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2024/03/29
お題「輪番とかその他メモ/決定会合主な意見を鑑賞鑑賞」
なんじゃこりゃ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB26DDI0W4A320C2000000/
「金利ある世界」でコール取引急減 円安リスクも
神山美輝
ポジション
2024年3月28日 17:59 [会員限定記事]
『「金利がある世界」で最も重要な金利指標の一つとなるコール市場の取引残高が減っている。取引残高はマイナス金利下の半分近くに減った。取引が細り続ければ不意の金利急変動のリスクが増す。17年ぶりの利上げを慎重に進める姿勢を示す日銀だが、短期市場の取引が低迷すれば利上げがうまく進められず、円安を止めるすべを失いかねない。』(上記URL先より、以下は会員記事)
・・・・・・・・無課金のため記事の中身がどうなのか分からんのだが何でそういう話になるのでしょうかというのが謎おぶ謎。
〇輪番とかその他備忘メモ
・輪番ェ・・・・・・
案の定減額はなかったのですが・・・・・・・・
オファー (3月28日<木>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240328.htm
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,250 2024年3月29日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,750 2024年3月29日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 1,500 2024年3月29日
国債買入(物価連動債) 600 2024年3月29日
結果がこれである
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240328.htm
国債買入(残存期間3年超5年以下) 6,070 4,252 -0.013 -0.008 58.7
国債買入(残存期間5年超10年以下) 7,070 4,754 -0.008 -0.006 82.4
国債買入(残存期間10年超25年以下) 3,800 1,505 -0.012 -0.008 18.9
国債買入(物価連動債) 2,306 600 -0.310 -0.335
物国はこれ利回りじゃなくて価格較差なのでアレな結果ですが、これはまあいつもの物国クオリティなので我が道を行っていただくとしまして、なんかもう中期長期の応札の少なさよという感じですが、おかげで昨日の債券市場は堅調推移となりまして、引けてみたらカレンダースプレッドの単価落ちを考慮に入れれば2月末より先物価格上昇で終了、というナンジャソラな展開になってしまいました。
・・・・・・まあ今回輪番減らしにくいのはわかるんだが、現状って「不連続」を意識しすぎて却って長期金利の押し下げをしているし、正常化に対して時間がかかるというのを宣伝しすぎているのも金利引き下げに寄与しているし、折角打ち出した施策は満額回答だったというのに、輪番の運営とやたら緩和的を連呼する情報発信のせいで台無しになっているじゃないかってお話な訳ですよ全くもう。
・東京レポレートはなんか上がったように見えますが
いつものTKRRで左からT+0翌日物、トモネ、トムスタートの1、2、3wと1m
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/3/27 0.006 0.010 -0.017 0.003 0.011 0.022
2024/3/28 0.029 0.005 -0.001 0.011 0.017 0.028
昨日のトモネは末跨ぎなので、末跨ぎレート上がったでございますか(1wも上がっているし)という話ではあるのですが、なぜか1wの方がレート低いという謎推移になっていますな
・短国もヨコですが今日は2年入札
いつもの売参もあんまり変わらず
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 -0.060
国庫短期証券1222 2024/07/08:平均値単利 -0.060
ということでひきつづき新発3MWIは▲6bpでして、短国特殊事情によるものとは言いましても、期末明けて水曜と金曜に3Mの入札があるというタイムスケジュールになっているのに水曜入札分のWIがこれというお洒落な状態は続くのでした(とほほ)
なお1年カレントだけは何か動いていまして、
国庫短期証券1220 2025/03/21:平均値単利 0.090
ということで前日が7.5bpだったので金利上昇、と言いましても途中での利上げがあるかもしれないという点を相変わらず織り込みに行けない(短国ばっかり書いてますけど2年利付の残存の短い奴なんて売買参考統計値もっと金利低い(来年3月償還で4.5で4月償還で5.0)ですからぬー)という状況ですが、まあそんな中で本日は堂々の
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/yotei/auct20240322.htm
2年利付国債(4月債)の発行予定額等
1.入札予定日 令和6年3月29日
2.発行予定日 令和6年4月1日
3.償還予定日 令和8年4月1日
4.発行予定額 額面金額で2兆6,000億円程度
があるのですがはてさてどうなるのやら(売買参考統計値ベースのWIは複利で0.195%とゆうとります)
〇解除会合の主な意見を拝見してみましょう
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi240319.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2024 年 3 月 18、19 日開催分)
まずは『T.金融経済情勢に関する意見』から。
・何か色々と謎な説明を見つけたのだが
こんなんありました。
『・実質金利が大幅なマイナスを続けているにもかかわらず、景気の回復ペースが緩やかな理由としては、自然利子率の低さや金融政策の効果の波及ラグなども考えられる。』
という話なんですがまず前段の自然利子率。これは2016年のスタッフペーパーなんですけど。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/data/rev16j18.pdf
日銀レビュー
「総括的検証」補足ペーパーシリーズA
わが国における自然利子率の動向
企画局 岩崎雄斗、須藤直、西崎健司、藤原茂章、武藤一郎
2016 年 10 月
『自然利子率とは、経済・物価に対して引き締め的にも緩和的にも作用しない中立的な実質金利の水準のことである。金融緩和の基本メカニズムは、伝統的金融政策、非伝統的金融政策にかかわらず、実質金利を自然利子率よりも低位にすることであるため、理念的には、金融緩和の効果を評価するには、観察されない自然利子率を推計し、実質金利の動向を自然利子率との相対的な関係で捉えることが必要となる。本稿では、わが国の自然利子率について、いくつかの方法を用いて推計を試みた。その結果、推計の方法により相当の幅を持ってみる必要はあるものの、最近では、概ね0%程度の低い水準で推移している可能性が高いことが示された。』(この部分だけ直上URL先の2016年10月「日銀レビュー」より)
総括的検証、ってのは大規模QQEにマイナス金利を突っ込んだら失敗にも程がある事態になったために、延命措置としてYCCを入れた時に行われたものなので、まあこの辺の補足ペーパーもアレと言えばアレですけれども、自然利子率って元々0近辺という推計になっているんだから、自然利子率がマイナスですとかそういう話でもない限りなんかこの自然利子率がどうのこうのってのよくわからんのですが、どの位だと思っているのかというのが気になりますよね。
まあいずれにせよ実質金利大幅マイナスってのは1年どころじゃなく続いているのですから、後者の「金融政策の効果の波及ラグ」なんじゃなくて、単純に「効いてない」ってだけのような気がするんですけど。まあ資産価格ルートや為替市場ルートからは効いてると思いますけど需要に直接働きかける力はもうなくなっている、ってことじゃないですかねえ。
・物価のご意見もちょっとだけ
最初のは
『・最近のデータやヒアリング情報から、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、展望レポートの見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断できる。』
まあ普通に大本営なのですが以下全部並べると、
『・連合の集計値は予想を上回ったほか、本支店のヒアリング情報によれば、幅広い企業で賃上げが行われる見通しにある。高水準の企業収益のもとで、高めの賃上げと緩やかなサービス価格の上昇が両立すると考えられる。物価は、2%程度で推移しながら、賃金に支えられる望ましい形に次第に移行していくことが展望できる。』
威勢が宜しい。
『・ 今年の春季労使交渉における現時点の結果を踏まえると、賃金上昇に伴う物価上昇などにより、「物価安定の目標」の実現の見通しがある程度立ったと考えられ、目標の達成に向けて大きく前進している。』
大きく前進キタコレ
『・ 今後、一時的な要因等によって、物価上昇率が 2.0%を下回る局面もあり得るが、物価の背後にあるメカニズムは「物価安定の目標」と整合的な状況が続く可能性が高い。』
あら強い。
『・ 春季労使交渉の妥結状況は強いものの、賃金と物価の好循環の強まりを確認するためには、サービス価格の上昇や中小企業の価格転嫁の進展を慎重に見極める必要がある。』
お、中村さんですね。
『・ サービス価格上昇の主因は、食材価格の上昇を背景とした外食の上昇などであり、賃上げによる人件費上昇の価格転嫁の影響はまだ中心的とはいえない。』
じゃあ人件費上場の価格転嫁が起きたら、というかですねえ・・・・・・・
『・ 貯蓄率正常化の過程で消費抑制の影響が強く出る可能性があり、物価上昇に負けない賃金上昇が必要であるため、まだ物価から賃金への好循環が全国レベルで強まっているとは思われない。』
全国レベルで循環したらそれは賃金価格スパイラルって奴になりゃあせんかと思うんだが・・・・・・・・・
ということで弱気3名がいるのが確認されましたな、野口中村は分かるけどあと誰でしょ。
でもって政策面の話が当然面白いので観察していくのだが・・・・・・
『U.金融政策運営に関する意見』になります。
・普通の政策なのか普通の緩和政策なのか問題
最初のは大本営公式見解みたいなやつなので割愛して3つめから参ります。
『・非伝統的手段の総動員から、短期金利操作を主たる手段とする枠組みに移行すること、すなわち、異次元の金融緩和からいわば普通の金融緩和に移行することは、短期的なショックを起こさずに十分可能であり、中長期的にはプラスの効果も期待できる。』
寧ろ金利低下の方のショックを起こしているんですが、というのはさておき、この方は「普通の政策」とは言わずに普通の「金融緩和」と言っていますね。でまあこれがまたややこしいのですが、正常化を展望しているけれども移行過程として現状が緩和、というひとと、そうじゃなくて緩和は継続という人がいて、実は後者だとマイナス金利解除その他は全部ただの副作用対応になってしまうので、思想がだいぶ違ってくるんですよね。
ただまあこれまでの植田さんや内田さんの言い方だとマイナス金利解除ってのは副作用対応ではなく、物価目標達成をフォワードルッキングに考えた場合に達成が展望できるっていう状況だから解除する、って話で、現実問題としてそういう説明をしているので、実はこの意見は大本営よりもハト寄りになっているんですよね。
何か今後このような感じでエイヤーでマイナス金利解除したものの、そもそもこの解除の位置づけについては同床異夢だった可能性もあり、まだまだもめるのかよと思うとゲンナリしてきます。とっとと正常化しやがれと思う訳ですがこちらは。
でまあ今の論点を踏まえているのがまさに次の意見でして、
『・今回の金融政策の枠組みの見直しが、金融引き締めへのレジーム転換ではなく、あくまで「物価安定の目標」の実現に向けた取り組みの一環である点を、各種コミュニケーションによって明確に伝えていくことが重要である。』
ただこの人も「正常化」といわないで「引き締め」って言ってるのが訳分らん所でして、そらお前引き締めだったらここから短期金利3%くらいまでホイホイ上げていく話になるけどそんな話の訳はないのは馬鹿海外投機筋以外だれも考えていないと思うのですが、なぜ「引き締めへの転換」と一足飛びの話をしているのかが謎です。
・・・・・・・というこの2つの意見を見ておりますと、うーん何かマイナス金利解除はできたけどそもそも今の金融政策の基本的な方向性についてちゃんとまとまっていないままエイヤーでぶっこんで行きやがったなということで先行きが思いやられるちゃあ思いやられますが、どうせ為替円安でおいこまれて行くでしょこの調子なら(結局それかよw)。
・まあ解除で金利上昇するというリスクを意識していたのは分かるんだが
でもって次。
『・柔軟化されたイールドカーブ・コントロールの運営のもとで長期金利は安定して推移していること、これまでの情報発信によって、「仮にマイナス金利政策を解除しても当面緩和的な金融環境が維持される」という理解が市場に浸透していることなどから、今回の措置によって金融市場で大きな変動が起こる可能性は低い。』
そもそも買入のやり過ぎで抑圧状態にあるので、実はこれ早くガス抜き(輪番減額)をしていかないと潜在的な金利上昇リスクを却って高めているんですよね。
『・経済・物価情勢に応じて、時間をかけてゆっくりと、しかし着実に金融正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手仕舞いしていくためには、これからの金融政策の手綱さばきがきわめて重要である。そのためにも、今回、金融正常化のスタートラインに立つことが適当である。』
何処からどう見ても田村さん(金懇と同じですから)ですけれども、正常化のスタートラインと見ている人と見ていない人がいるからこういう表現になっているんですね、というのは分かりました。
でまあこのゆっくりとか緩和的な環境が維持される、ってのを浸透させたい気持ちはわかるのですけれども、今回は明らかにそれが効きすぎてしまって2月末よりも先物価格が上昇する(昨日の引けの時点で)というようなテイタラクになってしまっているし、輪番もご覧の結果な訳でして、まあ今回は結果的に情報発信でハト色の出し過ぎをした、というのは初回だから仕方ないにしても、明らかにこの市場推移は日銀の少なくとも公式判断である「2%物価目標達成の実現が見通せる状況に至ったと判断した」と判断を前進させたことに対して不整合な動きになっている訳ですから、これはコミュニケーションの軌道修正や、長期国債買入の縮減を検討しないと、ファンダメンタルズから乖離した価格形成に戻ってくれないんじゃないかと思う訳ですわあたしゃ。
とうっかり変な演説になってしまいましたが先に行きます。
・なんでおめーらが盛大に価格を押し上げている市場に新規の参入が来ると思うんだよおめでてーな
これは笑ったw
『・長期国債やCP・社債等の買入れについては、大幅・急激な市場変動を避ける観点から、時間をかけて対応することが適当である。その間、債券市場の参加者拡大を期待する。』
えーっとすいません、日銀が市場介入を続けて価格を押し上げている市場に何で参加者が拡大すると思うんですかあああああ???私らを馬鹿にしてませんかあああああ??????
という話でして、参加者拡大して欲しけりゃとっとと大規模介入を止めろやという話以外の何物でも無い訳ですけどナンナンデスカこの虫のいい意見は?????????
・衝撃のアローワンスなんだがこれは・・・・・・・・・
『国債買入れは、現在と概ね同程度の金額で継続するが、その際、実際の買入れは、これまで同様、調節の現場において、市場の状況に応じて
柔軟に決めていく必要があり、上下に多少のアローワンス(例えば1〜2兆円程度)をもって対応していくことが適当である。』
ちょwwwwwwww
月額6兆の買入に2兆円のアローワンスは中々豪快にも程がありますが、これはそもそもが事務方っぽい話になっている点、そしてこのアローワンスを見た瞬間に思い出すのはYCC導入の時のこれでありまして、
2016年9月の「YCC導入」時の声明文である
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160921a.pdf
『長期金利:10 年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約
80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止する。』(この部分だけ直上URL先の2016年9月決定会合声明文より)
「買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約
80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」と言いつつ、この「保有残高の増加額年間約80兆円」をあっという間に空文化した、という実績をお持ちの人と言えば、当時の企画局長が内田副総裁ということで、これは内田副総裁の作文の香りがプンプンするぜ!!!!(あくまでも個人の妄想ですので違っていても責任は一切取りませんので悪しからずご了承下さい)ってなもんや三度笠な訳でして、これは今回の白眉ともいえる驚異のアローワンスキタコレである。
1兆ならまあそうかなとは思ったのですが、2兆は中々攻めてるわと思ったんだが、なるほど買入を月額4兆円に落とすまではアローワンスの範囲内でやってしまえば次の利上げくらいまでは文言をそのままで行けそうですねオソロシス(褒めてる)
・田村さん!意見の真逆のオペレーションになっていますよ!!!
次のもどう見ても田村さん。
『・国債の買入れは、能動的な金融政策手段としては用いず、長期金利の急変動を避けるという観点から行われることになる。その中で、市場の流動性を回復しつつ、できるだけ市場に金利形成を委ねていくことが大切である。』
仰る通りなのですが今の買入では全然委ねていないので減額待ったなし、とはっぱをかけて頂かないと困りますわ。
・田村さんか田村さんじゃないかどっちだろ??
次が
『・ 本年の賃上げが象徴的な変化として確認されたことから、これまでの市場機能に副作用を及ぼしてきた政策対応を見直し、市場が自律的に機能する局面への転換が必要である。』
でして、これも田村さんかも知れないのですが、そうは言いましてもこのコーナーで3発というのもアレなのでして、田村さんじゃなかったらお洒落だなと思いましたが、副作用とか思いっきり言っているあたりはやっぱり田村さんですかねえ・・・・・・・高田さんには期待したいのだが
・将来じゃなくて今からでお願いします
『・将来の金融正常化を見据えて、ある程度は市場の価格形成に任せた政策運営に切り替えるタイミングだと考えられる。』
将来の、とかある程度は、とかイマイチやる気が足りないですね、趣旨は良いんですが積極性が足りないので顔洗って出直してきてください。
・これは中村さんの意見ですね
『・わが国では、米欧のような賃金インフレに陥るリスクは低く、大企業の改革成果が中小企業に波及し、中小企業の賃上げ分の価格転嫁が進む産業構造への変化等を確認する時間的余裕がある。「物価安定の目標」の実現を確実にするため、大企業に関係するETF買入れや貸出増加支援資金供給等以外の緩和策は、中小企業に準備を促し、賃上げ余力が高まる蓋然性を確認してからの見直しが適当である。マイナス金利を解除する場合でも、急速な利上げが必要な状況ではないため、慎重な姿勢を強調することが必要である。』
まあこれはこれで一つの考え方なのでアタクシは現状認識が違うのでこうは思わないけど考え方としていいたいことは分からんこともない。
・これは野口さんですね
YCC解除に反対したのは野口さんですから。
『・国債買入れの継続による長期金利の抑制が未だに必要であり、イールドカーブ・コントロールとマイナス金利政策の解除を同時に行うことは、長期金利を含む金融環境に非連続的な変化をもたらすリスクがある。』
なんで長期金利の抑制が必要なのか、という話は今度の金懇でよろしく。
・まあこういう懸念をする気持ちは分かるのだが
『・今回の政策変更により、経済実態を反映しない形で先々の政策変更期待が高まり、金融環境が急変した場合、好循環のモメンタムに水を差し、物価目標の達成を遅らせるリスクがある。』
というのは前回1月の議事要旨でもあったんだが、正直メディアのバイアス掛かった報道にちょっと乗せられすぎだと思うの。
でもって結果としては緩和スタンスの強調のし過ぎで却って経済実態を反映しない形の価格形成が債券市場で起きているんじゃねえの、と思う訳でして、あんまり先の決め打ちをしまくっていくスタイルというのはもう今の状況にそぐわないと思うのよね。
FRBはドットチャートを引っ込めるタイミングを逸してしまってあの間抜けチャートを出し続けている訳ですけれども、政策に関してはデータディペンデントという風にしようとしている時期もありましたし、ECBも暫くは先行きのガイダンスを一切なくしていた、というように、そもそも経済がグレートモデレーションじゃなくなっている昨今、先行きのことなんぞ難しくなっているんだから、決め打ちコミュニケーションって百害あってたぶん三里くらいしかない諸刃の剣になりつつあると思うのよ。とは言っても足元でまたFEDもECBも先行き決め打ちの誘惑に引っ掛かっているっぽいので、中央銀行の政策の人達としては「事前織り込ませ決め打ちコミュニケーション」ってのは魅力的に映るんだろうなあ、とは思うのでありまする。
でまあその事前決め打ちコミュニケーションをやり過ぎると今回のようなことになってしまうのですが、それこそ円安に飛んでしまって決め打ちをいきなり覆さないと行けなくなる、みたいなことになりますと、市場のボラを無駄に高めることになってしまいますので、あくまでも「データディペンデント」って形でコミュニケーションをやっていくようにしないと、将来色々とややこしいことになると思うので何とかならんのかね、とは思います。
でもって時間が無くなってしまいましたのでちょっと今日は出来なくなったんですが、田村審議委員の青森金懇の会見がまさにそうで、メディアの質問の殆どが「次の利上げの決め打ち発言を聞きたい」のオンパレードになっていて田村さん最後なんかゲンナリしてたんじゃないかというような感じを受けましたけれども、メディアの方がこれまた決め打ちもとめたがる(そりゃその方がニュースになりますからね)のに植田日銀はちょっと乗り過ぎなんじゃないかな、とその点は危惧される所ではあります。
ということで本日はこの辺で勘弁
2024/03/28
お題「田村審議委員青森金懇は市場の反応の方に驚くなど/その他もろもろメモ」
いやもう何なのあのムーブはという所ですがその前にいつものメモ。
〇期末なのもあってしょうがないんだが上がりませんなあ(短国とレポのメモ書き)
・3Mの新発WIが▲6bpでスタートするなど
いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
カレントの3Mはショートカバーニーズなどもこれありでこの引値になってるのはまあ分かるんですけどね。
国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 -0.060
▲6bpは変わらずなのですけれども、来週水曜に入札がおこなれる3か月新発の1222回ってのが昨日発行予定額等のアナウンスがあったので売買参考統計値的には新発WI(ただし割国なのでこの時点で銘柄は確定)の値段が付くのですけれども・・・・・
国庫短期証券1222 2024/07/08:平均値単利 -0.060
ちょwwwwおまwwwwwww期末明けお構いなしでショートカバーで手前より強い1221と同じ引値でスタートかよナンジャソラというお値段になっておりましてもうねという感じです。
期末ニーズだけじゃなくて短国の需給が強いってのはあると思うのですが、それにしてもマイナス6からスタートさせてしまうって需給が締まっているからそういうイメージ(まあWI始まった時からいきなりバカスカ売買されるもんでもないので、イメージ先行になってしまうのは否めませんけど)が反映された値付けだと思いますと、なるほど期末明けても変わらんのかよと頭がくらくらしてくる所でして、もうこの際ヤケクソでも何でもいいから短国増発してくれませんかねえという世界ですし、日銀は担保需要を無駄に増すなんちゃら資金供給を何とかしろという世界になっておりますな、南無阿弥陀仏。
ま、この辺は手探りでやっている中で期末になっているので、実際に期初になってみたらまた少しは変わるのかもしれませんけど・・・・・・・・
なお他の短国ちゃんは1年カレントが
国庫短期証券1220 2025/03/21:平均値単利 0.078
となっていて、これが前日対比2糸強くなっているのが動きと言えば動きでした。
・上がったと思わせたがやっぱり下がる東京レポレート
こちらもいつもの東京レポレート
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/3/26 0.028 0.025 -0.013 -0.002 0.007 0.019
2024/3/27 0.006 0.010 -0.017 0.003 0.011 0.022
一応真面目に解釈するとトモネと1W下がっているのは足元の低下、2W上がっているのは期末越えプレミアム剥落なのか、期末通過後の足元レートが上昇するとみているのかのどっちか、ということになりますが、どっちにしてもエライ低い所で推移しっぱなしでして、マイナス金利解除とは何なのかという世界を引き続き演出しております。
〇ランボー怒りの三者会談ということでよろしくおねがいします
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27ADS0X20C24A3000000/
財務省・金融庁・日銀が3者会合を開催、34年ぶり円安で
経済
2024年3月27日 18:27 (2024年3月27日 18:55更新)
『財務省と金融庁、日銀は27日午後6時20分ごろから国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)を開いた。外国為替市場は同日に1ドル=152円に迫り、1990年7月以来34年ぶりの円安水準に下落した。』(上記URL先より、以下同様)
ということで、
『神田財務官は終了後に「行きすぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」と述べた。「政府・日銀として意思疎通を密にはかり対応に万全を期す。異変に対応する準備はある」と語った。円買い介入の考えについて問われ「文字通りあらゆる手段を排除しない」と話した。』
輪番(今日が今月最終)の減額なんてどうでしょうか(まあどうせやらんのだけど)。
『今の円相場について「金融政策に照らすと円安の進展はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿っているとは言えず、背景に投機的な動きがあるのは明らかだ」とも指摘した。』
>金融政策に照らすと
>金融政策に照らすと
>金融政策に照らすと
・・・・・・・不連続な動きが起きないように、というのに固執した結果折角マイナス金利とYCCを解除したのに「緩和継続」がアピールされてしまっている日銀の情報発信と輪番減らさない姿勢に照らしますと円安の進展は金融政策に照らして合っているような気がするのが悲しいですね〜。
まあ輪番減らせやとしか申し上げようがないですけど・・・・・・・・
〇山口元副総裁毎日新聞に登場の巻
といっても有料記事なので詳しくはみれませんが
https://mainichi.jp/articles/20240326/k00/00m/020/085000c
異次元緩和「日銀は限界知ってたはず」白川時代の副総裁、山口広秀氏
毎日新聞
2024/3/27 11:00(最終更新 3/27 11:00)
有料記事
2712文字
『――日銀は「2%物価目標」の達成が見通せる状況になったと判断し、マイナス金利の解除を決めました。
◆判断は遅過ぎたと思う。21年秋から消費者物価は上昇に向かい、22年4月以降は前年比2%を大きく超えている。最近の物価上昇は、原油高と円安による輸入物価の上昇が出発点だったが、その後人手不足に伴う賃金上昇によってサービス価格も上昇するなど、いわゆる「ホームメードインフレ(国内に起因する物価上昇)」の状況になってきている。
物価の基調は明らかに変わり、日銀が目指す「安定的な2%の物価上昇」は既に実現していると思う。黒田前総裁時代の最終盤か、植田総裁の就任直後に政策転換を決断してもよかった。「一体いつまで見極めているのか」と思う人も少なくなかったのではないか。』(上記URL先より、以下は有料会員記事)
・・・・・・正論御尤もすぎてぐうの音も出ません
〇田村審議委員青森金懇:挨拶の内容は利上げを思いっきり展望しているんですけどラリパッパ市場の反応がドイヒー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240327/k10014403621000.html
円安進む 1990年7月以来の水準に
2024年3月27日 19時04分
『さらに、27日の東京外国為替市場では、午前中行われた日銀の審議委員の講演で、追加の利上げについて踏み込んだ発言がなかったという受け止めもあり、円を売る動きが一段と強まりました。
このため、円相場は、正午前に、おととし10月につけた1ドル=151円94銭より値下がりして、151円97銭をつけ、1990年7月以来、33年8か月ぶりの円安ドル高水準となりました。』(上記URL先より)
ちょwwwwwおまwwwwwww
いやまあ田村さんの金懇挨拶で円売りしてたんで上記の通りだし、NHKさんちゃんと「という受け止めもあり」ということで田村さんが追加の利上げを示唆してなかったとかそういう訳ではないですよね、というのは言外に籠めているのは分かるのですが、これはさすがに市場の方がラリパッパなので田村さん貰い事故の面もあるのですが、まあそれだけ今の市場が日銀の緩和が続くネタに過剰に反応する、ということなんですよねーというのが良く分かる昨日の動きでした。
という訳で田村さんの金懇挨拶だが、今回はHTML版が同時公表されていますので引用は(そっちの方が楽なので)HTMLから(一部のフォントに差が出て参ります)。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240327a.htm
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240327a1.pdf
【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策
青森県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 田村 直樹
2024年3月27日
いきなり『3.金融政策運営』に飛んでしまいますけれども(汗)、まあ後半の部分がみものなんですけど、前半から一応参ります。『(1)金融政策の枠組みの見直し』って小見出しの方。
・最初の方は大本営発表分の朗読なのですが
『ここからは、日本銀行の金融政策運営についてお話しします。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指して、大規模な金融緩和を続けてまいりました。先ほど申し上げたように賃金と物価の好循環の強まりが確認され、先行き、「展望レポート」の見通し期間――これは、直近のレポートでは2023年度から2025年度までとなりますが――の終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断したことから、先週の金融政策決定会合において、これまでの金融政策の枠組みを見直すこととしました(図表7)。』
『具体的には、政策金利を無担保コールレートとし、日本銀行の当座預金に0.1%の付利金利を適用することによって、無担保コールレートが0〜から0.1%程度で推移するよう促します。見直し前は、マイナス0.1〜から0%の範囲で推移していましたので、金利水準は0.1%程度上昇することになります。』
でもって、
『長期金利については、金利を操作するために設定していた目標水準や上限の目途を撤廃しました。国債の買入れについては、これまでと概ね同程度の金額で継続し、長期金利が急激に上昇する場合には、機動的に買入れ額の増額などを実施する方針ですが、』
までは大本営ですけど、
『能動的な金融政策手段として用いるのではなく、不連続な変化を避けるためのものと位置づけられます。』
というのを明確に説明している訳ですな。でまあこれはこれで明確で結構なのですが、それであれば長期国債買入に関して「今後買入を縮減して行って日本銀行の保有する長期国債残高が減少するように運営する」というのを明確に示すべきだし、さらに言えば今回の声明文で長期国債の買入に関して買入額を声明文に入れ込んでいるのもおかしくて、「不連続な変化を避ける」だけじゃなくて、将来の縮減という話が無いから、アホみたいな大量の買入が長く続くような印象が強くなり、結果として円安圧力を強くする、みたいな弊害がもう生じ捲っているわけですよ。
ということなので、田村さんはこの部分でもうちょっと大本営以外の発言をして欲しかったというのは残念でして、なんせ市場は今や日銀への緩和期待でウホウホ言ってるゴリラあるいは薬物キメてラリパッパ状態になっている基地外相場になっておられますので、ちゃんとわかるようにお伝えしないと、元々総裁がハトハトチキン発言を隙あらば行う(ので手枷足枷首枷をして座敷牢に放り込んで置けと)ので、今回だって全体読まないで一部分で思いっきり反応している訳でして、ちょっとさすがにこの田村さんの金懇挨拶内容で円安材料にするのはひどくねえか(円高材料になれとは言わないけど)という世界になっておるわけですな、南無三。
『このほか、ETFとJ-REITの買入れも、市場環境の好転に伴い実際の買入れはほとんど行っていない状況にありましたが、新規の買入れを終了することとしました。』
まあこの辺はさておきまして次、
『以上のような政策の見直しによって、マイナス金利やイールドカーブ・コントロールなど、これまで行ってきた異次元とも評される金融政策を脱し、金融政策の正常化への第一歩を踏み出したと捉えています。』
「異次元緩和は終わり、正常化の第一歩」って言ってるんですよね。まあその辺は植田総裁も会見で「普通の政策」って言ってたんですけど、まあ終わりにしたのに長期国債買入が異次元を越える異次元のままで続けている、というのがおかしい訳ですよ、と隙あらば話がそこに戻るwwwwwwww
まあでも「正常化の第一歩」って言い方をしているのは植田総裁会見よりも踏み込んだ言い方になっていまして、いやこういうのに反応しろよと思うのですが、こちらには(もしかしたら最初だけ円高で反応したのはこっちが影響したのかもしれませんが)反応してないんですよねーーーーー。
『この先も、引き続き2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現する観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していきますが、現時点の経済・物価見通しを前提にすると、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えています。』
これも大本営なのだが、これも本来は福井の俊ちゃんの時のゼロ金利解除と同じでして、別に緩和的な金融環境を促進しようとしている訳ではないのであって、緩和は徐々に引くという話をいきなり入れるとショックがデカかろうということでこういう言い方になっている筈なんですけど、結果的にはこの情報発信と長期国債買入スタンスの妙な強調によって為替は円安だわ金利は下がるわとなっておりますので、ちょっと情報発信を考え直す時期に来たんじゃないですかねえと思いますがどうでしょうかね。
・長年の緩和政策の効果について結構なズタボロ評価でして何でこちらには反応しないのかと
ここからが今回の講演のポイント、というかこの小見出しと次の小見出しの部分だけコンパクトにぶっこんできた、という感じなんですよね今回は。
小見出し『(2)過去25年間の振り返り:「ほとんど金利がない世界」』に参ります。
『金融政策の正常化への第一歩を踏み出した、このタイミングで、わが国経済がデフレに陥った1990年代後半以降、長期にわたって実施してきた金融緩和について少しだけ振り返りたいと思います。そして、私が日本銀行の審議委員に就任するまでに感じていた金融実務家としての実感を交えつつ、金融政策の根幹である金利の機能について考えたいと思います。』
これは優良読み物の予感がしますがその通りの優良物件になりますので目ん玉かっぽじって読むのが吉、というか日銀のHPの方で図表とかも見ながら読むのが吉ですね。
『伝統的な金融政策手段である短期金利についてみると、バブル崩壊前の80年代後半から90年代始めにかけて4〜から8%前後の水準にありましたが、90年代後半に0.5%程度にまで下がり、「ほとんど金利がない世界」に入った後、ゼロ金利政策の開始やマイナス金利の導入により、その水準は0%、そしてマイナス圏へと切り下がっていきました(図表8)。』
はい。
『この間、時間軸政策や量的緩和政策、さらにはイールドカーブ・コントロールといった非伝統的な施策によって、長期金利の水準も低位に抑えられてきました。』
うい。
『バブル崩壊後の景気低迷、そして金融不安が高まる中、「ほとんど金利がない世界」に至る過程での金融緩和には、経済の下支え役として一定の効果があったと感じています。』
でもってここからが重要。
『一方で、「ほとんど金利がない世界」に達して以降の更なる金融緩和の効果については、調達コストの低下という点で借入企業に一定の利益があったほか、株価や不動産価格の上昇、行き過ぎた円高の是正を通じたプラス効果があったのも事実ですが、』
からの、
『一方で、私自身の経験を振り返ると、コンマいくつの限界的な金利の低下によって、設備投資など、企業活動が活発化する様子はあまり感じられませんでした。』
住友銀行の方ですからね、仰ることご尤もであります。
『これは、「ほとんど金利がない世界」においては、金利の上げ下げを通じて需要を調整し、物価に影響させるという金利の機能は限界的であったということだと捉えています。』
黒田一派のいうような黒田緩和で物価目標が達成できたという自画自賛に脳天から一刀両断。
『異例の金融緩和がこれだけ長期間続いた結果、様々な副作用も発生しました。副作用が発生すること自体はやむを得ないものであり、効果とのバランスで政策判断すべきものですが、ここでは、金利機能に関する副作用として私が懸念している2点について、お話しします(図表9)。』
でもってこの2点が良いのですよね、ってこの辺は最近田村さんだけではなくて内田副総裁も指摘してたんですが(奈良金懇で)。
『1つ目は、ビジネスの新陳代謝を促すという、金利の持つハードルレート機能の低下です。』
これはマジでそうだと思う、
『企業の借入金利が高い場合、企業が生き残るためには、その金利負担を賄うことができる儲かるビジネス、言葉を換えれば付加価値の高いビジネスに経営資源を集中させていく必要に迫られます。』
『しかし、借入金利が低いと、付加価値がそれほど高くないビジネスを続けていくことも選択肢としては残ります。』
ですよねー。
『すなわち、金利のハードルレート機能が発揮されるような環境では、生産性の高いビジネスに資金が集まり、結果として、ビジネスの新陳代謝が促され、マクロでみた資源配分が効率化されると考えられます。一方で、政府による支援策が講じられ、加えて低金利が続いた環境では、生産性が相対的に低いビジネスにも資金がわたる結果、ビジネスの新陳代謝があまり進まなかった可能性があります。』
どさくさに紛れて「政府による支援策が講じられ」というのも入れているのがチャーミング。
『実際、わが国においては、企業の開廃業率は主要国と比べて低い状態が続いており、労働生産性の伸びも緩やかな状態が継続してきました(図表10)。』
別にシバクために金利を上げる必要はないと思いますが、不必要な低金利イクナイですよね。
『金利機能に関する副作用の2つ目は、市場で自由に形成される金利の持つシグナリング機能の低下です。』
あざーっす。
『長期金利の水準やその変化は、市場が将来の経済・物価や政府の財政状態などについてどのように考えているかといった情報のシグナルを提供していますが、日本銀行が国債を大量に購入することによって、このシグナリング機能が十分には発揮されない状況となっています。』
というか1ミリも発揮できていません!!!!!
『もちろん、金利のハードルレート機能が低下していても、それに関わらずより高い生産性を求めて企業は行動することができます。また、シグナリング機能が低下していても、他の様々な情報を基に、将来の経済・物価や政府の財政状態などについて適切に判断することは可能です。金融は経済の黒子、血液であり、経済を主体的に動かしているのは、企業、政府などの経済主体です。』
からの、
『しかし、「金利がほとんどない世界」あるいは「金利がない世界」の中で、金利が果たすべきこのような機能が低下してしまっていたことは、しっかりと認識しておく必要があると考えています。』
ということでですね、「金利がない世界」のみならず「金利がほどんどない世界」にもデメリットがある、という話をして、ここで図表(はHTML版の所からのリンクを見てくださいな)8の『市場金利の推移と消費者物価」というのを見ますと、1985年からのグラフになっていますので、1995年の所(政策金利0.50%)が「金利がほとんどない世界」に見えるような作りになっているのがチャーミングというものです。
「金利がほとんどない世界というのは短期政策金利でいくらくらいでしょうか」って話は講演テキストにはまあ無いのですけど、これですと0.5%まで政策金利を引き上げてもまだまだ怪しからん世界である、という事を意味するようにしか見えない訳でして、いや何でこっちに反応しないんだよウホウホゴリラとラリパッパどもは、という感じなのですがまあゴリラやジャンキーなのでこういうのをちゃんと読むなどという事はない、というのが悲しい所です。
・なので「0.5%よりも上の政策金利には戻す」って思いっきり言っているというのに・・・・・・・・・・・
でもってこの次の小見出し『(3)金融政策の正常化に向けて』というこれまた熱い小見出しなのですが、
『先ほど、金融政策の正常化への第一歩を踏み出したと申し上げましたが、金融政策の正常化とは何でしょうか。』
何でしょうか??
『私が考える最終的なゴールは、2%の「物価安定の目標」のもとで、金利の上げ下げを通じて需要を調整し、物価に影響させるという金利機能が発揮できるような水準まで戻すとともに、先ほど申し上げた金利のハードルレート機能やシグナリング機能を回復させることです。』
『金融政策の枠組みは見直しましたが、短期金利は、先ほど申し上げた「ほとんど金利がない世界」であることに変わりはないほか、長期金利は、完全に市場に金利形成を委ねるところまではできていません。したがって、第一歩を踏み出し、これまでより改善されるとはいえ、先ほど申し上げたような副作用も残る状況が続いていると考えられます。』
これはぶっこんだ!と思ったのですが、なにせ緩和ジャンキーのラリパッパどもはこういう文字列の内容を理解する知能というのが元より欠如しているか、緩和ジャンキーによって脳が破壊されてもはや知能というものが存在しなくなったのかのどちらかなので、この次の
『先行き、経済・物価・金融情勢に応じて、ということが大前提ではありますが、ゆっくりと、しかし着実に金融政策の正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手仕舞いしていくために、これからの金融政策の手綱さばきは極めて重要だと考えています。』
という「ゆっくりと」にだけ反応している訳で、ちょっとお前ら落ち着けという話ですわな、
だってさ、ゆっくりと、の所だって「着実に」って入っているし、「金融政策の正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手仕舞いしていく」って思いっきりやる気満々の話をしているじゃんということで、なんでこの文脈であんな反応になるんだよって感じだし、田村さんの発言のせいで円安加速みたいに言われてしまっているのはさすがに田村さんに同情してしまいますが、まあ要するに市場がその程度に緩和ジャンキーで脳幹まで破壊されている状態にある、ということを前提にした情報発信をしないと、スムージングしているつもりが緩和継続ヒャッハー連中に燃料投下になってしまって逆方向の不連続が発生する流れになる、という中々恐ろしいことになっているのですが、まあこれも元々植田さんを筆頭にハトハトの強調ばっかりしてた報いではあります(報いが田村さんに飛んでくるのは飛んだ流れ弾被弾でございますが)ということで、情報発信の再考を大本営にはお願いしたいもんです。
でもってちょっとさっきのを再掲しますと、
『私が考える最終的なゴールは、2%の「物価安定の目標」のもとで、金利の上げ下げを通じて需要を調整し、物価に影響させるという金利機能が発揮できるような水準まで戻すとともに、先ほど申し上げた金利のハードルレート機能やシグナリング機能を回復させることです。』
『金融政策の枠組みは見直しましたが、短期金利は、先ほど申し上げた「ほとんど金利がない世界」であることに変わりはないほか、長期金利は、完全に市場に金利形成を委ねるところまではできていません。したがって、第一歩を踏み出し、これまでより改善されるとはいえ、先ほど申し上げたような副作用も残る状況が続いていると考えられます。』(この2段落部分は再掲です)
ということで、これ思いっきり政策金利は1%くらいにまでは上げそうな話をしているし、長期国債買入だって大きく減らしていく話をしているようにしか読めませんけど、まあ何ちゅうかどういう反応になっているんでしょうね・・・・・・・・・
ただまあ逆説的に言えば円安が加速すると金融政策もハトハト言ってられなくなる訳ですから、何なら円安にバンバン飛んでいただければ日銀の政策変更も早まるわ、と非国民なことまで考えたくなる、という昨日の反応ではありました。
2024/03/27
お題「オペまわりの世間話/田村さん青森金懇は10時に紙が出るようですね/1月会合議事要旨(その2)」
記事内容はさておき掴みがワロタ日経良いセンスしておる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB14COF0U4A310C2000000/
長期金利、脱「官製」は道半ば なお0.8%抑圧の試算
金利ある世界 日本再起動(3)
金融政策
2024年3月27日 2:00 [会員限定記事]
『19日の六本木ヒルズ(東京・港)。日銀が大規模緩和からの脱却を決めると、ゴールドマン・サックス証券ではくす玉が割られた。』(上記URL先より)
くwwwwwwすwwwwwwだwwwwwwまwwwwwww
〇そういえば短国買入が見送られておりまして大変結構とかその辺の話
昨日のオペオファー
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240326.htm
米ドル資金供給 2024年3月28日 2024年4月4日 5.580
CP等買入(注4) 4,000 2024年3月29日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)2024年3月26日 2024年3月27日 -0.250
国債補完供給(国債売現先)・即日(午後オファー分)2024年3月26日 2024年3月27日 -0.250
(注4)応札レート(売買希望利回り)は、0.08%を下限とします。
・短国買入見送りは実に結構なことなので未来永劫見送っててくださいよろしくお願いします
昨日は火曜日なので短国買入がオファーされたりしてた日なのですが、よくよく考えてみますと先週の火曜ってMPMのせいだったのかなと思いつつ短国買入が華麗にスルーされていて、その後も短国買入入らずの巻で昨日も無し、ということでこれは遂に目出度く短国買入がなくなりましたかそうですか結構結構、というお話ではありますので、このまま短国買入はQQEの遺構ということで事実上廃止していただけると誠にありがたく存じますよかったよかった。(ちなみに最後にオファーされたのは3/12の火曜日です)
・コールレートとCPレートだけが反応してくれているというマイナス金利解除の世界ェ・・・・・・・
あとですね、1年程度をめどに廃止ということになっておりますCP買入ちゃん。昨日は事前(マイナス解除前)に公表済みのスケジュール度落ちの実施でこれはまあやることになってるからシャーナイのですが、昨日の応札レート下限が8bpでして、正直あんまりこの辺気にしてなかったのですが(最近のCP買入は下限レートに張り付くような買入結果にならなかったもんで)、前回の3月7日のCP買入の下限レートが▲4bpでして、今回の8bpってこれ何を基準にしてるんでしたっけすっかり忘れておる。
まあそのCP買入結果ですが、(引用はCP買入のみ)
今回(3/26オファー)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240326.htm
CP等買入 5,845 3,996 0.080 0.124 3.7
前回(3/7オファー)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240307.htm
CP等買入 12,495 3,995 0.032 0.057 43.2
数字の方は買入の実利回りになりまして、マイナス金利政策解除を短国が碌すっぽ反映していないと日々嘆いておる訳ですが、CPレートちゃんはそれなりにちゃんと反映している、ということですが、ご覧になればお分かりのようにそもそも論としてCPちゃんの場合はマイナス金利解除前からプラス金利になっていたりしてましたのですが、でもまあ買入平均レート7bp位上がっていて、無担保コールが7.5bp〜7.7bp程度の推移となっている動きにかなりスライドした結果になっておられるのでした。
まあ短国との投資家層の違いとか担保としての使い勝手とか、そもそもCP買入に入る銘柄の事情とか色々なご事情はあるのですけれども、逆に短国勘弁してちょんまげという感じではありますな、うんうん。
なお応札がアホほど減少しているのはそもそも論として期末要因という季節要因があって、お蔭で足切りが下限になってしまっておりますが、まあこれは季節要因の可能性の方が高いかなとは思います、知らんけど。
・短国引けとか東京レポレートとか
毎度お馴染みの売参(URLは貼るけどめんどくさいのでハイパーリンク割愛)
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 -0.060
とまあそういうことで昨日の短国の引値は短い所基本的に引け変わらずで、相変わらずカレント3Mから手前は全部マイナス金利の引値とかいうお洒落な水準になっているし、そもそも流通玉あるんか問題という風情でして、入札後踏み上げ御所となっておられる1221回カレント3Mの引けは相変わらずの▲6bpで、お蔭をもちまして、
国庫短期証券1205 2024/07/10:平均値単利 0.04
マイナスじゃないよプラスだよ、ということで、ちょっとこの1週間+2日の所のフォワードレート計算してちょんまげという面白イールドカーブになっているのですが、まだマイナス金利の余波が残っているのと、それまでオペの積み上がりによる担保ニーズによってこの辺まだまだ金利観に基づく価格形成というには前途遼遠という感じですけど、来週になって期初になると期末お家の事情ニーズの軽減に加え、水曜金曜と3Mの入札が行われますのでちったあマシになると良いなとは思うのですがはてどうなるのやら。
また東京レポレートに関しては(これもめんどいのでハイパーリンク割愛)
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
2024/3/25 0.007 0.000 -0.040 -0.023 -0.007 0.004
2024/3/26 0.028 0.025 -0.013 -0.002 0.007 0.019
短国買入停止??の影響がどの程度あるのか無いのかは知らんけど、一応TKRRのリファレンスレート的にはトモネとか1wとか金利上がっているので、足元もそうですし、年度末跨ぎの末初プレミアムとかも少しはマシになったんかいな、という風情は漂っておりますが、まあこの辺も末跨いでからが本番というか、レートの居場所どこですねんという話になるんだろうなあ、と思いますけど実際問題どうなるかは知らん。
ということで、そらまあ善は急いでいただいても良かったのですが、期末ギリギリにマイナス金利解除適用とかやられますと、決算とかの数字とかいうような金融機関経営的な波乱に関しては事前に散々織り込ませているし、そもそもマイナス金利解除という決定が各マーケットの価格形成に対しては重要なのであって、適用開始日が即日でも翌日でも積み最終明けでも大差ないのですけれども、事務運営上は期末と制度改正がぶつかるという地獄の泡吹き状態になってしまうし、短期の所の価格形成も期末要因がぶつかって訳分らんことになっておりますし、ということでネタが尽きないのは結構なのですが、なんかもう色々とナンジャソラという感じでございますな、南無三。
てかですね、この次のネタになるけど1月会合議事要旨みたら1月にマイナス解除って出来てたんじゃねえのと思うのですよ1月解除決定で2/16から適用開始してくれればwww
〇そういえば本日は田村砲が予定されておりますが・・・・・・・・・・・・
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
27日(水) 10:00 ○ 【挨拶】田村審議委員(青森)
おーーーーー10時ですよ10時。
下の方に4/18の野口審議委員の佐賀金懇、という公表予定がありますが、情報公表時間が10時30分になっていますように、割と10時半というのがあるのでうっかりしていましたけれども、本日は10時半じゃなくて10時です、大事な事なので覚えておきましょう(^^)。
・・・・・・とは言いましても、田村さんの場合はうっかりハトな事を言い出した場合のショックの方がどこからどう見ても大きい訳でして、威勢の良い話が出てくるのは織り込み済みでしょと思う次第であります。
まあ何ですな、マイナス金利解除後にこれから徐々にバランスシートの縮小を行っていく、とかこれから徐々に利上げを行って2%物価目標達成にふさわしい金利のある世界に持って行く、というような先々の展望の話をしてくれれば概ねその位はカジュアルに言ってくれると期待する訳でして、というかマイナス金利解除時における植田総裁の会見がイマイチこう「この先」の話をしないし、冒頭の方ではまたも「距離がある」発言しやがっている、ということで円安加速装置として働いていますので、これを中和する程度の流れになるようなレベルのぶっこみは期待したいかなとは思います。
そらまあ「4月展望レポートで物価目標達成への確信が更に高まれば政策を一段と進めることもやぶさかではない」くらいに元気な事をぶっこんでいただけるとなおアリガタイのですが、あんまり威勢のいいことを言い過ぎると芸人枠の方に組み込まれてしまうリスクがありますので、何ぼ田村さんがホークスの大ファンであってもタカフリークは程々に。
まあ芸人枠目指してこの際ホークスのユニフォーム着用で会見に臨むとかですね(違)。
〇1月会合議事要旨:これだったら1月に解除出来てたんじゃねえか問題が浮上w
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240123.pdf
政策委員会金融政策決定会合議事要旨
(2024年1月22、23日開催分)
ということで昨日の続きで『X.金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』から参ります。
・本当の本当に「待っている時間」ってあるのかね問題
ということで最初から見る訳ですが、
『先行きの金融政策運営の基本的な考え方について、委員は、現時点では、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には、なお至っておらず、イールドカーブ・コントロールのもとで、粘り強く金融緩和を継続することで、経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく必要があるとの見解で一致した。』
おいこらちょっとまってその前の物価の話と違くねえか、という感じですが、こう言っておかないと1月決定内容と整合性が取れないのでこうなりますw
『そのうえで、委員は、消費者物価の基調的な上昇率が「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていく見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっており、この先、賃金と物価の好循環を確認し、目標の実現が見通せる状況に至れば、マイナス金利を含む大規模金融緩和策の継続の是非を検討していくことになるとの認識を共有した。』
ということですが、これなら寧ろ12月にもっと威勢のいいことを言ったら1月解除だったのではないかと思うのですが、まあ何のかんの申しまして12月は総裁のあの国会での余計なチャレンジング発言で変な事になってしまって火消しをし過ぎたのでコミュニケーションが混乱しましたなあという所でして、結局植田さん碌なことしてねえわと思うのでしたorz
『そうした中、何人かの委員は、既往の輸入物価上昇の価格転嫁のピークアウトが明確になる中で、物価上昇率が2%を大幅に上回って推移するアップサイドリスクは小さくなっており、賃金情勢等を見極める時間の余裕はあるとの見解を示した。』
という話になっていまして、今日ネタにする余裕がないのでパスしてしまいましたが、基調的な物価指標をみると落ち着いているようにも見えるんですけど、CPIって原数値ベースではしっかり下がらん状態で、どうせ3月4月にまた上がってくるので、そんなに時間の余裕があるのかね、とは思います。まあこの辺の余裕ぶっこみ組がこれからも余裕ぶっこんでいられるかどうか、賃金もそうだし円安もそうだし・・・・・・・・
・最初は「十分な確度をもって見通せる状況には、なお至っておらず」で一致しているのに・・・・・・・
でもって次に参ります。何故か段落が変わっていますが上記の続き
『この間、複数の委員は、年初の能登半島地震の影響が不透明要因となっているが、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を見通せる状況は近づいているとの見方を示した。』
ほうほう。
『このうちの一人の委員は、今後、1〜2か月程度、事態の進展をフォローし、仮にマクロ経済に与える影響が大きくないことが確認できたならば、金融政策の正常化に向けた検討が可能な状況に至ったと判断できる可能性が高いとの見方を示した。』
『そのうえで、この委員は、経済・物価情勢に応じて、時間をかけながらゆっくりと正常化の道のりを進めていくためには、その第一歩であるマイナス金利の解除に、適切なタイミングで踏み切る必要があり、その判断が遅れた場合には、2%目標の実現を損なうリスクや急激な金融引き締めが必要となるリスクがあると付け加えた。』
これか次のどっちかが田村さんなんですよね。
『また、ある委員は、先行き海外の金融政策が利下げに向かうことになれば、わが国の金融政策の自由度が低下することもありうるとの見方を示した。』
ほうほう。
『この委員は、現在は金融政策変更の千載一遇の状況にあるが、先行き政策修正のタイミングを逸し、現行の政策を継続することになった場合、海外を中心とする次の回復局面まで副作用が継続する点も考慮に入れた政策判断が必要であると述べた。』
千載一遇ってのがあるのが田村さんっぽい気もしますし、氷見野さんだったら更にお洒落ですし、高田さんの線もあるかなーと。
『一人の委員は、賃金上昇を伴う物価上昇を持続的なものにするには、コア事業強化による企業の稼ぐ力の向上と顧客満足度の向上のための人材価値を高める経営が必要であり、それらの進捗に注目したデータに基づいた判断が重要であるとの認識を示した。』
これは中村さんですな。
・挙句に散々具体的な話が・・・・・・・・・
次の段落に参りまして、
『委員は、今後、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至り、マイナス金利を含む大規模金融緩和策の継続の是非を検討する際、具体的に、どのような手段をどのような順序で用いるのが適当かについては、その時点での経済・物価・金融情勢を踏まえて判断していくことになるとの認識を共有した。』
と言いつつ長期国債買入以外はワンセットになっていた気がするがw
『そのうえで、委員は、目標の実現が現実味を帯びてきていることも踏まえると、これらの政策を変更する際の留意点やその後の政策運営について、基本的な考え方を整理しておくことが重要との見解で一致した。』
ちょwwwww
『多くの委員は、現時点での経済・物価見通しを前提とすると、先行きマイナス金利の解除等を実施したとしても、緩和的な金融環境は維持される可能性が高いという認識を示した。』
そらまあそうだ。
『一人の委員は、これまでのきわめて緩和的な金融政策を小幅に修正したとしても、そのことで緩和的な金融環境が変わるわけではないことを示していく必要があると述べた。』
幅よりも方向性なんですけどね〜
『この点に関連し、ある委員は、1937 年の米国不況の際には僅かな金融政策の変更で経済主体の行動が大きく変化したというエピソードを紹介したうえで、今後、政策の修正を考えていくうえでは、それが政策レジームの再転換と解釈されないようにする必要があると指摘した。』
いや政策レジーム転換しなかったら正常化じゃねえだろお前は何を言ってるんだ、と思うけど野口さんでしょうねこれは。
『この間、ある委員は、どのような順序で政策変更を進めていくかはその時の経済・物価・金融情勢次第であるものの、副作用の大きいものから修正していくことが基本となるとの見方を示した。』
でしたら長期国債買入、と思いましたがwそれはそれとして結局ワンセットで余計な増築温泉旅館を一気に解体してきたので全部副作用が大きかったんですねわかりますwwwww
次の段落からその副作用が大きい物とは何ぞやという項目がw
『マイナス金利の解除について、』
はい副作用の一発目がマイナス金利。
『ある委員は、マイナス金利導入前の状態に戻すとすれば、当座預金への付利金利を+0.1%とし、無担保コールレートは
0〜+0.1%の範囲での推移を促すこととなると指摘した。』
『一人の委員は、自然利子率や予想物価上昇率を巡る不確実性を踏まえると、最終的な金利水準の到達点やそれに至るまでの金利パスについてあらかじめ見極めることは難しく、その時々の経済・物価・金融情勢に応じて考えていかざるを得ないとの見方を示した。』
『何人かの委員は、わが国の置かれた経済・物価情勢は、数年前に米欧が利上げ開始時点で直面していた環境とは大きく異なっており、わが国では、米欧のような急速な金融引き締めが求められているわけではないと指摘した。』
とりあえず何ちゅうかこの議論のまとめになっていないのが味わいありますね。
『このうちの一人の委員は、海外の投資家等の中には、この点を巡る誤解もみられると付け加えた。 』
という認識を示すのは結構なのですが、海外投資家向けに誤解を解こうとして却ってハト過剰になっているんじゃないですか、と思います。
『イールドカーブ・コントロールの枠組みについて、何人かの委員は、この枠組みを撤廃するにせよ何らかの形で維持するにせよ、国債買入れは継続していくことになるとの見方を示した。』
ふーん。
『このうちの一人の委員は、その意味でイールドカーブ・コントロールとその後の国債買入れの運営は連続的なものであると指摘した。そのうえで、この委員は、変更の前後で不連続な形で金利が急激に上昇したりすることがないよう、コミュニケーション・オペレーションの両面で工夫する必要があると述べた。』
寧ろ金利下がってるんですけど・・・・・・・・・・
『一人の委員は、その際、より市場機能を活かすよう、国債買入れの運営を見直していくことが必要との見解を示した。』
という意見はあるものの、
『別の一人の委員は、わが国では国債市場における日本銀行のプレゼンスがきわめて大きいことも考慮に入れて、市場に大きな混乱が生じないようにしていく必要があると指摘した。この点に関連し、一人の委員は、イールドカーブ・コントロールを見直していく際、長期金利の急上昇を抑制する一定の措置を検討していく必要があると述べた。』
とまあこんな感じでお前ら心配し過ぎなんじゃヴォケという感じですが、実際にこの動き(と言っても足元に関しては期末要因もあるので4月会合までにどうなるかはまた別問題ですけど)を受けてこの心配性の皆さんの見方がどうなったのか、というのは聞いてみたいもんです。
『この間、ある委員は、オーバーシュート型コミットメントについても検討が必要であるとの見解を示した。』
ときまして最後はETFとリート。
『ETFとJ−REITの買入れについて、何人かの委員は、大規模緩和の一環として実施してきたものであり、2%目標の持続的・安定的な実現が見通せるようになれば、買入れをやめるのが適当であるとの認識を示した。このうちの一人の委員は、新規の買入れをやめる場合であっても、保有しているETFの取り扱いについては、時間をかけて検討していく必要があるとの認識を示した。
』
とまあそんな訳で、何なら1月にも解除できたんじゃねえのかという話だし、逆に言えば3月に解除して無かったら4月解除で来てたかどうかが怪しい、という話だったんじゃないかと思いました。
2024/03/26
お題「コールだけ上がっても・・・・・・・・・/総裁インタビュー記事(ただし12月実施)/1月会合議事要旨から(その1)」
いやーなんなんすかねえこの相場はorzorz
〇コールだけ上がっても他の金利が上がらんと意味が無いんだが・・・・・・・・
というわけで
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB257PW0V20C24A3000000/
レポ金利、日銀解除も翌日物が0%に 短期債の需要強く
為替・金利
2024年3月26日 2:00 [会員限定記事]
『25日の短期金融市場で翌日物の現金担保付き債券貸借(レポ)金利が0%に低下した。年度末を控えて短期国債など債券の需給が逼迫し、債券の品貸料がレポ金利を押し下げている。日銀がマイナス金利を解除し、通常ならプラス圏にあるとみられるものの、一部の短期市場では依然0%前後での取引となっている。』(上記URL先より、以下会員記事)
品貸料がレポ金利を押し下げ、って言ってることは概ねあってる(モノとしてのニーズがあるからGCのレートが下がる、ということなので)のですけれども、なんかちょっとわかりにくい表現ではあるのだが本文の方に何て書いてるか分からんので知らん。
などと日経にネタにされました(マーケット面か何かですかね)東京レポレートちゃん、この3日の推移は例によって東京レポレートから引用すると、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポレート
2024/3/21 -0.101 0.029 0.012 -0.016 0.004 0.019
2024/3/22 -0.024 0.004 -0.028 -0.035 -0.007 0.008
2024/3/25 0.007 0.000 -0.040 -0.023 -0.007 0.004
例によって左からO/N、T/N、1W、2W、3W、1Mということで、T+0は別にして2W以外金利下がってるじゃん(なんで2Wだけ上がるのかは謎だが)という話で、遂にトモネ公表値ベースで0ジャンという展開になっておりまして、1Wも割と威勢良く下がっているのがもうねという感じですな。
ちなみに売参によりますと金曜の新発3Mはさらにショートカバーニーズがおありのようで、
公社債店頭売買参考統計値/格付マトリクス表
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 -0.060
って▲6bpとかいうドイヒーレートになっていますが、まあこちらは周辺の銘柄は前日比変わらんので特種例ではあると思いますが、何気に1年とかその辺りの長めのテナーの短国の金利が下がっていて、カレントの1年って
国庫短期証券1220 2025/03/21:平均値単利 0.080
と8bpとかいうコール翌日物向こう1年間利上げ無しで良かったんでしたっけレートになっておられる訳でございますが、まあ入札の時(先週月曜日)に平均10.51bp/足切り12.31bpでやってその日のうちに引けが9.5bpになっておった訳ですが、実際にマイナス金利解除されて翌日適用になったというのにこのレートよというお話で、国債の買い過ぎと長距離オペのやり過ぎ問題が実は深刻であり、こっちの方を何とかしないと、と言っても長距離オペは打ってしまったものはどうしようもないし、国債買入に関しても減額するのが先になるような情報発信しかしていないので、そらまあこの調子ではダメっすよねー。
まあ何ですな、本来マイナス金利解除したのって「物価目標達成が見通せる」から解除したんですから、不連続がどうのこうの言ってますけど、より先の事を考えたら国債買入だって減らすし、政策金利だってこんなハイパー緩和水準で居る訳はない、というのをもう少しアホにも分かるように示せとは思うのですけれども、なんかあんまりそういうのが期待できないのが悲しい所ではあります。
いずれにせよ、大本営の心配であったマイナス金利解除時の金利の急騰どころか、誘導目標のコール市場の隣のレポ市場の金利が全然上がらない、というような状況になっている時点で、ちょっと皆さん市場の動きを読み間違えましたなあというようなお話ではあります。まあイヤーな予感はあったのと、期末要因ってのがあるからねーとは思ったけど、何ぼ何でも3Mカレントから手前全部マイナスとかいうのはさすがに唸りますわアタクシもorzorz
〇そういえば何故かこのタイミングで喧嘩を売るように広報誌「にちぎん」にハトハトチキン先生の記事が
【特別インタビュー】植田和男総裁(広報誌「にちぎん」No.77 2024年春号)[PDF 1,394KB]
https://www.boj.or.jp/about/koho_nichigin/news/kn240325a.pdf
まあゆうて最後を見ますと(聞き手・情報サービス局長・小牧義弘)ということでお手盛りインタビューなのですけれども、なんかこのインタビュー
『※本インタビューは昨年十二月に行われたものです』
ってあるんでまあ昔の話ではあるのですが、最後の質疑クソワロタw
『――日銀の政策や業務運営を実行していく上では、国民の皆さまにご理解いただくことが重要だと思います。』
『総裁 日銀が提供しているのは経済のインフラですので、水やエネルギーと同じで、注目が集まる時は何か問題が起こっています。残念ながらそうした状況が長く続いているわけですが、本来は日銀の存在など意識せずに暮らせるのがあるべき姿だと思います。』
まったく仰る通りですね。
『今は、うまくいけばそうした状態に移れる過渡期だと思いますが、』
いやお前さん12月の定例記者会見の時に「こうした点を踏まえますと、基調的な物価上昇率が、2025
年度にかけて物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくという見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まってきているとは思いますが、先行き、賃金と物価の好循環が強まっていくか、なお見極めていく必要があると判断しています。(12/19総裁記者会見より)」って言ってた(まあそう言ってたのに1月に急に前向きになって3月に引っくり返したんですが)訳で、このインタビューの言い方だとそのような「距離感」があまり感じられない言い方になっている訳でございまして、いやマジでこのチキンおじさんって情緒どうなってるんだよと小一時間問い詰めたくなります。
まあ多分なんですけど、おじちゃんはチキンなんで日ごろから悩んでいる、というのがあって、そのああでもないこうでもない、のどっちが強いかによって出て来るニュアンスがだいぶ違うように増幅されてしまうから、総裁のコミュニケーションは分かりにくい、って事になると思うし、何ならもう植田さんの話聞くよりも氷見野さんや内田さんや、もしかしたら田村さんとか高田さん辺りの議論をリードして行きそうな方々の話を聞いた方がエエンチャウノという気にもさせられてしまう訳ですよね。
しかしまあ何ですな、
『いったん、日銀の存在を意識せずに済む状態に移った後は、物価の安定でも金融システムの安定でもそうですが、問題の芽が出た時に未然に摘み取り、本当に問題が起こった時にはなるべく小さい範囲で消火作業をする。こうした実績を積み重ねていって、結果をもって国民の信認を得ていくことが重要だと考えています。』
って立派なお話をしているんですが、「問題の芽が出た時に未然に摘み取り、本当に問題が起こった時にはなるべく小さい範囲で消火作業をする。」って言ってますが、積み上げ捲った緩和による日銀バランスシートが正しく問題の芽どころかもう問題の密林状態だと思うんですけど、そんな認識がおありなら日銀バランスシートに積みあがっている問題の山を片付けていくという方向性をはやいとこ(遅くとも4月の展望レポートの時には)出した方がエエンチャイマスカ、と思うのよね。債券市場と短期市場のレート形成見てたらマイナス金利の時にはちょっと見えにくかった「日銀の巨大なバランスーシートの力で歪められている金融市場の価格形成」がより見えやすくなってきて、やっぱりこのバランスシートはそんなに漫然と放置してていいもんじゃない、って感を今の所うけておりますので・・・・・・・・・・
〇1月会合議事要旨なのだが物価目標達成がこの時点で見通せてるじゃねえかナンジャソラ・・・・・
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2024/g240123.pdf
政策委員会金融政策決定会合議事要旨
(2024年1月22、23日開催分)
・解除の具体的な話してるのに主な意見には掲載されないとは・・・・・・・・
皆様ご案内の通りでこちら政策の所で解除の手段の話があったりしたようですが(と書いたのですが時間の関係でそこまで今日は至りませんですすいませんすいません)その辺りに関して雑感から。
まあね、主な意見にいきなり載せると予告ホームランになってしまうからちょっとそこは自主規制、というのは分からんでもないけど、そもそも論として日本の場合は謎の言霊信仰のせいなのか知らんけど、FEDみたいに緩和政策解除時の論点整理、みたいなのを事前に行わないので、この手の話を唐突に表にだしてしまうと予告ホームランになってしまう、という問題点があるので出せないんですよね。
とまあそのように考えますと、緩和政策解除時の論点整理もそうですし、逆に次に緩和拡大方向に持って行く時にどのような手段が良いのかの論点整理、というのも決定会合の議論の中で頭の体操レベルの段階のうちに行って、というか行っていることを議事要旨の形で示しておく。というのをやっておいた方がいいんじゃないですかね、とは感じるのであります。
まあFEDの場合って結局言ったとおりのシーケンスで解除した訳でもないので、日銀的には「言ったとおりのシーケンスじゃないじゃないか批判」ってのを受けたくない気持ちもわからんではないのですけれども、FEDがそうだったように、そもそも論として解除とか、いまだったら次にアチャーとなって追加緩和、というような話になるんでしょうけれども、そういう話がまだ海のものとも山のものとも分からん、という状況に居る時こそ、物凄く先の話に関する論点整理をいったん出しておく、というのをやっておいた方が良いんじゃないでしょうか。
今回解除前にアホみたいにこじれて変なバランスシート拡大につながったのって、そもそも論から言って黒田の終盤で出口の話をしたら祟りが起きる位の勢いで出口の話を封印するがために派手なオペをバンバン打つ破目になった、というのがある訳でして、結局それがこうやって解除の段になって早速効いてきている訳なのですよね。
などと悪態をつきつつまあ政策の所だけでも。
・その前に貸増延長の件クソワロタ
『V.貸出増加支援資金供給の延長』って所ですけどね。
『1.執行部からの説明
貸出増加支援資金供給の利用残高は、増加を続けており、本資金供給は、引き続き、金融環境を緩和的なものとすることに貢献している。こうした状況を踏まえると、「貸出支援基金運営基本要領」の一部改正等を行い、本資金供給を1年間延長することが適当と考えられる。』
『2.委員会の検討・採決
採決の結果、上記案件について全員一致で決定された。本件については、会合終了後、対外公表することとされた。』
・・・・・・・・・・orz
いやさあ、3月会合で貸増のテナーを1年に変更したけど、緩和の出口を模索する、って段階で何で貸増を4年以内の固定金利0%(本則は0.1%)とかいうので貸すってのがこんな簡単に全会一致になるんでちゅかねえ、と思いました、まる。
・ 物価安定目標達成の確度の話ですがこれじゃあ3月じゃなくて1月解除だろ本来は
『W.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要 』の後半ですね。
『2.経済・物価情勢の展望』の後半。
最初の方はただの基本的見解部分の話なのでパスしまして、問題は物価見通しの確度云々。
『そのうえで、委員は、こうした消費者物価の基調的な上昇率が「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていく見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっているとの見方を共有した。』
あっそう。
『一人の委員は、不確実性はあるものの、「物価安定の目標」の実現が見通せる状況になってきたと述べた。』
・・・・・1月は1人だったのに3月は賛成多数(多分7人)になるってのも何か話が飛躍していませんですかねえ、とは思う訳ですが・・・・・・・・・・・
『また、ある委員は、前回会合以降のデータ等をみると、@中小企業も含めて賃上げに期待が持てる、A人件費上昇を受けてサービス価格も高い伸びを続けている、ことから賃金と物価の好循環実現の確度は更に着実に高まったと捉えられるとの見方を示した。』
ほうほう。誰なのかな??
『これに対して、何人かの委員は、サービス価格の上昇等を踏まえると、賃金上昇に伴う物価上昇圧力は高まりつつあるとみられるが、「物価安定の目標」の実現が十分な確度をもって見通せる状況にまでは至っていないと指摘した。』
別に良いんだけど何でそれが2が月で豹変するのかが謎なんですが、
『このうちの一人の委員は、賃金と物価の好循環が一段と強まっていくか、確認していく必要があると付け加えた。』
2か月で豹変した理由について聞きたい、と思ったけどこの後の金懇って明日が田村さんで4月に野口さんでして、お二方とも豹変組ではないので聞けないですね、残念無念。
『委員は、賃金と物価の好循環の強まりを点検していくうえで、今年の春季労使交渉の動向が重要となるとの認識を共有した。多くの委員は、1月の支店長会議での報告や最近の労使の情報発信等を踏まえると、今年の春季労使交渉で相応の賃上げが実現する可能性は高まっているとの認識を示した。』
という状況証拠があるのになんで「十分な確度をもって見通せる状況にまでは至っていない」という現状判断になるのかがわからん。
『その背景として、何人かの委員は、労働需給や企業収益、暦年ベースの物価上昇率の実績といった賃金交渉に影響を及ぼす諸要因が、いずれも、昨年時点よりも改善している点を指摘した。ある委員は、労働分配率が大きく低下するもとで、企業経営者は、賃上げへの社会的要請の強まりを意識していると述べたうえで、政労使の間で賃上げに対する考え方の方向性が揃っているとの認識を示した。複数の委員は、人手不足感が強まるもとで、中小企業を含め人材を確保するために賃上げが必要との見方が強まっていると指摘した。別のある委員は、人口動態の変化もあり労働需給が構造的に引き締まるもとで、収益動向等から賃上げが難しい企業は、市場からの退出を余儀なくされる局面に入っていくとの見解を示した。』
てさあ、これだけ状況証拠並べてるのに何で「達成が見通せる」が1月会合で1名だったのかが意味わからないと言いたいし、そもそも論として金融政策はフォワードルッキングで行うものだし、さらに言えば「賃金と価格の好循環を確認」とかいうのって思いっきり遅行指標の最たるものな訳でして、それを全部か確認してたら金融緩和のやり過ぎから好ましくない結果を招くリスクが高いって発想お前ら(除く田村さん氷見野さん)には無いのかと小一時間問い詰めたい。
『こうした状況を踏まえ、何人かの委員は、今年の賃上げ率は、昨年を上回る可能性が高いのではないか、と述べた。ただし、このうちの一人の委員は、中小企業を中心に、賃上げ幅については同業他社の状況等を様子見している先も多く、どの程度の賃上げ率が実現するかは、なお不確実であると指摘した。
』
でもって例の賃金と物価の好循環。
『委員は、賃金上昇の物価への波及についても議論を行った。』
そもそもそれが本当に好循環なのかという説が大有りなのですけどwwww
『何人かの委員は、サービス価格が緩やかに上昇している点やヒアリング情報を踏まえると、賃金の価格転嫁は相応に進んでいるとの見解を示した。ある委員は、組合側の賃上げ要求が実現すれば、サービスなど粘着的な物価の上昇率は
1980 年代から 1990 年代前半の平均程度まで高まる可能性が高いと述べた。一方、複数の委員は、原材料価格の転嫁に比べると、賃金の価格転嫁が必ずしも容易でない業種や企業も多いと指摘した。そのうえで、これらの委員は、賃金上昇は企業努力による生産性改善で吸収するべきという考え方は根強く残っており、その変化を確認していくことが重要であると付け加えた。この点に関連し、一人の委員は、これまで賃金水準の目安となっていた大手企業で賃上げ率が高まれば、そうした先は、取引先企業が賃金上昇を納入価格に反映することをより認めやすくなるとの見解を示したうえで、大手企業のみならず取引先企業も含めた年収引上げの動きが活発化すれば、需要増加とともに物価も上昇する経済の順回転が生まれると期待されると述べた。別の一人の委員は、賃金上昇は企業努力で吸収すべきという考え方は、デフレないしゼロインフレ期のものであり、名目値が上がるときには適用できないという認識を社会に定着させ、価格改定の計算式に人件費を組み込むなどしていく必要があるとの見解を示した。ある委員は、2年以上にわたり物価上昇が続くもとで、企業からは名目成長が続くことの経営上のメリットを認識したとの声が聞かれており、企業の賃金・価格設定行動は明確に変わってきているようにみえると述べた。
』
ということでああでもないこうでもないと言ってるんですが、「生活給の概念」って話が無いのが毎度気になります。いやそれは物価から賃金だろと言われればそれまでかもしれないけど、生活給の概念があれば物価が上がったら必然的に賃金上がって、それはコストに反映します、って話になると思うんですけどねえ。
まあそもそもこの「好循環」ってのが本当に好循環なのか、というそもそも論があるので、結局話がフワフワとしたまんまだわ、と思いました。
・・・・・・・とここで時間切れになったのでその後の政策手段の議論の話があったのですがすいません明日に続くということでゴメンチャイ。まあ政策変更した後なのでその部分は「どのような書きっぷりになっているのか」というのが見ものであり、内容に関してはまあ「ああそうですか」で良いと思うのですよね、、、、、
2024/03/25
お題「短国3Mェ・・・・・/一応2月全国CPI/総裁会見から(続き)」
いつものことで冒頭のチラ見部分しか無課金のため読めませんがこれはきっと良い記事ですね!
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB130AV0T10C24A3000000/
日銀依存と決別の時 金利ある世界に先手打つ企業
金利ある世界 日本再起動(1)
金融政策
2024年3月25日 2:00 [会員限定記事]
『【この記事のポイント】
・金融政策の正常化に一歩
・超低金利の「ぬるま湯」で競争力停滞
・利上げなら低採算事業の見直しは必至
日銀がマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除を決め、金融政策の正常化に一歩踏み出す。長期緩和は負の遺産も残した。企業も家計も政府も「金利ある世界」に戻れるのか。17年ぶりの利上げは日本を再起動する転換点となる。』(上記URL先より、以下有料会員記事)
ということでですね、この「超低金利の「ぬるま湯」で競争力停滞」「利上げなら低採算事業の見直しは必至」という前向きポイントの話をもっとメディアはしろよと思うのですが、マイナス金利解除の前もそうでしたが、解除してから先週の木曜金曜も一般記事の金融政策絡みってやたら「住宅ローンガー」の話しばっかりでもうお前ら何で前向きの話をしないんだよこのクソボケが、と思いました。
ま、何のかんの悪態は付きますけど、こういう時に日経はちゃんとした記事を出してくれるのは良い事ですよね、と思うのでありました。
〇短国3Mが100円足切りの平均マイナス金利なんですが国債売現先オペはまだでしょうか
・短国3Mェ・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240322.htm
国庫短期証券(第1221回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1221回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1221回)
2.発行根拠法律及びその条項 財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年3月25日
4.償還期限 令和6年7月1日
5.価格競争入札について
(1)応募額 18兆7,323億円
(2)募入決定額 4兆6,941億4,000万円
(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛
(募入最高利回り)(0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 69.9724%
(5)募入平均価格 100円00銭3厘9毛
(募入平均利回り)(-0.0145%)』
ちょwwwwwwww足切り100円wwwwwwww
ということですが、まあ何か前回の3Mカレントもすでにマイナスに突っ込んでおりましたので、期内最終発行ということなのでどっかにお家の事情的ニーズがあったら100円で切れちゃうかねえとは思いましたが、マジで100円で切れやがりまして、挙句にショートカバーモードになったのか、
いつもどおりの売参ちゃん
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
金曜の引けベースの短国はと言いますと・・・・・・
国庫短期証券1221 2024/07/01:平均値単利 -0.040
ということでマイナス4bpという水準でして、いやお前どうなってるんだよという話ですし、しかもこの次に償還が来るのが6MTDBの成れの果てでありますところの短国1205(7/10)なのですが、
国庫短期証券1205 2024/07/10:平均値単利 0.040
ですし、3M新発の1週前の1219の引けは
国庫短期証券1219 2024/06/24:平均値単利 -0.010
ということで、まあ1221の▲4bpはショートカバーで踏み上げでもあったんでしょうなあという事なんですが、それにしても新発3Mを挟んでそこで5bpもレート飛ぶかよって引けになっておりまして、まあ玉無芳一状態でまともな流動性がないもんだからこんな謎カーブが発生してしまうわけですが、まあそういう状況がGCにも出るわけでして・・・・・・・
・GCレポレートも低下していますがな
ということで東京レポレートの方を見ますと、
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポ・レート
O/N T/N 1W 2W 3W 1M
2024/3/21 -0.101 0.029 0.012 -0.016 0.004 0.019
2024/3/22 -0.024 0.004 -0.028 -0.035 -0.007 0.008
なんかトモネのGCってもうちょっと低くね??という気はする(木曜の数字も金曜の数字も)のですが、まあそこは目をつぶるとしましても、前日と比較した場合に(1Wは足が期末跨ぎになったので別として)前日から見て期末越えのプレミアムがついているのか足元がさがっているのか、それともその合わせ技か、という感じでして、まあGCレートもほとんど0とか期末越えのところマイナスになっているんですよね。
まあ背景にはどうせ担保玉の問題(日銀が長距離の資金供給オペ打ちすぎ問題に加えて長期国債も買いすぎなので元々短いところには担保ニーズが入りやすい)があることに加えて、マイナス金利解除されたので、ということで冬眠から覚めたクマがクマーと新発3Mの行列に参加してきたのもあるっしょという風情ではありますが、マイナス金利解除してコールは上がったというのにレポやら3Mがこの金利ですと、それってマイナス金利解除した趣旨に合ってないんじゃないの、という気もするくらいですな。
ということでレポ金利の低下を牽制するためにも国債売現先をするとか、火曜日に定例でやっている短国買入を停止するとか、まあいろいろとやりようはあるんちゃいますかとは思うのですが、なんか知らんけど「普通の金融政策に戻していく」って言ってるんですけど、どうせ金利上昇方向の警戒はするけど低下方向の警戒はしないというオペをするんじゃろ緩和ジャンキーが抜けなくて長期国債買入を「同程度」という実質買入拡大みたいなことを言い出す日銀なので、ということであんまり期待はしていないのですが、もう期内発行のTDBは追加で出てこないのですから、こんなん放置する手はないと思いますけど、資金供給オペはアホほどするのに減額や吸収をしたがらなかったオペレーションがどうなるのか、という意味でも今日明日の調節で何が起こるのかは見ておきたいところです。
あそうだそうだ。まあ短国買入に関しては「0%以下の利回り(100円以上の価格)での応札は無効とする」という伝家の宝刀を使うならまだ話は分かる(てか輪番に関しても出来上がり0%以下の応札を明示的に無効にすればいいんですよ。昔はそれやってましたからね)んだが、どうせなんも考えずに漫然と1000億円の短国買入を打ってきて玉無芳一状態で業火状態になっている市場にさらに燃料を投下するに100万ジンバブエドルですなwww
まあそんなこんなで短期の新発3MTDBが期末要因とショートカバー要因があるにせよ▲4bpとかになってやがっているわけで、マイナス金利解除とは何だったのかとなるのは何なんでしょうねって感じですわ、とほほ。
〇2月全国CPIが出てたので一応クリップするけど
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)2月分(2024年3月22日公表)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
2020年基準 消費者物価指数
全国 2024年(令和6年)2月分
『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として106.9
前年同月比は2.8%の上昇 前月と同水準(季節調整値)
(2) 生鮮食品を除く総合指数は106.5
前年同月比は2.8%の上昇 前月と同水準(季節調整値)
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は105.9
前年同月比は3.2%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇』
ということで、季節調整値ベースだと2月の東京都区部が前月対比でぞれぞれ+0.3%、+0.1%、+0.1%なのでありゃそうですかってな感じの数字ではありますが、原数値ベースで言いますと、
総合:106.2→107.1→106.9→106.8→106.9→106.9
コア:105.7→106.4→106.4→106.4→106.4→106.5
コアコア:105.4→105.8→105.9→105.9→105.8→105.9
てな推移になっていまして、これどこからの経過かというと9月〜2月でこういう推移になっていて、半期の期変わりのところで割とガッツリ値上げがあって、その後何となく横ばっている(個人生活実感的には何かもうちょっと上がっている感がしますがそれはさておきましてw)ということですが、昨年はこのあと3月4月のCPIの原数値がガッツリ上がる、という現象が発生しましてどう見ても年度替わり要因です本当にありがとうございました、という世界でして、まあ3月CPIが見もの、ということなんでしょうね。
〇総裁記者会見をもうちょっと拝読してみるの巻
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240321a.pdf
・最初の3問ほどの質問がなぜかマイナス金利解除に水差し野郎状態だったのは何だったのかと
しかし幹事社の最初の質問がかなりしょうもなかったですよね今回
『(問)幹事社から、質問二問させて頂きます。一つずつお答え頂ければと思うんですが、まず一点目が、植田総裁就任
1 年目でですね、今回の大きな政策転換を決定したことになりますが、この間、日本経済は物価上昇が続いて実質賃金は今もマイナスが続いています。なぜですね、このタイミングで政策転換を決断したのか、教えて頂けないでしょうか。』
物価上昇が続いて実質賃金がマイナスだから、って聞いてるんだがじゃあお前は政策転換に対する評価はどっちなんだよと問いたいわけで、そもそもこの質問がすげえ謎でした。
なお回答は完全に棒読みの世界なんですけどね。
『(答)やや先ほどの回答と重なる部分がありますが、今日の決定会合では、最近の経済・物価・金融情勢、特に賃金と物価の動向をしっかりと点検しました。そのうえで、春季労使交渉の現時点の結果も含め、最近のデータやヒアリング情報から、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、展望レポートの見通し期間終盤にかけて、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断し、大規模な金融緩和の見直しを決定したところでございます。』
ややどころか冒頭説明で言ってることと同じでして、しかも会見に出てきた植田さんの表情がマイナス金利という黒田残滓のアホアホ政策からやっと脱却できたというのに全然パッとしない表情に見えていたので、何かもう最初の時点で「あれれもしかしてこれ植田さんはチキンで4月に先送りしたかったのを押し切られましたかねえ」って感じでしたな。
でさあ、いいかげんこの「住宅ローン」って日銀総裁に聞くなよそんなの金融機関の経営判断の世界だろ、と思う訳ですよ。何なんですかこの質問は。
『(問)もう一つお願いします。今回の政策変更でですね、住宅ローンですとか貸出金利の変化、上昇というのも見込まれて、金利のある世界がやってくることになります。消費者や事業者、並びに日本経済全体にですね、全体の影響というのはどのように見通しているか、ご説明ください。』
これまた何を聞きたいんだよという質問で、金利がある世界が来るのがけしからんのか結構なのか、どっちの文脈で聞いてるんだよというのが分からん(まあ聞いている感じですと前の質問もこの質問もマイナス金利解除が怪しからんといってるように聞こえる質問で、幹事社がいきなりこの質問って何なんだよいいからお前は肥溜めに頭から突っ込んで来いと思いました、というのはあくまでも個人の主観的感想ですけどねwww)。
でまあこの回答なんですが、
『(答)貸出金利あるいは預金金利は、今回の政策変更を受けて市場金利が多少変化しますが、その動向を踏まえて各金融機関の判断において設定されることになると思います。』
これ以上の回答するのもう禁止ですよ禁止。マイナス金利ぶっこんだ時にも当時の黒田は預金金利がマイナスにならないとか言いまくって金融機関の判断ですべきことを日銀が勝手に言うわ、しかも明らかに自分たちの決定によっておこることによってデメリットが発生した場合に日銀が批判されるからそれを勝手に先取りして「預金金利がマイナスにならん」だの「ローンの金利はそんなに上がらん」だの勝手に民間金融機関の経営判断に介入するんじゃねえよしかもこれ毎度毎度お前らの保身のためだろふざけるな、と思う訳でございますよいや全く。
『もっとも、今回の政策変更に伴う短期金利の上昇は 0.1%程度にとどまります。また、先ほど申し上げましたように、これまでと同程度の国債買入れを継続し、更に長期金利が急激に上昇する場合は機動的に買入れオペの増額等を実施する方針です。このため、今回の措置を受けて預金金利や貸出金利が大幅に上昇するとはみておりません。先行きについても、現時点の経済・物価見通しを前提にしますと、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えております。こうした緩和的な金融環境が、経済・物価をしっかりと支える方向で作用するとみております。』
しかもこれ最後の一文がさらに余計で、別にこんなこと言う必要全く無いし、もともと物価をしっかり支えすぎてるから実質賃金マイナスが続いているじゃねえかボケというところで、まあこんなハトハトな言い方するもんだから円安が進む訳で、円安進んでしまうとコストプッシュがトマランチ会長になるんですけどねえ。
でまあ蛇足なんですけど、幹事社の質問の次に質問したボケナスも最初に聞いたのが、
『(問)総裁、二問お願い致します。まず日銀の今後見通しが崩れたときにですね、YCCなど今回やめることを決めた金融緩和策を復活させるお考えはあるのでしょうか。その理由とともにお聞かせください。(後半割愛)』
ってお前らマイナス金利解除してほしくなかったのかよ緩和ジャンキーにも程があるだろふざけるなという感じで、あやうくこの質問の辺りでブチ切れて中継聴く(というかようつべなので見るというか)の止めそうになるのをこらえるの大変だったんですが、なにがどうなるとこういう質疑が頭から続いていたのかという感じです。
回答はまあどうでもいいので割愛します。
・定義上は「適正な状況を短期金利誘導で実施」政策になるわけですな
でまあ上記の幹事社の次の質問で例の「2%に距離がある」発言が出てハトハト節が炸裂となって円安になるというアチャーな展開になってしまい、金曜日にネタにしましたように、質疑の後の方で「距離がある」発言をしなくなって態勢を立て直したというか、想定問答以上のことを言うと電流でも流れる仕様になっているのか、まあそんな感じにはしたものの覆水盆に返らずでしたな。
さてその次の3人目の質問者による質疑からはやっとマシになったんですよね。最初の2社がどこかはまあ日銀のようつべチャンネルを見てアーカイブ見りゃ分かりますよ。、
『(問)質問は二点ございまして、一点目がですね、今回の会合では、マイナス金利政策といった大規模緩和の主要な政策が終了しています。ETFといったリスク資産の買入れも終わってですね、決定文読みますと、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みが役割を果たしたと記載されています。異次元緩和が事実上、終了したといった見方もあるわけなんですけども、新たな金融政策の枠組みに名称をつけるのであれば、総裁はどのようにお考えでしょうか。(後半割愛)』
これは面白い質問ですね。回答はと言いますと、
『(答)一点目ですけれども、今日からといいますか、明後日から始まる金融調節、金融政策枠組みについて、名前を付けるかというご質問だと思いますが、特に名前は考えておりません。先ほど申し上げましたように、短期金利を主たる政策手段とする普通の金融調節になるということだと思います。(後半割愛)』
ということで、その前の質疑でも「普通の金融政策」って言ってましたし、異常な政策を終了させたんだから植田さんもっとドヤ顔してても良い筈なのになんか疲れたような表情だったのは以下同文。
・そもそも現時点での長期国債買入が常軌を逸した買入量であり金利上昇を抑制し過ぎているという認識はないのかね
さっきの質疑の後半ですけどね。
『(問)(前半割愛)二点目なんですけれども、今回YCCが撤廃されまして、これまで長期金利で
1%としていた上限のめどもなくなりました。この新たな枠組みでですね、長期金利が急激に上昇した場合は、機動的に指値オペを打っていくといったことになっているわけなんですけども、これはですね、金利水準が緩やかに上昇していく場合には、こういった対応を取らずに許容していくといったお考えなんでしょうか。』
というような質疑が今回も行われるわけですが、そもそも論としてマイナス金利解除をこれだけさんざん織り込ませにいっていたのにその間長期金利が碌すっぽ上がらないどころか低下したりしているわけでして、その時点で「今の買入額は過大であって、市場に金利低下方向でゆがみをもたらしている」という認識が聞く方に無いのもまあ困るんですが、さらに困るのは答えている方、すなわち日銀の方も今の買入がアホみたいに過大になっているという認識がどのくらいあるのか、ということなんですよね。
『(答)(前半割愛)それから、長期金利ですけれども、国債買入れは当面これまでと同程度の額で継続致しますが、そのうえで金利水準は市場が決めるものというふうに考えております。』
という回答をしているでしょ。
そもそも論として今の買入が狂気の沙汰としか言いようがない規模の買入になっているわけで、その買入を同程度で継続しておいて「金利水準は市場が決めるもの」になるんだと考えているんだったら、認知に重大な問題があるとしか言いようが無いわけでして、認知に重大な問題がある人たちに金融政策やらせるとか危ない以外の何物でもないんでとっとと退任してもらえませんかねえ、とまあそういう話になるわけですな(個人の偏見です)。
まあアレです、「金利水準は市場が決めるものだというふうに考えております(キリッ)」とかエエカッコシイの説明をするからこのハトハトチキンは一々癇に障るわけでして(全力で個人の感想です)、なんか植田さんって幾分(多分?)にナルちゃん入ってて、この手のエエカッコシイの発言をして後でややこしいことになるのを就任1年ですでにさんざんやっていると思うのですよね。
『ただし、ご質問にもありましたように、市場金利が急激に上昇する場合は機動的なオペを打つということは、バックストップとして担保しておきたいということでございます。』
という回答になっているんですが、この説明通してみると「そのうえで金利水準は市場が決めるものというふうに考えております。」のつながりが明らかにおかしくて、最初の「同額程度の買入」ってのと「機動的な買入を実施」ってのは金利を抑制します宣言な訳で、その間にこのエエカッコシイ発言が入るのが文章としておかしいんですよ。
まあこれが「金利形成を徐々に市場にゆだねていく」というように「(物価目標達成への確度がより高まれば)将来的には買入を削減していく」というような意味で言っているんだったら話は分かるんだが、だったらそう言えという話でして、このあたりの説明がどうもこう煮え切らないのが冒頭部分で連続していて、そのあたりがやはり特に為替市場とかからはハト派利上げ、みたいな評価になった原因だろうな、とは思うのですよね。
・長期国債買入の位置づけがどうなってるんだよ問題はやはり謎である
まあ今回とにかく長期国債買入を捨てがまりとして残すことによって他の変な政策を大幅に撤退した、という面が多分にあるので位置づけがわけわからんというのもある、という話を祝日の日にああでもないこうでもないと書いた訳ですけれども、この質疑見てても結局長期国債買入がどういう位置づけなのか、というのが中途半端な気がします。
『(問)二点お願いしたいんですけれども、今後の短期金利の引き上げのペース等は、経済・物価情勢次第だとは思うんですけれども、これは
2%の持続的・安定的達成の確度が更に高まったらやるということなのか、ちょっとまた違うその辺の政策反応関数になっていくのか、どういう条件が揃えば次の引き上げに動けるのかについて教えてください。』
こちらは金曜にもネタにしましたので再掲恐縮。
『二点目は、大量の、日銀は国債を保有しているために、そのストック効果による緩和もあると思うんですけれども、そうしたストック効果による緩和も加味したうえで緩和的な環境を維持するということなのか。そうであれば短期金利の引き上げというのは、今のような実質金利が相当低い中においては、相当速やかに実施する余地があるのであろうと思うんですけれども、日銀の保有している大量の国債保有のストック効果をどう考えるのかについてお願いします。』
このひとつ前のあたりからやっと「この先の利上げパス」とか「将来の長期国債買入縮減」という話になってくれた訳でして、いや今回の質疑応答で聞くのはそっちだろという話になってきておりますわな。
『(答)経済・物価情勢に応じて金利を上げていくということはどういう意味かというご質問だと思いますが、おっしゃるように
2%の目標の持続的・安定的実現の確率という観点で申し上げれば、いつも申し上げてきましたように、まだ
100%ではないわけですけれども、だんだん上昇してきて、1 月の決定会合から今回に至る間も上昇して、上昇した結果、大規模緩和の解除に必要な、ある種の閾値を超えたということで、今回の判断になったということでございます。』
これ金曜の繰り返しになりますが、最初に失言(??)してた「2%には距離がある」とはやっぱりずいぶんニュアンス違いますよね、ってお話でして、まあこっちが正式な想定問答でしょ、と思う訳ですが大事なことなので再掲しました。
よって、
『もちろんそれが更に上昇するということになれば、見通しが変わったという言い方になるかと思いますが、また別の言い方をするとすれば、基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば、それはまた短期金利の水準の引き上げにつながるということになるかと思います。』
なんで再掲したかというとこの後引用する質疑に繋がっているからです。
『それから、国債を私ども大量に保有していることのストック効果をどう考えるかということが後半のご質問だったと思いますが、これはもちろん、われわれも申し上げてきましたように、ストック効果というものが定量的に何%かというのは難しいですけれども、無視できない影響を長期金利に及ぼしていて、たくさん持ってるということですので、緩和方向の力が働いているということだと思います。』
と思うなら短期金利って上げられるよね、という質問をしているのになぜかこの後が、
『これは認識しつつ、しかし、買いオペや残高の調整を能動的な金融政策、金融調節手段としては用いず、主たる調節手段としては短期金利の調節をもって行うというのが今後の考え方でございます。』
で話をごまかしているのだが、植田さん「買いオペや残高の調整を」といってるのも微妙で、今回の声明文はストップベースではなく、買入のフローベースでの話で示されている筈なのですが、この言い方だと買入の調整をストック(つまりFED方式)で考えるという発想もありそうなんですよね。
でもって「能動的な金融政策、金融調節手段としては用いず」ってのも微妙でして、能動的ではないと言ってるくせに声明文の中に長期国債買入の額についてのガイダンスがあって、しかも「当面は」とだけ書いてあるんだが、能動的に変えないんだったらお前未来永劫買入このペースでやるんかいなという話。
実は前の質疑で長期国債の買入に関して
『(ひとつ前の質疑応答の植田総裁回答から)それから、バランスシートの大きさに関連しまして、長国買入れの金額ですけれども、現状の金額をしばらく維持するということですが、将来はどうかというご質問だと思いますが、前々から申し上げておりますように、大規模緩和終了後はバランスシート縮小を視野に入れていくというつもりでおりますので、将来のどこかの時点で、買入れ額を減らしていくということも考えたいと思いますが、今、具体的にそれについて申し上げられる段階ではございません。』
という説明をしていまして、いやお前その説明なら買入額を減らすときに「判断」が入るだろという話で、判断入れている時点で「能動的な金融政策手段」じゃねえかよという次第でして、どこまで行ってもこの長期国債買入の扱いがモヤモヤしているんですよね。
まあ今回は捨てがまり扱いだからそれを明示できなかった、ということなんだと思うのですが、「今後長期国債買入に関しては徐々に買入額を縮減していく」っていう方向性が明示的に出ていればここまでモヤることはないのですが、明らかに市場に対して過大な買入を継続する、という説明が前面に出てしまっているのがわけわからなくしている面が大きいんじゃないかなと思います。
ただまあ「現状の長期国債買入トゥーマッチにも程がある」という感覚が植田さんにどの程度伝わっているのかというと中々怪しいですよね、というのは後の方の質疑でも、
『(問)先ほど言われてたYCCを廃止したことによって金利形成を市場に任すということですけども、前回のステートメントでは上限が長期金利
1%めどというかたちで言われたかと思うんですけど、今回はそれをあえてなくして市場に任すんでしょうけども、先ほど言われた急激なものに対しては対応すると、急激ではない経済・物価を反映して緩やかな金利上昇ということであれば容認されるかと思うんですけど、上限のめどがないと、金融市場局の裁量が、どの程度の水準でオペレーションするかしないかとか、そこがちょっと何か判断できないんですけども、内部では上限みたいなものはボードから金融市場局には言うようなこともあるんでしょうか。』
『(答)そこは難しい問題だと思いますけれども、基本的な考え方としては、金融市場の状況とか金利の実勢をみたうえで、急激に上昇し過ぎていると思えば機動的なオペを打つということだと思いますが、その金利の実勢をみる際に、上限ここまでを超えたらもう目をつぶって何かしなさいとか、あるいはそれをボードから[金融]市場局に伝えるとか、そういうことはしないつもりです。ただし、機動的なオペを実施した場合には[金融]市場局との間で情報交換をきちんとして、適切であったかどうかのチェックは常に行うということになるかと思います。』
という金利が上がった時の話だけになっていまして、金利が過度に押し下げられているという認識が一切なさそうな質疑応答になっていますよね。いやまあ聞く方が金利上昇の話ししか聞かないから答えようがないというのはそらまあそれでわかるんですけど、実際に買入が過大(なので何かの買いフローが入ると直ぐにショートカバーっぽい金利低下が起きる)な認識をどの位もっているのかな、とは思いました。まあマイナス金利解除以降の市場の動きを見ていると買入が過大だし、短期の場合短国買入こそ額は少ないですけれども、長期共担や貸出支援オペを盛大に出したことによって担保ニーズをやたらと発生させるという一種の過大な買入のような事をしています、ってのがより見えやすくなったなあと思います。
・4月展望レポートはマイナス解除の消化試合ではない可能性が大有り名古屋は城で持つ
こんな質問がありました。これはよい質疑。
『(問)今後の利上げでちょっと確認させて頂きたいんですけれども、先ほど基調的な物価上昇率が上昇した場合ということを挙げられましたけども、今後、展望レポートで示した物価見通しが上振れる、あるいは上振れる可能性が高まる場合というのも、この追加利上げの判断材料ということになり得るのかどうか、総裁のご所見をお願いします。(後半割愛、というか次で)』
『(答)一点目ですが、大まかには、おっしゃいましたように物価見通しがはっきりと上振れるとか、あるいは中心見通しがそれほど動かないまでも上振れリスクが高まるとか、そういうことは政策変更の理由になるかと思います。すみません、二点目は。』
しらっと言ってますけど、4月の展望レポートでは経済は兎も角物価見通しをどう出してくるかというのはポイントになりそうで、それなりに判断を強めるような事を分かりやすく示す(=確度が更に高まるというようなフワフワお気持ちではない示し方ですね)と、年度替わりの価格改定に加えて中小企業の従業員の賃金動向もはっきりする7月終わりの展望レポート(何なら6月会合でもよくってよ)に向けた盛り上がりも期待できるというものですが、さあそこで正常化をもうちょっとわかりやすく示しにいくのか、それともハトハトチキンが優勢になってしまうのか、てのは楽しみになりそうですな。
・中立金利に関する質疑は山ほどありましたが&緩和的な環境を「維持する」とは想定問答に書いてなさそうな・・・・・・
さっきの質問の後半は聞き直しになったので、
『(問)(前半割愛)もう一点なんですが、当面は緩和的な金融環境を続けるということですけれども、その期間は、物価目標の達成まで緩和的な金融環境を続けるという理解でよろしいのか。また、何をもって緩和的な金融環境ということなんですが、今後、中立金利とか実質金利とかですね、そういうことを示して緩和環境を担保していく必要性について総裁はどのようにお考えでしょうか。』
中立金利の話ってだいたい中央銀行が都合の良い説明のツールに使いたがる(なおパウエルは基本的に使いたがってなさそうにみえます)のですが、意味としては明確でも計測不能にも程があって、結局事後的にしかわからないというのが何ともです。
でまあ聞き返されていましたので、
『(問)緩和的な環境を維持というのはどういう意味か。目標達成まで維持されるということでいいのか。中立金利とか実質金利を示す必要性についてどうお考えかということです。』
でもって回答。
『(答)これは、理屈上は基調的な物価上昇率が今まだ 2[%]には達してないというふうに考えていますが、それが
2[%]を下回っている間は、広い意味では緩和的な金融環境が続くということだと思いますが、その程度は基調的な物価が上昇していけば、だんだん緩和の程度は縮小していくということだと思います。』
この会見、最初の辺りでは例の「2%に距離がある」発言もそうなんですが、ハトハトチキンっぽい発言があったんですけど、途中から想定問答をちゃんと読んでる感が出てきましたんですよ。
と申しますのは、最初の例の「2%に距離がある」発言って金曜にネタにしましたが再掲しますと、
『ただし、その際に、現状、2%の物価の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至ったと申し上げましたけれども、例えば予想物価上昇率というような観点からみてみますと、まだ
2%には多少距離があるということですので、そのギャップに着目しますと、先ほどの普通の金融政策を行ううえでも、緩和的な環境を維持するということが大事だという点は留意しつつ、普通の金融政策を行っていくということになるかと思います。』(これは同日の植田総裁会見での発言、会見録3ページ中段になります)
と「緩和的な環境を維持するという点は留意しつつ」と会見の最初の方では言ってまして、これですと日銀が金融緩和環境を意図的に維持しますって意思が強めに伝わるのですが、直前の回答ですと、「広い意味では緩和的な金融環境が続くということだと思いますが、その程度は基調的な物価が上昇していけば、だんだん緩和の程度は縮小していくということだと思います。となっている訳で、寧ろ先行きは徐々に緩和縮小が進んでいく(もとより経済物価情勢が2%に向けて進めば進むほど政策の維持は緩和程度の拡大になってしまいます)というニュアンスが入るんですよね。
ということでですね、たぶん緩和に関しては「スムージングを行っていく過程において当面は緩和的な状態になりまっせ」という事ではあっても、黒田的な2%達成のためにガツガツ緩和する、ではないというのが本来の想定問答集的な回答なんじゃないのかね、とまあこれはあたくしの希望的観測も入っていますがそう思う訳です、
でまあ中立金利に関しては話をすると絶対にドツボに嵌ると分かっているのでもう途中からこの回答になっておりますwwwwwww
『そして、その金融環境は緩和的だということをもう少し解析的な表現で示せないのかということだと思いますけれども、これもテイラールールに似た話になってしまいますが、そういう次元の言葉で申し上げれば、現実の金利が中立金利よりも低い状態というのが緩和的な金融環境という、金利について言えばですね、ことになるかと思います。そこでいったん切りましょうか。すると中立金利は何%だという質問になってしまうかと思いますが、ちょっといったんそこで切らせて頂きます。』
てな感じで会見ネタでした。
2024/03/22
お題「マイナス解除初日の点描メモ/総裁会見からちょっとだけ(その1)」
げげースイス中銀利下げかよーーーーと思ったが
https://www.snb.ch/en/
SNB policy rate
1.75%
・・・・・・・・元のレートが1.75%で今回利下げ(向こうの時間の22日から適用)されて1.50%になるのでどこかの中銀とは比較になりませんわ
サイトのタイトル(とでもいうんですか、タブに表示される奴)を見たら「SNB
BNS」となっていまして、そういやスイス国鉄の車両には「SBB CFF FFS」ってあったなあ、と日本円安くて二度と行けなさそうなスイス様に思いを馳せるなど(もとからクソ高かったし)
声明文はこちらからDLできます
https://www.snb.ch/en/publications/communication/press-releases-restricted/pre_20240321
〇コールは上がったけど短国3Mとかマイナスのままなんですが何すかこれはwwwwwww
・無担保コールレートは0.7台中盤とな
いやー1億年ぶりくらい(大嘘)にこのページマジで見るわ
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp240321.htm
無担保コールO/N物レート(3月21日<木>速報)
日本銀行金融市場局
『平均 0.074%
最高 0.130%
最低 0.040%』
ということで平均が7bp台半ばになった訳ですが、まあコール取って日銀当座預金に超過準備を置ける人がコスト(コールの媒介手数料とかその他コストとか)考えてまあやる気になるレート水準、というものがありまして、これを真面目に考えるとまあこんなもんでしょという数字になると思われますのでこれはこんなもんで、一番きちんと反応しております。
・全体的な物無し芳一を反映しておられるようで東京レポレートェ・・・・・・・・・・・・
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/trr/index.html
東京レポレート
昨日のフィキシングでもヒストリカルでもいいんですが、まあヒストリカルの方をDLして拝見しますと中々の味わいが。
O/N T/N 1W 2W 3W 1M 3M
2024/3/21 -0.101 0.029 0.012 -0.016 0.004 0.019 0.044
という結果でして、トモネ2.9bpってナンジャソラという感じですが、そらまあGC玉が無かったり現先玉が無かったりする中で、プラスになったぜ資金運用だヒャッハーというニーズが来て、でまあコールの場合はクレジットの問題があるけどGCや現先だったら行けるやん!となればそっちの需要が強い、ってのは分かるんですが、コールよりも断然低いとかどんだけ資金運用需要ありますねんという世界。
あとですね、物無し芳一を反映している面もあると思うのですが、2Wがマイナスになっているのって要は末初の所で物無し芳一となった結果、物としての国債残高への帳尻ニーズが強いって状況になっているのを反映したんだと思うんですけど、実は今回の期末越えってついこの前までは・・・・・・・
O/N T/N 1W 2W 3W 1M 3M
2024/3/12 -0.104 -0.115 -0.099 -0.093 -0.086 -0.077 -0.014
2024/3/13 -0.099 -0.110 -0.094 -0.084 -0.075 -0.062 -0.008
2024/3/14 -0.098 -0.088 -0.069 -0.060 -0.055 -0.040 0.000
この時期のトム3Wのレポーレートって別に期末越えプレミアム乗っかっている数字になっていないんですよね。まあマイナス金利解除の思惑、ってのもあるから一概にプレミアム無し、とこれだけで行ってしまうのは早計なんですけど、TDBのレートとか見ててもそうでしたけど、3月利上げするという話になる前の時点からなんですけど、今回は期末越えの短国プレミアムが観測されませんなあ、と思いながら見ていたのですよ実は(という後出しサーセン)。
これ単なる物無しによるものなのか、それとも期末越えプレミアムが先祖返りしているのかが微妙に良く分からんところではありますが、足元のレポレートの低さ(ってかこのオーバーナイト▲10.1bpって何ですねん)がすげえええええという感じですな。まあ足元は玉が足りない上に期末接近だから、ってことで、徐々にここの金利も当預付利とコールをにらみながら形成されるようになってくるんじゃなかろうか、とは思うのですが、1か月くらい経ってもTKRRクソ低いとかだと市場構造の変化みたいな事を意味するかもしれませんし、まあ今後のGCレポレート動向に関しては一応気にしておいた方が良いのかもしれませんね。
・3M短国ェ・・・・・・・・・・・・・・・
いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1219 2024/06/24 平均値単利:-0.010
ちょwwwwwwおまwwwwwww
ということで先週金曜に入札が行われました3M短国のカレントちゃんですが、昨日の引けも堂々のマイナス金利になっておられます、というか19日というマイナス金利解除の日に引けがマイナスに突撃されておられまして、まあ実はこのレート19日対比で「変わらず」なんですけどね(18日は+0.005%でした)
おいこらちょっとどうなってるんだという話ではあるのですが、マイナス金利を8年以上もやっている間に、世の中色々と変化があって、特に流動性規制とかの類の規制が強化された結果として、短国っていうのはワールドワイドレベルで需要が強くなっているのはまあ皆様もご案内の事だったとは存じますが、こうやって発行量5兆円を超えるカレント3か月のビルが日銀様マイナス金利解除で、しかも日銀当座預金に10bp付利してるんだから実質的には誘導目標金利10bpみたいなもん、という状況にあるのにマイナスというこのニーズの強さ。
まあこれに関しても期末接近とか、最速で7月利上げとして見ても、7月のMPMまで掛らないテナーなので買いやすいとか、諸々の理由があるかとは思いますので、さて本日の入札1221回の3Mが幾らになるのか、というのは注目したいのですが、昨日のWIが申し訳程度に
国庫短期証券1221 2024/07/01 平均値単利;0.005
という申し訳のようなプラスが付いている、という時点でいやーな予感しかしないのですが、何せそちらの表記にもございますように、まだこの銘柄7/1償還なので、4月6月のMPMは跨ぎますけど7月のMPMは跨がない、という物件になっておりますので・・・・・・・・・
とまあそんなのをとりあえずネタというか記念備忘録にしておきます。長期金利??何でしたっけそれはwwwwwwww
〇植田総裁記者会見だが時間があんまり無いのでちょっとだけ(後日に続く)
すいませんすいませんなにせ生業があれなもんでちょっとだけ
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240321a.pdf
・期待インフレが2%に距離があるとは??????
最初の方に言ってた植田発言は注目されましたよね。
『(問)総裁、二問お願い致します。(前半割愛)もう一つはですね、今、総裁、当面金融緩和的な環境は続くというお話でしたけれども、今後の利上げの進め方について現時点で何かイメージをお持ちでしょうか。お聞かせ頂ければと思います。』
『(答)(前半割愛)それから今後の金利の見通しということでしょうか、後半は。これは最初に申し上げましたように、今後の主たる政策手段は短期金利になるというふうに金融政策を運営していきます。その短期金利の設定の仕方ですけれども、これは大まかな言い方で恐縮ですが、普通の短期金利を政策手段にしている他の中央銀行と同じように設定していくということになるかと思います。従って、物価・経済見通しに従って適切な政策金利水準を選んでいくということになると思います。ただし、その際に、現状、2%の物価の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至ったと申し上げましたけれども、例えば予想物価上昇率というような観点からみてみますと、まだ
2%には多少距離があるということですので、そのギャップに着目しますと、先ほどの普通の金融政策を行ううえでも、緩和的な環境を維持するということが大事だという点は留意しつつ、普通の金融政策を行っていくということになるかと思います。』
という説明なのですが、いや待て予想物価上昇率2%行ってないって何を捕まえて2%行ってないって事なのかという話で、確かに物価連動国債のBEIってまだカレントで120かそこら(昨日130くらいにあがってたけど)近辺だったような気がするんですが、まさか物国のBEIが2%じゃないからという話をしているのか?????と中々の謎発言。
でもってこれ植田さんの口癖なのかもしれないですけれども、今回もまた「まだ
2%には多少距離がある」という「多少距離がある」発言をしてしまったのが利上げしているのに円安、という為替市場ちゃんの動きに貢献したかと思いますので、ハトハトチキンさんまたやらかしましたね、という感じがします(個人の感想です)。
でですね、この「距離がある」がもしかしたらまた植田さんのやらかしだったんじゃないかと思われるのは、この先の質疑応答でこんなのがありまして、
『(問)市場はですね、今回マイナス金利解除をしてこの短期金利の利上げパスについて非常に注目が集まっておりますけども、先ほど期待インフレはまだ
2%から距離あるとかいう話で、一方で今後短期金利については、他の中央銀行と同じように設定していくということですけども、一方で緩和的な環境が続くということですけども、これは過去ですね、FedとかECBが連続利上げしたようなパスではないということでしょうか。また、経済・物価情勢によっては半年に
1 回とか、もしくは 3 か月に 1 回の利上げっていうのは考えられることになるんでしょうか。(後半割愛)』
『(答)短期金利が上がるとして、その場合のペースという点ですけれども、これは繰り返しになりますが、経済・物価見通し次第であるということになるかと思います。ただし、申し上げましたように、現在手元にあります見通しを前提にしますと、急激な上昇というような経路は避けられるというふうにみております。(後半割愛)』
となってさっきの「距離がある」から云々が無くなっております。ついでに言うと会見をテキスト検索すると「距離」はこの部分以降出てこないんですよね。さらにその先の質疑では、
『(問)二点お願いしたいんですけれども、今後の短期金利の引き上げのペース等は、経済・物価情勢次第だとは思うんですけれども、これは
2%の持続的・安定的達成の確度が更に高まったらやるということなのか、ちょっとまた違うその辺の政策反応関数になっていくのか、どういう条件が揃えば次の引き上げに動けるのかについて教えてください。(後半割愛)』
に対しても、
『(答)経済・物価情勢に応じて金利を上げていくということはどういう意味かというご質問だと思いますが、おっしゃるように
2%の目標の持続的・安定的実現の確率という観点で申し上げれば、いつも申し上げてきましたように、まだ
100%ではないわけですけれども、だんだん上昇してきて、1 月の決定会合から今回に至る間も上昇して、上昇した結果、大規模緩和の解除に必要な、ある種の閾値を超えたということで、今回の判断になったということでございます。もちろんそれが更に上昇するということになれば、見通しが変わったという言い方になるかと思いますが、また別の言い方をするとすれば、基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば、それはまた短期金利の水準の引き上げにつながるということになるかと思います(後半割愛)』
ということで、最初(最初の距離がある云々は冒頭幹事社の次の人の質問だった筈)言ってた「距離がある」とはニュアンスの異なる回答になっているのが読み取れると思います。
・・・・・・ということでですね、まあ会見での植田総裁の表情も微妙にさえなかった(こんなの本来なら満面の笑みで会見してもおかしくないのに)のも踏まえますと、冒頭で「距離がある」とか言ってしまったのがハトハトチキンさんの心象風景で、審議委員と大本営に押し切られて主君押し籠め、という陰謀論読みもちょっとアリエールなんとチャウのか、などと楽しい(楽しくないけど)妄想が止まりませんwwwwwwwwwwwww
・「私の見解も入れたい」んですかそうですかwwwwwwww
そうやって読んでみると最後の方の質疑で・・・・・・・・
『(問)先ほど総裁、異次元緩和の役割はどういうふうに果たしたかというところについてはレビューでというふうにお話しされてたんですけれども、総裁個人としてはどういうふうにお感じになってらっしゃるかというところを教えて頂けますでしょうか。』
『(答)私個人としての意見を特にまとめているところではありませんので、レビューをまとめる作業の中に私個人の意見を反映させていければなと思っております。』
というのもウルトラメタ読みをすると、今回の政策決定に私個人の意見があばばばばーと思ってしまいまして、カシュカリ総裁の頭髪程度には何かカワイソスな感じがしないでもない、という所ですな。というのはまあほぼ与太成分ですがw
ということで時間も無いので(さーせん)今日はこの程度のメモ書きで勘弁してつかあさい。
2024/03/21
お題「寝起きでFOMCだが簡単に参りますさーせん」
これでFEDがドラスティックなもんを出したら悶絶してましたw
〇声明文:雇用の判断を若干引き上げただけで見事に変更なしなし
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240320a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240131a.htm(前回)
・第1パラグラフ:雇用の判断文言を引き上げ
『Recent indicators suggest that economic activity has been expanding at a solid pace.』(今回)
『Recent indicators suggest that economic activity has been expanding at a solid pace.』(前回1月)
総括判断は同じです。
『Job gains have remained strong, and the unemployment rate has remained low.』(今回)
『Job gains have moderated since early last year but remain strong, and the unemployment rate has remained low.』(前回1月)
労働市場に関する文言にヘッジクローズみたいなのが無くなりました。足元の労働市場は基調的な強さがそのままでしたわ先日のは一時的でしたね、みたいな感じっすか。
『Inflation has eased over the past year but remains elevated.』(今回)
『Inflation has eased over the past year but remains elevated.』(前回1月)
3月になってもオーバーザパストイヤーの話なのけ、ということで据え置き。
・第2パラグラフ:本来先行きの話する場所のような気がするが情勢判断、リスクバランス評価に関する文言も一切いじらず
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回1月)
いつもの開行偈。
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals are moving into better balance.』(今回)
『The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals are moving into better balance.』(前回1月)
同じっすねー
『The economic outlook is uncertain, and the Committee remains highly attentive to inflation risks.』(今回)
『The economic outlook is uncertain, and the Committee remains highly attentive to inflation risks.』(前回1月)
同じっすねー、とまるで同じ。元は先行き見通し文言部分の筈なんだが、金融政策のフォワードガイダンスっぽく見られるのを嫌って最近はここ情勢判断とリスクバランスの事しか書かないというオシャンティな状態になっていますよねーーーー。
・第3パラグラフ:政策は据え置き、政策に関する文言にも一切手を加えず
時間もあんまりないのと段々めんどくさくなってきたので(おい)段々雑な比較になりますさーせん。
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target
range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent.』(今回)
『In support of its goals, the Committee decided to maintain the target
range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent.』(前回1月)
政策カワラナイデスネー
『In considering any adjustments to the target range for the federal funds
rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook,
and the balance of risks. 』(今回)
『In considering any adjustments to the target range for the federal funds
rate, the Committee will carefully assess incoming data, the evolving outlook,
and the balance of risks.』(前回1月)
いつもの「データディペンデントでおま」というのがあって、
『The Committee does not expect it will be appropriate to reduce the target
range until it has gained greater confidence that inflation is moving sustainably
toward 2 percent.』(今回)
『The Committee does not expect it will be appropriate to reduce the target
range until it has gained greater confidence that inflation is moving sustainably
toward 2 percent.』(前回1月)
グレーターコンフィデンスとかいう要するにお気持ちによって利下げ開始が決まるという文言も同じで、
『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury
securities and agency debt and agency mortgage-backed securities, as described
in its previously announced plans.』(今回)
『In addition, the Committee will continue reducing its holdings of Treasury
securities and agency debt and agency mortgage-backed securities, as described
in its previously announced plans.』(前回1月)
資産買入縮小に関して声明文では従来通りのペースでいきまっせとだけありますな。
『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(今回)
『The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective.』(前回1月)
締めのお経も同じ。
・第4パラグラフ:情勢次第であんじょうようやっておきますわ、は全文一致
ええい面倒だ必殺攻撃パラグラフごと比較でw
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on labor market
conditions, inflation pressures and inflation expectations, and financial
and international developments.』(前回1月)
・第5パラグラフ:今回も全員一致
これもパラごと引用でw
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Philip N. Jefferson;
Adriana D. Kugler; Loretta J. Mester; and Christopher J. Waller.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Michael S. Barr; Raphael W.
Bostic; Michelle W. Bowman; Lisa D. Cook; Mary C. Daly; Philip N. Jefferson;
Adriana D. Kugler; Loretta J. Mester; and Christopher J. Waller.』(前回1月)
・ディレクティブは変更なしです
まあ当然ですけど。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240320a1.htm
March 20, 2024
Implementation Note issued March 20, 2024
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20240131a1.htm
anuary 31, 2024
Implementation Note issued January 31, 2024
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation
あたくしが紙に出して(出さないで比較するのニガテニガテネー)見た感じ変更なかったと思うのだが見落としていたらゴメンチャイ。
〇みんな大好きドットプロットは「2024年の利下げペース鈍化」「ロンガーランはお気持ちだけ上昇」ですかね
今回
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20240320.pdf
前回
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20231213.pdf
いつもだと成長率とか物価とかも真面目に見るんだがちょっと明日以降で勘弁島倉千代子。
ということでみんな大好きドットプロットですが、FEDが今出しているドットプロットって足元とロンガーランはまあ意味ありそうですが、今で言えば2025とか2026とかただの鉛筆舐め舐めにも程があるので、まあその辺って正直読むだけ無駄だし、だいたいからしてFEDは「データディペンデント」って言ってるんですから、そんな長距離のガイダンスを出す方が意味不明という世界でもあるんですよね、なんか止めるにやめられなくなっているのですが。
ということで今日はドットプロットだけ
紙に出したものを目の子で確認してるから間違ってたらゴメンチャイ(一応あってる積りだけど)
今年の利下げ回数
0回:2人→2人
1回:1人→2人
2回:5人→5人
3回:6人→9人
4回:4人→1人
5回:0人→0人
6回:1人→0人
ということでして、つまり4回だった4名が3回に後退(というか何というか)しましたし、6回というハトさんも4回になりました。残りFOMCが6回、SEPが出て来るのが3回となっていまして、投票結果は3回弱って感じですなあ。まあこんなもんなのかしらとは思うのですが、隙あらば利下げヒャッハーやりたがるアメリカン金融市場の反応や如何に(ガチでまだ見ていないwww)。
ロンガーラン
分布がだだっ広いのですが、今回の特色としては・・・・・・
1番下の2.25-2.50の札が2→1になった
2.5%に札が集中していて8人いるのは変わらない
2.50-3.25の間にばらけている札に変化があって、全部で5→6になったのと、3人が3.00%に集まってきた
という感じですかね、3.50とか3.75とかに入れてる強い人はそのままステイ。
となっていたので、気持ち程度上がったって評価になるんじゃないかな、と思いました。
#今朝はこんなもんで勘弁してつかあさい
〇あ。一応日銀追記
寝ながら考えてて思い出したんだが(明日会見ネタと一緒に再掲するけど)
今回の総裁会見って、何ですかねえマイナス金利解除という大仕事をした、という割になんか別に、ウッキウキのニッコニコという感じが伝わってこなかった(個人の感想です)し、何なら質疑応答の最初の方とかちょっと「想定問答以外の発言をしそうになって慌てて軌道修正」みたいな風情を感じる(さすがに火曜日はようつべ日銀チャンネルyで見てました)場面があったように見えたんですよ。
ということはですね、ここしばらく何回か書いたかもしれないけど、「決断を渋るハトハトチキンさんを政策委員(除く中村さん野口さん)と大本営で押し切った」んじゃねえのという妄想が頭の中に膨らんで来るわけでして、それ即ち何ですねんと言えば、植田さんハトハト、というよりもチキンぶりがあまりにも酷いので遂に現代版主君押し込め座敷牢かな、という楽しい(楽しくないが)妄想が湧いて出て来るのを止められない今日この頃。
なお、そう思いながら会見を思い出したら割と泣ける質疑もあるんですけどそれは会見要旨出てからということで宜しゅうお願いするます。
2024/03/20
お題「マイナス金利だけでなく昭和温泉旅館まで含めた大鉈解除でアタクシの中では満額回答!」
はいどうもおはようございます(もう昼だけど)。いやまあ今回はもちろんちょっと唸る部分はいろいろとあるけど、まあ満額回答に近いというか、どうせそんなに大鉈振るえないだろ、というところまで大鉈を振るったのが素晴らしい、ということで以下愚感想を申し上げます次第です。まあ解釈には異論がある部分もあろうかと存じますが、こんな考え方もあるんジャマイカってことで。(長くなりそうなので途中途中でアップします)
〇総論:金利とバランスシートの水準はともかく政策手段を黒田前どころか包括緩和前まで戻しているのが評価高い
声明文
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf
金融政策の枠組みの見直しについて
粒粒の話はあとでしますが、今回実施した事って・・・・・
(1)金融市場調節方針(賛成7反対2)(注1)
→マイナス金利政策を解除して、コールO/Nというもともとの短期翌日物金利誘導に変更。金利に関しては超過準備全額10bp付利にした、というのもポイントが高くて、一応貸出促進付利などのガワ自体は残っていますが、すべての適用金利を超過準備付利金利と同じにすることによって、実質的な一層構造(所要準備のみ非付利)にしまして、あのしち面倒な三層構造がなくなりました。
先般来申し上げておりますように、そもそも三層構造ってマイナス金利の副作用軽減(マクロ加算残高)、マイナス金利導入以前に日銀の量的質的金融緩和拡大に協力して日銀当座預金を積み上げてきた金融機関に対する協力御礼(基礎残高)というのがあったから三層にしていただけの話で、個別行にしてみればこんなの管理がクソめんどくさいだけで、このクソめんどくさい管理がデットウェイトロスになっていたのですから、直接の収益とかではなくても社会厚生上(と大上段に出るワイw)非常に有意義な決定であったと思います。(なお地域金融強化のための特別当座預金制度、は通常会合マターのプルーデンスマターなので今回はそのまま残ります)
(2)長期国債の買入れ(賛成8反対1)(注2)
→あとでこの部分は改めて書きますが、ここは若干美しくないというか中途半端な部分があるのですけれども、同時に出たポンチ絵を見ますと
ポンチ絵
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319b.pdf
金融政策の枠組みの見直し(2024年3月)
右の『長期金利』を見ると、なんと今まであった謎のグラデーション付きの「長期金利の上限の目途」の図が全部なくなって、ただのテキストが入っている、ということになっております。
これはすなわち「YCCのガワが完全撤廃」ということでありまして、何らかのYCC的なもの(長期金利介入のための水準的な指針)が残るのかな、と思ったら綺麗さっぱり無くなっているのは(当日の日経朝刊にそれっぽいのがありましたが)結構よく頑張ったという感じでして、まあこれは要するに基本的には介入しないって言ってるのと同義なんですよね〜
(3)長期国債以外の資産の買入れ(全員一致)
→能動的に減らしに行かないと未来永劫減らないETFとREITの残高をどうするのか問題、というヤバい問題は存在するのですが、まあそれはそもそもが将来の課題なのでさておきますと、ETFとREITの新規買入停止だけではなくて、CPと社債の買入も1年をめどに、とかいう甘々な期限設定なのはちょっとねえとは思いますが、それにしましても買入を廃止する、とぶっこんでいるのがこれまたポイントが高い。
麿の作った碌でもない負の遺産であるところの包括緩和(2010/10)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2010/k101005.pdf
「包括的な金融緩和政策」の実施について
そもそもETFやらREITの買入ってのは麿の包括緩和による「資産買入基金」からおっぱじまっていますし、CP、社債の買入に関しても、リーマンショック直後の危機対応における買入(導入決定したのは2008年12月の金融政策決定会合です)という実績はありましたが、この時はスプレッドが危機前の水準に戻ると買入にオファーする人がいなくなる、という水準に設定された固定金利での買入でしたので2009年年末をもって無事に新規買入を終了した危機対応買入だったんですが、この基金買入になってからはそういう設計思想ではなくて「金融緩和のために買う」というものになりまして、基金買入をそのまま発展させた形で黒田バズーカの時に買入基金というガワを外した、というものになっていました。
ということでですね、この部分に関しては黒田緩和どころか白川時代の「包括緩和」の前まで押し戻す、という結構頑張った動きになっている(とは言え最初に申し上げた通りで積みあがった残高どうするねん問題は重いけど)わけでして、明示的にCP社債の買入廃止までやったのは(どさくさ紛れに)よーやったと思う次第ですし、これを機に日銀におかれましてはリスク性資産の買入というようなことは危機対応の時限措置以外で行うのは金輪際止めてもらいたいと心底願うものであります。
(4)貸出増加支援資金供給等の新規実行分の扱い(全員一致)
→凶悪な条件の「貸増」を含めましてすべての長距離オペに関して「期間1年」までまとめて全部短縮(気候変動はもともと1年でしたが)としたのも結構な話で、しかもそれをきちんと要綱変更の方式で行ったのは立派立派。
でもってオペレーション運用ということで同時に出た別の紙を見ますとですね、(長期国債買入の話はまたあとで)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240319a.pdf
本日の決定を受けた市場調節面の対応について
『3.その他の措置』ってしらっとあるけど、
『(1)短期の共通担保資金供給オペの運用
2022 年9月以降、金額無制限で実施してきた短期の共通担保資金供給オペについては、今後は、金融市場の状況を踏まえ、適宜の金額で実施します。オファー金額は、オファーの都度、通知します。』
おーーーーすげーーーーーーよくやったわーーーーーーーー、と思う訳でして、これに関しては昨日の朝の駄文で申し上げました通り、そもそもが「中小企業等の資金繰りを支えるとともに、より幅広い資金繰りニーズに応える観点から」というその場しのぎで作った理由にしてはちょっとお前それ廃止するときの理屈に困るだろ後先考えて屁理屈考えろや、という落ちのない落語みたいなオペだったのですが、なんということでしょう、導入時に言ってた「中小企業の資金繰りを支えるとともに」云々というのに全く触れないままさっくりとフルアロットメントを廃止する、というある意味豪快なプレイを実施してきました。
いやマジでこれは廃止の理由言わないで廃止するという割ととんでもないプレイではあるのですが、そうは言ってもそもそも導入した時の理由がその場しのぎのインチキ落語みたいな理由だったので、まあ誤魔化しにも程があるがよくやりました。昨日の駄文で不肖このアタクシ、「どうせ今回のマイナス解除でここまで手が回らないと思うのですが(と言いつつ見直しをしたら褒めてつかわす)」などと申し上げましたが、ちゃんと手が回っているということに結構感動しました。、いやこれはよくやったわ(ゴマカシ炸裂だけど)と思いましたので褒めてつかわす。
『(2)国債補完供給の運用
国債補完供給は、当面の間、「チーペスト銘柄等にかかる国債補完供給の要件緩和措置について」(2024
年2 月 29 日)を含め、現状の取扱いを継続します。ただし、「10 年物国債のカレント3銘柄にかかる金融市場調節面の措置について」(2023
年 2 月 16 日)は、取り止めることとします(注)。』
これ脚注の方には「そうは言いましても必要になった場合は復活しますねん」とは書いてあるのですが、この10年カレント3銘柄の措置は取りやめ、というのには「指値オペは基本的に抜かずの宝刀です」という意味合いが言外に籠っている、ということでありまして、従来は「長期金利の上限の目途」アラウンドで指値オペフルアロットメント方式が実施されることを前提にこのカレント3銘柄云々の規定があったわけですので、事実上の指値廃止(なんかの時の伝家の宝刀のためにガワは残しているけど)という事を意味していますね、とまあそんな話です。
あ、追記です(忘れてたので)
声明文項番1の脚注に、
『1 マネタリーベースの残高に関するオーバーシュート型コミットメントについては、その要件を充足したものと判断する。』
とありまして、オーバーシュート型コミットメントも廃止されましたので、国債買入の残高がどうのこうのという縛りも一切なくなっています。これは後程国債買入の話のところで改めて(あとフォワードガイダンス全部廃止もありますがそれは次章で)。
ということで個別に参ります。
〇今回実は「能動的、積極的な金融緩和」も解除されているし、先行きの緩和文脈ガイダンスも撤廃されているんですよね
ステートメント、というか要するに建付け部分に戻ります。建付けとは項番1ですね。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf
金融政策の枠組みの見直しについて
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、賃金と物価の好循環を確認し、先行き、「展望レポート」の見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した。』
つまりですね、現在の状況は「達成したとは言っていない」のですが「フォワードルッキングの観点から言えば達成がフォワードルッキングで見えている」という話ですよね。
『これまでの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みおよびマイナス金利政策は、その役割を果たしたと考えている。』
これ重要で、YCCのみならずQQE付きのYCC自体が「役割を果たした」のでありまして、これすなわち今回マイナス金利の解除と同時に「大規模金融緩和政策」も解除しているんですよ、現国のテスト問題的な言い方で申し上げますと。
『日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する1。』
ということでですね、ここの文言なんですけど、前回までの声明文を見れば金融政策運営に関してこのように書いてあるわけですよ。
例えば1月声明文の項番3
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240123a.pdf
『3.日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。
「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。』(この部分だけ2024/01/23声明文より)
前回までと大きく文言が異なっていることに気が付かれるかと思うのですが、そもそも「粘り強く金融緩和を継続していく」という文言がなくなっていまして、「経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する」としか書いていないということであって、なんか報道がことごとく勘違いしているようなのですが、今回の枠組み見直しによりまして、日銀ってもう積極的な金融緩和政策を行うとは言わなくなったんですよ。
声明文で示されている先ほどの文章を共通一次試験の現国でもやってるつもりで主語述語を読んでみれば分かるわけですが(って某S台や某K塾で勉強してたことを今更使うとはwww)、
「日本銀行は・・・・・適切に金融政策を運営する」となっているわけでして、その適切とは何ぞやというのが、「その(=2%物価安定目標の)持続的・安定的な実現という観点から・・・・・経済・物価・金融情勢に応じて」ということでありまして、ここでは緩和とも引き締めとも中立とも何とも言ってないんですよね。
従来はフォワードガイダンスがあって、そのガイダンスってのが1月会合声明文にあるように、(1)長短金利操作付き量的・質的金融緩和の継続文言、(2)マネタリーベースを傾向として増加させるコミットメント文言(いわゆるオーバーシュート型コミットメント)、(3)今後必要に応じて躊躇なく追加緩和を実施するという緩和バイアス文言、の3つのガイダンスがあったのです。
でも、3月声明文では「2%物価目標達成の観点から状況に応じて適切に運営しますよ」と言ってるだけなので、ここから能動的に緩和政策をガシガシやっていきます、という話ではないですし、そもそも論としてこれまでのガイダンスの(1)に示される政策に関して「役割を果たした」って言ってるのですから、これから実施する金融政策は「結果的に非連続を避けてみたら緩和的な政策になっておりますが」というだけの話になっているんですよねここの文言を共通一次試験張りにまじめに読みますと(個人の感想です)。
なので、ドル円151円台までホイホイ買ってる他市場の皆様も報道の皆様もすっかり騙されているようでございますけど、今回の声明文の項番1のケツですね、
『現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている。』
というのはよくよく見ますと、単に「今の見通しを前提にすれば今の状況は金融環境が緩和的って言えますよね。」という現状認識の話をしているだけなんですよ。なので今朝はさすがに日経本紙を大枚200円はたいて査収してきましたけど、マイナス金利解除は当然トップ記事なのですが、リードの部分で「追加の利上げを急がない考えも示唆した」っていう趣旨の記述をしているのですが、いやお前それは違うだろという話なんですよね。
なぜかというと、この1文前にあるように、先行きの金融政策運営に関しては、1月までと違いまして、なんらコミットメントはないんですよ。あくまでも「物価安定目標達成の観点から適切な金融政策を行う(ために短期政策金利の調整を行う)」と言っているだけであって、そりゃまあ今日の明日で追加利上げするわけではないですけど、先行き急ぐか急がないかは、その時の「経済・物価・金融情勢に応じて適切に運営」するのですから、今後経済物価情勢および先行き見通しに変化があった場合、というかそもそも論として2%物価安定目標の達成への確度がより一段と高まった場合においては、その際に適切な金融政策を実施する、って話な訳ですよね。
しかもですね、この声明文項番1の最後の文章ってあくまでも「当面、緩和的な金融環境が継続すると”考えている”」なのであって、積極的に緩和的な金融環境を作るとは言ってないわけですよ。そのうえこれは会見録が出てきたら分かりやすくなると思いますが、植田総裁の記者会見Q&Aの中でも、現状の金融環境に関して「きわめて緩和的」という認識を示している訳ですな。
つまりですね、経済物価情勢の一段の改善、物価安定目標達成に対する現状アセスメントや先行き見通しの一段の強気化が発生する、というかした”ことになった”場合、という方が正しいかもしれませんけれども、その場合において、短期政策金利の調整はありえますし、その場合でも現状が極めて緩和的な状態なのであれば、現状よりも状況が改善した場合には、政策金利の引き上げが行われても緩和的な金融環境になっている、という事に変化はないと言いやすいわけで、別に利上げが全然先とかそういう話で決め打ちするのは、今までの絶賛緩和レジームによって思考力が破壊されたのではないかと疑ってかかる事をお勧めしたい、と斯様アタクシは考えるのであります。
ということで邪道分析になりますがステートメント英語版を見ますとですね
https://www.boj.or.jp/en/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf
Changes in the Monetary Policy Framework
March 19, 2024
Bank of Japan
項番1の中で「役割を果たした」云々文言の文以降を確認しますと。
『The Bank considers that the policy framework of Quantitative and Qualitative
Monetary Easing (QQE) with Yield Curve Control and the negative interest
rate policy to date have fulfilled their roles.』
「have fulfilled their roles」なので、つまりはYCCどころかQQEもお役目達成、と仰せですよね。
『With the price stability target of 2 percent, it will conduct monetary
policy as appropriate, guiding the short-term interest rate as a primary
policy tool, in response to developments in economic activity and prices
as well as financial conditions from the perspective of sustainable and
stable achievement of the target.1』
ということでですね、こっちの方が案の定わかりやすいのですが、it will conduct
monetary policy as appropriate(itは日銀)という適切な金融政策を運営するにあたって、「in
response to developments」ということで、経済物価金融情勢の進展には対応して政策をコンダクトする、って言ってるわけでして、先月までの政策ガイダンス文言英語版ですと「in
response to developments」という文言はなかったんですよね。
つまりですね、声明文項番1の最後から2番目の文章ってのは、「政策はその時の情勢に応じて変化しうる」というまあ本来は当たり前の話に戻っただけではありますが、そういう事を宣言している、ということを意味するわけで、そういう文脈から考ますと、これは一種の「データディペンデント宣言」に近い(ただし2%目標を達成したということになっていないので、完全にデータディペンデントなのかというとそうではない、という答えになるはず)訳ですよ。
でもって最後の一文ですけど、この英語版が、
『Given the current outlook for economic activity and prices, the Bank
anticipates that accommodative financial conditions will be maintained
for the time being.』
日銀は別に当面の金融緩和をconductするとは言ってなくて、あくまでもanticipateしているだけですし、当面の間となっているのも「for
the time being」ということで、extended periodとかそういう時間軸ではない、ということでして、まあこれは4月の展望レポートが結構重要になってくるわけでして、4月の展望で物価目標達成に対する評価が一段と強気化すれば、7月の展望での再利上げ、というのも全然不思議じゃないということになろうかと思います。そこまで行けるかどうかはよくわからんですが。
続きまして長期国債買入に参ります。
〇長期国債買入の位置づけがすっきりとしない件について
・長期国債買入の位置づけが謎なんですよね〜
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf
金融政策の枠組みの見直しについて
声明文項番1によりますと、
『日本銀行は、引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する1。』
とありまして、今回決議された内容をみると
『(1)金融市場調節方針(賛成7反対2)(注1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す2。』
となっているので、いわゆる金融市場調節のディレクティブは上記の「無担保コールレート」の話(まあ促さなくても超過準備にオール10bp付利したら黙っていてもコールは0と10の間になりますが)になっているのですが、以下
『(2)長期国債の買入れ(賛成8反対1)(注2)
これまでと概ね同程度の金額3で長期国債の買入れを継続する。長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。』
というのが入っているのですが、これは「金融市場調節方針」ではないんですよね。これまでは「長短金利操作」となっていて、「金融市場調節方針」の中に「短期金利」「長期金利」となっていたのですが、今回の枠組み変更によっての「長期国債の買入」が金融調節方針ではなくなったので、じゃあこの位置づけは何なんですか、というお話なんですよ。
なお、
『(3)長期国債以外の資産の買入れ(全員一致)
@ETFおよびJ−REITについて、新規の買入れを終了する。
ACP等および社債等について、買入れ額を段階的に減額し、1年後をめどに買入れを終了する。
(4)貸出増加支援資金供給等の新規実行分の扱い(全員一致)
貸出増加支援資金供給、被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペについては、貸付利率を0.1%、貸付期間を1年として実施する。貸出増加支援資金供給については、貸出増加額と同額までの資金供給が受けられる仕組みとする。』
というのは(3)は廃止方針が明確に書かれているので話としては分かりますし、(4)は制度内容の手直しであって市場調節方針とは関係ないのも分かるのですが、長期国債買入に関しては、そもそもこの買入の意味が宙に浮いている状態なのと、買入の額が「おおむね同金額」とかフニャフニャな数字になっていて、しかも前述したようにポンチ絵によれば「YCCのガワは完全撤廃」なので、そもそも長期金利を能動的にこのあたりの水準にコントロールしよう、ということは建付け上放棄されたことになっている筈です。
従来は「金融緩和政策のために長期国債の買入を行っている」でしたし、もっと昔に戻れは「成長通貨の供給」だし、2010年10月に導入された包括緩和政策における「基金買入」の中でも長期国債の買入があって、こちらは当時の声明文を見ますと、『金融緩和を一段と強力に推進するため、以下の3つの措置からなる包括的な金融緩和政策を実施することとした。』となっていて、ゆうてみれば2010年10月の基金買入による基金買入以降が「金融緩和を推進するための長期国債買入」だった訳です。
然るに、今回の枠組み変更に伴い、金融政策に関しては『経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営する。』とは言っていますが、この政策のガワについては(現実問題として緩和的な状態ではありますけれども)声明文の中で「金融緩和政策を遂行する」というような言い方にはなっていないのでございますな。
そうなりますとこの買入って何ですねんんという話で、もちろんここまでアホのように買入を行っているから、いきなり新規の買入をゼロにするとか、持ってる国債売り飛ばすとかは現実に不可能な話ですし、かなり長期間続いたマイナス金利と金融緩和のための長期国債超大量買入れ、からのおおきな不連続は回避する、というスムージングの意味は分かるのですが、それ以外にこの買入ってやる意味あるんですかというお話。
これがですね、例のポンチ絵の
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319b.pdf
金融政策の枠組みの見直し(2024年3月)
『長期金利』を見ても前述のようにYCCという「ガワ」は完全撤廃、すなわち長期金利に関しては別に市場が決めるんじゃろ知らんがな、ただし投機的にアホみたいに売られるときは伝家の宝刀を抜く用意はあるよ、ってな感じになっていまして、「長期金利の水準をコントロールしようとは思っていない」というのが話をややこしくしておるのです。
なんせこの人たち、内田さんが企画局長で正木さんが政策企画課長だった時に入れたYCCの時の
金融調節市場方針ってこうなっていたんですよね(2016/09)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160921a.pdf
金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
『@ 金融市場調節方針(賛成7反対2)(注1)
短期金利:(割愛)
長期金利:10 年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約
80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止する。』(この部分のみ2016年09月21日の金融政策決定会合声明文項番2より引用)
この時は、この「概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」と言いながらその後は買入を減額していった、という実績があるだけに、今回の声明文における
『これまでと概ね同程度の金額3で長期国債の買入れを継続する。』(今回の声明文、再掲)
というのがはてさてこの「おおむね同程度」とはどこまでが「おおむね同程度」なんでしょ、というのを相変わらずグレーにしているの巻、となっている訳ですな。
一応考えられるのは、今回って長期金利の金利ガイダンスを撤廃していますので、金利のことを気にしないんだったら実質的に買入が固定チックになるという事になるはずなんですけど、ここで問題になるのは同日に公表された「当面の長期国債等の買入れの運営について」になります。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240319c.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
2024 年 3 月 19 日
日 本 銀 行
金融市場局
『日本銀行は、長期国債等の買入れについて、当面、以下のとおり運営することとしました(2024
年 3 月 19 日より適用)。』
となっていますが、この文書の発出は「日本銀行」ではなく「日本銀行金融市場局」になっているので、この「運営」は金融市場局マターとなっているのですね。
でもってここでやや問題があるのではないか、と思うのは、同日に出たオペ紙でも示されていますが、ここの運営について、でも示されていますように、
『(3)買入金額
四半期予定において、種類別・残存期間区分別の買入金額をレンジ形式で公表し、当四半期中は、原則として、当該レンジの範囲内で、市場の動向や国債需給などを踏まえて運用する。』
となっているのですが、四半期予定で出す、ということはこれ当然ながら次回の金融政策決定会合以降の予定も出していることになるんですよ。特に今回なんて4月末には次回の金融政策決定会合があるわけなんですよね。
金融市場調節方針に関しては「次回決定会合まで」なので、本来決定会合跨ぎの指針を市場局が勝手に出してよいのか問題、というのはまあ実はこの枠組みになる前からも当然あったのですが、YCCの枠組みの場合は、基本的に「長期金利操作目標に整合的になるように買入を行う」ということで、金利が先にありましたので、その金利水準が変更になれば買入方針がその決定会合をもって変更になる、というのが明確でしたが、今回からは「金利水準」が決まっているわけではないので、必然的に「何らかの基準をもって示す買入額」が重要になるわけですよ。
ということでですね、この声明文で示されている「長期国債買入」に関する「これまでと概ね同程度の金額3で長期国債の買入れを継続する。」は都度金融政策決定会合で決定(変更)するのかしないのか、という建付けもいまいち腹落ちしないんですよね。
てなわけで、「そもそも何の目的で長期国債の買入を実施しているのか」というのと「買入のメルクマールになっている「金額らしきもの」は決定会合で都度決定するものなのか」というのが不明確なまま今回発車した感じになっているのは実に気持ち悪いというか腹落ちしない部分であります。
そもそも論として長期国債買入のフロー金額を決定会合の都度ベースで決めるのであれば、なんで金融市場局が「6月までの買入額」を示せるのかというのが意味不明でして、これは普通に考えて決定会合跨ぎ(しかも6月末までの間に2回の決定会合がある)の予定額出すの越権行為にも程がねえか、という話で、毎月公表に戻すべきだと思うんですよね、買入フロー一本鎗になったんだから。
・・・・・・・まあだいたい想像(妄想)できるのは、「4-6月は月額5.9兆円の買入(オペ紙のレンジの真ん中で買入をするなら直近の買入と同額になる)を行いますよ、すなわち不連続な変化は起きませんよアピール」をしたいからこういう見せ方をしたんだ、というのはおおむね想像は付くわけですけれども、でもやっぱり買入額のフロー自体が声明文に思いっきり掲載されている状態で、次回会合どころか決定会合を2回跨ぐ先の「買入予定額」を出すのは権限上筋が通ってないだろ、とアタクシは斯様に思うのでありますがどうなんでございましょうかねえ。
でもってさらに謎なのは、この買入額っていうのについて声明文に戻ると、
『これまでと概ね同程度の金額3で長期国債の買入れを継続する。(以下略)』(声明文再掲)
となっていて、その脚注が、
『3 足もとの長期国債の月間買入れ額は、6兆円程度となっている。実際の買入れは、従来同様、ある程度の幅をもって予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していく。』
となっているのですが、「市場の動向や国債需給などを踏まえて(買入を)実施していく」と言ってるのだが、市場の動向や国債需給などを踏まえて、って言ったって従来と違って長期金利ターゲットの目標も上限目途もないのに、市場の動向や国債需給などを踏まえて、って何をどう踏まえるんだよと小一時間問い詰めたいわけでありまして、どこからどこまで金融市場局に授権しているのかが、今回でた文章だけだと全然腹に落ちてこないことですな。
でまあその「市場の動向や国債需給」の「国債需給」に関しては、皆様ご案内の通りでございますが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240319b.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2024年4〜6月)
で今回なぜか越権オブ越権で6月の買入予定まで示されている体になっていますが、買入予定額のレンジが、
レンジ下限 レンジ上限
-1y 1,500 1,500
1y-3y 3,000 4,500
3y-5y 3,500 5,000
5y-10y 4,000 5,500
10y-25y 1,000 2,000
25y- 500 1,000
JGBI 600 600
(一本の奴は上限と下限に同じ数字入れるの巻)
になっていまして、この中心値って
-1y 1,500
1y-3y 3,750
3y-5y 4,250
5y-10y 4,750
10y-25y 1,500
25y- 750
JGBI 600
なわけで、直近の買入と同じ、となりますとあちこちの皆様がご指摘していると思いますが、4月からのカレンダーベースの国債市中発行額って、普通の新発国債が6000億円減額になる(流動性供給の増額分を加味すると5000億円減額)ので、「国債需給などを踏まえて」ってのがそもそもまるで踏まえてねえだろお前何考えてるんだという買入予定額になっている訳ですよ。
いやまあマイナス金利解除(のどさくさに紛れていろんなものを包括緩和の前の辺りまで押し戻すという大英断)をするにあたって、特に他市場のアホウとか海外投機筋とかいう人の国の制度設計の理解も怪しいホームラン級のアホウとかが、4月からのカレンダーベース市中発行額減額という事実も知らないで、「早速国債買入が減額されたんだがこれは不連続じゃないじゃないか」とかぬかしやがって、相場の世界馬鹿であっても集団になれば力、という残念な現実があるので、馬鹿どもが馬鹿騒ぎをして不測の事態が起きないようにする、という点を考慮したんだろうなあ(逆にこっちに注目が集まるのでいろんな他の物に大鉈を振るっても話題にならないというデコイの効果ですね)とは思うのですが、まあ何かここは声明文で書いてあることと、オペ方針、オペ紙で出されている事の整合性が取れていないという、今回の枠組み変更において残念なところだと思います。
だいたいですね、総裁会見の方では確か「長期金利の形成は市場にゆだねる」みたいな言い方をしていたと思うのですが(前の柔軟化の時のと頭の中でごっちゃになっているかもしれないけど)、だったらなんでタダでなくさえ流動性枯渇して困っている債券市場の国債買入を実質拡大するのか、ということでもありまして、この長期国債買入の見せ方は、今回もろもろの大鉈振るうためのデコイだとしても、ちょっとどころではなく腑に落ちないなあとは思うのであります。
まあこの点に関しては早ければ4月の展望会合、遅くても次回の0.25%(でしょどうせ)への利上げの段階でもうちょっと綺麗に整理すると思うんですけどね。すなわち「今の見通し通りに経済物価情勢が進展して、2%物価安定目標の達成がさらに確実視される動きが続けば、長期国債の買入フローも市場金利の急騰などのような不連続な変化をもたらさないようにしながら徐々に減額をしていく」というのが本来の大方針になって然るべきでして、物価安定目標の達成に向けた判断を進める中において、この曖昧な状態(足元の話のはずが4-6月期、というような市場としてみればそれなりの期間、国債買入が事実上増額されるという意味不明な絵になっていること)はもう少し交通整理が行われることを期待します。
〇付利金利関連
声明文の短期金利に参ります。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240319a.pdf
『(1)金融市場調節方針(賛成7反対2)(注1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0〜0.1%程度で推移するよう促す2。』
脚注2
『2 この方針を実現するため、日本銀行当座預金(所要準備額相当部分を除く)に0.1%の付利金利を適用する。新たな金融市場調節方針および付利金利は、翌営業日(3月
21 日)から適用する。』
ということで、見事に事実上の一層構造になりました。次の積み期間じゃなくていきなり翌営業日適用というのはリードタイムなくて、期末の決算とかそっちはまだしも、事務面で全員が全員準備できているのかというとたぶん準備出来ていないと思うのよね。
まあ次回以降に関しては「プラス金利が利上げ」だから即日適用でもいいくらい、とは言いましても、かつて即日適用をしていたのは、おおむねトン調節の世界で回っていて、インターバンク市場の金利誘導を日銀の日々の金融調節オペレーションで実施していたので、決定会合で無担コール翌日物の誘導目標水準を変更すると、その直後に即日オペが実施されてその日の誘導金利水準に合わせるように調節が運営される、というシステムになっていましたけれども、超大量の超過準備を常設ファシリティ(=超過準備付利)で不胎化する、という方式で行っている場合、政策変更があったので常設ファシリティの金利を変更します、ってのを即日やった方がいいのか翌日やった方がいいのか、というのは実務上悩ましいところがあるかもですけど、おそらくこれはキメの問題になると思うので、慣習法として通常はどっちにするのか、というのがあると良いんじゃないかとは思いました。
まあ今回の場合はとにかく「名目マイナス金利と名目プラス(あるいはゼロ以上)金利の間に聳え立つ名目ゼロ金利制約」というのがあって、名目ゼロ金利制約のせいで取引しなかった/できなかったという人たちがいざ明日から全員参加できるのかとか、そもそも取引をみんながおっぱじめて事務回るのかとか、昔の取引が復活するにしても昔と同じと手法なのか違う手法なのかとか、まあ細かいところが明日(これ読んでいる皆様のお時間的にはたぶん今日だと思いますが)からしばらくエライコッチャのまま期末を迎えそうだし、まあ期末だしちょっとしばらく様子見で参加控えるか、ってな向きも出てきそうだし、まあどうなることやらドキドキもんですわこりゃ。
〇そもそも情勢判断について
そもそも本来はそっちを見ないといけないんですけど、まあだいたいからしてもっと昔からマイナス金利なんぞは無くなって然るべきでしたよね論者なので情勢判断なんぞはどうせ後付け理屈よwwwwとは思いますが。
同じく声明文、項番2になりますね。
『2.わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している(別紙)。』
別紙ですが、本来は展望レポート基本的見解の鏡の部分で示すような話をしています。この後に。
『賃金を巡る環境を整理すると、企業収益は改善を続けており、労働需給は引き締まっている。こうしたもと、本年の春季労使交渉では、現時点の結果をみると、昨年に続きしっかりとした賃上げが実現する可能性は高く、本支店における企業からのヒアリング情報でも、幅広い企業で賃上げの動きが続いていることが窺われる。』
でたなアネクドートのおまけつき。
『物価面では、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているが、これまでの緩やかな賃金上昇も受けて、サービス価格の緩やかな上昇が続いている。』
これ今回の物価上昇局面において、途中では「サービス価格が上がらないんですから金融緩和は継続ですな」という屁理屈に使っていて、その後サービス価格が強含みだすとサービス価格への言及がなくなった、と思ったら今回の枠組み変更では堂々とサービス価格の話が出る、という具合でしてどう見ても後付けです本当にありがとうございました、ってなもんや三度笠でありまする。
『このように、最近のデータやヒアリング情報からは、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、見通し期間終盤にかけて、「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した。』
のでマイナス金利もYCCも解除する、ということですが、もともと直近までのガイダンス文言では「「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。」とあったので、見通せる状況の時点でYCCまで解除するのは割と蛮勇チックといえば蛮勇チックでもあるのですが、もうどさくさに紛れて全部やってしまえ、というのと、長期国債買入まさかの同額実質増額、というのを金ケ崎の退き口の木下藤吉郎状態で置いておいて、ほかの全軍を無事に撤収させてしまったので、まあ見事な引き際になったとは思います、捨てがまりの長期国債買入はこれからどうするんだ問題がありますが。
でもって展望レポート基本的見解の鏡ばりに別紙があるのでそちらに参る。
1月展望はこちら
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2401a.pdf
声明文別紙と1月展望基本的見解の現状認識、先行き見通しの部分を比較しますね。
『わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。』(今回)
『わが国の景気は、緩やかに回復している。』(1月展望)
現状判断引きさがっているんですよね〜
『海外経済は、回復ペースが鈍化している。そうした影響を受けつつも、輸出は横ばい圏内の動きとなっている。鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きとなっているが、足もとでは、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響もあって減少している。企業収益が改善するもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(今回)
『海外経済は、回復ペースが鈍化している。そうした影響を受けつつも、輸出や鉱工業生産は、横ばい圏内の動きとなっている。企業収益や業況感は改善している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。』(1月展望)
鉱工業生産が特殊要因で下がりましたと。業況感に関しては前回は短観後の会合なので記載があったというだけでこれが抜けたのは他意ありません。
『雇用・所得環境は緩やかに改善している。個人消費は、物価上昇の影響に加え、一部メーカーの出荷停止による自動車販売の減少などがみられるものの、底堅く推移している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)
『雇用・所得環境は緩やかに改善している。個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、緩やかな増加を続けている。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。』(1月展望)
個人消費の判断を引き下げていますね。
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(1月展望)
いつも通り同じ。
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、政府の経済対策もあってエネルギー価格の寄与は大きめのマイナスとなっているものの、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰しつつも残るもとで、サービス価格の緩やかな上昇も受けて、足もとは2%程度となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、政府の経済対策もあってエネルギー価格の寄与は大きめのマイナスとなっているものの、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰しつつも残るもとで、サービス価格の緩やかな上昇も受けて、足もとは2%台前半となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。』(1月展望)
物価の現状判断文言は同じと。
でもって先行き。
『先行きのわが国経済を展望すると、当面は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(今回)
『先行きのわが国経済を展望すると、当面は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果などにも支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる。その後は、ペントアップ需要や経済対策の効果は和らいでいくものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが経済全体で徐々に強まっていくなかで、わが国経済は、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。』(1月展望)
結局のところ結論は同じなのだが、なんか書いてあることがだいぶすっきりした感。ごてごてしたのをだいぶ削りましたね。
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、来年度にかけて、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰するもとで、政府による経済対策の反動がみられることなどから、2%を上回る水準で推移するとみられる。』(今回)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、来年度にかけて、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰するもとで、政府による経済対策の反動がみられることなどから、2%を上回る水準で推移するとみられる。』(1月展望)
同じじゃん。
『その後は、これらの影響の剥落から、前年比のプラス幅は縮小すると予想される。』(今回)
『2025年度については、これらの影響の剥落から、前年比のプラス幅は縮小すると予想される。』(1月展望)
同じじゃん。
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていくと考えられる。』(今回)
『この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、見通し期間終盤にかけて「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていくと考えられる。』(1月展望)
見通し期間終盤、というのはそもそも今回は展望会合じゃないので見通し期間終盤に該当する期間の予想が出ていないのでここの解釈は留保付きになるけど、別にこれは見通しが早まったということではなく、たぶんなんですけど「見通しは同じ」なんですよね。
でもって物価見通し同じなのになんでマイナス金利解除したのか、というのは「見通せる」かどうかという「お気持ち」の世界、という事になろうとか思います、
2024/03/19
お題「日経報道と雑感/トモネ買現3兆はやり過ぎ/フルアロットメントオペは廃止か運営の工夫を望む/1YTDB」
オラもワクワクしてきたゾ!!!!!!
・・・・・ということでワクワクはしているのですが細かい所はまあ出てきたものを見て評価していくしか無かろう、と思う訳なのですが、はてさて何が出て来るんでしょうね。
〇日経新聞報道でましたね&今回の流れは(小芝居じゃなければ)植田さん棚上げまっしぐらですよね・・・・・・
・日経朝刊は(無課金なので)内容よくわからんが昭和温泉旅館の解体はやる気満々なのかな
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB172JO0X10C24A3000000/
日銀が大規模緩和解除へ、19日決定 長短金利操作も撤廃
日銀政策決定会合
2024年3月19日 2:00 [有料会員限定記事]
『【この記事のポイント】
・政策金利はマイナスから0〜0.1%へ転換
・長期金利の誘導目標撤廃、YCCは終了
・日本株ETFやREITの買い入れも廃止
日銀は19日の金融政策決定会合で大規模緩和の解除を決める方針だ。マイナス金利政策のほか、長期金利を抑え込むための長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上場投資信託(ETF)などリスク資産を買い入れる枠組みもなくす。物価2%目標を持続的に達成...
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とまあそういうことで、まあここまでは普通に想定されている事ですねえ、と思ったら今回の一連の報道の途中で大敗北モードになって他社のリファーしかしなくなってしまったBBGさんがこんな記事を。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-18/SAK5H5DWX2PS00
日銀が大規模緩和の解除を19日に決定へ、YCC終了−報道
鈴木克依、Enda Curran
2024年3月19日 4:19 JST
→リスク資産買い入れの枠組み撤廃、一定の国債購入は継続−日経
→報道後に円は一時上昇も、小幅安に−149円10銭前後で推移
ということで。
『日銀は19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策のほか、長期金利を抑え込むためのイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)や上場投資信託(ETF)などリスク資産を買い入れる枠組みをなくし、大規模緩和の解除を決める方針だと、日本経済新聞が電子版で報じた。』(上記URL先より、以下同様)
など、ってのにCPと社債は含まれるんですかねえ問題。社債に関しては徐々に買入を減らして次の利上げの時かその次(あるかどうか知らんがワイはあると信じてwいる)の利上げ辺りに新規買入はナッシングとかその位は経過措置取りそうな予感はするのですが、まあCPは要らんでしょCPは、と思うのですがこの辺に関する記事って(モノがマイナーで他市場からの興味が一切無さそうだから記事にしても釣果が期待できないこともあって)何か無いんですよね。
『この報道によると、YCC撤廃後も金利の急騰を防ぐために一定規模の国債の買い入れは続けるが、市場実勢に反して金利を低く抑え込む枠組みは撤廃。1%としている長期金利の上限のめどをなくし、市場の金利変動を容認する案があるという。』
というのが「おー」という感じでして、長期金利の「0%」は誰がどう見ても外すのですが、長期金利が日銀的に怪しからんと思う急騰をした時に市場介入する、という場合に何らかの金利の指針があると介入する方としては介入しやすい、という面があるので実務に配慮するのかという話もありましたが、まあ本来はそんなの入れると却って投機を誘発するリスクもあるし、長期金利コントロールとかいう本来はただのマイナス金利付大規模QQE政策の限界を誤魔化すための延命措置として行われた政策を変な形で残しておいても仕方ないし、残ったYCCの残骸のせいでまた無用のフリクションを生みたくない、というのも含めて、金利目途の方も撤廃する、というのは正統派おぶ正統派なので、メドも撤廃してきたら(全体を見ないと何とも評価できませんが)その点は評価したいですね。
・まあゆうてみれば長年の緩和大会からのレジームチェンジの第一歩(または準備開始)っすからね
まあなんせその前の白川さんの包括緩和(そもそもQQEって気合とか期待とかニバイニバーイとかそういうのは白川さんからのチェンジですけど、ぶち込んだ政策の具体的施策自体は包括緩和を派手に拡大しただけで別に新機軸という物はなかったわけです当初の時点では)から徐々に昭和温泉旅館の増築が始まっておった訳ですが、その後のマイナス金利政策実施から変なオペをこれでもかとばかりに打ち込んできて、バランスシートはアホみたいに拡大するわ政策のロジックは継ぎはぎになるわの昭和温泉旅館状態となった訳ですよ。
でもってですね、よくよく考えて見ると(考えなくてもそうだが)今回って「2%物価安定目標の達成が見通せてきた(達成したとは言っていない)」からマイナス金利政策とか言うクソ忌々しい黒田の残した最大最悪の糞便政策が外れる訳ですが、今回はなんせこの政策が糞便だから清掃するのではなくて、物価安定目標達成が見通せた、という目標達成に一部紐ついた解除になりますので、これは即ち長年の緩和レジームからやっとの思いで「普通の」金融政策レジームに戻る第一歩、というかまあそっちに向けて身体の向きをやっと変えてこれから第一歩を踏み出す準備(ゼロ金利からのリフトオフが第一歩なんじゃないかと思いますけどねアタシャ)が始まる、というお話なわけですな、うんうんなんか書いててアゲアゲになってきたゾw
でまあそんな新しい門出に向けた準備をする、ってえのに両手両足に昭和温泉旅館の残滓を引きずっておりましたら新しい門出もあったもんじゃない訳でして、昭和温泉旅館は極力今回、今回で全部は無理かもしれないのですが次の0.25%への利上げ(と勝手に決めうちしていますが個人の見解ですこれはw)の時には昭和温泉旅館の余計な増築は重機で叩き壊して整理整頓して綺麗にして頂きたいものですが、日経の観測記事(を報じたブルームバーグ記事)の印象だと結構ガチで重機を持ち出してきているんジャマイカと感じるのでこれは期待したいところではあります。
・一連の観測報道は今回時事通信の大圧勝でしたがまあ本来は事前報道で話が進むの勘弁して欲しいわ
まあ事前報道で勝ったとかいうことになってしまうのも如何なものか、というのは小見出しの通りでして、本来はもっと審議委員がその立場からある程度「私はこう考えます」というのを出してもらって、でまあその出て来る意見がどのように変化していくのか、審議委員の間で意見が揃ってくる流れが起きるのか、と言ったことをもう少し発信する機会があれば、「多様な意見がこのように集約されて行ってこんな政策になるんですよね」というまあ理想論だし書生論かも知れないけど、そういう形で健全な情報発信になると思うんですよね。
然るに、まあ今回も結局従来と同じ流れなのですよね変わらんよね日本って、と思うのもありますけれども、今回って結構興味深かったのは普段あんまりこの手の報道でぶっこんでくる風習にない時事通信が渾身のぶっこみを連発していたことでして、ご案内の通り10年のプラマイ0.1%の上下限を2倍程度に引き上げるってやった時にも時事通信が一発目に観測記事を書いていた訳で、ここぞという時にのみ出てきて渾身のネタをぶっこんでくる、という時事通信の動きが際立っていたなと思いました。
読売とか日経が静かでしたけど、まあ時事通信がもはや圧勝という感じでぶっこんでくるのに対して大人しくしていた、というのはこれはこれでアタクシは一種の見識だと今回は感じまして、わざわざ追認もカウンターも書かずに春闘の第一次集計を確認するというあるいみ王道で来たわけで、これはこれで良いスタンスだったんじゃないかなと思います。
なお、以下の論評に関しては内務省検閲により割愛されましたので悪しからずご了承くださいませwwwwwww
・しかしこの流れって「総裁の決断を重視」でもなんでもないじゃんワロリンチョという感じですがwwwwwww
いやあのですね、こうなりますとサンパウロでのあのハトハトチキン発言はナンダッタノカ植田さん、という話になる訳ですが、この間の植田総裁発言って最後の国会答弁だけはちゃんと想定問答通りに喋ったと思われるのでハトハトチキンに切り取られる発言が無かったのですが、1月定例記者会見、という膨大な想定問答が用意されている時にはちゃんとジャガーチェンジして確りとやる気満々発言をしていたのに、想定問答集の束が無くなると急にハトハトチキン発言をしてその結果市場に無駄なボラティリティを提供して差し上げる、というただの邪魔モードだった、というのが今回の一連の流れ。
いやまあこれが実はハトハトチキンはただの演技で示し合わせた上での小芝居であって、今日を境に演技を止めて冴えわたる植田先生が戻って来る、というのであればそれはそれでまあ良くここまで芝居しましたね、という話(あんまりいいこととは思わないが嘘も方便というのは無くはない)になるのですが、外野からみておりますと、今回の流れって「ボク怖いでちゅー」とションベンチビっているハトハトチキン総裁の首根っこを大本営およびほかの審議委員(下手したら全員w)が捕まえて「チキってるんじゃねえよこのヤロー」とばかりに捻じ伏せてマイナス解除のラストチャンスに何とか乗り込めた、という風情にしか見えない訳ですよ。
まあ少なくとも直近の発言を見ると植田総裁の不規則発言よりも、内田さん、高田さん、中川さんの発言の方が流れに沿っていた訳ですし、昨年7月にもそんな流れがありましたし、これはちょっと問題が結構深刻で、植田総裁棚上げをしないとハトハトチキンがブレーキになって何も進まないという状態になっているのだとするとアカンタレなのではないか、と思った訳ですので、今回は「私書きましたよね」ということで書いてみましたという所です。
以下は昨日の市場雑談と「そういやこんな建屋もあったわこの昭和温泉旅館」ネタで参りますw
〇決定会合跨ぎのトモネ現先ェ・・・・・・・
昨日はまたこんなのが臨時でぶっこまれていたわけですが
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240318.htm
オファー (3月18日<月>)
国債買現先(注4) 30,000 2024年3月19日 2024年3月21日
(後の方でまた別件のを引用しますけどここではトモネの買現だけ引用の巻)
うーんこのという感じでして、いや例えばの話朝一から誰一人としてトモネの資金放出をしないで、その結果トモネのレートがプラス金利まで突っ込んでいた、とかいうのでしたら現先オファーする意味はあるのかもしれませんけど、昨日の朝ってそこまで金利上がってましたっけ???という話な訳ですよ。
しかも3兆オファーってあーた金融危機でも起きたのかというオファーをして何やってますねんと思ったら
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240318.htm
国債買現先(3月19日スタート分) 34,000 30,004 -0.100 -0.098 85.7
という結果になっておったのですが、コールレート牽制するための共通担保オペ、とかならまだ出したらそれはそれで完結するんですけど、トモネの買現先とかでアホみたいに資金を供給してしまいますと、GCの金利は下がるんですけど、そのままスライドでSCレポの金利も下がってしまうので、マーケットメーカーとしてはポジション維持のコストが余計に掛かってしまう話になりかねませんし、だいたいからして3兆円もトモネの現先ぶっこんだらマーケットの流動性が締め上げられてしまって却って流動性がなくなるだろというお話。
流動性問題とかがあってGC市場に資金放出(国債買現先)したいんだったら、即日出せばええじゃろという話で、トモネだけ出すのはなんか意味わからんし、SCレートが下がりすぎるからただの迷惑なのだがどうしてこういうオペになるんだかと。
なんかですね、日銀のオペって昔からこういうのが謎でして、それこそリーマンショック後の時って当時は確かに無担保コール翌日物が誘導目標で、コールの金利はそんなに変な金利がついていなかったのですが、リーマンショックのちょっとあとってカウンターパーティーリスクへの過剰な警戒からオープンの金利が高止まってGCレートがロンバートに張り付き、おまけに金融機関のリスクテイクが厳しくなってローンが出にくくなった、ということでCPレートがやたらめったら上昇し、結局社債にも波及し、というような流れになっているときに、コールレートが誘導目標だから無問題スタイルで対処がクッソ遅れたってのがあったのですが、その頃から今百歩くらい進歩が感じられなくて、何ちゅうかこうもうちょっと総合的にものを考えてオペやってくれとは思うのですけれども、コール誘導目標形式になるかどうかは知らんですけど、コール誘導目標形式になって、ついでにYCCもなくなった途端に今度はGC市場に手のひら返しとかしてきたらクッソ笑うしかないのですが、さあどうなるんでしょうかねえというところではあります。
〇この共担フルアロットメントって本来の趣旨は何でしたっけ&MPM跨ぎのフルアロットメントオペというのは如何なものか
これ自体は定例の2週間物オペなんですけどね。
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of240318.htm
オファー (3月18日<月>)
共通担保資金供給(全店)<固定金利・金額無制限> 2024年3月19日 2024年4月3日 0.000
・・・・・・そういやこのオペもあったわ、と思い出すわけですが、そもそもこのオペis何?という話ですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2022/k220922a.htm
当面の金融政策運営について
2022年9月22日
日本銀行
『(2)金額無制限の共通担保資金供給オペの実施
上記オペの期限到来後も中小企業等の資金繰りを支えるとともに、より幅広い資金繰りニーズに応える観点から、幅広い担保を裏付けとして資金を供給している「共通担保資金供給オペ」について、金額に上限を設けずに実施することとする(9月27日に予定している次回実施分から変更)。』
ということで、コロナオペの後継みたいな扱いになっていて、これ出したときにそういえばアタクシは「ただの共通担保資金供給に企業支援とか変な大義名分つけると後で面倒なことになるからこんなことするんじゃねえよどうせしょうもない小細工屁理屈の得意な(ピー)が考えそうなその場凌ぎの小手先戦術」などというような感じで悪態をついたことを思い出した次第なのであります。
いやあのですね、ただの共通担保オペにこういう変な大義名分つけるのおかしいだろと思いますし、そもそも金融緩和からの正常化を行っていくという流れ(2%達成の暁には正常化なのでまあ今日の時点で正常化というのかは言わないような気がしますけど)になる中で、こういう掴み金みたいなオペは廃止していかないといかんのでして、これもまあ昭和温泉旅館残滓だわ、と思う訳ですよ。変な大義名分つけてるから止める理屈も面倒っぽいですが。
でですね、まあ今回のマイナス解除って今日(あるいは明日というか明後日)適用になるのか積み最終まで引っ張るのかは謎(たぶん即日っぽいけど)、というのはマイナス金利を導入した時が次の積み開始からの適用だった、というのもあって、それ以前とやり方が異なっているので、戻す際も導入時と同じようにリードタイムが設けられるのかどうか問題、というのがあった(当初アタクシはリードタイム設けろ派でしたし)ので、まあ今回に関してはしょうがない面がある(即日実施か積み最終までなのかが謎状態なので)のですが、政策金利残高へのマイナス金利適用停止が即日(または翌日)実施されるとしたら、昨日のこのフルアロットメントオペなんて掴み金以外の何物でもなくて、オペ先への過剰サービスにも程があるわというレベルの話になるわけですよね。
ということでですね、今回はまあシャーナイにしても、次回以降に関しては共通担保のフルアロットメント継続するんだったら、毎回の金融政策決定会合の翌営業日にオファー日を置くようにその時だけは足の調整を行えやというお話でして、そうしないとこのようなことになるわけでして、
昨日の落札結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240318.htm
落札結果 (3月18日<月>)
共通担保資金供給(全店)<固定金利・金額無制限>(3月19日スタート分) 23,469 23,469
前回の落札結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240305.htm
落札結果 (3月5日<火>)
共通担保資金供給(全店)<固定金利・金額無制限>(3月6日スタート分) 8,345 8,345
前々回の落札結果
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba240220.htm
落札結果 (2月20日<火>)
共通担保資金供給(全店)<固定金利・金額無制限>(2月21日スタート分) 7,122 7,122
ということで、今回の結果を見ればお分かりのように突如オペ応札がアホのように増えるということになっておりますけれども、オペの応札が突如アホのように増えていることが、この共担フルアロットメントオペの導入目的として2022年9月の決定会合で言われている「中小企業等の資金繰りを支えるとともに、より幅広い資金繰りニーズに応える観点」に合致した資金供給になっているのか、という点、すなわちこの資金供給方式のオペの本来の趣旨に沿った使われ方になっているのか、という点をきちんと考えて頂いて、趣旨に沿っているとは言い難い使われ方をしているのであれば、このオペ自体の在り方を再考すべきなんじゃないですかねえ、と思うのでありました。
まあこういう裁定というかもはや(ピー)みたいな使われ方(まあベースで出ている8000億円くらいに関してはまだしもですが、今回いきなり1兆円以上通常より増えているという分がもうアレですよアレ)されるために「中小企業等の資金繰りを支える」という名目との乖離がちょっと酷くありませんかと思う次第でございます。
せめて先ほど申し上げたようにオペの工夫をすることも大事ですし、そもそもこんな資金供給方式をしていたら本来市場調達に回るはずの調達ニーズがフルアロットメントオペの方で充足されてしまうことになって、「市場機能の回復」に逆行することになるんじゃないでしょうか、とも思う訳で、どうせ今回のマイナス解除でここまで手が回らないと思うのですが(と言いつつ見直しをしたら褒めてつかわす)、まあ次の実質ゼロ金利状態からの離陸の時にはなんか考えて頂きたいものだと存じますです、はい。
〇1年短国は10bp超えたけど引けでは10bp割れと
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240318.htm
国庫短期証券(第1220回)の入札結果
本日実施した国庫短期証券(第1220回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1220回)
2.発行根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項
3.発行日 令和6年3月21日
4.償還期限 令和7年3月21日
5.価格競争入札について
(1)応募額 11兆7,248億円
(2)募入決定額 2兆9,406億円
(3)募入最低価格 99円87銭7厘
(募入最高利回り)(0.1231%)
(4)募入最低価格における案分比率 1.0000%
(5)募入平均価格 99円89銭5厘
(募入平均利回り)(0.1051%)
とまあそういうことで、先週のエネ特借入再来とはいきませんでしたが、10bpに乗っかった金利まで金利は上昇したという結果になりました、と言いましてももしマイナス金利解除してコールレートが10bpに近いほうの金利で定着するような運営になった場合、この水準って来年まで全然利上げ織り込んでませんがなレートになってしまうのでありまして、うーんどうなのとは思いますが、そうは言いましてもしつこく申しあげているように、名目金利のマイナスとゼロ以上(あるいはゼロ超)の間には需要の崖が存在しますわけでして、その需要の崖もあるから金曜の新発3Mも入札の足切りレベルよりも売参は強い結果になっていましたし、こちらの1年も売参ちゃんをみると
おなじみの売参トップページ
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
から昨日の引けのファイルを開けて見ますと、
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利:0.095%
となっていまして、入札では10bp乗せまでやっていたものの、その後買いでも入って強くなったんでしょうかねえ10bp割れまで金利は低下していまして、短国ニーズあるわ〜っていう感じですなこりゃ。まあ需要の崖をよじ登っている時間帯なのでシャーナイのかなあとは何となく思いますが(個人の感想です)
#まあ今日はこんな日ですので昼が忙しい訳でこの位で勘弁させて頂きとう存じます
2024/03/18
お題「これはさすがに3月解除でしょうなあ/3M短国レートやっとプラスに/ECBの新調節フレームワーク(その2)」
そうですか・・・・・・
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB151YU0V10C24A3000000/
紙の手形・小切手サービス、大手銀廃止へ 発行停止も議論
金融機関
2024年3月18日 5:00 [会員限定記事]
『三井住友銀行やみずほ銀行が紙の約束手形、小切手のサービスを相次ぎ廃止する。政府は26年をめどに紙の手形・小切手の電子化を目指すが、削減幅は26年の全廃に向けた全国銀行協会の当初計画の7割にとどまる。大手銀が背中を押すことで、中小企業の業務負担を改善し生産性改善につなげる狙いがある。』(上記URL先より、以下だいたい会員記事)
金貸しの手先になった時に手形小切手法を真っ先に近いレベルで勉強させられまして手形交換のシステムとかを知った(こちとらリーマン家庭だったので手形小切手見る機会が無かった)次第ですし、短期金融市場に来た時は交換尻決済というのがまだあった訳ですし、と思うと時代の流れなのですが何か寂しいですな。
ただまあ一つ言いたいのだが、この記事で書いてるかは知らんけど、手形は要らんみたいな話の時に「手形払いのせいで下請け企業の資金繰りが云々」っていう論調が時々見られるのだが、支払いサイトに関しては手形の問題じゃなくてそれは商慣行の方の問題だろ何でただの道具が悪いって話になるんだよとは思うし、道具を無くせば改善するってもんじゃねえぞとは思うのですけどね(そもそも商事手形の手形債権は通常の商事債権に上乗せで権利が強い)。
〇春闘の1次集計を受けて各社3月解除報道キタコレという事で(なお債券先物は全然下がりませんが)
・まあ順当に5%超えになりましたということで
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240315-OYT1T50134/
春闘・賃上げ率、33年ぶり5%超え…連合第1回集計
2024/03/15 16:19
春闘・賃上げ
『連合が15日発表した2024年春闘の第1回集計結果(15日午前10時時点)によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給分を合わせた平均賃上げ率は、前年同期比1・48ポイント増の5・28%で、1991年(5・66%)以来33年ぶりに5%を超えた。ベア分は1・37ポイント増の3・70%だった。』(上記URL先より)
春季生活闘争ですからね皆さん。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/index2024.html
2024年春闘
・時事が速報打ちましたが深夜に共同も報じて土曜の朝刊で日経も報道ということでこれは決まりですわ
でまあ時事通信が速報を打ちましたが
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031500865&g
【速報】日銀は来週の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する方向で最終調整に入った
2024年03月15日16時07分配信
『日銀は来週の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する方向で最終調整に入った』(上記URL先より)
でまあこちらは速報フラッシュにある通りで16時過ぎに最終決め打ちで出てきましたが、この瞬間ってドル円はちょっとだけ(目の子20銭かそこら)反応してましたが、イブニングセッションとは言え円債先物おどりゃ反応せんのか(まあ織り込み済みちゃあ織り込み済みなんでしょうけど)という風情だし、ちなみにイブニングセッションの引け(なので以下の報道全部加味されたもの)で東京の引けの4銭安で引けてますし、何なら金曜イブニングセッションって15時の引け対比18銭高(145.28)の高値を1645に付けてやがるという舐めプにも程がある(個人の感想です)ムーブを示しておりまして、何がどうなってるのやらという話ではありますな。
時事の詳報
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031500869&g
日銀、マイナス金利解除で最終調整 高水準の賃上げ確認
2024年03月15日16時30分配信
『日銀は18、19両日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する方向で最終調整に入った。15日に連合が公表した2024年春闘の回答集計で、前年を大幅に超える賃上げ動向を確認。2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況になったとの見方を強めている。』(上記URL先より、以下同様)
ということで記事の方では、
『マイナス金利を解除すれば07年2月以来、17年ぶりの利上げとなる。長期金利を0%に誘導する長短金利操作の撤廃も検討。11年続く異例の大規模緩和の出口が視野に入った。』
ということで、まあ順当に長期金利目標も撤廃(そら短期が0-0.1%なのに長期が0%は無いし、変に「0%程度」の水準を引き上げるのは後々面倒なことになるだけなので撤廃するのが順当としか申し上げようがない。
でもって金曜の夜半に共同も決め打ち。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba041a0650102cedb47c2113c9343e1c4c268b2a
日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定
3/15(金) 20:58配信
(ヤフーニュースですが共同通信です)
『日銀が18、19日に開く金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を決める見通しとなったことが15日分かった。決定すれば2007年以来17年ぶりの利上げで、金融政策の正常化を開始する転換点となる。連合が同日公表した今春闘の平均賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高さで、日銀は賃金と物価がそろって上昇する好循環が実現する確度が十分に高まったとみている。』(上記URL先より)
とまあそんな感じで決め打ちしてきましたな。
とどめは日経新聞土曜の朝刊でして、不肖このアタクシも200円という大金を払って土曜日は日経朝刊を査収して参りました次第でして、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB12CUV0S4A310C2000000/
日銀、マイナス金利解除へ 賃上げ拡大で17年ぶり利上げ
金融政策
2024年3月16日 2:00 [有料会員限定記事]
『日銀は10年超に及んだ大規模な金融緩和から正常化にかじを切る
【この記事のポイント】
・金融政策は正常化に向かい「金利ある世界」へ
・新たな短期金利の誘導目標は0?0.1%案が有力
・中小の賃上げ率4.42%、物価との好循環見込む
日銀は18?19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しになった。2024年の賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高水準となり、2%の物価目標を持続的・安定的に達成できる環境が整った。日銀が政策金利を引き上げるのは07年
この記事は有料会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り1214文字』(上記URL先より)
ということで以下の記事を読みたい人は日経課金してちょんまげという話ですが、まあマイナス金利政策を解除しますよ3月に、というお話で、ここまで慎重に決め打ちを避けてきていた日経ですが、ついに連合の一次集計を見て決め打ちしてきました、ということでこれは流石に3月(つまり明日)マイナス解除ですよヒャッハー。
〇ところでまあいわゆる実質ゼロ金利になるといってもその賞味期限や如何にという雑談
さっきの共同さん、
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba041a0650102cedb47c2113c9343e1c4c268b2a
日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定
3/15(金) 20:58配信
『日銀はマイナス金利政策を解除した後も緩和的な金融環境を維持する方針で、事実上のゼロ金利政策に移行することを想定している。金融機関が短期金利に連動する変動型の住宅ローンや企業の借り入れなどの金利を上げるかどうかが焦点となる。』(上記URL先より)
なんだよその焦点ってお前マイナス金利解除になるんだから利上げになるだろ当たり前じゃんそういう報道するから日本の報道機関の経済報道は使えねえんだよアホかと思いますが、いやまあそっちが問題なのではなくて前段の方にある「事実上のゼロ金利政策に移行」って言葉ですな。
いやまあ確かにゼロ金利政策になるんですけれども、ここで昨年9月決定会合における植田総裁の発言を再確認してみましょう。
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2023/kk230925a.pdf
総裁記者会見
――2023年9月22日(金)午後3時30分から約65分
6ページ(PDFでも6枚目)の下の方にある植田総裁の回答辺りからちょいちょいと拾ってまいりますと、
『(答)(冒頭割愛)そのうえで、目標の実現が見通せる状況になった場合ですけれども、そうなりましたら、YCCの撤廃やマイナス金利の修正を検討するということになるかと思います。ただ、その場合にオーバーシュート型のベースマネーに関するコミットメントも含めてどうするかということを考えるということだと思いますが、その様々な手段についてどれをどういう順序で、具体的にどういうふうに変更していくのかということに関しては、様々なオプションがありますし、そのときの経済・物価情勢次第だと思いますので、(以下割愛)』
『(問)
追加で伺ったマイナス金利の解除の条件みたいなもの、もう少し具体的に。』
『(答)
それについても同じでございます。物価目標の実現が見通せる状況になった場合には、マイナス金利の解除も視野に入るということでございますけれども、それがどういう変数とどういうふうにひも付いて、短期金利がどれくらい動かないといけないのかということについては、まだ決め打ちできる段階ではないというふうに考えてございます。』
8ページの真ん中あたりではこんな説明がありました。
『(答)
まず前半ですけれども、おっしゃるように、厳密に申し上げますと、YCCに関する現在のフォワードガイダンスで約束されているのは、YCCという枠組みを目標達成の見通しが立つまで維持するということだと思います。そのもとで、短期金利の水準とか長期金利の水準について、変更があり得るかどうかというようなご質問だったと思いますけれども、長期金利については、7
月に実施したような修正あるいは枠組みの柔軟化ですね、ということをYCC全体の枠組みは維持した中で実施したわけでございます。これに対して、短期金利については現状、私どもは、全体の見通しが達成されるまではマイナス金利でいくという認識でいるというふうに考えてございます。』(以上この部分は2023年9月25日植田総裁定例記者会見より)
ここではYCCについて「YCCという枠組みを目標達成の見通しが立つまで維持するということだと思います」と言っていまして、かつマイナス金利政策に関しても「全体の見通しが達成されるまではマイナス金利でいくという認識でいるというふうに考えてございます」とありまして、この表現からしますと、この時点はむしろ短期金利よりYCCの方が先なんじゃねえかという位の勢いで話をしているわけで、マイナス金利解除ににYCCの長期の方は少なくとも「目標値(=今ある0%というやつ)」はなくなるとしか思えませんわな。
でもってさらに、物価安定目標の達成が視野に入るからマイナス金利だのYCCだのを解除する、と何度も言いながらマイナス金利解除を引っ張ってきたわけですかから、これマイナス解除だけで済む訳ないんですよね。
もしこれが副作用論でマイナス金利解除、であれば確かにゼロ金利政策への移行、ということになるのでしょうけれども、そもそも論として物価安定目標の達成が視野に入った(達成したとは言ってない)という状況で政策を変更するのであれば、当然ながら見通し通りに推移すれば次は物価目標の達成という話になり、物価目標達成した際に過大な金融緩和を実施していることは、折角達成した物価安定目標が今度は好ましくない形でオーバーシュートしてしまう、というリスクを抱えるわけでして、つまりはゼロ金利政策への移行、といったって別にそれが長続きするわけではなくて、その次の正常化開始までの短い期間の話になるんじゃないですか、とアタクシは言いたいのだが、まあ少なくとも円債市場の価格形成そうなっていましたっけ状態というのはある。
〇そういや金曜の続きです(積み期間中に適用金利が変更になる場合のマイナスチャージなどの扱い)
https://www5.boj.or.jp/bojnet/hokan/020-0530.pdf
補完当座預金制度に関する細則
こちらを見ながら金曜日に「これって途中で適用金利変わった場合にどうなるのかよくわからん」などと申し上げたわけですが、ご指摘賜りまして自分の目が節穴であるという事が判明しましたので恥をあんまり忍ばずに堂々とご報告いたします。
5ページにですね、
『(3)付利対象積み期間ごとの利息については、次の計算式により算出します(注)。このうち、「4.(1)に定める金額(積数)」から「4.(4)に定める金額(積数)」までの具体的な算出方法は(別紙)のとおりです。』
ってのがあるのだけど、よくよく見たらその次に
『(注)付利対象積み期間中に適用利率が変更された場合には、当該付利対象積み期間における法定準備預金額(積数)、4.(2)の金額(同)、4.(3)の金額(同)、4.(4)の金額(同)を、利率の変更前の期間における対象預金の平均残高(同)に順次割り当て、その割り当てた金額については、それぞれの変更前の適用利率により、また、割り当てられなかった残余の金額(同)については、それぞれの変更後の適用利率により、利息を算出します。』
ってありまして、
『利息 = A+B+C+D』ってのがあるわけですよ。でもってこれが、
A(注) =(4.(1)に定める金額(積数)×4.(1)に定める利率(%))/(365×100)
B(注) =(4.(2)に定める金額(積数)×4.(2)に定める利率(%))/(365×100)
C(注) =(4.(3)に定める金額(積数)×4.(3)に定める利率(%))/(365×100)
D(注) =(4.(4)に定める金額(積数)×4.(4)に定める利率(%))/(365×100)
ってあるので、1ページに戻って『4.適用利率』をみると(分かっておられる方には退屈な話でゴメンチャイ)、これがまた読んでも微妙にわかりにくいのですが、基本要綱の方を見るとわかりやすくて、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo37.htm
4.適用利率
こちらの書いてる文言ですが、結論の金利の数字を見ると勘が働くと思うのですが、上記A〜Dって上から見ますとAが法定準備に関する部分、Bが基礎残高に関する部分、Cがマクロ加算部分、Dが政策金利部分になっていますね、計算する順序はこの順(政策金利残高は残余部分が該当、すなわち限界的な当座預金残高増加に適用される金利が-0.1%という話)になるんですな、なるほどなるほど。
でもって先ほどの細則の注記の記述から類推しますと、積みの途中で適用金利が変更になった場合、今回のようにマイナスチャージを回避するためにキャッシュをなんでもええから運用しておく、というスタイルをとっていて、たまたま15日に資金超過が発生している場合、うっかりしたら19日決定で21日よりマイナスチャージ廃止となってしまうと、やっぱりその分だけはマイナス回避が急にできなくなるの巻になるんですね、南無南無。
〇短国3Mとうとうプラスに
というかですね、マイナス金利だから仕方ないのと、担保需要も旺盛なので仕方ないのはわかるんですが、俊ちゃんのマイナス金利解除の時は短国って量的緩和解除の前(実際の解除は3月)から結構な織り込みが入ったんですよね、と思うとなんだかねえ感はあるのですが。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240315.htm
国庫短期証券(第1219回)の入札結果
『本日実施した国庫短期証券(第1219回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1219回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年3月18日
4.償還期限 令和6年6月24日
5.価格競争入札について
(1)応募額 13兆2,210億7,000万円
(2)募入決定額 4兆6,931億9,000万円
(3)募入最低価格 99円99銭2厘5毛
(募入最高利回り)(0.0279%)
(4)募入最低価格における案分比率 30.0344%
(5)募入平均価格 99円99銭8厘5毛
(募入平均利回り)(0.0055%)』
0.0055%平均で足切り0.0279%キタコレというところでして、売参ちゃんを見ますと
いつもの売参
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
国庫短期証券1211 2024/08/13 平均値単利 0.004%
ということで、アベレージの方に寄った値付けになっていますが、売参ベースだと1215(6/3)まではマイナス金利になっておらず、1199&1216(6/10)からプラスという謎の段差になっていますが、何はともあれやっとプラス水準に。
というのは良いんだがマイナス解除が適用された後のワイ想定のGCレートと比較すると相変わらずアレという気はしますけど、こればっかりはMPM通過してみて、その後も入札のたびに徐々に水準調整するという流れになるのか、それとも明日の決定会合を受けて短期のファンディングコストの居場所が見えてきたら(即ち今週金曜の3Mで)一気に水準訂正するのか、まあよくわからんところではありますが、まあ売参を引けだと思って見ると6Mもそうでしたし今回の3Mもそうなのですが、アベレージあるいは気持ち確りの所で引けさせている、という事はまあプラス金利になった瞬間は金利先高感(そもそもあるのかどうか知らんけど)よりも需要の方が思いっきり勝っているという話なんでしょうね。
ちなみに本日はこのタイミングで1円TDB入札というお洒落なイベントがあるのですが、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240311.htm
国庫短期証券(第1220回)の発行予定額等
1. 入札予定日 令和6年3月18日
2. 発行予定日 令和6年3月21日
3. 償還予定日 令和7年3月21日
4. 発行予定額 額面金額で3兆5,000億円程度
さっきの売参ですと1220のWIは
国庫短期証券1220 2025/03/21 平均値単利 0.045%
となっていまして、うーんという感じではありまして、まあこれ3/19利上げ即日適用までは織り込めても(3M織り込んでない説が濃厚ですがそれはさておき)その先の利上げパスについては碌すっぽ織り込めておらん水準になっていまして、それでいいのか1年ゾーンって言う気はしますし、それこそ先週だってエネルギー特会の借入は15.5bpだの16.0bpだのに覚醒しておりましたのですが、さてどうなるんでしょうマジでイメージがわかんのですが結果をお楽しみに。
〇日銀ネタでわちゃわちゃしてて全然フォローしてませんがECBの短期フレームワークの説明文の続き
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2024/html/ecb.pr240313~807e240020.en.html
STATEMENT BY THE GOVERNING COUNCIL
Changes to the operational framework for implementing monetary policy
13 March 2024
14日の駄文ではとりあえず枠組みの部分しかネタにしなかったので、この枠組みの能書きについての部分を見ようかと思いまして。
『The Governing Council agreed on a set of principles that will guide monetary
policy implementation in the future:』
でもって
Effectiveness:
Robustness:
Flexibility:
Open market economy:
Secondary objective:
って原則があるらしいので見てみる。
『Effectiveness: The main objective of the operational framework is to
ensure the effective implementation of the monetary policy stance in line
with the provisions of the EU Treaty. This is best achieved by steering
short-term money market rates closely in line with monetary policy decisions.
Some volatility in money market rates can be tolerated as long as it does
not blur the signal about the intended monetary policy stance.』
このやり方(預金ファシリティ金利を短期市場金利の政策金利にして資金供給は預金ファシリティ金利の0.15%上で定例のメインリファイナンスオペレーションを指値、フルアロットメント方式で実施する)が一番市場の金利の誘導に適切(今の時点で)という事で、お前これ統制金利ジャンとはアタクシなんぞも思う訳ですが、多少の市場金利のブレは許容しますよというお話をしてて市場というのを残すという意思だけは感じる、実際に市場が残るのかは知らん。
『Robustness: The operational framework needs to be robust to different
monetary policy configurations as well as different financial and liquidity
environments, and consistent with the use of the monetary policy instruments
set out in the ECB’s monetary policy strategy. The Eurosystem intends
to provide central bank reserves through a broad mix of instruments in
order to offer an effective, flexible and stable source of liquidity to
the banking system, thereby also supporting financial stability.』
他の手段よりこのやり方が頑健です(キリッ)と言ってるのだが、じゃあ何でロバストなのかはワシがロバストだというのだからロバストなんじゃワレ、としか書いてないのですが、まあシステム上に超過準備がアホほどあるスキームだから金融安定化に役立つ、と言ってるんですが、どうせガチのガチで金融システム不安が起きた場合、システム上にどんだけ潤沢に超過準備があったとしても、参加者は抱え込みをするし、資金流出するところは情け容赦なく流出するし、コラテラルが足りなくなったらそもそもお助けオペにアクセスできないので、超過準備が大量に積みあがっているからロバストだ、というのは幻想にも程があるとおもうんですよね。いやまあ確かに問題発生の先送りはできるかもしれない(逆に考えれば先送りする分だけ発生した時の威力がデカくなるという説が無いわけではない)けどさ。
『Flexibility: The euro area banking sector is large and diverse in terms
of banks’ size, business models and geographical locations. An elastic
supply of central bank reserves based on banks’ needs is therefore best
suited to effectively channel liquidity across the entire banking system
throughout the euro area and to contribute to flexibly absorbing liquidity
shocks.』
ユーロエリアの銀行システムは多くの地域にまたがっているので、地域によっても個別行によっても色々な差があるので云々、といってるのですが、これ「各国の実情に細かく合わせて対応するのがめんどくさいから超過準備を沢山出して預金ファシリティで不胎化しておけばええじゃろ、というある意味超雑な割り切りをしている、という説がありますなwww
『Efficiency: An efficient operational framework implements the desired
monetary policy stance and does not interfere with it, respecting the proportionality
principle and taking into account net side effects, including financial
stability risks. Moreover, the framework should preserve financial soundness.
A financially sound balance sheet supports central bank independence and
allows the smooth conduct of monetary policy.』
なんですかね、だんだん引用しながらナンジャソラ感が漂う(別にこんな原則わざわざ言う程の事か??という意味です)のですが、このフレームワークによって金融安定化が悪化するとかそんなことはないですし、必要な施策は可能ですよって話をしているんですが、超過準備をガシガシ出して預金ファシリティで不胎化するってのはこれ結局は中銀の財政負担が発生しますんで、その点はどうなんでしょうかねえ(極端な超過準備の削減を欧州議会から言われたらどうするんだか)。
『Open market economy: The design of the operational framework should be
consistent with the smooth and orderly functioning of markets - including
money markets, which are more closely linked to the implementation of monetary
policy. This favours the efficient allocation of resources, an effective
price discovery mechanism and the smooth transmission of monetary policy.』
市場機能、特に短期金融市場が機能する事にも整合的、と言ってるのですが、まあこの辺は欧州の短期金融市場とかそんなのシランガナ状態のアタクシはよー分からんのですが、この方式で預金ファシリティに金利張り付きとかにならんのかね、とは思うのですが。
『Secondary objective: To the extent that different configurations of the
operational framework are equally conducive to ensuring the effective implementation
of the monetary policy stance, the operational framework shall facilitate
the ECB’s pursuit of its secondary objective of supporting the general
economic policies in the European Union - in particular the transition
to a green economy - without prejudice to the ECB’s primary objective
of price stability. In this context, the design of the operational framework
will aim to incorporate climate change-related considerations into the
structural monetary policy operations.In line with these principles, the
Governing Council agreed on the following set of key parameters and features
for its operational framework:』
何故グリーン政策の話が出てきているのかがイマイチ良く分からんがそういうことらしい。まあ暇になったらこの辺のドキュメントをもっと精査してみます。でもってこの先にもまだ延々と説明があるのですが、それはまあ日銀だのFOMCだのマイナス金利解除に関わる諸々のアレだのを通過して落ち着いたら考えますということで、なんかだから何なのという感じの謎原則ではありますが、一応こんな事を抜かしておられるという事で。
2024/03/15
お題「時事通信砲またも/水曜のPD懇投資家懇ネタから/マイナス解除適用タイミングの雑考とか3M短国入札ですなとか」
くやしいのうくやしいのう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-14/SACH6LT1UM0W00
円が再び下落、時事報道後の上げ消す−日銀「ライブ」会合警戒
Anya Andrianova
2024年3月15日 1:30 JST
ということで、この次にネタにしますが昨日もどうしたんだ時事通信って感じで4回目を打ってきた(まあ今回のは「最終決め打ちコンファメーション」って感じですけれども)のですが、この時事通信の動きに対してのBBGの心の叫びみたいな記事になっていて、「くやしいのうくやしいのう」という台詞がこんなにしっくりと来る記事もないわと思いましたwwwwwwwww
〇時事通信なんと4発目の時事通信砲を発射(まあただの最終コンファメみたいな感じですが)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031401189&g=eco
日銀、マイナス金利解除で調整 高水準賃上げ、物価2%実現に自信―連合集計踏まえ最終判断
2024年03月14日22時12分配信
『日銀は14日、来週18、19両日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する方向で調整に入った。2024年春闘で大企業を中心に昨年を大幅に上回る賃上げ回答が相次ぎ、2%の物価上昇目標の持続的実現の確度が高まったとの見方を強めている。連合が15日に発表する回答の第1回集計結果を確認した上で最終判断する。』
『マイナス金利を解除すれば07年以来17年ぶりの利上げとなる。長期金利を0%に誘導する
長短金利操作(YCC)の撤廃を含めて、大規模金融緩和の正常化に踏み切ることを検討する。』(上記URL先より)
ということで何かまた全文引用になって申し訳ないのですが、今回はブラックアウト期間に入ったところで「3月解除の決め打ち」をしてきました。
・・・・・・とは言いましても、ここもと連日のように「マイナス金利解除OKOKOK」という発言が財界方面からもバンバン出て来るというような状況で、そもそもこの状況下で3月解除を見送ろうもんなら円安に盛大にぶっ飛びそうだし、他の市場も混乱の極みになりそう、という位に織り込みとなっているんじゃないでしょうか、という話(問題はマイナス解除の時に植田さんがジャガーチェンジしてタカタカモードになるりすくだが、それはまあいきなりはやらないんとチャイマスカねえとはさすがに思う)なので、時事通信砲第4弾、といってもこれは詳報ぶっこんできた第2弾のコンファメーションだし、第1弾の時点から更に3月解除の意見が広がっているよ、というコンファメーションだったりするので、そこまでぶっこ抜いた感はないですよね。
ま、こうなると12日に「3月にやるとタカ派的の印象を与えかねない」「総裁の判断を軸に進む」という記事書いてたBBGとしてはちょっと流れ読めてないんじゃないの、という話になるから時事に当てこすり記事を書きたくなる、という所でくやしいのうくやしいのうという感じではありますな、南無三。
しかしまあ何ですな、マイナス金利解除という前後数年スパンに渡って無いような金融政策大イベントの所で普段そんなに事前報道系をやらない時事通信が連発の火の玉ストレートをぶっこんで来る、というのは中々印象が強いですし、「ここぞ」という時だけ大活躍、ってのもメリハリが効いていてよろしいんじゃないでしょうか、と思いました。まあ答え合わせは来週火曜日。
〇不覚にも水曜のPD懇投資家懇の件をボケておりましたので
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/index.html
国債市場特別参加者会合(議事要旨等)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/240313pd108.pdf
国債市場特別参加者会合(第108回)
理財局説明資料
・第T非価格が増えるのはまあ時代背景的には必然ですが老害的にはちょっと寂しい件について
5ページ(PDF6枚目)令和6年度の固定利付債の入札方式等(案)
『2.第T非価格競争入札による発行分の限度額の見直し(案)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-14/SACH6LT1UM0W00
● 第T非価格競争入札による発行分の限度額について、現行の「発行予定額の20%」から「発行予定額の25%」に引き上げる。
⇒ 令和6年5月以降に実施されるすべての国債(国庫短期証券を含む)の入札から適用。』
でもってPD懇では、
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/240313pd.html
国債市場特別参加者会合(第108回)議事の要点
・日時 令和6年3月13日(水)16:00〜17:10
・場所 財務省 第3特別会議室
『2. 令和6年度における固定利付債の入札方式等について
<当局案>
・40年債について、現状通り、利回り競争入札によるダッチ方式での入札としてはどうか。
・2年債、5年債、10年債、20年債、30年債について、現状通り、価格競争入札によるコンベンショナル方式での入札としてはどうか。
・また、第T非価格競争入札における発行限度額を当該国債の発行予定額の20%から同25%に拡大することとしてはどうか。
<参加者からの意見>
・40年債の入札方式について、ほとんどの参加者からコンベンショナル方式に変更しても投資家の更なる国債市場への参加が見込める状況ではないことなどから当局案を支持する意見が聞かれたが、一部の参加者からはマーケットの成熟度合いに鑑み価格コンベンショナル方式への変更が望ましい等の意見も聞かれた。
・40年債以外の入札方式について、多くの参加者から足元では主に20年、30年債入札を中心に弱い結果になることもあったが、一時的なものであり、現行方式を変更するほどのものではない等の当局案を支持する意見が聞かれたが、一部の参加者からは米国のようにダッチ方式が望ましい等の意見も聞かれた。
・第T非価格競争入札の発行限度額の上限拡大について、ほとんどの参加者から当局案を支持する意見が聞かれた。』
ということでまあ時代背景的にそうなるだろうなという回答なのですが、まあ老害ジジイ(先日申し上げたようにアタクシ速水総裁時代のゼロ金利政策復活の時には長期適格銘柄以降超長期までの対顧ディーラーをしてたもんで)としては、国債入札で自社が必要な額を過不足なく、いかに良いコストで落札するかってのは腕の見せ所の一つでもあったと認識しているのと、アタクシ小僧のころ(というか上記の頃もそうだけど)はシ団引受制度がまだ残っていて、このシ団引受から徐々に完全入札方式に移行していくのが、国債市場の価格形成を市場が行う、ってことの一つの象徴でもあったなあ、と思うと、第T非価格の割合が増えるってのはまあ何かシ団引受の時代への逆コースっぽくてちょっと寂しいなと。
とは言いましても、そもそも21世紀初頭の国債市場って様々な人たちがアクティブに参加している市場で、今とは市場の形が全然違っているので、まあこうなるのもむべなるかな、とは思うのですが、直上にある議事の要点の中でもダッチ方式の拡大を求めるような意見があったりするのを見ると、完全コンベンショナル発行に向けて進んできた時代を生きた老害としては、「ワシが満州にいた頃はのう」とかいって「またクソジジイの満州話が始まったわ」と言われるようなジジイの現代版みたいな物言いになっているのは十分承知しておるのですが、一抹程度は寂しさも感じるのでありました。
というただの老害のポエムですねすいませんすいません。
・ついでにGX国債
でまあ先ほどの「議事の要点」からさらに参りますと、
『5. 令和6年度におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について
<当局案>
・令和6年度におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について、5月に10年債、7月に5年債、10月に10年債、1月に5年債、それぞれ3,500億円程度を発行予定額として入札を実施し、年度内での同一年限の発行は、原則リオープンとしてはどうか。
<参加者からの意見>
・最終投資家が購入しやすくする等の観点から、年4回に分けて発行する当局案を支持する意見で一致した。なお、参加者からは、日本銀行による国債の買入オペに対する意見も聞かれた。』
>日本銀行による国債の買入オペに対する意見も聞かれた
うーんこちらの方が興味津々、ということですが議事要旨に出てくるのかしら???
という備忘メモでした。
〇貸増キタコレ
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope240314a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2024年3月実施分)
2024 年 3 月 14 日
日 本 銀 行
『今回の貸付の概要
貸付予定額 98,510億円
貸付先数 86先』
まあさすがに0%4年とかいうドリーム条件で実施されるの最後でしょうから、そらもう応札できる枠があるならぶっこむわというとところでしょうけれども、こんなところでしれっと9.85兆円も日銀の貸出が拡大しているんですよね。
でもって、
『(参考)貸付日時点の貸付残高および貸付先数の見込み』
の方が、
『 貸付残高 貸付先数
大手行 323,446億円 6先
地域金融機関等 459,533億円 111先
合計 782,979億円 117先』
ということで何気に78.3兆も出てるんですよね。いやはやもうって感じなのですが、よく考えてみたら今回の10兆円ほどの貸増見合いで担保ニーズあるんだし(なお下の方で計算してますが、前回貸出実行日からの純増は5兆円ちょいになります)、それを考えたら輪番ってもっとがっつり減らせませんかねえ(ニッコリ)と思うのですがどうでしょうかwwwww
しかしまあ何ですな、前回の貸増が
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope231213a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2023年12月実施分)
『今回の貸付の概要
貸付予定額 51,094億円
貸付先数 70先』
『(参考)貸付日時点の貸付残高および貸付先数の見込み
貸付残高 貸付先数
大手行 308,280億円 6先
地域金融機関等 422,385億円 108先
合計 730,665億円 114先』
となっているので、12月貸付日時点からの純増ベースでは5.3兆円ではありますが、しかしこれ前回の貸増と比較すると、もちろん対象となる貸出の増加にもある程度季節性とかあると思うので一概に単純比較できないのは承知ですが、前回の貸増対比で貸出実行金額増えてる(5.1兆円→9.9兆円)上に、応募した参加者数も増えてる(70先→86先)のがチャーミングではございますな。
〇ところで3/19にマイナス解除した時のマイナス付利適用解除はいつなのか問題
まあ普段はなかなか見ないページがあるんですけどね
https://www5.boj.or.jp/
業務上の事務連絡
ピックアップニュース
■ 照会の多い内容や利用される機会の多い内容について、まとめています。
【補完当座預金制度・貸出促進付利制度関連】
のこの辺りを見ますと、
https://www5.boj.or.jp/bojnet/hokan/keisan2307.pdf
補完当座預金制度における預り金利息の計算について1
(2023 年 7 月積み期間〜)
この辺を見ると積みの途中で適用金利が変更になった場合の扱いがよくわからんのですが、
さらにそのPDFの中にリンクのある
https://www5.boj.or.jp/bojnet/hokan/020-0530.pdf
補完当座預金制度に関する細則
とか、この元になる
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo37.htm
補完当座預金制度基本要領
を見ましても、積み期間全体で積数計算して、というのはわかるのですが、途中で適用金利に変更があった場合の規定っぽいものが不勉強にして見当たらないのですが、貸出促進付利制度ぶっこんだときに、「これがあるので追加利下げをしても対応が可能」とかゆうてましたので、(https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2021/k210319a.htmの『2.
政策面での対応→(1)イールドカーブ・コントロールの運営→[1] 貸出促進付利制度の創設』のところに記載があります)これ積み期間中に適用金利が変更になった場合のキメがどこかにあってしかるべきなのですが、貸出促進付利制度の基本要綱見ても積み期間中に適用金利が変わった場合の規定は明示的に書かれていないので、どうするんだろうというのはある。
なお両基本要綱ともに
『5.特例的取扱い
本行は、金融調節の円滑な遂行の観点から実務上必要と認める場合には、本制度の趣旨に沿って、2.から4.までに規定する取扱いと異なる取扱いを行うことができる。』
というワイルドカード条項があるので、積み期間中に適用金利が変更になるというのはこのワイルドカードで担保されているにはされているんですよね。まあアタクシの調べ方が悪いのかとは思うのですが、相も変わらず分かりにくいですわ。
・・・・・でですね、これもし19日まで(18日でもいいけど)の残高を積み初日(つまり16日)から積数計算して、そこで切って後ろは超過準備付利します、形式だと、それこそ今日15日の資金繰りでちょっと超過準備が増えてしまった、って方が、「マイナスチャージにかからないようにキャッシュつぶしをしないといけないけどその調整は積み期間トータルで考えればよい」って思っていたら、いきなり19日のところで積数計算締められる、ってなった場合に「不意打ち」感が強くて、なんだかねえって感じはするんですよ。
まあ準備預金制度適用先であれば、19日以降(あるいは20日もしくは21日)からはプラス金利が適用、ということになると軋轢少ないのかもしれませんが、マクロ加算の中でMRF特則部分だけは、後からキャッシュつぶして3/16-4/15の積み期間で帳尻合わせようと思ってたのに19日で切られてしまうと、19日以降の期間にプラス金利を適用してくれるわけでもないので、マイナスチャージ取られるだけで終わるという可能性があるよな、と思いました。
なおクソ細かいといわれそうですがMRFの残高って
https://www.toushin.or.jp/statistics/statistics/index.html
統計データ
の
B-6 純資産総額の構成(国内、外貨建合計分)
Distribution of Assets of Publicly Offered Investment Trusts of Contractual Type Total Net Assets
の直近ファイルってのを見ると、2月末現在の状況が分かりますが、MRF全体の純資産残高って15,779,596百万円(S30セルにあるよ)ということで、業界全体で堂々の15.78兆円の残高があるファンドで、これが個人投資家の証券口座のインフラですので、地味なんですけどインフラとしては結構大事なファンドでもあるのですな。まあその割にはマイナス金利適用の時も完全にMRFの件を失念してるだろという決定内容の結果、MRF特則が後から慌ててぶっこまれた、という過去の経緯もありまして、日銀ってこの辺り詳しくないんジャマイカ疑惑は常にあるのでした。
〇さて今日は3M入札ですよそろそろ浮上してくれませんかねえ
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240308.htm
国庫短期証券(第1219回)の発行予定額等
1. 入札予定日 令和6年3月15日
2. 発行予定日 令和6年3月18日
3. 償還予定日 令和6年6月24日
4. 発行予定額 額面金額で5兆8,000億円程度
とまあそういうことで、3月にマイナス金利解除されたら即日または翌日適用なら全期間に近くて、まあ次の積み期間から適用なら前半1か月がマイナス金利適用になりますが、いずれにしてもその先はコールプラスだしGCレポもプラスになるでしょ(参加者の特性から考えるとコールは当座預金付利の外側の運用ニーズが常にあるので付利から2つ程度下、GCは調達側のアベイラビリティの関係上付利からちょっと(1つ?)上で取りに行くことになる、ってイメージですけどあくまでも個人の感想)と思うので、ちょっとプラス圏というのを見てくれませんかねえお願いしますお願いします。
と思って売参値を見ますと、
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/index.html
昨日の引けベースで作られている15日付けの売参ですと、
国庫短期証券1219 2024/06/24:平均値単利 -0.035
ということでマイナスですかそうですかという展開でして、挙句にこの先の足の銘柄群がこの前の6M新発1217(9/10足)になると平均値単利がプラスに浮上するんですけど、1219の次の1205(7/10)〜1176(8/20)までの売参平均値単利が▲6.0bpというなんかお洒落な数字になっていまして、まあこの辺の銘柄はしばらく前に出た6Mや1Yの成れの果てで、そういう銘柄はポートに沈んでいるし、何なら共通担保とかの方面に出稼ぎに出てしまっておられるので、世の中に出て来る流通玉というのが無いから気配もへったくれもないので値段が実際についてみないと何ともかんとも、という所なんでしょうかね、知らんけど。
まあアレですよ。そもそも論として貸増で78兆円あって、気候変動オペ諸々含めて90兆円になんなんとする長距離オペが出ている上に、長期金利上限目途の柔軟化を進める中でバカスカと後先考えずに打った長期共担オペがこれまたありまして、そういう長距離オペが物凄い残高出ているだけでも結構な担保需要(別に国債である必要はないから丸々国債のニーズに化ける訳でもないですが)が存在している訳でございまして、しかもTDBプラスに浮上したら「マイナスだから投資できなかった」人たちの参入も見込める、ということもありまして、なんか短国だけやたら堅調に推移するとかいう短期資金運用サイド泣かせの展開になるんじゃネーノとは思うところもありまして、短国の特に短い所ってGC対比で結構な逆鞘とかになってしまうと、マーケットメイク大変だなと元ウホウホ国債レート出しおじさんであったこともあるアタクシは思うのでありました。商品在庫とは言えキャリーが逆ザヤはきちゅい・・・・・・・・・・
なお、ついでに申し上げると月曜日に1年TDBの入札がありまして
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240311.htm
国庫短期証券(第1220回)の発行予定額等
1. 入札予定日 令和6年3月18日
2. 発行予定日 令和6年3月21日
3. 償還予定日 令和7年3月21日
4. 発行予定額 額面金額で3兆5,000億円程度
・・・・・・・・(^^)
なんせ先日の幣駄文でご紹介しましたように、火曜日のエネルギー特会借入12Mが突如覚醒して覚醒レート(0.155%/0.160%)になった訳でして、さて来週月曜日ですかあという所です。
〇そして春闘第一次集計
まあここまで来ると結果見え見えって感じですが、これを受けて日経とか読売あたりも最終的な観測記事みたいなのを決め打ちチックで週末打って来るんだろうなあと思うと、土曜日は買いに行くのかと思いつつ。
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240313/k00/00m/020/308000c
マイナス金利解除へ「環境整った」 日銀関係者、春闘情勢受け
経済 速報
金融政策・財政
毎日新聞
2024/3/13 19:54(最終更新 3/14 12:16)
1008文字
『日銀が18、19日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利を解除する公算が大きくなった。13日に集中回答日を迎えた2024年春闘で大幅な賃上げ回答が相次いだことで、日銀が大規模な金融緩和政策の変更に踏み切る材料が整いつつある。』(上記URL先より)
さーせん水曜の夜に毎日も決め打ち打ってたのですが不覚にも気が付かなかったので備忘のために載せておきます。
2024/03/14
お題「春闘集中回答日は案の定の威勢の良さ/ECB預金ファシリティを政策金利扱いとするの巻」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-13/SA9VUXT1UM0W00
日銀がETF新規購入の完全停止を検討、正常化開始で−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年3月13日 18:15 JST 更新日時 2024年3月13日 21:58 JST
なんかBBGがETFの何を今さらの話を関係者ソースで書いているのですが、何を今更ネタでも兎に角記事をだすって何かもうアレ系ユーチューバーみたいになってきたようで痛々しいんだがこの調子で突き進むのしょうか、と他人事ながら心配になってくるんですが・・・・・・・・・
と言いながらリンクして記事のヒットに貢献するアタクシでもあるが(おい)
〇春闘集中回答日でしたがこれで3月解除しなかったらチキンすぎて話にならんわな
景気のいい話で結構な事ですなあ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC12B1W0S4A310C2000000/
賃上げ5%超相次ぐ、製造業8割は満額回答 春季労使交渉
賃上げ2024
2024年3月13日 19:55 (2024年3月13日 21:53更新) [会員限定記事]
『2024年の春季労使交渉は13日、集中回答日を迎えた。トヨタ自動車や日本製鉄など主要製造業の8割が、労働組合側の賃上げ要求に対して満額回答やそれを上回る回答をした。多くの企業で連合が掲げた賃上げ率の要求方針「5%以上」を超える。約30年ぶりの高水準となった23年春季交渉を超える勢いだ。経済の好循環に向けて日本全体に中長期にわたって波及できるかが焦点となる。』(上記URL先より、以下は会員限定記事)
とまあそういうことでエライ勢いで威勢のいい話ばっかり出ておりまして景気がよろしゅおすなあという感じなのですが、こうなると新年度の所とかで価格改定もまた行われるんでネーノということで、こちとら益々生活いやなんでもありません。
まあ何ですな、これで3月解除しないとかさすがにあり得ないというか、解除しなかったら為替がぶっ飛んで日銀に怒られが発生して神田大明神久々のランボー怒りの金融政策言及とか見れるんじゃないかと思うとそれはそれで面白い(ヤケクソ)のですけれども、まあ一応連合からは明日出るそうですが、まあこの時点で勝負あったって感じじゃないかと思うんですよねえ、知らんけど。
まあ何ですな、ここに来ますとやっとあの黒ちゃんの「2%への招待状」が日の目を見る、という黒ちゃん歓喜の展開になっておるわけですよ。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2014/ko141225a.htm
【講演】「2%」への招待状
日本経済団体連合会審議員会における講演
日本銀行総裁 黒田 東彦
2014年12月25日
最後の所なんて泣けてきますよね。
『要するに今の過渡期的な状況を利用するかどうかは、早い者勝ちの面があるということです。デフレのもとでの「縮小均衡」の経済と、2%の物価上昇のもとでの「拡大均衡」の経済とでは、企業を取り巻く環境は全く異なります。企業経営のルールブックが変わるということです。進化論を唱えたダーウィンは、「生き残るのは、強い生き物ではなく、変化に対応できる生き物だ」と言ったと伝えられています。いち早く環境変化を先取りし、「拡大均衡」の経済に対応できた企業こそが競争の「勝者」となり、新しい時代における繁栄を享受できることになるのだと思います。』(上記URL先2014年12月25日の黒田総裁経団連講演より)
まあ2年で達成するってほざいていたんですから、本来は今のこの状況が2016年の今頃に起きていないとおかしい訳で、まあ要するに金融緩和政策が物価安定目標の達成を近づけた立役者ではありません、ってのは自明オブ自明としか言いようがないですよね何ですかこの「失われた8年」はっていった感じですけれども、まあそれはそれとして「いち早く環境変化を先取りし、「拡大均衡」の経済に対応できた企業こそが競争の「勝者」となり、新しい時代における繁栄を享受できることになるのだと思います。」っていうの、別に言われんでもわかっとるわとばかりに組合要求以上の賃上げ提示をする企業を見ていると思う訳でして、まあこんな高水準の賃上げが持続可能かというとそんな訳は無くてこの先は巡航速度に落ちることにはなるでしょうけど、まあまさに黒ちゃんの言ってた状況が起きているんですから、こんなの最後かつ最大のチャンスな訳で、ここでちゃっちゃとマイナス金利解除からその先の正常化を進めないでどうしますのという感じがしますけどどうでございましょうかねえ。
とまあそんな状況でここまで鳴りを潜めていた日経さんも何か書いてきましたね
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB12D900S4A310C2000000/
日銀、マイナス金利解除議論へ 賃上げ集計見極め判断
金融政策
2024年3月14日 2:00 [会員限定記事]
『日銀は18〜19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除するか議論する。2024年の賃上げ率は昨年を上回る見通しで、2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まったとみているためだ。日銀内には容認論が広がっており、連合が15日にまとめる春季労使交渉の集計結果を見極めて最終判断する。』(上記URL先より、以下会員限定記事)
例によって無課金おじさんなので中身は分からんですが、このリードの部分だけ見ますと、「日銀内には容認論が広がっており、連合が15日にまとめる春季労使交渉の集計結果を見極めて最終判断する。」とあるので、決め打ちではないですけれども、まあかなり3月解除にやや寄った記事になっているんじゃネーノと中身も見ずに書いてみますが、よい子の皆さんはちゃんと日経様に課金しておられると存じますので中身見て確認してくんなまし。
まあ中身を見たら本文の方では両論併記している可能性もありそうですが、ということで読売さんも今朝の
読売さんも朝の電子版を打って来ましたが、読売は4月もあるべしというトーンになっておりましてポジションは取ってない感じの記事ですね。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240313-OYT1T50194/
前年超える賃上げ回答、マイナス金利解除に追い風…日銀が18日から金融政策決定会合
2024/03/14 05:00
『2024年春闘で主要企業から前年を超える高い賃上げの回答が相次いだことは、日本銀行によるマイナス金利政策の解除などの判断にも追い風となりそうだ。日銀は18、19日に開く金融政策決定会合で、政策変更を議論することを検討しており、連合が15日に公表する回答の1次集計結果も踏まえて判断するとみられる。』(上記URL先より、以下同様)
から記事は始まっているのですが、政策決定に関して同記事では、
『日銀内では「春闘で高い水準の賃上げ率が確認できれば、3月に政策変更に踏み切る可能性が高まる」(幹部)との見方が出ていた。一方、時間をかけて、より多くの賃金や物価、経済状況に関する情報やデータを見極めたいと考える幹部もおり、4月25、26日に開く決定会合に判断を先送りする可能性もある。
4月1日には全国企業短期経済観測調査(短観)の発表、4日には支店長会議の開催が予定されている。』
という書き方になっていて現状では両論併記になっております。この理屈だと15日の結果を見ても本来は見方は変わらない筈なのですが、そういう意味では土日に読売がポジション変えて来たらこれは見ものって感じですかねえ、知らんけど。
ちなみに読売はネット版のトップ画面で見れる所にこの記事無くて「経済」カテゴリー見に行ったら一発目にあったという感じです。日経はネット版のトップ画面で見れる所に記事を置いているので、読売の方はあんまり気合入れた感じではないのでなんか本格的(?)なものを打って来るなら土曜日って感じじゃないでしょうかね。
〇ECBが短期金利誘導の手段を変更しましたとな
お前はECBの金融政策決定会合(というか定例理事会)ネタをすっ飛ばしてるだろうというツッコミはございますが、まあこっちの方がマニア的に楽しいので。
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2024/html/ecb.pr240313_1~a3a50a9add.en.html
ECB announces changes to the operational framework for implementing monetary
policy
13 March 2024
ECB concludes review that started in December 2022
・Framework sets out how Governing Council will steer short-term money
market rates in line with its monetary policy decisions as Eurosystem balance
sheet normalises
・The Governing Council of the European Central Bank (ECB) today decided
on changes to the operational framework for implementing monetary policy
to ensure that the framework remains appropriate as the Eurosystem balance
sheet normalises.
ということで何ですねんという話ですが、
『In December 2022, the Governing Council announced a review of the operational
framework for steering short-term interest rates in the euro area. Today’s
decisions establish key principles and parameters for implementing monetary
policy and providing central bank liquidity as excess liquidity in the
banking system, while remaining significant over the coming years, gradually
declines.』
向こう数年に渡って(それまでの資産買入バンバンやった後遺症で)超過準備がアホほどインターバンクに存在する、という状況なのが明らかなので短期市場金利の誘導手段について検討を行って以下のように改定します、というお話ですね。
でまあこれってそのオペレーショナルな話もそうなんですが、しらっと「向こう数年間に渡ってアホほど超過準備がある状態が続くでしょう(providing
central bank liquidity as excess liquidity in the banking system, while
remaining significant over the coming years, gradually declines)」って言ってるのって、裏を返せば「中銀バランスシートの縮小には数年単位のお時間を頂きますんでよろしく」と言っていることでもありますな。
でまあこの中銀バランスシートがアホほど残ることの影響って何なのよというのは何となく「バランスシートのストック効果で緩和効果が」という話になるのですが、金利をガシガシと引き上げた後の状況見るとホンマカイナという気もするし、一方でジャパンのように市場の流動性を枯渇させてマーケットメーカーを中銀依存のジャンキーにしてしまう位にストックがあるとストックってすげえなと思うし、まあ何なんでしょうかねこのストック効果って。
という話はさておき先を読む。
『“I am pleased to announce that the Governing Council has approved these
changes to its operational framework, which acknowledge the significant
changes in the financial system and monetary policy in recent years,”
said President Christine Lagarde. “The framework will ensure that our
policy implementation remains effective, robust, flexible and efficient
in the future as our balance sheet normalises.”』
ラガルドはんの能書きはさておき、
『For further information, see the statement by the Governing Council.』
結局そっち見ろという事か、ということでステートメントに参ります。
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2024/html/ecb.pr240313~807e240020.en.html
STATEMENT BY THE GOVERNING COUNCIL
Changes to the operational framework for implementing monetary policy
13 March 2024
『・Governing Council to continue to steer monetary policy stance by adjusting
deposit facility rate (DFR)』
一発目にキタコレということですが、預金ファシリティ金利を今後は政策金利にするよ、とゆうとるのですが、ECBのトップページの下の方には、
『Interest rates
Marginal lending facility 4.75 %
Main refinancing operations (fixed rate) 4.50 %
Deposit facility 4.00 %
20 September 2023』
とあるんですが、よくよく考えてみたらこの人達ってこの前政策金利いじったのが去年の9月になりますけど、声明文(https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2023/html/ecb.is230914~686786984a.en.html)では「the
Governing Council today decided to raise the three key ECB interest rates
by 25 basis points.」って言ってて政策金利が幾らなのかという数字の出し方してないんですな成程これはwwwww
もともとはMROの最低応札金利(固定金利じゃなかったよ昔は)が政策金利で、マイナス金利政策になってからは事実上預金ファシリティ金利が市場金利を決めるのでそっちが事実上の政策金利になっていた、ということでまあここで明示的に預金ファシリティを政策金利にしました、というお話ですな。
『・Liquidity to be provided through broad mix of instruments』
昔はECBって所要準備を高めに置いて、資金供給は2週間だか4週間だか忘れましたがのMROを雑に出して、一方で限界貸出ファシリティと預金ファシリティでコリドーを作るというアバウト方式、当然資金需給細かく見てオペするなんてしてなかったわけですが、なんですかこのブロードミックスオブインスツルメンツってのはwと言いながら先を読む。
『・Main refinancing operations (MROs) to play a central role in meeting
banks’ liquidity needs and continue to be conducted through fixed-rate
tenders with full allotment against broad collateral』
MROは固定金利方式で出して、担保ありましたらその時のビットをフルアロットメントで出しますよ、だそうです。でもってこれが基本の資金供給なので、事実上これっていわゆるロンバートとどこが違うんだという世界(いわゆるロンバード貸し付けはオンデマンド方式で、MROはオファーがある時しか出さない、という違いだけですね正直言って)。
ということですので、さきほども申し上げましたが、過剰な超過準備が数年単位で残るという市場状況なので、過剰な超過準備を不胎化しないと市場金利がゼロに向かって下がってしまうということで、その不胎化手段に預金ファシリティを使う、という形になる訳ですな。
でもって・・・・・・・
『・Spread between the rate on MROs and DFR to be reduced to 15 basis points as from 18 September 2024』
MRO金利を引き下げ(でしょさすがに)を行って預金ファシリティとの差を現行の50bpから15bpに下げる、というのはMROだけで見れば35bpの自動ステルス(ステルスでもないけど)利下げというお洒落な事になりますが、MPOの金利があまりにも高いと誰も借りにこなくなるのもアカンヤロということですが、こうなると「担保付フルアロットメント貸出金利」と「中銀預金金利」の間が短期金融市場のコリドアになる(ただし中銀預金にアクセスできない参加者の場合は中銀預金金利よりも低い金利でインターバンク市場で資金運用をせざるを得ない場合があります)ということですね。
でもってここが中々良く考えているな、と思うのですが、
『・Review of key framework parameters foreseen in 2026, based on experience
gained in the intervening period, or earlier if necessary』
2026年中にはこのフレームワークのレビューを行います、ということで、これはまあその辺りになると中銀バランスシートが縮小してきて、この「アホみたいに超過準備があるレジーム」じゃなくなって来る可能性があり、その場合にはまた別の仕組みにしないと回らない可能性があるので、この枠組み自体も別に未来永劫これで行くわけではない、と明示していることでして、金融政策手段に増築することばっかりしか能がない(個人の偏見です)どっかの昭和温泉旅館中央銀行も少しは見習って頂いて最初の時点で一旦の中締めを設定しろと小一時間ですわな。なお中銀バランスシートの縮小ペースがはやくなったりしたらこの見直しを前倒しするかもとも仰せですね。
『・The Governing Council of the European Central Bank (ECB) today decided
on changes to the operational framework for implementing monetary policy.
These changes will affect how central bank liquidity will be provided as
excess liquidity in the banking system, while remaining significant over
the coming years, gradually declines. The purpose of the operational framework
is to steer short-term money market rates closely in line with the Governing
Council’s monetary policy decisions. The review of the operational framework
was announced in December 2022 to ensure that it remains appropriate as
the Eurosystem balance sheet normalises.』
最後のポチは背景説明でして、まあ要するに現状がアホのように超過準備がある状況で、これが中銀バランスシート縮小がチンタラとしか進まないと見込んでいるので云々、という話をしております。
でもって以下
『The Governing Council agreed on a set of principles that will guide monetary
policy implementation in the future:』
Effectiveness:
Robustness:
Flexibility:
Open market economy:
Secondary objective:
って原則に基づいてどうしたこうしたと説明があるのですが、ちょっと時間が無くなってきたので必要なら明日続きをやろうかと思いますサーセン。
でまあこの方式、より物凄い勢いで中銀バランスシートを持っていてこの世の物とは思えない勢いで超過準備を抱えている日銀にも参考になる(と言っても日銀の場合はMRO方式で流動性供給をしていないのでそこは全然違う)というか、何でしょうねえこの「超過準備がアホほどある状態を所与として中銀預金で全部不胎化」って方式って、まあ現実問題これをやるしかないってのはその通りではあるのですが、これやってると皆さん中銀当座預金が赤残になるというような事が起きようが無くなるので、資金需給のブレに応じた資金管理とかがどんどんザルになっていって、いざ中銀バランスシートが適正規模になってきた、と思ったら参加者が誰も自行の資金繰りの帳尻を合わせられなくなっていて、というような事になるんじゃねえかな(その意味で言えば日銀の三層構造で市場機能が云々というのは言ってることとしてはこの資金管理スキルの継承という意味では市場機能の維持とも言えますわな、というのもあります実は)とか思うのですが、まあそもそもユーロシステムの場合はそもそも大昔から資金繰り事故防止の観点だと思うのですが、所要準備をかなり多めに積ませて、その代わりのお助けと市場金利の下限という意味で預金ファシリティを置いて付利していた(日銀やFEDは近年まで中銀当座預金は非付利だった)というのもあるので、元々その辺はアバウトなのかもしれませんけどね。
そしてこうやって中銀預金と中銀担保付固定金利フルアロットメント貸出で挟まれてしまうと、何ちゅうかこの統制色が強くなってしまうのは寂しい限りですわ、とも思ってしまいますが、とりあえず書いてあるのをざざっと見ての感想なので何か見落としあったらゴメンチャイです。
2024/03/13
お題「報道は昨日も飛ぶ訳ですが/エネ特会1Y借入レートが覚醒/輪番オペの先行き雑感」
という訳で何かヨクワカラナイけどオラワクワクして来ただ!!!!!!
〇時事通信連続砲撃第三弾キタコレ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031101044&g=eco
日銀、広がる3月解除支持 春闘、昨年超えの公算―マイナス金利
2024年03月12日11時56分配信
こちらタイムスタンプは1156になっていますが、第一報は寄り付き前に出てまして、債券先物とかは下で始まっていたりしてましたが。
『2024年春闘で賃上げ率が昨年を上回る公算が大きくなり、日銀内でマイナス金利政策の「3月解除」を支持する意見が広がっている。日銀は解除の判断に当たり、今春闘での賃上げ動向を「一つの大きなポイント」(植田和男総裁)と位置付け、連合が15日発表する第1回回答集計の結果に注目。平均賃上げ率が昨年第1回の3.80%を大きく上回れば、解除に踏み切る見通しだ。23年10〜12月期の実質GDP(国内総生産)成長率がプラス改定されたことも追い風となった。』(上記URL先より、以下同様)
ということでこの記事でまさかの時事通信砲3連鎖という時事通信にしてはエライ積極的なぶっこみをしている(他の外資系ニュースワイヤーならともかく、時事通信がこの勢いで打って来るというのは最近では非常に珍しい)のですが、実はこの記事の最も味わいのあるのは最後の部分になります。
『個人消費は足踏みが続き、日銀内には中小企業の賃上げ動向を慎重に見極めた上で、4月会合での解除判断を支持する意見も一部に残る。ただ、「待つことのリスクが小さいから待つというのは良い判断ではない」(幹部)との声が出ている。』
>待つことのリスクが小さいから待つというのは良い判断ではない
>待つことのリスクが小さいから待つというのは良い判断ではない
>待つことのリスクが小さいから待つというのは良い判断ではない
ちょwwwwwおまwwwwwwww
「待つことのリスクが小さいから待つ」を思いっきりディスっている訳なのですが、この文字列をみたらまあ普通にこういうのを思い出すわけですよね。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230519a.htm
【講演】
金融政策の基本的な考え方と経済・物価情勢の今後の展望
内外情勢調査会における講演
日本銀行総裁 植田 和男
2023年5月19日
一番最後のところにこんなのありましたよね。
『逆方向の、政策転換が遅れて2%を超える物価上昇率が持続してしまうリスクもありますが、こうした2%の定着を十分に見極めるまで基調的なインフレ率の上昇を「待つことのコスト」は、前者に比べれば大きくないと思われます。そうした意味で、先行きの出口に向けた金融緩和の修正は、時間をかけて判断していくことが適当だと考えています。』(2023/5/19植田総裁講演より)
なお、年寄りになりますと上記の「幹部」の言葉を見たら先にこっちを思い出すかもしれません。植田さんといえばこれがあるんですよねーーーーー。
こちら画像ファイルの100枚オーバーで13Mとかあるので踏む際には注意して下さい
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2000/gjrk000811a.pdf
政策委員会・金融政策決定会合議事録
2000年8月11日
速水総裁時代のゼロ金利解除の決定が行われて、植田審議委員と中原審議委員が反対した会合なんですけれども、こちらの議事録の67ページ(PDFも67枚目)の下から8行目を見ますとですね(66ページから続く発言でしてモチのロンで植田審議委員の発言)、
(ちなみにこちらは画像ファイルなので文字はアタクシが手打ちしております)『一方、このように若干待つコストを考えてみると、足許のインフレ率動向等からみてコストは非常に小さいのではないかと思う訳である。』(2000/8/11金融政策決定会合議事録67ページの植田審議委員発言より)
・・・・・・・ということで、「待つことのリスクが小さいから待つ」というのは、ゼロ金利政策の解除を行った時の植田審議委員(当時)の発言に思いっきりつながるわけでして、アタクシはこれを見た瞬間に思いっきりこれはやべえええええと思ってしまうわけですよ。「幹部」というのがどなたなのかはさっぱり分からんですが、「関係者」とかじゃなくて「幹部」なわけでして、日銀幹部たるもの2000年当時の植田さんのこの発言を知らん訳がない(というかこの記事書いてる時事通信の方も書いてる方がアタクシの想像通りの方ならこの時の植田さんの発言踏まえた表現なのが分かっている筈)でしょうから、これはもう植田さんの首に縄をかけてでもマイナス金利解除をやりましょう、って状態になっているという風情を感じるわけですな、うんうん。
〇ところが植田総裁の国会発言が相変わらずの優柔不断チキンジジイなわけでして・・・・・・・
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/MS555L74FRPMXGYIF7MI7VJOEU-2024-03-12/
「一部統計に弱めの動き」と植田日銀総裁、景気認識1月より弱い表現
和田崇彦
2024年3月12日午前 11:55 GMT+9
『[東京 12日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は12日の参院財政金融委員会で、足元の景気について「一部の統計に弱めの動きがうかがわれるものの、緩やかに回復している」と述べ、1月の展望リポートで示した「景気は緩やかに回復している」より弱めの現状認識を示した。』(上記URL先より)
ということで、このヘッドラインで為替と株がまたも反応してしまったためにNHKにまで、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240312/k10014388211000.html
円相場は値下がり 日銀総裁の発言きっかけに
2024年3月12日 18時31分
『12日の東京外国為替市場は、日銀の植田総裁の発言をきっかけに日銀が今の大規模な金融緩和策を早期に修正するとの思惑がやや後退したという受け止めが出て、円相場は値下がりしました。午後5時時点の円相場は11日と比べて60銭円安ドル高の、1ドル=147円33〜35銭でした。』(上記URL先より)
という風に書かれる始末でして、サンパウロに続きましてまたもチキンジジイの発言がマイナス金利政策の解除に前向きじゃないモードになっていたわけでして、折角こうマイナス金利早期解除で皆でお膳立てしているのに想定問答以外の部分が入るとこのジジイ完全にチキン入ってションベンチビってやがるというところですな。
・・・・・・・・でもってこのチキン総裁状態というのをベースにしてさっきの時事通信砲3発目の記事を見ますと、時事通信砲における「待つことのリスクが小さいから待つというのは良い判断ではない」っていうのは、先日のサンパウロも然り、恐らく12日の国会でもそうなるんじゃないかと心配して居た通りにチキン満載の発言をしちゃっているションベンチビリ総裁にいつまでチビってるんだこの根性無し、と責め立てているという状況なのを敢えて分かりやすい言葉(=待つことのリスクが小さいから待つというのは良い判断ではない)で打ち出してきた、ということになりますわな、と思う訳ですよこれがまた。
ということで、さっきの時事通信砲を見た時に「総裁に決断迫ってますねえ」というのが読み取れる中で植田さんも鈍感なのかウルトラチキンでコワイヨーコワイヨーと泣いているのかは知らんですけど、それに対して大本営と審議委員の一部(全部だったら笑う)がチキンジジイの外堀内堀全部埋めた立てて大坂夏の陣状態に持って行っている、という読み筋になってしまう訳ですな、でもまあそんな感じなんじゃないですかねえ。
〇その後も後追い報道がでておりまして
・BBGは引け直後のタイミングでしたので
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-12/SA6LU4T1UM0W00
日銀がマイナス金利解除の是非議論、春闘集計踏まえ判断−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年3月12日 15:08 JST 更新日時 2024年3月12日 16:48 JST
→コンセンサスには至らず、解除と見送りの両シナリオを準備−関係者
→連合は15日に春闘の第1回回答集計を公表、要求は30年ぶり5%超え
『日本銀行は18、19日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利の解除の是非についてより踏み込んだ議論を行う公算が大きい。15日に連合が公表する春闘の第1回回答集計を踏まえて、今月の解除が適当かを判断する。複数の関係者への取材で分かった。』(上記URL先より、以下同様)
ということでまあ何となく為替とか反応していました(30銭くらい円高になった)のですが、記事後半の小見出し『総裁判断が鍵』ってのがなんか違くね???って感じなんですよね。
『今月中にマイナス金利を終了すれば、タカ派的と受け取られ、追加利上げに対する不必要な臆測を生む可能性があるとの意見も一部に出ている。最終的には植田和男総裁の判断に委ねられ、それを軸にコンセンサスが形成される可能性が高いという。』
さすがに「タカ派的と受け取られ」ってお前は何を言ってるんだという話だし、さっきの時事通信砲における「幹部発言」があの有様で、じたばた言うようなら皆で寄ってたかって植田総裁を主君押込状態に持ち込んで座敷牢へ幽閉しかねない勢いにしか見えないわけで、「最終的には植田和男総裁の判断に委ねられ、それを軸にコンセンサスが形成される可能性が高いという。」というのが違うだろうよ、としか思えないわけですよ。
まあここでBBGと時事通信どっちの記事をベースにするか(婉曲表現)と考えてみれば(内務省検閲)
・ロイターの英語バージョンは金曜夜の時事通信砲第二弾をコンファームする形に
何故か米国のヤフー!ファイナンスからなのはご勘弁。
https://finance.yahoo.com/news/boj-offer-guidance-bond-buying-082050668.html
BOJ to offer guidance on bond buying pace upon ending YCC - sources
Leika Kihara
Tue, March 12, 2024 at 5:20 PM GMT+9
『By Leika Kihara
TOKYO (Reuters) - The Bank of Japan will likely offer numerical guidance
on how much government bonds it will buy upon ending negative interest
rates and yield curve control (YCC), to avoid causing market disruptions,
said four sources familiar with its thinking.』(上記URL先より)
ということで、いつもの木原記者による記事ですが、内容は上記URL先を見てちょんまげ、という話ですが、基本的には金曜日に時事通信が渾身の決め打ち記事を打ってきた内容をコンファームするような感じになっておりまして、これはもう来ましたなという感じですが、こちらもまあ植田総裁がサンパウロに続き国会でもチキン発言をぶっこんでいる中でこういう感じで時事通信砲のコンファメーションを打たれるわけで、これはまあ3月の方がありそうだし、植田総裁の判断が軸になるとかいうのはちょっとなさそうで、植田さんをねじ伏せに掛かっているようにしか見えませんわなあ、というお話。
しかしまあ何ですな、こんなにお膳立て揃ってるのに「待つことのリスクは小さい」とか言って決断から逃げようとしているのって、そんな決断できないでお前なんで日銀総裁引き受けたんだよとツッコミを入れたくなるわけでして、いやまあ実は植田さんも本当は正常化やる気満々なんだけど敢えてここは狂言を一発打ってみて、緩和テイストを残しながらスムーズに出口に行きたい、というお芝居やってるんならチキンジジイとかいうような一連の発言を五体投地してお詫びますが、なんかもう時事通信砲の3連鎖とかいう異例のぶっこみが起きているのを見ると、そういう芝居モードじゃない何か変った流れというのを感じざるを得ないんですよね。うーーーん謎だ。
〇エネルギー特会借入(期間1年)が突如覚醒した件について
昨日のエネ特借入結果ですが、そもそも特別会計借入金に関しては
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/2403.htm
入札カレンダー:令和6年3月
ということで入札カレンダーの下の方に『(3)借入金』というのがあると思います、こちらですが、昨日入札が行われたのが
3月12日(火) 3月21日(木) エネルギー対策特別会計借入金(12ヶ月程度) 入札予定 入札結果
なんですけど、この入札結果というのをポチっとしますとですね。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/energy-result240312.htm
エネルギー対策特別会計の借入金の入札結果
令和6年3月12日
財務省
『本日、借入金の入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.借入根拠法律及びその条項 特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第13条第1項
2.借入日 令和6年3月21日
3.償還期限 令和7年3月21日
4.償還方法 令和7年3月21日に一括償還
5.応募額 2兆6,500億円
6.募入決定額 6,900億円
7.募入最高利率 0.160%
8.募入最高利率における案分比率 85.5073%
9.募入平均利率 0.155%』
ということで何と平均0.155%、足切り(最高利回り)は0.160%となったのですが、何せ前回2月実施のエネ特借入は、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/energy-result240208.htm
エネルギー対策特別会計の借入金の入札結果
令和6年2月8日
財務省
『5.応募額 3兆5,300億円
6.募入決定額 6,500億円
7.募入最高利率 0.000%
8.募入最高利率における案分比率 92.8573%
9.募入平均利率 0.000%』
ということで2/8だからシャーナイかもしれませんが0%になっていましたし、直近の交付税特別会計6Mの結果は・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result240301.htm
交付税及び譲与税配付金特別会計の
借入金の入札結果
令和6年3月1日
財務省
『5. 借入利率競争入札について
(1)応募額 7兆150億円
(2)募入決定額 1兆1,930億200万円
(3)募入最高利率 0.000%
(4)募入最高利率における案分比率 46.8765%
(5)募入平均利率 0.000%』
ということで3/1の交付税特会借入6Mの時は0%案分だったのですが、まあ6M入札がプラテンキタコレとやったのがこの翌週の3/7木曜日なので、この時の0%もそんなもんちゃあそんなもんかもですが、こうやって金利水準訂正というか織り込みというかがキタコレの巻という感じですわな。
ザックリいえば1年の0.155%だと、足元を0で見るのか▲10で見るのかが判然としませんが、まあ3月解除で4月半ばから利上げ適用(ちなみにこれ翌日適用の可能性も勿論あるし、次の利上げの時は翌日適用になると思うんですけど、マイナス解除の時はオペの変更とかいろんなもんがあるので、一応準備期間というのがあった方が良いと思うし、期末直前に制度いじられるのめんどいから3月なら4/15まで当預付利は従前の措置になるんでネーノと)としまして、手前0、マイナス解除後は10で計算しますと、10月会合(10月末ですが)に0.25に利上げになって来年の3月4月まで利上げなし、でざっくりそんなもんですか、みたいな金利になるんジャマイカ(はっきり言って雑おぶ雑ですな、というか期中の短期金利(プラスになったら多分日銀当座(超過)預金付利で見るのが妥当)の足し算、という超簡単な裁定計算(ただの期中平均金利出すだけの計算)エクセルシートでもそろそろ作るか〜)という感じでして、なんかこう急にこの特別会計借入(こっちから見たら資金運用)のレートがマイナス金利解除と次の利上げを織り込みに行く、という弘法大師が杖付いたら一夜にして覚醒しました、ってな風情の価格形成になっておりまして、これはまた来ましたなという感じです。
まあ徐々にこんな感じで織り込みが入っているところもあるんですけど、織り込みがあんまり入っていない市場というのもある訳で、この辺りは特に短期ですと参加者の個別事情によって参入できる市場参入できない市場というのがあるので、この辺の分断は政策変更前とかになると目立ちますなあという所です。
〇ところで長期国債買入ってどういう運営になるんですかねえという雑考たたき台
まあたたき台ということで叩かれ台として置いてみますが・・・・・・・・
月間何兆円、という時事通信の報道のあとのロイターさんの奴ですが、再掲しますと、
再掲です
https://finance.yahoo.com/news/boj-offer-guidance-bond-buying-082050668.html
BOJ to offer guidance on bond buying pace upon ending YCC - sources
Leika Kihara
Tue, March 12, 2024 at 5:20 PM GMT+9
『Currently, the BOJ does not set an explicit target on the amount of bond
purchases. But it buys roughly 6 trillion yen ($40.7 billion) worth of
government bonds per month to achieve its yield target.
The central bank is likely to roughly maintain the current pace of bond
buying after ditching YCC, and forgo sharp cuts in the amount for the time
being, the sources said.』(上記URL先より)
ということで、基本的に時事と同じで「月額の買入フローベース」で来る、という一番実践的なパターンかつ昔なじみの方式になってくるというのが見えてきておりますが、この関係者談によれば、しばらくしたら買入ペースを落とすんでネーノという話もしておりますな。。
・・・・・でまあここで論点になるのは「ストックベースで考えないのか」という話なのですが、これはまあ市場実務的にストック効果何ちゅうのはストックがアホみたいにある時に限る話で、足元の価格形成に重要なのはフローだというのと、ストックの場合そもそも論として日本の場合は「月額」ベースでの管理ができないという問題点があって、四半期ベースのストックとかになると進捗状況どうなったとかそういうので一々思惑招きかねないというのが実務上の問題点。まあ理論的定量的に分析とやらをするときは普通「ストックベース」の話になるんですけど、まあこんなの実務上がり(というかそもそも定量分析方面には上がれていないのですが、笑)のワイから見たらストックベースは使いにく書生談義ですわってなもんです。
と、大事な事なのでこの前に続いて同じこと言いましたが、月額フローにしろストックにしろ、月額で何ぼか買わないといけない、という話ですが、ここで問題になるのは「今の買入方式を継続してて良いんでしょうかねえ」というお話。
いやまあ3月なり4月なりにマイナス金利解除(予告ホームランやる位なら3月にすっぱり解除すると思いますけどこうなったら)をしたその当初は恐らくガチで何も変えないで行く位の勢いになると思います。まあ総額明記方式だからオペ紙に関して言えば、月額の買入を今のレンジからピンポイントにしてくるとは思います。
でまあ最初はそれで良いんですけど、どうせその後の利上げも展望しているという中、そもそもこのアホのような買入額って何のためにあるのかと言えば、YCCで金利を目標というかもはやただの形骸化したものになっているけど、一応建付けの上では「10年金利を概ね0%程度に誘導」するための買入でいらっしゃるわけですよ。
しかしながら、そういうのは外れる訳で、アホのような買入をしているのはあくまでも「激変緩和措置としてのスムージング」なのですから、「10年0%目標」を前提にした買入の方式をそのまま継続する、というのはロジック的に明らかにおかしい訳ですな。
・・・・・・となりますと、月間の買入額に関しては、@MPMで決定するので次の利上げくらいにならないと中々減らしにくい(勿論状況的にこれ減らしても問題ねえだろとなれば利上げ前の会合で減らせる)ことを考えますと、A買入年限を工夫する、ということになろうかとおもうのですよね正常化推進のためには。
まあ普通に考えれば買入の年限を短期化する、って話になるかと思いますし、もっとそもそも論を言えば今のように細かい年限の縛りが必要なのか、というのもこれまた検討すべきことなのではないかなあとは思います。
なお、最終兵器としては、YCCぶっこんだときに「国債買入80兆円」の文言を残した挙句、「量・質・金利の三方向から追加緩和が可能になりました」とか抜かしやがったのに、ふと気が付いてみるとドンドンと買入のフローを落として行って、完全に空文化(コロナのドサクサに紛れてこっそり撤廃した)した、というB明示的に書いてあった筈なのにバンバン形骸化して行く、というとんでもない荒業がありまして、例えばの話月額の買入については声明文に記載するものの、よくよく読んだらコミットではなくてただの目途、みたいな数字に最初の時点でしちゃっておいて、「これは目途なので市場の状況を鑑みて過大な買入にならないように調整したらこうなりましたが何か問題ありましたっけ??」というような仰天屁理屈仕掛けを考えていただ不肖このアタクシも参りましたと素直に降参しますが、そういう面白仕掛けを作ったうえで、「新たな量的金融政策(金融緩和政策とは言ってない)」をぶっこんできたらお洒落なんですけれども、そんなところまで踏み込め・・・・・ると良いなあ。
まあいずれにせよ「今のオペ紙で示している方式は、長期金利コントロールの為の道具になっているので、YCCの建付けが無くなった場合には、道具の体裁を変更するのは必至」というのを認識しておいた方が良いと思いますので書いてみました。
あとですね、そういやCP買入と社債買入はどうしますねんという話ですが、まあCP買入は今さら要らんだろ(企業金融が逼迫しているなら兎も角CP発行できるような企業のレベルではガバガバなんですから)という話で、CP買入は新規を止めればあっという間に期落ちしますから割とそこは簡単ですが、社債の方はよーわからんですな。新規買入を徐々に減らして行って、という形になるんじゃないかとは思うんだが、まあこの辺のリスク性資産の買入に関しても「金融緩和効果を高めるための措置」という扱いになっているので、マイナス金利政策とYCCの解除となると継続している意味が乏しくなるわな、という所であります。
すいませんだいたいオペ雑談でした今日も・・・・・しかも整理整頓してねえええええええええええorz
2024/03/12
お題「昨日の訂正(貸出支援基金今特則で0%でしたサーセン)およびその他オペネタ/中川審議委員金懇会見」
あーすいません、昨日のオペに関する駄文ですが抜けがありましたので訂正させていただく(過去ログは後で訂正履歴分かるように訂正します)いうことで、ご指摘ご教授いただきました読者の皆様におかれましては、厚く御礼を申し上げさせていただきます。生兵法は怪我の元(赤恥)。
という訳で参ります。
〇貸出支援基金って特則が適用されて金利は0%でした(滝汗)
昨日ネタにしました貸出支援基金ですが、いや実は書いていて「本当に0.1%だったっけ?」と思いながら、(何せ自分でこれ使ったことがないもんで、汗)本則通りに書いていたのですが、まあ実はこういうのがあったんですよマイナス金利導入時に。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/k160129b.pdf
(参 考)本日の決定のポイント
2016年1月29日
日本銀 行
こちらのQ6に、
『Q6.当座預金金利がマイナスとなると、貸出増加支援、成長基盤強化支援、被災地金融機関支援オペが利用されなくなってしまうのではないか?(2016
年4月 28 日修正)』
『A.日本銀行としては、これらの制度は重要な役割を果たしていると考えており、日銀当座預金金利のマイナス化によって、利用のインセンティブが低下することは好ましくないと考えている。そこで、これらの貸出金利をゼロ%とするとともに、直近の残高と
2016 年3月末から直近までの増加額の合計金額については、当座預金でゼロ金利が適用される部分に加えられるようにした(これにより、2016
年3月末から直近までの増加額の2倍の金額が算入される)。このため、これらの制度を利用して日銀当座預金が増加しても逆鞘になることはなく、利用を阻害することはない。
なお、「平成二十八年熊本地震にかかる被災地金融機関支援オペ」が開始された後は、これらの制度と同様に取り扱います。』
こういうのがあったのですが、これを定めた文章が
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/index.htm
貸出支援基金
ホーム>金融政策>金融政策手段>オペレーション等の一覧>貸出支援基金
を見てもなかったりするのですが、読者様(しかも複数の方々からです、誠にありがたき幸せです)からのご指摘によりまして、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2016/rel160129h.pdf
「資金供給円滑化のための補完当座預金制度基本要領」の全面改正等について
2016 年 1 月 29 日
日本銀 行
補完当座預金の方かよ!ということで、こちらの別紙2というのに、
「「共通担保資金供給オペレーション基本要領」等の特則について」
(全面改正)
『当分の間、下記1.から4.までの利率については、それぞれの規定にかかわらず、年0%とする。
記
1.「共通担保資金供給オペレーション基本要領」(平成18年4月11日付政委第31号別紙1.)6.(1)ロ.に定める固定金利方式における貸付利率
2.「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション基本要領」(平成23年4月28日付政委第36号別紙1.)6.(1)に定める貸付利率
3.「貸出支援基金の運営として行う成長基盤強化を支援するための資金供給基本要領」(平成22年6月15日付政委第51号別紙1.)6.(1)に定める貸付利率
4.「貸出支援基金の運営として行う貸出増加を支援するための資金供給基本要領」(平成24年12月20日付政委第107号別紙2.)5.(3)および6.(2)に定める貸付利率』
以下付則が延々とあるのですが引用割愛しますけど、そういやマイナス金利政策を適用した時に臨時措置として0%にしたのはこの「特則」での扱いで、基本要綱を書き替えなかったんだ、というのを再認識しました。
・・・・・というかですね、まあ単に逆切れと言われてしまえばグウの音も出ないのですが、このあたりの貸出支援とか補完当座預金とかの制度って何がどうなっているのかの説明が無茶苦茶不親切に作ってあって、しかもこの例のように基本要綱を特則で読み替えることによって基本要綱を読んだだけでは分からんとかいう作りこみになっているのって、これぞ昭和温泉旅館の恐ろしいトラップという感じでして、これむしろ日銀わざと分かりにくく作ってるだろう(関係各位だけ分かればよくてあまり幅広に知られたくない、ってな感じ??)って話ですなマッタクモウ。
と自分の調査不足を棚に上げてブー垂れてみましたが、貸出支援基金(貸増と成長基盤)の資金供給オペの金利は本則が0.1%のものを特則で0%にしている、という状態なので、マイナス金利解除したら特則の趣旨からしたら本来の本則レートに戻すって話になりそうですね。ということで今週のオペはそもそも0.1じゃなくて0%の4年という無茶苦茶お洒落な貸出でございましたとさ、
てかさこの
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope240116b.pdf
貸出増加支援資金供給(2024 年 3 月実施分)の実施スケジュール
2 0 2 4 年 1 月 1 6 日
日本銀 行
に貸出実行日と返済期日を書いておいて貸出金利書いてないのがそもそも分かりにくいんですよね。まあ制度がもはや昭和温泉旅館なのはわかるのですが、一見さんには絶対分からないような仕組みになっていて磐光パラダイスかよという世界になっているのですが、いやまじめな話この手のワチャワチャしたものもこれから順次整理していけよとは思うのでありました。
〇調子にのって補完当座預金制度についてですが貸出促進付利と地域金融機関向け特別付利
・貸出促進付利制度ってまさかこれ生かすことになるの????
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo104.htm
貸出促進付利制度基本要領
こちらで定められた貸出促進付利ですが、と言ってもこれ今適用されているのは全部カテゴリーV(TとUはコロナ関連貸出のうちTがプロパー融資、Uが協会保証の制度融資だった気がしますが、その扱いはすでに無くなっている)になるので、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/oth_b/mope240220a.pdf
貸出促進付利制度のカテゴリー別残高(2023 年 12 月)
『カテゴリーT 0 億円
カテゴリーU 0 億円
カテゴリーV 812,596 億円
(注)積み期間における平均残高ベース。』
という状態なのですが、普通に超過準備に全部付利したら貸出促進付利というかマイナス金利免除制度というかのこの制度って単純に超過準備付利に包含させてしまえばよいと思うのですが、まさか高率レートつけたりして残すのかね、というのがあるのと・・・・・・・・
・地域金融機関向けの特別付利はどうするんですかねえ
もともとはこちら
https://www.boj.or.jp/finsys/rfs/rel201110a.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入について
2020 年 11 月 10 日
日本銀 行
これがまた結構ややこしいのは、
『「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入について
日本銀行は、本日開催した政策委員会・通常会合において、地域金融機関が将来にわたり地域経済をしっかりと支え、金融仲介機能を円滑に発揮していくための経営基盤の強化に資する観点から、金融システムの安定確保のための政策として、別紙の内容を骨子とする「地域金融強化のための特別当座預金制度」を導入する方針を決定した。』
ということで、なんと「通常会合」マター(つまりマネタリーポリシーではなくプルーデンスポリシー)でやっていることでして、おかげでこの絡みの資料は
ホーム>金融システム>地域金融強化のための特別当座預金制度
じゃないと見れないということで、一種の補完当座預金制度措置だというのに、「金融政策手段」の方では見落としてしまうという(金融政策手段じゃないのは確かにその通りなんですけど)わざとわかりにくくしてるだろうという勢い(親切設計するならオペレーションの一覧のところに(参考)って形でリンク貼れよと思うわけで)なのですが、そういやこれがあったわという話。
元の時の説明を見ると
https://www.boj.or.jp/finsys/rfs/rel201225f.pdf
「地域金融強化のための特別当座預金制度」のポイント
(2020 年 12 月 25 日更新)
『2.制度の概要
●地域経済を支えながら経営基盤強化に取り組んだ地域金融機関に対し、当該地域金融機関が保有する日銀当座預金に上乗せ金利(年+0.1%)を支払う。
● 3年間(2020〜22 年度)の時限措置。 』
なので終わっていると思いきや、
『(3)特別付利の期間
●要件の別に、以下のとおり特別付利を行う。
@ OHR要件: 各年度の要件充足を日本銀行が確認してから1年間
―― ただし、2020・21 年度に要件を満たさない先が、翌年度以降 2022 年度までに要件を満たした場合には、満たした年度の翌年度に過年度における特別付利相当額を支払う。
A 統合要件: 要件充足を日本銀行が確認してから3年間
―― 上記@またはAの要件を同時に満たした場合は、同時期に重ねて付利は受けられないものとする。』
ということで、統合要件の特別付利は生きているのですが、この特別付利って奨励金の香りがプンプンするものなのですが、これを超過準備付利で無事?に吸収できるのか、それとも上乗せを入れてくるのか、まあ超過準備付利するからいいじゃんという気はするのですが、どうなるんでしょうねえ。
・・・・・・で、これでもまだ全部を網羅できている自信がない、という位にこのマイナス金利の間に次から次へと増築を行ったオペというか何とか支援系の増築に次ぐ増築、何をどうしてこんなになってしまったのか、と思うわけなので、マイナス金利解除とともに大幅に整理なり廃止なりをしていただきまして、「訳の分からん特別付利とか訳の分からん特別貸付とかをホイホイと出すなよ」と申し上げたく存じます。
ということで、冒頭でも申し上げましたが、ご指摘ご教授いただきました読者の皆様におかれましては、厚く御礼を申し上げさせていただきます。いやーアタクシとしてはオペの基本要綱をせっせと読み込みまくったつもりだったのですが、全然抜けだらけという抜作先生で大変に恥ずかしい所ではあります。
・・・・・しかしこのややこしいオペの大群と付利の特則と準備預金制度の適用範囲に関して事務要領まで含めて全部を一発で回答できる人って世の中に何人いるのかという世界で(いても多分片手で数える位じゃないかしら・・・・・)どんだけゴテゴテといろんなものをやってきたのか(これは黒ちゃんだけではなく麿のころから始まっている話なので麿にも責任はあると思うの)という話ではございますが、引き続きツッコミ待ち状態でありますので気が付かれた方でご親切な方がいらっしゃいましたら何卒よろしゅうおねがいするます。
〇日銀ETF買入を昨日の下げ局面でも実施せずの巻が話題になってましたが
https://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果ならびにETFの貸付結果
最終更新日:2024年03月11日
11日最終更新なので買入をしたのかと思いきや、上記URL先にある「3月」のリンクを踏みに行くとエクセルシートが出てくるのですが、昨日実施されたのはレンディングの方でした、という中々お茶目なオチが付いているのですけど、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB118MX0R10C24A3000000/
日銀、ETFの買い入れを見送り TOPIX2%安でも
金融政策
2024年3月11日 18:24 [会員限定記事]
『日銀は11日、上場投資信託(ETF)の買い入れを見送った。11日午前の東京株式市場では東証株価指数(TOPIX)の前週末比下落率が2%を上回り、市場では日銀がETFを買い入れるのではないかとの観測が出ていた。日銀は従来、TOPIXの下げ幅が2%を超えた際はETFを買い入れており今回の』(上記URL先より、以下会員記事になります)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-11/SA6D65T0G1KW00
日銀がETF購入を見送り、政策変更巡る市場の観測強まる可能性
佐野日出之、伊藤純夫
2024年3月11日 17:39 JST 更新日時 2024年3月11日 19:07 JST
→午前のTOPIX2%超安で異例対応−21年4月以降の購入履歴覆す
→次回会合でETF買い入れ自体を撤廃するとの見方−T&Dアセット
『11日の日本株市場でTOPIXは午前の取引で2.3%下げた。日銀はETFの購入について、午前の取引で2%下落時に購入するとの方針を公式に認めたことはない。しかし、2021年4月以降の購入履歴は全てこの原則にのっとっており、市場関係者の間では事実上のルールと見られてきた。』
『T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、「意外感はある」とした上で、「次回会合ではETF買い入れ自体を撤廃するだろう」との見方を示した。市場では買い入れに対して否定的な声も多かったため、11日にETFを買わなかったことが相場を押し下げることにはならないだろうと述べた。』(以上上記URL先より)
とまあそういう話ですが、まあこれがネタになってもう一発株価が下がるとチキン総裁がションベンチビってここまでお膳立て来ているマイナス金利解除をビビりだすのが最大のリスクという所でして、ちょっと誰かあのチキンジジイに喝と活を入れて下さいなってなもんなのですけど、さてどうなりますやら。
しかしまあ何ですな、月曜って円高とアメリカン株式市場で半導体とかがクソ下げしたことでアイヤーってなっておりまして、その中では時事通信砲絡みで日銀の政策変更が近いとの見方がどうのこうのという講釈もあった(どうせ3月か4月にマイナス金利解除するのに、それが3月か4月かってのの差は短期金融市場にしかねえだろ、と言いたいがまあ3月にやるとその後の利上げパスが手前に寄るから、というのでアイヤーとなるなら理に叶っている)次第ですが、これ本来的に考えれば、他の要因がぶつかったにしろ、3月か4月か、のうち3月待ったなし、となったというだけの政策修正ネタに対して、為替市場様や株式市場様が反応なされる、というのはどんだけ今の金融市場が日銀緩和ジャンキーになっているか、の証左でもある訳でして、本来ならばこのような市場の反応を見たら「これは我々の緩和のやり過ぎによる弊害」と考えて然るべきなのですが、このような値動きを見てションベンチビってマイナス金利解除コワイヨーとか言い出しそうなのがチキン植田日銀(あくまでも個人の偏見です)というのが今までパティーンだった希ガス。
まあ2%ルールだかなんだか知らんけど、そもそも「資産価格のリスクプレミアムに働きかける(=リスクプレミアムをなくしましょう)」で行っている買入なんですから、史上最高値更新してるんだったらむしろリスクプレミアムの逆側が発生している可能性だってあるんだから筋から言ったらETF売りを検討、というのは勿論暴論なのですが(笑)、まあこの水準で買いをするのもおかしいだろと思いますし、何なら金融相場に火をつけかねませんし、まあマイナス金利解除後の世界においては債券市場のみならずこのように日銀がアホみたいに介入してしまった市場の価格形成メカニズムを市場に戻す、というのが重要なテーマになるんですから、マインドセットを変えていく必要があると思うんですよね。
・・・・・・なお債券何とかストのコメントをベンダーでチラチラ見ていると、実はこのもっとも市場メカニズムの復活が必要とされる円債市場ちゃんのコメントがもっとも日銀依存ジャンキー脳に染まっている感があるのが嘆かわしいと老害っぽく申し上げてみるのでありましたとさ。
〇遅ればせながら中川審議委員金懇会見
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240308a.pdf
中川審議委員記者会見
――2024年3月7日(木)午後2時30分から約35分
於 松江市
・いきなり幹事社ド直球質問ワロタ
基本的に金懇の会見に関しては地元を代表する新聞社が幹事社質問をする筈でして・・・・・・・・
『(問)二点ご質問させて頂きます。一点目が本日の金融経済懇談会で出席者の皆様とどういった議論をされたのかというところをまずお伺いできたらと思います。』
と、ここまでは何時もの金懇なのですが、
『あともう一点がマイナス金利解除の見通しについて、3 月の 18、19 日の決定会合でするのではないかという見方が強まっていますが、果たしてそこでの、実際に解除というのがあるのかどうかと、そういうところを含めてお伺いできたらと思います』
ちょwwwwwwwwwwwテラ直球ワロタwwwwwwwwwwwww
でまあ前半はパスしまして、
『(答) (前半割愛)また、二点目に関しましては、マイナス金利の解除についてということなんですが、こちらは、おそらく
2%の物価目標の達成に向けた確度と併せてお答えする必要があるかと思います。』
これは見事な模範解答が聞ける予感がしますね!
『まず基調的な物価の上昇率に関してですが、25 年度にかけて2%に向けて徐々に高まっていく、その見通しの実現の確度は引き続き少しずつ高まっているというふうに思っています。』
ほう。
『すなわち物価から賃金への波及の面におきましては、この春の労使交渉に向けて、労働組合の方からは昨年を上回る賃上げを要求するという方針が示されているようですし、また大企業を中心に経営者から賃上げに前向きな発言もみられています。』
『また、賃金から販売価格への波及に関して言えば、サービスを含む価格が緩やかながら上昇傾向にあるということを踏まえますと、こちらも動きが出てきているように見受けられます。』
なるほどこういう振り付けなのか。
『この点は、こうした労使交渉の動向も含めて、これからも出てまいります各種のデータや情報を丹念に分析して、いわゆる賃金と物価の好循環と言っていますが、こういったものが強まっていくかどうか確認したうえで判断してまいりたいというふうに思っています。
』
ということで、決め打ちはしないけれども所謂好循環とされるものについては進展しているとの評価、ということでこれがまあ綺麗な模範解答な訳で、サンパウロまで遠征してあのチキンジジイは何をぬかしてたんだという話ですな。こういう時期なんだから模範解答以外回答する必要は余程強い意志でもあれば別だけど、そうでもないのにリップサービスで変な事いうチキンジジイはアカン訳ですし、その点で言えばきっちりと模範解答をする中川さんの方が安心できるわwww
・ある意味順当だが今回の会見は全部この質問ですがなw
なお次の質問もこれであるw
『(問)今日の講演の中で企業の賃金設定に明確な変化の兆しがみられるや、賃金と物価の好循環が展望できるというお話をされたと思います。金融政策の正常化への条件は整いつつあるというようなご認識でしょうか、ご見解をお聞かせください。
また、もし不足している点があるとか、注視する必要がある部分があるとすれば、どういった点になるか教えてください。
』
こりゃまたエライ追い詰め質問ですな。
『(答)まず一点目のご質問についてですが、繰り返しになりますけれども、この物価目標の達成というのが、基調的な物価上昇が
2%の安定的な基調が続くかどうかということの見極めにかかっているかと思います。その点においては、先ほど申し上げました通り、賃金交渉に関しては、おそらく
1 年前の同時期に比べますと、賃上げに対して前向きなご意見や、またその要求に向けた動きが強まっているように感じているところではあります。この点で先ほど申し上げました通り、こうしたことを背景に、見通しの実現の確度が引き続き少しずつ高まっているというふうには判断しています。』
と、結局同じ回答をしています。そりゃそうだ。
『不足する点とそれから注視したい点ということですが、これもおそらく前回のこの席でもお答えした中に入っていたかもしれませんが、皆さんもご承知の通り、GDP――マクロの数字――でみますと、個人消費の数字が実質、それから名目値でみてもなかなか人流の回復のデータに比べますと弱くみえております。この辺りは引き続き賃金の動向と併せてみていく必要があるというふうに思っております。』
こっちは意外にちゃんと回答してますね、しかし実質個人消費が弱いのって物価が上げすぎだからなのではないかと思うのですがw
・非伝統的政策部分の見直し云々
以下延々と質疑が3月マイナス金利解除の話になるのですが、ちょっと別の話が幾つか(島根県の質問はパスします)あるのでその辺を。
『(問) (前半割愛)二点目が講演の中で、仮に 2%の物価安定目標が見通せる状況になったと判断したら、いろいろな緩和的なツールを修正の要否を判断ということで、これが非伝統的なものであることを念頭に置きながら議論すべきとあるんですが、これは非伝統的な政策であるからこの副作用が大きい、この点を意識しながらやるべきなのか、そういう含意なのか、どういう点に留意すべきというコンテキストでおっしゃっているのか少し説明頂ければと思います。
』
中々難易度が高いなwと思ったら回答は以下の通り。
『(答) 』二つ目に関しては、非伝統的な金融政策に関してということですけれども、特段すごく深い意味を持ってそれを書かせて頂いたわけではありませんが、当然にマイナス金利の解除が非常に今話題には上っていますものの、当然に大規模の金融緩和というものにおいてはいろんなツールを使ってまいっております。ですので、こういったものも特に除外することなく、マイナス金利の解除を検討できる状況になったらこういったものも併せてどうするべきかというのを机上に載せて、皆で議論するべきものというふうな脈絡で、この表現にさせて頂いています。』
うーんこの回答という感じですが、まあ要するにマイナス解除だけじゃなくて他の措置の見直しもあるよ、という大本営の振り付けということですかね、よくわからん。
・格差拡大に加担する日銀という論点に対して長尺論点ずらしで回答するの巻
『(問)少し専門的な金融政策の話からは離れるんですが、もう少し一般的な視点から質問したいと思っています。』
『今、日本の現状、この前株価が過去最高を更新しているんですが、その一方で、生活保護の申請者が最近増えていまして、ここ数ヶ月過去最高という記録を辿っています。一方で過去最高の株高、一方で過去最大の生活保護と、やはり非常に対照的な現象が同時進行をしています。』
『生活保護の申請の理由としては物価高が一番大きくて、これが特に低所得者の方の生活を直撃しているという現実があります。一方、株高で資産家は潤っているんだけども、底辺の方は非常に困っていらっしゃると、非常にきわめて対照的な動きとなっているんですが、』
格差拡大キタコレ
『この物価高の原因が、やはり日銀の金融政策でですね、内外の金利差で円安を招いていて、それが輸入物価になっていて、それを起点となって全体の物価高を招いていると。特に食品とかですね、そういった身近な商品が高いと。これが国民生活を直撃していて、その結果、生活保護の方が増えていると。』
まあだいたい総裁会見の時はこの類の質問が後ろに回されてこういう丁寧な聞き方をする時間が無いというのが困りものな訳です。
『こういった低金利政策の副作用として、一方でそういった生活保護といった底辺の方の生活を直撃しているんじゃないかと、そういった副作用も懸念しています。そこら辺は、中川さんはどうみていらっしゃるんですか。やっぱり日銀の金融政策の副作用として、そういった犠牲者とは言いませんけども、ヴィクティムが発生しているということも事実なので、それをどういうふうに認識していらっしゃるのか、いくつかそういった事態を今後の金融政策でどう活かしていこうと思っていらっしゃるのか、その辺をお聞かせください。
』
まあ文字に起こすと糾弾チックにはあまり見えないのもポイント高いですね。でもってこちらの質問に割と長尺の回答をしているんですよね中川さん。
『(答)直接的にお答えするのが少し難しい面もありますが、できる限りお答えしたいと思います。』
長尺開始。
『金融緩和、しかも大規模な金融緩和というものを始めてから非常に長くなっていまして、少しちょっと論点が別のところから入らせて頂きますと、コロナ禍の発生時にもありましたが、非常に金融環境を緩和的な状況に置くということを、コロナ禍という理由である場合には、ゼロゼロ融資とか、日銀においてはその対応するオペというのをやって、これに関しては雇用の維持ないしは拡大、そしてその時点においては、不安軽減には役に立ったとは思いますし、それに対して失業が増えるとか社会的不安が増幅するということを緩和するに多少役には立ったのではないかなというふうには思っています。』
ちょwwwwなんでコロナ対応の話をするんだよひでえ論点ずらしだなおいwwwww
『今のご質問の趣旨からしますと、そういうイベントがあったということの対応だけではなくて、長く金融緩和を続けてきたことの緩和状態に対するメリットもあったかもしれないが、副作用というものもあったのではないかというご指摘なんですが、』
分かってるならなんで最初に余計な説明したの??????
『私どもも[多角的]レビューの方をご覧頂けているかどうかちょっとまだ分かりませんが、これも私ども[多角的]レビューのまだ過程にありますので、もしお時間あれば是非ホームページなどを訪れて頂ければ幸いですが、』
ちょwwwwそういう話じゃねえwwwwwww
『当然作用のいいものだけがあったわけではなく、副作用もあったことは承知しているわけです。』
『ただ、それに関して深い分析を、いろんな先行研究なんかも参考にして進めていることもありますし、』
悪いけど第一回のワークショップでそういう社会的厚生に関する分析はほぼ無かったに等しい(なかったわけではないが社会厚生の論点からの説明かというとそんな論調では無かった)ぞwwwww
『また逆に副作用と作用、いい面のメリット、ここの大小ですね、これの優先順位ですとか、そのときの状況に応じて、そのバランスを常に各決定会合で、皆でそれぞれが確認しながら、今の金融緩和を継続する方がまだメリットが大きい、ないしは必要とされているであろうということを確認して現在に至っております。』
だから格差拡大上等政策でも良し、という判断だったのかと質問してるんだがwwwww
『まさしくおっしゃった点というのは、金融緩和だけの影響なのか、間接的なものであるのかは問わず、事実としてそういう状況があることは承知はしておりますが、この辺りは金融政策の及ぶ範囲、もともと金融政策の役割ということのみならず、当然金融政策も万能、何にでも効果がいいように効くというものではありませんので、』
金融政策で賃金と物価の好循環とかいうできもしない事を標榜している癖に格差拡大批判に関しては金融政策の効果かどうかわからねえとかおめでてー説明だなおいwwwwww
『この辺りは金融政策のやるべき範囲、それからできる範囲、及ぶ範囲というのを常に私自身は確認をしながらやっているつもりですし、その中にあっては、マクロ的なお話自体はよくさせては頂きますが、今言って頂いたような、少し個々の方々に対する手当という部分は、やはり行政ですとか、それから特にセーフティネットにかかるところはそういった別の役割の方にお願いするのが適当であるというふうには思います。』
だからそういう手当を申請しないと行けない人が増えるようなマクロ環境を作っていることについての質問だろうが話を逸らすな話をwwwwww
『ただ、もちろん私どもは常に金融政策においてそういったものを無視していることではなく、マクロの数字の中では取り上げて、バランスをみて決定を常にしているつもりではおります。
』
とまあそういう回答になっていまして、いやまあこの質問はどこかで聞かれる筈の質問だから想定問答は用意しているんでしょうけれども、これじゃただの長尺論点ずらしじゃねえかというお話でして、まあ長尺論点ずらしをしてくる、というのは日銀大本営も格差拡大政策をやっている事には気が付いているけど、そんな事公言したらポリティカリーインコレクトだし、ゆうて言い逃れがなかなかできないので、こういう論点ずらし長尺回答で誤魔化すしかない、という訳でこっちも思わず草を生やし散らしてしまいお見苦しくて申し訳ありませんでした。
しかしまあ何ですな、この苦しい論点ずらし長尺回答を見るに、「賃金と物価の好循環」ってのも格差拡大批判に対する煙幕として考え出した話、と思えばなるほどねーと感じるんじゃないでしょうか(あくまでも個人の偏見です)。
とまあそんな感じで。
2024/03/11
お題「マイナス金利解除時におけるオペに関する雑考(たぶんその1)/時事通信砲出る前の金曜日市場メモ」
時事通信砲を受けてしらっと土曜日に投下したのでまあその続きとその他という感じで。
〇ところで国債買入月間6兆円云々の雑考だが
・どこからどう見ても月間6兆円はフローとしてみたらやりすぎにもほどがある
金曜の時事通信砲によりますと、「買い入れ額は当面、現行の月間6兆円弱の規模を軸に調整する。」となっていたようだが、ちょっと待てと言いたいのはフローで見たときにどう見ても過大、というお話。
つまりですね、今の輪番って(1年以下も含めて)月額5兆9100億円買っている訳なのですが、4月から新発国債の市中消化額が月額6000億円減額(流動性供給が月換算1000億円増えるからまあ実質的には5000億円ちゃあ5000億円だが)になるわけで、そこで月間6兆円の買入をしたら、事実上の国債買入拡大な訳ですわな、ということで一番多くて月間5.5兆円だろう常識的に考えて、という話になるはずなんですけどどうなるのやら。
でまあ時事通信砲によりますと、「金利の直接操作を撤廃して、一段の金利変動を容認することで、市場機能の回復につなげる狙いもある」とかなんとか美名を弄してはいるのですけれども、買入のフロー減らさなかったら実質買入増額なんだし、そもそも論として現時点での買入が過大ににも程があるから10年0.7%台とかいうトンチキレートになっているんだから、いいから減らせやこのハゲと言ったところで、5兆円からご相談だわヴォケというお話になりますな、というのがあるのですが・・・・・・・・
・ストックベースで見ても月間6兆円って過大感だが一気に減らしにくいのもまあね
2月末の日銀保有残高を見ますとですな
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
売参をエクセルベースで落としてきて銘柄ごとの償還日を紐付けしてソートを掛ける、という人力感溢れる計算をエクセルで実施しているので、間違っていたらゴメンチャイ(一応本人は合っているつもりでおりますが)ということなのですが、4月以降の償還を四半期展開(ジャパンの場合は償還月が基本四半期ごとなので月で展開すると意味不明なことになる)しますと、
2024年04-06月期 171,233
2024年07-09月期 179,724
2024年10-12月期 164,716
2025年01-03月期 165,545
2025年04-06月期 191,827
2025年07-09月期 191,555
2025年10-12月期 178,168
ってな感じで償還来るんですよね(額面ベース、なお額面の中で物国のファクター部分は無視した数字ですわな日銀の集計は)。このうち1-3年の輪番で2年債が入りやすいことを勘案するとこの中でも後ろの方の償還はもう少し積みあがるかもしれませんが、まあだいたい四半期で18兆は償還来ませんがな、という話なのでして、これまた月間6兆円ってかなり過大な買入であることが見て取れるわけで、どう見たってこんなの5兆円からご相談なのか、それとも次の利上げの時にはバッサリ減らすのか、いずれにしても買入大杉問題があるわけでして、いやまあ当初は金利上がるの怖いから買入をしますって気持ちも分からんではないのですが、国内債券市場ってただでなくさえ輪番オペ依存のジャンキー相場になっているのですから、シャブ抜きをやっていかないと、日銀様の目論む「金利の直接操作を撤廃して、一段の金利変動を容認することで、市場機能の回復につなげる狙いもある」なんざあ夢のまた夢という話になりますわな、と思う次第なのでした。
〇ところでこうなるとマイナス解除によって「そのほかのオペ」も気になるのよね〜
だいたいどんだけオペやってるんだよという感じですが
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/index.htm
オペレーション等の一覧
・「かしぞう」がいろいろとアレな件について
まさか長期共担とかこの期に及んで復活してくることはない(というか何だったんだあのキチガイオペは)とは思うのですが、いわゆる貸出支援基金系のオペがまあどうなるんでしょうねえ、と考えたときに明らかにヤベー奴なのがこれ
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo81.htm
貸出支援基金の運営として行う貸出増加を支援するための資金供給基本要領
いわゆる「かしぞう」ってやつですが、何がヤベー奴かといいますと、
『5. 貸付期間
4年以内の期間とする。
6. 貸付利率
年0.1%とする。』
ということで最大4年の0.1%固定貸し出しでして、5年共担に口を極めて悪態をついておりました不肖このアタクシですが、なんせ5年共担よりも金利低いんですよね。
でもって前回の貸増ですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope231012b.pdf
貸出増加支援資金供給(2023 年 12 月実施分)の実施スケジュール
2 023 年 1 0 月 1 2 日
日本銀 行
『貸付実施の通知日 2023 年 12 月 13 日
貸付日 2023 年 12 月 15 日
返済期日 2027 年 12 月 15 日』
ということできっちり期間4年の0.1%固定金利でしたが、この結果は
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope231213a.pdf
貸出増加を支援するための資金供給の実施結果
(2023年12月実施分)
2023 年 12 月 13 日
日 本 銀 行
『貸付予定額 51,094億円
貸付先数 70先』
と5兆円出ている上に
『(参考)貸付日時点の貸付残高および貸付先数の見込み
貸付残高 貸付先数
大手行 308,280億円 6先
地域金融機関等 422,385億円 108先
合計 730,665億円 114先』
ということで、既往の残高がすでに73兆円もある(まあもちろん期日は手前から順に来るので73兆円4年ではないけど)とゆーオペなのですが、これがまた今週オペ実施予定になっていまして、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope240116b.pdf
貸出増加支援資金供給(2024 年 3 月実施分)の実施スケジュール
2 0 2 4 年 1 月 1 6 日
日本銀 行
『2.貸付実施の通知日等
残高算出期 2023 年 10 月〜12 月
貸付実施の通知日 2024 年 3 月 14 日
貸付日 2024 年 3 月 18 日
返済期日 2028 年 3 月 17 日』
はい、4年0.1%の貸出が(昨年3Qの所定の貸出純増が上限ではありますが)出るわけでして、まあこれはもう自分のところで入れられる分は満額申し込みしかないっしょという世界になっておりまして、さてこの貸付、今回はまあこの設定で実施するのはしょうがないんですけれども、まさかとは思いますがマイナス金利解除しても4年で継続する(適用金利が変わるにしても)積りなんでしょうかというお話。
まあアレです、コロナオペだって1年以内、と言いながら6Mで出して最後は3Mで出す、という事をしたのですし、さすがに期間4年は如何なものかとは申し上げざるを得ないわけでして、まあ1年固定くらいにしておけ(1年でも十分サービスだが)というお話。まあこれを6月も0.1%だか0.2%だか知らんけど、固定金利4年で出したらさすがに掴み金批判というか、だったら貸出金利引き上げとか許さんって話になりかねないんじゃないですかねえ。
まあそもそもこの貸増に限らず貸出支援基金っていうのは、その基本要綱の一番最初に、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo80.htm
貸出支援基金運営基本要領
『1. 趣旨
この基本要領は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する観点から、金融緩和効果を一段と浸透させるための臨時措置として、貸出支援基金(わが国経済の成長基盤強化および貸出増加に向けた民間金融機関による取り組みを支援するため、適格担保を担保とする資金供給を行うために本行バランスシート上に創設する基金をいう。以下同じ。)の運営を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。』
とあるように、「物価安定目標達成のために行う金融緩和効果をサポートする臨時措置」なのですから、理念的に言えば物価安定目標が達成できた暁にはこの臨時措置は設置の所期の目的を達成したことになるのですから、まあ既存の貸出はそのまま期日までキープされるにしても、新規の扱いは終了する、というのがどこからどう見ても筋ってもんなのですが、さてどうなるのやらという感じですな。
・ほかの長距離オペでここまでの好条件およびこれだけの残高積みあがりものはありませんが一応確認
でまあこの貸出支援基金系では「成長基盤強化」という出来た当初から「日銀が成長分野を指定してその融資だけ優遇するとかアホなんじゃないか」と思われるようなものがありますが、そもそもこっちの方が先にあったし、これを作ったのが白川総裁の時の日銀、ってのがまあ結構なドイヒーものでして、この貸出支援基金とETF、J-REIT買入に関しては麿はこのテイタラクの元を作った責任があるのをとぼけてはいけないと思うのよね、という悪態はさておきまして、
・ということで成長基盤オペですが
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo49.htm
貸出支援基金の運営として行う成長基盤強化を支援するための資金供給基本要領
『5. 貸付期間
4年以内の期間とする。
6. 貸付利率
年0.1%とする。』
ってなっていますので、まあこれもヤベー奴といえばヤベー奴なのですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_b/mope240227a.pdf
成長基盤強化を支援するための資金供給の実施結果
『(参考)貸付残高および貸付先数の見込み
(本則)
貸付残高 貸付先数
大手行 15,276 億円 5 先
地域金融機関等 13,435 億円 48 先
合計 28,711 億円 53 先』
まあゆうて本則貸付出てるの3兆円とかの世界なので、貸増とは桁が違いますがなではありますが、このオペも物価目標の達成が視野に入ってきたんだったら、日銀がわざわざ成長基盤強化資金供給とかするんじゃなくて、民間金融機関が普通に成長基盤融資をする世の中になってきている、という認識にしておけばよろしい訳で、だったらもう成長分野への融資に関しては市場原理に委ねて日銀が介入しない方が良いに決まっているし、まあガチに介入必要ならそれは政府の産業政策で実施しろという話になるんじゃないですかねえ。
まあこれもテナーの見直し(要綱変えなくても個別貸付の予定公表時点で対処可能)はさすがに貸増と同じ理屈で必要だと思いますがね。
・被災地支援
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/ope_w/index.htm
被災地金融機関を支援するための資金供給オペ
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo102.htm
被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション基本要領
『6.貸付期間
2年以内の期間とする。
7.貸付利率
年0%とする。』
こちらは制度の趣旨が趣旨なだけに貸出支援基金よりも優遇レートになっています。とは言いましても、
『9.貸付限度額
(1)2.に規定する災害ごとの貸付限度額は、東日本大震災にあっては1兆円、平成二十八年熊本地震にあっては3,000億円とする。
(2)貸付対象先ごとの貸付限度額は、次に掲げる事項を勘案して、2.に規定する災害ごとに決定する。
イ.2.に規定する災害にかかる被災地に所在する営業所等の貸出金残高(系統中央機関については、自己およびその会員たる金融機関についての残高の合計とする。)
ロ.2.に規定する災害にかかる被災地における復旧・復興に向けた資金需要
(3)(2)の貸付対象先ごとの貸付限度額は、原則として年1回の頻度で見直すこととする。』
とありますようにそもそも無尽蔵に借りれるものではないので、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240214a.pdf
被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションの実施結果
2024 年 2 月 14 日
日 本 銀 行
『2.貸付予定総額
貸付予定総額 0億円
(参考)貸付残高(注) 1,001億円』
と残高はそんなにでているものではありません。こちらは2年固定というのがややアレですが、まあ制度の趣旨からして特定の激甚レベルの災害に対する復興支援、という話だから、貸出支援基金のような「金融緩和の効果を出すための臨時措置」扱いではないので残るんでしょうな(このオペが使われるような災害が起きないことが一番大事なのですが)。
・気候変動オペ
いやさあなんでこういうのを日銀がしゃしゃり出てやるのよ、と思いましたし、しかも結構な先までやるのをコミットしててもう何でしょうねという感じなのですが、
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/ope_x/index.htm
気候変動対応を支援するための資金供給オペ
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo105.htm
気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション基本要領
『5.貸付期間
原則1年とする。満期日を貸付日とする新たな貸付けを行うことにより、継続的な貸付けを行う。
6.貸付利率
年0%とする。』
レートが優遇レートになっているのがアカンタレですが、期間が1年なので、いやまあ1年でも十分にアレという物件ですが、これはまあ気候変動何とかって言ってるから続くだろうなあという感じです。まあこれはさすがに(他のオペも同じですが)貸出レートの方は政策金利が変ったら変わるだろ常識的に考えて、という事になろうかと思いますが。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240129a.pdf
気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの実施結果
2024 年 1 月 29 日
日 本 銀 行
『2.貸付予定総額(注1)
貸付予定総額 47,268億円
(参考)貸付残高(注2) 81,666億円』
と8兆円の残高ですが、
『(参考)対象投融資の残高(注)
基準時点 2023年9月末
対象投融資の残高 115,726億円』
となっていて、潜在的には3兆円増える余地があるのと、さっきの基本要綱の中に
『附則
この基本要領は、本日から実施し、金融調節上の支障がない限り2031年3月31日まで継続し、同日をもって廃止する。ただし、同日以前の日を貸付日とする貸付けの取扱いについては、なお従前の例による。』
とあってあと7年継続するのが確定(正確にはそれ以降の新規が行われないということなので実質8年ですな)となっております中、対象となる投融資残高は着実に伸びていくでしょうから、結構な潜在パワーを持っているオペだったりしますな。
・でまあ貸出金利とマクロ加算のカテゴリーVとかいうのは変わるでしょうけど
ということでこれらの貸出(とオペ)ってマイナス金利解除においては当然内容の手直しが必要になりますが、さてどうなるのかというのが見ものであったりしますし、一番気になるのは貸増の4年固定金利とかいうヤベー奴をどうするのか、という辺りではございます。
まあマイナス金利を解消した場合、基本的には事実上の一層構造(所要準備を非付利にすると一応2層になるのと、所要準備の何倍まで非付利、という形にするとその「何倍」の具合によっては0金利適用がかなり増えるというのはあるけど)という感じで、所要準備のところだけは何か階層チックなものがあるかもしれませんが、基礎残高とかマクロ加算残高とかいうのはまあ全廃になるから貸出支援基金等におけるマクロ加算のカテゴリーT〜Vというあのけったいな区分(コロナオペが終了しているからTとUはもうないけど)も全廃(おまけですがマイナス金利解除になったらMRF特則も不要になるので廃止なのは自明)となるんでしょうな。
そもそも基礎残高ってQQE拡大の時に「付利がありますんで皆さんもうバンバン当座預金残高積み上げてQQEにご協力を」ってやっていたのに、一転してマイナス金利適用とかいう(付利的に言えば)正反対のプレイが爆裂した際に、急に「超過準備はマイナスチャージです」とか言ったら信義則違反のレベルの鬼畜プレイ、ということで2015年までご協力いただいた分には付利をお支払いさせて頂きます、って物件だし、マクロ加算残高に関しては「マイナス金利適用部分を少なくしても市場金利をマイナスにできるから、基礎残高以上を全部チャージするのではなくてワンクッション置けば金融機関全体へのチャージが減って無駄に金融機関経営を圧迫しないだろう」という配慮(MRF特則に関しては当初制度を設計した際に日銀が完全にこの件の問題を想定漏れしてて、後から対処した分です念のため申し添えます)なので、まあ本質的にどっちも要らないですので、まあこういうのは全廃して頂ければよろしいんじゃないかと思いますけどね。
とまあ思いつくままに書いていますが、他にもいろいろと制度問題合ったりする気がしますので、思い出したら都度マイナス金利解除までに駆け込み(なので来週無かったら急にノンビリと)ネタにしようかと思いますし、まあ何かございましたら教えてジェネラル。
〇それはそうと金曜の市場メモ(中川審議委員の会見どころではなくなったので会見ネタは明日にでも、汗)
・3MTDBは微妙な感じで金利が上がりましたがまだまだマイナス金利
金曜の新発3M
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240308.htm
国庫短期証券(第1218回)の入札結果
本日実施した国庫短期証券(第1218回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1218回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年3月11日
4.償還期限 令和6年6月17日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆1,262億円
(2)募入決定額 4兆6,931億7,000万円
(3)募入最低価格 100円01銭1厘0毛
(募入最高利回り) (-0.0409%)
(4)募入最低価格における案分比率 94.3158%
(5)募入平均価格 100円01銭6厘3毛
(募入平均利回り) (-0.0606%)
平均▲6.06bp、足切り▲4.09bpということで、前週の平均▲9.60bp、足切り▲8.56bpからすると金利は上昇しているのですが、まあゆうて足が6月に思いっきり入っているというのにマイナス利回りというお茶目なレートではあるものの、さすがに前日の6Mプラテンが少しは効いたんですかねえ、なんですかねえ知らんけど。
売参ちゃんを見ますと、
国庫短期証券1216 2024/06/10:平均値単利 ▲0.058
国庫短期証券1218 2024/06/17:平均値単利 ▲0.058
国庫短期証券1164 2024/06/20:平均値単利 ▲0.058
国庫短期証券1219 2024/06/24:平均値単利 ▲0.058
ということで、今週金曜日に入札となる1219回のWIも含めてこの辺の償還の銘柄は▲5.8bpで並んでいまして、新発3M(1218)の引けは足切りよりは平均のように寄っている(ただし平均よりも値段は低い)という感じなのですが、この辺足が2週間違いでもレート同じって短期金利の足し算という概念はどこに飛んだのかと小一時間問い詰めたい短国の面白カーブなのでありました。まあプラス金利になったら徐々に変わるのかもしれませんけどね。
・GX国債プレミアムとは何だったのかと
同じく金曜の売参ですが、
中期国債 165(5) 2028/12/20 0.3 平均値複利:0.380 平均値単利:0.380
GX中期国債1(5) 2028/12/20 0.3 平均値複利:0.380 平均値単利:0.380
長期国債 373 2033/12/20 0.6 平均値複利:0.726 平均値単利:0.730
GX長期国債1 2033/12/20 0.7 平均値複利:0.729 平均値単利:0.730
・・・・・・・・・・・10年GX国債複利ベースで表の10年と利回り逆転してしまったじゃあーりませんか。
でまあこの背景は、と思ってどっかのベンダーでどうせ記事にしとるやろ、と思ったらどうも見つからんので、ここの部分はまあ記事が出たら過去ログ(全然整理してねえお前何やってるんじゃヴォケという指摘に関しては今年こそGWを使って成敗しようと考えて居るとだけお伝えしますよ頑張る!)の方に追記して、まあ良い感じでネタになるようなニュースフローが合ったらそれはそれでつい新ネタにしようかと思います。
〇ということで中川さんの会見ネタは明日で勘弁
本日はショパンの事情であまりお時間無いのと、別にまあ慌ててネタにしなくても会見の方では別に大したこと言ってないという中川クオリティなので・・・・・・・・
2024/03/09
お題「時事通信砲がもう一発来たので土曜日で朝ではないですが少々参ります」
キタコレということでありますので(^^)
〇時事通信砲第2弾というかどう見てもこれは更なる渾身の一撃キタコレ
来週の金曜だと決定会合の直前すぎるのでなんか出るとしたら今週金曜かと警戒して昨日はまあ待ち構えていたのですが、先物の売買が急に増えたと思えばこれでした。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024030801077&g=eco
国債購入、規模明示へ YCC撤廃、新「量的」枠組み―円滑な緩和正常化で・日銀検討
2024年03月09日07時12分配信
こちらは3/9の朝に記事内容が更新されているのですが、一発目は金曜の18時20分過ぎに出ておりました。
『日銀が金融緩和の正常化を円滑に進めるため、先行きの国債買い入れ規模をあらかじめ示す、新たな「量的」金融政策の枠組みを検討していることが8日、明らかになった。長期金利を「0%程度」に誘導する「長短金利操作(YCC)」は撤廃する。』(上記URL先より、以下同様)
こちら、よく考えてみればマイナス金利政策も解除になるわけで、最初のヘッドラインは当然記事内容がなかったのですが、よく考えたら3月マイナス金利解除じゃんってことで、やっぱり反応が広がってきまして、でまあそのあと詳細記事が出て、その後にロイターも追いかけて来ましていやーこれは来ましたなあという感じで債券先物146円割れとかになっておった訳ですが、その後は戻ったりもしてたけど結局今朝(土曜の朝)の夜間引けは146円割れで終わっておりますな。
でまあ記事に関するあたくしなりの私家版能書きはさておきまして先に記事を拝読しましょう。
『早ければ18、19両日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除とともに決める。長期にわたる異次元の金融緩和の正常化に向け、日銀内の調整が最終段階に入ってきた。』
最終段階に云々は今朝になって追加されているかな、って感じです。
『日銀は現在、YCCとして長期金利の指標である新発10年物国債の利回りを0%程度に誘導している。新たな枠組みは、金利を直接操作する手法を撤廃し、国債購入額という「量」を対象とする方向で検討。買い入れ額は当面、現行の月間6兆円弱の規模を軸に調整する。』
これはしかし金曜の朝の駄文で「来週あたりにそろそろ「私言いましたよね」でオペの話とか書こうと言ってたのが完全に先を越されるというつうこんのいちげきwww
『日銀が大量の国債買い入れを今後も継続すると約束し、マイナス金利解除といった金融正常化に伴う長期金利の急騰(債券価格の急落)などの混乱を防ぐ。同時に、金利の直接操作を撤廃して、一段の金利変動を容認することで、市場機能の回復につなげる狙いもある。』
『万が一、金利が急騰した場合は、必要に応じて国債買い入れの増額などを通じて機動的に対応する考え。』(すいません結局全文引用になってしまいました誠に申し訳ございません)
ということで時事通信さん水曜の「3月会合でマイナス金利解除が適切と表明する委員が少なくとも1名もしかしたらそれ以上」報道に引き続きのぶっこみがきましたが、何せどこぞの某ベンダーのように謎の関係者談と称して数打ちぁ当たる的な釣り記事製造マシーンになりかかってると懸念されますところの(あくまでも個人の感想です)(どうでもいいんだがあの調子で記事書かれると「ガチの関係者」がBBGに(あ、言っちゃったw)まともなコメントしなくなるんじゃないですかねえ、まあ他人様の人生(ベンダー生?)だからどうでもいいですけど)とは一味違うのが時事通信で、決め打ち記事を打つ頻度が大変少ないと来ていますが、なにせ2018年7月の10年金利変動許容幅2倍程度に拡大(0.1→0.2程度)を見事に決め打ちしてきたという実績もあるだけに、さてこの語追随どうなるかと思ってたらロイターさんが、
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/7MLMCWUTZ5P6VBINAYVFFWA4RA-2024-03-08/
日銀、マイナス金利解除支持に広がり 昨年上回る賃上げ期待=関係筋
和田崇彦、木原麗花
2024年3月8日午後 8:39 GMT+9
水曜日はなんか微妙な記事を打っていたロイターさんも昨日は追随していますが、先にロイターさんの記事を引用したブルームバーグさんの記事を見ますとですね、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-08/SA0ZWNDWLU6800
日銀、3月のマイナス金利解除に傾く政策委員が増加−報道
Louise Moon、Paul Jackson
2024年3月8日 21:03 JST
ちなみにこの2本の記事ですが、一報はもうちょっと早くに出ていて(20時前じゃなかったかな)そのあとアップデートされているんですけど、このブルームバーグさんのヘッドラインと同じような感じで出ていたのですが、その後追記している感じですね。
ということで再掲しますがロイターさん
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/7MLMCWUTZ5P6VBINAYVFFWA4RA-2024-03-08/
日銀、マイナス金利解除支持に広がり 昨年上回る賃上げ期待=関係筋
和田崇彦、木原麗花
2024年3月8日午後 8:39 GMT+9
『[東京 8日 ロイター] - 日銀は18―19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除を含む政策修正について議論するとみられる。日銀では昨年を上回る賃上げ実現に期待感が高まっており、政策委員の間でも同会合でのマイナス金利解除を支持する声に広がりが出ているもようだ。』(直上URL先ロイター記事より、以下同様)
でまあこの辺が追記されているので朝になってみたらトーンダウンみたいなのはありますが、
『ただ、足元の消費の弱さを警戒する声も根強い。』
ま、水曜日にこの話書いたばっかりですもんね。
『日銀は13日の春闘集中回答や15日の連合第1次集計まで見極めた上で、最終的に判断する。複数の関係筋が明らかにした。』
でたな関係者w
『ここに来て、日銀の政策委員から物価目標の実現に前向きな発言が相次いでいる。高田創審議委員が2月29日、物価目標の実現が「ようやく見通せる状況になった」と明言したほか、中川順子審議委員は7日、賃金・物価の好循環が「展望できる」と強気な見方を示した。関係筋によると、政策委員会のメンバー内で物価目標の実現に前向きな見方が広がりを見せているという。』
といいつつ記事の方では(これも後から追加された感じですけど)
『一方、日銀は決定会合で、生産や個人消費の現状判断を引き下げる方向で検討している
。日銀では生産や消費の落ち込みは一時的とみており、経済が緩やかな回復を続けるとの先行きの見通しは維持される公算が大きい。ただ、足元の判断を一部の項目にせよ引き下げる中で、マイナス金利解除を決めることに難色を示す政策委員が出てくる可能性もある。』
ということで、記事最初に出たときの決め打ちトーンは落としているのですが、さてどうなるやら。
〇でまあ時事通信の書いている「国債買入の額が云々」に関して時事の記事の記述から勝手に愚考しますが
・まあYCC外した場合にも長期国債買入の何らかの指針を入れるというのは(べき論ではイラネと思うが)まあそう来るわな
さっきの時事通信記事を再掲しますが
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024030801077&g=eco
(以下引用は先ほど引用した時事通信記事の再掲になります)
『日銀が金融緩和の正常化を円滑に進めるため、先行きの国債買い入れ規模をあらかじめ示す、新たな「量的」金融政策の枠組みを検討していることが8日、明らかになった。長期金利を「0%程度」に誘導する「長短金利操作(YCC)」は撤廃する。』
という部分、なかなか芸が細かいと思うのは「「量的」金融政策の枠組み」とあることで、これ量的金融”緩和”ではないんですよね。これは見た瞬間笑いましたアタクシ。
でですね、
『日銀は現在、YCCとして長期金利の指標である新発10年物国債の利回りを0%程度に誘導している。新たな枠組みは、金利を直接操作する手法を撤廃し、国債購入額という「量」を対象とする方向で検討。買い入れ額は当面、現行の月間6兆円弱の規模を軸に調整する。』
ってあるのがこれまた愚考ポイントです。
そもそも論としてYCCはまあ普通に撤廃になりますし、正常化するんだったら国債買入なんぞ止めちまえとは思います程度には過激な原理主義おじさんのワイといえども、そらまあ現状でアホのように買い入れているものをいきなりゼロというのもそら怖いよなというのと、長期金利が急に跳ねるとアベノミクスの残党とかマネタリーベース直線一気理論の残党とかがそれ見たことかとか言いだすというクソのような弊害もあるのでそんなしょうもないことで正常化がとん挫するのはアホラシカというのもまあシャーナイ面はあると思うの。
とまあそうなると長期国債買入に関しては買入に関して何らかの指針をだしておかないといけなくて、それをオペマターだからと言って全部丸投げするのはオペ部隊の行わないといけない判断が重すぎるというか政策委員会の職務放棄というか、まあそういう話になるでしょう、というのもまあシャーナイですわないこうきだもの。という事ですわ。
・長期国債買入に関して考えられる指針は3種類あるけど月額フローベースが一番実践的でしょうな
でですね、その場合の国債買入をどうするかっていえば、主なやり方は以下の3通りになるんですよね。
・国債の月間買入フローを「月間〇〇円程度にするように買入を行う」というフローベースの指針
・日銀の保有国債ポートフォリオの規模を「月間〇〇円程度減少させる(またはさせない)ように買入を行う」というストックベースの指針
・YCCに一番近い形であれば、「10年国債利回りがおおむね〇%を上回らない程度に推移するように買入を行う」という金利ベースの指針
ってな感じになるのですが、まず金利ベースはYCC柔軟化開始以降起きていた長期金利売り圧力との対峙が続くことになるので、バランスシート拡大上等でもない限り延々と市場との戦いをしないといけない、という点で面倒なことになりやすいのであまりお得感がなくて、ポートのストックベース、というのはFEDとかもやっているおなじみの方式なのですが、これをやると月間(やる場合は四半期ベースになると思いますが)の償還に応じて買入が増減することになるので、買入量が少ない状態ならともかく、マーケットに対してドミナントな買入をしている状況において買入量があまり相場と関係なく上下するのは債券市場の乱高下を招くリスクがありそう、というのがあるわけですな。
でもってまあこの「フローベース」ってのは確かに「バランスシート政策」という文脈で考えるとストックベースの残高のブレが生じやすくなるので、バランスシート政策という政策の理屈から言ったらかなり謎プレイになる、というのはその通りなのですが、「オペ紙」が注目されることでご案内の通りで、債券市場における目先の価格形成、という意味においてはフローベースの買入の方が影響が大きい(今のように日銀がアホみたいに買入を行うとストックがアホみたいに効いてくるんですが、学術的根拠はさておき経験的にね)というのがあります。
てな訳で、実務面から考えたら記事にある「月間の買入額」をベースにするのはまあわかりやすいし、買入オファー総額のケツが明示されている方がオペを何ぼやるかの判断だってやりやすい、ということになるわけですな、うんうん。
・しかしこれを「新たな量的金融政策の枠組み」というのは強引じゃねえかと思ったら存外強引でもない件についてwww
・・・・・・・・でですね、まあこの「月間の買入額ベース」って話なのですが、長期国債買入に関しては割と悠久の昔から「月額いくら」って買入をしていまして、アタクシが小僧のころの輪番オペは月間1000億円だったような記憶がおぼろげながらしているのですが、今回過去の声明文を当たってみたのですが、「金融調節方針」で明示的に国債の月額買入フローってのが対外公表文書に出ているケースが稀なことに気が付きまして、おーなるほどだから記事の最初にあった「量的金融政策」ってのが新機軸っぽい扱いになるのか、と思いました。
一応日銀のアーカーイブを1995年の公定歩合1.0%→0.5%からたどってみたのですが(ちなみに新日銀法での最初の金融政策決定会合声明文が出たのは1998年4月9日です)、見落としがあったらごめんやでなのですが、月額の長期国債買入フローってのが明示的に出ているのは、速水総裁時代に事実上おnゼロ金利政策に再度追い込まれた(正確にはこの時はオーバーナイト金利から「日銀当座預金残高」に変更になっています)2001年3月19日(まあこの時アタクシは長期国債適格以降の対顧ディーラーだった訳ですがw)の決定会合の声明文の中で、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2001/k010319a.htm
金融市場調節方式の変更と一段の金融緩和措置について
2001年3月19日
日本銀行
(ちなみにクソどうでもよいですが、この時の議事録を見ますと、事務局からの出席者として内田副総裁が「企画室調査役」として参加していますね、執行部からの報告者のうち「企画室企画第1課長」は雨宮さんです)
『(4)長期国債の買い入れ増額
日本銀行当座預金を円滑に供給するうえで必要と判断される場合には、現在、月4千億円ペースで行っている長期国債の買い入れを増額する。ただし、日本銀行が保有する長期国債の残高(支配玉<現先売買を調整した実質保有分>ベース)は、銀行券発行残高を上限とする』(直上URL先の2001年3月19日金融政策決定会合声明文より)
というのがあるのですが、この時の「調節方針」もよくよく見ますと
『当面の金融政策運営について
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成多数)。
日本銀行当座預金残高が5兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。』
(直上URL先の2001年3月19日金融政策決定会合声明文より)
になっていて、調節方針のところで長期国債買入のフローを明確に示したことはなくて、ストックに関しては白川総裁時代の「包括緩和」時に導入した「資産買入基金」
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2010/k101005.pdf
「包括的な金融緩和政策」の実施について
2010年10月5日 日 本 銀 行
(引用すると冗長になるから上記URL先の声明文項番1の(3)と別添2ってのを見てちょ、なおクソどうでもよいですがこの時の議事録を見ると内田さんのお名前がありませんが、日銀新潟支店のHP見ますとH22/7〜H24/4までの新潟支店長は内田さんだったりするわけですな)
および、ご案内の通りで黒田緩和の時の長期国債買入(YCC導入後有耶無耶のうちにごまかされましたが)がストックベースの買入について声明文で示していた例になります。
・・・・・と考えると確かにこれ「新しい量的金融政策の枠組み」になるのかよとは思いますが、フローベースの買入を示す、ってだけの話を「新しい量的金融政策の枠組み」って言っちゃうのは、いやまあこの期に及んでなぜか勝利宣言からの勝ち逃げに及び腰な人々や、物価が上がって消費が落ちようとも金融緩和をしろとか言い続ける認知能力に問題があるんじゃないかと思われる何とかミクス残滓などがやかましい、ということで何となく緩和継続チックなガワを作っておこう、というお気持ちはわかるのですが・・・・・・・・・・・
・この枠組み自体は「ガワ」としては長い目で見ると邪魔になる可能性もありますねえ
ということで愚考は続くのでさっきの時事さんの記事引用の続きの部分を読みますと、
『日銀が大量の国債買い入れを今後も継続すると約束し、マイナス金利解除といった金融正常化に伴う長期金利の急騰(債券価格の急落)などの混乱を防ぐ。同時に、金利の直接操作を撤廃して、一段の金利変動を容認することで、市場機能の回復につなげる狙いもある。
万が一、金利が急騰した場合は、必要に応じて国債買い入れの増額などを通じて機動的に対応する考え。』(この部分前の方で引用しました時事通信記事の再掲になります)
ということですが、この「枠組み」の問題点としては「金利急騰対策はあるんだが金利低下対策どこにあるの」というお話であります。まあ金利低下問題ってのが目先に起こるかというと最初気にしないといけないのは金利上昇対策だからこうなるんでしょうけどね。
つまりですね、そもそも論として今の時点で国債買入って過大も過大でそのせいで10年0.7台とか相変わらずやっている訳でして、これでアメリカン金利の低下(利下げ開始)とかでも出てしまった日には長期金利の位置がどうなのよという話になる可能性だってあるわけです。でまあ2016年9月の総括検証と、YCC導入当時の考え方をもってすれば、「金利が過度に低下することはデメリット」なのでありまして、その際フロー固定&必要な場合に買入拡大の可能性、という建付けにしていると、「デメリットになるような過度な金利低下」が止められませんがな、という話になるわけですな。
でもってですね、さらに「物価2%目標が達成できたと判断」というような大勝利宣言モードになった場合には、より一層この問題が起きるわけで、物価安定目標が達成できている状態になっているのに、不必要な金融緩和を行うと今度は物価の望ましくない上昇や最悪インフレ期待の不安定化が起きてしまうわけですよね。そうなった場合に月額買入フローを守っているとさらに状況が悪化する、ということになりますから、まあそういう意味からしてこの「新しい枠組み」って少なくとも本格的な出口になってくると徐々に形骸化させておかないと危ない、という代物になるんじゃないかとアタクシは懸念するわけですよ、うんうん。
あと目先で言えばこの「新しい枠組み」をどうせ最初のうちは緩和チックに見せて激変緩和措置、とか思っていそうな大本営というのを想定しておりますが、薬が効きすぎて円安にぶっ飛ぶ(今のところ金曜の引けのドル円見ると円高に振れているのでその点はダイジョブで済むかもしれませんけど)場合に、国債買入を機動的に減らせないのは割と面倒なんじゃないのかね、と思ったりします。
・・・・・というのがまあ今回の時事通信報道からの第一印象です。ちょっとあと(今日でも明日でも)追加を投下するかもしれませんが、長期国債買入のガワに関する話はこんなもんですかね、というところで土曜の昼下がりに投下させて頂きます。
2024/03/08
お題「マイナス金利解除を巡る話題が飛び交う/中川審議委員金懇/6M短国遂にプラス圏に/その他」
マイナス金利解除への瑞祥として南関東に朝から雪が(全然違う)
〇うーんこの報道合戦(^^)
昨日は中川さんの金懇があって6か月と30年の新発があって、という日でしたけれども、まあこちらは単なる情勢報道みたいな感じですけど、報道の方もこんな感じでマイナス金利解除が具体化してますよというお話になっておる訳ですよ。
・ちょうど昨日のネタがまとまったBBGさんの記事があるのでそれに沿って
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-07/S9X8Q8T0G1KW00
日銀3月正常化へ機運高まる、賃金改善や順調な春闘予想で
伊藤純夫
2024年3月7日 10:48 JST 更新日時 2024年3月7日 16:31 JST
→実質賃金減少は13カ月ぶり水準縮小、UAゼンセン賃上げ6%超え
→2%物価目標実現の確度、引き続き少しずつ高まっている−植田総裁
午後に出てきたゼンセンの賃上げの話と植田総裁の国会答弁がアップデートされているのですが最初に出た時は午前だったよなと思ってタイムスタンプを改めて見直しましたが。
『最新の賃金統計の改善や今年の春闘の順調な滑り出しを受けて、日本銀行が3月か4月の金融政策決定会合でマイナス金利の解除などの正常化に踏み切る環境が一段と整ってきた。こうした状況を踏まえ市場では3月説が一気に高まっている。』(上記URL先より、以下同様)
まあそりゃそうですわな、というのもありますし、それこそ俊ちゃん時代をオーバーラップしてみれば、だいたい日銀ってこの手の「地均し」を始めたらそんなに遅くまで引っ張る事はしない(やるやる詐欺とは意味合いが違うのですよね)というのが仕様となっていまして、今回4月で、となると4月会合までほぼ6週間(5週間と3日)あって、予告ホームラン形式でやるメリットがない(これがそれこそ大昔の「年12回会合」だったらリードタイムに3週間、ってのが実務的にあり得たかもしれないけど1か月半はいかにもながい)ので、この勢いの機関車をいきなり急停止させるというけが人続出しそうだし機関車に不具合も生じかねない「やっぱ4月だわ」攻撃はリスクの方が大きいんじゃないかと思うの。
・実質賃金改善キタコレ
『厚生労働省が7日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.6%減とマイナス幅が13カ月ぶりの水準に縮小。市場予想は1.5%減だった。』
でまあ昨日のネタをこの記事では並べてくれていますのでアリガタヤって所ですが(平伏)、まあ毎勤そのものの統計としてのアレがナニであるというのはさておき、実質賃金の縮小幅がマシになったということで何か「好循環が見えてきた」みたいな事を言いやすくなる、というタイミングの良さがある訳ですな。ちなみに4月以降に引っ張ると4月にまた値上げだよアイヤーって雰囲気が出て来るんジャマイカというのはきになりますよね。
しかしまあアレだ、実質賃金が小幅減とかいうニュースのようだがこのワシなんざあ実質どころか(以下の記述は内務省検閲により削除されました)。
・おちんぎんキタコレ
『日本最大の労働組合の全国組織である連合は同日、今年の春闘における参加労組の賃上げ要求が5.85%と30年ぶりに5%を上回ったと発表した。傘下で最大の産業別労組であるUAゼンセンが発表した妥結状況は、正社員の賃上げ率が6.7%と目標とする「6%基準」を上回った。』
イイハナシダナー
ということで、
『これらの結果は日銀が早期にマイナス金利を解除する可能性を後押しするものだ。植田和男総裁や内田真一副総裁らの正常化に前向きな発言を受け、3月か4月の会合での解除観測が市場で広がる中、今月18、19日の会合での政策変更に向けた機運がじわり高まっている。』
てなもんですが・・・・・・・・・・・・・
・一方で今回は「地均し」報道というよりはですねえ・・・・・・・・・・・・
時間は前後しますが昨日の前場に出てたこっちの方が先です。同じくBBGさん。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-07/S9V7R7DWLU6800
日銀の3月か4月のマイナス金利解除、一部の政府関係者が容認姿勢
占部絵美、横山恵利香
2024年3月7日 10:15 JST
→日銀が緩和的環境維持を明確化、時期はどちらでも構わない
→正常化に向けた材料が出てきている、機会を逃すべきでない
こwwwwれwwwwwわwwwwww!!!!!!
ということで記事を拝読。
『一部の政府関係者は日本銀行が3月か4月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除することへの容認姿勢を示している。市場ではすでに早期解除への織り込みが進んでおり、異次元緩和からの政策正常化に向けた環境が整いつつある。』(上記URL先より、以下同様)
キタコレというかですね、昨日の時事通信さんの砲撃もそうなんですが、今回のめちゃめちゃ面白いのは、日銀大本営が積極的に地均しをしていること以上に目立つのがこのように「周囲が日銀に何で早くやらねえのかと決断を迫る」という図で、いやまあ追加緩和しろの合掌ではそういう事も良く見られたりするのもありますが、緩和をへらす方向でこのように周囲から決断しろとケツ叩くムーブが出るのっていうのはとりあえず21世紀になってからは見たことないなあと思う訳ですよ(個人の怪しい記憶によりますが)
まあそれだけ正常化の機運が盛り上がっていると言えばそれまでなんですけど、寧ろこれ物価目標達成に向けた発言が何かブレブレでこの期に及んでも腰が定まっていないというチキンの植田とかいうスットコドッコイに「シャキッとせんか!」と喝を入れているというイメージが強くなってきた今日この頃なんですよね(個人の感想です)
まあよく考えてみれば、昨年7月のYCC長期金利上限の運用柔軟化だって、5月の内外情勢とシントラのECBフォーラムでハトハトジジイにも程がある発言をした植田さんというのが居た後に、内田副総裁と神田大明神が流れを反転させていた訳でして、今回も何か最後までフラフラしているのが植田さんで、しかも今回に関しては外野だけではなくて内野(時事通信にある政策委委員からのぶっこみがマジなら)からもピッチャーエエカゲンニセエヤと野次が飛んでくるという流れになっておる訳でしょ。
『政府関係者は、日銀がマイナス金利解除後も緩和的環境を維持する方針を明確化する中、実施のタイミングは日銀の判断に委ねるとしている。時期は3月、4月どちらを選んでも構わないというのが共通スタンスだ。賃金と物価が上昇傾向にあるなど正常化に向けた材料は出てきており、世界で最後のマイナス金利を終わらせる機会を逃すべきではないとみている。』
>世界で最後のマイナス金利を終わらせる機会を逃すべきではない
>世界で最後のマイナス金利を終わらせる機会を逃すべきではない
>世界で最後のマイナス金利を終わらせる機会を逃すべきではない
まあ政府関係者とかいう例によって例の奴なんでアレ感は漂いますが、ここまでぶっこんでいるのってもう植田さんに向かって「なにションベンチビってるんだ」とゆうとるようなもんじゃんとは思う訳ですが、ここに至って植田さんが「こわいから3月様子見したいでござる」とか言ったらもう全員で座敷牢に押し込めて植田さん置き去りにして決定でエエンチャイマスかってなもんですな。まあ植田さんはその時点でレームダックというまさかの展開になる(ってこれ7月も良く考えたら同じこと言ってたな)のかとwww
・・・・・待てよ、植田さん実は大昔にゼロ金利解除に反対したのって単にチキンだったから反対しただけで、このおっちゃんただのチキンジジイだったんじゃないか(夜の帝王も昼になるとチキンジジイってか)という気までしてきましたわwwwwwwwwww
・あらためておちんぎん
今朝はやたらBBGからの引用ばっかりなのは気のせいですw
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-06/S9N7Z2T1UM0W00
連合、春闘賃上げ要求は30年ぶりに5%上回る−日銀正常化後押し
氏兼敬子、占部絵美、横山桃花
2024年3月7日 8:30 JST 更新日時 2024年3月7日 17:49 JST
→平均賃金方式での賃上げ要求は5.85%、昨年は4.49%−連合
→正社員の賃上げ率6.7%、ベア5.15%−UAゼンセンの4日妥結状況
『連合の芳野友子会長は会見で、加盟労組が連合の数字を上回る目標を掲げたことに対し、「結果を併せて期待していきたい」と述べた。先行して妥結するのは大企業の一部に限られているものの、それが「ヤマ場での相場形成に好影響を及ぼし、中小・小規模事業者の労使交渉に一層の弾みがつくのなら歓迎したい」と語った。』(上記URL先より、以下同様)
でまあ日銀は以前より「別に最後の最後まで見なくたって判断はつきますがな」と言っていまし、23年の春闘を振り返って見た時も「業界のリード企業が業界全体の賃上げを牽引する傾向があった」というのをレビューしていた訳ですの、当初のリーダー企業の流れが強いのが出てくれば別に全部を見ないと判断できないという事にはならない筈でありますわな。
『繊維や流通などの労働組合で構成されるUAゼンセンでは、イオン・グループを中心に満額回答が相次ぎ、4日までに妥結した25組合の正社員の賃上げ率は6.7%、うちベースアップは20組合で5.15%だった。要求賃上げ率は、467組合の正社員で6.18%、うちベアは209組合で4.34%。妥結、要求ともにUAゼンセン結成後の2013年以来、最も高い水準となっている。』
そらそうよというか生活給の観点からも物価上昇してるんだから上げないといかんよね。
・・・・・・・ってなもんで、まあ情勢はマイナス解除を引っ張らなくてもエエンチャウノとなっていて、もしかして決断する腹が括れていない植田総裁がションベンチビって泣きそうになりながらニュースを見ているんだと思うと(超妄想です)それはそれでめちゃめちゃ笑えるのでもっとションベンチビれやチキンジジイと声援をお送りしようかと思います(個人の極端な妄想です)。
〇中川審議委員金懇挨拶は予想通りに無難オブ無難(一部に味わいあり)でしたが3月解除を排除するものではありませんでした
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240307a.htm
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240307a1.pdf
島根県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 中川 順子
2024年3月7日
ここしばらくの金懇挨拶は、この前の内田副総裁の金懇挨拶も含めまして、HTML版同時掲載というのは無かったのですが、今回は久々に手回しよろしくHP掲載時刻にPDF版だけではなくてHTML版も同時に出る、ということでお察しのムーブという流れですわな。
でもって中川クオリティで、まあ経済物価情勢の判断の所なんぞは読んでも直近展望レポートの切り貼りですし、大体からして図表がもう使いまわし図表ばっかりだし、ということでその辺は全部読むだけ無駄でして、「金融政策」の所だけを読んでおけば良いというある意味での親切設計に仕上がっていますが、YOUは何しに日銀へ??????という思いはいつまで経っても払拭されませんですねえ。
ということで『4.日本銀行の金融政策運営』を引用しますね。
『続いて、日本銀行の金融政策運営について、私自身の考えをもとにお話しさせていただきます。』
>私自身の考え
・・・・・(゚д゚)
あ、いやまあいいです先を読みますね。
『現在、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を目指し、金融緩和を行っています。金融緩和の具体的な手段として、長期国債の買入れを含むイールドカーブ・コントロールのほか、社債やコマーシャルペーパー、ETF、J-REITなどの資産の買入れを行っています。日本銀行は、金融市場に与える影響を考慮しつつ、持続的な金融緩和を可能とするために、こうした政策ツールを導入し、その後見直しを行ってきました。』
どうでもいいですね。
『現在のイールドカーブ・コントロールは、短期政策金利について「-0.1%」というマイナス金利を適用するとともに、10年物金利は「ゼロ%程度」を目標としつつ、その上限は1.0%を目途とする枠組みです。イールドカーブ・コントロールについては、2022年12月に10年物金利の変動幅を、従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に拡大するとともに、昨年7月に10年物金利の変動幅は「±0.5%程度」のままで、変動幅の位置づけを「目途」として柔軟に運用し、市場の状況によっては、この範囲を超えることを許容することにしました。ただし、10年物金利が1.0%以上に上昇しないよう抑制することで、金融緩和効果を担保しました。その後、昨年10月に、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、10年物金利の上限を1.0%で厳格に抑えることは、強力な効果の反面、副作用も大きくなり得ると判断し、大規模な国債買入れと機動的なオペ運営を中心に金利操作を行うことにしました。こうした見直しを経て、イールドカーブの歪みは軽減されたほか、長期金利が市場実勢にあわせて変動しやすくなりました(図表12)。市場参加者が判断する債券市場の総合的な機能度は、ひと頃の低水準から改善に向かっています。』
なんちゅう尺伸ばし。
『ETF、J-REITなどのリスク性資産の買入れについても、2021年3月に見直しを行い、その目的から、市場が大きく不安定化した場合に限定し、よりメリハリを付けて買入れを行うこととしました。』
『これらのほかにも、金融緩和の円滑な実施のため、適格担保と呼ばれる日本銀行が金融機関から受け入れる担保についての基準や、国債補完供給と呼ばれる日本銀行が市場参加者に対して国債を貸し出す制度について、必要に応じて見直しを行ってきました。』
ということでここまで九官鳥ムーブで尺を稼いでいますが、
『このように、日本銀行は、様々な工夫を行いながら、緩和的な金融政策を継続しています。こうしたなかで、企業の賃金設定に対する姿勢に明確な変化の兆しがみられるなど、わが国の経済・物価情勢は、2%の「物価安定目標」の実現に向けて着実に歩を進めています。』
ほうほう、着実に進んでいると。
『もちろん、わが国経済には、先ほど述べたようなリスクのほか、自然災害の発生など様々な不確実性が常に存在しますので、その時点での適切な政策運営のため、予断を持たずに情報収集を続けたうえで判断したいと考えています。』
まあこれ普通に読めばごく普通の文章ですが、「わが国経済には、先ほど述べたようなリスクのほか、自然災害の発生など様々な不確実性が常に存在しますので、その時点での適切な政策運営のため、」って部分、無駄に深読みしますと「不確実性が火を噴いた時に金融緩和による対応余地を確保することを平時(というか非常時じゃない時というか)において常に考えておく必要がある」と無理矢理読めない事はない表現なのが味わいがありまして、まあ中川さんがそんな含意籠めた発言なんぞするようなお方には見えませんので(個人の偏見です)、そんな意思があるとも思えないのでスルーしても良いのですが、振付師がしらっと混ぜ込んできた文章だったりするとちょっと面白いなあと思った次第です。
『今後、仮に2%の「物価安定目標」が見通せる状況に至ったと判断され、金融政策を見直すことになった場合には、この間に導入された、イールドカーブ・コントロールのほか、リスク性資産の買入れなどの政策手段について、金融市場への影響とともに、これらが非伝統的なものであることも念頭におきながら議論が行われ、修正要否について判断することになると考えています。』
でまあここで話が終わっているのですが、その前段が振付師がしらっと混ぜ込んできた文章だという大胆不敵な仮定を置きますと、この部分において「これらが非伝統的なものであることも念頭におきながら」というのにまた味わいが出て来るわけです。
つまりですね、「不確実性が火を噴いた時に政策対応を可能にする」という意味では金利での対応余地もそうなのですが、そもそも金利の下げ余地が少なく、仮に正常化開始で0.5%になったとしたってグローバルスタンダードで見たらそんなの大緩和状態なのですから、ジャパンの場合は非伝統的政策を発動せざるを得なくなる可能性が諸外国に比べて高いわけじゃないですか。でもってそう考えますと、「非伝統的政策の政策発動余地の確保」ってのも実は大事なリスクマネジメントの一環であって、寧ろ非伝統的政策の撤収こそ急務なんじゃないの、という話をここでは示唆している、と考えますとかなり味わいの深い内容になっているのですな。まあ深読みのし過ぎという説の方がかなり濃厚だと思いますのでここは話4分の1くらいに聞いておいていただければ幸甚です。
まあ振付師がこういうインプリケーションだしてきた、となると更に味わいがありますし、まあ中川さんの過去実績考えてみればお察し案件なので、この部分は実際にどうなるにせよ大本営では非伝統的金融政策手段の糊代確保、というのも念頭に入れている(やるかどうかはさておき)というのは頭の中に入れておいた方が良いんじゃないかな、と思いました。
でまあここまでのを見ればわかるように、時期の話は何もないけどまあ別に3月を排除する話もないでしたね、という感じでした。
〇6MTDB入札プラス金利ヒャッハー!!!!!!!
30年の話をしないで6Mの話をするのが本来のアタクシの仕様です(^^)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240307.htm
国庫短期証券(第1217回)の入札結果
令和6年3月7日
財務省
本日実施した国庫短期証券(第1217回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1217回)
2.発行根拠法律及びその条項
特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項並びに財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条 第1項並びに特別会計に関する法律第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年3月11日
4.償還期限 令和6年9月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆6,746億円
(2)募入決定額 3兆3,437億6,000万円
(3)募入最低価格 99円97銭9厘
(募入最高利回り)(0.0418%)
(4)募入最低価格における案分比率 57.0344%
(5)募入平均価格 99円98銭7厘
(募入平均利回り)(0.0259%)
いやーーーーー6Mもプラス金利になりましたな〜
ということでして、まあ入札前になって1217回WIの利回りが売参ベースで甘くなって来ましたが、それをきっちり追認する入札になっておりまして、いやまあ3月か4月にマイナス金利解除されるんでしたらねえ、というお話ではありますが、
例によって売参様の引けは
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/files/2024/S240308.pdf
国庫短期証券1217 2024/09/10 平均値単利:+0.014
これ以降償還の銘柄も
国庫短期証券1183 2024/09/20 平均値単利: +0.014
ってな感じで軒並み前日比大甘になったのはいいんですが、
国庫短期証券1176 2024/08/20 平均値単利:▲0.076
ちょwwwwwwwという感じですが、1176とか1年TDBの成れの果てなので、そらまあ持ってる人が売りに出しでもしない限りマーケットに流通玉がないに等しい銘柄で、長期債と違って短国は足がクソ短い、すなわち在庫にないものをショートセールすると反対売買するまでの間にうっかりしたら償還が来かねない、というのがあるので、まああんまり短国アウトライトで空売り(持ってるのを売るのではなく)ってのもコスト倒れだわ下手したら大フェイルだわという事ですので、これすなわち世の中にその銘柄の玉がない、となると玉がなければオファーが出ないので出合いが付かない、という三段論法(?)によって引け値が変わらんとかになってしまう、って話ですが、それは分かるんですがお前このレート差wwwwwとは思いました。
でもって今日はより重要性の高そうな3MTDBの入札がありましてですね
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240301.htm
国庫短期証券(第1218回)の発行予定額等
令和6年3月1日
財務省
1. 入札予定日 令和6年3月8日
2. 発行予定日 令和6年3月11日
3. 償還予定日 令和6年6月17日
4. 発行予定額 額面金額で5兆8,000億円程度
でまあここで1218のWIの売参を見ますと、
国庫短期証券1218 2024/06/17 平均値単利:▲0.095
お、おぅ・・・・・・と言ったところ(昨日の6Mと違って別に入札前に調整が入るような動きが無かった時点でお察し)ですが、いやお前6Mプラテンしたんだからちょっとは考え直してくれませんかとは思うものの、3Mは毎週出るわ発行ロットは大きいわなので、短国ニーズがある場合は元々こっちに需要が来やすいし、新発の瞬間とか一番流動性が高いですし、ニーズは来る来るとなるのはシャーナイナイ。
需要がそれだけあると、仮に3月解除の場合当座預金残高のマイナスチャージ適用って最速でMPM翌日適用ですが、まあ事務負荷考えたらとりあえず次の積み期間ということで4/15まで、というような話になると思うのですけれども、そこまでの日割りでファンディングコストがなんぼか、みたいな話は普通の場合は織り込んでくれるものなのですがマイナス金利政策の弊害でマイナスのところで需要曲線がワープしてしまうので、まあそれこそ実際のレポ金利とかがプラテンしないときついのかね、とまで思ってしまうところではありますな。南無三。
〇ところでCBDC
https://www.boj.or.jp/paym/forum/for240306a.htm
FIN/SUM(フィンサム)2024における日本銀行企画セッション:「ホールセール決済の将来像」の議事の概要
https://www.boj.or.jp/paym/forum/data/for240306a1.pdf
ホールセール決済の過去・現在・未来
2024年3月6日
日本銀行決済機構局
まだザクっとしか読めてないですけどこれはかなり面白いというか、最近のCBDCに関する流れを見るのに良いと思うのですが、まあこういう時に限って政策変更ガーとかいう話で忙しいのでこれはまたの機会に、とは思いますがCBDC絡みにご興味がありましたら是非ご覧になるとよろしいかと思います。
2024/03/07
お題「ちと早い気がするが昨日は政策絡みのニュース大会/今日は6MTDB入札/パウエル議会証言はノーイベントですかね」
しっかしアメリカも進歩の無い国になって来ましたなw
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05E400V00C24A3000000/
トランプ氏、バイデン氏と再対決へ ヘイリー氏撤退表明
米大統領選2024
2024年3月6日 19:01 (2024年3月7日 0:53更新) [会員限定記事]
〇いやーいろんな金融政策関連ネタのニュースがありましたが要するに盛り上がってまいりましたということで
・朝方はMUFGの偉い人のインタビュー記事から始まりまして
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-05/S9LUJ5T1UM0W00
3月マイナス金利解除の公算、秋までに再利上げも−MUFG常務
鈴木英樹、浦中大我
2024年3月6日 7:00 JST 更新日時 2024年3月6日 10:32 JST
→4月は衆院補選、9−10月も日米重要日程控え「リードタイム必要」
→日銀当座預金は0.1%付利適用の1層構造へ、秋に0.25%へ利上げも
『三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)で市場事業本部長を務める関浩之執行役常務は、日本銀行が3月18−19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する可能性が高いとみている。』
『関常務は2月28日のブルームバーグとのインタビューで、消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年比2%を超えて推移しているほか、今年の春闘では昨年を上回る賃上げが期待されると指摘。「日銀は賃金の上昇を伴った2%の物価安定目標が実現できる確度がさらに高まってきている手ごたえを感じるものと思われる」と述べ、3月解除の可能性を予想した。』(上記URL先より、以下同様)
まあ3月解除自体よりも、こちらの記事の先の方にあった
『関常務はマイナス金利の解除とともに、当座預金は現在の3層構造を撤廃し、マイナス金利導入前のように超過準備金全てに付利0.1%を一律適用する1層構造への変更などがあり得ると指摘。さらに、遅くとも10月までには今後の政策運営の柔軟性を確保する観点からも、「0.25%までの追加利上げを行う可能性は十分にある」と予想した。』
の方が効いたのかもしれませんけれども、いずれにしましても、
『ブルームバーグの報道を受けて、6日の債券相場は下落(金利は上昇)した。日銀の早期政策修正観測が相場の重しとなった。株式市場ではりそなホールディングスの株価が一時前日比4%超上昇するなど銀行株が堅調。』
ってBBGが自画自賛(?)しておりますように、入札も輪番もない日ということもあって反応しましたなあというところ(まあそのタイミングを狙って出したのかもですけどね)です。
でまあさすがにマイナス解除に関しては3月か4月かってだけの話に最早なっている筈なので、そこ自体でアヒャーとなる事も無いのですが、たぶん世間的に言えば10月までに利上げっていうのが結構ハッスルしてるじゃんという話になるんですかね、3月解除なら7月利上げ可能だし福井の俊ちゃんエピソードを思い出せというアタクシはだいぶ外れ値なので10月と言われてもまあそうですよねってなっちゃいますが(笑)。
でまあ年内というか10月展望の段階で短期政策金利は0.25になってるんとチャイマスカというのに反応しましたってなもんだとは思いますが、まあ反応したと言っても結局謎の底堅さで相変わらずの相場様という感じではありましたな昨日も昨日とて。
・・・・・・まあ何ですな、しつこく繰り返しますが俊ちゃんのエピソードを考えれば3月に解除したら7月にも利上げできるじゃん(2006年の時は量的緩和解除が3月で利上げが7月と翌年2月)というお話ですが、今の仕切りなら3月解除なら7月の時点で展望レポートが2回、MPMは3回のところなので実は4月、7月と物価の「確度」を高めたとすれば全然利上げできますし、10月となればそこからさらにMPM2回、展望1回が上乗せされるですからもう何ぼでも言い訳はできるので、関さんのインタビュー記事の中で「リードタイム」という言葉がありましたが、そこは首がもげるほど同意する訳で、4月解除だと展望1回を解除の理由付けに使ってしまうことになるので、先の選択肢を狭めに行くことになる訳ですし、どうせマイナス解除は「確度」という「お気持ち」でできるんだから展望は要らんじゃろという話ではあるんですよね。
なお、そろそろ当座預金の階層構造だけじゃなくて、特に長距離オペを中心にするオペがどうなる問題(まあ詳しい愚考は金曜か週明けにでもしようかと思いますが、今ある長距離オペの中では「かしぞう」が中々の強烈なオペなんですよね〜)などをどうするのか、というお題もしばらくアタクシも愚考してたんですが、いい加減MPMの前に「私言いましたよね」をしようかとは思います。
まあそんなわけでメガの一角から大向こうからの掛け声のごとく「四の五の言わずにマイナス金利解除」というのが飛んできたわけですが・・・・・・・・・・(^^)
・ロイターのこの報道is何????
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/BHORRFBCGZNNHIAFORK647XKVU-2024-03-06/
日銀、生産・消費の現状判断引き下げ検討 景気見通しは維持=関係筋
和田崇彦、木原麗花
2024年3月6日午後 1:14 GMT+9
最初ヘッドライン見たときに「何お前らマイナス金利解除を前にチビってるんだよ」とヘイヘイピッチャービビってるよ状態かと思ったのですが、
『[東京 6日 ロイター] - 日銀が3月18―19日に開催する金融政策決定会合で、生産や個人消費の現状判断を引き下げる方向で検討していることが分かった。足元の弱い指標を反映する。ただ、日銀では生産や消費の落ち込みは一時的とみており、経済が緩やかな回復を続けるとの先行きの見通しは維持される公算が大きいという。複数の関係筋が明らかにした。』(上記URL先より)
「日銀では生産や消費の落ち込みは一時的とみており、経済が緩やかな回復を続けるとの先行きの見通しは維持される公算が大きいという。」ってそれだったら政策インプリケーションは1ミリもないわけで、いや申し訳ないんですけれどもこういう話なら今のこの時点での情報としての価値はマーケット的には無と同じっすなあと思ったのですが、ゆうて朝から(実はインタビューは29日と記事に書いてあって出すタイミングがここになったという話ですが)BBGの金融政策がらみのインタビュー記事が出てこれなので、なんか報道大会モードになっているのかな???と思っていたら(本当です)、引け後にこんなのが投下されたわけで・・・・・・・・
・時事通信がぶっこんできましたよ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024030600835
日銀委員、3月解除で意見表明へ マイナス金利、次回会合で―決定なら17年ぶり利上げ
2024年03月06日17時48分配信
最初のヘッドラインはこの断片だったので最初なんのこっちゃと思いましたが、そのあと詳報が出てきましてこんな記事になっております。
『日銀が3月18、19日に開く金融政策決定会合で、一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通しであることが6日、分かった。日銀の正副総裁、審議委員で構成する政策委員9人のうち、少なくとも1人がマイナス金利解除が適切だと主張。過半の5人以上の委員が賛成すれば解除が決まり、2007年以来17年ぶりの利上げに踏み切る。』(上記URL先より、以下同様)
ということでこれは・・・・!という感じですが、MPMでマイナス金利解除について「適切だと思うんですが」ってな感じで「意見を言うだけ」ならまあ大したことにはならないのですが、これが「政策変更の議案を提出」だと結構えらいこっちゃになるんですよね。
と申しますのは、もし議案提出されてしまったときに「いやちょっと1か月待ちましょうや」というにしたってその場合は反対多数で否決しないといけないのですが、3月に反対多数で否決しておいて4月に今度は賛成多数でマイナス金利解除決定、ってなると「3月と4月の間になんでそんなに正反対になったの??」という話になりますし、そもそも3月否決した時点でなんで否決したのかのをがっつり説明しないといけなくなるわけで、審議委員の方から積極的に王手飛車取りをぶっこんでくるというスタイルなわけで、これは面白くなってまいりました!!!!という風情であります。
ちなみに2013年3月7日の金融政策決定会合、というのがありまして、(当時はMPMの回数が年に14回ほどございましたので前の会合との間が詰まっている)
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2013/k130307a.pdf
当面の金融政策運営について
『(注1)白井委員より、基金の長期国債の買入れについて、「期限を定めない買入れ方式」を速やかに導入し、「金融調節上の必要から行う国債買入れ」と統合する議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:白井委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、石田委員、佐藤委員、木内委員)。』(この部分だけ直上URL先の2013年3月7日金融政策決定会合声明文より)
という白井大先生によるムーブのがあったのですが、この時はご案内のように白川さん退任で後任に黒田さん来るのが確定している状態の中で、それまで別にそんなことを言ってたわけでもない白井大先生、水に落ちた犬を叩いて間もなくやって来る進駐軍に真っ先に媚を売る、という絵に描いたような鮫島伝次郎ムーブをぶちかまして世間の失笑を買うというプレイだったので、まあ話が全然違う訳です、そもそもその後に黒田バズーカでぶっこみで出てきたものとはこの提案って話の規模が違う内容ですし、そもそも上が変わったというのはあるのでこの時はそこまで言われなかった(まあ残ってた審議委員は何で手のひら返したんだとは言われてたけど)のですな、うんうん。
然るに、今回もし本当に提案がぶっこまれた場合には、このような鮫島伝次郎ムーブ(鮫島伝次郎が分からなかったら検索してちょんまげ)とは全然質の違う話になるので、今回否決しちゃうと後が大変なんですね、うんうん。
あ、ちなみにさっきの2013年3月7日の白井さゆり大先生の鮫島伝次郎ムーブ(大事なことなので3回言いました^^)の脚注の下にある(注2)を見ると宮尾さんの提案もありますが、宮尾さんはこの年の1月の「物価安定の理解」を出した会合で示された政策ガイダンスの文言内容にに設定当初から反対していたのでこの会合でも同じ提案をして否決されていただけなので、この点については別に失笑だの何だのという話では無かった、ということを宮尾先生の名誉のために付け加えておきます。
さて話を戻しまして、今回の時事通信記事は以下の部分が詳報で出てきたのが中々オモロイ。
『日銀は現在、マイナス金利政策として、金融機関が預け入れる当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用。解除の具体案では、当座預金に0.1%のプラス金利を適用し、小幅マイナスで推移している短期金利を0%からプラス0.1%の間に引き上げることなどが想定されている。』
はいきましたやっぱり事実上の一層構造ですね、まあこの話は明日か月曜にアタクシも愚考しようかと思いますが、その前にいろんなの出ちゃってたら出し遅れになるかもねとは思いますがwww
でまあ記事の最後の方はこんなまとめかたになっていまして、
『政策委員の過半数が3月の会合でマイナス金利の解除が妥当と判断すれば、議長である植田和男総裁が多数意見を取りまとめて提案し、可決される。一方、解除への賛同が少数にとどまれば、政策変更は4月以降となる。』
『植田総裁は先月29日の記者会見で、2%の物価目標の持続的達成について「今のところまだそこまでには至っていない」と言及。その上で「春季労使交渉はその確認作業の中で大きなポイント」との見解を示した。』
『会合直前の15日には、連合が春闘での賃上げ率について第1回回答集計結果を発表する。各政策委員は、ぎりぎりまで賃上げの動向を見極めた上で解除の是非を判断するとみられる。』
・・・・・・・ま、ここで3月と4月の間に判断を大きく左右するような材料が控えているので様子見する、というのが説明つけば3月否決して4月可決も行けますけど、別にそれが無くても判断できる、って設定で今まで話をしていたので急にそれを引っくり返すわけにもいかんでしょうし、ガチ提案ぶっこまれた日には中々楽しいことになりそうですな、という時事さんの説明なのでした。
まあゆうて反応したの寧ろ為替市場ちゃんの方でして、債券先物は瞬間20銭くらい下がってたと思うのですが、そのあと特に盛り上がるでもなく止まっていたと思ったら朝になってみたら前日の引けから大して下がっていないの巻なんですけどね〜
・なんかそのあとBBGも微妙な後追いの仕方をしていますな
もうちょっと遅い時間になったらこんなのが
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-06/S9WP96T0G1KW00
日銀、昨年上回る高水準の賃上げ実現に自信深める−関係者
伊藤純夫、藤岡徹
2024年3月6日 19:15 JST
→大企業中心に相次ぐ積極賃上げ表明、中小にも波及期待
→景気判断に消費や生産の弱さ反映、「緩やか回復」は変わらず
『日本銀行はこれまでの企業の賃上げ表明やヒアリングなどを通じて、昨年を上回る高水準の賃上げ実現に自信を深めている。複数の関係者が明らかにした。市場で強まっている3月か4月の金融政策決定会合でマイナス金利が解除されるとの見方を裏付けるものとなる。
関係者によると、日銀は今年の賃上げが30年ぶりの高水準となった昨年から加速すると見込んでいる。大企業を中心に労働者側の要求に応じて積極的な賃上げ表明が相次ぐとともに、企業からのヒアリングなどを踏まえ、昨年を上回る賃上げが実現する確度が高まっているとみている。』(上記URL先より)
ということで以下記事がありますがまあそれは読んでちょという感じですが、ロイター、時事と来てBBGも追っかけてまいりましたが、前述のように結局債券先碌に下がらんの巻で帰ってきているっぽいので(最近イブニングの債券先物って最後の最後に変な値の飛ばし方をするので油断も隙も無いんですけど)結局この後日経とかが追いかけている訳でもない、ということで反応してないのか、単にアメリカン金利の方に反応しているのか、そもそも3月か4月かで大差ない(アタクシ思うにそれ単体では大差ないのですが、7月におかわりをぶっこむ可能性の有り無しに効いてくるので3月の方がオモロイとは思うのですけどまあそれは外れ値の見解なので気にしないで下さい)ので今さら「マイナス金利解除単体の話は織り込み済み」なのか。というのは分からんですが。
ま、あと報道合戦になるにしてもちとタイミングが早いというのもあるのかな、まあ何か色々と謎ですが、いずれにしましてもマイナス金利解除しても何かこれだとノーイベント(いやまあ流石に短期市場には大イベントだし債券だって超長期は知らんけど短い所には大イベントだと思うけど)っぽくなる、という意味での地均しはかなり強引ではありましたが進んで準備万端という感じでしょうかねえ(個人の希望的観測入りの感想です)。
〇中川審議委員金懇挨拶と記者会見が死ぬほど注目されますが大丈夫でしょうかw
https://www.boj.or.jp/about/press/index.htm
講演・記者会見・談話
今後の講演・挨拶等の予定
2024年 3月 7日 中川審議委員 島根県金融経済懇談会における挨拶
・・・・・ということで今日が中川審議委員の金懇挨拶と記者会見があるんですが、いままで1ミリもオリジナル意見らしきものを発出されているのを見聞したことのない中川審議委員、この超注目の金懇とか大丈夫なんかいなと心配になって来ますがwwwwwwwwww
ま、これはちゃんと大本営が振付をしてくれるでしょうということで、そういう意味ではMPM前に公式の場での最後に近いイベント、しかもどうせ大本営直属の振り付けで来るので人形使いの意図がよくわかってしまう、というイベントになってしまいましたので、とにもかくにも注目という感じですな、はっはっは。
〇ところで今日はしれっと6MTDBの入札がありましてですな
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240229.htm
国庫短期証券(第1217回)の発行予定額等
1. 入札予定日 令和6年3月7日
2. 発行予定日 令和6年3月11日
3. 償還予定日 令和6年9月10日
4. 発行予定額 額面金額で4兆円程度
でまあこの6MTDBはWI時点で売参が出ているんでして(短国なので)
昨日の引けベース
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/files/2024/S240307.pdf
国庫短期証券1217 2024/09/10 :平均値単利=0.009%
と何とプラスになっております。まあプラスなのはいいんですけど、前後の償還の銘柄を見ると
国庫短期証券1176 2024/08/20:平均値単利=▲0.076%
国庫短期証券1183 2024/09/20:平均値単利=▲0.060%
ということでどんなイールドカーブになっていますねん(まあ要するに浮動玉が多いか少ないか(新発発行前だから潜在浮動玉というべきかな)の差なんですけどそれにしても・・・・)というお話ですが、
一昨日(火曜)の引けベース
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/files/2024/S240306.pdf
国庫短期証券1217 2024/09/10 :平均値単利=▲0.030%
月曜の引けベース
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/files/2024/S240305.pdf
国庫短期証券1217 2024/09/10 :平均値単利=▲0.070%
ということで、この2日で新発6MのWIだけ引けが調整されている格好でして、いやまあ3月か4月にマイナス金利解除されてその後事実上の一層構造で当預が10bp付利だったらちったあ織り込めよという話なので調整されるのは結構なのですが、ゆうて短国ってこの前の3Mもちょっと金利は上がったものの結局そこから別に金利が上昇するわけでもなく推移する中、6Mで足が長いしもうちょっとマイナス解除織り込めよ、とは思うものの、少なくとも先週の3Mの結果はそのような話を蹴とばすレベルの需要の強さが支えた入札って感じでしたので、3Mよりも足が長いし、月1しか発行されない(3Mは毎週)債券である6MTDBにどの程度の需要があるのかは分からんですけど、3Mがあれだけ織り込まないままで推移する中でこのWI通りにいくのかしら、ってのも謎だったりしますな。
まあ幸か不幸か中川審議委員の金懇挨拶は
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
公表予定
にありますが、
7日(木) 10:30 ○ 【挨拶】中川審議委員(島根)
ということで、入札前の前場中に金懇挨拶がリリースになりますので、金懇挨拶テキストの方も影響してくるか来ないか、とか考えると中々面白そうな入札になるかもしれないしですが、まあ何となくならないかもしれないなとあんまり期待はしていないけど一応期待して落札結果を見たいものだと思う訳です。
〇パウちゃん議会証言を少々というか冒頭挨拶がガチの少々なんですけどね
てなわけで日銀話の方で謎にセルフ盛り上がりをしていた訳ですが、今朝はパウちゃんの議会証言ってのがあった訳ですがその冒頭挨拶。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20240306a.htm
March 06, 2024
Semiannual Monetary Policy Report to the Congress
Chair Jerome H. Powell
Before the Committee on Financial Services, U.S. House of Representatives
みじけええええええって感じですが、短いとか言いながらマクラの部分は割愛して、『Current
Economic Situation and Outlook』の小見出しから一気に斜め読みの巻。
『Economic activity expanded at a strong pace over the past year. For 2023
as a whole, gross domestic product increased 3.1 percent, bolstered by
solid consumer demand and improving supply conditions. Activity in the
housing sector was subdued over the past year, largely reflecting high
mortgage rates. High interest rates also appear to have been weighing on
business fixed investment.』
『The labor market remains relatively tight, but supply and demand conditions
have continued to come into better balance. Since the middle of last year,
payroll job gains have averaged 239,000 jobs per month, and the unemployment
rate has remained near historical lows, at 3.7 percent. Strong job creation
has been accompanied by an increase in the supply of workers, particularly
among individuals aged 25 to 54, and a continued strong pace of immigration.
Job vacancies have declined, and nominal wage growth has been easing. Although
the jobs-to-workers gap has narrowed, labor demand still exceeds the supply
of available workers. The strong labor market over the past two years has
also helped narrow long-standing disparities in employment and earnings
across demographic groups.1』
まあ何ですな、経済の状況の話に関して別にこう新しい話をしているわけでもないのですが、相手が議会なだけに雇用の最後の所で、「The
strong labor market over the past two years has also helped narrow long-standing
disparities in employment and earnings across demographic groups.」と格差問題に言及しているのは芸が細かいですね。
『Inflation has eased notably over the past year but remains above the
FOMC's longer-run goal of 2 percent. Total personal consumption expenditures
(PCE) prices rose 2.4 percent over the 12 months ending in January. Excluding
the volatile food and energy categories, core PCE prices rose 2.8 percent,
a notable slowing from 2022 that was widespread across both goods and services
prices. Longer-term inflation expectations appear to have remained well
anchored, as reflected by a broad range of surveys of households, businesses,
and forecasters, as well as measures from financial markets.』
ということで、結局現状を淡々と説明しているだけ(さっきの格差問題に絡めた部分だけ面白かったですけど)という感じですな。
次の小見出しが『Monetary Policy』です。
『After significantly tightening the stance of monetary policy since early
2022, the FOMC has maintained the target range for the federal funds rate
at 5-1/4 to 5-1/2 percent since its meeting last July. We have also continued
to shrink our balance sheet at a brisk pace and in a predictable manner.
Our restrictive stance of monetary policy is putting downward pressure
on economic activity and inflation.』
これまた今の状況の話ですが、ここではちゃんと「経済活動とインフレに下押し圧力」と経済活動にも下押しという言及をしておりますね、まあそういう説明スルーして許されるガバガバ議会じゃないということでしょうけどどっかのポンコツ議会と違って。
『We believe that our policy rate is likely at its peak for this tightening
cycle. If the economy evolves broadly as expected, it will likely be appropriate
to begin dialing back policy restraint at some point this year.』
政策金利はピーク水準で、経済が見通し通りに推移すれば、ということで利下げ時期について何か言うかと思えば「it
will likely be appropriate to begin dialing back policy restraint at some
point this year」なのでほぼ何も言ってないのと同じというプレイになりました、まあそういう説明はこれまでもFEDの要人からも決め打ちできませんがな説明が相次いでいるので特段のサプライズでは無いとは思うのですが、まあ出たとこ勝負感満載の説明ですね。
『But the economic outlook is uncertain, and ongoing progress toward our
2 percent inflation objective is not assured. Reducing policy restraint
too soon or too much could result in a reversal of progress we have seen
in inflation and ultimately require even tighter policy to get inflation
back to 2 percent.』
『At the same time, reducing policy restraint too late or too little could
unduly weaken economic activity and employment.』
でまあ利下げの早すぎも遅すぎもダメダメネーとは言ってるのですが、早すぎの場合の問題点の方についてくどくどと説明しているのは、まあ議会の方(たぶん民主党の方)からは利下げしねえのかと言われがちというのも背景にありそうですし、とりあえず早期利下げヒャッハー組を喜ばせないようにしよう、という意思は感じました。実際にどうなるかはともかくとして。
『In considering any adjustments to the target range for the policy rate,
we will carefully assess the incoming data, the evolving outlook, and the
balance of risks. The Committee does not expect that it will be appropriate
to reduce the target range until it has gained greater confidence that
inflation is moving sustainably toward 2 percent.』
ケアフリーにデータをみて判断しますという毎度の出たとこ勝負宣言。
『We remain committed to bringing inflation back down to our 2 percent
goal and to keeping longer-term inflation expectations well anchored. Restoring
price stability is essential to set the stage for achieving maximum employment
and stable prices over the longer run.』
まあこれは殆ど呪文のような決まり文句ですなw
『To conclude, we understand that our actions affect communities, families,
and businesses across the country. Everything we do is in service to our
public mission. We at the Federal Reserve will do everything we can to
achieve our maximum employment and price stability goals.』
これはFOMC後の会見でのオープニングリマークの最後の締めと同じじゃんという感じでして、まあとにかく議会証言で新しいネタは出て来ませんよ、という気概に満ち溢れた作品に仕上がっている、というのがインプリケーションと言えばインプリケーションですな、うんうん。
ということで今朝はこの辺で勘弁
2024/03/06
お題「CPI関連の雑談/10年国債入札関連の雑談/植田総裁フィンサム2004挨拶から」
あのCM曲が自動的に脳内に流れた貴方は昭和脳
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1034647
発売から50年以上 「チェルシー」が販売終了へ 理由は「収益性の悪化」
あなたにも〜チェルシー〜あげたーい、ってか。
〇やはり1月のCPIが攪乱要因でしたかそうですか(東京2月CPI)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-t.html
2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2024年(令和6年)2月分(中旬速報値)
2024年3月5日公表
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
2020年基準 消費者物価指数
東京都区部 2024年(令和6年)2月分(中旬速報値)
※全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表するものです
『◎ 概 況
(1) 総合指数は2020年を100として106.7
前年同月比は2.6%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は106.2
前年同月比は2.5%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は106.0
前年同月比は3.1%の上昇 前月比(季節調整値)は0.1%の上昇』
まあアレです。
『表1 総合、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数及び前年同月比』
で原数値の方をおっかけると、昨年9月からの半年って、
総合指数:105.8→106.8→106.5→106.5→106.6→106.7
ってなってて、原数値を並べてみますと9月末の半期代わりの所でバシッと跳ねてその後はその水準をキープって感じになっているようにも見える訳ですな。まあこの時は政府の補助金要因があったので追い風参考記録なのかも知れませんけど、まあ昨年の場合は10月の断層の他には3月CPIと4月CPIの間って総合の原数値が104.4→105.1という飛び方をしているので、年度末の価格改定が今回はどう出るのか、まあ不肖この実質賃金アガランチ会長(実は名目じゃないかというツッコミは泣きながら却下)のアタクシとしては出なくて良いんですが、まあそうは言ってもまた出るでしょうからにゃー。
原数値見る見るおじさんなのでコアとコアコアも
コア指数:105.2→106.0→106.0→106.1→106.0→106.2
コアコア:105.3→105.7→105.7→105.8→105.7→106.0
でまあコアコアちゃんを見ますと結局のところ着実に上昇してるじゃないですかヤダーというお話で、結局はこれ物価が相変わらず腰折れする感じもしませんなあという理解で良いのだと思いますが、確か黒ちゃんの時には「物価はこの後伸び率を縮小して2%割れになるから今の政策を継続するのが妥当(キリッ)」って言ってた筈なんだが、お前ら有耶無耶にしながらどんだけ引っ張ってるんだよ、というお話ですし、足元で個人消費が微妙だの景気の勢いが微妙だのという話だってそもそも論として物価強すぎワロリンチョのせいで実質ベースで所得が減ってるからだろいい加減にしろという話ですから、やっぱり春のこのタイミング(3月か4月かはともかく)に超越金融緩和を外していくしかないじゃんという事になるもんだとは思うのですが・・・・・・・・
〇CPIと言えば(PCEだけど)NY連銀謹製のコア何とかがアップデートされております
https://www.newyorkfed.org/research/policy/mct#--:overview
Multivariate Core Trend Inflation
The Multivariate Core Trend (MCT) model measures inflation’s persistence
in the seventeen core sectors of the personal consumption expenditures
(PCE) price in
『We update the MCT estimates and share sectoral insights at or shortly
after 2 p.m. on the first Monday after the release of personal consumption
expenditures (PCE) price index data from the Bureau of Economic Analysis.
Data are available for download.』
ということでまあ直近3/1出たのを反映させたのが月曜に出てまして
https://www.newyorkfed.org/research/policy/mct#--:mct-inflation:trend-inflation
『January 2024 Update
・Multivariate Core Trend (MCT) inflation increased to 3 percent in January
from 2.6 percent (an upward revision) in December. The 68 percent probability
band is (2.6, 3.5).』
つーことで、トレンドインフレーションがちゃっかり反転上昇してるんですよねーーーーーーー
『・Housing accounted for 0.54 percentage point (ppt) of the increase in
the MCT estimate relative to its pre-pandemic average, while services ex.
housing accounted for 0.7 ppt.』
『・The increase in the MCT estimate relative to its pre-pandemic average
reflects an increase in the common trend component across the three sector
aggregates accounting for 0.61 ppt and large sector-specific trends in
housing and services ex. housing.』
『Latest Release: 2:00 p.m. ET March 4, 2024
こちら多分上記URLなりタブなりで行くと、デフォルトだとたぶん「TREND INFLATION」が見れると思うのですけれども、そこにある「DECOMPOSITIONS」を見ると、マルチプルなんちゃらトレンドコアインフレの財とサービス(除く住宅)と住宅サービスの全項目が上向きになっているという大変にお洒落な図になっておりまして、アメリカン市場ってとにかく利下げだ(利下げの方の)正常化だヒャッハーって隙あらば動くんですが、物価動向の方はマジでどうなん??と思ってしまう訳ですな、うんうん。
〇でまあ円債ちゃんも何か色々不思議ちゃんでございまして・・・・・・・・
・ところで最近円債の方でも株式との順相関発生してね????
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/OR2W67QZJJLS3HPZWEOJFPDQUE-2024-03-05/
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続伸、長期金利0.695% 10年債入札無難通過で
ロイター編集
2024年3月5日午後 3:23 GMT+9
『[東京 5日 ロイター] - <15:14> 国債先物は続伸、長期金利0.695% 10年債入札無難通過で
国債先物中心限月3月限は前営業日比10銭高の146円55銭と続伸して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5bp低下の0.695%。10年債入札が無難に通過したこと受けて、先物はプラスに転じた。』(上記URL先より、以下同様)
でまあ以下相場後講釈があるのですけれども、アタクシ思いまするに最近って特に日経平均の日中足と債券先物の日中足がなんか似た挙動してやがるなあという印象を受ける次第でして(あくまでも個人の感想です)、昨日だって後場の10年国ってベンダー調査の市場事前予想の足切りとドンピシャリだったので悪くはない入札だとは思うのですが、日経平均ちゃんの方が昨日は後場に入ってから一本調子でグングンズイズイ上昇しておった次第で、落札結果出た瞬間だけは下に振れて(ちょっとだけですけど)すかさず戻って若干止まったかと思ったら横綱もそんな訳でグングンズイズイ上昇の巻って感じに見えた訳ですし、その先もお前ら日経平均に順相関かよ(なお引け近くの株下げは丸無視してましたが)の世界でアレ。
まあアレです。よー知らんですけど最近は株が上がるとエクスポージャー調整のため債券に買いが入る、というネタで買われる、と言ってもだいたいそういう時にホイホイ上がっているの債券先物なので、どちらかと言えば「エクスポージャー調整のための債券買いを先回りして先物を買う」じゃねえのかよという気もしますが、まあこういうゴルディロックスヒャッハーの金融相場になってくると、益々日銀の金融緩和何のためにやってますねんという話になってくるわけでござんして、居心地悪いったらありゃしない訳ですよね。だって昨日だってさっきの東京都区部CPIがどう見ても日銀のマイナス金利解除を後押しする材料になっている筈なのに何でこんなにホイホイ買われますのやらという感じではあります・・・・・・・・・
・それはともかく3月発行10年新発にGX成分が混じっている件についてwww
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/offer20240305.htm
10年利付国債(第373回)の入札発行(令和6年3月5日入札)
0年利付国債(第373回)の入札発行
令和6年3月5日
財務省
『本日、入札参加者に対し、10年利付国債(第373回)の価格競争入札、非競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札の実施を通知しました。その概要は下記のとおりです。
記
1.名称及び記号 利付国庫債券(10年)(第373回)
2.発行根拠法律及びその条項
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項及び第47条第1項
3.表面利率 年0.6パーセント
4.発行日 令和6年3月6日
5.利子支払期 毎年6月20日及び12月20日
6.償還期限 令和15年12月20日
7.発行予定額 額面金額で2兆7,000億円程度
8.入札の方法 価格競争入札、非競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札
(ただし、価格競争入札及び非競争入札については、応募はいずれか一方に限ります。』
>脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項、
>脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項、
>脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項、
ここで先月に発行された10年GXと5年GX国債の発行根拠法を確認してみましょう。
10年GX1回
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/offer20240214.htm
2.発行根拠法律及びその条項
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項
5年GX1回
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/offer20240227.htm
2.発行根拠法律及びその条項
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項
昨日の10年新発(再掲)
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/offer20240305.htm
2.発行根拠法律及びその条項
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項及び第47条第1項
ちなみにこの前出てたGX成分を含むTDB1年1214回
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/offer20240219.htm
2.発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第7条第1項及び特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項
特別会計に関する法律の46条と47条ってのは国債整理基金特別会計における借換国債の発行を可能にする法令根拠で、47条1項が「翌年度における国債の整理または償還のため」の借換国債になるので、たぶん前倒しの話になると思うのですが、昨日の10年にはその成分が入っているのねとか思いながら見る(短国の方にある公債の発行の特例云々ってのは要するに赤字国債ですよね)のですが、いやまあ発行根拠法見て何が面白いのかと言われると書いている本人も何が面白くて書いているのかが訳分らなくなりますが(ナンジャソラ)、この条文を併記する際に単純に読点で切っているもの、「及び」で切っているもの「並びに」で切っているものの差はどこにあるんでしょうとか、こういうのが気になりだすと止まらないアタクシなのでした詳しい人ご教授プリーズw
・・・・・というのはさて置きまして、なんかしらっと今回の10年新発国債の発行根拠法がだいぶGXと似た字面になっているのはナンデジャロとか考え込んでしまいました。
〇CBDCに関する総裁講演というか挨拶というか
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240305a.htm
【挨拶】
中央銀行デジタル通貨について知っておきたいこと
FIN/SUM(フィンサム)2024における挨拶
・マネー供給の二重構造に関してって一番と言っていいほどのポイントになると思うんだがこの扱いはどうなのよ
『現金との違い』って小見出しのところなんですけどね。
『CBDCは、このような現金の特徴を備えることを念頭に検討されていますが、現金とCBDCには大きな違いがあります。それは、現金は紙や金属といった形をもっているのに対し、CBDCは電子的なデータによってそれがいくらか、誰のものかといったことが表される、形のないものだということです。形のない電子的データであることは、CBDCと現金の違いを考えるうえで重要なポイントです。大きく、3つあります。』
ということなのですが、
『第1に、データは空間を超えるということです。現金での支払は、支払う側と受け取る側が同じ場を共有する必要がありますが、データにはそうした制約がないので、オンラインショッピングなど、より広い利用シーンが考えられます。』
これ別に既存の預金通貨でも同じなんですけど・・・・・・・
『第2に、データはかさばらないということです。大きな額の現金を保管するのは大変ですが、データではそのようなことはありません。これは利用する側からみれば便利なことですが、一方で、デジタル化によって現金が有する不便さが解消されることが、中央銀行が発行する「おかね」と民間企業が発行する「おかね」との関係にどう影響するかという視点で考えることも必要です。』
えーっとすいません、これも既存の預金通貨でも同じなんですけど・・・・・・・・・・・
というのはさておきまして、アタクシがここでツッコミを入れたいのは、この次に述べられているマネー供給の二重構造について説明している部分でしてね。
『「おかね」の有り様は歴史の中で変遷を遂げてきましたが、近現代では、中央銀行がその信認のもと、ベースマネー、つまりお札と中央銀行当座預金を一元的に供給し、民間銀行がそれを核とする信用創造を行うことを通じ、一般の個人や企業に預金通貨を供給するという二層構造となっています。』
そもそもこの説明の中で「民間銀行がそれを核とする信用創造を行うことを通じ」っていうのがまあアタクシが高校生の時の政治経済の教科書にもそう書いてあった話なんだが、実際問題としては別に中央銀行の準備預金が核になって信用創造をするのではなくて、金融機関は「書記官のペン先で」自行の預金を供給できるわけでして、その預金が準通貨として流通するって方が実務的にも概念的にも合っている話だし、さらにこの「ベースマネーを核とする信用創造を行うことによって」という説明がミスリードを招きやすい訳でして、その結果「日銀当座預金が10%増えれば予想インフレ率が0.44%上昇する」というような珍説が横行し、しかもその珍説を時の宰相が信奉した結果日銀副総裁にまでしてしまう、というような甚だ遺憾な事態が発生する訳ですよ。
ということで、マネー供給の二重構造に関してはこういう説明をするのは甚だ雑な上に、マネタリーベース直線一気理論のようなアホアホ信仰を誘発するリスクが極めて高いのでありまして、ことCBDCに関しては技術的問題よりも問題なのはこの「マネー供給の二重構造をどうするか」の話なだけに、この部分を真面目に論じて頂きたいんですよ。しかもこれって金融広報委員会が主催する一般向けのセミナーとかじゃなくて。「FIN/SUM(フィンサム)2024」っていうれっきとしたその道(フィンテック)の方々の集まりなのですから、もうちょっとこっちの論点の話を深掘りした方がエエンチャウノとはおもうんですけどねえ。
・・・・・・あ、中央銀行通貨が無くて民間だけでは今のようなマネーに必ずしもならんから「核として」は言ってることが完全に変という事ではないので念のため追記します。
でまあそのマネー供給の二重構造に関しては以下説明がありまして、
『また、銀行監督や預金保険制度などの整備によって、銀行預金などの様々なマネーが現金と等価であること――つまり、「1円は1円」であること――を確保する枠組みが整えられてきました。これは、「おかね」を広く供給する効率的な枠組みであると同時に、借り手に関する情報を収集・分析する機能に優れた民間銀行が一般の個人や企業に貸し出しを行ったり、預金通貨を供給したりすることには、民間イニシアチブによる経済への資金配分が実現されるというメリットがあります。』
『日本を含む多くの国では、CBDCを導入する場合でも、今述べたような利点を持つ二層構造を維持することが望ましいと考えています。』
とまあこれは良いんですけど、
『一方、CBDCは、現金と異なり「かさばらない」という利点を持つがゆえに、預金からCBDCへの大量かつ急激な資金移動が生じ、二層構造に過度なインパクトを与えないかが懸念されます。』
うーんこの。
別に「かさばらない」のは預金通貨だって同じだし、そもそも現金で車くらいなら兎も角家買う人がどの位おりますねん、って話で、預金からCBDCへのシフトが起こるインセンティブってのは、中央銀行通貨が預金と同様の利便性を持つことによって、その信用力の差によってディスインターミディエーションが発生する、って話なのですが、まあそこを大っぴらに言いにくいというのも分からんでもないのですが、ポイントは利便性ではなくて信用力なんですよね。
『こうしたことが生じないように、多くの国ではCBDCの保有額に上限を設けるといったセーフガードを取り入れることを検討しています。』
でまあ確かにこの説明の小見出しが「現金との違い」という説明だから以下の話も間違いではないのですが、
『第3に、データは足跡を残すということです。このような特性は、データの利活用の機会を生む点で、現金にはみられないものです。データの利活用は、消費者の利便性の向上や、新たな価値の創出による成長につながる可能性があります。また、このことにより、決済サービスと共存する電子商取引、SNSといったネットワークの魅力が重要性を増してもいます。』
いやだから「預金通貨との比較」だろ重要ポイントは、と思う訳でして、何と申しますかこの説明、CBDCの具体化というステージの2周回か3周回前のレベルの話をしてねえか、って思ってしまう訳でして、いやまあただの挨拶だからお子様向けの話をしている、という事なのかもしれませんけれども、フィンサムの挨拶でこれかよというのはちょっと残念な感じが拭えませんでした。
ああ一応さっきの部分の続きも引用しますが、
『一方で、このことが、プライバシーに対する懸念を生むことも意識しなければなりません。もちろん、先ほど申し上げたように空間を超えた支払を容易に行えることは、マネーロンダリングなどの不正金融に使われる余地を増やす可能性もあるので、その対策も検討していく必要があります。そのうえで、日本銀行がアクセスできるデータを必要最小限にするなどの措置を通じ、プライバシーが保護される設計となることが必要不可欠です。』
さっきの二重構造の話に戻ると、実際問題としては二重構造を維持するために間接参加型にする、というのが実務的にはありそうな話だという事ではありますが、まあそうなるとそれだったら預金通貨と変わらんやんの世界にもなる訳で、結局のところ民間金融システムが安定稼働しているのであれば、別にマネー供給の二重構造を使って民間金融機関と民間の事業者が共同してフィンテック推進していけばいいだけの話しじゃねえか、という気はだいぶするんですけどね・・・・・・・・・
まあ詳しい人のご教授を賜りたいですな本件も。
2024/03/05
お題「GX1回債早速42%を日銀がお買い上げorz/その他世間話雑談で(って全部雑談ですが)」
あ、あんぜんうんてん??????
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB01BQ70R00C24A3000000/
安全運転の植田日銀総裁 ブラジルG20の「収穫」とは
植田和男氏
2024年3月3日 5:00 [会員限定記事]
『ブラジル・サンパウロでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、発言に注目が集まっていた日銀の植田和男総裁は安全運転に徹した。直前に大津市で講演した高田創審議委員が物価目標について「ようやく見通せるようになってきた」と語ったことで、マイナス金利解除が近いとの声が一段と広がったが、植田総裁は違う表現を使い、気の早い市場関係者らをなだめたようにもみえた。』(上記URL先より、というか以下は会員記事)
いやいやいやいやどう見たって流れに急ブレーキ掛けて混乱させた以外の評価にはならんと思うのだが何で「安全運転」になるのかという話で天下の日経新聞さんがこんな記事とはちょっと残念ですね。まあ天下の日経新聞さんなどと言ってるけど課金してないんですけどねアタクシはw
〇GX国債早速日銀様発行量の42%お買い上げ・・・・・・・・・orzorz
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB048DP0U4A300C2000000/
日銀、GX債発行額の4割超保有 2月末時点で3366億円
金融政策
2024年3月4日 19:08 [会員限定記事]
『政府が2月に初めて発行した10年物のGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債の4割超を、日銀が保有していることが4日、分かった。政府は気候変動問題などに長期で対応するために発行したが、引き受け手が短期で日銀に売り渡したことで保有額が膨らんでいる可能性がある。』(上記URL先より、これまた以下は会員記事)
他のベンダーさんでもモチのロンで記事は出ているのですが、基本的には事実関係をサラッと書いているだけですが、こちらはそこそこの文章の記事になっている、のかどうかは無課金だからわかりませんが、しれっと「政府は気候変動問題などに長期で対応するために発行したが、引き受け手が短期で日銀に売り渡した」とか書いているのがチャーミング。
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mei/index.htm
日本銀行が保有する国債の銘柄別残高
の2/29のエクセルをDLしてきまして銘柄別残高を見るとそこに燦然と輝く
"10年クライメート・トランジション国債
10-Year Japan Climate Transition Bond" 1 3,366
という表示がありまして、
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20240214.htm
10年クライメート・トランジション利付国債(第1回)の入札結果
7.募入決定額 7,995億円
でしたので、えーっと2回の輪番で発行の42%が日銀に打ち込まれた、とまあそんな結果になっておりました。
・・・・・・・・いやーこれ他の普通国債みたいに日銀が発行量まるまるお買い上げ、とかになったら何のためにGXって分けて出したんだよという話になり兼ねませんし(しかもGXラベル付けるためにアホほど手間暇を掛けている筈だし)、とは言って日銀の買入対象外になると、それこそ国鉄承継国債とかみたいな流動性のない個別銘柄扱いになってしまい兼ねませんし、ということでどうするんですかこれという感じでして、5年GXはまだ輪番タイミングが来ないのでこれからなのですが、いやマジでどうすんのこれって話になってしまいました、南無阿弥陀仏。
いやまあ日銀が一瞬で4割保有とかになったことに関して別に世間様(特に海外様)あたりがどスルーして頂いて何事も無かったかのように推移すればとりあえずセーフなのかもしれませんし、日銀が6割だの8割だの10割だの持ってしまった時にも別に「何のためのGX国債なのか」とかいうようなツッコミが来ないんだったらしらっとスルーできるのかも知れませんが、いやさすがに鳴り物入り(かどうか知らんが)で発行したGX国債があっという間に日銀に殆ど買われてしまうとかいう自作自演かよ見たいなムーブになるのは如何なものかって気がしますけどねえ。
まあアレです、そうは言ったってこれは市場の中の皆様としてはGXというラベルの事はあまり気にせずに普通国債と一緒と考えて売買をする分には、従来より新発がホイホイと日銀の輪番に吸い上げられていく、というのをやっているのと同じことが行われているだけの話で、まあ経済合理的に合理的だからこういうムーブになっている訳でして、経済的に合理的なムーブをプレイヤーの皆さんが行った結果、マクロ的にみるとなんか不具合な(かもしれないし達観すればエエジャナイカエエジャナイカという事かも知れんが)事態になってしまう、ということでして、これはどこからどう見ても制度設計がポンコツなのであり、制度設計とは何かと言えば、新発だろうが何だろうが委細構わず、しかもアホのようなロットで国債を買いまくるという設計になっている今のLSAP自体がポンコツだからこうなる、という訳でして、まあ良いから国債の大量買入れとっとと縮小しろやというのと、あとは新発でも何でも買うムーブというのもどこかの時点では止めていかないとダメなんチャイマスカ、って今回のこの状況を見て思うのでありました。
まあ後言えることとしては、如何に債券市場が日銀依存でマーケットメイクをしているか、という事が如実に示された、という話でありまして、これもまあ日銀がLSAPで馬鹿みたいに国債の買入をしているもんだから、マーケットメーカーが日銀オペに依存しきってしまう結果、国債買入の薬物中毒状態になって、買入減らすとなんたらかんたらみたいな、大昔のマーケットメーカー(もどき)からすると市場のルールブックが変わっちゃったわ状態になっているのをまともなものに戻していく、というのも急務な訳でして、黒田のアホウが残したゴミがどんだけ酷かったのか、というのは安倍ちゃんの負の遺産が何年経っても出てきてガースーもキッシーも困っているのと同じような事象になるんじゃろうなとは思いますが、何せ国債市場とか世間の注目は滅多に浴びないので、ゆうて金融市場の辺境山岳地帯の孤立集落の世界での話になるかと存じますが、まあこっちの正常化も重要だな、とだいぶ強引感が漂いますがせっせと我田引水してみました。
・・・・・・・いやマジで今後どうするんですかこのGX国債の輪番の扱い
〇法人企業統計ヒャッハーとな
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/data.htm
トップページ > 統計資料 > 法人企業統計調査 > 調査結果(目次) > 調査結果
四半期別結果
最新の報道発表資料 令和5年10〜12月(PDF:1137KB)
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r5.10-12.pdf
ということでございますが、ご案内の通り市場予想よりも断然強い内容で、特に深い意味はない
ですがグーグル先生の検索で適当にヒットしたのを並べましても、
ニッセイ基礎研さん
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=77775
2024年03月04日
法人企業統計23年10-12月期−設備投資が急回復し、10-12月期の実質GDPはプラス成長に上方修正へ
大和総研さん
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20240304_024279.html
2023年10-12月期法人企業統計と2次QE予測
低調だった設備投資が急加速/2次QEではGDPの上方修正を予想
というように2023年4Qの実質GDPは当初マイナスでテクニカルリセッションとか言われておったのですが、この法人企業統計の設備投資のサプライズによりまして見事に4Qの実質成長率はプラス(名目は元々プラスでしたが)になるというビューテホーなことになりまして、しかもGDPの2次速報って、
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kouhyou/kouhyou_top.html
公表予定
四半期別GDP速報
2023年10-12月期(2次速報) 2024(令和6)年3月11日(月) 8時50分
ということで、来週の月曜日とか言うMPM1週間前のお誂えのタイミング出てて来るわけでして、もうこんなの3月マイナス金利解除でしょ3月、というか3月空振りだと4月まで1カ月半も「でもってどうなるんだよ」というので一々一喜一憂しないといけないし、そもそも4月会合ってそのあと大型連休が入る(幸か不幸か今年は3連休→3連勤→4連休だからそこまで大型じゃないけど)ので準備期間が短くなるからガチで勘弁して頂きたいし、こっちのGWが台無しになるわとかただのポジショントークなのはシャレとしまましても、「不確実な状態」をダラダラと続けることほど無駄な時間は無いので、どうせマイナス解除するならとっとと解除して解除後のマーケットをどう再構築していくか、という前向きな話に取り組みたい訳ですな、うんうん。
〇FEDがLSAPと短期市場の関連でまあ色々とお悩みのようですが他人事でもないので
ふむふむ。
https://www.dallasfed.org/news/speeches/logan/2024/lkl240301
Speech by President Lorie K. Logan
Discussion of ‘Quantitative Tightening Around the Globe: What Have We
Learned?’ by Wenxin Du, Kristin Forbes and Matthew Luzzetti March 01,
2024
Dallas Fed President Lorie Logan delivered these remarks at the 2024 U.S.
Monetary Policy Forum sponsored by the University of Chicago Booth School
of Business.
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/waller20240301a.htm
March 01, 2024
Thoughts on Quantitative Tightening, Including Remarks on the Paper "Quantitative
Tightening around the Globe: What Have We Learned?"
Governor Christopher J. Waller
At the 2024 U.S. Monetary Policy Forum, New York, New York
まあこれ先週末のネタなので出遅れ感満載ですが、量的引き締め、というのアタクシあんまり好きじゃなくて、何故かというと金利の場合は中立金利よりも引き上げれば引き締めになりますが、基本的に量というのは短期金融市場における必要な資金需要を下回った状態になれば誰かが赤残になってしまう(のを回避するために準備預金制度における所要準備がバッファーになっている)訳で、そもそも量的な「引き締め」というのは瞬間的に「積み下」を作ることはできても、恒常的な積み下状態というのは物理的にあり得ないので、量的な「引き締め」というのは出来ないというのがアタクシの理解。
という話はさておきまして、まあサラッと眺めようと思ったら全然サラッと読めないのでちょっとまあどうせ急ぐテーマでもないでしょうから(ゆうて今月のFOMCでこの話が出て来る筈なのであんまりのうのうとはしてられない)今日はパスなのですが、ここで一応軽く能書きでも、と思ったので説明用備忘の積りでメモっておきます。
お誂え向きの図表があるので
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr231206c.pdf
中央銀行の財務と金融政策運営
「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ(第1回)
―― 第3セッション 日本銀行のバランスシート ――
2023年12月4日
日本銀行 企画局
紙芝居の7枚目と8枚目(ページ的には6ページと7ページ)に
(2)中央銀行のバランスシートと収益の基本的構造
(3)バランスシート拡大局面の財務構造の変化
って紙芝居がありますわな。
ここでは収益構造の話をしているのですが、この図を使えばQTメンドクサイネーの背景も何となく説明できるわけですよ。
つまりですね、中銀って基本的にインターバンク市場における資金需給を調整することによって、翌日物金利に関してはコントロールが可能ということになっているのですが、資金需給の調整っていうのは、資金供給オペ、資金吸収オペを短期(日々資金需給がブレるから長期のオペは調節に向かない)で行わないとイカン訳ですな。
よって、日銀当座預金(短期負債)のデコボコ(資金需給)をコントロールするには、短期オペを使ってコントロールすることになるので、その場合例えば資金供給なら日銀で言えば共通担保資金供給を使う訳で、これは短期の貸出(短期資産)という形でその出入りでコントロールをする、というのが本来の姿。
然るに、今の状況ってご案内の通りで日銀当座預金という短期負債が死ぬほどあるのに、見合いの資産サイドは長期国債とか、長期の何とか基金とか、うっかりすると共通担保オペなのに長期で出してるのとかまである、というテイタラクで、流動負債>>>>流動資産という一般企業だったらとんでもないい自転車操業状態な訳ですわこれがまた。
とまあそういう状況なので、短期オペでの資金需給調整以前の問題になるので、まずは当座預金の不胎化をしないといけなくて、それが前提になっているからややこしいことになる訳ですな、うんうん。
米国の短期市場に関してアタクシそんなに詳しくはないのでその辺は勉強しておかないとと思うのですが、本当の本当のべき論で言えば、資産サイドって別に長期資産である必要は一切なくて、短期資産でオペした方が調節は(手間はかかるけど)紛れがないのですが、長期資産を減らして行って均衡点を探る、という形でやっているので、短期金融市場の需給調整のありかたが長期国債市場に影響してしまう、という状態になってちょっとどうしたもんかなという事になっているんじゃないかと思いますし、あとこんなのもっとドバドバ減らしながら短期の資金供給をバンバン拡大して行った方が楽(事務は増えるけど)じゃんとは思うのですが、米国の短期金融市場ってそういう方式に対応できるような状態じゃないのかなあという感じでして、長期国債減らして金利が上がったら短期オペ拡充すればいいじゃないかという単純なものでもなさそうなのですけど、その点はこれから勉強しますし、今言ってることが間抜けムーブだったらすいましぇん。
でまあ何ですな、今誰も言わなくなった「銀行券ルール」ですが、昔も幣駄文で申し上げておりましたが、あれは財政ファイナンス云々の前に「短期負債(日銀当座預金)に対しては短期資産(短期オペによる資金供給)の上げ下げで需給を調節する」という調節技術上から言えば当たり前の話をしているのに過ぎなくて、あれに変な意味をもたせて説明するから話がややこしくなったんだよなーってアタクシは思ったりするのでありました。なので、長期国債買入は昔「成長通貨の供給」と言ってましたが、あれも要は「長期負債の増加(銀行券のトレンド増加)に対しては長期資産(買入長期国債)をもって充てる」という調節技術上の問題であり、長短の変なミスマッチを起こさせて変な流動性問題を起こさないようにする、という調節テクニックの話だったんですよね・・・・・・・・・・・
と思いっきり中途半端なところですがまあこの辺りの話も正常化と共に色々と考えないといけない論点になるので他人事ではなくなってくる訳で勉強しないと、とはおもっておりますってな自分語りの巻でしたサーセン。
2024/03/04
お題「チャレンジング発言の反省が微塵も見られない植田さんェ・・・・・/デフレ脱却宣言来るか/3MTDB/高田さん金懇会見」
もう幾つ寝ると〜♪3月19日〜♪っと(希望的観測)
〇チャレンジング発言の反省というのは無いのかと小一時間問い詰めたい
もう小見出しでお察しとは思いますが。
・またこのおっさんアドリブで要らん発言をして金融相場に火を点けてしまったようです
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-29/S9LH0OT0AFB400
物価目標実現「見通せる状況に至らず」、春闘がポイント−日銀総裁
伊藤純夫、横山恵利香
2024年3月1日 7:25 JST 更新日時 2024年3月1日 9:40 JST
『日本銀行の植田和男総裁は2%の物価目標実現について、見通せる状況には至ってないとの認識を示した。29日(現地時間)、ブラジル・サンパウロで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で語った。』
『植田総裁は、マイナス金利解除などの条件となっている2%物価目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況になっているかを問われ、「私の考えでは、今のところまだそこまでには至っていない」と語った。その上で、賃金と物価の好循環を確認するには「春闘の動向は確認作業の中で一つの大きなポイント」とも指摘した。』(上記URL先より、以下同様)
ということでこの発言を受けてドル円は円安になるわ株は(まあ他の材料もあるにせよ)バカスカ上がって危うく日経平均4万円乗せるとことで危なかったわということで、まあ債券は買われたわけですが、もう最近は日本も株と債券が順相関する金融相場ヒャッハーになっているわけで、まあ普通にこのウスラトンカチの発言で折角3月か4月か知らんけど(ワイは4月に引っ張る意味は1ミリもないので3月にしとけや派ですけど)マイナス金利解除、ってやっているのに見事なまでの水差し野郎となっておりまして、しかも単なる水差しなだけではなく、
『金融政策を巡っては、3月か4月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除するとの見方が市場で強まっている。29日には高田創審議委員が物価安定目標の実現が「見通せる状況になってきた」と踏み込み、3月会合での政策正常化観測が広がった。今回の総裁の発言は市場観測を後退させるものとなった。』
という評価になったし、同記事でも指摘(更新したのが9時40分ですな)されていますが、
『植田総裁の発言を受けて1日の東京外国為替市場では円が1ドル=150円台前半と、下値をやや切り下げて推移。債券市場では買い安心感が広がり、先物価格が上昇している。』
買いに安心感とは何ですかってなもんですが、まあこの発言は当然のように一般的にもこういう報道をされるわけですよね。
NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240301/k10014376451000.html
円相場 値下がり 金融政策 早期転換との思惑後退
2024年3月1日 18時27分
テレビ朝日
https://news.yahoo.co.jp/articles/d6919dc3bad318d316efe610dbea271a6c287a3d
日銀・植田総裁 大規模緩和策の早期修正に慎重“物価目標達成が見通せる状況でない”
3/1(金) 18:19配信
読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240301-OYT1T50140/
高田審議委員の発言で進んだ円買い、植田総裁の発言が打ち消す…83銭安の1ドル=150円49〜50銭
2024/03/01 18:40
読売容赦ねえwwww・・・・・・・・orzorz
しかもついこの前国会で本人が
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-22/S98C0VDWRGG000
デフレでなくインフレ状態、消費者物価は右上がり続く−日銀総裁
青木勝
2024年2月22日 13:31 JST 更新日時 2024年2月22日 15:02 JST
って言ってたのにいきなり手のひら返しに見える発言ぶっこんでいて、この人は情緒不安定なのかというレベルのぶれっぷりなのですが・・・・・・
まあしかしですね、どう見ても大本営のホーンスピーカーの高田審議委員が強めのトーンで物価目標達成が見通せる状況になってきたという話をしているのに、このジジイは何を言ってるんだという話だし、現時点での想定問答ってどっからどう見ても
「先行きの不確実性はなお高いものの、見通しが実現する確度は、引き続き少しずつ高まっている」
であるはずなので、その判断に関しては毎回の金融政策決定会合で9人の政策委員で討議していく、って話なのに、お前は何をいってるんだというかですね、
・このトンチキは12月のチャレンジング発言を全然反省していないというしょうもない事実が判明したわけですな
しかしまあ今回のこのウスラトンカチのトンチキプレイで思い出すのがこれなんですけどね。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231227/k10014301251000.html
【Q&Aで詳しく】日銀 植田総裁 単独インタビュー
2023年12月27日 19時25分
『Q.今月7日の「チャレンジング発言」や、少し前には、新聞社のインタビューに対しての発言で市場が大きく反応することもありましたが、ご自身の発言の真意が伝わらないと感じることもありましたか?』
『A.政策的な意図を強く込めたものではなかったのですが、反応を見て、市場がどういうことを思っているのか、欲しがってるのかなというのは非常によくわかった気がしました。』(上記URL先より)
このNHKのインタビューはご丁寧にもちゃんと動画まで用意されていまして、お前偉そうに言っておいて全然反省してねえだろふざけるなというかという感想しか今見ると沸かないわけです、でまあふざけるなと思って見ているとなんか薄ら笑いしているようにも見えてしまう(かなり悪意を持ってみないとそうは見えませんので念のため申し添えますw)というエッシャーの騙し絵効果でさらに血圧が上がるのワイwwwwww
まあ何ですな、結局この人ってアドリブで余計なノイズを振りまいてしょうもないボラを出すだけで、まあ昨年の7月の長期金利上限の柔軟化の時もそうだったのですが、植田総裁の言う事を真に受けていると実は全然別のところで流れができますわ、ということでありまして、まあ想定問答がちがちの定例記者会見は信用しても大丈夫だと思うのですが、それ以外の発言が想定問答から逸脱したアドリブを言い出して、しかもだいたいそれが外れ、となるとまあ定例記者会見以外は信用しちゃダメってことですわな。というかもう博多人形のケースに入れて床の間に飾っておくだけにした方がエエンチャウノかねこのウスラトンカチは。
まあしかしこういう事も考えていたのか単に偶然かは知りませんが、今週木曜日に高田さん以上にどこからどう見ても大本営の九官鳥なお方の金懇がありまして、これがまた完璧なまでに想定問答の回答しかしない(というかできないんじゃないか位の勢いですなwww)お方ですので、そういう意味では大本営としてはここまで周囲も本人たちもお膳立てをしたマイナス金利政策の解除に向けてタガを締めなおすことになるんじゃないですかねえ、というところではありますな。
・コミュニケーションはというのは「相手にちゃんと伝わらなかったら意味がないどころが下手したら害悪」なんだが
でまあそうは言っても大本営としても「このおっさんまたアドリブで要らんことをゆうとる」と思っても「総裁の発言は従来と同じことを言っています」と言い張るしかないのがつらいところなのではありますが・・・・・
あのですね、ものすごく例えが不穏当かつ不謹慎なことを先にお断りして申し上げますけど、「私には政策意図はなかったけれども市場がこう受け止めてしまったようだ」ってのは、ゆうてみれば「私はハラスメントという意図は一切なかった」って言い訳しているのと思いっきりオーバーラップするわけですよ。でまあ12月のインタビューであれだけドヤ顔(かどうかはともかく)で「市場がどういうことを思っているのか、欲しがってるのかなというのは非常によくわかった気がしました」って言っておいてまたこれですから、無意識ハラスメント常習犯というある意味で一番救いようのない種類の人の日銀総裁バージョンって感じでマジで泣けてくるわけですよ。
そういえばこのトンチキ、昨年5月の内外情勢調査会講演ではこんな話もしていたようですよね
https://www.asahi.com/articles/ASR5M7642R5MULFA02V.html
教授時代の学生の評価は「最低」 日銀総裁が語った「伝える難しさ」
有料記事
土居新平
2023年5月20日 6時30分
『日本銀行の植田和男総裁が19日、東京都内で講演し、総裁就任前に教授を務めていた共立女子大(東京都)で、学生からの評価が「最低」だったと明かした。そのうえで、複雑さを増している日銀の金融政策や経済環境を念頭に、「それぐらい分かりやすく伝えることは難しい」と語った。』
『19日の講演で植田氏は、共立女子大での自分の講義に対する学生の評価を紹介した。「ダラダラ話しているばかりで何も分からない」という声のほか、「授業料を返してほしい」といった厳しいものもあったという。』(以上上記URL先より)
ちなみに日銀HPに出ている講演要旨に「学生の評価」云々の部分はないので、アドリブで加えたのかなというところではありますが、結局この人全然わかってねえええええええええええええええええ!!!!!!
というのがよくわかるので、まあちょっと今後ノイズ振りまかれても困るから政策に絡む話は想定問答以外読ませないようにして、まあ毒にも薬にもならない高尚なお話でもさせておいて、政策に関しては組織人としての長年の鍛錬を経て組織の統括をしていた氷見野、内田の両副副総裁が説明するようにした方がどっからどう見ても安全安心としか申し上げようがないですわマッタクモウ。という悪態でした。
まあ場末のこんなところで悪態ついてもあのウスラトンカチは一切変わらんでしょうけどね〜orzorz
〇政府もこう言ってるのにマイナス金利政策の解除を引っ張る意味はないですよねえ(デフレ脱却宣言キタコレ)
最初に共同が土曜日に出してきました
https://nordot.app/1136629821038527170
政府「デフレ脱却」表明を検討 賃上げや物価見極め判断
2024/03/02
コピーライト 一般社団法人共同通信社
『政府が物価の上昇傾向を受け「デフレ脱却」を表明する検討に入ったことが2日、複数の関係者への取材で分かった。今春闘で物価高に見合う賃上げが実現するかどうかや物価の見通しなどを見極めて判断する。政府は日本経済がデフレにあるとの見解を2001年に初めて示しており、脱却を表明すれば、23年にわたり安定成長を妨げてきた足かせが外れたと認めることになる。』(上記URL先より)
一応ブルームバーグも貼っておく(単に共同がこう報じたって言ってるだけなので記事内容は引用しないけど)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-03/S9QX57DWX2PS00
政府が「デフレ脱却」表明を検討、賃上げや物価見極め判断−報道
日高正裕
2024年3月3日 10:01 JST
いやーこれは来ましたねというか、植田発言でなんか大丈夫かとなった政府サイドが日銀(というより植田総裁)がフラフラしているのに対して活を入れたって感じですかしら、よー知らんけど。
まあこういう段取りがある以上、実質4月末(4/26)までマイナス金利解除するよりも、3/19にマイナス金利解除からのその後にデフレ脱却宣言で春の選挙シーズンに向けて景気づけ、ってなもんですねわかりますという感じですが、この共同のニュースを見ますと、金曜日の読売新聞の植田総裁発言記事にも味わいがあるんですよ。
あ、さっきの記事じゃなくてですね、同じ植田総裁発言に関する読売新聞の記事なのですが、
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240301-OYT1T50135/
日銀・植田総裁、マイナス金利解除などの判断材料は春闘賃上げ動向が「一つの大きなポイントだ」
2024/03/01 17:41
誠に申し訳ないのですが上記URL先の記事を全文引用させていただきますと、
『日本銀行の植田和男総裁は2月29日、マイナス金利政策の解除など政策変更の判断材料について、春闘の賃上げ動向が「一つの大きなポイントだ」と強調した。ブラジル・サンパウロで開かれた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で語った。』
『植田氏は、賃上げ動向について、「ある程度まとまった数字が出てくるのは、3月以降と考える」と話した。現状では、「労働側の要求が昨年をある程度上回っていること、大企業中心に前向きの姿勢が発せられていることに注目している」と述べた。』
『日銀が、政策変更の条件としている物価安定目標の実現については、「私の考えでは、今のところ(見通せる状況には)至っていない」と話した。そのうえで、賃金と物価の先行きについて金融政策決定会合で議論する考えを示した。』(以上上記URL先より)
ということで、読売新聞さんの記事って「見通せる状況には至っていない」の方がオマケのような書き方になっていまして、これ金曜に見たときに「おー政策修正の方にずいぶん寄った書き方してるじゃねえの」と思ったわけですが、まあ週末に共同のこの記事が出てなるほどねーと思った次第ではありまする(^^)
〇3MTDBは少しはレートが上昇したものの相変わらずのアレである
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20240301.htm
国庫短期証券(第1216回)の入札結果
本日実施した国庫短期証券(第1216回)の価格競争入札及び国債市場特別参加者・第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 国庫短期証券(第1216回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政法(昭和22年法律第34号)第7条第1項、財政融資資金法(昭和26年法律第100号)第9条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第83条第1項、第94条第2項、同条第4項、第95条第1項、第136条第1項及び第137条第1項
3.発行日 令和6年3月4日
4.償還期限 令和6年6月10日
5.価格競争入札について
(1)応募額 12兆5,210億円
(2)募入決定額 4兆6,931億5,000万円
(3)募入最低価格 100円02銭3厘0毛
(募入最高利回り)(-0.0856%)
(4)募入最低価格における案分比率 74.5535%
(5)募入平均価格 100円02銭5厘8毛
(募入平均利回り)(-0.0960%)
ということで、前週の1215が▲0.1120%/▲0.0986%で今回は▲0.0960%/▲0.0856%ということで、平均も▲0.10%を上回る金利になりましたが、そもそも論として3Mなので当たり前ですが、回号が後ろに行くと償還が1週間後ろの伸びておりますので、4月にマイナス金利解除→5/16から当座預金マイナス付利の撤廃、というコースを考えた場合でも、マイナス金利ではない期間って3週間ちょいあるんですけどねえという感じで、プラス金利の水準がなんぼかというのはさておいても、まあ相変わらずマイナス金利解除を碌に織り込んでおりませんなあという感じでございまする。
でもって売参を見ますと
https://market.jsda.or.jp/shijyo/saiken/baibai/baisanchi/files/2024/S240304.pdf
1216の売参が▲0.096%になっておりまして、前日のWI1216の売参が▲0.099%なので一応レートは上昇しておりますが、まあ平均落札水準なのでこれまた1215と同様に(ちなみに3/1引けの1215の売参は▲0.100%)特段入札のあとコケることもなく。むしろ落札レベルから見たらしっかり、という展開になっておりまして、短国の需要は旺盛ですなあというところで。
〇高田審議委員は金懇会見でも結構踏み込んだ説明をしていますね
https://www.boj.or.jp/about/press/kaiken_2024/kk240301a.pdf
高田審議委員記者会見
――2024年2月29日(木)午後2時00分から約35分
於 大津市
まあアレです。九官鳥だの操り人形だのと悪態をついていますが、高田っちが本来の自我を取り戻すというイプセンも泣いて喜ぶムーブの可能性はデギンドス副総裁の頭髪程度には期待したいアタクシもいる訳ですけどね。
・ギアシフトってのは高田さんオリジナルなんですかねえ(言葉自体はキャッチーなんだが・・・・・)
最初の能書きは割愛しましてその次から。
『(問)二点お願いします。一つは講演の中できわめて強い金融緩和からのギアシフトという言及がありました。そのシフトした後の影響についてどのようにお考えかと。要は金融市場また実体経済に与える影響についてですね、これは利上げペースと関わってくると思うんですが、現時点でどのように考えてらっしゃるかということを教えてください。
(後半割愛)』
まあ一発目は当然これを聞いてきますわな。でもって高田さんの回答。
『(答)ギアシフトという言い方をさせて頂いたんですけれども、非常に強い緩和というような状況の中から、これだけ、私も今日のところの中で
2%の物価目標の実現をようやく見通せるような状況ということも申し上げましたので、そういう感じからすると、そこまでのギアを前向きにということから、もう少し一段下げてもいいんじゃないのかなということかと思います。』
シフトダウン、という説明でまあ最初聞いたときは「ああシフトダウンね」ということで納得しておったのですが、よく考えたら最初車動かすときってロー(まあセカンド発進する場合もありますが)ギアから発信して加速しながらシフトアップしていくので、ギアだけで言えばギア下げた方がトルクが上がるんで冷静に考えると微妙な気がします。まあどうでもいいんですがw
『ただ、あくまでもギアシフトということでありますから、別にバックにしちゃうわけじゃないということでもありますし、それからある面で言うと、あんまり低いギアに入れ過ぎちゃうとエンジンブレーキが効き過ぎちゃうということもあるわけですから、そうなっちゃうとかなりまた影響が大きくなっちゃうというか、振動が大きくなってしまうとか、ボラティリティが高まってしまうということもありますので、そういうものでもないということかと思います。』
これって本人そこまで意識しているかどうかはさて置きましてなのですが、大前提として「アクセルは踏まない(エンブレ掛けてるのにアクセル踏むのはおかしい)」というのが入って来るのですが、そこまで意識した発言なのかな〜っていうのがアレですな。
というのは国債買入はバンバンしますよ〜ってのは結局の所アクセルバンバンに踏んでいる状態なわけですからして、アクセルから足を外すって事をこれは含意している筈なんで国債買入も盛大に見直す、って事で良いんですよね高田さんと。
しかしまあ何ですな、この辺の例えってMT車運転したことが無いとイマイチピンとこないという意味では昭和脳満載で微笑ましいものを感じました。
『それはあくまでも、その後の実体経済であり金融環境でありというものに整合的なものにしておくということで、どの辺のギアがいいのかということを考えながら、しかもあくまでも別にバックではないというような形で、それなりに経済の全体の走行が前の方向に進んでいくというようなことを進めていくことかなというふうに思っているということであります。(後半割愛)』
何かこういう例えってついキャッチーだから使いたくなってしまうし、まあ言いたいことは分からんでもないのですが、やっぱり何をどうしたいのかが微妙に謎になってしまいますね。
・景気がそんなに強くないように見えますが政策修正する理由はという質疑
でもってこちらの後半の質問がこれです。
『(問)(前半割愛) もう一点が足元の景気情勢についてなんですけども、GDPは
2 四半期連続でマイナスになっていて、個人消費も弱さがみられています。その中でですね、政策変更を検討できる段階になったというところの理由について、もう一言、ご説明頂ければと思います。』
この論点って市場の何とかストでも指摘する論点なんですけど、まあそういうと角が立ちますが敢えてアタクシの愚論暴論を申し上げますと、「そういう話は現在の金融政策の絶対水準を考えて言え」と思う訳ですよ。
つまりですな、足元の金融政策が経済物価情勢に対してそれなりに妥当な水準と思われる状況(別に中立である必要はなくて妥当な緩和水準という意味ね)であれば、そらまあ足元の経済がイマイチ強くないというのに金融政策の緩和の程度をへらす、ってのは中々正当化しにくい所ではあるのですけれども、そもそも論として2年間もの間コアCPIが2%を超える(しかもついこの前まで盛大に超える)水準にいて、おまけに資産価格は絶好調という金融環境の中で、マイナス金利政策とかいうのを行っている、というのがそもそもこの世の物とは思えない狂気の沙汰な訳でして(だからこそ資産価格が絶好調なんですけど)狂気の沙汰を是正するのに多少のマドルスルーとかシランガナという話に何でならんのか、というのがこの手の指摘を見ていると思うんですよねあたしゃ。まあ暴論と言えば暴論かもしれんが。
『(答)(前半割愛) それから、二番目のところですけれども、確かにGDPが、前のところの数字若干のマイナスであるということもあって
2 期連続で[マイナス]ということになったのは確かかなというふうに思います。ただ四半期ベースで言えば確かに
2 期連続でということでありますけれども、例えば 1 年前と比較してみればそれなりの水準を保っていると。』
まあしかしアレです、ついこの前はハトハトジジイがやたら「海外などの不確実性ガー」って言って景気をやたら気にするような言い方をしていたので、この辺りもエライ勢いでジャガーチェンジしやがったな、ってなもんですけれども、結局この前までは「政策修正をしない言い訳で使えるものは何でも使う」となっていた状況に対して、今回は「マイナス金利はとにかく解除」というムーブになっているので、この前まで言い訳に使っていたものの中で都合の悪いものはこのように理屈を捏ねてスルーする、とまあそういう流れになっている訳ですよこれがまた。
『ですから、基調としてはということもありますし、それから今回の状況の中で、例えば消費であったりとか、それから設備であったりとかいうところが、ちょっと伸びてないなというのは確かにあろうかとは思います。』
よってこう言ってから返す刀で、
『ただ、消費なんかについてみると、例えば暖冬の影響があったりとかいうこともありますし、また一方でまだ実質賃金がプラスになっていない、マイナスであるというようなところの中での状況でありますから、今後、例えば賃上げのというような期待の中で、どう回復してくるのかというところもあるでしょう。』
『また一方で設備のところについて申し上げれば計画については結構いい数字も出てきているわけであります。企業収益も非常にいいというような状況でもあるわけでありますから、そういう中で進捗が遅れているというようなところで設備投資がなかなか伸びてないということがあろうかと思いますが、先をみた場合については、ある程度基調という意味での前向きな動きが続いているというふうに考えていいんじゃないかと思っていますので、』
という希望的観測が出てきて、
『確かに足元のところのというご議論があろうかとは思いますけど、基調のところはまだ前向きな動きというかですね、緩やかな回復環境は変わってないというふうにみていいんじゃないかと私は思っております。』
という締めになるということでして、まあ結局この辺に関してはマイナス金利解除という結論が先にあってそれに情勢判断を合わせるという黒田末期以降に見られたムーブが続いておるというのが良く分かるというものであります。
・マイナス金利政策解除のタイミングについての質疑
その次の人ちょっと露骨過ぎ自制しろwww
『(問)日銀はこれまでの 2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったら政策修正を検討すると発信してきたと思うんですけれども、今日の午前の講演で見通せる状況になってきたというところで、マイナス金利政策の
3 月の解除論を支持されますでしょうか。例えば執行部から 3 月の会合でマイナス金利政策の解除の提案が出れば、賛成されるでしょうか。
』
いやーあのもうちょっとこう婉曲表現というのは無かったのかとwwwwwwwwwwww
『(答)具体的な、実際の金融政策決定会合は、まだ 3 週間近く先ということでもありますので、そこのところでどういう判断をするかっていうところについては、その場になって私自身考えてみたいなと思っている次第であります。』
そらそうだ。まあここで話を切っても良いと思うのですが、というか総裁副総裁だったら切るべきですね、そこは審議委員なのでセーフという面がある(多様な意見があるよってのを示すには良いこととも言えますからね)。
『ただ午前中のところで私申し上げましたように 2%の物価目標の実現がある程度視野に入ってきていると、達成できるような状況に、というような状況でありますから、そういう観点からは、そういうような問題意識もしくは認識に沿って、当面、3
月においてもその次においても、考えながら対応していきたいなというふうには思っておりますけれども、』
ああなるほどヘッドラインで出た時は「3月とその次」みたいな感じに出ていて、まさか連続利上げでも考えているのかと、まあそんなことはないでしょうけれども、一瞬ナンジャソラと思っておりましたでございますわ。これは「3月には検討するし、3月じゃなかったら4月も検討するよ」ということで、3月に解除の検討をすることが念頭にある話ですな。まあちょっとここは変な切り取られ方をしていたと思うので、もうちょっと高田さん説明を考えた方がいいんじゃないかなと思いました。
『具体的なところについては、今後もまだ時期も先ということでもございますし、またその後の様々な追加的ないろんなファクターというものもあろうかと思いますから、そういうものを踏まえたうえで考えていきたいなと、また具体的な対応も考えたいなというふうに思っている次第です。』
ここも「まだ時期も先」という表現はあまり宜しくなくて、これだと夏以降に考える、みたいな切り取られ方をするリスクがあるんですよね、この前の文脈から言えば「時期もまだ先」というのは「まだ3週間近く先」という事を意味しているんだというのは把握できるのですが、ここもちょっと説明が不用意な感じはします。
でまあ高田さんが3月もありうべしという認識になっているのを確認した訳ですが、念押しの如くこんな質問が。次の人の後半なんですけどね。
『(問) (前半割愛)あともう一点はですね、やはりこの市場では最近の植田総裁の発言だったり発信もあって、もう
3 月か 4 月かというような政策修正の期待というのが高まってきています。高田さんご自身はこの
3 月、4 月というタイミングであと残り何を確認していきたいのか、どの辺りを解消して具体的な出口の議論に進んでいくのか、この距離感も含めてご認識を伺えればと思います。』
しかしまあアレですよね。このように高田さんの金懇の時点では植田総裁の最近の発言がマイナス金利解除行くぜよという風に市場も世間も受け止めていた訳ですから、金曜のG20後会見の発言が情緒不安定かよとなってしまうのはむべなるかなですな。
それはさておいて高田さんの回答。
『(答) (前半割愛)二番目なんですけれども、3 月、4 月というような中で残り何をというふうにおっしゃったわけなんですけれども、私自身、例えばこの数字をみれば何とかっていうようなものでみてるわけでもありません。』
ほうほうそうですかそうですか。
『ただ、今回、皆さま方もご覧になってらっしゃると思うんですが、今日私の講演要旨のところでもご覧の通りでもあるんですけれども、私一番みているのは、バブル崩壊以降の企業の行動というんでしょうか、特にバランスシートをどういうふうに対応するか、また一方でP/Lをどういうふうに対応しようかというような。』
はあ。
『逆に言えば、バブル崩壊以降、バランスシートで言えば圧縮をする、持たないというか、一方でP/L面で言えばリストラをしていこうという動きの中で、設備も圧縮する、賃金も抑制するというような動きが続いて、こうしたものがデフレ的なスパイラルというか、なかなか賃金も上がらない、物価も上がらないというような状況だったわけですね。ということは、これからみたいものも、そこのところの企業の行動にどう変化があるか、すなわち持たない経営という点から言えば、投資辺りをこれからどういうふうに新年度に向かって対応していこうとしているのか、そこの意識がどうなのか。』
まあここは変化がある、って認識ですからぬー。
『それから賃上げですよね、それはまた先ほどの一番目の問題とも絡んじゃうんですけれども、そこのところをどうしようとしているのか、そういう点についてある程度前向きな動きがどう出てくるのか。その辺は最終的に確認をしたいなと。』
一番目の質問に関してはこの次に。
『私自身、この春先っていうんでしょうか、確認しながら、毎回毎回対応していきたいなというふうに思っているところであります。その辺が、今のご質問のところに、この会合でということを申し上げられる立場でもありませんけれども、申し上げたい点であります。』
まあそういうことですので基本的にあんまり躊躇するファクターがあるような話ではないですよね、というのが分かるかと思います。これまでの高田さんとはだいぶ違った踏み込み方ですね。
・ところであんさん何で豹変しましたねんという質疑
さっきの前半がまあそういう質問な訳ですなw
『(問)高田さんに二点伺わせてください。一点目が賃上げの循環について、好循環についてです。前回
9 月のときにはやはりここの持続的な賃金上昇の循環がまだ課題だということだったんですけれども、この半年間でその実現性の確度はどれぐらい高まったのか、中小企業も含めてですね、今どのようなご認識でいらっしゃるかという点が一点。
(後半割愛)』
9月に比べて随分とご認識に変化が見られたようですがその背景は何ですか、という聞き方をしないのは紳士的ですねw
『(答)最初に頂いたご質問の中で賃上げの好循環っていうんでしょうか、正直言ってこの問題は、私もこの
1 年 2 年、ずっとフォローしてきたというか、多くの方々がこの辺について非常に関心を持っていたところだと思います。』
この1年2年かよwwwという話で、何ちゅうかこの問わず語りに「急にこの理屈が登場した」というのをゲロっているのはちょっと笑ってしまいましたがそれはさておきまして。
『そういう意味で言うと、やっぱり去年の今頃だと、そろそろ去年の賃上げがどうなるかという時期だったと思いますけども、ただ本当にどうなるのかなっていうくらい。それが実際としては、去年、非常に
90 年代前半以来というような高い水準だったわけですよね。その後ということで言えば、確かに昨年、2023
年春はそれなりの予想以上だったけれども、来年はどうなんだろうというくらいの意識が結構強かったと思います。』
『多分、ご指摘頂いた半年前のときっていうのもややそれに似た世の中の方々の意識だったんじゃないかなというふうに思います。それが、それから半年たった今ということで言えば、まだ実際にはその結果が出てるわけじゃないんですけれども、結構広がりが出てきたなというか、去年よりも場合によっては高いんじゃないかというような見方が結構増えてきたっていうのも実際なんじゃないかと思います。』
まあ半年前との比較だからこの回答で全然大丈夫って感じですが、日銀の展望レポートハイライトの豹変は何だったんでしょうかねえというのは未だによくわからんですなw
『実際、既にもう3 月の半ば[に向けた]ところで組合辺りも要求を出したりもしてるわけですけれども、実際その組合の要求自体も去年よりも高い水準が出てるということでもありますし、また一方で、一部にはですね、既に満額での回答をしてきている企業の方々も出てきてるというようなところでもあるし、また世の中の空気というか、ある程度そういう好循環を、賃金をベースとして対応していこうというような動きというものが
1 年前に比べて、もしくは半年前に比べても、そういう空気ができてきたというのではないかなと思っています。』
まあこういう説明であれば、既に「判断」としては行けてるという話だし、それを春闘の最初の結果が出たところで確認する、で条件としては十分も十分、という理屈(一種の屁理屈だが)になりますな。
『ただわれわれも、今回のいろんな懇談なんかもそうなんですけれども、そうは言ってもやっぱり中小のところは、原材料についてはある程度転嫁ができても人件費についてはというような声があるのも確かだと思います。』
と中小の話をするものの、
『ただ、それも半年前、1 年前と比べてみると、そういう中でも対応しておこうというような、なかなかご尽力をもしくは苦労なさりながらも、それを実現していこうとする動きも中小の中でも出てきているというところは注目する動きなのではないかなというふうには思っている次第です。』
はいこの通り、という訳で中小の結果全部で揃うまで待つ意味はないですよね素くなくともマイナスの解除に関しては。
『ですから、まだもちろん今年の状況というのは来月半ばの回答以降をみないとわからない部分はもちろんありますけれども、ただ今の段階のところでも、少なくとも進捗は去年と比べても、また半年前と比べても、結構出てきてるんじゃないかなというのは一番目のご質問に対する私の意見です。
(後半割愛)』
とまあこんな感じなのでごくごく普通に3月解除、間違って遅れても4月って話になりますわな。
・解除時の政策パッケージに関して
『(問)午前の講演で、先ほどから何回も出てる話なんですが、ギアシフトの例としてですね、マイナス金利の解除、YCCの枠組みの解除、オーバーシュート型コミットメントの在り方、この三点挙げておられまして、これ三点挙げられたという意味は、解除に際してはこの三つは同時に修正を考えるべきというふうなお考えでよろしいのかというのが一点で。
もう一点が、そのうちの先ほどもお話あったYCCなんですが、解除というお話をされてまして、これ見直しではなくて解除という表現されたのは、例えば目標だけではなくてですね、長期金利の、上限の目途とかその辺も撤廃ということを考えておられるのか、その辺について教えてください。
』
2問の話が繋がっているので一緒に引用しました。
『(答)今日の挨拶の中で、現在のきわめて強い緩和の状況からのギアシフトということで、あくまでもこの例示として挙げさせて頂いたということなんですよね。だから、その中で例示としてイールドカーブ・コントロール、それからマイナス金利、それからオーバーシュート型のコミットメント、これ場合によっては例えばETFとかREITってこともあろうかもしれませんけれども、そこの部分についてということなんで、それが全部かどうかということよりは、あくまでもその例示としてということだと思います。』
『ただ、一つの論点というか、課題としてはその辺がまだあるんじゃないかということは念頭に私も置いていますので、その辺をどう検討するかというのがこれからの課題ということになるんじゃないかなというふうに思っています。』
最後の質疑を次に引用しますけど、まあ基本的にシンプルに持って行くようにしていく、というのがイメージとしてはあるんじゃないかなあとは思いまして、マイナス金利解除のドサクサに紛れて昭和温泉旅館をいったん全面的に解体して元のシンプルな形の温泉旅館にするというのがあるならそれは喜ばしいことかなとは思っておりますがはてさてどうなるのやら。
『それからYCCに関しては、ご認識の通り、これまでも何回も対応してきていますので、そういう中で解除ということを書かせては頂いておりますけれども、ただ一方で、いろんな対応の仕方というのはあろうかとは思いますので、そこの中のところはあくまでも、一定の部分のところを変えるにしても、その中をどういう形で対応するかっていうのは、様々なまだ選択肢が残っているということかと私は思っていますし、また一方で、先ほど申し上げましたギアシフトと言いましても、別に緩和を止めてしまうという前のところでもあるわけですから、その対応の中では、どういうものが緩和を続ける中でありうるのかという選択肢というものも考えながらということかなと思っています。
』
緩和を止めてしまう前のところ、というのがまあ本音が出てるのかなと希望的観測による勝手読みになりますけど、緩和を止める(物価目標を達成したらスムージングをしながらかも知れないkど止めるには止めるんですから)のも視野のどこかに入っているのであれば誠に結構な話ではありますな。
でまあ最後の質疑になりますが、
『(問)最後の方の質問と少し被ってしまうんですけれども、緩和からの出口の面で、先ほど分かりやすいことも重要だと委員おっしゃっていて、この分かりやすいことというのは、2%目標の実現が見通せたという段階で、やはりもっとシンプルに金融政策を見せていくとか、どういう意味で分かりやすさを追求していくということなんでしょうか。』
良い質問だ。
『(答)いろんな意味での政策について言うと、非常に分かりにくいような状況っていうのは避けるべきだろうなと思っています。』
これわwwwwwwwwwwww
『それはある程度市場の方とのコミュニケーションをやる場合でも、様々なところでもその意図がどういうふうに伝わるかということは、伝えなきゃいけないと思いますから、その意味であまり複雑にならないということは重要なメッセージではないかなと思っています。』
これはイプセンもニッコリ、だと良いんですけど・・・・・・・・w
『そういう観点からすれば、先ほどからの繰り返しになりますけれども、ある程度見通しがつくような状況になった場合での金融緩和の度合いを、どのぐらいに対応していくのかというところの、まさにメッセージというようなところと、それからそれに伴う対応というものをどういうふうにするのかというところ、今申し上げたようなメニューなんかも含めたところを出していくということも必要なんだろうと思いますし、』
は良いですが何故かここで日銀財務の話になるのは謎。
『また一方で今回の場合、私も日銀の財務の問題なんかも取り上げさせて頂きましたけれども、そういう点なんかについても、分かりやすく説明をさせて頂くということもやっぱり重要なのかなと、』
ここは謎でしたがまあ先に行きまして、
『いろんなご指摘頂いている点なんかもありましたし、こういった点はわれわれサイドでも、これまでもいろんなレポートを使いながらでも発信をさせて頂いた部分もありましたんで、そういう点なんかも含めて対応する必要があるのかなと思ったところです。』
とりあえずあの展望レポートハイライトにおける物凄い勢いでの君子豹変について説明いただけませんですかねえ。
『ですから別にどれを指して分かりやすいということではないんですけれども、全般的な対応としてそういうことは考えなきゃということで、申し上げた次第です。
』
いやマジでマイナス金利解除を機にまともなコミュニケーションに戻す努力をして欲しいです。
2024/03/01
お題「高田審議委員金懇講演はまあ普通にマイナス解除行きまっせ/その他市場ネタとか小ネタ」
なんかやたら足元多いですよね・・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240301/k10014375371000.html
【地震速報】埼玉県・千葉県で震度4 津波の心配なし
2024年3月1日 5時50分
〇高田審議委員金懇挨拶はまあ普通にやりますよ宣言ということで(まあ3月っしょ)
最後のところで滋賀県経済の話をしているのだが絶賛上映が続いている所の「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」の話が無いとは怪しからんので減点(ああ念のため申し上げますがただの冗談ですからね!!!)。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240229a1.pdf
わが国の経済・物価情勢と金融政策
── 滋賀県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
高田 創
あたりまえだが『3. 最近の金融政策運営 』のところだけ読んでいればOKOK。
・実はこれ内田さんの金懇でも出てたんだが予想物価上昇率がピンポイントで出せるなら・・・・・
まあ最初から読んで差し上げますが。
『次に、金融政策運営に対する考えをお話ししたいと思います。』
『現在、日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みで、2%の「物価安定の目標」の達成に向けて金融政策を運営しています。「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を続けるにあたっては、常にその効果と副作用を検証しつつ政策運営を行ってきました。その過程で、市場機能の低下などに対し、現行の枠組みによる大規模な金融緩和の持続性を高めるため、一昨年来、イールドカーブ・コントロールの運用の見直しを行ってきています。物価や予想物価上昇率の上振れ方向の動きが続く場合、長期金利の上限を厳格に抑えると債券市場の機能やその他の金融市場におけるボラティリティに影響が生じるおそれがありましたが、最近の見直しは、そうした副作用を和らげることを意図したものです。なお、低金利環境が維持されるなか、図表7のとおり、一連の見直しの実施後も、短期・長期の実質金利は低水準で推移しており、緩和的な金融環境は継続しています。
』
という前振りは基本的にどうでもよいのだが、「短期・長期の実質金利は低水準で推移しており、緩和的な金融環境は継続しています。」というお話をしておりまして、なんかそこにしらっと(図表7)ちゅうのがあるんですが、そこで堂々と「予想物価上昇率」が出ていまして、
『(注)実質金利は、各年限の国債利回りから予想物価上昇率を差し引いて算出。予想物価上昇率は、様々な経済主体(企業・家計・専門家)の年限ごとのインフレ予想の情報を用いて日本銀行スタッフが推計。具体的には、企業は短観、家計は生活意識に関するアンケート調査、専門家はQUICK調査、コンセンサス・フォーキャスト、インフレ・スワップ・レートのデータを使用。
(出所)日本銀行、QUICK「QUICK月次調査<債券>」、Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、Bloomberg』
これ実はこの前の内田副総裁の金懇にも出てて、じゃあ展望レポートでこれ出ているかというと展望レポート全体版を見ても出てなくて、ついでにちょっと前の方まで遡って政策委員の皆様の講演を辿った(前回のうっちーの金懇まで)のですが、このグラフって金懇系で出てきたのは前回の内田さんの金懇が初出と見られます(間違ってたらゴメンチョなので指摘してくらはい)。
でですね、これ何がひょえーと思ったかと申しますと、年限ごとの予想物価上昇率をピンポイントで出している(この図表だと1年と10年)のですが、それが政策委員が独自に計算してみたもの、というのではなくて堂々と日銀スタッフ推計物件と称して講演で2連発で示されていることでありまして、いやお前予想物価上昇率は計測するのが難しいっていう触れ込みになっているんだから、そこはピンポイントで出しちゃいかんだろという話なのですが、これ前回のうっちーの時に図表まで細かく見て無かったから不覚にもスルーしていましたが、予想物価上昇率が年限ごとにピンポイントで推計できるならお前ら均衡イールドカーブだってピンポイント(またはかなりの精度)で出せるじゃねえかちょっと出してみろや、と思いました。
まあアレです、これはどうせ高田さん(も内田さんも)この金懇テキストで仰せのように、「マイナス金利を解除しても緩和的な状況ですよ(だから引き締めヒャッハーとか言って長期金利暴騰するんじゃねえぞ)」とマイナス金利解除(とその先の利上げを含むとアタクシは思うのですがまあそこは人それぞれ)を円滑に進めるための毎度おなじみ屁理屈ニューツールだと思うのですが、うっかりこんな「年限別期待インフレ率」なんて明示的にだしちゃったら後で自分の首を絞めるだけだから止めときゃいいのに(単純にアクチュアルの物価上昇率で割り引いた金利を出しておいて、しらっと「足もとの物価上昇率で見た場合の実質金利」とでも言っておけばいいのに・・・・・・・)と思う訳で、これが今後コミュニケーション上の首を絞める可能性が70%で、注目されだす前にしらっと引っ込めて無かったことにするが30%としておきましょうwwwwww
と、これは前回の内田さんの時に既に出ていたので新しい話ではないのですが気になったので一応メモっておきまして、本日のメインイベントはこの次の部分ですよね。
・マイナス金利解除宣言キタコレでまあここまで煽ったら3月にやらんとアカンジャロと思いますが
『粘り強く金融緩和を続けるなか、私自身としては、現在の日本経済について、不確実性はあるものの、2%の「物価安定の目標」実現が漸く見通せる状況になってきたと捉えています。』
はい来たという所ですし、まあこれとこの次にある部分を見て神田大明神の発言では大して動かなかったドル円市場様が1年くらいずんずんと(急激にどーんと1円じゃなかったのがまた味わいが深い)円高に振れるという事で、これ即ちハトハトジジイがマイナス金利の解除を出し渋ったことによってどんだけ余計な円安を助長したのか、というのが象徴的に示されたんだなあ、とは思いますが、まあ何はともあれひたすら無難な発言しかここまでしてなかった(就任記者会見の時だってあの時はまあ一種の期待が高田さんにあったから高田さんの発言で動いたように見えるけど、最初に政策の妥当性の話を言い出したの田村さんだった、というのは幣駄文でもご指摘させて頂いた通りで、高田さん最初からひたすら無難な発言しかしてないYOUは何しに日銀へ?状態だったんですよね)高田さんが高田さんらしからぬ踏み込んだ物言いを公式の場所で言う、というのはまあお察し案件ということですな。
・第一の力第二の力というアレ説明のニューバージョンかこれはw
『すなわち、次の三つの段階を経て、企業の賃金・価格設定行動に変化が生じ、企業収益の改善と物価上昇に対応した持続的な賃金上昇による好循環や、根強く定着する賃金や物価は上がらないものと考える規範(ノルム)が漸く転換する変曲点を迎えていると考えています。
』
でまあこの先は基本どうでもいいのですが折角新しい判じ物が出てきたので引用するだけはします。
『具体的には、図表8のように、第一段階では、2022 年後半に海外発の原材料高のコストプッシュ――1つ目の「ビッグ・プッシュ」――で、財価格への転嫁が進みました。』
『さらに、第二段階として、昨春の労使交渉における賃金上昇のコスト増加分――2つ目の「ビッグ・プッシュ」――の一部を、サービスを含む価格に転嫁する動きが生じています。』
この説明がうぜえのだがまあ引用しますね。
『各品目の物価上昇率の分布をみると、最近では分布が右側にシフトし、ゼロ%近傍の「山」もひと頃に比べると低下しています(図表9)。昨春の労使交渉での賃上げ率は
3.6%と、1990 年代前半以来の水準となりました(図表 10)。サービス価格も緩やかに上昇しており、消費者物価上昇率に占めるサービスの寄与度は、米欧と比較して依然として小さいものの、その比率(エネルギーと食料を除くベース)は着実に上昇し、既に過半に達しています。賃金変動はそれ自体に高い慣性(粘着的<sticky>)がみられ、その上昇は持続的に物価を押し上げやすいという特徴があります1。なかでもベアの増額は一時的所得増と比べ「恒常所得」と捉えられ、消費の押し上げ効果が大きいという特徴があります。』
なんちゅうかこの物価の分析すると同じような分析しかできないのかもしれないけど、これ従来から大本営が説明している話のアップデート版に過ぎなくて、高田さんが何か独自に分析して知見を得ました的なサムシングが感じられないんですよね・・・・・・
『現在、労使交渉が続いていますが、今春の賃金改定については、昨年以上の賃上げ方針を示す企業が多数みられるなど、賃上げ機運が高まっています。昨春に続いて高めの賃上げ率が実現すれば、継続的な所得増加期待も高まりやすいと考えられます。』
でまあこのような認識を示した以上はどう見てもマイナス金利解除派やる気満々ですよというお話。
やっと第三段階に入るw
『こうしたもとで、第三段階・最終段階として、予想物価上昇率は底上げされてきています(図表
11)。バブル崩壊以降のデフレ期に下方シフトしたフィリップスカーブが、長年の金融緩和も相まって、上方シフトし、第三段階の実現として持続的な物価上昇の実現に繋がり始めたと解釈できると思います(図表
12)。 』
ってここで出している予想物価上昇率ってのはサーベイとかその他の奴を出していまして、さっきの推計値ではない奴ですな。しかしまあこの図表だって大本営がいつも使っている図表でして、本来予想物価上昇率はピンポイントでリアルタイムで計測するのがムツカシイので様々な方法で推計していく、ってもんなのに、各委員が揃って同じコンポーネント使ってますよって表が出て来るのも何だかなあという気はしますけどね。
ということで何か「予想物価上昇率」というのが説明の中に入って来たなという印象を受けた訳ですよ。今後はこれで行くのかねと思いますけど、先ほども申し上げましたように推計値の世界なので「政策に都合よく後付けの推計値が出て来る」とかいうポンコツ事案が発生しないようにして頂きたいものでございます。
・でもってマイナス金利解除の際に長期金利コントロール(というかペッグ)のガワも撤廃ですか(手段は残すでしょうけど)
というのを受けて金融政策のお話の結論部分ですが、
『このように、三つの段階を経ることで、「物価安定の目標」実現が漸く見通せる状況になってきました。』
大事な事なので二度言いました、ってことですな。
『コストプッシュ要因による価格転嫁の動きが和らいでいくもとでの企業の賃金・価格設定行動や、先ほど申し上げた海外経済にかかる不確実性などには引き続き留意する必要はありますが、緩和効果と副作用のバランスも念頭に置きながら、今日のきわめて強い金融緩和からのギアシフト、例えば、イールドカーブ・コントロールの枠組みの解除、マイナス金利の解除、オーバーシュート型コミットメントの在り方など、出口への対応も含め機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要と考えています。
』
ということで、マイナス金利解除時にまあオーバーシュート型コミットメントはそもそも現時点で存在するのがおかしい(あれは実績値ベースなので本来は削除してないと変)のでマイナス金利解除時に削除するのは当たり前ですが、YCCの枠組みの解除、という具体的な言い方に踏み込んでおりまして、まあどうせ長期金利急騰対策で長期金利への介入余地は残すんでしょうけれども、長期コントロールに関しては既に形骸化は進んでいますが、今回はそのガワもマイナス撤廃と共に外しますよ、ということで、まあ今後はやっている政策的意味が無くなって来る大規模国債買入(政策的意味はなくなるが激変緩和措置としての意味は残りますけど)をどうするのか、ってえ話の方がダイジダイジネーになると思うのですが、それをマイナス金利解除前から具体的にするのは市場が変な大暴れをしてしまうのこわいでしょうからマイナス金利解除後におっかなびっくりって感じかとは思いますが、まあそっちの方にも徐々に手がついていく感じになるんじゃないですかねえ、知らんけど。
・以下の部分はクソ長いのだが特に読むべきものを感じませんでした
でもって今回の金懇挨拶ですけど、この後に『4. 「金融政策の多角的レビュー」についての私見』というのがあってああだこうだとお話があるんですが、まあ正直別に高田さんによる何か示唆深い洞察があるとかそういう風情がアタクシが馬鹿なせいだとおもうのですが全然読み取れませんでして、使われいる図表に関してもポイントになりそうな要所要所(例えば価格マークアップと賃金マークダウンを示した図表20とかですが)の図表が何のことはない日銀の展望レポートとかスタッフペーパーとかの図表だったりして、何ですかねえハチャメチャな珍理論でもオリジナル感だけはあった某ジンバブエ先生とかの方が寧ろオリジナリティあるからマシなんじゃないか位の感想しかわかなかったのですが、まあしょうがないから会見要旨出た時にネタにしたくなったらネタにします。
しかしまあ何ですな、この前の金懇でも高田さん歴史的な話をしてた割に別に面白い話があった訳でもなくて、多角的レビューということで25年レビューの話をしているのですが、あーたの25年はナンダッタノカと小一時間問い詰めたくなるのをまあ我慢しておるというような状態ですわwwwwwwww
あ、あと会見でも微妙に踏み込み気味の言い方になっていまして、これはまあ「緩和的な環境が続く」というのが効きすぎて特に他市場がヒャッハーヒャッハー言ってるのに対してちょっと水を差しておく必要があるんじゃないか、という人形使いの意志らしきものを感じたのはアタクシの超個人的偏った感想ですが一応そういう読み筋ですというのを申し上げておきます(この前の植田さんの国会答弁も然りで)、
〇2年債とかその辺のメモ
・2年入札は少し織り込みを感じますが今日の3Mはどうなりますやら
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20240229.htm
2年利付国債(第458回)の入札結果
本日、2年利付国債(第458回)の価格競争入札、非競争入札及び国債市場特別参加者・
第T非価格競争入札について、下記のように募入の決定を行いました。
記
1.名称及び記号 利付国庫債券(2年)(第458回)
2.発行根拠法律及びその条項
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)第3条第1項並びに特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項及び第47条第1項
3.表面利率 年0.2パーセント
4.発行日 令和6年3月1日
5.償還期限 令和8年3月1日
6.価格競争入札について
(1)応募額 8兆4,905億円
(2)募入決定額 2兆3,471億円
(3)募入最低価格 100円02銭5厘
(募入最高利回り)(0.187%)
(4)募入最低価格における案分比率 44.4219%
(5)募入平均価格 100円03銭9厘
(募入平均利回り)(0.180%)
ということで一応ベンダー集計の事前足切り予想よりは5厘くらい弱かったようですが、ゆうてその後大崩れすることもなく、売参を見ますと(いつもの奴なのでURL割愛)2年458の平均値単利は0.185%になっておりましたので、別にドイヒー入札とかそういう訳でもないちゅう感じですかしら。
とは言いましてもまあ一応マイナス解除とその先ちょっとだけは利上げを織り込んでいる(本来2%物価目標がガチのガチで達成だった時の適正な短期政策金利とかいうのを考えると甚だアレですけれども、それを言い出すと全年限甚だアレになるのでw)という物件になっておられまして、ちったあ意識してますかね、という所ではありますが・・・・・・・・
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_auct/auct20240222.htm
国庫短期証券(第1216回)の発行予定額等
1.入札予定日 令和6年3月1日
2.発行予定日 令和6年3月4日
3.償還予定日 令和6年6月10日
4.発行予定額 額面金額で5兆8,000億円程度
5.その他 上記の発行予定額を変更する場合には、入札日の前日に再度公表する予定です。
ということで今日は6/10足の3Mの入札があるのですが、毎度申し上げておりますようにこれ(俊ちゃんの時のように)足元がゼロ金利でその先の先高観があればちゃんとレート形成に跳ねるのですが、足元がマイナスなのが影響しているのかその先の先高観が無い(いやマイナス金利解除したらコールもレポも上がるだろうとは思うんだが)のか合わせ技なのかはわからんですけれども、売参を見ると1216のWIは昨日の引けでも相変わらずの平均値単利▲9.9bpになっていまして(ちなみにカレント3Mの1215のWIは堂々の▲10.5bpという貫禄の展開)こっちはどの時点で金利先高観を反映するのか(いやまあ実は金利先高観が無いのかもしれないですけど)というのが謎オブ謎でありますな。
・オペ紙・・・・・・はここで何かいじる訳もないのでこれは順当
みんな大好きオペ紙ですが
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/mpr240229c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定
(2024年1〜3月)[一部変更]
いやまあ今回はマイナス金利が3月解除か4月解除かって言ってる中で変にいじるとしょうもないハレーション起きても馬鹿馬鹿しいので何も変更なし、はまあそらそうだとしか言いようがない。
問題は発行減額が始まる4月の所だし、その前の3月会合でマイナス金利解除となったりした場合にどうなるかというお話ですからこれはま妥当。
0-1年:1500×1(同じ)
1-3年:3000-6500×4(同じ)
3-5年:3500-7500×4(同じ)
5-10年:4000-9000×4(同じ)
10-25年:1000-5000×3(同じ)
25-40年:500-3500×2(同じ)
物価連動:600×1(同じ)
まあべき論として見た場合、日銀がアホのように国債買入をしているせいで兎に角市場全体がジャンキー状態になっておるわけでして、ジャンキーのシャブ抜きには本来は徐々に抜くとかいうようなしょうもない事やってる場合じゃないのですが、ゆうて鉄格子付けてその中で暴れろという訳にも行かないので、ここから正常化過程においてどうやって減らしていくのか、というのは腕の見せ所になりますわな。オーバーシュート型コミットメント気にしなくて良いのがガチのガチで気にしなくて良い(無くなるから)という状態になってからのお楽しみ、というかちゃっちゃとシャブ抜きしないと本来のマイルドインフレ経済の中で市場機能(本当の意味での市場機能であってPDが国債買ってきて日銀に放り込むのを市場とは言わない)が働かないとマズいと思うんですよね、まあこの辺の話はマイナス金利解除まえにもうちょっと考えて雑感をと思っています。
・そういや結局「普通国債だけど一部がグリーン国債」は1YTDBだけということかしら
先般1年短国の発行根拠法に例のGX関連法案条文があって中々のオモシロテイストを出していましたが、昨日の2年も含め、その後に出て来る新発国債の入札要綱をみておりましても発行根拠法に例の法令は出てこないので、これは1年短国だけが一部グリーン国債(なお一部だけのグリーンとか言うのは定義上無い筈なのでこれはワイが勝手に言ってるだけです悪しからず)ということでファイナルアンサーでよろしかですかしら???????
〇吉川先生のブルームバーグインタビューが良い話をしているのに記事の題名で台無しになっている件についてその他
一昨日出てたこれなんですけどね、
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-27/S9HXMVT0AFB400
日銀政策は「正常化すべき時」、財政への忖度不要−吉川東大名誉教授
伊藤純夫、藤岡徹
2024年2月28日 6:00 JST
ちょっと時間の関係上内容については割愛しますんですけど(すいません)、インタビューの中で吉川先生(なお吉川先生は一応「日銀参与」になっております為念)が指摘している論点として、『吉川氏は、この間のインフレによって食料品の価格が大きく上昇するなど「元々格差が大きい中でエンゲル係数が上がった。分配上の悪い影響がはっきりとあった」と分析。日銀が目指す賃金と物価の好循環に関しては、言わんとすることは理解するが、われわれにとって幸福なのかは分からないと語った。』(上記URL先より)ということで大事な話をしているというのに、記事の題名が「財政への忖度」とかキャッチーだけどしょうもない文字列になっているせいでアタクシは当初なんだしょうもねえじゃあパス、と思って不覚にもパスした訳でして、読者様から良いインタビューですよねと指摘されて気が付くという実にアレな事態になっておりました。
ということで、PV稼ぎのためにクダラナイヘッドラインつけるの止めろやと(まあ伊藤さん藤岡さんがこんなしょうもないヘッドライン付けるとは思えないのでどうせ編集の方でつけたヘッドラインじゃねえのとは思いますが)思いました、まる。
あと別件で、こちらは課金していないと読めませんしワイも課金してませんが先日の週刊金融財政事情
https://kinzai-online.jp/node/11323
解説シリーズ 問われる金融・財政政策 第11回
日銀は物価の番人としての矜持を持って政策運営に臨め
日興リサーチセンター 理事長 /山口 廣秀
投稿日2024.02.23. /週刊金融財政事情 2024年2月27日号
なんてのがありましたな、うんうん。