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(各日付の最初にラベルを「240401」というような形式でつけていますので「URL+#日付(240401形式です)」で該当日の駄文に直リンできます)


2024/04/30

お題「決定会合レビューと市場メモ」

いらすとやwwwww(直リンしてません)

https://www.irasutoya.com/2024/04/blog-post_29.html
すごい勢いの円安のイラスト

すごい勢いで円安ドル高が進んでいるイラストです。
公開日:2024/04/29

https://www.irasutoya.com/2024/04/blog-post_836.html
口先介入のイラスト

通貨当局が為替相場に介入するかもしれないような発言をしているイラストです。
公開日:2024/04/29


そういえばこの円安ぶっ飛びの中でこのニュースはタイミングが見事すぎてクソウケタ
https://www.tokyo-np.co.jp/article/324175
黒田前日銀総裁ら春の叙勲 桐花大綬章に大谷直人氏
2024年4月29日 05時00分 (共同通信)

なるほど円安推進の黒ちゃんが勲章を受けるんですね!!!!!!!!!!!!!



・・・・・で土曜の午前に一発更新しましたが、その後はいつもの突発性ぐうたら病が発生してしまってぐうたらと過ごしていたら3連休が終わってしまったという典型的な悪事例によりまして以下ボチボチと成敗して参りますが・・・・・・・・


〇次回以降の26年度の見通しについては今回で既に勝負ありにしている

土曜日の駄文をご確認のうえで(って上の方に記載してるからここに来るまでに見ますわな)、という話になるのですが・・・・・・・・・・

今回26年度の見通しが出ましたが、これが「達成の図」になっている、というのが重要なポイントではありまして、これは前段で申し上げた政策スタンスの部分に関わって来るのですが、現時点で「見通しベースでは物価安定目標達成」というステータスになっているのも今回のポイントっちゃあポイントかなと思います。

前段で書いたように、今回って基本的に「政策スタンスの記述部分」が新しい(本質的に言えば3月声明文でも同じことを書いていたのだがその後の情報発信がハトハトチキンに振れてしまったので台無しになった)のでして、その中で「見通し通りなら徐々に緩和度合いを調整(やや意訳)」となっている訳ですから、実を言えば最早26年度の見通し(特に物価)ってここから先は上方修正されなくても良くて、物価見通しが下方修正されない限りはどこかのタイミングで利上げ、なのですから7月の展望レポートで何もなければ利上げしてもおかしくない、というか利上げしないと「見通し通りなら徐々に緩和度合いを修正」に矛盾する、という割とオシャンティーな作り込みになっているんですよね。

なので、本来であれば政策修正タイミングの前倒しみたいな話が出てもおかしくはないのですが、何せ会見があの調子でして(会見は今日会見録出てからということで)、政策修正しませんから皆さんどうぞ円を売ってください、と言わんばかりの情報発信になってしまっていまして、しかも植田さんもうちょっとこう政策修正に関する話の時に威勢よく言えば良いものを、政策修正するんですか的な質問の時ってなんか歯切れが悪いから、結果的にスーパーハトハトチキンモードに見えてしまうんですよね(従ってなのですが、たぶん文章を見直すと必ずしもそうではないかもです)。でままあ会見時間中に闘魂こめて大空に円は飛ぶ飛ぶ炎と燃えてしまったのはご案内の通り。

てな訳ですので、まあ今日以降の市場の反応次第ではあるとは思うのですが、展望会合なので総裁副総裁の講演があるかどうか、って辺り謎ではある(3月政策修正の後にやったばかりだし)のですが、今後出て来る特に大本営周りからの情報発信では、事と次第によっては「見通し通りに推移すれば政策の調整を行う」をもうちょっと強調してくるかもしれないな、とは思います。なお強調しない場合は円は飛ぶ飛ぶ炎と燃えて、が続くのであります、ドームの風で飛ぶんじゃなくて炎と燃えて飛びますんでソコントコヨロシク。


〇でまあ為替介入もあったりしたのでメモメモ(介入とか東京レポレートとか)

・相変わらず空き巣狙いみたいな介入のようだが東京時間で堂々介入して水準変えて頂きたいw

まあ記念ですから
https://jp.reuters.com/markets/us/4SQRBQQ7HZIZPE6WYIG72VWKJY-2024-04-29/
NY外為市場=円急騰、日本当局が介入との見方
By ロイター編集
2024年4月30日午前 4:58 GMT+9

もとは29日の記事なのですが内容更新されていますね。

『[ニューヨーク 29日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、日本円が対ドルで序盤に付けた34年ぶりの安値から一時約5円高と急騰した。市場では日本当局が1年半ぶりに円買い介入を実施したとの見方が広がった。』(上記URL先より、以下同様)

いやっほう!

『ドル/円は取引時間中に一時160.245円と1990年以来の高値を付けた後、一時154.4円に急落。介入観測が広がった。終盤は1.47%安の156.01円。日本はゴールデンウィーク期間中でアジア時間の商いは通常よりも乏しかった。ドル/円は正午過ぎに再び急落し、6分間で156.495円から155.05円に下落した。』

何か日本語が下手くそなのか何日の何時ごろその値段が付いたのか分からんがなw


ということでBBG
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-29/SB1EOPT1UM0W00
円急反発、一時154円台−神田財務官は介入有無に言及せず
テソ由美、伊藤純夫
2024年4月29日 10:55 JST 更新日時 2024年4月30日 0:48 JST

→為替介入を問われた財務官は記者団に「今はノーコメント」と発言
→為替は午前に一時160円台を付けた後、午後から断続的な円買い

『29日の外国為替市場で円相場が急反発している。対ドルで160円台を付けて34年ぶりの安値圏を更新した後、一時154円台まで上昇。市場では日本の通貨当局による円買い介入への警戒感が高まっている。』(上記URL先より、以下同様)

『神田真人財務官は29日午後6時過ぎ、為替の急変動に関してのコメントは控えるとした上で、投機による激しい変動については「看過できない」として「24時間対応できる準備をしている」と記者団に語った。午後2時過ぎにも同氏は、「今はノーコメント」と発言していた。』

でもって、

『円は同日午前に対ドルで一時約1%以上下落し160円17銭をつけた後、2%以上上昇して一時154円台まで反発した。日本銀行が先週末の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定し、日米金利差に着目した円売り・ドル買いが続く中、日本が休場で流動性が低く値動きの幅が大きくなりやすい環境で、政府・日銀の円買い介入への警戒が市場で根強く、覆面介入との見方も一部で出た。』

だそうなのですが、さっきロイターとかBBGとかの為替市況見たら結局156円前半になっているので、節子それ単純に総裁会見の辺りまで戻っただけやという話で、どうせ介入するなら東京時間に堂々と150円割れに持って行く位の根性を見せて欲しいのですが、東京が空いてない時間に空き巣のように介入してもシャーナイんじゃないのと思うのですが、なんで最近はこの空き巣みたいな介入しかやらんのよって感じです。

まあいずれにしましても介入は入ったけど結局の所金融政策決定会合の後の植田総裁のハトハト音頭で飛んだ分だけ戻しただけの話なので、うーんどうなんでしょとは思いました。


・話は違うが東京レポレートやっぱり3M新発発行の有無ですかそうですか

ただの需給ではないか、とかそういう無粋な事は言わずに動かないコールを横目に日々盛大に動く東京レポレートを今日も鑑賞しましょうwww

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

先週水曜〜金曜の数字を見ますと、

2024/4/24 0.057 0.031 0.035 0.036 0.035 0.033
2024/4/25 0.004 0.013 0.029 0.031 0.033 0.034
2024/4/26 0.021 0.012 0.027 0.031 0.033 0.033

・・・・・・・orz

まあ順当ではあった、と言われますとそういうことなのですが、金曜日はいつもの3Mの入札が無くて(次の入札は2日木曜日)入札が無いというのは発行が無いということです、という事でマーケットメーカーが新発3MTDBを在庫持ちしていないのでレポレートも上昇しない、という流れになりました。要は新発短国の在庫状況(およびその見通し)でレート付きますよ、という需給問題に帰着する話ですが、まあコールだって本来は資金需給と調節で動くので同じっちゃあ同じですが、コールはご案内の通り凶悪なレベルの超過準備があるので需給もへったくれもない状態なのはご案内の通り。

うーんしかしまあ何ですな、発行は償還日に合わせて実施するからもはやこの時点ではどうしようも無かったのですが、年末年始の場合確かに参加者の少なさ問題があるのですけれどもGWの場合は連休の合間に償還ぶっこんでも良いんじゃないのかなという気がせんでもないなあと思いました。どうなんでしょうかね〜。


・・・・・ということで再度MPMレビューに戻ります。


〇決定会合レビュー雑談をいくつか(展望レポート前回比較は後程というか後日)

・長期国債買入減額をするハードルを上げてどうするんじゃヴォケが

声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240426a.pdf
当面の金融政策運営について

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す。』

しかしこの形式の声明文は懐かしすぎて円債老人会のおじいちゃん涙がちょちょ切れてしまいますが、やはりこの「なお書き」はいただけませんな。

『なお、長期国債およびCP等・社債等の買入れについては、2024 年3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する。』

ということで、前回の声明文では資産買入がディレクティブなのかそうじゃないのかが一見するとわかりにくい表記になっていましたが、今回は声明文で示しているディレクティブに対して「なお書き」で書いているので、資産買入に関してはこの時点で(植田総裁も今回の会見でも前回の会見でも説明しているように)金融政策の手段として上げ下げするもんじゃない、というのを明確にしました。

ただまあこれ困るのは、明確化したのはいいんですけど「なお書き」なので決定会合議決事項になってしまっていることで、例えばCP社債に関しては前回の声明文で「CP等および社債等について、買入れ額を段階的に減額し、1年後をめどに買入れを終了する。」となっていたのですが、買入を前倒しで終了させるのが難しくなってしまったんじゃないの、と思いますし、なんせ長期国債に関しては「3月の決定通り」となりますと例の、

(3月声明文より)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf

『これまでと概ね同程度の金額3で長期国債の買入れを継続する。長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。』

『3 足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。実際の買入れは、従来同様、ある程度の幅をもって予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していく。』(この部分だけ直上URL先の3月会合声明文より)

となっているので、長期国債買入に関しては相変わらず「金利が急激に上昇したら抑え込む」というスタンスが外れていない、即ちYCCの残滓が残っている状態、即ち緩和バイアスが残っている状態、ということになっていまして、展望レポートの方で示してた今後の政策運営スタンス「見通し通りに推移すれば政策を調整する」というのと微妙に齟齬があるんですよね。

でもってしかも「これまでと概ね同程度の金額」というのも残っていまして、これ以前の黒ちゃんのYCC入れた時みたいに「国債残高増加80兆円」と言いながら10兆円しか買わない、みたいな根性を出して来ればもちろん話は別なのですが、4月の頭に減額をしなかった今の日銀が減額をする訳がないとしか言いようがないので、これ6月会合で何らかの軌道修正を議決しない場合は漫然と馬鹿買入が続くのかよと思われるわけでして、見通し通りに推移するなら緩和度合いの調整をするってんだったら政策金利よりも細かい単位でスムージング出来る長期国債買入の減額をしろよ今回だって「見通し通りに推移」しているんだから、と思うのですがまーやりませんわな。


・展望レポートの政策スタンス文言は確かに緩和バイアスではないのですがそもそも鏡の時点で・・・・・

土曜日にああでもないこうでもないと書きました例の政策スタンスの話。

展望レポート基本的見解
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404a.pdf

再度引用しますと8ページ最終パラが、

『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』

この文章、「見通し通りで推移するなら金融緩和度合いを調整していく」に力点を置けば(というかこれ主文はこっちなんですから力点置くのは本来こっちですわな)今後淡々と政策の修正が行われるので、その移行過程においてはそうは言いましてもスタートラインが盛大に緩和状態なのですから移行過程では緩和的な状態だよ、って話をしているように読み取れるんですよね。

でもまあ3月声明文の時がそうでしたが、「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」が注目されるし、植田総裁の説明でもこの「緩和が続く」というのが目立ってしまったからハトハト音頭と言われる(ハトハト音頭とか言ってるの私だけですねすいませんすいません)訳ですよ。


・・・・・・ただですね、そもそも展望レポートの鏡の部分って今回もこうなっているんですよね。

1ページ目の『<概要>』って所のことですが、

1ポツ目が経済の先行き見通しなんですけど、

『・先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかに成長していくもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(今回の展望基本的見解)

でもってですね、前回1月なんですけど
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401a.pdf

『・日本経済の先行きを展望すると、当面は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(前回1月の展望基本的見解)

となっていまして、大規模金融緩和政策の枠組み修正を行う前には記載されていなかったのですが、鏡の部分にこの「緩和的な金融環境」というのがしゃしゃり出て来る、という図になったんですよ。


でもって今日はちょっとそこまで間に合わないので基本的見解の本文比較に関しては後日送りなのですが、まあこの「緩和的な金融環境」は先行き経済動向のメカニズム、という点においては緩和的な金融環境が設備通しを後押ししたり、潜在成長率の引き上げを後押ししたり、という役割を果たします、という説明自体は1月展望と4月展望って変わっていないのですよね。

つまりですね、政策スタンスの記述部分では緩和度合いの調整を行いますよ順調に推移すれば、と言ってるんですけど、このように展望レポートの経済見通しの前提の所で「緩和的な金融環境」が設備投資や成長力強化を後押しする、といっているのが政策修正前と変わっていない、ということですので、ここを見るとどこからどう見ても政策スタンスは黒田緩和の延長戦をまだやっている、という風に読み取れる訳でして、結局どっちなんですか、というのが非常に分かりにくくなっているんですよね。

でまあ今回の展望レポートの本文3ページ目あたりにあります経済先行き見通しの今申し上げた設備投資と成長力の部分を比較引用しますと、

『そうしたもとで、設備投資は、緩和的な金融環境が下支えとなるなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靱化に向けた投資を含め、増加傾向を続けると考えられる。』(今回の展望基本的見解)

『潜在成長率は、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、設備投資の増加による資本ストックの伸びの高まりなどを背景に、緩やかに上昇していくとみられる3。政府による各種の施策や緩和的な金融環境は、こうした動きを後押しすると考えられる。』(今回の展望基本的見解)

となっていて、これが前回どうだったかと言えば、(同じく本文3ページになります)

『そうしたもとで、設備投資は、緩和的な金融環境が下支えとなるなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靱化に向けた投資を含め、増加傾向を続けると考えられる。』(前回1月の展望基本的見解)

『潜在成長率は、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、設備投資の増加による資本ストックの伸びの高まりなどを背景に、緩やかに上昇していくとみられる3。政府による各種の施策や緩和的な金融環境は、こうした動きを後押しすると考えられる。』(前回1月の展望基本的見解)

ということで、ここ一言半句も変更なしになっていまして、そうであれば「緩和的な金融環境を能動的に続けていくことによって経済物価情勢が見通しの通りに向かって進んでいく」という認識が変わっていないんじゃないのかね、という話になる訳ですな。


・・・・・・・てな訳でして、この「緩和的な金融環境が続く」の文言が結局何を意味しているのか、というのがどこまで行っても謎というのがコミュニケーションをややこしくしている訳でして、まあ実際の所はこの「金融緩和の今後」についての位置づけってまだコンセンサスが取れていない、というのが一番正しい解釈になるのかな、と思いましたがどうでしょうかね。


ということで今朝はこの辺で勘弁してつかあさい。





2024/04/27

お題「決定会合があって為替も飛んだので簡単に(続きは連休中に)」

はいどうもどうも、本当は早起きしたかったんだけどヘロヘロで無理でしたわ。

でもって為替様
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-26/SCHLQRT0G1KW00
円が158円台、指標発表後に下げ加速−介入警戒ライン割る
船曳三郎、楽山麻理子、鈴木克依、森 茂生、大塚美佳
2024年4月26日 23:37 JST 更新日時 2024年4月27日 5:45 JST

→ニューヨーク時間帯の終盤に円安がさらに加速
→日銀はハト派すら驚くサプライズ、サクソ・キャピタルのチャナナ氏

『26日の外国為替市場で円相場は対ドルで約34年ぶりの1ドル=158円台に下落した。日本銀行が金融政策の現状維持を決定したことを受けて円安が進行。植田和男総裁の定例会見にも目新しい内容はなかった上、米経済指標の発表を受けて円売りが一段と強まっている。市場では政府・日銀による円買い介入への警戒感が高まっている。

ニューヨーク時間終盤に、円は対ドルで一時1.8%安の158円44銭まで下落。神田真人財務官の過去の発言から介入が意識される水準も割り込んだ。植田総裁の会見後に円は急速に買い戻され、154円99銭を付ける場面もあったが、一時的な反発で終わった。』(上記URL先より)


〇展望レポートの全体感自体は結構強気になっているのですが・・・・・・・・

本日はショパンの事情でそんなに時間がないのでまずは政策ポイントじゃねえかと思われる部分を。

・「先行きの金融政策」に今後の政策調整を明記しているんだが相変わらず例の文言は残るの巻

今回の声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240426a.pdf
当 面 の 金 融 政 策 運 営 に つ い て
2024年4月26日
日 本 銀 行

『日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。』

『無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す。

なお、長期国債およびCP等・社債等の買入れについては、2024 年3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する。』

なお書き付きのシンプルバージョン。、これを見て昔を思い出すのは円債老人会会員となりますw

例えばこんな感じですね
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2011/k110428a.pdf(2011年4月声明文)

もっと昔だとこんなのとか
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2007/k071113.pdf(2007年11月声明文)

2011年4月って展望レポート会合で、展望レポートがある時は情勢判断について展望レポートで記載しているから声明文自体は「次回会合までのディレクティブ(金融市場調節方針)」になります。では2007年11月ってなんですねんと言いますと、このころは「金融経済月報」が公表されていて、情勢判断に関しては金融経済月報で出すから声明文には別に書かんでええじゃろという話だった訳ですな。

ということですので、次回会合の声明文の場合はディレクティブ+情勢判断の文言、が掲載されることにはなるのですが、さてここで微妙なのが「金融政策運営に関して」の部分です。

1月決定会合(まだQQE+YCC+マイナス金利やってた時)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240123a.pdf

3月決定会合(YCCとマイナス金利が解除、QQE自体はどっちなんだかよくわからんモード)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf

でもって今回(URL再掲)と来たわけですが
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240426a.pdf

声明文には今後の金融政策運営の話がないわ、と思ったらよくよく見たら展望レポートの方に記載があって、最後のところに記載がありますよね。

・・・・・ということで今朝は取り急ぎその比較でもアップしようかと思いまして。


・先行き金融政策運営に関する文言の変化を見てみましょう

まずは前の枠組みだった1月を比較しやすくなるので出してみる。

『日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。

「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。』(1月声明文)

後半がいわゆるフォーワードガイダンスと緩和バイアス文言(躊躇なく云々ね)。前半は「粘り強く金融緩和を継続していく」という説明をしていますよね。そらまあQQE+YCC+マイナス金利政策の枠組みだったからこうなるんですけど。


でもって3月の枠組み変更でこれがどうなったかというと、声明文項番1の後半になります。

『日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する1。現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』(3月声明文)

脚注1はオーバーシュートががコミットメントの廃止についてです。

金融政策の先行き運営に関しては「経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する1。」となっているのですが、そこに「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」とあります。

何回かアタクシこの駄文で書いたこの「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」というそもそも主語が何だかわかりにくい(英文だと「日銀は予想する」になっている)のがあって、じゃあこの文言は枠組み変更前のように「2%物価目標達成のために積極的に金融緩和を推進する」という意味になるのか、というとここだけ取り、かつ「日銀は予想する」の英文見るとそうじゃないよね、となるのですが・・・・・・・

ここで話をさらに曖昧にするのはこの前段のところに「日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する1」というのがあることでして、ここの文章をどう読むか、というのが面倒でして、字面通りに解釈すれば「情勢に応じて適切に」なのでコンディショナルな文言でデータディペンデントっぽくも見えるのですよ。

ですから実際の情報発信において、この「データディペンデント」を中心に説明すれば、3月以前の「緩和バイアスの掛かった政策運営ではない」ということになるのですが、その後の植田さんの説明を聞いていますと、「2%達成のために緩和政策を継続する」という説明になっていました。

例えば3/19記者会見ですと最初は声明文文言通りの説明だったのですが、途中で
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240321a.pdf

3ページ中段の質疑応答でこのような説明を植田総裁は行いました。

『従って、物価・経済見通しに従って適切な政策金利水準を選んでいくということになると思います。ただし、その際に、現状、2%の物価の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至ったと申し上げましたけれども、例えば予想物価上昇率というような観点からみてみますと、まだ 2%には多少距離があるということですので、そのギャップに着目しますと、先ほどの普通の金融政策を行ううえでも、緩和的な環境を維持するということが大事だという点は留意しつつ、普通の金融政策を行っていくということになるかと思います。』(この部分のみ直上URL先2024/03/19植田総裁会見より)

ここにあるように「緩和的な環境を維持することが大事」という話になりますと、これは3月声明文の表現からは緩和バイアスに踏み込んだ説明になるわけです。

そうなりますと受け止める方としては、ああつまり枠組みは変わったし、植田さん「普通の金融政策」とか言ってたけどまだまだ異次元金融緩和の延長戦なのね、という解釈になりやすそうな話だし、挙句に4月に輪番も減らない(むしろ市中発行減額に対応しなかったので事実上の増額措置を行った)という状況ですから、日銀のアクションそのものも緩和バイアスがあるんだな、とまあ思う訳ですよ、実際に日銀はその部分を明確化していないで曖昧にしたまま4月会合に突入したんですけど。

(野口さんもそうだけど野口さんはもともと緩和積極派なのでそこは個人の見解で整理可能)


でもって今回は金融政策運営に関しては展望レポート基本的見解の最後の部分に記載があります。『4.金融政策運営 』の最終パラグラフ、本文8ページ目(PDFも8枚目)

『金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高い。

以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになるが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。』(4月展望)

3月声明文と同じなのは「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」というのと、その次の「2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。」という部分ですね。

コンディショナル文言、と字面通りに読めば読める3番目の文(日本銀行は〜以下)の前に来ているのが、今回は前回と違って「見通し通りに推移すれば金融緩和の強度を下げていきます」っていうのがありまして、ここを明確化しまず方向性としてそっちだ、というのをより明確化したわけですな、前回声明文はそこがどっちなのか微妙でしたけれどもここを明確化。

しかしここで相変わらず中途半端なのが「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」でして、見通し通りに推移していったらいずれ物価安定目標は達成されるし、その時は当然ながら政策も中立的に近いものになっている筈(そもそも緩和がないと物価安定していない、というのは物価安定の達成ではないのだから)だけど、今はその遷移過程にあるのですよ、という話なのかが分かりにくいままなんですよね。

まあ野口審議委員の言い方を借りれば「緩和継続が必要条件」ということなのか、単純に政策の調整過程においてしばらくは緩和的ですわ、という話なのかがまあ今回も微妙ですけど、ただまあ前回の場合はその後の情報発信によってどちらかというと前者寄りっぽいものに見えてしまった訳ですが、じゃあ今回はどうなのかというと謎ですよね。

そこでこの文章の最初の部分が新しく入っていますが、「先行きの経済・物価・金融情勢次第であり」とデータディペンデントというのをこっちでも入れているんですよね。

すなわち、最初の部分と最後の部分で「データディペンデントでコンディショナルですよ」というのを入れているのですから、字面通りに解釈すれば「前回会合よりも緩和バイアスが下がっている」ということになる。というのが本来の解釈になるはずなんですよね。


・・・・・とはいえ、この後の情報発信と、長期国債買入は別に減らしませんという情報発信を見てしまうと、やっぱり緩和バイアスじゃねえか、というのもありまして、結局おまいらどっちですねんという話だし、まあ野口審議委員の「緩和は必要条件」みたいな話も飛び出すのを見ていると、この辺りって実は政策委員会のコンセンサスがちゃんと取れてないからこういう鵺みたいな文章を出して、その文言をちまちまいじりながら正常化バイアスを強めていこうとしてるんじゃないのかな、って思ったりもしました。

という個人の邪推をしたところで本日はショパンの事情でこの点だけで勘弁してつかあさい。







2024/04/26

お題「決定会合ですが政策金利示唆ではなくて国債買入の方でお茶を濁すのかあ・・・・/レポレートなどのメモ」

いやー決定会合ですねえ、と思ったら4月決定会合ということは大型連休じゃないですかヤダー

なお今日の決定内容の度合いによっては今週末に多少更新するかもしれませんがそこまで暇でも無かったりするかもしれないのでその際は勘弁してつかあさい(次の連休もありますし)

〇時事通信砲というほどでもないし円債だけ反応しても何かねえ

・時事が報道しているのだが今回は何か記事のディテール部分の造りが雑なんだよな

昨日の夜遅くにこんなのが出ましてですね(タイムスタンプよりもヘッドライン早かった筈)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024042501265&g
日銀、国債購入縮小の方法検討 事実上の量的引き締めへ移行
時事通信 経済部2024年04月25日23時20分配信

はいはい時事通信時事通信という所ですが。

『日銀が26日に開く金融政策決定会合の2日目の議論で、国債買い入れ縮小の方法を検討することが25日、明らかになった。3月にマイナス金利政策の解除など大規模緩和の正常化に踏みだしたが、国債買い入れについては減額を見送っていた。縮小すれば、日銀が保有する国債の償還ペースは、新規買い入れを上回ることになりそうで、国債保有残高を減らしていく事実上の量的引き締め局面へ移行することになる。』(上記URL先より、以下同様)

まあFED位の規模なら量的「引き締め」とかいうのかもしれないけど、日銀の場合はそもそも論としてこの世の物とは思えないバランスシートを抱えているんだから、保有国債の売却くらいやって初めて「量的引き締め」という言葉が似あうのであって、長期国債の買入量がちょっと減る位で引き締めとかいうのは引き締めに失礼ですwww

『日銀は3月に17年ぶりに利上げに踏み切った。しかし、国債の大量購入を続けて潤沢にマネーを供給する金融緩和環境を維持しているため、外国為替市場で円安が進む一因となっている。』

一般向けだからこうなるんでしょうけど問題なのは3月会合後の情報発信でして、

声明文で(敢えて英文の方を使ってみるが)
https://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf

「Changes in the Monetary Policy Framework」とフレームワークを変えたと言ってるのにハトハト踊りで長期国債の馬鹿買入を継続し、声明文では「Given the current outlook for economic activity and prices, the Bank anticipates that accommodative financial conditions will be maintained for the time being.」としか言っていないのに、金融緩和をまだまだ継続しますよというニュアンスの強いメッセージを出し続けて来たのが、日銀は金利上昇を恐れているから利上げなんかできない、という発想になって円売りしやすくなっているって事でしょうよとは思いますがそれは兎も角として、

『3月に政策変更を決めた際の声明文で、日銀は国債について「これまでとおおむね同程度の金額(月間6兆円程度)で買い入れを継続する」と明記。実際の買い入れは、市場の動向や国債の需給を踏まえて実施していく方針を示していた。』

月額6兆円は声明文本文ではなく脚注ですし、脚注に書いてあるのは「足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。実際の買入れは、従来同様、ある程度の幅をもって予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していく。」であって、6兆円程度買うとは書かれていません、正確に書いて下さい。

『25日に始まった今回の会合では、3月に決めた国債買い入れ方針の下で、実際に購入額を縮小していく方策を議論。日銀が公表している月間の国債購入予定額(約5兆〜7兆円)についても、引き下げを含め見直す可能性がある。』

この先引用すると全文引用になるので以下引用割愛しますけど、「25日に始まった今回の会合では、3月に決めた国債買い入れ方針の下で、実際に購入額を縮小していく方策を議論。」ってのも良く考えたら不思議な話で、だったらそもそも何で長期国債の買入(フローでもストックでも良いけど)についてディレクティブに記載していないのか、という話になる訳でして、ディレクティブで記載するなら「次回決定会合までの長期国債買入額は月額換算で何億円(または日銀保有国債残高が四半期平均でこれだけ減るような)ペースで行う」と示すべきであって、何でこの前「政策金利は次回会合までなのに国債買入は6月末までの買入を勝手に市場局が示したのか」という事になるんだが。

ということでだな、まあ前回は長期国債買入を殿軍にして他の施策をバサッと削るために長期国債買入の建付けを曖昧にして、買入をへらさんことによって長期金利急騰を回避したかった、というのはまあ気持ちはわからんでもない(市場動向読めていないというのがダメなのだがそれはさておき)のですが、今回の会合では長期国債買入の位置づけをもっとキチンとして頂きたいですし、そこでちゃんと建付けをしっかりして頂けるんならまあエエンとチャイマスカねとは思いますがさてどうなるやら。


・なお債券先物はさがっているものの肝心の為替ちゃんは

ほいな
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/future_night
先物価格情報

長期国債先物
限月:24年6月限
取引日:04/26
夜間取引

始値:144.15(04/25)(15:30)
高値:144.15(04/25)(15:30)
安値:143.61(04/25)(23:10)
現在値:143.80(04/26)(04:30)
取引高:19,671

ってこれ引け前に取っているので夜間取引終了時は別の値段かもしれませんが、まあこんなもんでっしゃろということで勘弁してもらうとして、安値2310ということで、先ほど申し上げたように時事の記事自体は詳報付きでアップデートされたのがちょっと後の時間になっているのですが、実際には時事のヘッドライン受けて先物が下がった筈なのでまあそういうことです。

昨日の日中の引けからは35銭下がっておりますがな、ということで円債ちゃんは流石に反応したのですけれども、為替ちゃんの方はというと、アメリカン長期金利が上昇したせいなのかこっちの発言のせいなのか知らんけど普通に155円半ばとかいうチャーミングなお値段で推移されておられるようで、まああのハトハトチキンがハトハトチキン音頭を踊りだすと全部台無し、という流れを完全に断ち切らないと円金利だけ上がって為替は全然反転しない、とかいう空砲事案になる(まあこちとらマイナス金利解除しているのに金利が上がらんじゃあ商売の方はあがったり(ダジャレではない)にも程があるのでドンドン正常化して欲しいので大歓迎ですけど)という実にオシャンティーな事になりそうで今から楽しみです。

ということでイエレン
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/JC42KLOZJVMIFHFCOARFCEU534-2024-04-25/
〔ロイターネクスト〕為替介入はまれな状況でのみ容認=イエレン氏
By ロイター編集
2024年4月26日午前 4:29 GMT+9

『[ワシントン 25日 ロイター] - イエレン米財務長官は25日、ドル高は米経済の力強さと高金利を反映しているとし、各国政府による為替市場への介入はまれな状況でのみ容認されると述べた。』(上記URL先より、以下同様)

これは神田大明神も涙目と言った所でしょうかしら、知らんけど。

『ロイターとのインタビューで、ドル高は「米経済の力強さと金利水準」を反映していると指摘。ただ、日本円の現在の水準に関する見解は述べず、日本当局による介入の可能性についてもコメントを控えた。』

だそうなんですけど、これもうちょっとうがった見方をしますと、イエレンさんとしては日銀がハトハトチキン音頭を相変わらず踊り続けて金利上昇を抑制しているのに通貨当局が介入するとか言うのは許さん、と仰せになっているという風にも読めます(個人の勝手読みにも程がありますので念のため申し添えます)訳で、利上げとか利上げ予告ホームランくらいに明確な動きをしてからお前ら介入云々考えろやヴォケが、と言われていると(勝手に)読みますとこれは大明神も泣き崩れる展開ですねわかります。

『一方で「全ての主要国に期待するのは、為替レートが市場で決定されるということであり、これは主要7カ国(G7)のコミットメントでもある」とし、市場の混乱や過度の変動に対処するための市場介入がまれにしか行われず、かつ事前に協議されることを確実にすべきとした。』

とある訳で、これどこからどう見ても介入できないじゃんって読めてしまうのですが、介入するなら今日利上げするか6月利上げ予告ホームランでも打たないとアメリカ様がお許しにならないんでしょうかということで謹んでお悔やみを申し上げますナムナムナム。


〇なお日経は冷静な記事が出ているだけのようですな

日経さん
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB24BHE0U4A420C2000000/
日銀、26年度物価上昇2%程度を提示へ きょう決定会合
金融政策
2024年4月26日 5:00 [会員限定記事]

5時のタイムスタンプでこれという事は今朝の記事はこれ以上のものはない筈ですね。

『日銀は26日に金融政策決定会合を開く。会合後に初めて示す2026年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)の前年度比上昇率は2%程度となる見通しだ。低金利が円安進行の一因になっているとの指摘もあるが、日銀は3月会合でマイナス金利政策を解除したばかりで、市場関係者の多くも金融政策の「現状維持」を見込む。

植田和男総裁が26日午後に記者会見し決定内容を説明する。』(上記URL先より、以下は有料会員記事)

いや別にべき論で言えば今日利上げしろと思う訳ですが、どうせあのハトハトチキンがそんな蛮勇振るえないだろというだけの話なんですけどね。

というのは兎も角として、まあ日経もこう言ってますし、別に金利の方に手をつけたり、利上げやる気満々みたいなメッセージは出なくて、これうっかりすると長期国債買入の減額云々をしても「緩和的な状況は続けます」「利上げは極めてゆっくりとしか行いません」のメッセージの方が強くなるんじゃなかろうか、という気はするんですよね、知らんけど。


でもってまあとにかく最近の説明はこの前のマイナス金利解除が「2%物価目標達成の確度がより高まった」という「確度が高まる高まらないというお気持ち」の世界で実施されている上に、直近では「基調的な物価が2%行ってない」「インフレ期待が2%行ってない」の説明もだいぶ加わるようになっていまして、もはや物価見通しベースは政策反応関数に非ずくらいの勢いになっています、「賃金と物価の好循環」の連呼が控えめになっているということはこれ即ち今後出て来る今年度春闘の詳細な結果に関しても徐々に知らんぷりしますよ、という事を意味しているのでして、つまりは展望レポート見てもほぼ政策インプリケーションは得られない、というかなりトンデモナイ流れを作りつつあるんですよ今の日銀って(個人の偏見ですので念のため申し添えます)。

なので26年度の見通しが2%だろうと何だろうとシランガナというのが今回の展望レポートのミソともいえる訳でして、何ですかその政策運営はとは思いますが、まあそういうことやぞという認識で今回の会合を迎えるのが吉なのではないかと思います。

いやまあこれで今日利上げとか6月利上げ予告ホームランとかしたら感動しますけどね。


・・・・・ということで今回は何か長期国債買入についての微修正に留まる、ということになりますと、それは円債方面では需給に影響してくる話なので影響するのですが、他市場的にはシランガナという感じになるんじゃねえのと思うのですがどういう反応になりますかね〜。



〇まあ曜日アノマリーというか単に新発要因とその剥落なんすかねえ(TKRR)

まあ東京レポレートも11時時点の気配値の集計だからその日の最終時点になっていると状況が異なるのですけどこれしか表に出てくるの無いからな〜ということで。

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/23 0.060 0.068 0.041 0.041 0.038 0.037
2024/4/24 0.057 0.031 0.035 0.036 0.035 0.033
2024/4/25 0.004 0.013 0.029 0.031 0.033 0.034

あらあらトモネGC1.3bpだわオーバーナイト殆どゼロまで急落だわ、ということで、オーバーナイトもエラ下がりしているんですから昨日もそうですけど一昨日の後場もという感じなんですかね。

まあ木曜のトモネは今回連休あるので土日+1日だから資金運用サイドの圧力が強いと金利がダダ下がりしてしまう(逆もあり得るがこの量的大緩和のご時世だと中々ね)の巻という事で、まあ結局のところ新発3Mの発行要因で瞬間的には在庫が重くなるマーケットメーカー(およびそれを見越した動き)で金曜の東京レポレートは上昇する格好になり、在庫がバッシバシと捌けていくとレポレート下がりやすくなる、ということなのでしょうかねえ知らんけど、ということですが、そうなりますと本日の場合は新発3Mの入札が無い(次回は5/2)ので、東京レポレートはアガランチ会長、ということになるんでしょうか、とまあ興味津々ではあります。どうなるんでしょ。


あと昨日書くの忘れてましたが、

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240424.htm

CP等買入 9,122 3,990 0.120 0.154 46.0

水曜のCP買入は0.154%平均の0.12%足切りになっていまして、前回の4/10にオペのオファーがあった時は

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240410.htm

CP等買入 9,162 3,985 0.100 0.129 6.7

平均0.129%足切り0.10%(極薄按分)となっていましたので、レートの方は明らかに上昇という所ですが、CP発行レート自体は足元は運用圧力の方が強そうな感じもせんでもないのですけど、まあ既存の玉自体は今月前半から中盤にかけてということになるからこんなもんなのかもしれませんけどこれまたよくわからんのでとりあえず備忘で書いておきます。


まあ色々とございますが、利上げ予告ホームランでも出てこないと、そう面白展開になるようなこともなかロッテと思うのですがどうでしょうかね。






2024/04/25

お題「基調的物価や期待インフレで定量勝負をしない方が良いと思うんだが(決定会合プレビュー世間話)などなど」

さあもりあがってまいりました!!!!!!!!!!
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB15BOK0V10C24A4000000/
円、34年ぶり155円台に下落 高まる介入警戒感
グローバルマーケット
2024年4月24日 21:17 (2024年4月24日 21:23更新) [会員限定記事]

介入する→結局介入効果長持ちしない→日銀に遂に着火する→「待つことのリスクは大きくない」という昨年の名言が蒸し返される→植田総裁(日銀とは書かずに植田総裁と書くのがミソ)地獄の業火に焼き尽くされる

までのセットでオナシャス!!!!


〇という訳で決定会合ですがそういえば最近急に基調的な物価を連呼するんだが

昨日もちょっと雑談書いた続きの雑談ですいませんですけどね。

https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm
基調的なインフレ率を捕捉するための指標

全国CPI出たんで出てきた訳ですが、例によって左から刈込平均値、加重中央値、最頻値の前年比%ですな。

Jan-23 3.1 1.1 1.6
Feb-23 2.7 0.8 2.1
Mar-23 2.9 1.0 2.7
Apr-23 3.0 1.2 2.8
May-23 3.1 1.4 2.9
Jun-23 3.0 1.4 2.9
Jul-23 3.3 1.6 3.0
Aug-23 3.3 1.8 3.0
Sep-23 3.4 2.0 2.8
Oct-23 3.0 2.2 2.6
Nov-23 2.7 1.7 2.4
Dec-23 2.6 1.6 2.4
Jan-24 2.6 1.9 2.3
Feb-24 2.3 1.4 2.0
Mar-24 2.2 1.3 1.9

とまあそういう訳ですので、一頃のピークからは落ち着きましたなっていう風情になっているのですが、ゆうて2%じゃんとか思いますし、そもそもその前って

Jan-22 0.8 0.2 0.3
Feb-22 1.0 0.1 0.3
Mar-22 1.1 0.2 0.3
Apr-22 1.4 0.3 0.4
May-22 1.5 0.4 0.5
Jun-22 1.6 0.5 0.5
Jul-22 1.8 0.3 0.7
Aug-22 1.9 0.5 0.8
Sep-22 2.0 0.5 0.9
Oct-22 2.7 1.1 1.3
Nov-22 2.9 1.2 1.5
Dec-22 3.1 1.4 1.6

だった訳で、黒田末期の1年間のまあ初期段階では「まだまだ基調の物価は強くない」って言い張れたと思いますが、どっからどう見たってこんなの基調が変化して定着してきているだろう以外の何物にも見えませんよね。


でもって基調的な物価と言えば展望レポートでもちゃんと図表付で解説があってですね。

展望レポート全文の方
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401b.pdf

本文29ページ、PDFだと31枚目(以下本文とPDFページの関係は同じなのでPDF何枚目と書きますね)からが『2.物価の現状と見通し 』なんですけど、

32枚目からこんなのがありまして、

『消費者物価の基調的な動きを捕捉するための指標をみると(図表 38)15, 16、刈込平均値は、前年の値上げの影響が一巡するもとで、2%台半ばのプラスとなっている。一部品目の動きに左右されにくい最頻値や加重中央値については、それぞれ、2%台半ば、1%台半ばとなっている。除く生鮮食品を構成する各品目の前年比について、上昇品目の割合から下落品目の割合を差し引いた指標をみると、「上昇」超幅は小幅に縮小している(図表39)。』

ということで右側に図表38と39がありますが、これは毎度おなじみのさっきの基調的な物価を把握するための指標の図表として出ているものと同じものになりますわな。

『この間、内需デフレーターの前年比は、2%台半ばとなっている(図表 35)。内訳をみると、個人消費デフレーターは、前年比で3%程度となっている。設備投資等のデフレーターは、幾分鈍化しつつも、高水準の伸びを続けている。GDPデフレーターの前年比は、内需デフレーターが幾分鈍化しつつも高めの伸びを続けるもとで、既往の原油価格高の影響の減衰などを反映して輸入デフレーターが前年比マイナスとなっていることから、足もとでは5%台前半となっている。』

ということで、図表35ってのはPDFの31枚目の右の一番上に『図表35:物価関連指標』としてあるものなんですよね。

・・・・・・・・・いや真面目な話、こういうのだけ並べてて「基調的な物価は2%に達していない」と言われましても定量的な説得力というのものが無い訳です。ただまあこれまでの日銀の説明ではあまりこの「基調的な物価」を前面に出していた訳でも無くて、「賃金の持続的上昇」から「賃金と物価の好循環」というメカニズムを前面に出して政策判断の根拠を説明してたから、まあそれはそれで(好循環とか賃金ターゲットとかアホなのかという議論はさておきますと)話としての筋だけは通っているんですよ詭弁かもしれないですけど。

然るに、最近の植田さんの国会答弁をみているとやたらとこの「基調的な物価が2%行ってないからまだ政策修正のおかわりは時期尚早」的な話をしているように見えるんですが、どっからどう見てもそれは説明がドツボに嵌るコース確定な訳で、そういう話をしていると「じゃあ基調的な物価が幾らであるという定量的な説明をお願いします。あと我々も日銀の政策判断の根拠を理解しておきたいからその基調的な物価の計算方法を教えてください」って言われたらどう返す積りなのでしょうか。

まあですね、急に出てきた「基調的物価」なんですけど、賃金が想定以上に上振れてしまって「賃金と物価の好循環」で政策再修正を先送りすることが出来なくなった、という理由に加えて、前述のように「やっと実際のCPIの数値が落ち着いてきたからこの数字を政策再修正先送りの説明に使える」というしょうもない何時ものその場凌ぎ説明のために前面に出して来た、といういつものゴールポスト変更でしょ、としか黒田日銀末期以降の芸風を見ていると思えない訳ですし(個人の感想です)、そうやってゴールポストの変更を画策している(個人の見解です)ような植田総裁からそんなホーキッシュな発言出る訳ないじゃんとか思いっきりタカを括っているし、なんならそれで円安ぶっ飛んで植田さんが丸焦げになる方がどう見ても面白展開になるのでそっちでオナシャスな所ではありますが、この「基調的物価が2%行ってない」の言い訳は突っ込まれ所が大杉なので使わない方が良いと思うだけどなあ。

いやね、メカニズムに話を持って行って定量的な話にしなければ基調的な物価がどうのこうのというのはそのメカニズムの事です、っていう形で説明できるんですけど、2%という定量的な数値という誤魔化しの効かないものを言ってしまうのは植田さん何言ってるのと思いますし、振付師がそういう振り付けをしているんだったら下手くそにも程があるのですけど、まあこの基調的な物価って何ですかってなもんですよ。



でまあ同じ理屈で「期待インフレ」なんですけどさっきの1月展望レポート全文のPDF33枚目に『(物価を取り巻く環境) 』から始まる部分があるのよね。

『先行きの物価情勢を展望するにあたり、物価上昇率を規定する主な要因について点検する。(以下「第一」の「マクロ的な需給ギャップ」の話があるけど引用割愛します)』

『第2に、中長期的な予想物価上昇率は、緩やかに上昇している(図表 41)。短観の販売価格判断DIは、ひと頃と比べると低下しているが、引き続き高水準となっている(図表 42)。短観における企業の物価全般の見通しも、短期は幾分低下しているが、中長期については、引き続き高水準となっている。(以下割愛)』

でまあこれなんですけど、

『図表41:予想物価上昇率』ってのがあって最初が『@各種調査』なんですけど、

『・市場参加者(QUICK、2年先〜10年後までの8年間)
・エコノミスト@(6〜10暦年先)
・エコノミストA(7〜11年度先)
・家計(生活意識アンケート調査、今後5年間)
・企業(短観、5年後)』

ってのがあるんですけど、ずっと下に外しまくっているESPフォーキャストとかコンセンサスフォーキャストとかのポンコツ予想を並べ捲っているのがもうその時点でアレですし、『家計(生活意識アンケート調査、今後5年間)』でプロットされている数字が妙に低くて、脚注を見ると『2. 家計は、5択選択肢情報を用いた修正カールソン・パーキン法による。』ってなっているんですが、その結果の数字のプロット見ると1%台前半の数字とか言う直感的に信じがたい数字になっているんですよね、これどうやって計算してるのかしら????

いやまあ生活意識アンケートのインフレ見通しの数字に情報バイアスがあるのは分かるんですけど、長期時系列でみて2005年辺りと2013年辺りと今とが全部同じくらいってのは流石にどうなのかという結果になっていて、結果としてこの「予想インフレのサーベイ調査」では何と「企業(短観、5年後)」だけが2%に乗っていて後は全部2%行ってないという大変に面白い結果になっておられます。ついでに『ABEI』とありましてさっきのと並列してるのが物国BEIというのも誠にアレではございますな。


ということで、植田さん予想物価上昇率に関しても2%行ってないみたいな説明を良くしているのですが、そもそもお前その計測本当にそれでいいのか問題が生じる訳で、これがまだメカニズムで説明じゃないですけど、予想物価上昇率は上がってきているが2%でアンカーされているかどうかという点についてはこれまでの長期間のゼロノルムの影響が強かったこともあるので今しばらく見極めたい、みたいな説明にすりゃいいのに、「2%行ってない」とか数字をだしてしまうと、こちらもまた「では日銀は今の時点で予想物価上昇率をいかほどで見ておられるのでしょうか」って聞かれるとどうするのって話なわけよ。

これが例えば中立金利に対して足元の金融政策はどの程度緩和的か、みたいな話なら定量的な話を全部誤魔化しても「現在の状況が緩和的であることは誰も疑いないと思います」で済みますけれども、予想物価上昇率とか基調的な物価の話しって、そもそもCPIが2%を上振れて何か月経過しているんだという状況にあるんだから、そこを定量で勝負しに行ったらツッコミどころ満載でボロがボロボロ出るだけじゃん。と思うのに何で植田さんはあんなに自信満々に基調的な物価も期待インフレも2%行ってませんとか定量勝負しちゃうのかが良く分からんです。アタクシが振付師だったら定量で勝負はさせないけどな〜〜って思います。


・・・・・・ということで、まあ明日のプレビュー雑談的には「どういう屁理屈を繰り出してくるか」というのが興味あるのと、植田さんはどうせホーキッシュな事を言えないし、言った側から両論併記のつもりでハトハト小唄を歌いだして台無しにするから楽しみだなあ(棒読み)という所でございますか。

いや為替受けて急に利上げとか断固たる国債買入大減額とか言い出したらビビるけどw



〇これは曜日性なのか何なのか

東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/23 0.060 0.068 0.041 0.041 0.038 0.037 0.052 
2024/4/24 0.057 0.031 0.035 0.036 0.035 0.033 0.051 

何か知らんけど昨日はトモネが下がって1Mは変わってないけど短めのタームはやや引っ張られた、という格好になっているのですが、これ先週も

2024/4/16 0.044 0.041 0.046 0.047 0.045 0.039 0.050
2024/4/17 0.036 0.019 0.032 0.035 0.037 0.032 0.051

ってなっていまして、水曜になるとトモネのレポ金利が急に下がらないといけないカレンダー要因があるのかしらとは思うのですが。なんせTKRRどマイナスの時は正直そんなに気にしてなかったのですが、水曜日ってちょっと動く場合もあるな、と過去データを今ちょっと物凄く目の子で見てて思ったのですが、別に水曜に金利が下がるとかそういうもんでもなかった(上がった(マイナス縮小)りしてたし)ので、これはプラス金利になってからの現象なのか、たんなる偶然なのかはよくわかりましぇん誰か詳しい人いませんでしょうか(って質問箱じゃないですねサーセン)。


でまあ曜日性のような気がするのは短国の売参ちゃんを見ますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

基本的に昨日の引けって短国では特に変わった動きをしている訳でもないので、なんか短国に物凄い買いでも入って需給がひっ迫したとかそういう話でもなさそうには思えたのですが、この2週連続水曜日のGC現象は何なんですかねと?????が募るのでありました。


〇そういえば企業向けサービス価格指数って長期的に上がっているんですね

https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cspi_release/sppi2403.pdf
企業向けサービス価格指数(2024年3月速報)

今回はなんと

『付. 2023年度中の企業向けサービス価格指数の動向
 (特別掲載)年度指数(総平均)の長期時系列』

ということで付録付きなのですが、この「(特別掲載)年度指数(総平均)の長期時系列」というのが大変にお洒落でございます。図表を貼るスキルが無いのでまあ上記PDFをみてちょ、という話ですけど。

1ページ目の下に『(指数推移)』ってのがありますが、その凡例「企業向けサービス価格指数・総平均」を見ますとなんかいい感じで実は長期的に着実に上がってはいるんですよね(途中消費増税の影響でグニャっと上方シフトしている場面を除けば割とコンスタントに)。


でまあここで先日の野口審議委員の佐賀金懇を思い出すわけですが、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240418a.htm
わが国の経済・物価情勢と金融政策
佐賀県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2024年4月18日

『(3)「賃金と物価の好循環」確認のための二つの注目点』の頭にこんな記述があります。

『現時点の日本経済で最も重要なのは、いうまでもなく、物価・賃金のゼロノルムを払拭し、「賃金と物価の好循環」を可能な限り早く実現することです。そのためには、少なくとも以下の二点の確認が必要です。第一は、サービス価格が着実に上昇し続ける状態が復活することです。第二は、製造業でもとりわけ中小企業において、賃上げの販売価格への転嫁がスムーズに進展していくことです。』(この部分直上URL先2024年4月18日野口審議委員佐賀金懇挨拶より)

企業向けサービスは着実に上がっているという長期時系列を見てこれを思い出してしまいました。いやまあ企業向けサービスと消費者向けサービスは違うんで別に揚げ足取りに行ってるわけではなくて、こういう状況でしかもグラフの数値見たら上げ幅は以前よりも強くなっている訳ですから、これは早晩消費者向けのいろんなもんに影響する話ですよねとか思ってしまいました(企業の原価にも関わる話ですもんね)、まあ消費者向けサービス価格に影響するのかはまた別の話だと思うのですけど。







2024/04/24

お題「金曜の会見が今から心配で仕方ない昨日の国会/GCとか交付税6Mとか2年入札のメモ」

とりあえず日経ちゃんと読売ちゃんをみたが変な抜き記事はないようですね。

〇でまあ金曜の会見が悪目立ちしそうなんだが

そういや昨日は国会で植田さんの委員会質疑があったようですが。

https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/TOI7ST6FYRP2JANBDQ2AO3WZDU-2024-04-23/
基調的な物価、2%に向けて上昇なら金利引き上げていく=日銀総裁
By 和田崇彦、 竹本能文
2024年4月23日午前 11:54 GMT+9

『[東京 23日 ロイター] - 植田和男日銀総裁は23日の参院財政金融委員会で、先行き、基調的な物価上昇率が日銀の見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、金融緩和の度合いを調整し、短期金利を引き上げていくと述べた。物価・経済見通しやリスクが変化すれば、政策変更の理由になるとも話した。ただ、金利変更の時期や幅については、予断を持っているわけではないとした。』(上記URL先より、以下同様)

ということでまあ穏当な書き方になっているのですが、実はこれロイターさんこの記事って当初のヘッドラインは上記記事で紹介されている答弁の中の「物価・経済見通しやリスクが変化すれば、政策変更の理由になるとも話した。」の方がヘッドラインになっていたんですよね。

まあ結局はヘッドラインバイアスだったのですが、当初そのヘッドラインでの記事だからってヘッドライン引用した形で別のベンダーさんとかでも記事紹介されてたりしてて、「ちょっとまって植田さん植田さん、そもそも見通し通りに推移したら短期金利は引き上げになるんじゃないの(見通しは「今後2%物価目標に向かって進む」としているのだから)」とツッコミを入れておった次第なんですねアタクシ。

ということでまあ国会中継ちゃんと見てろというお話ではあるのですが、これ植田さんの説明もどういう文脈なのかわからないけど不親切というか余計というか切り取られリスクを意識してないというかな訳で、そもそも論として「この先経済物価情勢が我々が示した見通し通りに推移すれば徐々に金融緩和の度合いを弱くしていきますそれは短期政策金利の引き上げによって実施します、ただしその速度や幅については現時点でお示しできる状況ではありません」という話なのであって、「見通しが〜」ってのは明らかに余計な発言なわけで、こういうのを言ってしまうのが植田さんの悪い所で、こういう余計な発言が切り取られてフレームアップしてしまうから市場がそれ見て反応しちゃうし、そういう市場の反応を火消ししようとして逆の発言をするもんだから言ってることが凄まじくブレブレになっているようにしか見えないし、「不規則発言と市場の悪循環」が高速大回転しておられるようにしか見えない訳です。

・・・・・ていうかですね、わざわざ言わずもがなの「物価・経済見通しやリスクが変化すれば、政策変更の理由になる」って言ってるのって実はこれが植田さんのハトハトチキンな本音がダダ漏れしたものであって、実際には見通し通り推移しているから短期政策金利上げますっていうのにビビっているんじゃなかろうか、とまあそんな邪推もしたくなるわけで、とにかくまあどうでも良いからお前は公式見解以外喋るなという事で金曜に向けて植田さんの余計な発言に不安しかありませんですわよ。


しかしまあ何ですな、こちらの記事によりますと

『植田総裁は先週19日、訪問先の米ワシントンで行った講演で、基調的に物価が上昇し続ければ金利を引き上げる「可能性が非常に高い」との考えを示した もっと見る 。米国での記者会見や講演での一連の発言について植田総裁は「特に新しいことを話したというより、先々週までの記者会見や国会で話してきた内容をもう一度丁寧に説明した」と述べた。』

確かにそんなに新しいことを言った訳でもなさそう、というのはまあそうなんでしょうけれども、どっからどう見ても当初言ってた事からトーンを軌道修正してるようにしか見えない訳でして、これ植田さん頭が無茶苦茶良いもんだから多分ワシのようなアホアホさんの挙動が読めないのだろうなとは思うのですが、丁寧に説明しようとしてドツボに嵌っている、というのがあるのと、さっきの「見通しが変化すれば云々」にありますように、たぶん根が正直者だから言葉の端々から本音がダダ漏れしてしまう、というのに問題がある訳ですわ。


・・・・・・という訳で金曜を迎えるということになる訳ですが、アタクシもさっぱりコンセンサスが分からんのですが、たぶん円債の人って会見での発言トーンがハトハト音頭の緩和節一辺倒ではなくなって、ちゃんと今後は利上げだって国債買入減額だってするんだよ見通し通りに推移すれば、位の発言が出てくればそれでまあ順当って評価だと思うのです。

ただ、為替市場のベンダーニュースで出て来るコメントとかを見てると、なんか他市場、特に為替市場様の方ではもっと威勢の良い発言を期待しているんジャマイカという気がするのですけれども(個人の印象です)どうなんでしょうかね、と思う訳ですよ。もしアタクシの妄想があっているとなると、いつものように植田さんが丁寧な説明の積りで微妙に本音ダダ漏れ系の発言を交えて両論併記をしちゃうと、それだけれ「やっぱり日銀はダビッシュだぜ円売りヒャッハー」となりそうな悪寒がだいぶするんですよね、たぶん足元の円安ってドル高のせいでもありますけど、やっぱり「日銀は財政従属状態で利上げが出来ないから通貨の信認は上がることはないし下がってウヒョーの可能性もあるで」という円の売り方に見えて仕方ない(だから昨今のドル円見てると気持ち悪いことこの上ない)ので、まあ植田さんがちゃんとそのハトハトチキンの本音(かどうか知らんけどアタクシにはそう見えてしまう)を封印して、きっちりと本来すべき話を行って頂きたいですが、まあ無理だろうなあと思って戦々恐々とするのでありました。


いやまあ円安ぶっ飛んでしまえば日銀の「通貨防衛利上げ」が近くなって来るからそれはそれで見たい気持ちはあるが、そんな時にはこちとら舶来品を買えない世界になりかねないので勘弁して頂きたいものであります。

しかしこの植田さんの円安放置の不手際、本来はアベノミクスの答え合わせが今まさに行われている訳なのですが、このままだと「待つことのリスクは大きくない」とか言いながら円安を助長した植田さんの不手際という事でアベノミクスのせいにならなくなってきそうなのがさらにムカツク所ではありますし、黒ちゃんったら為替のこのテイタラクが起きるリスクを勘案して私の履歴書を物凄い勢いで出したんだったら流石だわと思うのでありました。


あ、そうそう。それから最近植田さん「基調的な物価」っていうのをやたら連呼するようになったんですけど、基調的な物価ってなんですかそれ数字と計算方法出してくれませんかねえ・・・・・・・・・・


〇GCレートやっとちゃんとした水準に近付いてきたのかしら&交付税特会6M借入結果

という訳でいつもの東京レポレートしかGCって出てるもんが無いので(さすがにこれはベンダーの市況解説とかでも出てこないわな)

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/18 0.026 0.015 0.028 0.031 0.029 0.026
2024/4/19 0.033 0.043 0.031 0.031 0.031 0.030
2024/4/22 0.054 0.068 0.042 0.038 0.036 0.034
2024/4/23 0.060 0.068 0.041 0.041 0.038 0.037

先週水曜木曜に下がったあと短国発行日要因(と思われる)で金曜のトモネが上がった訳ですが、その後も月曜火曜とトモネのレートが高め(というほど高くはないが今までがクソ低いので高く見えてしまいますな)に推移でござるの巻でして、新発3Mの入札が事実上1週間飛ぶので月末に向けて需給どうなんでしょとか単純に思っていましたが、マーケットメーカーの在庫が多いのか何だか知らんけど足元GC確りしてきて、結果金利弱含みになっていた1M辺りの気配も戻ってきているようで、短い所の国債がハイパー別世界になっているのが是正される傾向になるのでしたら非常に結構な事ではありますな。


でもって昨日の交付税特会6M

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240423.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果

『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。


1.借入根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項
2.借入日    令和6年5月2日
3.償還期限  令和6年11月5日
4.償還方法  令和6年11月5日に一括償還
5.借入利率競争入札について  
(1)応募額      7兆2,906億円
(2)募入決定額    1兆2,990億円
(3)募入最高利率     0.115%
(4)募入最高利率における案分比率  89.0232%
(5)募入平均利率    0.112%

(非競争入札が毎度のように今回も10億円入っていますので総額はきっちり1.3兆円になります)』

ということで、11月に償還の来る短国だと前に出た1年短国の成れの果てしかないので、そもそもそのようなオールド銘柄だとポート(というか担保玉というか)に沈んでて流通玉あるのか問題がありましてアレなんですが、10/21のTDB1189も11/20のTDB1195も売買参考統計値を見ると6bpになってて、まあこの差が「国債のモノとしてのプレミアム」と「国債の相対的な流動性の高さを反映したプレミアム」という事になるんですけど、5bpっていうと少なく見えるけど利回り2倍だと思うとヘソが茶を沸かすという水準な訳でして、この辺りの価格形成に関しても政策金利が25bpになってから真のスプレッドが見えて来るでしょうし、その時のスプレッドがそこれこそ今の2倍半になるのか、はたまた差分が横滑りするのか、とか個人的には興味深いことになりそうんですなとは思うのでした。

なお交付税特会6Mのレートですが、

4/23入札分:平均0.112%、最高0.115%
4/11入札分:平均0.107%、最高0.115%
4/05入札分:平均0.107%、最高0.110%
4/03入札分:平均0.097%、最高0.110%

ということでじりじりとレートの方は上昇しているのですが、これ足が後ろに来れば来るほど利上げの影響が加味されるかも、と言いたいですけど、まあ10月利上げだと昨日の6Mで初めて10月展望越えのテナーになっていますので、これはつまりまだそういうのは織り込みにくい(そりゃまあ国債の金利がこれですとね)という事ではあるのかも知れませんな、知らんけど。


まあ昨日の2年国債だって

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20240423.htm
2年利付国債(第460回)の入札結果

『本日、2年利付国債(第460回)の価格競争入札、非競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号  利付国庫債券(2年)(第460回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項

3.表面利率   年0.3パーセント
4.発行日    令和6年5月1日
5.償還期限   令和8年5月1日

6.価格競争入札について
(1)応募額      7兆2,939億円
(2)募入決定額     2兆955億円
(3)募入最低価格    99円98銭5厘
(募入最高利回り)(0.307%)
(4)募入最低価格における案分比率  65.7448%
(5)募入平均価格    99円99銭4厘
(募入平均利回り)(0.303%)』

つーことで堂々の0.3クーポンアンダーパー入札となりまして、これ自体はベンダー集計ベースの足切り予想水準と同じだったので落札結果自体で長い方になんか大きく影響したということでもなさそうではありますが、まあ2年の0.3%ってよくよく考えたら年内に利上げが行われてその後順調に1%に向けて徐々に金利が上がっていく、と計算すると利回り足りなくねえか、と思うのですが、今回の正常化局面でそもそも0.5%で止まる訳もないでしょ(と田村審議委員の金懇では田村さんが仰っているようなもんですが実際に中の人達がそういうコンセンサスであるという保証はないのが悲しい所ですけどね)と思うのですが、まあそういう意味ではハトハト金利パスしか織り込んでいない状態なのか、モノとしての短いゾーンの国債需要が強いのか、というのが判然としないのがこの辺りの(短国もそうですけど)国債の金利水準を評価するときに困る問題でありまして、まあ要は貸増を始めとする各種長期オペってマジで邪魔なのですがこれを途中で期限前返済しろとは言えない以上、長期国債のバランスシートの方の縮小って急務じゃないか、というのがまあ始まってみて見えてきたと思うので、MPMではその辺もちゃんと議論してほしいものです、どうせまともに議論しないでしょうけどw

てな訳で本日はショパンの事情で簡単メモ状態になってしまいまして恐縮至極ですがこれで勘弁してつかあさい、あ、そうそうそういえば今日は今月ラストの輪番でしたな結局今月は動かずの事実上の追加緩和実施でしたちゃんちゃん、ということですな(トホホ)。






2024/04/23

お題「植田総裁の円安云々発言はやっぱりヘッドラインバイアスはありそうだが/市場メモ/野口審議委員佐賀金懇その2」

さあもりあがってまいりました!!!!!!!
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-22/SCCRAIT0G1KW00
円が対ドルで下落、一時154円80銭台−約34年ぶり安値更新
Robert Fullem、Vassilis Karamanis
2024年4月23日 1:37 JST 更新日時 2024年4月23日 1:56 JST

『22日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は一時1ドル=154円80銭台に下落。34年ぶりの円安・ドル高を再び更新した。』(上記URL先より、以下同様)

はいいんですけど、

『市場では、日本銀行が25−26日に開催する金融政策決定会合に向けて政策への関心が高まっている。終了後には経済・物価情勢の展望(展望リポート)が公表され、植田和男総裁が記者会見する。』

とのことですがさて・・・・・・・・・・・・


〇例の円安云々の会見録が出ていたのでクリップクリップ

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240422a.pdf
植田総裁記者会見(4月18日)
――G20終了後の鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言

―― 於・ワシントンDC
2024年4月18日(木)
午後2時31分から約21分間(現地時間)

・例の円安云々発言

『【問】
植田総裁には、最近の為替の円安なんですが、輸入コストの上昇を通じて物価に上昇圧力を加えた場合に、既に高まりつつある「第二の力」、いわば賃金と物価の好循環、これと合わさると物価の上振れのリスクが高まる可能性があると思うんですが、この足元の円安の動きがそうした輸入コストの上昇を通じて物価にどう影響を及ぼし得るのか、またそうした動きが次の金利の調整のタイミングにどう影響するのかについて教えてください。』

なるほど引っ掛けでも何でもなくてちゃんと直球質問ですね。でもって回答。


『【答】
私からは、為替の円安方向の動きが輸入財の国内価格の上昇を通じて、おっしゃったように場合によっては「第二の力」とわれわれが呼ぶインフレーションの部分、あるいは基調的物価上昇率に影響を与えるという可能性は、それはあり得ると思います。』

ほうほう。

『そこについて無視できない大きさの影響が発生した場合は、場合によっては金融政策の変更もあり得るということだと思いますが、』

まあここですね反応したのは。でもこの部分ってこの後もありまして、

『現状その辺りをどのように評価しているか、例えば 1 月以降の円安の動きについて、来週になりますか、決定会合があって展望レポート、新しいものを発表しますので、その中で取り上げて数値的にもお示しするということになるかと思います。』

という回答をしていて、ええええええ足元の円安の影響加味するって名指しで言っちゃうのおおおおって感じですが、ここも何ちゅうかまあ微妙な表現だなと思うの。

というのはですね、展望レポートでは(当たり前なんですが)前提となる為替相場(だけじゃないですけど)には「前提条件が別に共有されていないので各委員の判断に任せる」という建付けになっていまして、その建付けをベースにした場合「展望レポートの中で取り上げてお示しする」ってえのは中々大胆不敵な説明になっているんですよね。植田さんどうもこういう時の説明が一々微妙でして、この説明だって「現状その辺りを〜」以下の説明全部不要で、あくまでも「データディペンデント」を前面に出して「今後出て来る経済物価金融情勢のデータを点検しながら判断していくことになります」とかフワッとした原則論だけ言ってりゃいいんですよ。なんでこう一々余計なサービスフレーズつけるのかねと言いたいんですけど、1年経過しても全然この傾向が治らないどころか最近更に悪化しているように見えるので、たぶんこれ本人は「上手に市場とコミュニケーションが取れている」っていう自信満々モードという大いなる勘違いをしているんジャマイカとしかもうしあげようがない。

でまあ現状の評価であれば別に円安だけじゃなくて、というかもっと大事な評価軸は賃金と物価の好循環とやらの筈なんで、こうやって円安と質問されてそのまま円安で返すのではなく、「為替市場だけではなく経済物価情勢を1月からのデータを点検して現状の評価を行いたい」とでも言えばいいのに、なんでわざわざヘッドラインになるような言い方をするんだか、って感じです。


・金利上昇を止めようとして為替をぶっ飛ばした訳ですねわかります

この質疑応答(ともう一つ)も味がありまして、

『【問】
今回マイナス金利を解除して初めての国際会議になるかと思うんですが、変更後の政策を説明されたのであれば、どのように説明されたのか、解除後の会見で普通の政策というふうにおっしゃっていましたが、その辺り伺えますでしょうか。また各国からどういう受け止めがあったかというのも伺えればと思います。』

ふむふむ。

『【答】
過去 2 日間ですかね、様々な機会をとらえて、場合によってはバイの面談というかたちでいろいろな首脳の方とお会いしました。その中で私どもの 3 月の政策変更についてもかなり関心をお持ちの方はいらっしゃったので、特別どこかに絞ってというわけではないですが、3 月の記者会見でご説明したような内容の話を私から何回か説明する機会がありました。基本的には皆さん、市場等に大きな混乱なく政策変更が消化されつつあるということにある種の満足感といいますか、安堵感を示されていたというのが私の受け取った感じです。』

「市場等に大きな混乱なく政策変更が消化されつつあるということにある種の満足感」ってのがまあキーワードというか何というかで、こんなの植田さんのイタコ芸であって、相手なんぞは別に何とかショックが起きなきゃどうでもよいという程度の認識だと思うのですが、とにかくこの「市場に混乱」というのを植田さん物凄い気にしてたので、何とかショックにならなくて良かったね、というのを受けてまあこういう話になるんでしょ、という所です。

でまあそうやって金利上昇警戒した結果が為替に出てしまう、という国際金融市場のトリレンマ状態に思いっきりなっておるわけなのですが、この期に及んで短期金利の0が0.5とかになって何の問題がありますねんというお話に対して、為替市場が植田さんのいる間に20円以上円安に飛んでいる訳でして、要は通貨を対ドルで2割近く減価させている、という方がどっからどう見ても問題になりませんかねえ、というお話なんですが、そこの物事の軽重についてどのようにお考えなのかというのは訳分らんですけど、まあ訳分らんと言っても植田さんそういう道を歩んでいるんですが覚悟のほどは大丈夫なのかよとはおもってしまいます。、


こちらの質疑のフォロー質問があって一個飛んだところからになりますが、

『【問】
植田総裁に伺いたいんですけれども、先ほど 3 月の政策変更について、他の国の方からの反応で、大きな混乱がなく政策変更がされたということで安堵感を示されていたというご説明があったと思うんですけれども、今後の金融政策の運営について何か期待感だったりですとか、意見だったりですとか、そういったのを聞かれる機会というのはありましたでしょうか。』

と来てからの、

『【答】
そうですね、例えば中銀総裁同士で、おまえの国はこうした方がいいんじゃないかということは普通おっしゃらないですので、今回もそういうのはなかったです。ただ、今後、仮に利上げをするとしたらどういうタイミングで、どういうデータをみてなのかとか、そういう種類の質問はいくつかあったと記憶しています。』

という回答なのですが、「仮に利上げをするとしたら」みたいな話をわざわざ言い出しているのは、まあこれは植田さんが利上げする気が満々というよりは、単に二人羽織の後ろの人(すなわち日銀大本営あるいは新館7階)が為替をけん制して下さいとお願いしているのか、まあそうじゃなくても円安を助長する情報発信をしないでくれとお願いしているのか、というようなものを勝手に感じ取ってしまいました。わざわざこんな「利上げするなら」とか言うの植田さんの今までのハトハトチキンジジイと整合性が取れないんですけど、まあ植田さん突然変なところで変な勇気がモリモリになってハトハトチキンじゃない「植田先生」に戻る時があるので二人羽織効果なのか急に勇気が出てきたのかは判断付かん。


まあ何ですな、上記の円安云々もまあ別にそりゃそうよという話ではある(基調物価が上がるならそれは2%達成の確度とやらが上がるという事になるでしょうから)ので、為替牽制で余計なハトハト発言をしないように気を付けている節はあるけど、ベンダーヘッドラインバイアスがちょっと掛かっている気もしますのでまあ真意は謎って感じですがどうせ金曜に答え合わせがありますんで。



〇東京レポレートが昨日も上がっていますね

うむ
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/12 0.065 0.079 0.053 0.051 0.051 0.049
2024/4/15 0.065 0.062 0.053 0.051 0.050 0.045
2024/4/16 0.044 0.041 0.046 0.047 0.045 0.039
2024/4/17 0.036 0.019 0.032 0.035 0.037 0.032
2024/4/18 0.026 0.015 0.028 0.031 0.029 0.026
2024/4/19 0.033 0.043 0.031 0.031 0.031 0.030
2024/4/22 0.054 0.068 0.042 0.038 0.036 0.034

先週は短国発行日スタートになる12日のトモネのレートが上がった後月曜火曜と順調に下がったと思ったら水曜木曜は盛大に下がったのですが、今週は19日に引き続きでレートが上昇しておりますな、まあこのあたりはその瞬間瞬間の需給を反映している話なので細かく確認することに意味があるのかというと長期債とかの話しからしたら余程とんでもないことが起きていない限りにおいてそこまで深い意味はない筈なんですが、しかし先週とパターン違いますな、とか思った次第です。ま、先々週の金曜は7.9bpが発射台で先週の金曜は4.3bpが発射台なので発射台の差なのかもしれませんけどね。

ただの局地的需給だとは思うのですが、一定のパターンが出来ている訳でもなさそうですし、短期の諸々に関しては今の超大量超過準備の存在、というのと、その裏にある日銀が国債を買い過ぎている問題、というのがあって、それに加えて参加者のルールが変更になっている(金融機関の流動性規制とかIOSCOのMMF規制とか)ので新しいムーブというのがどうなのかアタクシまだ全然つかめていなくて正直ムツカシネーしか毎日言っておりません誠に申し訳ございません。


〇そうは言いましても野口審議委員の佐賀金懇ネタで

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240418a.htm
挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
佐賀県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2024年4月18日


・まあしかし置物一派がこれを言い出すのはさすがにヘソが茶を沸かす

目先の金融政策のところだけネタにするのも何ですのでその先を少々、ということで次の小見出しになりますが、この小見出しだけで笑えるわけでして曰く、

『4.賃金上昇を伴う「物価安定の目標」実現への展望』

『(1)「物価安定の目標」実現の必要条件としての賃金上昇』

・・・・・・・・・いやー必要条件ですってよ。ここで皆様にはかつての浜田宏一大先生の主張を確認して頂きたい、と思うのですが、ダイヤモンドオンラインがアーカイブ化してしまってこのページは有料会員じゃないと読めなくなってしまったんですけど(URL見れば分かるように6ページ目になるのですけれども1ページ目でしたら読めます)。

https://diamond.jp/articles/amp/30804?page=6
2013.1.20
浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換
インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」

この6ページの小見出しに『名目賃金は上がらないほうがよい その理由はあまり理解されていない』とあった(こんな貴重な証拠物件なんだから公開しろよと思うけどダイヤモンドオンラインがアーカイブにしてて会員じゃないと読めないという極めて遺憾な状態ですしつこく言いますが)んですけれども、すっかりこういう話をしていたのはなかったことになって「賃金上昇が物価目標実現の「必要条件」」とまで言い出すようになっているのがもうお前ら何言ってるのという話で、もともとお前らは(そういや「リフレ派バナー」って見なくなったなあ)物価目標を達成すれば世の中が好転して賃金だって上がるようになる、って主張だっただろいい加減にしろとしか言いようがないので、ちょっと次の金懇の時に誰か聞いてくれませんですかねえと思うのですけど。



でまあこの内容とか次の小見出し『(2)賃金と物価の上昇を阻んできたゼロノルム』の内容とか別になんか読むべき話をしている訳ではないので正直どうでもよいのでパスしますが、その次の小見出しに参りますと、

『(3)「賃金と物価の好循環」確認のための二つの注目点』というのがありますので何に注目しているのやらと思って読みますと、

『現時点の日本経済で最も重要なのは、いうまでもなく、物価・賃金のゼロノルムを払拭し、「賃金と物価の好循環」を可能な限り早く実現することです。そのためには、少なくとも以下の二点の確認が必要です。第一は、サービス価格が着実に上昇し続ける状態が復活することです。第二は、製造業でもとりわけ中小企業において、賃上げの販売価格への転嫁がスムーズに進展していくことです。』

マネタリーベースとかそういうのは見なくて良いんですねわかります。でまあ以下説明があるのですけれども、だいたい内田副総裁とかの金懇での説明と大差ない説明になっていまして、リフレ派とかいう異端の経済学やってるんだから何かもっと面白い事言え(某ジンバブエ先生みたいな方向で面白い事を言われてもそれはそれで困る説はありますが)と思うんですが、上記のようにまあつまらん話しかございませんで、言ってること基本同じなのに何で3月反対したんだよという話ですわな。



・そもそも「金融緩和を継続しないと物価安定が達成しない」というのが理屈として矛盾しているんですけどね

という疑問にお答えしているのが上記の次の小見出しになりまして、

『(4)今後も重要な緩和的金融政策の継続』

ときましたが、

『日本ではこれまで、デフレ期以降に定着した「物価も賃金も上がらない」というゼロノルムが企業や家計に根強く残っていたこともあって、大規模金融緩和を通じた労働需給の大幅な改善にもかかわらず名目賃金は十分に上昇せず、そのため物価上昇率が2%近傍で安定することもありませんでした。しかしながら、昨年の春季労使交渉を契機として、足もとではかつてない賃上げの波が生じ始めています。それは、半ば岩盤化していた物価と賃金のゼロノルムがようやく崩れ去りつつあることを示唆しています。』

これが置物理論の大勝利だ、と言ったらその面の皮の厚さに敬意を表するところですが惜しくも野口先生そこまで図々しくなくて(置物とか若田部とかジンバブエなら堂々と置物理論大勝利というと思うけど)、

『このゼロノルム払拭の契機となったのは明らかに、「第一の力」すなわちコロナ禍後の世界的インフレという外的ショックでした。』

っていうのはちょっとだけ謙虚で好感しようと思ったのですが・・・・・・・・

『しかし、それが「第二の力」すなわち広範な賃上げの波として引き継がれてきた背後には、これまでの粘り強い大規模金融緩和を通じた労働需給の改善という「下地」があったということを忘れてはなりません。』

>大規模金融緩和を通じた労働需給の改善
>大規模金融緩和を通じた労働需給の改善
>大規模金融緩和を通じた労働需給の改善

・・・・・・・・??????????????????????????????

やはりこう来たかという所ですが、ということは何ですか人口動態の変化による労働需給の構造変化も大規模金融緩和の効果なんでしたら大規模金融緩和止めると少子高齢化が解決に向かうって事ですかとか無茶苦茶な言いがかりをこっちも付けたくなるわという所ですなキャハハ。

『それは、各種調査において、賃上げの理由として多くの企業が第一に掲げるのが「人材の確保」であるという点からも明らかです。』

それは「労働需給のタイト化が賃金上昇圧欲になった」ことの背景説明にはなっていますが、大規模金融緩和が労働需給改善の主因であったことの説明にはつながらないので「明らか」ではないですが何か???

でですね、最後が特にひどくて、

『その意味では、日本銀行が今後も緩和的な金融政策を継続することを通じて労働需給の適切なバランスを保ち続けることこそが、2%の「物価安定の目標」の達成のための必須の要件であると考えます。』

と言ってるんだが、そもそも論として「物価安定の達成」というのは「景気が通常のサイクルで1サイクル回っている感に物価が目標値(2%)付近で平均的に推移し、その間経済主体の行動は物価目標(2%)近辺での物価変動を前提にした行動を行っている(=インフレ期待がアンカーされている」)」という状況なのですから、「金融緩和が継続していないと物価安定目標が達成できない」というのがそもそも定義として間違っているお話でして、金融緩和による人為的支えが無くても物価が安定推移しているのが物価目標の達成なんですから、「達成の必須の条件」というのはおかしい。

ということでして、これなんか大本営でもうっかりこういう言い方に近い事言うケースがあるんですが、物価目標達成という状態になっている時には本来は金融緩和は必要が無くて、ただまあ経済サイクルのなかで足元では緩和状態が必要、というのであればそれはまあ金融緩和政策を実施することはあっても、それは目標達成云々とは別次元の問題、ということになる訳です。

もちろんピンポイントで「今まさに達成されました」というのがリアタイで分かる訳がないので、前からの流れから見て緩和政策が目標達成したと思われる時点でも継続している、というのが現実にあるとは思いますけど、それは目標をオーバーシュートするリスクを抱えている状態な訳で、そう安易に「目標達成までバシバシ緩和しておく」みたいな情報発信をするのはアカンヤロというかそもそもバイデフェニションでおかしかろう、と思うのですがどうしてこうなるんですかねえ、学者先生だというのに(まあリフレ派という時点で学者いや何でもありません)


でまあ結局会見はクソどうでもいいのでパスします。






2024/04/22

お題「3M入札金利上がりましたが結局1bp行くか行かないかと/植田総裁米国で微妙に微妙な講演してたのかしら」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD05DN20V00C24A4000000/
「紙の本」作るためには紙減らせ 返品率改善への挑戦
Inside Out
2024年4月21日 5:30 [会員限定記事]

例によって中身を全然見ないで反応するのですが、そもそも論として最近は書店のビジネスコーナーの新書並んでるの見たってゴミみたいな本ばっかりでございまして、かつてはちゃんと市場の勉強とかだって本で出来てた時代もあったんですが、今平積みになってる本って(たまに良いのもあるが)読む価値ないのが大杉栄ってのをまず何とかした方がエエンチャイマスかねえ。


〇3Mどこまで行っても1bp行くか行かないかですかそうですか

金曜の3Mですが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240419.htm
国庫短期証券(第1227回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1227回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号 国庫短期証券(第1227回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日  令和6年4月22日
4.償還期限 令和6年7月29日
5.価格競争入札について
(1)応募額      14兆4,115億円
(2)募入決定額    4兆6,931億4,000万円
(3)募入最低価格    99円99銭6厘0毛
(募入最高利回り)(0.0148%)
(4)募入最低価格における案分比率  70.5491%
(5)募入平均価格    99円99銭7厘6毛
(募入平均利回り)(0.0089%)』

という訳で、金曜は例のイスラエルによる報復措置云々の報道が出て為替も株も債券もアイヤーってなってた時の入札、という訳分らん要因がありましたが、一応蓋を開けてみたら平均、足切りともに4月入ってから一番マシ(買い方的な意味で)な結果になったんですけど、そもそもその前の入札が、5日分=0.0047%/0.0110%極薄按分、12日分=0.0040%/0.0111%超極薄按分、という涙ちょちょ切れる結果(3日のが一番マシで0.0046%」/0.0134%の厚め按分)だったのでして、上がったとは言えアベレージまだ1bpにも届かんとはどういうことや(しかもこの間に何回新発出してますのやらという話)という悲しいお話なのでありました。

でまあ来週って大型連休のせいで新発入札が無くて次の3Mは5/2の入札(発行日5/7)まで飛ぶんですよね。

まあ何ですな、だんだん記憶がよみがえって来るのですが、俊ちゃんの量的緩和解除の時って3月解除して暫くは残っている超過準備が効いて寧ろ解除前よりも金利が低いんじゃどういう事や、とやっていた訳ですが、あの時は5月の連休明け位になってやっとタームの金利が反応してきまして、あれは当座預金残高が減っていく中で過剰需要が収まってきて本来の金利観らしきものが短期に復活、という事になった、と後付けではそう思うのですが、付利で不胎化しているとは言え超過準備がとんでもなくある世界における短国の価格形成ってこれからどうなっていくんでしょうかね。こればっかりは市場構造によっても違ってくるから多分米国とかの市場が参考にならん各地域独自の世界になるのかなと思いますが思っているだけで特に考察はしていません(おい)。


でまあ引値ちゃんは売参ですけど、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1225 2024/07/22:平均値単利 0.005
国庫短期証券1227 2024/07/29:平均値単利 0.005

となっておりまして、これ前日の売参ちゃんはどっちも1.5bpになっていまして、まあそれも若干ホンマカイナ感はあったのですけれども(安いという意味で)ちゃっかり1bp割れ水準になってしまいましたということで、もう何ですかこの利回りと頭がクラクラする訳ですな



・・・・・とは言えレポレートは国債発行日というのに反応して下さったようでして

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/18 0.026 0.015 0.028 0.031 0.029 0.026
2024/4/19 0.033 0.043 0.031 0.031 0.031 0.030

そういや最近何も注釈つけてないので久々に注釈すると左から当日スタート翌日物、以降は翌日スタートの翌日物、1W、2W、3W、1Mですな。

おーーーーーー、一応国債発行日スタートのGCレート反応してくれてるじゃん、というお話ですが、まあゆうてそこでしか反応していなくて、例によって引用サボってますが(動かないので)3Mは変わらず安定、ということなので基本足元だけ国債発行要因でブレることがあるけどあとはブレませんけど、まあコールと全然違う世界で価格形成していまして、政策金利とは何なのかという世界に突入している次第であります。

まあ何ですな、そうは言いましても現状って無担保コールの誘導目標が「0%〜0.1%程度で推移するよう促す」だから短国のこの金利もコールの誘導目標範囲内に入っている、という世界線なのですが、コールの誘導目標を0.25%に引き上げた時(いつだか知らんけど何なら4月でも良くってよ(暴論))に短国のレートがコール対比で10も15も違っていた場合、そもそも無担保コール(これは事実上の一層構造で超過付利している限り超過付利のちょい下で張り付いてくれるので問題ない)誘導しても他の短期市場金利が上がらなかったらどうしますのん、という問題になってしまいますわな。いや超大昔みたいに短国が全くの別世界で価格形成されている(超大昔のTB/FB市場の話でだいたい20世紀の話)ので無視してヨシってんだったら別世界でも良いのかも知れないけど、たぶんよくないとおもうんですよね。


〇植田総裁が米国でご発言されておられるようですがスタンスを振り過ぎですいい加減にしてください

日銀のサイトにはさすがにまだのようですが(というか出るのかしらよくわからんですね)ベンダーバイアスがかかっているんじゃなかろうか、という事を念頭に置いてニュースをみてみようではあーりませんか。

まずはロイターさん
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/SGNHL6KWKZI25I6KT4MP5ESUVY-2024-04-20/
利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日銀総裁
By 木原麗花
2024年4月20日午前 10:44 GMT+9

ほうほうそうですかそうですか、ってかついこの前ロイターさんって「日銀は展望レポートの物価見通しが2%だからと言ってそれは利上げの理由になる訳ではない」とかいうハトハトバイアスの観測報道してたじゃんどうしたの急に、という話ですが。

『[ワシントン 19日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は19日、米ワシントンで講演し、基調的に物価が上昇し続ければ、金利を引き上げる「可能性が非常に高い」との考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)

そりゃまあ確かに基調的な物価が上昇し続ければ利上げするわ、って話なので、

『植田総裁はピーターソン国際経済研究所のイベントで講演し、基調的なインフレ率は日銀が目標とする2%を下回っており、長期的なインフレ期待も1.5%近辺にとどまっているため、当面は緩和的金融政策を維持する必要があると述べた。』

という話なのですが、そもそも「基調的なインフレ率が2%を下回っており」というのは何をもって基調的なインフレというのか、というのが良く分からんですし、長期的なインフレ期待の1.5%ってなんですかというお話ですよね。

いやまあ確かに今の日本の物国BEIって10年カレント、と言いつつ発行の関係で足元では残存9年から1か月短いのですが、確かにカレント銘柄で150bp位なのですけど、まさかとは思いますが物国BEI使って長期インフレ期待を判断しているんですかというお話で、4半期の発行2500億円に対して4半期で1800億円購入されておられる日銀ちゃん(財務省バイバックが四半期で600な)が買入上げ下げしたら長期インフレ期待いじり放題じゃないですかヤダーと思いますし、あとはまあ物価見通しを無残なまでに外し続けているポンコツ何とかストの皆様から集計したESPフォーキャストとかいう集計が確かにずーっと弱いのですが、生活意識アンケートとか短観とかは丸無視なんですかそうですかいやーそういうのチェリーピッキングって言うんじゃなかったでしたっけとかまあそういういつものツッコミをする訳ですが。

でまあここで気になるのは、地の文章を読んでいないから実際にこう言ったのかどうかがわからないのですけれども、

「当面は緩和的金融政策を維持する必要がある」

って部分の意味なんですよね。

つまりですね、3月会合の声明文では「現時点での経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」となっているし、(基本的に邪道なんだが)声明文英語訳バージョンを見ると、「Given the current outlook for economic activity and prices, the Bank anticipates that accommodative financial conditions will be maintained for the time being.」となっていまして、「継続すると考えている」「the Bank anticipates〜will be maintained」であって、この書き方だと「緩和政策を徐々に縮小していく過程において当面(or the time being)は緩和的な状況が急に無くなる訳ではないですよ」って説明文章に読めてしまうんですよね。

一方で報道の「維持する必要がある」ですとこれは日銀が物価目標達成のために能動的に大規模緩和を継続します、って言っている訳でして、3月声明文のニュアンスと違くないですか?????というお話でありまして、まあ要するにここの定義ちゃんとしやがれコノヤローって話な訳ですよ。


とまあこっちはアレですけどその後が、

『3月の金融政策決定会合で非伝統的な金融緩和策を打ち切ったことから日銀の政策は柔軟化しており、今後のデータ次第では短期金利目標を変更する可能性があるとした。』

となっているのも謎で、さっきは「維持する必要がある」っていってるのに何で「柔軟化していて短期目標を変更する可能性がある」になるのかが訳分らんのですよ。

いやまあどうせ利上げしたって「短期金利水準は経済物価情勢に対して十分緩和的(それはそうだわ)」と言い張るんでしょうけれども、だったらそもそも緩和的金融政策を”維持する必要”がある、というのが誤解を招くだろということで、どっちですねん植田さんというお話な訳です。

でもって記事全部引用になって申し訳ないのですが、

『「われわれは慎重に政策を進め、最近の政策変更が経済と物価に及ぼす影響を評価し、適切と判断すればさらなる調整を検討する必要がある」と述べた。国債買い入れの減額にも言及したが、時期と規模はまだ決定していないと述べた。』

だそうなんですけど、ベンダーバイアス掛かっているとは言え、ここに来てまた急に政策修正の可能性あるで、の方に話振るのは何なんですのという所ですね。


という事で確認のためにブルームバーグさんも。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-20/SC7O5NT0AFB400
緩和的な金融環境は当面継続、国債買い入れはいずれ減額へ−日銀総裁
野原良明
2024年4月20日 9:03 JST

→国債市場への介入を完全にやめるのは「危険」と3月会合で判断
→将来のどこかの時点で国債買い入れ額を減らす−ワシントンで講演

・・・・こちらは「緩和的な金融環境は当面継続」をメインにしていますね。

『日本銀行の植田和男総裁は19日、日銀による国債買い入れは継続されると指摘し、緩和的な金融環境が当面続くとの見通しをあらためて示した。』(上記URL先より、以下同様)

これ「緩和的な環境が続く」なのか「緩和政策が必要」なのかだと話の意味合いがだいぶ変わって来るんですが、まあ積極的にあいまいにしているんじゃないかなあとは思うのですが、あいまいにしないでほしいとアタクシは
思うのでありました。

『植田総裁はワシントンのピーターソン国際経済研究所で講演。日銀は将来のどこかの時点で国債買い入れ額を減らすと述べながらも、3月の金融政策決定会合では国債市場への介入を完全にやめるのは「危険」と判断したと説明した。』

完全に止める、ってまた何を言ってるんだこの人はという感じでして、そりゃいきなり輪番ゼロにしたらこっちは楽しいけど(ただの自己都合)そんなの現実的に無理だろお前は急に何を言い出すんだ。


でまあちょっと飛ばして先に行きますと、

『植田総裁は、日銀が慎重に政策を進めるとしながらも、基調的な物価トレンドが改善すれば、さらに金利を引き上げる公算が大きいと指摘した。』

なるほどブルームバーグもこのように説明と。

『植田総裁は、3月会合で政策修正を決めた背景について、30年ぶりの力強い賃上げが日銀政策の修正に十分となる物価目標達成の確率を高めることに寄与したと説明した。』

『同総裁は今月初めの一部メディアとのインタビューで、物価トレンドが改善する公算が大きいことを挙げ、今年後半の追加利上げの可能性を示唆した。最近の円安加速が利上げの時期を早める可能性もあると、複数のエコノミストが指摘している。』

ということで、まあそこまで大した話をしているようでもないのですが、そうは言いましても3月会合前の辺りと3月会合結果を受けた会見におけるハトハト音頭からはだいぶ普通というか本来はそうだろ、というトーンになっている訳でして、そもそも論としてマイナス金利とYCC解除したのって情勢が好転したから(副作用対応ではない、というのも重要な隠れたポイントね)なのであるからして、それは情勢の好転が続けば当然緩和の縮小に向かう、というのをちゃんと説明するというスタンスに戻した、というのが朝日新聞インタビュー辺りからの動き、ということになろうかと思います。

まあそうは言いましても円安に隙あらば振れてしまうのは「日銀は財政を気にして本来行うべき緩和修正が出来ない」と思われだしている、即ち悪性の通貨安連想が段々定着しているんじゃないですかねえ(しかも月初の輪番減額せずが拍車掛けましたわな)となっていて、どうせ植田総裁が今言ってるのは為替牽制の為で実際には何も出来ないでしょ、と見透かされているんだとするヤバいっすねえ。



・・・・・・でまあそれはそれとして、いずれにしても植田総裁の発言というかスタンスが振れ過ぎですよね、というここもと隙あらば悪態ついていますが、まあそこに帰着するのですな。

恐らくマイナス金利解除にセットでYCCとかリスク性資産買入停止とか変な貸出支援基金の是正とかをするために、背景の理屈について曖昧にいうか妥協の産物みたいにしてて、その結果「緩和的な金融環境」の部分もそうですし、長期国債買入の位置づけや建付けについてもそうですし、どういう風にしたら良いのか問題を有耶無耶にして特攻したんだと思うので、4月会合でもう少しこの辺を明確化して欲しい、というのが最近何度も書いておりますがそこに帰着するのでありました。いやこの調子で発言フラフラしてるのヤバいですって。


などと書いてたら野口審議委員ネタをする時間が無くなったので今朝はこれで勘弁してつかあさい。







2024/04/19

お題「マイナス解除1か月だが相変わらずの短国ちゃん/野口審議委員佐賀金懇挨拶から」

マイナス金利解除決定から1か月ですねえ・・・・・・・・・・・

〇でまあ1か月経過して短国ちゃんどうでしょうと言えばアレ

今朝も毎度のようにGCレートから参りますが
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/15 0.065 0.062 0.053 0.051 0.050 0.045
2024/4/16 0.044 0.041 0.046 0.047 0.045 0.039
2024/4/17 0.036 0.019 0.032 0.035 0.037 0.032
2024/4/18 0.026 0.015 0.028 0.031 0.029 0.026

いやーなんか足元GC下がりますなあとか言ってるうちに1Mの気配まで波及している(引用してないけど3Mの気配には波及してない)でござるの巻という事ですが、まあよくよく考えてみれば当座預金残高が全然減らない(どころか15日には年金定時払いとかあって更に増えてる)ということでございますので「金」はクッソ余りしているとなると、その反対側になる「国債」が希少価値出てしまってカネの取引レートと乖離するのも当たり前ではなかろうか、という悲しい話になる訳で、そういう意味からも長期国債買入減らせやこのスットコドッコイとしか言いようがない訳ですが。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240418.htm
国庫短期証券(第1226回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1226回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。


1.名称及び記号   国庫短期証券(第1226回)
2.発行根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項

3.発行日    令和6年4月22日
4.償還期限   令和7年4月21日
5.価格競争入札について
(1)応募額       11兆5,719億円
(2)募入決定額    2兆5,759億5,000万円
(3)募入最低価格    99円82銭6厘
(募入最高利回り)(0.1747%)
(4)募入最低価格における案分比率 55.4871%
(5)募入平均価格    99円83銭5厘
(募入平均利回り)(0.1657%)

まあ10bp台半ば乗せでの結果にはなりましたが、売買参考統計値ちゃんを見ますと1226回の平均値単利は堂々の0.140%に金利低下(なお1か月前の1220は0.159%で変わらずになっているのですが1年短国が発行から1か月も経つと嵌るところに嵌ってしまって流通してるのか問題があるのでこれが実力なのかは謎な点があるわな)という有様で、ここから延々とGCがクソ低い水準で推移した挙句、半年後に0.25%に政策金利が上がってもGCはやっぱりコールと乖離したまま、っていう短国市場ってのを前提にしてGC対比でブレークイーブンとかそういう世界(コールで計算すると利上げ無しの勢いじゃないと間尺にあわない)という大変に素敵なレートになっていて、マイナス金利解除して1か月たってもこれかよという実に香ばしい展開になっておられるわけですな、ちーん。


でまあ今日も今日とて3Mの日なのですが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240412.htm
国庫短期証券(第1227回)の発行予定額等

『1. 入札予定日 令和6年4月19日
2. 発行予定日  令和6年4月22日
3. 償還予定日  令和6年7月29日
4. 発行予定額  額面金額で5兆8,000億円程度』

いやーしかし何ですな、かつてマイナス金利導入前にMBの数字作りで無理くり日銀が短国買入をしてマイナス金利政策でもないのに短国がマイナスに突っ込んでしまって(一部のマニアが)エライコッチャになったのですが、今回は日銀別に短国買入をしていない(というかマイナス解除と共に停止中)のにこれというのがもう構造要因っぽくて(まあベースにはアホみたいな超過準備があるから日銀のせいなんですけど)泣けるのですが、さて今日の3Mは幾らになるのかしらとは思いながらも金利がもうちょっと見れる水準に浮上するとか全然期待してないしさすがにこれはフラグじゃない自信があるわorzorzといった所で、まあ入札の結果が出ましたら笑い飛ばして差し上げてくださいませ南無阿弥陀仏。



〇野口審議委員金懇挨拶:そこまで無茶苦茶な話をしている訳ではないが政策手段に関する認識の相違はアカンじゃろ

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240418a.htm
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240418a1.pdf

【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策
佐賀県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭
2024年4月18日

本日は(前回の田村さんと同様に)HTMLとPDF同時公表になっていました。引用の手間的にHTMLから引用します。


・ヘッドライン詐欺の本領がいかんなく発揮されておるのは野口さんのせいではないがキタコレという感じで

まあどこのとは言わないのですがベンダー見てるとヘッドラインが出て来る、というのは仕様なのですけど、この前の田村さんもそうですけど、野口さんの今回の金懇挨拶って、政策手段に関する云々の部分では大いに如何なものかというのがあるのですけど、政策全体のトーンに関してそこまで超越無茶な話をしているのか、というと実はそこまででも無くて、たぶんなんですけど、どこぞのハトハトチキンジジイがハトハトチキンの本音をダダ漏れにさせると野口さんの言ってることに近くなるんジャマイカ、って感じで読んでたわけでございます。

しかしですね、例えば今回思いっきり目立ってたと思われるヘッドラインですと

『まず政策金利調整のペースに関しては、他の主要中央銀行の最近の例とは比較にならないほどゆっくりとしたものになることが予想されます。』

という部分を思いっきりフレームアップしたヘッドラインが目立っていたと思うんですけど、これって、確かにここだけ見ると飛んでもないハトハトに見えてしまうんですけど、実際にはこの部分は『3.金融政策』の『(4)政策金利の段階的引き上げとバランスシート調整』の第2パラグラフの部分になるのですけど、このパラを全部引用すると、

『まず政策金利調整のペースに関しては、他の主要中央銀行の最近の例とは比較にならないほどゆっくりとしたものになることが予想されます。それは何よりも、後述する物価・賃金のゼロノルムが緩みつつあるとはいえ未だに根強いことから、物価が基調的に2%近傍で上昇し続けるという状況に至るまでには相応の時間を要すると思われるからです。』

という話をしていまして、まあこのゼロノルム云々の見通しの是非、というあんまりさて置けない問題があるのはあるのですが、まあそこを是として読めば別にそこまで無茶な話をしている訳ではないですし、寧ろ相応の時間を要する中においても政策金利調整を全く行わないという訳でもない(行うとも言ってないけど)話なのでして、なんかもう教条的に金利上げるのは全て悪みたいな話をしている訳ではない、と少なくとも金懇テキストをちゃんと読めばそうなると思うのですよね。概ね全編に渡ってそんな感じで、もちろん現状認識から先行き見通しからハトハトしているのはそうなんですが、そのハトハト見通しをベースにした政策運営で金利一切上げるなとか国債買入減らすなといっている訳でもないのですから、まあアタクシとしては賛同いたしかねますけど、そんなに無茶苦茶変な話をしておあらん、というのはこの部分だけじゃなくて全般そんな感じですわよ(他の角度から突っ込むことはあるがそれは後程)。

然るに、ヘッドライン見てるとなんかもうこのハトハト部分をバンバンフレームアップしたのが出て来るのでナンジャソラと思いながら見るのですが、何せ世の中にはベンダーのヘッドラインをテキストマイニングして脊髄か延髄あたりで反射する方も多うございますし(個人の感想です)、増してや馬鹿AI(個人の偏見です)みたいなのがテキストマイニングで振り回そうもんならホイホイと釣られるわけでして、まあ何ちゅうかベンダーさんも商売だから注目されて何ぼなのは分かるし、注目されなきゃただの自己満足であって生業として成立しないんだからそうなるのは当然ではあるのですが、なんかこうアレなヘッドラインを打つのはこれ全員が止めるかアレを打たないところだけが注目されるようになるとかが起きない限りは中々難しいんだろうなあと思う所ではありまする。

なもんで、野口さんの会見のヘッドラインも見てると、なんか講演テキストよりは更にハトハト感があったのですが、ヘッドラインバイアスがかかっている可能性も鑑みまして今日会見録出てから週末改めて考えてみたいと思います。


・政策金利の引き上げとバランスシート縮小の言及はあるにはあるけどまあ前後の文脈的にはただの枕詞よ

とひとしきり悪態をついた所で本文ですが、とりあえず経済物価の認識、就中インフレノルムに関する部分は記者会見での質疑で何か一段の補足もあるかもしれないな、と思うので、というのは言い訳で単純に時間の関係でもあるのですが、まあ政策運営の部分は会見で追加情報ないだろと踏んでますし、こっちに関しては論点があるのでそちらをネタにします。

『3.金融政策』のパートになります。最初の『(1)大規模金融緩和の政策手段とその転換』はマクラであんまり書いていることに意味はないのですが、ゆうてそこの中の

『今後は、政策金利の段階的な引き上げ、国債購入額の調整を通じたバランスシート調整などが、情勢を慎重に見極めつつ行われることになると考えられます。』

とある部分が「情勢を慎重に見極めつつ」とかいうのが抜けてヘッドラインになっていた気がしますが、これまた前後の文脈を見ると(上記コーナーの後段パラグラフになります)、

『大規模金融緩和の手段として2013年以降に導入されたこれらの政策は、わが国が永く苦しんできたデフレ的経済状況からの脱却を目的としたものです。したがって当然ながら、賃金と物価の好循環が進捗し、2%の「物価安定の目標」が見通せる段階となれば、縮小ないしは解除されていくことになります。私自身はそのすべてに賛成したわけではありませんが、前回の3月政策決定会合では、先行きでの目標達成の確度が十分に高まったという判断に基づいて、長短金利操作の撤廃、マイナス金利の解除、マネタリーベースの拡大に関するオーバーシュート型コミットメントの撤廃、資産買入方針の変更等々が行われました(図表8)。』

というのがその前にあってからの、

『今後は、政策金利の段階的な引き上げ、国債購入額の調整を通じたバランスシート調整などが、情勢を慎重に見極めつつ行われることになると考えられます。以下では、この金融緩和からの出口問題についての私なりの把握を示した上で、前回会合での決定の位置付けと今後の政策的方向性を考察します。』

という結論部分がクローズアップされている訳でして、前後というか前の文章の流れからしたら別にこれセンセーショナルな話でも何でもなくて、寧ろただのマクラじゃんという事になるかと思うのよね。いやまあ野口さんがビタイチ利上げ罷りならんとかいうハイパー緩和論者だと思っている人が見たらビックリかもしれないけどさ。


・なんかFEDの量的緩和縮小をスルーしてねえかこれ

『(2)「非伝統的金融政策からの出口」の意味』という所でまあ話をしているのですが内容自体はおもんないんですけどその最後のところ。

『各中央銀行は他方で、とりわけ2022年以降は、あまりにも急速な経済回復の副作用ともいえる高インフレへの対処のために、それまでの量的緩和政策を停止あるいは巻き戻すだけではなく、政策金利である短期市場金利の引き上げを実行することになります(前掲図表2)。これは、各中央銀行が、それまでに行われた量的緩和の結果として生み出された潤沢な準備預金を維持しつつも、政策手段としては伝統的枠組みへと復帰したことを意味しています。』

>潤沢な準備預金を維持しつつも
>潤沢な準備預金を維持しつつも
>潤沢な準備預金を維持しつつも

いや皆さん減らして行ったでしょ、というかそもそもが海外の中銀の場合は「引き締めの着手が遅れたので、結果的にリザーブを減らすことも遅れてしまった」というだけの話で、引き締めモードに入ってからは特にFEDとかリザーブの削減を進めているんですけどどういう認識になってるんだ?????


・・・・てな感じで、野口さんの説明って認識がちょっとズレてねえかというのが以下チョイチョイあるのよね。


・6兆円買入は決定事項じゃありません

次の『(3)3月会合における「金融政策の枠組みの見直し」の位置付け』も如何なものかというのがありまして、

『3月会合では、新たな金融市場調節方針として、マイナス金利政策を解除した上で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を政策金利として、それを0〜から0.1%程度で推移するように促すことを決定しました。また、10年国債金利に目標値や上限等を設けてきた長短金利操作を廃止する一方で、これまでと概ね等しい月間6兆円程度の長期国債買入れの継続を決定しました。私はこれについては、「ゼロ近傍の政策金利の下での国債買入れ継続」という枠組みにとりあえずは移行したことを意味すると捉えています。』

>これまでと概ね等しい月間6兆円程度の長期国債買入れの継続を決定しました。
>これまでと概ね等しい月間6兆円程度の長期国債買入れの継続を決定しました。
>これまでと概ね等しい月間6兆円程度の長期国債買入れの継続を決定しました。

皆様先刻ご承知の介だとは存じますが性格がしつこいアタクシは声明文を引用します
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf
金融政策の枠組みの見直しについて

『(2)長期国債の買入れ(賛成8反対1)(注2)

これまでと概ね同程度の金額3で長期国債の買入れを継続する。長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。』

とあって、そもそも概ね「同程度の金額」が勝手に概ね「等しい」になっている時点でアレなのですが、

『3 足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。実際の買入れは、従来同様、ある程度の幅をもって予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していく。』(この部分直上URL先3月決定会合声明文より)

ということで脚注3は足元の買入額とは書いていますが、声明文本文のどこにも「6兆円程度」の文言なくて、しかも脚注3に関しても「ある程度の幅をもって」とある訳で、そもそも6兆円決め打ちな訳ではないのですな。

・・・・・・いやまあ実際には「4月から国債市中消化額が減るという国債需給」を全く無視して国債買入が実施されていましたので、結果から見たら野口さんの説明と同じことをやっている、というのがまず今回のマイナス解除後におけるボタンの掛け違いであって、その点はまああるんですけど、それにしても声明文を読むと野口さんの説明のようにはならない筈でして、勝手に建付け変えるなよという話であります。


・長期金利抑制を残したいのにYCC撤廃には賛成ってのが謎理論

さっきの部分の次のパラグラフですけどね。

『ちなみに私個人は、3月会合での決定に関して、長短金利操作の廃止と長期国債買入れの継続には賛成した一方で、現段階では「マイナス金利の下での国債買入れ継続」の方がより適切と考えたため、マイナス金利政策の解除には反対しました。』

この件の説明なんですが、

『それは私が、後述のように、賃金と物価の好循環の強まりについての実態確認にはサービス価格の上昇や中小企業における価格転嫁の進展をより慎重に見極める必要があると考えたこと、』

まあこれは(賛同しないけど)主張としては一つの考え方

『さらには、長短金利操作とマイナス金利の撤廃を同時に行うことは長期金利を含む金融環境に対して非連続的な変化をもたらすリスクがあると考えたことによります。』

公表文書の方にもこの理由は罹れていたのだが、ナンジャソラと思いながら読みますと、

『私はつまり、現状では長期金利を国債買入れによって間接的にせよ抑制する必要があるため、その抑制効果を相応に持つマイナス金利は残しておく方が望ましい、と考えたわけです。』

いやだったらYCC残して問題ないだろというか政策変更そのものに反対しろよと思いますが、その一方で全体的な説明では物価目標達成に向けた進展があったから政策の巻き戻しも、という話をしている訳でして、なんかこう政策のデザインどうなっているのよ、と思いました。


・置物マネタリーベース直線一気理論はどこに逝ったのでしょうか??????????????

しかしまあ今回の野口さんの説明の一番の面白ポイントは次の『(4)政策金利の段階的引き上げとバランスシート調整』でして、最初に引用したゆっくりの話とか中立金利の話しとかあるのは正直どうでもよいのですが、そこの第4パラグラフが今回の面白ポイント。

『この政策金利調整と並行して行われることになると思われるのが、一般にはテーパリングや量的引き締めと呼ばれる量的緩和の巻き戻しによるバランスシート調整です。ここで重要なのは、伝統的枠組みへの復帰とはいっても、短期市場金利がもっぱら金融調節運営を通じて誘導・維持されていた世界金融危機以前の「希少な準備預金」の時代とは異なり、現在は政策金利が主に中央銀行当座預金への付利を通じて設定・誘導されているという点です。』

ほうほうそれでそれで????

『これは、量的緩和以降の「潤沢な準備預金」を前提とした現在の政策レジームでは、短期金利操作とバランスシート調整は完全に切り離されており、中央銀行はバランスシートを縮小させることなく政策金利の引き上げを遂行可能であることを意味します。』

ちょwwwwwwwwww

マネタリーベース直線一気理論は何処へ行ったのでしょうか?????????
https://toyokeizai.net/articles/-/14475?page=2
異次元緩和から3カ月,インフレ期待は上昇したか
市場動向を読む(債券・金利)

『日銀の岩田規久男副総裁は就任前、マネタリーベース残高の中核をなす日銀当座預金残高が10%増えれば、期待インフレ率が0.44%ポイント高まるという試算を示していた。黒田東彦総裁は、そのように物価上昇の期待が高まれば政策目標の達成は可能と説いている。』(この部分だけ直上URL先東洋経済2013年6月記事より引用)

「バランスシートは政策と切り離せる」って説明している時点でもうお前らのマネタリーベース直線一気理論は何だったんだという話だし、まあこの政策との切り離しってのを置物一派が言うのは説明をするのはちょっとこれはどうなのよ、とおもいました。

なおあまりこの「政策と切り離す」ってのを強調すると実はついこの前までやってた「オーバーシュート型コミットメント」ってのはあれは何だったのでしょうかって話にもなるからそこはちゃんと整理しないと行けないんですよね。特に野口さんの説明ですとまだ2%ノルムは行ってないしこの先結構時間がかかる、ってことになるのでじゃあ何で政策と切り離せるんだ、って話になるから(大本営だと「見通しの確度が高まったのでオーバーシュート型コミットメントの目的は達成された」という言い方なのでそこは辛うじて誤魔化しておられます、為念)。


・・・・・ということで時間もアレになってしまったので本日は野口さん金懇の政策に関する部分のみネタにしましたが、会見録見てまた補足が出来れば他の部分も、と思います。あと野口さんこの中で市場機能の話を妙にしているのですけれども、市場機能が大事なら何で6兆円の買入が重要と思うのかがエライ矛盾してませんかって感じでそこも何だかなあと思いましたが本日は割愛します。


しかしまあアレですよ。この野口さんの説明にしても、長期国債買入の部分が何かもう妥協の産物で訳の分からん状況でとりあえず突っ込んだんだな、というのが明らかになったというのがこの金懇挨拶の収穫ではありまして、4月会合は経済物価見通し云々よりも(どうせ暫くの間の政策変更は「物価目標達成の確度の高まり」という「お気持ち」で行われるんだから経済物価見通しなんぞは所詮後付けであってどうでもよいという極論で考えて居るアタクシ)この長期国債買入の建付けがキメラ状態になっているのを何とかするのかしないのか、という辺りを注目して行こうかと思います。







2024/04/18

お題「GCちゃん上がりませんなあどころか下るの巻/FOMC3月議事要旨は物価上振れ方面の盛り合わせ定食ですね」

ほうほうそうですかそうですか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA173R50X10C24A4000000/
国の基金に「10年ルール」 成果なければ原則廃止
税・予算
2024年4月18日 2:15 [会員限定記事]

貸出支援基金ってのがこっちにありますよ!!!!!!


〇足元でGCちゃんが下がっているようで

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/15 0.065 0.062 0.053 0.051 0.050 0.045
2024/4/16 0.044 0.041 0.046 0.047 0.045 0.039
2024/4/17 0.036 0.019 0.032 0.035 0.037 0.032

・・・・・・・とまあそういう訳でトモネのGCレートが火曜水曜と威勢良く低下しておられまして、積み期間が変わったのが何か影響しているのかどうかとか、海外の円転とか、まあだいたいその辺の影響なのか知らんけど、GC下がるつまり例によって短い所の国債が物無し芳一モードということで、マイナス金利を解除して金利上がったとは言ってもこの短いゾーンの国債需給のタイトさよ、ってなもんです。究極的には超過準備がとんでもない聳え立ち方をしているから、というのがある訳ですが、これ今足元がコール7.7bpとか言ってる中なので絶対水準的にはゆうてそこまでスプレッドではない(と言っても率からみたらエライコッチャですけど)のですが、短期政策金利0.25%に利上げした時に短国3Mの利回りとかGCレポの利回りとかが短期政策金利対比クッソ低い、ということになるとそれは金融政策運営の建付けとして如何なものか、という話になるんジャマイカというきが段々してきました。

YCC政策ぶっこむことによって、長期金利も含めた全体の国債金利の状況が金融環境の緩和度合いのメルクマールになるって理屈を打ち出してしまっているので、何ぼ「短期政策金利の上げ下げを経済物価情勢とその見通しに基づいて実施する普通の金融政策へ回帰しました」と言ったって、一方で短期政策金利水準に対してイールドカーブの起点になる短い所の国債利回りが短期政策金利水準と乖離してたら、政策金利水準そのものが意味無くなるじゃん、というお話であります。

これってそりゃまあ短期国債とかの実効金利があがらねえからトサカにきて言ってるというアタクシの事情もありますが(自爆)、まあ超大昔のログでも拾ってみていただければと思うのですが、リーマンショックの時ってこの逆みたいな事が起きてたんですよ。

もう15年レベルの昔の話になっちゃうから簡単に解説しますと、リーマンショックの時って世界的に「何ぼアゲンストペイメント(要はDVP決済ね)だとしても、取引相手が飛んでしまって決済止まるとやべえじゃん」ということで全世界的にカウンターパーティーリスクを極端に意識するようになりまして(それによってデリバティブ取引の中央清算制度などが一段と促進されるようになったのは後日の話)、本邦においてはGCレポ市場の金利が上昇してしまうという流れになったんですな。

でまあ10月末に利下げしたんですけど、GCレポの金利は上がってしまうというトンチキな事になってしまいまして、短国とかCPの金利が段々上がって行って、エライ勢いで金融環境が引き締まるということになったのですが、この時もCP買現先を一発申し訳程度に打ったのですが、政策金利の引き下げをしてもオープン市場の金利が上がっているっていうのにそっちの買入の話って最終的には翌年2月になってやっと決定する(12月に再利下げしたので水準自体は下がりましたが)というテイタラクでして、この時の初動の遅れに関しては何かさすがにこの金利上昇やべえだろという事で連日悪態をついておった次第な訳ですな、うんうん。

まあこの時足元のオープンが上がったからじゃあ長い金利上がったかというとそれはそれで別問題ではあったので反応鈍かった面もあるのかも知れませんが、全体的な金融環境とかそういう総合的な判断みたいな言い方を日銀って使うんですけど、たぶん市場のプライスアクションは外生変数だと思っている節があって(個人の感想です)、そりゃまあ外生変数で別に日銀がどうにかできるもんじゃない事の方が多いのかも知れませんけど、足元なんか全然短い所の国債需給がクソタイトなままが続くのってのも、単純に外生変数でーすとかやっていると、今はまあ良いんでしょうけど、本当に正常化局面に入った時に「国債金利」が金利としてのメルクマールにならない歪んだ需給を反映した金利形成になってしまいますと、それはそれでどうなのかね、という話になり兼ねないなあとか大げさかもしれませんが懸念する所でして、まあ要するに超過準備減らせやゴルァという話になるんですけど、ここまでトンデモナイレベルの超過準備がある中で、超過準備付利しておけばそらまあ無担保コールはそこの近所に張り付くにしても、実効的な金利水準が乖離しちゃうと政策金利とは何ぞや問題になるかもね、って謎の哲学語りになってしまいましたどうもすいません。



〇最早会見スルーしてるのに議事要旨の方だけは見るというスタンスで3月議事要旨のさらに続きで勘弁

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20240320.pdf(PDF)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240320.htm(HTML)

せっかく『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のインフレの所をネタにしたのでその次もネタにすれば経済物価情勢に関するまとめが全部カバーできますから、というしょうもない理由で残りをコンプリートしに行きますわ。

・3月FOMC議事要旨で示されている「今後の経済の前提」と家計部門に関して

物価の話が先に来る、という異例の構成から始まっている3月議事要旨、では経済の前提はというのもこれが味わいがあるというか何というかで、

『Participants expected that economic growth would slow from last year's strong pace.』

経済に関しては「昨年の強いペースからは成長は鈍化するでしょう」からおっぱじまっていますので、要はそれが前提という話なので、経済が思ったほど鈍化しない、というのも利下げを躊躇する理由になりまっせ、ということもここで示しているのがチャーミング。

『With regard to the household sector, participants noted that consumption spending generally remained solid, although many commented that recent readings on retail sales had been soft.』

ここから需要項目別の話になっています、最初が家計の話ですが、

『Several participants pointed to the strong labor market, ongoing wage gains, and a generally healthy household-sector balance sheet as likely to continue to support consumption.』

賃金の強さや家計のバランスシートの良好さも消費支出を支えるでしょう、という話をしておりまして、

『Participants noted mixed reports about the pace of homebuilding amid still-elevated financing costs for developers, despite strong housing demand and a limited supply of affordable housing.』

住宅関連の支出はまちまちですが、。

『Some participants noted that increased immigration, which had likely been boosting the growth of personal consumption spending, may also have been adding to the demand for housing.』

移民の増加によって個人消費をブーストするし住宅需要も押し上げられる、と来てからの、

『Many participants pointed to indicators such as higher credit card balances, greater use of buy-now-pay-later programs, or rising delinquency rates on some types of consumer loans as evidence that the finances of some lower- and moderate-income households might be coming under pressure; these developments were seen by these participants as a downside risk to the outlook for consumption spending.』

威勢のいい話をしてたのですが、最後の所では低所得層を中心にクレジットカードとか後払いサービスとかの利用の拡大が続いていて、このまま行きますとこの辺があばばばばーとなるリスクがありますなあ、と締めの部分で慎重に締めています。


・企業部門の話は設備投資意欲など威勢のいい話

次のパラが企業部門。

『Reports from business contacts in some industries and Districts conveyed increased optimism about the outlook, while contacts in a couple of other Districts reported only a steady or stable pace of economic activity.』

企業の経済見通しが強気化している地域や業種がみられるようですな、2か所の地区連銀ではそうでもないよという指摘も。

『Restrictive credit conditions were cited by a few participants as restraining sectors such as equipment investment and residential investment. However, several participants noted that their contacts had reported increased investment in technology or in business process improvements that were enhancing productive capacity and helping businesses ameliorate the effects of a tight labor market.』

設備投資意欲は幾分弱まっているところもあるけど、強気の設備投資を計画している向きも見られます、ってこれ英文の方がどう見てもニュアンス分かりやすいというか単にアタクシの日本語が下手くそなだけですけど、書いてあるトーンは明らかに威勢が良いし、企業の設備投資によって供給制約の解消にもつながるとか割といいことづくめの評価をしてやがるように見えました(個人の感想です)。

『Manufacturing activity was characterized as stable. A couple of participants noted that high input costs and lower expected commodity prices were weighing on farm incomes.』

製造業は強いんですけど、農業に関してはコスト高がマイナスに効いているという指摘。


・労働市場は毎度おなじみの話ですが移民拡大の効果についてのコメントがちょっと目立つかな

次が労働市場です。

『Participants assessed that demand and supply in the labor market were continuing to come into better balance, although conditions generally remained tight.』

労働需給バランスは改善に向かっているが依然として水準はタイト、ってもう何回これ言ってるんだ状態ですが、

『Participants noted strong recent payroll growth, while the unemployment rate remained low. Participants cited a variety of indicators that suggested some easing in labor market conditions, including declining job vacancies, a lower quits rate, and a reduced ratio of job openings to unemployed workers. Some participants indicated that business contacts had reported less difficulty in hiring or retaining workers. Several participants noted that the better balance between labor supply and demand had contributed to an easing of nominal wage pressures. 』

この辺の「状況は徐々に改善」ってのも毎回同じような感じの話をしているんですよね。うーむ。

『Nevertheless, some participants observed that portions of the labor market, such as the health-care sector and in less urban areas, remained very tight.』

とは言えヘルスケアのような一部セクターとか、大都会以外の地域での労働需給はとてもタイト、と個別の話が出た後、

『Most participants noted that, during the past year, labor supply had been boosted by increased labor force participation as well as by immigration. Participants further commented that recent estimates of greater immigration in the past few years and an overall increase in labor supply could help explain the strength in employment gains even as the unemployment rate had remained roughly flat and wage pressures had eased.』

移民の増加による影響(基本的に労働需給を緩和するので好ましいという話)について、で締められています。



・見通しにおける不確実性でこれでもかと物価上振れのリスクの話をぶっこんでいるのは中々お茶目です

次は見通しにおける不確実性について。

『Participants discussed the uncertainties around the economic outlook.』

でもって、

『Participants generally noted their uncertainty about the persistence of high inflation and expressed the view that recent data had not increased their confidence that inflation was moving sustainably down to 2 percent.』

物価はちゃんと見通し通りに2%に向けて沈静化するんじゃろうか、という点についての不確実性について皆さんが見解表明したようで、

『Some participants pointed to geopolitical risks that might result in more severe supply bottlenecks or higher shipping costs that could put upward pressure on prices, and observed that those developments could also weigh on economic growth. The possibility that geopolitical events or surges in domestic demand could generate increased energy prices was also seen as an upside risk to inflation.』

一発目に指摘されているのが地政学的なリスクで経済に下向き物価に上向き。

『Some participants noted the uncertainties regarding the restrictiveness of financial conditions and the associated risk that conditions were or could become less restrictive than desired, which could add momentum to aggregate demand and put upward pressure on inflation.』

二発目が金融引き締めの影響が思ったよりも弱いリスク、ということで強くて経済がコケるリスクではなくて物価が上がる方の経済強くて物価が上がるリスクのサイドを指摘しているというのが中々チャーミングですね。

『Several participants commented that increased efficiencies and technological innovations had the potential to raise productivity growth, which might allow the economy to grow faster without raising inflation.』

テックの発達で生産性が上がってこれまた成長が強化されて物価が上がるリスク、と物価の上のリスク3連発。

『Participants also noted downside risks to economic activity, including slowing economic growth in China, a deterioration in conditions in domestic CRE markets, a potential reemergence of stresses in the banking sector, or the possibility that a pickup in layoffs could result in a relatively rapid rise in unemployment. 』

物価上振れ3連発の後に中国リスク、商業用不動産市況が(ノ∀`)アチャーとなって金融機関にアイヤーとなるリスクや、レイオフなどの連発リスクなどをあげています。

『Many participants pointed to the difficulty in assessing how recent immigration trends would influence the evolution of labor supply, aggregate demand, and overall economic activity.』

最後は移民増加トレンドの影響だがこれはどうなんでしょ、みたいな締め方でして、この部分でもこれでもかとばかりに物価上振れリスクの話、となっていて、3がつFOMCの後のパウちゃんの発言はナンダッタノカという感じですが、まあそういう編集になった、ってことでお察しという話なんでしょうね・

ということで以下は先日ネタにした金融政策どうしますの話になりますのでここまで。







2024/04/17

お題「共担とかのメモ/パウエルさんとジェファーソンさんが政策金利ホールド時間が長くなるかも発言と」

もりあがってまいりました!!!!!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240417/k10014423971000.html
円相場 約34年ぶりの円安ドル高水準 一時1ドル=154円79銭
2024年4月17日 5時36分

『16日のニューヨーク外国為替市場では、FRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長の発言を受けて利下げの始まる時期が遅れるとの見方から円安が進み、円相場は一時、1ドル=154円79銭まで値下がりしておよそ34年ぶりの円安ドル高水準を更新しました。』(上記URL先より、以下同様)

まあそう来るじゃろうな。

『16日のニューヨーク外国為替市場では、FRBのパウエル議長がこの日のイベントで、インフレの根強さなどを示す経済指標が相次いでいることについて、利下げに踏み切るまでにはさらに時間を要するという認識を示したことを受けて、利下げの始まる時期が遅れるとの見方が広がりました。このため、日米の金利差が意識されて円を売ってドルを買う動きが強まり、円相場は一時、1ドル=154円79銭まで値下がりしておよそ34年ぶりの円安ドル高水準を更新しました。』

って話なのだが、既に東京時間の夕方前には154円60銭水準まで円安進んでいたのでなんか逆にパウエルのお蔭でパウエルのせいになってラッキーとか日銀思ってるんじゃないかとか、そもそもハトハトチキンちゃんに至っては円安がてめえのせいだと思ってないんじゃないかとかいう昨今ではあります。

〇共担2週間が札割れとかその他のメモから

・共担2週間札割れとは結構結構(かどうか知らんが)

話の都合によりいきなり落札結果から

落札結果 (4月16日<火>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240416.htm

共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月17日スタート分) 7,020 7,020

とまあそういうことで、2週間物固定金利でかつてフルアロットメントとかいうとんでもないオペを行っていた(なんでそんなとんでもないことをしていたかというとコロナオペの後継、とか言って「企業金融支援」みたいな体でただの共担オペを使うという如何にもその場凌ぎのインチキ施策で捻りだされた結果導入されたオペ)のですが、フルアロットメントをやめて8000億円のオファーにしたら2ロール目にして目出度く札割れとなりました。

まあ固定金利10bpだから基本的にGCとかの玉に使えるんだったら別にこの共担入れることもない(事務コストの面があるけど)ので、そこまで派手にニーズのある物ではない筈なのですが、まあ折角札割れしたことですし次回から減額ってのどうでしょうかとは思うのでありまして、何でもかんでもいろんな常設ファシリティとファシリティもどきを多用するといつまで経っても市場が市場にならないまま、ということになる(もうその辺は市場にしないで統制する、というのはそれ自体は思想としてあり得るのでそういう思想ならそういう思想でもいいんですけど)のでございまして、こういう常設ファシリティもどきは真に必要な限界的なファシリティを除いて徐々に撲滅する方向でお願いしたいものです。

と言いましてもウルトラハイパーアンプルリザーブがあって超過準備付利で吸収する所がスーパーファシリティであって全然限界にならないのですけどね(ちーん)。



・短国買入実施無しは実にイイハナシダナー

昨日のオペオファーちゃんですが、

オファー (4月16日<火>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240416.htm
米ドル資金供給                   2024年4月18日 2024年4月25日  5.580
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分) 2024年4月16日 2024年4月17日 -0.150
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>   8,000 2024年4月17日 2024年5月1日 0.100
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)  2024年4月16日 2024年4月17日 -0.150

ということで短国買入無しときまして、これでマイナス解除以来短国買入無し無し状態が続いておる訳ですが、ただでなくさえ短国ちゃんが3M中心に強い(昨日の引けを見ると1年はさすがに後ろに引っ張られて13bpとかの売参にされていたと思いますが手前は動かざること山のごとし)という状態になっているので、もうこれ以上日銀が介入する意味は全くない(売りオペするなら大歓迎だがそもそも売るものが無いじゃろ)という状況で、まあここで短国買入やったら民業圧迫にも程があるので勘弁してほしかったのですが、そんな友蔵心の俳句が聞こえたのかどうか知らんけど(まあオペ先にちゃんとヒアリングした結果でしょうけど)火曜日恒例短国買入は目出度く見送りとなり誠に結構な事となりました。

このように短国買入ではちゃんと「短国市場の需給動向を勘案して」買入を行わない、という事が出来るのですから、一方であの輪番のテイタラクは何なのか、という話になる訳ですが、これ結局3月マイナス解除の際に長期国債の買入に関してのみ謎の宙ぶらりん状態にしてしまって、今までは買入額に関しては、YCCなので究極的には金利水準から逆算、という作りだったのが、金利水準が無くなってしまった上に、声明文で「同程度」とか書いてしまったもんだからこの「同程度」がアローワンスがあるもの、と書かれていたとしてもそらまあ現場としては「中長期的に減らすって言ってますしアローワンスがあるから減らしました〜」と言って減らした場合、それで長期金利の上昇が起きた時に現場が勝手に減らしたからとか言われたくない、というインセンティブが働き、結果として「国債の市中消化額が減額されているのに長期国債買入を減額しないで事実上の追加緩和」という謎プレイを行い、緩和継続の強い意志を結果として示して(基本がアメリカン金利のせいとは言え)日銀の緩和への意志が円安を助長する効果を出す、という大局的にアカン事になっても「だって政策委員会の指示は同程度でしょ」で済んでしまうという構想になっているのは、これまあ胆力があるないとかいうのもあるけど本質的には長期国債買入の位置づけが宙に浮いたままなのが悪い、すなわち政策の建付けが悪いという事に他なりませんな。

と、短国買入無しを絶賛していた筈のコーナーが何故か長期国債買入の悪態に化けているという隙あらば輪番ネタをねじ込むムーブのアタクシですが、この減らさんオペを見ておりますと、まさしく氷見野副総裁の昨年12月の講演を思い出すわけでして、

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko231206a.htm

『また、会社によっては、「何かをやって失敗すると個人が厳しく責任を問われるが、何もしなかったために失敗しても誰のせいなのかはっきりしない」とか、「何かをやって成功してもそれほど報いられないが、何かをやって失敗すると厳しく責められる」といった、非対称なインセンティブ構造がある場合もあるかもしれません。』(直上URL先2023年12月6日氷見野副総裁大分金懇挨拶より)

・・・・・・いやまあ特に付け加える言葉はありませんですわ。

ま、何はともあれ4月会合はコミュニケーションの立て直しと輪番の位置づけを今のような政策委員会無責任現場丸投げ方式の見直しを行っていただきたい(正直物価見通しとか経済見通しとかどうでもいい、くらいのレベルでこっちをして欲しい訳で)と思うのでありました。よく考えたら来週金曜ですけど。



・東京レポレート(の短い所)は市場らしくなって参りましたような気がする(気のせいかも知れないけど)

毎度の東京レポレートちゃんですけど
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

ちょっとここもとの推移を並べて見ると(単純にベタベタ貼ってるだけですが)

2024/4/5  0.048 0.054 0.039 0.037 0.037 0.036
2024/4/8  0.048 0.042 0.036 0.036 0.037 0.035
2024/4/9  0.017 0.032 0.037 0.034 0.035 0.034
2024/4/10 0.061 0.048 0.039 0.038 0.038 0.037
2024/4/11 0.051 0.055 0.044 0.043 0.043 0.040
2024/4/12 0.065 0.079 0.053 0.051 0.051 0.049
2024/4/15 0.065 0.062 0.053 0.051 0.050 0.045
2024/4/16 0.044 0.041 0.046 0.047 0.045 0.039

とまあそんな感じで、12日のトモネが当日入札が行われた3m新発の発行日スタートだからちょっと警戒して上がったのかね、という感じですが新発も目出度く捌けてその後順調に低下という推移になっておられるようには見受けられます。あとまあ15日は積み最終だったので、15日のトモネとか次の積み期間に入るかその辺の影響とかもあるんですかしらよくわかりませんけれども。

足元がそこそこ動くのでこちらに引用している1Mまでは何かそれに引っ張られるという形になっていますが、3M以降に関しては(そもそもGCのそんなに長いのって厚みのある市場にも思えませんけど)だいたい毎度同じ水準で推移しているので、まああくまでも足元の需給変化に律儀に反応(そりゃまあ1Wとか2Wとかの1日分違ったらデカいから当たり前ですが)しているというようにここの数字だけ見ると見えるのですが、まあ実際には詳しい人に聞かないとムツカシネーという感じですな。

まあいずれにしましてもコールの方はびしっと動かない(そらまあ日銀当座預金放り込みスキームあるから当たり前なんだが)中でこの辺は市場っぽいと言えば市場っぽいし、単純に短国の需給がひっ迫してレートが相変わらずクソ低い状態なので目線が定まってこないだけなのかもしれませんが、何か不思議な感じがします。まあこれが9年続いたマイナス金利の間に起きた環境変化とか構造変化を反映した結果なんでしょうけど。


〇パウちゃんの講演(だか何だか)はFEDのページに載ってないのよ今回は(おまけあり)

ロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/UPY4VEC3L5PTTBQQQOTRHH2ZVU-2024-04-16/
制約的政策、当面維持も インフレ低下確信に時間要=FRB議長
By ロイター編集
2024年4月17日午前 5:29 GMT+9

『[ワシントン 16日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は16日、インフレの2%回帰に向けた「一段の進展の欠如」を踏まえ、FRBは予想されていたよりも長期間、高水準の金利を維持することが必要となる可能性があるという見解を示した。』(上記URL先より、以下同様)

ってことで、

『パウエル議長はワシントンで行われたイベントで、「最近のデータは明らかにわれわれに自信を与えるものではなく、むしろその自信を得るには予想よりも長い時間がかかる可能性が高いことを示している」と指摘した。その上で「労働市場の力強さとこれまでのインフレの進展を踏まえると、制約的な政策がさらに時間をかけ効果を発揮することを容認し、データや変化する見通しに依存することが適切」と述べた。』

そうですかそうですか。しかしロイターさんったら無慈悲なのでこの記事中にちゃっかりこのような指摘を入れておいでです。

『パウエル議長は先月7日、上院銀行委員会の公聴会で行った証言で、FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する確信は「そう遠くない」将来に得られるとの考えを示した。』

『ただ、この日の発言ではそのような見解を示さなかったほか、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に示された、1月と2月のデータはインフレが徐々に減速するという「全体的な状況」を変えていないとの見方も示さなかった。』

これは鬼ですねw


でもってブルームバーグさん
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-16/SC1QDJDWLU6800
パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆−インフレ根強く
Craig Torres
2024年4月17日 2:50 JST 更新日時 2024年4月17日 3:36 JST

→景気抑制的な金融政策が作用する時間をさらに与えるのが適切−議長
→インフレ持続なら「必要な限り」金利を据え置くことが可能−議長

『議長は16日、ワシントンでカナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁とパネル討論会に参加。「最近のデータがわれわれの確信を深めるものでないことは明らかであり、それどころか確信を得るには想定以上に時間がかかる可能性が高いことを示唆している」と議長は語った。』

『また、「労働市場の強さとこれまでのインフレ面での進展を踏まえると、景気抑制的な金融政策が作用する時間をさらに与え、当局としてデータと変化する見通しを指針とするのが適切となろう」と述べた。』(以上上記URL先より)

ってなもんで、まあおまいらはそもそもインフレ上昇に関しても判断が遅れて上振れさせちゃったし、物価にフォーカスして政策するときに物価予想精度が悪いことを自覚して、下手なフォワードコミットメントというか予告ホームランをすると後々自分の首を絞めるだけ、ということをもうちょっと認識して頂きたいものだと思う訳です。


という訳で、まあ順当ちゃあ順当の発言ではあったのですが、パウちゃん降参発言ということでアメリカン金利はまた強含みという結果になって例のドル円になるって事だとは思いますが、「データディペンデント」って言ってるんだし、その上インフレ動向が従来になく読みにくい状態なんだから無理して変な決め打ちしない方が良い訳で、その流れで言えばドットプロットとかあんなもん早く廃止しろと思いますけど、まあ中央銀行の予告ホームランツールとして無茶苦茶使い勝手が良い(ただしそれが逆効果になるリスクの話はさておく)ものなので中々引っ込めないと思いますが、引っ込めたら大英断と評価したくなりますね。


でまあこの講演だかシンポジウムに関しては

https://www.federalreserve.gov/

の「Recent Developments」見ても出てないので、残念ながら講演らしきものが取れない(何か右の方にあるライブとかいうのが何でしょとは思うのですが見る気が無いというか時間が無いのでパス)ので残念ながらこの辺のベンダーニュースを見ての感想って感じですな、うーむ。



ところでオマケですが、さっきのFEDのトップ見たら

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/jefferson20240416a.htm
April 16, 2024
Economic Uncertainty and the Evolution of Monetary Policymaking
Vice Chair Philip N. Jefferson
At the International Research Forum on Monetary Policy, Washington, D.C.

とかいうのがあったので、フォワードガイダンスの在り方の話でもしているかと一瞬期待して開けてみた訳ですが、超斜め読みの結果別に大した話をしていないようには見えた(単に歴史を振り返っているだけのような気がするんだが)のですが、読み落としてたらシュイマシェン。

でまあこの講演の最後の方に、『Current Situation』という3行コメント、というか3パラコメントがあるのでそれを拾ってみますと、

『Reflecting on the situation we are facing today, over the past year, inflation has come down significantly but is still running above the FOMC's 2 percent goal. In March, headline personal consumption expenditures (PCE) inflation was 2.7 percent over the past 12 months based on the Federal Reserve's staff estimates. A year earlier, it was 4.4 percent. Core PCE inflation, which excludes the volatile food and energy components, stood at 2.8 percent; a year ago, it was 4.8 percent. While we have seen considerable progress in lowering inflation, the job of sustainably restoring 2 percent inflation is not yet done.』

ここはただの物価の振り返り。

『Real GDP growth in the fourth quarter of 2023 was 3.4 percent, and I expect first-quarter economic growth to slow down but remain solid as indicated by the solid growth in retail sales in March and February. Recent readings on both job gains and inflation have come in higher than expected. The economy added an average of 276,000 nonfarm jobs per month in the three months through March, a faster pace than we have seen since last March. And the inflation data over the past three months were above the low readings in the second half of last year.』

ここはただの成長率と労働市場の振り返り。

『My baseline outlook continues to be that inflation will decline further, with the policy rate held steady at its current level, and that the labor market will remain strong, with labor demand and supply continuing to rebalance.』

でもってこのコーナー最後のパラがジェファーソンさんの見通しですが、政策金利はしばらくホールドですって。

『Of course, the outlook is still quite uncertain, and if incoming data suggest that inflation is more persistent than I currently expect it to be, it will be appropriate to hold in place the current restrictive stance of policy for longer. I am fully committed to getting inflation back to 2 percent.』

というあっさり味で締めています(のでさっき3行コメントって比喩した訳ですが)けれども、「inflation is more persistent than I currently expect it to be」だし、「it will be appropriate to hold in place the current restrictive stance of policy for longer」ですから、まあパウちゃんの陰に隠れていますが、しれっとこちらでも政策金利ホールドのお時間が従来考えていたよりも長くなりそうでごわす、ってぶっこまれているのがありました、というのがオマケでした。




2024/04/16

お題「日銀は結局何をしたいのか謎な情報発信するの勘弁/3月FOMC議事要旨ネタその3」

はいはい円安円安。

〇日銀の情報発信が情緒不安定になっているのかと心配する訳だが

こんなんありました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-15/SBZ67BDWX2PS00
日銀はインフレのみを重視することはない、政策決定で−報道
Dayana Mustak
2024年4月15日 17:35 JST 更新日時 2024年4月16日 4:30 JST

『日本銀行は金融政策決定において、インフレにそこまで重点を置かず、より裁量的なアプローチにシフトしつつあると、ロイター通信が事情に詳しい複数の関係者の話を基に報じた。』(上記URL先より、以下同様)

これロイター木原記者署名の英語版の方の記事で報じられているのですが、日本語版ロイターのゴテゴテサムネトップページをみても該当する記事のリンクがみつからんとかいう惜しい設計になっているので日本語の方の記事をBBGさんから見るという無茶なプレイになる。

でまあお話としては、

『日銀はインフレ率が26年度も目標の2%近辺にとどまるとの見通しを示すとみられているが、ロイターが事情に詳しい関係者3人の話を基に報じたところによれば、こうした予測だけでは短期的な利上げを示唆する強力な手掛かりにはならない。関係者の1人は「インフレ見通しだけでなく、さまざまなデータを精査する必要がある」と述べ、消費や賃金、経済全般など他の指標の重要性を指摘したという。』

ということになっているのですが、要するに「4月の展望レポートでは2026年度の物価見通しが年平均でほぼ2%に達しますけれども、それが即物価目標2%達成を意味するものではないからそこからガシガシ利上げが始まる訳ではないですよ」っていう話をしたいんだと思うのですけれども、まあ分かりにくいコミュニケーションである事は申すまでもない訳ですよ。

だってついこの前「2%物価目標達成への確度が高まった」と言って政策枠組みの見直しをしたんだから、こんな「インフレのみを重視することはない」みたいな今までの否定をしているような説明(を書いたのはロイターかもしれないけど少なくともそう書かれるようなコミュニケーションを中の人がしてるからロイターさんだってこう書いているんだし)してたら「お前ら今まで何やってたんだ」って話になる訳で、ただでなくさえ説明が最早訳分らん状態になっているのに、マジで何言ってるのこの人達??ですわ。


いやまあタダで見てるんでシャーナイのですがロイター英語版って広告の量がバチクソ多いのでちょっと古いPCで見てると広告サムネが出る時間がかかるのがうざいんですけど、

(URLが長いのでハイパーリンクは途中の文字列まで貼っていますが該当ページに飛ぶはずです)
https://www.reuters.com/world/japan/bojs-new-policy-approach-takes-shine-off-its-inflation-forecasts-2024-04-15/
BOJ's new policy approach takes shine off its inflation forecasts
By Leika Kihara
April 15, 20245:45 PM GMT+9

最初にサマリーってのがあって、

『Summary
BOJ's expected upward price revision may not say much on rates
Ueda's data-dependent stance may mean more nuanced policy hints
Consumption, wage data key to next BOJ rate hike timing
BOJ next meets on April 25-26, issues quarterly forecasts』(上記URL先より、以下同様)

ということで、3番目にあるように消費と賃金のデータが、ということでして、まあこれ自体「賃金と物価の好循環ガー」と言っている日銀の従来の話をよりこの方向に寄せた話、というのが想定できると思いますが、記事読み進めててロイターの書いてある字面は分かるんだが、結局日銀は何をいってるんだというのの象徴的なのが記事の本文は言って3つ目の広告を挟んだ前後の辺りにありましてですね、

『In the days after ending negative rates in March, Ueda said the central bank would revert to a "normal" monetary policy that lets various data guide the future rate hike path.』

『"It's dependent on data," Ueda told a newspaper interview published on April 5, when asked whether the BOJ could raise rates this year. "We'll adjust interest rates according to the distance towards sustainably and stably hitting 2% inflation."』

朝日新聞インタビューの記事での「データディペンデント」の話と、2%物価が安定的かつ持続的にヒットしている状態に対する距離によって政策金利を調整する」という部分に関して、

『The remarks suggest the BOJ could hike rates regardless of its inflation forecasts, as long as it becomes more convinced than before that Japan will sustainably hit its price goal.』

・・・・・・・・(゚д゚)

「インフレの見通しによって利上げをする訳ではなくて、物価目標達成への自信度が高まることによって利上げが行われるでしょう」

ということなんだがちょっと待てなんじゃそれという話で、だったらもうお前ら3年先の経済物価見通しとか出すだけ無駄じゃんという話になるんですが、いやまあ別にそんなの出さなくても良いという説はあるんですけど、「展望レポートで物価見通しの引き上げを行って新しく出す2026年度の見通しが2%近傍、即ち3年間に渡って2%超えあるいは2%近辺の物価見通しが出ている、という状況を捕まえて2%達成じゃないですので云々って最早それインフレターゲットじゃねえだろというお話。

いやまあですね、別にアタクシも2%物価目標自体をガチガチに運営しろ、という主張はもとからしてないから、その辺の裁量的アプローチをするなとは言わないんですけど、この理屈って結局黒田末期の1年間から始まった「政策変更したくないでござる」先にありきの「ゴールポストを動かして政策を変えない言い訳をコロコロ変える」と同じことをやっているだけのことで、そのどこが「普通の金融政策」だよと小一時間問い詰めたい訳ですよ。政策反応関数とかそういうの結局なくて、「金利を上げるのが怖いから政策変更したくないでござる」と泣きわめいていて、その理由だけは尤もらしく屁理屈を構成するけどついこの前までの説明と整合性が取れない、というののどこが普通の金融政策なのかちょっと説明してくれませんかねえ植田先生、とまあそういうお話なのでありました。ちゃんちゃん。


・・・・・・・でもってこの「怖いから利上げしたくないでござる」の何が怖いんだよ円安の方がやべーだろとかそういうのはさて置きまして困りますのは、3月のマイナス解除に向けての話から以降のコミュニケーションが「マイナス解除時の長期金利急騰が懸念されるから解除後も緩和的というのを強調(まあここまではわかる)」→「解除時も緩和的を強調(出だしはしょうがないと思う)」→「長期国債買入は中長期ゾーンで事実上の増額を行い裏口緩和強化(ナンジャソラ)」&「緩和的を相変わらず強調(いや金利と為替見たらもうそんなに強調しなくてええじゃろ)、と来た訳ですよね。

そしたら米国要因もあるんだけど円高どころか円安が進んでしまって、国会半期報告の質疑応答では急に「為替も物価に響くなら考慮の対象」というような感じで、明らかに円安に歯止めを掛けたいコミュニケーションにジャガーチェンジを行ってきたのに、今週になっていきなりこの「関係者談」記事が飛んでくる、というこの流れがまあ一貫性が無い、というよりは右往左往している感が強くて、さてはお前ら円安止まらないのに金利だけ上がってきたの見てまたトーンを変えようとしてるだろ、ということで、かつてアラン・ブラインダーさんが言ってた「自分の尾を追う犬」と化しているんじゃなかろうか、とまあそっちの方が心配になるんですよこの一連のコミュニケーションって。

円安上等金利は上げないで物価目標達成のために緩和吹かずぞー、というのを貫くなら貫くでまあ(自分は賛成しないけど)それは一つの考え方なんで貫いてコミュニケーションしてくれればいいし、2%物価目標達成に向けて緩和度合いを徐々に調整していきたい、なら行きたいでその方向でやってくれればいいんですけど、だいたい為替市場の動向。たまに債券市場の動向をみながら右往左往しているようにしか見えないコミュニケーションをやっているようにしかアタクシには見えない(まあ報道する方がバイアス掛けて来るのも一因だが)情報発信になっていて、ひじょーーーーーーに困りますわいやマジで。


やはり思うに、金懇の回数を倍にするなり、金懇だと支店の地域の有力者を集めるとか色々とロジが大変なんだったら各委員が年2回やってる金懇の間に都内で講演会実施するとかして、「政策委員個人の意見表明の場所」を作れば、ある程度の幅を持って意見が出て来たとしても別に「ドタバタ」感が出る訳ではないんじゃなかろうか、って思うのですが、今の日銀って金懇が各委員年に2回だけど、うっかりするとその日程をやたら詰めて来るのに結構問題があって、結果的に今の日銀って通常日銀から出て来るネタが基本ワンボイスになってしまって、そうなると両面的に説明をしだすと今のようなドタバタ感のある情報発信になってしまうんでネーノってのもあったりするわけで、この1か月を見ても言ってることがコロコロ変わってお前ら一体全体何をしたいのか、といいたくなる状態なのは甚だ困りますしこれから先が思いやられるとしか申し上げようがありません。



〇FOMC議事要旨ネタその3:やべえうっかりしてたこれ凄い分かりやすいメッセージあったじゃん

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20240320.pdf(PDF)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240320.htm(HTML)

・パーティシパンツの議論パートの並びがいつもと違っていた件について

すいませんすいません目が節穴で・・・・・・・

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』のところなんですけど、最初のパラグラフは、

『In conjunction with this FOMC meeting, participants submitted their projections of the most likely outcomes for real GDP growth, the unemployment rate, and inflation for each year from 2024 through 2026 and over the longer run. The projections were based on their individual assessments of appropriate monetary policy, including the path of the federal funds rate. The longer-run projections represented each participant's assessment of the rate to which each variable would be expected to converge, over time, under appropriate monetary policy and in the absence of further shocks to the economy. A Summary of Economic Projections was released to the public following the conclusion of the meeting.』

これはSEPのある会合のお約束のフレーズで、SEPについて議論して作ったよーというのが最初に来るんですよ。でもってこの次が物凄くメッセージがありまして、

『In their discussion of inflation,』

から始まるんですなこれがまた。

例えばSEP会合12月FOMCの議事要旨とか
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20231213.htm

SEP会合じゃないけど1月のFOMCの議事要旨とか
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240131.htm

でもそうですし、まあ毎回そうなんですが、最初にあるのってSEP会合だとさっきのような感じの話、SEPない時だと当日出てるステートメントで示した経済物価情勢の現状認識(なので概ね声明文の第一パラグラフ相当部分)の話が出てて、その次ってお約束のように「Regarding the economic outlook,」になるんですよね(SEP会合の場合は見通しの前に現状認識ということで声明文第一パラグラフ相当部分が出て来る)

でまあ最近の2回分だとエコノミックアウトルックの後にインフレの話が出て来る、という扱いになっていて、よくよく考えてみたらインフレのパートが出て来る順番が速くなってたじゃん、と今更に気がついている節穴おじさんにも程があるのですけれども、今回はついに上記のように「経済の見通しの話の前にインフレの話」という順序になっています。

もっと前のグレートモデレーション的な時はインフレの話しって経済情勢と個別需要項目の話の次にインフレがあってその後雇用がある、みたいな感じでしたので、そもそも論としてインフレの話が段々前の方に来ていたのですが、さすがに節穴目玉のワイもこの「インフレの話しから入る」というのは目が覚める訳でありまして、内容以前の問題で「インフレの動向が政策判断上重要ですよ」というのをメッセージとして打ち出した、というのが3月議事要旨の仕立てとして重要なところでした、今頃になってネタにしててただの後の祭りで甚だ申し訳ございません。


・ではそのインフレに対する話

パラグラフ2個使っていますがそこそこ長めですね、そりゃそうだ。

『In their discussion of inflation, participants observed that significant progress had been made over the past year toward the Committee's 2 percent inflation objective even though the two most recent monthly readings on core and headline inflation had been firmer than expected.』

ここまでのインフレ鎮静化の進展は大変に宜しかった、ときてからのeven though以下の「最近2カ月の物価データが想定よりも強い件について」と来まして、

『Some participants noted that the recent increases in inflation had been relatively broad based and therefore should not be discounted as merely statistical aberrations. However, a few participants noted that residual seasonality could have affected the inflation readings at the start of the year.』

これが一時的現象あるいは統計の綾によるものなのか、はたまたそうじゃないのか、という話で、ソウジャナイの方が先に来ている書きっぷりだし、人数もソウジャナイの方が多いという書きっぷりになってからの、

『Participants generally commented that they remained highly attentive to inflation risks but that they had also anticipated that there would be some unevenness in monthly inflation readings as inflation returned to target.』

そこからの「they remained highly attentive to inflation risks」という書き方なので上方ブレ警戒感を見せた書き方ですけど、その後にありますように、現状の動向も均一ではないので決め打ちムツカシネというお話をしております。でもって次のパラが先行き見通しですが、

『In their outlook for inflation, participants noted that they continued to expect that inflation would return to 2 percent over the medium term.』

基本は「2%に向かって戻るでしょう」ですね。まあそうじゃなかったらあのドットにはならんから順当だが。

『They remained concerned that elevated inflation continued to harm households, especially those least able to meet the higher costs of essentials like food, housing, and transportation.』

毎回のようにきっちりと「高すぎるインフレが低所得者層に対してより厳しい」ってのを入れているんですよね。

『A few participants remarked that they expected core nonhousing services inflation to decline as the labor market continued to move into better balance and wage growth moderated further. Participants discussed the still-elevated rate of housing services inflation and commented on the uncertainty regarding when and by how much lower readings for rent growth on new leases would pass through to this category of inflation.』

この辺はサービス価格(ノンハウジングとハウジング)の話。基本的には沈静化していく見通し。

『Several participants noted that the disinflationary pressure for core goods that had resulted from the receding of supply chain bottlenecks was likely to moderate. Other factors related to aggregate supply, such as increases in the labor force or better productivity growth, were viewed by several participants as likely to support continued disinflation.』

供給制約に起因する財価格の動向についてですが、いわゆるサプライボトルネックに関してはこれ以上押し下げに寄与しなさそうですけれども、労働ボトルネックとかそっちの方が解消して財価格そんなに上がらんのとチャイマスカという話になっていますね。

『Some participants reported that business contacts had indicated that they were less able to pass on price increases or that consumers were becoming more sensitive to price changes.』

企業の価格設定行動で複数の連銀総裁から企業からの話として顧客が価格引き上げに段々センシティブになってきているので価格を以前ほどホイホイ上げれなくなってきている、という話をご紹介。

『 Some participants observed that longer-term inflation expectations appeared to remain well anchored, as reflected in a broad range of surveys of households, businesses, and forecasters, as well as measures from financial markets.』

最後はインフレ期待はアンカーされています、ということなので、見通し自体は物価は沈静化するでしょう、という話になっていまして、要はアクチュアルの物価がどっちに転ぶか、というのが利下げ時期を決める話になるんでしょうなあ、という話ですが、とにかく「物価!!!」という感じでインフレーションの所を最初に持って行っている、というのが特徴的でしたなあ、と今更お前言っても遅いわヴォケってなもんですが、一応備忘もあるのでネタにさせていただきました。

ということで。





2024/04/15

お題「短国とか輪番とか/生活意識アンケートは目標達成驀進モード/FOMC議事要旨のバランスシート縮小の件」

おぅ・・・・・・
https://jp.reuters.com/world/mideast/2XVNTKAJZNKW7KWV5C5DXDGNUY-2024-04-13/
イランがイスラエル報復攻撃、200超の無人機とミサイル 安保理開催へ
By ロイター編集
2024年4月14日午前 11:22 GMT+9

ところで話は全然違いますが、本日をもってマイナス金利適用期間のある積み期間が終了になるので、マイナス金利適用に関するもろもろが今日の結果を受けた締め処理終了ととともに終了しますな。


〇3M短国の入札が回を追うごとに実質的に強い結果になっているようにしか見えない件について

金曜なので3Mの入札があったわけですが
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240412.htm
国庫短期証券(第1225回)の入札結果

『本日実施した国庫短期証券(第1225回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号         国庫短期証券(第1225回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日   令和6年4月15日
4.償還期限  令和6年7月22日
5.価格競争入札について
(1)応募額      14兆4,369億6,000万円
(2)募入決定額   4兆6,931億6,000万円

(3)募入最低価格  99円99銭7厘0毛
(募入最高利回り) (0.0111%)

(4)募入最低価格における案分比率   0.2039%

(5)募入平均価格  99円99銭8厘9毛
(募入平均利回り) (0.0040%)』

期初に入ってからの3発の3M(ちなみに3MTDBと言ってますが基本13週間物で発行されまして、GW跨ぎに関しては連休要因があるので14週間物で発行されるから実は3Mと言っても足は長い)ですが、

4/3:平均0.0046%/足切0.0134%
4/5:平均0.0047%/足切0.0110%
4/12:平均0.0040%/足切0.0111%

となっていまして、おまけに4/5の足切水準の案分が4.7216%とかいう極薄案分であちゃーと思ってたら金曜の案分は0.2039%とかいう極薄なんてもんじゃない案分になっておりまして、まあ実質足切りの札空振りと変わらんがなという結果になっております。

ということでですな、この間GCレートとか上がってきたというのに短国3Mだけは入札の回を追うごとにどんどん強い結果になっているという鬼のような展開になっていまして、まあオペだの金融規制だの何だのの要因もあるんでしょうけれども、まー結局のところ背景として今の超過準備がアホのように大杉栄というのがあるんでしょうなあ、とか思うとこれもう3M増発してくれませんかねえ(3Mを無駄に増発すると今度は国庫資金繰りが無駄に余ることになってそれはそれでよろしくないので基本難しいと思います、残念ながら)という勢いなわけでして、まあ今の水準の超過準備が多少の輪番減額によって減ったところで屁のツッパリくらいにしかならないのはその通りなんですけど、そうは言ってもやっぱりこのウルトラアンプルリザーブレジームってのは市場を歪めるわな、という当たり前ちゃあ当たり前なんですけど、マイナス金利のせいでいろいろなものが蓋をされていたのでこのような「見える化」が起きてなかった、ということになるのかなと思いました。



〇まあ当然の如く輪番は同額でして他の要因も混じっているから何なんですけど円安がキモいですよね

金曜の輪番ちゃん
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240412.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下)  3,750 2024年4月15日
国債買入(残存期間3年超5年以下)  4,250 2024年4月15日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,750 2024年4月15日

金曜は中長期の輪番でしたが、前回の5-10の応札がどうのこうのとかそういうのはお構いなし(まあ金利上昇モードだからお構いなしになるだろうなとは皆が思っていたから順当ではありましたが)に同額実施。

でまあ同額実施はどうせそうだろうなーーーーとは思うのですが・・・・・・

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PYNAJWM45FLETCF6PX3KHLSZJY-2024-04-12/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利0.86% 中長期債利回り反転上昇
By ロイター編集
2024年4月12日午後 3:40 GMT+9

『[東京 12日 ロイター] - <15:25> 国債先物は続落、長期金利0.86% 中長期債利回り反転上昇

国債先物中心限月6月限は、前営業日比18銭安の144円35銭と続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.0bp上昇の0.860%。全体的に方向感を欠く中、朝方はやや買いが勝っていた中長期ゾーンに売りが出て金利上昇に転じたことが波及し、先物も弱含みとなった。』(上記URL先より、以下同様)

アメリカンCPIであじゃぱー以来ちょっと売りモードになっておられるわけですが、それでも輪番の方はサポートになっておりまして、

『前日の米債市場で10年利回りが一時4.59%付近と上昇した流れを引き継ぎ、国債先物は売りが先行した。その後、現物市場で中長期ゾーンを中心に底堅い動きとなったことから先物はプラス圏に浮上し、後場も小幅高で推移した。引けにかけては、中期ゾーン利回りが需給調整で上昇に転じ、その動きが波及して国債先物はマイナス圏に沈んだ。超長期ゾーンでも一時は金利低下圧力がかかったものの、引けにかけてはその動きも一巡した。

中長期債対象とした日銀国債買入れオペの結果は概ね無難と受け止められ、相場への影響は限定的だった。』

という解説になっているにはいるのですが、まあ前場は輪番がサポートしてまっせみたいな感じで先物下がらん下がらんというかまあ前場引けってほぼ当日高値近辺で、後場の寄りが当日高値だったのですが、金利が下がっている時にも実質追加緩和みたいな輪番をしていた日銀がこの金利上昇で輪番減らすわけがない、ということで減らさんのは想像つくのですが、本来は金融政策の枠組み変更で「経済物価情勢に応じた金融政策の調整は短期金利で行う」という「普通の金融政策」に戻したはずなので、淡々と長期国債買入ペースを落としていけばいいだけの話なんですけど何にビビってるんですかってなお話は毎度申し上げている通り。

でまあ他の要因いろいろとあるにせよ、ドル円ちゃんが相変わらず円安になっている、というのも実にアレでして、足許で少し「緩和的な政策が続く宣伝からの脱却」をして方向性の調整をしてきているのですが、まあ輪番が実質増額のままで走っているようですと、円債市場の外、特に為替市場では「日銀は財政赤字が気になっていて金利を上げられない。それが何より証拠には長期国債買入を全然減らそうとしないでむしろ緩和強化を行っている」という見方が優勢になっているんじゃネーノってそれが気になるわけですよ、というのは別にアタクシだけの専売特許なわけではなくて、この一向に日銀の軌道修正気味の情報発信に反応しない為替市場を見ていると指摘している方がたくさんいると思うのです。

でまあ発言のトーン修正したのは良いけど、結局円債市場は反応するけど肝心の為替市場ちゃんが反応をしてくれない、という何のために発言トーンを修正したのか意味不明な状態になっているのを見ると、なーにやってんだか感が強くて、今回の日銀って、他の各種へなちょこオペ(特に包括緩和以降ダラダラ続いていたCP社債買入と、包括緩和で無茶苦茶なぶっこみをした4年貸増を骨抜きにしたのは評価高い)では非常に良い動きをしているんですが、長期国債買入に関してはなんでこうなるのという動きでして、そのため円安を助長しているというのがもう間抜けで間抜けで。

しかしまあ何ですな、何でもかんでも岸田さんのせいにすればよいという風潮でもあるのか、物価高放置に関しても岸田さんエライ言われようの割に「待つことのコストは大きくない( ー`дー´)キリッ」と言いながらドル円を20円ほど円安に持って行ってコストプッシュを拡大している植田さんがなんも言われないのラッキーとしか言いようが無いわけで、岸田さんに感謝しないとバチが当たりますなwww


〇日銀生活意識アンケート

https://www.boj.or.jp/research/o_survey/ishiki2404.htm(概要)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2404.pdf(全体版)

全体版の方から引用します。

・景況感改善しているし背景が収入の増加ですってよグレートな話ですなあ(遠い目)

『1.要 旨』の『1-1. 景況感等』から参りますが。

『1-1-1. 景況感

景況感のうち、現在(1年前対比)については、「良くなった」との回答が増加し、「悪くなった」との回答が減少したことから、景況感D.I.は改善した。

先行き(1年後)についても、「良くなる」との回答が増加し、「悪くなる」との回答が減少したことから、景況感D.I.は改善した。』

(;∀;)イイハナシダナー

でまあさらに何がイイハナシダナーかといえば、

『1-1-2. 景況判断の根拠

景況判断の根拠については、「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多く、次いで「マスコミ報道を通じて」、「勤め先や自分の店の経営状況から」といった回答が多かった。』

ということでですな、『(図表3)景況判断の根拠(2つまでの複数回答)〔Q2〕』を見ますとこの「自分や家族の収入の状況から」の回答がバンバンと増えているという話でして、これはどこからどう見ても物価から賃金への好循環キタコレという話にこじつけるのが大いに可能という話になっておりまして(実際のところはさておくとして)、2%物価目標達成の確度が一段と高まったとか何とか言ってしまえばいいんですよ、という結果がのっけから出てきている訳ですなこれがまた。


・所得の増加で暮らし向きも改善というホンマカイナとは思うけどそういう結果も出てますし

『1-2. 暮らし向き、消費意識』ですよねまあここからのポイントになるのは、ということで拝読。

『1-2-1. 現在の暮らし向き

現在の暮らし向き(1年前対比)については、「ゆとりが出てきた」との回答が増加し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少したことから、暮らし向きD.I.は改善した。』

マジっすかおかしいなーなんでワシ(以下自主規制)

『1-2-2. 収入・支出

収入については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が増加し、「減った」との回答が減少したことから、現在の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。先行き(1年後)については、「増える」との回答が増加し、「減る」との回答が減少したことから、1年後の収入D.I.はマイナス幅が縮小した。』

ということで収入の先行き見込みも好転しています、物価に勝っているのかどうかは知らんけど。

なので、長期時系列の『<収入D.I.の推移>』というのを見ますとものすごい改善をしているんですよね。水準はさておきまして(ただし基本こういうのアンケートの癖があるからDIがマイナスに出てくるのはある程度割り引かないといけないと思う)。

『支出については、実績(1年前対比)は、「増えた」との回答が減少したものの、「減った」との回答も減少したことから、現在の支出D.I.はプラス幅が拡大した。先行き(1年後)は、「増やす」との回答が増加し、「減らす」との回答が減少したことから、1年後の支出D.I.はマイナス幅が縮小した。』

ということでして、支出に関しては「減らす」ということでして、まあ使う方については戦略的になっていく、って話(減らすけれども実際に減るのかというとそれはまた別問題でしょうからね)でしょうな、ナムナム。

でまあ何を減らしているのかというと、

『1年前と比べて、支出を増やしたものについては、「食料品」との回答が最も多く、次いで「日用品(洗剤、雑貨等)」、「自動車(ガソリン等、維持費用は含まない)」が多かった。』

増やしたというよりは「増えた」ですよねこれって・・・・・・・

『1年前と比べて、支出を減らしたものについては、「外食」との回答が最も多く、次いで「衣服、履物類」、「旅行」が多かった。』

あーわかるわかる。

『今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することは、「今後の物価の動向」との回答が最も多く、次いで「収入の増減」、「余暇・休暇の増減」といった回答が多かった。

商品やサービスを選ぶ際に特に重視することは、「価格が安い」との回答が最も多く、次いで「安全性が高い」、「信頼性が高い」といった回答が多かった。』

これ後半の部分、『(図表11)今後1年間、商品やサービスを選ぶ際に特に重視すること(3つまでの複数回答)〔Q11(3)〕』になるんですけど、ちょっと面白いなと思ったのは「価格」がトップなのはいつものことなのですが、実は茲許「価格」以外の回答がじりじりと上がっていまして、「選択的消費」だの何だのという話題が出ていた時期ほどではないけど、その萌芽みたいな感じもしないでもないわけでして、まあ価格が上がるのはシャーナシとして、価格なりの性能とか安全性とか信頼性、耐久性を求める、みたいな方にシフトするのもノルムの変化なのかもしれない、とか思うと中々今回の生活意識アンケートは味わいがあるわと思うのでした。


・被用者側からみた雇用判断も改善してるし何ならヒストリカルハイ

『1-2-3. 雇用環境

1年後を見た勤労者(注)の勤め先での雇用・処遇の不安については、「かなり感じる」との回答が減少したことから、雇用環境D.I.は改善した。
(注)勤労者:会社員・公務員(会社役員を含む)およびパート・アルバイトなど。』

ほうほうそうですかそうですか、という話ですが、長期時系列の『<雇用環境D.I.の推移>』を見るとしれっと既往の高値絶賛更新中でまさかのプラテン待ったなしまで来ているという威勢のいい事実。



・でまあ物価ですが短期のインフレ期待は鎮静化してきましたものの(水準は高いけど)

『1-3. 物価に対する実感』にまいりまして、

『1-3-1. 現在の物価

現在の物価(注1)に対する実感(1年前対比)は、『上がった』(注2)と回答した人の割合が9割台半ばとなった。

1年前に比べ、物価は何%程度変化したかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+14.2%(前回:+16.1%)、中央値は+10.0%(前回:+10.0%)となった。』

お、短いところの体感物価が下がったよ!!!!って2桁という時点でもうアレなのと、そういう状況でも「2%行ってないから緩和継続」みたいなことを言ってて、たまたまわかりやすいサンドバックの岸田さんがいるから助かっているようなもんで、「待つことのリスクは大きくない」と言いながらドル円20円以下同文。

『1-3-2. 1年後の物価

1年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が8割台前半となった。

1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+9.4%(前回:+10.0%)、中央値は+5.0%(前回:+8.0%)となった。』

おーーーよかったね短期の物価見通しが下がったよ!って言ってますが、そもそもじゃあなんで日銀はインフレ期待が2%行ってないっていうんでしょうかねえ。今時そんなの言ってるのエコノミストと物国BEI(なお物国BEIはカレント(実質9年)で今まで跳ね返してた140近辺を抜きに行ってるんですけどね)だけだと思うんだが。

まあ中央値がこの半年で10%→8%→5%に下がっているのはまさしく今くらいしか「物価と賃金の好循環」というのになりそうなときは無いんだからとっとと利上げと国債買入減額に着手しろやとしか申し上げようがない。


・長期のインフレ期待は下がらんということでどう見てもインフレ期待のシフトでしょと言いたくなるのだが

『1-3-3. 5年後の物価

5年後の物価については、『上がる』(注)と回答した人の割合が約8割となった。これから5年間で物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うかについて、具体的な数値による回答を求めたところ、平均値は+7.5%(前回:+7.6%)、中央値は+5.0%(前回:+5.0%)となった。』

『(図表15)5年後の物価に対する見方〔Q16、17〕』を見ますと、「かなり上がる」が結構な増え方をしていまして、(1年のところはトータルでは「上がる」系が多いが「かなり上がる」は減ってる)いやーこれは期待のシフトですわという感じですよね、と思うんですが。

とまあそんな感じですが、、いやまあこれがもう1年回るのを見たい、って心情も分からんでもないのですけれども、打ち進む円安とか見てるとそんな悠長なこと言ってられる場合じゃないと思うので、せめて短期政策金利を緩和にしたってもう少しましな水準(最低1%)位には上げないとまずくねえかとは思うのですが、まあアタクシが思っているだけなのでねえ。


・金融政策に関する認知度

『1-6. 日本銀行の金融政策に関する認知度

日本銀行が、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を掲げていることについては、「知っている」との回答が2割台半ばとなった。』

とはいっても、[知っている]と[見聞きしたことはあるが、よく知らない]を合わせると毎回だいたい6割くらいにはなっているのですが、逆に言えば日銀の政策が物価押上げ円安容認政策ですよって話が人口に膾炙したら日銀ヤバくねえかと思うんですけどね。


〇FOMC議事要旨ネタの続きでバランスシート縮小策について

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20240320.pdf(PDF)
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240320.htm(HTML)

引用はHTMLの方から参ります。『Considerations for Slowing the Pace of Balance Sheet Reduction』の部分です。

・アンプルリザーブのままで行く(まあ前から言ってるけど)ようですね

最初の所ですが、

『Participants began a discussion related to slowing the pace of balance sheet runoff consistent with the Committee's Plans for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet announced in May 2022. Those plans indicated that in order to ensure a smooth transition, the Committee intends to slow and then stop the decline in the size of the balance sheet when reserve balances are somewhat above the level it judges to be consistent with ample reserves.』

議論を開始した、の後に続くのが結局アンプルリザーブの状況で走るんだな、というのは把握したのだが、これやってると結局短期金融市場の価格形成がどこまで行っても常設ファシリティを前提にしたものになる訳でして、いやまあ翌日物だから良いじゃんと言われてしまえばそうなのかも知れないけど、せめてファシリティの上下コリドーもう少し何とかならんのかとは思います。ただまあこの辺は米国のマネーマーケットに詳しい訳ではないので今の嘘みたいに狭いコリドーにしておかないといけない理由とかあるのかもしれないから判断保留なんですが。

『Since balance sheet runoff began in June 2022, the Federal Reserve's total securities holdings had declined roughly $1.5 trillion. In light of the ongoing sizable decline in the balance sheet, and the prospect of a more rapid decline in reserve balances, participants agreed that their discussions at this meeting would help inform the Committee's future decisions regarding how and when to slow the pace of runoff. No decisions about adjusting the pace of balance sheet runoff were made at the meeting.』

議論したけど今回何かするという話ではないです、ということで最初のパラは終わり次に行く。


・スタッフ報告が次に来るんだが説明があっさり味過ぎてなんか微妙

『The participants' discussion was preceded by staff presentations. The staff reviewed the 2017-19 balance sheet runoff episode and the lessons learned from that experience, including the importance of monitoring money market conditions in light of the uncertainty surrounding the level of reserves consistent with operating in an ample-reserves regime.』

スタッフ報告になります。2017-2019のランオフの時の話をしていまして、

『The staff presented a set of simulations in which the current monthly pace of securities runoff was reduced to illustrate how the choice of when to start slowing the pace of runoff could affect the paths for the balance sheet and reserve balances. The simulations showed how various options for when to slow the pace of runoff could affect the duration of each of the expected phases of the transition to an ample level of reserves.』

ランオフのペースを下げていきながら適正なアンプルリザーブレベルに持って行くためのシミュレーションが示されたそうな。

でもって次のパラグラフになってしまいます。本来はこの削減ペースによるメリットデメリットの話があったと思うのですが、その手の話が一切ないという辺りは微妙だなと思いました。本来何かの考察がシミュレーション毎にあると思うのですが(その前だって2017-19のランオフとその時に学んだことについての説明があった、って書いてあるんだし)、その辺の説明を一切表に出さない、というのはまああんまり本件を笛や太鼓で宣伝してやるもんじゃない、という自覚があるからなんじゃないかな〜と勝手に妄想してみましたが実際の所どうなんでしょうかねえ。


・超過準備の減り方が速くなりだすときかその直前かにランオフペースの鈍化を行うようですね

次のパラグラフに参りますと、

『Participants observed that balance sheet runoff was proceeding smoothly.』

うーん、そういう評価は別に要らんのだが。

『Nevertheless, taking into account the experience around the end of the 2017-19 balance sheet runoff episode, participants broadly assessed it would be appropriate to take a cautious approach to further runoff.』

2017-2019のランオフの教訓から考えますとこの先のランオフは注意深いアプローチが必要ですよ、ということでバランスシート減額のペースを落とすことについては多くの参加者が概ね同意(ただし「assessed」ということで表現自体はあまり断定的ではない、普段ならジャッジとかその手の単語が出て来る筈)しています、と来まして、

『The vast majority of participants thus judged it would be prudent to begin slowing the pace of runoff fairly soon.』

「The vast majority of」とか言ってますが、この人たちは早めにランオフのペースを下げるのが望ましいと仰せになっておりまして、こっちは「judged」なのね。

『Most of these participants noted that, despite significant balance sheet reduction, reserve balances had remained elevated because the decline in usage of the ON RRP facility had shifted Federal Reserve liabilities toward reserves.』

バランスシートは減ってきているけど超過準備が相変わらず高水準になっています、ということで背景としては翌日物RRPという当座預金付利(FEDは所要準備も含めて付利してる)を使えない連邦準備預金制度の外側の人達へのお助けオペの残高が減っているということで、システム内でリザーブの余りが減ったから当座預金が減ったというのでは必ずしもない、という現象のようですね。

『However, with the extent of future declines in ON RRP take-up becoming more limited, further balance sheet runoff will likely translate more directly into declines in reserve balances, potentially at a rapid pace.』

でまあその翌日物RRPの残高が減りようがない所まで来ると、今度こそFEDの保有有価証券の減少が超過準備の現象として顕著に出て来るでしょう、というお話をしていますな。

『In light of the uncertainty regarding the level of reserves consistent with operating in an ample-reserves regime, slowing the pace of balance sheet runoff sooner rather than later would help facilitate a smooth transition from abundant to ample reserve balances. Slower runoff would give the Committee more time to assess market conditions as the balance sheet continues to shrink. It would allow banks, and short-term funding markets more generally, additional time to adjust to the lower level of reserves, thus reducing the probability that money markets experience undue stress that could require an early end to runoff.』

今後超過準備が急速に減少していくことになると、どこかのタイミングで短期市場が混乱することになるので、超過準備の減少ペースを落とすことによって急激な混乱が避けられるんでネーノ、とまあそういう話をしているのですが、まあ確かにペース落とす方が安全度は高いかも知れませんけど、ドメドメジャパニーズ市場を見てた経験および俊ちゃんの時の量的緩和解除から超過準備引き上げの流れを見ると(全然スケールが違うけど)結局の所閾値みたいなのがあって、そこから派手に「普通の世界」に戻ったという記憶しか無くて、まあその突如変わること自体は避けようがないんじゃないかな、とは思いますけどどうなんですかねえ(アメリカン短期市場詳しくないので謎)。

『Therefore, the decision to slow the pace of runoff does not mean that the balance sheet will ultimately shrink by less than it would otherwise. Rather, a slower pace of runoff would facilitate ongoing declines in securities holdings consistent with reaching ample reserves.』

ランオフペースの鈍化自体は別に金融緩和を企図している訳ではなく、FEDが保有する証券を適正規模に下げるための施策の一種ですよ、とランオフペース縮小でヒャッハーされても困るという説明がありますが、緩和の時はバランスシートの額が緩和効果とか言っていたことを考えると少々虫の良い話をしていますね。

『A few participants, however, indicated that they preferred to continue with the current pace of balance sheet runoff until market indicators begin to show signs that reserves are approaching an ample level.』

数名(A few)はペース鈍化とかしなくて良いんじゃないのか、という話をしています。何となくこっちの方がしっくりは来るアタクシは。

『All participants emphasized the importance of communicating that a decision to slow the pace of runoff would have no implications for the stance of monetary policy, as it would mean implementing one of the transitional steps previously announced in the Committee's balance sheet plans.』

でもって全員が、ということで改めて最後に出てきたのが繰り返しだけど、「バランスシートランオフのペースをいじることは金融政策スタンスとは別物」という話ですな。

でもって次パラに行きますがエライ具体的な話になります。


・具体的にどういう風にするかという話になりまして

『In their discussions regarding how to adjust the pace of runoff, participants generally favored reducing the monthly pace of runoff by roughly half from the recent overall pace.』

月額の縮小ペースを今の半分に減らすのがよろしかろう、というエライ具体的な話から始まります。

『With redemptions of agency debt and agency mortgage-backed securities (MBS) expected to continue to run well below the current monthly cap, participants saw little need to adjust this cap, which also would be consistent with the Committee's intention to hold primarily Treasury securities in the longer run. Accordingly, participants generally preferred to maintain the existing cap on agency MBS and adjust the redemption cap on U.S. Treasury securities to slow the pace of balance sheet runoff.』

MBSに関してはそもそも月額の減額キャップよりも償還がだいぶ少ないからこのままで良いし、そもそも論としてMBS持ってるのがアカンタレでSOMAのポートフォリオは米国債オンリーにすべきなのだからMBSの削減ペースはそのままだよ、だそうで次のパラに参ります。


・ロンガータームの観点としての部分は何か言いっぱなしっぽい書きっぷりですが

『Participants also shared their initial perspectives on longer-term aspects of balance sheet policy beyond the more immediate issues concerning slowing the pace of runoff.』

でもってこのコーナーの最後はロンガータームの観点。

『Although they saw the current level of reserves as abundant, participants emphasized the underlying uncertainty about the level of reserves consistent with operating in an ample-reserves regime. They noted various price and quantity metrics that they saw as important real-time indicators of conditions in short-term funding markets that could provide signals that reserves are approaching a level somewhat above ample.』

そもそもが現状超過準備潤沢レジームで、これが適正規模の超過準備レジームになる、という遷移を市場金利を用いて観察しないと行けないよね、という話をしていていろんなメトリックス使って考えているそうな。

『Some participants also mentioned the importance of both the discount window and the standing repo facility as liquidity backstops as reserves decline.』

ディスカウントウィンドウと常設レポファシリティがリザーブが減った時には重要な短期市場金利のバックストップになりますよ、という指摘をしているんだがそんなの言われんでもわかっとるわとは思いますけど、問題になるのは特にディスカウントウィンドウのスティグマ問題である、というのはリーマンショックの時にも指摘されていたお話なんだがその辺の考慮はどうなってるのかここでは分からんのが多少気になりますあたしゃ。

『Many participants commented on aspects of the composition of the Federal Reserve's securities holdings, including the appropriate longer-run maturity composition of the System Open Market Account portfolio and options to achieve in the longer run a portfolio that consists primarily of Treasury securities.』

でもって多くの参加者は将来のSOMAの適正なポートフォリオの構成についての論点でコメントをしました、という話になっていまして、この最終パラってなんか論点言いっぱなしみたいな書き方になっていますが、実際には具体的な話だってしてた筈なので、その辺の話が何もない形で出ているというのは気になりますが、まあフワフワの状態で話を細かく出しても変な思惑を呼ぶだけ、という事なのかもしれませんけど、でも実際にどういう話をしていたのかは見たいなあとは思うのです(単純に興味本位に)。






2024/04/12

お題「ECB市場予想通りの(で良いんですよね)6月利下げ予告ホームラン/本邦の短国金利は沈みっぱなしですがさてどうなるのやら」

1万ジンバブエドルとかいうネタが使えなくなっちゃうじゃないですかヤダー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1184Q0R10C24A4000000/
ジンバブエ、窮余の「金本位制」回帰  金裏付け通貨発行 
Up & Down
2024年4月12日 4:30 [会員限定記事]

『崩壊寸前の自国通貨と財政赤字に直面するアフリカ南部のジンバブエ。ジンバブエ中央銀行は4月初旬、実物としての価値を持つ金と外貨準備に裏付けされた新たな法定通貨ジンバブエゴールド(ZiG)を発行した。』(上記URL先より)

兌換貨幣発行かよ!!!!というところですが大丈夫なんですかねえ・・・・・・


〇ECBは次回の利下げ予告ホームランですねわかります

最近はすっかりECBの手に乗ってしまって「絵で見る今回の決定内容」を引用して分かった気になってしまうという手抜き手法に走っておりまして面目ない。

今回
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_april.en.html

前回3月
https://www.ecb.europa.eu/press/press_conference/visual-mps/2024/html/mopo_statement_explained_march.en.html


・利下げ予告ホームランキタコレ

『We kept our key interest rates unchanged』という政策金利の所ですが、

『Their current levels are helping push down inflation. If the incoming information makes us more confident that inflation is sustainably moving to our 2% target, we may not need to keep interest rates as high as they are now. But our decisions will depend on how we judge the situation based on the new information we receive over time.』(今回)

でして、前回が

『Our past interest rate hikes are helping push down inflation. And our future decisions will depend on how we see the economy and inflation developing.』(前回3月)

だったので明確に今回は「見通し通りなら今の金利水準を維持する必要はない、つまり利下げをしまっせ」になったのですが、絵の方を見ると階段あがって来たあとの平坦な道、というのに政策金利を象徴化させて示してますが、前回までって階段あがり切った所に政策金利??を持った人がいたのですが、今回は上がり切った所から1歩前進した絵となり、何の状況が進展したのかはともかくとして、前回までとの差を出しているという形です。

まあこれは予告ホームランでしょとは思いますが、一応「our decisions will depend on how we judge the situation」とは言ってますので逃げ口上は残してあります。

何ですかねえ、結局データディペンデントだ、って言いたいんだったら端から変な予告ホームランしない方が良いと思うし、変な予告ホームランばっかりしてたから引き締め着手が遅れてしまった原因の一つだとアタクシは思いますので、予告ホームランするの大概止めろやと思うんですけどね。



・経済物価に関しては「インフレの鈍化が良い結果になっている」ってのが出てきていますね

次の『What is going on in the economy?』に参りますが、

『The economy remains weak but should pick up later in the year

As inflation comes down and wages increase, people will have more to spend. With the world economy recovering, firms will export more. All of this will support our economy.』(今回)

『The economy is still weak but will gradually recover

People are spending less, and companies are exporting fewer goods and services. But as inflation comes down and wages increase, people will have more to spend. This will support the economy.』(前回3月)

物価上昇が収まってきて賃金の上昇が続いてきて消費が戻って来るでしょう、という話ではあるのですが、3月にそれ言って今回その傾向が続いている(物価は沈静化している)のだがでも現状弱いって辺りにホンマカイナ感はあるのですが、まあ物価再加速しないんだったら利下げしたい、ってことなんだろうなとは思います。

『Services are still doing well

People keep spending on services, such as travel and restaurants. But manufacturing firms face low demand for goods and are producing less - especially in sectors that use a lot of energy.』(今回)

前回が中期見通しの会合なので、その分だけ説明のポンチ絵が多くなるのが今回の仕様なんですが、何気に説明ポンチ絵が多くて、今回はサービス支出が好調、という話がありまして、そこから返す刀でインフレの話になりますが、

『Inflation is still coming down

Prices for goods and food are no longer going up as strongly. Energy prices are lower than a year ago. But prices for services keep increasing a lot.』(今回)

『Inflation has fallen further

Energy is much cheaper than a year ago, and food prices are no longer going up as strongly. But rising wages are keeping prices high for other goods and services.』(前回3月)

サービス価格の高止まりへの指摘があるのは気になりますが、イラストとかを見ると今回は2%物価目標に向けた物価の沈静化をより一層アピールするような絵になっておりますな。

でもって今回はさらに前回になりポンチ絵として、

『Wages are still rising, but not as strongly as before

Paying workers more means higher costs for companies. But instead of passing the full amount of these costs on to customers in the form of higher prices, firms are raising their profits by less.』(今回)

賃金が上がっているけれども価格転嫁も進んでいます、というのが現状だそうです。ポンチ絵は正直謎の絵ですねえ。でもってさらに、

『Firms are taking out fewer loans

High interest rates have made loans more expensive, so firms are cutting back on their plans for new investment.』(今回)

ということで、金利高による経済活動の抑制、という話になっていますが、この辺りの話が3月会合の「Our monetary policy statement at a glance 」にはなくて、その代わりに入っているのが、


『Lots of people are in jobs

Unemployment is the lowest it has been since the start of the euro. Firms continue to take on new workers, though fewer than in the past.』(前回3月)

となっている訳でございまして、まあバランスとしては「利下げ予告ホームラン」を補強するような話を入れている、という作りになっていますので、物価の再加速が見られない限りにおいては次回に利下げするのを予告ホームラン、で良いかと思いましたがどうでしょうかね。


〇今週の3Mもまあそんなに金利上昇する気が起きないんですよねえ(フラグになるかどうかは知らん)

という話の前にロイターさんの長期債の方の相場解説でも

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/7RXQGMWEYNODTARIEUBN2C6RME-2024-04-11/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅続落、長期金利5カ月ぶり高水準 日銀利上げ観測や入札低調
By ロイター編集
2024年4月11日午後 3:35 GMT+9

『[東京 11日 ロイター] - <15:29> 国債先物は大幅続落、長期金利5カ月ぶり高水準 日銀追加利上げ観測や低調な入札で

国債先物中心限月6月限は前営業日比59銭安の144円53銭と大幅続落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同5.5bp上昇の0.850%と、23年11月14日以来の高水準を付けた。米金利上昇や日銀の追加利上げ観測、低調な20年債入札結果を受けて、軟調に推移した。』(上記URL先より、以下同様)

しかしまあ何ですな、

『3月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことを受けて、前日の米債市場では10年利回りが一時4.56%付近と23年11月中旬以来の水準まで上昇。この流れを引き継ぎ、先物は朝方から売りが先行した。』

『後場に入り、国債先物は下げ幅を拡大。20年債入札結果が非常に弱い結果と受け止められたことから、現物市場では総じて金利上昇圧力が強まり、先物も売られた。』

のは良いんですけど、

『足元のドル/円は153円付近と円安が一段と進行。植田和男日銀総裁が為替の動向が賃金・物価に無視できない影響を与えそうであれば金融政策として対応する理由になるなどの発言をしていることもあり、「日銀の追加利上げ時期が前倒しになるとの見方が広がっている」と、SMBC日興証券のシニア金利ストラテジスト、奥村任氏は指摘。足元のスワップ市場では9月の25bpの利上げはほぼ織り込まれているという。』

結局アメリカン金利上昇の方が効いてドル高円安になっている中で、円安牽制する気があるのかはさておくにしましても、明らかに足元のコミュニケーションって「マイナス金利解除前に発生するであろう長期金利上昇を急上昇にしないようにして行ったら効きすぎて寧ろ緩和バイアスが強くなってしまい円安進行の切っ掛けになったので、こりゃヤバいとばかりに軌道修正を図っている」という展開だと思うのですよ、アタクシの個人の妄想としましては、ですけどね。

ところが、軌道立て直しのタイミングがアメリカン金利上昇とぶつかってしまったため、為替は別に円高に振れてくれないわ国内金利は上がるわというなーにやってんだか状態になっておられる、とまあそういう状況な訳ですな。

なもんで

『TTRADEWEB

   OFFER  BID  前日比 時間
2年  0.259 0.266  0.031 15:26
5年  0.475 0.484  0.056 15:26
10年 0.845 0.854  0.058 15:26
20年 1.64  1.652  0.082 15:26
30年 1.919  1.931  0.066 15:15
40年 2.233  2.244  0.069 15:26』

ということで、ちゃっかり2年の金利とかも上昇しておられる(と言ってもこれだと価格にインプライされている利上げパスって全然低いですけど)という状況になっているのですが・・・・・・・・・・・


https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240405.htm
国庫短期証券(第1225回)の発行予定額等

1. 入札予定日 令和6年4月12日
2. 発行予定日 令和6年4月15日
3. 償還予定日 令和6年7月22日
4. 発行予定額 額面金額で5兆8,000億円程度

ということで3Mなのですが、7月会合って7月といってるけど月末開催なんで事実上8月みたいなもんで、4月とか6月に利上げするこたあさすがに無いでしょうと思えば利上げ思惑関係なし、ということもありますし、そもそも論としてWIがマイナス利回り(というかまあ0金利)だし、ということでまあどうせ今回も堅調入札なんでしょう、と一生懸命フラグを立てて見るのですが、だいたい世の中フラグを立てようと下心をもっている場合はフラグにならないの法則があるのですよあいやー。


あと昨日は交付税特会借入6Mもありまして、

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240411.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果

1.借入根拠法律及びその条項  特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項
2.借入日  令和6年4月24日
3.償還期限 令和6年10月24日
4.償還方法 令和6年10月24日に一括償還
5.借入利率競争入札について  
(1)応募額      8兆2,115億円
(2)募入決定額  1兆2,990億100万円
(3)募入最高利率   0.115%
(4)募入最高利率における案分比率 50.8070%
(5)募入平均利率   0.107%

6.非競争入札について  
(1)応募額     10億円
(2)募入決定額   10億円
(3)借入適用利率  0.107%

ということでして、4/5に実施された交付税6Mが0.107/0.110でしたので、前回対比で平均は変わらないのですが、足切りレートが前回から0.5bp上昇。

まあ同年限の短国と比較すると金利水準おもいっくそ高いのですが、それでも25に利上げが行われたらGCレートどうなるでしょうと考えると低いようには思えるのですが、今月の短国の入札の残りのスケジュールでいかほど消化されていくかってのが結構重要で、足元GCだって相変わらず

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/9  0.017 0.032 0.037 0.034 0.035 0.034
2024/4/10  0.061 0.048 0.039 0.038 0.038 0.037
2024/4/11  0.051 0.055 0.044 0.043 0.043 0.040
 
オーバーナイトとトモネGCのレートがまた上昇してみたりして、なんとなくこう市場っぽくなっているのですが、ゆうてこの金利も相変わらずコールから見たら全然低い(5.5位になると無担保の媒介コールの事実上の出しレートなので全然低いはオーバーかも)のでして、政策金利が0.25%になってもこの辺の金利碌すっぽアガランチ会長になる、というような短国方面物無し芳一、ということになる(ちなみに短国が今みたいに大量発行される前の20世紀の短国は確かにコールだのなんだのを丸無視してるんじゃねえかってな勢いで金利低かったから需給クソタイトであるとこうなるんでしょうなあと遠い目をするのですけれども)のかも知れず、今後どの辺になったら短国が浮上するのか、はたまた浮上しないままでこの辺のレートで推移し続けるのか、というのは気になって来たところでもあります。


ということでFOMC議事要旨はどこに逝ったと言われそうですが、本日も甚だ簡単ではございますが、ここで勘弁して頂ければと存じます(土下座) 





2024/04/11

お題「米国CPIでドル円153円アチャー/3月FOMC議事要旨は先行きの決め打ちを徹底回避しているのが特徴かな」

南無三
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-10/SB11Y0T1UM0W00
円が対ドルで153円台に下落、介入警戒感高まる
船曳三郎
2024年4月10日 21:35 JST 更新日時 2024年4月11日 5:44 JST

次回利上げってまあ早い想定をしても7月の展望レポート(6月短観で企業の価格設定行動やインフレ期待の定着を確認、労働者給与の年次改訂状況をさらに確認、所得税減税のあとの消費の強さをアネクドートに確認)という話になるのかとは思うのですが、これ為替がぶっ飛んでしまうとまさかの4月ライブ会合になったりすると熱いのですが、マイナス金利解除の定着がイマイチな状況の短期国債回りとかがそんな熱い状態になったら益々ややこしいことになるじゃないですかヤダー。

まあ4月会合云々はギャグにしましても、為替にぶっ飛ばれますとそうそう日銀も従来通りの「マイナス金利を解除しても緩和は長く続きます」という上方発信をしてられなくなる、というか昨日一昨日の国会半期報告での植田総裁の答弁がまさにそんな感じで、マイナス解除後の金利上昇の可能性を摘むために行った「解除しても緩和的アピールに振り過ぎた状況」を巻き戻しに掛かっていますなという所なのではないかと思いました、知らんけど。


〇ということなのでニュースを後日備忘用に貼っておく(アメリカンCPI)

米国CPI関連ニュース
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-10/SBQ85UDWLU6800
米コアCPI、3カ月連続で上振れ−米利下げ後ずれの可能性
Augusta Saraiva
2024年4月10日 21:37 JST 更新日時 2024年4月10日 23:54 JST

→3月のコアCPI、前年同月比3.8%上昇−予想の3.7%上昇を上回る
→過去3カ月のコアCPI年率4.5%上昇、昨年5月以来の大幅な伸び

『3月の米消費者物価指数(CPI)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が3カ月連続で市場予想を上回る伸びとなった。インフレ圧力が再度強まっていることを示唆しており、今年見込まれている米利下げ開始が後ずれする可能性がある。

キーポイント
・コアCPIは前月比0.4%上昇−市場予想0.3%上昇
  ・前年同月比では3.8%上昇−予想3.7%上昇
  ・2月は前月比0.4%上昇、前年同月比3.8%上昇
・総合CPIは前月比0.4%上昇−予想0.3%上昇
  ・前年同月比では3.5%上昇−予想3.4%上昇
  ・2月は前月比0.4%上昇、前年同月比3.2%上昇』(上記URL先より、以下同様)

FRB的にはどっかで利下げをしておいた方が今後の政治的風当たり的にウマーという思いはどっかにあるんでしょうけど、ゆうて利下げしてインフレ再加速したらアホの極みと認定されるので慎重に、となる訳ですし、利下げは様子見した方がいいんじゃないの派からはそれみたことかという感じでしょうし、こうなってくるとここから物価の落ち着きがガチのガチで確認できるような指標出てこないと6月FOMC(6月14日)にっての時間的に無理がある気がしてきましたな、と思ったら記事中にも、

『「6月利下げ、完全に消えた」

JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、デービッド・ケリー氏は「6月利下げの扉が激しく閉まる音が聞こえた。これでその可能性は完全に消えた」とブルームバーグテレビジョンで述べた。』

だそうで、暫くは物価指標(と賃金とかサービスとかかなあ)から目が離せない展開が続くんでしょうなあという所ではあります。


〇CPIに吹っ飛ばされている気がしますがFOMC議事要旨から少々:政策運営に関する部分は決め打ちを回避していますね

HTML
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20240320.htm

PDF
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20240320.pdf

引用はHTMLの方から参ります。例によってインスタント読み方式で勘弁してつかあさい。『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』ですが、何か今回は構成があっさり味な気がする(このパートが全部で10パラグラフしかないのです)のですが、こちらの8パラ目からが「今回の政策」「今後の政策」の話になります。


・第8パラグラフ:今回の政策決定事項に関して

『In their consideration of monetary policy at this meeting, all participants judged that, in light of current economic conditions, the outlook for economic activity and inflation, and the balance of risks, it was appropriate to maintain the target range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent.』

政策金利は据え置き。

『Participants also agreed that it was appropriate to continue the process of reducing the Federal Reserve's securities holdings, as described in the previously announced Plans for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet.』

バランスシートのランオフは同ペースで進めます。

『Participants commented that maintaining the current target range for the federal funds rate at this meeting would support the Committee's progress to return inflation to the 2 percent objective and keep longer-term inflation expectations well anchored.』

えらく淡々とした書きっぷりで現状維持の背景を述べる、ということでこのパラは無風ですな。


・第9パラグラフ:年内に引き締めの縮小を図りますという点では一致しているのですが

『In discussing the policy outlook, participants judged that the policy rate was likely at its peak for this tightening cycle, and almost all participants judged that it would be appropriate to move policy to a less restrictive stance at some point this year if the economy evolved broadly as they expected.』

経済物価情勢が想定通りに推移すれば年内のどこかの時期に利下げに転じる。はまあ良いとしまして、

『In support of this view, they noted that the disinflation process was continuing along a path that was generally expected to be somewhat uneven. They also pointed to the Committee's policy actions together with the ongoing improvements in supply conditions as factors working to move supply and demand into better balance.』

まずはそのビューをサポートする要因ということで、物価沈静化のプロセスがまちまちながらも進展していること、供給制約問題の改善に伴い需給バランスが改善していること、をあげています。

『Participants noted indicators pointing to strong economic momentum and disappointing readings on inflation in recent months and commented that they did not expect it would be appropriate to reduce the target range for the federal funds rate until they had gained greater confidence that inflation was moving sustainably toward 2 percent.』

経済のモメンタムが強くて、インフレのデータが失望的(想定より強い)な状態であれば、政策金利の引き下げに着手するのは適切ではないのではないか、とのお話。

『Participants remarked that in considering any adjustments to the target range for the federal funds rate at future meetings, they would carefully assess incoming data, the evolving outlook, and the balance of risks. Participants noted the importance of continuing to communicate clearly the Committee's data-dependent approach in formulating monetary policy and the strong commitment to achieve its dual-mandate objectives of maximum employment and price stability.』

でもって先行きの政策運営スタンスはあくまでもデータ依存であり、これから出て来る状況によって対応を適切に取っていくし、その点を我々は強調して説明すべき、という話になっておりまして、まあそりゃそうだよな、というのもありますけれども、このパラグラフ自体も話があっさり味かつ「データディペンデントの連呼」に留まっている、ということで、先行きの政策に関する説明でも決め打ちを思いっきり回避してる(だからゴテゴテが無くて短い)という作品に仕上がっています。


・第10パラグラフ:利下げ着手早すぎからのインフレリスクに言及するものの先行きリスクはフワッとした話になっている

『In discussing risk-management considerations that could bear on the policy outlook, participants generally judged that risks to the achievement of the Committee's employment and inflation goals were moving into better balance.』

先行きのリスクバランスは(毎度のように)よりよいバランス(つまり物価上振れ一辺倒ではない)になっております、という割と最近はこれですよねという文章からおっぱじまりますが、

『They remarked that it was important to weigh the risks of maintaining a restrictive stance for too long, which could unduly weaken economic activity and employment, against the risks of easing policy too quickly, which could stall or even reverse progress in returning inflation to the Committee's 2 percent inflation objective.』

利下げ着手が遅れるリスクと早すぎるリスクについて言及されていますが、内容自体は普通のことですけど、語順が利下げ遅すぎリスクの方から入っているから、そっちのリスクを重視すなわち利下げ自体はそんなに渋っていないのか、と思いきや返す刀で、

『Regarding the latter risk, participants emphasized the importance of carefully assessing incoming data to judge whether inflation is moving down sustainably to 2 percent. 』

後者のリスク、ということで利下げ早すぎの際のリスクを考えた場合にやっぱりインフレが2%に向けて下がっていくのかどうかということを今後のデータで見極めたい、というコメントが入っているので、結局の所は利下げ着手を早まってインフレ再加速にビビってるよーということで、うちんちの植田さんの逆ですなってな気はしますけど、まあこの議事要旨出すときに「要旨」だから言ってないことは書けなくても、言ってたことにどの力点を置くか、というのは鉛筆を舐める余地があるので、足元で出ている物価観連の統計が強いことを意識してこの文章を入れている可能性というのは否定できません。

『Participants noted various sources of uncertainty associated with their outlooks for economic activity, the labor market, and inflation, with some participants additionally mentioning uncertainty about the extent to which past monetary policy actions or the current stance of policy would weigh further on aggregate demand.』

『Participants agreed, however, that monetary policy remained well positioned to respond to evolving economic conditions and risks to the outlook, including the possibility of maintaining the current restrictive policy stance for longer should the disinflation process slow, or reducing policy restraint in the event of an unexpected weakening in labor market conditions.』

最後のところは「経済物価に関する様々なリスクバランスについて考えてみました」という部分になるのですが、このコーナーの話も基本的に何かを決め打ちしているような表現が無くて、単純に(引用2つに分けた後半の頭にあるように)いまの政策の位置は問題ないです、という話をしていまして、現状維持バイアスの方が強くて先行きの決め打ちをしませんなあ、という感じの内容なのかな、と思いましたが読み間違えてたらスイマセン。


あと、頭の方に今回は『Considerations for Slowing the Pace of Balance Sheet Reduction』ということで、バランスシート縮小に関する論点についての議論パートがありまして、こちらも興味深いところではありますが、時間の関係で勘弁させて頂ければと存じます。





2024/04/10

お題「短国方面の需給が締まりっぱなしですなあ/コール市場残高/展望レポート観測記事とか日銀半期報告とかのメモ」

あっという間に4月も10日になってしまいました。時の流れはオソロシス

〇しかし中々短い所の需給が緩んできませんなあ(6M入札とか)

昨日はまあ6Mの入札があった訳ですよ。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240409.htm
国庫短期証券(第1224回)の入札結果
令和6年4月9日
財務省
 
『本日実施した国庫短期証券(第1224回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号 国庫短期証券(第1224回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日 令和6年4月10日
4.償還期限 令和6年10月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額     13兆6,320億円
(2)募入決定額   3兆2,459億8,000万円
(3)募入最低価格  99円97銭8厘
(募入最高利回り)(0.0438%)
(4)募入最低価格における案分比率 42.5054%
(5)募入平均価格  99円97銭9厘
(募入平均利回り)(0.0418%)』

入札自体は何か知らんけどそんなもんかいなという結果だったのですが、引けの売参ちゃんを拝見しますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1217 2024/09/10:平均値単利 0.025
国庫短期証券1183 2024/09/20:平均値単利 0.025
国庫短期証券1224 2024/10/10:平均値単利 0.025
国庫短期証券1189 2024/10/21:平均値単利 0.060

とかいうことで、前日の4bpからちゃっかり1.5毛も強くしやがって、GCレートの足し算とかそういう裁定を笑い飛ばせる金利になっておられるのですが、相変わらず新発で場があるものはレート下がっていますが、1年短国の成れの果てのように板が普段ない銘柄の方は変わらずなので、ここの11日間のフォワード何ぼですねんとか思ってしまいますけどそういう流動性がある市場じゃないという状況を意味すると思えばまあそういうもんだということでw

でですね、まあそれは良いんですけど、6M入札って月一発行なので前回の入札は3月7日に行われたんですけど、この時の結果が平均0.0259%/足切り0.0418%という結果になっておりまして、何ということでしょうマイナス金利解除前とマイナス金利解除後に六すっぽ変化がないじゃあーりませんかという中々悲しいお話。

いやまあ確かに3月の時もマイナス金利解除近いんじゃネーノとは言われていましたけど、あの時点だと4月解除説も結構強かったし、4月解除だと何なら5月積み期間からマイナス金利解除適用だとしたら5月16日からになるし、大体からして実質1層構造なのか2層構造なのかというのも論点になる、というようにあの時点で今の状況を全部織り込んでいた訳でもなかった筈なのですが、まあ見事に3月7日に今の状況を実は全部織り込んでましたと勘違いするかのような結果になっているのは何なんですかこの短国様の需給のタイトさは(憤怒)という所ではございます。


ま、それが何より証拠・・・・になるのどうかは知らんですけどいつもの東京レポレート見ますと
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/5 0.048 0.054 0.039 0.037 0.037 0.036
2024/4/8 0.048 0.042 0.036 0.036 0.037 0.035
2024/4/9 0.017 0.032 0.037 0.034 0.035 0.034

ということで、先週2発の3M新発発行を受けてGCのT/Nが5bp水準まで上がったよ!やったねパパ明日はホームランだ!と思ったのもつかの間、新発がバンバン捌けて需給良好(というかタイト)なんでしょうねえアイヤーという感じでGCレートちゃんが5→4→3と低下してやがりまして、いやーん短い所の国債需給強すぎワロリンチョという状況でして、この調子でやってると何時になたら短い所の国債金利元に戻りますのやらという感じですし、国債の方に引っ張られるから一般債の利回りもCP(まあCPは電子CPの場合短期社債という形になってますが、まあ実質的には債券じゃなくて短期金融商品扱いで別世界と言ってしまえばそれまでですけど)対比では低い水準ですわなというような感じで、短い所の国債や一般債のレート(ついでに言えば利付の既発の方が短国よりもレート低かったりするのは先日申し上げた通り)を見ますとまあ需給緩和するの当面厳しいんじゃないかなあと思うのでした。


〇そういえばコール市場残高ちゃん

金曜にコール市場残高が出てたので、月曜に以下のような事を書いたわけですが、

(月曜の駄文を再掲)
https://www.boj.or.jp/statistics/market/short/call/index.htm

こちらから集計表が取れます、なおヒストリカルのものは貼っていないので、それは時系列データの取得をしないといけないような気がしますが、今日は手抜きで取っていないですサーセン。

ということで直近ですけどね、

(業態別の末残、出し手の所の合計額から)
1月末残高:有担保コール29,366 無担保コール149,610(うち先日付 57,043)
2月末残高:有担保コール26,053 無担保コール166,759(うち先日付 54,123)
3月末残高:有担保コール27,244 無担保コール94,421(うち先日付 28,133)

ということでござんして、ちょっと今回細かく見る下準備足りなかったので、どの辺が期末要因でどの辺がマイナスチャージ無くなった要因なのかとかそういうのが良く分からん(だから1月にマイナス解除しておけと小一時間)ので詳しくはちょっと数字こねくり回してからまた逝きますが、(ここまで月曜の駄文から)


ってな感じで書きましたが、まあマイナス金利の下では六すっぽ興味なかったのでちゃんと下調べしてない、というのがバレバレのアレで誠に申し訳ございませんでしたので続きをば。


https://www.stat-search.boj.or.jp/index.html
時系列データ検索サイト

という便利なものがありまして、しかも時々使い勝手が良いようにUIを改良しているので、結構検索しやすいのでございますが、こちらでコール市場の残高推移を取ることができるんですよ、興味のある方はいじって味噌と思う訳ですが。

でですね、これで無担保コール市場残高を末残ベース、出し手ベースでデータを出してきますと、毎年3月の末残即ち期末末残に関しましては、金融機関がコールの裁定とかいうような確実だけどカンナ屑程度のスプレッドしか拾えないようなバランスシートの無駄遣いをしなくなるという仕様がありますので、とりあえず過去5年のデータを確認してみましたが、だいたい期末月の末残は前月までの末残から5兆円〜6兆円程度減っている、というのが見て取れます(一々数字貼ると結構めんどいので気になる方は時系列データ検索サイトにレッツラゴー)

ということはですね、今回の期末って2月の末残対比だと7兆位落ちてるけど、1月の末残対比では5.5兆の落ちということなので、マイナス金利解除して国内勢にとっての日銀当座預金の付利が事実上の一層構造(ここで海外の話をしだすとまた下調べが必要になるのでパス)になってコール市場がどうなるかという話もありましたし、なんかコールレートの加重平均が毎日判で押したように7.7bpになっていて何なんですかねえというのはありますが、それは兎も角として残高が急に無くなったというような事でもなさそうなのはちょっと良かったのかな、とは思うのでしたという小学生並みの感想ですが月曜の補足という事でよろしくお願いいたします。


〇物価見通し上方修正するのか(景気は下方修正っぽいのに)という展望レポート観測記事を備忘に

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-09/SBNU79T1UM0W00
日銀が24年度物価見通しの上方修正を議論へ、好調な賃上げで−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年4月9日 18:27 JST

→1月時点のコアCPI予想は2.4%上昇、26年度見通しは2%程度に
→今年の賃上げは当初想定上回る、円安や原油高もコアCPI押し上げ

『日本銀行が25、26日に開く金融政策決定会合では、好調な今年の賃上げなどを受け、2024年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しの上方修正を議論する公算が大きい。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)

事情に詳しい複数の関係者ですかそうですかという感じですが。

『関係者によると、今年の春闘をはじめとした賃上げの動向について、日銀は当初の想定を上回る好調な内容とみている。企業が人件費の一定程度を販売価格に転嫁する動きも強まると見込んでおり、24年度のコアCPI見通しを従来の前年比2.4%上昇から引き上げることを検討する可能性が高い。26年度は2%程度が見込まれるという。』

それは結構なんですけど、普通こういうのは「物価安定目標を達成した」っていうことになり、すなわち利上げ急がないとか寝言を言ってる場合じゃないような気がするんですけど、そこの説明の整合性どう取るんだよという話。

まあ前任の誰かさんみたいに、なんでそうなるのかは全くの謎ながら、不退転の決意でマイナス金利解除を拒み続ける、というのでしたらばすっとぼけてられるのかも知れないですけど、次のネタで申し上げますように植田総裁ってとにかくべらべら喋り過ぎで、こんなに喋ってたら政策の部分、つまり2%達成云々のところで絶対にボロが出ると思うのよ。だってさ、オーバーシュート型コミットメント誤魔化し続けて逃げ切ったけど、あれだってまさかの「物価が上振れた状況から落ち着いてきて2%達成」という本来一切想定していなかったであろう経路で達成しているように、ハイパー強力緩和をしながら2%目指すって言ってるのにその物価の方は既に上振れている時間帯が長いので、屁理屈捏ねだすと話が破綻してしまうんですよね。

とまあそんな訳で、これを2%達成と言わずに何というのか、という話とか、そもそも2%ターゲットというのは別に常にキリキリと2%ジャストを目指すものじゃなくて、景気の1サイクルが回る中で平均的に2%程度で物価が安定的に推移し、世の中の人達の行動が2%物価上昇を前提にした形で推移する(というのがインフレ期待が2%でアンカーされているという状態)のであればそれが1.9だろうと2.1だろうとキニシナイってことなのですから、やっぱり記事のような物価見通しを出しながら「緩和が必要」みたいな言い方をするのは無理があると思うのですが、どういう屁理屈を繰り出してくるのかが見ものになりそうですね次回の展望レポート。


まあ次回展望の書きっぷりによっては6月はきついかもですが7月の展望でホップ(3月)ステップ(4月)ジャンプ(7月)ということで利上げも普通に視野に入る(ってか俊ちゃん利上げアノマリーだと3月に量的緩和解除で7月に利上げなんだよなー)んで、まあ段々楽しみになってまいりました。何気に再来週ですもんね。


〇昨日と今日は国会半期報告のようですが植田総裁ホイホイと喋り過ぎなんだよな(個人の感想です)

うーんこの。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-09/SBME8AT0AFB400
基調的物価上がっていく中、緩和度合い縮小も考える必要−植田氏
伊藤純夫
2024年4月9日 13:14 JST 更新日時 2024年4月9日 16:22 JST

→好循環どんどん強まれば緩和縮小加速も、物価基調は2%少し下回る
→為替が経済・物価に無視できない影響なら金融政策対応の可能性


『植田総裁は、日銀の見通し通りに推移すれば「基調的な物価上昇率が少しずつ上がっていく中で、緩和の度合いの縮小も考えていかないといけない」と説明した。賃金と物価の好循環がこれまで以上に「どんどん強まっていく場合には、緩和縮小のペースを速める可能性もある」とも述べた。』(上記URL先より、以下同様)

ということで昨日は参院で半期報告をしてたんですけど、まあ国会中継特に聞いてたわけではなくてベンダーフラッシュだけぼーっと見てただけなんですけどね。

『日銀の物価見通しが「大幅に下振れるリスクはだいぶ低くなってきた」としつつ、本当に実現するかは「今後のデータ次第であり、チェックをし続ける」として毎回の金融政策決定会合で丁寧に点検していく考えを示した。現時点では「先行きどういうタイミングでどういうふうに短期金利を動かしていくかについて予断を持っていない」と語った。』

結局ですね、これに話は尽きるし、昨日別ネタで申し上げたように、今ってもしかしたら(世界もそうですけど日本も)構造変化みたいなのが起きてるかもしれないし起きてないかもしれない、という訳の分からん世界にある訳で、フォワードコミットメントとかガイダンスとか出して政策スタンスを決め打ちするのは危ないとしか言いようがない(それでFEDは高インフレを呼んでしまったんだし)訳ですよ。

ですからもうひたすら「データディペンデント」ってアホに徹して言い続ける、というのが今の日銀としては一番正解なやり方だと思いますし、その点で言えば黒ちゃんってそういう所はアホに徹して発言するだけの根性というか何というかがあったと思うのですが、植田さん、さすが夜の帝王だっただけのことはありましてエエカッコシイなもんで、余計な事をバンバン言っちゃうんですよねーーーーーー(個人の感想です)

『一方で、消費者物価は2%を超えて推移しているものの、基調的な物価上昇率は「まだ2%を少し下回っている」と指摘した。物価の基調や日本経済をサポートしていくためには「緩和的な金融環境を維持していくということが大切だ」と改めて表明。物価の基調が失速するような局面では、「緩和を縮小するペースを弱める、縮小をしないという判断になる」と述べた。』

こんなの余計な発言以外の何物でも無くて、「今後の経済物価情勢を点検し、それを踏まえて先行きの見通しを検討し、適切な金融政策運営を決定するということにつきます」って言えばいいものを、たぶんこのチキンちゃんは自分を馬鹿と思われたくないというお気持ちの方が勝ってしまって、上記のように余計な発言になる訳ですが、この記事の最後のほうにありますように、

『他の発言

・実質金利は大幅マイナス、中小経営含め経済・物価を支える
・長期国債残高は当面おおむね横ばいで推移
・長期国債は減少展望できるが、時期など確定的なこと言えず
・保有ETFの処分、すぐに行うことは考えていない
・政策変更のタイミングや引き上げ幅の事前情報発信考えず』

ってのがあったし、今回BBGの記事にあったかどうかちゃんと全部確認してないですけど、日銀財務に関する話でも余計な事を言い過ぎで、後になって自分の首を絞めかねない内容のものもあったな、とヘッドライン見ながら思っていたりした次第でもありまして、このお喋りさん状態ヤバいじゃろと思ってしまう今日この頃なのでありましたとさ。たぶんそのうち整合性突かれて苦しくなるに1万ジンバブエドル。

・・・・・というか、そもそも3月解除の時にハトハトチキンに振り過ぎて発言したために円安に振れてしまって、先日の朝日新聞インタビューとかではその振れを修正しようとしてああいう話をおっぱじめてみたり、ということで自分の発言に振らされているんですよねコマッタモンダ


ちなみに公共放送の方でも、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240409/k10014417281000.html
日銀 植田総裁 “物価上昇続けば追加利上げなど政策変更検討”
2024年4月9日 20時25分

『この中で、日銀が、先月マイナス金利政策を解除したことを踏まえ追加の利上げのタイミングを問われたのに対し、植田総裁は当面は緩和的な金融環境を維持していくことが重要だとして「現時点でどういうタイミングでどういうふうに短期金利を動かしていくか予断は持っていない」と述べました。』

『そのうえで「基調的な物価が2%に向けて少しずつ上がっていけば、金融緩和の度合いを少し弱めていく判断も可能になる」と述べ、今後見通しどおりに物価上昇が続けば、追加の利上げや国債の買い入れの見直しなどの政策変更を検討する考えを示唆しました。』

『一方、外国為替市場で1ドル=152円に迫る水準まで円安が進んでいることについて、植田総裁は相場の動きにはコメントしないとしたうえで、「為替レートの動きが経済・物価情勢に無視できない影響を与えることもあり得る。そういう事態に至れば金融政策の対応を考える可能性が出てくる」と述べました。』(以上上記URL先より)

ということで、まあだいたいBBGと一緒なのですが、そもそもこうやって公共放送にニュースネタにされてしまう時点で「このオッサンよー喋るから記事になるわ」という認定になっているんじゃねえのかというのが多少心配される所ではありますな、うんうん。


#ということで本日はこの辺で勘弁していただきとうございます





2024/04/09

お題「案の定長期輪番も同額ですが何か日経に書かれていますねえ/レポレートまた下がるか/面白そうなスタッフペーパーキタコレ」

おーーーーーー
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-08/SBLZ0IDWLU6800
日本のブレーク・イーブン・インフレ率、円安進行下で過去最高に並ぶ
Masaki Kondo
2024年4月8日 15:50 JST

ブルームバーグでも話題になって参りましたがなんせ植田総裁様によると期待インフレに関してはまだ2%に達していないことにされている訳ですけれどもどうせこの物価連動国債も言い訳になっているんでしょとは思われ。


〇まあ案の定5−10輪番も同額でしたが

輪番オファーだけ引用しますが
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240408.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下)  3,750 2024年4月9日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,750 2024年4月9日
国債買入(残存期間25年超)     750  2024年4月9日

ということで、案の定長期の減額も無し、という結果になりましたが、これはまあ先週中期輪番を減額してないんだから円債市場的には当然の結果で、寧ろここで減らしたら先週の中期減額無しはナンダッタノカという話になる情緒不安定運営になってしまいますからそらそうでしょうな、という話ではあるのですが、落札結果はというと5−10年の所の応札がクッソ少なくて、後場一旦相場ちゃん踏みあがる(結局引けにかけて失速しましたが)の巻とかになっておられました。いやー需給がねーーーーー。

とかなんとか思ってたら日経がしらっとこんな記事を
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79885350Z00C24A4EA1000/
日銀、国債買い入れ維持
投機筋の円売り、13年並み 緩和姿勢を意識
2024年4月9日 2:00 [会員限定記事]

『日銀が大規模な国債買い入れを続けている。8日実施の国債買い入れオペ(公開市場操作)では買い入れ額が減らされるとみられていたが、予想に反して購入額は維持された。市場は「緩和的な環境を維持する」という日銀のメッセージと受け止めた。海外の投機筋は日銀の姿勢を見越して円売りを膨らませており、その規模は2013年以来の高水準に達した。』(上記URL先より、以下会員記事)

これ元記事は昨日の午後の場中に出てたのですが、そっちも会員記事なので詳細は見てないけど、頭の部分は同じでして、なんか昨日の記事の方がもうちょっとオペに関する冒頭の記述が丁寧なのが何なのよという感じでして、上記部分を補足すると、買入減額に関しては恐らく昨日の事ではなくて、今月の中期輪番も含めて、というのが元記事のニュアンスだったのですけれども、(タイムスタンプから見て)朝刊記事にするときにそこを端折った感があってなんか???な書きっぷりになっているのは残念ですね。

でまあそれは兎も角として、輪番維持が上記のように”「緩和的な環境を維持する」という日銀のメッセージと受け止めた”となってしまうのそりゃまあしょうがないわなというお話になる訳でして、アメリカン金利上昇のせいとは言えなんか152円に接近してみたりと為替方面を中心に香ばしい展開になっているようにお見受けされるのは大変に素敵な事でございます。


まあ何ですな。この国債買入に関してはちょっと次回会合で建付けをもう少し考え直した方が良い訳でして、しつこく書きますが

3月会合声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf

『(2)長期国債の買入れ(賛成8反対1)(注2)

これまでと概ね同程度の金額3で長期国債の買入れを継続する。長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。』

『3 足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。実際の買入れは、従来同様、ある程度の幅をもって予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していく。』

でまあ超長期国債の市中消化が今年度の減額を先取りする形で昨年度途中から減額になった時には、超長期の輪番を減額した、という実績があった訳なのですから、YCC解除前にやっていた減額がYCC解除後にやらない、という手はないと考えるのがこっちの感覚としては普通じゃないかなと思うんですが、何故かこの「これまでと概ね同程度の金額」が「これまでと同額」に化けて硬直的なオペ運営になるの巻、ということので何のためにお前らYCC解除したのか訳分らん、ということになっておる次第。

だったら最初から買入額をピンポイントで示して、ただし次回会合のある月の月末までの買入とする、というような運営をして頂きたい訳でして、オペ紙はご案内の通り、

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240319b.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2024年4〜6月)

四半期で出している訳ですけれども、誰がどう見ても分かる「需給」の変化に対応しないとなりますと、この国債買入未来永劫月額5.9兆円やる気なのかという話を少なくともオペ運営の方ではメッセージ出していて、一方で将来は減額するという話をしているのは、明らかにこれメッセージの出し方がおかしいのであって、だったら声明文にある長期国債買入についてもディレクティブの中に含めて「次回会合までの」に変更しろというお話だし、そうしないと結局いつまで経っても過大な日銀による介入が続き、国債利回りの形成が常に日銀の過大買入込みになってしまいますので、そら投資家は戻ってこないし、投資家戻ってこなければ市場機能もへったくれもない、ということでして、まあマイナス金利解除という未曽有の事をするのに長期金利の跳ね上がりにビビったというのは分からんでもないので、ビビった余りに長期国債買入の運営を安全寄りに寄せすぎて却って金融緩和強化をしてしまった、というのはお父さん怒らないからちょっと4月会合でこの建付けを直せやという所ではありますな、ちーん。


〇今日は6Mですかそうですか&東京レポレート

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240402.htm
国庫短期証券(第1224回)の発行予定額等

1. 入札予定日 令和6年4月9日
2. 発行予定日 令和6年4月10日
3. 償還予定日 令和6年10月10日
4. 発行予定額 額面金額で4兆円程度

とまあそういうことえ6Mの入札でございますが、こちらは3Mと比べると長さが倍となる上、月1しか発行が無いので、どうして3M対比で使い勝手に劣る、ということになるのですが、何せマイナス金利解除して初の6M発行になるので、売参ちゃんによると一応WIで4bpのお値段(ちなみに10/21償還の1年短国の成れの果て1189回の売参は6bpになっているのは見なかったことにする)となっていまして、そもそもお前うっかりしたら利上げ無くても足元のGCの足し算に勝てないんじゃないかというようなお洒落なレートになっていますが、物無し芳一なのでやむなしモードですかそうですかという風情ですな。


ところで東京レポレートちゃんですが、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/5 0.048 0.054 0.039 0.037 0.037 0.036
2024/4/8 0.048 0.042 0.036 0.036 0.037 0.035

5日の東京レポレートトモネは5.4bpにやっと上がったわ〜とかゆうとった訳ですが、昨日のトモネは4.2bpに下がってしまいまして、まあ詳しくは知らんけど、想像するに新発3Mがやっぱりニーズがアリアリで在庫捌けましたの巻となったので短国マーケットメーカーの在庫ファイナンスニーズからの金利上昇圧力が無かったというか無くなったというか、まあそういう事でしょうなあとか勝手に妄想する訳ですよこれがまた。

この調子でやってるとなんかうっかりしたら今月いっぱいくらいまでは少なくとも短国物無し芳一状態からの短国レートクソ低い状態が続くのかと思いますと、いやお前らマイナス金利解除とは何だったのかと小一時間という話ではありますが、まあゆうてついこの前までも短国は当預付利のマイナスチャージレートよりも3mでは概ね低い状態が続いていた(マイナス解除観測が出た時は別として)訳ですから、こんなもんちゃあこんなもんなのかもしれませんけれども、しかしまあ日銀が短国買入をしなくてもこれ、ってのが短国こええええええという感じではありまして、確かにマイナス金利ではなくなったというものの、短国のゼロ張り付き状態というのを見ると、まだまだゼロ金利時代であって、金利がある時代とは全然言えないよなーって思うのでありました、しょんぼりしちゃいますな。


〇ただの雑談だがこの記事はクリップしておく(バーナンキがBOEにアドバイスする件)

ちょっと気になったのでクリップ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-08/SBLKXQT1UM0W00
バーナンキ氏、英中銀に経済予測刷新を提案へ−インフレ予想失敗受け
Philip Aldrick
2024年4月8日 12:40 JST

まあ大体アタクシはこの逆さ絵ウスラトンカチが嫌いなのでヘッドラインを見た瞬間に釣られてしまうのですがwww

『バーナンキ元連邦準備制度理事会(FRB)議長は12年前、金利見通しを含む政策担当者の予想をドット・プロット(金利予測分布図)としてグループ化することで、連邦準備制度を経済学の最先端を行く中央銀行にした。』(上記URL先より、以下同様)

という時点でアホなのかと思う訳ですが、ドットプロットって一種のフォワードガイダンス(ただし厳密な意味では縛り無し)であって、フォワードガイダンスっていうのは政策の自由度を犠牲にする代わりにちょびっと緩和効果を得る、というためのものであり、それ以上でもそれ以下でもない、という代物な訳ですよ。

従いまして、名目ゼロ金利制約があって追加緩和余地がない時にガイダンス政策の亜種であるドットプロットを出すのは意味が無くはないのですけれども、今みたいな欧米の状況において、コミュニケーションにおけるガイダンス類似物を出す意味なんぞは無いし、寧ろFEDもドットプロット出すの止めた方がいいだろという話になるんですが、逆さ絵だけにどういう話になっているのか分かりませんけれども、

『バーナンキ氏は今週、イングランド銀行(英中央銀行)の予測プロセス刷新と傷ついた評判の修復に向け、新たな柔軟性に富む一連の「シナリオ」採用を提言する見込みだ。』

『消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率が40年ぶりのハイペースとなる11.1%に達し、その後も高止まりすると正確に見通せなかった英中銀は、昨年7月に経済予測見直しの指揮をバーナンキ氏に依頼した。』

そもそもグレートモデレーションと金融危機対応しかやっていないバーナンキにこのインフレ時代における経済予測の手法を依頼するのが人選おかしいとしか思えないのでBOEは何をやってもダメということで、キング総裁の時のBOEはどこに逝ったって感じでおじちゃんは悲しいのですが。

『12日に公表を予定するバーナンキ氏の提案は、英中銀の金融政策委員会(MPC)が英経済の先行きをどのように予想し、どのように伝えるかという議論に関わってくる。』

だそうですが、そもそも米国だってインフレの読み間違えをしてゴリゴリ引き締めをすることになった訳だし、その背景には「メイクアップストラテジー」とか「アベレージターゲット」とかがあったし、先行きの政策金利に関してドットプロットで緩和姿勢を強調し過ぎたというのも問題としてある訳で、やらかしたのはパウエルだけど下地はバーナンキが散々作っている訳で、そもそもBOEは何でそんなバーナンキに依頼してるのか分から(個人的に別に好きじゃないけど散々っぱらこのインフレ上振れを警告しまくってたサマーズに聞く方がまだ意味がわかる)んけど、12日になると出るそうなので週末読めたら読みたいとは思います。



〇これはまた面白そうなスタッフペーパーが

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/wp24j03.htm
バブル発生に関する期待と経済成長

『要旨』ってのを引用します。

『日本経済の「失われた30年」をもたらした要因の一つとして既存研究とは異なる視点を提供する。まず、平成バブルの崩壊以後も、日本経済にはバブル再発生への期待が存在し続けていた可能性をデータを使って示す。次に、バブル発生への期待が投資のクラウディングアウト効果を生むことを理論的に示す。このメカニズムが日本経済の成長に重しであった可能性を議論する。』

ほうほうほう。

・・・・・・これですね、アタクシの自分語りをしますと、アタクシは金貸しの手先をしてた時に何かもうドンドン不良債権が増えているのをみたりしてたんんですけど、市場ちゃんの方に来てみると確かに不良債権が増えているのもどこ吹く風、というような感じで、金貸し手先の現場との温度差を無茶苦茶感じてたりしたんですよね。だから「景気は底打ちした」っての90年台も市場に居ると何回もその話を聞いていたんですけど、そのたびに「いや不良債権こんなに増えているのにそれは無いだろ」という疑念はぬぐえませんなあとか思ったらああいう有様になった次第。

とは言え自分の経験は半径数メートルの話だし、経済全体を見るとそうなのかなーとかも思ったりして、わからんわからんと思っていたのもこれまた事実でして、何ちゅうかこの題名と最初の数ページしか読んでいないですけど、金融市場にどっぷり浸かっていると本人が見ているつもりでも見落としてしまっている事があるんだろうなーって改めて思ってしまいました、というまあそれだけの話なんですけどね。


なお中身に関してはまだ最初の方をチラ見しただけですが面白いと思いますし、何ならきょうび2000年より前の時代に物心ついてない方々も市場の中に沢山いらっしゃると存じますので(こちらジジイですいません)まあ読んでみますとオモロイのですが、当時を知ってる場合と受け止め方が違うかなとも思います。


全文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2024/data/wp24j03.pdf
バブル発生に関する期待と経済成長

序論部分だけご紹介しますね、というかそこまで読んでその先は斜め読みしただけですサーセン。

『1. はじめに』

『バブル崩壊1が始まった 1990 年代初めから現在までの日本経済の成長率低迷は、しばしば「失われた 30 年」と呼ばれる2。2000 年代初頭までは、それはバブルの後遺症によるものと思われていた。メカニズムについては、不動産価格の下落が企業の担保価値を棄損し、銀行のバランスシートが悪化することで信用収縮を招いたという金融面に注目する研究が多い (Fuchi et al., 2005;永幡・関根, 2002; Fukunaga, 2002)3。』

まあそれもあるんだけど、信用膨張の過程で問題になったのが結局の所碌でもない投資に使われる貸出の膨張だったから、何じゃネーノという気はするんですよね、元金貸しの手先のお気持ちなので別にワシの見解が正しいと言い張る気はないけど。


『銀行が不良債権処理の先送りや新規投資に繋がらない追加融資を行った結果、非効率な企業が温存され、経済全体の生産性を押し下げたとする研究もある(Caballero et al., 2008; 福田他, 2007b; 関根他, 2003)4。』

『しかしながら、これらの問題は 2000 年代半ばにはかなりの程度まで解消した。不良債権の処理は進み、銀行部門の健全性は改善した (山田他, 2022; Fukuda and Nakamura, 2011; 日本銀行,2005a)。企業の過剰設備、過剰雇用の調整も一段落し、企業部門の生産性も幾分向上した(日本銀行, 2005b; 内閣府, 2006)。』

まあ何ですな、この認識も何かちょっと違和感があるのよね。、

『このような環境改善にも関わらず、その後も日本経済は低成長のトレンドから脱することはできず、「長期停滞」(Summers, 2013) が続いている5。何が低成長を長引かせているのか、その要因は解明すべき謎として残っている。』

まあ謎なんですが、結局その問題となっている構造要因が解決してなかった、ということなんじゃないかと思うのですよ。

この辺りに関してはマクロで見てしまう金融市場というか経済調査とかがそうだと思うのですけど、一応金貸しの現場でどぶ板踏んでたわずかな経験だけで言うのも僭越というか多分間違えているんですけれども、マクロ統計で取りこぼしている「何か」があるような気がしてならないんですよね。


『本論文はこの問題に、既存研究が指摘していない新たな視点を提供する。我々はバブルに注目するが、崩壊よりもむしろ発生への期待に注目する点で既存研究と大きく異なる。我々は、バブル再発生への期待が経済成長の逆風となった可能性を指摘する。』

ほうほうこれはオモロイ、ということで・・・・・・・・・

『本論文の構成は以下の通りである。我々は第 2節で、経済理論に基づく実証的アプローチは平成バブルの崩壊以後も日本経済に小規模なバブルが散発的に発生していた可能性を完全には否定できないことを示す。』

そらそうですわ。

『続く第 3節で、バブルの発生が一定程度疑われる時期の日本経済には楽観的な見通しが広がっていたことを事例とともに示す。』

はい。

『近年の日本経済について、Miyao and Okimoto (2020) やKubota and Shintani (2023) などは、量的・質的金融緩和が株価や実体経済にポジティブな影響を与えたと指摘している。経済政策が実体経済や金融市場に与える効果や波及経路は複雑であり、特に量的・質的金融緩和以降の金融市場で生じた株高の全てがファンダメンタルな要因によるものなのか、評価は定まっていない。』

『また、日経平均株価と市街地価格指数の推移を比較すると 2013 年以降に大きな乖離がみられるが、理由は明らかではない。これらの論点に関する検証が十分に行えていないため、本論文は 2013 年以降の実証分析の結果については議論をしないことにする。』

議論するとややこしいことになるから、という政治問題ですね分かりますwwwwwwww

『第 4節で、バブルへの期待がクラウディングアウト効果を生むことを簡単な理論モデルを用いて示す。この結果は、バブル発生の可能性が意識されているものの実現はしていないという状況が、経済成長にとって好ましくないことを示唆する。』

ほーーー。

『第 5節で、同じメカニズムがより一般化したモデルでも働くことを示す。』

ときまして結論ですが、

『これらの結果を踏まえて我々が提示する視点は以下の通りである。』

ほうほう。

『平成バブル崩壊以後、日本経済に大きなバブルがなかったのは事実であるが、圧倒的な規模であった平成バブルの記憶や、その後に発生したか、発生しかけた小規模な「バブル的現象」を目の当たりにして、人々は本格的なバブル景気の再来を意識し続けてしまった可能性がある。この場合、期待によるクラウディングアウト効果が生じ、経済成長率が押し下げられる。このメカニズムが平成バブル崩壊以後、日本経済への逆風であり続けた可能性がある。』

ではバブルが発生すれば経済へのプラスになるのか、というとさすがにそんな結論にはならずに、

『本論文の分析は、バブルが望ましいものだということを意味しない。』

安心したw

『現実経済においてバブル崩壊が大きな経済的損失をもたらすことはよく知られており、既に挙げた通り、多くの実証研究が存在する。Allen et al. (2022) やBiswas et al. (2020) はバブル崩壊後のコストに注目した比較的新しい理論研究である。これらの研究に加えて、本論文はバブルの負の側面についての議論をむしろ補強するものである。』

ということですが、まあ本文は読んで味噌(というかワタクシも読み切れていません)ということでご紹介まで。

#あと昨日英文で出ている別のレポートが「25年レビュー」シリーズになっていますが英文なのでパスします







2024/04/08

お題「短国ェ・・・・・・・・/植田総裁朝日新聞インタビュー出ましたな(メモだけ)」

来週月曜になると3月積み期間終了ですから積み期間中は一部マイナス金利とゆー訳ではなくなるのですが、しっかしまあやはりというか想像以上にマイナス金利解除関連って「制度改正」の要素が強いわということで、いろんなことが落ち着くまではまだまだですな。

#だからこそ1月とかそういう余裕のある時にさっさと解除して欲しかった

〇3M短国まさかの水曜日よりレート低下入札とな&その他市場メモ

・3か月短国入札まさかの水曜日の実質1厘上で決着というオソロシスな結果でした

ちょwwwww
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240405.htm
国庫短期証券(第1223回)の入札結果
 
『本日実施した国庫短期証券(第1223回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号  国庫短期証券(第1223回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項

3.発行日 令和6年4月8日
4.償還期限 令和6年7月16日

5.価格競争入札について
(1)応募額       16兆8,039億円
(2)募入決定額    4兆6,682億1,000万円
(3)募入最低価格    99円99銭7厘0毛
(募入最高利回り)(0.0110%)
(4)募入最低価格における案分比率 4.7216%
(5)募入平均価格    99円99銭8厘7毛
(募入平均利回り)(0.0047%)

という結果な訳ですが、前回水曜入札の3Mちゃんが、平均99.9988(0.46bp)/足切99.9965(1.34bp)で1.34bpは75.4148%という厚め按分だったのですが、なんということでしょう金曜のは平均99.9987とは言えこれ前回債対比足が長い(前回の短国が期末跨ぎのため木曜日という変則発行日だった上に、今回の短国はエンドが海の日にぶつかっているので発行日から償還日までのテナーが99日ある、なお99日もあるのはGW跨ぎで発行されているから14週間物で出ているせい)ので利回り的には0.47bpで前回債と変わらんし、おまけに足切りが1.10bpと前回よりも金利は下がるわ、挙句に按分も極薄按分になっているわで、気持ち的には前回よりも価格にして1厘強く決まったイメージですな、なんということ。

まあアレですな。前回が期初になって一発目の入札だったということで、プラス金利になったら買いが来る、とは聞いていたものの、実際にはどのような感じで来るんでしょ、ってのが手探りだったのですが、いざ水曜の入札を開けて見るとプラス金利で堂々のニーズが行列をなしてわんさかやってくる、ということで、開拓移民団の開拓村に慰問列車がやってきたかというような勢いでプラス金利買い買い祭りが発生してしまいましたので、こんなにニーズがあるなら、ということでマーケットメーカーも在庫を取りに行く(まあ確かに今のタイミングで「入札空振りですので一切オファー有りませーん」とやってしまうのっていうのも商売的にはあれじゃろ、と言われるとそうかも知れないなあと思わんでもない)ムーブもあったでしょうし。

とまあそんな訳で、TKRRも上がってきたし水曜の金曜で少しは金利上がってくれるんじゃないかとか言ってたあたくしが大甘の王子でした誠に面目ない(しょぼーん)。いやこれだけニーズあると明日の6Mどうなるんじゃろ、とは思いますが、6Mと1Yに関してはさすがに基礎のニーズが違ってくると思いますので(3Mがいろんな意味で圧倒的な使い勝手の良さを誇る)、まあそっちはまた別の世界になると思うのですが、まあしかし「物としての短期国債」へのニーズがアホほど強いという事が如実に示されまして、1週間の疲れが更に疲弊する、という金曜の昼下がりであったことは申すまでもありません、南無三。


でもって金利が上がるどころが下がってしまった訳で、物としてのニーズがあるというお方にしてみたらそれでも買うってムーブはそれはそれであったんでしょうなあ、という感じで気配は0%水準まであっさり味で買われるの巻ということで。

売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1222 2024/07/08:平均値単利 -0.001
国庫短期証券1223 2024/07/16:平均値単利 -0.001
国庫短期証券1225 2024/07/22:平均値単利 -0.001

とまあそんなことで、水曜に入札あった分も含めまして、堂々のマイナスで引かせていますな、マイナスに突っ込むとマイナスでは買えませんがな組が手を引くので本当にこのマイナスレートがサステナブルなのかというのは正直謎(以下にネタにしますようにレポートの方はきっちりと上昇してきていますからねえ)なのですが、そのあおりで今週金曜に入札をする3M新発WIまでマイナスにしてやがりますが、いやまあ翌週の3MのWIとか取引するのは相当の変態に限られると思うのでそもそも論として市場が立っているのかというと事実上立ってないようなもんなのは分かるんだが、何でこれ前回債と並びになっちゃうのよというのは売参の謎仕様ですな。

ま、いずれにせよ短国方面にはマイナス金利解除の影響が


・東京レポレートトモネが5bpを上回るとな

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html

2024/4/4 0.036 0.045 0.030 0.029 0.031 0.036
2024/4/5 0.048 0.054 0.039 0.037 0.037 0.036

いつものですが、1Mの3.6bpってのは(コール対比低くねえかというのはさておいて)なんか一旦の目線が付いてきたって感じなのかなとは思いますが、その手前の所、T/Nがやっと5bp水準まで上昇してきましたな。これは金曜の昼前集計なので新発3Mの影響をどの位勘案しているのかは知らんですけど、火曜の6Mとかも含めましてちったあ短い所の流通玉も増えてこないと入札が強いモードが中々変わらんなとは思いますし、在庫ファイナンスしている人的にもこの逆ザヤってどうなのとは思ってしまいますので、短国の金利が上がる方で是正してだけることを祈りますが暫く期待しない方がよいんでしょうかねえ(とほほ)。



・ついでにコール市場残高

https://www.boj.or.jp/statistics/market/short/call/index.htm

こちらから集計表が取れます、なおヒストリカルのものは貼っていないので、それは時系列データの取得をしないといけないような気がしますが、今日は手抜きで取っていないですサーセン。

ということで直近ですけどね、

(業態別の末残、出し手の所の合計額から)
1月末残高:有担保コール29,366 無担保コール149,610(うち先日付 57,043)
2月末残高:有担保コール26,053 無担保コール166,759(うち先日付 54,123)
3月末残高:有担保コール27,244 無担保コール94,421(うち先日付 28,133)

ということでござんして、ちょっと今回細かく見る下準備足りなかったので、どの辺が期末要因でどの辺がマイナスチャージ無くなった要因なのかとかそういうのが良く分からん(だから1月にマイナス解除しておけと小一時間)ので詳しくはちょっと数字こねくり回してからまた逝きますが、とりあえずこの出しての内訳見れば銀行業態の出し、即ちマイナスの政策金利適用逃れのコール放出要因が剥落した分、というのはあるでしょとは思うのですが、アタクシもこの辺りの集計表を真面目に見るの8年ぶりとかの世界になるので、この間に規制要因で期末はバランスシート極力増やしません要因がどの程度おいでになられるのか、とかそういう考察が必要かと思いますので、これは今後の課題にさせて頂きとう存じます。



〇植田総裁朝日新聞インタビューではなんかハトハトチキンじゃないようにも見えますが

金曜の相場と言えばこれですわな
https://www.asahi.com/articles/ASS447D1FS43ULFA007.html
独自
「物価に影響するなら為替も利上げ材料」 植田総裁単独インタビュー
有料記事
聞き手 東京本社経済部長・円満亮太 金融取材キャップ・土居新平2024年4月5日 0時00分

『 ――3月の金融政策決定会合で、11年続いた大規模な金融緩和を終えました。その判断の理由は何ですか。

 「物価情勢が好転し、それに合わせて政策の枠組みを対応させたということに尽きます。ここまで強い異例の金融政策は役割を果たし、終了させてよいという判断に至ったということです」

 ――判断材料には、33年ぶりの高水準となった春闘の賃上げ率があると思います。まだ回答は大企業中心ですが、中小企業への波及をどうみますか。

 「集計結果には中小企業の回答もある程度含まれていて、昨年より、かなりはっきり強い結果になっています。そのうえ、中小企業は大企業の動向をみて決める傾向があります。大企業中心の結果が非常に強いということは、ある程度プラスの影響を及ぼすと期待しています」』(上記URL先より、以下有料会員記事)

へいへいそうだっかという話ですが、これだけでは何だかなあと思ったら一応関連記事が合って、

https://www.asahi.com/articles/ASS444CMBS44ULFA01YM.html
独自
利上げ判断、夏から秋にも 植田日銀総裁「物価目標の確度高まれば」
有料記事
土居新平2024年4月5日 0時00分

『日本銀行の植田和男総裁が朝日新聞の単独インタビューに応じ、物価上昇率2%目標の達成に向けた「確度」がさらに高まれば、追加利上げを検討する考えを示した。今後について「夏から秋にかけて春闘の結果が物価にも反映されていく中で、目標達成の可能性がどんどん高まっていく」と発言。日銀の追加利上げの判断は、この時期が焦点になりそうだ。』(上記URL先より、以下有料会員記事)

ということで、課金しないと見れない仕様になっているというのも何かまあ新聞買えと言われればぐうの音も出ないのでそうなんですけどうーん折角のインタビューなんだからなあとか思いつつも、こういう時は上に政策あれば下に対策ありとばかりに転電記事を探すとまあだいたBBGになるんですけど。


BBGから
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-04/SBFR9YT1UM0W00
植田日銀総裁、物価目標達成の確度高まれば追加利上げ検討−報道
Alexander Pearson
2024年4月5日 6:04 JST 更新日時 2024年4月5日 8:40 JST

→夏から秋にかけて目標達成確度が高まっていく、緩和環境の継続必要
→過度な円安、経済・物価に影響を与えるなら追加利上げの判断材料に


『日本銀行の植田和男総裁は朝日新聞とのインタビューで、2%の物価目標達成に向けた「確度」がさらに高まれば、追加利上げを検討する考えを表明した。インタビューは3日に行われた。』(上記URL先より、以下同様)

ほうほうそうですかそうですか

『その上で植田総裁は「夏から秋にかけて春闘の結果が物価にも反映されていく中で、目標達成の可能性がどんどん高まっていく」と述べた。利上げした場合でも「基調的なインフレ率の判断が2%を下回っている限り、金融環境としては緩和的であることが必要だ」とも語った。』

これしらっと言ってるけど、じゃあ基調的なインフレ率が2%になったら金融環境は緩和的である必要はない訳でして、そもそも今の時点で基調的なインフレが2%行ってない、って説明も結構強引な説明になっていることを踏まえますと、それって今の政策金利水準無駄に低すぎって言ってるのとあんまり変わらんような気がするんだが大丈夫なのかこの説明・・・・・・・・・・(寧ろ基調的なインフレの2%定着をもっと確認するまで、みたいな言い方のほうがハトハト説明にふさわしい気が)


『植田総裁は、物価の現状について「基調的な物価上昇率」は2%に届いていないと説明し、高い賃上げ率が見込まれる今春闘の結果がこれから反映されると見込むとした。賃金と物価の好循環が実現する確度について、「(大規模緩和は)例えば75%になったので解除した。これが80%、85%になっていくなら、金利を動かす理由の一つになる」と語った。』

・・・・・・・・いやはや何とも。

えーっとですね、何でこの人は一々「うまいことを言おうとする」のかと小一時間問い詰めたい訳で、こういう変にキャッチーな言い方したら後々この言葉が独り歩きして説明をややこしくするんだから、ただのお気持ちを変に定量的に示すとかダメ!!!ゼッタイ!!!!!!のコミュニケーションだし、しかも植田さんの場合これを言い出したからと言ってこの後この説明を貫いてくれるわけじゃないのが更に困るんで、もうちょっとこの人を静かにさせた方がいいと思いました、記事全文読んでなくて言うのもなんですが。

#ということで甚だ恐縮ですが今朝は備忘メモ大会で勘弁





2024/04/05

お題「GCレートやっと少し上昇などなど/今さらですが物価関連強い短観/さくらレポートも賃金と物価の循環を示す」

ほうほう
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240405/k10014412771000.html
政治資金問題 自民 39人処分決定も不満や岸田首相の責任問う声
2024年4月5日 5時05分

『さらに離党勧告を受けた塩谷氏が「各派閥で同じように処分を受けることが公平な考え方だ」と述べるなど岸田総理大臣の責任を問う声も根強く、今後の党運営に影響が出ることも予想されます。』(上記URL先より)

・・・・・・自分たちが悪質だったという認識が無いのかしら????


〇東京レポレート足元がやっと上昇しましたようで&本日は3MTDBですな

・新発発行の影響がTKRRに反映された模様

いつもの東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
O/N、T/N、トムスタートの1w2w3w1mです

2024/4/1 0.013 0.010 0.016 0.023 0.030 0.038
2024/4/2 0.008 0.009 0.017 0.023 0.027 0.033
2024/4/3 0.019 0.014 0.020 0.025 0.027 0.031
2024/4/4 0.036 0.045 0.030 0.029 0.031 0.036

てな訳で、4日のTKRRは足元が上昇した格好になっておりますな。タームもちょっとは上がったけど。まあこれはTDB3Mがプラス金利ヒャッハーで売れたとは言っても、マーケットメーカーの在庫に一定量残るのは残るので、その分在庫ファイナンスのニーズが強まるわけで、それを反映した結果、ということでよろしいのかしら。


・本日の新発3Mはどうなるやら

そうなりますと本日はまたまた新発3Mがありまして、売参ベースのWIは0.4bpにされているのですけれども、結局水曜の3MTDBがマイナスに突っ込んでいくほどでもなかったようなので、そうなりますと前回債よりも利回り何とかならんか、というのは期待されるところですし、足許GCが上がって来るならば、在庫ファイナンスのコストにも跳ねてくるわけでして、いつまで0利回りかつかつで居られるのか、ってな話になるかとは思いますがはてさてどうなるのやら。

まあゆうてプラスになっていくとじゃんじゃんニーズが増えて来るのが3MTDB、という構造になっていると思われますので、まあコールよりも低いわ〜というような状況が続くんでしょうなあと思いますし、まあこれを機に短国買入とか意味ないから止めて欲しい(やり方忘れると困るとかいうんだったら四半期に1回くらいお試しでやりゃいいじゃん)と思うのですが、これも発行戻ってきたらやる、とか言い出しそうでアレなんですけど、そもそも論として短国買入ってのは異次元緩和による日銀当座預金積み上げ(一番最初は年間の当座預金積み上げが80兆円で長期国債買入が50兆円で残りの30兆円を短期オペによる積み上げで実施してたから短国もバンバン買入をしなければ行けなくなって、挙句の果てに超過準備10bp付利しているのに短国だけマイナス金利に突っ込んでいく、という無茶苦茶な事が起きた)のために実施したもんなので、今更要らんとしか言いようがないオペなんですけどね・・・・・・・・・・・


・おまけで物国(物国は10年債だが足元のカレント10年は残存9年です)

毎度の売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

昨日の債券市場ちゃん、だいたい長期ゾーンは前日比小幅金利上昇で終わった訳ですが、

物価連動国債 26 2031/03/10:平均値単価 107.50 前日比 +40
物価連動国債 27 2032/03/10:平均値単価 107.20 前日比 +45
物価連動国債 28 2033/03/10:平均値単価 107.05 前日比 +50

物国は年1で新発が出て1年間リオープンで出て来るのでカレントが9年債になってしまっています(5月に2034年償還が新発で出て来る筈)が、まあそれはそれとしまして、普通国債の方が価格やや下げ、というなかで大変にお茶目な上昇をしていまして、これBEIに換算するとカレントで140bp水準とかに上がってきている、ということで、ハトハトチキン総裁が期待インフレガーとか言って物価目標未達の言い訳にしているんじゃなかろうかとみられる物価連動国債BEIの数値が足元強いですなあ、というのをおまけにメモだけしておきます。だからどうしたと言われると困るのですけれども、ハトハトチキンさんがいう期待インフレ率はまだ2%に達していない、というのは何なのかというのをもう少し詳しくお伺いしたいもんですな。




〇遅ればせながら短観:引き続き価格と雇用関連がアホのように強い

ハイパー今更ですいません
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2403.pdf
短 観(概要)―2024年3月― 
 第200回  全国企業短期経済観測調査

・業況判断DI:これ前回対比下がっているとは言え見通し対比ではエライ強いんですよね

         (12月短観)      (3月短観)
         現状→3月予測    現状→6月予測
製造業大企業   +13→+8      +11→+10 
製造業中堅企業  +6→+5        +6→+5        
製造業中小企業  +2→+0        ▲1→0

非製造業大企業  +32→+27     +34→+27
非製造業中堅企業 +19→+15     +20→+15
非製造業中小企業 +14→+7      +13→+8

ちなみにこれ新ベースで出ているのですが、旧ベースだと12月って

製造業
+12→+8
+5→+4
+1→▲1

非製造業
+30→+24
+20→+14
+12→+14

となっていて、非製造業中堅以外調査企業見直しの結果としては遡及で上方修正になっているんですよね。

でですね、確かにこれ前回対比悪化なんですけど、前回時点の「3月予測」と比べると結構な上方乖離をしておりまして、でもって前回の短観がとにかくバチクソ強かった、という事を踏まえると企業部門強いじゃん、という話になると思うんですよね。

・企業の販売価格見通しはツエツエ蠅としか申し上げようがない

販売価格見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:2.1%→6月:2.9%→9月:3.1%→12月:3.2%→3月:3.3%→6月:3.0%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.7%
3年後 3月:2.7%→6月:3.5%→9月:3.8%→12月:3.8%→3月:4.0%→6月:3.8%→9月:3.8%→12月:3.7%→3月:4.0%
5年後 3月:3.2%→6月:4.0%→9月:4.2%→12月:4.3%→3月:4.6%→6月:4.4%→9月:4.4%→12月:4.4%→3月:4.7%

大 企 業 製 造 業
1年後 3月:1.9%→6月:2.7%→9月:3.2%→12月:3.0%→3月:2.9%→6月:2.5%→9月:2.4%→12月:2.2%→3月:2.2%
3年後 3月:1.8%→6月:2.5%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.2%→6月:2.8%→9月:2.9%→12月:2.8%→3月:2.8%
5年後 3月:1.7%→6月:2.5%→9月:3.2%→12月:3.1%→3月:3.5%→6月:3.0%→9月:3.1%→12月:3.0%→3月:3.1%


大 企 業 非製造業
1年後 3月:1.1%→6月:1.5%→9月:1.9%→12月:2.1%→3月:2.4%→6月:2.1%→9月:2.2%→12月:2.0%→3月:2.0%(12月が1.9%に遡及訂正)
3年後 3月:1.6%→6月:2.2%→9月:2.4%→12月:2.6%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.8%(12月が2.6%に遡及訂正)
5年後 3月:2.2%→6月:2.6%→9月:2.8%→12月:2.9%→3月:3.4%→6月:3.2%→9月:3.4%→12月:3.2%→3月:3.2%(12月が3.1%に遡及訂正)

ちょwwwwwwwおまえらwwwwwwまた上昇しとるやないかwwwwwwwww


・企業の物価全般見通しですがこういうのは「インフレ期待が2%にアンカーされている」と言わんのか???(こちらは中小企業を)

物価全般見通し 全規模合計 全 産 業
1年後 3月:1.8%→6月:2.4%→9月:2.6%→12月:2.7%→3月:2.8%→6月:2.6%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%
3年後 3月:1.6%→6月:2.0%→9月:2.1%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.2%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.2%
5年後 3月:1.6%→6月:1.9%→9月:2.0%→12月:2.0%→3月:2.1%→6月:2.1%→9月:2.1%→12月:2.1%→3月:2.1%

中小企業 製 造 業
1年後 3月:2.2%→6月:2.8%→9月:3.0%→12月:3.1%→3月:3.2%→6月:2.9%→9月:2.8%→12月:2.7%→3月:2.6%
3年後 3月:1.9%→6月:2.3%→9月:2.5%→12月:2.5%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.4%→12月:2.4%→3月:2.4%
5年後 3月:1.9%→6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.4%

中小企業 非製造業
1年後 3月:2.0%→6月:2.5%→9月:2.7%→12月:2.8%→3月:3.0%→6月:2.8%→9月:2.8%→12月:2.6%→3月:2.6%
3年後 3月:1.8%→6月:2.2%→9月:2.3%→12月:2.4%→3月:2.5%→6月:2.4%→9月:2.5%→12月:2.4%→3月:2.4%
5年後 3月:1.8%→6月:2.0%→9月:2.2%→12月:2.2%→3月:2.3%→6月:2.3%→9月:2.3%→12月:2.3%→3月:2.3%

これさあ、もう完全に「安定期」に入ってるじゃんという話でして、これでなんで期待インフレがまだ2%に行ってない!とか言い切るわけあのハトハトチキンジジイは、というお話な訳ですけど・・・・・・・(ちなみにハトハトチキンちゃん頼みの物価連動国債のBEIが足元ツエツエ蠅なのは先ほど申し上げた通りですw)。

・販売価格判断
        (12月短観)         (3月短観)
        現状→3月予測      現状→6月予測
製造業大企業  +27→+20     +25→+24
製造業中小企業 +27→+28       +26→+33

非製造業大企業  +25→+27      +27→+28
非製造業中小企業 +24→+29      +26→+32

12月ベース変更前数値は
+26→+20
+26→+28
+26→+28
+25→+29
です。

・仕入価格判断
        (12月短観)        (3月短観)
        現状→3月予測      現状→6月予測
製造業大企業  +41→+38      +43→+38
製造業中小企業 +57→+54      +56→+59

非製造業大企業  +40→+43     +43→+42
非製造業中小企業 +54→+55     +53→+56

12月ベース変更前数値は
+43→+38
+56→+53
+41→+44
+54→+55
です。

こちらなんですけど、製造業中心に「先行きの販売価格判断が上がっている」のが目に着くわけでして、こんなんどっからどう見てもノルム変化しとるわけで、むしろインフレ期待が上に振れる方を心配しないといけない時間帯に入っているんじゃないのか、としか思えないのに、なんでああ皆さんのほほんとしておられるのでしょうかとくにハトハトチキンジジイお前だよお前。

・雇用判断DI

        (12月短観)        (3月短観)
        現状→3月予測     現状→6月予測
製造業大企業   ▲16→▲18     ▲17→▲18
製造業中堅企業  ▲23→▲26     ▲24→▲27
製造業中小企業  ▲23→▲29     ▲24→▲31

非製造業大企業   ▲37→▲37    ▲37→▲37
非製造業中堅企業  ▲45→▲48    ▲46→▲49
非製造業中小企業  ▲47→▲51    ▲47→▲50

12月ベース変更前数値は
▲16→▲17
▲22→▲26
▲23→▲29

▲37→▲38
▲45→▲48
▲47→▲52
です。

雇用に関しては前回の短観では「は前回強いと書いた以上に強い!」と書きましたがそれは変わらずでございまして、これまた強いわけですよ。

でもって需給判断のところは見てもいまいち面白くないのでこの辺で簡単に打ち止めにしますが、価格関連と雇用関連はアホのように強いですよねこの短観、というのは把握しました。



〇さくらレポート:7地域下方修正が何ぼのもんじゃいと思うのだがハトハトチキンが喜んでチキンの理由にしそうですね!!!!

https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer240404.htm
地域経済報告―さくらレポート―(2024年4月)*
*本報告は、本日開催の支店長会議に向けて収集された情報をもとに、支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものである。

ということですが、本当はこのさくらレポート、全文の細かいアネクの内容を見るのがオモロイ(そこは景気ウォッチャー調査と同じですね)のですが、そのような暇はちょっと無いので鏡の部分だけ。

全文はこちら
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer240404.pdf

になります。でまあ鏡のHTMLは本当に鏡だけページにも程があってやる気あんのか状態なので、全文の方から引用しますね。


・北海道と四国以外景気現状判断が下がった訳ですが・・・・・・・・

『I.各地域の景気判断の概要』の『(1)各地域の景気の総括判断』ですが、

『北陸を除く8地域では、景気は、一部に弱めの動きもみられるが、「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。北陸では、地震の影響による下押しが一部にみられるものの、「持ち直しの動きがみられている」としている。』

つーことで、これはハトハトチキンちゃんのチキンが進むわという所ですが、この後のアネク部分を見てみますとですねぇ・・・・・・・・・・

ということで『(3)企業等の主な声(トピック別)※』というのに行きますと、

『※ 日本銀行の本支店・事務所による企業等へのヒアリングの際に聞かれた声をトピック単位でまとめたもの(各地域の「企業等の主な声」は「U.地域別金融経済概況」を参照)。()内は報告のあった支店等名、[]内はヒアリング先企業等の業種名、<>内は同趣旨の報告のあった支店等名。』


・賃金から価格への好循環(「好」なのかどうかはさておき)に関してはどう見ても威勢が良い話になるんだが

『B価格設定』と『C雇用、賃金設定』が重要な訳ですよ。

『・メーカーからの値上げ要請は一巡しつつある中、競合他社の状況をみつつ、購買頻度の高い商品は値上げ幅を調整するなど、競争力を維持できるよう工夫しながら既往のコスト上昇分の価格転嫁を徐々に進めている(横浜[ドラッグストア])。』

はい。

『・ 節約志向の高まりを受けた買い控えがみられていることから、今後は、セールやポイントアップデーの開催頻度を高める方針(松山[スーパー])。』

まあスーパーはそうなっていますよね、と思う。

『・ 旺盛な宿泊需要が継続するもとで、人件費の上昇分を宿泊料金に相応に転嫁できているほか、客室清掃の委託業者からの人件費上昇を踏まえた値上げ要求も一定程度受け入れている(名古屋[宿泊])。』

賃金から価格への循環頂きました。

『・ 需要減少懸念から通常コースの値上げ幅は抑制するが、富裕層やインバウンドをターゲットに、高価格なコースの導入を検討している。こうした価格帯の設定を行うことができれば、賃上げ原資の確保につながると考えている(釧路[飲食])。』

つまりこうですね!!!!!!!!!!
https://www.jiji.com/jc/d4?p=gaf928-jlp00720268&d=d4_int
 「貧乏人は麦を食え」(詳しくは上記URL先、時事通信提供のサイトをご覧くださいませ〜)

なお、この発言ですが、まだ昭和25年当時という時代背景がある(いまより断然主食の割合としての地位が高い米ですが作況ちょっと悪化すると外米輸入しないと間に合わないし、そうなると外貨があるのか問題が生じるとかそういう世界)ので今と同じ尺度で考えるわけにはいかないとは思うの。

・・・・すいません脱線しました話を戻しますと、

『・ 単純値上げではなく、シャンプー等を高級品に切り替えるなど付加価値を高めながらカット料金を値上げしたが、客離れはみられていない(静岡[対個人サービス])。』

威勢のいい話だ。

『・ 自社努力によるコスト低減を行ったうえでの価格転嫁は許容されつつあり、2023 年は労務費を含むコスト上昇分の8割程度を転嫁できた(本店[輸送用機械])。』

この「自社努力によるコスト低減」というのに何かアレ感は漂うものの、BtoBの価格転嫁が進んでいますよしかも労務費の転嫁、すなわち賃金から物価への循環来ましたってなもんで。

『・ 人件費上昇を単独の理由とする値上げは依然難しいことから、製造コストの一要素と位置づけて取引先と交渉し、一部転嫁に漕ぎつけた(鹿児島[紙・パルプ])。』

これはご苦労がしのばれますが、何はともあれこの時点でもこういうムーブになっているということは、賃金の引き上げというのがより広範に認識されている春闘ムーブを受け、今後はもうちょっと賃金の価格への転嫁が進むんジャマイカというアレ。

『・ 原材料費上昇分の値上げはしやすいが、賃上げ分の値上げには難色を示す先が多いため、賃上げ原資は生産性向上等で確保するほかない(松山[その他製造業]<高知>)。』

これはしょんぼり。

・・・・・・ということでションボリーヌの面もありますが、全体としては威勢の良い話の方が多くね??ってなもんでありまする。


・おちんぎんは・・・・・・・・

次が『C雇用、賃金設定』どすえ

『・ 現場従業員の人手不足が深刻化する中、外国人の採用積極化だけでなく、日本人の短時間の単発アルバイトの活用など、従来以上に求人手段を拡充しているが、それでも完全な充足には至っていない(名古屋[対事業所サービス])。』

早速の人手不足キタコレ。

『・ 2024 年度入社の新卒採用は計画未達となり、経験者採用でなんとか補っている。新卒採用の不芳は出店戦略の足かせになっている(大阪[スーパー])。』

人手足りないのが供給制約にまでなっておられる。

『・ 大手メーカーの積極的な賃上げスタンスが下請けにも波及する中、業績回復を踏まえて、2024 年は前年を上回る賃上げを実施する方針(松本[輸送用機械])。』

うらやま・・・・いやなんでもありません。

『・ 人手不足感が高まるもと、2024 年度についても公共工事の入札加点への対応も目的として、少なくとも3%以上の賃上げを行う予定(札幌[建設])。』

ほほう。

『・ 2023 年度は固定費増加を受けてベアを見送ったが、他社で賃上げが進む中で採用力の低下を痛感し、2024 年度はベアを実施する方針に変更(鹿児島[小売])。』

『・ 今春は前年を大きく上回るベアを予定。業績は厳しいが、成長・生き残りのため人材確保は必須であり、業界水準に付いていかざるを得ない(大阪[電気機械])。』

これですよこれ。これがノルムの変化ってなもんですわよ奥様、と威勢のいい話もありますが、ゆうてそうアホみたいに賃金上げ続けられんというのもある訳でして以下、

『・ 昨年はインフレ対応の賃上げを実施。今年も世の中の流れを受けて賃上げは続けざるを得ないが、収益面に余裕がなく、賃上げ幅は慎重に検討(水戸[小売])。』

『・ 人材の確保・係留や生活支援の観点から 2024 年度も何かしらの形で賃上げを続ける方針。もっとも、納入先のスーパーを中心に、賃上げ分の価格転嫁は受け入れてもらえないことが多く、昨年並みの賃上げは難しい(釧路[食料品])。』

『・ ドライバーの確保を目的に 2024 年度も賃上げを実施するが、人件費上昇分の価格転嫁が遅れているため、賃上げ幅は 2023 年度よりも縮める方針(仙台[運輸])。』

というのもありますが、

『・ コロナ禍を受けた消費者の行動変容もあり、シニア向けの需要が戻らず収益の低迷が続き、賃上げができないため、転職者が増加している(本店[旅行])。』

ほうほうそうなのか・・・・・・・・・・

『・ 今年の春季労使交渉では、従業員自身がリスキリングなどスキルアップで生産性向上を図ることを前提に、物価上昇率を上回る高めの賃上げ要求を行った組合もみられた。労働者側の意識も変化してきている(本店[業界団体])。』

マジかスキルアップで生産性向上図らんといかんのか(アセアセ)。

とまあ微妙な話もありますが、賃金物価ともに威勢のいい話が続いておりまして、「賃金から物価への好循環」とか言って相変わらず2%物価目標行ってないというハトハトチキン音頭を踊っておられるハトハトチキン総裁でございますが、さてこれでどうなるという話ですけど・・・・・・・

まあ何ですな、どうせハトハトチキンの事ですから、このさくらレポートでの物価と賃金の威勢のいい話に関しては「この辺りの事も勘案した結果金融政策の枠組み見直しを実施しました(のでこれは新しい情報ではありませんからハトハトチキン継続)」とか言い出すのか、あるいは「今回景気の現状が足踏み状況を示していることから利上げを含む政策対応は時期尚早」と言い出すのかのどっちかだと思いますが、前者ならまあ良いんですけど、もしかしたらハトハトチキンが後者を持ち出して「動かない言い訳」をおっぱじめますと、これは毎度お得意になっている「勝手にゴールポストを動かす」攻撃、もうちょっと綺麗に言えば「政策先にありきで政策反応関数を都合の良いように使い分けている」攻撃になりまして、甚だ宜しくない傾向になるのですけれども、はてさてどうなるんでしょうかというのは4月展望の会見の注目材料になると思います。





2024/04/04

お題「輪番減額しないのかよ・・・・・・・・・/3M入札とか短い所とか交付税6Mとかの雑談で勘弁してちょ」

クイズ面白ゼミナール懐かしや、と思ったが知ってるのは老人会メンバーだけですなたぶん
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240403/k10014411391000.html
NHK元アナウンサー 鈴木健二さん死去 95歳
2024年4月3日 13時49分

サムネ見て「わーいなつかしいよー」と思ってよく見たらその映像が「1988年」となっていてビビるなど(こっちの歳がバレますが何か?)

名司会楽しかったです。ありがとうございました。


〇輪番同額で堂々の事実上の追加金融緩和を敢行するというプレイが炸裂するなど

昨日アタクシこんな事を書いたじゃないですか。

(昨日の駄文より)いやーアタクシこっそり「火曜の10年入札は輪番減額を警戒して弱くなって、それにビビった日銀が輪番減額しないで水曜日は踏み上げ御所相場」という妄想をしていたのですが駄文に書いたらまた恥をかくところでしたわ奥様。(駄文ここまで)

なーんて書いてたら、まさか米債金利上昇で先物が朝から20銭ほど下がっていたりしたのにビビった訳でもないのでしょうが、輪番オファーがご案内の通りで、

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240403.htm
国債買入(残存期間1年以下)     1,500  2024年4月4日
国債買入(残存期間1年超3年以下)  3,750  2024年4月4日
国債買入(残存期間3年超5年以下)  4,250  2024年4月4日
国債買入(残存期間10年超25年以下)1,500 2024年4月4日

あいやーーーーーーーーーーーー同額オファーキタコレーーーーーーー。

ということで、4月から新発国債の市中発行減額が確定しているのに、減額対象ゾーンである中期前半と中期後半を対象にした輪番を減額しない、ということで債券需給的には「発行と輪番のバランスから言ってネット吸収超過、すなわち事実上の追加金融緩和」というプレイが実施されちまいました。いやーそうですかそうですか相変わらず何なんすかねえこの人達の国債買入だけは何考えてやってるんだがさっぱり分からん。


これまた皆様ご案内の通りですが、3月のYCC解除の際にでた

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240319c.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
2024 年 3 月 19 日
日 本 銀 行
金融市場 局

によりますと、

『1.長期国債の買入れ(利回り・価格入札方式)(注)』には

『(3)買入金額
四半期予定において、種類別・残存期間区分別の買入金額をレンジ形式で公表し、当四半期中は、原則として、当該レンジの範囲内で、市場の動向や国債需給などを踏まえて運用する。』

>国債需給などを踏まえて運用する
>国債需給などを踏まえて運用する
>国債需給などを踏まえて運用する

国債需給を踏まえますと、ってお前ら自分で言って置いて新発国債の市中消化額が減額になるタイミングで輪番減らさないのって言行不一致にも程があるだろという話でして、じゃあお前らのいう「国債需給などを踏まえて運用」ってのはどういう基準で発動されるんだ、というのがまた訳分らなくなってしまいました、という点で今回の決定はロジカルにおかしいと断じざるを得ない、とまあそういうお話になるんですよね。コマッタモンダ。

まああれです、確かに事前予想を事後になって調べて回ったら(おいおい)減額しない予想ってのもそれなりにあったからそこまで踏み上げ御所ではなかったかもしれませんけど、昨日はアメリカン金利上昇で下押しした分全部お返しして、引けにかけてちょっと先物失速したからマイナス圏になったものの、中短期ゾーンの引けは軒並み前日比利回り低下となっておりまして、日銀による「緩和強化」のムーブが綺麗に反映された流れとなっているのでありました。南無阿弥陀仏。


このどこからどう見ても減らす理由が普通にある(減額以上に減らすのコワイヨーならまだ話は分かるんだけどそれはそれで国債市場を読み間違えてるだろこの下手くそとは思う予定でした)のに、このタイミングで減らさなかったら今後買入金額の調整がどのように行われるか、という運営ロジックがまったくわからんということになりまして、結局金融市場局様の「お気持ち」で運営するのか、それともMPMで何も決めないとこいつら未来永劫買い続ける気なのか、という所が一気にこれで不透明になりまして、不透明ということは即ち毎度申し上げていますように「どこで輪番の上げ下げが飛んでくるかがロジカルに想定できない」ということなので、つまり「市場に価格形成を委ねる」というのは夢のまた夢というか、お前ら政策委員単にエエカッコシイなだけじゃん、というお話になるのでした。

ま、昨日の輪番減額しないと来ましたらこれ当然今月の輪番はレンジの中央値即ち先月の買入額からの減額無し、で来るとしか考えようがない(これ逆に途中から急に減らしたら情緒不安定にも程があってさらに対応に困るんですけどねえ)のですが、植田総裁は新しい枠組みについて「短期市場金利を誘導する普通の政策」とか言ってたけど、長期国債買入の金額を決定会合で毎回決めるのであれば、それはそうであると明確に言っていただかないと困るし、さらに言えば決定会合で決めるものなのであれば、何で次回決定会合以降の買入まで事前にアナウンスするんだよというお話になって、色々と矛盾が生じるんですよこの長期国債買入。

どうせ変更しないんだったら「次回金融政策決定会合までは月額〇〇のペースで長期国債買入を行います、明細は声明文別紙のとおりです、なお市場金利が急速に上昇するような場合には、別紙日程の他に追加の買入を指値方式も含めて実施する場合があります」と明確に書きやがれってなもんでして、金融市場局の「お気持ち」で運営されるのは予見可能性が乏しくなるので4月会合の時にやり方を改善していただきたいものですわ、と思いました。



しっかしよくわからんのは、MPM出た時に「ほぼ満額回答」とかアタクシが申し上げていましたし、先日アナウンスされたようにCP社債買入は(マイナス金利解除前に既報の4月を減額修正してないのが惜しい所ですが)5月買入分から減額、とかいうように長期国債買入以外に関してはちゃんと正常化の方向性を出しながら動いているのに、何で長期国債買入だけこんなにビビっているのというお話で、いやマジで何にビビっているのかがさっぱり分からん訳で、しかもこちとら別に超長期減額しろとか(そっちはこの前市中消化減額に対応して減額しているんですよねー)言っている訳ではなくて、発行が減る年限の買入維持したら追加緩和だろ行動が矛盾するじゃねえか、という話をしているんだし、いやまあこれがマイナス金利解除を機に長期金利がホイホイと上昇している真っ最中とかいうのであれば減額するのに躊躇するのも分かるんですが、何を恐れているのかがマジで分からんのですが、まあ確かに市場ではそこを踏まえて「日銀は長期国債買入に関しては異様なまでにビビりだから減額しないんじゃないか」という見通しも相応にあったので、皮肉な言い方をすればコミュニケーションが出来ているとも言えますわなこの人達。

とまあそんな感じでズッコケ三銃士という風情になってしまいました昨日の輪番ということでしたが、これで今月の日銀ネタは26日の金融政策決定会合までは為替円安にぶっ飛んで神田大明神が憤怒という展開になるか、政府様が渾身のデフレ脱却宣言を打ってきて雰囲気が正常化バンバンイクデーみたいになるか、という位しか思い浮かばなくなったので、溜まっているネタの消化が進みそうではありますな、しょぼーん。(野口審議委員の金懇は正常化消極派なので、なんか変なもんでも食って急に転向発言でも出ない限り特段のネタにならん)、と思ったがあとは支店長会議でワンチャンくらいですかねえとは思いますが、今回3月の政策見直しのネタとして支店長から上がって来るアネクドータルな企業動向情報、というのが使われていたので、4月の支店長会議で威勢のいい話がでたとしても、それはロジカルに言えば3月会合で使用済みになっておりまして出涸らしなんですよねーーーーー。



〇3M新発はプラス金利だったじゃないですかヤダー

火曜日の売買参考統計値とは何だったのかと小一時間問い詰めたい。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240403.htm
国庫短期証券(第1222回)の入札結果
令和6年4月3日
財務省
 
『本日実施した国庫短期証券(第1222回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.名称及び記号  国庫短期証券(第1222回)
2.発行根拠法律及びその条項

財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項』

基本3MTDBの場合にはそんなにオモロイ根拠法は出てこないのですが、見てるとたまに出て来る時があったりなかったり。まあそもそも3Mの入札とかドマイナス過ぎてちょっと手が出せなくて結果として細かく見ている気力も無かったのでマイナス金利時代の記憶が飛んでるという説があるアタクシ(おい)。ただし特会の何に使われるかとかは面白いですよね。

えーっと脱線しますけど、昔は外国為替特別会計政府短期証券とかそういうのがあって(為券と蔵券は触った(と言っても振決債だが)ことがある、糧券は触ったことなくて、そのほか物理的に出せる3つは名前すら覚えてない)FBと言ってたのですが、今にして思えば色々と不思議ちゃんな世界(完全公募入札になったのがそもそもそんなに古い話でもないんですよねよく考えたら)ではありましたので、興味のあるかたはそこらに転がっている老人会会員をとっ捕まえて聞いてみてください。

『3.発行日 令和6年4月4日
4.償還期限 令和6年7月8日

5.価格競争入札について
(1)応募額       15兆9,855億3,000万円
(2)募入決定額      4兆6,931億5,000万円
(3)募入最低価格       99円99銭6厘5毛
(募入最高利回り)(0.0134%)
(4)募入最低価格における案分比率 75.4148%
(5)募入平均価格       99円99銭8厘8毛
(募入平均利回り)(0.0046%)』

ということえ0.0134%の按分じゃないですかヤダーということでございまして、プラス利回りになりますとマイナス金利とかいうツンドラの永久凍土の溶解現象が発生しますので、太古の眠りから覚めたサーベルタイガーやナウマン象がプラス金利を求めてガオーと徘徊するのでまあ結局終わってみれば1bpよりは低い金利(でもサーベルタイガーやナウマン象はマイナスを買う訳ではないので間違ってマーケットメーカーがショートしない限りにおいてはマイナス利回りの手前で需要の崖が発生するので)ただし0金利未満(というか以下かも)には下がらんという現象が発生するようでございますな。

まあマイナス金利じゃ買えないけどとりあえずプラスならば購入できまっせ組のニーズが充足されるまではニーズありありじゃろうなあというのと、例の担保需要絡みではどうなんでしょう、というのもありまして、明日の3M入札でどの程度需給の緩和が見られるのか、というのが注目でして、明日の時点で需給がまだまだ強い、となると全然当たらないアタクシの山勘によりますと月半ばくらいまで時間かかりそうですわな、というイメージなんですがはてさてどうなるやら。

何せ売参ちゃんによりますと(しかしこれ何とかならんのかねとは思うんですが)
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 0.004
国庫短期証券1222 2024/07/08:平均値単利 0.004
国庫短期証券1223 2024/07/16:平均値単利 0.004

ということで何故か1223WIは4bpだったのが0.4bpになっているわ、ショートカバー銘柄でヘナチョコマイナス金利だった筈の1221は急に0.4bpになっていて新発と誰か入れ替えでもしたのかというような値付けだわ、水曜引けの1222WIだけ急に0%にしたのはナンダッタノカと謎の多い経緯を経て、なんかこの辺りの銘柄が昨日の3Mのアベレージ近辺に集約される、という流れになっておりますが、期初一発目の入札を通過して一定の目線が出来た結果、ということにしておきましょう、ホンマカイナ。


なお、前述の「2年5年などの中期ゾーン事実上の追加緩和措置ぶっこみ」に寄りまして昨日は5年カレントも前日引け強で引かせていましたし、ふと見ますと2年利付の年内償還が悉く単利マイナス水準に突っ込んでおりまして、

中期国債 442(2) 2024/11/01 0.005:平均値単利 -0.005
中期国債 443(2) 2024/12/01 0.005:平均値単利 -0.005

とか前日引けはこの辺の銘柄って442で単利ゼロ、443で単利+0.5bpだったので(ノ∀`)アチャーって感じでございます。なおちなみに12月償還の5年債とか10年債の引けは単利プラスまだ維持していました(+0.5bpしかないけど)。


〇東京レポレートもこれ実は長めは何となく目線ができているのかしら

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
左からT+0翌日物、トモネ、トムスタートの1、2、3wと1mですが今日はその先の3mと6mと1yも

2024/4/1 0.013 0.010 0.016 0.023 0.030 0.038 0.051 0.074 0.103
2024/4/2 0.008 0.009 0.017 0.023 0.027 0.033 0.051 0.074 0.103
2024/4/3 0.019 0.014 0.020 0.025 0.027 0.031 0.051 0.074 0.104

ということえ、足元ちょっとはGC上がっている形になっている(3m入札受けてどうなるか、というのもありますのでその点では今日以降の所はみておきたい)のですが、何気に3m以降って既に安定した数字になっていますわな、まあレポ自体そこまでの長いテナーの取引がバカスカ行われるようなものなのか問題もあるのでイメージ図に近くなってしまうかもしれませんけど、イメージ自体が揃っている、というのもそれはそれで情報としては意味があるかなとは思いますので3行コメントということで(^^)。


〇交付税特別会計借入6Mは追加利上げは反映してないけど国債よりは全然マシな利回りですねえ

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240403.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の一時借入金の入札結果
令和6年4月3日
財務省

『本日、一時借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。



1.借入根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第15条第1項

2.借入日     令和6年4月11日
3.償還期限    令和6年10月11日
4.償還方法    令和6年10月11日に一括償還』

という訳で交付税借入のテナー6か月になります。担保としての使い勝手は国債などと遜色ないのですが、表題にある通りで「借入金」すなわち運用サイドからすると「貸付金」になってしまいまして、いわゆる有価証券のカテゴリーとは別種のものになるので参加者が限定される、という奴ですな。

『5.借入利率競争入札について  
(1)応募額      8兆3,624億円
(2)募入決定額   1兆2,990億円
(3)募入最高利率   0.110%
(4)募入最高利率における案分比率   77.7834%
(5)募入平均利率   0.097%

6.非競争入札について  
(1)応募額     10億円
(2)募入決定額   10億円
(3)借入適用利率  0.097%』

ということで、こちらは+9.7bp/+11.0bpとなっていて、来年の10月11日まで利上げ一切織り込まないレートかよとは思いますけど、まあ国債と比較すると全然マシなレートになっておりまして、要するに日銀のアホみたいな国債買入によって市場の価格発見機能が破壊されつくしている、というのがこのような動きからも分かるので、本来は「市場の動向や国債需給などを踏まえて運用する」んだったら日銀の過大な輪番は減らすのが筋だろいい加減にしろ、と交付税特別会計借入の話をしているのに隙あらば日銀ネタになるアタクシなのでしたw


ちなみに今月は交付税6か月があと3回、エネルギー特会12か月が1回あって、明日も交付税6m1.3兆円が予定されています。入札カレンダーの「(3)借入金」ですな。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/2404.htm
入札カレンダー:令和6年4月

ということで何か短観を3日かっ飛ばすというアタクシ史上最大のかっ飛ばしをしててすいませんが徐々に戻してまいりますですすいません。





2024/04/03

お題「今日は大注目の輪番オファーですわよ/その他雑談ですいませんすいません」

アタクシもこういう風に(内務省検閲)発言が出来る図々しい神経と面の皮が欲しい
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020050S4A400C2000000/
日銀の黒田前総裁、足元の円安「行き過ぎ」 NYで講演
北米
2024年4月2日 7:55 [会員限定記事]

まあ昨日これが出て「お前が言うな」と思った人は円債市場だけでも500人くらいはいたんじゃないでしょうか。しかし人間の良心のどこがどうなるとこういう発言が出来るのか(以下自主規制)。


〇まあ何はともあれ輪番ですね輪番(あと3m短国もよろしくです)

・10年入札強いじゃねえか

いやーアタクシこっそり「火曜の10年入札は輪番減額を警戒して弱くなって、それにビビった日銀が輪番減額しないで水曜日は踏み上げ御所相場」という妄想をしていたのですが駄文に書いたらまた恥をかくところでしたわ奥様。

昨日の債券市場ちゃんbyロイターさん
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/RTBXSGKCEFPJPDWDIG33JEOFV4-2024-04-02/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落で引け、米金利上昇が圧迫 10年債入札は順調
By ロイター編集
2024年4月2日午後 3:26 GMT+9

『[東京 2日 ロイター] - <15:10> 国債先物は続落で引け、米金利上昇が圧迫 10年債入札は順調

国債先物中心限月6月限は前営業日比9銭安の145円46銭と続落して取引を終えた。10年利付国債入札が順調な結果となりプラス圏に浮上する時間帯もあったが、米金利上昇が相場を圧迫した。現物市場の新発10年国債利回り(373回債、長期金利)は同0.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.745%。

きょうの国債先物は、前日の海外市場で米10年国債利回りが2週間ぶりに4.3%台に上昇したことが逆風となり、売り先行でスタート。10年国債入札を控えた警戒感も影響した。後場に入ると、入札が順調な結果だったことを受けて買い戻しが入り、先物はプラス圏に浮上して推移。しかし取引終盤にかけては米金利が上昇したため、相場は再び売りに押された。』(以上上記URL先より)

ということですが、何せ10年入札ちゃん直後のロイターさんの市況解説を見ますと、

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/Z5BJTUAJT5KQBBXTE2U6LVZ3BY-2024-04-02/
〔マーケットアイ〕金利:10年債入札は順調な結果、国債先物はプラス圏浮上 長期金利0.72%
By ロイター編集
2024年4月2日午後 12:58 GMT+9

『[東京 2日 ロイター] - <12:48> 10年債入札は順調な結果、国債先物はプラス圏浮上 長期金利0.72%

財務省が発表した10年利付国債の入札結果は、最低落札価格が100円41銭(最高落札利回り0.755%)、平均落札価格は100円43銭(平均落札利回り0.753%)となった。落札価格の平均と最低の開き(テール)は2銭と前回(4銭)から縮小。応札倍率は3.80倍と、前回(3.24倍)から上昇した。

市場では「順調な結果だった。入札結果を好感して買いが入っているようだ」(国内証券)との見方が聞かれた。』(上記URL先より)

とまあそんな訳で、ベンダーさん集計の事前足切り予想よりも強い足切りになるという威勢の良い入札となって、輪番減額思惑とは何だったのかと小一時間問い詰めたいというか、まあそもそも論として発行減額分輪番が減るのが何ぼのもんじゃい、という気概を感じる入札になりやがりましたなというお話。


・とまあそういうことですので今日の輪番は・・・・・・・・・・・・

ご案内の通り、今月分の入札から2年、5年、10年の市中消化額が減額されている(2年は既にそのベースで月末に入札実施済み)ということですので、その分の減額をするのは当然としまして、どっからどう見てもそれ以上に減額しないと「日銀の見通し通りに経済物価情勢が推移すれば次の利上げも視野に入って来るというのに、その前に市場金利をガリガリと下げて利上げの際にまたも余計な地均しをしないと行けなくなる」という間抜けな事態が起きてしまう訳ですし、大体からしてお前ら金利形成を市場に委ねるって言ってるのに今の規模での買入をするのがそもそもおかしい、ということで、まあマイナス金利解除時に需給を読み間違えたのはシャーナイ(本当はその位理解して運営してくれないと困るんだがまあ日銀クオリティなのでそんなもんを期待するのは端から無理がある)としまして、今日軌道修正しないと今月の軌道修正のチャンスがノーチャンになってしまって、益々金利低下圧力は掛るわとなって円安進行しまっせ大丈夫でっか、というお話になる訳です。

ということで本日は1010の定例オペオファー時間を正座待機して待って、その後はその後って話になるんですが、これ多少減額しても結局の所現時点での月額5.9兆円という買入が超過大であるので、中長期の市中消化減額分とツーペーどころかそれ以上に減額しても響かないんじゃなかろうかといういやーーーーーな予感の方が強いアタクシなのでした、ナムナム。

ま、CP社債買入をきっちりと5月分からとは言え減額したんですからこれも出来るでしょ、と期待はしていますし、そもそもそれでも全然減らし方足りない(そもそも論として長期国債買入は既に政策の主要手段ではなくてただのスムージングを行っている状態なのだから、別に金利急騰懸念が無いんだったら減額すりゃあいいんですよ)ので、その程度は減らせやと思うのでありますがさて・・・・・・・・・・


・地味に本日の3Mはプラスで買わせてくれませんよ宣言キタコレ(いつもの売参)

いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1222 2024/07/08:平均値単利 0.000
国庫短期証券1223 2024/07/16:平均値単利 0.040

あっ(察し)

えーっとですね、1日の引けベースでの売参では1222WIは+0.040%だったんですが、昨日の引けベースでWIのうち1222の方だけ4毛強くして+0.0%即ち100円の引けに持っていかれてしまいました。

ということでこれは今日の新発3Mはプラスで買わせてくれませんよ残念でしたプギャー、っていう市場様からのメッセージだと謹んで受けとらせて頂きますショボーン。

ま、こういうのは実際に入札をしてみないと何ともワケワカメではありますので、実は入札をしたらそんなにニーズがありませんでしたちゃんちゃん、となるかも知れない(多分ならない)のでその辺は謎ではありますが、だいたいこう前途がアレだなと思うのは昨日の売参ベースを見ますと・・・・・・・・・・・

中期国債 436(2) 2024/05/01 0.005:平均値単利 -0.027
中期国債 437(2) 2024/06/01 0.005:平均値単利 -0.027
中期国債 140(5) 2024/06/20 0.1:平均値単利 -0.02
長期国債 334 2024/06/20 0.6:平均値単利 -0.029

まあこの辺のマチュリティーの国債に複利もへったくれも無いので平均値単利をだしておるわけですが、単利ベースで見ますとこの辺の引けが地味にここもと金利低下してやがりまして、遂に昨日は▲3bp水準まで強くされてしまうということでして、おじいちゃんマイナス金利は終わったのよさあお薬の時間ですよ。と言いたくなるのですがまあ残念ながらこういう状況でして、つまりは輪番の買い過ぎの余波とヘナチョコオペの出し過ぎによる担保需要問題が相変わらず深刻であり、つまりは国債市場に関しては短い所が(というか短い所も、であるが)全然市場機能を果たしていないというお話。

まあアレですよね、マイナス金利の時って何となくこうマイナス金利だからで済んでいた面があったので、この辺りのゾーンの国債(まあこの国債の激強に引っ張られてしまうので社債などの短い所も実勢金利が多分低い筈なんだが)市場が実はマイナス解除前から深刻なレベルで市場機能を喪失していた、というのがこうやってマイナス金利解除された途端に白日の下にさらされる、ということで池の水抜いたら変な魚は出て来るわ投棄自転車は出て来るわ投棄冷蔵庫は出て来るわ、みたいな風情に落涙を禁じ得ない今日この頃ではあります。たぶん除くデリバだとCP市場が一番市場らしい価格形成に近いようには見えますなあ、という所ですか知らんけど。


・2週間共担8000億円に減額(?)したものの・・・・・・・

昨日はこの前2週間0%フルアロットメントとかいうサービス条件でオペをオファーしたら2兆円以上の札が集まった(23469億円ですちなみに)2週間共担があったのですが、

オファー (4月2日<火>)(共担オペ分のみ引用)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240402.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 8,000 2024年4月3日 2024年4月17日 0.100

ということでして、こちらはこの前のマイナス金利解除のどさくさに紛れて「金融市場の状況を踏まえ、適宜の金額で実施します。」ということになった物件なのですが、今回は8000億円のオファーになりました。なんか知らんけどこの8000億円っての何となくオファーするときによく使う金額ですよね。

と思ったら落札結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240402.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(4月3日スタート分) 8,125 8,005 98.5

まあ0.1%であっても札は入るというのは、共通担保適格であってもGCとかに使える訳ではないものというのがある訳でして、そういう物件のファイナンス付けるニーズがある場合にはこういうのが出て来る、というお話なんで、フルアロットメントの時よりは国債担保需要を圧迫しないとは思うのですが、こちら前のオペが今日エンドになるので、その辺なんか影響はするのかしないのか、なんとなくさっきネタにした3M新発の気配を入札前日に強くする攻撃からしますとお察しの流れのような気もしますが、まあその辺どうなるんでしょうかね。



・東京レポレート昨日もアガランチ会長であるorzorz

いつもの東京レポレートちゃんですが

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
左からT+0翌日物、トモネ、トムスタートの1、2、3wと1m

2024/4/1 0.013 0.010 0.016 0.023 0.030 0.038
2024/4/2 0.008 0.009 0.017 0.023 0.027 0.033

ということで、金利上がるどころか3wと1mの金利下がってるじゃんというお話でございまして、相変わらず無担保コールからだいぶ違う世界で推移している上に、こんな水準で安定するのかよオイってなもんですが、まあこのレポレートの水準が訂正されないというのは特に短い所を中心にした「モノとしての日本国債」へのニーズがアホみたいにあるのか、日銀が吸い上げ過ぎて需給バランスをアホみたいにおかしくしているのか(あるいは合わせ技)という話で、まあコールとの乖離に関してはマイナス金利の最後の方でも話題にはなっていたものの、これまたプラス金利になって益々目立つようになってきた(当時はコールの方が高い、というイメージでしたが足元は明らかにGCレポの方が低い、に変わっている)のですが、担保云々は日銀が長距離の資金供給出し過ぎ問題があって、この分のオペってすぐに引ける物ではないわけですから如何ともしがたい。


〇すいません短観ネタも忘れているんですが(忘れてはいない)さらに忘れている東京都区部CPI

ちょっと生業の方がクソ忙しいのでネタの捌きが追いついていませんゴメンチャイ

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消費者物価指数
東京都区部 2024年(令和6年)3月分(中旬速報値)
※全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表するものです。


『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として107.1
前年同月比は2.6%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇

(2) 生鮮食品を除く総合指数は106.5
前年同月比は2.4%の上昇 前月比(季節調整値)は0.2%の上昇

(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は106.2
前年同月比は2.9%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇』

毎度のようにアタクシ的には「前年同月比」よりも「原数値の推移とか前月比の推移」を気にしている次第ではありますが、

表2 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前月比(季節調整値)

ってのを見ると、季節調整値ベースで言いますと3月の前月比って

総合:昨年3月は前月比+0.2%、今回は前月比+0.3%
コア:昨年3月は前月比+0.3%、今回は前月比+0.2%
コアコア:昨年3月は前月比+0.4%、今回は前月比+0.1%

となっていまして、昨年のコアコア怒涛のがぶり寄りの勢いは沈静化しているとはいえ、結局の所総合とかコアの前月比って昨年の3月と入り繰りがあるけどそんなに変わって無くね??という感じで、まあ確かに物価上昇率自体は落ち着いてくるんでしょうけれども、別にガシガシ下がるとかそういう感じでもなさそうにしか見えませんけど、いつまで「2%達成していない」って言い張るんだよという話だし、この期に及んでもデフレ脱却宣言が出ないとかいうのも甚だアレですし、どういう構造になっているんだ政府日銀の物価に対する認識は、と思ったりするわけです。

あとですね、原数値ベースで言いますと、まあ3指数どれとっても似た感じの挙動なのでコアを
出しますけど、

昨年7月以降のコア指数(原数値):105.2→105.3→105.2→(からの10月)106.0→106.0→106.1→106.0→106.2→106.5

って感じで推移してて、実は原数値ベースでみると都区部CPIって昨年10月に飛んだ後は何となく横ばっていたんですよね(これ全国CPIで見るともう少しわかりやすいです為念)でもって3月がちょっと上がってきた感がある訳で、年度代わりの所でさてどうなるんでしょうかねえというのが気になる訳で、まあ統計が出る前にお財布の方からシグナルが出るきがしますけど、その動きにも注目ってことになるのかと思います。


#スイマセンネタの成敗がおいついていませんゴメンチャイ





2024/04/02

お題「市場備忘メモと田村さんの金懇会見ネタで勘弁してつかあさい」

ヤマケンさん・・・・・・・・
https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2024/04/01/post2552/
日銀はなぜバランスシートを切り離せないのか
〜これ、すなわち「財政ファイナンス」と呼ぶ
2024.04.01

まあご興味のある方は読んで味噌ということで。

〇いつものレートチェック(ただの俺様備忘録なんですが)

・期初初日だからと言ってガラッと何かある訳でもなく

いつもの東京レポレート

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
左からT+0翌日物、トモネ、トムスタートの1、2、3wと1m

2024/3/29 -0.029 0.010 0.013 0.018 0.028 0.033
2024/4/1  0.013 0.010 0.016 0.023 0.030 0.038

ということで、一応少しは上がっているのですが、足元の所って相変わらずGC1bpという状況でして、コールとの乖離ェ・・・・・・という話ではあるのですが、まあ本来は在庫ファイナンスをする主に証券ディーラーってのは無担保コール調達のアベイラビリティが限定的なので、レポGCってコールよりも高くなる、というのが以前の一般的な姿だったのに対して、短いゾーンにおける国債のモノとしての需要が非常に強いのでバチクソ逆転現象が起きている、という流れになっているのが昨今のGCレート形成なんでしょうね、と思います。

でまあそれが何より証拠には、なのかどうかは知らんけど、昨日って利付の1年程度から手前の銘柄って引値が前日比低下で値付けされているという中々おそロシアな事が起きておりまして、これは神田財務官も困惑といった所でございましょう。

一方で短国の方はというと引け変わらず(なので一々売参の貼り付けはしません)となっていまして(3Mカレントの地獄カバー銘柄1221が▲5.5bpとちょっとだけ改善したのが違いですが他のゾーン特に動き無かったみたいですね)それはそれでナンジャというか、短い利付の方にニーズ(まあ如何にも担保とかで使いたくなる銘柄ですもんね)あり状態になっておりますな。


いずれにしましても、期末超えたから急に担保ニーズが減るというようなありがたい事は起きなくて、TKRRベースのGCトモネが相変わらず1bpでしかない、という状況に世の中の担保玉ニーズの強さというのを感じる次第なので、この前も申しあげましたが、3Mの資金繰り用途なら増発いけるっしょ増発しかなかとよ増発しか、とお願いしたい(なおそれをやると国庫資金繰りに両建てが発生して国庫資金繰りの非効率という話とか、うっかりすると盗っ人のような人たちが埋蔵金とか言い出し兼ねないので、残念ながらそう簡単に短国を増発してくれることも無いのです、残念無念)。



〇私家版短観分析、の前に田村審議委員会見の方で勘弁してちょんまげ

なにせ今回の短観を見て株が下がった、というおまいら今まで短観を材料に株の売買してたってあったかよというような後付け講釈が出るくらいでしたので、本来は短観をネタにすべきなのですが、今日はその前の積読の田村さんの会見を読んでみる、で勘弁して頂きとう存じます。いやまあ面目ない。

https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240328a.pdf
田村審議委員記者会見
――2024年3月27日(水)午後2時から約40分
於 青森市


・為替の質問に見せかけてタカ派発言を引き出そうとしたのだったら完全に戦術間違い

冒頭説明の後の最初の質問なんですけどね、

『(問)為替に関連して二点お伺いさせてください。』

まあ為替について聞きたがるのは分かるんですが、建前上為替政策は日銀ノータッチ(事務代行はやる)という事になっている以上、話の流れで為替に進んだときに質問するのはアリだと思うのですけれども、正面切ってこれを質問すると紋切り回答しかできないんでそもそもが作戦ミスです。

『足元で円安続いております。円安の経済・物価に与える影響、ひいてはですね、今後の政策対応へ与える影響についてご認識をお伺いさせてください。これがまず一点目です。』

『もう一点、日銀が当面、緩和的な環境が続くとしていることが円安を招いているという指摘があります。これについて、受止め、ご認識をよろしくお願い致します。』

せめて後半だけにして欲しかったんですが、これですと紋切りで回答するしかない訳で、

『(答)まず円安が経済・物価に与える影響とそれの政策対応に関してのご質問です。この円安、為替相場が経済・物価に与える影響、特に経済に与える影響については経済主体によって様々で、一言でこれは経済にプラスとか経済にマイナスというふうに言えるような状況ではないと考えております。為替相場の水準や評価について具体的にコメントすることは差し控えさせて頂きますが、基本的に経済・金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であると考えております。金融政策は為替相場を直接コントロールの対象としてはおりませんが、一方で為替は経済・物価に影響を及ぼす重要な要因の一つです。従いまして日本銀行としては、経済・物価情勢、しっかりと踏まえて適切な金融政策運営に努めていきたいというふうに考えております。』

という想定問答以外に何を回答しろというのか、となりますよね。これは質問する方が下手。

でもって後半の質問への回答ですけど、

『それから次に、この緩和的な金融環境が円安につながっているのではないかというご意見についてです。為替相場については、二か国の話ですので、お互いの国の経済のファンダメンタルズ、そこには金利も含まれるということで、それらを総合的に反映したものが現在の為替相場、更にお互いの国の経済・物価の見通しや金融政策の見通しなども反映して現在の為替相場が形成されているというふうに認識をしております。』

まあ聞く方としては「我々の真意を誤解している」とでも言ってほしかったのかもしれませんけれども、そもそもあのハトハトチキン総裁がハトハトチキン発言しているわけなので、残念ながら「日銀としての総意」がジャカジャカ正常化しろってなっていないのですから、これまたこれ以上には言えないですよね。

ということで、最初の質問の筋が悪くて想定問答通りに回答するしかないような質問内容になっていたために、この金懇の会見質疑ってなんか全体的に読んでて思ったのは歯車が噛み合っていないな、という感じを受けました。あくまでもアタクシの感想ではありますが。



・「ゆっくり」の真意について

次の質問、前半は良いのでまずは前半を引用。

『(問)二点お願いします。一つは円安に絡んでなんですけども、ちょっと円安の進行したきっかけとしてですね、田村委員の講演の中の「ゆっくりと、しかし着実に金融政策の正常化を進め」ていくというところが材料視されたという見方があります。この「ゆっくりと」の部分の意味について、例えば年内はないとかですね、そういった意味が込められているのか、もう少し詳しくお聞かせ願えればと思います。(後半割愛) 』

まあこれ「年内はない」は否定されるために言ってるのは明らかですなw田村さんの答え

『(答)短期金利については経済・物価・金融情勢について点検して、物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切な水準に設定していくということに尽きると考えております。』

まあ当たり前の事を言ってるのですが、これまた本来は重要なポイントで、幣駄文では壊れたレコードのように何度もこの話をしていますが、これ「金融政策運営をフォワードガイダンス(またの名を「決め打ち」)方式で実行することはない」という論点に繋がっている大事な説明になっているんですよね、とアタクシは思いましたが田村さんが何を思ってこういう言い方をしているのかは田村さんじゃないのでワカランチ会長。

『午前中の講演原稿の中にある「ゆっくりと、しかし着実に」の、「ゆっくり」ということについては、現在の経済・物価見通しを前提にすれば、米国のように 1 年で 5%利上げといったようなことになるとは考えてはおりません。ただ一方で、長きにわたって低金利環境が各種経済主体に組み込まれたわが国において、急激な、あるいは不連続な変化というのは避けたいですし、現在の見通しを前提とすれば避けることができるんじゃないかというふうに考えております。』

これ前半だけで切っておけばよかったんじゃないの、と思うのですが後半って必要なのかってお話でして、時あたかも全銀協の新会長が前任と異なって金融政策正常化に対しての熱量が低くてマイナス金利解除されたからもういいや位の勢いの情報発信を開始しているように見えるのとも踏まえて何かキナ臭いものがあるかも知れない、と杞憂だとよろしいんですが、マイナス金利解除したらもう終わり、じゃ困るんですけど大丈夫かってなのは大変に懸念される所ではあります。

『どこまで金利を上げていくのかというのは、確たることは現時点では言えないと思っています。あくまでその時点、その時点の経済・物価・金融情勢に応じて判断していくということに尽きます。そのうえで、私としては金利機能が発揮できるような水準まで戻して、金融[政策]の正常化が実現できるようになることを期待しています。(後半割愛)』

じゃあこの水準が幾らか、というのは後程登場する。


・しかし何でこういう質問を今の時点でする必要があるの?????

さっきの人の前半は上記のように、まあ普通の質疑応答だったのですが、この人の後半の質問は一体全体何を言いたいのかと不思議でした。

『(問)(前半割愛)もう一点が副作用の部分で、講演の中で大規模緩和による副作用に言及されてます。それで、3 月の決定会合でYCC、マイナス金利の解除ということになったんですけども、今後、再び緩和的な局面が来たときにですね、マイナス金利とかYCCといった政策を採る必要があるのか、それとももう使わない方がいいのか、その辺りのお考えも併せてお願いします。』

いや何でこんな質問を今の時点でするの???????なお回答は割愛します。



・国債買入に関してあった唯一の質問

今回の会見、中盤以降は追加利上げの話しばっかりで、しかもそんなの「情勢判断次第」としか答えようがない話ばっかりが延々と続いていて、お前ら質問するポイントは他にもあるだろアホかという感じでしたし、まあそういうアホが現地に雁首揃えて出張してたからヘッドラインの打ち方が煽情的になったんじゃねえの疑惑も浮かんでくるんですけど、国債買入について質問があったのはこの人だけなんですよね。

『(問)国債購入についてお伺いしたいと思っています。先ほどの挨拶文で能動的な政策手段ではなく不連続な変化を避けるための位置付けという言い回しをされていましたが、現状と同程度の国債購入は早期に減額方向に見直すべきだとお考えですか、というのが一点です。(後半割愛) 』

市場の中の皆様的には国債買入の方をどげんとせんといかん、というのがまあ明白になってきている今日この頃なのですけれども、利上げの方がどう見ても記事の見出しになるのでそっちの質問になってしまう、というのはまあお気持ちは分かるのですが、下手したら利上げ以上に重要なのは国債買入の方でして、まあそっちの話を聞いてくれ、と思うので、これは良い質問でした。


田村さんの回答。

『(答)まず国債の買入れについてですが、国債買入れについてはこれまでと概ね同額程度の金額で継続することとしています。実際の買入れは、従来同様ある程度の幅を持って予定額を示し、市場の動向や国債需給などを踏まえて買入れを実施していく方針です。』

からの、

『ただ私としましては、市場の流動性を回復しつつ、できるだけ市場に金利形成を委ねていくことが大切だと考えておりますので、市場の動向をみつつ、いつとは確定的なことは申し上げられませんが、国債の買入れ額を減少させていく方向であるというふうに考えています。(後半割愛)』

でもってこの田村さんの考えに逆行するような状態になっている、というのが足元までの姿でありますので、これはもう輪番を減額するしかない(そもそも論として4月債から新発の発行額が減っているんですから発行減少分減額しても減額したことにならないというレベルなんですよね)と思うのですが、はてさて明日の輪番はどうなるんでしょうね。かなり重要なポイントになってまいりました。


しかしまあ余談になりますけど、福井の俊ちゃんの時の量的緩和解除ってのはまあそもそも当座預金残高30兆円如きの世界でしたし、マイナス金利も今みたいなハイパー大規模債券市場介入も無かったので、事前に散々織り込ませた結果3月会合で別に何も問題なくスムーズに移行できましたが、やはりこれだけの規模で、しかもマイナス金利というそれに付随する制度まで入っているものを期末直前に予告ホームラン形式じゃなくていきなり解除するってのは、現場における制度対応がバッタバタになる訳でして、何でお前ら12月か1月に解除せんかったのかと思いますし、長期国債買入に関してもこれ期末要因がどこからどこまで入ってこの動きか、ってのが見えにくい面もあって、今回の解除後の値動きっていうのは次に何かこういうことをした時の教訓になるのかというと、たぶん再現性が無いんじゃないかなって思うのですよね。

ま、ゆうて3月がマイナス解除の本当の本当にラストチャンスだったと思うので3月解除はやむなしではあったのですが・・・・・・・・・


という余談はさておき、まあ長期国債に関するこういう質疑応答が特にヘッドラインで強調されるでもありませんで、この人の後半の質問遺構が延々と利上げはいつですか、どこまで上げますか、のオンパレードでこれは田村さんも呆れて応対してたんじゃないかな、って思ってしまいました。知らんけど。


・金利のある世界はだいたい1%水準からご相談ということですねわかります

さっきの人の質問の後半。

『(問)(前半割愛)後もう一つが、現在の金利、短期金利の水準はまだ「ほとんど金利がない世界」と同じだというふうにおっしゃってましたが、先ほどの質問とちょっと重なるんですけれども、具体的に金利機能が発揮できるような水準というのは経済・物価情勢次第だとは思いますが、どの程度を描いていらっしゃいますでしょうか。 』

そら聞きますわな。


『(答) (前半割愛)それから次の質問が、金利機能が発揮できるような水準ってどんなものなのかというご質問です。質問にもありましたように、基本的にはその時々の経済・物価情勢、金融情勢を踏まえて[金融政策を]行っていくということですし、また、金利機能の回復だけを目的として金利を引き上げるようなことはないと思っています。』

ふーん。

『そのうえで、短期金利の水準は、90 年代後半には 0.5%ぐらいに下がり、「ほとんど金利がない世界」に入った後、ゼロ金利政策の開始やマイナス金利の導入により、その水準は 0%、そしてマイナス圏へと切り下がっていきました。ただ、こうした「ほとんど金利がない世界」においては、金利機能は十分に発揮されていなかったととらえておりますので、金利機能が発揮できるような水準、何%ということはできませんけれども、に戻していくことが、日本にとって大事であるというふうに考えています。』

どう見てもこれは1%からご相談ですわな。


・フォワードガイダンス的コミュニケーションの弊害

ちょっと先の質問に飛びますが、

『(問)ちょっと似たような質問になってしまうかもしれないんですけれども、次の利上げ、追加利上げのところをお伺いしたいと思っています。どのような条件が揃えば利上げが可能になるのか、またその時期、水準については先ほどおっしゃっている通りかと思うんですけれども、時期、ペースについてご見解をお伺いできればと思います。(後半割愛)』

まあ何ですな、これはまあ質問者にどうこういうつもりはなくて、こういう質問ばっかり飛んでくるようになっている(今回のは特に目立ちますよん)のっていうのは、明らかに「フォワードガイダンス的政策コミュニケーション(言い方を変えれば「決め打ちコミュニケーション」)の弊害」の最たるものになっておりますわな。

つまりですね、今まで行っていたフォワードガイダンスって、悉くがある一定のコンディショナルなものを示して、そこまでは今の政策を継続する、というものを並べていた訳でして、しかも日銀の場合は例えばオーバーシュート型コミットメントのように、コアCPIの実績値が2%を越えた状態が延々と続いているのに屁理屈捏ねてコミットメント解除しない、というようなことをしたり、2%物価安定だって、実際のCPIが上昇しだしたら、やれコアコアだやれ賃金だ、やれサービス価格だ、次は来年の賃金だ、みたいにゴールを動かす、というインチキコミュニケーションをしておったのでもっとタチが悪いのですけれども、まあ何はともあれそうやって先行きのコンディショナルなものに政策行動を紐付ける、というのを延々とやっていた訳ですな。

でもって本来は「普通の政策」に戻ったんだからそういうのは一切なくなって、単純に「毎回の決定会合で状況を検討して行われた情勢判断を踏まえて最適の金融政策を実施する」に戻った筈なのですが、今回のコミュニケーションにおいても、ご案内の通り「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。」などという実際には逃げ口上は幾らでも出来るとはいえ、フォワードコミットメント決め打ちと読み取られるような文言をいれていて、「フォワードガイダンスの誘惑」をまだやっている訳ですな。

なのでまあ上記のような質問が飛んでくるし、この後も(めんどいから割愛しますけど)いつ上げるんですがどこまで上げるんですかのオンパレードでゲップの出る質疑応答になっておりました。

さてこの質問の回答ですが、

『(答)まず今後追加の利上げの条件、何かこうなったらこうするというようなフォーミュラがあるわけでは全くないですけれども、』

これに尽きるんでもうちょっとここを詳しく言った方が良いとおもうんですけどね。

『基本的な考え方として私が思っているのは、一つ目には基調的な物価上昇率が上がっていく場合、それから二つ目に物価の中心見通しは変わらないにしても、上振れリスクが高まる場合、それから三つ目に、物価見通しの修正はなくとも、2%の物価安定目標達成の確度が更に高まってきた場合、こういった場合には金利引き上げを検討することも可能になるんじゃないかというふうに考えております。』

ほうほう。

『いつかということについては先ほどの回答と重なりますけれども、基本は毎回毎回のMPMでその時点の経済・物価・金融情勢を踏まえて判断していくということで、私個人としての目先の注目点は先ほど回答した通りです。 』


あとはもっと「毎回毎回のMPMでその時点の経済・物価・金融情勢を踏まえて判断していく」を強調した方が良いと思うのですが、そもそも論として植田総裁が余計なサービス発言をぶっこむのを仕様にしている、というのが割と救いがたい現象だったりするんですよねprzprzprz


・・・・・・・ということで今朝はこの辺で勘弁してつかあさいちょっと生業が(汗)





2024/04/01

お題「期初ですがオペとか神田財務官発言回りとかの雑談でご勘弁くださいませ」

年度がまた変わってしまった訳でして、自分の芸歴何年か忘れてしまっておりますが、芸道に精進する所存であります(なんの芸だよ)

〇CP社債買入が早速減額キタコレとは正常化への道

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240329a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2024年4月〜5月)

4月分に関してはマイナス金利解除前に既に日程と予定額が出ていた分なので変更はなかったですけれども、5月買入分から

CP買入:4000×2→3000×2
社債買入:1000×1→750×1

となりました。まあどうせ減らすなら4月分から減らせやと思いましたが、MPMの時に減額を出さないでおいて月末に出すのも騙し討ち感があるから、という気持ちはわからんでもないので、まあ5月から減らすというのを明確に示したのは今のおっかなびっくりスタンスからしたらまあ頑張ってるんじゃないですかねえ(鼻ホジホジ)

とは言いましても、CP買入ってコロナ直前は月額3500億円(2019年1月の買入が2500×2で実施され、2月の買入が当初3500×1で予定されて実際も3500になったのですが、その後2019年3月買入からはコロナ問題深刻化を受けて大幅増額になった)まで減らしていたので、3000×2でもコロナ前に戻っていないという説はあるのですが、まあいずれにしましても減額を打ち出したのはリスク性資産買入の停止という正常化の方向性なので結構なお話ではないかと思います。

まあ何ですな、4/3に中期前半、中期後半、超長期前半の3ゾーンの輪番があるわけで、足元の円債市場の動きを見ていると、懸念していたような金利上昇どころか、金利上昇警戒のし過ぎでむしろ長期金利の低下圧力がかかるような情報発信と輪番の運営になっていた、という面白事実になっているので、毎日のように申し上げておりますが、今回懸念しすぎ状態になったこと自体はさすがにまあ同情の余地がありますので、そんなに非難する気はないのですが、どこからどう見ても読みを外してしまったことは言うまでもないので、そこはちゃんと軌道修正していただきたい訳です。

まあその軌道修正込みなのが、週末にネタにした「1兆円から2兆円程度アローワンス」という30%いじってもアローワンスとはこれ如何に、というなんか80兆円空文化を彷彿とさせる「主な意見」だった訳ですが、これそれこそ毎回の会合では「現状程度の買入を継続」と言いながら、その「現状程度」というのはあくまでも足元の数字の現状程度であって、月額6兆が月額5兆になった場合は、「現状程度」はしらっと月額5兆円に減ります、というムービング「現状程度」になるんじゃねえのと楽しみにしたくなる今日この頃であります(願望込み込み)。


〇ところで期末跨いだらいきなり短国新発のWIが甘くなった件など

・短国WIェ・・・・・・・・

いやまあWIでして発行まで間があるのでそもそもこの辺はバカスカ取引をするようなもんではなくて何となく雰囲気でエイヤーな値付けになるんだろうなあとは思いますけどこれはワロタ。

いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html

国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 -0.060
国庫短期証券1222 2024/07/08:平均値単利 0.039
国庫短期証券1223 2024/07/16:平均値単利 0.040

木曜の売参ではカレントと同じく▲6bpとかいう地獄のレートにされていた水曜入札の新発WIでございますが、レギュラー受渡が期末を抜けた金曜日の引けの所で修正掛かってきて、ついでに今週金曜に入札のある1223回3MTDBのWIの引値も金曜から付いているのですが、どっちもだいたい+4bpというプラス利回りになっておりますな。ナンノコッチャ。

まーーーーでも実際問題この辺ってコールよりも全然低い水準であることは変わらない訳で、国債としてのモノのニーズ、おまけに使い勝手が良い(セカンダリー買うのはまあ玉あるか問題がありますが売る方は普通に売れますからねー使い勝手良いだけに)のですから、まあその辺のニーズがどの辺りまでありますか、ってなお話によりけりな訳でして、うーむ。


・2年入札は結局しっかりだし

でまあ売参見ますと、2年のカレント所って、

中期国債 458(2) 2026/03/01 0.2:平均値単利 0.175
中期国債 459(2) 2026/04/01 0.2:平均値単利 0.185

って所でして、新発の1個手前は1毛強で引けているので普通に堅調ということでして、まあこの2年の利回りもお前それマイナス金利以降の利上げパスの見通しどうなってますねんと言いたくはなるのですが、結局この辺り全般に渡って日銀の各種オペによる資金供給のやり過ぎでその裏側の担保ニーズを強くしちゃってて、物としての国債のニーズを無駄に強くしちゃっているというお話で、市場の政策金利織り込み度合いを織り込むような価格形成が出来ていない、即ち市場のシグナリング機能が壊れたまんま、という事になっている訳で、後先考えずに長期共担だの貸増だのを馬鹿みたいに打ち込んでしまった弊害が金利が戻ってきたときに顕在化している、とも言えそうですな、南無三。


・GCレートも期末マイナス要因は剥落したけど低位ですからぬーー

いつもの東京レポレート

https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
左からT+0翌日物、トモネ、トムスタートの1、2、3wと1mに今日は3mも

2024/3/28 0.029 0.005 -0.001 0.011 0.017 0.028 0.045
2024/3/29 -0.029 0.010 0.013 0.018 0.028 0.033 0.049

となっていまして、T+0翌日物はこれは末初なのでさて置くとして、トモネもトム1Wも上がったとは言え1bpの世界でして、うーんこのという感じではありますな。ちなみに3Mを出してみたのは一応さっきの短国3MWIとの比較でご参照、というお話ではあります。



〇神田さんそれは日銀のオペレーションと情報発信のせいや

・その違和感は日銀に言った方がよろしいかと存じます

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-29/SB18RNT0AFB400
今の円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感」−神田財務官
占部絵美、横山恵利香
2024年3月29日 15:20 JST

→米インフレは沈静化、日本はデフレのノルム変化で金利差は縮小傾向
→為替は物価と密接な関係あり日銀の関心事、当局間で緊密に意思疎通

『神田真人財務官は、日本銀行がマイナス金利解除を含む大規模金融緩和の見直しを決定した後の円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感を持っている」と語った。』(上記URL先より、以下同様)

えーっとですね、日本の債券先物なんですが、3月一カ月の値動きって限月交代要因を加味して計算すると(スプレッドは便宜上限月交代日の引けで計算してますけど)先物って3月は1銭しか下がっていない、という結果になったんですよね。

つまりですな、反対方向という意味で強い違和感、とのお告げなのですが、そもそも論として日銀がマイナス金利解除しているのに金利が横這いということですので、これは短期政策金利の引き上げを行った分を打ち消す緩和姿勢を打ち出している、というのが実情な訳ですな。

従いまして、

『その上で、「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視し、行き過ぎた行動に対してあらゆる手段を排除せず適切な対応を取る」との考えを改めて強調した。』

との事ですが、そういうのは円債市場の値動きを見てから仰っていただきたい訳でして、マイナス金利政策決定前日の3/18の10年新発の引値が単利で0.755%だったのに対して、金曜の同じく引値は単利で0.725%だった訳で、その前日の木曜の引値は0.705%だったりしてるわけですから、そもそも為替市場に適切な行動をとりたかったら日銀のオペレーションや情報発信に対して「あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取」って頂きたい訳でして、いやすいません神田さん債券市場見てからそういうことは言ってくれませんかねえ、と思う今日この頃なのでした。


・でもって田村さん飛んだトバッチリですなこの解説は(NHKさんの解説)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240329/k10014406311000.html
“利上げ”なのに“円安” 日銀のジレンマ?【経済コラム】
2024年3月30日 23時07分

『為替市場で加速する円安。日銀が17年ぶりの利上げに踏み切ったにもかかわらず、3月27日には1ドル=152円台に迫り、1990年7月以来、33年8か月ぶりの円安ドル高水準をつけた。

なぜ、“利上げ”と同時に“円安”なのか。背景を探ると、日銀のジレンマとも言える状況が見えてきた。(経済部記者 西園興起)』(上記URL先より、以下同様)

と来てからの、次の小見出しがこれである

『円安加速の引き金は“ゆっくり”』

ちょwwwwwwwwwwwwwww

『歴史的な円安の引き金を引いたのは、日銀の金融政策を決めるメンバーが青森市で行った講演での発言だった。

講演したのはメガバンク出身の田村直樹審議委員。』(しかもこの後に田村さんのサムネまで堂々の登場)

あーーーーーーーーこれは飛んだトバッチリ。

・・・・・いやあのですね、田村さんの金懇挨拶ちゃんと真面目に読むと金利のある世界に戻していくことの重要性を説いていて、少なくとも政策金利0.5%の世界は「金利のほとんどない世界」と言っている訳でして、そりゃまあFEDやECBみたいな泡吹き利上げはしないと言ってるから当時のFEDやECBと比べたらバチクソハトになるのですが、明らかにあの日の動きってこの「ゆっくり」だけに反応してるでしょ(そもそも田村さんはゆっくりと同時に「着実に」とも言ってるのですが)という話で、まあ災難と言えば災難ですが、この辺りも日銀が全般的に市場の動きというか雰囲気というか、そういうのを読み間違えているというのを意味してるんだと思います。

というのはですね、まあ田村さんなら多少威勢のいいことを言っても「まあ田村さんならそう言うよね」で済んでいた、という所までは日銀だって馬鹿じゃないから分かっていたと思うのですが、そうは言いましても「利上げは欧米みたいにバカスカやるもんじゃない」という当たり前の話をしただけでこの有様ということになってしまう訳でして、日銀は強気の情報発信で金利が上がる事を恐れすぎた結果このように反応が逆になってしまっている、という事で、まあしつこいようですが、これは情報発信の仕方を間違えたという事ですので、ちゃっちゃと軌道修正しろやというお話に繋がるのでした、南無阿弥陀仏。


でもってですね、ここでお話を切ってしまうとNHKさんに申し訳ないので以下続けると、

『日銀の大規模な金融緩和策の副作用と金融政策の正常化の必要性を早くから指摘していたことから、市場では利上げに積極的なタカ派と受け止められてきた人物だ。

早くも日銀の追加利上げの時期に市場の関心が集まる中、今後の金融政策について田村委員はこう発言した。』

ふむふむ。

『田村直樹 審議委員
「先行き、経済・物価・金融情勢に応じて、ということが大前提ではありますが、ゆっくりと、しかし着実に金融政策の正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手仕舞いしていくために、これからの金融政策の手綱さばきは極めて重要だと考えています」』

『今後も金融政策の正常化を進めていく姿勢を示した内容だと感じたが、市場が大きく反応したのは“ゆっくり”ということばだった。』

ということで、NHKさん流石と思ったのは、ちゃんと田村さんの講演の部分を前後も含めてきっちりと引用して「今後も金融政策の正常化を進めていく姿勢を示した内容だと感じた」という風に解説していまして、ちゃんと田村さんの汚名(?)返上をしているのは良い解説だと思いました。

『タカ派のイメージがある田村委員が追加の利上げについて踏み込んだ発言をせず、“ゆっくり”ということばを使ったことで、利上げまでの道のりは遠いと受け止められたのだ。

講演を受けて円相場は急落。

政府・日銀は三者会合を実施し、円安をけん制しなければならなくなった。

講演後の記者会見で、“ゆっくり”の真意を問われた田村委員は「現在の経済物価見通しを前提にすれば、米国のように1年で5%利上げといったようなことになるとは考えていない」と語った。』

まあ以下『日銀の緩和姿勢で“利上げ”後も“円安”』という小見出しから解説は結構充実しているのでその先もどうぞという感じですが、要は「ゆっくり」を思いっきり切り取って報道するベンダーが悪いよベンダーがというのもあるし、ちゃんと全文読まないで片言隻句だけで反応しちゃう市場も悪い(挙句に後から「騙された」みたいなちゃんと全部読んでない自分を棚に上げる輩まで出る始末だったりしますけどね)訳でして、馬鹿AIとかに相場やらせるなとかまたアナクロな事を言い出して世に逆らうアタクシなのでありました。


・なおこんなのが出てますが・・・・・・・・(全銀協新会長インタビュー)

えーーーーーーーー
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-31/SB1SKOT0AFB400
日銀の利上げは1年間で最大0.25%か、緩和的政策続く−全銀協新会長
鈴木英樹、浦中大我
2024年4月1日 0:00 JST

→0.5%に上昇するほど日本経済強くない、住宅ローンへの影響限定的
→日米の政策金利注視、変更タイミング次第で金融市場に大きなリスク

えーーーーーーーという感じですがちょっとだけ引用しておきます。

『全国銀行協会の福留朗裕(三井住友銀行頭取)新会長は日本銀行による金融政策運営について、しばらくは緩和的な状態が続くとみている。その上で、政策金利の引き上げは、今後1年間で「あったとしても0.25%程度まで」との見通しを明らかにした。

1日付で会長に就任した福留氏がブルームバーグとのインタビューで述べた。足元の国内経済情勢を鑑みて、政策金利の水準が「0.5%に行くほど日本の潜在成長率はまだ強くないと思う」とも指摘した。』(上記URL先より)

ちょwwwwwwww田村審議委員の立場orzorz

いやーなんかエライハト派来ましたねえ。この記事だけでは何が何やらという感じなので一旦判断は保留します。



〇田村審議委員記者会見・・・・・と思ったら微妙に時間が無くなってしまいましたサーセン

すっかり証文の出し遅れに
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240328a.pdf
田村審議委員記者会見
――2024年3月27日(水)午後2時から約40分
於 青森市

でまあ時間が無いのでこれだけ貼っておしまいなのですが、金曜日に書きましたように、質問がとにかく「将来の決め打ちを求めるクレクレ状態」になっているのが、今後の日銀のコミュニケーションを難しくするだろうな、と思いますが、まあこの手のガイダンス織り込ませ術を多用してきた日銀の自業自得の面があるので記者の皆様ばかりがアレという訳ではない、とだけ申し上げて短観だ何だとありますが明日ちゃんとネタにしたいと思います。

ということで年度頭早々からこんなもんですいませんすいません。