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2024/07/31

お題「利上げかどうか微妙な記事が並びますが・・・・・・・/三村財務官インタビュー」

ということで決定会合2日目ですよ!!!!

〇NHKや時事通信などが報道しているのは微妙な寸止め感がw

昨日の債券市場とか「事前報道がないから利上げ無し」みたいな市場の中の人の声が多かったらしい、と聞きまして、最近のお漏らし報道に慣れ親しんだ馬鹿は肥溜めにでも飛び込んでろと思っていたのですが・・・・・・・・・・・・

・NHKは「ロジカルに考えたら利上げするんじゃねえの」みたいな読ませ方をする記事

昨日23時過ぎのNHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240730/k10014530221000.html
日銀 追加の利上げ検討へ 0.25%程度に引き上げる案など議論か
2024年7月30日 23時43分

『日銀は31日、2日目の金融政策決定会合を開きます。政策委員の間で物価が見通しに沿って上昇しているという見方が強まる中、追加の利上げについて検討し、最終的な判断を行います。日銀は31日、2日目の会合を開き、当面の政策運営の方針について9人の政策委員が議論します。』(上記URL先より、以下同様)

とありまして、断定報道ではないのですが、NHKのこのニュースの書き方の出来が大変によろしいと思うのはこの次に、

『植田総裁は基調的な物価上昇率が目標とする2%に向けて安定的に上昇すれば、追加の利上げを行う考えを示していますが、多くの委員が物価は見通しに沿って上昇しているという見方を示しているものとみられます。』

とあるのが大変によく書けている記事なんですよね。

これ断言はしていないけど、「今までの日銀のロジックから言えば多くの委員が物価が見通しに沿って上昇している、という見解なのであれば政策金利の調整は実施されて然るべき」って形で、利上げあるでーって報道しているという読者に読ませて察しろという高度な(高度かあ?)書き方で断言調を避けているので、これならお漏らしとも言い難いというのが良くできてるなと思いました。


まあ何ですな、もともと4月展望の時に上記のように「物価が見通し通りに推移すれば金融政策の調整を行う」って言ってた訳でして、しかもこれまで散々言ってた賃金は強い結果になっており、短観などで見られる企業の期待インフレだって明らかに今までと違っている訳で、そもそも論としてはここで利上げを「行わない」というのは3か月前に言ってたことを自分で反故にしているのと同じな訳ですよ。

じゃあお前は何で「今回は予告ホームラン」としたのかと突っ込まれますと、それはまあどうせ植田のウスラトンカチがハトハトチキンで輪番減額と利上げを同時にやるような腹の座り方をしていないでしょということでして、個人消費云々よりも中小の賃上げを全部確認するとなると6月7月のデータを見る、つまり9月会合まで確認作業するとかいうチキンプレイに出るかなと思ったためでして、ハトハトチキンが決断できるならまあ7月の方が(展望レポートの会合なんだし)ロジカルにはアリだな、とまあそういう感じで。

『委員の中には円安が物価を押し上げるリスクを注視すべきだという意見もあり、関係者によりますと、31日の会合で日銀は追加の利上げを検討する方針です。』

個人消費がーってのを言う人もいるんですが、そもそも個人消費が伸びないのは円安コストプッシュで物価が無駄に押し上げられていることなのですから、個人消費を見極めたいとか言って政策修正に消極的なスタンスを出したら円安飛んでさらに個人消費の下押しになるだけなので、もともと個人消費がどうのこうのを政策修正の言い訳にしているのは、そういう背景をなんも考えられない大リーグ級の馬鹿か、詭弁大王のいずれかな訳でして、まあ個人消費は言い訳にならんよね、と思います(賃金の最終動向と価格転嫁の動向を見極める、なら意味はまだ通る)。


・時事通信も「利上げを議論」だが断定調ではないように見えますけど

時事通信のほうが1時間早いですね(いずれにせよワシは今日に備えて早寝してたんだがw)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024073001082&g=eco
追加利上げの是非焦点 国債購入、減額計画決定へ―日銀会合
時事通信 経済部2024年07月30日22時24分配信

『日銀の金融政策決定会合が30日から2日間の日程で始まった。31日には国債の買い入れを減額していくための具体的な計画を決定する予定で、さらに追加利上げに踏み込むかが焦点。日銀内では、賃上げの動きが中小企業を含めて地方にも広がっているとの見方がある一方、物価高による個人消費の低迷を警戒する声もあり、利上げの是非を慎重に議論する。』(上記URL先より、以下同様)

となっていますが、

『日銀は今年3月、マイナス金利政策を解除し、短期金利の誘導目標を「0〜0.1%程度」に引き上げた。追加利上げを行う場合は、新たな目標を「0.25%程度」とする公算が大きい。国債買い入れの減額については、現在の月間6兆円程度から2025年度末に3兆円程度になるよう段階的に減らす案などが有力視されている。』

ということで、案のところが思いっきり毒にも薬にもならない書き方。


・ロイターがおまとめサービスwwwww

次にネタにする日経の記事も併せてロイターさんがおまとめサービスwwwwwwwww

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/MYUUWCN6Y5IDXERCBCNNVRNPRM-2024-07-30/
日銀が追加利上げ検討、0.25%程度への引き上げ議論へ=報道
By ロイター編集
2024年7月31日午前 2:14 GMT+9

『[東京 31日 ロイター] - NHKや時事通信など国内メディアは、日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論すると報じた。NHKは、9人の政策委員の多くが物価は見通しに沿って上昇しているという見方を示しているものとみられると伝えた。』(上記URL先より、以下同様)

おまとめサービス中々優秀で、

『時事通信は、物価高で個人消費が鈍る一方、賃上げや政府の定額減税などの効果で景気の腰折れは回避できると日銀は判断していると報じた。急速な円安で輸入インフレが再燃する恐れもあり、利上げが妥当との見方が広がっているという。』

『日本経済新聞は、会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構えと伝えている。』

『一方、NHKと時事は、実質賃金はマイナスが続いていることから委員の間で追加利上げに慎重な声もあり、会合で最終判断すると報じている。』

いやこれマジで当日ガチンコ対決になるんだったら面白いなと思いますが、これ日経が一番間抜けでして、「会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構え」とか書いてんじゃねえよボケがという話で、時事とNHKはお漏らし記事の体裁にならないように書き方結構工夫しているのに日経は何ちゅうことをしてくれますねんという感じでして、これじゃあお漏らし記事(なお日経のはそもそも会員記事なので詳しくは読めていない)になっちゃうじゃんアホなのかNHKと時事通信の配慮をよく考えろってなもんですけどね。

いやまあお漏らしじゃなくて単に内閣府とか財務省に「今回利上げするとなったら止めに掛かりますか」って取材した成果物を書いているだけなのかもしれないけど、うーんなんか日経ダメだなと思いました、いつものことだけど。

でもって日経ですけどこれは朝刊記事ですね要するに(タイムスタンプが2時AMだから)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB25AMT0V20C24A7000000/
日銀が追加利上げ検討、0.25%に 量的引き締めも決定へ
日経スクープ
2024年7月31日 2:00 [有料会員限定記事]

まずね、この題名の「量的引き締め」って何だよ馬鹿なのかとしか言いようが無いわけで、日銀のこの世のものとは思えない規模の国債買入がいきなり売りに転じるのだったらそりゃ引き締めだけど、(巷間言われている2年後に月額3兆円だとして)単に「買入の規模が少し減る」だけの話で、何なら黒田がQQE始めた初期の買入よりも巨額の国債買入は続くんだが、何が「量的引き締め」じゃアホかという話で、経済のクオリティペーパーを名乗ってこの表題を書いている時点で「センセーショナルな表題を書くこと>>>>>>正確な報道」という社是が伝わってきて泣けてきますな。

でまあ記事の方は会員記事なのでリードのクソどうでもよいところしか見れないので割愛しますが、まあそういうことでこれが断定調なのかはわからんですが、まあいずれにしましても各社ともにこの出し方ということですな。


〇利上げする(かどうかはともかくとして)なら「今後の緩和度合いの調整」を描く必要がある

とまあそういう事ですので、少なくとも利上げの議案はぶっこまれるでしょって話だし、まあ最悪でも次回は利上げでしょうってことになるかなとは思うのですが、これで政策金利に関して手ぶらだったら爆笑の発作で笑い死ぬ自信があるから頼むからアタクシを笑い殺させないでください。

それはともかく、まあ今回(かどうか知らんが)利上げするのは、この前のマイナス解除と違いまして(いや本来はマイナス解除もそうだったんですが)単発で終わるものではなくて、この先の中立により近い金融政策への移行、を示すものになるはずなので、仮に今回利上げするとしたら、今後の金融政策の調整というのをちゃんとだしていかんと、という話になるんですよね。まさか今回の利上げ単発ですよとか言ったらそれはそれであたおか事案。

でもってそうなると実は政策金利以外にも、(1)輪番でアホみたいに買っている長期国債の意味は何でしたっけ?(2)政策スタンスが緩和じゃないのに何で期間1年固定金利のオペとかやってるんでしたっけ?(3)日銀の目標が達成されたときには中立に近い金利にすると思うんですが計算してます?とかいろんな論点についてこれからお出ししていただきたいと思う訳ですな。まあ当然そんなのは日銀の中ではあると思うのですが、利上げが開始されないとその話もちょっと先の話っぽくて現実問題として遠かったかもですが、もう利上げすれば現実の論点になってくると思うの。

ということで、まあ今日利上げするのかしないのかは知らんけど、この調子なら遅くとも9月会合では利上げになると思うので、10月展望とか、展望の後に行われる総裁か副総裁の講演とかで徐々にそういうのを出していただきたいものです。

と書いてみただけですがまあそういう事で。


〇三村財務官BBGインタビューでは円安デメリットの話をするとな

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-30/SGEGUHT0AFB400
三村新財務官、円安「デメリット目立つ」−為替介入の判断は総合的に
梅川崇、横山恵利香
2024年7月31日 0:00 JST

→為替介入巡る市場との対話、疑心暗鬼を生む戦略も時には有効
→為替の問題が国民の関心事に、財務官として念頭に置いて対応

でまあ記事の中身とか面白いのですが、今朝は何せ日銀ニュースになってしまいましたのでそんなに朝のお時間も取れないちゅうことですが為替の部分だけ。

『財務省の国際部門トップに31日就任する三村淳財務官は、足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きいとの認識を示した。ブルームバーグの単独インタビューに29日応じた。』(上記URL先より、以下同様)

>足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい
>足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい
>足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きい

『三村財務官は、為替相場は「円高だろうが円安だろうが、メリットもデメリットもある」とする一方、最近の円安はエネルギーや食品価格の上昇を招いており「デメリットが少し目立つ」と指摘。円安のデメリットを感じている向きが多いからこそ「為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている」とし、財務官として今の状況を念頭に置きながら対応すると話した。』

>為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている
>為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている
>為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている

・・・・・・どう見ても日銀の決断を促しています本当にありがとうございました(^^)

まあ大坂夏の陣の如く植田ハトハトチキン城は外堀内堀埋め立てられているようにしか見えませんが、さあ植田さんの決断や如何に(とか言ったら植田さんと中村さん以外の7対2とかになったらマジ受けるんだがw)


〇その他GCが急に下がったりしてたんだが

なんか知らんけどONとTNの東京レポレート昨日急に下がってたんだが時間が無いので下がったんだが、だけ書いて終わりにしますシュイマシェン







2024/07/30

お題「結局お漏らし無しで決定会合になりそうですね/短期方面徐々に利上げ準備ですかしら」

イイハナシダナー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR29CMA0Z20C24A7000000/
英国、緊縮財政へ 前政権の予算は「4兆円の財源不足」
ヨーロッパ
2024年7月30日 4:01 [会員限定記事]

一方、英国よりも財政問題が深刻な日本では、本当にそんなこと言ってるのかどうかは知らんけど、「財務省が日銀の国債買入をあまり減らさないようにとしている」とかいう報道が出てしまうトラスショックどころか故ムガベ大統領も空からニッコリというお話になっているというのが情けないわけでして、そろそろ日本の夜空にムガベ大統領のお星さまがキラキラと輝くんじゃないかと空をチェックしておかないといけませんね(白目)。

もうさ、市場機能の回復とかそういう話を超えて「財政規律の回復のためにも中銀による財政ファイナンスもどき行為(いやまあ財政ファイナンスだと思うけどそこまでは言わないで我慢して進ぜよう)をとっとと止めろ」としか思えないですけどねえ。

財政規律回復のために市場による監視機能を復活させるのですからまあ市場機能回復という意味では同じだけど個別銘柄の流動性とかそういう話を超えていると思うの今の輪番減額をめぐる寝言みたいな「減額をゆっくり」とか言ってるロバート・ムガベ脳の横行は。


〇なんだお漏らし無しでちゃんとできるじゃないですか!(フラグではありません)

昨日の夕方の記事ですが
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB291JV0Z20C24A7000000/
日銀、30日から決定会合 追加利上げの有無焦点
金融政策
2024年7月29日 18:00 [会員限定記事]

『日銀は30、31日に金融政策決定会合を開く。国債買い入れの減額に関する具体策に加えて、追加利上げを決めるかどうかが焦点となる。日銀の政策委員からは7月の追加利上げを支持する声が上がる一方、物価上昇を加味した実質賃金は前年割れの状態が続き、消費の先行きに慎重な意見もある。日銀の判断に市場の注目が集まる。』(上記URL先より)

ということで土日開けてなんか変化でも起きるかと思いましたが、昨日の夕方の日経さんも上記のように(って記事全文読んでないけど)毒にも薬にもならない書き出しの記事を入れてきまして、いやこれマジで事前のお漏らしなんもなし状態で決定会合に突入というよくよく考えてみれば極めて当たり前なのですが、何せここもとお漏らしジジイ状態でムーニーマン状態の連続だった金融政策決定会合なだけに、おじいちゃんお漏らししないでエライエライとほめてつかわすといった風情(とか書いたら明日の朝刊で盛大なアレという悲しいことがあるかもしれませんけど)。

まあ何ですな、すっかりお漏らしに慣れてしまっていると、通常ですと「今回は無しですね」で終わるのですが、なんせ今回の場合は「長期国債買入減額計画が出る」ってのは事前予告されていて所与と化しているので、もともと「何もない」ということがあり得なくて、しかも利上げに関して言えば理屈の上(見通し通りに推移すれば徐々に政策金利の調整を行う、と4月展望で明言している)では今回利上げしてもおかしくなくて、6月の会見でうっかり植田さんが余計なこと言ったから一旦利上げ観測後退しましたけど、その後「7月同時の可能性だって排除しません」ってのを何回か説明した上に、茂木さんやら岸田さんからの援護射撃まで飛んでいるので、7月利上げに関しても別に排除されていない、しかしながらお漏らし無し、という面白パターン。

まあ今回最悪なのが「市場の期待以下で日銀はやっぱり緩和継続姿勢」ってみられてせっかくここまでいい流れで来た円高をぶち壊すことなので、事前にお漏らしをしないことによって市場の期待値を上げない、というのは結構なことですし、いくら太平楽な植田総裁と言えども今回失敗したら夏の終わる前には謎の体調不良で途中退任くらいしないと落とし前が付かないくらいはわかっていると思いたいので、「市場の期待よりもちょっとでもいいから上(政策修正が強い)の方の施策」ってのを出すと思うんですよね。

ということなので、まあこれだんまりな方が結構怪しくて、一応まだ利上げに関しては9月予告ホームランだと思っているのですが、マジでホームラン打ってきてもおかしくはないな、という感じが徐々に気持ちの中では強まっておる次第、だからどうしたといわれますとこまりますが。


しかしお漏らし無し、ってやればできるじゃんという話な訳で、まあマイナス金利YCC解除の時はその後に来るリアクションが怖くて事前にお漏らしをしながら、その間からずーーーっと緩和的なスタンスの強調をした、ってのは気持ちとしてはわかりますが、結果的に緩和強調しすぎてその後の円安コストプッシュを呼んでしまいましたけど、、今回これで7月利上げして特段のサプライズにならず、かつ円高の流れも止めることなく何なら加速できたら、まあ捌きとしては良かった(本当はそんなことより中身が問題なのだがまあそこれはさておく)となりそうで、お漏らしに頼らないコミュニケーションを今後もよろしくお願いします。


〇多角的レビューを利上げと絡めるのは多分筋悪

ネタだしのノルマでもあるのか昨日のあさっぱらからこんなのが
https://www.reuters.com/markets/asia/bojs-victory-lap-deflation-paves-way-rate-hike-cycle-2024-07-28/
BOJ's victory lap on deflation paves way for rate-hike cycle
By Leika Kihara
July 29, 20247:10 AM GMT+9

『Summary
・Comprehensive review to help BOJ make case for future rate hikes
・Key message of review is that Japan is 'ready for higher rates'
・Deputy governor highlights change in Japan's deflationary norm
・Review won't lead to change in price goal, policy framework』

めんどくさいので記事はかっ飛ばしてサマリーだけ読みますと要するに多角的レビューをもって経済の構造が変わったから政策修正の根拠になる、って話ですな。

まあこの中でもありますけれども、「労働市場の需給構造が変わった(ので賃金が構造的に上がりやすくなった)」というのと、「価格設定行動などに変化がみられる」というのは(多角的レビューでも言ってますけど)多角的レビュー云々の前に既にこの前の金研国際コンファランスでの内田副総裁の講演などでも示されていますように、まあそういう話はしていますので、何も多角的レビューと一緒くたにする必要はないんですよね。

というかですね、そもそも多角的レビューで本来もっとやるべきなのは「物価目標達成に時間がかかっているけれども足許状況が改選しているのは結局構造要因」って話の深堀でありまして、何を深堀するかといえば「結局構造要因が問題なのであれば、マイナス金利だの長期金利ペッグだのというようなショック療法に近い過激な金融緩和政策を長期間継続する必要があったのか」という話であり、少なくともQQE2、最悪でもマイナス金利導入の前に「総需要喚起策としての金融緩和政策を長期的に副作用の小さい形で継続する方法」について考えなければいけなかった、という点であり、その話一切しないでああでもないこうでもないと小理屈捏ねまくったしょうもないスタッフペーパー量産しているのって大げさに言えば日本の頭脳の無駄遣いにも程があって、植田総裁の趣味だか何だか知らんけど、ハトハトチキンかつウスラハゲの趣味のためにやってる多角的レビューをネタにこの先の金融政策運営の話に使ってしまうのは恥の上塗りだから止めなさいとしか申し上げようがありません、などとボロカス言ってますが。

まあそれよりもなんでまたこのタイミングで金融政策と多角的レビューと絡めた記事が出てきたのか謎でして、謎の多いネタではありました。まあ市場が反応しているかと言えば東京時間の月曜朝の英文記事とかアジア在住の外人さんか余程のクソマニアくらいなもんでしょうから関係なかったように思えますが・・・・・・・・なぞでしたなこれ


〇地味に東京レポ―レートが上昇している件について

毎度の東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

リファレンスレート方式のいいところっていうのは、現物債券なりなんなりの個別出来値を参考にされた場合、特殊事情による特殊レートとそうじゃないマジもんレートというのが特に債券(および相対の短期金融市場の取引)のように個別性が強い取引では判別が付きにくいところがあるわけでして、リファレンス方式ですと、特殊事情に関してもそれが市場全体で起きている特殊事情(期末要因みたいなの)なのか、個別の需給によるものなのか、という辺りリファレンス出している人たちが判別してくれることで、まあそういう意味で必ずしもトレーダブルとか出来値ベースとかが「正しいもの(この正しいはいわゆる公正価格的な意味合い)」だとはアタクシは思わないんですよね。

例のなんちゃら事件以降一時なんでもトレーダブルレートじゃないとダメみたいな変な風潮が規制監督方面に流行しちゃいましたが、リファレンス方式にはリファレンス方式の良さというのもあるわけで、バランスの取れた運用が望ましいですわな。

などと変な前置きをしてしまいましたが、TKRRちゃん7/22〜7/29

2024/7/22 0.092 0.081 0.055 0.056 0.056 0.058 0.088
2024/7/23 0.073 0.062 0.054 0.054 0.057 0.059 0.088
2024/7/24 0.043 0.045 0.052 0.054 0.056 0.059 0.090
2024/7/25 0.065 0.033 0.049 0.056 0.058 0.069 0.096
2024/7/26 0.079 0.078 0.067 0.070 0.071 0.080 0.108
2024/7/29 0.081 0.074 0.074 0.077 0.079 0.090 0.115

ということで、昨日の東京レポレートですが、1Mが0.080%→0.090%、3Mが0.108%→0.115%となりまして、この1週間でじりっとではありますが上昇していて、月曜もその流れが続いていますので、これはまあ7月利上げ全くないわけではないですねえから、気持ち利上げの可能性も考えて、というような雰囲気になっているという事を示しているんじゃなかろうかと存じます、知らんけど。


なお短国ちゃんの方は

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1245 2024/10/21:平均値単利 0.050
国庫短期証券1246 2024/10/28:平均値単利 0.057
国庫短期証券1247 2024/11/05:平均値単利 0.057

1247は新発WIですけど、この辺のレート特に変わらず、1年カレントも

国庫短期証券1244 2025/07/22:平均値単利 0.170

でまあ基本的に短国はほぼ変わらずといういつものアレになっておりますが、とは言いましても6月の3週目あたりに見られたような(たぶんあれは四半期要因があったんだと思うのですが)玉がすっからかんで短い短国に碌なオファーが無い、というような状態ではなくて、短い短国に関しても流通はしているような感じで、レートは相変わらず利上げ観測とは何なのか、というような水準なのは今から決定会合を2回跨ぐ3Mカレントで5.7bpとかいうふざけた利回りになっている時点でお察しかと思いますがまあそのお察しの通りのレートではありますけど、1か月ちょい前はモノがマジでなかったっぽかったのと比べればだいぶ状況が異なっているように見えます。

まあ本来はこの辺の短期モノってのは利上げ局面になると結構あっさりと先行きの利上げタイミングを考えた値付けになって然るべきもの(と言ってもアタクシも利上げ局面となると福井総裁時代の利上げしか知らないのでn=1ではあるのですが)ではあるのですが、今回はいろんな意味で特殊で、(1)利上げに至るロジックが全くわけわからないので市場が合理的に利上げ時期の判断ができない、よってコンセンサスも何もない状態でポジション持ってる人のお家の事情に左右される、(2)日銀当座預金に付利がされていてそっちの方が高い金利水準になっている、上に(3)諸規制やら日銀のオペ乱発によって担保や規制対応のための短国需要がアホみたいに強い、というような違いがあって、いやもういつになったらこの短国もっとまともな順イールドになるのよ(短国だけで言えば順イールドだけど日銀当座預金金利から見たら3Mと翌日物がインバートしている訳でして)というのはさっぱり読めませんな〜というところで。

と、明日に備えて(と言っても結果出るの明日の昼だから明日の朝もそうですが)雑談ばっかですいません。まあ一応当たらぬも八卦当たらぬも八卦の大予想は、「長期国債買入減額が2年後に月額3兆円+9月利上げについてダチョウが見てもわかるくらいの明確な予告ホームラン」のセットで維持しておきます。








2024/07/29

お題「日経は7月決め打ちしないが近く利上げってトーンですね/短国とかTKRRのターム物上昇/その他ニュース雑談」

金融政策ウィークキタコレ

〇日経結局決め打ちはできないものの「近く利上げです」になったようで

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB253GJ0V20C24A7000000/
日銀、焦点の追加利上げは 家計にはプラス面も
金融政策
2024年7月28日 5:00 [会員限定記事]

『日銀は30?31日に金融政策決定会合を開く。長期国債の買い入れ減額の具体策とともに、追加利上げに踏み込むかが焦点となる。貸出金利が上昇すれば企業や家計の負担になるが、預金金利の上昇といったプラス面もありそうだ。日銀の政策委員には7月会合での追加利上げを支持する声も出ており、判断が注目されている。』(上記URL先より、以下同様)

この書き方、決め打ちを一切行わないというパターンで来ていますね。ただこの記事なのですが、

『トータルで家計にはプラスか

日銀は無担保コール翌日物金利を政策金利とし0?0.1%程度に誘導している(以下有料会員記事)』

とあって、記事の方は例によって課金しないと内容分からんのですが、小見出しが小見出しなだけに以下の記事は「利上げになったことを前提にした経済へのプラマイはどうなんですか」というお話になっているのはまあ想像は付きますよね。

・・・・・・と考えますと日経ちゃん、「7月の利上げに関しては全く読めないし5分5分でどちらにも寄せない」、「とは言え近いうちには利上げがあることは必定」という見方になっているという解釈で問題なさそうでして、7月じゃなければ9月とかそういう見通しであれば、その1か月半は3Mの金利には全力で影響しますけど、10年とか20年とかそういう金利に対してどうなのかというとまあそこだけ見れば誤差(先のパスにも影響するから誤差と言い切るのはやや無茶だが)という話ではありますな、うんうん。

でまあ日経もこんなトーンですので、実際問題7月に利上げしてもサプライズとなるかというと別にサプライズにはならん(メディアが喚くかもしれないけど)でしょとおもいますし、これで7月予告ホームランもなんもなしで決定会合をやってしまうとそっちの方がサプライズじゃ、という感じになって来たんじゃないでしょうかねえ、知らんけど。


〇山口元副総裁が「遅すぎる」とコメントとな(これも惜しくも有料記事)

https://mainichi.jp/premier/business/articles/20240724/biz/00m/070/004000d
週刊エコノミスト Onlineから
山口広秀・元日銀副総裁「植田日銀は後手に回っている」
週刊エコノミスト Online
2024年7月27日

サムネで山口元副総裁のご尊顔を拝みつつ有料記事とはいえ頭の部分だけは公開されておりますので。

『国債購入の減額や利上げの時期を探り、「金融の正常化」に踏み出す日銀。白川方明総裁時代を副総裁として支えた山口広秀氏は、すでに後手に回っていると指摘する。(聞き手=浜條元保/浜田健太郎・編集部/永野原梨香・ライター)』(上記URL先より、以下同様)

『── 植田総裁の評価は?
■消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は、2022年4月に前年同月比2%を超えている。植田氏が総裁に就任した23年4月には2%を大きく超える上昇が1年続いていた。コアCPIの上昇率は、電気・ガスの補助金やエネルギー関連の補助金を除いて考えれば、今や実勢ベースでは3%ぐらいになっていると思う。できるだけ早くマイナス金利などの異次元緩和政策からかじを切り替えるべきだった。端的に言うなら、後手に回ってしまっている。すでに金融引き締めが後手に回るビハインド・ザ・カーブに陥っていると言ってもよい。』

誠に手厳しいですが誠にご指摘の通りかと。

『── 総裁は、早く異次元緩和をやめることで2%インフレを安定的に実現する芽を摘んでしまうリスクが大きいと説明していた。

■その総裁の認識とは私は違う。10年代までの日本経済のデフレ構造と、20年のコロナ禍以降の構造は明らかに異なっている。日本経済はインフレの時代に入ってきている。そういう大局観に立って、打つべき手は何か、どういうタイミングで打つべきかを考える…(以下は惜しくも有料記事)』

ということで以下は惜しくも有料記事なのですが、リードの部分だけでも話の一端が垣間見れておりまして、経済の構造が変化しているのにその変化をいつまでも起きていないことにしているのは何でや、というお話ですよね。

ここで多角的レビューを思い出してみますと、内田副総裁の説明とか他のスタッフの説明とかがそうですけれども、ここに来て物価が上がってきている、インフレ期待があがってきている、賃金が上がってきている、っていう背景としては「経済構造の変化」「労働市場構造の変化」を挙げていた訳でして、そういう認識を多角的レビューでしているのに、いまだに昨年5月の内外情勢調査会での「待つことのリスクは大きくない」を公式には全然否定してないでそのまま維持しているのがハトハトチキン植田な訳でして、待つことによって官邸に怒られるリスクは大きくないというのはわかるのですが、下がると言ってたインフレ全然下がらんで推移して、さすがに最近インフレ批判もだいぶ増えてきている(まあ私もネットしか見ないので入手する情報には相当の偏りがありますけど)ように見える次第で、どう見たって山口さんの説明に分があるとしか思えません。

まあ水曜の決定会合後の会見って、国債買入減額のテクニカルな話は正直どうでもよくて(会見でやるほどのことでもないという意味)、それよりもこのように山口さんが指摘するような「待つことのリスク」とか「構造変化が起きているという認識なのになぜ金融政策スタンスが黒田のままなのか」とか、そういう話をいろいろと突っ込んでいただきたいなと思いますし、後国債買入に関しては「何のために国債の買入を継続するのか」ということが重要なんですよねーーーーーー。


〇財務省が遂に「財政ファイナンス」を公式に認めたのかと思って焦ったわwwwwwwww(BBGニュース)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-26/SH7FRWT1UM0W00
財務省、日銀国債購入は銀行保有余力踏まえた減額重要と認識−関係者
伊藤純夫、梅川崇
2024年7月26日 18:14 JST 更新日時 2024年7月26日 20:31 JST

→市場の混乱回避へ、財務省は段階的減額が望ましいとの考え−関係者
→来週の会合で減額計画決定、財務省の慎重なスタンスが計画に影響も

ちょwwwwwwwおまwwwwwwwwwwついに財務省が「日銀の買入がないと国債発行が困難になるんでちゅーーーー財政ファイナンス今既に実施してるんでちゅーーーーーーーー」ってゲロったのかよ通貨売りじゃ通貨売りじゃ、と思ってしまいましたが記事の方を拝読しますと、

『日本銀行が来週の金融政策決定会合で決める国債買い入れの減額計画に関し、国債の発行当局である財務省は、銀行の国債保有余力を踏まえた減額幅になることが重要で、段階的な実施が望ましいと考えている。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

いつもの「事情に詳しい複数の関係者への取材」のようですが、こんなの正面切って国債発行当局が公式に言い出したらそれは「中央銀行に国債買入をさせることを前提に国債発行が行われています」っていう「中銀財政ファイナンスを公式に認める発言」とかいうムガベ大統領もニッコリのジンバブエ発言になりますし、そういうのを正面切って報道する方も報道する方で、これが本格的な通貨売り投機のきっかけにでもなったらお前ら一族郎党磔獄門級の国賊プレイなんだが分かってるの、ってお話なんですけどねえ。

まあ今のところ太平の惰眠をむさぼっておられるようで通貨売り投機にならんで済んでるけど、トラスショックみたいなのは起きたって不思議じゃないんですけどねえ。

などと悪態をつきながら記事を読み進めますと、

『関係者によると、財務省は、日銀に代わる買い手として期待される銀行の国債保有余力などを念頭に置いた上で、減額幅を考えていくことが重要との認識だ。減額ペースに関しては、市場の混乱を極力回避する観点から、一度に大きく買い入れを縮小するのではなく、段階的に減らしていくことが望ましいとの考えだという。』

これなんですけどね、市場ってのは不確実性、しかも予想できない不確実性ってのが一番困るのでありまして、特に今の日銀みたいに政策運営の軸が全然ロジカルじゃない(輪番の意味付けにしろ、「見通し通りに推移すれば政策調整」にしろ、すべてがあいまいでしかも言ってることが黒田末期以降そうなのだがコロコロと理屈が変わってしまい、前と別の理屈を急に持ち出す)という何とかに刃物状態の当局が一番ヤバいわけでして、そのせいで市場がイマイチ落ち着かないで入札が一々イベント化している訳ですよ。

でですね、今どうせ出てきそうなのって「2年後(または2025年度末)に月額何ぼの長期国債買入、その間四半期ごとに平均的に減額」みたいなのだと思うのですけれども、この2年後何ぼってのを本当の本当に2年間石にかじりついてでも順守できるのか、というと今までの日銀の所業からして、「金融市場局の裁量」とかいうマジックワードで平気でひっくり返すりすくというのが否めない訳でして、むしろだったら最初に多めに減らしておいて、来年3月(でも6月でもいいけど)末まではこのペースで買入ます」にしておいた方がひっくり返されリスクが少なさそうに見えるんですよね。

これがまあ1年だったらまだいいんですけど、2年ってのは期間としていかにも長すぎでして、普通見通し出すんだって1年くらいはまあなんかいろんなもん置けば出せるかもしれないけど、2年って完全に鉛筆舐め舐めの世界になってしまいますから、その鉛筆舐め舐めの時期までの計画を出すってのは、それを本当に計画通りに実施できるのか、というのに疑問を感じざるを得ないわけで、そもそも論としてなんで2年にしたのかって話で、1年にしておけよ(さすがに1年ならまあこの通りやるだろうと思いやすい)と思うんですよね。

なお、ここで日銀のいつものインチキプレゼンテーションを考えればわかりますように、2年で出したのは、「数字を大きく見せるため」という毎度おなじみの奴でして、そういうセコいこと考えて2年とかいう本当にその通りにできるのか大丈夫なのか&そもそも2年目になったらその計画実態ベースとして現実から乖離してるんじゃないか、というような期間を設定して後で死ぬ、というのが何となく見えるわけでして、本来この買入減額計画は「とりあえず当初1年分考えて1年後にその後をどうするか再検討しましょう」というのが正しかったんじゃなかろうか、と今更ジローですが思うのでした。


なお、

『ブルームバーグの報道に対する財務省からのコメントは得られていない。』

ってそりゃコメントしないわという話で、こんなのうっかりコメントしたら大変なことになるから当たり前。


しかしまあ何ですな、

『財務省の「国の債務管理に関する研究会」で、三菱UFJ銀行は、預金取り扱い金融機関の国債購入余地について、日銀保有の3割前後との試算を示した。日銀の長期国債保有残高である580兆円程度に当てはめれば170兆円程度となる。』

『他の主体の購入余力が限られる上、今年度並みの35兆円程度の新規国債発行が続くことを前提とすれば、仮に月間3兆円程度・年間36兆円程度の減額なら2年超で余力がなくなる計算だ。』

それは今の資金フローを所与とした場合であって、そんなの金利が上がって預金や個人向け国債や円金利に投資する投資信託の利回りが上昇すればフローが変わるじゃろなにゆうとんねん。

『財務省の減額に対するスタンスは慎重とも言える。国債管理政策を担う同省の認識は、日銀による減額計画の策定に影響を与える可能性がある。』

記事の以下は割愛しますが、ブルームバーグは財政ファイナンスを煽ってトラスショックでも起こしたいのですかねえと思いました。


〇3M短国金利5bp台上昇&東京レポ―レートのターム物上昇

2年国もあった気がしますがそっちはパス
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240726.htm
国庫短期証券(第1246回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1246回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号          国庫短期証券(第1246回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日       令和6年7月29日
4.償還期限     令和6年10月28日
5.価格競争入札について
(1)応募額            13兆372億円
(2)募入決定額      3兆9,334億6,000万円
(3)募入最低価格      99円98銭4厘0毛
(募入最高利回り)      (0.0641%)
(4)募入最低価格における案分比率   12.4339%
(5)募入平均価格     99円98銭5厘9毛
(募入平均利回り)      (0.0565%)』

ということで、WIよりは低い利回りでしたがやっと5bp台に乗っかった入札、なのですがご案内の通りこの3MTDBちゃん、発行日は今日だわ償還日は10/28だわで7/31か9/20に利上げがあると結構食らうんですけど(10/31ならセーフ)という物件ですが、まあこれまで5bpとかそんな洒落たレートになっていなかったのでこれはこれで大進歩は大進歩であるwwwwww

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

売買参考統計値ちゃんによりますと、

国庫短期証券1246 2024/10/28:平均値単利 0.057

なので、平均落札レベルでの売参ということになっておりまして、5bpだヒャッハーと札を集めたわけでもなく、とは言って別に誰も買わないようなわけでもなくて、世の中には短国様のニーズというのが相変わらず旺盛である、という残念だが当然の結果になったのでありました、うーんこの。



でもって東京レポレートちゃんですが、

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

大事なのでちゃんと数字の見出しを付けましたw
         O/N  T/N    1W   2W   3W    1M   3M
2024/7/22  0.092  0.081  0.055  0.056  0.056  0.058  0.088
2024/7/23  0.073  0.062  0.054  0.054  0.057  0.059  0.088
2024/7/24  0.043  0.045  0.052  0.054  0.056  0.059  0.090
2024/7/25  0.065  0.033  0.049  0.056  0.058  0.069  0.096
2024/7/26  0.079  0.078  0.067  0.070  0.071  0.080  0.108

ONとかTNは短国発行要因とかなのでまあいいとしまして、なんと金曜のTKRRちゃんはターム物が軒並み上昇しまして、さっきの日経の記事じゃないけど「7月全くないわけでもなさそうだし、実施したとしてもここまでくると闇討ち利上げじゃないからアリエールじゃん(たぶんないけど)」みたいな感じで、その雰囲気が微妙にリファレンスレート(上記URL先見れば説明がありますが東京レポレートはリファレンス方式です)に影響した、って感じですかね、知らんけど。


という訳で、なんか7月利上げしても闇討ち扱いじゃなくなった(まあそもそも論として6月の会見でハトハトチキンが「輪番減額の長期金利の影響も政策金利引き上げの判断材料」とか余計な不規則発言をしなければよかっただけの話なんだが)ようなので、まだアタクシは明後日は精々予告ホームラン(予告方式は声明文と展望レポート基本的見解の金融政策部分を使いながら会見でとどめを刺すスタイル)だとは思っていますが、それだと期待外れ、になるようならもう面倒だから利上げしちまいなよハニーって気はしないでもないですわ、というところです。

さてどうなりますのやら・・・・・・・・








2024/07/26

お題「市場雑談と決定会合プレビューというかなんというか雑談で勘弁」

あっつーーーーーーーーいですなorzorz

〇どこからどこまでが日銀への期待なのか分からんけど・・・・・・・・

昨日の市場ちゃん、といっても債券じゃなくて為替みますとですね、

・為替って日銀のどこをどう期待しているのでしょうかよくわからんけど期待値上がってねえかこれ

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/6CQXA63TKJJJ5DDNSO6GUWS6RM-2024-07-25/
〔マーケットアイ〕外為:午前のドルは152円台へ下落、2カ月半ぶり安値 円高地合いが続く
By 基太村真司
2024年7月25日午後 12:31 GMT+9

(検索へたっぴで前場引けしか取れてないけど)

『[東京 25日 ロイター] - <12:18> 午前のドルは152円台へ下落、2カ月半ぶり安値 円高地合いが続く

午前のドルは153円後半から152円半ばまで一段安となり、5月6日以来約2カ月半ぶり安値を更新した。市場では、円売りポジションの巻き戻しが続いているとの見方が大勢で、円は対ドル以外の通貨に対しても幅広く上昇した。

この日も東京市場では、目立った手掛かりがない中で円が続伸。豪ドルが99円後半と3カ月ぶり、ユーロが165円前半と2カ月半ぶり、英ポンドが196円半ば、スイスフランが172円といずれも2カ月ぶり安値を更新した。

しかし、大和証券チーフ為替ストラテジストの多田出健太氏は「ドル/円の潮目が変わったと決め打ちするのは時期尚早だ」とみている。これまでの円安は投機的な側面が強かっただけに「いったん調整が始まると連鎖的に巻き戻しが発生しやすい」上、円買いの手掛かりとされる日銀の利上げについても「今後の利上げペース加速などが意識されない限り、早期に日米の短期金利差が大きく縮小するような見通しは描けない」ためだとしている。』(上記URL先より)

ということで、午後はドル円152円ぎりぎり近くまで円高になっていた場面もありましたが、これで来週日銀が輪番の減額を2年で出来上がり3兆円とか織り込み済みのものを出した挙句に利上げについては慎重な言い方をしたら為替ってどうなるのやらというのは為替の人じゃないから分からんのですが、また一気に巻き戻しが入ってしまうのではないかという恐れがぬぐい切れない訳でして、そんなこんなで円高に行けば行くほど日銀は「より威勢の良いことをしないといけない」となって来たように思えます。

まあ今でも「株が下がるから利上げするな」とか「円高になったから日銀は動かなくてよくなった」とか寝言を言ってるポンコツ何とかストのご見解がニュースベンダーみてると散見されるのですが、そもそも株これまでどれだけ上がったと思ってるんだとか、いや足もとの円高の背景は日銀に対する期待がかなりあるだろ、とかまあそういう風に考えますと、円安で追い込まれるのと違った意味でこれは市場が日銀をシバキにきている、という中々面白い展開なのでまあダラダラとメモっておこうというところではあります。


・すこし方向性が分かってきたということで極端なスティープに歯止めがかかっているのなら結構は話なのは円債

でもって円債ちゃん

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PK5KNMBN2RO23LT73WEN7XANBU-2024-07-25/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は小幅続落、日銀の利上げ警戒感が重し 長期金利1.065%
By ロイター編集
2024年7月25日午後 3:47 GMT+9

『[東京 25日 ロイター] - <15:20> 国債先物は小幅続落、日銀の利上げ警戒感が重し 長期金利1.065%

国債先物中心限月9月限は、前営業日比6銭安の142円74銭と小幅ながら7営業日続落して取引を終えた。日銀の追加利上げを巡る警戒感が相場の重しとなった。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)低下の1.065%。朝方には3週ぶり高水準の1.100%に上昇する場面もあった。

きょうの国債先物は、日銀が来週の金融政策決定会合で追加利上げの要否について議論するなどとしたロイターの観測報道をきっかけに利上げを巡る投資家の警戒感が強まり、大幅な売り先行でスタートした。』(上記URL先より、以下同様)

さすがロイターだけに自分のところの記事で動きましたと書いている辺りに浅ましいものを感じますが、まあそれはさておきまして、

『TRADEWEB
    OFFER   BID   前日比 時間
2年  0.388   0.396    0.03  15:13
5年  0.624   0.631   0.013  15:16
10年  1.063   1.07   -0.005  14:59
20年  1.833   1.842   -0.024  15:19
30年  2.157   2.166   -0.034  15:16
40年  2.421   2.43   -0.037  15:19』

えらい勢いでツイストフラットしていますが、まあ1日だけだから単になんかの勢いかもしれないから即断はできませんけれども、輪番減額規模の件もそうですし、利上げに関しても7月か9月かは兎も角として、それなりに早い時期に来るでしょう、という感じで見方が揃ってきて、しかも利上げも当然単発で終わるものではなくて、その後(どうせ半年に25bpとかでしょうけれども)利上げが続く、というスタンスで日銀が来る、ということになれば、今まで中短期に避難してきた人たちが長い方の金利上昇を見て乗り換えていく動きがあってもおかしくない。

つまりですね、中央銀行が何考えてどういう動きをするのか、というロジックがしっかりしていて、そのロジックに則って市場が考えられるような動きを中央銀行が行っていれば、そう極端な事ってのは(財政破綻でもしない限り)起きないわけでして、とにかく黒田日銀の末期からこの方ずっとそうなのですが、「次に日銀が何をやらかしてくるのかが全く読めない、なんせあいつらお気持ちでオペやら政策いじってくる」という「不確実性」の塊みたいな状況になっているのが怪しからんわけで、いみじくもハトハトチキンが3月会合の時にいった「普通の金融政策」というのをやってくれれば、避難民が短いところに殺到して短国の金利がクソ低いとか、そういう事は起きにくくなるんですよ(個人の見解です)。

まあ昨日1日ツイストしたからといって鬼の首を取ったように喜んでいる場合でもないのですが、日銀が何考えてアクションをするのか、というのをきちんと定義づけること、あと弊駄文で50回位申し上げていますが、特に長期国債買入に関しての位置づけ(金融緩和手段なのか、昔買ってしまったうんこタワーをいきなり壊すわけにいかないのでスムージングで買っているだけなのか)を明確にしていただかないと、長期国債買入に関してはいったん今回の会合である程度先に何やるのかは見えるんでしょうけれども、また変な理屈をだして変な事をしてくると話がややこしくなるので、ちゃんと長期国債買入に関しては検討をしていただきたいですな。


・短国が!なんと!WIだけど新発3Mが5bpオーバーに!!!!

感嘆符のつけすぎですかそうですかw

いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

昨日の引値(7/26付け)を見ますと・・・・・・・

国庫短期証券1240 2024/09/30:平均値単利 0.010
国庫短期証券1241 2024/10/07:平均値単利 0.050
国庫短期証券1224 2024/10/10:平均値単利 0.050
国庫短期証券1189 2024/10/21:平均値単利 0.050
国庫短期証券1245 2024/10/21:平均値単利 0.050
国庫短期証券1246 2024/10/28:平均値単利 0.064

9月末と10月頭で4bpも階段つけるなよとは思いますが、これ一昨日の引値ですと、

国庫短期証券1240 2024/09/30:平均値単利 0.010
国庫短期証券1241 2024/10/07:平均値単利 0.025
国庫短期証券1224 2024/10/10:平均値単利 0.025
国庫短期証券1243 2024/10/15:平均値単利 0.025
国庫短期証券1189 2024/10/21:平均値単利 0.025
国庫短期証券1245 2024/10/21:平均値単利 0.025
国庫短期証券1246 2024/10/28:平均値単利 0.025

となっておりまして、新発WIの気配に引っ張られたのかなんだか知らんですけど、10月償還の短国の引値を軒並み修正してきまして、今日入札新発のWIはご覧の通りで売参ベースで6.4bpとやっと5bpを明確にオーバーした水準になっておるわけです。

まあ今日の新発3Mって足が10月だから10月利上げの場合は別に手前とそんなにレートが変わらなくても罰は当たらない(タームの流動性リスクプレミアムというのを考えて頂きたいというのはあるけど)のですが、7月か9月かって利上げの話をしているのに(まあ7月だったら手前のイールドだって修正しろよと思いますがそれはいったんおきまして)いつまでたっても無反応で困ったもんだと思っていたら昨日になって急に反応しているように見えるわけでして、まあ実力は今日の入札を見ないと何とも言えませんけれども、もしかしたらさっきのツイストフラットと同じくで、「長期金利の行く末がさっぱり分からないのでリスクを取れないから値段を気にせず短国へ」という需要が終わってくれたのかもしれませんし、まあやっと面白くなってまいりましたという展開です。

ちなみにアタクシはクソジジイなので前回量的緩和解除から短期金利0.5%の時って短国とかよく見ていた(何なら過去ログよんでちょ)訳ですが、かつてはちゃんとこの短国だって先行きの政策金利変更を織り込んだり、タームが長くなると期間による流動性プレミアムによって順イールドになったりとか、そういうまともな市場だったのですが、よくよく考えてみますと7/31か9/20に短期政策金利が0.10→0.25になるというのを織り込みに行くにしてはショボすぎる金利形成な訳で、その辺は悲しいなと思っておりますです、はい。


・東京レポレート(メモ)

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/7/22 0.092 0.081 0.055 0.056 0.056 0.058 0.088
2024/7/23 0.073 0.062 0.054 0.054 0.057 0.059 0.088
2024/7/24 0.043 0.045 0.052 0.054 0.056 0.059 0.090
2024/7/25 0.065 0.033 0.049 0.056 0.058 0.069 0.096

木曜にSNがさがるのはお約束なのですが、先週のように極端にさがるでもなく、ONは上がっていますし、それよりも1Mと3M(右の2つ)がしらっと金利があがっているのがちょっとチャーミングですね、


〇日経がなんか書いておるのだがこれはまあ単なる一般記事状態ですね

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB24AI80U4A720C2000000/
日銀、追加利上げの時期模索 7月論も浮上
金融政策
2024年7月25日 19:00 [会員限定記事]

『日銀が追加利上げの時期を模索している。一部の政策委員は、日銀が7月30、31日に開く金融政策決定会合での追加利上げを支持するとみられる。一方、物価上昇を加味した実質賃金は前年比を下回った状態が続くなか、賃金や消費の動きをもう少し見極めるべきだとの意見も根強い。

日銀は慎重に経済・物価情勢を点検し、追加利上げの是非を議論する見通しだ。』(上記URL先より、以下会員記事)

でまあ毎度申し上げておりますように日経無課金おじいちゃんなので記事内容みておりませんが、まあ冒頭のこのかきっぷりからすると「特に日銀から何か決め打ちの情報発信は出てませんですなあ」という感じの記事なんでしょうね、と想像しまして想像をもとに申し上げますが。

まあアレです、本来次の利上げって(単発で終わりとかいうのなら別ですが常識的に考えてそんなことはないので)政策修正が始まりましたという号砲なんで、あんまりサプライズで打ち込むもんじゃないよね、という風には思う訳ですよ(ちなみに福井の俊ちゃんの時はその前に追加利上げに向けてこう考えておりますので利上げの環境が整いますなあみたいな説明は散々している)。しかしながら、6月決定会合でテレビ東京の大江さんに思いっきり指摘されていたように、ニュースワイヤーが事前に威勢の良い話をする→市場の期待値を上げる→期待通りのことをしない→円安、というのを繰り返してしまったことから、今回の利上げって事前織り込ませがやりにくくなってしまったと言えるんですよね。

7月やるにしろ7月予告ホームランするにしろ、まあどちらも市場は覚悟はしていますけど、でもまだ皆が皆織り込んでいるかというとよくわからん、という状況でこそ利上げ(または事実上の利上げである予告ホームラン)の効果(主に為替)が出るわけですので、昨日の日経さんの記事までで結局どこもかしこも両論併記(ロイターさんは英文と日本文で別のヘッドラインで両論併記をするという無茶苦茶なプレイをしてきましたが)で決定会合を迎えることに(お日柄的にもうここからはガチの情報流出になって別の意味でヤバい)なりそうで、逆にベンダーがだんまりなのは、変な小細工しないという文脈で日銀7月に利上げに関するなんか(予告ホームラン予想していますが、利上げしちゃった方がすっきりするし筋論としてはそっちの方が正しい)はあるかも感がますます高まってまいりました(個人の印象です)。


〇しかし出口で結局何らかの災厄を甘受しないといけないのが大規模YCC政策の弊害である

とまあそんなわけで今日も取り留めもない雑談で恐縮ですが、ちょっと視点を変えて考えてみますと、長期国債買入の減額にしろ、短期政策金利を中立金利に向けて引き上げていくにしろ、今回これだけ大騒ぎしているように、大規模YCC政策というのがどれだけ副作用が大きかったか、ということだし、そういうのを全部植田さんにおっかぶせて「私の履歴書」とかのうのうと書いていた黒田とかいう人外外道には天から落雷でも食らうべきで、植田さんはまあこの後始末しているんだからその点はご苦労なこった(ただし手際が悪すぎるのはまったくもってダメダメ)とは思います。

ということでですね、結局この大規模な長期金利イールドペッグ政策ってのは、出口において円安か株安か債券安か、この3つのうち最低1つ、運が悪いと2つ(3つの時はオワットル)をお選びくださいってなもんでありまして、そもそも論としてどうせ構造変化とコロナショックでしか物価の基調が変わらなかったのに、なんでこんな頭の逝かれた政策を延々とやっていたのか、ということについてはちゃんと反省すべきなんですよね。

今やっていると思われる多角的レビューって、その辺についてなんも考察しないで、効果があったで終わらせそうなのがやばいわけでして、同じようなことが起きたときにもう一回同じ馬鹿政策をやったら日本が持たないんじゃないのってアタクシは思うのですが、このままなあなあで多角的レビューを終わらせますと、じゃあ次も長期金利ペッグのマイナス金利政策をやりますか!とか言い出しそうで怖いです。余談ですけど。





2024/07/25

お題「利上げに関するロイター報道/を受けて為替が盛り上がる/40年とかレポートか特会借入とか」

https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_day_through
先物価格情報

株安債券安円高とな。

〇利上げについては謎のまま決定会合突入ですかねえ

・ロイターの報道が英文と日本語で題名のニュアンスがだいぶ違うんだがそういうのは止めていただきたい

その前にブルームバーグの市況解説
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-24/SH4NL3T0AFB400
円が対ドルで1%超える上昇、一時153円台−5月以来の高値
宮井伸明
2024年7月24日 21:24 JST 更新日時 2024年7月24日 21:39 JST

→日銀は利上げを来週検討へ、債券購入半減も発表の計画−ロイター
→日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要−茂木氏

『ニューヨーク時間24日朝の外国為替市場で、円相場は対ドルで上げ幅を拡大。1%を超える上昇で一時1ドル=153円91銭を付けた。5月以来の高値。日本銀行が月末の金融政策決定会合で大幅な政策変更をするとの臆測で円が買われている。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、

『ロイター通信は事情に詳しい関係者の話として、日銀は来週の金融政策決定会合で、利上げを検討するとともに向こう数年間に債券購入額をほぼ半減させる計画を公表する可能性が高いと報じた。』

バランスシート半減じゃなくて購入額半減なんで別に大幅な削減でも何でもないんですし、福井総裁の時代に短期政策金利0.50%まで上げる中で長期国債買入って月額1.2兆円だったのですから、3兆ってとんでもない緩和な訳で、なんで2%目標達成とか言ってるのにそんな金融緩和をする必要があるのか小一時間問いつめたいんだがまあそれはさておき。

『自民党の茂木敏充幹事長は日本時間24日夜、インターネット番組に出演し、「日本経済の再生によってまずは強い日本を作る。それによって強くて安定した円を作っていくということが必要だ」と語った。』

円安万歳の話が消えてきたのは結構なことである。

・・・・・・とまあそれはそれでさておくとしまして、ロイターさんなんですけど

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/PJ5RJO45NJPPTHDBRZF3X2VWHI-2024-07-24/
日銀、国債購入3兆円程度に違和感なし 利上げ時期は慎重に判断
By 和田崇彦, 木原麗花
2024年7月24日午後 6:28 GMT+9

というのが出ていた返す刀で英文版が、

https://www.reuters.com/markets/asia/boj-weigh-rate-hike-next-week-detail-plan-halve-bond-buying-sources-say-2024-07-24/
Exclusive: BOJ to weigh rate hike next week, detail plan to halve bond buying, sources say
By Leika Kihara and Takahiko Wada
July 24, 202410:32 PM GMT+9

・・・・・・これ日本語だと利上げが多少先の話のようにしか見えないのだが、英文だと7月にも利上げってニュアンスが強く出てるだろなんだよこの二枚舌はいい加減にしろと思う訳で。

英語の方だと(以下引用部分が日本語なのは上記ロイター記事日本語版、英語なのは上記ロイター記事英語版から引用します)題名の後にサマリーがあって、

『Summary

・BOJ to taper bond buying gradually at pace near market consensus
・July rate hike decision a close call, consumption outlook key
・BOJ has 'long way to go' toward rate levels deemed neutral
・BOJ to hold policy meeting July 30-31』

ということで7月利上げはクロースコールって仰せになっているんだが、日本語版の記事のリード部分では、

『[東京 24日 ロイター] - 日銀は30―31日の金融政策決定会合で、今後1─2年の国債買い入れの減額方針を決定するとともに経済・物価情勢を点検し、追加利上げの要否について議論する。日銀内では国債買い入れについて月額3兆円程度まで減額するとの市場の見方に近い水準が望ましいとの意見がある。追加利上げに関しては、その必要性ではおおむね一致しているものの、弱含んでいる消費動向を確認すべきとの意見もあり、慎重に時期を判断するとみられる。』

7月利上げがクロースコールとは思えない文章になっているんですよねーーーーーー。

英文だと、

『TOKYO, July 24 (Reuters) - The Bank of Japan is likely to debate whether to raise interest rates when it meets next week and unveil a plan to roughly halve bond purchases in coming years, sources said, signalling its resolve to steadily unwind its massive monetary stimulus.』

『The rate decision will depend on how long the board members prefer to wait for clarity on whether consumption will recover and keep inflation stably around the bank's 2% target, said four people familiar with the BOJ's thinking.』

となっていて「慎重に時期を判断する」じゃなくて単純に「意見が割れている」になっていて、たぶんこれ英文の方がニュアンスちゃんと伝わっているんじゃないかなと思うの。

ということで英文記事の続きを見ると

『Over three-quarters of economists polled by Reuters expect the central bank to stand pat this month and possibly next move in September or October, but sources suggested the outcome of the July 30-31 meeting was considerably less certain.』

マーケットエコノミストにロイターが聞いて回ったら3/4のエコノミストが今回は政策金利引き上げ無し、9月か10月に利上げ実施、と回答しているけど、ロイターの取材先様におかれましては「いやいやもっと不確実ですよ(=7月利上げの可能性はあるよ)」と仰せですよ、と来てからの、

『"The decision will be a close call and a hard one to make," given uncertainty over the consumption outlook, one of the sources said. "It's really a judgment call, in terms of whether to act now or later this year," another person said.』

今回利上げするかしないかはエイヤーの世界でやっても全然不思議じゃないというようなニュアンス(と思いましたが)の発言が別の取材先からでたりしているようですね。

『While the nine-member board broadly agrees on the need for a near-term rate hike, there is no consensus on whether it should happen next week or later in the year, they said.』

まあコンセンサス無いんでしょうね

『Core inflation hit 2.6% in June, having exceeded the BOJ's target for well over two years, and workers' base pay rose by the most in three decades in May, enough to for hawks to argue that conditions are right to hike rates now.』

利上げする条件はとっくにそろっている、というか利上げしないお理由はもうとっくにないんですが、

『However, recent weak consumption and household sentiment have helped policy doves make the case for holding off for now and waiting for more data to see whether tax cuts and rising wages will lift consumption as projected.』

これ毎回申し上げていますが、そもそも消費って円安コストプッシュに足引っ張られているんだから、消費を理由に利上げを躊躇って阿呆な話で、今回利上げ見送って予告ホームランもしなくて、背景説明に消費が弱いって話をしたら会見でボコボコにされるじゃろ、と思いますが大丈夫なんでしょうかねえ。

『The outcome of next week's meeting is uncertain in part because the BOJ sees no compelling reason to rush, with price rises still moderate and inflation expectations stable near 2%, the sources said.』

「no compelling reason to rush」とのことですが、逆に動かない理由だってねえだろとは思いますわ。


ということでどうせ日本語版は読めばわかると思いますので、この英文版のニュアンスと日本語版のニュアンス比較して味噌ってなもんでして、長期国債買入減額よりも利上げの方がイッシューとして大きい(その通りなのだが)という認識で海外は考えているんでしょうねえ、というのもよくわかる、というか日本の皆さん日銀の輪番減額という目くらまし砲に引っかかりすぎwwwwwww



・しかしまた決定会合前に期待値が上がってしまいましたなあ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB239FC0T20C24A7000000/
円全面安一服、153円10銭台 日米金融政策の転機にらむ
生田弦己
ポジション・フラッシュ
2024年7月24日 13:18 (2024年7月24日 23:12更新) [会員限定記事]

『外国為替市場で円売り圧力が一服している。24日の夜には円相場が対ドルで一時、1ドル=153円10銭台まで上昇した。幅広い通貨に対して全面安だった局面から一転、対ユーロや英ポンドでも円高が進む。日米金融政策の転機が近いとの見方が強まり、金利差に着目した円売りを見直す動きが出てきたからだ。ただ円安再燃リスクは残っており、当面は不安定な展開が予想される。』(上記URL先より、以下会員記事)

ということですが、こうやって決定会合前に日銀今回の会合で結構頑張るんじゃないか、という思惑が出てきますと、逆に手ぶらってわけにいかなくなるので、やはり昨日申し上げたように2年後に月額3兆円程度(とかいうしょぼい)輪番減額だけでは許してくれなくなりそうで、利上げまたは利上げ予告ホームランが急務ということになってきているかと思います(個人の感想です)。

この円高見て日銀が余裕ぶっかましてショボい結果でOKOKとか勘違いしそうなのが怖い・・・・・・



〇40年とか東京レポレートとか

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/GQ6ZY6TXXRLBJEE2OGH3GG3PVI-2024-07-24/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.07% 低調な40年債入札などで
By ロイター編集
2024年7月24日午後 3:31 GMT+9

『東京 24日 ロイター] - <15:18> 国債先物は続落、長期金利1.07% 低調な40年債入札などで

国債先物中心限月9月限は前営業日比10銭安の142円80銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.0bp上昇の1.070%。日銀の追加利上げへの警戒感や40年債入札が低調だったことを背景に、国債先物は軟調に推移した。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、

『国債先物は朝方から売りが先行。前日の夜間取引で国債先物が下落した流れを引き継いで始まった。40年債入札が低調な結果となったことを受けて、後場に入り先物は下げ幅を拡大。現物市場では超長期ゾーンを中心に金利が上昇した。』

40年って結構売り込まれて安くなったのですが、それでもまあイベント直前で買いにくい、ということなのかなあとは思いますけど、そもそもここに来て利上げ観測で崩れているのって、6月会合の時に植田総裁がうっかり「輪番減額の影響も政策金利変更の判断材料に入る」みたいなことを口走ったのが悪くて、あのせいで7月利上げ観測を一気に消してしまったから反動が来ている面が多分にあって、つまりは日銀のコミュニケーションが下手くそというか植田さんは一言余計なことを言うのをマジで反省していただきたいと思う訳ですよ。

『    OFFER  BID   前日比 時間
2年   0.358  0.366   0.015  15:15
5年   0.611  0.617   0.014  15:18
10年  1.069  1.075   0.014  15:15
20年  1.856  1.863   0.003  15:17
30年  2.189  2.197   0.023  15:17
40年  2.454  2.462   0.038  15:19』

ということで昨日も基本ベアスティープになっていますが、利上げネタがあるだけに中短期も弱いと。


・東京レポ―レート案の定の低下である

うーんこの
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/7/22 0.092 0.081 0.055 0.056 0.056 0.058 0.088
2024/7/23 0.073 0.062 0.054 0.054 0.057 0.059 0.088
2024/7/24 0.043 0.045 0.052 0.054 0.056 0.059 0.090

ということで水曜日は下がるの法則で案の定低下しておりますが、まあ利上げ観測だから短いところに緊急避難、ってのは今更そういうのもあんまりないようには見えます(まあこの期に及んで、ですわな)が、明日の3Mどうなるんでしょうかねえ・・・・・・・


・そういえば火曜日交付税特会6Mがあったのでした

すいませんネタにするの忘れてました
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240723.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果

なので、

『令和6年7月23日
財務省』

ですすいません。

『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項

2.借入日        令和6年7月31日
3.償還期限       令和7年1月30日
4.償還方法      令和7年1月30日に一括償還

5.借入利率競争入札について  
(1)応募額         5兆9,919億円
(2)募入決定額      1兆2,990億円
(3)募入最高利率       0.215%
(4)募入最高利率における案分比率   64.7500%
(5)募入平均利率       0.205%』

こちらは先週の特会6Mが0.206%/0.220%だったのでレートが低下しておりまして、しかも後ろに行けば当然利上げリスクが高まるのでレート上がって然るべきなのですが下がっておりまして、前回の特会6Mが9/20利上げをフルフルに織り込んでいるレートだったので、それならいけるやんとでもなりましたかしら。知らんけど。

ちなみに0.205%だとほんのちょっとだけ9/20以降の金利が0.25%に届かないという結果になります(0.246くらい)ので、この辺りをみていると7月はあって予告ホームランってイメージなんですかね。特会借入に応札している人にだいたいどんなイメージなのか聞いてみたいでありますわ〜


ということで今朝はこの辺で勘弁







2024/07/24

お題「日銀謹製基調的物価/銀行勘定の金利ショック計算条件が26年1月から緩和のようですな/MPMプレビュー雑談」

土用の丑の日のようですがここまで暑いと鰻なんて重いもん食えんわ、とジジイのアタクシは思うのでした(ただの夏バテとも言いますがw)。

〇日銀謹製の基調的物価ちゃんが再上昇してきましたが・・・・・・・・

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

昨年1月からの推移、左から刈込、加重中央、最頻

Jan-23  3.1  1.1  1.6
Feb-23  2.7  0.8  2.1
Mar-23  2.9  1.0  2.7
Apr-23  3.0  1.2  2.8
May-23  3.1  1.4  2.9
Jun-23  3.0  1.4  2.9
Jul-23  3.3  1.6  3.0
Aug-23  3.3  1.8  3.0
Sep-23  3.4  2.0  2.8
Oct-23  3.0  2.2  2.6
Nov-23  2.7  1.7  2.4
Dec-23  2.6  1.6  2.4
Jan-24  2.6  1.9  2.3
Feb-24  2.3  1.4  2.0
Mar-24  2.2  1.3  1.9
Apr-24  1.8  1.1  1.6
May-24  2.1  1.3  1.5
Jun-24  2.1  1.4  1.6

4月に刈込平均1.8まで下がって日銀のシナリオキタコレとか思ったら結局5月6月と2.1に戻ってしまってナンテコッタイという感じですが、最近の日銀はもはや「この先2%を割り込んだ後に第二の力で2%超え」というシナリオの前半を言わなくなっているのですが、第一の力第二の力とか正直何とでもいえる部分が結構あるわけで、この推移を見て「第二の力に移行してきている」とか言い出したっていいんですよなんなら。というような感じですが、まあこの「第一の力第二の力」ってのは「金融政策の修正に踏み出すのが怖いからビハインドした方が日銀にとって(゚д゚)ウマー(国民にとってはいい迷惑)」というハトハトチキン総裁の理論のもとに日本におけるトップのマクロ経済学者が言うとは思えないような変な理屈を振りかざしているだけの話なので(個人の偏見です)すな。

ということで悠長なことが許されなくなっている、というのは6月会合主な意見における政府側参加者の見解(当然あれって発表原稿を中の人たちが用意して発言させているものなので出ているデージンの個人的なポエムとは違うから重みはある)からこの方、ついには茂木さんまでもがぶっこみにくるというように、日銀は悠長なことをしている場合ではないという情勢に追い込まれていますので、まあ屁理屈に使えるものは何でも使ってくるからこの流れ(加重中央とかきれいに反転しているし)も使えますね、とは思います。

品目ベースでは

Jan-23  80.3  12.6  67.6
Feb-23  81.0  11.7  69.3
Mar-23  82.6  10.0  72.6
Apr-23  84.3  9.2  75.1
May-23  84.9  8.8  76.1
Jun-23  84.9  9.2  75.7
Jul-23  85.6  8.4  77.2
Aug-23  86.0  8.2  77.8
Sep-23  87.0  7.3  79.7
Oct-23  84.7  9.6  75.1
Nov-23  83.0  11.3  71.6
Dec-23  82.0  12.1  69.9
Jan-24  83.9  10.7  73.2
Feb-24  81.8  12.8  69.0
Mar-24  79.5  15.1  64.4
Apr-24  80.8  14.0  66.9
May-24  79.3  15.5  63.8
Jun-24  78.7  16.1  62.6

ほうほうそうですかってなもんですが、下落品目が徐々に増えているのって別にデフレマインドとかそういうのではなくて、物価上昇が起きる中で、ニーズの少ない商品というか相対的な魅力度の低い商品は値上げに耐えられないので落ちこぼれる、ということなのであれば、それって今まであまり起きなかった市場メカニズムみたいなのが起きているって話で、マクロ的には良い話になるんじゃないですかねえ、個別で言えばシバキ上げってことですが、そもそもシバかれるべき商品や企業や無能な高給取り(高級取ってる覚えはないが目から汗がwwww)などをやりやすくするのがインフレであるともいえるんじゃないかねえとは思いますし、よー知らんけど。


〇銀行の金利リスク量については再計算の結果減るという話でよろしかバイかね

まあバーゼル関係はちゃんとした本職の方が既に分析している話なので素人のワイがなにかドヤ顔で解説するようなもんではないのですが。

https://www.boj.or.jp/finsys/intlact_fs/kisei/kis240723a.htm
バーゼル銀行監督委員会による「銀行勘定の金利リスクに係る金利ショックの水準再調整」の公表について
2024年7月23日
日本銀行

『バーゼル銀行監督委員会(以下、「バーゼル委」)は、7月16日、「銀行勘定の金利リスクに係る金利ショックの水準再調整」(原題:Recalibration of shocks in the interest rate risk in the banking book standard)と題する最終文書を公表しました。』

はい。

『本文書は、バーゼル委が2016年4月に公表した銀行勘定の金利リスクの基準で規定される金利ショックを更新したもので、2023年12月より実施した市中協議の結果を踏まえて最終化されたものです。

詳細につきましては、以下をご覧ください。

概要(原文)<国際決済銀行ウェブサイトにリンク>
「銀行勘定の金利リスクに係る金利ショックの水準再調整」(原文 [PDF] )<国際決済銀行ウェブサイトにリンク>』

でもって概要ってのを見ますと、

https://www.bis.org/bcbs/publ/d578.htm
Recalibration of shocks for interest rate risk in the banking book

『The Basel Committee on Banking Supervision has finalised targeted adjustments to its standard on interest rate risk in the banking book (IRRBB).』

いわゆる一つのIRRBB(ってこれアタクシは「あいあーるびーびー」って発音するんだが通の人はなんかカッコイイ言い方ってあるのかしら誰か教えてジェネラル)

『The Committee has made targeted adjustments to the specified interest rate shocks in the IRRBB standard, consistent with commitments in the standard to periodically update their calibration. It has also incorporated targeted adjustments to the current methodology used to calculate the shocks, including:』

『・Expansion of the time series used in the calibration from December 2015 to December 2023.』

『・Replacement of the global shock factors with local shock factors calculated directly for each currency using the averages of absolute changes in interest rates calculated over a rolling six-month period.』

『・Move from a 99th percentile value in determining the shock factor to a 99.9th percentile value, to maintain sufficient conservatism in the proposed recalibration.』

『・Reducing the rounding of the interest rate shocks from a multiple of 50 basis points to a multiple of 25 basis points.』

と書いてありまして、最近の除く日本における金融引き締めによっておきた事象を踏まえて、銀行勘定の金利リスクにおける「金利ショック」を計算する際のシナリオをより緩やかなものにしましたというように読めたんですがそれでよろしゅおしますかしら。

『These targeted changes have been implemented to address problems with how the current methodology captures interest rate changes during periods when rates are close to zero. The changes are unrelated to the Committee's ongoing analytical work on IRRBB following the March 2023 banking turmoil.』

なお、ゼロ金利水準からの引き締めについては今回の算出方法変更には反映していますが、2023年に起きた銀行騒動事案については今回反映していません、って言ってるので、バーゼル様の虫の居所が悪くなるとどうせ加味して再計算とかいうんでしょ、知らんけど。

『The revised standard should be implemented by 1 January 2026. The revised text will be incorporated into the consolidated Basel Framework.』

2026年の頭から適用されます、だそうでアタクシの斜めよみが間違いではないのであれば、銀行勘定に適用される規制資本上の金利ショックの扱いが緩くなるので長期債買いやすいぜヒャッハーという話で、いまのちんたらとした日銀の緩和修正ペースですと、2026年頭とかも牛の涎のようにダラダラした金利何となく上昇局面って感じになるんですかねえと思いますと、これは日本にはなかなかオイチイ話に見えましたがどうでしょうかね。


〇東京レポレートの今週はどうでしょ

東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

東京レポレートベースだと(これは午前に各社が出したのを集計したベースなので、市場のリアルタイムとは若干ズレが発生するのでこういう言い方をしますけど)だいたい水曜木曜になるとT/Nのレートが下がって金曜日になると短国発行要因で上がるというパターン。

先々週からの推移

2024/7/9   0.054 0.069 0.054 0.052 0.053 0.053 0.088
2024/7/10  0.083 0.076 0.055 0.054 0.056 0.056 0.089
2024/7/11  0.079 0.053 0.053 0.053 0.054 0.055 0.088
2024/7/12  0.086 0.080 0.057 0.054 0.055 0.055 0.088
2024/7/16  0.081 0.052 0.056 0.055 0.055 0.056 0.089
2024/7/17  0.079 0.041 0.051 0.053 0.055 0.056 0.089
2024/7/18  0.033 -0.033 0.044 0.049 0.053 0.055 0.090
2024/7/19  0.037 0.070 0.052 0.052 0.054 0.058 0.089
2024/7/22  0.092 0.081 0.055 0.056 0.056 0.058 0.088
2024/7/23  0.073 0.062 0.054 0.054 0.057 0.059 0.088

先週よりは水準高いとは言いましても月曜→火曜のONとTNの下げ方が結構ありやがるのが気になるところで、水木どうなるんでしょうという話だし、金曜日は3Mの入札で、決定会合直前スタートだが決定会合で何かがあることをろくすっぽ織り込んでいないというチャーミングなレート(別に短国やってる人の金利観がそうなのではなくてただの需給だと思いますが。というか4月の短国って当初はちょっとずつ金利上がってたんですよね・・・・・・・)になっているので、まあ別世界に生きる巨大市場という恐ろしい短国なのですが、GC下がるとちったあ短国に影響してくるものかもしれませんしどうなんでしょうかね、と今日明日の東京レポレートを眺めて居たいと思います。


〇そろそろ証文の出し遅れになるから決定会合プレビュー雑談

・踏み込まない輪番減額と9月利上げ予告ホームランという大予想(フラグではない)

まだ変な確定報道は出ていないな(というか多分今回事前はもう「普通の観測記事」しか出ないと思うんだけど念のため)と思いつつ雑談。

先日の茂木さんの例のどう見ても裏にプロが付いているとしか思えない発言にもありましたが、まあ本来は利上げとっとと行って、かつ「物価安定目標達成への確度が高まってくれば徐々に政策金利の調整を今後も実施する」ってのを明確に打ち出す、ってのが先に来て、その時に長期金利跳ねるのって最初は怖いでしょうから(正直跳ねないんだが・・・・)輪番はその後手を付ける、って順序の方がやりやすかったと思うのよ。

ということでありまして、まあ輪番も明日から0にしろとアタクシ的には思いますけど、そうも言ってられないとい中で輪番をガッツリ削るのと短期政策金利を上げるのとどっちかを選べって言われたら日銀としては短期政策金利を選ぶと思うのですよね。いわゆる糊代論的に考えても短期政策金利の方を1%に近いところまでは上げたいでしょ。

しかしながら、なんでそうなったのかというと結局のところ5.13事件(サプライズ長期輪番減額)で輪番に無駄に注目が集まってしまったために輪番に手を付けざるを得なくなって、6月会合で何もしないと為替がやばいし、かといって輪番減額についてまとめきる時間もないし、となって今回のような謎施策になったんだと思いますわ。個人の妄想ですけれども。

でもってアタクシはネタにするのも時間の無駄かと思って割愛しましたが、参加者会合の議事要旨の方ではやや「ハト派的」な意見が目に付くように編集されていた、ってえ辺りからしまして、日銀ちゃん、今回の輪番減額で踏み込んだ減額をするほど根性が据わっているとは思えない節が多々あるわけですよ。

・・・・・と考えますと、やはり今回って「市場が考える目途、と言われる程度の減額(2年後に月額3兆ペース)」と「9月利上げ予告ホームラン」のセットが順当じゃないかと思います。

まあ7月に利上げしない理由もないのですけれども、輪番の踏み込んだ減額にも腰が引けている日銀ちゃんが輪番減額と利上げを同時に出す根性など持ち合わせている訳が無い(個人の感想です)のですが、たぶん「市場予想程度の輪番減額」で終わったら再度円売り安心感来々軒というリスクが高くなります、と思うので、どうせやるなら1月パターンで利上げ予告ホームランを打つということで。


・会見でうっかりいつもの「緩和的な金融環境が続く」をアピールしたら全てが水の泡

ここで重要なのって、マイナス金利解除の時と状況が違う事で、マイナス金利解除の時は実際にはYCCも撤廃したし、リスク性資産の買入も止めたし、出た瞬間は満額回答の内容だった訳で、ただ満額回答してしまうと金利やら資産価格がアイヤーとなるのが怖い、ということで「マイナス解除しても緩和的環境」ってのを無茶苦茶強調したんですよね。

その結果として緩和的環境アピールが過ぎて、挙句に輪番減らさないし6兆円強調しちゃうしで円安が進んだうえに4月会合での植田総裁のチョンボ発言と海外金利サガランチ会長で円安加速となってしまった、という実績があるので、今回の輪番減額と予告ホームラン(する前提で書いていますがw)に関しては「これを行ってもまだ緩和的」ってのをあんまりアピールしないようにしていくことが肝心だと思うんですよね。

実際問題として0.25%に政策金利が上がったって超越緩和には変わりないのですけれども、「今後も徐々に利上げする」って話の方に力点を置いて説明をしないと、ただでなくさえ植田総裁がしゃべると円安に飛びやすいので、植田さんサービス精神で全部を細かく説明しようとするんでしょうけど、そこはちょっと仕込みを用意しておいて余計なことを言いそうになったラジコンで会見場にいるはずの広報なり企画なりが植田さんの背中に電気流すくらいの事をしないとアカンと思います。

なんか会見で「このような措置を実施しましても緩和的な金融環境は続きます(ドヤア)」って言って折角の措置を台無しにする未来しか想像できないので、植田さんのスーツに今から仕込みの準備をしておいた方がええんでねえのと思いました(結構マジ)。

てかですね、黒ちゃんだったからボロが出にくかったものの、記者会見の生放映を日銀公式がやるってのは(いやまあFRBもECBもやってるからやらないってわけにはいかないというのも分かるけど)結構リスクで、政策反応関数が破綻している政策を理屈で説明できるわけないんだから、そんな政策をやっているのに会見質疑応答をまともに流し、かつちゃんとすべての説明を網羅しようとする(とほめていえばそうなる)植田総裁が説明にならない説明で政策の説明をしている、というのはノーリターンでリスクしか無いですな、と思ってしまいます、南無三。


・しかし2年間の減額計画初手で確定させるんですかねえ

2年間の輪番の減額計画ってどういう出し方してくるんでしょうねえ、というのも謎でして、年限別のバケットだってそのままなのか(ワイは途中のどこかで簡略化すべきと思う)、そもそも論として「2年後月額3兆円」っての過大な買入だと思っているワイとしては減額していく中で日銀が懸念するような金利の跳ね上がりが起きないのであれば、途中で減額拡大したっていいじゃんと思うので、最初から踏み込んだもの出すなら別ですが、腰が引けているのを出すんだったら2年間じゃなくて1年間くらいで出しておいて、その時の市場動向を見てその後減額を加速してもいいじゃんと思うのですよね。

ということで、2年間の減額ってのを初手で確定させるのって却ってよくない気しかない(2年後にゼロにするとか1兆にするとかなら別に良いのですがどう見たってそういう元気なものが出てくる雰囲気を感じないので)これもどういう出し方してくるんでしょうというのが謎ではあります。四半期ごとのオペ紙を2年先まで出して来たらそれはそれで笑えますけどさてどうなるのやら・・・・・・・・

ということで今朝は時間の関係上こんなところで勘弁してつかあさい






2024/07/23

お題「茂木幹事長砲とな/BBG観測記事だが「意見が割れてる」ようですね/その他少々」

お暑うございます・・・・・・・

〇茂木幹事長砲とは意外な砲撃が来ましたなこりゃ(日経記事)

ちょwwwwwww
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA224FB0S4A720C2000000/
自民・茂木氏、日銀の利上げ言及 「金融正常化を明確に」
政治
2024年7月22日 17:36

河野太郎がドヤ顔でBBG相手に英語インタビューをしてバチクソ怒られた後にぶっこんでくる、というのが茂木さん大胆不敵なプレイでその時点で凄いんですけれども。

『自民党の茂木敏充幹事長は22日の都内での講演で、日銀について「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と語った。過度な円安の是正へ分かりやすい情報発信を求めた。』(上記URL先より、以下同様)

まあアレです、日銀ちゃんも今まで自民党方面から「金利は上げるな円安にはするな」とか無茶苦茶言われていて、しかも金利上げるとかいうとアベノミクスとかいう邪宗門の信者が生き残っているのでバチクソ言われた挙句にどうせ景気が減速したら日銀のせいとぼこぼこにされるから利上げしたくないでござる円安は株上がるし大丈夫っしょ(格差拡大とか知らんがな)という考えで現状維持で粘ろうとしていたんだろうなーというのはだいたい想像できますので、茂木さんなのでアベノミクス残滓でも何でもないところが惜しいのですが、そうは言っても自民党の幹事長であらされますので、これは日銀が利上げしやすくなるお話。

というかですね、「正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」ということで過度な円安の是正にわかりやすい情報発信をしろ、とか別に過激派でも何でもなくて、普通に穏健なお話であって、そもそも論としてなんで隙あらば円安になるかといえば、ハトハトチキン総裁が隙あらばハトハトチキン発言を繰り返して、「現状維持で粘りたいでござる」という本音が見え見えなのが悪いわけですよ。

なお、日銀に言わせると「物価目標達成に向けて見通し通りに推移すれば政策金利の調整を行う」と常に言ってます、ということになるんですけれども(公式文書はそうなっている)、今回の輪番減額だって「市場参加者会合を実施します」とか言って1か月半時間稼ぎして先送りし、その結果展望回だから本来は物価目標達成に向けて見通し通りに推移しているかどうか点検するタイミングなのに、輪番減額をショーアップすることによって利上げ判断を先に送る(いやまあ利上げする可能性はワンチャンのワンくらいはあるかもしれないけど)という技に出ている時点で、ああこいつら一歩踏み出すのが怖いんだろうなあとゆーのはよーーーーく伝わってくるわけで(とか言って来週蛮勇振るったら脱帽しますがズラは外しません)すな。

などとアタクシの悪態になってしまいましたが、茂木さんの指摘通りで、本来もう「通常の金融政策」になったのだから「タイミングを見ながら徐々に政策金利を中立に近いところに向けて引き上げていく」という方向性を明確に出せばいいだけの話なのですが、それを兎に角したがらない日銀のスタンスが円売り安心感になるわけですわ。


『政治から独立した立場にある日銀の対応に関し、自民党の執行部が公の場で注文をつけるのは異例だ。茂木氏は「過度な円安は日本経済にとってマイナスなのは明らかだ」と述べ、円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した。』

>円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した
>円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した
>円安による物価高が長引くシナリオに危機感を表明した

ねーーーーーー

『円安の是正策として「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」と説明した。金融引き締めは「日本企業の経営からいって基本的に十分対応できる」と主張した。』

>「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」
>「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」
>「(日銀が)金融政策の方向性をはっきり、ぶれずに示すことだ」

いやこれ真面目な話、だれか結構ちゃんとした知恵袋がついてるんじゃないのと思いました。河野太郎のしょうもないインタビューとは出来が違いすぎる・・・・・・・・・・・


〇BBGちゃんの観測記事は「現時点で見解が全然収斂していない」ということでしょうかね

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-22/SH0DJ0T1UM0W00
来週の日銀会合、弱めの個人消費で追加利上げ判断が複雑化−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年7月22日 19:38 JST 更新日時 2024年7月22日 19:55 JST

→消費回復を今後のデータで確認へ、今回は見送りが妥当と一部当局者
→物価が予想通りに推移で一部当局者は前向き、機会逃すリスクも意識

「関係者」とはあるもののあんまりリーク記事っぽい書き方ではなくて、情勢についての講釈みたいになっていますね。まあ昨年来変なリーク記事っぽいのが出て決定会合の前に一々騒ぎになった挙句に国会で怒られたりしてましたし、まあ変なリーク記事なんぞ出ない方が健全というものです。

というか、まあ上記のリードの部分にありますように、そもそも意見が収斂するような状況になっていないので、決め打ちで書くことができなくて、その結果リーク記事っぽくならなくなっているだけ、という説も無きにしも非ずだがw

『日本銀行が来週開く金融政策決定会合では、足元で弱めの個人消費が追加利上げに踏み切るかどうかの判断を複雑化させている。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

ということなのですが、そもそも論として「個人消費が弱いから利上げを躊躇する」ってのは普通にブーメランな話でして、さっきの茂木さんのネタのところにもあったように、「円安による物価高」が個人消費を弱める大きな要因になっている訳で、個人消費が弱いから利上げを躊躇するってやったら円安進行しろって言ってるようなもんで、しかも円安進行すると物価に跳ねて個人消費がさらに弱まるんですから益々利上げできなくなる、という猫でもわかる理屈に対してどういう答えを用意しているのかと小一時間問い詰めたいし、最近は円安=物価高、ってイメージが多くの国民に広がっているように見えます(ので円安がニュースになると消費に跳ねやすい)、弱めの個人消費を理由に利上げ判断を先送りしようという人間の首から上についている物体はカボチャか何かなのかと小一時間問い詰めたい訳です。

しかしまあ何ですな、

『関係者によると、一部の日銀当局者は、高水準の賃上げを背景に個人消費が想定通りに回復していくかを今後のデータや情報などで確認したいとし、今回会合では利上げ見送りが妥当な選択肢と考えている。日銀が利上げを急いでいると受け取られることへの警戒感もあるという。』

『同時に、足元のインフレ動向が日銀のシナリオに沿って推移していることから、今会合での利上げに前向きな当局者もいると関係者は指摘。政策金利が0−0.1%という極めて低い水準にある中で、先行き不透明感の強さを踏まえれば、機会を逃すリスクを意識する声もある。』

ってなかなか見事な両論併記になっていまして、

『日銀は30、31日の会合での利上げの是非について、経済・物価情勢や市場動向を会合直前まで見極めた上で、最終的に判断する。』

って話なんだが今更ここから1週間でなんか天変地異でも起きるなら別ですけど、会合直前まで何を見極めますねんというお話なので、これはまあ要するに意見が全然まとまっていない、ということを意味する記事なんだろうなあと思いますし、意見がまとまらない、となると結局のところハトハトチキンのあのおじさんのご意向というのが反映されやすくなる、と考えられる訳ですので、そらまあハトハトチキンになってしまうんじゃないですかねえ(そうであってほしくはないが予想とべき論は別)、というところですな。


ところでこの記事、後半に輪番減額があるのですが・・・・・・・・・・・


〇結局日銀は長期国債買入減額の位置づけを誤魔化したまま減額計画を開始しそうですな(呆)

引き続き
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-22/SH0DJ0T1UM0W00
来週の日銀会合、弱めの個人消費で追加利上げ判断が複雑化−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年7月22日 19:38 JST 更新日時 2024年7月22日 19:55 JST

の後半です、小見出しが「国債買入減額」以下のところ。

『今会合で決定する今後1−2年程度の国債買い入れの減額計画について、日銀は市場にサプライズを与えるつもりはないと関係者は指摘する。』(上記URL先より、以下同様)

もうね、この時点で出オチのようにダメダメスタンスなのが明白なんですよお前らバナナのたたき売りやっとるんと違うんだぞという話。

何度か弊駄文で申し上げておりますように、そもそも論として、マイナス金利解除の時点で「普通の金融政策」になったという状況になった、という説明をハトハトチキン総裁が言明しておりますように、少なくともYCCは終わりましたし、じゃあQQEはというと、リスク性資産の買入は終了(満期がないものの残高が残るという大問題はあるが)していますし、大量の国債購入というのはどうなっているのか、という点についてちゃんと明確に定義づければ、そこから「あるべき将来像」が明らかに決まるのですから、市場にサプライズもへったくれもないわけです。

然るに、今回の輪番減額においては、長期国債買入(フローもストックも含め)の新しい位置づけをなーーーーーんも定義しないままただ「減額する」って言ってるし、その中で3月4月には「緩和的な環境が維持される」みたいなお前まだ金融緩和を積極的にやる気なのって情報発信をしている訳でして、長期国債買入減額を何のために実施するのかがさっぱり分からんわけです。

まあどうせ日銀からしてみたら、本当はもっと現状維持でノラリクラリとしていたかったのでしょうけど、外部環境がそれを許さなくなってきたので、なんかしなきゃいけなくなって、その際に利上げだとさすがに「一発やってはいおしまい」という情報発信ができないので実行するのがコワイヨーということで、じゃあまだしも輪番減額の方がマシか、ってなもんで輪番減額の話になった(正直アタクシは3月4月の感じだったら利上げ先行で輪番減額はそこそこ後になると思ってた)ってことで、そういう意味では為替円安対策の目くらましにぶっこんだんでしょ、ってツッコミを入れたくなる次第で、だからこそ「市場にサプライズ」みたいな論点が最初に出てくるんだと思います。(個人の感想です)

いやだってさ、将来的に適正なバランスシート(超過準備がある程度残る形になるのか残らない形になるのかはともかくとして今の超過準備が大杉栄なことは明白)に持っていくんだけど、長期国債売却みたいなことはしないでスムージングをするために減額する、ってんだったら2年後も月3兆円とかいう白川緩和時代をはるかに上回る買入してるのおかしいだろという話だし、一方でこの長期国債買入減額はあくまでも「緩和政策の調整であって緩和政策自体は継続する」ってんだったら2年とかいうような長いサイクルじゃなくて、精々1年間程度の話で計画考えるってことになるでしょうし、まあそういうそもそも論をすっ飛ばして対処療法のバナナのたたき売りやっているので、これ将来もまた訳の分からんことが起きるに1兆ジンバブエドルといったところではあります。


と、いきなり出オチに対して悪態をついてしまいましたが、記事を拝読すると、

『関係者によると、一部の日銀当局者は、市場参加者との会合などを踏まえて日銀の国債買い入れの減額姿勢に対する市場の理解が深まったと受け止めている。当初は減額は限定的との見方もあったが、現在は2年後に月間3兆円程度に縮小されるとの見方が市場の一つの目安になっていることを、日銀も認識しているという。』

お前は何を言ってるんだという話で、そもそも何のために国債買入減額をするのか、ということにたいして何の定義もしていないのに「減額姿勢に対する市場の理解が深まった」ってアホなのかと思いますし、2年後に月額3兆とかやる気無いにもほどがあるわ(1年後に3兆ならまだしも)という話。

てかあの参加者会合の事前意見と議事要旨みたら意見バラバラで別に何のコンセンサスも無いだろとしか思えないのですが、勝手に話を作るんじゃねえよと存じます次第でありますな。



〇またも2014年4月30日決定会合議事録から

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2014/gjrk140430a.pdf

このタイミングが「勝ち逃げ」の準備をする絶好のタイミングだったわけですけれども、まあ逃してしまったのはご案内の通りですけど、この時期の物価に関する各委員の見解は今読むと実に味わいが深いので、今日はPDFの53枚目からペタペタと貼っていくという磔刑増量企画です。

その前振りの部分です。

『黒田議長(途中思いっきり割愛しまして)この 4 点に限ることなくさらに議論したいと思うが、議論を整理するために、経済・物価情勢と金融政策運営の 2 つに分けて議論したいと思う。まず、経済・物価情勢に関して追加的なご意見があればどうぞ。』


まずは石田審議委員。

『石田委員

4 月の東京の消費者物価について、「2.7%の上昇のうち 1.7%が消費税率引き上げの影響であり、差し引き 1.0%が消費税を除く分で、これは前月と同じ水準なので、消費税分がフルに転嫁され基調はあまり変わっていない」との判断が多いようであるが、消費税の転嫁に絞ってみれば、転嫁しなかった人――1 番典型的なのはスーパーマーケット業界だと思う――も多かったと思う。転嫁しなかったところを他の一般的な上昇が埋めた結果、1%という数字が計算上出ている。』

『消費税を転嫁する人としない人がいて、消費税率以上に値上げした人の転嫁分が転嫁しない人に補給される訳ではないので、転嫁しない人の収益は減り、その分を仕入先に負担させるか自分の収益が減るかは別にして、いずれにせよ、ろくなことではない。』

『ただ、そうだとすると、今後、消費者の消費意欲がリバウンドすれば、転嫁できなかった人たちが徐々に3%引き上げてくると思う。その意味で、消費税分が全部転嫁されたというよりは、実質的には将来の価格引き上げ余地が残ったというのが私の考えである。その意味では、なかなか良い数字であったと思っている。』

次が中曽副総裁。

『中曽副総裁

黒田議長が論点として挙げられた 3番目のポイント、すなわち労働需給の引締まりが企業行動や賃金引き上げにどのように影響してくるかという点であるが、労働需給がタイト化し賃金への上昇圧力が高まっているので物価は上昇しやすくなっていると述べたが、問題は持続性である。』

『生産・所得・支出の好循環が働き始めているので、その下地はできていると思っているが、物価安定目標の達成をより確かなものとするためには、ベア――調査統計局によれば0.4%ないし0.5%の上昇が実現した――が重要だと思う。先程宮尾委員は、ベアがメカニズムとして入ってきたことが重要だと指摘されたが、私もそのとおりだと思う。』

『ちょっと気は早いが、このメカニズムに沿って、今年度の物価上昇率を反映して来年度もベアが実施され、結果として名目賃金が 2%の物価上昇率と整合的な水準に向けて持続的に徐々に上昇していくかどうかが、ポイントになると考えている。』

次が置物副総裁。

『岩田副総裁

物価動向については、エコノミストフォーキャストは別にして、家計と企業という実際に買い物をしたり現場で仕入れたり売ったりする人の判断が、物価上昇方向に歴然と変わってきていると判断している。先日、連合の人と会ったが、今後の賃金も企業の価格設定も、これまでのような「物価は下がるもの」との前提で行動するのではなく、上がることを前提にしなければ、収益が確保できないような状況になってきているということであった。デフレマインドから穏やかなインフレマインドに変わり、家計や企業の行動が変わってきていることが、2%へ向けた物価の持続的な上昇を担保すると考えている。』

実は以下延々と続いているのですがいったんこの辺で磔を打ち止めにしますけど、労働需給の引き締まりによるどーたらこーたらとかって話、既に10年前もそういう話をしていたわけで、何のことはない物価に関する論点って既にここの辺りで出尽くしていたのですから、「2年で達成」が難しくなった時点でQQE拡大じゃなくて他に取るべきことはあったんじゃないのでしょうかねえ、と今更にして思うのでありました、ということで単純に貼り付けただけの手抜き企画で大変恐縮ですがちょいとだけ貼ってみました。ちなみにこの会合では佐藤審議委員の発言が全般的に見ごたえがあるのですが、佐藤さんのだけ貼ってても何なので今回はパスしました(実はこの次が佐藤さんのターン)。





2024/07/22

お題「参加者会合議事要旨がしょうもない件について/短国とかレポ/2014年4月30日決定会合議事録:誰が正しかったのかな〜」

おやおや
https://jp.reuters.com/world/us/MDAKABD3XZNIBH43JMYYMVNU7I-2024-07-21/
バイデン大統領、米大統領選から撤退表明 「ハリス氏を支持」
By ロイター編集
2024年7月22日午前 4:46 GMT+9

『[ワシントン/リホーボスビーチ(米デラウェア州) 21日 ロイター] - バイデン米大統領は21日、米大統領選挙から撤退する意向を表明し、ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持すると述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ありゃまあ。

『共和党の大統領候補のトランプ前大統領は21日、バイデン氏の撤退表明を受け、バイデン氏よりもハリス副大統領のほうが負かしやすいとの認識を示した。』

やっぱりヒラリークリントンをだな(大嘘)

〇当日公表の事前アンケート回答と変わらんやないけ(参加者会合議事要旨)

https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240719.pdf
「債券市場参加者会合」第 20 回議事要旨

というのが出たのは良いんですけど、結局書いていることが事前アンケート回答と変わらんやんけ、というのがあるんですが、そもそも論としてこういう中途半端な公表の方法ってのもどうなのかと思う訳でして、例えば減額幅にしても出た意見を一つづつ並べているんですけれども、本来はこれウェイトがあったはずだし、業態によっても見解が違っている筈なので(業態によって見える景色が違うんだから当たり前)グループごとにどういう意見が多かったとかそういうの書けよと思う訳ですよ。

あと、意見にしても意見をそのまま来た通りに載せないで事務局の方で変に端折っているせいで、これはこの前の事前意見公表の時にもツッコミをいれましたが、なんかポジショントーク丸出しのアホの極みみたいな意見があるように見えてしまうんですが、今回のこれはさすがに参加の皆さん「どうあるべきなのか」とか「現実的にどうなのか」とか多種多様な考えを持って極めて真面目に回答している筈なんで、意見を出すならパブコメみたいに素のままで出した方が良くて(その代わり最初の時点で「意見は出した個社名が分からないような形ですべて公開します」とする)意見の文章を事務局で丸めるのは良くないと思うのよね。

結果的には、「意見集めるだけ集めているけど、結局のところ日銀が自分のやりたいことに都合のいい意見を選んでくるだけの会合なのではないか」という話だし、しかもこれ対外的に言えば輪番減額して長期金利が跳ねたら(跳ねないと思うけど)「市場の言うとおりにやりました市場が悪いんです私たちは悪くないんです」って責任転嫁するための儀式にすぎませんでしたねえ、という悪寒しかしてこないのです(個人の偏見です)。


〇東京レポレートのマイナスは1日で解消したもののまあ何ですかねえと

いつもの奴
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート

2024/7/11 0.079 0.053 0.053 0.053 0.054 0.055 0.088
2024/7/12 0.086 0.080 0.057 0.054 0.055 0.055 0.088
2024/7/16 0.081 0.052 0.056 0.055 0.055 0.056 0.089
2024/7/17 0.079 0.041 0.051 0.053 0.055 0.056 0.089
2024/7/18 0.033 -0.033 0.044 0.049 0.053 0.055 0.090
2024/7/19 0.037 0.070 0.052 0.052 0.054 0.058 0.089

左からT+0のON、TN、1w2w3w1m3mでございますが、木曜日にトモネが驚異のドマイナスに突っ込んでしまいました件は3MTDB発行要因で普通のレートに戻るの巻となりましたし、ターム物には著変が無いので単純に需給要因と考えると何となく気候変動オペのスタート要因が怪しかったということなのかもしれませんけれども、まあ貸増にしても気候変動にしても1年固定で付利金利と同じとかいう掴み金レートをフルアロットメントでだすのも市場の価格形成をゆがめるにもほどがある話で、超過準備が多すぎなのは是正されるべきなので国債買入もこの手のオペも縮小していく(オペに関してはアベイラビリティの保証をすればよいだけでレートを優遇する必要はない)方向にならんかなとは思うけど多分ならないのが日銀クオリティ。



〇でもって新発3M

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240719.htm
国庫短期証券(第1245回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1245回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号 国庫短期証券(第1245回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日       令和6年7月22日
4.償還期限     令和6年10月21日

5.価格競争入札について
(1)応募額          13兆279億円
(2)募入決定額    3兆9,423億6,000万円
(3)募入最低価格    99円99銭4厘5毛
(募入最高利回り)     (0.0220%)
(4)募入最低価格における案分比率   89.8667%
(5)募入平均価格    99円99銭5厘2毛
(募入平均利回り)     (0.0192%)』

ということで、WIの売参が2.5bpだったのはなんかうそくせーと思ってましたがそれでも何とか2bpアラウンドで収まってくれましたが、これはついこの前1bp割れとかやっていましたのでこっちが完全にパンチドランカーになっているから「2bpならちょっとましか」とか思うだけの話で、7月利上げか9月利上げかと言われているのに10月21日償還で2bpってお前ちょっとそれは何ぼ何でもひどくないですかというお話だし、これ現状でこの状態だと、次に短期政策金利が0.25%になった時の短国の居場所ってどこになるんだよとか思うとかなり頭が痛くなるわけでございますよ、ちょっとレポ市場との乖離が酷すぎませんかねえというお話ですが、まあこれも日銀の超過準備と各種掴み金オペにも責任の一端がある(FSBとかが流動性規制とか言って短国にニーズが集まるようにしているもの要因)のだが。


〇河野太郎クソワロタ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-19/SGUNBNT0G1KW00
鈴木財務相「発言は慎重に」、河野デジタル相に苦言−利上げ巡り
梅川崇
2024年7月19日 12:35 JST

よくよく考えてみたら河野ってデジタル何とか担当大臣で現役閣僚なのにあんな発言したというのもアレですが、河野って普段なんか答弁に困る質問が来ると(マイナ保険証とか)「所管外です」を連発して回答を逃げているのに、思いっきり所管外の金融政策についてドヤ顔(かどうか知らんが)で発言したとか面の皮が厚くて結構ですなあという風情。

『鈴木俊一財務相は19日の閣議後会見で、河野太郎デジタル相が円安是正を目的に政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めたインタビュー内容について、発言を慎重にするよう苦言を呈した。

鈴木財務相は、「市場に与える不測の影響というものを考えるなら、発言は慎重であってほしいと思っている」との見解を示した。「不用意な発言が市場に影響を与えてはいけない」ため、為替相場の水準や動きなどに関して自身は発言を控えていると述べる一方、河野氏は「そういう認識をお持ちでない中での発言だったのではないか」と語った。』(上記URL先より、以下同様)

これは相当怒られましたね。まあしかし円高に振れたんだからエエンチャウノとは思うのですけれども、株が下がってビビったんでしょうね、しょーもな。

『共同通信によれば、河野氏は19日の記者会見で、インタビューでの発言について、「日銀に直接利上げを求めたわけではない。デジタル収支の赤字などの中で、金利が上がれば円高になるという理論を申し上げただけだ」と説明した。』

wwwwwwwww

この記事のチャーミングなところは、上記部分の直後に

『関連記事:
●日銀は円安是正のため利上げを−河野デジタル相単独インタビュー
●円が1%余り上昇、河野大臣の利上げ要求で全面高−156円台前半』

ってなっているところでして、まるでそんな理論でいってねえだろこのアホがとしか言いようが無いのですが、金曜日にこのヘッドライン見て心の底から爆笑しましたのでクリップクリップ。


〇時々小出しにしていく金融政策決定会合議事録ネタ(2014年4月決定会合)

2014年4月の展望といえば、このころはまだ2%行くんじゃねえかとアタクシも思ったりした次第だし、何なら夏には勝ち逃げできるんじゃないかとか思っていた時期でしたが、勝ち逃げをしないでいたら結局今に至っている訳ですな。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2014/gjrk140430a.pdf


『W.金融経済情勢および当面の金融政策運営に関する討議』

『黒田議長

議論を再開する。本日は、金融経済情勢と展望レポートの評価および次回決定会合までの金融政策運営について、1 ラウンドで 1 人 7 分程度を目途に発言をお願いする。中曽副総裁からお願いする。』

というのがPDF27枚目にありますが、途中をかっ飛ばして佐藤審議委員の説明の辺りから鑑賞しましょう。

佐藤委員の説明の途中から引用しますね。PDF40枚目の途中からになります。

『展望レポートについては、物価の先行きに関する記述以外は執行部案で良いと思う。物価の先行きに関する表現については、私自身の物価見通しとの関係で違和感があること、また、私自身は「物価安定の目標」の枠組みは柔軟なものとの理解のもと、実績として 2%の消費者物価上昇率を達成することは必ずしも必要ではなく、達成のハードルもまた柔軟であるべきと考えているので、私自身の考えを反映した修文案を、後程議案として提出したいと思う。』

>「物価安定の目標」の枠組みは柔軟なものとの理解のもと
>実績として 2%の消費者物価上昇率を達成することは必ずしも必要ではなく
>達成のハードルもまた柔軟であるべきと考えているので

今見ればこの佐藤委員の考えに則ってとっとと勝ち逃げするなり、目標の柔軟化をしてアホな追加緩和とかをしなければよかった、という話になりますわな。

『見通し期間中の経済・物価の回復メカニズムについては、執行部案では、足もとの需給ギャップはゼロ近傍で、雇用面のスラック縮小が賃金・物価に影響を及ぼし始めているとの評価であった。これに対し、内閣府の推計による需給ギャップは依然マイナス 1%台半ばだが、資本ストック統計にまつわる諸問題を勘案し、また足もとの雇用情勢や先の短観における生産設備の過剰感の後退等の情報を総合すると、執行部案にあるように、需給ギャップはゼロ近傍にあると考えた方が実感に近い。』

『ただし、こうした需給ギャップ縮小は、生産性の低下などに伴う潜在成長率の低下によるとみられ、経済・物価の回復メカニズムとして本行が本来目指している姿とは異なる可能性がある点には注意が必要である。』

イイシテキダナー

『すなわち、製造業では、とりわけリーマン・ショック以降、国内での設備投資が低迷したことから設備ストック蓄積のペースが鈍り、その結果として潜在成長率が低下した可能性がある。』

『非製造業中心の回復で雇用情勢が逼迫しているのも、非製造業の生産性が製造業対比劣ることが影響しているとみられる。』

ふむふむ。

『こうした中で、持続的な回復に必要なことは、例えば、省力化投資による非製造業の生産性の底上げであろう。そうした非製造業の生産性の改善努力が製造業にフィードバックされ、全体として好循環が形成されれば、先行き潜在成長率の底上げ、ひいては 2%の物価安定の目標達成の蓋然性も高まると思われる。』

こうやって拝読しますと、既に10年前に物価に関する論点も出そろっていたんじゃないでしょうか、って思ってしまいますよね。

でもってPDFだと41枚目のところにまた良いことがかいてありましてですね、

『昨年 1 月の物価安定の目標決定に際して出した文書では、「金融政策は、物価安定のもとでの持続的成長を実現する観点から、経済・物価の現状と見通しに加え、金融面での不均衡を含めた様々なリスクも点検しながら、柔軟に運営していく必要がある」こと、また「持続可能な物価の安定を実現するには、特定の物価上昇率を特定の期限内に達成するといった機械的な金融政策は適切ではない」ことを明記している。』

『また、特定の物価上昇率という点では、展望レポートにおける政策委員の物価見通しがコアで示されていることから、物価安定の目標の達成度合いがあたかもコアのみで判定されるかのような誤解がしばしば見受けられる。』

『しかし、物価安定の目標の定義は、単に消費者物価であってコアではない。だからといって、私は物価安定の目標の達成度合いをヘッドラインのみで判定すると言っている訳ではない。達成度合いをみるに当たっては、ヘッドラインやコア、あるいはコアコアのみならず、帰属家賃を除く総合といったより生計費に近い概念、ひいては賃金を含む幅広い概念を包括的にみていくことが大事で、特定の指数に政策が紐付きになっているかのような情報発信は、政策の柔軟性確保という観点からは避ける方が無難と考える。』

この次に木内委員の発表タイムがありまして、こちらも木内審議委員の途中から引用しますが、PDFの44枚目になります。

『次に、物価の見通しである。過去 1 年間の物価上昇率は、自身の当初見通しを上回った。これは物価の為替感応度が従来よりも高まったことが主因であると考えている。ただ、先行きは、円安の効果が徐々に剥落していく可能性が高いと思う。これは、企業物価の前年比が昨年 11 月をピークに明確に低下傾向をたどっていることにも示されている。』

なるほど。

『他方、労働需給の逼迫を受けた賃金上昇を背景に、サービス価格が今後上昇ペースを概して速めていく可能性は比較的高いと思うが、円安効果の剥落分を相殺できるほどかどうかは不確実である。労働需給の逼迫が賃金全体をどれだけ強く押し上げるか不確かであることに加え、円安などによる原材料価格上昇分の価格転嫁と比べて、賃金上昇分を価格転嫁することは、消費者に受け入れられにくい面があると考えられるためである。』

実際そうでしたわな。

『また、中長期の予想物価上昇率は、足もとの物価上昇分を反映した程度しか上がっておらず、実際の物価上昇率を大きく押し上げる力を欠いていると引き続き考えている。これらを踏まえ、全国消費者物価のコアの前年比は、増税の影響を除いて暫く 1%台前半で推移した後、夏場以降 1%を割り込んでいくことを自身のメインシナリオとしている。』

はい。

『他方で、想定以上の需給逼迫から賃金・物価の上昇率が先行き上振れる可能性を排除するものではない。ただ、その場合は、成長ののりしろが限られているため、成長率は容易に高まらない一方、経済が不安定化することで物価上昇率の高まりも一時的に終わりやすいと思うし、その結果、中長期の予想物価上昇率も高まりにくいと思う。従って、物価上昇率が持続的に 2%程度で推移することを目指す「物価安定の目標」の達成に近づくことには、必ずしもならないと考えている。』

でもってこの次が金融政策運営の話ですが、

『最後に、こうした経済環境下での政策姿勢についてであるが、需給ギャップがゼロ近傍にあるとすれば、それは量的・質的金融緩和が既に相応の成果を上げたことを意味するとともに、需要側に働きかける金融政策の役割は低下してきているとも考えられる。』

実際にそういう状況だったのにも関わらず一段と金融緩和政策を強化した結果聳え立つクソのような緩和の残滓が残って今エライ目になっている訳ですな。

『このような環境のもと、緩和強化を通じて需要をさらに押し上げていくことは、経済の安定を逆に損なう可能性がある点にも留意し始めるべきかもしれない。』

!!!!!!!!!

『今後は成長余力が次第に縮小することが見込まれる中、成長率が巡航速度を保つことで息の長い景気回復が実現し、その間に、供給側では企業の取組みや政府の成長戦略などを背景に生産性上昇率や潜在成長率が高められ、それに応じて物価や実質賃金の基調的な上昇率が安定的に高まっていくことが望ましいパスであると考えている。私自身が今回の展望レポートで示した成長率、物価見通しは、こうした姿に近いものと考えている。』

今頃になって当時の佐藤さんや木内さんの指摘した論点をドヤ顔で説明しているということでありまして、まあ誰が正しかったのか、というのの決着もついてきているんじゃないかと思いました。

なお他にも興味深い指摘がありますのでまた続きはいずれ。





2024/07/1

お題「GCマイナスとかその他の市場雑談メモ/シカゴ連銀は前任と重視ポイントが違いますな/ECBのポンチ絵を拝読」

観光客様が消費したから大喜びですかそうですか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA186450Y4A710C2000000/
訪日消費「今年8兆円」首相表明へ 富士山混雑も対策
【イブニングスクープ】
インバウンド
2024年7月18日 18:00 [有料会員限定記事]

訪日観光客の消費が増える自慢するよりも豊かになった日本人が海外旅行で8兆円消費しました、っていう世界の方がアタクシは嬉しいんですけどねえ・・・・・・


〇東京レポレートェ・・・・・・・・などなど

・木曜の東京レポレートトモネがいきなりどマイナスに突っ込んだでござるの巻

しばらくネタにしないでおったらいきなりの攻撃である
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

        O/N T/N   1W  2W   3W  1M   3M
2024/7/12 0.086 0.080 0.057 0.054 0.055 0.055 0.088
2024/7/16 0.081 0.052 0.056 0.055 0.055 0.056 0.089
2024/7/17 0.079 0.041 0.051 0.053 0.055 0.056 0.089
2024/7/18 0.033 -0.033 0.044 0.049 0.053 0.055 0.090

ちょwwwwwwおまwwwwwwwwマイナス3.3bpって何よそれ。

ということでですね、期末とか短国の入札が爆発的に強くて物無し芳一とかならともかく(短国の需給は相変わらずアホのように良いのですが、じゃあマイナスにレートが突っ込むのかというとそこまででもない筈)なんでもない木曜の金月のレポが急にドマイナスに突っ込むとはどういう事よ(まあ確かに今週少し下がってはいましたけど)というお話ですが、なんでなんじゃろというのは正直よくわかっていないアタクシなのでしたすいませんすいません。

なんかどこかで担保繰りでも間違えて急にGCで担保玉でも調達したのかねという位しか想像がつかないのですが(タームも下がっているなら金利観の話になるがそうではなさそうですわな)、そもそも論として日銀は短期の何とかオペを打ちすぎ問題というのがありまして、


・なんだよこの気候変動オペは

この悪ノリで導入したとしか思えない気候変動オペですけどね
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240718a.pdf
気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの実施結果

『1.概要

貸付実施の通知日時 2024年7月18日 (午前9時30分)
貸付日          2024年7月19日
返済期日         2025年7月18日

2.貸付予定総額(注1)

貸付予定総額          72,361億円
(参考)貸付残高(注2)    119,626億円』

ということで、気候変動オペが昨日は7.2兆も出てまして、あっという間に残高が12兆円になってしまうというプレイが発生していまして、このスタートが今日だから、昨日のトモネのところで担保の足の問題かなんか(例えばの話今日の新発3M短国を担保に使う予定だが発行日までの担保だけ別に調達するとか)でもあったんでしょうかねえ知らんけど、という世界の可能性もありそうですな。

・・・・・・でですね、貸増もそうなんですけど、この辺のオペって固定金利でやるから金利上昇時にはアホみたいにニーズを集めてしまう訳で、この残高がバカスカ出てしまうと担保玉のニーズが増えてしまうから短国やら短いゾーンの国債の需給がひっ迫してコール市場と3M(どころか6Mもですが)の短国がインバートするというアホたれさんな事象が恒常化するし、この調子だともっと変なことになってくるんじゃ無かろうかという感じですわな。

モチのロンですが固定金利で出すから利上げしたらオペで資金調達した先はウハウハで、オペ先向け掴み金状態になっているわけでして、いやまあ政策的に推進したいから掴み金を用意した、っていうのは話の理屈としてはわかるのですけれども、政策金利が25bpになっただけで日銀としては7兆円の15bp逆鞘になるんですから、オペ先全体で言えば年換算で105億円も逆ザヤお支払いということになるんですよね。大昔みたい当預付利が無いならともかく、事実上の当預付利(準備預金に付利していないから当預付利ではないけど)をしている状態なので、オペ資金を日銀当座預金に放り込むだけでノーリスクで鞘が発生しますもんで。

でまあ政策的に必要だから、という触れ込みなのはわかるんだが、じゃあもし「気候変動対策融資奨励金を来年度予算でウン億円計上して金融機関にお支払いします」って言って国会に予算案出したら世間様がどないな反応をしますねんという事を考えますと、政策奨励したいのはわかるんですけど、やっぱり日銀が勝手にこういうのをオペレーション名目でホイホイ出すのっていうのはどうなのか、って思ってしまう訳でして、まあそれを言い出すと成長基盤融資オペもそうなんですけど、特定分野を対象にした掴み金オペレーションってのは、これまでは金利水準がクソ低いうえに動かなかったから問題点が顕在化しなかったですけれども、やっぱり非常に筋が悪いと思います。

なお成長基盤をぶっこんだのは白川総裁の時なんで、金融政策がノーマルに戻る時にこういう論点が発生することはわかっていたと思うんですが、正常化に向けて廃止するどころか気候変動オペの上塗りになっている訳で、まあ筋悪の手段は導入するもんじゃないってことですよね。
(ご参考)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2010/k100521.pdf


・短期といえば1年短国があって今日は3M短国の入札があるんですが

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240718.htm
国庫短期証券(第1244回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1244回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号   国庫短期証券(第1244回)
2.発行根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項

3.発行日      令和6年7月22日
4.償還期限     令和7年7月22日

5.価格競争入札について
(1)応募額            9兆6,056億円
(2)募入決定額       2兆4,355億7,000万円
(3)募入最低価格        99円82銭1厘
(募入最高利回り)    (0.1793%)
(4)募入最低価格における案分比率  19.7996%
(5)募入平均価格        99円83銭3厘
(募入平均利回り)    (0.1672%)』

という結果でして、来年の7月ですよ短期政策金利幾らだと思ってるんですかとかいう話は毎度のようにむなしいのでそれはさておきまして売参ちゃんを見ますと

国庫短期証券1244 2025/07/22:平均値単利 0.165

などという金利になっておりましたので、入札後金利低下だヒャッハーとはいきませんでしたが、とは言ってもアベレージちょい上の気配ということでして、前日の交付税特会借入6Mが0.203%/0.220%だったのを思いますとお前どういう金利してますねん、とか思ってしまいますが、何せ短いところの国債は全般的に品不足という状態(だから短いところの輪番何なら明日からゼロにしろやボケと思いますけど)なので、もはやこっちの方が目が慣れてしまうというパンチドランカー状態で困ったもんなんですけど、期中の短期金利の積分では全然計算ができない金利が相変わらず続く短国なのですな。


でもって今日は3Mの入札
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240712.htm
国庫短期証券(第1245回)の発行予定額等

『1. 入札予定日 令和6年7月19日
2. 発行予定日 令和6年7月22日
3. 償還予定日 令和6年10月21日
4. 発行予定額 額面金額で5兆2,000億円程度』

はいもう10月後半の償還ですよまあ10月まで利上げ無かったら確かにずっと0-10のままなんですけど。

一応売参ちゃん的には

国庫短期証券1245 2024/10/21:平均値単利 0.025

となっているのですが、まあ昨日のGCマイナスとかいうのが気になるところではありますな。ちなみに3Mの短国って4月は毎回の発行が5.8兆円だったのですが、国庫資金繰りの関係(というか為券の関係だと思いますが)で発行額が段階的に減ってきていまして、もしかして直近での為替のへなちょこムーブの背景に思い出介入があるとしたら、一段と外為特会の円貨資金繰りが改善してしまうので、短国の発行がまた減るじゃないですか勘弁してくださいお代官様、といったところではあります。


・ついでに5年GX国債ェ・・・・・・・

昨日入札のあった5年新発GX国債ですけどね、売参ちゃんを見ますと

GX中期国債2(5) 2029/06/20 0.5 :平均値複利 0.588 平均値単利 0.589

となっておりまして、同残存の普通国債を見ますと

中期国債 170(5) 2029/06/20 0.6 :平均値複利 0.585 平均値単利 0.585

って引けになっていまして、グリーンプレミアムとは何ぞやという世界になっているのが物悲しいわけですけれども、まあこれも普通国債の買入をアホほど行って普通国債にプレミアムを付けてしまっている、という日銀の所業によって、「輪番プレミアム>グリーンプレミアム」という面白事案が発生しているようなもん、ともいえるわけでして、気候変動オペをやってGX推進している傍からオーバーキャパシティの輪番を実施してイールドカーブに輪番プレミアムを発生させてしまし、健全なグリーンプレミアムの価格形成を阻害して回っているんだからお前は何をやっているんだの世界な訳ですな。

つーことで「本来ついて然るべきグリーンプレミアムが輪番のせいで見た目ディスカウントになっている」という事態はある、ということはそもそも論として輪番がクソ過大なのですから、減額を慎重にとか言っているのがそもそも寝言であり、まずは国債流通市場における価格形成を適正化することを考えたらある程度がっつりと輪番を減らせ、という話につながるわけです、という強引な結論を書くためにGX国債をネタにしたという説はあるが、まあとにかく輪番がいかに今の国債市場の価格形成をゆがめているのか、というのを分かりやすく示す入札になったのでした。


〇FED要人発言が出るわ出るわ(フォロー追いつかない)

おまえらブラックアウト近いからってしゃべりすぎw
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-18/SGTPQRDWX2PS00
シカゴ連銀総裁、FRBは「黄金の道」危険にさらす−利下げなければ
Steve Matthews
2024年7月19日 1:22 JST

→金融政策は「かなり引き締まってきた」−グールズビー総裁
→利下げをいつ開始すべきかについては、グールズビー総裁は発言せず

『米シカゴ連銀のグールズビー総裁は、労働市場のより急激な悪化を回避するため、金融当局は近く利下げに動く必要がありそうだとの考えを示唆した。労働市場はここ数カ月に軟化が見られている。』(上記URL先より、以下同様)

ということですが、

『金融当局によるインフレとの闘いは続いているが、数カ月にわたるデータ改善を受け、インフレ率が再び目標の2%に向けて低下しているとの安心感を得ていると、グールズビー総裁は指摘。ただその上で、労働市場は「間違いなく懸念される分野」だとし、物価圧力が後退する一方で高金利を維持していることで、金融政策は「かなり引き締まってきた」との考えを示した。』

『当局者らは「黄金の道」を危険にさらしているのかとの質問には、即座に「イエス」と回答。失業率を大幅に上昇させずにインフレとの闘いに勝利する見通しのことを、グールズビー総裁は黄金の道と呼んでいる。』

でもって(引用しないけど)インタビューはヤフーファイナンスらしいのでもしかしたら無料公開されているかもしれませんが、ほうほうそうですかというのと共に、アタクシ的には前任のエバンスが思いっきり政策判断を「インフレターゲット」に寄せていた人で、あんまり雇用の話を前面には出さなかった(インフレ目標の達成を重視する、という人なので今回の利上げ局面では物価高を背景にタカ派っぽくなっていました、逆に低インフレ時には常にハト派だったので、要するに物価重視派だったのです)人なので、前任と違ってインフレ一辺倒じゃないんだな、と思いました。


〇ECBのポンチ絵を見ると「景気判断重視」にシフトしてきているというメッセージを感じましたがどうでしょうか

ECB金利据え置きは順当としまして例のポンチ絵。

https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_july.en.html
Our monetary policy statement at a glance - July 2024

前回はこちら
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_june.en.html
Our monetary policy statement at a glance - June 2024

最初の項目は政策金利の話で、

『We kept our key interest rates unchanged

Our rates are still high, helping push down inflation. This is still needed because inflation is likely to stay above our 2% target well into next year.』(今回)

『We cut our key interest rates by 0.25 percentage points

Keeping interest rates high for nine months has helped push down inflation. Our future decisions will depend on how we see the economy and inflation developing.』(前回6月)

ということでまあここはそんなに大きなメッセージは無くて、絵を見てもすぐに追加利下げするような決め打ちにはなっていない、という感じですな(そりゃまあここで決め打ちして後で撤回はハズイからやらんでしょうけど)。

次からの項目『What is going on in the economy?』が割と表示が変わっていまして、

『The economy is slowly recovering

Services are driving growth in the economy. People have more to spend because inflation is coming down and wages are going up.』(今回)

『The economy is starting to grow again

Services are doing well. Lower inflation and higher wages mean that people can spend more. More demand from the rest of the world should also support our economy.』(前回6月)

という全体観にはあまり変化がない(イラスト的には貿易が抜けてサービスだけになっているのが気になりますがその伏線はこの直後に回収されます)のですが。

『Manufacturing is not doing well

Firms are not increasing their production, and their exports are also not growing. But as the world economy recovers, things should improve.』(今回)

というのが直後に出てきまして、さっきのイラストで貿易の絵がなくなっている伏線が回収されております。

『Inflation is coming down but it will be a bumpy ride

Prices for goods and food are no longer going up as strongly. We expect inflation to return to our 2% target over the second half of next year, although there might be a few ups and downs before we get there.』(今回)

『Inflation still needs some time to return to our 2% target

Prices for goods are no longer rising as much. But prices for many services have gone up markedly.』(前回6月)

今回のイラストにとうとう「この先に2%がある」という図柄が出てきました(2%と書いてある気球が先の方にある、ってのどこかのポンコツ中銀のポンコツイラストみたいで良かったですねポンコツ中銀さん)、説明文は凸凹の道ってなってるけどあんまりそこは絵では強調してない希ガス。

『Wages are still rising fast

Workers are seeking to make up for past price rises. More jobs are still being created, especially in services. Firms are making less profit, partly because they are not passing their higher labour costs on to customers in the form of higher prices.』(今回)

『Wages are still rising strongly

Higher wages are helping workers make up for past rises in prices. Firms are still looking for new workers, though less so than in the past. Unemployment is the lowest it has been in 25 years.』(前回6月)

ここは絵よりも説明文の今回の後半のところが「ほほー」と思いました。

『People are asking to take out mortgages again

High interest rates mean loans are still relatively expensive. But it has become a bit easier to get a mortgage. Now, for the first time in two years, more people are applying for loans to buy houses.』(今回)

今回は見通し会合ではないので、スタッフエコノミックプロジェクションの説明部分が無くて、その代わりに絵が2つ多く収録されていて、このモーゲージの話ってのはたぶんこのポンチ絵シリーズでは初見かと思う位にめったに見ないネタなので、これもおおおおおと思いました。


でですね、まあ今回は見通し会合ではないから、というのはあると思うのですが、経済に関するポンチ絵が増加していまして、これを「今後の金融政策運営においては物価判断もあるけど経済の情勢判断によりウェイトかけてみていきますよ」ってメッセージ(実際には6月の最初のポンチ絵の説明文にあるように「今後は経済の見通しで政策調整」とは言ってるんですが、ビジュアル的に今回分かりやすくした、という感じで)なのかな、と思いましたが的を外していたらゴメンチャイ。

ということで今朝はこの辺で勘弁








2024/07/18

お題「ここでまさかの円高は政策修正に向けて日銀を追い詰めるのでは問題/6M交付税特会借入が9月利上げ織り込みレート」

そういやそうですか全然認識してなかった
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240717/k10014514301000.html
パリ五輪 最初の競技まで1週間 スタジアムでは最終準備進む
2024年7月17日 19時17分

欧州もきょうび7月終わりとかクソ暑いと存じますがどうなんでしょうかねえ。


〇河野デジタル相なのか介入なのかトランプなのか知らんけどこれは干天の慈雨な円高

サムネが実にあれだがまあしゃあないので引用wwwww
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-17/SGQYCADWRGG000
日銀は円安是正のため利上げを−河野デジタル相単独インタビュー
Alastair Gale、Shery Ahn
2024年7月17日 12:46 JST 更新日時 2024年7月17日 13:46 JST

→河野氏は自民党を率いて首相に就任することを目指している
→日銀は追加利上げのタイミング模索する中、月末に決定会合を開催

ということで、タイムスタンプ見ればお分かりのように、昨日の後場になってこれヘッドラインが出たんですが、なんか少し債券先物ちゃんが下がりまして、「えー河野太郎で反応するのかよー」などと見ておったわけですわ。まあ記事を見ますと、

『河野太郎デジタル相は、円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた。』(上記URL先より、以下同様)

ってアカラサマなヘッドラインが出ていたわけですよ。

『河野氏は17日、ブルームバーグテレビジョンに出演し、急激な円安がもたらす国内物価への影響などの問題を強調した。河野氏は円が安くなれば輸出の増加につながるが、多くの日本企業は海外に生産拠点を置いており、日本にとっての恩恵は限られていると述べた。インタビューは英語で行われた。』

ふーん。

『河野氏は「為替は日本にとって問題だ」とした上で、「円は安過ぎる。価値を戻す必要がある」と付け加えた。 』

だそうなのですが、そもそもこのおっちゃんデジタル推進担当大臣とかで、別に金融政策関係ないじゃないですかという話がある上に、デジタル推進で散々馬脚を現した結果、

『9月の自民党総裁選に正式に出馬表明した議員はこれまでのところいない。週末に行われたANNの世論調査では、石破茂氏への支持が27%で最も高く、次いで小泉進次郎氏が18%、河野氏と他の2人が6%だった。』

ということで一般の皆様からの人気もかなり落ちている訳でして、よほどなんかの間違いでも無い限り次期総理とか現実的でもないわけで、何の意味もねえだろとは思う次第ではあるのですけど・・・・・・・・・

Oh・・・・・・・
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024071701064&g
円急伸、一時156円台前半 日銀利上げ思惑で―欧米市場
時事通信 外経部 2024年07月17日22時57分配信

ってな訳ですが、海外時間の前に東京時間でも後場途中から円高ちっくになってきたと思ったら東京の夕方(というか3時位以降)になってホイホイと円高が進行する有様でして、アタクシの記憶と目が間違っていなければ昨日の東京時間の夕方5時から6時の間には156円20銭とか10銭とかいう水準になったりしてて、むしろこれ155円台に乗るんじゃねえかった感じに見えました、

上記記事より引用しますが。

『【ロンドン、ニューヨーク時事】17日の欧米外国為替市場の円相場は、日銀の利上げを巡る思惑から円買い・ドル売りが加速し、一時1ドル=156円10銭台と、約1カ月ぶりの高値に急伸した。ニューヨーク市場の午前9時40分現在は156円10〜20銭と、前日午後5時比2円16銭の大幅な円高・ドル安。』(上記URL先より、以下同様)

ということは東京の夕方からそのままって感じだったのですかね。

『河野太郎デジタル相が、円安是正には日銀の利上げが必要だと発言したとする米ブルームバーグ通信の報道をきっかけに円買い・ドル売りが拡大。トランプ前米大統領が同通信とのインタビューでドル高をけん制していたことも伝わり、ドルを一段と圧迫した。』

トランプでドル安はまあわかるが、河野太郎で動いたのを見てた感想としては「海外投機筋ってアホなのか」という方が先に来てしまいましたw

まあ日本でのデジタル推進での散々な馬脚の現し方とか冷静に考えてみれば海外の投資家がそんなクソ細かい話をしっている訳もないので、かつての一般人気の高さや、前回の自民党総裁選挙で次点、とかいうの考えて「河野総理になったら」みたいなことを考えるのかなあとは思った訳ですよ(河野総理とか悪夢以外の何物でもないが)。

『最近の米経済指標や連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を背景に、FRBが9月に利下げを始めるとの観測が広がったこともドル売りを促している。市場では日本政府・日銀による為替介入を疑う声も聞かれたが、邦銀筋は「ドルは対ポンドやユーロでも下げており、ドル売り要因が大きい」と指摘した。』

とまあそんな解説になっているのですが、ロイターさんによりますと・・・・・・・・・

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/WTKE67BJXVMU5PLM3EB3BCTUK4-2024-07-17/
円が対ドルで急伸、一時156.09円 介入の観測も=NY外為午前
By ロイター編集
2024年7月18日午前 1:32 GMT+9

介入観測ってのがもっと大々的に出ていますね。大明神の思い出介入ラッシュ来ましたかこれは!!!

『[ニューヨーク 17日 ロイター] - 17日午前のニューヨーク外為市場で、円が対ドルで急伸し、一時6月12日以来の高値を更新した。市場では日本当局による新たな介入との観測が出ている。』(上記URL先より、以下同様)

ということで、

『ドル/円は一時156.09円まで下落。その後は1.12%安の156.56円近辺で推移している。コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は、他の通貨と比較し動きが大きかったことが「何らかの介入を示唆しているようだが、タイミングは理にかなっていない」と指摘。「実際に介入が行われたかどうかは判断が難しい。現時点では介入を示唆するようなフローデータは見られない」と述べた。』

『市場参加者の間では、11月の米大統領選の共和党候補であるトランプ前大統領が16日に放映されたブルームバーグとのインタビューで、最近のドル高について懸念を示したことが指摘されている。』

以下若干記事がありますが全文引用になっちゃうんでそれは回避しますけど、ロイターさんは太郎ちゃんのインタビューはBBG単独とかいうBBG日本的に目玉記事だから、なのかどうかは知りませんが言及がないのがチャーミングwwwww

なるほどまあこのタイミングで思い出介入もとい円押し上げ介入をぶっこんできた、たまたま河野太郎ちゃんの記事があったし、トランプトレードっぽくなっているし、という流れの中で介入をすれば円の押し上げにたいして「こうかはばつぐんだ」ってなもんですから、と考えるとそれはそれで思い出介入ではないもっと意思を感じる次第なのでありますが、まあ実際に介入しているのかどうかとか、その規模感とかもわからん(単に円安ドル高ポジションが巻き戻されただけでも戻る時は戻りそうだし)ところではありますが。



〇これで7月会合が「失望」だと日銀エライことになるという変な追い詰められ方が起きていますね

とまあそういうことで昨日も、というかこの前の介入の時も申し上げましたが、これは日銀にとっては本来であれば結構痺れる展開になってきておるわけでして、こうやって円安が戻ってくれたと言いましても、7/31に日銀が「失望」レベルの施策しか出してこない場合、この反動たるや結構ヤバいことになりかねないし、まあ仮にその後米国要因でおちついてくれたとしましても、「4月会合に続いてまた7月会合の植田会見で円安炸裂」とかいう話になってくると、さすがにこれは植田総裁におかれましては謎の体調不良になっていただいて途中辞任すべきではないかみたいな話になりかねないレベルのヤバさだと思うのですよね(6月会合の主な意見がもう既にヤバさを醸し出している)。

でまあそんなわけですので、うっかりしたら利上げ予告ホームラン位では許してくれないのかもしれませんとか思うとオラワクワクしてきただ、ってなもんですが、今回の場合って「事前の期待に満額以下の回答しかしない」となるのが一番日銀にとっては危険な結果を招くという会合になりますので、いまさらこの時間帯から「事前織り込みをさせる」ってのも割と難しくて、事前織り込みをさせると「期待」のハードルを上げてしまう格好になるので、実際の会合で「期待外れの刑」を食らうリスクが高まるんじゃなかろうかと思うのよね、まあ今回問題にしているのはほぼ為替市場で為替市場の中の人の発想は知らんのだけど(おいおい)。

とまあ妄想をたくましくして考えますと、ことここに至ると日銀からなんか情報発信って出しにくくなっているよな(自分でハードル上げて首を絞めるから)とも思いまして益々わけわからなくなってしまいましたがはてさてどうなるのやら。


引き続き「これで日銀に余裕ができた」という見方もできるんですけど、いや今回の場合はちょっと違くて、神田大明神の渾身の介入(渾身なのかどうかは微妙だけど)がマジで日銀のチョンボのせいで思い出介入(ちなみに「思い出介入」って「思い出王手」のオマージュですのでご存じない方は適当に検索してちょんまげ)に成り下がってしまいますと、やっぱりヤバいと思いますし、しかも介入込みで円安阻止している傍からとなるので、問題は大きくなっている、とアタクシは考えます、ただしいかどうかは自信一切ないけど。

まあもちろんのこと、これ米国株式市場が微妙に微妙(テックがアレ)だったり、大きな流れの中でドル高是正となっている、ってんだったら日銀が多少チョンボしてもリカバー可能なので、もしかしたらそういう事なのかもしれませんけれども、いずれにせよここまで来たら日銀からは変な情報発信出さないで決定会合に突撃なさった方が安全じゃないですかねえとは思います、



〇6M交付税特会借入レートが貫録の9月政策修正フル織り込み

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240717.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果

『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。

1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項

2.借入日          令和6年7月25日
3.償還期限        令和7年1月24日
4.償還方法     令和7年1月24日に一括償還

5.借入利率競争入札について  
(1)応募額        6兆1,834億円
(2)募入決定額     1兆2,990億円
(3)募入最高利率      0.220%
(4)募入最高利率における案分比率  60.4324%
(5)募入平均利率     0.206%』

これ足切りの0.22%を7/25〜9/20〜1/24で期間案分して手前を0.10%にしますと、後ろが0.275%近辺になるので、(平均の0.206%だと後ろが0.255%近辺)9月会合で利上げだと思って計算するとだいたい日銀当座預金とブレークイーブンする(この際複利とかめんどくさいことは考えないでいただきたいw)という水準で、相変わらず安定のレートになっているというこの状況。

然るに短国ちゃんは売参を見ると毎度おなじみのように
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1242 2025/01/10:平均値単利 0.020
国庫短期証券1207 2025/01/20:平均値単利 0.080

相変わらずここで謎の段差が発生しててお前この10日間のフォワードレートいくらになるんだよと言いたくなる(雑に計算すると1.1%とかいうこの世のものとは思えない金利になりますがw)のですが、回号が新しい1242ってのは要は6Mカレントになりますので、まあ普通に考えて短国ちゃんの実力はカレントに近い銘柄の方が事実を示している、と考えますと絶望的な金利差が相変わらずついております。

まあそんな中ですけど今日は1年短国の入札があったりするんですよね。とうとう来年7月償還かよってなもんですけど。


〇そういえば今日はGX5年もあるんですね

あれだけ鳴り物入りで投入されたにも関わらず、投入タイミングがちょうど日銀の政策修正モードになってしまった、ということでグリーンプレミアムがどうのこうのとか言ってる場合ではなくて、日銀の金融政策修正シフトをどうやっていくか、という方に頭が回ってしまいましたが。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/yotei/auct20240711.htm
5年クライメート・トランジション利付国債(7月債)の発行予定額等

今回5年GXが出るのですが、この入札予定のアナウンスをふと見ますと、

『連絡・問い合わせ先  理財局国債業務課GX国債係』

という文字列が燦然と輝いておりまして、前回の入札ご案内の時は

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/yotei/auct20240521.htm

『連絡・問い合わせ先  理財局国債業務課債務調整係』

だったので係ができたのか看板つけ変わったのか存じませんが(ちなみに2年以降の普通国債は物価連動国債も含めて「理財局国債業務課長期国債係」、国庫短期証券は「理財局国債業務課短期国債係」がお問い合わせ先になります)「GX国債係」とか気合の入った係の命名じゃんと思いました。

だから何なのかと言われると困りますがw


〇FED要人発言メモ

正直なかなか見ている余裕がなくて困るw

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-17/SGRSHBDWRGG000
ウォラーFRB理事、利下げが可能になる地点に「近づきつつある」
Craig Torres、Steve Matthews
2024年7月17日 22:43 JST 更新日時 2024年7月17日 22:58 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-17/SGQRIBDWRGG000
クーグラーFRB理事、年内利下げが適切になる公算大と再度表明
Craig Torres、Jarrell Dillard
2024年7月17日 11:09 JST

でもってこれはFEDじゃないけどトランプさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-16/SGQJ9WT0AFB400
トランプ氏、FRB議長の任期満了前の解任は目指さず−円安にも言及
Nancy Cook、Joshua Green、Mario Parker
2024年7月17日 6:24 JST 更新日時 2024年7月17日 17:31 JST

なおトランプさん相変わらずぶっ飛ばしておられるようですな。いやはやなんともなのですが。

トランプは「目先利下げすると民主党大統領候補への支持が上がるから怪しからん」とは言ってるけど結局自分の時には利下げさせそうなんですよね。まあ民主党も売電ちゃんじゃなくてもう少しフレッシュなタマは無いのかと思ったのですが、そういえばヒラリークリントン先生ってどこに行ってらっしゃるんですかご夫婦ともどもあんまりお見掛けしないようにアタクシには見えるのですが・・・・・・・・

という訳で今朝も甚だ簡単で毎度すいませんすいません






2024/07/17

お題「介入して米金利下がってこれはアカンっしょ/生活意識アンケートも色々とアカン」

昨日黒ちゃんの割と有名な講演「2%への招待状」のまとめの部分でダーウィンの進化論を引き合いに出していた部分がありましたが、ご参考までにこんな記事がございましたわ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/37932
自民Twitter炎上で注目 「ダーウィンの進化論」とは
2020年6月26日 05時55分

〇米国が引き締め撤収(一部か完全かは不明だが)モードで介入もした訳ですかそうですか

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-16/SGOY4NDWRGG000
政府・日銀、12日に2.1兆円の円買い介入実施した可能性−2日連続
伊藤純夫
2024年7月16日 17:59 JST 更新日時 2024年7月16日 18:37 JST

→介入反映の17日の日銀当座預金の増減要因予想、市場推計とずれ
→円の振れ幅の割には金額が大きい印象、複数回の介入指摘する声も

『円相場が急騰した先週の外国為替市場で、政府・日本銀行は12日に2日連続で円買い介入を実施した可能性が高い。為替介入が反映される日銀当座預金の見通しと事前の市場推計とに開きがあるためで、介入額は約2.1兆円と推定される。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほう。

『為替取引の決済は2営業日後となる。日銀が16日発表した17日の日銀当座預金増減要因の予想によると、12日に介入が行われた場合に反映される財政等要因の予想はマイナス2兆7400億円。東短リサーチとセントラル短資、上田八木短資の事前予想はいずれもマイナス6000億円だった。』

『円相場は11日夜、市場予想を下回る米消費者物価指数(CPI)の発表後に、1ドル=161円台後半から157円台前半まで急騰。12日にも急速に円高に振れる場面が見られた。当座預金見通しからは、11日には約3.5兆円の円買い介入が行われたと推定される。』

とのことですが、ゆうてこれだけ介入して、しかも米国がやっと利下げ云々という話になって、

https://jp.reuters.com/markets/bonds/
金利・国債

債券利回り
米国債10年 利回り US10YT=XX +4.181

とか言ってるのに、

外国為替

米ドル/日本円 158.3300 +0.20%

とか言ってるわけでして、昨日の東京時間帯だって朝方の158円ドタくらいからホイホイと円安が進んで158円80銭水準まで円安になる、という隙あらば円安の様相を呈している訳でして、こういう状況において「米国が利下げモードになって来たので日銀は政策修正を急がなくて済む」とか言ってる何とかスト様って目が節穴か何かなのかと小一時間問い詰めたい次第でして、7月会合で大したもん出さなかったりしようものなら神田大明神の思い出介入がガチの思い出介入になってしまうという台無しモードになるわけでして、いやここは何かの形で威勢のよさを示す必要があるんじゃないのかね、と思うのでした。まあ思いっきり個人の感想ですけど。

まあ何度か申し上げているように、派手に輪番減額計画を打ち出すか、減額は普通でも9月利上げ予告ホームランをするか、という感じかとは思うのですが、あとは「将来の姿」として日銀のバランスシートは将来的には「必要最低限の超過準備」状態まで圧縮していきます、今の段階でその「必要最低限の超過準備」の水準が幾らなのかはさっぱりわかりませんが、どっからどう見ても今の状態ではないのは間違いないです。という話をきっちりと出す、というのが効くのかどうか知らんけど、バランスシートにしろ政策金利水準にしろ、「将来の定常状態は実はこんな感じです、ちょっと今の時点で数字までは示せないけど」っていうのを出して、方向性をきっちりと示すのダイジダイジネーと思うのでございますわよ(個人の感想です)。


〇生活意識アンケート結果が色々とヤバい件について

サーセン出遅れました。

https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2407.htm(簡易版)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2407.pdf(全文)

でもって全文のPDFバージョンから以下引用します。『1.要 旨』ということで・・・・・・・・

・景況感が悪化ですかそうですか

『1-1. 景況感等』の『1-1-1. 景況感』がもうのっけからヤバい。

『景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。先行き(1年後)についても、「良くなる」との回答が減少し、「悪くなる」との回答が増加したことから、景況感D.I.は悪化した。』

3月調査で改善したと思ったらまた悪化しやがっている訳ですが、昨年は6月調査でジャンプアップしてその後下がって今年の3月調査で盛り返したと思ったらまた下がる、という動きになっていますね、本文2ページ(PDFも2枚目)の『<景況感D.I.の推移>』ってのを見ると目の子でそんな感じになっています。

『現在の景気水準は、『良い』(注1)との回答が減少し、『悪い』(注2)との回答が増加した。』

そらまあそうなりますけど、『1-1-2. 景況判断の根拠』を見ますと、

『景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」といった回答が多かった。』

っていうのは上位項目の順位とか変わらんのでさておく(ついでに金利水準の話もどうでもよいのでさておきます)としまして、問題は次の『1-2. 暮らし向き、消費意識』でして、

・暮らし向きや雇用に関する回答が軒並み悪化しているのが景況感悪化の背景なんでしょうね知らんけど

『1-2-1. 現在の暮らし向き』

『現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が減少し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が増加したことから、暮らし向きD.I.は悪化した。』

でもって『<暮らし向きD.I.の推移>』というのがありまして(ちなみに本文5ページ)、前回3月調査で上向きになった、と思わせておいていきなりの下げで元の木阿弥という図式になっておりまして、次の項目では

『1-2-2. 収入・支出』

『収入については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が増加したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。先行き(1年後)については、「減る」との回答が増加したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が拡大した。』

減ったというよりも実質が減っているという印象なんじゃないのかな、と思うのですが、

『支出については、実績(1年前対比)は、「減った」との回答が増加したものの、「増えた」との回答も増加したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が小幅に拡大した。先行き(1年後)は、「減らす」との回答が増加したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が拡大した。』

これどう見ても生活アイテムの価格上昇が体感的に言って止まっていない(毎度なんかのアイテムが値上げになっている印象が強いんですよねえ、第二種兼業主夫としては)

『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。』

これは回答の過去2回分含めた『(図表8)今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視すること(複数回答)〔Q11(2)〕』を見るとわかりやすいんですが、上位陣の順位は毎度こんなもんなのですが、ただまあポイントを見ますと『今後の物価の動向』というのが徐々にぶっちぎりの状態になってきています。

ということでですね、そもそも論として「インフレ期待が高まれば先に消費をしようとする動きが出る」とか寝言言ってたリフレ派とかいう連中の論がどれだけ机上の空論だったのかというのがよくわかるわけですよ、いやはやなんとも。

でもって、

『商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「長く使える」といった回答が多かった。』

これも『(図表9)今後1年間、商品やサービスを選ぶ際に特に重視すること(3つまでの複数回答)〔Q11(3)〕』だと直近半年しか見れませんけど、一時は安いだけじゃない、ということで「コト消費」とかいう言葉がよく言われていた頃もありましたが、最近すっかりそういうの言われなくなりましたよねえ。まあその手の「イベントでは使う」ってムーブは終わったわけではないと思いますけど。


まあ1回だけなら誤差かもしれないのですが、次の『1-2-3. 雇用環境』は割と意外でして、

『1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が増加したことから、雇用環境D.I.は悪化した。』

マジっすかという感じで、最近の日銀の得意技は「労働市場の構造変化」とかいうお題になっているのですが、『<雇用環境D.I.の推移>』見ても前回がピークみたいになっているのは何ですねんと思いました、1回だけならダマシかもしれんけど。


・物価ですがこの期に及んで予想インフレが上がっているようにしか見えませんけど

でまあ本命の物価ちゃんですけどね、ということで『1-3. 物価に対する実感』に入ります。

『1-3-1. 現在の物価』からの、

『現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+15.7%(前回:+14.2%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』

あらあら前回より上昇していますわ、CPIで出てきている流れと微妙に違いますな、ってな感じですが、ヘッドラインの物価指数って原数値で見ても1月106.9→5月108.1となっていて、季節調整後の前月比でみると昨年11月以降2月まではゼロ近傍(全部総合で話をしておりますので念のため)ですが、3月からは0.2→0.2→0.5って感じで上がっているから、まあそっちの方が効いているんじゃなかろうか、とは思いました。

まあそれはさておきこの先ですよヤバいのは、ということで『1-3-2. 1年後の物価』に行きますと、

『1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台後半となった。』

まあこれは良いとしまして、

『1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+11.5%(前回:+9.4%)、中央値は+10.0%(前回:+5.0%)となった。』

ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwwジャンプアップにもほどがあるだろwwwwwwww

ということで『(図表12)1年後の物価に対する見方〔Q14、15〕』の『<1年後を現在と比べると>』とか『<1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか>』とかが中々のアレ。


・・・・ただまあどうせ日銀のことですから短期の物価見通しが上がることについては「これは物価目標で重視する予想インフレではない」(キリッ)って言ってみなかったことにするんでしょうけれども、まあこの結果見ますとこりゃ先行きの消費が防衛的になるわな(さっきの方の雇用判断DIの悪化も含めまして)という大変に香ばしいお話になるわけでして、それもこれも円安コストプッシュが悪いのであり、円安を放置どころか、MPM前に威勢の良いこと言って円安阻止の口先介入をするのに、肝心のMPMで出すものがショボいわ記者会見ではハトハト音頭を踊りだすわで、期待させて失望の繰り返しをしてわざと円安にしてるんじゃないか位言いたくなるような日銀が悪い、という刃がいつ向かってくるのでしょうかねえというお話ではありますな、ちーん。


でまあ日銀ちゃん、どうせ「1年後の物価見通しは政策とはあまり関係ない」で押し通すのでしょうけれども、『1-3-3. 5年後の物価』を見ますとですな、

『5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台前半となった。』

というのは良いとしまして、

『これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+8.7%(前回:+7.5%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』

文字列の方を見てもいまいちヤバさが伝わりませんが、『(図表13)5年後の物価に対する見方〔Q16、17〕』というのが分かりやすい(ちなみにこの部分は本文12ページ)訳で、『<5年後の見通し>』とか『<5年後の物価は現在と比べ毎年、 平均何%程度変化すると思うか>』とか普通にヤバいだろこれ、と思うのでございます。


ちなみにその先の『1-3-5. 5年後の物価が上昇すると考える理由』では、

『5年後の物価について『上がる』(注)と答えた人(8割台前半)に、その理由を尋ねたところ、「最近物価が上がっているから」との回答が最も多く、次いで「中長期的に物価は上がるものだから」といった回答が多かった。』

となっているのですが、『(図表15)5年後の物価が上昇すると考える理由(複数回答)〔Q16-a〕』を見ますと、『最近物価が上がっているから』の回答が増え続けている一方で『中長期的に物価は上がるものだから』が減っているというのがチャーミングですね。


・日銀言われてるゾ(おまけ)

半年ごとに実施している『1-6. 日本銀行に関する認知度・信頼度等』ですけど、

『1-6-5. 日本銀行への信頼度』のところなんですけど、『(図表24)日本銀行への信頼度』の中にあります、『(3)日本銀行を信頼していない理由(2つまでの複数回答)〔Q23-c〕』を見たら、
『日本銀行の活動が物価や金融システムの安定に役立っていると思わないから』

ってのがガンガンズンズングイグイ上昇という風情で推移しているのが大変にセクシーな結果になっておりまして、これは大変に心温まる結果でした。


ということでですな、同日に出た展望レポート別冊ちゃんと違いまして、こっちはさすがに出てきた数字を変える訳にもいかないし、忖度入れたアグリゲートをする訳にもいきませんので、そのままドドーンと生で出てしまえば、こういう感じになりますよっては事ではありますな。

まあそんなこんなで日銀ちゃん、7月会合余裕をもって対応している場合じゃないとは思うのですが、どうせ余裕ぶっかまして対応して9月会合に向けて泣きを見るという毎度の未来予想図に1万アルゼンチンペソと言ったところでございますな。


ということで甚だ簡単で恐縮ですがアタクシの時間の関係上今朝はこちらでご勘弁賜りたく存じます。






2024/07/16

お題「7月利下げはないけど自信ニキのパウちゃん/さくらレポート別冊はどっちにも使えるまとめ方/3M・・・・」

この湿気は何とかならんもんですかねえ・・・・・・・

〇パウエルがまたもどっかで座談会みたいなのやってるようですが

これまたFEDのサイトの新着見てもでてこないんですが。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-15/SGOCHEDWLU6800
パウエルFRB議長、最近のデータでインフレに関する自信深めた
Amara Omeokwe
2024年7月16日 2:07 JST 更新日時 2024年7月16日 2:44 JST

→先週発表された1つを含む直近3つの指標で、幾分自信は深まった
→労働市場が予想外に軟化した場合も金融政策対応の理由になり得る

『パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、4−6月(第2四半期)の経済データで、インフレが当局目標の2%に向かって低下しているとの自信を政策当局者が深めたと述べた。』

『パウエル議長は、先週発表された1つを含む直近3つのインフレ指標を挙げてこう述べた。ただ、利下げのタイミングについて具体的なメッセージを送る意図はないことも明確にした。』

『議長は15日、首都ワシントンのエコノミック・クラブでデービッド・ルーベンスタイン氏のインタビューを受け、「1−3月(第1四半期)には自信を高めさせるものは何も得られなかった。だが、先週発表された1つを含む第2四半期の3つの指標で、幾分自信は深まった」と語った。ルーベンスタイン氏は投資会社カーライル・グループの共同創業者。』(以上上記URL先より)

とまあそういう訳で、ここもとの指標を見てインフレ鎮静化に自信ニキなのですが、一方で7月は利下げするわけではない、ということなので、そうなりますと次は9月ですから、何も今から予告ホームランすることもないでしょう、ってなもんなのですが、かなり自信があるのかこれ夏の指標見て前言撤回したら割とはずいことにならんかとは思いますが、まあ自信ニキなんでしょうね、というのはわかった。

というメモだけ置いておく。


〇さくらレポート別冊が早速来たのだがこれまた「どっちでも使える」内容になっていますなあ

金曜に出すくらいなら支店長会議と同時に出せたんじゃないですかねえ。

https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb240712a.pdf
地域経済報告
── さくらレポート ──
(別冊シリーズ)
地域の中堅・中小企業における賃金動向
―― 最近の企業行動の変化を中心に ―

ということで出たのですが・・・・・・・・・・・

本文1ページ(PDF3枚目)に鏡があってですね、

『地域の中堅・中小企業における賃金動向
―― 最近の企業行動の変化を中心に ――
【要旨】』

ってことで囲みの部分を鑑賞しますと、

『地域の中堅・中小企業へのヒアリングによると、今年の賃金動向については、昨年を上回るあるいは高水準であった昨年並みの賃上げの動きに広がりがみられている。』

はいはい威勢が良い威勢が良い

『こうした賃金動向の背景としては、@物価上昇を受けた従業員の生活への配慮、A競合他社や大企業等との人材獲得競争、B業績の回復・好調、C効率化や生産性向上の取り組みの進捗などが指摘されている。』

イイハナシダナー(じっと住民税課税通知書を見るが目から汗がorz)

『また、年齢層や専門性等による賃上げ率のメリハリ付けや、賃上げとセットでの労働環境の改善や福利厚生面の充実など、経営の基盤となる人的資源を巡っては多様な取り組みがみられている。』

イイ(以下同文)

『ヒアリングでは、中堅・中小企業が直面する環境の厳しさを指摘する声も少なくなかった。すなわち、@原資が十分でない中でも人材の確保・係留を優先した「防衛的な賃上げ」を実施、A賃上げの一方で、給与カーブのフラット化などにより総人件費上昇を抑制、B収益不芳や原資不足で賃上げを見送り、といった企業も相応に存在することが確認された。』

なにかが心に突き刺・・・いやなんでもありません。

『賃上げの動きが広がるもとで、企業間の格差・ばらつきも大きくなっている。』

まあでもゆうてこの「経済成長続いて価格ダイナミクスのある世界」ってのは必然的に基礎的な収益力の無い企業は優勝劣敗の原則がワークするのでこうなるのは当然である、というお話でもあるので、ここを捕まえて全企業が上がらないのは怪しからんとかそういう事をいってるとおかしなことになってしまうんですが、まあこの部分をどういう解釈で「使う」のかってのは大事な話なんですよね。

つまりですね、黒ちゃんが2014年末の経団連講演で言ってた

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2014/ko141225a.htm
【講演】「2%」への招待状
日本経済団体連合会審議員会における講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2014年12月25日

の最後の部分、

『要するに今の過渡期的な状況を利用するかどうかは、早い者勝ちの面があるということです。デフレのもとでの「縮小均衡」の経済と、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」の経済とでは、企業を取り巻く環境は全く異なります。企業経営のルールブックが変わるということです。進化論を唱えたダーウィンは、「生き残るのは、強い生き物ではなく、変化に対応できる生き物だ」と言ったと伝えられています。いち早く環境変化を先取りし、「拡大均衡」の経済に対応できた企業こそが競争の「勝者」となり、新しい時代における繁栄を享受できることになるのだと思います。』(この部分だけ直上URL先の2014年12月黒田総裁講演より)

ちなみにこのダーウィンの云々は実はダーウィンの言葉じゃないとかなんとかそういうツッコミがあったような気がしますがそれはさておきまして、拡大均衡(拡大してましたっけとか言わないw)の世界ではまあこうなるのはこうなるわけで、ついていけない企業はそもそも社会的意義を果たしていませんのでその資源はきちんと意義を果たしている企業にどうぞってな話になりますわな。

・・・・・・・とは日銀言わないんですよね、円安放置して生活困窮化進める方には全然無神経な癖に。まあ連中がどっち向いて仕事してるのかって話だがその悪態はまた後日としまして先に進みましょう。

『また、人手不足は一過性のものではなく、今後も継続して賃上げを実施することが必要との認識も深まっている。このことは、以下のように、賃上げ原資の確保も見据えた企業行動を促している。』

ということで、なんか構造的に賃金上がって物価が上がるみたいになっている、ってな話はしているのですが、

『第1に、価格設定スタンスの変化である。今年の賃上げに関しては、既往の原材料コスト等の価格転嫁の進捗が賃上げ原資の確保につながったという声が多い。』

『この間、賃金上昇を価格に転嫁する動きについては、人件費の価格転嫁は難しいとする企業はなお少なくないものの、非製造業では、サービス業など、人件費比率が高い業種や人手不足感の強い業種を中心に、転嫁を実施・検討する動きに広がりがみられている。』

『製造業についても、最近の政府の後押しもあって、価格転嫁が進めやすい環境に向かいつつあるとの声が聞かれた。』

と、いきなりいつもの第一の力第二の力の話をおっぱじめてしまう訳でして、いつもの屁理屈の理屈を使うとこれですと第二の力になっているかどうかは今後次第、とかいう話になっていつまでたっても物価目標達成にならないですなあ。

でまあこういう表現をしている、という時点で「物価目標達成が視野に入ってきたのでゼロ金利とかいう明らかに超緩和的な金利水準の修正を実施する」という話にはならない、というのが明らかです。


『第2に、生産性の向上に向けて、設備投資やAIなどのデジタル活用が活発化している。ただし、専門人材やノウハウの不足、財務面の弱さなどが、投資の制約になる事例も増えており、今後注意が必要である。』

生産性が上がると基調的な物価が上がるって話ですな。

『第3に、事業再構築、他社や大学等との連携強化、M&Aなど、経営の持続性や成長力を高めるための抜本的な経営変革の動きも徐々に増えている。』

まあ正直大学と連携して何になるのか知らんけど、事業再構築とか、企業の承継に伴って生産性の高い企業に資源が集約されていく、というのは全体的にみたら悪い話ではないので、この話も基調的な物価が上がるって話。

『今後の賃金動向とともに、こうした企業行動の変化が着実に続いていくか、さらに、それが地域経済にどのような影響を及ぼすかが注目される。』

ということなので、要旨部分で言ってるのは「成長力強化が進んできている動きは見られるのでその点は良いのだが、好循環は道半ばです」っていう話で、これはまあ普通に解釈すれば「政策修正はゆっくりとしかしませんよ」ってなもんでして、この要旨を単体で見ますと7月にゼロ金利状態からの脱出をしそうな雰囲気は感じられませんですな、残念無念。

まあゆうて結局のところ日銀の政策修正は「お気持ち」と「なんかの圧力」によるものであって理屈はどうせ後付け(だから言ってることが首尾一貫していないわけで、それが一番わかりやすく示されているのが展望レポートハイライトでそろそろ出る頃なので今回は何を出すのか楽しみにしていますわ)なので、まああと半月残っているので決め打ちは禁物ではあるんですけどね。


『1.はじめに』ってところだけ見ますとですね、

『わが国の企業では、人口減少・少子高齢化などを受けた追加的な労働供給余地の減少にコロナ禍以降の経済活動の回復の影響も加わり、人手不足感の強い状態が続いている(図表1)。』

結局QQEは何だったのかという話(ただの金融緩和でよかったのではないかという話)になりますけど。

『日本銀行のアンケート調査1によると、働き手の確保に支障が出ることへの懸念などから、業種・企業規模を問わず、多くの企業が賃上げスタンスを積極化させている(図表2)。』

ほうほう。

『こうした中、今年の春季労使交渉では、大企業における高水準の妥結が相次ぎ、賃上げ率は、大きく改善した昨年からさらに加速した。この間、中堅・中小企業については、労働組合の組織率の低さや賃金改定時期のばらつき等から、賃上げの実態をタイムリーかつ包括的に把握することは難しいが、現時点で利用可能なデータを踏まえると、大企業には見劣りするとは言え、高水準の賃上げが実現した昨年程度か、それを上回る賃上げが実現する可能性が高い(図表3、4)。』

はい、ここの表現がまあ事実そうだけど味わいがあるわけで、中小も含めた賃金動向を確認したい、ということになりますと9月決定会合までの間にはさすがにデータがそろいますので、そういう意味では7月会合で9月までのデータを見て最終確認したい、というような予告ホームランを打ってくる方が、賃金動向だけを見た場合には妥当ということになるわけですなこの説明っぷりだと。

しかしまあ氷見野副総裁が以前の講演で言ってたように「そもそも全部青信号ってことは無い」のだから普通はこれだけのデータそろったら7月展望で利上げできるじゃろと思うのですし、まあもっとそれ以前の話でこの人たちやる気がない場合は賃金の話は忘れてしまって別の屁理屈繰り出してくるので、まあこれがあるから7月予告ホームラン来るで、と決め打ちもできないのが残念なところです。

なぜかといえばこの次の段落は、

『ただし、こうした中堅・中小企業の中には、十分な業績改善や原資の裏付けを伴わない「防衛的な賃上げ」に踏み切った企業が相応にみられると指摘されることも少なくない2。』

ほらきた。

『このため、今後、中堅・中小企業が持続的な賃上げ力を具備していくには、収益力や生産性の向上が必要との声は多い。積極的な賃上げが、価格設定のほか、設備投資やデジタル化の積極化などの企業行動の変化を伴いながら定着していくかが注目される。』

ということで、中村審議委員が大好きそうな話になっている上に、この言い方ですと「持続的な賃金上昇の定着には課題が残っている」という説明になるので、見極め地蔵になるための理屈がきっちりと用意されているんですよね。

『日本銀行では、こうした問題意識から、地域の中堅・中小企業(零細企業を含む)における賃金動向、価格設定等の企業行動の変化、賃上げの持続性に向けた課題等を把握するため、本年4月後半から6月にかけて、本支店・事務所で集中的に地場企業や経済団体等へのヒアリングを実施した。本稿はその取り纏めである。』

以下の部分は本日は割愛ということで(面白そうならネタにします)。結論は小見出しに書いた通りで、書いていることのどっちをフレームアップするかによって話はどっちにもできるという代物に仕上がっていました、という事かと思います。


〇3MTDBは相変わらずである

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240712.htm
国庫短期証券(第1243回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1243回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号           国庫短期証券(第1243回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日       令和6年7月16日
4.償還期限      令和6年10月15日
5.価格競争入札について
(1)応募額           13兆8,775億円
(2)募入決定額      3兆9,522億6,000万円
(3)募入最低価格      99円99銭5厘5毛
(募入最高利回り)        (0.0180%)
(4)募入最低価格における案分比率    25.1779%
(5)募入平均価格       99円99銭6厘7毛
(募入平均利回り)        (0.0132%)』

ということで前週の平均0.32bp足切り0.80bpとかいう地獄のようなレートからはマシになったとはいうもののの、相変わらず1.32bp平均の足切り1.80bpとかになっていまして、どこからどこまでが長期金利からの難民なのかが分からんですけれども、ただまあ構造的に短い国債のニーズが強くなっているのは、FSBとかいう阿呆が金融機関に対する流動性保有を強制するもんだから、というのはあるわけでして、そういう変化が起きているんだからTDBの発行も増やせやと思うのだが、先週巷間言われるように介入してたらまたこの後黙ってると為券の発行が減るのでTDB減るじゃんと頭が痛いわけです。

てかさ、流動性規制かけるのはそらまあ金融システムの安定のために必要って話は分かるんだけど、規制かけるにしたって法域によって市場構造が違う訳で、米国みたいに困ったときにはお助けで流動性規制に使えるものが出てくるような法域だと良いんですけど、日本の場合縦割りになって皆さん自分の庭先は綺麗にするんだけど市場全体を見てデザインしてくれる機能がイマイチなので(たまに当局の中に理解のある方々が揃っているとそういう機能も発揮されるのだが組織的にそうなっているかというとねえ)すが、まあこれ今後の金融政策運営がもう少し見えて来てからもこの調子(日銀当座預金よりもはるかに低い短国となって3MとONがインバート状態)だと、ちょっと短期金融市場のデザインを作り直さないといけない、ということになるのじゃないかな、とまあそんなことを思う今日この頃であります。

などと偉そうなことを言いながら売参ちゃんを見ますと

国庫短期証券1243 2024/10/15:平均値単利 0.015

となっていまして、足切りよりレート上がってるじゃん、とは思いましたが、そもそも論として10/15足で何ですかこのレートは、というのは一切状況変わっていないという悲しい事実。


でもって生活意識アンケートがあるのですが、今朝は時間の関係でここで勘弁していただきとう存じます。(連休中に準備しておけと言われるとぐうの音も出ない)








2024/07/12

お題「もしかして利上げチャンスが来々軒なのではないかと/短国入札とか米国要人発言とか少々」

なるほど
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240711/k10014509401000.html
円相場 一時1ドル=157円台前半まで急速に円高が加速
2024年7月12日 4時46分

『11日のニューヨーク外国為替市場ではアメリカの消費者物価指数が市場の予想を下回ったことをきっかけに円を買ってドルを売る動きが強まりました。その後、一時、1ドル=157円台前半まで急速に円高が加速し、政府・日銀による市場介入が行われたのではないかとの見方も出ています。』

『11日のニューヨーク外国為替市場では、この日発表されたアメリカの先月の消費者物価指数の上昇率が市場の予想を下回ったことをきっかけに、FRB=連邦準備制度理事会が9月にも利下げに踏み切るとの観測が強まりました。』

『このため、日米の金利差の縮小が意識されて円を買ってドルを売る動きが強まりました。円相場はその後、急速に円高が加速し、一時1ドル=157円台前半まで値上がりしました。統計の発表前と比べ4円以上、円高に振れ、市場では政府・日銀による市場介入が行われたのではないかとの見方も出ています。』(上記URL先より)

ということで・・・・・・・・・・・・・・・・


〇7月利上げのチャンス来々軒なのではなかろうかという与太話(アメリカンCPI界隈)

これはさっきのURLですが
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240711/k10014509401000.html
円相場 一時1ドル=157円台前半まで急速に円高が加速
2024年7月12日 4時46分

『円相場はその後、急速に円高が加速し、一時1ドル=157円台前半まで値上がりしました。統計の発表前と比べ4円以上、円高に振れ、市場では政府・日銀による市場介入が行われたのではないかとの見方も出ています。』(上記URL先より、先ほどの再掲です)

指標で反応した後に追撃があったんですね。つまりは大明神の思い出介入???

大明神コメント、ってかそんな時間にもちゃんとコメントするのタフですね
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-11/SGGJLDT0AFB400
円急伸、一時157円台−神田財務官「介入有無コメントする立場にない」
宮井伸明、森 茂生、Rita Nazareth
2024年7月11日 21:31 JST 更新日時 2024年7月12日 2:05 JST

『神田財務官は米CPIを見て合理的に判断したか、それ以外の力が働いたとの市場の見方があると指摘。足元の為替の動きはファンダメンタルズに沿った合理的な動きとは言えないとし、投機が支配しているマーケットになっていると言われていると語った。

その上で、円安の国民に対する影響は無視できないとした上で、少しコレクションがあってもよかったと思っているとの見解を示した。』(上記URL先より)


だそうなのですが、これはイエレン先生の「介入するなら金融政策何とかしてから来やがれ(超意訳)」発言を考えまするに、この流れなら7月末のMPMでジャパンは長期国債買入減額計画出すのはまあこれは予定通りとして、それに政策金利の引き上げをぶち込んでおいて、でもってその日の晩にはFOMCで9月利下げの予告ホームランが出るとなりまして、かつ日本は利上げとともに「これからも物価情勢がオントラックで推移するならペースは慎重かも知れんけど利上げはやります見ててくださいゼロ金利制約の外れた植田和男の姿を、もうハトハトチキンなんて言わせませんよ!!!!(誰も言ってませんかそうですか)」と会見で華麗にジャガーチェンジして頂ければ、緩和垂れ流し日銀ということで進んでいた円安が止まるんじゃなかろうか、ってのを思ってしまった次第。

・・・・・・・うーんかなりのファンタジー物語になっていますが、米国は年前半の経済物価データが出そろったところで「2%物価鎮静化オントラック」ということで引き締め度合いの修正をぶっこむ、すなわち年前半の経済指標は7月〜8月にかけて出てくるのですから、それを受けて9月18日のFOMCで利下げ一発目、という風になるのであれば、日銀としては米国利下げとセット販売の如く緩和修正(利上げ)を打ち出せばダブル効果で効くし、何ならその瞬間に戦艦大和級の介入砲撃をぶちかませば(゚д゚)ウマーなのではないか、などとなんかオラワクワクしてきたゾ!!!!!!!

という妄想で頭がワクワクしてくるわけですが、これはいずれにせよ日銀としてはそりゃまあ建前上為替とは言わないにしたって、どうせどっかで切る利上げカードなら為替的に一番良いタイミングと考えると9月どころか7月も結構なチャンス来々軒になったのではないかという楽しい妄想は起きるというものです。


〇とは言いましてもまあ7月ってこれ減額の出し方とのセット販売になりそうに見えますが

さらに雑談ですけど、結局のところ今月のMPMの前にちゃんとした公式の平場での見解表明タイムが終わってしまって、このあと多分MPMまで何もない(国会も閉会中)ということになるのですが、

・短観→度肝を抜くほど強いわけではなかったけど、価格見通しとか「企業の価格設定行動」に関するところが「従来とちがったパターンで」強く、この「従来と違ったパターン」ってのがいわゆるノルムやインフレ期待だと思うと利上げの後押しにはなる、でもヘッドラインの部分がバチクソ強いかというとそれもまた微妙なので決定打にするにはちょっと

・支店長会議→さくらレポートのアネクの表現はどっちから見ても使える内容で利上げの言い訳にならんわけではないという

・債券市場参加者会合→ただの集計かよって感じだし、皆さんの回答の分布はこうなっていまーーーすみたいなのを出さないという技を使ってきましたので、一番邪推度を上げますと輪番減額公表してそのあと長期金利が跳ねたら「市場が金利が上がったら買うといってたので安心してこのような計画をだしたんですウソツキ市場が悪いんですあいつらクソです」と日銀が大保身モードになるための責任転嫁材料にしかなっていない気がしますな(個人の偏見です)

ということで、まあどれもこれも利上げ実施の機運に水を差すようなものではないのですが、さりとてよーしパパこれで7月は利上げだーーーと言って予告ホームランをするようなものでも惜しくもない、という物件が並んだ感じですね。

まあアレです、次回会合って輪番減額計画の規模をどのくらいにするのか、と政策金利引き上げをセットで売り込みにいくのか、はたまた利上げポーズを闘魂込めて大空にぶっこんでくるのか、というのは組み合わせの問題になるとゆー感じかなと。

つまり、最悪なのは「ショボい減額規模(個人的には2年で3兆までだとショボいというイメージだが市場コンセンサスがどこにあるのかは知らんし、そもそも為替様がどのように思っているのかはもっと知らん)」だけ」って奴で、これはもう円安再燃待ったなしということになりますわな。さすがに「相応の減額をする」って言ってるんだからそんなチョンボはしないと思いますが。

なので、「結構頑張った減額規模(個人的には最初の1年で半減まで持って行くのは最低限だと思っているけど市場的にはそれなら頑張ったで評価されるのとチャイマスカね)の減額」を入れてくるというのが次点ですが、その何兆円なら十分不十分ってバナナのたたき売り(昭和脳では普通の比喩表現でしたが最近聞きませんねえそういえば)みたいな話をしているのもどうなのかと思うのと、そもそも出したときに為替市場様がどう反応するのかがよく分からん面がある訳ですよ。こっちで相応の減額に値するんじゃねえのと思っても為替市場様がせせら笑って円安じゃ円安じゃとなるリスクはあるので。

と考えますと「まあ何となくコンセンサスっぽい輪番減額を打ち出しながら展望レポートの中で「物価目標達成への確度が一段と高まってきた」とかぶっこんでおいて、さらに会見で「今年前半の経済指標を確認して確度の高まりを確認していきたい」とか思いっきり予告ホームランを打ってしまう、という1月展望→3月利上げのパティーンを突っ込むのは、ちょうどアメリカン政策金利もこの調子なら9月には下がるとなっているので、日本単体じゃなくてUSも相まって金融政策の方向性の変曲点到来、となってなんか雰囲気変わるんじゃないの、という風に思いました。

・・・・・・・うーん我ながらなんかエライファンタジー成分の強いストーリーになっている気がしますが(自爆)、さらにファンタジーの上塗りをするならば、大明神の思い出介入にも見えるムーブがマジの介入だとしたら、それは思い出なのではなく、米国の金融政策がまさに変曲点に差し掛かろうとしている今が最大の政策修正開始チャンスだ、って日銀に行動を迫っている、という妄想にすると、これは思い出介入とかいうほのぼの案件から急に凄みのあるプレイに代わってしまうのがエッシャーの騙し絵みたいな話になりますな。


まあ為替は関係ないことにしているとはいえ、円安トレンドを反転させる必要があって、かつアメリカン政策が変曲点に達していない場合は円安対策的に無駄玉になりそうな利上げ着手ですが、米国が変曲点にあるなら無駄玉にならないどころかこうかはばつぐんだ、となるようにも見えなくはないので、7月利上げしなくても前回のような予告ホームラン攻撃をしておく、ってのはチャンス来々軒だと思うんですよねーーーーーー(個人のファンタジーです)。



〇さて今日は3M短国なのだが

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240705.htm
国庫短期証券(第1243回)の発行予定額等

『1. 入札予定日 令和6年7月12日
2. 発行予定日 令和6年7月16日
3. 償還予定日 令和6年10月15日
4. 発行予定額 額面金額で5兆2,000億円程度
5. その他 上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。』

9月会合が9/20なので結構跨ぐ(10月会合にはかすらない)という入札ちゃんではあるのですが、毎度おなじみの売買参考統計値様のお告げによりますと

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1241 2024/10/07:平均値単利 0.010
国庫短期証券1243 2024/10/15:平均値単利 0.015

ということで、新発WI一応階段はついていますけど、そもそも先週の1241が四半期明け一発目の短国で足切り1bp行かなかったというスカポンタン入札だった上に、火曜日の6Mも入札は3bp4bp水準でしたけど結局昨日の引けを見ますと

国庫短期証券1242 2025/01/10:平均値単利 0.020

とか入札時より金利下がった状態のまま安定しててしかも水準が利上げが何ぼのもんじゃい水準というどう見ても需給逼迫要因です本当にありがとうございましたという水準になっておられるのですが、はてさて今日の3Mはどうなるのやらというところです。まあ四半期末お家の事情的な特需はいったん沈静化しているようには思えるのですが・・・・・・・・



〇でもってそろそろFED高官の発信もこのCPI受けて面白くなりそうなので確認をしたいですね(予告編)

昨日のニュースだと、

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/DY57MBQO65IR5A4L4ZOVZ5WG3M-2024-07-11/
米経済、軟着陸と整合 インフレ鈍化継続へ=クックFRB議長(原文ママ)
By Howard Schneider
2024年7月11日午前 10:09 GMT+9

とかあって、昨晩は

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/CPM3L7SM2ZIKNBU43BJWYDUJWU-2024-07-11/
年内1・2回の利下げ適切、CPIで調整正当化=米SF連銀総裁
By ロイター編集
2024年7月12日午前 3:23 GMT+9

デーリーさんキタコレという感じなのですが、最近日銀ネタばっかりでお前この大事な時にFEDネタどうしたと言われそうなのですが、ここからジャクソンホールにかけて(途中月末のFOMCもありますし)変曲点ということで楽しい講演が色々と出てきそうで、今年は夏枯れしないですむかも(とは言え連中堂々と夏休み取るからなあ、というのは正直心配www)という気はします。

クック理事
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/cook20240710a.htm
Common Inflation and Monetary Policy Challenges across Countries
Governor Lisa D. Cook
At the Australian Conference of Economists 2024, Adelaide, Australia

ということで小見出しが

Common Monetary Policy Response to the Pandemic
The Rise of Inflation and the Common Monetary Policy Response
Understanding the Rise and Fall of Inflation in Recent Years
Current Common Monetary Policy Challenges
Monetary Policy Communications

って並んでいますので、これはまあアタクシの直感が読めと言っているのですが、今朝も今朝とてショパンの事情がありまして時間があんまりないのでここだけ引用しておく、というのが小見出し『Current Common Monetary Policy Challenges』の最後のパラになります。

『It is possible that some features of the recent inflation episode may make a soft landing more likely in countries around the globe.』

世界的にインフレの鎮静化とソフトランディングが起きているような感じが強まっているといえるような感じですなあ、とのことですが、

『As I discussed, Bernanke and Blanchard found that much of the inflation episode came from relative price shocks and sectoral shortages that have since been resolved. And while they found that tight labor markets have since taken over as the main drivers of inflation, there are signs that such tightness is easing.』

バーナンキとブランシャールとかアタクシの嫌いなのを並べてこられるとトサカに来る(ブラインダーとかコーンとかなんならラジャンとか並べられるとご機嫌)のですが、まあそれはさておいてですね、

『For instance, in the U.S., the ratio of vacancies to unemployment has fallen back to its pre-pandemic level and the rate of voluntary quits has declined, as workers are less confident of finding a better job. Thus, my baseline forecast (and that of many outside observers) is that inflation will continue to move toward target over time, without much further rise in unemployment.』

労働市場の構造変化によって労働需給はタイト目に推移していくから、大きな失業拡大を伴わない形のインフレ鎮静化が可能なのではないか、とのことなんですけど、構造的な労働需給のひっ迫がもっと大きい場合ってスタクフ状態になりながら推移するリスクってあるんじゃねえかなって素朴に思ったのですが、まあインフレ鎮静化楽観アネキであるのは把握しました。続きは他のネタがなければ連休あけにでも。







2024/07/11

お題「パウちゃん議会証言その2/国債市場参加者会合その2」

何ちゅう質疑をしてるんですかw
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/NPHRJSX7YZNOBKOZC4PHDPPPMI-2024-07-10/
米大統領とのやり取りで認知機能の低下は見られなかった=FRB議長
By ロイター編集
2024年7月11日午前 4:15 GMT+9

『マイク・ローラー議員(共和党、ニューヨーク州選出)はパウエル氏に対し、「大統領との会談で、精神的あるいは認知的衰退に気づいたか」と質問。これに対しパウエル氏は「いいえ」と答えた。』

『パウエル氏は下院での証言中にローラー議員から別の質問に答え、米大統領と最後に会ったのは「数カ月前」の晩さん会で握手したときだったが、それは「会話ではなかった」と述べた。このやり取りには別の議員から異議申し立てがあり、ローラー議員は後に質問を取り下げたが、パウエル氏はすでに回答していた。』(上記URL先より)

さすがに異議申し立てがあって質問が撤回されたのですね〜


〇何をどう見落としていたのか知らんが議会証言があったので記事とともに確認

すいませんすいません。

ではBBGの記事から先に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-10/SGEXLDT1UM0W00
パウエルFRB議長、確信は「まだ」−2%への持続的インフレ率低下
Steve Matthews
2024年7月11日 1:31 JST 更新日時 2024年7月11日 2:48 JST

→「インフレの仕事終わっていない」、労働市場の相当な軟化にも注目
→保有資産圧縮で「かなりの前進を遂げた」−下院金融委員会で証言

とまあそういう訳で。

『米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレは鈍化しているとの認識を示しつつ、金融当局の目標である2%に向けて持続的に減速しているとの確信はまだ抱いていないと述べた。議長は10日、下院金融委員会の公聴会で、インフレが後退しているという「確信はある程度ある」とした上で、「問題は、2%に向けて持続的に低下していると十分に確信しているかということだ。私にはまだそう言う用意はない」と語った。』

『パウエル氏は、最近の物価指標が「緩慢な進展継続」を示しており、「さらなる良好なデータ」が見られれば、インフレ率が当局の2%目標に向けて低下しているという確信が強まると発言。前日の上院銀行委員会の公聴会での証言内容を繰り返した。』(以上上記URL先より)

まあ7月の政策アクションはありませんけど、順調に推移したら9月に利下げしたいですねえ、という感じの予告ホームランもどきって感じですので。

何をどう見落としたのか・・・・・・・・・
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20240709a.htm
July 09, 2024
Semiannual Monetary Policy Report to the Congress
Chair Jerome H. Powell
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, Washington, D.C.

一応確認しておきます。証文の出し遅れですが、ヒアリングのご挨拶相当なので別に大した量じゃないので全部読みますね。

・リスクはベターバランス、と毎度の説明ではありますがここでもマクラに登場

最初の方はマクラ。

『Chairman Brown, Ranking Member Scott, and other members of the Committee, I appreciate the opportunity to present the Federal Reserve's semiannual Monetary Policy Report.』

『The Federal Reserve remains squarely focused on our dual mandate to promote maximum employment and stable prices for the benefit of the American people. Over the past two years, the economy has made considerable progress toward the Federal Reserve's 2 percent inflation goal, and labor market conditions have cooled while remaining strong. Reflecting these developments, the risks to achieving our employment and inflation goals are coming into better balance.

I will review the current economic situation before turning to monetary policy.』

ということで、リスクは「coming into better balance」になってきたというのがマクラです。


・経済全体・労働市場・物価に関する説明は「ワシらの思うつぼにハマってきました」って感じですね

まずは『Current Economic Situation and Outlook』から。

『Recent indicators suggest that the U.S. economy continues to expand at a solid pace.』

まるで声明文の冒頭のようですが、経済はソリッドペースで拡大しているという説明から入ります。

『Gross domestic product growth appears to have moderated in the first half of this year following impressive strength in the second half of last year. Private domestic demand remains robust, however, with slower but still-solid increases in consumer spending. We have also seen moderate growth in capital spending and a pickup in residential investment so far this year. Improving supply conditions have supported resilient demand and the strong performance of the U.S. economy over the past year.』

経済の需要各項目および供給制約の問題に関してですが、すべての項目において(強さの表現に濃淡はあるけど)威勢の良い話をしていまして、なんですかこの米国経済死角なし状態という風情。

『In the labor market, a broad set of indicators suggests that conditions have returned to about where they stood on the eve of the pandemic: strong, but not overheated. 』

労働市場に関しては「パンデミック前に戻った、しかも過熱ではない」とかこれまた威勢の良い話をしてて、

『The unemployment rate has moved higher but was still at a low level of 4.1 percent in June. Payroll job gains averaged 222,000 jobs per month in the first half of the year. Strong job creation over the past couple of years has been accompanied by an increase in the supply of workers, reflecting increases in labor force participation among individuals aged 25 to 54 and a strong pace of immigration. As a result, the jobs-to-workers gap is well down from its peak and now stands just a bit above its 2019 level. Nominal wage growth has eased over the past year. The strong labor market has helped narrow long-standing disparities in employment and earnings across demographic groups.1』

こちらも威勢の良い話をした挙句に、議会向けということもありますので、「The strong labor market has helped narrow long-standing disparities in employment and earnings across demographic groups.」ということで、格差拡大ネタでも文句をつけられないようにちゃんと説明しているのがいつものFEDではあるけど立派ですよねどこかの格差拡大中銀は爪の垢でも煎じて飲んでほしい。


でもって次が物価。

『Inflation has eased notably over the past couple of years but remains above the Committee's longer-run goal of 2 percent.』

インフレは緩和されてきたがまだ2%よりは上ですよ、と来てからの、

『Total personal consumption expenditures (PCE) prices rose 2.6 percent over the 12 months ending in May. Core PCE prices, which exclude the volatile food and energy categories, also increased 2.6 percent. After a lack of progress toward our 2 percent inflation objective in the early part of this year, the most recent monthly readings have shown modest further progress. Longer-term inflation expectations appear to remain well anchored, as reflected in a broad range of surveys of households, businesses, and forecasters, as well as measures from financial markets.』

物価に関しては「2%に向けた進展が最近ではモデストだけど進んできました」という話をしていまして、こちらもまあ威勢の良い(というかなんというか)お話、と経済に関してはFEDのツボにハマっております、ってな感じの説明に終始していましたね。




次が肝心の『Monetary Policy』

『Our monetary policy actions are guided by our dual mandate to promote maximum employment and stable prices for the American people. In support of these goals, the Committee has maintained the target range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent since last July, after having tightened the stance of monetary policy significantly over the previous year and a half. We have also continued to reduce our securities holdings. At our May meeting, we decided to slow the pace of balance sheet runoff starting in June, consistent with the plans released previously. Our restrictive monetary policy stance is helping to bring demand and supply conditions into better balance and to put downward pressure on inflation.』

最初のところはやってきた政策の説明ですが、最後の一文「Our restrictive monetary policy stance is helping to bring demand and supply conditions into better balance and to put downward pressure on inflation.」という「経済のバランスと物価の沈静化はワシが育てた」というのを言いたい訳ですな。

『The Committee has stated that we do not expect it will be appropriate to reduce the target range for the federal funds rate until we have gained greater confidence that inflation is moving sustainably toward 2 percent.』

でもって次のパラは一発目にこの「グレーターコンフィデンスが無ければ利下げ開始しませんよ」から始まるので今後の政策の話キタコレとなるわけでして、

『Incoming data for the first quarter of this year did not support such greater confidence.』

1-3のデータはそのようなグレーターコンフィデンスをサポートしませんでした。

『The most recent inflation readings, however, have shown some modest further progress, and more good data would strengthen our confidence that inflation is moving sustainably toward 2 percent.』

ここでハウエバーが来まして、モデストだけど一段のインフレ鎮静化進行と2%物価目標達成に対するコンフィデンスを強めるものが最近のデータでは出ている、とスタンスとしては利下げするタイミングを狙っている感を出しまして、次のパラグラフになりますが、

『We continue to make decisions meeting by meeting.』

でたな出たとこ勝負。

『We know that reducing policy restraint too soon or too much could stall or even reverse the progress we have seen on inflation.』

引き締め政策を減らすのは早すぎても遅すぎてもいけない、と来て皆様ご案内の通り今回の説明でのポイントになる話が出てくるわけですね。

『At the same time, in light of the progress made both in lowering inflation and in cooling the labor market over the past two years, elevated inflation is not the only risk we face.』

『Reducing policy restraint too late or too little could unduly weaken economic activity and employment.』

インフレが下がらんリスクだけは無くて政策修正が遅れるリスクについて明確に指摘しているので、これは予告ホームランではないけれども方向性として状況の改善を見たら利下げするぜというのを割と明確に言っている形です、ただこの言い方ですと7月利下げはありえないので、まあ普通に考えると9月利下げってことなんでしょうけれども、ここから予想外にインフレが下がらなかった場合に変に予告ホームランすると9月までの間が結構あるので、その点保険をかけてるって感じですかね。

『In considering adjustments to the target range for the federal funds rate, the Committee will continue its practice of carefully assessing incoming data and their implications for the evolving outlook, the balance of risks, and the appropriate path of monetary policy.』

色々な影響を考えて政策を修正しますよ、って言ってますが、修正の方向性は明確に引き締め解除方向の説明をしていまして、物価が下がらなかったらどうしよう的なものは感じられませんねこれですと。

次のパラに参ります。

『Congress has entrusted the Federal Reserve with the operational independence that is needed to take a longer-term perspective in the pursuit of our dual mandate of maximum employment and stable prices.』

「to take a longer-term perspective in the pursuit of our dual mandate」ってまあ当たり前の話をしているんですが、政策(を動かさない)の背景説明で言い出す屁理屈がコロコロと変わってゴールポストを何度でも動かしまくっておられるどこぞの中央銀行にロンガータームパースペクティブというお言葉をプレゼントして差し上げたい。

『We remain committed to bringing inflation back down to our 2 percent goal and to keeping longer-term inflation expectations well anchored. Restoring price stability is essential to achieving maximum employment and stable prices over the long run. Our success in delivering on these goals matters to all Americans.

Let me conclude by emphasizing that we understand that our actions affect communities, families, and businesses across the country. Everything we do is in service to our public mission.

Thank you. I am happy to take your questions.』

ということで最後はまあご挨拶みたいなもんでして、結論はさっきの「物価鎮静化に自信ニキなのでこのまま無事に推移すればどっかで利下げ着手しまっせ」というお話ですな。

・・・・・まあそういう話が出ているというのになぜかドル円はまた162円に向かっているような気がしますね。


〇国債市場参加者会合バイサイドの巻&市場局資料の文字化け問題が解決していました報告

・・・・の前に
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf
「債券市場参加者会合」(第20回)金融市場局説明資料[PDF 706KB]

こちらなんですけど、昨日の朝「変なエディタでも使っているのかMS標準のテキストはおろかワードエクセルでもコピペすると文字化けする」と悪態をついたわけですが、今朝見てみたら文字化け問題が解消してちゃんとMS標準でコピペができるような状態になっていました。

差し替え頂きまして多謝であります。


さて本件、またもBBGさんの記事ですが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-10/SGE2HZT0G1KW00
日銀の国債買い入れ減額、生保など投資家の意見割れる−実務者会合
日向貴彦、田村康剛、伊藤純夫
2024年7月10日 14:18 JST 更新日時 2024年7月10日 19:54 JST

→生損保や資産運用会社など国内外25社が市場参加者会合に出席
→前日の銀行や証券との会合ではメガ中心に積極的な減額を求める意見

ええええええええ、なんでバイサイドの方がそうなるのよ、と思いましたが以下記事を拝読。

『日本銀行は10日、生命保険会社など機関投資家との債券市場参加者会合を開いた。会合では日銀の国債買い入れについて、過度な減額に反対するなどさまざまな意見が出たことが、関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

『会合には生保のほか、損害保険会社や資産運用会社など国内外の25社が参加した。流動性への懸念から日銀に緩やかな減額を求める意見が出た一方で、買い入れ自体をやめるべきだとの声もあった。会合の参加者が匿名を条件に明らかにした。』

「流動性への懸念から日銀に緩やかな減額を求める意見」とはこれまた面妖なというか、そもそも論として特に5-10(これから長期国債先物受渡最割安銘柄になるものとか)って日銀の買入のやりすぎで流動性が無いんですから、買入の減額が遅かったら今後も流動性が回復しないんですけどナンジャソラという感じですが、まあゆうてこの記事自体も又聞きな訳ですのでどういう趣旨でそういう話になっているのかさっぱり分からんけどどうなんでしょうね。

てか、「大規模緩和の慎重な解除」ってやってて結局その解除が遅すぎたがゆえに欧米ってインフレが飛んでしまって引き締めをゴリゴリやらないといけなくなって、特に欧州はスタグフちっくになってきている、というのが眼前に進行していたのに、なんでもっと極端な金融緩和やってるのの解除をクソのように慎重にやろうって発想になるのかがわけわからん次第でして、日本の場合は物価こそ精々3%とは言えもともとがゼロコンマいくらのインフレだったので実質所得や個人消費に思いっきり効いてきているわけだし、さらに言えばインフレはスパークしてなくてもその代わりに為替市場の方で無慈悲な調整が発生している訳ですわな。

挙句に「流動性への懸念(ナンジャソラというのはさておいて)もあるということで日銀は今のハイパー緩和の修正がなかなかできない」という認識が内外に広まれば、株価は上がるかも知らんけど円安がますます止まらなくなって輸入インフレの業火で一般国民の生活は焼き尽くされて資産今持ってる人だけウハウハとかいう美しい日本の対極みたいな世界になりかねないんですが良いんですかねえそれで。


しかしまあ何ですな、

『前日の銀行との会合では、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3行のうち、1行が早い段階で大きく減額すべきだと発言。別の1行は最終的に月間1兆円への減額を主張し、もう1行は3兆円に減額すべきだと述べた。地銀からはより慎重な姿勢が示された。

また、証券会社などとの会合では、複数の社が8月に即時に3兆円に減額した上で1年間継続するよう要望したほか、1年をかけて徐々に3兆円に減らすことを求めた社も複数あった。日銀は具体的な減額計画を提示しなかった。』

って言う事で、具体策出さなかったそうですけど、じゃあ何のために会合やりましたのやら(アンケート出させて個別に各社にヒアリング掛けてその結果を(個社が分からない形で)公表すれば良くて、何も人を集めてやる必要ないですよね)という感じで、まあなんかこれは対外アピールのために市場の意見を参考にしました、すなわち「市場の要望を参考にしてこのような計画をしたんで金利急騰したら市場のせいです私らのせいじゃないですウソツキ市場が悪いんです」と市場に責任転嫁するための姑息な保身のためのセレモニーでございますかそうですかそうですか、ってなもんで、6月の総裁会見の時にニュースソクラの方と日経の方に相次いで指摘されたまんまじゃん、って感じになりましたな。まあ過大には期待してなかったけどなんだったんですかねえ・・・・・・・・



そう言えば昨日ネタにした参加者会合資料ですけどちょっと思ったのは、

https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf

『意見照会へのご回答(残存期間別の減額の進め方)』

『● 残存期間別の減額の進め方については、「短中期ゾーン中心に減額すべき」、「中長期ゾーンを優先すべき」、「10 年以下のゾーンを優先的に減額すべき」、「超長期ゾーンの減額を優先すべき」といったゾーン別の需給環境などを踏まえたご意見のほか、「市場中立的な買い方に見直していくべき」といったご意見を頂きました。』

って(文字化け問題が解消しているのでサクサクと入れられますな)話なんですが、意見色々とあって、個別個別で見るとどれもリーズナブルではあるのですけど、そもそも論として長期国債買入を何のために今後やっていくのか、というのを明確にすることから始まるのかな、と思います。

つまりですね、QQEの時には「MBを大きく拡大する、インフレ期待を引き上げる」ってので買っていたのですが、YCCの時には10年金利をピン止めする、という目的になっていた訳で、じゃあ今は何なんですかって言ったら、まあ「理念的には日銀の実質長期負債(発行銀行券+所要準備預金相当)見合いの長期資産まで落とすのが筋なんですが、そうはいってもこれまでアホみたいに買入をしていたので急にゼロにするわけにはいかない(ゼロにしろよと個人的には思うけどそれは別の話^^)のでスムージング」というのが正しい筈なんですが、その間にストック効果だの減額による長期金利の影響を見たいだのとかハトハトチキンが言い出すから話がややこしくなるわけです。

ということで、そもそも「何のために長期国債の買入を今後も継続するか」ってのが決まればそこからデザインする話ではないのかね、と思います。

でまあFED方式だといわゆる「マーケットニュートラル」になる方式、たしか国債の市中残存銘柄構成比率にできるだけ沿った形で買う、というのがあって、まあこの方法が市場中立的だから綺麗ちゃあ綺麗なのですが、この方式って日本の場合は取り扱いが微妙だと思うのですよね。

なぜかと申しますと、日本の場合は財政規律がガバガバになっている訳で、そのガバガバ財政の方がある日急に「将来のことを考えたら30年40年をバカスカ出すわ、どうせ日銀が買うんだし」みたいになった時にどうするの問題があって、市場中立に買おうとして財政マネタイズに加担することになりかねないわけですよガバガバ財政の下では。まあ普通の国ではそういうガバガバ事案は発生しないので特殊にもほどがあるのですが、その点ってのは気になりますなあと思います。

ってか昨日もこの市場局資料の意見に一言申し上げましたように「市場が買えないから日銀に買わせる」みたいな発想とか「金利が上がると困るから日銀に買わせる(これは長期金利ペッグ政策やってたら政策として押さえているのだからその行為の是非はさておいてまあ理にはかなっていたんだがおじいちゃん長期金利ペッグ政策はもう終わったのよ)」みたいな発想が涌いて出てくるあたり、どうみてもそんなの財政マネタイズだし、そういう状況だって認識がさらに広まれば円売りの格好の材料(というかまあすでに起きてるという説もなくはないが)になるわけでして、何でしょうかねえ結局のところ脳汁垂れ流しで財政垂れ流している緩和政策の弊害が歩いているような状況にこそ問題があるので、せめて市場からの規律付けをしていかないと、って思うんですけどね。

ってアタクシは何の話をしていたんでしたっけ状態ですが、今朝は時間の関係でこの辺で勘弁していただきとう存じます。







2024/07/10

お題「パウちゃん議会証言/6M短国&交付税特会借入/債券市場参加者会合」

ぐぬぬ・・・・・・・・
https://www.federalreserve.gov/

Recent Developments
Speech by Governor Bowman on promoting an inclusive financial system
Speech - 7/9/2024

Speech by Vice Chair for Supervision Barr on financial inclusion
Speech - 7/9/2024

Monetary Policy Report
Recent Posting - 7/5/2024

・・・・・・・・議会証言は?????

〇パウちゃん議会証言はニュース引用のみで参りますが今回はノー冒険と

ロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/3KRB6EVDHJOEJPL6WAZVJ5BXNU-2024-07-09/
FRB議長「経済もはや過熱状態でない」、利下げ時期シグナル出さず 議会証言
By Howard Schneider
2024年7月10日午前 3:21 GMT+9

この記事の署名者のハワードさんは議長会見でいつも質問している歴戦の猛者です。

『[ワシントン 9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、議会証言で、米経済は「もはや過熱した状態ではない」としたほか、労働市場はパンデミック(世界的大流行)時の極端な状況から「かなり冷え込み」、多くの点でパンデミック以前の状態に戻っているとし、利下げの根拠が強まっていることを示唆した。』(上記URL先より、以下同様)

という訳で過熱状態ではない→インフレ高騰は落ち着いてくる→そうなると引き締めの度合いを調整していく必要がありますね、ということで方向性として利下げを示唆したものの、

『上院の銀行委員会で「われわれは現在、両面的なリスクに直面していることを十分に認識している」とし、インフレ率は依然としてFRBの2%目標を「上回っている」ものの、インフレだけが焦点となることはもはやできないと強調。「労働市場は完全にバランスを取り戻したようだ」とした。それでもなお、「今日この場で金利に関する今後の行動の時期についていかなるシグナルも送るつもりはない」と言明した。』

ということですので、さっさと利下げに踏み切った後にインフレが再燃してしまって「それみたことか」と言われるのがマズーなので利下げに慎重、という説明をしていて、まあ順当ちゃあ順当なのですが、皮肉に見ればこれ日本のちょうど逆の話をしてて、日本って物価2%超えが2年続いているにも関わらず「第一の力第二の力」とか「賃金と物価の好循環」とか言ってますけど、要するにこの人たち利上げした後に経済が弱くなった時に「それみたことか」と言われたくないのでハトハトチキンとして利上げ引っ張るの巻になっている訳ですが、一種コインの裏表みたいな感じですね。


まあこの辺の事情ってチキンだなんだとは申していますが、某ECBみたいに「ちょっと利下げして様子見てやっぱりインフレ再燃するようなら利上げするわゴメンチョ」というようなお茶目プレイ(逆方向で昔やっている)が政治的に楽勝で通るなら、もうちょっとスタンスって違ってくるのかもしれませんね、とは思うので(個人の感想です)まあムツカシヤではある。


1社だけでは何なのでブルームバーグさんも
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-09/SGD08WT0AFB400
パウエル議長、雇用市場のリスクを指摘−利下げ時期ヒント与えず
Craig Torres
2024年7月9日 23:06 JST 更新日時 2024年7月10日 4:26 JST

→われわれが直面するリスクはインフレだけではない−パウエル議長
→最近のデータ、労働市場がかなり冷え込んできたというシグナル送る

ちなみにこのクレイグさんもさっきのハワードさんと同様の猛者ですね。

『米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はインフレ減速の証拠をさらに確認したいと述べつつ、高金利が労働市場に及ぼし得るリスクが当局者の間でますます懸念されていると述べた。』(上記URL先より、以下同様)

『パウエル議長は9日、上院銀行委員会の公聴会で議員の質疑に応答。利下げのタイムラインを示すことは控えたが、雇用市場冷え込みの兆候が増えていると強調した。「われわれが直面するリスクは高止まりするインフレだけではない」と議長は指摘。「最新のデータは労働市場の状況が2年前に比べて著しく冷え込んだことを示した。過去2つの統計が発表されるまで、このような発言はしなかっただろう」と説明した。』

ほうほうそうですかそうですかという感じで。

『パウエル議長は半期に一度の議会証言に臨んだ。事前に配布された原稿によれば、議長は利下げが少な過ぎる、ないしは遅過ぎた場合、経済と労働市場をリスクにさらす恐れがあると語った。「さらなる良好なデータ」が見られれば、インフレ率が当局の2%目標に向けて低下しているという確信が強まると議長は発言。また最近のデータはインフレ面での「さらなる緩やかな進展」を示していると語った。』

『「政策引き締めの緩和が遅過ぎたり、少な過ぎたりした場合、経済活動と雇用を不当に弱める恐れがある」とパウエル氏。一方で利下げが早過ぎたり、多過ぎたりした場合は、インフレ面での進展が失速または反転しかねないとも述べた。』

まあ普通に引き締めの強度をこれから下げていきますよ今じゃないけど、って話をしているのですが、もうちょっと明確な利下げシグナルほしかった人にはちょっとしょんぼりだったのですかねえ、なんかよく分からんが普通に予想通りな感じだと思ったんですけど。

ちなみになんでかといいますと、FOMCって今月の後9月までない(まあどこの中銀もそうですが)ので、7月になんもやる気がないのに変に予告ホームランやってしまうと9月までの間が持たないし、次回の利下げ開始って政策の方向性として変曲点パート2(パート1は利上げ打ち止め)になるので、今月やる気ならともかくやる気が無いなら今から予告はできない(下手にやって想定外が発生した時に自分の首を超絶締めるから)のでこんなもんじゃね、とは思ったのですけどね(個人の感想です)。

しかしクソワロタのは、このBBG記事の続きで、

『パウエル議長の発言が報じられた後、外国為替市場では円がドルに対して下げ幅を拡大。一時1ドル=161円52銭を付けた。』

まあ今回はドル高ネタ(なのか??と正直思うけどそこはさておきまして)なので円だけの問題ではないという感じでしょうけれども、多少の円高材料が出てもたいして反応しないのに、円安材料(今回はドル高ですが)には全力で反応するのクソワロタというかワロエナイ・・・・・・



〇6M短国結局入札のあとお強いようで交付税特会借入とのスプレッドがエライことになってるんですが

5年国のことはネタにしないのがアタクシクオリティなので勘弁してつかあさい

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240709.htm
国庫短期証券(第1242回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1242回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号           国庫短期証券(第1242回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日          令和6年7月10日
4.償還期限        令和7年1月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額          10兆3,641億2,000万円
(2)募入決定額        2兆8,121億8,000万円
(3)募入最低価格        99円97銭6厘
(募入最高利回り)        (0.0476%)
(4)募入最低価格における案分比率  31.3193%
(5)募入平均価格        99円98銭0厘
(募入平均利回り)        (0.0396%)』

昨日申し上げましたように売参でWIが急に5bpになってナンジャソラと思ったら足切りは4.76bpじゃんへーへーへーと思ったのですが、終わって売参ちゃんを見ますと

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1242 2025/01/10:平均値単利 0.020

ということで入札水準よりも断然強い水準に金利低下してやがってどんだけニーズあるんだよと思う次第であります。

・・・・・・でですな、昨日はお誂え向きに6Mの交付税特会借入の入札があったんですわ

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240709.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果

『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項

2.借入日         令和6年7月18日
3.償還期限        令和7年1月16日
4.償還方法    令和7年1月16日に一括償還』

はい、さっきの短国6Mとスタートエンドがだいたい1週間ズレているって感じですね。ではその落札利回りはどうだったでしょうか。

『5.借入利率競争入札について  

(1)応募額         6兆4,055億円
(2)募入決定額       1兆2,990億円
(3)募入最高利率     0.230%
(4)募入最高利率における案分比率  8.9544%
(5)募入平均利率     0.205%』

>募入平均利率 0.205%
>募入平均利率 0.205%
>募入平均利率 0.205%

・・・・・・・・(;∀;)イイハナシダナー

ということでですね、いやまあモチのロンで国債と借入金だから違いますがなとかそういうもろもろの事情はあるにしても、同じテナーの政府相手の債権(誤字ではない)で、片や実質0.02%状態なのと片や0.205%ってさすがに酷くありませんかと小一時間問い詰めたい(こっちだって適格担保とかとしての使い勝手はそんなに悪くないはずなんだが)訳でして、まあ日銀当座預金のアホみたいな積み上がりと、金融諸規制(特に流動性規制などだと思いますが)の変化によって、そもそも世の中にはリスクフリーの短期資産のニーズがアホほど高まっていて、じゃあGCレポはどうよとなるとこれがまた参加者限定市場で参入障壁(システム対応)がめんどいというのがあって、短国に集中してしまわざるを得ないという市場の構造変化というのもあって、ってことなんでしょうけれどもさすがに同日にこれをやられると中々目立ちますな(って交付税特会借入とかマニアしか見ないから目立たないですかそうですかwww)


〇国債市場参加者会合

・アンケート?まとめが公表される親切設計だったのでちょっと鑑賞しようと思ったら変なエディタ使ってやがるorz

「債券市場参加者会合」(第20回)金融市場局説明資料[PDF 761KB]
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf

ということですが、最初の方はどうでもよいのでPDF5枚目、本文4ページ以降のご意見が中々面白いというかカオスなのですが、今回のこの資料、何の風の吹き回しかいつも市場局が使っているエディターと違う物件になっているようで、資料の文字部分をコピペしようとするとマイクロソフトの標準装備(ちなみにワイは使っているソフトが古いこともあってプレーンテキストで書き物しているという変態でございます)のプレーンテキストはおろか、エクセルワードでも文字化けしやがるということをやらかしやがっておられます。

ちなみに前回以前の物はちゃんとプレーンテキストにも落とせるんで、明らかに今回だけ作った人間が別の編集ソフトしかもMS系じゃないもの使いやがったな、というお話なんですが、MSの変なフォント使う位ならまだしもMS標準装備でフォローされていない(一応ワイのこの書き物だって今日は最新とは言わないけど最近型のPCを使っているんですが)エディタを使うなと小一時間説教をしたい。

・・・・・・・ということでコメント手打ちしても良いんですがやってると時間を無駄に食うだけなので気が向いたら後日やっておきますわってなもんですorz


・でまあ意見紹介を見ると漸進的なのかと思いきや(BBG記事より)

ほうほうそうですかそうですか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-09/SG5ABFT0AFB400
メガバンクと証券、国債購入の積極的な減額を主張−日銀の実務者会合
日向貴彦、船曳三郎、伊藤純夫
2024年7月9日 9:15 JST 更新日時 2024年7月9日 20:26 JST

→メガ1行が1兆円、複数の証券は即時に3兆円へ減額を要望−関係者
→今月末の決定会合で減額計画を公表、市場の意見は重要な判断材料に

あらそうなんですか、って感じでして、さっきの資料見ると「最終的にはゼロにすべき」から「4兆円程度」まで幅があるのですが、各数字に対して意見の数は出さないで1個づつ出したという形になっているので、見た感じ「あれーあんまり積極的じゃないのかなー」とうっかり思ってしまったのですが、なんだちゃんとおまいら正常化志向あるじゃん、と安心しました。

ということで以下BBG記事から。

『日本銀行が9日午後に開催した債券市場参加者会合では、メガバンク3行と複数の証券会社が、日銀に国債買い入れの積極的な減額を求めた。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

ということで以下鑑賞。

『関係者によると、銀行との会合で、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3行のうち、1行が早い段階で大きく一気に減額すべきだと発言。別の1行は最終的に月間1兆円への減額を主張し、もう1行は3兆円に減額すべきだと述べた。地銀からはより慎重な姿勢が示されたという。メガ3行の広報担当者はいずれも、コメントを差し控えると回答した。』

前回金利のあった時代ってのが前にも申し上げましたが福井総裁の後期になりますが、この時の輪番が月に1.2兆円なのですからまあこの辺りは一つの目安になりますわな。

『証券会社などとの会合では、複数の社が8月に即時に3兆円に減額した上で1年間継続するよう要望したほか、1年をかけて徐々に3兆円に減らすことを求めた社も複数あったという。日銀は現在6兆円程度を毎月買い入れている。』

まあやっぱり1年間で半減は最低線ですよねーーーーーーーーーー

『日銀は6月に国債購入の減額方針を決定。市場の意見は30、31日の金融政策決定会合で決める「今後1−2年程度の具体的な減額計画」を議論する上で重要な材料となる。きょうの会合では減額の幅やペースに関する日銀の情報発信や参加者の意見が注目を集めていた。日銀は具体的な減額計画を提示しなかったが、参加者からは積極的な姿勢が示された形だ。』

ということでしばらく前に出てたベンダーのアンケート結果は何だったのかという話になるんだが、

『植田和男総裁は6月会合後の記者会見で、「減額する以上、 相応な規模になる」との見解を表明。ブルームバーグがその後実施したエコノミスト調査では、まず5兆円程度に減額し、半年ごとに段階的に縮小して、2年後に3兆円程度まで圧縮する姿が中心的な見方となった。それ以上の減額となれば、市場にインパクトを与える可能性がある。』

ってことなんだが2年間でやっと半減じゃ全然スピード感が無いでしょ、とアタクシ思いっきり思っていましたので、このBBG記事で報道されている内容がおおむね会合の状況を伝えているのであれば、結構なことだというか当たり前じゃろという話で、何とかストお前らこういうときに「日銀はどうせやる気がないだろうからたいして減らさん」みたいな頭で回答するんじゃねえよと思ったのですが、まあワイの考え方の方がオカシイという可能性も大いにあるので(自分で変態なのは認識しているから)、いったんだんまりモードだったのですが、この記事を見てワイの感覚そんなに市場の実務者の皆さんとズレてなかったんだと安心(??)しましたwwwwww


でまあ今日はバイサイド相手の会合で、バイサイドの場合はそもそも輪番もそうですけど、日銀当座預金先ではない場合には日銀当座預金付利のメリットもなかったりする人たちですので、輪番なんざあ普通に民業圧迫以外の何者でもないという方々である、とお見受けしますので、もう減らせ減らせの大合唱になるかなと思います(^^)。


・参加者会合の意見で気になったのがあったので(たぶんこれは意見の要約が舌足らずだと思うんですが・・・・)

さっきの
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240709.pdf

5ページのところ見てて気になったので老骨に鞭打って手打ち引用しますと、

『投資家の保有余力等を勘案すると、「量的・質的金融緩和」導入前の3兆円程度が一旦のめどとなるのではないか。』

『IRRBB上の制約等を踏まえると、国内銀行の債券購入ニーズは限定的と考えられ、4兆円程度までの減額が適当と考える。』(上記URL先PDF5枚目の図表4)

ってのがあって、別に晒し上げる意図で書くわけではない点はご理解いただきたいのですが、「投資家の買い余力がないから日銀の買入を続けるべき」ってのは節子それは財政ファイナンスや、って話であって、投資家が買えないほど国債を発行しているのであれば、国債発行の方が是正されるべきであって、そこを日銀がファイナンスし続けるのが適正、って話になっちゃうのは如何なものかと思うのですが、まあこのロジックって普通に債券市場の何とかスト方面からもカジュアルに出てくる理屈だったりするので、別にこの2つの意見を晒し上げしているわけではないのですが(大事なことなので2回繰り返しました)、まあこういうロジックになってしまうことが、黒田大規模金融緩和の残した大いなる弊害なんじゃないかなーって思いました(あくまでも個人の感想です)。

まあ財政インフレかド円安インフレが起きない限りにおいて、積みあがった国債の山はいずれ償還される話なので、もちろん弊害は弊害なのですが、それによって即死事案になるかというとそこは即死にはならんような気もするんですが、「民間が消化できないなら日銀に買わせればいいじゃないか」という発想がカジュアルに出てしまうようなマインドセットが醸成されてしまうようになった、というのはこれは使い方を間違えると財政ファイナンスからの即死事案になりかねない話に通じるわけでして、まさに黒田緩和が大規模長期化した置き土産(ゴミ)なのであります。

などといきなり申し上げましたけど、まあ実際には上記の回答された方々は別に「民間が買えないなら日銀が買えばいいじゃないか」という発想で言っているわけではなく、現実問題として足元の保有余力ってこんなもんだからそのくらいまでは減らせるけどその先はいろいろと大変なんじゃないか、って感じの意見をだしていたんだと思うんで、あくまでも晒し上げではない点、三度目ですが申し上げます。

・・・・まあつまりこれは意見を掲載するにあたって誤解を招きやすい端折り方をしているんだと思うので、もうちょっと意見をまとめるときにモノを考えて纏めろと苦言を呈しておきますけど事務方に。

今は誰もそういう点をネタにしないから良いようなもんですが、「日本の国債は日銀の買入が無いとサステイナブルじゃないと当の市場参加者が言っている」って誤読されかねないまとめをしてそれが信認問題に繋がったら危ないだろ、と結構これは深刻な問題なのでちゃんと意識して要約をしていただきたいわけですな、うんうん。

と言ったところで今朝は勘弁。







2024/07/09

お題「さくらレポートですがこれ解釈難しいけど「どうとでも使える」内容に仕上がっている気がします」

ええええええええ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240708/k10014505551000.html
兵庫 “知事にパワハラ疑い”文書作成 元局長が死亡
2024年7月8日 22時10分

『兵庫県の斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどとする文書を作成し報道機関などに送った県の元局長が、死亡しているのが見つかったことが、県や警察関係者への取材でわかりました。この文書をめぐって元局長は来週、県議会の百条委員会に証人として出席し、質疑に応じることになっていました。』(上記URL先より)

・・・・・・・・・(−−;

〇さくらレポート単体だとこれはちょっと決め手に欠けますが

https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer240708.htm
地域経済報告―さくらレポート―(2024年7月)*

・総括判断は上げ2下げ2で決めて不足

『I.各地域の景気判断の概要』

『(1)各地域の景気の総括判断

北陸を除く8地域では、景気は、一部に弱めの動きもみられるが、「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。北陸では、地震の影響による下押しが一部にみられるものの、「回復に向けた動きがみられている」としている。』

なのですが、

『各地域の景気の総括判断と前回との比較』

北海道:持ち直している→(下方修正)一部に弱めの動きがみられるが、持ち直している
東北:  緩やかに持ち直している→(横ばい)緩やかに持ち直している

北陸 : 能登半島地震の影響により個人消費や生産の一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、持ち直しの動きがみられている
→(上方修正)能登半島地震の影響により一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、回復に向けた動きがみられている

関東甲信越:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している→(横ばい)一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
東海:    一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している→(横ばい)一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
近畿:    一部に弱めの動きがみられるものの、基調としては緩やかに持ち直している→(横ばい)一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している

中国:    緩やかな回復基調にある→(横ばい)緩やかな回復基調にある
四国:    持ち直している→(下方修正)持ち直しのペースが鈍化している
九州・沖縄: 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している→(横ばい)一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している

結局下方修正2上方修正2でチャラ。基調判断自体は(需給ギャップがマイナスとか言ってたりするから順当ちゃあ順当ですけど)「回復」「持ち直し」ということで「拡大」ではないので潜在成長率を上回った状態ではない、という定義の言葉使っていますよね、今に始まったことではないですが。

でまあ拡大になっていないということは、2%達成が視野に入るという話にもならん、というのが従来からの説明からだとそうなるんで、まあ政策金利の調整をしまーすって言ってもいやそれはどうなのか、という慎重派を動かすには力足りないですなあ、というのが第一印象。

まあ所詮はアネクの話なんで、なんとでも解釈してこれるわけで、利上げする気が満々だったら別に何とでも屁理屈はつけてくるんでしょうけれども、あんまりそこまでのパッションは感じないなあと何と無しに思いました。


〇さくらレポート本ちゃんの「アネクの集計表」を見ると消費は微妙、賃金は解釈次第、価格設定は構造変化??ってところですね

さくらレポート本ちゃんはこちら
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer240708.pdf

本文4ページ(PDFの6枚目)

『(3)企業等の主な声(トピック別)※』ってのがまあアネク祭りなのでこれを見るわけですが。


・個人消費はどうみてもただの格差拡大です本当にありがとうございました

『@個人消費(インバウンド需要を含む)』を見ていると中々物悲しい次第でして、

『 ・一部メーカーの生産停止が解除され、受注・登録台数ともに持ち直しているものの、新たな認証不正の問題もあり、影響を懸念(鹿児島[自動車販売])。』

まあこれはともかくとしまして、

『・ 物価上昇の影響が続くもとで旧型モデルなどのセール品や廉価品の引き合いが強く、引き続き販売動向は弱め(福岡[家電販売])。』

そうでしょうねえ・・・・・・

『・ 長引く物価高の中、家計応援キャンペーンと銘打って食料品や日用品の値下げを実施。値下げをした商品の販売は非常に好調であり、顧客の節約志向の高まりを感じている(高松[商業施設])。』

節約できるもんは節約しないとですね。

『・ 物価上昇が続くもとで、購入点数の減少や相対的に安価なプライベートブランド商品へのシフトがみられる一方、高単価商品の販売も引き続き好調であるなど、メリハリの利いた消費行動が広がっている(那覇[小売])。』

これ実際にはどうなんでしょう。メリハリが効いているのか、単に金持ちと庶民で買うものが違っているだけなんじゃないか疑惑もあるんですけどね。

『・ 富裕層を中心に高価格帯の化粧品やブランド品の売れ行きが好調。円安を受けてインバウンド客の購買意欲も旺盛(金沢[百貨店])。』

ふゆうそうとかいんばうんどとかしょみんのわたしにはかんけいのないはなしですね(しろめ)

『・ 値上げを進めてきたもとでも、地元客の宴会需要や観光客の来店回復が続いており、売上は好調に推移している(松本[飲食])。』

なんか読んでるとただの格差拡大にしか見えないのはアタクシの僻みですかそうですか。

『・ 為替円安などで海外旅行が不人気な中、国内旅行へ支出を振り向ける動きもみられ、GWは沖縄方面などの遠方旅行が好調であった(大阪[旅行])。』

まあ旅行は好調なんでしょうね、知らんけど。

『・ 国内レジャー客の需要は、GWを含め宿泊価格を引き上げるもとでも底堅く推移している。インバウンドは、東アジア圏の個人旅行客が大幅に増加しており、旺盛な需要が続いている(大阪[宿泊])。』

だそうですわ。旅行とか何のことでしょう日本語難しいですねという感じなので知らんけど好調なんですよね。


・賃金設定のところは「まだら模様」と言いたいのか「物価高によるノルムの変化」と言いたいのか・・・・

でもって生産のところは足元の局面では正直どうでも良いので飛ばしまして肝心の『B雇用、賃金設定』を見ますと・・・・・・

『・ 2024 年度に大幅な賃上げを実施したところ、同業他社から転職の応募が増加するなど採用競争力が向上した(秋田[小売])。』

『・ 業績が非常に好調に推移する中、昨今の物価上昇も考慮して従業員に報いるべく、今春は昨年を上回る高い賃上げを実施した(名古屋[輸送用機械])。』

と、最初の2つはお宅の会社さん元気でよろしゅおすなあという話なのですが、

『・ 業績低迷で賃上げに踏み切れずにいた中、若手が数名退職したこともあり、2024 年度は原資の確保に先行して平均8%の賃上げを実施(福岡[情報通信])。』

原資もないのに8%も賃上げとな。

『・ 2024 年のベア率については、当初は昨年並みとする予定であったが、同業他社の多くが昨年を上回る賃上げ方針を打ち出す中、多少無理をして昨年以上の水準に引き上げた(福島[生産用機械])。』

多少無理ですかそうですか。

『・ 将来の中核を担う若年層の退職を防止するため、2024 年度は、40 代以上の社員よりも30 代以下の社員の賃上げ幅を大きくし、限られた原資を若年層に重点配分した(仙台[食料品])。』

あーこれなんですけどね、まあ上の待遇も上げてるんだったら大丈夫だと思うのですが、上の待遇切り下げて下の待遇切り上げの原資にするとこの会社長くいたらエライ目に合うって若い人が却って離職するリスク高まるから用法容量は注意しないといけないんですよね。

『・ ドラッグストア等との競合が激しい中、厳しい収益状況が続いており、賞与は夏しか支給できていない。このため、人材流出が激しく、新卒採用についても、2024 年度入社はゼロ名となるなど非常に苦しい経営が続いている(高松[小売])。』

これは落涙を禁じ得ないのだがインフレによる振り落としとはこういう事ですってのは日銀は堂々と言うと政治的にいろいろヤバいのですがそういうことなんですよね。

『・ 建設業界では人材確保を目的とした企業買収の動きが活発化しており、当社も技術者の確保に向けてM&Aを検討している(札幌[建設])。』

ほほう。

『・ 転職後の賃金が転職前を上回るケースが増えているもと、転職市場は引き続き活発な動きとなっている。先行きも、タイトな労働需給と雇用の流動化がドライバーとなり、賃金上昇の傾向が続くと見込まれる(本店[人材サービス])。』

と、威勢の弱い話を威勢の良い話でサンドイッチして作っていまして、この出し方だと本当に持続性のある賃金上昇ってあるのかね、と思ってしまいますが、思いっきり逆方向というか別の方向から考えた場合は、そもそも賃金引き上げのできないような非効率な企業は賃金引き上げのできる効率的な企業に取って代わられた方が資源配分の適正化に繋がって社会全体の生産性が向上する、というシバキ理論にもつながるのですな。

ということなので、あたくしが小見出しにしたように、この部分って単純に「賃上げができる企業もいればできない企業もいますので今後の賃金上昇が本当に持続的なのかが微妙です」といいたいのか、はたまた「そもそも論として物価fが上昇する中で賃上げ原資が出せないような非効率な企業は雇用確保の面からもご退場された方がよろしいんじゃないですか」ってのを暗に示しているのか、どっちの意図なのかがわかりかねる次第で、後者でしたらこれも日銀が使う万能ワード「ノルムの変化」が起きる中で発生する避けがたいフリクションである、という考えもできるわけで、そうなるとノルムの変化が生じてきていて物価安定目標達成に近づいている、ともとれるんですな。

まあノルムの変化、とかいうときには後者の理屈使ってきそうなきがします。、


・価格転嫁のところは総じて威勢がよい

結局ですね、足許で重要なのって「消費が中々威勢良くならない」「賃金が本当に持続的に上昇するのか」「価格設定行動に構造的な変化が起きているか」の3点セットになるので、その意味で次の『C価格設定』もみる。

『・ 原材料価格の上昇一服から、再値上げは当面想定していなかった。ただし、最近の為替円安を受け、既に収益が下振れており、次の値上げを前倒しで行うかどうかを検討している(本店[食料品])。』

あいやー

『・ 物価高の影響で、近隣にディスカウントストアがある店舗の客数が減少しているため、対抗して一部商品を値下げし、顧客の係留を図っている(長崎[スーパー])。』

『・ 定番商品の価格は据え置く一方、付加価値を高めた新規商品や季節限定の商品は値上げを実施することで、客離れを抑制しつつ、コスト上昇分の価格転嫁を進めている(福島[飲食])。』

まあそうなりますわな。

『・ レンタカーの利用料金の値上げ以外にも、従来無料だった乗り捨て料金の有料化など、様々な手段を組み合わせながら価格転嫁を進めている(仙台[物品賃貸])。』

ほほう

『・ ホテルの宿泊価格は昨年来上昇傾向にある。円安が続く中で旺盛なインバウンド需要に陰りがみられないため、値上げの流れはしばらく続く見通し(京都[宿泊])。』

でたなインバウンド様

『・ 優秀な講師確保のためには継続的な賃上げおよび授業料の値上げが必要と認識しており、すでに社内では、来年の上げ幅を議論している(本店[対個人サービス])。』

優秀なベテランいやなんでもありませんorz

『・ 競合他社の価格改定もあり、値上げしやすい環境にあるため、新規出店など先行きの業容拡大を見据えた値上げを実施(本店[対個人サービス])。』

ということで、まあ価格設定は威勢が良いということですな。

つまりですね、これ全体的に言いますと「政策の説明にチェリーピッキングするのにはちょうどよろしい」って物件になっていまして、政策修正渋るなら消費の弱さを強調すればよいし、政策修正やる気あるなら価格設定行動が抜本的に変わりつつあります、ってのを打ち出せばよろしあるねという感じなので、「使い勝手のいい」内容にまとまっております。

まあ何ですな、以下陰謀論になりますが、何らかの明確な方向性が大本営にある場合ってさくらレポートというか支店長報告がこれまた忖度祭りになる、という傾向は残念ながら否めない(特に黒田以降)ところはあるので、今回のこのアネク集計を見ると、おまいらどっちに転んでも困らないように両面で作ったな、というような陰謀論的な感想を強く感じるところであります。ということは大本営の方向性がはっきりしていない、ってのもあるんでしょうなあというインプリケーション(超陰謀論ですが)も得ました、って感じでございますかね、まー知らんけど。


〇アネク報告のまとめってのもあるので

https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera240708.htm
各地域からみた景気の現状(2024年7月支店長会議における報告)

というまとめ文書がありますのですが、これもともとさくらレポートの本文にあったのをちょっと分量増やして移設した感じでなんで移設したんだか今となってはよくわからん物件(出した当初は鉦や太鼓で宣伝してたのに出てみたら従来と変わらんやんとがっかりした覚えがある)ではありますが読んでみましょう。


『今回の支店長会議における報告を総括すると、各地の景気は、8地域で「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。1地域では「回復に向けた動きがみられている」としている。前回の支店長会議開催時点(2024年4月)と比較すると、全9地域中2地域で総括判断を引き上げ、2地域で引き下げている(参考参照)。』

これは最初のやつね。

『主な需要項目等別にみると(注)、』

ということで始まりますが、

・設備投資は短観でも示されたように強いですよね

『設備投資については、建設コスト高による先送り・縮小、発注先の人手不足による工事・納入の遅れ等が一部でみられるものの、IT関連需要の中長期的な拡大期待に基づく能力増強投資、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資、環境対応投資、都市再開発など、幅広い分野で積極的な投資姿勢が維持されているとの報告が多かった。』

はい強い。

・個人消費はただの格差拡大にしか見えないがそういう表現はしていませんね

『個人消費(インバウンド需要を含む)については、スーパー等を中心に、物価高を受け消費者の節約志向の影響が強まっているとの報告が複数あった。ただし、多くの地域から、観光・宿泊や外食などのサービス消費が堅調に推移し、都市部の百貨店等における高額品販売の好調も続く中、個人消費は全体として底堅く推移しており、旺盛なインバウンド需要がこれを押し上げているとの報告があった。』

「全体として底堅く推移しており」って節子それただの二極化や、と思いますが全体として底堅く推移、というポジティブ表現にしているのがそこはかとなく意思を感じますねえ。

・生産は自動車関連が引き続き懸念材料

『生産については、IT関連財に関し、グローバルな調整進捗や需要回復を受けた増産の動き等が複数報告された。自動車に関しては、一部メーカーの生産停止の影響が和らいでいるものの、下押しがなお続いている中、先行きの不確実性を指摘する企業の声も報告された。』

まあこれは今回に関してはそんなに気にしなくてエエンチャウノ


・雇用と賃金は強い話はしているけれども留保付きになっていて全面的な威勢のよさというほどではない

でもって次が雇用とおちんぎんである。

『雇用・賃金面では、地域の中小企業における賃金改定について、多くの地域から、春季労使交渉における大企業を中心とした高水準の賃上げ妥結の動きが波及するとともに、人材の係留・確保の必要性や、物価上昇を受けた従業員の生活への配慮等から、昨年を上回るあるいは高水準であった昨年並みの賃上げの動きに広がりがみられるとの報告があった。』

『また、賃上げ原資の安定確保に向けて生産性向上のための投資強化や事業見直し、M&Aの動き等も喚起されてきていることも紹介された。』

『一方で、収益面の厳しさから賃上げを見送る企業や、十分な原資を確保していない中でも人手の係留・確保を優先し賃上げに踏み切る企業等も相応にみられるとの報告もあった。賃上げが広がるもとでの企業の行動変化や地域経済への影響等について、今後も丁寧にみていく必要性が指摘された。』

前半がやたら強気に書かれているのですが、さすがに締めは「賃上げが広がるもとでの企業の行動変化や地域経済への影響等について、今後も丁寧にみていく必要性が指摘された。」となっていて、能天気に賃金上昇が持続するぞーとはなっていないですね。

なおベンダーの報道バイアスってのが毎度のアレでして、ベンダーのヘッドラインを見るとこの説明の前半部分がハイライトされていて結構強いことを言っているように見受けられますが、実際には留保が思いっきり入っていまして、賃金絶好調!7月でも利上げOKOK!というような威勢のよさは感じられない書きっぷりになっているかと思うのですがどうでしょうかねえ。


・価格設定はこちらでも強気強気

『企業の価格設定面では、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の動きは一段と緩やかになっているほか、消費者の節約志向が強まるもとで、値上げの抑制や一部商品の値下げ、低価格の品揃え強化などの動きも増えてきているとの報告が複数あった。一方で、最近の為替円安に伴うコスト増の影響を指摘する企業の声も報告された。人件費の価格転嫁は難しいとする企業はなお少なくないものの、サービス業など、人件費比率の高い業種や人手不足感が強い業種を中心に、転嫁を実施・検討する動きに広がりがみられているとの報告が多かった。製造業についても、最近の政府の後押しもあって、価格転嫁が進めやすい環境に向かいつつあるとの企業の声が複数報告された。』

価格は上がる話がほとんどで途中にちょっと消費者の節約志向の話があるけど、それ以外は結局のところ威勢の良い話ばっかりということで、賃金上昇の持続性に関しては留保はついているのに価格設定は勢いよしよしというまた財布が軽くなるような流れで甚だアレですが、まあ価格のところは全然強いって感じだと思います。

ただまああくまでもざっと見印象ですけれども、こっちのまとめ文章の方がややさっきのさくらレポート本文の「代表的なアネク集」よりも強めのトーンで纏めている感じはして、そこはまあ利上げの口実に使いやすく作っているな、という風には思いました。

って感じですね。


〇6M入札ですな本日は

と思って財務省のHP行ったんだが個人向け国債の宣伝が桜井日奈子さんじゃなくなってるじゃんというしょうもない事に気が付きました。いつから変わったんだ毎日のように財務省HP行ってるのにこれは不覚。

https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.html
個人向け国債窓口トップページ


・・・・ってのは余談で6M

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240702.htm
国庫短期証券(第1242回)の発行予定額等

『1. 入札予定日   令和6年7月9日
2. 発行予定日   令和6年7月10日
3. 償還予定日   令和7年1月10日
4. 発行予定額  額面金額で3兆7,000億円程度
5. その他  上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。』

とまあそういうことで遂に1月償還ですよ1月償還。

いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

昨日の新発WIの引けが
国庫短期証券1242 2025/01/10:平均値単利 0.050

になっていまして、金曜の時点では2.5bpだったんですが、昨日になったらその辺の銘柄(10/21償還から6MのWIまで)まとめて引けを5bpに金利上昇させていまして、いやまあ1月償還で2.5bpってのもさすがに何ぼなんでもちょっとそれはという感じなので(って5bpでも大概なんだが)すが。入札がどうなるのかははまるで分らんので結果出てから考えます(思考停止ジジイ)。


〇今日は債券市場参加者会合

ということで、さくらレポートがまあ「どっち方向にも使いようがある」という内容になっていまして、今日明日が債券市場参加者会合で、こっちはまあ正直何が出てくるのかわからんですけど、なんか織り込ませに行く、とか利上げ示唆する、みたいな話があったらおもしろいですなあとは思うものの、今日は5年の入札でもあるのでいい迷惑という説も笑。

まあこれも何が出てくるのか予想するのはデギンドス副総裁の頭髪程度には不毛なので出てから考えたいと思います。





2024/07/08

お題「謎の賃金レポートが出るとな/3Mェ・・・・/ECB関連で少々」

本当はこまごま書いてみたがやっぱりニュース見出しだけにしておくわ

ゼロ打ち当確は順当
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240707/k10014502181000.html
都知事選 現職の小池氏が3回目の当選 石丸氏 蓮舫氏らを抑える
2024年7月8日 4時00分

えーっと、各社はなんでこれをトップで見えるところに貼らないのかな〜
https://www.asahi.com/articles/ASS7744F7S77PITB00RM.html
安芸高田市長選、石丸前市長批判の新顔が当選 市政の刷新を訴え
有料記事
柳川迅 編集委員・副島英樹2024年7月7日 21時49分(2024年7月7日 23時03分更新)

ギャグじゃなく言ってるんだったらこれはヤバい
https://www.asahi.com/articles/ASS774DP7S77UTFK00NM.html
蓮舫氏、まさかの惨敗に涙も…選対幹部「何が原因かよくわからない」
有料記事
東京都知事選2024東京の政治
大久保貴裕 松井望美2024年7月7日 22時26分


〇結局MPMまでに金懇や講演はこのまま無しなんですかねえと思ったらロイター記事登場

https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定

https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話

公表予定見ましても今後の今後の講演・挨拶等の予定を見ましても金曜に更新されている(講演の方は金曜に更新されるとかではないと思いますが)のですけれども決定会合後の定例記者会見の予定は出ていますがそれ以外は無し、ということでして、こうなりますと今日の支店長会議(とさくらレポート)、あとはワンチャン明日明後日の債券市場参加者会合(基本的に金融市場局がやるものなので日々のオペレーションで政策の先取りをすることはない、という仕切りからしたら普通は政策インプリケーションは無いはずだが)位しか公式な対外公表ってないんですよね。

でまあ日銀が何を言おうとも、6月金融政策決定会合とその後の会見での説明は明らかに「7月には輪番減額計画を出します、利上げはしません」って言ってるのと同じだし、まだワンチャンあるかもとは思っているけど7月利上げ見通しが大きく後退したのですから、このままの状態で7月利上げするとまあ抜き打ちチックな利上げになるわけですな。

さてどうするんですかねえと思ったら金曜にはこんな記事が。

https://jp.reuters.com/world/japan/R3CRSMYCCVOZFPJLQRJGYHDIPU-2024-07-05/
「中小企業にも賃上げに広がり」、日銀がリポートで公表へ=関係筋
By 木原麗花
2024年7月5日午後 5:35 GMT+9

『[東京 5日 ロイター] - 日銀が、中小企業にも広く賃上げが波及しているとの調査結果をまとめたリポートを月内にも公表する見通しであることが分かった。賃金と物価の好循環を目指してきた日銀にとって、追加利上げの是非を判断する際の材料の1つになるとみられる。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほうそうですかそうですか、と思ったら、

『8日の支店長会議で発表する「地域経済報告(さくらリポート)」の別冊の位置づけで、全国の支店が実施した調査とヒアリングに基づく。支店長会議当日ではなく、後日公表する見通し。』

何で当日出さねえんだよオイコラ。

『日銀の考えに詳しい関係者3人によると、さくらリポートも別冊リポートも、今年の春闘で大企業を中心に高い賃上げ率が実現したことや深刻化する人手不足を受け、賃上げする中小企業が全国的に増えていることを指摘する可能性が高い。』

まあ「日銀の考えに詳しい関係者3人」ってのが何ですかそれはって感じですけど、まあ中小企業への好循環の広がりが足りないということで中村委員が反対している訳でして、中村委員の反対を覆すか、そうでなくてもそこまでの積極的な反対にならない程度に、という事なのかもしれませんけれども、いずれにしても「後日出す」ってのが小賢しさ満載で小細工感が否めない。

『リポートの内容は、日銀が今月30-31日に開く金融政策決定会合の材料になるとみられる。日銀が3月にゼロ金利政策を解除した際、春闘の第1次集計で基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率が5%を超える強い結果となったことが決め手の1つになった。』

まあこんなの「決め手の一つになった」んじゃなくて、結論が先にあってそれに合う話として一番使えそうなのがこれだっただけの話でしょとしか言いようが無いわけで、昨年来植田さんがひたすらハトハト説明をして、なぜかその後に謎の理屈によってひっくり返る(昨年7月のYCC変動幅拡大)、とか如何にもやる気のある説明が出たと思ったら決定会合でひっくり返ってしまう(昨年12月と今回6月の決定会合)というような感じで、説明が全然首尾一貫していないのですから、そもそもこんなのも要は後付け理屈としてどれだけ使う気があるのか次第ですけどね。

・・・・・・・・しかしまあ何ですな、これで7月利上げしてその先の段階的(欧米と違ってクソのように時間がかかるという話になるでしょうけれどもそれでもとりあえず1%くらいまで上げていく、というのが示されれば、という意味です)が示されるみたいな威勢の良い話が出てくるならまあ評価するのもやぶさかではないのですが、どうせこれって円安進行に配慮した時間稼ぎの小細工でしょ、と思っておる次第(個人の偏見です)な訳で、いやおまいらこの前の会見で某O江さんに思いっきり指摘されてた「事前に変な期待を盛り上げてしまって結果がそれに足りないから決定会合の都度円安が加速するんじゃないですか」ってことをまるで反省していないというのが非常によくわかるところでしてお父ちゃんは悲しいよ、と言ったところでありまする、ナムナム。


〇3M短国は10月償還もものともせずに1bp割れで入札とか相変わらずである

金曜の3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240705.htm
国庫短期証券(第1241回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1241回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号    国庫短期証券(第1241回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日    令和6年7月8日
4.償還期限   令和6年10月7日
5.価格競争入札について
(1)応募額       13兆7,058億3,000万円
(2)募入決定額      3兆9,515億7,000万円
(3)募入最低価格     99円99銭8厘0毛
(募入最高利回り)     (0.0080%)
(4)募入最低価格における案分比率     77.9074%
(5)募入平均価格     99円99銭9厘2毛
(募入平均利回り)    (0.0032%)』

平均0.32bpで足切りが0.80bpってあーたそれマイナス金利解除後の4月(解除直後の入札は期末要因もあってマイナス平均100円足切りでしたが4/3の3Mは平均0.46bpで足切り1.34bp)頭よりも低いじゃんという利回りになっておりまして、相変わらず短国アウトライトのみ全然短期金利見通しを反映していないという代物になっておりまして、まあこれ一応短期政策金利が「0-10bp」なので政策金利の範囲内なので良いちゃあ良いのかもしれませんが、市場機能が戻ってねえわという悲しい状態は続くのでした。

一応売参ちゃんを見ますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1241 2024/10/07:平均値単利 0.010

となっているので入札レベルよりも甘くはなっていますが、まあ結局それでも1bpということでなんのこっちゃという利回りになっておりますな、7月会合どころか9月会合も思いっきり跨いでいるんですがそれはという足にだんだんなってきているんですけどもうなんだかね。


〇ラガルドはんの講演ネタ続き(その3)

まあそれよりも議事要旨やれよというツッコミが聞こえそうですが今朝はこっちで勘弁してくんなまし。

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2024/html/ecb.sp240701~ba1ae1bd25.en.html
Monetary policy in an unusual cycle: the risks, the path and the costs
Introductory speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the opening reception of the ECB Forum on Central Banking in Sintra, Portugal
Sintra, 1 July 2024

ということでその3まで引っ張ってしまいましたが、『The costs』という小見出しのところです。

・現在の引き締め政策のコストが少なく済んでいるのは構造変化がある、というお話でした

『But while our policy path has helped to tame inflation, it has also dampened economic growth. Interest rates rose steadily and remained high while the economy was stagnating for five straight quarters.』

こちらでのコスト、の話はインフレ抑制のために引き締めをガッツリ行ったら経済成長が弱まった、という話から入ります。

『This pattern is unavoidable when central banks face shocks that push inflation and output in opposing directions. But this time, the costs of disinflation have been contained compared with similar episodes in the past.』

ショックによって物価と生産が逆方向に行った場合にこれは中銀としては避けられないことですが、と来まして、

『This brings me to the third specific feature of this cycle.』

今次局面における「the third specific feature」だそうな。

『Given the magnitude of the shock to inflation, a “soft landing” is still not guaranteed. If we look at historical rate cycles since 1970, we can see that when major central banks hiked interest rates while energy prices were high, the costs for the economy were usually quite steep.[9]』

石油ショックの時の話をしておりますな。

『Only around 15% of the successful soft landings in this period - defined as avoiding either a recession or a major deterioration of employment - have been achieved following energy price shocks.』

エネルギー価格ショックによるインフレのソフトランディングは難しくて過去だって15%くらいしか成功してない、とのことですが、

『But this cycle has so far not followed past patterns.』

今回は過去のパターンと違うそうです。

『Inflation peaked at a much higher point than during previous soft landings, but it also decelerated faster. Growth has remained within the range of previous soft landing episodes, albeit near the bottom of that range. And the performance of the labour market has been exceptionally benign.』

過去のソフトランディングと比較して今回の方がインフレのピークは高いのですが、今次局面のインフレ抑制の段階において成長の落ち込みは過去のソフトランディング並みだし、雇用は碌にこけていないです。

『Employment has grown despite slowing GDP growth, rising by 2.6 million people since the end of 2022. And unemployment is at historical lows for the euro area, and well within the range observed during previous soft landings across major economies.』

成長鈍化にもかかかわらず雇用が相変わらず堅調という話をしていまして、

『The resilience of the labour market is itself a reflection of the unusual mix of shocks that have hit the euro area, with labour shortages leading firms to hoard more labour, and higher profits and lower real wages making it easier for them to do so.[10]』

その背景にはショックが従来にない複合的なものでした、ということで労働供給ショックをあげています。

『As a result, the usual propagation from slower growth to heightened unemployment risks and lower demand did not happen to the same extent.』

ということで従来のようなインフレ退治で金融引き締めがリセッションみたいになっていないとのことです。

『Now, we are still facing several uncertainties regarding future inflation, especially in terms of how the nexus of profits, wages and productivity will evolve and whether the economy will be hit by new supply-side shocks. And it will take time for us to gather sufficient data to be certain that the risks of above-target inflation have passed.』

『The strong labour market means that we can take time to gather new information, but we also need to be mindful of the fact that the growth outlook remains uncertain. All of this underpins our determination to be data dependent and to take our policy decisions meeting by meeting.』
 
でまあそんなわけでこのコーナーが終わっていまして、「今回の引き締め政策」のコストの話をしていまして、従来のインフレ退治に対してコストが小さく済んでいる、という説明をしておりますが、最後のところにあるのは、「経済がソフトランディングパターンに進んでいるのだが、問題は思ったよりも高インフレが長引く場合に発生」という説明になっています。

ということですので、この部分の解釈をしますと、先日利下げをしてみたものの、インフレが下がらんかった場合にはアカンタレになるし、そもそも今次引き締め局面はその結果として大きな景気後退や雇用の悪化をもたらすものにはならない、という認識を示しております、って話になりますので、つまりは先般の利下げ以降に今後もホイホイと利下げをするわけではない、という話をしていまして、利下げ局面ヤッホー組にとってはしょんぼりしちゃいますなという結果である、とまあそういう話になるのかと思います。


・ついでなので最後のまとめの部分ですが基本的には早期追加利下げを否定しているだけで他のことは言ってない

最後に『Conclusion』ってのがありますので。

『Let me conclude.』

どうぞどうそ。

『Our policy decisions have successfully kept inflation expectations anchored, and inflation is projected to return to 2% in the latter part of next year. Considering the size of the inflation shock, this unwinding is remarkable in many ways.』

で??

『Even though millions of businesses and workers have been independently striving to protect their profits and incomes, our 2% inflation target has remained credible and has continued to anchor the inflation process.』

『This speaks to the value of the policy frameworks that central banks have built up over the last 30 years, focusing on price stability and central bank independence. And it is why we will not waver from our commitment to bring inflation back down to our target for the benefit of all Europeans.』

『As the late footballer and manager Sir Bobby Robson said, “the first 90 minutes are the most important”. Similarly, we will not rest until the match is won and inflation is back at 2%.』

うーんこのという感じで、2%物価目標に持っていくのは大事、とは言ってますが、それに向けて何をするかというと「最初の90分が最も大事というサッカー監督の有名な言葉がありますように我々もこのインフレとの戦いに勝って物価を2%に下げまっせ」という話をしているだけですな。まあこっからバンバン利下げするような雰囲気はない、という位ですかね。


〇コストで思い出しましたがECBがこんなレビューをするようで多角的レビューとは何なのかという話ですわなwww

でまあコストってので思い出しましたが先日こんな記事がロイターさんから。

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/A2ZMZ4O42RNCTHPBOOWUCHJTKM-2024-07-04/
ECB政策担当者の一部からQE再検証論、効果より弊害との見方
By Balazs Koranyi, Francesco Canepa
2024年7月4日午前 9:10 GMT+9

『[シントラ(ポルトガル) 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の政策担当者の間から、約10年にわたって実施された大規模な債券買い入れ(量的緩和=QE)は効果より弊害が大きかったのではないかとの視点に立ち、改めて検証すべきだとの見方が出ている。複数の関係者がロイターに明かした。』(上記URL先より、以下同様)

(;∀;)イイハナシダナー

でもってこちら「シントラ発」となっているのでECBフォーラムでの取材によるものですね。うんうん。

『ドラギ前総裁の下でECBが物価低迷に対応する目玉政策として積極的に推進してきたQEを巡り、これまでで最もはっきりした形で内部から異論が出てきたとも受け取れる動きだ。』

よすよす。

『QEは、世界金融危機の際に米連邦準備理事会(FRB)が主要中銀の中でいち早く採用し、景気刺激とデフレ突入リスクの回避を図った。ECBもコロナ禍前までの10年近くで国債を大部分とするおよそ5兆ユーロの債券を購入し、同時に銀行向け低利融資を実行した。』

『しかしECBの6人の政策担当者は、もう一度QEについて議論し、QEを超低金利局面で求められる「特に強力かつ持続的な」行動としているECBの戦略規定をできれば修正したいと述べた。』

6人キタコレ!!!!!

『こうした議論は、間もなく始動して数年内にまとめられるECBの全般的な戦略の見直し作業において行われる見通しだ。』

ほほう。

『関係者の一人は「われわれは何兆ユーロもの資産を買い入れた挙げ句、物価上昇率を目標に戻せなかった。この刺激策を打ち切って数年を経過した今も、3兆ユーロ余りの過剰流動性を抱え、何年にもわたって政策対応の足かせになっている」と指摘した。』

まったくな訳でして、この調子で引用していると全文引用になりそうだから結論に飛びますと、

『これに対して6人の政策担当者はいずれもロイターに、パンデミックなどのショック発生時には確かに債券買い入れは正しい手段だが、その際の規模で長期間行うべきではなく、特に経済が構造的な問題を抱えている場合は、中銀でなく政府が動かなければならないと強調した。』

でまあこの前の日銀の多角的レビューでは「労働市場にあった構造問題のせいでなかなか政策が効かなかった」とか抜かしておりましたが、最初の「2年で2%」はともかくとして、それが難しいと分かった時点で普通の金融政策に戻すどころかQQE2やって補完措置やってマイナス金利やってYCCやって、とぶっこんでいった件については何もレビューしないで済ませようとしている多角的レビューとかレビューの名に値しない、というのが非常に良くわかる話でありまして、あんなクソレビュー今すぐ全部ゴミ箱に送って桶と思いますし、あれをクソレビューと喝破したのこの前出てた要旨(ネタにしたやつね)を見たら吉川先生だけ、という日本の経済学者のテイタラクにもあきれてしまいますな、と隙あらば悪態をつくアタクシでしたwwwwwwwww

今朝はこの辺で勘弁






2024/07/05

お題「需給ギャップェ・・・・/今日は3M入札/ラガルドさんのシントラ講演から(その2)」

理財局長としての最後のインタビューになるのかしら

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-04/SG10JJT0G1KW00
日銀の空白埋める国債投資家を確保へ、多様化が不可欠−奥理財局長
梅川崇、横山恵利香
2024年7月4日 11:15 JST

→年限短期化は発行側の金利リスク、「効率的な財政にならない」
→銀行に一定程度の余地、保有割合に当局として具体的イメージ持たず

ってのが昨日出てましたが、

『奥局長は、国債の保有を幅広い投資家層に広げることは「安定的に市場が推移するための一つの大事な条件だ」と指摘した。さまざまな投資家がいれば「一つの現象に対しても反応が多様になり、一方向に向かって大きく動くことが避けやすくなる」と語った。ブルームバーグのインタビューに3日応じた。』

この”さまざまな投資家がいれば「一つの現象に対しても反応が多様になり、一方向に向かって大きく動くことが避けやすくなる」”ってのとても重要なポイントで、アタクシのような老害ジジイですとこの「一つの現象に対して反応が多様」っていう債券市場の状態がある程度あった時代も見てないわけでもないんで、実に心に響く指摘ではありまする。

でまあその点からしますとGCレポのT+0市場をデザインした時の流れってのがその対極にあるのですが、その話をしているとマクラじゃなくなってしまうのでいつの日か市場デザインの話でもあったらその時に。

〇また政策変更を渋る言い訳がでてきておったわけだが(需給ギャップ)

https://www.boj.or.jp/research/research_data/gap/index.htm
需給ギャップと潜在成長率

すいましぇん昨日はFOMC議事要旨やってたんで後回しになりました。

左から、需給ギャップ、資本投入ギャップ、労働投入ギャップ

2023.1Q -0.31 -0.56 0.26
2023.2Q -0.08 -0.41 0.33
2023.3Q -0.34 -0.59 0.26
2023.4Q -0.03 -0.27 0.24
2024.1Q -0.66 -0.93 0.26

まあ何ですな、1Qって一部の生産停止とかあったって影響何でしょうが、折角ゼロ近辺まで戻ってきたのにまーたマイナスに。

・・・・・・ただですね、本来的に言えば「物価安定目標達成」ってのは「経済が1サイクル回る間に平均的に物価がこの程度の上昇率を示している」って状態を意味するのでありまして、寧ろ需給ギャップがこれだけ下がっているのに(そらまあラグがあるとかそういうツッコミはありますけど)物価ちゃんの方は全然下方圧力掛かっているような感じじゃないのですから、それは物価目標達成のエビデンスにむしろなるんじゃネーノと思うのですけど、なぜかこれが今の日銀って「需給ギャップのプラス状態が続かないと物価目標が達成しない」という屁理屈を通しているし、市場の何とかストもすっかりその屁理屈に乗っかっているのですが、そもそも論として「需給ギャップのプラス状態が続いていないと達成していない」というのはそれ「経済1サイクルの中で平均的に達成した状態」とは異なるわけなので、そんなの単に緩和政策の修正を先送りしたい日銀の詭弁なんですよね。

いやまあ経済の見通し的に需給ギャップがどうのこうのっての大事ですけど、需給ギャップがマイナスだから物価目標達成じゃない、ってのも無理筋の話だと思うんですけど、まあなにせ日銀様がその詭弁を前面にだしている以上、また政策変更を渋る材料だわと(ノ∀`)アチャーって思ってみておりました、ちゃんちゃん。


〇本日は3M入札でとうとう10月頭の足の銘柄が出てくるんですけど

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240628.htm
国庫短期証券(第1241回)の発行予定額等

『1. 入札予定日 令和6年7月5日
2. 発行予定日 令和6年7月8日
3. 償還予定日 令和6年10月7日
4. 発行予定額 額面金額で5兆2,000億円程度
5. その他 上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。』

ということで3Mなのですが、無慈悲にもこの短い短国激強の世の中ではあるのですが、発行予定額が今回から5.5兆円→5.2兆円に減額の刑と相成りまして、まあそこで劇的に変わるかというとなんかそういうレベルではない気もするのでそれはさておきまして、

https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
売買参考統計値の昨日の引値

国庫短期証券1240 2024/09/30 :平均値単利 0.010
国庫短期証券1241 2024/10/07 :平均値単利 0.020

とまあ相も変わらず利上げが何ぼのもんじゃい(というか日銀当座預金金利とこんなに差がついてるの恒常化ってどういう事やとも思いますがそれはさておき)というレートなのですが、もっとアイヤーなのは実は一昨日の引値は、

国庫短期証券1240 2024/09/30:平均値単利 0.019
国庫短期証券1241 2024/10/07:平均値単利 0.025

となっておりまして、入札を前に新発WIは5糸、既発のカレントは約1毛(ちなみに全部引用してると長くなるから割愛しますが、昨日の売参は9月償還までの全銘柄がおおむね1毛強にされています)強くされておられるとかいう中々な状態でして、さてこれで10月償還の短国ちゃんの入札って何ぼの水準になるんでしょう、というお話ですが、期中のコールレートから考えてもクッソ低い水準で、まあ日銀の政策がわけわからんから短国がオーバーツーリズム状態とかいう要因もあるんでしょうけれども、ここ数日の中短期債の値の戻り方からして、やっぱり日銀の国債買入過多によって中期以下の国債って隙あらば需給がクッソタイトになりやすい、すなわち買入をがっつり減らせやヴォケという話に強引に帰着させるのでありました。


〇しかし日銀静かですし来週でとりあえず予定されている大きめのネタ提供が終わるのだが(ただの備忘メモ)

こちらはまた今日更新されると思いますが
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定

8日(月) 未定 ○ ● 地域経済報告(7月)

ということでですな、月曜日に支店長会議があるはずなんですよね(だからさくらレポートが出る)。

あとは
https://www.boj.or.jp/paym/bond/mbond_list/mbond240621.pdf
「債券市場参加者会合」(第 20 回)の開催について

火曜日と水曜日に市場参加者会合で輪番減額に関する話題がありますよ。

・・・・・は良いんですけど、それ以外7月会合までの予定でなんかの講演とかそういうのが相変わらず出てこない格好でして、あとはまた例によって例の如く週末になって突然変なインタビュー記事とか変な思惑記事みたいなのが出てくる、というのでもない限り、国会もないのでこの調子では7月会合前に特になんも言わないで会合に突入となりますわな。

でもって6月会合では7月利上げの予告ホームランをしていないし、円安飛んでも株高になると元来格差の上位カテゴリーにいらっしゃる報道機関とかいうのもおとなしくなるしで、なんかもっとこう威勢よく円安行かないと盛り上がらないのかねえとしょんぼりしながら茲許みている訳です。

さてどうなるのやら、というただの備忘メモです。


〇ラガルドのシントラでのオープニングスピーチネタの続き

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2024/html/ecb.sp240701~ba1ae1bd25.en.html
Monetary policy in an unusual cycle: the risks, the path and the costs
Introductory speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the opening reception of the ECB Forum on Central Banking in Sintra, Portugal
Sintra, 1 July 2024

一昨日の続きです。小見出しの『The path』ってところから。

・まあどこぞの中銀は何回か写経をした方がよさそうな指摘がいくつかありますなあ

『But how does monetary policy anchor inflation expectations? It is not only about the policy destination, but also about setting the right trajectory of rates to get there.

This brings me to the second specific feature of this cycle: the rate path.』

インフレ期待をアンカーさせる政策金利パスについて、ということで。

『It was clear from the outset that merely communicating our commitment to reaching our target would not have been enough. ECB analysis shows that, if we had not reacted at all, the risk of de-anchoring would have been above 30% in 2023 and 2024.[7]』

利上げしなかったらインフレ期待が上方にぶっ飛んでいたでしょうという話から始まり、

『It is likely that even moderate policy action would have been insufficient. For example, if rates had stopped at 2%, the risk of de-anchoring would still have been around 24%.』

まあこの手の「こうだった場合の確率何ぼ」ってのは鉛筆舐め舐めの世界にもほどがあるので、数字自体はこんなの説明のためのインチキツールだと思って読んだ方が吉なのですが、まあラガルドはんの言いたいことは「利上げを不十分なところで止めるんだったら結局インフレ期待は上にぶれる」ってお話ですな。

『So, when we first started raising rates, we knew that we were far from where we needed to be.』

とりあえずどこぞのハトハトチキンはこの文章を200万回写経すべきだと思います。

『The most important factor was therefore to close the gap as quickly as possible. This is why we had a historically steep climb at the start of our rate path, using increments of 75 and 50 basis points for our first six rate increases.』

利上げの到達点までのギャップが大きいことを認識して、じゃんじゃん利上げしましたよ、って話で、まあどうせ日銀に言わせると「そもそも日本はインフレ期待を引き上げないといけない状態であって、上に振れて困っているわけではないのでこのようなことにはならない」というのでしょうし、まあそれはそうですねとは思うのですが、それでも「2%物価安定目標達成と整合的な政策金利水準」というのは究極的なゴールとして存在するわけで、確かに会見などでも植田さんそれは一応言ってはいるのですが、もっとこの点を積極的に言うべきなんじゃ中と思うのです。

そうしないと、日本のターミナルレートは0.5%だの0.75%だのお前ら2%の物価安定目標を何だと思っているんだというような脳死コメントが世の中に溢れかえってしまう訳で、もっとこの「短期政策金利は物価目標達成の際には今の金利なんて絶対あり得ない」ってのを強調しろと思いますが、まあこの話をするとすぐに中立金利はいくらですか→その水準は計測が難しい、となってしまってメッセージが弱くなってしまって金利先高観を作ってくれないのがハトハトチキンと呼ばれる所以でもありますな。

・・・・すいません話がそれました。

『But as policy rates moved towards restrictive territory, the challenge shifted from acting quickly to calibrating the path precisely. In particular, we needed to set a rate path that both delivered a “timely” return to 2% and did so with a high degree of confidence.』

まあこの辺は日銀に無縁の世界になりますが、引き締め的な水準まで引き上げたんで今度は中立水準に戻すときにも「“timely” return to 2% 」となるようにしていかないといけない、と仰せですが、まあこれはどっからどう見てもこの前の利下げに対する自己擁護ですなwwwww

『This path also required us to take a different approach from the past.』

ほうほう。

『Faced with multiple large shocks, there was significant uncertainty about how to interpret and rank the information we were receiving from the economy.』

まあジャパンもそうじゃないのと思いますが、いろんな複数の大きなショックが起きて、じゃあその解釈をどうするか、ってのが重要と仰せですね。

『On the one hand, it would have been risky to rely too much on models trained on historical data, as those data may no longer have been valid. We could not know, for instance, whether shifts in preferences, higher energy prices and geopolitics had changed the structure of the economy.』

まずは、ということでラガルドはんが説明している言葉がこれまた身に染み入るわけでして、過去のデータからの類推に安易に依存するのはリスキーだ、って(まあ自戒も込めてるんでしょうけど)言っておられるわけでして、一方で今の日銀ってあの謎の「第一の力」「第二の力」の二分法で乱暴に切り分けて物価上昇のダイナミズムについて説明しているのを見ますと、いやちょっと日銀は爪の垢煎じて飲め、というかこれ一種ECBの懺悔も入っている訳でして、先行事例としてこういうご教訓があったんだから、あの雑な二分法何とかしろやと思う訳ですよ日銀は。

『On the other hand, relying too much on current data might have been equally misleading if they had turned out to have little predictive power for the medium term. As shocks worked their way through the economy, current data could also have reflected lags more than actual inflation trends.』

とは言えアクチュアルなデータに過度に注目するのよくない、ということですな、まあそらそうですけど、ちなみにアクチュアルなデータで言えば2%超えを何か月続けていましたっけという国もあるのが恐ろしいwwwwwwwww

『So we constructed a framework to hedge against this uncertainty, blending projections with current data about underlying inflation and monetary transmission. The aim was to combine various pieces of information about the medium-term outlook into a single assessment that could be updated swiftly.』

この辺は「そんなことを総合的に考えながらあんじょうようやっておりまっせ」という話ですね。

『Our forecasts provided a comprehensive assessment of future inflation, assuming the underlying parameters of the economy remained stable. At the same time, looking at current data allowed us to identify the persistent components of inflation and account for structural changes that might have been missing from our forecast models.[8]』

『In this reaction function, our assessment of the inflation outlook is informed by, but not limited to, our projections. We use various measures to gauge underlying inflation. And when assessing the strength of monetary policy, we consider banks, capital markets and the real economy.』

『As a result, while the flow of new information constantly adds to and improves our picture of medium-term inflation, we are not pushed around by any specific data point. Data dependence does not mean data point dependence.』

この辺りはまあそんなに変わった話をしているわけではなくて、単一のモデルに依拠するようなことではなくて、データを見ながら自分たちの予測との乖離を見つつフィードバックしながら先行きのインフレ想定を考えおりまっせみたいなお話ですかね。

『This framework helped us navigate the “tightening” and “holding” phases of our policy cycle, and it gave us the confidence to deliver a first rate cut at our last policy meeting.

During these phases, we have seen the “right tail” of the distribution of inflation expectations narrow, consistent with a timely return of inflation to target.』

ということでこのコーナーの最後は「そんな感じで経済物価を検討した結果この前は利下げしましたがな」ってなお話をしておられます。

次のコーナーが『The costs』ってものなのですが、これやりだすとお時間がショートしてしまうので、今朝はこれで勘弁させてくださいすいませんすいません。


〇あと流石に今回はちゃんと見なければ

https://www.ecb.europa.eu/press/accounts/2024/html/ecb.mg240704~fbde4f46aa.en.html
Meeting of 5-6 June 2024

Account of the monetary policy meeting of the Governing Council of the European Central Bank held in Frankfurt am Main on Wednesday and Thursday, 5-6 June 2024
4 July 2024

なおまだ読んでいない模様・・・・・・







2024/07/04

お題「寝起きで6月FOMC議事要旨だが政策は出たとこ勝負で物価鎮静化には自信ニキ」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240703/k10014500051000.html
株価 一時600円以上値上がり 半導体関連銘柄を中心に買い注文
2024年7月3日 15時41分

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240703/k10014500461000.html
円相場 一時1ドル161円90銭台に 約37年半ぶりの円安水準更新
2024年7月3日 18時15分

どう見ても日銀と政府による格差拡大政策です本当にありがとうございましたorzorz

しかもアメリカン金利今朝下がって戻ってきてるのにドル円161円台後半みたいだし円安材料があると円安、円高材料があっても反応しないとかドイヒーにもほどがある訳で植田日銀は格差拡大政策をとっとと取り下げるべきですわなorz


〇よく考えれば(よく考えなくても)FOMC議事要旨の日なので寝起きインスタントよみ

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240612.htm(HTML)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20240612.pdf(PDF)

Minutes of the Federal Open Market Committee
June 11-12, 2024
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors on Tuesday, June 11, 2024, at 10:30 a.m. and continued on Wednesday, June 12, 2024, at 9:15 a.m.1

引用は例によってHTMLバージョンから行います。

とりあえずいつものように『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』の最後の政策部分に関するパラを読んでみます。最後の3パラグラフが政策運営にかかわる部分です今回は。

なお、今回は全体的に構成がまとまっていて、このコーナーパラグラフが9個しかなくて、ファイナンシャルスタビリティとか経済活動全般とかの言及が無かったり少なかったりして、一方で物価とかの話がやや多めになっているなあと思いまして、まあこれはデータディペンデントですよ物価大事ですよ物価の背景になることもよく見てくださいね、って感じで政策反応関数を強調(後で出てきます)したかったのか、と勝手に思いましたがどうでしょうかね。


ということで今回の政策運営に関する言及は第7パラ〜第9パラになります。まずは第7パラから。

・2%に向かってモデレートに進展しているがリスクバランスを考えた結果今回は政策据え置きとな

『In their consideration of monetary policy at this meeting, participants observed that incoming data indicated continued solid growth in economic activity and a strong labor market while also pointing to modest further progress toward the Committee's 2 percent inflation objective in recent months.』

まあここは本来その前にあるインフレーションのパラを読んでおいた方がいいのだが(汗)ちなみに2パラ3パラにあるのでここはこの後参りますね。

でもってまあインフレは2%に向けてモデレートされているとの認識ですね。

『Participants remained highly attentive to inflation risks. All participants judged that, in light of current economic conditions and their implications for the outlook for employment and inflation, as well as the balance of risks, it was appropriate to maintain the target range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent. Participants furthermore judged that it was appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings.』

とはいえ、リスクを考えたら政策は据え置き、ということになっておられます。あっさり味。


・先行きの金融政策部分は「我々は出たとこ勝負で参ります」の大アピールであるw

続いて8パラ。この「先行き金融政策」と次の9パラの「リスクマネジメントの観点から」が結構な文章量になっているのが目立ちます。

『In discussing the outlook for monetary policy, participants noted that progress in reducing inflation had been slower this year than they had expected last December. They emphasized that they did not expect that it would be appropriate to lower the target range for the federal funds rate until additional information had emerged to give them greater confidence that inflation was moving sustainably toward the Committee's 2 percent objective.』

年初想定していたよりもインフレのモデレート進行が遅いので追加情報をみないと利下げ判断するのはできませんなあ、が大勢見解。

『In discussing their individual outlooks for the target range for the federal funds rate, participants emphasized the importance of conditioning future policy decisions on incoming data, the evolving economic outlook, and the balance of risks.』

今後のデータとリスクバランス認識が重要ですよと。

『Several participants noted that financial market reactions to data and feedback received from contacts suggested that the Committee's policy approach was generally well understood.』

数名(Several)の参加者によりますと、参加者さんがコンタクトしている金融市場の中の人は、このようなFEDのアプローチ(綺麗に言えばデータディペンデント、要は出たとこ勝負)に関しては十分に理解されていると仰せです。

『Some participants suggested that further clarity about the FOMC's reaction function might be provided by communications that emphasized the Committee's data-dependent approach, with monetary policy decisions being conditional on the evolution of the economy rather than being on a preset path.』

数名(Some)の参加者はFOMCの政策反応関数を今後のコミュニケーションで一段と明確にするのはダイジダイジネーということで、あくまでも政策はコンディショナルで決め打ちパスじゃないよってのが理解されていくでしょうということなんだが、だったらお前らなんでドットチャート出してますねんとは思います。

『A couple of participants remarked that providing more information about the Committee's views on the economic outlook and the risks around the outlook would improve the public's understanding of the Committee's decisions.』

でもってこの次に2名の参加者が「providing more information about the Committee's views on the economic outlook and the risks around the outlook 」が一段とFOMCのスタンスを一般に向けて説明できるでしょう、と仰せなのですが、この「the economic outlook and the risks around the outlook」にドットチャートは含まれているのか含まれていないのか、というのは面白論点で、もしかしたら今回の議事要旨をちゃんと読むとどっかに書いているのかもしれませんが、当方寝起きでインスタント読みをしているためまだ気が付いておりませんシュイマシェン。


・ クソ長い「リスクマネジメントの観点から」では後半にタカハト乱立状態を示していました

第9パラグラフがこれまたクソ長い。

『In discussing risk-management considerations that could bear on the outlook for monetary policy, participants assessed that, with labor market tightness having eased and inflation having declined over the past year, the risks to achieving the Committee's employment and inflation goals had moved toward better balance, leaving monetary policy well positioned to deal with the risks and uncertainties faced in pursuing both sides of the Committee's dual mandate.』

最初のところでは「経済物価のリスクは以前よりも良いバランスになっているので政策は「positioned to deal with the risks and uncertainties」になっておる、と仰せで、

『The vast majority of participants assessed that growth in economic activity appeared to be gradually cooling, and most participants remarked that they viewed the current policy stance as restrictive.』

成長が徐々にクーリングされてきており、今の金融政策は引き締め的である、という認識をほとんどの参加者がしております、と来た後に、

『Some participants noted that there was uncertainty about the degree of restrictiveness of current policy.』

数名(Some)の参加者からは今の引き締め度合いについての不確実性の指摘があって、

『Some remarked that the continued strength of the economy, as well as other factors, could mean that the longer-run equilibrium interest rate was higher than previously assessed, in which case both the stance of monetary policy and overall financial conditions may be less restrictive than they might appear.』

数名(Some、になっていますが同じ人達ならここtheyにしてくるはずなのでさっきの数名とは異なるはず)は経済情勢を見るに実は足許の政策スタンスって長期均衡金利の上昇に伴い、思ったほど引き締め度合いが高くないのではないか、それから金融環境もそれを後押ししてるんじゃないの、との指摘があります。

『A couple of participants noted that the longer-run equilibrium interest rate was a better guide for determining where the federal funds rate may need to move over the longer run than for assessing the restrictiveness of current policy.』

2名の参加者は長期均衡金利の概念は政策運営のベターガイドだ、と仰せですな。

・・・・うーんそれ順序が逆で、政策回してみた結果として出てきた経済の動きを見て均衡金利ってこの辺かなあって後付けで気が付くものであって、「ザ・長期均衡金利」がピンポイントで事前にわかるならだれも苦労しないわけでして、こういう考え方はあまり良い考えではないと思うんですよね。まあ政策説明する方便として使ってるというのならわかるけど所詮はこんなの概念でしょ概念、と現場たたき上げのワイは思う。

ま、私のポエムはともかくとして次。

『Participants noted the uncertainty associated with the economic outlook and with how long it would be appropriate to maintain a restrictive policy stance.』

でもってアウトルックのコーナーにはなかったくせにこっちには「じゃあどのくらい引き締めスタンス続けまっか」話がくるのでして、

『Some participants emphasized the need for patience in allowing the Committee's restrictive policy stance to restrain aggregate demand and further moderate inflation pressures.』

数名(Some)は一段とインフレ圧力が下がるのを確認すべきと。

『Several participants observed that, were inflation to persist at an elevated level or to increase further, the target range for the federal funds rate might need to be raised.』

数名(Several)はインフレが今の水準でとどまったり上がったりしたら政策金利の一段の引き上げが適切と。

『A number of participants remarked that monetary policy should stand ready to respond to unexpected economic weakness.』

何人か(A number of)は予期しない経済の弱さが起きたときに対応できるよう準備すべきと。

『Several participants specifically emphasized that with the labor market normalizing, a further weakening of demand may now generate a larger unemployment response than in the recent past when lower demand for labor was felt relatively more through fewer job openings.』

数名(Several)は特に労働市場の動向に注目していて、一段と労働需給が緩和されていく中で、失業やジョブオープニングの動向を見ていくことがダイジダイジネーと。

ってことでこのコーナーが締まってまして、要はタカハト乱立状態というのを示したかったんだと思われますな。


まあ要するに「次回会合の予告とかとんでもありませんわ今後のデータ次第ですわ」というお話だし、こうも意見がバラバラですと、7月FOMCでまとまるってのはちょっとアレで、夏の状況を受けた9月以降をお楽しみに、ということを言いたかったんですかねえ、とは思いましたここだけ見た場合。


なので2パラ3パラのインフレーションも頑張ってみてみる。

・物価の現状認識は「インフレ圧力の鎮静化が徐々に戻ってきているしエビデンスもいっぱいあるでー」ですね

ということで2パラはインフレの現状認識。

『In their discussion of inflation developments, participants noted that after a significant decline in inflation during the second half of 2023, the early part of this year had seen a lack of further progress toward the Committee's 2 percent objective.』

去年の後半は良い感じでインフレの鎮静化が進んだのに今年の頭はインフレ鎮静化しなかったですな、という認識から始まります。

『Participants judged that although inflation remained elevated, there had been modest further progress toward the 2 percent goal in recent months.』

とはいえここ数か月はモデレートなインフレ鎮静化が観測できます、とも言ってまして、

『Participants observed that some of this progress was evident in the smaller monthly change in the core PCE price index and a lower trimmed mean inflation rate for April, with the May CPI reading providing additional evidence. Recent data had also indicated improvements across a range of price categories, including market-based services.』

こうやって個別のデータに言及しながら「このようなエビデンスがあるのでモデレートなインフレ鎮静化ですバイ」ってこまごま書いているのは、まあこれ「いろんな物価データを見てますよはいこの通り」って市場に示すという意味合いはあるのかなーとは思いましたけどどうでしょ。

『Some participants commented that sustained achievement of the 2 percent inflation objective would be aided by lower overall services price inflation, and some noted that shelter price inflation had so far been slow to come down.』

ここから議論パートですが、まずはサービス価格と家賃価格の低下に関する言及があって、

『A few participants also highlighted the strong increases recorded this year in core import prices.』

一方でコア輸入価格の上昇に関する言及があって、

『Nevertheless, participants suggested that a number of developments in the product and labor markets supported their judgment that price pressures were diminishing. 』

とは言え生産や労働市場の状況を見ますと上昇圧力は消えてきている、ここは参加者が指摘した、と主語が大きくなっているので、全体的な認識はインフレ鎮静化ですよ、というのを結構前面に出した感じですね。

『In particular, a few participants emphasized that nominal wage growth, though still above rates consistent with price stability, had declined, notably in labor-intensive sectors.』

労働需給に敏感な賃金設定をするセクターにおける賃金上昇圧力の低下をまだ高いには高いが、と言いながら指摘する人もいますね。

『A few participants also noted reports that various retailers had cut prices and offered discounts. 』

報告によると様々な小売業者が価格設定を下げてきているというのもある、という指摘も出ています。

『Participants further indicated that business contacts reported that their pricing power had declined. Participants suggested that evidence of firms' reduced pricing power reflected increased customer resistance to price increases, slower growth in economic activity, and a reassessment by businesses of prospective economic conditions.』

でもってここでまた主語が大きくなっていますが、企業からのヒアリングやデータなどから見ると、価格決定力が企業からやや離れてきているように見受けされ、その背景には顧客の価格上昇への忌避や、経済活動の鈍化、今後の経済見通しの弱気化などがある、ということで締めています。

ということでこの2パラは基本的に「物価は2%に向けて徐々にではあるが再度鎮静化してきています」って認識をこれでもかと示している格好になっておりますな。


・先行き物価に関しても結論は「もっとエビデンスが欲しい」だが途中の記述は物価鎮静化の話で大きく出ていますわ

次に3パラでこちらは物価見通し。

『With regard to the outlook for inflation, participants emphasized that they were strongly committed to their 2 percent objective and that they remained concerned that elevated inflation continued to harm the purchasing power of households, especially those least able to meet the higher costs of essentials like food, housing, and transportation.』

最初の2%物価目標の達成ダイジダイジネーの部分は悪魔払いの呪文みたいなもんだからさておきまして、

『Participants highlighted a variety of factors that were likely to help contribute to continued disinflation in the period ahead. The factors included continued easing of demand-supply pressures in product and labor markets, lagged effects on wages and prices of past monetary policy tightening, the delayed response of measured shelter prices to rental market developments, or the prospect of additional supply-side improvements.』

今後も物価は沈静化していくでしょう、という要因についてこれでもかと並べ倒しておりまして、この辺を見ますと「先行き物価は2%に向けて鎮静化していくんじゃ」という気概を感じますw

『The latter prospect included the possibility of a boost to productivity associated with businesses' deployment of artificial intelligence-related technology.』

挙句に 「the prospect of additional supply-side improvements」には企業活動の向上や、AI技術の向上などによるproductivityの拡大というのも含まれる、と割と大きく出ています。

『Participants observed that longer-term inflation expectations had remained well anchored and viewed this anchoring as underpinning the disinflation process.』

インフレ期待はここもとの物価鎮静化で一段とがっつりアンカーされておる。

『Participants affirmed that additional favorable data were required to give them greater confidence that inflation was moving sustainably toward 2 percent』

と、散々大きく出ましたが、見通しパラの最後は「additional favorable data were required」だそうでして、例のグレーターコンフィデンスが出てきまして追加の情報が欲しいですわ、ということですので、インフレ鎮静化には自信ニキを示しながらもまだ微妙なので、という感じで先行き見通し通りに推移してくれれば引き締めを緩めたいというのはわかりました。


・・・・・ということで今朝は他のネタ放り出してこちらでご勘弁いただきとう存じます。








2024/07/03

お題「この調子で7月会合まで持つのかね(市場雑談)/ECBフォーラムのラガルドさんのオープニングリマークから(その1)」

本日から新紙幣ということで諭吉1枚とか諭吉十二楽坊とかそういう用語がこれから死語になっていくのかと思うと感慨深い。

〇7月会合まで持つのかよこれという円安だし円安見て金利上昇だし

一応メモ
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/VTSMIDKHQZISZCNDFCHI76DHHA-2024-07-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1.085% 10年債入札後も地合い改善せず
By ロイター編集
2024年7月2日午後 3:35 GMT+9

『[東京 2日 ロイター] - <15:21> 国債先物は続落、長期金利1.085% 10年債入札後も地合い改善せず

国債先物中心限月9月限は、前営業日比23銭安の142円42銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5bp上昇の1.085%。米金利上昇や日銀の政策修正観測を背景に終日軟調に推移した。10年債入札はややしっかりの結果と受け止められたものの、地合いは改善しなかった。』(上記URL先より、以下同様)

10年国債入札って足切りがベンダー集計の予想よりも2銭くらい上で切れてて、まあそもそも先物ちゃんも後場寄りのところで前場引けからギャップアップして始まっていたんですけど、

『10年債の入札結果はややしっかりと受け止められた。結果を受けて国債先物は下げ幅を縮小するの場面があったものの、その後再び軟調に推移。新発10年債利回りも一時1.07%まで低下した後、引けにかけてはじりじりと売られた。』

でまあ結局

『TRADEWEB
     OFFER  BID   前日比 時間
2年    0.353 0.362    0.007 15:15
5年    0.598 0.606    0.01 15:15
10年   1.078 1.086    0.025 15:16
20年   1.914 1.924    0.029 15:17
30年   2.249 2.26     0.014 15:18
40年   2.382 2.393    0.01  15:15』

となっている訳ですが、まあ円安が効いてるというか、この調子で日銀が「想定通り」程度の国債買入減額だけやって短期政策金利に関しては知らんがなだったりした日には一段の円安になってしまうんじゃないのということで、結構派手めに政策修正に向けた強いものを出すしかないって感じなのか、単純に日銀の出方が読めないから様子見地蔵のひとだらけなのかがよく分からんでございます。

まあアレですよ。日銀もここまであっという間に追い込まれていくっていう展開を想定していなかったと思うのですが、3月のマイナス解除前の「マイナス金利解除しても緩和状態」の宣伝はマイナス金利解除後の動きに自信がなかったからある程度しょうがなかった面もあるかもしれませんが、結局3月解除の後の市場(為替も含めて)の反応を見たら、4月に「6兆円の強調」をしたのが完全に悪手でして、まあ3月のもあそこまでビビる必要なかったと思いますが、とにかくあのセットと、植田総裁の「隙あらばハトハト発言」によってこんなになっている訳ですな。

まあここらで昨年5月の内外情勢調査会で言ってた植田さんの「逆方向の、政策転換が遅れて2%を超える物価上昇率が持続してしまうリスクもありますが、こうした2%の定着を十分に見極めるまで基調的なインフレ率の上昇を「待つことのコスト」は、前者に比べれば大きくないと思われます。」と言ってた寝言に関する評価、特に円安進行という飛んでもないコストに関してちょっと植田説明してみろや円安はプラスとでも言いたいのかこのヴォケとは思う訳ですな、ナムナム。

てかさ、そもそも論として中曽さんでも雨宮さんでもない黒田緩和と関係なかった人が総裁になったことの意味は何だったのかという話になるのですが、なにせこの前の金研国際コンファランスでこの総裁、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240527a.htm
日本銀行金融研究所主催2024年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳

『日本銀行は、最終的には2013年1月に、2%の物価安定の目標を導入しました。後知恵になってしまいますが、仮に明確なインフレ目標値が導入されていれば、例えば、2000年8月のゼロ金利政策解除に至るまでの議論の様相は、実際とは異なったものになったかもしれません。』

『日本銀行は、2001年3月の量的緩和政策の開始に伴い、以前よりも多くの額の長期国債を購入し始めたものの、図表3が示すように、その保有残高は、2013年に入るまでは、顕著に増えてはいませんでした。』

『すなわち、2013年に導入された新たな金融緩和の枠組みや、顕在化し始めた人手不足の影響を受けて、まず、賃金が小幅ながらも上昇し始め、その後、昨年から今年にかけては、恐らくは、近年の世界的なインフレと金融緩和の枠組みが維持されたことの影響から、急速に上昇していきました3。』

(以上の部分は直上URL先2024年5月27日金研国際コンファランスでの植田総裁挨拶の邦訳より)

ってことで、思いっきり「黒田緩和は効果があった」という立脚点からスタートしていて、むしろその前の速水福井白川時代はなんもやってなかったに等しい、と黒田前の歴代日銀をコケにしている訳で、まあその立場でいる以上、この人が座敷牢に放り込まれるか脳味噌取り換えるかしない限りにおいて、金融政策の正常化に舵を切らんわなという話になりそうではありまして、円安物価高批判でシバき倒されて行かないと無理なんじゃねとは思うのでした。


〇ECBフォーラム@シントラですが今回のポリシーパネルに我らがハトハトチキンさんの姿がありませんなあ

お品書きはこちら
https://www.ecb.europa.eu/press/conferences/html/20240701_ecb_forum_on_central_banking.en.html
Programme
All times are local (CET -1)

・日銀からは誰も参加しませんかそうですかそうですか(なおアジア勢の登壇無し)

でもって日本時間的に昨晩実施されたところででは

Tuesday, 2 July 2024

14:30
Policy panel
 Roberto Campos Neto, Governor, Banco Central do Brasil
 Christine Lagarde, President, European Central Bank
 Jerome Powell, Chair, Board of Governors of the Federal Reserve System

Moderator: Sara Eisen, Anchor, CNBC

あー去年為替がらみで他国の金融政策をあてこするクソくだらないジョークを言ってしまった植田さん呼ばれませんでしたねーガハハというところでございまして、今回はブラジル中銀総裁がパウちゃんクリステーヌちゃんのお二方にジョインして対談ご参加の巻ですね。

でまあここに出てこないだけのことはあって、今回のシントラフォーラム、日銀からは誰も出てこないということですが、まあ幸か不幸かプログラムを見ると登壇するアジア勢が居ないというお品書きになっている(韓国中銀の李総裁でも出てくるかと思って三度見しましたが、韓国中銀どころがシンガポールとかその辺からも誰も登壇しないようですな)のでちょっとだけ安心しました、って安心する話ではないのですがw


〇ラガルドのオープニングリマーク@ECBフォーラムである

Monday, 1 July 2024
18:30
Opening reception and dinner
Dinner hosted by the Executive Board of the European Central Bank

Introductory speech
Monetary policy in an unusual cycle: the risks, the path and the costs
Christine Lagarde, President, European Central Bank

Live streaming of the speech will begin at 20:00.

お前ネタにするのが遅いというツッコミはさておきまして(さーせん)

https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2024/html/ecb.sp240701~ba1ae1bd25.en.html
Monetary policy in an unusual cycle: the risks, the path and the costs

Introductory speech by Christine Lagarde, President of the ECB, at the opening reception of the ECB Forum on Central Banking in Sintra, Portugal
Sintra, 1 July 2024

ということでちょろっと拝読をば(いや月初にこういうのやられましてもなかなかゆっくり読んでる暇もないという貧乏暇なしジジイなのですいませんすいません)。

・物価のピーク水準が違うとはいえ問題設定が既に日本とはだいぶ違う件について

最初の辺りから。

『First of all, I would like to welcome you all to this year’s ECB Forum.』

というのはただの挨拶ですが、

『The theme of the conference is “Monetary policy in an era of transformation”, and we have a rich programme ahead of us, exploring the changes that are taking place.』

今回のフォーラムのお題は「“Monetary policy in an era of transformation”」なんですね。ちなみにこの前実施された金研国際コンファランス(冒頭あいさつで植田総裁が黒田前の日銀政策をコケにしまくった奴)のお題は「Price Dynamics and Monetary Policy Challenges-- Lessons Learned and Going Forward --」でして、なんかもう立脚点が違うわと思ってしまう訳です、まあこっちはまだ「緩和的な金融環境」とか寝言言ってるんだからそうなるわなと思いますけど。

『But even if most of us can agree that the economy is undergoing substantial change, I imagine there are more diverging views about where it will end up.』

『This lack of clarity presents a profound challenge for policymakers, as we must try at once to understand these transformations and to steer the economy through them.』

『Indeed, much of the policy challenge over the last few years has involved stabilising inflation while facing fundamental uncertainty about the economy.』

まあ金融政策のステージが違うとは言え、日銀のノホホンとしたお話とはだいぶ違っている訳ですし、先行事例として米国欧州ってのがあるわけだし、一応これから持ち直しの予想になっているとは言え、直近のGDP統計だけ見たらこの3四半期物価高マイナス成長になっている日本から見たら、欧州のスタグフレーション(あっちは賃金物価スパイラルっぽくてこっちは円安コストプッシュなのでそこの違いというのは捨象しないといけないとは言え)ってのも先行事例としてなんか参考になることはないんでしょうか、というような話はまあ今の日銀のあの多角化レビューとかのスタンス見る限り全然なさそうなのが悲しいところですな、南無三。


・「第一の力だから対応しなくてよい」という理屈はやはりおかしいですよねというのがよくわかる説明

でまあマクラの部分の次から小見出しいりになるんですが、最初の小見出しが『The risks』である。

『Let me start with the risks.』

なんのリスクの話をしているかといいますと、インフレ期待の話をしています。

『In a typical policy cycle, when fluctuations are driven by moderate and short-lived shocks, inflation expectations are usually not at risk. Central banks’ price stability mandates and reaction functions ensure confidence in the inflation target.』

経済物価の振れがモデレートで短期的なショックで起こされているのであれば、インフレ期待は安定したままですわな、と来まして、

『When faced with typical demand shocks, central banks reach their target by stabilising demand around potential output. And when faced with supply shocks, central banks can in principle “look through” them, as these shocks will usually leave no lasting imprint on inflation.』

大きな需要ショックの時は金融政策で対応、供給ショックの場合は一般的には一時的なので対応しないもんですが・・・・・・・・

『But this low risk to inflation expectations only applies when shocks are indeed moderate and short-lived. In situations where there is a risk of shocks becoming larger and more persistent, inflation expectations can de-anchor regardless of whether the shocks are demand-led or supply-led.』

とは言いましても、ショックがモデレートで短期間の物であれば、という条件付きなのであって、そのショックが大きかったり、長期間にわたるものであれば、それはインフレ期待のアンカーが外れるリスクがあります、とゆうとるわけですな。

『Central banks must then react forcefully to prevent above-target inflation becoming entrenched.』

ですのでそういうときには対応が必要です、というお話でして、まあこれって極々普通の中央銀行の金融政策運営における原則でもあるわけでして、「需要ショックか供給ショックか」とかいう前にそもそも論としてそのショックが長期的なものになるのか、短期的なもので済むものなのか、ということを考えて対応すべきか否かを考える。でまあ供給ショックは一般的に一時的なものになるから基本は対応しないって話なんですよね。

これを今の日銀に置き換えると、「第一の力」「第二の力」とか言って第一の力には金融政策対応はしなくて良し、ということで政策修正をひたすら渋り続けているのがハトハトチキン植田日銀なのでありまして、そうじゃなくて今起きているコストプッシュの大きさ、その持続性についてちゃんと考えろって話で、為替円安この1年半の間どれだけやらかしてますかってなもんであります。

ただまあ日銀の方にも言い分というのがあって、日銀の場合は欧米と違って予想インフレ率がそもそも2%を下回ったところで定着している、というのがあるので、そもそも論としてインフレ期待をあげないといけなくて、そのためには高めのインフレ率が長く続いて、いったんアンカーが外れて動き出して2%のところで今度はアンカーさせなおさないといけません、って建付けになっているので、長期化上等というスタンスだ、と言ってしまえばそういう話でもあるのですが、だったらお前ら正面から「そもそも実際の物価が2%を超えた水準で長期間推移するのはインフレ期待の引き上げのために必要です」って言ってみやがれ(政治的に反発食らうので言わないんですけどね)ってなもんですな。

と、気が付けばまた日銀に悪態ぶっこんどりますがw

その続き。

『This was the lesson of the 1970s, when a sequence of supply shocks caused by rising oil prices ultimately morphed into a lasting inflationary shock. And with central banks at the time being seen as ambivalent about bringing down inflation, people revised their expectations about medium-term inflation.』

『Different studies reach different conclusions about the origin of the current inflation episode. ECB analysis finds that, at the peak, supply shocks were three times more important than demand shocks in explaining the deviation of inflation from its mean.[2] Other research puts a greater emphasis on demand shocks.[3]』

マクラにオイルショックの時の教訓を入れながら今次局面での話に入ります。

『But this delineation between supply and demand, while relevant, has not been the most important factor in our current cycle.』

と来て次ね。

『We needed to base our decisions not only on the source of the shocks, but also on their size and persistence. This was because the shocks were so large and persistent that we faced a genuine risk to inflation expectations.』

>not only on the source of the shocks, but also on their size and persistence
>not only on the source of the shocks, but also on their size and persistence
>not only on the source of the shocks, but also on their size and persistence

まあ当然なのですが、こういうのを思いっきり言ってるわけでして、そんな状況の中で昨年みたいにポリシーパネルに植田さんがノコノコとやってきてラガルドの前で「第一の力」「第二の力」とか言ったらそらもう大変なことになってしまいますから、植田さん行かないのが妥当、というのはよくわかるというものですwwwwwwwww


・さらに「賃金と価格の好循環」も(欧州はスパイラルになったから当然とはいえ)否定モードですなあ

『Two features could have provided fertile ground for people to lose confidence in the monetary anchor.』

インフレ期待のアンカーがなくなる要因を以下説明していまして、

『First, the shocks were large enough to make many households switch their attention to inflation. At the start of 2023, over 60% of respondents in our consumer expectations survey reported that they were paying more attention to inflation than in the past.[4]』

『Second, the inflationary impact of the shocks risked becoming endogenously persistent, owing mainly to the staggered wage bargaining process in the euro area. Although there is large variation across countries, the average duration of wage contracts is two years, effectively guaranteeing a drawn-out process to “catch up” with past inflation.[5]』

1番目はインフレの上振れの大きさとその期間、というさっきからの話ですが、2番目に思いっきり「過去のインフレにキャッチアップするための賃金上昇がインフレ期待を不安定化させた」って言ってるわけでして、まあ賃金と物価の悪循環が起きた欧州だからそういうのは当然ではあるのですけれども、賃金と物価の好循環とかいう政治的にも受けがよさそうな耳障りの良い言葉を弄してしまう今の日銀って何なんですかねえという話になります。

まあ当然の話なのですがそんな状況の中で昨年みたいにポリシーパネルの植田さんがノコノコとやってきてラガルドの前で「賃金と物価の好循環を目指して」とか言ったら以下同文wwwwwwwww

『We did see some signs that the anchoring of inflation expectations was becoming more vulnerable, especially via a fattening of the “right tail” of the distribution. In October 2022, around four in ten consumers expected medium-term inflation to be at or above 5% and professional forecasters assigned a 30% probability of inflation being at or above 3% two years later.[6]』

『So, monetary policy had to send a strong signal that permanent overshoots of the inflation target would not be tolerated. As a result, we strongly emphasised our determination to ensure a “timely” return to target. Our aim was to convey our commitment to ensuring that the period of high inflation would be limited and signal a sense of urgency.』

ということで、ECBの場合は「インフレ期待の安定が脅かされている」という現状認識をちゃんと示して、それに対応して思い切った引き締めを実施しました、ということでして、物価シングルマンデートだからというのもありますが、この辺はFEDよりもむしろ明確なスタンスでリスク認識を示していた、ということが見て取れるかと思います。

でもってこの次が『The path』、『The costs』と来て最後にまとめが来るのですが、今朝は時間の関係でここで一旦勘弁させていただきまして、明日以降続きをということですいませんです。







2024/07/02

お題「短観は強いけど政策修正を渋っている人の腰をあげさせるにはパンチ不足かと/GDP2時速報改定/CP社債買入減額でしたな」

あらあらあらあら
https://jp.reuters.com/markets/bonds/

米国債10年 利回り
US10YT=XX
+4.489 +0.146

米ドル/日本円
161.4600 +0.39%

〇短観私家版分析:うーん決め手に欠けるなあ(政策修正加速的に)

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2406.pdf
短 観(概要)―2024年6月― 
 第201回  全国企業短期経済観測調査


・業況判断DI:前回が見通し対比強くて今回も見通し対比強いんですよね(しかも今回は上昇)

          (3月短観)       (6月短観)
          現状→6月予測    現状→9月予測
製造業大企業   +11→+10     +13→+14 
製造業中堅企業  +6→+5       +8→+7        
製造業中小企業  ▲1→+0       ▲1→0

非製造業大企業  +34→+27     +33→+27
非製造業中堅企業 +20→+15     +22→+16
非製造業中小企業 +13→+8      +12→+6

(前回クソ出遅れて4/5にネタにしましたがその時の駄文)
でですね、確かにこれ前回対比悪化なんですけど、前回時点の「3月予測」と比べると結構な上方乖離をしておりまして、でもって前回の短観がとにかくバチクソ強かった、という事を踏まえると企業部門強いじゃん、という話になると思うんですよね。
(ここまで3月短観時のコメント)

でまあそういう意味で「数字は前回から下がったけど内容的には強いんじゃね」という前回の見通しを達成(中小製造業除く)した上に水準も前回より強いってんですからこれはまあ文句なしに強いのですな。

ただまあここで突発性中村審議委員になってみた場合、製造業の中堅以下がそこまで強いわけでもない、というのが思いっきり気になってしまいまして、これを見て中村審議委員が「中小企業も含めて企業部門に死角なし(だから政策修正バンバンOKOK)」とはならないんじゃないかなーって思うので、その点ではうーんと唸ってしまいます。

まあ全体的に見ればクソ強いのはクソ強いというか、そもそも企業部門はここもとずーっとクソ強くて、一方で物価上がって家計部門が弱いってんですからそれを確認したという話ではありますが。


・企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない、と前回書いたがさらに堅調

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 6月:2.9%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%→6月:2.8%
3年後 6月:3.5%→9月:3.8%→12月:3.8%→3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%→6月:4.1%
5年後 6月:4.0%→9月:4.2%→12月:4.3%→3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%→6月:4.8%

大 企 業 製 造 業
1年後 6月:2.7%→9月:3.2%→12月:3.0%→3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%
3年後 6月:2.5%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%→6月:3.2%
5年後 6月:2.5%→9月:3.2%→12月:3.1%→3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%→6月:3.3%


大 企 業 非製造業
1年後 6月:1.5%→9月:1.9%→12月:2.1%→3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%→6月:2.1%
3年後 6月:2.2%→9月:2.4%→12月:2.6%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:3.1%
5年後 6月:2.6%→9月:2.8%→12月:2.9%→3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%→6月:3.4%

(3月短観時の1行コメントはこちら)
ちょwwwwwwwおまえらwwwwwwまた上昇しとるやないかwwwwwwwww

って3月短観で書いたのですが、なんか上昇加速してるじゃんということで、しょみーんの財布には1ミリも優しくない訳ですが、それはおどれがてーして給料も上がらん程度の無能だから仕方ないんですねわかります。

てかさ、そういう実質ベースの調整がしやすくなるのがインフレレジームのメリットだということを勘案しますと、そもそも論として実質賃金のプラスとか好循環とかいうのがインフレ目標政策で掲げられていることが頭おかしいとしか言いようが無いわけで、これ言い出した黒田は罪万死に値するし、それを否定するどころかさらに拡大再生産している植田は地獄の火の中に投げ込まれるべきという話になりますわな。


・企業の物価全般見通しですがこういうのは「インフレ期待が2%にアンカーされている」と言わんのか???(こちらは中小企業を)

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 6月:2.4%→9月:2.6%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.4%
3年後 6月:2.0%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%→6月:2.3%
5年後 6月:1.9%→9月:2.0%→12月:2.0%→3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%→6月:2.2%

中小企業 製 造 業
1年後 6月:2.8%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%→6月:2.7%
3年後 6月:2.3%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%
5年後 6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%→6月:2.5%

中小企業 非製造業
1年後 6月:2.5%→9月:2.7%→12月:2.8%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%→6月:2.6%
3年後 6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%→6月:2.5%
5年後 6月:2.0%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%→6月:2.4%

(3月短観時のコメントはこちら)
これさあ、もう完全に「安定期」に入ってるじゃんという話でして、これでなんで期待インフレがまだ2%に行ってない!とか言い切るわけあのハトハトチキンジジイは、というお話な訳ですけど・・・・・・・(ちなみにハトハトチキンちゃん頼みの物価連動国債のBEIが足元ツエツエ蠅なのは先ほど申し上げた通りですw)。
(ここまで3月短観時のコメント)

って3月短観の時にも書いた(というか上記小見出しがそもそも前回と同じw)のですが、これでなんでインフレ期待が2%じゃないって言い張っているのかが全く意味がわからなくて、この物価上昇局面で完璧なまでに外しまくってもうお前ら全員退場しろとしか言いようが無いESPフォーキャストとかいうポンコツサーベイ持ち出して説明するのいい加減止めてくれませんかねえ。

ちなみに物価連動国債のBEIはなんだか知らんけど月末月初の2日で突如下がってしまったのですが、それでも10年カレントで150とかなんで、たしかにまあ200じゃないけどこれが200行ってないから市場の織り込むインフレ期待が2%にアンカーされていないというのは話に無理があるんじゃねえのとは思いますけどね。




・販売価格判断:コストプッシュの循環メカニズムがワークしておられるようにしか見えませんが・・・・・・・・・

            (3月短観)         (6月短観)
           現状→6月予測      現状→9月予測
製造業大企業   +25→+24       +29→+27
製造業中小企業 +26→+33       +30→+37

非製造業大企業  +27→+28      +29→+30
非製造業中小企業 +26→+32      +28→+33


・仕入価格判断
          (3月短観)          (6月短観)
          現状→6月予測      現状→9月予測
製造業大企業   +42→+41      +47→+44
製造業中小企業 +56→+59      +61→+62

非製造業大企業  +43→+42     +47→+46
非製造業中小企業 +53→+56     +55→+58

(3月短観時のコメントはこちら)
こちらなんですけど、製造業中心に「先行きの販売価格判断が上がっている」のが目に着くわけでして、こんなんどっからどう見てもノルム変化しとるわけで、むしろインフレ期待が上に振れる方を心配しないといけない時間帯に入っているんじゃないのか、としか思えないのに、なんでああ皆さんのほほんとしておられるのでしょうかとくにハトハトチキンジジイお前だよお前。
(ここまで3月短観時のコメント)

これね、前回はノルム変化とか申し上げていましたが、仕入判断が前回対比上がって販売判断が前回対比上がっている訳でして、ノルムとかそんなぬるいものではなくて、ただの輸入価格コストプッシュの前向き(全然前向きじゃないけど)循環メカニズムがワークしているようにしか見えませんし、足許では財務省や内閣府からも苦情の出る驚異の馬鹿コミュニケーションによって一段と円安になっている訳でして、いやマジでこれどうするの。


・雇用判断DI:強いんだが中堅中小が前回対比悪化しているのでこれは中村審議委員の出番orz

            (3月短観)        (6月短観)
           現状→6月予測     現状→9月予測
製造業大企業   ▲17→▲18     ▲18→▲18
製造業中堅企業  ▲24→▲27     ▲23→▲28
製造業中小企業  ▲24→▲31     ▲21→▲27

非製造業大企業   ▲37→▲37    ▲39→▲38
非製造業中堅企業  ▲46→▲49    ▲46→▲49
非製造業中小企業  ▲47→▲50    ▲45→▲51

(3月短観時のコメントはこちら)
雇用に関しては前回の短観では「前回強いと書いた以上に強い!」と書きましたがそれは変わらずでございまして、これまた強いわけですよ。
(ここまで3月短観時のコメント)

ということでして、まあ水準自体強いのはいつもの通りなのですが、これ気になるのは「現状判断DIを前回対比で見た場合」ですけど、大企業はマイナス幅拡大=雇用不足感の拡大になっているのですが、それこそ中村審議委員(たぶん他にもハト系の人でいると思うんだが)が注目する中小企業に関しては、中堅以下が地味に前回対比でマイナス幅が縮小=雇用不足感の縮小になっているのが地味に痛くて、これはチキン総裁がチキンの理由にしたくなるのに絶好の展開。


・その他

想定為替レート
(参考)事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)

2024年度 米ドル円 
2024年3月調査:通期 141.42 上期 141.60 下期 141.25
2024年6月調査:通期 144.77 上期 144.96 下期 144.59

これ調査のタイミング的には6月上旬の回答だったと思うのですが、うーん上期145円かよってなところでして、まあねえって感じです。

設備投資計画
・・・・・はグラフの方を見る話になるのでこっちには貼れない(スキルがない)のですが、これは別にビビるような強さとか弱さとかは無いって感じなのかな、知らんけど。


アタクシこのへんただ門前の小僧としてみているだけなのであれなんですけど、この数字だと強いには強いのでしょうけれども、政策修正慎重派の腰をあげさせるほど強いのかというと、「企業部門が強い」ってのはそもそも論としてメインシナリオのど真ん中に鎮座している話だと思われますので、そういう意味ではただの「見通し通りに推移しておりますなあ」だけで短観一発で7月利上げまでセットで打ち込んでくださるのはちょっと力不足かなとは思ったのですがどうでしょうか。

まあその前に円安がちまちまと進行しておられる次第なのでそっちのせいで云々というのは大有りだし、何なら神田大明神最後のご奉公でちょっとハトハトチキンをシバキ上げて輪番大減額と0.25%への利上げを飲ませてから退任していただけると誠にありがたいのですがwww



〇これはもしやスタグフレーションって奴なのではないかと(GDP2次速報改定値)

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
国民経済計算(GDP統計)

最新の四半期別GDP速報

2024年1-3月期・2次速報(改定値)(2024(令和6)年7月1日公表)

記者公表資料(PDF形式:84KB)PDFを別ウインドウで開きます
主な時系列データ(PDF形式:493KB)PDFを別ウインドウで開きます
統計表一覧

ということで記者公表資料を見ますと
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1r.pdf

国内総生産(GDP)
前 期 比
2次速報値(2024.6.10公表):-0.5
2次速報(改定値):-0.7

でもって年率換算だと-1.8→-2.9ということで、公的需要のところで改定があったから大きく下方修正になったんですけど・・・・・・・・

PDF5枚目の『3−1.四半期別の実質成長率(季節調整系列)』ってのの最初のところを見ますと、GDPの伸び率が前期比季節調整ベースで

2023年7-9:▲1.0(年率換算▲4.0)
2023年10-12:+0.0(年率換算+0.1)
2024年1-3:▲0.7(年率換算▲2.9)

とかいうお洒落な数字になっている訳でして、いやこれ円安物価高何とかしろやこのクソボケ植田って話になるんじゃなかろうかと普通は思うのですが、ここで植田大先生の場合は「経済が弱いので緩和的な金融環境で経済を支えなければいけない(キリッ)」とか言い出して政策修正を一段と渋って円安がさらに進んでコストプッシュのスタグフレーションに本格的に日本を投げ込む貧乏神として活躍するに1万麿という感じなのが恐ろしい・・・・・・・・・・


〇そういえばCP社債買入減額ですな(まあ既定路線なのでアレですが)

さーせん昨日なんも書かなかったので備忘に

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240628a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2024年7月〜8月)

8月買入分から、CPは3000×2→4000×1、社債は750×1→500×1ですが、まあこれは既定路線なのでこの調子で減額ってことですし、減額すること自体は織り込み済みなんでこれがにわかに材料になることもない、ということですな。まあ輪番もバンバン減らしていただければ宜しいかと思いますし、「市場で消化できないから日銀が買うしかない」とか言ってる向きが割とちゃんとした人の中にもいるのですが、節子それは財政ファイナンスやという話で、そんなもんは市場で消化できない国債発行しているのが悪いのであって、市場で消化できないなら国債発行を減らせやという話だし、それでも発行したけりゃトラスショックで馬鹿政治家の目が覚めるってなもんでしょ、などというと過激派扱いされるので用法容量には十分注意してくださいませwww


ということで甚だ簡単ではございますが今朝はこの辺で勘弁




2024/07/01

お題「7月会合までの一番大きな指標は短観かと/基調的な物価に関してなんかペーパーが/短国とか輪番とかのメモ」

ほうほうそうですかそうですか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240701/k10014497751000.html
フランス国民議会選挙 極右政党が得票率首位予測 仏公共放送
2024年7月1日 4時30分

〇こうなってくると今日の日銀短観は久々に注目材料になりますな

日銀の公表ご予定金曜日アップデート後
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定

『資料や統計などの公表予定、金融政策決定会合や総裁定例記者会見の開催日程などを掲載しています。原則として、毎週金曜日に更新されます (2024年6月28日更新)。』

ということで以下掲載されていますが、どう見ても政策委員の講演予定は追加されていません本当にありがとうございましたorzorz

いやおまえらさあ、6月にあれだけ重めの公表して、しかも円安はホイホイと進んでいるって状況なんだからせめてなんかの講演(金懇は無観客金懇というのがあり得ないから急には入れられない)無理なので日経センターでも時事通信でも共同通信でも読売国際でもなんかぶっこんでやれよと思うのですが、いやーまあだんまりで通すつもりですかねえ。

ただまあ今の日銀だと情報発信すればするほどドツボにハマりそうなので、人間が発信するよりも淡々と指標が出てくるのを市場に判断させた方が良いともいえるのですが、やらないならやらないで「特に予定ないっす」って何らかの形でお伝えした方が良いと思うの。市場の中の人たち「いつぶっこまれるか」で結構ピリピリしてると思うんだ。


それは兎も角本日はこれですよこれ。

7月 1日(月)
8:50 ○ ● 短観(6月概要)
8:50 ○ ● 短観(6月要旨)

黒ちゃんになってから「政策先にありき」だったし、短観とか知らんがな状態が続いておりましたけれども、最近は「普通の金融政策」を標榜しているだけに、物価指標の数字だけではなくて経済の状況を見ましょう、ということに徐々にシフトしている(はず)わけで、まあそれはそれで健全な方向に進んでいる訳ですからして、そうなると昔みたいに短観がクッソ重要になってくる、ということになりますわな。


この前の主な意見でも
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240614.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 6 月 13、14 日開催分)1

『・当面、中小企業の正規雇用や年金受給者については、賃金や受給額の増加が物価上昇に追いつかない可能性がある一方、非正規雇用や大企業の正規雇用については物価上昇以上の賃金上昇が期待できる。こうした賃金動向が個人消費の先行きに及ぼす影響を注意してみていく必要がある。』

『・中小企業の収益力はコロナ前より大幅改善した大・中堅企業に比べ弱く、投資も低調で賃上げ率も低い。少子高齢化等の構造的問題を抱え国際競争力が低下している日本で、賃金と物価の好循環を実現するには、成長志向の中小・中堅企業が投資・事業構造強化を進め、スタートアップが躍進し、資金・人材を集め成長スパイラルを創出する必要がある。』

『・為替円安に伴う物価上昇のもとでも賃金と物価の好循環が着実に強まっていくためには、中小企業の価格転嫁が進展するとともに、名目賃金上昇率が一段と高まっていくことが重要である。』

まあ全部中村審議委員だったりしたら何ですが(2番目のは間違いなく中村さん)、それはともかくとして主な意見見た感じですと先日申し上げたように意見拮抗ややハト寄り、となっている訳ですので、そうなってくると中小企業にフォーカスしてハトの立場になっている中村さんがサクッと政策修正まあ問題なじゃろとなってくれるのは割と重要な気はするわけですな。いやまあもちろんハトハトチキン総裁がチキンじゃ無ければ押し切ってしまうんでしょうけれども、とにかく総裁がハトハトチキンなんでがっつりハトな人がいると中々まとまりにくい。


・・・・・・・・・ということでですね、どうせ大企業の景況感は良いに決まっているので、そっちは比較的どうでもよくて、中堅中小の内容の方がポイントになるという割と珍しいパティーンが想定されるわけでござんすな。マクロを見るための短観ではなくて、中堅中小の状況を見る短観ですわ、というのはあくまでもアタクシの個人の感想でございますがどうかしらね。


〇サービス価格が基調物価判断に重要ですという後付けペーパーキタコレ

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab24j02.htm
わが国における賃金・物価上昇率の連関
上野陽一(日本銀行)
Research LAB No. 24-J-2, 2024年6月28日

リサーチラボシリーズは基本的にがっつりペーパーのお子様向けバージョンという物件なので、では元のペーパーどこにありますねん、という間もなく日銀新着にリンクがありますが、

https://www.boj.or.jp/en/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24e07.pdf
Bank of Japan Working Paper Series

Broad-Perspective Review Series

Linkage between Wage and Price Inflation in Japan
Yoichi Ueno

ということでこれまた英文キタコレなのですけれども、悲しいかなペーパーの頭に例の「多角的レビューシリーズ」のロゴが付着している時点でお察しなんですが、ではまあ日本語のお子様向け解説の方を拝読してみましょう。

URL再掲
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab24j02.htm
わが国における賃金・物価上昇率の連関
上野陽一(日本銀行)
Research LAB No. 24-J-2, 2024年6月28日

『要旨

今次局面では、(1)コストプッシュによる物価上昇と、(2)賃金と物価の好循環の強まり、という2つの変化が生じており、(2)の動きを抽出することが物価の基調を捉えるうえで重要である。本稿では、こうした考えに基づいて、賃金と物価の基調的な動きを抽出するとともに、両者の連関について定量的に分析したUeno(2024) [PDF 1,562KB] の概要を紹介する。』

とのお告げなのですが、コストプッシュだから対応しなくて良い、というのはそもそも論としておかしくて、現実に起きている物価上昇が持続的なものなのか一時的なものなのか、という点を考えて政策対応をするのが「通貨の番人」のお仕事ですよねという話なので、まあだいたいからして最初のアジェンダセッティングが問題含みにしか見えません。

コストプッシュだからと言ったってそれが構造要因に起因するもので(それこそグローバルな分断の発生とかまさにそうじゃん)あれば、それは一時的なものにとどまらない可能性がある訳で、それを一時的だからいずれ下がるといい続けている間に適合的期待形成が上振れてインフレ期待がアンカーされなくなってもお前は対応しないと言ってるのかと小一時間。、

『主な分析結果は次の3点である。第一に、物価の基調を捕捉するには、賃金・物価のきめ細かい情報を用いるモデルによって、サービス価格のトレンドを抽出・活用することが有益である。』

サービス価格キタコレ!!!!!

『第二に、賃金と物価の連関は、1998年頃に失われたが、コロナ禍以降はサービス価格と非製造業の賃金を中心に相応に回復している。』

はいはいサービス価格サービス価格。

『第三に、賃金と物価の連関が強まった契機としては、賃金交渉時に物価を参照する動きの拡がりや、労働需給の顕著な引き締まり、海外ショックの波及の変化、企業の価格マークアップの安定化などが挙げられる。』

だそうなのですが、さてここれ日銀謹製の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」の能書きを再確認しましょう。

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

『物価動向の分析にあたっては、現実に観測される消費者物価の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率(いわゆる「コア指標」)がよく利用されています。その際には、特定のコア指標に依存するのではなく、様々なコア指標を総合的にみていくことによって、基調的な物価変動をより的確に把握することができると考えられます。』

だそうなのですが、関連ペーパーとして示されているペーパーを見ますと、

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j11.htm
消費者物価コア指標とその特性
景気変動との関係を中心に
2015年11月20日
調査統計局 川本卓司、中浜萌、法眼吉彦

ペーパーはこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/data/rev15j11.pdf


https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j12.htm
消費者物価コア指標のパフォーマンスについて
2015年11月20日
企画局 白塚重典

ペーパーはこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/data/rev15j12.pdf

ってのがあるんですが、「物価の基調を捕捉するには、賃金・物価のきめ細かい情報を用いるモデルによって、サービス価格のトレンドを抽出・活用することが有益である」って話が欠片も無いんですよねーーーーーー、なんですかこれって感じですな。

ついでに言うとYCC導入時に行った総括的検証をしたときは

2016年9月
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160921b.pdf
「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証
【背景説明】(注)

・・・・・思いっきり「予想物価上昇率がQQEとその後のマイナス金利政策で思うように上がらなかったのがアカンでした」という話で基調的物価がどうのこうのなどという話はなく、その後2018年にフォワードガイダンスを導入して金融緩和を強化した、ということになっている時には展望レポートのBOXが特集になっていまして、

2018年7月
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2018/rel180731f.pdf
経済・物価情勢の展望(2018 年 7 月)
─ 賃金・物価に関する分析資料* ─

ちなみにこの時のBOX祭りの見出しですが、

(資料1)最近の労働供給の増加と賃金動向
(資料2)家計の値上げに対する許容度
(資料3)企業の慎重な価格設定スタンス
(資料4)企業による生産性向上に向けた最近の取り組み
(資料5)競争激化と部門ショック
(資料6)公共料金と家賃の動向
(資料7)予想物価上昇率の「適合的な期待形成」メカニズム

ってなっていまして、まあこういう話を散々しておいて、いざ物価が上がって政策修正を渋る段になったら今度は急に「サービス価格ガー」とか言い出している訳ですな。

でもってちょっとこのペーパーからは話がずれるんですけど、多角化レビューのWSの資料とかにもありましたが、ここに来て急に「労働市場の構造変化が云々」ってのを言い出しているのも目立つんですけど、こちらは上記のように2018年7月の展望レポートでも示されているんですけど、

『足もと人手不足が強まるもとで、女性や高齢者を中心に労働力率の上昇ペースが加速している。仔細にみると、「女性(15〜64 歳)」は、人口が減少しているにも関わらず、政府による就労環境の整備もあって、労働力人口が増加している2(図表 B1-1@)。また、「高齢者(65 歳以上)」は、高齢化に伴って人口が増加するなか、最近は労働力人口がそれ以上のペースで増加している(図表B1-1A)。』

『ここで、女性や高齢者のパートにおける労働供給の賃金弾力性(賃金が1%増加した場合の労働供給の増加率)を計測してみると、労働参加が近年顕著な女性(15〜64 歳)および高齢者(65 歳以上)で、男性(15〜64 歳)よりも高いことが確認できる3(図表 B1-2)。』

『すなわち、こうした層では、同じ賃金上昇率に対して、より多くの労働供給がなされることになる(図表 B1-3)。この結果、労働需要が高まると(図中の労働需要曲線の右方シフト)、より多くの労働供給がなされる一方で、結果として、賃金上昇を抑制することになる。』

『仮に、女性や高齢者の労働供給が弾力的になされていなければ、賃金上昇はより大きくなっていたと考えられる。』

(以上の部分は直上URL先、2018年7月決定会合付属資料の「資料1」から引用)

ってことで、別に今に始まった話じゃないのですが、労働市場の構造変化は高圧経済アプローチのおかげとか言ってたりするんですけど、どう見てもただの人口動態要因です本当にありがとうございましたというのが2018年から現在にかけて何年かかっていましたっけとか考えると妥当にしか見えないわけで、どうもこの多角的レビューって結局黒田緩和の正当化に使っているだけで、先般吉川先生が指摘したような「そもそも巻き戻すのにこんなに苦労しないといけない政策を導入する必要があったのか」という観点からのレビューになっていない時点でポンコツレビューだし、このロゴがついてるペーパーが最近やたらめったら量産されているのですが、結局QQE政策が本当に実施すべきものだったのか、という点に対してクソの役にもたたないもんばっかり出てきてて、何ちゅう才能の無駄遣いと思っておじいちゃんは悲しくなってしまいます。

ついでに言えば
https://www.boj.or.jp/mopo/r_menu_ron/index.htm
金融政策に関連する論文等の一覧

を見ても賃金とサービス価格がどうのこうのとか今まで全然言ってなかったものがQQEおっぱじめて11年もしてから出てくるってどういう事よとは思う訳ですな、あっはっは。


・・・・・・いやまあ宮仕えはつらいのはわかるんで、書いてる当人たちよりではなく、この多角的レビューを嬉々としてやっているスットコドッコイのハトハトチキンが悪態をつかれるべき、というのを最後に付け加えさせていただきます。


〇3M短国はやっと金利低下止まっているので四半期明けの動向はどうっすか(メモだけ)

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240628.htm
国庫短期証券(第1240回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1240回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号  国庫短期証券(第1240回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日    令和6年7月1日
4.償還期限   令和6年9月30日
5.価格競争入札について
(1)応募額          14兆6,845億円
(2)募入決定額     4兆1,795億5,000万円
(3)募入最低価格    99円99銭5厘0毛
(募入最高利回り)     (0.0200%)
(4)募入最低価格における案分比率     96.7946%
(5)募入平均価格    99円99銭6厘0毛
(募入平均利回り)     (0.0160%)』

いやーここもと続いた3M短国の入札のたびに金利低下とかいうとんでもないのが一段落。

・・・・・とは言いましてもまあ水準は相変わらずの水準ですし、そもそも論として「日銀の出方がさっぱりわからんから金利リスク取りたくないでござる」というトレンドが変わっているわけでもないと思うので、結局金利リスク回避の避難小屋に駆け込んでくる状況がそう簡単に変わるわけではないと思うのですが、長期金利とかいう大都会から短国集落にドカドカと皆様やってくると集落の人がオーバーツーリズムでエライことになるんでとっととお帰り頂きたいのですが、お帰り頂くには日銀ェ・・・・・・・


〇輪番とかオペ紙とか

そういや金曜は四半期末なのに輪番やりやがりましたが(時々やるのですが勘弁してほしい)

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240628.htm
国債買入(残存期間3年超5年以下)     4,250  2024年7月1日
国債買入(残存期間10年超25年以下)   1,500  2024年7月1日
国債買入(残存期間25年超)          750   2024年7月1日
国債買入(物価連動債)              600  2024年7月1日

ということで予想通りに同額、と思ったらオペ紙の方も、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240628c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の予定(2024年7月)

めんどいから詳細割愛しますが同額でしたな。まあ5.13事件で懲りたと思われるのと、そもそもこれから市場参加者と会合やって相談する、という建付けになっている以上、その前にいきなり裁量の範囲内ですからとか言って減額したら、今度の会合が完全に茶番になってしまって、会合で日銀が詰められるだけですからまあしゃーない。


ということで今朝はこの辺で勘弁