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2022/01/31
お題「FOMCパウエル会見ですが今回はメッセージが明確でわかりやすい(個人の感想です)」
そういや昨日某経済新聞の1面のトップがこんなんだったじゃないですか(普段買わない読まないをモットーにしている金融屋さんにアルマジロなワタクシだが駅売りのスタンドやコンビニなどで1面トップが見えたらその文字列はちゃんと把握しておく位の嗜みはある、なお最終版だったのかどうかは知らん)。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2455T0U2A120C2000000/
円安の重圧、暮らしに 10年で婦人服の価格13%上昇
2022年1月30日 2:00 [有料会員限定]
ヘッドラインしか見て無いので(しかもチラ見)実は中身をよく知らんのだが、無料部分の頭の所を拝読。
『「円安は日本経済にプラス」といわれてきた構図が変わりつつある。』(上記URL先より、以下同様)
お前さん方がそのように言いまくってたのに都合が悪くなると旗振り役が真っ先に逃げて他人事www
『スマートフォンや家電、衣料品など身の回りの製品の輸入依存度が高まり、円安による物価高が家計を圧迫しやすくなった。半面、製造業の海外移転で円安が輸出を押し上げる力は弱まった。』
それお前さん方がどんどんやれやれって紙面で宣伝してたんじゃなかったっけ、というのもさることながら、そもそも最初の見出し「10年で婦人服の価格13%上昇」ってお前ら物価目標2%なのすっかり忘れてるだろうとそっちの方に食いついてしまいましたwwwwwwwwww
ま、どうせ記事の本チャンの中には賃金が上がらないのに輸入物価が、って書いてあるとはさすがに信じたいが(その記述が一切なくて10年で13%上昇を重圧とか言ってたら笑うが)、「10年間で13%上昇が重石」みたいなヘッドラインを付けてしまうデスクだか編集だか知らんけど、チミは物価目標を何だと思ってるのかと問いたい。
・・・・・・などという月曜の朝からしょうもない悪態はさておきFOMCパウエル会見だが今回は実に分かりやすい説明である、と思ったんだがどうでしょうかね。
〇ボクはもう迷わない(キリリッ)!って感じで吹っ切れている会見ですな(個人の感想です)
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20220126.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
January 26, 2022
・インフレ抑制大正義コースに乗って利上げとBS縮小をせっせとしますよペースは様子見るんだけど・・・・・・・・
今回の質疑応答、毎度同じくのオープニングリマーク込みで1時間弱で、文字起こしのページ数も似たようなもんだったのですが、体感的には質疑応答が短い気がしまして(物理的に言えばそんなことはないのだが)、アタクシ思いまするに、今回って回答すべきポイントが明確な上に、総てにおいて明確(まだ決まっていませんキリッってのも含めて明確という意味です)な答えが用意されていたから、説明の行間を一々読む必要が無かった、というのがここ数会合の何か色々と悩み多き会見って感じでボコボコに連係プレイでツッコミをくらっていた会見との大きな違いではありましたなという風情です。
つーことで今回の会見、だいたい通しで何をパウエルちゃん言ってるか、というのをアタクシなりに解釈致しますと、だいたい以下のようなことを言ってて、質問する方は手を変え品を変え質問しているのですけれども、回答はほぼ以下の通りの話をしているだけ、という結果に留まった、という印象です。
アタクシの個人の感想です、ではあるんですけど勝手にパウエルちゃんの発言をまとめると以下の通り
現状判断
・物価は目標を達成どころか上の方に怪しからん上げ方してるし下がらんリスクもあるのでインフレ抑制大正義
・雇用は既に目標行ってるようなもんである、無茶苦茶強い
・経済は潜在成長を盛大に上回る成長を今年も威勢よく続ける、昨年ほどではないけど昨年がそもそも高杉晋作
政策判断の総合的なバックグランド
・過去の利上げ局面では雇用は目標達成してたが物価は2%行くか行かんか位の世界だったよね
・今回は物価の水準は全然違うし、雇用も過去最高に強いし、成長も高成長を継続中だよ
・つまり過去の利上げ局面と同じように考えられると困るし、こっちもその点は注意するよ
ということで、そもそもが「過去の利上げとは違う」ってのが思いっきりある訳で、前回も前々回も25bpずつしか利上げしてないとか、そういう事例を持ち出してこういうアクションが予想されるとかそういう説明をおっぱじめる何とかストは会見を1ミリも見ないで言ってるのか、パウエルの今回かなりわかりやすい説明を理解できない程度の知能をもって何とかストを名乗っているということでありまして即ち(以下の記述は不穏当部分があるため削除されました)。
利上げついて
・3月はよほどの天変地異が無いかぎりやる
・ペースについては物価の様子次第だが経済物価情勢が今までと全然違うんだからグラデュアルとかにはならんじゃろ
・中立金利以上に上げるかとかその辺もさっぱり分からん、インフレの落ち着き具合見ながら調整する
バランスシート縮小について
・利上げ会合の後に議論するよ
・最終的にはある程度の超過準備を残したままトレジャリーオンリーにするよ
・前回よりも経済物価情勢が無茶苦茶強いんだから縮小ペースは速くなるけどセルオフとかそういうのはこれから議論
という感じだったと思うの。説明の中で何度も言ってたのが「今までと全然違う局面だから」というのでありまして、物価が強すぎるというのがここしばらくなかった、その上景気も雇用も強い、という点ですな。
つまりですね、勝手にパウエルの説明の行間(というほどでもないけど)を補足すると、まあ何も無しに上記の状況なら大引き締めなんでしょうけど、そもそもがコロナの供給制約による嵩上げが物価にあって、財政と挽回生産や挽回消費による嵩上げが経済にあるので、そこまで無茶せんでも良いのではないか、とは思っているんでしょうけれども、そうは言っても足元の物価を嵩上げ部分剥落するまでお茶飲みながら見ている場合ではなくなってしまっておりますがな、というような感じなんでしょうなあとは思いました。
そうなりますと、そらまあバランスシートどころか利上げに関してもペースとか最終形とかあんまり今の時点でイメージできないし、おそらくはややハイペースで目先利上げしながら物価と雇用と賃金の動向を見ながらどの程度まで締めれば良いのか、明らかに嵩上げ要素が加わっているので、単純に引き締めをやっていくと嵩上げ部分が剥がれた時に死ぬし、かといって嵩上げ要素がは剥げるまで待ってられないというのは、既にこれまでの見通し、即ち嵩上げ部分は近いうちに落ち着いてくるから物価も落ち着くでしょう、という見通しを外しまくっている上に、物価上昇の怨嗟の声でそろそろ地区連銀にデモ行進来てもおかしくない状況なので、様子見というのも出来ませんからシャーナイですよねー、ってそんな所じゃないですかねえ。
つまりですよ、まあ当たり前だけどパウエルプットみたいなのは存在せず、金融市場とかそらまあ大暴落されたら困りますけど、1割2割株価が下がって一々怯んでいられないし、まあ今回はそんなに株式市場とかキニシナイで普通に物価情勢次第で正常化速度も調整してくるんじゃないですかねえ(よって株価に影響が出るとパウエルは引き締めペースを緩める、とか考えるのは虫が良すぎる)。
などと思いました。最初にアタクシのクダラナイ愚考察を延々と申しあげてすいませんでした。
・一発目から「4半期に1回じゃなくて毎回利上げアリやナシや」とか来るわけで
4ページ目のケツから質疑応答のパートになります(全部で26ページ)。今回は会見進行のミシェル姐さん(いつもこの人が進行してる)の「次は誰」というのが全部掲載されているので(その分嵩上げされてる)折角だからそこから引用する。
『MICHELLE SMITH. Thank you. For the first question, we'll go to Chris Rugaber, Associated Press』
『CHRIS RUGABER. Thanks, Michelle. And thank you, Chair Powell. So it's
expected that the Fed will hike rates perhaps every other meeting. But
certainly in the past, the Fed has hiked at every meeting. So I just wanted
to ask, you know, are rate hikes at consecutive meetings on the table this
year? Is every meeting a live meeting? And, on that note, would the Fed
consider frontloading some of its rate hikes, even if it doesn't raise
every meeting? Thank you. 』
一発目から思いっきり直球放って来ました。
『CHAIR POWELL. Thanks. So, as I referred to in my opening statement, it's
-- it is not possible to predict with much confidence exactly what path
for our policy rate is going to prove appropriate. And so, at this time,
we haven't made any decisions about the path of policy. 』
この部分、メジャードペースなりグラデュアルなり、過去の局面だとだいたいゴールがあってそのゴールに向けてこんなペースで上げていく、というのはオトボケとしてあった(それに1年半先とかまで決めうちしてしまうと不測の事態があった時にみっともないことになるし)と思うのですが、
『And I stress again that we'll be humble and nimble.』
というのって、別に利上げに慎重とか慎重じゃないとかそういう話ではなくて、「今回の場合は運営のやり方の見本が無いから、謙虚とか素早さ?(すばしこい、すばやい、りこうな、とワシのデイリーコンサイスには書いてある)とか言ってるのは結構文字通りで、「今回はゴールの水準が幾らだからそこから逆算してこうする」という施策が出来なくて「物価と雇用(主に賃金かな)の動向を見ながら出たとこ勝負で調整していくしかない」という意味で、ガチに謙虚とかいう話なんじゃないかな、とアタクシは解釈したのですけれども、どうでしょうかねえ。
モチのロンですが、その背景には物価が飛んでもなく上昇してるし、景気は盛大に強いし、雇用はアホほど強いんだが、一方でコロナ関連要因が供給制約をはじめとして絡んでいて、これがある分さっぱり分からんという面が大杉栄な訳で、ガチでこれは分からんと思いながらも兎に角今の超越大緩和はアカンというのは明らかだから調整しなきゃ、ということなのではなかろうか、とか思うのでした。
さてその続き。
『We're going to have to navigate cross-currents and actually two-sided
risks now. So -- and I'll say also that we're going to be guided by the
data. In fact, what I'll say is that we're going to be led by the incoming
data and the evolving outlook, which we'll try to communicate as clearly
as possible, moving steadily in transparency --transparently.』
この辺の話、今までの場合だと「まあ本当は決め打ちなんだけどこう言っておかないとね〜(鼻歌混じり)」という風情でしたが、今回は文字通りのガチで「よくわからんからデータ見ながら出たとこ勝負」なのではないかと思う訳で。
『So more to your question. We know that the economy is in a very different
place than it was when we began raising rates in 2015.』
と、このように言ってるわけで、2015年利上げ局面から今回の利上げランオフシリーズを予想してはいけない、ということになるのは町場の素人であるアタクシでもわかる。
『Specifically, the economy is now much stronger. The labor market is far
stronger. Inflation is running well above our 2 percent target, much higher
than it was at that time.』
全然違うよーということで、
『And these differences are likely to have important implications for the
appropriate pace of policy adjustments. Beyond that, we haven't made any
decisions. 』
その違いがおそらくappropriate pace of policy adjustmentsにとって重要なインプリケーションを持っている、とこのようにご丁寧に説明しているのって、普通に考えまして「2015年局面とはまるで違ってアクティブな縮小アプローチをとりまっせ」と宣言しているのに等しいですよね。ただし、今回の「we
haven't made any decisions」は3月上げるでしょうというのはさて置き、とりあえずその先は出たとこ勝負でガチのnot
make any decisionsだったんでしょうな、うんうん。
ということですが、そら物価が想定に反してワッショイワッショイと上がり続けて、しかもメリケン国の世の中的にもインフレ上昇怪しからんの大合唱で、ついに「一時的」見通しを外したのを認めている訳ですから、この程度の説明するの当たり前じゃんとか思うのですが、どうも金融市場的には緩和政策によって頭のネジもすっかり緩和されておられる方も多いようで、まあそういう反応になりましたよね、という所なんでしょうか。
・よって労働市場に関しては何だかんだ言って完全雇用達成と言ってるようなもんの答弁が行われる
2番手登場。
『MICHELLE SMITH. Thank you. Let's go to Victoria Guida at Politico. 』
『VICTORIA GUIDA. Hi, Chair Powell. I wanted to ask, you were talking about
the health of the labor market. And I'm curious whether you would characterize
where we're at right now as maximum employment? And also, along those same
lines, obviously, rate hikes on the table this year, do you think that
the Fed can raise rates, bring inflation under control without hurting
jobs and wages? 』
完全雇用達成してるという認識なの?というのに加えて「おんどれらは利上げする中で雇用や賃金をコケさせないようにしながら物価を抑制するって本当に出来るのか」というイヤミ質問も入っています。
回答が1ページ半の大演説になっております。
『CHAIR POWELL. Sorry. Just getting both parts of your question written
down. So, I would say -- and this view is widely held on the Committee
-- that both sides of the mandate are calling for us to move steadily away
from the very highly accommodative policies we put in place during the
challenging economic conditions that the economy faced earlier in the pandemic.
And I would say that most FOMC participants agree that labor market conditions
are consistent with maximum employment in the sense of the highest level
of employment that is consistent with price stability. And that is my personal
view. 』
思いっきり「ワシが思いまするに」ってその後付け加えてるけど、「most FOMC
participants agree that labor market conditions are consistent with maximum
employment」と認めておりますな。だったら1月利上げしても良かったんでネーノ(やる気出すなら)と思ったが、そこまでやるのは回避してその代わりに3月の利上げをこれでもかとばかりにぶっこみに行く、という形にしたんですかね。
『And, again, very broad support on the Committee for the judgement that
it will soon be appropriate to raise the target range for the federal funds
rate.』
オマケに声明文にあるからとは言え、これもわざわざ付け加える念の入れよう。
『The other thing is maximum employment will evolve over time and through
the course of a business cycle. In the particular situation we're in now,
it may well increase max -- the level of maximum employment that's consistent
with stable prices may increase. And we hope that it will as more people
come back into the labor market, as participation gradually rises. And
the policy path that we're broadly contemplating would be supportive of
that comment -- that outcome as well. 』
『So, the thing about the labor market right now is that there are -- there
are many millions of more job openings than there are unemployed people.
So you ask whether we can -- whether we can raise rates and move to a less
accommodative and even tight financial conditions without hurting the labor
market. I think there's quite a bit of room to raise interest rates without
threatening the labor market. 』
『This is, by so many measures, a historically tight labor market, record
levels of job openings, of quits. Wages are moving up at the highest pace
they have in decades. If you look at surveys of workers, they find jobs
plentiful. Look at surveys of companies, they find workers scarce. And
all of those readings are at levels really that we haven't seen in a long
time and, in some cases, ever.』
『So, this is a very, very strong labor market. And my strong sense is
that we can move rates up without having to, you know, severely undermine
it. 』
ああだこうだと言ってて話の継ぎ目で段落分けて見ましたが、現状の経済も労働市場も無茶苦茶強いので、多少金融緩和を縮小しても全然平気ですよ、という話をしておりますね。でこの次面白かったのは物価の話を聞かれていない訳では無いのだが説明しだすのでありまして、
『I also would point out that there are other forces at work this year,
which should also help bring down inflation. We hope including improvement
on the supply side, which will ultimately come at the timing and pace of
that are uncertain.』
ということで、そもそも物価に関しては金融を締めなくてもコロナ供給制約の解消によって下がる部分があるよ、どの位下がるのかとか何時下がるのとかがさっぱり分からんけど、というのを入れていまして、返す刀で財政が今年になると昨年ほどの大盤振る舞いは出なくなる、という話が続きまして、
『And also, fiscal policy is going to be less supportive of growth this
year, not at the level of economic activity but the fiscal impulse to growth
will be significantly lower.』
この話をぶっこんできたのはどういうことかと言いますと、
『So there are multiple forces which should be working over the course
of the year for inflation to come down. We do realize that the timing and
pace of that are highly uncertain and that inflation has persisted longer
than we thought. And, of course, we're prepared to use our tools to assure
that higher inflation does not become entrenched. 』
つまり、金融政策だけで締めるのではなくて、コロナ解消や財政大盤振る舞いの終了によっても物価は抑制されます、という話をしておりまして、この建前を持ってくるのは何を意味するかと言えば「景気をぶち殺さなくても物価は落ち着く」という認識を示している、ということなので、エクストリーム引き締めはしない、と言っているのに等しいんですよねこれがまた。
とは言いましてもエクストリーム引き締めはしませんよ、とか言い出すとまたもやゴルディロックスヒャッハーとか緩和ジャンキーの皆さんがグヘヘヘヘヘヘヘと言いながら涎を垂れ流してヒャッハーしだすとダイナシーになってしまいますので、「we're
prepared to use our tools to assure that higher inflation does not become
entrenched. 」と高インフレ定着許すまじ、とぶっこんでいる訳ですな、うんうん。
・バランスシートに関しては何か煮詰まっていない感の強い答弁である
時間の関係でこちらは3番打者で本日終了させて頂きますがいつものWSJニックさん。
『MICHELLE SMITH. Thank you. Let's go to Nick Timiraos at the Wall Street Journal. 』
『NICK TIMIRAOS. Good afternoon, Chair Powell. Nick Timiraos of The Wall
Street Journal. I have a couple of questions on the balance sheet.』
と言いながら質問が3つだったりするのはご愛嬌。
『The statement on the balance sheet today calls for significantly reducing
your holdings. What does that mean? And then, apart from moving sooner
and faster to shrink the holdings, are there any other ways in which you
and your colleagues are seriously thinking about recalibrating this process?
And, finally, how much disagreement is there around how you should use
this tool, including active sales rather than passive sales or changes
in the composition of reinvestments? Thank you.』
バランスシートの削減に関する基本的な方針の紙に関して、バランスシートをsignificantlyに減らすのsignificantlyって何ですねん、というのと、今までのツールと違う縮小手段をとるような議論があるのか?償還再投資を行わない、以外のアクティブなバランスシート縮小策に関してどの程度異論があるのか、という質問でしたが。
『CHAIR POWELL. So I'm afraid to tell you that those are all great questions,
and they're questions that the Committee is just turning to now. So we
had a discussion, as you know, at the last meeting, an introductory discussion
of the balance sheet and teeing up of the issues. At this meeting, we've
gone through and carefully put together a set of principles at a high-level.
And those are meant to guide the actual decisions we'll make about the
pace and about all of the questions that you're asking. And I expect that
this process will be something that we spent time on in coming meetings.
I can't tell you how many; I can't say how long it will take. But -- and
then, you know, at the appropriate time, we'll provide additional information.
』
『So, I did -- the last cycle when we went through balance sheet issues,
we did find that over the course of two or three meetings, for example,
we did come to interesting and better answers, we thought. So we're just
in that process now. And at the next meeting, we'll be turning to, you
know, more of the details that you're asking about.』
こっちの説明はすんげえグダグダになっていて、要は何も決まっていないという事なんだな(オトボケで答えをはぐらかしている風には読めないしそういう感じにも聞こえなかった(一応会見は週末に通しで聞きました)。
『I would say this. The balance sheet is much bigger. I'd say it has a
shorter duration than the last time. And the economy's much stronger, and
inflation is much higher. So -- and I think that leads you to -- and I
said -- I've said this, being willing to move sooner than we did the last
time and also perhaps faster. 』
前回のランオフと状況が違う(バランスがでかい、デュレーションは短い、でも経済物価情勢は前回よりアホのように強い)ので、着手とかペースは速くなるでしょう、とだけは言える、ってまあこれだけですよね言える答え。まあそれをきっちり言うのがやる気満々って感じですが。
『But, beyond that, it's really not appropriate for me to speculate exactly
what that would be. And -- but I would point you to principle number one,
which is the Committee views changes in the target rate for the federal
funds rate as its primary means of adjusting the stance of monetary policy.
So, we do want the federal funds rate, we want to operationalize that.
And we want the balance sheet to be declining in a predictable manner,
and we want it to be declining primarily by adjusting reinvestments.』
最後は「まあゆうてメインツールは金利ですから」で逃げとるな。
『NICK TIMIRAOS. So, if I could follow on that, raising rates and reducing
the balance sheet both restrain the economy, both tighten monetary policy.
How should we think about the relationship between the two? For example,
how much passive runoff is equal to every quarter percentage point increase
in your benchmark rate? 』
許さんとばかりに「例えばの話、この程度のパッシブなランオフだと0.25%の利上げを毎回やってるのと同じようなタイトニング効果がある」とかいう試算はしとらんのか?とイヤミ質問。
『CHAIR POWELL. So, again, we think of the balance sheet as moving in a
predictable manner, sort of in the background, and that the active tool
meeting to meeting is not -- both of them, it's the federal funds rate.
There are rules of thumbs. I'm reluctant to land on one of them that equate
this. And there's also an element of uncertainty around the balance sheet.
I think we have a much better sense, frankly, of how rate increases affect
financial conditions and, hence, economic conditions. Balance sheet is
still a relatively new thing for the markets and for us, so we're less
certain about that.』
いやまあこの辺はパウエルさん的には過去のバーナンキの好き勝手な「QEはこの位の利下げと同じ効果」とかいう駄法螺がブーメランで帰ってきて、しかも何でワイにぶっ刺さらないとアカンのよと思いながら発言してそうですが、まあよー分からんですというのを丁寧に言うとこうなりますな。
『So, again, our -- I think our -- the pattern we'll follow is to arrive
at a, you know, a timing and a pace and composition and all those things
and then announce that with advance notice, and it will start in the background.
And then we will look to have that just running in the background and have
the interest rates, again, be the active tool of monetary policy. That's
at least the plan. I can't tell you much more about any of the very good
issues about size, pace, composition, those sorts of things. But we'll
be turning to all of those at coming meetings』
とりあえず何かグダグダな回答なのですが、でもてグダグダなのが分かったということなのを確認した(まあこれニックも分かってて質問してるの見え見えですけどね!!)のに満足したようで(かどうかは知らんが)、ニックさん
『NICK TIMIRAOS. Thank you.』
ということになりましたとさ。
#今朝はこの辺で勘弁
2022/01/28
お題「FOMCレビューの続きで会見のオープニングリマークの戦闘意欲が高い事を確認するの巻」
しかしまあ何ですな、昨日は駄文書き中ガチで市場の反応見なかった(やる気があるので株価やドル円すら見なかった)のですが、声明文とバランスシート縮小するぞ縮小するぞ紙はそらまあ大体やる気見せないとアカンというインフレ成敗大正義時代なんだからその位は軽く出すだろ、と思っておったアタクシとしては「あれれ??市場ってもっとタカまで見てなかったっけ?????」って感じですな。
〇オープニングリマークをまずは読むわけですが戦闘意欲満々としか読みようがないですね
まあ何ですな。確か直前では1月抜き打ち利上げとかテーパリング1月即終了(なおアタクシはそれ来るでとか正直思ってた)とか、何といいましてもアメリカンの方面ではインフレ抑制大正義モードな訳ですからして、ちょうどリーマン後の緩和局面の裏表みたいなもんで、大正義FRBの大正義感を見せましょう、となりますと、今度はあの頃の(よくドラギ俊彦が得意にしていた)市場の織り込みのちょっと上を出していく、という攻撃をするんでネーノって感じであります(個人の感想です)。
ところが、相変わらずベンダーコメントとか見てると長期の緩和時代にすっかり脳味噌も緩和された何とかストの方も散見されるわけで、いまさら前2回の利上げ局面と比較とか言いましても、そもそもその時と物価水準が違う訳でございますからして、前提違うところの話をもって説明するっての、それ実験やる時に反応条件の制御を全然しないで実験してプロダクトが出来ないとか文句垂れる位にトンチキであって、まあ小学生からやり直して来いって感じのお話が堂々と垂れ流されるのを見ると金融緩和の弊害を感じざるを得ません(あれ?)。
というのはさておきまして、今回は会見がタカ(質問の誘導も上手いんでしょう)だったというお話でもあったりする(ただし会見での説明に関しても基本的には声明文とバランスシート縮小するぞ縮小するぞハードな縮小するぞの紙の時点でまあそうじゃん、って所ではあるのですが、とは言え長年の金融緩和脳を叩き起こすためにはオーラルも必要ということでしょうな、うんうん。
さてオープニングリマーク。FED最近は翌日にはQAの文字起こしまで公表するのが仕様になってきましてアリガタヤではあるのだが読み物が一気に莫大になるのよね。(おまけに妙に忙しいなと思って気が付いたら28日とか言ってるけど月末前日だし来月は営業日の少ない2月だからあんまり暇ではないことに気が付くアタクシ)
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20220126.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
January 26, 2022
何はともあれオープニングリマークを成敗しましょう。これは基本全文引用するだわさ。
『CHAIR POWELL. Good afternoon. At the Federal Reserve, we are strongly
committed to achieving the monetary policy goals that Congress has given
us: maximum employment and price stability.』
ここはただの挨拶。
『Today, in support of these goals, the Federal Open Market Committee kept
its policy interest rate near zero and stated its expectation that an increase
in this rate would soon be appropriate. The Committee also agreed to continue
reducing its net asset purchases on the schedule we announced in December,
bringing them to an end in early March.』
ここはただの決定事項の説明で声明文通りですが、相変わらずテーパー終了時期が(定義上は2月後半から3月前半の1か月単位までは終わってないはずなのですが)ご丁寧にアーリーマーチと表現するのは声明文と同じ。
『As I will explain, against a backdrop of elevated inflation and a strong
labor market, our policy has been adapting to the evolving economic environment,
and it will continue to do so. 』
こちらも声明文にありましたが、今回はストロングレーバーマーケットとぶっこみ、もうマンデート達成じゃ達成、というのをどどーんと見せるの巻。ただまあFED的にはハラワタ煮えくり返っているかどうか知らんけど、30年は兎も角10年が昨晩もフラットしてるように見えまして、そらまあ長期金利だから長いものほど名目中立金利+タームプレミアムで落ち着いて別に構わんのですが、10年がその水準に全然行ってないのに中期対比フラットされるってのは、FED様が仰せになっている「our
policy has been adapting to the evolving economic environment, and it will
continue to do so.」の方が出来る訳ねえよどうせおんどれFEDはオーバーキルするんだろバーカバーカ、と債券市場ちゃんがFEDに喧嘩を売っているという中々素敵な価格形成をしている訳でございまして(個人の感想です)、まあ今後はこのあたりのカーブの形というか、長期金利喧嘩売りやがってコノヤロー感をどの程度FED高官が出してくるのか(まあ勝手にしろという可能性も大きいけど)楽しみというものです。
・経済の評価パートはコロナ次第の面はあるが従来よりも影響低めで結論は強気見通し
『Economic activity expanded at a robust pace last year, reflecting progress
on vaccinations and the reopening of the economy, fiscal and monetary policy
support, and the healthy financial positions of households and businesses.』
昨年はそうでしたと、で?
『Indeed, the economy has shown great strength and resilience in the face
of the ongoing pandemic. The recent sharp rise in COVID cases associated
with the Omicron variant will surely weigh on economic growth this quarter.
High-frequency indicators point to reduced spending in COVID-sensitive
sectors, such as travel and restaurants. And activity more broadly may
also be affected as many workers are unable to report for work because
of illness, quarantines, or caregiving needs.』
オミクロンに関しては一定の影響が出ると見られ、ということで消費の話と労働供給の面から経済に対してマイナス寄与するでしょう、の返す刀で、
『Fortunately, health experts are finding that the Omicron variant has
not been as virulent as previous strains of the virus, and they expect
that cases will drop off rapidly.』
オミクロンは今までのコロ助対比毒性がそこまで強くなくて、発症例に関しても今後劇的に改善すると見込まれておりますので、
『If the wave passes quickly, the economic effects should as well, and
we would see a return to strong growth. That said, the implications for
the economy remain uncertain.』
流行が早期に収束すれば経済への影響はそこまででもなくてまたストロンググロースに戻るでしょうとゆうても不確実性はありまっせ。
『And we have not lost sight of the fact that for many afflicted individuals
and families, and for the healthcare workers on the front lines, the virus
continues to cause great hardship.』
なんか最後政治家みたいになってますが、能天気な締めと思われるとアレなのでこのような環境の中でヘルスケアの第一線で働いている人たちへの謝辞だの、コロナで苦境に立っている家庭などのことを忘れてはいけません、で経済パートを締めました。
・労働市場の説明も強くてアタクシ的には「インクルーシブな雇用改善」に触れているのがツボった
次は労働市場。
『The labor market has made remarkable progress and by many measures is very strong.』
出オチの如くいきなり無茶苦茶強い評価をぶち込んで来る。以下はどのようにリマーカブルなプログレスをしていて、多くの経済指標がベリーストロングであるか、という説明をしています。
『Job gains have been solid in recent months, averaging 365,000 per month
over the past three months. Over the past year, payroll employment has
risen by 6.4 million jobs. The unemployment rate has declined sharply,
falling 2 percentage points over the past six months to reach 3.9 percent
in December. 』
その結果、労働市場拡大は社会的な弱者にも恩恵を与えている、とのご託宣。
『The improvements in labor market conditions have been widespread, including
for workers at the lower end of the wage distribution, as well as for African
Americans and Hispanics. 』
この部分、モチのロンですが政治的配慮もあるんですけど、そもそもロンガーランゴールの中でマキシマムエンプロイメントについて「The
maximum level of employment is a broadbased and inclusive goal that is
not directly measurable and changes over time owing largely to nonmonetary
factors that affect the structure and dynamics of the labor market.(ロンガーランゴールの紙の3パラ目の冒頭に書いてありまっせ)」と
「a broadbased and inclusive goal」ということで、インクルーシブの概念が謳われていまして、その観点からも上記の現状認識というのは「最大雇用の状態」という定義に整合的な話をしている、というのは小ネタっぽいですけどなるほどなるほど、とアタクシなんぞは思いながら読むのですが、ついこういう細かいレトリックに食いつくのはオタク気質のアタクシの仕様です。
『Labor demand remains historically strong. With constraints on labor supply,
employers are having difficulties filling job openings and wages are rising
at their fastest pace in many years. While labor force participation has
edged up, it remains subdued, in part reflecting the aging of the population
and retirements. In addition, some who would otherwise would be seeking
work report that they are out of the labor force because of factors related
to the pandemic, including caregiving needs and ongoing concerns about
the virus. The current wave of the virus may well prolong these effects.
Over time there are good reasons to expect some further improvements in
participation and employment. 』
労働参加率だけは相変わらずパッとしないのですが、その理由について構造的問題(高齢化)とコロナ問題(感染忌避とか学校休みでチャイルドケア必要とか)を挙げてて、今後コロ助が撃退されるとこの辺は改善するからヘーキヘーキ、という説明をして労働市場のパートを締めているのでこれまた強い強い。
・物価のパートは色々と面白い屁理屈も入れながら「高インフレの抑制は大正義なんです」という話をするの巻
次が皆様大好きなインフレーションのパートになります。なんとここだけパラグラフ3つに分けて説明してやがるのだ(総量はそこまで他のパートと大きく変わらんが)
『Inflation remains well above our longer-run goal of 2 percent.』
「well above」来ました。ロンガーランゴールでのアベレージターゲット(もはやそれ誰も信用してないと思うけど)で許容しているのは「inflation
moderately above 2 percent for some time」なので、これは逸脱しているという表現。
『Supply and demand imbalances related to the pandemic and the reopening
of the economy have continued to contribute to elevated levels of inflation.
In particular, bottlenecks and supply constraints are limiting how quickly
production can respond to higher demand in the near term. These problems
have been larger and longer lasting than anticipated, exacerbated by waves
of the virus.』
だいたい供給要因のせいにしていますが、その背景には「higher demand in the
near term」を満たすための供給能力拡大が追いつかない、というのが供給要因という話になっているので、まあ実は振り出しは需要だ、っていう説明になっていますね。それが正しいのか正しくないのかは多分誰も分からないのですけど、FEDとしてはこういう説明をしておかないと、ただの供給制約だったら金融政策で何ができますねんと逆ねじ食らわされるのでこうなるわな。逆に言えば、供給制約の話しばっかりしている時は「テンポラリー」で済ませたいときになる、ということで、理屈の構成がだんだん良く分かってきてしまってるのが良いんだか悪いんだか(笑)。
物価パート次のパラグラフになります。
『While the drivers of higher inflation have been predominantly connected
to the dislocations caused by the pandemic, price increases have now spread
to a broader range of goods and services. Wages have also risen briskly,
and we are attentive to the risks that persistent real wage growth in excess
of productivity could put upward pressure on inflation. Like most forecasters,
we continue to expect inflation to decline over the course of the year.』
ハイヤーなインフレーションの主な要因は大体コロ助によるディスローケーションにコネクトされているので(ルー大柴ではありません)、今の所物価上昇はブロードベースではない(ハードリーヒットbyコロ助関連に留まってる、という意味でしょうな)、という認識を示していますが、返す刀でお賃金が威勢よく上昇してきている(have
also risenと時制が現在完了形ですな)おりまして、FEDとしては「生産性上昇以上の勢いで持続的にお賃金が上昇すると物価上昇圧力になるというリスクについて注意深くみている」と来ましたが、最後には物価はゆうて年の後ろに掛けて落ち着くでしょうと言ってます。
まあ何ですな、これ見通しがそうなのであれば、利上げとかそういうのに関しても別にメジャードペースとかでやらんで、それこそ3月50で5月25(とランオフ開始)で6月25みたいな感じで前半少し早めにやっておくことによって「物価の落ち着きはワシが育てた」と実は供給制約要因の落ち着きという金融政策と関係ない所で決まっていた事を自分の成果にする、というハイパー我田引水スキームが可能になる、と考えると手前の方で強めの緩和縮小(変な表現で恐縮ですが)した方がワシが育てたスキームがやりやすくならんかな、とか品の無い事を考えてしまいましたがどうでしょう。なお、このワシが育てたスキームですが、金融経済月報におけるアセスメントを上方修正しながら当座預金目標残高の拡大を行って「今の良い動きを更に強化する」とか為替介入と金融政策は違うんだぞとツッコミどころ満載の福井の俊ちゃんが方向は逆ですがぶっこんできたスキームだったりするので、ワシが育てたスキームをスケベに狙いに行くのか、という辺り今後のFEDの要人発言を見たいと思います。
次のパラグラフに参ります。最初のが大体現状認識、次のが今年の話だけど先行き見通し、と来まして3番目のパラグラフはと言いますと、
『We understand that high inflation imposes significant hardship, especially
on those least able to meet the higher costs of essentials like food, housing,
and transportation.』
思いっきり「the higher costs of essentials」が「significant hardship」をもたらしている、とインフレ抑制大正義論を振りかざしています。まあ今に始まった事では無いのですが、だんだんこの辺の言い方も露骨に大正義論になってきましたな。
『In addition, we believe that the best thing we can do to support continued
labor market gains is to promote a long expansion, and that will require
price stability.』
ここが中々笑ったのですが、労働市場の長期的な拡大をサポートするためにも物価の安定が必要、というオモシロ理論によって(以前ブレイナードが言っててネタにした気がするが咄嗟に思い出せませんサーセン)インフレ抑制は大正義、という大正義の剣を振り回す屁理屈を繰り出しました。
『We are committed to our price stability goal. We will use our tools both
to support the economy and a strong labor market and to prevent higher
inflation from becoming entrenched. And we will be watching carefully to
see whether the economy is evolving in line with expectations.』
ということでより高いインフレを防止するためにもツールを使います。という戦闘意欲満々な締めで物価のパートは締まりました。
・政策決定の話と今後の運営の話だが「リスクに注意」と言って出てきたリスクが「高インフレ持続リスク」はウケた
『The Fed’s monetary policy actions have been guided by our mandate to
promote maximum employment and stable prices for the American people. As
I noted, the Committee left the target range for the federal funds rate
unchanged and reaffirmed our plan, announced in December, to end asset
purchases in early March. In light of the remarkable progress we have seen
in the labor market and inflation that is well above our 2 percent longer-run
goal, the economy no longer needs sustained high levels of monetary policy
support. That is why we are phasing out our asset purchases and why we
expect it will soon be appropriate to raise the target range for the federal
funds rate. 』
ここは今回の決定事項、最初にワシらの政策はオールアメリカンズの為になんちゃら、というのもいつも通り。
『Of course, the economic outlook remains highly uncertain. Making appropriate
monetary policy in this environment requires humility, recognizing that
the economy evolves in unexpected ways. We will need to be nimble so that
we can respond to the full range of plausible outcomes. With this in mind,
we will remain attentive to risks, including the risk that high inflation
is more persistent than expected, and are prepared to respond as appropriate
to achieve our goals.』
でもって政策運営の考え方っぽい部分ですが、先行き見通しが「the economic
outlook remains highly uncertain」なので経済が見通し通りにいかないかもしれないという事を念頭に置いてnimble(すばしこい、わかりのよい、りこうな、とかアタクシの手元の年代物のデイリーコンサイスには書かれています)である必要があって、それによって起こり得る全ての事象に対して対応ができるというものです。と来まして、次に「we
will remain attentive to risks」と来るもんだから、オミクロンによる下振れリスクなのかというと、その次の文言が、「high
inflation is more persistent than expected,」という戦闘力の高い(^^)文言になるのがチャーミング。
・ランオフに関して
『To provide greater clarity about our approach for reducing the size of
the Federal Reserve’s balance sheet, today the Committee issued a set
of principles that will provide a foundation for our future decisions.』
今回出した紙ですね。
『These high-level principles clarify that the federal funds rate is our
primary means of adjusting monetary policy and that reducing our balance
sheet will occur after the process of raising interest rates has begun.』
同時とは書いてないので3月ランオフ開始はあり得ない(臨時FOMCでもやれば別ですが、笑)ですが、5月にぶっこんできても何らおかしくない。
『Reductions will occur over time in a predictable manner primarily through
adjustments to reinvestments so that securities roll off our balance sheet.
Over time, we intend to hold securities in the amounts needed for our ample
reserves operating framework, and in the longer run we envision holding
primarily Treasury securities.』
この辺までは例の紙に書いてあったことをゆうとるだけですな。
『Our decisions to reduce our balance sheet will be guided by our maximum
employment and price stability goals. In that regard, we will be prepared
to adjust any of the details of our approach to balance sheet management
in light of economic and financial developments.』
とは言え必要ならば状況に応じて必要なアプローチって言ってるのですな。
『The Committee has not made decisions regarding the specific timing, pace,
or other details of shrinking the balance sheet, and we will discuss these
matters in upcoming meetings and provide additional information at the
appropriate time.』
ランオフのタイミングなどについてまだ議論してない、ってのはまあ3月にはやらんというのは確定でエエンチャイマスかとは思うのだが、じゃあ5月もこれは否定なのかというとそこはそうまでは言ってないように読めるけどどうかな?
・最後は定型文なご挨拶で締めます
『To conclude, we understand that our actions affect communities, families,
and businesses across the country. Everything we do is in service to our
public mission. We at the Federal Reserve will do everything we can to
achieve our maximum employment and price stability goals. Thank you. I
look forward to your questions』
質疑応答に案の定時間が全く間に合いませんでしたすいませんすいません。
2022/01/27
お題「3月利上げの予告ホームランとランオフのやる気満々とインフレ警戒モードかな(寝起きFOMC)」
よーしパパ早起きしてFOMCの結果を見るぞー、と思ったのはやはり思っただけでして、お布団ヌクヌクして快適にぐうたらしていつもの時間に目覚ましでたたき起こされてしまうまorzorz
〇FOMC声明文:インフレが怪しからん水準認定とか予告ホームランとか
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20220126a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20211215a.htm(前回)
・第0パラグラフ:ついに「コロナモード」脱却(今後の経済やリスクとしてのコロナはあります)
声明文の第1パラグラフにあった、
『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to
support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its
maximum employment and price stability goals.』(前回)
という文言、コロナ以降ずーっと1パラを飾っていたのですが、今回小見出しにも書いたように利上げ予告ホームランを打ち込んで来るに至り、とうとう削除の儀となりました。そらまあ利上げしようってのに「the
U.S. economy in this challenging time」は変ですからこれは正常化が来たら無くすものではありましたが、この文言をもっと前に削除して匂わせスキームからの正常化、などという悠長な事を言ってられなくなったので、結局予告ホームランと同時の撤去と相成りました。
なお、申すほどの事でもないですが、この先今回の1パラが前回の2パラに対応する、という形で前回対比を行ってまいります。
・第1パラグラフ:コロナの盛大な再拡大に言及する以外の現状認識はほぼ不変
『Indicators of economic activity and employment have continued to strengthen.』(今回)
『With progress on vaccinations and strong policy support, indicators of
economic activity and employment have continued to strengthen.』(前回)
のっけからエライシンプルになったな、と一瞬思った訳ですが、経済の現状認識として言ってる事は前回と同じでして、ただ今回はワクチンの進展とポリシーサポートのお蔭で云々を削除しています。政策サポートではなく自律的に強いです、ということまで含意して言ってるのかは微妙な所で、会見で何か質問・・・・はこの部分では来ないだろうな。なあどうせQAは今日の夜以降だし、会見全部聞いてると冒頭説明から55分のようなので(既に動画画像はFRBのトップページに貼られている)お許しちょんまげ。
『The sectors most adversely affected by the pandemic have improved in
recent months but are being affected by the recent sharp rise in COVID-19
cases.』(今回)
『The sectors most adversely affected by the pandemic have improved in
recent months but continue to be affected by COVID-19.』(前回)
コロナ直撃弾を食らった業界の状況はここ数か月改善してきている、という文言は一緒なのですが、その後にあるコロナの動向については言い方をシビアにしております。
『Job gains have been solid in recent months, and the unemployment rate has declined substantially.』(今回)
『Job gains have been solid in recent months, and the unemployment rate has declined substantially.』(前回)
労働市場に関する言及も前回と全文一致。
『Supply and demand imbalances related to the pandemic and the reopening
of the economy have continued to contribute to elevated levels of inflation.』(今回)
『Supply and demand imbalances related to the pandemic and the reopening
of the economy have continued to contribute to elevated levels of inflation.』(前回)
パンデミックと経済のリオープンでもたらされた需給バランスの不均衡によって高くなっているレベルのインフレーションを招いている、というのも全文一致。
『Overall financial conditions remain accommodative, in part reflecting
policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households
and businesses.』(今回)
『Overall financial conditions remain accommodative, in part reflecting
policy measures to support the economy and the flow of credit to U.S. households
and businesses.』(前回)
金融環境に関しても全文一致で、要するに現状判断は横ばいで、コロナ感染症の状況に関してだけ少しシビアな表現になっているものの、シビアになったからと言って経済のファンダメンタルズへの表現は同じなので、まあ長めのスパンで見ればキニシナイってなもんでっしゃろ。
・第2パラグラフ:経済の先行きはコロナの動向によりまっせという文言は全文一致とな
今回コロナモードのパラグラフをバサッと削除したので、ここの文言もうちょい変わるのかと思ったのですが、そこまでぶっこむと能天気と言われるかもしれませんから、なのでしょうか。
『The path of the economy continues to depend on the course of the virus.
Progress on vaccinations and an easing of supply constraints are expected
to support continued gains in economic activity and employment as well
as a reduction in inflation. Risks to the economic outlook remain, including
from new variants of the virus.』(今回)
『The path of the economy continues to depend on the course of the virus.
Progress on vaccinations and an easing of supply constraints are expected
to support continued gains in economic activity and employment as well
as a reduction in inflation. Risks to the economic outlook remain, including
from new variants of the virus.』(前回)
見事に全文一致でした、うーんここまでコロナコロナという感じなのかねと思うのだが。
・第3パラグラフ:3月予告ホームランとインフレが怪しからん水準の割と明確な言及キタコレ!
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.』(前回)
ここはお経のようなもんなので毎度同じ。次は政策金利決定ですが、
『In support of these goals, the Committee decided to keep the target range
for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent.』(今回)
『In support of these goals, the Committee decided to keep the target range
for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent.』(前回)
今回の政策金利は無事に維持となりました。抜き打ち利上げへの警戒はどの程度だったんでしょうか?
『With inflation well above 2 percent and a strong labor market, the Committee
expects it will soon be appropriate to raise the target range for the federal
funds rate.』(今回)
『With inflation having exceeded 2 percent for some time, the Committee
expects it will be appropriate to maintain this target range until labor
market conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments
of maximum employment.』(前回)
いやはや良くぞここまで来たもんだと思いますが、2022年中も利上げ着手しませんよという話の頃から隔世も隔世の感がある訳ですけど、ついに政策金利維持のガイダンス文言を完全撤廃しまして、「it
will soon be appropriate to raise the target」と予告ホームランキタコレです。
更にその前段の物価の記述が前回「With inflation having exceeded 2 percent
for some time」だったのに対して、今回は「With inflation well above 2 percent」とあって、ロンガーゴール&ランストラテジー(今回見直しタイミングなので出てきた)での所謂アベレージターゲットの話では「物価が下振れた期間が長かった時にはインフレの「exceeded
2 percent for some time」は許容する、という表現(は同じだった)で、それを踏襲した書き方になっていましたが、今回は「well
above 2 percent」と目標から上方乖離しているという表現に変更していて、その上「a
strong labor market」という表現を使って、その結果として政策金利の引き上げが「it
will soon be appropriate」である、とぶっこんでまして、華麗に3月利上げ織り込ませの巻。(市場も覚悟してたと思うけど)
恐らく次回のFOMCでは労働市場の状況もマンデート達成、という表現にするんでしょ、よー知らんけど。
次がバランスシート政策でして、
『The Committee decided to continue to reduce the monthly pace of its net
asset purchases, bringing them to an end in early March. Beginning in February,
the Committee will increase its holdings of Treasury securities by at least
$20 billion per month and of agency mortgage-backed securities by at least
$10 billion per month.』(今回)
『In light of inflation developments and the further improvement in the
labor market, the Committee decided to reduce the monthly pace of its net
asset purchases by $20 billion for Treasury securities and $10 billion
for agency mortgage-backed securities. Beginning in January, the Committee
will increase its holdings of Treasury securities by at least $40 billion
per month and of agency mortgage-backed securities by at least $20 billion
per month. The Committee judges that similar reductions in the pace of
net asset purchases will likely be appropriate each month, but it is prepared
to adjust the pace of purchases if warranted by changes in the economic
outlook.』(前回)
今回の分を前回と比較すると前回文の話の切り処が難しくて、結局クッソ長い比較になってしまいましたが、前回はニバイニバーイを決めた説明で、今回の特徴その1は「ペースは同じだよ」なのだが、ご丁寧に終了時期をわざわざ書いていること、それから(ディレクティブの方に詳しくありますが)マンスリーペースの判定って基本が16日〜翌月15日の基準でやっているので、本来なら3/15の基準日でテーパリングが完了しまっせ、という話なのに、ご丁寧にもこの終了時期を「end
in early March」と「3月の早い時期」とがっつりと書いていることですな。つまり、3月のFOMCが15−16ですから、終了時期を3月のミッドとか書かないことによってもうテーパー終わって利上げっす、てなもんでしょと芸が細かいなと思いました。
あと、今回って前回対比短くなっているのは、「状況が変化したら買入ペースの変更がアリエール」という文言が無くなっていることで、つまりは3月テーパー終了決め打ちに舵を切ったというか川を渡ったというかであって、これはまあやりまっせという決意を示したようなもんでしょ。
なお、最後の部分は
『The Federal Reserve's ongoing purchases and holdings of securities will
continue to foster smooth market functioning and accommodative financial
conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(今回)
『The Federal Reserve's ongoing purchases and holdings of securities will
continue to foster smooth market functioning and accommodative financial
conditions, thereby supporting the flow of credit to households and businesses.』(前回)
と同じ表現です。
・第4パラグラフ:色々な状況を見ながら総合的にあんじょうようやっておきますわというのは全文一致
ここは全文一致です。
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on public
health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations,
and financial and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on public
health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations,
and financial and international developments.』(前回)
特にどうということはない。
・第5パラグラフ:全員一致とな
今回から投票メンバーが変わります。
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Michelle W. Bowman; Lael Brainard; James Bullard;
Esther L. George; Patrick Harker; Loretta J. Mester; and Christopher J.
Waller. Patrick Harker voted as an alternate member at this meeting.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Michelle
W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Mary C. Daly; Charles L.
Evans; Randal K. Quarles; and Christopher J. Waller.』(前回)
ハーカーさんが代打投票してるのねと思ったらそもそも今FOMCメンバーが8名しかいないのね。
・ディレクティブ等に関しては前回と(テーパリングの分だけ違うだけで)同じです。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20220126a1.htm
January 26, 2022
Implementation Note issued January 26, 2022
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation
ダラダラ引用すると長くなるので割愛しますが、超過準備付利やONRRP、システムレポ、プライマリークレジットなどについての基本条件に付いての変更はありませんでした。
〇ランオフのやり方に関する原則:基本は再投資の削減でどう減らすかは事前アナウンスだが開始する気が満々とな
こんなんしれっと出てました。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20220126c.htm
January 26, 2022
Principles for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet
For release at 2:00 p.m. EST
何このやる気満々リリースw
『The Federal Open Market Committee agreed that it is appropriate at this
time to provide information regarding its planned approach for significantly
reducing the size of the Federal Reserve's balance sheet. All participants
agreed on the following elements:』
全員一致でバランスシートのランオフについての基本原則で一致した、とあるのですが、そのどさくさに紛れてしれっと「for
significantly reducing the size」などと顕著に減らしまっせという文言をぶっこんでいるのがお洒落ですね。
ただまあ「significantly reducing」とか抜かしているので長期債の売りオペでもぶっこむのかと思えば、そこまでの威勢の良い(?)話は無くて、戦闘力としては普通の事が書いてありますな、という印象です。すなわち・・・・・・・・・・
『・The Committee views changes in the target range for the federal funds
rate as its primary means of adjusting the stance of monetary policy.』
金利政策がメインで資産サイズはオマケですかそうですかそうですか。
『・The Committee will determine the timing and pace of reducing the size
of the Federal Reserve's balance sheet so as to promote its maximum employment
and price stability goals. The Committee expects that reducing the size
of the Federal Reserve's balance sheet will commence after the process
of increasing the target range for the federal funds rate has begun.』
FF金利の引き上げ後にバランスシートの削減政策を開始します、と言ってますが、その「後に」のラグについて1ミリも言及していないですし、金利の方がメインでこっちはオマケもオマケ、みたいな物言いをしているので、これはどう見てもちゃっちゃと開始する気が満々ということですね、わかります。
『・The Committee intends to reduce the Federal Reserve's securities holdings
over time in a predictable manner primarily by adjusting the amounts reinvested
of principal payments received from securities held in the System Open
Market Account (SOMA).』
基本的に予知可能な形での減額を行い、その手段は主に保有債券の償還再投資を減らす事によって行う、だそうで、売りオペとか逆ツイストのような胸の熱くなるような話しにはなっていません。
『・Over time, the Committee intends to maintain securities holdings in
amounts needed to implement monetary policy efficiently and effectively
in its ample reserves regime.』
ただし、ここで「ample reserves regime.」というのを入れていますので、基本的には超過準備がある程度潤沢に残った状態は続ける(超過準備付利などで短期金利コントロールができることを前提に)ようです。
『・In the longer run, the Committee intends to hold primarily Treasury
securities in the SOMA, thereby minimizing the effect of Federal Reserve
holdings on the allocation of credit across sectors of the economy.』
最終的にはFEDの保有するのは米国財務省証券だけですよ、という何時も通りの話をしていますが、この「minimizing
the effect of Federal Reserve holdings on the allocation of credit across
sectors of the economy」という文言は黒田さんに1万回朗読して頂きたいものです。
『・The Committee is prepared to adjust any of the details of its approach
to reducing the size of the balance sheet in light of economic and financial
developments.』
と最後にあるのは埋設地雷というか諸葛孔明の罠で、さっきは基本的に償還再投資の削減でバランスシートの正常化(ただし多めの超過準備は残る)という話でしたが、必要とあれば別の手段ってどう見ても保有債券売却でございますので、売りオペを排除している訳ではない。
という感じで、まあ順当は順当ですが、これはやる気満々ですなという所です。
〇そういやロンガーランゴールなんとかの年次見直しだったのですが・・・・・・・・
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20220126b.htm(今回)
January 26, 2022
Federal Open Market Committee reaffirms its "Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy"
For release at 2:00 p.m. EST
『The Federal Open Market Committee, at its annual organization meeting
this week, unanimously reaffirmed its "Statement on Longer-Run Goals
and Monetary Policy Strategy" (consensus statement).
The reaffirmed statement is identical to the version initially adopted
in August 2020. The Committee first adopted a consensus statement in 2012.
Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy (PDF)
Reaffirmed January 25, 2022』
となっていて、ロンガーランゴールの方は2020年の紙をそのまま継続しています。見た感じ多分全文一致だと思いました(全部精読してると時間が足りない)。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/FOMC_LongerRunGoals.pdf
Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy
Adopted effective January 24, 2012; as reaffirmed effective January 25, 2022
2020年8月に出てたのは、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20200827a.htm(前回)
August 27, 2020
Federal Open Market Committee announces approval of updates to its Statement
on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy
For release at 9:10 a.m. EDT
でして、ところで今回「Monetary Policy Strategy」はどないしましたねん、と思ったのですがどうせこれは会見で誰かが突っ込んでいるでしょう。まあ発展的解消(笑)って奴ですかしら。
#というところでとりあえず勘弁
2022/01/26
お題「インフレ抑制大正義で迎えるFOMCプレビュー雑談/基調的な物価/12月議事要旨には珍しく良い指摘がある気が(その1)」
日銀の新着に泣いた。
https://www.boj.or.jp/whatsnew/index.htm/
ニュース一覧
・・・・・・コロナ感染事例のリリースだらけなのですが、前も書きましたけど、来店者応対などで接触者の特定が困難な場合(というのが日銀にあるのかどうかはよくわからんが)で無いのならば、一々個別事例を公表しなくてもエエンチャウノかと現段階では思うんですが(最初の頃はまあしょうがないと思ったけどここまで増えるとちょっと)。
〇さあ今晩はFOMCですよ!(しかし予測不能の域)
さてまあ今晩は大注目FOMCちゃんになりますが、何せ今までのステージと全然違うのは「高インフレ抑制が大正義」という風潮になっている(というかそれは大正義なのだから当たり前ですが)所。
つまりですな、例えば「利上げを受けて株価が下がりだすとビビって利上げが一旦様子見になる」とかいう読み筋は、物価がそこまで上がっていないような中で正常化を進める、という時には綺麗な言い方をすれば「グラデュアルな調整が正当化される」ので株価を羅針盤にしながら調整する、というのもアリちゃあアリだし、まあそれ以前の問題として株価が下がるとツイッターで悪態をつきだすパツキンヅラ大統領というのが居たので、そらパウエルもビビるというものです。
然るに、今回の場合はそもそも物価が2%とかそういう水準じゃなくて5%だ7%だとやってて、さすがにそこまでセンシティブじゃない人だって物価が前年同月比で5%以上も上がって来ると「ありゃ?」となるし、昨年は失業給付があったり、働いてる人なら労働不足を背景にお賃金が上がってみたりが先行していたから2%の物価上昇も鼻歌ルンルンだったと思いますが、今やお賃金上昇を物価上昇が超える有様になれば、そら物価安定を旗印にしているFRBに矛先が行くわな、という状況なので、株価がどうのこうのとかの話は5%だ7%だのインフレの前には些末な話になってしまう(それが良いのか悪いのか、という価値判断はここでは華麗にスルーしますね!!)ので、大正義インフレ抑制を旗印にすればそら金融緩和をとっとと止めましょうという話になりますわな。
・・・・・・でもって、そうなってくると本来の「グラデュアルな調整」も生ぬるいとかになりますと、巷間そういう観測もあるようですが(どっかで見たがどこで見たか忘れましたサーセン)3月50bp引き上げとかだって、「やる気を見せる」という意味では(緩和の時のドラギの「なんでもします」の反対方向バージョンじゃな)初回にぶちかますのもあっても不思議じゃないという感じになってるのがオソロシスではありますな。まあ3月FOMCまでの物価指標と雇用指標(賃金指標)で年末当たりのピークアウトが確認できればそこまで頑張らなくても良いかもしれませんけど。
んな訳で、そもそも論として大正義のベースが全く変わっている上に、パウエルは学者じゃないし、ブレイナードはご案内のように政治的風を読んで動く風見鶏だし、それに「大手を振ってインフレ抑制大正義で将来の糊代をバンバン作れる」という状況とか実務的に見たらこんなにオイシイ状況は無い訳で、「どこまでぶっこむとやる気を見せれるのか」というのと「どこまでぶっこむとやり過ぎになるのか」の匙加減でしょうなと思うのでありました。まあ多少株価が下がっても(半値とかになったらさすがに別かもしれんがこれはもう2割くらいでビビるとも思えん)気にしないどころかむしろ家計のエクイティが減って過大な需要が抑制されてウマー位考えてるんジャマイカというところですかね(個人の感想です)。
てな訳なのですが、問題は市場ちゃんの方がどこまで織り込んでるのかがわからんくなってしまっております所ですけど、なんかアレですか、テーパリングは更に前倒しにして2月に終了、バランスシートのランオフ(償還再投資をしない奴)も具体的に検討中とアナウンスしてぶちかます(資産売却なり逆ツイストオペまで行くのはもうちょっとインフレ状況を見てから)、3月利上げの予告ホームランをかっ飛ばす(声明文には幅は絶対出てこないのだが会見で50がありかと聞かれたら、「プレフィックスするものではない」と煙に巻く)とか、その辺なんですかねえ、よくわからんけど。
ということなので、明日は今回は幸か不幸かSEPが無いので、声明文と会見だけになって、何時もの数倍は会見が大注目されちゃうだろうなというのは把握してますので、早起きしたいのですが、アタクシ基本的に東の空が真っ暗な時間に起きるのがそんなに得意ではない(よって季節によって朝の調子は異なる)という絶賛原始人仕様になっておりますので、努力はしますがベストエフォートベースで勘弁。
という雑談メモでした。まあさすがにFOMC前日だから書いておかねばというだけです。
〇基調的インフレは刈込平均と最頻値が上がるが品目数ベースが伸び悩みとはナンデスカ
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/index.htm/
基調的なインフレ率を捕捉するための指標
例によってPDFの図表を見ると刈込平均が良い感じで来ているように見えますが
https://www.boj.or.jp/research/research_data/cpi/cpirev.pdf
エクセルちゃんの方を見まして、前回の数字に直近のを加える、という手抜き攻撃をしますと(本当は遡及改訂入ることがあるのでちゃんと貼り直しすべきです、サーセン)。
暦年2020年は15年基準のCPI、2021年は20年基準のCPIがベースになっています。例によって例の如く左から順に刈込平均値、加重中央値、最頻値。
Jan-20 0.3 0.0 0.3
Feb-20 0.2 0.0 0.3
Mar-20 0.1 0.0 0.2
Apr-20 -0.1 0.0 0.3
May-20 0.0 0.1 0.3
Jun-20 0.1 0.1 0.3
Jul-20 0.0 0.1 0.1
Aug-20 0.0 0.1 0.1
Sep-20 -0.1 0.1 0.2
Oct-20 0.0 0.1 0.3
Nov-20 -0.1 0.1 0.1
Dec-20 -0.3 0.0 0.1
Jan-21 -0.3 0.0 0.0
Feb-21 -0.2 0.1 0.1
Mar-21 -0.1 0.1 0.1
Apr-21 -0.3 0.1 0.1
May-21 -0.1 0.1 0.1
Jun-21 0.0 0.1 0.1
Jul-21 0.2 0.1 0.1
Aug-21 0.3 0.1 0.2
Sep-21 0.6 0.2 0.2
Oct-21 0.6 0.1 0.2
Nov-21 0.8 0.1 0.2
Dec-21 0.9 0.1 0.3
(11月までは前月に公表されていたデータをそのまま貼り直しましたので遡及改訂があったらゴメンチャイ、今日はちょっと時間が無いので手抜きしました)。
最頻値の+0.3ってのは割と高めの数字でして、日銀謹製の集計エクセルの中では+0.5が目の子で見た感じ(max関数とか使えというツッコミはよくわかるのだが、汗)一番高めの水準になっているので、まああと二息って所ですな、うんうん。
上昇品目下落品目の構成も今回は手抜きで12月に出てた11月までの数字に今回の数字を拾って加えますという手抜きでゴメンチャイ。
左から上昇品目比率、下落品目比率、上昇品目比率−下落品目比率ですな。基準年はさっきと同じで暦年2020は2015年基準、21は2020年基準です。
Jan-20 61.8 36.5 25.2
Feb-20 60.0 38.4 21.6
Mar-20 57.9 40.5 17.4
Apr-20 58.3 39.2 19.1
May-20 59.1 38.6 20.5
Jun-20 59.7 38.0 21.6
Jul-20 54.9 42.4 12.4
Aug-20 53.7 43.6 10.1
Sep-20 56.0 41.3 14.7
Oct-20 54.9 36.5 18.4
Nov-20 51.2 40.2 11.1
Dec-20 48.0 43.6 4.4
Jan-21 46.7 44.6 2.1
Feb-21 49.0 42.7 6.3
Mar-21 51.0 41.0 10.0
Apr-21 50.2 41.8 8.4
May-21 51.1 41.4 9.8
Jun-21 50.6 42.0 8.6
Jul-21 51.9 41.0 10.9
Aug-21 56.1 36.2 19.9
Sep-21 57.1 35.1 22.0
Oct-21 58.4 34.1 24.3
Nov-21 59.2 33.3 25.9
Dec-21 58.8 34.3 24.5
品目構成ベースではイマイチ盛り上がっていない、というのが面白みがありまして、価格の上がる品目と上がらん品目というのが明確に分かれていて、上がる品目の方はホイホイと上がり、しかもその幅が大きくなってきている、とかそういう事なんでしょうか?実は下がっている品目比率というのが9月辺りから安定して推移しているんですよね。
まあこの辺は物価統計の分析をきちんとしたことが無いので(本職の何とかストじゃないから勘弁してつかあさい)良くワカランチ会長ですすいません。
〇12月決定会合議事要旨(その1)珍しくちょっとだけ良い指摘があるような気がする
どうせ明日からFOMCシリーズになってしまいますのと、本日は時間があんまりないのでコロナオペ延長云々の所だけまずは見て後の話は後の話にします、すいません。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2021/g211217.pdf
『V.金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から先である。
『以上のような金融経済情勢に関する認識を踏まえ、委員は、金融政策運営に関する議論を行った。当面の金融政策運営スタンスについて、委員は、@特別プログラム、A円貨・外貨の上限を設けない潤沢な供給、BETF・J−REITの買入れの「3つの柱」に基づく金融緩和措置は所期の効果を発揮しており、引き続き、この「3つの柱」により、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが重要であるとの見解で一致した。』
所期の効果を発揮してるんなら何で物価2%、とかそういうツッコミは本日の趣旨ではないのでその次に行く。
『そのうえで、委員は、2022 年3月末に期限を迎える特別プログラムの4月以降の取扱いについて議論した。』
はい。
『委員は、金融環境は、2020 年春の感染症拡大直後には緩和度合いがいったん低下したが、特別プログラムの導入以降は、全体として改善しているとの評価を共有した。』
ほうほう。
『一人の委員は、今次局面では、日本銀行・政府の措置や、金融機関の積極的な対応もあって、企業の資金調達環境は、業況感の大幅な悪化に連動することなく、総じて緩和的な状態が維持されたと指摘した。そのうえで、この委員を含む多くの委員は、こうした政策対応は、その後の経済の回復や物価の下支えに、大きな効果を発揮してきたとの認識を示した。』
ほうほうそうですかそうですか。
『複数の委員は、特別プログラムの下支え効果として、企業倒産が歴史的な低水準に抑制されてきたことを挙げた。』
『別の複数の委員は、感染症拡大直後から足もとまでの金融環境の改善状況を踏まえると、感染症という非常事態への対応として導入した特別プログラムの一部については、所期の役割をおおよそ終えており、終了に向かうべきであるとの認識を示した。』
所期の役割が終わっている、という意味で言えば特別プログラム関係なくリスク性資産の買入ってリスクプレミアムの過度な拡大による悪影響を抑える、という意味合いから言ったら所期の役割を終えてるんじゃないでしょうか、と思う訳でございますが、この部分、先に行くとちょっといい話が出て来るので乞うご期待。
『こうした議論を経て、委員は、大企業では、CP・社債市場が良好な発行環境となっており、貸出市場でも予備的な流動性需要に落ち着きがみられることなどを踏まえると、コロナオペのうち大企業向けや住宅ローンが中心となっている民間債務担保分に加え、CP・社債等の買入れ増額措置については、期限どおり終了することが適当であるとの見解で一致した。』
そもそも論として「住宅ローン」って何でコロナオペに入れなければいけなかったのか、というのが未だに謎(でも何でもなくて、初期段階でコロナオペ残が頭打ちになった時にコロナオペの数字を作ろうとして住宅ローン担保証券をコロナオペ適格にした、というのは火を見るより明らかではあるのですが、その話はどうせ日銀が絶対否定する)で、結局曖昧なままかよという感じです。
あと、増額措置は良いんですけどそもそも必要なの?という話を今後するのかというと、この続きには何気に良い話がしらっとぶっこまれている。
『CP・社債等の買入れ増額措置に関して、複数の委員は、CP・社債の信用スプレッドがきわめて低水準となるもとで、企業の信用力に応じた金利形成が難しくなっているという副作用にも配慮すべきであると指摘した。また、一人の委員は、こうした市場機能への影響に加えて、年金・生保等の運用に与える影響にも配慮し、CP・社債等の買入れは平常化することが適当であると述べた。』
ほうほう。というかそもそも「正常化する」んだったら日銀が普段からのべつまくなしに買う方が正常じゃないんですけど、話がそこまで踏み込んでいるのかどうかはこの文面ではよくわからん。
でもって最後の「一人の委員」は鈴木さんだと思うのですが、市場機能とか年金生保とか言ってもその話は債券村の村民にしか受けないロジックなので、この話をするならば「資源の適正配分」という文脈で主張をした方が賛同を得られると思うの。まあ村民受けする話をしてくれるのもアリガタヤではあるのですが、村の外から賛同得られないと結局あの村は自分たちの事だけ内輪の論理で話をしているだけ、という扱いから中々抜け出せないんですよ。
でもって以下の話(存続する方のオペがどうのこうのとか特別付利の扱いとか)は飛ばしまして、MBの話がありましたのでそれも見てみましょう。
『また、委員は、今回の特別プログラムの見直しがマネタリーベース等に及ぼす影響についても議論した。』
キタコレ。
『ある委員は、今回の特別プログラムの見直しに際しては、経済や物価に悪影響がないことや、マネタリーベースの拡大方針との整合性を説明する必要があると指摘した。』
ほうほう。
『この点に関し、一人の委員は、2020 年春以降のマネタリーベースの増加は、感染症拡大による企業等の予備的な流動性需要の高まりに対し、日本銀行が潤沢な資金供給によって応えてきた結果であり、感染症の影響が和らげば、流動性需要の後退に伴い、マネタリーベースも減少する筋合いにあるとの認識を示した。そのうえで、この委員は、このようなマネタリーベースの変動は短期的なものであり、そうした変動を均した長期的なトレンドでみれば、マネタリーベースの増加基調は維持されるため、オーバーシュート型コミットメントとは矛盾しないと述べた。』
まあその屁理屈は分かるんだが、だったらコロナオペぶっこんだ当初に3本の鉛筆出して数字をやたらアピールしたのは何だったのかと小一時間問い詰めたい。
『別の一人の委員は、イールドカーブ・コントロールのもとでは、マネタリーベースは長期金利の目標水準への誘導のための資産購入によって事後的に決まる側面が強いことから、マネタリーベースの一時的な減少自体には大きな意味はないとの見解を示した。』
『そのうえで、この委員は、特別プログラムは緊急時の流動性対策であり、通常のマクロ経済政策とは異なることを丁寧に説明すべきであると述べた。
』
ちょwww「マネタリーベースの一時的な減少自体には大きな意味はないとの見解」ってまあこれは置物系の人じゃないと思いますが、何ちゅうかこの置物理論形骸化攻撃ワロタ。
・・・・・・という辺りで本日は時間が無くなったので残りは後日成敗します。
2022/01/25
お題「MPMプレビュー今更ジローネタで展望レポートの鏡を見るがこれ無茶苦茶上方修正なんですよね定性的には」
値動きの後点け理由も難しい昨今の相場である。
https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N2U43PD?il=0
2022年1月25日5:54 午前
米金融・債券市場=利回り低下、ウクライナ情勢緊迫化や米利上げ懸念で
ウクライナ情勢緊迫化で債券利回り低下⇒わかる
米利上げ懸念で債券利回り低下⇒え?え??
〇展望レポート基本的見解の鏡の所だけでも色々と味わいがあるのでとりあえず出遅れたが比較を
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2201a.pdf(今回)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2110a.pdf(前回)
・まあ上方修正でしょうと思っていましたが、昨年4月と同様に上方修正即コロナ拡大という間の悪さw
10月の展望レポートは明らかに「手前はさておきまして今後はアフターコロナですぜヒャッハー」というものでして(実際にコロナもそういう流れでしたわな)、今回の1月展望レポートはさらに一本踏み込んでいて、最早先行き見通しではコロナ云々とかナニソレ状態になっておりまして、コロナ後のニューノーマルに対してどうなのよ、という見通しを出しましたが、ちょうど昨年の4月に上方修正な展望レポートを出した途端にコロナがアイヤーとなったのはご案内の通りでして、日銀ちゃんって何でこー間が悪いんでしょうね。
まあ何ですな、ここからFEDが何をするとかECBが何をするとかそういうの見てから4月に見通しをバシッと引き上げれば良いような気もしないでもなかったのですが、まあゆうてみれば今回って「定性的に文章を見ると無茶苦茶(特に物価の)内容がクッソ強い見通しになっている」のだが、「出来上がりの物価見通し数字は大して上がっていない」というオモシロ見通しになっておりまして、このオモシロ見通しっぷりも良く分からんのですが、まあその辺を念頭に置いてまずは鏡から参りませう。
鏡と申しておりますが<概要>って奴ね。
・1ポツ目(経済の見通し):細々と色々なものを上方修正しているのだが「オントラック」ともいえそう
『・日本経済の先行きを展望すると、新型コロナウイルス感染症によるサービス消費への下押し圧力や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。』(今回)
『・日本経済の先行きを展望すると、当面は、新型コロナウイルス感染症によるサービス消費への下押しの影響が残るほか、輸出・生産が供給制約により一時的に減速すると見込まれる。もっとも、その後は、ワクチンの普及などに伴い感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。』(前回)
前回時点ではサービス消費についてコロナの影響が「当面は残る」、輸出や生産が供給制約により「一時的に減速」でしたが、今回はそれぞれについて「〜が和らぐもとで」という事で、既にこれらについては徐々に回復していく、と決め打ちしてきてまして、当面の下押しの表現がサクッと削除されているのがセクシーですね。
まあそれが壮大なフラグ建築士になってオミクロンェ・・・・・・なのはアレ(日銀の新着が最近職員のコロナ感染のお知らせだらけになっているのは同情を禁じ得ない)なのですが、今まで程の経済への下押しは回避できる、という見通しなんでしょう。
あと、前回はワクワクチンチンパワーについての言及があって、ワクワクチンチンパワーで経済活動再開や!となっていたのですが、これも既に前提としてあるのでヘーキヘーキ、という話になったのですが、3回目接種がどうしたこうしたというのが出ている(というか直近ではそっちにリソース割いてる余裕があるんけ状態のようにもみえるが)のがこれまたアレですが、まあいずれにしましても前回も「コロナの先」の話が多く言及されていましたが、今回は明確に「コロナ後」の話をしているというのが特徴です。
そらまあ欧米の金融政策がコロナモード終了って言ってる中で日本だけコロナが下押しでうだうだうだ、と言ってる場合じゃない、というのもありますし、そもそも論からしてコロナ対処が進むことによって時間の経過と共に「アフターコロナ」になっていくのですから、10月見通しからオントラックで概ねメインシナリオ通りに進行している、ということでもあろうかと思います。
『その後も、所得から支出への前向きの循環メカニズムが家計部門を含め経済全体で強まるなかで、わが国経済は、潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。』(今回)
『見通し期間の中盤以降は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが家計部門を含め経済全体で強まるなかで、わが国経済は、ペースを鈍化させつつも潜在成長率を上回る成長を続けると予想される。』(前回)
ここの表現も割と微妙な作りになっていまして、たぶん今日間に合わないのでどっかの土日祝日で纏めて成敗しなければとは思っていますが、展望レポートの本文中にはこの「その後」の時期について明確に記載されていまして、展望レポート基本的見解4ページ第3パラグラフに記載されているのですが、需給ギャップは「来年度前半頃にはプラスに転じ」とありまして、つまりは今年の7−9の辺りで需給ギャップがプラスになる、と時期を明確に書いてぶっこんできたのが特徴的です。
前回は「見通し期間の中盤以降に前向きの循環メカニズム」とあって、前向き循環するには需給ギャップがプラスになっていないと行けないから見通しとしてギャップのプラス転化は織り込んでいるのですが、その時期を今回のように示していないのは、まあ要するにヘッジクローズというか逃げ口上な訳でございますので、今回はそういう意味ではオントラックはオントラックでも先行き自信ニキはかなり確信しているという定性的には強い鏡1ポツ目になっておりますぞ。
・2ポツ目(物価の見通し):定性的には無茶苦茶強いのと「1%」を敢えて突っ込んだ理由が知りたい
問題の物価ちゃん。
『・先行きの物価を展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、エネルギー価格が上昇し、原材料コスト上昇の価格転嫁も緩やかに進むもとで、携帯電話通信料下落の影響も剥落していくことから、振れを伴いつつも、プラス幅を拡大していくと予想される。』(今回)
『・先行きの物価を展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、エネルギー価格の上昇を反映してプラス幅を緩やかに拡大していくと予想される。』(前回)
ここで特筆すべきは見てもお分かりの通り今回「原材料コスト上昇」というのを加えたこと。もちろんコストプッシュの話ではあるのですが、一方で価格転嫁が出来るようになる、というのはそれだけ企業や家計が価格上昇に対しての許容(というか諦めかもしれませんけどそれはさておき)する動きになってくるのではないか、という日銀の認識を示している訳でして、まあこの辺は先日の12月短観での企業の物価、販売価格設定見通しの強気化や、アネクドータルなヒアリングなどを受けてのことでしょうが、ここが強くなるというのはデカいのでありまして、ただの一言追加ではなく、インフレ期待の上昇とかそっちのほうにまでつながるお話です。
『その後は、エネルギー価格上昇による押し上げ寄与は減衰していくものの、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどによる基調的な物価上昇圧力を背景に、見通し期間終盤にかけて1%程度の上昇率が続くと考えられる。』(今回)
『その後は、一時的な要因による振れを伴いつつも、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、基調としては徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(前回)
後半も凄くて、今回の見通しの中に「基調的な物価上昇圧力」というのをぶっこんでいるのがこれまた物凄い勢いでの強気化になります。色々と特殊要因混じってますけど、22年度の見通しは押し上げ要因込みのものな訳で、それが剥落しても物価上昇率は下がらん、っていってるのについて、従来は何となくお気持ちでそういう数字になっている、という感がアリアリだったのに対して、今回は(たとえそれが希望的願望であったとしても)「基調的な物価上昇圧力」によって実力ベースの物価上昇率が高まっていきますよ、というのを鏡の前面に打ち出した(まあ従来から本文の願望見込みでは記載されていましたけれども自信ニキではなく願望見込みっぽいものでした)という訳ですので、これまた強いのよね定性的には。
然るに、出来上がりの物価の数字が大して変わっていない(22年度が+0.9⇒+1.0で23年度が+1.0⇒+1.1)というのは何ですねんという感じですが、どうせ今回思いっきりこの数字を引き上げると政策修正思惑の方がどうのこうのとか碌でもない事考えているんでしょうなあと思いました(個人の邪推です)。
でもって、さっきの所の最後、前回は「基調としては徐々に上昇率を高めていくと考えられる」だったのが今回は「基調的な物価上昇圧力を背景に、見通し期間終盤にかけて1%程度の上昇率が続くと考えられる。」なので定性的な自信ニキもあるのですが、何故か今回「1%」という数字がドドーンと出てきたのが怪しくて、もちろん黒ちゃんのあの物言いからして、別に今すぐ政策どうのこうのの話が出る可能性は皆無でしょうが、この1%という数字は以前の麿ドクトリンにおいて「とりあえず現実的に目指せる1%を目指し、それを達成してから2%に向かおうではありませんか」という絵があったので、その絵を思い出させるような「1%」なのでありまして、別に黒ちゃんが元気満々なうちはこの1%もただの数字でしょうが、「主君押し込めモード」になった場合、不死鳥の如く蘇る麿ドクトリン、ということになりますと、1%達成は「中間目標達成!!!」という事を意味する数字になり得る(なると断言した訳ではありませんので念のため)ので、何かこう色んな所でトロージャンホースというか埋伏の毒というか、まあ微妙なサムシングを感じるのは考えすぎですかそうですか。
・3ポツ目:見通しの上振れ下振れは経済オントラック、物価は上振れって話ですわな
ここは前回比較しても仕方ないので今回のだけ。
『・前回の見通しと比べると、成長率については、2021 年度は供給制約の影響から下振れる一方、2022
年度は政府の経済対策の効果や挽回生産などを背景に上振れている。物価については、資源価格の上昇やその価格転嫁などを反映して、2022
年度が幾分上振れている。』(今回)
・4ポツ目:リスクには資源価格動向が追加投下されました
詳しくは本文の方を見ればよくわかるのですが、供給制約の部分を内外経済の両方に振り分けて資源価格の項目を増やした形です。
『・リスク要因としては、引き続き変異株を含む感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要である。また、供給制約の影響を受けるもとでの海外経済の動向に加え、資源価格の動きやその経済・物価への影響についても先行き不確実性は高い。』(今回)
『・リスク要因としては、引き続き感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要である。とくに、感染抑制と経済活動の両立が円滑に進むかどうか不確実性が高いほか、一部でみられる供給制約の影響が拡大・長期化するリスクにも留意が必要である。』(前回)
・5ポツ目:リスクバランスはご案内の通り物価がバランスに引き上げ
『・リスクバランスは、経済の見通しについては、感染症の影響を中心に、当面は下振れリスクの方が大きいが、その後は概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、概ね上下にバランスしている。』(今回)
『・リスクバランスは、経済の見通しについては、感染症の影響を中心に、当面は下振れリスクの方が大きいが、見通し期間の中盤以降は概ね上下にバランスしている。物価の見通しについては、下振れリスクの方が大きい。』(前回)
ご案内の通りです。確かにここがバランスということになりますと、総裁会見でも質問があって昨日のネタにしましたように、コロナモード終了後の政策金利ガイダンスをどうするのか、という話になる訳でして、下振れリスクが大きいと見ているので「今の政策金利または下」というガイダンス文言を入れるのが理屈として正当化されますが、リスクがバランスだったら「または下」というのはさすがに書く理由がない(しかも物価のリスクまでバランスに昇格している)ので、真面目にこのガイダンス考えると中々ややこしいですな。
まあどうせ今の昭和温泉旅館金融政策なのでエイヤーで何かテキトーな理由をねじ込んでガイダンス文言を無理矢理ねじ込んで来るんじゃなかろうか、という位には今の日銀の没論理屁理屈大王ぶりを理解しておりますので、まあそこはあまりロジカルに考えても予想の観点からは無駄かな、とは思っておりますwwwww
#すいません時間の関係でこれで勘弁
2022/01/24
お題「長くなってしまいましたが良い質疑が多かったので総裁会見ネタがその3になってしまいました」
限界集落の冬の村祭りの話が公共放送ネタに!!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220121/k10013442701000.html
日銀が“利上げ??”揺り動かされた金融市場【経済記者コラム】
2022年1月23日 1時21分
〇やっと見ごたえのある質疑応答が聞かれるようになっておとうちゃんは嬉しいよ(総裁会見その3)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2022/kk220119a.pdf
昨日の続きから参ります。ってダラダラと展望の鏡すらネタにしないままこっちやってるんじゃねえと言われそうですが(いやアタクシも反省している)、今回の会見は(ロイターじゃない人が)いきなりロイターネタぶっこんで来るわ、昨日の続きでここから質疑応答貼るんですが、この2つ前の「悪い円安」質問と「1%しか行かないって何度も仰せのようですがだったら何で追加緩和しないんですか」質問と来まして、その次のこの質問という感じでやっとこう記者の皆様がやる気だしていいのをぶっこんで来てますので実に結構結構。
・政策が昭和温泉旅館なのでロジックを聞かれると見事に支離滅裂になる良い例ですな
『(問) 2%の物価目標の導入から丸 9 年を迎えるので、長い目で見た政策運営の考え方についてお聞かせください。総裁は、就任当初、物価目標の達成のために、マネタリーベース、つまり量の急拡大を前面に打ち出されました。2016年には金融調節の方針を量から金利に変更したものの、枠組みとしては量的緩和を続けています。9
年近く経っても物価が鈍いということは、量の緩和というのは、物価に与える効果は、当初期待したほどのものではなかったという解釈でよろしいでしょうか。』
「効果が無かった」とかいうとああだこうだと屁理屈を付けてくるのだが、早期目標達成っていって行った政策が早期達成してないんだから「当初期待したほどのものではなかった」としか申し上げようがないのにわざわざ念押しするとはこれは良い畜生質問(いいぞもっとやれ)。
『それに関連してもう一点ですが、短期国債を含めた国債の保有残高は 2021 年に年間で減少しました。それからマネタリーベースもコロナ対策の資金繰り支援策の終了に伴って、一時要因とはいえ今年は減少する可能性があるかと思います。先ほど質問しました量の拡大が物価に与える効果に対するお答えも踏まえて、量の面での金融政策運営を今どのように整理しているのかお聞かせください。』
「オーバーシュート型コミットメントとの関係」と質問すると「拡大方針」なので問題ありません、と回答するのが分かっているのであえてオーバーシュート型コミットメントの文言を使わないのが匠の技としか申し上げようがない、素晴らしい。
でもって黒ちゃんの回答ですが、以下黒ちゃんの説明がボロボロ、というよりもそもそも昭和温泉旅館金融政策の母屋の状態がどうだったか、でもって今はその母屋は何処へ?というのを確認するためにも是非2013年のQQE導入時の声明文を参考にしながら黒ちゃんの説明を鑑賞して頂ければ、と思いますのでURL貼っておくね。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
(これは2013年4月4日の声明文です、以下この声明文から引用しているのは「」(2013年4月の声明文から)って書きますね。
『(答) 2013 年 4 月に「量的・質的金融緩和」を導入して以来、量的・質的と言っているように、量も質、金利も十分に考慮しながらやってきたわけです。』
おじいちゃんおじいちゃん、それ言い出すとQQE当初の「今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。」(2013年4月の声明文から)が出て来るんですけど、そうすると長期国債バカスカ買わないと行けないし、資産価格ルートって言ってるんだからじゃあ何でETF買ってないのないのとかそういう話になるんですがな。
『ご指摘のように、当初は 2 年程度を目途に大規模な金融緩和をするということだったわけですが、その後、様々な状況のもとで、2
年程度というのは落とし、できるだけ早期に 2%の「物価安定の目標」を達成するという、2013
年 1 月の政府との「共同声明」、あるいは同月の金融政策決定会合におけるコミットメントを維持して行ってきています。』
ほうほうそうですか。ところで2013年1月って白川総裁の時なんですが、4月にQQEぶっこんできた時には、「日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する(注1)。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。」(2013年4月の声明文から)ということで、白川ドクトリンを頭から否定して次元の違う金融緩和を行う、と豪語してたと思うんですが、いつの間に2013年1月に戻っているんですか????
それに今頃になって気が付くワシもワシなんだが(笑)、「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現」するためにQQEやったんだったら、2年程度に拘らないでしかも今回の会見の前半の方で堂々と「見通し期間中は1%程度しか行きません」を連呼している訳なのですから、別に異次元政策しなくていいんじゃないですかねえ(鼻ホジホジ)。
『量か質かというか、量か金利かというのは、量といっても実際は金利を通じて経済に影響が出るので、』
資産価格ルートはどこに行ったのでしょうか???と思うのですが、じゃあ資産価格ルートの話をしていないのかと言えば、直近の経団連での年末恒例の講演資料ですが、こちらのURL先がその資料で、
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko211223a2.pdf
PDFだと2枚目の下半分、たぶんスライド4枚目(打ってあるページは2ページ)に『図表2 金融政策の主な効果波及経路』ってのを話をしていたのですが、この時の波及経路図をみますと、波及経路の中間部分に4本の柱みたいな感じで「アベイラビリティ」「実質金利」「為替レート」「株価」ってのがあって、「量といっても実際は金利を通じて経済に影響が出るので」と、まるで金利一本足打法のような話しとは随分と雰囲気が違うんですよねー。
『そうしたことを踏まえて、現在の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」でイールドカーブ・コントロールというものにして、現在に至っているわけです。』
と言ってる割には昔の枠組みは直そうとしないし直近の説明とも異なる話をしていますね!!!
『そういう意味で量か質かといっても裏表のような関係で、量を無視することではないわけですし、フォワードガイダンスでも「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続すると言うとともに、マネタリーベースについて、消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に
2%を超えるまで、拡大方針を継続するということも言っています。』
それが減って行くことがほぼ確実視されることについて質問の後半で聞いてたんだが・・・・・・・・・
『量を無視してということではなくて、量と質、量と金利、両方考えているわけです。先ほど来申し上げているように、金融政策の影響のチャネルとしては、基本的には金利を通じて経済活動に影響を与えていくということはその通りだと思いますが、量について一定のコミットメントを示すという意味もあろうかと思いますので、現在のフォワードガイダンスは、マネタリーベースについてこういったことを述べています。』
なお、さきほどの経団連の講演での波及経路表のどこを見ても量の記載はありません。
『ただ、これはあくまでも拡大方針ということで、ご指摘のように、短期的には振れたり一時的にマイナスになったりすることがあったとしても、基本的にマネタリーベースの拡大方針を続けるということのコミットメントの意味は大きいのではないかと思います。』
という答えをしているんだが、するってえと何かね??「借入金を返済するという方針を継続することが重要なのであって、短期的には返済できない場合があったとしてもコミットメントの意味は大きい(キリッ)」とか言って借入金延滞して良いんですか黒ちゃんの理論だと、と毎度思うのだがこれで済むんなら「やる気を見せれば実績が上がらなくても問題ない」とかいうのと変わらん話しだし、当初の声明文での威勢の良い強い意志というものはどこに行ったんですかね。
ちなみに声明文ついでに言いますと、2013年4月4日の声明文の最後はカッコよく「今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。これらは、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。」(2013年4月の声明文から)とある訳で、今回の展望レポートで物価のアセスメントの(出来上がりの数字ではなくて)内容を上方修正し、期待物価上昇率に関しても現状判断を引き上げた状況になるのですから、まさに高まりつつある予想物価上昇率を上昇させるんだったら、「1%しか行きません」を連呼するの無茶苦茶意味不明なんですよね。
まあ何だ、黒田日銀の置物政策って、まあそもそも置物理論自体がトンチキ政策だったから順当な結論になったんですが、とにかく途中からは目先の対処で何か屁理屈つけて誤魔化すことと、もはや経済物価情勢判断から金融政策をするのではなく、金融政策を今の時点でどう誤魔化せば問題の先送りが出来るのか、ということの判断から逆算してロジックもそうだし情勢判断も決めているもんだから、実際に望ましい物価のムーブが起きているのに何故かそれを総裁が会見で否定して回るという謎現象になっている訳ですな。
ただまあ何ですな、黒ちゃんはさすがに頭良いからそういう意味で破綻しているのは先刻ご承知で、それでもこれまでは世界的にも物価が中々上がらんから「世界も緩和中」で誤魔化せてたのが、遂に誤魔化し切れなくなってきたわ、質問する記者もだんだん鋭くなってきたわということで、今後は記者の皆様の鋭鋒と黒ちゃんの喧嘩腰対決が楽しみになってまいりましたな。
なお、これが置物くらいの脳内お花畑になると、「私は進化した」とか自分の60年来の理論が破綻しているのに気が付いてないんじゃないかという発言を堂々とするので、まあ脳内お花畑だと人生楽でよいでしょうな。
・アフターコロナの政策金利ガイダンスに関する突っ込み
上記質疑の次の人の質問がこれまた鋭くて結構結構。
『(問) 先ほど総裁が言われていた、政策のフォワードガイダンスのところで、政策金利については、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定されているということですが、これは
2019 年 10 月からずっと使われています。先ほど冒頭で言われていたリスクバランスのところで、当面、経済に関しては下振れリスクが大きいということですが、こことの関係をお伺いしたいと思います。』
『すなわち、経済のリスクが下振れからバランスになれば、現状の政策金利を下回る水準で推移することの必要性がなくなるのかどうなのかということをお伺いしたいと思います。』
これどういうことかと言いますと、そもそもこの政策金利ガイダンスはコロナの前は、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2019/k191031a.htm/
2019年10月31日金融政策決定会合声明文
「1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れについて、一段と高まる状況ではないものの、引き続き、注意が必要な情勢にあると判断した1。こうした認識を明確にする観点から、以下のとおり、新たな政策金利のフォワードガイダンスを決定した(注1)。
日本銀行は、政策金利については、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。」(この部分だけ直上URL先の2019年10月金融政策決定会合声明文より引用)
となっていて、その前ですけれども、例えば2019年9月決定会合声明文を見ると、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2019/k190919a.htm/
2019年9月19日金融政策決定会合声明文
「(項番5)政策金利については、海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春頃まで、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」(この部分だけ直上URL先の2019年10月金融政策決定会合声明文より引用)
となっていた訳です。すなわち、元々「今の金利または下」という表現は「モメンタムが損なわれる惧れ」(ってナンノコッチャという感じではありますがまあそれは兎も角)という「下振れリスク」対応として入れた文言でありまして、モメンタムがコロナに(2020年3月会合以降)取って代わったのですが、まあ要するに「下振れ対応文言」な訳ですよ。
ということはですよ、コロナの影響が季節性流行性感冒に(伏字)前副総裁の毛髪を加えた程度、ということになって、健康上の問題はさておき経済社会全体に甚大な影響を与えるほどのこともない、というような事になった場合、当然ながらその面での下振れリスクは考慮外となる訳です。
しかもですよ、この間に2014年以来となりますが、今回物価の見通しについても「リスクバランス」になった訳で、過去この金利ガイダンスある時って基本物価の方は常に下振れリスク認識だった訳で、こちらもバランス、ということになったら「パンデミックフェーズが終わったよ」となった時に「今の水準または下」という政策金利ガイダンスを置きっぱなしにしているのは論理的におかしい、という事になりますので、実はコロナフェーズが終わりましたとなると日銀はまたまた温泉旅館に変なものを増築しないと行けなくなるという事態が待っているのでありまする。
・・・・すいません能書き長くなりましたがじゃあ黒ちゃんの回答はどうかと言えば、
『(答) そういうことではないと思います。』
だいたいこうやって頭ごなしに否定するときは黒ちゃんの論理が破綻しているという認識を強く持っている時、というのは黒ちゃんの仕様だと思います(個人の感想です)。
『あくまでも、金融政策については、2%の「物価安定の目標」が安定的に達成されることが目標です。その過程で、当然、経済の動向がどうかということと、経済のリスクが上下にどのように分布しているかということは、物価の動向をはかるうえでは重要な要素ではありますが、経済の見通しのリスクバランスが上下バランスするかしないかによって、金融政策自体が変わるということはありません』
えーっとすいません、質問は「フォワードガイダンスをどうするのか」であって別に政策金利を上げ下げすることじゃないんですけど、どうもおじいちゃん「政策金利は上げません」というのしか頭にないでしょ。じゃあ政策金利のフォワードガイダンスがなんで下振れ対応になっているんだよ、ということでどうもここは聞かれたら困るらしい。
・そもそも2008年型の物価上昇と今回は異なるのではないかという根源的なツッコミに対して
ちょっと先に行きます。
『(問) 先ほど総裁は、コストプッシュ型のインフレは長続きしないと、2008年の動向を引き合いにおっしゃいましたけれども、2008
年と現在では事情が違うのかとの観点からの質問です。』
これは実に仰る通り。
『2008 年当時の資源高の原因としては、台頭する新興国の需要の急増や、ドル安に伴う投機マネーの流入といったことが主因だったのではないかと思います。他方で、今回の供給制約というのは、ご承知の通り、新型コロナウイルスが主因でして、2008
年を引き合いにコストプッシュ型のインフレが長続きしないで終わると、そのように判断されている根拠をもう少しお伺いできますか。』
正統派の鬼ツッコミで感動した!黒ちゃんの回答はどうなっているかと言えば・・・・・・・・・
『(答) 当然のことながら、今回の資源価格、特にエネルギー価格の上昇については、様々な要因があると思います。』
早速話を誤魔化しに掛かっております!!!!!
『欧米を中心に、感染症からの回復がきわめて著しく、需要が急増したことに対して、特に天然ガス、石炭、あるいは石油といったエネルギーの供給が、一部のボトルネック等で追い付かないということもあって、価格が上昇したということですが、』
ほうほう。
『例えば、欧州における天然ガスの価格上昇にしても、ずっと続くとは殆どの人が考えていませんし、先物価格の動きなどをみても垂れていくということになっていますので、一時的でないという人は殆どいないと思います。』
そもそもこの日本語何を言ってるのかわからん。
『ただ、それがその他の様々な状況と絡んで、賃金あるいはその他の商品、消費財等の価格上昇に結び付いていくとインフレになり得るということですが、商品価格の上昇自体が一時的でないということではないと思います。』
引き続きイミフ。
『そういう面からみると、確かに先進国の一部では、単に資源価格、エネルギー価格が上昇しているだけでなく、賃金が上昇し、その他各種の財やサービス価格の上昇が起こっている国があります。そうした国は、新興国の中にもあり、既に金利を上げたり、あるいはこれから上げようというところもあるわけです。』
コストプッシュだからどうのこうのの話は???
『他方で、わが国をみた場合には、そうした状況にないのは明らかですので、資源価格の上昇が
2008 年のようなことではなく、ずっと続くとか、あるいはわが国の消費者物価の上昇率に幅広い、そして持続的なものをもたらす可能性は、今のところ見当たらないということだと思います。』
ちょっと待て、世界的には商品価格上昇が一時的に終わらないという話なのに何で日本では資源価格が上昇しないんだよ、超円高でも目指してる積りなのか?????
ということで、自分で余計な説明をしてしまったために墓穴を掘ってしまったという感じでした。
・最後の質問ェ・・・・・・・・・・
でもってこの次が最後で、相変わらず何故か時間制限があるという謎の記者会見で困ったものなのですが、最後まだ数人いる中(のように見えた)でご指名された方の質問がこれである。
『(問) 先ほど来、物価目標の話に質問が色々出ていますが、日銀は、物価目標とは別に、それと別の違った意味で重要な目標として、女性の幹部比率を2023
年までに 10%にするという目標を掲げています。早いものであとその目標年次までもう1年となりましたが、この目標に向けた進捗状況はどのようになっていて、目標達成が現時点で見込めているのでしょうか。最近のFRBの理事人事などをみても、海外の中央銀行では女性の活用が更に拡がっている中、日本を代表する公的機関である日銀の取り組みは相応の重要性を持つと理解しておりますので、その点について教えてください。』
・・・・・・orzorz
いやあのですね、そらもうジェンダーギャップの問題とか重要なのは分かるんですが、時間が無制限に用意されてる会見なら兎も角、時間が切られてて最後このお方だけじゃなくて他の人も質問しようとしてたっぽい(会見の中継動画によれば)状況で、しかも今回の展望レポート会見って物価見通しのリスクアセスメントを変更したり、物価見通しの定性的な記述部分を強くしたり、アフターコロナを見据えた時に政策の在り方ってどうなのよ、という感じの良い質疑が連発してたわけですよね。
まあ誤解されると困るからしつこく言うけど、この質問自体はお話としては重要な話ではあるんですが、金融政策決定を受けた会見で緊急に質問しないと行けない事なのかと小一時間問い詰めたい訳で、他の機会で聞くなり、別途インタビューでもして記事にすりゃ良いじゃん、という質問を何故時間の限られている(くり返して言いますが時間が無制限ならまあこういう質問も良いんですよ時間無制限なら)会見のしかも最後でするのか、と言えばそらもうアタクシなんぞは心が汚れておりますので、鋭いツッコミ食らってタジタジまたはキレかかっておられる黒ちゃん(今回はここ数回の中ではエライ元気に見えたが、まあキレてたって方が正しいんでしょ)に対して、目先の金融政策以外の、回答するのが余裕のよっちゃん大王イカな質問をすることによって、これ以上の追及を封じましたよ親分様、って感じのフンドシ担ぎ質問にしか見えません次第で、まあ率直に言って(以下の記載は内務省検閲により削除されました)。
なお回答はパス。まあ日銀はジェンダーギャップの解消とか女性の働きやすい職場とか、その手の取り組みについては先駆的に頑張っていると思いますよ。
2022/01/21
お題「総裁会見がだんだん面白くなってきたので(見世物的に)会見ネタの続き/その他メモ」
ひえーん。
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-idJPKBN2JU1TR
2022年1月21日12:41 午前
ECB、物価予測巡り意見相違 一部が上方リスク懸念=議事要旨
これも見にゃいかんのよねー(滝汗)。
〇公共放送様が過度な通貨安ヤバいよインフレヤバいよという話を今週2本もぶっこんでいる件
まあただのメモっちゃあメモではあるのですが、何せ黒ちゃんの先日の会見を見てると「国土を焦土にされて原爆まで落とされてるのに本土決戦とか言ってる昭和の軍人」モードになってきている(個人の感想です)感が強いのですな。負けが込んで来て精神のキャパを超えるとそこから先はおかしくなってしまう、というのは何を隠そう(隠す話でもないですが)アタクシだって小僧アウトライトディーラーを駆け出しで仰せ使ってデビュー直後にロスカットヒットして悔しくて悲しくて情けなかったけど泣きながら(マジで泣いてた)ロスカットの方はきっちりとしたんで、まあ負けが込んでいる時の気持ちは何となく分かるような気がする。
でもってそういう時の為にロスカットルールというのがあるので、あれを守れない人は極端なところまで行ってしまうと会社の経営を揺るがしてみたりガチで潰してしまったり、みたいな所まで最早挽回不能なのは分かっているのに悪あがきしてさらに傷を深めちゃったりする、という例は古今東西色々とございますわな。
アタクシのような下賤の下民が超上級国民の黒ちゃんの人となりなんぞ存じ上げる訳は有りませんが、先日の会見とか特にこの「プライドが高くて負けを認めなくて意地を張りまくる」というのがよく出ておりまして、こういう人はロスカット強制退場ルールでもないと負けを認めないために次から次へと余計な誤魔化しを続けて事態をさらに悪化させるという負け戦ができない人な訳ですな。
・・・・・・・すいません悪態が長くなりましたが、今週の公共放送記事、中々シャレオツなのが2本投下されていたんですよね。
過度な通貨安はアカンという話
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220117/k10013434461000.html
ビジネス特集
お金の価値が1年で半分に減った国
2022年1月17日 17時08分
『お正月にもらって机の中で大切にしまっておいたお年玉。何かと入り用な年末にポチ袋を開けたら、中身のお金が半分になっていた…。今、中東のある国でこんな事態が起きているんです。(イスタンブール支局
佐野圭崇支局長)』(上記URL先より、以下同様)
まあ記事は読んで味噌と存じますが、いずれアーカイブになってしまうので小見出しを引用しますと、
日本に人気 あの観光地に異変?
「年金だけで暮らせない」街から聞こえる悲鳴
1年で半分になったトルコのお金の価値
背景に常識破りの「利下げ」
エルドアン大統領が推し進める「トルコモデル」とは
深まる混乱 経済団体も「NO!」
新年の予算が組めない−日系企業にも影響
リラを守るための「奇策」
トルコリラはどこへ
ってな構成ですが、通貨価値の下落でパンも買えなくなったという話の所のこの報告は泣いた。(改行は減らしました)
『市場から徒歩5分のパン屋には、行列ができていました。ここは格安でパンを提供する市営のスタンドです。
長さ30センチ余りのバゲットが1本1.5リラ(=約12円)、通常の半値以下で買えます。
一般の店で買い物する余裕のない人が増えているのです。「年金だけでは暮らしていけない。いつも腹が空いているけどお金が足りない」毎日、バゲット2本だけで生活しているという男性はこう訴えました。
撮影を始めるとすぐに「俺たちに恥をかかせるつもりか!」と、行列の中から怒号が飛んできました。
安いパンしか買えない惨めな姿をさらしてくれるな、というのです。正直、格安のパンを買う後ろめたさにまで想像力が及ばず、今、人々が抱えている、暮らしへの不安やストレスを思い知らされた瞬間でした。
スタンドと行列に頭を下げて、その場を後にしました。』
記事の最後に書いてありますが、こちらの支局長さん、2013年入局ということで割とお若い方のようですが、この部分の謙虚な取材に好感を受けました。まあ要するに通貨安が行き過ぎてアイヤーとなっている、というお話をしておりまして、この記事自体は通過大暴落国のご紹介に過ぎないにしましても、ちょうど円安の影響で云々というのが徐々に話題になりつつあり、今週のMPM後の総裁会見でも悪い円安に関する質問を某12チャンネルの著名キャスター様が行っておられる、という確かにその質問は貴女様が聞かないと黒ちゃんまともに回答せんから実に妥当な質問であると思いましたが、まあそういうツッコミの来る昨今ということなので、公共放送様に於かれましても、だんだんこの手のものが出てくるのは堅牢無比で盤石の黒田城だったお城の足元から土台の土が少しずつ崩壊始まってるんじゃないか、とまあそんなことを希望的観測も含めまして(笑)思うのでした。
と思ったら昨日もこんなんぶっこんでましたわ公共放送。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220120/k10013438611000.html
【詳しく】バイデン大統領はなぜ不人気なのか?
2022年1月20日 8時18分
『アメリカのバイデン大統領が、厳しい状況に直面しています。
就任から1年を迎えるなか、世論調査では「不支持」が「支持」を上回り、戦後の歴代大統領の中でトランプ前大統領に次ぐ低さとなっています。政治経験の豊かさを売りに、社会の分断を埋めると訴えて当選したはずなのに、なぜなのでしょうか?そして、トランプ氏の復活の可能性は?
詳しく解説します。(ワシントン支局長・高木優)』(上記URL先より、以下同様)
そらもう理由はアレでしょアレ、と思ったら案の定である。
『なぜバイデン大統領の支持率は低いの?
大きな原因のひとつが、アメリカ国民の家計を直撃しているインフレです。世界的な問題となっているインフレですが、アメリカでは先月(12月)の消費者物価指数が1年前と比べて7%上昇し、およそ39年ぶりの高水準を記録しました。
インフレは、大統領ひとりのせいとは言えませんが、これまでの大統領選挙で勝敗のカギを握ってきた東部の州を今月訪ねて有権者に話を聞くと、多くの人がインフレへの不満を口にしていました。』
でもってマイク向けられるオッサンのサムネが入ってそのオッサン曰く、だと思うけど、
『「あらゆる物価が上がっています。私の場合、以前より収入は増えましたが、生活のためにもっと多くのお金が必要になっています。バイデン大統領にはとにかくインフレを収束させてほしい」』
ってことで、インフレ長くなってきましたし、ペイチェックの方がちゃんと上がらんときついわ的な感想なんでしょうねえと思ったりしました。
・・・・・・・・というのが昨日きっちりとぶっこまれておりまして、何かこれもそら直接そういう話ではないですけど、「物価が上がればすべて解決」みたいな単純な話じゃないですよ、という文脈だし生活価格上昇はアカンよねという話だし、黒田城の外堀にしれっと埋め立てを行いつつあるようなこの連打、ということで公共放送実にイイハナシダナーである。
一方でどこぞの日銀黒田大総裁様は「円安は全てにおいて良い円安」みたいなのを堂々と言ってしまうし、1%になっても政策変更する必要は一切ないみたいな枠組み逸脱の説明までしちゃうし、ということですが、何せロスカットルールがありませんので、結局の所は世間からの大批判に耐えられなくならないと、今の調子で黒田さんの意地とか対面とか面目玉とかの為にロスカットしないで延々と誤魔化しをした結果、そういうので会社が傾いてしまったような事例のように日本が傾かれても一緒に船に乗ってるほうとしては迷惑極まりないのでありまして、今回の総裁会見みてると(最近特にその傾向酷くなっていますが今回は明らかにそのレベルが)黒ちゃん完全に焼きが回った老害状態にしか見えないので、まあ参院選にキッシーさん勝っていただいて政治的背景を一段と強化した所で斬首(比喩表現ですよ)して頂きたいものだと切に思って止みません。
〇総裁会見がやっぱり色々と面白い(興行的な意味であって政策的な意味ではない)ので引き続き
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2022/kk220119a.pdf
・やはりコミュニケーション上問題のある総裁発言でした(昨日の補足というか訂正というか)
昨日「事件発生」とした総裁答弁の部分。念のためと思って音源を探してきてちょっと実際の音と確認したら字面との違いは一部のてにをは程度でしたのですが、やはり字面で見るのと音源で聞くのとでは受ける強さが違うなーと思ったのですが、改めて何がこの言い方の悪さなのか再度。
『(答) まず、利上げを議論しているかについては、そうした議論は全くしていません。』
という事なのですが、先日来申し上げておりますように「コミットメントとしての政策金利の現状維持または引き下げ」というのは「新型コロナ感染症の動向を踏まえて不確実性」に対して紐がついているので、本来ここで議論を全くしていない、とする理由はコロナ感染症の不確実性をメインにおかないとイカン訳ですよ。これが第一の間違い。
一方、黒ちゃんの説明は以下のように進んでいまして、
『展望レポートやその前の短観、その他でも示されているように、物価が 2%の「物価安定の目標」に向けて着実に上昇しているという状況にはないわけです。』
とあって、単純に「足もとの経済物価情勢と、今後の見通しを考えた場合に利上げの議論が具体化するような状況には至っていない」というのなら良いのですが、ここで「物価が
2%の「物価安定の目標」に向けて着実に上昇しているという状況にはない」としたのが第二の間違いでして、物価目標に向けて着実に上昇しているという状況かどうかは政策金利コミットメントとは関係ない話で、しかもこの部分は別のコミットメントであるYCC+QQE枠組みの継続に関するコミットメントに関連するワードなので、これを持ち出してしまうと。「物価が2%行くまで微調整の利上げすらしないのか」という話になってしまい、今のコミットメント文言はそこまで排除していないので、ここで黒田さん声明文のコミットメント文言を逸脱してる訳ね。
『商品価格の上昇等、主として一時的な要因で若干物価が上がっていることは事実ですが、それでも
0.5%程度ということで、展望レポートでも示されている通り、委員方の中心的な見通しは、2023
年度、この展望レポートの終盤にかけても、1%程度の物価上昇率というものです。』
からの、
『そうしたもとで利上げや現在の緩和的な金融政策を変更するというようなことは、全く考えていませんし、そうした議論もしていません。』
これ言ってることを再確認しましたが、確かにこういう説明なんですが、字面に落とすと現在の情勢判断として利上げ議論が起きない、というようにも読めなくは無いのですが、説明の流れからして、「1%程度の物価上昇が起きても金輪際利上げしません」と言っているようにしか聞こえなかった(改めて聞いてもそう思った)訳でございまして、それだと日銀声明文を逸脱した「黒田さん個人の見解」になってしまっているんですよね。
いや別に黒田さん個人の見解を出すなという気は無いのですが、特に公表文書の解釈に関わるような部分で「個人の見解」を何の断りもなく堂々と出されてしまうと、受け手としては非常に困るし、だいたいからして政策動向予想をするに際して、「公表文書で書いてることと総裁が行ってたことに差がある」だと何を基準に判断すれば良いのか訳分らなくなるので、こういうのはちゃんと「私個人としましては」というのを入れて説明して頂きたいんですが、そういうのを入れようとかそういう冷静さも欠いていた(からやたら元気に見えた)という精神状況だったのではないでしょうか黒ちゃん。
『また、今回の「当面の金融政策運営について」という公表文でも、はっきりと書かれている通り、日本銀行は
2%の「物価安定の目標」を実現し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する、そしてマネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に
2%を超えるまで、拡大方針を継続する、としています。公表文の最後には、「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」としていますので、利上げというようなことは全く考えられないということです。』
で、最後の所で声明文のガイダンス文言にリファーしているから字面で見ていると雰囲気的にほほうで流しちゃうのですが、自分でも言っているように政策金利のガイダンスは「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、」が掛かっている筈なのですが、「利上げというようなことは全く考えられないということです。」の理由の中で一切コロナへの言及がない訳でして、そうなるとこれはやっぱり黒田さん、政策金利のフォワードガイダンスがコロナひも付きってのをすっかり忘れて金輪際利上げしないみたいに読み替えてしまっているのではないか、と思ってしまいますな。
まあ確かに日本語的には「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し」の掛り受け関係が最初の所だけ、と読んで読めなくは無いのですが、水曜日にネタにしましたように、コロナ前の政策金利のガイダンス文言の時は「モメンタム」に紐付けされているのが明らかに分かる文章になっていたので、その継続という意味で考えれば明らかに掛り受け関係は2文目まで及ぶんですよね。
まあ何ですな、次回会合でちゃんとこの部分はクリアカットにして頂かないと、ただで無くさえ崩壊しているコミュニケーション、更に崩壊しますがな、と思いました。
・展望レポート物価見通しの展望レポート本文記載内容と出来上がりの物価見通しの前回差分が整合しない件について
さて、昨日と今日ネタにした質問は実は2部構成で、ということで質問だけ引用しましたので、改めて質問から質疑を引用しますね。
『(問)(前半割愛)二点目は、今回の展望レポートで物価見通しのリスク評価を、これまでの下振れから中立に引き上げていますが、この金融政策へのインプリケーションを教えてください。正常化が近づいているのか、あるいは追加緩和までの距離が拡がったと言えるのかどうか、総裁のご見解をお願いします。』
どこからどう見たって「そうですね」以外の回答のしようがない質問なのですが、
『(答)(前半割愛)次に物価について、リスクが概ね上下にバランスしていると修正したのは、先ほど申し上げたように、物価の先行きについて、中心的な見通しでは需給ギャップの改善が続くもとで、企業の価格設定スタンスは徐々に積極化し、原材料コスト上昇の価格転嫁も緩やかに進むと考えているためです。』
ん???
『前回の展望レポートまでは、感染症や海外経済に起因する経済の下振れが物価に波及するリスクに加えて、物価は上がりにくいことを前提とした企業慣行や考え方が根強く残るもとで、需給ギャップの改善や原材料コストの上昇との対比で、物価の上昇ペースが鈍くなる下振れ方向のリスクを、より強く意識する見方が大勢だったわけです。』
そこは分かるんだが。
『もっとも、今回はこうした下振れリスクだけでなく、最近の企業物価の上昇あるいは短観における企業のインフレ予想の高まりなどを踏まえると、上振れ方向のリスクも同時に意識する必要があるということです。そういう意味で、リスクは上振れリスクと下振れリスクが概ね見合っているということで、上下にバランスしているとしています。』
という説明になっているのが良く分からなくて、標準的なシナリオを上方修正しているのか、リスク認識を上方修正しているのかが良く分からん言い方になっているんですよね。でまあ多分また今日も間に合わない予定の展望レポート鑑賞の儀ですが、展望レポートの言い方を見ると標準シナリオの時点で強くなっていまして、でもってリスク認識も上げていると読めるから、黒ちゃんの回答はこれはこれで展望レポート基本的見解の本文中の書きっぷりとは整合的なんですが、その割には10月見通しの数値が2022年度で+0.9⇒+1.0、2023年度で+1.0⇒+1.1と僅か0.1ポイントしか動いていなくて、展望レポートの書きっぷりの前回差分と、見通し数値の前回差分の整合性が無いんですよね。
これだけ強い言い方をしているのに何で・・・・・・・
『ただ、その中心的な見通しは、見通し期間の最終時点でも 1%程度にとどまるということであり、そうした点は十分考慮しつつ、金融政策について先ほど来申し上げている通り、現在の金融の大幅な緩和を粘り強く続けていくということを今回も確認したということです。』
となっていて、何でこれだけ威勢の良い上方修正をしているのに数値が上がらんのか、というのがどうも理解に苦しみますな。
・悪い円安論キタコレ
ちょっと先に行きまして、ここからの質問が割とこう言い感じで厳しくて結構でした。
『(問) 円安についてお伺いします。昨年 10 月の決定会合後の記者会見で、黒田総裁は現時点では悪い円安ではないという発言をなさいました。その頃は
1ドル 113 円近辺だったと記憶していますけれども、その後一時 1 ドル 116 円台まで円安が進む局面もありました。現段階でも悪い円安ではないという認識は変わっていないでしょうか。また、今後アメリカの利上げなどが進んでいけば、円安が更に進んでいく可能性もあります。どこまで許容するのかというのをお伺いしても、なかなかお答えにはならないと思いますので、聞き方を色々考えていたのですが、どういう状況になったら日本にとって悪い円安になっていくのでしょうか。』
そらさっきの公共放送のニュースのような状況でんがな、と思いますし、これは識者の方が素早く展望レポート全文の方をお読みになって、ツイッターランドの方に投下して頂きアリガタヤにも程があるのですが、そのご指摘によりますと展望レポート全文で円安の効果についての分析コーナーがあり、よくよく見ると結果が「インバウンドにプラスになる以外碌すっぽ効果は無い」という(展望レポート全文の方は政策決定会合議決事項じゃないのを良い事にしれっと)スタッフの皆様によりますイヤガラセなのか静かなる反乱なのか存じませんが、そういうのが出てたりという事で、いい加減もうちょっと言い方のトーンを変えないと、「円安でコスト増」「円安で生活費上昇」の批判が日銀に向かうぞ、とアタクシなんぞは懸念するのでございますが、アタクシのような下賤には理解致しかねる上級国民の黒田大先生様、相変わらずの円安絶賛礼賛である。
『(答) 為替相場の水準などについて、具体的にコメントするのは差し控えたいと思いますが、いつも申し上げている通り、為替相場は経済や金融のファンダメンタルズを反映して、安定的に推移するということがきわめて重要であると思っています。そのうえで一般論として申し上げますと、為替相場の変動というものは、財・サービスの輸出の数量、輸出採算や海外事業の収益、そして輸入原材料のコストなど、様々なルートを通じてわが国の経済に影響を及ぼします。これらの影響は、わが国の経済・貿易構造の変化に伴って変化しているわけですが、為替円安が全体として経済と物価をともに押し上げて、わが国経済にプラスに作用しているという基本的な構図に今のところ変化はないと考えています。』
なお、今日はそこまでやりませんが、この分析に関しては・・・・・・
今回の展望レポート全文(2色刷51枚組です)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2201b.pdf
本文40ページ、PDFのページ数で言えば41枚目の頭から『(BOX1)為替変動がわが国実体経済に与える影響
』というのがあるのでそれを読んでつかあさい(人の受け売りですすいませんすいません)。
まあそんな分析もある中ですが、
『従って、悪い円安ということは考えていません。ただ、為替円安の影響が、業種や企業規模、あるいは経済主体によって不均一であるということには十分留意しておく必要があると思っています。いずれにしても、悪い円安というようなものは、今考えていませんし、考える必要がないと考えています。』
凄いですねこの言い切り。この調子でやってて円安と資源価格上昇に加えて海外物価上昇の影響を食らって生活物資の価格や、農漁業などで必須の燃料コストの大幅上昇とかが起きた時に、日銀が全ての悪の原因を押し付けられるリスクがあるんですけど、まあ黒ちゃんは残り1年2カ月だから後は野となれ山となれの逃げ切り姿勢なんでしょうね(個人の妄想です)。
・2%行かないとか言って威張る暇があったら追加緩和しろというツッコミを待っていました!
いやーこの質問は是非誰かして頂きたかったので感謝感謝(一応会見音声は確認したのでどこの誰かは存じておりますが敢えてここでは書きません)。
『(問) まず、なかなか物価が上昇しない、賃金の上昇が伴わなければ持続的にならないという点は理解できるのですが、日銀が、なかなか
2%にいかないよ、と言い続けると、人々も、そうか、いかないのか、となって予想インフレに悪影響を及ぼしてしまう惧れも、異次元緩和の日銀のロジックから考えるとあり得るかなと思うので、むしろ追加緩和すべきではないかとの発想もあるかと思うのですけれども、それについてのご所見を伺いたいと思います。(後半割愛)』
実に良い質問である、感動した!!!!のだが・・・・・・
『(答) まず、物価につきましては、展望レポートでは政策委員会の各メンバーが示した各々の考え方の中央値を示していますが、私は、今の委員の見通しの中央値が非常にネガティブともポジティブともどちらにも考えておらず、きわめてまっとうな見通しだと思っています。ただ、見通し期間の最終時点でも
2%に達しないというのは大変残念であることは事実です。』
だからそれを「残念です」で済ませてたら「期待に働きかける政策」にならなんじゃないですか、という質問なのだが、どうもおじいちゃん2013年に言ってた事をお忘れになられているようですね。ちょっとおじいちゃんもう限界なんじゃないでしょうか。
昨日引用した最初の部分でもそうだし、昨日と今日引用している部分でもそうですが、1%程度しか行かないので政策修正は不要、とドヤ顔で主張されても困るんですが、という質問な訳な事に途中で気が付いたのか、コンポーネントの話を始める中で・・・・・・・・・
『展望レポートでも示している通り、2022 年度は、携帯電話通信料の下落の影響が剥落するとともに資源価格の影響が若干続いているというもとで
1%程度ですが、2023 年度は、当然のことながら、資源価格の物価に対する貢献は剥落していきます。その中で、むしろ需給ギャップの改善や予想物価上昇率の上昇といった持続可能な要素で物価が
1%台の上昇になるという見通しですので、その先を想定すれば、2%に向けて徐々に物価が上昇していくという形にはなっているのではないかと思います。』
やっとこの説明(ずーっと+1.0%程度の上昇という見通しになっているが、22年度までは特殊要因コミコミの数字で、23年度はプラスの需給ギャップと上昇したインフレ期待による実力部分が増えるんですよ、という説明)をしたか、という感じでして、最初からこの説明しろよと思うのですが、さっきまでは政策金利修正に絡めた質問をされてたもんだから物価が上がらん方ばっかり強調するという回答。
でもって「そんなに上がらないなら追加緩和して上がるようにしろや」と言われるとこの説明になる訳で、お前ら本当にご都合主義にも程があって、政策としてやりたいこと(足元の日銀の場合は「何もやらずに時間稼ぎ」がやりたいことのようですが)が先に有って、情勢判断をそのやりたいことの後付けで説明してるだろう、というのが実によくわかる説明になっています。
『そうしたもとで、現在の大規模な金融緩和というものを、イールドカーブ・コントロールのもとで、短期政策金利を−0.1%、10
年物国債金利をゼロ%程度に維持することで必要かつ十分な金融緩和が行われていると考えており、これを引き続き、粘り強く続けていく必要があると考えています。』
必要かつ十分だと思うんだったら将来は2%に向かって進む、という事の筈なんだが、その一方で政策修正について質問されると「物価が1%程度にしか上がらないので金輪際考えていません」と説明する、というのを一つの会見の中で二枚舌しちゃうのさすがにトンチキにも程がありますよね。
・政策金利ガイダンス文言の確認の応答がおかしい
今の質問、後半も実に良い質問でして、
『(問)(前半割愛) また、2%を目指して、2%が安定的に達成できるまで、必要な時点まで、今の緩和を粘り強く続けると思うのですが、これは、すなわち、長短金利操作目標についても現行水準で維持することをコミットしているということでしょうか。』
これは良い更問。
『(答)(前半割愛)二点目については、先ほど申し上げたように、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、感染症だけでなく、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとしているうえに、政策金利については、現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移することを想定しているとしているわけです。従って、当然、金利については、引き上げることは全く想定していませんし、必要があれば更に長短金利を引き下げるということをコミットしているということです。』
あれれ?この言い方だと新型コロナについての掛り受け関係が金利のガイダンスに掛かってないんちゃうの??
『(問) 安定的に 2%が達成されるまでそうするということですね。』
『(答) そうです。』
ということで、明らかにこの黒ちゃんの回答は暴走機関車な訳でして、声明文の趣旨を逸脱した発言を個人的見解とか情勢判断としてというような事を断らずに勝手に政策ガイダンス文言を変更していますね!!!!
・・・・・・しまった。時間が無くなってしまいました。しばらく総裁会見が詰まらんと悪態つきまくっていましたが、ここ数か月急に(外部情勢の好転というか何というかもあり)総裁会見がホットになってきたし、厳しい質問もきちんと飛んでくるようになりまして、どこぞの太鼓持ちのふんどし担ぎ質問のようなもので埋め尽くされるような事も無くなった(今回とかも少しあって誰とは言わんけどまたかよと呆れましたが)なあと思いますので、もうちょっと次回からはねじり鉢巻きで臨みたいと思いますサーセン。
2022/01/20
お題「物価見通しが引き上げになっているのに政策の話になると暴走機関車になる総裁定例会見(その1)」
記念リンクである。イイナシダナー。
https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N2TZ3H5
2022年1月20日2:30 午前
ユーロ圏金融・債券市場=独10年債利回りがプラス圏に一時浮上、19年5月以降で初
『[19日 ロイター] - ユーロ圏金融・債券市場では、ドイツ10年債利回りが2019年以降で初めてプラス圏に一時浮上した。数年間にわたりマイナス利回りとなっていた域内債券が転換点を迎える可能性を示唆した。ドイツ10年債利回りは一時0.025%まで上昇。終盤ではマイナス0.001%とゼロ%をわずかに下回ったが、前日比では1.6ベーシスポイント(bp)上昇した。』(上記URL先より)
さて、本来は今日は展望レポートがアタクシ的にはオモロイ(そういえば前回のも実は本文構成が突如アフターコロナにフォーカスしておおおおお!と思ったのですが本文をネタにするのドサクサで忘れてしまいましたサーセン)と思うのでネタにする予定でしたけれども、黒ちゃんが会見で正月の屠蘇酒の飲み過ぎなのか、変なハーブの研究(間接表現)でもしたのか、というような勢いになっていまして、黒田はんえらい元気でよろしおすなあ(ぶぶ漬け話法)というような答弁を行っておりまして、その結果下記のようにややこしいことになっておりますので会見の方から先に参ります。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-18/R5VPXUT0AFB401
債券は上昇、黒田日銀総裁の利上げ議論否定で買い優勢
日高正裕
2022年1月19日 6:58 JST 更新日時 2022年1月19日 15:32 JST
〇黒田総裁の会見答弁が突如として暴走機関車になっているのは何でですかね
んな訳で総裁定例会見。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2022/kk220119a.pdf
総裁記者会見要旨
―― 2022年1月18日(火)
午後3時半から約60分
・最初(冒頭説明の次)の質疑はごく普通の質疑でしたがが後からツッコミどころを提供しとる
ってことでして、まあこれ答弁が暴走機関車になっているのはこの次の4pからになるのですけれども、この質疑に対して突っ込んでいく記者の皆様の質問、という図は大変に良かったと言いますか、何だ皆さんやればできるじゃん役立たずだの暴言並べてゴメンヨという所ですが、確かに外部情勢の変化によって「やっぱり日銀の政策がおかしくねえか」となってきたというのも大きいんでしょうね。
では最初の幹事社からの質問でこれ自体は穏当です。3ページ目になります。
『(問) まず、年初でもあり、今年の世界経済の展望についてお伺いします。世界経済は回復基調にあるもとで、インフレの高まりもみられており、海外の主要中銀は昨年末から金融政策の正常化の方向に舵を切っていますが、その世界経済に与える影響や、先行きの世界経済のリスク要因などについてどのようにご覧になっているか、お聞かせください。』
『 次に、物価上昇についてお伺いします。日本でも物価の上昇圧力が高まっていますが、要因としては、資源高であるとか、円安によるコストプッシュの面が大きいかと思います。日銀が期待する好循環による物価上昇とは異なる形になっていますが、こうした物価上昇の持続性についてどのようにお考えかお聞かせください。また、こうした環境下で、金融政策運営で配慮すべき点についてお考えをお聞かせください。』
これ自体は非常に答えやすい質問になっているのですが、ここで黒ちゃん余計な長広舌を振るったら後でその長広舌にツッコミを食らう、という非常に素敵な展開になっておりますので、この質問をした幹事社(竹橋新聞(仮名)さんでしたと記憶)、狙って諸葛孔明の罠を仕掛けたのならオソロシスではあります。
黒ちゃんの回答。アホのように長い。
『(答) 先ほど申し上げたように、世界経済は、国・地域毎のばらつきを伴いつつも、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、先進国を中心とした積極的なマクロ経済政策にも支えられて、高めの成長を続けると予想しています。当面は、物流の停滞や労働力不足といった供給制約が、米国を中心とした先進国の経済活動の重しとして作用するほか、インフレ率の押し上げ要因となりますが、そうした供給制約は次第に和らいでいくと考えています。ただし、こうした見通しを巡っては、不確実性が大きいと思います。』
ということで、
『具体的には、第一に、先進国の供給制約が想定以上に長期化・拡大する場合には、世界経済の成長率が下振れする可能性があります。』
『第二に、一部先進国でみられるインフレ率の高止まりに対しては、各国中銀が金融政策により適切に対応すると考えていますが、国際金融市場への波及などを通じて、グローバルな金融環境が想定以上に引き締まる場合には、新興国を中心に世界経済が下振れするリスクがあります。』
『第三に、中国経済についても、中長期的な成長力の低下が徐々に進むもとで、不動産セクターの調整の影響などにより、減速感が一段と強まる惧れがあります。』
『以上のような下方リスクの一方で、各国の家計部門における、いわゆる「強制貯蓄」の取り崩しが急速に進むことなどを通じて、海外経済が消費活動を中心に上振れる可能性もあると思います。日本銀行としては、これらのリスクを含め、先行きの世界経済の動向を注意深く見ていく所存です。』
というのはこれ展望レポート基本的見解の経済のリスク要因の項番2を読んでるだけという感じでございまして、いやまあ確かに質問に対する答えはそれで良いのかもしれないけど、今回新たにリスク要因に加えた資源価格動向の話(何故か冒頭説明でもスルーしていた)も入れれば良いのにとは思うのですが。
後半が物価の話。
『次に、物価ですが、先ほど申し上げた通り、消費者物価の前年比は、既に小幅のプラスとなっており、先行きは、今回の展望レポートでお示しした通り、見通し期間終盤にかけて
1%程度の上昇率が続くと予想しています。こうした状況のもとで、現在の金融緩和を修正する必要は全くありません。』
「物価上昇の持続性についてどのようにお考えかお聞かせください。また、こうした環境下で、金融政策運営で配慮すべき点についてお考えをお聞かせください」って質問に対してのっけから「現在の金融緩和を修正する必要は全くありません」と喧嘩腰にぶっこんで来る辺りが暴走の予兆である。
『日本銀行としては、2%の「物価安定の目標」を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく方針です。』
あとで強烈にツッコミが来るのだが、「2%を目指す」って言ってる中で展望レポートの中心数字だと22年度、23年度がどっちも+1.1%で、足元は+0.0%、ただし携帯除くと+1.1%になるというお告げが展望レポート基本的見解の中心見通しにありますので、まあ要するにずーっと1%程度の推移という状態なのに、2%目指すために追加緩和する気が全くないとはどういうことですねん、という所ではあります。
『そう申し上げたうえで、最近の物価上昇圧力の背景としては、わが国経済の持ち直しに伴う需給ギャップの改善に加え、エネルギー価格の上昇や原材料コストの高まりも影響しています。過去のわが国経済を振り返ると、資源価格の上昇を主因とする物価上昇は、リーマンショック前の
2008 年に典型的にみられた通り、一時的なものにとどまることが多かったように思います。』
この説明だと今の物価上昇の影響は資源価格上昇を受けていて、それだと一時的に終わることになる、って説明になってお前さん展望レポートの+1.1%→+1.1%は何ですねんという話ですが、
『そうした経験も踏まえると、持続的な物価上昇が実現するためには、中長期的な予想物価上昇率が高まる必要があります。すなわち、家計の間で値上げ許容度が高まり、物価がある程度上昇するとの物価観が、経済主体の間に定着することが重要になります。』
展望レポートの話はまた追って行いますが、日銀の絵によると特殊要因全部剥落後の23年度物価については、需給ギャップのプラスとインフレ期待の高まりによって+1.1%ですぜ、というような感じだと思うのですので、この説明自体はその通りではあるんですが、「中長期的な予想物価上昇率が高まる必要があります。」って言っちゃうの何か展望レポートの見通しを否定してねえかって感じですな。展望レポートの見通しは(願望レポートではあるにしたって)23年度に向けて適合的期待形成に加えてフォワードルッキングな期待形成も加わってインフレ期待高まることを「前提に」して書いてあるんですから、ここで「必要になります」とか「重要になります」とか他人事みたいに言うのはちょっとアカンナーと思います。
それにですね、期待インフレが上がるのが重要、と言ってるのに「物価が+1%程度で推移しますので追加政策は不要」とか言ってたら、そもそも論としてフォワードルッキングな期待形成が+2%じゃなくて+1%にとどまってしまうんじゃないですかねえ。というツッコミどころも提供しておるのが芸術点が高いです。
『この点、企業収益がはっきりとした改善を続ける中、人手不足感の強まりを反映して、このところ賃金は緩やかに上昇しています。また、政府も税制等を通じて企業の賃上げを促しているほか、コロナ下で蓄積したいわゆる「強制貯蓄」の存在もあります。これらは、家計の値上げ許容度を下支えする要因として期待できます。一方で、雇用の改善や賃金の上昇が本格化する前に、物価上昇が家計の所得環境やマインドに悪影響を及ぼさないか注視していく必要があると思います。』
ちょwwwおまwwww何が何でも物価上昇とか言ってなかったっけ。というか浜田大先生の名言によりますと(以下いつもの過去発言ほじくり返しなので割愛します)。
『日本銀行としては、今後とも、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで、企業収益の増加や労働需給の改善を促し、その結果として、賃金と物価が持続的に上昇していく、いわゆる好循環の形成を目指していく所存です。』
それは良いんだがそのためにマイナス金利だのYCCだのって本当に必要なんでちゅかねえ・・・・・・
・フォワードガイダンスに対する暴走説明
事件はこの次の質問で起きました。
『(問) 二点お伺いします。一点目ですが、一部で、日銀が物価 2%目標を達成する前の利上げを議論しているとの趣旨の報道がありました。そうした議論を実際に行っておられるのか、事実関係を教えてください。現在のイールドカーブ・コントロール政策の枠組みでは、物価目標の実現前に長短金利を引き上げることは可能だと思いますが、総裁はどのような経済・物価・金融情勢になれば、目標実現前に利上げを行うこと、もしくは議論することが可能とお考えでしょうか。(後半割愛)』
この質問、思いっきり「報道がありました」とかロイターネタ(質問したのはロイターさんではありません)で突撃が来たわけです。
でですね、これがあるから昨日声明文ネタと称してフォワードガイダンスの再確認をしましたが、2%目標が安定的に持続するまで必要な時点まで継続するのは「YCC+QQEという枠組み」になります。
そもそも論を申し上げれば、YCC移行時に示された総括的な検証とYCCの背景説明によりますと、短期政策金利だけではなく、イールドカーブ全体にいわゆる「均衡金利」の概念を取り入れて、その各年限の均衡金利水準をプロットした「均衡イールドカーブ」に対してある程度実際のイールドカーブを下方にシフトさせ、その部分を金融緩和効果として使う、ただし下方シフトをやり過ぎると限界的な効果が逓減するのに対して副作用が強まるので、無限に金利を下げればよいのではなくて、「適度な緩和度合い」を保つ、というのがYCCの肝な訳ですな。
でもってですね、そもそも均衡金利自体が幅のある概念なので、それを短期金利から長期金利に持って行けば更に幅のある概念になってしまい、結局後付けじゃないと分からんよねというような話にはなるので、均衡イールドカーブをファンチャートみたいに示していく、というようなチャレンジは日銀も回避して(YCC当初はカーブの変化を示したりしてましたが)おります。
でもね、いくら均衡イールドカーブが幅のある概念と言ったって、物価が0%カツカツの時と、物価が2%に近い時に均衡イールドカーブの位置が同じってことは概念的にあり得んじゃろという話であります訳でして、そうなると均衡イールドカーブの上方シフトに伴ってYCCのレンジというのも変化が起きて然るべき、ということになる筈なんですよ。そもそも最初そういう話だったし。
・・・・・と、本来はそういう筈なのですが、ここで黒ちゃん暴走をおっぱじめてしまうのでした。
黒ちゃんの回答。
『(答) まず、利上げを議論しているかについては、そうした議論は全くしていません。』
まあ情勢として2%物価目標達成が全然視野に入っていないし、議論を全くしていないのはそらそうよではあるのですが、そもそも次の説明が(枠組み云々関係なく)おかしい。
『展望レポートやその前の短観、その他でも示されているように、物価が 2%の「物価安定の目標」に向けて着実に上昇しているという状況にはないわけです。』
いやあのそれを威張って言われてもこまるんですが、だったら追加緩和しろよボケナス、というツッコミが後にあってよく聞いた素晴らしい!と思いましたが、なんかノリノリでうっかり色々とアタクシが書いてしまって今朝は無念の時間切れの予定(さすがに今日は出来れば夜なべしないと展望レポートの成敗しないうちにFOMC来ちゃうからマズーですな、と焦る)。
『商品価格の上昇等、主として一時的な要因で若干物価が上がっていることは事実ですが、それでも
0.5%程度ということで、展望レポートでも示されている通り、委員方の中心的な見通しは、2023
年度、この展望レポートの終盤にかけても、1%程度の物価上昇率というものです。』
今回(も)割と会見でツッコミの当たりが強かったの、この物言いでカチンと来たってのはあるわなと思います。利上げしないというのを強調しすぎるあまり、「政策は変更しない」「でも物価は行かない」ではお前2013年からこの方何やってたんだよということになりますわな。
『そうしたもとで利上げや現在の緩和的な金融政策を変更するというようなことは、全く考えていませんし、そうした議論もしていません。』
追加緩和はしないんでちゅか〜という感じで、片岡さんももうちょっと頑張れば良いのにと思うのです。
でもってですね、この次が明らかに逸脱発言になっておりまして、
『また、今回の「当面の金融政策運営について」という公表文でも、はっきりと書かれている通り、日本銀行は
2%の「物価安定の目標」を実現し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する、そしてマネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に
2%を超えるまで、拡大方針を継続する、としています。』
はい。
『公表文の最後には、「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」としていますので、利上げというようなことは全く考えられないということです。(後半割愛)』
えーっと、質問は「政策枠組みガイダンスの中では利上げが可能ですが」という声明文に示されている通りの事を混ぜながら質問しましたが、黒田さんのこの説明ですと、厳密に会見要旨(要旨であって文字起こしではない)の書き方を見れば「今はコロナだから利上げは全く考えられない」という情勢判断の説明をしているようにも読んで読めなくはないですが、明らかに会見での説明のニュアンスとして市場の中の人の多くが理解したのは「2%達成に必要な時点まで利上げしないと黒田総裁が発言した」という説明でありまして、いやこれは枠組みの話と情勢判断の話をちゃんと分けて説明しないとミスリードにも程があるだろ、という答弁でありました。
・・・・・・・しまった、ここで時間が無くなってしまったのですが、実は今の質疑応答、後半の質疑もなんかドイヒーな説明でして、
『(前半割愛、というかさっき引用した部分の続きです)二点目は、今回の展望レポートで物価見通しのリスク評価を、これまでの下振れから中立に引き上げていますが、この金融政策へのインプリケーションを教えてください。正常化が近づいているのか、あるいは追加緩和までの距離が拡がったと言えるのかどうか、総裁のご見解をお願いします。』
どこからどう見ても「然り」としか答えようのない質問なのですが、よほど「緩和の修正」がお嫌いなのか、この質問に対してああでもないこうでもないと変な小理屈を捏ねまくった挙句に回答を誤魔化す、という挙に出ております。
本来なら、物価見通しが上方修正されるとか2%物価目標達成に少しでも近づいている話であって、それこそ提灯行列でもして奉祝とかいって会見場に入る前に企画局の幹部と一緒に練り歩く位のパフォーマンスを見せて欲しい位のものなのですが、何故か目標達成に近づく話を素直に認めようとしない、という黒田さん。なんか変なもんでも食ったのではないかと心配になってまいります。
ということで続きは明日で勘弁してつかあさいすいませんすいませんすいません。
2022/01/19
お題「MPMレビュー雑談:改めてフォワードガイダンス/MPMと関係なく米債で先物アイヤー」
アイヤー。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-hong-kong-pets-idJPL4N2TY3YV?il=0
2022年1月19日5:09 午前
香港、輸入ハムスターから人にコロナ感染の疑い 2000匹殺処分
『香港ではペットショップ店員に起因する新型コロナ感染が広がったことを受け、当局が感染源を調査。ウサギやチンチラなども調査していたが、新型コロナ検査で陽性を示したのはハムスターだけだった。地元テレビによると、感染が確認されたハムスターはオランダから輸入されていた。』
『世界では、イヌやネコなどの動物の新型コロナ感染が報告されており、デンマークは2020年に感染したミンクを大量に殺処分している。ただ専門家は感染した動物が人への感染の主要な経路になることは確かめられていないとしている。』(以上上記URL先より)
うんうんなるほど(理解していない)。
〇MPM結果と関係なく米債ェ・・・・・・で円債が下がるの巻ワロタ
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 22年3月限
取引日 2022/01/18
立会区分 日中取引
始値 150.84(08:45)
高値 150.95(12:30)
安値 150.68(12:49)
現在値 150.74(15:02)
前日比 -0.09
取引高 29,086
例によって日中足今日の朝には更新されちゃうので朗読すると、前場は引けにかけて先物上がってMPMの結果出た後場の寄りもまあ上だったのですが、寄って直ぐに横綱いきなりの土俵から転げ落ちという風情の急落になって90銭台前半水準からあれよあれよという間に70銭台前半まで下がるの巻。
何じゃこらと思ったら米債が何故かこんな中途半端な時間に10年1.85%近辺までスコーンと上昇(その前に前場に2年1%抜けとか5年1.6%とかやってはいたのだが)したから、ということでまあ背景は分かるのですが、中々悲しかったのは今回の相場ちゃんって全部がそうじゃないですけど(というか主因は米国様の金利上昇でしょうが)超足元では日銀の政策修正に向けた思惑(今修正する訳では無いのだが黒ちゃんもカウントダウンに入って来る時期になったらそろそろねえ、的なサムシング)もあったという解釈な訳でございまして、そういう中で無風のMPMが出たら円債買戻しや!という何とかストコメントばっかり昨日の朝方はベンダーに並んでいたので、いきなり壇ノ浦の入水かというダイビングにはナンジャソラという感じですな。
あまりにも昨日は「MPM無風を確認したら買戻し」コメント一色だったのでベンダー様が再コメントを求めるような鬼プレイが炸裂していて、米債の金利が抜けたら仕方ないみたいな悲しいドテンコメントさせられてた何とかストには同情の念を禁じ得ませんw
毎度芸もなくロイターさんのコメントを貼る(いつもすいません)
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2TY1FJ
2022年1月18日3:24 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は反落で引け、長期金利0.145% 日銀総裁会見に関心
『東京 18日 ロイター] -
<15:07> 国債先物は反落で引け、長期金利0.145% 日銀総裁会見に関心
国債先物中心限月3月限は前営業日比9銭安の150円74銭と反落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5bp上昇の0.145%
前日は米国がキング牧師生誕日で休場して海外市場からの方向感の示唆が乏しい中、きょうの国債先物は買い先行でスタート。昼休み時間帯に伝わった日銀金融政策決定会合の結果を受けた債券市場の反応は限定的で、国債先物も後場寄り後しばらくは堅調推移した。』
『後場序盤に原油先物の上昇に伴って米10年国債利回り(長期金利)が2年ぶり高水準の1.85%台に上昇すると、円債先物は上げ幅を急速に縮めてマイナス圏に沈み、そのまま大引けまで弱含みの展開が続いた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「事前に警戒されたフォワードガイダンスの修正が少なくとも書面上はなく、日銀会合の結果自体は無反応または買い方向だったが、急に進んだ米金利上昇が重しとなった」との見方を示した。』(以上上記URL先より)
いやいやいや1月会合で何でガイダンス修正するのよ(だって足もとでオミクロン拡大しててマンボウとか言ってるタイミングだし、大体からしてコロナオペ3月まではあるんですぜ)とは思いますが、まあそこまで警戒してたとは思えんし、黒ちゃんのこれまでの会見からしたら、というか案の定今回の会見、言い過ぎになるほど政策変更なしを強調し過ぎていて、あれはあれで黒ちゃんのお気持ち表明になってしまっていて、日銀の従来の説明をハト方向に逸脱していたんですが詳しくはまた別途ですが、まあ黒ちゃんがこのタイミングで急にジャガーチェンジして超政策見直しとかする訳ないじゃんあの意地っ張り振りみたら、と思いますけど。まあ米債様に引っ張られて下がってモドランチ会長とか残念な円債ちゃんでした。
こちらも上記ロイターさん記事からいつものを貼っておきます。
TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 -0.075 -0.07 -0.004 15:01
5年 -0.025 -0.02 -0.001 15:02
10年 0.145 0.149 0.005 15:07
20年 0.53 0.535 0 14:58
30年 0.709 0.715 0 15:08
40年 0.744 0.752 0.003 15:05
お、最近までのパティーンだと横綱10年20年がズッコケるという図でしたが、これですと昨日は先物ばっかり下げましたの図という感じですな、うんうん。
というただの俺様備忘メモでした(しかしここ数カ月碌すっぽ動かなかったのに年末からこの方何なんですかこの円債ちゃんは・・・・・・・・)。
〇決定会合レビュー:政策は変更なくて貸出増加支援は相変わらずノーズロで継続
声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2022/k220118a.pdf
ちなみに前回声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k211217a.pdf
・片岡さんの反対理由はもっと進歩すべきである、やりなおし(審議委員はやり直さなくてよろしい)
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。
(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。』
例によって片岡さんの反対理由ですが、
『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、鈴木委員、安達委員、中村委員、野口委員、中川委員。反対:片岡委員。片岡委員は、コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』
と実は脚注1を物は試しに12月会合声明文から貼ってみて文字チェックしましたが(^^)、いつもどおり同じでございます。
・・・・・・・えーっとですな、「企業の前向きな設備投資を後押しする観点から」というのが最近ずーっと片岡さん言ってるんですが、だったら企業の前向きな設備投資とやらの現在の金利状況における金利弾力性がどの程度あるのか、というのをちょっと示してくれないですかねえと思う訳でして、金利水準がダブルデジットとかそういうなら兎も角、銀行貸出も含めてクッソ低い中で金利弾力的な設備投資ってものがそもそも存在するのかよと小一時間問い詰めたい訳ですよ。
いやそうじゃなくて、需要予測とか企業側のアベイラビリティとかで決まる面が殆どじゃねえのかと素人(大昔は金貸しの手先をしてたが前世紀の話だからワイ完全素人)のイメージですになって恐縮ではございますが、そうなんじゃないの??と思います。
それにですね、そんなに企業の借入金利下げると設備投資が出る、ってんだったら何で前回会合のコロナ対策で拡大したCP社債買入の正常化に賛成するのよという所でして(あっちは全員一致なので片岡さんも賛成)、むしろ国債対比スーパーマイナススプレッドになるくらいまでCP社債をバンバン買いまくるって提案したら政策金利下げなくても企業の借入金利下がるんじゃないですかねえ(鼻ホジホジ)。
それよりも相変わらず物価が1%くらいにしか行かない見通しを平然と出すわ、それに輪を掛けて最近の黒ちゃんの会見では(政策修正はしない、というのを強調したいという気持ちが前面に出過ぎた結果として)「2%目標達成は見通せません!!」(キリッ)ってやってしまうというお前フォワードルッキングな期待形成に働きかけるんじゃなかったのかよと言いたくなるような情報発信に余念がないという日銀主流派の在り方について大いに論難すべきではないでしょうかね。
・・・・・まあ何ですな、以下「ぼくのかんがえたさいきょうのついかかんわりゆう」になってしまいますけれども、奇しくもあれは1月会合でしたが、2004年の1月に俊ちゃん総裁最後の当座預金残高拡大(当時の定義で金融緩和の拡大)をしたのですが、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2004/k040120.htm/
金融市場調節方針の変更について(2004年1月)
この時ってこれまでの「景気は回復していく」というシナリオ通りにオントラックで経済情勢が推移しているという判断の結果、情勢判断を上方修正していてるのに追加緩和措置を取る、というオモシロ政策を実施してて、会見要旨を見ると何か俊ちゃんの妖術で誤魔化しているという感じの無茶苦茶説明になっているのですが、まあ要は「押し上げ介入(って言われても今の若い衆は分からんですかそうですか)」みたいなことをしました、って話ですわな。
当時の俊ちゃんの会見
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2004/kk0401a.htm/
この時の俊ちゃんの言い草に
『昨年10月に発表した展望レポートの中で示した標準シナリオとの関係では、概ね標準シナリオの通りに経済は動いているが、先行きこれをさらに良い姿につなげていく必要がある。そうした意味で、現在比較的良い方向に経済が動き始めていることは、極めて歓迎すべきことであるが、これで満足してはならない。おそらく、民間企業や金融機関におかれては、構造的な改善を伴いながら、こうした好循環をより確かなものに持っていこうという努力と決意を固められつつある段階ではないかと思う。金融政策の面でも、こうした民間の決意と努力をさらにしっかりとサポートしていきたい。今回の措置の真の狙いはこの点にある。』(この部分だけ直上URLの2004年1月会合での福井総裁(当時)会見より引用)
というよく考えたらお前は何をいってるんだという理論がある訳で、どうせなら今回の展望レポートで物価の先行きに関する訂正判断が盛大に上がっているのを踏まえ、「物価上昇の流れを確かなものとするためにも日銀が追加緩和によって断固たる姿勢を示して2%物価安定目標達成に向けたフォワードルッキングな期待形成に働きかけるべき」位の気合重視の理由にすると、2013年当初の気合がすっかり抜けて腑抜けと化しているわ2%行かないとか連呼するわの黒ちゃんに喝を入れられて良いんじゃないですかねえ、とか妄想するのでした。
・またノーズロで延長か!
『2.日本銀行は、「貸出増加を支援するための資金供給」について、貸付実行期限を1年間延長することを決定した(全員一致)。』
またノーズロかという感じで、しかも今般なコロナオペが4月から徐々に期落ちを迎えるので、一部はこれをい受け皿にするでしょうから延長するんでしょうなというのは想定内なのですが、そもそも論としては金融環境は緩和的で金融機関の貸出態度は無茶苦茶にユルユルで、展望レポートの基本的見解でも「民間金融機関は積極的に金融仲介機能を果たしている。」となっております中で、いつまでこれ続けますねんというのは思いっきりある。まあ今はコロナからの回復期だからとか何とか言ってればよいのかもしれませんけど、ポストコロナとなっていく中で相変わらずのノーズロで良いのかねというのはある。
・フォワードガイダンスも変更なしですが・・・・・・・・・・
ここにきてガイダンス修正がどうのこうのとかそういう話もあるので再確認だわさ。
『3.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』
『引き続き、@新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、A国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、Bそれぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限のもとでのETFおよびJREITの買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。』
『当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注2)。』
だいたいからしてガイダンスてんこ盛りにも程があって、シンプルにしろやと思うのですが、これも昭和温泉旅館金融政策の弊害という感じでありますな。
分解すると(1)YCC+QQEのフレームワークのガイダンス(2)マネタリーベースのオーバーシュート型コミットメント(3)コロナ対応オペを運営しますよという話(4)コロナの影響次第では追加緩和をするよという話(5)政策金利は上げませんよという話、になります。
でもってこれ厳密に見ればコミットしているのは最初のパラにある(1)と(2)であって・・・・・
(1)はあくまでもYCC+QQEの枠組みを継続すると言ってるので金利水準がどうのこうのというのはコミットしていない(金利水準の話は(5)にある)ですな。
(2)はご案内のように、コロナオペで盛大に拡大したMBが4月以降徐々に落ちていく額が結構とんでもない額になるのですが、それでも「拡大方針は同じなので一時的に減るのは(50兆円とか落ちても)無問題」という最早それが「拡大方針」なのかよくわからんが、なにせオーバーシュート型コミットメントを引き合いに「FEDはワシが育てた」とか言わなきゃ良い事を言ってしまった謎の看板コミットメント
(3)はコロナ対応しますよという話なので別にコミットメントではない
(4)必要なら躊躇なく、って言ってるけど実際全然やらないんですから狼おじさんにも程がある訳ですが、これはただの決意表明であって、実際の行動を伴ない決意表明とかアル中の断酒なみにどうでもよいが一応書いてある。ちなみにコロナの前は「物価上昇のモメンタムが維持されなくなるようなら」だわさ(次でまとめて)。
(5)この「政策金利については」の文章に最初の「当面、新型コロナ・・・・」が掛かるのかどうか、というのが日本語ムツカシアルねで微妙なのですが・・・・・・・
コロナ前の声明文で2020年1月の声明文ですけど。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2020/k200121a.htm/
こちらの項番2を見ると、(ということで以下は2020年1月即ちコロナ前のガイダンス文言、長いので段落分けをします)
『2.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』
『政策金利については、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。』
『今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。』
『特に、海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きいもとで、先行き、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れが高まる場合には、躊躇なく、追加的な金融緩和措置を講じる(注2)。』(この部分だけ直上URL先の2020年1月会合声明文より)
とあって、「躊躇なく緩和」と「政策金利」にモメンタムが紐ついていたので、まあその流れから言うと今回もコロナに政策金利が紐ついている感じですな。
・・・・・・はまあ良いんですけど、そもそもここの文言って以前からそうなのですが、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを「想定している」なのであって、別にコミットメントでも何でもない、という諸葛孔明の罠があって、ただ一方で会見のオーラルでは黒ちゃんが政策の修正は金輪際ありませんというのを無暗矢鱈と強調する、という流れになっていて、それが何か今回の会見では(ロイター報道とかがあったからそれに反発したかったんでしょうけど)更に暴走機関車モードになっておられますがな、という感じなのですが詳しくは本日会見要旨が出てから参ります。
・・・・・・・ということで昨日夜なべをしなかったツケが回ってきて(夏休み明けなんで・・・・)展望レポート基本的見解に辿り着く前に時間切れになってしまいましたサーセン。今朝はここで勘弁。
2022/01/18
お題「パウエルとブレイナードの議会証言とウィリアムズの直近講演を確認してみる企画である」
またマンボウか!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220117/k10013435651000.html
首都圏1都3県 東海3県 「まん延防止」適用の方向で検討 政府
2022年1月17日 19時10分
ということで本日はMPMな訳ですが、正直そっちはどうでもよいのでやはり確認するのは米国ちゃんでしょ米国ちゃん。
・・・・・という訳で正副議長の能書きを今更ですが確認するとどう見ても利上げモードですなあという確認をする訳ですが。
〇11日のパウエル議長再任の公聴会での発言は「物価上昇要因が持続的」という説明ですのう
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20220111a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/files/powell20220111.pdf
January 11, 2022
Nomination hearing
Chair Jerome H. Powell
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, Washington, D.C.
上院公聴会での指名にあたっての演説テキストですが、13日のブレイナードのとかは12日の夜(米国時間)の時点でニュースになっていたと記憶しておるので全部先週のネタにも程があるので恐縮ですが、まあ利上げしますよ3月にモードになった一連の流れ(ウィリアムズのはおまけ)の理屈付けを確認しようという企画です。以下引用はHTML版から行います。
PDFで3枚ぽっち(ブレイナードのは2枚ぽっち)なので本当は全文引用しながら見ていく方が良いのかもしれませんが、コロナ対応の話とかそもそも論の家族への謝辞とかその辺は大体飛ばします。
ということで前半は最初が謝辞、その後コロナ対応の話がありまして現在の状況に関する話はPDFバージョンの2ページ目(3枚目)からになります。
・さきに「労働市場は強い」に言及するのだが見事に1行コメントである。
一応コロナ対策の最後の部分から引用します。つまり、この文頭にある「These
collective policy actions」というのは政府とFEDによるコロナ対策の話しね。
『These collective policy actions, the development and availability of
vaccines, and American resilience worked in concert, first to cushion the
pandemic's economic blows and then to spark a historically strong recovery.』
まあこの「historically strong recovery」でインフレになった訳ですが、
『Today the economy is expanding at its fastest pace in many years, and the labor market is strong.』
で、まあ公聴会だから話短くというのは分かるのですが、労働市場のコメントこれで終わらせておりまして・・・・・
・チャレンジは高インフレだしその要因は持続的になっているとのお告げ
『As always, challenges remain. Both the initial shutdown and the subsequent
reopening of the economy were without precedent. The economy has rapidly
gained strength despite the ongoing pandemic, giving rise to persistent
supply and demand imbalances and bottlenecks, and thus to elevated inflation.』
既にインフレがトランジトリーと言わなくなってしまっているので新しい話ではないものの、「The
economy has rapidly gained strength despite the ongoing pandemic, giving
rise to persistent supply and demand imbalances and bottlenecks, and thus
to elevated inflation.」ということで、需給バランスの不均衡と供給のボトルネックについて「persistent」としている(一応両方に掛かっていると読みましたが、前半の需給不均衡だけに掛かっているかもです)のでして、テンポラリー連呼は何処に逝ったのかと小一時間でございますな。
・高インフレは経済的な弱者にとってより厳しいものであり高インフレを抑制しますよというお告げ
でもってその続き。
『We know that high inflation exacts a toll, particularly for those less
able to meet the higher costs of essentials like food, housing, and transportation.
We are strongly committed to achieving our statutory goals of maximum employment
and price stability. We will use our tools to support the economy and a
strong labor market and to prevent higher inflation from becoming entrenched.』
と来てて、高インフレが経済的な弱者にとって特にtoil(骨折りとかそんな言葉が出てきた)であるので、我々のマンデートのゴールをコミットするにあたって、強い労働市場と、「to
prevent higher inflation from becoming entrenched」という言い方をしていて、高インフレ抑制がマンデートに沿っている、という説明を思いっきりしている訳でございますな。
これってどういう意味かというと、元々政策金利コミットメントでは「物価と雇用の水準がマンデートに到達するまでは利上げしませんよ」という言い方をしていたのですが、ここでの説明は雇用の水準についてグダグダと説明する訳ではなくて、「物価と雇用のコンフリクトが起きた場合」という説明を視野に入れたかたち、すなわち物価が高騰し、雇用はまだ完全雇用達成前だがという時に「バランスアプローチ」の理屈を持ち出して、バランスとして雇用マンデート到達したかどうかの断定ができる前でも利上げできますという理屈を示したものという事になりますわな(個人の感想です)。
・2020年の「政策ストラテジーの紙」を空文化する作業
今の続きにあるのがこれでして、
『We can begin to see that the post-pandemic economy is likely to be different
in some respects. The pursuit of our goals will need to take these differences
into account. To that end, monetary policy must take a broad and forward-looking
view, keeping pace with an ever-evolving economy.』
後半はさっき申し上げた「broad and forward-looking view」の話ですが、その前提にあるのがここの第一文にある「We
can begin to see that the post-pandemic economy is likely to be different
in some respects.」ということで、ポストコロナの経済は幾つかの点で今までの経済とは違うのではないかということを我々は見ています、と来まして、これ即ち20年に出された政策ストラテジーは既に空文化している(前提としている経済の構造が違うから)という事でして、まあ別にこれも今急に言い出した訳ではなくて、昨年の物価アイヤーの頃からそういう話はチョイチョイと出ていたのでございますので唐突な話では無いのですが、こういうのをしれっと混ぜ込みながら議長クラスもきちんと説明するのねーと思いました。
・まあそんな訳でインフレ抑制姿勢を明確化したというのがこの証言のキモですな
以下、金融システム問題へのこれまでの対応、政策フレームワークの決定や説明責任の話をしていますが、最後の所で「金融政策はオールアメリカンズの為にある」というパウエルになってからよく言うようになったいつものフレーズがあるので引用する。
『The Federal Reserve works for all Americans. We know our decisions matter
to every person, family, business, and community across the country. I
am committed to making those decisions with objectivity, integrity, and
impartiality, based on the best available evidence, and in the long-standing
tradition of monetary policy independence. That pledge lies at the heart
of the Fed's mission and is one we all make when we answer the call to
public service. I make it here again, with force and without reservation.』
ということで(自分も休み明けだし)簡単で勘弁仕り候。
〇13日のブレイナード副議長就任の公聴会発言は思いっきり「インフレ抑制」をぶっこむ出オチがさすがです
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/brainard20220113a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/files/brainard20220113.pdf
January 13, 2022
Nomination hearing
Governor Lael Brainard
Before the Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S. Senate, Washington, D.C.
・前日にパウエルが地均ししているのでもうブレイナードさんは最初で出オチになる
例によって最初はご挨拶なのでその次のパラグラフから実質的な説明が始まりますが、
『We are seeing the strongest rebound in growth and decline in unemployment
of any recovery in the past five decades. Over the past year, unemployment
has fallen by 2.8 percentage points, and growth is estimated to be around
5 1/2 percent, according to a variety of private forecasts.』
経済成長の強さと失業の低下は直近50年間の中で最も素晴らしい、と来ましたが、その次にいきなり出オチの如くインフレは怪しからんという話をする。
『But inflation is too high, and working people around the country are
concerned about how far their paychecks will go. Our monetary policy is
focused on getting inflation back down to 2 percent while sustaining a
recovery that includes everyone. This is our most important task.』
インフレーションがtoo highで国内の労働者の皆様はお賃金がちゃんと上がるかどうかを気にする状態。でもってパウエルさんの場合は「バランスアプローチ」みたいな説明をして、(まあ読む人が読めば一発で伝わるのでそこまで間接話法でもないですが)一応オブラートにくるんで説明していましたが、ブレイナードさん思いっきり「getting
inflation back down to 2 percent」と「物価上昇率を2%まで抑制する」とぶっこんできて、更に「This
is our most important task.」と来ておりまして、物価抑制についての言及が火の玉ストレート過ぎて、さすが政治の風に乗りたガールなブレイナードさんだけのことはある、と感心するやら呆れるやら。
・・・・・・・・まあこの証言、この出オチでだいたい話は終わっているのですが、このあとパンデミックでどうのこうのという説明をしたあと、アテクシのこれまでの実績についての自慢話もとい説明が11行もあるのですが、その11行のオチも「物価上昇は経済的に弱者な生活者にとってペインである」というオチにしているのが芸が細かい。
・自分のキャリアの宣伝をしながらオチを過度な物価上昇の弊害に持って行くのワロタ
『Since 2014, as a member of the Federal Open Market Committee, I have
supported monetary policy that is responsive to evolving economic conditions.
Our approach helped sustain the longest recovery on record with low inflation
and millions of jobs.』
でもって、
『More broadly, I have worked to safeguard and grow our economy during
the Administrations of five Presidents from both parties. I have worked
on the U.S. policy response to every major financial crisis over three
decades. I served at the Department of the Treasury as part of the team
responsible for supporting America's recovery from the Global Financial
Crisis and responding to the euro-area financial crisis. I served at the
White House as part of the team helping to safeguard the American economy
from the Asian financial crisis as well as financial crises in Mexico,
Brazil, and Russia.』
と、やたらキャリア宣伝しやがるな、と思うのですがこのパラグラフの最後の一文はこれで締めて経歴自慢をしている訳ではないという事を示す(ふりをする)辺りの芸の細かさに笑いました。
『In some foreign countries, I saw up close how high inflation hurts workers and families, especially the most vulnerable.』
ということで、パウエルさんの話を更に火の玉ストレートに露骨な表現するとこうなる、という感じですな。
〇14日のウィリアムズNY連銀総裁の講演は「これまでの考え方とは違う状態」を強調とな
https://www.newyorkfed.org/newsevents/speeches/2022/wil220114
SPEECH
Reading the Recovery
January 14, 2022
John C. Williams, President and Chief Executive Officer
Remarks at Council on Foreign Relations (delivered via videoconference)
As prepared for delivery
最初のご挨拶はパスして小見出し『Economic Outlook』からサラサラと参ります。
・2022年の経済成長率は実質3.5%成長で潜在成長率よりもwell aboveだという認識
最初は経済の現状認識。
『When I look at the economy, it is through the lens of the Federal Reserve’s
“dual mandate.” These are two goals set by Congress: maximum employment
and price stability. Given these goals, my focus is to study and understand
the wide range of developments that affect employment, unemployment, and
inflation as they play out in real time.』
まあ大体こういう持って回った言い方をするときには下心があるもんです。
『As we start a new year, it’s worth highlighting the key economic developments
of last year, which were defined by a very strong recovery, both here and
abroad. Although we don’t have all the data yet, I expect that U.S. inflation-adjusted,
or real, gross domestic product (GDP) increased by about 5-1/2 percent
last year, which would be the strongest growth rate between fourth quarters
in over 35 years.』
昨年の実質成長率は5.5%で過去35年来最も強かったよ。ステイツだけじゃなくて海外経済も強かったよ。
『The economic snap-back here and abroad has led to global supply-chain
bottlenecks and imbalances between supply and demand that have contributed
to a sharp rise in inflation. Inflation in the United States, based on
the personal consumption expenditures price index, will likely exceed 5
percent in 2021, and inflation rates are elevated in many other countries,
too.』
先にインフレの話が来ました。昨年はPCEインデックスで5%を超えるであろう高インフレで他の国でもインフレが上がっているよ。
『Looking ahead, I expect the current Omicron wave to slow growth in the
next few months as people once again pull back from contact-intensive activities.
I also expect that the Omicron wave will temporarily prolong and intensify
labor supply challenges and supply-chain bottlenecks that we have been
experiencing. Current staffing challenges for essential service workers
in the healthcare, transportation, and education sectors will likely have
a ripple effect too. But, once the Omicron wave subsides, the economy should
return to a solid growth trajectory and these supply constraints on the
economy should ebb over time.』
感染症の影響はこう整理してるのねーという感じですが、経済にはブレーキとして働く一方で、供給制約問題を長引かせる影響(があるので物価が下がりにくくなる)という認識なのですな。ただオミクロン自体は一過性ですよということで、今年の見通しは、
『Considering the effects of Omicron on the economy in the first part of
the year, I expect real GDP to increase around 3-1/2 percent this year.
While this is not quite the blockbuster growth we saw in 2021, it is still
well above its long-run trend and supportive of continued improvement in
the labor market. 』
オミクロンが年初に経済に影響を与えることを考慮して22年の成長率は実質GDPで3.5%成長、21年のような爆発力のある成長ではないですが「well
above its long-run trend」ですよ。
『Of course, experience has taught us not to be overly confident in predictions
about COVID and its effects on the economy, and uncertainty around the
economic outlook remains high.』
一応最後に感染症の影響はそうは言っても未知数じゃけんのう、と入れています。
・労働市場に関してはひたすら威勢の良いことを言うのみである
次の小見出しが『he Labor Market』だが、上記の通りなので引用だけ。
『Now I’ll turn to the employment side of our mandate, where the picture
improved dramatically over the past year. About 6-1/2 million jobs were
added last year, and the unemployment rate plummeted by 2.8 percentage
points. In fact, with the unemployment rate now at 3.9 percent, we have
retraced 96 percent of the COVID recession rise in less than two years.
This is lightyears faster than the more than seven years it took for unemployment
to retrace to the same degree after the global financial crisis. With the
economy registering solid growth, I expect the unemployment rate will continue
to come down further to 3-1/2 percent this year.』
威勢の良い話である。
『The strength in the labor market is seen in a wide variety of indicators,
including job openings, quits, and wage growth. The labor market has been
especially robust in recent months for workers at the bottom of the wage
distribution. And female labor force participation and employment have
improved, especially for women with young children.』
更に失業率以外の様々な視点で見ても強いでっせと威勢が良い、でこのコーナーは終わる。
・物価の状況は「今までの例とは違う」キタコレ
次の小見出しが『Inflation and Supply-Chain Challenges』である。
『One of the foremost concerns surrounding the outlook is inflation, which rose considerably last year.』
ウィリアムズもインフレを「One of the foremost concerns」と説明してやがりまして、もう「インフレ抑制」モードバリバリであることが良く分かりますな。
『There are two main contributors to the current high inflation: very strong
demand, especially for goods, and supply bottlenecks. Both have been prevalent
throughout the pandemic. The shutdown of factories-particularly those in
Asia-and widespread lockdowns led to disruptions to logistics networks,
elevated shipping costs, and prolonged delivery times. A new index created
by New York Fed research staff shows that global supply-chain pressures
shot up last year, reaching historically high levels.1』
インフレの背景が「財のインフレ」と「供給制約」ですよということですが最初に供給制約の現状について説明してますね。
『These challenges are not just top of mind for companies selling their
goods or consumers waiting for their purchases to be delivered. Elevated
prices have real life consequences for so many, particularly for people
who are struggling to cover the rising costs of food, housing, and transportation.』
で、その供給制約のチャレンジというのは実は企業の最大懸念ではありませんでして、物価上昇が多くのアメリカン、特に経済的に弱い立場の人たちにとっては食事や家賃や移動費用の上昇でエライコッチャである、とまあこの話もさっきからずーっと出ていますように、このイシューについてシランガナというのは許されない状態にFEDもなっているということですな、うんうん。
で、次のパラグラフが「今の状況は従来と違った状況である」という説明でして、ここはパラグラフをぶつ切りにしますけど、
『The circumstances we are facing today are unlike anything we’ve experienced in the past.』
ほうほう。
『Typical historical episodes cannot be used as reference points for current
conditions. As an example, the very large increases in prices that we see
today are primarily for durable goods. This is a striking turnaround from
the past 25 years when those prices had been trending lower.』
今起きている物価上昇は財、特に耐久財の価格上昇であって、この事象は「a striking
turnaround from the past 25 years」とまで説明しておりますな、確かに近年は財がアガランチ会長というのがトレンドでしたから。
『In contrast, even with the recent increases, prices on services and non-durable
goods are now fairly close to their longer-run trends.』
一方でサービスとか非耐久財とかは概ねロンガーラントレンド通りに動いているそうな。
『And, even though the Omicron wave is posing new obstacles, some supply
issues are starting to work themselves out as the economy adjusts to the
changing circumstances.』
さっきも言ってましたがオミクロン流行は供給制約を長期化させる要因になり得る。ということで次のパラに参ります。
『Just as the pandemic has followed its own script, I anticipate that the
dynamics of inflation will also be different than previous cycles. With
growth slowing and supply constraints gradually being resolved, I expect
inflation to drop to around 2-1/2 percent this year, much closer to the
FOMC’s 2 percent longer-run goal. And looking further ahead, I expect
inflation to get close to 2 percent in 2023.』
「the dynamics of inflation will also be different than previous cycles」と認識している割には物価の見通しは22年(の末の方だと思うが)に2.5%まで下がって23年には2.0%に近づく予想をしておる。
『The circumstances we are facing today are unlike anything we’ve experienced
in the past. Typical historical episodes cannot be used as reference points
for current conditions. As an example, the very large increases in prices
that we see today are primarily for durable goods. This is a striking turnaround
from the past 25 years when those prices had been trending lower. In contrast,
even with the recent increases, prices on services and non-durable goods
are now fairly close to their longer-run trends. And, even though the Omicron
wave is posing new obstacles, some supply issues are starting to work themselves
out as the economy adjusts to the changing circumstances.』
この部分が物価のパートの締めになっているのですが、ポイントは「Typical historical
episodes cannot be used as reference points for current conditions.」ということでして、これも即ち2020年の政策ストラテジーの空文化(マンデート目標値については空文化してませんけど)ということですな、うんうん。
・政策に関しては「次は利上げ」とそりゃ来ますわな
次(実質最後)の小見出しは『Policy Actions』です。
『These developments in the labor market and for inflation inform the Federal
Reserve’s policy response and recent actions. In its December 2021 statement,
the FOMC said that it would keep the target range for the federal funds
rate at 0 to 1/4 percent.2 With inflation having exceeded 2 percent for
some time, the FOMC said it expects it will be appropriate to maintain
this target range until labor market conditions have reached levels consistent
with the FOMC’s assessments of maximum employment.』
12月FOMC決定でこういう事をしました、だそうです。
『Because of inflation developments and the notable improvement in the
labor market, the FOMC also decided to reduce the monthly pace of its net
asset purchases.』
はい。
『With our actions, we have started the process of adjusting the stance
of monetary policy away from one of providing maximum support for the economy.
This movement in policy reflects the gains the economy has made since the
beginning of the pandemic and the evolution of the risks to the achievement
of our goals.』
最早緩和のリムーブというのは自明の話になりましたな。で実質最後(最後に挨拶があるがパス)のパラグラフは「次は利上げ」という話。
『The next step in reducing monetary accommodation to the economy will
be to gradually bring the target range for the federal funds rate from
its current very-low level back to more normal levels. Given the clear
signs of a very strong labor market, we are approaching a decision to get
that process underway. The timing of such decisions will be based on a
careful consideration of a wide range of data and information, with a clear
eye on our maximum employment and price stability goals.』
なおウィリアムズさんは「総合的に判断します」という説明にとどめていますね。
2022/01/17
お題「引き続きだいたい備忘メモで恐縮ですが円債はロイター記事で下げるわ米債は指標悪いのに下げるわ」
結局円債暴れなかったの木曜だけだったのかよ・・・・・・・・・
〇落ち着いたと思ったらロイター記事でまたまた下げとかもうね(円債メモ)
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 22年3月限
取引日 2022/01/14
立会区分 日中取引
始値 151.00(08:45)
高値 151.01(08:46)
安値 150.64(09:32)
現在値 150.80(15:02)
前日比 -0.26
取引高 42,745
寄って10分もしないうちに下がってその後更に下がって寄りから35銭も下げて上がって下がって前場引けが66銭なのでかなりの安値水準と来まして後場持ち直すものの引けにかけては垂れましたというチャート(後になると出なくなるので日中足を朗読してみました)ですかそうですかは良いのですが、急落して戻してというのをしたもんだからまた先物の出来高が4.2万枚とかどうなってるのこの相場。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2TU1NO
2022年1月14日3:25 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅反落で引け、長期金利0.145% 日銀政策巡り警戒感
『[東京 14日 ロイター] -
<15:12> 国債先物は大幅反落で引け、長期金利0.145% 日銀政策巡り警戒感
国債先物中心限月3月限は前営業日比26銭安の150円80銭と3営業日ぶりに大幅反落して取引を終えた。日銀の金融政策正常化を巡る思惑が市場の一部で出たことが材料となった。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の0.145%。
前日の夜間取引では先物が上昇、また米国市場でも国債利回りが低下(価格は上昇)したが、円債先物は朝から売り先行でスタート。序盤以降も下げ幅を拡大した。岡三証券の金利シニアストラテジスト、鈴木誠氏は「日銀の金融政策正常化を巡る思惑が市場の一部に出ており、相場が反応しているようだ」との見方を示した。』(上記URL先より、下記TRADEWEBも同様)
TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 -0.075 -0.07 0.01 14:43
5年 -0.025 -0.02 0.02 15:09
10年 0.141 0.146 0.021 15:09
20年 0.527 0.533 0.025 15:10
30年 0.715 0.721 0.016 15:12
40年 0.75 0.757 0.012 15:13
相変わらず横綱から20年が動きますなとか言いながらしれっと5年が人が見ぬ間に随分と水準訂正しておりますな。
ということで何か他人事のように記事にしているのですが、実際にはロイター記事の影響でして、しかも英文しかないという辺りに怪しさを感じるものの、とは言いましても某飛ばしのヒーさん(特定のベンダーの特定の記者を名指ししたものではなくあくまでも一般名詞として申し上げておりますので念のため申し添えます)ではないので何かバックグランドにあるのか、とか考えてしまいますが、書いた方の署名見たら普通にジャパンの方じゃないの。うーん。
URLがクソ長いのでハイパーリンクは途中の文字列までに引っ掛けておきます。
https://www.reuters.com/markets/currencies/exclusive-boj-debates-messaging-eventual-rate-hike-inflation-perks-up-2022-01-13/
January 14, 2022
4:22 PM GMT+9
Last Updated 3 days ago
Macro Matters
Exclusive: BOJ debates messaging on eventual rate hike as inflation perks up
By Leika Kihara
どう見てもジャパンの方にしか読めないお名前ではありますが。『Summary』ってのを見ると、
『・BOJ phasing out QE, next move would be to raise rates
・Rate hike hardly imminent with inflation below target
・But BOJ starting to drop hints of future end to zero rates
・Guidance allows BOJ to hike rates before inflation hits 2%』(上記URL先より、以下同様)
「利上げは直ぐの話しじゃないけど、そもそも2%の物価目標に行く前に政策金利の引き上げができるので、BOJとしては物価上昇を受けて利上げのヒントみたいなのを出すのはやぶさかでは無い模様」って感じですかそうですかそうですか。
『TOKYO, Jan 14 (Reuters) - Bank of Japan policymakers are debating how
soon they can start telegraphing an eventual interest rate hike, which
could come even before inflation hits the bank's 2% target, sources say,
emboldened by broadening price rises and a more hawkish Federal Reserve.』
ホンマカイナって感じではあるのですが、思いっきり仮にですけれども、黒ちゃん後の事まで考えると後任が全部後始末をするの地獄だから何ぼ何でも利上げの可能性についての仄めかし位はしておかないと、黒ちゃん退任後にまたジャガーチェンジしたという事になるのでそれはそれでマズイ、というような発想が日銀の中の人的にあったとしますじゃないですか(ちなみに黒ちゃんはそういうのを金輪際考え無さそうな人なので、考えるとすれば黒ちゃんでも置物一派でもない人ですな、あとはお察し)。
そうした場合、世界的にインフレ抑制で金融を抑制的までもっていくかは別にしても、緩和的な政策を停止するとか、それでもアカン場合は何かしまっせ何時までもあると思うなゴルディロックス、という折角のビックウェーブがあるので、そのビックウェーブがあるうちに何か着手しておきたい、ってなスケベ心が働くというのも分からんでも無いので、まあ何かそういう下心が何かの拍子に出たのか、そういう雰囲気を感じ取ったのか、はたまたただの飛ばしのヒーさん(あくまでも固有名詞ではなく一般名詞です)なのかはよくわかりませんが、まあそういう感じのお話ではありますな、うんうん。
しかしまあ何ですな、3月に利上げのような流れになっていて、こりゃ1月のFOMCで予告ホームランぶっかましてくるのかよという勢いになっているとは言え、今回のインフレがそう簡単に急落するという感じでもないし、大体からして0-0.25%の金利が1-1.25%になって金利要因だけで景気腰折れせんじゃろ(そもそもその程度で腰折れする程度の景気なら物価がこんなに上がらんし、何だかんだ言ったって2018年の時は物価は2%超えた訳でもなかったんですから、あれを参考にするのがイミフ)とは思う(個人の感想です)ので、別にFEDのファイティングポーズがそんなに簡単にコケるとはおもっておらんアタクシなので、何もこんなタイミングで痩せ馬の先走りをせんでもエエジャロと思うのですが。この手の話をするチャンスは今年の半ばとかだってあるだろうに何でこうなるんでしょうね。
『While an actual rate hike is hardly imminent and the BOJ is on course
to maintain ultra-loose policy at least for the rest of this year, financial
markets may be under-estimating its readiness to gradually phase out its
once-radical stimulus programme.』
アンダーエスティメイトもへったくれもそもそも日銀の「何が何でも2%」の理屈であれば、今のように「2%は当分無理」という見通しを出してノホホンとしている方がおかしいのに、一方でマイナス金利の弊害除去とか言いながら、だったらマイナス金利撤回しろよと思うのですが、それはしないで一部の日銀当預先に特別付利とかして、市場参加者のイコールフィッティングを阻害するというプレイをする、という弥縫策だけは知能の無駄遣いの如く次から次へと湧きだして来る、という状態な訳ですな。
あとですね、どうせやるなら福井の俊ちゃんの如く、量的緩和解除を実は視野に入れだす中で「景気判断引き上げているのに当座預金目標の引き上げという押し上げ介入」をするという位のインチキプレイをしてこそ日銀と思うのですが、そういうインチキプレイに出ないのか出れないのかは兎も角、まあ碌でもない事やってるという自覚があるから、押し上げ介入みたいな発想は起きなくて縮小の発想になるんでしょうな、ナムナムナム。
『Notably, the BOJ's carefully worded promises to keep monetary policy
accommodative apply only to steadily pumping cash into markets ? not to
keeping rates at current low levels.』
黒ちゃんの着ぐるみを誰かに着せないとそういう発言が出るとも思えないのですが、まあ間違って明日出たら爆笑の発作を起こすけれども黒ちゃんの体調不良を真っ先に疑います。
『"The BOJ never committed to keep rates on hold until inflation exceeds
2%," a source familiar with the BOJ's thinking said, a view echoed
by two more sources.
"That means theoretically, it can raise rates before inflation is sustainably above the target."』
でもってですな、この部分は確かに理屈としてその通りで、毎度おなじみ声明文ですが
12月声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k211217a.pdf
『6.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。』(この部分は直上URL先の2021年12月金融政策決定会合声明文より)
とありますように、「QQE+YCC」は続けると言っているが、その金利水準についてはコミットしていない(マイナス金利とはどこにも書いていない)のですな。まあ「金融緩和」って言ってるんだから中立金利よりも緩和的な水準に金利が設定されてないとおかしいのでそういう意味でのコミットはありますが、まあこの「a
source familiar with the BOJ's thinking said, a view echoed by two more
sources.」というのが何とでも取れる書き方(にしてるんでしょうけど)なのでアレですが、まあ確かに記事の指摘の通りで利上げ自体出来るにはできるんですよね。というかYCCって導入当初の説明では「均衡イールドカーブ(既に死語と化しているが)に対して緩和的な状態のイールドカーブを維持するのだが、その時に金利を下げ過ぎても副作用が大きくなるので、過度な金利低下は抑制する」という事になっておりましたので、状況の変化によって均衡イールドカーブがシフトアップしているという認識(ということにしておく、という意味であってそもそも均衡イールドカーブなどというのは中立金利以上に架空の概念であることは言うまでもありません)であれば、YCC政策における適正な金利水準も変化し得る、ということになりますので、まあ別に金利上がってもエエンチャウノ、という理屈は言えない訳ではありません、黒ちゃんが言うとは思えないけど。
しかしまあ何ですな、この声明文項番6ってフォワードガイダンスとオーバーシュート型コミットメントなのですが、ロイターちゃんのさっきの記事の後半には輪番での国債買入ペース減少の話がありまして、こちらもコロナオペで当預が無駄に増えた方ばっかり気にしていて輪番の国債ネタを追っかけるの止めてたの申し訳なかったのですが、記事の後半に『JOINING
THE LINE FOR THE EXITS』って小見出しがあって、
『The BOJ has already been phasing out quantitative easing (QE) by steadily
tapering asset purchases. The current pace of its bond buying is less than
one-fifth the level in 2016, when it shifted to a policy targeting interest
rates from the pace of money printing.』
『It is also slowing purchases of risky assets and will phase out a coronavirus
pandemic-relief loan scheme in March, a move that will reduce cash supply
to the economy.
The BOJ has been able to taper without shocking markets partly as the moves
came when stocks were rallying and the yen was weakening as a trend.』(以上2つ前のURL先のロイター記事に戻り引用)
とかあって、ご丁寧にグラフちゃんの方には別リンクもあって、
https://graphics.reuters.com/JAPAN-ECONOMY/BOJ/jnvwejbgzvw/index.html
BOJ has steadily ‘stealth’ tapered its JGB buying
Chart shows sharply slowing pace of BOJ's JGB buying
こちらはネットの買入がどうのこうのではなくて買入実額の話のようですが、まあオーバーシュート型コミットメントとの整合性がどうなのよという話もコロナオペの期落ちと共にツッコミどころが多いし、アタクシのように日銀ストーじゃなかったヲチャー(自称)を延々とやっておりますと、まあ屁理屈に関しては一応屁理屈のロジックは理解しながら悪態申しあげますが、そもそも「拡大方針に変わりはなくコロナ対応での急増急減はキニシナイ」という理屈が一般的な海外投資家に通じる訳もないのでありまして、その辺りも含めて何か今回の会合、凄まじくどうでもよい決定会合だった筈なのですが、無駄に注目を集めそうな感じになってしまいましたな、うんうん。
〇米国ェ・・・・・・・・・・・・・・・・・
クソワロタ。
https://jp.reuters.com/article/-idJPL4N2TU3YQ
2022年1月15日7:06 午前
米金融・債券市場=利回り上昇、指標低調でも利上げ路線変わらずとの見方
『[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米金融・債券市場では不安定な地合いの中、米債利回りが上昇した。低調な経済指標が発表されたが、米連邦準備理事会(FRB)の引き締め方針は変わらないとの見方を受けた。』(上記URL先より、以下同様)
おいこらつい先だってはCPIの数字がヘッドラインで前年同月比+7.0%なのを受けて金利が下がった癖に何で金曜になると「指標低調でも利上げ路線変わらずとの見方」になるんだよこのヘッポコマーケットはと小一時間問い詰めたい(^^)。
以下、ただの指標の数字ですが折角ロイターさんが並べてくれているので引用しておく。
『米商務省が14日発表した2021年12月の小売売上高(季節調整済み)は前月比1.9%減少した。11月の0.2%増からマイナスに転じ、10カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。』
『労働省が発表した21年12月の輸入物価は前月比0.2%下落と市場予想(0.3%上昇)に反して下落した。下落は8月以来。石油製品価格が値下がりした。[nL4N2TU3KS]』
『FRBが発表した21年12月の鉱工業生産指数は、製造業生産指数が市場予想(0.5%上昇)に反し前月比0.3%低下した。』
『 米ミシガン大学が発表した1月の消費者信頼感指数(速報値)は68.8と12月確報値の70.6から低下し、過去10年間で2番目の低水準となった。市場予想は70.0だった。』
と、並べておいて、
『経済指標が低調でもFRBの政策方針に対する期待はほとんど変わらず、米債利回りは上昇。リフィニティブによると、3月会合で少なくとも25ベーシスポイント(bp)の利上げが決定されるとの予想は90%に近づいている。』
とかアメリカの債券市場はんは中々おもしろい反応をされますなあ(はんなり)という所ではあるのですけれども、
30年債(指標銘柄) 17時05分 2.1271% 前営業日終値 2.0540%
10年債(指標銘柄) 17時05分 1.7930% 前営業日終値 1.7090%
5年債(指標銘柄) 17時05分 1.5594% 前営業日終値 1.4810%
2年債(指標銘柄) 17時05分 0.9689% 前営業日終値 0.8990%
概ねパラレルというか、2年もパラレルなんで気分的には中短期の上昇って感じがしますが、そらまあ連日この調子でぶっ放されたらねえ。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-daly-idJPKBN2JO24Y
2022年1月15日6:36 午前
コロナでインフレに、利上げ対応必要=サンフランシスコ連銀総裁
『[14日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は14日、新型コロナウイルスが過度な高インフレの主な要因であり、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを実施して需要を減らし、圧迫された供給と一致させる必要があると述べた。』(上記URL先より)
ちょwwwwwwwそれはちょっと飛ばし過ぎじゃないですかwwwwwwwwww
とは思うのですが、ラガルドはんまでこの有様
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-lagarde-idJPKBN2JO1UE
2022年1月15日3:01 午前
ECB、2%目標への物価鈍化に向けあらゆる措置講じる用意=総裁
『[フランクフルト 14日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は14日、ユーロ圏のインフレ率は年内に過去最高水準から低下するとした上で、ECBはインフレ率を2%目標まで低下させるために必要なあらゆる措置を講じる用意があると述べた。』(上記URL先より、以下同様)
ちょwwww低下させるあらゆる措置かよwwwwwwwwwwww
『講演で「物価安定に対するわれわれのコミットメントは依然として揺るぎない」と指摘。「ECBは中期的に2%のインフレ目標を達成するために必要なあらゆる措置を講じる」とした。また「われわれは、物価上昇が多くの人々にとって懸念であることを理解しており、その懸念を非常に真剣に受け止めている」と言及。「エネルギー価格の上昇は家計を圧迫し、消費意欲を減退させるほか、供給のボトルネックは製造業での品不足を招いている」とした。』
ということで、フランス大統領狙っているなどともいわれるラガルドはんなだけに、政治的な立ち回りはお上手でおじゃりますなあ(はんなり)という風情が漂う訳ですが、まあ政治的な空気の読み方についてはラガルドECBになってから一段と強烈になったなあという感じですよね。しばらく前にネタにしましたが、ちょっと目を離したすきにECBのサイトのトップに貼ってあるリコメンドものが全部インフレの解説になったりしてたのが昨年の11月だかその辺りでしたが、まあそういう事やぞという所です。
・・・・・・・・・などと書いてて思い出しましたが、そういえば「メイクアップストラテジーはワシが育てた」とか、2020年9月にFEDが出したロンガーランゴール&ストラテジーを受けて鼻息荒く自慢しまくっておりまして、見苦しいことこの上なかったのですが、「FRBは2020年に出したメイクアップストラテジーなどは前提条件が変わったと言って反故にしてしまったようですが、御行はメイクアップストラテジーは世界共通とか言って威張っていましたけど今でも同じお考えですか??」って誰か効いて味噌(^^)。
#ということでロイターがソースですばっかりになっておりまして恐縮ですが、リハビリ中(休み自体は5営業日連続ですから)ということでご勘弁ください(要人発言はちょっとずらっと読んでみます)
あと、休み中の市場ちゃんについても備忘メモ残してしらっと更新しているのでそれも↓に(そっちは日付順シークエンスになっています)
2022/01/13
お題「備忘メモの続きで12日の円債と昨晩の米国(CPIや要人発言ヘッドライン含め)メモ」
人の休みを翻弄する円債ェ・・・・・・・・・
〇12日の横綱今度は引け近くに上に値を飛ばして終了とな
例によってこれは翌日の朝8時過ぎとかになると前日の数値が消えてしまうので先回りメモ
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 22年3月限
取引日 2022/01/12
立会区分 日中取引
始値 150.87 (08:45)
高値 151.08 (14:57)
安値 150.86 (08:45)
現在値 151.05 (15:02)
前日比 +0.29
取引高 34,902
日中足ちゃんを見ると引け前15分だかそこらで急に先物が10銭近く値を飛ばして151円を回復して、殆ど寄り安値の引けピンに近い陽線を引くわ売買高は相変わらず3.5万枚近いわと、何ですか連日のこの相場はという風情でございますが。
ロイター様より
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2TS18H
2022年1月12日3:19 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は7日ぶり反発で引け、長期金利0.125% 米金利上昇一服で
『[東京 12日 ロイター] -
<15:07> 国債先物は7日ぶり反発で引け、長期金利0.125% 米金利上昇一服で
国債先物中心限月3月限は前営業日比29銭高の151円05銭と、米金利上昇の一服を受けて、7営業日ぶりに大幅反発して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.5bp低下の0.125%。』(上記URL先より、以下同様)
とあるのですが場況の話はあんまりなくて何とかスト後講釈コーナーになっているので引けの気配だけ。
TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 -0.089 -0.076 -0.002 15:02
5年 -0.05 -0.045 -0.016 15:02
10年 0.12 0.124 -0.025 14:59
20年 0.505 0.509 -0.021 15:01
30年 0.699 0.705 -0.014 15:00
40年 0.737 0.745 -0.014 15:06
下がる時そんなにサガランチ会長だった超長期の後ろ、割と確り上げについて行ってまして、うーんこのという感じですが、戻りの主体が横綱〜20年という辺りに年初来の暴れん坊将軍相場の背景お察しという感じなんでしょうかね、よくわからんですけど。
〇CPIが前年同月比+7.0%すが米国様そんなに金利が上がらんとな
こっちもメモ程度で勘弁ですけど(夏休み中は考察をするように頭がプログラミングされていないのですが、あまりにもネタが大杉勝男なのと海外逃亡とかそういうのをしてないからついうっかりメモを残しているだけなのでただのメモなのご勘弁)。
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2TS3PL
2022年1月13日7:08 午前
UPDATE 1-米金融・債券市場=長期債利回り低下、米CPI予想を超えて上昇せず
『[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米金融・債券市場では、昨年12月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を超えず、連邦準備理事会(FRB)の金融政策の見通しに変化がなかったことを受け、長期債利回りが低下した。』(上記URL先より、以下同様)
ほほう。
『10年債利回りはCPI統計発表直後は上昇したものの、その後は低下。2.1ベーシスポイント(bp)低下の1.725%となった。』
ほうほうほう。
『一段と積極的な利上げが実施されれば、長期的には経済成長が阻害されるとの見方から利回りは低下。』
ちょwwwwwwwまあこのネタは先の方で雑感します。
『ただ、財務省が実施した360億ドルの10年債入札が底堅かったことで、10年債利回りは下げ幅を縮小した。10年債入札は最高落札利回りが1.723%、応札倍率が2.51倍。財務省は13日に220億ドルの30年債入札を実施する。』
「財務省が実施した360億ドルの10年債入札が底堅かったことで、10年債利回りは下げ幅を縮小した。」って意味不明の説明になっているんですが、まあ何か色々と解釈に困る反応を市場ちゃんがしているんだろうなあというのは把握した。
で、肝心のCPI様ですが、
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-inflation-idJPL4N2TS345
2022年1月13日12:50 午前
UPDATE 1-米12月CPI前年比7.0%上昇、約39年ぶりの高い伸び 利上げ圧力高まる
午前1250と書かれると13日の日本時間の昼かと勘違いするのでロイターさんにおかれましては午前午後という書き方をするんなら0時台表記をして頂きたいものですな。それは兎も角。
『[ワシントン 12日 ロイター] - 米労働省が12日に発表した2021年12月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比7.0%上昇と、11月の6.8%上昇から加速し、1982年6月以来39年6カ月ぶりの高い伸びを記録した。連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向け3月にも利上げに着手するとの観測が一段と高まる可能性がある。』
『前月比では0.5%上昇。11月は0.8%上昇していた。ロイターがまとめたエコノミスト予想は前年同月比7.0%、前月比0.4%の上昇だった。』(直上のCPIニュースのURL先より、以下同様)
いや確かに事前の何とかスト予想通りだった、というのはわかるのですが、おめーCPIが前年比7%もあったら本当は年8回利上げ位したっておかしくない(勿論そうしないのは7%水準とかいうのはさすがに一時的という見立てだから)水準だし、そもそも米国10年国債利回りが現時点で3.0%とかいう位置ならともかく、1.8%だの1.7%だのという水準とCPIの7%の整合性考えろやという感じですが、FOMC議事要旨とその後のパウエル議会証言などで「3月から年4回利上げ&7月からランオフ開始」まで織り込んでしまってこれ以上織り込みようがないからという事で戻ったりしてる流れなんでしょうが、いやだからその織り込み済みだの材料出尽くしだのは分かるけど、フェアバリューという概念は無いのかと小一時間問い詰めたい所ではありますな。
ちなみに、コア指数の話の次にロイターさんの記事ではコンポーネントの説明もあるのでオモロイから引用しておく。
『変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比5.5%上昇。11月の4.9%上昇から加速し、1991年2月以来の大幅な伸びとなった。』
『前月比では0.6%上昇。11月は0.5%上昇していた。ロイターがまとめたエコノミスト予想は、前年同月比が5.4%、前月比が0.5%の上昇だった。』
コア(米国式)で前年同月比5.5%上昇とか中々厳しいでしょと思うし、これに食品エネを乗っけると+7.0%になっているということは、食品エネはコア以上の上昇率を叩きだしている訳で、そりゃ中間選挙控えて共和党はインフレ無策なうえにインフレ加速させるバイデン政権叩きまくりでしょうし、バイデンだってさすがにマズイ訳で、中間選挙前に金融引き締めは難しいとか言ってる場合じゃないでしょと思う次第(個人の感想です)。
以下コンポーネントだがここから何で前月比しか書いとらんのやと残念に思うのですがでも引用します。
『食品は前月比0.5%上昇。上昇率は過去数カ月と比べ鈍化した。ガソリンは0.5%低下。10月と11月は共に6.1%上昇していた。帰属家賃は3カ月連続で0.4%上昇。中古自動車・トラックは3.5%上昇。10月と11月は共に2.5%上昇していた。新車は1.0%上昇。世界的な半導体不足で自動車生産が制約を受ける中、9カ月連続で上昇した。家具類は1.1%、衣料品は1.7%、それぞれ上昇。医療保健費は0.3%上昇した。』
こりゃ中間選挙までにどないかせんと行かんわなと思うのですが、調子に乗って財政出し過ぎましたものを回収するのも難しいでしょうし、ここは色々とご意見あると思いますが、今回の米国様(や欧州もそうかなと思いますが)って金融緩和の下地がある中で供給ショックと財政拡張でインフレって、よく考えたら絵に描いたようなインフレの図なのであって、これ金融緩和縮小とかいう程度のムーブではインフレ抑制って訳にもいかんでしょと思う訳ですよ。
でまあ無学な個人の感想ですではあるのですが、ガチ引き締めというのは中立金利以上に金利を上げるという話であって、政策金利1%に上がったって緩和のままな訳で、政策金利を1年かけて1%まで上げたから景気に後から効いてきて腰折れ、という説も割と今でもよく聞く(というか上記ロイターの中でも何とかストとかでそういう説明する人は割と見られる)のですが、んなもん政策金利を4%5%に引き上げるとか言うなら兎も角、どっからどう見ても米国の経済の実力から見て政策金利が1%になったくらいで景気抑制効果出んじゃろとしか思えんので、政策の失敗が来るからとかそういう理由で長い所の後ろがフラットするというビューも何だかなあと思うのよね。まあ突っ込みどころとか異論とかたくさんあると思いますけど、アタクシ(頭が単純に出来ているので)割と単純にそう思っているのですが、何か頭のよろしい方ほどFEDの利上げで景気が先行き腰折れみたいな話をしたがるように思えます(個人の偏見です)。
・・・・・・・・でもってですね、まあ細かく見ている気力が無いのでメモだけにしてやる気スイッチが入ったら色々と確認していく(週明けにはMPMもありますし緩み切っている訳にもいかないですし)のですが、昨晩もロイターヘッドライン拾うと、
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-mester-bs-idJPKBN2JM1SY
2022年1月13日2:45 午前
FRBは早期のバランスシート縮小を=クリーブランド連銀総裁
『[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は12日、米経済が好調な今、連邦準備理事会(FRB)当局者は金融市場を混乱させることなく可能な限り早期に保有債券を減少させるべきと述べた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのオンラインインタビューで「金融市場を混乱させないという条件で可能な限り早期の(バランスシートの)縮小を望む」と指摘。「前回よりも迅速に実施できる可能性は十分にある」とした。』(上記URL先より)
メスター総裁は基本的にタカなのでまあこれは言うでしょうと思いますし、
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bullard-idJPKBN2JM22Q
2022年1月13日5:58 午前
米セントルイス連銀総裁、年内4回の利上げを想定=報道
『[12日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は12日、今年は4回の利上げが実施される可能性があると述べ、自身の利上げペースの予想を修正した。ブラード総裁は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに対し「2022年は4回の利上げが実施されるべきと今は考えている」と述べた。』(上記URL先より)
変態仮面も自分の利上げシナリオを更に前倒ししないと行けなくなるというこの展開の早さよ、という感じですが、まあこのおじさんも変態仮面なのでこの位言うのは不審者に番犬が吠える位の織り込み済み事案。
・・・・・・・というのはさておき、
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2TS3RH?il=0
インフレ制御が米FRBの「最重要責務」=ブレイナード理事
2022年1月13日7:18 午前
『[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は、約40年ぶり高水準に上昇しているインフレ率を目標の2%まで下げることがFRBの「最も重要な責務」との認識を示した。13日に行われるブレイナード氏のFRB副議長昇格を検討する上院公聴会での証言原稿を、FRBが12日公表した。』
『ブレイナード氏は「過去50年間のいかなる回復局面の中で最も力強い成長回復と失業率低下が起きている」と指摘。「しかしインフレ率が高過ぎる。全国の勤労者は給料がどの程度上がるのか気をもんでいる。われわれの金融政策は、皆が恩恵を受ける景気回復を持続しつつ、インフレ率を2%に引き下げることに注力している。これがわれわれの最も重要な責務だ」とした。』(上記URL先より)
ということで、まあ暫く前に幣駄文では指摘しておりましたが、ブレイナード理事って昨年の途中からインフレ抑制ダイジダイジネーとさすがは風を読むのが上手いという転向を示しておりますが、今回のテキストのトーンがどの程度かはまだ読んでないので何なのですが、まあこういうのがバンバン出て来るのって、先般のFOMC議事要旨も含めて、「長い所の金利が上がらんのはケシカラン」と言ってるのに等しいのですが、市場ちゃんはそれに対して鈍感なのか喧嘩を売ってるのか知らんですが、まあCPI前年同月比+7%なのに長期債利回り下がるとか素敵な反応を示していて、このギャップがどのように埋まっていくのか、というのが1-3月期の見ものかな、と思っております(と他人事のように言っている場合ではない気がするのだがキニシナイ)。
でまあブレイナードさんのこういうのが出るたびにしつこく申し上げるのですが、「ブレイナードはハト派だから次期議長になったら債券買い」みたいなの昨年の12月ですらそのネタで瞬間金利低下とかしてた事があるのですけれども、この「タカ派ハト派分類」というのも話のネタとしては使いやすいのですが、ウォッチするなら「この人は何を重視して政策判断しているのか」を前提にしないと、単純なタカハト分類で考えて「タカ転した」とか「ハト転した」みたいな3面記事みたいな講釈だけしても意味がないと思うのですが、じゃあブレイナードさんって何ですねんと考えるに、まあ「政治的な空気を読む人」だったりした訳ですな、うんうん。
てね余談は兎も角として、まあこの水準でイールドカーブフラットされるとFEDとしては不愉快なのは再度確認が取れました、という感じではないでしょうか(個人の感想です)。
以上、とりとめもない備忘メモで恐縮至極でございます。
2022/01/11
お題「人が夏休みに入ろうとか休んだとかいう隙に相場動くんじゃねえよというメモである(俺様備忘メモ)」
#ちなみに11日の相場について書いてあるので朝のメモではありません(夜陰に紛れてひっそりとメモを残すの巻)。
中の人は夏休み中なのでコロナ前なら海外逃亡して金融市場がどうしたこうしたなどというのはCNBCテレビかブルームバーグテレビ(が放映されている宿にいる場合に限る)しか見れなくて、そうなるとUSTは分かるけど円債なんぞはシランガナ精神になるのですけど・・・・・・・・・・・・
〇人の夏休みを狙ったように10年15bpェ・・・・・・・・・・(円債備忘メモ)
週明けの円債ちゃんおいこら人の夏休み中に何ちゅうことをしてくれるねん。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2TR0YD
2022年1月11日3:18 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は6日続落で引け、長期金利は10カ月ぶり0.150%に上昇
『[東京 11日 ロイター] -
<15:10> 国債先物は6日続落で引け、長期金利は10カ月ぶり0.150%に上昇
国債先物中心限月3月限は前営業日比21銭安の150円76銭と6日続落して取引を終えた。押し目買いが入りプラス圏に浮上する場面もあったが、後場に入り軟化した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の0.150%と前年3月5日以来の高水準を付けた。』(上記URL先より、以下同様)
おいこらちょっと待て人が夏休みとか言ってる間に金曜の引け際にぶっ飛ばして下げて週明けも前場は引け強だったのに後場に入ったらまたぶっ飛ばしやがったのかよwww
『12月米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったが、労働参加率が伸び悩む中で失業率が低下し、賃金の伸びも高かった。みずほ証券のチーフ債券ストラテジスト、丹治倫敦氏は、労働状況がひっ迫する中でインフレが続くという市場の金利上昇シナリオをサポートする内容だったと指摘する。米10年債利回りは10日の海外市場で1.808%と約2年ぶりの高水準を付けた。11日のアジア時間では1.76%台まで戻してきているが、円債は先物が6日続落するなど先物主導の金利上昇傾向が続いている。』
ということで、別に輪番封鎖された訳でも無いのですが、先物ちゃんを見ると後場寄り直後から下げがぶっ放された感じのようでして、何かよーわからんけど色々凄いですな。
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
取引日 2022/01/11
立会区分 日中取引
始値 150.95(08:45)
高値 151.04(10:33)
安値 150.71(14:57)
現在値 150.76(15:02)
前日比 -0.21
取引高 38,184
前場は先物ちゃん98銭で引けてたのですが、後場寄り直後にぶっ放して80銭近辺まで下げやがるとかそんな展開のようで、ギャップダウンじゃなくて寄り後下がっているのが芸が細かいですのう。
ロイターさん提供のトレードウェブ気配ですが、
TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 -0.079 -0.074 0.006 14:53
5年 -0.035 -0.029 0.017 15:07
10年 0.145 0.15 0.026 15:07
20年 0.525 0.53 0.015 15:09
30年 0.713 0.718 0.007 15:08
40年 0.752 0.76 0.003 15:09
ということで金利が上がると絶対水準バイヤーのおられる30年40年はさほど金利上がらんで横綱から10年弱くて何気に20年も後ろ対比ではイマイチで、20年も勿論金利が上がれば絶対水準バイヤーさん登場するんでしょうけど(個人の感想です)、ちょっと50bpだと絶対水準の人が出て来る水準に届いておらんということですかそうですか。何ちゅうかよーやるわではあるのですが、そもそも金曜の引け際にぶっ飛ばされたのもアレでございましてですね、
金曜の債券市場ちゃん
https://jp.reuters.com/article/TOKYO-DBT--idJPL4N2TN0V3
2022年1月7日3:20 午後
訂正-〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落で引け、長期金利は21年3月以来の0.130%に上昇
『<15:10> 国債先物は続落で引け、長期金利は21年3月以来の0.130%に上昇
国債先物中心限月3月限は前営業日比15銭安の150円97銭と5日続落(訂正)して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は同1.5bp上昇の0.130%と前年3月11日以来の高水準を付けた。一方、30年債入札は順調で、超長期債には押し目買いが入った。きょうの30年債入札は、応札倍率は上昇し、テール(落札価格の平均と最低の開き)が縮小するなど順調だった。5日の10年債に続き入札を順調にこなしたが、金利上昇懸念がくすぶる中、買いは超長期債に限られ、円債相場全体の方向性は乏しかった。』(上記URL先より、以下同様)
ということでですな、30年入札は堅調でほほうとか思ってたら引け際一気に先物のお値段が下に20銭くらいぶっ飛ばされてしまって、この間に別にニュースヘッドラインがあった訳でもなく、横綱単独の下げなのか、それとも30年堅調なのに20年がヘロってたからそっちのせいなのかはよくわからんですが、引け際5分くらいでそれまで151円15銭〜20銭くらいでウダウダしていた先物ちゃん急落しやがり引けでも飛ばされるとか中々の畜生展開になっていまして、確かに雇用統計跨ぎの3連休を控えていたとは言え何でそこで急に下げますねんという相場でしたが、何かこうよくわからんうちに10年10bpって抜けるときは一気にぶち抜けてまた真空地帯みたいになりますな、とは思いました(個人の感想です)。
金曜日の引けの気配ちゃんは
TRADEWEB
OFFER BID 前日比 時間
2年 -0.084 -0.079 0.001 15:10
5年 -0.049 -0.045 0.005 15:05
10年 0.125 0.129 0.012 15:03
20年 0.515 0.519 0.014 15:12
30年 0.705 0.71 0 15:11
40年 0.749 0.756 -0.005 15:07
と入札強かった30年は引けで20年は10年並みにアカン奴ということで何となく察したのではあるのですが、いやー何ちゅう相場をしてくれますねんという所ですな。
〇まあそもそも雇用統計からこの方のUSTちゃんが1.8%とか抜かしてやがる訳で(これまた備忘メモ)
月曜日の米国債券市場ちゃん
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2TQ3KP
2022年1月11日7:13 午前
UPDATE 1-米金融・債券市場=10年債利回り約2年ぶり高水準、米利上げ観測高まる
『[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米金融・債券市場では、米連邦準備理事会(FRB)が3月にも利上げに着手するとの観測が広まる中、10年債利回りが約2年ぶりの水準に上昇した。』(上記URL先より、以下同様)
そらまああのやる気満々の議事要旨見せて雇用統計でもお賃金の方が堅調と来るとそうなるのか、という感じですが。
『労働省が7日に発表した昨年12月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と、市場予想の40万人増を下回った。ただ、失業率は22カ月ぶりの低水準となる3.9%と、前月の4.2%から改善し、労働市場が引き締まっていることが示された。[nL4N2TN2RT]』
というかお賃金の上昇が効いたんとチャウの?まあいいけど。
『こうした中、ゴールドマン・サックスのエコノミストは、FRBは今年4回利上げし、早ければ7月にバランスシートの縮小に着手すると予想。これまでは利上げは3月、6月、9月の3回と予想していたが、今回、12月を追加し計4回とした。』
まあそうですよね。でもってあの議事要旨見るとランオフもやる気満々に見える訳でございますし、1月のFOMCでどの位の予告ホームランをぶっ放してくるのかは中々盛り上がって参りましたという感じなのですが、3月利上げ予告ホームランをぶちかますのか、それとも利上げ予告ホームランはしないにしても、逆にランオフを予想以上の早期に着手するのも可能とぶっ放すか。
でですね、先週議事要旨出た時にも最初にネタにした例の「正常化の議論」の中で、思いっきり「イールドカーブのフラットニングを牽制」ってのがあった次第ですから、利上げぼこーんというよりはランオフ早期に実施の話をした方がイールドカーブが立ちやすいと見ればそういうコミュニケーションをしてくるかもしれず、まあその辺読みにくいのですが、
『FRBの金融政策を巡っては、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁がこの日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、3月にも利上げできると発言。』
バーキンはタカ派なのでまあこの位はぶっ放すでしょう。
『これに先立つ7日、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、「FRBが政策金利を緩やかなペースで調整し、前回のサイクルよりも早期にバランスシートの縮小に踏み出すほうがいいと考える」と述べていた。』
7日もデーリーさん発言したか、という感じですが、まあこの辺りの言ってることをアタクシの脳内で総合すると、やっぱり「インフレトマランチ会長で後から強烈馬鹿利上げをすることになってしまうのは回避したいから、利上げとランオフを使いたいし、長い所の金利が上がってくれないと資産効果でアメリカンドリームからくる家計の消費圧力が旺盛なまま推移してしまう(そもそもサブプライムショックの前って住宅価格上昇でホームエクイティが増大したからそれを担保にローン借りてアメリカンドリームな消費をしてしまうという家計のレバレッジ行動が事態を深刻にした訳ですから、今回は家計のレバレッジは低いと言っても家計のウェルス拡大でヒャッハーなのは同じなんですよねー)ので、利上げする話からの30年金利低下とかされたらムカツク、というのがFOMCの議事要旨でお察しな訳で(個人の感想です)、まあコミュニケーションどう取るのか難しいですが、FEDちゃんとしては長い所のイールドカーブが寝ないように工夫してくるんでしょ、と思いますがどうでしょうかねえ(個人の感想です)。
『終盤の取引で10年債利回りは0.9ベーシスポイント(bp)上昇の1.778%。一時は1.808%と、2020年1月21日以来の高水準を付けた。10年債利回りは7営業日連続で上昇。18年4月(8営業日連続)以来の長さとなる。また、先週1週間の上昇は週間の上昇として19年9月以来最大だった。30年債利回りは0.3bp低下の2.113%。』
『2年債利回りは2.8bp上昇の0.898%。一時は0.91%と、20年3月3日以来の高水準を付けた。
』
ということでこちらも引けの気配があるので引用しておきます。(債券価格は割愛します)
30年債(指標銘柄) 17時05分 2.0875% 前営業日終値 2.1160%
10年債(指標銘柄) 17時05分 1.7550% 前営業日終値 1.7690%
5年債(指標銘柄) 17時05分 1.5153% 前営業日終値 1.5050%
2年債(指標銘柄) 17時05分 0.8984% 前営業日終値 0.8700%
取引終盤で持ち直しているので、結果的には前日比2年5年金利上昇で10年30年は金利低下という図になっていて、月曜だけ見てイールドカーブがどうのこうの申し上げてもシャーナイナイではありますし、その前後ろ弱かったりしていましたのでアレなのですが、ただまあFED的には後ろの方が絶対水準的にロンガーランよりも低い所でフラットしようとしたがるのは引き続きご機嫌的には宜しくないんちゃうのとは思いました(個人の偏見です)。
#ということなので、結局これはFED要人発言をちゃんとフォローせんとアカンやん、ということになるのでした。うーんこの。
2022/01/07
お題「地区連銀総裁発言備忘メモ/円債・・・・・/FOMC議事要旨/夏休みのお知らせ」
突如のように連日円債が動くとかそら東京が積雪するわと思いました(違)。
〇ちょwww円債wwwwwww
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2TM0TN
2022年1月6日3:24 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落で引け、長期金利は9か月ぶり0.115%に上昇
『<15:10> 国債先物は続落で引け、長期金利は9か月ぶり0.115%に上昇
国債先物中心限月3月限は前営業日比30銭安の151円12銭と続落して取引を終えた。新型コロナウイルス感染拡大への警戒感は限定的で、米金利上昇の流れが波及した。新発10年国債利回り(長期金利)は同2.0bp上昇の0.115%と、前年4月6日以来の高水準を付けた。』(上記URL先より、以下同様)
前日は10年新発で銘柄代わるから0.1の100円近辺で入札やって、やっぱり100円はニーズあるよねとか言ってるうちに引けにかけてまたズッコケ気味に推移したと思っていたら、米国様の1.7%パワーによっていきなり下で寄るわ途中持ち直し掛けたと思ったら引けにかけて下がって先物華麗に安値引けするわでナンノコッチャでございました。
しかし先週(年末)先物がこのままだとずっと4ケタ枚の出来かよと悪態をついたのが見事なフラグになってフラグ建築士としては誠に頭がクラクラする所ではあります。昨日とか3万枚超えですがな日中売買高だけでも。
『タカ派的な12月14─15日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が米金利上昇のきっかけだが、市場では「想定範囲を大きく超える内容ではなかった」(三井住友銀行のチーフ・マーケット・エコノミスト、森谷亨氏)との声も多い。』
そうかいな、と思いながら以下の後講釈を拝読する。
『議事要旨は「経済や労働市場、インフレへのそれぞれの見通しを踏まえ、参加者は総じて、従来予想よりも早期、もしくは速いペースでの利上げが正当化される可能性がある」という認識を示したが、3月に開始するかどうかの明確な指摘はなかった。』
1月に利上げするなら明示的(=予告ホームラン的アカラサマ的)な指摘する意味があるけど、3月の利上げ云々を12月会合の議事要旨公表の時点で「明確に示す」メリットねえだろ誰だよこんな与太ロイターに吹き込んでるの。
『QT(量的引き締め)についても、「一部の参加者(Some Partichipants)」は、利上げ開始後比較的早期に、バランスシートの規模縮小の開始が適切な可能性があると指摘したとある。「Some」は4人程度とみられており、多数派にはなっていない。』
あの出オチみたいなコーナー設けている時点で少なくとも「私たちFOMCとしては量的緩和縮小に関してもやる気満々なんだからいつまでも資産買入ヒャッハーゴルディロックス相場やってるんじゃねえよ馬鹿野郎、ああそれからお前らイールドカーブの後ろこんな水準でフラットニングさせてんじゃねえよこのスットコドッコイ」という声がアタクシには物凄い勢いで聞こえたのでありますが(個人の幻聴である可能性がありますので念のため申し添えます)、誰だよこんな与太を以下同文。
あと、昨日も書いたけど、7兆ドルもあるバランスシートが多少ランオフされたからって物凄いQE状態であることは変わらんのであって、タイトニングじゃねえんだよという事で、アタクシはQTというのは使いたくなくて基本ランオフとしか言わない、というのをちょうど(量的引き締め)というのを見て思いました。(そもそもインターバンクで量的引き締めをしたら決済が飛ぶぞな、という話なのですが、量的引き締めときつめ調節は別モンなのだが、そもそもそれを理解している人が短期村と円債村くらいにしかいないしうっかりすると円債村でも知らん人いそうですからね)。
#貸出枠規制とか総量規制のようなものが「量的引き締め」だと思うんだが
という雑談はともかく昨日の円債ちゃんの引けは、と思っていつものロイターさんのを引用しようと思ったら15時の数字が出ていないので記事中の文章を引用します。
『現物市場で新発債利回りは上昇。2年債は前日比0.5bp上昇のマイナス0.085%、5年債は同1.5bp上昇のマイナス0.055%。20年債は同2.0bp上昇の0.505%、30年債は同1.5bp上昇の0.710%、40年債は同1.0bp上昇の0.760%。』
10年の0.10%で平和に横這い推移というものをしないで一々上に下にと抜けてしまう真空地帯を形成するのかは何でなんじゃろ。
〇ブラード総裁とデーリー総裁の発言があったようだが細かく見てる時間が無いのでメモだけ
・ブラード総裁は講演のタイトルからしてノリノリである
安定の変態仮面クオリティである。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bullard-idJPL4N2TM36N?il=0
2022年1月7日5:09 午前
FRB、3月利上げの可能性=セントルイス連銀総裁
『ワシントン 6日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は6日、米連邦準備理事会(FRB)は早ければ3月に利上げする可能性があるとしたほか、必要に応じてインフレに対して一段と積極的な措置を講じる「良い状況」にあると述べた。』
『セントルイスのCFAソサエティーでの講演で「バランスシートの縮小や利上げ、その後の利上げペースやタイミングの調整などインフレ抑制に向けた追加措置を必要に応じて講じることができる状況にある」と指摘。最初の利上げは「早ければ3月の会合で」決定される可能性があるとし、「その後の2022年中の利上げはインフレ動向次第で前倒しにも後ろ倒しにもなり得る」と語った。』
『その上で、FRBは最初の利上げを実施した後、間を置かずバランスシートの縮小を開始すべきとの認識を示した。』(以上上記URL先より引用)
案の定セントルイス連銀謹製のFOMCスピーク見たら早速リンクがされていましたが(^^)、こんなお題で講演をした模様。
https://www.stlouisfed.org/from-the-president/speeches-and-presentations/2022/initial-response-to-inflation-shock-of-2021
The Initial Response to the Inflation Shock of 2021
January 6, 2022
講演の概要はこちら
https://www.stlouisfed.org/news-releases/2022/01/06/bullard-discusses-initial-response-inflation-shock
St. Louis Fed’s Bullard Discusses “The Initial Response to the Inflation Shock of 2021”
January 06, 2022
プレゼン紙芝居はこちら
https://www.stlouisfed.org/-/media/project/frbstl/stlouisfed/files/pdfs/bullard/remarks/2022/jan/bullard-cfa-society-st-louis-06-jan-2022.pdf
URLがクソ長くてこのままの文字列にハイパーリンク貼ると画面が乱れてしまうと思うので、上記3つのURLへのハイパーリンクは途中の文字列までに掛けておきます(ちゃんと飛びますハズです)
内容は全然見てない(あとで見る)がノリノリなのは分かった。
・SF連銀デーリー総裁
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-daly-idJPKBN2JG1OR?il=0
2022年1月7日5:09 午前
FRB、年内利上げすべき 「慎重さ」は必要=SF連銀総裁
『[6日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は6日、米労働市場は「非常に堅調」であるほか、高インフレは「抑圧的な税」として貧困層を中心に負担をかけるため、米連邦準備理事会(FRB)は年内に利上げすべきと述べた。』
『ただ、雇用者数は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前に比べ数百万人少ないため、FRBはデータに基づく「慎重な」アプローチをとるべきとした。』(上記URL先より、以下同様)
という話なのですが、一方で
『一方で、FRBは2020年3月以降、政策金利をゼロ近辺に据え置いており、このような低金利環境下ではわずかな利上げで経済を抑制することはないと言及。バランスシートの縮小は利上げ後でなければできないため、「全く異なる話」だとした。』
という話をしていて、これは講演内容読まないとイマイチ要領を得ない記事に仕上がっておられるなという所なのですが、今しがたざっとSF連銀のサイト(https://www.frbsf.org/)見たんですがそれらしい物件はアップされていないようで(あったら教えてくらはい)残念無念。
〇FOMC議事要旨ネタの続きである
PDF
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20211215.pdf
HTML
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20211215.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
December 14-15, 2021
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
of the Federal Reserve System was held by videoconference on Tuesday, December
14, 2021, at 9:00 a.m. and continued on Wednesday, December 15, 2021, at
9:00 a.m.1
引用はHTMLの方から行っています。
でもってですね、今回は『Participants' Views on Current Economic Conditions
and the Economic Outlook』の労働市場の辺り(6パラ目)からを真面目に読むのを推奨するのですけれども、例によって他のネタを書いてたら時間がやや怪しくてそこから始めると絶対最後まで行かない自信があるので、パラグラフ逆順読みではなく、コーナーごとにケツの方から見ていくという変則逆順読みをします。ちなみに今回の構成は6パラ以降で言いますと、6−7が労働市場、8−9がインフレおよびインフレ期待、10が経済先行きリスク要因で、11−14が金融政策の議論になります。
では第11〜14パラ参ります。
・物価目標と雇用目標の達成度合いですが既に達成しているとする参加者がやっぱりいるのね
『In their consideration of the stance of monetary policy, participants
reaffirmed the Federal Reserve's commitment to using its full range of
tools to support the U.S. economy during this challenging time, thereby
promoting the Committee's statutory goals of maximum employment and price
stability.』
ここはただの祝詞なのでどうでもよい。
『Participants discussed the progress the economy had made toward the criteria
the Committee had specified in its forward guidance for the federal funds
rate. Participants agreed that the Committee's criteria of inflation rising
to 2 percent and moderately exceeding 2 percent for some time had been
more than met.』
既に声明文にもありましたが、物価目標は「目標到達どころかそれ以上」という認識ですな。
『All participants remarked that inflation had continued to run notably
above 2 percent, reflecting supply and demand imbalances related to the
pandemic and the reopening of the economy.』
ただ、ここで芸が細かいのはわざわざ「パンデミックと経済の急速な再開に関連して起きている需給バランスの崩れによってこの状況が発生していると全員が確認した」とか言ってて、もしかしてこの後盛大なズッコケ三銃士になった時に逃げが打てるようにしている点でこれは感心した。
『With respect to the maximum-employment criterion, participants noted
that the labor market had been making rapid progress as measured by a variety
of indicators, including solid job gains reported in recent months, a substantial
further decline in a range of unemployment rates to levels well below those
prevailing a year ago, and a labor force participation rate that had recently
edged up.』
労働市場の目標到達云々に関しての話になります。いろんな指標は物凄い勢いで改善しておりますと。
『Many participants judged that, if the current pace of improvement continued,
labor markets would fast approach maximum employment.』
今のペースで改善が続けはそらもう早くに最大雇用マンデートに行きますわと多くの参加者が判断。
『Several participants remarked that they viewed labor market conditions
as already largely consistent with maximum employment.』
そして数名Severalの参加者は「既に最大雇用マンデートに概ね達していると見ている」だそうです。これはもう「やる気満々です」と言ってるようなもんですな。
・利上げやる気満々節にしか読めないのですが(個人の感想です)
第12パラ。
『In support of the Committee's goals of maximum employment and inflation
at the rate of 2 percent over the longer run, participants judged that
it would be appropriate for the Committee to keep the target range for
the federal funds rate at 0 to 1/4 percent until labor market conditions
had reached levels consistent with the Committee's assessments of maximum
employment,』
はいつもの金利フォワードガイダンス文言ですが、ここピリオドではなくカンマでして、その文章の続きには・・・・・・・
『a condition most participants judged could be met relatively soon if
the recent pace of labor market improvements continued.』
今の調子で改善すればcould be met relatively soonと殆どmostの参加者は判断と。
『A few participants remarked that maximum employment consistent with price
stability evolves over time and that further improvements in labor markets
were likely over subsequent years as the economy continued to expand.』
数名A fewの参加者は物価安定の下での最大雇用が当面の間続き、経済が拡大する中で労働市場は更に今後数年間にわたって改善すると見込んでいるとな。
『Some participants also remarked that there could be circumstances in
which it would be appropriate for the Committee to raise the target range
for the federal funds rate before maximum employment had been fully achieved-for
example, if the Committee judged that its employment and price-stability
goals were not complementary in light of economic developments and that
inflation pressures and inflation expectations were moving materially and
persistently higher in a way that could impede the attainment of the Committee's
longer-run goals.』
数名Someの参加者は最大雇用に到達する前の利上げ判断ありうべしという話をしてて、その条件としては物価上昇の状況及び物価上昇圧力があばばばばーであり、物価目標と雇用目標のコンフリクトが生じそうな場合において、今回の場合は物価が上放れしてインフレ期待のアンカーが外れるのは経済に良くない、という認識があるので、そういう時は最大雇用の達成を待たずして利上げもあり、という話なんですが、それって先日ネタシリーズにしたパウエル会見でも似たような質疑ありましたわな、うんうん。
・ということでテーパリング倍プッシュをすることになりましたと
第13パラ。
『In light of elevated inflation pressures and the strengthening labor
market, participants judged that the increase in policy accommodation provided
by the ongoing pace of net asset purchases was no longer necessary.』
という上記文脈の判断(もちろんその前の部分で経済情勢労働市場情勢物価情勢の話がもうちょっと書いてありますが今日はインスタント読みなので飛ばしておる)を受けまして、今のペースのテーパリングでのthe
increase in policy accommodationは最早必要ありません!と来ましてテーパリング倍プッシュの決定になる訳ですが。
『They remarked that a quicker conclusion of net asset purchases would
better position the Committee to set policy to address the full range of
plausible economic outcomes.』
このto address the full range of plausible economic outcomes.ってのがぶぶ漬け話法で、利上げしますよランオフしますよ、という話にしか見えてこないのはアタクシの個人の偏見です(^^)。
『Participants judged that it would be appropriate to double the pace of
the ongoing reduction in net asset purchases. Such a change would result
in reducing the monthly pace of net purchases of Treasury securities by
$20 billion and of agency MBS by $10 billion starting in January. Participants
also expected that economic conditions would evolve in a manner such that
similar reductions in the pace of net asset purchases would be appropriate
each subsequent month, resulting in an end to net asset purchases in mid-March,
a few months sooner than participants had anticipated at the November FOMC
meeting.』
ここは倍プッシュしますよという内容なので既知のお話。
『In addition, participants remarked that the Committee should continue
to be prepared to adjust the pace of purchases if warranted by changes
in the economic outlook.』
ここもいつもの祝詞みたいなもんです。まあ3月FOMCって一応テーパリング終了後(直後も直後だけど)になりますので、そこで利上げぶっこむことは可能なので、1月FOMCで更に倍プッシュとかする必要も無いとは思うのですが、やったら爆笑の発作を起こさせて頂きます。
・結局金融政策運営のコーナーでは「おうちょっと急ぐな」的な意見の記述が無いというお洒落な議事要旨
第14パラグラフ。
『Participants continued to stress that maintaining flexibility to implement
appropriate policy adjustments on the basis of risk-management considerations
should be a guiding principle in conducting policy in the current highly
uncertain environment.』
突如何でこんなフレキシビリティとか言い出すの?と思ったら・・・・・・・
『Participants generally noted that, given their individual outlooks for
the economy, the labor market, and inflation, it may become warranted to
increase the federal funds rate sooner or at a faster pace than participants
had earlier anticipated.』
参加者は概ね、利上げのタイミングが以前考えていたより早くなったとノートしたというからSEPのドットが前倒しの話しかね。
『Some participants also noted that it could be appropriate to begin to
reduce the size of the Federal Reserve's balance sheet relatively soon
after beginning to raise the federal funds rate.』
出たなバランスシート縮小ネタ。利上げの後とっとと着手しろというのが数名Some。
『Some participants judged that a less accommodative future stance of policy
would likely be warranted and that the Committee should convey a strong
commitment to address elevated inflation pressures.』
数名Someの参加者は将来に向けて緩和的スタンスをより縮小することが正当化されるし、それはFOMCが引きあがっているインフレ圧力に対処する強いコミットメントを示すものだと指摘。
『These participants noted, however, that a measured approach to tightening
policy would help enable the Committee to assess incoming data and be in
position to react to the full range of plausible economic outcomes.』
これらの参加者は今後のデータとか経済状況に対処できるようにするためにメジャードアプローチで引き締め(緩和縮小)をするのがよろしいと指摘した。というので締めてて、急がなくてよい的な意見を碌すっぽ掲載しない議事要旨ってのも中々シャレオツですな、と思いました。
本日はこの辺で勘弁でありまして後はお題の最後にあります夏休みのお知らせでしゅ。
〇中の人の夏休みのお知らせ
お題の最後にありますように、アタクシ夏休みというものをまだ取っておりませんでしたので、1月展望レポート前の駆け込みで来週お休みと致しますが、ご案内の世情ではジャパン国内に引き籠らざるを得ませんのが誠に遺憾の極みという感じですな。20年度に引き続きのこの状況という感じですが、今年度こそは休みを後ろに引っ張れば良い事がある、どころか尾身クロンェ・・・・・・・・・・・
んな訳で来週火曜から金曜の更新はお休みの予定です(まあ余程面白そうなのがあったら何か急に書くかもしれませんけど休み明けに全部その間のをトップに貼っておきますです、はい)。
2022/01/06
お題「FOMC議事要旨:順当にランオフやる気満々議事要旨を見せてきたという理解でよろしゅおすかね(その1)」
いつもの寝起き企画だが余計な(余計では無いが)特設コーナーまでありやがるもんだからインスタント読みだけでは時間が足りないじゃあーりませんか(プンスカ)。
という訳で10年入札が0.1の100円近くジャンとかそういう話は知らないことにして寝起きFOMC議事要旨の方を時間の都合いく所まで参ります。
PDF
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20211215.pdf
HTML
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20211215.htm
Minutes of the Federal Open Market Committee
December 14-15, 2021
A joint meeting of the Federal Open Market Committee and the Board of Governors
of the Federal Reserve System was held by videoconference on Tuesday, December
14, 2021, at 9:00 a.m. and continued on Wednesday, December 15, 2021, at
9:00 a.m.1
相変わらずビデオ会議でやってるのね。
〇思いっきり「ポリシーノーマライゼーション」のコーナーで絶賛アピールとな
最初にスタッフから金融市場(主に短期市場と外国為替市場)動向と連銀の実施したオペレーションに対する批准があって、その次のコーナーは何もないと経済物価情勢のスタッフ報告になるのですが、その間に『Discussion
of Policy Normalization Considerations』という小見出しの盛大な釣り針が!
ということで釣られてみるクマーなのですけれどもこれが少々長いのでいつものインスタントコーナーまで行きつけるかどうかが不安である(^^)。
・そもそも正常化の是非は問題ではなく「どのように正常化やるか」が問題であると印象付ける出オチ攻撃
このコーナーの第1パラグラフ。
『Participants began a discussion of a range of topics associated with
the eventual normalization of the stance of monetary policy.』
もはや緩和の追加とかそういう話は1オングストロームも存在せず、まだテーパーを加速しましょうという状況なのに正常化の話になっとるという進軍ラッパが冒頭から高らかに鳴り響くのでありました。
『The topics included the lessons learned from the Committee's previous
experience with policy normalization, alternative approaches for removing
policy accommodation, the timing and sequencing of policy normalization
actions, and the appropriate size and composition of the Federal Reserve's
balance sheet in the longer run.』
並べられているお題が既に正常化が適切かどうかというような話ではなく、正常化をする前提で過去の経験も踏まえ、どのようなタイミング、どのような順序で正常化(=政策金利の引き上げと共にバランスシートサイズの正常化の話もあるのですよね、アタクシ最近出てききたQTって言葉あんまり好きじゃなくて、ランオフの方がしっくりくるんですが、それはさておき)するのでしょうか、という話。あとはロンガーランで見た時のFEDの適切なバランスシートは如何に?って話ですね。
『They agreed that their discussion at this meeting would be helpful background
for the Committee's future decisions regarding policy normalization. No
decisions regarding the Committee's approach were made at the meeting.』
今回は何も結論はありませんでしたが、このような議論を行う事は今後の政策決定におけるバックグラウンド形成にヘルプフルである、としていますのでまあ普通にやる気満々ということですな。
・イールドカーブ形成への影響という論点があるのが面白い
2パラ目に進む
『The participants' discussion was preceded by staff presentations. The
staff reviewed the previous normalization episode, including how the Committee
commenced normalization by raising the target range for the federal funds
rate and then reducing the Federal Reserve's asset holdings in a gradual
and predictable manner, as well as the timing of these steps.』
まずはスタッフからの報告で過去の正常化プロセスで何をどうしたら市場のどういう所に反応したか、というような振り返りの話しなんですが、
『The staff then discussed some of the channels through which policy rate
and balance sheet actions affect financial conditions and alternative ways
these tools could be deployed to reduce policy accommodation in support
of the Committee's macroeconomic goals.』
というのはさて置き次がまたしれっと市場にメッセージキタコレの部分である。とアタクシが思った部分である。
『The staff presentation included assessments of the implications for the
yield curve of alternative settings of the two tools, the relative uncertainty
of the effects of each tool, and the challenges associated with conducting
and communicating policy with multiple tools.』
ここでしれっとイールドカーブの話がありまして、 この後の参加者による議論パートで思いっきりイールドカーブのフラットニングが望ましくないような議論がぶっこまれておりましたのが味わいがあります。
一方で12月FOMCの後って利上げ最終局面でも無いのにいきなりイールドカーブの長い所が強くなったりしてたりしましたが、まあアレって「FOMCは利上げを急いで失敗すると市場は見ています」としか解釈できない(まあ実際問題としては低能アルゴと背水の陣の鉄砲バクチ状態の人たちがタコ踊りした結果だとは思いますがそれはさておき)結果が出た訳ですが、今回のFOMC議事要旨によって、あのムーブがFOMCの怒りに触れた、というお告げを頂きましたという解釈をしましたが(個人の偏った意見ですので念のため申し添えます^^)、これは中々のコーナー(後でも出てきます)。
『Finally, the staff reviewed the experience of foreign central banks with policy normalization.』
ということで次に行きます。ここから先が参加者の議論パートです。
・基本は利上げだが・・・・・・・・・
3パラ目である。
『Participants judged that several aspects of the previous approach remained
applicable in the current environment. In particular, they noted that the
principles and plans underlying policy normalization were communicated
in advance of any decisions or actions, which enhanced the public's understanding
and thus the effectiveness of monetary policy during that period.』
過去の正常化アプローチと同様に使える原則があります、というからどの手段なのかと思えば「事前にアナウンスします」という話なので何ちゅうかまあそらそうですねとは思いますが、お前ら9月からここに来るまでに事前のアナウンスしてるのかよというとなんか毎度毎度豪快に重機を持ち出してゴリゴリゴリと地均ししているだけのような気がしますがまあ本人たちの認識は上記の通りだそうです。
『At the same time, participants remarked that the previous experience
highlighted the benefits of maintaining the flexibility to adjust the details
of the approach to normalization in response to economic and financial
developments.』
事前に先の方まで決め打ちしないで状況に応じてフレキシブルに変更できることも大事、という話で、ここの話一つ一つはその通りなのですが、そもそもフレキシブルに行うのと事前に周知するという時点で矛盾が発生していますがな、とは思いますよね。
『Participants generally emphasized that, as in the previous normalization
episode and as expressed in the Committee's Statement on Longer-Run Goals
and Monetary Policy Strategy, changes in the target range for the federal
funds rate should be the Committee's primary means for adjusting the stance
of monetary policy in support of its maximum-employment and price-stability
objectives. This preference reflected the view that there is less uncertainty
about the effects of changes in the federal funds rate on the economy than
about the effects of changes in the Federal Reserve's balance sheet. Moreover,
participants stated that the federal funds rate is a more familiar tool
to the general public and therefore is advantageous for communication purposes.』
正常化ツールのメインはFF金利の正常化(引き上げ)ですよ、という話。理由は利上げの方がバランスシート政策よりも効果が確実であり、そもそも世の中的にも利上げの方が分かりやすいので正常化というコミュニケーションに適しています。
『A few participants also noted that when the federal funds rate is away
from the effective lower bound (ELB), the Committee could more nimbly change
interest rate policy than balance sheet policy in response to economic
conditions.』
数名(A few)の参加者はFF金利がゼロ金利制約から離れた状態まで来れば、利上げペースよりもバランスシートの縮小ペースを早くすることが可能になる、と(これは前回の正常化プロセスですな)指摘。
・バランスシート縮小に関する論点だがその前提の認識の時点で減らす気満々なのが伝わる内容
でもって4パラ目。
『Participants also discussed some key differences between current economic
conditions and those that prevailed during the previous episode and remarked
that the Committee would have to take these differences into account in
removing policy accommodation.』
来ました!「前回の正常化局面との違いを考えましょう」のコーナー。
『Most notably, participants remarked that the current economic outlook
was much stronger, with higher inflation and a tighter labor market than
at the beginning of the previous normalization episode.』
のっけからぶっこんでいますが、前回の正常化開始局面と比較して景気の見通しは物凄く強いわ、インフレーションはより高いわ労働市場はよりタイトだわ、ともう正常化やらんでどうする位の勢いで認識が概ね一致しているようで順当だがこれまた進軍ラッパモード。
『They also observed that the Federal Reserve's balance sheet was much
larger, both in dollar terms and relative to nominal gross domestic product
(GDP), than it was at the end of the third large-scale asset purchase program
in late 2014.』
おまけにバランスシートの規模は2014年後半のQE3終了時点よりも金額ベース、名目GDP対比のどちらで見てもmuch
largerである、とこれまた正常化やる気満々モード。とは言え・・・・・・・・
『Participants noted that the current weighted average maturity of the
Federal Reserve's Treasury holdings was shorter than at the beginning of
the previous normalization episode.』
『Some observed that, as a result, depending on the size of any caps put
on the pace of runoff, the balance sheet could potentially shrink faster
than last time if the Committee followed its previous approach in phasing
out the reinvestment of maturing Treasury securities and principal payments
on agency MBS.』
今回は保有米国債の平均残存が短いので、バランスシートの正常化自体は再投資を止めれば前回よりも速いペースで縮小することでしょう。だそうな。
『However, several participants raised concerns about vulnerabilities in
the Treasury market and how those vulnerabilities could affect the appropriate
pace of balance sheet normalization. A couple of participants noted that
the SRF could help to mitigate such concerns. 』
最初の指摘は償還再投資止めた場合のUST市場への悪影響、みたいな事なのかなと思いましたが、別にそこは大丈夫何でネーノと思ったのだが、SRFが悪影響を緩和するとかあるから、現物債の流動性の問題の話をしてるのかな、イマイチよくわからんかった(汗)。
『Participants also judged the Federal Reserve to be better positioned
for normalization than in the past, as the ample-reserves framework and
the Federal Reserve's current interest rate control tools, including interest
on reserve balances and the overnight reverse repurchase agreement (ON
RRP) facility, are in place and working well.』
『Some participants judged that a significant amount of balance sheet shrinkage
could be appropriate over the normalization process, especially in light
of abundant liquidity in money markets and elevated usage of the ON RRP
facility.』
バランスシート縮小時にどっかでいきなり閾値に到達して、リザーブ不足で短期市場金利が跳ねるリスクがあるのですが、その場合に各種ファシリティがあるから何とかなるっしょ、という指摘ですな。
・ランオフ開始は当然ながら前回みたいに延々と引っ張る訳はありません
5パラ目になります(長い)。
『Participants had an initial discussion about the appropriate conditions
and timing for starting balance sheet runoff relative to raising the federal
funds rate from the ELB.』
バランスシートのランオフについての適切な条件とタイミングについて議論しましたってキタコレにも程があるw
『They also discussed how this relative timing might differ from the previous
experience, in which balance sheet runoff commenced almost two years after
policy rate liftoff when the normalization of the federal funds rate was
judged to be well under way.』
前回はランオフ開始まで結構引っ張りましたが今回はと言いますと・・・・・・・・・
『Almost all participants agreed that it would likely be appropriate to
initiate balance sheet runoff at some point after the first increase in
the target range for the federal funds rate.』
「at some point after the first increase in the target range for the federal
funds rate」とはどのようなタイムスパンなのかと小一時間問い詰めたいが、少なくとも長く引っ張ってからランオフする前回のアプローチとはチャイマッセというのは把握した。
『However, participants judged that the appropriate timing of balance sheet
runoff would likely be closer to that of policy rate liftoff than in the
Committee's previous experience.』
と思ったら「前回よりはより早く」とは書いてある。そらそうでしょうよだって・・・・・・
『They noted that current conditions included a stronger economic outlook,
higher inflation, and a larger balance sheet and thus could warrant a potentially
faster pace of policy rate normalization.』
前回と比較した状況が全然強いって前のパラでそういう話してたんだから。
『They emphasized that the decision to initiate runoff would be data dependent.』
最後のデータディペンデントはちょっと苦笑しました。
・イールドカーブ云々の話
6パラ目にさっきのイールドカーブ云々が来る。
『Some participants commented that removing policy accommodation by relying
more on balance sheet reduction and less on increases in the policy rate
could help limit yield curve flattening during policy normalization.』
バランスシートの縮小と利上げを併用して利上げ少な目にしながらやっていくとイールドカーブのフラットニングが回避できますよ、というオモシロ指摘が数名から。
『A few of these participants raised concerns that a relatively flat yield
curve could adversely affect interest margins for some financial intermediaries,
which may raise financial stability risks. However, a couple of other participants
referenced staff analysis and previous experience in noting that many factors
can affect longer-dated yields, making it difficult to judge how a different
policy mix would affect the shape of the yield curve.』
唐突にここにぶっこまれているのが何とも味わいがあります。
・結論としては「前回よりもランオフ着手は早いタイミングだよ」ということで
7パラ目はここまでのまとめですな。
『Many participants judged that the appropriate pace of balance sheet runoff
would likely be faster than it was during the previous normalization episode.
Many participants also judged that monthly caps on the runoff of securities
could help ensure that the pace of runoff would be measured and predictable,
particularly given the shorter weighted average maturity of the Federal
Reserve's Treasury security holdings.』
小見出しの通りである。
・ロンガーランのバランスシートの話
8パラ目は以降ロンガーランのバランスシートの話でちょっと先の論点である。
『Participants discussed considerations regarding the longer-run size of
the balance sheet consistent with the efficient and effective implementation
of monetary policy in an ample-reserves regime.』
まあここは流しましょう。(時間が足りなくなるから^^)ここは適正サイズの話。
『Participants noted that the current size of the balance sheet is elevated
and would likely remain so for some time after the process of normalizing
the balance sheet was under way. Several participants noted that the level
of reserves that would ultimately be needed to implement monetary policy
effectively is uncertain, because the underlying demand for reserves by
banks is time varying. In light of this uncertainty and the Committee's
previous experience, a couple of participants expressed a preference to
allow for a substantial buffer level of reserves to support interest rate
control.』
『Participants noted that it would be important to carefully monitor developments
in money markets as the level of reserves fell to help inform the Committee's
eventual assessment of the appropriate level for the balance sheet in the
longer run. Some participants expressed the view that the SRF would help
ensure interest rate control as the size of the balance sheet approached
its longer-run level; several participants noted that the SRF could facilitate
a faster runoff of the balance sheet than might otherwise be the case;
several participants raised the possibility that the establishment of the
SRF could reduce the demand for reserves in the longer run, suggesting
that the longer-run balance sheet could be smaller than otherwise.』
SRFを活用するともっと速い縮小しても大丈夫的な話があるのだがこの辺の論点はもうちょっとアタクシも勉強が必要なので保留しますね。
9パラ目は組み合わせについて。
『Participants also discussed the composition of the Federal Reserve's
asset holdings. Consistent with the previous normalization principles,
some participants expressed a preference for the Federal Reserve's asset
holdings to consist primarily of Treasury securities in the longer run.』
『To achieve such a composition, some participants favored reinvesting
principal from agency MBS into Treasury securities relatively soon or letting
agency MBS run off the balance sheet faster than Treasury securities.』
基本的にオールトレジャリーにするというのは一致で、MBSをより急いでランオフするかどうかという意見で一部違いがありますよという話。
最後10パラ目です。
『Participants welcomed additional analysis from the staff on issues related
to normalization and agreed that continuing their deliberations at upcoming
meetings would be useful.』
ということで、まあ「やる」のは思いっきり確定で、あとはどうするかだけの話ですよ〜と案の定の如くメッセージをぶっこんでいますが、これは(ちょうどたまたま)昨日ネタにしたFOMCパウエル会見のQAでも「議論はしたよ」って説明しているので、まあこういうのが出てくるのは順当だったという事でございますが、市場ちゃんがどういう反応をしたのかはチラ見しかしてない(汗)。
という所で時間が無くなったので、いつものパートの読みについては明日でご勘弁賜りたく候。
2021/01/05
お題「カシュカリも12月に2回利上げに転向済みとな/FOMC会見ネタ(その4)」
ドラギのおっちゃんキタコレ
https://jp.reuters.com/article/italy-politics-idJPKBN2JE1KH
2022年1月5日3:38 午前
イタリア議会、大統領選出投票を24日実施 ドラギ首相が転身意欲
おっちゃんの生き生きとしたインチキ臭いスマイルでついうっかりしてしまうのだが実は(74)なんですね。
〇カシュカリ大僧正も2回利上げ論とな(実は12月FOMCで2回利上げのプロットしてたそうな)
サムネが大僧正のご尊顔になっていない、やりなおし。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-kashkari-idJPKBN2JE1GL?il=0
2022年1月5日2:38 午前
米ミネアポリス連銀総裁、利上げ見通し前倒し 今年2回と予想
『[4日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は4日、米連邦準備理事会(FRB)が2022年に2回の利上げを実施する必要があるという見通しを示した。』(上記URL先より、以下同様)
・・・・となっていますが、後の方で説明しますけど、いきなり年始早々に転向したのではなくて、大僧正のご法話によりますと、12月FOMCのドットプロットで「2022年は2回利上げが適切」とプロットしたそうです。
『カシュカリ総裁は「インフレが想定以上に上昇し、持続的となっているため、利上げ見通しを22年に前倒しした」と説明した。これまでは、少なくとも24年まで金利をゼロ近辺に維持する必要があるという認識を示していた。』
大僧正ご尊顔
https://www.minneapolisfed.org/people/neel-kashkari
今回の大僧正のご法話
https://www.minneapolisfed.org/article/2022/two-opposing-risks
Two Opposing Risks
January 4, 2022
AUTHOR
author photo not available
Neel Kashkari
President and Chief Executive Officer
でもって詳しく読んでいると今晩のFOMCミニッツ前にFOMC会見ネタを終わらせるという自分に課したノルマが達成できなくなるのでこれはこれで1月FOMC前までには成敗しようかと思うのですが、法話のお題にもなっている「二つの相反するリスク」と「フォワードガイダンスについて」の話がオモロイので引用してみます。
『Two Opposing Risks: Likelihood and Costs』って小見出し(最後の方)から。
『I believe the FOMC faces two opposing risks:
1) transitory high inflation leads to an increase in long-term inflation
expectations, which then leads to sustained high inflation,
and 2) once the COVID-19 shock finally passes, the economy returns to the
low-growth, low-inflation regime it operated in for the 20 years prior
to the pandemic.
Which outcome is more likely? What is the evidence so far of either?』
ということで(改行のみ改変しました)上下のリスクに関する考察がありましてですね、
・インフレ期待が上に抜けてしまうリスクって要するに適合的期待形成で中期的な賃金コミットなどに注目と
1.The case for un-anchoring of inflation expectations. って小見出しから。
『As noted above, short- and medium-term inflation expectations have increased
and appear to be meaningfully higher than our target, but there is little
evidence that long-term inflation expectations have climbed.』
ショートタームは兎も角ミディアムタームのインフレ期待もアバッブターゲットっていう時点でヤバみしかありませんが、ロングタームのインフレ期待が上ぶれているエビデンスは見られない(キリッ)だそうです。まあそう言っておかないと緩和解除どころか引き締めしないといけなくなりますからシャーナイのは分かるが。
『A key question is: What is the mechanism by which a temporary boost of
inflation, even for a few years, leads to a long-term increase of expectations?』
日銀の理屈によればこのような時には適合的な期待が働いてしまうみたいですがさて・・・・・・
『There is tremendous uncertainty about this mechanism, but one area on
which I have become focused is long-term wage agreements.』
長期的なお賃金への合意にフォーカスするそうな。ほっほー面白い。
『In my discussions with large global companies, one noted a meaningful
increase in the long-term wage increases it is negotiating with its unionized
workforce. This company reported that prior to the pandemic, it would typically
sign three- to five-year contracts at a 3 percent annual wage increase.』
(;∀;)イイカイシャダナー
『Now it reports signing three- to five-year contracts at 7 to 10 percent
annual wage increases. That is a stark example of how even transitory high
inflation could lead to a sustained increase in inflation. Such feedback
on labor agreements led me to look at other recent union contracts, and
the return of cost of living adjustments (COLAs) appears noteworthy.』
ということですが、まあこの話って別の方向で突き詰めると、悪名高きジャパンの終身雇用と年功序列って制度に関しては長期にわたる雇用報酬の上昇をコミットするものなので、実はインフレ期待の形成には非常に宜しい、という結論を引っ張り出せそうなのが終身雇用と年功序列と言われて就職したのに以下自粛なアタクシの体感的なサムシングに通じたり通じなかったり。
『The next chart shows that the inclusion of COLAs in union contracts appears
to be tightly linked to the inflationary environment.』
チャートは貼れません(貼るスキルが無いだけ)のですが、物価の上昇率に遅行して労働組合サイドからの賃上げ要求も高まるみたいなことなんでしょうな。まあつまり適合的期待じゃんという所ですが。
『In the 1970s, most private sector union workers were covered by COLAs.
By the 1990s, that percentage had fallen by two-thirds as both union power
declined and as inflation (and inflation volatility) came down so such
protection was less of a priority for workers.』
いずこも同じですが労働組合の弱体化によって賃金のインフレスライドが起きにくくなってきたと。
『Thus, it was notable that the recent John Deere contract reintroduced
a COLA after having dropped it in 2015. While such labor developments may
be good for workers, they could signal that short-term pressures are in
fact leading to more sustained changes in costs that ultimately must be
passed on to consumers via higher prices. 』
『I would also note, in contrast, that some labor union representatives
indicated they were not seeing a marked difference in wage rates or other
terms compared to prior to the pandemic.』
とまあそんな訳で、物価上昇⇒賃金引き上げ圧力の定着によるインフレ期待上振れリスクという話でした。
・やっぱりデフレーショナルになるリスクは自然利子率が上がらん構造問題に変化がないんじゃネーノという指摘
2.The case for returning to a low-inflation world post-COVID-19. って小見出しから。
『The FOMC’s recent framework review was motivated by falling neutral
real interest rates, continuous and prolonged undershooting of our inflation
target, and concerns about recurrent trips to the zero lower bound. The
persistent, global, low neutral-rate environment that virtually all advanced-economy
central banks have struggled with was driven by demographics, trade, and
technology factors. 』
『It is unlikely that these underlying forces have gone away. In at least
one case, demographics, the trends have only gotten worse, with less immigration
into the United States as a result of the pandemic. Once the COVID-19 shock
is past us, why won’t the U.S. economy return to this prior regime?』
そもそも昨年ロンガーランゴール&ストラテジー作った時のベースに「グローバルに自然利子率が低下してきている」というのがあった訳だが、その構造要因に変化があったのか?というと例えば米国の高齢化問題について考えて見ると、パンデミックの影響で移民の流入が減少しており、状況は過去のトレンド以上の勢いで悪化している、というようなように、実は低い自然利子率をもたらす構造的要因は変わっていないのではないでしょうか?という確かに仰せ御尤もなお話。
『Indeed, markets have not bought into the story that we are entering a
new, higher neutral-rate environment. It is notable that long-term nominal
rates are still very low, with the 10-year Treasury rate at about 1.6 percent,
despite surprisingly high inflation and the FOMC first starting, and then
accelerating, its taper of quantitative easing.』
FEDがテーパリング開始して、更にそれを加速させるとか言い出しているのに依然として市場の長い金利が10年で1.6%(とか書いているうちにもうちょっと上がっているようですが)とかいうような低水準なのも自然利子率の趨勢的な低下を市場が見ているからですよね。
・・・・・・と2つのリスクについての説明をしたうえで、これらのリスクが顕在化した場合どうなるか、という話しですが。
『What is the cost of these outcomes occurring?』
『1.If we end up in a higher-inflation regime, then the FOMC will likely
have to react more aggressively to re-anchor inflation expectations at
2 percent. The cost of that policy mistake will be borne by workers and
families, first by them having to pay higher prices and having their real
wages eroded, and then by the job losses from the recession that could
follow. This is a very painful outcome that I certainly want to avoid.』
より高いインフレーションなレジームになってしまった場合には、景気を叩き潰す勢いで急速な引き締めが必要になり、それは「This
is a very painful outcome that I certainly want to avoid.」だそうな。
『2.However, if we overreact to the near-term high inflation readings
without realizing we were destined to end up back in the low-rate and low-inflation
regime we had been in for 20 years, the recovery will have been needlessly
slowed and we may have kept millions of Americans on the sidelines. These
costs will also be borne by Main Street.』
実は自然利子率の低下などの要因に変化が無いのにも関わらず、高インフレレジーム入りを避けるために目先のインフレに過剰に反応することによって、また元の木阿弥になってしまうと、それはまたも長期停滞ということになってしまいますので、「These
costs will also be borne by Main Street.」ですよと。
・フォワードガイダンスにそもそも最大雇用目標をリンクすべきでは無かったというご見解
『Pulling It All Together』ってのが次の小見出しにあって、その話はその話で色々とおもろい様に見える(寝起きチラ見なのであんまり精読していない)のですが、フォワードガイダンスについて面白い話をしているのでそこをご紹介します。
『I would also note that in September of 2020 I dissented against the FOMC’s
new forward guidance, because it requires the FOMC to make an independent
assessment about the level of maximum employment,which proved difficult
to do accurately in the last expansion.』
昨年9月のフォワードガイダンスに大僧正は反対したのですが、その理由として「物価目標の達成と雇用目標の達成をそれぞれ独立して判断しないと行けないガイダンス政策はアカン」というのがあったそうで。
『I preferred a simpler forward guidance that allowed core inflation to
guide us as to when we had reached maximum employment. Specifically, I
wanted to commit to keeping the federal funds rate at the effective lower
bound until 12-month core PCE had exceeded 2 percent for 12 months.』
コアPCE指数が前年同月比で+2%超えを12か月続けるまでは実質ゼロ金利政策を継続する、という形のシンプルなガイダンスを推奨しておりましたと。
『Once that condition had been met, we would know we were at maximum employment
and we then would have the option of lifting off. With the high inflation
readings over the past year, the test that I preferred will likely be met
when the April 2022 data are released the following month (note it is a
threshold for lifting off, not an immediate trigger). 』
『My recent SEP submission of two increases in 2022 is consistent with
this threshold being met with the April data.』
以下もうちょっと説明があるのですが割愛しますけど、「最大雇用」というのは数値化しにくいものであるからして、物価のスレッショルドを少し強めに置き、その時点に至れば最大雇用に近いと判断できる、ということではないでしょうか、ただしガイダンスはスレッショルドではあってもトリガーでは無いので、12か月続いたから即利上げという話ではないよ、というご説明ですな。
でもってそれに則って考えると、2022年の4月の数字が出てくると上記条件が満たされますので、そこから考えていくと2022年に2回利上げが適切である、と判断してSEPではそのようなドットプロットを行いました、という説明になっていまして、まあなるほどねーという感じでした。
〇大僧正の法話にうっかり釣られてFOMC会見ネタェ・・・・・・・・・(その4)
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20211215.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
December 15, 2021
・ド直球で「お前らビハインド・ザ・カーブなんじゃないの?」とぶっこむ記者現る
今朝見たらFINAL版になっていて、なんかちとページ数が変わっている(30⇒31)なので、一部抜けでもあったのかなと思いますが、25ページの頭になります。
『NANCY MARSHALL-GENZER. Chair Powell. Hi, Chair Powell, thanks for the
question. Going back to inflation, is the Fed “behind the curve” on getting
inflation under control?』
これは火の玉ストレートw
『CHAIR POWELL. So I would say this. I actually think we are well positioned
to deal with, with what’s coming, with the range of plausible outcomes
that can come. I do. And I think if you look at how we got here, I do think
we’ve, we’ve been adapting to the incoming data, really all the way along,
and, you know, noticing and calling out that, that the-both the effects
and the persistence of inflation of bottlenecks and labor shortages and
things like that. 』
『So we’ve been calling out the fact that those were becoming longer,
and more persistent, and larger. And now we’re in a position where we’re
ending our taper within the next-well, by March, in two meetings, and we’ll
be in a position to raise interest rates as and when we think it’s appropriate.』
ダラダラと説明しているのだがデータ見ながらフォワードルッキングにやっておりまっせと言いたいようだし、テーパリング加速したのは利上げが必要ならば出来る体制を前倒しにしてフォワードルッキングに対処できるようにする、って話をしているので、これもまたやる気満々発言に見えますな。
『And we will, if that-to the extent that’s appropriate. At the same time,
we’re going to be seeing a few more months of data. I don’t actually
think we’re out of position now. I think this was an important move for
us to make. I think that the data that we got toward the end of the fall
was a-was a really strong signal that inflation is more persistent and
higher-and that the risk of it remaining higher for longer has grown. And
I think we’re reacting to that now. And we’ll continue to adapt our policy.
So I wouldn’t look at it that we’re “behind the curve.” I would look
at it that we’re actually in position now to take the steps that we’ll
need to take, you know,in a thoughtful manner to address all of the issues,
including that of, of too-high inflation.』
ああだこうだゆうてますが、現状我々はビハインドしている訳ではない(キリッ)って言ってますな。まあそうだったらテーパリング出し渋り(9月に見送り)した後にテーパーだしたと思ったら翌月にいきなり倍速にするとかいうのは何なんでしょと思うのだが、そこは「フォワードルッキングに対応している(キリッ)」とでも言ってごまかすんでしょうね。
・バランスシートのランオフに関する質疑
『EVAN RYSER. Hi, Chair Powell. Thank you. I was wondering if we should
still be seeing the taper and interest rate hikes as separate. And, secondly,
in the last cycle, the Fed started shrinking the balance sheet when short-term
interest rates were about 1 to 1-1/4 percent range. Do you think the FOMC
might be able to potentially start running off assets before that this
time?』
前半の質問は「テーパーと利上げ分離論はどうなった」という質問ですが、そっちは飛ばしまして、後半のランオフに関して「前回はFFが1.00-1.25%になってからランオフ開始しましたが今回はどうよ?」という質問ですのでそっちを引用しましょう。(よって途中を飛ばします)
『CHAIR POWELL. So, you know, with the balance sheet, we did have a balance
sheet discussion, sort of a prelim-a first, first discussion of balance
sheet issues today, [balance] sheet issues, at our meeting this week. We’ll
have another at the next meeting and another at the meeting after that
I suspect. These are interesting issues to discuss. [We] didn’t make any
decisions today. 』
もちろん決定は何もしてないけど議論はしているようでして、
『We looked back at what happened in the last cycle, and people thought
that was interesting and informative. And-but to one degree or another,
people noted that this is just a different situation, and those differences
should inform the decisions we make about the balance sheet this time.
』
『So [we] haven’t made any decisions at all about, about when runoff would
start, but we’re-we’ll be continuing to-you know, in relation to when
either liftoff happens or the end of the taper. But those are exactly the
decisions we’ll be turning to in coming meetings.』
ということで、前回のサイクルとは状況が違います、という説明をしながら、ランオフはテーパー終わってからの話しですが、それはそれとして今後のFOMCでも議論します、って言ってるんですから、これは隙あらばランオフも着手しましょうという感じだとアタクシは感じましたが、まあそれはアタクシの願望込みの個人の感想ですって奴ですので念のため申し添えます。
#うーんまあ何とか間に合ったか。では今晩はミニッツですなー
2022/01/04
お題「年末最後に謎の大商い下げをした円債ちゃんメモ/ホルツマンさんの発言メモ/FOMC会見ネタ(その3)」
本年もよろしくお願い申し上げます。しかしまあ年末に「5営業日連続で先物4桁枚かよ!」と言ったのがまたフラグを立てるとは相変わらずのフラグ建築士振りですが、今年も相場様に対してはフラグ建築(アカン)、中銀に関しては20年来(もっとですが)のストーカーによります私家版ヲチを性懲りもなく続ける所存でありまする(平伏)。
あと、1/2とかいう中途半端なタイミングでFOMCパウエル会見ネタを一件ぶっこんでみましたので、本日の駄文の下にそれを掲載しておきます(順序から言ったら1/2が先ですが、見にきた方に1/2の日付をお見せするのも何ですのでw)。
〇またフラグ建築をしてしまった訳ですが(12/30円債市場俺様備忘メモ)
先週末というか年末はナンジャソラでしたな。
https://jp.reuters.com/article/tokyo-dbt-idJPL4N2TF0X0
2021年12月30日3:38 午後
〔マーケットアイ〕金利:国債先物は大幅下落で引け、長期金利1カ月ぶり0.070%に上昇
『 <15:10> 国債先物は大幅下落で引け、長期金利1カ月ぶり0.070%に上昇
国債先物中心限月3月限は前営業日比26銭安の151円59銭と大幅下落して取引を終えた。新発10年国債利回り(長期金利)は、週明けに10年債入札を控えていることが意識され、同1.5bp上昇の0.070%と1カ月ぶりの高水準となった。』(上記URL先より、以下同様)
ということでしたが、
『きょうの円債先物は、前日の米国市場で新型コロナウイルスのオミクロン変異株への警戒感の後退を受けて10年国債利回り(長期金利)が1.558%と1カ月ぶり水準に上昇した債券安地合いを引き継ぎ、寄り付きから終日、軟調な展開となった。』
『現物市場では10年物以外の新発国債も利回りが総じて上昇。2年債は前営業日比0.5bp上昇のマイナス0.095%、5年債も同0.5bp上昇のマイナス0.080%、20年債は同1.0bp上昇の0.475%、30年債も同1.0bp上昇の0.690%、40年債は同0.5bp上昇の0.740%だった。』
んな訳でアタクシの手元の帳面ベースで年末値比較をしますと、各年限の利回り(ただし単利)ちゃんですけど。
2年:▲0.125%→▲0.095%
5年:▲0.110%→▲0.080%
7年:▲0.085%→▲0.055%
10年:+0.020%→+0.070%
20年:+0.395%→+0.475%
30年:+0.645%→+0.690%
40年:+0.690%→+0.745%
ちなみに
日経:27444.17→28791.71
トピ:1804.68→1992.33
ドル円29日NY引け:103.58→114.95
うーんこのという感じですが、日々そんなに派手な動きをしていなかった印象の強い円相場が結局何のかんの言って一番YonYの変動率高いじゃんというのはふーんという事で。
しかしまあ何ですな、木曜日の債券先物ちゃんですが、
https://port.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/popchart&QCODE=601.555
長期国債先物(夜間除く) 22年3月限
取引日 2021/12/30
立会区分 日中取引
始値 151.76 (08:45)
高値 151.76 (08:45)
安値 151.59 (14:21)
現在値 151.59 (15:02)
前日比 -0.26
取引高 21,946
ということで前週金曜から4ケタ枚が続いていたのに突如何か変なもんでも食ったのかというか、お前らそんなに居たのかよという位に先物売買ピーポーが現れて1万どころか2万枚も売買するわ思いっきり上下坊主の陰線引くわ(17銭幅の上下が坊主の陰線ってよく考えたら大した事でも無いのですが、近年の相場様があまりにも動かんからエライ動いた気がしまして思わず大陰線とか書きそうになりましたわw)という事ですが、いや確かに米金利上がったかも知れんけど、1月5日に10年国債入札があるから警戒で下がったとかお前その日程当日聞いたわけもないのに何を祐天寺という感じではありますが、まあ何だか良く分からん下げで年末気分も吹き飛ぶ謎の下げではありました。まあゆうて10年プラスの一桁ベーシスのレンジと言われるとぐうの音も出ませんが。
〇海外中銀メモだがこのオッサンは物凄いタカ派ななので追い風参考記録(オーストリー中銀ホルツマン発言メモ)
メモだけ。単にアタクシ的にイイハナシダナーだからクリップ。
https://jp.reuters.com/article/austria-cenbank-inflation-idJPKBN2J90LJ
2021年12月30日8:03 午後
ECB、来年はマイナス金利是正が焦点=オーストリア中銀総裁
タイムスタンプにあるように「来年=今年」になりますのでイイハナシダナー(これが今年の来年だったらメモりません、笑)。
『[ベルリン 30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁は30日、ECBは来年、マイナス金利と非伝統的金融政策を徐々に縮小することに重点を置かなくてはならなくなるとの認識を示した。インフレ率については、来年の終わりごろにピークを付け、緩やかに低下すると予想した。』(上記URL先より)
まあこのオッサン(何かこう「タカ派」って顔つきですよね、と意味不明な感想を述べる)に関してはタカ派というかとんでもない勢いで今の緩和政策に批判的なので、この人が何か言っても別に追い風参考記録ではあるのですが、ドイツ連銀様辺りがあまり過激な物言いをぶっこむわけにはまいりませんでしょうから、このおっちゃんが突っ込むのが目立つのですけれども、アタクシもECBは細かく見ていない(というか各国連銀総裁の分析とかするのはやはり極東の遥か彼方にいると実感として分かりにくい(そら米国も同じだけどあの国の場合は国が一つだし地域性も分かりやすいしニュースも相対的に多いからまだ分かりやすい)ので何なのでして、このおっちゃんが勝手に単騎突撃しているのか、タカ派総代として切り込み隊長をやっているのか、どっちなのかよー分からん面があってどうにもこうにも。
〇FOMCパウエル会見ネタ更に続き(その3)
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20211215.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
December 15, 2021
・さらに労働市場に関する質問ですが労働参加率の読み方についての質疑が順当だが良い整理
2日に引用した質疑の次の質問が労働参加率について、という話なのですが、この質疑内容は要するに「最大雇用をどう定義するの??」(=利上げ開始の決定のバックグラウンドとなる経済指標の読み方、なので話としては重要)という話になっております。これまたクッソ長いのですが引用します。
『OLIVIA ROCKEMAN. Thank you. Good afternoon, Chair Powell, and thank you
for taking our questions. I wanted to follow up on some of your earlier
comments about labor force participation. And I wondered what do you think
needs to change in the economy to kind of get a meaningful recovery in
labor force participation, and also, whether running the economy hot, like
in the last expansion, is one way of doing that?』
次の更問で出てくるのですが、最大雇用の達成がどうのこうのが利上げの条件なのは分かるのですが、そのマンデートって特段のスレッショルドがある訳ではなくて、総合判断になっている訳ですな。よってそんな話がおっぱじまるのですが。
『CHAIR POWELL. Well, the labor market is, by so many measures, hotter
than it ever ran in the last expansion, if you think about it. You know,
the ratio of job openings, for example, to vacancies is at all-time highs,
quits -- the wages, all those things are even hotter. But what would it
take for labor force participation to move up more? 』
他の労働指標は「hotter than it ever ran in the last expansion」だが労働参加率は?ということで、
『You know, that's -- that really why is it low is the question. So, there
are a bunch of answers and all of them probably have some --you know, some
validity.』
以下、労働参加率がなんでコロナ前の水準に戻っていないのか、という説明が延々とおっぱじまりますが、この理由はいつものようにパンデミック懸念のせい、パンデミック懸念によるチャイルドケアの不足などで労働市場に戻れない人がいあるせい、もっと構造的には人口動態の高齢化、というのがありまっせというような話になります。
『Part of it will be that people -- for certain people, they don't want
to go back in the labor force because either they're medically vulnerable
or they're not comfortable going back while COVID is still everywhere.
That's one thing. The lack of availability of childcare made for caretakers
is certainly part of it, not just for children, but for older people.』
と、ここまではいつもと同じですが、今回は別の理由の話もありますな。
『It has been pointed out by many that the stock market is high people's
portfolios are stronger, they may go back to being a one-income rather
than a two-income family. The same thing with people's houses, people buy
-- they have a mortgage and the -- you know, with leverage, and the house
price increases, the equity they have in their home might have doubled.
And they might make -- reach the same conclusion.』
株価が上がったり住宅価格が上がったりして、家計のウェルスが拡大したのでまあ別に無理して働かんでもええわ、と特に夫婦そろって働いていたような世帯でそのような事が起きてるそうな。裏山鹿な話ですタイね。
『So, they're -- And people have savings on their balance sheet because
of forced savings that -- because they couldn't spend on travel and things
like that and also because of -- you know, because of government transfers.』
旅行などの支出が減ったうえに政府の家計向け補助金もあったりするのもこれまた労働市場への人々の復帰を妨げているそうな。
『So, for all of those reasons, and it's hard to know exactly the part
each of them plays, we have a situation where we've had a shock to labor
force participation that is not unwinding as quickly as many has expected.
And people -- in effect, a good part of it is voluntary. You know, people
-- And this is how they want to maximize their welfare and that's their
-- certainly their choice.』
という訳で、人々が選択的に労働市場に戻ってこないという状況が起きておりまして、
『In other cases, it's something that will abate very quickly if and when
the pandemic gets under control. And the longer the pandemic goes on, you
know, maybe the less likely that people will come back because they're
--you know, they get used to their new life and they lose contact with
their old jobs.』
この状況がコロナのせいで長続きすると今度はそれが新しい生活様式になる可能性もありますと。
『That's what the evidence would say. So, it's a range of things. It isn't
that the economy lacks stimulus. You know, usually, in every other expansion,
it's that there aren't enough jobs and people can't find jobs.』
『And, you know, we're stimulating demand and trying to get demand to come
up. That's not the problem here. The problem is a supply-side problem,
which -- what it would take to work it out, I think it's going to be time
and the number one thing it would -- would really be to have the pandemic
get under control.』
ドサクサに紛れてしれっと「労働参加率改善の問題は労働需要側ではなく供給側にあるので、金融緩和によって労働参加率が上がるのかというとそうでもない」とかぶっこんでいまして、じゃあお前ら何で完全雇用達成云々の話をするのに労働参加率の話をするねん、という感じですよね。
『That's what everyone would really like to see. What does the labor force
-- What does the labor market look like in a world without COVID? That
would be the thing that we'd really like to see but, you know, it doesn't
look like that's coming anytime soon.』
ということで更問が来る。
『OLIVIA ROCKEMAN. And just to quickly follow up on that, if some of the
reason that labor force participation isn't back to, you know, February
2020 levels, because people are voluntarily making life decisions that
are different, does that make you think we're going to end up at a lower
rate overall?』
労働参加率が戻らない背景の一部に労働者の自主的な選択によって起きているというのがあるんだったら、別に大規模金融緩和を続ける必要はその点に関して言えば必要ないんじゃないですか?と来るわなそりゃ、というかこのフォローアップも良い質問ですよね。
良い質問のせいか説明がこれまたクッソ長い。
『CHAIR POWELL. Well, there's a demographic trend underlying all of this.
And we actually got above the demographic trend at the end of the last
expansion. But -- So one would expect over time that labor force participation
would move down because in aging population, the older people are, the
lower their participation rate is. So, you would expect that the trend
would be lower and that, over time, participation would move down. 』
労働に戻って来る云々の話の質問なのに今度は人口動態の話をおっぱじめやがりまして、高齢化が進むから労働参加率はトレンドとして低下する(キリッ)とか抜かしやがっております。
『The question of how much we can get back up closer to where we were in
February of 2020 and, indeed, for the year or so before that is a good
one.』
以前はよく「労働参加率がパンデミック前と比較して低水準にあり、この人たちが戻ってくることによって労働需給のバランスにも変化が生じうるので、労働市場の強さは失業率の数字ほどではない」みたいな説明をしていた筈のFEDちゃんなのですが、いざ緩和縮小モードになって来ると、思いっきり今までの説明は何だったのかという説明をおっぱじめる訳で、FOMC会見ってパーツパーツの話をしている質問を読み飛ばしてしまいそうになるのですが、政策云々よりもこの手の指標の見方とか定義部分とかそもそも論みたいな所での質疑が今回に関して言えば面白くて、どっからどうみても今までの説明とチャウやろ、という話を堂々とおっぱじめているのが特徴(順序的に逆になりますが、2日にネタにしたのを下の方に掲載しますが、ロンガーランゴール&ストラテジーに関しても今回「前提条件がまるで違うのであのストラテジーは無し」位の勢いで説明しているのも味わいが深い)でありますので、まあ多少の事ではビビることなく緩和縮小にぶっこんでいくんじゃないの、と思いますがどうでしょうかね(思いっきり個人の感想です)。
『And -- I mean, I -- But what we can do is try to create the conditions,
there's a lot of good for society when you have a tight but stable labor
market, where people are coming in, they're getting into labor force, they're
getting paid well. In the labor market we had before, we had, you know,
the biggest wage increases, we're going to people at the bottom end of
the wage spectrum for the last couple of years. There were just a lot of
really desirable aspects of a labor market like that higher participation
is one of them. And we'd love to get back there. 』
結局「労働参加率が戻るのも重要だが賃金の上昇やら労働参加の容易さなど、労働者が労働市場によってハッピーになるのが良い事です」とか言い出しておりまして、こうなってしまいますと今までの労働参加率云々は早期緩和縮小の思惑による市場のクラッシュを避けたいから方便として使っていました、と結果的にはそうなっておりますな。
『But, again, ultimately, we have the tools that we have, which are essentially
to stimulate demand and also to control inflation. I mean, really, it might
be -- One of the two big threats to getting back to maximum employment
is actually high inflation, because to get back to where we were, the evidence
grows that it's going to take some time. And what we need is another long
expansion like the ones we've been having over the last 40 years. We've
had, I think, three of the four longest in our recorded history, including
the last one, which was the longest in our recorded history. That's what
it would really take to get back to the kind of labor market we'd like
to see. And to have that happen, we need to make sure that we maintain
price stability.』
「One of the two big threats to getting back to maximum employment is actually
high inflation」ってそこまで来るとちょwwwおまwwwという感じですが、結局の所物価の上昇が長続きする方がフォーカスされていて、経済もコケそうもないし、ということでここからは労働市場の数字が盛大に大コケでもしない限り、何のかんのと理屈をつけてテーパリング終了からの利上げって話になるんでしょうなあと思いましたし、これだけ強い事言ってる会見を受けて何で米国の長い所の金利って下がったんじゃ、というのは今でも良くワカランチ会長であることよ、という感じです。
・ファイナンシャルスタビリティとテーパー加速の関係について質問されたら思いっきり回答を逃げるの巻
ちょっと飛ばして21ページ目のケツに参ります。
『MICHAEL DERBY. Yeah. Thanks for taking my question. So, as the Fed shifts
towards an accelerated taper, I wonder what your read is on financial stability
risks right now. I mean, these periods can be, you know, seems like the
taper process has gone fairly smooth so far. But, you know, what do you
see in terms of stability risks? Are there any parts of the financial sector
that concern you right now? And are there any significant systemic issues
that are on your radar, you know, maybe from the cryptocurrency sector
or something like that?』
テーパリング加速の背景に金融市場の過熱化抑制というのはあるんでしょうか、という質問をぶち込んでおりますが。これに対してまた大演説が入ります。
『CHAIR POWELL. You know, we have had now for a decade and more four-part
financial stability framework that we use, so we can hold ourselves to
the same kind of framework and, you know, not just treat each event individually.』
一々そもそも論から入るのですが、今回は小見出しにも書いたように、実はこの後忍法煙巻きの術が登場して、この質問に対しては煙幕戦法によって明確な答えを提示しませんでした。
『And there are four key areas, asset valuations, debt owed by households
and businesses, funding risk, and leverage among financial institutions.』
資産のバリュエーション、企業や家計の負債比率、ファンディングリスク、金融機関のレバレッジ状況、が金融安定リスクに影響する4つの分野だそうな。
『So I would say asset valuation -- So I'm going to go really superficially
here, but asset valuations are somewhat elevated, I would say.』
「asset valuations are somewhat elevated」だそうですよ。
『Debt owed by businesses, you know, and households, households are in
very strong financial shape. Businesses actually have a lot of debt, but
their default rates are very, very low. But nonetheless, it's something
we're watching.』
家計の負債比率は無問題、企業に関しては負債が増えているのだが今の所デフォルトは少ないけど、これはウォッチしていかないといけません。
『Funding risk is, by and large, low among financial institutions, but
we do see money market funds as a vulnerability and, you know, would applaud
the SEC's action this week.』
ファンディングリスクは小さいがMMFの脆弱性については認識しておりますし、SECが今週施策を公表しましたよ。
『Leverage among financial institutions is low in the sense that capital is high.』
金融機関のレバレッジは低水準だし資本は厚い。
『So, overall, you know, financial stability, that's how I would make an
overall characteristic that we break it down into those pieces.』
という事で、状況の変化がどうのこうのみたいな話を回避して、現在の状態について話をして金融安定化リスク云々による話を逃げてますので、まあ要するにそっち方面を注目されたくないんでしょ(市場のヒャッハーについて思う事はあっても、市場がクラッシュされるとそれはそれで困る)と思いました。
ここで話は更に逸れていく。
『In terms of the things, you know, that we're looking for -- looking at,
you know, the -- it's the things we've already talked about, to some extent,
it's the emergence of a new variant that could -- you know, that could
lead to significant economic. If it were -- If there were to be a variant,
for example, that were quite resistant to vaccines, it could have another
significant effect on the economy. We don't see that.』
コロナ新型変異種が金融安定に与える影響は小さいと思うけど不確実、とか話をドンドンと明後日の方向に逸らして行きます。
『We don't have any basis for thinking that the new variant that we have
is that one, but it's certainly one we're looking at. I would say, you
know, cyber risk, the risk of a successful cyberattack is, for me, you
know, always the most, you know, one that we would be very difficult to
deal with. I think we know how to deal with bad loans and things like that.
I think more -- a cyberattack that we're to take down a major financial
institution or financial market utility would be a really significant financial
stability risk that we haven't actually faced yet. So, I could go on with
list of horribles, but I think that's a decent picture of where I would
start.』
サイバーアタックがどうしたとか完全にテーパリングと関係ない話にして締めているので、これは回答を誤魔化しに掛かった結果というのが良く分かりますな。更問でこの質問者は仮想通貨市場の過熱状況についての質問をしましたが、回答の方も仮想通貨市場(とステーブルコイン)に限定した説明をしているので割愛します。
#いちいち大演説のQAを拾っているので1回で概ね2つしか進まんでどうもスイマセン
2022/01/02
お題「だいぶ出遅れているので淡々とFOMCパウエル会見を休み中に読んでみる企画(会見ネタその2)」
まあ新年と申しましてもこの商売やってるとあんまり休みって感じじゃないですからね〜。4連休の3日目って感じですし大体からして来週はちゃっかり月初だわ四半期の頭だわの4営あるからそろそろ頭の方を切り替えないと。
〇FEDの政策運営のそもそも論というか前提条件というかに関わるながーい質疑応答から2本参ります
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20211215.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
December 15, 2021
FOMCミニッツも近いので年初ですが脳味噌を普通の土日モードに戻すためにも30日の続きを淡々とネタにするのでありました。
30日ネタにした人の次は飛ばしてその次になります。11枚目からになります。
・インフレ懸念を強めた理由について個別指標を挙げながら赤裸々に説明するのって珍しいと思うの
『JEANNA SMIALEK. Hey, Chairman Powell. Thanks for taking our questions.
I wonder if could you talk a little bit about what prompted your recent
pivot toward greater wariness around inflation?』
何でそんなにインフレ懸念を引き上げたの?という割とシンプルな質問なのですが、ここでパウエル議長大演説をおっぱじめますので、まあこの点は説明したいってことなんでしょうな。
『CHAIR POWELL. Sure. So I guess I would go back and, you know, it's been
a continual process, really. Inflation really popped up, right, in the
late spring last year. And we had a view it was very, very widely held
in the forecasting community that this would be temporary, it was quite
narrow, you know, a limited number of factors were causing it. And there
was a decent amount of evidence to support that view, that it would be
temporary or transitory, as we said.』
元々はこのインフレはテンポラリーだしトランジトリーだという見方をしていたし、それを裏付ける確かなエビデンスもありましたよ、とそもそも論からおっぱじまる。
『Certainly, we had five months of declining month on month -- monthly
readings of inflation, but we didn't see much in the way of progress on
labor supply or on other supply-side issues.』
当初は前月比ベースでインフレのペースが鈍化したりしてたのですが・・・・・・・・・
『Then in September, I'd say after Labor Day, we started to see -- it started
to become clear that this was both larger in its effect on inflation and
more persistent and, of course, I said so on many occasions, and one of
the consequences of that is that we move the taper forward.』
9月のレーバーデーの後に申し上げましたし、その後も何度も申し上げましたように、物価上昇が当初の想定よりも強くなっているし、持続的になっているので、テーパリングを近い将来行うようになるでしょう、と申し上げました。
『We move the taper forward and we -- and it's a much faster taper than
had been planned. So, we've been adapting, I've been saying we're adapting
our policy. So come to your real question, we got the ECI reading on the
eve of the November meeting, it was the Friday before the November meeting,
and it was very high, 5.7 percent reading for the employment compensation
index for the third quarter, not annual, that's for the third quarter,
just before the meeting. And I thought for a second there whether we should
increase our taper, decided to go ahead with what we had socialized.』
ここまで細かく説明するのか〜って感じなのですが・・・・・・・・
その後テーパリング決定した後に更に今回テーパリングを加速させましたが、その背景には11月FOMC前夜のECI指数がありまして、これが3Qのお賃金が5.7%上昇と出て、こりゃテーパリング加速しないとイカンかなとか思ったりしたわけですが、まあそこは次回にまた考えましょとなった訳ですけど、
『Then right after that, we got the next Friday after the meeting, two
days after the meeting, we got a very strong employment report and, you
know, revisions to prior readings and no increase in labor supply. And
the Friday after that, we got the CPI, which was a very hot high reading.』
FOMC後の雇用統計がアホほど強く、その後のCPIもベリーホットな数字でした。
『And I, honestly, at that point, really decided that I thought we needed
to look at speeding up the taper.』
正直、この数字を見て私はテーパリング加速が必要であると実際に判断を行った。ってここまで手の内明かして説明する中銀総裁ってのも最近はあんまり居ない気がします。いやまあ白川麿総裁あたりなら丁寧に説明しようとしだしてこういう説明をおっぱじめてしまうかなーと思いますが、少なくともドラギ俊彦さんとか本家の福井の俊ちゃん辺りがこういうぶっちゃけ説明をするとは思えませんし、ここまでぶっちゃけるの正直で宜しいのですが、割といい度胸してるな(よくもわるくも)と思いました。
説明は更に続く。
『And we went to work on that, so that's really what happened. It was essentially
higher inflation and faster -- turns out much faster progress in the labor
market.』
と、インフレは想定以上に強いわ労働市場は想定以上の改善ペースだわということで、
『Really, what's happening is the unemployment rate is catching up -- seems
to be catching up with a lot of the other readings of a tight labor market,
6/10 over one cycle. So that's really what happened. And, you know, widely
supported in the Committee today, as you can see unanimous vote, but beyond
that, I think widely, widely supported, you know, this move.』
労働市場も強くなっておりますので、本日は全員一致でテーパリングを加速するとなりました。委員会全員かどうかは申し上げませんが、今回の決定についてはFOMCパーティシパントの幅広い賛同を得ています。
・・・・・とまあここがキモなので説明が丁寧になる、というのは分かるのですが、それにしても思いっきり特定の指標を出してこれがこうだったから云々みたいな話をするのって、下手打つとその特定の経済指標にスレッショルドがあるような感じにとらえられると、先々やりにくくなる可能性もあるので、その辺って基本はフワフワと説明しておいた方が後で自分の首を絞めないと思うのですが、そのデメリットよりも今回前月の決定をいきなり倍プッシュした事に対する説明を明快にしておいた方が良かろう、という判断が働いたんだろうなあ、と思います(個人の感想です)。
スミャレック記者の更問。
『JEANNA SMIALEK. If I could just follow up quickly, you noted that the
ECI was one of the things that made you nervous, but you also said earlier
that you don't see signs that wages are actually factoring into inflation
yet. And I guess I wonder how you think about sort of the wage picture
as you're making these assessments.』
ECIの結果が今回のインフレ懸念拡大の1つのパーツになったのは分かったんですが、先ほど(30日に引用した所ですな)の説明では「賃金上昇が物価の過剰な上昇の主要なファクターになっている訳ではない」と説明していたんですが、その説明と今の説明の整合性について教えていただきたい、と良い感じで二の矢を放っていますが、これ多分次のパウエルの説明を引き出したかったんでしょうね(聞く方も分かってて二の矢を放ったという事ですな)と思います。
これに対しても割と長く説明してて、この一連の問答で会見要旨2枚分丸々使うの巻となっています。
『CHAIR POWELL. Right. So -- But -- So you quoted me correctly, it's --
so far, we don't see, wages are not a big part of the high inflation story
that we're seeing. As you look forward, let's assume that the goods economy
does sort itself out and supply chains get working again, and maybe there's
a rebalancing back to services and all that kinds of thing.』
『But what that leaves behind is the other things that can lead to persistent
inflation. In particular, we don't see this yet. But what -- if you had
something where wages were persistently -- real wages were persistently
above productivity growth, that puts upward pressure on firms and they
raise prices, it would take something that was persistent in material for
that to happen.』
『And we don't see that yet. But with the kind of hot labor market readings
-- wages we're seeing, it's something that we're watching.』
ここの部分の説明ですが、要するに「今までの所は物価上昇のメインドライバーとして賃金が効いていた訳では無いのだが、この調子で賃金がアホほど強い(とは言ってなくて、「生産性の上昇以上に実質賃金の上昇率が高い状態が続く」と言ってますので念のため^^)状態が続くと、企業は価格転嫁を行い、それが結果として持続的な高インフレ圧力につながるので賃金動向を注視しないといけません」という説明をしている訳です。この説明自体はオープニングリマークの所でもしていた(もうちょっと要約してたけど)部分なので、スミャレック記者の質問自体はコンファメーション質問みたいなもんなのですが、論点の整理をするのに良い質問ですよね。
まあどっかの中銀のようにそもそも論点がハチャメチャな場合はこういう良い質疑応答がしにくいので困るのですけど、と新年早々謎の迫撃砲をあらぬところに発射するのがドラめもんクオリティ(^^)。
『And the other thing, of course, is rents, which are very important.』
聞かれもしないのにレントの話を始めていまして、この問題についてってなんかあんまり金融市場方面ってスルーする傾向にあるように思えるのですが(個人の感想です)、欧州が特にそうですけど、米国に関してもレントの上昇って今のインフレの中で結構な懸念材料であって、そういう意味では本当は金融市場のゴルディロックスヒャッハーをどないかせんといかん、って思ってるはずなんだけど、これまでの欧米中銀がとにかく金融市場にフレンドリー過ぎたから、結局株が下がったらビビって引くわ、とか高を括っている感が金融市場にあって、この高括ってる金融市場が正しいのかどうか、というのは今年の面白ポイントだと思いますけどどうでしょうかね(個人の感想です)。
『You know, owner's equivalent rent. That's another thing, which is very
economically sensitive, unlike the things that are causing the inflation
now. This is economically sensitive and so would be expected to move up.
And so as the -- as some things go down, the question is, where will we
be when we come out the other side of this, and we need to keep our eyes
on those things.』
ということで家賃に関する点についても結構気にしているようですな。
『JEANNA SMIALEK. Thank you.』
・改めて「今の状況は昨年出したフレームワークの紙の状況とは違う」という説明を確認するの巻
次の質問を1つ飛ばしまして、その次の質問ですが、まあこれも確認的な質問なのですが、これまた論点整理には良い質疑になっています。
てゆーかですな、あのフレームワーク出た時にアタクシは「このフレームワークのそもそもの前提は「雇用が過熱してもインフレが跳ねない経済」を前提にしているので、そうじゃなかったら話は全然違うじゃん」と申しあげていたのですが、だいたいあれが出た時に「雇用重視に舵を切ったのでハト派」とか講釈してる本職の何とかストが結構多くて頭クラクラしてたんですよね(って何回もしつこく申し上げるアタクシ)。まあその意味ではフレームワーク出さない方が良かったと言ってしまえばそれまでなんですが、やっぱり中銀の作文をナイーブに表面だけ読んでしまって、「そもそもこの前提条件が違った場合はどうなるのか」という考察に欠ける講釈する何とかストとかお前ら全員自主廃業しろやと思う次第。というか経済学って他の学問領域と比べて「前提条件」の話をすっ飛ばして計算式をいじるのが好きな傾向にあって(個人の偏見です)、あれは何なんでしょと毎度思うのであります。
などという悪態はさておきましてその質疑なんですけどね。15ページからになります。
『VICTORIA GUIDA. Hi, Chair Powell. I wanted to follow up on maximum employment.』
と、質問のお題は「最大雇用(のマンデート)についてのフォローアップ」となっています。
『So, you know, the new framework was basically designed, as I understand
it, so that there was a de-emphasis on guessing where inflation would pick
up because of employment. And, basically, you were going to wait until
you saw the whites of the eyes of inflation. And that's how you would kind
of know that you reached maximum employment.』
『So, I'm wondering, you know, you've talked a lot about the different
ways that you might measure maximum employment, but from what I understand,
that's still basically the way that you know that you're there is inflation.』
『So is that understanding correct? And how -- is -- are those signals
likely to be clear right now given that you have inflation that's caused
by, you know, these supply chain disruptions that might also lead to, you
know, inflation in wages and those sorts of things? So how do you sort
of, like, tease out the signal of maximum employment?』
最大雇用に関して色々な物差しを出して従来から説明しているけど、現状の話を見ると結局キモは物価であって、賃金などが物価に与える影響見ながら後付けで最大雇用を定義しているように見えますが、というのは意訳ですけどまあそんな感じで「そもそもマンデートの最大雇用のウェイトがどうなっとるんじゃ」という確認をしておりますな。
でもってその答えがこれまた大演説(今回はそもそも論に関する質問が多いので回答もそもそも論から始まって大演説になるものが多い)で、フォローアップの更問に対する回答も併せて2ページと4分の1を丸々使うというクッソ長いものになっております。
『CHAIR POWELL. OK. So let me start by saying that the inflation that we
got was not at all the inflation we were looking for or talking about in
the framework.』
これまた30日に引用した所でもありましたが、昨年の「ロンガーランゴールあんどストラテジー」で示していた時に想定していたインフレーションの状況と、いま実際に起きているインフレーションの状況はそもそも全然違います。という説明からおっぱじまる訳で、そういう意味では例のロンガーランゴールあんどストラテジーですが、ゴールの方はさておいてストラテジーはそもそもがあの紙自体無かったことになっている訳ですよ。
『This was -- It really was a completely different thing, it was to do
with, you know, strong monetary policy and fiscal stimulus into an economy
that was recovering rapidly and -- in which there were these supplyside
barriers, which effectively lead to, you know, in certain parts of the
economy of what you might call, a vertical supply curve.』
It really was a completely different thingである説明をしております。
『So, you know, automobile purchases are very interest-rate sensitive and
you would think demand would drive up the quantity of cars, but it can't,
because they don't have semiconductors. So that was a very different kind
of inflation. This is not the inflation we were looking for under our framework
at all. It's nothing to do with our framework.』
「This is not the inflation we were looking for under our framework at
all. It's nothing to do with our framework.」というのを見て「約束が違う」とか言うのはナイーブにも程があるのですが、まーあのフレームワークの紙の行間をちゃんと読まないと「約束が違う」と思うでしょうし、当時のFEDはその誤解を狙っている節も見受けられないわけでもなかった(というかここまで全然違うピクチャーになると想定できなかったのかは知らんが)から、そういう意味ではこの辺り丁寧(かどうかはよくわからんが少なくともしつこく)説明せんとアカンヤロとは思ってるんでしょうね。
『And our -- the way we've approached it is really nothing to do with our framework, but come to maximum employment, which is really your question, how do you know.』
ということで最大雇用マンデートについて、そうであることをどのように知るか、というお話をしますと・・・・・
『So I think you look at, you know, prices and quantities. When you --
If you want to look at maximum employment, you look at prices and quantities,
and the main price you look at is wages. It's one of the things you look
at.』
「価格と量」を見るのだが、価格とは何ぞやと言えばそれはお賃金です(キリッ)だそうです・
『And, you know, it's -- So I mentioned a number of the things, you can
get to 20, if you wanted to easily, but labor force participation, the
unemployment rate, different age groups of, you know, prime age labor force
participation, in particular, gets a lot of focus, the JOLTS data get a
lot of focus.』
量という意味では労働参加率なんですと。特にプライム世代のパーティシペーションを挙げてますな。
『And wages, that's really one of the great signal, the quits rate is another
one. The quits rate is really one of the very best indicators, according
to a lot of labor economists, because people quit because they feel like
they can get a better job and there's, you know, record amounts, historically,
high levels of that going on suggesting, again, that you've got a very
tight labor market.』
その他の指標としては自主的な離職率というのが、よりベターなジョブの為の離職が活発かどうかというのを知るのに良い指標なんですと。
『So on wages, that's the price indicator we look at to tell us, along
with all the other data, whether we're -- we have labor market conditions
that are consistent with maximum employment. And so that's how we think
about it.』
ということで、賃金及び労働参加率と離職率なんかが重要ですよ、と言いつつ返す刀で最後にこんな事をいうのでありまして、
『But the -- One of the complications is that, again, we've got to make
policy in real time. So, how do we think about that? Do we -- If we think
we can make labor, you know, participation might move up. If we -- let's
say we knew that it would start to move up in two years, would we wait
two years when inflation is running way above target? Probably not, you
know, so you have to make an assessment that what's max -- what is the
level of maximum employment that is consistent with price stability in
real time is one way to think about it.』
最大雇用に達しているかどうかという判断ですが、これはリアルタイムで計測できるものではなかったりする中で、物価がバカスカ上昇しているような状態の場合にどう判断するのか、という話を考えた場合「物価安定目標に整合的な最大雇用」というのを考えないといけない、と締めてて、どっからどう見てもこれは「インフレが許容出来ない状態にあったら最大雇用の定義とか言ってる場合じゃねえんだよ」というやる気満々モードであるという事を示しています。
でもって更問。
『VICTORIA GUIDA. Just to kind of follow up on that for a second, if you
do raise interest rates next year and, you know, it's -- you're not certain
whether you're at maximum employment, I mean, are you all going to point
-- when you raise interest rates, are you going to point to ways in which
the labor market could still improve?』
最大雇用に「到達しているか」が良く分からんという場合でも労働市場の改善が今後も続くという点を示して利上げするって選択肢はあるという事ですか?と更問。
『CHAIR POWELL. Yes, I mean, I -- absolutely. I think -- Well, whether
or not we say we're at conditions -- labor market conditions consistent
with maximum employment next year, we would all be open and I think expect,
over time, that the level of maximum employment that's consistent with
price stability would increase further over time, for example, through
increasing participation. So I -- we would certainly -- we would not, in
any way, want to foreclose the idea that the labor market can get even
better. But, again, with inflation as high as it is, we have to make policy
in real time. We've got to make that assessment in real time.』
労働市場が最大雇用手前でまだ改善中、という状態であっても利上げする可能性は当然ありますがな、というやる気満々コメントを頂戴してガイダ(と読むのか?)記者の質疑がおわるのでありました。
ということでここまででQ&Aの17枚目(30枚中)に差し掛かった所なのですが、今回は何か妙にそもそも論の質問が多くて、論点整理にはちょうど良いですし、この辺のFEDのロジックをちゃんとアップデートしないで「最大雇用に到達するまでは時間がかかるから来年の利上げもそんなに早くない」とか寝言を言ってる場合ではない(ただし物価がいきなりズッコケ三銃士になると急にFEDは余裕をぶっかましてくる可能性も高いのでやっぱり物価動向重要あるアルネという感じですので念のため申し添えます)ということになりますので、まあこうやって正月早々(と言っても明後日にはもう仕事始めですけどね)ダラダラと読み物をするのでありました(^^)。
#できれば4日の書き物の時点でパウエル会見は終わらせておきたいが明日継続する気力があるかどうかはワカランチ会長(気まぐれさんなので)