎も角奥のどこかで凄まじく荒んできていることだという説をひたすら主張したいワイ。
〇労働者代表が物価高助長政策を推奨するというデコスケ状態になっているのですが
いやマジでおまえ自分の立場を分かってもの言ってるのかと
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-15/SMV3I6T0AFB400
日銀の利上げ、実質賃金の持続的な上昇が必要−UAゼンセン永島会長
照喜納明美、横山恵利香
2024年11月15日 14:10 JST 更新日時 2024年11月15日 16:27 JST
→家計が先を見通せることが大事、急激な政策変更は避けるべきだ
→25年春闘の賃上げ目標は「ミニマムライン」、今年の水準上回る必要
『永島会長は14日のインタビューで、経済を持続可能なものにするためにも金融政策の正常化は必要だとの認識を示した。もっとも、「実質賃金の上昇や定着を確認してからでないと利上げは当然できない」と指摘。』(上記URL先より、以下同様)
労働者代表だったら「生活品を中心とした物価高は困る」って話をしろよって話だし、今やっている日銀の金融政策って超緩和政策なんだから、物価は基本的に上昇圧力が掛かりやすくて、物価上昇によって実質賃金の上昇に水を差すことになるんですけど、自分の言ってること分かっているのかと。
・・・・とは思うのですが、これインタビュー記事の後半読みますと、そもそも論としてこの方何を言ってるのかが支離滅裂でして、知性に何らかの不具合でもおありになるのではないかという疑問が涌いて出てくるんですが。
『永島氏は「賃上げと業績が好循環しているところと、慣れてないがゆえにコストがかさみ利益を圧迫してるところもある」と指摘。コスト上昇分を付加価値につなげるため、労使が生産性向上にコミットすることが大事だと語った。』
何で労働者側が生産性向上にコミットしないといけないんだよ。
『経営側が「できない時に賃上げはしなくていいとなってはいけない」と述べ、従業員の生活防衛へ企業に責任ある行動を求めた。』
生活給を出せというのは分かるが出せない企業は出せないんじゃないの??
『ただ、企業にとって「為替は非常に大事なポイント」であり、足元の円安の影響で賃上げの勢いを維持するのが難しい企業もあるとの見方も示している。』
だと思うなら何で日銀の利上げを後にしろ、っていう訳なのという話で、どうもこちらの大先生におかれましては自分で何を言っているのかわかっていないと思われる節がなくは無いのですが、まあゆうてこういう無邪気な馬鹿言説がたち悪い。
『原材料を輸入する企業などは、ドル・円相場が足元の1ドル=155円の水準で推移すれば厳しい経営状態が続き、「ない袖は振れない」とも語った。』
でもってなんで結論が「実質賃金が持続的に上がるまで利上げするな」になるんだよ・・・・・
・・・・とまあそういう訳で、こんな馬鹿言説が堂々と飛び交う結果として、日銀としてはどうするんですかという話でして、結局のところ円安批判や生活物価批判で行くところまで行って「追い込まれ利上げ」で行かないと日銀としては利上げをした後に上記のような無邪気な馬鹿にグチャグチャ言われるから馬鹿が黙るレベルの円安か物価高が起きるまで放置、というのが保身上有効な作戦(当然そんなスタンスでは日銀本来の責務はどう見ても放棄だけど馬鹿には気が付かれないからセーフでしょ)である、という話になってしまう訳ですな。
まあこの「賃金と物価の好循環」とかいうの、もともと黒田がQQE政策の出口をやりたくない、という黒田の御心に沿った茶坊主どもが捻りだした、利上げしないためのクソのような言い訳でございましたが、結局これが独り歩きした結果、そこらの馬鹿でも知ってる言葉になってしまって日銀利上げへの障害になっていく、ということでまあこれ考え出したスカポンタンの罪万死に値するわけですが、この手の「無邪気な利上げ忌避論」に対してどういうスタンスで臨むのか、植田さんの胆力が問われるところですが、まあどう見ても就任以来の一連の流れを見たら胆力は無いわなとしか言いようが無いので、まあ今日は名古屋金懇があるみたいだが正直期待はしていないです。
〇3M短国はさすがにねえ(強めの入札からカバーらしきものも入って引けは11bp)
ということで5年国債は別の人たちがああだこうだ説明していると思うので短国。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241115.htm
国庫短期証券(第1269回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1269回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1269回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年11月18日
4.償還期限 令和7年2月25日
5.価格競争入札について
(1)応募額 9兆2,693億円
(2)募入決定額 3兆2,499億8,000万円
(3)募入最低価格 99円96銭1厘5毛
(募入最高利回り) (0.1419%)
(4)募入最低価格における案分比率 35.0434%
(5)募入平均価格 99円96銭5厘4毛
(募入平均利回り) (0.1276%)』
ということで、前週の5bp足切りから見たらエライ金利上昇していますが、WIで0.14%とかにしていたので、アベレージ0.13割れということで入札としては強い結果ですし、売買参考統計値見ますと引値が周囲の銘柄よりも強い水準にひかせていて、セカンダリーで買いがあったのか入札で大きな札入れがあったのかはさておきましても、いずれにせよショートカバー入っていますよね、って感じの流れ。
いやまあつい2週間前まで年末越え3Mが1bpとかいうようなこの世のものとは思えない品薄コモディティ状態になっていたんですから、そらまあ利回り10bp超えたらどっかで買いが入るでしょうという風情ではありましたが、ロットの取れる入札というタイミングで買いが来て戻るでござるの巻と相成ったようです。
あとはこの状況で買いを確認したのでまた一桁bpに戻ってしまって実は品薄地獄は終っていなかったという落ちになるのか、それともこの辺りの水準を新しい落ち着きどころ(冷静に考えれば付利より10bp以上金利低いし利上げしたら付利より35bp以上金利が低いことになるんですから中々の鬼レートでこんなことろで落ち着かれても如何なものかと思いますが)にして価格形成が行われるのか、どうなるやらという感じですが、明日の1年入札に関しては多分別のロジックで値段が付くと思うので注目はするけど3Mの参考にはならないかもです。
でもって売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(11/15引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.100
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.115
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.115
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.100
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.115
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.125
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.110←金曜入札のあったカレント3M
国庫短期証券1271 2025/03/03 平均値単利 0.115←今週末に入札のある新発3MのWI
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.180
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.200
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.224
(11/14引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.100
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.129
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.129
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.129←先週入札のあったカレント3M
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.130
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.140
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.140←今日入札のある新発3MのWI
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.180
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.199
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.215
・・・・・ということで、1月償還の10bってのは同じで、ついでにWIの後ろにある3月10日償還以降の引値も同じで、新発と今週末の新発WIのところまでの2月償還だけ引値修正しているという相変わらずの引値ではありますが、3/3と3/10の7日間のフォワードレートどうなってますねんという引値の付き方は相変わらずの短国クオリティですな(なお当たり前ですが引値通りに売買できるとは言っていないですよ売買参考統計値ですからwww)
とまあそういう訳で、いったん短国金利上昇騒動??の方は一服といった風情になったようですが、あまりにも勢いよく金利が上がると止まっていた手が、金利上昇一服した後に戻ってくるなどの展開もアリエールなので、さて今週の3Mに向けてどういう感じになっていくのやら、と皆様全然興味がなさそうな事案のメモをせっせと取ってワシの備忘録としておく(過去ログ最近は整理しだしているので直近数か月(おい)はちゃんとありまっせ、というか一応この駄文の建付けはアタクシの備忘録ですわw)のでありましたとさ。
〇展望レポートハイライト:相変わらず前回との差分がおかしいんですが前回比較できないようなポンチ絵出すの止めたら??
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202410.htm
展望レポート・ハイライト(2024年10月)
経済・物価情勢の展望
前回はこちら
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202407.htm
・成長見通しって横ばいでリスクもバランスだったはずなのに何でイラストが変わるんですか????
最初のポンチ絵をみた瞬間にのけぞったアタクシ。
『日本経済は成長を続ける
日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(今回)
『日本経済は成長を続ける
日本経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(前回7月)
ということで文言同じ。そもそも今回の展望の見通しって実質GDPの大勢見通しで2025年度のレンジが上下ともに+0.1%上方シフトして、2026年度のレンジの上限が+0.1%上方シフトしただけなのですから、まるで変わらずのオントラック、というのが今回の展望における評価になるはずなんですよ。
然るに、イラストの方がお前舐めてんのかというイラストになっていまして、7月は2026年の丘に向けてジョギングしているような感じのおねえさんの図だったのに、なぜか今回は2026年のスタンドに向けてホームランかっ飛ばせ筒香だかサトテルだか村上だか知らんけど、左打者がバックスクリーン上段に向けて弾丸ライナーをかっ飛ばしているのはさすがに人を馬鹿にしているのかと思いました。
こんなの前回と同じイラストにして、オントラックってのを強調したいなら走っているコースの「2024」とか「2025」の看板の位置を手前に持っていく(またはランナーをゴールに近くしてみる)風にすればいいだけの話で、なんも弾丸ライナーかっ飛ばすとかいう力強い絵にする必要ないだろふざけるな、というお話。
まあこんなクソくだらない小細工しているのって外野のアタクシが見ても一発で分かるのですが、「威勢の良いイラストにすることによって円安を牽制したいでちゅーーー」という小賢しい下心が発露されたもの、としか申し上げようがないのですが、そういう小賢しい事をしないで正々堂々と説明をしていただきたいのですが、「丁寧な説明」「市場との認識の齟齬が無いようにしたい」とか言いながらやるのって、「余計な文言を使って説明して結果ドツボにハマる」という流れなのは再三再四指摘しております通りですが、今回のこのポンチ絵の一発目にも全く同じ類の「余計な説明」感を受けました。
・さすがにインフレ放置批判があることに関しては意識しているようですな
次が物価だがこっちはある意味マシになっていまして、
『物価は来年度以降2%程度で推移する
消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(今回)
『物価は来年度以降2%程度で推移する
消費者物価の前年比は、今年度に2%台半ばとなったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(前回7月)
言ってることは同じだしそもそも見通しがほぼ同じなんだから絵を一々変えるなという話ですが、こちらに関しては前回のポンチ絵が2%に向かって疾走している感のある絵柄だったのですが、今回はパラセーリング(でしたっけ)か何かで「上から2%に着陸していく」という図になっていまして、物価高放置批判も選挙結果に影響したじゃろ、という辺りへの意識が出ているのはまあマシになったなとこっちは評価して差し上げる。
まあ問題なのはこの着陸態勢に向けて「過剰な金融緩和」によって下からものすごい勢いで上昇気流を大型扇風機回しているというのが実態になっていることなんですけどねwwwwwwwwww
・以下のイラストはだいたい同じになっているんですよね
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い
海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(今回)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い
海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(前回7月)
これイラストがほぼ同じなのですが、何で絵面を変えたのかが意味わからんw
・政策に関してもイラストは同じ
『2%目標のもとで金融政策を運営していく
金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(今回)
『2%目標のもとで金融政策を運営していく
金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。』(前回7月)
ということで、声明文に余計に入った「そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある」とかいうトンチキ文言は入っていないのは結構ですが、ちなみに4月展望では、
『2%目標のもとで金融政策を運営していく
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していきます。』(前々回4月)
となっているので、そもそもそんなに長い文言は入らない仕様になっている、というのはあるのですが、とりあえず要らんもん入らなかったので、7月の路線は同じですよ、というアピールを入れて締めたという所ですな。
今朝はこの辺で〜
2024/11/15
お題「パウエルのスピーチのキーメッセージは「利下げ急ぎません」ですな/今日の3M短国入札は大注目ですよ」
あーあーあー
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000384456.html
財務省SNSへ総選挙後に批判コメント急増 中傷も 国民民主・玉木氏きっかけか
[2024/11/14 09:09]
財務省って馬鹿政治家共が無限に出してくるバラマキのケツ拭きのために金を引っ張ろうとしてボロカス言われるわけで、本当にそんな陰謀論のような力があるならバラマキ止めさせてるだろとしか言いようが無いのですが、まあ某とか某とかの無茶苦茶言説を信じるアホウ(免疫のない若いのもそうだけどいい歳こいたそれなりの社会経験を積んだであろう大人にアレを真顔で言われると流石に気を失いそうになる)が続出しておりまして頭がクラクラ来ますなあ。
というかですね、この辺りってトランプ現象とも似ていて、インフレを放置した結果人心が荒廃してこういう話になっているって見立てをしておりますのですが、インフレ放置と言えば日銀な訳で、今財務省陰謀論とか言ってる連中の刃が日銀に向いたらどうなるかってのを日銀はマジで考えた方が良いと思いますけど、あの「隙あらば政策変更をしない言い訳を突っ込む」のと「多角的レビューと称して過去の政策を全部正当化するお手盛り分析ばっかりしている」スタンスを見ますと日銀ちゃん危機感どころか懸念の片鱗もないだろうなあと思うのでヤバいですよねーという感じです(個人の感想です)。
〇パウちゃんがお話をしておられたようなので確認したらキーメッセージは「利下げ急ぎません」ですな
FOMC会見ネタをやる前にこっちやってるんじゃねえよというツッコミは謹んで受けます(汗)。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20241114a.htm
November 14, 2024
Economic Outlook
Chair Jerome H. Powell
At Conversation with Federal Reserve Chair Jerome Powell, Dallas, Texas
「パウちゃんと話そう」イベントみたいですね(^^)。そんなに長くないので全部頭から駆け足で確認しておきましょう(としらっと態勢を立て直しまして^^)。
『Good afternoon. Thank you to the World Affairs Council, the Federal Reserve
Bank of Dallas, and the Dallas Regional Chamber for the kind invitation
to be with you today. I will start with some brief comments on the economy
and monetary policy.』
『Looking back, the U.S. economy has weathered a global pandemic and its
aftermath and is now back to a good place. The economy has made significant
progress toward our dual-mandate goals of maximum employment and stable
prices. The labor market remains in solid condition. Inflation has eased
substantially from its peak, and we believe it is on a sustainable path
to our 2 percent goal. We are committed to maintaining our economy's strength
by returning inflation to our goal while supporting maximum employment.』
というご挨拶はさておきまして、最初の小見出しが『Recent Economic Data』である。
・成長については威勢の良い話をしているがもしかしたらトランプに当てこすっている部分があるのかしら
小見出しにさらに小見出しがあって最初のが『Economic growth』ですな。
『The recent performance of our economy has been remarkably good, by far
the best of any major economy in the world.』
「パウちゃんと話そう」企画なだけにのっけから「アメリカ経済の成長は世界一!」って自賛から始まっているのはご愛嬌ですが、
『Economic output grew by more than 3 percent last year and is expanding
at a stout 2.5 percent rate so far this year. Growth in consumer spending
has remained strong, supported by increases in disposable income and solid
household balance sheets. Business investment in equipment and intangibles
has accelerated over the past year. In contrast, activity in the housing
sector has been weak. 』
消費の説明の中で家計の可処分所得の上昇を挙げていまして、暗にインフレ退治が功を奏しておりまっせというアピールをしておるのもご愛嬌。
『Improving supply conditions have supported this strong performance of
the economy. The labor force has expanded rapidly, and productivity has
grown faster over the past five years than its pace in the two decades
before the pandemic, increasing the productive capacity of the economy
and allowing rapid economic growth without overheating.』
供給制約の解消によって経済は過熱することなく拡大しています、と言ってるのですが、ここの中でしらっと「労働参加者の急速な増加」を挙げているのもお茶目で、これどさくさに紛れてトランプをディスってねえかと思ったのですが深読みのし過ぎでしょうか・・・・・・
・労働市場に関しても結構結構という感じのトーンですな
次が『The labor market』ですな。
『The labor market remains in solid condition, having cooled off from the
significantly overheated conditions of a couple of years ago, and is now
by many metrics back to more normal levels that are consistent with our
employment mandate.』
労働市場に関しては「我々がマンデートとする状況に整合的なノーマルなレベルに近くなっているとみられる証拠がいくつも出ている」という認識でこれも結構なご認識。
『The number of job openings is now just slightly above the number of unemployed
Americans seeking work. The rate at which workers quit their jobs is below
the pre-pandemic pace, after touching historic highs two years ago. Wages
are still increasing, but at a more sustainable pace. Hiring has slowed
from earlier in the year. The most recent jobs report for October reflected
significant effects from hurricanes and labor strikes, making it difficult
to get a clear signal. Finally, at 4.1 percent, the unemployment rate is
notably higher than a year ago but has flattened out in recent months and
remains historically low.』
個別の労働市場の指標について説明していますが、直近の雇用統計に関してはハリケーンとストライキの影響がありまっせ、という話もしていまして、こちらに関してもよかよかモードになっていて、労働市場のさらなる悪化の懸念がどうのこうのとかそういうトーンはどこに逝ったのよという感はしますな。まあ「パウちゃんと話そう」企画だから威勢の良い話を中心にするというのがあるのかもしれないので、そこはここでは留保しておきますけど。
・インフレに関してもよかよか節で行くのですが最後に「まだ達成してないし道のりはデコボコ」と締めてますな
次が『Inflation』ですけれども、
『The labor market has cooled to the point where it is no longer a source
of significant inflationary pressures. This cooling and the substantial
improvement in broader supply conditions have brought inflation down significantly
over the past two years from its mid-2022 peak above 7 percent.』
労働市場の過熱解消でもう労働市場は高インフレ圧力にはならず、そのことと供給制約の緩和によってインフレは2022年半ばのピーク7%から顕著に下がってきました。と来まして、
『Progress on inflation has been broad based. Estimates based on the consumer
price index and other data released this week indicate that total PCE prices
rose 2.3 percent over the 12 months ending in October and that, excluding
the volatile food and energy categories, core PCE prices rose 2.8 percent.』
それは直近の物価データにも示されています、と指標の数値の話をして、
『Core measures of goods and services inflation, excluding housing, fell
rapidly over the past two years and have returned to rates closer to those
consistent with our goals.』
除く住宅で見たときのコア物価は目標にかなり近いところに戻っている、だそうでして、
『We expect that these rates will continue to fluctuate in their recent ranges.』
物価は今後も今の辺りでしばらくは上下する感じでしょう、だそうです。
『We are watching carefully to be sure that they do, however, just as we
are closely tracking the gradual decline in housing services inflation,
which has yet to fully normalize.』
住宅関連サービス価格に関してはまだ注意してみているようですね。
『Inflation is running much closer to our 2 percent longer-run goal, but
it is not there yet. We are committed to finishing the job. With labor
market conditions in rough balance and inflation expectations well anchored,
I expect inflation to continue to come down toward our 2 percent objective,
albeit on a sometimes-bumpy path.』
でもってインフレの締めのところですが、色々と言ってたんですけど結局は物価はインフレ目標に対して、「but
it is not there yet」と言ってまして、今後の推移に関しても目標に向けて戻るでしょうと言いながら、「albeit
on a sometimes-bumpy path」と締めていますので政策の話はお察しという感じですか。
・政策に関しては「今の経済状況は利下げを急げというメッセージは出していませんぞ」がキーメッセージ
でもってまあいつもだと手抜きでここしか読まない(今日のは文章量が一見して短いのでこれなら全文行けると踏んで手抜きをしませんでしたw)『Monetary
Policy』ですな。
『Given progress toward our inflation goal and the cooling of labor market
conditions, last week my Federal Open Market Committee colleagues and I
took another step in reducing the degree of policy restraint by lowering
our policy interest rate 1/4 percentage point.』
インフレゴールへの物価の進展と労働市場の鎮静化を受けて先日利下げをしました。からの、
『We are confident that with an appropriate recalibration of our policy
stance, strength in the economy and the labor market can be maintained,
with inflation moving sustainably down to 2 percent.』
FOMC会見ネタすっ飛ばしてこれ見ているのでアレですが、足許の利下げに関してはFOMCでも「an
appropriate recalibration of our policy stance」と政策スタンスの「再調整」としていますな。
『We see the risks to achieving our employment and inflation goals as being
roughly in balance, and we are attentive to the risks to both sides. We
know that reducing policy restraint too quickly could hinder progress on
inflation. At the same time, reducing policy restraint too slowly could
unduly weaken economic activity and employment.』
これもFOMC後会見のオープニングリマークで出ている説明。
『We are moving policy over time to a more neutral setting. But the path for getting there is not preset.』
方向性としては「より政策スタンスをニュートラルにする」とは言っていますが、「over
time」であって別に急ぐ話はしていませんし(直近の流れからもそういう話が出るとは思えないので順当ですが)、先行きのコースは事前決め打ちしていませんってのも同じ(だったらドットプロットもう次回から出すなよと思うけど)。
『In considering additional adjustments to the target range for the federal
funds rate, we will carefully assess incoming data, the evolving outlook,
and the balance of risks.』
でもって先行きはデータ次第、というのまではまあFOMCオープニングリマークなどでも示されていますが、
『The economy is not sending any signals that we need to be in a hurry to lower rates.』
>The economy is not sending any signals that we need to be in a hurry to lower rates.
>The economy is not sending any signals that we need to be in a hurry to lower rates.
>The economy is not sending any signals that we need to be in a hurry to lower rates.
今回はこれがキーメッセージですかそうでうすかということで。
『The strength we are currently seeing in the economy gives us the ability
to approach our decisions carefully.』
利下げは慎重に、とさらに加えてから、
『Ultimately, the path of the policy rate will depend on how the incoming data and the economic outlook evolve.』
ということで今後次第、としております。でまあ最後に締めパラグラフが入るのですが、これはご挨拶みたいなもんでして、
『We remain resolute in our commitment to the dual mandate given to us
by Congress: maximum employment and price stability. Our aim has been to
return inflation to our objective without the kind of painful rise in unemployment
that has often accompanied past efforts to bring down high inflation. That
would be a highly desirable result for the communities, families, and businesses
we serve. While the task is not complete, we have made a good deal of progress
toward that
outcome.』
ま。これはご挨拶の最後の締め文言って感じで、
『Thank you, and I look forward to our discussion.』
この前のFOMC会見の時も「質問をお待ちしてます」じゃなくて今回もそうなんですな。
ということで全文引用しましたが、中々わかりやすいのは、キーメッセージの「The
economy is not sending any signals that we need to be in a hurry to lower
rates.」以外は既に説明済みの話に関して一部最新データをアップデートした部分があるかな、っていう程度で(FOMCから間が短いせいもあるけど)余計な事を言わないし、余計なこと言わないけれども説明は丁寧、ということで、丁寧な説明とか必死に議論している極東のポンコツ中銀の政策委員会のカボチャ頭の皆さんや振付が絶望的にヘタクソな振付師の皆さんはちったあ参考にしていただきたいものだと思うところでありますな(隙あらば悪態w)。
〇さあ今日の3M短国は面白くなってまいりました(フラグではありませんw)
売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
昨日もネタにしましたのでついでだからこの3日の引値推移ということにして昨日引用したのを貼るという手抜きに打って出るわけですがw
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.100
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.129
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.129
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.129←先週入札のあったカレント3M
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.130
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.140
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.140←今日入札のある新発3MのWI
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.180
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.199
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.215
(11/13引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.030
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.079
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.079
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.079
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.080←先週入札のあったカレント3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.080
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.080←今日入札のある新発3MのWI
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.150
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.170
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.190
(11/12引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.050
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.070
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.070
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.070
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.070←先週入札のあったカレント3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.070
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.070←今日入札のある新発3MのWI
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.065
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.085
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.160
・・・・・・!!!!
ということで何ですかこの推移は(ちなみに引用しているとだんだらがクソ長くなるので飛ばしていますが年内償還の短国は期近は別にしまして軒並み0.100%→0.130%に金利が上昇しておられる)という感じですが、もともと金利水準がクソ低いというのはあるのですが、3Mのところの修正早すぎクソワロタという感じですけど、14bpってホンマカイナ感はだいぶただようところまで来ている(とはいってもまあ確かに2/25足って1月利上げでも1か月食らう訳ですからねえというのはある)気もするんですけど、実際のところは今日の入札をみないと何とも言えませんなという感じなので、入札を見てからあらめて何とか言おうかとwww
しかしまあ何ですな、この短国の引値、年末越えとかの四半期要因部分で段差が付くのはまあ話はわかるんですけれども、月末で段差付くのって如何なものか感がぬぐえない訳でございまして、決定会合跨ぎで段差つかないという辺りにまだまだ金利市場というよりもただの需給マーケットのままなんだな、と思ってしまう(個人の感想です)ところでして、まだまだ短国市場が「参加者の金利見通しを反映したリスクフリー金利」になるには遠い道がありそうだな、と思うのは思う訳ですが、なんかもう謎のタイミングとしか言いようが無いタイミング(強いて言えばトランプトレードの円安進行をはじめとする要因くらいしか思い浮かばないのですが、だったら先週金曜の入札まではカジュアルに強かった訳でして・・・・)で急に金利がまともになりだしているのは正直当惑を隠せないところではありまするwwwww
なおこの間のGCちゃんですけれども、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/7 0.226 0.231 0.204 0.204 0.204 0.207 0.243 0.308 0.359
2024/11/8 0.164 0.235 0.204 0.204 0.204 0.208 0.246 0.309 0.360
2024/11/11 0.243 0.237 0.207 0.207 0.207 0.209 0.247 0.310 0.366
2024/11/12 0.215 0.228 0.207 0.207 0.207 0.208 0.251 0.314 0.375
2024/11/13 0.240 0.222 0.207 0.207 0.208 0.209 0.253 0.323 0.384
2024/11/14 0.192 0.204 0.206 0.206 0.207 0.208 0.254 0.335 0.390
ということで、まあ6mとか1Yとかじりじり金利上昇しているのと、相変わらずなんですが足元のGCが謎のタイミング(先週は国債発行要因チックなところがあったけど木曜にO/Nだけ下がるという今週の挙動は何ですかの)に下がったり上がったりしてますな。
とは言いましても3mのGCが急にどうのこうのという事は無いので、短国ちゃんの修正に関しては短国独自の需給要因(そらまあ金利水準見れば明らかですけど)というのがあるんでしょうなとは思いますけど、まあいずれにしても今日の入札は注目していただいて宜しいのではないかと存じますです、はい。
何か内田副総裁の挨拶みたいなのがあったようだがマネタリーポリシーウィングの話ではないようなので今日はパスしましてこの辺でご勘弁いただこうかと存じます(平伏)。
2024/11/14
お題「米国CPIを受けて連銀は「来年はいったん様子見」を考えているんでしょうね(知らんけど)/金利も上がったし短国金利が上がっているのでメモメモ」
赤一色というと満貫くらいはありそうですねw
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07EDK0X01C24A1000000/
下院も共和多数派、トランプ新政権「トリプルレッド」に
米大統領選2024
2024年11月14日 4:31 [会員限定記事]
なお
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 155.46JPY
変化 0.84
変化% +0.54%
2024年11月14日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
〇米国CPIがあったので反応の備忘用クリップ
・CPIを受けた高官発言は「12月利下げをするにしてもその後は様子見じゃな様子見」っぽく読めました
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-13/SMW5M6T0AFB400
米CPIコア指数、3カ月連続で同率の伸び−インフレ抑制足踏み
Molly Smith
2024年11月13日 22:43 JST 更新日時 2024年11月14日 2:02 JST
→総合CPIは前年同月比2.6%上昇、3月以来の伸び加速
→住居費は0.4%上昇と9月より大きな伸び、帰属家賃も0.4%上昇
『米国のインフレは10月も引き続き堅調な伸びを示した。インフレ目標の達成を目指す米金融当局者が直面しているリスクを浮き彫りにした。』(上記URL先より、以下同様)
『キーポイント
・変動の大きい食品とエネルギーを除くコア消費者物価指数(CPI)は前月比
0.3%上昇−3カ月連続で同率の伸び
・市場予想に一致
・前年同月比では3.3%上昇−予想と一致
・総合CPIは前月比0.2%上昇−4カ月連続で同率の伸び
・市場予想に一致
・前年同月比では2.6%上昇−予想に一致
・3月以来の伸び加速』
とまあそういう訳で、CPIに関しては「下がりませんなあ」ということのようでございまして、高官発言はこのようになっておられますな。
カシュカリ大僧正
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/2E3CKJOKPBMRHKDHRM7CKRCHEY-2024-11-13/
インフレ、正しい方向に向かっている=米ミネアポリス連銀総裁
By ロイター編集
2024年11月13日午後 11:48 GMT+9
『カシュカリ総裁はブルームバーグTVとのインタビューで、物価上昇率や賃金の伸びなどが鈍化していることを指摘し、インフレが2%を超える水準で高止まりしているとは考えていないと語った。
労働市場の状況については軟化しているとしつつも、良好な状況にあり、それを維持したいと述べた。また、上下双方向のリスクが存在するものの、多くの上振れリスクを確認しておらず、インフレの高止まりがより大きなリスクという認識を示した。』(上記URL先より)
最後の部分の日本語がイマイチ何言ってるのか微妙ですが、インフレは鎮静化している過程にあるのは間違いないが、上振れリスクがあるから様子見をするのもあり、みたいな感じでの説明をしているという流れかなとは推察しました。
ロリー・ローガンさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/QN4J4VO2AVPHJNI6U662QZPU4A-2024-11-13/
FRB、利下げを「慎重に」進めるべき=ダラス連銀総裁
By ロイター編集
2024年11月14日午前 12:30 GMT+9
『[13日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のローガン総裁は13日、インフレを不用意に再燃させないよう、連邦準備理事会(FRB)は追加利下げを「慎重に」進めるべきという見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)
ローガンさんはNY連銀の調節デスク上がりのゴリゴリのオペレーション実務派ですので覚えて置いてください。前も何回か言いましたけど。
『ローガン総裁は講演で、FRBはインフレを40年ぶりの高水準から引き下げる取り組みで「大きな進展」を遂げたが、「この道筋を完了させるために、おそらくさらなる利下げが必要となる公算が大きい」と述べた。同時に「どの程度の利下げが必要か、またどの程度のペースで利下げを実施する必要があるかを確実に把握することは難しい」という認識を示した。』
まあ本当の本当に中立金利に近いところにいる場合、政策金利の変更って別にやらなくても良い可能性があるし、何ならうっかり利下げしてインフレ加速させたら間抜けプレイになってしまいますから、まあだんだん慎重になってくるのは仕方ない。米国なんてインフレ期待がアンカーされていることになっていて、長期の景気サイクルにおける政策金利と物価に関する知見の蓄積があってもこのように慎重にならざるを得なくなっている訳ですからムツカシムツカシネーという所ではございます。
セントルイスは変態仮面の跡目相続をしたのがムサレムさんでして、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-13/SMWI0LDWRGG000
セントルイス連銀総裁、緩やかな利下げ想定−インフレ鈍化が続くなら
Amara Omeokwe、Craig Torres
2024年11月14日 4:25 JST
『米セントルイス連銀のムサレム総裁は13日、インフレと雇用の目標達成は視野に入っていると指摘。ただし、物価上昇率が当局目標の2%を上回って推移する間は「やや景気抑制的」な政策を続けるべきだとの考えを強調した。』(上記URL先より、以下同様)
ということですが、
『ムサレム氏はメンフィス・エコノミック・クラブで講演し、「インフレを目標に回帰させ、最大限の雇用を支える上で、金融政策は好位置にある。政策金利を時間とともに中立水準へ漸進的に調整することを通じて、これらの達成を図っている。インフレが2%に向かって低下し続けることが前提だ」と発言。発言は講演原稿に基づく。』
ということで講演原稿出ているようですし、変態仮面後任のこちらの方の講演をまだまとまって読んでいる時間が取れていないのでどこかで気合入れて読まないと、とは思っておりますわ。
『追加利下げを検討する際には、今後入手するデータを「思慮深く、かつ辛抱強く」検証することが可能だと、付け加えた。』
実際に原稿を見た方が良いのかもしれませんので、URL置いときますね
https://www.stlouisfed.org/from-the-president/remarks/2024/remarks-monetary-policy-and-u-s-economic-outlook
Musalem: Remarks on Monetary Policy and the U.S. Economic Outlook
Nov. 13, 2024
『St. Louis Fed President Alberto Musalem spoke at an Economic Club of
Memphis event in Tennessee. He gave the talk “Remarks on Monetary Policy
and the U.S. Economic Outlook” and participated in a Q&A moderated
by Douglas Scarboro, senior vice president and regional executive of the
St. Louis Fed’s Memphis Branch.』
・・・・・でまあ最近出てくるコメントですが、トランプ襲来というアチャーイベントが発生しただけに「決め打ち出来ませんモード」の色合いをさらに濃くしているんでしょうなあと思うところですので、まあ普通に考えるとこれ12月は利下げするかもしれないけど1月以降はFED一旦寝転がりしておかないと、トランプがインフレ―ショナリーな政策をぶっこんで来ると緩和政策とか言ってられないので、様子見ますとしか言いようが無いでしょうなあと。
でまあ前回のトランプは緩和しないと怪しからん風味は多分にありましたが、トランプって基本的にその辺のセンスは良いので、今回はインフレを抑制する政策を打たせながら財政は出す(どこのレーガン大統領だよ)という方がありそうなことだし、インフレが再度爆裂しようもんなら民主党政権から共和党政権に変えた意味がねええええええとなる可能性が高そうですわな、とかなんとかつらつら考えますと、利上げとかそういうのはさておくにしてもバンバン利下げってのは余程物価データーがフェイバーとか、物価がそれどころか下がって来たわあら大変みたいな勢いにならないと難しいのとチャイマスカね。
・中立金利に近い米国だって判断が難しい局面なんですから・・・・・・・・(ジャパン雑談)
しかしさっきのローガンさんの発言内容とされるものを再掲しますと、
『ローガン総裁は講演で、FRBはインフレを40年ぶりの高水準から引き下げる取り組みで「大きな進展」を遂げたが、「この道筋を完了させるために、おそらくさらなる利下げが必要となる公算が大きい」と述べた。同時に「どの程度の利下げが必要か、またどの程度のペースで利下げを実施する必要があるかを確実に把握することは難しい」という認識を示した。』(再掲、上にあるロイター記事より)
とあるわけですが、実務家ローガンさんらしい説明かとお見受けしましたけれども、このようにFEDだって中立金利にそう遠くないところにいるんじゃないか、と思われる状況において、政策金利の落ち着かせどころに悩んでいる状態という事を意味しているんだと思います。
そう考えた場合、日銀に関して言えば、「見通し通りなら徐々に金利を調整」の「見通し通りなら調整」に関しては、中立金利がどのくらい、みたいな不毛な話をするんじゃなくて、明らかに中立金利よりも低いだろという水準を最初のゴールにして、そこのゴールについたときは「次のステップに向けて様子見をする」みたいな感じで一休み(休んでいる場合じゃないときは別だけど)する、というような感じでのアプローチで話をした方が現実的で、それが0.5%なのか1.0%なのかはともかく、そこまではもっとホイホイと利上げするというのを主張した方が政策パス分かりやすくなるんじゃないかね、とは思いましたが、既に1%が中立金利の下限値(そんなに低い訳ないと思うが)という話になってしまっているのが結構痛いので、ステップ1の終点ってすぐきちゃうことになってしまうので、これまたやりようが難しいと思います。
まあ何か日銀の場合はその場その場で自分の言いたいことに巧みな屁理屈をつけるのが得意なので、後になってブーメランになって屁理屈の整合性がぐだぐだになる、というのが続いている訳で、いまだって昨日も申し上げたように「円安対策で「見通し通りなら利上げ」と発言する作戦1」と「利上げ批判対策で「隙あらば利上げをしない理由を捻りだしてきて慎重発言する作戦2」を併用するもんだからぐだぐだになっている訳ですが、12月決定会合までにいくつか講演の機会などあると思うので、もうちょっと整理整頓してほしいものです。
〇だいぶ金利が調整されてきたので長期債市場メモ
まあ素敵
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/55CIARQVORONXDYJTV7GQFP36I-2024-11-13/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落、米債安が逆風 長期金利は3カ月半ぶり1.04%
By ロイター編集
2024年11月13日午後 3:20 GMT+9
『[東京 13日 ロイター] - <15:07> 国債先物は大幅続落、米債安が逆風 長期金利は3カ月半ぶり1.04%
国債先物中心限月12月限は、前営業日比42銭安の143円11銭と大幅続落して取引を終えた。米債安の流れが波及した。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.040%と、8月1日以来の高水準を付けた。』(上記URL先より、以下同様)
まあしかしよくよく考えてみますとマイナス金利政策の時も10年1%じゃーとかやっていた訳でして、ベースレートが0.25%になっているのに10年1.04%でやっと「何か月ぶり」とか言ってるのは水準おかしいじゃろという説はなくはない(個人の妄想です)。
『現物市場では10年物以外の新発国債利回りも総じて大幅上昇。2年債は前営業日比2.0bp上昇の0.520%と2008年12月以来の高水準、5年債は同3.0bp上昇の0.680%と09年10月以来の高水準を付けた。20年債は同2.5bp上昇の1.870%、30年債は同1.5bp上昇の2.275%、40年債は同3.0bp上昇の2.605%。』
2年もやっと50bpを明確に上回ってきましたが、この2年の金利とて本来は足元が25bpで向こう3か月以内にベースレートが50bpになるとみている向きが多い、という債券市場ちゃんの状況からしましたら、この水準ですらアホみたいなレートになっていて、利上げが0.50%で打ち止めとかいうのを皆で信じるにしたってタームプレミアムってのがあるだろということまで含めると何ですかこれはという金利になっておられる訳です。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.52 0.529 0.024 15:02
5年 0.679 0.685 0.03 15:02
10年 1.038 1.045 0.04 15:02
20年 1.868 1.876 0.026 15:02
30年 2.273 2.281 0.02 14:57
40年 2.598 2.611 0.032 15:03』
よくよく見てみれば中期ゾーンって2年から5年の間が15bpちょいしかスプレッド無いわけでして、しかも今申し上げたように2年の金利が政策金利見通しとして考えたらそれまだまだ低くねえか、という水準なので、結局のところ中期ゾーンの金利が全般的にどうなのよという感じはするんですよね、あくまでも個人の感想ではあるのですけれども。
まあこんなの日銀の買入のやりすぎ以外の何物でもないのであって、日銀の輪番減額のペースがクソ遅すぎな訳で、利上げをちんたらやりたいなら輪番をもっと勢い良く減らせよこのクソボケとしか申し上げようがないです。まあしいて言えばこの前の決定会合以降のコミュニケーションでも見られるように、日銀が「隙あらば利上げをしない言い訳を捻じ込んでくる」という所に、日銀は官邸か財務官あたりからの差し込みが飛んでこない限り、自分の意思と責任で正常化しようという気が無いんだろうなあ、と思われるコミュニケーションをしているのも影響しているんジャマイカとおもったり思わなかったり(個人の感想です)。
〇短国の金利がここもと調整しておりますが・・・・・・・・・・
いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
手前の方はあんまり変わっていないのですが、3M近くのところが面白い事に
(11/13引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.030
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.079
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.079
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.079
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.080←先週入札のあったカレント3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.080
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.080←明日入札のある新発3MのWI
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.150
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.170
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.190
(11/12引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.050
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.070
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.070
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.070
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.070←先週入札のあったカレント3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.070
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.070←明日入札のある新発3MのWI
国庫短期証券1255 2025/03/10 平均値単利 0.065
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.085
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.160
1月償還の一部の銘柄(引用してないけど実は1月頭の償還の銘柄も同じく)がなぜかレート下がっているのですが、それはそれとして火曜の引けでは年末越えから3月償還までが引値10bp割れ(年内償還の引けは10bpです為念)になっていたのですが、水曜の引けでは引値の段差の位置が3月末から2月末にワープするという面白展開になっております。なんのこっちゃ。
ということで背景は存じませんけれども(成り行きマシーンの需要が一服したから、というのだけは間違い無いので、その成り行きマシーンが担保足りないマンなのか、ベーシススワップマンなのか、長期金利上昇待ちの退避資金が避難所から退出したのか、それらの合わせ技なのか、という話だとは思いますが)俄かに短国市場が息を吹き返してきました、というのかどうかは謎ですし、だいたいからして金利の絶対水準は地獄のど真ん中からちょっとマシになった程度に過ぎないんですけど、まあいずれにしましても、明日の3M短国(と来週火曜の1年短国)の入札とその後のセカンダリー動向に関してはやっと面白くなってくるのかもしれません。
とは言え需要は恒常的に超過だからなあ(償還が減ってくるので償還再投資分の超過需要はちょっと軽減されるちゃあ軽減されるんですが)・・・・・・・・
2024/11/13
お題「短期ゾーンでも微妙に利上げ織り込みが前倒しっぽく/BISでの植田発言原典にあたってみました(隙あらば利上げしない言い訳・・・)」
ほほう
https://www.yomiuri.co.jp/election/yoron-chosa/20241112-OYT1T50185/
石破内閣支持率43%、前回調査から上昇…読売世論調査
2024/11/12 22:00
『読売新聞社は11〜12日、第2次石破内閣の発足を受けて緊急全国世論調査を実施した。内閣支持率は43%で、衆院選直後の前回調査(10月28〜29日)の34%から9ポイント上昇した。内閣不支持率は42%と支持率と
拮抗している。』
『政党支持率は、自民党が30%(前回25%)、立憲民主党が11%(同14%)、国民民主党が10%(同7%)、れいわ新選組が4%(同4%)、日本維新の会が3%(同5%)、公明党が3%(同4%)、共産党が2%(同3%)など。無党派層は30%(同31%)だった。』(以上上記URL先より)
あらあら随分と挽回してるじゃないですかゲルさん。
〇益々今週の3M入札どっちに転ぶのかを注目したい短国ちゃん周りのメモです
いつもの
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
3M以内の全ゾーンって出しているとエライことになるのでてきとうな切り方をしますが、
(11/12引値)
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.100
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.100
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.050
国庫短期証券1242 2025/01/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.050
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.070
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.070
(11/11引値)
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.085
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.085
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.049
国庫短期証券1242 2025/01/10 平均値単利 0.070
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.070
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.070
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.070
昨日ネタにしましたように、月曜の短国引けって3M近辺のあたりが7bpと金曜の3M入札が5bp足切りになった後さらに金利上昇、というよりは超割高修正が少しだけ起きた、という方が適切かもしれませんが、まあそんな感じで引値の利回り上がったんですが、そのついでに1月償還のところも7bp水準(除く1259)とかいう面白展開になっておった訳ですな。
でもまあ冷静に考えますと、1月償還の3MTDBって基本的に馬鹿強入札だったものがそのまま「モノとしての年末越え短国のニーズ」に吸い上げられてしまっている格好で、持ち切りの人が持っている以上基本的に流通玉がまともに出てくる訳がないので、やっぱり1月償還の所は需給、というか物出てこないのを勘案したらカレントにそこまで引っ張られる義理は無いとばかりに昨日の引けで7bp→5bpに修正していましたが、そこで何気にチャーミングなのは昨日は12月償還のところの引け利回りが上昇(ちな11月もです)しまして久々に10bpという二けたベーシスの利回りを拝見することになりました。ほうほうそうですかそうですか。
昨日は交付税特会6Mもあったのですが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241112.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和6年11月22日
3.償還期限 令和7年5月22日
4.償還方法 令和7年5月22日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 6兆5,029億円
(2)募入決定額 1兆3,000億300万円
(3)募入最高利率 0.375%
(4)募入最高利率における案分比率 75.1800%
(5)募入平均利率 0.358%』
先週も特会借入6Mがあったのですが、平均0.331%、足切り0.347%になっていまして、結構きっちりと金利が上昇しました。と言ってもテナーが後ろになっているのでその分も加味しないといけませんな。
でまあこれ物は試しに足切りの方で計算すると、手前の金利を0.25%にした時の後ろの金利って、3月会合(3/21〜)で切ると後ろの金利0.615%くらいになってバチクソ織り込み状態になっていまして、(先週の6M特会借入の足切りで計算した時は0.569%くらい)1月会合(1/27〜)で切ると後ろの金利が0.447%となりまして(先週だと0.413%)、先週と比較して1月での利上げを結構織り込んだ状態になっておりまして、次に東京レポレートの今日は3M以降のレートも並べてみますが、この辺りもしらっと金利上昇していますので、やっぱりトランプちゃんを受けて世の中的には12月とは言わなくても1月の利上げはやっぱり行かざるを得なくなるんでネーノって感覚になってきたんでございましょうか、知らんけど。
でもって東京レポレートですが、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
トランプちゃんからこの方・・・・・
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m 6m 1y
2024/11/5 0.238 0.238 0.204 0.204 0.204 0.207 0.239 0.301 0.350
2024/11/6 0.240 0.233 0.204 0.204 0.204 0.207 0.241 0.302 0.356
2024/11/7 0.226 0.231 0.204 0.204 0.204 0.207 0.243 0.308 0.359
2024/11/8 0.164 0.235 0.204 0.204 0.204 0.208 0.246 0.309 0.360
2024/11/11 0.243 0.237 0.207 0.207 0.207 0.209 0.247 0.310 0.366
2024/11/12 0.215 0.228 0.207 0.207 0.207 0.208 0.251 0.314 0.375
3Mも地味に上昇していますけど1Yはもうちょとt分かりやすく金利上昇していまして、トランプちゃんのインフレ的政策からのFEDの利下げ頓挫からのドル高円安アイヤーからの日銀追い込まれ、というのが現実味を帯びてきたって話ですかね、知らんけど。
でまあそれはそうとしまして、短国引値だけ見ると重そうにしている(実際問題として重いのかどうかというのは正直謎な市場なんですけど)のですけれども、一方でGCレートって別に短国重くて金利上昇、とかそういう感じではなさそうでして、オーバーナイトとかトモネとか見てても、11日は3M6Mの発行日要因で当日物の金利が高いものの、昨日になったらまあ下がっていますし、トモネの方は安定して推移していますわな。
まあもともと短国の利回り自体がコールやGCと完全に別世界になっていて、端から裁定が効かないというか、短国を在庫ファイナンスしながらキャリーするというのが完全に引き合わないレートなので短国需給とGCとのリンクが切れているのかもしれませんけれども、なんかこういうのも含めて今の短期市場ってムツカシネーと思うのであります。
というマイナーネタでどうもすいませんw
〇植田さんのスイスでの謎発言の原典をちょいと確認してみましたの巻なのでご紹介
月曜にこの話をネタにしましたが
https://jp.reuters.com/economy/inflation/XYLFN7K4SBOM3CVXULPORXKVFM-2024-11-10/
気候変動の影響注視しつつ2%インフレ目標維持したい=日銀総裁
By 木原麗花
2024年11月10日午後 12:14 GMT+9
再引用しますけど、
『[東京 9日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は9日、スイスのバーゼルで国際決済銀行(BIS)などが主催した気候変動関連の会合に出席し、気候変動が将来の物価動向に長期的なショックを与えるとしても、日銀は2%のインフレ目標を維持したいと述べた。
植田総裁は、気候変動が経済に与える影響や、政府の脱炭素化促進策がインフレ期待に与える影響について、日銀は注視していくと発言。
インフレ期待への影響は心配だとしつつも、気候変動によるショックが起きても「インフレ目標は現在の水準を維持したい」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)
という話をしているのはまあ良いんですよね。そもそも論として気候変動対応によってインフレ圧力が高まるのに対して、インフレ目標2%ってのがそもそも正しいのかとかそういう問題が大有りという説を脇に置いて考えた場合、気候変動対応によるインフレの上方圧力ってのは、2%が神の言葉の如く正しいというのであれば、その上方圧力自体は単に中立金利水準(と言われる概念上のもの)を上方シフトするだけの話であって、それによりインフレ目標を変えるというのは話の筋としてはちょっと変な感じですわな。
でまあそういう話は良いのに植田さん何変なもんでも食ったのか引き続いて、
『また、脱炭素化社会への転換を促すための政府補助金も短期的にはインフレ圧力を生むかもしれないが、基調的なインフレ率は現在まだ2%を下回っているため、日本は「当面はそのようなインフレ圧力に対応できる」と語った。』
基調的なインフレが2%を下回っているから云々って何をゆうてますねんという話ですが、こちら元ネタがございましたのでご紹介させていただきたく存じます次第(というかこれ気候変動関連をやっておられる方々に置かれましては既にご存じかとも愚考いたしますが、まあ普段この辺まで見る知能も時間もないワイとしてはドヤ顔でご紹介させていただきたく存じますwwwwwwww)
こんなのがありましてね
https://www.bis.org/events/green_swan_2024/overview.htm
Green Swan 2024: Impact of climate change on the real economy: what does it mean for business and for monetary policy?
『A conference co-organised by the Bank for International Settlements,
the Bank of Japan, the Bank of Spain and the Network for Greening the Financial
System.』
何気に日銀も共同主催じゃないですか何でこの植田さんのご登壇を日銀HPで紹介しないのよ、と思いますのでちょっとHPに掲載するのどうでしょうか(結構マジ)。
『The fourth edition of the Green Swan Conference brings together high-calibre
speakers - comprising corporate leaders from sectors most relevant for
GHG emissions, experts, academics and policymakers - to discuss how climate
risk, adaptation and mitigation affect the supply side of the economy and
what these economic effects imply for the work of central banks.』
ということで金融政策への含意なども含めたセッションがおこなれている(論文もある)のですが、たぶんこのページを開けるとその下にあるタブはデフォルトだと「Videos」になると思うのですが、その一番下に植田さんのパネルの模様が録画されています。
『Closing - Climate risks, adaptation and mitigation: what do central banks make of their economic effects? (1:11:04)
by Andrea M Maechler, Christine Lagarde, Francois Villeroy de Galhau, Jose Luis Escriva and Kazuo Ueda
9 Nov 2024 Green Swan Conference 2024』
でまあそこの画面をぽちっとなとしますとパネルがおっぱじまるのですが、この議論のまとめの部分になりまして、ロイターさんの報道していた植田さんの説明はだいたい上記動画の58分13秒くらいから話が始まっていまして、議論のクロージングをしているのですが、
「インフレ目標を特に変える必要はないという考えに私も同意」という話を58分49秒くらいからしていまして、そのあと、ロイターさんの記事にある「気候変動が経済に与える影響や、政府の脱炭素化促進策がインフレ期待に与える影響について、日銀は注視していく」ってのが59分2秒くらいからありまして、その後に記事にある「また、脱炭素化社会への転換を促すための政府補助金も短期的にはインフレ圧力を生むかもしれないが、基調的なインフレ率は現在まだ2%を下回っているため、日本は「当面はそのようなインフレ圧力に対応できる」」ってのが59分33秒くらいにございましたです。
でまあ動画見ていますと、「アザ―シングスアイウォンテッドトゥーセイ」とかした見ながら最後の「基調的な物価が2%を下回っている」云々のクソ余計な文言がぶっこまれているように見えるのですが、下見てるってえことはそれもしかして予定稿(またの名を想定問答)でも見てるんですかいな(その直前は別に下見てなかった)と思っちゃったりした次第でありまして、いやだから何でその「隙あらば利上げしない言い訳」をこんなところでもするのかね、と思ってしまいましたし、まあ利上げしたくないならしたくないで結構(結構ではないが)なんですけど、だったら変に「見通し通り推移したら利上げ」とか言わないでもろて頂きたい訳でして、昨日ネタにした主な意見もそうなんですけれども、なんか隙あらば利上げしない言い訳をすぐに並べてくるのと、「見通し通り推移すれば利上げ」っていうののギャップが大きいことがコミュニケーションの混乱を招いているんじゃないか、と常々思っていますが、これを見てまたその思いを新たにしましたな、というメモでございました。
#動画再確認とかしてたら時間がアレになってしまって本日は甚だ簡単で恐縮至極
2024/11/12
お題「結局財政拡張は変わらず(玉木事案雑談)/3Mがなんと7bp/10月主な意見は意見の粗さが気になりました」
〇まあゆうて財政拡張路線の方は死ぬことは無いでしょうから(某事案雑談)
ということで玉木大先生案件が発生しておりましたが、いやー昨日の朝このネタ気が付くのが遅くて書き物ネタにできませんでしたが、まあそもそも第一報の段階で書き物ネタにするもんか問題というのもありますけどwwwww
しかし釈明会見がまさか公共放送HPわざわざ実況中継してたのはクソ受けましたがそんなもん聞いているのは時間の無駄と思って聞いておりませんでした。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k10014634851000.html
国民 玉木代表 女性との不倫関係認め陳謝 代表は続投
2024年11月11日 14時16分
ネット見てたら「もともと玉木さんは迂闊と軽薄が服着て歩いているようなもん」という評がありましたが、まあ前からこの手の迂闊と軽薄は得意技(先般の東京15区衆院補選候補者問題でのやらかしは極めて遺憾なことになりましたよね)なのでどこかでやらかすだろうなあとは思っていましたけど早かったですなあ。
でもってさらにこれはつい半年前のお話ですので某案件が絶賛進行中の時になるかと存じますが・・・・・・・・・・
https://new-kokumin.jp/news/business/20240402_1
国民民主党 代表定例会見(2024年4月2日)
2024.04.02
『次に、今日も連合審査で議論が行われておりますけれども、いわゆるセキュリティクリアランス法案についてです。我が党としては、すでに法案の修正案を取りまとめました。今日は鈴木義弘議員、明日は浅野哲議員が質問に立つことになると思いますけれども、我が党の修正案は主に二つです。一つはいわゆる適性評価の調査事項の中に、海外では認められている「性的行動」、sexual
behaviorと英語では言いますけれども、この性的行動の節度に関する事項が入っておりませんのでこれを追加するということ。いわゆるハニートラップなどにかかっていないかどうかのチェックは必要だと思います。』(直上URL先の国民民主党玉木代表2024/04/02会見より)
ってのが実に味わいが深いとしか申し上げようがない。
という何とも情けないネタはさておきまして、まあゆうて減税だか財政バラマキだか知らんですけれども、別に国民民主がああだこうだ言われようとも、何らかの拡張的な財政政策というのはぶっこまれていくことになりまして、そう考えると昨日ネタしましたが、BISでの植田さんの発言、本当はこれ一般的な文脈としてグリーニアムのムーブメントによって一般物価に上昇圧力が掛かる場合に金融政策としてどう扱うべきか、という話題で、「日本の物価が2%行ってないから短期的に問題はない」というような話をするポイントではない筈で、なんでそういうしょうもないアピールしちゃうんでしょうかねえ国内ではこれから財政拡張が待っていますよ、ってなもんではあります。
まあアレです、「唯一最大の副作用はインフレ」という高圧経済アプローチをぶっこんで爆発炎上してこのタイミングで高圧経済とか言ってる馬鹿なのかポジショントークなのか自分の商売の為なのか知らんけど、目の前で欧州が苦労して、米国も結局は高インフレによる国民の怒りがチェンジを求めてトランプ大勝利(なおトランプはさらなるインフレ政策を実施するので「肉屋を支持する豚」状態なんですけど現状維持でもじり貧なら一発逆転を狙うというのはまあ人間の心理としてはよくわかる話っすよね)になっている、ということで高圧経済アプローチが高圧爆発を起こしてしまってエライことになっているのに、「高圧経済の副作用はインフレ」とか言いながら高圧経済やれとかいう無責任極まりないのがちったあ静かになってくれるのは良い事かもしれません。財政出すなら金融は最低でも中立に速く戻さないとダメでしょ。
〇3MTDBの利回りがなんと7bpに上昇とな
売買参考統計値ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(11/11引値)
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.070
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.070
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.070
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.070
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.065←新発3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.070
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.070←今週入札予定の3MWI
(11/8引値)
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.050
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.050
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.050←新発3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.050←今週入札予定の3MWI
ということで新発だけ6.5bpにされていますがまあ基本的にこの辺の銘柄全部7bpですし、1月償還のところも引値だけは7bpとかいうことになっておられます。まあ1月償還の3Mってバチクソ強い入札が連発していて、どこかの年末越えの国債というモノを確保したい人の懐に入ったまま出てこないのでその気配値段で買いに行ってもどうせ買いにいけないとかそういう物件になるのでしょうけれども(個人の妄想です)年末越え特殊ニーズが終わったのか、単に6Mと3Mの発行日に米国の退役軍人の日がぶつかって瞬間的に需給が悪化しているだけの話で海外が戻れば戻るのかは今日以降の動き次第ではあるんですけれども、とにかく年末越え3Mの入札が1bp張り付きとかいう無茶苦茶な状態が1か月レベルの長期にわたって続いたのは酷い話ではありました。とか言ってるとまた金利下がるかもしれませんが。
でまあ金利上がったぜヒャッホーと思いましたが、昨日も申し上げた通りよくよく考えてみたら足元のGCから15bpは低い利回りだわ、12月1月に利上げしたらその逆ザヤさらに拡大するんですけどという利回り(カレント3Mは2/17ですがこのイールドカーブの引き方は1月会合を織り込んでいませんわな、なお短国のイールドカーブ(??)はなんだか知らんが3Mカレントのところで分断されているので、3Mの供給量が需要に対して絶対的に足りないことが明白であり財務省は何か考えて頂きたいものです、
まあそもそもの時点でここまでの短国の買いがなんか他の商品と比較しての資金運用という訳ではなくて、担保需要とか、国債限定の投資を行うために選択肢が他にないとか、流動性規制などの規制があるので利回り低くても一定の国債買う必要があるとか、まあそのような諸々のお家の事情を抱えたお方と推察されますので、利上げ観測があるからじゃあ外しますか、って話にはなかなかならん(長期ゾーンからの退避資金なら長期の買戻しと見合いで出てきますかもね)と思うので、まあゆうて超異常金利が異常金利になるくらいまでが関の山かな、とあまり期待はしていません。
いつの日か3MTDBの入札時の平均利回りが「3か月物金利の指標金利」としての地位を確保できるような、真っ当な短期国債市場になっていただく、というかそうなりそうな時期はあったし、アタクシは昔から3MTDB(当時はTB)の発行利回りこそが指標金利である、と主張していた訳ですので、まあこの3MTDB利回りがちゃんと短期市場における先行きの金利見通しなども含めた真っ当な利回りになるまでは死んでも死なないように頑張ろうと思いますwwww
〇10月会合主な意見は「特になんもないじゃん」というのと「個別イシューのツッコミどころがちょっと」ですかね
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241031.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 10 月 30、31 日開催分
・持続的な「実質」賃金上昇とかいう幻想の話をするのやめてもろて
『T.金融経済情勢に関する意見』のところに、
『・ 今後は、実質賃金上昇基調の定着により、個人消費も拡大基調がより明確になるのではないかと考えている。賃金上昇から消費拡大への需要側の経路、さらには賃金上昇の価格転嫁という供給側の経路が円滑に機能しているかについては、今後もよく注視する必要がある。』
は???
名目賃金上昇基調なら定着してもおかしくはないですが、何で「実質賃金上昇が定着」ってなるんですかという話だし、あんたらがそうやって「賃金と物価の好循環」っていう幻想を振りまくもんだからどこぞの迂闊な方に「実質賃金2%増の定着までは金融緩和」とか無茶苦茶なことを言われるわけでして、お前ら中央銀行はそういう無理なのを分かっているのにバラ色のユートピアな幻想を振りまくんじゃねえよ止め役だと止め役、と思う訳でして、こういう意見が出ている時点でもうお前ら腹を切って地獄の火の中に投げ込まれるべきというお話なんですけど、
その先に賃金の話があって、さすがにまあちゃんと厳しい見方もあるので安心しましたが、
『・人手不足のもと、中小企業も含めて賃上げの必要性が当然視される状況になっており、来年の賃上げ率も高水準が続くと見込まれる。』
まあこれって持続的に賃上げするにはどうするんでしょうね、という話でよりこの意見の解像度を上げた意見がありまして、
『・支店長会議では、中小企業は業績が厳しい中で人材係留目的の防衛的賃上げを行っているとの声も多く聞かれ、賃上げの持続性には懸念がある。相応の時間がかかるが、持続可能な前向きな賃上げを実施できるよう、中小企業自身も生産性を高めるための一回り大きくなる事業構造改革に取り組むことが鍵になる。』
これはまあ仰る通りでして、そう安直に「持続的な実質賃金上昇」みたいな夢みたいなことを中央銀行が安易に言うもんじゃないという話なんですが、なにせこれ黒田末期から「物価と賃金の前向きの循環メカニズム」とか言い出していたわけですよね。
どうせ当初は実際の物価が2%超えとなっている中で、馬鹿緩和政策の修正を本来はすべきところを自分の積みあげた罪がバレるのがヤバイので後任におっかぶせて本人はさっさと逃げて勲章は貰うわ私の履歴書は書くわという薄汚い所業に走る黒田総裁様のために作ったクソ屁理屈だったと推察されるのですが(あくまでも個人の妄想です)これがどんどん独り歩きして言ってしまって今や迂闊おじさんに「2%の持続的実質賃金上昇実現まで金融緩和」とかいうような怪物に成長している訳でして、頼むからこの幻想を振り払ってもらわんと碌なことにならんぞ、というか既にろくなことになっていないのですが、まあそう思うのでした。
なお、さっきの最後は何となく中村審議委員っぽいのですが。中村さんの場合は言ってることはうなずけるのですが、結論が「そのためには緩和政策を継続」になるのがいただけませんなw
・インフレ経済による新陳代謝をリスク呼ばわりするのはどう見てもデフレ脳
でまあ労働市場関係ではこんなのがあったので実質賃金云々と異なりますがちょっとネタに。
『・人手不足による労働供給の制約から、収益性の低い事業分野からの撤退に伴う企業の事業縮小などを通じて、わが国経済の成長を減速させるリスクがある。』
???????
いやインフレ経済になると企業の新陳代謝が活発化して生産性向上からの潜在成長率ひきあげに寄与するって話じゃんなんですの今更、と思いました。
・これはぶぶ漬け話法????
同じく金融経済情勢の中でこんなのが。
『・中小企業の経営者からは、円安の修正を歓迎し、「経営に影響が大きいのは金利よりも為替だ」とする声がかなり聞かれる。また、各種のアンケート調査をみると、家計も円安の修正を歓迎しているのではないか。』
・・・・・・・・・//////
9月会合の主な意見だったらまあ素直に読めますが、この意見10月末の決定会合の意見でして、円安の修正などというものはこの時点でほぼすっ飛んでいる、という状況にあるわけでして、まあ素でいまの為替相場を知らん審議委員がいるとはさすがに思えませんから、これは所謂一つの「ぶぶ漬け話法」って奴で、折角円安修正をしたのに元に戻ってるんだがどういう事や、というのをはんなりとお示しにならはった、ということでしょうかwwwwwwwwwwww
なお、ぶぶ漬け話法と言えば政策委員の中に京都府出身京都大学卒業という属性の方がおいでになったかと存じますが(日銀HPの審議委員プロフィール見て味噌)さてどうなんでしょう。
・政策の話なんだがなんか論点が妙
『U.金融政策運営に関する意見』ですけれども、
『・米国経済のハードランディングのリスクや、ソフトランディングのために大幅な利下げが必要となる可能性は、若干和らぎ、米金利上昇とドル高の動きが出てきている。もっとも、その背景には、米国経済指標の改善だけでなく、大統領選挙・議会選挙への思惑もあり、』
とまあここまでは良いんですが、なぜかこの後
『市場が安定に向かっていると評価してよいかは留保が必要である。』
って話になっているのが意味不明にもほどがるわけでして、この人この続きでは
『もともと緩やかなペースの利上げを想定している中で、大統領選挙後の状況を含め、今後の展開を見ることはできる。』
で締めているんですけれども。市場の安定云々の評価の話が何でメインで来るのかというお話でありまして、重要なのは経済物価情勢と特に物価の今後の見通しであって、市場のプライシングがどうのこうのっていうのは変な事故でも起きていない限りはファンダメンタルズに沿って動くもんだから、市場がどうのこうのの評価に重きを置いたこの意見ってお前は何を言ってるんだ状態で全く意味が分からん意見ですな。
・不確実性の高まり??
『・内外における不確実性の高まりに鑑みると、金融政策運営をより慎重に行っていく必要があることから、今回は、金融政策は現状維持で良いと考える。』
米国経済の不確実性さがってるって認識の筈ですが、政治情勢が不安定だから金融政策運営を慎重に行う、っていうのは聞こえはいいんだがそれは金融政策自体が経済物価情勢から勘案して適切な水準にある時の話であって、日銀の場合は「徐々に正常化していこう」という話をしているという時点において、今の政策が移行期間中のやむを得ない措置として強めの緩和を実施している、んじゃなかったでしたっけという話で、だったら経済情勢に不確実でもあるならともかく、そっちは改善しているんだったら「より慎重に」はおかしくないかと思いますけどね。
・この理屈では一生緩和修正ができないんですが
『・米欧のインフレ率低下や、グローバル市場での価格競争の進展の影響もあって、物価の上振れ懸念は後退している。多くの経済データにより、企業業績、設備投資、個人消費、価格転嫁率、企業による事業構造改革の動向等の実態を評価し、「賃金と物価の好循環」の持続性に対する自信が強まるまで、当面、政策金利は現状維持でよい。』
この理屈言い出したら一生緩和修正ができなくて、まあどこかで弊害が爆裂して泣きながら引き締めをしないと行けなくなってその頃には「物価の番人がインフレ起こして怪しからん」と日銀の金融政策関連は業務召し上げになる、という将来しか見えませんがw
・「徐々に金利を引き上げていく」と「中立金利はわからん」はメッセージとして複雑すぎますね
しかしまあ何ですな。
『中立金利の水準についても金融政策の波及メカニズムについても不確実性が高いので、中期的な金利パスについて自信を持って市場に示していくことは難しい。』
じゃあ最初から「徐々に金利を引き上げていく」の文言に反対しろよ、と思います。
・減額措置を積極的に利用しろってどう見ても本末転倒
『・国債先物取引におけるチーペスト銘柄の需給ひっ迫というイールドカーブ・コントロールの副作用によって、国債市場の流動性の低下や金利の歪みが懸念される。それを軽減するため、国債補完供給の減額措置をためらうことなく利用してもらえるよう、引き続き促していくことが重要である。』
いやいやいや、それ本末転倒にもほどがあるだろという話で、何が本末転倒かというと、そもそもが減額措置なんてフェイルでどうしようもない場合のお助け措置であって、常設ファシリティみたいなもんじゃないのですから、そういう目的外使用を奨励するのは筋違いなんですよね。
だったら正面から日銀保有の国債についてスイッチングオークション(例えば発行額の何%以上日銀が保有している銘柄限定で売却対象にして買入とセットのスイッチングを行うとか)をするとか、ちゃんとそういう筋を通して日銀馬鹿買入の収拾をしてほしいんですよね。
あとこれ何が本末転倒かというと、じゃあ、ということでこの方法で減額措置を皆さんがホイホイと使うようになった場合って、「輪番減額」との整合性はどうなっているのかという話になるわけでございまして、あんなにああでもないこうでもないギャーギャーやって金額を決めてそれを機械的に運用しようと言っている中で、片方の蛇口から減額措置でホイホイと国債の事実上の売却が進んでいくんだったら、何であんなに大騒ぎして輪番の話をしたんだと小一時間問い詰めたい訳でして、まあ減額措置をご自由にお使いください、というのは筋悪議論(減額措置自体の設計にも微妙に微妙なアレがあるんだがその話はさておく)でしょとしか申し上げようがなく、それならスイッチングオークションの実施を真剣に検討するのが筋ってもんだと思います。
ということで、政策の方向性に関する話はマジでどうでもよい(「主な意見で買い安心感」とか昨日ベンダーに前場出てた気がしたが意味わからん)状態で何もメッセージは無かったのですが、なんちゅうかツッコミどころはいろいろとあったなあという主な意見でした。
2024/11/11
お題「短国3M久々の5bp/植田さんまた微妙に脇の甘い発言を(インフレ圧力に対応できる云々)/カシュカリ発言メモ」
産経がこう書くのは中々味わいがある
https://www.sankei.com/article/20241108-AZ2UZCKJENPB5JPOTKUDPYFQLU/
国民民主、財源確保は「政府・与党の責任」 「103万円の壁」解消へ自公と強気の協議
2024/11/8 19:00
リフレ推しの産経新聞にしては珍しいなと思いました(小学生並みの感想)。
〇短国3Mの金利が久々に上昇した件(なお絶対水準orz)
金曜の3M入札
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241108.htm
国庫短期証券(第1268回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1268回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1268回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年11月11日
4.償還期限 令和7年2月17日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆940億円
(2)募入決定額 3兆3,663億8,000万円
(3)募入最低価格 99円98銭6厘5毛
(募入最高利回り) (0.0502%)
(4)募入最低価格における案分比率 61.1525%
(5)募入平均価格 99円99銭3厘1毛
(募入平均利回り) (0.0257%)』
とまあそういう訳で、前週の3Mが0.86bp平均足切り1.5bpとかいう地獄絵図のような入札でしたが、その後のセカンダリーで1bp割れとかにならなかったり、木曜入札の6Mが足切り20bp乗せまで流れたり、ということでその流れが継続して3Mの金利が上昇。
まあ何ですな、先週の6Mとこの3Mって発行日が11/11という要するに今日なのですが、今日ってベテランズデーでアメリカン休日にあたっているので海外のニーズが乏しいってことによる特殊要因となっているのか、それとも2/17足ということで、一応12月1月に利上げと考えた場合に大逆サヤ時間帯の長さが影響しているのか、まあ単純にただの前者要因のような気がしますが、それにしましても金利水準がこの世のものとは思えない異常なレートになっている状態が延々と続く短国市場の金利なので上がってもろてよろしくってよというお話ではあります。
しばらく前に10/15発行1/20償還という3Mがあったわけですが(入札があったのは10/11)、この時は償還日がキング牧師誕生日だったんですけど知らんがなという勢いで強くて、今回は発行日の方になるから買えないだけ(償還の方は償還前に入れ替えてしまえばいいだけの話説はあるので)とかいうことで今週のどこかで強くなったら泣く予定ですけどwwwまあアホみたいな需要が少しは改善していただければと(お祈り)。
あと3Mですけれども、応札額今回80940億円になっているのですが、前回が95872億円、前々回が107273億円(その前は105411億円)という推移でして、この間発行予定額には変化がありませんので、要はこの2回にわたって応札倍率が低下してきているというムーブになっております。半期末抜けてちょうど年末越えが出ました、からの10月の一連の流れで3Mがこの世のものとは思えないレートでずーっと来ていましたが、その間3Mの落札利回りが低下するという恐ろしい流れの中で、さすがに応札するマーケットメーカーの皆様も応札絞っておこう(直接ぶっこんでくる投資家の事情は知らんけど)というムーブになってくるわなと思いましたが、応札8兆円というのは海外札が見えなかったので減ったのですかねえ、知らんけど。
まあ札が少なかったのも足切りが久々に流れる要因だったんでしょうね。
でもって金曜の短国引けちゃんですが、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(11/8引値)
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.050
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.050
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.050←新発3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1269 2025/02/25 平均値単利 0.050←今週入札予定の3MWI
(11/7引値)
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.015
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.015
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.015
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.012
国庫短期証券1268 2025/02/17 平均値単利 0.015←新発3M
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.065
という事で、軒並み引値を新発3Mの足切り水準に寄せて金利が上昇してきました(1年短国の成れの果ての2/20償還は後ろに引っ張られて値付けで面白段差が付いていたのが金利低下の方で是正されたのはご愛嬌)ので、セカンダリーでモリモリ買いが来て盛り返したという訳でもなく、あっさり味で足切り水準まで修正してくる格好になっておりますが、これがホンマモンなのかただの瞬間芸に終わるのかは今日以降の状況と金曜の入札どうなるのかというのが焦点になりますわな、という所ですかね。
まあアレです、どうせもうすぐ感謝祭ですしアメリカンの皆様におかれましては年内いっぱいクリスマス休みで短国市場に出て貰わんで頂いて(無茶苦茶)よかバイとw
それから東京レポレートですけれども、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
茲許の推移がですね(ちょっとだんだらになります)
O/N T/N 1w 2w 3w 1m 3m
2024/10/21 0.236 0.236 0.201 0.201 0.201 0.201 0.211
2024/10/22 0.229 0.232 0.204 0.202 0.202 0.203 0.212
2024/10/23 0.241 0.235 0.203 0.202 0.202 0.204 0.212
2024/10/24 0.239 0.230 0.202 0.203 0.202 0.204 0.212
2024/10/25 0.240 0.239 0.204 0.203 0.203 0.205 0.213
2024/10/28 0.240 0.236 0.204 0.203 0.203 0.206 0.213
2024/10/29 0.137 0.183 0.203 0.203 0.203 0.205 0.213
2024/10/30 0.174 0.143 0.189 0.201 0.202 0.202 0.214
2024/10/31 0.178 0.234 0.201 0.201 0.201 0.202 0.213
2024/11/1 0.241 0.240 0.203 0.203 0.202 0.204 0.230
2024/11/5 0.238 0.238 0.204 0.204 0.204 0.207 0.239
2024/11/6 0.240 0.233 0.204 0.204 0.204 0.207 0.241
2024/11/7 0.226 0.231 0.204 0.204 0.204 0.207 0.243
2024/11/8 0.164 0.235 0.204 0.204 0.204 0.208 0.246
3Mがトランプ2爆誕以降じり高になっているのも味わいがありますが、手前のGCのオーバーナイトとかトモネとかのところですけれども、10月末のところでちょっと下がったなと思ってネタにもしたような気がしますが、金曜は金曜でT+0オーバーナイトのGCレートが急に下がったりしていまして、ここもと何らかの需給要因が発生して突然足元のGCが下がるというのが発生するようになってきましたな。マイナス金利解除直後は短国マーケットメーカーの在庫要因(新発の発行日になると在庫を持つので重くなり金曜の次回債入札に向けて在庫が軽くなる)があって週前半スタートの翌日物の金利が高くて週後半の金利が低いってのがありましたが、それとはまた微妙に違うのかどうか。気になったのでメモっておくの巻です。
〇気候変動関連の会議だそうですが「財政支出によるインフレ圧力に対応できる」はどう見ても自爆発言です植田さん
https://jp.reuters.com/economy/inflation/XYLFN7K4SBOM3CVXULPORXKVFM-2024-11-10/
気候変動の影響注視しつつ2%インフレ目標維持したい=日銀総裁
By 木原麗花
2024年11月10日午後 12:14 GMT+9
『[東京 9日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は9日、スイスのバーゼルで国際決済銀行(BIS)などが主催した気候変動関連の会合に出席し、気候変動が将来の物価動向に長期的なショックを与えるとしても、日銀は2%のインフレ目標を維持したいと述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ということだそうでして、まあ気候変動関連のお会議のようですので目先の話をしているわけではないのですけれどもこれはいただけません。
『また、脱炭素化社会への転換を促すための政府補助金も短期的にはインフレ圧力を生むかもしれないが、基調的なインフレ率は現在まだ2%を下回っているため、日本は「当面はそのようなインフレ圧力に対応できる」と語った。』
うーんこのという感じでして、これどういう文脈で話をしているのか分からんので何ともではあるのですが、これ気候変動関連での補助金によるインフレ圧力に関して「問題ないし対応できる」って言ってしまうのはどこからどう見ても自分で自分の首を思いっきり絞めるはなしでして、これは「高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ」と仰せになっていた国民民主党に免罪符を与えたようなもんでして、ここから先政府がアホみたいなガバガバ財政を出してきた挙句に日銀に対して利上げ遅らせろプレッシャーかけて円安になったり生活物価中心に物価が上がって国民の怨嗟の声が高まった時に、「インフレ圧力に対応できる」とか大見得切ってしまっていたら、日銀がこの国民の怨嗟の声を一手に引き受けさせられることになるわけでして、国民民主だって最初のマクラのところに引用したように「ワシら減税主張するけどその主張を飲むなら財源考えるのは与党の責任」という世界線で生きている(それじゃあ連立与党には一生入れませんわなあ(嘲笑)と思いますが)人たちなので「唯一最大の副作用はインフレ」と言って高圧経済アプローチを呑ませに行ったあとのインフレ批判は日銀に全部おっかぶせるの明々白々なのでありまして、そんな状況なのに「財政補助金の支出によるインフレ圧力に対応できる」とか言い切ってしまうのは間抜け以外の何物でもないんですが、どうしてこう脇が甘いんですか植田さんは・・・・・・・
植田さん、総裁になって1年半もたっているんですから、発言がチェリーピッキングされて好き勝手な解釈をされることと、運が悪いとそれがどんどん独り歩きして後から自分の背中をさす刃になりかねないことに関していい加減自覚的になられた方がよろしいんじゃないですか、と思います。
まあ文脈としてどのように言ったのか、この記事自体もエライ短い記事なので、端折った挙句にこういう内容になっている可能性はある(木原さんの記事だから変な捻じ曲げはしていないのは信用できると思いますけどね)ので何なのですが、何で「当面はそのようなインフレ圧力に対応できる」って言ってしまうのか、ごくごく普通に「財政出動規模、内容によっては短期的なインフレ圧力だけにと留まらない可能性もあるので今後の気候変動対応の議論に関してはその影響を常に考えていく必要がある」とかなんとかフニャフニャした回答をしておくべきだと思いますよ。こんなの玉木さん大喜びですわよいやマジで。
でまあブルームバーグでも報道があったわけですが、こちらは植田さんの発言を箇条書きにした格好になっていまして(もしかしたら詳しいのが他にあるのかもしれないですけどネット版だとこれが最初に見えてしまうので)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-10/SMPMW3T1UM0W00
植田日銀総裁、グリーン投資による物価上昇圧力は対処可能
藤岡徹、エディ・ダン
2024年11月10日 10:44 JST
『日本銀行の植田和男総裁は日本の物価上昇率が2%を下回っている現状では、グリーン投資によるインフレ圧力にはしばらく対処できると、スイスで開催された国際会議で9日述べた。』(上記URL先より)
でまあ以下箇条書きになっている植田さんの発言を見ると、気候変動対応に関する政策がどのような影響を与えるか、という話の文脈で説明している話ではあるんですが、こんなの賢しらに「インフレ圧力にしばらく対処できる」とか言う必要ないじゃん以下同文、という話でして、1年半ミスコミュニケーションを繰り返しているのにこの脇がガバガバに甘いの何とか改善しないもんですかねえとしか申し上げようがない。
まあ植田さんがフリーで言ってるのか、大本営の振付師の通りに踊っているだけなのかはよくわからんのですけれども、大本営の振付師の振付でこの発言させてるんだったら、振付師ちょっとお前その席どけやという話で、ミスコミュニケーションの反省が全然ない(我々の発言を理解できない市場が悪い、としか思っていないとそういうムーブになりえる)のが植田さんなのか振付師なのかはわかりかねますが、いずれにしましてももうちょっと脇を締めて頂かないと政局だって不安なんだからいつなんどき日銀に集中砲火が向いてくるか分からんという緊張感をもって頂きたいものです(黒田時代にすっかり弛緩してしまって全然治っていない感が強いんですよ傍からみてると)。
〇まあトランプの政策インフレ的ですからねえ(カシュカリのインフレ鎮静化遅れへの懸念発言をメモ)
カシュカリ大僧正
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-10/SMQW1CT0G1KW00
ミネアポリス連銀総裁、景気は力強いもインフレ退治は終わっていない
Alicia Diaz、Catarina Saraiva
2024年11月11日 3:16 JST
『ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は10日、米金融当局がインフレとの闘いで進展する中、米景気は著しい強さを維持しているが、当局はまだ「完全に帰還したわけではない」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうという話ですが、まあ一方で大僧正は大僧正なので、
『9月に連邦公開市場委員会(FOMC)に公表した予測では、11月と12月の両方で0.25ポイント利下げを実施する可能性が高いとされていた。カシュカリ氏はこの見方を改めて示し、12月の「追加利下げがあり得るのは確かだ」と話した。』
ということで12月の利下げ(さすがに25でしょうね)に関してはやる気ありそうな説明になっておられますが、トランプ政権がインフレ的な政策をとってくる可能性に関して
『トランプ次期米大統領は不法移民の一斉国外追放を公約しており、米経済や労働市場にどのような影響が及ぶのか疑問が浮上している。カシュカリ氏は、こうした国外追放は一部の米企業に「混乱」をもたらす可能性があるとしつつ、移民労働者の流出がインフレにどのような影響を及ぼすのかは不明だとした。』
とまあそういうことで下手な決め打ちはしないでおられるようですが、これ積極財政と金融引き締めのセットってまさにレーガノミクスじゃねえかということで、そらまあ財政ポジション悪化するわなというお話になるので、こちらは先週金曜の既報にも程がありますが
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/2P5DBXX6QFPRHD4S3VQVJXIYSQ-2024-11-08/
米の財政健全性リスク高まる、トランプ氏当選で=ムーディーズ
By ロイター編集
2024年11月9日午前 6:21 GMT+9
ってなりますわよね、というような感じです。中長期的にはアメリカの方がもっとひどいとか言うことになるのかもですがさてどうなるやら。
ということでメモばっかりで甚だ恐縮ですが今朝はこの辺で。
2024/11/08
お題「FOMC声明文とか/6M短国の入札金利が久々に上がったので関連メモ/9月MPM議事要旨(その2)」
FOMCネタの後に他のネタも入れております本日は。ということで下の方もご覧いただければ甚だ幸いでありまする。
〇FOMCレビュー:声明文比較だが今回はあまり色を出していない感じの声明文ですかね
いつものことだが市場の反応という答え合わせ見ないで書いているが今回のだと先行きについて声明文は何も言ってない感じがしました。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241107a1.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240918a.htm(前回9月)
・第1パラグラフ:労働市場に関しては「今年の早い時期以来コンディションが緩和」というジェネラルな表現になりましたな
『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.』(今回)
『Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace.』(前回9月)
この全体状況判断は変化なし。
『Since earlier in the year, labor market conditions have generally eased,
and the unemployment rate has moved up but remains low.』(今回)
『Job gains have slowed, and the unemployment rate has moved up but remains low.』(前回9月)
労働市場の認識ですが失業のところは同じで全般的なのは「年の早い時期以来全般的に緩和」というふわっとした全体観の表現になっていますね。まあこれはどう解釈するのかは難しいが、特に現状判断を顕著に上下させたようなニュアンスはなさそうに見えます(ワイはスーパードメスティックおじさんなのでそれでいいのかは知らんけど)。
『Inflation has made progress toward the Committee's 2 percent objective but remains somewhat elevated.』(今回)
『Inflation has made further progress toward the Committee's 2 percent objective but remains somewhat elevated.』(前回9月)
こちら「ファーザー」が無くなりましたが、まあゆうて前回は利下げ一発目だった訳でして、インフレーションの鎮静化にファーザープログレスがあったら利下げしまっせという触れ込みでしたから、そこを強調する必要があったということだと思うので、その意味では別にここから先に一々「ファーザー」を入れる必要もなし、と思えばまあ別に外れたからどうという話ではない気がします。知らんけど。
・第2パラグラフ:利下げ着手のためにぶっこんでいた文言を外しただけなので言ってることは前回と同じ
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回9月)
これはいつもの開経偈です。
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals are roughly in balance.』(今回)
『The Committee has gained greater confidence that inflation is moving
sustainably toward 2 percent, and judges that the risks to achieving its
employment and inflation goals are roughly in balance.』(前回9月)
前回は物価2%マンデートへの鎮静化に向けた「グレーターコンフィデンス」ができました云々、というのがありましたが、これは先ほどのファーザープログレスと同様で、利下げ一発目に際してそれまで言ってた「インフレがファーザープログレスをして2%マンデートへのグレーターコンフィデンスが得られれば利下げに転じる」というお約束があったために入っている文言であって、抜けたからどうということではないですし、中銀文学においては余計な文言がすくなければ少ないほど中央銀行が今の状態や先行きの見通しに対して自信ニキであることを意しますので、グレーターコンフィデンス抜けているのは無問題無問題。
『The economic outlook is uncertain, and the Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(今回)
『The economic outlook is uncertain, and the Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.』(前回9月)
ここは同じですね。
・第3パラグラフ:25bp利下げでその他言ってることは特段変わっていませんね
『In support of its goals, the Committee decided to lower the target range
for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 4-1/2 to 4-3/4 percent.』(今回)
『In light of the progress on inflation and the balance of risks, the Committee
decided to lower the target range for the federal funds rate by 1/2 percentage
point to 4-3/4 to 5 percent.』(前回9月)
これまた前回は利下げ一発目でしたのでゴテゴテと理由がありましたが、今回は「目標に向けての動きをサポートするため」とシンプルなものになりましたな。
『In considering additional adjustments to the target range for the federal
funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving
outlook, and the balance of risks.』(今回)
『In considering additional adjustments to the target range for the federal
funds rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving
outlook, and the balance of risks.』(前回9月)
同じですな。
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities.』(今回)
『The Committee will continue reducing its holdings of Treasury securities and agency debt and agency mortgage-backed securities.』(前回9月)
利下げ局面になっても同じくバランスシートの正常化は継続。
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective.』(前回9月)
ここも同じですね。
・第4パラグラフ:今後の金融政策がどうしたこうしたという部分は今回もいつも通りに文言一致
4パラは最近毎度同じなのでめんどいからパラグラフごと引用しますw
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(前回9月)
・第5パラグラフ:今回は全員賛成ですね(前回はボウマン理事が25bp利下げを主張して反対)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Beth M. Hammack;
Philip N. Jefferson; Adriana D. Kugler; and Christopher J. Waller.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Beth M. Hammack; Philip N. Jefferson;
Adriana D. Kugler; and Christopher J. Waller.
Voting against this action was Michelle W. Bowman, who preferred to lower
the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point at
this meeting.』(前回9月)
ということですが、じゃあ会見で何話してますねんというのまでは時間が無いのでパスしますけど、基本的に今回は利下げ自体は行っているのですが、なにせトランプ大先生爆誕なので、もともとあんまりフォワードのコミットメントをしないようにしているところにさらに輪が掛かったんじゃないですかねえという気はしますが、はてさてどうなんでしょ(そろそろ答え合わせするかな)。
・インプリメンテーションノート:ディレクティブを見ましたが各種ファシリティ金利はフルスライド、応札限度などは不変ですね
PDFだとそのまま出てくる奴です、HTMLだと声明文最後にあるリンクを踏みにいかないと出てきません。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20241107a1.htm(今回)
November 07, 2024
Implementation Note issued November 7, 2024
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240918a1.htm(前回9月)
これ前回比較の引用とかしているとクソ長くなるので引用比較は割愛しますが、各種オペレーションの適用金利やプライマリークレジットの適用金利、各種オペの応札限度額などに変更はなく、資産残高減少に関してもその減額ペースのマンスリーキャップは前回と同じとなっていて、特段実務的に妙なことはしていない、という感じになっています。
〇会見見ている時間は無いのですがオープニングリマークの最後だけ気になった
会見(今の時点で出ているのはオープニングリマークのみ)
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20241107.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference Opening Statement
November 7, 2024
目を泳がせただけなのでちょっと前回比較とかそういうのやるほど読めていないのですけれども、思いっきりここは引っかかりました。
『We at the Fed will do everything we can to achieve our maximum employment
and price stability goals. Thank you. I look forward to our discussion.』(今回)
この最後の部分、前回まではこうだったんですよね。
『We at the Fed will do everything we can to achieve our maximumemployment
and price-stability goals.Thank you. I look forward to your questions.』(前回9月)
『We at the Fed will do everything we can to achieve our maximum-employment
and price-stability goals. Thank you. I look forward to your questions.』(前々回7月)
ハイフンだかダッシュだかはどうでも良いのですが、最後の最後、今までは「質問をどうぞ」だったのですが、今回は「さあ議論しましょう」になっているのはどういう風の吹き回しなんでしょう、まあ誰か質問しそうですけれども・・・・・
〇6M短国久々にレート上がったわと思ったが冷静に考えたら絶対水準はアレであるw
昨日は6M短国があったんですけどね。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241107.htm
国庫短期証券(第1267回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1267回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1267回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年11月11日
4.償還期限 令和7年5月12日
5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆6,015億円
(2)募入決定額 2兆7,677億8,000万円
(3)募入最低価格 99円90銭0厘
(募入最高利回り) (0.2007%)
(4)募入最低価格における案分比率 21.1140%
(5)募入平均価格 99円90銭6厘
(募入平均利回り) (0.1886%)』
ということで何と!足切りが0.20%に乗ってしまいましたよ流石はトランプ効果(なのか?)という風情でして、何せここもとの6M入札って7月末の利上げ以降、
10月発行分(1261):平均0.0702%、足切り0.0862%
9月発行分(1255):平均0.0867%、足切り0.0907%
8月発行分(1248):平均0.0948%、足切り0.1109%
ということで、後ろに行けば行くほど足が長くなっているというのにドンドン金利が低下する、というこの世のものとは思えない価格が形成されていまして、付利金利対比もそうだし利上げ織り込みもそうですし、もはや金利商品とは思えない価格が堂々とまかりとおっていたわけで、20bp足切りとかやっとまともなレートになってきたわ。と喜んでいたのですが、冷静に考えたらこれでも付利より5bp金利低いし、利上げになったら付利対比30bp逆ザヤになりますが何なんですか、という世界の金利になっておりまして、モノとしての短国ニーズばっかりという頭おかしい相場になっていた訳でございますな。
いつもの売参ちゃんを見ますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1261 2025/04/10:平均値単利 0.150
国庫短期証券1226 2025/04/21:平均値単利 0.150
国庫短期証券1267 2025/05/12:平均値単利 0.190←昨日の新発6M
国庫短期証券1226 2025/04/21:平均値単利 0.150
国庫短期証券1267 2025/05/12:平均値単利 0.190
とかいう謎の面白イールドカーブになっていますが、まあ常識的に考えまして新発6Mの引けの方が実勢でしょう(他の銘柄は6Mと1Yの成れの果てで発行から時間が経過しているので、基本的に投資家の持ち切り玉がなんかの拍子に出てこない限り需給状況がまともじゃない)ということで、そりゃまあ5/12償還だったら3月利上げでも残り1か月半くらいはあるのですからねえ、というレートになってくれて(付利対比低いの何とかならんかとは思うが)ほうほうこれはこれはという所でございまして、やはりトランプでインフレ圧力からの日本にも利上げ圧力、という連想かと思うと熱いのですが、実際問題としてはよー分からん(6Mは年限的に中途半端なので入札時の状況によって新発ニーズがぶれやすい、というのは昔そういう感じだった)ですけど、まあその前が10bp割れですのでちょっと目立ちましたな。
あと、決定会合のどさくさでネタにしなかった先週金曜の3Mですけど、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241101.htm
国庫短期証券(第1266回)の入札結果
『 本日実施した国庫短期証券(第1266回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1266回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年11月5日
4.償還期限 令和7年2月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 9兆5,872億円
(2)募入決定額 3兆3,802億6,000万円
(3)募入最低価格 99円99銭6厘0毛
(募入最高利回り) (0.0150%)
(4)募入最低価格における案分比率 95.9189%
(5)募入平均価格 99円99銭7厘7毛
(募入平均利回り) (0.0086%)』
ということで平均0.86bp、足切り1.50bpとなっていまして、前週のが平均0.11bp、足切り0.74bpとかいう地獄入札よりはマシになっていてまして、その後も1bp辺りが引値になっていまして、木曜の売参だと、
国庫短期証券1264 2025/01/27:平均値単利 0.015
国庫短期証券1248 2025/02/10:平均値単利 0.015
国庫短期証券1266 2025/02/10:平均値単利 0.012←先週入札のあったカレント3M
国庫短期証券1268 2025/02/17:平均値単利 0.015←今日入札のある新発3MWIの引値
国庫短期証券1214 2025/02/20:平均値単利 0.065
とかいう1268と1214の引値の段差は何なんですのという謎のイールドカーブを形成していますが、カレントの引けが1.2bpで今日の新発WIが1.5bpということで、相変わらずレートは地獄の低金利になっているのですが、それでも1bp割れとかいうのが無くなる位にはニーズ後退しろよなという所でありまする。
ちなみに6Mと言えばみんな大好き(マニアしか大好きじゃない)特会借入入札というのが水曜日にありましてですね、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241106.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第4条第1項
2.借入日 令和6年11月15日
3.償還期限 令和7年5月15日
4.償還方法 令和7年5月15日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 6兆4,879億円
(2)募入決定額 1兆2,990億円
(3)募入最高利率 0.347%
(4)募入最高利率における案分比率 80.0000%
(5)募入平均利率 0.331%』
ということで、思いっきり似たようなテナーでこちらのレートは平均0.331%の足切り0.347%になっておりまして、金利上がってだいぶマシになったとは言え、相変わらず特会借入と短国入札のレートがほぼ同じ期間でどんだけ違いますねんというお話だったりする訳で、まあ元をただせばゴミみたいな効果しかないというかそもそも効果があったのかも謎なロングの資金供給オペを乱発して、その際にも弊駄文のように「将来にわたって担保繰りを圧迫することになるので国債買入よりもタチが悪い」という指摘は各方面からあったと思うのですが、馬鹿のように馬鹿オペを打って結果として出口でこのような短期リスクフリーレート市場の無茶苦茶な価格形成につながっている訳でして、罪万死に値するわと思ったらこの前何を思ったのかで甚だ見苦しい提灯ペーパーが出てきて卒倒しそうになったのですが、タイミング間違えてうっかり読むと脳溢血でも起こしそうなので印刷だけしてまだ読めていない多角的レビューシリーズのペーパーがあったんですよね。
などと話がそれまくって居ますが、この特会借入の金利を例によって例の如く期間案分してみますと、1月会合までで切って手前の金利を0.25%とした場合、1月会合で利上げ(翌営業日の1/27から付利金利変更)と思って案分すると1/27〜の金利が0.413%くらい、なお3月会合(翌営業日は3/21)で案分すると手前が0.25%とした場合後ろの金利は0.569%くらいとなりまして、3月での利上げはフル織り込み以上となっている、というのが足切り金利からの計算になりまして、平均から同じのを計算しますと1月会合以降が0.386%くらい、3月会合以降が0.5166%なので、3月での利上げをフル織り込みって感じになりますので、割と違和感のないレートに仕上がっている次第でして、短国市場がどれだけスカポンタンなレート形成になっているのか、というのが見て取れるのではないでしょうか。
とまあそんな訳で本日は3M新発の入札があるのですがさてどうなるやら。
〇9月決定会合議事要旨(その2)
昨日の続きでごわす。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240920.pdf
政策委員会金融政策決定会合 議事要旨
(2024年9月19、20日開催分)
昨日は『V.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の先行きの政策運営がどうのこうの、の最初のパラグラフで時間切れになりましたのでその続きから参ります。
・「円安修正されたから時間的余裕ができた」のなら為替が元に戻ったら時間的余裕はない筈
時間的余裕云々の話が次のパラグラフになるんですけどね。
『何人かの委員は、最近の為替円安の修正に伴って、輸入物価上昇による物価上振れリスクが減少していることを踏まえると、米国をはじめとした海外経済や金融資本市場の動向が、わが国の経済・物価見通し等に及ぼす影響を見極める時間的な余裕はあると指摘した。』
もともとは円安修正が行われたから時間的余裕ができた、という説明でしたし、この会合の前後でもこういう説明になっているのですが(総裁会見や大阪講演)、直近の10月会合で時間的余裕を撤回しましたが、植田さん「時間的余裕」についてこういう説明をしているんですよね。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241101a.pdf
総裁記者会見
――2024年10月31日(木)午後3時30分から約65分
3ページの最終段落辺りからになりますが、植田さんの説明を再確認してみましょう。
『(答)前半ですけれども、時間的余裕という表現についてですが、やや長くなるかもしれませんが、私どもこの表現を使い始めたのは
8 月に入って以降だと思います。それで、その理由と致しましては申し上げるまでもないかと思いますが、当時の、特に米国の弱い雇用統計、予想以上に弱かった雇用統計、こうしたものに影響されまして、マーケットが非常に荒い動きになったというようなことを、非常に重要な現象だし今後の日本経済をみる際にも重要なリスクと判断しまして、ある意味他のリスク以上にここについて注意深く検討していかないといけないと、この姿勢を注意深く検討していくという意味で、時間的余裕を持ってみていくという表現で表したところでございます。』(この部分だけ直上URL先の10/31決定会合後の植田総裁記者会見より)
・・・・とまあそういうことで、さすがにこの議事要旨の書きっぷりは誤魔化しようがない(なぜなら前述のように9月会合の記者会見やその直後の大阪講演で議事要旨引用部分と同じ説明が入っているから違う書き方をしたらそっちの方との整合性が取れなくなるから)ので、直近の説明との整合性の方が取れなくなっておりまして笑うしかない訳です。
これも昨日ネタにしましたように、8月9月が金融市場動向というか株安にビビって全面降伏ポツダム宣言受諾状態の内田講演を行って以降の株式市場従属モードであった、という過去を誤魔化すために米国経済ガーをぶっこんでくる、という植田日銀になってから謎にその傾向が酷くなった「自分たちのやっていることは無謬」というのを取り繕うために屁理屈の昭和温泉旅館の絶賛大増築を繰り返すという所業が10月会合になってぶっこまれた、というのが分かりやすく示された一節ではなかろうか、と思うところであります。
円安修正があったから点検する時間的余裕ができた、というのを引っ込めたのは言うまでもありませんが、円安修正が元の木阿弥に戻っていると時間的余裕がないということになるし、時間的余裕がないのに10月会合で政策修正しないんですかと問われると回答が不能になってしまいますので、10月会合で円安修正がどうのこうのと言ってない訳ですな、あっはっは。
・何を言っているのか分からない書き方で議事要旨に載せるならもっとマシな書き方にならんのか
なおさっきの続きですけどね。
『。一人の委員は、現在のわが国の経済・物価は、一定のペースで利上げをしないとビハインドザカーブに陥ってしまうような状況にはなく、金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはないと指摘した。』
そもそも「金融資本市場が不安定な状況」とは何ぞやという所から話がおかしいし、「一定のペースで利上げをしないとビハインドになるような状況ではない」ってのもじゃあその「一定のペース」ってどういうペースだよという話で、3か月に1回でも半年に1回でもはたまた1年に1回でも「一定のペース」になるわけで、この馬鹿は曖昧な言葉の定義もしないで何を言ってるんだというお話ですな。
・その後も政策修正に関する時間的余裕がらみの話ですけどなんかここの記述全般的に変なんですよね
でもってその続き。
『別のある委員は、政策金利は、見通しに大きなマイナスの変化がないことが確認できるのであれば、時間をかけすぎず、引き上げていくことが望ましいとの考えは不変であるが、利上げ自体を目的としているわけではないと述べた。この委員は、日本経済の健全な成長に対する期待に見合う水準程度まで徐々に上げていけることが理想であり、センチメントが実体経済に及ぼす影響も考慮し、政策変更には適切なタイミングを選ぶ必要があると付け加えた。』
これ田村さんかと一瞬思いましたが、田村さんらしき意見はこのパラの最後に出てくるので田村さんじゃない誰かっぽいのですが、こちらの方が言う「利上げ自体を目的としているわけではない」ってのも腰が引けてるなあとは思う訳でして、「過剰な金融緩和はプロコンの観点から言って望ましくない」と考えるのであれば、過剰な金融緩和の修正こそが正義なのですから、利上げ自体が目的になるでしょ、という話になるわけですから、まあ9月会合でどんだけハトハトチキンな流れだったのか、という場の雰囲気が垣間見られる腰の引けた感じの意見だわな、とおもいました、まる。
『一人の委員は、米国については、金利上昇・低下の両方向の展開がありうることから、わが国の金融政策についても、状況をしっかりと見極めたうえで、落ち着いて判断していくことが望ましいと指摘した。』
これもよく考えたら意味不明な文言で、「米国経済の上振れ下振れ」という話をするなら意味が分かるのですけれども「金利上昇・低下」ってナンジャソラな話でして、お前ら経済実態見ないで金融市場だけ見てるんじゃないか、という記述になりますけれども、一方で昨日引用したように、この1個前のパラグラフでは「多くの委員は、政策判断にあたっては、内外の金融市場の動きそのものだけではなく、その変動の背後にある米国をはじめとする海外経済の状況などについても、丁寧に確認していくことが重要であるとの見解を示した。」ってあったわけでして、その話を多くの委員がしているにもかかわらず、実体経済の状況の上振れ下振れじゃなくて、米国金利の上昇低下、って話が一人の委員から出てきてしまう、っていうのは何か妙ですよね、と思いました。
まあそんなこんなでこの議事要旨、いろいろと妙なんですよ読んでて引っかかること引っかかること。
ということでもうちょっとあるので引用しますが、
『この間、ある委員は、現時点では市場の動向を確認していくことが適切であるが、先行きの経済・物価情勢次第では、金融資本市場が不安定でも、政策金利の引き上げが適切となることもありうると述べた。そのうえで、この委員は、経済・物価がオントラックで推移していく場合、早ければ
2025 年度後半の1.0%という水準に向けて、段階的に利上げしていくパスを考えていると付け加えた。』
これはどう見ても田村抜刀斎です本当にありがとうございました。でも抜刀斎ですら「現時点では市場の動向を確認していくことが適切であるが」とか言ってしまっているのは、9月会合がどれだけハトハトチキンムードの中で実施されていたか、ということの証左ではないかと存じます次第ですな。
・でもってコミュニケーション
『委員は、金融政策に関するコミュニケーションについても議論した。』
『多くの委員は、7月の決定会合における政策金利の引き上げが--経済・物価が見通しに沿って推移していけば、金融緩和の度合いを調整していくという方針を示してきた中でも--市場からサプライズと受け止められたことを指摘した。』
>経済・物価が見通しに沿って推移していけば、金融緩和の度合いを調整していくという方針を示してきた中でも
くやしいのうくやしいのうwwwwww
(ちなみに本論と関係ないですが、最近このダッシュを二本並べるのを使うのが良く出てくるのですが、このダッシュ二本をやるとコピペしていくとその行の先の部分のフォントの字体が微妙に変わってしまうので引用しにくくて敵わん(のでダッシュのところを避けてコピペしないといけない)のでこのダッシュ二本使いは止めてほしいんですけどね)
『今後のコミュニケーションについて、ある委員は、今回の経験を踏まえると、追加的な利上げを行う局面では、政策スタンスを始め、市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要があるとの見解を示した。』
丁寧にやった結果がアレなんですけどwwwwwwwwwwwww
『別の委員は、経済状況の進展などによって日本銀行の経済に対する見方に変化が生じ、市場の見方との間に齟齬が生じる可能性がある場合には、そのギャップを埋めるべく、可能な限り丁寧なコミュニケーションを行う必要があるとの見方を示した。』
丁寧にやった結果がアレなんですけどwwwwwwwwwwwww
とまあ間の抜けた見解の後やっとマシなのが入ってくるのですが、
『一人の委員は、経済・物価の不確実性を踏まえると、先行きの政策については--先行きになればなるほど--信認を得られにくいと指摘した。』
不確実なんだから分からん、と言っておけば良いものを下手に「時間的余裕がある」だの「緩和的な環境が続く」だの決め打ちをするからいけないですし、何なら「見通し通りなら利上げ」というのだって本来は経済物価情勢に応じた適正な政策金利とは何ぞや、という考えがラフでもいいからロジカルに存在していてそれがある程度市場と共有できているならば、あとは市場が状況から考えていくだけの話なんですが、そこで問題になるのはそもそも論として今の政策金利水準がそのような理屈を超越したウルトラ金融緩和レートになっていることでして、それがあるもんだからまともな政策金利談議が出来なくなっている、という面が多々あると思うのですよね。
『また、別の一人の委員は、今回の経験を踏まえて、期待や予測に重きを置いた政策判断をするのではなく、実体経済の変化の予兆や進捗を示して市場参加者・企業の理解を高めたうえで、データの実績に応じて金融政策を運営するスタンスを示し、理解の浸透を図ることが求められると述べた。』
「期待や予測」で政策判断する、というのと「実態敬愛の変化の予兆」を示して政策判断する、というののどこがどう違うのか、哲学的過ぎて言ってることがさっぱり理解できないんですが、議事要旨だから要旨で良いとはいえ、これじゃあこの人が何言ってるのかわけわからないからもうちょっと何とかしてくださいな。
『この間、複数の委員は、情報発信の空白期間を出来るだけ作らないようにすることが望ましいと指摘した。』
と思うんだったらなんであんな週に2回とか連続する週で何人とかいう金懇日程を唯々諾々として受けるんだよいい加減にしろ。
・先行きの金利パスを示す云々がフルボッコになっているのは良識を感じますな
でまあその先ですけど、次のお方が中々微妙に微妙でして、
『このうちのある委員は、長らく利上げを行っていなかったこともあり、言葉に対する日本銀行と市場の共通理解が薄れてしまっている面があり、』
ねえよ。あるとしたらお前らの方がオカシイだけだろ、ワシらは別に日本だけじゃなくて海外の中銀の言葉だって見てるんだよヴォケが。
『市場とのずれが生じない発信、ずれが生じた場合の適時の修正等、コミュニケーションの改善に努めるべきであるとの見解を示した。』
という発想が根本的にまちごうとるわ、と思ったらこの後でフルボッコの巻が来るので乞うご期待。
『また、この委員は、言葉による発信だけでは限界があるので、』
遂に言葉だけではなく会見で植田さんの全身白塗り暗黒舞踏でのジェスチャークイズでも始めるかと思ったらさにあらず(当たり前ですwww)、
『政策委員による政策金利パスの見通しを公表することもありうると付け加えた。』
それってFEDもドットプロットのせいで先行きの市場の期待が極端に振れやすくなる、という問題を発生させている訳で、ああいうガイダンス政策的なものは、短期金利操作による金融緩和に金利制約の限界が生じた場合には手段として考えられますが、そうじゃないときには市場の政策期待を極端に振らすリスクの方が大きい手段なんですけどねえ、と思ったらこの後結構フルボッコになっていて面白いです。
『この間、複数の委員は、市場の金利見通しを日本銀行の情報発信により直接変えようと試みるより、日本銀行の経済・物価の見通しや、その背景にあるデータの解釈、政策運営の考え方などについて繰り返し伝えていく
ことが より重要であるとの認識を示した。』
これはぐうの音も出ない正論(ただしその「繰り返し伝えていく」説明の出来が今はポンポコリンだという問題はあるが)。
『このうちの一人の委員は、中立金利の不確実性が大きいほか、日本銀行の経済・物価の中心的な見通しを巡る不確実性も大きいことを踏まえると、先行きの政策金利の見通しを数値で示しても、その幅はかなり広いものにならざるをえず、分かりやすいコミュニケーションにはつながりにくいのではないか、と指摘した。』
これは実に素晴らしいですね、誰なのかなこの発言したのは。全く仰せの通りです。
結局ね、先行きのコミットメントが可能というかコミットメントで政策効果を出すような事ができるときならこの政策金利ドットプロットっての役に立つ面はあるのですが、先行きの政策がわからん状況になりますと、将来の政策金利をプロットしだすと、どうしても足元での経済物価情勢と見通しの変化を先に伸ばす形になってしまうから、変化を増幅した形でドットを打つことになってしまい、中央銀行自らがボラを上げることになってしまう訳ですな。
そこに来てこの委員さんも指摘しているように、日本の場合はさらに言えばロンガーランの政策金利水準ですらイメージができる状態ではない状況(かどうかはここではそういうことといことで措くけれども)であって、DSGEよろしく先の政策金利は均衡水準に導かれる、というプロットを打とうにも多分今の状態ではあり得ないくらいその均衡水準のイメージがバラバラにしか出てこない訳で、つまりはドットプロットとか百害あって一利なし、としかアタクシは言いようが無いので、さっきのドットプロット出せという考えの人の思考回路は甚だ理解に苦しむというものであります。
・だからフワフワした概念の話を丁寧にしたってしょうがないんだって
とまあ良い話が続いたので安心しているとまた変なのが出てくるのがアレでしてこの続き。
『情報発信の内容について、ある委員は、基調的な物価上昇率について、丁寧に情報発信をしていくことが有益であると述べた。』
基調的な物価上昇率とかいうフワフワした概念を丁寧に情報発信、って時点でもう話が終っているとしか言いようが無い論外論外。
『この点に関連し、一人の委員は、基調的な物価上昇率は重要な概念だが、情報発信上は、ヘッドラインの物価上昇率が高い水準を続けていることも説明していくべきであると指摘した。』
こちらは仰せの通りですね。
『別の委員は、不確実性が高いもとでは、中心的な見通しが実現する確度が変化したかが政策運営において重要となるため、この点を丁寧に伝えていく必要があるとの見解を示した。この委員は、こうしたアプローチは米欧の中央銀行の最近の情報発信でも、ある程度共通してみられるものであると付け加えた。』
問題は日銀の場合この点がどこからどう見ても恣意的というか言ってる基準となる物差しをコロコロ入れ替えることです。
『これらの議論を踏まえ、委員は、基調的な物価上昇率や経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度について、丁寧な情報発信が必要であるとの認識を共有した。』
だからその「確度」とかいうフワフワしたものを丁寧な情報発信するという発想が以下同文。
ということで9月会合議事要旨でありましたとさ。
2024/11/07
お題「トランプ2雑メモ/高圧経済の唯一最大の副作用はインフレですかそうですか/9月会合議事要旨より(その1)」
あらあらまあまあ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241107/k10014631101000.html
維新 代表選へ 馬場代表は立候補しない考えを明らかに
2024年11月7日 4時17分
〇でまあトランプ先生な訳だが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-06/SMJ6J3T0G1KX00
トランプ氏勝利、FRBの独立性に暗影投じる−経済の先行きにも影響
Amara Omeokwe
2024年11月7日 3:01 JST
→FOMCは利下げの時期と幅に慎重になる可能性も−タン氏
→トランプ氏は議論に参加しないが、口だけは挟みたい−ベッセント氏
『トランプ氏は選挙戦で、貿易相手国に対してより積極的に関税をかけ、数百万人の不法移民を強制送還し、2017年に導入した減税の延長を公約した。これらの政策が実施されれば、物価や賃金、連邦財政赤字に上昇圧力がかかるとの試算は多い。』
『労働市場を保護しながらインフレ率を目標の2%まで引き下げるというFRBの任務が複雑になりそうだ。トランプ氏がパウエルFRB議長を公然と攻撃するこれまでの姿勢を維持すれば、FRBは金融政策の微妙なかじ取りの中で、不快な政治的スポットライトを浴びる恐れがある。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことで、今回は
『調査会社LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏はFOMCが今後、トランプ氏の経済公約が実際の政策にどのように反映されるかを見極めながら、利下げの時期と幅についてより慎重な姿勢で臨む可能性があるとの見方を示した。』
『さらに「関税引き上げや移民の減少によって、今後数年間はインフレリスクが高まると考えるかもしれない」とタン氏は指摘。「当局者の間で『もう少しゆっくり利下げを実施し、インフレ期待や労働市場で実際に何が起きているのかを見極める時間をもう少し増やそう』とする心理が働く可能性がある」と述べた。』
まあこの辺の見方が穏当なところになるかな、とは思いましたので今朝ちょろちょろ見た中でこれをクリップしておきましたが、なんかよーわからんけどインフレ的なことにはなりそうなので金融政策は締め気味にしておくしかなさそうですわな。
しかしまあ蓋開けてみるとメイクアメリカグレートアゲインのキャラ訴求がハリスさんと対照的だったってえのもありますけど、事前に民主党苦しかったのはやっぱり米国でもインフレの高進によって経済政策に対する不満があったんじゃないかと思う訳ですし、日本だって数字は低いけどそれまでがちょっとのプラスで安定してたインフレ率から見れば3倍とかの水準になってしまっておるのって効いていると思うのですが・・・・・・・・・・
〇そういや国民民主火曜日にも中々凄い事をおっしゃっておられましたね
忘れていたのでクリップクリップ
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/CY4WFPWOARLF7FAN2UNZN6M654-2024-11-05/
高圧経済の余地ある、日銀は賃上げ見定める必要=玉木国民民主代表
By ロイター編集
2024年11月5日午前 10:20 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - 国民民主党の玉木雄一郎代表は5日の定例会見で、同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレとの認識を示したうえで、日本は米国に比べ物価上昇が抑えられており、「高圧経済を推し進める余地がまだ残っている」と語った。金融政策についても「日銀はもう少し政策変更せず(中小企業の賃上げなどの状況を)見定める必要がある」とした。』(上記URL先より)
>同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ
>同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ
>同党が提案している財政・金融政策による高圧経済の唯一最大の副作用はインフレ
・・・・・・お前は何を言ってるんだ。
どうも玉木n先生によりますと引用部分にありますように「インフレ水準が高くないのでまだ上がっても大丈夫」とのお告げですが、だったら「手取りを増やす政策」って何だよというお話だし、「賃金上昇率を物価控除後で2%で推移」っての無理筋にもほどがあるだろいい加減にしろというお話。
でまあアレです、どっかの誰かさんのように国宝級の無知蒙昧なのにうっかり変なものを信じた結果として「高圧経済が正しい」と信じ切って発言しているのなら単なる「情熱を持った馬鹿」なので可愛げというのもあるのですけれども(どこの誰かさんを差すのかは皆様のお好きな方でどぞ)、「唯一最大の副作用はインフレ」、って言いながら「賃金上がるまで高圧経済アプローチ」を提唱して、かつ「手取りを増やす」だの「実質賃金2%程度の上昇」とか言ってるんですから、このケースは悪意を持った確信犯がポピュリズムによるプロパガンダを行っているという文脈で整理できてしまうので一段とタチが悪い、というかアタクシの駄文にお付き合いいただいているとお分かりかとは存じますが、アタクシ何が嫌いかって「知的誠実性に欠ける悪意の確信犯」が一番嫌いであって、今まで出ている報道だけで見ておりますと、どうもそっち方面の分類に入れざるを得ないのではないか、と思わざるを得ないということで(あくまでも個人の感想ですwww)、まあメモしておきましょうという所です。
でもってこれ日銀も対岸の火事とか、立法府の話はこちらではどうしようもない(まあそれはそうなんだが)のでどうしようもないですねえとか拱手している場合でもないな、と思うのは、この「唯一最大の副作用はインフレ」という説明には「私言いましたよね」というのが含まれているところでして、つまりインフレ批判が高まってきた場合に玉木大先生におかれましては、自分たちが提唱した高圧経済アプローチが悪いのではなくて、端から起きる可能性があるのが分かっている副作用をコントロールできなかった日銀が無能オブ無能である、と言って盛大に日銀に責任を押し付けてくる、というのを今から予言させていただきたい訳でして、まあ日銀もあんまりノンビリしているわけにはいかないと思いますよ、という個人の感想でした。
まあメイクアメリカグレートアゲインになったことですし、インフレ圧力復活となりますと、円安ちゃんも気になる次第ですが、昨日引用した大先生のインタビューですと「為替を気にして金融政策やるべきではない」だそうなので、こうなってきますと155円とかケチなこと言わないで、160円170円バッチコーイというお話でして、そうなって再度円安批判が飛び回ってくる中で堂々と「為替にフォーカスした金融政策を取るべきではないし今取るべき金融政策は高圧経済アプローチ」って堂々と主張を続けるのか、という方が近い未来においてはインフレ批判の前にどういう所業に出るのかが楽しみになっておりますので、まあ是非その先行きもみたいので闘魂込めて大空に円安飛ぶ飛ぶ炎と燃えて頂きたいところではございますわ(ヤケクソ)
〇9月決定会合議事要旨から(その1)
展望レポートはどこに逝ったといわれそうですが先入先出法を使いますもんで
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240920.pdf
政策委員会金融政策決定会合議事要旨
(2024年9月19、20日開催分)
・日銀ショックとは頑なに認めないというのが公式記録になっておりますwwwwwww
まあこの前の植田さんの会見でもそうでしたけどね。『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』の頭の部分見て笑いましたw
『国際金融資本市場について、委員は、8月初に、米国の景気減速懸念の高まりを契機に世界的な株価下落とドル安が進み、市場センチメントが急速に悪化したとの見方を共有した。』
お前らが3月以降延々と「緩和政策を継続する」って情報発信を繰り返した結果として発生したポジションの巻き戻しが、お前らの利上げとその後のタカタカ姿勢で盛大に巻き戻された、という視点はこの先に出てくるのですが、まずこうなっている、という時点でもうねというお話でして、
『また、委員は、その後、米国株価等は反転上昇したものの、米国経済をはじめとする海外経済の先行きは引き続き不透明であり、金融資本市場も引き続き不安定な状況にあるとの認識で一致した。』
これ8月くらいの会合ならともかく、9月20日なのに何で不安定なのかとw
でまあやっとその後にポジションの巻き戻しの話があるんですけれども、
『多くの委員は、こうしたもとで8月入り後のわが国の金融・為替市場の変動が特に大きくなった背景には、これまで蓄積されてきたポジションの巻き戻しが急速に進んだこともあったと指摘した。』
そのポジションの蓄積の要因はお前らだお前ら。という話はなくて何かもう他人事のようにポジションが蓄積されていましたなあみたいな説明になっている訳です。
それでまあここの説明だけ見ていおるとこの「ポジションの巻き戻し」ってあくまでも米国ガーの話になっていて、てめえらが実施した7月の政策コミュニケーションがその前のコミュニケーションとのセット販売で手のひら返しになっていてサプライズ、という分析がここではないことになっている(議事要旨だから無かった話を勝手にあったことにするのは不可だが。あった話を恣意的に割愛するのは可能ですので議論があったか無かったかは10年たたないとわからん)というのもドイヒーな訳ですな。
これ後のほうで出てきますが、「7月の政策が市場からサプライズとして受け止められた」点についての議論がきっちり行われている訳でして、だったらなんでこの部分でその点の言及がないのか、まああったんでしょうけれども大本営としては自分の振付が間抜けだったことを認めようとしたくないし、8月頭に内田副総裁が株式市場に全面降伏したことも株式市場じゃなくて米国経済の下振れリスクのせいにしたいから、こうやって「米国経済」って話を前面に出した文章にとどめているんでしょ、というのが非常に良くわかる作りになっている訳ですよ。
でまあこの米国経済ガーに関しても緊急避難の方便で持ち出したんだったら今回の決定会合後におけるコミュニケーションにおいて、「ちょっと弱い指標見て懸念をしていましたが杞憂に終わったような感じがしますねよかったよかった」という情報発信をすればまだ可愛げがあるんですけれども、そういうのを認めないで自分たちは無謬だということにしたいもんだから、急に会見で「6月7月から米国下振れリスクがあった」とか言い出すわ展望レポート基本的見解の最終パラフラフにまた余計な米国経済ガー文言を付け加えてコミュニケーションの昭和温泉旅館をドンドンと増築しているんですから世話は無いわけです。非常に困った傾向にあると申し上げて起きましょう。
でまあその続きの部分は市場の変動が金融システムに影響があったかどうかの話なので流しますけど引用はしておきます。
『そのうえで、委員は、現時点ではこうした株価や為替の変動は金融システム
などに大きな影響を及ぼしていない との認識を共有した。何人かの委員は、その背景として、市場流動性が相応に維持されるもとで、ポジションの調整が比較的短期間に収束したこともあると指摘した。これに関連して、ある委員は、市場動向や資金フローのモニタリング体制
を一層整備 していく必要があると付け加えた。また、別の一人の委員は、開示や規制の少ないファンドなどの存在感が高まっていることから、あらゆる可能性を念頭にモニタリングしていくことが重要との見解を示した。』
正直モニタリングそんな無限にして意味あるのって気はします。なんでもモニタリングモニタリングって言ってるとそれは暗黙の規制になってしまいかねないし、逆に変な制度アービトラージを生んで訳わからんリスクを溜める要因になりかねない、というのは特に科学的な根拠があるわけではなくてアタクシの野性のカンでしたか無いですけど。
・まあ結局金融市場の動きにビビっていた8月9月だったというお話
でまあ先に飛びまして『V.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』ですけれども。
『先行きの金融政策運営について、委員は、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な考え方を共有した。そのうえで、米国経済をはじめとする海外経済の先行きは引き続き不透明であり、金融資本市場も引き続き不安定な状況にあることを踏まえると、当面は、これらの動向を高い緊張感をもって注視し、わが国の経済・物価見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を、しっかりと見極めていく必要があるとの見方で一致した。また、これまでの政策金利引き上げの経済・物価への影響をみていく必要があるとの認識も共有した。』
とかいうのは置きましてその次なんですけど、
『多くの委員は、政策判断にあたっては、内外の金融市場の動きそのものだけではなく、その変動の背後にある米国をはじめとする海外経済の状況などについても、丁寧に確認していくことが重要であるとの見解を示した。』
wwwwwwwwwwww
いやおまえら金融政策って経済物価情勢の判断と先行き見通しに沿って実施するもんじゃろという話でして、何で主文が「内外の金融上の動きそのもの」になっててその付属部分が「米国をはじめとする海外経済の状況」になるんだよ順序が逆だろwwwwwwwwww
まあこう書かざるを得ないほど8月(9月)は「金融市場の動きそのもの」に反応していた、というお話になるんでしょうけれども、まあこの表現はドイヒーというか事務方のささやかな良心なのかよくわかりませんが、ナンジャソラと思いました。
まあこの部分、好意的??に読みますと以下のようにも読める訳でして、上記文章を全部読みますと「多くの委員は」から始まっていて、「であることが重要」という話をしていますよね。
つまりですね、これは何かといいますと、8月の内田植田のコミュニケーションが明らかに「内外の金融市場の動きそのもの」にビビっていて、「その変動の背後にある米国をはじめとする海外経済の状況など」への「丁寧に確認していくこと」ができていなかったのではないか、という批判をしている、とも読める訳ですな。
ただまその後の文章を読んでいると、緩和続けろの連呼になっているので何が何やらという感じなのが甚だ遺憾ではありますがwwwwwwwwwwwww
『このうちの 一人の委員は、海外経済の不確実性が高まっただけに、市場変動の影響も見極めるため、当面は海外・市場動向を見守り、金融緩和の一段の調整は不確実性が低下した段階にすることが妥当であると述べた。』
ほほう、10月不確実性が低下しているということになっていましたが。
『そのうえで、この委員は、現在は、経済活動のサポートのために、緩和的な金融環境を粘り強く続ける我慢の局面であるとの見方を示した。』
しかしまあ意味わからんのは、前段でお前ら「委員は、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な考え方を共有」しているのに、何で「緩和的な金融環境を粘り強く続ける我慢の局面」みたいなものの言い方が行われるのかということで、お前ら全然共有してねえだろ徐々に政策修正って話、と思わざるを得ません。
『ある委員は、「物価安定の目標」が実現しておらず、金融経済情勢を巡る不確実性が払拭できない中、現時点では本格的な引き締め政策への転換を連想させるような追加的な政策金利の変更は望ましくないとの見解を示した。』
0.25%→0.50%が本格的な引き締め政策への転換を連想させるっていう発想が全く意味不明にもほどがありますので、ちょっとその頭をかち割って中身を拝見したいのですけれどもよろしいでしょうかwwwwwwwwwwwwwwww
『別の一人の委員は、今後の政策運営は、下方リスクに十分配慮し、データを慎重に確認して進める必要があると付け加えた。』
8月くらいの会合で言ってるならともかく、9月20日に急にこれを言うかって話だし、この前の植田さんの会見に寄りますとそもそも米国経済の下振れリスクは6月7月くらいからあった訳でして、だったらお前ら何で7月に利上げしたんだよアホなのか、という所ですな。
でまあこの後コミュニケーションの話になるのですが、ショパンの事情で今朝はここで勘弁させていただきとう存じます(すんません)。FOMCがややこしくなければ明日で無理なら月曜ですかね(汗)
2024/11/06
お題「財政問題盛り上がっているので国民民主のお話を確認/桜井元審議委員インタビューのターミナル金利はちょっと興味深い」
ほほう
https://www.agrinews.co.jp/news/index/269037
2024年11月6日
「伝統的酒造り」無形文化遺産へ ユネスコ機関が登録勧告
とは言え同記事にありますように、
『酒造業界からは日本酒や焼酎などの消費拡大へ期待の声が上がる。日本酒造組合中央会は「(日本の酒にまつわる)技術と文化をしっかりと継承し、魅力を内外に広めたい」
とコメントを出した。
近年、日本酒や焼酎の国内消費量は減少傾向にある。無形文化遺産登録は消費拡大の起爆剤になると展望。12月に登録となった場合、同中央会は日本酒などのPRイベントを企画する予定だ。
日本酒の輸出拡大に向けて、全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(全米輸)は「(登録となれば)輸出の訴求ポイントになる」と歓迎した。』(上記URL先より)
ということで国内消費は落ちているんですよね。。。。。
〇何か財政問題が賑やかなのでちょっと決定会合レビューをさておいて財政ネタ雑談
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/54LUUEPRCRJKTHQ6QJ5S2VBORA-2024-11-01/
インタビュー:向こう半年は利上げ急ぐべきでない=玉木国民民主代表
By 山口貴也, 山崎牧子, Tim Kelly
2024年11月1日午後 6:55 GMT+9
まあ同じようなインタビューがBBGさんからも出ていたんですけど先にロイターさんから。
『[東京 1日 ロイター] - 国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、日銀の金融政策を巡り「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」と述べ、早期利上げに否定的な見解を示した。都内でロイターのインタビューに応じた。』(上記URL先記事より、以下同様)
玉木n先生ノリノリですなあwwwwwwwwww
えーっと、
『玉木代表はインタビューで「いつかは(金融政策を)正常化していくことは必要」と、正常化路線そのものには理解を示した。一方、物価高に負けない賃上げ定着に向け、現状の金融政策を「急激に変更すべきではない」と強調。少なくとも年度内は追加利上げを見送るべきかとの問いに、「動かすべきではない」と応えた。』
誰も連続利上げしろとか言ってるわけではないですし、そもそも今の金融政策が物価を上げようとしている政策なんですから、「物価高」の方が加速したら賃金もっと上げないといけなくなるんですけど大丈夫ですか玉木さん。
しかも低金利定着の予想が広まった結果今年の4−6は円安が進行してエライことになっていたのですが、
『利上げが後ずれすることに伴う為替円安にどう対処するかは「(そもそも)為替を目的に(金融政策を)変更すべきではない」とした。為替介入の効果は短期的との認識も示した。』
と思いっきり斜め上の回答をしておりまして、ネット受け狙いをやっているうちにエコーチェンバーのサイクルに入って来ている典型的な症状を示しておられます。お大事に。
でもってBBGの方ですが、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-01/SM94X0T0G1KW00
追加利上げは来年3月まで回避を、春闘見極め必要−国民・玉木代表
照喜納明美、野原良明
2024年11月1日 18:44 JST 更新日時 2024年11月1日 20:16 JST
→過度に為替への影響を意識して金融政策を動かすべきではない
→所得減税による税収減は4兆ー5兆円、消費喚起で大きく減らない
と来ましたが同じく、
『国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、金融政策の変更は来年の春闘の動向を見極める必要があるとし、3月までは利上げをすべきではないとの認識を明らかにした。ブルームバーグとのインタビューで語った。』(上記URL先記事より、以下同様)
だいたいからしてお前が利上げしろするなとか言ってるんじゃねえよという話ですが、
『玉木氏は「物価上昇率プラス2%の名目賃金上昇率が安定的に達成するまでは金融緩和と積極財政をやるべきだ」と指摘。』
潜在成長率が1%にもいかないような経済状況で「物価上昇率プラス2%の名目賃金上昇率」というのがそもそも持続可能な話の訳が無いのにお前は何を言ってるんだという話だし、その間に金融緩和と積極財政とかいう寧ろ経済の非効率を温存する政策を実施してたら経済の成長力が強化されないので益々無理になる話だろ何言ってるんだこいつは、という所ではあります。
しかしこの減税なんですけどね、
『こうした見方に対し、玉木氏は、4兆円から5兆円程度の税収減を想定しているが、消費の活性化に効果があるため、トータルでは大きく減らないと反論した。非課税枠を178万に恒久的に引き上げれば、「消費マインドはガラッと変わるだろう」とも述べた。』
でた「減税をしても税収は増えるので問題ない」理論、という所ですが、これはアタクシのような年寄りには懐かしい事案が既にありまして、前世紀のお話になるんですけど、とある国の大統領選挙で「減税して経済が活性化したら税収が増えるので問題ない」という面白経済学を唱えた人が大統領になったことがあったのですが、まあその頃はまだ選挙権もないガキでしたがガキながらに何かおかしくねえかと思っていたのですが、結局案の定で連邦債務はバチクソ増えたままになりました、という結果になったわけですな。
ちなみにこの時って高インフレで金融は引き締め状態だったようで、高圧経済とかいう圧力鍋が爆発する方向の話はなかった次第でして、それをも勘案すると玉木先生何言ってるんでしょうねえこの人は、という所だし、何ならチラ見しただけだからちゃんと見てないけど、直近ではどこかのアホウ何とかストが同じように「減税すると税収が増える」理論のレポートを出していたように思われるのですが、良心とか持ってないのかと思ってしまいました。誰とは言わないけど。
まあしかしあの面白経済学が40年以上の時を経て海の向こうの島国で復活するとは頭がクラクラ来るわけでして、こんなスーパーポピュリズムが若者に人気とかさらに頭痛いけど、氷河期世代辺りまでくると若者ほどには相対的に人気高くないようで、まあそれが答えでしょというお話ですわな、うんうん。
まあ定性的に考えたって消費刺激効果が永続するものではないし、課税ベースが減るのと政府債務拡大による利払いが増えることが負の複利で効いてくるんだから、単年度では兎も角消費効果の逓減と相まって政府債務は減るどころか増えるじゃろ、という理屈になる筈なんですけどね・・・・・・・
〇ここで玉木先生の過去の雄姿を確認しましょう(190回国会、財務金融委員会H280223)
例によって読者様から教えて頂いているんですが(人のふんどしばかりですいませんすいません)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/009519020160223005.htm
第190回国会 財務金融委員会 第5号(平成28年2月23日(火曜日))
第5号 平成28年2月23日(火曜日)
こちら質疑のトップバッターに玉木大先生が立っておられるわけでして、当時は民主党なので尺は多くなっておりましていくつかの話をしていますが、その中でも金融政策に関する質疑が誠に結構なお話になっておりまして、まあ詳しくは上記URL先を見てちょという話になりますけれども、ちょいちょい引用してみようかという企画です。
・マネタリーベース置物直線一気理論についての質疑
質疑の途中からになりまして恐縮ですが。
『○玉木委員 昨年の十二月十八日の金融政策決定会合後の記者会見で、総裁は同じようなことをおっしゃっていますね。ごく短期のインフレ期待が下がってきているが、中長期のインフレ期待はそれほど下がっていません、そういう話でありましたが、ただ、今、私、まさに日銀が出している調査結果をもとに申し上げたのは、一年後の物価上昇に加えて、五年後の物価上昇期待についても下がっているんですね。もちろん、いろいろな数字を出されると思いますが、私は、ここは少しファクトに正直に向き合った方がいいのではないかなと思うんですね。
岩田副総裁にお聞きします。
私も、今、黒田総裁がおっしゃったようなこと、つまり、マネタリーベースを量的に拡大すれば、そのことをもって期待インフレ率が上がっていくという極めてシンプルなメカニズムというのは、余り信用していません。ただ、この学習院大学の教授だったときに書かれた論文によると、手元に資料を配っていますが、ある種、非常に業界では有名な、一のこの右肩上がりの線ですけれども、マネタリーベースをふやすと予想インフレ率が上がるというこのグラフ。
岩田副総裁は、マネタリーベースをふやすと予想インフレ率が上がるというのは、論文に書かれているように、それは信じておられますね。』
置物の回答がクソのように長くて言い訳タラタラなので割愛しますがそれを受けた玉木委員のツッコミ。
『○玉木委員 同じ論文の中で、買う資産によって予想インフレ率が変わるということは、記述がありますか。』
『○岩田参考人 そこではちょっと覚えていませんが、私がずっと長年から書いていた論文を読んでいただければ、常に、長期国債を買いなさいといったことを言っています。』
『○玉木委員 よくわかりませんね。
これは、学者の岩田先生に私が申し上げるのもあれなんですが、この一のグラフ、確かに、リグレッションを走らせてみるとこういう線が引かれるんでしょう、リニアな。ただ、これはサンプル数が六つしかない。確かにアールスクエアが高い、〇・九一二出ていますけれども、これはそもそも統計的に有意なのかなというのは純粋に思います。』
>これはサンプル数が六つしかない
>これはサンプル数が六つしかない
>これはサンプル数が六つしかない
玉木先生さすがですwwwwwwwwwwww
『半年ごとのばらけた生データにすると下になりまして、それでリグレッションを走らせると決定係数はかなり落ちる。
もう一つ注目しているのは、私もこれは客観的にどうなのかなと思って、自分自身も虚心坦懐、さまざまなデータに今向き合っていますけれども、アメリカのことを言われるのでアメリカのをちょっと調べてみて、少し長い目で見て、これはかなり過去から、一九九七年から二〇一五年までの同じようなところからとってきて、それでプロットしてみました。
今、赤で引かれているところが岩田副総裁がとられたデータですね。ここだと、確かに右上の数字が書かれるんですけれども、全ての全データに基づいて回帰直線を引いてみると、ほとんど横一線になるわけです。
私が注目しているのは、二〇一二年一月二十五日に、まさにバーナンキがPCEのインフレ率二%を長期目標にするということを明確に出した後、むしろ量的緩和と期待インフレ率との相関が崩れているような気がするんです。
私はエコノメトリシャンではないですから、詳細な分析は学者に譲りますけれども、ただ、二〇一二年に岩田副総裁が書かれた論文、そしてそれに基づいて少なくとも私は行われているやに承知をしていた現在の日銀の量的緩和は、私は、理論的根拠は極めて乏しい、理論的、実証的にもそう思います。』
以下割愛しますが良い話をしていますねえ。(遠い目)でもってこの発言の最後の方には・・・・・・
・2年で達成しなければ職を辞すと言ってたはずですが問題
『(以下玉木委員の直上引用発言の最後の部分になります) 私、今同じ思いです。別に岩田副総裁が憎くも何ともありません。ただ、私が重視しているのは中央銀行のクレディビリティーです。これのみです。ですから、総裁、副総裁、この金融政策を担っている人々、そしてその発言、政策は、人々から、世界から信頼されるものでなければならないと思っています。さまざまな困難な時代ですから、財政、金融で実験的なことを試みるのは私は構わないと思う。しかし、コミットした期間、コミットした目標を達成できなければ、私は職を辞するということが明確な信認を保つ責任のとり方だと思いますけれども、岩田副総裁、いかがでしょうか。』
以下置物のクソ見苦しい言い訳が並びますが割愛しまして、この言い訳に対して
『○玉木委員 見苦しいという一言に尽きます。』
一刀両断さすがです!!!!!
・マイナス金利はデフレ的であるという話
でまあ一刀両断した後に黒田総裁に対してこのような質問をしておりまして、
『(以下直上の玉木委員の発言の続き)総裁にお伺いします。
マイナス金利の導入によって、私は、金融政策のありようが実はかなり変わったのではないかと思っています。今までは物価の上昇を求めていく、私はこれは、デフレはよくないですから、物の値段を上げていく、サービスの値段を上げていく、そういうことは方向性としては正しいと思っています。ただ、唯一上がっていない値段があって、それはお金の値段です。金利だけが極めてデフレなんですね。私は、この今回のマイナス金利のデフレ効果というのは軽視すべきではないと実は思っているんです。
住宅ローンが下がりますという話がプラスの面で語られることが多いですけれども、金利支払いを入れた住宅取得の価格が下がっているとも言えます。そして、総裁がおっしゃったように、さらに何かあればちゅうちょなく対応をとるということをおっしゃっていて、マイナス金利もさらに下げる余地があると思えば、もっと下がるんだと思ったら待ちますね。
これは予算委員会でも私指摘をしましたが、預金金利についてもそうです。個人の預金金利はマイナスにならないとおっしゃいましたけれども、これは日銀が当座預金に課している、ある種マイナスの付加の仕方と似ているんですけれども、名前はどうあれ、口座維持のための管理料であったり、あるいは手数料を上げたりということが極めて低金利の中で行われると、実質的なマイナス口座になってしまうことは明らかであります。
そうすると、消費者心理としては、持っているものが減っていく、特に元本まで食い込んでくるんだというある種の懸念、おそれ、そして、先ほど申し上げたように、お金の値段たる金利が下がるということは、ある種のデフレ効果をあるルートで経済に対して及ぼすというふうに私は思うんです。
改めてお伺いしますけれども、このマイナス金利が消費者の心理、特に消費者のコンフィデンスですね、この消費者の心理や購買の意欲、安心感、そういったものにマイナスの影響を与えるおそれが私はあると思いますけれども、総裁はいかがでしょうか。』
ほうほうそうですかそうですか。
・金融緩和を過度に続けることに対する弊害
さっきの質問の回答
『○玉木委員 私が申し上げている実質マイナス金利と今総裁がおっしゃった実質マイナス金利は、ちょっと話が違うと思いますので、そのことは申し述べたいと思います。
あと二つだけ聞いて、お忙しいと思いますのでお帰りいただきたいと思いますが、きのう、ほぼ我が国は完全雇用の状態にあるというふうな発言がありました。
お伺いします。
FRBのいわゆるデュアルマンデートであれば、雇用の安定と物価の安定ですけれども、我が国において、完全雇用が達成されてなお二%の物価安定目標が達成できない場合でも、今の質的・量的あるいはマイナス金利つき、この異次元の金融政策は完全雇用を達成してもなお続けるということでよろしいですか。』
でもって黒田さんの回答があるのですがそれは割愛しますので見に行ってくださいという所ですが、これに対して玉木委員は、
『○玉木委員 これも大事な答弁だと思います。
私は、完全雇用を達成してなお過度な金融緩和をすべきではないという立場です。もちろん、デフレに逆戻りするようなことがあってはならないと思いますが、二%、もう二年守られていませんけれども、二年で二%という期限を切った二%を完全雇用を達成してなおやっていくのは、私はやり過ぎだと思っています。』
以下最後の質問部分は割愛しますが、過去の玉木先生の雄姿をちょっと確認させていただきましたということでwww
〇また桜井さんがしゃべっておられる
何か知らんけど謎に定期的に出てきますよねこの人。
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/P2BFHMFCEJJTVFYFSQHHIAAI64-2024-11-05/
インタビュー:利上げは1月が最有力、市場動向と政治情勢が焦点=桜井元日銀委員
By 和田崇彦, 木原麗花
2024年11月5日午後 4:05 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - 桜井真・元日銀審議委員は5日、ロイターのインタビューに応じ、日銀の追加利上げは来年1月が最有力との見方を示した。利上げ時期の見極めに当たっては、市場動向と国内の政治情勢が焦点になると話した。日本の成長率が1%程度、物価上昇率が2%程度で推移するとすれば政策金利の上限は2%程度との見方を示し、日銀は2025年度以降27年度にかけては年1―2回のペースで利上げを実施すると予想した。』(上記URL先記事より、以下同様)
ということで何か知らんけど定期的に登場する元腹話術のおじさん(使い手ではない)ですけれども。
『桜井氏は日銀の追加利上げについて、12月、来年1月、3月と3回開かれる金融政策決定会合のどこかで実施される可能性が高いとした上で、最も可能性が高いのは来年1月だと述べた。』
3月と4月ってセットなんじゃないの??まあいいけど。
『鍵を握るのは「マーケットと政治状況」だと指摘した。その上で、12月の決定会合は来年度予算案の閣議決定が迫るタイミングで開かれるため、利上げに対する石破政権の理解を得るのは難しいのではないかとの見方を示した。』
政治状況はわかるが「マーケット」が何を言っているのかこの記事全般を読んでもいまいちわからん(多分為替だと思うのだが)のが惜しいのですが。むしろ1月に出来なかったら3月4月も厳しいんじゃないのと思いますけど、前回のように1月会合で思いっきり予告ホームランを入れてしまうなら3月というのはできるのかもしれないですね。
でまあちょっと面白かったのは記事中のこの部分でして、
『<政策金利、到達点は2%程度か>
桜井氏は、成長率が1%程度・物価上昇率が2%程度の状況が続けば、政策金利は「1.5%程度まではそれほど問題ないだろう」と指摘。2%を超えてくると政治からの反発が高まる可能性があり、2%程度が政策金利の上限になるとの見通しを示した。』
ほほうそうですかそうですか。
『その上で、政治情勢がなかなか安定しないことから、日銀の利上げは「年2回がやっとではないか」との見通しを示した。25年度入り後、0.25%ずつ年1―2回のペースで利上げしていけば、植田和男総裁が任期満了となる28年4月時点で政策金利は2%程度まで到達している計算になる。』
これ植田総裁の任期中に政策金利が2%程度になって出口完遂、という美しいお絵かきになっているのですが、この「植田総裁の任期との兼ね合い」を発想のタネにするのって、まだ任期2年も終わっていないのにいきなりこれですかというのはもちろんあるのですが、そのくらいの遠大な計画がある、というのであれば確かにこの発想は無くは無い話になりますので、その点面白いなあとは思いましたですよ。まあそこまで遠大な計画練ってるようなコミュニケーションを今の日銀がしているのか、と言いますとどこからどう見てもハイパーその場しのぎのコミュニケーションをしている訳でして、特に7月以降のコミュニケーションは酷いとしか言いようが無いので、まあ日銀大本営にそんな遠大な計画があるように見えないのが惜しいところです。
とは言え物価目標をガチで達成するならそもそも1%とかいう政策金利がゴールになるのはおかしいだろという話でありまして、桜井さんの言うように2%に近いところ、普通に考えて1.5%程度とか全然ありじゃろ、という方が発想として自然な訳でして(個人の感想です)、1%だって全然低いのに織り込めてないのは日銀の買入が悪いのと、やる気があるのか無いのかの間で手のひらをクルクルと返すしょうもないコミュニケーションをしている(最初からよくわからんから出たとこ勝負、ならそういえばいいのにあたかも分かったかのような言い方でハトハトチキンになってみたり急にやる気を出したりする不安定なメンヘルコミュニケーション勘弁して欲しい)日銀のせいだとは思うのですけどね。
などと書いていたら時間が無くなってしまったので本日はMPMレビューでも短国市場でもなくて引用祭りとかいう増量企画になってしまいまして誠に申し訳ございませんでした(土下座)。
2024/11/05
お題「決定会合レビュー:総裁記者会見から」
これは例によって読者様から教えていただいたのですが
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024102100951&g=pol
繰り上げ当選、3人を決定 参院【24衆院選】
時事通信 政治部2024年10月21日19時15分配信
『中央選挙管理会は21日の選挙会で、参院議員3人が衆院選に立候補して自動失職したことに伴う欠員補充として、共産党元職の大門実紀史氏、公明党新人の高橋次郎氏、日本維新の会元職の山口和之氏の繰り上げ当選を決めた。2019年と22年の参院選比例名簿に基づく。
大門 実紀史氏(だいもん・みきし)神戸大経中退。党参院国対副委員長。参院当選5回。68歳。』(上記URL先より)
これは参院財金の国会中継見るのが楽しみになってまいりました!!!!
日銀からいろんなものが出ていましたが、ちょいとこの連休は時間というよりも体力がなくて全然更新できませんでした(滝汗)。ぼちぼち追いついてまいりますがそんなことしているうちにアメリカン大統領選挙じゃないですかヤダー。
〇総裁記者会見:いくつか面白特徴のある会見でしたな
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241101a.pdf
総裁記者会見
――2024年10月31日(木)午後3時30分から約65分
・すさまじいまでの棒読みムーブに「余計な発言をしないように」という強い意志を感じたwww
最初の幹事社質問ですが、
『(問)一問目が次の利上げについての考え方についてお伺いしたいと思います。次回会合で7
月の利上げ決定から 5 か月ほど経過することになります。次回以降の会合で、経済・物価がオントラックなら、利上げできる環境は十分整うと考えていらっしゃいますか。足元の円安の進行による物価の上振れリスクへの見方も含めてお願い致します。』
円安に絡めては絶対来るわな。
『二問目は米国経済についてお伺いしたいと思います。展望レポートの政策運営のところでも、米国経済に言及しています。米国経済の現状をどう評価し、新大統領の政策が、日本経済、金融政策に及ぼす影響をどのくらいの時間軸で見極めていけるとお考えになりますでしょうか』
これもまあ聞かれる罠、という典型的な質問2問来ましたが植田さんの回答は・・・・・・・・
『(答)まず当面の政策運営についてですが、先ほどの繰り返しになりますけれども、金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。』
『そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると考えています。』
見事な棒読みムーブというか展望レポートの文言通り。
『見極めに必要な時間や利上げのタイミングについて予断は持っておらず、今後、毎回の決定会合において、その時点で利用可能な各種のデータや情報から、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく方針です。』
これもまた棒読みですねえ。
『為替相場ですけれども、その水準や評価について具体的なコメントは差し控えたいと思いますが、もちろん経済・物価に大きな影響を与えるものではあります。』
からの、
『為替円安の物価への影響を考える際には、先ほど申し上げましたが、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある点には、引き続き、留意する必要があると考えております。』
これまた展望レポートに書いてある文言通りの棒読みムーブ。さらに二問目については、
『米国経済ですけれども、前回会合以降、9 月の雇用統計が市場予想を大幅に上回るなど、良好な経済指標がみられています。もっとも、今後の米国経済を巡っては、これまでの利上げが経済・物価に及ぼす影響など、不透明な部分がまだなお大きいと判断しており、その動向を注視していく必要があると考えています。』
で??
『また、アメリカの大統領選挙後の新政権の政策運営、それがわが国に及ぼす影響ですが、これは、他国の政治情勢に関わるものですので、具体的なコメントは差し控えたいと思います。』
じゃあ米国ガーを連呼するなや、と思いますが。
『ただ、もとより、先ほど申し上げましたように、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や、金融資本市場動向を十分注視し、私どもの経済・物価見通し、リスク、見通し実現の確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると考えております。』
ちょwwwこれも展望レポートの文言通り、ということで初手から盛大な棒読みムーブをかましておりまして、植田さん「余計なことは言わないように」と本人がやっと反省して心掛けているのか、振付師に厳しく言われているのかは知らんですけど、まあ余計な事を言わないように、というのがこの棒読みムーブに出ているんでしょうなあと思いました。
・「時間的余裕」についてと政治圧力に対して植田さん「この正直者!」って思ったんですけどね
次の質問。
『(問)二問お伺いします。一点目が現状で追加利上げの判断に時間的余裕があるとお考えかどうか。もし先ほどの回答であえてそう発言されていないのであれば理由も併せてお願いします。
もう一点が政治との関係についてお伺いします。今月上旬に石破首相が追加利上げする環境にないと発言されました。また、衆院選で与党が過半数割れをして政権の枠組みによっては利上げを急ぐべきではないという声が強まる可能性もあると思います。こうした政治側の意向が日銀の政策判断に与える影響について、どのようにお考えか。』
まあ後半は紋切り型の回答になりますけどねw
『(答)どちらにつきましても私どもの基本的な姿勢は、先ほど申し上げましたように、金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて適宜政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくということでございます。』
wwwwww
『これは二問目が先になりますが、特定の政治家のコメントにはコメントしませんけれども、そうしたものがあるとないにかかわらず、今申し上げたようなスタンスで臨みたいというふうに思っております。』
>今申し上げたようなスタンスで臨みたい
ここはリアタイで聞いてて吹いたのですが、「臨む」じゃなくて「臨みたい」ってところに物凄い勢いで植田さんの本音が駄々洩れしているなと思いまして、「臨む」と言い切れないのはつまり日銀が政治圧力によわよわであり、それに対して植田さんは何らか思うところがあるのか、それとも植田さんが「臨みたいんだけどいざ政治圧力が来ると耐えられないんでちゅー」という悲しさを表明してるのか、そのあたりは判然としませんけれども、「臨みたい」という願望系になっていて「臨む」という意思表示系になっていない辺りに植田さんの本音を垣間見ることができましたwwwwwwwwww
『そのうえで一番目のご質問ですけれども、こうした判断、基本的な判断については毎回の決定会合で、そこまでに得られたデータ、その他の情報をもとに判断していくということにしたいと思います。』
>判断していくということにしたいと思います
これも同様なのですが、「判断していきます」じゃなくて「判断していくということにしたいと思います」って持って回った言い方が植田さんの悲しみが止まらないという風情でありまして、中々泣けてくるわと思いました。
・時間的余裕封印宣言
ということでさっきの質問では「時間的余裕」の回答が無かったので更問。
『(問)最近、時間的余裕という言葉を多く使っていらっしゃるように感じるんですけれども、改めて、今どういった理由で時間的余裕がある状況なのかというのと、またその余裕とおっしゃったときに、どのぐらいのスパン、期間で考えていらっしゃるのか、例えば次回の会合までの余裕なのか、それとももっと中長期的なものなのかというのを知りたい方が多いと思いますので教えて頂ければと思います。(後半割愛)』
さっき時間的余裕について微妙にスルーしてたのでこういう質問になったのですが、
『(答)前半ですけれども、時間的余裕という表現についてですが、やや長くなるかもしれませんが、私どもこの表現を使い始めたのは
8 月に入って以降だと思います。』
ほうほうそれでそれで?
『それで、その理由と致しましては申し上げるまでもないかと思いますが、当時の、特に米国の弱い雇用統計、予想以上に弱かった雇用統計、こうしたものに影響されまして、マーケットが非常に荒い動きになったというようなことを、非常に重要な現象だし今後の日本経済をみる際にも重要なリスクと判断しまして、ある意味他のリスク以上にここについて注意深く検討していかないといけないと、この姿勢を注意深く検討していくという意味で、時間的余裕を持ってみていくという表現で表したところでございます。』
振れ幅が大きくて遡及改定もホイホイと行われる雇用統計の単月のムーブでこれだけ注目する中央銀行、しかも自国じゃなくて他国ってのは何かもう笑えますし、そもそも論としてお前ら単に株式市場にビビっただけだろという過去は無かったことになっているのがインチキ臭い。
『現状、その以降の動きをみていますと、データが少しずつ改善し、市場も少しずつ安定を取り戻し、更に米国の統計に限りますと、さっき申し上げましたようにここ
1 か月くらいに出ている統計についてはかなり良いものが続いています。』
人の国の単月の指標で一喜一憂するなよ・・・・・・・・・・・
『それでもなお、完全に安心できるというところまではいっていないんで、先ほどの展望レポートの最後のところにある文章には、米国経済をはじめとする世界経済の動きという表現を付け加えて、ここのリスクをまだ重視してみてるという姿勢は貫いてはいますけれども、』
つまりこの説明ですと展望レポート基本的見解の最終部分にある「追加文言」は「下振れ警戒文言」になるので、こちらを見ますと普通に「政策修正に新たな留保文言を加えた」というハトハトチキンムーブに見えてしまいますが・・・・・・・
『やや行ったり来たりになりますが、リスクの度合いは少しずつ下がってきていますので、もう少しみて今のようないい動きが続けば、普通のリスクと同等のところになる。』
ああ要するに株式市場にビビって入れた「時間的余裕」をフェードアウトさせたいとwww
『そういう意味で、このリスクに光を強く当てて、時間的余裕を持ってみていくという表現は不要になるのではないかというふうに考えて、今日も使ってないということでございます。』
ということでここでやっと「時間的余裕」の封印ムーブが来ましたが、「リスクに強く光を当てる必要はない」のであれば、そもそも論として何で展望レポートの最終段落に余計なもんを追加したのかというのが訳わからんですわ。
『ただ他のリスクは常にあって、それはまた米国について新しいリスクが出てくるかもしれませんし、それについては毎回毎回、普段通り決定会合で判断して、政策判断につなげていくということでございます。(後半割愛)』
って言ってるけど、米国って上振れリスクだってあるよね、というかそっちの方が今は大きいんじゃないですか、というのは後の方でも質問がある。
・「市場の安定性」も結局は8月のその場しのぎのコミュニケーションでしたなwww
こんな質疑がこの次にありましてですね、
『(問)(前半割愛)もう一つ金融市場についてはですね、これまで引き続き不安定であるとおっしゃってましたが、徐々に安定はしてきたというような表現をされてましたけれども、円キャリートレードの投機的なポジションも解消されましたが、今後、市場の安定度合いを見極めるうえでは、どの辺を注意してみていくお考えでしょうか。』
と来まして植田さんの回答ですが、
『(答)(前半割愛)それから、市場の安定性を評価していく際にどういうデータをみていくのかという二番目のご質問ですけれども、これは特定のこのマーケットのこういう指標をみるということを具体的に申し上げるのは適切でないかと思います。つまり、いろいろ不安定な動きになるときにどこが不安定になるかというのは、その時その時で変わり得るものですし、われわれとしては様々な広い指標について、なるべく努力して良い情報を得て、全体をみているというふうに申し上げるしかないかなと思います。』
お前が最初に言い出したんだろうがお前が、ということでどの口がゆうてますねんという発言を堂々としておられる次第ですが、結局この「市場の安定性」も8月の株価にビビって慌ててその場しのぎで威勢の良い事言っちゃいましたゴメンチャイって素直に言えばいいものを素直に言わないもんだからこういう謎発言になるのでした、こまった人たちではあります。
・7月利上げにおける市場金利の動きが「予想通りの動き」ってウソつけとしか言いようが無い
この質疑なんですけどね、
『(問)二点伺います。一点目なんですけれども、現状の利上げの評価、有効性について伺えればと思います。7
月末の追加利上げで企業融資ですとか住宅ローン金利への影響の大きい短期プライムレートも上がりました。一方で、預金も金利が段階的に引き上げられまして、地域金融機関では、市場金利を上回る、ちょっと一見すると経済合理性に欠くんではないかという水準でキャンペーン的に集める先も広がってます。資金余剰の金融環境の中で、あとオーバー・バンキングであったり、あと金利形成で最近ネット銀行も全国的に存在感が増してます。今回の利上げ局面でです。金融緩和度合いは、想定通り調整されているのか、今のご認識を伺えればと思います。(後半割愛)』
長いわ質問が、と思いますがこの回答の中で植田さんはですね、
『(答)まず、7 月の利上げの影響ですけれども、これは概ね予想通りに近いところの動きになっているかなとみています。市場金利の動き、それから貸出・預金金利がいくぶん上昇しているというようなこと、』
ちょwwwwwwおまwwwwwww市場金利の動きwwwwwwwwwww
えーっとすいません、7月から足元にかけてなんですが、市場金利ってろくすっぽ上がっていませんし、何なら短国とか下がってるんじゃないか位の勢いになっていますけれども、どこがどう「7月利上げ後の市場金利の動きがおおむね予想通りに近いところの動き」になるのか小一時間問い詰めたいというか、どういう認識でいるんだよマーケットの事を、という所ではあります。
以下この質疑応答では、
『ただし、もちろんその中に、競争が厳しいところでは、ちょっと動きが大きかったり逆に小さかったり、予想からずれてるところもあるかと思います。それから、そうは言っても、もともとの利上げ幅が
15bps程度であったということで、金融機関の貸出態度や企業からみた資金繰り等のところには、強いマイナスの影響が出ているという状態では、全くないかと思います。マインド面にも今のところ大きな影響はみられていないということだと思います。8月の前半にマーケットの混乱はあったわけですが、それがわれわれの金融システムにマイナスの波及効果をもたらしているということも確認できていないというふうにみております。(後半割愛)』
ということで、そもそも質問も市場金利の話ではなくていわゆるファイナンシャルコンディションの質問だったのでそっちの回答になっているのはまあ良いんですけど、この「市場金利」に関しては聞き捨てならないというか、植田さんがうっかり口走っただけなのかもしれませんけれども、そういう事やぞ植田さん、というお話ではあります。
・市場金利とかいうから債券市場の質問があったのだが
その次の質問。
『(問)最近の債券相場についてお伺いしたいんですけども、ストック効果とか米国の金利低下に影響されてるのは分かるんですけれども、日銀は今日も言われてましたけど、見通し期間の後半にかけて基調的なインフレ率が
2%にいくという見通しを持たれてて、そうなってくると想定される中立金利が大体
1%で、生産性の上昇を入れるとそれよりも上で推移するのが普通かと思うんですけども、長期金利がやはり現状1%以下で推移していると。』
日銀の買入が過大なのがとにかくよくないんですけど。
『現にいろいろ聞くところによると、やっぱり日銀が言われている景気見通し、物価見通し、正常化のパスに関して市場参加者があまり信じてないような気もするんですけれども、』
それはどうかと思うのでありまして、市場でポジション持っている人たちも普通に12月か1月(12月と1月の間に本質的な差はない、これが3月になると本質的に違う感じになってくる)に利上げと思っている人の方が多いし、何なら正常化のパスが日銀は遅いと思っている人多いと思うんですけどね。
『どういう状況になってくれば、市場参加者が日銀の正常化のパスとか、物価の見通しを信じて、それを金利に織り込むようになっていくようなことが考えられるのか、その点をお伺いしたいと思います。』
という質問で、これひっかけなのかもしれないけど、何で輪番の弊害について聞かないんだと思いました。まあそれはともかくとして回答が中々の面白回答でして。
『(答)確かに現状 10 年金利が 1%ないし 1%弱というところと、持続的な物価安定が達成されたときのインフレ率は
2%というものを比べますと、中立金利の見方次第ですけれども、両者の整合性はどうかという質問はあり得ると思いますが、私どもの見通しにしましても、妙な言い方になりますけれども、中心的な見通しとしてこういうことであるという見通しを
24、25、26 年度について出しているわけで、例えば24[年度]については、その可能性はかなり高いと思いますけれども、25、26[年度]と先に行くほど
100%で当たるというところからは、かなり確度は下になっているということだと思います。』
何を言い出すのかと思ったら、
『マーケットの価格形成はそういうところまでも織り込んでなされていると思いますので、中心的な見通しがどうかという質問だけを投げかければ、そんなに違いはないかもしれないかと、そこも違うかもしれませんが、差はそれほど大きくないかもしれないと思います。しかし、いろいろなリスクシナリオを考えた際に、現状程度の長期金利水準になるということは十分あり得ると思います。』
市場が各種の下振れリスクを織り込んでいるので長期金利が一般的に考えられる長期的な中立金利よりもだいぶ下で推移しています、という面白説明をしているんだが、だったらお前ら「ストック効果」とか言ってるのはアレは何なんだという話でして、アホみたいに長期国債の買入を継続して冗談みたいなバランスシートを持っている状態で長期金利に押し下げ効果が出ているのに、その押し下げ効果があたかも無いような話をして「市場は下振れリスクを織り込んでいるのではないか」とか言い出すの幾ら何でも屁理屈にもほどがあると思います。
『両者が収束していくのは、お互いにどちらが先行するか分かりませんが、もう少し先の見通しに関する確度がもう少しみえてくるかなとは思います。』
とかいう無茶苦茶な説明になっていますが、これ長期国債の大量買入れが無いならおっしゃる通りではあるのですが、長期国債買入をバンバン実施して長期金利に低下圧力を恒常的に掛けているのにこの言い草は酷いとしか申し上げようがないのですが、とにかく今の日銀って「その場しのぎの屁理屈」だけは達者なので、このように「依然として続いている大量の長期国債買入というのを無視するとこの部分だけで言えば理屈は通っている」というようなその場しのぎ説明が見れてしまう、ということになってくるんだと思います(個人の感想です)。
・為替円安の物価上振れリスクに関しては終始棒読み対応
実は前にもそういう質疑があったのですが割愛しています。
『(問)質問二問あります。やや重なるんですけれども、足元の為替相場、円安にちょっと戻ってきてるっていう部分について、物価上振れリスクの警戒度合いみたいなところはどういうふうにご覧になってるかっていうのが一点です。(後半割愛)』
『(答)円安がもたらす物価上振れリスクについてですけれども、先ほどもちょっとお話ししたんですけれども、問二ですか、幹事社からの。過去と比べますと企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、為替の変動が、この場合円安ですが、物価に及ぼす影響が少し大きくなっているという面には注意しつつ、先ほども別の方の質問でお答えしましたように、円安の背後にある経済の動きと総合して物価への影響をみていくということでございます。(後半割愛)』
なんという棒読み(棒読み)
・米国経済のダウンサイドリスクが心配されていたのに7月に大胆にも利上げをしたという恐ろしい発言キタコレ
こちらの質疑で植田さん驚異の回答を行ったのですが、
『(問)総裁、先ほど時間的余裕があるという言葉、リスクが低減することによって必要なくなってきていることをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、それに加えて今日の展望レポートでもですね、オントラックという姿がみえてるということは、総裁の中では利上げへの環境は少しずつ、まだ不確実性は高いんですけど整いつつあるというお考えなのか。米国経済についてご覧になっていくということですけれども、大統領選は来週ですが、大統領就任というのは来年
1 月になると思います。それまで総裁は待たなければいけないというようなお考えを持っているのかどうか、お願い致します。(後半割愛)』
この回答、クソ長いので途中から引用しますのはビックリしたのはこの部分でして・・・・・
『(答)まず、ここのところ、私どもが私どもの見通し実現の確度についてどういうふうに判断しているかというご質問だと思いますけれども、これは政策委員一人一人で違うと思いますけれども、今日はそれを総合した結果、今日のところは現状維持でいいという答えになったということだと思います。(途中割愛)当面時間をかけて見極めたいというふうに申し上げていた米国にまつわるリスクは、少し長く取れば
6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスクについての見方ということであるというふうに私どもとしては認識しています。(以下割愛)』
> 6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスク
> 6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスク
> 6 月のどこかくらいから始まった近い将来の米国経済のダウンサイドリスク
おいこらちょっと待てという話ですが、この次の質疑でも同様に、
『(問)(前半割愛)もう一点がさっきからちょっと出てる時間的余裕の部分なんですけれども、今日はあえて使っていないっていうふうにおっしゃったと思うんですけど、今日はあえて使ってないってことでよろしかったんでしょうか。』
というのに対して、
『(答)(前半割愛)それから、二番目の時間的余裕の話ですけれども、これは直前のご質問でもありましたが、6、7
月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスクにまつわるもの、そこのところを見極めるための時間的余裕という意味で使っていますので、これがなくなるとともにこの表現も使わなくなるというふうに考えています。』
>6、7 月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスク
>6、7 月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスク
>6、7 月から 9 月上旬くらいまでに心配されていた米国経済のダウンサイドリスク
まwwwwwじwwwwwwかwwwwwwww
こではリアタイで聞いてて思わず声が出てしまった部分ですが、ちょっと待てお前ら7月利上げの時に米国のダウンサイドリスクを心配してたのかよという話で、そんな心配があるのに何で利上げしたんだよおどれらはという話だし、だいたいからして7月お前らそんな説明してなかっただろというお話。
まあアレですな、この「米国経済のダウンサイドリスク」を持ち出したのも結局のところ8月の株価暴落にビビって言い訳を考えて後付けで持ってきた話であることはほぼ確実なんでしょうけれども、そう言ってしまうと身も蓋も無いので、もうちょっと高尚に考えていましたと見栄を張るために「8月」とは言わずに「6、7月」って言い出したんだろういい加減にしろというお話なんですが、別に植田さんが間違えていったわけではなさそうなのは2回連続してこの言い方をしていたのですから、そういうことに後付けで勝手になっている、という事を示すわけでございまして、さっきの市場金利の説明もそうですけれども、何ちゅうその場しのぎの屁理屈昭和温泉旅館、とあきれてしまう次第であります。
・8月の市場の動きはまさにお前らのコミュニケーションによる投機ポジションの積み上がりだろいい加減にしろ
こんな質疑がありましてですね、
『(問)(前半割愛)二点目は、先週ですか、IMFの講演において、総裁がおっしゃってた点で面白いなと思ったのが、不確実性が高いうちは、金融政策の変更は慎重にゆっくり動きたいんですけれども、あまりゆっくりするという印象を与え過ぎると、低金利が長期間続くことによって、そういう市場の期待によって、投機的なポジションが積み上がってしまう可能性もあると、その両方のバランスが大事なのである、というご発言があったと思います。両者のバランスを考えた際、今の日本の経済やマーケットの環境というのは、どちらをより重視して政策運営、コミュニケーションをとるべきなのか、お考えをお願いします。』
『(答)(前半割愛)二番目の不確実性が高いときには、確かにいろいろな政策は注意深く進めるということですが、金融政策においては、そういう期待を過度に作り出すと、場合によっては不健全な投機的ポジションの積み上がりになってしまうリスクもあるということで、その辺のバランスをどう考えるのか、というご質問だと思いますが、これは、今どの辺というふうにお答えするのは難しいですけれども、結局は、私どもの経済・物価見通しと、それから今後の金融政策の考え方、戦略を丁寧に繰り返しご説明していくということに尽きるのかな、というふうに思っております。』
いやそれに失敗して8月頭の盛大なポジション巻き戻し起こしたんだろ反省するという思想は無いのかよ・・・・・
・植田さんの本音駄々洩れシリーズその2で「8月9月は普通の政策運営じゃなかった」らしいです
これはワロタw
『(問)先ほど来からの繰り返しで恐縮なんですけども、時間的余裕があるという言葉をですね、今回使わなかったとおっしゃった理由に米国経済のある種のリスクが低減したということの趣旨をおっしゃっているんですけども、なかなかちょっと理解しにくいとか、市場も理解しにくいかなと思うんですが、この時間的余裕があるという表現、今回なくしたことは端的に大雑把に言うと、これは次の利上げに向けてのステップが以前よりも高まったという理解でいいんでしょうか。』
に対して、
『(答)先ほど来申し上げてきたような意味で米国経済に関するある種のリスクに特に注目するということは、将来復活する可能性はゼロではないとは思いますけれども、いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻るということでございます。毎回毎回データと情報を点検して判断していくということでございます。』
>いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る
>いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る
>いったんやめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る
本音駄々洩れwwwwwwwwwwwwwwwwww
ってこれつまりは8月9月は異常なことをしていた、っていうのが植田さんの認識だって話ですな。いや別にリスクが高いものがあるのを見極めるってのも普通の金融政策決定だと思うのですが、このように8月9月の動きから今回への流れを「変化」と見て「普通の金融政策決定のやり方に戻る」って言ってるのは、それ以前が普通じゃなかったというのを思いっきりお漏らししている状態で大変に味わいが深いですwww
・財政健全化についてはもっと言え
この質疑は良かったがもっと財政の健全運営について日銀は言うべきである。
『(問)
金利が上がってくるってことが前提として、企業とか家計とかっていうのは金利が出てくる世界に対して備えってのができてきてるかと思うんですけど、政府の部分ということを考えるとどうなのか、先ほどからも政治の影響っていうのが出てきますけど、だんだんと財政拡張的な政策が打ち出されていくと、今後日銀としてはどういうふうになっていくのかということを、お考えをお聞かせ頂けますでしょうか。』
『(答)私ども、財政政策については、政府、国会においてお決めになるものですので、コメントを差し控えるということでずっときております。ただし、そういう中でも、中長期的な財政の維持可能性についてきちんと配慮して頂くことは重要であるということはいつも申し上げています。』
いつも申し上げております、って大見得切るほど言ってるかいな・・・・・
・展望レポート最終段落の文言追加はこの質疑を見ているとやっぱり「下振れ警戒追加文言」に見えてしまいますよね
『(問)今回の展望レポートの最後の部分の金融政策運営の文章に加わった、7
月になかった新たな文章の部分ですけども、これは今のところ市場のファーストリアクションとしてはどちらかというと、物価目標実現の確度が下がる下振れリスクについて注意を喚起したって文章だという解釈をされているようですけども、』
でしたなあ。
『逆にその確度が高まる上振れリスク、例えばアメリカの新政権の政策運営次第ではインフレ的あるいは金利に上げ圧力がかかって円安になって、結果的に日本の物価に上げ圧力が加わる、結果的に確度が高まるような上振れリスクもあり得ると思うんですが、』
これは実にいい質問である。リアタイで聞いてて「よく聞いた」とか声出てしまったw
『そういったリスクも留意するという含意があってそれを加えているんでしょうか。その辺りはいかがでしょうか。』
でもって植田さんの回答。
『(答)ちょっと難しいところですけれども、7 月と比べますとおっしゃったような含意もあるかもしれませんが、むしろもっと直近の
9 月ぐらいに私どもが申し上げていたことからしますと、ここの米国をはじめとするというリスクをもっと強く申し上げていたわけで、それと比べて少しリスクの評価、弱めになってるけれどもちょっと残っているという感じを出せればなという文章でございます。』
うーんこれだと下振れ警戒だけに見えてしまうな〜。
・植田さんの本音駄々洩れシリーズの白眉「ワシは内田や渡辺とは違うんじゃ馬鹿にするな」
これはクソワロタんですけどね。
『(問)春闘についてお伺いします。先頃、連合は基本構想として 2025 年の春闘で
5%以上と、昨年と同じ水準の目標を示しました。昨年が 5.1%の賃上げを実現したことと、足元の物価を考えると抑えた目標とも言えるかと思うんですけれども、中長期、巡航軌道として
2%の物価目標が実現するという前提をもとに巡航軌道を描いているということです。政府・日銀が掲げる物価目標が、賃金の一つの、決める大きな要素である春闘でも前提とされたことについて総裁どう受け止めますか。』
とまあ質問の方は至って普通の質問なんですけどこの回答を聞いててこれまたリアタイで爆笑の発作が起きました。
『(答)以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが、物価や賃金が上がらないというノルムが社会の中に
形成されて、』
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
>以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが
もうね、この枕詞の後に出てきたのが「ノルム」なわけですよ「ノルム」。
先般もこの話をネタにしましたが、
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240627a.pdf
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第2回「過去 25 年間の経済・物価情勢と金融政策」の模様
のPDF20枚目にある『(ノルムの位置づけ)』のコーナーで柳川先生と吉川先生が「ノルム」の話をケチョンケチョンにしていた訳ですが、植田さんも真っ当な学者として柳川先生や吉川先生の主張にシンパシーを感じている、というのがこの「以前より私はあまり使ったことはないかとは思いますが」に出ているのがクソ笑いましたし、
『それがインフレ率が上がることを難しくしてきたということがあったかと思います。おっしゃったように春闘の中で、2%という私どもの目標が一つのメルクマールとして使われるということになれば、』
という後にもう一度、
『そうしたノルムみたいなものが変わりつつあるということとも言えまして、2%の[物価安定の]目標が持続的になるという状態に一歩近づくのかなというふうに判断致します』
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
>ノルムみたいなもの
wwwwwwwwww
まあこれは「ワシは内田や渡辺とは違うぞ」という植田さんの気概を感じて大変に素晴らしく思いました。
といったところで他のネタまでやっている時間もないので本日はこれで勘弁。
2024/11/01
お題「決定会合レビュー(その1)」
円安に飛ばなかったのは結構ですけれども結局152円とかなのか・・・・・・・
〇展望レポート基本的見解概要部分:リスクバランスを下げてきましたな
今回の声明文は決定事項の話しかないので展望レポート基本的見解の比較と総裁記者会見での説明(例の「時間的余裕」や「米国経済下振れガー」のうち時間的余裕というのは講演とか会見での説明であって声明文や展望にはでてこない)がダイジダイジネーなのですが、会見ちゃんの方は(さすがに今回は最初から最後まできっちりと日銀よつべチャンネルで聞いていましたが)詳細が本日出ますので週末に追加する”時間的な余裕があれば”追加しますwwwww
10月展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2410a.pdf
9月金融政策決定会合声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240920a.pdf
7月展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407a.pdf
主に展望の比較をしつつ時々9月声明文も入るって感じでまずは参ります。
『<概要>』の部分(ワイは鏡とうっかり言ってしまうのだがそれが一般用語なのかどうかは知らん)を比較してみるある。
・先行き経済見通し総括部分:全文一致が続く
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(9月声明文)
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(7月展望)
毎回ここ同じことしか言ってませんwww見事に全文一致が継続。
・物価の先行き見通し部分
物価の先行き見通しに関しては年度別展開の説明が非展望会合の声明文では基本的に行われませんのでそこの表現が9月声明文で抜けているのはテクニカル要因です、為念。
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台半ばとなったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。』(今回)
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台半ばとなったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。』(7月展望)
9月声明文では比較該当部分無いです。こちらは展望レポートの見通し計数(はっきり言って今回の鉛筆舐め舐め感がものすごく強くて、何でこういう数字出来上がりになったのよというのはあるのですがそこはまあ追々)とその後の説明から見て「おおむね同じようなもん」という話なのと整合的な全文一致。
でもって背景説明がこの先になるのですが、書きぶり的に比較するときには展望同士で比較して9月はおまけの方がよさそうなのでそんな感じで引用しますが。
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回)
『既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、2025 年度にかけては、政府による施策の反動等が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(7月展望)
途中にある特殊要因でカクカクしている部分って説明が必要ではあるのはわかるのですが、展望レポート基本的見解の「概要」部分で説明すべきことなのか、というのは改めて考えて見ると若干疑問があって、基本的見解の本文の中で記載するような形にした方が良いのではないかと思うのですよね。
と申しますのも、特殊要因でカクカクしている部分って特殊要因だから本来はそこはネグって考える話の類のものであって、経済物価見通しにおける本質的な意味合いが無いものを鏡の部分という比較的重要な部分で説明していると、特殊要因が滅多にない場合は良いんですけれども、今のように馬鹿政治家共が隙あらばなんとか補助金とか出そうとすると、そのたびに特殊要因がカクカクするわけで、それを一々鏡に載せていると特殊要因の説明ばっかり悪目立ちしてしまいかねないと思うし、だいいち余計な文言が増えるので分かりにくくなりますがな、というのがアタクシの考え(個人の感想です)。
モチのロンですが、特殊要因ったって財政がガバガバ出てくるような施策に関しては、テクニカルにCPIを動かすだけではなく、ガバガバ財政によって総需要に影響が出るから経済物価見通しに影響する、というのはあるのですが、それはそれで鏡に書いてあるメインの見通し部分で討ち取ればよい話で、テクニカルの入り繰りを細かく書いていると、その要因がものすごく重要な話っぽく見えてしまうのイクナイんじゃないでしょうかね。
なお9月声明文ですが、
『消費者物価(除く生鮮食品)については、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、来年度にかけては、政府による施策の反動等が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(9月声明文)
年別展開の部分はさておきまして7月から10月まで見通しは同じですね。ちなみにこれ9月声明文の時にも申し上げましたが、本来声明文会合の時は見通しのタイムホライズンはそんなに長くなくて、展望レポートの時に長いタイムホライズンの見通しを出す、という建付けになっていたので、若干この「展望レポートの見通し期間後半には」云々のところは違和感があるなという感じはあります。
あと、最後に
『なお、2025 年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、政府による施策の反動が押し上げ方向で、このところの原油等の資源価格下落の影響などが押し下げ方向で、それぞれ作用すると見込まれる。』(今回)
ってのが今回入っています。
・前回見通しとの差異
『前回の見通しと比べると、成長率については概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2025
年度が、このところの原油等の資源価格下落の影響などから幾分下振れている。』(今回)
『前回の見通しと比べると、成長率については、2024 年度は、前年度の統計改定の影響等から、幾分下振れている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度は、政府の施策がエネルギー価格を押し下げることを主因に下振れている一方、2025
年度は、こうした施策による押し下げの反動から、幾分上振れている。』(7月展望)
まあここは前回と比較する意味あんまりありませんけどww2025年度の見通し下げておいて後のリスクバランスでは2025年度の上振れリスクって話があるのナンジャソラ感はあります。だったら見通し下げるなよと思うんだがwww
・リスクアセスメントの要因の表現に変化はないのよね
『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(今回)
『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(9月声明文)
『リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。』(7月展望)
実はここは面白くて、8月9月、とくに9月会合って「米国経済の下振れリスクガー」を会見で大連呼するわ「主な意見」も7月まではそんな話なかったのに突如「米国経済の下振れリスクガー」の大連呼するわ、ということになっているのですが、声明文の方では別に大連呼していなかったのですよね。でもって比較してみると実は7月展望の「為替の変動ガー」の追加文言で注目されたリスク要因の記述がそのまま継続している、という形になっていまして、一方ではご案内の通りで米国経済下振れリスクガーの大連呼をしていた訳でして、なんのこっちゃという感じですよね。
・リスクバランスは前回対比引き下げ
9月はリスクバランスの評価はありませんでした。
『リスクバランスをみると、経済の見通しについては概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2025
年度は上振れリスクの方が大きい。』(今回)
『リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2025 年度は上振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、2024
年度と 2025 年度は上振れリスクの方が大きい。』(7月展望)
見通し下げておいてリスクバランスは上振れってぱっと見意味くじ分からん世界なんですよね、しかもこれ最後のチャートを見ますと2025年度の委員のリスクバランスって上振れ3、バランス5、下振れ1になっているんだから普通はこういうのは多数決で「おおむねバランス」になるじゃろと思いますが、以前もそんなのがあった記憶があるが、この記述方法なんか変じゃね??とは思います
〇問題になるのは「今後の金融政策運営」だがまた余計なもんを作りやがりまして甚だ怪しからん
でもって本来ですとここから経済物価見通しの逐語比較をしていくんですが、そっちよりも今回は今後の金融政策運営に関するコミュニケーションの方が大問題、という会合でしたので、展望レポート基本的見解の最終部分をネタにしてまいります。
『4.金融政策運営 』の最終パラフラフです。
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(今回)
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。』(7月展望)
でまあこの次に「日本銀行は2%達成に向けて適切な政策をしまっせ」というのが入るのですが、ご案内の通り今回クソ意味不明な文言追加がぶっこまれております。
『そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある。』(今回)
・・・・・( ゚д゚)
なんですかこれはという話でして、4月展望で余計な文言ぶっこんで利上げがだいぶ先という思惑を招いて円安をぶっ飛ばした挙句に7月利上げがサプライズ扱いになってしまった、という点の反省はどこに逝ったんでしょうか、という話ではありますわな。
いやまあこれが実は11月以降の米国新政権によって米国経済がウホウホと上向き米国物価もウホウホ状態になってくるので日本にも上振れリスクが出てくることも検討しないといけませんね、って意味だったら実は米国上振れ警戒、という話でそれはそれでオシャンティーなんですけれども、ここまでの話の流れからすると「米国経済下振れリスクガー」を「見える化」したという物件に見えてしまいますし、総裁会見でも
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/56YMURFM5FLALMREVDVSFK2MWY-2024-10-31/
今後「時間的余裕」は使わない、毎回会合で情勢判断=植田日銀総裁
By 和田崇彦, 杉山健太郎
2024年10月31日午後 6:25 GMT+9
『そのうえで植田総裁は、展望リポートの金融政策運営の部分には米国経済などの今後の展開を注視する考えを明記し、リスクを重視しているという姿勢は貫いていると語った。』(この部分のみ直上URL先のロイター記事より、以下同様)
って言ってまして、この説明だと「下振れリスク警戒文言をわざわざ入れた」という説明になっているように思えるわけですし、会見の配信聞いている感じだと「やっぱり下振れ文言なのかな」と思わせる印象があったんですよね(個人の感想です)。
ただまあロイターさんの記事でも上記の部分の直後に、
『11月上旬の米大統領選後の新政権の政策運営が日本に与える影響については、新大統領が打ち出してくる政策次第では新たなリスクになるが、各会合で点検していくと述べた。』
ってなっていて、この「新たなリスク」が上振れなのか下振れなのかは言ってなかった記憶がある(少なくとも上振れって言ってた記憶は無いのだがまあこれは会見録が出て点検しましょう)のですが、会見での説明の文脈だと新たな下振れリスク、って聞こえてしまうのですよね。
ただまあ書いてある文言では下振れとは限定して書いていないので、上振れも下振れもアリエールという話になってしまうのが諸葛孔明の罠にも程がある話で、それこそ先週の植田総裁のワシントンでの会見の「一応」2連発が(アタクシが最初に気が付いたわけではなくて読者様から指摘されて成程と思っただけなのでそこはタネを割っておきますがw)実は今回の「時間的余裕」撤廃の布石だったように、これも後から利上げする段になって「米国経済は下振れリスクよりもむしろ上振れの可能性の方が高まっており金融緩和度合いの調整をサポートしています(
ー`дー´)キリッ」とか言い出すための諸葛孔明の罠の可能性もある、という玉虫色文言になっています。
まあしかし何ですな、そういう諸葛孔明の罠なのかもしれませんけれども、こういう文言は基本的にゴテゴテと入れることによって、「条件付き」という印象を強めるものになりますし、しかも本来総合判断で行うべき金融政策判断に関して「米国経済に注目して金融政策を行っている」というような本筋からみたら明らかに変な事をやっている印象を与えるので、まあこういう表現を加えているのは筋悪にも程があるんですが、どういう事情でこの別に入れなくてもよさそうな文言を入れる破目になったのかというのは不思議ちゃんではございます。下振れリスク警戒しないといけないからそのためにこの文言を入れたのならまあ話は分からんでもないのですが、上下のリスクがあるのは何だってそうなんだからわざわざ入れる必要あるのか??って話ですよね。
ちなみに記憶の備忘のために、となりますが悪名高かった4月展望ですが、
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』(4月展望)
ってなっていて、この「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」が政策金利引き上げへの市場の、というか特に為替市場方面の金融政策に関する見方に大きく影響を与えていた訳ですな。
なお、最終パラの最後は、
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回)
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(7月展望)
でして、ちなみに4月展望をおまけでつけると、
『日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(4月展望)
となっています。
〇総裁記者会見:詳しくは会見録出てからですが「時間的余裕」を完全封印したのは結構結構
ロイターさん(再掲)
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/56YMURFM5FLALMREVDVSFK2MWY-2024-10-31/
今後「時間的余裕」は使わない、毎回会合で情勢判断=植田日銀総裁
By 和田崇彦, 杉山健太郎
2024年10月31日午後 6:25 GMT+9
ほぼ出オチですけど、
『[東京 31日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は31日、金融政策決定会合後の記者会見で、米国経済の下振れリスクが後退しているとして、今後、経済・物価情勢の見極めなどで「時間的な余裕はある」という表現は使わないと説明した。日銀の経済・物価見通しが実現していけば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と強調する一方で、追加利上げの是非は毎回の決定会合までに入ってきたデータや情報に基づいて判断していくと述べるにとどめた。』(上記URL先より、以下同様)
いやマジであの表現害悪以外の何物でもなかったので削除したのは結構なことでした。
『植田総裁は9月の決定会合後の記者会見以降、円安修正で輸入物価上昇に伴う物価上振れリスクが後退しており、政策判断に当たって「時間的な余裕がある」と繰り返し述べてきた。しかし、「時間的な余裕」との文言が市場で次回の利上げ時期を示すキーワード化しつつあるとの警戒感が日銀では出ていた
。』
次回どころかその先までのキーワードになっていましたけどwww
『植田総裁はこの日の会見で「時間的な余裕がある」との文言を封印。米国経済の現状について「良好な経済指標がみられる」とし、完全に安心できるまではいかないがリスクの度合いは下がっていると指摘。米経済や市場の波乱が日本経済に与えるリスクに強く光を当てる意味で使ってきた「時間的余裕」という表現は不要になったと説明した。米国経済のリスクに特に注目するのはやめ、「普通の金融政策決定のやり方に戻る」とも述べた。』
まあこの辺もツッコミどころがあるのですが、そのあたりは会見録出てから改めて参ります。