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2021/06/30
お題「オペ紙変更で買入額は3か月固定というプレイ(なぜか日程は3か月先まで出さない)などのメモです」
この前FOMC会見で(って全然途中ですが)lumberの価格がどうのこうのという話題がありましたが、影響がこんな感じでも出ているのか、なるほど。
https://www.agrinews.co.jp/society/index/11254
2021年6月29日
畜産にも「ウッドショック」 世界的高騰で敷料値上げ
| 社会
『世界的に木材価格が高騰する「ウッドショック」によって国内の畜産農家は、畜舎の敷料に使うおが粉や木材チップを入手しにくい状況に陥っている。4月ごろから木材の品薄感が続いて一部の地域では価格が上昇。農家からは価格高騰、木材不足の長期化と畜産経営への影響などを懸念する声が聞かれる。(関山大樹)』(上記URL先より)
ちなみにその影響がどのくらいなのというイメージは上記URL先の記事をご覧あれ。
〇一々目立たんと気が済まんのか日銀って感じで気候何とかに続いてオペ運営もマイナーチェンジ
・YCCなのに輪番の額を市況動向に応じて細かく調整しないと正面切って表明とな
そういや昨日はオペ紙だったじゃん、とか思ってたら謎の紙が登場。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210629f.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
『日本銀行は、長期国債等の買入れについて、当面、以下のとおり運営することとしました(2021年7月1日より適用)。
── 四半期の買入予定は、3、6、9、12 月末に公表する「長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定」により別途お知らせします。』
ん??ん???ん????
『(3)買入金額
四半期予定において、市場の動向を踏まえて種類別・残存期間区分別の買入金額を公表し、当四半期中は、原則として、当該金額を買入れる。ただし、イールドカーブの水準が大きく変動し、長期金利(10
年債利回り)が変動幅の上限または下限を超える惧れがある場合などに、例外的に、買入金額を調整することがある。』
ほほうそうですかそうですか、という所ですが、これ点検会合やった月末にいきなり輪番をバサッと動かした(回数減らして10年中心に大減額した)あと、輪番の運営について質問されると、黒ちゃんおよびほかの審議委員の皆様が揃いも揃ってこう言ってたじゃないですか。
これは4月会合後の定例会見での黒ちゃんの説明。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210428a.pdf
『次に、長期金利の変動幅の明確化ですが、これは 3 月の金融政策決定会合で、市場機能の維持と金利コントロールの適切なバランスを取る観点から、長期金利の変動幅について上下に±0.25%程度ということを明確化したわけです。』
『こうした観点から、国債買入れオペの実務的な対応として、事前に示す買入れ予定額について、レンジから特定の金額に変更するとともに、長期金利が変動幅の上限または下限を超える惧れがある場合以外は、買入れ額を調整しないことに変更したわけです。』
『こうしたもとで、長期金利については、経済・物価情勢等に応じて、この明確化された範囲内で変動することを想定しています。もっとも、日本銀行が意図的に長期金利を変動させるということではなく、経済・物価情勢に応じて、この明確化された範囲内で変動することを想定しているということです。』(以上の部分のみ上記URL先の2021年4月28日黒田総裁記者会見より引用)
ってあって、この「長期金利が〜買い入れ額を調整しない」ってのが、一体全体何を調整しないのかが想定問答の日本語の作り方に問題があって、「事前に示す買い入れ予定額を調整しない」のか、「事前に示した買い入れ予定額を実際の買入の際に調整しない」のかが、不明瞭だったうえに、そのあおりを食ったのか4月末と5月末のオペ紙が前回と同額で出していたので、なにがどうなのかよーわからんかったのよね。
でもってですね、今回の変更で何が起きたかと言うと、先ほど引用したように(再掲します)、
『四半期予定において、市場の動向を踏まえて種類別・残存期間区分別の買入金額を公表し、当四半期中は、原則として、当該金額を買入れる。ただし、イールドカーブの水準が大きく変動し、長期金利(10
年債利回り)が変動幅の上限または下限を超える惧れがある場合などに、例外的に、買入金額を調整することがある。』(再掲)
ということにしまして、なんかこれは黒ちゃん発言の中で曖昧だった部分をそのままファジーにして横展開した、って感じで笑ってしまいました。すなわち、「事前に示す買い入れ予定額は市場がレンジ抜けそうにならない動かない限り前月と同じで出しますよ」という解釈と、単に「買い入れ予定額で出した通りに月中の買入を実施しますのでオペ紙自体での変更はあるで」という解釈の折衷みたいな「4半期ごとに買入額を出すよ」という謎結論になったのは中々笑うわと思いました。
しかしまあ何ですな、何ちゅうかこのですね、「YCCなのに市場機能の維持」とか言ってる時点で「ワイは盗っ人だが義賊」位の図々しい話をしているので仕方が無いのですが、買い入れ額が固定的になっている時点で、それってお前ら金利目標じゃなくて量的(ただしストックベースではなくてフローベース)目標になってねえかと小一時間って感じですし、だったら買入そのものを止めてレンジ飛びそうになったら無限買い入れ指値オペで全部止めれば良いじゃんくらいの気もしますが、YCCという政策自体が何をしたくてこういう運営になるのか、というのがさっぱりワカランチ会長でございますな。
つまり、さっき小見出しで書きましたが、「市場の動向を勘案しながら国債買入の額を月次で調整する」という原則は無くなったよ、ってのが運営上の話で決まったということなのですが、今までそこがどの程度買入を動かさないのか、というのがファジーだったのが明確化しまして、それはそれでなるほど分かったとは思うのですが、これやってると10年以外の所(特に中短期)の金利が意図せずに動いたりするとどうするんでしょうかねとか、そもそも今年度補正予算とかが出て国債発行計画の手直しだって起こり得るだろうに、3カ月先まで決め打ちしちゃって大丈夫なの(今回は大丈夫でしょうが)とか、まあ疑問は色々とあるのですが、まあ何かこの政策も運営がコロコロとマイナーチェンジしますなあって感じです。
しかしここでかなりどうでもよいちゃあどうでもよいのですが、
『(2)買入日程
原則として、買入れを行う月の前月最終営業日に、その時点で予定している月間の買入れの日程を公表する。』
ってなっているんだが、国債発行日からずらすという原則があるから国債発行予定日が出ていない所の輪番日程を入れられないのは分かるんで、もし財務省の公表予定が後ずれした場合のリスクとか考えたいのは分からんでもないのですが、
https://www.mof.go.jp/public_relations/whats_new/2021jgbs.htm
令和3年(2021年)新着情報:国債
こちらの6月24日の所をみますと、堂々と『国債等の入札予定日等(令和3年9月分)』というのが鎮座しておられまして、6月終わりの時点で9月の国債入札日程が公表されている、という事実があるのに、何で買入の日程だけ月次公表するのか、というのが割と意味不明でして、額をいじらん地蔵モードで、市場の動向に応じてきめ細かくいじったりはしませんよ宣言をするんだったら、買入日程だって国債入札日程が分かっているんだから、3か月分ぶっこんで頂くと、月末(最近は月末だったり月末じゃなかったりの不定期ですが)の17時まで待つという作業が少し減る(CPとか社債とかドルオペとかの話があるから見るには見るけど、専門とする戦場が長期債の人だったらまあそこまで気にしなくてええんじゃネーノって話ですからぬ)のでアリガタヤなんですけどねー。この謎の中途半端さがまた意味不明感を醸し出すんだよなー、というのは個人の感想です。
・でもって減額ですかそうですか
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210629c.pdf(今回7−9予定)
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210531c.pdf(前回6月予定)
〜1年:1500×1→1500×1
1〜3年:4750×4→4500×4
3〜5年:4500×4→4500×4
5〜10年:4500×4→4250×4
10〜25年:2000×1→1500×1
25年〜:500×1→500×1
物価連動:600×1→600×1
変動利付:300×0.25→300×0.25
・・・・・ということで、中期前半と長期が月間1000億円、超長期前半が月間500億円の減額で、年額換算で3兆円の買入減額とかやっておりまして、いやまあ減らすこと自体は結構なのですが、だったら何でコロナオペの方はあの有様なんだよと思いますし、例の謎付利制度はドンドンと複雑怪奇に充実しているし、お前ら今の政策の枠組みで一体全体何をやることによって物価2%目標を達成させるメカニズムを企図しているのか、ってのがドンドン意味不明になってくる(当初は「マネタリーベースと強力なコミットメント」だったのにねー)次第でして2013年に出した置物フローチャート(またの名を「風が吹けば桶屋が儲かる2%達成のメカニズムフローチャート」ってのは今命名した)のアップデートをしてくれませんかねえと思うし、緩和的な金融環境を作って需給ギャップのプラスを促す、ってのは言ってるから分かるけど、じゃあ何で輪番減らすとそうなるのか、謎付利制度を実施するとそうなるのか、「流動性の問題からソルベンシーの問題にこれから移行していく」って言ってるのに、5年のような長期間の社債を市場から購入して市場での資源の適正配分に介入し続けていいんでしょうか、というあたりもうちょっと真面目に説明してくれませんかねえ、とは思うのですが、そういう悪態をオペ紙に向かって言っても仕方ないのでして、こりゃすんつれいしました(笑)。
#総裁会見での説明を始めとして日銀の説明がつっけんどんで雑になってるのが顕著な昨今なのに、6月会合主な意見で「コミュニケーションガー」とか言ってる審議委員って相当のアホなんじゃないかと思いますね、そういや昨日うっかりしてましたが
まあいずれにしましても、コロナオペはしらっと延長するのに輪番は減額ということのようです、減るのは一向にかまわんと言うかグロス買入ゼロでもエエンヤデ(それはオーバーシュート型コミットメントがあるから無理)という話なんですけどね。
・7月は兎も角8月のCP買入減らねえのかよ
うーんこの
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210629a.pdf(CP社債買入7−8月)
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210531a.pdf(CP社債買入6−7月)
CP買入は5月までが4000億円×2だったのですが、5月に出た6月予定から5000×2に増額となっています。
でまあ6月7月ってのは企業さんが資金繰り的に短期資金の出る時期(納税と従業員賞与)なので、CPのニーズもあるのですが、8月とか明らかにCPの発行って減るはずで、(というか7月後半くらいから減らねえか??納税期限が動かされたりするとズレるけど)7月はまだわかるんですが、8月の買い入れ予定を5000億のままで出してくるっていうのはちと意味が分からん。
まあこれは札の状況をヒアリングしながら8月になってみてセカンダリー市場の玉がカラカラ帝浴場だったら買い入れオファーを減額する、とは思うのですが、何ちゅうかそういうのプリエンティブにだしてくれると、ああ市場の需給動向とかを熟知していらっしゃるなあ、って感心しながら平伏する(かどうかは知らんが)ところなのですが、こうやってぶっきらぼうに出されるとああ日銀ちゃんって別に市場のどうこうの気にしないんですねーって思ってしまう、などとクッソ細かいのはアタクシだけだからそんなことはどうでもよいですかそうですかすいませんすいません。
なお社債買入も同額ですが、問題が流動性からソルベンシーに向かうという中で(以下同文)。
・ドルオペは予定通りに7月から1週間物のみになりましたが相手が居ないと出口政策ができないですなあ
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210629b.pdf
米ドル資金供給オペレーションのオファー日程(2021年7月〜9月)
Timetable and Schedule of U.S. Dollar Funds-Supplying Operations (July-September 2021)
こちらは4月の公表通りに
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210423a.pdf
2021 年7月以降の米ドル資金供給について
6中銀における合意によって3Mの方が無くなったので予定通りに1wもののみのオファーとなりました。あとこの適用金利もいずれはペナルティレート(に近いもの)に戻ると思うのですが、この金利自体はFEDちゃんが議決するマターになるので、おそらくはテーパリングの辺りでしれっといじって来るか、年次のスワップ協定延長の時辺りにでもやってくるんですかねえ、知らんけど。
しかしこのドルオペに関しても、「3本の鉛筆」とかで実施額を大々的にアピールする、という阿呆なことをしていて、いやいやいやドルオペが減るの基本的に良い話なのに、増えた残高アピールしたら正常化が進んでいく中で変な誤解をあたえるんじゃネーノとか鉛筆出た時に悪態ついていたら、2カ月もしないうちに3本の鉛筆を引っ込めるという荒業をぶっかましておりまして、このオペに関しては実施していること自体は(さすが日銀だけで決められないマターだけに)ちゃんとした推移をたどったのですが、日銀の説明がイカサマすぎて泣きそうになりました、というか元より色々と変だった日銀様の説明、コロナ対策の何とかかんとかってあたりからもうその場しのぎの説明ばっかりしているようにしか見えませんね。
ということでして、相手が居るとこのようにちゃんと出口政策が出来るのですが、ちゃんとした中銀に引っ張ってもらわないと隙あらば温泉旅館の建屋を建て増してやった振りをするのを得意技とする黒田日銀におかれましては、ちったあパウエルの爪の垢でも煎じて飲めや、という風に思うのでありました。
〇国債市場の流動性指標がグロ図表と化しておりますな(メモメモ)
市場何とか会合の議事要旨と言うネタをすっ飛ばしてしまっている事に気が付いたのだがそれはまたいずれ。
https://www.boj.or.jp/paym/bond/ryudo.pdf
国債市場の流動性指標
最初の先物の辺りですが、こちらは結果として延々と151円台で推移しているだけのことはあって、動かないから板を置いてても別にエエジャロ状態なのか、板の厚みとかはあるようになっておりますが、動かんのは動かんし、たまに何かの拍子で動き出すと直ぐに板がスッカスカになるというのが味わい深い展開だと思います。まあ先物はまだしも、キャッシュェ・・・・・・・という感じでして、
(図表4)の『現物国債市場 ディーラー間取引の取引高(volume)』というのが中々のグロでして、『(1)取引高』と『(2)年限別にみた新発債の取引高』の最近の部分での落ちっぷりが中々のグロ画像。まあこういうテイタラクだから輪番減額した、ということでしたらいいぞもっとやれ何ならゼロでエエンジャガ、という話にはなりますが、まあゆうてこのオペ紙効果が出てもどうせ一瞬じゃろ、と思ってしまう(個人の感想です)ところに悲しみが止まらない。
まあ動いてるって言っても結局米国様に引っ張られてみるけど、引っ張られてみながら「よく考えたら米国様のように物価がホイホイあがるでもなく、なんかそれとこれとは別なんでネーノ」とでもなるのか、結局動いてはみるものの達観してみると行ってこい、というのが何ともでして、ファンダメンタルズ的にジャパンの方はネタがないので、需給ネタということで、国債発行、輪番、投資家動向、って話にしかならんのですよねー(個人の感想です)と思うのでした。
#何かメモばっかりで終わってしまいましたすいません(FOMC会見ネタの料理はど〜した、とか言ってるうちに短観が来るじゃん!)
2021/06/29
お題「そういえば主な意見だったので主な意見をネタにしながら朝から湯気ポッポーのアタクシ(すいません)」
ほうほう。
https://www.asahi.com/articles/ASP6X5DW1P6XULBJ00Q.html
入国した五輪関係者、新たな感染判明 4カ国からの4人
市野塊2021年6月28日 16時50分
『東京五輪・パラリンピック関連で入国した関係者のうち、新型コロナウイルスの感染を確認したのは、ウガンダの2人のほかに、フランスやエジプトなど、4人いたことがわかった。内閣官房が28日、野党合同ヒアリングで明らかにした。』(上記URL先より)
ちょっと待て内閣官房、野党合同ヒアリングが無かったら黙ってる積りだったのか。
・・・・・・こういうのがあるから「野党合同ヒアリングは無駄」とならないってのが
もう何というかな所でございますな、ぐぬぬ。
〇大して中身は無いのですが読んでいると湯気がポッポーになるという主な意見を拝読するのでした
やってて有益なFOMCパウエル会見がありますが、一応曲がりなりにも野良日銀ヲチャーを自称している(自称しているだけだが)市場の片隅に生息する野良ネズミといたしましては出てきたものは成敗しないと行けないので成敗なんですけどね。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2021/opi210618.pdf
金融政策決定会合における主な意見
(2021 年 6 月 17、18 日開催分)1
何ちゅうかね、最近の日銀(というか「点検」会合からこの方特に、というかですけど)って物価目標掲げている癖にそっちの話はろくすっぽしないし、しても「そのうち行く・・・・・・行くがその時期は明確にしていない・・・・」だし、それも申し訳なさそうに言うならまだ可愛げがあるのですが、小理屈捏ねて行かない理論構築ばっかり熱心にやるわ(明日は点検追加ペーパーでるんでしょうかねえ)、それだけならまだしも、気候変動ナントカとか「やってます感」出すだけの施策をぶっこんでくるわで、ダメな会社の経営企画を絵に描いたような事やっていて、それに振り回されて大して収益性も無いのだが制度がそこにあるから付き合わざるを得ないという無駄な仕事を金融機関に増やすわ、とまあ毎日その辺りにトサカを立てておりますので、まあ今日もただのトサカです。
#どうせ政策は地蔵なので政策インプリケーションは無い
・気候変動何とかオペの記述量>物価の記述量ですかそうですか
いつものことですが、『T.金融経済情勢に関する意見』の『(物価)』の部分ですが、今回はポツが5つ、行数にして13行(文字数はめんどくさいからカウントしない)となっておりますが、『U.金融政策運営に関する意見』の『(気候変動関連分野での金融機関の取り組みを支援するための新たな資金供給制度)』と小見出しだけでもクソ長い部分ですが、今回はポツが7つ、行数28行もありやがりまして、そらまあ中には「こういう問題点があるのではないか」という反対意見とまでは言わない(全員一致でしたからね)ものの、留保する意見の表明などもあったし、新企画の話だから多いのはシャーナイにしても、物価目標やってるのに物価の方の意見量がいつもプアーなのですが、今回はこの部分があるから更にプアーに見えますな。
さらに悲しいのは物価の意見とやらを拝読するとこの有様でやる気あんのかという話。
『・ 消費者物価の前年比は、目先、0%程度で推移した後、経済の改善が続くことや、エネルギー価格の上昇、携帯電話通信料引き下げの影響剥落などから、徐々に上昇率を高めていく。』
経済の改善は良いとして、残りはただのテンポラリーファクター(とテンポラリーファクターの反対側が出る話)なんですが、もうちょっとこう基調的な物価が上がるメカニズムに関する意見は無いの?
『・ ペントアップ需要が現れ始める本年後半から物価を巡る情勢が改善し、物価上昇率も高まっていく。』
それはそれで良いんですけど、経済情勢の認識に関しては(別に同じ人が書いている訳ではないから矛盾する場合もあるにせよ)既に威勢の良い話になっていて、かたやこちらでは「本年後半から」ペントアップ需要が「現れ始める」になっているという認識の差がもうなんだかね、というか次にネタにするけど経済情勢の認識の方は威勢が良いのに、新コロ半年延長の話をするときは急に「企業の資金繰りガー」とか言い出してて、こいつら一つの会合の中ですら整合性を取ろうとせんのかと小一時間問い詰めたい。
まあこの点に関しては4月の展望レポートで前向きの循環メカニズムだのやたら経済の基調判断に加えて先行き見通しの方が特にですけど、見通し数字以上にやたらとロバストな強い見通しを出している、というのを今回の会合で追認しているからこういう事になるのでありまして、そもそも論として7月まで情勢判断の上方修正を様子見していればいいのに、4月MPMという東京都その他に緊急事態宣言が再々発出されたタイミングであんなのをぶっこんでくる、というプレイに起因しているんですが、その事務方の作文を承認しているの(既に今の政策委員会は事務方の作文を承認する能しか無いっしょ)政策委員会なのですから、お前らちったあその水虫能を使って考えろやヴォケと思う訳で。
『・ 国際商品市況の上昇や内需の改善が物価上昇に寄与するものの、その勢いは力強さに欠けるとみている。』
『・ 物価は、ワクチン接種の状況次第で上振れる可能性もあるが、根強いデフレマインドもあって、インフレ圧力は一時的なものにとどまるとみられる。』
と思うんだったら追加緩和したらどうでしょうかねえ〜(棒読み)、ちなみにデフレマインドとか言っているのはどうせ置物とゆかいな仲間たちの誰かでしょうね。
『・ 経済の回復が消費者物価の持続的な上昇につながるには、財政の支えがある中で緩和的な金融環境が維持され、家計と企業の余剰資金が消費・投資に向かうことが重要である。』
この理屈も置物とゆかいな仲間たちっぽいですが、問題は財政の支えと緩和的な金融環境を維持するのってサステイナブルじゃないんですけど、それが無いと持続的な上昇につながらないってのどうなんでしょうね、とは思う。
まあこの「持続的な上昇」って言葉の意味するところも良く分からんので保留するんだが、基本的に2%物価安定目標っていうのは、それが達成される時ってのは「経済の状態が過熱でも失速でもないような時に物価が2%程度で推移している」「経済が循環的にサイクルを描く中で、物価が平均して2%程度上昇を続けている」って事で、フィリップスカーブ的な言い方をすれば、需給ギャップがゼロの時点、即ちフィリップスカーブのY切片における物価が2%近辺ってことなのであって、経済が回復して財政金融をフルスロットルで回さないと持続的な物価上昇にならない、という時点でそもそも論として何かがおかしい(=それはインフレ期待が低すぎということなんでしょうけどね、今までの言い方なら)のですが、どうも何か物価目標達成できないのをいいことにテケトーな話しかしてねえな、って感じで非常にトサカにくる訳ですよ。うんうん。
・一方で経済の認識の強さよ
最初の『(経済情勢)』を見る。
『・ わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している。』
というのは大本営としまして、次が吹いたわwww
『・ わが国経済は、ワクチン接種の進展もあって、前向きな循環が働き始めている。』
いやあのですね、そんな状況だと思うのに何で「半年も」コロナオペ延長しないと行けないという政策判断になるんですかねえ。
『・ 海外経済は、総じてみれば回復しているが、ワクチン接種の進捗が遅れている新興国では足もと停滞の動きがみられるなど、国・地域ごとに回復ペースにばらつきがみられる。』
外需でヒャッハーでは無かったのか、という気もしますが、それはそれとしてうーんそれは事務方の報告としては漏れなく報告する話だからこれで良いんでしょうけど、政策運営という意味で言えばこのばらつきが見通しにどういう影響を与えるの?ってのが見えないんですよね。米国様中国様が強ければ雑魚キャラが多少弱くても知らんがな、ってのが見通しを議論するときの話なんじゃないのかと思うので、これはこれでああそうですか何ですけど、だから何??っていう感じでして、なんか事務方の作文を垂れ流しているだけに見えるんだよなー(個人の感想です)。
いやね、米国とかでも「ばらつきガー」って言ってるけど、あれは金融政策の究極的な目的としての「国民厚生の向上」って文脈の中で、社会的マイノリティーがコロナで食らって経済回復の恩恵をまだ受けていないのは国民厚生の向上という観点から考えると宜しくないので、マクロの数字だけみている訳にはいかないですぜ、って話をしてるわけじゃないですか。然るにこの意見のひと、米国ちゃんのばらつきの話を意識してるのかしてないのか知らんけど、「So
What??」な話をしておしマイケルな訳で、何ちゅうか底が浅いんだよなーって思う訳で、こんな程度の話書くなよと思うのでありました。
#とトサカにきているせいか攻撃的なアタクシ
『・ わが国の経済活動の水準は、当面、対面型サービス部門を中心に低めで推移し、不確実性の大きい状況が続くが、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、回復していくとみられる。』
まあこれは分かるのだが、だったら何で4月の展望レポートあんなに先行きの説明が強いの?という疑問点は否めない(別に展望レポート基本的見解に反対したっていい筈ですよ)。
『・ わが国経済は、足もとワクチン接種が急速に進捗しつつあるもとで、短期的には、飲食・宿泊等の対面型サービス消費のペントアップ需要の拡大等により、相応の回復が期待される。』
『・ 感染が落ち着いた状況が続けば、サービス関連消費も徐々に回復ペースを取り戻していくとみられるほか、ワクチン接種の加速は先行きの経済にとって明るい話題である。』
だったら新コロオペを何で半年も延長するのでしょうか、3か月でも良かったのではないでしょうか。
とまあそんな感じの経済物価情勢認識でありますが・・・・・・・
・そもそも論として新コロオペ延長の背景にしている理屈が妙なんだが
『U.金融政策運営に関する意見』の『(新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの延長)』ですけどね、
『・ 企業等の資金繰りは、ひと頃より改善しているものの、今後もストレスのかかる状況が続くと予想されることを踏まえると、「特別プログラム」の期限を半年間延長し、引き続き、企業等の資金繰りを支援することが適当である。』
経済情勢の堅調な認識はどうしたのでしょうか。
『・ 当面は、感染症の影響により対面型サービス消費が抑制され、資金繰りの懸念が生じるリスクが残るため、「特別プログラム」は、半年間延長することが望ましい。』
「当面は」なのに3か月後に期限がくる特別プログラムを半年延長するのは何でですか????
『・ 感染症の影響の収束が確実になるまでは、政策対応を着実に続けることが重要であり、「特別プログラム」は当面延長することが適当である。』
だからお前らさあ、これは一時的措置でコロナ収束して経済がピックアップして来れば(って展望の方では思いっきり強くなるみたいなのを4月に既に示している時点で色々と変なのだが)縮小して最終的には終了するって考えているんだったら。「当面」延長を3か月延長にすれば、ああコロナが収束するとこのプログラムは縮小なり終了なりするんだなーと思わせられると思うのですけど、何で「当面」で3か月先に期限が来るものを半年も延長するの????そんなにコロナの影響が長期化すると思ってるんだったら展望レポートは7月に下方修正しないと話がおかしくならない???
#ということで4月の展望で無駄に判断を強くしているので色々な所で話の整合性が取れなくなっている
『・ 銀行貸出残高の動向などをみると、なお資金ニーズが旺盛なセクターが存在する。「特別プログラム」の延長など、配慮が必要な状況が続いている。』
『・ 「特別プログラム」の延長を今回決定すれば、金融機関に早めに方針を示すことができ、企業等にも安心感を与えられる。』
最後の2つを見てホンマカイナと思ったのですが、別に金融機関とすればこのオペ有ってもなくても資金需要があって、まあ不良焦げ付き化待ったなし以外の貸出であれば、ホイホイと貸出するじゃろ、という情勢なのであって、新コロオペって単にヘンテコ特別付利グッズになってるだけの話で、これが無くなったから金融機関が急に貸出を渋るとかそういう話は無いでしょと思うんですが、あたくし何か勘違いしてますかねえ(勘違いしていない自信と共に)。
まあコロナオペ縮小すると短い所と、それにより終了する3−5年の社債の辺りの価格形成には若干影響があるかもしれませんが、コロナの影響で資金繰り支援が必要でどうのこうのというような政策の文脈からしますと、この措置の廃止ってのは、金利と言うかスプレッドには多少影響するかも知れないですが、アベイラビリティに影響が出る話ではないですし、しかもその影響するスプレッドだって、それが無くなったらいきなり貸金の金利が数%のオーダーで上がるような話しじゃないのですから、そもそもこの辺の話の前提が変なんですよねコロナオペうんたらって。
まあ新コロオペは当初はただ単に「マクロ加算の0金利2倍」という新コロオペに参加すると、参加して入って来たお金がマクロ加算ゼロ金利になるだけではなく、それと同額の超過準備もマクロ加算に入れて進ぜよう、ってだけのインセンティブ設計だったのですが、あっという間にニーズが頭打ちになって(だって既に基礎残高とマクロ加算の範囲内で当座預金残高が推移している金融機関には手間暇かけて参加するインセンティブが無いから)、急に残高を稼ごうとして「特別付利」とかぶっこんできまして、そうしたら今度はこの特別付利を活用すればマイナス金利の拡大の時に特別付利を引き上げて金融機関の負担軽減、とか最早お前ら当初の政策と全然違う道具にしてねえか、っていう中々複雑な成長過程を遂げておられるオペなので、延長する理屈と現状とが全然マッチしない、という無茶苦茶なものになっている、というのがまあ色々とダメダメだと思うのですが、そういう昭和温泉旅館政策を再構築してすっきりしようって話にならんもんですかねー、とは思うのでありました。
まあ付利の方は別の意図をもった政策にビルトインされてしまったから急に外せないのは分かるんですけど、CP社債買入の方は何とかしろよと思いますし、流動性からソルベンシーの問題になる、という話を金懇で審議委員の方もしているのに、割とノーズロで半年延長になってしまい、3−5年の社債というどう見てもソルベンシーど真ん中の買入が続くのどうなのよと思いますがね。
・気候変動云々の議論は読んでられないって感じですのであんまり読みませんが
『(気候変動関連分野での金融機関の取り組みを支援するための新たな資金供給制度)』ですけど、これはワロタ。
『・ 金融機関自らが判断する多様な気候変動対応投融資に対して、日本銀行がこれらをバックファイナンスする仕組みであれば、ミクロの資源配分への直接的な関与を避けられる。また、新たな資金供給制度は、成長基盤強化支援資金供給制度の後継と位置付けることが考えられる。』
これはまあ大本営の理屈なので大本営の誰かが仰せなんでしょうけれども、そもそもミクロの資源配分への関与をしないんだったら何のためにこのオペがあるのよという話になる訳で、堂々と「ミクロの資源配分に中央銀行が関与する形になるが、これは政策として必要不可欠なので行わないといけない」と正面切って主張して欲しいんですが、まあそれを言い出すと「それはそもそも中央銀行が勝手にやるようなものではない、お前ら関東軍か」って言われるとぐぬぬとなってしまう(関東軍だって統帥権独立の理屈で幕僚が軍政部門を無視して勝手に暴走していてましたが、統帥権は天皇大権だから、という一応の屁理屈はあったのですが、今の建付けで日銀が勝手にぶっこんでいくのは天皇大権が無いのにぶっこみにいくんだから関東軍も裸足で逃げ出す次第ですわな)というのがあるので、まあ何ちゅうか色々と変な訳ですよ。
さらにこの「成長基盤オペの後継」ってナンジャソラで、気候変動対応の話って成長基盤強化なの??って感じでして、気候変動対応ってのは「このままだと世界がサステイナブルじゃないから」って話しから始まっている訳で、気候変動に対応すると急にどこかに新たな未開の肥沃な世界が沸いて出てくるような話しなんでしたっけ??(別に気候変動対応をするな、と言う話をしている訳ではないので念のため申し添えます)って所で、いやまあミクロ的に言えば色々な投資機会があるかもしれんけど、マクロ的に言ったときにそれどうなのよというのは?????なんですけどにゃー。
まあこれはたぶん「成長基盤強化オペ」というぶっこんだはいいけど結局何の成長基盤強化にも結びつかなかったオペを閉店する理屈に使われているんでしょうけれども、気候変動対応とか言い出すと、半永久的にこれ続けそうなのでそれはそれで勘弁という感じで、もう少しこう出口があるようなオペを後継にして頂きたかったんですけどねえ・・・・・・・(成長基盤強化は2%物価目標達成できているような状態だったら所期の目的は達成したと言って撤収できるけど気候変動対応は期間が長すぎる)
そんな中でこれは鈴木さんっぽい穏当な意見というか留保意見というか。
『・ 民間部門の気候変動への対応を支援する措置を、金融政策として市場中立性に配慮しつつ、検討することが適当である。ただし、民間部門の具体的な取り組みや経済・物価への影響について議論が尽くされていない点が多いため、政策を具体化する際には慎重に行う必要がある。』
この文字列の間に籠められているものを色々と感じてしまって、まあ鈴木さんには同情せざるを得ない、と勝手に鈴木審議委員のコメントにしてしまっていますが(笑)。
・最後の「その他」のエンターテイメント性が低下していると思いきや今回はまたお笑い意見が登場
『(その他)』という昔だったらジンバブエここにあり、という読み物があったのですが、最近はクッソ面白くない上に今回なんぞ意見がエライ少なくなっておりましておもんないにも程がある、と思ったらまーた市場の笑いを誘う物件があったようですな。折角だから全部鑑賞しましょう。
『・ 国際的に、経済回復に向けた政策支援の継続に関しては認識が共有されている。わが国でも引き続き粘り強く金融緩和を継続することが重要である。』
えーっとすいません、それって超目先の話であって、むしろ米国では経済の正常化に伴い先々におけるコロナ特別措置の撤収の話をしている(一部は既に撤収済み)と思うんですが・・・・・・・・・・
『・ 金融政策運営では、先行きの景気回復という追い風を捉えて緩和姿勢を強めることで目標達成につなげることが重要である。』
毎回言ってるんだが片岡さん、だから何をするっての提案して下さいよ。いつまで民間何とかストのつもりなんですか????(というか任期がもう残り少ないんだが)
で、ここからが爆笑コーナー。
『・ 日本銀行の使命である2%の「物価安定の目標」実現に向けて、対外コミュニケーションを充実すべきである。』
対外コミュニケーションを充実したら物価目標が達成できるのかよ、おめでてーな。それからそう思うんだったら「45分経ちましたのでそろそろ最後の質問にさせていただきたい」とかいう記者会見をせめてエンドレスにしろよ馬鹿。
『・ SNSなど国民に直接情報を伝えるツールが整ってきているもとでは、中央銀行による丁寧な情報発信の重要性が一層増している。』
誰が書いてるのか知らんがもしかして馬鹿の人でしょうか??????
だいたいからしてコミュニケーションが重要なんだったら昭和温泉旅館みたいな政策をしてたらアカンと就任直後の黒ちゃんもおっしゃっておられた(面倒なので引用は今日はしませんが前引用しましたな)と思うのですが、次から次へと目くらましの新機軸と、限りない言い訳屁理屈を並べ立てた総括的検証だの物価メカニズムの何とかだの点検だのをやっておられる時点でアカンとしか申し上げようがありませんけどねえ。
最後と言えば昔はジンバブエ先生の獅子吼(ただしその相手は先生謹製の藁人形)が見れて楽しかったのですが、またこれが立派な事を言っているようで何も言っていないというのが最後になっているのですけれども、まあ黒ちゃん(が主な意見の編集責任者)昔からジンバブエ先生の獅子吼を最後にぶっこむ、みたいなお茶目な編集していたので、これも晒し上げのつもりかも知れませんね。
『・ 感染症の影響により遅れることとなった経済構造の変革を進めていくことが重要である。日本銀行としても、ポストコロナ時代に向けた世界的な経済社会構造の変化も踏まえたうえで、わが国経済の健全な発展に資する政策対応について、さまざまな工夫を検討していく必要がある。』
・・・・・・・最後を何か物凄い立派な事を言っているようで実態が無い、という意見で締める辺りに編集責任者の並々ならぬセンスを感じるのはアタクシだけですかそうですか。
・ところでこれ政井さんの意見ってあったのかなあ(棒読み)
いやあのですな、これは文字数計算して前回の文字数と比較すれば一発で分かるのですが、そのためにはPDFのドキュメントをワードにコピペして余計な小見出しを削除する、という作業が必要になるので、って全然めんどくさくないのですが、そもそもやる気が起きなかったのでやっていませんけど、だれかちょっと計算してちょんまげ。
#ということで米国ネタのような現世利益もなく、単にアタクシが湯気ポッポーになっているという見苦しいテイタラクをお見せするだけの企画になってしまいまして誠に申し訳ございません(平伏)
2021/06/28
お題「だいたい虫干しネタでFOMCパウエル会見を料理(その1というかイントロ)」
なんじゃそら。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021062500969&g=pol
デジタルの日、ひろゆき氏から助言 政府
2021年06月25日17時02分
そらまあ某時計大先生をアドバイザーにするくらいだから何でもありなんでしょうけれども、安倍ちゃんの場合はハマコーとは言え一応それなりに筋目の通った人をアドバイザーにしていた印象があるのですが、ガースー先生ってこれでもかとばかりにゲテモノ集めるの何なんでしょうかねえ。
〇なんか気が付いたらこんなのが出ているな(市場のインフレ予想の計測とな)
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab21j01.htm/
インフレ予想の計測手法の展開:市場ベースのインフレ予想とインフレ予想の期間構造を中心に
安達孔、平木一浩(日本銀行)
このシリーズは基本的に従来ペーパーとかで出ているののダイジェスト版みたいな奴なので、一番下までワープして『参考文献』ってのを見るのが吉、というかこの著者は参考文献にある、
『・平木一浩・平田渉(2020)「ブレークイーブン・インフレ率から抽出される日本の市場参加者の長期インフレ予想
[PDF 2,637KB]」、日本銀行ワーキングペーパーシリーズ、No. 20-J-6.』
というのを書いていたのは記憶にあった(たぶんチラ見しかしてない)のですが、まあ色々と計測してるんですけど、マーケットベースの予想インフレ率って市場のおこぼれで飯を食う事n年(15<n<35)のアタクシが思いまするに、いまみたいに(日本以外でも)中央銀行が介入しまくっている市場でそんなにクッソ真面目に見ても、そら見るなとは申しませんけれども、まあ突っ込む手間暇に対して政策に対して得られるものは乏しいんじゃないですかねえって碌すっぽ読まない(今回もチラ見)のに言ってしまうの申し訳ないのですが、まあそう思うんですけどね。それと、金融政策運営的に重要なのは実体経済主体の行動がどうなるかであって、そっちの方が主なのでしょうけれども、まあ分析と言う意味では市場ってデータの取得さえきちんと整備すれば、まあ色々と分析的には楽しいものが沢山できるのでありまして、うっかり分析沼に嵌ると、「いやお前の分析は分かったからそれトレードに何の意味あるの?」というような分析がドヤ顔で登場したりしてもうね、という所ではあります。
まあアタクシの場合はそういうのをうっかり口に出してミーティングを終了させるわ「社内連携に非協力的」とか査定は下げらるわというような悪事例は発生させたことの記憶は忘却しておりますけど、いや分析は良いからそれよりインフレ期待を上げるために何をすれば良いのかって分析してくれませんかねえという感じで、泥棒捕まえるのが出来ないのに手錠の性能向上を一生懸命やっている感が拭えませんなあ、とまあ役割期待が違う(書いてる人は政策をしようとしているのではなく純粋に分析しているだけだから)のでこういうのに悪態つくの筋違いなのは分かっているんですけど、例の点検シリーズのナントカの上塗り(今月末も出るのかな〜)と言い、何ちゅうかこの「物価安定目標の達成が全然できないのに分析だけは熱心」っての見てて空しくなってしまいますな。目標が達成できないから廃村の危機(というか既に廃村状態だが)の円債村の村民としましては。
・・・・・まあそもそもがYCCの枠組みな上に、物価連動国債市場自体が碌すっぽネットの発行が増えていない、という市場で市場データで分析しようというのに無理があると思うので、まあ別に基礎研究自体を否定する気は無いんですけど、何だかなーと思ってしまうのでした。
〇さて物凄い勢いで出遅れましたがFOMC会見Q&Aが色々と面白いので&一部脱線雑談
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20210616.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
June 16, 2021
・いきなりどうでもよい脱線で恐縮ですが
ちなみにこれ、FRBのトップページを見ますとオープニングリマークから全部で1時間と11秒。↑はTransucriptなので28ページあるとか、総裁会見は要旨だから、とかいうのもあるし、英語と日本語では文字の中の情報量が違う(表意文字があるから)とか、パウエルが超早口(ただし発音明瞭なので聞き取りやすい)なのもあるのですけれども、片や28ページで同じ1時間の黒ちゃん会見15枚かーとか思ってたのですが、うっかり先日の総裁記者会見のライブ映像を最初から最後まで見てしまって気が付いたの
ですけど、
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210621a.pdf
総 裁 記 者 会 見 要 旨
―― 2021年6月18日(金)
午後3時半から約60分
確かにまあ1時間って感じでしたけど、めんどいからそんなにネタにしなかったけどやっぱりパウエル会見をネタにするときにこれは言いたいなあってのは、とにかく黒ちゃん延々と想定問答を読んでるのは別に読むなとは言いませんけど、質問に対してひたすら的の外れた説明を延々とすることによって時間を稼ぐし、更問はさせないし、しかも聞く方も聞く方で、この回の質疑応答で心底トサカに来たのは7ページのこの質問。
『(問)(前半割愛)あと、関連しているかはあれなのですが、ワクチンの接種が日本も含めて進んでいる中で、総裁ご自身はワクチンを接種されたのでしょうか。差し支えなければ教えて頂ければと思います。』
まあ可哀想だから前半も引用して差し上げると、割愛した前半は、
『 これまでの質問と関係するのですが、コロナ禍が物価に与える影響について伺います。以前、昨年の秋頃だったかと思うのですけれども、関連で伺った際は、エコノミストの世界的な議論の向性ですとか、コンセンサスを踏まえつつ、どちらかというとデフレ的な影響を意識されていたのかな、とも思うのですが、それから一定期間が経って、コロナワクチンの接種率も高まる中で、総裁ご自身のご認識ですとか、見通しに変化があるのでしょうか。短期と中期とか、国内外とか、視点によって見方が異なるのかもしれませんが、今のご見解を伺えればと思います。』
まあこれは勘弁しても良い(ただこの質問自体が迂遠すぎで、世界的にコロナ後に一時的とは言え物価が上昇していることが話題になる中、日本の物価に関する議論にあまり変化が見られないようですが、みたいな質問をして頂きたい)のですが、何下らねえ事聞いてるんだよと思ったら、狙いすましたように黒ちゃんこのクダラネエ説明(世田谷区ではどうのこうのとかいう話)をおっぱじめまして時間を潰す潰す。
でまあ質問している人とは別ですが、幹事社が「45分になりましたので」とかええええもう終わりにする気かよ、というような振りはしてくるわで、ちったあパウエル会見の爪の垢でも煎じて飲めやと小一時間という感じがしました。
ちなみに、もっと笑えるけど笑えなかったのは、ワクチン質問に対する黒ちゃんの答えが会見要旨では(8ページの真ん中あたり)、
『(答)(前半割愛)コロナワクチンのことについては、私が住んでいるところは後期高齢者からどんどんワクチン接種をしていまして、私も通常の申し込みをして、2回目の接種を完了しています。』
こwwwれwwwわwww
実際の会見ではダラダラと説明してたんですけど、要旨を作る日銀の中の人もさすがにこの質疑応答には呆れたようで、中の人の悲しみと怒りがこの大幅な割愛(会見「要旨」だから趣旨さえ損なわれなければ割愛したって良い!)に示されているように見えまして(個人の妄想です)、これは狙ってるか狙ってないかはともかくとして物凄く良いイヤミでした作った中の人達グッジョブ!!!!!
・物価がホイホイと上昇している事に対する質疑がテーパリングよりも全然多いというのが中々
さて、脱線はさて置きましてこちらの会見ですが、だいたい質問は物価動向、雇用市場(当然ながら政策に絡めて)、ドットチャート、テーパリング、政策の枠組み、その他ってな感じでしたけれども、今回の会見はまあ大体ネタがあるから、というのもあって中々オモロイ会見で、同じ1時間でもここまで違うのかと他人の芝は青いと言いますが米国の金融政策議論が裏山鹿という感じでございました。
でまあ物価絡みの質問で、まずは物価が上がっている方に関する質疑についてはアタクシ幾つか見たかったわけでして、何でかというと、FEDって今は「物価の上昇は一時的でそのうち戻るぜ」に最近、というかこの会見でも連呼してますが「そのうち戻る・・・・・戻ると言ったが今はその時期まで指定していない・・・・・・・」って感じになってきておりますが、まあ何はともあれそういって言い逃れをしておるわけですが、問題はFEDと言えどもそう超然としてばっかりいる訳にはいかなくて、この物価上昇モードが「一時的でそのうち戻る」と言ってるのが許されなくなるかどうか、って所が問題だし、それって明らかに物価コンポーネントを引っ張り出して説明できるような超特殊要因で大上げみたいな事だけで済まされないってなってくると、あとは世間様がどういう反応をFEDにぶっこんでくるか、ってのが問題になると思うの。
んな訳で物価の質問のトーンは見たかったのですが、2番目の質疑からいきなり笑かしてくれました。
『PAUL KIERNAN. Hi, Chairman Powell. Thanks for the question. Your specific
median forecasts on inflation seems to assume a pretty tame outlook for
the rest of the year. As you know, the three-month annualized rate for
the past three months was I think 8.4 percent in the CPI. And I'm just
wondering sort of how much longer we can sustain those kinds of rates before
you get nervous. Thanks. 』
3か月の物価推移を年率換算するなやwwwと思いましたが、まあこの勢いで物価が上がっていくのに一時的っていってるけど、どの位この勢いが持続するとFOMCでは思ってるの、って質問と、それが長くなって来ると利上げ検討とかにならんのかね、という質問ですな。
ちなみに基本的に今回の(というかリモートになってからその傾向が強いけど)パウエルの応答、一々長くて、ある意味丁寧(どこかの誰かさんみたいに的の外れた話を延々として煙に巻いている訳ではない、なお一部どうみてもマトモに応えるとイタタタタになりそうな質問があって、そこは煙巻きの術をつかっています)なんですが、ネタにするときにに嬉しい悲鳴です(のですいませんたぶん今日は終わらん)。
『CHAIR POWELL. So, inflation has come in above expectations over the last
few months. But if you look behind the headline numbers, you'll see that
the incoming data are consistent with the view that the prices that are
driving that higher inflation are from categories that are being directly
affected by the recovery from the pandemic and the reopening of the economy.』
物価は想定以上に足もとであがっているが、物価上昇要因をよく見るとパンデミックでハードヒットしたところのリバウンドとい、経済の利オープニングによるものですよ、ということで以下延々とその内容を説明してくれています。
『So, for example, the experience with lumber prices is illustrative of
this. The thought is that prices like that have moved up really quickly
because of the shortages and bottlenecks and the like. They should stop
going up and at some point, in some cases should actually go down. And
we did see that in the case of lumber.』
lumberって材木とかガラクタとか手元のデイリーコンサイス様が仰せなのですがそうなのか。
『Another example where we haven't seen that yet is prices for used cars,
which accounted for more than a third of the total increase in core inflation.
Used car prices are going up because of sort of a perfect storm of very
strong demand and limited supply. It's going up and at just an amazing
annual rate. But we do think that it makes sense that that would stop,
and that in fact it would reverse over time.』
3分の1くらいを占めてるのが中古車価格で、これはこれで先般の水害とかで販売可能な中古車が無くなっている影響があるとな。
『So we think we'll be seeing some of that. When will we be seeing it?
We're not sure. That narrative still seems quite likely to prove correct,
although, you know, as I pointed out at the last press conference, the
timing of that is pretty uncertain, and so are the effects in the near
term. But over time, it seems likely that these very specific things that
are driving up inflation will be temporary. And moving on, we'll be looking.』
下がると言っているが今はその時期まで決め打ちできない、だそうです。
『We'll be looking at the monthly pricing data. I'll also say that the
labor market is going to be important, both for the maximum employment
goal, but also for inflation. And we'll be looking at that. And as I mentioned,
we expect and I expect that we'll see increases in supply over coming months
as the factors that we believe have been suppressing supply abate, wane,
move down. So, I can't give you an exact number and exact time. But I would
say that we do expect inflation to move down. If you look at the forecast
for 2021 and -- sorry, 2022 and 2023, among my colleagues on the on the
Federal Open Market Committee, you will see that people do expect inflation
to move down meaningfully toward our goal. And I think the full range ofinflation
projections for 2023 falls between 2 and 2.3 percent, which is consistent
with our goals. 』
いつどの位下がるか、という話は不確実ですが、労働市場動向なども含めて、供給制約が解消されていくと2%に向かて収斂していくでしょう、とSEPの大勢見通しも申しております、だそうな。
ちょっと飛んで(13ページに飛びます)アベレージターゲットに関する質問が。
『CRAIG TORRES. Craig Torres at Bloomberg. If I were a businessman looking
at the forecast today, I would ask how and when the Fed seeks to achieve
an average of 2 percent inflation? In other words, does the FOMC have a
look back period? Or does it plan to suppress inflation in outer years
because over the next three years you're going to be above inflation? So
what is your look back period? Does the Committee have one? And if not,
why not? And if they don't, why isn't this just flexible inflation targeting
without an average in a range of 2 to 2 and a quarter percent? Thanks.
』
アベレージターゲットは良いんだが過去何年のアベレージなの?なんか決まった年限なり、何らかの議論はFOMCでは起きて無いの??もしその何年とか言うの無いんだったらアベレージちゃうやんただのフレキシブルターゲットやん、という質問から。お答えは14ページだが中々良い。
『CHAIR POWELL. You know, so as part of our year-and-a-half-long process,
the review that we did and came out with at the end of that with the new
statement on longer-run goals and monetary policy strategy, we look carefully
at the idea. We've all read all the literature around different formulas
for makeup and things like that. And, we concluded -- and, you know, strongly
agree -- that it's not wise to wed yourself to a particular formulation
of that.』
ロンガーランゴール&ストラテジーの検討の際に散々議論しましたが、結論としては「特段のフォーミュラにしばりつけるのは賢明ではない」ということで全員が強く一致しました。
『So, we did adopt a discretionary -- there's an element of discretion.
You know, it says that we will seek inflation that runs moderately above
2 percent for some time. And it's meant to create a broad sense that we
want inflation to average 2 percent over time. And that under the old formula,
under the old framework, what was happening was 2 percent was the ceiling
because all of the errors were below. 』
そこには自由裁量がある、という話をしているのですが、過去のフォームらの説明の中で「2%は上限」と言ってるのはパウエルさん言い過ぎで、それはECBの場合やという感じですな。
『You were always getting back to 2 percent. So you were bouncing back
and forth between one and a half and two, and we wanted them to be centered
around two. So that's the approach that we're taking. And you're right,
it's not a formulaic approach. We were clear on that when we announced
the framework. 』
物価がいずれ戻ってきて2%になっていくと今はみておりますので、いまの方法でのアプローチが昨年決めた枠組みに合うものです。特定の何年間で2%にミートさせる、というもんではないよ、という説明しているのですが、最後の一言とその答えはクスっとなりました。
『Was there another part of your question, Craig?
CRAIG TORRES. Ah, that pretty much answers it, Chair Powell. Thank you. 』
などとやっているうちに時間が無くなってしまいましたので、続きは明日以降なのですが、いろいろと高官発言が出てて今回のパウエル会見って多分そっちに上書きされちゃうと思うのですが、何度読んでも素材としては面白いと思うのでじっくりと料理しようかなとは思っております(サーセン遅くて)。
2021/06/25
お題「政井さんの棄権が思わぬ波紋とな/4月会合議事要旨見物/その他メモクリップ」
これは斬新な理屈。
https://mainichi.jp/articles/20210624/k00/00m/040/181000c
隔離免除の特例入国 感染者さらに4人判明、計6人に 東京五輪
スクープ 社会 スポーツ 速報
毎日新聞 2021/6/24 17:45(最終更新 6/24 19:42)
『加藤勝信官房長官は24日の記者会見で、入国する選手や関係者からの感染拡大防止について「ホストタウンや組織委員会が受け入れ責任者だ」としたうえで「飛行機を使って国内で移動する場合にどう対応するかを含め、(対応が)検討されている」と述べた。』(上記URLより)
>入国する選手や関係者からの感染拡大防止について「ホストタウンや組織委員会が受け入れ責任者だ」
ちょwwwおまwwww責任だけテラ丸投げwwwwwwwwwwww
〇先般のMPM絡みで面白ネタがあったのでクリップクリップ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB22C9K0S1A620C2000000/
日銀、審議委員の棄権で浮かぶ一票の軽さ
日銀ウオッチ
2021年6月24日 4:30
『日銀が18日に開いた金融政策決定会合の結果が波紋を広げている。論争の的は政策の中身ではない。問われているのは、決定会合の採決時の前代未聞の「棄権」だ。』(上記URL先より、以下同様)
ほほう、と思いましたらですなあ・・・・・・・・
『日銀の最高意思決定機関である政策委員会は正副総裁3人と6人の審議委員で構成する。全員が衆参両院の同意を得て内閣が任命する「国会同意人事」の対象だ。このため騒動の余波は永田町にも及んだ。』
なんと!
『「再就職先と国会をてんびんにかけるのか」。22日朝、国会内の立憲民主党控室。立民の安住淳国会対策委員長は日銀の理事らと向き合い、厳しい言葉で責め立てた。』
論点がちょっとアレだが、国会の同意で就任しているという意味を踏まえて(ってのは次に自民党の森山さんが仰せで全く御尤も)いる、というのをすっかり忘れとるわ、というのは仰せの通りで、吊るし上げざまあwwwwww以外の感想は無く詰められている理事の皆様に同情する気はワイもおきんわ。さらに・・・・・・・・・
『続いて開いた与野党国対委員長会談でもこの件が議題となり、自民党の森山裕国対委員長は「国会で承認を受けて仕事するのは非常に重い。採決だけを(棄権する)というのはいかがなものか」と記者団に語った。』
イイハナシダナー(;∀;)
『日銀審議委員はその立場の重みから、高い規範意識が求められるのは言うまでもない。と同時に、大規模緩和に異を唱えないことを最優先に人選し同意してきたのは政府と国会でもある。前代未聞の棄権が浮かび上がらせたのは、国会で承認した一票の、どうしようもない軽さだといえる。』
「ガンジーが助走をつけて殴るレベル」というネットスラングがありますが、これは「日経が正論を述べるレベル」ってことですな、いやはやクッソワロタわいいぞもっとやれ。
いや別に退任後の就職先探しするなとは言いませんけど、退任前に次の行き先が思いっきり出てしまうってさすがにどうなのかと思う訳で、一般庶民が会社変わる時だって次にどこに行くって話は(そら仲良しさんとかに話をすることはあっても)平場で思いっきり言うのは規範意識とかそういうややこしい話以前にマナー違反じゃないのかね、と思うのでありまして、まあそういう辺りから色々と今回の一連の案件はおかしかったわな、という所でございまする。
面白いから国会閉会中審議してくれ・・・・・・ませんですなそりゃ。
〇4月MPM議事要旨を見物見物
以前は大喜利のようにジンバブエ原田と木内さんの有刺鉄線デスマッチなどが垣間見れて面白かった(面白くないが)議事要旨なのですが、最近はポンコツ地蔵のポンコツを鑑賞するという悲しいイベントになってしまいましたな。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2021/g210427.pdf
・実は「国際金融市場」のところは毎度見てワロエルんですよね
『U.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要』多少は確認しますが、最初の『1.経済情勢』の、
『国際金融市場について、委員は、ワクチン接種の進展や一部先進国での追加経済対策などを背景とした世界的な景気回復期待の高まりから、市場センチメントは改善傾向が続いているとの認識で一致した。』
って所なんですがそういやこのコーナー、昨年10月のMPMまではずーっと「ドル円相場のリスクリバーサルで円高警戒感」って指摘してた人が居たんですが、昨年12月以来すっかりその指摘が無くなっておりまして、これを言ってたのって誰なんですかいな、というのが物凄く興味があるので、10年後の議事録が出るまでアタクシはポックリ行くわけには参りませんなあ(フラグでは無い事を祈る)と思うのでした。
という話はともかく、この部分って毎回ナンジャソラという指摘が良く出ていて、今回ですと、
『一人の委員は、各国・地域における経済の回復ペースなどの違いが、結果として資金フローの変化を通じて金融市場を不安定化させる可能性がある点には留意すべきであると述べた。』
っての言いたいことの趣旨は分かるんですが、実体経済の違いが調整されるのが金融市場の機能なんだから、留意すべきって何を留意するんだよという話で、市場のビルトインスタビライザーとしての役割を否定してるように読めるんですが、もうちょっとこうものの言い方何とかならんの、と思ったり、
『もう一人の委員は、米国における特別買収目的会社のリスク顕現化や、ファミリーオフィスと呼ばれる投資主体の破綻について、類似の事例が続くことがないか注意が必要であるとの見方を示した。』
特殊な例なのか氷山の一角なのか、によって話は全然違うんで、注意が必要とか言ってボーっとみてるんじゃなくて、実際にこれらのケースを米国の当局はどう捉えているか、というような所から金融不均衡の検討とかにつなげるのがおまいらの仕事だろ何評論家してるんだよ、とは思ってしまいますが、まあ大体この「国際金融市場」の部分の個別委員の指摘とかご意見がおめーら当事者なのに評論家してんじゃねーよって感じのが多くて読んでてさすがは地蔵の皆さまと密かに毎度感心している(してないけど)という雑談でございました。
・現状認識と展望レポートのギャップたるや・・・・・・・・・・・
でもって経済の現状認識の話は海外経済→国内経済となるのですが、国内経済の部分を見るとこういう話をしております。
『わが国の景気について、委員は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直しているとの見方を共有した。一人の委員は、わが国経済は、感染症の影響が対面型サービス消費を下押ししているが、製造業を中心に持ち直していると述べた。ある委員は、対面型サービス業は引き続き厳しい状況に直面している一方、製造業やその他非製造業では改善が続いており、経済が二極化しているとの見解を示した。
』
ほうほう。
『輸出や生産について、委員は、増加を続けているとの認識で一致した。ある委員は、半導体不足など供給制約の影響が一部にみられるものの、海外経済の回復を背景に、輸出・生産の増加は続いているとの見方を示した。別のある委員は、輸出については、自動車関連はペントアップ需要の一巡や半導体不足の影響を受けているが、世界的な設備投資需要の回復やデジタル関連需要の拡大を背景に、資本財や情報関連が牽引するかたちで引き続き増加していると指摘した。』
というこの部分、結局の所「外需主導で生産が伸びていますし、今後も外需主導で生産は強い」ってお話ではありますよね。
『設備投資について、委員は、一部業種に弱さがみられるものの、持ち直しているとの認識を共有した。一人の委員は、製造業や対面型サービス以外の非製造業では、情報関連やデジタル化・環境対応関連などの分野を中心に、投資スタンスは前向きになっており、企業収益の改善を背景に、支出の回復が明確化してきているとの見解を示した。』
設備投資は「持ち直している」ですかそうですか。
『個人消費について、委員は、飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力の強まりから、持ち直しが一服しているとの見方を共有した。ある委員は、昨年度の白物家電の国内出荷額が過去最高となるなど、財消費はしっかりしている一方、サービス消費は抑制的な状況が続いており、全体としては足踏みしているとの見方を示した。更に、この委員は、選択的サービス支出と相関の高い人出を示す高頻度データをみても、感染症拡大前の水準から大きく落ち込んだ状況が続いており、足もとでも、抑制的な消費行動が継続しているとの認識を述べた。』
って話をしていて、しかもこの時(4月のみどりの日の直前)ってコロ助があじゃぱーで、またぞろ緊急事態宣言が発出されたりした瞬間だった訳ですから、「消費がコロナでアカン」という現状認識を示していてコロナが出ているというのはまあアレということですわな。
『雇用・所得環境に関し、委員は、感染症の影響から、弱い動きが続いているとの認識で一致した。一人の委員は、今春の賃金改定交渉では、現状、定期昇給を加味した賃上げ率は小幅の縮小にとどまっているが、感染症の影響を強く受けている業種が多い中小企業の交渉はこれから本格化するため、引き続き注視していきたいと述べた。』
とまあそんな話をしている(この次に物価の話があるが飛ばす)のですが、その次のコーナー、『2.経済・物価情勢の展望』に行きますと・・・・・・・・・・・・
『2021 年4月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の作成にあたり、委員は、経済情勢の先行きの中心的な見通しについて、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとの認識を共有した。』
『また、委員は、その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済は更に成長を続けるとの見方を共有した。』
コロナの緊急事態宣言再発出とか出ている中で思いっきりコロナ後の話をするのも何なんですが、まあ展望レポートで足が長い話なのでそれはまあ勘弁するにしても、現状認識で上で引用した程度の状況にしかなっていないのに、何で「前向きの循環メカニズムが強まる」とか言えるのか、というか「強まる」ってことは「既に前向きの循環メカニズムが起きている」という認識だから「強まる」というのだと思うのですが、そういうこと言ってる部分って、さっき引用した中でですと辛うじて設備投資の所に、
『一人の委員は、製造業や対面型サービス以外の非製造業では、情報関連やデジタル化・環境対応関連などの分野を中心に、投資スタンスは前向きになっており、企業収益の改善を背景に、支出の回復が明確化してきているとの見解を示した。』(再掲)
ってあくまでも一人の委員の意見として書かれている部分だけじゃんと思う訳で、お前らどの口が「前向きの循環メカニズム」が「強まる」とか言えるの(しかもその一人じゃなくて皆さんで共有しちゃう訳ですから)と小一時間問い詰めたいのですが、その続きを見ますと、
『何人かの委員は、当面、対面型サービスを中心に感染症に左右される状況は続くものの、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、わが国経済は回復していくとの見方を示した。』
というのはさておき、
『このうちの複数の委員は、企業部門において、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に働き始めており、感染症の影響が収束していけば、経済全体での好循環が強まり、わが国経済は更に成長を続けるとみていると述べた。』
って言ってるのが「前向きの循環メカニズムが起きている」という話なんでしょうけど、そもそも論として所得から支出への前向きの循環メカニズムっての従来は企業部門と個人部門が相互連関して所得増える→支出増やす→需要が増える→(゚д゚)ウマーって流れを指して言う、非常に強い表現として使われていたのですが、これ単に企業の所得が増えたから生産や投資を増強しますよというだけの話で、内需を伴った自律的な成長メカニズムとは程遠い話にしか見えないんですけどねえ、とまあ思うのでありました。
というかですな、この展望見た時から申し上げてますが、マジで何でこの判断を4月にぶっこんで来たのかが、案の定議事要旨の書きっぷりを見てもさっぱり分からんですな。前向きの循環メカニズムとか大きく出るんだったら、せめて家計部門の所得と消費がある程度堅調なトレンドを描き出すのを確認してからで良いんじゃないのと思う訳で、何で4月に慌ててああいう見通しにしたのかが未だに分からん。政策で何かやりたいことがあるから強い見通しを出したい、ってなら兎も角、この次の会合である直近会合では新コロオペ延長してるんだし・・・・・・・・・・
・こういう認識なのに何で6月会合での新コロオペ延長で手直しをしないんでしょうか
さて、まあその後は個別コンポーネントの話になって、海外の話になって、物価目標を掲げている政策運営なので本来は目玉であるはずの物価の話になるのですが、もはや物価安定目標の早期達成を完全に無かったことにしているのでその辺り全部見どころ無し、という物件になっていて消化試合感を濃くするのですが、その後に・・・・・・・・・・
『次に、委員は、見通しの背景となる金融環境について議論を行った。』
ってのがありまして、
『委員は、先行き、日本銀行による強力な金融緩和の継続や政府の措置、民間金融機関の取り組みから、緩和的な金融環境が維持され、金融面から実体経済への下押し圧力が強まることは回避されるとの認識を共有した。』
ああそうですか。ってかそもそも金融発の事案じゃないんですから別に取組み云々関係ねえだろと思いますけどね。
『一人の委員は、倒産・廃業動向を含む企業金融の環境は総じて安定しており、感染症の影響を強く受ける業種も限定的になっているとの認識を示した。ある委員は、企業の資金繰りは、業況の改善などから総じてみれば厳しさが和らいでいるものの、対面型サービス業では厳しい状況が続いており、ソルベンシーリスクが増大する可能性を含めて、引き続き状況を注視する必要があると述べた。別の委員は、民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資について、一部で元本返済が始まるもとで、倒産件数が上昇しないか留意が必要であるとの見解を示した。
』
・・・・・最初の人のはさておきまして、2番目の人も3番目の人も「流動性の問題よりもソルベンシーの問題を注意すべき」って指摘してるじゃないですか、ということはですね、つまり今行っている措置の中で、3番目に指摘している人は所謂ゼロゼロ融資の不良債権化の話をしているように、現行措置がいわゆる「震災手形」化することに関して懸念とは言わんけど注意が必要って指摘してるわけですよね。
ということを考えますと、現在新コロ対応で臨時措置(と言いながらまる2年やってしまうことになる)として行っている社債・CP買入の拡大ですけれども、まあCPは短期資金繰りの世界だからまだしも、新コロ対応で社債って従来の3年までの期限の買入だったのが、償還が5年までの物を買い入れている訳ですが、問題がリクイディティからソルベンシーに向かう、という認識であるのであれば、日銀の社債買入のうち、少なくともコロナ対応で足を伸ばしている部分ってのは、問題がソルベンシーになるのであれば、逆にソルベンシーリスクに対する市場の価格発見機能を阻害することによって、資源の適正配分を損ねる可能性がある上、日銀の購入した社債の元本毀損リスクだって高めている訳ですから、まあ本来で言えば3年でも大概に長いと思いますけど、すくなくとも5年とかいう債券の中でも最早短期ではなく中期と言われる世界の社債買入って止めたほうがエエンチャウノ、とまあそういう話になりませんかねーと思うのですが、どうせ6月会合ではそういう議論もなくシャンシャンと延長しているんでしょうなとは思いますけど一応6月会合議事要旨を見るときに確認したいと思います。
以下展望レポートの話が色々とあるのだがオモンナイので飛ばして・・・・・・・
・最後に金融政策運営の検討部分をちょっと
『V.金融政策運営に関する委員会の検討の概要 』に参りますが、最近はジンバブエ木内対決、のような歌丸楽太郎対決(なお実際の歌丸楽太郎は仲が非常に良かったそうですがこちらはゲフンゲフン)的な見世物が無くてイマイチですけど。
『委員は、3月に決定した「より効果的で持続的な金融緩和」に対する市場の受け止め方についても議論を行った。ある委員は、点検を踏まえた政策対応に対する市場の反応は総じて落ち着いたものであったほか、金融機関の受け止め方も概ね想定していた範囲内のものであったとの認識を示した。別の委員は、市場動向をみると、政策の持続性・機動性を高めるという意図は誤解なく浸透したと考えていると述べた。
』
????????どういう解釈をしているんだかという感じですな。
あとですな、
『このほか、委員は、金融政策運営に関連する各種の留意点についても意見を述べた。』から始まるところなんですが、どう見ても片岡さんなお方が、
『この間、一人の委員は、「物価安定の目標」の達成は容易ではないからこそ、金融政策運営においては、先行きの景気回復という追い風をうまく捉えて、金融緩和を強めることで、目標達成につなげることが必要との認識を示した。』
これ自体は非常にごもっとも。
福井の俊ちゃん時代の最後の当座預金残高目標拡大が「経済物価判断の上方修正」と同時にぶっこまれてナンジャソラという話になって(ちなみにその時の会見QAを見るとナンジャコリャのオンパレードでかなりのカオス)ましたが、ようは「押し上げ介入(懐かしい言葉だ、というか何のことか知らん若い衆もいるかな)」みたいな謎緩和をしたのですけれども、まあそういう事例もあった訳ですよ。
ただまあ残念なのは片岡さん、肝心の緩和策が無い事で、せめて提案してくれれば梯子外しまくっている他のリフレ派(ただし出世してしまえばリフレ理論に用は無い)という人達も賛成票をぶっこんでくれるかもしれないので、なんか提案してよと思うんですけど、それが無いのが残念無念。
それからその次に、
『このほか、複数の委員は、国民各層に金融政策への理解を促進する効果的なコミュニケーションがきわめて重要であると述べた。』
って主な意見にもあった(片岡さんのさっきのもあったですけどね)はずですが、これだけ複雑怪奇な昭和温泉旅館を作っておいてコミュニケーションが聞いてあきれるわ、とヘソが茶を沸かした所で議事要旨鑑賞を締めさせていただきます。
〇新コロオペとかのクリップ
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210624a.pdf
新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーションの実施結果
2.貸付予定総額
貸付予定総額 107,752億円
(参考)貸出残高(注) 693,890億円
(注)2021年6月25日時点の貸付残高の見込み。
前回はというと
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210524a.pdf
2.貸付予定総額
貸付予定総額 55,483億円
(参考)貸出残高(注) 685,999億円
(注)2021年5月25日時点の貸付残高の見込み。
なので残高横ばいですかそうですか。あとスルーしてたけど新制度による段階付利の階層別残高がちょっと前に公表されていて、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210621a.pdf
貸出促進付利制度のカテゴリー別残高(2021 年 4 月)
カテゴリーT 43,897 億円
カテゴリーU 619,372 億円
カテゴリーV 594,528 億円
(注)積み期間における平均残高ベース。
えーっと、20bpと10bpとゼロ金利ですかそうですか。もう複雑怪奇すぎて実際に準備預金残高操作やってないと何が何だかワカランチ会長って感じになっておりますが、いやだから単に「ゼロ金利」一本にすればこういうややこしい事もせんで良いし、大体からしてこの手のものを複雑にすればするほど関係一同の手間が増えるんですが、マイナスチャージの問題があるから金が落ちている案件なので、その案件が「空から1円玉ばらまいて、さあ拾えただし1枚づつ手で拾わんとアカン」みたいな案件であって、実はそんなところにリソース割くよりも有効なリソース活用法があるとしたって、現実に金が落ちている案件だと(´・ω・`)知らんがなとスルー出来ないのが悲しい所で、そうやって生産性の乏しい事に多くの人員が割かれていくのでありました、ってなもん何ですけどねえ。
てな感じでただの備忘メモでござる。
2021/06/24
お題「4月展望会合議事要旨が出ている気がするが米国ネタの方重要だと思うでそっちの話(含むボウマン理事講演)」
ま た パ ン ダ 銘 柄 か !!!!
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-22/QV4MD7DWRGG301
上野動物園のパンダが双子出産、東天紅株と精養軒株は上昇
横山恵利香
2021年6月23日 8:34 JST 更新日時 2021年6月23日 9:23 JST
『・東天紅株は同日午前の取引で一時10%高まで上昇、精養軒は同7.4%高まで上昇・いずれも妊娠兆候の発表があった4日以来の日中上昇率となった』(上記URL先より)
ワクチン接種が進むことを願って双子の名前はやはりワクワクと(爆発音)。
#なお東天紅ではパンダ饅頭とパンダ月餅を絶賛通年販売していますので念のため申し添えます
さて、昨日は日銀4月会合の議事要旨が出ているようですが、雑魚キャラは後回し、という今作ったモットーの元、米国の方を更に確認、というかおめえこっちが読むほうがおいつかねえよいい加減にしろ(白目)。
〇パウエル会見Q&Aも成敗しないうちにこの高官発言の山ェ・・・・・・
・おいこらちょっと待てこの発言量は
毎度おなじみの便利ページ(ただし他の連銀の時は出てからこっちにリンクが出来るのに時間が掛かる場合もあるので速報で見たければ各連銀のサイトに直接行くのが吉)、変態仮面ブラード先生率いるセントルイス連銀謹製のページ。
https://www.stlouisfed.org/fomcspeak
FOMC Speak: Remarks by Federal Open Market Committee Participants
Recent Public Remarks
Jun 22, 2021 (2:00 PM ET) Chair Powell, Testimony, before the Select Subcommittee
on the Coronavirus Crisis, U.S. House of Representatives, Washington, D.C.,
The Federal Reserve's Response to the Coronavirus Pandemic
Jun 22, 2021 (11:00 AM ET) Pres. Daly, Presentation, at the Peterson Institute
for International Economics Virtual Webinar in Washington, D.C., Climate
Risk and the Fed: Preparing for an Uncertain Certainty
Jun 22, 2021 (10:30 AM ET) Pres. Mester, Speech, delivered via video conference
at the Workshop on Low-Interest-Rate and Unconventional Monetary Policy
Norges Bank Oslo, Norway, Financial Stability and Monetary Policy in a
Low-Interest-Rate Environment
Jun 22, 2021 Pres. Barkin, Essay, on the Federal Reserve Bank of Richmond
website, What Could Happen if We Keep Washing Our Hands?
Jun 21, 2021 (3:00 PM ET) Pres. Williams, Speech, delivered via video conference
at Midsize Bank Coalition of America, Good Day Sunshine
Jun 21, 2021 (9:45 AM ET) Pres. Bullard, Panel Discussion, during a meeting
of the Official Monetary and Financial Institutions Forum (OMFIF), Inflation,
the Labor Market and Monetary Policy
Jun 18, 2021 (8:00 AM ET) Pres. Bullard, Video Interview, CNBC, Inflation, Monetary Policy
・・・・・・ちょっと待て読むのが追いつかないじゃろという風情で、週末を読み物で潰しそうな勢いでございますし、たぶん読んだ頃には次の人のが出てて料理素材としてtoolateの香りはするんですが、多分今般の一連の奴は全員のを読んでおかないと後々のFED見物に差し支えるとおもう(各人の主張の根拠がどこぞの雑魚と違って明確に出ているのでそのスタンスを確認しないで発言ヘッドラインを見ても「いつもの平常運転」なのか「宗旨替えキタコレ」なのかがわからん)のでせっせと読んでおきます(フラグ)。
しかもロイターさんの今朝のニュースを見ますと、
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-bostic-idJPKCN2DZ2EV
2021年6月24日4:13 午前UPDATED
FRB当局者、米国の高インフレ「予想外に長引く可能性」
『[ワシントン 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は23日、米国の高インフレ期間が予想以上に長引く可能性があるという考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)
ほほう。
『アトランタ地区連銀のボスティック総裁は23日、米経済が新型コロナウイルス感染拡大の影響から順調に回復する中、物価は予想より力強く上昇しているとし、FRBは2022年終盤に利上げに着手する必要があると表明。「最近の指標に予想外の上振れがあったため、個人的な見通しを前倒しした」と述べ、自身が来年の利上げを見込む当局者7人の1人であると明らかにした。』
『こうした中、FRBのボウマン理事は、経済活動の再開に伴う物価上昇が解消するには「幾分」時間がかかる可能性に言及。昨年は物価上昇が新型コロナの感染拡大で抑制されていたため、今年は前年比の伸びが上振れする可能性が指摘されているが、「このところの物価上昇は、こうした単なる数値の問題を超えている」とし、物価に対する圧力は「供給のボトルネックが解消するにつれて緩和する可能性もあるが、幾分時間がかかる」と述べた。』
おいwww2名追加かよという所ですが、まあボウマンは理事だから理事のでもとりあえず見て見ましょう。
・またフェドリッスンズを行うというのはこれまた思惑を呼びそうな・・・・・・・・・・・
などと思いながらFEDのサイトを見に行くと(というのはお話の都合上でして、私はとりあえずジンバブエ金懇級の時間を食って他の話をしている時間を確保できないという意味での大ネタ(笑)が無い限りはFEDのトップページだけはチラ見する癖がついてしまったので先にFEDをみてボウマンが何かゆうとるなとは思ったんですが)、ボウマンの前にこっちの方に目が行くのよあたしゃ。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210623a.htm
June 23, 2021
Federal Reserve announces it will continue its Fed Listens initiative in
2021 to learn from a broad range of individuals, households, and communities
about the economic recovery from the COVID-19 pandemic
For release at 9:45 a.m. EDT
なぬ??
『The Federal Reserve on Wednesday announced that it would continue its
Fed Listens initiative in 2021 to learn from a broad range of individuals,
households, and communities about the economic recovery from the COVID-19
pandemic.』
it would continueって言ってるけどこれフレームワーク出す前に色々やって検討してフレームワーク出した物件じゃん。これを行うっていうことは・・・・・・・ゴクリ。
『"During the Federal Reserve's 2019 monetary policy framework review,
the Fed Listens series of events provided valuable feedback from a broad
range of groups and communities on the state of the economy and on issues
related to our monetary policy goals," said Governor Michelle W. Bowman.』
ボウマン理事の講演で何か言ってるみたいですね、名目は2019年にぶっこんだフレームワークによる金融政策(とコロナ対応)のフィードバックをもらいましょ、ということになっていますが、そりゃ「フレームワーク見直すからフェドリッスンズをする」とか言ったらエライことになるから言わんわな。
『 "Continuing the initiative in years that we are not reviewing our
framework will similarly benefit the Federal Reserve's ongoing policymaking
process, while also enhancing transparency and public accountability."』
PDはやったけどCをやっていないのでフェドリッスンズを行いまっせ、ということですが、このタイミングでこれが出てくるのは何かキナ臭いと思ってしまうのは多分考え過ぎなんでしょうけれども、気にはなります。
『Details on Fed Listens events will be available at www.federalreserve.gov/fedlistens as they are scheduled.』
スケジュールはアベイラブルにはなっていないがフェドリッスンズのページはアベイラブル
https://www.federalreserve.gov/fedlistens.htm
Fed Listens
『The Federal Reserve on June 23, 2021 announced that it would continue
its Fed Listens initiative in 2021 to learn from a broad range of individuals,
households, and communities about the economic recovery from the COVID-19
pandemic.』
さっきと同じ感じですが、リリースの方をみるといかにも自然に「継続している取組みですから」みたいに言ってますけど、やっぱりこれ新シリーズじゃん。コロナ後の経済回復に関して国民の幅広いお話をお伺いしたい、と来ています。
『“During the Federal Reserve’s 2019 monetary policy framework review,
the Fed Listens series of events provided valuable feedback from a broad
range of groups and communities on the state of the economy and on issues
related to our monetary policy goals,” said Governor Michelle W. Bowman.
“Continuing the initiative in years that we are not reviewing our framework
will similarly benefit the Federal Reserve’s ongoing policymaking process,
while also enhancing transparency and public accountability.”』
と、さっきと同じのが乗ってるだけだったですなサーセン。
『Events
Details on Fed Listens events will be on this page as they are scheduled.』
だそうです。ではボウマン理事の講演を寝起きで見てみる。
〇ボウマン理事の講演である(そんなに長くない上に現世利益部分は最初の方でおしマイケル)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bowman20210623a.htm
June 23, 2021
Building Economic Resilience in Communities
Governor Michelle W. Bowman
At the Policy Summit 2021: Pathways to Economic Resilience in our Communities,
Federal Reserve Bank of Cleveland, Cleveland, Ohio (via prerecorded video)
クリーブランド連銀主催のイベントでのご挨拶って感じですが、そこでフェドリッスンズの話も出たんですな。一見してそこまで長くないですな。
・最初にフェドリッスンズを実施しますというお話をしております
『Thank you, Emily, and thank you to the Federal Reserve Bank of Cleveland
for hosting this policy summit. I'd also like to thank the participants
and attendees for taking part in these critical conversations.』
てな挨拶ですが、この1パラの所で題名にある経済のレジリアンスというキーワード出て来るの巻。
『It's really a pleasure to be here with you to support the discussions
of economic resiliency that will take place over the next several days.
Considerations of what builds resilient communities are at the top of the
list as we look back at the economic impact from the pandemic and look
ahead, as we experience a recovery that we want to benefit everyone.』
ポストコロナの回復で「すべての皆さんに」ベネフィットをもたらします、というのがリストのトップにありますよ、ってえ話は、単純に解釈すると昨日ネタにしたパウエルの議会証言冒頭スピーチもそうですが、雇用回復が一様ではなく、特に社会的に立場弱めの人たちが今回のコロナで直撃を食らい、回復も遅れています、っていう説明、つまり「だからこそ利上げ着手時期を先に引っ張って回復を強めましょう」って説明に通じるものがあって味わいが深い。
『I would also like to highlight that three of the sessions taking place
over these next few days will provide an opportunity for all of you to
convey your own perspectives on the economic recovery from the pandemic.
We would like to hear directly from you about how you see the recovery
progressing in your own communities, whether you see unique aspects to
the way businesses and families in your communities experienced the downturn
and ongoing recovery, and what opportunities or challenges you think may
lie ahead as we all adjust to lasting changes in the economy following
the pandemic.』
クリーブランド連銀のサイトを見に行けば多分イベントの概要見れると思うんですがそこまで見てると時間が無くなりそうなのでここの説明をそのまま真に受けて読むと、このイベント自体はフェドリッスンスっぽい皆様のお話を聞くイベントなんですかね。ということでフェドリッスンズ再開の話になる。
『These discussions will be the first of several aimed at continuing the
Fed Listens initiative that began in 2019 and was part of the Federal Reserve's
broad review of its monetary policy framework.』
はい。
『The initial purpose of Fed Listens was to interact in a public setting
with members of the public and community groups to hear about issues relating
to our dual-mandate goals of maximum employment and price stability. The
insights gained from these conversations proved to be highly valuable.
』
『Even though our framework review concluded last year, we are continuing
the Fed Listens initiative with a focus this year on the economic recovery
from the pandemic. We expect these listening sessions will benefit the
Federal Reserve's ongoing policymaking process, while also providing important
insights from affected communities, and enhancing transparency and public
accountability.』
前回のフェドリッスンズを受けてフレームワークの変更が出来ましたが、今回のシリーズはそのフィードバックを頂く会でっせ、ということなのですが、どうもこうPDCだけじゃなくて次のAが気になるのはアタクシのバイアスは勿論あるのですが、でもフィードバックを受けてまた手直し、ってのをつい妄想してしまいますね。
ちなみにどこぞの雑魚の場合、PDのあとは「正当化するための屁理屈作成」という作業が入り、次のDがまたサックリと入ってしまう、というのが芸風となっております。
・経済の認識に関して&ロイターニュースのヘッドラインになっていた部分
次に参りますと小見出しも変わらん(というか最初の小見出しは無い)のにいきなり経済の現状の話がおっぱじまります。
『With that in mind, let me briefly describe what I see as the current state of national economic conditions.』
ほうほうそれでそれで?
『As we continue to see progress toward the recovery, including the lifting
of economic and social-distancing restrictions, the economy is growing
at the fastest pace in decades.』
「the economy is growing at the fastest pace in decades」と威勢よく出ました。
『Economic output has likely surpassed its pre-pandemic peak, but even
with this progress, there are over 10 million people still without jobs
who are either actively looking for employment or have since left the labor
force.』
生産はコロナ前の水準を上回っているのですが、一方で雇用に関しては回復が遅れている、とやはり雇用の話をしてくるのは、さっきのロイター記事でご案内の通り「物価の上振れは一時的」で粘るのに無理が出てきた(物価推移の問題か、世の中の批判なのかは知らん)という事で、言い訳戦線をこっちに持ってきていますね。
『Employment has been recovering rapidly in the sectors of the economy
related to goods production and sales, but the services economy has been
much slower to recover. Employment in the leisure and hospitality sectors
is down by more than 3 million jobs since February of 2020.1』
でもって更にコロ助の直撃を食らった業種の戻りもここにきて目立つけど、雇用の拡大が着いて行けてない、ってお話をしておられます。
『As the recovery in the labor market and spending on goods and services
continues to gain momentum, we are seeing upward pressures on consumer
prices.』
物価キタコレ!
『In recent months, inflation has risen to well over the Federal Reserve's
longer-run goal of 2 percent. This rise has reflected, in part, the fact
that inflation numbers at the onset of the pandemic were very low. As those
low values drop out of the 12-month average of price changes, this measure
of inflation has increased and will likely increase further.』
物価は2%を超えて推移してますがベース効果でゲタ履いてますから。
『But there is more to the recent rise in inflation than just these measurement
issues. The impressive upswing in economic activity has played an important
role as it has led to a number of supply chain bottlenecks and put upward
pressure on prices for many goods.』
それにコロ助からの回復が急すぎて供給制約が発生しているので物価が上がってるのもありますから、とここまではいつも通りの一時的攻撃。
『These upward price pressures may ease as the bottlenecks are worked out,
but it could take some time, and I will continue to monitor the situation
closely and will adjust my outlook as needed.』
ここがロイターニュースで出ていた部分だと思うのですが、これ自体もTranscriptなのではなくて原稿みたいなもんですから、実際にどういうニュアンスを強くしたのか(ここ大まかに3つの事をいってますが、it
could take some time以下を強調するとロイターニュースになる)は聞いてないので(実はこのページにWatch
Liveってのがあるのですが、どうもこのPolicy Summitは事前にRegisterが必要っぽい)良く分からんですな。
でもまあ供給制約が解消されたら物価が落ち着くと思うんだがどうも長くかかりそうだし、状況を見ながらもし必要なら見方を変えるってのは普通に「物価の上昇は一時的では済まんかも」という話になりますので、やっぱりキナ臭いのはキナ臭いですよね。ただ最初の方にあったように「回復の恩恵をオールアメリカンにお届けしないと行けません」って事なので、雇用の面から言えばまだまだでっせ、という形で暫くは粘ろうとしているんでしょうな。
先にお断りしますと、というか書き終えて追記しているんですが、以下の部分はまあ読み飛ばしても良かったかもしれない部分って感じです、細かい指摘自体はオモロイ話が転がっていますが、金融政策現世利益的にはこの前振り部分で話は済んでいるかもしれません、とゆうときますわ。
・コロ助とポストコロ助での米国経済の特徴は回復のダイバージェンスが起きているって話でいつものネタ
次の小見出しが『Post-COVID-19 economic outcomes』ってことでポストコロナの経済状況って小見出し。
『We know that economic downturns are hardest for lower-income people,
those with less education, and some minority groups. I believe that government
responses to the pandemic-the lockdowns, school closures, and economic
restrictions on businesses-significantly widened differences by income,
education, race, and gender, and those disparities have persisted during
the recovery.』
またもコロ助の影響が一様ではなく社会的弱者に向かったネタから始まります。
『For example, we know that those with a high school education or less
were among the hardest hit in the downturn last spring, and I am concerned
about those individuals falling behind. In 2020, 20 percent of prime-age
adults with less than a bachelor's degree experienced a layoff, 8 percentage
points higher than for those with at least a bachelor's degree.2』
この辺の数字の話は興味深いですが細々読んでると終わらんのでここは学歴によるコロ助被弾の差の話ですね、でとどめて次。
『It seems that women, and especially minority women, have shouldered a
larger share of adverse labor market impact because of limited child care
options and the need to assist school-aged children with remote learning
during the pandemic. 』
ジェンダーによる差の話ですね。
『The impact of COVID-19 has been especially hard for Black and Hispanic
women in the workforce. Over 3.5 percent of Black and Hispanic women dropped
out of the labor force altogether, compared with 1.7 percent of women overall.3』
人種による差の話でした。次のパラグラフに進む。
『We also see divergent outcomes for small business owners across race
and ethnicity. In the Federal Reserve's 2021 Small Business Credit Survey,
52 percent of Asian-owned, nonemployer small businesses reported their
financial conditions as poor, compared with 38 percent of Hispanic-, 36
percent of Black-, and 28 percent of White-owned firms.4』
中小企業ではオーナーの人種によって金融環境(要は借入のアベイラビリティ)が異なるというサーベイ結果が出ています、とかアメリカって色々と複雑な国ですのうとおもってします。次に参ります。
『The Federal Open Market Committee views the maximum level of employment
as a broad-based and inclusive goal. Thus, these gaps in employment and
other measures of economic wellbeing can be interpreted to show that more
progress is needed to reach maximum employment. The goal is to promote
an economy in which all can contribute to and share in the benefits of
economic growth.』
でもって最大雇用が「インクルーシブなゴール」です、という話をしておりますのでさっきのエブリワンに回復のベネフィットを届けると同じ話で、ここはまあこういうダイバージェンスが起きている中では、厳しい方の状況を身ながら政策やって行きますよ、という話をしております(が、物価の観点でゼロ金利政策を引っ張るのはちと無理がある、という認識はさっきの所で示していますわな)という事かと。
・よってコミュニティーのご意見を聞く、という話だが読みようによっては不穏に読めないこともない
次の小見出しは一転して『Community voices』となる。
『With the experiences of the pandemic fresh in our minds, an event like
this policy summit offers insights and perspectives from a broad range
of community voices about what is working on the ground. I find it especially
rewarding and valuable to hear from groups like those attending this summit.
Conversations with the leaders of community groups inform me and other
Fed policymakers of community and consumer experiences in real time.』
そんな訳ですのでコミュニティーを担う本日ご参加の皆様のような方々のご意見を直接賜るのが良い事だと。
『Just last month, for example, the Board of Governors met with our Community
Advisory Council (CAC). This council consists of a diverse group of experts
and representatives of consumer and community development organizations
and interests. In our conversation, they provided thoughtful insights about
the recovery as it is evolving in communities across the country. Their
perspectives touched on the disparities the pandemic has exacerbated and
on the challenging road ahead.』
CACってのをFRBで実施してて(さっきも言ったようにこれはFRBじゃなくてクリーブランド連銀の行事)、幅広いコミュニティの方々から重要な示唆に富むものを得られました、ってゆうとりまして、この小見出し部分はそういう話を聞くのが重要だぞ、って話なんですが、そうなると益々「イン増え放置は怪しからん」と言われる機会も増えそうな増え無さそうな、実際のところどっちなんでしょう??
・以下の部分は地域における中小企業の頑健性が米国経済の頑健性を支えまっせ、という話になるので読まなくてもよかですたい
次の小見出しが『Perspectives on economic resilience』という今回のキーワード「レジリアンス」のお話ではありますが、まあ基本的に金融政策の現世利益とは関係ないのでご興味のある方だけ読んで味噌という感じで、この先はぶっ飛ばしても別にワシら的には実害(?)はありません。
のに何で書くかというと寝起きでほぼぶっつけ本番読みながら書いているので、途中でこれは政策インプリケーションが無いなと思っても今さらばっさり削るのもめんどいし折角読んだのでメモに残しておこうって程度の話です(もうちょと斜め読みしてからなら飛ばしてた可能性もなくはない)。
『In the time I have with you this morning, I'd like to offer my perspective on economic resilience. 』
ほうほうそれでそれで?
『I often find striking similarities between urban and rural communities,
just as the upcoming panel on the "common ground in urban and rural
America" will explore. When it comes to building economic resilience,
there are a few key elements that facilitate a quicker recovery across
different kinds of communities after challenging times. There are a wide
range of topics on this conference's agenda, from broadband access to workforce
development to affordable housing to small business development-I will
focus on just a few of these.』
何か話が壮大だな。
『One key element to community resiliency is the engagement of local financial
institutions in providing access to credit and supporting small businesses
with funding and technical assistance.』
ローカルコミュニティがレジリアントであるためには、地元金融機関が中秋企業向けの金融支援、技術支援などによって、クレジットへのアクセスを供給することが重要だそうな。
『As a former community banker, I know that few understand their communities
better because they live in the local economy and can step in to lend in
a targeted way to those best prepared to benefit. During the pandemic,
community bankers and other lenders such as community development financial
institutions (CDFIs) were the key to making sure that healthy businesses
temporarily hurt by lockdowns, economic restrictions, and social distancing
were able to access the multiple rounds of Paycheck Protection Program
(PPP) funding that kept workers on their payrolls.』
地域金融機関(ウェルスファーゴみたいなのじゃなくてもっと小さい地場の金融機関な)が、地域の中小企業にクレジットアクセスを提供することの重要性についての説明をしていますな。
『In other ways, community banks once again showed how irreplaceable they
were in responding to the needs of consumers and small business clients.』
『While I have heard from community groups that small businesses struggled
to navigate the PPP application process, especially those that did not
have a preexisting banking relationship, community banks and CDFIs made
a concerted effort to meet small business needs. 』
『The 2021 Small Business Credit Survey results showed that small banks
were the most common source for PPP loans among employer firms, and applicants
leveraging assistance from smaller banks were the most successful in obtaining
all of the PPP funding they applied for.5 』
『Additionally, I heard from the CAC last month that CDFIs were also effective
in lending to smaller borrowers with limited or no financial institution
relationships.』
だらっと引用すると何なので話の切れ目で分けてみましたが、さっきの「技術支援」ってナンジャラホイと思ったら、先般コロ助対応でぶっこまれたPPPとかでも、いざ地域の中小企業がこれを使おうとしても、申し込みどのようにしたらいいのか見たいな所から立ち往生することも大いので、そういうのに対してコミュニティバンクが支援を行って行ったりしてました、みたいな話を交えながら、中小企業に対してコミュニティバンクの存在が重要である、という話をしておるようですな。
『An environment that supports resilient small businesses means more jobs
and economic growth in local communities-both urban and rural. In the past
10 years, small businesses created over 10 million net new jobs, or about
two-thirds of net new job creation, overall. In rural counties, 65 percent
of the total jobs, which is a significant majority, were provided through
employment in a small business.6 Creating and encouraging an environment
that supports small business growth and entrepreneurship is a vital component
of economic vitality and advancing a more broad-based recovery. This is
exactly the type of environment that the Federal Reserve has been working
to encourage with accommodative financial conditions promoting the flow
of credit to households and small businesses.』
この辺の説明は地域の中小企業による雇用の重要性と、だからこそ我々は家計や企業へのクレジットアクセスフローを維持しようと色々な政策を実施しました、って説明。
『And finally, as all of us are acutely aware after more than a year of
pandemic-related shutdowns, broadband access has become even more of an
essential utility. It's something that families need for children attending
virtual school online, for expanding work opportunities, and for remotely
accessing goods and services. This essential service is often unavailable
or considered a luxury in many rural and lower-income urban communities.
Data from the Census Bureau show that only about 65 percent of households
in both rural and lower-income counties pay to have a subscription to internet
services, compared with the national average of about 80 percent.7』
コロ助の影響は終わった訳ではなくて、対面の学校が再開してなかったり、インターネットによる物販が増えてみたりと色々な変化がおきておりますなあ、どいう話。
『A report from the Federal Reserve Bank of Philadelphia also found income-
and race-related gaps in both broadband availability and adoption rates
across neighborhoods in Philadelphia.8』
そこからインターネットアクセスの話になるのかよ。
『Internet access has become necessary for those looking for a job, and,
not surprisingly, the unemployment rate for those without a computer connected
to the internet was about 3 percentage points higher than the unemployment
rate for those with a computer with internet access.』
マジかアメリカンってコンピューターによるインターネットアクセスがあるのと無いのとで3%も失業率が違うんですと。
『Investing in the infrastructure to increase broadband availability and
to support broadband adoption in these communities could help close the
employment gaps.』
などと考えると日本って通信インフラは進んでいるんだと思うのよね。問題はそのリソースの使い方なのであって。
『Additionally, it can help level the playing field for children attending
school, open opportunities for adults to pursue more stable and better-paying
jobs and online education, and also enable access to online banking and
other internet-based financial services.』
学校も再開すべきだし、オンラインでの金融サービスも充実させることによって、フルタイムの就業が可能な人を増やしましょうってお話。
最後のパラグラフでFEDの話に戻りますが。
『In summary, it seems clear that much progress remains to be made in these
areas. The Federal Reserve is committed to supporting the economic recovery
and will do so through our monetary policy tools, supervisory responsibilities,
and community development function. I'm looking forward to seeing how the
opportunities from your collaborations and the creative solutions arising
from this summit will help support vulnerable communities in adapting to
and recovering from economic shocks. 』
『Through this approach, and with partnerships among practitioners like
those here today, we can ensure that those who experienced the greatest
effects from the pandemic are included in the economic recovery. Thank
you again for this opportunity to be here today, and I wish you a productive
and successful conference.』
特段現世利益に繋がる話ではなくて、地域の中小企業が重要なので、そこにクレジットアクセスを提供するコミュニティバンク等の機関が重要ですのでFEDはサポートしていきまっせ、と来て最後に皆様のお話を色々と伺う機会重要ね、という話で締めているので、政策をどうこうしようという話の造りにはなっていないものの、コミュニティの方々から今の物価状況に関する話とかも出るんだろうなーと思うと、さっきのフェドリッスン再開とか、ロイター記事のヘッドラインになった部分とかも含めて、微妙に妖しげな香りもしますな、という感じですかね、よー知らんけど。
2021/06/23
お題「パウエルの議会証言とか要人発言のニュースとか見ながら雑感を少々」
皆様ご案内の事とは存じますが昨日の3コマ漫画。
https://news.yahoo.co.jp/articles/feead2ac5337ac9e826968ad90fc40650e569322
五輪会場での酒類販売を容認へ 組織委、時間帯など制限か
6/22(火) 0:57配信
https://www.asahi.com/articles/ASP6Q51DWP6QULFA00G.html
五輪会場の酒販売、五輪相「ステークホルダーの存在が」
新型コロナウイルス
小野太郎2021年6月22日 15時22分
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e5a25eaedea6938449e4c626b3b035c08a90409
五輪会場、酒類の販売を一転見送りへ
6/22(火) 22:01配信
これ、どう見ても丸川珠代のアホウが火に油注いじゃったし、「文句は公式スポンサー様へどうぞ」と言わんばかりの発言は頭の中身が無いとしか思えないのですが、まあこのアホウは日銀総裁記者会見にわざわざ出張って行って阪神タイガースについて聞く、というゴミクズここにありというプレイをしていた人なので仕方ありませんな。
しかしまあ公式スポンサーをわざわざ金かけてやってるのに、まるで銭ゲバの為に特別扱いしろと言ってるみたいな反感を向けられかねなかった某スポンサーさん踏んだり蹴ったり。
観客数どうするかも決まってないとか、お前ら飛行機が離陸してからシステムチェック始めても遅いんだそ分かってるのか???って感じですな。おそロシア。
〇パウエル議長の議会証言の冒頭部分自体はややこしい話を回避の巻のようですね&その他高官発言(ベンダーからで恐縮)
昨晩の早めの時間に出ていたので珍しくも寝起き前に読んでしまいましたが、そういうのに限ってネタとしての活用性に乏しいというのが惜しい所(こらこら)。
・パウエル議会証言の冒頭部分は新しい事は言わないで無難に流すの巻
https://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/powell20210622a.htm
June 22, 2021
The Federal Reserve's Response to the Coronavirus Pandemic
Chair Jerome H. Powell
Before the Select Subcommittee on the Coronavirus Crisis, U.S. House of Representatives, Washington, D.C.
議会証言ですが、そらまあ「テーパリングを着手するための条件である更なる顕著な進展がみられているのかどうかについての議論を行うために、その考え方について議論するのが向こう数回のFOMC」って言ってるわけで、決断する前の議論のための議論をする、って段階なのに議会証言で前打ちできんわな、というのはあるのですが、一方で火消しをするのかとかいうのもあったかもしれませんよね。
最初のパラは挨拶なのですが、その次の2パラと3パラが経済情勢、雇用情勢と来ています。
『Since we last met, the economy has shown sustained improvement. Widespread
vaccinations have joined unprecedented monetary and fiscal policy actions
in providing strong support to the recovery. Indicators of economic activity
and employment have continued to strengthen, and real GDP this year appears
to be on track to post its fastest rate of increase in decades. Much of
this rapid growth reflects the continued bounce back in activity from depressed
levels. The sectors most adversely affected by the pandemic remain weak,
but have shown improvement. Household spending is rising at a rapid pace,
boosted by the ongoing reopening of the economy, fiscal support, and accommodative
financial conditions. The housing sector is strong, and business investment
is increasing at a solid pace. In some industries, near-term supply constraints
are restraining activity.』
しちめんどくさいのでパラ全部引用しちゃいましたが、ここもとの回復は顕著ですよその要因は云々って話についてはFOMCで示された話しからとくに変わったことを言っている訳ではないので、この部分は相場的に言えばノーカンみたいなもん(極端ですが)。なおFOMC後の会見QAネタがMPMと被って後回しになっておりますの誠にサーセンですが逆に少し置いてから見ると味わいが出ることもあるのが記者会見、とサボりを正当化している訳ではありません、キリリッ。
次が雇用の現状ですが、ここはちょっとだけインプリケーションを感じました(個人の感想です)。
『As with overall economic activity, conditions in the labor market have
continued to improve, although the pace has been uneven. The unemployment
rate remained elevated in May at 5.8 percent, and this figure understates
the shortfall in employment, particularly as participation in the labor
market has not moved up from the low rates that have prevailed for most
of the past year. Job gains should pick up in coming months as vaccinations
rise, easing some of the pandemic-related factors currently weighing them
down.』
雇用回復に関しては、まあこの辺の話もだいたいよくしているのですが、今回の議会証言テキストでの見どころとアタクシが思うのはここの部分における「this
figure understates the shortfall in employment」って部分で、もちろんこの話も以前からしているので新しい話では無いのですが、失業の改善が見た目よりも遅い、ということを強調するような言い方になっている(ここ数回のFOMCでは威勢の良い話を前面に出してくる感じだった)ので、つまりはこの部分で「雇用の方でまだまだマンデートに届かない」というのを持ち出して市場がタントラムってしまうのを防ごう、ということでしょうな。
しかしまあタントラムなら兎も角、「プレマチュアーな利上げによって景気が失速するシナリオ相場」をやる米国債券市場ってのも、お前ら普段「どーんとふぁいとフェド」とか言ってる癖に、どう見てもそれはFEDがトンマ利上げを行うって意味の相場なんだからファイトどころか馬鹿にしてるんですけどナンジャソラという感じはしました。まあどうせただのスティープ巻き戻しでそのポジションがやたらデカかったとかそういう話しなんでしょうけど。
という訳で、まあ火消しちゃあ火消しをしているのはこの部分、ただ、こっちに重点を置いているってえのは、物価上昇が一時的、と言い張るだけで利上げ着手時期を後ろに置く説明をするのには無理がある、と思っているから雇用の方に話を持って行っている感はあり、雇用がうっかりワクワク(自粛)で急速に回復してしまったり、お賃金が引き続き威勢良かったりすると、さてこれは・・・・・ってな話になりますな。
次のパラグラフはFEDの宣伝(?)も含めて「完全雇用が大事」という説明をしていまして、これはまあ今申し上げましたように、雇用のマンデート達成まで待つよって意味のパラだと思います(というかそういう意味じゃなかったら何ですのこの宣伝は、って感じなので。
『The Fed pursues monetary policy aimed at fostering a strong, stable economy
that can improve economic outcomes for all Americans. Those who have historically
been left behind stand the best chance of prospering in a strong economy
with plentiful job opportunities. And our economy will be stronger and
perform better when everyone can contribute to, and share in, the benefits
of prosperity.』
全ての人たちが望むような雇用を得られるチャンスを作りましょう!って言ってるんだが、そんな虫の良い話があるのかという気はしますよね(個人の偏見です)!!!!
まあ何ですな、実際問題そんなことしたら雇用ちゃんは遅行指標なんだから金融緩和の副作用の方がどこかで火を噴くと思われますので、まあこの辺の話ってのは「今タントラムを起こされると困る」という発想から来ている説明であって、あまり全部を真に受けるべきではないと思う、ってアタクシの個人の感想ですけど、まあそういう話もFEDネタやりながらアタクシも考えを整理整頓中なので、ボチボチ書いていくかとは思います。
次が物価の話。
『Inflation has increased notably in recent months. This reflects, in part,
the very low readings from early in the pandemic falling out of the calculation;
the pass-through of past increases in oil prices to consumer energy prices;
the rebound in spending as the economy continues to reopen; and the exacerbating
factor of supply bottlenecks, which have limited how quickly production
in some sectors can respond in the near term. As these transitory supply
effects abate, inflation is expected to drop back toward our longer-run
goal.』
物価はここ数か月エライ勢いで上昇していますが諸々の一過性要因や前年比効果などの影響がありまっせ、その辺が剥落したら2%に向かいまっせ、という何時もの説明をしています。
『The pandemic continues to pose risks to the economic outlook.』
お、次のパラグラフに行ったらコロ助が先行きの見通しのリスクです話になってしまい、物価がどうのこうのとかインフレ期待がどうのこうのとか言うのを華麗にスルーというかスウェイして次に行ってしまいましたね。
『Progress on vaccinations has limited the spread of COVID-19 and will
likely continue to reduce the effects of the public health crisis on the
economy. However, the pace of vaccinations has slowed and new strains of
the virus remain a risk. Continued progress on vaccinations will support
a return to more normal economic conditions.』
んなことは言われんでもわかっとる、じゃあつぎはなんでしょうといいますと、
『The Fed's policy actions are guided by our dual mandate to promote maximum
employment and stable prices for the American people, along with our responsibilities
to promote the stability of the financial system.』
いつもの我々は〜の話。
『In response to the crisis, we took broad and forceful measures to more
directly support the flow of credit in the economy and to promote the stability
of the financial system at the onset of the pandemic. Our actions, taken
together, helped unlock more than $2 trillion of funding to support businesses
large and small, nonprofits, and state and local governments between April
and December of 2020. This, in turn, helped keep organizations from shuttering
and put employers in a better position to keep workers on and to hire them
back as the recovery continues.』
・・・・・という訳で、ここから先は議会様のCARESActによって実行させて頂きました各種の措置がこのように顕著な効果を上げまして(地方政府の債券発行やら借入やらに対して大いに寄与したって説明がでかでかと出ているのが割とチャーミングです)もう大変なもんでございましたわよ、という話になっておりまして、市場の中の人たちが聞きたい部分は華麗にスルーという感じで終わっています。
ただまあこの証言テキスト、よみどころポイントを何かひねり出せと言われたらさっき申し上げたように、雇用情勢の部分で「数字ほどよくない」って言っている辺りから、これは「物価は一時的」で説明するのよりも雇用の方で説明した方がゴールを遠く出来る、という発想に至ったんだと思います(個人の感想です)。
・質疑に関するロイターさんのニュースをクリップ
ロイターさん恐縮至極です
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-idJPKCN2DY2EI
2021年6月23日5:43 午前UPDATED
FRB、物価懸念だけで「性急に利上げせず」 パウエル氏が議会証言
『[ワシントン 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、コロナウイルス危機に関する下院特別小委員会の公聴会で証言を行い、FRBは労働市場の「広範で包摂的な」回復を促進するとし、インフレ懸念のみに基づいた性急な利上げは実施しないと改めて確約した。』(上記URL先より、以下同様)
冒頭の部分見れば物価の話をサラッと流して雇用の解説してるんで、まあ質疑で言われたらそうなるよね。
『パウエル議長は「インフレを巡る懸念を理由に、性急な利上げは行わない。実際のインフレ、もしくは他の不均衡の証拠が出てくるのを待つ」と表明。このところの物価上昇は、経済活動の再開に「直接影響を受けた」部門に起因しており、利上げを必要とする「経済のタイト化を示すものではない」と述べた。』
そらまあそう答えるのですけれども、逆に言えばこれインフレがサガランチ会長になって来るとか、他の不均衡が明確になるとホイホイ利上げするって話でもあるので微妙ちゃあ微妙。
物価は見えるから分かるけど、じゃあ金融不均衡ってのは何じゃという話ですが、これは中々見えにくいからアレですが、ただまあゴルディロックスヒャッハー相場は勘弁して欲しい、とFEDの真ん中の人たちは今となれば思ってるんでしょうな、ヒャッハー相場の中でテーパーの話になったらバーナンキの二の舞ですからね。
・ウィリアムズ&デーリー
ウィリアムズ副議長NY連銀総裁ここに来て火消しチックな発言を絶賛展開の巻ですかな。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-williams-idJPKCN2DY1TW
2021年6月23日12:52 午前
金利調整巡る議論「まだかなり先」、経済指標を注視=NY連銀総裁
(一瞬未来の時間かと思ったが今朝の0時のことね)
『[22日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は22日、金融政策の調整を開始するのに適切な時期を判断するため、経済指標を注視しており、金利調整の時期に関する議論はまだかなり先になるという考えを示した。ブルームバーグテレビのインタビューで「経済が連邦公開市場委員会(FOMC)声明に記された条件を満たすようなら、フェデラル・ファンド(FF)金利の適切なスタンスについて議論するときだと思う。それはまだかなり先の話だ」と語った。』(上記URL先より)
昨日のニュースだったような気もするが(汗)、空気と化しておられたウィリアムズさん、火消しっぽく登場しておられるの巻ですね。
SF連銀ってイエレン→ウィリアムズって来て今のデーリー総裁なので、基本的には主流派のポチとみなされることが多いと思います、デーリーさんになって偶にちょっとズレているかも的なのはあるのですが、まあイエレン財務長官になっちゃいましたし、やっぱりこのSF連銀の流れは私は注意してみる方です(ブラードって目立つし論点が一々オモロイからネタになりやすいけど、ワイはブラードはイロモノだと思ってるのでSF連銀注目派(そんなのがあるのか??)ではありますな)。
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-daly-idJPKCN2DY20K
2021年6月23日2:07 午前
FRB、年末にもテーパリング開始可能=サンフランシスコ連銀総裁
『[22日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は22日、年末もしくは来年初めにも連邦準備理事会(FRB)はテーパリング(量的緩和の縮小)を開始する準備が整う可能性があるという考えを示した。』(上記URL先より、以下同様)
そらそうよ。
『記者団に対し「私は景気回復に強気だ」とした上で、テーパリングの条件となる、最大雇用と物価安定目標への「さらなる実質的な進展」は「われわれの目が届く範囲にあり、今年の終わりから来年の初めのある時期にそこに到達することも可能だと思う」と表明した。』
そらそうでしょうよ。
『さらに「まだそこまでは至っていなくても、基準に達したときのために準備を始めることが適切」と指摘。住宅市場が過熱しているため、住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れを国債より早く縮小すべきかが議論のテーマになるとし、あらゆる決定は米連邦公開市場委員会(FOMC)に任されているが、住宅ローン市場は十分機能しており、MBS買い入れは住宅ローン金利に直接影響しておらず、むしろ国債買い入れとともに金融情勢全体に影響を及ぼしているとの見解を示した。』
ほっほー、金融不均衡チックなネタと来ましたか、というのはオモロイナと思いましたが、これ別の意味で言えば「テーパーと利上げは別の判断基準で行うのだから、テーパーが即利上げに直結する話ではない」っていうこれまでずーっと一生懸命FEDがテーパー利上げ分離論を唱えていた説明の延長線上にあるな、とは思いました。
でもって以下他のネタやる時間がない(実は基調的物価インジャパンというのが昨日出ていて、米国中心に物価上昇が一時的だから緩和縮小は後だよーとか、うちはもうインフレ対応せにゃいかんから利上げじゃあ、とか世界で話題になる中、ジャパンの物価が地蔵にも程があり、もはや地蔵と言うよりは大仏なんじゃないかという位に動かないという素晴らしい数値を示していた事をネタにするつもりだったのにうっかりこっちの話をし過ぎておりましたサーセンそれは明日)のですが、ちょっとだけ追記雑感なんですけどね。
・別に今回タカ派転換した訳ではないんですよね〜FEDって(ドットチャートの弊害)
という小見出しを用意したが中身は無い。というかまだ整理できてないんですけど、アタクシの過去の書き物(ちゃんと分類整理していれば読みやすいんですけど日付順のまま未整理なのは金融政策が動きそうだからさすがにマズーと思っていますが)をまあご覧いただけるとアリガタヤなのですが、アタクシ確か3月のSEPの時に「ドットチャート以外強気じゃん」って書いた覚えがあるんですよ(おじいちゃん記憶が・・・・)。
つまりですね、経済物価情勢的には前回の時点でも既に足もとで上がった物価は1.9%程度で推移していたし、成長率も潜在成長率を上回る成長(今回ほどではないが)を示していたりして、逆にそういう経済物価情勢の中で、FFを23年末まで引き上げないってどんな変態プレイだよという感じだったんで、そんな事を書いた覚えがあるんすよ。
要は何を言いたいかと申しますと、ドットチャートがウルトラハイパー超ハト派のポイントを示していただけの話で、現実問題としては別に今回だって急にタカ転換した訳ではなく、ドットをちょっと現実的にしただけでいまだって大概に超ウルトラハト派じゃろと思う訳ですな。
というのと、あとそもそものロンガーランゴール&ストラテジーって、あれ前提が「フィリップスカーブがワークしなくて、物価が雇用に代表される経済のスラックに対してあんまり反応しない」というのがあるからああいうストラテジーになっているのであって、財政ヒャッハーの効果が出て、経済の需給ギャップに対して物価が思いっきり反応するようになったら、そもそも論としてあのストラテジーの前提条件って崩壊しているので、新たなストラテジー考えないといけませんよね、というの多分皆さんすっかり忘れておられると思いますし、だいたいからしてワイも忘れそうになりますのですが、その点は思いっきりポイントになり得る話なのでして、何ちゅうかこう枠組みよ永遠なれ、と思わない方が良いと思うんだけどなー、と問題提起だけしておきます。
という所で本日はご勘弁。
2021/06/22
お題「米債ェ・・・・・・・・・(ただの備忘メモ)/MPMレビューで経済物価情勢認識と総裁会見」
お、おりっくすが9連勝で単独首位・・・・・・・だと???
#バファローズポンタが感動しているのを見て知った
〇米債の値動きが過激すぎてネタ書くのが追いつかない、という市場備忘メモ
このブルームバーグのページ、惜しいのは価格で出ていることで、利回りで出せ利回りで、と思うのだがグラフを見れば利回りになるからまあ良かろう。
これURL見れば分かるように汎用なので後で見ると直近までの値動きを反映してしまうまになります。まあ俺様備忘用なので皆様ご案内の話で恐縮至極でございますが。(以下の直近数字は今朝5時台の数字である)
2年
https://www.bloomberg.co.jp/quote/GT2:GOV
2年はFOMCの前は0.1台半で安定してたのですが、FOMCのあと金利が上昇して0.2%くらいになって週末には0.25%とかで今朝もそんなもん。
5年
https://www.bloomberg.co.jp/quote/GT5:GOV
5年はFOMCの前は0.8%挟みでやや動いてましたが、FOMCのあと金利が上昇して0.9%近辺まで行って、週末若干下がったけど今朝はまた上昇しててBBGのクオートだと0.88%とか。
10年
https://www.bloomberg.co.jp/quote/GT10:GOV
10年はFOMC前は1.49%辺りで、FOMCのあとに1.57%まで上昇したと思ったら週末は1.44%まで低下して、今朝は1.48%辺りに金利が上昇の巻。この間上記URLだと多分終値を繋いでいるだけなのでフォローされてませんが、昨日の東京時間では堂々の1.4%割れに驀進していたのに朝起きてみたらこれですよ・・・・・・・・・・
30年
https://www.bloomberg.co.jp/quote/GT30:GOV
30年はFOMCの前後でそんなに金利上がらなかったのですが、2.18%が2.20%になったとかそういう世界で、そこから金利が盛大に低下して週末は2.01%とかいう数字、でもって上記URL先だと以下同文ですが、こっちは昨日の東京時間で2%割れとかお前ら何やってるんだという水準にぶっこんでいたのに、今朝起きてみたら2.09%とかナンジャソラ相場。
そんな昨日の東京時間ではこんな感じでして、(どうでもよいが「長期債上昇」って書くのややこしいから「長期金利低下」にして頂きたい)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-21/QV11WNDWX2PS01
世界で長期債上昇、米30年物利回りは2%割れ−市場がリフレ再考
Masaki Kondo
2021年6月21日 10:21 JST 更新日時 2021年6月21日 21:32 JST
『21日の債券市場では米英を中心に長期債利回りに低下圧力がかかった。投資家はリフレ期待を再考し、中銀の金融緩和策引き揚げに対して身構えている。30年物米国債利回りはアジア時間に2月以来の2%割れとなった。インフレ期待と金利見通しの差を示す5年物と30年物の利回り格差は昨年8月以来の小ささとなった。英国債の同スプレッドも昨年12月以来の小ささ。ニューヨーク時間午前6時30分現在、米30年債利回りは2.03%、英30年債は1.2%。』(上記URL先より)
ってなもんでして、30年USTが2%割れとかいうのを見て、今朝の駄文ネタとしては、「いやまあ利上げ時期が前倒しになるから(なんかブラード芸人が芸人発言して反応したというのもあるそうですな)フラットニング、というのは分かるんだが、お前らベアフラなら兎も角、何でツイストフラットすんねん、しかも水準がこんな所で何で長いとこ買い進まれるねん」とか確定だったんですよ(本当)。
何かもはやさっぱり分からんのですが「利上げ前倒し」→「景気悪化」→「30年2%割れ」みたいなお話のようですが、いやあのですね、それ発射台が30年3%でツイストフラットするなら分かるんですけど、FFのターミナルレートが2.5%だって言ってるのに何で2.2%からジャンジャン金利を下げて行きますねんという話だし、もしかすると前回の正常化局面のデジャブとか思っているのかも知れませんが、今回って財政を無茶苦茶に出しているし、大体からして前回と違って物価がホイホイと上がっている(一時的なのかも知れませんけど、SEPの見通しで言えば一時的の後も2%はキープでっせ)し、その背景に財政を盛大に出している、って前回とは全然状況チャウやろと思う訳ですよ。何でリセッショントレードみたいなことすんねんと。
という話の前に、例えば変態芸人ブラード大先生だって、別に今年利上げするとか言ってるのではなく、来年のケツ当たりの利上げとか言ってるわけでして、それ全然プレマチュアーな利上げじゃねえだろ、とまあ斯様アタクシなんぞは思うので、リセッショントレードをするのもナンヤソラという感じですな。
もちろんこれが「物価が上がり過ぎているので経済をやや強引に減速するのも辞さずで利上げを早期にバンバンするしかない状況である」というようなマーケットコンセンサスでしたらば、リセッショントレードみたいなのになっても良いんですけど、一方で昨日の金利下がっている所ではBEIとか下がっているという状況でして、何ちゅうかもうちょっとその整合性を考えて頂きたい所なんですが、もしかしてAI様が御発達されているアメリカ様におかれましては馬鹿AIが「利上げ前倒しなのでフラットニング」とかプログラムされていて、教科書通りにフラットナーポジションを馬鹿AIが馬鹿なのでカーブ形状だけ見て絶対水準とか考えずに組むから飛んでもない所でツイストフラットした、とかそういう世界なのかと????なアタクシでありまする。
つーかよく考えたら2年の25bpも大概で、今の所年内利上げはFOMCの超タカ派でも0人予想になっているのですが、2年間で25bpだったら来年の今頃には政策金利が50bpになっていないと間尺に合わない水準なので、来年の今頃から利上げパスとかじゃないと計算合わんだろという感じ(いやまあファンディングのレートが0じゃなくてもうちょっと上だからこれで適正とかいうのかも知れないからこの辺はメモっておくだけにしとくが)でして、何ちゅうかこの米国債券市場様色々と茹で上がっておられるのではないかとゆー感じではあります。今に始まった話じゃないんですけど、最近はどうも米債見るよりも米株みた方がエエンチャウかという気がしております。
#あと思うのは(世界的にそうだけど)中銀が国債市場に介入しすぎて市場の流動性が低下してるから過激な動きになる、というのがあるのかもしれないなあという指摘をポジション持ってる人からは割と聞く(個人の感想です)のですよね
というだけの起きたことに後付けで勝手なことを言うだけ、という屁の役にも立たない俺様メモでございましたすいませんすいません。
〇MPMレビューの続きで声明文の経済物価認識比較
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210618a.pdf(今回声明文)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2104a.pdf(前回展望レポート)
経済物価情勢判断の部分は前回は展望会合だったので展望レポート基本的見解の方に入ってますので、そっちと比較します。
現状認識は項番2になります。
『2.わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している。』(今回)
『わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している。』(前回)
ということで基調判断は同じ。
『海外経済は、国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じてみれば回復している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は着実な増加を続けている。また、企業収益や業況感は全体として改善している。』(今回)
『海外経済は、国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じてみれば回復している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は増加を続けている。また、企業収益や業況感は全体として改善している。』(前回)
今回、輸出と生産の所の「増加」判断に「着実な」という威勢の良い文言を追加しておりまして、判断が上がったという程ではないにせよ、状況の改善に対する自信ニキのようなものは伝わって参りますな。
『設備投資は、一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している。』(今回)
『設備投資は、一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している。』(前回)
自慢の設備投資は・・・・まあ6月短観見てからですかね。今回は横ばい。
『雇用・所得環境をみると、感染症の影響から、弱い動きが続いている。個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力が強く、足踏み状態となっている。住宅投資は下げ止まっている。公共投資は緩やかな増加を続けている。』(今回)
『雇用・所得環境をみると、感染症の影響から、弱い動きが続いている。個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力の強まりから、持ち直しが一服している。住宅投資は緩やかに減少している。公共投資は緩やかな増加を続けている。』(前回)
今回は個人消費の部分については「足踏み」ということで「持ち直しが一服」からそのまま横ばっていやがりますなあという感じでイマイチですが、住宅投資がしれっと上方修正(下げ止まり、なので上方って言う程のもんでもないですが)しておりますな。
『わが国の金融環境は、企業の資金繰りに厳しさがみられるものの、全体として緩和した状態にある。』(今回)
『わが国の金融環境は、企業の資金繰りに厳しさがみられるものの、全体として緩和した状態にある。』(前回)
いつも通りである。全体として緩和してるんだったらコロナオペ継続するにしたってスケールバックするとかやりようは無いのかと小一時間というのはあるが。
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、感染症や携帯電話通信料の引き下げの影響がみられる一方、エネルギー価格は上昇しており、足もとでは0%程度となっている。また、予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(今回)
『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、感染症や既往の原油価格下落の影響などにより、小幅のマイナスとなっている。また、予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。』(前回)
他の主要国では物価が上がってインフレ期待が上がり過ぎないようにするために「一時的」を連呼しているという中、堂々の0%程度という現状(これは認識も糞も事実なのでシャーナイ)には笑ってしまうしかない。まあ上がられても個人の生活的に困るがw
項番3が先行き見通しになります。
『3.先行きのわが国経済を展望すると、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済を展望すると、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、回復していくとみられる。すなわち、感染症の影響が徐々に和らぎ、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果が経済を支えるなかで、所得から支出への前向きの循環メカニズムも働いていくと考えられる。』(前回)
読んでて笑ったのですが、前回の展望レポートでは「感染症の影響が徐々に和らぐ中で外需や政策効果で”所得から支出への前向きの循環メカニズムが働いて行く”」と大きく出た訳ですよ。
でね、前向き循環メカニズム自体は次の部分に前回展望同様にあるのですから、まあそういう見通しだか願望だかお気持ちだか誇大妄想だか知りませんが、そういうの自体はあるんでしょうけれども、今回の声明文って前回にあった「感染症の影響が徐々に和らぐ中で前向きの循環メカニズムが動き出す」というエライ勢いでの強気文言を落としたんですよね。
まあ何ですな、前回「前向きの循環メカニズム」って書いたらあちこちから「いやそのりくつはおかしい」って突っ込まれたので前向きの循環メカニズム連呼を止めたんしょうなーと思ってアタクシは笑ってしまいましたが、とはいえこの次にその文言がありますので、別に引っ込めたという訳ではない。
『その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済はさらに成長を続けると予想される。』(今回)
『その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済はさらに成長を続けると予想される。』(前回)
ほうほうそうですかそうですか、前向きの循環メカニズムねえ・・・・・・・・・・・
でもって物価。
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、目先、0%程度で推移すると予想される。』(今回)
『消費者物価の前年比は、当面、感染症や携帯電話通信料の引き下げの影響などを受けて、小幅のマイナスで推移するとみられる2。もっとも、携帯電話通信料の引き下げは一時的な下押し要因であり、これを除けば、消費者物価の前消費者物価の前年比底堅く推移すると考えられる。感染症のもとでの需要の弱さが影響するものの、需要減少の一因が感染症への警戒感であることや、感染対策に伴う供給制約やコスト増などから、企業が値下げにより需要喚起を図る行動は、今後も広範化しないと予想される。また、昨年秋以降の原油価格の持ち直しを背景に、エネルギー価格の前年比はプラスに転じるとみられる。そうしたもとで、中長期的な予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移すると考えられる。』(前回)
前回がクッソ長いのは展望レポートだからです。
『その後、経済の改善が続くことや、エネルギー価格の上昇、携帯電話通信料の引き下げの影響剥落などから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。』(今回)
『その後、経済の改善が続くことや、携帯電話通信料の引き下げの影響が剥落することなどから、消費者物価の前年比は、プラスに転じ、徐々に上昇率を高めていくと予想される。中長期的な予想物価上昇率も、再び高まっていくと考えられる。』(前回)
今回期待インフレ云々の記述が無いのは、これまた声明文と展望レポートのフォーマットの問題なので、そこには別に意味はありません。しかし主要国の物価が跳ねて(以下同文なので割愛します^^)。
項番4はリスク要因です。
『4.リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響といった点について、不確実性が大きい。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。』(今回)
『上記の中心的な経済の見通しについて、感染症の影響が収束するまでの間は、特に以下の3つのリスク要因(上振れないし下振れの可能性)に注意が必要である。
第1に、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響である。感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響については、不確実性が大きい。(途中割愛)第2に、企業や家計の中長期的な成長期待である。(途中割愛)第3に、金融システムの状況である。(以下割愛)』(前回)
声明文と展望レポート基本的見解なので体裁や字数が違うので何とも言えませんが、中長期的な成長の方は展望レポートの方では「上振れの可能性」も含めて書いているのですが、こちらの声明文では下振れの可能性にだけフォーカスを当てる感じになっている(前からそうですので念のため申し添えます)なあという所ではあります。
まあ停滞感強いな(コロナ蔓延モードがまだ続いているからしゃーないけど、ワクチンがワクワク(以下自粛)となる中でもありますので、まあ次回展望で何を書いてくるのかを見たいな、という感じでした。
〇総裁記者会見
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210621a.pdf
いやですね、今回のMPM後の会合記者会見、ショパンの事情によってちゃんとライブ放送を久々にまともに聞いてしまったんですけど、最近暫くの間ライブ聞かないでいた(某誰かさんの質問の時に露骨にうれしそうな顔をするのを見るのが不愉快になってから見るのを止めてた、というのはややある)ので、しばらくぶりにみたギャップがあって、何ですかあの黒ちゃん油の抜けたような感じでボソボソと想定問答集棒読みしているかのような覇気も何もあったもんじゃない会見は、と思ったのが1点と、途中で「45分になりましたので最後の質問」とか幹事社が言い出してて、いやお前ら自主的に途中で切るとかしょうもない自主規制するんじゃねえよこのヴォケ(総裁記者会見って日銀記者クラブ主催でしょ?)という感じでして、まあその後数名粘ったので結局1時間になりましたが、2時間とかやってるなら兎も角、45分でもう打ち切りとか何だよそれって感じだし、大体からして質疑応答の際に黒ちゃんどうでもいい話をダラダラとして時間稼ぎしてるじゃえねかよ、とまあいろんなことを思いました。
なお、真面目に聞いた結果、以上のような事情でトサカに来て血圧は上がるわ耳は腐るわという感じで、水虫の鑑賞を1時間もする破目になったので、血圧の低下と精神の浄化を行うためにFRBのサイトに行ってFOMC後のパウエル会見と質疑応答(すいません今後ネタにします)を鑑賞してソウルジェムの浄化に務めたことは言うまでもありません(−−;
・今回の黒ちゃん会見で一番結構だったと思ったのは気象変動何とかオペの話でして
さてさて、まあそうやってソウルジェムが濁ってしまうような会見ではありましたが、今回の会見の中で一番味わいがあったのは気象何とかオペの件での説明でして、最初の方の質問に対する応答で(質問の方はやたらあれこれ(幹事社なのに)質問しててウザいので質問を割愛するという暴挙に出ます)こういう回答をしていました。
『(答)(前半割愛)後段の気候変動問題への対応、これは、国際的な関心が高まる中で、わが国政府も、2050
年までのカーボンニュートラルの実現を目標として掲げています。こうした目標に向けた政策対応は、基本的には政府・国会の役割です。』
って最初にぶちかましていて、ああ黒ちゃん自分ではこんなの中央銀行の仕事じゃねえだろ、と思っている、というのが良く伝わったので、この部分は良かったなあと思いました。黒ちゃんってQQEぶっこんだときの感じからして、基本的に金融政策はマクロ調整のためにあって、そのマクロ調整自体もマネタリーベースのような部分、即ち個別市場への細かい介入ではなくて、あくまでも全体的な部分での調整を行うことによって対応するもの、というのが基本的な考えとしてあるんでネーノ、とは思いました(個人の勝手な妄想です)。
なおこの回答もウダウダと続く。
『しかしながら、気候変動およびそれへの対応は、中長期的に、経済・物価・金融情勢にきわめて大きな影響を及ぼし得ると考えています。従って、日本銀行としては、中央銀行の立場から、民間金融機関による気候変動への対応を支援し、長い目でみたマクロ経済の安定に貢献することは、「物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資する」ものであると考えています。』
物価の安定を達成していませんが、というツッコミはさて置きましても、何かこの言い方も微妙に引っ掛かると言いますか、これ本当に中銀の仕事なのか??って点についてもやっとしたものがあるんだろうなーと思わせるような奥歯にものの挟まったかのような物言いっぽくて結構結構。
『こうした認識のもと、今般、日本銀行では、金融機関が自らの判断に基づき取り組む気候変動対応の投融資をバックファイナンスする新たな資金供給制度を導入することとしました。これは、ミクロの資源配分への具体的な関与をできるだけ避けながら、金融政策面で気候変動への対応を支援するという、そういう意味では新たなアプローチであると考えています。』
わざわざ「ミクロの資源配分への具体的な関与をできるだけ避けながら」って言い出しているのが、黒ちゃんの発案なのか事務方の作文なのかはわかりませんけど、最近は社債買入などに対して「ミクロの資源配分に日銀が積極的に介入しているのは如何なものか」という批判がようやっと高まってきている(ように見えるのですが気のせいだったらすいません)ので、さすがに事務方がヤベーと思い出しているのか、それとも黒ちゃんこの回答の最初にありますように、本来こんなの日銀の仕事じゃねえんだがしょうがないから実施するかって感じなので、ミクロの資源配分云々の話を持ち出したのか、その辺はよくわかりませんがここも味わいがありました。
さらに説明は続く。
『また、この仕組みは、気候変動問題を巡る外部環境が流動的なもとで、情勢変化に柔軟に対応することもできると考えています。』
何でや?という感じですが、さて次の部分がまたアレでして小見出しを変えます。
・成長基盤強化なんちゃらが気候変動なんちゃらになる必然性is何?????
『この新たな資金供給制度は、成長基盤強化支援資金供給制度の後継の制度と位置付けています。成長基盤強化支援資金供給制度の新規貸付は、現在の期限である来年
6 月をもって終了します。』
え???(と言ってもこれ貸出金自体は短期貸しじゃないから既存のロールができなくなるという話ですが)
『新たな制度については、今後、金融機関等の関係者との意見交換を踏まえて、7
月の金融政策決定会合において、骨子素案を決定する予定です。その後、更に制度の詳細を検討し、準備が整えば、成長基盤強化支援資金供給の終了前から実施する方針です。』
具体的な時期は、
『意見交換や実務的な準備が順調に進めば、年内を目途に実際の資金供給を開始したいと考えています。』
だそうです。
『いずれにしても、ご質問があった点も含めて、新たな資金供給制度の具体的な内容は、今後、検討していく予定です。なお、現在、日本銀行では、金融政策以外の分野を含めて、気候変動に関する日本銀行全体としての取組み方針を検討しているところであり、7
月の金融政策決定会合後の適切なタイミングで公表する予定であることも申し添えます。』
またクダラナイペーパーを出すのか・・・・・・・・
という悪態は兎も角として、成長基盤オペをどさくさに紛れて廃止するのは結構なのですが、そもそもこの成長基盤オペってのも「成長分野」と日銀が勝手に定めた分野の融資の見合いで共通担保の範囲内で長期固定の貸出をしますよってな話なのですが、当初決めた成長分野を全く見直すでもなく、そもそも成長基盤強化オペということなのですが、このオペやって日本の潜在成長率上がりましたっけとか、そういうことを考えると中々のポンコツオペ(ちなみに余談ですが、このオペが効果か副作用かは兎も角、威力を発揮し得る機会は「利上げ局面開始が予想されるとき」でして、この時には物凄い勢いで申し込みが殺到して、そらもう無茶苦茶オモロイ世界が起きた可能性があるのですが、いかんせん利上げどころかマイナス金利の世界に突入してしまったので、そっちの意味での真価を発揮する機会もなくお蔵入りになるのでありました)だった訳ですが、まあそういうポンコツオペの後継って時点でポンコツの香りしかしないのですが、はてさてどういう風の吹き回しかと。
まあ何のかんの言ってこの成長基盤強化オペも、変な低利融資促進策になってしまって、金融機関の足を引っ張るだけに終わった(さっきも言ったように、利上げ局面が予想されるときになると一気に凄いオペに返信し得るのですがサナギのまま羽化できずに終わってしまいました)という物件ではございましたので、無くなってせいせいするわってなもんですが、これまたヘナチョコなんちゃって気象貸出みたいなので変な使われ方したりすると、国際的に日本の取り組みがクソである、みたいな非難轟轟モードになりかねないから、設計と運用はマジで注意しないと、これまでの成長基盤強化は別にドメスティックの内輪の話だから究極的には看板倒れでも別に内輪ネタで済みますが、今回の気象変動うんたらは国際的なネタなので、変な扱いをしないように是非お願いしたいと思います。つーかこういうのは日銀が別にやるのではなくて政府や国会の仕事でしょ、とは黒ちゃん同様に思いますけどね。
・・・・・・・などと書いていたら時間が無くなってしまいましたので(超大汗)、本日はこの辺で勘弁、というか別に他の質疑で見るものもあんまり無いので、明日以降ネタが無かったら暇ネタ扱いでやろうかと思います。
2021/06/21
お題「決定会合レビュー:無風の筈がしょうもない面白会合になってしまいましたな」
うーんこの。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210618b.pdf
職員の新型コロナウイルスへの感染について
これ一々出す必要あるんけ??という感じで、基本的に日銀の場合窓口とかに来る人だって全く誰だかわからん、ということにはなっていない筈なんで、行内以外の関係各位だって連絡できると思うんだから大概にこれ出すの止めればと思うんですけど。
〇MPMレビューだがまさかのネタ会合になってしまい草も生えないwww
というわけで声明文。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k210618a.pdf
・新コロオペどうせ延長だろうと思ったのですが今回やるのは「やってる振りアピール」ですね!!!
『1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。』
という決定事項ですが、
『(1)新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの延長(賛成8棄権1)(注1)』
あらそうなのもう延長するの、という感じですが、これはアタクシが勝手に妄想を逞しくしますと2つほど理由がありそうで、一つには次回MPNが7/15-7/16の展望レポートの会合となっていて、このタイミングって東京五輪の直前オブ直前になっているので、そういうタイミングで「コロナガー」とか言い出すとお祭り気分に水をぶっかけるにも程があるから、次回会合のタイミングでコロナガーをだしにくいので今回やっちまえ(その次は9月なのさすがに今回か次回)、というのがあるのですが、それ以外ということでは、本来は今回なんぞ無風会合になるところを、皆様ご案内の脱炭素何とかかんとかという老朽化した昭和の温泉旅館の更なる建て増しオペについてのアナウンスが打ち込まれている訳でして、何ですかねえこの人達「何か働いている振り」を昨年の12月会合以降毎回のように一生懸命やっておりますな、という感じです。
ほらよくあるじゃないですが、普通に業務回ってて問題ないのにヒマな本社の企画がシャシャリ出てきて業務の改善ガーでお前らの業務の洗い出しガーとか言って現場に無駄な手間暇かけさせる奴。本来の「物価安定目標2%の達成」がもう全然見えない。でまあ最近までは何だかんだと言いましても、「欧米も物価が上がらなくなっているのでこれは日本だけの問題ではなく特に主要国における世界的な問題ですね(ニッコリ)」と言い逃れができたのですが、ここに来まして米国様はご覧の通りだし、新興国とかでもインフレ対応で利上げみたいなのがチラチラと登場したりする、と言うムーブの中、相変わらずのポンコツ日銀は物価目標達成が、安定達成どころか瞬間風速でも届くような気配がカシュカリ総裁の毛髪程も見えない、という悲しい状況になっているので、もうそれ言われると困るから、毎回何かやっって「仕事をしているふり」をしておかないと「この部署そんなに仕事無いから縮小するか」と言われずに済む、という自分の居場所確保のために余計な仕事を増やして企業の生産性を下げるおっと誰か来たようだ。
さて、そんな悪態はさておき、その理由について見てみましょう。
『企業等の資金繰りは、一頃より改善しているが、新型コロナウイルス感染症の影響からストレスのかかる状況が続くとみられる。』
>(企業等の資金繰りは)ストレスのかかる状況が続くとみられる
短観とか見てもストレス掛かってるの一部のコロナ直撃の話だし、大体からしておまいらこの前の展望レポートで思いっきり企業活動の部分に関しても「前向きの循環メカニズム」とか言ってたのは何だったのかと小一時間。
まあずーっとここの所そうなのですが、日銀はここもと特にこのような「整合性をまるで無視ししてその場その場で都合の良い小理屈を唱えて政策を実施する(より正確に言えばやろうとする政策に対して情勢判断を後付けで政策に整合性が取れるように都度作り上げる、ですな)のですな。
『こうした情勢を踏まえ、引き続き、企業等の資金繰りを支援していく観点から、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムについて、期限を
2022 年3月末まで半年間延長する。』
まあどうせ延長するとは思ってはいましたが、7月展望の時かなと思ってたのでちと早めでした。
・その他は現状維持なんですがなんですかこの棄権ってのは?????????
『(2)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対1棄権1)(注2)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。
(3)資産買入れ方針(賛成8棄権1)(注1)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
@ETFおよびJ−REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約 1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。
ACP等、社債等については、2022 年3月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に、買入れを行う。』
『(注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、鈴木委員、片岡委員、安達委員、中村委員、野口委員。
棄権:政井委員。なお、政井委員は、本公表文の採決についても、棄権した。
(注2)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、鈴木委員、安達委員、中村委員、野口委員。反対:片岡委員。棄権:政井委員。片岡委員は、コロナ後を見据えた企業の前向きな設備投資を後押しする観点から、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。』
・・・・・・・なにこの棄権って?????
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021061801226&g=eco
政井日銀審議委員が棄権 民間再就職で中立確保―決定会合
2021年06月18日20時25分
『日銀の政井貴子審議委員は18日、金融政策決定会合の議決で賛否を表明せず棄権した。政井委員については、民間企業の社外取締役に就任する人事が既に公表されている。日銀によると、民間企業に再就職する審議委員の議決に関するルールはないが、中立性・公正性を明確にするため政井氏が自ら棄権を申し出たという。』
『政井委員は外資系金融機関や新生銀行を経て、16年に審議委員に就任。今月29日に5年の任期が満了となり、7月1日付で飛島建設と三菱ケミカルホールディングスの社外取締役に就く。』(上記URL先より)
はああああああああああ?????????????バッカジャネーノ??????????
えーっとですね、職務やってるときは出身母体だのなんだのというのは(本人の知見のバックグランドとしてはそういうのがあるから全く関係ないとは言わないけど)考えないで、適切な金融政策を運営するためには何を決めたら良いのか、ってのを決定するのが仕事でしょと思う訳で、そこまで言うなら社外取締役の内定もらった時点で退任すれば良いじゃんとしか申し上げようがないですな。
それにですね、大体からして「決定会合の評決を棄権」って、「賛成できないけど全員賛成の方が望ましいので致し方なく抗議の意味で棄権」、とかいうような意味があるなら分かるんですが、公表文の採決も棄権ってただの職場放棄じゃんお前前回会合以降からもらった報酬返納して退職金も辞退しろやヴォケという感じですな。
もっとそもそも論を言い出すと、報道されているこの理由で棄権をする、ってことはそれ裏を返しますと、「決定会合の票決で棄権をしないと中立性、公正性を明確にできない」って事を意味すると思うのですが、政策委員会の委員の場合、規程上日銀の当座預金取引先への再就職はダメよというのはありますが、まあそれ以外ならおっけーではあるのですけど、この場合政井さんは自分の就職(つーて社外取×2ってことは常勤じゃないですよねー)行為自体が「中立性、公正性に問題がある」とか思っておられるから棄権した、と言う風に取られたら、それこそ政井さんの規範意識はどうなってるんだ、という理屈になってしまいかねませんけどその辺についてどうご説明されるのでしょうか??????????????
というまさかのオモシロ事案が発生しておりまして、ただの無風会合の筈が面白会合になっているのには草も生えませんwwwwwww
・話はワープして水野元審議委員も棄権ってプレイをしていたんですなそういや(明快な理由あり)
これは実は声明文では公表されず、議事要旨で見たんですけど、出た時に特に何とも思わなかった(理由は分かったから)のですが、色々とネタ発言をしてみたり、鉄砲玉発言なのか勝手に発言してるのか判別の難しい人だった水野元審議委員が就任早々に棄権というプレイをぶっかましておりました。
2004年(17年前かよ!!)12月16〜17日の決定会合議事要旨
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2004/g041217.htm/
金融政策決定会合議事要旨
(2004年12月16、17日開催分) *
*本議事要旨は、日本銀行法第20条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2005年1月18、19日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。
とありますように、決定会合の議事要旨って日銀法の建付け上、通常会合ではなくて決定会合の議決事項なので、必ずこの議事要旨が出るのが次の会合以降になるんですが・・・・・・・・・・・
下の方に『VII.議事要旨の承認』ってのがあります。
『前々回会合(10月29日)及び前回会合(11月17、18日)の議事要旨が賛成多数で承認され、12月22日に公表することとされた(賛成8、棄権1)。
採決の結果
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
棄権:水野委員』
議事要旨に棄権ということですが、当時の公表文を見ますと、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2004/k041217.htm/
当面の金融政策運営について
2004年12月17日
日本銀行
とありますが、一々コピペしてると長くなるので貼りませんけど、上記URL先を見れば分かるように、水野さんが前回と前々回の議事要旨の批准を棄権したことは記載されていません。まあこれは(17年前なだけに)議事録も出ていて、政策的な意味合いが全くないので公表文に記載する必要がない、ってことだったんでしょうな。
ちなみにこの時期の議事録は残念ながら画像になっている(ので以下のURLは重いのでご注意ください)ので、引用のタイプ打ちとかしてる時間がない(下準備しとけやゴルァというツッコミはしないように)のでパスしますが、
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2004/gjrk041217a.pdf
こちらの本文132ページ(PDFファイルも同様に132枚目)以降にそのやりとりがあって、水野さんは「ワイの出てない議事要旨に何で賛成反対言わなきゃいかんのや知らんがな(意訳)」との趣旨で棄権する、と議長(俊ちゃん)が説明し、須田さんが「いやいやそうは言いましても私だって就任最初のはサインしたんだから(やや意訳)」となだめるも水野さん「異議は無いがサインはしない、政策意図はない(ほぼ原文)」と応答しててワロタ。
まあ何ですな、これ水野さんの言ってることも分かるんですが、この理屈を敷衍すると総裁副総裁って3人そろって交代だから(諸般の事情で微妙な期ズレが生じてるけど)その直後のMPM議事要旨が3名棄権になっちゃうし、なんかの拍子にまとめて政策委員が欠員になった後の会合とか議事要旨が宙に浮いちゃうかもしれませんから、その時は別に気もしませんでしたが、よく考えるとヤヤコシイ事をしましたな、後続が居なかったから特に何という事も無いのですがw
・本務のマクロ調整(=2%物価安定目標の早期達成)も出来ないのに新たなミクロ介入とな(気候変動うんたらオペ
でもって今回もう一つのお笑いネタは項番6です。なぜか政策ガイダンス文言などの後に書かれてますが。
『6.気候変動問題は、中長期的に、経済・物価・金融情勢にきわめて大きな影響を及ぼしうる。』
ほう。
『日本銀行としては、中央銀行の立場から民間における気候変動への対応を支援していくことは、長い目でみたマクロ経済の安定に資するものと考えている。』
なるほど、ところでマクロ経済の安定という意味では物価安定目標2%の達成が急務だと思うのですが、そちらの方は麿総裁を石持て追い出してはや8年、何か進展されましたでしょうか??????????
『その際、金融政策面での対応に当たっては、市場中立性に配慮しながら行うことが重要である。』
他の中銀もよーやらん各種リスク資産買入を散々っぱら行って市場の価格形成をゆがめておられる日銀様、さすが言う事が違いますわwww
『こうした観点から、日本銀行は、気候変動関連分野での民間金融機関の多様な取り組みを支援するため、金融機関が自らの判断に基づき取り組む気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給の仕組みを導入することが適当と判断した。』
こうした観点から、と言ってるのと前の部分が微妙に繋がらないんですけどねえ。
『この新たな仕組みは、成長基盤強化支援資金供給制度の後継と位置付けるが(同制度の新規貸付は現在の期限である
2022 年6月をもって終了)、同制度の終了を待たずに、年内を目途に実施する。』
は??????????というツッコミネタは今日会見要旨出るからそのついでに行いますわよおっほっほ。
『なお、その骨子素案を、7月の金融政策決定会合で公表する予定である。』
だったら7月に黙って出せばよいだけだと思うのですが、一々前振りを公表するのって如何にも「やってますアピール」ってあさとさが出ていますね〜。
というオモシロ物件が出ている訳ですが、お前らマクロ経済の安定に資するとかチミらの本分たる物価安定目標全然達成しないで、達成しない言い訳を定期的に出して、しかも今回なんて恥の上塗りのように点検シリーズとか言ってその後も出し続ける、とかそっちの方ばっかり熱心に達成してますが、物価目標達成という本分のマクロ政策が全然できてないのにまた新たなミクロ介入するとか、負け戦を誤魔化すために戦線をまた拡大するのかよと、どうせまあやるだろうとは思っていましたが、こんなに早くぶち込んで来る、というのはまあ暇なんでしょうねえ日銀さん・・・・・・・・・・・・・
ということで総裁会見など見ながら続きは明日。
2021/06/18
お題「FOMCレビュー:SEPの続きとオープニングリマーク(の中に微妙に焦げ臭い話あり)」
いやー昨日は「私はガチで市場の反応をみてません」というのがまさにガチであることが示されまして実際に数字見た瞬間に(゚д゚)な顔をしておりましたわいやマジで。
〇何かMPMのような気がするがFOMC話の続きをば
・ちょっと待てあれタカ派かよ・・・・・・・・・・・・
昨日の市場ちゃんの反応は実はこんな感じだったのですな(超滝汗、でもないか)。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-17/QUTO65T0G1L801
FOMCタカ派転換の驚き−市場は消化に数日かかるが衝撃は受けず
Emily Barrett
2021年6月17日 14:27 JST
昨日は何も見ないで毎度の駄文を書きまして「まあこんなもんじゃろ」「SEPの数字だけ強くしたけどドットチャートとか抑制的な感じですな」「声明文もコロナモードは残しながらワクチン進展の話だけにしててそこまで強くしてないし」みたいなことを書いて、そらまあ会見を通しで見ないと微妙なんだが公式文書的には穏やかな書きっぷりですわな、とか何とか書いたので、まさか10年がポツ1売られるわ、ベリーの部分が売られる利上げ相場っぽい売り方になっているわとは夢にも思わず、よって画面を見た瞬間のアタクシ(゚д゚)だった訳です。
再度SEPですけどね。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20210616.pdf
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20210616.htm
時間の関係で(おい)最後思いっきり流してしまったのですが、ドットに関して言えば今回ってターミナルレート動かしていない(マジで誰も動かしていない)し、大体からして経済物価見通しの数字からしたら2023年末の時点でゼロ金利っていってる方が変態仮面としか申し上げようが無いですし、大体からしておまいら2022年からテーパリング開始、23年に入って利上げ着手って織り込み済みじゃなかったのかよだったら何で先週のCPIで踏み上げ御所やってたんだよと小一時間問い詰めたい。
いやあのですね、22年末のドットでメディアンが1回とか2回とか利上げしてるなら、そらまあサプライズでアイヤーであばばばばーになるのは分かるんですが、23年末だよお前らそこの利上げ着手が前倒し位の勢いで売り込んでたんとチャウの??と、まあ良く分からんですなあという感じです。
だいたいですな、SEPの前回って3月FOMCの産出物なのでありまして、3月以降ってワクチンがワクワクしてIMFがWEOを引き上げて米国の物価が威勢よく上昇して、というムーブが起きているんですから、3月のドットから強くならん方がおかしいじゃろと思うのでありますが、だいたい市場の中の人というのはアタクシも含めまして、特に自分がメインで追っかけているプロダクトや領域ほど、数か月前の事とか忘れてしまいがちでございまして(お前だけだヴォケとかツッコまれるとぐぬぬとなってしまいますが)、SEPの前回比較、ってなった時にそれが3月に出てて、3月からここまでの状況変化って何だったっけ??というのがスコーンと抜けてしまう、というのはまあ分からんでもないが、それにしてもビックラしましたですわ、はい。
でもってこのドットチャートも抑制的だな、と申し上げたのは経済見通し数値との整合性の部分でしてね。
改めて確認しますがSEPの見通し部分。
左から2021年、22年、23年、ロンガーランです(年は暦年な)
Change in real GDP 7.0 3.3 2.4 1.8
March projection 6.5 3.3 2.2 1.8
Unemployment rate 4.5 3.8 3.5 4.0
March projection 4.5 3.9 3.5 4.0
PCE inflation 3.4 2.1 2.2 2.0
March projection 2.4 2.0 2.1 2.0
Core PCE inflation 3.0 2.1 2.1
March projection 2.2 2.0 2.1
これを見ますと、成長と物価のところ手前を盛大に上げていまして、先の所は別に下げてないし若干は上がっていたりするんですよね。でもって失業率に関しても来年は4%切っててロンガーランの失業率よりも低い水準になっていまして、それが来年、再来年と継続するし、再来年は来年よりも更に改善している訳ですよ。でもって実質成長率だって徐々にモデレートになると言っても、今年の盛大なのから来年も潜在成長率を大きく上回る成長を示す、って数字を出している訳ですよね、まあこれはメディアンなのでアグリゲートした数字であって一つのシナリオで出ているものでは無いですが。
と言う状態なのにゼロ金利政策を23年末まで継続するとか資産大バブルでも起きろとでも言うのかと小一時間って感じで、この通りの見通しだったらいやお前ら政策金利23年末の時点でもっと上がってないと金融不均衡からの爆発炎上がまた起きた時に今度は財政余力が下がってるんだぞ大丈夫かオイってなもんでして、あのドットでも大概にハト派だわという風に思いますけどね。
・ところでこのSEPの物価見通しだと「一時的」とは何ぞやと思ってしまうのだが
・・・・・・というのもさて置きまして、あんまりこれ指摘している向きが見られない(みつけてないだけかも知れないけど)のですけど。この見通しのうち物価見通しを見て「???」と思ったんですよね。
それは物価見通しのところで、手前が上がっているのはまあ良いのですが、手前が上がっているのがFEDの連呼する「一時的要因」というのであれば、一時的要因が剥落した分って22年の所で反動が来て、22年の見通しって下がるのが妥当なんじゃないのと思うのですが、今回ってしらっと22年の見通しも上昇させてますし(コアも含めて)、えーっとそれですと思いっきり絶対水準は大幅(1%を大幅と言うかはさて置きまして)引き上げになっていますよね、というお話な訳ですよ(というのを昨日も書いたが多分舌足らずだった)。
つまりですね、「一時的なので上昇の勢いが4%5%とはならないですよ」という意味では一時的ではあるのですが、結局の所その後反動減が来ないで2%以上が続くっていう見通しになっているということは、ベース効果の部分は別にしましても、今FEDが説明しているサプライボトルネックの物価上昇圧力だのリストリクトされていた需要のバウンスバックだの、エネルギー価格のパススルーだのと言った部分は、下駄が剥落するでもなく、それはそれとして定着した形で次の年には2%になっている、ということなのですから、それホンマに一時的というんですけ??という感じは思いっきりするのですが、まあ会見で誰かツッコんでいるかな(実は会見まだちゃんと全部見てない、少しだけ流し聴きしたけど)とか思いながら会見を読もうかと思います。
・ということで実はSEPとドットチャートは整合性が取れていないのですな
・・・・・確かそれ3月も同じような事を申し上げた覚えがあったりするのですが、SEPで示した見通しが強い癖にドットで示している金利水準が中立金利(ロンガーランの2.5%)から盛大に下の状況に2023年末の段階でも居続けている、というのが、そもそもの時点で話オカシクネ??って話で、政策金利水準が経済活動に対する影響がそんなもんなのかよと小一時間問い詰めたくなるドット、というのを少しだけ匍匐前進させてみました、といってしまえばそうなのかも知れませんけど、それにしても今回のSEPの少なくともメディアン見通しと政策金利見通しの整合性の方が気になるのですよ。
もちろん、この部分をナイーブに強くしてしまうと、市場がタントラムってしまうからいじれん、という大人の事情があるからこうなってしまうのでありまして、この辺はこの前の正常化局面の時も思いましたが、このドットチャートって言うのは、政策の長期地蔵宣言を行うことによって時間軸効果を補強するのには有用なのですが(元々その意図で入れた)、先行きの金融政策がその時の情勢次第で異なる、というような時に、3年先の適切な政策金利水準がどうのこうのというようなものを出すと、もしそれをピュアに見通しに沿って出すとなると、足もとでの微細なベクトルの変化が3年間と言う期間によって増幅して示されることになる、という訳で、メッセージとしてのノイズ性が高まってしまうだけの無用な物件となってしまうので、真面目な話ドットチャート出すの止めた方が良いと思うのですけど、そんなことを極東の片隅で地元ドメスティック言語で喋っていても何の意味も無いのですけど、まあちょっとこれは麿がパウエルにアドバイスしたら聞くんじゃないかな、とか思ったりするんですが誰か麿にお願いしてみてくれませんかねえ(個人の妄想です)。
〇オープニングリマークではインフレ期待の部分で不穏な言い回しがあります
https://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20210616.pdf
Transcript of Chair Powell’s Press Conference
June 16, 2021
今朝(日本時間の18日朝)になったらしっかりとQAも記載されていますが、そこは見なかったことにしまして最初のオープニングリマークだけで本日は勘弁させて頂きとう存じます。
『CHAIR POWELL. Good afternoon. At the Federal Reserve, we are strongly
committed to achieving the monetary policy goals that Congress has given
us: maximum employment and price stability.
Today, the Federal Open Market Committee kept interest rates near zero
and maintained our asset purchases. These measures, along with our strong
guidance on interest rates and on our balance sheet, will ensure that monetary
policy will continue to deliver powerful support to the economy until the
recovery is complete.』
この辺は冒頭挨拶みたいなもんなので次。
・景気の全体感の話は物凄く威勢が良い
『Widespread vaccinations, along with unprecedented fiscal policy actions,
are also providing strong support to the recovery.』
金融政策、と言わない(別のところでは金融政策のサポート話をしていますが、為念)のがチャーミング。
『Indicators of economic activity and employment have continued to strengthen,
and real GDP this year appears to be on track to post its fastest rate
of increase in decades.』
良く見たらしらっと成長率がメイクアップストラテジーしそうだという言及をしておりますな。
『Much of this rapid growth reflects the continued bounce back in activity
from depressed levels. The sectors most adversely affected by the pandemic
remain weak, but have shown improvement.』
盛大に食らっていた業種に関しても改善の傾向が見られるとな。
『Household spending is rising at a rapid pace, boosted by the ongoing
reopening of the economy, fiscal support, and accommodative financial conditions.
The housing sector is strong, and business investment is increasing at
a solid pace. In some industries, near term supply constraints are restraining
activity. 』
家計消費、住宅セクター、企業投資が強いと指摘して、一部の業種では供給制約が成長のネックになっている、と全体的に威勢の良い話なので、
『Forecasts from FOMC participants for economic growth this year have been
revised up since our March Summary of Economic Projections.』
今回は経済見通しを引き上げました、と威勢の良い話のオンパレードですが最後に、
『Even so, the recovery is incomplete and risks to the economic outlook remain.』
と入れて威勢のよさを中和しております。
・雇用情勢の話はまあだいたいいつも通りの説明です
次のパラグラフからは雇用情勢です。
『As with overall economic activity, conditions in the labor market have
continued to improve, although the pace of improvement has been uneven.』
雇用も改善が続いていますが相変わらず一様ではない(uneven)といつものキーワード来ました。
『Employment rose 419,000 per month on average in April and May, with the
leisure and hospitality sector continuing to post notable gains. Employment
in this sector and the economy as a whole remains well below pre-pandemic
levels. The unemployment rate remained elevated in May at 5.8 percent,
and this figure understates the shortfall in employment, particularly as
participation in the labor market has not moved up from the low rates that
have prevailed for most of the past year. Factors related to the pandemic,
such as caregiving needs, ongoing fears of the virus, and unemployment
insurance payments appear to be weighing on employment growth. These factors
should wane in coming months against a backdrop of rising vaccinations,
leading to more rapid gains in employment.』
雇用の現状に関しては改善してまっせという話と、一部で雇用の人探し大変でっせの件で、人々が労働市場に戻ってこない要因として、コロナへの不安が残ってたり、コロナの影響でチャイルドケアが復活してないので子供の対応で働きに出れません要因があったり、失業保険給付で(゚д゚)ウマーだったのでまだ働きに出てない人がいたり、というのがあるがそういうのは今後更なるワクチンちゃんの進展やソーシャルディsタンシングなどの緩和などによって解消されるでしょう、とのことで先行きですが、これはSEPの数字を出しただけのあっさり味にしています。、
『Looking ahead, FOMC participants project the labor market to continue
to improve, with the median projection for the unemployment rate standing
at 4.5 percent at the end of this year and declining to 3.5 percent by
the end of 2023.』
返す刀でいつもの説明ですが、雇用の話をするとセット販売の如く社会的弱者への影響が相対的にでかくて、まだ苦しい人はたくさんいます、って話をするのもお約束状態。
『The economic downturn has not fallen equally on all Americans, and those
least able to shoulder the burden have been hardest hit. In particular,
despite progress, joblessness continues to fall disproportionately on lower-wage
workers in the service sector and on African Americans and Hispanics.』
・物価の手前の見通しを上げたのは供給制約要因による物価上昇圧力が予想以上に強かったからだそうです
次のパラグラフからは物価です。ここで最後の方にやや不穏な表現があって、これを捕まえてタカ派というのはまあ分からんでもないな、というのが登場します。
『Inflation has increased notably in recent months. The 12-month change
in PCE prices was 3.6 percent in April and will likely remain elevated
in coming months before moderating. Part of the increase reflects the very
low readings from early in the pandemic falling out of the calculation
as well as the pass-through of past increases in oil prices to consumer
energy prices. Beyond these effects, we are also seeing upward pressure
on prices from the rebound in spending as the economy continues to reopen,
particularly as supply bottlenecks have limited how quickly production
in some sectors can respond in the near term.』
この辺はいつもの物価が上振れている事の説明ですが、
『These bottleneck effects have been larger than anticipated, and FOMC
participants have revised up their projections for inflation notably for
this year.』
今回SEPで物価を手前で盛大に引き上げた背景には、今まで言ってる「一時的要因」の中で、サプライボトルネック、つまり供給制約要因による物価上昇圧力が、前回までの想定よりも大きかったため。という説明をしていまして、ほうほうなるほどと思いました。どうせ誰かこの辺について「それ持続的要因になり得るんじゃね?」とか質問してるんじゃないかなと、どこぞの国のへっぽこ記者会見とは比較をするのも失礼で月とスッポンどころか月と水虫菌ほどの差がある優秀な会見なのでそれはまたQAのTransucriptを会見動画聞きながら読む(これが一番効率よく頭に入る(ただし多少の慣れが必要)のでお勧めです)かな、と思っておりまする、はい。
『As these transitory supply effects abate, inflation is expected to drop
back toward our longer-run goal, and the median inflation projection falls
from 3.4 percent this year to 2.1 percent next year and 2.2 percent in
2023.』
これはSEPの説明ですね、でもって次のパラグラフに若干不穏な説明があって、タカ派呼ばわりされるとすれば、この部分(とSEPの見通し数字)だろうなあと思いますというのが出てきます。
・インフレ期待が無駄に上昇する可能性について言及している部分はやや煙の出ている部分です
『The process of reopening the economy is unprecedented, as was the shutdown
at the onset of the pandemic. As the reopening continues, shifts in demand
can be large and rapid, and bottlenecks, hiring difficulties, and other
constraints could continue to limit how quickly supply can adjust, raising
the possibility that inflation could turn out to be higher and more persistent
than we expect.』
つーことで、パンデミック動向の落ち着きとワクチンちゃんの影響で需要の戻りが速くて、そこに追いつけていないサプライボトルネックが、ということで、つまり供給制約は財のところだけではなくて、労働供給のボトルネックによるお賃金上昇というのもああって、そんなこんなで供給制約によって起きている物価上昇圧力が大きいんですお、という話をしておりますがこの次がアタクシ的にはいいぞもっと言えなのですが、不穏な部分となります。
『Our new framework for monetary policy emphasizes the importance of having
well-anchored inflation expectations, both to foster price stability and
to enhance our ability to promote our broad-based and inclusive maximum
employment goal.』
ワシらが昨年出した金融政策のニューフレームワークは、「十分にアンカーされたインフレ期待」が重要であり、それがあるからこそ物価安定をもたらすことができるし、ワシらの金融政策も有効になるんですよ、と来まして、その後にアベレージターゲットやメイクアップストラテジーの話でもするのかと思えばさに非ずで、この部分は「おー!」と身を乗り出してしまう焦げ臭い発言キタコレなのです。
『Indicators of longer-term inflation expectations have generally reversed
the declines seen earlier in the pandemic and have moved into a range that
appears broadly consistent with our longer-run inflation goal of 2 percent.』
今まではインフレ期待がアガランチ会長で中々この2%ゴールの所に整合的な水準よりちょっと下なんだよなーみたいな話をしていた筈なのですが、ここへきて「全体的に言えばパンデミックの時に下がったのを奪還して概ね我々の物価安定目標に整合的な水準になっている」とインフレ期待も正常化しましたよという話をぶっこんできまして、さらにこの次が煙がややモクモクする文章でして、
『If we saw signs that the path of inflation or longer-term inflation expectations
were moving materially and persistently beyond levels consistent with our
goal, we would be prepared to adjust the stance of monetary policy.』
ちょwwwww
何と「もし仮に(仮定法過去形ですな)長期のインフレ期待が顕著かつ持続的に我々のゴールと整合的なレベルを上回るような兆候が出るような事が起きちゃったりしたら、我々は政策スタンスを調整する用意がありまっせ」と何とインフレ期待が上方乖離するようならば正常化言っちゃいますよ発言を混ぜ込んでおりまして、まあ仮定法過去だから「基本的にそんなことにはならんと思うが」という留保条件をしまくっておりますけれども、でもまあこういうのに触れるのは白煙モクモク(黒煙と言う程ではない)ではあるな、と思いましたが、どうせこれもツッコミが飛んでたでしょうね。
ということなのでこの部分がアタクシ的には今回のオープニングリマークの白眉。あとはテーパリング議論の部分(どうせ後のQAでも散々聞かれたと思いますが)がみどころ(と前半の物価の解説部分ですね)でして、他の部分は消化試合って感じになりますのでサラサラ流します、時間もアレなので(汗)。
・パンデミックの今後の状況次第ではリスク、と言う当たり前の話
次のパラは小見出しの通りで特に言う事もない。
『The pandemic continues to pose risks to the economic outlook. Progress
on vaccinations has limited the spread of COVID-19 and will likely continue
to reduce the effects of the public health crisis on the economy. However,
the pace of vaccinations has slowed and new strains of the virus remain
a risk. Continued progress on vaccinations will support a return to more
normal economic conditions.』
・政策金利決定の詳細についての説明だが声明文通りの話
次のパラは上記の通りですのでここも消化試合。
『The Fed’s policy actions have been guided by our mandate to promote
maximum employment and stable prices for the American people, along with
our responsibilities to promote the stability of the financial system.
As the Committee reiterated in today’s policy statement, with inflation
having run persistently below 2 percent, we will aim to achieve inflation
moderately above 2 percent for some time so that inflation averages 2 percent
over time and longer-term inflation expectations remain well anchored at
2 percent. We expect to maintain an accommodative stance of monetary policy
until these employment and inflation outcomes are achieved. With regard
to interest rates, we continue to expect that it will be appropriate to
maintain the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds
rate until labor market conditions have reached levels consistent with
the Committee’s assessment of maximum employment and inflation has risen
to 2 percent and is on track to moderately exceed 2 percent for some time.』
・SEPでの政策金利見通しだが「ドットはあくまでも現時点での単なる予想でガイダンスじゃないよ」の言い訳コーナー
サクサクと次に行きますがこれも消化試合ちゃあ消化試合。
『As is evident in the SEP, many participants forecast that these favorable
economic conditions will be met somewhat sooner than previously projected;
the median projection for the appropriate level of the federal funds rate
now lies above the effective lower bound in 2023. Of course, these projections
do not represent a Committee decision or plan, and no one knows with any
certainty where the economy will be a couple of years from now. More important
than any forecast is the fact that, whenever liftoff comes, policy will
remain highly accommodative. Reaching the conditions for liftoff will mainly
signal that the recovery is strong and no longer requires holding rates
near zero.』
ここでは利上げに関しては「本当の本当に経済が強くて、本当の本当にゼロ金利なんぞ必要じゃない、という時になって初めて利上げがどうのこうのの話になるし、利上げが行われても依然として金融政策は緩和的ですお」という説明をしておりますな。
・テーパリングの話については「向こう数回のFOMCで条件が満たされるかの議論を開始する」ですと
次行きます。
『In addition, we are continuing to increase our holdings of Treasury securities
by at least $80 billion per month and of agency mortgage-backed securities
by at least $40 billion per month until substantial further progress has
been made toward our maximum-employment and price-stability goals. The
increase in our balance sheet since March 2020 has materially eased financial
conditions and is providing substantial support to the economy.』
ここは今のAPPの話なのでいつも通りでして、ハイライトは次のパラです。
『At our meeting that concluded earlier today, the Committee had a discussion on the progress made toward our goals since the Committee adopted its asset purchase guidance last December.』
APP拡大ペースを維持するガイダンスとして示した「顕著な進展」についてのディスカッションを行いました、とキタコレ(というかまあこの見通しで議論しないわけないだろとは思いますが)なのが来まして、
『While reaching the standard of “substantial further progress” is still
a ways off, participants expect that progress will continue.』
まだだそうです。そらまあ“substantial further progress”が満たされたらテーパー着手なんだからそらそうよという感じですが、
『In coming meetings, the Committee will continue to assess the economy’s progress toward our goals.』
今後のFOMCで確認を継続する、だそうですが、この言い方だと「substantial
further progressをしたと認められるからテーパリング開始な」とか闇討ちするのでは、ととられると困りますから、
『As we have said, we will provide advance notice before announcing any decision to make changes to our purchases.』
と、テーパー開始前に前広にアナウンスしますよ、というのは欠かしませんので、まあ前々からの予想通りで、ジャクソンホールの時にテーパリング着手を来年頭くらいからやるような感じの話のぶっこみ方(意外に言い方は難しい気がしますが)をして、でもってFOMCで情勢の点検を毎度行って、12月FOMCで「じゃあ来年頭からテーパーな」なのか12月会合からテーパーなのか、ってな感じじゃないですかねえ、という予想は維持します。
・IOERとONRRPの引き上げについて、短期市場動向を踏まえた技術的対応とな
『On a final note, we made a technical adjustment today to the Federal
Reserve’s administered rates. The IOER and overnight RRP rates were adjusted
upward by 5 basis points in order to keep the federal funds rate well within
the target range and to support smooth functioning in money markets. This
technical adjustment has no bearing on the appropriate path for the federal
funds rate or stance of monetary policy.』
これは政策的意図はありません市場金利の誘導のためのテクニカルな措置ですよ、って話です。
最後はご挨拶になりますのでまあどうでもよいのですがここまで全文引用したから勢いで引用します。
『To conclude, we understand that our actions affect communities, families,
and businesses across the country. Everything we do is in service to our
public mission. We at the Fed will do everything we can to support the
economy for as long as it takes to complete the recovery.』
『Thank you. I look forward to your questions.』
#え、日銀の決定会合???知らんがな
2021/06/17
お題「寝起きでFOMCである」
さて今回のFOMCですが、会見のQAまで読んだ(聴いた)ほうが良いのはそうなんですが、何時ものように寝起きの限界(じゃあ起きてろと言うツッコミは華麗に却下)とゆーものがありますので(汗)。
さきに市場の反応を1ミリも見ない(ラジオニュースすら聞いていないのでガチで為替とダウ茄子の数字も現時点では知らん)で文書の方を読んだ感じ(除くオープニングリマーク)ですと、声明文は(前回盛大に上げているのもあって)穏当、ドットはそらまあこんなもんじゃろうというか、これでも低めだろとは思う(個人の感想です)ので、「年末か来年からテーパリング開始、1年近くかけてテーパーした後にノコノコ利上げ」という線は前倒ししなかったですね、という印象を受けました(つまりかなり抑制的に出していて前のめり感を出さないように工夫している、ただし・・・・は後述します)が、さて市場はどう反応したんでしょう(見ないままこの駄文を書きます、笑)。
〇声明文:「コロナモード」の認識は継続も状況の改善を謳う、ただし他は4月とヨコ
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210616a.htm(今回)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210428a.htm(前回)
・第1パラグラフ:「コロナモード」を示す1パラは維持
『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to
support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its
maximum employment and price stability goals.』(今回)
『The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to
support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its
maximum employment and price stability goals.』(前回)
コロナモードである、という認識を示すこの1パラは維持されましたので状況はコロナモード。
・第2パラグラフ:ワクチン接種の進展と、それによる公衆衛生上のなんたらかんたらを改善、他は同じ
『Progress on vaccinations has reduced the spread of COVID-19 in the United States.』(今回)
『The COVID-19 pandemic is causing tremendous human and economic hardship
across the United States and around the world.』(前回)
4月末時点との対比なのでさもありなん、という感じではありますが、コロナ感染拡大が落ち着いてきておりまっせ、という認識を示しておりますので冒頭がキタコレではありますが、この先を見ますと・・・・・・・
『Amid this progress and strong policy support, indicators of economic
activity and employment have strengthened.』(今回)
『Amid progress on vaccinations and strong policy support, indicators of
economic activity and employment have strengthened.』(前回)
ワクチンの単語が抜けているのは一つ前に引っ越したからでして、ここの文言変更には強い意味は無くて、要するに経済活動と雇用情勢の現状認識は「強くなってきております」で前回と一致。
『The sectors most adversely affected by the pandemic remain weak but have shown improvement.』(今回)
『The sectors most adversely affected by the pandemic remain weak but have shown improvement.』(前回)
同じですな。
『Inflation has risen, largely reflecting transitory factors. Overall financial
conditions remain accommodative, in part reflecting policy measures to
support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(今回)
『Inflation has risen, largely reflecting transitory factors. Overall financial
conditions remain accommodative, in part reflecting policy measures to
support the economy and the flow of credit to U.S. households and businesses.』(前回)
めんどくさいからまとめて面倒見ましたが物価と金融環境に関する現状認識も全文一致、と今回はワクチン進展によるコロナ拡大の落ち着き、というのだけ変更しただけという結果になっています。まあそれにしてはSEPの物価がアレなんですけどそれは後述。
・第3パラグラフ:先行き見通しはワクチンの進展を受けた表現を改善して社会活動制限の表現も変更
『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus.』(今回)
『The path of the economy will depend significantly on the course of the virus, including progress on vaccinations. 』(前回)
言われんでもわかっとるわ、という感じの「先行きはコロ助次第」という奴の中に前回4月にあった「ワクチンの接種状況も含めまして」というのが、1パラで示されたワクチン接種状況の進展を受けて次の文章に引っ越しました。
『Progress on vaccinations will likely continue to reduce the effects of
the public health crisis on the economy, but risks to the economic outlook
remain.』(今回)
『The ongoing public health crisis continues to weigh on the economy, and
risks to the economic outlook remain.』(前回)
従来は社会的な感染防止措置の影響が経済に悪影響を与えまっせという趣旨の文言がありましたが、そらそうよという感じですがワクチンの進展でそちらの方が改善されてきますので、この影響が緩和されるでしょう、という表現をしています。
まあこれ自体は上方修正ではありますので(現にSEPの数字は手前の上げっぷりが豪快ですが後述)すが、ただまあそんなに威勢良い表現をしている訳でもなく(個人の感想です)、ひっそりと上げてみました感があって、市場が事前にやたら前のめりに盛り上がっているのもあって、ここであまり威勢の良い表現をする事もない、ってのはあったのかなーとは思いました(個人の妄想です)。会見で何を言い出したかは聞いてないので分からんけど。
・第4パラグラフで文言変更が1か所(別に深い意味は無い変更ですが)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. 』(今回)
『The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. 』(前回)
いつものこれは良いとして変更があったのは次。
『With inflation having run persistently below this longer-run goal, the
Committee will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for
some time so that inflation averages 2 percent over time and longer-term
inflation expectations remain well anchored at 2 percent.』(今回)
『With inflation running persistently below this longer-run goal, the Committee
will aim to achieve inflation moderately above 2 percent for some time
so that inflation averages 2 percent over time and longer-term inflation
expectations remain well anchored at 2 percent.』(前回)
英文法の時間になってしまいますが、冒頭の「物価がロンガーランゴールよりも低い水準で持続的に推移する中においては〜」ってところ、今までは「running」だったのですが、今回は「having
run」と現在進行完了形っぽい言葉にしているのですが、これはまあ足元で物価が2%超えていることを踏まえての変更、でいいんですよね(英文法ってあれだけ中高とやったのに結局使えと言われるとこのニュアンスを上手く使い分けられないのがノンネイティブの座学クオリティェ・・・・・)??
多分これ自体に何か深い意味がある訳ではないと思いますが、うっかり全文一致と思いそうになるので要注意。
とは言いましても、このパラグラフのメインアイテムである政策決定及び政策ガイダンス文言は全文一致なのでまあ今回も全文一致のようなものではありまする。めんどいから一気に比較引用。
『The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary
policy until these outcomes are achieved. The Committee decided to keep
the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects
it will be appropriate to maintain this target range until labor market
conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments
of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track
to moderately exceed 2 percent for some time. In addition, the Federal
Reserve will continue to increase its holdings of Treasury securities by
at least $80 billion per month and of agency mortgage-backed securities
by at least $40 billion per month until substantial further progress has
been made toward the Committee's maximum employment and price stability
goals. These asset purchases help foster smooth market functioning and
accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit
to households and businesses.』(今回)
『The Committee expects to maintain an accommodative stance of monetary
policy until these outcomes are achieved. The Committee decided to keep
the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and expects
it will be appropriate to maintain this target range until labor market
conditions have reached levels consistent with the Committee's assessments
of maximum employment and inflation has risen to 2 percent and is on track
to moderately exceed 2 percent for some time. In addition, the Federal
Reserve will continue to increase its holdings of Treasury securities by
at least $80 billion per month and of agency mortgage-backed securities
by at least $40 billion per month until substantial further progress has
been made toward the Committee's maximum employment and price stability
goals. These asset purchases help foster smooth market functioning and
accommodative financial conditions, thereby supporting the flow of credit
to households and businesses.』(前回)
・第5パラグラフ:政策スタンスは幅広く総合的に判断するよってのは全文一致
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on public
health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations,
and financial and international developments.』(今回)
『In assessing the appropriate stance of monetary policy, the Committee
will continue to monitor the implications of incoming information for the
economic outlook. The Committee would be prepared to adjust the stance
of monetary policy as appropriate if risks emerge that could impede the
attainment of the Committee's goals. The Committee's assessments will take
into account a wide range of information, including readings on public
health, labor market conditions, inflation pressures and inflation expectations,
and financial and international developments.』(前回)
はいはい全文一致全文一致。
・第6パラグラフ:賛成で全員一致です
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Michelle
W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Mary C. Daly; Charles L.
Evans; Randal K. Quarles; and Christopher J. Waller.』(今回)
『Voting for the monetary policy action were Jerome H. Powell, Chair; John
C. Williams, Vice Chair; Thomas I. Barkin; Raphael W. Bostic; Michelle
W. Bowman; Lael Brainard; Richard H. Clarida; Mary C. Daly; Charles L.
Evans; Randal K. Quarles; and Christopher J. Waller.』(前回)
これは順当。
〇IOERとONRRPを5bp引き上げ
PDFだと勝手に出てくるのですがHTMLの場合は最後にある「Implementation
Note issued June 16, 2021」ってのをポチっとなとしないと出てこない。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210616a1.htm(今回)
Decisions Regarding Monetary Policy Implementation
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210428a1.htm(前回)
全部比較していると時間が無くなりそうなのでこれは変更箇所だけ比較しますよって、詳しくは上記にいって確認してちょ。まず冒頭部分が変更されています。今回の方が変更しただけに文章が長いので敢えて前回を先に引用しますと、
『・The Board of Governors of the Federal Reserve System voted unanimously
to maintain the interest rate paid on required and excess reserve balances
at 0.10 percent, effective April 29, 2021.』(前回)
茲許はこれだったのですが今回は、
『・The Board of Governors of the Federal Reserve System voted unanimously
to set the interest rate paid on required and excess reserve balances at
0.15 percent, effective June 17, 2021. Setting the interest rate paid on
required and excess reserve balances 15 basis points above the bottom of
the target range for the federal funds rate is intended to foster trading
in the federal funds market at rates well within the Federal Open Market
Committee's target range and to support the smooth functioning of short-term
funding markets.』(今回)
理由付きで書かれていますが、今回IOER(正確にはFEDの場合現状所要準備にも振りしているのでIOERではない(ERってエクセス・リザーブのことだから)のですけどまあ慣例でそう言ってるので)が10bpから15bpに引き上げになっています。
米国の短期市場まではさすがに詳しくない(触らんと分からんわ)のですが、先般来米国の短期市場では運用資金が余ってしまってワンワンンワンとなっておりまして、実効金利が下に張り付き状態になっている、ということなので、IOERとこの次に引用するONPPRのレートを5bp引き上げて下に張り付き状態をどげんとせんといかん、ということで引き上げをしたようですが、たぶんこれ市場では予想されていた話だと思う(だってそういう解説記事がホイホイ出てたんだもん、という他力本願認識ですけど)ので、まあこれ自体でアイヤーとかにはならんじゃろ(個人の感想です)。
でもって今申し上げましたように、今回はIOERとセットでONRRPを5bp引き上げて0bpから5bpにしました。ディレクティブの中でここだけ文言変更になりました。
『Conduct overnight reverse repurchase agreement operations at an offering
rate of 0.05 percent and with a per-counterparty limit of $80 billion per
day; the per-counterparty limit can be temporarily increased at the discretion
of the Chair.』(今回)
『Conduct overnight reverse repurchase agreement operations at an offering
rate of 0.00 percent and with a per-counterparty limit of $80 billion per
day; the per-counterparty limit can be temporarily increased at the discretion
of the Chair.』(前回)
1社あたりの上限は同じなのね。
ただしプライマリークレジットのレートは25bpというお助けレートのままなので、これは単に短期市場金利の加減張り付き対応だということでしょうな。
『・In a related action, the Board of Governors of the Federal Reserve
System voted unanimously to approve the establishment of the primary credit
rate at the existing level of 0.25 percent.』(今回)
『・In a related action, the Board of Governors of the Federal Reserve
System voted unanimously to approve the establishment of the primary credit
rate at the existing level of 0.25 percent.』(前回)
〇SEP:そらまあドットは上がるの順当だけどそんなに過激に上がってないっしょこれ&しらっと手前の見通し大幅引き上げ
SEPはこちら、前回は3月。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20210616.pdf
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20210317.pdf
コピペなどに便利なHTMLバージョンはこちら
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20210317.htm
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20210616.htm
・さきにドットを成敗しましょう(時計をチラチラ見ながら)
2021年に利上げ、というファンキーな人は今回も出ていないのですが、問題は2022年と23年ですわな。
2022年の年末FFレート
変更なし:14名→11名
1回利上げ:3名→5名
2回利上げ:1名→2名
年末か来年頭からのテーパリング、でもって利上げがどうなってターミナルレートがどうなるか、が問題になるところでしたが、テーパリングしてさて利上げ、というのが現時点で7名に増えた、というのをどう市場が受けたのかは市場の反応をみてないから分からんけど、これこんなもんでネーノとはおもうんですけどねえ、だって年末値ですよこの数字、むしろ22年末までFF上げないってのも良い度胸してるなとは思いますが、まあこの辺は今盛大に引き上げると市場が「やってもいないのにテーパータントラム」とかになりかねないからでしょ、とは思いました。
2023年の年末FFレート
変更なし:11名→5名
1回利上げ:1名→2名
2回利上げ:1名→3名
3回利上げ:3名→3名
4回利上げ:2名→3名
5回利上げ:0名→0名
6回利上げ:0名→2名
と、さすがに23年になったら利上げ着手や、という感じですが、ここでも変更なし5名って中々の数字だとは思います。まあこれ自体があまりピュアに経済物価見通しを反映している、というよりは政策メッセージっぽくなってしまっているから(というか最初はこれ時間軸効果を狙ったものでしたからね)、動かさない方が得策、と考えた人もいるでしょうな(個人の感想です)。
ターミナルレート(ロンガーラン):変更なしですよ!
これは見て頂ければと思いますが、前回と今回見事に一致していまして、概ね真ん中が2.5%ってのが維持されていまして、実は今回こっちはいじられると結構アイヤーになる(から動かさないんでしょうなあとは思ってましたよマジで)ので、こっちは動くかどうか気にしていた向きは多いんじゃないかな。まあ3月対比だからこの位は強くならないとおかしいし、むしろ抑制的にドットを打ってきた、とアタクシは思いましたが、市場ちゃんがどう見たかは何せこの時間になってもニュース聞いてないので知らんがな。
・経済物価見通し:手前が盛大に上昇しているのは良いんですけど
手前から21年、22年、23年、ロンガーランです。(コア物価はロンガーランなし)
Change in real GDP 7.0 3.3 2.4 1.8
March projection 6.5 3.3 2.2 1.8
PCE inflation 3.4 2.1 2.2 2.0
March projection 2.4 2.0 2.1 2.0
Core PCE inflation 4 3.0 2.1 2.1
March projection 2.2 2.0 2.1
そら3月対比ですから上がるんですが、アベレージインフレーションターゲットの考え方って要は一種のプライスレベルターゲットに似ている面があるので、プライスレベルターゲットの枠組みで考えた方が喩えやすいのですけど、物価見通しの方、手前をしらっとどころか盛大に上げておいて、先行きは2%に収束するって言ってるんですが、これ水準に引き直すと先の方までずーっと引きあがっているのと同じ話になる訳で、手前上がったのがテンポラリーで下駄がはがれた部分下がるのではない、というのは割とチャーミング(日常日本語にすると「結構思い切りのよい引き上げ」ですかね)な見通しになっているのですけれども、この辺りってどうなんでしょうね、とは思いましたです、はい。
と言う所で時間が無くなったので今朝はこの辺でご勘弁して頂きとう存じます、
2021/06/16
お題「ECBのサイトを見ながら世間話/ウィリアムズのインタビュー記事続き」
相変わらずのパワハラ中間管理職振りを発揮しておられる我らが大先生。
https://www.asahi.com/articles/ASP6H4CBGP6HULFA00F.html
接種記録遅い自治体、ワクチン配送見送りも 河野担当相
新型コロナウイルス
坂本純也2021年6月15日 13時33分
そら何か明確に国に喧嘩売るために怠業してるんだったらそうかもしれんけど、まあ大体のケースって接種にリソースを回してアップアップだからどうしても遅れてしまう、とかそういう状態なんじゃろと思うし、上記記事の最後にはしらっと、
『接種記録の入力をめぐっては、大阪府内の一部の自治体で情報の未入力や、1カ月ほどの入力遅れがあることが判明している。国が配布する専用端末で、自治体や医療機関が接種券に記載された18桁の数字を読み取り、登録する仕組みだが、「手間がかかる」などの声が出ている。』(上記URL先より)
ってある訳で、担当大臣なら「なんで遅れるのかの理由を確認して必要な支援をしたい」って先に表明して実態調査してから現実に接種が進んでないなら追加供給後回しになりますよ、ってのが筋だろと思う訳で、自分たちが立てた計画が机上の空論だろうと何だろうとその通りに動かない部下は無能でマイナス査定とか言いながら現場のケツ叩くだけしか能がない中間管理職ムーブだし、これがトップだと恐怖政治体質そのもの、となるとしか思えませんがねえ(個人の感想です)。
なお入力システムのポンコツぶりにはこんな指摘や(4月の記事で一部しか読めませんが)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01157/042000034/
ワクチン接種記録システム、わずか2カ月間で開発するも情報入力に不具合
内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室
大豆生田 崇志 日経クロステック/日経コンピュータ
2021.04.23
最近の状況に関してはこんな記事もあるんですよねー(こっちは最近)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210604/k10013067121000.html
ワクチン接種記録システム“VRS” 大阪市などで利用進まず
2021年6月4日 18時41分
〇唐突ですがECBのトップページを見ながらの雑談とオモシロページのご紹介
ECBのトップページってしばらく前にリニューアル(マイナーチェンジ級ですけど)をした時にやたら「これを見て!」って感じの推しページのアピールが凄くなった訳ですな。でもって例えば今朝(2021/06/16の朝)にECBのトップを見ると、
https://www.ecb.europa.eu/home/html/index.en.html
アタクシの環境だといきなりラガルドさんの巨大サムネ(しかもこのサムネ、カーソルを持って行くと若干ですがズームアップするのでこの仕様になった当初はビビりました)と共に、
INTERVIEW
Anchoring the recovery
The recovery needs to be firm, solid and sustainable, President Christine
Lagarde tells Politico EU. We are at a turning point, heading firmly towards
a return to pre-pandemic levels, but we must anchor the recovery before
reducing support to the economy.
という記事へのリンクが出てきますが、下にスクロールすると、だいたい最近のパターンとしまして、おまいら専務理事なのか広報担当なのか、って勢いで年がら年中パネッタさんとシュナーベルさんのスピーチネタが出てくる(出てこないのは定例理事会前のブラックアウトみたいな時期くらい)のですが、そのお題が直近では、
パネッタさん
SPEECH 15 June 2021
Cash still king during the pandemic
Faster digitalisation does not mean the end of cash, says Executive Board
member Fabio Panetta. There is demand for it and we will guarantee that
cash continues to be available and accepted in the future, even if we launch
a digital euro.
いやその意味と「Cash is king」はチャウんネーノと思うのだがまだ中身は見ていないので何の話をしているのか良く分からん。
シュナーベルさん
SPEECH 14 June 2021
From market neutrality to market efficiency
We at the ECB can act as a catalyst to accelerate the transition to a carbon-neutral
economy in line with our mandate, says Executive Board member Isabel Schnabel.
Shifting from market neutrality to market efficiency would be an important
step in acknowledging climate externalities.
これまた中身は見てないのですが、ECBのユーチューブチャンネル(というのがあって登録したんでついでに通知を受け取るようにしているのでこの関連も通知が来とったわ)でも思いっきりこのスピーチがご紹介されていました。なお最初の30秒しか聞かなかったのですが、上記のご紹介文を読みますと、何かこの人たち「カーボンニュートラル社会を作るためには我々はマーケットニュートラルではなく市場にジャンジャン介入していきまっせ」というちょっと待てお前らそれはやり過ぎじゃねえのか、という話をしている雰囲気があるのでFOMCが無風だったら読んでみようかと思ってます。
でまあこの3本立て、ラガルドさんは経済物価情勢の話をしているけど、パネッタさんはデジタル通貨関連の話、シュナーベルさんは脱炭素社会関連の話、とまあこれがまた思いっきりそっち方面の話を良く見てちょ状態のところでぶっこんでいる訳でして、何ちゅうかECBよ何処に行く???って感が拭えませんな。
まあニューケインジアンだか何だか知らんですけど、金融政策でマクロ経済の調整ができて、でもってそのマクロ経済の調整をやっていればそらもう適度な水準の低インフレ(2桁とかのインフレじゃない、って意味な)の中で順調な経済成長ができて皆さんハッピーハッピーって図式がここに来て一気に崩壊して、どこの中銀も「財政ガー」とか言い出すようになって、マクロ経済調整としての金融政策の相対的な地位が低下してそっちでやる事が無くなるとまでは言わんけど減少してしまう中、組織は生き残りのために活路を見出してこっち方面に向かっていますなあ、ってのが露骨に分かって実に味わいがありますな(個人の感想です)という風情。
でもってもっとオモロそうなのが一番右の物件でして、実は1か月前に出ていたのになぜか見落としておりましたが(だいたいいつもトップとその下の左と真ん中に目が行ってしまう)、
PUBLICATION 19 May 2021
Explore inflation in a new interactive way
Explore how euro area inflation differs between countries and products
over time and find your personal inflation rate in our new interactive
tool available in 23 EU languages.
ナンジャソラと思ってポチっとなとしますとこちらに飛びます。
https://www.euro-area-statistics.org/digital-publication/statistics-insights-inflation/?lang=en
画面中央上辺りにあるのを見ると確かにいろんな言語で読めるみたい。
最初のインフレとは見たいな話をすっ飛ばしてそもそもこのページは何ですねんというのをみますと、
『The publication presents easy to understand statistics on inflation using
interactive visuals that allow inflation rates to be compared across countries.
The visuals also offer a more in-depth view of the various goods and services
included in the “shopping basket” that is used for officially calculating
inflation.』
でもって、
『You can also calculate your own inflation rate based on your own shopping
basket of goods and services and compare it with the inflation rate for
your country.』
『Is your personal inflation rate above or below the average inflation rate for your country?』
これは楽しそう(後述)。
『This publication is divided into the following four chapters, each with interactive visuals:
1. What is inflation? This chapter explains the concept of inflation, why
the inflation rate matters and how and why it differs across countries
and over time.
2. How is inflation measured? This chapter looks at the method used to
calculate the inflation rate. It explains which goods and services are
included in the calculation and describes the challenges encountered.
3. Officially measured inflation and perceived inflation. This chapter
explores how people perceive inflation, compares perceived inflation with
officially measured inflation and explains the differences between the
two.
4. Personal inflation calculator. In this chapter you can calculate your
own inflation rate based on the goods and services that you buy and compare
it with officially calculated inflation rates.』
でもってこの4番が
https://www.euro-area-statistics.org/digital-publication/statistics-insights-inflation/bloc-4a.html?lang=en
Personal inflation calculator
ってなってて、デフォルトだと「ユーロエリア」になっているけど、国を選んで自分の月の消費額を項目(大項目が12あるんですが、その中に小項目が結構あって小項目ざっと目検で計算したら47項目になるわ)毎にぶっこんでいくと貴方のインフレ率が分かる、というオモシロページになっております。
何すかね、しょうもないお手盛り点検とかしてる時間と人的リソースあるんだったら、こういうのにリソースをもっと割いた方がエエンチャイマスかと思うの(個人の感想です)。
なお、アタクシ思うに日銀の教育コーナーとか知るぽるととか非常に良く出来ていると思うので、作る能力がないとかそういう事ではないし、むしろそういうのかなり優秀だと思うのですが、いかんせん日銀全体として見た場合、あんまりこういう方面の宣伝しないで、頭の宜しいご研究やら、大本営の尻拭いの屁理屈構築やら、そっちの方に傾斜している感がありますので(個人の偏見です)、もうちょっとその辺は再考の余地あるんとちゃいますか、と別に情報サービス局や金融中央広報委員会の回し者でも何でもありませんが、そう思ったりもするのでした。と最後は何故か日銀ネタで締める悪い癖のあるアタクシでした。
〇ウィリアムズ総裁ヤフーファイナンスインタビューネタの続きを少々
昨日の続き、というか昨日は金融政策のネタの部分だけでしたので物価の話しと中立金利の話を。
https://finance.yahoo.com/news/new-york-fed-president-john-williams-yahoo-finance-transcript-june-2021-211908558.html
New York Fed President John Williams speaks with Yahoo Finance [Transcript]
Brian Cheung
Brian Cheung・Reporter
June 4, 2021・20 min read
昨日引用した直後に物価に関する質疑があります。
『BRIAN CHEUNG: Well, and some of that I guess might just be your approach
or your views on inflation, there's a very rigorous debate right now about
whether or not the current policy setting is going to allow inflation to
maybe run away if the economy overheats.』
こういうの見てるとなるほどなと思う(外野で見てると雨人が実際にどう考えているのかとか全然見えてこないし、マーケットのトークとかもゆうてそれが本当の一般的な雨人の感想なのかというとまた微妙な訳ですから)のですが、やはりまあ現状の物価上放れムーブを「一時的」といってクソ粘り、というのが今年中ならともかく(それも微妙な気がせんでもないが)、来年の今頃まで「一時的」だの「アベレーターゲットでメイクアップ中」だのと言ってクソ粘りが出来るのか、というとやっぱり無理があろうかと思われますって話なんだろうなあ、と勝手に思ったのですが、さてどうなんでしょうかねえ。
なお質問は続く。
『Now just broadly we did get a PCE print last week, core PCE when you
strip out those more volatile components at about 3.1% year-over-year.
We've heard your talking points about inflation being transitory but, what
might you be looking for to see if some of those trends might be a little
bit more secular and maybe less transitory or temporary?』
おまいらその一時的って言い逃れどこまで通じると思ってるの?って話ですな、さてウィリアムズの回答。
『JOHN WILLIAMS: As you know, price stability, low and stable inflation
averaging 2% is one of our two key goals along with maximum employment.
So I take this very seriously in watching the data carefully analyzing
what's happening. This is again an extraordinary period of time as the
economy opens up rapidly, and we're seeing demand, especially for certain
things.』
最初の方は2%がどうのこうのの一般的な話ですが、経済再開と共に需要にどういう変化が起こるかみたい、ということで登場する「especially
for certain things」とは?
『People are willing to travel again and stay at hotels and get on planes
and buy used cars apparently, because that market is very hot.』
車はわかるが旅行とかホテルとか飛行機とかその辺は注目するなとは言わんが大上段に振りかぶって言う話でもないような気がするんですが。
『So we're definitely seeing that dynamic play out and certain prices rise
pretty quickly, while other parts of the economy, we haven't seen those
kind of increases.』
一部の需要項目における急速な需要回復による価格上昇が平均的なインフレを押し上げる要因になっており、オーバーオールに価格がバンバカ上がっている訳ではない、と言いたいのか。
『We also have to keep in mind that some of the increases we’re seeing
are really just reversals of price declines that happened a little over
a year ago, when the pandemic really took hold. So it's really about, I
think, analyzing the data carefully, understanding what represents maybe
the unique aspects of the reopening of the economy, and not expected to
persist into next year and the year after that, and what aspects do indicate
maybe more kind of persistent or sustained inflationary dynamics. So it's
really about you know carefully reading the data and analyzing it, and
I would just say, not overreacting to every single data point, but making
sure you're bringing all the information together. 』
そういう経済オープンに伴ってこれまで死んでた需要が一気に息を吹き返したことによる一部セクターの物価上昇に加え、ベース効果があるから強めの数字が出ているという話であって、「not
overreacting to every single data point」だそうで、まあこの地蔵宣言を言いたかったんでしょうね。
『My personal view is that a big chunk of the increase in the inflation
measures that we've seen is really partly this reversal price declines
from before, what we often called base effects, plus some special factors
like used cars and others where clearly the pandemic has affected demand
for certain goods that are in short supply at least in the near term.』
足もとの物価上昇のコンポーネントの大きな部分は、ベース効果と一部業種の急速な巻き返しによるものですよ、というさっきの説明のまとめをしています。
『I go back to this dynamic economy. I mean this is an economy that has
worked on very limited inventories and very tight supply chains in the
past, and with a pandemic, that's made it a little bit hard to adjust to
the rapid reopening. So of course we're seeing some supply chain issues
and shortages of supplies and things, but again, I see those as being worked
out over the coming months and quarters, as businesses adjust to the more
rapidly growing economy.』
でもってその他がサプライチェーンのどうしたこうしたの話ですな。更にウィリアムズの回答は続く。
『Last thing I'll say on inflation is, even before the pandemic and for
many years, I do follow other inflation measures like the trimmed mean
inflation rate, that are produced by my colleagues in Dallas and in Cleveland.
And so those measures are designed to try to get the underlying inflation
rate. 』
話を転じてインフレの計測の方面に持って行っております。刈込平均について語っていますね。
『At least so far, I think that they've been showing moderate increases
in prices in a more consistent or near our 2% goal. So again, looking at
all the information, and really be attuned to looking for signs that we're
seeing a more persistent, sustained inflation, which of course we don't
want inflation to be too much above our 2% goal. We really want to have
this average 2% over time.』
ダラスやクリーブランド連銀が刈込平均物価指数を出していますが、こちらの数字を見るとヘッドラインなどのCPI程の威勢のよさで上がっている訳ではなく、モデレートに動いておりますのでヘーキヘーキ、とは言ってますが、さすがに最後の締めでは「2%を持続的に上方に乖離した物価が望ましいとは言ってない」とはゆうておりまして、まあ結局どこまで言い逃れが出来るのかについては(これはFEDが決めるのではなく、周囲の状況が決めるのであって、FED的には「どこまで粘れますかね〜あっはっは」とかいう会話はしていると思いますが、結局の所世の中がインフレ怪しからんの大合唱になったら終了、という他律的な世界なのでシャーナイとも思えますが)ウィリアムズも説明を避けて通るの巻となっていて、この辺りは引き続きファジー。ただしFED自体は少なくとも年内いっぱいは「一時的」の言い訳で押し通すつもり、ということは把握しました。
最後のほうに中立金利(Rスター)の話があります。
『BRIAN CHEUNG: Copy that and sorry there's a siren going by. You live
in New York so you understand how this goes. But I do want to ask now about
r* if I could do that.』
ということでRスターの話。
『So there's been a lot of interesting commentary going on right now about
how the Fed estimates what is the neutral rate of interest, kind of the
rate that's neither stimulative nor restrictive for the economy, But there's
been some commentary from the likes of Kristin Forbes at MIT and Jan Hatzius
at Goldman Sachs about maybe missing the estimates with some of these structural
things in play. Like companies that might be getting more productive with
the COVID shock or demographic trends. 』
そもそも中立金利の計測がちゃんと出来てるのか?という指摘が出ておりますが、
『So I guess my question to you is: estimates of our star are very low
right now that's what's guiding your policy. How is the power of r* kind
of changing with what could be structural changes to the economy?』
経済の構造変化(前段の方では例として企業のコロナ対応による生産性向上の話がありました)って中立金利に対してどのような効き方するの、とか何とかそういう質問。
『JOHN WILLIAMS: Yeah obviously it's a question I think about a lot.』
でたな良い質問です攻撃。
『I think a couple things I would say is: this COVID situation, or at least
in terms of thinking about those trends and the effects on the neutral
interest rate, it's just really challenging. We have huge shifts in demand
and supply and all these things happening at once, I think it's time to
be appropriately humble about our ability to draw inference about how does
this affect the neutral rate for the next 10 years, because I think we're
still in the middle of the COVID episode in terms of seeing how the economy
behaves. So I'm kind of on a wait and see on some of that.』
ここでは、そのような構造変化は中立金利の形成に影響を与えうるので、いろいろなデータなどを点検しながら謙虚に判断しなければ行けない、と至極ごもっとな話をしていて、それはそれで良いのですが、じゃあ何でさっきの所では「物価上昇は一時的要因(キリッ)」って決め打ちするんだよ、とは思いました。
『Again, I do go back to what I think are the underlying trends that were
driving the neutral interest rate lower for the past 25 years before COVID.
It was demographics. It was low productivity growth, and I think it’s
the demand globally for safe assets like U.S. Treasuries. 』
『So, those may have shifted a little bit and we'll wait and see whether
productivity trends have improved as we've all learned to work with technology
differently. We'll see if demographic trends have changed but I think those
were the big drivers so those are the things I'd be looking at to see if
there's really a change in the neutral rate. 』
コロナによる構造変化とかの話の前に、そもそも論としてここ25年程主な要因を人口動態として中立金利がさがっているのは、世界的にもそうですよね、という話をしておりますが、一方でそこで決め打ちせず、他の技術革新などの要因も考慮していく必要がある、とエラく穏当なご意見。
『My view right now, again, recognizing there’s just a lot of uncertainty,
is that neutral rates are still very low across the globe. And that's my
working assumption, but I do think there's just a lot of uncertainty about
that and we have to have an open mind about how that may have changed coming
out of COVID. Last thing I just have to say on this: it’s a global phenomenon.
For a lot of other countries I think a lot of these factors are still holding
the neutral rate down, they haven't really changed.』
当然ながら状況の変化を見て行く必要があるが、人口動態要因などの長期要因はそう簡単に変化しないものもあるので、その点から考えると不確実な部分はあるが、中立金利の低下というトレンド自体は継続しているのではないか、とのこと。
なのですが質問者は当然別の質問をしたかったわけで、
『BRIAN CHEUNG: I mean what might be the consequence, though, if the actual
r* is above what you're estimating?』
もし実際の中立金利が今皆さんがみている水準より高かったらどうするの?という質問をしてきました。
『JOHN WILLIAMS: Well I think it would be a sign, mostly, of a stronger fundamentals for the economy.』
今の質問、当然「将来の金融正常化におけるターミナルレートの上昇を意味します」が模範解答になりますけれども、そんなこと言ったってヘッドライン流されると長い金利、特に長期以降(もしかしたら5年のノートも)の金利がホイホイ上がってしまうので、ビーンボールには「それは経済のファンメタが強くなったということです」と華麗にスウェイするのは当然ですな。
『Stronger productivity growth, stronger labor force growth, some of those
factors. So those are all positive, so I'd rather have? if I think about
monetary policy, I’d rather have a stronger kind of baseline growth and
labor market, as is what I'm aiming for in terms of maximum employment.』
ターミナルレートに言及しないのがワロエルがさすがにすっとぼける訳にも行かないので、
『So I think those would be very positive, and they would imply that in
the long run you're gonna have on average, somewhat higher interest rates
which would be consistent with a strong economy, but also clearly give
us a little bit more room to adjust monetary policy when the economy is
in a downturn or inflation is too low, so those are all positive.』
と、中立金利が高い→経済の基礎的条件が強い→金利水準が高くなる、の図を出してきましたが、ただでは帰らないとばかりに「緩和政策をしなければいけない時の糊代が増える」という話もしていますな。
『So, if you did ask me, what's a good thing long term for the economy
it would be fundamental factors to help push up r* so I’m hoping for that
but we'll have to wait and see if the data really does support those changes.』
中立金利が上昇するような経済のファンメタが整っているようだったらとてもうれしいのだが、まだそういう判断を出来るようなデータは出ておらず、今後しばらくはそういうデータが揃うかどうか見て行くよと。
『BRIAN CHEUNG: Well no one better to have that r* discussion with than
you. But again thank you so much for joining us here on Yahoo Finance,
New York Fed President John Williams, hope to talk to you again soon.』
で話はおしまいなのですが、最後にウィリアムズに向かって「no one better to
have that r* discussion with than you」と言ってたのはまあそうなんですけどちょっとニヤッとしてしまいました。
2021/06/15
お題「先日の金研コンファランスの模様が出てました/FOMCプレビュー雑談でハーカーとウィリアムズのちと前のお話から」
梅雨入り宣言した翌朝が爽やかな好天@南関東なんですがもう発想転換して5月のじゃんじゃか雨の時に梅雨入りで良かったんでネーノ。
〇ただの雑談ですが金研コンファランス内容のご紹介があったので
そういえばこの前こんなのがありましたな。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210614b.htm/
(金研ニュースレター)2021年国際コンファランス
2021年6月14日
日本銀行金融研究所
https://www.imes.boj.or.jp/jp/newsletter/nl202106J.pdf
金研ニュースレター
2021 年 6 月
『日本銀行金融研究所では、5月 24〜25 日に 2021 年国際コンファランスをオンライン形式で開催しました。1983
年に第 1 回を開催して以降、初のオンライン開催となった今回のコンファランスでは、「ニューノーマルへの適応:COVID-19
後の展望と政策課題」をテーマとして、幅広いトピックについて活発な議論が展開されました。』
ってな訳で内容のご紹介がされていまして、黒ちゃんのキーノートスピーチはネタにしたのでまあ今更ジローですけど、
『黒田東彦総裁(日本銀行)は、開会挨拶において、まず、今回のコンファランスのテーマに込められた大きな問題意識として、感染症危機の先にある「ニューノーマル」とはどのような姿なのか、我々はそれに向けてどのように適応していくのか、という
2 つの問いを提示しました。』
ニューノーマルの適応の前に2%物価安定目標への適応をしてくれませんかねえ。
『そのうえで、感染症危機後の経済展望と政策課題について論点を整理し、感染症下の適応として生じたデジタル化の拡がりと加速は、社会に不可逆な変化をもたらしてきたと指摘しました。最後に、本年のコンファランスを通じて、感染症後の経済や政策に関する多くの知見が示されることを期待すると述べました。』
感染症前の物価安定目標も達成できていないのに以下同文。
で、前川講演ではアタクシ的にはどうにも好きになれないブランシャール(つまり私はドン・コーン派である、ということである)の話があって(写真はこれWeb参加のご尊顔だと思うんだがこんなに老けてたっけ)、基調講演の人の話もナンジャソラな感じが。
『基調講演では、アタナシオス・オルファニデス教授(マサチューセッツ工科大学、金融研究所海外顧問)が、感染症危機に対する中央銀行の対応を振り返り、中央銀行のバランスシートの力を十分に活かしたと称賛しました。』
バランスシートの力(原文でどう言ってるのかは知らんが)ってのも何ちゅうかそれはそれで用語として間違ってはいないのですが、単にバジョット・ルールを適切に適用したという世界の話であれば古典的な話なのですが、そこで「バランスシートの」とか言い出すあたりが、なんか最新の話をしてるぞーっぽい軽薄な感じがして好かん、と完全にブランシャールの文字列を見て以降好き嫌いで発言するアタクシ。
『特に、市場が悪化した場合のバックストップとしてバランスシートを効果的に活用した点、量的緩和政策によりタームプレミアムを縮小させ、政府債務の借換え費用を抑制することで、財政拡大を円滑化させた点を指摘しました。』
ちょwwwwおまwwwwwwwそれ財政ファイナンス万歳理論やん。
いやまあそれはそれで一つの思想ではあるんですが、どうもこの辺の整理(ちゃんと本文みないと微妙だけど)が怪しくて、バックストップとしてのバランスシート活用っていうのは要するにバジョット・ルール的な運営であって、それはタームプレミアムが大きく上がらないようにすることはあっても下げる話じゃないじゃんとゆー話ですな。
でもってここの文章を見るとバックストップとQEを一緒くたに論じているようで、いやそれはバジョット・ルール的な金融政策運営の話と、金融緩和政策の話を一緒くたに「バランシートの力を活用」とか言ってるわけで、政策論としての整理が雑じゃないですかねえと思う訳でございます。
そもそも論として中央銀行が民間の資源配分に対して介入するのって必要最低限にとどめるべき(やりたいなら民主的プロセスを経た議会によって政府が行う筋のもので中央銀行がやるのは有体に言えば有司専制の世界)でしょと思うんだが、何ちゅうかもう思いっきり財政従属万歳の話してるの世ねこの人、と思ったらやっぱり米国の大先生ですかそうですかとも思うのだが、むしろギリシャっぽい名前ですかしら良く分からん。
『最後に、金融政策が財政政策に影響を与えうる中で、どのように中央銀行の独立性を守ることができるのかという点を述べました。』
財政従属万歳論を唱えておいてこれって自分で自分の言ってること分かってるの?とツッコミたくなりますが、この手のプリントマネー的な事をそれこそ途上国のへっぽこ中銀あたりがやったらあっという間に自国通貨の対外価値が暴落してあばばばばーになるんですが、何せメリケン様の場合は自分が世界最強(値段の意味ではない)通貨なので、まあゆうてしまえばプリントマネーやっても世界揃って通貨の実物に対する相対価値が下がるだけ(個人の感想です)なので縛り首とかにならんから平気で言えるんでしょうなー、といつも通りの感想。
あと、クッソどうでも良いのですが、
『植田和男教授(共立女子大学兼東京大学、金融研究所特別顧問)を座長とする政策パネル討論では、ギータ・ゴピナート経済顧問兼調査局長(国際通貨基金)、チャールズ・L・エバンス総裁(シカゴ連邦準備銀行)、ティフ・マックレム総裁(カナダ銀行)、フィリップ・R・レーン専務理事(欧州中央銀行)、ステファン・イングベス総裁(スウェーデン・リクスバンク)、若田部昌澄副総裁(日本銀行)の
6 名のパネリストが、コロナ感染症のもとで政策当局者が直面している様々な課題について議論を交わしました。』
約1名議論に参加できていたのかどうか、というのをチェックしてみたいですな(棒読み)。
というただの雑談でしたが、さっきのタームプレミアム云々ですが、今回って金融危機からの問題じゃなかったから本来はタームプレミアムがどうのこうのってあんまり問題ではなくて、本来評価されるべきなのはFEDの最初のパニック利下げ(あれは却って市場のパニックを煽ったので、その後の収拾を頑張ったので帳消しになっているけど、あそこまで慌てなくても3月通常のFOMCでゼロ金利政策にすればよかった、あのせいでサプライズからの金利乱高下が色々と変なものを呼んだ、と私は今でも思っているのだがどうもこの調子だと風化しそうなので折に触れて申し上げる)ではなくて、財政バックアップ付きで行った各種のバックアップファイナンス(何とかファシリティ)と、外貨の所での中銀連携でしょと思う訳でして、QEやって国債を買って金利を下げて財政を出して云々ってのは話の筋がだいぶおかしくねえか、と思うんですけどねー。なおアタクシは頭が悪いのでこの考えをまとめてぶつけるような能力も意思も機会もないのでありました。
〇FOMCプレビュー世間話でハーカー総裁とウィリアムズ総裁の直近(ちょい前)発言を確認
・フィラデルフィア連銀ハーカー総裁のスピーチから少々
例によってURLが長いのでハイパーリンクは表示個所の一部にかけておきます。
https://www.philadelphiafed.org/community-development/workforce-and-economic-development/210602-women-in-housing-and-finance
The Economy, Inflation, and Forbearance
Patrick T. Harker
by Patrick T. Harker President and Chief Executive Officer
02 Jun ’21
Women in Housing and Finance Public Policy Luncheon | Virtual Event
最初が経済のパート、次が物価と金融政策、最後にモーゲージ等の延滞の話がありまして、経済のパートに関してはまあ威勢の良い話をしているのですがそこまえ突出した話をしているとも思えない(個人の感想なので気になる方はおチェックを、ちなみに長くは無い)ので、金融政策と物価の部分ですが、ここはある意味味わいがある。
『nflation and Fed Policy』って小見出しで真ん中よりも下の方になります。
『With the economy picking up and so much fiscal support and monetary accommodation,
there is some upside risk to increased inflation.』
アップサイドリスクキターなのですが・・・・・・・・・・
『We will continue to monitor that closely. But for now, I’m forecasting
close to 3 percent headline inflation for 2021.』
2021年の上振れはエエンヤ、その先とか政策対応とかの話をはよ。
『At the Fed, we’re planning to keep the federal funds rate low for long,
but it may be time to at least think about thinking about tapering our
$120 billion in monthly Treasury bond and mortgage-backed securities purchases.』
少なくともテーパリングを考えようって話にはなってくるんジャマイカ、と言っていて、例によって確かこの時はハーカーさんの発言のこっち部分だけヘッドラインになっていた気がする(ただし市場ちゃんはああハーカーさんなら通常運転だね、だったと思うけど)のですが、よくよく見る(よくよく見なくてもわかるが)と、この最初ってあくまでも「we’re
planning to keep the federal funds rate low for long」と言ってるわけでして、ハーカー総裁も利上げの話はまだ封印しときましょう、って感じになっている訳ですので、今週FOMCがありますけど、利上げ云々の話が出るような環境に全然なっていない、という認識がFOMCパーティシパントのほぼ共通認識になっている以上、そんなに市場ちゃんが期待だか懸念だか知らんけどウヒョヒョーとなるような物件は出てこないでしょ、と思う訳です。
『This is not something we are going to do suddenly, though. We need to
follow the playbook we had after the Great Recession; that is, start to
taper the bond purchases slowly. We will remove accommodation carefully
and methodically as the economy continues to strengthen.』
リーマンショックの時に行った金融正常化の台本が既にございますので、これらの緩和縮小のプロセスはそれに則ってゆーっくりとやっていきますよ、というハーカーさんの説明なのですが、この点につきましては、カプラン辺りだといやいやいや今回の回復速度とそのベクトルって前回金融危機後を遥かに上回るペースなんだからそれじゃビハインドするだろ、とか言い出しそうな論点ではありまして、まあFOMCでもテーパリング云々の話の他に、緩和縮小のペースが前回金融危機からの回復時なみの牛の涎の如くダラダラとのんびりやっていて良いのか、って話は出るかなと思うので、今後数回分の議事要旨は実は楽しみにしているアタクシ、
『It may not make for exciting speeches, but our goal here is to be boring.』
ということで、特にエキサイティングな話ではないですよ、ってな締め方をしてまして、なんかここからは妄想の世界全開になるのですが、「オーバーシュート容認のアベレージインフレの考えかたを強調」→「市場が急速な出口を意識しないので金利が上がらん」→「(゚д゚)ウマーと思ってたがあまりにも金利が上がらんと結局緩和縮小話を意識する時にタントラムになるらガス抜きをしたい」→「テーパリングと利上げを分けて説明する」→「テーパリングの着手は市場のコンセンサスになる、ってな流れで、今度は市場の方がテーパリングを意識しだしたり、待てよ利上げは先ジャンと思い出したり、というのが昨今の相場ちゃんなのかな、と思いますので、その辺からすると確かに「It
may not make for exciting speeches」ではないって、とか思うのでありました。
しかも物価と金融政策尾の話がこれでおしマイケルという無茶苦茶あっさり味でして、なんかこう勢い混んでFOMC迎えそうな市場にまあ落ち着けって感じだったのかもしれませんし、あとハーカーさんですら「利上げは全然先」って言ってるのは、まあそういう事やぞということで、市場がキャッキャウフフしながら政策ネタで動く、というような段階になるのは早すぎじゃないですかねえ、とか何とか思うのでありました(個人の感想です)。
。ウイリアムズ総裁ヤフーファイナンスインタビュ(ただし4日の記事でインタビューは3日に実施)
インタビューの記事は記事でありますが、
https://news.yahoo.com/ny-feds-john-williams-us-economy-quite-a-ways-off-from-tapering-asset-purchases-200520186.html
Yahoo Finance
NY Fed's John Williams: US economy 'quite a ways off' from tapering asset purchases
Brian Cheung
Brian Cheung・Reporter
June 4, 2021・3 min read
その記事中にもリンクされているインタビューそのもののTranscriptちゃんを拝見
https://finance.yahoo.com/news/new-york-fed-president-john-williams-yahoo-finance-transcript-june-2021-211908558.html
New York Fed President John Williams speaks with Yahoo Finance [Transcript]
Brian Cheung
Brian Cheung・Reporter
June 4, 2021・20 min read
米国ヤフーファイナンスなので何かゴテゴテと余計なバナーがウザいのですがそこは勘弁というところですけど、「20
min read」とか書いてありますが一部を読むというところで。
最初の方が雇用の話なのですがそこは全部すっ飛ばして途中から。
『BRIAN CHEUNG: President Williams you did use the word “progress” and
we know that the guiding light for the Federal Reserve with regards to
quantitative easing is that it'll start to taper that $120 billion a month
pace of asset purchases once it sees substantial further progress.』
その前に雇用の改善について話をしている中で「progress」が出たのに引っ掛けてテーパリングの質問をしているのですが、仕込みじゃなかったら見事な阿吽の呼吸ですな(質問してる人はFOMCの会見でも登場する人です)。
『Now, some of your colleagues in Philadelphia, in Dallas among others,
have already said now might be the time to start thinking about thinking
about tapering those asset purchases. Do you think it's time to start thinking
about thinking about tapering those purchases?』
直球質問キタコレ。
『JOHN WILLIAMS: We set that marker of substantial further progress back
at the end of last year, and obviously, the economy has improved. I think
it's on a good trajectory, but to my mind we’re still quite a ways off
from maintaining the substantial further progress that we're really looking
for in terms of adjustments to our asset purchase program.』
テーパリングをするにはまだ早い、というのは当たり前なのですけどねえ・・・・・・・・・
『That said we have to be thinking ahead, planning ahead and so I do think
it makes sense for us to be thinking through the various options that we
may have in the future. We're talking about talking about how the economy's
doing, where we see it going, and understanding how that may play out over
coming months really be thinking about those going forward.』
『Right now my view is we're not near the substantial further progress
marker, but of course we always need to be analyzing where we are in the
economy, where is that relative to our maximum employment and price stability
goals, and really how do we get monetary policy positioned well, to achieve
those goals over coming years.』
「we're not near the substantial further progress marker」だそうですので質問者はこう聞く。
『BRIAN CHEUNG: Okay so you're not going to bring up that conversation in two weeks?』
そら質問するわ。
『JOHN WILLIAMS: Bring up?』
『BRIAN CHEUNG: The tapering conversation.』
と来たらウィリアムズの回答は、
『JOHN WILLIAMS: No, I think that we should be thinking through all of
the issues around the economic recovery and thinking about policy options
in the future. I just don't think the time is now to take any action.』
ややこしい言い方すんなや、という感じですが、アクションをするような時期ではないってそんなの言われんでも分かっとるわという感じでして、最初にエライやる気のない言い方しておいて「アクションの話ではなくて議論の話しならアリ」ってナンヤソラという感じで、まあウィリアムズもさすがに「今はアクションの時期ではない」というのを強調する必要があるタイミングでは無いのくらいは(アホでない限り)分かっていると思いますので、これはすんなりテーパリング着手に関する議論が行われるのを良し、という言い方をした場合におきるかもしれない市場のハレーションを気にしたんだと思ったのですがどうでしょうかね(個人の感想です)。
でもってそう考えますと、さっきのタカ寄りハーカー総裁もしれっと利上げがかなり先である話をしてみたりしていますし、とにかく「緩和縮小の期待が盛り上がり過ぎないようにしながらテーパリングだけはやっておきたいですねー」って感じをFED高官の発言から受ける訳でして、一方で市場ちゃんがそれに対してちょっとイレコミ過ぎっぽい感じ(の戻しが先週後半にあったという感じですかねえ)で、ちょっとショートが溜まっている感も無きにしも非ずで、そんなこんなを考えると、今週のFOMCってそんなに市場がヒャッハーとなって世紀末救世主伝説相場になるようなものって出してこんじゃろ、という気がする(超絶的に個人の感想です)のですがさてどうなるんでしょうね。楽しみ楽しみ。
なおこのインタビュー、割と長くてこのあと物価の話から短期市場(RRPの話とか)になり、さらにファイナンシャルスタビリティの話、自然利子率の話とあるので、FOMC前に他にネタが無かったら追加投下するかもしれませんがまあ読んで味噌という感じではあります。
2021/06/14
お題「ECBラガルド会見ネタである(政策スタンスは結局地蔵なのだが説明がクソ長い)」
まあ何と申しますか。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210611/k10013079301000.html
IOCバッハ会長「東京大会は完全に開催に向けた段階に入った」
2021年6月11日 11時05分
というよりもむしろ滑走路走ってて速度がV1に達してしまったので、もう離陸するしかありませんよーという希ガス。
〇ECB会見がラガルド先生の独演会モードだった件について
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2021/html/ecb.is210610~115f4c0246.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 10 June 2021
木曜のECB会見、金曜の日本時間の朝っぱら(たぶん6時過ぎ)には何とQ&Aまで出てやがりまして(ちなみに5時前だとまだイントロダクトリーステートメントだけだった)、アップするのが早いECBに下って早すぎィ!と思っていたのですが、改めて会見紙に打ち出して音声を聞いてみたらラガルド大先生の独演会だったのでそりゃ早いわと。
上記URL先なんですが、普通のブラウザー設定で紙にだすとA4で片面10枚だと思うのですが、最後はちょろっとなので実際は9枚と3分の1という感じです。でもって最初の3.5枚がイントロダクトリーステートメントなのは良いとして、最初の質問に対してラガルドさんが物凄い勢いで大演説をぶっかましてて、これ会見のECBのサイトから見れる動画(ユーチューブの埋め込み)が1時間の尺なのですが、イントロダクトリーステートメントと最初の質問に対するラガルドさんの大演説で34分ぶっこんでいて、紙でも5枚と3分の1まで終わってしまうという何ちゅう独演会やという感じでした。
・最近の金利上昇はファイナンシングコンディションのタイト化なのでインフレなどにリスクって・・・・・・・
イントロダクトリーステートメントの中で言ってたこれに市場ちゃん反応したんかいというところですが、日本国債先物の当限売買最終直前(今日が最終で金曜が中心限月交代)にへんなもんぶっこむからカレンダーが高安10銭も動いてしまったではあーりませんかw
イントロダクトリーステートメントの3パラ(1パラ目はご挨拶なので事実上の2パラ目、最初が経済物価情勢の全般的な話で、その次)にファイナンシングコンディションの話が入ります。
『Preserving favourable financing conditions over the pandemic period remains
essential to reduce uncertainty and bolster confidence, thereby underpinning
economic activity and safeguarding medium-term price stability.』
ホンマカイナという気もするけどECBの今の建付けは「ファイナンシングコンディションを緩和的にすることによって企業や家計の活動が活発になって、経済物価にとって上向きの効果をもたらすので、2%物価目標の達成に向けてこうかはばつぐんだ」というものであって、だからTLTRO3がどうだとかそっちの話をしたがる、というのがまず前提にあって、
『Financing conditions for firms and households have remained broadly stable
since our monetary policy meeting in March.』
何で3月やねん(こういうの見ると引用する会合間違えたかと思ってビビる)というのは経済見通しの前回のアップデート以降、ということですわな。
『However, market interest rates have increased further.』
しかしながら市場金利がさらに上昇しております。
『While partly reflecting improved economic prospects, a sustained rise
in market rates could translate into a tightening of wider financing conditions
that are relevant for the entire economy.』
経済見通しの改善に伴って金利が上昇しているという面があるが、持続的に市場金利が上昇するということは、広くとらえた場合にファイナンシングコンディションが経済全体に対してのタイトニングをいう作用をもたらす。と来まして、
『Such a tightening would be premature and would pose a risk to the ongoing
economic recovery and the outlook for inflation.』
そのようなタイトニングは現状ではまだ時期尚早であり、今後の経済の回復やインフレ見通しに対してリスクをもたらす、と来やがったのでまあここは見どころではある訳でしたな(大汗)。
・・・・・・・・・・いやいやいやお前ら金利上がったって、テーパータントラムみたいに一気に50bpとか100bpとか上がったのとチャイますやろドイツ様の10年国債金利まだまだマイナスじゃん何ゆうとるの、という感じではありまして、逆にこの程度の金利上昇がリスクになるような経済だったら見通し強気化するなよアホと言った風情ではありますな。
そんな訳ですので、そら質問も出るわなということで、紙に出すと6枚目の真ん中、ラガルドさんの大演説の次の次の人が質問をしています。
『I have one question on your comment that a sustained rise in market rates
could lead to a tightening. I think the market is trying to find out where
this threshold is; what is sustained and which level are you concerned
about on average?(後半割愛)』
じゃあそのタイトニングになってケシカランというスレッショルドはどこですねん、と市場も気にしていますよ、という質問ですが・・・・・・・・・・
『(前半割愛)Concerning tightening: we conduct a joint assessment. The
commitment that we made, the monetary policy decision that we made in December
and then in March, which were both critically important, is to make sure
that we preserve favourable financing conditions while also being very
attentive to the inflation outlook, with a view to resisting any downward
pressure that would not help in returning to the inflation path of the
pre-pandemic period. 』
ファーバーなファイナンシングコンディションが重要ですというネタは何度も聞いて耳にタコ。
『That's what we do and that's how we conduct our monetary policy.』
でそれを我々はやっている、ということなのですが次の回答が割と腰が砕けた。
『I cannot isolate one component.』
ちょwwwおまwwwさっき市場金利の上昇っていうワンコンポーネントについてイントロダクトりーステートメントで上げてたやんけ。
『Financing conditions comprise a whole range of indicators from, as I
said, financing conditions for corporates, for households, for sovereigns,
market interest rates.』
『We take the whole range of financing conditions. We assess that and then
we identify the inflation outlook, the various components, the likelihood
of our projections, and we come to a monetary policy decision which, as
I said, is in a way a steady-hand translation of what we decided in March.』
ちなみに今回の会見Q&A、やたらとここにある「steady-hand」という単語(というか語句)が出て来まして、安定したとかぐらついてませんとかそういう意味っぽいのですが、どうも今回使われている文脈を見ると、政策が地蔵であることを言っているような感じがします。
・・・・・・・・ということで、市場金利の上昇ガーとか言い出してイントロダクトリーステートメントにぶっこんできた割には、じゃあどの位上昇するのが怪しからんのか、というそりゃまあ数字をもろには出さないでしょうけれども、金利上昇のモメンタムが問題なのか水準が問題なのかみたいは話も出て来るでもなく、説明は物凄い漠然とした言い方なんですが、「steady-hand」ってのを強調していて、これって即ち(1)4−6に示していたPEPP買入ペースを維持する、ということで長期金利の上昇をある程度抑制したい、というのか、単に(2)テーパータントラムみたいな事が起こられると困るので、口先介入をしているだけなのか、というのは謎にも程がありますが、まあいずれにしてもスレッショルドがどうなのよ、と質問されるとフニャフニャ回答でお茶を濁す辺りを勘案するに、日銀みたいなYCCをやらんと行かんぜみたいな事ではないんでネーノという気がしますがどうでしょうかね。
もちろんこう言った手前、市場金利が上がった場合はPEPPで対応する、と言う事を示しているのですから、そらまあ債券市場の叩きプレイはやりにくくなりますが、んじゃあ買い上げるのかというと踏み上げ以上の買いって話はどうなのかねと思ってしまいますが個人の感想。
・ECBの場合は米国と違って物価の見通しが全然強くないのですが逆手に取った質問に対しては・・・・
イントロダクトリーのスタッフ物価見通しに関する説明の結論パラグラフだけ手抜きで引用しますとこうなっております。
『This assessment is broadly reflected in the baseline scenario of the
June 2021 Eurosystem staff macroeconomic projections for the euro area,
which foresees annual inflation at 1.9 per cent in 2021, 1.5 per cent in
2022 and 1.4 per cent in 2023. Compared with the March 2021 ECB staff macroeconomic
projections, the outlook for inflation has been revised up for 2021 and
2022, largely owing to temporary factors and higher energy price inflation.
It is unchanged for 2023, as the increase in underlying inflation is largely
counterbalanced by an expected decline in energy price inflation.』
物価見通しですけれども、欧州でもベースライン効果、原油価格の上昇、供給制約要因によってヘッドラインの物価が上昇する、という見通しですが、ゆうて21年でも1.9%だし、23年に至っては1.4%だったりしております。ちなみに21年22年は引き上げ。
『HICP inflation excluding energy and food is projected to increase from
1.1 per cent in 2021 to 1.3 per cent in 2022 and 1.4 per cent in 2023,
revised up throughout the projection horizon compared with the March 2021
projection exercise.』
HICPのコア(除く生鮮エネルギー)の見通しは全般的に見通しがリバイスアップされてはいるのですが、21年1.1%、22年1.3%、23年1.4%と中々パッとしない見通しになっておりまして、まあこういう見通しだからなのかどうかは知らんのですが、そらまあ市場金利が上昇するのはプレマチュアーとか言いたくなるのは分かります。
さて、こんな説明に対して御尤もな逆ネジ質問があった訳だが。紙で出すと7枚目の真ん中あたりになります。
『I have two questions for you today. Given that your medium-term inflation forecast for 2023 is unchanged and remains significantly below target, why are you not stepping up the pace of your purchases to achieve that? Or do you not think that increasing the pace of purchases even further would have any effect on inflation and the output gap in the economy?(後半割愛)』
物価見通しが全然ビローターゲットなのに何で追加緩和とかしないんですか???ということでこれは良い質問。でもって答えですが、
『Lagarde: You're quite right that the inflation forecast, the inflation
projection, has been revised upward for '21 and '22 and not for '23, and
that's for the reasons that I have explained earlier on. There's a base
effect, there are some transitory factors. But there is also - and I have
discussed that quite a bit - the movement on core inflation. So we are
clearly seeing improvement and that dates back to December because our
forecast for the core inflation outlook has been revised gradually, slowly,
by 0.1% over the course of the last projection exercises. So I think that's
certainly one of the reasons why we believe that the steady hand is actually
the right response in the face of these improvements in core inflation,
which we will continue to monitor very carefully, added to which you will
have noticed as well: the balance of risk which was tilted to the downside
in our last projection, is now considered as balanced. That's another signal
that the situation is improving.(後半割愛)』
ということで、最初の方はもうそれは言わんでもわかっとるわという見通しの話とか今の上昇が一時的だという話をしていますが、まあこれは回答するまでの時間稼ぎに入れてる感がありまして、質問者の言う「いやこんなに物価見通しパッとしないんだったら何で追加緩和をしないんですか?」という質問に対しては碌すっぽ答えておりませんで、12月時点の見通しから上振れているだの、経済の状況が改善しているだの言ってますが、それは物価目標に対して向こう3年程度の物価見通しが全然行かないんだから追加緩和したらどうでしょうか、という質問に対する答えにはなっておりませんな。
でもってここの中でも「we believe that the steady hand is actually the right
response in the face of these improvements in core inflation」などとsteady
handが出ておりますが、結局の所地蔵を強調しているだけで、追加の施策もないし出口云々もないし、とりあえず今の政策でクソ粘りをする、というどこぞの中銀っぽくなっているのかね、という感じではありますな。
・じゃあラカルドさんの大演説を
ガチでクッソ長いので手抜くところは手抜き読みします。最初の質問です。
『I have a question on the meeting: President Lagarde, can you tell us
how was the discussion of the Governing Council meeting today; how was
the mood as you said also the uncertainties remain, and what prevailed
in the discussion as you decided to confirm the very accommodative monetary
policy stance?』
この回答がクッソ長いのですよ。
『Lagarde: Well, thank you for that open question because it gives me a
chance to tell you a little bit about how this meeting went.』
と言いながら全然a little bitじゃなかったんですけどね。
『 Let me start with what would be my take-away of the overall analysis
that we conducted, the joint assessment that we had and the conclusion
that we reached. I would say a steady hand. And let me drill down a little
bit on that.』
ここでもsteady handが出て来るということで気になったのかもしれません。
『We spent a lot of time looking at the quarterly staff projections and
went deep into each and every item of those projections. In conclusion
of this work, I could say that we were somewhat more optimistic about the
economic outlook than we were three months ago.』
と、これで話を終わりにすれば良いものを延々と語るんですが、これ何の意図でこんなに語っているのかという感じでして、最初に大演説をぶっこんで記者の毒気を抜いてしまったのが効いたのか、あんまり今回は更問がこなかった感じで、ラガルドさんの大演説と、さっき紹介した2か所のように、割とキモイ所の質問でのフニャフニャ説明が目立った感じでした。
じゃあ3か月前と比較して何か良いのか、という端伊s。
『The latest signal that we are getting signals a strong rebound which
is starting with the second quarter and hopefully will be amplified in
the third quarter. We took that moderate optimism from the fact that, number
1, we are seeing that the vaccination roll-out has accelerated significantly
and is increasingly out-pacing other advanced economies' vaccination roll-out.
Second, we are seeing that containment measures are gradually lifted which
should lead to a vigorous bounce back in that sector which was most affected,
which is the service sector.』
ワクチンのチューが広がっているのと、それに伴う経済活動の行動規制緩和によるサービスセクターの回復傾向がよろしい、だそうです。
『When we look at the service PMI, for instance, it is clearly now in expansionary
territory. It went up from just marginal 50 in April to now 55.2 in May.
Equally, when we look at the sentiment that is regularly published by the
Commission we are also seeing a sharp increase in May. Actually [April
was] the largest increase that they had ever recorded. We expect private
consumption to rise sharply as the containment measures are gradually lifted.
So that's good news from the services point of view, which was most affected.
When we look at the manufacturing sector, which earlier on has been robust,
it continues to be robust. When we look at the Europe PMI manufacturing,
it has stabilised at very elevated levels to be at 63.1 in May.』
わざわざPMIの数字をウダウダ出して説明するラガルド。
『We also looked into those supply-side bottlenecks that clearly have an
impact in the short term on our inflation, particularly now, but for the
short-term outlook as well. That will create some headwinds, certainly.』
供給制約は物価の押し上げ要因だが経済にとっては阻害要因、そらそうだ。
『That's all on the positive front, but we also acknowledged and looked
into those uncertainties that we have on the horizon, which have to do
with the evolution of the pandemic and how we see little nests of revival
based on another kind of variant. We are also dependent on how fast the
containment measures will be lifted, particularly for those countries that
are most sensitive to the service industry, the activities that are most
a factor of social non-distancing. Clearly, if those containment measures
are lifted early on - the tourism season, for instance - a lot of the transportation
activities will pick up. That's an uncertainty as we look forward.』
この辺が不確実性の話。新種変異ウィルスの話とかが下の要因で、上の要因は想定よりも経済活動が強くなった時のサービスセクターの話ですかね。
『As a result of that, our staff increased their projection for '21/'22
and kept it at the same level in '23. So, it's been revised up.』
リスクはブロードリーバランスなのでまあこうなる。
『Then the big job of the Governing Council after that, after it has looked
deeply into our projections and what we see in terms of macroeconomic situation,
our job is then to look at the financing conditions on the one hand and
the inflation outlook on the other hand because we do conduct that joint
assessment which we decided back in December, that we confirmed again in
March, and which determines our monetary policy reaction.』
今回は経済見通しの背景などについて深く検討しました、からの金融政策というかファイナンシングコンディションがどうしたこうしたのは話で、これが2パラに渡るクソ長い説明。
『On the financing front, we clearly see broadly stable financing conditions
taking together the corporate and the household sector. There is a little
bit of an increase in the corporate sector which is clearly attributable
to two particular countries; one is the Netherlands, the other one is Germany.』
『This is probably attributable to some tactical approach taken by the
banks in those particular countries to take full advantage of the TLTROs'
conditions and to make sure that they catch up with the commitments that
they have to take under TLTROs.』
さらに次のパラに行く。
『Overall, absent those particular factors, we see a little bit of tightening
- very, very moderate though - but there is a potential that what we observed
on the market interest rates actually could pass through or is at risk
of passing through to the financing conditions that are applicable to the
corporate sector in particular.』
つーことで最初の所でもあった「市場金利上昇がファイナンシングコンディションをタイトニング」という話だが、「we
see a little bit of tightening - very, very moderate though -」だったら何でイントロダクトリーステートメントで大々的に言うのやら、という感じではありますな。
『For the household sector it is not the case because the financing of
the household sector is at rock bottom at about a 1.31% interest rate,
which has never been so low. So, this is the first part of the joint assessment.』
ということで家計の借入金利が下がらんとか言ってるんだが1.3%まで下がってりゃ十分に低いじゃろとは思うのですけどね。
次が物価(長くてスイマセンが苦情はラガルドさんにどうぞ)。
『We do the joint assessment, and we look on the other side at inflation.』
はい。
『As I said in the Introductory Statement, we are seeing some short-term
improvement of the inflation number and our assessment for '21 is 1.9%,
which is clearly north of what we had in our last assessment. But we need
- and we did that throughout our discussions - we tried to really dissect
what is underneath and what is the lasting impact of some of those factors.
』
物価は最近堅調だけどこれはあくまでも一時的で基調的ではない、という説明をしているのだが。
『I think that it's worth reminding ourselves where we were a year ago
compared with where we are today, because that's how inflation is calculated;
year-on-year. A year ago a lot of activities went down, prices were under
downward pressure, clearly, and the down movement that we saw at the time
has now - and is being - compensated by an upward movement that we see
in many of those prices that went down. 』
はいはいベースライン効果。
『A clear example of that is the energy prices, where if you remember,
the price of oil and all derivative products went way down and has now
recovered. We see what we call a base effect between '20 and '21. This
is clearly the case. 』
はいはいエネルギー価格。
『We will see more of it because there is another base effect that will
be attributable to the German VAT. A year ago, 1 July, there was a decrease
of VAT in Germany, deliberately, in order to support the economy and sustain
demand. This has now been reversed. We will be seeing the base effect in
the months to come, which is probably a reason why inflation in some countries,
Germany being one, will go north of our forecast for the whole of the euro
area. 』
昨年ドイツが景気対策で行った付加価値税の時限減税の戻しによる効果。
『I mentioned earlier on the bottleneck issues which will push certainly
production prices up, but what we need to really focus on - and that's
what we did - we need to focus on services. Our euro area activities are
roughly 60% services. Services is predominantly labour and we need to really
dig down into the labour cost, into the wage increases, into the collective
bargaining agreements that are reached currently and will be reached hopefully
in the future.』
最後のだけちょっと面白くて、供給制約の話について、製造業の話よりもコストの多くが人件費というサービスセクターを見るのが吉、というのはほほーと思いました。
『In that respect, we don't see much by way of service prices going up.』
次のパラグラフに進んでいますが、欧州のサービス価格にはインフレ圧力が掛かっていないそうな。
『If you look at many of the service industries, prices are not moving
much. That is because wages have not increased significantly. We see a
little bit of movement, possibly, and we hope that we will see more of
it and that more of the price pressures are actually channelled into higher
wages. But we are not seeing much of that at the moment, probably because
of the slack that we have in the economy. 』
サービス価格が大して上がらんのはお賃金が大して上がらんからで、その理由は経済にスラックが依然としてあるから。
『Let's not forget that if you compare with a little more than a year ago,
we have 3.2 million more people unemployed. If you take the combination
of the unemployed and those that are under furlough schemes, we're talking
about 15% of people who are not on the job. These particular aspects were
really examined in great detail to understand what is behind inflation,
why it will impact significantly 2021, to a lesser extent 2022 because
some of the base effects that I have described for you will begin to fade
and will not actually have much of an impact in 2023.』
クッソ長く説明しているのですが、要するに基調的な物価が上がるようなムーブは来とらんから物価見通しも先の方は横ばいでっせと話をしておられる。
『But - and that's a but and it's important and we discussed it at length
- there is something that is moving a bit and that is core inflation, when
you take out energy and food. On that front, there is a slight movement
upward, which has now been repeated for a couple of months. That's the
reason why our forecast for core inflation has gone up a bit to 1.1 in
'21, 1.2 in '22 and 1.4 in '23.』
とは言いましても、コア物価は若干上昇している、と来た返す刀で、
『We are far away from our ultimate aim; close to but below 2%.』
と、そうは言っても2%の目標には遠いです、と来まして、
『And we certainly are not where we would like to be once the pandemic is over.』
だいたいからしてパンでミックも終わってないし、と来る。
『We are seeing some movement there and we will continue to monitor that
carefully. For the moment, certainly in headline inflation, due to temporary,
specific factors that I have just described and I have no reason to believe
that it is going to last through and will be included in a rise in inflation
that we would see in our medium-term projection. That leads us to the decision.』
んな訳だから物価がホイホイ上がるでもなく、政策は当分ステイという結論になるんですよ。
『Sorry if I was a bit long, but I have taken you through our deliberations throughout.』
a bit longどころの話じゃありませんでしたよマッタクモウ。
2021/06/11
お題「米CPIが日本の通常ニュースネタw/寝起きでECBだが基本は政策ヨコヨコかしら/クオールズ講演続き」
ゴクリ。
https://jp.reuters.com/article/olympics-2032-idJPKCN2DM280
2021年6月11日2:03 午前
IOC理事会、豪ブリスベンを32年夏季五輪開催地として承認
だいたい夏季五輪やると色々とケチが付く(婉曲表現)の法則(最近でその法則から無事だったの北京だけじゃろ)というのを勘案しますとジャパンの皆さんみんな大好き豪州(投資的に)が五輪に当選ですかそうですか・・・・・・・・・・・・・・
〇米国CPIが日本の一般ニュースに出るとは(なお米金利は低下してますけどね)
なんと公共放送ニュースのネタになりました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210611/k10013079251000.html
アメリカ 5月の消費者物価 12年9か月ぶりの高水準
2021年6月11日 4時18分
『アメリカの先月の消費者物価は、前の年の同じ月と比べた上昇幅が5%に達し、12年9か月ぶりの高い水準を記録しました。景気の急回復に伴ってインフレ圧力が一段と強まっています。』(上記URL先より、以下同様)
『アメリカ労働省が10日発表した先月の消費者物価は、前の年の同じ月と比べて5%上昇し、2008年8月以来、12年9か月ぶりの高い水準となりました。』
ということでして、まあ中身の話はさておき公共放送ニュース様はこのようにまとめておられます。
『金融市場では、FRB=連邦準備制度理事会が目安とする2%程度の物価上昇率を上回る状況が続けば、大規模な金融緩和策が転換を迎えるという見方があります。FRBのパウエル議長は、これまで物価上昇は一時的な現象で政策転換は時期尚早だという認識を示していますが、今回の結果も踏まえて、来週の会合が注目されます。』
ほほうと言ったところですが、ここでロイターさんの市況ニュースを拝読しますと、
https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N2NS40U
2021年6月11日5:18 午前
米金融・債券市場=利回り低下、インフレ高進一過性との見方浸透
30年債 16時02分 2.1366% 前営業日終値 2.1680%
10年債 16時01分 1.4402% 前営業日終値 1.4890%
5年債 16時00分 0.7195% 前営業日終値 0.7450%
2年債 15時52分 0.1469% 前営業日終値 0.1550%
まあ金利が下がってますわ何ですのよと思いつつ解説記事を拝読。
『労働省が朝方発表した5月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、前年同月比5.0%上昇し、2008年8月以来、約13年ぶりの大幅な伸びを記録した。ただ、昨年春に見られた軟調な物価が影響しており、こうしたいわゆるベース効果は6月以降薄れるとみられている。前月比では0.6%上昇と、市場予想の0.4%を上回ったものの、09年6月以来の大幅な伸びだった前月の0.8%からは鈍化した。』(上記URL先より、以下同様)
そ、それは「市場予想よりも強い数字だった」というのではないかと思うのですがこの有様。
『これを受け、10年債利回りは一時1.535%まで上昇したものの、その後に低下に転じ、終盤の取引では2.2ベーシスポイント(bp)低下の1.4671%。』
ワロタ。おまいらどんだけ短期筋のショートが多かったねんという感じでして(個人の感想です)まあだいたい債券ってロングには実需と申しますか償還までモチキラータイプの方がそれなりにおいでになりますので、ロングの方が引かれ越しが強くてってことなんでしょうかねえとか思ったり思わなかったりするのですが、テーパー云々の話が出だした頃に売られて実際に物価がバンバン強いの出ても戻すとかセルザファクト(売り買い逆だけど)なんですか?わかりません><;
しかしまあ何ですな、
『スターリング・キャピタル・マネジメントのマネジング・ディレクター、アンディー・リッチマン氏は「連邦準備理事会(FRB)当局者は、インフレ圧力の高まりは経済活動の再開に伴う一過性のものとの見方を示しているが、この日の取引で国債利回りが当初上昇し、その後低下に転じたことは、FRBのこうした見方がより広く受け入れられつつあることを示している」と述べた。』
いやいやいやいやいや、そこはお前らちゃんと物価指標のコンポーネントを分析して、FEDが言ってることがマジモンなのかどうかというのを分析した結果を解説しろよと思う訳で、これでMD務まるとはおめでてーな、などと海の向こうで悪態つかれるとは思ってもいないでしょうが、まあこういうのはメディア向けにテキトーこいてるだけで実際はこの人たちだって中では「FEDが言ってるのが本当に正しいのかというのは物価のコンポーネント見て行く必要があるし、賃金の動向についても一時的なのか持続的なのかをみないといけんじゃろ」とか分析はするじゃろ、とは思いますけど・・・・・・・・・・・・・
FED的には「インフレ圧力は一時的」ってのは別に物価が上がらんという話ではなくて、方向性としてはマンデート方向に向かう中でのノイズだし、だいたいからして多少上振れするのは構わん(とはいってもコアPCEが3%位で延々と推移されると(ノ∀`)アチャーになると思うんだが)というスタンスなのであって、別に物価が上がらんという話をしている訳では無いのですし、そもそもこのストーリーって「テーパリングは着手するけど利上げは急がないからお前らテーパータントラムとかするなよ!するなよ!絶対にするなよ!!」を念を押しまくるために言ってるものであって(個人の妄想ですので念のため申し添えます)、別に金融緩和を強化しようとかそういう話では無いんだが・・・・・・・・とは思うのですが、まあこういうのはファンメタどうのこうのよりもポジションの偏りから来てるんでしょうなあ、と勝手に妄想しておりますが、アタクシの妄想なのであって実際は知らんので間違ってたらゴメンよということで何卒宜しゅうに。
〇ECBは動かん上に買入ペースは引き続き高水準で継続するよとのお告げ
ちなみにECBちゃん最近はすっかり気候変動とかそっちの方に熱心でして、これはECBじゃなくてBISですけど直近ではこんな豪華イベントが。
https://www.bis.org/events/green_swan_2021/overview.htm
The Green Swan Conference - Coordinating finance on climate
#と言っても実は読者様から教えてもらったもののウケウリーなんですけど、と直ぐにネタを割るワイ
・声明文ちゃんの方では次のクオーターでも買入!買入!とっとと買入!だそうです
まあそれ自体は市場予想通りだと思うのですがそんな訳で決定事項。
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2021/html/ecb.mp210610~b4d5381df0.en.html
PRESS RELEASE
Monetary policy decisions
10 June 2021
ちなみに前回はこちらですわ。
https://www.ecb.europa.eu/press/pr/date/2021/html/ecb.mp210422~f075ebe1f0.en.html
PRESS RELEASE
Monetary policy decisions
22 April 2021
以下今回の決定事項を確認確認。
『At today’s meeting, the Governing Council decided to confirm its very
accommodative monetary policy stance:』
コンファームって時点でそらもう動かんよという話ですが。
『The interest rate on the main refinancing operations and the interest
rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain
unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.50% respectively. The Governing Council
expects the key ECB interest rates to remain at their present or lower
levels until it has seen the inflation outlook robustly converge to a level
sufficiently close to, but below, 2% within its projection horizon, and
such convergence has been consistently reflected in underlying inflation
dynamics.』(今回)
ちなみに申すまでもありませんが、
『The interest rate on the main refinancing operations and the interest
rates on the marginal lending facility and the deposit facility will remain
unchanged at 0.00%, 0.25% and -0.50% respectively. The Governing Council
expects the key ECB interest rates to remain at their present or lower
levels until it has seen the inflation outlook robustly converge to a level
sufficiently close to, but below, 2% within its projection horizon, and
such convergence has been consistently reflected in underlying inflation
dynamics.』(前回)
見事に金利のガイダンスも含め全文一致。あせっとパーチェスのほうはと申しますと、
『The Governing Council will continue to conduct net asset purchases under
the pandemic emergency purchase programme (PEPP) with a total envelope
of ユーロ1,850 billion until at least the end of March 2022 and, in any
case, until it judges that the coronavirus crisis phase is over. Based
on a joint assessment of financing conditions and the inflation outlook,
the Governing Council expects net purchases under the PEPP over the coming
quarter to continue to be conducted at a significantly higher pace than
during the first months of the year.』(今回)
『The Governing Council will continue to conduct net asset purchases under
the pandemic emergency purchase programme (PEPP) with a total envelope
of ユーロ1,850 billion until at least the end of March 2022 and, in any
case, until it judges that the coronavirus crisis phase is over. Since
the incoming information confirmed the joint assessment of financing conditions
and the inflation outlook carried out at the March monetary policy meeting,
the Governing Council expects purchases under the PEPP over the current
quarter to continue to be conducted at a significantly higher pace than
during the first months of the year.』(前回)
とありまして、今回は「the Governing Council expects net purchases under
the PEPP over the coming quarter to continue to be conducted at a significantly
higher pace than during the first months of the year.」とのことですが、over
the coming quarterと単数形を使っているので(まあそらそうよという感じですが)、これは7−9の四半期という話になりますと思われますが、第3四半期に関してもPEPPでの買入ペースは今年の頭の時期(増やす〜って3月会合で言い出す前)のペースよりも顕著にハイペースでやりまっせとのことですが、その根拠は「Based
on a joint assessment of financing conditions and the inflation outlook,」だそうですわ。
『The Governing Council will purchase flexibly according to market conditions
and with a view to preventing a tightening of financing conditions that
is inconsistent with countering the downward impact of the pandemic on
the projected path of inflation. In addition, the flexibility of purchases
over time, across asset classes and among jurisdictions will continue to
support the smooth transmission of monetary policy. If favourable financing
conditions can be maintained with asset purchase flows that do not exhaust
the envelope over the net purchase horizon of the PEPP, the envelope need
not be used in full. Equally, the envelope can be recalibrated if required
to maintain favourable financing conditions to help counter the negative
pandemic shock to the path of inflation.』(今回)
『The Governing Council will purchase flexibly according to market conditions
and with a view to preventing a tightening of financing conditions that
is inconsistent with countering the downward impact of the pandemic on
the projected path of inflation. In addition, the flexibility of purchases
over time, across asset classes and among jurisdictions will continue to
support the smooth transmission of monetary policy. If favourable financing
conditions can be maintained with asset purchase flows that do not exhaust
the envelope over the net purchase horizon of the PEPP, the envelope need
not be used in full. Equally, the envelope can be recalibrated if required
to maintain favourable financing conditions to help counter the negative
pandemic shock to the path of inflation.』(前回)
PEPP買入に関するガイダンス文言、というかガイダンスとしてはフニャコフニャオ先生状態の「まあ状況みてあんじょーよーやっときますわ、よーしらんけどな」みたいなこの文言は当然ながら今回も相変わらずである。
『The Governing Council will continue to reinvest the principal payments
from maturing securities purchased under the PEPP until at least the end
of 2023. In any case, the future roll-off of the PEPP portfolio will be
managed to avoid interference with the appropriate monetary policy stance.』(今回)
PEPPで買入を行った債券の償還再投資に関しての話になりまして、この辺から先はTLTROの話の手前まではちょっと将来のネタになるので、まあ当然の如く前回と全文一致で地蔵です、一々ペタペタ貼っていると長くなり過ぎますので、一応アタクシがテキストに打ち出して上下比較(HTMLのページの声明文ちゃんはコピペするとパラグラフ1つで1行表示されるので、上下比較で見れるから目視するなら原文ではなくてテキスト(ワードじゃないよ)に落とすのお勧め。え?そんな原始的な事はしないって?こりゃまたすんつれいしました。
『Net purchases under the asset purchase programme (APP) will continue
at a monthly pace of ユーロ20 billion. The Governing Council continues
to expect monthly net asset purchases under the APP to run for as long
as necessary to reinforce the accommodative impact of its policy rates,
and to end shortly before it starts raising the key ECB interest rates.』(今回)
通常の方のAPPについても変化なし。ドサクサ紛れに何かするとは思えないけどまあ一応確認はしました。
『The Governing Council also intends to continue reinvesting, in full,
the principal payments from maturing securities purchased under the APP
for an extended period of time past the date when it starts raising the
key ECB interest rates, and in any case for as long as necessary to maintain
favourable liquidity conditions and an ample degree of monetary accommodation.』(今回)
再投資の話ですが、ECBの場合はPEPPでの買入分と従来型APPでの買入分を分けて説明してるのもいつも通りではあります。
『Finally, the Governing Council will continue to provide ample liquidity
through its refinancing operations. The funding obtained through the third
series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III) plays
a crucial role in supporting bank lending to firms and households.』(今回)
『Finally, the Governing Council will continue to provide ample liquidity
through its refinancing operations. In particular, the latest operation
in the third series of targeted longer-term refinancing operations (TLTRO
III) has registered a high take-up of funds. The funding obtained through
TLTRO III plays a crucial role in supporting bank lending to firms and
households.』(前回)
TLTRO3について、前回会合の時に直近TLTRO3で札がバサッと入った事をネタにして自画自賛したのを継続していますが、まあ今回は前回よりはそこを簡潔にした、という話ですな。本質的には同じ。
『The Governing Council stands ready to adjust all of its instruments,
as appropriate, to ensure that inflation moves towards its aim in a sustained
manner, in line with its commitment to symmetry.』(今回)
必要な措置は何でも実施します(実施するとは言っていない)ってのもいつも通りです。
・マジかQA付がもうリリースされとる
寝起きでこれ見た時にはINTRODUCTORY STATEMENTの所だけだったのですが、何の気なしにリロード掛けてみたら何と日本時間の朝だから向こうの夜遅くだと思うのですが、早くもQ&Aが!
https://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2021/html/ecb.is210610~115f4c0246.en.html
INTRODUCTORY STATEMENT
PRESS CONFERENCE
Christine Lagarde, President of the ECB,
Luis de Guindos, Vice-President of the ECB
Frankfurt am Main, 10 June 2021
いやまあ実はイントロダクトリーステートメント自体は淡々としている(そりゃまあ米国様みたいな状況じゃなくて地蔵なら淡々とするのでそれ自体は当の然)ので、さてこれどうしたもんかまあQAとまとめて成敗した方が利口かな、とか思っていたらまさかのQA付テキストをアップしやがってECB早すぎwwwww
ではあるのですが、Q&Aまで成敗する心の準備(ではなくておじいちゃん早寝早起きなんで単に会見を聞いてないだけだが)ができてないのでちょっとすいませんパスします月曜で勘弁。
イントロダクトリーステート自体は普通に淡々としてる感じに見えましたけどねー。とだけ申し上げておく。
〇クララが立ったネタのファイナルでクオールズさんの物価話
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20210526b.htm
May 26, 2021
The Economic Outlook and Monetary Policy
Vice Chair for Supervision Randal K. Quarles
At the Hutchins Center on Fiscal and Monetary Policy, The Brookings Institution, Washington, D.C. (via webcast)
でもって昨日の続きで物価の話になるのですが、ここが割と長めに尺を取っているのですな、うんうん。
『Now let's turn to the other half of the Federal Reserve's economic goals, inflation.』
という訳で始まり始まり。
『As I mentioned last week during congressional testimony, I agree with
the widespread view among my colleagues on the Federal Open Market Committee
(FOMC) and most private forecasters that the recent rise in inflation to
well above 2 percent is driven by temporary factors.』
テンポラリーファクターでwell above 2 percentになっている、という皆さんのビューを支持する、というか支持してなかったら緩和縮小祭りなのでそら支持するのは当たり前だのクラッカーですが次。
『I expect inflation to begin subsiding at some point over the next several
months and to be running close to 2 percent again at some point during
2022.』
向こう数か月で物価上昇の勢いは鈍化して2022年のどこかの時点で2%に近い所まで上昇圧力は弱まるだろう、という説明で、これ自体はFED高官が最近だいたい言ってる話なのでサプライズはありませんな。そしてこの言い方をしているうちは「利上げ」の話は封印封印って言いたいのと、年内物価が2%をやや超えすぎでネーノと言われたときの予防線を張っている、というのは皆様もご想像に難くないと存じます。
『Market-implied inflation expectations have risen only to the levels that
prevailed in the early 2010s, after which inflation never ran consistently
above 2 percent, and most survey measures are sending similar signals.
Therefore, I consider these recent increases in inflation expectations
a welcome development, reversing the large declines seen last spring and
perhaps edging up in response to the message in the FOMC's new policy framework.
』
インフレ期待の話ですが、足元で幾つかのインフレ期待指標が上昇していることについて、「these
recent increases in inflation expectations a welcome development」とポジティブ評価キタコレでして、とにかく昨日までネタにしたように経済とかには無茶苦茶威勢の良い話をしているんですが、物価の話になると急にハトっぽくなる、というのが現在のFED執行部クオリティなので、まあそれに沿った内容になっていますね。
『That said, my optimistic outlook for growth and employment places me
among those who see the risks to inflation over the medium term as weighted
to the upside, relative to my baseline forecast. Broadly speaking, there
are three reasons for this.』
しかしここでクオールズ先生、チャーミングなことに物価のアップサイドリスクとなるファクターに関する解説を開始するというプレイに。
『First, there are wage pressures.』
お賃金キタコレ。
『A moment ago, I celebrated the upturn in wages in April, but it may be
a sign that the torrid growth of the economy and labor supply shortages
have begun pushing up wages faster than occurred with the moderate economic
growth over much of the past decade.』
『Wages are a large component of business costs that could pass through
to prices more readily than increases in the cost of other inputs. It seems
like a paradox that there could be labor supply problems and wage pressures
at 6 percent unemployment, but it is also a fact. Some of this surprising
outcome reflects temporarily lower labor force participation coming out
of the enormous economic shock last spring, but some of the Fed's business
contacts have said that shortages of skilled laborers-particularly in manufacturing,
transportation, and construction-predated COVID-19 and are likely to persist.』
6%失業率っていう高めの水準の中で人手確保に困難を感じている業種があって、賃金上昇圧力に繋がっているという状況がありまして、コロナちゃんの影響によってレーバーフォースが増えにくいというファクターが効いているものと見られますが、まあそうは申し上げてもコロナちゃんの影響が続くとまだ続いちゃうよね、みたいなお話。
『Another factor that I referred to earlier-fiscal policy-carries potential costs as well as obvious benefits.』
ジャンジャカと出した財政はこうかはばつぐんだ!だったけどその副作用もあるでよ、だそうです。
『Even as the huge amount of stimulus money in people's pockets has been
boosting income and spending in eye-popping ways, much of that stimulus
was saved. A larger-than-expected or faster release of those accumulated
savings while the economy is already growing rapidly could result in output
exceeding potential output by more than it has in decades. It is reasonable
to ask if the strength of spending stemming from this unprecedented fiscal
stimulus will put significant upward pressure on inflation as households
and businesses emerge further from the COVID event. 』
『But, at least to date, the latest round of stimulus seems to be supporting
spending and growth without causing an inordinate rise in interest rates
or inflation expectations.』
財政大盤振る舞いヒャッハー政策がインフレ圧力をもたらす、という思いっきり正統派な説明ですわな。ただ最後には「とは言ってもこのサポートは必要で重要だし、今までの所は有害なレベルのインフレ圧力上昇をもたらしている訳ではありません」で締めてるのは当然ですわな。
『That outcome aligns with the advice of those in the economics profession
who have produced research in recent years that leaves them much more comfortable
with high deficits and debt, at least in countries with low interest rates,
than they used to be.4 In 2006, when I was serving as Under Secretary of
the Treasury, we were subject to harsh criticism for running a deficit
of not quite $250 billion, with total debt held by the public at 35 percent
of GDP.5 By contrast, in 2021, the deficit is currently projected to be
$3.4 trillion, and total debt held by the public at the end of fiscal year
2020 was 100 percent of GDP.6』
こちらは関連して増大する財政赤字に関する言及ですな。
『Further fiscal policy actions are, of course, the purview of the Congress
and the Administration. History tells us that once the dreadnought of government
spending gathers speed, it is difficult and slow to turn around. Surely
the deficits being run to offset the COVID-related shocks have made it
even more critical to address the sustainability of government debt in
the years ahead.』
財政をジャンジャカ出すというムーブが一旦始まると、政府の動きってのは大型戦艦みたいなもんで、その方向を転換するのには時間が掛かるので、その結果やり過ぎでアカンタレになる可能性はあります、みたいな話をしながら最後は一々「でも今の政策は必要」と中和するのは中々チャーミング。
『And, finally, recent monthly readings on import prices, producer prices,
and consumer prices have all come in above consensus expectations.』
輸入価格上昇の話が最後に来る。
『These upside surprises cannot be attributed to base effects. It is true
that many of the factors driving the April consumer price index report
and other inflation surprises continue to be supply bottlenecks, and it
is reasonable to conclude that these will ease over time. But clearing
some of those supply disruptions will require additional investment and
the time to expand production capacity. If these shortages persist into
2022, people may adjust their expectations higher for future inflation,
which could make above-target inflation more persistent than we currently
expect.』
商品価格上昇と世界的なサプライチェーンの不稼働要因による上昇ですが、これらは基本的に一時的で永続するもんでもないでしょ、というのがベースラインではありますな、当然ですけど。
というわけで・・・・・・・・・・・・
『I don't want to overstate my concern-I am not worried about a return
to the 1970s. We designed our new monetary policy framework for the very
different world we live in now, which involves an equilibrium for the economy
with slow workforce growth, lower potential growth, lower underlying inflation,
and, therefore, lower interest rates. One of those differences is that
the kinds of "wage-price spirals" that characterized inflation
dynamics in the 1970s have not been present for a long time. It's quite
possible that this situation now prevails because inflation is never high
enough for long enough to enter decisionmaking in a material way.』
とは言いましてもこれらのリスクについて別に私は過大評価する気はありませんからね、と一々ヘッジを付けながら色々とインフレアップサイドリスクの話をする、ってのが何か各方面に気を使っていますなあという感じでございますけれども、なんだかんだと言いましても、副議長レベルでもインフレ上ブレに関して気になってないわけではないが、その一方で政策運営上は「一時的です(キリッ)」で押し通す、という感じのバランスになっているんでネーノ、とは思うのですが、まあそんなことを駄文に書いているタイミングでCPI見て債券買われるの巻とか見ているのですがら何か色々と相場というのは味わいが深いものだ、と今更ながらにオモロイナと思っております。
とまあそんな感じで勘弁してつかあさい。
2021/06/10
お題「クオールズ副議長の先々週の講演って何気にエライ威勢が良いんですけど(昨日の続きの虫干しネタ)」
うーんこの・・・・・・・・・
https://www.asahi.com/articles/ASP696HH9P69ULFA01Z.html
首相「接種は大体100万回」 官房長官「未達」の見方
2021年6月9日 21時45分
『菅義偉首相は9日午後、立憲民主党の枝野幸男代表との党首討論で、新型コロナのワクチン接種について「順調に進んでいる。昨日は100万回を超えてきた」と述べた。ただ、加藤勝信官房長官は同日午前の記者会見で100万回は「未達」との見方を示した。首相が1カ月前に掲げた「1日100万回」の目標到達をめぐり、官邸幹部間にズレが生じた。』(上記URL先より、以下同様)
何でもかんでも有料記事にしたがるアサヒコムにしては今回のはちゃんと全文掲載してるので、主要部分を続けて引用しといてノーコメントな。
『首相官邸のホームページ(HP)によると、8日時点の累計でのワクチン総接種回数は、前日比で約102万人増えた。ただ、この数字には「過去分」の接種も含んでいるとの注意書きがある。加藤氏は9日の定例会見で、「1日100万回」に達したのか問われ、「昨日の接種回数プラス一昨日以前で後から報告が上がってきたものも入っている」と説明した。』
『首相と官房長官の食い違いについて官邸スタッフは、9日午後の段階では「長官の説明が事実」と解説する。官邸HPで公表される数字は、医療機関や自治体が専用端末に入力した接種記録がもとになる。接種当日ではなく、後日まとめて入力する自治体などがあるため、リアルタイムで接種数を把握する仕組みにはなっていない。』
『9日夜に記者団からの取材に応じた首相は、「1日100万回」を超えたとする根拠を問われ、「毎日毎日、過去のやつ(数字)が上がってくるので、どこで100万回というのは分からないが、このところは大体その数字になっている」などと述べた。』
・・・・・・・・・・いやなんでもないです。(全文引用するのは何なので一部割愛しました)
〇調節年報登場(まだ全然読めてないので登場したというメモだけですサーセン)
https://www.boj.or.jp/research/brp/mor/mor210609.htm/
2020年度の金融市場調節
2021年6月9日
日本銀行金融市場局
絶滅が危惧されるのにワシントン条約で保護されない円金利関係者一同が読むべき書籍(本じゃないけど)として名高いいわゆる「調節年報」の季節になりましたが、このご紹介ページを見ると色々とやった事の説明が延々とありますな。
ちなみに
https://www.boj.or.jp/research/brp/mor/mor210609.htm/
2020年度の金融市場調節
2021年6月9日
日本銀行金融市場局
https://www.boj.or.jp/research/brp/mor/mor200624.htm/
2019年度の金融市場調節
2020年6月24日
日本銀行金融市場局
と比べて頂きますとお分かりのように、説明文のクッソ長さが凄くて、いやー去年は色々とありましたなあとか思うのでありますが、よくよく見ると短期市場の話があんまり無いというのがそらそうよではあるのですが、本来調節年報って円債村の隣にある短期村(両属する住民もいて一部オーバーラップしている)のマニアが好んで読んで他の人は知らんがなという物件だったのですが、今や円債村全体まで調節の対象なのでシャーナイナイ。
と、なぞのごたくだけ並べたが、本文はこちら、正直まだ全然読めていないのですが、もし読むなら最初から読んでいると慣れない人は昼寝アイテムになってしまいますので、<BOX>って書いてある特定トピックについての解説コーナーを読んでから、関連するページを読んでいくと眠くならないのでお勧めしたいです。と言ってる本人がまいど自分のおすすめを忘れて1行目から読みだして寝落ちしてしまうのが仕様なので、甚だ遺憾の極みといった所でありますが。
全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/mor/data/mor210609a.pdf
実はあんまりアタクシは概要見たことが無いんですが概要
https://www.boj.or.jp/research/brp/mor/data/mor210609b.pdf
FSRだと概要先に見た方が読みやすいのですが、(まだ今回のちゃんと見て無いからアレですけど)調節年報の場合はいきなり本文にあたった方が分かりやすくて、図表をセットで見たいときには概要を、って感じですかね。
まあこれはFSRの場合「今回はこの部分にフォーカスを当てて点検した」というような感じでの意思表示があって、重要ポイントと定例ウォッチポイントが分かれているので、全文読むとどこが重要ポイントなのかが分かりにくくなる、というのがあるのに対して、調節年報自体は一種淡々と分析(当然ながら新機軸の部分とか、よく質問される部分とかの説明を詳しく行う傾向はあるけど)するもの、と言う建付けの違いがあるから、これはどちらが良い悪いとかいうのはなく、「そういう仕様ですので」ということだと思います。
ということでレッツ全文読書を人に推奨しておいて本人はまだ読んでいませんテヘペロ。
〇クララが立ったの続き(クオールズ副議長が珍しくまとまって物価と雇用の話してたのでネタ)
ということで昨日の続きですが、FED高官発言自体は皆様お馴染みの便利コーナーセントルイス連銀のFOMC
Speakちゃんを見ますと、
https://www.stlouisfed.org/fomcspeak
FOMC Speak: Remarks by Federal Open Market Committee Participants
その後いろんな要人がベシャリーヌしているので出遅れ感は否めないのですが、まあお付き合い頂ければと。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20210526b.htm
May 26, 2021
The Economic Outlook and Monetary Policy
Vice Chair for Supervision Randal K. Quarles
At the Hutchins Center on Fiscal and Monetary Policy, The Brookings Institution, Washington, D.C. (via webcast)
米国経済が強いでーという話からの「Let me walk through the evidence for
that optimistic view.」ってところから再開いたします。「我は如何にして米国経済に楽観的になったか」ということでが始まり始まり。
・クオールズさん強気の背景ですが説明はほぼ個人消費ですな
『First, I see increasing recognition by the private and public sectors
that a broad reopening can proceed safely.i The Centers for Disease Control
and Prevention has dropped most social-distancing recommendations for vaccinated
people.2』
経済再開の動きが広がって来る、というまあそらそうですなという理由が最初に来ました。
『Although local COVID-19 restrictions on schooling and economic activity
continue in some areas, most schools are teaching in person at least part
time and more than half of states have dropped all capacity constraints
on restaurants, bars, and retail establishments. More than a dozen more
states are planning to do so over the coming weeks.』
米国での状況は上記の通りだそうです。
『With these reopenings, consumer spending, which is two-thirds of gross
domestic product (GDP), will remain robust, supported by personal income
that has, thanks to significant fiscal support, now surpassed the trend
it was on before the COVID event.』
でもってここで消費支出の話になりますが、順当なお話ではありますが、個人所得に対する財政大盤振る舞い(とは言ってませんけどsignificant
fiscal supportと言ってます)によりまして、今後も個人消費はロバストに推移すると見ています。との見立て。
#つまり日本の場合はそういうのが一部にしかないので・・・・・・・・いやなんでもありません
『April's retail sales results were flat, but that came after enormous
gains in March that were boosted by the latest round of stimulus checks.
Looking beyond the headline numbers, sales were up 13 percent in March
and 3 percent in April at restaurants and bars, one of the sectors hardest
hit by the COVID-19 event. April and March were the third- and fourth-best
months for vehicle sales to consumers in U.S. history, if you filter out
sales to car rental companies, a sector just beginning to recover.』
この辺は個人消費の実績に関してその内訳を説明している部分なので斜め読み程度ですが、この次の部分が先行きの話になります。
『You might expect this bounce will subside after consumption regains the
strong trend it was on pre-COVID-19, but one reason I think it will continue
is the still high rate at which people have been adding to their savings.』
アタクシは米国様の指標とか細かく見れてないのでこういうのを説明されるとほほーと思ってしまうのですけれども、消費が今後も結構な強さで推移するでしょう、とクオールズさんが見立てている根拠として、家計の貯蓄が依然として高水準で推移していることを挙げています。
『Even as personal consumption expenditures rose at a huge 10 percent annual
rate in the first quarter of 2021, the saving rate averaged 21 percent
over those three months.』
消費がバンバカ伸びている中でも貯蓄率が高い状態が続いていて、
『Again, a lot of that reflected the most recent round of stimulus payments,
but as employment grows and people return to normal life and work, the
accumulated stock of savings will support spending for many months to come.』
高水準の貯蓄は今後の経済再開や雇用拡大においても消費をブーストする作用をfor
many months to comeに渡って持つでしょう、という話です。
まあここの説明はおもろくて、貯蓄率が下がらないから家計は依然として防衛的です、って暗い方に読むこともできるネタではあるのですが、消費が伸びているというのが現実にあるもんだから、こうやって強気に出てしまうというのがレッツポジティブなメリケンっぽくて良いなあと思うのでした。
つー訳で消費関連の指標も注目した方が良いのかもしれませんが、あれはヘッドラインの数字だけ追っかけるだけでは分析としては不十分なので、まあ誰か分析してちょ、という感じですわ。
もう一つの項目で企業の投資があるのですが、こっちは1パラであっさり味に仕立てています。
『Business investment took a big hit in the first half of 2020 but has
come back strongly and is now running above pre-pandemic levels. Current
indicators of business spending are pointing to continued elevated levels
of investment in the months ahead.』
向こう数か月の企業投資は高レベルが継続するでしょう。
『Supply bottlenecks have depleted inventories for many goods and rebuilding
those inventories will be an important supplement for business spending
and factory output.』
供給制約の影響で企業の在庫水準が無茶苦茶低下しており、この事も今後適正水準までの在庫投資ということで生産を後押しするでしょう、とどこまでも威勢の良いクオールズさんですけど、企業セクターのお話はこれだけになっておりますので、まあほぼほぼ個人消費がけん引ってイメージなんでしょうな。
・米国経済の向かい風になり得るものは海外での回復が一部で遅れることと供給制約だそうな
次のパラに参ります。
『I see two potential headwinds for the economy: the uneven global recovery
and the aforementioned supply bottlenecks.』
今小見出しで書いた通りですが、米国経済のポテンシャルヘッドウィンドとして言及するものはコロナ感染ガーではない、という状況になっておりまして、一方でコロナオペを延長する気が満々っぽいどこぞの中央銀行との差が(中銀のせいじゃないけど)悲しいまでにコントラストを発していておじちゃん朝からしょんぼりしてしまいますなあという感じです。
『Strong U.S. demand is boosting imports, but weaker demand outside the
United States, where recovery is slower, is restraining exports, and that
problem may not resolve for some time.』
海外がよわよわだから輸出が伸びないし、しばらくその状況続くじゃろ、とそりゃそうなんですが言われるとこのトンチキ国がーとか批判されてるみたいでションボリーヌですな。
『Supply bottlenecks are more prevalent now, especially in the auto and
housing industries, with shortages of inputs leading to slower production
that reduces employment growth.』
供給制約がもろに表れているのが自動車製造と住宅建築みたいですね。という話でこのパラグラフは終わり、次は雇用の話になるのでして、もはやコロナガーとかいうのは時代遅れですかそうですか、裏山鹿にも程があるわメリケン国。
・
んな訳で次のぱらが雇用ですね。その前にさっきまでの部分をまとめると「そらオプティミズムって言う罠」とは思いましたが、なんかこの強気オブ強気って感じでそうなのかねとか思いつつも、やっぱり上の説明見ると個人に給付ぶっこんだのは効くんですねえということで、やはりここは定率減税を大々的に実施していただきたく存じます(ただのポジトー)。
『Although I expect employment to rise significantly in coming months,
the picture is more mixed for the labor market than it is for spending.』
雇用者数の伸びも結構なもんではあるのですが、一部まちまちな部分もあるので、さっき消費の所で言及したほどの威勢良さまでには足りませんなあ、だそうです。
『The unemployment rate remains at 6.1 percent, compared with 3.5 percent
pre-COVID-19, and there are 8 million fewer jobs. Despite recent gains
amid reopenings, employment in the travel, leisure, and food services sectors
remains well below pre-pandemic levels.』
ここはその状況ということで現状の数字と業種別で弱い所をご紹介した部分ですね。
『My optimism here reflects the apparent recovery in overall labor demand-by
many metrics, job openings are above 2019 levels, including for workers
without a college degree, a group especially affected last year.』
あらオプティミズムの話まだ続いてたのね(汗)というところですが、「apparent
recovery in overall labor demand」ってのも威勢が良い言い方。
『In the Job Openings and Labor Turnover Survey data for March, private-sector
job openings as a percentage of total employment increased to 5.6 percent,
which is above the previous record for that series set in November 2018.』
民間部門の新規雇用が民間部門の総雇用に占める割合が2018年11月以来の高水準まで上昇とな。
『Job growth of 266,000 in April was a disappointing slowdown from recent
months, but good news lurked beneath the headlines: For those who were
working, average hours increased; the number of people working part time
because they couldn't find full-time jobs decreased significantly; and
wage growth was very strong.』
何ですかねー、割と雇用に関しては「ヘッドラインの数字は強いけど実際はそこまでではないよね」話がFED高官は良く行っていますけれども、クオールズさん何か楽観的って最初にぶちこんだだけのことはあって、個別のコンポーネントを見てこれはよいこれも良い、見たいに話をしているのがチャーミング。
『The underlying strength in hours and wages lends support to widespread
reports that worker shortages are impeding hiring.』
で、その中でお賃金の話に入る。これは次の物価の話や、既にネタにした金融政策インプリケーション部分まで引っ張られるネタですが、労働力不足が顕在化しているという話で、
『Labor force participation remains about 3-1/2 million people lower than
before COVID-19. Among the many factors driving this shortage, as indicated
by the Federal Reserve's report Economic Well-Being of U.S. Households
in 2020, is parents who need to care for their children because of remote
school and aftercare.3 』
その一方で労働参加率が伸びなくて、これにはコロナの影響による制約も影響している、というお話で、この辺りの認識が暫く前にネタにしたブレイナード財務長官もとい理事の講演で「学校の完全再開と託児関連の充実が必要」とかお前中銀理事が言う話か、というような話をぶっこむ背景になりますな、てな所なんでしょう。
『We have also seen a wave of retirements by older workers in the past
year. And, although the evidence is mixed, we have received plenty of anecdotal
reports about the influence of generous unemployment benefits and large
cash payments on the willingness of workers to return to work. But those
benefits are slated to expire over the summer, and I hope that a fuller
reopening of schools in the fall will ease the pressure on parents. The
spike in retirements may well moderate in a stronger economy, as we saw
in the year or two before the pandemic. So, while labor shortages could
weigh on job creation in coming months, I don't yet perceive this development
as significantly slowing the U.S. economy beyond the next few months.』
労働市場の話ですが、このパラが最後になるんですけど、年寄り労働者の退職が昨年はドバーっとでたのもレーバーフォースが伸びないで人が足りんわ〜の要因でした、ということに言及しております。それからその次には例の手厚い失業給付があるもんだから「ああ別に無理して低い条件で労働再開せんもんね」の動きというのを指摘していますな。
でもって今まで述べたレーバーフォースが伸びない要因に関して言えば、感染症由来の社会的制約が弱まり学校が始まり、豪華失業給付も終了し、経済が好調になってくれば年寄りの退職も減る(というのは人が必要だから退職ちょっと待ってちょとなるんでしょう)などがあるので、これら要因が経済の阻害要因になるとは考えていません、という事で、雇用の中身を見るとまだまだマンデートには程遠い、みたいな説明が一般的にFED高官が(火消しもあるので)言ってる中、威勢の良い部分にひたすらフォーカスを与え続けるという結構な異彩を放つ説明だね、と思うのでありました。
で、この後インフレの話があるんですが、ちょっと時間が無くなってしまったので明日はECB(ネタが無さそう・・・・・・・)とかに加えてこの残りをしますが、割と異彩放っている割には普段あんまりマネポウィングに出てこないからそんなにマーケットネタにならなかったような気もしますが、何のことは無い本音ではFED思いっきり威勢が良いじゃん(まあそう思ってるからこそタントラム怖いから火消し発言に余念がない、と考えれば話のつじつまは合うんですよね)という感じを受けましたがどうっすかね。
2021/06/09
お題「LIBOR移行で雨宮さんケツ叩き講演(1年半ぶり2回目)/クオールズ講演をやっぱりちゃんと読んでみる(の前座)/その他」
ほほう。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210608b.htm/
バーゼル銀行監督委員会による議事要旨の公表について
2021年6月8日
日本銀行
『バーゼル銀行監督委員会は、6月4日に会合を開催し、同会合の議事要旨を公表しました。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
というので以下の方を見に行ったら、
https://www.bis.org/press/p210607.htm
Basel Committee discusses effects of Covid-19 on banks, assesses post-crisis
reforms and agrees public consultation on cryptoassets
Press release | 07 June 2021
というのがあったのだがこれはアジェンダペーパーみたいなもんではないかしら。
〇雨宮副総裁がLIBORネタでまたも講演でしたが関係ない所に滋味を感じた
ちょうどこの前FSBがバカスカと紙をだしていましたが、それにスケジュールを合わせてこういうお題でやったんでしょうな。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210608a.htm/
【講演】
最終局面を迎えたLIBOR移行対応−デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)は現れない−
NIKKEI Financialオンラインセミナーにおける講演
日本銀行副総裁 雨宮 正佳
2021年6月8日
指標金利改革に関する講演(というか関係各位のケツ叩き)での雨宮さん、と言えば昨年の1月にそんな講演がありました。ちなみにこの時事通信社金融懇話会での講演が公表されるのは珍しいパターンだったりするのですが、まあそれだけケツ叩かないと行けないですなという話だったと思われます。ちなみにまだコロナちゃんが始まったばかり(ダイヤモンドプリセス号がどうのこうのとか言い出したの2月でしたわな)の時だったので普通の講演会だった時ですな。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/ko200130a.htm/
【講演】
「わが国の金利指標改革」
時事通信社「金融懇話会」における講演
日本銀行副総裁 雨宮 正佳
2020年1月30日
で、今回の講演、題名からしてもう「はよせえ」とジョッキーの鞭がバシバシと飛んでいる雰囲気が漂う訳ですが、講演ちゃん本文は今朝の時点でHTML版の方にはあっぷされていませんのでPDFの方を拝見。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko210608a1.pdf
・内容自体は先日出てたFSBの「ええからはよせえ」と同じ意味合いである
小見出しを並べてみます。
1.はじめに
2.LIBOR 移行対応とは
(これまでの経緯)
(円 LIBOR に代わる金利指標について)
3.LIBOR 移行対応の加速に向けて
(円 LIBOR を参照した新規取引を停止すること)
(円 LIBOR を参照した既存取引残高を大幅に削減すること)
(円 LIBOR スワップ取引から OIS 取引へ移行すること)
4.終わりに
とまあございまして、内容自体は事務連絡みたいなもんで兎に角はよせえって事なのですが、この講演のトーン見てると、というか先日のFSBのもそうでしたが、何かエライ勢いでケツを叩いている、つまりは思ったよりも進みが遅いがな、ということなんでしょうかねえ、よー知らんけど。
でまあ毎度申し上げておりますが、このLIBOR改革って、そもそもが英国のチョンボに端を発してそのケツを世界中で拭かされているような物件なのですが、最初の頃「パネル金融機関によるリファレンスレート方式は悪で、そもそもこの手のレートはトレーダブルでなけれないけない」とかどこの現実を知らんアホウが言い出したのか知らん(というかBOEのタッカー辺りなんですけどね)が、無茶ぶりをかましてLIBORを代替しようとかおっぱじめた訳ですわな。
しかしながら、そもそも短期資金ディーリングってのが資本規制などの関係でやりにくい(単純なリスクリターン的に別に悪いとは思わないのですが、どうしてもロットを食う取引なので規制資本の関係を持ち出した瞬間にリスクの無駄遣いになってしまう)ので、主要全通貨の各テナーでトレード可能とかそんなこと自体が無茶だし、もっとそもそも論を言えば、短期金融市場って市場ではあるけど資金繰りのケツとかのお家の事情が回って来る所なので、取引の個別性が強くて、そんなバシッと各テナーでこのレートですみたいなものが一概に決まる訳ではないのよね(個人の感想です)。
まあそんな市場なので、「何となくフワッとこのテナーだとこんな感じでネーノ」みたいなのを出している人たちにいきなり「これトレーダブルレートじゃなかったらタイーホ」とか言われてもそんなご無体なって話だから、LIBOR叩き潰せたものの、結局オーバーナイト複利だって、究極を言えばそれは計算上のレートであって、そのレートでそのテナーの銀行間資金取引がバカスカ成立している訳ではないレートじゃん、というような感じ(なのですが、それをリファレンスにしたデリバは登場するのが中々味わいがあるけど)で、結局何のためにLIBOR廃止したのか良く分からん(パネル金融機関への行動規範を強化するとか、極論すれば中銀が出すとかでLIBOR存続させるのとどこが違ったの)という感は大いにあるのですが、まあこれは日銀のせいじゃなくてFSBだし、もっと言えばBOEの監督不行き届きの話だから、ここで悪態ついてるのは別に日銀に悪態ついている訳ではありませんので念のため。
でまあそういう状況なのですが最後の『4.終わりに』を見ますと、これどこからどこまでがケツ叩きの為に強めに行っている部分なのかあんまり詳しくないから解らんけど、とりあえず物凄い勢いでケツを叩いているのは把握した。
『以上、市場参加者の皆さまに対して、留意していただきたいマイルストーンを念頭に、検討委員会や業界団体が提示した様々な道具立てを活用しながら、今後の移行対応を迅速に進める必要があることを申し上げてきました。』
という掴みの時点で既に鞭モード。
『LIBOR 移行対応は、非常にチャレンジングな課題であることは疑う余地もありません。というのも、LIBOR
移行対応では、多くの方々が、事務運用の変更やシステムの改定などの面で大きなコストを払いながら作業を進めていく必要があり、後戻りが効かない分、判断は慎重になるからです。』
全くだわ。みんなでBOEとBBAに請求書送り付けてみたいですな。
『このため、「他者の動向や市場のスタンダードを見極めてから、自分の行動を決定する」というインセンティブが働きやすくなります。』
まあでもそれは仕方が無いんでネーノ、特に今回はシステムの改修を伴うことになる事になると思いますから・・・・などというのは許さんというのが次に出てきます。
『もっとも、多くの先がこうした選択を行うと、社会全体の観点から望ましくないばかりでなく、最終的には、個々人の利益を損なうことになります。』
まあそうなんですがだからと言って世のため人のために自分が人柱になってもこのケースの場合、別になんか先行者利得がある訳でもない、というのが辛い所ですな。
『金融機関が保有している円 LIBOR を参照した契約のうち、本年末を超えて満期が到来するものは、昨年末時点で計
2,000 兆円に達しています7。』
ほうほう。
『移行に係る作業の先送りが続いてしまえば、膨大な金額の契約に関する秩序だった移行対応が全体として困難になり、わが国の金融システムや金融市場にとって重大な影響が生じることで、個々の主体の健全な経済活動が阻害されることになりかねません。』
日本人の究極奥義「手作業」が炸裂する日も近い。
『だからこそ、検討委員会や業界団体は、これまで推奨案や雛形の公表、またマイルストーンの提示などを行ってきたのです。』
この語尾に何か泣きが入っているようでちょっと雨宮さんには同情します。
『円 LIBOR が公表停止になる本年末までに、残された時間は限られています。その中で、秩序だった
LIBOR 移行対応が実現するかどうかは、個々の市場参加者の皆さまが、これまでに提供された道具立てを活用し、必要な対応を着実かつ迅速に進めることにかかっています。繰り返しになりますが、この舞台には、デウス・エクス・マキナは現れません。』
ということで、講演のお題にもあった機械仕掛けの神って奴ですが、まあ文脈からしてお助け措置はありません、って話でしょうね。
・・・・・・とここまで真面目に鑑賞しておいて最後に不真面目に鑑賞をするのですが、デウス・エクス・マキナの登場するところは何処じゃろと思って読んだら前後の文脈に吹いたアタクシ。
『1.はじめに』のケツにこの神が登場しますのでそのちょっと前から、ということで講演1ページ目(PDFの2枚目)の最後のパラグラフから引用しましょう。
『LIBOR 公表停止の確定を受けて、2012 年に発覚した不正操作問題を契機に始まった一連の
LIBOR 移行対応は、舞台に例えると、いよいよ最後の幕があがった段階に至ったということができます。しかしながら、LIBOR
から新たな金利指標に移行する手当てが十分に整っていない取引は、今なお、多く残っています。この最終局面において、解決されなければならない課題は大きい一方、残された時間は非常に短いと言わざるを得ません。』
と、まあここまでは良いとしまして次に登場しますが中々これが滋味深い表現になっていますが、雨宮さんのことですから狙ってますね(個人の偏見です)、まあご覧あれ。
『只今、「最後の幕があがった」と舞台に例えましたが、古代ギリシャの演劇では、こうした困難な状況において、絶対的な神が登場し、全ての問題を解決に導くという演出手法が採られることがありました。』
これは・・・・・・・・・・・(^^)
『神を演じる役者が「マキナ(Machina)」と呼ばれるクレーンのような機械仕掛けで登場したことにちなんで、デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)と呼ばれています。しかし、LIBOR移行対応の最後の舞台で、このようなデウス・エクス・マキナが現れることはありません。』
なるほど全能のお助け神は現れない、ということのようですが、ところで雨宮さん、物価目標達成の方ではデウス・エクス・マキナが現れて2%達成するんじゃなかったでしたっけ???あああの時は理事だから知らんがなですよね〜(棒読み)。
・・・・・・別にお助け措置は出ませんって話をしているだけのようにも見えますが、わざわざ全能の神が出て来るというのを持ち出す辺り、「物価目標達成に向けても機械仕掛けの絶対的な神は現れません」ということで、2%をホイホイ達成できるようなネ申は現れませんとアッピールしている、という風に解釈しましたが、一々ひねくれた解釈のし過ぎですかそうですかすいませんすいません(棒読み)。
〇なんか気候云々ネタでも国際機関からのぶっこみがありますな
だいたいこの6月とかいう年の半分位の辺りってこの手のぶっこみがくる時期ではあるのですが、FSBはぶっこんでくるしNGFSもぶっこんで来るのでありました。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210608a.htm/
NGFS(Network for Greening the Financial System)による気候シナリオの公表について
2021年6月8日
日本銀行
『NGFS(Network for Greening the Financial System)は、6月7日、以下の文書を公表しました。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
実際はこの下リンク集になっているのですが、めんどいからハイパーリンクは入れない。
『・プレス・リリース(原文 <NGFSウェブサイトにリンク>)
・「中央銀行および監督当局向けNGFS気候シナリオ」(原題:NGFS Climate Scenarios
for central banks and supervisors)(原文 [PDF] <NGFSウェブサイトにリンク>)
・「技術的文書」(原題:NGFS Technical Documentation)(原文 [PDF] <NGFSウェブサイトにリンク>)
また、上記文書の公表に併せて、NGFSシナリオに関するポータルサイトが作成されております
(<NGFSウェブサイトにリンク>)。
関連サイト:NGFS事務局ウェブサイト(外部サイトへのリンク)』
ちなみにこの「中央銀行および監督当局向けNGFS気候シナリオ」ってのをポチっとなとすると色鮮やかなプレゼンテーション紙芝居が現れます。
https://www.ngfs.net/sites/default/files/medias/documents/ngfs_climate_scenarios_phase2_june2021.pdf
Network for Greening the Financial System
NGFS Climate Scenarios
for central banks and supervisors
June 2021
一応アタクシの勘によりますとこれは目を通しておいた方が良さそう(全くキニシナイというのであればスルーで無問題ですけど)な気がしましたが、気のせいかもしれませんので悪しからず。
ちなみにポータルちゃんはこちら。
https://www.ngfs.net/ngfs-scenarios-portal/
Scenarios Portal
いきなりその頭に、
The future is uncertain.
The NGFS climate scenarios provide a window into different plausible futures.
とか書いてまして、何ちゅうかこのやたら凄そうなポータルですなあと思いました、と小学生並みの感想しかございませんがまあそういう事で。
〇そういえば月曜はこんなのもありましたな(金融モニタリング協議会)
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210607b.pdf
2021 年 6 月 7 日
金融庁
日本銀行
「金融モニタリング協議会」の開催について
『金融庁と日本銀行は、本日、「金融モニタリング協議会」の第1回会合を開催しました。』
はい。
『本協議会は、昨年 11 月に設置した「金融庁検査・日本銀行考査の連携強化に向けたタスクフォース」を後継する幹部級の常設会合として、今後も、半年に一回程度の頻度で開催していく予定です。』
ほうほう。
『金融庁と日本銀行は、より質の高いモニタリングの実施と金融機関の負担軽減を図る観点から、本協議会を通じて、連携強化の取り組みをさらに推進していく方針です。』
>金融機関の負担軽減を図る観点
と、ここまで見た時点でアタクシが何を言い出すか予想できますよね!!!!!皆さんが予想できるから以下省略しておきますわwwwwwwwww
〇先日金融政策の部分だけ読むという超インスタントで済ませたクオールズ副議長講演をもうちょっと真面目に読んでみる(前座)
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/quarles20210526b.htm
May 26, 2021
The Economic Outlook and Monetary Policy
Vice Chair for Supervision Randal K. Quarles
At the Hutchins Center on Fiscal and Monetary Policy, The Brookings Institution, Washington, D.C. (via webcast)
先々週のネタ、というかアタクシも先週月曜に金融政策のインプリケーションの部分だけネタにして、テーパリングと利上げの分離工作に余念がない、というネタにしたのですが、やはりこのクオールズ副議長が経済雇用物価について滔々と話をするのはクララが立った的な、というと大袈裟ですが、まあ通常運転ではないイベントなのでやっぱり見ておこうかな、と思うのがアタクシの仕様なので、今更ネタで恐縮ですが(途中に安達審議委員金懇とか点検ペーパーとかブレイナードとかあったので飛ばしてしまった)改めて。
と思ったらあんまり時間がない、といういつもの計画性の無さにあきれるワイなのですが、明日への前座としまして最初の所からちょっとだけ引用しておきます。
『Thank you, David, and thank you to Brookings and the Hutchins Center
for the opportunity to lead things off and be part of this very distinguished
panel. Today, I will explain why I expect the U.S. economy to continue
growing strongly over the remainder of this year and what the implications
of that outlook are for monetary policy.1』
これはご挨拶ですが、「why I expect the U.S. economy to continue growing
strongly over the remainder of this year」とのっけから威勢が良いというのは分かるかと思います。金融政策に関しては先週頭にネタにしましたように、利上げはまだ先、というのを強調しながらテーパーはまた別問題っぽい言い方をして、この分離工作が上手く行くのか行かないのかは正直知らんがなではありますが、まあその線でやっていこうとしているのは分かりました、という話を申しあげましたな。
『After the shutdowns and other measures taken in response to the COVID-19
outbreak last spring caused the swiftest and deepest recession in U.S.
history, the economy has made a powerful recovery. Households and businesses
adapted, supported by the flexibility and inherent strength of our market-based
economy, by the continued resilience of our banking system, and by significant
fiscal and monetary policy support. Highly accommodative monetary policy
by the Federal Reserve has fostered strong growth in interest rate?sensitive
sectors of the economy such as housing and durable goods, offsetting some
of the historic weakness in the service sector last year. With the service
sector reopening while other household and business spending remains strong,
I expect rapid growth to continue for some time before slowing to a still
robust pace next year.』
来年にはややペースはスローダウンするけど依然としてロバストな成長を続けるってどんだけ威勢良いんだよ、という感じでして、何ちゅうかこれでもかと威勢の良い話を並べているのですが、その中にしらっと「Highly
accommodative monetary policy by the Federal Reserve has fostered strong
growth in interest rate?sensitive sectors of the economy such as housing
and durable goods」とか入れているのがチャーミングで、この辺からも「そういうサポートがあっての今なので利上げは急がない」というメッセージを籠めている、というのがポイントが高い(何のポイントだ?)ですね。
『Inflation is running significantly above the Federal Reserve's longer-run
goal of 2 percent primarily as a result of three factors: the surge in
demand as more services come back on line while goods spending remains
robust, the emergence of bottlenecks in some supply chains, and the very
low inflation readings recorded last spring dropping out of the calculation
of 12-month inflation. For reasons I will detail in a moment, I expect
that a significant portion of that recent boost to inflation will be transitory,
and that it will not interfere with the rapid growth driving progress toward
the Fed's maximum-employment goal.』
この話は後で詳しく出てくるので明日以降。一応は「物価上昇は一時的だし、それによって雇用への阻害になるようなことはないですよとかそういうのを入れていますな。
『We've come a long way since last spring, but reopenings over the past
year have been uneven, so it will still be some time before we repair all
the economic damage.』
と来ているので緩和継続スタンスは強調、と実に穏当なのはまあそらそうよという所。いまから勝負する必要は全くないですからねー。
『Supply bottlenecks will likely hinder the quick expansion of production
in some industries in the next few months and raise some costs-in some
cases significantly. The progress in reopening has been slower in countries
that are among our largest trading partners, weighing on U.S. growth by
reducing demand for U.S. exports. But even with those impediments, I believe
the strong recovery will keep rolling forward. Let me walk through the
evidence for that optimistic view.』
ということでこの先が詳細の話になります。という「続きはCMのあと!」みたいな所で終わりにして恐縮至極ですが明日に続くので勘弁してつかあさい。
2021/06/08
お題「安達審議委員金懇補足/リッチモンド連銀バーキン総裁が賃金上昇圧力に関して講演をしてましたな」
ほーん。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210608/k10013072561000.html
東京五輪・パラ開催 あすの党首討論で主な論点になる見通し
2021年6月8日 4時39分
何ちゅうかこの本土の都市に戦略爆撃がバンバン来て火の海になっているというのにまだ戦争初期みたいな話をしている感は・・・・・・・・・
〇先週ネタにした安達審議委員の金懇がやっぱり酷いのでおまけに補足
先週は木曜金曜と安達審議委員の静岡金懇ネタをぶっこんでおりまして、金懇では普通に白川ドクトリンを話し出すわ、会見ではパワーワード「例えば、物価の上がるスピードをサポートして加速させるといったツールは、少なくとも私個人では思いつかない状況でして、もしそういったものがあるとすれば、既に行っていると思います。」、「日本銀行として対応するのは、円高が来るか来ないかということに集約されると思いますが、それは事前には分からないことです。」などというのを連発しまして、いやーこれはひどいとは思いましたが、デビュー戦だから緊張することもあるわな、とか何とか思いっきり勘違いをしながら書いていた、という事実がある(すいません)。
#だからこそログが溜まって整理しないといけないんだが誰か手伝って
いやあのですね、安達審議委員の場合は、就任記者会見が「何か無難そうなんだが微妙だな」と思ってみておったのですが、その半年後のデビュー戦の金懇の中身があまりにもスッカスカになっていて、ナンジャソラというのを書いたのをすっかり忘却する位に空気な訳で、片岡さんに同調するでもなく推移していると思ったら今回は従来のリフレ推しに何の反省もなく、堂々と白川ドクトリンに乗って説明というこの変節っぷり。
これが置物師匠のように「私は進化した」とか言い出すならまだ可愛げもある(まあふざけるなこのスットコドッコイとは大いに思うけど)のですが、しらっと白川ドクトリンに乗っかってなんの総括も自己批判も無い(総括とか自己批判とかいうワード、若い人はご存じないと思いますが一定以上の年齢の人にとってはいやなんでもありません)とかどうなってるのと呆れるしかない訳ですよ、うんうん。
・金曜にネタから漏れてましたが白川ドクトリンなパワーワードがジャンジャン出るのがもうね
さて、金曜にせっせとご紹介しましたが1個漏らしてたのでこのパワーワードもご紹介。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210603a.pdf
抜刀隊の質問・・・・・・では無かったのかもしれませんが、テーパリングについて質問されて延々と円高懸念の話をしながら「こうかもしれません、でもそうかもしれません、その時になってみないとわかりません」を繰り返す、というみてらんない答弁をされておられた(ってこの人何とかストやってたのにこんな受け答えしか出来ないとかど〜なってるの)後に、たぶんこの質問自体は別にイヤガラセでも何でもなく普通の質問、というよりも寧ろ想定問答がありそうな優しい質問をしているのですが答えがアレ。
『(問) 今日の挨拶の中で、長期戦を想定せざるを得ないというふうにお話をされていますけれども、長期戦というのはどれくらいのスパンのイメージなのでしょうか。
』
まあ質問の口調にもよりますけど(笑)、中身自体は別に鬼質問ではない。
『(答) 現在展望レポートで公表している年度までは、残念ながら届かないということが公表されているわけです。』
それは知ってる。
『基本的には、どれくらい緩和をすれば、どれくらいインフレ率が上がるという関係が、おそらく色々な局面で変わってくるので、なかなか見通せないということだと思います。』
マネタリーベース直線一気理論とは何だったのかと小一時間問い詰めたいですが、確かリフレ派の中ではマッカラムルールも割と良く使われる理屈でしたけれども、この答えじゃあそもそもQQEのスタート時点、「必要な政策は全て投入した」自体を思いっきり否定していますわな。
というかですね、白川さん(というよりも普通の中央銀行)としては「非伝統的な政策は今まで試されたことが無かったりするものが多いし、状況も過去の中成長時代とは違うんだから、政策に関してはその効果と副作用を見極めながら、「走りながら考える」という方式でトライしながらやっていくしかありませんなあ」というスタンスで、いろいろな政策を実施していたのですけれども、この安達大先生の直上の部分、言ってることそのまんまやんという感じですな。
でも置物大師匠一派の皆さんは「世界標準の簡単な金融政策をするだけで良いのにそれをしない日銀はゴミ」と仰せになった挙句に麿を石持て追い出したんですが、今更こんな事言うなら、まずは麿の前に土下座を100回繰り返して「白川様わたくしたちが悪うございました、いままでの非礼な言動のすべてを撤回してお詫びしたいのでここで土下座を100連続でさせて下さい」とゆーのをWebで生中継してから言えやこのカスという感じではありますが、まあ何と言うこのパワーワードでしょうか。
『個人的には、おそらくインフレ率が、仮に 1%を超えてくるような局面になれば、ある程度加速していくのではないかと思っています。』
これがまた面白くて、だったら「長い目で見れば2%だけど当面の中間目標は1%」と言ってた2012年(2013年ではない)の「中長期的な物価安定の目途」で良かったやんという話なのでこれまた思いっきり白川ドクトリンの話をしているんですよね。
なお、「1%を超えてくるような局面になれば、ある程度加速していくのではないかと思っています」とのお見立てですが、その局面になったら消費が冷えてしまったという過去事例がちょっと前にあった筈なんですけどねえとしか申し上げようがなく、その1%の根拠は何なのかと小一時間問い詰めたい。
『ただ、展望レポートで公表されている年度の中では、そこに行くか行かないかぐらいということですので、そこから更に戦いが続くことになるのだろうなということぐらいしか、今は言えないということです。』
いや別にこれは会見なんだから展望レポートの先の年限について話をしたってエエンヤデとしか申し上げようがありませんな。
・・・・・・てな訳でこれを漏らしてたわと思ったのですが、何で乗っけたかと言えば「どれくらい緩和をすれば、どれくらいインフレ率が上がるという関係が、おそらく色々な局面で変わってくるので、なかなか見通せないということだと思います。」という置物マネタリーベース直線一気理論を完全否定する間に、「1%」という2012年の「中長期的な物価安定の目途」(ちなみに2012年2月14日公表文書です)に話が戻るというこの麿ドクトリンへの見事な転びっぷりが凄くて、この1年(あまりにも空気だったから半年くらいと勘違いしてましたわ、汗)の間に安達さんに何が起きたのか、というのは中々興味深いですな。
ちなみにちゃんと過去ログ分類をしていないのでその日の駄文へリンクしますが、
http://www.doramemon7743.sakura.ne.jp/doramemon2003.html#200330
お題「安達審議委員就任記者会見は一見無難にこなしているものの子細に見ると色々微妙」
http://www.doramemon7743.sakura.ne.jp/doramemon2011.html#201113
〇安達審議委員の金懇初戦だがこれほどまでに主張の無い金懇テキストも中々珍しい
http://www.doramemon7743.sakura.ne.jp/doramemon2011.html#201116
〇安達審議委員会見は質問の流れが面白い(回答はまあお察しのアレ)
ってな感じでして、まあ当初は安全運転しているから中身がスッカスカなのかと思っていたのですが、木曜にネタにしておりました金懇テキストもキャッチーな言葉をちりばめたり、歴史に学ぶって大上段に構えて見たりはしているものの、中身自体は「サービス業の高付加価値化とコストプッシュで2%に向けて進展」とか「ESGの一つの考えに沿って雇用者所得が増えるから2%に向けた進展」みたいな底の浅いお話をされていまして、いや金曜の最後にも一言入れましたけど、正直アタクシもこの人を見誤っていたわ、という位に実はスッカスカなのを尤もらしい話を繋ぎ合わせて大層なものに見せていた、というような感じだったんですかねえと正直大失望な訳ですよ。
しかしまあ何ですな、リフレ教徒のお方だと思っていたのですが、ほんの1年2カ月ほどですっかり白川ドクトリン(言ってる内容が底が浅いにも程があるのであんまり白川白川いうと麿に失礼にあたりますなしかし)になってしまうって、一瞬日銀の中で江戸時代並みの外来宗教弾圧でもしているのかと思ってしまいましたが、よく考えたら親分がアレなのにそんな宗門改めみたいな事できる訳ないわなと思いましたので、そう考えますと@安達さんがやっと真実に目覚めた、Aそもそもリフレ派なのは出世の道具であって出世しちまえば用無し、ということでしょうかねえ。キャッチーな言葉を継ぎはぎして如何にも立派な事をいっているかのような説明でハッタリをして生きてたってことかいな、などと何かがっかりですわ。
ま、その辺の「急に変節」はバーナンキとかでもそうで、あの逆さ絵薄ら禿、人にはケチャップ買えと言って自分等は国債とMBS(とCP)しか買わなかったわけですから、まあ出世術には必要なのかもしれませんけどね!!!と思いましたです。
#と過去ログ整理の重要性を再認識する悪態でした
〇FEDは色々な論点があって楽しそうだなおい(バーキン総裁の講演(ご挨拶程度))
リッチモンド連銀バーキン総裁先週水曜の物件。
https://www.richmondfed.org/press_room/speeches/thomas_i_barkin/2021/barkin_20210602
Tom Barkin
A Unique Wage Environment
June 2, 2021
先般の雇用統計もヘッドラインの数字は予想外れ(ADPの逆側サプライズ)でしたけれども、しらっとお賃金(平均時給)に関しては市場予想(と言っても某ベンダーの集計みてるだけですが、汗)の上を行ってまして、昨日は日本時間中にNY原油先物だか何だかが70ドルの大台にいつのまにやら乗せてみたりと、いろいろと焦げ臭くはなってきているのですが、その雇用統計が出る前の講演ですな。
あんまり長くないので一気読み。
・今次コロナからの回復の特徴に「お賃金の戻りが威勢良い」ってのがある
『Given the historic job losses experienced during spring 2020, we might
have expected wage growth to have slowed considerably during the pandemic.
After all, nominal wage growth, as measured by the Atlanta Fed’s Wage
Growth Tracker,1 declined in the wake of the Great Recession, falling from
4.5 percent in December 2007 to 1.8 percent in October 2010, and remained
sluggish for years.』
『But it has been heartening to see that during the COVID-19 recession,
the decline in wage growth has not mirrored the scale of job loss. COVID-19
brought only a muted and brief decline. 』
お題の通りでお賃金の話ですが、今次回復の前回(リーマン後)と違うのは、お賃金の戻りっぷりが全然違うという事です、と来まして、
『In February 2020, overall wage growth was 4 percent. It hit its lowest
point of the pandemic, 3.6 percent, by the end of the year. Wage growth
in early 2021 has stayed near that level, fluctuating between 3.6 percent
and 3.7 percent.』
なんちゅう良い話だ(じっと財布を見る)。
・そのファクターは、と来ましてまずはスキル別のお賃金動向
『What cut the dive so short in comparison to the prior recession? I would point to three factors:』
3つの理由とは?
『the concentrated nature of the downturn, the perception that it would
be short in duration and the impact of the policy response.』
直撃食らっている箇所が集中的な事、今の状況が一時的な現象という見通し(というのは後で出て来るけど、感染症の影響の話ではなくて人手不足の方でした)があること、政策対応のインパクトが今までと全然違う事、と来ました。
『Damage to the economy was heavily concentrated in the service sectors,
affecting primarily low-skill workers. This stands in contrast to the Great
Recession and its impact on manufacturing, construction and finance. As
a consequence, downward wage pressure did not ripple out much to workers
overall. Low-skill wage growth did fall 0.7 percentage points between February
2020 and January 2021; at the same time, wage growth in middle- and high-skill
occupations fell by only 0.1 and 0.2 percentage points, respectively.2』
サービスセクターに集中して起きたこのパンデミックのダメージは、低スキル労働者のお賃金に思いっきり悪影響を与えやがりましたが、例えば製造業や建設、金融と言ったところではそこまでのダメージは無くて、その結果低スキルの労働者の賃金は2020年のコロナ直前対比で年間0.7%下がりましたが、中高スキルの方々の場合は0.1〜0.2%ほどしかさがりませんでしたと。
『The uncertainty of the pandemic also dampened its impact on wages. Early
on, the shutdowns and job losses seemed temporary. Many were thinking in
two-week timelines and therefore had little focus on adjusting wages even
as short-term demand for labor plummeted. By the time the extended length
of the disruption became obvious, Congress’ policy response had bolstered
demand for labor. By supporting businesses through the Paycheck Protection
Program and consumers through direct payments, policy helped mitigate downward
pressure on wages as well.』
政府によるPPPプログラムによる賃金の維持効果の話が出てますな。
『We are now well into the recovery, and I hear businesses around the Richmond
Fed’s Fifth District say they are struggling to find workers. Basic supply
and demand would suggest that a scarcity of workers should lead to faster
wage growth and indeed, it seems that every day you see another company
announcing entry-level wage increases.』
この点もFOMC議事要旨とかでも指摘があったと思いますし、他の要人も言ってますけど、現状のアネクドータルな企業ヒアリングなどによれば、企業が必要な人を雇用するのにかなり困難に感じていて、よってエントリー時点でお賃金を上げないといかんぜよ、という話になっている、って言われとるわけですが、
『But the data don’t yet show much rebound in overall wage growth; at
3.6 percent in April 2021, it remains near its recent low and below pre-pandemic
levels, not yet reflecting the escalation that anecdotes prime us to expect.』
一方で出て来るデータを見るとそこまでのことになっていないように見えますなあ、だそうです。
『Data limitations could be one factor; it might take time for recent announcements
to be reflected. Concentration again likely plays a role. The hiring challenges
we’re hearing about are primarily for lower-skill jobs. Between January
and April 2021, wage growth for low-skill occupations increased from 3
percent to 3.5 percent. In the same period, wage growth for mid-skill occupations
declined 0.1 percentage points and was unchanged for high-skill occupations.』
でもってこの辺の話は統計上の特性というのもありまっせ、との事ですが、今年に入ってからの賃金動向を見ると、ロースキルの労働者の賃金が3.0〜3.5%上昇していて、一方で中スキルのそれは0.1%下がって高スキルは横ばいなんですとな。こういうのは中々人様の国の統計の細かいところまで見ていない(自分の国だって細かく分析してねえだろというツッコミは却下)ので面白いです。
『Because of how the wage tracker is calculated, these increases at lower
skill levels have a muted effect on the overall numbers.』
足もとで企業が人が足りね〜って言ってるのは今の所は低スキルの方なので、そっちが上がっても全体には統計的なインパクトが強くない、ということのようです。
・今の人手不足が長引くと賃金ベースが変わってしまいその場合は持続的になるでと
『Duration may also be having a dampening effect, as it did in the spring.
Many businesses, believing that labor supply is being only temporarily
suppressed by issues of child care, health or stimulus, are pushing through
to the fall, avoiding “sticky” wage increases. They are using short-term
measures such as recruiting bonuses and one-time signing bonuses. But if
and when more employers adjust base wages, the impact could be more persistent.』
今度は期間の話になっていますが、今時点での人手不足がテンポラリーだと思っている経営者は固定的なお賃金上昇を避けて一時的なボーナス支給などで労働者を繋ぎとめるようにしているようですが、より多くの労働者が賃金ベースを上方修正するようになってくると、一時的では済みませんですよね、というご指摘。
・政策対応により賃金補助をしたのも将来の賃金上昇圧力に向かってるという認識
『Policy, having stabilized wages during the pandemic, might well amplify wage pressures going forward.』
お賃金安定化策を政府が行いましたが、これが将来には賃金上昇圧力につながるとは裏山鹿な国ですな。
『A number of our contacts point to the impact that government stimulus
checks and enhanced unemployment benefits could be playing in suppressing
labor supply.』
例の失業給付とかその他諸々によって労働者が慌てて仕事を探さんのよ、だそうです。
・なので「賃金上昇圧力がマジモンかどうか」に注目する、と来ました
『So, where will wage growth go from here? Given that the initial decline
in wage growth was unexpectedly muted and the recovery has brought stories
of wage pressure even as millions remain on the sidelines, I won’t venture
to predict the future. However, I will be watching the same three factors
over the next several months, as I think they will matter: 』
向こう数か月、今さっき説明したような特性を見ながら、賃金上昇圧力がマジモンの持続的圧力になるかどうかを確認していきたいそうで、そのポイントはさっき言ってた3点、即ち、
『Concentration: Does wage pressure stay concentrated in the lower end
of wages, or does it start to put pressure further up the wage ladder?』
今は低スキルだけですがこの上昇圧力が全階層に広がるかどうか。
『Duration: Will “temporary” factors such as health concerns and school
closures disappear, freeing up labor supply, or will their impact linger?
Will announced entry-level wage increases pressure others to do the same?』
学校が休み(ブレイナードもその話してましたね)だったり感染怖い(まんじゅう怖いではない)で労働供給が弱っているけど、これがまだ続くのか、エントリーレベルの賃金の上昇がほかにも広がるのか?
『Policy: Will the impact of policy on labor supply subside at the end
of the summer? Or will additional policy impacts be felt on the demand
side, for example via infrastructure spending, or on the supply side, via
the forthcoming monthly child tax credit or minimum wage legislation?』
政策動向が労働市場の需要サイド、供給サイドに更なる賃金上昇圧力を継続的にかけることになるのか?
『Longer term, wage growth is influenced by numerous additional factors,
in particular technological change as reflected in productivity growth.
Understanding these dynamics, and how they interact, is essential to our
understanding of how wage growth fits into the macroeconomy more broadly
and is a priority for Richmond Fed researchers.』
てな訳で別に今時点で何か決めうちをしている訳では無いのですが、賃金上昇圧力が一時的局地的な現象にとどまらない可能性に関して言及して、今後その辺をみていかないと、と言ってるのは、ちょうど雇用統計前&雇用統計で賃金はしっかり市場予想の上だった、というのを見ると味わいがありますな、と思ってネタにしてみました。だから市場はどうよといわれるとぐぬぬってなりますけど。
2021/06/07
お題「雇用統計はなんかあるかと思ったら拍子抜けでしたか/LIBOR移行絡みでFSBが色んなものを投下(備忘メモ)」
ほー。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210606/k10013070901000.html
東京五輪・パラ 「都市ボランティア」 約3500人辞退
2021年6月6日 19時41分
まあそもそも人出に出るな遠出するな状態ですからシャーナイナイ、ということでございますかな(棒読み)。
〇雇用統計ちょっと期待したが拍子抜けのようで
何かですね、金曜の東京時間(NYの木曜深夜だった希ガス)に「バイデンが雇用統計を受けて何と記者会見」とトランプのツイッターの向こうを張る、と言うよりも、ツイッターはあれはただの個人の感想ですであっても、会見だとちゃんと公文書に残るやん、ってのが投下されるという報道があったんで、これは上か下かにぶれるネタキタコレ、とワクワクしながら雇用統計を迎えたのですが・・・・・・・・・・・・・
これでは今月の債券市場の地蔵が確定ではないか(フラグ)
https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N2NM3XD
2021年6月5日6:18 午前
米金融・債券市場=利回り低下、雇用統計受け早期引き締め観測後退
30年債 17時05分 2.2320% 前営業日終値 2.2950%
10年債 16時59分 1.5568% 前営業日終値 1.6270%
5年債 17時01分 0.7804% 前営業日終値 0.8450%
2年債 16時30分 0.1487% 前営業日終値 0.1600%
上記記事のロイターさん集計によるとこんな感じで、5年以降パラレルで6毛強かよという感じですが、まあゆうて10年USTだって結局1.5-1.6のレンジに戻ってしまいましたなとゆう風情。どうでもよいのですが、これ「低金利政策が長引いて」という文脈なんですけど、「でも景気は良いよね物価は強いのね」と思ってるんだったら、本来はブルスティープして然るべき(個人の感想です)って気がするし、テーパリングが長い所の債券需給に影響を与えると思って売られるならフラットしても良さそうなもんだし、その点パラレルってのが何ちゅうかとりあえず材料には反応してみた、って感じがするなあと申しますか、たぶんもうちょっと先のシナリオライティングをするのにも景気や物価の判断がまだつきにくい、って事なんじゃなかろうかと思ったでございます。
というのもですね、いやまあアタクシなんぞは極カジュアルに「こんなに財政バンバカ出して金融政策がガバガバの中で米国の物価が上がらん訳ねえじゃん」ってのが頭にあるので、雇用を見て金融緩和の縮小(引き締めではない、というかあの「引き締め」って書いちゃうメディアとか一部の何とかストって何とかならんのかと毎度思う)が遅れるってことになると、それは物価の上振れを「一時的」で誤魔化しているうちにマジモンの物価上昇にビハインドすることになって政策を後から慌てて引き締め(マジモンの引き締め)に向かわなければならん、ってことになりゃーせんかねーと思ってしまう口なので、まあカーブパラレルってのはそこまで決め打ちするにはちょっとという事だと思うし、今申し上げたアタクシの図式って別に今日や明日や来月具現化するような話しでも無いでしょうな、と思うと、そんな先の話に対してショート振ったって債券って商品が基本長期間のショートメイクに不利に出来ている(特に低インフレ時代は)性質上、そんなはよからショートで勝てるんけ??というのもあって、まあ言うのはタダだがいざそれでポジション、となると難しいでござる、って感じなんでしょうな(個人の感想です)。
とは言っても方向性として追加緩和って話じゃないのでそんな元気よくブルフラットみたいなこともできませんですし、まあ目先の材料に反応はするものの、ここもとカーブがそんなに一々の指標で動かないでパラレルっぽく推移している(ような気がするが勘違いだったらスマン)のって色々とネタはあれども動きようが何か無いよねってことですかねえ。
・・・・・・というか、まーたUST10年が1.5-1.6のレンジに戻りやがってしまいまして、ただで無くさえ先生!大変なの!!うちの円債ちゃんが息をしていないの!!!(AA略)という状態になっているというのに、これでは円債市場ちゃんが今月も(いや一応先月って米国金融政策ネタでちょっとは動いたのですが延々と先物で151円台前半に滞空してた筈)地蔵相場になってしまうではあーりませんか。まあ仕方ないとは言え困ったもんで。
でもって肝心の売電先生の御託ですが、そういう雇用統計のせいでWHまで見に行く気も起きずにロイターニュースでお茶を濁すアタクシ。
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-biden-idJPKCN2DG286
2021年6月5日3:03 午前
米雇用統計は「歴史的な進展」、バイデン氏が称賛 不安要因残存も
はい???と思ったが記事を拝読。
『[リホボスビーチ(米デラウェア州) 4日 ロイター] - バイデン米大統領は4日、底堅い内容となった5月の米雇用統計を「歴史的な進展」と称賛し、「この成功は単なる偶然ではない」と言明した。』(上記URL先より引用、以下同様)
金曜日に急に「会見やるよ〜」とか、普通雇用統計のように毎月出て来るような経済指標に対して(会見で個別に質問されることはありますけど)わざわざ「雇用統計を受けた会見をやりますお」とかいうのって米国大統領様の場合あんまり聞いたことは無い(トランプがよく喚ていていたのはツイッター)ので、「おー何かあるのかよー、良くて大勝利宣言なのか悪くて追加財政宣言なのか」とかワシら職業病で思ってしまう訳ですよ。
然るに何か別に「あらこんなもんですか」で債券しっかり金利下がるような内容だったと思うのですけれども、どうせあの会見するよアナウンスだかのタイミングだったら雇用統計の内容についてはさすがに知らされている(当然エンバーゴ中だが)と思うので、ワシら市場絡みを生業にしている人達は何かあるかねーとか楽しみにするのに何ちゅうタイミングで会見を急にするとか言い出したんやと思うのでありまして。
まあ実際は記事にもあるように、『JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ氏は雇用統計について、「十分に良いと言えるが、目を見張るような内容ではない」と述べた。』ってな事だったんでしょうが、その前のADPが強め(ADPの逆に行った時の印象が強いせいか、どうもADPでサプライズでると反動の方を気にしてしまいますなアタクシ、と後出しじゃんけん)だったのと、会見やるおとか言い出すから何かあるかと思ってしまったのも金曜のムーブの影響っすかね。
『しかし、エコノミストの間では労働力不足への不安はなお根強いほか、野党・共和党からは、新型コロナウイルス経済対策の一環として実施されている失業保険給付の上乗せが職場復帰の足かせになっているとの批判も聞かれる。』
『米50州の半数に当たる25州が今週、週300ドルの失業給付上乗せ措置を9月期限前の打ち切る方針を発表。いずれも共和党が州知事を務めており、バイデン大統領のコロナ対策を反故にしている。』
ほっほーって感じではあるのですが、まあバイデンさんとしては7月の米国独立宣言記念式典において「コロナ戦争の大勝利宣言」ということでメイクアメリカグレートアゲイン(それは違う人)というお話をおっぱじめるための前座として今回会見をした、ということなんですかねえ、なんかよく分からんかったですけど。
そう考えると益々テーパリングの議論(議論はするがテーパリングするとは言っていない、のパターン)って6月に出すよりは7月に出した方が綺麗な感じはするので、6月の地蔵相場が月初1週間にて見えてきました、って所ですかね。うんうん。
#と、柄にもなく米国債券市場とかの市場備忘メモを残すのでありました
〇LIBORネタが連弾で投下されておる
まーたFSBの連投である。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210604a.htm/
金融安定理事会による「LIBORからの円滑かつタイムリーな移行に関するステートメント」の公表について
2021年6月4日
日本銀行
『金融安定理事会(FSB)は、6月2日、「LIBORからの円滑かつタイムリーな移行に関するステートメント」(原題:FSB
statement on smooth and timely transition away from LIBOR)を公表しました。
本ステートメントは、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の公表停止日が明確になったことを踏まえ、金利指標としてのLIBOR及びその派生指標の新規利用を、実務上可能な限り速やかに、遅くとも関連する通貨の母国当局又は検討体が定めたタイムラインまでに停止するよう求めたものです。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
ということで、
『「LIBORからの円滑かつタイムリーな移行に関するステートメント 」(原文 [PDF]<金融安定理事会ウェブサイトにリンク>)
(仮訳 [PDF 102KB])』
とかあるので仮訳を見る。何事かと思ったら内容を見てああなるほどwwwと草が生えましたが。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/data/rel210604a.pdf
2021 年6月2日(仮訳)
LIBOR からの円滑かつタイムリーな移行に関するステートメント
『金融安定理事会(FSB)は、LIBOR からの円滑かつタイムリーな移行を促進することの重要性を議論してきた。』
まあそもそも何でLIBORの内容を改善するんじゃなくて無くすとかいう大技をかましたのかが今となっては意味不明(結局実レートで出すわけじゃない、というかそもそも論として短期金利がクッソ低くなってしまうとテナー数カ月での資金ディーリングというのがやるだけ資本の無駄食いになってしまうので、そういう市場が無くなってしまうので実レートも蜂の頭もないので、トレーダブルレートでどうのこうのとかイキってたFSBがトンチキだったんですけどね)ではありますが。
『全てのパネル LIBOR の公表停止に向けた明確なタイムラインが確立された。これらの金利指標及び派生指標の全ての新規利用については、実務上可能な限り速やかに、遅くとも関連する通貨の母国当局及び(又は)検討体が定めたタイムラインまでに、停止すべきである。』
いや今更それ言うの?と思ったらよく考えたらこんなお助け措置がありましたな。
『特に、より頻繁に利用されている、一部の米ドル建てパネル LIBOR1が 2023
年半ばまで存続するという発表の後、2020 年 11 月と 2021 年3月2に米国の銀行監督当局により発出されたガイダンスを、FSB
は完全に支持する。2023 年半ばという期限は、米ドル建て LIBOR を参照する既存契約のほとんどが満期を迎えることを可能にするが、「…2021
年 12 月 31 日以降に米ドル建て LIBOR を参照金利として利用する新規契約を締結することは、安全性及び健全性に対するリスクを発生させることになる…」として、企業に対し、秩序ある移行を支持するための限られた例外的利用を除き、「実務上可能な限り速やかに、いかなる場合でも2021
年 12 月 31 日までに、米ドル建て LIBOR を参照金利として利用する新規契約の締結を停止すること3」を推奨している。』
文章の切れ目が謎に無いので読みにくい(お前が言うなと言われそうですがキニシナイ)のですが、なるほどそういやドルLIBORって主要テナーだけ暫く残るとかいう変態プレイが行われるんでした。でもってそれが残っているのを良い事にまだLIBOR参照をやっているということですねわかります。
『FSB はこれまで、国際金融市場が LIBOR に依存し続けることは、グローバルな金融の安定性に明らかなリスクをもたらすことを指摘してきた。』
ってのも意味不明な話で、金利のリファレンスが無かったらそもそも金融政策が出来ないだろアホかというお話で、勝手にインフラを破壊しといて、「このようにインフラも壊れますので依存することはリスクです(キリッ)」ってどこの放火魔だと小一時間問い詰めたい。
『米ドル建て LIBORが世界中で頻繁に利用されていることを踏まえ、FSB は、米国の監督当局からのメッセージとタイムラインをグローバルな規模で強化することが特に重要であると考えている。したがって、FSB
は、米ドル建て LIBOR の継続的な利用に伴う安全性と健全性に対するリスクの観点から、グローバルな市場の全ての参加者に対し、米ドル建て
LIBOR 参照取引の新規利用を、実務上可能な限り速やかに、遅くとも 2021 年末までに、停止するよう推奨する。』
まあ要はこれ言いたかったのですね。
『さらに、FSB メンバーは、この目的を支援するため、適切な場合には、自らの法域にある規制対象企業に対してこれらの期待を繰り返し表明し、また、円滑な移行を促進するため、全ての
LIBOR 通貨の母国当局が採用する対応を引き続き支援していく。』
ふーん。
さて2番目はというと、
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210604c.htm/
金融安定理事会によるステートメント「キャッシュ商品におけるISDAのスプレッド調整の利用を支持」の公表について
2021年6月4日
日本銀行
『金融安定理事会(FSB)は、6月2日、「キャッシュ商品におけるISDAのスプレッド調整の利用を支持」(原題:FSB
OSSG Supports Use of the ISDA Spread Adjustments in Cash Products)と題するステートメントを公表しました。
本ステートメントは、キャッシュ商品(貸出、債券等)のLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)からの移行にあたり、国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)が採用するスプレッド調整の方法(過去5年間の中央値アプローチ)の利用をFSBの公的部門運営グループ(OSSG)が支持するものです。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
とあるが仮訳が無いという時点でお察し。この辺はあんまり詳しくないので詳しい方ご説明キボーンなのですけど、スプレッド調整過去5年とかこれ置きの問題でどう置いてもメリットデメリットあるのですが、市場でのリスクプレミアムが何かの拍子にドドーンと上がる時ってのは何だかんだ言って定期的に起きるので、うーんこの調整値でエエのけ?と言う問題はどうやっても起きる(期間短くしたら逆に一時的に調整値がぶれやすくなるので結局長くしても短くしてもプロコンがある)のでまあシャーナイわな。
3番目。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210604b.htm/
金融安定理事会による「金利指標改革:オーバーナイト物リスク・フリー・レート及びターム物レート」の公表について
2021年6月4日
日本銀行
『金融安定理事会(FSB)は、6月2日、「金利指標改革:オーバーナイト物リスク・フリー・レート及びターム物レート」(原題:Interest
rate benchmark reform - Overnight risk-free rates and term rates)と題する文書を公表しました。
本報告書は、2018年7月に公表された同名の文書 [PDF]を改訂するものです。ターム物リスク・フリー・レートは、オーバーナイト物リスク・フリー・レート(O/N
RFR)に係るデリバティブ市場が活発かつ中心的に利用される場合に頑健となるため、デリバティブ取引のより頑健なO/N
RFRへの移行が金融の安定性確保のために重要であるとの認識を示しています。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
でまあこれは18年の文書
https://www.fsb.org/wp-content/uploads/P120718.pdf
Interest rate benchmark reform - overnight risk-free rates and term rates
に表紙と目次くっつけて参考図表が1個増えているなあと思いながら見ましたが物件はこちら。
https://www.fsb.org/wp-content/uploads/P020621-2.pdf
Interest rate benchmark reform
Overnight risk-free rates and term rates
2 June 2021
まあO/N市場ってのは資金繰り市場だから基本無くなることは無い筈の市場(なくなるとすれば全員が中銀ファシリティだけで完結してしまうような市場構造になってしまった場合ですが、世の中何が起きるか分からんので油断は禁物)ではありますが、この市場も限界的には爆発することがあって、EMS危機だかポンド危機(と言われるのは何回かあるけれどもEMS絡みの時ね)だかの時にデンマーク中銀が翌日物の金利を4桁パーセントとかにしたのかなったのだが(おじいちゃん記憶が怪しい)、まあそういう事案は起こり得るっしょ(そういやバンクネガラマレーシアが為替で吹っ飛ぶという中銀なのに為替相場でふっ飛ばして財政支援とかいうオモシロ事案があったのはこの時期でしたっけ前でしたっけ)とは思う訳で「すべてにおいてレジリアントなものは無い」という風に思ってもうちょっとこう柔軟にというか何というか、ってのをFSBには求めたいのですが、どうせこの一件落着するか、落着しそうになったらFSBは仕事を求めてまたシャドウバンキング規制の強化とか始めそうでアカンよね(本邦MMFは最終的にはマイナス金利導入とその前の政策金利プラスだけど短国マイナス攻撃となる国債馬鹿買入で息の根を止められて天に召されてしまいましたが、その前のFSBーIOSCOによるシャドウバンキング規制による固定NAVに親でも殺されたのかという攻撃も大概にアカンかったですからねえ)とか思うのでした。
さて4つ目。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210604d.htm/
金融安定理事会による「LIBORのグローバルな移行に関するロードマップ」の公表について
2021年6月4日
日本銀行
はいはい線表線表。
『金融安定理事会(FSB)は、6月2日、「LIBORのグローバルな移行に関するロードマップ」(原題:Global
Transition Roadmap for LIBOR)を公表しました。
本ロードマップは、FSBが2020年10月に公表した同名の文書をアップデートするものです。本ロードマップは、公表停止日までにLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を参照したエクスポージャーをグローバルに削減させるためにとるべきステップを示したものであり、幾つかの法域(米国、英国および日本を含む)における検討を踏まえて策定されています。
詳細につきましては、以下をご覧ください。』
これは仮訳が無いが線表なので見りゃわかるだろうということで詳細を見る。
https://www.fsb.org/wp-content/uploads/P020621-1.pdf
June 2021
Global Transition Roadmap for LIBOR
でまあとりあえず見たんですが、正直この辺はどこがどうなっているのかとか言うのは詳しい訳では無いので解説は詳しい人がどこかでしてくれていると思いますのでそれを見てちょ、ということでこういうのがある、というただのご紹介で恐縮至極でございました。
なお線表について(というかこれ内容的には軽く全体感の説明→項目別のToDoリスト→具体的な線表のお絵描き、と言う風になっています、為念)はこんなもんですかねえ位のイメージしか沸かない程度の当事者感覚があんまり無かったりするのでどうもすいません。とりあえずメモとして残しておきました。
#月曜なのでこの辺でご勘弁っちゅうことで(大汗)
2021/06/04
お題「安達審議委員静岡金懇大会なのですがちょっとこう何と申しますか・・・・・・・」
突如凄い題名のスタッフペーパーが出て来まして、
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/wp21j10.htm/
プライバシーの経済学入門
ほえ?と思ったら、上記URL先記載のエグゼクティブサマリーのケツが『こうした認識は、デジタル決済システムを利用する人々に安心感を与えつつデータの利活用をどう進めていくかを考える際に、重要な示唆を与えうるものである。』(上記URL先より)ってことでして、書いたスタッフも決済機構局の方というのでやっと意味が分かった(内容を分かったとは言っていない)。
本文はこちらです(読んでない)。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/data/wp21j10.pdf
〇安達審議委員静岡金懇挨拶の続き:堂々と白川ドクトリンでの説明をおっぱじめるその根性は凄いです(棒読み)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210602a.htm/
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko210602a1.pdf
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
静岡県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2021年6月2日
引き続きHTML版の方から引用します。
・物価目標の実現に向けてという話がどこからどう見ても白川ドクトリンなんだがリフレ派じゃなかったのかよ
『4.ポストコロナの展望と2%の「物価安定の目標」の実現に向けて』という章の二つ目の小見出しから。
『2%の「物価安定の目標」の実現に向けて』という小見出しだが、これがまたお前それでもリフレ派かと小一時間問い詰めたくなる説明である。というか片岡さん完全に梯子外されてるじゃん却って可哀想になってきたわ。これで今月末に就任する野口先生がどっちに付くのかが楽しみになってまいりましたという感じで、「リフレ派」と「転びリフレ派」に分裂してるのテラバロリッシュという風情ですが、それにしても安達さんのこの説明はパワーワードの連発過ぎてこの小見出し部分だけでドンブリ飯3杯は食えますわ。では鑑賞鑑賞。
『今般の点検の結果、わが国の物価は適合的に定まる物価観に影響される側面が強いことが確認され、2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、この岩盤のような物価観を変えていく必要があります。』
そのためにマネタリーベース置物直線一気理論でQQEをぶっこんだのではないでしょうか。
『そのためには、期待成長率が持続的に上昇するもとで、企業や家計の物価観を上方修正させていくことが重要になってくると思われます。』
ちょwwwwおまwwwwwwそれまんま白川ドクトリンwwwwwwwwwwwwwwwwww
『そしてこのことは、2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、長期戦を想定せざるを得ないことを意味すると考えています。』
だったら白川さんの時の「将来の目標は2%、まずはそのために中間目標1%」でエエンチャイマスカ??
『この期待成長率の押し上げに日本銀行がどのように関わっていくべきかという点は、かなり難しい問題です。』
期待インフレの前の期待成長率の話でこれ、というのはナンジャラホイと言う感じですが・・・・・・・
まあそう思うんだったらMB増やせば期待インフレが上がる、という置物理論でおっぱじめたQQEのベースが間違えている訳で、土台の理屈が間違えているのにそれを正しいという前提でどんな建築物(政策)を建ててもクソみたいな建築物(政策)にしかならないし、うっかりしたら建築物が倒壊(有害な政策)することにもなりかねないんですから、そこまで言うなら白川ドクトリンに立ち戻って最初から考え直した方が良いんじゃないでしょうか。
まあそれやったって結局ゼロ金利政策と時間軸、短い年限を中心にした国債購入によってイールドカーブの手前を押さえて金利が低位安定、って結果は変わらんと思うのだが、そういう悪態をつくと、マイナス金利を止めると利上げだから金融緩和後退なのでアカン、とか言い出して埒が明かないのがポンチチ銀行クオリティ。
なお、期待成長じゃなくてその次の期待インフレですが、軽いタッチで検索したらさっくりとこのような物件をサルベージしてしまいました。2011年の物件となりますがお暇なお方はよろしくご査収ください。
https://toyokeizai.net/articles/-/5875
4%のインフレ目標でデフレ脱却の姿勢示せ--岩田規久男・学習院大学経済学部教授
《デフレ完全解明・インタビュー第1回(全12回)》
2011/02/10 12:13
・・・・・・香ばしいですなw
さて話に戻りますと、
『現在、わが国の期待成長率は低いと言わざるを得ません(図表8)。私見となりますが、日本銀行が日本経済の成長期待の引き上げに貢献できる役割を考えると、今後も粘り強く現在の金融緩和を継続することによって、例えば設備投資の拡大等を通じて企業の生産性向上を後押しするということではないかと考えています。』
ますます白川ドクトリンなんですが、いやまあ言ってることはその通りなんですが、リフレ派だの言って散々っぱら白川さんケチョンケチョンにしてた一派(昨日ネタにしたデフレ脱却国民会議とかいう面白ミーティングにもお名前がございますわな安達さん)が日銀審議委員に就任した瞬間にいきなり白川ドクトリンを滔々と語りだすとか、何ちゅう節操のなさと感心するやら呆れるやら。
『また、長期戦を覚悟するとすれば、その間に何等かの外的なショックによって日本経済に大きな下押し圧力がかかることも考えられます。こうした場合には、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる必要があります。本年3月の金融政策決定会合では、点検結果を踏まえ、こうした持続的かつ機動的な金融政策運営が可能となるよう、政策手段の見直しを行いました(図表9)。』
言ってることが糊代論クソワロタ。というかそもそもQQEぶっこんだときに「必要な政策は全部打った」という説明してて、その思い切りの良さが期待に働きかけるみたいなニュアンスもあったと思うんですけどねえ。
・・・・・・・ということでこのコーナーがもう今回の白眉という風情でございまして、いやお前何転向してるんだよという感じでして、勿論白川ドクトリンに転んでいるので真実に目覚めた、という意味では甚だ慶賀すべき事案であるのは事案であるのですけれども、いやーさすがにこれは釈然としませんわなーという感じなんですけどねえ(個人の偏見です)。
でまあ政策手段の見直しを行いました、ってんですが、そっちは図表9ということで紙芝居に示しているという感じで、こちらの章のお題である「ポストコロナ」の話になりますな。
・ポストコロナで物価目標実現のコースがサービス業のコストプッシュと一部の高付加価値化は無理がある
ということで『ポストコロナと物価安定目標の実現』という小見出しになる。
・・・・・・・いやそれは良いんですけど、さっき(昨日引用した所)では『詳細は後述しますが、個人的には、米国が戦後に経験した消費の急速かつ大幅な拡大は、わが国の文脈に照らせば、長らく直面してきたデフレを解消する好機となり得るのではないかと考えています。』って経済社会が平時に戻ってペントアップ需要に加えて戦時中では消費できなかった分も消費されるようになるからヒャッハーって話を思いっきりしていたのに、今度は「ポストコロナ」って言い出すの何なのって感じですけど、まあ先を読んでみましょう。
『こうした政策手段の見直しのもとで、粘り強く金融緩和を続けることで、2%の「物価安定の目標」の実現は可能であると考えています。』
まあこれはこう言わないと話が始まらないのでしょうがないとしまして次。
『さらに個人的には、今般の感染症を経験したことによるわが国の企業や家計の行動変容が、これまでの物価観を変える可能性に注目しています。』
ほうほう。さっきの「米国が戦後に経験した消費の急速かつ大幅な拡大は、わが国の文脈に照らせば、長らく直面してきたデフレを解消する好機となり得る」ですね!!!!と思って読むとこれがまた何かチガウゾという説明がおっぱじまるのが香ばしい。
『感染症は、いつかは収束するとはいえ、ウイルスが完全に撲滅されることは想定しにくい状況です。』
・・・・だとすれば第2次大戦後と比較するのは如何なものでしょうか??
『ワクチンの効果が相応に期待できるとはいえ、感染症との共存を余儀なくされる状況においては、特に飲食・宿泊等の対面型サービス業で感染抑制に相応のコストをかけ続ける必要が生じる可能性があります。』
節子、それただのコストプッシュや。
『このほか、わが国における高齢化の進行を踏まえると、価格が高くても付加価値が高い財・サービスの消費が個人消費全体を牽引していく可能性も考えられます。』
その「考えられる」根拠って何なんでしょ、政府様は年金支給を隙あらば切り下げようとしているし、おかげでこちとら老いぼれジジイになっても労働労働また労働だとおもうんですけどねえ。
『こうした高付加価値の財・サービスを提供できる人材の賃金は、自ずと高く設定されるのではないでしょうか。』
仮定の上に仮定を積み重ねているし、だいたいからしてそんな高付加価値はマスで売れんじゃろうから、そこのお賃金が高いって言ってもSo
WHhat??なんですけど。
『こうしたことを踏まえると、ポストコロナの局面は、サービス業にとって、質を見直しつつ対価を引き上げる機会になるかもしれないと考え始めています。』
何ちゅうかそら一部でそういう事象起きるかもしれませんけど全体の話をしてくれ全体の話を。
『過去、わが国のデフレ局面では、内需のサービス業の価格がほとんど上昇しなかったことが特徴的であったことを考えると、ポストコロナは2%の「物価安定の目標」を実現する大きなチャンスになるかもしれません。』
全体の話をしている訳でもないのにこの結論、中々強引でよろしい(よろしくない)。
『もちろん、今申し上げた見方には大きな不確実性があり、実際にどうなるかは、企業の皆様が、ポストコロナを見据えてどのように経営方針を定めていかれるか次第です。』
大きな不確実性もへったくれもそもそも全部で高付加価値化とか出来るかよボケという感じだし、感染抑制のコスト云々はただのコストプッシュ要因なんですけどねえ。
『わが国では、漠然とした将来不安が消費マインドの改善に水を差す懸念があるため、企業が販売価格を引き上げることは難しいのではないかというご意見もお聞きします。日本銀行としては、ある程度の継続的な値上げが社会的に許容されるような経済環境を整えていけるよう、引き続き日本経済を支えていきたいと考えています。』
でもさっきそういうの作るの大変っていってましたね、まあ頑張ってください(棒読み)。
・ESGで物価目標実現とか中々斬新な理論が飛び出しております
さらに次に進みます。
『これに加えて、物価が想定以上に上昇するかもしれないという要因は他にも指摘できます。』
ほほう!
『例えば、企業のESGへの対応です。』
は??????????????????
『この中で私が特に注目しているのは、米ハーバード大学・ビジネススクールのジョージ・セラフェイム教授らが取り組んでいる「インパクト加重会計イニシアチブ」1です。これは、気候変動リスクに対する世界的な問題意識の高まりの中で、ESG投資の普及に繋がる重要な研究であると考えています。』
はあそうですか。
『この研究では、地球温暖化に繋がる二酸化炭素の排出を企業のコストとして企業会計に取り込む試みも行われていますが、個人的には、従業員への手厚い給与が、人間の社会生活の向上という経済活動本来の価値を創造しているという考え方に基づき、企業にとってのコストではなく、生み出された付加価値として会計に反映しようとする試みに注目しています。こうした試みが企業会計の新たな潮流となれば、賃金の引き上げを通じた物価の上昇にも寄与する可能性があります。』
いやグローバルに競争激しいのにそう簡単に企業が労働分配をホイホイ上げないだろうよ、とは思いますが、昨日ご紹介した部分でも、単に「米中対立が日本経済に与える影響がリスク」と言えば良いだけのところで、「地経学」とかキャッチーな話を引っ張り出したりしてるし、このESG云々も何ちゅうかこの流行物に乗っかってるだけ感が強いし、まあそれ言い出したらリフレ派とか言いながらしらっと白川ドクトリン満艦飾の話をおっぱじめるとかどういう変節なんだよ、という感じでして、何と申しますかまあこのお方は単に時流(以下自主規制)。
・歴史に学ぶそうですが第二次大戦後の米国を例に出してたんですからそっちにも学ばないと(鼻ホジホジ)
次の小見出しが『歴史に学ぶ』というこの方の十八番だったと思う部分ですがそんなに長くないのは残念無念。
『2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、長期戦を覚悟する必要があるということを申し上げました。現在、日本銀行は大胆な金融緩和を実施していますが、ポストコロナの局面で日本経済が正常化する見通しが立ってきた場合には、金融政策についても早期に見直した方がよいという指摘が出てくるかもしれません。』
少なくとも危機対応の部分は見直すもんじゃないですかねえ、つーか別に見直せって言ってる人達だって、芸人は別にして普通に市場の中の人が言う見直せって、一番強めの見直せ論で「マイナス金利を止めてゼロ金利政策」とかであって、別に短期金利を1%2%にしろとか国債売れとか誰も言ってないのですが・・・・・・・・・・
『しかし、拙速な政策の見直しは、景気回復の芽を摘み、新たな危機を誘発してきたことは、大恐慌期等の歴史から得られた教訓でもあります。この点は、政策当局者として肝に銘じておきたいと思います。』
いやお前それ井上準之助辺りを意識してるだろという感じでして、現在関係各位が言ってる見直せってのはそもそもの副作用を踏まえた話も含めての話ではあるけど、だれも政策スタンスを引き締めろとか言ってる人いない(外野の芸人は別だが)と思いますがねえ。
・・・・・というかですよ、「歴史に学ぶ」ってんだったら第二次大戦後の米国の金融政策が戦時財政政策に組み込まれたままの戦時体制が続いてしまって、その後色々と面倒なことになった、というような点もちゃんと学んで頂きたい訳ですし、そもそも論として財政と金融の連携ガーみたいな話って戦時財政みたいな話をしているようなもんな訳で、そこから経済が正常化する、という過程であれば学ぶべきは大恐慌からの回復過程の話ではなくて、いみじくもご自身が例に挙げた第2次大戦後の米国の財政金融政策なんじゃないですかねえ、と思うんですがね。
『この点に関連して、日本銀行は、現在の政策枠組みにおいて、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続することを約束しています。とりわけ、消費者物価上昇率の見通しではなく、実績値に基づいて金融緩和の継続を約束する非常に強力なコミットメントにより、2%の「物価安定の目標」の実現に対する信認を高めることを意図したものです。』
で、この話はおしマイケルで、このあとは金懇恒例のご当地経済話になってしまいますので金懇挨拶ネタはここで終了しますが、うーん何ちゅうかかんちゅうかという感じですな、あ、そういえば昨日引用した「詳細は後述しますが、個人的には、米国が戦後に経験した消費の急速かつ大幅な拡大は、わが国の文脈に照らせば、長らく直面してきたデフレを解消する好機となり得るのではないかと考えています。」の詳細って全然米国の経験云々関係ないじゃんということで、何が後述だったのかと小一時間って感じですな。
〇8ページ弱の中でご当地質問が2ページ半くらいある優しい会見でしたがパワーワード溢れる会見
では会見。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2021/kk210603a.pdf
最初の方は本日のご感想とご当地質問が並ぶ、という優しい展開なのですが、3ページ目の後半から抜刀隊の突撃が始まる。
・一時的要因やコストプッシュで上がる物価が持続的とはめでてーな
『(問) 午前中の挨拶文の中で、2%の物価目標について、ポストコロナは 2%の物価安定の目標を実現する大きなチャンスになるかもしれないというふうにご指摘されました。個人的に、コロナが、消費者のマインドとして将来に対する漠然とした不安を増やしたり、また外出や外食をしなければ貯蓄率が上がるということに気づいて節約志向になったりするのではないかというふうに思ったのですけれども、どういう意図でこのように述べられたのか、また、2%物価目標の達成の実現の可能性についてはどれ程あるというふうにお考えなのか教えてください。』
これ質問の最後がどう見ても手練れでウケた。
『(答) まず、コロナ禍をいわば奇貨としてということだと思いますが、価格自体、特にサービス産業の方々の提供する価格を上げていく行動が起こるのではないかというのは、実際に起きているかどうかというよりも、取りあえずコロナが収束して、また人々が外出等を自由にできる世界が来ることを前提とした話というのが一つです。ですので、あくまでもコロナが収束する前提での話なのですが、』
ということでまず質問者の前提部分に断りを入れまして説明が始まる。
『例えば、昨年支給された給付金が殆ど使われていないという話があります。確かに将来不安といったものもあるかもしれないですが、基本的には緊急事態宣言等で外出を――これは抑制を強制的にされているのか、自主規制なのかという部分はありますが――規制されていて、使いたくても使えない状況があると理解しています。』
なるほどなるほど。
『そのような状況がコロナの収束で終わるとすると、特に旅行や外食というのは、おそらく皆さん行きたくて仕方がないけれども行けない状況ですので、おそらく今貯めている貯蓄からお金を出すことによってある程度は戻ってくると思います。』
えーっとすいません、米国様ではそういう需要で物価が上昇している現象は「一時的です」と言って一時的要因で物価が上がっているだけだからこれでマンデート達成という話かどうかは別問題、というような話をしておりますけれども、日本ではこのような一時的要因で増える需要で起きるムーブでも目標達成したって話をする、という理解でよろしいでしょうか????????
『その過程で、コロナが収束したといっても完全にウイルスが無くなるわけではありませんので、提供する業種は、例えば、コロナ対策を十分行う必要があるとか、人員に対する制約や、材料や提供するものに対する制約もあると思いますので、そこで価格はある程度引き上げたとしても、それによって需要が一気に落ち込む度合いはコロナ前に比べると少ない可能性もあると考えて、そういった指摘をさせて頂きました。』
節子、それただのコストプッシュや。それに3%→5%の消費増税の時にその前に財政とか出したのも効いて駆け込み需要に円安や資源高も後押しして物価上がったけど、その物価上昇って結局消費を冷やす結果になったって事案ついこの前あったやんけ。
『ただ、そこはあくまでもコロナが収束したときに企業がどう考えるかということに依存していますから、やはり企業が価格競争をしないと勝ち残っていけないとなると、価格を引き下げて再びデフレというリスクも当然あるという不確実な状況はもちろんあると思います。』
何で両極端な話ししかせーへんのやこの人。
・追加政策手段がないと言い切る素敵な発言クッソワロス
次の質問です。前半後半に分けますね。
『(問) 挨拶の中で、ある程度の継続的な値上げが社会的に許容されるような経済環境を整えていけるのが、日銀としてできることではないかというご指摘だったのですが、具体的にどういう政策ツールを強化あるいは維持することが最も有効とお考えなのかというのが一点目です。(後半割愛)
』
『(答) まず、本日朝の懇談会の私の挨拶で述べたことですが、現状では、基本的には長期戦といいますか、ある程度辛抱強く現状の緩和を続けていくことで、物価が基調的に上がっていくのをみていくことしかないかと思っています。』
政策委員を雇うよりも全国の神社仏閣に「物価目標達成祈願大祈祷」でも依頼した方が早い気がしますね!
『ですので、例えば、物価の上がるスピードをサポートして加速させるといったツールは、少なくとも私個人では思いつかない状況でして、もしそういったものがあるとすれば、既に行っていると思います。』
これはひどいwww
なおこれは当然ベンダーのヘッドラインに出ていたのですが、そらまあ市場は最初から追加緩和が毛ほども無い(とかあんまりみんなで囃し立てると黒ちゃん逆切れするかも知れないから注意注意^^)のは知ってるので別に市場は反応しませんでしたが、リフレ派の一環で入った安達大先生がこの発言をするのはさすがにナンジャソラという感じだし片岡さんの追加緩和提案は無意味と言い切ってるのと同じなので、これをヘッドラインで見た(かどうか知らんが)片岡さんの心中やいかばかりかと甚だ同情の念に堪えない所ではあります。
『ですので、3 月の点検のインプリケーションの一つとしては、2013 年以降、非常に積極的な金融緩和を行っており、デフレからの脱却というのは実現できたのかもしれないですが、目標となる
2%には程遠い状況であるというところで、それ以前のデフレスパイラルの状況から脱したという意味では効果があったということですが、そこから先は、2013
年に行った政策を更に強化したらそのまま上がるのかと言われると、それはちょっと厳しいのではないかというのが一つの結果だと思いますので、そこは辛抱強く行うということだと思います。
(後半割愛)』
じゃあそもそもやり過ぎた部分を修正しろよこのトンチキという所ですな。
・手段がないなら躊躇なく追加緩和って何なのという極めて順当な質問
後の方の質問に飛びますね。
『(問) 先ほどのご発言の中で、物価上昇を加速させるツールというものがあれば既にやっているでしょう、というお話をされたのですけれども、そういう意味では、今後の政策の展開としては、物価
2%目標が展望できるまでは、ポストコロナで経済情勢が改善したとしても、現状政策を辛抱強く維持していくという考えなのか、』
と、ここまでは穏当ですが次が抜刀斎モード。
『逆にですね、ツールが見当たらない中で、ショックが起きた場合に躊躇なく追加緩和という話もされているのですが、そういった対応は実際に可能なのか、手段はありえるのか、そこについて教えてください。』
これは素晴らしい抜刀。
『(答) まず一つは、挨拶の中でも、コロナ禍が終わると、アフターコロナの中でもしかしたら価格が上がるかもしれませんといった話をしているのですが、要するにアフターコロナの中で正常化プロセスに向かうときの、物価やインフレ率の出発点がどこになるのかがまだはっきりしないというのがあると思います。』
物凄く訳の分からない説明をしていまして、しかもこれってTranscriptに近いとは言え、一応趣旨の通るように丸めて書いているなんですが、いきなりの抜刀にかなりの狼狽をしめしているのが見て取れますね!!!!!
『ですので、その出発点が分からないと、どういう政策を取るかということは全く分からないわけです。』
ナンジャソラ・・・・・・・・・・・・・
『例えば、予想以上に大幅に上振れた場合は、もちろん対応は変わりますし、逆にデフレになってしまった場合にも、当然対応は変わってきます。』
いやそんな質問してないんだが。
『ですので、これは昨年から言っていることですが、アフターコロナで正常化に向かう局面のときに、インフレ率がそのときの出発点で大体どれくらいかをまずはみないといけないと思います。』
どうも前半の質問に対する答えのようなのだが、そもそも「今の政策を粘り強く続ける」って言ってるんだから、前半部分には「基本的にはご指摘の通りです」で済むのにこれだけ泡吹き回答をしているのは、たぶん抜刀質問の方にやべーと思って狼狽したんでしょうなあ(個人の妄想です)という所で。
『もう一つは、今の政策ツールの中で、割と重要というと言い方は変ですが、例えば、需給ギャップはどれぐらいか、需給ギャップに伴って自然利子率がどれぐらいか、それに対して政策金利の水準がどれぐらいかという、ギャップで金融緩和度を測るのが非常に重要だと思います。』
物価目標との関係だとフィリップスカーブのフラット化なのか何かは知らんけど、経済のギャップに対して物価が反応しねえなあ、ってのがついこの前までの話題でしたけどね、まあ次に進む。
『しかし、それを計算することが普通でも難しいのに、今コロナの状況の中でもっと難しいということで、その中で何か政策を打つのは、かなり不確実性やリスクが高いと思います。』
えー???何かさっぱりわからないんですがその理屈。じゃあビハインドしないと政策しないんですかって感じですし、分からないからやらないとかそういう話じゃなくて、分からないなりにこのような形でやるとこうなるかもしれませんのでやってみて、状況を見て修正していきましょう、ってのが政策なんじゃないですかねえ。
『そういう意味では、当面、現時点では辛抱強くという話しかできないということです。』
結論は分かったが途中経過の説明が話にならんし、追加緩和ツールの有無に応えてないですな、いやーこれは抜刀が効きすぎですわ素晴らしい質問でした。
・為替しか見て無いのかよw
さっき(後半割愛)ってしてた後半です。
『(問) (前半割愛)次に、海外の話なのですが、アメリカではインフレ率が最近加速していまして、市場ではテーパリングですとか、早ければ来年の利上げがあるのではとの観測が浮上しております。そうした将来のFedの政策変更の可能性や、それについての市場の思惑というのが、日銀の政策およびアジアの新興国、資金フロー、金融政策にどう影響を及ぼし得るのか、数年前にFedのテーパータントラムで市場が荒れたときがありましたが、その当時との情勢の違いも踏まえて教えて頂ければと思います。』
この答えが中々アレ。
『(答)(前半割愛) 二点目はなかなか難しい問題でして、日本銀行として対応するのは、円高が来るか来ないかということに集約されると思いますが、』
え??え????????それだけなの????????????????
『それは事前には分からないことです。』
ズコー(椅子から転げ落ちる音)。
『実際にテーパリングを行うかどうかも分からないですし、コメントは控えさせて頂きます。』
ちょw
『もし万が一、テーパリングを始めたときに円高になれば、何かをしないといけないという話が出てくるかもしれません。ただ、それは事前には分からないということです。ただ、最近の動きからすると、米国の長期金利の上昇局面で、新興国へのフローが米国に逆流したかというとそういうことはないということや、テーパリングを行ったことによって、例えば、米国の長期金利が下がるのか上がるのかということでも、かなり状況は変わってくると思います。米国の金利が下がれば、いわゆるリスクオフという話になりますので、話は変わってきますが、今回テーパリングをもし行うとすれば、そういう話ではなく、インフレ懸念といった話かもしれないので、そうするとまた話が変わってくるわけです。』
分からない、と話が変わってくる、のオンパレードワロス。
『円高にならない可能性もありますので、今回については、この段階で何か事前に考えることができない状況ですし、マーケットですので、そこはその場で対応していくということしかないと考えています。状況はきちんと注視しながら、そのときに適切な政策を考えることに尽きると思います。』
円高しか見ないのかよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ということで、いや安達さんってこんな方だったっけ?????という??????感が飛び交う金懇でありました。
2021/06/03
お題「SMCCFの保有社債売却とな/安達審議委員金懇挨拶ネタだが今日は途中までで勘弁(明日に続く)」
今さら言われましても・・・・・・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210602/k10013063571000.html
東京五輪・パラ「今の感染状況で開催は普通はない」尾身会長
2021年6月3日 0時07分
〇FEDがパンデミックプログラムで購入した物(社債)の売却開始とな
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20210602a.htm
June 02, 2021
Federal Reserve Board announces plans to begin winding down the portfolio
of the Secondary Market Corporate Credit Facility
ん?と思いながら中身を見る。
『The Federal Reserve Board on Wednesday announced plans to begin winding
down the portfolio of the Secondary Market Corporate Credit Facility (SMCCF),
a temporary emergency lending facility that closed on December 31st, 2020.』
昨年末まで実施してたやつのワインドダウンを行うとな!
『The SMCCF proved vital in restoring market functioning last year, supporting
the availability of credit for large employers, and bolstering employment
through the COVID-19 pandemic.』
その効果についてはわかりましたがワインドダウンって事はつまり償還までのんびりと待つのではなくて売るという事ですけれども・・・・・・・・・・・
『SMCCF portfolio sales will be gradual and orderly,』
売るんかい。
『and will aim to minimize the potential for any adverse impact on market
functioning by taking into account daily liquidity and trading conditions
for exchange traded funds and corporate bonds.』
そらまあマーケット壊す売り方をせん、というのは当たり前田のクラッカー。
『The Federal Reserve Bank of New York, which manages the operations of
the SMCCF, will announce additional details soon and before sales begin.』
いつからとはここでは明記されていなくて、NY連銀の方で事前に説明あるからそれを見てちょ、というお話ですが、FOMCとか使わずにしれっと売却アナウンス入れるのね(その方が目立たないからそれで制度的に問題ないならそうするわな)って感じでございますが、何にせよこうやって「緊急対応と称して買ったものはきちんと処理する」という姿勢はさすがともうしますか、まあこんな感じですから、FEDちゃんはFF利上げは兎も角として、テーパリングはやれるもんならやる、という思想なのでしょうなあと思わせてくれるのでした(個人の感想です)。
『The SMCCF was established with the approval of the Treasury Secretary
and equity provided by the Treasury Department under the CARES Act.』
まあ最後のこれはただのSMCCFのご紹介ですが、エクイティが財務省から出ています、って説明しているのは「私らは連邦政府の大事なお金は借りっぱにはしませんよ」みたいな政治的な面もあるのかな、とか何とか思いました。
まあいずれにせよこうやって正常化路線とか、余計に増やしたリスク性資産を減らすアナウンスをFEDがしているというのに日銀と来たら(以下いつもの悪態なので割愛されました)。
〇安達審議委員金懇ですが貴様それでもリフレ派かと小一時間な金懇(会見もそうらしい)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/ko210602a.htm/(HTML)
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2021/data/ko210602a1.pdf(PDF)
【挨拶】
わが国の経済・物価情勢と金融政策
静岡県金融経済懇談会における挨拶要旨
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2021年6月2日
HTMLの方がペタペタ貼るのに楽だからHTMLバージョンから引用します、なおHTMLとPDFの違いは数字の半角全角に何故か知らんが反映されます。
最初の『1.はじめに』は兎も角として、その次の『2.内外経済の現状』も正直どうでもよいのでそこは全部すっ飛ばして行きましてその次の『3.内外経済の先行き』を見るのですが何だかそのあたりから話がアレになってくる。
・日本のアフターコロナで第二次大戦後の米国経済を引っ張り出すのは何ぼ何でも強引ではないかと
『3.内外経済の先行き』ってところから、『先行きを巡る不確実性』って小見出しっぽいのが入っています。
『以上のように、内外経済はこれまでのところ改善基調を続けているといえます。もっとも、先行きに関する不確実性は極めて高い状況が続いていると、私は考えています。以下において、3点を指摘したいと思います。』
ほうほうそれでそれで?
『第一に、わが国におけるワクチン接種の進展ペースを巡る不確実性です。ワクチン接種が相応に進展して社会全体で集団免疫の獲得が実現しない限り、今後も感染拡大の波が訪れる度に、飲食・宿泊等の対面型サービス業の経済活動が抑制され、当該産業の回復が遅れる懸念があります。こうした事態が繰り返されると、家計の消費マインドの持続的な改善をなかなか展望できません。』
仰せの通りですな。
『このように、わが国におけるワクチン接種の進捗ペースは、日本経済の持続的な回復を展望するうえで重要な要素となるため、その動向を注視してまいりたいと思います。』
屁理屈点検ペーパーとか出すリソースをワクチン接種にいやなんでもありません。
『この点に関連して、米国では、ワクチン接種の加速に加えて、大規模な経済対策の後押しもあって、昨年来、半ば強制的に抑制されてきたサービス消費が急速に回復しつつあります(図表5)。歴史を振り返れば、こうした消費の急速な回復は、第二次世界大戦が終了し、戦後に移行する過程で米国において生じた消費の急拡大と類似しているのではないかと考えています。』
と、お得意(らしい)の歴史比較の話が出るんですが、この先の理屈がどう見てもその前の話と矛盾しているという物件がまずは飛び出します。
『当時は、戦争によって抑制されていた耐久財消費やサービス消費の需要が終戦によって解き放たれたといえますが、今回、ワクチン接種による感染者数の減少が、抑制されてきた需要を解き放つことになるのか注目されます。』
で??
『詳細は後述しますが、個人的には、米国が戦後に経験した消費の急速かつ大幅な拡大は、わが国の文脈に照らせば、長らく直面してきたデフレを解消する好機となり得るのではないかと考えています。』
は????????????????
と言ってしまうのなんでやねんと申しますと、安達大先生、今引用をすっ飛ばした部分、というか引用するちょっと上の所の『政策効果』ってところで、
『こうした政策対応は、政府の経済対策と相俟って、感染症拡大による日本経済の底割れを防ぐ効果があったと考えています。』
と言ってみたり、その前の『国内経済の動向』ってところで、
『内需関連の非製造業のうち、財を提供する小売業の業況は、休業なども実施されていますが、感染症拡大により外出機会を失った家計の巣ごもり消費に支えられ、基調としてはしっかりしています。小売業者の中には、オンラインによる販路拡大に商機を見出し、Eコマースへの投資を積極化する動きもみられ始めており、国内の設備投資を下支えする一因になっています。』
とか現状の説明している訳でして、第二次大戦終了後の米国と比較って比較するものがどう見てもおかしいじゃんと思いますし、大体からしてこの大先生、この先のコーナーで『4.ポストコロナの展望と2%の「物価安定の目標」の実現に向けて』って話をおっぱじめていて、全然文脈が違う話をしておるんですけど何なんですかというこの理屈。
さて話は戻ってリスクがどうのこうのの続きですが、
・アセットアロケーション超理論現る
『第二の不確実性は、米国の株式市場をはじめとした国際金融市場の動向です。』
ほうほうテーパータントラムなどへの懸念ですか、と思いきやさに非ず。
『国際金融市場では、ワクチン接種の進展や一部先進国での追加経済対策などを背景とした世界的な景気回復期待の高まりから、市場センチメントの改善傾向が続いており、株価を含むリスク資産の価格が上昇しています(図表6)。』
そうですね。
『上述のとおり、米国では消費が急速に回復しつつありますが、これまで株式市場に流入していたとみられる資金が財・サービス等の実物市場にシフトしていくことが先行きの株式市場に及ぼし得る影響については、同国の実体経済、さらには日本経済の回復を下支えしている外需に影響するリスクがあることから、留意しておく必要があると考えています。』
???????????????????????????????
>株式市場に流入していたとみられる資金が財・サービス等の実物市場にシフトしていく
>株式市場に流入していたとみられる資金が財・サービス等の実物市場にシフトしていく
>株式市場に流入していたとみられる資金が財・サービス等の実物市場にシフトしていく
どんな理屈だよそれ。しかもこの文章を全部読みますと何処からどう見てもこのシフトによって株価が下がるリスクを気にしている(「日本経済の回復を下支えしている外需に影響するリスク」って言ってて上振れリスクの話じゃねえだろ)ようにしか読めないのですが、何そのアセットアロケーション超理論って感じでございまして、これはちょっと論評に困る謎理論。
だいたいからして世の中の資金が実物市場にバンバンシフトしたら経済が上向いて株価とかあがるだろお前は何を言ってるんだと思うんですが、無学のアタクシが知らんだけでこういうアセットアロケーション超理論というのが存在するんですかねえ・・・・・・・・・・
株価が実態を離れて上昇しているのでその下落が心配、というのなら意味はまあ分かるんですが、そう言わないでこのアセットアロケーション超理論を出す理由is何??って感じですね。
・とりあえず何かキャッチーな事を言わないと気が済まなさそうなのは把握した
さてその次。
『第三の不確実性は、「地経学的リスク」です。ここでは、「地政学」ではなく「地経学」という言葉を使わせていただきました。』
てなこと言うもんだからGoogle先生で検索してみたよ。なんかWikipedia先生の説明はありますが、はあそうですかってな感じで何ちゅうか別にわざわざ新しい名前つけるほどの話かよというテーマだとは思いました(個人の感想です)けど、直前のアセットアロケーション超理論とか、その一つ前の第二次大戦終了後の米国経済を参考にする云々とか、なんかキャッチーな事を言わないと気が済まないお方なんですね、というのは把握しました。
『個人的な見解ですが、昨今の国際関係においては、外交・安全保障政策と経済政策をより一体的に議論する傾向がみられるようになってきていると感じています。』
寧ろ昨今もへったくれも冷戦二台ブロックとかやってるときも、その前のブロック経済だのなんだのとやってるときもそうで、経済だけ別モンで自由に回って行きましょう的な時代(アタクシも別に詳しくはないけど感覚的には冷戦終了(ドイツ統一とかその辺)あたりからの話しかしら)の方が近現代の中ではレアなんでネーノと思うんだが。
『一般的に、「地政学」では外交・安全保障政策が念頭に置かれていると思いますが、「地経学」では経済政策もこれらと同列に位置付けられます。例えば米国と中国の関係においても、国境をまたぐ技術や資本の移転等に関して様々な議論がなされていく可能性があるもとで、こうした議論がわが国の企業活動や貿易等に与える潜在的な影響についても、留意する必要があります。』
どう留意するんだよと思うのだが。だったら別に普通に「米中が対立する動きが続いており最近はややその傾向が強まっていますが、日本は米国と中国の双方と経済的にはつながりが強いので対立の動向によっては日本の外需に悪影響」って言えば良いだけだと思うのですが、そこで「地経学」とかドヤ顔(かどうか知らんが)でキャッチーな言葉を出してくるのが中々香ばしいですな。
・今後の政策対応だが追加緩和の話は皆無でコロナオペ延長しかありませんな
次の小見出しが『今後の政策対応』です。
『こうした中、当面の政策対応上の課題は、本年9月末に期限を迎える「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」の取扱いであると考えています。』
置物一派でリフレ派だったら2年で2%はどうしたと小一時間問い詰めたいし、2年が駄目でも早期達成に向けて何らかの政策的な工夫はできないのか、という話をするのがおめーらリフレ派の本務じゃろう、とアタクシなんぞは思うのですが、大変に素敵な事にただの現状維持の話しか出てこないとか貴様それでもリフレ派か!歯を食いしばれ!と突如昭和脳になるアタクシ。
『これまでのところ、倒産を含めた企業金融の環境は総じて安定を維持しており、感染症拡大の影響を強く受ける業種も限定されてきているように見受けられます。また、企業金融面における課題も、資金繰りの問題からソルベンシーの問題に移行しつつある時期でもあり、それに伴い、資金調達のニーズも、借入から資本へとシフトする企業がみられ始めるなど、当該プログラムを取り巻く環境は変化しつつあります。』
だったらコロナオペをダラダラ延長すると震災手形の二の舞になりませんかねえ、そういう話ではお得意の歴史ネタがでませんですかああそうですかこりゃすんつれいしました。
『その一方で、ワクチン接種の普及により集団免疫を獲得するまでは、対面型サービス消費が明確に回復する状況を見通すことは難しいため、感染症拡大の波が断続的に訪れる限り、資金繰りの問題が生じる可能性は否定できません。』
さっきの経済の辺りでは一部の対面型サービス消費は食らっていますが他は感染症の下でも強さが出てきている、という話をしているのにここではこういう話。まあこれは安達さんがどうのこうのと言う前に大本営日本銀行作戦部方面が実施しようとしている政策にその場だけそこで理屈を付けに行くから話の全体としての整合性が取れないという(だから4月の展望れ上場修正するなよなーと思った次第で、話が尻滅裂になるのは展望が悪い展望が)事態になるのでありました。
『こうした企業金融を取り巻く様々な環境を踏まえると、本年10月以降の当該プログラムの取扱いについては、今後の企業金融の動向を慎重に見極めながら、議論を深めていく必要があると考えています。』
とは言っても遅くとも7月会合では結論ださんとね。(6月会合で出す気はするが)
『このように、私自身は、引き続き内外経済を取り巻く不確実性は極めて大きいと考えており、先行きについては予断を持つことなく評価していく必要があります。』
ということですので、つまり上記の話は下振れの話なんだが、だったら何で途中に妙な第2次大戦後の米国との比較とかいう物件を入れているのかという感じで、この辺が入っているから下振れ警戒をしているのか何を言いたいのかがちら読みすると分かりにくいわ、とおもいました(個人の感想です)。
・リフレ派審議委員じゃないのかよこの人というような説明が延々と続くコーナーに入ります
さて次が『4.ポストコロナの展望と2%の「物価安定の目標」の実現に向けて』というお題なのですが、2%の物価目標の実現に向けて、っていうんですからそらもうマネタリーベース置物直線一気理論ですよという感じの話が来るかと思えばさに非ず。まあ拝読しませう。
『2%の「物価安定の目標」の重要性』という小見出しがありまして、
『本年3月、日本銀行は、より効果的かつ持続的な金融緩和政策を企図して、これまでの金融政策の効果や副作用等に関する点検を実施しました(図表7)。点検の内容は詳細かつ多面的なものでしたが、特に私が興味深く感じたことは、わが国の物価が、過去の慣習や実績等に従って適合的に定まるという、いわば物価観のようなものに影響される側面が非常に強いことが改めて確認された点でした。』
・・・・・・・・・・・・・・あらあら。
『2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、こうした岩盤とでも言えそうな物価観を何とかして変えていく必要があることを強く認識しました。』
えーっと、まあ「デフレ脱却国民会議」ってので検索するとWikipedia先生が引っ掛かって来るので、そこの参考リンクとか読むと中々楽しいんですけど、あんさんらマネーを増やせばそういうの一発で解決するのに政府も日銀もそういうのを軽視しているからなんちゃらかんちゃらって言ってたし、だいたいからして置物理論ってMB拡大と強い意志を示してインフレ期待に直接働きかけるって触れ込みで政策ぶっこんだはずなんですけど、何あんさん他人事みたいに言ってるの?????
『もちろん、物価に対する認識は個々の企業や家計によって様々です。現在、日本銀行が目指している2%の「物価安定の目標」についても、これが実現すれば、家計にとっては生活に影響するのではないか、もしくは、企業にとってはコストの増加によって採算が悪化するのではないか、と懸念されている方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。』
2%物価目標で世の中が変わるとか言ってたの何だったの????
『しかし、過去のデフレといわれた時代を振り返れば、多くの企業が、存続を図る中で雇用形態の見直し等により労働コストを削減しようとしました。その結果、賃金が減少したことで家計の所得環境が悪化し、消費が抑制されたことで企業の売上が減少し、企業は雇用を調整せざるを得なくなるという悪循環に陥っていました。さらに、デフレのもとで、深刻な円高となったことも、デフレが続く要因となりました。』
この説明、デフレは景気後退(悪化)における合理的な企業行動や家計行動における結果であって、別にデフレだから企業がダウンサイジングしたとかそういう話じゃないと思うんですが、原因と結果の説明が相変わらずのいつもの置物クオリティ、というか今更その話するのって古いわ。
『2013年から始まった大胆かつ大幅な金融緩和は、日本経済を長期にわたって苦しめてきたデフレの流れを止める役割を果たしました。その過程で、雇用環境が回復し、企業も将来の収益見通しが改善する中で、人手不足を感じるようになりました。わが国における労働力不足の存在は、日本経済の中長期的な課題の一つとして2013年以前から広く認識されていたと理解していますが、2013年以降、世の中で人手不足が広く話題になるようになった背景には、デフレ克服の見通しが立つようになったもとで、将来にわたって事業を継続あるいは拡大しようとする企業が増えてきたことも一因ではないかと考えています。それまでは、デフレが継続するという前提のもとで、企業は事業規模の縮小を考えざるを得ず、少子高齢化に起因する人手不足の問題が顕在化してこなかったのではないでしょうか。』
それはデフレちゃうわ成長期待や、という話だし、ちょっと時間が無くなってしまったんで、もうちょっと先で残りは明日に会見と一緒に成敗しますけど、いまさらこの理屈言ってますけど、逆に米国とかはいまや物価が先行して上がってインフレ期待が上がらんように説明しているというような事態な訳で、そういう動向を見てると何ちゅうかこの話もうピントがズレてね??ってな感じです。
『このように、わが国を取り巻くデフレ的な環境は大きく緩和されましたが、まだ十分ではありません。私から申し上げるまでもなく、わが国の雇用環境をみれば、現在でも、働く意欲がありながら労働市場に参加できない方がいらっしゃるほか、特に地方では業況が厳しい中小企業も数多く存在しています。』
何故か急に話が経済のスラック方面に向かいまして、
『つまり、日本経済にはまだ十分に稼働していないスラックが存在しており、その削減を金融政策面からサポートする枠組みこそが、2%の「物価安定の目標」の実現であると私は考えています。この目標の実現は、決して物価のみを引き上げようとするものではなく、最適な経済環境をもたらす最適な物価の水準を実現することができれば、生活水準は大きく向上するものだとご理解いただきたいと思います。日本銀行にとって、2%の「物価安定の目標」は堅持すべき重要な政策目標であることを改めて強調したいと思います。』
途中ではデフレがすべての悪の根源みたいな説明をしていたのに、今度はスラックの解消がどうのこうのみたいな話にすり替わっていて、何ちゅうかナンジャソラという感じではありますな。
なおこの講演、更にこの先にパワーワードが出て来るのですが、アタクシ今朝ネチネチと置物一派の調べものしたりしながら読んでいたから時間が全然足りんくなってしまいまして(SMCCFの売却ネタも見つけてしまいましたし)、昨日やっておけと言われるとぐうの音も出ないところで、ジンバブエ先生とは別の意味で何かねじり鉢巻きをしないと行けない、という事に改めて気が付いたので反省して次回からは頑張る(何を?)のですが続きは会見と一緒に明日でご勘弁ください(すいません)。
2021/06/02
お題「債券市場サーベイなどの雑メモ/ブレイナード理事講演はいつものハト派だがアップサイドリスクの点検にも言及」
超どうでもよいのですが、今日は横浜開港記念日でして市立の小中学校は公休日だったと思います。
http://www.kaikosai.com/about/reason.html
開港記念日の由来
ORIGIN
『最初に調印された日米修好通商条約では、1859年7月4日に開港することになっていましたが、結局アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスの5カ国すべてに対して
旧暦6月2日に開港されることになりました。』(上記URL先より)
横浜での金懇で「今から約160年前にペリーの来航を受けて開港し」とか言っちゃうのがアレというのが良く分かります、と2月のネタを掘り起こす訳ですが、ご当地ネタで外しちゃうのって、特に地元の方だと場合によっては地雷中の地雷になるんですわな。
まあこの時の金懇では冒頭で「私は横浜に生まれ、藤沢で育ちましたので」って自己紹介してたから、辛うじてセーフ(横浜生まれの横浜育ちと言ってこれをしてたら地元愛を疑われるという藪蛇案件)という考え方もなくは無いのですけどね、うーん。
〇債券市場サーベイですがこれは調査期間が惜しすぎる
まあ期間自体は別に狙っている訳ではないから致し方ないのですが。
https://www.boj.or.jp/paym/bond/bond2105.pdf
債券市場サーベイ
<2021年5月調査>
回答期間:2021年5月6日〜5月12日
調査対象先数:70先
5/6〜5/12ですと米国様が早期のテーパーだのなんだので10年1.7%を見に行った(見に行っただけだが)時期ですので、一応は動かなかったわけでもないこともないという時期でして、これ同じサーベイを先週やってたらとても素敵な結果になっていたような気がする、というか月初から全然カレントBBで値が付かないとか先生!うちの債券市場ちゃんが息をしていないの!!(AA略)状態になっておるわけでございまして、これで今月雇用統計で動かなかったら何も動かんぞ(フラグ)という感じの相場ちゃんですがはてさて。
『(1)貴行(庫・社)からみた債券市場の機能度(注)
(注)債券市場の機能度は、(2)@〜Fの質問項目への回答内容等を総合的に勘案して、ご回答下さい。』
を見ますと、
(現状)
機能度判断DI(現状):▲24→▲27
(3か月前と比べた変化)
機能度判断DI(変化):0→▲5
まあ何ですな、点検会合前は色々と面白報道合戦などが繰り広げられておりましたので、動くには動いておられましたが(不毛とか言わない)、終わってみればあの有様だし、3月のケツにオペ紙動かしてくれましたが、4月に入ってからは動かなくなってしまいましたし、まあそんなこんなを考えれば月前半だったからこの水準で留まっているのでありまして、足もとどうなっているのか見たい気はする。
個別項目見ると、
A貴行(庫・社)からみた市場参加者の注文量について、板の厚み(注)等を念頭においてご回答下さい。
B貴行(庫・社)の取引頻度についてご回答下さい。
ってのが悪化していて、他はそうでもない、というのは何となく感覚的にはそうでしょうかねと思います。まあこれも機能度云々ってマイナス金利にYCCを5年近くもやってて機能度がどうのこうのとか寝言状態になっていますからねえ。
〇あたまのよろしいおかたはむつかしいシミュレーションとやらをされますなあ(点検補足ペーパーネタの補足)
昨日は本文パスとか申し上げましたが、ちょっとだけ本文を。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/data/wp21j11.pdf
「点検」補足ペーパーシリーズB
マクロ経済モデルを用いた
オーバーシュート型コミットメントの分析
『4.シミュレーション結果』っていきなり結果をみてしまうんですけどね。PDFで14枚目、本文12ページです。
『4−1.ベースライン結果
図表2は自然利子率が+0.5%のケースについて、図表3は自然利子率が−0.1%のケースについて、それぞれ、追加的なショックがない場合のシミュレーション結果を示している。テイラールールに加えて、AITルールにおける平均インフレ率の参照年数を2年、3年、4年と設定した場合の各変数の推移を示している。
』
AITルールってのが「アベレージインフレーションターゲット」って事ですが、これ図表2と3というのが巻末にあって、PDFで23、24枚目、ページで言うと21、22ページになります。
『図表2.シミュレーション結果(自然利子率が+0.5%場合) 』(原文ママ)
『図表3.シミュレーション結果(自然利子率が−0.1%の場合) 』
ってのがあるんですが、そこの『Cインフレ率 』を見ると、テーラールールでやっていると自然利子率に関係なく12四半期後に2%を達成するらしい、という時点でナンヤソラという感じがしますが、現実問題としてこの「埋め合わせ戦略」とやらの平均インフレターゲットとやらを既に2016年9月(末に近いから勘弁して10月からでも良いけど)に実施して4年どころではなく経過しているのに達成しないのと、このシミュレーションとは何ぞやって感じで、もう何ちゅうかこの結果を見ると?????としか思えん。
『図表2の名目短期金利の推移をみると、シミュレーション期間の前半は、テイラールールに比べてAITルールの方が、また、AITルールの中でもインフレ率の平均算出期間が長いルールの方が、より緩和的な金融政策運営となっている。』
そらそういう建付けなんだからそうなるわな。
『名目長期金利をみると、先行きの予想短期金利の期間構造を反映して、シミュレーション期間の初期には、インフレ率の平均算出期間の長いAITルールの方が、低金利となっている。こうした名目長期金利の水準差を反映して、需給ギャップの改善幅は、テイラールールよりも、平均インフレ率の参照年数の長いAITルールの方が、大きくなっている。』
そら緩和的な方がシミュレーション上はそうなるわな、シミュレーション上は。
『この政策ルール間でみられる需給ギャップの動きの差異は、フィリップス曲線を通じて、インフレ率にも影響を与えている。』
じゃあ何で日本はこんなに物凄い低金利で、ドイツ様には負けますがメリケン国なんぞを大幅に下回る長短金利水準を維持しているのに物価が上がらないんでしょうかねえ。
『すなわち、インフレ率のパスをみると、テイラールールよりも、平均インフレ率の参照期間の長いAITルールの方が、2%目標を早期に達成できる結果となっている。』
どこかの誰かさんじゃないですが「そういうのは達成してから言え」ですなあ。
『ただし、AITルールにおける平均インフレ率の参照期間が長いほど、金融緩和が長期化するため、需給ギャップでみた景気の過熱感は強まるうえ、インフレ率の2%からのオーバーシュート幅も大きくなる。』
『図表3で、自然利子率が低い−0.1%のケースの結果をみると、自然利子率が低い分、金融緩和による景気浮揚効果が弱まるため、需給ギャップやインフレ率の上昇幅は小さくなるが、テイラールールとAITルールの間でみられたパフォーマンスの違いは、図表2の+0.5%のケースと同様となっている。』
わっはっは。
『次に、ランダムなショックを与える確率的シミュレーションの結果に基づき、各政策ルールのもとで算出される平均的な社会厚生損失を比較する(図表4)。』
まあこの辺は流すのだが。
『自然利子率が+0.5%のケースでは、過去2年間の平均インフレ率を参照するAITルールが、自然利子率が−0.1%のケースでは、過去3年間の平均インフレ率を参照するAITルールが、それぞれ、厚生損失を最小化するという結果となった。』
ナンジャソラって感じですが、23ページの『図表4.確率的シミュレーションの結果
』とかいうのがあります。
『これらの分析結果は、わが国経済において、実績のインフレ率が目標値の2%を下回っている場合には、ある程度の期間、過去の目標未達を「埋め合わせる」緩和的な金融政策運営を行うことが、早期の物価目標の実現だけでなく、社会厚生損失の最小化という観点からも望ましいことを示唆している。』
頼むからそういうのは2%に近い水準と誰もが認めるような物価を叩きだしてから言ってくれ。
『さらに、自然利子率が低い場合には、金融緩和による景気刺激効果が低下するため、より長い期間の過去のインフレ率の平均値を参照する――「埋め合わせ(Makeup)」の度合いが強い――政策運営を行う方が、社会厚生上の観点から望ましいことも示唆している。』
いやあのそんな話はどうでもいいんでまずは2%行く方策を考えようや、としか申し上げようがございませんですが、この次の項を見て笑った。
『4−2.頑健性のチェック』
『 以下では、モデルの設定を幾つか変更したシミュレーションを行うことにより、上記のベースラインの結果が、どの程度頑健であるかを点検する。』
シミュレーションしたからロバストネスチェックする、というのは分かりますが、そもそもおまいらの金融政策でその埋め合わせ戦略とやらを4年半以上やっているのに適合的期待形成ガーとかコロナガーとか言って全然かすりもしない状態になっている時点でロバストネスもへったくれも無いわ、という感じですが、まあしかしよくもまあこういうの大真面目に作るわと感心するやら呆れるやら。優秀な頭脳はもっと別の事に使うように割り当てを行った方が宜しいのではないか、と思うのでありました。
などと無学のアタクシが言うとまた馬鹿がほざいているとか言われそうですが(汗)。
〇ブレイナードなのでハト派なのですがアップサイドリスクへの言及もしないといけなくなってるか
クオールズ副議長講演ネタの続きをやろうと思ったらハト派大師匠の大正義ブレイナード理事が講演をしておったのでそっちを寝起きのヤケクソインスタント読み。
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20210601a.htm
June 01, 2021
Remaining Steady as the Economy Reopens
Governor Lael Brainard
At The Economic Club of New York, New York, New York (via webcast)
6月1日だから朝獲れの新物だな!!!!!!!
・・・・でまあ題名の方は「Remaining Steady as the Economy Reopens」と政策の地蔵スタンスを題名から既にアピールしている、というブレイナードらしい題名でして、小見出しを並べると以下の通り。
Pent-Up Demand and Supply Constraints
Supply-Demand Mismatches in Inflation
Supply-Demand Mismatches in Employment
Policy
物凄い勢いでチラ見した感じですと、まあ要するにコロナからの経済活動再開に伴う盛大なペントアップ需要とそれに対しておいついていな供給能力に伴う供給制約要因とかがあって、米国経済にミスマッチが生じることによってインフレが上がったり賃金が一部のセクターで上昇圧力かかったりしていますよ、というような現状の認識を示していまっせ、というのが大体最初の3つの小見出しでのお話で、さらに雇用情勢に関して言えば、全体として見た場合にはまだゴールには程遠い、という説明をしています。
とまあそんな感じで、先日ネタにした先週26日のクオールズの講演でもそうでしたが、最近は「物価上昇はテンポラリー」だけで説明するのではなく「雇用がファーフロムゴール」って話を入れるようにして地蔵をアピールするようになっているなあ、というのは目立ってきた感じで、さすがのハト派ブレイナードも物価が一時的だけで地蔵を説明するのはちと強引って感じになって来たのか、と思うとこれでときめきの雇用統計とか出てくれるとアタクシ歓喜の余り全身白塗りになって日銀北門前で暗黒舞踏でも踊りたくなる(踊りません)訳ですけれども、まあそれは今週末のお楽しみということにして、インスタント手抜き読みの極致で『Policy』って小見出しだけ読んでみる。4パラグラフしかないですが。
『Although continued vigilance is warranted, the inflation and employment
data thus far appear to reflect a temporary misalignment of supply and
demand that should fade over time as the demand surge normalizes, reopening
is completed, and supply adapts to the post-pandemic new normal.』
これがそこまでの認識をまとめた話で、今ヒャッハーしているように見えるのは経済再開に伴う一時的なヒャッハーであって本格的に稼働しだしたら中々継続はせえへんで、というまあそう来るだろうなあという説明。
『Under our guidance, adjustments in the path of monetary policy are transparently
tied to realized progress on our maximum-employment and 2 percent average-inflation
goals. Jobs are down by between 8 and 10 million compared with the level
we would have seen in the absence of the pandemic. And it will be important
to see sustained progress on inflation given the preceding multiple year
trend of inflation below 2 percent. While we are far from our goals, we
are seeing welcome progress, and I expect to see further progress in coming
months.』
一時的とみていますので、今の時点で経済がマンデート達成に向けて顕著な進展をしている、とまでは言い切れませんがな、ということですし、相変わらずなのですがブレイナードは勝手に今の枠組みを「2
percent average-inflation goals」とか言ってますな、アベレージターゲットって言い出すとさっきのペーパーじゃないけど参照期間は何年なのかとか、そういうややこしい問題が起きるからその辺は執行部は「上振れ上等」とか「メークアップ戦略」とかいう言い方はするけど、あまり断定的な言い方をしないようにしてるんですけどねえ。
でもって次のパラ。
『I am attentive to the risks on both sides of this expected path. I will
carefully monitor inflation and indicators of inflation expectations for
any signs that longer-term inflation expectations are evolving in unwelcome
ways.』
何と!ロンガータームのインフレ期待が「evolving in unwelcome ways」になるのを注意するとな!!
『Should inflation move materially and persistently above 2 percent, we
have the tools and experience to gently guide inflation back down to target,
and no one should doubt our commitment to do so.』
2%上振れが長引き、しかも上昇が顕著になった場合には対処しますしできます、と来まして、なんとこれ上振れリスクの方にもブレイナードまで言及するようになったのか、うーん感慨深い。
『Just as it is important to be attentive to upside risks, it is also important
to be attentive to the risks of pulling back too soon. In the previous
monetary policy framework, the customary preemptive tightening based on
the outlook to head off concerns about future high inflation likely curtailed
critical employment opportunities for many Americans and embedded persistently
below-target
inflation.』
『The entrenched pre-pandemic combination of low equilibrium interest rates,
low underlying trend inflation, and a flat Phillips curve is likely to
reassert itself after reopening is complete. This type of environment creates
asymmetric risks, since the lower bound constraint means that policy can
respond more readily when inflation surprises to the upside than to the
downside.』
もちろんアップサイドについてちょっと言及した後は、インフレが下の方のリスクと、その場合の政策対応の難しさについてこれでもかとばかりに説明しているのでハトな事には変わりはありません。
『Remaining steady in our outcomes-based approach during the transitory
reopening surge will help ensure the economic momentum that will be needed
as current tailwinds shift to headwinds is not curtailed by a premature
tightening of financial conditions. The best way to achieve and sustain
our maximum-employment and average-inflation goals is by remaining steady
and clear in our approach while also being attentive to changing conditions.』
で、最後のパラグラフは「だから地蔵が大事」という説明で締めていて、平常運転なのには変わりはないのですが、でもブレイナードも先にアップサイドリスクとかインフレ期待の上振れに関するリスクを点検しないと、って言い出すんですから、まあそういう意味では米国の物価上昇に関しては色々と言われだしてFED的にも「一時的連呼」だけではちょっと説明足りなくなってきた、って感じなのかなあと思うのですけれども、この辺は米国在住者に聞かないと感覚的な部分が分からんではありますな。
2021/06/01
お題「オペ紙変更なし、CP買入増額/点検の補足ペーパーと言うオモシロプレイが2カ月連続で」
だんだん大喜利合戦になっとるな。
https://www.iza.ne.jp/article/20210531-DKQBG3QVVZKZPITSBZUEN25XFM/
共産・小池書記局長 酒類持ち込み「日本中の居酒屋が選手村に名前変える」
2021/5/31 17:30
ついでに「パブリックビューイング」としてテレビを流せば(銃撃音)
#いやそこは論点チャウヤロと思うけどね
〇オペ紙の変更は無かったのですがCP買入増額ェ・・・・・・・・・・・・
・長期国債買入は案の定の前月比変わらず(2回連続)である)
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210531c.pdf
長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定(2021年6月)
-1年:1500億円、月1回(変わらず)
1-3年:4750億円、月4回(変わらず)
3-5年:4500億円、月4回(変わらず)
5-10年:4500億円、月4回(変わらず)
10-25年:2000億円、月1回(変わらず)
25-年:500億円、月1回(変わらず)
物価:600億円、月1回(変わらず)
変動:300億円、3か月に1回(変わらず)
ということで順当にカワランチ会長だったのですが、こうなりますと例の黒ちゃんや鈴木さんの発言の意味するものって何なんでしょうというのが気になるから誰か6月の金融政策決定会合後の会見で質問して下さいお願いしますお願いします。なんだったら明日の安達審議委員の金懇で聞いても良いんですけど。
しかしまあ何ですな、これ人とお話してて気が付いたって受け売り系の話で恐縮なのですけれども、黒ちゃん鈴木さん発言にあるように「10年がプラマイ25bpを抜けるようじゃなかったら月初に決めた買入を動かさない」っての、よくよく考えて見ますと、中短期辺りの需給が何かの拍子に逼迫して、玉無し芳一状態になった時にも買入減らさなかったら需給ひっ迫に拍車をかけてアヒャヒャヒャヒャって事になりかねませんがな、という話でもありまして、やっぱりそういうのは数字出して明言するもんじゃないと思うの実務的にいって。
しかも、なんか概ねプラマイ10程度の倍程度みたいなフワッとした説明だった時と違って、ああいう言い方になってしまうと、25bpが無茶苦茶岩盤ですと言ってるようなもんになる訳で、真面目に2%物価目標を達成する気があるんだったら、そういうガチガチのシーリングぶっこむと後で運営に苦労するの明確なんですけど、まあどうせ黒ちゃんの任期中は2%達成しないからあとは野となれ山となれですね!!!!!!!!!!!
ということで、輪番いじらなかった(まあそれ自体は例の発言群は別にして妥当だと思うけど)ので例の発言の謎はまだ解明されないまま、ということになるのでした。
・CP買入増額だと?????
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210531a.pdf
CP・社債等買入のオファー日程(2021年6月〜7月)
こちらなんですが、月2回各4000億円だったのが5000億円に増額されてやがりまして、リスク性資産の買入は減らす方向じゃなかったのかよと小一時間問い詰めたいのですが。
ちなみに5月2回目の買入は26日オファーされましたが4000億円で、
落札結果 (5月26日<水>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba210526.htm
CP等買入 9,656 3,975 -0.010 -0.006 24.7
さらにその前はこちら。
落札結果 (5月14日<金>)
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba210514.htm
CP等買入 11,340 3,990 -0.014 -0.011 74.5
いやまあ確かに買入レート上がったけど所詮はマイナス利回りの世界だし何で増額するねんという感じではありますな。まあ6月だから決算資金絡みでCPの発行が増えるから需給がどうのこうのでとかそういうのは分からんでもないのですが、だったら何で7月も5000で出しとるねんという感じでありまして、6月のCP発行増加に対応して増やしたいなら6月の買入だけ5000にしとけやと、とにかくCP社債買入は要らんわというのが生来の主張なので言ってることがバイアス掛かっておりますのは承知しておりますが、別に前回の買入結果を見て急に増やさなければならないほど極端な動きになってるのけ?????とは思いますし、これが前回のCP買入でプラスに突っ込んだとか言うならまあ(それでも減らせと個人的には思うけど、笑)わからんでもないのですが・・・・・。
あ、あとドルオペに関してはそのままヨコで継続だったと見ました(見落としてたらご指摘プリーズ)。
〇月末になると屁理屈の上塗りレポートが出るとかどういうプレイなんだ(点検ペーパー)
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/wp21j11.htm/
「点検」補足ペーパーシリーズ(3)
マクロ経済モデルを用いたオーバーシュート型コミットメントの分析
前月もこのシリーズの第1弾と第2弾が出ていましたが、今回は第3弾になります。でもってもう題名からして巨大な釣り針の香りがする、というペーパーになるのでございますが、しかし何でこれ日銀せっせと出そうとするのか、というのがイミフでありまして、過去の総括検証やらその他諸々とかでもお手盛り感満載の屁理屈オンパレードを出しておりましたが、このオーバーシュート型コミットメントとか特にそうなんですけど、屁理屈以外の何物でもないものを更に出してくる、という恥の上塗りとはまさにこの事としか申し上げようがない物件を日銀の超絶優秀な知能を使って以下自主規制。
本文を見るまでも無いのですがエグゼクティブサマリーを拝読しますとこうなります。
『要旨』
『日本銀行は、金融政策運営において、消費者物価上昇率(除く生鮮食品)の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続することを約束している。』
オーバーシュート型コミットメントの事です。
『この「オーバーシュート型コミットメント」は、インフレ率が景気の変動などを均してみて平均的に2%となることを目指す観点から、インフレ率の実績について目標値からの下振れが続いた場合には、その一部をインフレ率の実績の目標値からの上振れによって相殺することを予め約束する、いわゆる「埋め合わせ戦略」の考え方を実践したものと言える。』
そんな事言ってましたっけ???という検証シリーズを今回は投下しようかと思います。
『本稿では、予想物価上昇率について適合的期待形成の要素が強いわが国においても、米国経済を対象とした先行研究と同様、こうした「埋め合わせ戦略」が、物価目標の早期実現と社会厚生上のコストを勘案したうえで望ましいかどうか、小型のマクロ経済モデルを用いたシミュレーション分析により検証する。』
なんちゅう無駄な検証を・・・・・・・・・・・・
『分析の結果、(1)実績のインフレ率が目標値を下回っている場合には、一定期間の過去のインフレ率の低さも考慮して緩和的な金融政策運営を行うことが、社会厚生上のコストを勘案しても望ましいこと、また、(2)自然利子率が低いほど、低金利政策の景気刺激効果は低下するため、より長い期間の過去のインフレ率を参照する政策運営が望ましくなること、が示された。』
ってまあこんなの置きで何とでもなる話ではありますな。
・・・・・・まあ分析結果はああそうですねってなもんではあるのですが(数式にオエーとなりながら一応斜め読みはした)そもそも「メイクアップストラテジー」ってのFEDが思いっきり提唱しているのに対して急に何か変なキノコでもキメたのか日銀ちゃんが突如「我々が元からメイクアップストラテジーとしてオーバーシュート型コミットメントを言い出したのでFEDはワシが育てた」という珍説を開陳しだした訳で、メイクアップストラテジーが有効ですよという話をこうやって点検している訳ですな。
えーっとですね、そもそもFEDが何でメイクアップストラテジーだの一種のアベレージインフレーションターゲットだの言い出しているのかと言えば、そもそも論としてFEDちゃんとしてはテーパータントラムトラウマがありまして、この事からインプライされる行動と致しまして「金融緩和政策の早期解除観測が早すぎる段階で起き、テーパータントラムのような事が起きたらアカンヤロ」という発想がありまして(個人の感想ですだが多分合ってるという自信はある)、一方で昨年の夏時点におけるこれまでの(主にコロナ前の)物価推移を見ていると、労働需給もそうだし、経済全体もそうですが、需給ギャップに対して物価の感応度が低いというフィリップスカーブのフラット化が生じているのではないか、というような事象が観測されていた訳ですよね。
そうなりますと、それこそ極端に言えば1970年代のような感じのスパイラル的な物価上昇ってえのは起きにくい(背景としては経済のサービス化とかIT化とかグローバル化とか色々とあるんでしょうが)という認識なのですから、だったらまあ物価が多少上振れしてても何とでもなるやん、ということになるので、それであれば物価上昇を受けて早すぎる緩和解除観測からの金利大上昇を避けるために「メイクアップ」とか言い出している訳ですよね(個人の感想です)。
ということで何を申し上げたいのかと言いますと、日銀のオーバーシュート型コミットメントにつきましてこちらのペーパーでは『いわゆる「埋め合わせ戦略」の考え方を実践した』などと寝言をほざいている訳ですが、埋め合わせも何もお前ら2%が見えるような物価上昇をしたことがあるのかよという話でありまして、メイクアップストラテジーなどと言うのは米国のように実際に物価が2%を上振れするような身分になってから言えというものでして、埋め合わせどころかドンドン穴を掘り続けているうえにまだまだ穴掘りは続きますとか堂々と開き直っている日銀が埋め合わせ戦略を実施とか威張るのは、図々しいを通り越して悲しくなって来るから止めなはれと思うのですが、なんか知らんのですが、今回の屁理屈点検シリーズ、黙っていれば皆内容を忘れてくれるのにも関わらず、わざわざ屁理屈の上塗りをしてくる、というどういう了見でこういうプレイをするのか良く分からんですな。まあネタをぶっこんでくれるのでアタクシとしてはアリガタヤアリガタヤですけど。
という訳で全文はこちらです。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2021/data/wp21j11.pdf
「点検」補足ペーパーシリーズB
マクロ経済モデルを用いたオーバーシュート型コミットメントの分析
さて、では良い機会ですのでオーバーシュート型コミットメントの誕生である2016年9月会合にさかのぼってみましょう。
2016年9月会合声明文
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf
金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
『2.これらを踏まえ、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、上記2つの政策枠組みを強化する形で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。その主な内容は、第1に、長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」である。』
『(3)オーバーシュート型コミットメント(注4)
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースの残高は、上記イールドカーブ・コントロールのもとで短期的には変動しうるが、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。この方針により、あと1年強で、マネタリーベースの対名目GDP比率は
100%(約 500 兆円)を超える見込みである(現在、日本は約 80%、米国・ユーロエリアは約
20%)。』
いやー懐かしいですね〜。こうやってこの導入当初は「量」の話を思いっきりしていたんですよね〜。前の名残だからしょうがない面はあったにせよ、これだけ偉そうに量の話をしていながら最近はこの前の3本の鉛筆出した時に急に量をだしましたけど、すぐに量で勝負できない事に気が付き引っ込めたし、今回の「長期的に続ける」だって量の拡大で勝負!じゃないもんねー。
『具体的には、第1に、「フォワード・ルッキングな期待形成」を強めるため、オーバーシュート型コミットメントを採用することとした。「物価安定の目標」の実現とは、物価上昇率が、景気の変動などを均してみて、平均的に2%となることを意味する。現在の実績および予想の物価上昇率が2%よりも低いことを考えれば、「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」と約束することで、「物価安定の目標」の実現に対する人々の信認を高めることが適当であると判断した。』
この時の言い方、非常にファジーな言い方をしていますが、別にメイクアップするとはゆうてませんわな。そもそも上記引用部分での「平均的に2%」というのは「物価安定の目標っていうのは、瞬間的に2%をマークするんじゃなくて、景気のサイクルの中で均してみると2%近辺で安定推移している」って意味ですよ、って話をしている訳でして、そのためにこのコミットメントは「2%になったから急にMB拡大政策を縮小しませんよ」という意味の筈でして、上記の説明をみても全然「メイクアップします」にはなっていませんよね〜。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921c.pdf
目で見る金融緩和の「総括的な検証」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
こちらの本文8ページ、PDF9枚目の『8.新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」では、どうやって、予想物価上昇率を引き上げようとしているのか?』ってのでも同じ説明をしています。引用すると長くなるのでパスしますけど。
ついでにこちら。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1609b.pdf
総 裁 記 者 会 見 要 旨
―― 2016年9月21日(水)
午後3時半から約70分
最初の説明部分での黒ちゃんの解説から。
『もともと 2%の目標を実現するということは、景気変動などを均して平均的に
2%を実現するということですから、2%をオーバーシュートする局面は想定されています。しかし、金融政策には効果が現れるまでにラグがあることを踏まえると、実際に
2%を超えるまで金融緩和を続ける、というのは極めて強いコミットメントです。』
もともとはこういう説明でしたよね、別にメイクアップだ何だって言ってない(そもそも達成も全然見えない上にそれを先送りしまくっているのにメイクアップとか言うのがギャグにしか見えませんから言わないのが普通ですよね)ですな。
『日本銀行が供給しているマネタリーベースの対名目GDP比率は既に 80%程度に達しています。新しいコミットメントのもとで、現在の調節方針に沿って金融緩和政策を継続すれば、あと1年強で100%を超える見込みです。この水準は、米国や欧州の
20%程度をはるかに上回っており、日本銀行の金融緩和がいかに大規模なものであるかをご理解頂けると思います。』
あっはっは。まあ他にも解説はしているのですが、要は「2%超えてもMB拡大って物凄い強力な継続をコミットしてるよ」という話をしているのでありますが、そもそもが「金融緩和が長期化しますよ」と言っている時点でよくよく考えたらこのコミットメントと同じ話をしているのですよね、何だかな〜って所ではありまする。
という趣味のサルベージシリーズでした。