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2024/10/31

お題「決定会合プレビュー雑談/東京レポレート案の定末初レート低下/潜在成長率と賃金物価の関係とな(多角的レビューシリーズ)」

さあさあ決定会合決定会合

〇その場しのぎコミュニケーションの昭和温泉旅館をどうするのか

でまあ今日は決定会合ですけれども

https://www.nikkei.com/

日経のネットみます(今朝の段階では)日銀のにの字もないというお洒落なことになっていまして、どんだけ無風なのと思いつつ他を見ますと、たぶん朝5時のニュースなんじゃないかと思いますが、

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241031/k10014624461000.html
日銀 きょう2日目の金融政策決定会合 政策金利を据え置くか
2024年10月31日 5時11分

見通し自体はさておきまして、公共放送さんの説明がポイントをよく説明しておられまして(最近は公共放送さんの説明が一番出来が良い事が多いので変なバイアスの無い記事読みたかったらオヌヌメしておく、なお回し者ではない)、

『日銀は31日、2日目となる金融政策決定会合を開き、当面の政策を決定、公表します。日銀は利上げを検討する上でアメリカ経済の動向を重視するとしていますが、当面は慎重に見極めるべきだという意見が多く、今回は政策金利を据え置くとみられます。』(上記URL先より、以下同様)

ということで米国経済ガーを連呼していることを取り上げつつその先でしらっと、

『日銀が利上げを検討する上で最近重視しているアメリカ経済をめぐっては、経済指標が市場の予想を上回るケースが多くなっています。』

アメリカ経済ガーの話に加えて、「最近重視している」という説明を加えていまして、日銀の説明が毎度毎度コロコロとご都合主義で変わっている事も暗に示しているのが大変にチャーミングですね。

『ただ、植田総裁は先週、訪問先のワシントンで「先行きに対して楽観論が少し広がりつつある気がしている」と述べたほか、日銀内でも大統領選挙を控えアメリカの経済は当面、慎重に見極めるべきだという意見が多くなっています。』

この部分、前半と後半が文章として繋がっていなくて、逆接の接続詞いれないとアカンのじゃなかろうかと思うのですが、大統領選挙を控えて経済は慎重に見極めるべきとかよくよく考えてみたらそんなもんあることが事前にわかっているのだから頭の悪い言い訳ですよね、というのは弊駄文で何回か申し上げたので繰り返しませんwww

『さらに植田総裁は会見などで「時間的な余裕はある」と繰り返し述べていて、日銀は今回政策金利を据え置くとみられます。』

とまあそういうことで、こちら衆目の一致するポイントにすっかり昇華してしまいましたが、米国経済ガーと時間的な余裕ガーという8月以降に繰り出してきたその場しのぎの言い訳が悪目立ちするという格好になっておりますわな。

でまあどうせ日銀の事ですから、こういう目先の釣り餌に引っかかってしてやったりとか思っているんでしょうけれども(個人の感想です)、こうやって目先を誤魔化すために手を変え品を変えゴールポストを動かすもんだから、政策反応関数はさっぱりわからなくなっているし、ゴールポストの残骸が「実質賃金が2%に上がるまで金融緩和をしろ」というような円安コストプッシュ助長待ったなしのポピュリズム政策へとつながってしまう訳でして、とにかくコミュニケーション何とかしろとしか申し上げようがない。

ただまあ救いなのかもしれないのは、昨日ネタにしましたように、植田総裁がさすがにこの昭和温泉旅館コミュニケーションをヤバいと思っているんじゃなかろうかと思われるところであります。

すなわち、昨日ネタにしましたように、「時間的余裕がある」というのと「金融市場が不安定」っていうのに「一応」ってのをつけている件ですが、大本営の振付によって今回の決定会合でトーン変更をする布石と昨日は読み筋を申し上げましたが、先ほどの公共放送さんの記事なんかだとトーン変更する気あるんかいな感も漂ってくるわけで、そっちをベースに考えた場合、この「一応」というのは植田さんが今の昭和温泉旅館コミュニケーションに関してさすがにおかしいし、このまま振付師の振付通りにハトハトチキン昭和温泉音頭を踊っていると飛んだ道化師にされてしまうので「一応」という言葉で抵抗しだしている、とも読み取れるわけでして、などと人の心理を勝手に憶測しているだけですが、まあそうだったらそれはそれでコミュニケーション立てなおってくれないかねと思う次第です。

いやまあ別にもう利上げする気が無いってんだったら無いってはっきり言ってくれれば話はすっきりする(為替市場がどうなっても知らんがwww)訳ですし、段階的にあと少しは利上げする、ってんだったら変な留保条件を次から次に繰り出して屁理屈の昭和温泉旅館を構築しないですっきりと説明すればいいんだし、どっちでもいいから方向性を出せ方向性を、というお話ではありますな。

さてどうなるのやらということで、今回は展望レポート基本的見解の最後にある金融政策スタンスの話と、鏡の部分辺りで示すリスク認識の部分が注目材料、というインフレターゲットの本筋からは外れた部分が注目されてしまうという全然普通の金融政策ではない(普通なら経済物価見通しが重要だというのに)話ですが、展望の鏡とケツから見ていきましょうということでよろしくです。



〇レポレートェ・・・・・・・・・・・(昨日もレート低いです)

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

だんだらは昨日お出ししたので、

         O/N T/N  1w  2w  3w  1m  3m 
2024/10/25 0.240 0.239 0.204 0.203 0.203 0.205 0.213
2024/10/28 0.240 0.236 0.204 0.203 0.203 0.206 0.213
2024/10/29 0.137 0.183 0.203 0.203 0.203 0.205 0.213
2024/10/30 0.174 0.143 0.189 0.201 0.202 0.202 0.214

ということで、昨日のTKRRレファレンスはオーバーナイトが前日の大下げを多少戻したものの、末初取引にあたるトモネが4bp低下して通常レート(というかなんというか)からこの2日で10bp低下というテイタラクになってしまいました。

これまた昨日ああだこうだ申し上げましたのですが、10月末とかいう割と珍妙なタイミングでレポレートが急に下がっているのは如何にも気持ちが悪くて、これが一時的なもので済んでくれれば結構なのですが、一時的なもので済まない、ということになってくると政策金利とは何ぞやという話になってくるわけです。

まあ既に短国がそういう状態になっていて、政策金利が0.25%なのに3か月の短国の金利が0.025%とかいう桁間違いを起こしている訳ですけれども、ここに来てGCレポ金利も足もとがさがるの恒常化しだすともはや政策金利とは何ぞやという話になるし、しかも単純に政策金利コントロールができていない、というだけではなく、今の日銀って超過準備預金に0.25%の付利を行っている訳でして、市場金利はコントロールできないのに補完当座預金制度対象先には莫大な利息をお支払いしている、という金融機関に謎の補助金まで差し上げているという意味不明なことになってしまう訳でして、これで政策金利0.50%に上げて短国だけではなくてレポレートまで政策金利との乖離が広がってくると、根本的に短期金利誘導の方法について考え直す必要が出てくるんじゃないでしょうか、というお話ですわな。

まあだいたいそれって莫大た超過準備を回収(付利で不胎化が効かないのなら回収するしかない、すなわち日銀の資産サイドの縮小を急ぐ)するしかないって話にはなるのですが、そのほかに謎補助金状態になっている各種の長期資金供給オペを何とかしろというか、そもそもお前らオペの名を借りて勝手に金融機関向け補助金を国会の議決も通さないでホイホイ実施してるんじゃねえとか言いたくなる訳でして、その手の「非伝統的」手段に関しても撤収していくのが「普通の金融政策」に戻すためには筋としてやっていかないといけないんじゃないでしょうかねえ(それに加えてETFとJ-REITっていうとんでもないものもあるんだけど)。

と、ただの瞬間芸のレポレート低下かもしれない(というか多分そうだと思う)を捕まえて無駄に壮大な話をしてしまいましたが、GCレートはともかくとして短国に関してはマジのマジで政策金利0.50%になっても3Mが0.10%だの0.15%だのになるような極端なことが起きかねない(し上がっても精々0.2%台じゃないのかねという気しか今はしないですし)ので。

なお、この手の「いざプラス金利になってみると益々顕在化した黒田緩和の負の遺産」シリーズではクソみたいに割高な7年ゾーンとかいうのもあるのですが、そこはアタクシ真面目に分析できているわけではないですし、何なら皆様の方がお詳しいかとも存じますのであまり知ったかをせずにおこうかと思います(滝汗)。


〇唐突ですがこの前出てた多角的レビューシリーズスタッフペーパー3部作からちょっとだけ

日銀の新着の過去分を見ますと、

10/18(金) 調査・研究 (論文)わが国企業の価格設定行動とゼロインフレ・ノルム
10/18(金) 調査・研究 (論文)わが国の潜在成長率と物価・賃金の関係を巡る論点
10/18(金) 調査・研究 (論文)わが国における均衡イールドカーブの推計:時系列手法によるアプローチ

というのがあって、先週これを多少ネタにしたんですけど、その時にスルーした真ん中の物件に関して。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j17.htm
わが国の潜在成長率と物価・賃金の関係を巡る論点
2024年10月18日
福永一郎*1
法眼吉彦*2
伊藤洋二郎*3
金井健司*4
土田悟司*5

本文の前に要旨となる上記URL先を読みますと、

『要旨

本稿では、1990年代以降の日本の潜在成長率や労働生産性の低迷の背景を振り返るとともに、これらの計測上・概念上の論点や、物価・賃金との関係を巡る論点を提示する。』

ほうほう。

『具体的には、(1)潜在成長率の推計にはアプローチの違いなどによる不確実性が大きいこと、』

そりゃそうだ、という話だがこの先が何とも微妙な論点でして、

『(2)潜在成長率の低下とともに総需要がそれ以上に落ち込んで需給ギャップが悪化する場合もあること、』

ちょっと待てナンジャソラという話なんですが、潜在成長率が低下する局面では需給ギャップの悪化が大きくなる場合もあるって言う話をしだすと、つまりは潜在成長率が低下していったので2%物価目標達成に時間がかかったんですぅという言い訳をしているのかよという気がするんだがどういうことやというお話で、例の「物価が上がらないノルムがあったから物価目標達成に時間がかかった」と同じ話になって、構造要因のせいにして肝心のQQE政策が本当に妥当であったのか(=他の緩和手段でよかったのではないか)という政策検証を行わない格好の言い訳になるだけのように思えるのですよね。

それに潜在成長率が低下する局面ではこうなる、って話をしだすと、そもそも論として2%の物価安定目標の妥当性ってのも気になってくる(日銀の本来の理屈だと2%は潜在成長率に関係なく目標として妥当という話をしているので)し、金融政策単体で物価目標達成できるといってマネタリーベース直線一気理論をぶっこんでいたのは何だったんだというお話になろうかと。

ではその次。

『(3)労働生産性の伸びの鈍化は労働分配率の低下や交易条件の悪化とも相まって実質賃金を下押ししてきたこと、』

『(4)労働生産性の伸びの鈍化はユニット・レーバー・コストの上昇を通じて物価上昇圧力の高まりにもつながっていること、』

まあこれは2面ありますよね、ってお話ですよね。

『(5)デフレや低インフレが続いたこと自体が、設備投資需要の抑制などを通じて生産性にマイナスの影響を及ぼした可能性があることなどを指摘する。』

結局「ノルム」論になっていまして、ノルムがあったから黒田緩和はなかなか効果が出なかった、で全部済ませる大本営ムーブやめえとしか申し上げようがないのですけどねえ。

でもって

『潜在成長率や労働生産性の低迷はそれ自体が重要な問題であるが、物価の安定を目的に金融政策を運営するうえでも、これらの動向を常に把握しておく必要がある。また、これらに推計誤差がつきものである点に留意しつつ、物価や賃金との関係についても多面的に検討することが重要である。』

これ「物価の安定を目的に金融政策を運営するうえでも」ってのが引っかかる話でして、そもそも論として中立金利の概念自体が概念としては妥当な考え方であっても、実際の政策運営において使い物にならない、というのは実際に政策運営を行っている中央銀行家のコンセンサスなんじゃなかろうかと思うのですけれども、何でこう日銀ってわざわざ「ザ・中立金利」みたいな話を持ち出してきて自分でコミュニケーションをグチャグチャにしてしまうのかと思うのですが、この「金融政策を運営するうえでも」ってわざわざ言っちゃうのがとっても残念なんですよね。

でまあ本文ですが、これはかなりの大部になっておりまして、項目別にいろいろと書かれているのですが、なんせこちとら数字に関してはハクション大魔王(ジジババしか知らんか)レベルなので中の分析についてどうこうは申し上げる頭もないので割愛します。

でもって結論項でも見てやろうと思ったのですが、結論項の部分が先ほど引用したHTML版の「要旨」とまるで同じになっておりますので、そこを引用する余地もなかったですトホホ。

全文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j17.pdf
わが国の潜在成長率と物価・賃金の関係を巡る論点*

これ割と不思議なつくりになっているのは、最初のエグゼクティブサマリーにあたり要旨の部分(HTML版の要旨と同じ)と、イントロダクションに書かれている話と、最後のまとめにあたる結論項で結局同じ話をしているところでして、まあ要するに見せたいのは途中の分析ということなんでしょうけれども、序論本論結論みたいな構成になっているようでなっていないのがなんか妙な感じがしました。

というころで決定会合レビューから頑張るので今日は小ネタ雑談会(昨日もだが)で勘弁してつかあさい






2024/10/30

お題「G20総裁会見補足:実はトーン変更の布石か?/足元GCレートが急低下するなど/賃金と物価の「好循環」宣伝は如何なものだったのかと」

今回の決定会合、現状維持なのは確定で良いんでしょうけど問題は「打ち出し方」に絞られた感がありますな。ということで昨日の雑談の続き。

〇総裁会見ってよく見たら味わいがある部分があったことに今更気が付くなど

まあ気が付いたというよりも読者様から「これって意味あるんじゃないの」と言われてああそうだとなったわけですが、こういうのって画面でスクロールしながら見ていると見落としがちでして、紙に打ち出して一覧性のある形で視認した方が気が付くんですよね。

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241028a.pdf
植田総裁記者会見(10月24日)
――G20終了後の加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言
2024年10月28日
日本銀行
―― 於・ワシントンDC
2024年10月24日(木)
午後2時20分から約18分間(現地時間)

2ページの部分ですけれども、ここで2回連続してある単語が出ているのですよ。それが・・・・・

『【問】時間的余裕は。

【答】 ””一応”” 、時間的な余裕はあるというふうに考えております。』(強調部分は引用者による、以下同じ)

『【問】 (割愛しますが金融市場が不安定云々の話)』

『【答】 マーケット動向ですけれども、 ””一応”” 、引き続き不安定な状況にある、あるいは例えばインプライド・ボラティリティ等をみても、(以下割愛)』

っていうことで、「時間的余裕」の話と「金融市場が不安定」の話に関して今回どっちも植田さんしらっと「一応」というのをつけている(ちなみにF5でテキスト検索すると「一応」がこの2か所だけなのでハイライトされたのを見るとビジュアル的にエモいですwww)という面白ポイントをうっかり見落としてしまいました。スクロールしながら逐語チェックだけするよりも、印刷で紙に出して紙ベースで全体を見る、という作業ダイジダイジネーと思ってしまいましたというご教訓ですな。(最近はワイも全部紙に出すのではなくてWebベースでみることが増えた)

てなわけで、この「一応」の連呼、しかも7月会合の後のハトハトチキン転換の際のポイントになっている「金融市場が不安定」という部分と、金融政策修正に対するやる気のなさ満々のメッセージとして打ち出している「時間的余裕」(この物言いがなんかの拍子に日銀を焼き尽くす言葉になりかねないので言い方変えろというのは昨日申し上げた通り)というのに「一応」というのが今回しらっと入っているのは実は大事かもしれない話でして・・・・・・・

まあ何ですな、この為替水準ですと、そもそも前回利上げ前の水準(介入前160円台、介入後155円近辺)に接近してきているのですから、その理屈から言えば「上振れリスク対応の政策調整」っていうのをしないと話がおかしくね??って水準になっている訳ですから、この状況でさらに円安を加速させる不用意なことをしてしまうのはあまりにも宜しくないということになるので、日銀とてそこまでのホームラン級の馬鹿ではないはずなので、今回は円安加速させないメッセージの出し方をしてくると思うのですよね。いやまあもちろん日銀がアタクシの考えるほど危機感以ってなくて能天気に太平楽なんだったらその限りに非ずですが。

という読み筋では考えているものの、先週金曜日の説明って結局時間的余裕はあるわ金融市場は不安定だわで大丈夫かこいつら、というのが昨日の趣旨だったと思うのですが、上述のように読者様(持つべきものはツッコミを入れてくれる読者様です感謝感謝)から「一応」の意味はどうよ、とぶっこまれてみまして「ほほー」と感じ入る次第。

つまりですね、この「一応」はトーン変更の予告でして、明日出てくる展望レポートというようりはその後の記者会見になると思うのですが、これまでのハトハトというかチキンの方に寄っていますけれども、「米国経済ガー」とか「金融市場の不安定ガー」とかの話について、ある程度中立に戻す形で説明することによって、ハトハトチキン会見からの円安爆裂、という日銀悪夢の展開を回避したいのだが、時間的余裕云々や、金融市場の不安定云々をいきなりジャガーチェンジしたらウソツキと言われますので、ここは一丁「一応」と入れることによって、「展望レポートの作成にあたり熟慮してみましたが」とか言いながらトーンをいじってくるんじゃなかろうかって気がしてきました。

とは言いましても、いきなり「時間的余裕はない」とか言い出すわけにもいかないでしょうから、「7月に政策調整を行う判断をした時点では上振れリスクの対応が必要だったが、現時点では7月の時のように直ぐに追加の政策調整を行わなくても良い状況と判断している」とかいう感じのトーンにする程度でしょうし、金融市場についても「投機的な動きによる不安定さなどは特段観測されません」位のトーンダウンにとどまるでしょうから、それで為替市場様が許してくれるかどうかは知らんけどな。

なので、7月展望の物価見落としのリスクの上振れ文言って削除しない方が安全(削除したら目立つので円安に飛びそう)だと思っていましたが、この「一応」というトーン修正予告(とアタクシが勝手に思っているだけ)を見てやっぱそっちの方向じゃないのかねと思うのでありました。

ま、当たるも八卦当たらぬも八卦ということでオナシャス!!


〇短国気配3Mカレントが若干上昇&足元のGCレート(東京レポレートベースで)急低下とな

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

昨日の短国ちゃんですが、

(10/29引値)
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.023

(10/28引値)
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.020

周辺というか手前のテナーの銘柄は1月足ですと月曜の引けと同じく0.025%水準で変わらないのですが、なんかとんでもない地獄レート(ってここのところずーっと地獄レートですが)で入札をした今のカレント3Mは落札以降日の目を見ることなく徐々に金利水準が切りあがっていまして、結局周辺銘柄の引けにサヤ寄せされに行ってますな、南無阿弥陀仏。

とは言えこんなの油断も隙も無いわけで、昨日の売参見ると12月足の短国の引けが軒並み5糸甘とかになっていますが、それがマジレートなのかただの気配なのかとかいうのも謎の世界というのが短国クオリティで、絶対的な物不足というのが別に解消されている訳でも何でもないのですけど、昨日は短国よりもTKRRですよということで。


東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

ちょっとだんだらがクソ長くなるかもしれませんけれども先々週の頭(火曜日)から並べますと、

         O/N T/N  1w  2w  3w  1m  3m
2024/10/15 0.236 0.240 0.202 0.201 0.201 0.202 0.209
2024/10/16 0.240 0.239 0.201 0.201 0.201 0.202 0.209
2024/10/17 0.237 0.235 0.203 0.201 0.201 0.201 0.210
2024/10/18 0.232 0.239 0.201 0.201 0.201 0.202 0.209
2024/10/21 0.236 0.236 0.201 0.201 0.201 0.201 0.211
2024/10/22 0.229 0.232 0.204 0.202 0.202 0.203 0.212
2024/10/23 0.241 0.235 0.203 0.202 0.202 0.204 0.212
2024/10/24 0.239 0.230 0.202 0.203 0.202 0.204 0.212
2024/10/25 0.240 0.239 0.204 0.203 0.203 0.205 0.213
2024/10/28 0.240 0.236 0.204 0.203 0.203 0.206 0.213
2024/10/29 0.137 0.183 0.203 0.203 0.203 0.205 0.213

ということで、しばらくの間(引用しなかったけど半期の末初も)割と安定して推移していたというのがTKRRだったのですが、昨日突如足元のGCが下がってO/Nが10bp、T/Nが5bpの金利低下とかになっていまして何ぞこれというお話。

まあ足元だけの話なので需給バランスが変化した、という話なのは分かるのですが、問題はその需給バランスが何で崩れたんですかということでして、以前ですと3Mが発行される→短国マーケットメーカーの在庫ファイナンスのニーズが高まるので3M発行日になると足もとGCが上がる→週後半にかけて在庫が捌けてくるのでGCが下がる、というパティーン(基本的にはマイナス金利解除後利上げ前の話)だったりしましたが、今回は火曜日にしかも急低下という展開で、曜日的な要因じゃないのであれば、これは明日が月末という要因の方が考えられるというものです。

しかし9月末には特に大きな変化もなかったのに10月末とかいう四半期末関係ないときにこの需給バランスの動きってのはナンナンジャロ的なものもありまして、短国の絶対量が減っている事によって担保繰りなどのバランスが一段と変化した、とかいうようなことだとあまり良い事とも思えない訳で、まあ結論はいつものように「いいから黙って3Mシロ」というお話になるのですが、「10月末」に足元GCが急低下するというのは何か気持ち悪い展開なので後日備忘(最近過去ログ整理を少しずつしていますんでw)のために書いておきたいと存じます。

まあ短期のこの辺の世界って相対取引だし、資金繰りととか担保繰りのような「お家の事情ムーブ」というのが色々とある世界になるので、長期国債市場のような感じとはちょいとどころか大分違っていて、公開情報だけだとムツカシアルネという面が多々あって、これがまた他市場から見た日本国債市場以上に不思議ちゃん市場として見られるものなのですが、マイナス金利とハイパー当座預金の発生という黒田の残りた負の遺産によって市場構造に変化が起きているとみられることがさらにムツカシネーに拍車をかけておりますな、うんうん。


〇「賃金と物価の好循環」とかいうありもしない幻想を振りまくもんだから・・・・

しかしまあ何ですな、
https://jp.reuters.com/economy/M4KMJLDR3RIBFFB3T3GN2KO6DI-2024-10-29/
玉木国民民主代表、自公連立入り「全くない」 政策で協力求める
By 田中志保
2024年10月29日午後 12:00 GMT+9

『[東京 29日 ロイター] - 国民民主党の玉木雄一郎代表は29日の会見で、自民・公明の連立政権入りの可能性を問われ「全くない」と改めて否定した。国民民主が衆院選で公約に掲げた政策の実現に向けて、引き続き協力を求めていきたいという。』(上記URL先より、以下同様)

まあ赤澤ムーブにならんように注意してくだせえw

『玉木代表は衆院選の結果について「票を伸ばした政党が掲げている政策は今の民意。(与党は)もっと謙虚に、多様な民意に耳を傾ける姿勢が必要だ」と指摘した。国民民主として求めているのは政権のポストではなく政策の実現だとして「とにかく政策実現に全力を傾けるので、(自公と)連立することない」と述べた。』

っていうのある意味もっともらしいのですが、「政策を実現する」ってのがあるんだったら責任ある立場として実行してほしいわけで、無責任な立場から好き勝手言うのだったらそら気楽なもんですから(なんか「オマモモナー」という声が聞こえてきた気がするが聞こえなかったことにする)、外野から政策提言とかいうのもただの「いいとと取り」感が漂ってまいりまして唸ってしまう。

でまあそれはさておきまして、

『さらに「実質賃金が安定的にプラスになることを見定めたうえで経済政策を行ってほしいというのが財政当局にも金融当局にもお願いしたいこと」だと述べた。』

本文を読みますと実質賃金が安定的にプラスで、とりあえずの数字が実質賃金+2%程度とのことなんですが、その「安定的」の時間軸はいくらなのかは(一応ざっと見しましたが)政策提言見てもいまいちよくわからなかったのですが、まさかとは思いますが未来永劫2%って話じゃないですよね(書いてあることの趣旨から言ったら未来永劫ではなさそうですが・・・)

でまあその辺はレトリックの世界と言ってしまえばそれまで何ですが、そもそも論として実質賃金が安定的にプラスってそれ話に無理があるじゃろという所でして、どうしてそうなった(なお国民民主の政策提言?には成長戦略の話もありますので念のため申し添えます)という感は拭えない訳です。

・・・・でまあ考えますと、この手の賃金連呼の元凶の一つに挙げられるのが日銀が言ってる「賃金と物価の好循環」とかいう標準的な経済学でそんなもんあるか(それ以前に経済学だって社会科学という科学的な学問だから本来は「好」循環みたいな価値判断伴う言い方せんわなと思いますが)というレトリックを駆使してしまってあたかもそのようなものがあるかのような幻想を振りまいているのが悪いのでありまして、実質賃金のプラス化って欧米の今次インフレ局面見ればわかるように、高インフレが鎮静化する過程になってやっと起きる話なので、実質賃金のプラスを求めたいなら円安コストプッシュインフレを煽る「高圧経済アプローチ」とかもっての外という話になるはずなのですが、まあどう見てんも高圧経済推進とかいう話になっていますわな。

でまあこれ行き着く先は円安対応物価高対策がちゃんとできなかったのは日銀のせい、という矛先がある日突然やってきて、それまで日銀は政府やら政治方面の要請にこたえて一生懸命金融緩和の継続をしていたと思っていたらある日突然人民裁判にかけられて吊るされる、というリスクをどのくらいお考えなのかしらとは思いますが、頭のいいひとが変な理屈を振りかざすと、それを確信犯なんだかただの馬鹿なんだかはさておいて政治とかいう世間に耳辺りの良い話が大好きな連中がいいとこどりして幻想的な政策が打ち出されてしまってアイヤーということになる、ってのを絵に描いているようで大丈夫でしょうかと心配になる今日この頃ではあります。



・・・・・ということで明日が楽しみになってまいりました(政策はどうでもよいがコミュニケーション的に)







2024/10/29

お題「今更高圧財政アプローチでどう見ても圧力鍋の蓋が飛びますが/短国3M引け利回り上昇とな/総裁G20会見の「余裕がある」発言など」

しかしこんなのがあったのか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA263FT0W4A021C2000000/
石丸伸二氏、衆院選の投票訴え 国民民主の選挙カーから
衆議院選挙2024
2024年10月26日 23:42 (2024年10月26日 23:52更新)

しかも同記事によりますと、

『石丸氏は7月の東京都知事選に出馬し若者や無党派層の支持を取り込み2位につけた。衆院選の公示前に国民民主の玉木雄一郎代表とインターネット番組で対談した。』(上記URL先より)

ということで、かねてよりその傾向があるんですが、玉木さんってネットで大声出している連中に媚びすぎる傾向にあって、まあその点不安しかない訳ですし、そもそも金融財政政策がアレな訳で・・・・・・・

〇利上げってむしろ早まるんじゃないですかねえという選挙後雑感

惜しくも不朽の大記録ならずか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-28/SM1RZOT0AFB400
石破首相が続投に意欲、経済対策で「党派を超えて政策取り入れる」
萩原ゆき、広川高史
2024年10月28日 14:23 JST 更新日時 2024年10月28日 17:43 JST

→現時点で連立拡大想定せず、政策協議通じて信頼関係構築したい
→国政の停滞避け、政治改革に先頭に立って取り組む−国民理解を優先

『 石破氏は記者会見で、今後の対応について「国政の停滞を避け、政治改革や経済対策に先頭になって取り組む」と明言した。経済対策の策定や補正予算を国会に提出する時期を問われ、衆院選で各党が掲げた主張を踏まえ、「党派を超えて優れた政策を取り入れていく、その中で検討したい」と述べ、野党とも協議する考えも明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)

>党派を超えて優れた政策を取り入れていく

だそうですが、

『衆院選で維新は消費税・所得税・法人税の減税、国民は基礎控除などの拡大による所得税減税を主要政策に掲げていた。』

って話をしておりまして、いやだからアホみたいにばらまきまくって居る方を整理してからその話をしろとしか言いようが無いのですが、財政拡張方向になるのが火を見るより明らかな訳で、またぞろ財政拡大というか放漫財政にも程がある状態な訳ですわな。

でまあなぜか財務省ガーとか相変わらず言われていますが、財務省に本当に力があったらこんな放漫財政状態になってないわという話なので、財務省ガーとか財務何とか教みたいな話から入っている経済論議はすべてゴミだし、そういうの言ってる論者は全員信用ならんと考えるのが妥当なのですが(個人の見解です)、まーーーどーーーーー考えましてもそっちの声がまたデカくなり、アベノミクスの劣化コピーみたいな放漫財政金融政策方向になるんじゃネーノと存じます次第。

でもって、

『維新の馬場伸幸代表は27日、「今の与党に協力する気は全くない」と自公連立政権入りを否定。立民への協力にも慎重な考えを示した。』

まあ大阪で公明とあれだけ大戦争したし野田さんの前の時とは言え無茶苦茶立憲に悪口雑言吐きまくって居ましたからそうなるわな、と思いましたが、

『国民の玉木雄一郎代表は28日夕、首班指名の「少なくとも1回目は玉木雄一郎と書く」とし、自民から連立政権入りを呼び掛けられても交渉には応じないと強調した。ただ、「支援いただいた方々が納得できるような理屈があれば、いろんな形はあり得る」と、決選投票で他党と協力する可能性には含みを持たせた。』

さすがタマキ先生おっしゃることが一味違いますわ、ということでございます。


・・・・しかしまあ何ですな、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB274QH0X21C24A0000000/
日経平均691円高 幻の「暗黒の月曜日」立役者は国民民主
今堀祥和
スクランブル・フラッシュ
2024年10月28日 11:59 (2024年10月28日 15:23更新) [会員限定記事]

中身の記事が良くわからんけど、このヘッドラインだとまるで国民民主が株安を止めたヒーローみたいな書きっぷりに見えてしまって、さすがは日経だ株が上がれば何でもいいのか、とあきれましたが、今朝見ますとトップは

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA283LM0Y4A021C2000000/
高まる財政膨張圧力 物価対策や予算、財源議論置き去り
税・予算
2024年10月29日 2:00 [会員限定記事]

『政権の枠組みを巡る与野党の攻防が始まった。年内にも政府がまとめる経済対策と補正予算の中身は新たな枠組みに左右される。特別国会での首相指名選挙を控え、外交日程も立て込むなか、政党間で政策を協議する時間は限られる。与野党ともに家計や企業支援を主張しており、財政には拡張圧力が強まる。』(上記URL先より)

まあ昨日の正午前の記事だと株が上がってヒャッホウとなっていたんでしょうけれども、よくよく考えてみればこんなのどう見てもかじ取り次第ではトラスショック(あるいはそのミニ版)リスクを大いに高める流れですよね、ってことで日経さんも(課金してないから記事の中身は見れませんけど)夜になって落ち着いたら思ったようで何よりですわ。


ということでですな、
https://moneyworld.jp/news/05_00147752_news
与党大敗で進む円安・金利上昇 「高圧経済」を織り込み
記事公開日 2024/10/28 20:03
最終更新日 2024/10/28 20:09

『※10月28日正午過ぎにQUICK端末に配信された記事を再編集しています。
【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行、長谷部博史】衆院選から一夜明けた10月28日の金融市場では円安が加速し、長期金利が上昇した。自民、公明両党が議席を大きく減らす大敗を喫し、与党で過半数を割り込んだためだ。石破茂首相は政権維持に向けて野党との連携を模索する考えだ。協力を仰ぐとみられる日本維新の会や国民民主党との連携を見込み、市場は財政出動と緩和的な金融政策による「高圧経済」の実現を織り込み始めている。(以下会員記事)』

ということで円安になっておられた訳でして、ドル円154円行くかくらいの勢いになっていましたけどその後落ち着いたかと思いましたが米国金利様が上昇して結局153円になっておられるの巻となりましたな。

でまあこんな情勢になってしまいますと、日銀の金融政策がどうなるのかということで、12月の利上げ確率(毎度申し上げていますように12月と1月はセットのようなもんで、どっちであっても大差ないので12月かどうかを殊更に議論する意味はないと思います為念)が下がった、という話が横行しているのですが、よくよく考えてみますと為替市場は円安に進みやすくなっている(為替市場が財政拡張をどの程度価格に反映させるか、という話はあるし何なら米国大統領選挙の方が効く可能性が高いかもだが)になっている訳で、そんな中で日銀がノホホンとしていられるのか問題は実は選挙前より高まっている、としか言いようが無いですね。


〇今回の決定会合の注目材料は「日銀のハトハトチキン情報発信をどうるすのか」ですね

・・・・ということで木曜日の日銀会合、政策動かないのは確定で良いのですけれども、問題になるのは「ハトハトチキンモードの情報発信をどうするのか」という話になると思います。

でまあG20後の会見ですが(そういやネタにするの忘れてたかなと思ったら会見録が出たの昨日でしたので後の方でもう一度ネタにします)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241025/k10014618691000.html
日銀 植田総裁「時間的な余裕ある」利上げ慎重に判断する考え
2024年10月25日 9時22分

『その上で今後の金融政策の判断について植田総裁は「円安だけではなく、背後にあるアメリカ経済や大統領選挙の動向など全体を見た上で日本の物価にどういう影響を及ぼすのか丹念に分析して見極めていきたい。時間的な余裕はあると思っている」と述べ、利上げは急がず慎重に判断していく考えを改めて示しました。』(上記URL先より)

>時間的な余裕はあると思っている
>時間的な余裕はあると思っている
>時間的な余裕はあると思っている

って選挙前ではあるのですが、こう言ってしまったの結構な不覚でして、ここから円安が進行したり、物価高批判が高まったりした場合において、日銀がこのように「時間的な余裕はある」などと言っていると「日銀は人々の暮らしを何だと思ってるんだ」と批判の矛先を向けられやすくなる訳で、石破さん(あるいは野田さん)からしてみたら植田総裁って前任の首相から引き継がれた総裁だから別にぶった斬ってしまっても痛くも痒くも無いわけで、不人気モードの起死回生の一発に「日銀が円安などによるコストプッシュを抑制しないのが悪い」と批判の矛先を日銀に持って行って経済政策の不人気挽回というストラテジーに出るかもしれない訳でして、そんな中でこの「時間的な余裕はあると思っている」という言い方は表現として如何にもマズいと思うのですよね。

ということでして、今回の決定会合で別に予告ホームランとかそんなもん出る訳はないと思っていますが、従来の米国経済下振れリスクガーと金融資本市場の不安定さガーのハトハトというかチキン全開の物言いをどの程度修正してくるのか、それから「時間的な余裕がある」発言の中和(例えば「待つことのリスクがさほど大きくないと認識している」程度に寸止めしておけば、いざとなったら「状況が変化して待つことのリスクが大きくなったので対応した」と言えるのでまだマシかなと思うのですが)をしてくるのか、という辺りが注目されるところだと思います。

まあこの辺りで従来通りのハトハトチキン発言をして、「米国の中長期的な見通しが不透明」だの「時間的な余裕はある」とかチキンモードを連発しておりますと、それはどっからどう見ても円安投機してくださいと言わんばかりの情報発信になってしまいますし、さらに言いますとそれって12月利上げを完全否定する情報発信になってしまいます(日銀が後日どう屁理屈を捏ねようとも市場は「サプライズ」扱いするという意味)ので、やはり円安に飛びやすくなる訳でして、その辺の懸念が今の日銀大本営にアリやナシや、というのが会見(あるいは展望レポートのリスク認識とかの辺り)で見えてくるんじゃないかと思います。ということで注目したいですな。


〇しかし今時高圧経済ですか・・・・・・

再掲
https://moneyworld.jp/news/05_00147752_news
与党大敗で進む円安・金利上昇 「高圧経済」を織り込み
記事公開日 2024/10/28 20:03
最終更新日 2024/10/28 20:09

ということで国民民主って「高圧経済」とか幻想的な話をしておられるようで、またぞろアベノミクス復活かよということで頭がクラクラするのですが、今の状況で高圧経済アプローチなんぞしたら圧力鍋の蓋がすっ飛んで大惨事になるわという話で、圧力鍋の蓋は円安方向にすっ飛ぶのか、物価高方向にすっ飛ぶのか知らんけど、そんなんアカンじゃろという話だし、だいたいからして高圧経済アプローチ取った米国と欧州がその後高インフレに苦しんで、米国はゆうて一次産品自前で供給できる強みもあるからコストプッシュで死ななかったけど、欧州普通に虫の息じゃん、ということで目の前でインフレ爆発大怪我事案が発生しているのに「高圧経済」とか言い出すのリフレ派の残党にしたって出し方がダメすぎるだろと思うのですが、まあ大真面目に国民民主さん仰せのようですからこれはヤバイ。

ま、ミニトラスショックでも起きて痛い目に遭わないとアホウ政治家たちの財政クレクレ圧力は終らないのかも知れないなと軽く絶望していますけどね。

なんかネットの記事とか見ていると「現実的な政策が支持された」とかいう謎の言説ばかり見つけてしまうのですが、「高圧経済」とかいう幻想的な思考をしている時点でどこが現実的な政策やねんと思う(あくまでも個人の感想です)次第でございますが、アベノミクス見直しとか言ってた石破さんが結局アベノミクスをさらにたち悪い格好で実践させられることになるとは世の中皮肉なもんですな。



〇ところで短国3Mあたりの引値が若干金利上昇しておられますが

毎度の売買参考統計値ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/28引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.025
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.025
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.025
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.025
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.020
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.025
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.025

1265(2/3)ってのが昨日ネタにした地獄レートの入札になった3Mカレントでして、1266は今週金曜に入札をやる新発WIになりますな。

ということで、例の1bp割れ入札、しかも平均が99.9997円で利回り0.11bpとかいう地獄債券であったわけですが、こちらなんと昨日の引けが2bpとなっておりまして、マジなのか雰囲気でついているのかはよくわからんですけれども、金利が上がっているとかクソ珍しい事案が発生しておりましておじちゃんはビックリですわ、と言っても3Mで2bpでして政策金利は25bpなのですからハチャメチャな低金利であること自体は同じなんですけどね。

(10/25引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.012
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.012
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.012
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.012
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.012
国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.012
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.012

金曜の引けはこの辺1.2bpで、これも新発が1bp割れ入札だったのに1.2bpキタコレとか言ってた訳ですから、2bpとか見ると懐かしに涙が込み上げてとまらない(大げさ)という所ではあるのですけれども、どうしたのやらというところではありまする。

まあこの金利水準ですから「先行きの金利見通し」とかがまともに反映されているわけではないし、東京レポレート(最近ネタにしていませんがトモネはだいたい0.23%〜0.24%の間で推移していますし昨日のリファレンスレートは選挙結果受けてもターム物に特段の影響はありませんでした)から見たら無茶苦茶なネガティブキャリーなので、どう見ても単なる「モノ」としての需要でのレートだとは思いますが、それでもこじつけて見ますと・・・・・

まあこじつけてみれば、今回の選挙結果を受けて円安に振れやすくなるということで、円安すなわち日銀の再利上げが視野に入るつまりは12月1月の利上げあるでとなる、ということを少しは反映でもしたのか、あるいは財政拡張圧力によって補正の規模が大きくなってコロナの時のアレの如く短国の増発を行わざるを得なくなるとか(なお円安に飛んでドル売り為替介入したら外為特会が減ってまた短国発行が減るという話は華麗にスルーしておく)まあその手の思惑があるのか無いのかさっぱりわかりませんが、超越超過需要がちったあ改善されますと市場らしくなってくれますので(この金利水準で市場もへったくれもないけど)どうなるのか見ていきたいと思います。


〇という訳でG20後の植田総裁会見です

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241028a.pdf
植田総裁記者会見(10月24日)
――G20終了後の加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言
2024年10月28日
日本銀行
―― 於・ワシントンDC
2024年10月24日(木)
午後2時20分から約18分間(現地時間)

・米国経済の不確実性問答

『【問】植田総裁に伺いたいんですけれども、総裁は最近の講演や会見で、今後の利上げの判断に当たって、米国をはじめとする海外経済を注視するという姿勢を繰り返し述べられています。特に、米国経済の先行きについては依然不透明だという認識も示されてきましたが、今回G20などの会議に参加されてですね、この辺の認識がどのように変わったか、それから特に、直前に迫っているアメリカの大統領選のですね、不確実性についてどういうふうにお考えになっているかというのを伺えますか。』

コミュニケーションの時にああでもないこうでもないと次から次へと条件を変えてその場で都合の良い話をするもんだからこうやって聞かれるわけですが米国経済について聞かれるわけですな。

『【答】まず、大統領選については、皆さん、選ばれた大統領はどういう政策をするか、そしてどちらが選ばれるか分からないということで不確実性が高いなということは気にされていたところですが、』

まずこの時点でアホなんじゃないかと思うのですが、日本の総選挙みたいに急に実施の運びになっているなら兎も角として、米国大統領選挙なんて大昔から日程が分かっている話で「不確実性が高いから何もしません」とか言ってたら、事前にわかっている日程を捕まえて不確実性とか言ってるポジションテイカー普通にシバかれますけどこの人(なのか振付師なのかは知らんけど)は何を言ってるんでしょうかというお話ではあります。

『どっちに転ぶかは分かりませんし、私も特別な情報を持っていないので、それ以上のことはちょっと申し上げられないというふうに思います。』

事前に予定されている大統領選挙が不確定だからって言い出したら未来永劫「不確実性が高い」になりますが、植田さんとてアホウじゃないはずなのでどういう思いでこのクソ屁理屈を捏ねているのかちょっと頭の中を見てみたいですな。

『それから、米国経済を中心として、何か今回の会合で追加的な情報ないし認識が得られたかという点ですけれども、素直に申し上げまして、ごく最近のデータがそこそこいい、ということから、雇用統計等ですね、多少アメリカ経済の先行きについて楽観論も少し広がりつつあるかな、という気も致しました。』

米国経済の下振れリスクガーは引っ込めるつもりなのかしら10月展望で。

『ただ冷静に考えてみますと、その前は少し暗いデータが出ていたわけで、その後はちょっといいデータが出ているということですので、もう少しこのいいデータが長く続くのか、あるいは一時的な振れに過ぎないのかということについて分析を深めないといけないな、というふうに思ったところです。』

人の心配する前に日本の心配してほしいですし、そういうのはFEDがちゃんと分析していますよね、ってお話でFEDからしてみたら大きなお世話にもほどがありますね。


・円安と「時間的余裕」問答

次の質問は円安です(しかしさすがにG20ともなると質問がちゃんとしていますね)。

『【問】足元で為替の円安が進行しています。物価の上振れリスクに対するご認識と政策判断の時間的余裕があると言えるのかどうかについてお願い致します。』

ということでもう早速「時間的余裕」がバズワードになって質問されるわけでして、これ事あるごとに質問されますし、この「時間的余裕がある」を連呼するとニアータームの政策修正をマッコウクジラで否定することになりますし、「時間的な余裕がある」を言わなくなった途端に予告ホームラン、みたいになってしまってコミュニぇーション的によろしくない(政策反応関数が「時間的余裕がある/ない」は不味いでしょ)と思うのですが、まあこれはマズイ傾向ではあります。

『【答】足元の円安傾向の日本のインフレ率への影響というご質問だと思うんですけれども、これは先ほど申し上げましたような米国経済に関する見方の振れ、それが特に足元はちょっと楽観的な方に振れてる可能性があるというような背景のもとで起こってる現象、他の要因もありますが、というふうに思いますので、円安だけではなくて、その背後にあるアメリカ経済動向に対する見方、その他大統領選も関係しているかもしれませんが、この全体をみたうえで、それが日本の物価にどういう影響をするかということを、丹念に分析して見極めていくということかなと思っております。』

とりあえず「円安で物価上振れ懸念」と言いたくないのだけはわかった。

『【問】時間的余裕は。』

『【答】一応、時間的な余裕はあるというふうに考えております。』

何だのこの「一応」ってのは、って感じですが、さて10/25にこういっておいて10/31には時間的余裕の部分をどう説明するのか、まあ不毛な話ではありますが笑えるネタではあります。


・金融市場の不安定性

次がこの問答。

『【問】マーケットは最近、8 月初旬の大きな混乱からは安定してきたように思いますが、マーケットの不安定な状態というのは解消されたのか、まだいろいろリスクが残っているのかという点をお願いしたいです。マーケットやアメリカ経済の動向全体を踏まえて、世界経済について、総裁ご自身は以前に比べて若干リスクは後退したというご認識なのか、改めての確認をお願いします。』

これも結局毎回「マーケットが不安定か」って聞かれるわけで、政策反応関数をわけわからなくする屁理屈なんですよね〜

では回答。

『【答】マーケット動向ですけれども、一応、引き続き不安定な状況にある、あるいは例えばインプライド・ボラティリティ等をみても、一部のマーケットではかなり高い状態が続いているというふうに考えております。今後については、先ほど申し上げましたように、これを生み出している背後にある経済に関する認識がどういうふうにいくかということも含めて考えたいと思います。』

これもさっき引用したニュース記事が金曜の朝には出ていたので引用しましたが、急にIVとか持ち出してきましてお前は何を言ってるんだ状態。

『それも含めて、世界経済全体ということですけれども、全体としてはソフトランディングが実現していくという認識は引き続き皆さんの中にあると思いますけれども、国毎にある程度のばらつき、かなりのばらつきがあるというところに皆さん注意を払っているという点はあったかな、というふうに今回の会合を通じてみておりました。』

世界経済に関してソフトランディングが全体として実現だったら米国経済下振れガーの連呼とか中期的に不確実性が高いとか言ってる場合じゃないと思うのですけどね〜

ということで、この辺の説明が木曜の決定会合でどうなるのかを見てみたいので、今日明日でドル円155円オーバーでオナシャスと言ったところですな〜



2024/10/28

お題「総選挙ですが結局円安で追い込まれるんとチャイマスカ/3MTDBェ・・・・(かすかに希望あり?)/ラガルド会見(その3)」

おもしろくなってまいりました!!!!!

https://www.bloomberg.co.jp/quote/JPY:CUR
米ドル/円
JPY:CUR 153.07JPY  0.76  0.50%
更新日時 5:04 JST 2024/10/28

〇総選挙クソワロタのだが金融政策に関しては結局追い込まれでしょ

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241027/k10014620511000.html
【速報】衆院選 自民・公明 過半数下回る 立民・国民は大幅増
2024年10月28日 4時54分

『衆議院選挙で、自民・公明両党は、目標としていた過半数の233議席を下回ることになりました。与党が過半数を割り込むのは民主党政権が誕生した15年前の2009年以来となります。ただ、今後、自民党から公認されなかった無所属候補が当選した場合に執行部が追加で公認を出す可能性があります。

一方、立憲民主党は選挙前の98議席から大幅に増やすのは確実で、これまでに140議席を上回っています。立憲民主党の野田代表は、28日午前1時半ごろから党本部で記者会見し「与党の過半数割れが目標だったので、達成できたことは大きな成果だ」と述べました。』(上記URL先より)

ということですけど、何気に財政金融拡張の国民民主とかれいわ新選組とかが伸びているのでまあこれどういう枠組みになっても財政出る方向だし金融政策にはいちゃもんつけるのが多そうだし、ということで円安圧力掛かりそうですな。

・・・・となりますと結局は円安になって金融政策修正への圧力がかかって日銀はズタボロになりながら政策修正、という一番面白コースになって来そうですので、生温かく見守っていこうと思います。

しかしこれ首班指名で負けると(ワンチャンのワンくらいはあるかも)東久邇宮稔彦王を下回る憲政史上最短の首相在任期間あるでということで令和の爆笑王としか言いようが無いけど、早期解散とか公認の扱いとか2000万円とか森山幹事長超無能説が濃厚のような気がするんで、まあゲルは頑張って挽回してくらはい。

#期待外れという意味ではどっかにもいるんですがあれは選挙とかないからな〜

ということでどっち転んでも円安だし円安是正が求められることになる、に1万ドラクマと言ったところでありますw


〇いずれ追い込まれるとしましてもじゃあ今回の決定会合どうするのでしょうかね

ということで雑談の続きですけど。

まあ今日以降の為替の動き次第な面が多々あると思うのですけれども、チキン植田さんのことですからどうせ政局がカオスになって来てハトハトチキン音頭が炸裂するというのが本命の予想になりますけれども、木曜日までの間に円安が進行した場合はこの限りではないという可能性もあるわけですな。

いやまあ目先の為替で情報発信がぶれまくられても中央銀行として如何なものかという気はしますけど、何せハトハトチキン植田日銀は為替市場や株式市場にホイホイと振らされるというのが仕様になっていますので、為替が円安に振らされますとこのご時世で為替介入はできない(少なくとも米国大統領選挙終わるまではできないし、目先は「皇帝のいない八月」なので動きようがないですし)ので、うっかり31日にハトハト音頭を踊ってしまいますとそらもうエライコッチャになってそれはそれで日銀ヤバいことになるわけですな。

ということで為替次第で発言のトーンが変更されるに1万ジンバブエドルといったところではあるのですが、あとは日銀ちゃん、今回は「政治と金」でああだこうだという選挙ということになっていますけど、「物価高対策」ってのも結構重要な話でして、政治と金の一件をより燃やしたのは「政治家はタラフク食ってるぞ汝人民飢えてシネ」な物価上昇って影響していると思うんで、あんまり呑気に「物価はまだ2%行ってない」を連呼するのさすがにヤバいと思うんですが、まあそっちのトーンは変えてこないでしょうけれどもどうなることやら。

てなわけでまあ今回は株価よりも為替のように振らされる日銀、という読みになっておりますw



〇3M短国エエカゲンニセエと思ったが引けでは金利微かに上昇しておられたようで

金曜の3Mだがもうエエカゲンニセエという状態。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241025.htm
国庫短期証券(第1265回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1265回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号          国庫短期証券(第1265回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日      令和6年10月28日
4.償還期限     令和7年2月3日
5.価格競争入札について
(1)応募額          10兆7,273億円
(2)募入決定額      3兆3,600億3,000万円
(3)募入最低価格     99円99銭8厘0毛
(募入最高利回り)     (0.0074%)
(4)募入最低価格における案分比率     87.8957%
(5)募入平均価格     99円99銭9厘7毛
(募入平均利回り)     (0.0011%)』

・・・・・orz

ということでですな、10月に入ってから0.0073/0.0202→0.0067/0.0131→0.0020/0.0074→0.0011/0.0074、てな結果になっていて回を追うごとに金利低下とかいう地獄のような展開になっておりまして、いやマジで何がどうなってこうなるのやらという所ですが、短期市場におけるビル市場がこうなってしまうのは金融安定化の面からもよろしくないと思うので何とかならんのかね、といつものように憤慨しておりましたが売参ちゃんを見ますと・・・・・・

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.012
国庫短期証券1264 2025/01/27 平均値単利 0.012 
国庫短期証券1265 2025/02/03 平均値単利 0.012

1265ってのが新発になりますけど、こちらの引値は一応0.012%になっていまして、0だのマイナスだのというような利回りにはされませんですけれども、じゃあこれで金利が上がるのかと言いますと、この後の
銘柄が、

国庫短期証券1248 2025/02/10 平均値単利 0.012
国庫短期証券1266 2025/02/10 平均値単利 0.012
国庫短期証券1214 2025/02/20 平均値単利 0.055

1266が今週金曜の新発WIですけれども、まあ結局こっちの銘柄も手前と並びな訳でして、つまりは11月になっても金利上がらんわ、という金利観丸無視の需給イールドという恐ろしい状態はまだまだ続くんじゃなかろうかというお話ですなこりゃ。

あとちなみに1214って1年TDBの成れの果てなんですけど、この辺りの銘柄ついこの前まで9.5bpだの9bpだのという値付けになっていたのがホイホイと金利が低下してきている訳で、3Mカレントゾーンに入るとクソ強くなるばっかりで後ろに引っ張られるということは無いのかと憤怒の念に堪えませんナムナム。


〇とまあこんなご時世ですがのうのうとECBのラガルド会見の確認最終で(その3)

https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/monetary-policy-statement/2024/html/ecb.is241017~59ad385bab.en.html
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Ljubljana, 17 October 2024

・公式見解では「リセッションはシナリオではない」なんですけど・・・・・・

『The first question is about economic growth. Is a soft landing still your main scenario, and am I correct to see that perhaps your attention has shifted slightly from inflation concerns to growth concerns? (後半割愛というか次に)』

というのが前半の質問で、「ソフトランディングがメインシナリオというのは維持ですか?」なのですが、これに続く後半の質問がコンビネーションでよくできているので次に行きますね。

『On the issue of economic growth, are we still on a soft landing expectation? The answer is: on the basis of the information that we have, we certainly do not see a recession. The euro area, on the basis of what we have, is not heading for a recession, and we are still looking at that soft landing that you have just mentioned.

リセッションは見ていません( ー`дー´)キリッ

『You asked me whether we are more concerned about growth than we are about inflation. I would say that we are concerned about growth to the extent that it has an impact on inflation, and we have to be particularly attentive to both because of the impact that it has on inflation, which is our main focus and our key objective, as you know.(後半割愛というか次)』

ということで、インフレよりも景気を重要視するか、というとそういう訳ではない、ということですが、ここから先の説明が中々面白いので、先ほどの質問の後半に参りますね。


・中立金利との関係は「マジックワード」でもあるという中々面白い説明

先ほどの質問の後半ですけれども、

『(前半割愛、というかさっきの部分)The second question is about a line in the statement which says the rate is still restrictive. But I’m curious. We thought restrictive is this unobservable concept because we don’t know where the neutral rate is. Perhaps you maybe started having a discussion in the Governing Council on where does restrictive stop? I’m curious if you have any thoughts about where does restriction end and where does accommodation begin?』

ステートメントでは「金融政策は依然として引き締め的」という説明になっていますが、そもそも論として中立金利の居場所がどこなのか分からないのですから「引き締め的」という概念は観測できないんじゃないのかと思うのですが、現状の政策が引き締め的なのかとか中立金利水準とかそういうことに関して委員会で何か議論して、どの水準になったら引き締め的ではなくなり、緩和的な水準になる、という話をしていると思うのですけれどもどうなんでしょう、と非常に良い質問をしています。

でもってこの部分の回答がさっきの続きになっていまして、

『(前半割愛、というかさっきの部分)So there is, and you pointed to it, that sentence which is sort of the magic language.』

いきなりラガルドはん何というぶっこみwwwwwwwwwww

『And I’m sure that you will be very attentive if and when that magic language changes a bit. 』

なのでこのマジックランゲージ(=リストリクティブ)を少し変更したらあなたはものすごく興味を持つでしょう、と来ましてですね、

『We still say that “we will keep policy rates sufficiently restrictive for as long as necessary to achieve this aim”, which refers to the previous sentence, which is that “we are determined to ensure that inflation returns to our 2% medium-term target in a timely manner”. 』

ここは声明文をそのまま見た方が良いのですが、
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2024/html/ecb.mp241017~aa366eaf20.en.html
(声明文)

声明文の最初の部分の3番目のパラグラフの冒頭から、

『The Governing Council is determined to ensure that inflation returns to its 2% medium-term target in a timely manner. It will keep policy rates sufficiently restrictive for as long as necessary to achieve this aim. 』(この部分だけ直上URL先の声明文から)

となっていますが、というお話ですな。

『So there is no question in our mind that we are currently restrictive, hence that sentence. There is also no question in our mind that we are not yet at this 2% medium-term target in a timely manner, and this has to be sustainable.』

なので今が引き締め的であることに疑問の余地はないし、まだ2%物価目標までインフレを安定的に抑制できているわけではない、だそうです。

『So even if it could well be as markets anticipate, but they are not always right, that the time at which we reach that 2% sustainably has advanced a bit, it is not yet now. And we will have to wait further in order to make sure that we are at that 2% sustainable medium-term target.』

まだ2%の持続的な達成はしていないので待つ必要がある、という説明ですな。


・・・・・ということでですね、結局のところ政策が中立的なのかどうかってのは、過去において一応物価2%が達成できていたことになっているECBですらまあこうやって「言い張る」しかないわけでして、その意味では日銀が中立金利近辺までの政策金利調整、という話をするのは概念としてはありではあっても、金融政策を具体的に運営して金利をどこにセットするのか、という面においては使い物にならん概念となるとしか申し上げようがないので、日銀は中立金利云々の話をあまり前面に出さない方が良い(煙に巻くのには便利な概念だけどコミュニケーションミスを誘発するだけなので諸刃の剣)と思うのですが、先日ネタにしたように「均衡イールドカーブ」とか今更出してくるあたりがお前ら何考えてるんだよヴォケと申し上げたくなるわけですな。


・物価認識に関してはアインフレ率急低下が気になりますよね〜

この次もまあ関連質問って感じでして、物価の認識についてのお話ですね。

『In the introductory statement you refer to this updated assessment of your inflation outlook. Does this refer to the September staff forecast, or has this changed since September within the Governing Council? And if so, could you give us a little bit more colour on what the actualchange in the inflation outlook has been that you’re referring to? 』


今回物価見通しのステートメント文言が変わったのは見通しの変更ですか?変更ならスタッフなのか委員会なのか?変化しているならもう少し説明いただきたい、というのが第一の質問でして、

『And my second question is also again on the theme of undershooting the 2% target. Even the September forecast projected the 1.9% inflationary rate for 2026, I think from the second or third quarter onwards. Has this been changed, and to which degree do you think it already shows that monetary policy is too tight?』

インフレのアンダーシュートについてどう思うのか、インフレ見通し引き下げる中で引き締め的な政策してたら金融政策引き締めのやりすぎにならんのか?ということで一連の質問になっています。

『If anything, I would say that what the numbers are showing at the moment is that our monetary policy is working.』

でもってそれに対してラガルドはんは「これは政策がワークしているからです( ー`дー´)キリッ」という説明をしておりますな。なんかやや無理のある説明な気もするけどw

『And the fact that we’ve managed to bring inflation down as we have so far, not to a complete victory, but to have brought it down so much is an indication that our monetary policy is actually working.』

でもって今までの経過は物価抑制に勝利する道を進んでいるということです( ー`дー´)キリッ、だそうです。

『It’s not the only thing that is operating in that respect, but it is certainly part of the elements to explain that we have moved from very high inflation numbers to much lower [inflation] and hopefully soon to target on a sustainable basis.』

ということで、高インフレが抑制されてきている移行中ですよ、という認識になっていますので引き締め的、というお話になっている訳なんですね。

『Our assessment of inflation as we stand now is really based on all the numbers that are available, and that leads us to assess and take a view on inflation now and the potential impact going forward. But that will be done in a strict, rigorous, published way when we have our December projection exercise. And you will be obviously not privy because it will be public, but you will be on the receiving end of this very clear updating.』

見通しに関しては12月会合の時にアップデートしますので乞うご期待。

『But in the meantime, we are not blind to what happens. And when we receive inflation by way of HICP at 1.7%, when we see core at 2.7%, when we see services moving down to 3.9% and when we look at the three-month-over-three-month services moving significantly from August to September, all of that put together leads us to believe that inflation is definitely on that disinflationary track that I was referring to earlier.』

この辺は直近数字の話ですが、

『On the forecast, again we had a forecast in September. Between September and December, a lot of data, a lot of numbers, a lot of indicators and a lot of surveys will come into play and will be integrated in the work that we do. And we will have a forecast that will be, by the way, extended to 2027 because the December forecast always takes one further year into account. And we shall see. We shall see whether there is a move and in which direction in terms of inflation and in terms of activity.』

『But in between projection exercises, as I said as a case in point, that data matters. We look at everything that we have available, and if it is appropriate to take us closer to this timely reaching of our target of 2% medium-term symmetric, we make the decision, as we have today.』

12月に向けていろんなデータが出てくるのでそれを見てアップデートしていきます、と決め打ちはひたすら回避してデータディペンデントを強調していまして、シナリオ通りならどうのこうのみたいな話(FEDやBOJ)もしない、という形になっていますが、とりあえず「インフレ対応が終わっていないから引き締め的」というのは把握しましたが、12月の見通し時点で認識が変わればインフレ対応から景気重視を前面に出すかもしれませんな、とは思いました。


ということでまあ今朝は総選挙もあったしこの辺で勘弁してつかあさい。





2024/10/25

お題「植田総裁ワシントンでの発言を報道からだがハトハトである/今回のFSRは資産価格への言及に強め成分があるのかね」

ほうほうそうですかそうですか
https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20241024-OYT1T50155/
与党過半数の攻防、自民苦戦し小選挙区130超で接戦・立民大幅増へ・国民も躍進…読売終盤情勢調査
2024/10/24 22:00
政治資金問題

『読売新聞社は、27日投開票の衆院選の終盤情勢を探るため、22〜24日に世論調査を行った。選挙戦は、定数465のうち与党の過半数(233議席)確保を巡る激しい攻防となっている。自民党は政治資金問題を受けて苦戦する一方、立憲民主党が議席を大幅に増やすほか、国民民主党も躍進する情勢だ。日本維新の会は勢いが停滞している。』(上記URL先より)

まあ選挙期間中なのでノーコメントということでw

〇今更10月利上げしない理由を「丁寧に」説明する意味が一切ないんですがねえ(一連の植田発言)

まあ順当に日銀公式から出てこないのでニュース報道で確認するしかないですな。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241024/k10014617711000.html
日銀 植田総裁“米経済の中期的な動向見極められず”
2024年10月24日 11時20分

『アメリカのワシントンを訪れている日銀の植田総裁は、IMF=国際通貨基金が主催するイベントに出席し、アメリカ経済がどうなるのかという懸念を持ち続けてきたがなお中期的な動向は見極められていないという認識を示しました。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、公共放送さん中々いい感じの説明になっていましてですね。

『日銀の植田総裁は、最近の講演などでアメリカ経済の先行きは不確実だと繰り返し発言していて、さらなる利上げについては慎重に検討する姿勢を示しています。』

とまあ解説を入れてから、植田さんの発言について報道していまして、

『植田総裁は日本時間の24日朝早くワシントンで開かれたイベントに出席し、アメリカ経済について、「この数か月間、アメリカ経済がどうなるのかという懸念を持ち続けてきたが雇用のデータが変動していることもあって中期的な動向はまだ見極められていない」と述べました。』

アメリカの中長期的な動向を見極めるとか何を寝言を言ってるんだという話ですが、まあこれは何でこうなっているかと言えば、「米国経済の下振れリスクガー」を(上記記事にありますように)連呼してしまった手前、その米国経済様がどうもソフトランディングするんじゃネーノとなって来た中で、10月利上げしない言い訳をするために「中期的な動向がわからん」とか普通分からんわという話を言い訳に持ち出す、という見苦しいことをしている訳ですな。

まあそう言っておかないと10月会合のところで「米国経済の下振れリスクは足元相当下がっているように見られますが何故利上げしないんですか」と言われたときに答えに窮するからなんですけれども、そもそも答えにもなっていない「中期的な動向は見極めていない」という無茶苦茶な理屈(日本どころか米国の中期的な動向が見極められるんだったら今すぐパウエルと交換して頂けますかねえ植田さん)を持ち出しているのは、そもそも論としてこの人たち別に米国経済について何らかの見通しができたら政策を動かす、というような発想はない(あったら中期的な見極めとか永遠にできもしないことを理由にするわけない)のですわ。

てなわけで、さすがにこの「中期的な動向」はアホチャイマスカという言い訳なので、これを堂々と持ち出してきたという所で、米国経済ガーを真に受けてはいけない、というのが確信できました、というのがワシの見立てです異論は認める。

でもって記事の方では

『また、日銀の金融政策について、ことし7月に追加の利上げを決めたものの依然としてかなり緩和的な金融政策のスタンスを維持していると説明しました。』

この言い方、なぜか植田さんがしたがるのですが「緩和的な金融政策のスタンスを維持」という言葉の使い方が悪い、というのは3月声明文や4月展望の時から散々指摘されていて、7月展望の時にやっと表現が整理されたと思ってたんですが、またこの言い方が元に戻ってきておりまして、これがまた植田日銀のミスコミュニケーション誘発話法なんですよね。

というのは「かなり緩和的な金融政策を維持」っていったらそれ利上げには消極的とすくなくとも市場をやっている人なら理解するし、これ英文でどういってるのかにもよりますけど、おそらくはこれ英文で見たらもっと直接的に「緩和姿勢の維持」っていうニュアンスが強くなると思うのでございまして、これは明らかに「見通し通りなら徐々に利上げ」と真っ向対立する説明になっているんですけど、性懲りもなくこれを続けるのマジで何とかならんのかね。

『その上で、日本では長い間、物価が低い水準で推移したことで物価上昇に対する考え方が非常にゆっくりと変化しているとし、2%の物価目標を持続的に達成するにはなお時間がかかるという認識を示しました。』

でもって「非常にゆっくり」でしょ。何で一々強調するんですかねえ。

『さらに植田総裁は、不確実性が大きい場合は、慎重に、そして徐々に政策を進めていくものだが、金融正常化を進める中で低い金利が続くという期待が生み出されるとのちに問題になることもあると指摘し、バランスをとって政策を進める必要があるという認識を示しました。』

ってすいません記事全文引用になって申し訳ないのですが、最後にこういっているのだが、「かなり緩和的な金融政策のスタンスを維持している」「慎重に、そして徐々に政策を進めていく」って言っておいて、低金利長期化期待を牽制したいような発言をするのは典型的な両建て説明で、まあこの調子でやっていると利上げするたびに大騒ぎになるに1万パウエルといったところですな、ナムナム。


でもって会見もあってこちらは後程出てくると思いますが、ロイターさんとブルームバーグさんが記事にしているのでそちらも拝読。


ロイターさん
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/BCQKANXV5ZNHFGNTPWAE4H6JTA-2024-10-24/
市場動向は不安定、物価情勢分析に「時間的余裕」=植田日銀総裁
By 山口貴也
2024年10月25日午前 4:28 GMT+9

『[24日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は24日、米ワシントンで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後に会見し、市場動向は引き続き不安定との認識を示した。為替の円安に伴う物価情勢への分析に時間的余裕があるとの考えも語った。』(上記URL先より、以下同様)

だから10月利上げを否定する説明はもうせんでええねんというお話なので、この説明見ていると12月1月もやらんのではないか、という感じになってしまいますよね。

まあ実際には日銀の振付師の皆さんが市場とのコミュニケーションという文脈においてポンコツにも程があるので(個人の妄想です)、これ12月1月の利上げを全面否定している積りではなくて、あくまでも10月会合というその場をしのぐための説明をしているに過ぎないので騙されてはいけないと思うのですよね、個人の感想ですけど。

『G20での討議を巡り、植田総裁は「ごく最近のデータがそこそこ良いということから、多少、米経済の先行きについて楽観論が広がりつつあるという気もした」と振り返った。「もう少し良いデータが長く続くのか、一時的な振れに過ぎないのかは分析を深めないといけない」と指摘した。』

自分の国の物価の分析してください。

『為替の円安に伴う物価影響に触れ、「日本の物価にどう影響するかを丹念に分析して見極めていく。時間的余裕はあると考えている」との認識も示した。』

この調子で来週会見して11月に円安地獄になって植田総裁の顔が真っ青になることを希望しますwwwwwwww

『「マーケット動向は引き続き不安定な状況にある。インプライドボラティリティ(将来の変動率)を見ても一部ではかなり高い。今後は背後にある経済に関する認識も含めて考えたい」と語った。』

IVまで持ち出してきてますが、そもそもお前の政策運営が何をどうしたいのかわからん上に突如変な物でも食ったかのようにジャガーチェンジして動いたりするからボラが高いんとチャイマスカって突っ込みたくなりますね。まあ「市場を見ています」アピールでしょIVとか言ってるの。シッタカカコワルイ。


BBGさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-24/SLVJQMDWRGG000
日銀植田総裁、「時間的な余裕はある」−金融政策の判断について
藤岡徹
2024年10月25日 4:57 JST

→米国経済の良いデータが長く続くのか分析を深める必要−植田総裁
→加藤財務相、為替市場の過度な変動をあらためて指摘−注意払う必要

『日本銀行の植田和男総裁は金融政策の判断について問われ、時間的な余裕があると回答した。』(上記URL先より、以下同様)

ってことで、この「時間的余裕」ってのをこのタイミングで聞かされたら市場の中の人的な感覚で言えば「ああじゃあ12月1月も政策修正する気ないんだな」と思う、という認識が全然無いのが困るんですよね。

『植田総裁はワシントン時間24日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を終えて加藤勝信財務相との共同記者会見に臨んだ。

植田総裁は日本の物価への影響を見極める上で、円安だけでなく米国経済も含めて全体を見る必要があると指摘したうえで、政策判断については「時間的余裕はある」と述べた。前日のイベントでは「先行きの正常化の適切な規模が全体でどうなるかや、利上げ全体を時間的にどのように配分するのかについて考えている」とした上で、「四六時中」寝る間を惜しんで熟考していると語っていた。』

寝不足で考えると碌なことを思い浮かばないので寝る間は惜しまないでくださいと思うし、まあ本人はテーブルジョークみたいな感じで言ってるんでしょうけれども、市場の中の人はお前らの意味不明コミュニケーションで振り回されてそのたびに疲弊させられている訳で、こういうのをいうのって(全員がそう思わないでしょうけれども一部からしたら)おどりゃワシらに喧嘩売っとるのか、という感じでカチンとくる人もいるんじゃネーノと存じますので、植田さん下手糞なジョーク言うのは止めた方が良いと思うんだよな〜。センスがない。

『植田総裁は24日の会見で、米国経済についての楽観論が少し広がりつつあるが、米国の良いデータが長く続くのか分析を深めなくてはならないと述べた。市場は依然不安定という見方も示した。』

ということでロイターさんと解釈一致して(当たり前ですけど)いますので、これ結局は「ハトハト情報発信をしてきました」ということでして、この調子でやっているとまたどこかで情報発信のトーンが急変する可能性が多々ある罠という気はするのだがトリガーは多分為替なので今しばらくは米国長期金利様ってところになるでしょうね、しょーもな。


〇金融システムレポートが出ていましたな

紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr241024.htm

全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr241024a.pdf

紙芝居
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr241024b.pdf

FSRってなぜか他から出ている物件と文字コードが違うので、ワシの作業環境だと文字化け修正が必要になって甚だ困るんで、紹介ページの方から多少ネタにする程度であとは気が向いて文字化け修正をする暇があった場合に。

紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr241024.htm
金融システムレポート(2024年10月号)

『2024年10月号の問題意識

内外の金融市場では、今夏以降不安定な動きもみられ、地政学的リスクに起因して実体経済・金融市場が大きく変動する可能性も引き続き意識されている。国内では、不動産関連向け融資が引き続き増加するもとで、一部の不動産指標には注意すべき点がある。』

ほうほう不動産。

『また、わが国経済が緩やかに回復しているなかでも、収益の改善ペースが鈍い企業を中心に、デフォルトの増加がみられる。今回レポートでは、感染症拡大前からの脆弱性、および原材料価格高や人件費上昇の影響という観点から、足もとのデフォルト率上昇の背景の評価を試みる。』

これは後で読んでみますわ。

『日本銀行は、本年3月に金融政策枠組みの見直しを行ったあと、7月には政策金利を引き上げた。このもとで、金融機関は、市場金利の変化も踏まえつつ貸出金利や預金金利を設定している。今回レポートでは、一定の想定を置きつつ、金利環境の変化が金融機関や家計・企業に与える影響について、アップデートする。』

『以上の観点を踏まえつつ、わが国金融システムの頑健性と潜在的な脆弱性を評価する。』

まあこれ現状認識の話だから致し方ない面があるのですが、ここで「脆弱性がある」っていう結果になった場合(なっていないし、ガチに脆弱だった場合にはオブラートに包むと思うけどw)、本来は「このような現状になった原因は何ですか」ってのを考察しないと政策のPDCAにならんので、
そういうのはちゃんとやっていただきたいものです。


・ヒートマップ的には株価下がってビビっている場合ではなかったですねえwwwww

『わが国金融システムの安定性評価(要旨)*』に参ります。

『わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。』

まあそりゃこの回答になりますけど。

『金融仲介活動は円滑に行われている。貸出市場では、貸出金利が上昇するもとでも、企業の資金需要は増加しており、金融機関の融資姿勢も引き続き積極的である。こうした金融仲介活動に、大きな不均衡は認められない(図表I-1)。』

ってヒートマップ見ると株価が赤いんですがwwwwwというのは後で別項目があります。

『わが国の金融機関は、内外の金融市場や実体経済に大幅な調整が生じるリーマンショック型のストレスや、グローバルな金利上昇と実体経済の減速が同時に生じるストレスに対して耐え得る、充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有している。』

ほうほう。

『もっとも、先行きの国際金融市場や地政学的リスクの動向など、テールリスクへの警戒は引き続き重要である。』

あっそう。

『より長期的な視点からみると、人口減少などを背景に企業の借入需要が構造的に減少する状況が続いた場合、貸出市場の需給バランスによっては、金融機関の収益力や損失吸収力が低下し、金融仲介活動の停滞や、過度な利回り追求など金融仲介活動の過熱につながる可能性がある。』

『以下では、これらの観点も踏まえつつ、わが国金融システムを巡るリスクや脆弱性について点検する。』

ということで赤い「株価」「不動産関連」について『資産価格の動向』という小見出しがありまして、

『株式市場について、ヒートマップを構成する「株価」と「株式信用買残の対信用売残比率」、「機関投資家の株式投資の対証券投資比率」をみると、トレンドからの上方乖離を示す「赤」が点灯している(前掲図表I-1)。』

イイシテキダナー

『8月初には、米国の景気減速懸念を契機とする投資ポジションの巻き戻しの影響などから、グローバルに資産価格が変動した。この間、PERは過去平均的な水準での推移を続けており、バリュエーション上、大きな過熱感はみられない。もっとも、わが国の金融機関が相応の株式リスク量を有していることを踏まえると、資産価格の動向については留意する必要がある。』

つまり8月に株価が下がったのはどう見ても「健全な調整」であって、その前の株価上昇がバブルであって、そのバブルを作ったのはマネタリーポリシーウィングの金融政策スタンス(として世間に認知されたもの)であったという訳ですので、8月の株価下がったのにビビっていきなり情報発信を大幅に変更したマネタリーポリシーウィングは、プルーデンスウィングから見たらアカンタレの二乗みたいな事をしている、というお話でございまして中々の良い指摘である。


『また、わが国の不動産市場では、不動産貸出の趨勢的な増加が続くもとで、一部に価格の割高感が窺われる。「商業用不動産価格・賃料比率」は、ミニバブル期の水準を上回っているほか、都心の商業地区において、局所的な高額帯の取引がみられている(図表I-2)。』

『また、不動産取引業の一部では販売在庫水準も高まっている(図表I-3)。都心のオフィス空室率が最近では低下に転じているほか、不動産業の財務状況は景気回復とともに改善が続いており、デフォルト率も低位で推移しているものの、他業種と比べてレバレッジ比率の水準が高く金利感応度も高い点には留意が必要である。』

ということで不動産市況に関しても厳しい表現をしていまして、

『海外ファンドによるポートフォリオ・リバランスの一環として、日本の投資物件を売却する動きが引き続きみられていることも踏まえると、不動産市場の先行きには一段と注意していく必要がある。』

ということで締めていまして、この辺りの指摘のトーンがかなり強くなっているのは大変に結構だと思います。

すなわち、
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr240418.htm
金融システムレポート(2024年4月号)

この時も実は株価が赤くなりだしているんですけど、4月号の説明ページである上記URL先を見ますと(一々引用しないので見てちょんまげ)、今回のような指摘になっていないのが一目瞭然でして、寧ろマイナス金利解除以降の「緩和政策長期化期待」によって資産市場に不安定が積みあがっているのではないか的なところまで考えているかどうかはともかくとして、結果的にはそういう体裁になっているのがこの「資産価格」の部分なのが興味深いと思いました。

なお詳しくは全然読み切れていませんので紹介ページの後半も含め面白いのがあったら追々。


〇ああいつもの3M入札(自分用備忘メモ)

昨日は新発WIが1bp引値で変わらず、だったのですが、後ろの銘柄(まあ2/10エンド以降の既発債の引けが手前対比で飛んでもなく高かったのはあるんですけど)の利回りが手前の銘柄に修正される形でここ2日ほど引値強くしている、という時点でまあ弱くなるのは期待できない入札ですね。

とだけメモっておいて1230になったら絶望する予定です今日も今日とてorzorz





2024/10/24

お題「円安になっているので雑談/ラガルド会見続きとパネッタ理事発言/植田総裁がなんか発言しているようですが(速報ベース)」

どるーはとぶーとぶー、ほのおーとーもえーてー♪

ということですので闘魂込めて大空に飛んでいただけると面白展開が待っておりますので、この調子でぜひお願いいたします。

・・・・・・結局ドル円とかいう外圧が無いとあのポンコツは動かんですからぬー。

〇なんでもドル円さんが一時153円抜けたようで円安は正常化への第一歩w

昨日はまあ朝からホイホイドル高円安モードでしたが、ドル円153円と言いますとこれはもう「為替市場が物価上振れリスクを高める」と称して利上げを実施した7月の水準にドンドン近くなっている訳でして、さあもりあがってまいりましたとしか申し上げようがございません。

まあ決定会合の時にドル円156円くらいで迎えて頂くとどうせ今回は利上げをしないので、利上げをしない理由の中で為替市場を突っ込まれたときに大変に答えに困って碌でもない屁理屈を繰り出してドル円をさらにすっ飛ばして12月の決定会合まで日銀針の筵、という展開になってくれるので見てる方としては大変に面白い展開になりますし、ハトハト総裁がションベンちびって12月に泣きながら利上げに追い込まれるのもこれまた一興かなとは思う次第です。

まあしかし何ですな、選挙の方もどう転ぶのかまるでよくわからんですけれども、衆院選で金利がどうのこうのという話は多分にネタとしてはあるものの、よくよく考えてみますと、石破政権安泰→穏健な金融財政政策→日銀も大手を振って正常化、だし石破政権不安定→財政金融拡張圧力→円安が盛大に進行→日銀がションベンちびりながら利上げに追い込まれる、ということになるんじゃまいかと思いますので、結局のところ行き着く先は同じじゃないの(日銀が大手を振って威風堂々と利上げするのか、石礫投げられながら涙目で利上げするのかの違いなだけ)とは思いますので、結局どう転んでも同じでネーノ(円金利的には)状態ですなwwwwww

しかしアレです。先日こんなのがありましたが、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-21/SLOGVYT0AFB400
政治資金問題で自民に逆風続く、与党過半数割れなら政策停滞も-衆院選
広川高史、氏兼敬子
2024年10月21日 13:19 JST

→財政健全化打ち出しづらく、金融政策かじ取り困難に−エコノミスト
→与党の過半数維持は微妙、投票で54%が裏金問題を「重視」−朝日

ということで月曜の記事ですが、記事を拝読しますと・・・・・・

『一方、複数の関係者によると、日銀は衆院選後の30、31両日に開く金融政策決定会合で追加利上げを急ぐ必要性は乏しいとの認識を強めている。その後の追加利上げの可能性は排除されない状況との姿勢だが、仮に政権が不安定化すれば自民党内で金融緩和の継続を求める声が強まる可能性がある。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、次の小見出しが『紆余曲折』ってなっていますが、

『こうした中、総裁選で石破首相と決選投票を争った高市早苗元政調会長は先週の街頭演説で、選挙後には「党内で経済政策について声を上げていきたい」と宣言した。』

おんどれは経済政策が一番ヤバいのになにをゆうとるんじゃと思うのですが、その飛んでもない自意識過剰成分ってアタクシ残念ながら1ミリグラムも持ち合わせておりませんでして、どういう人生を送るとそのような自信過剰になれるのかと教わりたい訳ですし、こういう自意識モンスターみたいなのすげえですわ(1割くらい褒めてるw)

でもってこの次が凄い。

『その上で、「金融政策は政府が決める、手段は日銀が決める」と持論を展開し、「今、金融引き締めをしたら日本は大変なことになる」と追加利上げをけん制。「今はむしろ金融を緩和する、しっかりと政府は必要なところに財政出動する」とも述べた。高市氏は総裁選で、防衛増税への反対姿勢を示していた。』

どう見てもトラスショックです本当にありがとうございました。ということで、何なら高市登場からの爆発炎上によってこそ中長期的な財政の健全運営の重要性や、これまでの黒田馬鹿緩和の罪悪というのが国民の皆様にも共有されますので、爆発するなら早いうちにやった方がよろしいんじゃないでしょうか(超暴論)。

ということですので、そんじょそこらの何とかストが「石破政権不安定化して日銀は政策が動かせなくなる」とか言ってるのは解説がちょっと目先の話すぎにも程があるわけで、「その結果為替円安が大幅に進行して日銀は通貨防衛的な利上げをせざるを得なくなるしソブリンの格付けに影響した場合には企業業績への影響も懸念される」位の説明をしてこそ何とかストじゃろと思うのですが、なぜかその前で話は寸止めになってしまいますな、残念無念。


しかしまあ何ですな、石破さんって何でスタートの時に抜刀斎にならなかったのよとしか申し上げようがなくて、こんなに胆力のない人だとは思わなかったんですが、思い返してみれば植田さんが日銀総裁になった時にも従来の話からして正常化推進するのかと思ったら胆力のなさが爆裂してハトハトチキンとなってしまって今に至る、ということで、植田さんと石破さん似てるじゃんと思いましたが、さらに考えて見ますと、石破さんにしろ植田さんにしろいくつかの偶然が重なって総裁の座が転がり込んできた感が強いお方で、どうせ運よく拾ったポストなんだからダメ元で思いっきりやればいいいじゃんとか傍目では思うのですが、やっぱり急に天から転がり込んできたポストだから絶対に失わないように慎重にやっていこう、となって胆力無し無しのチキンモードになってしまうんでしょうかね。まあこんなこと書いてるアタクシには残念ながらそんな機会は人生のうちに来たことがない(あったのかも知れないが本人の自覚がない)のでその辺の心理ってのはよくわからんのですが、石破さんのしょうもないチキンぶりをみていると植田総裁のチキンモードにつながって見えてきました、あくまでも超個人の感想ですけどね〜


〇ECBは何か話が先に行っている気もしますがとりあえずラガルド会見の続き+おまけ

https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/monetary-policy-statement/2024/html/ecb.is241017~59ad385bab.en.html
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Ljubljana, 17 October 2024

昨日の続き参ります。

・金融政策を中立スタンスに戻す流れなのかどうかの質問にも蒟蒻問答

昨日引用した次にはこんな質疑がありましてですね。

『Inflation is expected to reach target in the course of next year instead of at the end. Will we reach the neutral rate earlier than before? Will you recalibrate monetary policy and cuts to come?』

『The second question is whether the German economy is the main reason for the shift since September, when today’s cut was unlikely, or at least is it a good reason?』

インフレ率は年末ではなく来年にはまた2%に戻るとの見通しのようですが、その前の時点で政策金利って中立的になるんでしょうか、金融政策の再調整を行って利下げが今後も来るんでしょうか。と金融政策スタンスの中立化に向けた方向性を聞いていますな。

後半は「今回の政策スタンスシフトは主にドイツ様の経済悪化に対応したものですか」って感じの質問なので、これは「場合によっては政策金利を緩和まで持っていく必要な無いのか」という話にも通じる(そこまで意識しているのかは知らんが)質問ですわな。

ラガルドさんの回答が蒟蒻問答にもほどがあって、

『First of all, we don’t recalibrate, we calibrate, and this is really the process through which we go.』

再調整するわけではなくて調整するんです。っていきなり禅問答なのですが、まあこれはアタクシなりに解釈すると「プリセットコースの再調整をしているわけではなくて、毎回の会合で毎回決定している」ということを言いたいんだと思います以下の文脈から考えて。

『As laborious as it is, we believe in our three-pronged approach. I won’t bore you with the repetition of it all, but it is inflation outlook, underlying inflation and transmission.』

インフレ見通しと基調的なインフレと政策の波及状況の3本の柱(いつのまにかピラーっていわなくなったのね)のアプローチしています、だそうです。

『And we calibrate our monetary policy on the basis of all the data that are available and applying that three-pronged approach.』

でもって会合ごとに前回以降のデータをすべて見て分析して政策の調整をします、って言っているので先ほどの冒頭のところを上述のように解釈した次第。

『 It’s obvious that the state of the economy and the activity has a bearing on inflation. And to that extent, of course, we take that into account in order to assess inflation and its return in a timely manner to our target. But that’s the extent of our consideration: the bearing of activity on inflation. Because our job is price stability and our mission is to return inflation back to the 2% target in the medium term.』

見事に蒟蒻問答になっていますな。結局ほぼ何も言ってないのと同じですけど、この会見って最初からずっとこの調子で来ていて、先の話を一切しないし、そもそも政策の方向性の話もしない、という結構壮絶な会見でしたねこれは。


・なので中東情勢への言及があった(たぶんステートメントの方)にも関わらず・・・・・・

次の質問では、

『You said earlier we will have more data in December, not much more, but more data, and if they all point in the same direction as you outlined earlier as well, you will just have opened the door widely for a new rate cut in December if I interpret you well?』

12月までに出てきたデータがECBの見通し通りなんだったら追加利下げするんですか?と質問したうえで、

『You mentioned tensions in the Middle East that could feed inflation through energy prices. What about domestic stimulus in China, which is huge and could also revive pressures on energy prices through domestic demand and then feed inflation? Is it something that you will combine with those Middle East tensions and look very carefully at in the next months?』

中東情勢や中国の景気刺激策、エネルギー価格動向の影響などは如何に、と聞いてるんですけど、ラガルドはんの答えは、

『It is a fact that at each projection exercise, we receive more data and in particular more updated projections of course, and typically, given that between now and the December meeting there will be more than six weeks, we will also receive more data.』

次の会合まで6週間ありましていろんなデータが入ってくるでしょうが、

『As I said, I did not open the door to anything. I repeated that at each and every meeting we will look at the data. Hence we will be data dependent, not data point dependent, nor anything else. Data dependent - all of it.』

ひたすら「出てきたデータで判断する」とは言っていますが、その途中で「データポイントディペンデントではない」と言っているのがかなりチャーミングでして、単月の一つの指標をとっ捕まえて右往左往したり、瞬間的に株価が下がってションベンちびったりしないということでFEDやBOJに対してもイヤミぶっかましてますな(その意識があるかはさておき)。

『We will determine what is the best rate, what is the best speed, how far and how deep we have to go in order to return inflation to its 2% medium-term target. This is what we will do in December, and I would not give any other commitment, nor make any other statement in that respect. 』

なので12月理事会に向けて何かという話はこれ以上できませんよ、とバッサリ行っている訳でして、どこぞの植田和男以下のコミュ障軍団はちょっとラガルドはんの爪の垢でも煎じて飲んでいただきたい。

『As I said in the monetary policy statement that I read earlier on, we are not pre-committing.』

この「予告ホームランは一切しません方向性も示しません」ってのは中々ですよね。まあそれを補うべく下々の連中がしゃべっている、という実例は後で補足します。

『Again, I think that the decision that we’re making today is a perfect example of how we can be data dependent. You refer to two areas of big concern. One coupled with obviously a major conflict and horrifying one that is taking place in the Middle East. We of course are concerned beyond the humanitarian approach, beyond the conflict aspects. We are looking at the economic consequences and we are looking in particular at the impact that this conflict could have on trade, because that part of the world is very much open to trade and the passing of ships of all sorts. We are also very attentive to the price of oil that can be impacted, and this oil price is a good segue into your question about China. What will happen in China, what kind of stimulus will be activated, with all full details as is expected at some stage, will also be an indication of the demand addressed by China to the oil market and the impact that it will have on the price of such a commodity. 』

質問で言及のあった中東情勢、中国経済、エネルギー価格などの話を説明して、ご指摘のようにこれらは今後の動向次第で影響が起きることもあるのでそれは注意して観察する、とは言って
ますが、

『We are looking at all those components and obviously focusing on the economic consequences and the impact that they could have on inflation, and obviously activity to the extent that it impacts inflation.』

どこかのチキン中銀みたいな「最大限の注意をもって」とか言い出して、いやお前日本の中央銀行なのに何で米国経済米国経済ゆうてますねん、というような話をするわけではないのでしてコミュ障軍団はラガルドはんの爪の垢以下同文。

・・・・・・とまあこんな調子で先行きの事は言いませんよだし、そもそも政策の方向性がどうなのかとかも示さないというある意味潔い姿勢を取っています、もうちょっと読みどころありそうですがちょっと別ネタで・・・・・



・ということでおまけだが今しがたこんなのが入ってきました(パネッタが中立以下への緩和政策の可能性も示唆)

これ書きながらヒョイヒョイとニュース確認してたんですがこんなのが今しがた出ていました
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/MNWJ7ICNBNL6DHRJWUY2VHBXQ4-2024-10-23/
ECB、再び低金利が必要になる可能性=パネッタ専務理事
By ロイター編集
2024年10月24日午前 5:56

『[23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のパネッタ専務理事は23日、ECBは再び経済を刺激するために十分な低水準まで金利を引き下げる必要があるかもしれないと述べた。訪問先のワシントンで出席したイベントで語った。』

『同専務理事は、現在の金利水準は中立金利からはまだ遠いとした上で、「ディスインフレのペースと実体経済の弱さを考えると、中立金利で止まらなければならないとは考えていない。政策金利が中立金利を下回る可能性も排除できない」とした。』(上記URL先より)

ということで、ECBの場合は「公式見解」では先行きの話は何一つしませんが何か?というスタンスを貫いていまして、その代わりにこういうのがちょいちょいと出てくる、というのが仕様になっています(ただし傾向としてパネッタっておしゃべりなのとお調子者っぽいところがあるのに要注意)ので、そこで補っているという感じでして、一方でどこぞの日銀に置かれましては総裁が全部説明しようとするから「スタンスがブレブレ」批判を浴びる訳でして、この辺は役割をちゃんと分担することによって、根本の部分はぶれないで、周辺の方では意見に幅がある、みたいな見せ方をすべきだとは思うのですが、いかんせん日銀の場合はその意見があるのか無いのかわけわからんドテカボチャ(一部に人間様もいるのだが)がひな壇に並んでいるのがアカンですよね、と思いました。


〇今朝入ってきたこの発言の真意はどっちなのよちょっと日銀公式文字起こしだしてよ

このパネッタ発言と同じタイミングで記事出ていまして、まあこれは同じG20にぶつけたイベントだと思いますが。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB23DVX0T21C24A0000000/
日銀総裁「金融正常化は始まったばかり」 利上げ継続示唆
金融政策
2024年10月24日 5:41 (2024年10月24日 5:55更新)

『【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。不確実性が増す世界経済の動向については「過去2-3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを注視する姿勢を示した。

日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。』(上記URL先より、以下同文)

しかしまあ何ですな、

『これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。』

成功かどうかはこれからわかる話で、今の時点で「成功だった」とか言ってるのお前ふざけるなという発言にもほどがある話で良いからお前もう帰ってくるなと思いました(個人の感想です)。


なおこれがロイターさんになりますと、

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/X3IJID5EWJMRBLGAJBPNMWSZBA-2024-10-23/
インフレ目標の持続的達成には「まだ時間必要」=日銀総裁
By 木原麗花
2024年10月24日午前 5:54 GMT+9

『[ワシントン 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、基調的なインフレ率は緩やかに上昇しているとした上で、インフレ目標を持続的に達成するには「まだ時間がかかる」と述べた。訪問先のワシントンでパネルに出席した。』(上記URL先より、以下同様)

ってこっちだと何かもう利上げする気がだいぶなさそうに見えますけど、

『植田総裁は、不確実性が大きい時は政策変更を慎重に段階的に進めたいとしながらも、金利が非常に長期間にわたって低水準にとどまるという期待を抱かせると投機的なポジションが大量に蓄積される可能性があるとの問題点を指摘。円キャリートレードの過剰な積み上がりを抑制するため、金融政策の基本戦略を明確にすることが非常に重要だと述べた。』

明確にしないでブレブレにしているの問題だし、そもそもそれ以前に「ゆっくりと緩和の解除をする」というスタンス自体が「緩和の長期化」と言ってるのと同義なんだからキャリートレードの積み上がりを促進してるだろお前は何を言ってるんだという話で、さっきの「成功」もそうなんですけど、植田さんってこんなにアホだったのかとは俄かに信じがたいポンコツ発言をしているように見えます。

ということでなんだかよくわからんのでちょっと日銀公式文字起こし出せやという話でよろしくお願いします。





2024/10/23

お題「10年GXは今日もディスカウント/基調的物価メモ/ECB会合ラガルド会見が煙に巻いた説明な件(その1)」

おうおうおう
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate

USDJPY= 151.11JPY
変化 0.27
変化% +0.18%
2024年10月23日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています

円安ウホホイ♪


〇10年GX国債の入札がありましたが・・・・・(後付け備忘メモ)

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20241022.htm
10年クライメート・トランジション利付国債(第2回)の入札結果

『本日、10年クライメート・トランジション利付国債(第2回)の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号      クライメート・トランジション利付国庫債券(10年)(第2回)
2.発行根拠法律及びその条項    特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項』

おや・・・・発行根拠法が

前回の5年GXの時(7/18)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20240718.htm

『2. 発行根拠法律及びその条項
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項』

前回の10年GXの時(5/28)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20240528.htm

『2. 発行根拠法律及びその条項
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項』

ということで特会の方の法律で発行されているんですね。資金繰りって奴ですかしら。


さて、その落札結果ですが、

『3.表面利率        年1.0パーセント
4.発行日         令和6年10月23日
5.償還期限 令和16年3月20日

6.応募額          1兆1,600億円
7.募入決定額         3,500億円
8.応募者利回り       0.943% (募入最高利回り)
9.発行価格      額面金額100円につき100円51銭
10. 募入最高利回りにおける案分比率      20.0000%』

まあ入札自体は事前に調整が入っていましたのでわるい結果ではなかったのですが、ここで売参ちゃんを確認してみましょう。

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/22引値)
GX長期国債2 2034/03/20 平均値複利 0.937 平均値単利 0.935
長期国債 374 2034/03/20 平均値複利 0.911 平均値単利 0.915

複利で2毛6糸ディスカウントになっていまして、低流動性銘柄であることが嫌気されてグリーンプレミアムを上回っての流動性ディスカウントということで、ディスカウントが恒常化してしまいますと、GX国債をわざわざ手間暇かけて発行している意味is何??という話になるのであまりよろしくないのですが、だからと言って日銀が輪番で全部吸い上げてしまえば希少性プレミアムが発生してプレミアムになるかもしれませんけど、折角GXで発行しているのに日銀が全部吸い上げてしまったらこれまた何のために発行しているのか意味くじピーマン分からんというお話になるわけですな。

まあこれはアレですよ。つまりは「日銀が長期国債買入で普通国債を馬鹿みたいに買いすぎていて、普通国債市場全体に日銀買入による付かなくても良いプレミアムが付いている」っていう逆の発想で考えればよいので、やはり月6兆(少し減ったけど)の輪番とか邪悪以外の何物でもなくて、新規買入をゼロにすべきであるという強引な結論になるわけですな、あっはっは。


〇基調的なインフレちゃんですが結局底堅いとしか言いようが無いのではないかと

いつもの
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

左から「刈込平均値、 加重中央値、最頻値」ですな。

Jan-23  3.1  1.1  1.6
Feb-23  2.7  0.8  2.1
Mar-23  2.9  1.0  2.7
Apr-23  3.0  1.2  2.8
May-23  3.1  1.4  2.9
Jun-23  3.0  1.4  2.9
Jul-23  3.3  1.6  3.0
Aug-23  3.3  1.8  3.0
Sep-23  3.4  2.0  2.8
Oct-23  3.0  2.2  2.6
Nov-23  2.7  1.7  2.4
Dec-23  2.6  1.6  2.4
Jan-24  2.6  1.9  2.3
Feb-24  2.3  1.4  2.0
Mar-24  2.2  1.3  1.9
Apr-24  1.8  1.1  1.6
May-24  2.1  1.3  1.5
Jun-24  2.1  1.4  1.6
Jul-24  1.8  1.1  1.5
Aug-24  1.8  0.7  1.3
Sep-24  1.7  0.8  1.4

8月に落ちたと思わせてくれた加重中央とか最頻値ですが、9月は戻って来ておりまして、何だ結局底堅いじゃんというお話になっておるのでして、日銀の政策変更を渋る言い訳には使いにくいですねヤダーという所です。

本来であれば、日銀が散々連呼している「基調的物価」を把握するための一つの指標なんだから重要な意味があるはずなので、この数字が底堅いとかいうのは金融政策の正常化に向けた追い風ということになるのですが、何せ今の日銀は、というか黒田末期からずっとそうなのですが、金融政策を中立スタンスに向けて徐々に調整するっていう当たり前の事すらやりたがらないで、やらない言い訳を次から次へと繰り出して前の説明と整合性のない話ばっかりするもんだから、どうせチェリーピッキングされるだけのことなんでそれはつまらんと思いますが、これ見たってもうどう見ても過去から全然違うトレンドじゃろというお話な訳ですな。何でこれで物価が行ってないとか平気で言えるのかちょっとこいつらのカボチャ頭をかち割って中身を見てみたいですよね。


上昇下落品目、左から「上昇品目比率、下落品目比率、差分」ですな

Jan-23  80.3  12.6  67.6
Feb-23  81.0  11.7  69.3
Mar-23  82.6  10.0  72.6
Apr-23  84.3  9.2  75.1
May-23  84.9  8.8   76.1
Jun-23  84.9  9.2  75.7
Jul-23  85.6  8.4  77.2
Aug-23  86.0  8.2  77.8
Sep-23  87.0  7.3  79.7
Oct-23  84.7  9.6  75.1
Nov-23  83.0  11.3  71.6
Dec-23  82.0  12.1  69.9
Jan-24  83.9  10.7  73.2
Feb-24  81.8  12.8  69.0
Mar-24  79.5  15.1  64.4
Apr-24  80.8  14.0  66.9
May-24  79.3  15.5  63.8
Jun-24  78.7  16.1  62.6
Jul-24  75.7  18.8   56.9
Aug-24  74.7  19.9  54.8
Sep-24  76.1  18.2  57.9

もう普通に7割超の品目が値上がりしている訳でして、これでデフレが何とかとか何をどうするとそういう話になるのかと小一時間問い詰めたい。

・・・・のではあるのですが、何せ日銀の人たち、この「基調的な物価を捕捉するための指標」が上にぶれているときに全然この件に触れていない訳でして、折角出しているのに勿体ない事ではあります。



〇ECBレビュー(おそくなりましたが)ということで利下げの会見の今回はQAから先にちょいと拝読

https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/monetary-policy-statement/2024/html/ecb.is241017~59ad385bab.en.html
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Ljubljana, 17 October 2024


・景気対応で利下げをしているのか見通しオントラックで利下げしているのか判然としない説明ですな

最初の質疑ですが、

『My first question would be on the next steps. It sounds like you expect to reach a 2% target maybe sooner than predicted in September. Does the decision to cut today really represent a shift of gear? Do you expect a cut at every meeting for the next few meetings now to be the most likely scenario? (後半は米国大統領選挙の件なので割愛)』

見通しよりも2%達成が早まるということで利下げ、すなわち正常化のギアを上げたのかという質問に対して、

『We decided to cut all our rates by 25 basis points because we believe that the disinflationary process is well on track and all the information that we received in the last five weeks since our last monetary policy decision was heading in the same direction - lower! 』

オントラックだから利下げした、という説明になっていて、

『Whether you looked at inflation numbers, headline core, whether you looked at PMI numbers, all categories, composite manufacturing, services, employment - are heading downwards as well. If we look at all the surveys that are in the works at the moment, of which the specific numbers and data will be available soon, it is the same story. Whether it is the corporate telephone survey or other surveys that we have available, it’s all heading in the same direction - downwards!』

この辺りは具体的にどんなデータがありました、ってお話なので流して次。

『That really confirmed for us the confidence that we have that the disinflationary process is well on track.』

物価が落ち着いていくというのがオントラックであるとのコンフィデンスをコンファームしたと。

『That is what has caused us to make the decision to cut our three rates by 25 basis points.』

よって25利下げしましたよ。

『We have also reiterated that we will continue to be data dependent and honestly, this decision is a case in point of us being data dependent.』

データディペンデントを強調。

『We have all the available data all heading in the same direction, the largest countries all also moving in negative territories in PMI numbers. Those are really strong elements - and because of their synchronisation and the similar direction - we have to take into account those data and make the decision that we have made. We are going to continue doing exactly the same thing. It’s clear that between this meeting and the next meeting we have in December, we will be receiving more data - some of it soft, some of it hard - and more readings. All of that will help us decide, as I have said, “meeting by meeting,” what monetary policy stance we should decide at that time. I think there were no variations in that respect from the decision that we made in the past, in terms of methodology. 』

『It’s the same steer, the same stance, the three-pronged approach and the meeting-by-meeting data dependency, no predetermined path. (以下は後半質問の回答なので割愛)』

エライワチャワチャ説明しているのですが、結局「データディペンデントです( ー`дー´)キリッ」って言ってるだけですねこれ。


・景気対応で利下げしてるんだったらなぜ50じゃないのか問題&政策は引き締め的との整合性

次の質問の人、上記のラガルド説明だと「あれれ」ってなりますよね、って感じかと思いますし、ステートメントはネタにしませんでしたが、例のポンチ絵の方でも「金融環境は引き締め的」って説明になっていて、景気対応での利下げという最初の方のポンチ絵と整合性どうなってるのよ感がありますからこういう質問も飛びますよね。

『My first question would be on the economic outlook. You were now referring to and pointing out that the economy doesn’t really look great and all signs point towards more downspin. Why didn’t you go for a 50 basis point cut? 』

当然この疑問は沸き起こりますよね。

『Is that something you have discussed or whether this is on the table for the next ones? And have you been discussing the topic of the possibility that inflation could also undershoot, if you keep your policy stance restrictive? Thank you.』

それに金融政策を引き締め的にしたままだったら物価は(既に2%割れなので)アンダーシュートしないのでしょうか、という至極ご尤もな質問ですが、さてこれになんと回答したのかと言いますと・・・・・

『It is a fact that the economic activity has come in, on the basis of the elements that we have and the indicators that are available, a bit below what we had anticipated. But this is not a projection exercise.』

実際に足元の経済が若干弱かった(a bit below what we had anticipated)のは事実だが、これは経済物価の先行き見通しの話とは別問題、というなんかエライ強引な説明から始まり、

『We are in between two projection exercises, and clearly December will be another opportunity for us to run all the data and all the information through our models and to apply the three-pronged approach to our stance. 』

でもって見通しを検討しまして、12月はこの間に揃ったデータをみながら再検討のする時期です、とかゆうておるのですが、なんかもう煙に巻こうとしている感が漂うのは気のせいでしょうか。

『What was on the table and what was debated and proposed by our Chief Economist Philip Lane was a 25 basis point cut. End of the story.』

ちょwwwwwwおまwwwwwwww

ということで何で50じゃないのか、そもそも景気対応の利下げじゃないのか、というのが全然示されていないという恐ろしい回答になっております。さらに能書きは続くのですが、

『We had discussions and debates and rationales and narratives, and all of that is part of the debate and the legitimate discussions that we have within the Governing Council. But at the end of the day, there was a unanimous decision to cut rates by 25 basis points. 』

ディスカッションをして全員一致でしたよ、は良いんだが結局この利下げの位置づけis何というのは煙に巻いたまま。

『It may have been the Slovenian great atmosphere that precipitated this more than consensus.』

スロベニアのグレートな雰囲気でこんな決定になったのかもね、ってもう煙に巻く気が満々。

『There was a unanimous decision to cut by 25 basis points and we thought that it was the appropriate decision to make in view of the moment, in view of the indicators that we have and our assessment of this disinflationary process that is really under way and well on track.』

結局「アベイラブルなデータやアネクドートを総合的に判断したら25になりました」しか答えていませんね。

『On the risk of undershooting or overshooting, we can debate ad nauseam on this particular matter and you will find views on both sides of the equation. What is clear to all is that we still have risks on both sides of our forecast, upside and downside, probably a bit more on one than the other, probably more downside risk than upside risk. 』

引き締め的にしてたら物価がアンダーシュートするリスクはないんですか、という質問には斜め上の回答をぶちかましておりまして、常に上下のリスクはあるもんだけど、いろいろな要因を勘案すると、物価のリスクはほんのちょっとだけダウンサイドリスクかなあ(probably a bit more on one than the other, probably more downside risk than upside risk.)と引き締め的であることの影響について触れないで説明していて、これまた忍法煙に巻くの術でドロンドロンと逃げている感が強いんですがアタクシの気のせいでしょうかw

なお最後にラガルドはん、

『But I’m talking here about our forecast for inflation and that’s what we are looking at.』

ちょwwwwww「物価見通しの話をしていますし、我々が見るのは物価見通しですから」で締めやがって、何で金融政策スタンス引き締め的のままなのっていう質問に全然回答してないじゃん。

・・・・・てな訳で、以下結構な面白質疑が続くのですが、今朝はこの辺で勘弁してもうちょっとこの「でもって今回の利下げの背景はどうなっているんだよ」の質疑を鑑賞したいと思います(すいません下準備不足で)。






2024/10/22

お題「昨日の多角化レビュー雑談の補足(読者様からの追加ツッコミを踏まえ)/安達審議委員高松金懇会見も別にハトハトではない」

おやおやまあまあ
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 150.82 JPY
変化 1.31
変化 +0.88%
2024年10月22日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています

〇昨日ネタにした多角的レビューネタですが追記のおまけ

昨日ネタにした多角的レビューのペーパーですが、読者の皆様からいろいろと「こんなツッコミもあるのではないか」とのご指摘をいただきまして多謝多謝。

ということなので折角ですから追記メモだしそもそも受け売りで大変恐縮なのですが、(とネタばらしをしておきまして)多少のツッコミ追記を。

まずは均衡イールドカーブに関して。

要旨
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j16.htm

本編
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j16.pdf

・政策評価をするのはどう見ても時期尚早なのに今すかさずやるのはアカンヤロ

しかしまあ何ですな、しばらく封印してたのに均衡イールドカーブの話を「多角的レビュー」の一環で出すというのってこれどこからどう見ても「YCCは長期金利を押し下げることによって政策効果を発揮したので黒田緩和は正しいぜヒャッハー」という話をしよう、という下心満載なのはわかるのですが、そもそも長期金利ペッグ政策なんぞは「出口」まで含めて評価しないといけない訳で、米国FRBが第二次大戦およびその後も続けた長期金利ペッグ政策って、市場が今と全然違って統制がそれなりに効くような時代であってもその出口に置いてFRB議長の首を二つだか三つだか飛ばしてやっと出れた、という政策だったというように、この黒田緩和の真価ってこれからの出口においてこそ問われる話だし、早速出口にビビってハトハトチキン状態になっている、という現状が今まさにそこにある中で、YCC政策を評価する「多角的レビュー」をやろうというのが前提からしてちゃんちゃらおかしいわけです。

ということで、過去のレビューするのと政策評価に関しては分けて頂きまして、今からでも遅くないから政策評価のパートを全部ぶった切ってなかったことにした方が良いですけど、まあどうせやらんのじゃろうなあと思います。

まあ何ですな、明の太祖朱元璋ムーブとでも申しますか、本来評価を定めるのはもっと後であるべき出口政策中、というか碌すっぽ始まってもいない状態でQQE政策の評価をするとかどこの洪武帝だよというお話でして、Wikipediaで「元史」を検索して味噌というお話ではありますな。

あと日銀のたちの悪いのは、今回このように評価してしまうと、これがそのまま後々まで生きてしまって、この時の多角的レビューはポンコツで使い物にならないので新レビューをするというような科学的態度(幾多の試みを経て「新元史」が20世紀になってできた訳ですよ中国では)ムーブを日銀の中の人にしても曲学阿世の提灯学者どもにしてもやりゃあしないもんだからこれが「正史」になってしまうんですよね。甚だ困ったもんですし、将来の政策対応でまた碌でもないことをすることになるわけですよ。


・実質自然利子率の推移を見ますと黒田緩和は・・・・・・・

でまあ昨日ネタにした本編の13ページ(PDF14枚目)のグラフですが、あたくし昨日は『図 3: 均衡イールドカーブ』の『(d) 年限別・名目』の2023年の数値がマイナスになっていることを見て心が曇っているので提灯忖度パラメーター操作じゃねえのとか申し上げておりましたが、よくよく見ますと、というか読者様からツッコミをいただいたのですが、これしらっと『(c) 年限別・実質』の方がおもろいですね。

ともうしますのは、この(c) 年限別・実質の実質中立金利の推計値を見ますと、グラフの起点である1993〜1996って実質中立金利が1%あたりから0%辺りへと急速に低下していまして、まあこれはバブル崩壊、というかその前のバブル生成がクッソ悪いのですが、まあその後のバブル崩壊期における後処理もよろしくなかった訳でしたな、という話だと思うのでこれはまあそうなのかな、と思うのです。

でですね、その後なんですけど、よくよく見ますと2013年あたりから2016年辺りも実質自然利子率が−0.3%くらいから−1%くらいまで低下していまして、えーっとこれは何ですか黒田異次元緩和ってのは問題の解決になっていなくて、事態をさらに悪化させました、っていう話なんですよね、と思ってしまいましたが、この点に関してはどういう解釈をすればよいのか、ちょっと教えていただけると甚だ幸いでございますのですが、一体全体どういうことなのでしょうかと思いました。

まあ2023年の名目自然利子率のところを見て忖度爆裂と思ってしまいましたが、よくよく見ると中々お茶目なグラフなので、毒もちゃんと入れているんだなと思いますと、ちょっと昨日はボロカス言いすぎたかなと反省はしておりますwwwwwww


でもってもう一つは昨日の「ノルム」のペーパーですけれどもこちらは補足メモです

・「ノルムのせい」で片づけることの最大の問題点は「適切な政策は何だったか」の議論をしていないこと

概要
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j18.htm

本文
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j18.pdf

昨日引用しました物の再掲で恐縮ですが、第2回WSにおける柳川先生と吉川先生のツッコミを再掲しますね。

https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240627a.pdf

こちらの本文19ページ、PDF20枚目のところに『(ノルムの位置づけ)』というのがありまして、引用しますが、

『柳川は、ノルムという概念を使って金融政策を議論すると、本質的に重要な要素を捉え損ねるおそれはないのか――仮に均衡が複数あるとしても、それをどう動かすかを考える際に、ノルムという言葉を使うことでみえなくなる部分もあるのではないか――と指摘した。そのうえで、ノルムを政策議論の文脈においてどのように位置付けているのか、パネリストに見解を問うた。』

『吉川は、QQE は、わが国経済の低迷の原因はデフレであり、デフレは貨幣的な現象であるから、マネーを増やせば問題は解決する、という主張に基づくものであったと振り返った。今回の多角的レビューにおいて、この点の是非について議論せずに、物価上昇率が2%まで上がらなかった原因として、金融政策以外の要因であるノルムについて議論している点に、議論の内容自体に違和感はないものの、日本銀行の対外的なコミュニケーションとして大きな違和感があると述べた。』

とまあこの点なんですけど、柳川先生にしましても吉川先生にしましても、このツッコミのキーメッセージって本当は「そもそも効くか効かないかわからない(というか効かないといわれまくっていた)マネタリーベース直線一気理論について検証をしないで「ノルムのせい」で済ませるのは政策レビューとして不適切極まりない」ということなんですよねきっと(これは日銀の事務方が要旨として丸めちゃうからこうなる)。

長期間にわたる緩和政策を実施したことによって、「ノルム」の転換が起こるような神風(人口動態の推移と世界的な供給制約ショックの発生と世界的な財政出動かな)が発生した時に緩和効果が発現した、というのはまあホンマカイナという気はするけどそれを言うのはまだ許容範囲内の話ではあるんだが、じゃあその「長期間にわたる緩和政策」が本当にこの極端な政策である必要があったのか、という話をなんもしないでスルーしますと、次回に物価や経済が下がった時にまた同じQQEをやる破目になるんじゃないですか、ってなもんでして、別に「長期間にわたる緩和政策」がこんなに極端な政策じゃなくても、単なる実質ゼロ金利政策の長期化だけでよかったんじゃないのというレビューが起きないのはどう見てもおかしい。まあこれもさっきと同じですが、出口政策のコストまで含めてレビューしないと、次に同じようなことが起きたときに間違いの上塗りになってしまう訳ですよ。

あ、そういや黒田も日銀総裁退任した直後に逃げるように「私の履歴書」掲載してましたなwwww


とまあそういう補足でした。


〇だいぶたっちゃいましたが安達審議委員高松金懇の続き(会見)ですが会見も全然ハトじゃないですよね

すいません虫干しで・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241017a.pdf
安達審議委員記者会見
――2024年10月16日(水)午後2時30分から約30分
於 高松市

・年内かどうかの質問エエカゲンニセエと思いますけど

実質最初の質問ですが、

『(問)一問目は、午前の安達委員の挨拶を読みますと、追加利上げの時期なんですけれども、追加利上げは年内は難しいのではないかという印象を持ちましたが、安達委員のお考えをお聞かせください。』

記者の皆さん何でこの「年内」の質問ばっかりするんですかマジでいい加減にしてくれませんかという話でして、12月も1月も似たような話なんで、その時点で「年内」という質問が超無意味にあたるので、少なくとも円債市場の中の人の端くれであるところのアタクシからしたら、この「年内」云々を聞くたびに馬鹿は口を開くなという感想しか出てこない訳ですよ。

昨日は総裁の信用組合大会のあいさつにツッコミを入れた(リスク要因の説明が本編と同じくらいの分量ってバランスがおかしいだろというツッコミね)訳ですが、まあ確かに馬鹿メディアがこういう質問ばっかりするから金融市場の中の人たちが誰も想定していないので今更説明不要だし何なら余計な説明にも程がある10月会合での利上げ無し説明をせざるを得ないというのもあるかも知れず、何ちゅうかこの相互でマイナスのフィードバックループが発生するコミュニケーションになっていますな、と安達さんじゃなくて記者の方に突っ込むワイ。

『二問目は、その逆の質問になるんですけれども、安達委員は 5 月の熊本での挨拶では、普段の金懇での挨拶の構成を変えて、円安についてのくだりを前の方に持ってきたうえで、円安がもたらすインフレ圧力について、警戒感を示されたわけなんですけれども、現状、為替は 149 円台ですが、これが再び 160 円をうかがう展開になれば日銀として再び利上げを急ぐ必要が出てくるのかと、この二点をお願い致します。』

まあ2番目は順当な質問(回答は見え見えであったとしても)なのでいいんですけどね。


・利上げ時期に関する安達さんの回答ですがちょいちょいハトじゃないものがあるわけでして

『(答)まず、一点目の追加利上げの時期につきましては、私が特に何月というのを意識しているわけではございません。』

そりゃそうだ。

『基本的にはスタンスとしては変わってないつもりでして、まず一つは今までの利上げ、と言ってもまだ 0.25%ですけども、利上げをしたことについてはそれなりの効果があるといいますか、経済の正常化に向けての動きというのがみえてると思います。』

「まだ0.25%」とか言っている時点で今回の利上げで打ち止めみたいな阿呆なことを考えていない、というのが伝わるわけでして、普通に今後も利上げしますよってニュアンスがあるわけですねこれ。

『ただ、問題は、急ぎ過ぎてもう 1 回デフレになってしまうというのは、最も避けなければならないリスクですので、その両方を勘案しながらですね、慎重にやっていくべきであろうというふうに考えていて、これはこれまでの金融政策運営のスタンスとも整合的であると思ってますし、今後もそのスタンスというのは変わっていかないだろうと、変えていくべきではないだろうというふうに考えています。』

という説明ですが、まあこれって植田チキン理論と同じですからチキンではあるけれども利上げしないと言っているわけではないし、不確実性ガーというよりはむしろマシ。

でもって後段の質問への回答ですが、まあこれは当然の如く実質無回答になりまして、

『二問目の話ですけども、現状、一時期160円であったドル円レートは、今149円と、一時期 140 円ということで、これは多分アメリカの利下げをきっかけに多少為替の水準が変わってきたなというふうに考えています。』

日銀の事を言わないのは大本営レクが良く浸透しているようですねw

『それに伴って、直近の企業物価指数の中でも輸入物価指数もですね、円建てでみると前年比でマイナスになってきていますので、当面、円安が予想以上に加速することによる物価上昇圧力というのは、今のところはかなり削減されているというふうに考えています。』

そんなことはお前に言われんでもわかっておるわけで質問の答えはどうしたという話ですが、

『今後の為替レートの動きはまだ分からないわけですけども、為替レートから実際の物価、特に財を中心とする伸縮的な消費者物価への波及というのは、ある程度タイムラグがありますので、そのタイムラグを勘案しながら為替の影響は考えていきたいというふうに思っています。』

ということで思いっきり無回答でした。まあそうなる罠と思いましたが、円安の影響で利上げしておいてこの説明もどうなのかとは思いますw


・段階的な利上げ云々に関して

次からの質問は「年内」が無いので評価したいw

『(問)まず一点目、午前中の講演の中で、段階的な利上げの必要性というのを強調されていたかと思いますけれども、これはどの程度の緩慢さをイメージされていらっしゃるのか、どの程度であれば段階的というふうに言えて、逆にどうなれば急ピッチだというふうに考えていらっしゃるのか。その辺のイメージがあればお伺いしたいです。(後半割愛)』

まあ時期は決め打ちしないということになりますけど、政策の波及効果を見極めながらということで説明すると、基本的には最低でも四半期、普通は2四半期という話になると思いますが、

『(答)まず、最初のご質問ですけれども、段階的な利上げというのは、あくまでも大前提は実質金利がマイナスの状況で、緩和的な状況を続けながら、利上げをやっていくという意味です。』

でもって、

『基本的には、今、いわゆる基調的なインフレ率というのが目標とする 2%をまだ下回っていて、ただそれに向かってですね、キャッチアップしている状況ですので、』

基調的なインフレをその屏風から出してもらえませんかねえ

『段階的な利上げのやり方の一つのパターンとしては、基調的なインフレ率の上昇ペースに合わせて実質金利のマイナスを維持しながらやっていくというところです。』

「基調的なインフレ」ってのがそもそもフワフワしていて定義できていないし、数字で出せてもいないのに、あたかも「ザ・基調的なインフレ」があって、その水準から「ザ・実質自然利子率」があって、その差分を取ってから政策金利水準との差を見ながら調整していく、みたいな説明をするのは、まあ大本営のインチキ説明としてはさもありなんという話なんですが、そもそも中立金利水準だってよくわからないし、この「基調的なインフレ」だって別に客観的に担保されているようなものでもないので、この説明の方式自体が良くないのよね。

だから毎度毎度記者会見で「中立金利はいくらですか」っていう不毛な問答が繰り返されるし、何なら市場の何とかストまで中立金利だの基調的なインフレだのの推計に血道を上げたりしておるわけでして、マジでこのインチキ説明は止めてほしいです。

まあそれはともかくとして、安達さんの説明の続き、

『これがもし万が一インフレ圧力が非常に高まるという状況であれば、これはインフレ率の上昇ペースを上回るペースで利上げをしていかないといけないわけで、この状況ではまだ全くないという意味で段階的な利上げというふうに申し上げている、ということです。(後半割愛)』

インフレ圧力が高まる状況の時の利上げでは「基調」ではない「インフレ率」をベースにしてものを考えるっていう説明に読めてしまうのですが、そうすると「基調的なインフレ」と「アクチュアルのインフレ率」に乖離がある中でインフレ率が上振れしたらものすごい勢いでの政策対応が必要になることになるんだが、そこの点をどう考えているのかは知りたいですな。


でまあ別に同じくペースの質問がありました、上記の人の次だったんですけど。

『(問)午前中の金懇で、段階的な利上げの限定的な条件として、実体経済にショックを与えない範囲でということが条件だというふうにご指摘されていたかと思いますが、実体経済にショックを与えない範囲でやるためにはそもそもどのようなかたちで利上げをするのか、経済状況を分析するのか、その条件というのは何になるのでしょうかというのが一問。(後半割愛)』

良い質問ですな。では回答。

『(答)まず、最初のご質問ですけども、ちょっと問いの順序というかを変えまして、実体経済に影響を与える利上げというのはどういうことかということなんですけども、』

そもそも実体経済に影響を与えない利上げとは何ぞやw

『基本的には、やはり設備投資が金利上昇のショックによって大きく減速するとかですね、あと住宅投資自体はちょっと需要の先食いみたいな側面も今ありますけれども、金利の上昇で住宅ローンの金利が上がってそれが悪影響を及ぼすとか、そういうこと諸々ですね。』

うーんなんだかなあ・・・・・・

『どちらかというと実体経済に金利がどういうふうな影響を与えるかっていうのを慎重にみながらですね、進めていくということです。』

まあ利上げの影響を見ながら次に行く、という説明なのはわかったわ。途中が微妙だけど。

『あと、これはやはりその時に出るデータ自体を、その場で慎重に解釈して、政策につなげるということだと思います。』

で??

『先にペースみたいなのがありきで、それに従ってやっていくというよりも、これから先はかなり経済指標を慎重にみながら、特にこれまでは割とやはり物価関連の統計を集中的にみてきたんですけども、私個人の考えとしては、そろそろ実体経済のいろんな指標の推移なんかもみながらやっていく必要があるんじゃないかと。』

物価を集中的に見てて何でこんなに慎重になるの3%超えのCPI何か月続いてたと思ってるんだよ・・・・・・・

『これはアメリカ経済に影響を受ける部分も含めてですけども、そういう側面に入ったんじゃないかというふうな解釈も一つ入っています。(後半割愛)』

まあ慎重ってのは連呼しているけど、結局「利上げをする」ってのは同じなんで、別にハトなのかと言われるとチキンではあるかもしれないけどハトと割り切るにはちょっと違うんじゃないの、と思います。


・後付けで見るとこれは中々チャーミングな質疑

こんなのがありました。

『(問)一点目は 8 月以降ですね、株式市場、為替市場もそうですけれども、大幅に乱高下した。今なおマーケットが不安定だというふうにとらえてらっしゃるのかということが一つ。(後半割愛)』

この回答ですが、まあ安達さんの説明は妥当なんですよ。

『(答)まず、今のマーケットの状況ですけども、8 月は非常に大荒れな展開になりましたけれども、それに比べると現状は落ち着いていますということで、』

ですよね。

『一つは 8 月の為替の大きな変動、これはキャリートレードのクラッシュだったと思いますけども、それがありましたので、投機的な円売りドル買いのポジションは、例えばIMMの先物ポジションとかをみる限りは随分解消されていて、そういう面では非常に大きな為替の円安リスクっていうのは、ある程度は低下しているのかなと思います。』

円安じりじり進んでいるけどな!!!!

『ただ、ここからまたポジションを作るという可能性もありますので、それは注意しています。』

あっそう。

『ただ、株式市場に関しては、まだ、やはり割と例えば日経平均で言うと1,000 円を超す下落とか上昇とかっていうのは、割とまだ頻度が平均的な頻度よりも高いと思いますので、そういう面では上げ下げというか、プラスマイナス両面考えましても、まだちょっと不安定な要因が残っているのかなというふうに思っていますので、そこは注意してみております。(後半割愛)』

とまあ穏当な説明でしたが、昨日ネタにしましたように、信用組合大会での植田総裁のあいさつでは「金融資本市場も、引き続き不安定な状況にあります。」だの「これらの動向を極めて高い緊張感をもって注視し」だの警戒感爆発トーンの説明をしている訳でして、植田総裁の講演原稿を手抜きで前のをそのまま流用したのかというような内容になっていましたが、普通に安達さんが上記の認識なので(これでもチキン成分はあるけど)逆に大本営は何をやってるんだというお話ではありますな。

ということで安達さんの金懇ネタ間飛んじゃいましたが、「半年に1回程度のノロノロ利上げなら全然排除していないし、インフレ堅調ならもっと早まる可能性あるんじゃないの」って説明になっていることが読み取れると思うので、あれを捕まえてハトとかいう人はちょっと目ん玉かっぽじってよく読み直した方が良いのではないか、というのは不肖アタクシの愚考になりますのでその辺のご判断は読者の皆様にお任せであります。

今朝はこの辺で勘弁。





2024/10/21

お題「3M短国入札遂に足切りまで1bp割れ/信用組合大会の総裁挨拶はリスク要因強調にも程がある/多角的レビューのペーパーですな」

こりゃまたえらい情報量の多い記事表題ですな
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241019/k10014613621000.html
金融庁出向の裁判官 インサイダー取引の疑い 関係先を強制調査
2024年10月19日 15時39分

〇3M新発またもレート低下しているんだがこれは発行を戻していかないとアカンでしょ

何か最近短国ウォッチページになっていますがorz

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241018.htm
国庫短期証券(第1264回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1264回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1名称及び記号     国庫短期証券(第1264回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和6年10月21日
4.償還期限   令和7年1月27日
5.価格競争入札について
(1)応募額         10兆5,411億円
(2)募入決定額    3兆3,600億5,000万円
(3)募入最低価格    99円99銭8厘0毛
(募入最高利回り)     (0.0074%)
(4)募入最低価格における案分比率    55.7506%
(5)募入平均価格     99円99銭9厘3毛
(募入平均利回り)     (0.0026%)』

・・・・・これはいかんでしょうというお話で、足切り利回りまで1bp割れとなってしまっていて、需給だから云々で済ませて良い問題じゃないレベルになっていませんか、ってなお話なのですけれども、短い国債市場の未整備ってのはゼロ金利政策じゃなくなった今となっては結構な重大な問題だわといういつものお話はいつものお話過ぎるので以下同文って事にしておきますが、まあとにかく早急に手を打つ(と言って増発するしか当面の手はないけど)のが宜しいんじゃないかと思いますけどね。

金利がプラスになり、かつ昔と違って短期の運用に関して高い流動性資産を入れることが必須みたいになっている世の中では短期の信用リスクフリーの資金運用市場の整備をしないといかんですし、何なら金融安定化という意味でもよろしくないんじゃないですかねと。


〇全国信用組合大会での植田総裁挨拶が相変わらずのハトハトチキン情報発信なんだよなー

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241018a.htm
全国信用組合大会における挨拶
日本銀行総裁 植田 和男
(代読 日本銀行副総裁 内田 眞一)
2024年10月18日

PDFバージョンしか出ていないのでPDFから参ります。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241018a.pdf

現世利益的には経済物価情勢のお話のところになるのでそこを拝読するのですが・・・・・・

・分量の構成が明らかに「リスク要因こわいでちゅーーーー」になっているのですよね

『2.経済・物価情勢』という部分ですが、

『はじめに経済・物価情勢についてです。』

ということで話が始まりますが、最初に景気面の話をして物価面の話をしまして、その後にリスク要因の話があるんですよね。

でもってその各パートなのですが、景気・物価の話、すなわちメインシナリオの話が文字数にして473文字(改行部分を0文字カウントで句読点含む)。景気の話が131文字で物価の話が342文字な訳ですよ。

でもってその次のリスク要因の説明がなんとまあ337文字もありまして、物価のメインシナリオと同じ分量をリスク要因に関して説明している訳でございまして、いやお前ウェイトのかけ方おかしくないか、という感じですが、とにかく「リスク要因の説明がクソ長い」というのが今回の特徴になります。

ということで、そもそも文章構成をみた時点で「リスク強調→政策修正のやる気が全然ない」という情報発信をしたいんですね、という解釈にならざるを得ない訳ですよこの挨拶。

これで来週の展望レポートでいきなり豹変してきたらお前馬鹿にしてるのか、ってな話ですし、そもそもこの文章構成をなんも考えないで作っているなら情報発信のあり方が何ぼ何でもおかしいとしか申し上げようがないんですし政策修正する気がないんだったらもっと堂々と「政策修正する気はありません」と言ってくれれば話はすっきりしますし、何なら長期債から短期に一時避難している資金も長期に戻るんじゃないですかねえ位のお話でして、とにかく日銀の情報発信が中途半端に両建てしているのは大変によろしくないと思います。


・経済物価見通しのメインシナリオはいつも通りの話ですが

文字数確認のために引用しておきますね。まずは経済状況。

『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。先行きは、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けるとみています。』

『物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、賃金上昇などを受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、足もとは2%台半ばとなっています。先行きは、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、来年度にかけては、政府による施策の反動などが前年比を押し上げる方向に作用すると考えられます。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと想定しており、「展望レポート」の見通し期間後半には2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとみています。』

ということでこちらが131文字+342文字な訳ですよ。思いっきりいつも通りなんですな。


・リスク要因の説明が長いのもさることながら「米国の先行きが不安定」ってどういう認識なんですか

でもって問題はリスク認識のところで、文字数は先ほど申し上げたように337文字もある力作??になっておりまして、まあこちらは途中ぶつ切りしながら引用しますね。

『リスク要因としては、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高いと考えています。』

だそうですが、

『そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要があります。』

『特に、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があると考えています。』

円安修正止まったんですけれども再度注意するんですか、というのがあるもののこの次が酷くて、

『米国をはじめとする海外経済の先行きは引き続き不透明であり、金融資本市場も、引き続き不安定な状況にあります。』

米国って何だよそれという話でして、直近は米国経済の予想以上の堅調さというのがテーマだし、金融資本市場に関してだってSP500指数とか高値更新とかそういう威勢の良い話をしていますし、何なら日本株だってしっかり戻っているのですけれども、何がどういう認識だと「米国経済の先行きは不透明」となるのかという話で、将来のことが予想できないのが全部不透明だったら未来永劫不透明だろいい加減にしろという話だし、戻り高値(というかアメリカの場合は高値更新か)付けに行ってる株式市場が不安定な状況というのなら未来永劫不安定だろという話で、この「先行き不透明」と「金融資本市場が不安定」ってのを使い続けるのはコミュニケーションやる気あるのかと小一時間問い詰めたい。

まあこれが中国とか欧州とか書くならまだしもだが、「米国をはじめとする」とかいうのはお前ら7月末からタイムスリップでもしてきたのかという話でして、こういうのをアップデートしないでそのまま出してリスク認識って言ってしまうのはひどくないですかと思いますが、まあ政策修正したくないでしゅハトハトチキンでちゅーーーーバブバブって言ってるんだったら話は分かる(賛同しないが)。

なもんで、

『当面は、これらの動向を極めて高い緊張感をもって注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を、しっかりと見極めていく考えです。』

高い緊張感をもってって8月頭ならともかく今言う言葉じゃないだろ馬鹿にしてるのか、という所でリスク要因の説明が締まるのでした、ドイヒー。


なお、このコーナーの最後は、

『今後とも、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく方針です。』

とのことだが、全然経済物価に応じてないだろというお話でして、とにかく政策反応関数が全然定まっていないお前が何を言うという感じですな。



〇また多角的レビュー絡みの物件が出てきたのだが「均衡イールドカーブ」ってお蔵入りしたんじゃなかったの??

紹介ページ
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j16.htm
わが国における均衡イールドカーブの推計:時系列手法によるアプローチ

は????ということで紹介ページに要旨ってのがあるので読んでみますと、

『要旨

本稿では、わが国の名目・実質の均衡イールドカーブを同時推計する手法を提示する。』

お前らYCC末期に物価が上がっていく中で「均衡イールドカーブの考え方からしたら今の政策はやり過ぎなんじゃないか」と何度言われても均衡イールドカーブは出そうとしないし、政策の修正もクソ粘りしてたくせにYCC解除してから出すんじゃねえよこのバカチンがというお話なのですが、

『具体的には、名目・実質のイールドカーブに加えて、マクロ経済変数(需給ギャップ、インフレ率)を観測変数として用いつつ、代表的なイールドカーブ・モデルであるネルソン=シーゲル・モデル (Nelson and Siegel, 1987) と、VAR with common trends(Del Negro et al., 2017) を組み合わせた推計を行った。』

均衡イールドカーブというのは考え方の概念としては存在するけど、実際には計測誤差が大きいし、結局のところ後付けじゃないとわからない話だしということで、考え方として存在するけどそれを使って政策運営をするもんじゃないです、ああそれからYCC入れたときに説明したのはあくまでもその場しのぎのマジックですよ、って話はどこに逝ったのと思います。

というかですね、今このタイミングで「均衡イールドカーブが計算できます!!!」って出すんだったら、もっと簡単な話である「短期政策金利の均衡金利」とか出すのなんて朝飯前じゃないですかヤダーというお話に発展するわけでして、何でお前らそういう間の悪いタイミングでこういうのを出してくるのかねと思ってしまいました。

『本稿の推計結果からは、1990 年代以降、名目・実質の均衡イールドカーブは、自然利子率の低下を主因に趨勢的に低下しているほか、両者ともタームプレミアムの趨勢的な低下によりフラット化していることが示唆された。また、これらの度合いは、名目と実質の均衡イールドカーブで異なることも示唆された。ただし、均衡イールドカーブの推計はなお発展途上であり、本稿の結果についても十分に幅を持ってみる必要がある。』

ということなんですが本編はこちらになります。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j16.pdf
多角的レビューシリーズ
わが国における均衡イールドカーブの推計:時系列手法によるアプローチ

まあご案内の通り(というか金曜に出てきたの3本ともこのシリーズですが)の「このロゴが付いている物件は黒田緩和政策は正しかったという結論先にありきの忖度炸裂ペーパーです」という親切なラベルがついている物件でありますな、ナムナム。

でまあ計算式を読んでもアタクシの知能では謎の暗号にしか見えませんのでその辺は割愛しますが、目を泳がせていてクソワロタのは上記PDFの本文13ページ(PDFの14枚目)になりまして、

『図 3: 均衡イールドカーブ』ってのがあるんですが、一番わかりやすいのがその中にある右下の『(d) 年限別・名目』って奴です。

これ見ますと、グラフの赤い線、すなわち「名目自然利子率」の推移が出ているのですが、直近2023年の名目自然利子率の数値がマイナス圏にありまして、これはすなわち昨年植田総裁になってからハトハトチキンでマイナス金利解除を1年引っ張った、というのが実は妥当なのですよ!!という忖度が炸裂していまして、ああ忖度のためにパラメーター調整しやがったなと邪推するくらいには「多角的レビュー」の流れに関して汚れた心でみておりますもんで、ついそういう邪推をしたくなるのですが、あまりにもお見事な推計結果にクソ笑ってしまうしかありません。

しかしまあ何ですな、この自然利子率の話のところって本稿の最後の部分になるのですが、本文14ページ(PDFの15枚目)で思いっきり記述がありまして、

『図 4 では、自然利子率および長期年限の実質均衡金利について先行研究との比較を行っている。』

っていうのをぶっこんでおりまして、いや真面目な話足元で「中立金利はいくらですか数字出せないですか」の件でコミュニケーションがぐだぐだになっている時に出すなよこんなのと思うのですが、

『まず、自然利子率については、概ね様々な先行研究の推計値の範囲内に収まっていることが分かる。潜在成長率との関係を明示的に考慮した準構造型のモデル対比では、やや低めに出ているが、これは潜在成長率が実質金利のトレンド対比で高めに推移していることの影響が一因だと考えられる。Davis et al. (2019) では、幾つかの先進国において、イールドカーブに基づく自然利子率の推計値は、準構造型モデルによる推計値対比で低めに出ることが指摘されており、彼らは、こうした現象を “natural rate puzzle”と呼んでいるが、わが国においても “natural rate puzzle”が存在する可能性がある。長期年限の実質均衡金利についても、他の研究と概ね整合的な値が得られている。』

ということで『図 4: 先行研究との比較』ってのがあって、これはまた中立金利はいくらなんですかという話で記者会見とかが不毛な話になるなあと思うのでした。


〇多角的レビューシリーズのこの話題まだやるのかよ・・・・・(ノルムとかメニューコストとか)

3丁あるうちの2丁を本日はネタメモということで。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j18.htm
わが国企業の価格設定行動とゼロインフレ・ノルム

これがまたうへーというやつでして、

『要旨

過去四半世紀、わが国では企業の価格据え置き行動が拡がった。これは、わが国で「物価・賃金が上がりにくいこと」を前提とした人々の考え方や規範(ゼロインフレ・ノルム)が定着した傍証とされ、この間、わが国でインフレ率が上がりづらかった要因の一つとして解釈されてきた。』

そもそも論として多角的レビューにおいてこの話をしているのが問題おおありでして、この「ノルム」ってのを持ち出すことによって金融政策が中々きかなかった、という言い訳に使っているのですが、そもそも効く訳もない政策をぶっこんでおいて後からノルムのせいで効きませんでした、ということにしているだけに過ぎないわけでして、この点については多角的レビュー第2回ワークショップで柳川先生と吉川先生が指摘しているんですよね、ということでそこを引用しますね。

https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240627a.pdf

こちらの本文19ページ、PDF20枚目のところに『(ノルムの位置づけ)』というのがありまして、引用しますが、

『柳川は、ノルムという概念を使って金融政策を議論すると、本質的に重要な要素を捉え損ねるおそれはないのか――仮に均衡が複数あるとしても、それをどう動かすかを考える際に、ノルムという言葉を使うことでみえなくなる部分もあるのではないか――と指摘した。そのうえで、ノルムを政策議論の文脈においてどのように位置付けているのか、パネリストに見解を問うた。』

『吉川は、QQE は、わが国経済の低迷の原因はデフレであり、デフレは貨幣的な現象であるから、マネーを増やせば問題は解決する、という主張に基づくものであったと振り返った。今回の多角的レビューにおいて、この点の是非について議論せずに、物価上昇率が2%まで上がらなかった原因として、金融政策以外の要因であるノルムについて議論している点に、議論の内容自体に違和感はないものの、日本銀行の対外的なコミュニケーションとして大きな違和感があると述べた。』

・・・・・とまあそういう訳で、まあこの「ノルム」ってのはかなり胡散臭い話ではありますし、要旨の方に戻りますけれども、

『本稿では、Furukawa et al.(2024)などの先行研究で指摘されている過去四半世紀のわが国ミクロ価格データにおける観測事実を整理したうえで、価格設定モデルを用いて、こうした価格据え置き行動が拡がった背景について分析した。分析の結果、1990年代後半からみられた価格据え置き割合の上昇には、既存研究が指摘するような、インフレ率の趨勢的な低下だけではなく、低インフレ下での需要曲線の屈折度合いの強まりや価格改定コストの上昇といった要因も相応に作用してきた可能性が示唆された。また、これらの要因に起因する価格改定閾値の上昇は、この四半世紀、インフレ率上昇の抑制にも作用したとみられ、とりわけ、量的・質的金融緩和(QQE)の導入以降、物価安定目標の達成を難しくしてきた要因の一つであった可能性も示された。ただし、近年、これらの要因はインフレ率が上昇するにつれて、徐々に解消してきているとみられる。』

とあって、この引用部分の真ん中の辺りにあるんだが、またこの「メニューコスト」の話をしていまして、これが以前もこのネタでアタクシも話題にしましたが、標準的な経済学で言う「メニューコスト」と別の話をしている、というお話(引用すると長くなるから割愛しますが本編の方では思いっきり「メニューコスト」の術語を使っている)でして、まあこの件に関しては「キャッチーな言葉を使って本質的な問題から目くらましをする」という香りが非常に強い物件に仕上がっていますので、読む必要があるのかというと、ツッコミの練習に読むということでしょうなあと思います。コマッタモンダ。

本編はこちらです。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j18.pdf









2024/10/18

お題「ECBレビュー(ポンチ絵鑑賞)/短国メモ(今日は3M)/安達委員金懇で米国経済下振れリスクのアップデートが全然なかったというメモ」

ちょwwwwwww
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024101700714&g=pol
石破内閣支持28%、発足時最低 比例投票先、自民26%・立民10%―時事世論調査
時事通信 編集局

まあ最初にもっとバンバン抜刀すればよかったのに、って感じですけれども、そうは言っても受け皿が受け皿なだけに初期局面を持ちこたえてしまえばと
いう気もせんでもないし。


それはそうと
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate
USDJPY=X
直近の取引 150.2JPY
変化 0.57
変化 +0.38%
2024年10月18日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています

円安というよりはドル高なんでしょうけれども150円行っちゃいましたねえ・・・・・・・・・


〇ECBの利下げは「物価も下がったし景気対応ですわ」と分かりやすいのですかね(取り急ぎポンチ絵鑑賞)

取り急ぎポンチ絵を

今回
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_october.en.html
Our monetary policy statement at a glance - October 2024

前回
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_september.en.html
Our monetary policy statement at a glance - September 2024

ECBのサイトなんですけど、この手のページを見るときにトップの場所にあった階層表示(例えば日銀のサイトであれば、『ホーム>日本銀行について>講演・記者会見・談話>講演・挨拶等 2024年>【挨拶】安達審議委員「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(香川)』ってやつ)が無くなったのと、トップページのサムネから個別の内容に飛ぶときになぜか「別窓で開ける」ができなくなっていて(その下にある「more」からなら行ける)、やたらめったら使い勝手が悪くなった、などと極東で日本語で書いてもECBには届かないのですが、日銀様におかれましてはこのようなクソのようなサイトデザイン変更をしないようにお願いしたいので書いてみました。

ということでポンチ絵ちゃん(上記の理由で階層で前のを見に行きにくくなったのでしゃーないからオクトーバーのところを手打ちでセプテンバーに直して前回のを出しましたwww)ですが、まあ差分はわかりやすくて・・・・・・・


・利下げしましたの理由は明快に説明

『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points』(今回)
『We cut our key interest rate by 0.25 percentage points』(前回9月)

ここ単数と複数になっている違いは、前回利下げの際にコリドアの幅を縮めたので25下がっているのが政策金利である預金ファシリティ金利だけだった(MROプラマイ25だったのがMROと預金ファシリティ金利の方のコリドアだけ15になって、メインの政策金利扱いになっている預金ファシリティを25下げてるんですが、MROと限界貸出金利は35下がっている)のですが、今回は3金利ともスライドで下げているからですね。

『We can do this because inflation is coming down faster than expected towards our 2% target and also the economy is weaker. Our future decisions will depend on how we see the economy and inflation shaping up.』(今回)

『We did this because inflation is gradually coming down and has been developing as we expected. Our future decisions will depend on how we see the economy and inflation developing.』(前回9月)

ということで、利下げの理由は物価が予想以上に減速してきたことと、経済が予想以上に弱まっていること、ということでして、これはもう日銀(安達審議委員も含め)が今言ってる「物価目標達成した後になってバンバン利上げをすると後で景気を腰折れさせてしまうリスクがある」の典型でありますので、これすなわち政策調整は事前にやれる分はやっておかないとアカンというのを絵に描いている訳ですな、知らんけど。

でもってちょっと芸が細かいのはこのポンチ絵、前回だと階段降りたら平坦って感じでしたが、今回は階段2回降りたあとの平坦部分が短くなっていて、ほぼ画面の端だけになっているので、絵面としては「まだ階段の段はありまっせ」というのを示唆していますって感じですかね、


・経済が想定よりも悪いキタコレ

まあ最初ので出オチなんですけど以下経済と物価の説明になりまして、

『The economy is doing worse than expected』(今回)
『The economy has been weaker than we expected…』(前回9月)

絵面は前回も暗かったのですけれども、サムネのお題には「経済は想定より弱いです…」と最後に3点リーダーをつけることによって何らかの未練が感じられる表示になっていましたが、今回は未練なく「アカンですバイ」となりました、南無三。

『Manufacturing and exports are weak. Firms are not investing much. But services have been doing a bit better, thanks to a good summer tourism season.』(今回)

『Industry and construction are not doing well. People are spending less and companies are cutting their investments.』(前回9月)

説明文には少しだけ未練があって、サービスが少しマシ、ってのがポンチ絵の中にあるスマートフォンのお天気概況みたいな画面に示されているのがワロタです。

なお、前回9月はさっきの3点リーダーの続きが次のポンチ絵になっていまして、

『…but it should gradually recover』(前回9月)

ってなっているんですな。

『Services, especially, are keeping the economy going at the moment. Rising wages and lower inflation mean that in future people will be able to buy more. Together with lower interest rates, this will help the economy.』

まあでも経済は予想より弱かった、ってんですけど金融政策のタイムラグ考えたら1か月で効果が出て(゚д゚)ウマーとはならんじゃろ(なったら逆におかしい)という話でもありますが、この辺さすがにここしばらくさぼっていたけれども、(いまさらジローで前回と)今回の説明をもうちょっと詳しく見る必要はあるな、とは思いました。土日に見ている時間があるのか謎ですがw


・消費が弱くて貯蓄の積み上げが行われているとな

でもって今回のポンチ絵では一瞬何の絵か分からんのがあって、

『People are saving more of their money instead of spending it

Even though many people have more money to spend, they are preferring to put it aside, even more so than before the pandemic.』(今回)

最初なんじゃこれと思ったのですが、銀行に預金に行こうとして並んでる人たちですねw


・インフレは2%を割り込みましたが戻るでしょうと

次が物価ですが、

『Inflation is the lowest it has been in years』(今回)
『Overall, inflation is on its way down』(前回9月)

『Energy prices, especially, have come down a lot. Inflation will likely go up in the coming months but is expected to return to our 2% target in 2025.』(今回)

『Services prices are still increasing strongly because of rising wages. Inflation may also go up in the coming months because of energy prices. But it is on track to come down to 2% in the second half of next year.』(前回9月)

なんせ直近で7月2.6→8月2.2→9月1.7とかいうお洒落な推移をしていますので、まあこれはこれで分かりやすい状況ではありますが、今後戻るでしょう、というポンチ絵になっていまして、前回の何かノンビリした絵とは違いますがこれは現実の数値がそうだからシャーナイ。


・雇用に関しては明るいですな&ローン需要に関する説明のお題がおかしくねえかこれ

9月はプロジェクション会合なのでこの後は4半期定例のプロジェクションに関する数値とグラフでの説明でポンチ絵無しなので以下は今回のだけになりますが、

『Many people are in jobs

Unemployment remains the lowest it has been since the start of the euro. But firms are posting fewer job adverts. Wages are still growing quite strongly.』(今回)

まあこれは良いんですけど。

『Firms are demanding more loans

People are also feeling more encouraged to apply for mortgages because of lower interest rates and better prospects for the housing market.』(今回)

これ本文とお題があっていないようにしか見えないし、今回の声明文の第1パラグラフでは、

https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2024/html/ecb.mp241017~aa366eaf20.en.html

『The Governing Council today decided to lower the three key ECB interest rates by 25 basis points. In particular, the decision to lower the deposit facility rate - the rate through which the Governing Council steers the monetary policy stance - is based on its updated assessment of the inflation outlook, the dynamics of underlying inflation and the strength of monetary policy transmission.』

『 The incoming information on inflation shows that the disinflationary process is well on track. The inflation outlook is also affected by recent downside surprises in indicators of economic activity.』

と今回の決定事項の背景を簡単に述べてあって(それが上記のポンチ絵という形になるのですけど)、その最後のところが、

『Meanwhile, financing conditions remain restrictive.』

ということで、借入環境は引き締め的ってあるので、『Firms are demanding more loans』の小見出しとも『People are also feeling more encouraged to apply for mortgages because of lower interest rates and better prospects for the housing market.』とも「引き締め的」がイマイチ整合していないように見えます、というかポンチ絵の方が現状判断に整合していないってことですけど、うーんここは言いたいことはわからんでもないのだがちょっと疑問でした。

ということなので、さすがにちょっと今回の背景説明をもう少し読んでみたいとは思います(読むとは言っていないwww)。


〇1年短国とか3M短国とか

昨日は1年短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241017.htm
国庫短期証券(第1263回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1263回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号       国庫短期証券(第1263回)
2.発行根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項

3.発行日      令和6年10月21日
4.償還期限    令和7年10月20日

5.価格競争入札について
(1)応募額          7兆6,200億円
(2)募入決定額      2兆5,104億9,000万円
(3)募入最低価格     99円70銭3厘
(募入最高利回り)     (0.2987%)
(4)募入最低価格における案分比率   57.2072%
(5)募入平均価格     99円71銭3厘
(募入平均利回り)     (0.2886%)』

おー足切りが0.30%に近いのか―とか思いながら見たのですが、本来は3Mがこの辺の位置にいないと話がおかしいだろという所でして、当預付利から考えたら1回の利上げで即死確定になるのですが、なんせ短国3Mがあの惨状なので、そこから見ると金利があるように見えてしまうという訳わからん状態。

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/17引値)
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.285

(10/16引値)
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.295

結局のところ平均落札水準で引けていましてまあそうですかそうですかってなもんですが、これ1個手前ともう一個手前の前月および前々月発行1年短国を見ますと、

(10/17引値)
国庫短期証券1251 2025/08/20 平均値単利 0.170
国庫短期証券1257 2025/09/22 平均値単利 0.235
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.285

というどんなイールドカーブになっているんだよという数値になっていますが、まあ要するに発行して時間が経過すると需給がドンドンタイトになっていくということなので、なんかすさまじいロールダウンが発生しているように見えるのがオソロシス(引値通りに売買できるのかというと特にロット物になったらそれはたぶん空論なので引値で勝っても実際には勝てない説濃厚)ではありますのと、もともとこの銘柄って入札時点において約定ベースで償還まで1年を超過しているので(今日も超過していますが)1年で切って手前だけ短国扱い、って人だとちとめんどい銘柄でもありますからその点も加味しないといけませんけどぬー。

・・・・・でもって本日もまた3Mの入札がありますけど。

(10/17引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20  平均値単利 0.000
国庫短期証券1264 2025/01/27  平均値単利 0.009

(10/16引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20  平均値単利 0.000
国庫短期証券1264 2025/01/27  平均値単利 0.005

1262は先週入札のあった「期末を抜けて2回目の入札なのに発行減額が効いたのか前回よりも発行金利が低下した」という地獄銘柄なのですが、地獄銘柄は地獄なだけに0利回りのままになっていますが、ここもとしばらくの間「入札前日にWIの引けを前日比強くして入札前に絶望感が満載になる」というプレイではなく何か引値あまくなっているゾ、とか一瞬オラワクワクしそうになるのですけれども、冷静に考えたらこの世の物とは思えない金利水準であることには全然変わりがない、という甚だ遺憾なことに気が付くわけですが、なんか9月の終わり辺りからの3M短国金利の惨状にだんだんパンチドランカーになってきている気がしますな、いかんいかん。

まあアレですよ。短期の国債市場におけるビルの発行流通量が法域によって違うのに、流動性規制だのその手の規制強化によってビルのニーズを世界一律に高めてしまった(その規制自体には賛否ある話けど意味ないとは思わない)とか、そういうのも金利が浮上してきて顕在化してきたのかなあとか別に深い考察をしている訳ではないのですが何となくそんなことを思ったり思わなかったりしますが、とにもかくにも市場のニーズに対してビルが圧倒的に不足しているので政府預金が増えるのは受忍して短国発行を何とかならんのかとは思いますです、はい。


〇安達審議委員会見と思ったら時間が無いのだが金懇ネタでもう一つあったのでメモメモ

昨日書き忘れていたんですが
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241016a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
香川県金融経済懇談会における挨拶要旨

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241016a1.pdf

この『2.経済・物価情勢』の『(1)経済情勢』と関連図表なんですけれども、9月20日の金融政策決定会合の時に植田総裁が散々っぱら言って、その後に出た「主な意見」のほうでも盛大にでていた「米国経済下振れリスク」に関するアップデートどころかそもそも言及がない、というのが中々お洒落というかナンジャソラな訳で、君たち9月会合は何だったのか、と小一時間問い詰めたい訳ですが、これは一体全体どうなっているんでしょう・・・・・・・・・

というのだけ追記いたしまして今朝はこの辺で勘弁。



2024/10/17

お題「SLF緩和のメモ/安達審議委員金懇挨拶は全然ハトじゃないとしかワイには読めませんけど・・・・・・・」

どうでもよいのですが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-15/SLEMGTT1UM0W00
米株市場で半導体銘柄下落、ASML決算に反応−エヌビディアも安い
Jeran Wittenstein
2024年10月16日 1:04 JST 訂正済み 2024年10月16日 8:47 JST

ASMLという文字列を思いっきりASMRと空目してしまうのはアタクシだけですかそうですかw

〇チーペスト問題(メモ)

まあ順当である
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr241016a.pdf
チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置の継続について

『日本銀行では、国債補完供給について、レポ市場における国債需給が過度に引き締まることを抑制し、市場の安定を確保する観点から、2022 年 6 月より、チーペスト銘柄等1にかかる国債補完供給の要件緩和措置を実施しており、債券先物の限月交代の都度、対象銘柄を入れ替えつつ、当該措置を継続しています。』

『本年 12 月半ば以降、日本銀行の保有比率が極めて高い銘柄がチーペスト銘柄になることも踏まえ、日本銀行では当面、これまでと同様、以下のチーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置を継続する方針です。』

『―― 直近のリリースについては、「チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置について」(2024 年 8 月 30 日)をご覧ください。』

そらそうよとしか言いようが無いし、もう銘柄決め打ちで売りオペでもやってくれという所ですけれども、減額措置があるとはいえ、流通玉が少ない→割高化しやすい→流動性供給入札でも対象になりにくい(今週の流動性供給で珍しくも次限月CTDが2000億円追加発行されましたが)→流通玉が少ない、ってなもんでして、YCCとかQQEとか言ってアホのようにこの世のものとは思えないキチガイ買入を実施した結果、まともな金融政策を運営しようとしたらこういう所でも異例措置の継続をしないと行けなくなっている、というお話でして、異次元緩和というのは「出口政策でちゃんと出れること」もセットで考えないと行けないというのを痛感しますな。

ということですので、そもそも今やっている「多角的レビュー」とやらですが、主に異次元緩和政策の正当化という結論から逆算したようなペーパーばっかり出てきて茶番にも程があるのですが、「政策の効果と副作用に関して」という文脈で考えた場合、これから顕在化が進む「出口政策でエライことが起こる」という副作用の検証をなんもしないで、やれ雇用改善に効果があっただのインフレ期待に効果があっただのとか言ってるのは単なる茶番のみならず、副作用の評価をきちんとしていないという意味でもはや悪の所業なんじゃないでしょうかって言いたくなりますわな。多角的レビューで政策評価した挙句、将来また「出口になってからあちこちに弊害が起きる政策」をぶっこまれたら将来に向けての愚挙としか申し上げようがないので、多角的レビューは今すぐ凍結して、少なくとも物価目標を達成して金融政策スタンスが中立と言える時期になってから、出口で起きた出来事も踏まえて行われるべきなんじゃないか、と思うのですが植田総裁どう思いますかねえ、と聞こえもしないのに敢えて聞いてみたくなりますよね(記者会見で誰か聞いてくださいマジでお願いしたいわ)。

とまあそんな話はさておきまして、昨日は安達審議委員の金懇が高松であったのですが・・・・・・・


〇安達審議委員金懇挨拶:大本営の代弁であると考えて読めば味わいもあるわけですが全然ハトじゃないですよこれ

HTMLはまだ掲載されていませんので
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241016a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
香川県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2024年10月16日


PDFバージョンから引用しますけど
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241016a1.pdf


・いやーなんちゅうかこれ総裁が言い出すと運が悪いと燃える可能性があるんですが・・・・・

『2.経済・物価情勢』の『(1)経済情勢』ですけれども、安達さん基本的に大本営代読みたいな話しかしないので、基本的にゆうとることは大本営のレク通りって感じなんでしょうけれども、その途中部分で消費の話をしているんですけどね、

『家計部門についてですが、個人消費は今一つさえない状況が続いているとの声が聞かれています(図表1)。もっとも、その多くの部分は、様々なアクシデントにより、自動車生産が滞っていたことによる耐久財消費の不振によって、ある程度は説明が可能だと考えています。』

とのことですが、

『これを一時的な要因として控除すれば、私としては、個人消費は概ね想定されるトレンドに沿って推移していると判断しています。』

なお今回の金懇挨拶での説明、「オントラック」の連呼になっているのはまあ気に留めておく必要はあろうかと存じます。

『確かに物価上昇によって、財の中でも食料品や日用品等を中心とする非耐久財では節約志向が強まり、非耐久財消費は減速傾向にあるようです。例えば、スーパーマーケット等では、低価格のPB商品へ需要がシフトしているとの話も聞かれます。しかし、その一方で、サービス消費は堅調に推移しており、外食産業の業績が好調との声も聞かれます。』

でもって問題はこの次なんですけど、

『大変興味深いのは、実質賃金の減少が続き、所得環境が厳しい中において、家計は「選択的支出」を削減するのではなく、「基礎的支出」の部分について様々なやりくりを行って削減している点です。』

『これは、各家計はそれぞれの事情に応じて抑えるところは支出を抑え、使うところは支出をするといったより「メリハリ」をつけた消費スタンスに移行しつつあることを意味しています。』

えーっとこの部分、図表見てもいまいちよくわからなくて、個別の家計単位でこのようなことが起きているんだったらまあそうですねって感じなんですけど、マクロ的にアグリゲートした結果がこうなのであれば、それって単純に「日常物価の上昇と資産価格の上昇によって格差拡大が発生した結果、それをマクロ的に合算し場合に基礎的支出の削減(家計の苦しくなった人)と選択的支出の上昇(格差の上級方面の人)になっているだけ」の可能性があるんでネーノと思うのだが、アタクシも別に経済分析の専門家じゃないからこの辺の真実がどこにあるのかは正直知らんので、確かに上記の安達さんの説明が真実なのかもしれませんけど、それにしてもここはもうちょっと丁寧に説明しないとうっかり総裁が講演や会見でこの調子で言い出すと炎上案件になりかねないので、こういう説明はもうちょっと丁寧に行っていただきたいのですよね。政策の説明とか余計な方では丁寧な癖にこういう辺りが雑なのが日銀クオリティ。

なおこの項の先の部分は、

『また、企業側も家計の消費スタンスの変化に対応するために、自社の製品やサービスの販売戦略を多様化させることで、販売価格帯に広がりが出ているように感じます。』

まあこれ自体は言い方は綺麗なんですけど、これもまた格差拡大によって貧乏人相手の商売と上級国民やインバウンド様への商売の分化が進んでいる、という話ですよねつまり日銀は格差拡大を認識しているんですよねって言われそうなので、あんまりこういう話を前面に出さない方が説明としては良いんじゃないのと思うんですけどねえ。

『つまり、日本経済は物価高によって低迷している点もあるとは思いますが、一方で、こうした状況下において、家計や企業が日常活動の中で創意工夫を生かす余地が生まれつつあるという点では、むしろ、経済の正常化の方向へ向かっていると捉えることも可能ではないかと思われます。』

という結論になっていまして、まあインフレ的経済のメリットを述べておりまして、良い傾向ですよというお話をしているのですが、家計消費の話を絡めてこの説明をするのは先ほども申し上げましたように政治的な可燃性が極めて高いようにアタクシには思えますので、こういうのは企業部門における販売戦略の多様化の文脈をメインに出して説明した方が安全なんじゃないですか、って思いました。

まあ例の「家計の物価上昇許容度」というもとはと言えば渡辺努先生が言い出したのを日銀がパクってたら盛大に炎上してしまい、元ネタのつとむちゃんはと言えば「そんな意味で言ったわけではない」とか日銀の梯子を盛大に外した、という2年前の事案がありましたが、それを思い出すのはアタクシだけでしょうかということで。


・こちらは日銀毎度おなじみの歴史改変説明を検証するコーナーとなります

でまあ続きまして物価の部分ですけれども、『(2)物価情勢』に参りまして、『(わが国の物価を巡る状況)』というのを見てみましょう。

禿げ上がるほどクソワロタのですが、このほぼ最初の部分で安達さん、

『まず始めに、私の物価に関する見方について述べさせていただきたいと思います。私は、従来から消費者物価をみる際には、サービス価格を中心とする、価格の改定頻度が比較的低い項目で構成した「粘着的な消費者物価」と、財価格を中心とする、価格の改定頻度が比較的高い項目で構成した「伸縮的な消費者物価」の二つに分けて、物価動向を考えています1。』

さて、ここで安達審議委員の過去の講演一覧を見てみましょう(ってここでワイの過去ログ整理のおさぼり(ひっそりと遡及して整理しだしていますので乞うご期待)の弊害が炸裂するんですが、滝汗)。

安達審議委員講演一覧
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_speaker/bm_adachi/index.htm

過去の金懇挨拶をポチポチと確認してその間の物価に関する記述部分をみていただきますとわかるんですけど、就任直後の2020/11はパンデミック真っ最中だったのでまあパンデミックに関する問題の話になっているのでここはまあ参考記録でシャーナシではあるのですが、その後の金懇挨拶に起きましても、基本的に

(安達審議委員2022年6月札幌金懇)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2022/ko220602a.htm

『次に物価情勢についてお話しします。5月20日に公表された4月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品)は、前年比+2.1%まで上昇しました。一見すると、日本銀行が掲げる2%の「物価安定の目標」に近づいたように見えますが、このうち+1.0%台半ば程度は原油等のエネルギー価格の上昇が寄与しており、このような変動の大きい要因や携帯電話通信料の引き下げの影響を除いた、いわゆる基調としての、あるいは、「実力ベース」のインフレ率は、前年比で+1.0%程度にとどまっています(図表8)。即ち、2%の「物価安定の目標」の達成は、現時点では依然として道半ばと言えます。』

『先行きの消費者物価は、メインシナリオ、すなわち先ほど申し上げたリスク要因の大部分が顕在化しない前提では、経済の回復ペースと歩調を合わせて、生鮮食品やエネルギーを除いてみれば、上昇率を徐々に高めていくとみています。もっとも、4月28日に公表した日本銀行の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」における政策委員見通しの中央値で示されているとおり、2024年度の物価見通しは前年比+1.1%と、引き続き、2%の「物価安定の目標」の達成は難しいという見通しになっています。こうした中、4月の金融政策決定会合では、2%の「物価安定の目標」の達成に向けて、緩和的な金融政策を粘り強く続けるということを改めて確認したところでございます。』

『次に先行きの物価情勢を巡る論点についてお話ししたいと思います。

コロナ禍における日本の物価の先行きに関しては、これまで、慎重な見方、すなわち、コロナ禍はマクロ的な需給ギャップのマイナス幅を拡大させ、これによりデフレ圧力が強まるリスクが高いという見方が多かったように思います。私自身も、2年前に就任した当初は、そのように考えていました。しかし、昨年来、以下の要因から、むしろ物価の上昇圧力が高まる可能性が高いと考えるようになりました。以下、私が過去の講演で申し上げたことと一部重なりますが、改めて私が物価の上昇圧力が高まる可能性が高いと考えた要因を2点ご説明したいと思います。』(ここまでの部分直上URL先2022年6月2日安達審議委員札幌金懇挨拶より)

ってあって、この先の2点の説明まで引用しているとクッソ長くなるので割愛しますが、ゆうとる2点は「企業の価格設定行動」と「企業による成長期待」でしたし、最初の物価のところでも「コアコア物価」に関する切り分けはありますが、「粘着的な消費者物価」と「伸縮的な消費者物価」という話は一切出ていないんですな。


じゃあ何で安達さんが「従来から」とか言ってるのかという話ですが、この次の金懇であらされるところの2022年10月の金懇挨拶で急にこの話がおっぱじまった訳です。

(安達審議委員2022年10月富山金懇)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2022/ko221019a.htm

この中の物価情勢の話の先行き見通しのところにおもむろに登場してくるのですが、就任直後から言ってるとか、せめて物価が上がりだした時期から言ってるならともかく、その後になって言い出している時点で何が従来からじゃ、というお話なのですが、これにはちゃんとオチがありまして、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2022/ko220606a.htm
【講演】
金融政策の考え方
きさらぎ会における講演--「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて」--
日本銀行総裁 黒田 東彦
2022年6月6日

ここの『3.2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて』の『(1)コロナ禍における物価変動:日米欧の違い』の中に、

『これに対し、日本の消費者物価は、上昇したとはいえ、足もとでも2%程度にとどまっており、欧米と比べると低い伸びとなっています。しかし、このことは、同時に、物価の上がりにくさという、日本の長年の課題を改めて浮き彫りにした面もあります。すなわち、財価格は、程度の差はあれ、欧米と同様、需給ギャップに連れて循環的な変動を示しています。一方で、サービス価格は、欧米と異なり、極めて硬直的な状態が続いており、コロナ禍でも殆ど上昇していません。』

『わが国で、毎年2%程度の物価上昇が実現する状態は、サービス価格の押し上げ寄与が常に2%程度あり、その前後の変化率で、財価格が循環的に変動するという姿になろうかと思います。この点、日米で消費者物価の品目別価格変動分布を比べてみますと、コロナ前の米国では、サービスを中心に、2%前後で品目間の上昇率にある程度ばらつきがみられます(図表5)。他方、日本では、価格変化率がゼロ%となっている品目が圧倒的に多くなっており、この点はコロナ禍でも大きな変化はありません。』(この部分上記URL先の2022年6月6日の黒田日銀総裁(当時)のきさらぎ会における講演より)

ってことでして、まあそういうことやぞというお話でして、勝手に歴史を改変しないで頂きたい、と思うのでありましたが、これは大本営も同じでして、大本営って物価のメカニズムの話をするのにコロコロと別の概念を持ち出してきて、結局何をしたいのかというと金融緩和調整の先送りをしたいから別の概念繰り出してきて「2%行っていない」というし、ついには「基調的な物価」とかいうあるのか無いのかよくわからんものを出してきている、というのがあるわけで、別に安達さんだけの話では無かったりするんですけどね。


・これはまあ半年に1回くらいの利上げだったら全然OKって話でしょ(できるかどうかは別として)

『3.金融政策運営』の途中から。

『この足もとの金融政策運営につきましては、そもそも日本銀行の金融政策が段階的な利上げという正常化プロセスに入るタイミングが早すぎるのではないか、また、正常化プロセスに入ることによって、再度デフレーションに陥るリスクはないのかといったことに疑問を持たれている方もいらっしゃるように思います。そのため、まずはこの点について私の考えをお話ししたいと思います。』

いやいやいや普通は遅すぎ批判じゃないのかと思いますが、どうもこれはこの後のマクラみたいですね。ただこのマクラ要らんだろ(語順に読んでいくんだからこれ見たら円金利関係者の8割くらいは「お前は何を言ってるんだ」とその時点でカチンとくると思うんでもうちょっと物を考えて書けと思うの)って感じですけどね。

『結論から先に申し上げると、金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしていると考えています。』

ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwww

『この条件ですが、過去の事例を基に考えてみますと、第一に消費者物価指数を構成する品目別の価格の前年比上昇率の分布がもはやデフレーション期特有の形状ではなくなっていること、第二に消費者物価の「水準」がデフレーション期以前のピークを超えていること、が重要であると考えており、既にこれらの条件は満たしています(図表 12)。』

あらまあ。

『そして、正常化に向けたプロセスを進めていくうえでは、もう1つ重要な条件があり、これは「再度のデフレーション入りのリスクを意識させるようなドラスティックな政策変更は避ける」ということです3。実は、この条件こそが、これからお話をさせていただく、金融政策の正常化の際には段階的な利上げというプロセスを経ることが適当であると、私が考える理由です。』

ということで段階的な利上げはむしろそうすべきという話をしているのですよね。でもってこの次の段落ですけど・・・・・・・


・早とちりして頭だけ読むと思いっきり騙されてしまう文章構成ってのもあまり良い説明じゃないと思うんだが

まあキーになるのはこの段落ですけどね。

『そこで、段階的に利上げを進めていく場合に注意すべき点ですが、基調的な物価上昇率が目標値である2%を持続的・安定的に実現するまでは、基本的には緩和的な金融環境を維持しつつ、極めて緩慢なペースで政策金利を引き上げていくという点です。』

ってここだけ見るとものすごいハトに見える訳で、現に公共放送さんは
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241016/k10014610851000.html
日銀 安達審議委員“利上げ 緩慢なペースで進めることに注意”
2024年10月16日 17時25分

って記事になっていましたが、これは別に公共放送さんを晒し上げる意図ではなくて、普通に何とかストとか言われる人たちでもホイホイと騙されているのをみて、おまえら早とちりするなと思いました。なぜならば、

『基調的な物価上昇率が2%を持続的・安定的に実現する前段階で政策金利の引き上げが必要な理由は、インフレ目標を達成してからの急ピッチでの政策金利の引き上げは、実体経済に大きなショックを与えかねない点にあります。』

これはすなわち、インフレ目標が達成できた時点での金融政策はかなり中立に近いところにいないとその後に政策を中立(運が悪いとそれ以上)に引き上げていかないと行けなくなり、そこまでの距離が長い場合には経済にショックを与えかねないので良くない、という説明な訳ですよ。なので馬鹿緩和を未来永劫続けろという話ではなくてむしろその逆ですよね。以下話は続きますが、

『このような急ピッチな利上げによる実体経済へのショックの程度は事前に推し量ることが困難ですが、例えば、基調的な物価上昇率が目標値である2%近傍を安定的に実現するまではゼロ金利を維持し、目標実現後に非連続に、急激に政策金利を引き上げた場合、景気を悪化させ、再度、デフレーションを意識させるようなデフレレジームへの転換となってしまうリスクも無視できないと考えます。これを避けるためには、むしろ、実体経済にショックを与えない範囲でという限定条件に注意しつつ、その中で段階的に政策金利を引き上げていった方が、よりスムーズな金融政策の正常化が可能になると思われます。これは、一種の金融政策のリスクマネジメントと言えます。』

普通に政策調整しますよって言ってますがな。でもここで段落を切っていてその次の段落の頭にまたこういう書き方をしているのがわざとやっているんでしょうけれどもミスリードを誘発する書き方になっていて、

『そして、この際に最も重要なのが、政策金利は段階的に引き上げていくけれども、緩和的な金融環境を維持するという点です。ここでいう緩和的な金融環境とは、実質政策金利が自然利子率を下回っている状態のことを指します。』

って言ってるんですが、そんなの「緩和の調整をする」って言ってるんだから当たり前で、誰も政策金利を今3%に上げろと言っている奴はいないわけですから、こんなの別にいう必要もないのですが、わざわざこういう風に言って誤読を誘っているのが日銀の「丁寧なコミュニケーション」ですんで引っかからないようにしたいもんです。

じゃあその金利水準はと言いますと続きにあるのですが、無駄にクソ長いのですけど以下最後まで引用していきますね。


・結局2%目標達成に極めて近い時点での名目政策金利はほぼ1%水準って言ってるようにしか見えませんが・・・・

『ここで問題となるのが自然利子率の水準です。自然利子率の議論は、最近の金融政策を考える上での重要なロジックとなっていますが、残念なことに、現時点では、信頼性の高い数値を実証的に特定することが困難です。日本銀行でも様々な手法を用いて自然利子率の推計値を算出していますが、その数値(2023/1Q時点)は推計手法によって▲1%程度から+0.5%程度のばらつきがあり、試算の域を出ません4。』

計測が困難なのに重要なロジックって何だよそれというのはさておきましてw

『ただ、私自身は、現時点では、インフレ抑制のための急ピッチな利上げを実施する必要はなく、むしろ、拙速な利上げは回避すべきだと考えていますので、最も慎重な推計値で考えてよいのではないかと考えています。そして、この場合でも、現時点での実質政策金利は自然利子率を十分に下回っており、緩和的な環境は維持できているものと考えています。』

最も慎重な推計値って▲1%で、つまりは物価目標達成時における名目中立金利を1%に置いている、ということなので言ってること田村さんと本質的に変わらんじゃないですかヤダー。

『そして、基調的な物価上昇率が持続的・安定的に2%を実現し、インフレ目標を達成した後、仮に、基調的なインフレ率が2%を超えて上昇する可能性が高まった場合には、インフレを制御すべく、物価上昇率の上昇ペースを上回るペースで政策金利を引き上げていくということになります。』

2%達成したけどまだ物価が上がるわ、ってなったら1%の名目金利を2%以上の水準に引き上げる、ってのもかなり乱暴な話ですのでそう考えると物価目標達成がかなり近い時点での名目金利はどう見ても1%割れというのはありえないという説明になりますよねこれ。

『また、物価上昇率が2%程度で持続的・安定的に推移していれば、その時の政策金利が中立金利とほぼ同水準であると推測できますので、その水準を維持することを意識した金融政策運営を行うことになります。』

節子、金融政策の波及ラグ忘れたんかいwwwというのはさておき次の段落になりますが、まあこの辺は消化試合です。

『このように、基調的な物価上昇率が持続的・安定的に2%を実現し、インフレ目標を達成した状態の下での政策金利水準が「中立金利」に近い水準であるといえますが、現時点では将来にわたる不確実性の存在ゆえ、具体的な水準および時期は見通せないというのが正直なところです。どのような要因が中立金利および自然利子率の水準を決めるかについては、アカデミアや各国中央銀行のリサーチャーによって様々な論文が発表されています5。それらの論文には様々なファクターの存在が指摘されていますが、やはり大前提としては潜在成長率の行方、その意味では人口動態や技術進歩率の動向が重要な鍵を握っていそうです。また、貯蓄投資バランスや長期金利の水準等も決定要因であるといわれています。自然利子率の推計手法の精緻化を進める努力を続けることも重要ですが、自然利子率の個々の決定要因についての定性的な評価も含め、今後さらに継続的に議論を進めていくことが重要であると考えます。』

ということでこのコーナーが終わるわけで、どこがハトやねんというお話なんですよね。まあちゃんと全文読まないと騙される設計にしているのは普通にわざとやってますよね・・・・・・・・・・・・





2024/10/16

お題「野口審議委員長崎金懇ネタ(今更ですが)/ちょっと長期金利が上がったので備忘メモと雑談」

ほうほう
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241015/k10014609851000.html
石破内閣「支持」44% 衆院選への関心は?
2024年10月15日 19時00分

『NHKの世論調査によりますと、10月に発足した石破内閣を「支持する」と答えた人は44%、「支持しない」と答えた人は32%でした。内閣発足時の支持率としては、3年前の岸田内閣の時に比べて5ポイント低くなりました。』(上記URL先より)

〇そろそろ安達審議委員の金懇があるので野口審議委員の長崎金懇ネタの残りを成敗

輪番に関する面白理屈を読んで仰天してしまいその後の話をよんでいませんでしたが。

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241003a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
長崎県金融経済懇談会における挨拶要旨

HTML版から引用します。

・マネタリーベース直線一気理論とは何だったのか(再掲)

金懇の『3.金融政策』の長期国債買入に関する部分の方が長くて、理屈がハイパー謎理屈だったのでそこを重点的にネタにしましたが、まあ長期国債買入の話をせっせとするのはマネタリーベース直線一気理論とは相性が良いのでそれはそれ。

しかし笑ってしまいますのはこの長期国債買入に関しての部分を再掲しますと、『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』の後半で、

『上述のように、「潤沢な準備預金」を前提とした現在の政策レジームでは、仮に日本銀行のバランスシートが現状のままであったとしても、政策運営には何ら制約や障害は生じません。したがって、バランスシートの縮小は十分な時間をかけて慎重に進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましいといえます。』

ってなっていましたが、マネタリーベース直線一気理論はどこに逝ったんだというお話をしましたけれども、まあその続きの部分になります。


・コミュニケーションの問題に関する説明ですがこれは大本営のレクを野口さんが解釈しているのかしら

『日本銀行はまた、7月の政策決定会合で、政策金利を0.15%程度引き上げ、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.25%程度で推移するよう促す」ことを決定しました。なお、後述の理由から、私自身はこの決定に反対しました。』

でまあその後の市場変動に関してですが、

『この決定の後に、市場では円高と株安が進行し、その直後に明らかになった米国の雇用状況悪化によって、その動きはさらに加速しました(図表11)。結果としてみると、この7月の政策金利引き上げは、1987年10月に起きたブラックマンデーの再来を思わせる急激な株価下落の要因のひとつとなりました。』

日銀公式が認めているのか野口さんが言っているのかが判然としませんが、まあこんなこと言ってもセーフという辺りが、日銀大本営が8月頭の株安にビビっているというのがよくわかる結果になっているのですが、そもそも論として過大な円安による株高なんだから円安是正すればこうなるの当たり前で、こんなんで一々ビビっていたら正常化進まないし、正常化進まなければ過大な異次元緩和政策の副作用はどんどん蓄積するだけなんですけど、どうもチキン植田総裁は5年間問題を先送りして誤魔化そうとしているのではないか疑惑が漂ってまいりますな。

いやまあ黒田にしたって最後の1年間はどう見たって物価目標達成大勝利宣言と共に出口着手ができるはずだったのですが、あの黒田をしてもいざ出口をやろうとするとビビって後任に丸投げして逃げ切り大作戦を敢行して逃げ切るわ勲章もらうわ私の履歴書を書くわとやっていた訳ですから、黒田よりも腹が据わってなさそうな(個人の偏見です)植田和男大先生が出口とかできるわけがない、と思えば大本営も隙あらば先送りってことになるんでしょうかねえ。いや大本営は今後も続くんだから総裁の逃げ切りに一蓮托生せんでもええじゃろとおもいますけどねえ。

などとこれだけの記述で妄想にすぎるといわれそうですが先に行きまして、

『この市場攪乱の原因については既にさまざまな議論がありますが、私自身は、問題の根底には「経済の現状に関する日銀自身の見方」と「その日銀の見方についての市場の認識」との間の齟齬があったのではないかと考えています。』

何となく大本営のレクっぽい説明が始まります。

『この7月の政策決定は、私を含む少数の異論はあったものの、日本銀行のこの時点のおよそのコンセンサスが、「経済・物価はこれまで日本銀行が示してきた見通しどおり展開しており、輸入物価が上昇するなかでの物価の上方リスクも考慮すると若干の緩和縮小が適切」というものであったことを意味しています。』

さいですな。

『ちなみに私自身は、「賃金上昇の浸透による経済状況の改善をデータに基づいてより慎重に見極める必要がある」という観点から、この利上げには反対しました。それは私が、物価の基調はまだ2%に届かず、インフレ期待も2%にアンカーされていない以上、日本経済は依然として下方リスクにより脆弱であると考えていたためです。』

アタクシは賛同いたしかねますがこれはまあこれは一つの主張ですので。

『私は他方で、状況は着実に進展しているため、今後のデータ次第では遠からず政策金利の調整が必要になる可能性はあるとも考えていました。』

で、それはさておきこの「齟齬」の話ですけれども、

『その後の市場の混乱は、この日本銀行のコンセンサスが市場には必ずしも十分に浸透してはいなかったことを示唆しています。』

そら大本営がハトハトチキン情報発信ばっかりしてるんだもん。

『市場はおそらく、「日銀は景況をかなり弱めに見ている」と考え、したがって利上げのペースもきわめて慎重なものになると考えていたはずです。』

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お前は何を言ってるんだという話でして、「日銀はビビりなので政策金利を上げられない」と見ていただけのお話だし、ハトハトチキンな説明ばっかりしていたのも日銀というか植田総裁が主でして、3月以降のハトハト情報発信がやりすぎだったということに尽きますわな。

『日本銀行の7月会合での決定とそこでの見通しの提示が市場に材料視されたのは、それがこの「日銀の見方についての市場の認識」とは大きく食い違っていたためと理解されます。』

挙句に7月会合では急に変なもんでも食ったかのように(当初は遂に植田さんが覚醒して真人間に戻ったのかとアタクシも勘違いしそうになりましたがw)強気なことを言い出した「日銀の情報発信の振れ幅の大きさ」によるものでして、市場の認識がどうのこうのとか言ってるのに関しては、そもそも学者先生の野口さんが市場のことなんぞよくわかっている訳もないので(思いっきり個人の偏見です)、大本営のレクを野口さんが消化したらこういう説明になったのと推察されますが、まあ野口さんをしてこういう説明をさせている時点で日銀大本営が自分らの「情報発信の振れ幅の大きさ」について理解していないのか、理解していても引くに引けなくなって意地でも反省の弁を述べないのか、どちらだかわかりませんけれども、まあ反省していないな、というのがわかるかと思います。


『この経験からは、主に二つの課題が浮かび上がってきます。』

反省していない大本営がどういう課題を言っているのか、というのは引かれ者の小唄なので聞いてみましょう。

『その第一は、政策運営に際しては、市場の側が「政策の背後にある日銀の考え方」をどう捉えているのか十分に把握しておくことが必要という点です。』

wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

自分たちのブレブレ情報発信(植田時代の悪癖)や次から次へと新しいその場でしか通用しない屁理屈を繰り出して説明のゴールポストを動かしまくる(こっちは黒田末期から今まで)というのを全部棚に上げて「我々高級頭脳が説明してあげているのを理解しない市場の愚民どもが悪い」頂きましたwwwwwwww

まあナメトンノカという話ですが次行きます。

『第二は、経済状況の進展などによって日本銀行のコンセンサスに変化が生じ、市場が把握するそれとの間に大きな齟齬が生じる可能性がある場合には、そのギャップを埋めるべく、日本銀行の側から可能な限り丁寧なコミュニケーションを行う必要があるという点です。』

お前らの説明って全然前と脈絡のない屁理屈繰り出してくるだけじゃん何が丁寧な説明じゃ、というお話ではありますが、まあこんなこと言ってるんですからある日突然過去の説明と整合性がない(あるいは大昔言ってたのにすっかり言わなくなってお蔵入りしてたはずの屁理屈が突如復活して)話をおっぱじめる、というのは全然変わらんぞな、というのが読み取れると思います。

『今後の政策変更が市場の無用な混乱に結びつかないようにするためには、そのようなコミュニケーション上の努力が必要不可欠と考えます。』

無用の混乱の原因は9割9分までお前らのクソコミュニケーションだがな、という所で、この辺りの部分ですが、先般の田村審議委員による真摯な反省とはまるで違っていますけれども、まあこれは普通に考えて大本営が野口さんに対してレクをするとこういう説明になっている、ということを示している訳でして、お前ら外では立派なこと言っても所詮はこれかよ、という中々悲しいことが判明するという意味では中々有意義な金懇挨拶ではなかったかと思います、アイヤー。

なお、この部分は妄想成分で構想されている個人の意見部分がありますこと念のため申し添えます。


・ということで会見ですが利上げに関する考え方はハトハトなのかというと・・・・・

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk241004a.pdf
野口審議委員記者会見
――2024年10月3日(木)午後2時30分から約30分
於 長崎市

まあこちらはおまけなんですけど、ちょっと目に付いたのは「利上げには本質的に反対している訳ではない」って所ですね。

『(問)一点目は、ご講演の中でもおっしゃっていた、今の粘り強く緩和的な環境を維持するべきだ、ということなんですが、実質金利が今、非常に低い中、短期金利を数回引き上げても、緩和的な環境を維持できていると言えなくはないんですけれども、野口委員の考えでは、利上げそのものがやはり今は拙速であるということ、そういう理解でよろしいでしょうか、というのが一点目です。(後半割愛)』

この回答がやけに長いのですが、

『(答)まず最初の問題でありますけれども、私も基本的には、現在の金融環境というのは、まだまだ十分緩和的であるというふうに考えますけれども、緩和的だからもう少し調整していけばいいという考え方ももちろん理解はできます。ですから、もう少し調整の余地はあるというのも可能性としては否定できないというふうに考えますが、』

とまあ以下滅茶苦茶くどいのですが、要は利上げに本質的には反対していないという話になっていまして、

『ただ、なかなか難しいのは、そうしますと、要するに緩和的かどうかというのはあくまでも中立金利とですね、つまり、長期的に適正な金利とはどこなのか、ということの対比で考えなければいけないわけであります。けれども、その中立金利、あるいは、それを実質化して言えば自然利子率というもの、これはですね、あくまでも仮想的な概念でありますので、実際にこれを確認するということはできないわけですね。』

『いろいろなシミュレーションを日銀でも行っておりますけれども、結局のところは、それである程度の範囲でこのぐらいだろうということしか言えないというのが現状であります。そういう意味では、実際に中立金利というのは、事前に決め打ちすることはできないと。ということであれば、一段階利上げしたら様子をみて、その影響というのを確認しながら、これなら大丈夫だという段階でまたやっていくというような、非常にほふく前進的と言うんでしょうかね、そういうやり方で利上げをせざるを得ないというのが現実ですので、そういうことになるんではないかというふうに思います。(後半割愛)』

この説明ですと利上げして半年くらい様子見て大丈夫だったら利上げする(金融政策の波及のラグを考えて)というのに整合するんですよね。

もちろん半年間オントラックである、というコンディショナルな話ではあるのですが、この野口さんの説明を敷衍しますと、7月利上げして様子見てオントラックなの確認出来たら1月(半年後)の展望レポートのタイミングの点検作業の結果利上げする、というの全然おかしくない理屈になっていまして、つまりは野口さんであっても別に追加利上げダメゼッタイとかいう話ではない、というのは気をつけておく必要があるんじゃないのかね(こっちは大本営レクじゃなくてどう見ても野口さんの独自見解でしょうから)と思うのでした、というのが野口さんの金懇ネタ最終成敗なのでした。



〇長い金利は上がってくると急にメモを取りたくなる次第で笑

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/AUVFM3NGY5MW7C4WR522PGTA6Q-2024-10-15/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落、長期金利0.965%と2カ月半ぶり高水準
By ロイター編集
2024年10月15日午後 3:17 GMT+9

『[東京 15日 ロイター] - <15:12> 国債先物は反落、長期金利0.965%と2カ月半ぶり高水準

国債先物中心限月12月限は前営業日比22銭安の143円77銭と反落して取引を終えた。時間外取引の米金利の上昇を背景に国債先物は売りが優勢となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の0.965%と、8月2日以来2カ月半ぶりの高水準を付けた。』

『国債先物は朝方から弱含みで推移。前週末の夜間取引で国債先物が下落した流れを引き継ぎ、売りが先行した。後場に入っても軟調に推移。一旦低下していた時間外取引の米長期金利が再び4.09%台に上昇したことを眺めて、先物は下げ幅を拡大した。』(上記URL先より、以下同様)

ということでして、そんなに米金利に連動せんでもええやんという気もするのですが、何せ今の日銀ちゃんは自分で金融政策の運命を切り開こうという気概があるとは到底思えず、円安になると突っつかれて緩和調整、というのをやるか、これは選挙後の話にあるかもという話ですが、物価高批判の矛先が日銀に向かってきた場合に泣きながら緩和の調整をするか、のどちらかでありますので、米国長期金利上昇→円安進行→日銀政策修正に追い込まれる、という文脈で考えれば「米国金利連動相場」というのも無意味な話ではないし、日銀が自らの意思で政策修正しようとしないんだからこうなるわってなもんでして、短観とか生活意識調査とかさくらレポートとか「オントラックの証拠」が続々と出てくることよりも米国金利で動いている、という時点で債券市場の中の人たちが日銀の政策反応関数を為替とか政治情勢(加えれば株価)だと思っているってことではありまして味わいが深いです。

まあ何ですな。日銀様が基調的物価ガーとか海外経済ガーとか言ってるのは単に政策調整の先送りをするための言い訳を探しているに過ぎないわけですし、まあそんな事を言ってしまうと身も蓋もないのですが、日銀がぶっこんでいる各種屁理屈に関しては真面目に分析して「基調的物価は今後こう推移するから政策修正はいつ頃」とか「米国経済のソフトランディングがこの辺りでは見えてくるので政策修正はいつ頃」とか分析しても、日銀ちゃん政策修正する時には勝手に変な理屈(7月で言えばそれまで散々放置どころか何なら円安促進してたのに急に「円安が物価上振れリスク」とか言い出すように)を持ち出すし、政策修正の先送りをしたいなら新しい屁理屈(9月で言えば急に米国経済の下振れリスクガーと言い出す)を繰り出す次第で、植田総裁になってエビデンスに基づく普通の金融政策をするのかと思えば、軸がないだけに黒田の時よりもさらに訳が分からんことになっているのは皮肉としか言いようがないですわな。まあ黒田の後始末をしている面が多々あるのでそこは同情の余地は若干あるけど。

でまあそうやって金利ちゃんちょっと上がるのですけれども、

『     OFFER  BID    前日比 時間
2年    0.417  0.427    0.016  15:03
5年    0.583  0.592    0.015  14:55
10年   0.963  0.971    0.021  15:03
20年   1.748  1.756    0.016  14:58
30年   2.162  2.172    0.006  15:03
40年   2.473  2.485   -0.004  15:07』

中期とか長期とか金利上昇しているのですが、ゆうて2年はまだ1回利上げしたら逆ザヤ(まあ0.3台から思えばマシになりましたけど)とかいう面白水準だし、5年は日銀の政策修正のゴールが1%とかいうものすごい低い水準で考えたとしてもどう見ても間尺に合わないレートだし、ということでして、やっぱり中短期の輪番のやりすぎと短国の需給のクソ強さと過去のロングの資金供給の副作用というのが効いていますわなという水準、10年の1%割れもまあ結局日銀の輪番多すぎ問題なんですけど。

でまあ結局短期国債の話になりますけど、明日木曜日は1年短国の入札(金曜日が3M)があるのですが、こっちの引けが昨日の売参だと、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

1257が1年カレントで1263が明日入札のWIですな。

(10/15引値)
国庫短期証券1257 2025/09/22 平均値単利 0.235
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.260

(10/11引値)
国庫短期証券1257 2025/09/22 平均値単利 0.220
国庫短期証券1263 2025/10/20 平均値単利 0.220

ということで、さすがに2年とかの金利も上がっているので引っ張られてはいるのですが、短国ちゃんの引値って上がっているの1年カレントと新発WIだけであとはまあ基本横ばいとかいう水準なので1月償還1bpとか(カレントは0bp)いう面白レートのままになっておりまして、金融政策の修正ネタでしか動かん市場ではあるのに短いところが(上がったとはいえ)全然市場の中の人の考える中心的な政策金利パスと整合していないのは、これまでは日銀の長期国債買入がクソ過大であっても、マイナス金利政策(だのゼロ金利だの)によって永久凍土状態になっていたので顕在化しなかった中短期の安全(クレジットリスクフリーという意味)資産へのニーズが(0.25%まで政策金利が上がって)解凍されて見ると安全資産不足が顕在化して短国から中短期の金利のありさまになっているということなのかね、とか何とか思ったり思わなかったり(個人の感想です)。

ということなので、1年と言わずに10月と言いたいがせめて12月会合でちょっと輪番のデザイン再考した方がエエンチャウノというのが「利上げしてるはずだし今後の利上げだってあるということになっているのに中短期(何なら10年も)の金利が上がってこんなもん」というアカンタレな状況を改善できんもんかねと思うのでした。









2024/10/15

お題「3M新発は前週よりも強い入札・・・・/短期市場サーベイを拝見してみるの巻」

ほうほうそうですかそうですか
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate

USDJPY=X
直近の取引 149.77 JPY
変化 0.64
変化% +0.43%
2024年10月15日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています

いやー150円ですなあ150円。


〇新発3M入札は償還日米国祝日もなんのそので前週よりも入札利回り低下でござるの巻

まあ金曜日なので3M新発があったわけですが。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241011.htm
国庫短期証券(第1262回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1262回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号    国庫短期証券(第1262回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日     令和6年10月15日
4.償還期限    令和7年1月20日
5.価格競争入札について
(1)応募額         10兆9,767億円
(2)募入決定額     3兆2,424億8,000万円
(3)募入最低価格    99円99銭6厘5毛
(募入最高利回り)    (0.0131%)
(4)募入最低価格における案分比率   31.8132%
(5)募入平均価格    99円99銭8厘2毛
(募入平均利回り)    (0.0067%)』

・・・・・・・orzorz

いやーあのですね、この銘柄って償還日がキング牧師誕生日にあたるのでアメリカ様が祝日だから、とかいうことでワンチャン海外のニーズが少なくて少しはマシになるか、とはまあ木曜のWIの引けが強くされた時点でやべえかと思ってた訳ですが、米国祝日が何ぼのもんじゃいということで、前週の3Mが平均0.073%で足切り0.0202%でしたので、ものの見事に強くなっておりまして、いやあのですね、9月末要因で強かったのの余波とかそういうのを超越しているでしょうという話でして、いやだから「金利のある世界」における短期市場のデザインお前らどうなっているんだよと全員正座させて説教食らわせたい(誰に?)世界になっておりまして、いやだからT-Billの市場をちゃんと作らないと色々なところにミスプライスが発生してくるんですよ以下同文、って感じです。

お前ら何やってるんだよというお話は毎週しておりますので耳タコだと思いますが、期末期初抜けてこのテイタラクですとこれはちょっとマズイという感じはしますな。むしろ利上げ良いから日銀はバランスシートの削減をもっと急ぐ(つまり新規の国債購入をもっと減らせという話だしやってみたら中短期もっと減らした方が良いとなったんだったら別に1年を待たずして是正すればいいだけの話)べきだろという話だし、財務省は特会の残高が減ってるからという機械的な対応しているのでエエノンカ、というのを考えて頂きたいところです。

まあ何ですな、この短国市場ってのはこの次にちょうど金曜に出た日銀の「短期市場サーベイ」をネタにしますけど、日銀は短期と言えばコールとか精々気にするのレポ市場でして、CPとか短国ってのはそこまで気にしないですし、特に短国に関しては短国買入を運営上やらなくなっておりますので日銀からしてみたら介入してないんだから知らんがなという話なんでしょうし、財務省的には1年割引短国は国債発行計画に入っていますけれども、建付け上それより短い政府短期証券に関しては国債発行計画の外側になっているので、国債市場整備の観点からどうのこうのという話になりにくい(PD集めて短国の話したっていつもの人とは別の人を呼ばないと多分会話にならないでしょうし)、ということで、基本的に短期のビルの市場がいわゆる三遊間案件になっておりまして、でまあ三遊間案件なんそ拾いに行くのは余程の伊達物なんで、そのまま三遊間を抜けてしまうのでありました、ってなもんですな、南無阿弥陀仏。


ああそれから売買参考統計値ちゃんですけれども、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/11引値)
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.000

とりあえず前週の1260みたいに引値マイナスにはされませんでした(ちなみに11日の1260の売参は平均値単利で0.010%になっております)けれども政策金利が0.25%になっていて、「経済物価情勢が見通し通りに推移すれば今後も金融緩和度合いの調整を行う」と言っているのに決定会合2回(まあ今月は政策変更なしだろうから実質1回だけど)跨いでいるというのに利回り0.000%かよといういつもの状態ですな、とほほ。



〇このタイミングで短期市場サーベイというのが巧まざるネタ投下になっておりますが

とまあそのような短国の中で短期市場サーベイが投下された次第で。

https://www.boj.or.jp/paym/market/market2410.htm
わが国短期金融市場の動向
--東京短期金融市場サーベイ(24/8月)の結果--

ちょwwww前書きwwwwwww

『はじめに』ってのがありましてね。

『日本銀行金融市場局は2008年以降、わが国短期金融市場の取引動向などを把握するため、「東京短期金融市場サーベイ」を実施している。このサーベイは当初は隔年で実施していたが、市場動向をより的確にフォローする観点から、2013年より毎年実施することとしており、本年8月、第15回目となる調査を実施した(調査基準時点は本年7月末)。』

へいへいそうだっか。

『今回のサーベイは、従来同様、日本銀行のオペレーション対象先および短期金融市場の主要な参加者を対象として実施している。今回のサーベイの調査対象先は386先となっている(回答率100%)。』

ほうほうそれでそれで?

『日本銀行金融市場局は、今回のサーベイ結果を短期金融市場の動向把握のために有効に活用していくとともに、「債券市場サーベイ」なども併せ用いながら、金融市場の状況や構造変化の包括的かつ多面的な把握に努めていく考えである。』

で、短国市場の惨状については如何お考えでしょうか??

『また、「市場調節に関する意見交換会」や、「債券市場参加者会合」などの機会も活用しつつ、市場参加者の方々と対話を重ねながら、短期金融市場も含めたわが国金融市場の活性化に向けた関係者の取り組みを積極的に支援するとともに、自らも中央銀行の立場から、可能な限りの貢献を果たしてまいりたいと考えている。』

ロングの共通担保オペを後先何も考えずにアホみたいに打った結果「金利のある世界」に戻ったら案の定担保繰り問題が短国需給をおかしくする一因になっている(当然ですが弊駄文もそうですけどこの「2年5年オペで担保ニーズを増やしてしまうと後で面倒なことになるのに安易にオペ打ちすぎ」って指摘はその当時結構あったはずなので知らないとは言わせない)し、貸増とか気候変動とかの事実上の補助金政策もオペ形式で実施してこれまた担保需要を無駄に高めている元凶が「中央銀行の立場から、可能な限りの貢献を果たしてまいりたい」ってDVモラハラ男みたいなこと言ってるんじゃねえよこのボケナスがという所ですな。

でまあそのようなDVご挨拶はさておきまして『概要』ですが、

『短期金融市場の取引残高は、資金調達残高・資金運用残高とも、前年から増加した。』

そらマイナス金利で死んだふりしてた分が出てきましたからね。

『内訳をみると、資金調達残高・資金運用残高とも、マイナス金利政策解除に伴ってコール取引が減少したものの、非居住者の債券取引需要の高まりなどを背景にレポ取引が増加したため、全体としては増加した。また、資金調達サイドについては、一部外銀が、外貨余資活用の観点から円転を積極化させたことも残高増加に寄与した。』

『短期金融市場の機能度(7月末時点)について、「現状」の評価は、「低い」との回答の割合を、「高い」との回答の割合が上回った。また、「変化」については、小幅の「低下」超となった。』

うーんこの、ということで本文ちょっと拝見しますが、

https://www.boj.or.jp/paym/market/data/market2410.pdf
わが国短期金融市場の動向
―― 東京短期金融市場サーベイ(24/8 月)の結果 ――

・GC市場

3ページ目(本文もPDFの枚数も同じ)にGCの話がありますが、

『1.GC レポ取引』の資金運用側に関してこのような記述が。

『資金運用(債券調達)サイドでは、短資や信託、外証の債券調達が増加した。短資や信託からは、SC レポでの債券運用と GC レポでの資金運用を組み合わせた取引が活発化した等の声が聞かれたほか、一部の外証からは、国庫短期証券の需給が引き締まるなか、担保に用いる債券の調達をターム物の GC レポにシフトしたとの声も聞かれた。』

とまあそういう訳で、まあゆうてGC市場自体がオープン市場ではあるけれども取引そのものがそれなりにシステム対応が必要になるという参入障壁が割と高めで、業務上必要とか、可能なレポ取引の残高がかなり大きい人とかじゃない場合、マイナス金利だのゼロ金利だのという状況でGCレポ市場に本格参入するのは中々厳しいところがあって、この市場はとのかく金利がもっと高くなって参入者の幅に広がりが出てこないと、取引残自体はマーケットマーカーの在庫ファイナンスとかのニーズがあるからデカいんだけど、市場の厚みが足りないなと思う次第。

・無担保コール市場

でまあコールのところなんですが(SCはパス)、『3.無担保コール取引』を見ますと、

『無担保コール市場の取引残高は、前年から減少したが、やや長い目で見ると高めの水準で推移している。』

中々苦しい書き方をしていますなって感じですが、「やや長い目で見ると」ってあーたその前ずっとマイナス金利なんだから比較対象とするのどうなのよという感じもしますが。

『資金運用サイドでは、マイナス金利政策解除に伴い、政策金利残高の圧縮を企図した都銀等による資金運用ニーズがなくなったため、残高が減少した。これを受けて、資金調達サイドでは、こうした資金運用ニーズの受け皿としてマイナス金利下では主要な資金調達主体となっていた地銀・地銀Uの資金調達が減少した(無担保コール市場の動向については、BOX1 および BOX2 参照)。』

まあ要するにコール取って当座預金付利を貰ってその差で(゚д゚)ウマーって話なんですが、これを市場と言えるのか問題というのは常にあるわけでして、それこぞトン調節の時代で政策金利が変更しうる時代には「準備預金の積みの進捗調整」という形で翌日物市場ですら「金利観に基づく市場の動き」があったんですよね(その時代に辛うじておりましたよ小僧でしたけど)。

ということで10ページの『【BOX1】マイナス金利政策解除に伴う無担保コール市場の変化6』にワープしますけど、短期市場サーベイの場合は普段おなじみじゃない人が多いので説明部分がそこそこ長いので、初心者でもあとはちょっとそこらの短期担当を捕まえればわかるような書き方になっておりますな。

とはいえ、何ちゅうかこの説明って面白くて(11ページの部分です)途中からになりますが引用しますと、

『付利先が、信託等から資金調達を行う取引動機は、調達レートと付利金利との差にある。』

というところから始まりますが、

『付利金利が、調達レートを上回っていれば、付利先には、裁定取引の動機が生じ得る。実際、O/N 物の取引レートである TONA(Tokyo OverNight Averagerate)は、付利金利を幾分下回る水準となっている(図表2)。』

味わいのある表現です。

『なお、マイナス金利政策解除後は、短資会社経由取引がダイレクト取引(DD 取引)へのシフトもあって減少するもとで、短資会社を介さないダイレクト取引の比率が高まっている(図表3)。』

これまた味わいのある表現。

『今回調査では、この点も踏まえ、ダイレクト取引も含むオーバーナイト取引全体の約定レート(加重平均値)を調査したが、短資会社経由取引をもとに作成・公表されている TONA と大きな差異はみられなかった。』

そらそうだ。

『この点、調査先からは、ダイレクト取引のレート形成においても、TONA が参考にされているとの声が聞かれている。』

無担保コール翌日物加重平均金利が参考???いや確かにそれはそうですけれども無担保コール翌日物金利自体が実質固定みたいになっているのに「TONAが参考になっている」とか如何にも市場機能があるような書き方になっているのがクソ笑う訳で、提灯コメントにも程があるわと思いましたwwwwwwww

でまあ翌日物はさておきましてこのコーナーは期日物の方が興味深い内容になっていまして、『(2)ターム物』ってところですが、

『ターム物については、1か月以内と1か月超で、参加者の顔ぶれや取引動機に違いがみられ、マイナス金利政策解除の影響も異なっている。』

ほー。

『まず、1か月以内のタームについては、マイナス金利政策下で取引残高が増加し、マイナス金利政策解除後は取引が減少するという、O/N 物と同様の動きがみられた。』

ふむ。

『マイナス金利政策下では、O/N 物のロールオーバー負担を避ける事務面のニーズから、ターム取引による付利先同士での三層構造間の裁定取引がみられていたが、マイナス金利政策解除後は、当該取引は無くなり、証券やその他のファンディングニーズに起因する取引が中心となっている(図表4)。』

でもって、

『1か月超のタームについては、証券等が、流動性カバレッジ比率(LCR:Liquidity Coverage Ratio)を意識した資金調達を行っており、マイナス金利政策解除後においても大きな変化はみられない(図表5)。』

だそうです。


・有担保コール市場

6ページの『4.有担保コール取引』になります。

『有担保コール市場の取引残高は、前年から幾分増加した。』

『過去マイナス金利政策解除に伴い、信託の資金運用が幾分増加したものの、担保に用いる債券の需給引き締まりのほか、この間、都銀等では有担保の資金調達取引がGCレポにシフトしたことなどを背景に、低水準の取引が継続しているとの見方が聞かれた。』

って書いてあるのだが、そもそも都銀が有担保の資金調達を行う意味ってあるのけ??というのが謎なんだが(あるにしたってそれマージナルな話じゃなかろうか、3pのGCレポ市場の取引残高見てもそんな気がしますけど)。

というあっさり味の記述ですけどもっとあっさりなのが短期国債とCPでして、


・短国とCP市場

7ページの『5.国庫短期証券、CP による資金運用』ですが、

『国庫短期証券による資金運用残高は前年から増加、CP による資金運用残高は前年から減少した。』

資金運用残高は増えているというのに発行額が減っている訳でして、いやまあ別のロジックで政府短期証券が増えたり減ったりしているのはそういう建付けだからということなんでしょうけれども、やはり金利のある世界に戻るのであればT-Billの市場整備は急務だと思うの(しつこい)。

『国庫短期証券による資金運用は、マイナス金利解除後、利回りがプラス圏に上昇したもとで、信託等の運用額が増加した。』

『CP による資金運用は、原材料価格高騰を背景とした企業の運転資金調達ニーズが一服し、発行残高が前年比低位で推移するもと、減少した。』

ちょwwwwこれだけかいwwwwww


・機能度って取引がありゃいいってもんでもないんですけどね&オープン市場は基本知らんがなですかそうですか

9ページが『6.短期金融市場の機能度に関する市場参加者の見方』ですけど。

『機能度の水準は、いずれの市場も「高い」超となった。そのなかで、T+0 でのGC レポ取引については相対的に低めとなった。』

参加者の様々な金利観が価格形成に反映する、という意味での市場機能ってあったっけ??と思いながら見ますと、

『機能度の変化については、無担保コール取引では、資金運用機会の増加を背景に「改善した」と回答した先がみられたものの、取引残高が前年比減少するなか「低下」超となった。国債レポ取引では、「低下」超となり、一部先からはその背景として、証券会社の在庫ファンディング量次第でレートが振れやすい点が指摘された。』

おいwwwwwww

でまあその下にある『▽短期金融市場取引の機能度に係る市場参加者の評価5」』ってのを見ますと、そもそも論として項目が、「短期金融市場全体」、「無担保コール」、「有担保コール」、「国債レポ GCレポ(T+0)」の4つしか無くて、短国市場とかそういうのは機能度調査対象外になっている、という時点で市場機能とは何ぞやという話ではありまして、短国市場の価格発見機能が完全に崩壊しているとかいうような苦情をこっちに持ってくるなという気概が充実している次第で落涙を禁じ得ないと言ったところです。

という訳で短国とかCPとか知らんがな、ということのようでして、いやまあファンディングの部分ちゃんと動いているのはそれはそれで大変に大事なことなので上記項目での資金調達がちゃんとできているのかというのは確認すべきお話なのはご尤もではあるのですが、でもオープン市場はやっぱり三遊間案件になってしまうんですよねえというお話ではございました。

イールドカーブの起点になるところだから短期のオープン市場(というか国債市場)のことも思い出して頂きたいものであります。


〇どうでもいいやと後回しにしていた野口審議委員金懇ネタですがショパンの事情により本日もパス

ってお前連休あったんだし既に終わってる話なんだから下書きできるだろヴォケと言われるとぐうの音も出ないのですが、ついどうでもいいので後回しにするシンドロームが炸裂しまして、本日やろうと思ったのですがワイの生業の関係上今朝は中途半端な時間しか残っていないので今朝はこんなところで失礼させていただきます。あとFEDの高官もああでもないこうでもない喋っているんですよね・・・・・・・






2024/10/11

お題「置物系面白発言来ました/今日は3M/生活意識アンケートは良好な結果/FOMC議事要旨(その2)」

今日のお題のマクラにするつもりでしたが変更して次は与太トピックですw

〇置物一派って何でそうエエカゲンなんでしょうかねえ・・・・・

こちら門間さんが記事の表題ですが別件の方がアレでございまして、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-10/SL4TWNT1UM0W00
150円超の円安進行、日銀の利上げ早める要因になり得る−門間元理事
萩原ゆき、野原良明
2024年10月10日 20:15 JST

→景気の軟着陸期待などで米利下げ観測後退、心理的節目150円に接近
→為替レートに影響された政策決定は「重大な過ち」と若田部前副総裁

いや若田部呼ぶなよと思ったが、記事中のこれ(と上記のリード部分)はクソワロタ訳で、

『日銀前副総裁の若田部昌澄早稲田大学政治経済学術院教授は同討論会で、「為替レートからインフレ率への転嫁が大きくなっている可能性があることは理解している」としながらも、「為替レートがインフレ率にどの程度影響を与えるかはあまり明確ではない」と指摘。7月の利上げは時期尚早だったとし、為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」だとの見解を示した。』(上記URL先より)

>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」
>為替レートに影響されて政策決定を行うことは「重大な過ち」

ほうほうそうですかそうですか。さてここで異次元緩和の理論的支柱と言われる岩田規久男大先生の説明を確認して見ましょう。

https://jp.reuters.com/article/business/-idUSTYE924054/
アングル:岩田氏「金融緩和で円安」、誘導批判の回避がカギに
By Reuters
2013年3月5日午後 3:27 GMT+9

『[東京 5日 ロイター] 次期日銀副総裁候補の岩田規久男・学習院大教授は5日、衆院議員運営委員会で所信表明し、日銀が金融緩和で金融機関の手元資金を示す当座預金を増やせば、期待物価上昇率が上昇し、円安や株高につながるとの見解を示した。』(上記URL先2013年3月ロイター記事より)

・・・・・いやお前ら一派ってどんだけ言ってることがエエカゲンなんやと。

ちなみにこちらで置物師匠は例の日銀当座預金直線一気理論を展開しているのでして、

『岩田氏は、日銀が2%の物価目標達成を目指し大胆に金融緩和を進める姿勢が市場の信認を得れば、予想物価上昇率の上昇を通じて予想実質金利が下がり、実際の物価が上がり始める前に円安・株高が進むと繰り返し説明。4日の講演では、当座預金残高が10%増えると予想物価上昇率が0.44ポイント上昇すると図表を使い説明。「期待物価上昇率が2%ポイント上がれば、為替は15円の円安、日経平均株価は4000円上昇する」と踏み込んだ。』(こちらも上記URL先2013年3月ロイター記事より)

いやはやなんとも。


〇相変わらずの短国ではあるが今日は減額になります3Mの入札

ということで売買参考統計値ちゃんを確認しますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/10引値)
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.050
国庫短期証券1242 2025/01/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.005
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.040

ということですが、

(10/9引値)
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.050
国庫短期証券1242 2025/01/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.005
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.050
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.050

ということでして、1262ってのが新発WIな訳でして、昨日の引値のところで新発WIを1毛強くしている時点でやる気(あるいはころす気)満々という恐ろしいことになっておりまして、まあどういうことになるんだか、という感じなのですけど、短国がこの有様ですので、昨日の5年国って調整していると言ったって2回利上げしただけで逆ザヤになる金利水準でしかないとか、とにかく短国潰れる→2年の金利が上がらん(というか0.5%に全然届かないとかいう恐ろしい水準)→中期の金利が上がらん、ということで波及している訳で、何が「長期金利の形成を市場に委ねる」だ寝言は寝て言えという感想しかわかないのですが、まあ今日の12時30分は短国の落札結果を見て呆れて頂くことを推奨いたしますorzorz


〇生活意識アンケート:インフレ期待定着にしか見えませんが・・・・・

https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2410.htm(概要)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2410.pdf(全文)
「生活意識に関するアンケート調査」(第99回<2024年9月調査>)の結果

ということで全文の方から引用しますが、

・景況感とかそのあたりの内容は基本的に悪くないですね

例えば『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』ですが、

『1-1-1. 景況感

景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少したものの、「悪くなった」との回答も減少したことから、景況感D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「良くなる」との回答が減少したものの、「悪くなる」との回答も減少したことから、景況感D.I.は改善した。』

とか、

『現在の景気水準は、『良い』(注1)との回答が横ばいとなり、『悪い』(注2)との回答が減少した。』

となっていて、

『-1-2. 景況判断の根拠

景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」といった回答が多かった。』

あらあら皆さん収入が増えてらっしゃるの(というか増えてなかったらこの物価でエライコッチャ)ということで、実質賃金下がっていても名目上がっていると何となく名目の数字に幻惑される、という名目マジックが効いているようですな、結構なことと言えば結構なこと。

そんなこんなで『1-2. 暮らし向き、消費意識』に飛びますと、

『1-2-1. 現在の暮らし向き

現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が増加し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した。』

マジかワイの(以下略)というとことですが、こちらもまあ名目マジックで、

『1-2-2. 収入・支出

収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加し、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.は改善した。先行き(1年後)については、「増える」との回答が減少したものの、「減る」との回答も減少したことから、1年後の収入D.I.は改善した。』

そらこの物価で先行き減るのはちょっと。

『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が縮小した。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が減少したものの、「減らす」との回答も減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』

単に減らしようがないだけ説もありますがまあ選択的消費をすれば何とかって感じですかね。

『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「日用品(洗剤、雑貨等)」、「自動車(ガソリン等、維持費用は含まない)」が多かった。』

わかるわかる。

『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』

そらそうよ(じっと手を見る)。

『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。

商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「長く使える」といった回答が多かった。』

これ明るい話としては、ここの「安全性が高い」という回答とか、「信頼性が高い」って回答が増えてくるときって割と消費が明るいときにそういう傾向があるように思える次第でして、もちろんこのワイがちゃんと分析している訳ではないですが(威張るなやw)「価格が安い」ってのが増加傾向にある時はだいたい消費が暗めの時って感じでこの数字見ていますので、実際にはもちろんきちんと分析すれば傾向はつかめるんでしょうけれども、イメージとしてはまあそんな感じという所であります。

なもんで、

『1-2-3. 雇用環境

1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「あまり感じない」との回答が増加し、「かなり感じる」との回答が減少したことから、雇用環境D.I.は改善した。』

ということで、基本的にこの辺全部明るい結果になっている訳でして、金融政策の調整を躊躇するようなネタは見当たらないという結果にしか見えんわけですよ。


・物価に関してはインフレ期待の定着っぽいようにしか見えませんが

ということでみんな大好き『1-3. 物価に対する実感』ですな。

『1-3-1. 現在の物価

現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。

1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+14.5%(前回:+15.7%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』

まあこの数字はCPIなどの数値よりもクソ高く出てくるのは仕様なので数値自体はさておきましても、

<1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか>

24/ 3月 平均値 +14.2 %  中央値 +10.0 %
24/ 6月 平均値 +15.7 %  中央値 +10.0 %
24/ 9月 平均値 +14.5 %  中央値 +10.0 %

って推移していますし、先行き見通しでも

『1-3-2. 1年後の物価

1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台半ばとなった。

1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+10.0%(前回:+11.5%)、中央値は+8.0%(前回:+10.0%)となった。』

下がったように見えますけど

<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか>

24/ 3月 平均値 + 9.4 %  中央値 + 5.0 %
24/ 6月 平均値 +11.5 %  中央値 +10.0 %
24/ 9月 平均値 +10.0 %  中央値 + 8.0 %

ということで、そもそも6月調査の数字がクソ高すぎで、6月調査って5/9〜6/4に実施しておりますので、まさに円安がホットイシューになっていた時、ということですから円安阻止はいいことでしたわってな話でもありますわな、今回生活実感に関わる数値改善しているんだし。

でもって1年よりも重要扱いになっている5年に行きますけど、

『1-3-3. 5年後の物価

5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台前半となった。これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+7.9%(前回+8.7%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』

ほうほう。

<5年後の物価は現在と比べ毎年平均何%程度変化すると思うか>

24/ 3月 平均値 + 7.5 % 中央値 + 5.0 %
24/ 6月 平均値 + 8.7 % 中央値 + 5.0 %
24/ 9月 平均値 + 7.9 % 中央値 + 5.0 %

いやー安定していますなあ、ということでこれまた何で金融政策の調整を躊躇するのかさっぱり分からん、という良い内容になっておりましたなというお話でしたが、どうせ日銀大本営は政策調整しようとした時だけこのアンケート結果をチェリーピッキングしてくるのが仕様なので、これが出たからどうなのかと言われると中々何ともという所ではあるんですけどね。


〇企業物価指数ェ・・・・・・(メモ)

https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2409.pdf
企 業 物 価 指 数(2024年9月速報)

『国内企業物価指数は、前月比0.0%(前年比+2.8%)。
輸出物価指数は、契約通貨ベースで前月比▲0.4%、円ベースで同▲1.7%(前年比▲1.0%)。
輸入物価指数は、契約通貨ベースで前月比▲1.3%、円ベースで同▲2.9%(前年比▲2.6%)。』

どう見てもホームメードインフレです、というのはさすがに短絡的ですが、

『(前月比で上昇・下落した主な類別・品目)

農林水産物 0.32 % 精米、玄米、鶏卵』

・・・・これは泣きますが、泣いている場合でもなくて、なんだかんだ言ってコメ価格があんまりここまで上がってこなかったのでそうは言ってもしんどくなかったという面が多々あると思うのですが、コメ価格上がって来て(自然要因もそうですけどそれまで上がっていなかった分もあるので仕方ないとは思いますが)生活実感的に響くじゃろ、と思う訳ですが、まあたまたま石破政権も「デフレ脱却」とか寝言言って矢面に勝手に立ってくれそうだから助かっているものの、「物価の安定は日銀の役割なのできちんとやっていただくことを期待」とか言って日銀に丸投げくらっていた日には日銀が矢面に立つ時間帯になるわけですし、コメ価格上昇って結構ここからインフレ批判の文脈では効いてくると思うので、日銀大本営もあんまり能天気に「基調的物価が2%行ってないので金融緩和」とか言ってる場合じゃないと思うのですけどね(主食がコメの個人の感想です)。


〇まあゆうて日銀よりもFEDみとけという風潮でFOMC議事要旨ネタの続き

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240918.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20240918.pdf

Minutes of the Federal Open Market Committee
September 17-18, 2024

昨日はインスタント読みで政策決定と先行き運営のところだけ見ましたが、経済物価情勢の認識はどうですかという話で『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の2パラ(1パラは「SEP作ったよ」というパラなので割愛)からサラサラと確認します。

・物価にの現状認識がフラグかと思う位に自信満々モード

2パラから暫く物価の話。

『In their discussion of inflation developments, participants observed that inflation remained somewhat elevated, but almost all participants judged that recent monthly readings had been consistent with inflation returning sustainably to 2 percent』

まだ水準はちょっと高いけど順調に2%に向かって進んでいますよ、とほとんど全員が認識、という出オチのような書き出しから始まりまして、

『Some participants commented that, though food and energy prices had played an important part in the decline in the overall inflation rate, slower rates of price increases had become more evident across a broad range of goods and services.』

物価鎮静化に大きく寄与している食糧エネルギー以外でも幅広い財、サービス価格においてインフレ圧力が低下しているのがよりしっかりと判明してきている、と数名が指摘。

『Notably, core goods prices had declined in recent months, and the rate of increase in core nonhousing services prices had moved down further.』

特にコアの財とコアの非住宅系サービス価格に表れている、だそうです。

『Many participants remarked that the recent inflation data were consistent with reports received from business contacts, who had indicated that their pricing power was limited or diminishing and that consumers were increasingly seeking discounts.』

多くの人が企業の価格設定パワーが落ちてきていることを指摘。

『Many participants also observed that inflation developments in the second and third quarters of 2024 suggested that the stronger-than-anticipated inflation readings in the first quarter had been only a temporary interruption of progress toward 2 percent.』

さらに多くの人は最近の物価の動きを見るに今年1Qに物価が強かったのはあれはテンポラリーであった、ということで、なんか物価鎮静化にクッソ自信満々なんですけどこれは何かのフラグでございましょうかwwww

『Participants remarked that even though the rate of increase in housing services prices had slowed, these prices were continuing to rise at an elevated rate, in contrast to many other core prices.』

住宅サービス価格は強いという指摘が最後にあるけど、このパラはフラグちゃんかという位に物価の落ち着きの話を連呼していますね。


・物価の先行きもフラグを疑ってしまう位にインフレ鎮静化自信モード(じゃなかったら利下げしませんけど)

次のパラ行きますと先行き見通しの話になるのですが、

『With regard to the outlook for inflation, almost all participants indicated they had gained greater confidence that inflation was moving sustainably toward 2 percent』

グレーターコンフィデンス来ました。

『Participants cited various factors that were likely to put continuing downward pressure on inflation. These included a further modest slowing in real GDP growth, in part due to the Committee's restrictive monetary policy stance; well-anchored inflation expectations; waning pricing power; increases in productivity; and a softening in world commodity prices.』

物価鎮静化の見落としがなんかもう自信満々すぎてフラグ建築以下同文w

『Several participants noted that nominal wage growth was continuing to slow, with a few participants citing signs that it was set to decline further. These signs included lower rates of increases in cyclically sensitive wages and data indicating that job switchers were no longer receiving a wage premium over other employees.』

お賃金方面からのインフレ鎮静化という指摘が来まして、

『A couple of participants remarked that, with wages being a relatively large portion of business costs in the services sector, that sector's disinflation process would be particularly assisted by slower nominal wage growth. In addition, several participants observed that, with supply and demand in the labor market roughly in balance, wage increases were unlikely to be a source of general inflation pressures in the near future.』

お賃金の上昇圧力の軽減によってサービス価格にも物価鎮静化の動きが想定されますと2名が指摘し、

『With regard to housing services prices, some participants suggested that a more rapid disinflationary trend might emerge fairly soon, reflecting the slower pace of rent increases faced by new tenants. 』

住宅サービス価格に関しても今後間もなく沈静化するでしょう、という見通しを出している参加者も数名おいでです。ということで何か知らんが先行きもフラグちゃんとしか思えないこの物価鎮静化自信ニキネキ。

『Participants emphasized that inflation remained somewhat elevated and that they were strongly committed to returning inflation to the Committee's 2 percent objective.』

まあ最後のは悪魔払いの呪文みたいなもんなので気にしなくてよろしい。


・労働市場に関しては現状が既にマンデート状態(過熱解消)という認識ですね

次が労働市場で、

『Participants noted that labor market conditions had eased further in recent months and that, after being overheated in recent years, the labor market was now less tight than it had been just before the pandemic.』

労働市場の需給は緩和してきて、パンデミックの直前よりも若干緩和されているんでネーノということのようです。

『As evidence, participants cited the slowdown in payroll employment growth and the uptick in the unemployment rate in the two employment reports received since the Committee's July meeting, lower readings on hiring and job vacancies, reduced quits and job-finding rates, and widespread reports from business contacts of less difficulty in hiring workers.』

ここの説明hは「先ほどの認識はこのような指標に表れている」って話ですな。

『Some participants highlighted the fact that the unemployment rate had risen notably, on net, since April 2023. Participants noted, however, that labor market conditions remained solid, as layoffs had been limited and initial claims for unemployment insurance benefits had stayed low. Some participants stressed that, rather than using layoffs to lower their demand for labor, businesses had instead been taking steps such as posting fewer openings, reducing hours, or making use of attrition. A few participants suggested that firms remained reluctant to lay off workers after having difficulty obtaining employees earlier in the post-pandemic period.』

この辺は失業率が上がっているという話から、そうは言ってもまだ労働市場の状況はソリッドですよ、って認識からレイオフの少なさ、新規失業保険申請の少なさという話になって、じゃあ何で企業がレイオフ減らしているのかという話(労働力の保持のためだったりする)になっていますな。

『Some participants remarked that the recent pace of payroll increases had fallen short of what was required to keep the unemployment rate stable on a sustained basis, assuming a constant labor force participation rate. 』

『Many participants observed that the evaluation of labor market developments had been challenging, with increased immigration, revisions to reported payroll data, and possible changes in the underlying growth rate of productivity cited as complicating factors. 』

『Several participants emphasized the importance of continuing to use disaggregated data or information provided by business contacts as a check on readings on labor market conditions obtained from aggregate data. Participants agreed that labor market conditions were at, or close to, those consistent with the Committee's longer-run goal of maximum employment.』

ふと気が付くと時間が無くなって来たのでいきなり流しますけど、労働市場のデータに関しては構造変化なども受けて結構解釈するのが難しいね、というような話が最後の方に来ておりますが、結論としては現在の労働市場がおおむね「最大雇用」というFEDのマンデートに一致している、という認識です。

でもって先行きは、現状認識がマンデートに一致なので、

『With regard to the outlook for the labor market, participants noted that further cooling did not appear to be needed to help bring inflation back to 2 percent.』

これ以上の労働市場の弱まりは物価2%達成には必要ないです、という話になって、

『Participants indicated that in their baseline economic outlooks, which included an appropriate recalibration of the Committee's monetary policy stance, the labor market would remain solid. Participants agreed that labor market indicators merited close monitoring, with some noting that as conditions in the labor market have eased, the risk had increased that continued easing could transition to a more serious deterioration.』

経済は堅調で労働市場も堅調、という見通しではありますが、これ以上経済を冷却させてしまうのはイクナイ、という話になっておりまして(まあだから利下げしているんですけど)そういうことやでって話ですね。

つまり、労働市場は既にマンデート達成してて、あとは物価がちょこっと下がればよろしという軟着陸にも程がある見通し、ホンマカイナという気もしますがそういう認識を示している、ということだと思います。

あと2つパラがありますが(経済全般の話とリスク要因)まあこの辺まで読んでおけば基本線はOKということにして、単に時間が足りなくなっただけなのですがここで勘弁してつかあさい。





2024/10/10

お題「6M短国・・・・/FOMC議事要旨インスタント読みですが盛大な利下げの観測を消しにかかっているのは把握した」

あらあらまあまあ
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate

USDJPY=X
直近の取引 149.31
変化 1.12
変化% +0.75%
2024年10月10日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています

〇6MTDBェ・・・・・・・・・

まあそうでしょうねって結果ですけど
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241009.htm
国庫短期証券(第1261回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1261回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。


1.名称及び記号  国庫短期証券(第1261回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日       令和6年10月10日
4.償還期限      令和7年4月10日

5.価格競争入札について
(1)応募額 8兆9,785億円
(2)募入決定額    2兆7,939億8,000万円
(3)募入最低価格   99円95銭7厘
(募入最高利回り)    (0.0862%)
(4)募入最低価格における案分比率  52.0891%
(5)募入平均価格    99円96銭5厘
(募入平均利回り)    (0.0702%)』

Oh・・・・・・・・・・・

ということで平均が0.0702%とかいうナンジャソラレートでして、どのくらいナンジャソラレートかと言いますと、0.25%への利上げが実施されて以降6Mって3回入札があったわけですが、

今回:0.0702%/0.0862%
9月:0.0867%/0.0907%
8月:0.0948%/0.1109%

とかなっていまして、利上げ前の7月は

7月:0.0396%/0.0476%

なんで利上げ前の方が金利低いと思いきや、その前の6Mは

6月:0.0858%/0.0877%
5月:0.0789%/0.0947%
4月:0.0418%/0.0438%

なのでありまして、マイナス金利解除後に3Mの入札がプラスになったのが4月の3日とかの入札なので4月の6Mはまだ低かったんですけど、何なら直近ってマイナス金利解除して0.25%への利上げがまだ、という時期の6Mよりもレートが低かったりする入札になっている訳で、これはどこからどう見ても市場が変調だし、しかも短期の国債市場ですからちょっと問題と思っていただかないと困るんですけどねえというお話。

そういやしばらく前に債務管理の何とかみたいなのがあった時に、短期のフローター債の発行の検討ってネタがあったのですが、実はそのような話よりも、発行が外為特会の残高によって伸縮してしまう政府短期証券をベースにした状態という短期国債市場をもうちょっと市場として整備する方が急務なんじゃなかろうかとは思う(いやまあ短期フローター出すなという話じゃないんですけど力の入れどころを考えて頂きたく)のですがといういつもの悪態を6Mの4月以降の落札結果つらつら並べてて思いました。

なお売参では
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/9引値)
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.080

ということで、平均よりは甘く、テールよりは強いという引値になっていますな。何ぼなんでも7bpはという所でしょうか。


〇コール市場残高を見ても期末のコールに波乱なしという感じですか

https://www.boj.or.jp/statistics/market/short/call/index.htm
コール市場残高

直近の9月の計数が出てきていまして、こちらエクセルでDLできますのでそれで末残を見ますと

有担保コール(出し手)末残

7月:35,202
8月:37,018
9月:38,592

無担保コール(出し手)末残

7月:76,621
8月:81,634
9月:68,331

期末と言われるタイミングではバランスシート調整のために末残調整があるので、無担保コール取って日銀当座預金に突っ込むプレイが減るから無担コールが減るのは仕様なのですが(そもそも媒介コールじゃなくてDD取引分が集計上出てこないのでこの数字自体もご参考数値ですけど)、気になっていたのは有担保コールの方でして、9月末だからと言って特に残高は落ちなかったのはほほうと思いました。まあこの件に関しては「ほほうと思いました」だけ申し上げてじゃあ何なんですかというお話は割愛させていただきますがw



〇FOMC議事要旨とりあえずインスタント読み:早期のバンバン利下げ観測は消しにかかっていますかね

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240918.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20240918.pdf

Minutes of the Federal Open Market Committee
September 17-18, 2024

『A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, September 17, 2024, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday, September 18, 2024, at 9:00 a.m.1』

ということでインスタント読みをしてみます。引用はHTMLから。例によってインスタントなので政策決定に関するパラグラフだけ今朝は読んでまいります。『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の最後の3パラグラフが該当しますが、3パラと言っても結構長いです「。

・「今回の政策決定」部分ですが、25bpが適当という意見の記述がちょっと長いのがなんかのメッセージですかね

『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants noted that inflation had made further progress toward the Committee's objective but remained somewhat elevated. Almost all participants expressed greater confidence that inflation was moving sustainably toward 2 percent.』

物価の水準はまだ高いが(高くなかったら目標達成だから速やかに中立金利に戻さないといけないから「まだ高い」になるのは理の当然)f「グレーターコンフィデンス」になったわよ、とほとんどすべて(Almost all)の参加者が示しました。

『Participants also observed that recent indicators suggested that economic activity had continued to expand at a solid pace, job gains had slowed, and the unemployment rate had moved up but remained low.』

声明文1パラに書かれる説明方式ですな。

『Almost all participants judged that the risks to achieving the Committee's employment and inflation goals were roughly in balance.』

リスクバランスはバランス。

『In light of the progress on inflation and the balance of risks, all participants agreed that it was appropriate to ease the stance of monetary policy.』

物価の進展とリスクバランスを勘案して「全員が」金融政策スタンスを緩和するのが適切と合意。

『Given the significant progress made since the Committee first set its target range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent, a substantial majority of participants supported lowering the target range for the federal funds rate by 50 basis points to 4-3/4 to 5 percent.』

今の政策金利に引き上げて以降のインフレ鎮静化の「significant progress」を背景にすると、「a substantial majority of participants」というナンジャソラという形容詞があるのですが、これは「かなりの多数の参加者」ってことでよろしいですかね、と思いますが、何はともあれ大勢の方が50下げに賛同したようで、

『These participants generally observed that such a recalibration of the stance of monetary policy would begin to bring it into better alignment with recent indicators of inflation and the labor market. They also emphasized that such a move would help sustain the strength in the economy and the labor market while continuing to promote progress on inflation, and would reflect the balance of risks.』

経済物価などにもこの利下げは良い効果だそうで(そりゃそういうわな)。

『Some participants noted that there had been a plausible case for a 25 basis point rate cut at the previous meeting and that data over the intermeeting period had provided further evidence that inflation was on a sustainable path toward 2 percent while the labor market continued to cool.』

何人かは前回25bp利下げが適切と言ってて、でもってこの間の進展を見るにさらなるエビデンスが確認できましたよね、という認識。

『However, noting that inflation was still somewhat elevated while economic growth remained solid and unemployment remained low, some participants observed that they would have preferred a 25 basis point reduction of the target range at this meeting, and a few others indicated that they could have supported such a decision.』

何かここの表現も微妙に妙な感じの書き方になっているのですが、まだ物価も高いし雇用も強いし経済も堅調なので今回の利下げは25の方が良い、という some participantsがいる、というのは良いんですけど、その後半に、「a few others indicated that they could have supported such a decision.」ってあって、何でこれ同じカテゴリにしないで、「数名が25bpの利下げが望ましいと言ったら他の何人かがその意見に賛同した」って妙な言い方になっているのかな、という違和感があるのですが、ワシ英米人ではないのでこの辺のニュアンスは正直ワカランチ会長。

以下の部分で「何で25bpの方が望ましいか」という意見が示されているので、その流れなのかもしれませんけれども・・・・・・・・

『Several participants noted that a 25 basis point reduction would be in line with a gradual path of policy normalization that would allow policymakers time to assess the degree of policy restrictiveness as the economy evolved.』

25bpの利下げの方が「先行きの中立金利化をグラデュアルに行うという方針にインラインである。

『A few participants also added that a 25 basis point move could signal a more predictable path of policy normalization.』

25bpの利下げで十分に「今後政策が中立金利に向かいます」ってメッセージになる。

などという意見が示されていまして、まあこの議事要旨ってやや「後付けで都合の良い部分をクローズアップする」という傾向があるので、この辺って「そうホイホイと利下げを急ぐわけじゃないですもんねえ」というFEDの現時点での市場へのメッセージだと思うと吉なんじゃないかな、とは思いました(個人の感想ですけど)。

『A few participants remarked that the overall path of policy normalization, rather than the specific amount of initial easing at this meeting, would be more important in determining the degree of policy restriction.』

初回の利下げ幅うんぬんよりも方向性の話なんじゃないか、とさっきの意見に反論がありまして、

『Participants judged that it was appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings.』

最後は資産買入縮小の話(継続)で締めています。


・先行き政策パスの話の中でも「そんなにバンバン急いで利下げするわけじゃないよ」な表現が目立つ

次のパラグラフは先行きの金融政策運営。

『In discussing the outlook for monetary policy, participants anticipated that if the data came in about as expected, with inflation moving down sustainably to 2 percent and the economy near maximum employment, it would likely be appropriate to move toward a more neutral stance of policy over time.』

仮定法使ってますが今後も物価2%に向かって進むならさらに利下げをしまっせと。

『Participants emphasized that it was important to communicate that the recalibration of the stance of policy at this meeting should not be interpreted as evidence of a less favorable economic outlook or as a signal that the pace of policy easing would be more rapid than participants' assessments of the appropriate path.』

じゃあ50下げるなよとは思いますが、「今回の50利下げに関して、FEDは経済の先行きにクソ弱気、とかFEDはものすごい勢いで金利を下げようとしている、とミスリードされないようにコミュニケーションを行う必要がある」などとのたまっています。

『Those who commented on the degree of restrictiveness of monetary policy observed that they believed it to be restrictive, though they expressed a range of views about the degree of restrictiveness.』

特にものすごい勢いの利下げと思われるべきではないと主張する人たちは、金融政策に関しては引き続き引き締め的であるべきと、その人によって度合いは違いますが主張しているそうな。

『Participants generally remarked on the importance of communicating that the Committee's monetary policy decisions are conditional on the evolution of the economy and the implications for the economic outlook and balance of risks and therefore not on a preset course.』

FOMCの金融政策決定は「コンディショナル」でその時の状況によって判断しており、プリセットコースはない、というのをよくコミュニケーションすべき、という話になっているんですが、だったらお前らドットチャート出すのいい加減に止めろやと思います。

それはともかくとして、先行きの金融政策の話、ここまで見ると「別にじゃんじゃん利下げするわけじゃないもんねー」というメッセージにこちらも見えてしまうのは気のせいでしょうかどうでしょうかねえ。

『Several participants discussed the importance of communicating that the ongoing reduction in the Federal Reserve's balance sheet could continue for some time even as the Committee reduced its target range for the federal funds rate.』

先行き政策の最後のところに資産買入の縮小に関する今後の話もした方がエエンチャウノというコメントが入りこのコーナー修了。


・利下げのペースは遅すぎイクナイ派と早すぎイクナイ派で拮抗って感じの書き方ですかねえ

最終パラはリスクマネジメントアプローチの観点から、って奴で。

『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook for monetary policy, almost all participants agreed that the upside risks to inflation had diminished, and most remarked that the downside risks to employment had increased.』

全員がインフレ上振れリスクは消えて、多くの参加者は雇用のダウンサイドリスクが高まった、って指摘。

『Some participants emphasized that reducing policy restraint too late or too little could risk unduly weakening economic activity and employment. A few participants highlighted in particular the costs and challenges of addressing such a weakening once it is fully under way. 』

ということで数名の参加者は利下げの遅れや少なさは経済をこけさせるリスクを高めるとか、他にも経済がガチで弱まってからの対処をするのはコストが余計に掛かるという指摘もありまして、

『Several participants remarked that reducing policy restraint too soon or too much could risk a stalling or a reversal of the progress on inflation. Some participants noted that uncertainties concerning the level of the longer-term neutral rate of interest complicated the assessment of the degree of restrictiveness of policy and, in their view, made it appropriate to reduce policy restraint gradually.』

一方でこっちは対処が速すぎた場合には物価上昇再燃するリスクあるという指摘の他に、そもそも中立金利の水準自体が決め打ちできない状況なので、利下げに関しては慎重に行った方が(うっかり下げ過ぎないという文脈ですよねこれは)良いという意見があって、ここでこの部分は終わっています。


ということで、まあとりあえず速成インスタント読みの結果としては「利下げはお前らがヒャッハー言ってるほど急がねえんじゃもっと頭冷やせ(利下げしないとは言っていない)」という感じに思えましたがどうでしょうかね。






2024/10/09

お題「石破政権の金融政策の話は日々迷走/短国6M入札がありますな/野口審議委員金懇の長国買入の理屈が驚愕の意味不明」

はい
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241009/k10014604681000.html
衆議院 きょう解散へ 各党は事実上の選挙戦に
2024年10月9日 5時00分

〇しかし大丈夫ですかこのおしゃべりさん(石破政権迷走編)

お前は何を言ってるんだ
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/YSJQ5VG7CVLXJA4OGZV456R56Y-2024-10-08/
0.25%は実質マイナス金利、日銀の判断信じる=赤沢経済再生相
By 竹本能文
2024年10月8日午後 8:07 GMT+9

『[東京 8日 ロイター] - 赤沢亮正経済再生相は8日、報道各社とのインタビューで、現在の日銀の政策金利0.25%は、物価上昇を考慮した実質ベースではマイナスで十分緩和的だとした上で、今後の日銀の政策運営について「日銀の判断を信じている」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)

は???って感じですが、また「日銀の判断を信じている」ってなにそのメンヘル童話みたいな言い回しというのも何ともアレですが。

『赤沢再生相は、デフレ脱却宣言まで日銀の追加利上げを認めないのか、経済状況に配慮した緩やかな利上げなら認めるのか、との質問に対して「後者だ」と回答した。』

この前の利上げダメ発言は何だったのかという話ですが、まあ円安になったのも石破ショックと一部報道で揶揄されていて、さすがにマズイと思ったのでしょうけれども、根がおしゃべりで大臣になって舞い上がっておられる(個人の印象です)せいかおしゃべりは止まらないというのが中々悲しくて、これは生兵法を振り回してそこらじゅうを傷つけてしまうお方のようですので珍獣観察的な意味では目が離せなくなりそう。

まあ親分の石破さんも昨日は
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/HJGXORFFNRJY3JEE7H7U7FAXJQ-2024-10-08/
金融政策は日銀に委ねられる、政策趣旨の丁寧な説明を期待=石破首相
By 竹本能文
2024年10月8日午後 2:54 GMT+9

『[東京 8日 ロイター] - 石破茂首相は8日、金融政策について、具体的な手法は日銀に委ねられるとの見方を改めて示した上で、「(日銀には)政策趣旨の丁寧な説明を期待する」と述べた。午後の参院本会議で、浅田均議員(日本維新の会・教育無償化を実現する会)の質問に答えた。』(上記URL先より、以下同様)

とかいうことになっていまして、最初の植田総裁との会談の後のコメントは何だったのかと小一時間なのですが、まあ個人の勝手な妄想を言わせてもらえば、石破さんちゃんと市場とか金融政策分かっているブレーンがいない(それ言い出したら高市さんなんてもっと悪いけどw)んでネーノと思ってしまう訳ですが、初動でこれだけやらかしてしまいますと、どっかの組織とかに知恵袋だしてくれって頼んだってどこもエースは出してくれなくなりますし、益々ヤバいことになるんですよね。いやもうなんだかねという所で。

しかしまあ何ですな。

『足元の日本経済はデフレ・インフレのどちらの状態にあるのかとの質問に対しては、「足元は消費者物価指数が緩やかに上昇しておりデフレではないが、再びデフレに戻ることはないと言える状況ではない」と答え、政府としてデフレ脱却に最優先で取り組む方針を繰り返した。』

この「再びデフレに戻ることはないと言える状況ではない」ってのさっき引用割愛しましたけれども赤澤さんも言ってますし、そもそも論としてしばらく前から政府が言い出して居ますけど、誰だよこの頭の悪いフレーズ考えたのはって話で、そんなの「経済がデフレに戻ることはない」なんて未来永劫言い切れないことなのに、この説明で堂々と押し通してしまうところに知性の劣化を感じざるを得ないので、もうちょっとまともな物の言い方をしてほしいのですが、それ以前にヘッドラインの物価が3%上昇とかいうのを2年とかやっていたような状況を捕まえて今更デフレがどうしたとかいうのが頭おかしいんですが、変な詭弁ばっかり上手くなっているのは黒田緩和の特に末期に日銀が詭弁を乱発しているのも何らかの影響があるんじゃないかって思ってしまいます。

でもってこの石破さんの「(日銀には)政策趣旨の丁寧な説明を期待する」ってのがこれまた頭の痛いところで、今の状況って植田総裁(および大本営)は自分たちが丁寧な説明を行っている、と信じている(その意味では善意の塊)のですが、実際にやっていることは説明の度にその時の説明に都合のよい要素をフレームアップして先行きの政策に関してスタンスがブレブレになる、というのを繰り返している訳で、「無能な働き者」を絵にかいたような説明しているんですが、石破さんなどにこう言われますと益々日銀が「働き者」を加速する未来しか見えませんな、ナムナム。

というただの悪態でした。

〇3Mカレント短国の引値はとりあえずプラテン+今日は6M入札+特会レートにみる利上げ観測後退

売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/8引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.004

ということで、昨日までカレント3Mマイナスだったのですがやっと0.4bpの引けになりました、とか言って喜んでいる場合でもなくて、そもそも論として言えば3Mカレントの短国ってマイナス金利解除後も(期末要因もあったと思いますが)マイナス推移していて、4/3に期初一発目の3Mの平均落札がプラス圏になってやっとプラスに戻ったんですよね。でもって半年かけてその間政策金利が0.25%になっているというのに元の木阿弥レートに戻っているんですから世話はない、というかこれ問題と思わない方が問題なんですけどその悪態は55回くらいは言っているので以下割愛。

でもって今日は6Mがあるんですけど売参ちゃんの方では

(10/8引値)
国庫短期証券1261 2025/04/10 平均値単利 0.085

来年4月償還で8.5bpって利上げ観測もへったくれもない(そもそも翌日物金利は0金利ではなくて0.25%なんですが)のですが、さらにアレなのは前日の売参が9bpだったのが昨日8.5bpに金利低下という最近流行りの「入札前日の引値を強くするムーブ」になっていることでして(恐)、6Mって基本的にニーズが偏りやすい事を考えると何かもうねという感じですが、さて何ぼになるのやらというお話ではあります。

なお激しく失念していましたが、月初に交付税借入6Mが2発ありまして、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241001.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和6年10月1日入札)

10/11-4/11で平均0.274%、足切り0.294%

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result241003.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の入札結果(令和6年10月3日入札)

10/17-4/15で平均0.274%、足切り0.285%

ということで、中1日置いたら足切りレートがさがっている、というのが中々のおそロシアですし、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/energy-result240910.htm
エネルギー対策特別会計の借入金の入札結果(令和6年9月10日入札)

こちらは1年物なので比較するのに多少計算が必要ですが、この時の落札結果を仮に1/27の利上げ確率、という意味で計算すると、手前を0.25%で置くと後ろの換算フォワードが0.424%になって、いや1回も利上げおりこんでないやんとはなるのですが、(フォワードは平均落札の0.363%から計算)先週2回目の交付税特会の平均落札利回りで計算しますと、手前の金利が0.25%で1月会合以降のフォワードを単純計算すると後ろの金利が0.305%にしかなっていなくて、1月利上げでもあんまり織り込んでいない(3月で区切りにすると0.4%台になるけど)という中々悲しいことになっております。

ということで、特会借入の金利も下がっているのですが、短国の金利の方の下げっぷりの方がアレということで、誠に頭がくらくらするわけでして、9月決定会合は日銀がどう思おうと、市場(しかも為替とか株だけではなく足元のインターバンクでも)からはハトハトチキン節炸裂という扱いになっていたというのが見て取れるかと思います、いやはやなんとも。


〇野口審議委員金懇ネタ遅くなりました(なお今日でも終わらん模様)

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241003a.htm
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
長崎県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭

金懇挨拶の中の長期国債買入に関する謎にもほどがある説明のところで中断しておりましたので再開します。

・アホみたいな買入を継続しておいて何が「長期金利の形成は市場に委ねる」じゃ

『3.金融政策』の『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』ですな。その前の部分で驚愕の『つまり、この政策手段の観点からは、大規模金融緩和からの出口は既に終了しているといえるのです。』という説明があった直後からになります。

『日本銀行は7月の政策決定会合で、市場参加者との意見交換も踏まえ、2026年3月までの長期国債買入れ減額計画を決定しました(図表10)。その基本理念は、「予見可能性と柔軟性の両立」にあります。』

そもそも基本理念が頭おかしくて、基本理念は「長期国債の大量買入れを止める」だろうがアホなのかとしか言いようが無いんですよね。次。

『この予見可能性は、「月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4千億円程度ずつ減額する」という計画そのものに具現化されています。』

この後が酷くて、

『これは、長期金利の形成が市場に委ねられた以上、今後は政策的な意図による国債買入れの増減は生じないことを意味します。』

そもそもが長期金利をゼロ近傍(最後の時点では許容上限が1%くらいだしストリクトな上限ではない、になっていましたが)にするために実施していた長期国債の買入の規模を碌すっぽ減らさないのに「長期金利の形成が市場に委ねられた」ってのが理屈としてちゃんちゃらおかしいわけでして、往年のロシア帝国の農奴解放みたいなお題目だけで実態が伴わない(むしろ状況が悪化する)ことしてるんじゃねえよというお話。まあ減額すると大変だ―とかのたまう政策依存ジャンキーが市場にそれなりにいるのも問題なんですけどね。

『他方で、市場急変時には買入れ額を機動的に変更するといった部分では、その計画には一定の柔軟性も担保されています。それは、市場の回復が重要とはいっても、それがむしろ市場の攪乱を助長あるいは放置する結果になっては無意味だからです。』

固定相場から変動相場に移行する際にはリプライシングが起こるのが当たり前なのですが、そらまあ馬鹿みたいに急落されたら困るとかいうのは気分としてはわかるのですが、結局日銀のやってることは馬鹿みたいな急落を危惧しているといいつつガリガリの市場抑圧を継続しているのでして、もうねって感じなのですが、この先もなんか酷くて・・・・・

・バランスシートの減額に時間がかかるから大規模国債買入は長期化するという無茶苦茶な説明いただきました

『今回の計画のもう一つの注意点は、その暫定性にあります。』

とりあえず買入の減額がそこまで積極的ではないけどこれは暫定的、とでもいうのかと思えばさにあらずで以下驚愕の説明が展開されます。

『それは、わが国における中央銀行バランスシートの最適な規模を現時点で確定することが困難なためです。』

で??

『その規模がどの程度であれ、わが国の場合には、2026年3月までにそこに到達する可能性はほぼありません。』

そら今まで買った長期国債の満期到来時期を考えたらそうなるわな(また集計しないと)、という話なのですが、この次にすさまじく謎な理屈が繰り出されてきます。

『そのため、今回の計画は必然的に、それ以降の延長を視野に入れた暫定的なのものとなります。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・( ゚д゚;)

いやちょっと待てなんだよその理屈。

そもそも論として適正なバランスシートの規模に縮小するのに今の時点で時間がかなりかかるという認識だったら、バランスシート縮小をドチャクソ遅らせる大量の長期国債買入は早急に是正されるべきなのに、何で2年後にもさらに延長する気満々の説明になるんだよという話で、野口さんオリジナルなのか大本営謹製屁理屈なのか、大本営の説明を聞いて野口さんが生兵法振り回しているのか分からんですけど、説明が根本的に意味不明でして、いやそういう人たちに長期国債買入の決定とかさせているのかと思うと頭痛いわけです。

でまあそういう話なので、

『上述のように、「潤沢な準備預金」を前提とした現在の政策レジームでは、仮に日本銀行のバランスシートが現状のままであったとしても、政策運営には何ら制約や障害は生じません。』

しとるわヴォケというのは散々悪態をついております通りですが、同じように長期国債を大量に買い入れているのに、方やYCCでござるだったのが急に市場の金利形成が自由に進むとか言ってるのもう無茶苦茶なんですが、

『したがって、バランスシートの縮小は十分な時間をかけて慎重に進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましいといえます。』

という意味くじわからん説明で長期国債買入の話が締められているのですが、いやまじめな話こんな理屈を繰り広げる人と政策決定するのってワイならその場で物投げて暴れだしそうですわ(だからお前は出世しないという声が大向こうからかかって来そうですが聞かなかったことにするwww)いやマジでなんなのこの理屈・・・・・

ということで本当は今日でシリーズ終わる予定が全然終わらず延長戦に突入でござる(話の展開上時間がどう見ても足りなくなりそうなので今朝はこの部分だけとか簡単で恐縮ですが勘弁してつかあさい)







2024/10/08

お題「さくらレポート:企業の賃金価格設定がどう見てもインフレモード/いつもの短国雑談」

ほうほうそうさすかそうですか

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-07/SKZ9W7T0AFB400
10年物米国債利回り、8月以来の4%記録−雇用統計で見通し再考
Alice Gledhill、James Hirai
2024年10月7日 17:58 JST 更新日時 2024年10月7日 20:29 JST


〇短観に続いてさくらレポートでも企業行動のインフレモードが示されているように見えますが・・・・

さくらレポート全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer241007.pdf

各地域からみた景気の現状
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rera241007.pdf

この形式になってからずーーーーっと疑問何ですが、わざわざ「各地域から見た景気の現状」って分冊にする意味がよくわからなくて、本文にそのまま入れておけばいいだけじゃん、と思うのですが結局わざわざ分けた意味が良くワカランチ会長。

まあそれはともかくとして、各地域から見た景気の現状、のほうでは、

(URL再掲)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rera241007.pdf

『雇用・賃金面では、来年度の賃金設定について、構造的な人手不足のもと、最低賃金の引き上げもあって、賃上げを続けていく必要があるとの認識が企業の間で広がっているとの報告が多かった。』

ほうほう。

『また、その後も継続的な賃上げが必要になるとの考えから、その原資の確保に向けて、価格転嫁の実施・検討のほか、生産性向上のための投資強化や事業見直し、M&Aの動き等が喚起されてきていることが紹介された。』

ほうほうほうほう。

『ただし、中小企業を中心に、収益面の厳しさを指摘する企業の声は引き続き聞かれており、今後も注意してみていく必要があるとの指摘があった。』

まあでもこれって「価格が上昇する世界」によって発生するダイナミクスとしては甘受しないといけない話なんで、当事者としてはたまったもんじゃないのは重々承知する(ワイだってもう棺桶に片足突っ込んでいるようなもんだからウカウカしているとダイナミクスの波で沈んでしまう方の人ですからぬー)のですが、それは「マイルドインフレレジームの社会」のためにはコストとして割り切る話ですよね。まあ同じ理屈で利上げの時に住宅ローンガーとかゼロゼロ融資の債務負担で苦労している人ガーとか総裁会見で突っ込んでいるメディアはお前は何を言ってるんだという感想しか起きませんが。

すいません話が脱線しました。次行きます。

『企業の価格設定面では、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の動きは一段と緩やかになっているほか、消費者の節約志向の影響が引き続きみられるもとで、値上げの抑制や一部商品の値下げ、低価格の品揃え強化などの動きも増えてきているとの報告があった。』

普通に強いでやんすねえ。

『賃上げ原資の確保に向けた人件費の価格転嫁については、なお難しいとする企業の声はあるものの、サービス業などで、価格設定面での工夫などを図りながら転嫁を実施・検討する動きが引き続き広がっているほか、製造業についても、政府による後押しなどもあって、価格転嫁が進めやすい環境になってきているとの報告が多かった。』

しかしこの報告のダイジェスト版、ちょいちょい政府施策へのヨイショが入っていて、まあ日銀が何見て政策運営しているのか、ってのが支店長レベルにもちゃんと共有されて行ってヨイショコメントが入るんだなあ。と感心してしまいますわオホホホホホ。

というイヤミはともかくとして、こんなんどう見ても企業部門はインフレモード、って話にしかならんじゃないですかあああああというお話。全文の方でも、

(URL再掲)
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer241007.pdf

『(3)企業等の主な声(トピック別)※』を見ますと、さっきのダイジェストの引用の時にかっ飛ばした個人消費からちゃんと見てみますとですね、

『@個人消費(インバウンド需要を含む)』

『・ 8月の宿泊者数は、日向灘における地震発生前の予約段階では前年を上回っていたが、実績は、同地震や台風 10 号によるキャンセルにより前年を下回って着地。もっとも、9月以降の予約は順調に埋まっており、需要は堅調(鹿児島[宿泊])。』

日向灘地震の栄養は一巡したとのことでそれは何よりでした。

『・ 高価格帯店舗ではインバウンド客を含む観光客の需要が旺盛であり、低価格帯店舗では地元客の普段使いの利用が好調(松本[飲食])。』

なるほど。

『・ 学生やファミリー層を中心に過去最高の客数を記録。特に若者の「推し活」需要は旺盛で、グッズなどの販売が好調なもと、客単価も上昇しており、レジャー施設での支出は惜しまない傾向がうかがわれる(本店[対個人サービス])。』

やべえ何でワイの体感と全然違う消費の話ばっかり出てくるんだ(=ワイが特殊事例だからwww)

『・ インバウンドの客数・単価ともにコロナ禍前を大きく上回っており、為替が幾分円高に進む中でも免税売上は好調が続く。国内客も富裕層を中心に堅調であり、株価が大きく変動する場面もあったが消費スタンスに変化はない(札幌[百貨店])。』

威勢が宜しいですな。

『・ ディスカウントストアやドラッグストアなどへの顧客の流出により来店客数が減少しており、消費者の節約志向の強まりを感じる(甲府[スーパー])。』

お、やっとワイの体感に合ったお話が(ソウジャナイ)。

『・ 南海トラフ地震への警戒感が高まり、お盆の帰省需要が減少した一方、水や保存食を中心に防災用品の需要が急増し、今夏の売上は前年を上回った(静岡[小売])。』

なるほど静岡ですもんね・・・・・・

『・ 一部車種の生産・出荷停止が解除されたことで、新車販売は回復傾向をたどっている(高松[自動車販売]<松山>)。』

『・ 消費者の節約志向は根強いものの、例年以上の猛暑によってエアコンの売上が増加。電気代の節約を意識した省エネモデルの売れ行きが好調(福岡[家電販売])。』

何ちゅうかこの威勢の良い話のオンパレード並べるのは何なのということで。

『・ ベア等での所得増加による消費の押し上げ効果をじわじわと感じている。ただし、高齢者比率の高い地域は、それ以外の地域と比べて売上が伸び悩んでいるなど、地域間でばらつきがみられている(北九州[スーパー])。』

「 ベア等での所得増加による消費の押し上げ効果」、「高齢者比率の高い地域は、それ以外の地域と比べて売上が伸び悩んでいる」・・・・・・うう頭が痛いorzorz


『・ 賃上げや夏季賞与の増加を受けて、若年層でも比較的高価格帯の車を購入するケースが増えている(秋田[自動車販売])。』

まじか!という話ですが、まあ将来の所得上昇期待というのがあればそういう昔みたいなことになるのかもですな。威勢の良い話ではあります。

・・・・・・とまあそんな話で消費強いですねのオンパレードなのですが、ここでちょっと時計を巻き戻して6月会合の主な意見を見直しますと

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240614.pdf
6月会合主な意見

『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』を見ますと、このころってやたらと個人消費の事を気にしていた(割には7月に堂々の利上げをした、というのが甚だ意味不明ですがそれはともかく)んですよね。まあ引用するとややこしくなるからワイの6/26の駄文(実は心を入れ替えて過去にさかのぼりながら過去ログを項目別整理を徐々にたっているのでその過程で読み直しをしているんでこれも思い出しましたが)にその辺のことをちょっと書いてあります。

でまあそうやって個人消費をやたら気にしていたはずの日銀ですが(最近は米国経済の下振れガーにゴールポストを動かしていますが)、これだけクソ強い消費の報告を見たら9月会合におけるドテン手のひら返しのハトハト転換は何だったのかという話になるんじゃないですかねえ、と思いました。


でもって日銀が一々言い出す「賃金と価格の好循環(そんなものは本来ないのだが)」ということで、『B雇用、賃金設定』を見ますと、

『・ 給与は同業他社と遜色ない水準にあるが、ネームバリューや執務環境の優れた他社への転職が相次いでおり、人手不足感がますます強まっている(金沢[化学])。』

Oh・・・・・・・

『・ コロナ禍明け以降の観光需要の回復により人手不足が深刻化したことから、採用を強化するため、給与を大幅に引き上げた結果、人材確保が進み、定着率も改善した。今後も積極的な賃上げによる人手の確保・係留を進める方針(函館[宿泊])。』

イイハナシダナー

『・ 新型車向け製品の売上が好調であることに加え、賃上げ原資の確保に向けた価格転嫁も少しずつ進んできたため、2024 年度は約4%の賃上げを行うとともに、夏季賞与も前年より増額した(仙台[非鉄金属])。』

しかし賃上げ原資の確保に向けた価格転嫁ってそれ普通に賃金価格スパイラルじゃんと思うのですが、今の日銀の理屈ではそれを是としているし何なら推奨しているのでシャーナイ。

『・ 人材係留の観点から来年度も持続的な賃上げが必要と考えており、価格転嫁や省人化投資等による生産性向上により原資をねん出する方針(松本[輸送用機械])。』

生産性向上の投資にも表れるとな。

『・ 最低賃金の引き上げを受け、今後も賃上げの継続が必要。利益率の高いプライベートブランド商品の比率を高めるほか 効率化により原資を確保する ( 本 店 [ス ーパー])。』

しかしまあ何ですな、こうやって「最低賃金が上がってしまったので賃上げ原資のために、ってことで価格転嫁ってことになると、政府は何のために物価高対策と言いながら最低賃金の引き上げをやるんだか全く意味が分からんという話にもなりますな。

『・ 収益環境は芳しくない状況にあるが、慢性的な人手不足の解消のため、ベア・賞与を含めて大きめの賃上げを行った 2024 年度に続き、2025 年度も同様の賃上げを実施せざるを得ないと考えている(北九州[小売])。』

こういうの見ると物価って下がらんだろうなあと思うわ。

『・ 継続的な賃上げの原資確保のためには、生産性の向上が必要不可欠と認識。こうしたもとで、シナジー効果によるグループ全体の生産性向上等を目的に、仕入先企業などの買収を行っている(鹿児島[卸売])。』

設備投資じゃなくて買収と来るか・・・・・

ってな訳で、賃金のところハチャメチャ強い話ばっかりですし、価格設定の方は・・・・・・

『C価格設定』

『・ 一部商材では仕入コストが引き続き上昇しているが、全体として上昇幅は縮小しており、それを受けて販売価格の上昇も緩やかになっている(本店[スーパー])。』

でも上昇はしているんですね。

『・ 為替円安は一服したものの、輸入原材料価格の上昇を幾分抑制する程度。現時点では、既往のコスト上昇分の3割程度しか価格転嫁できておらず、引き続き、他社の動向もみながら価格転嫁していく方針は変わらない(本店[食料品])。』

まだまだ価格転嫁しきれていないんですってよorzorz

『・ 毎週、特定の曜日に 65 歳以上の顧客を対象にした割引セールを行い、物価上昇のもとで節約志向が強まる年金受給者の需要を取り込んでいる(金沢[スーパー])。』

物価上昇のもとで節約志向が強まる高齢者・・・・うううう頭が痛い。

『・ 価格設定に関して、店舗ごとに需要動向を踏まえた値付けを実施しているほか、独自メニューも提供しており、地域の実情に応じた商品提供と価格設定を行うことで消費者からの支持獲得につながっている(岡山[飲食])。』

後学のためにぜひ具体的にどうなっているのか拝見したいですいやマジで。

『・ 人件費などのコスト増を転嫁する形で入場料を引き上げた。今後もコストの上昇傾向が続くため、コンテンツを拡充し、追加的な値上げを検討(新潟[観光施設])。』

まあこの手の施設は値上げ傾向強いですよね。

『・ 宿泊料金の引き上げがインバウンド需要に与える影響は軽微であることから、今後も値上げを継続していく方針(京都[宿泊])。』

インバウンドつええええええええええ

『・ 食材価格の上昇などから3年連続で値上げを行ったが、客足は落ち込んでいない。値上げの余地はまだあると感じており、競合他社の動向をうかがいつつ、慎重に進める計画(大阪[飲食])。』

マジかーーーーーー。

『・ 最低賃金の引き上げを踏まえ年末にかけて値上げを検討している。今後数年を見据えても、人手不足解消の見込みはなく、価格転嫁を継続する考え(本店[飲食])。』

飲食と観光関連がこれでは外食も国内旅行もできませんわって感じですが、それはワイだけの話で需要が落ちていないそうなので威勢が良いんですね。

『・ 競合メーカーとの価格競争が激しく、原材料や輸送費の価格転嫁はできても人件費の価格転嫁は難しい状況が続いている(鹿児島[電気機械])。』

『・ コスト上昇のしわ寄せが下請け企業に向けられないよう政府が旗振りをしているため、労務費も含めたコスト上昇分を、すべてではないものの、価格転嫁できている(水戸[窯業・土石])。』

最後のようにちょいと微妙なのが並んでいますが、こっちも威勢が良いにもほどがあるわけでして、まあ皆様景気のよろしいことでという話だし、これでむしろ10月政策調整しない方がオカシイわ、という話ではありますな本来的に言えば・・・・・・・・



〇3Mカレントマイナス引値のままですなあ&よく考えたら今週から減額orzorz

いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/7引値)
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.060
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.030
国庫短期証券1242 2025/01/10 平均値単利 0.050
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 -0.005
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.051
国庫短期証券1262 2025/01/20 平均値単利 0.050

なんか銘柄ごとに変なデコボコがあるのが見た目気持ち悪いですけれども、まあそれはさておくとしてカレント1260は相変わらず華麗にマイナス利回りの引値になっておりまして、ソレデエエノンカイという感じではあります。1262は今週の新発WIでとりあえず5bpでついていますが、初手から5bpってのがもうアレという感じでして、期末要因でうんぬんよりも年末跨ぎ要因での金利低下がはなはだしいし、需給はますます締まっているという状態で、市場の育成とかする気がないのかもしれないけど、こういう規模がそこそこある市場での変調を「限界的な市場の話は知らん、コールレートは0.227%なので無問題」とか言ってると後でエライ面倒なことが起こることもあるのはリーマンショック後の短期市場変調を気にしないでいて最後エライことになったからの反省がない。

のですが、まあどうせ日銀の歴史的にはリーマンショック後のオープン市場の金利上昇とそれによって実施を強いられたCP社債買入に関しても「発生した事象に適切に対処した( ー`дー´)キリッ」ってことになっている筈で(そういう精神じゃなかったら今のお手盛りモリモリの多角的レビューの内容にならない)すのでまあ「私言いましたよね」を言い続けるしかありませんなorzorz

しかし世の中12月1月利上げの思惑が戻ったり後退するというのに短国市場は見事にそれを1ミリも反映しないですし、まあそれ言い出すと2年とか5年だって金利は動けどもお前短期金利の予想パスから足し算して言ってその金利で良いのか状態ってのは結構長いですから、中短期の金利もまともな市場機能をはたしていない疑惑は大有りなんですよね。


でまあ今週から3Mまた減るんですよね〜

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20241004.htm
国庫短期証券(第1262回)の発行予定額等

4. 発行予定額 額面金額で4兆3,000億円程度

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240927.htm
国庫短期証券(第1260回)の発行予定額等

4. 発行予定額 額面金額で4兆6,000億円程度

でもって最近の短国ちゃんですけど、為替介入のお蔭で外為特会の残高減ってしまったからシャーナイのはシャーナイのですが、今月償還の来る3Mって5.2兆円発行されていた短国の折り返しになるので、今週からは償還発行のバランスが▲9000億円になる次第(11/11償還ものからは4.9兆円になる)でして、これもう一発円安になって為替介入したら短国の市場がますます変なことになってしまう訳で、そんな状況下で1年以下とか1年〜3年の利付の輪番とかやってる意味あるのかと小一時間って感じですな。

ま、この辺に関しては短国発行に関しても(政府短期証券の名残だから現制度上限界があるのですけれども)、単純に国庫(と特別会計)資金繰りの観点から伸縮するのではなく、短期国債市場をどうするのか、という観点で発行総額をある程度確保して、国庫資金繰り効率化云々の問題は日銀との売り現先(で利息付ける)で調整するとかして、短国市場の発行額がもろに上げ下げされるというのをもうちょっと何とかならんのかなとは思います。

まあアレです、マイナス金利とか言ってるときは問題なかったんですけれども、「金利のある世界」になりますと、予備資金というのは何らかのビークルを経由して短期国債市場に出てくるもんですから、そこの金利が余りと言えば余りなのっていうのは改善の余地がないですかねえ、とまあいつもの話になるのでした。

・・・・・まあ今の感じだと多少供給戻してもなんか需要の方がクソ旺盛っぽいのですが、日銀当座預金には25bpの掴み金を掴ませておいて、非当預先へのクレジットリスクフリー資産はうっかりすると0だのマイナスだのという短国ですよってのもなんだかなあって感じだし、政策金利というガワは上げて日銀当座預金の付利によってコールのレートはできていますが、短期市場が先行きの政策を織り込んでプライシングしているのかという話になると何ともはや、という話になりますな(デリバはその点「モノとしての需給」が原資産で起きない限り価格形成がマシになりますよね)。

と、暇さえあれば(いや別に暇ではないのだが)短国市場とかいう(以下個人の被害妄想です)日銀様に言わせると限界的な市場なのでそんなもんのレートがどうなろうと知らんという市場悪態でした。

#野口審議委員金懇ネタはまた後回しになってしまいました汗







2024/10/07

お題「市場対応と選挙対応で石破さんワチャワチャですかね/3MTDB引値がマイナスorzorz/短観私家版チェックですがクソ強いですよねこれ」

ほうほうそうですかそうですか
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate

直近の取引 148.7
2024年10月7日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています
(数値は今朝ワタクシが見た時点の物です)


〇雇用統計でドル高になっちゃいましたが石破政権どう対応するのやらなどなど

・早速の円安進行でどういう話をしてくる(話をしないのを推奨だが)のかが楽しみですwww

https://jp.reuters.com/markets/us/IKAXLJRH6BPSNAGTXDWXSQTB2Q-2024-10-04/
NY外為市場=ドル一時149円台、雇用統計受け大幅利下げ観測後退
By ロイター編集
2024年10月5日午前 6:20 GMT+9

『[ニューヨーク 4日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではドルが上昇し、対円で一時149円台に乗せた。9月の米雇用統計が予想を大きく上回ったことで、連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退した。ドル/円は一時149.02円に上昇し、8月16日以来の高値を更新。日米金利差が縮まりにくいとの観測からドルは対円で上昇しており、週間ベースの上昇率は2009年以来の大きさとなる見通し。』

『米労働省発表の9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比25万4000人増で予想(14万人増)を大幅に上回り、過去6カ月で最大の伸びとなった。失業率は4.1%で、前月の4.2%から低下した。 』(以上上記URL先より)

ということで大変に素敵な展開になっておられるのですが、何ぼアメリカのせいと言いましても、その前に赤澤、石破、植田と揃いも揃って利上げしませんよ発言をしてお墨付き与えてしまった訳でしてすが、150円超えの円安とかになって来た日にはこの前の介入だの利上げの効果を使い果たす感じになってきますがな、ということで為替円安を見てまたアワアワしだしたら石破さんやばいわ、と思うのですがアワアワする方に1万アルゼンチンペソといったところだったりもします。

でまあそうやってアワアワしだすと、市場というのはとにかく嗜虐的でありますからして、政権が困るように困るようにと動くようになって、益々地獄を見る、ということになるのですけれども林官房長官に期待するしかないですし、赤澤大臣におかれましてはハッスルしているところ甚だ恐縮ではございますが、しばらく黙っていることをお勧めしたいですな。


・スタートでロケットスタートただし方向が真逆、というのを立て直しにかかってきましたかね(公認問題)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024100600225&g=pol
旧安倍派幹部ら非公認へ 衆院選、少なくとも6人―自民
時事通信 政治部2024年10月06日19時17分配信

『石破茂首相(自民党総裁)は6日、派閥裏金事件に関し、4月に党処分を受けた一部議員を衆院選(15日公示、27日投開票)で非公認とする方針を表明した。旧安倍派の萩生田光一元政調会長ら少なくとも6人が対象となる見通し。政治資金収支報告書に不記載があった全議員に小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない考えも明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)

公認するし重複認めるとかいう報道が出ててさすがにやべえだろと思ってたら、案の定世の中的にもフルボッコにされて方針変えたのか元の話が観測気球だったのか知らんけど、まあ立て直し立て直し。

『党執行部は当初、各都道府県連からの申請を踏まえ「裏金議員」を原則公認する方向だったが、世論の反発を考慮して方針を転換した。非公認は4月の党処分を基準とし、「選挙における非公認」より重い「党員資格停止」を受けた旧安倍派幹部の下村博文元政調会長、西村康稔元経済産業相、高木毅元国対委員長が対象となる。』

ということですが、まあここで刺客を立てれば小泉純一郎なのですが、そこまでしないんでしたらそれなりに実力者は当選してきて結局元鞘になるのかもしれませんけど、まあこれで選挙後もワチャワチャしそうではありますな。

しかしまあ何ですな、
https://news.yahoo.co.jp/articles/a25230dbe7d2d20b788c2e82c7a83dd6684ba582
自民、「裏金議員」原則公認へ 衆院選で比例重複も容認、首相方針
10/3(木) 20:59配信

『石破茂首相(自民党総裁)は、派閥の裏金事件で処分を受けた議員らについて、次期衆院選で原則公認する方針を固めた。都道府県連の申請を受けて公認していく考えで、小選挙区の公認候補は比例代表との重複立候補も認める。』(上記URL先より)

ってのは結局飛ばしだったのか石破さんがビビってこの方針を切り替えたのか、はたまた石破さんがわざと朝日新聞にこの話を流して記事にさせることによって「ほら世論の反発が凄まじいじゃないですか」と説明するための罠だったのか、まあ何が何やらさっぱりわかりませんけれども、マーケットとの対話が右往左往しているのを見ると観測気球とかいう策士じゃなくて単にふらふらしているだけのようにも見えてなんか判断付きかねますな。

でもこれで少しは頽勢に歯止め掛けられるかと思う訳で、首班指名→即解散総選挙→クソぼろ負けして退陣、という流れで憲政史上初の面白事案の可能性は低下していただきまして誠に結構なことではあろうかと存じますが、とにかく緊張感をもっていただきたいもんですな、という雑談でした。


〇新発短国3Mの引値がマイナスになりやがっている件について

まずは入札結果
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20241004.htm
国庫短期証券(第1260回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1260回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。


1.名称及び記号     国庫短期証券(第1260回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日      令和6年10月7日
4.償還期限     令和7年1月14日
5.価格競争入札について
(1)応募額       12兆210億円
(2)募入決定額    3兆5,141億6,000万円
(3)募入最低価格   99円99銭4厘5毛
(募入最高利回り)   (0.0202%)
(4)募入最低価格における案分比率 59.2906%
(5)募入平均価格 99円99銭8厘0毛
(募入平均利回り)   (0.0073%)』

前回の3Mは0.0047%/0.0365%でしたが、平均は金利上がったのですが足切りの金利が下がりやがりまして、しかも前回って応札が通常ベースよりも少なくて9兆円ほどだったのですが、今回は応札も通常に戻りやがりまして、これは期末の余波だと救いがあるのですが、期末の余波とかでも何でもなくて、年末越えのニーズでクソ強いってパティーンだと泣ける次第でして・・・・・

売買参考統計値を見ますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
(10/4引値)
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 -0.005

とかいう驚異のレートになっていまして、これは9月期末じゃなくて年末越え、ということになるんでしょうけれども、年末越えで海外投資家がドル円ベーシス的に買えると言いましてもなんも一発目からこれなのかよという所ですが、まあそういう引値がついているんだからしょうがない。

短期のリスクフリーかつ最も流動性(換金性の意味で)が高いTDB市場にQQE政策の歪みがもろに出てしまっている訳ですが、短国って何のかんの言って一番流動性高いので、これがこのようなレートになるということは、担保だのマイナス調達できるだのというニーズではなく普通に短期の資金運用をするニーズが短国にアクセスしにくい(リターンがおかしいから)ということになりますので、えーっとそういうのって短期市場の脆弱性を高めることになるんですけどねえ、とも思うのですが、どうせ超過準備が山ほどあるから大丈夫ですが何か、とか思ってるんだろうなあ、と頭が痛くなるのでありますが、これ今はその兆候もなんもないですけど、一朝事があって短期市場の脆弱性が顕在化したらエライことになるんで、私言いましたからねということで申し添えます。






〇おそくなりましたが短観私家版チェック:まあ普通に「企業部門は強くてオントラック」ですよね

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2409.pdf
短 観(概要)―2024年9月― 
 第202回  全国企業短期経済観測調査
< 回 答 期 間 > 8月27日 〜 9月30日

・業況判断DI:今回も強くて前回が見通し対比強くて今回も見通し対比強いんですよね(しかも今回は上昇)

          (6月短観)       (9月短観)
          現状→9月予測    現状→9月予測
製造業大企業   +13→+14     +13→+14 
製造業中堅企業  +8→+7       +8→+9        
製造業中小企業  ▲1→+0       +0→+0

非製造業大企業  +33→+27     +34→+28
非製造業中堅企業 +22→+16     +23→+16
非製造業中小企業 +12→+8      +14→+11

(前回7/2に書いた駄文から)
でまあそういう意味で「数字は前回から下がったけど内容的には強いんじゃね」という前回の見通しを達成(中小製造業除く)した上に水準も前回より強いってんですからこれはまあ文句なしに強いのですな。

ただまあここで突発性中村審議委員になってみた場合、製造業の中堅以下がそこまで強いわけでもない、というのが思いっきり気になってしまいまして、これを見て中村審議委員が「中小企業も含めて企業部門に死角なし(だから政策修正バンバンOKOK)」とはならないんじゃないかなーって思うので、その点ではうーんと唸ってしまいます。

まあ全体的に見ればクソ強いのはクソ強いというか、そもそも企業部門はここもとずーっとクソ強くて、一方で物価上がって家計部門が弱いってんですからそれを確認したという話ではありますが。
(ここまで7/2に書いた駄文)

今回ですけど、製造業大企業以外は「前回の見通し対比で現状DIが上振れ」だし、何なら非製造業がめちゃめちゃ強いですね、という感じですし、これ前々回も前回も見通し対比強い(前々回はそうは言ってもその前対比では下がっていたけど前回は上昇で今回も上昇)という流れでして、毎度毎度強いということで企業部門は強いし「オントラック」にも程がある世界。


・企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、と前回書いたがさらに堅調

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%→9月:2.8%
3年後 9月:3.8%→12月:3.8%→3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%→9月:4.1%
5年後 9月:4.2%→12月:4.3%→3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%→9月:4.9%

大 企 業 製 造 業
1年後 9月:3.2%→12月:3.0%→3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.2%
3年後 9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%→9月:3.1%
5年後 9月:3.2%→12月:3.1%→3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%→9月:3.4%

大 企 業 非製造業
1年後 9月:1.9%→12月:2.1%→3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%→9月:2.1%
3年後 9月:2.4%→12月:2.6%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.0%→9月:3.0%(前回分3.1→3.0)
5年後 9月:2.8%→12月:2.9%→3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%→9月:3.5%

(前回7/2に書いた駄文から)
ちょwwwwwwwおまえらwwwwwwまた上昇しとるやないかwwwwwwwww

って3月短観で書いたのですが、なんか上昇加速してるじゃんということで、しょみーんの財布には1ミリも優しくない訳ですが、それはおどれがてーして給料も上がらん程度の無能だから仕方ないんですねわかります。

てかさ、そういう実質ベースの調整がしやすくなるのがインフレレジームのメリットだということを勘案しますと、そもそも論として実質賃金のプラスとか好循環とかいうのがインフレ目標政策で掲げられていることが頭おかしいとしか言いようが無いわけで、これ言い出した黒田は罪万死に値するし、それを否定するどころかさらに拡大再生産している植田は地獄の火の中に投げ込まれるべきという話になりますわな。
(前回7/2に書いた駄文から)

いやーもう前回7/2だから円安が160円に乗っかって来てたのでエライ怒り狂っておりますがwwwwwww

前々回も強くて、前回強いじゃんってなっている訳ですが、これ円安修正になった今回の時間帯(8/27〜9/30)になるのですが、円安修正されても販売価格見通し碌すっぽ下がっとらんやんけ、何なら非製造業維持&プラスじゃんということで、企業部門の価格設定は強いでございますことよ、という感じですな。


・企業の物価全般見通しですがこういうのは「インフレ期待が2%にアンカーされている」と言わんのか???(って毎回書いてる)

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 9月:2.6%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%→9月:2.4%
3年後 9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%→9月:2.3%
5年後 9月:2.0%→12月:2.0%→3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%→9月:2.2%

中小企業 製 造 業
1年後 9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%→9月:2.6%
3年後 9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.5%
5年後 9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%

中小企業 非製造業
1年後 9月:2.7%→12月:2.8%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%→9月:2.6%
3年後 9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%→9月:2.4%
5年後 9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%→9月:2.4%

(3月短観時のコメントはこちら)
これさあ、もう完全に「安定期」に入ってるじゃんという話でして、これでなんで期待インフレがまだ2%に行ってない!とか言い切るわけあのハトハトチキンジジイは、というお話な訳ですけど・・・・・・・(ちなみにハトハトチキンちゃん頼みの物価連動国債のBEIが足元ツエツエ蠅なのは先ほど申し上げた通りですw)。
(ここまで3月短観時のコメント)

(でもって6月短観時のコメントはこちらでしてですね)
って3月短観の時にも書いた(というか上記小見出しがそもそも前回と同じw)のですが、これでなんでインフレ期待が2%じゃないって言い張っているのかが全く意味がわからなくて、この物価上昇局面で完璧なまでに外しまくってもうお前ら全員退場しろとしか言いようが無いESPフォーキャストとかいうポンコツサーベイ持ち出して説明するのいい加減止めてくれませんかねえ。

ちなみに物価連動国債のBEIはなんだか知らんけど月末月初の2日で突如下がってしまったのですが、それでも10年カレントで150とかなんで、たしかにまあ200じゃないけどこれが200行ってないから市場の織り込むインフレ期待が2%にアンカーされていないというのは話に無理があるんじゃねえのとは思いますけどね。
(6月短観時のコメントはここまで)

ということで今回ですが、もうこれどこからどう見ても「企業のインフレ期待は2%でアンカーされている」としか言いようが無い筈なんですけれども、なんでいつまでたっても物価行ってないって話になるのやら、という感じであります。なお物価連動国債ちゃんのBEIは株式市場がウニョウニョしているせいなのか、はたまた海外のインフレ鎮静化モードのせいなのか知らんですけれども、10年カレントBEIで直近120近辺になっているんですよね〜。


・販売価格判断:販売価格判断下がっていますが仕入価格判断はそれ以上に低下と

            (6月短観)         (9月短観)
           現状→9月予測      現状→12月予測
製造業大企業   +29→+27       +26→+26
製造業中小企業 +30→+37       +29→+32

非製造業大企業  +29→+30      +29→+30
非製造業中小企業 +28→+33      +28→+33


・仕入価格判断
          (6月短観)          (9月短観)
          現状→6月予測      現状→12月予測
製造業大企業   +47→+44      +41→+39
製造業中小企業 +61→+62      +57→+56

非製造業大企業  +47→+46     +46→+44
非製造業中小企業 +55→+58     +53→+55

(6月短観の時のコメント)
これね、前回はノルム変化とか申し上げていましたが、仕入判断が前回対比上がって販売判断が前回対比上がっている訳でして、ノルムとかそんなぬるいものではなくて、ただの輸入価格コストプッシュの前向き(全然前向きじゃないけど)循環メカニズムがワークしているようにしか見えませんし、足許では財務省や内閣府からも苦情の出る驚異の馬鹿コミュニケーションによって一段と円安になっている訳でして、いやマジでこれどうするの。(ここまで6月短観の時のコメント)

今回って販売価格判断が前回比下がっているのですが、仕入価格判断はそれ以上に下がっているので、結局のところ強いじゃんというお話に見えます。つまり結局強いということで。


・雇用判断DI:前回は中堅中小が悪化していましたが今回は前回並みから若干強い

            (6月短観)        (9月短観)
           現状→9月予測     現状→12月予測
製造業大企業   ▲18→▲18     ▲19→▲22
製造業中堅企業  ▲23→▲28     ▲23→▲28
製造業中小企業  ▲23→▲31     ▲23→▲30

非製造業大企業   ▲39→▲38    ▲39→▲39
非製造業中堅企業  ▲46→▲49    ▲45→▲48
非製造業中小企業  ▲45→▲51    ▲47→▲52

(6月短観時のコメント)
ということでして、まあ水準自体強いのはいつもの通りなのですが、これ気になるのは「現状判断DIを前回対比で見た場合」ですけど、大企業はマイナス幅拡大=雇用不足感の拡大になっているのですが、それこそ中村審議委員(たぶん他にもハト系の人でいると思うんだが)が注目する中小企業に関しては、中堅以下が地味に前回対比でマイナス幅が縮小=雇用不足感の縮小になっているのが地味に痛くて、これはチキン総裁がチキンの理由にしたくなるのに絶好の展開。
(6月短観時のコメントここまで)

などと6月短観の時に書きましたが、今回は普通に前回対比強い(マイナスが大きい)ということで、雇用判断DIは強いってえことでよろしいかと思います。


・その他

想定為替レート
(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)

2024年度 米ドル円 
2024年3月調査:通期 141.42 上期 141.60 下期 141.25
2024年6月調査:通期 144.77 上期 144.96 下期 144.59
2024年9月調査:通期 145.15 上期 146.00 下期 144.31

9月短観でもまあ普通に円安が前回対比で進んでしますね。

設備投資計画
・・・・・はグラフの方を見る話になるのでこっちには貼れない(スキルがない)のですが、こちらもまあ堅調なんすかね。

でですね、これが7月2日に書いた駄文で、7月末は結局利上げしているのですが・・・・・・・・

(6月短観時のコメントから)
アタクシこのへんただ門前の小僧としてみているだけなのであれなんですけど、この数字だと強いには強いのでしょうけれども、政策修正慎重派の腰をあげさせるほど強いのかというと、「企業部門が強い」ってのはそもそも論としてメインシナリオのど真ん中に鎮座している話だと思われますので、そういう意味ではただの「見通し通りに推移しておりますなあ」だけで短観一発で7月利上げまでセットで打ち込んでくださるのはちょっと力不足かなとは思ったのですがどうでしょうか。

まあその前に円安がちまちまと進行しておられる次第なのでそっちのせいで云々というのは大有りだし、何なら神田大明神最後のご奉公でちょっとハトハトチキンをシバキ上げて輪番大減額と0.25%への利上げを飲ませてから退任していただけると誠にありがたいのですがwww
(6月短観時のコメントここまで)

って自分で書いているのが中々恥ずかしい(金融政策の読み筋が外れているから)のですが、まあこの時は正直7月利上げまで行くとは思っていなくて精々7月予告ホームラン9月利上げで見ていたのですが、折から円安がバンバン進行して(6月終わりに160円突破した)このまま決定会合まで持つんでしょうか、って感じになってきていた時ですよね。

でまあ今回ですけれども、短観が全体的にクソ強いわけでして、少なくとも企業部門に関して言えばオントラックもオントラックで、こんなに順調に推移しているんだったら金融緩和の度合いを調整しない方がおかしいわ、という世界になるわけですな。

今月の決定会合は総選挙の結果が出た直後に近いタイミングだし米国大統領選挙もありますから動けん、というのはまあ理解するんですけど(本来はそんなの関係ないんですけどね)、この流れですと10月会合でまたまた12月1月に向けて威勢の良いこと言い出しそうだし、円安も進んでいるから決定会合の時の位置次第では円安牽制もかねてかなり威勢の良いことを言っても不思議ではない、ということになってしまいました。じゃあそうなるかと言いますと、7月会合で威勢の良い発言→8月頭に火消というよりも逆方向に思いっきり舵を切る株式市場従属宣言→8月後半は直前の株式降参を中和気味に推移→9月決定会合で思いっきりハトハトに舵を切る→10月会合では・・・・、ということで、10月会合で今度は普通に12月1月とかに政策調整をするのを排除しないみたいな話をおっぱじめると、また日銀はブレた、と見なされてしまって市場との対話が成立しなくなる(今でもかなり成立していないけど)のですが、まあ「丁寧な説明」とやらを見せて貰おうじゃないの、といったところで楽しみにしております。

12月短観は12月の半ばに出てくるのですが、12月短観も強かったらまさに12月1月なんもしない言い訳どうするのという話だし、オントラックなら政策調整って言ってるんだからそもそも論として10月だって政策修正しない理由は何なんですかってな話になるんですよね、さて12月短観の時にこの駄コメントを見てどういう思いになるのでしょうかアタクシはw


〇野口審議委員金懇ネタ続きと会見ネタは明日で勘弁

おまえ週末に何で下書きしてないんだといわれるとぐうの音も出ないのですが、まあどうせどうでもいい金懇でありどうでもいい会見なので今朝は時間の都合上ここで勘弁してつかあさい、ということで(すいません)









2024/10/04

お題「今日は3M入札/石破政権ってスタートで逆方向にダッシュしてないか問題の雑メモ/野口審議委員金懇(その1)国債買入に関する驚愕の理論」

ほうほうそうですかそうですか
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/WPFCWPETZBMMPKQKOV7WLOPDAA-2024-10-03/
日銀、金利を段階的に引き上げるべき インフレデータ正当化なら=IMF
By ロイター編集
2024年10月4日午前 2:19 GMT+9

まったくおっしゃるとおりですが長期国債買入のことも忘れないでいただきたい。

〇期も改まったわけですが3M入札が本日あるわけでして

いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(10/3引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.060
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.060
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.060
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.035
国庫短期証券1242 2025/01/10 平均値単利 0.090
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.029
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.090

1260が今日入札のある新発3MWIでして、何ですかこの2.9bpってのは。

ちなみにこの辺の銘柄期初に期末プレミアム剥がしたのか軒並み6bpの値付けになっていましたが、直前に入札があった1259は入札水準に敬意を表して(??)強い値付けになっているのですが、WIの1260がなんか前後と整合性の無い数字になっていますな、という風情ですがそもそもですね、

(10/2引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.060
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.060
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.060
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.035
国庫短期証券1242 2025/01/10 平均値単利 0.090
国庫短期証券1260 2025/01/14 平均値単利 0.080
国庫短期証券1207 2025/01/20 平均値単利 0.090
 
ってな訳で、まあその「年内償還は6bp、1月から9bp」ってのも雑な値付けですなという話ではあるのですが、一応何となくそっちに寄せて8bpって気配を立てていたような次第で、まあその水準もホンマなのかとかいう話や、だいたいからしてコールが0.227とかなのに何ですかこのレートはとか、まあいろいろとツッコミどころはあるのが短国クオリティなのでそこはさておくとしましても、入札前日にまーた値付けをクソ強くしやがりまして、お前らどんだけ玉不足煽りますのという所でございますが、まあ今日の入札結果はいつものように注目はされないと思いますが弊駄文では追いかけていく所存であります。

というメモでした。


〇なんかいろいろと政治方面カオスですなあ(林長官火消し発言や総選挙関連雑メモ)

・林官房長官火消しモードでご苦労なことです

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/W56VILJUFRJ7NFBYMKTOVSUZWE-2024-10-03/
首相は日銀総裁に具体的な要請していない=金融政策で官房長官
By ロイター編集
2024年10月3日午前 11:14 GMT+9

「石破発言で円安進行」ってなっちゃいましたからそら火消しないと、って感じですが、そもそも論としてその前の赤澤おしゃべり大臣がダメでしょ。呼び出して説教した方が良いと思いますが。

『[東京 3日 ロイター] - 林芳正官房長官は3日の臨時閣議後の会見で、石破茂首相が2日夜に日銀の追加利上げに慎重な発言をしたことに関連し、先立って行われた植田和男日銀総裁との会談では「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるべきとしており、植田総裁も首相から金融政策について具体的にこうしてほしいという話はなかったと述べたと承知している」と語った。

石破首相は2日夜、金融政策について「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と述べた。林官房長官は、首相が金融政策の在り方に異例の言及をしたことへの受け止めを問われた。』(上記URL先より)

記事が短いので全文引用になって申し訳ないのですが、そら火消ししますわという所ですが、火消ししても最早綸言汗の如しとはこの事でもう円安お墨付き頂きましたってなもんで、今日もアメリカン金利上昇のせいではあるけど147円ちかくは維持していますし、この調子で150円乗ってきて今度は円安牽制しだすともはや醜態なんてもんじゃない訳で、スタートダッシュに失敗どころが逆噴射して3週間にマイナスのモメンタムになったらエライコッチャなんですけど大丈夫かよという感じですな。


・おしゃべり大臣なんか舞い上がっているんでしょうかね

これはクソワロタ。こんな感じだったのか
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20241002-OYT1T50159/
初入閣の赤沢経済再生相「冷や飯の本を書こうかと思っていたが、突然狂い咲きになった」
2024/10/02 20:54

『訓示では、首相が5回目の総裁選挑戦で勝利し、自身も初入閣に至ったことを念頭に、「『冷や飯のおいしい食べ方』との本を書こうかと思っていたが、突然狂い咲きになった」と述べ、職員の笑いを誘った。』(上記URL先より)

・・・・・どう見ても浮かれポンチです本当にありがとうございましたorzorz


・総選挙ネタと言えば前原さん・・・・・・

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241003/k10014599661000.html
教育 前原代表ら衆参の議員4人が維新に合流へ
2024年10月3日 18時52分

これはこれはキングボンビー前原さんじゃないですかお久しぶりで、というところですが、前原大先生と言えば永田メール事件とか小池百合子新党とか、肝心なところの二択で悉く外れを引くという凄まじいまでの政界の曲げ師という印象しかないのですが、そんなお方が維新に合流っていうのが何ともなのですが、さらにビビったのは合流するメンツの中に元滋賀県知事の嘉田由紀子さんがおいでになっていることでして、いやもともとの政治志向って維新の対極みたいな方じゃなかったでしたっけどういう風の吹き回しよ、と思ってしまいました。


・しかし支持率のスタートダッシュどころか逆噴射が開始されているようでどう見てもこれは懸念されますな

1日2日に実施したものですと
https://www.asahi.com/articles/ASSB2323ZSB2UZPS001M.html
石破新内閣「支持する」46% 組閣受け 朝日新聞世論調査
有料記事
2024年10月2日 20時46分

『石破茂内閣の発足を受け、朝日新聞社は10月1、2日、全国世論調査(電話)を実施した。内閣支持率は46%で、不支持率は30%だった。現行方式で調査を始めた2001年の小泉純一郎内閣以降、発足直後の内閣支持率としては、岸田文雄内閣の45%に次いで、2番目に低かった。一方、不支持率は、麻生太郎内閣の36%に次ぎ、2番目に高かった。』(上記URL先より)

https://news.yahoo.co.jp/articles/d18be5f56de6b7a90025301a0b539f3a05a0e745
石破内閣、支持率50.7% 裏金議員公認、75%が否定的
10/2(水) 19:45配信

『共同通信社が石破内閣発足を受け1、2両日に実施した全国緊急電話世論調査で、内閣支持率は50.7%となった。不支持率は28.9%だった。』

『調査手法が異なるため単純比較はできないが、最近の内閣発足時の支持率は、21年10月の岸田内閣が55.7%、20年9月の菅内閣が66.4%、12年12月の第2次安倍内閣が62.0%。』(以上上記URL先より)

あと読売のがあったと思いますがかっ飛ばしまして(過去との比較の話が無かったから)何気に毎日が3日に調査したのがあって、

https://mainichi.jp/articles/20241003/k00/00m/010/154000c
石破内閣支持率46%、不支持率は37% 毎日新聞世論調査
速報
毎日新聞
2024/10/3 16:55(最終更新 10/3 21:35)
290文字

『毎日新聞と社会調査研究センターは3日、石破内閣発足を受けた緊急の全国世論調査を実施した。内閣支持率は46%、不支持率は37%だった。』(上記URL先より)

ってまあ支持率は各社横比較してもしょうがなくて(数字の出方に傾向がある、別に偏向とかではない)時系列でみないといけないのでこれを貼ってもしゃーなし説は大有りなのですがまあそこはさておきますが、これ面白そうだから各社週末に再度世論調査してくれると嬉しいんですけどね。

何ですかねえ、短期決戦で選挙に突入なんですが、折角「石破さんなら変えてくれる」って期待が(自民党内は知らんけど国民的には)あったわけなのですが、石破さんになって何か機軸を出してくれるもんだと思ったら「岸田政権の継承」とか言ってしまって、そもそも岸田が人気皆無で首ちょんぱになったんですから継承を標榜してどうするんだよというお話(いやまあ岸田さんの政策に関してアタクシも高評価するにやぶさかではない面は多々あると思うけどさ)な訳ですがな。

まあ石破さん的には選挙でマジノ線突破されなければ(よくわからんけど連立過半数確保くらいがマジノ線でしょ)その後は適当に石破アンチも落選してくれるからそこで石破カラーを出していこうって事なのかもしれませんけど、この政権寄り付きからの価格下落モメンタムがちょっと勢いつきかけている感がプンプン漂う訳でして、3週間の間に急落したらどうするんだよと頭が痛くなってきている今日この頃です。

という与太話メモで恐縮でした。


〇野口審議委員の金懇がありましたので他のネタはまたも後回しになる先入先出法

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241003a.htm
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko241003a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
長崎県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2024年10月3日

HTML版が出ているので引用はHTML版から行います。

・国債買入の説明がなんか驚愕の説明をしているんですが・・・・・・・・

まあ最初の経済物価情勢の話はどうでもよいので、『3.金融政策』のパートを鑑賞するのですが・・・・・・・

『(1)大規模金融緩和政策の転換とその意義』ってのがあって最初の能書きはまあどうでもよいうのでこれまた飛ばしますが、長期国債買入に関する説明が色々とイミフ。

『大規模金融緩和の転換には、もう一つ副次的な効果があります。それは、その政策によって大きな制約を受けていた金融市場の自由度を、市場の混乱を招かない形で回復させることです。』

まずね、「市場の混乱を招かない形で」っていうのは大本営も言ってるからこれどうせ大本営の受け売りなんでしょうけれども、そもそもこの発想が一見もっともに見えるけどやっぱりおかしいんですよね。と申しますのは、

『日本銀行はこれまで、量的・質的金融緩和、マイナス金利、長短金利操作といった政策によって、国債市場への関与を強めてきました。それは、本来の政策金利である短期市場金利がほぼその下限に達する中で、金融環境に影響を及ぼす経路を主として長期金利に求めてきたためです。』

これはその通りですが、

『その結果、日本銀行はそのバランスシートの資産側に多額の国債を抱え持つことになりました。』

となっている状態な訳で、つまりは現在の状態がオカシイのであっておかしい状態にあることこそが「市場の混乱」でもあるわけですよ。だって市場が機能していないという意味では混乱よりもたちが悪い状態なんですから。

でもってまあこれも大本営の受け売りなんでしょうけれども、

『3月の政策転換以降、長期金利およびイールドカーブの形成は、もっぱら市場に委ねられています。したがって日本銀行としては、その市場の国債取引が多くの参加者によって十分な厚みをもって行われていくように、国債買入れを徐々にではあれ減らしていく必要があります。』

まあこの発想もおかしくて、国債市場が日銀の大量国債買入で常態ではないことになっており、リスクに見合ったリターンが期待できないという状況では「多くの参加者」が参入するわけもないですし、そういう状態ではあれば国債市場の厚みとか流動性が低いんですから、流動性が低い上にリスクリワードもおかしい市場に参加者は増えない訳で、つまりは市場機能を戻したいのであれば国債買入の削減(本来なら売りオペしろと言いたいがまあそこまでは言わない)を急がないと行けないのであって、それをチンタラやっていたら、いつまでたっても市場の流動性が戻らず、参加者も増えない訳です。

でまあ減額を大きくすると金利が急騰するのが怪しからんので、という発想を当局ってすぐするのですけれども、そもそもそれは今までの日銀の買入がYCCが不要になったという経済物価情勢の下では不適切に過大だったというだけの話で、その過大を修正する間に金利が上がると困るから日銀は買入の減額をゆっくりすべき、というのはただの財政マネタイゼーション、というのは弊駄文では300回くらい申し上げている悪態。

・・・・・とまあここまででもツッコミどころが満載な長期国債買入のお話なのですが、さらに凄いのがこの次の理屈です。これ大本営なのか野口さんオリジナルなのかちょっとわかり兼ねますが。

『重要なことは、こうして行われる国債買入れの減額は、あくまでも市場の厚みの回復が目的であり、バランスシート縮小それ自体のためでも、金融緩和調整のためでもない、という点です。』

????????????

これ野口さんが国債買入減額強烈推進論者なら話は分かるのですが、この後の章で出てくる「国債買入減額はゆっくりと」の説明とマッコウクジラで対立する話になるのわかっているんでしょうかしら。

つまりですね、そもそも論として今行っている日銀の大規模な長期国債買入っていうのは、野口さんも直前の部分で『本来の政策金利である短期市場金利がほぼその下限に達する中で、金融環境に影響を及ぼす経路を主として長期金利に求めてきたためです』って言っていて、それに則って長期国債の大量買入れをしていたものが継続されている訳ですよね。

であるならば、今行っている長期国債の大量買入れも「長期金利に影響を及ぼす」ために実施していることは変わりない(形式的なガワを変えたってやっている中身が同じなら経済効果は同じでしょ)のでありまして、それはすなわち「市場の厚みの回復」という目的に対して盛大に反しているわけですわな。

そりゃまあ日銀保有国債の売却、という話になるとまた違ってきますけれども、市場の厚みを回復させたいのであれば、長期金利に影響を及ぼすために行っていた長期国債の買入について、新規の買入は即座に停止するくらい、まあそうじゃないにしても「長期金利の押し下げ効果を出さない程度」までは買入を即座に減らすのが筋って話になるわけでして、今やってる「2年間かけてもまだまだ長期金利押し下げ効果がバンバン出てしまうような買入を継続する」という計画自体がこの野口さんの標榜する目的と背馳している訳で、お前は何を言ってるんだとしか申し上げようがない。

まあ何ですな、野口さんオリジナルなのかもしれないけれども、オリジナルだったら今アタクシの書いたくらいのツッコミを普通考えると思うので、これは大本営のいつもの詭弁を生煮えのまま受け売りしているんじゃなかろうか疑惑も否定できません(個人の感想です)。

でまあその次の詭弁もひどくて。

『まず、短期市場金利がもっぱら金融調節運営を通じて誘導・維持されていた世界金融危機以前の「希少な準備預金」の時代とは異なり、現在は短期金利が中央銀行当座預金への付利を通じてコントロールされており、政策運営は基本的にバランスシートからは独立しています。』

政策金利と関係ないんだったらバランスシートをバンバン減らしても問題ないじゃないですかヤダー

『また、仮に国債買入れ減額の多寡によってある程度の金融引き締めや緩和効果が生じたとしても、その影響は最終的には短期市場金利の調整によって吸収されます。つまり、この政策手段の観点からは、大規模金融緩和からの出口は既に終了しているといえるのです。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(゚д゚)

お前は何を言ってるんだにもほどがあるのですが、国債買入の減額によってある程度の引き締めが生じても短期市場の調整で調整されるんだったら、益々長期国債買入を継続している意味はないのだから、長期金利に直接関与するためとして実施している極めて大量の長期国債買入は可及的速やかに是正しないとダメだろ、という話にしか帰着しないと思うのですが、あんさん自分で言ってることの意味わかっておられるの???と申し上げたいし、某抜刀斎様におかれましてはちょっとこの金懇テキストをもって野口委員の執務室に「この説明でなぜ長期国債買入を大規模に維持し続ける意味があるのか」と抜刀していただくことをぜひお願いしたいところであります。


まあ何となくですけどね、これ長期国債買入減額を政策マターから切り離したい、という大本営の思惑が物凄い勢いで衣の下から鎧どころか全身装甲アーマー状態で感じてしまうのですが、金利の上げ下げマターと別口で、という話をするにしたって、この説明じゃあ「じゃあ何で超大量の長期国債買入を維持し続けるんですか」という問いに対する回答になっていない訳でして、屁理屈捏ねるにしてももうちょっとマシな屁理屈をこねて頂きたい訳ですので、長期国債買入をなぜ今でも馬鹿みたいに行っているのか、なぜその必要があるのか、本来は不要な買入規模なのではないか、ということをきちんと示していただきたい訳ですよね。なにが2年で半減じゃという話で、半減したってアホみたいな買入規模なんじゃヴォケってお話な訳です。

・・・・・などとつい朝から血圧をあげてたら時間が無くなってしまいましたが、いうまでもないことですが野口さんのこの先の部分で『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』とあるのですが、そこでもしょうもない小理屈を捏ねていまして、


・経過措置として調整するのはまあ一理あるけど本来不要なものをなぜ2年たっても継続するのか

『(2)長期国債の買入れ減額とその基本的な考え方』ってところですが、

『日本銀行は7月の政策決定会合で、市場参加者との意見交換も踏まえ、2026年3月までの長期国債買入れ減額計画を決定しました(図表10)。その基本理念は、「予見可能性と柔軟性の両立」にあります。この予見可能性は、「月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4千億円程度ずつ減額する」という計画そのものに具現化されています。これは、長期金利の形成が市場に委ねられた以上、今後は政策的な意図による国債買入れの増減は生じないことを意味します。他方で、市場急変時には買入れ額を機動的に変更するといった部分では、その計画には一定の柔軟性も担保されています。』

ここはどうでもよい公式見解ですが、

『それは、市場の回復が重要とはいっても、それがむしろ市場の攪乱を助長あるいは放置する結果になっては無意味だからです。』

そもそも「異常な状態」である日銀の国債大量買入れを是正するにあたりまして、ソ連邦の計画経済のように市場は動いてくれませんので、正常な状態に戻る過程のリプライシングというのは不可避な訳ですが、この「市場の攪乱」というのを当局が言い出す時ってだいたいソ連邦計画経済ムーブの発想になっておりまして(個人の見解です^^)市場に価格形成をさせてリプライシングの過程で一時的な動きはある、というのに耐えられないので、そもそもこういう発想を表に出す時点で市場に対してソ連邦計画経済マインドで対峙しようという気が満々なんですよね(個人の偏見です)。

『今回の計画のもう一つの注意点は、その暫定性にあります。それは、わが国における中央銀行バランスシートの最適な規模を現時点で確定することが困難なためです。その規模がどの程度であれ、わが国の場合には、2026年3月までにそこに到達する可能性はほぼありません。そのため、今回の計画は必然的に、それ以降の延長を視野に入れた暫定的なのものとなります。上述のように、「潤沢な準備預金」を前提とした現在の政策レジームでは、仮に日本銀行のバランスシートが現状のままであったとしても、政策運営には何ら制約や障害は生じません。したがって、バランスシートの縮小は十分な時間をかけて慎重に進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましいといえます。』

なんかもっともらしい事いってるんですが、おっちゃんさっき「国債買入れの減額は、あくまでも市場の厚みの回復が目的であり、バランスシート縮小それ自体のためでも、金融緩和調整のためでもない、」とか、「国債買入れ減額の多寡によってある程度の金融引き締めや緩和効果が生じたとしても、その影響は最終的には短期市場金利の調整によって吸収されます。」っていうことで、切り離しまくった説明してたのに、何で急にバランスシート規模の問題になるのかという話だし、バランスシート規模がイッシューになるんだったら、「この政策手段の観点からは、大規模金融緩和からの出口は既に終了しているといえるのです」って全然終了してないだろお前は何を言ってるんだ、というお話ではあります。

まあ何ですな、何ぼ何でもこれ説明がインチキすぎるので、野口さんというよりは大本営(ここで回線が切れる)。


・・・・・てな訳で金利の部分の話は今日出てくる会見録と共に後日お送りします。







2024/10/03

お題「石破官邸の市場との対話能力は植田レベルの懸念が/7月会合議事要旨(その2)」

おや、ドル円ちゃんのようすが・・・・・・
https://jp.reuters.com/markets/quote/USDJPY=X/
US Dollar / Japanese Yen FX Spot Rate

『直近の取引
146.46 JPY
変化 2.89
+2.01%
2024年10月3日の時点。値は少なくとも15分遅れで表示しています』
(これはアタクシが上記URLの画面を朝の時点で見たときの数値ですのでよろしゅう)

〇選挙なので「石破ショック」と言われたことが相当堪えたようですがビビりで円安再襲来ですかね

昨日は早速植田さんと石破さんの会談がありましたが・・・・・・

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-02/SKPX6CT1UM0W00
「現在、追加利上げするような環境にない」と石破首相−日銀と連携確認
萩原ゆき、照喜納明美
2024年10月2日 17:09 JST 更新日時 2024年10月2日 20:50 JST

→これから先も緩和基調維持しながら経済は持続的に発展へ−石破首相
→極めて緩和的な状態でわが国経済をしっかり支えていく−植田総裁

・・・・・・・これは円安OKOKの号砲ですねわかります。

・石破ショックと言われているのにビビるところは植田ショックと言われてベタ降りした日銀にお似合いのコンビですね

『石破首相は、政策金利の引き上げに関して「政府としてあれこれ指図をする立場ではない」としながらも、「個人的には現在そのような環境にあるとは思っていない。追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と語った。』(上記URL先より、以下同様)

ということで石破さんのご高説が続きますが、

『「これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展していく」とし、植田総裁には「デフレの脱却に向けてこれから先経済が推移していくことを期待している」と伝えたという。「市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。このために互いに緊密に連携するということを確認をした」とも説明した。』

>市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。
>市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。
>市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。

あーあーあーあーあ。

この「市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。」ってのが明らかに「石破ショック」と言われたことにビビってるというのが伝わるわけでして、8月の頭の「植田ショック(実はその前の緩和のやりすぎの巻き戻しに過ぎない)」にビビってベタ降りハトハト宣言をおっぱじめた植田日銀とお似合いとしか言いようが無くて、岸田さんはここまでビビっていなかったというのを踏まえますと、この石破政権相当のビビりでして、おまけに植田日銀がご案内の通りで外部環境でフラフラ振れる上に株式市場の値動きにすぐビビる、ときておりますので、どう見てもヘイヘイピッチャービビってるよビビってるよーとヤジを飛ばされながら6打者連続四球とか出してバンバン失点しそうで今から楽しみになってまいりました(全然楽しくはないけど)。

でまあこの人たち皆そろって「わかっとらん」と思うのですが、まあそうは言っても石破さんの本来の主張からすればこの「現在そのような環境にあるとは思っていない。追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」で述べている「現在」っていうのはガチの現在の事を意味していて、12月1月というのは「現在」と思っていないんじゃなかろうか、と思われるんですよ。まあこれは植田総裁(次に出てきます)もその辺同じなんですけどね。

でもね、市場ってのはこうやって「現在」って言われたら少なくとも12月1月の決定会合の辺りまでは「現在」のカテゴリーとして読んでしまうし、何なら来年3月4月の利上げだって怪しいというお話になってなんら不思議じゃない訳ですな。

まあ今朝のFXは米金利上昇とかもあるし中東情勢もあるし何がドル高円安に振ったのかは知らんけど、石破植田ラインがまるで追加の政策調整をやりたがらない、というのを盛大に示しているのも効いていると思うんですが、これで順調にドル円ちゃんが150円を再度抜けてきたらお前らどうするんだろうなと大変に楽しそうな展開になってきてまいりましたな。

ということで、これ丁度昨日ネタにした9月決定会合主な意見のコミュニケーションの中にあったけど、『長らく利上げを行っていなかったこともあり、言葉に対する日本銀行と市場の共通理解が薄れてしまっている面がある。市場とのずれが生じない発信、ずれが生じた場合の適時の修正等、コミュニケーションの改善に努めるべきである。』(2024年9月決定会合主な意見より)って指摘はこれ誰がしたのか存じませんけどイイシテキダナーとしか言いようが無いわけで、日銀の説明もそうなのですけれども、石破さんまで伝染してしまって、石破さんは確かに「現在」としか言っていないから12月会合のことについて決め打ちしているつもりはないのかもしれませんが、この言い方をして12月に日銀が利上げして政府もスルーしたら市場から見たら嘘つきって評価(現に4月にハトハト発信をして7月に利上げしたらサプライズ扱いになったんですからねー)される、というのをどうもお分かりではなく、単に足元で「石破は利上げ容認」と言われているのを中和したくて言っただけに見えますけど、まあやっちまいましたなということでして、今の日銀や政府回りってこの辺の感覚がダメダメにも程がありますな。


・植田さんはいつものように「見極める時間は十分にある」のハトハト音頭を踊っていますね

でもって記事後半の植田さんですがこれはいつものハトハトチキン植田のハトハト音頭が炸裂してまして、

『植田総裁は金融政策について、「極めて緩和的な状態でわが国経済をしっかり支えていく」との考えを示した。経済・物価の見通しが日銀の見通し通り実現し、見通しに沿って経済が動けば「金融緩和度合いを調整していくことになるが、本当にそうかどうかを見極めるための時間は十分ある」と述べた。』

まあこれは9月20日のMPM会見や24日の講演でも強調していたので今更のサプライズは無いのですけれども、石破さんはまだ「現在」と断っているだけ少しはマシなのですが、植田さんの場合は何せこの通り「見極めるための時間は十分ある」ということで、まあ要するにイナフタイムがあるという話になりますと、そりゃもうこれで12月1月に「見極めたので利上げします」とか言ったら「このウソツキジジイまた嘘をつきやがったな」と市場がさらに大反乱しても知らんぞってなもんでありまして、まあこの植田総裁のウソツキジジイコミュニケーションに関しては円債市場は何回か虐殺されているのでもはや話半分に聞いておくのが吉ということで、既にコミュニケーションにすらなっていませんけれども、そりゃまあ株式市場の人たちとか海外投資家さんとかは、中銀トップの言ってることですから額面通りに受け止めるのは止むを得ませんな。

ということで「時間は十分にある」っていうのですが、植田さんにしてみればこれは「10月の政策変更はありません」って意味で言っているようには過去のウソツキジジイ(なお本人は嘘ついたという意識は無くて、市場が真意を誤解曲解しているので甚だ遺憾としか思っていないと存じます)ぶりを勘案すれば、12月1月の政策変更を排除したものではない、と取る方が安全なのですが、まあ普通この文脈をみたら、来年の春先までは追加利上げ全然ないじゃんというコミュニケーションに捉える方が当たり前な訳でして、そもそも論としてこいつら揃いも揃って市場との対話できないんだから端から開き直った方が良いんじゃないのと思ってしまいました。


〇おしゃべり大臣今日も行く(赤澤経済再生相)

昨日も言ってたようですね
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241002/k10014598651000.html
赤澤経済再生相 “日銀との連携維持 利上げは慎重に判断を”
2024年10月2日 16時58分

『赤澤経済再生担当大臣は2日、就任後初めてとなる記者会見で、デフレの脱却などを目指して2013年に政府と日銀が出した「共同声明」を維持する考えを示し、「政策目標を共有してこれを基に必要な政策を遂行してきて経済・物価は着実に改善している認識だ。共同声明は非常に重要な役割を果たしている」と述べました。』(上記URL先より、以下同様)

えーっとすいません、日銀の方の2%物価安定目標達成は指呼の間だと思うのですが、あんたらに課せられている『また、政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。』(2013年1月の共同声明「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」から)っての全然達成できてないどころか隙あらばバラマキばっかりしているんですけど何が「非常に重要な役割を果たしてる」じゃ顔洗って出直してこいってもんですな。

まあそれはともかくとして、

『一方、今後の金融政策について赤澤大臣は、具体的な手段は日銀に委ねられるとしたうえで、「物価以上に賃金が上がっていくことに確信を持ってもらえないと、本格的にデフレから抜けることができたとは思えないので、私はかなり慎重に考えるべきだと思っていて総理も同じ考えだ」と述べ、日銀の利上げは慎重に判断されるべきという考えを示しました。』

とのお告げですが、現在の金融緩和状況ってのは日銀曰くで実質金利が大幅なマイナスで推移するという超緩和政策を継続している訳ですが、この政策って基本的に「物価を押し上げよう」として実施しているのですから、「物価以上に賃金が上がらないといかん」みたいな話をしたら、それは利上げを慎重に判断というのはおかしな話でして、本来であれば「物価の押し上げ効果を適正にコントロールしつつ適切な規模の金融緩和を継続しろ」という話になるのですから、緩和度合いの調整に関しては状況を的確に見極めて機動的に実施すべき、という話にならないと理屈がおかしいのですが、なぜか今の金融緩和政策は物価の押し上げよりも賃金の押し上げの効果の方が大きい、という幻想的な思考をしておられる模様で、なんか物凄い説明になっているのが面白すぎてこれは継続観察が欠かせないかもしれませんな。いやはやなんとも。

まあこれも実は単純にさっきの石破さんと同じくで、「石破ショック」と言われた動きにビビってそれを中和しようとしてハッスルした結果ハッスルのし過ぎになっているだけという気もしないでもないのですが、いずれにしても赤澤さん、なんかいわゆるゼークトの組織論(ということにされているだけで本当はゼークトそんなこと言ってなくて他の方のお話だそうですけど)に出てくる(内務省検閲)にならないようにご注意いただきたいものだと存じますが、このおしゃべりっぷりはなかなか面白そうですね。


・・・・・すいませんネタが渋滞しているのについうっかり世間話をw


〇7月決定会合議事要旨での話だが先行きの金利政策の部分が9月に合わせにいって会見と齟齬がある気がしますけど

すいません月曜にネタにした7月会合議事要旨の続きです
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240731.pdf
政策委員会
金融政策決定会合
議事要旨
(2024年7月30、31日開催分)

月曜は米国経済に関する部分を主に見て、何でこのトーンの議論をしていたのに9月会合後の植田総裁の会見では「米国経済下振れリスクガー」の連呼になっていたのか、という話をした訳ですが、何のことはない9月会合主な意見を拝読しました結果、昨日ネタにしましたように、そもそも政策委員会が全般的に「米国経済下振れガー」の連呼になっていた、というのが確認できた訳ですが、利上げの決定と先行きの金融政策に関する部分でではじゃあどういう話になっていましたか、ってな訳で確認をしておきましょうという企画です。

『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』

その前に国債買入減額の話にツッコミを

・日銀の国債買入減額を「事実上の歴史的な国債大量発行」という言説に対するツッコミがあった件

『まず、委員は、長期国債買入れの減額計画について議論した。』

から始まるところですが、なんか間の抜けた意見がありまして、

『また、別の委員は、債券市場参加者会合では減額に対する見方には相応にばらつきがみられており、予想形成が一方向に偏ることによる市場の混乱のリスクは高くないと指摘したうえで、こうした状況では、国債買入れの減額は緩やかなペースで着実に実施していくことが望ましいと述べた。』

えーっとすいません、予想がばらけていて市場の混乱のリスクが高くないんだったら本来望ましいのは国債買入をより大きく減額することなんですから、大きなペースで減額すればいいんじゃないですかねえ何言ってるんだこの人は、と思いましたがこれは前座でこの直後にメインイベントがあります。

『具体的な減額幅について、一人の委員は、仮に国債買入れの減額を市中への国債供給の増加という点で新規発行と同等と捉えると、今回の減額により、歴史的にも有数の大量発行局面を迎えるとも捉えられると指摘した。』

まあ誰なのかは皆様もご案内と思うのですが、これに対してこの指摘がありまして。

『この点に関連し、ある委員は、新規国債の発行と異なり、国債買入れの減額は金融機関の保有する日本銀行当座預金の減少を伴うものであり、金融機関は負債を一定とすればその分、何かの資産を購入することになる ---その意味で、資金面ではニュートラル ---と指摘した。』

この書き方、まとめ方が微妙に悪いので微妙になっていますけど、まあそもそも論として超過準備が死ぬほどある状態で、その超過準備を日銀当座預金付利によって実質不胎化しているのですから、この付利付き当座預金が減少したからと言って、超過準備が死ぬほどある状態は変わっていないので、実質的にはニュートラルになるんですよね。もちろんこの不胎化した超過準備がマネタリーベース直線一気理論でインフレ期待に効くとかいうような幻想的な思考をお持ちの方にとっては違う話になりますがwww

なお、この委員は、

『そのうえで、この委員は、金融機関のリスクテイク余力という観点からは、国債買入れの減額を進めると、当面は問題ないとみられるが、先行き国債の買い手不足が意識される可能性もありうると述べた。』

ということは補足しています。


・「消化能力を超えた国債発行を日銀がファイナンスする」というのを前提にした話をしているのは中銀として如何なものか

それからですね、この直後に別の方々が、

『一人の委員は、金融規制などを前提とすると、執行部案を大幅に上回るペースで減額を行うと、市場のリスクテイク余力の低下から金利上昇圧力が強まり、減額計画が強い金融引き締め効果をもたらすリスクがあると指摘した。』

『別の委員は、国債買入れの減額計画の目的は、あくまでも市場領域の回復であり、金融引き締めにあるのではないとの見解を示した。』

と言ってて、これ一見もっともらしいのですが、そもそも論として消化能力を超えて国債を発行しているのであれば、そのこと自体が凶悪な害悪なのであって、それを日銀の買入で補うという発想そのものが財政ファイナンスということで、まさに悪性インフレを招く話になるわけでして、中央銀行がこういうことを顧慮している、というだけでも本来は格下げもんだと思うのですが、まあ緩和ジャンキーで頭おかしくなっているのが世の中の風潮なので、幸いにも(幸いじゃないけど)スルーされているのですが、中銀は中銀らしく筋を通したうえで「でも現実問題として」というのならわかるのですが、この人たちその筋論言ってるのか言ってないのか謎、というか多分分かってないんじゃないかという感じがするので甚だ頭が痛いわけですな。


・しかし先行きの金融政策運営でこの話をしていたら何で会見の時にあんなに威勢がよかったんでしょうか

ちょっと先に行って金利の方の先行きの話から。

『先行きの金融政策運営について、委員は、経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当との見方で一致した。そのうえで、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営 していくとの考え方を共有した。』

ねえねえ何でベタ降りになっちゃったの??

『ある委員は、今回の政策変更後も、物価が見通しに沿って推移するもと、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続といった前向きな企業行動の持続性が確認されていけば、その都度、金融緩和の一段の調整を進めていくことが必要である との意見を述べた。』

この人がベタ降りしているのかは存じませんが、何でこれが急に米国経済下振れリスクガーになるんでしょうかね。

『別の委員は、2025 年度後半の「物価安定の目標」実現を前提とすると、そこに向けて、政策金利を中立金利まで引き上げていくべきであると 指摘した。そのうえで、この委員は、中立金利は最低でも1%程度とみており、急ピッチの利上げを避けるためには、今後も、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要があるとの見方を示した。』

田村抜刀斎オッスオッス。

『これに対し、一人の委員は、金融政策の正常化が自己目的になってはならず、今後の政策運営については、今回の政策変更も含め、正常化を進めていくことに伴う様々なリスクに目配りして、注意深く進めていく必要があると述べた。』

自己目的云々って今回の主な意見にもあるのだが、田村さんと思しき方の言ってるのは「お前らの見通しが正しいなら論理的にいってこういう政策をしないとおかしいだろ」ということな訳で、まあこの意見の人が物価目標金輪際行かないと思っているならこの意見でも話の筋は通っていますけれども、だったら展望レポート基本的見解の記載に反対しろよとしか申し上げようがありません。

『また、別の委員は、中長期の予想物価上昇率が2%にアンカーされていないもとで、引き続き物価は下方リスクに脆弱であり、市場で、先行きの利上げ観測が強まりすぎることは避けるべきであると述べた。』

じゃあ声明文の記載(先行き緩和度合いの調整をしていく云々の記述)に反対しろよということで、なんかもう滅茶苦茶なんですけどこの人たち。

『この間、ある委員は、長らく短期金利を引き上げた経験がないわが国では、中立金利の水準を巡る不確実性が大きいと指摘した。そのうえで、この委員は、中立金利の試算値から到達金利を定め、そこに向けて機械的に政策金利を動かしていくという政策運営は難しく、実際には、今回の利上げの影響を含め、短期金利の変化に対して経済・物価がどのように反応するのか点検しながら、政策金利の道筋を探っていくほかないとの見解を示した。』

なんか抜刀斎がボコボコにされているように見えてしまいますが、そもそも中立金利水準が1%って実質均衡金利マイナス1%なんだからクソのように低い推計値であって、これが抜刀斎が中立金利3%って言って話をしているならこの反論も成立するのですが、1%ってアホみたいに低い金利に向けてあげるのもダメですみたいなのってお前ら脳味噌ついてるのかという世界の議論ですわな。

でまあそんだけハトハトなら(議事要旨が出てくるタイミングがなんせ9月末ですから、ここの部分って後付けで抜刀斎をボコボコにしているような部分を殊更にフレームアップして今回のハトハトベタ降りムーブを正当化しようとしているんじゃないか疑惑が濃厚にあるんですけれども)なんで7月会合後の記者会見のときに4月から一気呵成にジャガーチェンジしたような発言してたんだよ、と考えますと、何かこの辺りの記述はちょっと怪しげなものも感じますな。なんせ今の植田日銀、妙なところでしょうもない小細工をするという無駄に器用なところがあるので。

というところで出遅れましたが7月会合議事要旨の続きでした。

本日はこの辺でご勘弁(短観すいません明日にでも)








2024/10/02

お題「ゲル政権スタートだが不安しかない件/9月会合主な意見はここまでハトハトに振る必要あるのか案件ですな」

日銀と言いFEDと言いECBと言いネタ投下が大杉でなんか成敗能力を超過しておるのですがどこから成敗すればよいのやら。とか言ってるとまあ急にネタが投下されなくなる時期があるのでこの繁閑の差がなんともである。

それはそれとして
https://www.sankei.com/article/20241001-L53YWS6OZBHSHFUN7WTI2W4PGA/
夕刊フジの休刊を発表
2024/10/1 13:30

『産経新聞社は、同社発行の夕刊紙「夕刊フジ」について、来年1月31日発行(2月1日付)をもって、電子版を含めて休刊することを決定し、10月1日発行(10月2日付)の同紙で発表した。夕刊フジの公式サイト「zakzak」も来年1月31日で更新を休止する予定。

同紙は昭和44(1969)年にタブロイドサイズの夕刊紙として創刊。以来、「オレンジ色のニクい奴」のキャッチコピーで、勤め帰りのサラリーマンらに独自の切り口でニュースを届けた。』(上記URL先より)

オレンジ色のニクい奴、ってキャッチコピー不覚にも存じ上げておりますわ(老人会会員の証です)、ということですが、紙媒体だけじゃなくてネットの方も終わりにするというのは意外オブ意外なのですが、近年は「独自の切り口」がリフレの巣窟みたいになっておられましてもうねって感じでしたので別に残念でもなかったりします。


〇あらあらデフレ脱却ですかそうですか何だか大丈夫ですかねえ(ゲル政権スタート)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-30/SKM90LT1UM0W00
石破内閣が発足、外交・経済は岸田路線を継承−経済対策の検討を指示
萩原ゆき、広川高史
2024年10月1日 8:30 JST 更新日時 2024年10月1日 23:16 JST

→加藤財務・赤沢再生相で経済財政運営、林官房長官は続投
→毎日新聞の世論調査で52%が期待、衆院選は15日告示・27日投開票

とまあそういうことですが、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-01/SKO4FKT0AFB400
日銀利上げ「慎重に判断を」、デフレ完全脱却が最優先−赤沢新再生相
伊藤純夫、萩原ゆき
2024年10月1日 18:25 JST

→経済を冷やすようなことは絶対にここしばらくやってはならない
→赤沢氏は石破新首相の側近、岸田政権では財務副大臣を務める

(ノ∀`)アチャーって感じのヘッドラインですが、

『赤沢氏は日銀の利上げに関する見解を問われ、「慎重に判断していただきたいし、ありとあらゆる方法で経済を冷やすようなことは絶対にここしばらくやってはならない」と述べた。デフレからの完全脱却が日本経済にとっての最優先課題だと重ねて強調した。』(上記URL先より)

ということで、折角期待していたのに認証式の初日でアタクシはもう呆れてしまった訳でして、ああダメダコリャということで高市先生復活してトラスショックもまた止む無しの焼き畑思想に戻りそうでありますわ、トホホ。

こんなの「金融政策は日銀に委ねており、2%物価安定目標の実現に向けて適切な政策を実行していただくということに尽きる」とだけ言っておけばいい話で、利上げ怪しからんでは高市さんと言ってること同じだし、さらにアカンのは引用部分のコメントにありますが、「経済を冷やしてはダメだから利上げするな」という説明でして、いや待てお前ら過剰な円安に飛ぶと株価はウハウハだけど消費とかに悪影響与えるしコストプッシュで誰得円安になるんだゾ、というお話なのに、どうせこいつらドル円150円超えてくると今度は円安の悪影響とか大騒ぎしだすの火を見るより明らかな訳ですよ。

その点ですね、高市さんであればそもそもが「円安は常に善」という思想で来ているので、金融緩和継続して円安にするのは正しい、ってなもんで突き進むので、別にそれが正しいとは思わないけれども一つの考え方ではあるんですが、こいつらどうせ石破ショックとか言われて株価が下がったのにビビって選挙もあるので言ってるだけだろ、ってのが見え隠れするわけでございまして、これはまあ「その場しのぎ」感が強くてよろしくない。

というのとですね、まあ石破ショックとか言われているのを気にしているんだとしたら、この政権って金融市場からのアタックに滅茶苦茶弱い政権ですねって話になりますので、まあいずれかの時点で金融市場の攻撃によってなんかやらかしてしまう恐れが強いなというのも心配材料であります。ただでなくさえ日銀が金融市場のアタックにクソ弱いのは8月9月のムーブで証明されているのですから政府もそれでは非常に危ないとしか言いようが無い。

でもってさらに気になるのはこの「デフレ完全脱却」とか言ってる話でして、ご案内の通りCPI断然高い(欧米から見たら屁かもしれないけど)状態な訳ですし、そもそも論としてインフレに対しての反感が岸田内閣の支持を下げている面って多々あると思う(それこそユーチューブショートとかでもしょっちゅう物価高は岸田のせいってのがあったし)わけでして、そういう状況なのにわざわざ好き好んで「デフレ完全脱却」とか言ってしまうの選挙的にも間抜けにもほどがあるわけで、こんなの野田さんが「デフレ完全脱却とか言って物価高を一段とすすめてはいけない、過剰な物価高は是正されるべき」とか言い出して対立軸にしたらどう見ても与党の分が悪いじゃろ、というお話な訳ですよ。

まあ日銀としてみたら、利上げするなとか抜かしやがるのがやってくるとうっとうしいにはうっとうしいでしょうけれども、利上げ判断の責任を政府にも負わせることができるので組織防衛上は助かる(国民厚生の話はここでは無視していますのであしからずw)話でして、こんなの「物価安定は日本銀行の責務で適切な金融政策で物価安定を達成していただくことをお願いしたい」と言って丸投げしておけば物価高批判は日銀が一手に負わないと行けなくなる訳で、そうなったら「日銀のアホウが悪い」と日銀をボコボコにすればよいだけの話だし、日銀はそっちの方が組織防衛上はかじ取り大変になるという「独立性には責任が伴う」というお話になるわけですな、ナムナム。

とまあそういう訳で、何ちゅうかゲル政権、日銀植田総裁の初期を思い出させる展開になりそうで頭が痛いし、日銀総裁と違って地位が保証されていないので大丈夫かよと思ってしまいました。

というほかに中銀の大ネタが並んでいるのに与太メモでした。


〇9月会合主な意見:7月の議論は何だったのかという振れ幅だがこれで10月また振ったら絶許

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240920.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 9 月 19、20 日開催分)1

9月会合後の会見における植田総裁の「米国経済の下振れリスクガー」の連呼やら、24日の大阪経済団体懇談会での講演でのハトハトチキンぶりは、植田さんが勝手に口を滑らかにして言っていたわけではなく、政策委委員会としての大勢意見だった、ということを確認できましたし、このようなアホウにもほどがある振れ幅で動いている政策委員会は即時解散しろと思いました、というのが感想ですわな。

とにかくね、なんかもう軸もなくあっちにフラフラこっちにフラフラされますと、金融市場もそれに応じて振れざるを得なくなるわけで(だんだん無視する傾向に円債の方はなりつつあるけど流石に丸無視するわけにもいかないですからやっぱり動く)、市場に無駄な不安定性をもたらしているのは日銀政策委員会なので、委員会の皆様におかれましては、ドラム缶で行く隅田川川下りと東京湾海底探索ツアーただし片道切符、というようなツアーにご参加されることを切に願って止みません。

あ、軸がしっかりしている田村委員と中村委員(中村委員の政策に関する意見には賛同しかねる部分があるが仰っていることには筋が通っていますのでその点は評価していますわアタクシ)はドラム缶川下り&海底探検ツアーに参加されなくても結構ですし、たぶん氷見野さんも参加しなくてよろしくってよ、ってのは付け加えておきますwwww

ということでまあそういう話やぞ、というのが主な意見ですが、おまけにこの主な意見の出来の悪さがかなり目立つというのも悲しいです。ということで以下サラサラと。


・政策修正後の動きに関する意見の中に「隠れハトハト」がいますな

『T.金融経済情勢に関する意見』の『(経済情勢)』から参ります。最初から何も考えずに全部並べてみますね。

『・わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しており、先行きも、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けるとみられる。』

大本営大本営。

『・ わが国経済は、足もと緩やかな回復を続けているほか、物価も着実に上昇しており、概ね想定通りの動きとなっている。この現状から、これまで実施してきた一連の政策変更が金融経済情勢に負の影響を及ぼす兆候はみられていない。』

オントラックオントラック、ということですが、この意見後半の書きっぷりが気になったのですよね。

と申しますのは、そもそも7月の政策修正って言うのは「緩和度合いを適正にするための修正」であって金融引き締めでも何でもない施策だし、緩和度合いを適正にするってえことは、そもそも論として「このままの緩和度合いを継続するのは適切ではない」という判断で政策修正を実施したのですから、本質的に「こまで実施してきた一連の政策変更が金融経済情勢に負の影響を及ぼす」ということ自体があり得ない話であるのでして、こういう言い方をするってえのはこの意見描いている人が内心で「3月のマイナス解除や7月の利上げは適正じゃないかも」って思っているという話で、つまりは現状維持バイアスがある人、って事になるんですよね。

なのでまあこの意見には引っかかるものがあって、誰だか知らんけどオントラックと言いながらもなんかの拍子でハトハトになるタイプだな、と思ってしまいました。

次の意見と比較対比すればより分かりやすいかと思うのですが、

『・ 国内の賃金・消費・設備投資・企業収益・物価などの最近の指標は、いずれも7月の
利上げの適切さを示す内容となっている。』

ということでですね、さっきの意見は本来こういう書き方をされて然るべきなのですけれども、さっきのような書き方になるのは「隠れハトハト」ということがお分かりになるかと存じます。


・米国経済下振れ三銃士登場なのですが円高を気にしているのが2人いるのはセンスがワケワカメ

じゃあ次に行きますがここからが「米国経済下振れガー」三銃士登場。

『・ 米国経済やFRBの利下げペースに関する不確実性が増しており、わが国の為替や企業業績に負の影響を及ぼす可能性に注意が必要である。』

三銃士1号のおもろいのは「我が国の為替」って言ってることで、文脈から言ってこれ為替円高の方を懸念しているようにしか読めなくて、いや160円の円高は是正したけどまだ140円半ばあたりの水準なんですけど、ここからの円高を懸念ってどういうセンスをしているんだよとしか申し上げようがないし、そもそもそんな円高行かねえだろうよ昔と構造違うんだぞと思うのですけどねえ。

『・ 米国経済は、家計や企業のバランスシートが健全で金融環境も安定しており、ソフトランディングを想定しているが、雇用を中心に底入れが確認できるまで注意深く見極める必要がある。』

『・ 米国経済はソフトランディングする可能性が高いが、そのための利下げの幅によっては、ドル安・円高、株安となるリスクがある。この点の見極めには、なお時間を要する。』

でもって三銃士2号はさておいて、三銃士3号までも円高懸念を表明していまして、いやいやいや何ゆうてますのん、と思ってしまうのですが、そもそもなんもなかったら円安じゃろ(米国利下げって言ってるけど日米金利差いくらありますねん、金利差だけの話じゃないけどさ)と思いますし、多少の円高になった方が国民厚生上マシとしか思えないのですが、そんなに140円割れる円高にナーバスになる必要があると思えないのですけど、まあこういう懸念が出てくるのが(ノ∀`)アチャーって感じです。


・残りの意見も全体的にハトチックなものが多いがそこまでのストロングハトかというとそうでもなさそう

続きまして米国ガーですけれどもこれはまた別の切り口。

『・米国の新政権の下で財政の拡大、移民の制限、保護貿易の強化などの政策がとられる場合、インフレが再燃し、米国の中長期の金利が上昇する展開も考えられる。』

ほうほう。

『・ 8月来の金融市場の変動が経済・物価に与える影響は大きくなく、経済・物価は見通し通り、オントラックで進んでいる。次回利上げに向けて、当面、@消費者物価、A来年の春闘に向けたモメンタム、B米国経済の推移に注目している。』

これはまあ利上げと言っているので米国経済ガーではないけど、来年の春闘に向けたモメンタムとか言ってると来年3月4月まで利上げできないんですけど大丈夫かよという気がするのでハト味がありますわな。

『・ 従業者の7割が働く中小企業は、防衛的賃上げが多く、稼ぐ力は力強さに欠け、消費者の節約志向を生む。将来不安の払拭に必要な実質賃金増加の定着に向けて、成長志向の中小・中堅企業の設備投資が積極化するか確認する必要がある。』

これは貫録の中村委員ですね。まあ言ってることはわかるのだが、それと政策金利の話って別もんじゃないのという話ではあるのだが。

『・ 円安修正が急速に進むもとで、原材料価格低下に伴う価格転嫁の巻き戻しや輸出数量の減少が続き、企業業績、賃上げ意欲や個人消費に影響することを懸念している。』

円安進むと消費マインド悪化するんで消費に影響云々は目先はプラスなのではないかと思うし、価格転嫁の捲き戻しの前にコスト低減効果の方が先に来ないかと思うのですが、まあハトハトなのはわかった。

『・ 身近なものの価格が大幅に上昇してきた中で、需要が維持されるかが重要である。賃金の動向を重視しているが、コロナ禍以降、消費者の行動様式が変容していると考えており、引き続き分析を充実させていくことも重要である。』

微妙に玉虫色。


・物価がオントラックで推移しているかを点検する時間帯なのに物価の意見が3本しかないんですが

『(物価)』を見ますと意見が3個しかない、しかも1個はただの大本営なので実質2個しかない、という事実には呆れて物も言えないのでお前らそこにあるドラム缶クルーズ船にちょっと乗ってくれませんですかねえというお話であるが気を取り直して引用引用。

『 ・消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』

これはただの大本営ですね。

『・ 円高進行や原油価格下落から、物価上振れリスクは後退しているが、再びデフレに戻る状況ではない。』

お、強気(というほどの話でもないが)。

『・ これまで長く続いてきた実質賃金低下による実質消費の押し下げが、足もとようやく和らぎつつある可能性がある。他方で、消費者の側にはまだ価格は上がらないのが当然という意識が根強く残っているようにもみえる。そうした意識が確かに薄らぎつつあるのか否かについては、今後もよく注視する必要がある。』

まあこれはよくわからんとしか言いようが無いですよね。ワシはかなり薄らいでいるようにも見えるけど。


・金融政策運営に関する意見がこれでもかというハトハトチキンのオンパレード

全部植田さんが書いたのかと思ってしまう勢いで笑ってしまうしかありませんでした。では『U.金融政策運営に関する意見』の意見も折角だから全部引用しましょう。なぜか意見が13本もありますなw

『・ 経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはない。もっとも、金融市場は引き続き不安定な状況にある。政策判断に当たっては、内外の金融市場の動きそのものだけではなく、その変動の背後にある米国をはじめとする海外経済の状況などについても、丁寧に確認していくことが重要である。』

まるで普段丁寧に確認していないみたいですねwwwwww

というまぜっかえしはさておき、「金融市場は不安定」だわ「米国経済」だわ「海外経済」だわともう一発目からチキン音頭が華麗に流れておりまして、以下ハトハトチキン音頭でポンコツの皆さんが盆踊りをしているのを鑑賞するコーナーになります。

『・ 当面は、米国はじめ海外経済や金融資本市場の動向と、それらが見通し・リスク・確度に及ぼす影響を見極めるべき局面である。最近の円安修正に伴って、輸入物価上昇による物価上振れリスクも減少しているので、見極めるための時間的余裕はある。』

「見極めるための余裕がある」ってのハトハトチキン総裁が言いそうな意見ですが、4月から6月の為替の動きを忘れているんじゃないですかねえ余裕なんてのはあっという間になくなるかもしれないのにそういって円安を誘発するリスクを高めているの間抜け以外の何物でも無いんですけどねえ。

『・ 一定のペースで利上げをしないとビハインドザカーブに陥ってしまうような状況にはないので、金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない。』

「ない」って言い切っているんですがビハインドにならないという判断根拠は何なんですかしらそんなにロバストでレジリアントな確信でもあるんですか????

『・ 「物価安定の目標」が実現しておらず、金融経済情勢を巡る不確実性が払拭できない中、現時点では本格的な引き締め政策への転換を連想させるような追加的な政策金利の変更は望ましくない。』

これは野口委員っぽいですが、どこの世界に本格的な引き締め政策をしろと言ってる人がいるのか、って話でして、こういう藁人形論法をするのがリフレ派残党っぽい意見ですなと思いました、まる。

『・ 海外経済の不確実性が高まっただけに、市場変動の影響も見極めるため、当面は海外・市場動向を見守り、金融緩和の一段の調整は不確実性が低下した段階にすることが妥当である。現在の緩和的な金融環境を粘り強く続ける我慢の局面と言える。』

我慢じゃなくてチキンでしょ、ってなもんでして、我慢した結果円安に飛んでまた泣きながら利上げする破目に追い込まれるに100万ジンバブエドル。

『・ 政策金利は、見通しに大きなマイナスの変化がないことが確認できるのであれば、時間をかけすぎず、引き上げていくことが望ましいとの考えは不変である。ただし、利上げ自体を目的とはしていない。日本経済の健全な成長に対する期待に見合う水準程度まで徐々に上げていけることが理想である。センチメントが実体経済に及ぼす影響も考慮し、政策変更には適切なタイミングを選ぶ必要がある。』

玉虫色ですなあ。という感じですが、この後に田村さんと思しき意見があるのでこれは田村さんじゃない可能性があるなと思いますし、この意見の書きっぷりを見ていると、「そもそも現状の金融緩和が経済物価情勢に対して馬鹿みたいな超緩和をしている」という認識を実は持っていないからこういう書き方になるんじゃないのかな、って思う次第です。

『・ 経済・物価がオントラックで推移していく場合、早ければ 2025年度後半の 1.0%という水準に向けて、段階的に利上げしていくパスを考えている。したがって、今回、政策金利は現状維持でよい。』

これが田村さんですね、前半の文と後半の文の接続詞は「したがって」ってのが一瞬読んでて???になるわけでして、これ接続詞を頭にしないで「連続利上げの必要はなく、政策金利は現状維持でよい」の方が趣旨が初見で伝わると思うのですがどうでしょうかね、と共通一次の現国を得意としていたワイ的には思うのですがまあ他の意見も併せて字数の関係ですかしら。


『・ 今後の政策運営は、下方リスクに十分配慮し、データを慎重に確認して進める必要がある。』

はいハトハトのおかわり来ました〜っと。

『・ 世界経済の下振れリスクとともに不確実性も高まった。市場にサプライズを起こさぬよう、日本銀行として、実体経済の変化の予兆や進捗を示して市場・企業の理解を高めたうえで、データの変化を点検し、改善に応じて金融政策を修正する、データディペンデントな姿勢について、浸透を図ることが重要である。』

何が「サプライズを起こさぬよう」じゃお前らのブレブレが毎回サプライズなんじゃ、とは思いますが、後半でデータディペンデントってちゃんと言っているので田村さんがぶぶ漬け話法を使っているのかも
しれません。

『・ 追加的な利上げを行う局面では、政策スタンスを始め、市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要がある。』

お前らの「丁寧な説明」は破綻のゲロゲロマーライオン状態でノイズをまき散らしているだけで、全く持って「無能な働き者」にも程がある、ということを分かっていない無能な働き者の意見なので、日銀様に置かれましては今後とも益々ノイズをまき散らして大変なことになる、に1兆ジンバブエドル。

『・ 長らく利上げを行っていなかったこともあり、言葉に対する日本銀行と市場の共通理解が薄れてしまっている面がある。市場とのずれが生じない発信、ずれが生じた場合の適時の修正等、コミュニケーションの改善に努めるべきである。』

何かコミュニケーションの話が最後の方に並んでくるのですが、そもそもお前らが無能な働き者以下同文。

『・ 経済状況の進展などによって日本銀行の経済に対する見方に変化が生じ、市場の見方との間に齟齬が生じる可能性がある場合には、そのギャップを埋めるべく、可能な限り丁寧なコミュニケーションを行う必要がある。』

そもそもお前らが無能な以下同文。

『・ 基調的な物価上昇率や経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に関するコミュニケーションについて、丁寧な情報発信が必要である。』

そもそも以下同文。

ということで、なんか4本も「丁寧な情報発信」があるのですが、田村委員が先般の金懇で言及していました「情報発信そもそもアカンかったのではないかと反省すべき」というようなレビューではなく、「よーしパパ張り切ってもっと懇切丁寧に説明しちゃうぞー」となっているのがもう救いようがないのですが、皆様におかれましてはドラム缶以下省略。


・これだけハトハトチキンを並べているんでしたら・・・・・・・・・

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241001/k10014597551000.html
日銀 9月会合の主な意見公表 “利上げ 慎重に検討すべき”
2024年10月1日 14時57分

『日銀は政策金利の据え置きを決めた9月の金融政策決定会合の主な意見を公表しました。委員からは海外経済や金融市場などのリスクに関する指摘が相次ぎ、この先の利上げについては慎重に検討すべきだという意見が相次いでいたことがわかりました。』(上記URL先より)

とまあこういう受け止めになるのは当たり前田のクラッカーな訳ですわな。

・・・・・まあ今までの日銀のブレブレっぷりを見ていると「またブレブレか!」と思って話半分にこの主な意見を読む向きもあるでしょうし(円債方面はそういう人がだんだん増えているようには思えます、知らんけど)、一方で就任以降のハトハトチキンぶりを思い出して「やっぱり日銀の本質はハトハトチキン」と見る人もいると思うのですが。

でもまあ書いてあることを額面通りに読んで、その行間から出てくるハトハトチキンの強い香りを感じますと、素直に読めばこれだと次の利上げってどう見たって3月4月辺り、下手したら来年の6月7月じゃろ、と読んでも全然おかしくない訳ですよ。

でですね、別に政策委員会の皆さん(のうち田村さんと中村さんはとりあえず除外です為念)がそういう強い見通しを持ってこの情報発信をしているんだったらまあそれはそれで良いんですけれども、この人たち(田村さんと中村さんは別です、しつこいですけどw)は円安に為替が飛べばブレるし、株が下がればブレるし、何なら今回だと「高市リスク」を意識しててブレた可能性も否定できない訳でして、本来は経済物価状況に応じて進めていく金融緩和の修正に対してもホイホイと他の要因でぶれてしまう訳ですよ。

と考えますと、こいつらのハトハトチキンって「10月会合の利上げはありません」という予告はしているけれども、12月会合に向けてまた豹変するかもしれないし、何なら10月展望レポートでまた「経済物価情勢はオントラック」を強調しだしても何ら不思議ではないという困った方々なのでして、説明していることの時間軸が近視眼にも程があるので、そりゃ一々市場の期待が大きく動いてそのたびに市場が大きくぶれる罠、と思うのですが、どんどんその近視眼がつよくなっているようにしか見えないわけです。

それにだいたいからして今の時点でそんな先の政策を決め打ち可能な状況ではない筈なのに、まるで先行き経済への確信がものすごい勢いであるかのようにハトハトチキンに思いっきり振った情報発信を(この主な意見だけではなく9月会合会見や24日の講演などでも)出してしまうというのがもうダメダメなんで、これは委員会の問題なのか振付師の問題なのか知らんけど、ちょっと酷すぎやしませんか、というのがまあ本日の結論ですし、これが出たからといってわかるのは、そもそも市場の誰もあると思っていない10月の政策変更がありません、って予告三振だけだと思うんですよね、個人の感想ですけど。

ということで短観その他諸々のネタ全然できませんでした。そっちの続きは明日以降(すいませんすいません)








2024/10/01

お題「昨日は高市リスクの捲き戻し(除く短期)/金利付いて初の期末は特段の混乱なし(なお短国w)/米国高官発言メモ」

いやー10月ですよ10月。

〇短国以外は高市リスクの捲き戻しですかそうですか(俺様備忘雑メモ)

・普通の国債ちゃんの方のカーブは見事に高市リスクの動きからの捲き戻し

昨日の債券市場ちゃん、先週高市リスクで中短期がアホみたいに強くなったのの反動が出てきまして、皆様ご案内のように・・・・・・・・

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/HK3MQ2XLKRKT3E62W43DJ5DYCM-2024-09-30/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反落、長期金利0.85% ポジションの巻き戻し続く
By ロイター編集
2024年9月30日午後 3:26 GMT+9

『[東京 30日 ロイター] - <15:13> 国債先物は大幅反落、長期金利0.85% ポジションの巻き戻し続く

国債先物中心限月12月限は前営業日比57銭安の144円65銭と大幅反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同4.5bp上昇の0.850%。27日の自民党総裁選で石破茂氏が選出されたことを受けたポジションの巻き戻しが継続し、国債先物は軟調に推移した。』(上記UIRL先より、以下同様)

と言いましても引けにかけては先物ちゃんエッホエッホと強含んでいましたので、月末なのでなんかあったんですかね、知らんけど。

まあ何せイールドカーブちゃんが、

『現物市場で新発国債利回りはまちまち。2年債は同7.0bp上昇の0.385%、5年債は同7.0bp上昇の0.505%。20年債は同0.5bp上昇の1.670%。一方、30年債は同3.0bp低下の2.070%、40年債は同4.0bp低下の2.365%。』

とかいう面白ツイストになっているのも高市リスクの捲き戻しでして、

『   OFFER  BID  前日比 時間
2年  0.373  0.383   0.06 15:03
5年  0.493  0.5    0.063 15:12
10年  0.848  0.856  0.05 15:07
20年  1.665  1.677  0.013 15:10
30年  2.067  2.078 -0.018 15:11
40年  2.361  2.373 -0.037 15:03』

とかいう面白気配になってしまいました、という所ですが、一方で短期国債に関しましてはですな、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

(9/30引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.060
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.060
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.060
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.030

とやっておられまして、金曜日が

(9/27引値)
国庫短期証券1256 2024/12/16 平均値単利 0.060
国庫短期証券1202 2024/12/20 平均値単利 0.060
国庫短期証券1258 2024/12/23 平均値単利 0.059
国庫短期証券1259 2025/01/08 平均値単利 0.030

だったので微かに修正されている場所がありますがまあ無風無風ということで、短期国債だけは何も変わらん、というかまあ短国ちゃんの期末プレミアムは木曜のWIの時がアレだったという風情ですが、とは言いましても約定ベースで期初になるのが今日なので今日はどのくらい修正するのか、というかカレントの3bpとかお前ふざけるなというレートを修正するのかしないのか、ってなところではございまして、短国を見ても利上げ織り込みが全く読めないという市場機能の無し無しモードではありますな。


ということで長い方だけこんな動きになっていましたが、まあ確かに目先で言えば高市大先生が勝利した場合には日銀に鬼プレッシャーをかけて利上げさせないし、財政はバンバン出すしで、それはそれで中短期金利低下の超長期金利上昇で良いのでしょうけれども、もっと冷静に考えてみると、その上円安は常に善とかいっている高市大先生ですから、そんなに遠くない先にソブリン危機とか通貨防衛とかそっちの方で面白事案(全然面白くないけど)が発生するので、そもそも論として債券買っている場合なのかという説があって、短いのをホイホイ買うのも何やってるんだかとは思ってみてはおりました。


・結局短期で期末要因が大きく効いたのは短国アウトライトだけだったか・・・・・

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp240930.htm
無担保コールO/N物レート(9月30日<月>速報)

平均 0.225%
最高 0.228%
最低 0.217%

ということで、確か9月は0.226と0.227と0.228しか無かったので、おおお0.225%平均じゃん、などということも可能ですが、まあこれはどこからどう見ても誤差です本当にありがとうございましたという感じ。

なにせ25bpも付利される超過準備じゃぶじゃぶなので資金繰り的な調達サイドというのは限界的でして、あとは期末だから日銀当座預金の残高を無駄に増やさないでバランスシートのグロス総量を調整しようという向きがどのくらいいるのか、という話の世界なので、昔のトン調節の時代と違って期末は金利が下がる可能性が、とは思っていましたが、この感じですとまあ普通に調達サイドもたいして引くこともなく(レートがさがっているので若干引いているんでしょうけれども)推移って感じですかね。

ただまあこの無担保コールに関しても、集計上短資の媒介コールしか出てこないので、そっちじゃない方に関して取り切れているのかって話もこれあり(直近のコール市場残高集計とか見ますと、媒介コールの翌日物の残高が如何にも少ないように見えます)で、まあその辺は謎オブ謎ですけれども、いずれにしても市場が動揺するような動きにはなっていなかったんじゃネーノという印象。


東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

3日ほどの値動きを見ますと、

        O/N T/N   1w  2w  3w  1m  3m
2024/9/26 0.241 0.219 0.201 0.199 0.199 0.199 0.206
2024/9/27 0.244 0.208 0.199 0.198 0.198 0.199 0.207
2024/9/30 0.232 0.238 0.199 0.199 0.198 0.199 0.207

ちょっとだけ27日のトモネが末初に掛かって低下しましたが、目を見張るような低下をした訳でもなく、まあ特段波乱が起きたわけでもなさそうなレートでして、これですとアベイラビリティが急に下がってさあ大変、みたいなことも起きていないように見受けられるわけで(知らんけど)、結局のところ短国アウトライトだけ期末要因で9月の新発短国がクソ低下した、ということになるのですが、この短国アウトライトのタチが悪いのは別に期末要因じゃないんじゃネーノ説が大いに有力なことでして、ごくごく単純に担保需要とか(気候変動オペ増えているのに貸増が減らないとか地獄としか言いようが無いわけです)で強いだけ疑惑が非常に高いので、期初になって1週間くらいしても一向に戻る気配がない場合には、単に短国だけマーケットがマーケットとして機能していない、という悲惨なことなのかもしれない、というか多分そうなのですが、期初から血圧の上がる展開になるのかどうか、アタクシの健康のためにも(大嘘)ちったあ需給が緩んでいただきたいものであります。



〇オペ紙は予定通りの減額だが中期中心の減額だと何か少ねえなあと思っちゃいますなwwwww

・長国オペ紙

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240930c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2024年10〜12月)

〜1年:  1500×1(前回1500×1)
1〜3年: 3250×4(前回3500×4)
3〜5年: 3250×4(前回3750×4)
5〜10年:3750×4(前回4000×4)
10〜25年:1500×3(前回1500×3)
25年〜:  750×2(前回750×2)
物価連動: 600×1(前回600×1)

ということで月額換算で1−3が1000億円、3−5が2000億円、5−10が1000億円の減額ということで、ボリュームゾーンの減額を実施しましたよってなもんですが、しかし1回の減額が250億とかいうのを見るとショボすぎて涙が出てしまう訳で、いやまあこれが毎月このペースで減らすならまあやる気を認めるが、四半期でこれかよと、短いゾーンのクソ逼迫需給を毎日見ながら憤怒の念を禁じ得ないワイ将としてはこのちんたらぶりに涙しかでませんな。

そもそも超長期の1000億の減額と1−3年の1000億円の減額ではマーケットインパクトが全然違う訳で、いやまあ額で決めてしまっているからしょうがないのはしょうがないのですが、中短期減らすならもっと減らしたっていいじゃんと言いたくなるけど、これまあ変更するのにはMPMでの議決が必要なのでしゃあないですが、よくよく考えてみれば減額するゾーンが自由自在ってのもなんか変で、プロラタで減らす方が筋なんじゃないかねとは思いました。まあそれをされると益々中短期の減額が減ってしまうから頭痛いけどwwwwwwwww


・CP社債買入は6月公表時に減額したのと同じペースで今回も減額なので・・・・

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240930a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2024年10月〜11月)

10月は既にアナウンスされていますので、今回は実質11月の予告編になります。

CP買入:4000→2000
社債買入:500→250

ってことですが、前回が8月に減額になっていて、この時はCPが「3000×2→4000」で社債が「750→500」なので、このまま直線的に減らすと1月までは買入を継続して2月のところでゼロにするのか、お情けで2月3月まで続けるのか、って感じですかね。

しかしまあ何ですな、リスク性資産と国債って差があるからこんなもんと言えばこんなもんかも知れませんが、CP社債買入の減額の威勢のよさに対しまして、長期国債買入減額のへっぴり腰っぷりには涙を禁じえません。


〇何か連銀高官が色々とお話をしているようですが

ほうほうそうですかそうですか

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/RUG6OHJ4UVJQJOW63AWRNUF2MI-2024-09-30/
1年以上かけ大幅な利下げ必要=米シカゴ連銀総裁
By ロイター編集
2024年10月1日午前 4:12 GMT+9

『[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は30日、経済の現状と今後の見通しを踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)による大幅な利下げが必要だとの見方を改めて表明した。フォックス・ビジネスのインタビューで語った。』(上記URL先より)

確かにSEPの経済物価見通し通りだったら中立にしないと話がおかしいですからね。ということでまあFOXなので記事は拾えるかもしれないので努力しておきましょう。


https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/J3TAF3ZBCBOT3DCU25S5OYEQ2A-2024-09-30/
11月の0.5%利下げに「オープン」、労働市場軟化なら=アトランタ連銀総裁
By ロイター編集
2024年10月1日午前 2:48 GMT+9

『[ナッシュビル(米テネシー州)30日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は30日、今後入手される指標が労働市場のさらなる軟化を示せば、11月の連邦公開市場委員会(FOMC)でさらに0.5%ポイントの利下げを実施することに「オープン」という認識を示した。

ボスティック総裁はロイターとのインタビューで、米連邦準備理事会(FRB)が今後15カ月間で「秩序ある」金融緩和を実施し、2025年末時点で政策金利が3.00ー3.25のレンジに達するというのが自身の基本的な見通しと語った。』(上記URL先より)

確かにSEPの経済物価見通し通りだったら以下同文。

とまあそんなわけですが、昨日はパウちゃんの法話もあった次第でして、

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-30/SKN0IIT0G1KW00
パウエルFRB議長、政策は「時間とともに」より中立スタンスに
Amara Omeokwe
2024年10月1日 3:05 JST 更新日時 2024年10月1日 5:24 JST

→物価上昇圧力が一段と緩和する情勢「整っている」−パウエル氏
→パウエル議長「あらかじめ定まった道を進んでいるのではない」

なぜかBBGになっているのは一応バランス配慮ですw

『米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)では「時間とともに」政策金利を引き下げていくと表明した。一方で経済全般については、しっかりとした足取りを続けているとの認識を改めて示した。パウエル氏はまた、インフレ率がFOMCの2%目標に向かって低下を続けるとの確信を改めて示し、経済では物価上昇圧力が一段と緩和する情勢が「整っている」と述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、なんか方向逆ですけどどっかの中銀みたいですねw

しかしこの記事見てて思ったんですけど、記事中にこんなのがありましてですね、

『投資家にとっては今後数カ月の利下げ幅とペースが極めて重要な問題だが、今回の発言はそうした疑問に答えを与えなかった。』

ってお話。先般来植田総裁の記者会見で記者が年内利上げするのかという質問をしておりましたけれども、これまさにウッドワードとバーナンキの残した最大の負の遺産でして、「普通の金融政策」をしているんだったら、経済情勢なんて常に生き物で、先行きどうなるかなんてえのは100%の確信をもって決め打ちできるものではないのですから、本来は「毎回の金融政策決定を討議する場において経済物価情勢と先行き見通しを判断し、その討議を受けて適宜適切に政策判断を下す」というのが正しいのであって、だからこそ年に8回も金融政策決定をする機会があるわけですよ。

然るに、長期にわたる非伝統的な緩和によるフォワードガイダンスという名の決め打ち政策に慣れてしまっている人たちがモルヒネ薬中になってしまっていて、中央銀行は先の政策に関して常に何かを与えてくれるもんだ、というクレクレ病が市場全体に非常に深く蔓延していて不治の病なんじゃないか位のモルヒネっぷりになっているので、まあこういう風潮になるわけで、中銀がなんも言わないでも経済物価情勢を分析しててめえが判断するんだよ馬鹿かお前ら、と馬鹿市場と馬鹿メディアに小一時間問い詰めたいわけですよ全く、と思いました。

・・・・気を取り直しまして、記事の一部の続きをば

『講演後の質疑応答でパウエル議長は、9月の利下げ決定と同時に発表された当局者予測が、11月と12月の2会合で0.25ポイントずつの利下げを示唆していることを認めた。しかし、まだ入手していない情報も含めデータに基づいて決定を下すと注意を促した。』

そらそうだ。

『さらに「委員会は利下げを急いでいない」と発言。「最終的には、これから入ってくるデータに導かれるだろう。景気が予想以上に減速すれば、利下げを速めることが可能だ。景気が予想ほど減速しなければ、もっとゆっくりしたペースで利下げを実施できる」と語った。』

結局FEDが市場のクレクレを止められない理由は簡単で、政策金利のドットチャート出すからなのでありまして、そんなのFEDも分かっているのでしょうけれども、まあもしかしたら「中立金利」に戻したところで「経済は均衡状態に入ったので長期的な政策金利見通しを出すのは良くない」といかなんとか言って(なぜなら均衡状態からの「先行き見通し」を出すとどうしても手前での見通しの微小な変化を先の見通し部分で増幅して出すような形になって市場の安定化に反する結果になりかねないから)廃止するチャンスは狙うだろ、と思うのですが実際どうなんでしょうかね。

なおパウちゃんの本チャン講演は、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20240930a.htm
September 30, 2024
Economic Outlook
Chair Jerome H. Powell
At the National Association for Business Economics Annual Meeting, Nashville, Tennessee

にあるのですが、期末期初ということもありまして生業も暇ではありませんので今朝はこの辺でご勘弁いただきとう存じますすいませんすいません。