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2024/05/31
お題「10年1.1%記念メモとかその他雑談/安達審議委員金懇会見での輪番絡みの質疑を鑑賞する」
なんじゃこりゃ
https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/kokko/elec/ke_release/elec240530a.pdf
国税・地方税キャッシュレス納付推進全国宣言
むしろアタクシだけ納付レスということでお願いしたいのですが、納付レスの前に還付レスの方が先に来ますかそうですかそうですか。
〇10年1.1%までやらかして戻ったので記念備忘メモや雑談など
・10年1.1%はさすがに調子に乗りすぎだったようで(市場メモ)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/75AO6KQDEZLV3FEOJ5YLMR6WGY-2024-05-30/
国債先物は反発で引け、終盤切り返す 長期金利一時13年ぶり1.1%
By ロイター編集
2024年5月30日午後 3:52 GMT+9
『[東京 30日 ロイター] - 東京円債市場で、国債先物中心限月6月限は前営業日比8銭高の143円20銭と反発して取引を終えた。米金利上昇や日銀の政策修正に対する警戒感が相場を圧迫したが、2年債入札を無難に通過し、午後に切り返した。新発10年国債利回り(長期金利)は午前に一時2011年7月以来の高水準となる1.100%を付けたが、午後は1.055%に低下した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで昨日は朝からホイホイと先物が叩かれて10年は前場に1.1%とかさすがにずいぶん見てなかった金利をマークしてビビってしまいました。
ただまあそこからは少しコツンという音でもしたのか、2年入札をきっかけに、ということになっていますが、入札結果出た直後から戻ったわけでもなくて10分くらいラグを置いてたので、なんか買いでも入ったんチャイマスカ的に戻ったんだとはおもうのですが、
『午後に入ると、財務省が実施した2年利付国債入札が「事前に不安視されていたが、無難な結果だった」と受け止められたことから、先物相場は徐々に下げ幅を縮小。取引終了間際にプラス圏に浮上した。』
ということになりまして、火曜日までは牛がモーモー言いながら涎垂れ流しみたいな感じではあったものの、水曜と昨日の前場はオリャーという感じも漂っておったので、勢いよくやってはみたものの1.1%とかいうかなりの前の時の水準までやったので何ぼ何でもコツンと行きました的なアレですかね、知らんけど。
・さて今日の輪番はどうするんでしょうかねえ
でまあ今日は中期後半以降の主要年限全部(と物価連動国債)の輪番が予定されています。
昨日前場1.1%マークしてた時分には「いやこれマジで明日輪番増額したら腹抱えて笑うしかないんだがあの日銀ならやりかねない」とマジのマジで思ってこりゃどうなるかと思いましたが、まあさすがに今日はんかの間違いで前場また暴落でもしない限り輪番は同額でぶっこんでくるんでネーノって感じになるかとは思いますがどうでしょうかね。
まあいずれにしましても、輪番はこの前札割れになった1-3以外はいじろうにもいじれないと思うんですよね。うっかりサプライズ減額やった結果とんでもないことが起こってしまったのにさらに減額とかそんな大胆不敵なことできないでしょうし、一方でうっかり増額でもしようもんなら話がさらにややこしくなりますから。
〇結果的には輪番減額が日銀の伝統芸能を披露する様式美の世界になったわけで
しかしまあ何ですな、昨日の10年1.1%はもはや乾いた笑いしか出なかった訳ですが、輪番減額だけが今回の相場の要因というのはさすがに言いすぎで、他の要因(アメリカン金融政策の見通し要因)とかもあったりするのですけれども、まあそう言いましても今回は日銀が5/13に実施した5-10輪番のサプライズ減額が相場をこけさせる切っ掛けになったのは間違いないわけで、1.1%まで金利が上がったのはご愛嬌ですけれども、それにしても債券市場のいろんな流れを変えてしまった訳でして、これがまあ確信犯で金利を上げようと思ってやってたんだったら「してやったり」にも程があるのでそれはそれで日銀大勝利という事なのですけれども、そうじゃなくてなんかこう無邪気に減額したら大変なことになってしまいました、という流れになっているようにしか思えないわけでして、そうだとしますと毎度毎度のことなんですけど、日銀ってこの手のマーケットに対するアクションを行うのが何でそう間が悪いのか、という伝統芸能という感じなんですよ。
まあ近い過去で一番ひどかったのは「誰がどう見ても何らかの緩和措置を伴うと思われる臨時金融政策決定会合開催のアナウンスを、10年国債入札の前場引け後になって実施」という究極のマーケットメーカー殺戮プレイが行わた時でして、入札前だから応札するマーケットメーカーは落札した後にある程度残るであろう在庫のヘッジで前場引けまでにショートを幾分かは作って前場を引けたところに、「きょう臨時で決定会合やりますよ」というアナウンスが来まして、入札を踏み入札で迎えなければいけなかった、という結果になったわけですな。
なんちゅうかこの一事が万事で、時々とんでもないことを平然と行ってしまうという日銀なのですが、これが伝統芸能として確立されているの、頼むからもうちょっと改善できないのかと思うのですが・・・・・・・・・
ま、昨日も申し上げたようにサプライズ中期輪番スキップからの阿鼻叫喚相場で最後にインマネ指値オペをぶっこんで収拾、という懐かしいものを思い出していましたが、今回は状況的に輪番増額して収拾は収拾になっていない(コミュニケーションが一段とカオスになる)ので自然鎮火(?)を待つしかないですわな。
〇まあ結局これは長期金利ペッグ政策の出口で発生する究極の選択問題なんですよ
長期金利ペッグ政策って「行きはよいよい帰りはこわい」の究極系に近い政策で、アメリカだって昔は長期金利ペッグの出口のさいに議長の首が二つ(でしたっけ)くらい飛ぶというような流れになった(のでその反省もあって長期金利ペッグはダメゼッタイという運営でした訳ですな先の緩和時代も)のですが、これ要するに今の環境に引き直すと、出口において「長期金利の上昇を容認」するか「為替安を容認するか」の二択を迫られているのですが、それこそが長期金利ペッグ政策の本当の意味での副作用な訳ですよ。
でまあ今のところそれをなんかどっちもうまくやろうとして直近一旦コツンとは行ったと思いますが、この間ってうまくやろうと思ったけど長期金利は上昇するわ通貨安は止まらんわということで、中途半端に小手先の凌ぎ策をぶっこんだらダメでした、ってなもんや三度笠な訳ですな、ナムナム。
まあそんなわけですので、6月7月の会合ではこの究極の選択に対して(日銀は表向き通貨政策に関しては財務省に丸投げということになっているので明示的に通貨の話をしにくいのが困るんですけど)何らかの明快な整理をつけておかないと、いつまでたってもこんな相場やってることになり、まあ不幸なことが続くと思うのですけれども、以下一昨日の安達審議委員金懇会見を読むのですが、ちょっとそこには漠然とした不安が・・・・・・・・・・・・
〇安達審議委員金懇会見:この調子で6月会合で輪番の指針って出せるのかよというそこはかとない不安
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240530a.pdf
安達審議委員記者会見
――2024年5月29日(水)午後2時30分から約30分
於 熊本市
一部ベンダーさんではこういうときのヘッドラインの打ち方にバイアスがあるように見受けられまして、いやあのですねあなた方は報道にバイアスかけないでほしいんですけど、と思うのですがバイアス掛けないと記事がヒットしないとか、記事がヒットしなかったら営利団体として営利活動にならんとか、まあそういう大人の事情があってムツカシイというのもあるので、後からちゃんと裏を取って「ここのヘッドラインの打ち方にはこういうバイアスがある」というのを理解したうえでニュースヘッドラインに反応する、というのが大事だと思います。
特に植田総裁は無駄に両論併記するので切り取られ方によって印象が違うという事が多々ある(その点黒ちゃんの場合は切り取られリスクの少ない喋りではあった)ので注意しないといけないんですよね。
というのは兎も角としまして、安達審議委員の金懇って基本的に大本営の伝達用スピーカーシステムなので、そういう意味では会見に関しても大本営の考えが伝わるのでそっちの意味では便利、ということで見るわけですよ。
・長期金利に対するコメントを見るとこの人たちYCCから発想が脱却できていませんね
金懇の場合は基本的に最初の幹事社質問は今日はどうでしたかというのと、地域経済に関するお話になるのでその辺はかっ飛ばしまして、2ページ目の質疑に入ります。
『(問)長期金利についてお伺いします。長期金利、今日も上昇して 12 年半ぶりの高水準になっているようです。最近の長期金利の上昇についての受け止めをお願いします。』
というのが前半で、後半は輪番。
『また、今日は午前中の講演で、国債買入れについてですが、どこかの時点で減額させるというふうにおっしゃってました。その見直しのタイミングなのですが、早い方がいいのか、当面は見直さないで状況を見守るのか、その辺りについてお願いします。』
でまずは長期金利ですけれども、
『(答)まず長期金利についてはですね、これは日々動いているわけでありまして、ちょっと今の段階ではですね、まだ具体的にコメントするような材料はないので、一応差し控えさせて頂きたいというふうに思っております。』
まあこれは良いんだがこの後余計な言葉が続く。
『一応YCCを解除した大きなポイントは、基本的にはやはり[金利が]市場において形成される度合いを高めていこうということでありますので、それが景気に対して悪影響を与えるほどの上昇になれば、これは懸念される状況ですので、』
そもそも論として「市場で金利が形成される」のを是とするんだったら、「景気に対して悪影響を与えるほどの上昇」ってのはよくよく考えると変な話でして、金利は経済物価などに応じて形成されるんですから、市場金利上昇がドライブした結果景気が悪化するってのはちょっとおかしい話ですわな。
市場金利上昇が経済物価情勢と関係ない要因、例えば財政破綻懸念があるから国債ウリウリモード、みたいな他の外生要因によって売られる場合に、それが過度かつ長期間継続すれば景気に対して悪影響、ってのはあるかもですが、なんもない中で金利が引っ張って経済を悪化させるまで上昇するってのは相当無理のある話なんですよね。
というそもそも論の立場から見ますと、この大本営もとい安達さんの説明っていうのは、その思想の背後に「長期金利ペッグ(今回で言えばYCC)政策残滓がある」という事でございまして、いやだからそれがあるから今ややこしいことになってるんだぞ、というのがどうもわかっていなさそうだとアタクシは思うのですよ。
ですからして、
『その辺はいずれにせよ、今後非常に、より注意深くモニタリングしていく、その材料の一つであるというふうには認識しております。』
ってのも結局これ長期金利に再介入するような発想がないとこういう言い方にならんわけでして、YCCから頭が抜けていない、というのがありますと、仮に今後短期政策金利が今の実質ゼロみたいな金利から0.25%だの0.50%だのになった時に、債券市場への関与という発想を残したままだと無用な介入を行い、その結果日銀の不規則な動きが市場に大きな影響を与えることになるから国債市場に置いて無用なリスクプレミアムを要求されることになる、という結果に繋がるんじゃないかという懸念がぬぐい切れない、というのがアタクシの見立てですが、まあこの点については見解が分かれるところだと思います。
・輪番をどうするのかについての説明がカオスにもほどがある件について
さっきの質問の後半の回答になります。
『国債の買いオペの話につきましては、3 月に一応今の方針を決定しまして、現状
1 回減額させて頂いたんですけれども、これはわれわれが 3 月に決定した、これはレンジを定めてましたので、そのレンジ内でありますので、基本的には減額したというよりも、ちょっと状況をみながらですね、国債の需給の環境を今注意深くみている状況だというふうに思います。』
このカオスな説明、まあ大本営のお告げがこれな訳でして、結局じゃあ何が判断基準になって減額をしたのか、というのが一切分からないというのが恐ろしいにもほどがあるわけでして、今後の輪番の上げ下げ(上げないのかもしれませんが)についてもまったく予見可能性がない、という事を意味するわけでまあヤバいですなこれは。
『なので、何かしらの、例えば政策意図を持ってやったわけではないというふうに考えています。』
政策意図はない、判断基準はなんだかよく分からん、って何なんだよそれって感じでして、だったらもうオペ紙のレンジもやめて1か月固定ただし金融政策決定会合によって変更になる場合もありますああそれから無茶苦茶投機的な動きがあったら臨時入れるかもよ、の方がよっぽどマシなんですけどね。
『減額のタイミングにつきましてもですね、一応 3 月の政策決定会合の中では、例えばインフレ率とかそういうのにひも付けた、いわゆるマクロ経済政策とは一応別のかたちで、市場の需給動向とかですね、機能度とかそういうものを総合判断で決めていくということですので、』
「市場の需給動向とかですね、機能度とかそういうものを総合判断で決めていくと」と全然関係ないタイミングで減額してるんですけど・・・・・・(やるなら4月の前半位に(初回は減額しないで様子見ましたが大丈夫そうだったので入札が減った分だけ減らします」ならまだ話が通じた)
『そこは早くした方が良いとか、遅くした方が良いというような判断というのは今のところはございません。』
で、
『これは日々需給をみながら、その都度判断していき、最初は現場に裁量を任せている範囲内で対応して、その後はまたそれで考えていくということであります。
』
日々需給を見ながら判断してたら5/13の減額は明らかにサプライズになるの分かると思うのですけどねえ・・・・・・・・・・・・・・
ということで、まあこりゃアカンという話になっている上にですね、
その後の質疑で4ページの質問(答えは5ページ)になるんですけど、国債買入に関する質問が再度ありまして、
『(問)まず国債の減額のことなんですけども、先ほど講演でも触れられていますが、本格的に減額するということを決めた場合ですね、やっぱり長期金利が上がりやすくなって、景気への影響というのも、一つ重荷になる可能性もあります。そういうことを考えると、やっぱり国債の減額をするに当たっては、日本の景気状況っていうのをしっかり点検したうえで、判断してやられるかどうかってことが一つ。
(後半割愛)』
でもってこの回答。
『(答)基本的にですね、今学界とかでもよく言われてますけど、金融政策、リスクマネジメントベースで考えるという議論がございまして、先ほどご質問された話はまさにリスクマネジメントの一つとして考えているというところであります。』
ちょwwwおまwwwwさっきの質疑で「例えばインフレ率とかそういうのにひも付けた、いわゆるマクロ経済政策とは一応別のかたちで、市場の需給動向とかですね、機能度とかそういうものを総合判断で決めていくということ」って言ってるのに何を言い出してますねん・・・・・・・・・
『ただ国債の減額については、これは一種の長期的なスタンスとして、』
と来たので話が戻るのかと思いきやこの先の説明が無茶苦茶微妙でして、
『現状というかこれからインフレ率が 2%で一応物価の安定的な目標に、もし順調に向かっていくという前提のもとではですね、』
ということで、結局お前ら「いわゆるマクロ経済政策とは一応別のかたちで」になってない説明になっていまして、要するにこれ輪番の位置付けについて日銀内での整理ができていない、というのが現状のステータスである、という事を示しているんですよ。でもってこの先行きますね。
『なるべくやっぱり長期金利はシグナルとしてのその情報的な価値というのをやはり有効利用すべき局面にだんだん入っていくというふうな判断がありますので、その中で減額を段階的にしていくということだと思います。』
と言ってるんですけど、
『なので、減額先にありきで、それで長期金利が急に高騰し過ぎたりとかですね、するとちょっと本末転倒になりますので、』
ってのも変で、シグナルとしての価値が高いんだったら日銀の関与を減らすべきで、長期金利が上がるのはシグナルが機能した結果だろそれを結局要らんって言ってるんだからこの人たちは市場統制をしたい、すなわちYCCから発想が離れていないんですよね。
その結果、
『そこはやはりあまり予断を持ってというか、何か事前に計画とか基準を持ってですね、機械的に何か決めていくというよりも、その場の判断でやっていくという話だと思います。
』
ということになってしまうので、これじゃあ輪番の予見可能性を高めて今市場にあるリスクプレミアムを解消するとかいう頭が全然ない、というのが分かると思います。
でまあさっき申し上げましたように「輪番の位置づけが整理できていない」という状況でもありますので、そんな状況なのに6月会合で輪番についてなんか出せるのかってのはちょっと疑問もあったりするのですよ。まあ6月会合で7月利上げの予告ホームラン打ってくれれば政策金利に関する目先の不透明感はクリアになりますけど。
ということで時間の都合上この辺で本日は勘弁していただきとう存じます。
2024/05/30
お題「なんか調子乗ってねえか的な/安達審議委員金懇はまあ特に何ちゅうかという感じで」
ほうほうそうですかそうですか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-29/SE96CBT0G1KW00
円が対ドルで下げ拡大、157円台後半−急騰前の水準に戻る
森 茂生
2024年5月30日 0:21 JST 更新日時 2024年5月30日 3:23 JST
散々イエレンから介入するんじゃねえぞと五寸釘を差されておりますがどうするのやら。
〇なんかちょっと加速してきた感じなのでそろそろどうでしょうかねえ(債券市場備忘メモ)
・中期とか長期の方はご案内の通りでなんか勢いついてねえかこれ
いやはやなんとも
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/3OKWNHTLYJN3BO4P2YAWRUPMWM-2024-05-29/
国債先物は続落、長期金利約12年半ぶり高水準1.075%
By 坂口茉莉子
2024年5月29日午後 4:00 GMT+9
『[東京 29日 ロイター] - 29日の東京円債市場で、国債先物中心限月6月限は前営業日比38銭安の143円12銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同4.0bp上昇の1.075%と、2011年12月以来、約12年半ぶりの高水準。前日の米金利上昇や日銀による国債買い入れ減額への警戒感を背景に、債券の売り圧力が強まった。』(上記URL先より、以下同様)
でまあ明日は今月最後の輪番デーになるのですが、ここで増額とかした日にはお前ら今まで何やってたんだというお笑い話になってしまいますし、だいたいからしてそんなことしたらドル円がぶっ飛んでしまうリスクがあるという日銀八方塞り。
以前も申し上げましたように、日銀が最初に10年の指値に追い込まれたときも、その前に「サプライズの中期輪番スキップ」という意味不明プレイがあって、そこから市場が崩れてしまったりしてた訳でして、今回だって4月の早い時期に減額するか、4月末のオペ紙の時に買入レンジの下限を下げておいて減額あるかもと思わせておけばよかったのに、決定会合でも6兆円をコンファームして減額は急がなそうな情報発信してからいきなり不意打ちした訳ですが、まあ正直ここまで相場コケるとはワタクシもびっくりなのですが、サプライズ減額のパワーってやっぱりすごいですね。
『国債先物は朝方から売りが先行。前日の米長期金利が4.54%付近と5月3日以来の水準まで上昇した流れを引き継ぎ、弱含んで始まった。その後、現物市場で長期・超長期ゾーンを中心に金利上昇圧力が強まったことが波及し、国債先物は下げ幅を拡大した。』
てな訳で、
『後場に入っても、先物は軟調に推移。時間外取引で米長期金利が小幅に上昇したことも重しとなり、現物市場では新発債利回りがじりじりと上昇した。』
てな感じですがさすがに昨日みたいに入札も輪番もないのに先物ベースで値幅40銭とか取ってるのを見ますとちょっと従来の牛の涎のような下げとは違くね??とは思ってしまうのですが思っているだけなのでよくわかりません(おい)。
この次にネタにする安達審議委員の熊本金懇に関連する記載もありまして、
『安達日銀審議委員は同日午後の記者会見で「国債買い入れの1回減額、政策意図持って行ったものではない」、「
国債買い入れの減額が先にありきで長期金利が高騰すれば本末転倒」、「国債買い入れは予見性を持って減額していくのはまだ早いのではないか」などと述べた。』
会見に関しては今日会見録が出るのでそっちが出てから鑑賞しますけど、「国債買い入れは予見性を持って減額していくのはまだ早いのではないか」ってので別に市場は反応してなかったと思うのですが、まあこれ見まして日銀現状認識できてねえわ、ということでガッカリしてしまう訳でして、当駄文では25万回くらい申し上げているので皆様耳タコかと思いますが、現状の問題点は「日銀の輪番の上げ下げのロジックが全く分からないし、しかもその輪番が市場におけるドミナントプレーヤー状態にもほどがあるからして、子の上げ下げで短期的な相場が決まってしまうのだから、すなわちマーケットメークのリスクが通常よりも高くなるし、投資家としては市場参加のコストは上がるしで、市場にリスクプレミアムが求められるようになっている」ということな訳ですわよ。
今まで(マイナス金利まで)だってサプライズ輪番やってたじゃねえかというツッコミに関しては、まあゆうてあの時はYCCだったので、債券がブタ売られするとなんかが飛び出す、というのがあった訳でして、「金利」というのが目安としては一応あったので、予見可能性が全くのゼロだった訳ではなかったんですよね。つまり6兆円とか書いてるのがそもそも悪い説もあるけどね。
ま、そんな次第なので、そもそもが「予見性をもって動かすのは無理」とかぬかしている時点でオワットルわけなのですが、まあ次にネタにしますように、安達審議委員の金懇って基本的にどっかのだれかさんの書いたプロットを棒読みしてるでしょこれは、という感じで別になんか明快なご主張があるとは思えない(あくまでも個人の感想ですので誤解のないように申し添えますwww)ので、まあその安達さんが上記のようにご発言、という事はつまりは日銀の認識がそういう事やぞ、ってなもんでダメダコリャ。
『現物市場で新発国債利回りは総じて上昇。2年債は同3.0bp上昇の0.375%、5年債は同4.0bp上昇の0.630%といずれも09年以来の高水準。20年債は同3.0bp上昇の1.885%、30年債は同3.5bp上昇の2.220%と11年以来の高水準。40年債は同3.5bp上昇の2.365%。』
5年60越えですかあ。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.369 0.379 0.029 15:36
5年 0.626 0.634 0.039 15:31
10年 1.066 1.081 0.008 15:37
20年 1.881 1.89 0.031 15:37
30年 2.214 2.225 0.039 15:36
40年 2.359 2.372 0.038 15:36』
ま、牛の涎のようにダラダラ下げるよりは阿鼻叫喚の地獄絵図になって下げた方が下げ止まりのきっかけも近くなると思うので(完全な主観)阿鼻叫喚やるならやってくれとは思いますが。
・短国3Mのカレント近辺相変わらず堅調ですがTKRRちゃんは・・・・・・・・
売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
基本的に昨日も引けはほとんどの銘柄で変わらずでして、カレント近辺ですと
国庫短期証券1232 2024/08/19:平均値単利 0.030
国庫短期証券1176 2024/08/20:平均値単利 0.042
国庫短期証券1233 2024/08/26:平均値単利 0.015
国庫短期証券1234 2024/09/02:平均値単利 0.038(明日入札予定の3M新発WI)
って感じで銘柄で謎の凸凹が相変わらずあるのはさておきましてまあこんな感じですが、じゃあ7月会合前の短国ってどうなのかというと例えば
国庫短期証券1225 2024/07/22:平均値単利 0.030
国庫短期証券1227 2024/07/29:平均値単利 0.030
ということで同じじゃんどういうことですねんとは思う訳ですが、もし「国債残高は落としたくないけど金利リスクはどどーんと落として利上げにでもなってから再度エントリーしたい」って考えたら寧ろ7月会合後の足にしておいて7月に思った通りに利上げがあってから様子見ながら長期債に再エントリーできる訳でして、そんなムーブでもあるんけなとか謎ですわなと思いながら明日の3Mどうなるのか注目していきたい(上記にあるように次の新発3Mは9月の頭に足が来る)訳ですが、その一方でTKRRちゃんは
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/5/22 0.071 0.062 0.061 0.062 0.060 0.059 0.075
2024/5/23 0.082 0.073 0.064 0.061 0.061 0.060 0.076
2024/5/24 0.030 0.079 0.065 0.062 0.061 0.060 0.077
2024/5/27 0.060 0.048 0.060 0.060 0.060 0.059 0.079
2024/5/28 0.045 0.041 0.055 0.057 0.058 0.057 0.082
2024/5/29 0.047 0.051 0.057 0.058 0.058 0.058 0.083
先週水曜から並べてみましたが、足許トモネとかは金曜に向けて上がったものが月曜に下がって、といういつもの短国発行すると重くなってだんだんポジション捌けてくると軽くなるムーブっぽく見えますが、しらっと3Mがじりじりと上がってきておりましてこれは味わい深いわ、と思いました。
まあ味わい深いと思っただけで別にインプリケーションを出そうとは思っていませんがメモメモメモということで。
〇安達審議委員熊本金懇挨拶より:両論併記したいのはわからんでもないが両論併記の結果お前は何を言ってるんだ状態w
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240529a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 熊本県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
安達 誠司
・最初にいきなり為替の話をしているのはヘイヘイピッチャービビってるビビってるって奴ですわw
冒頭あいさつの次を見て吹いた。なんだよこの『2.足もとの円安と金融政策』ってwwwwwwww
ということで草をはやしている場合でもないので鑑賞鑑賞。
『通常であれば、金融経済懇談会でのご挨拶の冒頭では、経済・物価情勢についてお話しさせて頂くところですが、このところ為替が1ドル=160
円を窺う展開となるなど、円安が進展するもとにおいて、為替変動への対応について日本銀行に様々なご意見を頂戴する機会が増えているという状況を鑑み、今回は為替変動に対する日本銀行の対応について、私見を交えつつお話しさせて頂きたいと存じます。』
ってのをわざわざ入れされられた訳でして、しかも過去数回にわたるこのお方の金懇やらMPMでの投票行動やらを見ればお分かりのように、こちらの先生におかれましてはチーム置物のくせに大本営九官鳥モードにもほどがあるわけでして(野口審議委員はその点ではまだチーム置物としての自我をある程度保っておられますな)つまりは大本営がヘイヘイピッチャービビってるよビビってるよ!となっておるというのが示されている訳で大変に香ばしい。
『まず、大原則としてですが、金融政策の目的は、あくまでも「物価の安定」です。金融政策の自立性、自由な資本移動、為替レートの安定を3つ同時に達成することはできないという「国際金融のトリレンマ」をベースとした考え方を踏まえると、短期的な為替レートの変動を金融政策によってある一定の水準で固定しようとした際には、その代償として、その後の金融政策運営に大きな制約がかかってしまうことになります。』
トレンドとしての為替レートの変動に対応していないように思えますがそれはさておきまして、
『これを足もとの実態に当てはめて考えてみます。現在のように、変動幅が非常に大きな為替レートを安定させるために、金融政策を頻繁に変更すると、金利の変動幅も大きくなることが想定されます。』
頻繁に変更って別に為替の乱高下を止めろとは誰も言ってなくてトレンドとしての以下同文。
『金利があまりにも大きく変動することになれば、先行きの金利の予想が困難となり、家計の住宅投資や企業の設備投資などの資金調達に支障をきたします。資金調達が困難になれば、当然のことながら経済活動にも悪影響を及ぼします。このように、短期的な為替変動への対応を金融政策で行うと「物価の安定」に影響が出てしまうと考えます。
』
これを一般論として言ってるなら話は分かるが、最初にこの段落で「これを足もとの実態に当てはめて考えてみます。」って言ってるわけで、物価がすでに2%を上回って久しいのに何のかんのと小理屈捏ねてマイナス金利とかいう超過剰金融緩和を引っ張りすぎたことによって発生した円安進行を是正しろと言われているだけで、何も金融引き締めしろとか言ってるわけじゃないのに、「足もとの実態に当てはめ」てない説明してごまかしているという藁人形論法で説明しておりますわな。
ということで以下の部分はただの藁人形論法をベースにした引かれ者の小唄というか三百代言クオリティというかな物件で読む価値はないので割愛します。
・基調的な物価とか第一の力第二の力とかいう成分を使わないで物価の現状と先行きの話をしているのは味わいある
でまあ先に飛んで経済物価情勢の話になりますが、『(2)物価情勢』をちょっとだけ拝読しますので、最初の小見出し『(わが国の物価の現状)』から参りますが、
『次に、わが国の物価情勢についてお話しします。まず、消費者物価は、現在、上昇率を低下させており、減速局面にあるといえます(図表
10)。』
6月7月くらいから再加速すると思うんですけど前年比ベースでみますと・・・・・・・・・
『この動向を仔細にみるために、消費者物価を品目の価格の改定頻度に着目して、価格の改定頻度が比較的低い項目でみた物価である「粘着的な(sticky)消費者物価」1と、価格の改定頻度が比較的高い項目でみた物価である「伸縮的な(flexible)消費者物価」2に分けた切り口でみたいと思います。なお、「粘着的な消費者物価」は、中長期的なインフレ予想や賃金動向に影響を受けることが考えられる一方で、「伸縮的な消費者物価」は、商品市況等を映じた原材料価格の影響を受けやすい傾向があります。
』
キタコレなのですが、まあ途中は飛ばしましてここでいきなり小見出し『(わが国の物価の先行き)』に飛びます。
『そして、消費者物価の先行きですが、こちらも「粘着的な消費者物価」と「伸縮的な消費者物価」に分けて考えたいと思います。
』
と来まして途中を飛ばして結論に行きますと、
『以上のことから、消費者物価は、現状は減速局面にありますが、輸入物価や企業物価、そして賃金動向から予想する限りにおいては、本年の夏から秋頃にかけて、再び上昇に転じていく可能性があると考えています。』
ということで、このコーナーの特徴として「基調的な物価」とか「第一の力、第二の力」の話が無いことが挙げられます。
まあこれ安達さんだって何とかストを本職にしてた時分はちゃんと分析してた訳ですから、そもそも今日銀が前面に出している「第一の力、第二の力」のレトリックがインチキ成分を含んでいることくらいはご存じでいらっしゃると愚考しますと、そういうインチキではなく、ちゃんと正統派として物価の分析をしたい、という自我によってこの部分が構成されていると思うと中々いい味出してるじゃん、と思います。
なお、これも実は大本営の深慮遠謀で、第一の力第二の力とか基調的な物価がどうのこうのの説明が苦しくなった時のライフラインとして粘着的な物価と伸縮的な物価というのを残している、という可能性も否定はできませんなあとは思います(個人の感想です)。
・先行きの金融政策運営の話が両論併記過ぎて何を言いたいのかわけわからん件について
『4.金融政策運営 』にお話は飛びまして、最初の政策変更の説明はクソどうでもよいので割愛しまして、事実上最後のコーナーになります小見出し『(今後の金融政策運営方針)』に行きます。
最初から参りますね。
『次に、今後の金融政策運営についてお話しします。
まず、日本銀行としては、今後も引き続き、金融政策の目標としては「持続的・安定的な物価上昇」の実現であり、この目標が達成されるまでは、現在の緩和的な金融環境を維持することが重要です。』
ここでは「達成されるまでは緩和が必要」と言っています、よく覚えておいてくださいね。
『この背景としては、足もとにおいて「持続的・安定的な物価上昇」が実現する見通しの確度がかなり高まっていますが、まだ確信を持って実現できるといえる状況ではないため、達成できると確信する時が来るまでは、緩和的な金融環境を維持することが重要だと思われます。』
ここでは「実現できる見通しの確度がかなり高まっている」という認識をしめしていますね。
では次の段落に参ります。
『この場合、金融政策が前のめりになりすぎることで、折角のわが国経済が回復する機運に水を差すといった「拙速な利上げ」は絶対に避けなければなりません。』
拙速、とか絶対に、とか強いお言葉ですなあとは思いますが、まあここは前段の話からしたらそういっても別におかしくはないので、
『このため、基本的には実質金利がマイナスの状態を維持することが重要であると考えます。』
となるのですが、ここから先が両論併記の結果尻滅裂になるの巻でありまして、
『ただし、あまりにも下振れリスクに配慮しすぎると、物価上昇のペースが加速して、結果としてより急激な金融引き締めの実施を余儀なくされ、経済に悪影響を及ぼしかねない点にも注意が必要です。』
はい??
『これは、「持続的・安定的な物価上昇」が実現するまで、政策金利を現状のゼロ近傍で固定化し、目標が実現した後に利上げを始めた場合に、急激な物価上昇を抑制するためにこの上昇率を大きく上回るペースでの利上げを余儀なくされて、経済へ悪影響を引き起こしかねないことを危惧しています。
』
いやあんた今「物価目標達成までは緩和を継続すべき」「拙速な利上げはダメゼッタイ」って言ってるやん何ゆうてますねんというお話になるわけです。
では次の段落。
『私は、例えばコロナ禍において物価は下振れリスクが高いと想定していたらむしろ上振れたといったように、予想が一方向に傾き過ぎるリスクには留意が必要であるというのが、コロナ禍以降の金融政策のあり方におけるインプリケーションだと考えており、下振れリスクと同時に上振れリスクにも配慮する必要があるというのが、金融政策のリスクマネジメントを考える上で重要な局面にきていると考えます。』
さっきの「拙速な利上げはダメゼッタイ」とこの理屈整合性が取れないんですけど。最初から「データディペンデントでフォワードルッキングに政策修正を行う」って言えば済むだけの話なのになんで両論振り切った説明を並べるわけなのよ。
『そのため、基調的な物価上昇率が2%に向けて高まるという状況が持続している限りにおいて、経済・物価・金融情勢に応じて、金融緩和度合いを段階的に調整することが大切ではないかと考えています。』
って言ってるんですけど、一方で会見の方でのヘッドライン見た感じだと「ゆっくりやる」だの「2%達成にはまだかなり距離がある」だの言ってたように見えたわけで、一体全体あなたは何を言いたいのかというのがさっぱり分からん支離滅裂モードになっておられまして、大丈夫かよと思ってしまいましたがその辺は会見録も併せて明日改めて確認しましょう。
国債買入に関してが次の段落にありまして、そこでこのコーナー終わるのですが、まあそもそも安達さん債券市場にそんなに近かったわけではない(基本的にエコノミストだったはず)のでその辺のご見識はあまりお強くないのはシャーナイとは思うのでこんな感じになるんだろうなと思いましたが、うーんこれもなんか結局何をどうしたいのかがまるで分らんという感じですね。一応引用だけしておきます。
『また、イールドカーブ・コントロールがその歴史的使命を果たしたことから、今後は国債の買入れ額を将来どこかの時点で減額させることが考えられます。』
『なお、現在は、3月に見直した国債買入れの枠組みのもとでの金融市場の状況を確認しているところであり、これまでと概ね同程度の金額で継続することとしています。』
『そのうえで、将来、国債の買入れ額の減額が急激なペースで行われますと、長期金利等に不連続な変動をもたらしてしまい、これが金融政策自体の不連続な引き締め局面への移行と解釈されてしまった場合には、先ほど述べましたように、最終的には経済へ悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。』
『そのため、国債買入れは、債券市場の需給や機能度、そして流動性の状況を総合的に勘案しつつ、段階的に減額していくことが望ましいと考えています。
』
ああそうですかそうですかというところですが会見録とあわせて確認をしたいと思います。
2024/05/29
お題「GX国債2回債ェ・・・・・・・・/基調的物価メモ/CP買入とかFSB提言とか/金研コンファランスの2日目パネルが面白そうな件について」
マクラの前置きで書こうと思ったがやっぱり見出しつけるか・・・・・・ということで。
〇FSBがCPCD市場についてなんか提言みたいなのをしているようだが
うーむこれは
https://www.boj.or.jp/intl_finance/meeting/group/gro240528a.htm
金融安定理事会による「コマーシャル・ペーパーと譲渡性預金市場の機能と強靭性の向上」の公表について
2024年5月28日
日本銀行
『金融安定理事会(FSB)は、5月22日に「コマーシャル・ペーパーと譲渡性預金市場の機能と強靭性の向上」(原題:Enhancing
the Functioning and Resilience of Commercial Paper and Negotiable Certificates
of Deposit Markets)を公表しました。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
ということなのですが、日本のCP市場ってABCPみたいなものよりも体感的には圧倒的に企業さんの出している短期資金調達としてのCPが多くて、その意味では個別企業の信用リスクというのはもちろんあるけど、ファンディングビークルがレバレッジ掛けに来るための市場とは全然違うんで、こういうのを世界的に一緒くたに話をするのって乱暴な議論になりがちなのは懸念されますな。
チラ見しかしてないけど一応法域によってこの市場は全然違うって解説はあるみたいなんですが、現状まあ何のかんの言って健全(という表現が適切かどうかはさておきまして)に機能している日本のCP市場が参加者にとってどういう影響があるのか、というのは気になるところではございます。
今後どうなるか分からんから判断は保留でただのメモですが。
〇10年GX国債ェ・・・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20240528.htm
10年クライメート・トランジション利付国債(第2回)の入札結果
『本日、10年クライメート・トランジション利付国債(第2回)の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 クライメート・トランジション利付国庫債券(10年)(第2回)
2.発行根拠法律及びその条項
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項
3.表面利率 年1.0パーセント
4.発行日 令和6年5月29日
5.償還期限 令和16年3月20日
6.応募額 1兆1,007億円
7.募入決定額 3,496億円
8.応募者利回り(募入最高利回り) 1.040%
9.発行価格 額面金額100円につき99円63銭
10.募入最高利回りにおける案分比率 22.8873%』
まあすでに前場引けの段階で表の10年国債対比気配が甘い状態で入札を迎えたのですが、ベンダーさん集計などによる事前の予想よりも0.5毛弱いところで決着するの巻。
売買参考統計値
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
昨日の引けベースは
長期国債 374 2034/03/20(クーポン 0.8):平均値複利=1.025 平均値単利=1.035
GX長期国債2 2034/03/20(クーポン 1.0):平均値複利=1.034 平均値単利=1.035
ということで単利並びですがクーポン違いますので複利ベースでは0.9毛のディスカウントになっておりまして、初回債入札前のWIでグリーンプレミアムノリノリ状態だったあの勢いは何処に行ってしまったのでしょうかという「流動性不足によるディスカウント>グリーンプレミアム」という珍妙な結果になってしまいましたが、流動性不足というか、まあ要は日銀が普通国債をアホみたいに買うから市場の価格形成が日銀の輪番をあてにした値付けになっていて、その結果こういうことになってしまう、ともいえるわけでして、まあ要するに日銀が悪い日銀が、という隙あらば輪番への悪態になるアタクシでした。
でまあGX国債入札がパッとしなかったのもあって昨日も10年ちゃん安値更新ですし、マーライオン行為が発生しているわけでもないのに誰も買いに来ないからじりじり下がるってのもなんか妙な相場ではありまして、
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/UXRVJ3D4SRIGZOKKGXXQKZHIFM-2024-05-28/
国債先物は続落、長期金利12年ぶり高水準1.035% 軟調地合い続く
By 坂口茉莉子
2024年5月28日午後 3:36 GMT+9
『[東京 28日 ロイター] - 国債先物中心限月6月限は前営業日比2銭安の143円50銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5bp上昇の1.035%と、2012年4月以来12年ぶりの高水準。日銀による早期の金融正常化観測を背景に国債先物は軟調地合いが続いた。弱めの10年クライメート・トランジション国債入札も相場の重しとなった。』
『国債先物は買いが先行して始まった後は小動きで推移。その後、現物市場で長期や超長期ゾーンを中心に金利上昇圧力がかかり、先物にもその流れが波及しマイナス圏に転じた。10年クライメート・トランジション国債入札は弱めと受け止められた。市場関係者によると「投資家の札は入っていた」(国内証券債券セールス担当)ものの、最高落札利回りは1.040%と、新発10年債利回りの前引け水準(1.035%)を上回るなど「リスクプレミアムが求められた格好となった」(同)という。』(上記URL先より)
ということでまあ引けにかけては持ち直したものの、パッとしない相場ちゃんが続いていますが、今週末にオペ紙があって、6月は2週目の金曜に決定会合がありますので、まあその辺までにはもうちょっと日銀ちゃんの不透明感がクリアになれば、と思う訳でして、別に現状って少なくとも現物は売りたたいてヒャッハーとかそういう感じではなくて、日銀の動きが謎すぎて読めないのでリスクを取らない、という消極的な債券金利の上昇じゃないのと思いますので、まあ6月会合で態勢を立て直してほしいものです、と思います。というかよく見たらロイターさんの記事も同じマーケットコメントがあるので、まあコンセンサスですねコンセンサス。
〇日銀謹製の基調的な物価が3指数とも2%を割ってこれはハトハトチキンおじさんもニッコリですね
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
刈込平均値、加重中央値、最頻値
な訳ですが、
Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0
Aug-23 3.3 1.8 3.0
Sep-23 3.4 2.0 2.8
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9
Apr-24 1.8 1.1 1.6
いやーついに刈込平均が2%割り込んでこれで堂々と「基調的なインフレが2%になっていない」って言えてよかったですねえ(棒読み)という風情ですが、
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cspi_release/sppi2404.pdf
企業向けサービス価格指数(2024年4月速報)
こういうの見ると軽く再加速しそうですわな・・・・・・・・
上昇下落品目比率は
Jan-23 80.3 12.6 67.6
Feb-23 81.0 11.7 69.3
Mar-23 82.6 10.0 72.6
Apr-23 84.3 9.2 75.1
May-23 84.9 8.8 76.1
Jun-23 84.9 9.2 75.7
Jul-23 85.6 8.4 77.2
Aug-23 86.0 8.2 77.8
Sep-23 87.0 7.3 79.7
Oct-23 84.7 9.6 75.1
Nov-23 83.0 11.3 71.6
Dec-23 82.0 12.1 69.9
Jan-24 83.9 10.7 73.2
Feb-24 81.8 12.8 69.0
Mar-24 79.5 15.1 64.4
Apr-24 80.8 14.0 66.9
てな感じであります。
〇CP買入ェ・・・・・・・・
昨日はCP買入があったのですが
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240528.htm
CP等買入 6,196 2,995 0.161 0.177 97.5
うーんこの。
前回5/14実施分が0.176平均0.154案分で、その前の4/24実施分が0.154平均0.120案分でしたので、着実に金利上昇しているんですけど、一方でCP市場ちゃんって別に金利上がっているわけでもなくて、短いところって先週の3MTDBが強くて売参も周辺対比でアホみたいに強いのに示されておりますように、なんか知らんけど全然堅調でして、それとは別にこっちは買入金利あがっちゃうんだーってなところです。
まあ今日がスポ末で月末発行のCPも多いと予想されるというご時世だからポジション軽くできるなら軽くしようってのもあるのかもしれませんが、このレート自体はアタクシ的にはあらお高めって感じはするのですが、ゆうてCP買入も徐々に減っていくものなので、金利が下がるって雰囲気にはならんのかなと思いました、よー知らんけど。
〇金研コンファランス2日目の豪華パネルの人たちがスピーチ原稿を公開しておられるのでメモメモ
https://www.imes.boj.or.jp/en/conference/2024confsppa.html
2日目(すなわち昨日)のパネルですけど、
『13:55 Policy Panel Discussion II
Moderator: Markus Brunnermeier, Princeton University
Panelists:
Michelle W. Bowman, Board of Governors of the Federal Reserve System
Thomas J. Jordan, Swiss National Bank
Loretta J. Mester, Federal Reserve Bank of Cleveland
Isabel Schnabel, European Central Bank
Ryozo Himino, Bank of Japan』
でもってこちらの皆さんすでにスピーチ原稿をだしておられるんですよね。
ボウマンさん
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bowman20240528a.htm
May 28, 2024
The Federal Reserve's Balance Sheet as a Monetary Policy Tool: Past Lessons and Future Considerations
Governor Michelle W. Bowman
At the 2024 BOJ-IMES Conference, hosted by the Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan, Tokyo, Japan
メスターさん
https://www.clevelandfed.org/collections/speeches/2024/sp-20240528-forward-guidance-and-monetary-policy-communications
Forward Guidance and Monetary Policy Communications: Use Your Words and Connect the Dots
Loretta J. Mester
President and Chief Executive Officer
シュナーベルさん
https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2024/html/ecb.sp240528~a4f151497d.en.html
Speech by Isabel Schnabel, Member of the Executive Board of the ECB, at
the 2024 BOJ-IMES Conference on “Price Dynamics and Monetary Policy Challenges:
Lessons Learned and Going Forward”
Tokyo, 28 May 2024
ということでここで「早速読みましたので謹んでネタに」というとカッコイイのですが、ぐうたらな上に貧乏暇なしのアタクシが昨日夜なべして読むとかそういう根性と暇はなかったりするのでまだ読めておりませんすいませんすいません。
でまあ出ているのはいいんですけど、メスターさんのお題がちょっと気になるところでして、
『Forward Guidance and Monetary Policy Communications: Use Your Words and Connect the Dots』
ってなってるんですけど、こういう訳の分からん経済状況の中でフォワードガイダンスとか(先行き政策決め打ちの)ドッツとか出すだけ混乱のもとだろうとアタクシ的な感覚では思いますし、だいたいからしてフォワードガイダンス出せないような状況だから「データディペンデント」って連呼している訳で、そもそも今のFEDの決め打ちコミュニケーションに弊害が大きいと思うんですけど・・・・・・・・・・・・・
ということでメスターさんのURLを再掲しますと
https://www.clevelandfed.org/collections/speeches/2024/sp-20240528-forward-guidance-and-monetary-policy-communications
なんですけど、この中で『Enhancements to Monetary Policy Communications
in Normal Times』という小見出しの部分があって、メスターさん提言しているのが、
『(1) Use your words: The FOMC policy statements have become shorter over
time, giving less information about the FOMC’s medium-run outlook and
risks around that outlook, which form the basis of our policy decisions.』
『While simpler is often seen as a virtue, it can also be a detriment,
since policymaking has to be done in an uncertain world, one in which the
economy is constantly being buffeted by shocks that can lead economic conditions
to evolve differently than anticipated.8 With short statements, each word
takes on added significance. Short statements suffer from what I call a
“Hotel California” problem: we are reluctant to change particular words
because of the possible signal that doing so may send. Words “check in”
but it is hard to get them to “check out” even when it is desirable.
One could argue that the use of “transitory” to describe inflation stayed
in the FOMC statement far too long, given economic conditions.9 Short statements
also make it harder for the public to see the linkage between economic
developments and policy action or inaction. When members of the public
don’t understand the rationale for policy decisions, it can leave them
with the impression that policymakers are acting in a discretionary manner
and that lessens credibility.』
バチクソ意訳すると「簡潔に説明しないで丁寧に説明しろ」ってことなのですが、まあそうかも知れんけど丁寧に説明する、というプレイをした挙句に植田和男状態になって「この人はなんでこんなに発言がブレブレなのよ」となってしまうリスクも大いにあると思うんですけどね、いままさにジャパンが困っている話だが。
『(2) Connect the dots: My second suggestion is for the FOMC to connect
the participants’ policy path dots and their economic projections in the
Summary of Economic Projections (SEP).11』
『In other words, the FOMC should publish the anonymized matrix of economic
and policy projections so that market participants can see the linkage
between each participant’s outlook and his or her view of appropriate
monetary policy associated with that outlook. Currently, the variables
in the SEP are not linked across participants, and the median paths provided
don’t necessarily represent a coherent forecast. For example, there is
no guarantee that someone projecting the median inflation path would necessarily
be projecting the median output path. There is no way for the public to
know whether a person low in the range of unemployment rate forecasts is
high in the range of inflation projections. And two participants could
project the same federal funds rate paths, but those paths could be associated
with very different economic forecasts. If we were to connect the dots
to the forecasts within the SEP, the public would get a better sense of
each individual policymaker’s reaction function.』
誰が出しているのか、という個別特定ができないように考慮しながら、経済物価見通しとドットチャートに関して「こういう経済物価見通しの人がこういう金融政策見通しを推奨するドットを出している」というのを明らかにすることによって、どういう見通しだとどういう政策金利になるのか、というのが分かりやすくなるのでよろしいんじゃないか、というお話で、これもまあ一理あるというか百里くらいありそうなんですが、そもそも経済物価見通しだって目先の数字はともかくとして、2年先3年先とかエイヤーの世界になるので、そのエイヤーをもとにだしているドットというのの組み合わせがこうなっていますからこうです、というのを出して意味があるのか、というのは正直わしにはわからんのです。
などなど、シュナーベルさんの資産買入の話とか、いろいろと面白そうなんですが読んでる暇があれば読みますが月末ですからね・・・・・・・・・・・・・
ということで今朝はここで勘弁してくんなまし
2024/05/28
お題「金研コンファランスでまさかの公開処刑プレイ炸裂とはオソロシス」
しかし
https://www.boj.or.jp/research/conf/index.htm
コンファレンス
なぜか知らんのですが、金研がやるのは「コンファランス」で日銀本体がやってるのは「コンファレンス」なんですけどちょっとその理由を教えろくださいお願いします。
https://www.imes.boj.or.jp/conference.html
金研の方は全部「コンファランス」なんですよね・・・・・・
でもって今回のお品書きはこちら(後日いろいろとアップされると思います)
https://www.imes.boj.or.jp/en/conference/2024confsppa.html
2024 BOJ-IMES Conference
Price Dynamics and Monetary Policy Challenges
-- Lessons Learned and Going Forward --
May 27 - 28, 2024
Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan
- Preliminary Program (subject to change) -
〇植田総裁のオープニングリマークは相変わらずハトハト音頭が聞こえてきたんですが・・・・・・
モノホンはこちらの先にリンクがありまして、本当は英語でのご挨拶です。
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2024/ko240527a.htm
Opening Remarks at the 2024 BOJ-IMES Conference Hosted by the Institute
for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan
本文
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2024/data/ko240527a1.pdf
でもまあ手抜きなので邦訳の方で参りますが(汗)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240527a1.pdf
日本銀行金融研究所主催2024年国際コンファランスにおける開会挨拶の邦訳
日本銀行総裁 植田 和男
・まず最初にかつての速水さんの時のゼロ金利解除が適切じゃなかったと言い出している時点で・・・・
『2.わが国におけるゼロ・インフレの罠と大規模金融緩和』ってところですが、その途中から参りますけど、
『(日本銀行による大規模緩和) 』って小見出しの第2段落、本文3ページ(PDF4枚目、以下本文とPDFの関係は同様です)の中段から。
『また、日本銀行が採用した政策枠組みの展開について、いくつかの点でその時点で最適ではなかったと指摘する方もいるかもしれません。例えば、ゼロ・インフレの罠に陥った最初の数年間は、明示的なインフレ目標がありませんでした。』
って言ってるけどね、じゃああの時代に2%インフレっていきなり言えたのって話はかっ飛ばしまして、
『日本銀行は、2000 年に、ゼロや小さなプラスの値など、特定のインフレ率の水準を用いて物価安定を定義すべきか否かを検討しましたが、その当時は、コンセンサスには至りませんでした。2006
年3月には、1%を中心値とする0〜2%程度の範囲であれば、各政策委員の物価安定の理解と整合的であるとし、2009
年 12 月には、0%以下のマイナスの値を許容しないことなど、それをさらに明確化しました。日本銀行は、最終的には
2013 年1月に、2%の物価安定の目標を導入しました。』
でもってこの次ですよもういきなりキタコレなんですけどね、
『後知恵になってしまいますが、仮に明確なインフレ目標値が導入されていれば、例えば、2000
年8月のゼロ金利政策解除に至るまでの議論の様相は、実際とは異なったものになったかもしれません。』
ああこの人は未だに2000年8月の反対を金字塔だと思っているんだなって話でして、こんなのいわずもがなの話にも程があるのに、さらに追い打ちをかけるように、
『999 年4月の導入時における短期金利に関するフォワード・ガイダンスの内容をみると、日本銀行は、デフレ懸念が払拭されるまでゼロ金利を継続するとしていましたが、解除時点では、コア・インフレ率は、まだマイナス
0.5%にすぎませんでした。その後のデフレをそのわずかな利上げだけのせいにするのは難しいと思いますが、このゼロ金利政策解除の経験は、その後に行われたフォワード・ガイダンスの有効性を弱めた可能性もあります。』
>このゼロ金利政策解除の経験は、その後に行われたフォワード・ガイダンスの有効性を弱めた可能性もあります。
>このゼロ金利政策解除の経験は、その後に行われたフォワード・ガイダンスの有効性を弱めた可能性もあります。
>このゼロ金利政策解除の経験は、その後に行われたフォワード・ガイダンスの有効性を弱めた可能性もあります。
こらまたエライ粘着質というか、俺が正しかったという主張度合いが凄すぎて笑ってしまうしかありませんし、この言い方をしているのは裏を返せば黒田緩和の正当化ですよね、とも思う訳ですが案の定その直後にそんな話がありましてですね・・・・・・・
・速水時代の俺様は正しかったの次に返す刀で福井白川時代も全部まとめて葬り去るという見事なハトハトプレイ
という風に「2000年のワシは正しかった」アピールが来たと思ったらその直後にさらにとんでもないのが出てくるのでして、
『もう1つ考えるべき点は、資産買入れを開始したタイミングです。』
はい、これです。
『日本銀行による積極的な長期国債の買入れは、図表 1 でお示ししたインフレ動向を踏まえると、比較的遅いものでした。』
は???ていうかそもそもQQEがインフレ期待への直接の働きかけ失敗してるし、足元のインフレ循環の開始だってただの外生要因とこれまでの構造変化によるものだろいい加減にしろと思うのですが、
『日本銀行は、2001 年3月の量的緩和政策の開始に伴い、以前よりも多くの額の長期国債を購入し始めたものの、図表
3 が示すように、その保有残高は、2013 年に入るまでは、顕著に増えてはいませんでした。これとは対照的に、Fed
の米国債保有残高は、世界金融危機への対応として、2009 年初に急激に上昇し始めています。』
そら日銀はその前から買ってたからだろうが置物一派みたいな言いがかりつけてんじゃねえよこのウスラトンカチという話だし、「その保有残高は、2013
年に入るまでは、顕著に増えてはいませんでした。」ってだいたいからして国債大量に買ってなんか効果あったのかよこのハゲというところですが、しかもこの表現だと2013年以前は何もしていませんでした福井白川は不作為の罪です、って言ってるようなもんな訳でして、いやーこの人審議委員の時はまともだと思ったので就任の話が出たときに滅茶苦茶期待したんですけど、ここまでのアレだとは存じ上げませんでアタクシも我が身の不明に恥じ入るしかありません。
というかこれはさすがに麿は怒るべきではないでしょうかねえ。
・なんかその後にフォローを入れてはいるのですが結局これだと黒田以前はディスっている訳なので・・・・・
でまあその直後に、
『こで、注目すべき点としては、図表 4 でお示ししたとおり、米国の 10 年物国債金利は、Fed
が大規模な資産買入れを開始した時点では4%近くもありましたが、日本の 10
年物国債金利は、1990 年代後半にはすでに2%を下回っていたという点です。この事実は、もし
2000 年代初頭に日本銀行の国債買入れの増額が行われたとしても、果たして十分な効果があったのか、との疑念を生じさせます。』
って言ってるんだが、そう思ってるならなんでその前に2013年以前は不作為みたいな言い方する必要はない話でして、わざわざ国債買入について言及して2013年以前を不作為といってる時点でまあこの人の本音がお察しですわな。
でまあこういう流れで話をしますと、そりゃどういうことになるかといいますと、「黒田緩和の否定から話が入れない」という事になるわけでして、黒田緩和を否定しない、という流れで金融政策運営の話をする、ということになるとこれは常にあたおか緩和バイアスが掛かり続ける、ということになるわけでして、そら政策修正をやる気がないっていう解釈になるわけですよ。
・したがってこの先の政策修正に関してもエライ消極的な発言になるわけでして
でまあちょっと飛ばして『3.今後の課題』って章に進みますと、
『それでは、今後の課題を簡単に述べたいと思います。日本銀行の目標は、2%のインフレを持続的かつ安定的に実現することです。』
むしろ何年オーバーしていると思ってるんだよこのトンカチ。
『これまでのところ、インフレ予想をゼロ%から押し上げることには成功したように思いますが、』
お前の政策で押し上げたわけじゃなくてただの外生要因だろ何が「押し上げることに成功した」だよ勝手に手柄面するんじゃねえよ。
『それを今回は2%の目標値にアンカーしなければなりません。』
インフレ予想なんて正確に計測できるものじゃないのに何でこれが「2%の目標値にアンカーしなければ」みたいな言い方になるのか、というのが相変わらずのアレでして、インフレ予想なんて結局事後的にしかわからないものをあたかもリアルタイムで計測できるかのような言い方をして、結局のところは自分たちの政策に都合の良いようなデータをチェリーピッキングして出してきた「お気持ち」でしょというところなんですけど、まあその「お気持ち」が植田さんとしては「政策修正をするのが怖いから2%でアンカーされていないことにする」って話になっている訳でして、それが何より証拠には、
『日本銀行は、インフレ目標の枠組みを有する他の中央銀行と同様に、その実現に向けて注意深く進んでいくつもりです。』
「同様に注意深く進んで」その挙句にインフレが高進(日本の場合はインフレ高進というより通貨大幅安に伴うもろもろの問題噴出のような気がしますがそれはさておき)して真っ青になるんですねわかります。
まあしかしここで「注意深く進んでいく」となっているのはさっきの本文を見ますと、
『We will proceed cautiously, as do other central banks with inflation-targeting
frameworks.』
ってなっていまして、いや他の主要国の中銀が結果的にインフレ圧力を見誤って緩和修正がビハインドして、特に欧州なんぞはスタグフ状態になってしまったのですが、そんな先行事例があるのに「as
do other central banks 」ってお前は何を言ってるんだという感じですが、まあそれだけ植田さんは政策修正をやりたくないでござる、ということなんでしょうね、というのが非常に良くわかるわけですな。
『日本銀行が直面する課題の多くは他の中央銀行が直面したものと似た側面を有していますが、いくつかの課題には日本に特有の難しさもあります。』
ということですので、例えばの話日本の場合は他国と違ってそれまでのゼロインフレノルムからの変化が生じているとみられるので、構造変化が起きている場合に適切な金融政策運営も過去とは違う、みたいな(黒田をディスらない形での)黒田時代からのチェンジの話でもするかと思えば、
『そうした課題のうち主要な一つが、自然利子率(r*)をできるだけ正確に把握することです。』
っていやなんなんだよRスターかよってな話ですが、
『その正確な計測は、どの中央銀行にとっても容易なことではありませんが、過去
30 年間の長きにわたって短期金利がほぼゼロに張り付いてきた日本では、特に難しいことです。実質金利は多少なりとも変動してきたとはいえ、金利変動が乏しいもとでは、金利変動に対する経済の反応度合いを計測することには相応の難しさがあります。』
いや何ちゅうかそういう話ではないんじゃないのと思うんですけどねえ・・・・・・・・・・・・
・おまけ:今回の「不作為に関する考察」ってまんま前回(第1回)多角的レビューWSでツトムが言ってたことやんwwww
おまけですけど、この2000年の速水時代のゼロ金利解除と2013年まで国債の買入に対して不作為だった(ということに植田さんの中では成っている)問題に関してが今回のオープニングリマークの白眉なのですが、これを見て思い出したのがこれでしてですね、
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2024/data/ron240129a.pdf
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第1回「非伝統的金融政策の効果と副作用」の模様
こちらの本文26ページ、PDF27枚目になるんですけど、『7.第5セッション:パネルディスカッション』の『7−2.ディスカッション』の中に『(金融政策の効果・副作用の分析手法)』ってコーナーがあるんだが、
『渡辺は、日銀が過去に犯した政策の失敗を振り返ると、何かをやってそれが失敗したというよりも、やるべきことをやらなかったという、不作為の過失の方が問題だったのではないかと指摘した。そのうえで、過去の金融政策運営を評価するためには、実際に講じてきた金融政策の効果・副作用の検証だけでなく、「やらなかったこと」が経済・物価に及ぼしたであろう影響――例えば、仮にインフレ目標がもっと早期に導入されていればその後の困難がどれほど緩和されていたか――を検証することが有用であるとの見解を示した。』(この部分だけ直上URL先の第1回多角化レビューワークショップ議事要旨より引用しています)
ってツトムちゃんの福井白川(多分速水も含めて)ディスり発言というのがあったのですが、ああなるほどツトムちゃんたらいきなり大胆不敵なことを言いますねと思ったんですが、なるほどこういう事だったのかと納得してしまいましたですわおほほほほ。
・ということなのでハトハト音頭だったんですが意外に市場は反応しませんで
昨日の前場引け時点
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/DI3LIWT6NJNPVMYSSCBMOOCETA-2024-05-27/
〔マーケットアイ〕金利:前場の国債先物は横ばい、日銀イベントでの内田副総裁発言に関心
By ロイター編集
2024年5月27日午前 11:19 GMT+9
『[東京 27日 ロイター] - <11:07> 前場の国債先物は横ばい、日銀イベントでの内田副総裁発言に関心
国債先物中心限月6月限は、前営業日比横ばいの143円59銭で午前の取引を終えた。現物市場では長期金利の指標となる新発10年国債の取引がまだ成立していない。市場では、日銀が開催するイベントでの内田真一副総裁の発言を見極めたいとの様子見ムードが強い。』
『本日は入札やオペといった国債需給イベントの予定はないが、日銀の金融研究所が今日明日の2日間の日程で2024年国際コンファランスを開催。午前9時ごろからは植田和男総裁が開会のあいさつを行ったが、相場の反応は限られた。』(上記URL先より)
ということでして、いや植田さんこれ結構なハトハト音頭というかいつもの「金融政策の早期修正をやりたくないでござる円安なんて知らんもん」というハトハト音頭だったんですが、月曜の午前だしアメリカンは月曜も祝日だし、ということで為替ちゃんもあんまり反応しない(むしろ神田大明神の25日の発言で介入警戒モードだったんですかね)ということでなんかまあそういう感じだった訳ですが・・・・・・・・・・・
〇内田副総裁のキーノートスピーチが思いっきり植田さんの逆のトーンで見事な公開処刑を実施しているというおそロシア
本ちゃんはこちら
https://www.boj.or.jp/en/about/press/koen_2024/data/ko240527b1.pdf
Price Dynamics in Japan over the Past 25 Years
Keynote Speech at the 2024 BOJ-IMES Conference
Hosted by the Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan
UCHIDA Shinichi
Deputy Governor of the Bank of Japan
だが引き続き手抜きで邦訳で参りますサーセン(一応先に英文読んだんですよアタクシも!!!と見栄を張る)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240527b1.pdf
わが国における過去25年間の物価変動
「日本銀行金融研究所主催2024年国際コンファランス」における基調講演の邦訳
日本銀行副総裁 内田 眞一
・「今回の変化は構造変化」と言ってるわけでもうその時点でやる気満々
今回の内田さんの講演、邦訳見てもちゃんと最初に出した問題提起を最後に回収する、という綺麗な構成になっておりまして、相当練って作ってるなというのが分かるのですけどね。つまり最初の章『1.はじめに』の最後が、
『大きな論点は、現在の物価を巡る動向の変化が、不可逆的なデフレからの構造変化を意味するのか、あるいは、単に世界的なインフレによってもたらされた一時的な現象にすぎないのか、ということです。本講演では、この重要な問いに対し、私なりにお答えしてみようと思います。このことは、日本銀行の金融政策運営の先行きのみならず、日本経済の将来にとっても示唆を与えるものであると考えます。』
ということで講演をおっぱじめまして、最後の最後が『5.まとめと今後の展望』になるんですけど、その後半部分が結論な訳ですよ。本文10ページ、PDFの11枚目になります。
『それでは、今日の基調講演の冒頭で、私自身が提起した問い、すなわち、わが国で現在みられている傾向は不可逆的なものなのか、にお答えしたいと思います。』
『すでに述べたとおり、これまでの状況を変えるためには、2つのことが必要です。デフレのそもそもの原因を解消することと、デフレ的なノルムを克服すること、です。』
でもって、
『1点目については、自信を持って「イエス」と答えられます。労働市場の環境が構造的かつ不可逆的に変わったためです。』
ほほう。しかしこれって労働市場ガーってのを言い訳にしますと過去の日銀が頑張っても構造的に無理があったので無理でした、という過去ダメだった件に関する巧妙な言い訳にもなっているというのが流石としか言いようのない日銀屁理屈クオリティでして、いやそれわかってたんだったらなんで金融緩和一本足打法をしようとしてたんだよアホなのかと言いたくなりますわな。
『この先、女性やシニア層から多くの追加的な労働投入を期待することには無理があります。』
ちょwwwwワイ何歳まで働かなけりゃなりませんのん。
『日本の女性の労働参加率は、米国の労働参加率を超えています。もっとも、正確に言えば、女性がフルタイムでより長い時間働けるようにすることや、企業が人手維持のため定年延長することなど、まだ労働供給の余地は残されています。これらの取組みは、適切かつ必要なものですが、今回お示しした大きな姿を変えるほどの規模で行うことは難しいと思います。』
難しいんでしたら会社に入ったころに夢見てた55だか60歳になったら夢の年金ジジイ生活を見せていただきたいのですが、蜃気楼のように遠ざかるわ年金は(書いてて泣きそうになったので以下略)
と、思わず愚痴になってしまいましたがw要するに労働需給の構造は不可逆的に「労働供給不足構造」に転換した、ということでして、労働需給面から賃金が上がらんという世界には戻らんというお話のようです。
『2点目の、デフレ的なノルムの克服については、答えはそこまで明白ではありません。』
ほうほうほう。
『世界的なインフレがもたらしたコスト・プッシュ圧力が減衰しても、企業は現在の価格設定行動を続けるでしょうか?その鍵は、やはり労働市場です。』
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwなんでも労働市場なのかよ
『労働市場の構造変化が持続する限り、企業は、働く従業員を保持し、惹きつけるために、充分な利益と賃金を生み出すビジネス・モデルを構築しなければなりません。』
『価格設定戦略においても、企業は、労働コストに変化があれば、需要への影響も考えながら、メニュー表を速やかに書き直す必要が生じます。』
何ちゅうか巧妙な話のもって行き方に騙されている気がせんでもないが字面をパッと見すると説得力があるのが諸葛孔明の罠。
『「社会的なノルム」は解消に向かっています。この動き、そして長らく待ちわびた構造変化をもたらしている主な推進力は、人手不足です。』
全部それかよ!!!っていうかじゃあ人手不足社会じゃない他国でなんでインフレ2%だったのかと考えるとなんかこの説明も怪しさを感じますが、確かに現実的な意味では言ってることがご尤もに聞こえてしまうのがさすが内田さんとしか言いようが無い(良くも悪くもw)。
『人手不足は、個々の企業の変革と経済全体のダイナミズムをもたらすでしょう。そして、人手不足による変革のプロセスは、失業の増加につながる可能性が相対的には低いことから、他のプロセスと比較して、より低いコストで移行が進むと考えられます。』
ということで、まあ微妙に妖刀の香りが漂いますがまあそういう説明になっていまして、これが回答な訳ですよね。つまり・・・・・・・
・「ゼロ金利制約との戦い」も終焉が見ているということは利上げする気満々だし何なら50まではホイホイ上げるでしょこりゃ
でもってこの次。
『この 10 年間、QQE や YCC およびマイナス金利政策のもとでの経験を経て、日本銀行は、今年3月に、これらの一連の非伝統的な政策手段がその役割を果たしたと判断して、短期政策金利の操作を通じて2%の物価安定の目標を目指す伝統的な金融政策の枠組みに戻りました。』
『このことは、ゼロ金利制約を克服したことを意味します。引き続き、インフレ予想を2%にアンカーしていくという大きな課題は残っていますが、デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉は視野に入りました。』
マイナスをゼロにしただけなのに「ゼロ金利制約を克服」ってこりゃまたエライ大きく出ていますが、これはすなわちゼロから利上げも視野に入っているから「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉は視野に入りました」と言ってるわけでして、結局はさらに金利をあげないと、というか一般的に50までは上げないと(本来なら100だけど)ゼロ金利制約は残るわけで、まあこれは普通に正常化やる気満々と。
・敢えて死亡フラグとして名高い「This time is different」を使う理由とは????
『最後に、この言葉で締め括りたいと思います。「今回こそはこれまでと違う(This time is different)」。』
で終わるわけで、これ本ちゃんですと、
『So, I would like to conclude my speech with this phrase: “This time is different.”』
な訳ですけど、当然内田さんのことですからこの「This time is different」って死亡フラグの典型ワードで、普通はこれを大真面目に使うのではなく、一種の皮肉だったり、茶化し系のギャグだったりで使うもんだとアタクシなんぞは思う訳ですが、それ以外の使い方としては「死亡フラグをわざわざいう位自信満々だぞ」とマジなんだか空元気なんだかはさておきアピールするにも有効な言葉ではありますわなこの「This
time is different」は。
でですね、まあ内田さんのことですから当然先刻そのようなことは全部合点承知の助でこの「This
time is different」というキャッチー面白ワードをぶっこんでいる訳でして、まあ今回は「それほどまでに自信満々ということにしておりますので政策の修正は近いぜよ」というメッセージであるだろうな、と解釈するわけですなアタクシとしては。
そしてさらにこっちの方がやばいのですが、これって朝一の植田さんのハトハトオープニングリマークから見たら水と油くらいに親和性のないトーンな訳でして、あえてこれをぶっこんでくるというのはどういうことかと考えますと、朝一の植田さんの講演でうっかりハトハトからの円安にでもなられたら困るから内田さんがこういうある意味末代までの語り草にされてしまうリスクを背負ってでも「This
time is different」をぶっこんで、植田さんのハトハトを中和、といえば綺麗ですが、こんなんどう見ても植田さん公開処刑だろということでして・・・・・・・・・・・・
・すくなくとも円債市場は冷酷に「内田>植田」で反応
昨日の大引け(なぜかいつもの「マーケットアイ」がないから探すのに苦労したわ)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PD3VRYQLPZKKRNJA7Y7IYTRAPM-2024-05-27/
国債先物は続落で引け、長期金利1.025% 12年ぶり高水準
By ロイター編集
2024年5月27日午後 3:35 GMT+9
『[東京 27日 ロイター] - 国債先物中心限月6月限は、前営業日比7銭安の143円52銭と続落して取引を終えた。日銀の政策正常化観測が相場の重しとなった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0ベーシスポイント(bp)上昇の1.025%と、2012年4月以来12年ぶりの高水準をつけた。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、後場の寄りから債券先物ちゃん出来高伴って下がってしまいまして(前場3000枚ちょいだったのに終わってみたら昨日の日中売買高って1万5000枚弱だったんですよね)、何ちゅう残酷な市場の反応と思いましたし、植田さんの講演で反応しないのに内田さんの講演でこんなに反応するのかよ、と思ってしまいました(まあ植田さんのメッセージが分かりにくいのに対して内田さんの方がキャッチーな言い方で分かりやすかったのもあると思うけど)。
『きょうの国債先物は、週末の米国市場で長期金利が低下した流れから、小口の買い先行でスタート。ただ買い一巡後は日銀当局者の発言で金融政策の正常化が改めて意識され、午後はマイナス圏に沈んで推移した。
材料視されたのは、日銀の金融研究所が開催した「2024年国際コンファランス」で内田真一副総裁が行った基調講演。』
とまあそういうことで、市場の反応が「内田>植田」だったのはなんってこったいという感じですが、まあ確かに植田さんの発言が傍目にブレブレ過ぎて、というのもあるとは思うんですが、植田さんの発言を2時間後に公開処刑するというプレイが炸裂して市場も公開処刑の方に反応するとかこれは植田さん面白くないだろうなあとは思いますが、まあどっからどう見ても植田さんの円安気にせずゆっくり調整というのがあたおかなので身から出た錆ということで同情の余地はカシュカリ総裁の頭髪程もありませんということで。
ということで今朝はこの辺で勘弁
2024/05/27
お題「10年とか短国とか市場メモ/全国CPI/多角化レビュースライド鑑賞企画(その3)」
は???
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-25/SE1LGQT0G1KW00
長期金利は市場で形成されることが基本−1%台に上昇で植田日銀総裁
伊藤純夫、藤岡徹
2024年5月25日 23:30 JST
『植田総裁は、大規模緩和の修正に踏み切った3月の金融政策決定会合で、国債買い入れは「これまでとおおむね同程度の金額で継続する」ことを決定したと説明し、「長期金利は金融市場で形成されることが基本になると考えている」と指摘。日々の短期的な金利の動向や水準にはコメントを控えるとしつつ、「市場の動向を今後とも丁寧にモニタリングをしていく」と述べた。』(上記URL先より)
そもそも月額6兆円も買っておいて何が「長期金利は金融市場で形成される」だよ寝言は寝て言えと思いますし、だいたいからして「長期金利は金融市場で形成される」んでよいんだったら別に「市場の動向を今後とも丁寧にモニタリング」する必要はねえ(通り一遍で十分であって「”丁寧に”モニタリング」というのは一般的に「介入する気が満々」ということになるわな)だろいい加減にしろと(短期金利操作が政策の主軸になっているんだから短期市場のモニタリングは丁寧にやってエエンヤデ。
〇10年金利引けの単利が1.005%ですかそうですか
なんせ1.005%といえばきゃりーぱみゅぱみゅさんのマーライオンの時も行かなかった水準ですからぬー。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/UQHISRWWTFPLFMUKVOAAEKL6S4-2024-05-24/
マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で引け、長期金利12年ぶり高水準1.005%
By ロイター編集
2024年5月24日午後 3:23 GMT+9
『[東京 24日 ロイター] - <15:11> 国債先物は反落で引け、長期金利12年ぶり高水準1.005%
国債先物中心限月6月限は、前営業日比14銭安の143円59銭と反落して取引を終えた。米金利上昇が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)上昇の1.005%と、2012年4月以来12年ぶりの高水準をつけた
』
『きょうの国債先物は、米国市場で早期利下げ期待が後退して国債が売られた(金利は上昇)流れが重しとなり、1日を通じて売りが優勢だった。朝方発表された4月の全国消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化がサポート材料となり、午前中は下落幅を縮める時間帯もあった。午後に入ると、財務省が実施した「残存期間5年超15.5年以下」対象の流動性供給入札が「応札倍率が前回から低下し、弱めの結果」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジスト)と受け止められ、先物相場は再び下げを拡大した。』(以上上記URL先より、以下同様)
ということで1.005%になりやがりましたので記念に書くわけですが、ゆうて別に何ちゅうかセリング何とかとかそういう感じがあるわけでもなく、単にちんたらと重いだけ、というのが割とタチが悪くて、これがなんかの拍子にブタ売られでもするんだと灰汁抜けするんですがなんかそんな感じでもないですし〜。
んな訳で、
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.332 0.338 -0.002 15:10
5年 0.583 0.59 0.007 15:04
10年 1.002 1.008 0.008 15:11
20年 1.853 1.86 0.011 15:08
30年 2.164 2.17 0.009 15:02
40年 2.319 2.325 -0.011 15:04』
40年は入札で散々安くした挙句にさらによわよわだったから買いでも入ったんでしょうけど、まあ別にそんなに度肝抜くほどアメリカン金利上がったわけでもないのに節目のところであんまり抵抗するでもなくフニャ子フニャ夫先生という風情でございますが、弊駄文だけではなくて皆様が指摘しておられますので単にアタクシが皆様の尻馬にのっているだけではあるのですが、とにかく輪番が悪目立ちしているのと、オペにしろ政策にしろ予見可能性がない(そりゃまあ行き当たりばっったりでその場しのぎの説明に終始して過去との整合性が無いんだから予見可能性が皆無になる)のが相まってこのテイタラク。
今月って最後の輪番予定が今週金曜日で、1年以下および1-3以外の全ゾーン(何なら物価連動国債も今月まだだから月末実施)の輪番となるわけですが、金曜日までこの調子でパッとしないモードだったり、うっかりアメリカン金利が上がってさらにアイヤーとなった場合に、5-10の輪番を増額しなおしたら腹抱えて笑って何なら笑い死にの懸念もあるくらいの面白イベントとなりますな。
でまあここで思い出すのはYCC導入後に10年の指値オペをぶっこんだ時なんですけど、あの時ってトランプラリーで主にアメリカン金利ですが金利上昇圧力がかかっている中だったんですが、何をトチ狂ったのか突如中期輪番をスキップする、というプレイを日銀が行いまして、それで一段の売り売り相場になって10年入札もアカンタレになったわけですな。
で10年0.1%を軽く超えてきたのですが、突如後場寄り前にインマネ指値オペという飛んでもないものを打ってきまして、まあ当然ながらエライ目にあった人は続出したと思うのですが、「安直なお試し減額しかも市場がなぜそのタイミングで実施するのか理解不能なタイミング」→「市場金利上昇」→「金利上昇にビビって指値オペ(しかも前場引けよりも強いところで後場のより前に指値実施)というコンボを見ますと、今週調子に乗って10年の叩き料理とかやってると面白プレイが発生する、に100アルゼンチンペソと言ったところでありますので叩いて日銀を試しに行くのもほどほどに、ということでよろしくお願いします(誰に??)
〇一方で3M新発短国はこれがまた強いんですよね〜
金曜の新発3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240524.htm
国庫短期証券(第1233回)の入札結果
令和6年5月24日
財務省
『本日実施した国庫短期証券(第1233回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1233回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年5月27日
4.償還期限 令和6年8月26日
5.価格競争入札について
(1)応募額 16兆6,935億8,000万円
(2)募入決定額 4兆3,760億4,000万円
(3)募入最低価格 99円98銭9厘5毛
(募入最高利回り) (0.0421%)
(4)募入最低価格における案分比率 79.1898%
(5)募入平均価格 99円99銭0厘0毛
(募入平均利回り) (0.0401%)』
ちょwwwおまwwww前週より金利低いじゃねえかよとどういうこっちゃという感じですが、前週の3Mが平均0.0413%の足切り0.0481%で、その前の週が直近では一番弱い入札でしたが、10日入札の3Mが平均0.0476%の足切り0.0535%ということで、3Mに関しては10日の入札でコツンと音がした感じもこれありということで反発するのはわかるんですが、いやお前ら足元では猫も杓子も7月利上げネタを平気で言うようになっているのに、7月会合跨いだ入札で、かつ後ろに行けば行くほど7月会合跨ぎ以降の日数が多くなるというのに金利下がるんかいというところであります。
引け値の方も
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1232 2024/08/19:平均値単利 0.038
国庫短期証券1176 2024/08/20:平均値単利 0.050
国庫短期証券1233 2024/08/26:平均値単利 0.015
えーっと、1233というのが上の新発債でして、入札後のショートカバーでもあったのかどうか存じませんけれども引け1.5bpとかにしてやがるんですが、いやお前周辺銘柄との整合性どうなってるんだという引値に笑うしかないのですが(ちなみに今週の1234回3M新発WIは0.038%)、まあこれが短国クオリティなのですけど、超長期ゾーンが入札に苦戦する中ですので、この際超長期の市中消化を期中ですけどいったん減額して、その分を短国に回したら如何でしょうか(無茶振り)。
・・・・・・まあ短国自体担保もろもろのモノとしての需要が続いていうことに加え、もしかしたらこれ7月にも利上げとなった場合に、債券ポートをド短期化しようという動きでもあるのかね、とか言いたくなっちゃうような流れになっておりまして、いずれの動きにしましても、TDBが短国だからニーズがある、って話のようにも思えますが、いずれにしましても短期の資金運用じゃないムーブになりますのでレートを見てもインプリケーションを読みとるのが難しいです。長期共担とか各種なんだかわからん(いやわかってるけど)何とかオペを打ちまくって市場の担保ニーズを無駄に増やした影響が出ていると思います。
一方で東京レポレートちゃんの方は
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/5/20 0.083 0.080 0.066 0.062 0.060 0.058 0.074
2024/5/21 0.042 0.045 0.058 0.057 0.057 0.057 0.075
2024/5/22 0.071 0.062 0.061 0.062 0.060 0.059 0.075
2024/5/23 0.082 0.073 0.064 0.061 0.061 0.060 0.076
2024/5/24 0.030 0.079 0.065 0.062 0.061 0.060 0.077
結局先週1週間ではTKRRベースで火曜日に金利が下がったのですが、そのあとは上昇となっておるのですが、金曜はT+0翌日物の金利がエライ低いというなんかよく分からん需給ですけど、1Mとか3M(一番右から2つ)は安定していますからまあ本当に単純な需給なんでしょうかね、わからんけど。
〇全国CPIですが今回って原数値と季節調整後の乖離が大きいですね
そう言や全国CPI
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)4月分(2024年5月24日公表)
『≪ポイント≫
(1) 総合指数は2020年を100として107.7
前年同月比は2.5%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は107.1
前年同月比は2.2%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は106.5
前年同月比は2.4%の上昇』
ということで前年比の伸びが下がった(と言っても事前予想通りだと思うけどトップラインは)のがニュースヘッドラインになっていましたが、
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消費者物価指数
全国 2024年(令和6年)4月分
『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として107.7
前年同月比は2.5%の上昇 前月比(季節調整値)は0.2%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は107.1
前年同月比は2.2%の上昇 前月と同水準(季節調整値)
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は106.5
前年同月比は2.4%の上昇 前月と同水準(季節調整値)』
こちらなんですけど、
『表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比』
ってのを見ますと
総合:107.2→107.7
コア:106.8→107.1
コアコア:106.2→106.5
って原数値は4月だけに上昇しているんですけど、季節調整後で見ると、
『表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)』
だと
総合:前月比季節調整後ベースで +0.2
コア:前月比季節調整後ベースで 0.0(±は書いてないから分からん)
コアコア:前月比季節調整後ベースで 0.0(±は以下同文)
ということでして、上がっとらんというお話になってどっちですねんとか思ってしまうのですが、まあゆうて私らが実際に消費するときにお支払いしているのは原数値ベースのお値段なわけで、2020年平均が100という中で、この4年というかほぼ3年で7%も上がっているわけでして、翻ってこの3年で7%もアタクシの俸給が上がったのかと言いますと書いていると悲しくなってくるので以下割愛。
でですね、原数値ベースの上昇をいくらに置くかという事次第なのは言うまでもないのですが、ゆうて今年って原数値たいして上がらなくても前年同月比って例の補助金のせいで昨年が逆下駄はいているのもあって今年って高いまま推移する(まあ展望レポートでも1月は+2.4で見ていたのが+2.8になりました)訳でして、そんな状況が続いているのに「この物価上昇は第一の柱だから知らんがな」という理屈がいつまで続くのか、しかも第一の力の中に円安とかいう日銀が招いているものがあるのに知らんがなってのいつまで大丈夫なのか、これ岸田さんが糞不人気で何でも悪いことは岸田が悪いよ岸田がムーブになっているから助かっているんだが、世が世なら(以下いつもの悪態なので割愛)、
〇折角日銀様が面白ペーパーをだしているのだから鑑賞しない手はありませんな
ということで続きですけど今回は調査統計局様のお出しになられたスライドショーに軽くツッコミを入れて見たい。
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr240405a1.pdf
過去25年間のわが国経済・物価情勢
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ(第2回)
―― 第1セッション 経済・物価情勢 ――
2024年5月21日
日本銀行 調査統計局
・そもそも論として「なんでこうなったのか」の深掘りが無いのはダメだろ(再掲)
3枚目のスライドが『発表の構成:各時期のポイント』って奴ですが、こちらで過去の期間を
デフレ期(1990年代から2010年代初めまで)
低インフレ期(2013年から20年まで)
高インフレ期(2021年から)
に分けているのですが、1990年代って初頭の時期はまだデフレじゃなかった訳でして、体感的にはアジア通貨危機から日本の金融危機パート1の時期だし、以下のスライドに出て来る各種マクロ指標もそうなんですけど、1990年代後半に日本経済に「何か」が起こってデフレ低インフレの流れになった訳でして、その時の原因が何だったのか(やっぱ「その前」のマクロ政策における緩和のやり過ぎによる過剰レバレッジの蓄積の結果として生じたバブル崩壊となるんじゃないかと思いますけど)というのをきちんと整理しないと、結局また同じことを繰り返しかねない訳で、そっちの深掘りをした方がよっぽど為になると思います。
というのは先日申し上げた通りですがさらにこのスライドにはツッコミどころが満載。
・QQEが物価を押し上げたんだったら何でその政策を10年以上続けてたんでちゅかねえ
スライド3枚目の2ポツ。
『・低インフレ期(2013年から20年まで)
QQEの導入が景気回復や物価押上げにつながったが、長期低迷からの完全な脱却には至らず、物価・賃金が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が根強く残るもとで、2%の「物価安定の目標」は実現せず。』
>QQEの導入が景気回復や物価押上げにつながったが
>QQEの導入が景気回復や物価押上げにつながったが
>QQEの導入が景気回復や物価押上げにつながったが
もうね、アホかと馬鹿かと。
9枚目のスライドに飛びますと、そこには『2010年代の低インフレを巡る議論』ってのがあるんですが、そこでも何の断りもなく、
『・ QQEは物価押上げに成功、しかし2%には届かず
適合的なインフレ予想の形成メカニズム
─ QQE導入後の原油価格下落などを受けてインフレ予想も弱含み』
とか寝言を書いているのですが、決め打ちにも程がある訳で、QQE導入の時って消費増税が後に控えていましてそれに伴う財政支出がその前からあったこと、それから円安が進行(まあQQEのお蔭で円安が進行した、と言えばそういうことですけど)したことなど他の背景もあるのに何ちゅう決め打ちをするのかと小一時間問い詰めたいのと、こういうのって時代が進んでいくとこういう恣意的お手盛り分析であっても過去の記憶が皆さんドンドン飛んでってしまうので、日銀調査統計局様が作成したものなので、という権威付けによって勝手に事実になってしまって、将来同じような事が起きた時にまた牛の涎のように垂れ流し金融緩和一本足打法とか始めるという失敗をぶちかますことになりかねないのでマジでこういうイカサマ決め打ちするの勘弁してほしいんですよね。これが企画局だとああまた例のお手盛りですねとなるんですけど調査統計局たるものがこんな決め打ち出していいんですかねえちょっとOBの皆さんのご意見を聴きたくなりますわwwwwwww
同じお話になりますが、スライド10枚目には『2010年代の低成長を巡る議論』ってのがあるのですが、最初のポチで、
『・QQEは景気拡大に貢献、しかし潜在成長率は低迷
高圧経済による供給面への履歴効果は不十分?
資源配分の歪みを通じた副作用?』
>QQEは景気拡大に貢献
>QQEは景気拡大に貢献
>QQEは景気拡大に貢献
こちらもまたさっきと同じ決め打ちですよね、まあ以下同文なので以下は割愛しますが。
・輸入物価上昇が「好循環」ですかそうですかそうですか
スライド3に戻りまして3ポツ目
『・高インフレ期(2021年から)
コロナ後の輸入物価上昇を契機に、賃金と物価の好循環が強まり、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現が見通せる状況に。この間、@国際経済環境、A労働市場、B企業の価格設定行動などに変化の兆し。』
>コロナ後の輸入物価上昇を契機に、賃金と物価の好循環が強まり
>コロナ後の輸入物価上昇を契機に、賃金と物価の好循環が強まり
>コロナ後の輸入物価上昇を契機に、賃金と物価の好循環が強まり
えーっとすいません、何で輸入物価上昇が「好循環」になるんですか幾らなんでも書き方というのがあるんじゃないでしょうか・・・・・・・・・・
スライド8に変態仮面ブラード先生の複数機構論の話(なんかQQEで自然利子率の引き上げだのインスレ予想の引き上げだのという辺りがインチキ臭くて、ブラードの複数均衡論ってのは低インフレを放置しているとゼロインフレ均衡に嵌ってしまうからQQE2が必要だって話をするための物件なので何か微妙に微妙な説明なんですがその辺はパスします)をしているんですが、外生的ショックによってとりあえず物価が上がったので一旦均衡からズレた、みたいな話をするならまだしも(なおその場合はなぜ2013-2014年との違いは何なのかというのを深掘りする必要があるんでネーノ)、いきなり何の断りもなく「輸入物価上昇で好循環」は説明が乱暴にも程があると思うんですがどうでしょう。
・相関関係をそのまま因果関係にしてしまうのは置物症候群に罹患している可能性があります
あと腰砕けるのは最後の方のスライド24なんですよね。
『インフレ予想と成長期待・設備投資』ってお題なんですけど。
『・ 日本では90年代以降、中長期のインフレ予想と成長期待が連動していたが(他の先進国では同様の関係はみられていない)、QQE導入後はインフレ予想がやや上方に乖離。今後も乖離は続くか?
・ 企業の物価見通しと設備投資計画の関係をみると、緩やかな物価上昇を見込む企業は設備投資計画を増加させる傾向(大幅な物価上昇や物価下落を見込む企業は設備投資計画を減少させる傾向)。』
なんじゃこりゃという話でして、これはインフレ予想が上がったから設備投資を増加させているのではなくて、単純に景気拡大あるいは自社製品の売り上げ拡大を見込んでいるから設備投資を増加させているだけの話で、つまりインフレ予想が上がるから設備投資が増える、みたいな話でもなんでもないだろいい加減にしろと思う訳ですが、このスライドの表題、『インフレ予想と成長期待・設備投資』ってなっていて、いかにも「インフレ予想が2%でアンカーされると成長期待や設備投資が盛り上がります」という置物リフレ理論であらされるところの「インフレ予想さえ上げれば世の中バラ色」というハッピー置物ムーブが伝染していると思われますし、どこかの三百代言部局なら兎も角、調査統計局様とあろうものがこんな置物理論ばりの説明スライド作るなよと思いました(あくまでも個人の感想です)。
・・・・・・ということで、まあ何ちゅうかこのツッコミどころという感じなのですが、まあこの調子で多角化レビューやってるのを今日からの国際コンファランスで堂々と公表するのかよ大丈夫かと思いますし、しかも公表する親玉が日本のマクロ経済・金融論においては第一人者であらされるところの植田和男大先生、というのがもうねという所ではございますがどうなることやら。
2024/05/24
お題「輪番悪目立ちクソワロタ/金研コンファランス来週ですね/多角的レビューのスライドを鑑賞する企画(その2)」
ほうほうそうですかそうですか
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-23/SDXZ5OT1UM0W00
ドル一時157円台、米国債利回り上昇−米PMIが予想以上に堅調
Rita Nazareth、Liz Capo McCormick
2024年5月23日 23:21 JST 更新日時 2024年5月24日 0:17 JST
〇輪番がこんなに悪目立ちしているのも13日の騙し討ち減額が悪いんですけどね
・輪番減額は当然なかったのだがその瞬間為替が反応してたのはワロタ
クソワロタ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-23/SDX41UT0G1KW00
【日本市況】株反発、エヌビディア決算で半導体高−円堅調、債券上昇
Winnie Hsu、船曳三郎、山中英典
2024年5月23日 14:31 JST 更新日時 2024年5月23日 15:57 JST
『為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=156円台後半で取引された。日銀が国債買い入れオペを据え置いたことを受け、約3週間ぶりの安値を付ける場面があった。タカ派的な米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けたドル高や、実需のドル買いも円の重しになった。』(上記URL先より)
ということで、輪番はまあ普通に同額で実施されたのですけれども、出たあといったん円安に為替ちゃんが吹いたのはクソワロタというかアホなのかと思ってみておりました、まあ瞬間芸みたいな動きではありましたけど、こうやって相場振り返り記事になっちゃうのがもう残念としか申し上げようがありませんですな、ナムナム。
4月減らす最初のチャンスの時に減らさないで、その後も減らさずで来まして5月分のオペ紙も淡々と変更しない、でもって連休明けの買入も同額でぶっこんで来ておいていきなり5-10で減額というのはやっぱりアホの極みで、どうせなら連休明けに中期を減額しておけばよかったわけで、「4月いきなり減額すると刺激的かと思って1か月待ちましたてへぺろ」って言っておけばまだ話は分かったのですが時すでにお寿司なのでもうシャーナイですな。
でまあ変なサプライズするもんだから輪番が急に悪目立ちするようになって、据え置き(いやまあ普通にれ据え置きしてくるじゃろと思うんだが)のたびに瞬間芸でも反応されてニュースネタになってしまうとバンドワゴン効果じゃないけど悪目立ちの前向きの循環メカニズムが働いてしまうんでどうするんですかねえ日銀ちゃん。
ということで、好むと好まざるにかかわらず、6月会合の時点で長期国債買入に関してもっときっちりと定義づけを示して、まあできることなら調節部署の裁量を極力排除してオペの予見可能性を高めてしまって一々材料にされないようにするしかないんじゃないかなあとは思いますけどね、飛び道具に関しては「投機的な動きなどで金利が急騰したら使うかもよ」と言っておけばいいんだし。
ま、それからアレですよね。月末のオペ紙変えないんだったら少なくとも6月決定会合までは輪番いじらないで兎に角ほとぼりが冷めるの待つしかないっすよねこれ。オペ紙変えるんなら話は別ですけど。
などと思っていたら、
・1-3札割れだから1-3は減額する明確な大義名分が発生してこれは日銀もニッコリ(知らんけど)
落札結果 (5月23日<木>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240523.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,564 3,564 -0.010 -0.003
国債買入(残存期間3年超5年以下) 9,844 4,255 -0.005 -0.004 78.1
国債買入(残存期間5年超10年以下) 10,031 4,255 -0.004 -0.002 78.4
1-3輪番札割れキタコレということで、昨日はカーブの後ろはヘロヘロでしたが、1-3輪番札割れを受けてかどうかはさておきまして、2年とかの辺り前日比引け強になってしまいまして、なんという事でしょう本来は短期政策金利の引き上げが意識されるのですから教科書的にはベアフラットなのにまさかのツイストスティープにもはや笑ってしまうしかありませんな。
まあ輪番をめぐる不確実性、ってのはあるんですが、ゆうてそもそも超長期って日銀たいして買っていないので、輪番がわけわからんからどうのこうのって話は10年までならともかく超長期がゲロゲロになる理由では無い気もするのですが、とは言え10年コケると後ろに影響するんでとかなんとか言いながら、押し目買いを渋る理由にはなっていると思うのでやっぱり日銀の政策コミュニケーションがグダグダになっているのが悪いよ、と思ってしまいますが、まあ何はともあれ1-3札割れしたから次回減額、と思ったら今月は1-3輪番もう無いのか・・・・・
〇今度は海外の不確実性ですかそうですか(植田総裁記者向けコメント)
こんなんでてました
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/FMOLGBVHYJIUVJKFFFBGR2XKG4-2024-05-23/
日本経済「持ち直しの見方、変わらず」=植田日銀総裁
By ロイター編集
2024年5月23日午後 9:49 GMT+9
『[ストレーザ(イタリア) 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、日本経済の先行きに関し、持ち直すとの見方に変わりないと述べた。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に先立ち、現地で記者団に語った。』(上記URL先より、以下同様)
会見は会議後に行われるのでこれは記者団向け囲みだかぶらさがりだかのお話ですねきっと。
『1―3月期実質GDPがマイナス成長だったことについては自動車の生産・出荷停止の影響が出たと指摘。一方、事前に予想されていた動きとし、「4月会合後のデータだが、基本的な日本経済についての認識はそのデータを経たあとでも、4月の会合時点から大きく変わっていない」と語った。』
『植田総裁は「残存するインフレ圧力の消費への下押しの影響も予想されていたこと」とし、「第2・四半期以降、自動車まわりのところは改善に向かうと思うし、第1の力からくるインフレのところは減衰していく。予想される名目賃金の上昇で実質所得に上向きの力が働くことから持ち直すという全体的な姿には、今のところ変化はない」と述べた。』
『世界経済に関しても「(4月会合時から)大きく動いていないと思う」とした。』
であれば、4月展望レポート基本的見解で高らかにお示しした通り、「以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになる」という話になるはずなんですが・・・・・・・・
『最大の焦点は「米国経済がソフトランディングの最後のワンマイルをどういう風に完走するのか、あるいはうまくいかないのかというところ」と言及。今回のG7で「色々、皆さんと議論してみたい」と語った。』
『欧州経済を巡り「少し弱めだったヨーロッパ経済が底打ちに向かうという話もあるが、その辺についてもどう考えているかということを議論したい」とも語った。』
ってこれどっからどう見ても「海外が不確実だから金融政策の修正をしたくないでござる」って言ってるようなもんじゃねえかというところでして、またこのハトハトチキンは海外に行くと本音駄々洩れしやがるわという感じで落涙を禁じ得ないのであります。
〇そういや来週は金研国際コンファランスですね
https://www.imes.boj.or.jp/conference.html
『本年の国際コンファランスは「物価変動と金融政策の課題 -- 教訓と展望 --」と題して、5月27日、28日に開催いたします。詳細はプログラムをご覧ください。』
お品書きはこちら
https://www.imes.boj.or.jp/en/conference/2024confsppa.html
2024 BOJ-IMES Conference
Price Dynamics and Monetary Policy Challenges
-- Lessons Learned and Going Forward --
May 27 - 28, 2024
Institute for Monetary and Economic Studies, Bank of Japan
- Preliminary Program (subject to change) -
月曜に
9:00 Opening Remarks
Speaker:
Kazuo Ueda, Bank of Japan
11:00
Keynote Speech I: Price Dynamics in Japan over the Past 25 Years
Chairperson: Shin-ichi Fukuda, The University of Tokyo
Speaker: Shinichi Uchida, Bank of Japan
ってあるので、植田総裁と内田副総裁の講演が予定されているのですが、まあ内田さんのこの物件ってまさに火曜日の多角的レビューでやってるネタなので、なんですかその使いまわしみたいなのが出てくるんじゃネーノと予想してしまうのですが、それはそうとこの金研コンファランスの日本サイドのメンバー見たらまさに火曜日の多角的レビューのワークショップの人たちじゃんという感じでして、なんちゅうかこの多角的レビューがすっかり政策に結びつかない植田総裁の趣味の場になってきましたなという感じ(なんか直近でもホイホイとスタッフペーパーでてるんですよね)ですな。
まあ何か面白いことでも言っていただけるとよいのですが、あんまり期待しませんし、それよりも多角的レビューのポンチ絵がいろいろとアレではないかという中であれに沿って出すの大丈夫かよと思ってしまいますが・・・・・・
〇多角的レビューのスタッフ謹製スライドを見ながらいろいろと突っ込んでみる企画
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/bpr240405a.htm
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第2回「過去25年間の経済・物価情勢と金融政策」
どうでもいいんですがこれ更新したのですからページの日付がバックデートってのも微妙に微妙ですよね。
第1セッションも第2セッションもなかなかのツッコミどころ満載なのですが、まあ政策絡みの第2セッションは実にツッコミどころが多いのでそっちのスライドから参りましょう。
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr240405a2.pdf
非伝統的金融政策とインフレ予想
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ(第2回)
―― 第2セッション 金融政策 ――
2024年5月21日
日本銀行 企画局
まあだいたい企画局謹製という時点で結論先にありき自己正当化先にありきの香りがプンプンする、という物件ですが、
・のっけから雑なまとめキタコレ
テーマが2個あるのですが、前半がスライド3にあるように『1.非伝統的金融政策とインフレ予想』なのですけど、このスライド、4ページののっけからこれなんですよね
『非伝統的金融政策の効果の波及経路』ってのがスライド4なのですが、ここでいきなり「非伝統的金融政策」を一つにまとめて説明していまして、いやお前非伝統的政策ってフォワードガイダンスによる下限政策金利への長期的コミットメントからはじまってLSAPあり(しかも国債買入以外のリスク性資産の買入もあり)マイナス金利ありYCCあり、その間にマネタリーベースにフォーカスした政策あり、といろんなのがあるのに全部まとめて一つにするの乱暴だろ、ということでもう最初の時点でイカサマ感が満載な訳ですなこれがまた。
でまあその政策の効果に関しては第1セッションの調査統計局が出しているスライドの方にああでもないこうでもないと書いているのですが、こっちは今日は時間が多分足りなくなると思うので割愛しますが、他のファクターの話をかなり無視しして堂々と「QQEが物価を押し上げて景気拡大に貢献」と決め打ちしていまして、いやお前物価に関しては為替ファクターがあったし消費増税に伴う便乗値上げもあったし、景気の方にもつながるけど財政出しただろ、ってなもんで、その辺を全部っかっ飛ばしてQQEで物価と景気が押し上げられた、という置物一派みたいな糞分析をしているんですよねこれがまたwwwww
まあしかしこのスライドショーの面白ポイントは後半の『2.緩やかなインフレの経済的意味』でして、これがとにかく笑えるんですよね。
・植田さんの昨年末経団連講演での怪しさ満点の説明が祟っておられるようで何よりですなwwwwwwwwwww
一昨日も申し上げましたが、昨年末の経団連の講演で、一般的な経済学の考え方からしたらおかしくないですかねえというような説明をしておったのを、これまたおあつらえ向きのようにかつて宮尾先生(その後審議委員)とスタッフ(その後企画局長や金融機構局長を歴任中)と書いたペーパーを日銀が出しているのでそれを引っ張って確認したわけですけれども。
でまあ植田さんの講演で言ってたのが「インフレの方が価格改定がしやすい」「インフレの方が資源配分が効率的になる」という話でしたが、それを一生懸命正当化しようとしていまして、スライド30の「まとめ」の3ポツで
『・正の一般物価インフレ率のもとで、賃金・物価が緩やかに上昇する世界では、金利の実効下限制約に直面するリスクが低下し、金融政策の対応余地が拡大すると考えられる。』
ってのはまあそうですねという話です
・・・・とは言いましてもこの点に関してだって「金融政策の対応余地のため」という観点がどれだけ重要なのか、という問題が大ありであって、社会厚生上望ましいインフレ率に対して「金融政策のため」という理由でそれよりも高いインフレ率を望ましいとするのは金融政策の目的(社会厚生の最適化)から見たら本末転倒にならんのか、という重大な論点が残るし、実は今回のスライドを見ると2%が正しいいうような結論にならないだろってのが散見されます。
『また、近年の研究では、正の一般物価インフレ率を実現することが、賃金・価格のシグナリング機能を高め、資源配分の効率化に繋がる可能性があること、ひいては、生産性に対して好影響をもたらしうることも指摘されている。』
ということですが、もともと言われていた理屈の方が普通にロバストなのに対して近年の研究で、ってぶっこんでいるのもいやお前それロバストなのかよという話なのでして、これを堂々と言うのは流石に図々しくないかと思うのですが、まあ昨年末の面白講演の尻ぬぐいなのですよね。
・インフレの方が新陳代謝が進んで資源配分の効率化につながるんだったらマイナス金利とか超愚策という話になりますがwwwww
今回のこの紙芝居で一番アタクシが腰を抜かした、というかアタクシ程度の門前小僧というか門前にも立てない小僧ですら腰を抜かしたのがスライド27です。
『物価変動と資源配分の効率性に関する研究』って見出しなんですけどね。
『● このほか、緩やかな正の一般物価インフレ率のもとで、企業の新陳代謝や効率的な研究開発投資が促進される可能性を指摘した研究もみられる。』
・・・・・・・・(゚д゚)
でまあその先行研究の論旨をご紹介しているのが『先行研究での指摘』という箱ですが、
『Santro and Viviano [2022]
■生産性が高くマークアップ率(マージン率)の大きな企業は、コスト吸収余力が大きいため、コスト増をあまり価格転嫁せず、価格競争力を維持しやすい。
■一般物価の緩やかな上昇は、価格転嫁の違いを通じて、生産性の高い企業への需要シフトを促進するため、経済全体の資源配分の効率化に繋がる。
Miyakawa et al. [2022]
■一般物価が上昇し価格改定コストの相対的な負担が高まると、そうした価格改定コストを十分に吸収できる高付加価値商品を開発できる企業が、そうでない企業に比べて大きな研究開発投資を行うようになり、市場シェアを拡大する。■こうした資源再配分効果が十分強く働くと、実質成長と経済厚生が改善する。
Bilbiie et al. [2014]
■参入企業が過剰となっている市場においては、一般物価が上昇してコストが増加すると、マークアップの圧縮を通じて企業の新陳代謝が促され、資源配分の歪みが是正される可能性がある。』
・・・・・いやあのすいません、これって要するに「物価上昇に耐えられなくなった企業が脱落することによって新陳代謝が進む」っていうゴリゴリのシバキ理論ですよね。
いやまあゴリゴリのシバキ理論をベースにして物価の上昇はよいこと、という説明するのでしたら、あんたらなんで散々っぱら金利を下げまくることをしてたんだよという話で、これが正しいスタンスであるならば、「金利がある程度ある状態の方が新陳代謝が促進されて資源配分の効率化につながる」っていう話もまた正しいってことになるんですけど、望ましいインフレ率の話をするときはゴリゴリのシバキ論を言っておいて、実際にやっている金融政策が世界にも例をみないガバガバ緩和政策をやってる、っていうのはどういうことなのかと小一時間問い詰めたいい訳でして、これは二枚舌とかダブルスタンダードとかご都合主義と言われても文句の言えないご説明になっていると思うんですが大丈夫ですかねえこの調子で金研国際コンファランスに突っ込んでいってwwwwwww
・実質賃金は下がる方が良いという説明もぶっこまれております
スライド28に『賃金の硬直化と労働市場の効率性』ってのがあるんですがこれまたお洒落でしてですね。
『● わが国では、インフレ率が低下するもとで、賃金が硬直的となる傾向がみられた。』
『● 賃金の硬直化は、生産性に応じた賃金設定を困難にする。高い一般物価インフレ率のもとで、賃金設定の柔軟性を確保することが、賃金のシグナリング機能を高め、資源配分を効率化し、生産性の上昇に繋がるとの指摘もみられる。』
これ要するに「一般物価が上がると賃金の調整がしやすい」って話ですから、つまりは実質賃金が下がった方が良いって説明になっているわけですな。
まあそれ自体はそれこそ黒田緩和始まる頃にハマコー大先生も「賃金は上がらない方が良い」とかダイヤモンドで発言(やばいと思ったのか最近は有料会員でしか読めないアーカイブになってしまいましたがw)していたように、まあその主張は必ずしも間違いという話ではないのですが、日銀が言ってる「賃金と物価の好循環」とか政府というか官邸の言ってる「物価上昇に負けない賃金上昇」とか言ってるのとずいぶんと話が違いますけど大丈夫なんですか、ってなお話でしてこれもまた笑ってしまいました。
・・・・・・ほかにもツッコミどころがあるのですが気が付いたら時間がなくなったので本日はこの辺で勘弁してちょ。
2024/05/23
お題「10年1%記念メモ/FOMC議事要旨はまあ早期利下げ期待の人にはゼロ回答ですね(こんなもんだと思うけど)」
あ、そういや今朝はFOMC議事要旨があるんでしたのでそっちを先に成敗しますサーセン
〇その前に10年1%なので記念備忘メモ
皆様ご案内の通りですが
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/3KKX4K3JJBNNFBLF4G2QDXRM2A-2024-05-22/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利1%と11年ぶり高水準 弱めの入札で
By 坂口茉莉子
2024年5月22日午後 3:54 GMT+9
『[東京 22日 ロイター] - <15:43> 国債先物は続落、長期金利1%と11年ぶり高水準 弱めの入札で
国債先物中心限月6月限は前営業日比7銭安の143円65銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の1%と2013年5月以来11年ぶりの高水準。40年債入札結果が弱めとなったことを受けて、現物市場では超長期ゾーンを中心に金利が上昇。この流れが波及し、国債先物はマイナス圏に転じた。』(上記URL先より、以下同様)
とまあそういうことですが、なんせですね、
『前日の米債市場で長期金利が4.41%付近に低下した流れを引き継ぎ、国債先物は買いが先行。その後、超長期債ゾーンを中心とした金利上昇が波及し、先物は上げ幅を縮小した。40年債入札結果は弱めと受け止められた。「生保勢中心に札は入っていたものの、最高落札利回りは前引けの水準よりも甘かった」(国内証券債券セールス担当)という。これを受けて、新発国債利回りは超長期ゾーンを中心に上昇。その流れが中長期ゾーンにも波及した。「押し目買いの動きが乏しいことを踏まえると、市場は長期金利1%を一旦試しにきているようだ」(同)との声が出ていた。』
昨日の40年国債入札って入札自体は直前予想(としてベンダーが言ってたの)からみるとそこまで度肝を抜くような入札でもなかったと思うのですが、そもそも論として事前に結構調整したのにそれよりも弱かったということで(ノ∀`)アチャー感溢れる入札でした、ってことなんでしょうね、知らんけど。
『TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 0.337 0.347 0.002 15:15
5年 0.579 0.588 0.014 15:25
10年 0.989 0.998 0.018 15:25
20年 1.821 1.831 0.041 15:25
30年 2.132 2.145 0.055 15:25
40年 2.524 2.536 0.05 15:27』
日銀の早期政策修正ネタで売ってるんだったら後ろの方そんなにバカスカ売らんでもとは思うのですけれども、「日銀がどう出てくるかが皆目見当がつかないから様子見するしかないじゃん」と主要投資家の皆様が思ってしまい、マーケットメーカーはマーケットメーカーで「日銀の輪番の上げ下げの基準が全く意味不明で予見可能性が全然ないからポジションを大きく持って輪番上げ下げにあたったら死ぬもんね」となっているわけでして、そりゃまあ金利リスク量の大きい方が売られるわ、ということで、「短期政策金利の引き上げ思惑がある中なのにベアフラットではなくベアスティープ続く」という面白相場になってしまっておられる次第で、まあ要するに日銀が悪いよ日銀が、という事になるわけですな。
6月7月のMPMでこの予見可能性皆無しかも基準がただのお気持ちというクソコミュニケーション状態を立て直していただきませんと、「日銀の出方がロジカルに読めないので誰もリスクを取りに行けない」という状態が延々と続くことになってしまいますので、整合性が全然取れないその場しのぎのインチキ説明を反省してもらわんと行けませんわ、と思うのであります。
まあしかし何ですな、先週月曜のサプライズ輪番減額がこんなに効くとは、ってなもんですが、これは輪番減らした額が問題なのではなく、「今までの説明&今までの日銀の輪番スタンスから論理的に考えたら市場がだれも予想できないタイミングで輪番を減額してきた」という「サプライズ」を打ち込んで、日銀の今後の動き(輪番にしろ短期政策金利の調整にしろ)をロジカルに読みにくくなった(もともとロジカルじゃないから読みようがなかったのですが今回のはそれに輪をかけた)というのが効いている、すなわち定量的な問題じゃなくて定性的な問題なんですよねきっと、とアタクシは思うのですがどうでしょう。
でまあ金利の方は上がっているのですがなんかこうダラダラと上がる感じで昔のように「YCC解除間近だぜヒャッハー」みたいに調子に乗って売られているのではなくて、(個人の感想としては)上記のように「日銀が何やらかすか皆目読めないのでリスクを取りに行く気が起きない」ということから相場がじりじりと売られるという格好な訳でして(と思うのですが)、投機っぽくなく弱いのが何んともかんともでありますし、この間に円金利上昇しているというのにドル円様ったら結局円安気味というか、米長期金利様の方が折角4.7%水準から4.5%割れ水運になっているというのにドル円ちゃん157円接近とかやっておられる訳でして、まあ日銀は絶対そうだとは言わないけど、円安で差し込まれてアリバイ減額した結果としてドル円には全然効かない上に円金利は上昇するとか、ここまで見事な無駄打ちどころか華麗な逆効果というのはなかなか見れるもんではないので、ちょっと感動している今日この頃であります。
という備忘メモおよび悪態でした。
〇5月(というか4月末)FOMC議事要旨である
紙に打ち出すときはPDF、画面で見たりコピペするときはHTMLで行うアタクシです
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240501.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
April 30-May 1, 2024
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
of the Federal Reserve System was held in the offices of the Board of Governors
on Tuesday, April 30, 2024, at 10:00 a.m. and continued on Wednesday, May
1, 2024, at 9:00 a.m.1
例によって『Participants' Views on Current Conditions and the Economic
Outlook』ですが、毎度のインスタント読みでご勘弁していただきとう存じますので政策決定に関するところ以下を先に読みますね。
11パラグラフから14パラグラフが政策決定に関する部分になります。
・政策金利維持の記述はあっさり味
まずは11パラ。
『In their consideration of monetary policy at this meeting, all participants
judged that, in light of current economic conditions and their implications
for the outlook for employment and inflation, as well as the balance of
risks, it was appropriate to maintain the target range for the federal
funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent. 』
メンバーではなくてパーティシパント全員が政策金利維持を支持ですね。
『Participants assessed that maintaining the current target range for the
federal funds rate at this meeting was supported by intermeeting data indicating
continued solid economic growth and a lack of further progress toward the
Committee's 2 percent inflation objective in recent months.』
でもって返す刀で「前回会合以降の経済データやここ数か月の物価推移を見ますと、政策維持が理にかなっておられると皆さんが認識しておる」ってなもんで、まあ今更これをアピる必要はないでしょうけど、次回会合での政策変更を一切示唆しない攻撃をしておりますな。
・資産買入に関してはやたら記述が長いがまあそんなに変わった論点は無いと思いました
12パラは資産買入に関してですがこのコーナーが今回はやたら長い。
『Participants also discussed the process of reducing the Federal Reserve's
securities holdings. Participants judged that balance sheet reduction had
proceeded smoothly.』
バランスシートのランオフがスムーズをスムーズに進展させるためのプロセスについて議論しましたと。
『Almost all participants expressed support for the decision to begin to
slow the pace of decline of the Federal Reserve's securities holdings in
June by reducing the monthly redemption cap on Treasury securities from
$60 billion to $25 billion, maintaining the monthly redemption cap on agency
debt and agency mortgage-backed securities (MBS) at $35 billion, and reinvesting
any principal payments in excess of the $35 billion cap into Treasury securities.
』
例の6月から削減ペースを国債だけ落とす、の件については全パーティシパントの賛成ではなくて、
『A few participants indicated that they could have supported a continuation
of the current pace of balance sheet runoff at this time or a slightly
higher redemption cap on Treasury securities than was decided upon.』
別に削減ペースを緩めんでもええじゃろという人や、もうちょっとキャップは上でもエエンチャウノという人がいた(どっちも削減ペースをそこまで緩めなくてよい派ですな)との由。
『Various participants emphasized that the decision to slow the pace of
runoff does not have implications for the stance of monetary policy.』
バランスシートのランオフペースの緩和は政策スタンスとは関係ありません、というのを強調しました、ってのが出ていますが、まあFEDちゃんはこの部分についてかなりの部分成功してはいますが、ただまあゆうてやっぱり増やすときにストックの話とかしてたわけですから、ランオフがスローになるのはファイナンシャルコンディション的にどうのこうのみたいな言われ方はしますよね。なお日銀は輪番は短期金利操作とは別件バウアーと言っているのにどう見ても政策意図丸出しです本当にありがとうございましたというタイミングで輪番減額を打ち込んでくるというしょうもない技を披露しておられます、ナムナム。
『Several participants also emphasized that slowing the pace of balance
sheet runoff did not mean that the balance sheet would ultimately shrink
by less than it would otherwise. Some participants commented that slowing
the pace of balance sheet runoff would help facilitate a smooth transition
from abundant to ample reserve balances by reducing the likelihood that
money markets experience undue stress that could require an early end to
runoff. 』
まあこの辺は中の人的には重要な論点ではあるのですが現世利益的にはどっちでもエエンチャウノとは思ってしまいますけど、前回のランオフの時に調子に乗って下げていたらいきなり閾値越えしてFF金利が跳ねましたってのがあって、まあそんなのシャーナイやんとは思いますし、そうなったらそうなったでシステムオペ(って死語ですかね)でも打てばよいのでその準備だけしておけばと思いますけど、まあ気にするんでしょうねここは。
『Participants generally assessed that it would be important to continue
to monitor indicators of reserve conditions as balance sheet runoff continued.』
ランオフをしている間に気が付けばやりすぎになって短期市場金利がいきなり跳ねるのを嫌がっているのは分かった。
『In addition, a few participants commented that the existing redemption
cap on agency debt and agency MBS was unlikely to bind at any point over
the coming years, but the decision to reinvest any principal payments above
that cap into Treasury securities was consistent with the Committee's longer-run
intention to hold a portfolio that consists primarily of Treasury securities.』
『A couple of participants commented that it would be useful to begin discussions
regarding the appropriate longer-run maturity composition of the SOMA portfolio.』
このパラグラフ最後の部分では「そもそも論として我々が保有する長期資産は米国国債のみであるべき」という原則論にのっとった議論をしておりますし、その点に関しては皆さん当然の如く米国国債しか持たんわという話をしておりまして、どこかのポンコツに爪の垢を煎じて飲ませたいですな。
・今後の政策運営というメインイベント部分ですが結論はあっさり味の記述で「今回はパス」感を出しているのかな?
13パラが今後の政策運営という皆様が一番大好きな部分になりますな。
『In discussing the policy outlook, participants remarked that the future
path of the policy rate would depend on incoming data, the evolving outlook,
and the balance of risks』
データディペンデント、というのは要するに出たとこ勝負なので、SEPでドットプロット出しているのと全力で矛盾する話になっておるのですが、これいい加減何とかしないのかねとは思います。まあこの辺の議論は裏ではあるのかもしれませんけれどもどうなんでしょうかね。
そもそも先のことがわかるんだったら決め打ちして決定会合なんぞ年に1回か2回やればよいのであってすが、実際の経済はそう都合よく動いてくれないわけですから、どこの主要国の中央銀行も年に8回とかそのくらいの頻度で情勢判断のアップデートをしているんですわな。
ということですので、そもそも先行きの政策を決め打ちして示す、というのがゼロ金利(または事実上のゼロ金利)制約によって無理やり緩和手段を捻り出しにいったときの遺物なのですから、こんなの止めちまえとしか言いようが無いし、ドットプロットのおかげで(せいで)コミュニケーションがややこしくなるのと、市場の方でもこういうの出ているから結局それに振り回されてしまうわけですな。特にロジカルに投資をしていく、というのを突き詰めてい行くとどうしてもこのドットを注目しちてしまうわけですが、門前の小僧を10ウン年やっておる(どころか20年とかやってる気がする)アタクシに言わせますと、中央銀行の出す「ぼくのかんがえたせいさくきんりみとおし」なんてのはまあ近い未来だけはそれなりに意味があるんですが、例えば今でいえば2025年末のFF金利が何ぼとかいうのは(政策を動かさないという時代ではないときにおきましては)もう完全に幻想の世界なのであって、SEPが出てくるたびにそういう幻想を見ながらああでもないこうでもないとか言ってる何とかストとか時間の浪費の極み以外の何物でもないとかまた友達を失くすようなことを言ってるけど、まあそういう事やぞ、とアタクシは思う訳ですけどね。まあいいけどさ。
すいません話が横にそれました本日のメインイベント?の続き参ります。
『Many participants commented that the public appeared to have a good understanding
of the Committee's data-dependent approach in formulating monetary policy
and its commitment to achieving its dual-mandate goals of maximum employment
and price stability.』
でまあここはワロタという感じですが、なんでも多くのパーティシパント様におかれましては「世間が最近ワシらのデータディペンデントアプローチへの理解を深めておる」という認識なんだそうです。ホンマカイナ。
『Various participants also emphasized the importance of continuing to communicate this message.』
そんなにデータディペンデントアプローチを強調したいんだったらドットチャート出すの止めろアホなのかと思いますが、まあ補助金漬けになって補助金ジャンキーになってしまう人のようなもんで、これ止めると市場からバチクソ文句が出るから引くタイミングを逸したって感じなんでしょうね。
『Participants noted disappointing readings on inflation over the first
quarter and indicators pointing to strong economic momentum, and assessed
that it would take longer than previously anticipated for them to gain
greater confidence that inflation was moving sustainably toward 2 percent.』
コミュニケーションの話を散々した後にやっと先行き政策の話が出たと思ったらこの一文で終了というあっさり味になっているのがなんともですけど、1Qに出てきたデータを見ますとインフレの鎮静化がオラしょんぼりだわということで「would
take longer than previously anticipated」と利下げ開始にはお時間がありますというのをあっさり味で書いて終わりにしておりまして、これはあっさり味で書くことによって1回パス感を出しているってところなんでしょうかね、知らんけど。
・リスクマネジメントアプローチの話でしらっと引き締めスタンスを強調するの巻
第14パラが「リスクマネジメントアプローチ」とかいうどこかのハトハトチキンも大好き(なおリスク認識を間違えて就任来の円安誘発が遂にヤバいことになっているんですけどそのハトハトチキンはwww)論点。
『In discussing risk-management considerations that could bear on the policy
outlook, participants generally assessed that risks to the achievement
of the Committee's employment and inflation goals had moved toward better
balance over the past year.』
前よりもリスクバランスは改善、というのは最近ずっとこのスタンスですけど。
『Participants remained highly attentive to inflation risks and noted the
uncertainty associated with the economic outlook.』
物価にはリスクが大きく有って経済の見通しは不確実ですよ。
『Al-though monetary policy was seen as restrictive, many participants
commented on their uncertainty about the degree of restrictiveness.』
ここは面白いと思いました。今の政策は「was seen as restrictive」なのですが、さてその引き締め度合いはどないでっしゃろという論点で、
『These participants saw this uncertainty as coming from the possibility
that high interest rates may be having smaller effects than in the past,
that longer-run equilibrium interest rates may be higher than previously
thought, or that the level of potential output may be lower than estimated.』
その論点をぶっこんだ人たちは実は引き締め度合いが足りないんじゃネーノという指摘なので利下げクレクレの人からみたらしょんぼり論点ではありますが、引き締め足りない可能性としてはロンガーランの均衡金利が実は思っているよりも高い、あるいは潜在的な産出水準が推計しているよりも低い、というのを指摘してますけど、まあこの辺って結局のところ「ザ・均衡金利」みたいなのが計測できない以上、あくまでも結果から逆算なので考え方の整理で使う話になるんですけどね。
『Participants assessed, however, that monetary policy remained well positioned
to respond to evolving economic conditions and risks to the outlook.』
と、上記論点をぶっこんだあとにハウエバーが来て、ゆうてまあ今の政策金利とかは「well
positioned」とみられます、という話に落ち着いてますんで、さすがに利上げという話につながるのではなくて、あくまでも今の状況が一段長期化するのかしないのか、という点での論点になるかと思うのですがどうでしょうかね、と書いているのですが次の部分でどうもそうじゃないのが示されております(超滝汗)。
『Participants discussed maintaining the current restrictive policy stance
for longer should inflation not show signs of moving sustainably toward
2 percent or reducing policy restraint in the event of an unexpected weakening
in labor market conditions.』
2%へのインフレ鎮静化の動きが出てくるのが遅れるとか、労働市場が必要な鎮静化をするのにお時間がかかるようならば、今の引き締め的なスタンスを長期化する必要がありますわな、という話の次にしれっと、
『Various participants mentioned a willingness to tighten policy further
should risks to inflation materialize in a way that such an action became
appropriate.』
最後の最後のところ(これが14パラ最後)でここから先インフレがサガランチ会長あるいは上がったりするようなムーブになってきたら一段の引き締め強化もアリエールんじゃネーノみたいな指摘もありました、とか来やがっておりまして、締めの部分は早期利下げ期待の皆さんを打ち砕きムーブで終わらせる、という書きっぷりになっていました。
2024/05/22
お題「多角化レビューのワークショップ紙芝居キタコレ(その1)/TKRRのメモだけ」
多角的レビューが来てましたが現世利益的には関係なさそうですね。でもまあ突っ込んでみますがその前にメモ。
〇うーん今回は火曜日に低下したのか東京レポレート
いつもの東京レポレートちゃんですが
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
うーん今回は火曜日に足元の金利低下しておりまして要因はそりゃまあ達観して言えば需給なんですけど、じゃあ何の需給なんですねんというのはよーわからんので誰か教えてつかあさい。
2024/5/17 0.075 0.081 0.063 0.060 0.059 0.057 0.072
2024/5/20 0.083 0.080 0.066 0.062 0.060 0.058 0.074
2024/5/21 0.042 0.045 0.058 0.057 0.057 0.057 0.075
ってそんなレベルでメモかくなよとツッコミをうけそうですが、まあわからんもんを知ったかしても有害無益ですからwww
でまあもう一つ特徴的なのは足元下がってるけど3Mとかはサガランチ会長どころかじり高ちゃんになっている訳でして、金利というか先行きの金融政策がどうのこうのという点においてなのか単なる期間リスクプレミアム(運用資金をフィックスるするプレミアム)なのかは知らんけど、こっちは綺麗に階段ついているんで、ホンマモンの玉カラカラ帝浴場って訳でも無いとは思うのですけどどうなんですかね。
という備忘メモでした。ではまああんまり現世の金融政策に対して何かお話がある訳でもない物件に関してスタッフ謹製のプレゼン資料が出てきましたので鑑賞してみようではあーりませんか。
〇多角的レビューのスタッフ謹製プレゼンが登場の巻なので適当に突っ込んでみる
昨日のお品書きですが、昨日のどの時間かに資料へのリンクがしらっと貼られていますね。
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/bpr240405a.htm
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ
第2回「過去25年間の経済・物価情勢と金融政策」
2024年4月5日
日本銀行
日時
2024年5月21日(火)
場所
日本銀行本店9階大会議室A
ということですが、最初の挨拶というのが氷見野副総裁からあったようですがそういうのは出てくれない(ちなみに前回内田副総裁が最初の挨拶してましたがその時の資料もありませんです悪しからず)のですが、資料の方が出ておられます。
ついでに申し上げますと、第1回のワークショップ資料だと後日になって「発表の模様」というのが動画で(日銀のよつべチャンネルで)アップされると思います。
でまあ第1セッションですが。
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr240405a1.pdf
過去25年間のわが国経済・物価情勢
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ(第2回)
―― 第1セッション 経済・物価情勢 ――
2024年5月21日
日本銀行 調査統計局
・25年レビューと銘打っているのですが冷静に考えますと・・・・・・・・・・・
今回の物件、25年レビューとなっていますけれども、基本的に元々のコンセプトとして「金融政策が実質ゼロ金利制約に突入した時期」ということですので、95年に公定歩合が0.5%になって(1995/09/08から適用)98年にコール誘導目標が0.25%(ちなみにこの時は公定歩合は据え置き、1998/09/09から適用)になった時期を念頭に置いていると思うのですよね。
でもってつらつらこの解説を見ますとですね、
2枚目の『経済成長率とインフレ率』ってのでライン引いてて、3枚目に『発表の構成:各時期のポイント』ってのがあるんですけど、そこを見ますと・・・・・・・
『・ デフレ期(1990年代から2010年代初めまで)
1990年代に需要・供給両面の様々な要因から経済低迷と緩やかなデフレに陥り、金融政策は名目金利の下限制約に直面。この間、デフレスパイラルは回避されたが、物価・賃金が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が定着し、その後も世界金融危機を経て、長期低迷が続いた。』
『・ 低インフレ期(2013年から20年まで)
QQEの導入が景気回復や物価押上げにつながったが、長期低迷からの完全な脱却には至らず、物価・賃金が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が根強く残るもとで、2%の「物価安定の目標」は実現せず。』
『・ 高インフレ期(2021年から)
コロナ後の輸入物価上昇を契機に、賃金と物価の好循環が強まり、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現が見通せる状況に。この間、@国際経済環境、A労働市場、B企業の価格設定行動などに変化の兆し。』
ってな分け方をしているんですよね。でもってその先に、
4枚目『経済情勢に関する各種指標』
5枚目『物価情勢に関する各種指標』
というのがあって、ちょっと先の方に行きますと
14枚目『国際経済環境:日本経済の国際競争力』
16枚目『労働市場:高齢化と労働供給面の変化』
17枚目『労働市場:二重構造・正社員雇用の流動化』
18枚目『労働市場:生産性・実質賃金』
というのが1980年辺りだったり1990年辺りだったり微妙にまちまちですが、まあ長期時系列で出ている訳ですけれども、これ見ますとシロートのワイでも思う(というかまあ同時代生きてましたから思うのですが)んですけど、1990年台後半の前後で日本経済って大きく変わっている(そういう言い方が適切じゃないと思うので「構造変化」とは書かないですよー)のでありますよ。
つまりですね、上記プレゼンで定義されている「低インフレ期」「高インフレ期」というお話もそりゃまあレビューとしてするのは結構なんですが、より本質的な問題は90年台に日本経済に起きたことをもっと深耕して研究することだし、その際に本来何をすべきだったのか、というのをレビューする、というのが重要でして、今次局面においてマイルドインフレの経済レジームに移行できたとしても、将来においてまた同じような事をやらかさないためには何をどうすべきか、ってのを考えたら「そもそもの原因」における時期のレビューをした方が有益なんじゃないかと思いますし、大体からして90年台初頭とかだとワイ位のジジイが小僧だった時代ということですからして、それ即ち当時の経験者(と言ってもあたしの当時はどぶ板踏んで営業してる小僧ではありますので経験というのも烏滸がましいですけどね)がもう直ぐジジババという事になると、なんか変に数字だけひねくり回してしょうもない分析しかできなくなる前にレビューした方がエエンデネエノ、と思ってしまったのですが年寄りのノスタルジーですかそうですか。
・メニューコストがどうのこうののコーナーワロタ
20枚目に『価格設定:メニューコストと屈折需要曲線』ってのがありますな。
曰く、
『・消費者物価のミクロデータを用いて、企業の利潤最大化モデルを前提に、価格変更を妨げうる「メニューコスト」と「需要曲線の屈折度合い」を推計すると、近年はこれらが弱まっていることが示唆された。
・ メニューコストが90年代後半から増大しなかったと仮定した場合の反実仮想シミュレーションによると、インフレ率は最大で+0.8%ポイント程度(QQE後)押し上げられていた可能性。』
これ昨年12月に植田総裁が年末の経団連講演で行った講演の中で「メニューコスト」と「価格のシグナリング機能」に関する説明で、伝統的な考え方からすると結構な珍説の部類に該当する説明をしてますよね、ってツッコミを門前小僧のワシが図々しくも行った(https://doramemon7743.sakura.ne.jp/doramemon2312.html#231226)訳ですが、やっぱりあの説明って伝統的な考え方らしたらおかしくねえかというツッコミがちゃんとした方面から飛んできたんでしょうかね、まあそれに対するカウンターアーギュメントみたいな話をしておりまして笑いました。
ついでに申し上げますと、次の企画局スタッフ謹製のプレゼンの方で「価格のシグナリング機能」に関するカウンターアーギュメントをしていまして、それはプレゼンの24枚目『価格硬直性下の望ましい物価変動―従来の議論―』以下にあって、結論が『物価変動と資源配分の効率性に関する研究』という所にあるのですが、いやそれつい直近の研究並べてるのまあカウンターとしては言いたいことは分かるんだけど、本当にロバストな議論なのかとツッコミを入れたくなるお話がありましたが、その話はまた後程(って今日時間が足りないかも説はある)。
・インフレ期待の記載は言いたい意味は分かるがチェリーピッキングと言われませんかねえ
24枚目に『インフレ予想と成長期待・設備投資』ってのがあるんですけどね、
『。日本では90年代以降、中長期のインフレ予想と成長期待が連動していたが(他の先進国では同様の関係はみられていない)、QQE導入後はインフレ予想がやや上方に乖離。今後も乖離は続くか?
・ 企業の物価見通しと設備投資計画の関係をみると、緩やかな物価上昇を見込む企業は設備投資計画を増加させる傾向(大幅な物価上昇や物価下落を見込む企業は設備投資計画を減少させる傾向)。』
ってのがあって、左下に『インフレ予想と成長期待』ってグラフがあって、企業のインフレ期待と成長期待、ということで短観データ使って推移を出していまして、企業行動だから企業のインフレ期待と成長期待を使ってる、と言いたいのは分かるのですが、それを言い出すとつい先日帰化局局スタッフ様が出していた「インフレ期待の精緻化」の話と整合性取れなくね、と思うのよね。
しかもこれ、企業のインフレ期待が2%行ってる状態なので、お前ら政策運営の時にはインフレ期待が2%行ってないって話を堂々とするのに、何でこういう時だけ企業の予想インフレが2%に載ってる絵を出してきちゃうのっておもっちゃうわけで、まあ元々その辺を峻別して説明してくれているのならば良いのですが、何せ今の植田日銀、というか黒田末期からの日銀って説明が前後で全然整合性が無い(その象徴が展望レポートハイライトのポンチ絵推移であることは言うまでもありません)ので、こういうのを見てもこちとら脊髄反射で「今の政策評価みたいな時には2%達成みたいなのを出してきて、実際の緩和政策調整においては2%行ってないとか使い分けするのインチキだろ」と思ってしまう訳でございまして、まあ何かこれ作ってる調査統計局に八つ当たりしてるみたいになってきましたが(笑)、なんちゅうかこういうの二枚舌っぽく見えてしまうのは植田日銀が徳を修めていない説明ばっかりするのが悪いという事でwwwwwwww
でまあ後半の紙芝居ですけど・・・・・・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr240405a2.pdf
非伝統的金融政策とインフレ予想
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ(第2回)
―― 第2セッション 金融政策 ――
2024年5月21日
日本銀行 企画局
・書いてある分析は仰せ御尤もなのだが「そんなことは先に言え」「今の政策やってる意味あるのか」のオンパレードである
まあ何ですな、ちょっと時間が無くなって来たので明日続きをするんですけど、こちらのペーパーは書いてあることは仰せ御尤もな事が書いてあるんですけど、どっからどう見ても「俺のせいじゃないもんねー」って説明を延々としておりますのよこれがまた
2枚目のスライドが『問題意識』ってなっていまして、
『・金融政策の効果を検証する際には、インフレ予想の形成メカニズムに加えて、これまでの企業行動の特徴や、それがわが国の経済動向や賃金・物価形成に与えた影響について、分析を深めていくことが重要である。』
とあって、
『論点@ インフレ予想の変化など期待形成を通じた影響
・物価動向や金融政策の波及経路を考えるうえで、期待形成の議論は重要である。期待形成は、経済主体間で同調することで大きな効果が生まれる。
・ 非伝統的金融政策がインフレ予想の形成に与える影響について、さらなる分析が必要。』
『論点A 物価変動が企業行動を通じて経済動向に及ぼす影響
・賃金・物価が緩やかに上がる状況では、企業の価格設定に柔軟性が生まれることなどを背景に、企業行動に前向きな変化が生じる可能性がある。
・ デフレ下では、企業はコストカットへの誘因を強め、イノベーションを阻害していた可能性がある。賃金・価格の設定に柔軟性が生まれれば、資源配分の改善につながり得る。』
とか何とか書いてあるわけですよ。
でもってその第1パートの『1.非伝統的金融政策とインフレ予想』の結論が19枚目に『本節のまとめ』というスライドであるんですけど、
『・一方、金融緩和が続くもとで、足もとでは人手不足感が強まり、高めの賃上げが実現するなど、労働供給面に変化の兆しが窺われる。また、海外ショックを契機とした輸入価格の高騰などが「ビッグ・プッシュ」となり、様々な規範・慣習にも変化の兆しが生じている。』
・・・・・あのーすいません、つまり今次局面転換(と思しき現象)はただの外生ショックによるものと、労働市場構造(詳しくは明日また突っ込みますが)変化によるもので、金融緩和って別に直接要因じゃないじゃん、という話なんですけど、だったら2013年以降の馬鹿緩和を馬鹿みたいに拡大していかなくても良かったのではないか、寧ろ2年で2%行かなかった時点で「普通の金融緩和」に移行して粘り強く緩和を続けて状況変化を待った方が良かったのではないか、とツッコミを入れたくなる訳ですね、YCCとか馬鹿みたいなLSAP(ETF3倍とか明らかにやり過ぎ)とかマイナス金利政策とか、そんなことを延々と凶悪化させながら継続する必要があったのか、という事についてお前らなんか反省は無いのかと小一時間問い詰めたいと思う訳ですが、まあ続きは明日にでも。
2024/05/21
お題「結局金利は上がったんだが為替には効いてない悲しい輪番減額/という中ですが円安批判は日銀ヤバくねえかと思うのよね」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-20/SDSLFODWRGG000
「強欲は悪くない」、ボウスキ−氏死去−80年代ウォール街の象徴的存在
Greg Farrell
2024年5月21日 2:09 JST
『1980年代に飛ぶ鳥を落とす勢いの裁定取引名手として名声と富の頂点を極めながら、時代を象徴するインサイダー取引事件の証券詐欺で有罪となり、実刑判決を受けたアイバン・ボウスキ−氏が死去した。87歳だった。』(上記URL先より)
おーーーーーーーーーーこんな時代もありましたなあ。
〇結局為替の円安はダラダラ続くわ金利は上がるわとなっておられるようですがw
・アメリカン金利が下がった場合以外は隙あらば円債だらだら売られますな
昨日の債券市場ちゃん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/I5IRU5WSXFP4DCRNEP7YNXO3PI-2024-05-20/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落で引け、長期金利は0.975%に上昇 11年ぶり
By ロイター編集
2024年5月20日午後 3:26 GMT+9
『[東京 20日 ロイター] - <15:08> 国債先物は大幅続落で引け、長期金利は0.975%に上昇 11年ぶり
国債先物中心限月6月限は、前営業日比34銭安の143円73銭と大幅続落して取引を終えた。米金利上昇が相場を圧迫した。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.0ベーシスポイント(bp)上昇の0.975%と、2013年5月以来11年ぶりの高水準をつけた。』(上記URL先より、以下同様)
そういや黒田緩和の最初って堂々の株高進行もあってこりゃマジで2%かどうかは兎も角いい感じで物価が上がるんじゃネーノという気もしましたので、そうなったら2年で2%なんだからそら長期金利上がるっしょ、ということで金利上がったんですよね。まあちょうどその時にGUさんがきゃりーぱみゅぱみゅさんをモデルにして宣伝を行っていて、それがきゃりーさんがマーライオンの物真似してたんでまさにキャリー(円債投資)がマーライオンとか言っておった訳です(期間限定CMだったのですが期間が終わったら金利も戻ったwww)けれども、あれ瞬間芸気配は片足1%とかその辺でしたっけ位ですな。うんうん。
『現物市場では、10年物以外の新発国債利回りも総じて上昇。2年債は前営業日比1.0bp上昇の0.340%、5年債は同3.0bp上昇の0.575%、20年債は同2.5bp上昇の1.780%、30年債は同3.0bp上昇の2.080%、40年債は同3.5bp上昇の2.490%。』
とまあそういうわけで、円安が全然止まらん上にイエレンさんに「そんなに円安がいやなら利上げしろ」と五寸釘差されてしまった挙句に謎の輪番減額、と来まして結局円安止めるほどの気合の入った姿勢は出てこないながらも円債ちゃんの方ではもはや6月MPM無回答ありえず、という感じになっている(たぶん為替でも)訳で、6月7月に利上げあるいは相当の国債買入減額をぶち込みにいかないと為替市場が許さないという風潮になっておりまして、金利は上がるわ為替はゆうてちゃんとしたものを出してくるまで信用しないと反応しないわとか、先週月曜のアレ以来日銀益々詰みモードになっているのは実に香ばしい。
なお、記事中に昨日の物価連動国債新発(年1でしか新発が出ない(残りはリオープン発行)ので、5月に新回号が出る、10年後の3月10日償還)の話があるわけですが、こちらはなんかカレントのBEIが前日引けベースから8bpほど強い方にぶっ飛ぶという謎展開と相成っておりまして、カレントでとうとう150を明確に超えてくるという数値になっているのですが、新発新回号入札イベント一発で飛ばれるとナンジャソラ感はあるのでとりあえず判断保留しておきます。
・短いところ強いんだか弱いんだかよくわからんですが
いつもの
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
今日は先週月曜からのを並べてみましょう
2024/5/13 0.079 0.079 0.068 0.062 0.059 0.058 0.063
2024/5/14 0.076 0.080 0.068 0.061 0.059 0.058 0.063
2024/5/15 0.080 0.076 0.070 0.062 0.061 0.059 0.066
2024/5/16 0.044 0.043 0.058 0.059 0.057 0.052 0.065
2024/5/17 0.075 0.081 0.063 0.060 0.059 0.057 0.072
2024/5/20 0.083 0.080 0.066 0.062 0.060 0.058 0.074
つーことで月曜の東京レポレートって足元下がらんという数字になっていまして、それが影響しているのか短国の売参ベースだけでは6月償還の単利が若干上がったりしているのだが実際にどうなのかというとこれがまたそもそも常にこのゾーンの流通玉があるわけでもなくてアドホックに玉が出てきたり買われたりするようなものですからしてよーわからんですが、まあそういう評価をされておりますな。
あとこれ並べている一番右はGC3Mなのですが、昨日も申し上げましたがこちらが何となく上げ気味に見えるのが味わいありますな。
まあでもゆうて3Mの短国の引けとか売参見ても動いてないのでして、何ちゅうかこの強いのか弱いのか正直よくわからんですバイって感じなのはまるで変化なしですな。
なお売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
昨日の引け(5/21発表分)の3Mどころを見ますと
国庫短期証券1230 2024/08/13:平均値単利 0.035
国庫短期証券1232 2024/08/19:平均値単利 0.035
国庫短期証券1176 2024/08/20:平均値単利 0.050
国庫短期証券1233 2024/08/26:平均値単利 0.050
1176というのは1年短国の成れの果てでして、1232が金曜に入札のあったカレント3M、1233は今週入札予定のWIの気配になりますが、おまえ償還1日違いで1.5bpも違ったら19日→20日のインプライド翌日物金利幾らになりますねん、というアレっぷりはアレとしまして、一応今週予定の3Mも5bpの気配にはしておりますし、まあ現実問題として入札で3bpだ4bpだという水準に札がどんくらい集まるのか問題もあるし8/26償還だとほぼ1か月が7月会合跨ぎになってしまいますし、まあ地道に3Mの入札動向を眺めていくのは続けてまいりたい所存ではありまする。なんの意味があるのかはよくわからんけど兎に角大昔といろいろと違う(ベースにあるのはアホのように積みあがった超過準備の存在)ので、新時代に適応できるようにしないといけませんですわ、とほほ。
〇経済財政諮問会議でもぶっこまれていましたがあちこちで円安怪しからんネタが・・・・・
・こんなのもあったんですね(毎日新聞世論調査)
https://mainichi.jp/articles/20240519/k00/00m/020/141000c
歴史的円安 「マイナス面大きい」80% 毎日新聞世論調査
経済 速報
毎日新聞
2024/5/19 18:32(最終更新 5/19 18:39)
384文字
・・・・・・(;∀;)イイシテキダナー
『18、19日実施の毎日新聞世論調査で、歴史的な円安への受け止めを聞いた。円安は自身の暮らし向きにとって「マイナス面が大きい」が80%で、「プラス面が大きい」の6%を大幅に上回った。「わからない」は14%。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうそうですかそうですか。
『「マイナス面が大きい」との回答は全ての年代で80%前後だった。「プラス面が大きい」は全年代で1割以下で、特に70歳以上では4%にとどまった。男女による大きな回答差はなかった。』
高齢世代だと外貨預金とか外貨建て保険とか買ってたのがウハウハとかそういうのではないのね、と思いましたけれどもそれはさておきまして、最近はだんだん円安が値上げの言い訳になったりしています(まあコスト高なんだからそうなんですが)し、円安=家計への負担増、となっておりますようで何よりのことです。
まあ植田が悪いよ植田が、という話ではあるのですが、そもそも論としてこれは「アベノミクスと黒田緩和の答え合わせ」というのをメディアもちゃんと報道すべきであって、その例として一番わかりやすいのは再三再四申し上げておりますが置物大師匠によるこの「風が吹けば桶屋が儲かる波及経路の図」であることは言うまでもありませんのでおまいらちょっとこの図表をもっと晒上げるべき。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2013/data/ko130828a2.pdf
「量的・質的金融緩和」のトランスミッション・メカニズム
ー 「第一の矢」の考え方 ー
京都商工会議所における講演
日本銀行 副総裁 岩田規久男
こちらの6Pにありますように、そもそもマネタリーベースバンバン出して金利押さえつけることによって円安と資産価格上昇を推進しようってのの結果がこれなんですから、まあ出口に失敗している植田も大概にハリツケ獄門相当ではあります(なお挽回は可能なので磔刑は執行猶予中)けれども、置物とか黒田とかの推進した政策の成果です、って次第なのはマイ駄文の読者様におかれましては合点承知の助なのは存じておりますが、ちゃんとこういうのは「元をたどれば当時拍手喝采だった政策に問題があった」というのをきちんと確認しておかないと同じ馬鹿を何度も繰り返す学習能力のない馬鹿国家となりますので注意してほしいものです。
・多角的レビューシリーズとか言って今日出すのかと思ったら昨日でてきましたな
おやおやまあまあ
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rerb240520.htm
地域経済報告―さくらレポート―(別冊シリーズ)
「1990年代半ば以降の企業行動等に関するアンケート調査」の集計結果について
2024年5月20日
日本銀行
本日は多角的レビューの第2回ワークショップとかいうのがあるのですが、まあ第1回がすでにお手盛り分析みたいなのが並んでいてナンジャソラというのは先般ネタにしたような気がしますが、そんなもんなのですし、ちょうど先日出てきていた「インフレ期待の測定」とかいう企画局スタッフ様謹製ペーパーでも家計のインフレ期待を集計するのに勝手に+5%超の数字を「極端な数字」と決めて+5%に丸めるなどといったお洒落なことをしておられる時点でまあどんなのが出てくるのかお察しというところではあります。
でもってそこで出すのかと思ったら昨日出してきたわけですが、まずはHTMLの紹介ページから。
『【要旨】
日本銀行では、「金融政策の多角的レビュー」の一環として、1990年代半ば以降の企業行動の特徴や、それがわが国の経済動向および賃金・物価形成に及ぼした影響について理解を深めることを目的に、幅広い業種・規模の国内の非金融法人企業(約2,500社)を対象としたアンケート調査を実施した。』
ほうほうそれでそれで?
『調査の結果から、わが国の設備投資や物価・賃金の停滞が長きにわたって続いた要因は、以下の4点にまとめられる。』
『第1に、バブル崩壊・金融危機後の長い調整や以降も続いた度重なる大規模なショック(リーマンショック等)の経験を経て、企業は、設備投資等による積極的なリスクテイクを抑制し、財務改善や将来に備えた現預金の確保を優先するようになった。』
『第2に、バブル崩壊・金融危機を受けて、消費者の低価格志向や取引先企業のコストカット姿勢が急速に強まる中で、競合他社との厳しい価格競争に直面した多くの企業でコストの価格転嫁が困難となった。』
『第3に、長らく賃金を抑制しても労働者を確保できたため、多くの企業が低価格を維持するために賃金を抑制するようになり、これが消費者の低価格志向を定着させる悪循環を招いた。』
『第4に、並行して進んだ少子高齢化も、成長期待の低下や社会保障負担の拡大などを通じて、設備投資や賃金を抑制する方向に働いた。』
ほうほうそうですかそうですか。
『現在においても、少子高齢化の悪影響やベア実施による固定費増加などを懸念する企業は多い。もっとも、多くの企業が、もはや賃金を抑制していると労働者を確保できない状況になっていると回答している。』
イイハナシダナー
『また、輸入物価上昇分の価格転嫁が成功したことなどを契機に、人件費の増加を販売価格に転嫁する動きも広がりつつある。』
イイハナシダナー
『物価と事業環境に関する設問では、業種・規模を問わず多くの企業が、物価と賃金がともに緩やかに上昇する状態のほうが、ほとんど変動しない状態よりも事業活動上好ましいと考えていることが明らかとなった。』
バランスの取れない上昇では困るんですがねえ。
『この間の日本銀行による金融緩和については、幅広い企業において、借入金利の低下やアベイラビリティの改善などを通じて、経営や前向きな投資の支えとなったことが確認された。』
とのことですが企業部門ってマクロ的にはキャッシュ余剰なんですよね。なんかこれ前向きな投資の支えになったとかいう都合の良い話は記載しているけどおかげでひたすら延命しています、みたいな話はまあどうせこのアンケート回答企業群は対象になるんかいな、てかそもそもこれ25年アンケートとかすると結局生存者バイアスが回答に入るんじゃなかろうかとふと思いました。
『一方、企業からは、自社が実感する金融緩和の副作用として、新陳代謝の停滞による人材確保難や価格競争激化などが指摘された。』
とあるのですが、昨日出ていた関連記事からお分かりのように・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rerb240520a.pdf
地 域 経 済 報 告
── さくらレポート ──
(別冊シリーズ)
「1990 年代半ば以降の企業行動等に関するアンケート調査」
の集計結果について
―― 企業からみた過去 25 年間の経済・物価情勢と金融政策 ――
ちょっと読んでみますが、
『5.物価と事業環境 』という本文19ページ、PDFで21枚目のところをみますと、
『(2)物価と賃金の上昇が好ましいと考える理由』ってさっき紹介された回答の理由があるのですが、
『物価と賃金の緩やかな上昇が好ましいと答えた企業にその理由を伺うと(図表25)、「賃金の増加は家計の消費にプラスだから」、「価格転嫁が容易になるから」といった理由が特に多く選択されている。』
賃金が上がっても物価がそれ以上に上がってるんですが足元ではw
『このほかにも、「価格や賃金を調整しやすいから」、「コストカットが不要になるため前向きな投資などを行いやすいから」、(特に製造業では)「為替が安定するから」といった理由も比較的多くの企業が選択している。』
いやコストカットは不要にならんじゃろと思いますし、それよりも「為替が安定するから」って言われているのはさらにワロタとしか言いようが無いwww
『6.過去25年間の金融緩和に関する実感』ですけど、
『(1)金融緩和の自社への効果に関する実感』では
『過去25年間の金融緩和について、自社への効果の実感を企業に尋ねると(図表28)、1割程度の先が効果を実感していない、すなわち9割程度の先は金融緩和の効果を実感していると回答した。』
『具体的に実感された効果としては、業種・規模を問わず、「借入金利の低下」との回答が最も多く、次いで「融資姿勢の積極化」となっており、主に貸出チャネルを通じた効果が挙げられた。また、子細にみると、相対的に規模が小さい企業では「融資姿勢の積極化」がより実感されたことが確認された。この間、製造業大企業では、「為替相場の動向」を効果として挙げる先も多かった。』
まあそうでしょうね
『関連する企業の声をみると、借入金利の低下に代表される資金調達コストの低下について(図表29)、幅広い業種・規模から、企業経営を支えたとか、前向きな投資を後押しした、といった声が多く聞かれた。また、金融機関の融資姿勢の積極化といったアベイラビリティの改善についても(図表30)、同様の声が多く聞かれた。この点、相対的に規模が小さい企業からは、金融機関の伴走支援の拡大を効果として指摘する声が聞かれた。』
からの
『なお、大企業や製造業を中心に、2010年代前半の大幅な為替円高からの反転を念頭に、輸出競争力の改善や円ベースの海外収益の増加を評価する声が聞かれた(図表31)。中小企業や非製造業からも、為替円安によるインバウンド需要の増加を評価する声が聞かれた。』
円高是正の効果、は良いんですけどね・・・・・・
次が『(2)金融緩和の自社への副作用に関する実感 』ですけど、
『過去25年間の金融緩和について、次に、自社への副作用の実感を企業に尋ねると(図表32)、2割超の先が副作用を実感していないと回答し、7割強の先から、様々な金融緩和の副作用が指摘された。』
www
『具体的に実感された副作用としては、回答のばらつきは大きいものの、「企業の新陳代謝の停滞」や「金融機関の収益力の低下」が業種・規模を問わず多かった。また、「為替相場の動向」との回答が、業種別には製造業、規模別には大企業ほど多い結果となった。』
為替wwwwwww
『関連する企業の声をみると、金融緩和によって企業の新陳代謝が停滞したことで実感した悪影響として(図表33)、人材確保の難化や価格競争の激化を指摘する声が聞かれた。』
人材確保は知らんがなという感じですが
『なお、こうした新陳代謝停滞の背景については、金融緩和による低金利のほか、政府による金融支援等の影響を指摘する声が聞かれた。』
『この間、低金利によって収益拡大プレッシャーが減退したことが、自社の成長意欲の停滞に繋がったと振り返る声も聞かれた。』
ねー。
『また、金利低下による金融機関の収益力低下を介した悪影響としては(図表34)、金融機関が収益源の多様化を企図して手数料ビジネスを拡大させる中で、金融機関との関係の希薄化や手数料の上昇といった点が指摘された。』
ほうほうなるほど。
『このほか、為替市場を通じた副作用に関して(図表35)、近年の円安進行や変動の大きさを念頭に、原材料等のコスト上昇のほか、事業計画の策定や外国人労働者の採用への悪影響などを指摘する声が聞かれた。』
はい円安来ました。
でもって何気に素敵なのがこの次でして、
『(3)自由記入欄で寄せられたその他の意見
自由記入欄においては、前述の点以外にも、過去25年間の金融政策運営に関連して、自社への影響に限らない、様々な観点から企業の声が寄せられた(図表36)。』
ということで図表36があるのですが、なかなか面白い意見が両サイドあるので、一々引用しませんがまあ読んで味噌という感じではあります。
2024/05/20
お題「輪番据え置きですかと思ったら為替が盛大に反応しててこれは日銀詰んでますなあ/その他」
ダウ様が終値で4万ドルですかそうですか・・・・・・・
〇輪番減額見送りの為替市場の反応クソワロタ(ワロエナイ)
一応デギンドス副総裁の頭髪程度は減額の可能性を、と思ってたのですが、金曜日朝になってベンダーに出ているコメントを見てたら意外に減額の可能性が取りざたされていたのでホンマカイナと思うと同時に、北門前で全身白塗りの暗黒舞踏ご披露とか言わなくて良かった(おいおい)と思っていた訳ですがw
オファー (5月17日<金>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240517.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,750 2024年5月20日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,250 2024年5月20日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,250 2024年5月20日
国債買入(残存期間25年超) 750 2024年5月20日
(例によって他のオペは割愛)
とまあそういうことでまあ減額しなかったわけですなこれがまた。
・・・・・・で一番クソワロタのは為替市場でして、このオペのオファーで為替ちゃんちゃっかり値が飛んでしまいまして、
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/7WZVTHQ7MROKVOQ7QUXP5LOIBE-2024-05-17/
〔マーケットアイ〕外為:午前のドルは上昇し155円後半、日銀オペ買入額据え置きで円売り
By 坂口茉莉子
2024年5月17日午後 12:01 GMT+9
『[東京 17日 ロイター] - <11:50> 午前のドルは上昇し155円後半、日銀オペ買入額据え置きで円売り
午前のドルは、前日のニューヨーク市場終盤(155.38/40円)から上昇し155円後半で推移している。米金利の上昇や日銀国債買い入れオペのオファー額据え置きを受けて、ドル買い/円売りが優勢となっている。
ドルは、仲値にかけては155円前半から半ばを中心に小動きで推移。実需による売りや買いに目立った動きはなく、方向感に乏しかった。
その後、日銀が午前に通告した中長期・超長期債対象の国債買い入れオペのオファー額が据え置かれ、ドルはじり高となった。』(上記URL先より)
ということで、まあ見事に為替ちゃんの方が反応しました上に、ドル円だけはちゃっかりこのまま円安ドル高で推移してしまいましたので、引けの時点でのマーケット情報でもそれこそ一般の方も見そうなネットニュースなんかでもそうですが、ヘッドラインが思いっきり「日銀の国債買入減額見送りで円安ドル高」って風潮になっていまして、これはワロタというかワロエナイ展開になってまいりました。
でまあこれ結局のところなんですが、月曜に実施したオペ減額が何だったのかという話にもなってしまう訳でして、為替で差し込まれたからオペ減らしましたって宣言しているようなもんになっちゃいましたねというのもあるのですが、そもそも論として長期国債買入は既に政策の主要手段ではなくなって今やってるのはスムージングという筈なのですが、これだけオペの動向が目立ってしまう事になってしまうのが「長期国債買入は政策と必ずしもリンクしない」という建付けに完全に反する格好になっているので、コミュニケーションの複雑骨折にも程があるのですが、為替で官邸方面から差し込まれて「とりあえず対応」とかいうような場当たり行動をするからこうなるのでありました。ナムナム。
今月はあと2発、というか何で月末なんだよというタイミングで中期前半以外の全ゾーン買入とかいう豪華な輪番が月末に控えている訳ですが、まあこうなったら暫くは減額しないで、月末のオペ紙か6月決定会合で何かを示すってことで兎に角輪番が無駄に注目されないように大人しくしてた方が良さそうには思えますな、いやべき論で言えばとっくの昔に輪番減額してろよとは思うのですけどそうはいってもこの複雑骨折コミュニーションを収拾するにはまずは動かない方が無難な気がするんですけどあくまでも個人の感想なので市場のコンセンサスとは別の可能性もありますのでよろしくです。
〇3M短国入札は前回対比で金利低下しましたなあ&その他
金曜の短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240517.htm
国庫短期証券(第1232回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1232回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1232回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年5月20日
4.償還期限 令和6年8月19日
5.価格競争入札について
(1)応募額 15兆9,622億9,000万円
(2)募入決定額 4兆4,081億2,000万円
(3)募入最低価格 99円98銭8厘0毛
(募入最高利回り) (0.0481%)
(4)募入最低価格における案分比率 22.3800%
(5)募入平均価格 99円98銭9厘7毛
(募入平均利回り) (0.0413%)』
ということで、先々週の3Mが4.76bp平均で足切りが5.35bpまで上昇(その後買われて強くなりましたが)と相成った訳ですが、金曜日の3Mはそもそも5bp台にかすることもなく4bp台での決着になりまして、いやあのですねえ償還期限って毎週毎週7日づつ(今回は祝日の関係で6日でしたが)後ろに倒れているんですけど7月利上げ思惑はどこに逝きましたねんという相変わらず需要の強さで決まってしまう債券ですなあというムーブに相成りました。
その後の売参ちゃんをみましても、金曜日の引けベースでは前日の1232回WIの引けが平均値単利ベースで4bpだったのに対して3.5bpに金利低下しておりまして、前週の3Mと同様で4bpでの需要の強さを見せつけて(償還が1週間違うというのに)終わる結果になりました。
まあ何ですな、3M短国って何度も申し上げているように、純粋に保有期間の短期金利の定積分みたいな感じに全然なっていないし、なんなら金利先高感がモロに出た時にデュレーション短期化のために入れ替えの買いが入りそうな債券なのでムツカシヤではありますけど、ただまあ別にそういうムーブとかでもなさそうには思えますがどうでしょうかね。
東京レポーレートちゃんに関しては3Mの落札結果とかその後の動きとかの前に集計時間が来てしまいますので、金曜に関しては純粋に3Mの新規発行要因を反映したのか、
2024/5/15 0.080 0.076 0.070 0.062 0.061 0.059 0.066
2024/5/16 0.044 0.043 0.058 0.059 0.057 0.052 0.065
2024/5/17 0.075 0.081 0.063 0.060 0.059 0.057 0.072
木曜日公表ベースの時に下がったトモネ(オーバーナイトもそうですけど)がしっかりと8bp水準に上昇していますが、これは新発の販売状況を反映していないので、今日はどうなるのよというのもまた見ておこうかなと。
でもって何気にGC3Mの気配がしらっと7.2bp(なので短国との温度差よという感じですけど)に上昇しているのもこれは何ぞという感じですが、まあそれこそ輪番の減額見送りだったけど、でもまあ6月の輪番減額方針決定からの7月利上げ、みたいな話が消えた訳でも何でもない(寧ろあまり早くから悪盛り上がりされない方が良いとの判断をしている可能性だってある訳です)のですからね・・・・・・・・・
〇でもって6月7月どうするんでしょうかね
まあアレです。7月に利上げしたければ6月になんか輪番をいじるか、決定会合で将来の減額方向、というのを出してくるという事になるんじゃネーノって意見が(何とかストはさておきまして)ポジション抱えている人たちのコンセンサスに近いんじゃないのかね、と思うのですよね(違ってたらゴメンチャイ)。
先ほど来申し上げておりますように、本来は輪番に関しては(FEDみたいに)政策とは無関係にスムージングかつテクニカルな調整、としたいというか、そういう触れ込みになっていた筈なんですけど、まあ為替で差し込まれてしょうがないから場当たり的に対策をした振りをしましたというアリバイ減額をぶっこんでしまったせいで、輪番が未だに政策シグナリングの意図をもって動かしていますって宣言しちまったようなもんなので、もうこうなったら「初回利上げ」は輪番とリンクさせるというか露払いさせた方がマシという結論なのですな。
いやまあ先週月曜の減額食らうまでは「輪番は政策とは切り離して別途考えるもの」という当初の説明を真に受けておったので、4月、5月と減額しなかったのを見て「ああこりゃ初回利上げまで輪番減額しないわ」と思っていたので見事に外してしまいまして、どうしてこう日銀は言ってることとやってることの整合性が無いのかと小一時間問い詰めたいのですけれども、まあさすがに事ここに至ると1回目の利上げは輪番減額を露払いにして事前織り込みをさせに行く、ということになるんじゃなかろうかとまた変なフラグを建築してみます。
でですな、その輪番減額ですけど、初手に「6兆円」とか書いてしまったのが後になって効いてくるわけでして、6月にまた次の数字を明確に書いてしまうと、数字を動かすたびに一々MPM決定事項になってしまって、それはモロに政策直結となりますので、一々輪番が目立ってしまうというのが続くけど多分それは面倒なコミュニケーションになると思います。
とは言いましても、「中長期的に減額していきます、詳しくはオペ紙で」方式にしてしまいますと、まあ本来はそれをやるのが一番スマートであったとしても、これまでの輪番の上げ下げがまるで理屈も何もあったもんじゃないタイミングでの動きなので、市場としては今の運営のままで市場局丸投げで輪番減額は中長期的にやりますとか言われましても、それはナントカに刃物状態で国債のマーケットメイクやら投資をせえって言われてるようなもんでして、それはそれで甚だ困る訳ですよ。いつ飛んでくるかわからん輪番の減額によって価格が飛んでしまうって市場で誰が腰据えて参加できますねん(日本の国債市場だから仕方ないから参加はするけど)というお話。
とゆーことで、まあ減額に関して何か出すならちゃんと中期的な減額ペースを明記して(毎月か四半期で何ぼ減らして行って経済に下方ショックでもない限りはとりあえず月額1兆円なのか2兆円なのか知らんけど一旦そこのゴールまでは減額するとかですかねえ)対応してくれないと、国債市場が市場としてワークしない状態が延々と続くのでちゃんと出せやと思います。
7月決定会合、と言っても7月末だし、7月に利上げできないと次の決定会合が9月までないので、そこまでの間に為替が持つのかとか時間稼ぎできるのかという話ですが、なにせ輪番減額したものの単発だったら3日くらいしか時間稼ぎが出来なかったわけで、その調子で9月まで持つとは思えませんがどうするんでしょうかね。
〇そういえば経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/index.html
令和6年会議情報一覧
先週水曜にしれっと議事要旨が出ていたのですが、最初の金融政策の所が良い感じで砲撃を食らっていまして、ああなるほどそれで月曜日にアリバイ(経済財政諮問会議はその前の金曜日に実施)ですかそうですか、かどうかは知らんけどぶっこまれておりますね。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0510/gijiyoushi.pdf
最初に植田さんの説明があってから指摘が飛んでいるのですが、3ページ目のしたのほうから新浪さんが指摘していて、
『(新浪議員) 今年の春闘では、昨年以上の賃上げが実現した。しかし、目下の中東情勢や円安を考えると、今後とも油断ができない状況。今年の夏以降もしっかりと値上げができ、賃金から物価への好循環を作っていくことができるかは、実質賃金、そして、可処分所得の向上にかかっている。』
ということですが、この後に出て来るものって基本的に金融政策とは関係ない話の個別対応に関する説明でして、新浪さんが指摘する必要な対応ってのはまあそうですねってる通りではあるのですが、そう考えてみますと日銀が「賃金から物価への好循環」って言ってマクロ金融政策やってるのは何なんのよと思う訳ですな。
でもってその次に十倉さんが指摘しているのが4ページからなんですけど、
『(十倉議員) 日本経済は、30年来のデフレからの完全脱却を目指す上で今が正念場だと考える。我が国の経済社会が新しいステージへと転換するべく、成長と分配の好循環に資する取組を多面的に展開することが肝要。』
ときてからの、
『二点目は、物価上昇に負けない賃金の引上げの実現である。経団連は、構造的な賃金引上げに向けて、今年の春季労使交渉に昨年以上の熱量で取り組んできた。大手企業のみならず、中小企業にもこのモメンタムは波及しつつある。この流れをあらゆる産業に波及させ、来年も継続させることこそが今後の重要な課題となる。』
ときまして、
『また、そのためには、これまでも申し上げているが、物価がモデレートである必要がある。円安による過度な物価上昇も懸念される中、政府・日本銀行におかれては、これまでの共同声明に基づき、2%程度の適度な物価上昇の実現を図っていただきたい。』
とぶっこまれていますし、その次が中空さんで、
『(中空議員) 足下、円安が進んでいることから触れたい。植田総裁がおられるので、私が言うべきことでもないが、植田総裁は、過去の局面より円安が物価に与える影響が大きいことに注意が必要であるということをおっしゃっている。また、神田財務官は、中期的には円の信認を維持する努力が必要であり、市場が健全に機能していれば、政府が介在する必要もないとおっしゃっている。こうした内容は、金融当局の共通見解なのかと思っている。』
『金融市場にいる立場から申し上げるが、米国の景況感がこれまで思っていたより強く、米国の金利低下が想定より遅れる可能性がある。日米金利差の縮小タイミングが遅れると、円安との戦いは少し長期化する可能性があるのではないか。長期化するのであれば、円安環境を活かして、しっかり利益を確保できるように戦略を練る必要がある。インバウンドなどはその一つであろう。』
『資料4にも書いたが、日本銀行におかれては、物価見通しに基づく金融政策を行う方針を出して、円安圧力を緩和してもらう必要もあるかと思う。しかしながら、円安に対する抜本的な対応としては、日本経済が強みを発揮すること、そして日本の財政健全化の道筋をしっかりと示すことが、殊のほか大事であると思う。』
ということで、アタクシうっかりしていましたが、当日の資料でこんなのがあったんですね。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0510/shiryo_04.pdf
「新たな経済ステージ」に向けた3つの課題克服
でまあその後柳川さんの指摘とかあったのですが、新藤さんが
『(新藤議員) 続いて、私から皆様に質問させていただきたい。まず、植田総裁に、為替は円安傾向で推移しているが、円安による物価・経済への影響、それを踏まえた金融政策運営の在り方について、お考えをお示しいただきたい。』
と改めてツッコミを入れていまして、まあ何ちゅうかこれは月曜日に輪番減額したのがどこからどう見ても差し込みの影響ですと思ってしまうんですが、だからこそ何で4月に「国債需給のテクニカルな変化に対応しました」で済ます(一発目が無理でも4月中の早い時期だったら行けたでしょ、最初はちょっと様子見をしていました、と言えば済むんですし)ことが出来たのに、頑張りに頑張りぬいて、それを頑張り切れればいいものを変なところでポッキリ折れてしまうのって日銀らしいちゃあ日銀らしいですが、うーんこのという感じではありますな、と思いました。
まあそんなところで。パウちゃんの講演が19日に行われているのですがサーセンそこまで手が回りませんでした。(ろくすっぽ見てない)
2024/05/17
お題「輪番今日減額おかわりのメリットを提唱してみる/短国レポ関連メモ/インフレ予想の分析ペーパー(その2)」
どうせ皆さん言ってると思うがふとんがふっとんだキタコレ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240516/k10014451411000.html
JR阿佐ケ谷駅 構内の架線に布団が引っかかる
2024年5月17日 0時06分
〇今日こそ輪番減額のおかわりをすべきなんですけどねえ(どうせやらないけど)
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night
先物価格情報
そんなに材料あったかしら状態ですがなんかイブニングで20銭くらい下げているような気がするのがあれなんですけど・・・・・・
今日って輪番が中期前半後半、長期、超長期後半(超長期前半は昨日20年入札がありましたんでなしですな)と盛大に実施される日なんですけど、まあ実は今日こそ輪番を減額すべきですよね、という雑談を一席。
えーっとですね、べき論として輪番減額すべし、と円債の皆さん思っている中でなぜかそのタイミングが全く意味不明に月曜に輪番減額したおかげで今週はなんか盛大にわちゃわちゃした債券市場だった(って今週は終わってないけど)のですが、月曜の輪番減額が「円安を受けて官邸(あるいは神田大明神)に差し込まれて泣きながら急に減額を打ち込んだ」と言われてもまったくもって仕方のないタイミングの減額だった訳ですけれども、今日の場合は米国CPI様の御蔭でドル高円安も一服していますので、今日輪番減額のおかわりをしますと、以下のようなメリットがありますわな。
まずね、月曜の意味不明というかどっからどう見ても円安で差し込まれたという印象を強くする減額に関して「いやいやそうじゃありません輪番減額しても金利が急騰しないようですので減額しただけです市場機能の回復の一環ですわオホホホホホ」とするためにはこの円安進行と関係ないタイミングで輪番減額のおかわりをぶっこむことによって、円安差し込まれではなかったと言い張りやすくなる、というのが一点目。
そして、まあそうは言ったってお前ら円安牽制をしたいんでしょ、という観点から見ても、円安(だかドル高だか)の勢いがある時に輪番減額してもかなり派手なことをしないと焼け石に水(現実に月曜がそうでしたからねー)になってしまうのですが、むしろ円安一服でちょっと修正の動きが入っている(知らんけど)時だし、おまけに今日って金曜という週末だし、こういうときに「月曜に続いての輪番減額」ってのを入れればワンチャン円高に振れてめでたしめでたしだし、そんなに減額しなくても今日なら効くと思うのよね。
ほらアレですよ、合戦の時に一番戦果が拡大するのって「敗走する敵の追撃戦」な訳でして、今こそ追撃を打ち込んで戦果を拡大すべき時、と考えますとまあ今日は絶好の輪番減額チャンスなんですよね。
・・・・・とは思うけどまあ今までのパターンからしてそんなのは期待できないんですけど、もし今日輪番減額したら手のひらクルーってして手首がもげるんじゃないかと思う次第で、最初これ書きながら「全身白塗りで日銀北門前の通りで暗黒舞踏をご披露」って書こうと思ったがマジでやられたらワイ末代までの恥なので(その前に通報事案w)手のひらクルクルする程度になってしまうアタクシ、ということでデギンドス副総裁の頭髪程度には期待をするアタクシなのでしたwww
まあ何ですな、昨日はベンダーでの何とかストコメントみたいなのとか記者の講釈みたいなのを見ておりましたが、そろいもそろって「米国CPIで日銀には時間の余裕ができた」とかぬかしているんですが、そうじゃなくて米国CPIでドル高一服の今こそ日銀は緩和政策の調整に前向きな姿勢を出す絶好のタイミングなのですけど、そういうコメントは何とかストとかから出てこない、ってのも残念だなあ(なおそういうベンダーに出てこない現場の人たちの間だと今しがた申し上げたようなことは普通に言われる話でもあるので、別にアタクシが独自にこう申し上げている、とか威張る気も全然ないですというのを念のため申し添えます)。
〇1年短国20bp乗せで入札した後20bp割れ水準とか東京レポレート低下とか
1年短国ちゃん
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240516.htm
国庫短期証券(第1231回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1231回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1231回)
2.発行根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項
3.発行日 令和6年5月20日
4.償還期限 令和7年5月20日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆5,550億円
(2)募入決定額 2兆4,178億3,000万円
(3)募入最低価格 99円79銭0厘
(募入最高利回り) (0.2104%)
(4)募入最低価格における案分比率 11.2449%
(5)募入平均価格 99円79銭7厘
(募入平均利回り) (0.2034%)』
ということでして、前日のWIは昨日ネタにしました通りで売参で0.220%までやってておいおいおいという感じでしたが、米国CPI様のパワーもあって1年どころ崩れるでもなく、入札はさすがに平均20bp乗っていましたけど、引けの売買参考統計値ベースですと、
国庫短期証券1226 2025/04/21:平均値単利 0.165
国庫短期証券1231 2025/05/20:平均値単利 0.185
となっていて、前日が各々0.195%の0.220%だったのに対して持ち直しの巻というかエライ戻したなという感じでございます。じゃあこの20割れが本当の本当にフェアなのかというとまあそれはそれという話ではあるのですが、昨日は東京レポレートも低下していましたし、ちょっと週前半のウリウリモードが一服という感じになったんですかねえよー知らんけど。
でまあ今日は3Mの入札があるわけですが、直近の短国入札って入札の後セカンダリーは持ち直すという流れが続いているのでそういう形になるのか、それともここもとのパターンで何匹目かのドジョウを狙いに行った人が上をつかんで討ち死にするのかは正直よくわからんですが、まあバカスカ売り込まれるような事にはならんのとチャイマスカ、知らんけど。
でもって東京レポレートちゃんですが
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/5/14 0.076 0.080 0.068 0.061 0.059 0.058 0.063
2024/5/15 0.080 0.076 0.070 0.062 0.061 0.059 0.066
2024/5/16 0.044 0.043 0.058 0.059 0.057 0.052 0.065
ということで、これまでだと水曜発表ベースから下がる傾向にあった東京レポレートですが、なんか知らんけど水曜は下がらんかったのですが木曜になっていきなり下がるの巻という展開。これなんですねんとは思うのですけれども、マーケットメーカーのポジションが捌けた(金利が上がって押し目買いとか??)のか、はたまた5/16のところから積み期間が変わるので、約定ベースで新しい積み期間になったところで気分一新して地合いが変わったのか、いやームツカシムツカシネーというところですけど、GCが下がると短国持ちにしやすくなるでしょうからそっちの面からも3Mはまあそうですよねって感じなのかしらねー。
まあいろいろとムツカシーですな、いろいろと昔とは全然違っているので、新しいパターンというのが中々分からんくて研鑽が必要でありますワタクシってそんなのに付き合わせているみたいでさーせん。
〇予想インフレ(期待インフレ)を定量的かつ緻密に計測するというのが無理のある話なのだが
ということで先日のネタの続き。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j05.pdf
多角的レビューシリーズ
期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性
企画局 長田充弘、中澤崇
・10年インフレ予想とかどうやって出しているのかと思えば
『インフレ予想指標の期間構造』というコーナーのマクラの部分にある家計のインフレ予想の出し方について水曜日はツッコミを入れた(インフレ予想で勝手にプラマイ5%オーバーを全部プラマイ5%に丸めてしまうなどの謎操作や、5択サーベイを数値化している計算のバックグラウンドが謎な点)訳ですが、その先の(インフレ予想の期間構造)という小見出しも何か微妙なものが見受けられます。
『図表5は、短期から長期にかけてのインフレ予想の期間構造をみたものである。』
『ただし、いずれの指標でも、特定の予測年限のみの値しか入手できず、その年限も指標間で揃っているわけではない。例えば、生活意識に関するアンケート調査では、「(1年前対比でみた)物価変化率の実感」、「今後1年間の物価変化率の予想」、「今後5年間の物価変化率の予想」についてのみしか質問項目はない。』
さいですな。
『そこで、本稿では、インフレ予想の期間構造が時間の経過につれて変化していくことを許容した時系列モデルを構築し、推計によって、入手できない予測年限の値を補間している7。』
ちょwwwwなんですかそのお手盛り感満載の推計は、と思ったらそういうツッコミが来るのを想定しているようで脚注がアホのように長いのは良い味を出しているw
『7 本稿では、米国についてインフレ予想の期間構造を推計している Aruoba [2016]に倣い、動学的ネルソン・シーゲルモデル(Dynamic
Nelson-Siegel model)を構築している。モデルの推計に用いる観測データとしては、家計の生活意識に関するアンケート調査(@量的質問・A質的質問)については、「実感、今後1年間、今後5年間」の値、企業のB短観(物価全般の見通し)については、「1年後、3年後、5年後」の値、専門家のCコンセンサス・フォーキャストについては、「2年先までの四半期予測および5年先までの暦年見通しと6〜10
年先平均値」、DQUICK 調査については、「今後1年間、1〜2年先、2〜10
年先」の値、Eインフレスワップについては「1年先、1年先4年、5年先5年」の値を、それぞれ用いている。』
『なお、専門家の短期予想にみられる消費税率の引き上げの影響については、一時的な特殊要因と考えられることから、推計結果に影響を与えないよう、その影響を除去した系列を作成したうえで、期間構造の推計に用いている。』
『Aruoba, S. B. [2016]: "Term Structures of Inflation Expectations
and Real Interest Rates," Federal Reserve Bank of Philadelphia Working
Paper 16-09/R.』
『わが国についてインフレ予想の期間構造を分析した研究としては以下がある。
Maruyama, T. and K. Suganuma [2020]: "Inflation Expectation Curve
in Japan," Japanese Journal of Monetary and Financial Economics, vol.
8,1-28.』
だそうですわよアタシャ無学なんでさっぱり分からんのですが、そもそも論としてインフレ期待ってのは(この前も書いたけど)経済主体の行動に現れるから重要なのであって、だったら一生懸命数値をこねくり回すよりも、経済主体の行動をアネクドートも含めた観察を行っていくことによって経済主体の行動の前提に変化があり(インフレ期待に何らかの変化あり)やなし(変化なし)やというのを見ることに労力を費やすべきなんじゃないですかねえとは思いますが。
『物価上昇率が直近ピークを付けた 2022/4Q 時点の期間構造をみると、いずれの経済主体のインフレ予想も、概ね物価上昇率の実績値を起点とし、先行きにかけて物価上昇率が低下していく姿となっている。』
って事なんですけど、それってそもそものモデルが「長期的には均衡水準になる」って前提を置いてるからそうなってるんじゃないの疑惑はどうも拭えん程度には性格が悪いアタクシ。
『各指標間で水準にばらつきはあるものの、物価上昇率の変化の方向については、多くの指標で同様の傾向を辿っており、家計や企業、専門家が、達観してみれば、先行きの物価の推移について似たような見方を共有していることが確認できる。』
達観ワロタ。
・インフレ予想指標を精緻化しようとしているのだがそれは政策運営において意味があるのかしら
でまあ以下『インフレ予想指標の予測力』ってのがあったあとに『インフレ予想の集計指標』というどう見ても如何にもな物が出て来るんですけどね、
『以上でみてきたように、インフレ予想に関する指標には、経済主体別・年限別に特徴があるが、いずれも一定の説明力があり、先行きの各主体の物価観を捉えるうえでは、様々な指標をみていくことが有用と考えられる。他方で、経済モデルなどを用いてインフレ予想の役割を分析していくうえでは、それらの情報を単一の指標に集約することも有用と考えられる。そこで、最後に、インフレ予想の期間構造や予測力に関する特徴を勘案した2つの方法を用いて、インフレ予想の集計指標を作成する。』
って言ってるんですがいやまあ確かにモデル回すために単一の指標が云々ってのはそりゃそうなのですけれども、それって実際の政策運営において何の意味があるのってツッコミを入れたい訳でございまして、なんかこれって学者大先生っぽいお話ではあるのですが、いやおまいらがインフレ予想を算出しようとするのは何のために算出しようとしているのか、と小一時間問い詰めたい訳で、モデルを美しく回すために出すんじゃなくて政策運営のために出すんだろってなもんで、これまさしくなんですけど、ペーパーの頭に「多角的レビューシリーズ」ってあることから、なんかハトハトチキンおじさんの趣味の世界に付き合わされてるんじゃネーノこのスタッフの皆さん、とか思うと同情の念に堪えない所でもありますな、というのは極めて偏った個人の妄想及び感想なので念のため申し添えます。
なおその後の計算に関してはシランガナにも程があるのでかっ飛ばして最後に。
・結局は総合判断になるんですけどまあ「多角化レビューシリーズ」ですからねえ
最後の込み合出しが『おわりに』である。
『本稿では、様々な経済主体の持つインフレ予想に関する指標について、期間構造や予測力の観点からみた特徴を整理した。』
おつかれちゃんでした。
『分析の結果を踏まえると、長い年限のインフレ予想指標を中心に、水準には大きめの上方バイアスがみられるものの、そのバイアスを調整すると、多くの指標が、先行きの物価上昇率に対して有意な予測力を持つことが確認された。』
と結論を入れながら、
『インフレ予想の形成メカニズムやその物価への影響は複雑であるため、モニタリング上は、様々な指標を併せてみていくことが重要である。そのうえで、各インフレ予想指標が有する情報を、統計的手法を用いて集約した合成指標を作成すると、このところインフレ予想は緩やかに上昇しており、基調的な物価上昇率が2%に向けて上昇していく確度も高まってきたことが示唆される。』
合成指標www
と来た後に結局最後にはですね、
『もとより、物価の基調的な動きを的確に把握していくうえでは、各種のインフレ予想指標に加えて、多様な観点から情報を吟味していく必要がある21。』
結局こうなのですよね、まあ何ちゅうかこれスタッフの皆様の「友蔵心の俳句」だという理解で宜しいのかしらw
『これらの点を念頭におきつつ、今後も、インフレ予想への理解を深めていくことが重要である。』
でもって脚注21ですが、
『21 今次局面における「物価の基調」の捉え方については、日本銀行・展望レポート(2024/4
月)の BOX4 を参照。本稿で紹介した人々のインフレ予想に着目する考え方のほか、物価統計を用いて算出される各種の基調的物価上昇率指標や、様々なモデルに基づいたトレンドインフレ率の推計といったアプローチを組み合わせながら、総合的に評価していくことが有用である。』
>総合的に評価していくことが有用である
>総合的に評価していくことが有用である
>総合的に評価していくことが有用である
・・・・・・・・・・・・・・(^^)
2024/05/16
お題「米CPIメモ/1年短国とかその周囲について/何ですかこのポンチ絵は(展望ダイジェスト)」
貫禄のアメリカン金利パワーである
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-15/SDJ0L0T1UM0W00
円が対ドルで1%超える上げ、一時154円台−米経済指標発表後
宮井伸明、酒井大輔、船曳三郎、George Lei、鈴木克依
2024年5月15日 21:31 JST 更新日時 2024年5月15日 22:38 JST
→円は一時1.1%高の154円76銭、米CPIは前月比で予想下回る伸び
→米2−10年債利回りは一時10bp余り低下、日米金利差が縮小
〇というわけで米国CPIのニュースだけワシの備忘ではっておく
再掲
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-15/SDJ0L0T1UM0W00
円が対ドルで1%超える上げ、一時154円台−米経済指標発表後
宮井伸明、酒井大輔、船曳三郎、George Lei、鈴木克依
2024年5月15日 21:31 JST 更新日時 2024年5月15日 22:38 JST
→円は一時1.1%高の154円76銭、米CPIは前月比で予想下回る伸び
→米2−10年債利回りは一時10bp余り低下、日米金利差が縮小
『15日の外国為替市場で円相場は上げ幅を拡大し、対ドルで一時154円台を付けた。ニューヨーク時間午前8時半に発表の米経済指標に反応した。
円は一時1.1%高の154円76銭まで上昇。その後は155円台前半まで上げを縮小した。』
『予想を下回る米CPIで2−10年物の米国債利回りは全て一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り低下。これにより日米の金利差縮小を意識した円買い・ドル売りが進んだ。』(上記URL先より)
本チャンのニュース
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-15/SDJ1FOT1UM0W00
米CPIコア指数、6カ月ぶりに伸び鈍化−年内利下げへの一歩
Augusta Saraiva
2024年5月15日 21:33 JST 更新日時 2024年5月16日 0:34 JST
→年内利下げの可能性出てきたが、数値がもう少し必要−ジョーンズ氏
→住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.4%上昇
『4月の米消費者物価指数(CPI)は変動の大きい食品とエネルギーを除くコアベースで、前月比の伸びが6カ月ぶりに鈍化した。米金融当局が年内の利下げ開始を検討する上で小さな一歩となった。』(上記URL先より、以下同様)
と言いましても
『・コアCPIは前月比0.3%上昇−市場予想0.3%上昇
・前年同月比では3.6%上昇−予想3.6%上昇
・3年ぶりの低い伸び
・3月は前月比0.4%上昇、前年比3.8%上昇』
低いったって年率3.6%だし前月比0.3%だったら2%から全然遠いじゃんという説はありますが、まあ前月比の数字の伸びって大事ですからねえ、というか暫く前は前年同月比の方が良くヘッドラインになっていたのだが、ここに来て(むかしに戻って)前月比の数字見るようになったのねアメリカさん。
『金融当局はこの統計からインフレ率が再び低下傾向にあるとの希望を抱くかもしれないが、利下げを検討し始めるのに必要な確信を得るためには、さらなるデータが必要になるだろう。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は14日、「われわれは忍耐強くあるべきで、景気抑制的な政策がその効果を発揮するのを待つ必要があることが分かった」と述べた。
チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「年内利下げの可能性が出てきた」としながらも、「米金融当局が行動を起こすには、インフレ率低下を示す数値がもう少し必要だろう」と述べた。』
まあこの辺の記事の書き方に関してはベンダーによってバイアスがあるのですがあんまりペタペタ貼っても何なんでまあBBGだけにしますけど、なんかコメントが冷静な割には米国金利ってヒャッハーしてないか感はあるのですが、たしかにまあこんなの単月で一々狂喜乱舞したり悲憤慷慨したりする指標じゃないので、ここから夏に向けたデータを見ますよってお話だとは思うのですが、物価指標一発で盛大に動く米国債券市場、というのをみれましたなということで記念クリップ。
〇東京レポレートそんなに下がらなかったですね&今日は1年短国入札
・東京レポレートちゃん水曜日ですが大してサガランチ会長とな
ということで(他にレポレートで公表されてるのもないので)毎度のように東京レポレートの回し者の如く確認の巻。
2024/5/13 0.079 0.079 0.068 0.062 0.059 0.058 0.063
2024/5/14 0.076 0.080 0.068 0.061 0.059 0.058 0.063
2024/5/15 0.080 0.076 0.070 0.062 0.061 0.059 0.066
暫く前までですと水曜木曜になると東京レポレートベースでのトモネの数値が下がって金曜に戻るという形でしたが、今回はまあ少し下がったけど4月みたいに隙あらば盛大に低下、というものではなくなってきましたな。
まあこれが短国アウトライトに跳ねるのかというとこれまた謎なんですが・・・・・・・・・
・今日は1年ですが短国の1年カレントとWIだけは金利というか気配は上がり気味のようで
売参ちゃんを見ますと
国庫短期証券1226 2025/04/21:平均値単利 0.195
国庫短期証券1231 2025/05/20:平均値単利 0.220
などとなっていまして、前日は1226も1231も0.185%並びだったので入札前にWIの気配を甘くした(なお手前の短国の引け利回りちゃんは変わらずでした)という風情ですけれども、
中期国債 447(2) 2025/04/01 0.005:平均値単利 0.139
中期国債 448(2) 2025/05/01 0.005:平均値単利 0.144
中期国債 449(2) 2025/06/01 0.005:平均値単利 0.150
まあ昨日今日に始まった話ではないのですが、2年利付の残存の短いのと差は何ぞ(なおこの辺の銘柄も前日よりも1毛5糸は甘くしていまして、実は昨日の債券市場的には多分このゾーンが一番カーブ上弱かったのですけど)という所ではありますが、徐々にこの辺に影響している、のかどうかってのも1年短国の入札を見てなんかほほうという事があるかもしれません。
なお3M短国の場合は発行量が段違いに多いことと、毎週ホイホイと新発が出て来ることもあり、さらに3Mというテナーの使い勝手の良さもあって、担保だのデュレーション調整だのホイホイとニーズが出て来るものなのですが、1Yってその点では使い勝手が微妙なので参加者が比較的少なめになってしまいますので、まあこんな感じで安い時はずっと安いみたいな感じになる物件ではありますので入札結果自体はその辺をご勘案頂いて鑑賞していただければと存じます。
ええまあ20年新発の入札があって短国の5分後に結果がでますから普通そっちを注目しますわなと存じますが20年の話は専門家の皆様にどぞ。
・そういやうっかりしてましたが火曜日はCP買入とかありまして
昨日の朝謎にドタバタしてて忘れました書くの。
落札結果 (5月14日<火>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240514.htm
CP等買入 6,970 2,995 0.154 0.176 93.6
・・・・・・・いやーこれは中々レートがお高いという感じでして、新発CP自体は連休でお休みが入ってしまった関係もあって発行が少な目で金利ってやや下げ気味で推移していたと思うので、需給が悪くてレートが上がったという訳ではないと思うのよね。
ちなみに前回って4/24に買入のオファーがあってその時のレートは平均が0.154%で足切り金利が0.120%なのでおやおやまあまあって感じですけど、うーん何かこれは微妙に微妙でした。まあCP買入の場合は個別銘柄による影響もあると思うので、一発だけでは何とも言い難いものがあるのはあるんですけど。
火曜日は交付税特会6Mもあったのですが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240514.htm
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 5兆1,774億円
(2)募入決定額 1兆2,990億100万円
(3)募入最高利率 0.120%
(4)募入最高利率における案分比率 32.6157%
(5)募入平均利率 0.116%
こちらは前回(5/8実施)が平均0.113%で足切りが0.115%だったのでしらっと1ノッチ分くらい金利上昇していまして、まあ何のかんの言いまして先週水曜より金利上がったのはその間の皆様ご案内の日銀思惑もちったあ反映しているんだろうなという感じですが、まあなんにせよ5月に入ってから短国のアホみたいにタイトな需給が少し緩んだ(と言っても明日の3Mを見てからが本物という感じですけど)のと日銀への思惑の合わせ技で、やっと短期が市場っぽくなって参りましたと思ってしまうのはアタクシが思っているだけかもしれませんけれども、まあ結構な話ではあるかなとは思うのでした。
〇ところで何ですかこのポンチ絵は客(??)をナメトンノカ
このポンチ絵を描いたのは誰だあ!!(ガラッ)と海原雄山が厨房に怒鳴り込むレベルの物件が案の定投下される辺り、日銀さんったらギャグのセンスがハイブローすぎて涙がちょちょ切れてしまいますわ。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202404.htm(今回4月分)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202401.htm(前回1月分)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202310.htm(昨年10月分)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/ten202307.htm(昨年7月分)
まあアレです、別にアタクシが悪態つかなくったってこの4本を並べて見るだけで木戸銭返せと言いたくなる物件な訳でして、何と申しますかこう家族で楽しみに見に行ったプロ野球で贔屓チームがエラーと四死球で自滅しながら滅多打ち食らい、こっちの打つ方は手も足も出ずお目当ての看板選手はみな途中交代、みたいな悲しさを感じさせる(どういう例えだw)程度には客に失礼(誰が客やねんw)なものを出してきているんですがもう出すなよ恥ずかしいから。
なお過去分はこちらからリンクをたどれば見れますわ
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/highlight/index.htm
・相変わらず「金融面の後押し」とか緩和モード推しをしているのはナンナンデスカねえ
最初のポンチ絵は経済見通しなんですけどね。
『日本経済は成長を続ける
日本経済は、海外経済が緩やかに成長するもとで、金融面からの後押しなどもあって、潜在成長率を上回る成長を続けます。』(今回4月)
『日本経済は緩やかな回復を続ける
日本経済は、海外経済の回復の鈍さにより下押しされますが、消費の増加などに支えられて、緩やかな回復を続けていきます。』(前回1月)
展望レポートの鏡の部分(しか当駄文では比較してませんねすいません)で何故か今回入れられた「金融面からの後押し」という文言。これって鏡にあるように「緩和的な金融環境が経済を後押しする」という金融緩和アピールをしている文言でして、いやだからお前らどっちやねんというお話でして、金融緩和アピールならアピールでそれはそれで一つの考え方だから別にそうしたいならそうして頂いてもよろしくってよ、とは思うのですが、だったら円安になって泡吹いて輪番減額することはないですし、急に円安に対する警戒を総裁がケツに鞭でも打たれたのか急に喋りだすとかいうのも訳分らん。
ということでですね、この緩和アピール文言ってのマジで意味不明でして、政策のガイダンスもどきの方では「見通し通りに推移すれば政策金利の引き上げ」と言ってるのとと整合性が一読してわかりにくい(日銀の小理屈を勝手に代弁しますと「経済物価情勢が改善する中で緩和度合いが強くなった分はその分緩和度合いを調整するんです」ってなもんでしょうけどそんなの政策オタクにしか通じんわ)のはどうにかならんもんですかねえ全く。
でまあこの絵自体は前回と大差ないのですが、ご案内の通り1月以前のポンチ絵における「経済見通し」は段々絵柄が微妙になりながらも、ちゃんと今後の経済見通しの中における需要項目に相当する絵(旅行している人が居たり買い物している人が居たり)があったのですが、今のイラストって何の意味があるんだイラストになっておりますわな。
・物価のポンチ絵が酷すぎる
今回のポンチ絵、最大のナメトンノカイラストはこれですよねーーーーーーーー
『物価は来年度以降2%程度で推移する
消費者物価の前年比は、今年度に2%台後半となったあと、来年度・再来年度は概ね2%程度で推移します。この間、一時的な変動を取り除いた消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まったあと、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移します。』(今回4月)
『物価のトレンドは2%目標に向けて徐々に高まる
消費者物価の基調的な上昇率は、2%の「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていきます。こうしたシナリオが実現する可能性は、引き続き、少しずつ高まっています。』(前回1月)
でですね、物価のイラストが突如のジャガーチェンジとなっていて、前回1月とその前の10月って謎のコイルみたいな絵になっていて、まあ要するにこれは賃金と物価の好循環が回ることによって基調的な物価が2%に向かって上がっていきますって図だったんですよね。なぜかその循環が6回も回らないと2%にいかないという恐ろしいまでに時間の掛かりそうな絵でした。
また、ご案内のとおり昨年7月、10月の小見出し『強力な金融緩和を継続する』ではそれぞれ2%が「遠くの山の頂上に双眼鏡じゃないと見えない存在(昨年7月)」「果樹農家の若夫婦が苗木を植えていて2%の豊かな果実が将来実る夢をみている(昨年10月)」と更にその前から見たらドンドン2%が現実から遠くなる、というイラストを載せていた訳ですが、1月になったらその2%が突如広場の巨大オブジェとして登場する、という謎の図にも程がある状態になった次第ですわな。
でもって今回、何の断りもなく突如「これから2%に向けて下がりだす」とかいうイラストをぶっこんできていまして、今までのイラストは何だったのかと突発性海原雄山症候群を発症して厨房に怒鳴り込むレベルの作品が登場している訳ですな。
まあどうせ日銀に言わせれば「今までのは基調的物価の話で今回は現実のCPIの話」っていうことなんでしょうけれども、説明されないと前回と全然整合性が取れないイラストを出してくる、というのは流石にお前らこのダイジェストを見る人達をなめとんのかという話で、一般の方々向けに出している、という触れ込みだから単純化するにしたって前回との整合性が一見して分からんものを堂々出してくるとかもうねという感じです。
まあ何ですな、世の中には一事が万事という言葉がありますように、全くもって前回との整合性が無い、というこのイラストの前回対比が今の植田日銀のコミュニケーションスタンスを良く表している訳でして、説明の整合性が全然なくて、前と違った理屈を急に持ち出してみたり、前に言ってた事からしたらそれ話違くね??ってのが平然とぶっこまれてくるという今の日銀のムーブというのは、月曜日に行われた輪番減額がまさにその象徴で、つい直前に植田総裁が説明していた調節部署による輪番減額の判断材料から見たら全く持って整合性の無いタイミングでの輪番減額が行われる、ってのも、今回のこの「物価のイラストの全面差し替え状態」に相通じるものがあるのですな。
という訳でですね、いやお前らちゃんとコミュニケーションする気あるのかよという話になる訳でして、植田さんの発言はしょっちゅうブレるわ、過去の説明と整合性が無い形でのサプライズ輪番減額をするわ、挙句に今までの説明の流れをぶった切ったポンチ絵を急に出してくるわでして、いやだからそういう前回との流れとか全然無視する絵を出してくるくらいだったら説明の流れとかを見ながらどういう情勢判断や先行き判断の変化があったかというのを分析しようとしている市場の皆さんからしたら混乱するだけの要因に他ならない訳で、だったらこんなの金輪際出すなよと申し上げたいですな(前回も言ってた気がしたが今回は突発性海原雄山症候群を完全に発症しておるワイ)
・不確実性が高いのは良いんだが何で急に他人事みたいなイラストになってるの???
次のイラストが
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い
海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(今回4月)
『日本経済・物価を巡る不確実性は高い
海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、日本経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い状況です。また、金融・為替市場の動向と日本経済・物価への影響にも十分注意を払う必要があります。』(前回1月)
この不確実性のイラストって今まで概ね同じように「不確実性の要因を並べて考えている人」の図だったのですが、今回はなんか知らんけど「スライドショーを見ながら講義を受けている人達」みたいなイラスト(要因が並んでるのは同じだけど)になっていて、何か急に「日銀は不確実性を意識している」という主体的な雰囲気が無くなったのはナンナンデスカ??????
・最後のはもう馬鹿にしてるのかと思いました
『2%目標のもとで金融政策を運営していく
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していきます。』(今回4月)
『強力な金融緩和を継続する
日本銀行は、粘り強く金融緩和を継続することで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していきます。』(前回1月)
まあ3月に枠組み変更したからこの文言が変わるのは順当なんですけど、イラストに関してはもはや見る人を馬鹿にしているのかと思いました。まあ見ればわかりますわ。
などと血圧をあげていたら時間が無くなったので今朝はこの辺で勘弁。
2024/05/15
お題「パウエル講演備忘メモ/レポレートとか/インフレ予想に関するスタッフペーパーから(その1)」
結局今朝も156円台ですかドル円様は・・・・・・・・・・
ってまあ輪番一発芸だけで為替のファンメタ変わる話じゃないから当然ちゃあ当然か。
〇パウちゃん講演はテキストが見当たらないので記事だけ備忘クリップ
FEDのページ見たけどないみたいなのでしゃーなし。
ロイター
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/AO5WHYDHSFLHPIH2LEHCC6IR7M-2024-05-14/
インフレ低下の確信「以前ほど強くない」、金利維持を予想=FRB議長
By Bart H. Meijer、 Toby Sterling
2024年5月15日午前 5:34 GMT+9
『アムステルダム 14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、米国のインフレ率は今後低下するとの見通しを示した。ただ、第1・四半期のインフレ率が予想を上回ったことを受け、こうした見通しに対する自分自身の確信は以前ほど強くないと述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『パウエル議長はアムステルダムで開かれた銀行関連のイベントで「インフレ率は月次ベースで、昨年の低水準に近い水準まで低下すると予想している」と述べた。ただ「こうした見通しに対する自分自身の確信は以前ほど強くないと言える」と語った。』
『ただそれでも、FRBが再利上げを迫られる可能性は低いとし、FRBは「忍耐強く」、現在の政策金利が最大限の効果を発揮できるようにすると改めて表明。「われわれが入手しているデータに基づくと、次の動きが利上げになる可能性は低い」とし、「政策金利は現行水準に維持される公算が大きい」と述べた。』
まあそんなもんでっしゃろ。
ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-14/SDHBJXT0G1KW00
パウエル議長、米金利をより長期に高水準で維持する可能性示す
Craig Torres、Cagan Koc
2024年5月14日 23:22 JST 更新日時 2024年5月15日 3:25 JST
→FRBは忍耐強く景気抑制的な政策が効果発揮するのを待つ必要
→1−3月はインフレ沈静化の進展欠いた−アムステルダムで発言
『米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、米金融当局は忍耐強くあるべきで、インフレが継続的に鈍化している証拠を待つ必要があるとの見解を示した。政策金利をより長期にわたって高水準に維持する必要性を強調した。
パウエル議長は14日、アムステルダムで行われたオランダの外銀関連団体主催のイベントで発言。利下げ実施に必要な自信を得るには、従来想定していたより長い時間がかかる公算が大きいとの認識をあらためて示した。
インフレは月次ベースで減速していくとの見通しを示した上で、1−3月(第1四半期)の物価データは自らが抱いていた自信を弱めたと明らかにした。』(上記URL先より、以下同様)
ほうほうそうですかそうですか。
『現行の政策については「数多くの尺度」でみて景気抑制的だと位置付けたが、インフレ率を当局目標の2%に戻すのに十分に金利が高いかどうかは時間がたたないと分からないと発言。
「恐らく、より長期にわたってそのスタンスを維持するということだと考える」と付け加えた。』
とまあそんな訳でして、これ自体は多分順当って感じの話で、インフレが何かイマイチ下がりませんなあという話をするだけで、今回下手な決め打ちは入れないというのは予想通りだったんじゃないですかねとは思います。
まあ暫く据え置きでそのインフレちゃんが無事に落ち着いてくれるのかという物価データの展開次第なんでしょうね、という別に言われんでもわかっとるわとしかツッコミの来なさそうな備忘メモでしたサーセン。
〇東京レポレートとかその辺メモ
いつもの東京レポレートちゃんですが
2024/5/10 0.090 0.094 0.074 0.067 0.061 0.057 0.061
2024/5/13 0.079 0.079 0.068 0.062 0.059 0.058 0.063
2024/5/14 0.076 0.080 0.068 0.061 0.059 0.058 0.063
東京レポレートって11時時点のリファレンスなんで売参みたいに引けのお値段じゃない(そもそもレポの場合引けって何ぞやというのもあるけど)ので若干出方に癖があるのですけど、まあそれはさておきまして概ね東京レポレートベースだとトモネちゃんって水曜日木曜日にレートが下がって金曜日に上がって、というパターン(単に短国発行要因を反映しているのですけど)になるのですが、とりあえず月曜火曜と無担保コールよりも高い水準で止まっていまして、さて今日どうなるのか、というのはちょっと見たい訳ですが、この水準でトモネちゃんが高止まっているのは3月4月には見られなかった現象でして、いやもうちょっと短国アウトライトの方にも反映しろよと思うのですが、今週は明日の1年と金曜の3Mがまたありますのでそこも注目であります。
でまあ売参の方では1年カレントと1年WIのレートが上がっている、と言ってもインプライド計算するとうーんこのというレートでうっかりすると1年後に政策金利50bpあるでという話も聞かれる昨今からするとナンジャソラと思いますが、2年とか5年だって足元上がっているけど天下泰平レート水準なのでまあしゃーないですわな、と思うのですが、1年とかのレート上がって来るとさすがに中期にもインパクト出ませんかねえ、とは思うのですがどうでしょう。
とは言いましても国債がそもそも論として日銀買い過ぎ問題で需給が強いのがアカン訳でジャンジャン減らせやとは思いますけど、何も円安で差し込まれてゴメンチャイ減額と言われるようなタイミングで減額せんでもと思う訳でして、次回の減額はどうせ中期(決定会合の減額とは別もんの減額ね)とは思うのですが、円安と絡まれないタイミング(そんなタイミングは無いという説もありますが)で出来ればいいですね(ニッコリ)という感じですか。
〇そういや企画局スタッフ謹製のインフレ予想に関するペーパーがありましたが
展望レポート全文の方にも本件ありましたし、先般の読売国際での植田総裁講演でもこのペーパーを含む関連物件に対してリファーがありましたので今さらですが。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/rev24j05.htm
期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性
2024年5月2日
企画局 長田充弘、中澤崇
はい企画局様のスタッフペーパーですよ、といいましても一応
『日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。』
ってなっていますが何せその次が「内容については政策企画課にお問い合わせください」と来ていますのでこれはもうお問い合わせもしないで読まないといけませんな。でもってHTMLにはエグゼクティブサマリーが記載されていますが、
『要旨
本稿では、様々なインフレ予想の指標について、期間構造や予測力の観点からみた特徴を整理する。第一に、インフレ予想指標を年限別にみると、短期のインフレ予想については、経済主体別で比較的似た動きをしている一方、中長期のインフレ予想はその見方の異質性が大きい。第二に、先行きの物価上昇率に対する予測力という観点では、長い年限のインフレ予想指標ほど大きな水準バイアスがみられるものの、そのバイアスを取り除けば多くの指標が予測力を有する。また、期間構造や予測力を踏まえた集計指標を作成すると、中長期的な予想物価上昇率が、このところ緩やかに上昇していることが確認された。』
とありましてほうほうそうですかそうですかと思いながら本チャンの方を見る訳ですが、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2024/data/rev24j05.pdf
多角的レビューシリーズ
期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性
ということで「多角的レビューシリーズ」になっている所にいやーーーな予感がする訳ですが、これがまた見事な出オチで大変に味わいが深いんですよねー。
・最初に出すのがそもそも結果的に外しまくっているエコノミスト予想ってのがもうね
『はじめに』から参りますが、
『世界各国の物価上昇率は、2020 年の新型コロナウイルス感染症の拡大以降、経済活動の再開に伴う需要の増加や供給制約の強まり、その後の地政学的な緊張の高まりを受けた資源価格の上昇などの影響を受けて、大きく上昇してきた。』
さよですな。
『この間の内外のエコノミストによる中長期的なインフレ予想をみると(図表1)、』
ちょwwwwwおまwwwwwwww
ということでですね、いきなりの出オチ状態で大変にチャーミングなのですが、「インフレ予想指標の有用性」って話をしているのに、今般のインフレを一番盛大に外していて、何なら中央銀行のインフレ上がらん楽観見通しよりも酷く外していたし、何なら今でも盛大に低い方低い方に外しまくっているエコノミスト予想を見ると、からおっぱじまるのはなんのギャグなのかと盛大にズッコケてしまいました。
『米欧では、コロナ禍からの景気回復につれて上昇する動きがみられたものの、物価目標である2%程度に概ねアンカーされる状態が続いてきた。子細にみると、高い物価上昇率が続くもとで、インフレ予想が幾分上振れて推移する局面もみられたが、金融引き締めの効果もあって、足もとでは2%程度に回帰してきている。』
いやあのですね、見通し外している人のインフレ予想がアンカーされているからそれが一体全体何なのよと思う訳ですが、まあ我慢して先を読んでみましょう。
『他方で、わが国のインフレ予想は、足もとにかけては上昇しているものの、その水準は米欧に比べれば低く、2%の「物価安定の目標」も下回っている。』
だからこの局面で物価見通しを一番盛大に外しているのってESPフォーキャストとかのエコノミストサーベイ(そういう意味ではサーベイだしてる連中はとっとと引退してその席を若い衆に空けろと思いますけどね!!!!)を出している時点でもうこの「(日本の中長期のインフレ予想は)2%の「物価安定の目標」も下回っている。」という日銀の金融緩和継続バイアス(これを書いていた時点ではハトハトチキン総裁を筆頭にそっちのバイアスでしたからね、超足元の円安ビビリンチョはさておき)に整合的な結論を出すために一番都合の良いのを出してきましたと言わんばかりのこの展開に落涙するしかない訳ですな、
『こうした状況の背景には、わが国において、長期にわたる低成長やデフレの経験などから賃金・物価が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が社会に定着してきたことが影響していると考えられる。』
はあそうですか。
『日本銀行の中心的な見通しでは、先行き、企業の賃金・価格設定行動が更に積極化する――賃金と物価の好循環が強まる――もとで、インフレ予想も2%に向けて、一段と高まり、次第にその水準にアンカーされていくことが想定されている。』
中々味わいがありますが更にその次の段落(その間に【図表 1】中長期インフレ予想の国際比較ってのがあるけど、系列を見ると『(注)専門家(エコノミスト)による予想。日本はコンセンサス・フォーキャスト(6〜10
年先)、米国は Survey of Professional Forecasters(10 年後)、欧州は Survey
of Professional Forecasters(長期)による値。(出所)Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、フィラデルフィア連銀、ECB』だそうです。
ちなみに上記のようなツッコミをするとどうせ帰って来る回答は「10年のような長期のインフレ予想に関して長期時系列のあるデータとして唯一あるのがこれですから」と言われるに1万アルゼンチンペソということでお含みおきくださいw
でまあその先
『このように、人々の物価観を示すと考えられるインフレ予想を把握することは、物価安定が持続的に実現していくか判断していくうえで、きわめて重要である1。ただし、インフレ予想には、様々な経済主体に対するサーベイ調査や市場価格に基づく指標が数多く存在する。また、同じ主体の予想でも、どの程度先の将来についての予想かによって、それぞれが有する意味や統計的な特徴が異なる。』
『このため、その解釈にあたっては留意が必要となる。そこで、本稿では、わが国におけるインフレ予想に関する様々な指標について、インフレ予想のもつ「近い将来から遠い将来にかけての期間構造」と「先行きの物価に対しての予測力」という2つの切り口から特徴を整理する。加えて、期間構造や予測力を踏まえてインフレ予想に関する様々な情報を集約した新たな合成指標を作成し、最近のインフレ予想の動向を確認する。』
・・・・・・・なんで冒頭にESPフォーキャストとかいう外しまくりのポンコツサーベイの国際比較を入れたのかと小一時間問い詰めたい訳で、最初からこれで話を進めればいいのに、何であんなもんを最初にぶっこんだのかが意味不明なんですけど、まあ先ほど悪態を申し上げたような大人の事情って奴ですかねえ宮仕えは辛いですなあナムナム。
・結局良くわからないのだが生活意識アンケートをベースにした結果なんでこんなに低い数字になるのよ
次の小見出しが『インフレ予想指標の期間構造』でアタクシはまあここをみたかったわけですよ実は。
(年限別・経済主体別のインフレ予想指標)ってコーナーから始まるのですが、
『図表2は、様々な経済主体のもつ短期(先行き1年程度)のインフレ予想を示している。』
でもってこの図表2ってのが【図表 2】短期インフレ予想指標 でして、この先の方には【図表
3】中長期インフレ予想指標 ってのがあるんですね。
でもってこのデータ系列だか凡例を見ると
【図表 2】短期インフレ予想指標
@生活意識・量的質問(今後1年間)
A生活意識・質的質問(今後1年間)
【図表 3】中長期インフレ予想指標
@生活意識・量的質問(今後5年間)
A生活意識・質的質問(今後5年間)
って系列があるんですが、展望レポートとか植田さんの読売国際の講演とかの図表を見るとわかると思うのですが、このうちまあ重要とおもわれるのが【図表
3】中長期インフレ予想指標 になりますから講演とかの図表は基本的に【図表
3】中長期インフレ予想指標 が出て来るのですけれども、何故か植田さんの講演とかを見ると(植田さんの講演の場合「10年」の方なのでこれとは直接リンクしないですけど)「質的質問」という数値が低く出ているのしか出てないんじゃねえのと言いたくなるような数字になっているのが謎なんですよね。
でもってその家計のインフレ予想についてのペーパーで示されているデータ(目の子で見ますと直近の家計の「量的質問」の短期インフレ予想が4%弱、中長期インフレ予想が3%強となっていますが、まあこれはそもそも論としてサーベイの数字が恒常的に高めに出ているからそれを処理しているんだろうなあというのは想像できるのですけど、
『家計のインフレ予想指標としては、日本銀行による「生活意識に関するアンケート調査」の結果を用いている。同調査では、2つの異なる質問によりインフレ予想を調査している。』
『まず、@「物価の変化率」について数値で尋ねている量的質問の結果については、±5%を超える極端な回答値を±5%に置き換えつつ平均した値を利用している2。』
>±5%を超える極端な回答値を±5%に置き換えつつ平均した値
>±5%を超える極端な回答値を±5%に置き換えつつ平均した値
>±5%を超える極端な回答値を±5%に置き換えつつ平均した値
いや食料品価格とか一頃CPIのコンポーネントベースで見たって10%軽く超えてたんだからその5%を超える回答値が本当の本当に極端な数字なのかというのはどうなのよと思いますが。
『A「物価が上がるか・下がるか」について5択の選択肢で尋ねている質的質問の結果については、修正カールソン・パーキン法という統計的手法を用いて数値化している3。』
>修正カールソン・パーキン法という統計的手法を用いて数値化している3。
うーんこのという感じでして、展望レポートの全文での解説でも結局この統計的手法を使っています、で片づけられちゃっているのですが、各回答をどういう数値に置き換えているのかが謎な上に、もしその置き換えが過去の物価の平均対比とかで見てるんだったらその方法使ったら今次局面のようなレジームチェンジをとらえることが明らかにビハインドになってしまいますがな、と思うんですがどうなんでしょうかねえと思いましたです。
でまあその先の期間構造とかの分析もあるのですが時間が無くなって来たのでそこはかっ飛ばして(別途展望のコラムを読むときにでもまたネタにできればと)
・あとこんなのありますが時間が無いので以下は後日できればやります
先の方に『インフレ予想指標の予測力 』というのがありましてですね、そのマクラ部分に、
『以上の特徴からも示されるように、インフレ予想には、先行きの物価上昇率に関する各主体の見方の情報が含まれていると考えられる。』
さいですな。
『先行研究では、@将来についてより豊富な情報をもつ経済主体(専門家)ほど、そのインフレ予想の予測力は高くなる、A家計や企業が、自らのインフレ予想を参照しながら消費や投資行動、賃金や価格交渉といった意思決定を行うために、そうした実体経済への影響力の高い経済主体のインフレ予想ほど、実際の物価動向に影響を与え、その結果として予測力も高くなるといった、相反する指摘がなされている。』
『その意味で、どの指標が有用なのかコンセンサスはないが、以下では、先行研究に倣いつつ、比較的シンプルなアプローチを用いて、各インフレ予想指標の予測力を比較・検証する8。』
まあ端的に言って今次局面を見れば「専門家」ほど過去の数字に引っ張られて構造変化を読み間違えやすい、って事だと思うんですよね。まあこれはつまり人様の受け売りなんですけど、「予測が同じ方向に毎回外れ続けている時は、構造変化が起きているかもしれないと考えるべき」って話に繋がるとおもうんですよねーーーーーー。
と単にここはその人様の受け売りを書きたかっただけですwまあ続きは明日できれば明日にでも。
2024/05/14
お題「ハイパー意表をついて輪番減額して今までは何だったんだと小一時間/その他」
おやおやまあまあ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-13/SDFLDKT1UM0W
イエレン米財務長官、G7国による為替介入に後ろ向きな見方繰り返す
Christopher Condon、Annmarie Hordern
2024年5月14日 1:27 JST
→「介入は極めてまれであるべきで、貿易相手国に伝達するのが適切」
→イエレン長官、特定国の状況に関するコメントは控える
『「特定の国の状況についてコメントするつもりはない」とイエレン氏。「それぞれの国にとって介入は可能だ。よりファンダメンタルな変化を伴わない限り、常に機能するものではない。しかし介入を実施するのであれば、極めてまれなケースであるべきで、貿易相手国に伝達するのが適切だろう」と述べた。』(上記URL先より)
>よりファンダメンタルな変化を伴わない限り、常に機能するものではない。
>よりファンダメンタルな変化を伴わない限り、常に機能するものではない。
>よりファンダメンタルな変化を伴わない限り、常に機能するものではない。
・・・・・介入したけりゃ利上げしろですねわかります!!!!
〇ハイセンスすぎて意味がわからんタイミングで長期輪番の減額で益々訳ワカメ
まあ皆さまご案内の通りで、昨日はまさかのプレイが登場したわけですな。
・まさかの5−10輪番減額攻撃登場の巻
オファー (5月13日<月>)(輪番のみ)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240513.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,750 2024年5月14日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,250 2024年5月14日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,500 2024年5月14日
ということで、5-10の輪番を前回の4750→4250に減額しましたので、月額ベースでいうと2000億円の減額ということになりました。
・・・・・いやあのですね、減らせ減らせとはアタクシを含めて債券市場の100人中200人くらいが言ってたと思うのですが、全員が予想しないタイミングで減額をしてくるというのはまたどういうギャグなのかと小一時間問い詰めたい訳ですよ。
だってさ、ついこの前の決定会合の会見では植田さん
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240430a.pdf
『それから後半ですけれども、日々の[金融]市場局の調節で、ある程度の幅を持って決定し得るというふうにしていますが、そこはこれまでと同様に、内外の市場の動向とか、国債の需給、例えばオペの応札の状況等をみて、若干の幅の中で[金融]市場局に決めてもらうという程度のことを考えています。長期的にオペの金額を減らしていくという際には、政策委員会で決定して、きちんとアナウンスをして進めていくということになります。』(直上URL先4pの4/26植田総裁定例記者会見での総裁発言より)
と言ってたわけでして、「内外の市場の動向とか、国債の需給、例えばオペの応札の状況等をみて」減額したって触れ込みなのですが、別にオペの応札の状況が変化したわけではない(国債の需給はそもそも買いすぎにも程があるのですけどそれはさておきwww)ですし、国債市場で金利が意味もなくダダ下がりでもしているならともかく金利上がってましたし、こんなの「内外の市場」って為替レートしかねえじゃんというお話。
先週の読売国際でも
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240508a1.pdf
『国債買入れについては、政策枠組みの見直しの前後で不連続が生じることを避ける観点から、現時点では、これまでと概ね同程度の金額で継続することとし、実際の日々の買入れ額については、市場動向などを踏まえて調節していくこととしています。』
『そのもとで、長期金利は、金融市場において形成されることが基本となるため、今後は、長期金利が、海外金利の動向や経済・物価見通しの変化などを反映して変動することは自然であると言えます。』
『また、現在は、3月に見直した国債買入れの枠組みのもとでの金融市場の状況を確認しているところですが、今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていくなかで、国債の買入れ額を減額していくことが適当であると考えています。』(以上直上URL先の5/8総裁講演テキスト本文8pより)
って言ってて、5/8の時点ではまるで減らす話になっていないじゃんって感じだったのに、なんでまた翌週月曜に輪番減額してるんだよという話ですな。
ま、今回は5月最初の5-10輪番だったので、もしかしたら4月いっぱいは様子見をしていて、5月になったところでまあそんなに金利急騰せんじゃろ、ということで減額した、のだとすると、その場合は今度は「市場動向に対応した減額じゃないです」って話になるからそれもまた変(計画的に減額しているんだったら「長期的にオペの金額を減らしていくという際には、政策委員会で決定して、きちんとアナウンスをして進めていくということになります」って話と整合しない)という事になる訳で、まあ全く持って意味不明なタイミングでして、こんなの為替市場動向を受けて官邸に差し込まれたので仕方ないからとりあえず長期国債の買入をへらしてみました、以外の理由があるのかというお話で、いままで何のために輪番減額してなかったのかが全部崩壊しているのが笑ってしまうしかありません。
でまあ本駄文だけではなく円債方面のそこそこの数の人が言ってたと思いますが、そもそも国債需給に応じて輪番を調整するなら4月からのカレンダーベース国債市中消化額の減額タイミングで輪番減額してればこのような「為替で追い込まれて最後は官邸に差し込まれて涙目になって輪番を減額したでござるの巻」としか客観的に見えない状況に追い込まれていない訳でして、まあ3月解除の前にハトハト宣伝をし過ぎた(まあこれ自体はマイナス金利解除の時に金利が急騰するかもしれないとビビる気持ちは実際に市場に漬かっていない人だと思ってしまうでしょうから致し方ない面があるけど市場局は何を説明してるな感はあった)のがあって、その後の市場の動きを見て適当に軌道修正すりゃいいものを、その後もハトハト音頭を踊り続けていた、というのも(というかそっちの方が)追い込まれの原因だったりするのですけど、減額のタイミングを慎重に見ていたのでしょうけれども、散々引っ張った挙句にかなり碌でもないタイミングで減額をしてきたのは今の植田日銀クオリティを象徴するような素晴らしいタイミングでしておじちゃん涙が止まりませんわ。
しかしまあ何ですな、もし今回の減額を「本来は長期国債の市中発行額減額(月1000億)による需給の変化を踏まえた減額を4月にやっても良かったのだが、マイナス金利解除直後だから様子を見ていたので5月から減額しました」というのなら単体では話は通じるんですけど、その場合は既に先週の輪番で中期前半と中期後半の輪番を減らさなかった(昨日も中期前半減額してないし)というのと整合性が取れない訳でして、いやマジでこれ「為替市場に追い込まれました」以外の言い訳があるのかよと思うのですが、ちょっと理由を説明してほしいですね(する訳ないけど)。
・なお肝心のかどうか知らんが為替市場様は瞬間しか反応しないで債券だけはちゃんと反応した模様
円債ちゃん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/43QTOJL44NJVPALPARATLXP3XE-2024-05-13/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利0.94%と半年ぶり高水準 日銀オペ減額で
By 坂口茉莉子
2024年5月13日午後 3:35 GMT+9
『国債先物中心限月6月限は前営業日比30銭安の143円96銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同3.5bp上昇の0.940%と、2023年11月1日以来の高水準を付けた。「残存5年超10年以下」対象の日銀の国債買い入れオペのオファー額が前回から減額されたことを受けて、国債先物は売り圧力が強まった。』
『前週末の米債市場で長期金利が4.50%付近に上昇した流れを引き継ぎ、国債先物は売りが先行。その後日銀の国債買い入れオペの減額を受けて、先物は下げ幅を拡大した。』
『現物市場で新発国債利回りは上昇。「予期せぬ国債買い入れの減額で、全体的に売り圧力が強まった」(国内証券債券セールス担当)と指摘。ただ、利回り上昇局面では「中長期ゾーンを中心に一定の押し目買いが入るなど、じわじわと金利上昇圧力がかかる印象だ」との声が聞かれた。』
『現物市場で新発国債利回りは総じて上昇。2年債は同1.0bp上昇の0.325%と09年以来の高水準、5年債は同2.0bp上昇の0.540%と11年以来の高水準。20年債は同4.5bp上昇の1.740%と23年11月1日以来の高水準、30年債は一時0.203%と、11年以来の高水準を付けた後、同3.0bp上昇の2.025%。40年債は同1.0bp上昇の2.365%。』(以上上記URL先より)
ということで中短期も売られていますし長い方も売られていますしおすしという事ですが肝心(かどうか知らんが)のドル円様に関しては確かに輪番出た時に155.90近辺から155.60割れとかになりましたものの・・・・・
円相場ちゃん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/KVJDD6VK3JMUXNZYEBJYUFV7X4-2024-05-13/
〔マーケットアイ〕外為:ドル155円後半へ切り返す、介入後の半値戻しが節目
By ロイター編集
2024年5月13日午前 11:36 GMT+9
ちょっとお時間が早いので恐縮ですが、
『東京 13日 ロイター] - <11:24> ドル155円後半へ切り返す、介入後の半値戻しが節目
ドルは午前10時過ぎ、日銀の国債買い入れオペ減額を受けて155.50円まで一時急落したが、現在は155.85円付近と急落前の水準へほぼ値を戻した。
LSGEデータによると、金利先物市場が織り込む6月の日銀利上げ確率は49%で、据え置きの51%ときっ抗している。「首相との直接会談を経て、日銀総裁の発言トーンがやや変わったように感じる」(邦銀アナリスト)との声も広がっており、日銀が近く、円安緩和に向けて何らかの措置を講ずるのではないか、との思惑も聞かれる。
しかし、小幅利上げを実施しても大きく開いた日米金利差に抗することは難しく、円高圧力は限られたものになるとの見方も依然多い。』(上記URL先より)
wwwwww
ということで、見事に為替の方は空振りになった(挙句に今朝は156円台に乗って帰って来ましたけど)というのがオシャンティーですけれども、何はともあれ今回「為替で追い込まれると日銀は最後泣きながらなんか申し訳ムーブは入れて来る」というのが明白になってしまいました。としか申しあげようがないムーブをしていますが、結局のところこれは「待つことのリスクは大きくない」とか昨年の5月の内外情勢で植田総裁が言ってた認識が引きずられていて、「ゆっくり対応する時間はある」と余裕をぶっかましていたら円相場に追い込まれるのが想定外だった、ということなんでしょうけれども、まあ想定外のムーブで追い込まれることに関して、結構前から市場の中の人達は指摘してたと思うのですけれども、「金融政策を為替に割り当てるのは適切ではない(キリッ)」という(それ自体は正論だけど)原則論に拘っていたのか知らんけど、まあ見事に読み間違えましたなナムナムナムと言ったところですな。
〇さてこれで6月会合どうするんでしょ中期輪番どうするんでしょ
とまあそういう訳でこうなってくると最近多くの何とかストの皆様もご指摘のように「6月会合で輪番の減額方向性を示して7月利上げ」みたいな連想が起きるわけですけれども・・・・・・・・
まあ実に難しい所なのですが、今回のサプライズ減額でそういう風な連想は高まってしまうんですけれども、日銀って今まで「短期政策金利の上げ下げで金融政策を運営するので輪番はそういう意味での政策手段じゃなくなったよ」って説明していたので、そのムーブをやってしまうと、輪番の上げ下げが先行きの短期政策金利操作の予告ホームランになってしまう、という事になってしまいまして、それはそれで今まで説明していたことは何だったんだという話になる訳ですよ。
つまり、「輪番の減額方向性を示す」ってのは本来短期政策金利の判断と結び付けられるべきではないので、6月に輪番の減額を入れてしまって7月に短期政策金利を上げてしまうとこれ明らかに輪番減額が政策金利引き上げの露払いになってしまうんですよね。
でまあそうなってしまいますと、例えばの話輪番減額で今の時点では3月に書いてあるのが生きているから「6兆円程度」という脚注にある数字になっているのですが、これを刻んで減らしていく、というようなことになりますと、刻んで減らすたびに「次回会合で利上げですかそうですか」って話になってしまいまして、それはそれで宜しくないんじゃなかろうかと思う訳です。
まあそれを回避したかったら最初の時点で「中長期的に輪番は適切と見られる額まで徐々にフローベースの買入を減額していきます詳細は毎月のアナウンスでどうぞ」という形にするしかないのですが、この時にだれでも予想できるルールベースにしないで市場局の裁量でタイミングや減額スピードを調整するとなりますと、やっぱりこのオペ減額の変化が将来の金融政策運営の予告ホームランと捉えられてしまうので更に宜しくない、ということになりまして、そもそも論として輪番の扱い方が不明確(恐らく3月議事要旨や4月主な意見を見るにコンセンサスが得られるような状態になっていない)な中で、6月会合までにその辺の扱いがまとまるのかよ、というのは非常に???ではあります。
まあこんなの予想してもどうせ当たらない(そもそもアタクシが「輪番は次の利上げまで減らないのではないか説」を唱えたら1級フラグ建築士の面目躍如でこうなった説が濃厚なので先にヘッジを入れるという姑息プレイに走るアタクシなのでしたwwwwww)のですが、どうせなら6月の頭くらいに中期の輪番減額しておいて、6月会合では特に輪番には触れず、でも情勢判断は「見通し通りに推移している」と強調して如何にも7月に上げそうな雰囲気は出すけれども輪番はその時に絡めないということですが、まあそんな感じで次回展望で見通し不変なら利上げあるで攻撃にしておいて7月に利上げした時に同時か、同時だと長期金利のショックデカメロン伝説になるのが怖いならその後に輪番減額打ち出しってのどうでしょとは思うのですけど、7月会合までに中期的な減額の方向性を出さないと次が9月まで飛んでしまうのもやりにくい所ですね。
まあこの輪番減額やってしまったので減額のおかわりをするか、6月会合で何か手土産を持たせてくれないと中々厳しいものがあるんじゃないか(円相場的に)という気がしますけど、なんかこう植田日銀になってこの辺のヘボさが目立って仕方ないのですけど、これ調節がどうのこうのの問題じゃなくて、ボードが輪番の扱いをちゃんと(公表文書で出すかどうかはともかくとして)明確にしないから現場の執行部隊である調節部隊がどうも出来ない、という状況に陥っているんだと思うので、そういう意味ではこんなのボードの責任ですよボードの。
ということですが、まあ今日も円安になっているので実に楽しくなって参りましたな!!!!
〇レポレートは足元が低下
いつもの東京レポレートは今日は前日前々日との比較にしますね。
2024/5/9 0.071 0.076 0.059 0.051 0.049 0.050 0.056
2024/5/10 0.090 0.094 0.074 0.067 0.061 0.057 0.061
2024/5/13 0.079 0.079 0.068 0.062 0.059 0.058 0.063
金曜のトモネは短国発行日要因で上昇したんでしょうけれども、新発3Mがあの気配から見たらまあ普通にホイホイと捌けていると思われますので、その分もあってトモネのレートは低下したという理解でよろしいですかね。
まあゆうて短国の現物の売参は変わらず(1年カレントと1年WIが金利上がっていましたが他の銘柄は変わらず)になっていましたけれども、利上げ云々関係ない1Mとかのレートは足元のGCのベースが変わって来た事を反映しているってことですかね知らんけど。
〇日銀理事人事と担当の変更
ほうほうそうですかそうですか
https://www.boj.or.jp/about/release_2024/rel240513a.htm
理事の発令について
『次のとおり発令がありました。
神山 一成
日本銀行理事に任命する
令和6年5月11日
財務大臣 鈴木 俊一
なお、清水 季子 理事は、5月10日任期満了により退任しました。』
ということで清水(季)理事のご退任に伴いまして神山国際局長が理事にご就任(大阪支店長)と相成りましたが、神山理事と言えば黒田緩和一発目の時のQQE導入時の政策企画課長でいらっしゃるわけでして、白から黒への大変化の中で当時は大変だったんじゃないですかねえとか外野で見てて思う訳ですな。
でまあ理事の担当割も変わりまして
https://www.boj.or.jp/about/organization/tanto.htm
総裁・副総裁・理事の担当
清水(季)さんの国際担当の後任が清水(誠)さんになって、清水(誠)さんの企画局とか市場局の方が加藤さんになってますな。加藤さんの担当割が妙に多い気がしますが、元々の担当は大阪から戻って来られる中島さんが引き継ぎ終わったら正式に担当するんでしょさすがに。
えーっとまあ本件のインプリケーションは本石町日記先生がお詳しいかと存じますので我不知。
2024/05/13
お題「3M短国とか/諮問会議って何やってたの??/3月議事要旨見ながら市場機能論と輪番に関して雑感」
ほうほう
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB247WF0U4A420C2000000/
日銀、利上げより先に国債減額? 円安対応で市場に観測
日銀ウオッチ
2024年5月12日 5:00 [会員限定記事]
『日銀が国債買い入れの減額を議論している。4月の金融政策決定会合の「主な意見」には、減額を支持する政策委員の見解が複数紹介された。日銀は月間の国債買い入れ額を3月までの6兆円程度で維持している。市場は日銀が足元の円安に歯止めをかけるため、利上げよりも先に国債買い入れの減額方針を示す可能性を意識し始めている。』(上記URL先より)
ということで主な意見とか出てから何とかストの皆さんの利上げ予想時期がやや早まった(やや、というのはメインは変えてないけど前倒しを意識、って感じね)という感じのようでございますが、いやまあ国債買入減額何なら今すぐやれという感じなのですが、実は最初の利上げまでは国債買入減額の方向性を示しに行かないのではというくらーい気持ちなのはあんまり変わっていませんアタクシ(6月に国債買入減額方向を決定会合で決めると7月利上げの予告ホームランになるから初回利上げと同時じゃねえの説ね)。
さてどうなるのやら・・・・・・・
〇3M短国入札がなんか結構金利上がったんだがセカンダリーでは金利低下とかGCレートとか
・3M短国入札は流れるも金利上がったらすかさずセカンダリーで買われて金利低下の巻
金曜は30年国債入札もあった気がするんだが30年国債よりも3Mという変態な人がこちらにおりますので30年国債の話は詳しい人に聞いてください(って別に3Mに詳しいわけでもないがorz)。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240510.htm
国庫短期証券(第1230回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1230回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1230回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年5月13日
4.償還期限 令和6年8月13日
5.価格競争入札について
(1)応募額 14兆9,061億円
(2)募入決定額 4兆4,081億3,000万円
(3)募入最低価格 99円98銭6厘5毛
(募入最高利回り) (0.0535%)
(4)募入最低価格における案分比率 19.0427%
(5)募入平均価格 99円98銭8厘0毛
(募入平均利回り) (0.0476%)』
ってなわけで前日の6Mもレートがやっと見れるレートになったと思ったら3M流れて足切り5bp台に堂々乗る、ということでマイナス金利解除から1か月半にしてやっと3M短国が少しは見れるレートになってきましたが、単にGCがクソ高くなってきているのだけなのか、ちったあ7月末会合跨ぎのことを意識しているのかは判然としないわけですけれども、まあ入札はこんな感じでなかなか美しい結果に。
と言いましても、まあこれどういう計算するかがめちゃくちゃ難しいんですけど、7/31までの金利を2bp(単純に7月償還の短国の引けが2bpだからというなんも考えない前提)で置いてみると、新発5bpなら7月会合から償還までのブレークイーブンが10.8bp弱になる(なおアタクシはアホの子なので単純に日数加重平均が5bpになるように逆算しているだけで再投資とかそんなお洒落な概念はない)のでこれが安いのか高いのかというとまあ謎(そもそも手前を2bpで計算していること自体が本当にそれでよいのかという話はある)なのですが、まあ何となくそれならちったあマシな気もしますし。
というかまあ金利が上がったら上がっただけニーズが出てきただけ説もあるのですが、落札結果出てからは5割れのアベレージよりも金利は低下してまして、結局売参見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1230 2024/08/13:平均値単利 0.030
ということで、前日のWIの売参が4bpだったので入札はWIより甘かったけど甘いことで買いが入って戻りましたってなもんですけど、
国庫短期証券1228 2024/08/05:平均値単利 0.040
国庫短期証券1232 2024/08/19:平均値単利 0.039
まあどうせ出合いがないからとかいう理由なんでしょうけど前回債の売参は4bpのままで今週金曜の新発WIは3.9bpとか微妙な値付けになっていますけど(まあ実際問題としてまだ短国市場自体の個別需給要因が強すぎというのがあって何んともかんともなのですが)、まあ何にせよ4月中はずーっと1bp台というか平均1bp割れとかになっていて金利というよりもモノとしてのニーズのお値段(まあ今だってGCよりは全然低いんですけどね)になっておったのに比べれば少しだけマシになりましたな。
・GCレートがやっとコールの上まで来ましたが
東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
折角だから4/22からのTKRR一覧を貼っておく。ちなみに連休前最後の新発短国の発行日が4/22(3Mと1Y)でその後5/7(3M)まで新発の発行日が無かったという大型連休要因の日程である。
ちょっとは体裁を考えて今日は凡例つけてみるw
O/N T/N 1W 2W 3W 1M 3M
2024/4/22 0.054 0.068 0.042 0.038 0.036 0.034 0.051
2024/4/23 0.060 0.068 0.041 0.041 0.038 0.037 0.052
2024/4/24 0.057 0.031 0.035 0.036 0.035 0.033 0.051
2024/4/25 0.004 0.013 0.029 0.031 0.033 0.034 0.051
2024/4/26 0.021 0.012 0.027 0.031 0.033 0.033 0.052
2024/4/30 0.001 0.008 0.025 0.031 0.031 0.033 0.051
2024/5/1 0.073 0.045 0.034 0.034 0.034 0.037 0.051
2024/5/2 0.068 0.075 0.049 0.043 0.043 0.044 0.051
2024/5/7 0.072 0.069 0.052 0.048 0.048 0.049 0.053
2024/5/8 0.072 0.073 0.058 0.051 0.049 0.050 0.055
2024/5/9 0.071 0.076 0.059 0.051 0.049 0.050 0.056
2024/5/10 0.090 0.094 0.074 0.067 0.061 0.057 0.061
月末にかけて足元のGCレートマイナス突っ込むんじゃないか位の勢いで下がりましてその後反転という図になっておられるわけですが、金曜はトム(つまり今日)が6Mと3Mのダブル発行要因ということで一旦コールよりも高くなりましたが、まあゆうて金曜の新発が捌けているようならここからさらに上がってくれるというのは無理がある気はしますが、まあ利付も含まてマーケットメーカーの在庫が重くなればGCも上がり安くなるわけでして、マイナス金利解除後って金利が跳ねるどころの話じゃなくて、マイナス金利解除になったから買い出動組が登場する中で短国の需給が強いのが影響したのかねここまでは、という感じですけどまあよく分からんですな。
ただまあアレですわ、金曜日にネタにしましたように先週水曜の6M交付税特会のレートが別に上がっているわけでもない、というのを見ますに、一応短国入札だけで見れば後付け講釈的には7月の利上げへの意識がちょっと出てきたとかそういう言い方はできるのですが、交付税特会とか他のレートとか(ってCPとかですけど)を見てもそこまで派手に利上げ織り込みって話でもないとは思われますが、とにかく超過準備がめちゃくちゃあるレジーム下での動きはアタクシも初めてなのでまださっぱり分からんであります。
もちろん金曜の入札が流れたのは主な意見とかの一連のアレで腰が引けた、ってのはあるとは思いますけど・・・・・・・
〇経済財政諮問会議でなんか討議をしたようなのだが資料を見てもなんだかさっぱり分からん
金曜の夕方とかいうクソ迷惑な時間帯なのでもはや知らんがな精神で後から見たんですけどねw
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0510/agenda.html
第5回会議資料:会議結果 令和6年
議事次第
令和6年第5回経済財政諮問会議
開催日時:令和6年5月10日(金曜日)17時35分〜18時30分
開催場所:総理大臣官邸4階大会議室
議事
(1)マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)
(2)中長期の重点課題B(先端技術実装と競争力強化)
となっているのですが、資料の方を見ると(2)の先端技術の話ばっかじゃねえかって感じですし、
資料1 植田議員提出資料(PDF形式:144KB)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0510/shiryo_01.pdf
・・・・・・何だこのやる気のない資料は(見ればわかるがクソどうでもよいポンチ絵)
資料2 賃金と物価の好循環に向けた懇談(新藤議員提出資料)(PDF形式:600KB)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0510/shiryo_02.pdf
こちらは、
『賃金と物価の好循環に向けた懇談(概要)
日 時 2024年4月24日(水)・25日(木) 非公開で開催
参加者
中小企業合計13社(製造業、情報サービス業、警備業、建設業及び物流業)新藤経済財政政策担当大臣、井林内閣府副大臣、神田内閣府大臣政務官、上月経済産業副大臣、こやり国土交通大臣政務官
ほか
概 要
中小企業から、価格交渉・転嫁、賃上げ、人手不足対策・設備投資の現状と課題、政府に対する要望等について聴取。今後の政策対応の在り方について、意見交換。』
ということで、『主な意見及び政策対応への示唆@』、『主な意見及び政策対応への示唆A』というのを見ましても別にマクロ経済政策の話じゃない話ばっかり並んでいまして、いやまあこれはこれで大事な話にではあるのですが、式次第の方が「(1)マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)」ってなっているのに全然マクロ経済運営じゃねえじゃんということで、おまいらマクロ経済運営の金融政策の話とか言いながら全然その話してねえんでネーノ疑惑しかわかないという糞面白くもない資料が並んでおったとさ、という落ちでした、
まあ何ですな、経済団体などからも円安批判がずいぶん出ていると思うのですが、何ですかこの経済財政諮問会議のノホホン振りはとはアタクシなんぞは思いますが、まあゆうて官邸方面的に円安怪しからんモードになっていないとなるとハトハトチキン総裁が蛮勇振るう訳がないし、何なら「利上げをしてそのあと経済が下向きになったら責任取らされるけど何もしなければ責任取らなくてよいから屁理屈こねてでも動かないもんねー」というハトハトチキンンにまた火が点いてしまったのではないかと心配ですな。
なお、唯一望みがあるとすれば「本当にやべえ時にはその時点で公表資料にすぐに出てこないの法則」によって実は円安放置怪しからん大会だったけど資料ベースではそういう話が読めないようにしておく(市場が利上げで突っ走られるのも怖いから)という可能性はデギンドス副総裁の頭髪程度は可能性があるかも知れませんがはてさてどうなんだか。
〇今更ネタが積んどくですが3月議事要旨を見ながら雑感も
3月議事要旨
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240319.pdf
・なんか多角化レビューの報告があるんだが「取引があればいい」ってもんじゃないんですけどねえ
前半の方に『U.金融政策の多角的レビューに関する執行部からの報告および委員会の検討の概要』という割とナンジャソラなコーナーがありましてですな。
『1.非伝統的金融政策が金融市場に与えた影響』ってのがあって『(1)執行部からの報告』ってのがあるんですけど。
『過去 25 年間の短期金融市場の機能度を確認するため、量的緩和が実施された第一局面(2001〜2006
年)、補完当座預金制度が導入された第二局面(2008〜2016 年)、マイナス金利導入以降の第三局面(2016
年〜)の3つの局面に分け、各局面の動向を振り返った。』
ということで短期金融市場の「機能度」の話をしているんですけど、
『第一局面では、金融機関間の取引インセンティブが低下したが、第二局面では、補完当座預金制度の導入に伴い付利先と非付利先との間での取引インセンティブが生じた。第三局面では、補完当座預金制度の三層構造のもとで裁定取引が活発化しており、短期金融市場は、足もと十分な機能度を維持していると評価できる。』
って評価を相変わらずしているんですけど、市場の機能度ってのは各参加者が自分たちの資金繰りに加えて先行きの政策動向を考えて参加者ごとにいろいろな見方をもとにポジションを形成するから市場になるのであって、結局のところ短期金融市場における「市場機能」って日銀当座預金へのアクセスがある先とない先、あるいは制度上それまで超過準備を積み上げていなかった先(は基礎残高やマクロ加算残高が相対的に少なかったので)に対して制度によって負荷をかけることによってその負荷のかかった先が損失回避のために行う取引を捕まえて「機能度」と言ってるだけの話で、こんなの市場でも何でもないわけです。
むしろこの人たちが「機能していなかった」と評する第一局面の方が最後の方はちゃんと利上げ前から新発3Mの金利が上がったりしていたわけですし、参加者の自由な金利観に基づく価格形成が起きないような構造になっている超過準備余りまくりレジームが市場機能とかいうのちゃんちゃらおかしいとしか言いようが無い、といつもの悪態を言っておく。
・相対価格って銘柄ごとの需給よりも問題なのは「国債市場の価格形成そのもの」なんですけどねえ
『量的・質的金融緩和やイールドカーブ・コントロールによる国債市場の機能面での副作用は、@市場流動性の低下、A相対価格面の歪み、B円債の取引基盤の脆弱化の3つに整理できる。これらのうち、相対価格面の歪みは改善方向に向かっている。』
「相対価格面の歪みは改善方向に向かっている」って言ってるんだがそれ国債の個別銘柄の話であって、そもそも「国債の金利」というのが本来の意味でのリスクフリーレート金利になっているのか、という問題に関してもっと真剣に考えて頂きたいわけです。まあ例として短国挙げるのはちょっとアレですけど、さっき入札をネタにしたから書きやすいけど、無担コールレートがほとんど7.7bpでびっちり張り付いていて、超過準備付利が10bpあるのに3M短国がやっと金利が上がって3bpだ4bpだなわけでして、それって「国債というコモディティの価格」ではあるけれども「金利のベースになるリスクフリーレート」なのかよ、という話で、銘柄間のゆがみがどうのこうのという話だけで改善したとか言ってるのはこれまたちゃんちゃらおかしいわけですよ。
いやまそりゃ中のスタッフとして「非伝統的政策は市場を破壊しちゃいましたひどいもんです」とかいうのを役員会にぶっこみに行くとかいうのはとんでもない勢いで蛮勇が必要であって、まあ普通は提灯報告したいってインセンティブがあるでしょってのはアタクシもサラリーマンの端くれですから分かるんですけど、それでいいのかこの提灯報告って感じだし、しかもこれが後世になると正しい歴史にされてしまいかねないのが恐ろしいところです。
・なんでここどさくさに紛れて為替市場の話があるんだよワロタ
でもってその続き。
『一方、市場流動性の低下は引き続き残っていくとみられる。また、脆弱化した円債の取引基盤については、市場参加者からは、再構築は可能との声も聞かれているが、完全な回復まで時間は相応にかかり得る、との指摘も聞かれる。』
お前らがめちゃくちゃに買入を行って相対価格歪ませてる(個別銘柄じゃない方の相対価格な)から取引基盤が回復しねえんだよわかってるのか。
『これらが、中長期的にわが国の金融市場に与える影響について、引き続き丁寧な把握に努めていく必要がある。』
把握した結果が4月の買入減額無しですからぬーw
でもってその次にこんなのがあるのがチャーミング。
『過去 25 年間の為替レートの推移を振り返ると、その時々の市場で注目されていた各種要因の影響を受けて、大きく変動してきた。この間に実施されてきた非伝統的金融政策は、将来の為替レートに関する予想経由で為替レートに一定程度影響を与えてきた可能性があるが、そうした予想形成は、その時々の世界経済や国際金融市場の動向次第で大きく変化してきたように窺われる。このように、非伝統的金融政策が為替レートに及ぼす影響には、きわめて大きな不確実性が存在する。』
どさくさに紛れてなんで為替市場の話があるんでしょうか????いやおまいら金融政策を直接為替に割り当てないって昔から言ってる(なお実際には為替でケツをたたかれて金融政策が動くのは日常茶飯事)じゃねえかよとwww
でまあそういうことで
『本調査プロジェクトの個別の分析については、ワーキングペーパー等で公表することを展望している。』
ということでして、これ25年レビューのワークショップが来週かなんかにあるので、そのときかその直後には公表されるんでしょうなあと思います。
ああちなみに『(2)委員会の検討』は愚にもつかない話が垂れ流されているだけなので割愛しますが、最初のところで思いっきり
『短期金融市場に関して、ある委員は、量的緩和のもとでは市場機能が大きく低下した一方、その後の局面では、補完当座預金制度が金融緩和
と 短期金融市場の機能の維持を両立するうえで大きな効果があったと評価した。』
ってことにされているんですけど、まあ木を見て森を見ないってか、そもそも補完当座預金制度って先に量的緩和をしまくった挙句にマイナス金利入れるというだまし討ちを行ったために量的緩和政策によって超過準備山ほど積み上げた金融機関からマイナスチャージをいきなり取ったらエライことになるってんで積み上げていなかった(あるいは制度上積み上げられなかった)金融機関および非当預先に一方的に負担させてマイナス金利を作りながら、金融機関全体からのとんでもない実質課税を回避しようという話であって市場機能とか言ってるの副次的な話にも程があるんですけど、なんかそういう話は無かったことにされて「市場機能を維持する施策」で言いくるめられてしまっているのが残念無念ですな。
・しかしまあ輪番の扱いについての意見が全然まとまっていませんなあ
話は飛びまして『W.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』のうち今話題の(かどうか知らんが)輪番どうする問題(なんか急に皆さん「6月に買入に関する文言を変更して減額の方向性を出す」ってビュー増えましたよね)から。本文16ページPDFの18枚目になります。
『長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について、多くの委員は、その枠組みを見直すことが適当であるとの見解を示した。これらの委員は、長期金利は金融市場において形成されることが基本となるとの見方を共有した。そのうえで、多くの委員は、長期国債の買入れについて、不連続な変化が生じないよう、当面、これまでと同程度の金額で買入れを継続するとともに、長期金利が急激に上昇する場合には、機動的に対応することが適当との認識を共有した。』
とまあこれは決定事項ですけど、
『何人かの委員は、こうしたもとで、本行国債保有残高が高水準で推移するため、その緩和効果は引き続き作用するが、今後は、国債買入れは、能動的な金融政策手段としては用いないことが考えられると述べた。』
これ別に全員が言ってるのじゃなくて何人かが言ってるのですよねよく考えてみたら。
『このうちの一人の委員は、国債の買入れは、長期金利の急変動を避けるという観点から行うこととし、その中で、市場の流動性を回復しつつ、できるだけ市場に金利形成を委ねていくことが大切であるとの見方を示した。』
金利急上昇しないのならば減らせって言ってますよね。
『別の委員は、これまでの市場機能に副作用を及ぼしてきた政策対応を見直し、市場が自律的に機能する局面への転換が必要であると述べた。』
金利急上昇云々の話すらしていないのでこっちの方が過激派w
『ある委員は、長期国債の買入れの調整は、急激な市場変動を避ける観点から時間をかけて対応することが適当であり、その間に債券市場の参加者が拡大することを期待するとの見解を示した。』
一方でこんなのんびりとしたことを言う人もいるわけでして、結局これ長期国債買入の方向性について全然まとまっていなくて、とりあえずガワだけは外したという状態になってるわけですなこれがまた。
『実際の国債の買入れ額については、何人かの委員は、上下に多少の変動幅をもつ形で、調節部署が市場の状況に応じて柔軟に決めていくべきであると指摘した。』
という事になっていたのですが、ただまあ一方で総裁記者会見で植田さんは3月の時も今回の展望の時も6兆円を連呼していたわけでして・・・・・・
『このうちの一人の委員は、例えば上下に1〜2兆円程度の幅をもって対応していくことが適当であるとの見解を示した。』
とか言われたってああ6兆円を連呼されちゃったら余程のぶっ飛ばし体質の人じゃないと輪番減らせないというのもこれまたわかる話でして、そう考えると金曜ネタにした5月会合の主な意見での「国債需給などに応じた日々の調整は、金融市場局において、丁寧に行うべきである」とかいう公開処刑意見にしたって、そうして欲しいならお前がちゃんとボードの意見をそっちで纏めろというか、植田さんに膝詰め談判して国債買入動かすのOKOKというのを言わせろという世界でもありまして、まあ市場局も丸投げされていい迷惑という話でもありますな、うんうん。
『この間、何人かの委員は、将来的には、いずれかのタイミングで国債の買入れ額を減額し、国債保有残高も償還に伴い縮小させていくことが望ましいとの見解を示した。』
結局このように「いずれかのタイミングで」であるし、しかも4月会合でマイナス解除後の動きを確認したんだから政策と関係なくテクニカル減額OKOKみたいなのを出すのもできたとは思う(というか時事とか報道してましたですよね思いっきり誤報になりましたが)のに、結局4月もまとまらずに「6兆円」が継続なんですから、まあそう考えますとこれ意見の隔たりが相当あるんじゃないのか、って思いました。
ということで今朝はこの辺で勘弁
2024/05/10
お題「4月会合主な意見を見ると植田さんが勝手にハトハトチキン音頭を踊っているんじゃないか説が・・・・/その他メモ」
いやーアメリカン金利がちょっと下がったから助かってるけど昨日って結局「主な意見」効果って一瞬で終わってその後156円行くんじゃないか状態でしたわなーーーー
〇4月会合主な意見では謎なまでにノリノリの政策調整議論が爆誕しているんだが
そういえば3月会合議事要旨ネタをかっ飛ばしている事を今思い出したので後日成敗しておきますね。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240426.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 4 月 25、26 日開催分)
・物価の上振れ指摘のオンパレードになっているのですが・・・・・・・・・・
『T.金融経済情勢に関する意見』の部分の最初の方はまあどうでもよいので、次の(物価)を見ますとこれがまた物凄い勢いで「上振れリスク」のオンパレードになっております。折角なのでチェリーピッキングしないでこの項目の全部の意見を並べてみますね。
『・ 消費者物価の基調的な上昇率は、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』
『・ 物価見通しは、海外インフレの継続による輸入物価上昇に加え、国内のタイトな労働需給、企業の価格設定行動の変化が継続することなどから、概ね2%の水準を維持すると考えられる。』
最初の2つは大本営か大本営の提灯なのでまあそれは良いとしましてその次からがこの有様である。
『・ 円安と原油高は、コストプッシュ要因の減衰という前提を弱めており、物価の上振れ方向のリスクにも注意が必要である。』
『・ 足もとの円安と原油価格等の上昇が、輸入物価を通じて企業物価へ波及しつつある状況を鑑みると、賃上げに伴うサービス価格の高まりに加えて、現在伸び率が低下している財価格が底打ちして反転する可能性にも注意を払う必要がある。』
第一の力とか言ってる奴の継続で上振れリスクですね。
『・ 円安は、短期的にはコストプッシュ型の物価上昇を招くことで経済を下押しするが、インバウンド需要の増加や製造業における生産拠点の国内回帰などを通じ、中長期的には生産や所得への拡張効果もあるため、基調的な物価上昇率の上振れにつながり得る。』
こういう理屈で言うのか、と感心してしまいますがまあこれも上振れの話ですわな。
『・ 輸入物価上昇を起点としたコストプッシュや予想物価上昇率の上昇に伴うインフレ率上振れのリスクもあるため、今後、2022年以降に続く第2ラウンドの価格転嫁が生じるか、予断なく見極める必要がある。』
これ「第2ラウンド」っていうのは物価スパイラルを招く二次的効果(セカンドラウンドエフェクト)とは別の意味ではあるのですが、言葉の使い方として二次的効果というヤバイ上振れを意識してるでしょ(^^)。
『・ 賃金・物価スパイラルの想定以上の進展、円安の進行、積極的な財政政策、人手不足を主因とする供給力不足、資源価格の上昇など、様々な物価上振れのリスク要因があり、注意が必要である。』
はいはい上振れ上振れ。
ときましてこのコーナーの最後は多分中村審議委員じゃないかと思いますが、
『・収益力や給与水準等で大企業と中小企業間で二極化が進み、中小企業では人材係留目的の賃上げが多く、大企業の構造改革成果の波及はまだ弱いとみられる。』
ということでいつもの中小企業への波及の話をしていますが、別に明確に下振れという話をしている訳ではありません。
・委員の指摘が物価の上振ればっかりなのに何で読売国際の講演では「上下双方向」なんでちゅかねえ
さてここれちょっと話を戻して一昨日の植田さんの講演、昨日ネタにしましたが再掲しますと、
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240508a1.pdf
賃金と物価の好循環と今後の金融政策運営
―― 読売国際経済懇話会における講演 ――
講演7ページ(PDFの8枚目)なんですけどね、
『(物価を巡るリスク)
ここまで、物価の先行きについて、中心的なシナリオを念頭にお話ししてきましたが、こうした見通しを巡るリスクは、上下双方向に大きいと考えています。』(この部分だけ直上URL先5/8植田総裁講演より)
>上下双方向に大きいと考えています
>上下双方向に大きいと考えています
>上下双方向に大きいと考えています
・・・・・( ゚д゚)
えーっとすいません、何で委員の大勢意見が上振ればっかりなのに総裁は講演で「上下双方向に大きい」って言ってしまうんでしょうか、というお話でありまして、まだ「上下のリスクがあります」位で話をするなら一般論になるけど、「上下ともに大きい」っていうのは「物価の下振れリスクも意識しています」って説明をしている訳ですけど、この「主な意見」では下振れの指摘って中村さんと思われるのが1個あるだけ(しかも明瞭に下振れを指摘した訳ではない)で、一方の上振れに関しては結構強いトーンで指摘している意見が並んでいる、という状況な訳ですよ。
つまりこれ植田さんどう見ても政策委員会の大勢意見と違う説明を堂々としている訳でして、そういうのはヒラ審議委員が「委員会としての意見はともかくとして私個人はこの下振れを強く意識しています」って断りを入れて話をするならそれはそれで一つの見解ですけど、総裁として講演しているのに政策委員会の見解を丸無視して、しかも丸無視したって断りも入れないで説明するってお前何様だよというかこれはどう見ても「殿のお身持ち宜しからず」という奴にしかあたくしには見えないんですけどどういうことですかちょっと改めて説明をしてくれませんかねえ。
ということで「主な意見」の方に戻りまして、
・金融政策運営に関しても「調整を実施すべし」のノリノリ見解が続く(とは言え今なのかというと微妙だが)
次が皆さん大好きな『U.金融政策運営に関する意見』でして、まあこれも全意見並べてみますわ。意見は色々とあって大杉栄な訳ですが特にアレンジもしないで順に引用します。
『・ 経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』
これは展望に書いてある通りなので人畜無害。
『・ 展望レポートの見通しには引き続き不確実性が高いが、これが実現するのであれば、約2年後に、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現し、需給ギャップもプラスということになるので、金利のパスは、市場で織り込まれているよりも高いものになる可能性がある。』
そらその通りなんですがわざわざ「市場の織り込みよりも金利(政策金利という意味だと思いますが)パスが高くなる」と入れているのがノリノリ感を出しています。
『・ 「物価安定の目標」の達成時における不連続かつ急激な政策変更によるショックを抑えるために、経済・物価・金融情勢に応じて、緩やかな利上げを行うことで金融緩和度合いを調整することも選択肢として考えられる。』
『・ 経済にストレスを与えないように金融緩和の度合いを調整するには、今後、見通しの確度の高まりに合わせて、適時適切に、政策金利を引き上げていくことが必要である。』
さっきのも含めてこの3本の見解ってノリノリではあるがよく考えたら当たり前の話で、2%物価目標が安定的に達成、っていうような時の短期政策金利はどう低く見積もったって1%を超える(普通に考えて1.5-2.5の辺りのどこかじゃないですかねえ)訳でして、その時まで0金利政策を引っ張っていたらエライ事になるし、そもそも前段の所で皆さん物価上振れリスクを意識している、ということは0金利政策を引っ張り過ぎちゃうと物価が2%で止まらんリスクだってあり得るって事になる訳ですから、そりゃ徐々に調整するの当たり前なんですよね。それをしなかったからFEDはあのような物凄い勢いで利上げすることになったんだし。
『・ 政策金利の引き上げについて、そのタイミングや幅に関する議論を深めることが必要である。』
漠然としているコメントなので何かよくわからん。
『・ 金融緩和の更なる調整を検討するうえで、夏場にかけて、前向きな企業行動の確認、具体的には堅調な設備投資の継続や賃上げを契機とする年後半に向けた個人消費の改善傾向、がポイントである。』
夏場にかけて、ってもしや6月会合の調整を意識してるんじゃないかと思ってしまいますが、まあ7月会合は7月末なのでまさに「夏場」です(その次は9月ですから夏場じゃないわな)からして、7月会合の見通しアップデートの時の経済物価情勢の確認を受けて政策調整、ってのを思いっきり意識している書き方ですよね。
『・ 基調的な物価上昇率が2%を下回る現状では、緩和的な金融環境を今後も相応に長く維持する必要がある。ただし、円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合には、正常化のペースが速まる可能性は十分にある。』
基調的な物価とか言ってるのが何か総裁なのかと思ってしまいますが、まあハト系の誰かではないかと思いますけどそういう方でも円安での物価上振れでの政策修正に関しては排除しないという考えを示しています。
『・ 2023 年は可処分所得が伸びず、消費は0%への貯蓄率低下による増加であった。家計の購買力はまだ弱く、当面は緩和的な金融環境継続が妥当と思われる。』
これもハト系の方ですが、そもそも論として緩和的な環境で物価が第一の力とやらで上振れしてるから実質所得が伸びないという現実に関してはどういう考察をしてくれるのかしらこのお方は。
『・ 前回会合後に公表された消費者物価のデータ等をみると、前回会合時点で金融政策の枠組みの見直しの条件は既に満たしていたと考えられ、政策変更後においても市場に急激な変動は生じていない。』
何でしょうこれは前回反対した人が「やっぱり良く見たら条件満たしていましたねテヘペロ」って言ってるんですかねえよくわからんですけど。
でもってこの先が長期国債買入の話が続いていて、長期国債買入は政策手段として使う訳ではないよ短期政策金利の上げ下げで調整する普通の金融政策だよと植田さんアピってましたが、どこからどう見ても長期国債買入の話は重要ジャンというのが中々チャーミングではありますが。
『・ 長期国債の買入れについては、イールドカーブ・コントロール解除後の市場の状況を見ているところであるが、どこかで削減の方向性を示すのが良い。これとは別に、国債需給などに応じた日々の調整は、金融市場局において、丁寧に行うべきである。』
>国債需給などに応じた日々の調整は、金融市場局において、丁寧に行うべきである
>国債需給などに応じた日々の調整は、金融市場局において、丁寧に行うべきである
>国債需給などに応じた日々の調整は、金融市場局において、丁寧に行うべきである
これはつまり4月に実施された新規国債市中発行減額に対応しなかった金融市場局は何をやってるんだこのスットコドッコイがと公開処刑をしている、という事ですねわかります。
『・ 国債保有量の正常化、過剰な水準にある準備預金の適正化という観点から、日銀のバランスシートの圧縮を進めていく必要がある。段階的にイールドカーブ・コントロールを柔軟化したことが円滑な出口につながったことも踏まえれば、国債買入れの減額も、市場動向や国債需給をみながら、機を捉えて進めていくことが大切である。』
国債保有量の正常化も仰せの通りですが、さらに良い指摘なのは「準備預金の適正化」でありまして、足元って無担保コールが翌日物がごく短い期間では市場で一番金利が高いみたいな状態(もっと高いのが日銀超過準備付利ですけど)になっていて、コール翌日物が完全に付利狙い調達無限大モードの影響でびったり張り付いて動かない状態になっているのってどこからどう見ても市場としては歪んでいるとしか申し上げようがないのですが、聳え立つ超過準備の山を不胎化しないと翌日物の市場金利がゼロだのマイナスだのになってしまうんですからこうならざるを得ない、という訳で聳え立つ超過準備問題は何とかしないと行けないんですよね。
ということで「隙あらば長期国債買入減額」は良いお話ですな。
『・ 国債の需給バランスを踏まえ、市場機能回復を志向し、現状6兆円程度の毎月の長期国債買入れを減額することは選択肢である。市場の予見可能性を高める観点で、減額の方向性を示していくことも重要である。』
これまた良い意見でして、とにかく長期国債買入の運営に関してはメルクマールは無いわそもそも何のためにこんなに長期国債買入を実施しているのかの意義づけもわからん(だって短期政策金利で金融政策を行うんだったら長期国債買入って何も関係ないんでしょ、というのはまあ原理主義モードですけど建付け上から言ったらそうなりますよね)わということで、その予見可能性が全然ない中で市場を圧倒する長期国債の買入をアホみたいに継続している訳で、そりゃこんなのされたら国債市場の金利も適正化されないし、適正じゃない価格が形成される市場に投資家がまともに戻ってくるわけないじゃんというお話なので、この方向性を出せという話は大変に結構な論点です、何だお前らちゃんと考える能力あるじゃんと
思いました。
『・ 市場動向を踏まえると、保有するETFやJ−REITの取扱いについても具体的議論ができる環境になりつつあると考えられる。』
おおおこれは中々の過激派w
ということで、長期国債買入に関しても良い指摘がぼんぼん出ている訳でして、こういう議論があったのを踏まえている筈なのに何で4月26日の記者会見はハトハトチキン音頭だったんでしょうかということですし、今回の読売国際の講演でも及び腰なんですかね、ってお話。
・昨日の国会はそこまで大きなヘッドライン打たれてはいなかったけど
でまあこれを受けて債券先物が下がってドル円も途中で気が付いたのか円高方向に動いたのですけれども、しばらく(1時間もしないで)しか効果は続かず、国会での植田さんは相変わらずで金融政策の調整に関しても円安牽制に関しても特に踏み込まず、となると最早植田が口を開けば円安ドル高、というイジメモードに入っているんじゃないか疑惑まで提唱したくなる為替市場様におかれましては東京の夕方以降には155円後半から156円近くまで伺うような円安ドル高になっていて、一方で円債の金利はちゃっかり上昇(そりゃまあ上記ノリノリ主な意見見たら上昇するわな)するという事態になっておられました。
もうね、こうなって来ると植田さんを表にだして喋らせると、ただでなくさえ発言がブレブレな所にきて、政策委員会の議論内容を踏まえないで植田和男作詞作曲のハトハトチキン音頭を勝手に歌って踊る夜の帝王と化しているわけですからして、これはジャパンの伝統芸能「主君押込」を発動して、6月会合までの間喋らせない、国会に呼ばれたら「植田は只今修禅寺に籠っております何なら風呂に入っています」ということで両副総裁に代打で出てもらうしかないんじゃねえの、とまで思ってしまう訳で、昨日の朝も確かアタクシ座敷牢とか言ってましたが、この「主な意見」を見て益々これは主君押込待ったなし(ちなみに修禅寺云々の源頼家のケースは一般的には主君押込カテゴリーにはならんみたいです為念)という所ですな南無阿弥陀仏。
〇まあノリノリなのが分かって円債ちゃんはちったあ反応している訳でして
・6MTDBがやっと上昇しました(と言っても10も行ってないけどさ)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240509.htm
国庫短期証券(第1229回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1229回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1229回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年5月10日
4.償還期限 令和6年11月11日
5.価格競争入札について
(1)応募額 10兆1,292億3,000万円
(2)募入決定額 3兆1,233億7,000万円
(3)募入最低価格 99円95銭2厘
(募入最高利回り) (0.0947%)
(4)募入最低価格における案分比率 67.6182%
(5)募入平均価格 99円96銭0厘
(募入平均利回り) (0.0789%)』
ってな訳で平均がだいたい7.9bpで足切りが9.4bpくらいということでして、短国相変わらず全般にレート低い(コールとかと対比して)のですけど、それでもちったあ見れるレートになってきました。
とは言いましてもまあこれ11月償還だから、うっかりしたら後半3か月の政策金利が別の場所にいるかもしれませんよねと考えると唸ってしまうレートではありますが、売参ちゃんの方を見ますとこの新発6Mの売参ベースの引けは8bpになっていて、平均の方に近いレートですかそうですかという感じですが、前日の売参でのWIの平均値単利は7.5bpだったので、まあWIよりレート高いですねんという結果。
でもって本日は1230回が3M新発で入札の日になるのですが、こちらは売参ベースだとWIが4bpってことになっていまして、1個手前(5/2に入札のあった1228回3M)は売参ベースで2.7bpになっていて段差ありますね、って格好になっています。
まあこの売参WIがマジレートなのかというとそこは少々(どころじゃないかもしれませんけど)眉に唾を着けておく必要はあるんじゃねえのという気はしますが、3Mの短国が金利先安観がある訳でもないのに足元のGCより金利が低くてイールドカーブもあったもんじゃない、という状況がマイナス解除後も延々と続いている中で、徐々にこの調子でマシになっていくのか、短国の場合はなんせ需給がアレという状態も続いているので今後どうなるかとかまるでワカランチ会長ではあるのですが、もう少し「期間リスクプレミアムと金利先高観を反映したイールドカーブ」らしきものを形成して行くようになってほしいです今後とも。
・なお忘れてましたが交付税特会6Mですがこちらは前回対比横這い
これは水曜日の実施
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240508.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果
『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項
2.借入日 令和6年5月16日
3.償還期限 令和6年11月15日
4.償還方法 令和6年11月15日に一括償還
5.借入利率競争入札について
(1)応募額 7兆1,991億円
(2)募入決定額 1兆2,990億円
(3)募入最高利率 0.115%
(4)募入最高利率における案分比率 63.1295%
(5)募入平均利率 0.113%』
前回4/23実施実施の交付税特会6Mが平均0.112%の足切り0.115%だったので前回対比横這いとなっておりまして、こちらは水曜日なので昨日の主な意見とかそういうのは反映していませんけれども、まあゆうて付利金利よりもちょっと高い所になると超過準備からの乗り換えも起こるでしょうし、その超過準備自体がアホみたいにあるんですから、まあそうホイホイとは金利が上がるもんじゃないなということなんですかね、知らんけど。
次回は来週火曜日(14日)に交付税特会6Mがありますな。
・レポレートもおおむね横ばいっすか
東京レポレートですが
左からO/N、T/N、トムスタートの1、2、3Wに1、3Mっす。
2024/5/7 0.072 0.069 0.052 0.048 0.048 0.049 0.053
2024/5/8 0.072 0.073 0.058 0.051 0.049 0.050 0.055
2024/5/9 0.071 0.076 0.059 0.051 0.049 0.050 0.056
とまあこんな感じでこれまでだと玉無し芳一の影響でTKRRのトモネは水曜木曜とか下がってましたが今回はサガランチ会長となりまして、トムが3M発行日となる金曜をお迎えするのですけどさてどうなるんでしょうかね。
あとちなみに3MGCとして出ている水準が5bpちょいでまあ微妙に上がってるちゃあ上がっているのですが足元この辺で横ばいって感じだと思うのですが、3M入札の決着水準との関係を見てみたいところではありますな。
ってな所で(5年金利の話とかまで書いていると時間が無くなりそうなのでパスという安直なアタクシ)
2024/05/09
お題「植田さんの昨日の国会答弁と読売国際講演である」
あーあーあーあー
https://www.bloomberg.co.jp/quote/JPY:CUR
米ドル/円JPY:CUR
↑155.63JPY
+0.94
+0.61%
更新日時 5:20 JST 2024/05/09
アメリカン金利がちょろっと上昇したというのはあるにせよ、円安がまたも進んでしまっておりまして割と早い時期に打ち込んだ植田さんの講演は円安牽制に全然効いてないどころかこれ講演中のプライスアクションを見ると寧ろ円安を煽ってしまったまであるということですので何のために講演をしたのかよく分からんですな、いや円安をぶっ放して世の中の皆さんから利上げ待望論が出てから利上げする格好にしたい、という深慮遠謀でもあるなら別ですが・・・・・・・・・・・
ということで植田さんの昨日の講演と国会答弁と読売国際の講演(国会会期中だし連休明け直後なので国会答弁の可能性も高いから読売国際の時間を17時半にしたのかな、と後からよくよく考えたら思いましたが、まあ昼にやって欲しいですよねこういう講演は)からという感じですわな。
〇国会答弁でも何気に円安招いちゃってるんですよねー
一般向けテレビニュースでこんな言われ方になっているのはワロタ
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1158367
1ドル=155円まで円安の中、日銀・植田総裁の発言に変化? 無視から“注視”へ
TBSテレビ
2024年5月8日(水) 19:19
経済
『きょうもじりじりと円安が進んでいます。こうした中、先月、市場に“円安容認”と受け取られた日銀総裁は、発言のトーンに変化が生じています。』(上記URL先記事より)
ということで何かトーンの変化とか思いっきりTBSニュースでネタにされたようで誠にアレという感じですが、公共放送ちゃんの方では、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240508/k10014443021000.html
日銀 植田総裁 円安が物価に与える影響“リスク意識する必要”
2024年5月8日 14時29分
『日銀の植田総裁は、国会で、記録的な円安ドル高の水準が物価に与える影響について「リスクがあることは意識しておく必要がある」と述べ、円安が物価を想定以上に押し上げるなどの大きな影響を与える場合には、金融政策での対応が必要になるとの認識を示しました。』(上記URL先より)
という認識を示した、とはあるんですが、昨日の国会のお時間もしらっと円安が進行していたんですよね。今朝見たらBBGが読売国際講演の記事と一緒に説明してまして丁度いいのでご紹介しますと、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-08/SD5CDRDWRGG000
物価見通しの上振れリスク大きくなれば「金利早めに調整」−日銀総裁
伊藤純夫
2024年5月8日 17:44 JST 更新日時 2024年5月8日 20:11 JST
→経済・物価見通し巡るリスクが変化すれば、当然金利を動かす理由に
→急速・一方的な円安、不確実性高め日本経済にマイナスで望ましくない
ということで記事があるんですけど、途中はかっ飛ばして先に後の方の小見出しの『一段と円安進行』以下を見ますと、
『講演に続く質疑応答では足元の円安について問われ、「急速かつ一方的な円安は、例えば企業の事業計画策定を困難にするなど不確実性を高め、日本経済にとってマイナスであり、望ましくない」と懸念を表明。基調的な物価上昇率に為替の動きが影響してくる、あるいはそのリスクが顕著に高まってくれば「政策対応することになる」と語った。』
『外国為替市場では、総裁講演の最中に、円相場が1ドル=155円51銭まで下落した。総裁が午前の国会答弁で円安によるこれまでの物価への影響について控えめな見解を示したことをきっかけに、円が一段と下落。介入に慎重なイエレン米財務長官の発言を受け、日本の介入が困難になるとの見方も引き続き円の重しとなった。』(上記URL先より)
>総裁が午前の国会答弁で円安によるこれまでの物価への影響について控えめな見解を示したことをきっかけに、円が一段と下落。
っていうように、日中の国会答弁の時って割と最初の方に出てたヘッドラインがこの前と同じくで「円安が足元で基調的物価を大きく変えていない」みたいなのが出てて、アチャーと思ったら円安に動いてて、こらまあ切り取られてしまっていて植田さんにもカシュカリ総裁の頭髪ほどの同情の念は起きるのですが、まあヘタクソ情報発信と恐らくご本人の本音であるハトハトチキンが招いたドツボって感じで、この人もう口を開くと円安材料にしかされないので、次のMPMまで座敷牢にでも放り込んで氷見野さんと内田さんがスポークスパーソンになった方がいいですっていやマジで、と思いました。
しかしまあ何ですな、この次にネタにする読売国際の講演、もうちょっと円安牽制のトーンでも入れるのかと思えば、どうも為替動向に対して金融政策を割り当てない、というそれはそれで見識としてというか原則論としては仰せの通り(為替政策は財務省の通貨当局が行うべきものですから)な話がベースになっているとしか思えない説明になっておりまして、いやまあその原則論を言う植田さんの見識は分かるんですけど、今それを言ってるのってこれ円高の時の白川さんとコインの裏表みたいな感じになってしまいますし、現実問題として植田さんが何か言う度に円安に振れてしまっているのって、完全にマーケットの状況が植田さんを「詰み」に追い込んでいる(昨日なんて折角すこしトーン上げて発言したけど反応したのは円債と日本株でどっちも下げで反応して肝心のドル円は円安なんだから最早チェックメイト掛っているとしか思えん)し、市場って本質的にとんでもないいじめっ子だし何ならサディストなんで、こういうループに入りだすと植田さん益々ヤバイとアタクシの経験則は申しているのですが大丈夫でしょうか。
てかですね、上記のブルームバーグ記事見ても、「急速・一方的な円安、不確実性高め日本経済にマイナスで望ましくない」といってるんですが、同じ記事中に植田さんの発言として(というかこれは講演の方にもあるけど)、
『一方、見通しが下振れたり、下振れリスクが高まった場合には、「現在の緩和的な環境をより長く維持していくことが求められる」との見方も示した。また、経済・物価に対する大きな下方ショックが生じるような場合には、「必要があれば、これまで用いてきたさまざまな非伝統的な手段も含め、あらゆる手段をあらかじめ排除することなく、対応を考えていく」と述べた。』(先ほどのブルームバーグ記事より)
ってあって、円安が経済にとってマイナスだとそのマイナスに対応して金融緩和を更に続けたりマイナス金利政策含めた対応をするって話になるんだが最早何を言っているのかという話になるんですよね。
でまあ国会答弁の方に話を戻すと、さっきの国会答弁の一連の記事では「為替に対応することもある」とは言ってるんですが、肝心の講演では「円安は第一の力で第一の力には別に金融政策対応しないもんね(意訳)」という話をしているのがこれまた円安牽制になってねえええええええとしか申し上げようがないので、そろそろ植田さんの講演に参ります。
〇植田総裁読売国際講演:政策のやる気は一応見せたが市場には響かんでしょこれじゃ
しかし読売国際と略すとゴルフ場みたいですね。よー知らんけどw
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240508a1.pdf
賃金と物価の好循環と今後の金融政策運営
―― 読売国際経済懇話会における講演 ――
日本銀行総裁 植田 和男
・まずこの題名でクソワロタ
ということで講演の題名が『賃金と物価の好循環と今後の金融政策運営』ってなっているのがもう笑うしか無くて、ついこの前の展望レポート時の会見での説明って先日ネタにしましたように、「賃金と物価の好循環」の話を引っ込め気味にして、「基調的物価」を前面に押し出した説明で今後の金融政策運営の説明をしていたじゃないですか。
でまあ今回の講演の題名が「賃金と物価の好循環と今後の金融政策運営」ってお前は何を言ってるんだという話で、まあこれも4月会合後の会見での総裁の説明が「基調的物価」を前面に出すことによって早期利上げっぽいトーンをあんまり出さない(なぜなら賃金と物価の好循環を前面に出した場合既にその好循環が今次春闘で具現化しているから次の政策調整の時期の話が直ぐに来るのに対して、基調的物価と言って置けば暫く言い逃れが可能なので)ようにしてその結果円安をぶち招いてしまったという事を受けて、より政策調整トーンの強い「賃金と物価の好循環」の方をタイトルに持って行った、というのが見え見えな訳ですよこんなのwwww
まあそんな次第ですので、とりあえず円安進行が植田のせいで進んでいる、という日銀総スカン状態になって四面楚歌になるのを避けたい、という気持ちはわかりましたので内容に参ります。
・「第一の力」「第二の力」っていう説明を更にトーンアップしているんだが筋悪にも程がある
冒頭挨拶とか経済情勢とかどうでもいいので全部すっ飛ばして『3.物価情勢』に参りまして、最初の小見出しが『(物価の現状と見通し)』ですね。
『続いて、物価です。直近3月の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2%台半ばの伸びとなりました(図表3)。2年にわたり、2%を超える物価上昇率が続いていますが、その中身は変化しています。』
という時点ですさまじく嫌な予感しかしませんがまあその通りに話は進みます。
『私は、これまで何度かの講演で、2021 年以降の物価の動きを、「第1の力」と「第2の力」に分けて説明してきました(図表4)。』
でまあこの図表4ってのがPDFだと本文のケツにあって、PDFの15枚目に『物価上昇に作用する2つの力』ってのがありますが、そのグラフというかポンチ絵というかを見れば一目瞭然ですが、こちらはまあ講演テキストなのでちゃんと文章で説明があります。まあここ読まなくても図表4のビジュアルを見た瞬間に(ノ∀`)アチャーとなるんですけどね。
『ここで、「第1の力」とは、輸入物価上昇を起点としたコストプッシュ圧力が物価を押し上げる力のことです。これに対して、「第2の力」とは、景気が改善するもとで、労働需給の引き締まり等を背景に、賃金と物価が相互に連関しながら伸び率を高めていく力、つまり賃金と物価の好循環を指します。』
ちょっと待て今後は第二の力が賃金と物価の好循環とか言ってるのですがこれがもう説明として無茶苦茶筋が悪いんですよね。
だってさ、「中長期の期待インフレ率が2%にアンカーされた状態で経済を構成する皆さんが行動するから物価が中長期的に2%程度で推移する」ってのが2%物価安定が実現している姿、って話をしてた筈で、これだと期待インフレの話が無いじゃんという話(まあ流石にこの先に期待インフレの話もありますけどね)と誤読しかねない説明だし、大体からして輸入物価上昇などの価格転嫁がセカンドラウンドエフェクトを起こすというのも物価形成の話の中で重要で、現実問題として(それが本当にそうだったかは別にして)黒田総裁の時のバズーカ2だのハロウィン緩和だの言われたのって「原油価格下落が足元のやや軟調な経済と相まって物価およびインフレ期待の二次的効果を発揮して押し下げになるのを阻止する」ってお題目で追加緩和を実施したように、輸入物価上昇なり何なりの価格ショックが二次的効果を引き起こすかどうかってのは金融政策運営上重要な論点になる筈なのに、この「第一の力」「第二の力」ってそれを見事に無視した説明になっていますよね。
ということで、そもそも論としてこの第一の力第二の力って説明自体が筋悪としか思えないのに、植田総裁何でこの説明を嬉々として(かどうか知らんが)するんでしょうと疑問で疑問でしょうがないんですよアタクシには。
でまあ植田さんの説明は続くわけで、
『言うまでもなく、「第1の力」は、起点となる輸入物価の上昇圧力が止まれば次第に和らいでいく、一時的な性質のものです。それに対して、「第2の力」は、企業の賃金・価格設定行動の変化を伴いつつ、より持続的に物価上昇率を高めていくことが想定されます。』
でもってこれで整理するというのが筋悪なんですがこの筋悪音頭を聴いてみましょう。
『こうした整理を念頭に、改めて最近の物価の動きを確認します(前掲図表3)。食料品を中心とした財価格の上昇率は、このところ明確に縮小しており、「第1の力」が和らいでいることが確認されます。一方、コストに占める人件費の比率が高いサービスでは、価格の緩やかな上昇が続いています。これは、「第2の力」が強まってきていることを示唆しています。』
『先行きについても、「第1の力」が和らいでいく一方で、「第2の力」が引き続き強まっていくことを展望しています。4月の「展望レポート」では、生鮮食品とエネルギー価格の影響を除いた消費者物価の上昇率は、2023
年度の+3.9%から 24 年度に+1.9%へと低下したあと、25 年度は+1.9%、26
年度は+2.1%と伸び率を高めていくと想定しています。生鮮食品を除く消費者物価の上昇率は、政府のエネルギー補助金が縮小・撤廃される影響からやや振れが大きくなりますが、2024
年度が2%台後半となったあと、25 年度以降は、概ね2%程度で推移する姿です。』
コアコア+1.9も+2.1も同じだろと言いたくなるのだがそういう説明になっていますなwww
・でもって結局「基調的な物価」に話が行くのですが総合判断じゃないのかよ
でもってこの続きですが、
『このように、「展望レポート」の見通し計数からは、「第1の力」から「第2の力」へのバトンタッチが進む姿を想定していることが概ね分かるわけですが、物価情勢の評価に当たっては、「第2の力」がもたらす物価のトレンド、すなわち、「基調的な物価上昇率」を捉えることが重要となります。そこで、基調的な物価上昇率についてもう少し詳しくみていきたいと思います。』
『基調的な物価上昇率は、単一の指標の動きに基づいて評価できるものではありません。各種の物価指標に加え、物価変動の背後にあるマクロ的な需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくものです。そのため、その捕捉は、必ずしも容易ではなく、特に「第1の力」による価格変動が大きい今次局面では、困難な課題です。』
って言ってるんですが、以下の説明を見ますとひたすら定量的な分析をしていって「ザ・基調的な物価」を出そうという話をしていまして、もっと物価の背景にある経済の状況や物価形成のメカニズムといった部分で判断するのかと思ってたんですが(なお上記切り取って引用した言い方自体はこの前の総裁会見と同じ)、こうやって以下説明されると、なんか必死こいてその「ザ・基調的な物価」を出すという話をしているんだがそういうもんじゃないだろと思うんですよね。
つまりですね、インフレーションターゲット政策ってそもそも何のためにやっているかというと、それは「国民厚生を向上させるため」に実施しているのであって、インタゲ自体はその目的達成のために最も適切なメルクマールになるから使っている手段であって、国民厚生を無視して物価だか基調的物価だか知らんけど、その数字を2%に持って行くこと自体を目的にしたら中央銀行が本来やるべきことをやってない、って話になる訳ですからして、その「ザ・基調的な物価」を出すこと自体に何の意味があるんだよという疑問しかアタクシにはわかないのですが、以下延々とその「ザ・基調的な物価」の出し方の話をしているのがもうこの学者しょうもねーとしか言いようが無い訳ですな、南無阿弥陀仏。
『日本銀行では、従来から物価の基調的な動きをみるために有用と考えられる指標を多く試算していますが、それらは、今次局面のような大幅な輸入物価上昇を想定したものではありませんでした。例えば、「刈込平均値」は価格変動が大きい品目を上下
10%分控除した指数です。そのため、広範な品目で一時的に価格が上昇してしまうと、物価の基調を捉えきれなくなってしまいます。今次局面で基調的な物価上昇率を捉えるためには、従来とは異なるアプローチに取り組む必要があります。』
でもってその「ザ・基調的な物価」を出すのに今まで使っていて日銀が毎月公表していた数値は基調的な物価を捉えていない、とか言い出しているんだがだったら何で今まで出してるんだよ馬鹿としか申し上げようがないし、これ要するに例の日銀謹製基調的物価が高く出てて言い逃れが出来ないからこの数値自体がポンコツとか後出しじゃんけんのゴールポスト移動を恥知らずに行っているんですから世話はない訳です。
『4月の「展望レポート」では、今次局面で、基調的な物価上昇率を捉えるための取り組みとして、@物価統計から、従来とは異なる方法で基調的な要素を抽出するアプローチ、Aインフレ予想の指標に注目するアプローチ、B経済モデルからトレンドインフレ率を推計するアプローチ、の3つを紹介しています(図表5)1。これらの指標の動きは様々でその水準にも差はありますが、全体として眺めてみますと、幾つかのことは言えると思います。』
詳しくは展望レポート全文の方のBOXと直近出てた企画局謹製スタッフレポートの日銀レビューシリーズになるのですけれども、今日はそこまで追っかけている時間がどう見ても無いのでその辺はいったんかっ飛ばしますが、これって「家計の期待インフレが+1.5%程度」とかどういう処理をするとそういう結果になるのかよく分からんですが、なんか高度な分析を行った結果として政策運営に都合の良い数字が出て来るとか言う黒魔術が行われて大変に都合の良い数字が並んでいるんですよね。
でまあ以下その能書きが展開されます。
『第1に、これらの指標の水準は区々ですが、何れも「物価安定の目標」の2%は下回っています。しかし、第2に、何れの指標も緩やかに上昇しており、基調的な物価上昇率が高まってきていることは、かなり確からしいと窺われます。つまり、基調的な物価上昇率が、現時点では、2%に向けて高まっていく途上にあるとみられます。』
結果に都合の良いようにパラメーター弄ってけいさんしてるんでしょ疑惑が払拭できませんなwwww
『もちろん、これらの指標は、何れも一定の前提や仮定に基づく試算値であり、かなりの幅を持って解釈する必要はあります。』
なんで「かなりの幅を持って解釈する必要がある」のにピンポイントで都合の良い数字が出て来るんでちゅかねえ〜
『例えば、経済モデルから試算したトレンドインフレ率は、モデルの定式化の影響を受けます。また、繰り返しになりますが、基調的な物価上昇率の動向は、これらの分析だけに基づき判断すべきものではありません。企業からのヒアリング情報なども用いて物価変動の背後にあるメカニズムを見極めつつ、多様な観点から総合的に捉えていくことが重要です。』
総合的と書いて「やりたい政策から逆算」って読むんですねよくわかります。
・・・・・でまあ時間が足りなくなりそうなのでこの先をいったんかっ飛ばして政策運営まで飛びます。
・一応長期国債買入減額に言及したものの
『4.金融政策運営』ですけど最初の『(金融政策の枠組みの見直し)』ではこのように言っておりまして、
『さて、ここからは、金融政策運営についてお話しします。ここまでお話ししてきましたように、賃金と物価の好循環の強まりは確認されてきており、先行き、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況となっています。こうしたもとで、冒頭で申し上げたとおり、3月の金融政策決定会合では、過去
11 年にわたり続けてきた大規模な金融緩和を見直すこととしました(図表9)。』
まあこの辺はどうでもよいのだが一応引用だけはしておく。
『具体的には、第1に、短期金利については、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0〜0.1%程度で推移するよう促すこととしました。マイナス金利政策のもとでは、コールレートは▲0.1〜0%で推移してきましたので、0.1%程度の利上げとなります。第2に、イールドカーブ・コントロールの枠組みを撤廃し、長期金利の誘導目標や上限の目途は無くしました。第3に、ETFおよびJ−REITの新規買入れは終了し、CP・社債についても、買入れ額を段階的に減額のうえ、終了することとしました。』
『このように見直した新たな枠組みを一言で表現しますと、2%の「物価安定の目標」のもとで短期金利の操作を主たる政策手段とする、「通常の金融政策の枠組み」と言えます。』
これだけアホみたいに長期国債買ってしかも減らそうともしないのに何が「通常の金融政策の枠組み」じゃヴォケとしか言いようがありませんな寝言は寝て言えとはよくいったものです。
『国債買入れについては、政策枠組みの見直しの前後で不連続が生じることを避ける観点から、現時点では、これまでと概ね同程度の金額で継続することとし、実際の日々の買入れ額については、市場動向などを踏まえて調節していくこととしています。』
調節してねえじゃん。
『そのもとで、長期金利は、金融市場において形成されることが基本となるため、今後は、長期金利が、海外金利の動向や経済・物価見通しの変化などを反映して変動することは自然であると言えます。』
これだけ買っておいて何言ってるんでしょうかこのトンカチは。
『また、現在は、3月に見直した国債買入れの枠組みのもとでの金融市場の状況を確認しているところですが、今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていくなかで、国債の買入れ額を減額していくことが適当であると考えています。』
と、やっと言っているのですけど、まあこの程度では円債市場は反応しても為替市場はどうせ言うだけ番長ということで反応しないのですな、残念無念wwwwww
・Rスターってあれ中銀が政策説明をするときに都合の良い詭弁の道具としかワシは思わんのだが(偏見)
でもってさらに(ノ∀`)アチャーと思ったのはこの次の小見出しでして、
(金融緩和度合いの評価:実質金利と r*)
って来やがったのですが、これ学問的には確かにこういう話になるんですけど、そもそも中立金利とかそういうのってピンポイントで評価するのって事後的にならないと分からん話だし、もしかしたら事後的にもわからんものでありますし、レンジで示すにしたって金融政策運営に使えるようなレンジで出せるようなもんでもない物件なんですよねどっからどう見たって。
そりゃまあ今みたいに誰がどう見たって緩和的な金融環境、というような状況になっている時だと実質金利が低いですねえみたいな話は出来ますけど、例えばFEDみたいな状態ですと本当に今の金利がどの程度引き締め的なのか、はたまた実は引き締め的ではないのか、とかそういう話を実質金利だのRスターだのとか持ち出して議論するのって、概念としての話しならまあいいんですけど、実質金利水準を頑張って計測してその結果としてルールベースで政策運営をしましょう、みたいな実用性はどう見たってないんですよ。
つまりですね、だいたいこの実質金利だのRスターだのって話は金融政策運営の話をするときの「使い勝手の良い道具」に過ぎなくて、変な使い方をすれば詭弁の道具になってしまうようなお話になるですけど、まあこれを堂々とぶっこんできているという時点でちょっともう何だかね、と思うのですが、この辺のツッコミに関しても時間が無いのでパスして次に行きますねwwww
・先行きの金融政策運営の部分で「下振れの場合」を思いっきり言ってしまっているのが植田さんの心象風景でしょうね
Rスターの話をかっ飛ばして金融政策運営最後の小見出しに行きますが、
『(先行きの金融政策運営)
先行きの金融政策については、毎回の金融政策決定会合で経済・物価の見通しやリスクを点検したうえで、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に運営していく方針です。』
『そのうえで申し上げますと、先行き、見通しに沿って基調的な物価上昇率が高まっていけば、「物価安定の目標」実現の観点から適切となる金融緩和の程度も変化しますので、緩和度合いを調整していくことになると考えられます。また、経済・物価見通しやそれを巡るリスクが変化すれば、当然、金利を動かす理由となります。』
でもってこの後がアレ。
『この点、先ほども申し上げたとおり、物価を巡るリスクが上下双方向に引き続き大きいことは認識しておく必要があります。』
上振れだけじゃないんですよ下振れも大きいんですよもうこの時点でやる気無いのがバレますよね。
『仮に、物価見通しが上振れたり、あるいは上振れリスクが大きくなった場合には、金利をより早めに調整していくことが適当になると考えられます。』
は良いんだが、
『一方、見通しが下振れたり、下振れリスクが高まった場合には、現在の緩和的な環境をより長く維持していくことが求められます。また、経済・物価に対する大きな下方ショックが生じるような場合には、必要があれば、これまで用いてきた様々な非伝統的な手段も含め、あらゆる手段を予め排除することなく、対応を考えていくことになります。』
あーあーあーあーって感じですが、まあハトハトチキン総裁の心象風景はどう見ても後者なんでしょうね、というのが良く分かる締め方でした、最後に『5.おわりに』ってのありますが割愛します。
2024/05/08
お題「植田総裁発言の軌道修正を行っている中で今夕に講演だそうですよ/短期回り市場備忘メモ」
大僧正キタコレ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-07/SD4AZHDWRGG000
ミネアポリス連銀総裁、政策金利を「長期間」据え置く可能性高い
Catarina Saraiva
2024年5月7日 23:43 JST 更新日時 2024年5月8日 2:57 JST
→物価抑制に向け政策金利が十分に高いか疑問−論文
→根強い住宅インフレ、中立金利が切り上がっている可能性を示唆
だそうです。ペーパーも出したようですがんなもんを見ている暇はなかったのでまあ気が向いたらみます(だいたいからして他のネタも溜まっているので軽重考えて成敗しないとです)
しかしまあ何ですな、月末月初に大型連休をぶちこまれるとその分やるべきことがアホみたいに押してくるので目も当てられませんので(毎度の如く大型連休明けに聳え立つ業務の山に絶望するイベントが発生するわけですな南無三)月末月初の祝日は禁止にしてほしいですな(ただの自己都合にも程がある人)w
〇植田総裁またも発言をぶらすのマジで勘弁してほしい上に今日は講演なんですね
・官邸での総理との会談後のぶらさがりか何かでエライ勢いでトーンを修正する植田さん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-07/SD3VQQT0G1KW00
植田日銀総裁が首相と為替を議論、基調物価への影響を注視−連携確認
占部絵美、萩原ゆき
2024年5月7日 17:45 JST 更新日時 2024年5月7日 19:12 JST
→物価・賃金が大きなポイント−円安は経済物価に潜在的に大きな影響
→最近の円安について日銀の政策運営上、十分注視していくことを確認
『日本銀行の植田和男総裁は7日夕、首相官邸で岸田文雄首相と会談し、為替が経済物価に与える影響などについて議論した。会談後、植田総裁は記者団に対し、基調物価への影響を注視する考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)
・・・・・・じゃあ最初からそう言えよこのスットコドッコイという所なのですが、こんなの26日の定例会見がやらかし会見になってしまったので泡を食って発言の上書きをしていますよ、って鉦や太鼓で宣伝しているようなもんでして、お前は気の利いたオリジナル発言をしようとしないで、普通に展望レポートに書いてあることを棒読みしてれば良いんだよ余計なこと言うなこの(内務省検閲)としか言いようがない訳ですよ。
なんで最初の会見の時点で「最近の為替円安はまだ現時点では基調的物価に大きな影響が出ているとはみていないので政策修正をするには至らなかったが、基調的物価の押し上げ効果が出て来るかどうかについて今後の様々な指標をみながら判断していきたい」と言って置けば何の問題も無かった(それでも切り取られリスクはあるが)わけで、結局あれが尾を引いてるから介入2回やって運よくアメリカン金利の上昇が止まってちょっと下がったけど結局ドル円154円台で推移してる訳なので反省して二度とお前の頭で考えた発言をするなと言いたいですなマッタクモウ。
『植田総裁は、会談では物価・賃金情勢が大きなポイントの一つであるとともに、為替も議論したと述べた。その上で、円安は「経済物価に潜在的に大きな影響を与え得るものであり、最近の円安について日銀の政策運営上、十分注視していくことを確認した」と言明。今後「基調的物価上昇率にどういう影響が出てくるかについて注意深く見ていく」とも語った。』
しかしこのBBG記事も中々容赦がなくて、この先の方で
『植田総裁は4月の金融政策決定会合後の会見で、円安進行による政策運営への影響について現時点で大きな影響を与えてはいないと説明。一方、企業の前向きな価格設定行動などを踏まえれば基調的物価に「跳ねるリスクもゼロではない」とし、無視し得ない影響が出るなら政策の変更理由になり得るとの見解を示していた。今回の発言を受け、植田総裁は円安への懸念を強める姿勢を示したとの見方が出ている。』
と思いっきりトーンを変更しているのを強調しておられますので、アタクシがわざわざ総裁会見の発言を引用するまでもないという大変に親切な(ソウジャナイ)仕様となっておりますが、まあ明確に発言のトーンを変えて来ましたよね。
ただ、再三再四申し上げておりますように、そもそも展望レポート基本的見解の最終段落で示された今後の金融政策運営に関する文言を見れば、「今の見通しは見通し期間の後半のどこかで2%物価目標を達成しているという見通しで、今後は経済物価情勢が今の見通し通りに推移していくかを確認していくステージであり、見通し通りに推移するなら徐々に緩和度合いを縮小していきます」って宣言している訳で、そっちが正しいのであれば(というかこれは政策委員会の議決事項だから正しいんですけど)会見での植田総裁の発言の方が暴走発言だった訳で、修正するのは当たり前田のクラッカーではあるのですけど、暴走するには暴走するベースというのがあるのですから、これは即ち植田さんが政策修正したがらないというベースがありますがな、というだけの話ではありますわな。
・そんな中で今日は午後5時半とかいうはた迷惑な時間帯に講演があるらしいですね
(直リンしませんが)
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/1fdff2f7f27e2b1cd5af6c407c646c9a612fde78
植田日銀総裁が読売国際経済懇話会で講演、8日午後5時半から
5/7 19:10 配信
『植田日銀総裁が読売国際経済懇話会で講演、8日午後5時半から
みんかぶ(FX)』(上記URL先より)
アタクシの気が付いた限りでは時事メインが最初にこの速報を出していたと思うのですが、メインのフラッシュと1行記事だとネットの時事ドットコムの方では拾えないのでこんな感じのを拾って参りました。
でまあこれは展望レポートが出たとき(と大きな政策変更を行ったとき)の後に行われる総裁または副総裁の講演(金懇挨拶かどこかの講演)になりますので、モチのロンで重要な講演になりますわな(昨年は5月19日に内外経済調査会(時事通信系)で植田総裁のハトハト講演があって円債市場の皆様に政策修正のやる気の無さを見せてくれた衝撃の講演が行われました)。
この講演、まあ講演ですからちゃんとテキストがある訳で、しかもそもそもが「展望レポートの説明」になりますので、展望レポート基本的見解で示しているお話をすることになりますし、そうなると基本的見解で示している「今後の金融政策運営」についても言及する筈ですから、あの「その気になれば毎回の展望(どころか実は情勢判断は毎回のMPMで実施しているんだから何なら毎会合ですがまあそれは笑)で目標達成に向けた順調な進捗を確認すれば政策修正が可能」という建付けになっている文章についてちゃんと説明して下さるんじゃないの、とまあ思う訳ですよ願望成分が65%くらい入っていますがw
なお、せっかく講演でイイハナシダナーをしても質疑応答というのがあるかどうか知らんけど、たぶん会場でのご質問(ああいうちゃんとした講演会だと基本的に質問は代表質問みたいな感じだと思うので、記者会見のようにはならんと思うんだがどうでしょうかね知らんけど)もある筈ですので、そこで台無し発言をぶっこむという可能性もアリエールなのが恐ろしいのですけれども、まあ何にせよ変な植田オリジナルをその場で繰り出さない限りは展望レポートの線に沿った話、すなわち今後は物価目標の達成を視野に入れた漸進的だけど着実な緩和度合いの縮小、というお絵描きの話をしてくれるんジャマイカ、と期待するところが大であります。
・・・・・などとアタクシが言うと飛んでもない死亡フラグになるんじゃないかとかツッコミを入れているそこのあなたはそういうツッコミをしてはいけません(正直こんなに盛大にフラグ建築して大丈夫かと一番不安になっているのは不肖このアタクシ)。
〇色々と市場ちゃん備忘メモ
・輪番は安心と信頼の据え置きでしたわorzorz
まあ減額を予想している向きも少なかったと思いますけど
オファー (5月7日<火>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240507.htm
国債買入(残存期間1年以下) 1,500 2024年5月8日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,750 2024年5月8日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,250 2024年5月8日
国債買入(残存期間10年超25年以下)1,500 2024年5月8日
まあ案の定過ぎて草も生えませんが、当然のようにオファー据え置きとなっていました。これで6月決定会合まで輪番減額はノーチャンス、というかもしかして輪番減額の前に0.25%への利上げの方が先にくるんジャマイカという気がちょっとだけせんでもない次第でありまして。
というのは、まあただの勘ではあるのですが、輪番減額が政策と関係ない(その割にはストック効果の話をしている時点でお前は何を言ってるんだという気はしますがまあ建付け上は政策と関係ないらしいので)ということになりますと、少なくとも次回の利上げの前に輪番を減額してしまうと、輪番の減額そのものが利上げの予告ホームランという扱いに結果的に見なされてしまう可能性があるんですよね。でまあそんなことを考えた場合、政策修正(=利上げ)と輪番減額を切り離すためには、1回目の政策修正までに輪番を動かさないでいて、1回目の利上げが行われて、更にその後にも「展望レポートの見通し通りに推移すれば緩和の調整が行われる」というコンセンサスができた後になって輪番の減額をすれば、「輪番減額はテクニカル」って言いやすくなる訳ですよ、という発想になりそうな気がするんですよね日銀的な考えを勝手に類推しますと。
だとすると輪番を長期的に減額していきまっせ、という話ってのは一番早くても次回の利上げと同時、でまあ多分なんですけど利上げと輪番減額を同時に出すと長期金利の急騰がコワイヨーとか思ってるでしょうからそうなると次回利上げの後とかになってやっと「長期的に輪番は減らしていきまっせ」というのが決まるのかいなとか思ってしまうと何ちゅう先の長い話だよと暗澹たる気分になるのですが、そういう死亡フラグはフラグにならないでそのまま大当たりになりかねないのがワシのクオリティなのですなナムナムナム。
・3MTDBがやっと1bpから金利浮上しましたねえ
先週末の3MTDBという旧聞で恐縮ですが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240502.htm
国庫短期証券(第1228回)の入札結果
令和6年5月2日
財務省
『本日実施した国庫短期証券(第1228回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1228回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年5月7日
4.償還期限 令和6年8月5日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆9,306億円
(2)募入決定額 4兆4,145億5,000万円
(3)募入最低価格 99円99銭1厘5毛
(募入最高利回り)(0.0344%)
(4)募入最低価格における案分比率 67.4659%
(5)募入平均価格 99円99銭3厘6毛
(募入平均利回り)(0.0259%)』
ということで、新発3Mずーっと足切り1bp台とかいう碌でもないレートで推移していましたが、GW跨いだ後の今回債でやっと平均2bp台の足切り3bp台に上昇しまして、なんかまあGCレートとかもよー知らんけど上昇してたのを反映したのか、それとも「モノ」としての短国ニーズというマイナス金利政策が終了して今まで冬眠というか永久凍土の下で眠っていたナウマンゾウのみなさんのニーズが一旦充足したのか、その辺はさっぱり分からんですけれども、実質1か月半近くになってやっと1bp水準からの水準訂正が起きたようで何より、かどうか知らんけどまあ金利上昇の巻になりました。
でもって売参の方も、短国1228回の平均値単利は先週末の引けも昨日の引けも+3.3bpになっていまして、平均落札よりも甘くて足切りよりは強いという事なので、レートが上昇したからバカ売れしてまたも業者の在庫がカラカラ帝浴場という訳でもないのかな、ってな所ですか知らんけど。
今週は木曜に短国6Mがあって金曜に短国3Mがありますのと、本日は交付税特会借入6Mがありまして、まあ交付税特会の方は短国とは別世界の話になりますけど、短国の方がちったあ金利が上昇したのが影響するのかしないのかとか、そういうの今まで正直スルーしてた(そりゃまあ0%按分しかマイナス金利の時には特会借入のレート存在しなかったからシャーナイナイなのですが)のでこういうのも見て行きながら、ってな感じでなんですかねえ短期の市場の金利形成もこれからだんだんこなれて来るといいですね、とは思う今日この頃ではありまする。
なお、上記落札結果を見ればお分かりのように、先週の新発3Mから遂に新発3Mが「7月決定会合跨ぎ」となっております(7月会合は7/30-7/31で火曜水曜です)ので、ここから先の銘柄で利上げを織り込んでくれるのかどうか、というのも面白みがあるちゃああるのですが、何せ既発の短国は1年カレントの売参見ても13bpしかないのでどうせ織り込まんぜよ説は濃厚にあるのですが、ゆうて新発でドバーと玉が出て来る時には水準調整をしてくれる可能性も期待したいというか、まあそうやってちゃんと先の利上げ期待を何ぼか織り込んだカーブ形成してくれませんかねえ、とは思うのですけど、短期の国債とかその辺の債券が相変わらず「モノ」としてのニーズが強いとそうは思う壺には入らないということで、まあちったあレート形成具合に注目が集まって欲しいもんです(ナンジャソラ)。
・でもってレポレートですが
毎度の東京レポレートですが、今日は折角なので3Mも出してみます(一番右が3Mね)でもってちょっと長めの時系列で4/19金曜から並べてみますと、
2024/4/19 0.033 0.043 0.031 0.031 0.031 0.030 0.051
2024/4/22 0.054 0.068 0.042 0.038 0.036 0.034 0.051
2024/4/23 0.060 0.068 0.041 0.041 0.038 0.037 0.052
2024/4/24 0.057 0.031 0.035 0.036 0.035 0.033 0.051
2024/4/25 0.004 0.013 0.029 0.031 0.033 0.034 0.051
2024/4/26 0.021 0.012 0.027 0.031 0.033 0.033 0.052
2024/4/30 0.001 0.008 0.025 0.031 0.031 0.033 0.051
2024/5/1 0.073 0.045 0.034 0.034 0.034 0.037 0.051
2024/5/2 0.068 0.075 0.049 0.043 0.043 0.044 0.051
2024/5/7 0.072 0.069 0.052 0.048 0.048 0.049 0.053
4月の最終週に短国の入札が無い日程になっていたので、週の半ばにレポレート下がって短国発行日のトモネになる金曜の所で元に戻る、というパティーンが崩れて最終週が鬼のようにGC下がったものの、3連休明けて次の4連休の前からGC上がって(O/N上昇の背景は知らんがT/Nの方は2日−7日の4連休跨ぎからレート上昇というのは分かりやすい絵柄ではあるのですが介入絡みで合計5兆位予期せぬ需給のブレがあったとはいえ、そもそも超過準備の水準アホほどあっても効くのかとかそういうのはこの辺はインターバンクの人に聞かないとよくわからんですすいませんすいません)、まあそれも3Mの入札に影響与えたんでしょうかね、わからんけど。
まあとりあえず今週は先ほど申し上げた通りで6Mと3Mあるので少なくとも入札の瞬間は需給が緩みやすくなるんですかね、まあこのまあGCが6だの7だので推移しますと全体的にクソ短い所が現状まだまだ水準的にはアホみたいに強いので、その修正が入りませんかねえとは思うもののよくわからんです。
てなメモで今朝はご勘弁を(土下座)
2024/05/07
お題「展望レポートの鏡をクソ真面目に読んでみるという企画(全然成敗が進まんあるね)」
ネタが山のように積まれているというのに結局連休は総裁会見しか成敗しておりませんでしたすいませんすいません。
ところでドル円ちゃんはまた154円近くに戻っていますなあ。これはもう今日の輪番で蛮勇を振るうしか無かバイとはおもいますがどうせそんな蛮勇が起きる訳が無いに1万ジンバブエドル。
〇展望レポート基本的見解(の大体概要部分):鏡の部分が既に政策運営方針と微妙に合わない
基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404a.pdf(今回4月)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401a.pdf(前回1月)
情勢判断に関しては3月声明文も比較対象ですな
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf(3月声明文)
・結局どっちですねんという話でして
所謂「鏡」の部分ですけど<概要>を見るとどうなんだというのがあります。ちなみにアタクシ今回はどうせ政策修正のトリガーが「お気持ち」なので見通し数値よりも文章構成の方が大事だと思ってそっちから見たから読んだのが頭からで政策ガイダンスもどきの文言は後から読んだんですよね。
概要1ポツ目
『先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかに成長していくもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(今回4月)
『先行きのわが国経済を展望すると、当面は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(3月声明文)
『日本経済の先行きを展望すると、当面は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(前回1月)
こちら一読すると分かると思いますが、なんと今回って新たに「緩和的な金融環境を背景に」ってのが新しく入っているんですよ。これが例の今回出た政策ガイダンスとの整合性がどうなっているのか、という話でして、
『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(今回4月)
『日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する1。現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』(3月声明文)
ということで、「当面、緩和的な金融環境が継続」というのはご案内の通り3月声明文に入っていましたが、「経済の先行き」部分で3月の時点では「緩和的な金融環境が」という文言が見通しの説明の中に入っていないんですよ。
これまあ1月時点ではそもそもQQE+YCC+マイナス金利政策を継続しているから、金融環境が緩和的、ってのは所与みたいなもんだから「緩和的な金融環境を背景に」というのをわざわざ入れなくても良い(実際にちゃちゃっと見てみましたが、一昨年10月まで辿っても今回のように「緩和的な金融環境などを背景に」という文言は鏡の部分には入っていないんですよね)ということだったと思うのですよ。
然るに、今回の展望レポートで今までそういうのが無かった「緩和的な金融環境などを背景に」というのを入れる、ということは、これは今後の経済見通しの前提に「緩和的な金融環境」がある、という事を思いっきり示したことに他ならない、と読めてしまうんですよね。
・・・・・そうなりますと、例の政策ガイダンスもどきの「以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになる」というのは何なのかという話になる訳でして、見通しが実現するために緩和が必要なんだったら、別に政策調整なんかしないでおけば、基調的な物価が高まる中で実質ゼロ金利政策を継続すれば緩和が拡大になるのですから、もともと日銀が言ってた「早期の物価目標達成」がより近くなる筈なんですが、何でわざわざ緩和度合いの調整を行うのよ????というお話。
ちなみに1月展望本文中で記載されているメカニズムに関する部分では、緩和的な金融環境が民間需要の増加を後押ししたり、企業の資金繰りを改善させたり、潜在成長率の上昇を後押ししたり、という記載はあるので、緩和的な金融環境に関する記載は本文にあるのですが、今回の展望レポートで殊更に「緩和的な金融環境」を鏡に出してくるのが、例の政策ガイドラインとの整合性が微妙になっているんですよね。
一応日銀の言い訳を考えれば、「見通し通りに進展して基調的な物価が上昇すれば政策を修正していくけれども、その間は緩和的な状態が続いている(物価目標達成までの間に中立にする訳ではない)ので、その状況が経済の下支えになる、という意味です」ってな事になると思いますけれども、やっぱりわかりにくくて、今回わざわざ「緩和的な金融環境」の文言を鏡の一発目に入れてきたということは、やはり日銀には引き続き緩和バイアスがあり、政策調整には及び腰なんじゃなかろうか、という読みになってしまう訳です。
一方で例の政策ガイダンスもどきを読めば少なくとも毎回の展望レポートのタイミングで経済物価見通しが「変化なし」で、「リスク認識も変わらないor上振れ」だったら政策の調整は可能、というか7月の展望で下方修正が入らない限り調整しない方が理屈としておかしいだろ、という建付けになっている訳でして、いやお前らどっちですねんというお話になる訳でございますな。
でまあ何ですな、植田さんが会見でハトハトチキン音頭を盛大に踊ったのもそうなんですけど、一番大事な政策反応関数に勝手に昇格(挙句に賃金と物価の好循環は「御用済み」になるというご都合主義極まりない屁理屈モード)しておった「基調的物価」の説明が一つの会見の間で頭(=物価のメカニズムなども含めた総合判断)とケツ(=物価指標から一時的なものをトリミングしたもの)で説明が違う、というハチャメチャ説明を展開していたのをみますに、ここから先はアタクシの勝手な妄想になりまして、まあ先日より申し上げておりますが、今後の政策運営の方向性に関しては「緩和継続バイアス」の方と「中立化に向けた調整を行うバイアス」の方の間の意見の隔たりが大きく、まあ容易にまとまらんという状態のなかで妥協の産物として、この展望レポート基本的見解が出てきた、ちゅうことなんでしょうねえという話になる訳です。
でまあこれが雑魚キャラが反対しているならまあいいんですけど、これどう考えたってハトハトチキンの総裁と大本営事務方の間で路線対立あるじゃろ(大本営が緩和継続バイアスなら別にこんな政策ガイダンス文言を入れないですし、植田さんが調整バイアスあったらあんなハトハト音頭を踊らないですからね)という妄想が更に広がる訳でして(あくまでも個人の妄想ですので話は10分の1くらいで聞いて下さいね)これは益々面白くなってまいりました(何が面白いのかは書いてる本人も良く分かっていないがw)という感じだと思いましたがさてどうでしょうかね。
鏡の1ポツ目で何か長広舌を振るってしまいましたが先に参ります。
・物価見通し達成の「確認」を取るという説明も今後変な屁理屈が入るんでしょうね
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2024
年度に2%台後半となったあと、2025 年度および2026 年度は、概ね2%程度で推移すると予想される。既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、2025
年度にかけては、このところの原油価格上昇の影響や政府による経済対策の反動が前年比を押し上げる方向に作用すると考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。』(今回4月)
『物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、来年度にかけて、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰するもとで、政府による経済対策の反動がみられることなどから、2%を上回る水準で推移するとみられる。2025
年度については、これらの影響の剥落から、前年比のプラス幅は縮小すると予想される。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、見通し期間終盤にかけて「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていくと考えられる。先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている。』(前回1月)
今回の特徴は「見通し期間を通じて2%乗せ」というのを明確に示した(1月は2025年度がプラス縮小を言って2%かどうかについてはスルーしている)のですけど、実は3月声明文において、
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、来年度にかけて、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰するもとで、政府による経済対策の反動がみられることなどから、2%を上回る水準で推移するとみられる。その後は、これらの影響の剥落から、前年比のプラス幅は縮小すると予想される。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていくと考えられる。』(3月声明文)
情勢判断を示した声明文別紙にはこう記載していますが、そもそもの政策決定を行った部分では
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、賃金と物価の好循環を確認し、先行き、「展望レポート」の見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した。』(3月声明文)
となっていまして、まあ結局の所3月の時点で「先行き見通しは物価目標達成です」と言っている訳ですので、本来なら4月に政策調整しても良い位なのですが、まあ3月にやったばかりで4月に利上げというのも何なんので、というのはまあ分からんでもない。
でですね、話が総裁記者会見に戻るのですが、
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240430a.pdf
12ページのケツからの質疑応答なんですけど(さっき(土曜日)の更新では割愛した物件です)
『(問)さっき物価の見通し、何度か先ほどから上振れリスクという話、上振れの要素があるってお話が出てましたけど、3
月にマイナス金利解除した際、この場ではどちらかというと緩和的な金融環境続くと、緩和的なスタンスってのがすごい強調されてたように感じたんですけど、その
3 月に考えていたときよりは確度も高まって、追加の利上げの時期が近づいているというふうに進展してきてるっていうふうなことなんでしょうか。』(ここと次の部分は直上URL先4月30日総裁会見より)
という質問に対して、
『(答)3 月時点と比べて、現在にかけて入ってきた情報を基準に判断するとどうかということだと思うんですが、ここ
1 か月強に入ってきたいろいろなデータ、情報等は、かなりの程度、3 月時点でこうなるだろうというふうに予想していた姿に近いものだったというふうに判断しています。』
『ただ、その中で原油価格や円安の動きというのは、ややそこから少し上方にずれた動きであって、今のところ、先ほど来申し上げているように、「第一の力」のところに影響を及ぼす動きであるけれども、「第二の力」への影響の度合いを今後注意深くみていくということかなと思っております。』
って回答ったのですが、この前段部分が違和感ありありで、いやだってあのクッソ強い短観だってあの時点で本当に予想できたのかよ、というのがある訳でして、4月って結構上振れしてただろと思うのですが、これは4月に上振れしたというのを認めてしまいますと、「以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが」の方との兼ね合いが出てきてしまうので、ああいう回答をしているんだな、というのがまあ読み取れるわけですよ。
まあそういう意味では植田さんって正直者ちゃあ正直者でして、こういう時は「ここ1か月ほどの間で入ったデータ自体は特に大きな見方を変えるものではありませんでした」とでも言って置けばよいのに、わざわざ「予想通り」とか言ってしまって価値判断を入れてしまう訳ですが、これはデータの価値判断を示すことによって政策調整に繋がってしまうので、予想通りということにしておかないと、ってのを示している訳ですな、まあそういう意味では「わかりやすい」人なんですよね植田さんってきっと。
でまあ会見ネタの方でも申し上げましたが、今後はこの「基調的物価」とかいう謎の概念と、「見通し通りに推移している事を確認」という2点が政策調整をする際の屁理屈(実際には円安批判や物価高放置批判によって日銀批判が高まるとションベンチビって泣きながら利上げに追い込まれるんですけどそれはさておき)となりますし、その屁理屈で言い逃れができなくなった時に素直に利上げするのか、はたまた別の屁理屈を繰り出してくるのか、というのは見世物としては面白いがそれに振り回されるワシら的にはエエカゲンニセエという感じではありますな。
・上振れ下振れに関しては今回はどうでも良くて問題は次回です
3ポツ目以降はサラサラ流しますね。
『・2025 年度までの見通しを前回の見通しと比べると、成長率については、2023
年度と2024 年度は、個人消費を中心に下振れているが、2025 年度は概ね不変である。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度が上振れているが、2025 年度は概ね不変である。』(今回4月)
『・前回の見通しと比べると、成長率については、2023 年度が幾分下振れ、2024
年度が幾分上振れとなっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、2024
年度は、このところの原油価格下落の影響を主因に、下振れとなっている。』(前回1月)
これは展望レポートの見通しの前回対比文言なので3月声明文別紙には記載はありません。でもって今後ですがここの上振れ、下振れが重要になる、という謎のプレイになるわけですな。
・リスク認識のリスクバランスも次回からは重要とお気持ち成分が更に強まる政策運営ですなw
4ポツ目はリスク認識ですがまあここはそう極端に変わることは(何とかショックでもない限り)変わらん。
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。』(今回4月)
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。』(前回1月)
1月展望と全文一致ですし、
『・リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。』(3月声明文)
3月声明文別紙とも全文一致ですのでここはさておきまして5ポツ目に参りますと、
『・リスクバランスをみると、経済の見通しについては、2024 年度以降、概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、2024
年度は上振れリスクの方が大きいが、その後は概ね上下にバランスしている。』(今回4月)
『・リスクバランスをみると、経済・物価のいずれの見通しについても、概ね上下にバランスしている。もっとも、物価については、長期にわたる低成長やデフレの経験などから賃金・物価が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が社会に定着してきたことを踏まえると、賃金と物価の好循環が強まっていくか注視していくことが重要である。』(前回1月)
前回はまだ緩和政策継続中でしたから物価目標達成に向けたパスに関して色々と注文がついていましたが、3月の時点で「見通し通りにいけば達成」という事になりましたから、その注文文言が外れてスッキリとなりました。でもって今回って基本「バランス」でして、2024年の上振れって別にその先の見通しが上振れになっていない限り「テンポラリー」で済ませるものなので政策判断の屁理屈的にはどうでもよい、という結論になりますので、まあ要するにこれは4月時点では「リスクはバランス」になっていますので、7月展望の時にリスクバランスが上にぶれた場合も政策修正の理由になる、ということですから、リスクバランスに関する発言を今後誰かがしてくれるのかどうかは知らんけど、まあ金懇とかがあったら是非そこは質問して頂けるとありがたく存じます。
#市場ネタとかその辺もあるのですが今朝はこの辺で勘弁していただきたく
2024/05/04
お題「決定会合レビューネタで総裁会見の基調的な物価と為替円安と輪番に関してネチネチとツッコミである」
どもども、金曜更新するとか大口たたいてましたが結局土曜になってしまいました。
しかしアメリカン市場も情緒不安定ですな
https://jp.reuters.com/markets/us/KT72EZEHJFNSHL3YO7MYFFU7CE-2024-05-03/
NY市場サマリー(3日) ドル/円3週間ぶり安値、株価急伸 利回り低下
By ロイター編集
2024年5月4日午前 6:38 GMT+9
『<為替> ドル/円が3週間ぶりの安値を付けた。4月の米雇用統計で雇用者数の増加が予想を下回り平均賃金の伸びも鈍化したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が年内に2回の利下げを実施するとの見方が強まった。』
『<債券> 国債利回りが低下した。4月米雇用統計を受け、連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げに踏み切るとの見方が強まった。指標となる10年債利回りは一時、2週間ぶりの低水準となる4.453%まで低下した。終盤は6.9ベーシスポイント(bp)低下の4.501%となった。週間では16.7bp低下した。2年債利回りは一時4.716%と3週間ぶりの低水準を付けた。終盤は6.7bp低下の4.809%だった。週間の低下幅は19bpとなった。』(以上上記URL先より)
まあとりあえず日銀の追い込まれがちょっと延命したのは残念無念wwwwwww
・・・・というかですね、円安が止まってちょっと円高(水準的にはクソおぶクソの円安だが160円よりはマシ)に振れている今こそ大チャンスなのですから、連休明けの輪番はバサッと減額したら円安トレンドに歯止めかかるかもしれませんので金融市場局の蛮勇を期待したい(円安の暴動を止めようとするよりも円高になりかけているところで背中押す方が効きが良いと思うの)のですが、まあそんな蛮勇があったら4月の頭に輪番減額しているとしか申し上げようがないので、カシュカリ総裁の頭髪程度しか期待をしておりませんけれども輪番減額(7日は中期前半後半と超長期前半ですな)を
したら褒めてつかわす(謎のウエメセ)。
ま、でもこれからネタにする会見の植田発言を踏まえてバッサリ減額ができない状況になっているのでどうしようもないんですけどねw
〇植田総裁定例会見(決定会合のいつもの奴):どう見てもハトハトチキンです本当にありがとうございました
今回の決定内容って、展望のケツに書いてあった政策ガイダンスちっくなもの(ガイダンスなのかというとガイダンスではないんですけどね)だけを取り出すと「見通し通りに推移すれば徐々に政策の調整」なのですから、それって「毎回の展望レポートで見通し通りに推移しているのが確認出来たら政策の調整」になるんですから、何のことはないそのロジックであれば7月10月1月って利上げできるんですよね。
まあそこまで言わなくたって、別に「今後の政策はデータ次第ですから」とだけ言えばよいものを植田さんは今回の会見の冒頭でやらかした、というのは水曜にもネタにしましたが、ご案内の通りのやらかしな訳ですよ。
ということで
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240430a.pdf
総裁記者会見
――2024年4月26日(金)午後3時30分から約65分
・徐々に「確度」の話を誤魔化しにかかっている件について
今回の幹事社は共同通信だったはず。
『(問)幹事社から質問を二問させてください。3 月にマイナス金利政策の解除を決められ、今後は追加利上げの時期が焦点となっております。利上げ判断に影響を与える物価2%目標達成の確度の高まりについては、今後どのような材料などを重視されて点検されるお考えでしょうか。(後半割愛というかのちほど)』
確度が高まったからマイナス金利解除した、といってたんですから、今後確度の高まりで追加の利上げをする、とまあ普通は思いますよね。というかそういう説明してましたよね。
まずは前半。
『(答)まず先ほど申し上げた点ですけれども、これからの金融政策運営は、その時々の経済・物価・金融情勢次第という考え方が基本となります。』
ん???というところですが先に行きますね。
『短期金利の水準については、毎回の決定会合で経済・物価の見通しやリスクを丁寧に点検したうえで、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切に設定してまいります。』
でもってここでは展望レポート通りに説明してるんですけどこの次に、
『これも大体申し上げましたが、先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。更に、経済・物価見通し、リスクが上振れする場合も、政策変更の理由となると考えています。』
それは良いんだが「目標達成の確度」はどうなった??
『この点ですが、基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するものではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも考えてきましたし、これからも考えてまいります。(後半割愛)』
この「基調的な物価」がメインになっている説明なんですが、これがまたなかなかドイヒーなことに、上記の説明ですと「基調的な物価」ってのは総合判断ですっていう事でして、インフレターゲットやってるんじゃ無かったのかよというお話だし、そもそも総合判断なのになんで「2%行ってない」だけは堂々と言えるのかがよく分からんですよね。
でもってさらにアレなのはこの「確度」の話に関して後の方で質問があったんですよ。
『(問)総裁、先ほどから物価見通しがこのまま実現していけば、というお話されていますけれども、今回もそれがされてきたということだと思うんですが、その確度が高まっているということですよね。とすると、総裁が以前からおっしゃってる閾値っていうのはどの程度高まってきているのか、高まっていると考えていいのか、利上げまでの距離ですね。(後半割愛)』
そりゃ質問しますよね。これに対する回答が中々のゴールポスト変更でしてですね、
『(答)見通し実現の確度という点から申し上げますと、このところ継続的に上がってきているということだと思います。そのうえで、3
月の決定会合では、それまでの枠組みを停止するというために必要な閾値を超えたという判断で政策変更したということでございます。閾値自体はそういうもので、ある種、御用済みになったということかと思います。(後半割愛)』
>ある種、御用済みになったということかと思います。
>ある種、御用済みになったということかと思います。
>ある種、御用済みになったということかと思います。
閾値が御用済みってことはつまり次の利上げの際には「確度」は関係ないってことなんでしょうか、ってな話になるわけでして、いやお前行き当たりばったりにもほどがあるだろその説明、ってなもんな訳ですよ。
「見通し通りに推移すれば利上げ」だから確度の閾値は関係ない、ということなのかもしれませんけれども、その割には実はこの前の質疑(さっき引用した質疑の後段)では確度の話をしていて、植田さんの説明って説明の仕方が首尾一貫しているように読めないというか読みにくくて、これがまたコミュニケーションをグチャグチャにしているんですよね。
というか要は植田さんコミュ障ちゃんにも程があるわけですが、それを言い出すと黒ちゃんも別の方向性でコミュ障でしたし、アタクシ個人も結構なコミュ障です(からネット弁慶はすれけど生業の方は市場の片隅で小さくなって生きておる次第な訳でしてwww)のでまあ植田さんの「なんか上手いこと言いたい」ってのも気持ちはわかるんですけど、コミュ障が上手いこと言おうとすると自爆しかしないので注意しましょう。自戒を込めましてorzorz
ということで新たにクローズアップ気味の政策反応関数「基調的な物価」に関してがこれまたわけわからん説明をしよるのよ植田さんったら。
・基調的な物価とは???
でまあ今回の会見ですが、F5で検索すると「基調的」が29個、「確度」は7個しか出てなくて、確かに「確度」は御用済みというのがよくわかるのですが、マイナス金利解除は「確度」でその次の利上げは「基調的物価」かよなんだその使い分けは(そもそも内田副総裁が理事時代に国会で「マイナス金利解除は利上げ」と言ってたのは何だったんだという話でもある)という話ですがその基調的な物価のお話をちょっと確認してみましょう。
さっき引用したように、
(植田総裁の発言を再掲)『基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するのではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも考えてきましたし、これからも考えてまいります。(後半割愛)』
としているんですよね。つまりは総合判断のお気持ちが入った鉛筆舐め舐めということなんですが、幹事社質問のところでこういう説明をしているんですけど、この説明についてパラフレーズしてくれという質問が後の方(ちなみに6ページになります)に来るわけですね。
『(問)二点お伺いします。一点目は、為替の円安の基調的物価への影響についてですけれども、総裁、先ほど来年の春闘まで必ずしも待つかというとそうではなくて、予想できる状況になれば、もっと手前で判断することもあるとおっしゃいましたけれども、併せて単一の指標で判断することではないということも併せておっしゃってますが、これもう少し具体的にどういう状況であれば、もっと手前で判断するという可能性があるのか、少し具体的に伺えればと思います。(後半割愛)』
具体的にはどういうことか、という質問に対して、為替の影響の話はかっ飛ばして「基調的な物価をどう判断するのか」という話を始めます、まあそれ自体はいんですけど・・・・・・
『(答)前半ですが、為替が基調的物価上昇率にどう影響するかという点のご質問だったと思うんですけれども、それを確かめるのにどういう指標をみていくのかというご質問だったと思いますが、』
と来て話を一般論に置き換えるのはまあこれ自体はアタクシ別にインチキとは思わないしむしろ丁寧な説明(ご案内の通りに会見劈頭に近いところで伝説の「(蚊の鳴くような声で)はい」といってしまって円安ぶっ飛びが炸裂したので少し反省していたのかもしれないですけど、
『基本的には一般的に基調的物価上昇率の今後、あるいはそれがわれわれの見通しの姿と整合的な動きをしていくかどうかという際のチェックポイントという意味で話しますと、』
ほうほうそれでそれで?
『やはり春闘で強かった賃金が現実に経済全体の賃金にきちんと跳ねていくかどうかという点。それから、上昇していく賃金がサービス価格にどういうふうに跳ねていくかという点、更にそこに円安や原油高に伴う輸入価格の上昇がサービス価格だけでなくて、広い価格水準にどういう影響をしていくかという観点。更には最初の方で申し上げましたが、企業サイドの賃金・価格設定行動が持続的に前向きになりつつありますけれども、これが今後どういうふうに展開していくか、この辺りをみつつ、今後の基調的な物価上昇率の動きを判断していくということになるかと思います。(後半割愛)』
だそうなのですが、もっと後の質疑に来ると、例の「基調的な物価は2%行ってない」という説明がおっぱじまるのですよ、ここまでの説明だともっと定性的な話にしか見えないわけで、定性判断としてまだ物価が安定的に推移しているわけではない、ということなので達成していない、という説明ならわかるのですが、
12ページの質疑に移りますと、
『(問)ちょっと逆説的な質問になってしまうかもしれないんですけども、今回の展望レポートで
26 年度まで1.9%と予測されましたけども、ある意味でより物価目標の達成確度が高まったようにもみえて、そういう意味ではそれこそすぐ利上げしてもいいんじゃないかというような判断もなきにしもあらずと言えたのかもしれないんですけども。改めてですね、今、中東情勢、円安の物価高、海外経済減速リスクもある中で、今回の利上げの判断を見送ったというのはどういった理由なのかっていうのは、ちょっと改めてお伺いできればと思います。』
先行きのリスクがあって不透明だから、という回答を期待したと思うのですが、植田さん謎回答をぶっこんできておりまして、
『(答)この見通しの数字をみますと、概ね 2%か、あるいは除く生鮮の 24 年度は
2%をかなり超えているわけですけれども。こうした 2%前後、あるいはそれを超える見通しの中には、弱まりつつあるとはいえ、過去の「第一の力」の波及効果が含まれているというふうに考えています。』
??????
『ですから、そこを取っちゃうとここより少し下の数字になる。取っちゃったものが基調的な物価上昇率というイメージです。』
な、なんだってー!!!
いやあのですね、そもそも第一の力第二の力とかいう説明が金融政策運営における物価判断の説明の中でインチキ成分が入っているんですよ。何度か弊駄文で申し上げていますけど、第一第二とかいうのじゃなくて、「物価上昇(または下落)が一時的なショックなどのワンオフなものであればそれに金融政策で対応するのは基本的に不適切」「物価上昇(または下落)が恒常化する見通しならば金融政策で必要な対応を行う」って話であって、問題はワンオフなのかそうじゃないのか、という話だし、これだけ散々っぱら日銀は物価見通しを外していて、しかも外し方が同じ方向で恒常的に外しているんですから、その場合は日銀が今物価見通しの前提として考えているもの(経済モデルとか)が構造変化によってズレているんじゃないの、って話だと思うの。
然るに植田先生、第一の力をとったものが第二の力で、それが基調的物価上昇率ってそれいくら何でも説明がインチキ過ぎないですかという話で、日本の金融政策論の第一人者にしてこれかよというのが日本の経済学ってどうなってるんだよ状態の情けななさ。
まあそれはともかくとして、
『その基調的物価上昇率はまだ 2[%]を下回っているというふうに考えていますので、緩和的な金融環境、現実的には今のところは
0〜0.1%という短期金利の水準が適当であるというふうに考えているということです。(後半割愛)』
という説明になっていまして、これまたなんのこっちゃという感じでして、つまりはどういうことかというと、展望レポートの最後の部分に書いてあったガイダンスもどき文言とその説明では、
(植田総裁会見発言の再掲)『先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。』
となっていて、金融緩和に関しては「見通し通りに推移すれば修正」になっているのですが、直上の説明っぷりですと、むしろ「金融緩和政策を推進していくことによって2%が達成される」という言い方に読める訳でして、いやだからお前らはどっちなのか(2%目標達成の移行期間における遷移過程として緩和が続いているのか、目標達成のためには緩和政策が必要だから頑張って緩和していきますよといってるのか)がまあ不明な訳ですよ。というか説明がその時々で都合の良い方を使う、みたいな使い分けをしているのがわけを分からなくさせているんだと思うのよね。
まあアレです、「2%達成の見通し」というのもこれまたわけわからん状態になっていて、展望の見通しだけで言えばどう見ても「今後は見通し達成の見込み」だし、一方で植田さんの説明は一貫してその「今後は達成見通し」というのを言いたがらないように見えるわけでして、いや一体全体どっちですねんと思うのですが、さてこの「基調的物価」ですが、なんか「総合判断」だったのがさっきの質疑で「物価から第一の力を差し引いた部分」ということにされていますよね。でもってとどめにこの先の質疑を載せるわけですが、
14ページになります。
『(問)基調的な物価の上昇率についてお伺い致します。これ一概に示すのは難しいということだと思うんですけれども、総合的に判断するということになれば、その根拠が曖昧で、政策修正の分かりにくさであったり、あるいは恣意的な判断につながりかねないというふうに考えています。客観性を高めたり恣意性を排除したりするためには、どういう考えでしょうか。』
インフレターゲットをやってる、って豪語してるんだからそれはこういう質問になりますよね。でもって回答なんですけど(回答は15ページの頭からになります)、
『(答)難しいのは、基調的な物価上昇率というのは、申し上げるまでもないとは思いますけれども、全体の物価上昇率から一時的な動きを取り除いた部分ということになるかと思います。』
第一の力と一時的な動きはイコールじゃないですし、そもそも質問の方が仰っていたし、あんさんも最初の方で基調的な物価の話をしたときに、
(これまた先ほどの植田総裁の質疑応答での回答の再掲になりますが)『基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するものではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも考えてきましたし、これからも考えてまいります。』
って言ってるのに、明らかに会見の後半に来て「基調的な物価」の定義が変わっているんですよ。いや黒田日銀というか置物一派が得意としていたのが「説明が全然首尾一貫していないで適当に都合の良い屁理屈をチェリーピッキングする」というのがあるのですが、植田さんの場合は一つの会見の中で「基調的な物価」の説明が会見の頭とケツで違っている、というのは結構これ深刻な話でして、いやまあお前それでも学者かm9(^Д^)プギャーとか茶化している場合でもありませんでして、この調子で同じ会見中でも使ってる言葉の定義が変わってしまうような状況の人たちが金融政策運営していまして、しかも長期国債市場にとんでもないレベルの市場介入を実施している、ということになりますと、長期国債市場の中の人の端くれとしましては、この人たちのとんでもないレベルの介入が今後どうなるかが全くロジカルに読めない、ということになりますので、そりゃ国債市場の流動性が戻らんし、投資家だって回帰しにくいわ、ということになるんですよ、という意味で困ったもんなんですよこの植田日銀ってのは。
『ところが何が一時的かっていうことは、時代、その時点によってどんどん変わっていくということで、あるやり方で、あるいはある項目を外すと、一時的な変動を取った残りの分が出てくるという固定的なやり方がないということが、難しさだと思います。従って、総合的な判断という、ちょっと分かりにくい表現になるわけですが、対応方法としては、いろいろな手法で一時的な変動を除いてみる。そして、作り出したある種の加工された物価指数、これは複数のやり方があると思いますが、それをお示しして、それをわれわれもみるし、皆さんにもみて頂く。あるいは、もうちょっと技術的には難しいモデル分析を使って、基調的な物価がどうかというところを推計してみてその動きをみるような、複数のやり方を重ねて、何とかどの辺にあるかということを見極めていきたいというふうには考えております。』
って説明、明らかに最初の説明(さっき再掲しましたが)と全然違う話を言ってて、経済物価情勢の背景を含めたメカニズムで考えるのではなくて、「基調的な物価」というのが物価の出来上がりから上手いことトリミングをしていくと出てくる、っていう世界での説明をしている訳ですよ、いやもう何なのこの「基調的な物価」という話なのですよね。
・為替円安と基調的な物価
でまあここで冒頭の幹事社質問の後半に戻りますが、
『(問)(前半割愛)二点目が為替です。円安基調が続いています。円安が物価上昇に大きな影響を生じる場合は、金融政策の変更もあり得るとご説明されていますが、現状の円安についての影響をどのようにお考えでしょうか。』
これも水曜にネタにしたようにG20の時の会見で思いっきり言ったんでそれは聞かれますわ。ということで、幹事社の2つの質問(確度と円安の影響ね)、どっちも「ところでついこの前こういう説明してたんで政策反応関数になると思うのですが、その政策反応関数の現状評価を聞きたい」という至極まっとうな質問。
でもって円安に関する方の回答でさっきから引用している「基調的な物価」も出てくるのですが、
『(答)(前半割愛)それから、為替との関係ですけれども、金融政策の主な手段は短期金利になったということで、その水準をどういうふうに決定していくかということですが、その考え方については今申し上げた通りです。』
ということで、
『為替との関係で申し上げますと、まず、金融政策は、為替レートを直接コントロールの対象とするものではありません。しかし、いつも申し上げていますように、為替レートの変動は、経済・物価に場合によっては影響を及ぼす重要な要因の一つになります。仮に、おっしゃられてきましたような基調的な物価上昇率に、無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮あるいは判断材料となるというふうに考えます。引き続き、為替市場の動向やその経済・物価への影響を、十分注視していきたいと思っています。』
ということでですね、そもそもこれ植田さん自ら墓穴を盛大に掘っているわけでセルフ坑儒とは秦の始皇帝もビックリというお話な訳です。当然次の人が畳みかけてきまして、
『(問)為替についてお伺いします。今回の展望レポートを踏まえてですね、現状の基調的な物価上昇率に円安が与えている影響について、どのようにお考えかというところをお願いします。仮に円安に対してですね、金融政策で対応する場合っていうのは、急激な日米の金利差から考えると、急激な利上げが必要になる場合もあると思うんですけども、その場合の利上げのペースみたいなものはどのようなお考えかというところをお伺いできればと思います。(後半割愛)』
と来ましたところ植田さんこう回答するの巻(ちなこれは質問が2ページのケツ、回答が3ページの頭です)。
『(答)まず、為替と物価見通しの関係ですけれども、先ほど発表しました政策委員の大勢見通しというところをみて頂きますと、除く生鮮で、24
年度のインフレ率予想がやや大幅に上方修正となっています。この主な理由は原油高ですけれども、一部円安の影響も、各政策委員がそれぞれ見通しを作りますので、その人次第でどれくらい上昇したかというところは違いますけれども、若干は含まれているというふうに思います。』
ほうほう。
『ただ、その他のところには、見通しの変更、大きなものが今のところ出ていないということで、それだけでということではないですが、基調的な物価上昇率にここまでの円安が、今のところ大きな影響を与えているということではないという判断がここに表れてるかなと思います。』
でもって、
『ただ、全般的に物価情勢が上振れてきているといいますか、われわれの言葉で言えば、見通し達成の確度が上がっているという状況でありますし、』
上振れしているのが「確度が上がっている」だったらそれにもし円安が影響しているなら基調的な物価に円安が影響している、という事になるんだが、なんかこう植田さん一生懸命説明しようとしていろいろな角度から説明しようとしている、というのはまあわからんでもないのですが、それが結果として「一つの会見の中なのに言ってることが違う」とか「これまでの説明と違う」ってことに結果的にはなっているし、ヘッドラインリスクは上げてるしで全く良いことないというか逆効果にも程があるので余計な説明するなやと申し上げたい。
『更にここのところ原油高とグローバルなインフレもインフレ率でみて下がってきたのが、若干下げ止まりから、場合によっては反転という話、あるいは見通し達成の確度が少しずつ上がっているということとも関連しますが、企業の賃金・価格設定行動も前向きの動きが継続しているというようなことから、基調的な物価上昇率にここまでのコストプッシュ、第二段階のコストプッシュ的な動きと呼べるかもしれませんが、それが跳ねるリスクもゼロではないと考えていますので、注視してみていきたいというふうに思っています。(後半割愛)』
なんちゅうかですね、こんなの「足元までの円安で大きく先行き見通しを変えるに至っていないけれども、今後の影響は今後出てくる指標をきちんと精査しながら判断していきたい」とだけ言っておけばいいのに余計な事を言いすぎでして、こういうのは(さっきも申し上げたようにワイもコミュ障(そのうえネット弁慶と来ているからさらにたちが悪いですかそうですかwwwww)だからわかるけど)コミュ障が頑張って話をしてやらかす典型的なパティーンではあるwww
でまあこんな回答をしたら次の人がさらに質問をしてきまして、
『(問)今日、決定会合の結果が出てからですね、為替は 1 ドル 156 円台となっています。3月の時点では総裁、利上げは急がないということをおっしゃっていましたが、為替を含めた環境変化を受けまして、利上げ時期に対する姿勢というのは変わったのかどうかですね。早期の利上げが必要な段階に来ているというふうにみているかどうかというのを教えて頂けますでしょうか。
それからもう一点なんですが、物価にどれぐらい為替が影響を与えるかというところでいいますと、円安ですとか原油高といった「第一の力」、外的要因によるコストプッシュインフレであった場合でも利上げで対応する必要があると考えていらっしゃるのかどうか、この点をお願い致します。』
ということで植田さんですけどね。
『(答)どちらも究極的にはこれまで、今日、お話ししてきたこととの関連で申し上げれば、基調的な物価上昇率についての見方に影響があるかどうかというところに沿って、特に金利引き上げ、短期金利ですね、これをいつやるかっていうところは決まってくるということになるかなと思います。』
で?
『為替変動はインフレ率に影響しますけれども、為替が何円から何円に、若干円安になるということのインフレ率への影響は、通常一時的にとどまるということだと思います。』
まあちなみにこの説明も「昨年対比」という意味ではそうなんですけど、ベースの為替が動くのっていうのはそれ自体は「水準を変える」ものなので、前年比で恒常的に影響するものではないのから関係ない、というのもなんか変な理屈のような気がしますがどうなんでしょうかね。
それはともかくとして先に行きます。
『しかし、これが長期化するという場合も、繰り返しですがゼロではなくて、それはいったんインフレ率に影響が出て、それが例えば、今年であれば
24 年のインフレ率に影響が出て、来年の 25 年の春闘の賃金上昇率に跳ねるようなことになれば、それは影響が長期化する、あるいは「第二の力」に影響する基調的物価の動きに影響するということになるということだと思います。』
ベースの為替レートが動いた後戻らない、というのであればこういう事なんじゃないの??って思いますけどね。
『ちょっと長くなっちゃいますが、仮にそういうルートを考えるとして、来年の春闘まで待たないと判断できないのかと問われますと、そうではなくて、そういう動きが予想できるような状況になれば、それはもっと手前で判断できるということではあるかなとは思います。』
まあこれ聞いたときに「えー来年まで判断しないのかよ」とそっちの方を先に思ったわ。
でまあこれらの質疑が来た後に例の質疑が来るわけですね。
『(問)植田総裁はですね、先日の会見で、円安の進行によって基調的な物価上昇率に無視できない大きさの影響が発生した場合は金融政策の変更もあり得ると、先ほどお話しした通りだと思うんですけども、今回金融政策の変更がなかったということは、これはつまり円安の進行が、これ無視できる影響だという、そういう範疇になるというご認識でしょうか。総裁のご認識、お尋ねしたいです。』
これは見事な日銀詰将棋。
『(答)それは今までの回答とちょっと重なりますけれども、取りあえず基調的な物価上昇率への大きな影響はないと、皆さん判断したということになるかと思います。ただ、申し上げましたように、そこに影響は今後発生するリスクはゼロではないので、注意してみていきたいということでございます。』
「皆さん判断したということになるかと思います。」というのが逃げ口上にみえてしまうのが悲しいですなwwwwww
『(問)つまり今回は、これは基調的な物価上昇率への影響は、まあ無視できる範囲だったという認識でよろしいでしょうか。』
『(答)はい。』
まあこれ「はい」の前に「一呼吸置いてから蚊の鳴くような声で」というのを()書きで入れれば完璧でしたねwwwwwwww
・会見の説明だと輪番減額は6月会合で減額の議決が出るまでノーチャンスにしか見えません&能動的な手段云々
輪番についてですけど、本文2ページの最後(幹事社の次の人の質問の後半ね)で最初に聞かれましてね、
『(問)(前半割愛)もう一点は国債の買い入れについてお伺いします。どこかのタイミングで減額されるということをおっしゃっていますけども、それはどのような考え方で進めて、いつ頃を考えてらっしゃるのか。その場合に、要は経済・物価への影響というものをどの程度考慮されるのか、その点も併せてお願いします。』
『(答)(前半割愛)それから国債の買いオペについて、国会等でもあるいは前回の記者会見でも、将来どこかの時点で減額ということを視野に入れているということを申し上げてきました。その点は今でも同じ考えでありますし、残念ながら今、具体的にいつの時点でということを申し上げられる段階ではありません。』
ここまで総裁が言い切ってしまうと5月(つまり連休明けの火曜日)に減額するという蛮勇モードは普通出てこないと思われますよね、残念無念。
『表現を変えてみますと、3 月に金融政策の枠組みを変更して、それが金融市場等でどういうふうに消化されるかというところを今まだみている段階ということかなと思います。』
輪番については消化どころか腹下し状態だわw
『もしも将来減額をする場合に、そういうことになった場合にということですけれども、それは一つの考え方としては、金融政策の能動的な手段としては使いたくないな、ということでございます。』
これまた困るのは、輪番減額はある程度の段階に来たら何らかのオートパイロットで行う、というのであれば「能動的な手段ではない」という話はまあ分かりやすいのですが、
『ただし、もちろん将来的に買いオペの金額が減っていけば、保有している国債も徐々に減っていく、残高ですね、ということにつながりますので、日銀がたくさん国債を持っているということから発生しています長期金利を下げるという方向でのストック効果がやや弱まるという効果は発生するということになるかと思います。そういうことも考慮に入れたうえで、短期金利の方の調整を適切にやっていくということになるかと思います。』
となると、ストック効果が金融政策の手段として使われている、ということになりますので、「能動的な手段としえては使いたくない」というのと話が思いっきり矛盾するんですよね。頼むからこの位置づけもうちょっとわかりやすくしてくれってお話になりますわ。
でもって4ページのケツからの質疑になりますが長期国債買入に関して、
『(問)今回の対外公表文で、長国の買入れの方針は 3 月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施するということですけども、3
月の、前の対外公表文では、概ね同額の長国を買入れする、更に脚注にはですね、足元では同額ってのは
6 兆円ですというふうになってましたが、今後もですね、3 月に沿って、決定に沿ってっていうことですので、6
兆円程度の国債[買入れ]を当面継続するという、そういう理解でよろしいでしょうか。(後半割愛というか次に)』
とまあこう念を押されるわけですが、
『(答)前半についてはご指摘の通りでございます。3 月の時点でお示ししたものから変更ありません。(後半は次に)』
となっていまして、ここまで言われた日にはまあ普通に考えて輪番を急に減らさんわな、と思うのが妥当というのが結論になりますよね。
でもって今飛ばした後半ですけど、じゃあオペ紙のレンジに関してということで裁量はあるのけ問題についてでして、
『(問)(前半割愛)もう一つ、長国の買入れですけども、仮に同額の買入れを継続するということでは、バランスシート政策上で減らすという意味ではなくて、金融調節で[金融]市場局がやっているようなオペレーションで減らしていくっていう、そういった可能性についてはどうお考えなのかというのですけども。4〜6[月]のオペ紙では、大体
5 兆[円]弱から 7 兆[円]という数字が示されてますけども、例えば市場動向によっては
5兆円弱ぐらいまで減らしていくということが考えられるのか、もしくはその 5
兆[円]から 7 兆[円]っていうレンジってのは、もっと幅を持たせて考えていってもいいのか、その辺を伺えないでしょうか。』
と来ているのですが、
『(答)(前半割愛)それから後半ですけれども、日々の[金融]市場局の調節で、ある程度の幅を持って決定し得るというふうにしていますが、そこはこれまでと同様に、内外の市場の動向とか、国債の需給、例えばオペの応札の状況等をみて、若干の幅の中で[金融]市場局に決めてもらうという程度のことを考えています。』
という説明になっているから、まあ普通に考えて5月に減らさんわなという話だし、この後翌週頭に出たオペ紙もレンジ変更なしだったのはご案内の通り。
『長期的にオペの金額を減らしていくという際には、政策委員会で決定して、きちんとアナウンスをして進めていくということになります。』
はい6月会合までノーチャン。
『(問)確認ですけど、同額というのは 6 兆円ですけど、[金融]市場局に認めている幅ってのはどのぐらいということなのでしょうか。』
『(答)具体的には特に決めておりません。常識的な範囲でという程度でございます。』
wwwwwwwwwwただの丸投げ責任回避ワロリンチョ
ということで、まあ他の論点もあるにはありますが、一応現世利益的にはこの辺をカバーしておけばいいかなと思ったのを詳しく見てみました。要は基調的な物価と為替円安と輪番ですなw
連休明けにネタの山で死ぬのが見えているのでもう少し成敗に関しては検討の余地はあるがまあ一応大型連休ともなるとやることもありますのでとりあえず本日はこれで勘弁ということで。
2024/05/02
お題「FOMCである」
ということでFOMCですがいつものように市場の反応(つまりお値段)を全然見ていないで書くというプレイをしております。
〇声明文:早期の利下げに否定的な現状認識とランオフについての変化ですかそうですか
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240501a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240320a.htm(3月)
・第1パラグラフ:「物価の更なる改善が欠如してきておる」キタコレ
『Recent indicators suggest that economic activity at a solid pace.』(今回)
『Recent indicators suggest that economic activity has been expanding at a solid pace.』(3月)
「has been expanding」が「has continued to expand」に変化。えーっとこれは横ばいなのか若干弱くなったのかどっちじゃろ(英語力無し無しおじさん)。基本そこまでの変化ではないと思うが。
『Job gains have remained strong, and the unemployment rate has remained
low. Inflation has eased over the past year but remains elevated.』(今回)
『Job gains have remained strong, and the unemployment rate has remained
low. Inflation has eased over the past year but remains elevated.』(3月)
と労働市場と物価に関する文言はここまでは前回と一致しているのですが、この次に今回早期利下げを否定するような文言が入るのであります。
『In recent months, there has been a lack of further progress toward the
Committee's 2 percent inflation objective.』(今回)
「there has been a lack of further progress」キタコレという所でして、ファーザープログレスが失われているということは、これはどこからどう見ても早期利下げはしませんがな、という話になるので、目を見張るような物価情勢の改善でもあれば別だとは思いますが、6月はどう見ても利下げ無理で7月も中々きついんじゃないかねえという話になるんじゃねえかと思います。まあ市場ちゃんってその位は織り込んでいると思うんだがどういう反応をしたのかは見てないので知らん(生業に取り掛かってから見ますけどw)
・第2パラグラフ:物価と雇用のリスクがベターバランスになっていくという認識が回想シーン化ワロタ
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the
rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the
rate of 2 percent over the longer run.』(3月)
これはいつものお題目ですナムナムナム。
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation
goals have moved toward better balance over the past year.』(今回)
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation
goals are moving into better balance.』(3月)
デュアルマンデートのゴールに向かう道のりのリスクに関しては徐々に良いバランスに向かっている。という表現をしていたのですが、1パラで「a
lack of further progress」とぶっこんだことに呼応しているんですけど、こちらの文章が現在進行形から現在完了形に変化しまして、「over
the past year」というのが入りましたので、「昨年を通じてベターバランスに進んでいきましたなあ」という回想シーン状態になっておりまして、こちらは1パラの対句みたいなもんでしょうけど、ここの認識の表現も変化させているの巻ですね。
『The economic outlook is uncertain, and the Committee remains highly attentive to inflation risks.』(今回)
『The economic outlook is uncertain, and the Committee remains highly attentive to inflation risks.』(3月)
こちらは前回と同じです。
・第3パラグラフ:国債のランオフペース縮小、MBSの償還再投資停止(超過償還分は国債購入)とな
最初の金利の部分は全文一致ですのでサラサラ流しますね。
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target
range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent.』(今回)
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target
range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent.』(3月)
今回も政策金利据え置きなのでここの文言も同じです。
『In considering any adjustments to the target range for the federal funds
rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook,
and the balance of risks.』(今回)
『In considering any adjustments to the target range for the federal funds
rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook,
and the balance of risks.』(3月)
というのも同じでして、
『The Committee does not expect it will be appropriate to reduce the target
range until it has gained greater confidence that inflation is moving sustainably
toward 2 percent.』(今回)
『The Committee does not expect it will be appropriate to reduce the target
range until it has gained greater confidence that inflation is moving sustainably
toward 2 percent.』(3月)
グレーターコンフィデンスが得られるまで利下げ着手はしませんよ、という所の表現も同じです。
でもって今回の変化は資産買入に関して。
『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury
securities and agency debt and agency mortgage-backed securities. Beginning
in June, the Committee will slow the pace of decline of its securities
holdings by reducing the monthly redemption cap on Treasury securities
from $60 billion to $25 billion. The Committee will maintain the monthly
redemption cap on agency debt and agency mortgage-backed securities at
$35 billion and will reinvest any principal payments in excess of this
cap into Treasury securities.』(今回)
『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury
securities and agency debt and agency mortgage-backed securities, as described
in its previously announced plans.』(3月)
今まではアズイズディスクライブドのプラン通りということでしたが、今回は米国債の削減ペースを落としまして、月額600億ドル上限までは残高縮小だったのを月額250億ドルに縮小ペースを落としてきましたのでこっちはいわゆるQT(別に売却している訳ではないのだからタイトニングというのはおかしいだろと昔から思うのだがまあ皆が使うからシャーナイ)の緩和になるのですが、一方でMBS等に関しては月額のSOMAポートの残高縮小ペースは月額350億ドルのままで変わらず、しかも従来はこのペース以上の償還があった場合に関してはMBS等に再投資していたのですが、MBS等への再投資を停止して、その代わりに米国債への投資を実施する、ということになりまして、これはMBS等の市場がどのくらいショボーンとするのか需給とか全然見てないから専門家に聞いてちょという感じですが、FEDとしては以前からポートはトレジャリーオンリーにする、って言ってたんですから順当は順当なんですけど、割と露骨にぶっこんできたなとは思いました、市場の反応は見てないから知らん。
『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(3月)
まあこれはいつもの偈みたいなもんです。前回と同じ。
・第4パラグラフ:もはやこのぱら要らないんじゃないかという位に全文一致
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(3月)
今後の政策は全体的な状況をよく見てあんじょうようやっときますわ、というだけのパラでして、政策の決め打ちみたいなのをしている時だとここが使われることもありますが暫くは開店休業のパラグラフとして続きそうですな。
・第5パラグラフ:今回も全員一致での議決ですね
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Philip N. Jefferson;
Adriana D. Kugler; Loretta J. Mester; and Christopher J. Waller.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Philip N. Jefferson;
Adriana D. Kugler; Loretta J. Mester; and Christopher J. Waller.』(3月)
・ディレクティブで念のため確認です
HTML版の場合最後の所に「Implementation Note issued May 1, 2024」というのがあってそこを踏むとディレクティブが出てきます。PDFだと本文の後のページに出てきます。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240501a1.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240320a1.htm(3月)
『・As part of its policy decision, the Federal Open Market Committee voted
to direct the Open Market Desk at the Federal Reserve Bank of New York,
until instructed otherwise, to execute transactions in the System Open
Market Account in accordance with the following domestic policy directive:
"Effective May 2, 2024, the Federal Open Market Committee directs the Desk to:』
以下の箇条書き部分ですが、そのうち金利関係のオペは据え置きで各種条件も据え置きですので、その後の資産買入に関して
『Roll over at auction the amount of principal payments from the Federal
Reserve's holdings of Treasury securities maturing in May that exceeds
a cap of $60 billion per month. Beginning on June 1, roll over at auction
the amount of principal payments from the Federal Reserve's holdings of
Treasury securities maturing in each calendar month that exceeds a cap
of $25 billion per month. Redeem Treasury coupon securities up to these
monthly caps and Treasury bills to the extent that coupon principal payments
are less than the monthly caps.』(今回)
『Roll over at auction the amount of principal payments from the Federal
Reserve's holdings of Treasury securities maturing in each calendar month
that exceeds a cap of $60 billion per month. Redeem Treasury coupon securities
up to this monthly cap and Treasury bills to the extent that coupon principal
payments are less than the monthly cap.』(3月)
ということで「Beginning on June 1, roll over at auction the amount of principal
payments from the Federal Reserve's holdings of Treasury securities maturing
in each calendar month that exceeds a cap of $25 billion per month.」が挿入されました。声明文の記載どおりですね(当たり前だが)
『Reinvest into agency mortgage-backed securities (MBS) the amount of principal
payments from the Federal Reserve's holdings of agency debt and agency
MBS received in May that exceeds a cap of $35 billion per month. Beginning
on June 1, reinvest the amount of principal payments from the Federal Reserve's
holdings of agency debt and agency MBS received in each calendar month
that exceeds a cap of $35 billion per month into Treasury securities to
roughly match the maturity composition of Treasury securities outstanding.』(今回)
『Reinvest into agency mortgage-backed securities (MBS) the amount of principal
payments from the Federal Reserve's holdings of agency debt and agency
MBS received in each calendar month that exceeds a cap of $35 billion per
month.』(3月)
「Beginning on June 1,」からが追加です。ランオフのマンスリーキャプは変わらず、従来の償還再投資は長期国債への再投資に切り替わりまして、その長期国債への再投資ですが、「年限構成が概ね今の米国債の満期構成とマッチするように買う事」という指示になっています。まあこれ自体は従来の国債分の償還再投資も基本そうなっていますな。
でもってですね、より詳しいのはさっきの今回のインプリメンテーションノートのページに『Related
Information Statement Regarding Reinvestment of Principal Payments from
Treasury Securities, Agency Debt, and Agency Mortgage-Backed Securities』というリンクがありまして、それを踏みに行きますとNY連銀の
https://www.newyorkfed.org/markets/opolicy/operating_policy_240501
OPERATING POLICY
Statement Regarding Reinvestment of Principal Payments from Treasury Securities, Agency Debt, and Agency Mortgage-Backed Securities
May 1, 2024
というのに飛ぶのですがここまで来るとMBS関係者の世界になってくるのでアタクシは割愛しますけれども興味のある方は確認するよろし。
〇会見のオープニングコメントがありジャパンでは本日は3M入札があったりしますがその辺は明日にでも
だいたい月末月初に祝日をバカスカ入れる、というのが怪しからん訳でして、しかも月末直前の連休前の所で金融政策決定会合があるとか、月末月初が爆発的に忙しくなるじゃろいい加減にしろという事で、今朝はキリの良い所で勘弁して頂きとうございます。
ということで続きは明日にでも、と言っても別に朝一に更新するとは言ってないのでそれはそれということですし、まあ休み明けにお読みいただければとは存じますです、はい。
2024/05/01
お題「介入とかオペ紙とかのメモ/G20での記者会見が猛烈に今回の決定会合に祟っているんですが・・・・・・・」
聞け万国の労働者〜♪
〇介入額とかレポレートとかオペ紙そっちのメモを
・ほうほう介入は5兆円ですかそうですか
まあこれは自分でも計算できるというか計算した方が良いのだが月末月初で忙しいので(ナンジャソラ)めんどいから安直バージョンでBBGからですが、良い子のみんなは自分で電卓叩いて計算しましょうね。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-30/SCQQP4T0G1KW00
29日の為替介入は5.5兆円規模の可能性、日銀当座預金見通しが示唆
関根裕之、船曳三郎
2024年4月30日 19:04 JST 更新日時 2024年4月30日 20:11 JST
→当座預金増減の財政要因マイナス7.5兆円、予想はマイナス約2兆円
→「5兆円程度というのはおおむね予想通り」と三菱UFJ銀の井野氏
ほうほうそうですかそうですか。
『円相場が乱高下した29日の外国為替市場で日本の通貨当局が円買い介入を実施した可能性が高い。日本銀行が30日公表した5月1日の当座預金増減要因の予想値と市場の推計値との差が大きかったためだ。』(上記URL先より、以下同様)
どこのページを見るとどうのこうのというのは本石町日記師匠が時々解説しておられると存じ上げますが、まあこの記事でも分かるよね。
『為替取引の実際の決済は2営業日後に行われるため、介入が行われた場合、結果は1日の日銀当座預金残高の見通しに表れる。それによると、為替介入などが反映される財政等要因はマイナス7兆5600億円。東短リサーチによる先週の予想では、国債発行や税金の国庫納付でマイナス2兆1000億円程度、セントラル短資ではマイナス2兆500億円だった。差額の約5.5兆円が円買い介入の規模と推定される。』
だそうです。
『円相場は29日、34年ぶりとなる1ドル=160円台に急落した後、一時154円台まで急反発した。介入観測が高まる中、日銀の日銀当座預金の予想値が市場の推計値と大きく乖離(かいり)していれば、介入実施の証左となり得るため同データに注目が集まっていた。政府は2022年9月と10月に3回にわたり総額9.2兆円の円買い介入を実施。うち過去最大の5.6兆円を投入した10月21日の介入と同規模とみられる。』
ということですが、まあドル円ちゃんは結局東京に戻ってきたら昨日は157円台前半どころか後半になってウダウダとしていた訳で、ハトハト音後が踊られていた時間帯と大して変わらんがなという水準になっておられましたな、ショボーン。
まあ何ですな、イエレンさんのこの前の発言の真意はよー分からんところではありますが、とりあえずは変に勢い付いた時には止めに掛かるのは止めに掛かる、というのは今回の介入で伝わったものの、本格的に円高に持って行こうというような気合の入った介入というのはそもそもあのイエレンさんの発言からしたらアメリカ様から怒られが発生するんですかねえという感じですし、まあゆうてアメリカン金利が上がってしまうとかなり厳しいものがあるでしょうから、FEDが引き締め解除モードになってくれて、その間に日銀が緩和政策の修正をしてくれる、という反転モードになるまでの時間稼ぎというか遅滞戦術というか、まあそういう感じなんでしょうかね知らんけど。
ちなみに3月末の外貨準備の状況はこちら
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/official_reserve_assets/data/0603.html
外貨準備等の状況(令和6年3月末現在)
・レポレート一段と下がるとなorzorz
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/4/24 0.057 0.031 0.035 0.036 0.035 0.033
2024/4/25 0.004 0.013 0.029 0.031 0.033 0.034
2024/4/26 0.021 0.012 0.027 0.031 0.033 0.033
2024/4/30 0.001 0.008 0.025 0.031 0.031 0.033
GCのT+0オーバーナイトとトモネのレートが更に下がっておられるということで、玉無し芳一なのかGC資金調達側がイラネ状態なのかは存じませんけれども、まあ足元下がる下がる。
とは言いましても、短国ちゃんの方の気配を見ると基本変わっていなくて、これは単に表に出て来る業者間市場での売買が無いから気配が変わらないのか、ガチで売買が活発ななかで気配が変わらないのか、という辺りは売参とかを見ただけでは判断付きかねる、というのがアカンタレではありますが、まあでも東京レポレートにしても1Mどころの気配はそんなに変わっていないということなので、そこまで変わらんということでしょうか、よくわかりませんな。
まあ明日の3Mを見たいとは思いますが、何せ3MTDBってマイナス金利解除しても延々と新発が1bp台での決着、とかいうかなり悲しい事態が続いていまして、これがもうちょいコールレートに近い水準にあがってくるようですと、多少は3M短国市場ちゃんも将来の政策金利見通しを織り込みに行く余地ができるのでしょうけれども、足元はとにかく金利水準が入札のたびに1bp台でしか決着していないのですから、これは需給の強さの方が思いっきり勝ってしまっている状態で、先行きの政策金利見通しとかそんな事言ってられない水準となっているのは甚だ遺憾です。まあ短国買入止めただけマシなんですけど、短期における「国債不足」は相変わらずという所ではあります。
・CP社債買入2か月連続で減額は無いのか
うーんこの
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240430a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2024年5月〜6月)
6月の買入予定額は5月と変更なしですね。いや別に1年じゃなくたってサクサクと減額してもよくってよ、とは思うのですが、変に声明文なお書きで書かれてしまったので、今の日銀のオペの運営からしてどっからどう見てもこうなると前倒しとかしなくなるだろうなあと思ったら分かりやすく同額でぶっこんでくるのが日銀クオリティ。
・当然の如く輪番のレンジ変更も無し
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240430c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定
(2024年4〜6月)[一部変更]
一々引用するのもめんどいからパスしますが、今回も案の定でレンジの変更はなく、当然月の買入回数も変化なし、とまあそういうことになりまして、こうなりますと次は6月会合で決定が入らなければ減額は無くて、そうなると次は7月会合なのですが、7月会合って末に実施されるからこりゃ当分輪番減らんわと頭を抱える次第。
てかさ、何でおまいらこのハチャメチャな量の買入を継続する必要があると思ってるの???って話で、多少減らしたって長期金利上がらんじゃろうし、大体からして「見通し通りに経済物価が推移したら緩和度合いを調整する」って言ってるのに長期国債買入だけは黒田緩和と同じことを漫然と継続してるって何なのよと小一時間問い詰めたい。
〇決定会合レビューですが今回は小ネタがあちこちに散らばっているので小ネタの粒粒を拾いながらシリーズで
日銀公表文書の前回比較、とかいうのはまあ今度の金曜土曜くらいにやりますわ、と今回は断言して自分の首を積極的に締めに行くスタイルですが、何か急に予定が変わらない限りにおいてはまあ追いつきをする所存です。FOMCも明日ありますし。
・展望レポート全文と言えばコラムシリーズなのだが円安の影響分析がねええええええええええええ
展望レポート背景説明を含む全文キタコレな訳でして、
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404b.pdf
経済・物価情勢の展望
2024 年 4 月
(BOX1)個人消費の現状と先行き
(BOX2)2024 年春季労使交渉
(BOX3)賃金・物価の相互連関:人件費上昇を販売価格に転嫁する動きの広がり
(BOX4)「物価の基調」の捉え方
(BOX5)金利面からみた金融緩和度合いの評価
(BOX6)国債買入れがイールドカーブに及ぼす影響
なんということでしょう。BOXが6つもありまして(前回は3つ)気合の入り方を示しているのは大変結構な上に、個別のBOXも読みどころ(あるいはツッコミどころ)があったりしまして、大変に結構じゃあーーーーーーりませんか。
・・・・・・と思ったのですが、為替の影響に関する考察は何処に????
ここで4月18日に行われた植田総裁の記者会見を確認してみましょう
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240422a.pdf
植田総裁記者会見(4月18日)
――G20終了後の鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言
―― 於・ワシントンDC
2024年4月18日(木)
午後2時31分から約21分間(現地時間)
(以下引用部分は直上URL先の4月18日植田総裁記者会見の質疑応答より)
『【問】
植田総裁には、最近の為替の円安なんですが、輸入コストの上昇を通じて物価に上昇圧力を加えた場合に、既に高まりつつある「第二の力」、いわば賃金と物価の好循環、これと合わさると物価の上振れのリスクが高まる可能性があると思うんですが、この足元の円安の動きがそうした輸入コストの上昇を通じて物価にどう影響を及ぼし得るのか、またそうした動きが次の金利の調整のタイミングにどう影響するのかについて教えてください。』
『【答】
私からは、為替の円安方向の動きが輸入財の国内価格の上昇を通じて、おっしゃったように場合によっては「第二の力」とわれわれが呼ぶインフレーションの部分、あるいは基調的物価上昇率に影響を与えるという可能性は、それはあり得ると思います。
そこについて無視できない大きさの影響が発生した場合は、場合によっては金融政策の変更もあり得るということだと思いますが、現状その辺りをどのように評価しているか、例えば
1 月以降の円安の動きについて、来週になりますか、決定会合があって展望レポート、新しいものを発表しますので、その中で取り上げて数値的にもお示しするということになるかと思います。』
>展望レポート、新しいものを発表しますので、その中で取り上げて数値的にもお示しするということになるかと思います。
>展望レポート、新しいものを発表しますので、その中で取り上げて数値的にもお示しするということになるかと思います。
>展望レポート、新しいものを発表しますので、その中で取り上げて数値的にもお示しするということになるかと思います。
えーっと、どちらに取り上げて数値的にもお示しになられたのか教えていただけると大変にありがたいのですけど何がどうなっておられるのでしょうか?????????
しかしまあ何ですな、この発言ってその後決定会合で利上げはしないにしても長期国債買入に関する何らかの手直しでも入るのか、って思惑を呼んでしまったりもしてましたが、結局今回って長期国債買入に関しては6兆円維持っていうのがより明確になってしまったという事になってしまったし、為替の影響に関してはどこからどう見たって植田さん食言しているとしか思えない展望レポート全文が出てしまっているし、どうなってるんですか植田総裁の発言は、とまあそういう話になる訳ですな。
でまあ幣駄文でも再三再四申し上げておりますが、植田さんはこの4/18会見みたいに変に威勢のいいサービス発言をするかと思えば、腰が砕けたのか単にその前の発言がその場しのぎのエエカッコシイで調子のいいこと言ってるだけなのか知らんけど、その後平気で引っくり返すような事をしてしまう、というコミュニケーションとして非常に稚拙というか最早害悪と申しあげて差し支えないと思われるレベルの発言の振れ幅の大きさがあるんですよね。
まあエエカッコシイなのか実はお調子者なのか知らんけど、あんさんもうヒラ審議委員じゃないんだからそうそう発言をぶらすなよと言いたい訳でして、昨日も申し上げたように、3月や4月に声明文や展望レポート基本的見解で示されている政策スタンスってのは「見通し通りに推移すれば徐々に緩和政策の度合いを弱くしていく」「ただし色々と「やってみないとわからない」という面があるので事前にパスの決め打ちをするようなことはなく、あくまでもデータを見ながらやっていく」というものなのですから、その通りにど真ん中の事を淡々と説明すりゃ済むわけですよ。
然るにこのハトハトチキン爺さん、いざ政策をしようとするとハトハトチキンなのに発言だけは急に威勢が良くなったりするので、威勢の良すぎる発言をする→やり過ぎたので反対側に威勢の良い発言をして打ち消す→やり過ぎたので以下無限ループ、というのをやって金融市場に無駄なボラを出しているだけ、という甚だ困ったお方でして、兎に角余計なノイズを振りまくんじゃねえよとしか申し上げようがありませんな。
・お蔭で会見でもやらかしてしまう訳でして
会見をまとめて成敗するのはまた別途行いますけど、
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240430a.pdf
総裁記者会見
――2024年4月26日(金)午後3時30分から約65分
会見録4ページ目(PDFも4枚目)のかの著名な質疑ですけれども。
『(問)植田総裁はですね、先日の会見で、円安の進行によって基調的な物価上昇率に無視できない大きさの影響が発生した場合は金融政策の変更もあり得ると、先ほどお話しした通りだと思うんですけども、今回金融政策の変更がなかったということは、これはつまり円安の進行が、これ無視できる影響だという、そういう範疇になるというご認識でしょうか。総裁のご認識、お尋ねしたいです。』
そら聞かれますわな。これも何で聞かれたかと言えば4月18日の会見で円安の牽制でもしたかっかのか知らんけど上記引用の通りしなくても良いサービス発言をした報いなわけで、サービス発言して国債買入の手直しでも入ったのなら別ですが、完全ゼロ回答になっている、という状況だった訳でして、だったらG20であんなサービス発言するなよとしか言いようがない訳ですな。
『(答)それは今までの回答とちょっと重なりますけれども、取りあえず基調的な物価上昇率への大きな影響はないと、皆さん判断したということになるかと思います。ただ、申し上げましたように、そこに影響は今後発生するリスクはゼロではないので、注意してみていきたいということでございます。』
まあこの辺の質疑日銀ようつべで見てましたけど、アワアワした感じで説明してましたよね。しかしこの「皆さん判断したということになるかと思います。」ってのも、委員会制における議決だから確かに「皆さんが判断したから政策が変わらなかった」というのはその通りかもしれないけど、なんかもうこの時点で逃げを打っているように見えて(聞こえて)しまうのがヤバイ訳ですが、当然ながらこんな回答では許してくれませんので、
『(問)つまり今回は、これは基調的な物価上昇率への影響は、まあ無視できる範囲だったという認識でよろしいでしょうか。』
『(答)はい。』
これ中継見てた方ご案内の通り、というかようつべの日銀チャンネルにアーカイブあるからそれ見て頂ければよろしいのですが、17分30秒くらいから上記質疑が始まりまして、最後の「はい」は18分45秒くらいなのですが、一瞬止まってから小さい声で「はい」といったんですなあっはっは。
・・・・・・・・・そらまあロジカルに行くとこうやって日銀詰将棋って感じになってしまう訳ですが、これだってそもそもあんなことを言わなければ詰将棋にならずにすんでした訳ですし、当然ながら(その前から関連質疑ありましたのでかなりその時点で詰んでいましたけど)この見事な詰めあがりによって為替の円安が飛んだ次第な訳で、おまいはもうちょっとものの言い方を改善しろというか1年経過して寧ろ悪化してないかという世界な訳ですな。
これだって「今回の時点では基調的な物価上昇率への影響がまだ明確に出ているとはいいがたいが、今申し上げましたように基調的な物価への影響が起こる可能性もありますので、今後の物価情勢を丁寧に分析して参ります」とか回答すれば良い(というか最初から最後までそれで通せば終わり)だけの話で、なんかこう「俺様は頭が良いんだゾ」とばかりに上手い事言おうとしてドツボに嵌る、というパターンなのは悲しいとしか申し上げようがありませんな。
てな訳で、今回の会合、やっぱりコミュニケーションに関して重大な課題があるし、それが一部出てしまってこのテイタラク、って思う訳ですよ。
でまあ会見と展望レポートと声明文の比較とかそういうのは(明日はFOMCだからそっちを優先課題としますので)金曜土曜辺りをスコープにして成敗出来れば、と存じますので何卒よろしくお願いします。